カイジョウロンパ~新たな希望と絶望 (妃沖薊)
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カイジョウロンパ~新たな希望と絶望
プロローグ


…認めたくない

 

だって…僕は僕でしょ?

 

なのに…おかしいよ

 

どうして他の人の為に頑張らなくちゃいけないの?

 

たしかに皆より僕はできる子だよ?

 

でも…僕だってできないことはあるんだ

 

なのに皆は僕の事助けてくれないんだよ?

 

そんなの不公平じゃん

 

僕ばっかり損してるんじゃん

 

僕だって…誰かに助けてほしいんだよ

 

 

――――――――――

 

 

…またなの?

 

これで何回目?

 

…僕?…数えるのも馬鹿らしくなっちゃったんだ

 

君は…助けてもらえるのが当たり前なの?

 

僕の事は助けてくれないのに?

 

…もういいよ

 

ほら、話して

 

今回はどんな問題を抱えてきたの?

 

 

――――――――――

 

 

本当はわかってたんだ

 

自分は誰かの為に生きる存在なんだって

 

それでも認めたくないのが人間なんだよね

 

ほら、よく言うでしょ?

 

その人の人生ってその人の為の物語なんだってさ

 

でも僕は違う

 

他人の為に

 

誰かの為に

 

自分以外の為に

 

この"才能"はその為にあるんだ

 

だったら…やらなきゃ

 

"俺"は…その為にここに来たんだからさ…

 

 

―――――――――

 

 

初めまして

 

導入は定番の方が良いよね

 

俺の名前は八森 剣助(やもり けんすけ)

 

どこにでもいる普通の高校生…ではないか

 

俺はとある学校にスカウトされて、特別な高校生としてその学校に入ることになったんだ

 

その名も…"私立希望ヶ峰学園"

 

【卒業すれば人生の成功が約束される】

 

そんな詐欺の様な甘いうたい文句も世界中の常識である

 

何故なら…この学校には普通に入学なんてできない

 

学校側からのスカウトを受けて初めて入学資格が与えられるんだ

 

入学条件…というかスカウト条件は2つ

 

"現役の高校生であること"

 

"その分野において超一流であること"

 

その条件を満たした高校生達は"超高校級"と呼ばれる称号を与えられる

 

そんな中で俺が与えられたのは…

 

 

【超高校級の助っ人】

 

 

自分以外の人の手助けを小さい頃から沢山してきた

 

そのおかげか、俺は沢山の人達に携わってきた

 

先生、友達、父さんの仕事先の人、母さんの主婦友達…

 

どんどん手助けの範囲は広がっていって、俺は住んでた所の人達から"何でも屋"なんて呼ばれてたんだ

 

その噂を聞きつけて、スカウトの人が来たんだ

 

親も弟も大喜び

 

勿論二つ返事で承諾した

 

そして今…俺の目の前に聳え立つ校舎こそ"希望ヶ峰学園"の本校舎なんだ

 

俺は今、今まさに人生の成こうへのだいいっポヲフミダシtannnnnnnnnnn…………

 

 

 

――――――――――

 

 

 

俺は知らなかった

 

踏み出した一歩は成功への一歩なんかじゃなかったんだ

 

この一歩は…

 

 

【絶望】へ堕ちる過ちの一歩だったんだ…

 

 



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プロローグ・その2

ここから生徒達が登場します
とりあえず6人ずつかな?


体が重い…

 

なんか…長い間眠っていたみたいな…

 

クラクラする…今何時だろ…

 

というか今まで俺は何を…そうだ!!

 

たしか希望ヶ峰学園に入学して今日は初登校日だったはず…あれ?

 

 

八「ここ…どこだ?」

 

 

俺が突っ伏していたのは机の上だった

 

学校にいたんだ、それは当たり前…だよな?

 

けど…雰囲気が異様なような…?

 

辺りを見回して目に入ってきたのは

 

監視カメラ・モニター・立ち入り禁止のテープが張り巡らされた窓・8時5分を示した時計・そして…

 

 

八「なんだこれ…?」

 

 

俺の背中に掛かってた上着

 

いや、上着っていうよりは白衣か?

 

 

八「やたら長いな…。

着てた奴190センチくらいあるんじゃないか?」

 

?「実際あるしな。」

 

八「そうか…って!?」

 

 

いきなり聞こえた声に俺は驚いて勢いよく後ろを振り返った

 

そこには黒シャツに黒のスラックスを着た長身の男がいた

 

髪は黒髪で項辺りで一つに纏めている

 

見た感じ190以上ある、確実に白衣はこいつのだな

 

そいつは俺から白衣を受け取るとダルそうに腕を通した

 

 

?「俺がここに入ったら寝ていたんだ。

揺すっても起きなかったから白衣だけ掛けておいた。」

 

八「お、おう…ありがとな。

俺は八森 剣助、【超高校級の助っ人】だ。」

 

?「"ヤモリ"って縁起がいいというか…。

助っ人としては心強いな。」

 

八「よく言われる。」

 

虚「俺は虚木 炉(うつろぎ いろり)

【超高校級の研究者】だ、よろしく。」

 

 

【超高校級の研究者】

   虚木 炉(うつろぎ いろり)

 

 

聞いたことある

 

たしか数々の不治の病の特効薬を開発してきた天才研究員

 

世界の各地に赴いて様々な病気を研究してるとか…

 

 

虚「少し待ってろ、もう一人いる。

今倉庫に飲み物を取りに行ってる。」

 

八「もう一人?飲み物?」

 

虚「『起きた時喉乾いてると可哀そうだから。』だとさ。」

 

八「な、なんか悪いな…。」

 

 

そうこうしていると教室の扉が開いた

 

そこにいたのは女の子だった

 

一番目立つのは紺色のジャンパースカート

 

ジャンパースカート自体は普通だが腹部左寄りに大きな赤いリボンが付いている

 

スカート部分はパニエを着ているのか膨らんでいる

 

髪は金髪で頭上左右にお団子にしていて纏まらなかった短い毛がチョロっと残ってる感じ

 

身長は俺より少し小さいくらいか

 

女の子は俺を見てホッとしたような表情を浮かべて駆け寄ってきた

 

 

?「よかった~!

病気で倒れてるとかじゃなかったんだね!

見つけた時は焦ったけど安心したよ!」

 

八「ああ、心配かけて悪かった。

飲み物持ってきてくれたって…ありがとうな。」

 

如「いいっていいってそんな事!

あ、私如月 輪廻(きさらぎ りんね)

ここにいるってことはクラスメートだよね?よろしく!」

 

 

【超高校級のネイルアーティスト】

   如月 輪廻(きさらぎ りんね)

 

 

虚「こいつは【超高校級のネイルアーティスト】。

最年少にして日本人初の快挙、ネイルの技術を競う世界最高峰のコンテスト"Queen Nail Great Prize"の最優秀賞を受賞した天才ネイルアーティスト。

こいつの叔母がやってるネイルサロンで看板娘もやっててこいつにネイルをやってもらうには5年前から予約しなきゃならないらしい。」

 

八「5年!?」

 

如「いや~有難いよ。

好きなもので認められるって嬉しいよね~。

それで、君は?」

 

八「ああ、俺は八森 剣助。

【超高校級の助っ人】。」

 

如「わ~"ヤモリ"て縁起がいいね!

何か守ってくれるって感じする!」

 

八「あはは、ありがとう。」

 

虚「んじゃ、移動するか。」

 

 

そう言って虚木は座っていた椅子から腰を持ち上げた

 

いつの間に座ってたんだろうか…

 

 

八「移動?」

 

虚「そもそもこの教室は通りかかっただけなんだ。

開いてた扉からあんたが見えたから寄っただけ。

俺と如月は玄関ホールで目が覚めて他の奴も探そうってことにして行動を共にしてたんだ。

ここがどこなのかもしっかり確認したいしな。」

 

如「え?ここ希望ヶ峰学園じゃないの?」

 

虚「俺が聞いた話では希望ヶ峰はこんなんじゃないはずだ。

少なくとも…1階に倉庫なんかなかったはずだ。」

 

如「でも、玄関ホール抜けてすぐに倉庫あったよね?

そこなら飲み物もあると思って行ったんだけど…。

実際水しかなかったけどね…。

コーラとかオレンジジュースとか欲しかったな~…。」

 

 

寝起きにジュースは遠慮したいからある意味助かった

 

如月は寝起きにジュース飲むのか

 

 

如「良かったら八森君も来る?

寝起きだから多分誰とも会ってないよね?

私達もさっき気が付いたばっかりだから誰とも会ってないんだよ。」

 

八「じゃあそうしようかな。

虚木もいいか?」

 

虚「置いて行くつもりなんて無かったがな。」

 

 

そう言って虚木はさっさと教室から出て行ってしまった

 

でも入口で待ってるみたいだ

 

ぶっきらぼうだけど良い奴っぽい…かな?

 

 

――――――――――

 

 

≪玄関ホール≫

 

 

最初に来たのは玄関ホールらしい

 

最初に虚木と如月が目を覚ました場所

 

俺にも玄関ホールを見せる為に戻ってきたのか?

 

虚木は想像よりずっと良い奴みたいだ

 

 

虚「ここが玄関ホール。

…と言っても機能していないみたいだ。」

 

八「え…?」

 

如「あのね、私達が最初にここで目を覚まして一番最初に外に出ようとしたの。

目が覚めたら朝の光を体に浴びたいじゃん?」

 

 

人それぞれだと思うけどなぁ…

 

 

如「けど…まったく開く気配がしないの。

二人で押しても引いてもスライドさせようとしてもビクともしなかったんだ。」

 

虚「…スライドさせようとしてたのはお前だけだけどな。」

 

?「貴方達も試したの?」

 

如「え?」

 

 

声がした方を振り返ると女の子が立っていた

 

如月に似た見た目だが制服にエプロンを付けてその上からジャケットを着た背の高い子だ

 

髪は茶髪でサイドの定位置で纏められている

 

第一印象は"お母さん"って感じだ

 

 

?「私も色々試したのよ?

押したり引いたりスライドさせたり道具を使ったり…。」

 

虚「スライドさせるのが流行ってるのか…?」

 

大「万が一ってあるでしょ?

それより初めましてよね?私は大屋 桃梨(おおや ももり)

【超高校級の母親】なんて呼ばれてるわ。

家事でも料理でも、何かあったら頼ってね。」

 

 

【超高校級の母親】

   大屋 桃梨(おおや ももり)

 

 

八「大屋 桃梨って…あの映画にもなった"這い上がり受験"の!?」

 

 

一時期テレビの特番で上げられる程の奇跡を起こした高校生

 

5教科で合計50点もいかなかった頭の悪い不良を1年で更生させて超有名大学に入学させたとかで話題になった

 

まるで本物の母親の様に…いや、それ以上に相手の支えになって正しい方向へ導くことから【超高校級の母親】と称されたのだ

 

他にも不登校になってしまった小学生をクラス委員にまでのし上がらせたり、母親のいない複雑な家庭にも出張したりと幅広く活躍している

 

 

大「ええ、その映画の元は私とゆー君よ。

でも私自身は何もしてないわ。

私はただ皆が全力を出せるようにサポートしただけよ。

皆は本当は支えがあればそれだけできるの。

あとはちょっと後押ししてあげればいいだけ。

皆いい子で私は恵まれただけなのよ。」

 

如「わ~…本当にお母さんみたい…。

あ、私は如月 輪廻。

【超高校級のネイルアーティスト】だよ。」

 

虚「…俺の親にも見習ってほしい…。

虚木 炉、【超高校級の研究者】。」

 

八「それでも根気良く支えてあげられるのはれっきとした才能だと思うし胸を張ってもいいと思うぞ。

俺は【超高校級の助っ人】の八森 剣助。」

 

大「ありがとう、八森君。

よろしくね、如月さん、虚木君。

それより八森君、それ寝ぐせ?

ちゃんと直さなきゃだめよ?」

 

 

そう言って大屋は俺の頭上に腕を伸ばしてきた

 

撫でられたと思ったが大屋はしかめっ面をして首を傾げている

 

 

大「あら…?」

 

八「あ~…なんか跳ねてるアホ毛みたいのだろ?

小さい頃からそれだけ直らないんだよ…。

だから諦めてる。」

 

大「そうなの…。」

 

虚「ここにはアンタだけか?」

 

大「ええ、他の子達は他の場所にいるわ。」

 

虚「わかった。」

 

 

そう言って虚木は先に玄関ホールを出て行ってしまった

 

あれ?あいつあんなに不愛想だったか?

 

 

如「待ってよ虚木くーん!

大屋さん!また後でね!」

 

八「悪い大屋、じゃあな。」

 

大「ええ、また後でね。」

 

 

――――――――――

 

 

≪倉庫≫

 

 

次に来たのはさっき言ってた倉庫

 

飲食物をはじめ、日用品や非常用の充電キッドや簡単な遊び道具まで何でもありそうだ

 

 

虚「ここが倉庫…やっぱり…。」

 

八「やっぱり…?

希望ヶ峰学園じゃなさそうか?」

 

虚「断定はできないけどな…。

倉庫もこんなに大きくなかったはず…。」

 

如「何で知ってるの?」

 

虚「それは…。」

 

?「親がいた学校だからだよね、虚木君。」

 

 

奥から声がしたと思ったら男が出てきた

 

空色の長髪をポニーテールで纏めて髪紐で結んでいる

 

服はYシャツに青の革ジャン、下はライダーパンツとバイク乗りを彷彿とさせる

 

気になるのが…両腕の鎖が千切れた手錠と鎖が千切れた首輪

 

 

虚「…誰だ。」

 

?「名乗るのは聞いた方からが基本じゃないの?」

 

虚「…虚木 炉。」

 

如「あ…えっと…如月 輪廻です…。」

 

八「お、俺は【超高校級の助っ人】の八森 剣助。」

 

紅「八森君は素直だねぇ、僕は紅潮 零(あかしお れい)だよ。

才能は…まぁ、追々…ね?」

 

 

【超高校級の???】

   紅潮 零(あかしお れい)

 

 

八「紅潮…聞いたことないな…。

掲示板でも見たことないと思うし…。」

 

紅「掲示板?」

 

如「今期に入る超高校級達の情報を上げていくスレッドだよ?

紅潮君知らないの?」

 

紅「長期間ネットどころか電子機器から遠ざかってたからねぇ…。

もう浦島太郎状態だよ…。

僕が超高校級になれるなんて思わなかったし。」

 

八「紅潮の才能…もしかして覚えてないのか?」

 

紅「ううん、覚えてるよ。

でも一々言わなくてもよくない?

ここで一緒に学ぶってことに変わりないんだしさ。」

 

 

紅潮はそう言ってニヤリと笑った

 

笑ったというよりは…これ以上踏み込むなって目で言ってる感じ…

 

何なんだ…どんな生き方したらこんな風になるんだ…?

 

 

如「そ、そうだ!紅潮君!

今虚木君の親御さんがどうとかって…。」

 

 

空気に耐えられなかったのか如月が無理矢理話題転換してきた

 

正直助かったな…

 

 

紅「うん、虚木君のお母さんが【超高校級の調香師】だった筈だよ。

校舎の内装はそうそう変えないらしいからお母さんから聞いてたのなら虚木君が正しいんじゃないかな。」

 

八「じゃあ本当にここは…希望ヶ峰学園じゃない…?」

 

 

けど俺は校舎の前で気絶…?した筈…

 

態々別の学校に移すか?

 

教室があるんだしここも学校なんだろうけど…

 

 

如「でもでも!私は希望ヶ峰学園に確かにいたんだよ!?

学校案内だってここに…あれ…?」

 

 

如月はスカートのポケットに手を突っ込んだ

 

しかし左右どちらにも目当ての物は無かったようだ

 

 

紅「あ~無駄無駄。

ここに連れて来られた時に持ち物殆ど没収されたみたい。

僕のナイフもバイクのカギも無くなっちゃってんの。」

 

八「ナイ…!?」

 

紅「今はないから安心して。

というかあれ護身用だから襲うとかには向いてないよ。」

 

如「そういう問題じゃないと思うけど…。」

 

紅「ま、ここでグダグダ言ってても仕方ないんじゃないかな?

とりあえず皆に挨拶に行ってくれば?

虚木君も早く行きたいみたいだしさ。」

 

 

今まで黙っていた虚木の方を見ると最高に機嫌が悪そうに、紅潮を見るのも嫌だと言いたげに体ごとそっぽ向いていた

 

そんなに紅潮が嫌なのか…

 

 

如「ゴメンね虚木君、もう行くから。

じゃあね、紅潮君。」

 

八「じゃあな紅潮、また後でな。」

 

紅「うん、行ってらっしゃい。」

 

 

そう言って俺たちはその場を去った

 

後ろから熱の籠った視線が刺さっているのにも気が付かず…

 

 

紅「…また後で、か…フフフ…。」

 

 

――――――――――

 

 

≪寄宿舎入口≫

 

 

その後早足であの場を去った俺達は玄関ホールとは反対の扉から外らしき所に出た

 

けどそこは外に出たっていうよりは一旦中庭に出て別の場所に行く為の道って感じだった

 

そこを道なりに進んでいくと施設が2つあった

 

その内の1つが宿泊施設のような外観をしていた

 

俺達はとりあえずそっちに向かった

 

 

虚「ちっ…なんなんだあいつ…。」

 

如「大丈夫?虚木君?」

 

虚「ああ…大丈夫だ、すまない…。」

 

八「虚木はああいうの受け付けないタイプっぽいもんな…。

というか…大屋の時も思ったけど…虚木って俺と如月以外になんか当たり強くないか?」

 

虚「そもそも俺は初対面にはあんな感じだ。

…なんて言うか…お前達2人には初対面という感じがしないんだ…。」

 

如「え?どっかで会ったっけ?」

 

八「そんな筈は…俺等のジャンル、完全に不一致だろ?

会う機会なんてないと思うけどな…。」

 

?「え~?仲が良くって困る事なんてないと思うけど~?」

 

八「まぁ…それもそうか…。」

 

如「え!?誰!?」

 

八「誰って…如月だろ?」

 

如「違うの!あれ!」

 

八「え?」

 

 

そう言って如月が指した方には…

 

 

如?「やっほ~。」

 

八「き、如月!?如月が2人!?」

 

 

そこには如月?が立っていた

 

声も格好も背丈も完全に如月 輪廻本人だ

 

如月?は心底可笑しそうにケラケラ笑った

 

 

如?「あはは!そんなに似てる?」

 

虚「…誰だ。」

 

如?「わ~ホントに塩対応なんだね…。

まぁいいや、そっちのアンテナ頭が面白かったからそれで満足してやるよ。」

 

八「え…口調…?」

 

 

そう言った如月?は服を掴んで思い切り剥ぎ捨てた

 

そこに立っていたのは改造したであろう独特なデザインの制服と青緑色の大きなコートに身を包んだ小柄な少女?が立っていた

 

髪は黒髪前髪ぱっつんで後ろはウルフショートになっている

 

一部に銀色のメッシュがチラチラ見える

 

 

?「驚いたか?驚いたか?

お前等がなんかグダグダやってたからさ。

だから僕が一肌脱いでやろうと思ってな。」

 

如「えっと…ありがとう?」

 

八「ビックリしたよ…。

僕は八森 剣助、【超高校級の助っ人】だよ。

君は?その…クラスメート…だよね?」

 

猪「小さい事濁さなくっても良いぜ?自覚してるし。

僕は猪野鹿 蝶華(いのしか ちょうか)で【超高校級の怪盗】だ。

今度僕のコレクション見せてやるよ。」

 

 

【超高校級の怪盗】

   猪野鹿 蝶華(いのしか ちょうか)

 

 

猪野鹿 蝶華…?

 

この子もスレッドで見たことないけど…

 

でも怪盗って名乗ってるしな…

 

 

如「怪盗!?カッコイイね!」

 

猪「だろ?だろ?僕はカッコイイんだ!

まぁ…盗むこと自体犯罪だし本名で活動してないしな。

"怪盗エスペルト"なら知ってるか?」

 

八「"怪盗エスペルト"!?

若くしてあの難攻不落と言われていた南極の大監獄"絶界獄氷"に乗り込んで時価数十億の"皆既日食の指輪"を盗んだっていうあの伝説の怪盗!?」

 

 

他にもエジプトの隠されたピラミッドの中の財宝を手に入れたり、ギリシャの神殿の怪物が守っている伝説の秘宝を手に入れたりと様々な逸話を残している

 

…【超高校級の冒険家】とかでも通用しそうだな…

 

 

猪「そう!やっぱり知ってたか!

その指輪は僕のコレクションの中でも一番のお気に入りなんだ!

その指輪の話を聞いたら何が何でも欲しくなってな!」

 

如「話?」

 

猪「『その指輪最果ての氷海によりて護られる。

手に入れし者、絶対なる幸運と絶対なる成功を得られるだろう。

しかし覚悟せよ。

幸福は不幸の基なり、成功は終わりの始まりなり。

得たくば捨てよ。

さもなくばその者は永遠に囚われる。』

僕の知り合いの考古学者が解読した古代文字の指輪に関する一文なんだ。」

 

 

何でそんな不吉な一文聞いて欲しがるんだ…?

 

俺なら絶対欲しくない…というかそんな物に数十億の値が付けられてたのか…?

 

 

虚「…何でそんな物欲しかったんだ…?」

 

猪「僕のコレクションの題材は"曰く憑きの秘宝"なんだよ。

どうせだったら面白い方が良いだろ?」

 

如「面白いというか…それとは別の問題だと思うけど…。」

 

猪「まあ、呪い?同士が反発しあって僕は何ともないんだけどな。

せいぜい盗もうとした宝が割れたぐらいだ。」

 

八「それ寧ろ盗まれる側の災難なんじゃないか?

盗まれるわ盗品が帰ってきても壊れてるわ…。」

 

猪「かもな!あはは!」

 

 

笑い事じゃないと思うんだが…

 

 

如「えっと…そろそろ行こうよ。

まだ全員と挨拶できてないだろうし…。」

 

猪「なんだよ、まだ顔合わせ終わらせてないのか?

あんた等で最後なら全員で16人いるからさっさと終わらせてこいよ?

あ、因みにココ寄宿舎みたいだけど中には誰もいないぜ。

僕ずっとここにいたけど誰も来てないからな。」

 

八「わかった、ありがとな。」

 

 

そうして俺達はその場を去った

 

次は…もう一つの施設の方に行くか

 




プロローブが終わったら生徒名簿を書くんですけど知りたい情報とかありますか?
一応電子生徒手帳に書いてあるような情報は載せるつもりですが…

あと基本週一投稿になると思います
投稿が遅かった場合話の展開考えてるんだなって思って下さい(土下座


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プロローグ・その3

前回は八森君含めの6人でした
今回はちゃんとご新規6名様です


≪ゲームセンター前≫

 

 

次に来たのは…ゲーセンか?

 

学校にゲーセンっていいのか…?

 

【超高校級のゲーマー】とかいればおかしくない…のか?

 

 

如「おおー!ゲーセンだ!

私なんだかんだお店が忙しくって行ったことないんだよねー!」

 

虚「俺も研究で行く暇なかったな。」

 

八「俺も…友達と家で備え付けのゲームくらいしかやんないな。」

 

 

俺等全員ゲーセン未経験者か

 

ココにはあんまり来ないか…?

 

 

?「おーい!そこの3人ー!」

 

如「え?」

 

 

俺等が新しい生徒を探していると校舎の方から男が走ってきた

 

男は黒色のジャージを羽織っていて中に橙色のTシャツを着ている

 

下はジャージと同じく黒色だが材質は違うっぽい

 

髪は普通の短髪で茶髪だが後頭部の方に猫耳っぽいクセがついている

 

 

?「あんた等も新入生だろ?

いやーこれで全員っぽいな!」

 

八「そっちも挨拶回りしてたのか。

俺は八森 剣助、【超高校級の助っ人】だ。」

 

如「私は如月 輪廻だよ。」

 

虚「虚木 炉。」

 

鴻「俺は鴻 騎士(おおとり ないと)!【超高校級の陸上部】だ!

超高校級同士これからよろしくな!」

 

 

【超高校級の陸上部】

   鴻 騎士(おおとり ないと)

 

 

如「あ、鴻君って知ってる!

"高校最速の男"とか"競技場を飛ぶ男"とか色々呼ばれてる全国の高校最速タイム保持者で、今度のオリンピックの金メダルに期待がかかってるってテレビで言ってた!」

 

八「そうなのか。

そういえば今駆け寄ってきた時メッチャ早かったな。」

 

鴻「へへっ!走るのはもうこーんな小さい頃からやってるからな!

走る系の競技なら全般大好きだぜ!

但し走り高跳び、お前は駄目だ。」

 

八「あー…あれは走りより飛びに重点置いてるからな…。」

 

鴻「飛ぶのも嫌いじゃないんだけどなー…。

本気で走るとタイミング合わなくてポールに突っ込む。

走んならやっぱ全力で走れる短距離とかリレーとかが良いな。」

 

如「完全にスポーツ少年だねー。

あ、今誰がどこにいるとかわかるかな?

今大屋さんと紅潮君と猪野鹿さんに会ったんだ。」

 

鴻「あ、だったら今体育館に2人いたぞ。」

 

如「本当!?ありがとう!2人とも行こう!」

 

 

如月は俺と虚木の手を掴んで駆け出した

 

俺は引っ張られながらも鴻に手を振ってその場を後にした

 

 

――――――――――

 

 

≪体育館≫

 

 

中庭から直接体育館に入れる扉があった

 

そこから入るとすごく広い体育館があった

 

フルコートのバスケットコートが3つもある

 

奥には準備室らしき扉があり、その扉の前に2人が立っていた

 

一人は男でズボンもセーターもYシャツも真っ白で唯一色が付いてるのは腰に巻いている黒と白のめちゃくちゃ長いベルトだけ

 

…黒で色が付いてるって言っていいのか?

 

髪は真っ白ではないがほんの少し黄色が混ざったような色の中髪で項辺りで纏めていて、後れ毛は焦げ茶色

 

元々そうだったわけじゃないだろうしそこだけ染めてるってことだよな…?

 

もう一人は女だな

 

格好は…真っ青なシスター

 

首回りとベールの頭に巻くベルト以外は真っ青で2ヶ所は白い

 

チラッと見える髪は金髪だな、ベールで長さはわかんないけど

 

 

如「おーい!君達も新入生ー!?」

 

 

如月は大声を出しながらその二人に歩み寄っていった

 

それに俺と虚木も続く

 

 

八「新入生だよな?

俺は【超高校級の助っ人】の八森 剣助。」

 

如「同じく【超高校級のネイルアーティスト】の如月 輪廻だよ。」

 

虚「【超高校級の研究者】の虚木 炉だ。」

 

?「新しい方々ですね。

やはり神様の思し召しでした…ここにいれば皆様が挨拶に来て下さると。」

 

?「そうだね。

何人か挨拶に来て僕しか残らなかったけど本当だった。

"神の啓示"が聞こえるって言うのは本当なんだね。」

 

「"神の啓示"?

それって…スレッドで話題になった【超高校級のシスター】の…?」

 

笠「はい、(わたくし)笠部 嵐華(かさぶ らんか)と申します。

【超高校級のシスター】の称号を賜りました。」

 

 

【超高校級のシスター】

   笠部 嵐華(かさぶ らんか)

 

 

虚「懺悔に来た人々に正しい道を示し回っている団体"神聖の道標団"。

その団員で一番相談数が多い女子高生…。

直感か神託か…"神の啓示"が聞こえると言われていて、その通り行動すれば必ず良い結果になると言われている。

事実、"神の啓示"に従った結果死の淵から生還したらしいな。」

 

笠「ええ…その通りです。

とある国に信仰を広めに訪れたのですがそこで団体の皆様と共に拉致されてしまいました…。

皆が殺されてしまうと絶望していました…。

その際に降りてきたのが"神の啓示"だったのです!

神は仰いました…『十字架を掲げ、神に祈りなさい。』と…。

私は従いました、神のお声に…。

そうしたら直ぐに私達を拉致した団体を国の部隊が制圧して私達は皆助かったのです!

部隊の方が仰っていました、『十字架の光が見えた。』と!

神の御言葉通りでした!神が私達を御救い下さったのです!」

 

如「すっごーい!!」

 

八「それは本当に凄いな…。」

 

?「いや…偶然部隊が光が反射した十字架を見て居場所が分かったから乗り込めただけだと思うよ?

神なんて不確かなモノ、信じろっていう方が難しいんだからさ。」

 

笠「神は信じない者も信じる者も平等に導いて下さいます。

信じる者はより明確に神の御心に触れられるのです。」

 

仇「あーはいはい。

あ、僕は【超高校級の調教師】の仇浜 陽向(あだはま ひなた)だよ。」

 

 

【超高校級の調教師】

   仇浜 陽向(あだはま ひなた)

 

 

男は笠部の言葉に呆れながらも俺達にニコリと笑って自己紹介した

 

調教師か…あんまり良いイメージ無いな…

 

 

如「あ!仇浜君って"仇浜動物サーカス団"の仇浜君!?」

 

八「知ってんのか?如月。」

 

如「うん!1年前に見に行ったんだけど凄かったよ!

トラにライオンにワニ、ゾウ、サル、ウマやサイとかキリンもいて動物園って言われても納得しちゃうくらい動物だらけなんだよ!

しかもその動物達は皆仇浜君に忠実だったんだ!」

 

仇「まあ【超高校級の調教師】って呼ばれるくらい動物の調教を僕が担当してたからね。

動物はまだいいよ、すぐに言う事聞いてくれるようになるし。

人はまだまだ心が分んないから難しい。」

 

八「え…人って…。」

 

仇「それより挨拶回り途中なんでしょ?

僕達は君達で終わりだから気にしないで。」

 

八「そ…そうか…わかった…。」

 

 

仇浜…なんか好青年っぽいけど怖いな…

 

次は…校舎の調べてない方にでも行くか…

 

 

―――――――――――

 

 

≪保健室≫

 

 

体育館を抜けて校舎に戻ってきた

 

体育館から校舎に入ると直ぐに校舎と中庭を繋ぐ扉

 

中庭から入れるのはこっちの…中庭ホールと言えばいいのか?と体育館だけか

 

教室と玄関ホールを抜けてその先には扉が2つと鉄格子らしきものが見えた

 

まずは手前の扉から調べる

 

中は薬品の匂いが充満していた

 

薬品やベッドがあるから…保健室っぽいかな

 

中には女が3人立っていた

 

1人目はやたら派手だった

 

金髪の長髪を薔薇みたいなシュシュで二つ結びにしていて、結んだ髪は途中までは真っ直ぐだけど途中からカールがかかってクルンと巻き髪になっている

 

服もフリルの付いたブラウスにコルセットを付けている

 

袖は中世ヨーロッパみたいな金魚鉢を逆さまにしたみたいな袖だし、スカートも膝が隠れるくらい長い

 

どちらにも薔薇の刺繍がされていて、スカートの裾はレースで装飾されている

 

手には網手袋だし足は黒革のブーツだ

 

どう見てもどっかの令嬢にしか見えない

 

2人目もかなり派手

 

一言目に出て来るのが『人形か?』だと思う

 

それほど表情が無いし服もゴスロリっていうのか…?

 

全体的に黒っぽい赤紫色のドレスで動きずらそうだ

 

髪もボリューミーと言うか…

 

右側に前髪以外が集められてウェーブがかけられているからもう1つ頭があるみたいだ

 

左寄り頭上にはミニシルクハット付きのカチューシャが付いている

 

3人目は別の意味で目立つ

 

褐色肌にストレートの金髪でいかにも外国人って感じだ

 

でも顔立ちは日本人っぽい…ハーフか?

 

下は白の裾が広いパンツを足首の布のベルトで固定している

 

上は太腿まですっぽりの黄色いポンチョで隠れている

 

3人は入ってきた俺達をじっと見ている

 

空気に耐えられなかったのか赤服の女が話し掛けてきた

 

 

?「貴方達も何処か怪我を?」

 

八「い、いや…俺達は新入生らしい生徒に挨拶回りしてて…。

あ、俺は八森 剣助、【超高校級の助っ人】。」

 

如「私は如月 輪廻!【超高校級のネイルアーティスト】!」

 

虚「虚木 炉、【超高校級の研究者】だ。」

 

乃「じゃあまず私から。

私は乃木丘 楓(のぎおか かえで)、【超高校級の手芸部】って言われてる。

縫いぐるみから着物まで何でも請け負ってるよ。」

 

 

【超高校級の手芸部】

   乃木丘 楓(のぎおか かえで)

 

 

八「手芸部?令嬢とかじゃなくて?」

 

乃「ああ…初見にはよく言われてる。

これ、この服のせいでしょ?

ブーツもドレスもブラウスもシュシュも全部私の手作り。」

 

如「そうなの!?凄ーい!!」

 

乃「私の家が古着屋さんでね、リメイクは私がやってんの。

あんまり儲けが無かったから私の服は基本古着だったの。

型崩れだったり流行遅れだったりサイズが合わなかったり…。

それ等を直してたら【超高校級の手芸部】って呼ばれるくらいの技術が身に付いたんだ。

一時は直した服をネット販売してた。」

 

虚「見た目と違って堅実だな。」

 

乃「…誉め言葉として受け取っとくよ。

じゃあ次は…世都際ちゃん行く?」

 

世「……世都際 里香子(せとぎわ りかこ)……【超高校級のコッペリア】……。」

 

 

【超高校級のコッペリア】

   世都際 里香子(せとぎわ りかこ)

 

 

世都際…どっかで聞いたような…?

 

 

如「世都際さんってあの"リカコちゃん"だよね!?」

 

八「リカコちゃんって…女の子に人気の人形"RIKAちゃん"とコラボしたあの?」

 

世「……うん……した……。」

 

如「世都際さん自身"Bloody Princess"っていうゴスロリ専門ファッション雑誌の人気モデルで、本物のお人形さんみたいに小さくって可愛いの!

肌も真っ白で透き通ってるし手足もほっそいの!女の子の理想体型だよ!」

 

世「…………。」

 

八「お…おい、如月…その辺に…世都際が居た堪れない…。」

 

如「あ…ゴメンね…?」

 

世「……プシュー……。」

 

 

世都際は真顔のまま乃木丘の後ろに隠れてしまった

 

これは照れてる…のか?

 

 

世「あはは…。

じゃあ最後は代依さんだね。」

 

代「はい、代依(しろい) クルキでございます。

私の肩書は【超高校級の予言者】でございます。」

 

 

【超高校級の予言者】

   代依 クルキ(しろい くるき)

 

 

予言者…?そんなのもあるんだな…

 

 

代「私の事は聞かないのではございませんか?

私はとある国で占い師をさせて頂いているのでございます。

ならば何故【超高校級の占い師】ではないのか疑問でございますよね?

私ははるか宇宙の彼方の超常文明を築いている超越者達から未来に起きることを教えて頂いているのでございます。

占いとは己の能力によって未来を予想し相手にお伝えしているのでございますが、私は教えて頂いている必ず来る未来をお伝えしているのでございます。」

 

如「えっと…なんか笠部さんと似てるような…。」

 

代「【超高校級のシスター】の方でございますね?

あの方とは根本的に違うのでございます。

笠部様は神という未知のモノよりの助言でございます。

私のは確実に存在する超文明からの伝達なのでございます。

ネット販売と実践販売ぐらい信憑性が違うのでございます。」

 

虚「…なんか例えの使い方が違う気がするが…?」

 

代「…はぁ!!」

 

八「うぉ!?な…なんだよ!?」

 

 

代依はいきなり両手を天井に掲げ、顔を上に向けて叫んだ

 

いきなり過ぎて驚いたぞ…

 

 

代「来た…来たのでございます…。

『貴方方は次の部屋で1人と2人と挨拶をするであろう。』…以上でございます。」

 

如「…何で区切ったの?3人じゃ駄目なの?」

 

代「さあ?

超文明からの伝達でございますので私にはわからないのでございます。

でも伝達による予言は99パーセント当たるのでございます。

残り1パーセントは私の直感によるものでございます。」

 

 

実質100パーセント当たってないか…?

 

 

八「まぁ…行ってみるか…ありがとな。」

 

乃「また後で。」

 

世「……んう……。」

 

代「後で皆で集まるでございます。」

 

 

俺達は3人に挨拶して保健室を去った

 

つかあの3人保健室で何してたんだ…?

 

さて、次は…隣の食堂…か?

 




なんか区切り悪くなっちゃったな…
6.6.4じゃなくて6.5.5にすれば良かったかな?


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プロローグ・その4

なんだか人数少なくってキリが悪くなってしまいました…
でもあのお方が登場しそうです


≪食堂≫

 

 

保健室の隣の部屋は長机が2つと合計16個の椅子が置いてある部屋だった

 

机の上に調味料が置いてあるし食堂っぽいか?

 

塩・胡椒・醤油・酢・ラー油…

 

なんでデスソースまであるんだ?

 

 

虚「ここは…食堂か?

さっきの予言は食堂と厨房ってことじゃないか?」

 

如「あぁ、そういう事か。

それなら確かに"次の部屋で1人と2人"だね。」

 

八「つまりここには…。」

 

 

食堂を見回すとメニュー表の近くに黒と黄緑が基調のヘッドホンを付けた男がいた

 

着ているのは白の学ランでインナーがYシャツではなく緑色のハイネック

 

髪は栗毛の短髪で前髪をいくつかのピンで左右対称に留めている

 

顔だけ見ると女っぽいな

 

 

?「あ、あの…初めまして…ですよね…?」

 

如「うん、私は如月 輪廻だよ。

【超高校級のネイルアーティスト】、よろしくね。」

 

八「俺は【超高校級の助っ人】の八森 剣助。」

 

虚「虚木 炉だ。」

 

逆「えぇっと…ぼ、僕は…逆佐 由(さかさ ゆかり)…【超高校級の作曲家】です…。

あの…取り柄とか無いけど…仲良くして下さい…。」

 

 

【超高校級の作曲家】

   逆佐 由(さかさ ゆかり)

 

 

逆佐は俺達に指を組んで祈る様なポーズをしながら自己紹介をした

 

俺達より逆佐の方が背が低めだからか自然に上目遣いになる

 

学ラン着てるから男だってわかるけどこれ普段着によっては…

 

 

如「逆佐君って…女の子っぽいね…。

上目遣いにそのポーズ…女子力高い…負けそう…。」

 

逆「えぇ…!?そ…そんな事…!

だだだだって如月さん…その…すっごく可愛いし…肩書も【超高校級のネイルアーティスト】なんでしょ…?

ネイルって女の子らしいし…制服もリボンとか可愛いし…"夢の世界で君に捧ぐ"のヒロインの春ちゃんみたいで…その…。」

 

如「"夢の世界で君に捧ぐ"!?"ユメキミ"!?

それって週末の朝5時からにも関わらず視聴率が18パーセントの人気アニメの!?

逆佐君ってアニメ観るの!?」

 

逆「観るっていうか…そのアニメの主題歌の作曲したから…。

関係者さん達からアニメグッズ結構貰うんだ…。」

 

八「主題歌ってダウンロード数で7週間トップだった、アニメのキャラの"雪色 みるく"が歌ってるっていう"ミルクプリン・キッス"?」

 

 

一時期学校で流行って教室で振り付けありで踊ってるヤツいたな

 

何故か先生も加わって1時間目が潰れたっけ

 

 

逆「うん、それ。

作詞は別の人がやったんだけど…曲が凄くいいって誉められたんだ。

それ以前はネットで作曲したものを流してたんだけど…それ以降作曲を依頼してもらえることが多くなったんだ。」

 

如「私も聞いたよ!"ミルクプリン・キッス"!

甘ーい感じと滑らかな曲調がすっごく聴きやすくってすぐ覚えられたんだ!

カラオケで良く歌った!」

 

逆「あ…ありがとう…嬉しいよ…!」

 

虚「…話についていけない…。」

 

八「あ、虚木はアニメとか観なさそうだもんな。

かくいう俺もあんまり観ないけど。

悪い逆佐、俺達挨拶回りの途中だからさ。」

 

逆「う、ううん…お話聞いてくれてありがとう…。

あの…今厨房でお菓子作ってる人達がいるから…挨拶した方が…。」

 

八「やっぱり中にいるのか、ありがとな。」

 

如「逆佐君!また後でね!」

 

 

そう言って俺達は逆佐の後ろにあった扉の方に行った

 

 

――――――――――

 

 

≪厨房≫

 

 

扉の中に入ると凄く広い厨房だった

 

大型冷蔵庫が3台もあって、他にも大量の果物や野菜の貯蔵室、豚・牛・鳥以外にも様々な種類の肉のある保管庫、魚の生簀にも数十匹の魚が泳いでいる

 

これなら暫く暮らすとしても食料には困らないな

 

…まぁ、学校なんだし暮らすってことは無いと思うけど

 

食料の豊富さに驚いていると奥の方から高校生らしい2人が歩いてきた

 

1人は女で…なんかジャラジャラした女だった

 

頭にも首にも指にも腰にもアクセサリーが大量に付いてる

 

統一しているのかフワフワモコモコの物が多い

 

制服も赤地に白のチェックのスカートと白いブラウスはまとも

 

なのにピンク色のセーターはサイズが完全に大きいのかかなり短いスカートがほぼ隠れてるし、袖先からは中指の先しか見えない

 

いわゆる萌え袖…ってやつか?

 

髪も完全に染めているパステルピンクで胸元くらいまであるであろう長さの髪を緩く三つ編みにしている

 

前髪も長いのか全て向かって左側に流してデコレーションされた髪留めで留めている

 

もう1人の男の方は…一言で言えば執事服だな

 

絵に描いたようなグレーのタキシードに革靴

 

眼鏡・モノクルはかけていないけどメッチャ似合いそう

 

髪はうっすい金髪、プラチナブロンドとでも言うのか?

 

短髪のウルフカット、前髪もヘアスプレーで固めているのか右:左で8:2に綺麗に分かれている

 

そこまでは良い、そこまでは完全に普通の執事だ

 

けど…右側の前頭部に巻き付けているっぽい懐中時計はツッコミ待ちなのか?

 

カチカチいってるし本物で動いてるみたいだが…

 

普通は時間を見る為に腰とかの見える場所に付けるんじゃないのか?

 

 

?「あれれ~?新人さんかな~?

ミィナに挨拶がおっそいんじゃないの~?

鈍足過ぎ~、カメさんでも目指してるの~?」

 

?「初対面の方々にいきなり喧嘩を売らないで下さい。

貴女様の尻拭いなど御免ですからね。

喧嘩なんかしたことも無いクセに口ばかりが達者におなりになって…。

巻き込まれるこちらの身にもなって頂きたいものですよまったく…。」

 

 

な…なんか今までの奴等に比べて色んな意味で付き合いにくそうだな…

 

 

巳「まあいいや、ミィナは寛大だし~。

あ、ミィナはミィナだよ~。

巳堂谷 美稲(みどうだに みいな)、【超高校級のブロガー】だよ~。

ミィナとクラスメートになれるんだから光栄に思ってね~?」

 

 

【超高校級のブロガー】

   巳堂谷 美稲(みどうだに みいな)

 

 

巳「名乗ったんだからそっちも名乗れし~。」

 

八「あ…ああ…悪い…。

俺は八森 剣助、【超高校級の助っ人】だ。」

 

虚「虚木 炉、【超高校級の研究者】。」

 

如「えっと…【超高校級のネイルアーティスト】の如月 輪廻で…。」

 

巳「うっそあんたが【超高校級のネイラー】?」

 

 

如月が名乗ると巳堂谷は凄いスピードで如月に近付いた

 

いきなり近付かれたことに驚いた如月は1歩後退った

 

 

如「ネイラーじゃなくってネイルアーティストなんだけど…?」

 

巳「どうでもいいしそんな事。

つーかミィナあんたに予約入れようとしたら5年待ちとかありえないんだけど。

本人ここにいんだからやってよ。」

 

如「あの、いや、その…。

そういう事例作っちゃうと顧客の信用にかかわるというか…。」

 

巳「は?なにそれ。

5年待ちとかありえないからやれって言ってるの。

ミィナの言葉分ってる?日本語分かる?

顧客信用が何?社会的に抹消されたいの?

態々あんたみたいなトロくってモッサい奴にミィナが直々に頼んでるんだからミィナのためにスケジュール開けんのが常識でしょ?

信用失うのと行き場失うのどっちが良いの?」

 

 

巳堂谷は如月に掴み掛って詰め寄った

 

これが…【超高校級のブロガー】の巳堂谷 美稲…

 

噂には聞いてたけど本当だったんだな…別名【超高校級の自己中】

 

巳堂谷は世間では超有名なジュエリー企業の令嬢で、しかもその企業の広報部の最高責任者を務めている

 

そのブログの評判を買われて父親である代表取締役に頼まれてやり始めたらしいがそれが大成功

 

ブログ効果もあって売り上げ・店舗・スポンサーさえも増えたらしい

 

しかし巳堂谷には過激派のファンがいて、それに巳堂谷の自己中さも相まって巳堂谷のアンチや巳堂谷に危害を加える奴に対して異常とも言える制裁を与えているらしい

 

聞いた話の例では巳堂谷のブログに批判的な書き込みをした奴が後日会社をクビになって、更に詐欺かなんかに引っかかったのか借金も背負わされて家を奪われて路頭に迷ったとか…

 

そんなことになっても警察も買収されてるのか報復が怖いのか取り調べもできないらしい

 

更に巳堂谷は超有名企業の令嬢だ、揉み消されているだろう

 

地位と名声と富とファンを持った独裁者の最たる例だな

 

 

如「え、えっと、えっと…。」

 

八「おい、やめ…!」

 

?「お止め下さい美稲様。」

 

 

俺が巳堂谷を止めようとすると執事が腕で俺を制した後巳堂谷にストップをかけた

 

 

巳「はい?何ロイズ。」

 

?「初日から敵を作らないで下さいと先程も再三申し上げた筈ですよ?

貴方様の脳は鶏以下ですか?虫以下なのですか?

貴方様に仕えている私の人格も疑われるのですよ?

それに貴女様は専属のネイリストも雇っていらっしゃるではありませんか。

無駄遣いをするなとお父上様からもキツく言われているでしょう。

お金を溝に捨てるような真似はお止め下さい。」

 

 

…それだと如月に頼むのが溝に捨てるような真似だって言ってるんじゃ…

 

というかあの巳堂谷にそんな言い方して大丈夫かこの執事…!?

 

 

巳「…ロイズが言うならしょうがないかな~?

その失礼な対応許してあげるんだから感謝してよね~?」

 

如「え…あ…はい…ありがとう…ございます…?」

 

ロ「はぁ…まったく…あぁ、申し遅れました。

私はロイズ・フェアトラークと申します。

こちらの愚嬢(おじょうさま)に仕えております、どうぞお見知りおきを。」

 

 

【超高校級の執事】

   ロイズ・フェアトラーク

 

 

ロ「私は見てわかって当然だとは思いますが【超高校級の執事】の名を頂戴致しております。

美稲様の執事として雇われておりますが御用がおありでしたらお申し付け下さい。」

 

巳「はぁ?ロイズはミィナの執事でしょ?」

 

ロ「貴女様直々の雇用の執事ではなく貴女様のお父上様が私を雇用して貴女様に仕えるように言われているのです。

その内容も『美稲様、及び美稲様の周りの方々の身の回りのお世話』で承っております。

おそらくお父上様も貴女様のその歪み過ぎて270度くらい捻じ曲がった性格を考慮して私にその様に仰ったのでしょう。

美稲様が孤立しないようにお気を回されたのでしょう。

簡潔に纏めますと…『美稲様に真面なご友人を作ってその歪みに歪み切った性格を修正して来い。』…と言う事ですよ。」

 

 

こ…この執事…毒舌の域を超えてないか!?

 

喋ってる事殆ど巳堂谷のディスりなんだけど!?

 

で…でもそんな大企業の取締役に雇われるって事はその実績は本物なんだろうな…

 

 

巳「うぅ~…!

気分悪い!あんた達さっさと出てって!

ミィナはロイズの美味しいお菓子食べるから!

フンっだ!!」

 

 

巳堂谷は機嫌が最悪になったのか奥にズカズカと早足で引っ込んでしまった

 

ロイズも俺達に一礼して巳堂谷の後を追った

 

…俺達も次に行くか

 

 

――――――――――

 

 

≪2Fへの階段前≫

 

 

食堂を出て奥に向かうと鉄格子が下ろされていた

 

シャッターみたいな物でカードキーを読み込むことで開く仕組みみたいだ

 

その鉄格子の奥には階段が見える

 

2Fに行く為の階段みたいだ

 

 

八「2階には…行けないか…。」

 

如「えっと…。

1階には…玄関ホール・倉庫・保健室・食堂・厨房・教室が2つ・体育館・中庭に行くホール・中庭・寄宿舎・ゲーセン・そしてこの階段…だね。」

 

虚「対して希望ヶ峰には…。

教室が2つ・視聴覚室・購買部・玄関ホール・保健室・体育館・そして階段と寄宿舎への入り口があった筈だ。

寄宿舎も中庭には無く直接入口が繋がっていて、その中に食堂も大浴場もコインランドリーもあったらしい。」

 

八「聞く限り…希望ヶ峰学園には程遠いな…。」

 

?「その話…本当?」

 

 

俺達が話していると後ろから声を掛けられた

 

振り返るといたのは男子高校生

 

普通の黒の学ランと運動靴に茶色のパーカーを着ている

 

手元にはまた茶色のファインダーを持っていて利き手らしい左手にはシャーペンが握られている

 

髪は茶髪の短髪で白いニットキャップを被っている

 

眼鏡も掛けてるし…THE・文系男子って感じだ

 

 

虚「俺の母親から聞いた話だ。

おそらく情報は正しい。」

 

?「そうなんだね…僕も可笑しいと思ってたんだ。

確かに入学前に貰った案内にも内部の見取り図が載ってたけど…改装したとかじゃないんだね?」

 

八「そうそう変えたりしないって紅潮も言ってたし…その可能性は低いんじゃないか?」

 

「だとしたらここは別の学校…?

でも態々ここまで…いや姉妹校ってことも…?

でも姉妹校があるなんて…ネットにもパンフにも…。

新設された…?いや何の連絡の無しに…?」

 

 

なんかブツブツ言い出したな

 

手元のファインダーにも書き出してるし

 

考え事を纏めるのに時間がかかるタイプなのか…?

 

 

菅「ブツブツ…ブツブツ…あっ!ゴメン!!

えっと!いきなり出てきて誰だって話だよね!?

僕は菅井 正義(すがい まさよし)!【超高校級の図書委員】だよ!」

 

 

【超高校級の図書委員】

   菅井 正義(すがい まさよし)

 

 

…え?菅井?

 

 

八「あのさ…菅井って…優小に1年から3年まで通ってたか?」

 

菅「え?通ってたよ?

もしかして…同級生だった?」

 

八「クラスは違かったけどな。

すっごい噂になってたんだよ。

絵本から図鑑・小説・漫画までどんな本でも読んでた奴がいるって。」

 

如「そうなの?

私がそのくらいの頃は絵本ぐらいしか見なかったな…。」

 

虚「様々な本の保存方法や手入れ方法を熟知していて、更に年間に読む本の数は800を超えると言われている完全な本の虫。

その本に関する知能の膨大さから【超高校級の図書委員】と呼ばれている…だったか。」

 

菅「好きこそ物の上手なれって言うけど僕のは正にそれだよ。

父さんが作家で母さんが絵本作家だったっていう環境もあるし、運動が苦手だった僕は自然と本を読むようになったんだ。

だから超高校級になるのは予想外だったけど本で何か認められるとは思ってた。」

 

如「私もそんな感じ!

私の叔母さんがネイルサロンやってたからそれに影響されてって感じだもん!

あ、私は【超高校級のネイルアーティスト】の如月 輪廻だよ!」

 

虚「俺は【超高校級の研究者】の虚木 炉だ。」

 

八「俺は八森 剣助。

【超高校級の助っ人】で…"何でも屋"って言えばわかるか?」

 

菅「え…?

"何でも屋"って…あれ…でも…ん…?」

 

八「ん?どうした?」

 

菅「んん…いや…何でもないよ。」

 

 

そんな風に話していると…

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

 

近くにあったモニターが点き、そこから音…というか声が聞こえてきた

 

 

ビー…ザザザ…ジジ…

『えー…マイクテス、マイクテス。

オマエラ!大変長らくお待たせいたしました!

これから私立獲命(かくめい)学園の入学式を行います!

まったく…自己紹介にどんだけ尺使ってるんだよ…。

というわけでオマエラは至急体育館に集合して下さい!

至急体育館に集合してください!

大事な事だから2回言ったからね!

これで来なかったらボク怒るからね!

ハリーハリー!急ぐんだよ!』

プツンッ

 

 

何だろう…この場に合わない雰囲気の声なのに…

 

この声に…何故か恐怖を感じるのは…

 

 

如「えっと…これって行った方が良いんだよ…ね?」

 

虚「…ここでジッとしていても仕方がない。

今はあの放送に従おう。」

 

八「そう…だな…。」

 

 

俺達は不安な気持ちに駆られながらも体育館に向かった

 

大丈夫…大丈夫…

 

きっと…気のせいだ…




登場しましたね!…え?声しか出てない?
(姿が)登場しそうとは言ってませんよ?

…はいごめんなさい投稿が遅れそうで書けませんでした
というかいつも深夜に投稿してたから厳密にいえば十分遅刻なんですけどね…

次でプロローグを終わらせるつもりです
人物紹介してから本編に入ります


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