硬く柔らかで温度耐性があり鋭い (ちゅーに菌)
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設定(先に2話まで見るといいですよ)

おるとさんの設定です。随時更新されます


◆おるとさん

タイプ・マーキュリーだと言われていたり実は違うのではないか等と言われているアルテミット・ワンその人。カルデアのメイン盾。

産まれた時から何かの悪戯か、アルクェイドのようバグったのか、何故か知性体としての思考が宿っており、かなりハッキリと自我がある。しかし、人間で言うところの成長期におるとさんに対して対話や文化的な接触を図る者が特に居なかったため、人間で言えば6~12歳程度の精神年齢で止まっており、進むことも戻ることも決してない。

おるとさん的には誰かとお話したり楽しいことをしたいと思っているので見た目より遥かに明るい性格をしている。また、生まれ持っての絶対王者としての性故に他者の意見を取り入れることをほとんどしないため、行動がかなり常識に囚われない。

ちなみにおるとさんの価値判断は基本的におるとさんにとって"かわいい"かそうでないかである。例えば英語で"ORT"若しくはカタカナで"オルト"と書くとかわいくないので他者からはひらがなで"おると"と呼ばせたいと思っており、自分の持ち物にはひらがなで名前を書く。

尚、言葉遣いは黒ひげから習った。

 

◇容姿

体長40mもあるためカルデアにいるときは基本的に"昔食べた最も味の濃かった奴(別世界では元第五位の死徒)"に擬態しており、それは女性だったらしい。背が高く引き締まりながらも出るとこは出ており、体型を女性で例えるとスカサハ等と良く似ているが、スカサハもよりやや背が高い。色は擬態元とは若干違うらしく、真っ白の肌に、銅の炎色反応のようなエメラルドグリーンの瞳、サファイアに似た輝きを放つ蒼い髪を床寸前まで伸ばしている。

見た目は人だが、表情を顔に出すことが苦手らしく、基本的に能面のような無表情だが、思考は正常であり、人並み程度の感情を持っている。というか内面はかなり豊か。

 

◇戦闘能力

こんな奴だが、戦闘能力はまんまORTなので地球に真っ向からおるとさんに勝てる存在は居ない。全宇宙にもそういない。というか個性を得ている分搦め手や身体に任せたゴリ押し以外も使ってくるので元のORTを何もさせずにボコボコに出来るぐらい強い。ただし、キアラは勘弁な。

 

◇水晶渓谷

存在するだけで周囲を自身の産まれた星に異星環境化する能力。侵食固有結界と呼ばれるもの。カルデアでは迷惑らしいので基本的に使わない。

 

◇看板

おるとさんが会話及び意思表示及び看板表出をする時に使う看板。何処からともなく出現し、役目が終わると煙のように消える。能力でやっているようだが原理は謎。

戦闘中は何故か常に肩に担いでおり、看板を用いて相手をぶっ叩く、角でぶん殴る等武器として使っている。ちなみに看板は自分の外皮よりもちょっとだけ硬く頑丈に作っているそうである。

 

◇ふかふかふわふわ

おるとさんがそう形容する触るのが好きな女性の一部分もの。ぶっちゃけ女性の豊満なおっぱいのこと。触ったときに小さかったり無かったりするとものすごくガッカリする。

おるとさん自身もかなり立派なモノをお持ちだが、自分で自分のものを触るのは何か違うらしい。例えるなら自分で髪をシャンプーするか、他人に髪をシャンプーして貰うかの違いのようなもの。傍迷惑な話である。

 

◇かわいい基準

万物をかわいいかそうでないかで判断しているおるとさんのかわいいモノの基準。

まず、一部の例外を除いて基本的に野郎はかわいくない部類に入り、逆に女性はほぼ全てがかわいい部類に入るが一部例外もある。更にリスやネコやフォウくんの小動物からゾウやクジラまでの大型哺乳類に至るまでかわいいらしいが、自分は蜘蛛に似ているクセに脚の多い生き物はかわいくない等々。上げればキリがない程おるとさんのかわいい基準は複雑怪奇かつ多岐にわたる。

要はおるとさんのかわいい基準はよくわからんということである。

 

例:

クー・フーリン:かわいくない

アストルフォ:かわいい

シュヴァリエ・デオン:かわいい

子ギル:かわいくない

聖女マルタ:かわいい

ジャック・ザ・リッパー(アサシン):かわいい

メデューサ(ライダー):かわいい

メデューサ(ランサー):かわいい

ゴルゴーン:かわいい

エウリュアレ:かわいい

ステンノ:かわいくない

スカサハ:アウト

スイカ(食べ物):かわいい

ピーマン(食べ物):かわいくない

うまい棒(コーンポタージュ味):かわいい

うまい棒(明太子味):かわいくない

 

 

◆登場人物

◇藤丸立香

ぐだ子。おるとさんが唯一すっごいかわいいと思う女の子。おるとさんが生まれてから一番好きになった存在であり、よくおるとさんが立香の傍にいるのをカルデアでは見かける。おるとさんに胸だけでイける身体にされた。

 

◇清姫

自称立香の妻であるサーヴァント。よく立香の自室に忍び込んでいるのを見かける。ことあるごとにおるとさんの行動を阻もうとして返り討ちにされているため、おるとさんからはウザがられているかと思いきや、おるとさん的にはかわいいので全然いいらしい。

 

◇おっきー

あだ名は刑部姫。おるとさんが友達と言えるかもしれない数少ない妖怪。ドラゴンキラーにして、おるとさんに数々の黒星を与えてきた唯一の存在。立香程ではないが、おっきーを傷つけるとおるとさんが怒って相手をバラバラに引き裂いてしまう程度には好き。

 

 

 



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おるとさんのぐらんどおーだー
カルデアのメイン盾


どうも皆様。シリアスや原作設定をお求めの場合はこの作品には一切含まれておりません。これはエイプリルフールに投稿すればよかったなと若干思っているネタに全てを注ぎつつ、極めて健全な息抜き作品であります。

また、作者名で全てを察して、"あ、コイツ嫌いだわ"等と思った方もプラウザバックを推奨しております。

それでも残った酔狂な方々はどうぞお楽しみください。




 

 

 

(我、降臨)

 

 

 

後にソレに対して歴史書を書くとすれば最初の一節はこのように始まった。というよりも、実際にソレは卵の殻を破り産まれた瞬間にそのように思ったらしい。何故そう考えたのかとソレに問えば可愛らしく小首を傾げながら逆に疑問符を浮かべてくるのでそういうものなのである。

 

まあ、かの釈迦は右脇から生まれた直後に七歩歩いて右手で天を指し、左手で地をさして天上天下唯我独尊と述べたそうなのでこれでもかなり控え目な方であろう。謙虚だなー、憧れちゃうなー。

 

ソレの見た目は蜘蛛に酷似しており、強いて言えば正面から見ると下半身多足の人型のようにも見える。大前足・小前足・小後足・中後足・大後足が2本づつ、計10本足を持つ蜘蛛のような姿をしていた。大きさは3m程である。生物で言えば小さめであるが、生物の幼体と考えるとあまりに巨大なサイズであった。

 

ここでは暫定的にソレのことを"クモさん"としよう。

 

クモさんは幾つかあった卵から一番に産まれたそうで、産まれた直後にまず自身の兄弟姉妹達の誕生を見守った。もてる秘訣はここにあるかも(謙虚)。

 

しかし、彼らが産まれるのを眺めながらクモさんは首を傾げた。何故ならば彼らは貧弱な黒い外皮をしていたからだ。それに引き換え、クモさんはクリスタルで出来た外皮をしていたのである。後にクモさんは自身が突然変異であるということを知ったが、 遥か遠い未来の話である。

 

虫に分類される生き物に似た生態をしているため、クモさんと兄弟姉妹は直ぐに巣立ちを迎え、この星で生き抜くべく旅立った。

 

が、クモさんは皮装備の兄弟姉妹達とは違い、直ぐに弱肉強食の世界で頭角を表した。

 

 

 

(我、さいきょー)

 

 

 

それどころか、クモさんは成長と共に瞬く間に自然界、引いては星の頂点まで登り詰めたのである。気付けば身体も40m程に成長していた。

 

クモさんよりも遥かに巨大な生き物もクモさんの前では傷ひとつ与えることは叶わず、ひと刺しで殺せる猛毒を持った生き物もクモさんの前にはひと刺しすることが叶わず、如何なる細菌・ウィルスも外皮を侵食出来ず逆にクリスタルに呑まれる。クリスタルの外皮の塊で出来ている巨大な蜘蛛が、皮装備の生き物に遅れを取る筈が無い。

 

クモさんは正に無敵、星の最高傑作、ただそこにあるだけの絶望であり、それを星に認められもした。

 

 

 

(飽きた)

 

 

 

しかし、クモさんは割りと直ぐに飽きてしまった。かつては星の頂点に君臨しようと躍起になっていたが、いざなってみると思った以上に意味もやることもなかったのである。

 

 

 

(暇)

 

 

 

その頃、クモさんがしていた事といえば一日中寝ているか、生えている草の本数やら通り掛かった小虫の足の数を数えるぐらい。要は暇なのである。

 

他に楽しみがあるとすれば……。

 

 

 

(かわいい)

 

 

 

たまに通り掛かる小動物を見てこのような感想を漏らすことぐらいである。ちなみにクモさんはかわいいと思うものにはとても優しい。

 

しかし、本来クモさんが暇を持て余したり、かわいいという感情を抱くことそのものが異常であった。何せ暇を持て余すとは、それを暇を暇と認識出来るだけの自我を持っており、かわいいと思えるだけの感情を持っていることに他ならないからだ。しかし、クモさんは本来ここまで強く自我も持てるようにも感情を持てるようにも設計されていなかったからだ。

 

何かの悪戯か、とある真祖の吸血鬼のようにバグが生じたのか、今となっては知るよしもない。

 

ただ、自我と豊かな感情を持ち、暇を持て余したクモさんがいるという結果があるのみだ。

 

だが、そんなクモさんにもある日、転機が訪れる。

 

 

 

(んー?)

 

 

 

クモさんがいつものように惰眠を貪っていたところ、クモさんのいる星から少し離れた惑星から信号をキャッチしたのである。

 

その内容を要約すると、その星がはやくきて~はやくきて~と泣き叫んでいたのである。

 

 

 

(行くー)

 

 

 

元より暇で暇で仕方がなかったクモさんの行動は早かった。背負っているように見える巨大な円盤状のものに、身体や足をすっぽり納めると、そのまま宇宙へと舞い上がり、助けを求める惑星目掛けて飛んでいったのである。その姿はUFOそのものだったであろう。

 

 

 

(到着)

 

 

 

生身で大気圏を突入して大地に叩き付けられようと無論、それは無傷であった。

 

その行動力に地球と呼ばれるこの星も、もうついたのか! はやい! きた!盾きた! メイン盾きた! これで勝つる!と大歓迎状態かと思えばそんなことも無かった。

 

何せクモさんがキャッチした信号をよく読み返してみると、その日付は今から約5000年程先の話だったからである。

 

なんとクモさんはドジっ子属性と天然属性を兼ね備えていたのだ。まあ、更に言うとその信号は本当にクモさん宛なのかも疑問であったが、言わぬが華だろう。

 

 

 

(えー……)

 

 

クモさんは途方に暮れてしまった。しかし、悪いのは信号を読み違えた自分であるため誰に当たり散らす訳にもいかない。そして、今更星に帰るのも億劫である。

 

その時のクモさんを言葉にするのならば、今日は学校が1時間目に試験だけがあると思って早めに学校に来た学生が、学校に着いてから1時間目ではなく、3時間目に試験だった事を知って時間を無駄にしたような感覚と同時に帰るにも帰れなくなったような状態であろう。

 

 

 

(むー……)

 

 

 

仕方なく、クモさんは渋々納得して先のことを考え、あることをすることにした。

 

 

 

(くかー)

 

 

 

ズバリ寝て待てである。学生かお前は。

 

まあ、元より悠久の時を生きる生物。時間をどう使うかはクモさんの勝手であろう。クモさんは5000年間を落ちてきたところから動かず、寝て待つことにしたようである。寝ていれば5000年などあっという間である。

 

 

 

(うるさい…)

 

 

 

しかし、寝て待つのは余り上手く行かなかった。どうも地球の生き物に何度も叩き起こされるのである。

 

元の星ならば全ての生き物がクモさんの恐ろしさを理解しているため、このようなことは無かったことが誤算だった。

 

その度に起こされてキレたクモさんが生き物を殺したり、おやつにしたりしてまた眠るということが数えるのも億劫になるほど繰り返されていた。

 

 

 

(うすい)

 

 

 

そして、おやつにするにも地球の生き物は薄味らしい。無礼な上に使えない生き物である。まあ、毒にも薬にもならないだけマシといえばそうなのだろうか。

 

 

 

(あ、濃い)

 

 

 

でもたまには当たりもあるらしい。なんだか、死徒だの捕獲するだのほざいていた気がするが、クモさんにとってはどうでもよいことであった。

 

 

 

(かわいくない)

 

 

 

勿論、可愛くないモノも極刑である。 おるとさんは基本的にかわいいか、そうでないかで物事を判断している節があるのである。

 

 

 

(くかー)

 

 

 

まあ、ぶちキレたついでに地球を滅ぼさない辺り、なんだかんだクモさんはここで寝て過ごす日々を楽しんでいたのかもしれない。

 

 

 

 

 

そして、クモさんが地球に来てから二千年以上の月日が流れた頃。

 

 

 

 

 

地球の地表が突如、"空からの光"によって焼き払われた。

 

 

 

(おー?)

 

 

 

光は大地を焦がし、星を焼き、クモさんの水晶渓谷すら焼き払った。流石のクモさんもこれには驚きが隠せない様子である。

 

もし自我が薄ければ時期的に地球の信号とは関係のないことのため、クモさんは気に止めることなくまた眠りについたことだろう。しかし、このクモさんは違った。

 

自我を持っているせいで、地球を救いに来たというのは建前で暇を潰しに来ていたからである。

 

 

 

(なんだろう?)

 

 

 

つまり、興味の対象が地球のSOS信号から謎の光りに変わったのである。

 

クモさんは二千年以上振りに身体を円盤に収納すると大空へと飛び立ち、宇宙から今の地球を確認することにした。

 

するとそこには来たときは青かった筈の地球は見る影もなく、地獄のように赤熱していた。そして、空を見上げれば、地球の衛生軌道上に地球以上の熱量を持った奇妙な光の帯が連なっているのが見える。クモさんは地球の時間で数時間程、衛星軌道上を漂ってそれらを観察していた。

 

 

 

(あれは……?)

 

 

 

そして、漂う内に今の地球には不釣り合いな人工の光がある場所をクモさんは見つけた。そこは決して空から見つけられる事の無いように幾重もの結界や魔術で秘匿されていたようだが、そんなものクモさんには無意味であり、また知るよしもないことであった。

 

そして、クモさんは決断する。

 

 

 

(行ってみよう)

 

 

 

クモさんはゆっくりと地球の"南極"へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、月日は1ヶ月程流れ、現在__。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、"おると"さん! おはよう!」

 

「おはようごさいます! "オルト"さん!」

 

《おはよう。りつか、マシュ》

 

 

 

人間に擬態してカルデアに転がり込んでいた。

 

 

 

これはちょっと個性的で感情豊かでユーモラスになったクモさんこと、アルテミット・ワンの"ORT"の物語である。

 

 

 

 

 



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ふわふわふかふか

この小説は家族で見れるような全年齢対象の作品を目指しております。


 

 

 

 

ソリを引いたカバのようなトナカイと黒いサンタが利用しても余る程幅の広く、逆に怪物な蛇女が利用するにはやや天井の低いカルデアの廊下。おるとさんはぽてぽて歩きながら目的地に向かっていた。

 

今のおるとさんの容姿は地球に来てから食べた中で"一番味の濃かった生き物"の姿をまるっと真似て擬態しているらしい。それ故に人型の女性に似た姿を取っているのである。着ている服はカルデアの女性職員のモノだ。おるとはジョブを選ばない。

 

ただし、真っ白の肌に、銅の炎色反応のようなエメラルドグリーンの瞳、サファイアに似た輝きを放つ蒼い髪を床寸前まで伸ばしているという擬態元の原型が無くなるレベルでカラーリングがアレンジされている。擬態だとしてもむしろ良く目立つ有り様なのだが、おるとさん的にはこれで満足らしい。流石におるとは格が違った。

 

ちなみにORTでもオルトでもなく"おると"なのはおるとさん的に平仮名の方が"かわいい"かららしい。律儀に胸元に付けている名札にも平仮名でおるとと書いてある。

 

既に周知だと思うが、おるとさんの感性は基本的にかわいいか、そうでないかで全てが決まっている。そのため、かわいいモノは愛で、また極力殺さないようにしているのである。

 

そして、現在の目的地もそれに関係することだ。

 

とある部屋の前に立つと、おるとさんは人間の作法の通りに扉をノックした。闇の帝王だって作法に厳しいのだから、おるとさんも厳格である。

 

「はーい!」

 

すると元気のいい返事が聞こえ、扉が開いた。

 

そこに居たのは茶色の瞳にオレンジ色のクセのあるセミショートヘアをして、おるとさんから見て右側をシュシュで結んでいるのが特徴的な少女であった。

 

そして、彼女を見たおるとさんは思う。

 

 

(すっごいかわいい)

 

 

この少女__藤丸立香はおるとさん的にすっごいかわいいのである。

 

すっごいかわいいとはかわいいという基準の最上位。要はおるとさん的にこれ以上かわいい存在は居ないレベルのかわいさなのである。ぶっちゃけ一目惚れである。最もおるとさんの精神年齢は人間で言うところの成長期にコミュニケーションを取ったり文化的なものに一切触れなかった為に、精々児童ぐらいなのでエロいことに発展することはまずない。そんなおるとさんの全年齢対象の愛は藤丸立香に向けられているのである。

 

「あ、おるとさん! 入って入って!」

 

立香は陽だまりのような屈託のない笑顔でおるとさんを自室に出迎える。いいのかい?  そんなにホイホイおるとさんを入れちまって。

 

立香の部屋に入ったおるとさんは、言われるまでもなく行動し、何故か部屋の真ん中に置かれた4.5畳の上に置かれた卓袱台に正座で座る。勿論、畳に上がる前に靴を脱ぐことも忘れない。

 

それが済むとおるとさんが手を掲げて両手で棒状の物を持つような動作をした直後、おるとさんの手に謎の看板のような物体が出現する。

 

その看板にはあらかじめ文字が書いてあり、おるとさんはその文字が立香に見えるように看板を掲げていた。

 

《おはよう》

 

「うん、おはようおるとさん!」

 

挨拶は大事。古事記にもギルガメッシュ叙事詩にもそう書いてある。

 

おるとさんはこのように看板の文字でコミュニケーションを取るのである。というのも、おるとさんは擬態しているだけなので声帯どころか横隔膜も無く、表情筋すら再現していない。要は声は出せず、表情は能面の如く変わらないのである。

 

しかし、内面の表情は非常に豊かであり、過去に言語については食べたモノから覚えたのと、カルデアで偶々近くに居た"くろひー"という奴を引っ張って来て覚えたので特に問題はないであろう。

 

何故かその後、くろひーが何処かに連れていかれてボコボコにされていた気がするが、恐らく気のせいである。

 

看板がキラリと光ると、看板の文字が変わった。ちなみにこの看板はおるとさんの身体の一部らしいのでこのように幾らでも出したり変えたり出来るそうな。

 

《"ふわふわふかふか"したい》

 

「え"!? や、やっぱりアレかぁ…」

 

おるとさんがふわふわふかふかという謎の単語を使ったことで立香の目が泳ぐ。ただ、どうも嫌がっているというよりは恥ずかしがっているように見える。

 

「うん……でもおるとさんだから仕方ないね。ちょっと待って」

 

そうして何故か立香は自分が着ているカルデア制服の上着に手を掛けて徐々に脱いでいった。

 

まあ、それも仕方なかろう。ぶっちゃけた話、"ふわふわふかふか"とは__

 

「許しませんっ!」

 

すると何故か立香のクローゼットの中から着物姿の少女が飛び出してきた。

 

「き、清姫!?」

 

それは清姫という少女であった。少女は出てくるなり、鬼のような形相でおるとさんを睨む。ちなみにクラスはバーサーカー。レアリティは☆3でガチャを引くと鬼のように出てくる娘である。鬼は☆4か☆5しかいないから全く出てこないのにな。

 

「今日という今日こそは! ますたぁの(みさお)は私がお守りします!」

 

「いや、そこまでのことじゃ……」

 

「私が! お守り! します!」

 

どうやらマスターの話を聞いていないらしい。これだから狂化EXは……。

 

《話せばわかる》

 

「キシャァァー!!」

 

《おいィ?》

 

そんなこんなの内に対話を望むおるとさんに対して、先手必勝と言わんばかりに清姫は飛び掛かった。扇子から出る弾とか火とか南蛮渡来の燃える水とかはどうしたというのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

__30秒後__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きしゃぁ……」

 

《スイーツ(笑)》

 

ガシッポカッ。清姫は負けた。

 

愛だけで勝てるのなら誰も苦労はしない。おるとさんは無敵なのである。ゲーム的にいうとすべてのダメージが0になるとかが常時付いているのである。

 

決まり手はおるとさんが看板で清姫の頭をぶっ叩いたことである。ちなみにこの看板はおるとさんの外皮よりちょっと硬く作ってあるとのこと。

 

おるとさんはかわいいモノは極力殺さない。それは清姫も例外ではなく、虫も殺さない程度に手加減しているのだ。

 

「お、おると……ま、まだ私は……ア"!?」

 

《さんをつけろよデコ助野郎》

 

おるとさんは清姫を優しく丁寧に看板の角で叩いて昏倒させた。おるとさんは地球上のどんな生き物よりも歳上なのでさん付けは大事である。

 

「あはは……いつも元気だね。お茶しかないけど飲む?」

 

《9杯でいい》

 

元々40mもあるのに9杯でいいと言った! 謙虚だなー、憧れちゃうなー。

 

おるとさんは食事は必要でないが、可能なので味覚はある。寧ろ最近は味を覚えた為に楽しみのひとつである。

 

立香は紙パックのお茶に直接ストローを差して渡してきた。

 

《おいィ》

 

なんだが、予想と違う結果に一応、おるとさんは抗議の文字を出したが、それを気に止めている様子は無く、お茶を飲んだ。

 

「じゅ、準備出来たよおるとさん…」

 

その内に立香の準備が終わったらしい。何故か立香は上着を脱いでおり、上はブラジャーだけ着けた状態であった。

 

《おいでおいで》

 

「う、うん…」

 

おるとさんは片手で看板を掲げつつ、もう片方の手で正座している自身の膝の上をぽんぽん叩いた。どうやらお膝に来て欲しいようだ。

 

立香はそれに従っておるとさんの元まで向かうと膝の上に座った。おるとさんは結構体格がいい女性の姿をしているので頭ひとつ分程は立香より背が高い。

 

それを確認したおるとさんは看板を卓袱台の上に置く。そして、両手を掲げると立香の後ろから手を入れ__

 

「ひゃっ…」

 

ブラジャーの中に手を突っ込んで立香のおっぱいを鷲掴みにした。

 

 

(ふわふわふかふか)

 

 

そう、ぶっちゃけふわふわふかふかとは、女性の豊かな胸のこと……すなわち。

 

おっぱいのことである。

 

 

(きもちいい)

 

 

何故かわからないが、おるとさんはおっぱいの感触を手で味わうのが大好きなのである。暖かくてふわふわしていてふかふかしている感触が好き、故にふわふわふかふかなのである。とんだおっぱい星人である。

 

 

(おかえししなきゃ)

 

 

「んっ!?…あっ……ふぁ……だ、ダメ……そこはっ!」

 

おるとさんは暫く普通に立香のおっぱいを優しく転がすようにしていたが、突然その動作が激しくなり、立香から声が漏れる。

 

擬音で例えるならばサワサワからモミモミへと移行したと言ったところだろう。

 

 

(ここりつかきもちいい)

 

 

「あっ……はんっ…! ひゃっ……そんなっ!」

 

更におるとさんの行為はエスカレートし、立香の弱いところ、もとい気持ちよくなってくれるところを重点的に立香の好きな強さで揉み始める。

 

この一連の行為は、おるとさんは気持ちいい感触を味わえたので、立香にも気持ちよくなって貰いたいという善意100%の想いから来る行動である。おるとさんの優しさは天井知らずと言えよう。

 

ちなみにおるとさん自身もかなり立派なモノをお持ちだが、自分で自分のものを触るのは何か違うらしい。例えるなら自分で髪をシャンプーするか、他人に髪をシャンプーして貰うかの違いのようなもの。傍迷惑な話である。

 

そして、暫くおるとさんが揉んでいる内に先に立香の方に変化があった。

 

 

「…ぁ……っう____!?」

 

 

というか果てた。イった。何がや何処へとは言わない。何故ならこの小説は全年齢対象だからである。

 

 

(やった)

 

 

その様子におるとさんもこれまでで一番立香が喜んでくれたと確信して嬉しくなる。もう一度言うが、この小説は全年齢対象である。

 

「もしかして私……胸だけでイクからだにされちゃった……?」

 

何故か立香は信じたくないことがあったかのような様子で放心している。ちなみにおるとさんはカルデアに来てからというもの1ヶ月と少しの間、毎日毎日立香のところにおっぱいを揉みに通っていたりする。

 

渇いた笑い声を小さく上げて天井の染みを数えている立香に対して、おるとさんはお姫様抱っこで立香を抱えると、一直線にある場所に向かっていった。

 

ある場所とはそう、立香のベッドである。

 

「え!? ベッド!? ま、待っておるとさん! わ、私今そんなことされたら本当に戻れなくなっちゃっ……きゃっ!」

 

おるとさんは立香を優しくの奥の方に放り投げた。そして、おるとさんもベッドと立香の空いた空間に寝そべる。

 

「ひゃぁっ…!?」

 

そして、その場で立香をおるとさんと向かい合うように向けてから抱き寄せた。立香のおっぱいと、おるとさんの立香より大きなおっぱいが当たり、互いのおっぱいが重なり合い形を変える。おるとさんのおっぱいも外皮なのでこの星のあらゆるモノより柔らかいのである。

 

「や、優しく…シて……ね?」

 

立香は観念したのかそんな声を漏らす。その瞳は閉じられ、少しだけ身体を震わせており、後のことはおるとさんに全て任せるようだ。

 

そして、おるとさんは__

 

 

 

(ねむい)

 

 

 

寝た。

 

「え……? へ……?」

 

その場に困惑したようなホッとしたようなそれでいて何か物足りないような絶妙な表情をした立香だけが取り残される。

 

 

(Zzz…)

 

 

ちなみにおるとさんは1日に最低でも十二時間は睡眠を取っている。ネコかおるとさんは。

 

カルデアに来てからのおるとさんはこのように割と充実して、相変わらず自由な日々を送っているのであった。

 

 

 




ちなみに作者は巨乳派です(集中線)


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お前ハイスラでボコるわ・・

どうもちゅーに菌or病魔です。今日も今日とて家族で見れる小説を目指して日々精進しております。

え? なんでこんな時間にこの小説は投稿しているのかですって? こんな時間でもなければ書けない小説もあるんですよ(深夜テンション)。


 

おるとさんが来てから1週間と少しくらいの頃。カルデアにとっておるとさんと名乗る物体は、カルデアのマスコットであるフォウくんが見るたびによく吠える程度の謎の存在であった。

 

というのもそもそもおるとさんは気付いたらいつの間にかカルデアにいた存在なのだ。もっと言えばいつの間にか、立香の傍にいたのだが、明らかにとてもなついており、その上妙に無機質な行動規範と生きるための生活行動というモノをサーヴァントのように一切していなかった。更にパッと見で身体はエーテルで構成されているようなので、おるとさんが来てから数日はほとんどのカルデア職員が立香が召喚したサーヴァントの1体だと思われていた程である。

 

というか、人類最後のマスターである立香さえ召喚した時にいつの間にか紛れ込んでいて、無口だから気が付かなかったのかな等と思っていたのだから仕方ない。ある意味、おるとさんの擬態能力が無茶苦茶高かったのかも知れない。

 

まあ、実際は単純に生まれた星でかわいい生き物が目の前を通り過ぎたり、身体に登ってきて貰うために、無駄に存在感を稀薄にする術を身に付けただけなのであるが、言わぬが華だろう。おるとさんの存在感の無さは加湿器と同レベルである。

 

そんなおるとさんが何故、カルデアに認知された理由は実に単純なお話。

 

第一特異点 オルレアン。

 

その場に何故かおるとさんが当たり前のように居たからである。

 

立香は"わー、おるとさんと一緒に行けるんだー"ぐらいの認識であったが、カルデアスタッフは疑問符を浮かべた。何せ、おるとさんの本体はおるとさんがオルレアンにいる間も自室で睡眠を取っており、動く様子も起きる様子も全く無かったからだ。立香たち以外がレイシフトしたという痕跡もない。

 

後にわかったことであるが、おるとさんは自身の精神だけを過去に飛ばして、地球に存在した昔の身体を間接的に操ってそこにいたらしい。故に現代の身体は寝ていたそうだ。ラスボスとか裏ボスとかラヴォスとかが持ってそうな能力ですね、おるとさん。

 

そして、立香がおるとさんも連れてオルレアンを攻略している最中、寝ているおるとさんを調べたところカルデア職員はびっくり仰天。

 

何せおるとさんの身体は硬く柔らかで温度耐性があり鋭いため、毛の一本の採取すら不可能な上、よく調べれば肉体そのものがエーテルではなく真エーテルで構成されていたのである。仕方なく、おるとさんのお部屋に機材を搬入して更に詳しく調べると、おるとさんの真エーテルは地球のモノとは到底似ても似つかない事だけはわかった。

 

もう、ここまで来れば自ずと答えは出るだろう。

 

 

 

"ORTやないかい!"

 

 

 

その日、カルデアスタッフの心はひとつになった。

 

そして、それを考慮すると人理修復に匹敵するかそれ以上の懸念が出てくる。

 

ORTが攻撃してくる→カルデアが吹き飛ぶ→人理が崩壊したまま→いくえ不明

 

震えてきやがった……こわいです……。

 

カルデアスタッフは絶望の渦に叩き込まれた。だって相手はORTなのである。圧倒的Keterクラスオブジェクトなのである。

 

一通りカルデアスタッフの大部分が絶望している間も、通信越しでいつも通り立香のおっぱいをさわさわしているおるとさんを見て、カルデアの技術部を統括するレオナルド・ダ・ヴィンチこと、ダ・ヴィンチちゃんは言った。

 

 

 

"立香ちゃん、なつかれ過ぎていないかい?"

 

 

 

それを聞いたカルデアスタッフが、よくよく考えてみれば、おるとさんはいつも立香といる。それ以外は管制室のディスクの上とか、レクリエーションルームの前とか、カルデアスの台の上とか、廊下の隅とか色々な場所で寝ているのを見掛ける程度だ。やはりネコなのかおるとさんは。

 

となるとやはりおるとさんの興味の対象は立香個人と見て相違ないだろう。

 

ならばと、世紀の天才であるダ・ヴィンチちゃんは作戦を打ち立てた。

 

(立香が)ORTを懐柔する→(立香の)戦力が充実→(立香の)心は豊かで性格も良い→(立香の)彼女になる

 

 

 

それだ!

 

 

 

またもカルデアスタッフの心はひとつになった。

 

最早丸投げに等しかったが、こうするのが一番確実で手っ取り早く、安全な方法であった。

 

というか、例えばまだ第一特異点を修復している段階のカルデアが、ティアマトだのゲーティアだのを相手にしろというのは不可能な話だろう。故に純粋な力のみで、匹敵するかそれ以上のおるとさんなどマトモに相手に出来るわけもないのである。世紀の天才もお手上げだ。

 

こうして人理修復というグランドオーダーに加えて、立香はおるとさんを懐柔するというぐらんどおーだーをすることになったのであった。

 

 

 

ん? オルレアン? 邪ンヌがおるとさんに勝てると思うならそうなったんじゃないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(りつかかまってくれない)

 

 

カルデアにおるとさんが来てから2ヶ月程経った頃。おるとさんは欲求不満であった。

 

このままでは次は母乳が出るようになってしまうという悲痛な立香の叫びによって、おるとさんのふわふわふかふかの回数を週七回から週四回まで減らすことになったからである。

 

 

(むー)

 

 

そのため、中日は立香をふわふわふかふか出来ないためにおるとさんは不満げなのだ。ちなみに無論、今日は中日だ。

 

「あっ! おーちゃん!」

 

おるとさんがあてもなく廊下をぶらぶら歩いていると、後ろからオウムの名前でも呼ぶような声が掛けられた。

 

おるとさんが振り向いて見れば、そこにはフード付きの着物姿に眼鏡を掛けてタブレットを持った大変残念な雰囲気漂う女性が経っていた。

 

《おっきー》

 

「刑部姫!」

 

彼女の名はおっきー、またの名を刑部姫。立香が始めてのガチャ……もとい召喚した時に引いたサーヴァントであり、立香にとっては召喚に応じてくれた大切な人とのことである。

 

ちなみに作者の嫁であり、スキルマ、レベルマ、フォウマだったりする。それでもくそ弱いけどな。

 

《どうしたの?》

 

「ふっふっふー! よくぞ聞いてくれました」

 

おっきーは悪い顔をしつつ着物の後ろの方を何やらごそごそとまさぐると、とあるパッケージを掲げた。

 

「久し振りにゲームしようよ!」

 

それは対戦格闘ゲームという奴であった。カルデアのレクリエーションルームに置いてあったモノのひとつである。

 

ちなみに最後におっきーとおるとさんがゲームをしたのは第二特異点 セプテムを攻略していたため、二週間程前の話だ。

 

え? セプテムの話? 我は触れられざる光輝。不可視にして不可避の裁き。全ての受けるダメージを0にするユニットが味方にいるのに逆にどう負けろと?

 

「今日はこれを借りてきたから私のお部屋でやろーよおーちゃん」

 

おるとさん的にさん付けしないのはNGであるが、あだ名はかわいいのでオッケーらしい。おっきー計らずもおるとさんの基準をすり抜けである。

 

また、おっきーはORTについての知識が無い。かっぱ巻きがどういうものかさえ教えてくれない聖杯がそんなことを教えてくれるハズもない。故にサーヴァント仲間程度に思っているのだ。

 

更に言うとおっきーは中々のコミュ障なのだが、おるとさんは加湿器並みの存在感なのでおっきーも安心して接することが出来るのである。

 

《OK!(ズドン)》

 

「そう来なくちゃ!」

 

ちなみにおるとさんの言葉はくろひーと共におっきーからも仕入れている。隙を生じぬ二段構えである。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでおっきーのお部屋。和サバらしく和室なのだが、それをぶち壊すぐらいPC機材だの漫画だのゲーム機だの謎グッツだのがところ畝ましと置かれているため、控え目に言ってもオタク部屋である。

 

おるとさんとおっきーは部屋の中央に置かれた炬燵の同じ側にふたりで入り、コントローラーを握りつつテレビ画面に向かっていた。とりあえず、ふたりで対戦を始めてから既に二時間程経過している。

 

ちなみに炬燵の上にはおるとさんの看板とゲームのパッケージが置かれており、パッケージのタイトルにはGUILTY GEAR Xrd -SIGN- と書いてある。

 

また、おっきーはカイ=キスクを使っており、おるとさんはソル……ではなくポチョムキンを使用していようだ。

 

「お? おお!? 相変わらずどんどん強くなるね!?」

 

《それほどでもない》

 

対戦でおっきーを圧しているにも関わらず、謙虚にもそれほどでもないといったおるとさんはこのゲームは初プレイである。というかそもそもおっきーに持ち掛けられなければ自発的にゲームをすることはまず無いのだが。

 

《あふん》

 

「よしっ! でもまだまだだよ!」

 

決着はおるとさんの負けであった。まあ、おっきーはこのゲームをやり込んでいるので仕方の無いことだろう。こうして、たまにおっきーがおるとさんをゲーム等に誘っては対戦ゲームではおるとさんがボコボコにされたりと色々しているのである。

 

ちなみにおっきーが相変わらずどんどん強くなると言ったのは比喩でも何でもない。おるとさんは一度し出すと、極めて短時間で知識を吸収し、その道のプロを簡単に凌駕してしまえるほど極められるのだ。その様は成長というよりも進化にすら思える。キメラアントの王かよ、おるとさんは。

 

《やるなドラゴンキラー》

 

「ちょ……!? お願いだからその呼び名はやめてよぉ!?」

 

おっきーは彼女にとって不名誉ながらカルデアスタッフからドラゴンキラー等と呼ばれたりしている。と言うのもオルレアンのファヴニール戦で立香のパーティーの育成が追い付いてないために他のサーヴァントがバタバタ倒れる中、ほぼ単騎でファヴニールを沈めた女なのだ。すごい。

 

すまないさん? サポートで選んだけど宝具撃つ前にファヴニールのクリティカルで沈んだよ。

 

《ハイスラァ!》

 

「あ゛」

 

そして、遂におっきーが負けた。

 

最終的に三時間掛けてもぎ取った勝利をおるとさんは溢れんばかりに歓喜し、看板の文字へと表出した。

 

《(*´ω`*)》

 

「負けたけどその顔文字は流行らないし流行らせないよ……」

 

そろそろ疑問に思うことだろう。飽きっぽいおるとさんが何故ここまで勝つことに躍起になっていたのか。

 

そもそもおるとさんは勝ち負け等に拘る質でもない。仮にそうならばおっきーにゲームで1敗した時点でカルデアを中心に地球はもう一度人類滅亡シリーズになっている。それは逆に言えば勝ちに拘ることもないということだ。

 

ならばなぜおるとさんはそんなに勝ちたかったのか?

 

それは__

 

 

 

《勝ったからいつものふわふわふかふか》

 

「ちぇー、わかったよぅ……」

 

 

 

そこにおっぱいがあったからである。

 

 

 

他人を本気にさせるのはモノで釣るのが一番。それはおるとさんでも変わらない。

 

おるとさんはおっきーが上の服を脱ぐのを今か今かと待った。おるとさんは待てが出来るアルティミットワンなのだ。

 

「ねぇ……? やっぱり脱がなきゃダメ……?」

 

《バラバラに引き裂いてやろうか?》

 

「ひえっ!? じょ、冗談ですよー脱ぎますよー脱がせていただきますよー」

 

おるとさんに服を脱がせる趣味はない。そういうのはR-18の作品でやるもので、この小説は全年齢対象である。ちなみにおるとさんがバラバラに引き裂くとR-18Gになるので注意。

 

「ぬ、脱いだよ……?」

 

ピンクでフリフリの可愛らしいブラジャーのみになったおっきーをそれを確認するや否や、おるとさんはおっきーを自分の膝の上に乗せ、上からブラジャーの中に手を突っ込んだ。

 

「ひえっ……」

 

平熱35度ぐらいのおるとさんの手におっきーから声が漏れた。まずはいつも通りおるとさんはおっぱいの自然な感触と形を楽しむ。

 

「ん……んぅ……うん……ああっ……あっ……」

 

 

(ふわふわふかふか)

 

 

いつも同じおるとさんのおっぱいの形容。しかし、その感触が堪らなく好きなのだ。

 

 

(おかえし)

 

 

「ひっ……!? あんっ……やあっ……ひあっ……」

 

おるとさんの手が強まり、動きが激しくなる。それに伴い我慢が効かなくなってきたおっきーからより激しく声が漏れる。

 

それは自分が楽しんで気持ちよくなったら必ず相手にもお返しをして気持ちよくなってもらおうという、おるとさんの絶対定理にして善意。

 

 

(りつかとちがっておっきーつよいのがすき)

 

 

「ひぇっ!? 激し………ンッ!」

 

おっきーは自分が想像以上に声を出していることに気が付き、自分の口を手でふさいだ。

 

だからといっておるとさんが手を緩めることはない。寧ろ更に強めた。

 

「んんんっ、ンゥっ、んん――――――っ!!」

 

 

(あ、りつかとおなじかんじ)

 

 

おるとさんはおっきーが強張るように身体を反らしてビクビクと動いた様から、立香をふわふわふかふかした時と同じ手応えを感じた。

 

「………………」

 

おっきーは少しの間、そのまま動かず、声も出さずにおるとさんに背中を預けた。そして、暫くすると口を開く。

 

「おーちゃん……冗談かと思ってたけど手だけでマーちゃんをイかせれるようになったって本当だったんだね……」

 

確かにその通りなのだが、その認識は少し真実と異なる。おるとさんのおっぱいを揉む手つきは確かに超絶レベルのテクニックであるが、それはおるとさん自身が相手の弱いところや気持ちいいところを知り尽くして相手が身体を預けてくれることで始めて可能となるのだ。要は絆レベル5に達したみたいなものである。

 

「ねぇ……おーちゃん……」

すると突然、おっきーはそのまま何故かブラジャーのホックに手を掛けて外すと、脱ぎ捨ててしまった。

 

そのままおっきーはその場で振り向き、おるとさんを見上げる。その瞳からは少し涙の跡が見え、肌は高揚し、息も少し上がっていた。そして、何より蕩けたような熱を持った瞳をしていた。

 

「もういっかい……シて?」

 

その言葉に拒む理由の無いおるとさんは再びおっきーのおっぱいを掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに全くの蛇足であるが、おっきーはこの宇宙に存在するモノの中で、おるとさんに最も黒星を叩き付けた生き物だったりする。すごい。

 

 

 

 




いやぁ……オルレアンとセプテムは強敵でしたねぇ……。

ああ、ちなみにおっきーに聖杯食わせてスキルマにしてフォウくん2000盛ったのはマジな話なので、見たい方はメールでフレンドにIDとプレイヤー名を乗せてもらえれば承認しますよ。まあ、作者そんなに強くはありませんが、とりあえず星5でサポートは埋まっていますので一部を駆け抜けられる程度には使えますからご利用ください。


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おるとさんの暇潰し

何故か続いてしまったこの小説。正直、需要は不明ではありますが、楽しんでいただけたら幸いです。

感想は遅れても全て返信いたします。このような小説を評価及び感想を貰えて感謝の極みです。

ああ、後今回はエロくないです(謎の表明)



 月日は早いものでおるとさんがカルデアに来てから5ヶ月程経った頃。

 

 ローマなネロ祭とか、アモーレミオなお月見とか、ハロウィンなエリザとか、サンタオルタなクリスマスとか、是非もないぐだぐだ本能寺とかがあった。しかし、どれもこれもおるとさんは季節のものを食べていたら終了したのでおるとさん的に印象は全く無い。立香は素材とか限定星4サバのために駆けずり回ってたのにな。

 

 ちなみにネロ祭におるとさんは殿堂入りという名の出禁になった。そもそも何故出したし。

 

 第三特異点 オケアノス? ああ、宇宙空間を単独飛行出来るおるとさんを相手に船で海戦を挑むなどあまりに無謀だったということだけ伝えておこう。一切攻撃を受け付けず弾切れも燃料切れもないB-2スピリット戦略爆撃機に、竹槍一本で挑むようなものである。

 

 

(暇)

 

 

 おるとさんは相変わらず、暇を持て余しながらカルデアの廊下をぽてぽて歩いていた。その手にはおっきーの部屋で見つけた武蔵ちゃんクッションが抱えられている。読者からしたら寝るか、おっぱい揉むか、暇するかしかしてないぞおるとさん。

 

「あ、オルトさん。おはようございます」

 

 すると背後から声を掛けられる。おるとさんは即座に看板を生成すると振り向きながら相手があるであろう方向に力強く掲げた。

 

《何いきなり話しかけて来てるわけ?》

 

「す、すみません! 何か気に触るようなことをしてしまったでしょうか!?」

 

 そこにいたのは白衣姿の眼鏡っ娘。マシュ・キリエライトであった。生真面目な彼女は本気でおるとさんに失礼を働いてしまったのではないかと申し訳無さげな様子である。

 

 おるとさんは看板を廊下の壁に立て掛けて武蔵ちゃんクッションを隣に置くと、そそくさとマシュの背後に回り込み、困惑している様子のマシュのおっぱいを後ろから伸ばされた手で優しく鷲掴みにした。

 

「お、おるとさん!?……これはいったいなんの意味がっ!?」

 

 立花立香がいつもやられていることである。服越しなだけ立香よりマシなのだからひどい話である。ついでに手付きが遥かに優しい。

 

(なかなか)

 

 おるとさん的にマシュのふわふわふかふかは高評価だったらしい。そしてしばらくさわさわした後、手を止めてマシュから少し離れたおるとさんは再び看板を掲げた。

 

《今のがリアルでなくて良かったな、リアルだったらお前はもう死んでるぞ》

 

「そ、そうだったのですか!?」

 

《一瞬の油断が命取り》

 

「なるほど……特異点でなく例えカルデア内であってもデミサーヴァントとして精進を怠るなということですね! とても参考になりました!」

 

《ほう、経験が生きたな》

 

 マシュは真面目なのでおるとさんの話をきちんと聞いているようだが、成立しているようで会話が成立していない。おるとさんは狂化EXか精神汚染スキルでも持っているのだろうか。

 

《あげる》

 

「え? あ、ありがとうございます!」

 

 マシュのふわふわふかふかを終えたおるとさんは武蔵ちゃんクッションを渡してその場から立ち去って行った。流石はアフターケアも完璧なおるとさんである。まあ、一点問題があるとすれば武蔵ちゃんクッションは、おっきーの部屋から勝手に持って来たものということだが、些細なことだろう。おるとさんはクールに去るぜ。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

(暇)

 

 おるとさんはまだ、暇を持て余しながらカルデアの廊下をぽてぽて歩いていた。その手に今度は何処かから拾ってきたカルデアのエロい方の鬼こと、酒呑童子を巻いた海苔巻きクッションが抱えられている。 何だそれ一本欲しいぞ。

 

 ちなみに酒呑童子とは立香がガチャで引いた……もとい召喚に応じたサーヴァントの一体である。サーヴァント召喚システムと書いて、運営の突発的な期間限定ガチャと読むせいでこのカルデアのサーヴァントは時系列とか滅茶苦茶なのである。

 

「あら、おると? 奇遇ねこんなところで会うな――」

 

《さんを付けろよデコ助野郎》

 

「わっぷっ!?」

 

 おるとさんの真後ろから掛けられた声に対し、おるとさんは瞬時に海苔巻きクッションを投擲する。海苔巻きクッションは声の主の顔面に命中して言葉を止めた。

 

 見れば海苔巻きクッションを顔面に叩き込まれたのは、白いドレスを着て、ぬいぐるみのような物体を抱えた銀髪の女性サーヴァントであった。

 

《こんにちわ、"アナスタシア"》

 

「………………投げる前に言って欲しかったわね……」

 

 悪びれることもなく挨拶をするおるとさんにやや顔をひきつらせる女性サーヴァント。彼女の真名は"アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ"。最後のロシア皇帝ニコライ2世とアレクサンドラ皇后の第四皇女その人である。ちなみに作者が180連して引けなかったサーヴァントでもある。ほちかった。まじんさんは50連で来たんだけどな。

 

「まあ、いいわ。マスターにいたずらしに行こうと思うんだけど何かいい方法はないかしら?」

 

 その瞬間、真顔ながらもやや口に笑みを浮かべたアナスタシアの目の端がキラリと輝いた気がした。何を言っているんだろうかこの皇女。

 

 おるとさんは少し考える素振りを見せてから看板を提示した。

 

《黒板消しをドアのうえにセット》

 

「やろうとしたけどカルデアはほとんど自動ドアだったからできなかったわ。頑張ったけど私が近づくだけで開いちゃうの。ヴィイにさせても同じだったわ」

 

 ヴィイに黒板消しを持たせて、懸命に自動ドアに挟もうとしている皇女の光景を思い浮かべると非常にシュールである。

 

《ペンでまゆげをつなげる》

 

「前にしたらマスターったら丸1日気がつかなかったわ。他のサーヴァントも職員も誰も指摘しなかったなんてひどい話ね」

 

《下着を全部隠してみる》

 

「それはダメよ。いじめになってしまうわ」

 

 ちなみにアナスタシアとマスターの絆Lvは5である。5でこれなのか、5だからこれなのか。後者と考える方がきっと幸せなのだろう。

《エリエリの手料理をりつかのごはんにひとつだけならべておく》

 

「テロいわね。でも真っ赤ですぐわかりそうじゃないかしら?」

 

《ほんものを食べたことないからボルシチとかブイヤベースとか韓国料理とかいっておけばりつか口につけるまでわからない》

 

「なるほど……」

 

 なるほどじゃないだろこの皇女。あれを食わされた月のマスターは座ったまま人間を止めた機動で宙を舞ったぞ。

 

「でもエリエリさんに協力してもらわなきゃならないから保留ね。今日できそうなのは何かないかしら?」

 

 マスターは今日金星料理を口にすることはないようで一安心である。ちなみにおるとさんやアナスタシアにエリエリと呼ばれているのはもちろん、ドラクルでアイドル(自称)なエリザベード・バートリーその人であり、その呼び方を二人に広めたのは言うまでもなくアナスタシア曰く自称姫である刑部姫のせい。

 

《アボガドディップをわさびにかえる》

 

「それだわ!」

 

 もうダメそうだこの皇女。

 

 どこかのおっきーのような悪戯っぽい笑みを浮かべて、楽しそうな様子で厨房の方へ向かって行ったアナスタシアをおるとさんは小さく手を振って見送った。

 

「見つけたぞォォ!!」

 

 その直後、カルデアのチョロい方の鬼こと、茨木童子が現れた。何やらとてもお冠な様子で、視線はどちらかといえばおるとさんが持っている恵方巻クッションに注がれているように見えた。

 

『ばらきー』

 

 おるとさんはいつも通り、対話のために看板を掲げる。

 

『はなせばわかる』

 

「羅生門大怨起ィィ!」

 

『おいィ?』

 

 ちなみに数十秒でボコボコにされて気絶し、お昼寝の抱き枕にされた方がどちらかなど語るまでもない。後、恵比寿クッションはおるとさんのモノになった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

(暇)

 

「あのおるとさんこれはいったい……?」

 

 おるとさんはまだまだ、暇を持て余しながらカルデアの廊下をぽてぽて歩いていた。今度は何処からか拉致してきたカルデアのマスターこと藤丸立香を小脇に抱えている。毎回何かを抱えているおるとさんはモクズショイの仲間か何かなのだろうか。

 

 おるとさんは立香を抱えたままとある部屋に入り、そこにあるベッドに腰掛けて立香を隣に下ろした。

 

 更におるとさんは看板を作り出すと、立香の目の前にずいっと掲げる。その時のおるとさんの目はいつもよりキラキラしているようにも感じられた。

 

《りつか、あそぼう。あそんで》

 

「おるとさんのそういうところが可愛いんだよねぇ……」

 

 そういいながら満更でもない様子で立香は何をしようかとおるとさんに返し、二人はてふてふでも飛びそうな朗らかな雰囲気で何か始めようとしていた。

 

「ちょっとアンタら……」

 

 しかし、そんな二人の空間を遮る黒い影があったのである。

 

「突然来るなり何勝手にしてるのよ!? ここは私の部屋よ!」

 

 それは第一特異点で敵であったジャンヌ・オルタその人であった。どうやら彼女は、負けたらギャグ要因というこの世の摂理(FGOでよくあること)を知らないらしい。

 

 彼女は運営の突発的な起算限定ガチャではなく、福袋ガチャと書いて3500円と読むガチャから召喚されたサーヴァントである。ちなみに作者はアラフィフであった。

 

 贋作イベとかあったが、作者はもう我慢できない。BBちゃんに言われなくても溢れ出るリビドーが抑えきれないのである。

 

 おるとさんは看板の文字を変えるといつものように掲げた。

 

『でゅへいん』

 

「でゅへいーん」

 

「わかったわ……アンタらそんなに燃やされたいのね……!」

 

 ジャンヌ・オルタは炎を手に作り、デュへる(動詞)寸前になったが、おるとさんは気にせずにジャンヌ・オルタのクローゼットの前に立って中身を漁る。

 

「ちょ……」

 

 何に使っているのか、可愛めなイルカのぬいぐるみだの、ピンクの寝間着だの、Busterと文字の入った赤いTシャツ等が出てくるが、おるとさんは特に気にせずに捜索を続ける。

 

 もちろん、おるとさんはきっちりと出てきたモノは元あった位置に戻しておくことも忘れない。えらい。

 

 おっきーが不在の時に、唐突におるとさんがおっきーの部屋を善意で片付けていた時も、大量に出てきた薄い本はちゃんと炬燵の上に揃えて置いておいた。むごい。

 

『あった』

 

 おるとさんはジャンヌ・オルタがクリスマスにサンタ・オルタから貰った双六のボードゲームを取り出した。

 

「何よ。それやりたいの? でも残念。それルーレット壊れてるわよ。アイツ交換はしてくれなかったですし」

 

 それを見てか、少し乗り気になっているボードゲーム好きのジャンヌ・オルタ。わざわざ欲しいものに"皆で出来る"とか書いていたのは伊達ではない。彼女はどちらかといえばチョロい部類である。

 

『問題ない』

 

 それを聞いたおるとさんはカルナさんのような返答をしながら机に双六を並べてルーレットに手を掛けた。さらにおるとさんの水晶にルーレットの表面が覆われる。

 

『なおった』

 

 そして、おるとさんがルーレットを回すと、くるくるとルーレットは回り出した。そんなことに使っていい能力なのかと思わないでもないが、看板とか作っているし、おるとさんがいいならそれでいいのだろう。

 

『でゅへいん』

 

「な、なによ……?」

 

 ルーレットを直したおるとさんはジャンヌ・オルタに駆け寄る。そんなおるとさんに対して、ジャンヌ・オルタは少し面食らった様子だ。ジャンヌ・オルタは第一特異点で昼寝出来ずに虫の居所がやや悪いおるとさんにボコボコにされたので若干トラウマなのである。

 

『あそぼう?』

 

「くっ……し、仕方ないわね」

 

 おるとさんは瞳は子供のように輝いて見えた。ジャンヌ・オルタはそんな様子の子を無下に出来る程外道ではないのである。根はロジカルだものな。

 

 このような何気無い時間がおるとさんのカルデアでの過ごし方なのであった。おるとさんが生きてきた生涯の中である意味一番充実しているかも知れないが、おるとさん自身はそれを気にしてはおらず、そのことに気がつく者もいないのであった。

 

 

 

 

 

 




以下、なんとなく書いたおるとさんの絆礼装。効果の方は妄想してください。

ちなみに今のおるとさんの絆Lvは1と半分ぐらいです(マシュ仕様の伸び方)。




絆礼装
"いつまでも一緒に"

詳細

 きれい? ここがわたしの水晶渓谷 わたしの始まりの場所 わたしの生まれた場所

 あなたには見てほしかった あなただけには見せたかった

 もうわたしは満足 だからこれは聞かないでかまわない

 これはきっと気の迷い わたしに生じた小さな不具合

 小さなあなた わたしの小さなあなた

 だいすきなあなた かわいらしいあなた

 大きなわたしはずっとずっとなにもかわっておりません

 かわったのならきっとあなたです かわっているのもあなたです


 けれど けれどね


  わたしに芽吹いた小さな夢は


    あなたより先に死ぬことです


       あなたに看取られ死ぬことです
   







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おるとさんのバレンタインとペット

どうも、ちゅーに菌or病魔です。

何故かまだ続きました。書いていて我ながら何を書いているのだろうと、思いながら書いている小説。そのクセ作者の投稿小説の中ではダントツに書きやすいんですから不思議なものです(やりたい放題)




 

 バレンタイン。

 

 それは恋する乙女や、ホワイトデー戦略を狙った乙女や、世渡り上手な乙女が跋扈する一大イベントであり、大半の野郎や、非リア充には名前を出すことさえ憚られる1日である。

 

『むー……』

 

 そんな日を目前にして、ここにも恋する乙女なのかは不明だが、バレンタインにプレゼントを渡そうとしている女っぽいアルティミット・ワンがいた。

 

 ちなみにおるとさんは女性特効も男性特効も入らないので、見た目に騙されてはいけない。愛するもの特効は入る。人類の脅威特効も入る。フォ↑ーリナー!↑

 

 行動に理由が伴わないおるとさんが、珍しく悩んでいる理由は無論、最かわの藤丸立香に渡すプレゼントについてである。はじめからチョコ渡す気が微塵もないのはおるとさんらしいというところであろうか。

 

 廊下をポテポテと歩くおるとさんは突然、何かの日陰に入ったため顔を上げた。

 

「どうかしたのか? 悩みごとか、おるとさんよ」

 

 すると目の前にはなんか巨大で青白い人型の化け物が立っていた。それを見たおるとさんは看板の文字を変える。

 

『"つぁーり"』

 

「うむ、余は皇帝(ツァーリ)である。そして、汝はおるとさんだ」

 

 それは異聞帯のサーヴァントであり、おるとさんを除くと現状このカルデア最強の戦力であるイヴァン雷帝その人であった。人理修復するときに居てはいけない最上位のサーヴァントである。無論、カルデアに召喚されたのは可能性の獣と書いて、ピックアップと読むせい。はぁ↑人理壊れちゃぁぅ↑

 

「悩みがあるのならば述べるがよい。知らぬ仲でもあるまい」

 

 そして、何故か親身におるとさんの悩みを聞こうとする雷帝。出来る皇帝である。

 

 ちなみにツァーリがおるとさん呼ぶことに違和感しかない気がしないでもないが、おるとさんは神々ですら気を使うレベルで超絶歳上で、色々とスケールがデカいので特に問題はない。寧ろ、格が上がる程おるとさんへの態度は硬化する。おるとさんを全て理解していて尚、尊大な態度の取れるサーヴァントは英雄王ぐらいのものである。

 

 それとツァーリとおるとさんが妙に仲がいいのは、怪物の好みに加えて、おるとさんが高いところが好きだからである。5mのツァーリの肩の上とか、マンモスに戻ったツァーリの上とか最高の眺めだという。

 

『実は――』

 

 おるとさんはツァーリへ、立香へのプレゼントを何したらいいかわからないという悩みを打ち明けた。超可愛らしいお悩みである。

 

「なるほど……それならばやはり――」

 

 それを聞いたツァーリはおるとさんに案を出した。ここで、かの名言を引用しよう。

 

 王は人の心がわからない。イヴァン雷帝はその最たる例である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 言うに及ばないが、カルデアは大施設である。

 

 その規模は南極にありながら完全な孤立無援で、カルデアの機能を麻痺させず、職員全ての生活が自給自足が可能な上、サーヴァントに衣食住に娯楽を付けて提供しようとも特に問題ない程である。ここまで完璧な機能を持った施設というものもそうないであろう。

 

 そんなカルデアであるが、その巨大さ故に問題も幾つかあった。

 

 その最たる例としては空き部屋の多さであろう。巨大にも関わらず、少ない職員でも回せるような設計のため、人数に対してスペースがあまりに広いのである。

 

 まあ、この辺りはサーヴァントの居住スペースを作れるため、結果的には利点とも言える。

 

 そんなカルデアにある倉庫として使われる予定であり、小中学校がすっぽりと二段程積み重ねられる程巨大な大空間の前に藤丸立香は立たされていた。

 

「あの……これはいったい?」

 

「うむ、おるとさんのサプライズという奴だ」

 

 立香はバレンタインの日にイヴァン雷帝に拉致され、肩に乗せられたまま連れてこられた場所が、その倉庫の大扉の前である。

 

「ああ、通りで最近おるとさんは……」

 

 最近あまりおるとさんを見掛けなかったことを立香は思い出す。最もふわふわふかふかの時間には無表情で手をわきわきさせながら必ずやってくるので特に心配はしていなかったが。

 

 そういえば同時にイヴァン雷帝もあまり見掛けなかったことも思い出した。

 

「では刮目せよ」

 

 何故か若干声が上擦っているように聞こえるイヴァン雷帝は、倉庫の大扉に手を掛け、一気に開いた。

 

 

 

 扉を開けると、そこは大聖堂であった。

 

 

 

「は……?」

 

 色々目にしたり、きよひーからプレゼントは私ですされたりした立香でもこの光景は唖然とした。何度か目を擦っては見てを繰り返す程である。

 

 何度見返してもあまりに巨大で荘厳な大聖堂が建っていた。見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはない。

 

『封印が解けられた!』

 

 にょきりと看板を掲げたおるとさんが、立香の目の前から生えてきた。そういうことも出来るらしい。

 

「こ、これはいったい……」

 

『りつかへのバレンタインの贈り物。つぁーりに聞いたら"大聖堂"がいいっていうからそうした』

 

「オマエノシワザダッタノカ……」

 

 振り向くといつの間にか居なくなっていたイヴァン雷帝に向かって片言で妙なことを呟く立香を前で、おるとさんは自分の隣に3m四方の水晶のブロックを出現し、次の瞬間にブロックが音もなく爆発してクリスタル細工の立香の像になった。

 

『こんなかんじでつくった。内装もつぁーりに聞いた』

 

 立香は褒めて褒めてと言わんばかりに目を輝かせるおるとさんを撫でながら、ロマンやダ・ヴィンチちゃんになんて説明しようと考えながら遠い目をしていた。

 

 ちなみに自身の水晶で細工をすること覚えていたのは、やはり黒ひげとおっきーにフィギュアとか作らされたせいである。

 

 尚、イヴァン雷帝監修、おるとさん作の大聖堂は伊達ではなく、非常に巨大でありながら荘厳であり、どこか物静かな派手さで満たされている空間は宗教系サーヴァントに大好評だったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 疑似地球環境モデル・カルデアス。

 

 1990年に完成したカルデアの発明の一つであり、惑星には魂があるとの定義に基き、その魂を複写する事により作り出された小型の疑似天体である。いわば地球の小さなコピーであり、アニムスフィア家の魔術礼装だ。

 

 カルデアスは同時に地球のライブラリとして機能する。未来は変動するものであるため、100年先の未来の詳細は観測できないとされるが、確定した過去の詳細は引き出せる。 故にカルデアスは人類史の過去に向かう羅針盤であり、人体を量子分解し過去に出力するレイシフトもカルデアスがあればその成功率は格段に跳ね上がる。

 

 そして、そんな素晴らしい奇跡の産物のようなカルデアスは地球の魂をコピー・再出力した疑似天体であるため、一度回した以上止めることはカルデアスの死と同じなのである。

 

 

 

 

 

「わかったかいORT君? だからカルデアスを"齧ったり"したらダメなんだ」

 

『ムシャムシャしてやった。濃ければなんでもよかった。今は反芻している』

 

「これがあの原初の一(アルテミット・ワン)の成れの果てだと思うとあの姫と黒髭には脱帽だよ……」

 

 現在、カルデアの象徴のひとである疑似地球環境モデル・カルデアスの目の前で、ダ・ヴィンチちゃんに正座されられながらおるとさんは看板を掲げていた。

 

 ちなみにおるとさんは反芻という言葉の意味を知らないし、牛ではないのでしたりもしない。

 

 後、怒られている自覚はあるので、ORT君と呼ばれても特に突っ込みは入れない。おるとさんは空気の読めるアルティミット・ワンなのである。すごいなー、憧れちゃうなー。

 

「どうして……いや、是非を問うべきではないか。やりたかったからやったんだろう?」

 

『おうさ』

 

 そして、もぐもぐと口を忙しなく動かしているおるとさんの背後にあるカルデアスはちょっと欠けていた。

 

 具体的に言えば真ん丸だったカルデアスは十六夜ぐらいになっている。大した違いには見えないが、元々かなり巨大な物体なため、その抉りとられた体積はかなりのものである。まあ、これぐらいならばカルデアスに火を入れていれば疑似天体であるため、勝手に修復されるが、そういうものではないのである。 

 

 ちなみにカルデア自体が"高密度霊子の集合体"かつ"次元が異なる領域"でもあるため、物理的には太陽やブラックホールに等しい存在であり、人間が直接触れてしまえば分子レベルにまで分解されて消滅してしまう。というか、1名分解された実績のある代物であるが、太陽だのブラックホールだのおるとさんにとっては些細なことであった。流石、おるとさんは格が違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『美味しかった』

 

 一通りダ・ヴィンチちゃんに怒られ、誰に言うわけでもなく看板を掲げたまま歩くおるとさんは、カルデアスの味を小学生並みの感想で述べながら、とあるサーヴァントがいる部屋を目指していた。

 

 歩きながらおるとさんはふとこれまでの出来事を思い出す。

 

 死界魔霧都市ロンドンでは下父上にモーさんが、ブラットアーサーした後にすぐカルデアに帰って来たので、魔術王と対面はしていない。多分、魔術王も精々、無茶苦茶強い人理の英霊ぐらいに思っているハズである。尚、カルデアの人間すらおるとさんの正体に暫く気づかなかったのだから魔神柱達が気づく訳もない。ダイゴさん大誤算。

 

 ちなみにロンドンの終盤、魔術王の攻撃を辛うじて耐えたマシュ・キルエライトと、持ち前の強固さを持って素で耐えたイヴァン雷帝を除く全サーヴァントを失い絶対絶命であったが、ぶちギレたイヴァン雷帝が死力を尽くし、カルデアから魔力をありったけ回して我が旅路に従え獣(ズヴェーリ・クレースニーホッド)を発動した。それには流石の魔術王も驚愕と共に魔神柱を総動員するしかないという神話の戦いのようであったそうな。

 

 セイバーウォーズではおるとさんは特にやることがなく、立香に着いていた。目立ったことといえば、なんとなくアルトリアに擬態してみたら謎のヒロインXに斬りかかられたことぐらいである。セイバァー!

 

 チョコレート・レディの空騒ぎ、もとい2016のバレンタインでのおるとさんの奇行は省略する。

 

 空の境界では何故かおるとさんが、マンションの一室で生活していた。全ミッションクリアが詰んだと立香が嘆いていた。

 監獄塔では当たり前のように精神だけ監獄塔に飛ばして居座っていたおるとさんが、立香を能力変更前のイージス力比べ並の守りを見せていたので、岩窟王も絶妙な苦笑いを見せていたりもした。精神だけでもおるとさんはメイン盾なのである。

 

 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナムではおるとさんが永続狂気帝国 セプテムの時のように戦略兵器と化していた。味方に星を七日で焼いた全盛の巨神兵がいたようなものである。凪ぎ払え!がわりと洒落にならない。勿論ツァーリもいる。というかツァーリの肩におるとさんが乗っている。あーもうめちゃくちゃだよ。

 

 ちなみに目的のサーヴァントのいる部屋はボイラー室に近い場所である。まあ、隣にあるノッブ達の部屋よりは幾分かマシであるが、それでもかなり暑いことには変わりない。

 

『たのもう』

 

 目的の部屋に来たおるとさんはノックをしてから相手の返事を待たずにドアを開けた。礼儀作法としてノックはするが、相手の了解は取らない辺りがおるとさんである。

 

「あつーい……」

 

 そこには人をダメにするソファーに被さるように乗りながら眉間に皺を寄せているジャージ姿の女性サーヴァントがいた。ついでにものすごいタイミングで呟きをおるとさんは耳にする。

 

「………………」

 

『………………』

 

 バッチリと目があった両者。そして、おるとさんは次の行動に出る。

 

『……俺のログにはなにもないな』

 

「それでよい……」

 

 おるとさんは見たことを忘れた。本能的に長寿タイプなのである。

 

 

 

 

 

「それでなんのようだ?」

 

 芋ジャージからいつものドレス姿に服装を変えたサーヴァント――スカサハ=スカディは、体温が低くて常にひんやりしているおるとさんを座ったまま抱き締めながらそう問い掛けた。

 

 人理修復するときに居てはいけないサーヴァントその2である。いつか立香は可能性の獣(ピックアップ)に殺されるかもしれない。

 

『なんか、カルデアスたべたら薄味があった』

 

「薄味とな?」

 

 おるとさんは身振り手振りを交えながら微笑ましく説明した。

 

 おるとさん曰く、なんとなくカルデアスを食べていたところとても濃くて美味しかったのだが、味の中に薄くて逆に雑味に感じるものが混ざっていたらしい。不思議に思たのと同時にその薄味は何かの生き物の魂の味だと思い出し、折角だからそれをかき集めるように先に食べていたそうな。

 

 5割程その魂を食べて回収したところでダ・ヴィンチちゃんに見付かり、止められて現在に至るのである。

 

 説明を終えるとおるとさんは口を開けた。おるとさんの舌の上では小さく弱々しい魂が揺らめいていた。

 

「なるほど、それでどうしたい?」

 

『かわいければペットにするから蘇生てつだって』

 

「ふむ、よいぞ」

 

 おるとさんがカルデアの冷蔵庫から持ってきた手土産のハーゲンダッツ2ダースを渡しながらそういうと、スカディは二つ返事で引き受けた。

 

 ちなみにスカディはダッツ派だが、おるとさんは舌が子供っぽい為かスイカバーやガリガリ君派である。また、おるとさんの友人のアナスタシアはダッツは量がないという理由でスーパーカップ派である。

 

 

 

 

 

 

「よし、いけるぞ」

 

 約3分程で組上がったルーン文字の帯に囲まれたおるとさんは床に正座をしていた。おるとさんから魂を出すと自然消滅してしまうので仕方なく、そうしているのである。

 

 魔力はおるとさんが肩代わりし、スカディがルーンで代用して願望機の代わりになることで蘇生を行うのである。師匠系サーヴァントの万能感すごい。

 

「行くぞ」

 

『おー』

 

 おるとさんの周りで召喚演出の虹回転のような光が起こる。見るマスターは腐るほど見たことがあり、見ないマスターは確定ガチャぐらいでしか見ないアレである。

 

 ちなみに虹演出だからといって必ず星5が出るわけではないので気をつけるように。作者は虹演出からエミヤとかバサスロットとか引いてスマホをぶん投げたことがある。全くの蛇足だが、レア演出として現在星4以上しか存在しないフォーリナーでも銀カードから金カードに変わる演出が出ることがある。その場合、銀カードでも確定なので銀カードだからといってもめくれるまで落胆することなかれ。作者はアビーで見たことある。最近だと、銀カードのムーンキャンサーというレアなものを見たことがあるが、唖然としている間に写真を撮るのが遅れ、金になりかけな微妙な写真が撮れた。クッソ強いな水着BBちゃん。

 

 そして、虹色の光は晴れ、おるとさんの腕の中に産まれたままの姿をした白に近い銀髪の女性が抱かれていた。

 

 その人物を見たカルデアのスタッフならば驚きの声を上げて言うであろう。

 

 "所長(オルガマリー・アニムスフィア)"と。

 

 しかし、悲しいかな――。

 

『だれ……?』

 

「誰だ……?」

 

 時期的にこのふたりに彼女との面識が無かった。スカディは言わずもがな、おるとさんがカルデアに来たのは冬木の後である。

 

 首を傾げるふたりをよそにオルガマリーは目を覚まし、その金色の瞳が露になった。

 

「…………う……」

 

 オルガマリーは目を開けると、おるとさんとスカディの顔を見回してから不安げな表情になり、呟いた。

 

「あなたたちはだれ……?」

 

『私はおると。おるとさんって呼んで。そっちはスカサハ=スカディ。スカサハ様とかスカスカ師匠とか呼んで』

 

「おい」

 

 おるとさんの微妙にあれな説明にスカディが突っ込みを入れていると、オルガマリーは不安げなまま自身の手を見つめ、再び顔を上げておるとさんを見た。

 

「私は……だれ……?」

 

 オルガマリー・アニムスフィアは自分自身のこともカルデアのことも綺麗さっぱり全て忘れてしまっていたのだった。

 

 ちなみに理由は、半分しか魂が集まってない状態でおるとさんが強行したからである。全部、おるとさんが悪い。

 

 それを聞いたおるとさんは即座に看板を掲げた。

 

『あなたはわたしのペット』

 

 今さら語るまでもないが、基本的におるとさんは腐れ外道である。

 

 

 

 




この小説で所長はリヨぐだ子のとこ並みの扱いを受けます。

Q:なんで所長蘇生したん?

A:安定したふわふわふかふか要員が欲しかった(レギュラー)

Q:なんで記憶消したん?

A:ふわふわふかふかの邪魔(迫真)



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