無表情っ子とラッキードスケベ (バリ茶)
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捕虜の日記

一話と二話にはエロシーンがありません
三話の前書きに一話二話のあらすじが書いてありますので、エロから見たい方はそちらからどうぞ。

ちなみに日記形式はこの一話のみです



9月17日:サプライズの件

 

 とても嬉しい事があった。少し長くなってしまうかもしれないけれど、今日の喜びをこの日々の日記の残しておきたいと思う。

 

 今日は総合整備課に配属されてからちょうど3年目、そして私が19歳になる日でもある。業務内容はいつも通りで、故障した小型宇宙船の修理や艦隊内の機体の整備など。これは特別大事なことと言う訳では無いが、今日がいつも通りだったからこそ【あのサプライズ】が飛び上るほどに嬉しかったと言うことを覚えておきたい。

 

 仕事が終わって自室で休んでいるときに、同期の女の子が私を呼びに来た。その子に付いて行きとある一室に案内され中へ入ってみると、そこには整備課の皆や整備課長のおじさん、果ては第一線で活躍しているパイロットの男の子までもが私を待っていた。

 

 一斉にクラッカーが鳴りそこから飛び出た沢山の紙の雨が私に降り注ぎ、皆が口を揃えてバースデーソングを歌い始めた頃には、私の眼尻が熱くなっていた。

 感動や嬉しさで号泣しそうになったのは生まれて初めてで、日記を書いている今でもあの感覚は鮮明に残っている。

 

 この整備課に配属されてからは忙しく、正直言って最初の2年はあまりにも多忙で自分の誕生日すらも忘れていたので、3年目になってこんな風に皆が祝ってくれるなんて想像していなかった。

 特に驚いたのは、日々強大な敵軍の精鋭と渡り合っているエースパイロットの彼が、わざわざ私の為に出向いてきてくれたことだろうか。

 

 彼とは幼少期からの馴染みだったが、私と違って第一級のエリートになった彼にこんな形で再会できるとは思わず、嬉しさのあまり抱きついてしまった。それで照れてしまったのか固まってしまった彼や、それを見て彼を敬愛する同期の子が慌てたりと、見ていて面白かった。

 

 まぁ他にもいろいろあったけど、とっても楽しかった。

 今日はここまでにしておこう。すこぶる調子が良いし、夜はよく眠れそうだ。

 明日からはいつも以上に頑張れる気がする。よーし、やる気だしていくぞぉ~!

 

 

 

 

9月18日:敵機体回収の件

 

 疲れた。とにかく疲れた。日記は短めに書こうと思う。

 今日は私が搭乗しているこの艦隊の周辺に敵が現れた。敵自体は早々に排除されたけど、その後が大変だった。

 

 まずは戦闘に使用されてボロボロになった機体の修理。次は攻撃を受けて損傷した艦隊の修繕。そして終いには倒された敵機体の回収で、回収用の機体に乗せられて宇宙に放り出された。

 

 回収した機体に一つだけコックピットにダメージを受ける前に機能が停止されていたものがあったのだが、何故か中はもぬけの殻だった。搭乗席がそのまま脱出用ポッドになる仕組みの機体だったので、パイロットが居ないのならコックピットがそもそも空になってなければおかしい。

 まぁそこら辺は謎だけど、整備課の私が考える事じゃないし。それに潰れた死体とか見つからなくて逆に安心したしー。

 

 今日はここまで。ダルいし疲れたし眠いし眠い。

 明日は周辺区域の廃材回収もあるし、もう寝る!

 

 

 

 

9月19日:代理

 

 この日記を綴っている同僚からの頼みで、代理として今日の分を記録する。

 今日、宇宙空間の廃材回収作業の途中で、この日記を書いている私の同僚が戦闘に巻き込まれた。

 彼女が運悪く遭遇した敵軍の機体はデータに無い新型機で、敵が行ってきた攻撃は【機体から発する特殊な光を浴びせ、対象の精神を攻撃する】という前代未聞のものであった。

 救援部隊が間に合った彼女は一命を取り留めたが、精神攻撃以外にも物理的な外傷を負っていた。

 かろうじて意識があった彼女は、搬送途中に私にこの日記を頼んですぐに緊急治療室へ搬送された。

 

 未だに彼女は治療室から出ていない。

 一刻も早く彼女の安否が知りたいが、私には待つことしかできない。

 気の利いたことは喋れないタチなので、事実だけを書いて終わろうと思う。

 付け加えるとすれば、戦闘に参加していたエースパイロットが、今も神妙な面持ちで緊急治療室の前で待っている事だろうか。

 

 これを書き終わり次第、私もそこへ行くことにする。

 夢乃、どうか無事でいて。

 

 

 

 

9月20日:代理

 

 夢乃が緊急治療室から解放され、安静用のベッドに移された。

 医療担当からは命に別状はないと聞かされた。意識が戻るまではまだ数日を要するが、と静かに付け加えられて。

 

 先日から彼女をずっと心配していたパイロットの彼は、付きっ切りで夢乃の容態を見ている。

 数十時間前に戦闘を行っていた彼には極度の疲労が見えていたので、様子見を変わろうかと提案したが、自分が巻き込んだから彼女が目覚めるまでずっとここに居る、と彼は言った。

 

 この艦隊の所属では無い彼が本体の作戦に参加せず此処に留まっていては上から文句が飛んでくるのは確実だ。

 だが同僚、いや友人の為。ここは私が何とかしよう。

 今は眠っている夢乃も、目が覚めて一番最初に会う人が彼ならきっと喜ぶはずだ。

 

 

 

 

9月21日:代理

 

 夢乃は未だ目覚めない。

 心なしか、整備課の皆様も表情が暗い。

 整備課の同年代の子から聞いた話では、彼女は整備課の中心的なムードメーカーだったらしい。

 私は夢乃とは中学からの友人だが、所属している課が違うためそう言った話は初めて聞いた。

 

 中学時代から底抜けに明るかった彼女だが、昔は殺伐としていたらしい整備課すら明るい雰囲気にしてしまうのは素直に驚いた。

 やはり彼女の存在は必要不可欠だ。早く意識が戻ることを願う。

 

 

 

 

9月22日:代理

 

 未だ彼女は目覚めない。

 今日は特筆すべきことは無く、良くも悪くも通常通りであった。妙に空気が重い事を除けば、だが。

 普段から温厚で隊員とも距離が近い艦長が目に見えてイラついていることも関係しているのかもしれない。

 艦長の気持ちは尤もだ。なにせ大事な艦隊内のメンバーが、むやみやたらに戦闘区域を広げた本体の実働部隊のせいで意識不明の大怪我を負ったのだから。

 

 この日記でこういった話題を延々と繰り返すのは止そう。

 これは本来、夢乃の日記なのだから。

 

 

 

 

9月23日:回復した件

 

 今日からまた自分が日記を書く。

 自分は三日間眠っていたらしい。

 聞いた限りでは新型による未知の精神攻撃を受けたらしいが、正直なところ気絶する前の記憶があやふやなので、詳しい事はあまり覚えていない。

 

 自分が目覚めた時、なんかめっちゃくちゃイケメンの男の子が目の前に居た。

 自分がその子に声をかけると彼は号泣してしまったので、少し悪い気がした。

 彼は昔からの知り合いらしく、自分自身も彼の顔はなんだか馴染み深いと感じた。

 記憶が混同していると医者に言われた。あと落ち着くまでまだ寝てろとも。

 

 日記書くの疲れた、寝る。

 

 

 

9月23日:特に無し

 

 ずっとベットの上だったので日記に書くようなことは殆ど無い。

 強いて言うならパイロットの彼が元気無さそうだった、とかくらい。

 

 

 

9月24日:リハビリの件

 

 医者に言われた限りでは、自分は脳の一部に深刻なダメージを受けたらしい。

 それから指摘されて気づいたことだが、表情筋が異常に硬くなってることが分かった。

 

 要するに自分はマグロ、無表情な女の子になってしまったらしい。

 リハビリとして色々見たり話したりしたが、自分自身はとても楽しかったし驚いたりもした。

 

 ただ他人から見たらまるで興味が無いようなそぶりに見えるらしく、笑い声も明らかにわざとらしいとのこと。

 例を挙げると――

 

「な、なんじゃこりゃあ!?」

 

 これが自分の感じている感触。で、他人から見た限りでは――

 

「なにこれ」

 

 といった感じに見えるらしい。

 確かに何だか声が出ていないような気がするし、体が妙に重い感触もある。

 パイロットの彼はこの状況をとても悔やんでいて、いろいろと熱心に医者の人と話していた。自分の為に必死になってくれて、とても嬉しい。

 

 過去の表情豊かだった自分の為にも、早くこれを直さなければ。

 

 

 

9月25日:休暇の件

 

 意外にも外傷は少なく、また回復も早かった為直ぐにでも職場に戻れる状態になった。

 ただ整備課長のおじさんがしばらく休めと怒鳴り込んできたので、あと数日はベッドの上だ。

 

 あと少し良い事があった。いろいろな記憶が戻ってきたのだ。

 この調子でちゃんと全快したいところ。

 

 

 

9月25日:特に無し

 

 ネットって面白い。なんだか一日でネットの住民に染まってしまった気分だ。

 以前はあまりパソコンを使わなかったが、暇つぶしにとネットサーフィンをしてみたらあら大変、20個くらいネットスラングを覚えてしまった。これはいけない。

 早々に職場に戻らなければ、自分はネットから離れられなくなってしまう。

 

 

 

9月26日:打診した件

 

 気が滅入ってしまうので少しでいいから職場に顔を出させてください、と医療担当に打診してみた。医療担当の女性は悩んでいたようだったが、整備課長をなんとか説得させて口添えを頼むと、許可が下りた。やったぜ。

 

 職場を見学していると、例のパイロットの兄ちゃん(20)が顔を出しに来た。彼の話を聞くと、なんでも今回の作戦では敵機の撃破数がトップだったらしい。やりますねぇ!

 

 話している途中自分の話し方が変だと言うことを彼に指摘されたが、これはネットの責任であって自分に非は無い。ネットスラングなんてものは作る方が悪いのだ。

 

 

 

9月27日:特に無し

 

 ネットでは無く本を読む事にした。これならば健全、ハッキリわかんだね。

 あと特筆すべきことは何もない。相変わらず自分は仏頂面だし、今日はお昼寝をしていたらいつの間にか一日が終わっていた。

 

 

 

9月28日:一時的な退院の件

 

 過度な労働はしないといった条件付きで釈放された。

 病室で眠っているのは楽なのだが、どうもあそこでは記憶が戻りそうもない。気持ち整備課の職場の方が落ち着くし、実際いくらか思い出したこともある。

 

 あと明日は艦隊周辺の簡単な廃材回収に付き合わせて貰えることになった。しかも追加機能が搭載された最新式の工業用機体に搭乗していいらしい。ウレシイ…ウレシイ…。

 

 

 

9月29日:やっちまったぜ。

 

 投稿者:整備課所属娘――そうじゃない。

 

 現在の状況を要約すると、不規則に宇宙空間に出現するワープホールに吸い込まれ、知らない場所に投げ飛ばされた、と言ったところだ。

 今いる場所は何処とも分からない小惑星の上で、周辺索敵のレーダーを使っても艦隊や宇宙船の反応は無い。

  

 周辺には岩の破片がゴロゴロ浮いていて、下手に動けばそれに当たって機体が故障してしまいそうだ。

 幸いにも自分が乗っている機体には非常用の食糧や水が多めに積まれていたので、数日の間は持ちそうだ。

 とりあえず救難信号は常に発信しておいて、帰れる目途が立つまでは此処に居よう。

 

 

9月30日:ぬわああん疲れたもおおおおおおん

 

 救助が全然来ないじゃないか(半ギレ) ふざけんな!(声だけ迫真)

 辞めたくなりますよ~仕事~。

 もしかしてこのまま救助は来ずに餓死してしまうのでは。やめてくれよ……(絶望)

 

 心が弱るとネットスラングがどんどん飛び出て来るらしい。多少は気がまぎれるが、やはり気休め程度だ。

 このままでは自分の記憶を取り戻すより先に来世の市民権を得てしまう。

 馬鹿野郎お前俺は生きるぞお前(天下無双)

 

 まぁなんにせよ、この日記が書けるスマホを持ってて良かった。暇つぶしならまだ困らない、はず。

 

 

10月1日:疲弊してきた

 

 精神的に参ってきた。もう戯言を呟く気力も無い。

 やはり身の安全が保障されていない空間に長い間滞在していると、心が不安に覆われていくらしい。

 

 優秀な機体に乗ってはいるが、事故が起きれば直ぐにでも自分は御陀仏。酸素や食料はまだ少し余裕があるが、自分がまだ冷静でいられるのはきっとこれのおかげだろう。

 

 問題が表面化してきた時、自分が落ち着いていられるか、不安だ。もっとも他人から見れば自分は遭難してからずっと仏頂面で、表面上は冷静に見えているわけだが。 

 

10月2日:お腹痛い

 

 非常食による栄養素の摂取は問題無いはずだが、暫く野菜を食べていない影響か腹の調子が良くない。野菜食べたい。お肉も食べたい(懇願)

 早く救助が来ないものか。

 

10月3日:動けない

 

 暫く前に此処に留まって救助を待つことにしたので、もう移動用の燃料は殆ど残っていない。

 故障覚悟で移動して船を探した方が賢明だったか、自分にはもう判断がつかない。

 

10月4日:まずい

 

 食料と水が少なくなってきた。食べる量を減らさなければ。

 不安に駆られる。気分を明るくしたいが、そんな余裕も無い。

 

10月5日:

 

 誰か助けて。頭が可笑しくなりそう。あの精神攻撃のせいで、自分は既にいろいろおかしくなっているのに、これ以上狂いたくない。

 今にも泣き崩れたいのに、表情筋は微動だにしないし涙も出ない。泣きたい。涙を流して少しでも発散したい。

 

10月6日:

 

 食料は明日まで。

 もう自分は終わったかもしれない。

 

10月7日:

 

 今日で食料が尽きた。怖い、怖い、こわい、こわい

 

10月8日:

 

 水だけじゃものたりない おなかすいた

 

10月9日:

 

 しんだかも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月10日:捕虜になった件

 

 絶賛地球人と戦争中の宇宙人に捕まった。

 

 食事を与えてくれたのでいい人たちだ。やったぜ。

 

 とりあえず眠いので、もう寝る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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無表情のフォーリナー

「#$、&%=>’*+@」

 

「あ、ちょ、ちょっと待って」

 

 手首を紐で縛られた状態で椅子に腰かけている少女に謎の言語で話しかけられ、僕は焦って片耳に付けている自動翻訳機の電源を入れた。そしてポケットから予備の翻訳機を取り出し、少女の左耳にそれをかけて電源を入れ、僕はゆっくりと喋り始める。

 

「えー、僕の、言葉、分かりますか」

 

「ありがたいことに翻訳機を付けて頂いたのでそれはもうハッキリしっかり日本語に聞こえています」

 

「……あ、はい、すいません」

 

 目の前の少女が此方の予想していた行動と違い、あまりにも流暢にコミュニケーションを取ってきたので少したじろいで思わず謝ってしまった。

 気を取り直して此方から再び話しかけようとすると、少女は僕より先に口を開いた。

 

「あの自分、結構平気そうに振る舞ってますけど実は暫く食事をしていないので今にも餓死しそうな程度にはお腹が減っているので宜しければ是非ともご飯を頂きたいのですが駄目でしょうか駄目ですよね捕虜の分際で調子乗りました申し訳ございません許してください」

 

「………え、えっと、食事……ですよね? 少し、待っててくださいね……」

 

 少女の有無を言わせないようなマシンガントークに気圧され、僕は何とか聞き取れた【食事】というワードに基づいた物を持ってくるという言い訳を抱えて、一旦その部屋から脱出するのであった。

 

 

 

 僕はとある研究所に所属している、しがない研究員の一人だ。一応この研究所の所長の助手という肩書はあるけれど、それは単にこの研究所に人がほとんど居ないから自然とそうなっただけであって、名誉ある役職と言う訳では無い。

 

 この研究所の所長――博士がそんじゃそこらの常人には理解され難い曲者の変人なせいで、此処で研究をしたいと思う人がまずいない。

 僕はわけあって此処に勤めているが、特別な理由が無い限りこの研究所に留まる人はいないので、今より一つ前の所長の時代に肩を組んで笑いあった同僚の研究室も今はただの物置だ。

 

 そんなほぼ無人に近い研究所で今日も今日とて博士にコキ使われていたところ、博士が宇宙に飛ばしていたドローンがとある電波を拾った。

 それの正体は救難信号で、言語から察しその信号を送っていたのは絶賛戦争中の地球軍から発せられたものだと理解した。

 

 我々はただの研究者で、直ぐに救助隊を出せるわけでもなし。

 いつもなら当然無視をする筈なのだが、ドローンから送られてきた映像を見た博士はすぐさま僕を小型宇宙船に放り込み、問答無用で空へ飛ばした。

 

 博士に怒涛の文句を投げつけながら現場へ向かうと、そこにはコックピット周辺のみが稼働している地球産の廃材回収用ロボット【ジェクター】があった。

 廃材回収の機体に限らず、ジェクターと名の付く機体は地球が宇宙空間での作業用に開発した高性能ロボットで、僕も実際に目の当たりにしたのは初めてだった。

 

 ドローンを使って機体の中の様子を覗き見た所、そこにはポツンと死体の様に倒れ伏している地球人が一人。

 博士の指示通りに地球人が乗っているそのジェクターごと持って帰り、中に乗っていた作業員を秘密裡に研究所の一室に匿った。

 

 

 ここまでが事の顛末。そして現在、僕は素早く作った簡単な料理を持って先程の少女がいる部屋へと向かっている。

 

 さて、ここで大事な事を一つ。

 先程僕は『秘密裡に匿った』と言った。秘密裡、そう、秘密裡に、である。

 

 いや、駄目なんだよな。絶賛戦争中の相手の人間をいち研究所が秘密裡に匿うって、めちゃくちゃヤバいって。

 なんとなく博士の言う通りにやったけど、よく考えなくてもこれはマズイ。軍にバレたらどうなることやら。

 ――なんて辟易しながら物事を考えていたら、いつの間にか目的の部屋に着いてしまった。とりあえずはこの食事を与えて、相手の事情を聴いて、それから博士に問いただそう。

 

 

 自動ドアが開いて最初に見えた光景は、少女が天井を見ながら無表情で尚且つ乾いた声で「う゛ぇ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」と言いながらヨダレを垂らしている光景だった。

 

 

 

 

 

 

「さて、助手クン。そこの捕虜クンも食事を終えて満腹ハッピーパラダイスなったところで、次の段階へ移行しようか」

 

 捕虜の女の子が食事を終えてウトウトしている所で、突然ロッカーの中からサンタクロース並みに白ひげを生やした白衣のおっさんが静かに出てきた。

 

「いつからそこに居たんですか。てか何で今出てきたんですか」

 

「三時間前からだよ? 助手クンが帰ってきたらびっくりさせようと思ってね」

 

 俺の質問に淡々と答えながら白ひげのおっさん――博士は白衣を無駄に翻すと近くの椅子に座った。

 

 ――なに言ってるの?(困惑)

 何で驚かせようとしてるのにスッて静かに出てくるの? それで驚くと思ってんの? 小学生? てかなんだよ満腹ハッピーパラダイスって……。

 

 僕が心の中で毒づきながら食器を片づけている途中、常時頭がハッピーセットな老齢のおっさんが満面の笑みで凡そ齢18前後の少女に話しかけていた。完全に事案である。

 

「ふむ、質問云々をする前に、捕虜クンには少し休息が必要なようだ」

 

 博士はそう言うと椅子から立ち上がり、無駄に白衣を翻してから僕から食器を奪い去って部屋の外に出た。

 

「彼女が寝ている間は助手クン、君が様子を見ていてくれたまえ。まぁ食事の時も暴れなかったし、恐らく大丈夫だろうが。ベッドメイキングは任せたよ」

 

「え、ちょ、博士っ」

 

「くれぐれも寝ている間の彼女に手を出すとか、そういうことをしてはいけないぞ! 君には成人指定作品の竿役にはなって欲しくないからネ!」

 

「何の話だよ!? ていうか、まだ詳しいこと聞かされていないんですけど――」

 

「睡姦シチュは夢があるけど罪悪感ヤバすぎて私は嫌いだから! それじゃあね!」

 

 言うだけ言うと博士の目の前の自動ドアが閉まり、何故か内側から外せないロックがかかった。

 

「ちょっ、なに!?」

 

 狼狽しながらドアを動かすもビクリともせず、ドアの向こうの博士は「でも密室シチュは大好きだよワハハ」とか言いながら風の様に去って行った。

 

「ちょっと博士ー! ほんと―――あぁ、もう……」

 

 どれだけ声を張っても無駄、観念した僕はドアから手を離し、肩を落とした。ほんとあのクソじじい殺す……(憤怒)

  

 そういえばと後ろを振り返ると、捕虜の女の子は自ら既にベッドの中に入って眠っていた。しかも律儀に靴も脱いでる。喋りも行動もとにかく早いなぁ、彼女。

 僕は近くにあった椅子を部屋の端に移動させ、そこに座って壁に凭れ掛かった。

 

 まったく、散々だ。秒速で宇宙に飛ばされて敵の人間を拾って戻ってきてヘトヘトなところで部屋に閉じ込められて。

 まぁ良かったところと言えば、捕虜の女の子が冷静なところだろうか。単に疲弊してるだけかもしれないが、コックピットに僕が入って行った時も手を縛られる時も、彼女は別段慌てることは無かった。

 なんかずっと仏頂面っていうか、マネキンみたいに顔の表情が固まっているけど、それ以外は常々普通だ。僕と話す速度が速かったのも空腹だったからだろう。

 

 ジッと見ていたら分かったが、彼女はなかなか顔が整っている。それに初対面の、しかも敵の人間相手にいきなり食事を要求するたくましさもあるのだから、きっと母星では恋人なんかもいたのかもしれない。これから彼女の処遇をどうするかはまだ分からないが、とりあえずその人には捕虜の子は無事だよと伝えてやりたいものだ。

 

 彼女には近寄らずに観察していると、捕虜の子がパチッと目を開けた。一体どうしたのだろうか。

 ま、まさか、拘束が解かれたこの機を狙って襲いかかってきたり――

 

「あのとても申し訳ないんですけど、眩しいので電気を消してもらっても宜しいですか」

 

「……あ、はい、すいません」

 

 ――彼女に向かって少し前に同じことを言った気がする。

 

 

 

 




流石に数時間前まで餓死寸前だった女の子とえっちは気が引けました


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シャワー室でおしゃぶり ★

あらすじ

第一話:とある宇宙艦隊の整備課に所属する19歳の少女、夢乃。彼女は宇宙人との戦闘に巻き込まれ、精神攻撃を受けてしまい、その後遺症で無表情っ子になってしまう。
 顔は無表情だが、感情は確かにある。そんな気持ちを艦内の誰にも理解されないまま、彼女はジェクター(ロボット)に乗って宇宙空間で作業をしている途中で、ワームホールに巻き込まれて遭難してしまう。
 孤独な時間を過ごすなか、餓死一歩手前の所で、とある宇宙人に捕虜として夢乃は捕縛されてしまった。

第二話:とある研究所が、宇宙空間からの救難信号を受信した。研究所の所長である博士は助手の青年を現場に向かわせ、その場にいた死にかけの地球人の少女を『捕虜』という名目で保護。
 研究所で唯一住み込みで働く人間である助手くんは、国には知らせずに秘密裡に匿った地球人の少女と、研究所での同居を余儀なくされるのであった。




「ふひー……疲れた疲れた」

 

 

 研究所の格納庫内に置かれている椅子に腰を落とし、僕は深く息を吐いた。

 今日は一日中、捕虜の子が乗っていたジェクターの点検やそれの資料整理をしていた。いつの間にか窓の外は暗くなっていて、時計を見れば既に針は深夜を過ぎている。

 今日忙しかったのは恐らく僕だけだろうし、博士や捕虜さんも既に就寝しているだろう。

 

「プンスカ」

 

「ああ、僕だけじゃなかったな」

 

 椅子に座っている僕に話しかけてきたのは、人型アンドロイドのアロさん。アンドロイドを縮めてアロ、と博士が名付けたらしい。

 サイズは成人男性の平均身長くらいで、顔や体に装飾は無く全身白色のボディに白衣を一枚羽織っているだけのシンプルな見た目。

 いかにもロボットといった雰囲気なのだが、博士曰くアロさんには感情があるらしい。なんでも試作品の思考回路を組み入れたとかなんとか。

 

 流暢に喋れる訳では無いアロさんの感情の表現の仕方はとても簡単で、怒っているなら赤色、悲しい時は青色、嬉しい時は緑で困った時は黄色などの色の付いた光を、白くて目も鼻も口もない顔全体に灯すといった方法だ。

 今のアロさんは薄く赤くなって少し怒っている。僕が「自分だけ疲れた」といった趣旨の言葉をこぼしたからだろう。

 実は早朝から今の今まで、アロさんに作業を手伝ってもらっていたのだ。アンドロイドが疲労を感じるのかは分からないが、長い時間付き合ってくれたアロさんを労ってあげなければ。

 

「アロさん今日はありがとう。そろそろバッテリー交換しようか?」

 

「ケッコウ」

 

 アロさんは首を横に振り、隣の部屋から暖かいコーヒーを持ってきてくれた。

 

「オツカレ」

 

「こりゃどうも」

 

 僕はアロさんからカップを受け取り、ちびちびとコーヒーを飲み始めた。うん、やっぱり疲れた時に飲むコーヒーは美味しい。

 疲労を労ってくれる飲み物を嗜みつつ、目の前にドンと置かれているジェクターを見る。

 

 いい、とても良い機体だ。調べた限りでは、恐らく殆ど使用されていない新型の機体だ。研究所からアクセスできる地球側のジェクターの情報などが記載されているデータベースを見たが、この機体は無かった。

 恐らくこれは試作機なのだろう。廃材回収用なのにも関わらず背面には一級品のビームライフルが搭載されていた。非常用にしては上等すぎる気がする。

 

 他にも興味深い部分が幾つもあったので、疲れはしたが点検自体は楽しかった。

 機体の構造は従来の物とは多少異なるが、それでもまた動かせるようにする程度には内部構造も理解できた。

 

「ふぅむ」

 

「オワリ。ネロ」

 

 アロさんは格納庫の照明を切り、さっさと出て行って寝ろといった感じで僕をつまみ出した。

 まぁあの機体は気になるが、僕も疲れた。アロさんが格納庫を閉めてくれたし、僕は部屋に戻って休もう。

 

「オヤスミ」

 

「うん、アロさんもお休み」

 

 アロさんと別れ、僕は階段を上って行った。

 

 

 

 

 僕の部屋は二階の奥で、到着する前に物置になっている空き部屋とシャワールームを通ることになる。

 自室に着く前にシャワールームをチラリと見たが、明かりはついていなかった。誰も使っていない事に安堵し、部屋から着替えを持ってそそくさとシャワールームの中へ入って行った。

 

 衣服を脱衣所に置き、腰にタオルを巻いて中へ入る。シャワーは四つほどあり、一つ一つカーテンで区切られている。

 僕は一番手前の所へ入り、シャワーに手をかけた。

 

 

 ───と、そこで少し異変に気が付いた。

 カーテンで区切られている左の方から、シャワーからお湯が出ている音が聞こえる。音の勢いは強くないので、恐らく誰かが出しっぱなしのまま出て行ってしまったのだろう。

 

 これは恐らく、仕方のない事だ。

 十中八九、捕虜さんの仕業に違いない。彼女はここに来てまだ一週間も経っていない。

 当然、まだこの研究所の設備に慣れていないし、栓の閉め忘れくらいしてしまってもおかしくはない。

 僕はシャワーを止める為、隣のカーテンを開け――

 

 

「――あっ」

 

「………」

 

 

 直ぐに閉めた。僕は何も見ていない。

 ―――いやいやいや、おかしいだろ。なんで?

 

「わぁー、助手さんのえっちぃ」

 

「ちょ、ま!」

 

 気の抜けるような棒読みのセリフがカーテン越しに聞こえてきて、僕は狼狽した。

 な、何で捕虜さんがここに……! 明かりついてなかったのに……。

 

「すみません助手さん、明かりをつけるスイッチ、どこにあるのか分からなくて」

 

「あ、そ、そう。いや、あの、入り口の手前にあるから」

 

 ってそうじゃなくて。このままこの場に残ったらマズイ。

 

「ゴメンすぐ出るから!」

 

「あ、すみません、待ってください。こっちボディソープとかが無くて」

 

「へ? あ、あぁ、じゃあこっちの渡すから」

 

 僕はボディソープの容器を掴み、顔を逸らしつつカーテンの隙間から隣に手を伸ばした。

 

 ──むにゅっ。

 

 なんか腕に柔らかい何かが当たった気がするけど気のせいだ。気のせい。

 不可抗力、事故! ……僕ってかなり最低だな。

 

「ゴメンナサイ!!!」

 

「当たった場所、お腹だから大丈夫ですよ。受け取りますね――あっ」

 

「いやお腹でも十分まず――」

 

 

 よくある少年漫画のお色気シーンのように。最近では食傷気味になりつつあるくらい有り触れたテンプレのように。

 足を滑らせた捕虜さんがカーテンの隙間を通り抜けてこちらに転んできた。

 まるで捕虜さんのクッションになるかのように僕は仰向けに倒れ、捕虜さんは僕の体の上に乗る形になったので、石の床に叩かれることはなかった。

 

「―――ぁっ、そ、その……」 

 

「すみません、助かりました」

 

 頭の中が混乱しきっていて語彙力が消滅している僕とは対照的に、捕虜さんは変わらず無表情のままだった。

 僕はというと、目の前の光景に感覚が麻痺してしまい、背中の痛さとか全く気にならない。

 やばい、やばい。なんというか、その、いろいろ。いろいろ当たっている。僕も捕虜さんもいろいろ当たっている。

 

(こ、この感じ……!?)

 

 ハプニングで焦っていた脳が、下腹部に走る妙な感覚に気がついた。

 タオル越しの男根に、綿のようにふわふわと柔らかく熱いものが纏わりついている感覚。

 よく見れば、股間が腰の上にまたがる捕虜さんの尻に敷かれている。

 つまり捕虜さんは、タオルという薄布一枚隔てただけの双曲の谷間を、ほんの少し固くなっている男の股間に押し付けているのだ。

 

「自分の星でもこういったシチュはアニメでよく見ましたね」

 

「いや、だ、だから、ご、ゴメ」

 

 言いわけがましく口をパクパクさせる僕だったが、謝罪する上っ面とは正反対に、しっかりと捕虜さんのその肢体を舐め回すように観察していた。

 彼女はタオルを身に付けていない。それは当然だ、何せこの風呂場には自分しかいなかったのだから。むしろ一人で風呂に入る予定だったのに、腰にタオルを巻いている僕の方がおかしい。

 

 眼前に見えるのは、黒髪美少女の豊満なバスト。90センチを超えるほどの大きさと、ゼリーのような柔らかさを持ちつつも、自重で形が崩れるような事はない。

 水を弾く張りのあるその乙女の肌は、下着の支えがなくともスイカのように美しい球形を保っている。

 

 乳房の大きさに反して、突端に頂いた薄桃色の乳首は小さく、まるで桜の蕾のようだ。

 あまりの美しさと艶めかしさに惹かれ、僕は目を逸らすことも閉じることもできない。

 

「……助手さん?」

 

「あっ」

 

 捕虜さんが怪訝な雰囲気を出したときには、既に手遅れ。

 体にまとわりつく少女の柔肌の感触。逃げようとして動けば動くほど、逆にますます体に触れてしまう少女の肉体の柔らかさや、鼻を擽る甘い体臭のもたらす快感が、脳を殴るように刺激する。

 次第に、下腹部に向かう血液の奔流を感じる。

 

 いつのまにか堪えきれなくなっており、タオルの内側で充血した男の筋肉が固くいきり立ってしまっていた。

 そんな僕のただならぬ状態のソレが、捕虜さんの太ももに押し付けられてしまう。

 ほんの少し反発してくるような心地の良い弾力が、男根の先端に快感となって伝わってくる。

 

 突然太ももに熱い何かが押し付けられ、捕虜さんは我慢する間もなく声が出てしまった。

 

「うぁっ、あ、熱い……」

 

 普段の無表情からは想像できない、震えるような声。

 目の前で囁くように零れたその声は、僕の脳をさらに刺激してしまう。

 

「助手さん、これは……」

 

「……ほ、本当にごめんなさい」

 

 冷静な顔ながらも、確かに混乱している捕虜さんに、説得力の無い謝罪をする。

 しかし罪悪感のある僕とは裏腹に、まだまだ膨張を続ける息子。留まる事を知らないソレは、ぐいぐいと彼女の柔らかい肌に押しつけられる。

 

「───これ、私のせいですね、責任取ります」

 

「へ?」

 

 間抜けな声を上げる僕の上から、捕虜さんが退いた。

 そして彼女に手を貸してもらい、立ち上がる僕。 

 

(責任取るって……!)

 

 痛いくらいに激しく脈打つ心臓が、脳を活性化させていく。気がつけばもう、冷静ではいられなくなっていた。

 立ち上がった僕の前に跪き、充血して先端が臍まで届くほど反り返った肉竿を、黒髪の少女はジッと見つめる。

 

「一応私、捕虜ですから、こういうことのお世話だって──」

 

「め、名目上の話だって! 実際は保護しただけだし、こっ、こんな……っ」

 

 彼女の鼻息が当たり、微かに痙攣をする赤黒い肉棒は、僕の下手な弁明を許さない。

 そんな哀れな様子の僕をみて、今度はわざとペニスにふぅっと息を吹きかける少女。稲妻のような衝撃が頭をかち割り、喉からぽろぽろと声が漏れ出る。

 

「ぅっ、うぁ、はっ……!」

 

「……我慢し続けて、性欲オバケになった助手さんに襲われる方が、私……怖いです」

 

「そ、そんなことっ!」

 

「同意のうちの方がお得ですよ。それじゃあ、お口で……んむぅ……」

 

 ──全身に電撃が走った。

 沸騰しそうなほど血液が溜まった男根を、彼女が優しく頬張ったのだ。

 

(ぁがっ、な、なんだこっ、れぇ……!)

 

「はぷっ、んぶっ……ぐぽッ、ぢゅるる」

 

 生暖かい口腔内に引き込まれたペニスに纏わりつく、粘液にまみれた紅色の柔肉。その動きには、男性器に触れる事への遠慮はまるで感じられない。

 

「ぢゅるッ、れろ、くぷ、んふッ」

 

 それどころか、むしろ男の弱点を的確に突き、より一層興奮させようとさえしてきているのだ。舌先をキュッと絞って大きく開いた先割れの中を擽ったり、裏筋や亀頭のエラ下などを擽ったりと、多彩な舌技を駆使して。

 

「ちゅむぅッ、くぷ、んふッ」

 

「そ、それ、やばいっ」

 

 真っ赤に晴れ上がった男の筋肉の表面はおろか、中を走る神経まで直に撫でまわされているかのような刺激が、下腹部にジワジワと広がっていく。

 

「んぷっ……ろひゅふぁん(助手さん)、きもひい……?」

 

 粘り気のある水音に混じって、甘ったるい声が聞こえてくる。肉棒を咥えたまま喋る捕虜さんの声が、より一層僕の劣情を駆り立てて仕方がない。喋る為に動き回った舌が、奉仕する時とはまた違った不規則な動きでペニスに纏わりつき、腰が浮きそうになってしまう。

 

 ──と、ここで異変が。

 

「んふッ、ぢゅるッ、ずぞッ、ぐぽッ! れろッ……んふぅうう」

 

(き、急にっ、早くなった……!?)

 

 すこし油断していた僕は、急なスピードアップを受けて思わず口から涎が出てしまった。

 先程とは打って変わった、激しい吸い付きに目がくらみ、頭の中がバチバチする。

 

「んちゅ、れるぅッ、ぢゅる、れろろっ、くちゅぅ、ぢゅる!」

 

「ぁっ、ぐぅうっ……!」

 

 口内で蠢く舌と、ぬるぬると亀頭や竿に纏わりつく頬の内側が温かい。

 次第に頬を窄めて、長い肉棒にこれでもかというほど吸い付く。前後する頭が、肉幹を扱き立てていき、唾液の音が、ぢゅるぢゅると響いた。

 

「ぢゅ、ちゅむ、くぽッ、んぶっ」

 

 股間にしゃぶりついている少女の顔が、少々下品になっている。恍惚としているようで、その瞳は若干うつろだ。もはや普段の無表情は面影も無く、一心不乱にチンポを味わっている顔に変わっている。

 

 

「……♡」

 

 

 ───その表情を見た瞬間、我慢という言葉が脳から消えた。

 より一層気持ちよくなりたいという思いに支配されてしまい、身体に力が入っていく。

 

「──このぉっ!!」

 

 そして黒髪美少女のこめかみを両手で押さえつけ、おもちゃを振り回す子供のように激しく彼女の頭を前後左右にゆすり始めた。

 

「んぐぅうッ!? ぉごッ、ふぐゥ、んぐぅゥ♡♡」

 

 豹変した僕の荒々しい動きによって、肉棒が彼女の喉奥まで突き刺さる。

 まるで彼女を人として扱っていないような動かし方で、まさしくオナホのごとく欲望のままに使う。

 

「んぐぅうう♡♡ ぢゅるッ♡ ォごっ、ちゅう♡♡ ぐぶッ♡」

 

 だというのに彼女は嫌がるどころか、嬉しそうな顔でそれを受け入れている。よく知りもしない男のザーメン用のトイレにされて、あろうことか彼女は喜んでいるのだ。

 

「あぁっ、もう!!」

 

「ぐッ、ごぼッ♡ ぅぐッ、ぅうゥ♡♡」

 

「ぐぅっ! む、むり……!!」

 

 限界まで膨らんだペニスをブルブルと震わせながら、かすれた声で喘ぐ。皮下を走る神経の上を、根元から先端に向けて怒涛の如く駆け抜ける、尿意に似た痺れ。その一撃一撃が、肉の巨砲に欲望の証の発射を促す。

 淫らな信号の間隔が徐々に短くなり、もはや抑え切ることができなくなっていた。

 

「んふぅうッ♡ らひへっ♡ ンッ♡♡ っふぅッ、んぅ♡♡ んぅうう♡ らひへぇえッッ♡♡♡」

 

 崩壊寸前の肉棒を咥え込みながら喋った黒髪少女が、とどめの一撃を打ち出す。裏筋めがけて、舌打ちをするように舌先をピシッと叩きつけた。

 その瞬間、最後の理性の(たが)が弾け飛ぶ。

 

「でっ、出るっ、もう出るぅっっ! ああぁっ!!」

 

 どびゅっ、ぶびゅるるるるっっ!

 びゅるっ、びゅぶるるるるるぅぅぅぅぅ……っっ!

 

「ぅぐ、ん、ふッ、んぅッ、んぐぅううッ――! ……ぅ、んむぅっ♡ んぶっ……ふっ、ぐむぅ……っっ♡♡」

 

 ついに堪えきれなくなった僕は、気にかけて保護しているはずの黒髪少女の口の中へ欲望の証を噴き出してしまった。獲物を捕らえた大蛇のように、一物が彼女の口の中でのた打つ。

 

「うぷっ、んぐ♡ んぐんぐっ……♡♡」

 

 口の中いっぱいに吐き出されたスペルマの、熱湯のような熱さと生臭さが広がっていく。

 しかし捕虜さんは、噎せ返りながらも喉をゴキュゴキュと鳴らして噴き出したものを飲み込んでいく。ただ頬の中に溜まった精液のみならず、舌でエラ下や割れ目を拭き取り、一滴残らず飲み込んでいった。

 

「んくっ、んっ、んっんっ……ぷはっ、ふぅぅぅーっっ……」

 

 やがてすべてを飲み干すと、チュポンと肉棒から口を離す捕虜さん。

 ふー、ふー、と息を整える彼女はそのままに、僕はその場に尻餅をついてしまった。

 

 

 

 射精と共に、魂まで吐き出してしまったかのような虚脱感と、本来手を出してはいけない捕虜の女の子を汚してしまった罪悪感が襲ってくる。

 

(ぼ、僕、なんてことを……)

 

 捕虜というのは名目上の話で、ただ保護しただけの彼女には何もしない、そんな平和な研究所の職員。

 そんなつもりで接するつもりだったのに、まさか一週間も経たない内に手を出してしまうなんて、とんでもないことだ。僕はもう死んだ方がいいのではないのだろうか。

 

 ワナワナと震える僕に、突然熱い液体が浴びせられた。

 

「あっつ!?」

 

 思わず飛び上ると、捕虜さんがシャワーを握ってこちらを見ていた。おそらく捕虜さんが熱めのお湯を僕にかけたのだろう。

 いつの間にか彼女の表情は、いつも通りの無表情に戻っている。そんな顔をみて、少しだけ安堵した。

 

「スッキリしたなら、退出してください。私まだ、体洗っている途中です」

 

「え、えっと……、あ゛っ! アッチ! 熱いあつい! わ、分かったって! すぐ出るよ!!」

 

 何を言う暇もなく、無表情な黒髪少女による熱湯攻撃で、僕はシャワー室から追い出された。

 とりあえず衣服を着こみ、その場を走り去る。一旦部屋まで戻ろう──!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 温かいシャワーを浴びながら、十分前の感覚を少し思い出す。

 初めて感じるものだった。あんなのは生まれてこの方体験したことは一度も無い。それにいろいろ、というか全部見られた。

 

 

 目の前にある鏡を見つめてみる。曇っているガラスを軽く拭くと、そこには少し頬が赤くなった自分の顔があった。

 相も変わらず可愛げのない仏頂面だが、どうやら感情は死んでいなかったらしい。

 恐らく精神を犯される前――昔の自分なら、あんな事態に陥った時、もっと分かりやすく焦ったり照れたり……怒ったりもしたかもしれない。

 こうなってからは感情の起伏が薄かったし、実際気が付いてもらえない時の方が多かった。

 

 

 まだ頬が熱く感じるし、胸の中に違和感を感じる。

 

 

 表情を殺された自分だが、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 そう思えた頃には、僅かだが自分は笑っていた。

 

 

 

 

 

 




アロさんも改造してヒロインになってもらう予定です(強欲)


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掃除用具入れのロッカーで密室シチュ ★

 捕虜さんがこの研究所に来てから、一週間が経過した。

 意外にも捕虜さんは整備課に所属していたメカニックだったらしく、機械に詳しい部分を気に入られて博士やアロさんとは既に仲良しだ。

 特にアロさんは研究所に来た初めての女の子ということで、捕虜さんを特別気にかけているようで。

 惑星間では戦争をしている相手だが、こんなことでも仲を深めることが出来るのだから、きっと僕たちと地球人は大して変わらない、人間同士なのだろう。

 

 

 今はお昼が過ぎた頃で、ランチも終わったあと。僕と捕虜さんは研究所の実験室に赴き、博士の言う試作機を見に来ている。

 実験室の机に置かれていたのは、二つの腕時計型のデバイスだった。興味深そうにそれを観察していると、何処からともなくヒゲのじいさんが現れた。

 

「やぁ二人とも! 今日は試作機を──おや、捕虜クン?」

 

「なんですか博士」

 

「いやぁ、珍しい格好をしていると思ってねぇ!」

 

 そんなうるさいくらい元気な博士の指摘通り、捕虜さんは不思議な格好をしていた。

 なんでも、地球のニッポンという国の、学生服とのことだ。着れる服が少ないのでアロさんが作ると言ったところ、この学生服もリクエストの紙に書いてあったらしい。

 

 無表情ながらも、楽しそうにクルリと回ってみせる捕虜さん。よほど学生服が気に入っているようだ、アロさんグッジョブ。

 学生服をまじまじと見ていると、捕虜さんが僕の顔をみてきた。

 

「かわいいですか」

 

 決して笑顔ではなく、眠そうな無表情でそう聞いてきた。青いベストに白いシャツ、そこまで長くないスカート……など、なかなかいいデザインをしていると思う。

 

「うん、似合ってるよ」

 

「そうですか。あとでまた、アロさんにお礼を言わなければなりませんね」

 

 どうやらアロさんは、この研究所では欠かせない存在らしい。

 

 

「さてさて、では試作機のテストを始めようか」

 

 ずかずかと僕たちの前に立ち、腕にデバイスをはめる博士。装着された瞬間、腕時計型のデバイスが軽く光った。

 不思議な挙動をするデバイスを見て、疑問が浮かんできた。

 

「博士、これって何を目的としたデバイスなんですか?」

 

「まぁまぁ、見ていたまえよ。……それっ!」

 

 

 掛け声を発した瞬間、博士が目の前から消えてしまった。

 

 

「えっ……!」

 

 何が起きたのか理解できず、辺りを見渡す僕。すると、肩に誰かの手が置かれた。

 急に触られて吃驚してしまい、思わず振り返ると、そこには見慣れた白衣のヒゲおじさんがいた。

 

「ふっふっふ、なんとコイツは瞬間移動するための機械なのだ!」

 

「ま、まさかそんなことが……」

 

 呆気にとられる僕。捕虜さんは無表情だが、口に手を当てている。おそらく驚いている、という意味なのだろう。

 博士の試作機に思わず舌を巻き、僕は興奮気味にもう一つのデバイスを手に取った。

 

「ワープ装置を小型化するなんて……世紀の大発明じゃないですか! 博士、凄いですよ!」

 

「すごいですよー」

 

 僕に続いて、棒読みな声が聞こえてくる。どうやら捕虜さんも、僕と同じように感動しているらしい。

 捕虜さんと一緒に、もう一つのデバイスを念入りに観察する。その様子に、博士も満足している様子だ。

 

「もちろんまだ試作段階だがね。電力が足りなくてワープは一回のみ……さらに言えば、瞬間移動の効果範囲はこの研究所内で精一杯だよ」

 

「だ、だったら改良ですね! 僕にも手伝わせてください!」

 

「わたしもー」

 

 僕たち二人の熱意を見て、博士はまんざらでもなく笑顔である。

 

「はっはっは、嬉しいねぇ! では早速、作業に──」

 

 

「あっ」

 

「あれっ」

 

 博士にデバイスを手渡そうとした瞬間、試作機が誤作動を起こしてしまい───僕と捕虜さんはワープしてしまった。

 

 

 

 

★  ★  ★  ★  ★

 

 

 

 

 

 ガタンッ!

 

「いてっ!」

 

「うわぁー」

 

 僕は思い切り後頭部を何かにぶつけ、捕虜さんは棒読みな悲鳴を上げた。

 ここ、どこだ?

 取り敢えずわかる事は、視界がとても暗いということだ。うっすらと差し込んでいる光でなんとか捕虜さんの顔は見えるものの、周囲の状況が分からない。それになぜか身体が上手く動かせず、なにより空気がホコリっぽい。

 

 

 というか。

 

(ち、近いっ……!?)

 

 本来なら自分よりも背が低いはずの捕虜さんの顔が、目の前にあった。下を見てみると、逆さまになったバケツの上に捕虜さんが乗っている。それゆえに、いつもの身長差が、完全に縮まっていた。

 左の隙間から差し込む薄い光、そしてバケツと、身動きが殆ど取れないほどの狭い空間。僕たちがワープした場所はまさか。

 

「も、もしかして……掃除用具入れの、ロッカー?」

 

 そこまで大きくない声が、耳を擽るように反響する。間違いない、どこの部屋かは分からないが、今僕たちがいる場所は、本当にギリギリ人間が二人収まるサイズの、狭いロッカーの中だ。よく見れば、左側が扉のようになっている。

 とりあえず現状確認が出来て、ホッと胸を撫で下ろした。こんな狭い場所をさっさと出てしまうために、ドアを押した。

 

 ガンッ、ガンガンガン……。

 

「えっ! あっ、開かない!?」

 

 グッと力強く押したり、何度か思い切り腕で叩いても、鉄の扉はビクともしない。

 

「このっ!」

 

 同じように力ませにドアを攻撃するが、ロッカーの出入り口は沈黙を続けるだけであった。

 

 

「……あの、助手さん、開かないん、ですか……」

 

 いつになく弱々しい声で、無表情な黒髪少女が呼びかけてくる。ふと彼女の顔を見れば、不安げに少し下がった眼尻が、弱々しく僅かに震えている。

 

(捕虜さん、もしかして……)

 

 狭い所が苦手、いや、トラウマなのか。

 ……よく考えれば、当たり前か。彼女は一週間前に、誰も救助が来ないまま、餓死寸前までジェクターという鉄の檻に閉じ込められていたのだから。

 無表情なのに、僅かに不安そうな色が見て取れる。

 

「て、手じゃ無理そうだから、こうなったら足で蹴破るよ。ちょっと待ってて……」

 

 怯える彼女を落ち着かせるように優しく言うと、僕は体の自由がろくに利かない掃除用具入れの中で器用に腰を捻る。そして足の裏で、錆の浮いたドアを蹴りつけた。

 

 バンッ!

 

 これでも少しは鍛えているので、そんな僕の足なら一撃で蹴破ることもできたはず。しかし思うように腰を捻れない状況では、せいぜいドア板に凹みをつけるのがやっとだった。

 

 

 狭い空間なので、空気は少ない。酸欠にならないように一旦落ち着き、深呼吸を繰り返した。

 

(そ、それにしても……やっぱり近い……)

 

 息を吸う音まで聞こえるほど間近に迫っている状況に、僕の胸の鼓動が高まっていく。

 それに近いのは、顔だけではない。自分の胸板に、彼女の柔らかな乳房が密着してしまっているのである。胸の鼓動が伝わってくるほど強く押しつけられるバストは、まるで蒸したての肉まんのようにフワフワで、そして熱い。

 

(まずいって、こんな状況……!)

 

 服を着ているとはいえ、保護しているはずの少女と身体を重ね合わせるなどという事があっていいはずがない。少し前のあの事故の時も、ここまで密着してはいなかった。

 

 それにもっと厄介な場所が触れ合ってしまっている。バケツで高さが釣り合っているせいで、股間同士までもが接触してしまっているのだ。

 しかもただ重なり合うだけではない。ワープしてきた拍子にスカートが捲れ上がってしまったらしく、薄い水色のショートパンツが丸出しになっている。

 僕の履いている厚手のジーンズを挟んでいるとはいえ、少女の秘所に自分の性器を押しつけているという状況はただ事ではない。

 

 

 激しく脈打つ心臓が、股間に向けて沸騰しそうなほど熱い血液をどんどん送り込んでいく。このままでは、シャワー室の時のように勃起しかねない。

 おまけに乙女の甘い体臭と黒い髪から漂う柑橘系のシャンプーの香りが充満し、鼻腔の中を激しく擽ってきた。抑え込むべき彼が奮い立たせるのを促進するかのように。

 

(だ、だめだ! 早く脱出しないと!)

 

 ガンガンガン、ガン、ガガン……。

 

 強情に閉ざされた扉をなんども蹴りつけているうちに、僕の体温でだんだんと中が蒸し暑くなってくる。

 

「あっ、じょっ、助手さん……はぁっ、はぁっ、わ、わたし……んぅっ」

 

 する突然、捕虜さんがたどたどしいこえで喘ぎ出す。

 

「ど、どうしたの、捕虜さん……」

 

 苦しそうな喘ぎ声に思わず動きを止め、彼女の様子を窺う。

 キラキラとダイヤモンドダストのように舞う埃の向こうに、頬を朱色に染めて、宝石のような瞳を潤ませる少女の顔が見えた。

 いつもの冷静さが感じられず、途切れ途切れに吐く声が切なそうである。

 

(ま、まさか酸欠に……!)

 

 考えてみれば体を密着させてようやく人間二人が入れるような狭い空間。それも僅かな隙間からしか空気が入って来ない異常な状況では、いつ酸素がなくなってもおかしくない。

 

(ちくしょうっ、開け! 開いてくれ!!)

 

 一刻も早く彼女に空気を吸わせようと、心の中で叫びながら必死に歪んだ扉を蹴り続ける。だがそれでもまだ、固いドア板はビクともしない。

 

「助手さん……わたしも、一緒に蹴ります。だから、こう、やって……」

 

 なかなか扉が開かないことに痺れを切らしたのか、彼女も手を、いや足を貸してきた。捲れ上がった短いスカートをさらに振り乱しながら、細い足で懸命に蹴りを繰り出す。

 

 ガン、カンッ……バンッ! パパンッ、ガンッ。

 

 不規則な打撃音が、二人の耳に突き刺さる。ただ闇雲に蹴るだけでは、やはり歪んだ扉はどうにもならないのか。

 

「もっと、こっ、呼吸を合わせないと、ダメですね。だから、こうやって……」

 

 たどたどしく呼びかけてくると、彼女の細い両手がウエストの辺りに纏わりついて来る。そしてキュッと体を密着させた。

 

「ほ、捕虜さん……?」

 

「こんなときは、力を一転に……はふぅっ、集中させないと、いけませんから……」

 

 思わず焦ってしまう僕だったが、当の捕虜さん本人は気にしていないようで、いつものような事務的な返事をしてくる。

 むしろ気にしているのは僕の方だ。なぜなら汗ばむ少女の華奢な体躯が、より強く密着してしまったからだ。薄布一枚しか覆われていない乙女の丘の熱さが、ジーンズの中にまでどんどん染み込んでいく。

 

 

 その刺激がズボンの中で男の筋肉をピリピリと痺れさせ、ついに高々と固くいきり立たせてしまった。

 

「ど、どうかしましたか……助手さん……」

 

 戸惑う僕に、捕虜さんは怪訝な表情で訪ねてくる。股間の異変には気付いていないらしい。

 

「いや、何でも無いよ。と、とにかく僕の声に合わせて、一緒に蹴ってみよう。せーのっ!」

 

 ガガンッ!

 

 平静を装って彼女に呼びかけ、タイミングを合わせて同時に鉄の扉を蹴る。そのたびに二人の身体が擦れあい、一蹴りごとに調子を合わせるように、プチプチと彼女の制服のボタンが一つずつ外れていく。

 自分のYシャツも同じで、あれよあれよという間に前が開いてしまった。

 

(な、何とかしないと……!)

 

 下手をすれば捕虜さんの服まで脱げてしまうが、脱出に夢中でまるで気づいていない。そうこうしているうちに、彼女のベストもボタンが全て外れてしまった。

 薄っすらと汗が染み、下に着けたブラのラインがクッキリと見えるシャツ。そのボタンまでもが外れていく。

 

 ガガンッ、ガン、ズリュッ!

 

(えっ、んん? な、何だ!?)

 

 何発目かの蹴りの後で、胸板を小突かれる妙な感触が走る。ついに彼女のシャツもはだけて、乳房が曝け出されてしまったのだ。しかも暴れすぎたせいで、ブラの右カップがずり上がっている。

 当たっていたのは、桜の蕾のような小さい乳首だったのだ。

 

(ほ、捕虜さんの……胸が……)

 

 僅かに差し込む光の下で曝け出される華奢な少女のバストは、左右均等に張り出した曲線と、ツンと上向きに尖った乳首を頂いた釣鐘型のふくらみが美しい。

 そして暑さのせいかほんのりと朱に染まった肌と、胸の谷間に落ちる汗の雫がエッセンスとなって、少女の中に潜む大人の妖艶さをグッと引き出していた。

 

 まだ微かに残る理性が見てはいけないと警告しても、僕は瞳を逸らすことが出来ない。蹴り続けている扉の方を向いていても、横目でチラチラと盗み見してしまう。

 

「はぁっ、はぁっはぁっはぅっ……」

 

 華奢な体を振りながら捩りながら必死に細い足で蹴りを繰り出す姿も、紅潮した頬の悩ましさと白く美しい太股の艶めかしさのせいで、不謹慎ながらもこの上なく色っぽく見えた。

 

「はぁっ、ふぅっ、あっ、開きませんね……なら、もっと力を合わせて……」

 

 ますます酸素が少なくなってきたのか、苦しげに上ずった声で呼びかけてきながら捕虜さんは背中を弓なりに反らし、胸同士をさらに強く張り合わせた。

 

 ピチュッ。

 

「うっ、はぅっっ!」

 

 乙女の柔肌が張り付いた瞬間、静電気のような痺れが胸いっぱいに広がり僕は思わず喘ぐ。

 表面に浮いた汗が接着剤のようになっていて、二人の肌と肌を張り合わせていた。激しい鼓動がトクトクと伝わり、まるで心臓まで一つに繋がってしまうかと思えるぐらいに。

 

「捕虜さんっ、こっ、こんなにくっつかなくても……」

 

「いえ……このぐらい密着していないと、支点と力点の関係が……いゃそんなことはいいですから……また、蹴りますよ……」

 

 流石に近すぎるのがまずいと思い、たどたどしく離れるよう呼びかけようとする。しかし、僕の言葉を遮るように捕虜さんが妙な解説を入れてきた。そして張り付いたままの状態で、脱出工作を再開する。

 

 ガンガン、むにちゅっ、ぷりゅっ、ガンッ、ぷりりっっ……。

 

 言われるままに肌を重ね、身体をよじる僕の胸板の上で、発酵したパン生地のように温かい乳房がこね回されるように形を変える。ペタペタと張りついてくる柔肌の感触は、シャツの上からよりもはるかに心地いい。

 

「ほっ、捕虜さん……」

 

 彼女の湿った乳房はプリプリと柔らかく、火照ってほのかに朱に染まっている見た目と相俟って、まるでイチゴ味のプリンのようだ。それに柔らかいだけでなく、時々固くしこった物がポチポチと胸板を叩いてくる。小さく勃起した、彼女の桜色の乳首だ。

 

 クリッ、クリックレリュッ……。

 

 胸板の上を駆け巡る固い肉粒の先端から、擽られるようなゾワゾワとした感覚が芽生え、股間に向けて電撃のように駆け抜けていった。

 ジーンズ越しに受ける秘所の熱さや心地いい柔らかさと相俟って、ますます膨張した男根が激しく脈打つ。

 

(こっ、このままじゃ……いくらなんでも、バレる……っ!)

 

 ジリッジリッジリッジリッ……。

 

 そろそろ隠しきれなくなってきたのを感じる僕の耳に、下腹部の辺りから妙な金属音が微かに響く。ふと視線を下ろせば股間に一大事が起きていた。

 チャックの金具が捕虜さんのショーツに引っ掛かり、ずり下ろしはじめていたのだ。このまま前が開いてしまったら、支えを失ったいきり立つ一物は外へ飛び出しかねない。

 

「ちょっ、ちょっと待った! と、止まって、捕虜さん!」

 

「いいえ、もう……我慢できません……!」

 

 慌てて暴れる少女を制止しようとするものの、よほど苦しいのか彼女の動きは止まらない。うわごとのように呟きながら、身をくねらせて次々と蹴りを繰り出す。もはや力を合わせる事など忘れているようだ。その間も社会の窓はどんどん開いていくが、僕には止めようがない。引っかかった金具を止めようにも、少女の下着に手など伸ばせるはずがない。

 

 ジリュュュュッッ! ぶりゅんっ!

 

 ついにチャックが全開となり、パンパンに膨れ上がったペニスがコブラの鎌首のように飛び出した。熱い先走り汁を纏ったそれは、獲物に襲いかかるが如く乙女の丘に激突する。

 

 ペシュッ、ジュンッ!

 

「ひふぅっ、うぁっ、あっ熱い……」

 

 その瞬間、熱湯のように熱い液体が敏感な一物の上に垂らされた。すでに彼女の泉は、淫欲の大洪水を起こしているのだ。

 よりはっきりと伝わる肉のクレヴァスの柔らかさと、木綿のショーツの生地が擦り付けられる、擽られるような感触がますます僕を興奮させていく。

 そしてそのまま足蹴りを繰り返すたびに動く腰に釣られて、挟み込んだペニスを丹念に磨くように股間の秘肉が上下に滑る。

 

 ジュグッジュグッ、ジュグッジュグッッ……。

 

「はぁっ、はぁっはぁっ……んっ、はぁっ!」

 

 汗の浮いた白い喉を反らし、口を半開きにして荒い息をつく黒髪少女。艶めかしく悶えるように見える彼女の姿に、僕の胸はさらに激しく高鳴っていく。

 

「ほ、捕虜さん……ぼ、僕もっ、もう……」

 

 スジュッスシュ、ペチュチュペジュププッ……。

 

 抑えきれなくなった僕は壁を蹴るのも忘れ、自ら腰を振って乙女の入り口に押し当てた己が分身をスライドさせる。そして、表面に触れる秘肉の柔らかさを堪能し始めていた。

 

「そうっ、です……そうやって、力を合わせれば……こんなドアくらい、あうんっ!」

 

 己の肉欲を押しつけてしまっているにもかかわらず、彼女の反応はまるでそれを脱出のための手段と勘違いしているようだ。しかしその言葉の端々に、艶めかしい吐息が混じっているのを僕は聞き逃さない。

 耳から入りこんで、股間を直接弄る様な響きに興奮し、僕は徐々に激しく腰を振るようになっていく。

 

 ジュプッププッ、ヌチュヌチュチュッ、クチリッ……。

 

「ううっ、もっと、力を込めて……助手さんも……えいっ!」

 

 カンッ!

 

 何度も続けていたせいか少しずつ、彼女の足蹴りの威力が落ち始めていた。しかし腰の動きはむしろ激しくなってきている。キックを繰り出さなくても上下に素早く下腹部をスライドさせ、スベスベの股布越しの丘を擦りつけてくるのだ。

 長い時間密着しすぎていたせいか、布目から何本かの陰毛が突き出ているらしく、時折チクチクとやさしくタワシで擦られるようなむず痒さが走る。それに、太股の間に男根が挟まれ、つねるような刺激が花火のように伝わってくるのがまた気持ちがいい。

 

 ビシュッビシュッビシュッ……。

 

 激しく暴れまわっているうちに、二人の下着は完全に首元までずり上がってしまった。

 グッショリと汗まみれの胸と胸が、まるでローションプレイでもしているかのように妙な水音を立てながら擦りあわされる。

 

 ギシッギシッガシンガキン……。

 

 ペシャップシャクチャクチュクチュチュクッッ……

 

「ほぁっ、捕虜さんの……ぬ、ぬるぬる……気持ちよすぎてぇ……」

「じょっ、助手さん……あっ、熱い……♡ こんなに、ゴシゴシされて……♡ あうっ♡」

 

 錆びた掃除用具入れが、地震で揺れているかのように不気味な音を立てて暴れる中で続く、僕と可憐な少女の肉体同士の激しい絡み合い。閉じ込められているという状況すら忘れて続いたそれも、いよいよ終わりの時が近づいてきた。

 

「やばいっ! ぼっ、僕……もう……」

 

 股間の一物が釣り上げられたカツオのようにブルブルと震える。いよいよ射精の時が近づいているのを悟った僕は、咄嗟に股間の一物に力を込めてみずから果てるのを押し留める。

 このまま出してしまったら、大切な保護対象の身体を汚してしまう。しかし堪えようとすればするほど、もみくちゃにされるペニスの感覚が鋭くなる。薄布越しの女唇がもたらす、魂まで抜かれそうな心地いい熱さがより深く染み込んでいく。

 

「あっ……♡ あひっ は、ひぃ……っ♡」

 

 ジャプッジャプッジャプッジャププププッッッ……。

 

「もっ、もう……♡ 出ひゃう♡ ……はぁっ、はぁっ♡♡ ……ぃ、いや、出られます、じょひゅしゃあんっ♡♡」

 

 一方で捕虜さんは、一刻も早く外へ出たい思いを口にしていても、足は扉に向いていない。しっかりと踏ん張って、必死に腰を振っていきり立つ肉柱に押し付けた秘割れを擦り続けている。

 まるで身体の奥底で燻る、消えかけの炭火のようなもどかしさを鎮めるように。

 

 ピチャプシュプチュッピチュチュルルルッチュプッ!

 

 薄布から染み出す恥蜜が奏でる淫音は、部屋の外まで聞こえそうなほど大きくなっている。湿った下着が擦る表皮が焼けそうなほどの摩擦熱に包まれ、男根の芯までジワジワと擽られるような刺激が染み込んでいく。その心地よさに浸り切り、達してしまわないように堪えようとするが、ついに発射のスイッチが押されてしまう。

 

 クリュ。リリッッ! コプッ!

 

 クレヴァスの上端で、股布を少し押し上げるほど隆起したクリトリスがパンパンに張ったペニスの熱い表皮に軽く触れたのだ。

 

「ひっ♡ あひぃぃんっ! しっ♡ 痺れるぅぅぅーっっ♡♡♡」

 

 今までと違う衝撃が、長い肉竿の中を稲妻のように駆け巡る。当然桃色の肉粒は、持ち主である彼女にも激しい衝撃を与えた。

 尿意のような痺れが股間の奥底に湧き上がり、下腹部がビクビクと震える。そしてついに、時は来た。

 

「うぐっ、でっ、出る……もうっ、だめだぁぁぁっ!!」

 

「はっ、はひぃぃーっっ♡ いっ、いぐっ♡ いっ……や、出ます、出られっ……まひゅうぅーっっ♡♡」

 

 どぶっ、ぶびゅるるるるるっ!!

 びゅぶるるるるるるるぅぅぅぅぅぅ……っっ!!

 

 ぴちゅっ、ぴしゃぁぁぁぁー!

 

 薄暗いロッカーの中に粘り気のある水音が響き、イカのような生臭さとアンモニア臭が広がる。薄布越しに秘所を擦り合わせていた二人は同時に達し、愛欲の証で互いの肌を染めあっていく。

 

 

 ──カチャッ、キィィィー。

 

 するとこの時を待っていたかのように、掃除用具入れのドアが開いた。

 

「わっ!」

 

「きゃぁっ──」

 

 ガシャンッ! カラカラカラカ……。

 

 掃除用具をぶちまけながら、ようやく自由になれた僕たちは重なり合うように床へ倒れ込む。下になった僕が、大きな体で華奢な捕虜さんを受け止める形で。

 

「はぁっ、はぁっはぁ……た、助かった……あっ……」

 

 咄嗟に身を挺して大切な保護対象を守った僕であったが、その体勢がまずかった。横たわる僕の下腹部を、スカートで覆い隠す形で捕虜さんが乗っかっている。

 それだけならまだいいが、まだ固さの残る巨根の先端が、彼女の股間にピッタリとあてがわれてしまっているのだ。一歩間違えば、下着ごと彼女の膣口を貫いてしまっていたかもしれない。

 

 大慌てでズボンの中に己が分身をしまい込むものの、こんな姿を見せてしまってはバツが悪すぎる。

 

「助手さん……わたし……」

 

 捕虜さんの熟したリンゴのように真っ赤に染め上がっていた頬が、だんだんと普段の白い柔肌へと戻っていく。

 しかし、さすがに精液を股間に浴びせられ、同時に失禁してしまったとなれば、そう簡単に冷静には戻れない。

 

「……シャワー、先に借ります。助手さん、前みたいに入ってこないでくださいね」

 

 それだけ告げて、捕虜さんはそそくさとその場を去ってしまった。

 

 

(ぼ、僕っ、またとんでもないことを……)

 

 思わず肩を落とし、その場にへたり込む。

 博士の作ったワープ装置が大本とは言え、我慢できずに身体を動かしてしまったのは明らかに自分の責任だ。

 

「……どうしよう」 

 

 

 精液や彼女の液で濡れたジーンズを見ながら、呆然とその場でうなだれた。

 

 

 

 

 




感想など頂けたら嬉しいでふ


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地球人には強すぎるエナジードリンクを飲んで意識朦朧パイズリフェラ ★

 

 時刻は深夜、研究所内でも明かりのついている部屋はごくわずか。そんなごくわずかの部屋の中では、カタカタとキーボードを叩く音や、カチャカチャと部品をいじりまわすような音が鳴り響いていた。

 その部屋にいるのは、僕一人だけだ。部品を机の上に散らかしながら、デバイス本体の確認とPCのモニターを見たりと大忙し。

 

 今僕がしているのは、少し前に博士が開発した小型ワープ装置の、最終調整だ。

 なんでも明日学会に出席するとのことで、大々的な発表をするわけではないが、デバイスの存在や内部構造、基本動作などを共有したい仲間がいるらしい。

 その研究仲間たちに見せても大丈夫なように、不具合の調整や最終確認などを僕が任された……といったところ。

 

 博士は博士で何かしら作業を進めているようで、しかもそれはワープデバイスが完成していることが前提の作業らしく、僕は今焦りに焦りを重ねて急ピッチで作業を進めている。

 

「……よし、もう少しだ」

 

 独り言を呟きながら、完成間近のデバイスと接続してあるPCにカタカタとコードを打ち込んでいく。

 

 

 すると不意に、部屋の出入り口である自動ドアが開く音が聞こえた。

 振り返ると、そこには湯気の立っているマグカップを持った、捕虜さんの姿が。

 

 首元に赤いネクタイを結んだ白いワイシャツに黒い短めのスカート、その上から灰色のパーカーを着て、足から太股まで伸びた黒いニーソックスを履いている。アロさんにいろいろな服を用意してもらっていたようだが、彼女の基本的な服装はコレらしい。

 

 捕虜さんは机の上にマグカップを置き、近くの椅子に腰かけた。マグカップの中身は、どうやらコーヒーのようだ。

 

「ありがとう、コーヒー助かるよ」

 

「……眠気覚ましにもならないと思いますけど。というか助手さん、二日も部屋に籠りっぱなしじゃないですか」

 

 いつも通りの無表情な捕虜さんだが、その瞳には僅かに心配そうな色が見える。……に、臭うかな?

 

「えっと、シャワーはさっき浴びたけど……」

 

 苦笑いをしながら、自分のにおいを嗅ぐ。やっぱり自分だとどんな匂いか分からないな。

 そんな様子の僕を見た捕虜さんは、眠そうな顔のまま若干呆れたように溜息を吐いた。

 

「そうじゃなくて。根を詰め過ぎです、そろそろ休んだ方が」

 

「あっ、いや! もう少しで終わりそうなんだ」

 

 そう言ってパソコンのタイピングを早める。やることはもう分かっているし、あとはコードを打ち込むだけだ。そこまで時間もかからない。

 そうですか、と呟いた捕虜さんは、部屋の中を片付け始めた。部屋中部品で散らかっていて、とてもではないが足場が無い。片付けてもらえるのは本当に助かる。

 大急ぎでモニターとにらめっこをしていると、後ろから声がかかった。

 

「助手さん、よく寝ずに作業できましたね」

 

「眠気覚ましにエナジードリンクを飲んだんだ。冷蔵庫に常備してあってね」

 

「……冷蔵庫の中、ソレしかないじゃないですか」

 

「あはは……。まぁでも、けっこう美味しいよ」

 

 苦笑いをしながら、最後のコードを打ち込んでいく。

 ……よし、これで。

 

「エンターをぽちっと」

 

 コンプリートの文字が画面に表示され、作業の終了が告げられた。これで明日博士が持っていく分のデバイスは大丈夫だろう。

 にしても、疲れた。もう疲労感で体が重いし、頭も少しボーっとしている、これは明らかに睡眠不足だ。少し無茶をしすぎたかな。

 

 

 ……ああ、そういえば。

 

「僕の飲んでるエナジードリンク、地球人の体質には合わないから、飲まない方が──」

 

 注意ついでに振り返った。

 その瞬間、カコンと床に缶が落ちた。……それはまぎれもなく、冷蔵庫に入っている筈のエナジードリンクの缶。

 

 

「……あの、飲んじゃいました」

 

 そして目の前には、真っ青な顔になっている捕虜さんが。

 

 

 ───ちょっとぉぉぉ!?

 

 

 

★  ★  ★  ★

 

 

 

 地球人があのエナジードリンクを飲んだ場合、体質的に過剰な栄養を摂取しきれず、身体が興奮状態に陥ってしまう。

 簡単に言えば、地球人から見るこのエナジードリンクは──超強力な精力剤である。飲んでしまったが最後、頭が熱で浮かされ、身体が火照ってしまう。

 僕はとりあえず捕虜さんをベッドに寝かせたものの、それ以上は何もできない。もはや時間経過を待つばかりなのだ。

 ベッドをみると、そこには身体をくねらせながらハァハァと熱い息を吐く捕虜さんが。顔は熱く、耳も赤い。

 

「……すっ、すみません、勝手に飲んでしまって」

 

「それは別にいいんだけど……何で飲んじゃったの」

 

「美味しいって言ってたから……」

 

 食いしん坊か。味に対する探究心が豊富すぎる。

 とりあえず床に落ちた缶を捨て、軽くを掃除をした。

 

 

 ───目のやり場に困る。ベッドの方へ向けば、そこには目に毒な光景が待ち構えているのだ。

 火照った表情や熱い吐息はなんとも扇情的で、それに加えて身体が動く度にゆさゆさと服の中で揺れる、大きな乳房が視線を吸い込む。

 シャツの上からでもわかるくらい大きなその果実は、体勢が仰向けなのにもかかわらず、その豊満さを主張している。くっきりと頂いている二つの山はふわふわな感触を想像させて仕方がない。

 

 見ないようにしていても、いつのまにか視線はそちらへ向いてしまっている自分が実に哀れである。下を軽く噛んで自分を叱責しても、あのたわわに実った柔肉を自分の物にする妄想が止まらない。

 

「ぐぬぬ……!」

 

 唸りながら、近くの椅子に腰かける。平常心平常心と心の中で叫びながら、下を向いて貧乏ゆすりをする。

 この場を離れれば自制心を保てるのだが、この状態の捕虜さんを放っておけるわけがない。万が一を想定するならば、彼女の近くに居なければならないことは誰でもわかる。

 

 しかしながら、頭の中はよからぬ想像でいっぱいだ。だめだ、ダメに決まっている。こんな状態の女の子相手に何を考えて──

 

 

「……助手さん、ここ……ふっくらしてます」

 

「──っ!?」

 

 一人で自問自答を繰り返していたらいつのまにか、僕の足のあいだに捕虜さんが座り込んでいた。いつの間にか甘勃起をしてほんの少し主張を始めているズボンの中央に、捕虜さんの顔がある。

 熱で浮かされているように、眼がうつろな捕虜さん。火照った頬をそっとズボンに当てて、陰嚢の血液の鼓動を感じ取ろうとしている。

 

「ほっ、捕虜さんっ、落ち着いて!」

 

 彼女を制止しようと肩を掴むが、その瞬間彼女の身体がビクンと跳ねた。

 思わずビビって手をひっこめると、捕虜さんが上目使いで僕の顔を見た。その眼はふるふると潤んでいる。

 

「……らっ、乱暴なのは、いやっ……です……」

 

「~っ゛!!」

 

 心臓を握りつぶされたかのような衝撃が脳まで駆け巡る。貧相なボキャブラリーを駆使して表現するとすれば、今の彼女の表情と言葉で僕は『かわいすぎて死んだ』という、あまりにも馬鹿げた状態ということになる。

 捕虜さんの鼻息がズボンを擽り、言い知れぬ感覚がへその下あたりに集中していく。

 体中の血液が下腹部へと走って行き、その奔流は僕の一物を膨らませていく。

 

「だっ、だめだって……!」

 

「でも……助手さん、苦しそう……」

 

 ぐいぐいとズボンを押し上げはじめる僕の分身を、捕虜さんはじっと見つめる。そして間もなくいきり立って設営されてしまったテントの頂点を、捕虜さんが優しく手で撫で始めた。

 労わるような、まるで赤子をあやすかのような優しい撫で方をされ、行き場の無い刺激が下半身を一瞬で支配し、腰がガクガクと震えて思わず声が漏れてしまう。

 

「はっ、ぐぅっ……!」

 

「ふふっ……撫でるたびにピクピクしてて……かわいいんだぁ♡」

 

 高くいきり立った一物を、ズボンの上から頬ずりする捕虜さん。その表情は嬉しそうに火照っていて……まるでペットを愛でている飼い主のようだ。

 一方の僕は、あまりにも威力が高すぎる捕虜さんの行動に脳がオーバーヒートを起こし、頭の中がバチバチと刺激され、次第に僕自身も顔が火照ってきてしまっていた。

 

「はぁっ、はぁっ……捕虜さっ、これ以上は……はぐっ!」

 

「んむ、ちゅっ♡ ……かわいいから……ちゅーしてあげるね……♡」

 

 彼女を止めようとした瞬間、腰が跳ねた。捕虜さんがその小さくて柔らかい唇で、服の上から陰嚢にキスをしたのだ。陰嚢その部分から感じる刺激というより、捕虜さんに一物を優しくキスされたという事実が、脳内の冷静な意識を破壊していく。というより、もはや冷静ではないのだろう。

 

 

 なおも膨張を続ける一物はついにはち切れんばかりの大きさになり、ぐいぐいと捕虜さんの頬に押し付けられている。

 

「むぐっ、この子……元気ですね……」

 

「もっ、もう無理ぃ……!」

 

 ガチガチに勃起した一物はもう限界を超えはち切れそうな状態になり、ズボンの中で暴れ出している。捕虜さんの頬に押し付けていることで、彼女が喋った瞬間その声の振動が陰嚢に伝わり、下腹部をマグマのような血液が行き交う。

 あまりにも苦しそうなその状態を見かねたのか、捕虜さんはそっとズボンのベルトに手をかけた。

 普段ならそんな行動は止めるはず僕だが、今の状態では「ようやく来た」なんて浅ましい思考が過ってしまう。

 

 

 触れて欲しい、この欲望が爆発しそうな性感帯をもみくちゃにしてほしい。

 そんな考えが体に出たのか、僕の瞳はいつの間にか彼女の大きな乳房を羨望の眼差しで見つめていた。

 ふわふわとその存在感を示す大きなマシュマロ。あまりにも目に毒、もはやあちらから理性を壊しに来ているのではなかろうか。

 

「っ? ……あぁ、なるほど、おっぱいですか」

 

 僕の視線に気がついた捕虜さんは首元のネクタイを外し、プチプチとYシャツのボタンを外していく。ボタンが外れるたびに乳房が揺れ、ついに全てが外れた瞬間、シャツの間からライトグリーンのかわいらしいブラが露出した。そしてそれを丁寧に外すと、突端に桜色の小さい乳首が頂く、スイカやメロンを彷彿とさせるような巨乳がぶるんとその存在を現した。

 

「っ……!」

 

 そんな大きい柔肉が視界に入った瞬間、血流が肉棒に充填され、完全なるフル勃起状態が顕現したのだった。乱暴にいきり立った肉棒は、もはやズボンを突き破る勢いだ。

 手のひらからこぼれ、重力に弄ばれて柔らかくたわむ巨乳。そんな乳房をゆさゆさと揺らしながら、再び僕のベルトやズボンに手をかける捕虜さん。

 

 あっという間にズボンはパンツごとずり下ろされ、凶悪な肉竿は遂にその姿を彼女の前に曝け出した。

 すでに先端からぬらぬらとした粘り気のある先走りが漏れており、光で若干反射している亀頭に、捕虜さんが顔を近づけた。

 

「……っッ♡ おちんちんさん、熱そうですね……♡ ふーふーってしてあげますっ♡」

 

「えっ、ちょっ、それは───あ゛ぁ゛っ!!」

 

 イタズラめいた微笑を浮かべた捕虜さんが、股間にフゥッと息を吹きかけた。まるでコールドスプレーをかけられたかのように、瞬間的な冷たさが亀頭を襲った。その衝撃で思わずのけ反り、喉から濁音の付いた悲鳴が漏れ出る。

 そんな反応を楽しんでいる捕虜さんの視線は、喘ぐ僕の顔からビクビクと泣いている肉棒へと移った。先端から漏れ出る透明の汁は、さながら涙を彷彿とさせる。

 

「助手さん……どうしたんですか?」

 

 そんな問いかけが飛んできて、僕は反射的に返事をした。その言葉の中に、もう恥もプライドも残されてはいない。

 

「うっ、うぅ、もういじわる……しないで……!」

 

「──ッ♡♡ 助手さん、そんな顔もできるんですね……♡」

 

「むりっ! むりぃ……っっ!!」

 

 手がガタガタと震え、いつのまにか捕虜さんの両肩を掴んでいた。決して乱暴に握っているわけではないが、その手には僕の気持ちが伝わるほど、汗や力が込められていた。

 もはやいつもの面影など残っていない僕を見て、捕虜さんはうつろな目のまま微笑んだ。

 

「ごめんなさい……いじわるしすぎてしまいましたね……♡ はーいっ、おちんぽこわくなぁい、こわくなーいっ♡♡」

 

 途端、竿全体がつるつるもっちりとした独特の感覚に包み込まれる。我慢の限界を迎えた僕の様子をみかねた捕虜さんが、荒れ狂う肉棒をその柔らかな半球の間にむぎゅうっと挟み込んだのだ。

 

 ぐにゅうっ……にゅっ……たぷんっ。

 

「あっ、あったかい……!」

 

「おっぱいの中、ぬるぬるで温かいですね……♡ おちんぽさんっ、泣きやんでくれたかな~♡」

 

 かわいい顔で微笑む捕虜さんの柔肉に一物がずっぽりと包み込まれ、身動きするだけで柔らかな感触が肉棒を襲ってくる。すでに谷間はペニスの先走りが洪水のように溢れている影響で、水音をこれでもかというほど立てている。

 

 もにゅ……ぱちゅんっ……むにむに……。

 

 捕虜さんが両手で白い乳房を挟み込むようにこねくり回し、中で圧迫されている竿全体が温かくて柔らかい肉に包まれる感触で染まっていく。

 

「おちんぽ熱くて……おっぱいも熱くなってきちゃう……♡」

 

 うつろな目の捕虜さんにこねくり回されているうちに、柔らかな乳房の間から亀頭が突きだした。竿全体が包まれていて夢心地なのに、何も刺激が与えられていない亀頭部分がもどかしい。

 

「ほっ、捕虜さんっ……」

 

「はぁはぁ……んんふぅっ……どうしたんですか、助手さん♡」

 

「口で……! 余ってる部分しゃぶってぇ……っ!」

 

 肩を掴む手に力がこもり、懇願するように顔を捕虜さんの頭に埋めて髪の匂いを嗅ぐ。つむじやふわふわで温かい黒髪が甘い匂いで、鼻腔を駆け巡った衝撃は脳をさらに活性化させる。

 鼻息の荒い僕の願いを聞き入れてくれたのか、捕虜さんはクスッと笑った。

 

「しょうがないですね、助手さんは。ほらっ、もっと突きだして……♡」

 

 捕虜さんの頭から顔を離し、指示通り腰を前に動かす。その間もにゅるにゅると竿を柔肉が刺激してしまい、思わず腰が引っ込みそうになるのを堪える。

 もっと突きだせば、あの温かな口腔内に肉棒を突っ込める。そんな期待を胸に、刺激を我慢して腰を突きだした。

 

 すると期待通り、捕虜さんは亀頭の先端を舌や唇で愛撫し始めてくれた。亀頭から伝わる快感と同時に、捕虜さんが『言う事を聞いてくれた』という事実が、一種の征服欲のような感情を満たしていく。

 

「レロレロ……んちゅっ♡ はぁっ……ちゅぅぅっっ♡」

 

 ぺろりと舌先が亀頭を滑り、ざらざらとした温かい舌の感触が腰まで響き、声が漏れてしまう。

 肉棒と乳房、舌の熱が蕩けあって、互いの身体が溶けてしまいそうなほどの快楽に見舞われる。

 

「はぁンっ♡ あぁっ、さひっぽ……ひたがやへどするくらい、あちゅいの……んんぶっ♡」

 

 チロチロと小刻みなリズムで亀頭を撫でる舌に、もどかしさを覚えてしまう。もっと、温かな空間に包まれたい。肉棒をもっと悦ばせるような快楽が欲しい。

 そんな思いを秘めていると、いつの間にか言葉は出ていた。

 

 

「もっと、もっと奥に……!」

 

「んふっ……レロれるぅ……♡ 足りないんでふかぁ? ひょうがないなぁ……♡」

 

「うくっ……っ!」

 

 僕の我が儘を聞き入れてくれた捕虜さんは、淫靡にも思える微笑みを浮かべながら、はむっ、むぐっ……と、小さな口に目一杯亀頭を含み、奥へ奥へと運んでいく。

 

「んぷっ……ちゅぅぅ……♡ ぢゅぷる……んんっ、あむっ……れろれろ、ちゅぷぅ♡」

 

 じゅるうると肉棒を吸い上げられると、敏感な部分すべてに鈍い刺激が走り、じわじわと快感となって腰元を駆け抜けていく。

 

「ぺろっ、れろっ……んちゅぅっ♡ ちゅるっ……ちゃぷっ♡」

 

 

 同時に挟まった口内、ザラザラとした舌の感触と上顎が競い合い、肉棒を圧迫し、そのまま亀頭を重点的に責め立てるようにストロークしてくる。

 特に敏感な部分を弄ばれ、肉棒はビクビクと震えてしまう。

 

「うぁ゛……っ、捕虜さんっ、それやばぃぃ!」

 

 柔らかな感触に包まれた肉棒は、ただされるがまま柔肉に弄ばれる。

 そして強すぎる快感に腰が動いてしまい、大きくて温かいゼリーのような巨乳に挟まれている肉棒が暴れてしまう。

 そんな荒れ狂うペニスを、捕虜さんはねっとりとした口腔内に捕まえて離さない。

 

「んむっ、にげちゃらめぇ……♡ んぶっ……ちゅるっ♡」

 

「ぁぐっ……!」

 

 肉棒を咥えたまま喋ったことで、声の振動がバイブのように亀頭を刺激し、喉元までぶるぶると震えそうになる。

 

 

 少し下を見れば、亀頭から滑り落ちてきた先走りと唾液のミックスジュースが潤滑油となり、パイズリが滑らかになっていることがわかった。

 

「んちゅっ♡ じゅるっ、ぢゅるるうぅっ……」

 

「もうっ、我慢できなひっ……!」

 

 興奮が抑えきれずに、ついにこちらからも腰を動かし始めた。包容力抜群の乳房は、どのような形で突き上げようと、もにゅもにゅと肉棒を包み込んでしまう。 

 さらに腰を動かすと、悩ましいほどに膨らんだ乳輪や乳首と僕の太股が擦れ、捕虜さんがか細い喘ぎ声を漏らした。

 

「あふぅ……やぁンっ♡ 乳首にこひゅれて、ビリって来ひゃう……ああぁぅっ♡♡ ひゅぷっ、ぢゅるるぅっ……んぷっ♡」

 

「はぁっ、はぁ、ちょっ……!」

 

 快感に攻撃されている捕虜さんが、仕返しのつもりなのか、僕の動きを制しようと肉棒をより深く咥えこんだ。熱い何かが腰元からじわじわと肉棒の芯を侵食してゆく。

 目眩を覚えるような濃厚な射精感を堪えるのに必死で、僕は容易に腰を動かせなくなってしまう。

 

「ちゅ、んんっ……ちゃぷぅ♡♡ レロ、ちゅっ、ぶぶっ、んぶぶっ……♡」

 

 頬を軽く窄めて吸い上げながら、口内で巧みに舌を使って亀頭全体を攻め立ててくる。カリ首をくるくると舌先で舐められ、亀頭がそのまま溶けてしまいそうな快楽に襲われてしまう。

 

 

 ──人間としての防衛本能なのか、僕の手はいつの間にか彼女の乳首に伸びていた。そのまま乳首の先端部分をぎゅうっと摘む。

 

「んむっ!?♡ んじゅっ、あン……らめぇ……乳首っ、指でグイグイねじっちゃらめぇ♡ 乳首おしおきひないれぇ……♡♡」

 

 彼女を襲う唐突な快楽に、ビクンと体を震わせた。これ幸いと両の乳首を摘み上げ、同時にぐにぐにと捻り上げる。

 

「ふぅっ……あっ、あっ……んっ、ひゃぁっ♡♡」

 

「はぁっ、はぁ……っっ!!」

 

 上下に動くパイズリの動作も合わさり、乳首への刺激がもの凄い勢いで蓄積しているらしかった。指の中で乳首がさらに固く、熱く火照っていく。

 ふるふると指先から逃れようとする乳首をぎゅうっと強く握りこんだ。するとその逃れようとする動きが、逆にそのまま乳首を引っ張り上げ、黒髪少女は悩ましげに呻く。

 

 

 どんどん激しさを増してゆく乳房の動き、舌先で裏筋を何度も舐められ、腰が浮き上がる。

 

「んむっ♡ ちゅるっ……♡♡ おひんぽのさきっほはっ、ふくらんへぇっ♡♡」

 

 喉の奥に亀頭の先が触れ、射精感が振り切れ、頭が真っ白になる───

 

「ぁぐっ! も、もう……駄目だっ、射精()るぅっ!!」

 

「みるくらひへぇっ♡♡ ちゅぷぅッ、んぶっ♡♡ ぢゅるるうぅぅッッッ♡♡♡」

 

 びゅくんっ! ぶびゅるるるる、どびゅるるるるるるっっ!!

 ぶびゅるるるるるるるるぅぅぅぅぅぅぅ……っっ♡♡

 

「んんんっ!!♡ んふぅっ!♡♡ ……むぐっ、んぅうっ……ぶぐっ♡」

 

 勢いよく吹き上がったスペルマが口内へと放たれる。どくどくと喉奥へ濃厚なザーメンを流し込み、その間も亀頭の筋がザラザラな舌に撫でられて気持ちがいい。ビリビリと電流が脳内を駆け巡り、舌や涎を出しながら濃厚精液を流し込んでいく。

 がくがくと腰が震え、ちゅぽんと口から飛び出した肉棒が、壊れた蛇口のように止まらないザーメンで彼女の顔や胸部を真っ白に染め上げていく。

 

「んんっ♡♡ こくっ、こくっ……んぶっ」

 

 半ば本能的に口の中の精液を飲み込んでいく捕虜さん。しかしそれ以上にザーメンの量が多く、口の端からも白い液体が零れている。

 

 

 少しだけ射精が収まった僕は、彼女の肩にあった筈の手を動かし、両手で彼女の頭を掴んだ。捕虜さんはそんな行動に何かを告げるわけでもなく、眼はうつろなままだ。

 どうやらエナジードリンクによる興奮作用と射精による衝撃が合わさり、失神してしまったらしい。

 

「うぅっ、口でお掃除してっ……」

 

 なんともわがままな要求を告げながら、彼女の口内に再び肉棒を突っ込む。温泉のような熱さが肉棒だけに伝わり、ザラザラな舌が亀頭の裏筋を刺激して気持ちがいい。

 どびゅっ、びゅっ……根元や奥の方に残っていたザーメンを、絞る様に射精していく。彼女の頭をオナホのように振り回し、ぴったりと頬の内側がチンポに吸い付いてくるのをいいことに、グリグリと根元まで彼女の顔を押し付けて精液を絞り出していく。そんな道具のように彼女を使うことが、なによりも気持ちよかった。

 

「んぶっ……ぢゅぷるっ、ちゅくるっ……ぶぶっ♡」 

 

「~っっ! ……っはぁ……! はぁっ、はぁ……」

 

 すべてを出し切り、彼女の頭を掴んでいた手を離した。椅子の背もたれに身体を預けて脱力すると同時に、溜息にも似た吐息を漏らす。

 体中から力が抜け、倦怠感と達成感が脳を行き交う。

 

 何も考えられないのでそのまま動かずに、ザーメンまみれで失神している捕虜さんをそのままに、数分間椅子の上で息を整えた。

 

 

 

 

★  ★  ★  ★

 

 

 

 

(なにしてんだ僕何してるんだマジで何考えてんだホントにヤバイ)

 

 研究所の真っ暗闇な廊下を歩きながら、脳内で自問自答を何百回も繰り返す。

 精液まみれの身体をコートで隠した捕虜さんを背負いながら、頭の中で何千回も自分を殺している僕が向かっているのは、当然シャワー室だ。

 未だに捕虜さんは眠っており、目を覚ます気配が一向に感じられない。というかこのままでは、僕は再び彼女と一緒にシャワー室へ入ることになってしまう。

 そんな事になってしまえば、ケダモノ染みた自分がどうするかなど、想像に難くない。

 

 ……いやいやっ、流石に数分前のようなことはしないが!!

 なんというか、目を逸らすことが出来ないだろう……ということだ。身体を洗うことにかまけて、彼女の肢体をいちいち眺めてしまいそうで恐ろしい。

 僕、マジで死んだ方がいいんじゃないのか……?

 

「オイ、助手」

 

「わぁっ!?」

 

 誰かに声をかけられると同時に肩を触られ、思わず声をあげてしまった。

 振り返ると、そこには見慣れた白衣のロボットが。目も鼻も口も無いまっさらな顔に、大きな白いボディ。

 ──アロさんだった。

 

「アロさんっ、博士の手伝いをしてたんだっけ……」

 

「助手、イチイチ話題ヲフラナクテイイ。ダイタイノ事情ハ、ハアクシテイルツモリダ」

 

「へっ? ……おわっ」

 

 顔に感情の色を灯さないので、何を考えているのか分からない。そんなアロさんは僕から捕虜さんを剥ぎ取り、彼女をお姫様抱っこした。

 仰向けになったことで捕虜さんのコートが少しめくれ、胸元の精液が少し見えてしまっている。

 ──やっ、やばい!

 

「オイ助手、下手ナイイワケヲシテ、失望サセテクレルナ」

 

「えっ……あ、アロさん、どこまで知って……?」

 

「監視カメラノ記録ヲサッキ見タンダ。……マァ、エナジードリンクヲ勝手ニ飲ンダ捕虜モ捕虜ダガ。ソレニシテモダッ、オマエ、不可抗力ニモ限度ガアルゾ!」

 

 顔の色を赤色に染めて、語気を荒げるアロさん。これは確実に怒っている……!

 

「最後ノアレハ駄目ダロウ! コノ鬼畜宇宙人!」

 

「……か、返す言葉もございません」

 

 その場で正座をして俯く僕。まったくもって惨めである。さらにいうと哀れである。ついでに言えば最低のクズである。

 

 

「捕虜ハ私ガシャワーニ入レテ寝床ヘハコブ」

 

「……ほっ、本当にありがとうございます……!」

 

「オイ助手」

 

「な、何でしょう?」

 

 

 

「オマエ、途中デシャワー室ニ入ッテ来タラ……殺スカラナ」

 

「部屋で大人しくしてますっ!!」

 

 

 僕の宣言を聞き届けたアロさんは、そのままコツコツと足音を鳴らして、暗い廊下の先へと姿を消していった。

 その様子を見届けたあと、僕は部屋の中で腕立て伏せ一万回を実行するのだった。

 

 

 

 

 

 




助手:しばらく筋肉痛で死ぬ
捕虜:あんまり覚えてない

アロ:捕虜が助手の性欲の毒牙にかからないためにどうしたらいいか考えた結果、翌日博士にほぼ人間の銀髪ロリ美少女ボディを要求する そして博士は用意しちゃう()


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銀髪ロリが来た

短め エロシーン無し


 

 あれから数日経過して。

 ここしばらく研究所に顔を出さない博士を心配しつつも、彼から頼まれている作業を進めている。

 今やっているのは、捕虜さんが乗ってきたジェクターの整備兼改良だ。

 

 なにも派手に改造する、というわけではない。

 思いのほか機体の損傷が数ヵ所見受けられたのでその補強と、最低限この機体だけでも戦闘区域を抜けられるようにするための装備強化などだ。

 

 

 これは分かりきっている事だが、捕虜さんはいつまでもこの研究所にいるわけではないし、緊急事態につき匿った、なんて(てい)のいい状況は続かない。

 立場上は一時的な捕虜だが、実際の所はただの保護。彼女の基本的なポテンシャルが回復し、ジェクターの修繕が終了すれば、元々所属していた艦隊に捕虜さんを引き渡すのは道理だ。

 

 しかしながら、彼女の惑星と僕らの星は戦争をしている。穏便に取引をできるとは思えないので、最悪の場合は彼女とその機体だけで艦隊に戻れるような修繕を、この研究所で施さなくてはいけないのだ。

 

 

「……ふぅ」

 

 一息ついて、僕は一旦工具を持った手を休めた。とりあえずひと段落ついた。まだ微調整と細かいチェックが残っているが、少し休憩しよう。

 作業部屋を退室し、外に出た。そろそろ腹も減ってきたし、適当に昼ご飯も済ませるか。

 

 

 しばらく歩くと、廊下で捕虜さんを見かけた。なにやら屈んで誰かと話している。

 この研究所には俺と彼女、他にはアロさんしかいないはずだと思い、首をかしげた。客人の連絡も無かったし、誰と話してるんだ。

 

 捕虜さんの近くまで来ると、彼女と話している人物が見えた。どうやら身長が小さいせいで、捕虜さんの背中で見えていなかったらしい。

 会話をしていたのは、腰まであると思われる長い銀髪を後ろに一つでまとめている、袖から手が出ないほどブカブカの白衣を身に纏った少女──というより幼女に近かった。

 

「あっ、助手さん」

 

 近づいてきた僕に気がついた捕虜さんに釣られる形で、銀髪ポニーテールの女の子も視線を僕へ移した。

 

「捕虜さん、その子は?」

 

「私も今さっき会ったばかりです。……あなた、お名前は」

 

 そう言いながら屈んで女の子と目線を合わせる捕虜さん。いつも通りの眠そうな無表情だが、興味深そうな雰囲気はその声音からダダ漏れだ。捕虜さん、子供好きなのかな。

 すると女の子は袖から出した人差し指をピンと上げ、少しドヤ顔で声を出した。

 

「ヒント1、この研究所には誰がいるでしょう」

 

 

「……あっ、もしかしてアロさんですか?」

 

「うぇぇっ、ば、バレるの早い……」

 

 あまりにも素早い捕虜さんの返答に、出鼻をくじかれたように銀髪の子が動揺した。どうやら図星だ。

 このかわいらしい銀髪ポニーテールロリは、ボディを入れ替えたアロさんらしい。

 

 

 しっかし、新型のボディか。いつの間に……ていうか、何の為に……?

 

 僕がいろいろ逡巡している間に、捕虜さんは少女となったアロさんを、撫でたり抱きしめたりしてかわいがり始めた。

 

「じゃあ今日からアロさん改めアロちゃんですね、スリスリ」

 

「ボディが小さいだけで、別に年齢退行したわけではないのだが……うぅ、おい捕虜、くすぐったいぞ」

 

 アロさんの頭部の匂いをクンクン嗅いでいる捕虜さんをそのままに、僕は少女に質問をした。

 

「えっと、アロちゃんは何でそのボディに……?」

 

 すると、彼女は鋭い目つきで僕を睨んだ。

 

「お前はちゃん付けするな、虫唾が走る」

 

「なんで!?」

 

 吐き捨てるように告げ、銀髪少女はプイッと顔を逸らしてしまった。

 どうやら僕に子ども扱いされるのは異常に嫌悪感があるらしい。とりあえず、いままで通りアロさんと呼ぼう。

 あと、さっきの質問をもう一回。

 

「……それにしても、どうしてそんなボディに?」

 

「あのロボットチックな見た目では不自由だからだ。以前、博士の学会についていった時も……研究者どもにまともに相手をされなかった」

 

 不貞腐れるように呟くアロさん。確かにそういう理由なら納得できるけど……。

 いやいや、だったら僕みたいな成人男性のボディでもいいはずじゃ? なんで銀髪ロリ?

 

 相変わらず疑問が消えないまま首をかしげると、アロさんがビシッと人差し指を僕に向けた。

 

「あと、お前のせいだ!」

 

「……えっ。それってどういう」

 

「お前が──ちょ、ちょっと捕虜、頭を抱きしめるのやめ……むぐっ」

 

「かわいいです、かわいいですね、アロちゃん。お姉ちゃんが抱きしめてあげます。スリスリ、ぎゅー」

 

 何やらご立腹な様子のアロさんだが、捕虜さんにもみくちゃにされている。頬ずりされたり頭をなでられたり抱っこされたり、捕虜さんノリノリだな……相変わらず無表情だけど。

 なんとも微笑ましい光景である。

 

 地球人に、宇宙人に、アンドロイド。もうこの研究所に人種の壁はほとんどなくなっている。

 はやく戦争も終わって、地球人の研究仲間とか欲しいな。本質は変わらない人間同士なんだし、平和的に落ち着くことを願うばかりだ。

 

 

 

「おーい! 助手くーん!!」

 

「ん?」

 

 大きな声がしたので振り返ってみると、廊下の先から見慣れた白髭のじいさんが走ってくるのが見えた。なにやら大量に汗を流していて、息切れも起こしている。

 僕らの目の前に来た博士は膝に手を置いてゼェゼェと何回か呼吸すると、その顔を上げた。

 

「どうしよう! 軍に捕虜くんの存在バレちゃった☆」

 

 

 

「───は?」

 

 

 



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