酒呑みロード (六導)
しおりを挟む

第1話 酒呑みの旅立ち

少しありきたりなもしも系の話です。
あと最近、和サバに魅力を感じて書いて見ました。



ユグドラシル。

 

北欧神話を題材にしたファンタジーの仮想現実世界でモンスターを討伐したり冒険したりと幅広い自由度を誇り、一世を風靡した大人気オンラインゲームだった。

今日はそのユグドラシルの配信、サービス最終日なのだから。

巨大な円卓をそれぞれを囲む41の豪華な椅子。

かつてはその全てが埋まっていたが、今は2つだけだ。

そしてその内の一つが今去ろうとしていた。

 

白骨死体に瞳がある場所が真っ赤に光を灯し胸には大きな宝石のようなモノがあり漆黒のローブを纏ったモンスター。

アンデッドの最高位種である死の支配者【オーバーロード】。

常に形を変え続ける真っ黒なコールタールのようなモンスター。

スライムの中で最高位種である古き漆黒の粘体【エルダーブラックウーズ】。

どちらもダンジョンで稀に見かけるモンスターだ。

だがこの二体はシステムで動くモンスターではなくプレイヤーである。

人間種や亜人種という種族もあるが、異形種の方がステータスにおいては優れている。その分、種族によってデメリットもあるのだが。

 

この二人がいる場所はナザリック地下大墳墓、かつて数千にも及ぶ大攻勢、総数1500人の大討伐を全滅させた伝説を誇る最強最悪のギルド「アインズ・ウール・ゴウン」の本拠地第9階層の円卓の間である。

 

ギルド長であるモモンガがせっかくユグドラシルの最終日なのだから最後は一緒にいませんかとメールを出して、それに応じた者、その最後の一人、ヘロヘロがモモンガにここを残してくれたお礼を言ってログアウト、いや去って行った。

 

モモンガは頭の中で恨み言を言うが、すぐに頭を切り替える。

いいや、これが当たり前なんだと。

現実とゲーム、どちらを取るかなど普通は現実を取るただそれだけのことなんだ。

 

かつての黄金時代に思いを馳せながらモモンガはかつての仲間たちと苦労して作り上げたギルド武器に手をかける。

これを作るために有給取ったり家族と揉めたりして参加してくれたメンバーもいたほどの思い出のギルド武器【スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン】

「行こうか、我がギルドの証よ」

それを持って部屋を後にしようとしたその時

 

『酒呑童子さんがログインされました』

 

モモンガが視線を向けると円卓の席の一つが埋まっていた。

そこには頭にツノが生え、体の最低限の部分、隠すべきところのみ隠した黒塗りの刺繍らしきもの、前は少しはだけた着物を着て盃と瓢箪、腰に剣を提げた痴女一歩手前の少女がいた。

どうしてバンされないんだと疑問を持つ者が多かったギルドメンバー

「おや、モモンガはん。お久しぶりやね〜」

彼女の種族は鬼、その最上位種の鬼神だ。

ユグドラシルを始めた理由は昔に流行っていたゲームキャラを再現したくてこのゲームを始めたらしい。

「酒呑さん!!来てくれたんですか!」

「うち、そないいけずやあらへんよ。モモンガはん、それにうちは月一、二回は顔だしてたやろ?」

彼女は変らずモモンガのよく知らない独特の言葉使いをしながら首を傾げながら答える。

その姿の彼女は何とも絵になっていた。

「うん?モモンガはん、それ持ってどこに行くん?」

モモンガは来てくれた嬉しさでつい忘れていた自分がギルド武器を持って玉座の間に行こうとしているのを

「あ、いや、これは・・」

バチが悪そうに俺が思わずビックと肩を震わすと

「フフ、何や、これやとうちが怒っとるみたいやね。違う違うモモンガはんがそれを持つのはいいけどな。最後やしうち的にはモモンガはんにそれを持ってもらって玉座の間で閉めようと思ってただけやねん」

まさか、自分と同じことを彼女も思っていたとは驚き、そして互いが同じことを考えていたのだと知って互いに笑いあった後、二人はその場を後にする。

神々が住まう神殿のような豪華な通路を通り、途中控えていた執事とメイド達を引き連れてナザリックの最奥部、玉座の間の扉を押して入っていた。

そこにはかつての仲間たちのサインが描かれたサインの旗がかけられ、奥の階段の上には水晶で出来た見事な玉座があった。その上には我らがギルドサインの入った巨大な旗がある。

そんな見事な玉座に二人は向かい、玉座の横にいる純白の悪魔が目に入った。

「確か・・・アルベドでしたなぁ、この子、タブラはんが作った」

と酒呑さんが何かを思い出すよう言う。

「ああ、設定魔のタブラさんのなら面白い設定してるんでしょうね。

見て見ますか」

モモンガがコンソールを開き、酒呑も設定欄を覗き見る。

「「なが!」」

あまりの設定の長さに二人してツッコミを入れる。

「全部読んでいる暇はなさそうですね」

「残念やけど、そうやね。ザーッと見たらええんとちゃう」

そう言いながらスクロールしていき最後の一文を見る。

 

『モモンガを愛している』

 

モモンガの目が点になった。

「フフ、ああ〜思い出したわ。うちとタブラはんでこうしようて話たんやったわ、懐かしいね〜」

と笑いながら言う酒呑さんに俺は睨みながら言う。

「何してんですか!あんたは!!」

「フフ、その方がおもろいと思うてな。それにタブラはんもこれでええとか言うてはったしな」

ああ、これだ。この人はこういう人だったるし☆ふぁーさんとは別のベクトルで問題を起こして騒ぐ人だった。

「でも、だったら『酒呑を愛してる』でも『タブラを愛している』でもいいじゃないですか』

「そんな、モモンガはん、自分を愛してるなんてこっぱつかしいことするわけないやろ」

と答える酒呑さんの表情は動かないが確実に笑っていることは分かる。

もう返す気力もないと肩を落とすモモンガ、そしてふと時計を見るともうユグドラシルのサービス終了まで5分切っていることに気がついた。

モモンガは、NPC達に跪くように指示を出す。

「モモンガはん、今までありがとな。ここは・・・いや、ここは素でいきますね。改めて今まで本当にありがとうございました」

初めて素の喋りで話して来たことに若干驚いたが

「いいえ、こちらこそ今までありがとうございました」

その後は言葉が続かなかった。

これで終わってしまう。

 

49.50.51.52.53・・・

 

「本当にありがとうございました酒呑さん」

呟くように言った為、彼女には気付かないだろうけど

 

57.58.59・・・

 

ーーー0.1.2・・・

そして彼ら二人は異世界へと旅立つ。

 




更新は遅いですがどうか見てやって下さい。
文章力はありませんが
できれば意見お待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 混乱

たくさん見てくれてありがとうございます。
ありそうでないFGOの酒吞童子が出てくる作品を書いてみました。


「えっ」

「ん?」

この時、二人は体の違和感を覚えた。

一人は体の喪失感。

一人は喉の渇きを。

 

私はこの瞬間、喉の渇きを感じた。

そして自然な動作で瓢箪を傾け盃に酒を入れて飲んだ。

ゲームなら動作だけなのだが、この時は違った。

 

味がした。

 

甘くほろ苦いなんとも言えない味がした。

思わずホッとしてしまうほどだ。

その時、

「酒呑さん!!酒呑さん!!」

ビクッと肩を震わせてしまう。

「すいません。驚いてしまいました。」

「いや、いいですけど。こんな時に酒飲んでるから」

「ああ、喉が渇いたのでついね。あと私の酒、味がしますよ!!めっちゃくちゃ美味しいですよ!!新しいアプデとかきたんですかね」

「いや、それはないでしょう。告知とかないですし、それより今は状況の確認をしないと!」

確かに私達はサーバーがダウンして強制終了しているはずなのに未だにゲームの中というのもおかしい。

やっぱ!こういう時、頼りになりますねモモンガさんはこんな異常事態なのに冷静でいられるところがと私が感心していると

「あの、モモンガ様、酒呑童子様どうかなさいましたか?」

私とモモンガさんはその声がする方を向く。

そして私とモモンガはかつてないほど驚愕した。

意思のないNPCが勝手に動いている?

私はそのことにしばらくフリーズしている間にモモンガさんはいち早く混乱から回復してセバス達に指示を出そうとしているところだった。

「了解しました。モモンガ様」

とセバスがモモンガさんからの指示を受けて出て行くところでようやくフリーズから復帰した私が待ったをかけた。

「モモンガはん、うちの千代女も一緒に行かすけどよろしおすな」

先程からモモンガさんは魔王の演技をしているので自分も今はこの喋り方の方がいいと判断した。

それと千代女は私が作った3人のNPCの内の1人だ、望月千代女は忍者なので索敵にはもってこいでしょう。

「そうか、そうしてくれると有難い」

モモンガさんは鷹揚に頷き私の判断に同意してくれた。

「では、プレアデス達は9階層に上がり侵入者がいないか警戒せよ」

そして、プレアデス達にも指示が出され次々と部屋を後にして行く。

その行動を見ていた私はメッセージを使いモモンガさんと今後について話をする。

これは魔法が使えるかの確認でもあったが無事使えたようで安心した。

『モモンガさん、どうやらここにいるNPC達は敵対行動はしてこないみたいですね』

『そうみたいですね。これからどうしましょう?』

『そうですね〜とりあえず守護者を集めて見てはどうです?』

『少し危険ですけど、そうしてみますか。なら場所は・・・』

と私がモモンガさんとメッセージで話していると

「ではモモンガ様、私はいかがいたしましょう?」

少し考えた後、モモンガさんは何かを思い出したように

「あ、ああ・・・そうだな。私の元まで来い」

「はい!」

アルベドが嬉しそうにモモンガに近寄る。

「アルベド、触るぞ」

「はい」

モモンガがアルベドの手を触る。

それからモモンガが何やら考え込んでから一瞬、私の方を見た。

それで私はモモンガさんが何を確認しようとしているのかを大体察することができた。

「では、ウチはお邪魔みたいやさかい。先に行っとくわ。ウチの子らのことも気になるしな、ではアルベドとごゆっくり」

と言い残し私は玉座の間から出でいく。

後ろでモモンガが誤解です!とか言っているがまぁいいだろう。

先ほどのNPCの行動から少なくとも玉座の間にいた者は私達に敵対的ではなかったし、それにアルベドなら大丈夫だろう。

 

 

 

玉座の間を出た私は取り敢えずメッセージを使ってみた。

相手は千代女だ。

そして頭の中で相手との糸のようなモノが繋がった感覚があった。

『千代女はん、聞こえる?』

『はい!はい!!もちろん聞こえておりまする酒呑童子様』

ただメッセージが繋がっただけなのに私は物凄く嫌な予感と疲れを感じた。

そして間髪入れずにこの活き活きとした返事は私の知ってるキャラと違うと内心ガッカリしながら私は先ほどの指示を出してみる。

これで反逆してくるなら今後の流れは変わるが

『ふふ、久しぶりやねと挨拶したとこ悪いけど今はそんな状況やなくな。千代女には今からセバスと一緒にナザリックの外の調査をしてほしいんよ。任せてもええか?』

『はい!!もちろんでござる!!!』

『内容は・・・』

私が言い終わるまでにメッセージが切れてしまった。

本当にあんなキャラにしたっけ?

確かに少し幸薄とか真面目とか書いたような気がするけど。

私はため息をついてから3人の内の1人目でもう気が重いが他の2人にも会いに行くことにした。

 

 

 

「よかった。指輪は使えたわ。」

アイテムも何とか使えるみたいだ。

私は今、ナザリックの第七階層溶岩エリアに来ている。

周囲をマグマの熱によって灼熱の地獄と化している。

普通なら呼吸すらままならないだろうけど私は鬼としての特性によって熱と炎には絶対耐性を持っているので散歩でもするように動ける。

そして少し歩いてようやく見えていた。

灼熱の大地に立つ寺院と大きな門

羅生門だ。

これを作る時はウルベルトさんと喧嘩したなぁ、確か自分の作った神殿と世界観が違うとか何とか言って、なので私はその後少しウルベルトさんとお・は・な・しして納得してもらった。

あれ以来ウルベルトさんは私に逆らわなくなったけど。

それにあの子たちを配置するにはここしかないから仕方ないんだよ。

私が門の前に差し掛かると

「お待ちしておりました。酒呑童子様」

白い肌と長い白髪の見目麗しい女武者が立っていた。

「うん、久しぶりや・・・ゴフ!」

私が挨拶を言い終わるよりも先に私のお腹に何かが突っ込んで来て後ろに吹っ飛ばされた。

「酒呑さまあああああああ!!!!」

「イッた。茨木も久しぶりやね」

私は体をさすりながら私の胸で泣く鬼を宥めるように言う。

そう、この2人、巴御前と茨木童子の鬼2人と望月千代女の蛇女【ラミア】を合わせた3人が私が作ったNPCだ。

3人ともレベル80だ。

本来ならギルドメンバー1人づつNPCを作ろうと言う話だったがギルドメンバーの何人かはNPC作りに興味が無かったのでその権利を貰って私が作ったのがこの3人だ。

本当ならもっとNPCを作りたかったけどそれ以上の我儘は認められなかった。

「はいはい、ウチはもうどこにも行かんさかい少し離れてな茨木」

本当はこうして茨木を抱いていたいが状況が状況だ。

「早速やけど巴、ウチがおらん間になんかあった?」

「なっ!酒呑様、なぜ我に聞いてくれないのだ!」

だってイバラキンはバーサーカーやし設定に子供っぽいて書いたからなぁウチが

「茨木、酒呑様は目が良い私に周囲に異常はなかったかと聞いておられるのです。なので貴女を蔑ろにしているわけではないのですよ。そうですよね!」

なんかキラキラした目で巴にそう言われた。

「う・・・そ、そうやね。これに関しては巴の目に期待して聞いたんや」

「そっ、そうか。ならば良い!」

ああ、この笑顔で言われると今後がキツイなと考えていると

『酒呑童子様、報告がございまする!ナザリックの周囲が草原に変わっているでござる』

はぁ、問題はまだまだ山積みのようだ。

 

 

 

 

 

 




あれ~キャラが違うぞ~と混乱した回でした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 階層守護者

とにかく仕事が忙しい!!
もっと書きたいけど時間がないこの頃です。

たくさん、見たいただいてありがとうございます!
╰(*´︶`*)╯







千代女からの報告を受け私はモモンガさんにも内容を教えようとメッセージを飛ばすと

『ああ、酒呑さんひどいじゃないですか!あの後、アルベドと一緒にされて色々ヤバかったんですから!』

『フフ、色々お邪魔やとおもてね。これでも気いつかったんよ』

『くっ!こんな時まで相変わらずですね!』

『いや、真面目な話、自分の作ったNPCに会いましたけど忠誠心が最大値って感じなのでこれからはこの喋り方をデフォにしときます。癖にしないとキャラがすぐに崩れてボロが出ると怖いので』

と私が少し深刻気味に話すとモモンガさんも

『そうだったんですか。なるほど、でも敵対的ではなくてよかったですよ。あと、これから1時間後に守護者を第六階層の闘技場に集合させたので酒呑さんも来てくださいよ』

『ええーー、めんど・・』

『来てください!来なかったら恨みますよ!本当に!というか早速キャラ崩れてるじゃないですか』

はっ!マジか!!

『う、うう、そうか。わかった。わかった。時間には行くよって』

そして私は先程、第七階層の炎や熱を感じなかったなどの情報をモモンガと共有でしてからメッセージを切る。

あっ!あの事モモンガさんに言い忘れたけどまあいいか

「そんなわけやさかい、うちはこれから守護者達が集まる場に行くから茨木と巴は一旦そのまま持ち場の守護をしといてな。改めて千代女も含めて積もる話もしよか」

私はそう言って先ほどからずっと抱きついている茨木を引きはがす。

少し茨木は名残惜しそうだったがすぐにキリっとした顔に戻った。

それを見届けてから私は第六階層に転移することにした。

 

 

場所は先程から変わって第六階層のアンフィテアトルム、円形闘技場

の通路に転移した。

私はそのままその通路を通って闘技場に出ると何やらアウラとマーレが根源の火精霊【プライマル・ファイアーエレメンタル】と戦っていた。

おそらく近くにいるモモンガさんが召喚したんでしょうけど

私はそのままモモンガさんのそばに行き

「これは、一体どういった状況なん?モモンガはん」

「ああ、酒呑さん。今、このギルド武器の性能を確認しようと思いましてね。スキルや耐性はさっきの酒呑さんの報告を聞く限りだと自分たちが持っていたものを使えるようですからね」

そうしてモモンガさんが私に説明してくれてる間に根源の火精霊が倒されて周りの温度が一気に下がっていくのを感じた。

「ふーん。その様子やと他のアイテムも問題ないやろね」

「そう見たいですね」

これで現状は大抵何とかできそうだと二人でホッとしていると

モモンガさまーとアウラとマーレが走って来た。

アウラとマーレの格好は私が最後に見たものと変わりなく、アウラが白と赤を基調とした服装でマーレが白に青を基調とした服装だ。

この二人が第六階層の守護者の闇妖精【ダークエルフ】のアウラとマーレ、この二人の格好を見ると茶釜さんの闇は深いなぁ〜と思う。

「酒呑童子様!いつお戻りに!」

アウラが声を上げて跪こうとするが

「ええよ。ええよ。別にそれより暑かったやろ?モモンガはんに水でももろたらええよ。なぁ、モモンガはん」

「ああ、そうだな。二人とも喉が渇いただろう」

と言って二人に水を振る舞った。

最初は畏れ多いと断っていたが、もう一度勧めるとようやく飲んでくれた。

「ありがとうございます。モモンガさま」

「あ、ありがとうございます。モモンガさま」

そして改めて二人は私に跪いた。

「改めてお久しぶりです。酒呑童子さま」

「お、お久しぶりです。」

「フフ、そうやね。ほんに久しぶりやね。二人とも元気しとった?」

「「はい!」」

「フフ、なら良かったわ」

と話し込んでいると黒い影が膨れ上がり人一人が通れるくらいの大きさになるとそこから一人の少女が出てきた。

「おや、私が一番でありんすか?」

真っ黒なドレスに身を包んだ真紅の瞳に長い銀髪の少女。

シャルティア・ブラッドフォールン。ナザリックの第一から第三階層守護者で吸血鬼の真祖【トゥルーヴァンパイア】だ。

「あ、ああ我が・・」

数は歩いたシャルティアはそこでようやく私に気付いて固まった。

「酒呑童子様!」

そして跪こうとするシャルティアを手で制する。

「今は楽にしててええよ、アウラとマーレもな」

どうしてこうみんなすぐに跪こうとするのだろう?と私が疑問に思ってそうこうしていると虫と悪魔を合体させたようなモンスター

蟲王【ヴァーミンロード】の第五階層守護者のコキュートスとスーツを着た悪魔、正確には最上級悪魔【アーチデヴィル】のデミウルゴスと夢魔【サキュバス】のアルベドが次々とやってくる。

そしてモモンガさんが呼び出した全員が集合すると忠誠の儀というのを始めた。

私は守護者の様子を見て懸念していたNPCが反逆する可能性がどれほどアホらしいかを察するのに時間はかからなかった。

 

「素晴らしい」

モモンガさんも感極まったのかその風格に相応しい雰囲気と絶望のオーラを出しながら守護者を褒めていた。

ここは私も空気を読んでオーラ系のスキルを使うべき?

と考えてみるが守護者が若干震えているのを見てウチはスキルを使うのをやめた。

そんな考えを抱いていると地上を探索してきた執事服の老紳士のセバスとどこか動きやすそうな巫女服を着た千代女がこちらに向かって走ってくるのが見えた。

そしてセバスと千代女が戻ってきてナザリック周辺地理の確認のことを報告してきた。

私は前もって千代女から聞いていたが詳しくはモモンガさんと一緒に聞くと言って大雑把なことしか知らない。

その内容はやはりモモンガさんは驚いているようだった。

 

周辺は見渡す限りの草原。周囲1km内には知的生物はおろかモンスターすらいなかったらしい。

さらに千代女によると森を南に抜けた先に村のようなモノを発見したらしいその功績にモモンガさんが素晴らしい働きだったと千代女を褒めて千代女がどこか誇らしげにしていた。

あと、千代女そこで私をチラチラと見てこなかったら褒めてあげてもよかったんだけどね。

まぁ、可愛いけど

その村は発見しただけで内部の調査などはしていない。

理由は時間がなかった為とこの世界のレベルなどが分からないうちは迂闊な接触はやめろと私が止めたからだが

 

そして最後にモモンガさんが守護者全員に質問した。

「お前たちにとって私と酒呑さんはどういった存在だ?まずはシャルティア」

「モモンガ様は美の結晶、この世で最も美しい方でありんす。酒呑童子様は愛らしくも妖艶な美しさを持つ方でありんす」

「コキュートス」

「御二方ハ守護者カクインヨリモ強者デアリ、マサニナザリック地下大墳墓ノ絶対ナル支配者ニ相応シキ方々カト」

「アウラ」

「モモンガ様は慈悲深く、深い配慮に優れた御方。酒呑童子様はとても頼れる御方です」

「マーレ」

「お、お二方とも、す、す、凄く優しい方だと思います」

「デミウルゴス」

「モモンガ様は賢明な判断力と瞬時に実行される行動力のある方。まさに端倪すべからざる御方です。酒呑童子様は圧倒的な戦闘能力を持ちながらそれを片鱗すらも見せることのない隠蔽力を持ち、必要とあらば一切の慈悲なくそれを実行される方。まさに美しい花には棘があるという言葉の体現なされておられる薔薇のような御方です」

「セバス」

「モモンガ様は至高の御方の統括をならせていた方。酒呑童子様はこの地に再び戻ってきてくださった方。御二方共、最後まで私たちを見放さずにいてくださった慈悲深き方々です」

「最後になったがアルベド」

「モモンガ様は至高の方々の最高責任者。酒呑童子様は至高の方々の中で上位の方。私どもの最高の主人であります。そして、モモンガ様は私の愛する御方。酒呑童子様はそれをタブラ様とご一緒に認めてくださった方です」

「な、なるほど。各員の考えはよくわかった。今後とも忠義に励め」

『酒呑さん、円卓の間に転移しましょう』

『う、うん』

「それから千代女、後で行くから第七階層に先に行っといてな」

「はっ!了解でありまする」

モモンガさんからのメッセージでやりとりしてから私は千代女に指示を出してからモモンガさんに続いてこの場から逃げるように転移した。

 

 

 

 

 

 

 




一応、守護者の簡単な説明を入れて見ました。
あまり上手く説明できていませんが



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラクター紹介

新作の話ではなくてすいません。
更新は頑張るのでどうか見てやってください。







名前 酒呑童子

呼び名 デバフの鬼

種族 異形種

身長 145cm

体重 46kg

役職 至高の41人

ナザリック地下大墳墓 統治補佐

住居 ナザリック地下大墳墓

第9階層にある自室

属性 極悪【カルマ値:−500】

種族レベル オーガ 10lv

鬼人 10lv

鬼神 5lv

ほか

職業レベル ケンセイ10lv

アサシン5lv

マスターアサシン5lv

ポイズンメーカー 5lv

ほか

備考

戦闘スタイルは昔のゲームをサルベージして知った酒呑童子を意識したもの。

ユグドラシルをやっていた頃、彼女は剣よりもスキルによるデバフの方が脅威だと他のプレイヤーから恐れられた。

デバフを付与するモノは数あれど彼女がプレイヤーの中でデバフの鬼と恐れられたのはそのデバフ効果範囲の広さである彼女のデバフはアイテムとスキルの併用すれば一つのエリア半分ほどを効果範囲にしたほどだ。しかしその代わりにデバフの一つ一つは効果は大したものではなかったがそれでも一度につけられるデバフの数が他の追随を許さないほどだった。

転移後、彼女はナザリックのBARに入り浸っている。

最近の悩みは配下の三人が自分から離れてくれないこと。なので仕方なく、誠に遺憾ながらBARに行って配下を酔い潰してから逃げている。

趣味は珍しいアイテムや雅なアイテムの収集とモモンガと配下をからかうこと

 

 

名前 茨木童子

種族 異形種

身長 147cm

体重 50kg

役職 ナザリック地下大墳墓 第七階層『羅生門』の番人

住居 ナザリック地下大墳墓 第七階層 寺院

属性 凶悪 【カルマ値−200】

種族レベル オーガ 10lv

鬼人 10lv

鬼神 1lv

ほか

職業レベル ケンセイ 1lv

ヒャッキヤコウ 5lv

バーサーカー 8lv

シェイプシフター 5lv

ほか

備考

戦闘スタイルはバーサーカーとしての力押しだが主人である酒呑から授けられたアイテムによって戦闘では意外な粘り強さを持つ。

休みは酒呑の側を離れないがBARに行って酒呑から酒を強要されるパワハラを受けている本人は若干涙目で酒を飲むが最近は気を使ったマスターから甘いカクテルを貰って少しづつ酒も飲めるようになって来た。

性格は傲慢な感じを演じているが素の彼女は慎重で小心者。

お菓子を貰うと機嫌が良くなる子供っぽさがある。

姿、第二再臨

 

 

名前 巴御前

種族 異形種

身長 162cm

体重 50kg

役職 ナザリック地下大墳墓 第七階層『羅生門』の管理補佐

住居 ナザリック地下大墳墓 第七階層 寺院

属性 中立 【カルマ値−10】

種族レベル オーガ 10lv

鬼人 10lv

鬼神 1lv

ほか

職業レベル ケンセイ 2lv

ジェネラル 5lv

アーチャー 8lv

コック 1lv

ほか

備考

戦闘スタイルは主に弓だが剣も使える遠近ともに優れたバランス型

主にモモンガの指示でナザリックを離れていることが多いデミウルゴスに代わり第七階層のNPCの管理などを任されるほどの指揮力を持つ。

休みの日は酒呑の側に付いて自分の手料理を振る舞っているが酒に弱いが酒呑がBARに入り酒を強要してくる。

もちろん酒などの毒無効のアイテムは持っているが酒呑がウチの酒を無下にするん?と言われるので使えないのですぐに酔っ払ってい寝落ちしてしまう。

性格は几帳面で真面目、少し融通が利かない。

姿、第二再臨

 

 

 

名前 望月千代女

種族 異形種

身長 154cm

体重 46kg

役職 ナザリック地下大墳墓 第七階層『羅生門』の管理補佐

住居 ナザリック地下大墳墓 第七階層 寺院

属性 中立〜悪 【カルマ値−100】

種族レベル ナーガ 10lv

メデューサ 10lv

ほど

職業レベル アサシン 10lv

ニンジャ 5lv

フジュツシ 3lv

ミコ 5lv

ほか

備考

戦闘スタイルはクナイなどを用いるが最大の武器は呪術によるデバフと口寄せによって呼び出された不可視の蛇による奇襲。

最近は忍者としてナザリックの外での諜報活動に尽力している。

そのため自分より多く外に出て活躍していることから茨木から嫉妬と羨望の目で見られることに悩んでいる。

休みは酒呑の側、主に天井などに潜んで付いて来ているが酒呑がBARに入ると問答無用で酒を飲まされる。

ちなみに酔うと服を脱いでしまうのでマスターには迷惑がられている。

姿、第二再臨

 

 

 




設定が知りたいと意見をいただいたので書いて見ました。

ほかって言い方は汚いと思いますが作者の想像力のなさを
補う上で必要なのですいません。。゚(゚´ω`゚)゚。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 外へ

評価が上がってる!!
やったーー!!
。゚(゚´ω`゚)゚。

これからも頑張ります。


あれから円卓の間に転移した私とモモンガさんは思わず頭を抱えていた。

「あいつら、マジだ」

「凄い高評価でしたな、モモンガはん」

「それは酒呑さんも同じでしょう。それよりもこれからどうしよう。あの評価を崩したらどうなることか」

モモンガさんは不安でいっぱいな様子だ。

それもそうだろう私はまぁアレだがモモンガさんはナザリックの最高支配者だからこれからの事を思うと気が滅入るのだろう。

いっそ全部捨てて逃げてしまえば楽になるのだけど彼は絶対にそんな事はしないだろう。

「これからどうしましょうか酒呑さん」

今にも不安で押し潰れそうなモモンガさんを見ているとこっちまで不安に苛まれてしまう。

ここは気分転換するべきだろう。

なら、酒・・・は無理だよね。

アンデッドのモモンガさんは酒を飲むどころか食べることも寝ることもましてや・・それは今は置いておこう。

ならば、

 

「モモンガはん、外に出てみようや」

 

と私は口にした。

対するモモンガさんはこちらを見て唖然としている感じがする。

骸骨なので表情が伺えないが

「はぁ!!何言ってんですか!こんな時に貴女は」

「フフフ、ぐちぐち言ってもなーんにもならへんよ。それに外は星が見えるらしいで。ウチ、見てみたいわ〜」

私がそう言うとモモンガさんもそれに惹かれたのか少し悩んでいる。

「ウチが見たいって言うたからモモンガはんがそれに付き合ったって言うたらええやんか」

と私がダメ押しを言うとモモンガさんははぁ〜と大きなため息をしてから

「分かりましたよ。確かに見てみたいですから星空を」

 

そして私とモモンガさんは第一階層に転移する。指輪で行ける一番地表に近い所、中央霊廟だ。

外に出る直前にデミウルゴスとその配下に出会って驚いたが今は護衛を申し出て後ろに付き従っている。

「そういえば、デミウルゴスは何でこないなとこにおったん?」

私がなぜここにいるの?と聞いてみると

「何おっしゃいますか。モモンガ様と酒呑童子様はこの異変に既に察知されていた。にも関わらず我々、守護者はそれを察知できなかった。ですが、モモンガ様と酒呑童子様はそんな不甲斐ない我々守護者を見捨てないどころか!こうして挽回の機会として周囲の警戒の任務をお与えになられた。その証拠に今はその視察しに来られたのでは?」

私とモモンガさんは開いた口が塞がらない思いだった。

実際は骸骨故に無表情、私は意味深に笑って誤魔化しながらどこまでも私たちを好意的に解釈するデミウルゴスに驚愕した。

というか、もはや怖いよ。

「流石は、デミウルゴスだ。私と酒呑さんの意図をそこまで読み取るとはな」

「流石やね〜ウチも期待以上で嬉しいわ〜」

私とモモンガさんは一瞬、目を合わせた後にこの流れに乗ることにした。

お互いに守護者達への認識が甘かったと後悔しながら

 

 

外へ出ると夜だった。

いや、夜なのは知っていたが・・・

「これは凄いな・・・」

一歩外へ出るとモモンガさんは思わず感嘆の声を上げる。墳墓の周り一面、草原になっており町の灯りもないが、このナザリックは月光によって幻想的に照らされていた。

「これが月明かり・・・こんなに綺麗だなんて・・・」

私もついキャラを忘れてその風景に魅入ってしまう。

「酒呑さん。飛んでみましょう」

モモンガさんが全体飛行【マス・フライ】を唱えると三人の身体が宙に浮く。

そして一直線に高く上昇する。雲の上は満天の星。眼下には広大な草原が広がり遠くの方に街明かりが見えた。

「空気が澄んでいる。これが夜空か」

「ブルー・プラネットはんにも見せてやりたいわぁ〜」

「ウンチクだけで半日は消えそうですね」

自然を愛して止まなかったギルドメンバーを想いながら二人は現実世界ではかなり昔に失われた自然の美しさを眺める。現実世界では大気汚染や水質汚染に土壌汚染が進み人間は人工肺がなければ外で活動できない程であったから尚更この景色の美しさに二人の心惹かれたのは必然だろう。

「それにしても本当に綺麗だ。まるで宝石箱みたいだ」

「なんや、モモンガはん詩人やね」

「この星々が美しく輝いているのは、御身を飾るための宝石を宿しているからかと」

「確かにそうかもしれないな・・・」

そしてモモンガさんは呟くように

 

「私達がこの地に来たのは・・・この誰も手にしたことのない宝石箱を手に入れる為・・いや、ナザリックや、我が友達、アインズ・ウール・ゴウンを飾るためのものかもしれない、か・・・」

「お望みとあらば、ナザリック全軍を持って手に入れてまいります」

後ろで控えていたデミウルゴスが答えた。

「そやね〜それもええなぁ」

私もその場のノリで答えた。

「ふっ、酒呑さんまでこの世界にどのような脅威があるかもしれないのにか」

「ウチは考えるんは性に合わんけど。モモンガはんにやったら力を貸してもええよ」

これは本心だ。

今まではナザリックの事は彼に回せっきりだったけどこれからは・・・

 

「ああ、そうだな・・・世界征服なんて、面白いかもしれないな」

 

「ッ!?」

 

その言葉にデミウルゴスがピクリと反応していたがモモンガさんは気づいていないようだ。

「フフ、モモンガはんもやっぱり男の子やねぇ〜」

そしてしばらく星を眺めながらこれからの事を考える。

 

「やはり、周囲に何もない中でナザリックは目立つな」

ふと、モモンガさんがそう呟いた。

「確かにそうやねぇ〜」

私も下を見ながら答えるとモモンガさんは何やら考え込んだあと

支配者としての態度を取りながら

「デミウルゴス、マーレに頼んでナザリックの壁に土を掛けて隠蔽しろ。それと周りにもダミーの丘をいくつか作っておけ。上空には幻術を使用して隠蔽しておく」

「そないに警戒せんでもええんとちゃうの?」

「いや、これは念のためです」

「ふーん。なら9、10階層にもシモベを入れよか」

そこでデミウルゴスが反応した。

「シモベ風情をあの神域に!よ、よろしいのですか」

「そや、どうやって侵入してくるか分からんしね。よろしやろモモンガはん」

私がモモンガさんに同意を求める

「ああ、私もそれを考えていた。それとデミウルゴスとアルベドで8階層を除くすべての階層をいれた警備システムを構築してくれ」

「はっ!かしこまりました。選りすぐりの精鋭かつ品位のある者を選びます」

デミウルゴスはすぐにどこかに連絡をしていた。

「では、頼んだぞ。私たちもこれで帰るとするか」

やっぱりモモンガはんはしっかりしとるから頼りになるわ〜

 

そして私とモモンガさんは転移でナザリックに戻っていた。

 

 

ちなみにこの後、ナザリックに帰ってきた私達は二人揃ってセバスに怒られた。

一応、私は至高の御方なのに・・・

どうか、外出の際は護衛を付けるようにと必ず連絡をするようにと言われた。

怒ったたっちさん見たいに怖かった。

怒られてる最中は何とか顔はニヤニヤ顔で通せたから酒呑童子としての威厳も保てたはずだ。

 

でも・・・

 

なんか、締まらんわ〜

 

 

 

 

 




さて、次はカルネ村かな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 改めて

皆さん、fate apocalypseイベント
周回はかどってますか?
私はフレンドの孔明先生のおかげで無事にほぼ交換分は終わりました。
あとは採取戦だけ

でも、羽根と杭が落ちないよー
私は悲しい。。゚(゚´ω`゚)゚。


side酒呑

セバスの説教を何とか乗り越えた私とモモンガさんは一旦別れて休もうということになった。

そして私は第七階層に茨木達を待たせてあるのでそちらに転移して向かうことにした。

 

 

「酒呑童子様、お待ちしておりました、でござる」

転移してすぐに千代女がやってきた。

どうして私が転移して来たことが分かったんだろうか。

私は疑問に思いつつ、千代女とたわいない話をしながら羅生門へと向かうことにした。

私と話している間、千代女は終始笑顔だった。

それをとても微笑ましく思ってしまいつい頬が緩み顔がニヤケてしまう。

私が100年くらい前のゲームで知ったキャラとはだいぶ違うけど。

自然に動く表情や仕草、改めて見るとやはりこの子達は生きているのだと実感する。

そしてやはりこれは現実だと確信が持てた。

 

異世界転移か、昔のラノベに載ってたヤツみたいだ。

読んだことのあるものだと主人公たちは元の世界に戻ろうと努力するけど、実際にその状況になってみると戻りたいとは思わない。

現実だと誰も彼も私に向ける顔は下心丸出しの下卑たものばかりだった。

私は現実ではクラブのホステスとして働いていた。

あそこは本当に嫌な職場だった。

世界自体も汚いがそれ以上に人間の下劣さを欲深さを近くで見てきた私にとって、常に他人の顔色を伺い楽しくもないのに笑う自由とは程遠いものだった。

 

だから、私は帰る気なんてないここの方がずっと自由に暮らせるし、私の好きだったfateの酒呑童子として生きていける。

現実の仕事で飲む酒と今の酒の味は天地の差だ。

これが自由の味なのだろうか

 

 

そんな感じで歩いていると羅生門まで到着した。

「「お待ちしておりました。酒呑童子様」」

私が到着するとすぐに茨木と巴が跪いて待っていた。

先ほどまで横にいた千代女もその二人の列に加わり同じく跪いた。

茨木の敬語は何か辿々しいけどそれもまた可愛いとつい頬が緩んでしまう。

「みんな、改めておおきにな。ウチはこうしてナザリックに帰ってきた。ウチもこれからはこのナザリックの為に力を尽くすつもりや、そしてこれからは三人にもここの防衛だけやなくて、外にも行ってもらうことになるやろ」

そこで私は一旦、話すのをやめて三人を見る。

三人とも跪いたまま微動だにしない。

いや、茨木だけ微かに震えている。

「何や、茨木怖い?お外は?」

さっと茨木は顔を上げて

「そんな事はないぞ!いや、です。むしろ楽しみですらあるからな。これはむ、む、武者震いというヤツ、です」

少し強がってみせる茨木

「フフ、ならよかったわぁ〜 勘違いしてもうて悪いね。堪忍な。千代女と巴はどない?」

「拙者はどうも思いませぬ。酒呑童子様からの主命ならばどのようなものであれ完遂するのみでございまする」

それが忍びとして当然とハッキリと言う千代女

「私も特にはないですが、先のようにこの不明瞭な事が多い今の状況ならば守護者の方、おそらくデミウルゴス様が外に赴かれる事が増えるかも知れません。その時に備えてこの階層を臨時の指揮などについて話し合っておこうかと思います」

問題ないと言いつつも懸念事項を上げてくる巴

守護者が集まって忠誠を誓った時にモモンガさんが『素晴らしい』と言った時はおそらく今の私と同じものを感じたのだろう。

「よかった。ウチの期待通りや、これなら任せられるわ。後はデミウルゴスから指示が来るから今日の所はそれに従っといてな〜」

「わかったぞ!」

「はっ!了解でありまする」

「はい!了解です」

三人の元気な返事を聞き

「じゃあ、ウチは今日の所はこれで帰るわ。三人は頑張ってなぁ〜

あと巴、茨木の喋り方は玉座の間とかやないから今は堪忍したってな」

さっきから茨木の喋り方が崩れるたびに巴の目つきが鋭くなっていたからね。

そう言って私は転移した。

 

 

side千代女

拙者達の主人様が去ってから拙者達は少しの間、跪いたままだった。

はぁとため息をしてから最初に巴殿が立ち上がった。

「今回は寛大な酒呑童子様がお許しになったので何も言いませんが茨木いい加減、敬語やマナーもきちんと覚えてください」

「今、何も言わないって・・・いや、鬼である我がそのようなモノなど・・・ひっ」

茨木殿がいい加減な事を言う前に巴殿の眼力によって黙らせた。

「まぁまぁ待つでござる。何もモモンガ様の前で粗相をしたわけではないのでここは大目にみては」

これ以上は長くなると思った拙者はすかさず止めに入る。

そして巴殿が拙者を親の仇のような目で睨んで来た。

「何を甘いことを!貴女までそんな事でどうするのですか!このままでは近いうちに大きな失態をするかもしれないのですよ」

「そっ、それはそうでござるが」

「近頃、酒呑童子様はここナザリックを行ったり来たりを繰り返しておられた。それが今は帰ってきたと言われたのです。これはつまりもうここを離れないと言われたようなものです。ならばその信頼に答えることこそが我々の存在意義でしょう!それに千代女、貴女も不安に思ったことはないのですか!他の至高の御方のように酒呑童子様がここを去るのではないのかと」

巴殿がない今にも泣きそうな目で拙者に訴えてきた。

「そっ、それは・・そうでござる」

・・・私だっていつも不安だった。

酒呑童子様がここを出ていかれる度にもう帰ってこないのではといつもいつも不安だったし、何より怖かった。

 

もう私たちは必要とされていないのではと

 

だが、今日はずっと一緒いてくれた。

ここに来るまで拙者と一緒に歩いてこの階層の話などを聴いてくれた。

その間、酒呑童子様はずっと笑顔でいておられた。

そのお顔を見るだけで拙者は、私は胸の内が暖かくなるのを感じられた。

 

「だから、私達がしっかりとしないといけないのです」

「それは分かり申した。しかし今はそれよりアレを何とかした方が良いのでは」

と後ろを指差しながら

えっ!と後ろを振り返る巴殿、そこには

「ひっ・・ひっく、ひっく酒呑様がいなくなる・・ひっく、いなく・・」

茨木殿が泣いていた。

 

その後、巴殿と一緒に茨木殿を励ましてやっと泣き止んだ頃にデミウルゴス様がこちらに来られ拙者達に指示をくれた。

 

 

side酒呑

次の日、私はモモンガさんの部屋で固まっていた。

 

 

その視線の先には鏡の前でいないいないばあをするモモンガさんを見たからだ。

 

 




対して、進まなくてすいません。

ついにカルネ村に行ける


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 襲撃

FGOイベントが忙しくてあまり投稿できなかった。
あと、たくさん読んでくれてありがとう(≧∇≦)

ps.今回のイベント沖田さんのピックアップはないんですか


「何や、モモンガはん昨日の今日でもうアルベドとの間に子供作りはったん?」

とクスクスと笑いながら私は直径1mほどの鏡の前でいないないばぁの体制で固まっているモモンガさんに近づいた。

「なっ!こ、これは違う。これは遠隔視の鏡【ミラー・オブ・リモートビューイング】を使って外の様子を探っていたのだ」

遠隔視の鏡は指定したポイントを映し出す情報系アイテムである。

しかし指定した場所を写すだけで欠点も多い。

一瞬、敬語になりかけて横にいるセバスの存在に気付き支配者ロールに戻ったモモンガさん

「フフ、分かっとたよ。そないなことはね」

部屋に入って最初はモモンガさんのいないないバァに驚いたがすぐにそんなことではないと考え付いていた。

なぜなら彼はアルベドとそんな事をする度胸はないからだ。

昔から・・・

「まっ、冗談はこの辺にして、それよりもモモンガはんはもしかして昨日からずっとそうしとんの?」

「あ、ああ・・・そうだ」

モモンガさんの戸惑ったように答える。

恐らく私に罪悪感でも感じているのだろう。

本当に優しく、そして甘いモモンガさんに内心ため息をつきながら私はセバスの方を向き

「セバス、これからはモモンガはんが遅くまで仕事しとったら辞めるようにいいなはれ」

しかし、それは・・とセバスが言うよりも早く私が

「いいか。セバス、執事言うんはな。何も奴隷やないんよ。主人をより良い方向に導くんも執事の仕事。やから自分の意見や注意はちゃんと言ったらええ、分かったな。遠慮せんでええから」

「はっ!肝に銘じておきます」

再び、私はモモンガさんの方を向き

「と言うわけやさかいたまには休憩も入れなあかんよモモンガはん」

私がモモンガさんの肩に手を置きながら言うとモモンガさんも

「はぁ〜ああ、了解だ。だがようやくコレの使い方が分かったところでな、あと少しで・・・うん、これか千代女が言っていた村だな」

私がせっかく注意したのにモモンガさんは遠隔視の鏡の扱いに夢中なようだ。

男の子らしくて可愛らしくもあるので今回は良しとしよう。

そして千代女が見つけた村にも少し興味があったので私も覗き見るするとそこには森と一面の麦畑が広がる穏やかそうな村だった。

しかし村人だと思われる人々は何やら走り回っていた。

いや、走り回っているのは村人だけではないようだ。

「祭りか?」

「いえ、これは・・」

 

そこには騎士風の者達が村の人を血祭りにしているところだった。

 

村のあちこちで上がる血しぶきとここからは聞こえないが恐らく悲鳴も上がっているのだろう。

道端も血で赤く染まり、老若男女問わずあちこちに死体が横たわっている。

そんな一方的な殺戮の光景を鏡が映し出していた。

と私とモモンガさんが見ているとセバスが

「いかがいたしますか?」

「見捨てる。助けに行く価値もないからな」

とモモンガさんが即答で答える。

それが正しいのだろう。

千代女が見つけたあの村はナザリックからおよそ10kmは離れている放置しても問題はない。

あの騎士達がこちらに来るならその時は迎え撃つだけだ。

 

だが、こんな時あの騎士なら・・・たっち・みーさんならばどうしただろうか、おそらく・・・

 

「誰かが困っていたら、助けるのは当たり前か」

 

私は声がした方を見るとモモンガさんが一人、かつてたっち・みーがよく言っていた言葉をつぶやいていた。

「セバス、私はこの村に行く。ナザリックの警戒レベル最大限引きあげろ。アルベドに完全武装をして来るように伝えろ」

そしてセバスが了解しアルベドを呼びに行った。

「フフ、じゃあはウチは周りに伏兵がおらんか確認ともしもの時に援護に回れるようにするわ。あとモモンガはん、その顔は隠しときなアンデッドの顔は怖がられるかもしれんし、そやなくても一応顔は隠しといた方がいいんちゃう」

「分かりました。そうしておきます。では」

そう言ってモモンガさんは転移門【ゲート】で今にも斬りかかられている姉妹の元に行った。

そして私が一人残された後、すぐに戦斧を待ち、漆黒の鎧に身を包んだアルベドにモモンガさんの護衛を改めて頼むと

「言われなくともわかっております。ああ、モモンガ様から頼りにされるなんて・・・うふふ、ふふふふふ」

音程が狂ったような声が部屋に響く、そしてそのままモモンガさんの転移門に入り部屋を後にした。

その様子に若干引きつつ私はメッセージを使う。

『デミウルゴスか』

『はい。酒呑童子様、どうかされましたか?』

『ああ、実はね・・・』

私はこの経緯を説明してからデミウルゴスに村の周囲にいる伏兵を見つける部隊の編成とモモンガさんのサポートする部隊をすぐに向かわせるように指示を出す。

『モモンガはんの方は不可視化か隠密に長ける者を、ウチは伏兵を見つける方に回るから。そやね、10分で支度して第一階層の中央霊廟前に集合でウチは先に待っとくさかい』

私は一方的に要件を伝えてデミウルゴスとのメッセージを切ると指輪の力で先に中央霊廟に転移しておく。

 

待つこと7分ほど

 

そこにはデミウルゴスとアウラとマーレとそれとアウラの魔獣数体と八肢刀の暗殺蟲【エイトエッジ・アサシン】数体に茨木と巴と千代女が来た。

 

「すまんね。急かしてもうてでも今は速度優先や、アウラとマーレと八肢刀の暗殺蟲と魔獣達は先にモモンガはんと合流し、デミウルゴスと茨木と巴と千代女はウチと同じ探索側や」

一応、場合によっては命がけかの戦いになるかもなんやけど、みんな綺麗な目してるわ。そんな守護者達の姿に満足するように微笑んで頷いてから

「じゃあ、急いで向かうとしよか」

各員の了解の返事を受け各員が迅速に行動を開始する。

正直、探索側の人選を間違えているような気がするけど千代女のスキルと巴の目で何とかなるやろ。

 

 

 

モモンガさんが転移で来た森の近くまで来た。

アウラの魔獣に乗せてもらうことで何とかここまで短時間で来れた。

「さて、ここから各員別れて・・・」

「ちょっと待ってデミウルゴス」

「お待ちくだされ。デミウルゴス様、前方に何やら複数の気配があるでござる」

デミウルゴスが指示を出す前にアウラと千代女が待ったをかけた。

保険で来たつもりが本当に伏兵を見つけたかなこれは

「アウラ、千代女偵察に行ってくれるか?」

「「はい!」」

アウラはレンジャーで千代女はニンジャだ。この二人なら最悪離脱くらいはできるだろう。

それすら出来ない敵なら私のコレを使うかもだけど

私は腰にかけた瓢箪を触りながら考える。

 

 

少ししてからアウラが帰ってきた。

「うん?千代女はどないしたん?」

「はい、千代女はそのままあの集団を見張ってます。あと・・」

なるほど、確か千代女は気配遮断スキルを持ってたっけ。

気配遮断はその名の通り、気配を消すして姿を隠すスキル。

その効果は魔法の完全不可知化【パーフェクト・アンノウアブル】と同じくらいの隠密性を持っているがこの気配遮断の欠点は攻撃動作に入ると効果がなくなってしまうというモノで使うとしたら偵察が関の山と言われたスキルだ。

私が千代女のことを思いつつアウラの報告に耳を傾ける。

「ふーん。なるほどね。で、そいつらは自分らのことをスレイン法国の特殊部隊とか言うてか・・・」

さて、どうするかそいつらを捕まえるか無視するか

捕まえるメリットは情報が手に入る。

デメリットはそのスレイン法国を敵に回すかも・・・

うーん。

個人的にはそいつらを捕まえて情報を吐かせたい。

こんな時は・・・

「フフ、デミウルゴスどないしたらええと思う?」

意味深に笑いつつデミウルゴスに丸投げする。

するとデミウルゴスのメガネがキラーンと光った。

「クフフ、酒呑童子様もお人が悪いですね。しかしあえて申し上げるならばここは捕らえるのが最善かと」

「ええーー殺した方が速いよ」

とアウラが主張しそれに茨木が同意だと首を縦にふる。

「それでは情報が手に入らないだろう。しかしあの者たちを襲った場合、あの者たちの国を敵にするかもしれないがそれも問題ないのだよ」

「そ、そっ、それはどうしてですか?」

とマーレが聞く。

うん、私も分からないから教えてデミえもん

「そうだね。まず今回の敵は村を襲っている。そこにモモンガ様は介入された。つまり我々は表向きはその村を襲った賊を捕らえたという大義名分ができる。無論、相手はそれでは納得しないだろうけどね。実際にそうなのだから。まぁこれまで言った内容は相手が我々の事を知り得た場合に限るのだが・・」

それってつまりバレなければOKってことだよね。デミエもん

「まぁ、つまりはデミウルゴスの言う通りや」

「じゃあ、どうしますか?私がサクッとヤッてきましょうか?」

とアウラが聞いてくるがここは

「いや、ここはウチがヤルわ。これも試してみたいしなぁ〜」

と私が腰の瓢箪を指差して言う。

すると皆が納得と期待の表情で私を見てきた。

何だか胃が痛くなってきた気がする。

 

 

はぁ、ここは皆の期待に答えるモノを見せたいなぁ〜

千代女にはいったん戻ってきてもらい私は瓢箪の中の酒を一口飲んでから、吐息交じりに

「スキル【果実の酒気】発動」

私はふぅーっと息を吐く。

すると周りに甘い香りが私の前に広がっていった。

 

 




さて、謎の部隊に遭遇した酒呑達この先一体どうなってしまうのか。

次回、多分カルネ村に行けると思う。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 変装しよか

遅くなりました。

書いては消してを繰り返してました。
すいません。m(._.)m

ps.沖田オルタと以蔵さん無事引けました。
尊い諭吉さん二人の犠牲にね・・・



「何んやの、コレ・・」

私がスキル果実の酒気を使い敵の動きを封じようとしたが結果は予想外・・いや予想以上の成果。

 

というか敵が弱かった。

果実の酒気は広範囲に魅了状態と行動阻害と防御力ダウンなどのデバフを付けるスキルだ。

まぁ、魅了状態は低位の者にしか効かないし行動阻害と防御力ダウンの効果を期待して使ったのだが・・・

敵を見に行ってみると見事に全員酔っ払って寝てしまっている。

もしかして寝たふりかと疑って千代女に確認させたが本当に寝ているとのことだった。

魅了じゃなくて酔っ払って寝ているのはこの世界に来て効果が変わったのか?

いや、確か果実の酒気の効果の説明に相手を酔わせる的な文があったような気がするからコレのことだろうか。

これは後で確かめた方がいいかな。

「はぁ〜なんやのこの阿保共は少し期待したのになぁ〜」

ここに来る前の私の警戒心とかこれから死地に向かうんだといった覚悟を返して欲しい。

「まぁええわ。期待したことにはならんかったけど。取り敢えずコレ、運んどいてな」

私がそう言うとデミウルゴスがニヤりと頬を緩めてから『かしこまりました。』と言って茨木達を率いてナザリックに一度帰還した。

その時、『お一人では危険です。』と巴が苦言を呈してきたが守護者が近くにおるし、すぐにモモンガさんの所に行くからと言うと渋々引き下がってくれた。

アウラとマーレにはそのまま辺りの警戒などを頼んでから私は一人、暇になったので取り敢えずモモンガさんに合流することにした。

 

 

私が森を歩いてモモンガさんが向かった村に行く途中。

モモンガさんが最後に遠隔視の鏡で見ていた姉妹が生命拒否の繭【アンティライフ・コクーン】と矢守りの障壁【ウォール・オブ・プロテクションフロムアローズ】に包まれた中で二人してオロオロとしているのを発見した。

おそらくモモンガさんが魔法で守ったのだろうけど。

うーん。

どうするんでしょあの二人ナザリックに連れて帰るのでしょうか?

いや、だったらここに残す意味ない。

ここから二人まではまだ距離があるからおそらく私には気付いてない。

さてどうするか。

悩んだ末に私はモモンガさんにメッセージで聞くことにした。

 

『モモンガはん、そっちはどない?』

『ああ、酒呑さん。こっちは問題なかったですよ。むしろ敵が弱すぎて肩透かしくらった感じです』

モモンガさんの方も問題なかったようだ。

『ウチの方な。森に隠れとったヤツらを捕まえたよ。今デミウルゴスがナザリックに送った所や』

私が先ほどの事をモモンガさんを話しておく。

『本当に伏兵がいたんですね。それを捕まえるなんて流石ですね酒呑さん』

『まぁ、こっちも終わったさかい。ウチもそっちに向かうわ』

と私のことを話を終わるとモモンガさんが思い出したように

『あっ!そうだ酒呑さん。私はこれからアインズ・ウール・ゴウンと名乗りますね。こっちにも彼らが来てるかもしれないのでその道標として!』

『ふーん。そういう事はウチにも一言言うといて欲しかったわぁ〜』

と私は少し拗ねた感じでモモンガさんに嫌味を言う。

『あっ、そ、そっ、それは悪かったです。本当にすいませんでした』

まぁ、モモンガさんも悪気はないし今日のところはこのくらいにしよう。

『まぁ、その話はまた今度にしようか。それよりウチの前に多分、モモンガはんが張った結界に人間二匹おるんやけど。これどないするん?』

『ああ、そうでした。村の方はもう大丈夫なのでこっちに連れてきてくれますか』

・・・なんや、ナザリックに連れて帰るわけやなかったんやね。

ちょっと残念やわ。

『わかったわ。そんならウチが変装してからそっちに連れて行くさかいよろしゅうね〜』

念のため、私も変装しておく鬼がこの世界でどういう存在なのかは分からないけど見た目が同じ人間種の方があの姉妹も私を信用しやすいだろうと考えたからだ。

それに私はユグドラシルではよく酒呑童子のロールと言って弱小ギルドを襲っていたから私個人を恨んでいる者がいるかもしれないから顔は隠した方がいいだろう。

まぁ、モモンガさんがアインズ・ウール・ゴウンを名乗ってるから意味ないかもだけど・・・

『分かりました。よろしくお願いします』

 

 

そして私はメッセージを切るとアイテムボックスから特に装飾はないが指輪にルーンの文字のようなモノが彫られた指輪を取り出す。

課金アイテム【変化の指輪】だ。

この変化の指輪は異形種の者が町に入りにくいなどの苦情などを受けた運営が救済措置として導入されたアイテムだ。幻術によって見た目を人間種に化かすアイテムだ。

このアイテムの凄いのは顔や体などのパーツを細かく調整出来る点だ。

しかし、欠点は一度見た目を設定するとその姿にしか変化出来ない事とあくまで見た目しか変わらない為、看破系の魔法やスキルですぐにバレるので微妙なアイテムとされていたモノだ。

私はよくそれを使って人間種の町によく出掛けていたからこのアイテムはよく使っていた。

そのせいでよく異形種狩りに遭遇したけど。

まぁ、逆にPKしてやったが。

そんな思い出深いアイテムの指輪を私は装備する。

すると指輪から霧のようなモノが出て私の体を覆い数秒後には霧が晴れると見た目が大きく変わっていた。

身長は少し伸びて髪は黒から白髪で髪の後ろを黒いリボンで縛った状態にさらに鬼の特徴であるツノもなくなった。

「いや〜ちゃんと使えてよかった。よかった。あとはこれを着てと」

さらに私は今付けている装備を脱いでから別の装備を着る。

黒いマフラーに白い着物と袖口をダンダラ模様に白く染め抜いた浅葱色の羽織。

そして刀【菊一文字則宗】を腰にさしてこれで準備完了

全ての装備をした後、私は深呼吸して声を整える。

「よーし、これで完璧ですね。では、行きますか!」

 

 

「おや、こんなところでどうしたんですか?」

と私は白々しく思いつつ結界の中でオロオロしていた姉妹に話しかける。

私の声に驚いたのか一瞬、ビクッとしながらゆっくりとこちらを振り返った。

「だ、誰ですか!」

「お、お姉ちゃん・・・」

おそらく妹だと思う方は怖いのか姉の服を掴み、姉の方は勇気を振り絞り私に問いかけてきた。

ああ、このまま怖がらせたり脅かしたりしたい衝動に駆られるがここは我慢して

「ああ、そんなに警戒しないでください。私はオキタ、貴女達の敵ではありません。ここにはアインズさんと一緒に来たんですがその〜逸れてしまって」

えへへ、と頭をかきながら私が答える。

姉妹は私がアインズさんの知り合いだと知ると二人はホッとしたような顔をした。

これだけで信用するのはどうかと思いますけど。

今は都合がいいですが

「おっ!その様子だとアインズさんを知っているですね!良かったらここで何があったのかオキタさんに教えてもらえますか?」

その後、アインズさんの話を聞き終わった頃には二人ともすっかり私を信用し、村まで案内してくれた。

 

 

村の広場みたいな所に行くとそこにはモモ・・アインズさんとアルベドと大きな黒騎士いやデスナイトがいた。

デスナイトはおそらくアインズさんが作った者だろう。

どうやら向こうも私が来た事に気付いたようでこちらのほうを声をかけてきた。

「しゅ・・うっ、遅かったな。オキタ」

寸前で言い直したからまだいいですけどボロ出るの早過ぎですよ!

「遅かったな。じゃあないですよ!ヒドイですよ。オキタさん置いて二人で先に行くなんて!」

と拗ねた感じで言うとアインズさんは

「おっ、おお、すまなかったな。村が危うかったので先を急いだのだ」

「むーー、そう言われるとそうですけど」

と私がアインズさんと話をしているとアルベドがこちらを見ていたので私はアルベドにメッセージを飛ばす。

『すまんね。アルベド、これはウチのアイテムで化けとるだけやさかい上手いこと合わしてなぁ』

するとアルベドも声には出さず頷くことで了解だと示してくれた。

その後、アインズさんは村長とこの辺りの情報収集の為に話をしに家に入って行った。

アルベドは家の前で待機。

ウチは村人の葬儀の準備を木の陰で見ながら酒を呑んでいた。

 

その後、村長との話を終えたアインズさんに結構マジなチョップを頭にくらった。

嫌やわ〜そないに怒らんでもええやないの。

皆んなが必死こいて頑張っている中、私が酒を呑んでいることがそんなに気にくわないのだろうか?

・・・不思議やね。

 

と思っているとアインズさんに睨まれたのでおふざけはこの辺にして村に近づいている連中の相手でもしましょうか。

 

 

 

 




次回、ガゼフvsオキタ

オリジナルアイテム 変化の指輪(へんげのゆびわ)
幻術によって見た目を人間種に変えるが服装などは変わらない。
今回の酒呑さんは沖田さんの見た目に変化。


アインズ様が冒険者で変装してるし酒呑も変装させてみました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 オキタvsガゼフ

長い間が空いてすいません。
戦闘描写って難しいですね。





アインズさんにチョップされた頭をさすりながら私はアインズさんを睨むと

「人が情報収集してるのにお前は何をしているのだ」

あっ、コレはマジで怒ってますね。

「いやですね〜サボってる訳ないでしょ〜これは・・・人間観察?」

再び手を挙げるアインズさんを見て私は慌てて話をかえる。

「それよりも何かあったんですか? もしかしてアウラからですか?」

「ああ、実は・・・」

「アインズさんちょっと待って」

アインズさんと私が話をしている途中、村長が近づいて来るのが見てた私は一旦、アインズさんとの話をやめて村長の方を向いた。

「お、お話中に申し訳ありません。アインズ様、オキタ様」

「どうしたんですか。村長さん、あと私の事はオキタでいいですよ」

と何かに怯える村長を落ち着かせるように笑顔で答えた。

職業柄か男受けする作り笑顔はよく知っているのだ。

私の笑顔が効いたのか村長も少し落ち着きを取り戻し私達に用件を伝えてくれた。

何でもこの村に戦士風の者達が近付いているらしい。

まぁ、ようするにまた私達の力を借りたいのだそうだ。

その話を聞いたアインズさんは村人を村長の家に避難させて家の前にデスナイトを護衛としておいて私とアルベドと村長と共にその戦士風の者達を村の広場辺りで待ち受ける事にした。

実の所、その者達のことは村長が言いにくるよりも前には知っていたアインズさんにはアウラが私にはマーレがそれぞれその戦士風の男達の事をメッセージで知らせて来ていた。

そしてアウラにおおよそレベルを確認させた。

一番強い者でレベル30程度らしいのだ正直欠伸混じりに一掃できるレベルで村長が警戒している姿がひどく滑稽に見える有様だった。

 

 

服装や装備が統一されていない騎兵の集団が村へとやって来る。

報告で一応聞いていたがよく言えば歴戦の戦士、悪く言えば傭兵集団といった風に私には見える。

そして騎兵の集団は綺麗に整列してからその中の一番屈強そうな男が馬上から私達に声をかけて来た。

「私はリ・エスティーゼ王国、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ。この近隣を荒らし回る帝国の騎士達を討伐するために王の勅命を受け、村々を回っている者である」

その屈強な見た目にあった重々しい声が私達のいる広場に響き渡る。

馬上の男が戦士長ガゼフだと名乗ると村長が驚いたようだ。

その反応を見たアインズさんもその人物が本当に本物の戦士長なのかを尋ねる。

「どのような人物で?」

「確か・・」

「貴方が村長だな。横にいるのは誰なのか教えてもらいたい」

ガゼフの射抜くような視線がアインズさんと私達に注がれる。

先程から部下たちを宥めつつも決して警戒を解いてはいない。いつでも武器に手が届くようにな位置に手を置いている。

この一連の動作だけでも相手は技量を感じさせるかがどの道、私達の脅威には今のところ足り得ないと私は判断したが村長はそうではなかったようだ。

「・・・」

ガゼフの視線に完全にビビっているが隣の人には効果はなかったようだ。

「初めまして、王国戦士長殿。私はアインズ・ウール・ゴウン。そしてこちらがオキタとアルベドです。私達はこの村が騎士達に襲われておりましたので助けに来た旅の者です」

それを聞いたガゼフは馬から降りてアインズさんの前に来て頭を下げた。

「この村を救っていただき感謝の言葉もない」

その時、村長とガゼフの後ろの者達が騒ついた。

王国戦士長という地位に就くものが見ず知らずのそれも身元も分からない相手に頭を下げることに驚愕した。

かく言う私も驚いていたのだからこういった上の地位にいるものはもっと傲慢で高圧的なイメージがあったからだ。

「いえ、私も旅の最中でしてね。たまたまこの村が襲われているのを見つけただけで。それに報酬目当てでもありますから、お気になされず」

「いくつか質問に答えていただけますかな」

「構いません」

少し考え込んでからカゼフはデスナイトに指差して

「ではまず、アレは一体?」

「アレは私が生み出したシモベです。そしてこの村の襲った騎士たちの相手もアレにさせました」

「そうか。ではその仮面を取っていただくことは出来るかな」

「それは出来ません。アレが暴走する可能性がありますので」

アインズさんがそういう村長はギョッとした。

村で騎士たちを一掃したデスナイトの力を思い返したのだろう。

それを見たガゼフは

「どうやら取らないでいて頂いた方がいいようだな」

「ご理解していただき感謝します」

おそらくガゼフはコレが嘘だということに気付いているような気がする。

それからアインズさんとガゼフはこの村を襲ってきた者達は帝国ではないのではないかなどの話から今回の村を救ってくれたお礼と報酬についての話になっていた。

「いえ、報酬は村長からいただいているので」

とアインズさんは断っていたけど。

まぁ、正直この地域の通貨や相場なんて知らないからなんだろうけどしかし、私はこの時、いい事を思いついた。

「それでしたら、あの騎士達が使っていた鎧を買い取って貰ってはどうですかアインズさん」

と私が意見を言ってみた。

「そうだな。そうして頂くとこちらとしても助かる」

そこで私は思いついたイタズラを仕掛ける。

「それでもし、私にガゼフさんが勝ったらこの鎧をタダで渡すというのはどうですか」

「なっ!何言っているんだ。オキタ」

「まぁ、いいじゃないですか。アインズさん、王国最強の戦士と戦う機会なんてないですよ! ね!いいですよね!ガゼフさんも」

と笑顔で言ってみる。

 

 

広場に二人が向かい合う。

互いに木剣を構える。

周りの戦士や村人も皆が手を止めてこちらの様子を伺っている。

微妙な表情を浮かべた者や少女がどの程度やれるかを話す者、そのどちらもどうやっても勝敗は決まっているといった雰囲気だった。

しかしその考えは模擬戦開始直後に覆ることになる。

 

sideガゼフ

「ぬんっ!」

右脇腹を狙ってきた斬撃を手にした木剣で受け止め、そのまま押し返す。オキタはその力を利用しそのまま後ろに飛び退いた。

その後の追撃はなく再び互いに木剣を構え直す。

ガゼフは目の前のオキタという少女の評価をまた一段上げる。

 

最初はこの村を襲った騎士の鎧や装備の売る権利をあえて勝ち目のない戦いで放棄し自分たちに貸しを作るための方便だと思った。

しかし、この数度の剣を交えてそれは違うと理解した。

彼女は・・・

「いや〜楽しいですね。ガゼフさん、真剣じゃないのが残念ですよ」

楽しんでいる。

俺も久しく思う。

王国では貴族のしがらみやらで真剣勝負などいつ以来だろうか。

おそらくはあの男との勝負以来だな、と自嘲しながら目の前の相手と再び木剣を合わせる。

 

すでに模擬戦とは思えないほどの攻防をガゼフとオキタは繰り広げてきたそんな二人を仲間の戦士や村人も唖然と見ているような状態だった。

 

その後も何度か木剣を合わせて思い知る。

力では俺が優っているが速さはオキタの方が上と言ったところだなと俺が分析していると

「やっぱりガゼフさんは強いですね!なら、コレで決めさせてもらいます」

するとオキタは体を低くして構える。

明らかに突撃の構えだ。

だがこれまでの打ち合いでオキタのスピードを知っている身としては侮れない何が来てもいいように俺も木剣を構え直す。

実戦ならこんな攻撃を受けるような真似はしないがこれは模擬戦だ。

ならば、その技を見切ってみせる。

するとオキタもそれを見て笑みを浮かべる。

「フフ、じゃあ行きますよ!!」

予想通りオキタは真っ直ぐこちらに突撃してきたがそのスピードは先程よりは格段に速い。

風の如しとはまさにこのことなのではと思えるほどだ。

なかなか速い。だが、見えないほどではない。

俺は右に飛んで回避する。

ここが狙いだ。

攻撃した後、攻撃を外した時は必ず無防備になるそこを叩く!

「武技、流水加速!」

しかし、俺が見たのはオキタの背中ではなく、こちらに迫るオキタの木剣だった。そこで自分が思い違いをしていた気付くオキタの攻撃はまだ終わっていなかったオキタはあえて最初の攻撃を外し俺を通り過ぎた直後に方向転換してこちらに攻撃してきたのだ。

この僅かな打ち合いで俺の技量を完璧に把握する分析力に驚嘆に値するがこの程度で終わるほど王国戦士長の座は伊達ではない!!

普通ならこの体勢からオキタの攻撃を回避することは不可能だろう

しかし

「武技、即応反射!!」

急に体制が整えた俺にオキタは驚愕の表情に変える。

それを好機と見て俺は体勢を立て直し迫るオキタの木剣と俺の木剣をぶつける。

そしてバキっと音を立ててオキタの木剣が折れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 これからについて

明日FGO新イベント、おにらんど楽しみですね〜

前回のイベントは仕事が忙しくてギル祭も180箱くらいしか開けられなかった。
次のイベントは頑張りたいですね。
(*≧∀≦*)


「そこまで!」

 

私の木剣が折れた・・いや折った時にアインズさんが丁度止めてくれた。

 

「「「おおおおおおおお!!!」」」

 

そしてようやく状況を理解した隊員達の歓喜の声が上がる。

自分たちとの訓練では決して見れない隊長の本気を引き出したオキタを称える声も上がる。

 

私としてはもっと戦いたかったけど何度も念話【メッセージ】でもうやめろとアインズさんがうるさかったので模擬戦をさっさと終わらせるためにスキル腐蝕の手【フショクノテ】を使ったのだ。

腐蝕の手の効果は触れたモノや武器に酸ダメージと武器耐久度を下げるという単純なモノで接近戦を好む私がよく使っていたスキルだ。

まぁ高位の武器や防具にはこういったスキルに対する耐性をつけておくのが当たり前たのであまり効果は効かないのだが今、私が使っている木剣程度なら余裕で劣化させられる。

それを使いガゼフの木剣と私の木剣が当たる直前にスキルを使い私の木剣が折れるように仕向けただけだ。

 

「素晴らしい模擬戦でした。戦士長殿」

と拍手を送りながらこちらに向かってくるアインズさんとアルベド

「はぁはぁ、いやこちらも久々にいい経験をさせて貰った」

呼吸を乱し顔を紅潮させたガゼフに歓声を背にアインズさんが近づいてくる。

「オキタも見事だったぞ」

「いや〜最後のアレを防がれるとは思いませんでした〜」

といかにもな事を言っておく。

「では戦士長殿、鎧一式は村長の家に置いてありますので、どうぞお受け取り下さい」

 

私とガゼフの勝負が終わってからの流れは早かった。

鎧一式と何人かだけ残った村を襲っていた賊を連れてガゼフの部隊は報告のためにすぐに王都に向かって出発した。

 

ガゼフ達を見送った後、ある程度瓦礫の整理やら処理を終え村が全体的に落ち着いてきたのを確認してから私たちはカルネ村を後にした。

帰る時は村人総出で見送ってくれた。

おそらくは村人にアインズさんが提供した最下級のポーションによって村人を回復して回ったのが効いたのだろう。

何人か村人からはアインズさんを神聖視するような者もいた。

まぁ、偶然助けた村だがナザリック近くの村と友好関係を構築できたのはいいだろう。

さらに王国戦士長にいい印象を与えられたので結果的にはかなりの成果だろうし、それに先ほどナザリックに送ったヤツらから情報が取れれば・・・フフフ、考えるだけで自然と笑みが溢れてしまう。

 

 

○●○●○●○●○●○●○●○

 

 

「皆の者、面を上げよ」

 

玉座の間に集まったナザリックの守護者達がその言葉で顔を上げる。

今日、このナザリックの玉座の間には玉座にモモンガが座り、隣に酒呑童子がいる。守護者統括であるアルベドが正面におり、その後ろに守護者がさらに後ろにはその守護者が連れてきたシモベ達が綺麗に並び、皆がこれからくるであろう偉大なる恩方の言葉を今か今かと期待の込めた輝きが宿っている。

そして本来ならこの玉座の間は神聖な領域でシモベなどは立ち入る事すら許されないが今回の発表は今後のナザリック全体において重要なモノになるのでシモベ達にも通達するためにこの場に集められた。

 

「まずは、今回、私たち二人が無断で先行した事を詫びよう」

 

開口一番、自分たちの主人からの謝罪の言葉に皆がお気になさらないでくださいと声を上げそうになるがそれを我らが主人が手を挙げたことで守護者とシモベ達は口を噤む。

 

「我々の当面の目的が決まった。そしていくつか伝えなくてはいけないことがある。私は名を変えた。これより私はアインズ・ウール・ゴウンと名乗る。これは我が友。酒呑童子からも快諾してもらっている」

 

おおっ!と守護者やシモベから驚愕と納得したような声が聞こえた。

そしてアインズ・ウール・ゴウン万歳!とシモベたちがアインズさんを讃える声がする。

適度なところで手を出すと波のような声援がピタリと止み静寂が場を支配する。

「どうやら、反対するものはいないようだな。詳しい話はアルベドから聞くように。この場においては基本となる方針のみを告げる!」

 

全ての守護者、シモベが息を呑む。

そしてこれからくる厳命がたとえ、どれほど困難なモノでも必ず成し遂げてみせるというような覚悟を感じさせる眼をしていた。

 

「全ての伝説を、全ての英雄を我らの名で塗り潰せ!数多の手段を用いて知らぬ者がおらぬように!今はまだその準備段階だが必要な時にはその力を存分に振るってもらう!そしてアインズ・ウーン・ゴウンの名を天へ地へ知らしめ、永遠不変の伝説にせよ!」

 

アインズさんは右手に握られたギルド武器、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを高らかに上げた。

それに呼応するようにシモベ達が雄叫びを上げ、万来の喝采が玉座の間を包み込んだ。そんな歓声の中、私は一人想う。

あの言葉にはおそらく他にも此処に来ているかもしれない仲間達の事を思ってなのだとすぐに分かった。

彼は・・・まだ、諦めていないのだと。

 

バサァ!!

とマントを翻す音がする。

そしてアインズさんから今日はもう疲れたので休むとメッセージで言うとすぐに転移で玉座の間を後にした。

疲労のないアンデッドでも大勢の前で喋るのはやはり堪えるらしい。

 

・・・でも、最後のマントをバサァってヤツはカッコ付け過ぎとちゃうの?

あの人は自分が作った黒歴史【パンドラズ・アクター】を何や言うてるけどそれって今も対して変わってないと思ってしまうのだがそれはどうなのだろうかと考えてしまうがこれはこれでオモロいから黙っておくとしましょう。

「ほんなら、ウチも今日はお暇させてもらいましょうか」

私もアインズさんに習い転移で玉座の間を後にする。

 

 

未だ興奮冷めやらぬ者達に今後の方針を告げるべくアルベドが手を叩き、この場の者たちの目耳を集めた。

偉大なる恩方の言葉によって興奮してはいてもこのナザリックにおいて、またこの後の事を考えるならば今、守護者統括の話に耳を傾けない者はナザリックにはいないだろう。

 

「皆、聞いた通りよ。アインズ様の計画の為に万全の準備を整えることが忠義の証だと知りなさい。それとデミウルゴス、例の話を皆に」

「畏まりました」

デミウルゴスはスッと一歩前に出てメガネを持ち上げ直した。その一連の動作の間にこの場は静寂が支配した。

 

「アインズ様と酒呑童子様が共に月夜をご覧に出られた時、私はお側に控えていました。そしてアインズ様が『私達がこの地に来たのは、この誰も手にしたことのない宝石箱を手に入れるため』と仰ったのです。さらに『世界征服なんて面白いかもしれない』とね!」

デミウルゴスはその時のことを思い返すだけで心が躍るようだ。

 

「皆、聞いたわね。ナザリックの最終目的はこの宝石箱を、いえこの世界をアインズ様と酒呑童子様に捧げることだと知りなさい」

 

そして再び歓喜の熱気がこの場を包む。畏れ多くも至高の御方の御考えを一部とはいえ理解することができたことへの感激とこの世界を供物として捧げるこという新たな役割を頂いたからだ。そんな固く結ばれた結束を見越していた至高の御方に更なる敬意を抱くデミウルゴスと他階層守護者達も歓喜に身を震わせた。

 

 

 

○●○●○●○●○●○●○●○●

 

 

「えっ?冒険者になりたい?」

次の日、アインズさんから話があると言われてアインズさんの部屋に行って開口一番にそう言われた。

「また、急やね〜 どないしたん?」

わざわざメッセージではなく部屋で話たいというからR方面かまたはナザリックの今後の話かと思って覚悟していたのに。

というか、この人にはR方面な展開をする度胸なんてないだろうけど

「まぁ〜訳はありますよ。今後の大まかな方針は昨日のヤツで宣言しましたけど、私達はこの世界の事をあまり知らないじゃないですか」

「そらそうやけど。ウチが昨日捕まえた連中から大雑把な事は分かったやろ?」

そう、昨日の私が玉座の間から出てアイテムの整理をやっていると千代女が私に部屋に来て昨日の尋問?の結果をまとめたモノを私に届けに来たのだ。

その報告書が結構分厚くて全て読むのにかなり時間が掛かったお陰であまり昨日は眠れなかったくらいだ。

「でも、捕まえた奴らに変な魔法が掛かってたって報告書で合ったじゃないですか。だから外に出て生の情報を取るべきだと思うんですよ」

確かにそうだ。

捕まえた奴ら、確かニグンとか言う奴が隊長だった。

そのニグン達は3回質問に答えると死ぬという呪いのようなモノが掛かっていたらしい。

簡単な質問で一番情報を持つだろうニグンは死んでしまったのは惜しい事をした。

なので他の隊員には千代女が巫女のスキルでその呪いのようなモノを解除して以降は問題なく情報が取れたらしい。どうやって情報を取ったのかは聞かなかった。いや、怖くて聞けない。

 

「確かにそやね〜 情報は大事やからね」

「そうでしょう、なので〜」

 

「で?本音は?」

 

「えっ?!」

アインズさんはビクッと肩を震わせた。

「えっ?やあらへんよ。ホンマは外に出たいだけやろ?」

「・・・」

「まさか、ウチらだけで外に出れば気晴らしになるとでも思てはんの? いや、ウチはそれでもええけど他の守護者、とくにアルベドが許すとホンマに思てはんの?」

「デスヨネ〜」

そのことは分かっていたのかアインズさんも肩を落とす。

「まぁ、ここにおったら支配者ロールでおらなあかんから息がつまるのも分かるけどなぁ〜」

「そう!そうなんですよ!!」

 

その後、私とアインズさんが話し合ったが結局いいアイディアは出ず、もう守護者達を呼んでアインズさんが外に出ると発表したところでデミウルゴスに適当に投げれば何か上手くいくのではということになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ネーミングセンスが欲しい。
(´∀`=)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 冒険者の装備

二部三章くるのか楽しみですね。


俺の財布はアビーを宝具4にして寒いですがww
そしてウチのカルデアにナタは一人も来ない



その後、デミウルゴスに投げたら何とか上手くいった。

1番の問題であり壁であったアルベドも何とか抑えることもできた。

そのあと守護者達を持ち場に戻した後、私達は自分達の策が上手くいったと喜び合っていた。

 

「いや〜本当に上手くいきましたね!」

「ホンマやわ〜もうぜ〜んぶデミウルゴスに任せたらいいんとちゃう」

「いやいや、それは流石に」

流石にそれはとアインズさんが言い淀んだ。

「フフフ、嘘やウ・ソ。それにウチもやりたい事思いついたし」

と、私がそう言うとアインズさんは興味を引いたのかその話しに食いついてきた。

「それって何ですか?」

「うん、それはな。ウチも最初はアインズはんと冒険者やろうと思うてたけどな〜 それやとアインズさんの言う情報を手に入れやすい地位に就くまで時間かかるやろ?」

アインズさんは何もナザリックから出たくてあんなことを言い出した訳ではないだろう。

一応、外の情報を得るために冒険者になろうとしているがその情報が得られるにはおそらくかなり上の地位が必要、つまりはアダマンタイトくらいにならなければならないだろう。

いくら私達がこの世界では破格の強さを持つとしても強さをセーブした状態ではそれなりに時間がかかるだろう。

「確かにそうですね。依頼をある程度こなさないといけないですし、他の冒険者の関係を深める必要もありますし、時間はかなり掛かるでしょうね」

「だから、ウチは別行動でアインズはんが活躍できるようにサポートするわ」

とここまではそれらしい言い訳をするが本当は面倒くさいというのも理由の一つだ。

報告書で冒険者とは要するにモンスター専門の傭兵の様なものだ。

私達がプレイしていたユグドラシルの未知を求めるとは大きくかけ離れたモノ。

それに報告を聞く限りこの世界全体のレベルはかなり低い。

この後、アインズさんと冒険者をやれば自分のレベルや力をかなり抑えないといけないだろう。前のガゼフとの模擬戦のように力を抑えて戦うなどつまらないし、面白くない。

 

そう、面白くないのだ。

 

ならば、アインズさんが活躍できるように裏から暗躍した方がよほど面白そうだ。

というかその黒幕ぽい感じに魅力を感じる。

「なるほど、確かにそうですね。ならそっちは任せてもいいですか?」

「ええよ。それで、アインズはん、その冒険者用の装備はどないするん?」

今のアインズさんの装備は神器級【ゴッズ】だ。

しかしこの世界では私たちの装備はかなり目立つのではと私は思っていたが、どうやらアインズさんもそれは懸念していたようで少し考え込んでから

「うーーん。そうですね〜ある程度は低ランクで固めようとは思いますけど。あまり低すぎるといざって時に困るので・・・そうですね。やっぱり聖遺物【レリック】クラスで固めようかと思います」

ほほう!それならアレらの装備がいいかもしれない。

と私は笑みを浮かべる。

「ほんならウチが昨日、アイテム整理で見つけた装備貸したろか?」

「ええ!!いいんですか」

フフフ、これで前から考えていた装備をアインズさんにしてもらえると私も内心笑みを浮かべる。

 

 

「さぁ、アインズさん!さっき教えてセリフをどうぞ!!」

アインズさんが私の渡した装備を身につけて私の前に立つ。

その光景に私はいつもの口調も忘れるぐらい今、興奮していた。

今のアインズさんは完璧なる戦士【パーフェクトウォーリアー】によって装備することができるようになった漆黒の全身鎧、鎧の胸辺りと肩に骸骨の装飾がしてある。

そうあの人の装備だ。

「晩鐘は汝の名を指した・・・てっ何やらせてんですか!!」

セリフの途中でアインズさんは持っていた剣を床に叩きつけた。

「なしてそないに怒ってはる?カッコええやろソレ」

「何ってこの鎧のデザインですよ!何ですかコレ! 完全に悪役かなんかでしょ!」

「悪役なんて失礼やわ〜 これは由緒正しいとある暗殺者の鎧やで」

「コレのどこが暗殺者ですか!」

とアインズさんは鎧を指差しながらに言う。

「そないなことあらへんよ。その鎧には気配遮断スキルに無音スキルも付いてるしさらに即死確率上昇も付いてるんよ。そして剣には即死効果も付いてるからあながち間違いやあらへんよ」

「いや!なら余計に今回の冒険者の装備としてはダメでしょ!何より1番の問題は何で顔が剥き出しなんですか!」

「そら、そのスカルフェイスの方が死を告げる騎士って感じでカッコええからや」

私がそう言うとアインズさんは肩を落としてからとにかくコレは却下ですと言って装備を脱いだ。

「カッコええけど、そうやね。人間の街に行くんやからコレはないか、でもホンマに惜しいわ〜 まぁ、気い取り直してコレ着てみて」

と言ってた私は次の装備をアインズさんに渡そうと手を出すがアインズさんが大丈夫なのかと目で訴えかけてきている気がした。

「そないに疑うような目せんといてなあ、まぁ目なんて今のアインズはんにはあらへんけど雰囲気で分かるよ。それに次はこの変化の指輪も貸したるさかい。早よ、これ着てな」

と渋るアインズさんに次の装備を渡した。

 

 

そして気を取り直して次行ってみますか。

「じゃあ、アインズさん、教えた通りにやってみて下さい!」

次にアインズさんが装備したのは先ほどの全身鎧とは違い私達が生きていた時代よりも古いおそらくは17世紀あたりの軍服に身を包み、自分の背丈よりも大きな大砲を持っていた。

さらに大きな違いがアインズさんの顔が骨ではなく人間のそれも気風の良さと男気の良さを合わせ持つ、これぞ快男児と言った男の姿がそこにはあった。

「呼んだかい。ああ呼んだよ・・・な」

セリフと途中でアインズさんが私が渡した大砲を私に向ける。

 

「・・・なしてアインズはん、ウチにその大砲向けてはるん?」

「・・・」

「もしかしてアインズさん、おこ・・・」

私が言い終わるよりも先に

「虹よ、虹よ!今、可能性の橋を架けろ!ソラを往けーー『凱旋を高らかに告げる虹弓【アルク・ドゥ・トリオンフ・ドゥ・レトワール】』!!」

この人、さっき教えたセリフでマジで撃ってきましたよ!!

迫り来る虹色の閃光。

この攻撃はマジでやばいですって!

あの大砲は貫通力に力を入れた武器で威力だけなら伝説級に匹敵する。

その代わり使用者に移動速度が大幅に下がるというデメリットがあるが・・・

武器の性能を思い返している間に虹の光が私の目の前に・・・

 

 

ドーーーン!!!!

そしてナザリック9階層中に爆発音が響き渡った。

 

その後は大変だった。

アルベドとセバスが部屋に飛び込んでくるわ。

さらに守護者とプレアデス全員がこの部屋に次々と駆け込んでくるわ。

その騒ぎによってナザリック全体の警備レベルが最大限に引き上げられるなど大騒ぎになった。

ちなみに先ほどの砲撃は私がマトリックス回避でなんとかスレスレで躱し何とか無事だった。

ある意味、始めてこの身体の性能に助けられた気がした。

 

 

「「はぁ〜やっと終わった」」

セバスの説教がようやく終わりお互いにため息をついてから向き合った。

あの後、メイド達がアインズさんの部屋を片付けてから何とか落ち着くことができるようになった。

「全くアインズはんがあないなことするさかいにこないに大騒ぎになってしもうたやないの」

と私が不満を口にする。

「いやいや、酒呑さんが冒険者の格好を無視した装備を渡して俺をオモチャにして遊んでるからじゃないですか」

「少しは女の洒落くらい笑って見逃せる度量をみせはってもええんとちゃうのそこは」

と少し言い合いになってしまった。

 

 

その後、アインズさんは全身鎧はカッコいいので戦士として冒険者登録してきますとなった。

ちなみに私は変化の指輪のみをアインズさんに貸すことになった。

 

 

 

 

 

 

 




ギャグ回にしてみました。
あと、話があまり進まなくてすいません。
もっと早く投稿したいけどやはり時間がないですね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 馬車の旅

年内に書きたかったけど無理でした。
あと、今回は短いです。





城塞都市エランテルを出た近くの森を一台の馬車が走る。

その馬車は非常に精密な細工が施された美しい馬車だ。

それにただ美しいだけではない馬車のスプリングに相当する部分が非常に優れているのか車内はもちろん乗り手にも僅かな振動しか与えないほどだ。

そんな馬車は驚くほどスムーズに彼等を目的地へと運ぶのだった。

馬車を操る男はその先を思い笑みを浮かべていたがその先が彼らの思い通りにいかないとはこの時の男、ザックは思いもしていなかった。

 

 

「それで〜ウチらの罠に獲物は引っかかったんやね〜ホンマ、良かったわ」

「はい。全てはアインズ様と酒呑童子様の計画通りかと」

今、私は馬車に揺られながら森の中を移動している。

メンバーは私とシャルティアとセバスと茨木とソリュシャンと馬車の屋根の上に気配遮断した千代女だ。

正直、警戒くらいなら馬車の中で警戒用のアイテムを使えばと思ったが千代女のやる気を削ぐのも悪いし使用していない。

また本来ならシャルティアの侍女たるヴァンパイアブライドを連れて行く予定だったが馬車に乗り切れないし不意のユグドラシルプレイヤーとの戦闘では盾にもならないので連れてはいない。

ちなみに一人留守番になった巴は涙目で私達を見送ってくれた。

これには理由があるのだ。

バカな貴族のお嬢様演技でソリュシャン、執事にセバスは必須だし、忍としての能力と感知役に千代女。

万が一の逃走用にヒャッキヤコウのスキルによって妖怪系モンスターの大量召喚によっての盾役に茨木という編成になったのだ。

それに第七階層の守護者、デミウルゴスは今、ナザリックの外に出ていて巴以外に第七階層をまとめられる人員がいなかったというのもある。

まぁ帰ったら巴に優しくしてあげようと心に誓いつつ私たちは出発して今に至る。

 

「当然であろう。セバスよ、酒呑童子様が立てた計画だ。うまくいくに決まっておろう」

とさも自分のことのように威張る茨木。

いや、私だけの策じゃないだけどと内心ため息をつきつつ。

「フフフ。茨木そんな言い方したらあかんよ。これはアインズはんの策でもあるし、それにさっきナーベラルからアインズはんの方は森の賢王とかいう魔獣を捕まえて冒険者として名を早速高めたらしいわ」

おお!と皆が早速、成果を上げたアインズさんに驚きと賞賛の声が上がる。

「おお!さすがアインズ様、早速成果を上げられるとは」

 

 

その後は、シャルティアとセバスの会話に私は耳を傾けていると昔のペロロンチーノさんの話になると私は頭を抱えそうになったり、ぶくぶく茶釜さんの職業が生命創造系だとかの話を聞いていると千代女からメッセージが入った。

『酒呑童子様、そろそろ餌が我々の罠に食い付くかと思われます』

『分かったわ。そんじゃあ千代女も引き続きあたりの警戒よろしゅうな』

『はっ!了解でありまする』

と千代女との短いやり取りを終える。

「ほな、シャルティア、セバス。そろそろ餌が食いつくみたいやわ。手筈通りよろしゅうな」

すると先程まで楽しそうに話していたシャルティアの「了解でありんす」と優雅に返事をしてセバスは真剣な顔つきで頷いた。

 

 

近くの森から出てきた野盗達、総勢10名が馬車を半円状に囲むように包囲していた。

装備はどれも統一感がないが一応武器には手入れをしてはいるようだ。

馬車の反対側はザックが開かないように細工をしている。

「おい!!さっさと出てこい!!」

と野盗達が騒いでいる。

皆が皆、手に武器を高らかに上げ馬車の中にも見えるようにしている。

その顔はこの後のことで頭の中が邪な欲望を浮かべていることは明らかな下卑た笑みを浮かべていた。

すると馬車の扉が開いた。

馬車から出てきたのはこの辺りでは見かけない格好をしたとても美しい少女がいた。

この場にいた野盗の皆が少女の美しさに目を巻かれた。

そして艶やかな少女の声が響いた。

「へぇ〜以外にようさん集まったんやね〜 うち、嬉しいわ〜でもさっさと仕事終わらそうか」

と最後に一言言い終わり少女の目が一瞬紅く光ったと思った次の瞬間、小汚い男一人を残して全員が糸が切れた人形のように倒れた。

哀れなことにただ一人倒れなかった男、ザックはソリュシャンに誘われて森の奥へと連れて行かれた。

 

 

「どないやったソリュシャン」

森の奥からソリュシャンが満面の笑みを浮かべて戻ってきた。

そしてすぐに跪こうとしたのでそれを手で制した。

ソリュシャンは一瞬悩んだが私を待たせるのはマズイと判断したのかそのまま、私に報告してくれた。

「はい。私のわがままを叶えてくださってありがとうございます酒呑童子様」

「ええよ、ええよ。これくらいのことなら・・・さてシャルティアの方も終わったみたいやね」

そう、私は事前に馬車の操縦をしていた男をソリュシャンが欲しがっていたのでその男、名前は聞いていないし興味もなかった男以外の野盗をスキル果実の酒気で眠らせてからシャルティアにゲートを開かせてセバスと茨木に野盗達を運ばせたのだ。

正直、野盗相手にこんなに警戒することはないと思うがアインズさんが『もしかしたら酒呑さんが野盗の相手をしている間にプレイヤーに襲撃させるかも』と言い出したのでこうして私が速攻で野盗を眠らせてから辺りを私と千代女で警戒するという流れになったのだ。

そしてようやく全ての野盗をナザリックに運び終わったシャルティアとセバスと茨木がこちらに向かってきた。

「酒呑童子様、全ての作業を滞りなく完了しんした」

「ご苦労さん、シャルティア、セバス、茨木ほな次に行こか。あの野盗のアジトも聞き出したんやろ?」

私の質問に答えたのは意外にもシャルティアではなくセバスだった。

「はい、それは私が既に聞き出しております。酒呑童子様」

おそらくシャルティアの血の狂乱が発動するのを避けるためにセバスがスキルを使って聞き出したのだろう。茨木にその手のスキルはないし。

 

 

 

あの後、私達は一旦別れることにした。

セバスとソリュシャンは当初の予定通り王都に向かってもらった。

念の為、茨木もそれに同行させてた。

本人は凄く渋々といった感じだったがこれからの任務は基本、隠密行動が厳守になるので派手な攻撃が多い茨木には向かないというのもあり遠慮してもらった。

そして今現在、シャルティアと私の二人きりだ。

ちなみに千代女にはこの辺り一帯を調べてもらう為に別行動してもらった。

もう一度言う私は今、シャルティアと二人きりだ。

 

・・・アレ?

もしかして私・・・ヤバイのでは?

 

そういえば先ほど私と千代女とシャルティアの三人で移動していた時も何やらチラチラと視線を感じたのはそういうことだったのかと今更ながら怖くなってきた。

千代女は周囲の確認に行かせてからまだ5分と経っていない。

つまり、助けは来ない。

今更ながら少し身の危険を感じた私の取った選択は

「シャルティア、あそこが野盗のアジトらしいわぁ〜 今度はシャルティア一人でやってみぃ。あと血の狂乱は発動させんようにな」

シャルティアを遠ざけることだった。

 

ごめん。シャルティア

やっぱり君は怖い。

 

 

 

 

 




下がる評価は気にしない。

どうか。私に文才をください_:(´ཀ`」 ∠):


次回、面倒やさかい・・・以下略


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 面倒やさかい・・・以下略

凄く時間が空いてしまいました。

すいません。




シャルティア(私の貞操の危機)が野盗のアジトに向かわせて私は一息ついていた。

「はぁ、退屈やわ〜 なぁ〜そない思わん千代女。ウチの退屈紛らわしてくれへん?」

と私は瓢箪の酒を呑みながら言う。

シャルティアが行ってすぐに千代女も気配が近づくのを私は感じ取っていた。

「はっ!退屈は紛れるか分かりませぬが少し酒呑童子様に御報告したきことが御座いまする」

「?」

私は首を傾げる。

 

 

千代女に案内されて来た場所は野盗のアジトからさほど離れてはいない所だった。

私と千代女は少し高い木の上から森の中を進んでいる集団が見ている。

「あれが千代女が言うてた奴らなん?」

「はい。そうでございまする。あれなる者らは明らかにこれまで会った誰よりも装備の点で他よりも優れていると思い。こうして酒呑童子様が直接見て判断されるべき案件と思いご足労願いました」

確かに千代女の言う通りあの集団は明らかに他の雑魚とは違うだろう。

それにあの集団の真ん中の婆婆が着ているモノは傾城傾国だ。

傾城傾国はとあるミスコンイベントの優勝者が貰えたワールドアイテムで私はそれに参加して8位だったのは苦い思い出だ。

どいつもこいつもそんなに巨乳好きか!と怒りを爆発させたっけ。

参加者数が10000を超えた大会で8位なら凄いじゃないですかとかギルドのイメージが悪いせいで酒呑さんが悪いわけじゃないとギルドの皆に励まされたっけ。

おっと思考が逸れた。

その傾城傾国の効果は完全耐性を突破しての魅了だったと思う。

この世界ではゲームの内容や効果が現実になっている今はこの効果は強力だ。

 

だがおかしい点もある。

あの集団は何というか強そうな感じがしない。

これはあれだろうかワールドアイテムをわざと弱い連中に持たせて出てきたプレイヤーを狩るという作戦か?

ならば本命のプレイヤーは近くにいるはずだ。

でもそれなら千代女が無傷で帰ってきたのは何故だ?

まだこの世界のことは大まかにしか分かっていないが千代女はこの世界ではかなりの強者に分類されるはず、それがなぜ無傷で私の元まで帰ってこれたのか?

いや、これは千代女の後ろにいる存在、つまり私を引きずり出すためにあえて見逃した?

でも、それはそれでおかしい仮にも私はマスターアサシンの職を持っている。ガチ探知系職には劣るがそれなりに探知能力には自信があるつもりだ。

となるとその私の探知を上回る探知対策に力を入れたプレイヤーか?

いや、それだと戦闘職の相手には対応できないから・・・

とああでもないこうでもないと頭を働かしていくうちに

「面倒やさかい。まとめて蕩かし・・いや、アレ奪うてまおか」

「よ、よろしいのでございますか?酒呑童子様、ア、アインズ様からは極力目立つ行動は控えよと仰せでごいまするが」

ごちゃごちゃと面倒な考えるのは鬼のすることではないと思った私が千代女に提案すると案の定、千代女が反対してきたが私的にはもう考えるのは面倒なんよ千代女すまんね。

「ええよ、別にかまへん。そないなことよりも今後の脅威をなくしてもうた方がええに決まっとるやろ」

「はっ!それが主命ならば拙者は全身全霊励ませていただきまする」

「さようか、ほんなら千代女。オロチ召喚してアレにぶつけてもうてくれるか」

「はっ!仰せのままに」

そう言うと千代女は印を結び手を少し噛んで血を流して手を地面についた

「口寄せの術!来たれオロチ!」

千代女の召喚に応じて首が7つの全長15mほどの真っ黒な巨大なヘビの化け物のようなモンスターが召喚された。

通常のモンスターとしてのオロチのレベル60くらいだが千代女の取得している職の一つのヘビツカイによって強化される。

ちなみにヘビツカイとは蛇系モンスターの召喚と強化とあと数種類の魔眼スキルを取得できる職だ。

そのヘビツカイのスキルによって強化されたこのオロチは65レベル相当になっている。

自身が召喚したモンスターの姿に満足したのか千代女はオロチに命令を出す。

「行け!あの者らを間引いてまいれ!」

命令を受けたオロチは了解とばかりに舌を鳴らしてから地面に潜っていた。

 

 

side法国

 

森の中を12人の男女の混成チームが進んでいた。

彼らはスレイン法国の六色聖典が1つ漆黒聖典のメンバーと神官長のカイレを加えた法国のいや、人類の切り札といれる者達だ。

そんな彼らは先日、消息を絶った。

陽光聖典の失踪の調査とある預言の調査に赴いていた。

より正確には後者の意味合いの方が強い。

そんな彼らの足下からの脅威をいち早く察知したのは漆黒聖典のメンバーの一人、占星千里だ。

「隊長!足元から何か来ます!かなり大きいです!!」

と彼女の焦った声からも今から来る相手が余程の者だと想像がついた。

「全員、戦闘態勢!カイレ様を中心に陣形を組め!」

この部隊の隊長、第一次席である私の言葉に皆が一斉に動きカイレ様を囲む陣形を築き上げた時に地面から轟音とともに大きな蛇のモンスターが姿を現した。

その異様な姿に隊員の何人かは唾を飲む。

「カイレ様、もしやコイツが破滅の龍王なのですか!」

「うむ、まだ分からんがそれに類するモノなのは確かなはずじゃ」

モンスターの只ならぬ気配にこれこそが我らの目的なのではと皆が察して気を引き締めた。

そして大蛇が口を大きく開いて威嚇したことで戦闘の火蓋が切られた。

 

まず最初に動いたのは大型モンスターの方だ。

モンスターはその巨体をいかし、我々を押しつぶそうと突進してきた。

その突進を巨盾万壁が持つ大盾で防ぐが

「ぐううう!!何て力だ!」

神々の残した至宝の力を借りて何とかその場に押しとどめるのが精一杯なようだ。

だがモンスターの攻撃はそれだけではない、モンスターの巨体は止められたが七つの頭がフリーのままなのだ。

しかし、我々もそれを見逃すことはない。

続いて神領縛鎖が鎖でモンスターを縛るが鎖は少し止めるだけで完全に動きを封じ込めるまではいかないようだ。

ここからは私の仕事だと私は体に力を入れてモンスターに向けて走り出す。

 

 

手強い相手だった。

もしも私が居なかった部隊は全滅ないし撤退を余儀なくされていたであろ難敵だった。

「誰か怪我をした者はいますか?」

「いいえ、しかし隊長霧がで、ゴホ!?ゴホ!」

私が報告を聞こうとした所で漆黒聖典は謎の霧に包まれた。

 

 

side酒呑童子

 

つまらない。

の一言に尽きる。

あの連中の底は大体分かった。

あのみすぼらしい槍を持った長髪の男がおそらく連中のリーダーなのだろう。

先程からあの槍の男ばかり攻めて他の者はそのサポートといった感じだ。

それに

「酒呑童子様、そろそろオロチが倒されるで御座いまする。どうなさいますか?」

そうか、アイツらの実力を見るために出したオロチがもう時期倒される頃合いだそうだ、そろそろアレを使うか。

私はあるアイテムを取り出す。

それは古びたランタンのようなモノだがようとはランタンとは全く違う。

私はランタンの蓋を開ける。

するとランタンから大量の霧が出てくる。

そうこの霧こそが指定した範囲に視覚の阻害に移動阻害さらには酸ダメージを与える結界アイテムその名前を暗黒霧都【ザ・ミスト】だ。

私が考えた作戦は単純だ。

千代女が召喚したオロチを奴らにぶつけ、相手がオロチを倒して油断した時に暗黒霧都の霧に乗じて私がおそらくリーダーであろう槍の男を少し足止めして千代女がワールドアイテムを奪うという単純なものだ。

ちなみにこのアイテムはアイテムの使用者である私は酸ダメージや行動阻害の対象にはならないし千代女はメデューサの種族特性で大地属性にかなり高い耐性とHP自動回復スキルがあるので大してダメージはないし行動阻害に対する完全耐性の指輪も装備しているので全く問題ない。

「ほんなら早よ。すまそか千代女」

「はっ!酒呑童子様の期待以上の働きをして参りまする」

少し気負いすぎな気もするが私に良いところを見せようと頑張る千代女を見てつい頬を緩んでしまうが今は目の前の相手に集中しよう。

既に霧が辺り一面を覆い目の前には何も見えないが私はアイテムの発動者としてこの霧の中でも相手の位置は分かるし千代女は気配感知スキルで相手の位置を把握しているので問題ないではすぐに済ませるとしよう。

 

結果を言うと仕事はすぐに終わった。

私はあの男が持っていたみすぼらしい槍を手でクルクルと回して弄ぶ、これはまぁ戦利品のようなモノだ。

私は霧の中で必死に仲間を運び出そうとしていた男を背後から接近して私好みのイケメンか顔を確認し私の好みとは少し違う男だったので槍を持っていた腕ごとを引きちぎって槍を奪い、男が痛みで動けなくなっているのを確認してから千代女と予め決めておいた集合場所に悠々と戻ってくると既に千代女はチャイナ服の老婆を抱えて待機しており千代女の横には転移門が開いていた。

私と千代女があの集団を襲う少し前にシャルティアを呼び戻してこの場所に転移門を開くように行っておいたからだ。

「酒呑童子様、どうかお早く」

どうやら千代女を待たせてしまったらしい。

「そやね。千代女の方もうまく行きはったんやね、ならさっさと帰ろか」

と言いながら私は内心遅れたことを詫びながら私は転移門の中に入り千代女もそれに続いた。

 

 

 

 

 




アイテム紹介

暗黒霧都【ザ・ミスト】
聖遺物級
効果 指定した範囲に硫酸の霧を発生させ相手の視覚阻害と移動阻害の効果に加え範囲内の敵に酸ダメージを与える結界アイテム
ちなみに発動者と発動者が指定した者はこの効果を受けない

酒呑童子が自室のアイテム整理をしていた時に偶然見つけたアイテムでこの時、このアイテムの指定した者も効果範囲外に出来ることを忘れている。
その後、このアイテムは千代女が授かる事になり千代女はあの時なぜ酒呑童子様は私を範囲外にしなかったのか疑問に持つことになる。



次はナザリックの話でも書ければと思ってます。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 酒呑童子の休日(謹慎編)

なんとか平成が終わる前に投稿できました。





私と千代女はシャルティアの転移門によってナザリックに帰ってきた。

ここに帰るのに念のため、奪ったアイテムを探知対策が施された隠蔽系のアイテム袋に入れてさらに私達の拠点であるナザリックの位置がバレないように帰るまでにエランテルと他の場所を2、3度転移してからさらに最後にアウラが作っている途中のナザリックのダミーを経由してからここナザリックに帰って来ている。

「はぁ、ようやっと帰ってこれたわぁ」

「お疲れ様でございました酒呑童子様、しかし此度の活躍は拙者の目から見ても大金星であり、確実にアインズ様からもお褒めお言葉を頂けるものと確信いたしまする」

「そうでありんすね。妾も千代女から少し聞き及んでいんすがこの目で直接見られなかったのか悔やまれんすね」

などと話しながら私達はナザリックに無事帰還した。

 

私もこの時は千代女やシャルティアの言うように喜んでもらえるとそう思っていた。

 

 

ここはナザリック第9階層のアインズの執務室には今、異様な緊張感があった。

本日のアインズ当番のメイドは既に涙目で今にも倒れそうになっており、千代女とシャルティアは若干震えている。

この場で唯一アルベドだけがアインズさんの横で平然と佇んでいる。

「で、何故勝手に動いた」

とアインズさんの眼窩に灯る炎を輝かせて、こちらを睨んだ。

いや、正確にはアインズさんに目はないので私がそう感じただけだが

「なんやのその言い方、まるでウチが悪いことしたみたいやないの」

「ああ、あまり褒められることではない点が二つある。いや、ワールドアイテムを手に入れたことは確かに評価すべき点ではあるが、一つは我々はまだこの世界のことについて知らないことが多い故に勝手に行動は控えるように言った。もう一つは無闇に敵対者を増やすような軽率な行動は控えるようにとも言ったにも関わらず、まず組織の上に立つべき存在の我々がそれを破るのでは示しがつかないからな」

つまりアインズさんは私が手に入れたワールドアイテムによって敵対する組織ないし国がいるプレイヤーがでることを警戒しているようだ。

昔からアインズさんやぷにっと萌えさん辺りは石橋を叩いて渡るというよりも石橋を叩いて隣に鉄橋を建て渡るくらい警戒する人だったなと私は思い返す。

確かに警戒するのは大事だが、それをふまえても千代女が捕らえたあの婆婆は今、ニューロニストに渡して情報を引き出しているはずなのであの集団のこともすぐに分かるはずだ。

その事を考えるとそこまで状況は悪い方には動いていないはずだと考える私は悪びれることなくアインズさんに反抗的な態度で言い返してしまう。

「ふ〜ん。そんならどないすんの?ウチに首輪でもする気?」

「今回のような行動を繰り返すつもりならば一考の余地はある。私はこのナザリック地下大墳墓を維持していく義務があるからな」

まさに一触触発な雰囲気の2人の威圧感にとうとうメイドが耐えかねて倒れたためで話はとりあえず私は謹慎処分ということで一週間ナザリックから外出禁止が言い渡された。

ちなみにこれは外の状況次第でさらに伸びる可能性があるとのことだった。

 

 

sideアインズ

メイドが倒れたことで自身の失態に気付き、急いでアルベドにメイドの治療を手配するようにという命令を下して部屋から退出させ俺一人となった執務室の机に突っ伏して先ほど下した酒呑さんの謹慎処分について考える。

 

「はぁ〜〜やってしまったな。酒呑さん怒ってたよなぁ〜でもなぁ何もお咎めなし、じゃあナザリックの他の皆に示しがつかないから仕方ないんだよ」

 

最初、冒険者の仕事を終えた所に何やら機嫌が良い酒呑さんからのメッセージでワールドアイテムを手に入れたと言われた時は驚いたし喜んだものだがそのアイテムを入手した経緯と手に入れたアイテムを見て背筋が凍った。

一つは、傾城傾国をもし守護者達に使用されていたら、その場合は俺は今後の事を考えてナザリックの宝物殿の奥にあるアイテムは使用しないだろうから俺、自身の手でその守護者を殺さなくてはならなかったかもしれない。

そしてもう一つのアイテムの聖者殺しの槍【ロンギヌス】だ。

これを使われれば守護者といえど永遠に消滅していたかもしなれない。

傾城傾国の場合は殺して復活させれば洗脳を解けた可能性はあるがこのアイテムが使用されればそれはできない。

いや、酒呑童子さんもこれを使われれば消滅していたかもしれない。

それら思うだけで無いはずの胸が痛むのを感じたほどだ。

そんな最悪な未来だってあり得たかもしれないにも関わらず当の本人が飄々としているのが何故かムカっときてしまいあんな責めるような言い方をしてしまった。

 

本当は心配していただけなんですと素直に言えれば良かった。

 

 

 

side 酒呑

 

謹慎、1日目

謹慎にされたことをマスター(副料理長)に愚痴りながらBARで一日中過ごした。

 

謹慎、2日目

千代女とBARで過ごした。

 

謹慎、3日目

巴とBARで過ごした。

 

謹慎、4日目

BARで・・・

 

謹慎、い

 

謹慎、6日目

ここ2日くらい前の記憶が曖昧な私は気分を変えようと思い今日はBARには行かず第六階層の闘技場に来ていた。

いつも静かな闘技場は先ほどまでは剣戟や爆音が幾度となく響き渡っていたがその勝負の決着がついた。

今、私の目の前で第五階層守護者、コキュートスは膝をついて今にも倒れそうだ。

 

「はぁ〜あかんわ〜コキュートス、ウチ相手にフロストオーラで辺り見えんくすんのは、大技ぶつけて下さいって言うてるようなもんやで」

「・・・グッ・・・ハ、ハイ」

 

私はここ数日BARに入り浸っていたので少し体を動かそうと思いナザリック内で暇そうにしていたコキュートスに声を掛けて軽く模擬戦をしようとしたのだが思いのほか、両者とも戦闘に熱が入り結構ガチな戦いになってしまった。

私のHPが残り7割ほどでコキュートスが3割五分といったくらいまで削れたところであらかじめ決めておいた制限時間終了を知らせるアラームが鳴ったのでそこで戦闘終了となった。

ちなみにこの戦闘では私はハンデとして冷気に対する完全耐性のアイテムとワールドアイテムを外した状態で私は戦闘を行った。

 

私の持つワールドアイテムは紅瓢【べにひさご】という紅色の瓢箪のようなアイテムで効果は簡単に言うと同じワールドアイテムの強欲と無欲の魔力版で周囲の魔力と倒した相手の残りの魔力を吸収し無限に貯めておけるアイテムだ。

MP回復が時間経過しかないユグドラシルではこのアイテムは破格の効果だった。

私がこのアイテムを手に入れた時なにやらタブラさんは私の知ってる紅瓢の効果と違うとか何とか言っていたような気がするが学のない私にはよく分からなかった。

 

まぁ今回の戦闘は結構楽しかった。

まぁコキュートスがもう少しPVPを経験していればまた変わったかもしれないがそれは仕方ないのだろうけど。

元々、守護者はナザリックの侵入者を撃退することを前提にしているので一対多の戦闘を想定していることが多いのだろう。

「ハ・・ハイ、ゴ指導・アリ・・・マス」

コキュートスは膝をつきながら必死に喋ろうとするが私攻撃によって受けた多数のデバフと毒でほぼ身動きが取れないようだった。

「ほんなら、ウチはスパで汗流してくるよって後はペスによろしくやといてなぁ〜 マーレ」

と私はこの戦いを見ていたマーレに後を任せて第九階層のスパに転移した。

 

 

 

「はぁ〜極楽やわ〜」

と私はナザリック第9階階層の大浴場の露天風呂に浸かりながら先ほどの戦いの疲れを湯船に浸かり癒していた。

向こうの世界では仕事で客と一緒に風呂に入らされる機会は何度もあったがこうして一人でゆっくり入ることはまずなかった。

良い気分で風呂に入っていたはずなのに嫌な事を思い出したのでそれを振り払うように首を振る。

すると誰かがこちらに近づく足音がした。

普段、この時間にこの女湯を使う者はめったにいないはずだが誰だろうと私は興味本位で振り向くとそこにはアルベドがいた。

いや、それはいいがなぜ・・・

「こ、こらぁ驚いたわぁ、なんで・・アルベドはんがそれ着てはんの」

そこには傾城傾国を着たアルベドが冷たい目をして立っていた。

「近頃、モモンガ様はいつも、いつも、貴女の話ばかり・・・貴女が・・貴女が居なくなればモモンガ様は私だけを見てくださるはず!・・・だから今、全ての装備をワールドアイテムを外した今の貴女にコレを使うしかありません!!」

そしてアルベドは着ていた傾城傾国を発動させる。

龍の刺繍が光り輝きするとそこから龍が浮かび上がり、その龍の光はそのまま私を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 




楽しい休日(謹慎)からのこの展開
果たして酒呑童子はどうなってしまうのか
次回、酒呑童子 ○○

こんな感じで酒呑童子の休日をシリーズとしてたまに挟んでいきたいですね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 罰

いつもよりは少し早く書けました。

ゴールデンウィーク万歳!
えっ!もう終わる?そんな〜



sideアルベド

 

やった。

と私は己の勝利を確信しその事に酔いしれていた。

「フフフ、これでモモンーー」

と言い終わる前に私は壁際目掛けて蹴り飛ばされた。

私の体が壁に着く直前で何者かに頭を掴まれそのまま地面に叩きつけられた。

一体何が起きているのかまるで分からない。

そんな私の身に起きた疑問はすぐに解かれることになる。

 

「ふーん。やっぱり百貌の面か、なるほどなぁ〜通りでアルベドはんが傾城傾国を身に付けられる筈やわ〜」

その声を聞いて私はその正体にすぐに気付いたがそれでも信じられず首を動かそうとすると今度は私の背中に足が押せて私の体の重心を押さえつけられ身動きが取れなくなった。

いえ、本来の力があれば・・

「フフ、本来のアルベドはんやったらウチが足で抑えた程度で身動きできひんなんてことあらへんやろうけど、傾城傾国を装備するためにおそらくは巴はん辺りに適当なこというて借りたんやろうけど裏目に出はったねぇ〜 百貌の面は装備者にあらゆるアイテムを一つ無制限に装備できるようになるアイテムやけど、代わりに装備者のステータスを全て半減させてまうさかい、今のアルベドはんのステータスは大体レベル50ほど、対してウチは装備はあらへんけどレベル100のステータスのままやからねぇ」

確かにその通りだ。

私は巴を言いくるめて何とかこの百貌の面を借りたがその代償に本来のレベルの半分にまでステータスが下がっているしかし

「な、なんで貴女は・・確かにワールドアイテムの力を受けたはずなのに」

「ああ、それが気になってたはったん」

と先程から浮かべていた意地の悪い笑みがより一層増した気がした。

「まぁ、ええか。ほな話したるわ、ワールドアイテムの力は絶大やけどそれを防ぐ方法は二つある。一つはワールドアイテムを所持すること、そして二つ目はワールドアイテムの効果を防ぐことが出来る特殊なクラスに付くことや、まぁここまで言うたら流石に分かるやろ?」

その顔は笑っているが目は一切笑っていないそんな顔をして私を酒呑童子・・様は見下ろしていた。

そして私がやろうとしていた事は初めから全て無駄だったと理解し、この後のことを考え、私は力なく俯くしかできなかった。

そんな私を見た酒呑童子様は抵抗の意思はないと判断したのか私の背中から足を退けて顔を私の耳元まで近づけてこう話した。

「まぁそう言うことやアルベド、でもウチは少しあんたはんのこと羨ましいわ。 ウチはまだそこまで誰かを好きになったことあらへんからけど。でもモモンガはんを愛するようにしたんわ。タブラはんと"ウチ"やからこんな事やったらいつでもウチが相手したるさかい」

とそれだけ言うと酒呑童子様は私から離れていく。

「ああ、それとここは風呂場やし、アルベドも少し浸かってたらええんとちゃう、ほな"またねアルベド"」

その言葉を聞いて私は今度こそ完全に己の敗北を確信して力なくその場にへたり込んで目に溜まった何が少しまた少しと溢れ出してくる。

 

あの方はここまでの事をした私をまだ此処に居ていいと肯定してくれた。

それを思うとより目から涙が一滴、また一滴と溢れてその場を濡らすのだった。

 

 

side酒呑童子

 

ああ、危なかった〜

この体がリアルになってから始めてワールドアイテムの効果を生身に受けたあの感覚はゾワゾワとした気色の悪いものだった。

しかしそれを靄を払うようにして対処できて良かった〜と私は内心かなりホッとしていたが何とかそれを表に出すことなく、そして早足でこの場を去りたい気持ちも抑えつつ背後のアルベドを一応、少し警戒しつつゆっくり歩いていた。

 

私がワールドアイテム、傾城傾国を受けて無事だったのは私が持っているクラス、イブキドウジのお陰である。

これは私が一人であるアイテムの素材を集めていた時期に隠しダンジョンのボスモンスター、伊吹大明神を初見単騎でクリアした時に取得可能になったモノだ。

このクラスは各種耐性の強化と自動回復系を劇的に上昇させることとあともう一つあるがそれは今回のモノには関係はないがこのクラスの耐性はワールドアイテムの効果にすら耐性を得ている点だ。

これによって私は傾城傾国の魅了から身を守ることができたわけだ。

 

そして十分アルベドから距離を離れた所で私は呟いた。

「ほんならもう姿見せてもええんとちゃう千代女、パンドラ」

すると姿を見せた千代女と弐式炎雷だ。

かつての友人の姿を見て少し懐かしく思う間も無く弐式炎雷の姿はぐにゃりと歪んで本来の軍服を着た埴輪顔がその姿を見せた。

その姿は宝物殿で見たことがある彼はアインズさんが作ったNPCのパンドラズ・アクターだ。

 

ちなみに私がこの二人に気付いたのはアルベドから傾城傾国を受けてその反撃で私がアルベドに蹴りを入れた直後にこちらに向かってくる二人を目にした為だ。

焦っていたのか二人とも気配遮断が解けていた。

その後、私がアルベドを抑えたのを見て再び気配遮断を使用して私とアルベドの様子を伺っていた。

 

「まぁ言いたい事はたくさんあるやろけど今回の件はウチらで中で内緒にしてといてな」

「はっ!」

「・・・」

私がそういうと千代女はすぐに返事を出すがパンドラだけは返事をしない。

「なんやパンドラ言いたいことあるん?」

「はっ!それは何故なのでしょうか?今回の件は明らかに酒呑童子様への敵対行為のはずですが、なぜあの守護者統括を罰さないのでしょうか?」

「うーん。何て言うたらええんやろか」

私が考えるそぶりをしながら脱衣場に向かっている間、千代女は懐から取り出したタオルで私の頭から順に体を拭いてから始めてくれた。

正直、今回の件は私とタブラさんの設定のせいなところが大きいと私は考えているので、あまりアルベドをどうこうしようとは思っていなかった。

「そやね、まぁ少し猫がウチに戯れてきただけやしそんな気にすることでもあらへんと思うたからやろな」

「しかし・・」

それ以上先は私が手で制して言わせないように

こういう所がナザリックの面々の面倒な所だと思いつつ、私は適当にパンドラに答える。

「まぁ罰やったら罰を与えないていう罰でええやろ」

そしてようやく広い浴場を抜けて脱衣場に着いた私はそのまま歩みを止めず出口に向かう。

すでに私の体を千代女が拭き終え、次に服と装備を着せ始めてくれていた。

というか千代女ってこんなこと出来たんやね。

「さて、次はウチからやけどな。パンドラ」

そして千代女に装備を着せてもらい脱衣場を出た私はパンドラの方に振り向いて

「はい、なんでございましょうか酒呑童子様」

そしてパンドラは私の方を見て敬礼をする。

「罰は確かに与えなあかんとウチも思う」

「はい、その通りです御座います!しかしなぜ私の足を踏まれているのでしょうか?酒呑童子様」

私の行動にパンドラは疑問を持ち首をかしげる。

そう私はパンドラに近づいて足を踏んでいる。

「罰が必要言うたやろ、だからこうすんの!」

私はパンドラに腹パンをくらわした。

予想外だったのかパンドラはお腹を抑えて蹲った。

「グオオォォ!!な、な、なにを」

「まぁ、女湯に入ってウチの裸見たんやし、これくらいの罰はいるやろ。あとアインズはんにはこの件は適当に誤魔化しといてな。ほな、行くで千代女」

そして私は蹲るパンドラを放置してその場を去った。

 

 

side千代女

 

「この報告書を酒呑童子様に届けなくては」

と拙者が第九階層を歩いていると女湯に入ろうとする弐式炎雷様を目にしてしまう。

同じニンジャとして酒呑童子様の次くらいに尊敬している御方なので拙者はすぐに分かった。

それ故に今目にしたことが信じられずに声を張り上げてしまう。

「なっ!何をしておられますか!弐式炎雷様」

しかしそこで疑問に思う何故、弐式炎雷様がここに

「ん?ああ貴女は確か・・望月千代女でしたか。いえ、私は至高の御方の一人の弍式炎雷様ではなく同じく至高の御方のモモンガ様に創造されたパンドラズ・アクターと申します」

その名は確か酒呑童子様から聞いたことがある。

確か拙者の主人である酒呑童子様を含めた至高の41人全ての能力の8割を行使でき宝物殿の領域守護者にしてレベル100のドッペルゲンガーだとか。

だがしかしそれを差し置いても

「では、尋ねるでござるが何故パンドラ殿が女湯に入ろうとしているのでござるか」

事と次第によってはと言葉に少し殺気を出しつつ拙者は問う。

しかしパンドラ殿は拙者の殺気などには全く動じずに宝物殿からワールドアイテム傾城傾国が持ち出されていたことそしてそのことをアインズ様に報告しようとすると今は忙しいと言われたため、アルベド殿に相談して捜索の為のシモベの編成などのを相談をしようとここ第九階層に来た時にこの女湯に高位の隠蔽効果が発動されているため、先にここを調べようとした時に運悪く拙者と遭遇したということらしい。

そして拙者もパンドラ殿の話を聞き少し疑問に思ったので一緒に調べると言うことになり拙者とパンドラ殿は気配遮断を発動して中を入りアイテムの発生源を探していると大きな力の波動と光輝く龍を目にしてそこに急行すると酒呑童子様がアルベド殿に蹴りを入れている所に遭遇した。

その後、私とパンドラ殿は再度気配遮断をして事態を見守り、酒呑童子様がアルベド殿から離れた所でパンドラ殿はアルベド殿を罰さないのかと酒呑童子様に問うていたが酒呑童子様は特に罰は与えないと言われた。

私個人の意見を言えば罰を、いや処断すべきだと思うが酒呑童子様がそれを求めていないのなら拙者はそれに従うまでに御座いまする。

 

その酒呑童子様の裸を見たとしてパンドラ殿が酒呑童子様から罰を貰っていた。

それを見た拙者は多少気の毒と思いつつも酒呑童子様の肌を見た罪としては少し軽いのではとも思っていたりもした。

「千代女、何しとるん?はよ行くで」

パンドラの近くにポーションを置いて拙者は本来の用事である酒呑童子様の元へとついて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アイテム紹介
百貌の面
見た目は髑髏の仮面
クラスによって装備や使用できないアイテムなどを一つだけ使用可能にするアイテムただし使用者は全てのステータスが半減し一時間このアイテムを外せない。

ユグドラシル時代、酒呑童子はこれを使って女性メンバーとバンド的なことをしていた。
その時に茨木、巴、千代女に楽器を持たせて演奏させていたためこの三人はそれぞれ百貌の面を所持している。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 炎の村

超久しぶりです。
書きたい事はあるけど言葉にできなくて時間がかかりました。




アルベドの襲撃から数日経った。

あの後、パンドラが上手くやったのかは知らないが私が知る限りアインズさんがアルベドを罰することは特になく私はアイテム整理などをしながらナザリックでダラダラ過ごしていたが今日は第七階層の寺院で巴と一緒に遠隔視の鏡を見ていた。

「巴はんはこれはどう思いはるん?」

そこに映し出されていたのはナザリックでポップした最下位のアンデットの大群対リザードマン達の戦いが映し出されていた。

「このままでは確実に負けてしまいます。出来ることであれば、この巴が今すぐあの場に出向いて直接指揮をさせて頂ければまだ勝ちの目もありますが・・」

と巴が私を見て判断を求めてくるがそれは出来ない。

これはアインズさんが発案したコキュートスを使った実験であるからだ。

私達はクラスや種族などによって持った技能以外のこと、例えば料理などの専用のスキルがいることはかならず失敗してしまう。

ただ肉を焼く程度のことすら失敗し、只の炭にしてしまう。

しかし、アインズさんのように冒険者として活動し戦士としての経験を積んでいくとある程度の動きができるようになっていた。

ならば、この大軍を指揮する経験を積むことで指揮官職を持っていないコキュートスも指揮が出来るようになるのではと考えての実験らしい。

「そらあかんわ。巴はん、今回は堪忍してな」

「はい、分かっております酒呑童子様」

私がそう言うと巴は頭を下げて再び遠隔視の鏡の映像に見入っていた。

それから程なくしてこの戦いは私達、ナザリックの敗北という結果に終わった。

 

 

次の日のナザリックの地表部分、隠蔽された丘の上にて私はヤケ飲みをしていた。

「はぁ〜納得いかへんわ〜」

「そ、そう仰らずにアインズ様も酒呑童子様のお力を信頼して留守を任されたのだとこの巴は思います」

と巴が私を励ますがその言葉が今はとても空虚なものにしか聞こえない。

 

私は昨日、コキュートスが帰還してからアインズさんと他の守護者達と共に此度の敗戦についての報告を聞いていた。

なぜ負けたのかとアインズさんが聞いた時、コキュートスは与えられた兵の弱さや指揮官の不在などの理由を辿々しくはあったがコキュートスが指揮官としての経験をしっかりと出来ているのを確認できた事をアインズさんと喜び、そしてさらに話は進んでリザードマンを統治することが決まり今は守護者、ガルガンチュアとヴィクティムを含めたメンバーと一緒にナザリックを出発しナザリックの力を見せつけるらしい。

そんな一大イベントに私はナザリックの守護と言う名の留守番を言い渡された。

故に今は少しイラついてるのだ。

 

ちなみにこの時、巴は酒呑童子がこっそりついて来ないかを監視するという任務も与えられているのは秘密である。

この時のアインズはここで酒呑童子が来れば確実にリザードマンの元へ行ってこれまでの流れを無にするか台無しにする気がしてならないために巴にこのような命令を出している。

最悪、酒呑童子がこのリザードマンのいる湿地帯にさえ来なければいいとさえ考えることは巴も知らない。

 

ああ、暇やなぁと思いながら私が空を眺めながら盃を傾けていると

『酒呑童子様、ご報告したいことがあります。以前話されていた適合者を王都から離れた村にて発見致しました』

と千代女が念話で報告してきた。

地上に出て暇を潰していたら丁度いい暇潰しが向こうから来たようだ。

これには先程までのイライラが消えて顔が少しにやけてしまうほどにいい報告だった。

 

この世界にワールドアイテムの所有者がいるのを確認したことで更なる戦力拡大をアインズさんが行なっていたので私の方でも戦力拡大を図って千代女の諜報活動のついでに奴隷王のコンパスと言うアイテムを渡して"あのアイテムの適合者"を探させていたのだ。

ちなみに奴隷王のコンパスとはユグドラシル時代のとあるイベントで自分の近くにいるお助けNPCがいる地点や町の位置を指し示す程度のアイテムだったモノだがここではフレーバーテキストの内容が反映されているらしく所有者が求める人材を数キロ以内で指し示すアイテムになっている。

 

『ふーん。ようやっとか千代女はんもご苦労さん。他の任務のついでにうちの我儘聞いてくれてありがとな』

『い、いえ、拙者も偶然見つけたようなものでございまする』

とその後、千代女からその他の報告と王国の周りの情報をいくつか聞いてからメッセージは終えた。

よし、アインズさんがリザードマンで遊ぶならこっちはこっちで勝手してもいいよね。そうと決まれば行動あるのみと私は立ち上がる。

「さて、巴これからうちと少し遊びに行こか」

「はっ!酒呑童子様と共であればこの巴、何処へなりとも参る所存でございます」

 

 

 

 

日がそろそろ沈み始める頃に私と巴は王国のとある村にやってきた。

あちこちに畑があるのでどこにでもある村の様だがその辺の村と違うのは一目瞭然だった。

強面のどう見ても堅気ではない者たちが巡回のように畑を見回っている。

まぁ武装は私達からすればゴミ以下のモノだったので脅威にもならないが

さて、そんなことよりもこの村に適合者がいる訳がいるわけだ。

私がとっとと潜入してその適合者を攫えば早く済んでいいのだがそれだと巴を連れてきた意味がないし、それに最近巴にも何かさせないと他の2人と仕事量に差が出てしまうからここで何かさせてみるのも良いかもしれない。

「なぁ、巴」

「はい。なんでございましょうか、酒呑童子様」

「うちが潜入して適合者を攫う間に巴はんはこの村の人間全部焼いといて」

私が考えた巴の仕事は単純にゴミ掃除だ。

しかし巴はその案に苦言を呈する。

「しかし、それでは目立つのでは?」

巴が気にしているのは前回の件についてだろう

「そのへんは大丈夫なんとちゃうやろか。なんでも千代女はんの報告やと、近頃、青の薔薇言うのんが8本指とか言う組織の村を焼いてるらしいからそれに見せかけるいう話や」

「な、なるほど」

「でも、あんまり高位のスキルは使うたらあかんよ」

巴の納得も得られたので私と巴は行動を開始する。

「はっ!了解しました。では、是より鏖殺を始めます。スキル、紅の陣」

その巴の言葉共に地面に拳を叩きつけることで炎の壁があっという間に私の前の村を取り囲んだ。

 

 

 

村の男side

 

一体、何が起きたんだ。

 

いつもの簡単な仕事のはずだったのに、辺りが夕暮れと共に少し薄暗くなってきた時にそれは起きた。

突然、この村を囲うように炎の壁ができた。

さらにそこからが地獄の始まりだった。

 

「はぁ!!!」

と掛け声の後から仲間の悲鳴と肉が潰れ引き裂かれる音がこだまし始めた。

 

俺は目の前の光景に俺自身の目を疑った。

それは銀色の美しい髪をしたとても美しいこの世のものとは思えないほどの美女だった。

だがその女が剣を一振り、薙刀の一突きで一人二人と次々と斬り殺され、それを見て逃げた仲間を弓矢で正確に頭を撃ち抜くと同時に仲間の頭が炎に包まれる。

女が扱う剣、薙刀、弓によって俺たちは一方的に殺戮されていく。

 

そんな悪夢のような状況を作り出す女の顔を俺は見た。

 

いや、見てしまった。

 

その女の顔はとても美しくはあるが決して人ではないと確信できた。

俺がソレを確信できたのは女の眼だ。

女の眼は禍々しく血のように紅く輝き口元は笑みが浮かべていた。

 

あれだけ一方的に殺戮し、その上で笑みを浮かべる女の姿とつい一時間ほど前まで語っていた仲間のあまりに酷い姿に俺は思わず吐き気を催したがそれを何とか気力で抑え、すぐに物陰に身を潜めた。

こうやってジッとしていても自身の心臓の音であの怖ろしい女のバケモノに気付かれるのではと俺は自身の体の震えを必死に抑えた。

でなければ俺もココで殺されると思ったからだ。

だが運が良かったのか女は俺に気付かずに俺とは反対側に足を進めたのか足音が遠ざかっているのが分かった。

助かったと思ったがそこでふと俺は視線を上に向けると赤く綺麗に輝く星が俺に向かって来ていた。

ああ・・・クソが

それが俺がこの世で最後の言葉だった。

 

 

 

酒呑童子side

 

探し物はすぐに見つかった。

私の前には牢屋のようなモノがあったが鉄で出来た簡素なものだった。

所々、錆び付いていて元の世界の私でも壊せるのではと思えるほどその牢屋はボロボロだったがその中にいる私の探しモノの状態を見るにこの牢屋に入れるほどでもないのかもしれないとすぐに分かった。

 

その牢屋の中にいたモノは肌も髪も乾ききった枯れ木のような体、そして体のあちこちに痣や切り傷などでボロボロになった人の形を成した何かに見える。

しかし、そんな悲惨な現場を見てもちっとも良心は痛まない。

むしろ、探し物の手足がないなどの状態ではないので余計な手間がかからなくて寧ろラッキーと思えるほどだ。

「ふ〜ん、そんなんになってもまだ生きとるやねぇ〜あんたはんはそんなに生きたい?」

そう私が言うとサンドバックのような塊が何か喋ろうと口を動かそうとしているが残念ながら何を言っているか全く分からない。

「フフ、何言っとるか。ぜ〜んぜん分からんへぇ〜 ほな、こうしよか」

と言って私は手を差し出した。

「今、うちの手を取るなら助けたらるわ。で、もし取らんのなら楽に殺したるわ。さぁあんたはんはどないするん? うちはどっちでもかまへんよ」

と私は新しいおもちゃで遊ぶような感覚で手を差し出す。

本当はここに来た目的からするとコレを連れて行かなくてはいけないのに、なぜなこうして必死にもがく姿を見ていると愛らしいと思えてしまいついこうして意地悪をしてみたい衝動が出てきてしまいう。

そして私はコレの反応を待とうとした。その時、私の予想に反して手はすぐに私の手を触ってきた。

 

驚いた。

 

こんな傷を負ったのならもう死にたいと思うと考えていたがどうやらこの子は違うようだ

それにこの目は何かを成したいと願う目なのは分かった。

「この手を取るからにはもう人の道には戻られへんからね」

そう言って私はこの子を背負って外に出ると先程まで村だった事が分からないくらいに私が出てきた建物以外焼け野原が広がっていた。

私は巴の働きに満足してから巴と合流してここに私たちがいた痕跡をある程度消してからナザリックへと戻った。

 

さて、これから忙しいなりそうやね。フフフ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナルスキル
紅の陣
炎のサークルを作りサークルから出た対象にファイアーボール程度のダメージを与える。

オリジナルアイテム
奴隷王のコンパス
見た目は大航海時代に使われていたような古いコンパス
このアイテムの所有者が欲している人材【人間種限定】を数キロ以内で指し示す。
ただし、その対象はこのアイテムの所有者よりもレベルが低くないと反応しない。

未知を求めるユグドラシルでは最初期はそれなりに需要はあったが情報が集まるに連れて次第にゴミアイテムと言われるようになったアイテム

次回で適合者について話して行こうかと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 厄介ごと

大変お待たせしました。

まぁ、その書く気が起きなかったと言うか何というか書くことは決まっているけどこれで良いのかって感じで悩んでしまい時間が掛かってしまいました。
申し訳ありません。

出来れば気長に続きに期待して下さい。




ナザリックに帰還してすぐに私は第七階層の羅生門の寺院に戻ってきてからペストーニャを呼んでこの子の怪我を治してもらっい今は特に使っていない大部屋でこの子を寝かせて、この子の首元を見ていた。

私は、この子が寝ている間にあるアイテムを着けさせた。

そのアイテムとはかつて仲間達でアイテムの材料を集めて作り上げたはいいがこのナザリックを攻略に来る者がいなくなり結局、私が使う機会が訪れなかったモノで長らく宝物殿の奥で保管されていたアイテム。

 

見た目は禍々しいオーラが溢れる勾玉のペンダントで一切穿通、 一切焼却、一切詛呪、一切熔融、一切粛清、一切嘲弄、一切両断の7つでこれからをまとめて一切鏖殺の首飾りと私は名付けた。

それらは今、一切穿通を茨木に、一切焼却を巴に、一切詛呪を千代女に、そして私が一切熔融と一切両断の二つを持っているがそれぞれ効果が異なり今回、私はその中のある意味、一番曲者の一切嘲弄をこの子に着けさせた。

一切嘲弄の効果は陰陽術や呪術系の効果範囲拡大と威力増加などの効果を持っておりこの手の職に就いている者なら誰もが欲しがるモノなのだがこのアイテムを作る過程であるデメリットも出来てしまったのだ。

そのデメリットとはこのアイテムの所有者に継続的に呪いダメージを受けてしまうのだ。

そのダメージ量は下手をすると付きっ切りで回復職のやまいこさんに回復してもらうか私のイブキドウジの自動回復スキルを各種スキルをフルで使い続けるレベルのモノで今まで誰も装備できなかったのだがこの子は全くそのダメージを受けている様子はないおそらくはこの世界特有のタレントと呼ばれるモノの効果でダメージを無効化しているのだろう。

まぁ、ンフィーレアの話をアインズさんから聞いて私の方でも似たようなタレントもしくはこのアイテムのデメリットを無効化できる者を適合者として千代女に探させていたのだがこんなに早く見つかるとは思いもしなかった。

 

「酒呑童子さぁぁま!!お待たせしました!このパンドラズ・アクター只今参りました!!」

 

私が大部屋で待っているとさっき呼んだパンドラが私のいる部屋の扉を開けて入っていた。

まぁ相変わらず痛々しいキメキメポーズもセットでやって来たパンドラに一言言ってやりたいがそれを言うと今後このネタでアインズさんをからかえなくなるのでグッと今は我慢して私は本題に入った。

 

「よう来はったね。パンドラ、ほんならこの子の転生の準備始めよか」

 

「はい!了解です!」

 

パンドラの敬礼に若干イラっとしつつ私は天井に目をやりそこにいる千代女に声をかける

 

「千代女もよろしゅうな」

 

「はっ!」

 

こうしてメンバーは揃ったまぁ、正確には私が持っている転生用アイテム、殺生石を使用するだけなのだが、この世界で色々な法則やアイテムの効果が変化しているモノが多い。

そしてこのアイテムを使うことによってこの子の肉体は変化するのだ。その際暴れたりしてうっかり私が殺したりしたらマズイので呪術や忍術で相手を拘束する術を持つ千代女とあらゆる状況に対応できるパンドラを呼んだのだ。

正直、パンドラではなくペスにそのまま残ってもらえば良かったのではと今更少し後悔している。

 

「ほんなら、行くで」

 

転生用のアイテムをこの子に使ってすぐにこの子の体が光始め、枯れ木のような体はどんどん大きくなり最初は140cmくらいあるかないかくらいだった背が今は大体160cmくらいはあるだろう。

そして頭にキツネの耳がお尻には尻尾が一本生えた。

さらに1番の変化は寸胴のような凹凸のない体型だった体が今ではかなりの大きな凹凸(何と何とは言いたくない)出来ている。

そしてようやくこの子の体の光が収まると同時に体の変化も収まった。

 

「う、うん」

 

「どうやら、目覚めたようですね」

 

「そうみたいやね」

 

「ア、ああ」

 

しばらく言葉を発したいなかったのだろう。

この子、改めて彼女は瞼をゆっくりと開けてから私を見たあと言葉を出そうとして上手くいっていないようだ。

 

「うーん。なんや、まだ上手いこと話せへんみたいやねぇ〜 」

 

「あ、あなたさまはあのときのかみさまてすか」

 

辿々しくはあるが彼女は私に話しかけてきた。

 

「フフ、ウチが神さんやっておかしいこと言い張る子やねぇ〜まぁ、今はその認識でもええか、それよりもあんたはんの名前は?」

 

「りりあ、です」

 

「ふーん。でもあんたはんの命はもうウチのもんやからその名前捨ててうちの為に生きてもらうで」

 

「は、はい。むしろこのなまえはすてたいとおもっていますから」

 

「さよか、なら丁度ええわ、あんたの名前は今から玉藻や、まずはここの事をパンドラと千代女から聞くとええわその後からウチの下僕になるための力と知恵を身につけてもらうからねぇ」

 

そして私はリリア改め、玉藻にナザリックの最古図書館【アッシュールバニパル】にある魔導書などでパンドラに教育してもらい茨木の召喚獣(妖怪モンスター)との戦闘させてレベル上げを行なっていくことを提案しそれを実行するために一度、王都にいる茨木を呼び戻すことにした。

 

 

 

 

 

茨木side

 

「ぐっ!」

 

「マジありえないんですけど」

 

その光景を見た者は戸惑うだそう。

それは錦の羽織を着た少女が執事服の老人を壁際まで蹴り倒し、今まさに首筋に当てた刀でその首を切り落とそうとしているところだった。

 

「い、茨木様。そのこれ・・はその」

 

そう震える声で答えるのはお嬢様様の演技を忘れて何か喋ろうとするソリュシャンだったがそれを茨木と呼ばれた少女、いや今は鈴鹿御前と名乗りそれに相応しい姿に変身した茨木童子の鋭い眼光で黙らせる。

 

「ソリュシャンへの罰はおいおい酒呑童子様が下すから今は後回しにするし、でも今回の元凶であるアンタは別なわけ!それは分かるしょセバス」

 

ここに至るまでには数日ほど時間を遡る。

 

 

 

 

王都の商業組合にて

 

「それではお邪魔致しました。皆さま」

 

そうして頭を下げて扉を閉めたセバスはすぐにお嬢様の役を演じているソリュシャン改め

 

「お待たせしました。メイヴお嬢様」

 

「全くね。セバス、この私を待たせるなんてイケないわぁ!でも今はその話は後でしてアゲルわ。それよりも喉が渇いたから早く何か持ってきてくれない」

 

と命令し馬車に向かう。

 

「では、早速準備させていただきます」

 

そしてメイヴを馬車に乗せてからセバスも馬車に戻り、そこでつまらなさそう刀を手入れをしている人物にも声をかける。

 

「鈴鹿さん、メイヴお嬢様がお戻りになられました。準備をお願いします」

 

「はいはい!かしこまり!」

 

そういって声高らかに鈴鹿は馬車に戻りセバスと共に準備を始める。

こうして3人は王都での情報収集を行っていた。

ここまではすべて順調に行えていた。

順調に王都の細かな情報から冒険者の情報までいくつか集めることに成功していた茨木に酒呑童子から一度ナザリックに帰還するように命が降り茨木が数日開けてこの屋敷に戻って来たことである問題が発覚したのだ。

 

 

 

 

吾、いけない、いけない。

これから任務で王都なのだ。

今の吾は茨木童子改め鈴鹿御前なのだ。

それに成り切らなくてはそう気持ちを新たにして私は屋敷の近くに転移門を開いてもらい屋敷のドアを開けると前に来た時とは違う異変に私は気付いた。

 

「ふんふん、何んか人臭くない?この屋敷」

 

と私は屋敷の中を見渡していると何者かがこちらに近づいて来ているのが分かった。

しかし、それと同時に妙な事にも気が付いた。

足音はするがその音が妙に自信なさげと言うかおどおどした感じのものだった。

この屋敷にいるのはセバスとソリュシャンとあとはシャドーデイモン数体のみでこんな足音をするような者はいないはずだ。

ならば、これは誰のものだと疑問に思いつつ、一応警戒のために刀に手を掛け足音がする屋敷の奥を睨む。

すると屋敷の奥から一人のメイドがやってきた。それも私の知らないメイドだった。

 

「アンタ、誰よ?ここはメイヴお嬢様の屋敷なんだけど?」

 

私の声か、もしくは私の持っている刀に驚いたのかメイドは震えながら答えた。

 

「わ、わたしは、その・・・セバス様に拾・・てもって、ここで働かせてもらって、いるツ、ツアレとい、います」

 

「はぁ!そんな話、私聞いてないんだけど!」

 

実際に私はそんな話は聞いていない。

それにここに来る前に私がいない間のセバス達の報告書は全て読んだがそんな事は一言も書いていなかった。

あの真面目なセバスがそんなミスをするのかと疑問に私が思っていると後ろの扉が開いた。

 

「おお、これは鈴鹿さんお戻りでしたか」

 

「ちょっと!セバスこれはどういうことか説明するし!」

 

私はあのメイドを指差して説明を求める。

 

「も、申し訳ありません。そうでしたね、少し込み入った話になるので奥の部屋で待って頂けますか」

 

そして私は奥の部屋に行った。

 

 

私がしばらく奥の部屋で待っているとセバスと変装したソリュシャン(メイヴ)がやって来て私はあのメイドがここにいる経緯をセバスから聞いた直後、セバスを蹴り飛ばしていた。

本来の姿に戻って本気の全力で殴り飛ばしてやりてやりたかったがここにいる間は誰がどうやってみているか分からないから出来る限りその姿でことに対処せよと酒呑童子様から言われているので私はギリギリの理性で変化を解くのをやめてそのままの姿で蹴り飛ばしたのだ。

 

本来なら私の蹴りなんて難なく避けれる癖にそうしないということが余計に私をイラつかせた。

 

「私に蹴られたってことはつまりそういうよね。セバス!」

 

「・・・」

 

それでもセバスは黙っているさながら斬首を待つ囚人のようにも思えた。

「もういいし、取り敢えずここでその手足を切り落としてからアンタを酒呑童子様の所に連れて行くし」

 

私はまず腕を落とすために刀を振り落とした。

 

「まぁまぁ、少し待って下さいよ。鈴鹿さん」

 

私は確かに刀を振り下ろしたはずなのに後から入って来た別の刀によって滑るように軽く軌道を変えられ床に突き刺さった。

いや、そんなことはこの際どうでもいい。

 

「あ、あ、いや、酒呑・・お」

 

「ああ〜ダメですよ。鈴鹿さん、ここではそれはなしでしょ、って言うても驚かしたんは、ウチやからしゃあないか」

 

そう、ここにいるはずのない人、浅葱色の羽織を着た少女剣士。

しかしその姿は次の瞬間には霞のようにボヤけてから全く別の本来の姿を現した。

鬼の中の鬼にして吾の偉大なる創造主様。 

 

「酒呑童子様!一体どうしてこちらに!」

 

ソリュシャンとセバスが目を見開いて驚いていた。

 

「まぁ、本当は突然行って驚かしたろうと思うたんやけどねぇ〜なんや、ややこしいことになっとるさかい少し見とったんよ。まぁ、茨木が

そこまでするとは思わんかったから、流石に手を出させてもうたけど」

 

と酒呑童子様がこちらを見てきたので吾はすぐさまその場に跪いた。

 

「も、申し訳ありませんでした!」

 

「まぁ、ええわそれよりも」

 

と酒呑童子様が何か言おうとしたタイミングで扉を叩く音がしたのでその場の全員がそちらを向いた。

 

「セバス、適当に相手してさっさと戻ってきい。話はその後や」

 

「はい、かしこまりました。すぐに戻って参ります」

 

そう言ってセバスとソリュシャンが扉から出てったことで私と酒呑童子様の2人きりになったことで酒呑童子様が口を開いた。

 

 

 

 

 

 




五章の千代女ちゃんが可愛い過ぎで最後に泣いてしまった。


あと、誤字多くてすいません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。