それぞれの夢 (羽沢ちゅぐみ)
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苦悩

皆さん1億年ぶり ゆっくり紅音です
蘭ちゃん生誕祭ということで久々に戻ってきました
この作品は主につぐみちゃんにスポットを当てて書いていこうかなと考えてます 理由は好きだからです つぐつぐマジ天使
ということで最後まで読んでいただけると幸いです


「つぐ~、つぐ?おーい、つ~ぐ~」

 

間の抜けた声で上の方から私を呼ぶ声がする。

屋上に注ぐ春の日差しがぽかぽかとしてて気持ちよくまだ寝ていたいのもあり気にせずに微睡みの中へ意識を戻す。

 

「どうしたの?モカ」

「らんー、もうすぐで昼休み終わっちゃうんだけどつぐがお昼寝から起きないんだよー」

「まったく、ほらつぐみ。そろそろ起きて、昼休み終わるよ」

 

私を呼んでいた声の主とは別の声が私の体を揺すりながら私を呼ぶ。

 

「んぅ...ん」

 

まだ寝ていたい気持ちもあるが流石にこれだけ体を揺さぶられては寝るに寝れない。私は眠い目を擦りながら体を起こした。

 

「ふぁぁああ~...眠いよぉ...」

「やっと起きたね。ほら、顔洗ってこよ、もう昼休み終わるよ」

「うん...蘭ちゃんおはよぉ」

 

体を揺すっていた声の主、美竹蘭はやれやれといった表情で私を見ていた。蘭ちゃんはいつもクールでカッコよくてそれでいて綺麗でいつも前を歩いている私の憧れの存在。

 

「モカちゃんもいますよ~」

「うん、モカちゃんもおはよう」

「珍しいね~、つぐがお昼寝なんて。いつもは蘭の特等席なのにね~」

 

間の抜けた声で話すのは青葉モカ。パンが大好きで蘭ちゃんの1番の親友。興味が無いことには本当に興味を示さないけど1つ興味を持つとそれを一生懸命に頑張る隠れた頑張り屋さん。

 

「昨日ちょっとお店の仕込みのお手伝いで夜更かししちゃってあまり寝てないの」

「なるほど~、つぐも大変だね~。私なら授業中寝るけどね~」

「モカ、それダメなやつだから」

「だ、大丈夫だよ。授業中は寝ないように頑張ってるから、ほら行こう。次移動教室だったでしょ」

 

私は蘭ちゃんとモカちゃんを促し屋上を後にした。

いつもと変わらない日常 私はこの生活が、Afterglowのみんなが大好きだ。

みんないい所があって魅力的で、対照的に私は全てが普通。特に良いところがある訳でもない。勉強も歌も運動も、どこにでもいる普通の女の子。

 

たまに考える。私もみんなと同じように歩きたい。いつまでもみんなの後ろを、蘭ちゃんの後ろを歩いてるんじゃなくてみんなの横を、前を進めるようになりたい!

でも、私なんかじゃ無理だよね。何も無い普通な私が引っ張っていけるような存在になれる訳ない。

 

どうしたらいいのかな。どうやったら、変われるのかな...?

 

そんな思いを胸の中に押しとどめ、私は今日も学校生活を送った。

 

今日はバンド練習が無いので終わったらすぐに帰路についた。蘭ちゃんとバンドのリーダー、上原ひまりちゃんが用事があるからだ。

途中、いつも小さい頃に遊んでいた公園に寄った。その公園には猫が住み着いていてたまに寄っては遊んでいる。とても人懐っこくて可愛いのだ。

 

「ほら、にゃーちゃん。今日も来たよ~」

 

私がその場所に着くと既に先約がいたようで女性の声が聞こえた。

その声の主の姿を見て私は思わず変な声が出た。

 

「ふえぇ...!?友希那さん...!?」

 

猫を抱いていた友希那さんもこちらに気が付き驚きの声を上げた。

 

「は、羽沢さん!?な、なぜここに...!?」

 

ニャーっと猫が鳴いた声が2人以外誰もいない公園に響いていたような気がした。




読みやすいように少し短めのストーリーにしてます
コメントあればやる気が出ますのでお願いします
また明日あたり投稿するかもです

終わり方ほんと苦手(´・ω・`)


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好きって気持ち

小説ってやっぱり難しい
その場の気分で書いてるから文の構成が変でも許してね


「そういう事だったのね...羽沢さんもここへ来ているとは思わなかったわ」

「いえ、その、いきなり変な声出しちゃって本当にごめんなさい」

 

私と友希那さんは公園のベンチに座り一息ついた。

この時間だというのに私たち2人以外人はいない。静かで時折バイクや車の音が聞こえてくる程度だ。

 

「いいのよ、気にしないで。羽沢さんは確か美竹さんたちと同じバンドだったわよね」

「はい、Afterglowでキーボードをやっています」

「そう、けれどこの時間にここにいるって事は練習は無かったのかしら?」

「あ、はい。ひまりちゃんと蘭ちゃんが用事で出れないので今日は無しになったんです」

 

私は緊張で変なことを言わないよう必死に言葉を選ぶ。

湊友希那はRoseliaというバンドのボーカルで私たちの1つ上の先輩だ。蘭ちゃんと同じようなタイプ。クールで常に頂点を目指し続ける、私とは次元が違うような人だ。

 

「私たちも今日はお休みにしたの。紗夜とリサが用事があるからって」

「そうなんですね、私たちと同じですね。えへへ」

「猫、好きなの?」

 

膝に子猫が乗ってきてその猫がとても可愛くて少し変な声を出してしまった。だが友希那さんはとても優しい表情で微笑んだ。

 

「はい!猫さんも犬も大好きです!」

「ふふ、私も他のメンバーには隠してるけど猫が大好きなの。だからこうして練習のない日はここへ来ているわ」

「どうして隠してるんですか?」

「私ってこういうイメージじゃないでしょう?だから、その...恥ずかしくて...」

 

友希那は頬を赤く染めながら言った。その表情に少しドキリとしてしまう。とても普段クールな友希那からは想像出来ない。その表情に私は見とれてしまった。

 

「羽沢さん?私の顔になにか付いてるかしら?羽沢さん?」

 

友希那はキョトンとした顔で呼びかけるが私は見とれてしまっていたのと睡眠不足で頭が回ってなくその声は届いていない。

 

「羽沢さん!どうしたんですか?」

「あ、えっと、ごめんなさい!ちょっとボーッとしちゃってて」

「もしかして体調悪いのかしら?だったらあまり長居するのは」

「いえいえ!大丈夫です、本当に大丈夫ですから!心配させてすみません!」

 

(あーあ、完全にテンパっちゃったなぁ。どうしよう、友希那さん困らせちゃった... )

 

「そ、そう?大丈夫ならいいのだけれど。羽沢さんもバンドやってるのだから無理はダメよ」

「は、はい...すみません」

 

私は猫を撫でながら空を見つめる。時間的にもうすぐで日が暮れる頃で空が赤みがかっていた。友希那は2匹の猫に持ってきていたであろう餌を与えている。心配させてしまった罪悪感と気まずさから声をかけずらくなってしまった。私は友希那の横顔をチラリと見る。学校でたまに見かける表情とは違うとても優しい表情。その顔を見ているだけでもとても落ち着いた気持ちになる。だが私は安心と緊張の糸が切れてしまい睡魔が襲ってきた。

 

 

 

「ん?羽沢さ...あらあら」

 

友希那の肩に寄り添うようにつぐみが寝ている。目の下に若干クマができていたので睡眠不足なのは予想していた。

 

「さて、どうしたものかしらね」

 

つぐみの家は行ったことが無いので知らないし時間も時間だ。あまり帰りが遅くなると親御さんが心配するだろう。だが寝たばかりのつぐみを起こすのも忍びない。

 

「...可愛い寝顔ね。まるでにゃーちゃんだわ」

 

スースーと寝息をたてて寝ているつぐみの頭を撫でながら微笑んだ。友希那は携帯でどこかへ連絡をして猫たちに「また来るからね」と言いつぐみを背負って公園を後にした。

 





タイトル詐欺とは言わせない
つぐみ×友希那のカップリングがあってもいいじゃない
ここまで読んでくれてありがとう( ´ ω ` )また明日投稿します


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恋心

つぐみちゃん可愛いよ可愛い

まだ始まったばかりだし多少それててもいいよね というよりこれを土台にしようそうしよう タイトル詐欺なんて言わせない


「んぅ...?えっ!?」

 

私が目を覚まして周りを確認するとそこは私の家ではなく見慣れない部屋だった。

 

「あれ?え?どこ、ここ?」

 

私はまだ起ききれていない頭で必死に思い出す。

 

(確か公園に行ったら友希那さんがいて、それで話をして、それでえっと...えっと...)

 

話していたことまでは思い出せるのだがその後がなかなか思い出せない。うーんうーん、と唸るような声をあげながら思い出そうとしていると部屋のドアが空いた。

 

「あら、羽沢さん起きていたのね」

 

友希那がお盆にティーセットとお菓子を乗せて部屋へと入ってきた。

 

「え!?友希那さん!?あの、ここは...」

「ここは私の部屋よ。ごめんなさいね、時間も時間だったし置いて帰るわけにもいかないから私の家にあなたを連れてきたの。親御さんには美竹さんから連絡を入れてくれるようにお願いしたから心配しないで」

「そうだったんですか...ごめんなさい。迷惑かけてしまって...」

「大丈夫よ、迷惑だなんて思ってないわ。もう少しでご飯ができるみたいだから一緒に食べましょう」

 

友希那はティーカップに紅茶を入れて私に差し出してくれた。

私は予想外の言葉にしばし固まった。

 

「あと、今日は私の家に泊まりなさい。羽沢さんとは普段話すことも少ないからいい機会だわ」

「いや、でも...」

「さっきも言ったけど迷惑だなんて思っていないわ。それに羽沢さんは嫌かしら?」

「嫌なんかじゃないです!その言い方はずるいですよぉ...」

「ふふっ、じゃあ決まりね」

 

上手く丸め込まれた気がすごくするが私は友希那の家に泊まることとなった。

その後友希那のご両親に挨拶をして一緒にご飯を食べ学校の事などの世間話をしてお風呂を借りてまた友希那の部屋へと戻った。

 

「友希那さん、お風呂あがりました。とても気持ちよかったです」

「それは良かったわ。私も入ってくるから少し待っててね。そこの本は自由に読んでても構わないから」

「はい、ありがとうございます」

 

友希那が部屋を出て私は1人となった。友希那の部屋を改めて見回してみる。殺風景とは言わないがあまり物は置いてない。本棚には音楽雑誌が沢山あり小説も少々見られる。机もごく普通の勉強机と小さな丸い机がそれぞれあるだけだ。目立ったものといえば、ベッドの隅に立てかけてある大きな猫の抱き枕だろうか。人1人サイズはあるだろう。猫が好きだと言っていたからそれで猫なのだろう。よく見ると机に置いてある小物は猫ものが多い気がする。

 

「本当によかったのかなぁ...」

 

私はベッドに寝そべりため息をついた。友希那のご両親はとても優しく私に接してくれた。友希那も優しいが私は苦手意識をどこかに持っていた。学校でもあまり人と話すタイプでは無いことは知っていて表情を表に出したところはあまり見たことがなかったので少し怖い人だなと思っていた。だが私のイメージとは逆でとても優しく猫が大好きという可愛い面を持っている。

 

(友希那さん、とても可愛かったな)

 

私は夕方の友希那の横顔を思い出す。まるでわが子を見る優しいお母さんのような表情。その顔を思い出すだけでも胸が高鳴る。

私は顔が赤くなっていることにすぐ気が付き枕に顔を埋めた。

 

(なに...この気持ち...なんでこんなにドキドキしてるの...)

 

更に枕からは友希那と同じ甘い匂いがしていて更に友希那の事を意識してしまう。

 

「友希那さんの匂い...えへへ」

 

自分でもわかるくらいだらしない顔をしているだろう。胸の高鳴りはやまないがとても落ち着いた気分になった気がする。

友希那の事が頭から離れない。何故かはわからないが頭がボーッとする。

私が友希那の事を考えていたら部屋のドアが空いた。

 

「ふー、サッパリしたわ。1人にしてごめんなさいね、羽沢さん」

「あ、友希那さん、おかえりなさいです~」

 

友希那は紫色のパジャマ姿で髪を後に束ねている。これも普段は見慣れない姿だ。

 

「こんな何も無い部屋でごめんなさいね。みんなの様に女の子っぽいものが無くて退屈だったでしょう」

「いえ、そんな事はないですよ。普段は見られない友希那を見られてるだけでも満足です」

「そ、それは少し照れるわね」

「照れてる友希那さんも可愛いですよ」

 

友希那は少し顔を赤くしながらベッドの上に座った。そして私の方を見ながら咳払いをしてこう言った。

 

「それで、羽沢さん。貴女に聞きたいことがあるの」




何だこの内容は 甘ったるすぎる

だがそれもいい また明日投稿します
ここまで読んでくれてありがとうございます( ´ ω ` )


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胸中

さて、今回は真面目な内容にする
うん、前書き書いてる時はまだ書く前だけどきっと真面目な話になってるはず
見てくれている人こんな話でも読んでくれて本当にありがとうございます


「ど、どうしたんですか?」

 

急に真面目な顔になった友希那に私に緊張が走る。

先程までとは違ういつものクールな友希那だ。

 

「ずっと何かを1人で考えているでしょう?時折見せる不安そうな顔がとても気になるの」

「べ、別に私は...」

「隠さなくてもわかるわよ、羽沢さんは顔に出やすいからすぐにわかるわ」

 

すべて見透かされているような気がした。この人には敵わない、

 

「羽沢さん、何を悩んでいるのか話してくれない?私でよければ貴女の力になるわ」

 

友希那が手を差し伸べてくれている。その手は私の目の前まで来ているのに後一歩が踏み出せない。

 

「あ...」

 

友希那が息を呑む音が聞こえた。私の頬に涙が伝うのがわかった。なぜ自分が泣いているのかわからない。だが1度溢れ始めた涙は堰を切ったように零れ止めようにも止められなかった。

 

胸が痛い これ以上友希那にこんな惨めな姿を見せたくない

 

子どものように泣きじゃくる私を友希那は何も言わず抱きしめてくれた。とても暖かかった。そのぬくもりに甘え私はしばらく友希那の胸で泣いた。

 

 

「もう、大丈夫です...ぐすっ...すみません」

 

ひとしきり泣き、しばらくして私はどうにか落ち着きを取り戻した。友希那はずっと何も言わず頭を撫でてくれていた。

 

「いいのよ、とりあえず顔を洗ってきなさい。待っててあげるから」

「うぅ...友希那さんも付いてきてください...」

 

友希那の袖を引っ張りながら言った。完全に子どもだ、私。

けれどそんな私に嫌な顔せず友希那は「いいわよ、行きましょうか」と言い付いてきてくれた。

 

洗面所の鏡で見た私の顔はまあ酷いものだった。目の周りが腫れとてもじゃないけど蘭ちゃん達には見せられない。友希那の親御さんは既に寝ていたようで出くわすことは無かったのが幸いだろうか。

 

部屋に戻った私はベッドの脇に座ると何かを言われる前に話し始めた。

 

「私は、昔からなんの取り柄もない普通の娘でいつもみんなの背中を見て育ってきました。特別悪いところも無いけど、秀でて良いところもない。小さい頃から習ってるピアノも下手ではないけど上手くもならない。本当に普通の娘なんです。でも...Afterglowのみんなと居るうちにこのままじゃダメなんじゃないかって考えるようになってきて...

私は蘭ちゃん達みたいに何か得意なことや魅力的な所があるわけじゃない、それが...嫌で....」

 

私はそこで押し黙ってしまう。これ以上喋るとまた泣き出してしまいそうだったからだ。上手く伝えられたかわからない、だがこれが今の正直な気持ちだ。

 

「そう...羽沢さんは自分に何の魅力もなくてそれが嫌で変わりたいって思っているのね」

「......はい」

「それは違うわ、羽沢さん。貴女は自分は何も無いと思っているかもしれないけれど良い所は沢山あるわよ」

 

友希那は諭すように私に言ってくれた。

 

「いい所なんて、ないです」

「あるわよ、あこや紗夜が言ってたわ、羽沢さんとお菓子を作る時とても丁寧に教えてくれるって。それに美竹さんもよく貴女の事を話してくれるわ、歌っている時に少しタイミングを間違えたら1番に羽沢さんが言ってくれるって。他の人たちからも貴女の話は沢山聞いてるわ。良い所、あるじゃない。自分で気づいていないだけで魅力的なところ、羽沢さんの良い所はいくらでもあるわ」

 

その言葉に私は涙を堪えきれなかった。友希那にそう言ってもらえることが嬉しかった。

 

「だから羽沢さん、そんなに自分を責めないで。不安なんて誰にでもあるわ。それを一人で悩まないで。頼れる人は周りに沢山いるんだから」

「ぅ...ぐすん...はい...」

 

ずっと泣いてばかりな私に友希那はずっと優しく接してくれる。なんだか今日は友希那に甘えてばかりだ。

 

「私も悩んでいた時期はあったわ」

「友希那さんも、ですか?」

「ええ、そうよ。むしろ私たちRoseliaのメンバーみんな何かしらの不安を抱えていた時期はあったわ」

 

意外だった。私たちの中では完璧とまで思っていたから不安があるとは考えもしなかった。

 

「私たちだって同じ人間なの、だから嫌なこと不安なこと、悲しいこと嬉しいことはあるわ。けれどそれに左右されていたら頂点なんて目指せない。悪い所はお互いにカバーしあって完璧を目指すの。それがRoseliaよ」

「お互いに...」

「ええ、そうよ。だから羽沢さん、少し話が逸れてしまったけれど、もう二度と自分に何も無いなんて言わないで。良い所は沢山あるんだから」

「...はい!」

 

私は涙を拭いて返事をした。胸の中がスッキリとした気分だ。

友希那も優しく微笑んで頭を撫でてくれる。

なんだか恋人同士のようで少し小っ恥ずかしいがとても嬉しい。

 

「もうこんな時間ね、そろそろ寝ましょうか」

 

時間を確認すると既に深夜1時を過ぎていた。

 

「そうですね、お布団ありますか?」

「ええ、あるわよ。羽沢さんは床に敷いて寝る派かしら?」

「はい、昔からなのでそっちの方が落ち着いて寝れます」

 

本当はベッドで寝ているがそう言った方が気を使わせなくて済むので敢えて私はそう言った。

 

「わかったわ、なら準備するから手伝ってくれる?1人じゃ少し大変だから」

「もちろんです!」

 

こうして私たちの長い一日は終わった。




少し長くなっちまいましたがとりあえず友希那さんとのお泊まり回はここまで かなー?
次は絶対Afterglowのメンバー出します


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挑戦

さてさて 今日も頑張るぞい
一応俺氏の本文書くスタイルとしてはその場の気分とノリです
なので友希那様とつぐつぐをくっつけるなんて本当は考えてませんでした
自分でもなんでくっつけたのかは謎だったけど幸せならOKです
あと伏線は色々とあると思います 探してみてください

あ、ちなみにキャラの性格は書きやすいように少し本家の設定とは異なりますが話の中でその性格に近づけるようにします。
あと季節は春よりの夏よりの春です(結論:春)


「つぐが?作詞を?」

 

意外そうな顔で目の前にいる巴ちゃんは言った。蘭ちゃんやひまりちゃん達もへぇ、といった表情をしている。

 

「湊さんの所で何があったのかは知らないけど面白そうだしいいんじゃないかな~?それにつぐがこんなにやる気になってるのって珍しいしー」

 

相変わらずの間延びした声で言ったモカちゃんは興味津々といった顔だ。

 

「蘭やひまりもいいのか?」

「私は賛成だよ、ひまりは?」

「いいと思う!つぐった曲歌ってみたい!」

「...わかった。なら今回の作詞はつぐみ、頼んだぜ!」

 

「うん!頑張るよ!」

 

こうして私は次の曲の作詞を担当することとなった。そのきっかけは...

...........................................................................................................

(時間は少し遡りその日の朝)

 

「友希那さん!そこのパン屋さんに寄っても良いですか?」

「ええ、構わないわよ。少し時間にも余裕あるし」

 

私と友希那は少し早めに家を出て学校へと登校していた。

理由は友希那が今日は日直当番だから早めに学校へと行くからだ。

 

パン屋さんに寄り道はしたが余裕を持って学校へと到着した。校門の前で私たちは巴ちゃんとばったり遭遇した。

 

「あれ、つぐに湊先輩、珍しい組み合わせだね」

「宇田川さんのお姉さん、だったわね。おはようございます」

「おはよー、巴ちゃん」

「おはようございます、いつもあこがお世話になってます。つぐもおはよう」

 

巴ちゃんは友希那に丁寧に挨拶をした。宇田川巴ちゃん、私たちAfterglowのメンバーでドラムの担当、私たちのまとめ役でもある。さっぱりとした性格で年上の先輩達や大人からよく好かれている。蘭ちゃんとたまに喧嘩しちゃう事はあるけど頼れる存在だ。

 

「今日羽沢さんと一緒にいるのは昨日私の家に羽沢さんを泊めてあげたの。少し色々あってね」

「そうだったんですか。つぐ、ちゃんとお礼は言ったか?」

「うん!ちゃんと言ったよ」

 

昨夜のことを思い出すと少し恥ずかしかったりもするがとても充実した時間を過ごせた。何より大切な思い出が出来た。

 

「学年も違うしあまり関わりが無かったからとても良いお話を聞けたわ。貴女たちのことも話してくれたしね」

「へぇ、なんて言っていたんですか?」

「ちょ、ちょっと巴ちゃん」

「とてもみんな仲が良くて大切な親友だ、って言ってたわよ」

「友希那さん、恥ずかしいからそれは言わないでくださいよ...」

 

顔が赤くなっているのがわかる。巴はにやにやとした顔でこちらを見ている。

 

「へへっ、嬉しいこと言うじゃないかつぐ」

「うー、みんなには内緒だからね」

「わかったよ、みんなには言わないでいてやるから」

「羽沢さん」

 

友希那が時計を見ながら私を呼ぶ。時間を見るとそろそろ友希那は教室へと向かわないといけない時間になっていた。

 

「あ、そろそろ時間ですね。私は巴ちゃんと教室に向かうので先に行ってください」

「わかったわ。羽沢さん、LINEの方に連絡は入れておくから昼休みまた会いましょう。それじゃあお先に失礼するわ」

「はい!頑張ってください!」

「ファイトです」

 

私たちも友希那を見送った後教室へと向かった。

どうやら巴ちゃんも友希那と同じく日直だったようだ。

 

「そうだ、巴ちゃん。少し相談があるんだけど、いいかな?」

 

巴ちゃんの日直の手伝いをしながら私は声をかける。

 

「ん?どうした?」

「一昨日にみんなで次の新曲のこと話し合ったでしょ。その作詞を私がやってみたいんだけど、いいかな?」

 

巴ちゃんはみんなに相談してみようと言い、放課後に集まって話し合った結果私が担当することになったのだ。

 

 

バンド練習が終わり私は帰り道が同じひまりちゃんと並んで帰ることになった。

ひまりちゃんは私たちAfterglowのリーダーでベース担当。明るい性格で甘いものが大好きなのでよく私の実家の喫茶店に来てくれる。

 

「でもつぐ、なんで急に作詞をしようと思ったの?何かあった?」

「うん、ちょっとね。友希那さんにやってみたらって言われて、やってみようかなって」

「そういえば昨日友希那先輩の家に泊まったんだってね、あと昼休みもお昼一緒に食べてたとも聞いたよ。そんなに仲良かったなんて知らなかったなー」

 

今日は中庭で友希那さんとご飯を食べた。作詞の事は寝る直前に友希那が提案したことだ。

 

「私も友希那さんは少し怖そうで苦手だったけど、話してみるととても優しくて良い人だったよ!」

「そうなの?友希那先輩って他人にあまり興味が無いって感じだと思ってたけど、見かけによらないものだね~」

 

うんうんと頷きながらひまりちゃんは言った。私はそうだねーと笑いながら友希那の事を考えていた。

昨夜の友希那の思いがけない一言、それは私たちのこの先の道を確かに変える一言になったと、今では確信している。




露骨な伏線
さて、長い長い本編が次からようやく始まるという感じです。
投稿頻度は落とさないように毎日つぐみちゃんで癒されて頑張ります
ここまで読んでくれてありがとうございます ('ω' )


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過去と未来

ここから本編
ギャルゲー展開にだけはならないようにしたい(切実)


プロローグは終わり
多分本気出す


「おはよ〜、揃ってるねえ〜」

「おせーぞ、モカ!もうすぐあの二人が来るから早く支度しろ!」

「いや〜、なかなか朝のパンが決まらなくて〜。すぐ着替えてきま〜す」

「友希那さんからもうすぐ着くって連絡入ったから急いで!」

 

「うぅ〜、千聖ちゃん、緊張するね」

「大丈夫よ花音。みんなであれだけ練習したんだから、良いステージになるわ」

 

「蘭!ミッシェルがどこにもいないわ!?どこへ行っちゃったのかしら」

「ミッシェルなら2人を迎えに入口の所に行ったよ。もうじき戻ってくるから大人しく待ってて」

「あら、そうだったのね。てっきりいなくなっちゃったのかと思ったわ」

 

控え室には22人の女の子達がライブの開始時刻まで待機している。

今日はPoppin'Party、Afterglow、Roselia、Pastel*Palettes、ハロー、ハッピーワールド!の5つのグループが合同で行う卒業ライブ。

ただ、このライブは卒業ライブとは別の意味でそれぞれが特別な思いを持っていた。

 

……………………………………………………………………

 

「そこのフレーズは『私たちの』よりは『私たちだけの』の方が思いが伝わりやすくて良いと思うのだけれどどうかしら?」

「ふむふむ......本当だ!流石友希那さんです!」

 

ゴールデンウィークに入った初日、私は友希那に作詞の手伝いをしてもらうため、私の家に来てもらっていた。

作詞を始めて2週間が経ったがかなり難航していた。ピアノを習っていたとはいえ作詞をしたことはないので当然何から始めていいのかわからずこうして友希那に手伝ってもらっている。

 

「少し休憩にしましょうか。頭を使いすぎるのはあまり良くないわ」

「そうですね、私も頭がパンクしそうです」

 

時刻は夜の8時手前。5時に友希那が来て始めたので既に3時間考えっぱなしだった。

 

「友希那さん今日は泊まりますか?泊まるんだったらお母さんに伝えてきます」

「そうね、お邪魔じゃなければ泊まらせていただこうかしら」

 

最近はお互いの家に泊まったりするのが普通になっている。少し心配に思っているところもあるが友希那と一緒に過ごす時間が今はとても嬉しい。

 

あの日、友希那の家に初めて行った日の夜に私たちは特別な関係となった。

『羽沢さん、私の...その...恋人になってくれない...?』

友希那が顔を真っ赤にしながら言った一言。少し声は小さかったが私ははっきりと聞き取ることができた。

 

恋人とは言っても女同士。こうしてお泊まり会をしたり一緒に料理をして食べたりということくらいしかしていない。

私たちは一緒に夕食を摂り再び作詞作りを再開した。

 

……………………………………………………………………

 

「何ででしょうね...あの時、私があんなこと言わなければ...貴女の未来は良い方へ進んでいたのかしら...」

 

一の前で一一一は目に涙を浮かべながら呟いた。

その一には一一一の名前が刻まれており一一一は毎日のようにこの場所に来ている。

一一一に声はもう届かない。どれだけ叫んでも、どれだけ一一一に想いを伝えたくても...。

 

「今日は卒業ライブがあるの、だからもう行かなくちゃ。貴女の作った歌、全力で歌ってくるわね」

 

そう言って立ち上がり、一一一はライブ会場へと向かった。

その目は昔とは違い生気が消え失せた目をしていた。




なかなか難しいけどこんなものかな
あ、来週から土日は更新をしないようにします
理由はバイト等があり少し忙しいからです

本編とは言ったものの結局あまり進まないやーつね 次回はもう少しがんばりゅ

ではここまで読んでくださりありがとうございます コメント評価是非ともお願いします


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仲間

眠い(眠い
寝不足気味だから変なこと書いてたらすまん



「終わったあ〜!」

「よく頑張ったわね、羽沢さん。初めてとは思えないくらい良い出来よ」

 

ゴールデンウィークが去って更に一週間後、私はようやく曲の作詞を完成させることができた。手伝ってくれた友希那には感謝だ。

 

「友希那さん、手伝ってくれて本当にありがとうございます!」

「良いのよ、羽沢さんの頼みだもの」

 

友希那はお菓子を頬張り一息ついた。

後はみんなに見せて細かい調整をし、練習するだけだ。蘭ちゃんよりは劣るがかなり自信のある出来になった筈だ。

 

「今日はもう休みましょうか。明日からの練習に備えていた方が良いわ」

「そうですね、私も今日は眠いです...ふあぁ...」

 

時刻は夜の11時明日は土曜なので学校は休みだがバンド練習は昼からあるので夜更かしはできるが眠過ぎてすぐに寝たい気分だ。

 

「今日は一緒に寝ましょう、そんな気分だわ」

 

友希那が布団に入り横をポンポンと叩きながら促す。

私はそのまま友希那の布団の中に入った。とても暖かく私はすぐに眠りについた。

 

 

 

「ワン、ツー、スリー!」

 

巴の声がスタジオ内に響きそれを合図に演奏が始まる。

出来上がった作詞を見てもらったら思っていた以上に好評でそのまま練習へと移った。

この曲は私のみんなへの思いが沢山詰まっている。今の気持ち全てを表した。それはきっとみんなに伝わっているはずだ。

 

「そこ、ひまり、少し遅れてるよ。モカは口の中のパンをはやく食べて。食べながらだと歌えないでしょ」

「ふぁあ〜い」

 

蘭ちゃんが発声練習をしながらみんなに指示を飛ばす。というよりなぜモカちゃんはパンを食べながらギター弾いてるの...?

夕方までみっちりと練習をした後私たちは私の実家である羽沢珈琲店でお茶をすることとなった。

 

「今日も疲れたね〜。あ、私ホットコーヒー砂糖とミルク多めで」

「私はガトーショコラを」

「モカちゃんはパンケーキ5こ〜」

「食べすぎだろ ならそのうち2つ私が食うからな」

 

今日もわいわいとみんなで注文をする。練習が終わるとみんなここへ寄って反省会がてらのお茶会をいつもしている。

 

「一応新曲練習初日だったけど、反省点とか言いたいこととかあったりするかなー?」

「私は特にまだないかな、強いていえばモカがパン食べながら歌ってたこと」

「あらら〜、バレちゃってましたか〜」

「むしろバレてないと思ってるモカにびっくりするよ」

「モカちゃん、せめて食べながら歌うのはね...」

 

こんな感じでいつも楽しく活動していた。元々私たちは仲が良い5人組で蘭ちゃんが別のクラスになってしまい寂しくないようにとひまりちゃんがバンドを組もうと言い出したのがきっかけで結成された。

まだ本格的なステージには立ったことはない。学園祭で1度ライブをしたくらいだ。その時は大成功に終わった。

 

そして結成から約1年の月日が経ち、私たちはCiRCLEのステージでオーディションを受けることとなった。




遅くなってすみません なかなかねー むずかしいんですわぁ

ここまで読んでくれてありがとう(๑╹ω╹๑)


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休息(前編)

少し飛ばしすぎてたのもありお休みいただいてました
今週は少しバタつくのでまたペースが落ちるかもなのでご了承ください
眠過ぎて眠い(寝不足)


連休も明け、CiRCLEでのオーディションが近づいてきたある日。

この日は学校も休みで本当はバンド練習の日だったのだがあいにくの嵐のような天候で練習も休みとなった。外は雷が数十分前からなり続いていて今日一日は外に出れそうにない。

昨日から泊まりに来ていた蘭ちゃんとモカちゃんはこの天候では帰れないのでとりあえず夕方までいてもらうことになった。

 

「まったく、モカが途中で寝ちゃうから」

「うちは大丈夫だよ、お泊まりするのは楽しいしね」

「いやはや〜、申し訳ない〜」

 

私の部屋の広さでは3人で楽器の練習をするわけにもいかないので珈琲を飲みつつ3人で今日はくつろぎながら雑談でもする事にした。

こうしてゆっくりと休める日もなかなか無い。最近は少し遅い時間まで猛練習をしているので休暇はありがたい。

 

「そういえばつぐさん〜、最近湊先輩とはどうなんですかね〜」

「ほえ?どうって?」

 

モカちゃんがニヤニヤとした表情で聞いてきた。私と友希那との関係は既にRoselia、Afterglowメンバー全員に知れ渡っている。特に隠すようなことでもないし友希那からも関係を隠すようには言われてはいないので聞かれたら素直に答えた。

 

「湊先輩と、どこまでしたのかな〜と」

「モカ、あまりそういう事聞くの良くないよ」

「え〜、蘭だって気になるでしょー」

「そりゃあ...少しは...」

 

その時蘭ちゃんの携帯か鳴った。親御さんからだろうか?

 

「あ、ごめん。電話出てくる」

 

そう言って廊下の方へと出ていった。

 

「それでそれで〜?つぐみさん〜、どうなんですかね〜」

「えぇっと〜...添い寝するくらい〜...かなぁ」

「おやおや〜、チューはしてない感じですか〜。ウブで可愛いですな〜」

 

どこの中年オヤジなのかってノリでモカちゃんは言ってくる。私と友希那がキスなんて想像もしたことがない。そもそも恋人がどんなものかあまり分かっていないのもあるので一緒にいるだけで満足している自分がいる。

 

「き、キスなんて恥ずかしくてできないよ〜...」

「ふっふっふー、そんな事じゃ気持ちは伝わりませんぞ〜つぐ〜」

「そういうモカちゃんはどうなのよー」

「モカちゃんには蘭という相手が」

「はいはい、勝手に言ってなさい」

 

私とモカちゃんが話してると割と早く蘭ちゃんか戻ってきた。

 

「悲しいことを言わないでよらんー、それで誰からだったの?」

「ちょっとね、その事で、つぐ。2人増えるけど良い?」

「え?いいけど誰なの?」

「うん、それがね」

 

気まずそうに蘭ちゃんが意外な人の名前を口にした。




さて、蘭ちゃんの相手は誰でしょう 予想してみてください

かなり意外な人です というより予想できないかも


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蘭の夢

バイトとかバイトとかバイトとかバイトとかで正直疲れてます
けど何気にこれ書いてると癒される(頭おかしくなってる)
つぐみちゃんまじえんじぇー


「来たわよ!蘭!」

 

黒塗りの高級車から降りてきたのは金髪でいつでも元気いっぱい、私たちと同じ学年の女の子。羽咲川女子校生の中で異空間との異名を持つ超お嬢様でハロー、ハッピーワールド!のボーカル 弦巻こころだ。

 

「はーい、ミッシェルもいますよー」

 

間延びした声で後部座席の方からピンク色の熊のマスコットであるミッシェルも降りてきた。というより何故居るのか。

 

「こころ、なんでミッシェルも連れて...むぐっ!?」

「会いたかったわ!蘭!あなたが居ないと退屈で仕方がなかったの」

「ちょっとこころ、いきなり抱きつくな」

 

蘭ちゃんが弦巻さんと仲が良かったなんて知らなかった。学校も違うし特に関わりがあるわけでもない、いつの間に知り合ってたのだろう。

 

「ごめんねー、羽沢さん。突然お邪魔しちゃって」

「いえいえ!人数が多い方が賑やかで楽しいですから」

「蘭〜?どういう事か説明プリーズ」

 

モカちゃんはぷくっと頬を膨らませている。なんだかお餅みたいで可愛い。

 

「まだ誰にも言ってなかったんだけどね、私たち付き合ってるんだ」

「そうよ!私たちは愛を誓い...」

「こころは少し黙ってなさい」

 

蘭ちゃんに後ろから抱きつかれて弦巻さんは大人しくなった。ものすごく幸せそうな顔をしている。

 

「おやおや〜、モカちゃんという人が居ながら別の人とくっついちゃうなんてモカちゃん悲しいよ〜、よよよ」

「でもいつの間にそんなに仲良くなってたの?」

「私とこころの父さんが知り合いだったらしくてこの間の会食で一緒になったんだよ」

 

確かに2週間ほど前だったか、家の用事で珍しく蘭ちゃんがバンドの練習を休んでいた時があった。その時に仲良くなっていたとは。

 

「それでお互いのことを話しているうちに仲良くなって、帰りにこころから告白されたから付き合うことにしたんだよ」

「なるほど〜、蘭は弦巻さんのこと好きなんだ〜」

 

モカちゃんは嫉妬してるようで少し悲しそうな表情をしている。なんだか可哀想になってきた。

 

「ごめん、モカ。けど私も私なりに考えて受け入れたから、自分の気持ちに嘘は付けない」

「完全に取られちゃいましたか〜。蘭がそう言うなら仕方ないですね〜。弦巻さん、蘭のこと頼みますよ」

「任せておきなさい!私が絶対に蘭のことを幸せにしてみせるわ!」

「あの〜、ひとついいですか?」

 

それまで黙って見ていたミッシェルが口を開いた。先程から思っていたがミッシェルの声はどこか聞き覚えがある。

 

「どうしたの?ミッシェル」

「美竹さんがこころのことを好きになった経緯はわかったんですが、どうして好きになったんですか?この馬鹿のどこに魅力を感じたのかがいまいちわからないというか」

「確かにこころは落ち着きもないしいつも何考えてるのかわからない人だけど、でも話してる時にこう言われたんだ、『仲良しの5人でずっとバンドをしたいのはわかったけど、その先はどうしたいの?」って。正直考えたこともなかった、今が楽しければそれで良いって、モカやつぐみ達とずっとバンドをしていければいいと思っていたから。それでも、私はみんなでCiRCLEのステージでライブをしたい。そして湊さん達や戸山さん達を超えるライブをして、Afterglowが1番になりたいってずっと考えてた」

「蘭ちゃん...」

「私は蘭とずっと一緒にバンドができれば満足かなー、でも蘭がもっと上を目指したいって言うなら、手伝うよー」

 

そんなことを考えてたなんて知らなかった。前にメジャーデビューもしたいって巴ちゃんが言った時に『そんなの興味ない』って言っていたから。

 

「だから私はこころに興味を抱いた。面白い事を常に見つけて考えるより先に行動する、私とは逆のこころをもっと知りたいって思ったんだ」

「私は蘭と一緒にいるのが本当に楽しいわ!私の知らないことを教えてくれるしいろんなところに連れて行ってくれる!私は蘭が大好きよ!それにバンドの事も話してくれるわよ、本当にみんなの事が好きみたいで私も嬉しくなっちゃうわ」

「なんでこころが嬉しくなるのよ...」

「だって、好きな人が楽しいとか嬉しいとか思ってたら私だって嬉しいわ。それに...」

 

弦巻さんは一呼吸置いて高らかに宣言するように言った。

 

「私は蘭と、ハロー、ハッピーワールド!のみんなと世界を笑顔にするの!それにはまず私が笑顔にならなきゃ意味が無いわ!」

「私もAfterglowでみんなとCiRCLEのステージでライブをしてずっと5人でバンドを続けていって1番を目指す、そしてこころの夢を叶える。それが今の私の夢。それにはこころに、Afterglowのみんなの支えが必要」

「私は蘭ちゃんのこと、ずっと支えていくよ」

 

私もAfterglowのみんなでずっとバンドを続けていきたい。それは結成した時からずっと変わらない。

 

「蘭がそう言うなら仕方ないな〜、少し寂しいけど私もAfterglowのみんなを支えていくよ〜」

「こころが迷惑かけるかもしれないけど美竹さん、お願いします」

 

私たちは夢に向かって進んでいく。空は既に晴れ虹が架かっていた。




次回はCiRCLEでのオーディション回になります



ドリフェス40連でつぐみちゃん☆4でした 最強


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START

久々の投稿 期間が空いてしまい申し訳ない
ちょっとバイトが忙しすぎて帰る途中で不幸にも黒塗りの高級車に衝突してしまい((((((
という糞みたいなくだりは置いといて読んでくださいお願いします何でもしますから(なんでもするとは言ってない)


「さあ、いよいよ本番だよ!」

ひまりちゃんの緊張を帯びた声が室内に響いた。

「今日の為に練習してきたんだ、そんなに緊張すんなって」

巴ちゃんも顔は余裕って感じだけど少し手が震えている。蘭ちゃんは音楽を聴いている。ライブの前はいつもこんな感じだ。

「つぐー、大丈夫だよ。リラックスリラックス〜」

緊張が顔に出ていたのかモカちゃんが声をかけてくれた。人前で話しをしたりするのは珈琲店でのバイトで多少慣れているとはいえやっぱりライブになると違う。

「うん、この緊張感なかなか慣れないね」

「なら、これでどうかしら?」

突如背中の方から声が聞こえたと思ったら私はふわりとした柑橘系の甘い匂いに包まれた。

「ゆ、友希那さん!?」

友希那は私を後から抱くようにしていて恥ずかしさと緊張と嬉しさでで心臓が爆発しそうだ。

「おーおー」

「湊先輩...大胆...」

「お熱いですな〜」

蘭ちゃん以外の他の3人が何か言っている気がするがそれどころではない。友希那の吐息が耳にかかり更に顔が近いこともあり変な気分になってきた。

「あれ、湊先輩...何やってるんですか?」

こちらの様子に気がついたらしい蘭ちゃんが訝しげな顔でこちらを見た。

「少し緊張していたみたいだからからかって見たのよ。たまには私だってこういうことをするわよ」

クスクスと笑いながら友希那は私から離れた。私は呼吸を整えようとするが胸がドキドキして止まらない。

「本番前なんですからあまりつぐをからかうことはよしてくださいよ。それより湊さんは何故ここに?」

「今日がオーディションの本番だって聞いてたから応援に来てあげたのよ。貴女たちの演奏、期待してるわよ」

そう言って友希那は私の頭をポンポンと撫でてから部屋から出ていった。入れ違いに20代前半の女性が部屋へと入ってきた。

「Afterglowのみなさん、そろそろ準備はよろしいですか?」

彼女は月島まりな、このCiRCLEのオーナーだ。この歳でオーナーをしているのはまりなさんのお母さんから仕事を受け継いだからでとても優しくてみんなからは慕われている。

「じゃあみんな、頑張るよ!」

ひまりちゃんが気合を入れるとそれぞれ顔を見合わせ頷く。私たちはまりなさんの後について行きスタジオに向かった。

オーディション前に音の調整やチューニング等の準備をしてリハーサルを1度行うことができる。

私はキーボードの音を確かめながらステージからの景色を眺めた。

いつもは人でいっぱいだが今日はまりなさん以外客席側には誰もいない。奥の扉がいつもより遠くに感じる。人で満席になるとどのように見えるのだろうか。

私たちは調整を終えるとリハーサルを1度通してみたが、緊張しているのが目に見えてわかる。音もバラついていて練習より酷いのが私でもわかった。

リハーサルが終わるとまりなさんが口を開いた。

「さて、じゃあ始めてもらおうかな。泣いても笑ってもこの1回で貴女たちがこのステージでライブが今後できるかどうかが決まるわ。私たちの試験は1回のみ、最高の演奏を期待してるわ」

 

そして私たちの演奏が始まった




雑になりすぎたかなぁ_( _´ω`)_
次回は演奏が終わったところからね


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NEXT Challenge

Roseliaイベント回ってますか?自分はネオアスAP取るためだけに回してます 何やかんやで続いてますこのお話 そろそろRoseliaのお話も書いてみたいなとか思ったり思わなかったり

とりあえず読んでください 感想くださいお願いしますなんでもしますから!!!!!!(何でもするとは言ってない)


最後にギターの音が響いて私たちの演奏は終わった。

それと同時にどっと疲労感が襲ってきた。体が重く、私は床に座り込んでしまった。

「はぁ...はぁ...」

肩で息をするのがやっとで周りを見る余裕もなかった。

「......みんな、ごめん。サビ前ミスっちまった...失敗しないようにって思ったのに...ごめん」

巴ちゃんの嗚咽が混じった声が聞こえた。

「私も...!最初の入りのところ間違えた...ごめんなさい...」

ひまりちゃんも巴ちゃんと同じく泣きながら謝った。

そんな私たちの様子を見ていたまりなさんが静かに口を開いた。

「私はこのCiRCLEのオーディションで沢山のガールズバンドを見てきた。上手いバンドもあれば音が綺麗なバンド、丁寧な演奏をするバンドと言うようにそのグループの良さが演奏には出るの。貴女たちの演奏はとても荒い、正直まだまだ未熟ね」

まりなさんの言葉はとても厳しいものだった。あんなに頑張ったのに、と思うと自然と涙が零れた。

「でもね、貴女たちはまだまだ伸びしろがある。美竹さん、貴女は全力を出し切れたと思いますか?」

蘭ちゃんは俯いていたが顔を上げて言った。

「今日まで必死で私たちは頑張ってきました。憧れのステージで、最高の演奏をしたくて...練習を続けてきました。確かに失敗したところもあったかもしれませんが、それでも今までで1番の演奏だったと私は言えます!!!」

蘭ちゃんの力強い声が響いた。その言葉にまりなさんはにっこりと微笑んで頷いた。

そして少し間をあけてまりなさんは言った。

「とても良い演奏でした、オーディションは合格です!今日から貴女たちはこのCiRCLEでライブをすることを許可いたします。おめでとうございます」

私はしばし言葉の意味を理解することに時間がかかった。

「やったよ!!つぐ!!私たち合格したんだよ!!!」

ひまりちゃんが嬉しそうな声を上げて私に抱きついてきてその言葉が現実だということを実感した。

私たちはその後しばらくお互い感傷に浸り、楽屋へと戻り片付けをして外へ出た。

表には友希那が椅子に座って待っていた。その姿が見えると私は気づいたら友希那の方へ駆け出していた。

「友希那さん...!!」

緊張の糸が切れたせいか、安心しきった私は友希那の胸の中で泣いた。ただ今回は嬉しいという気持ちでいっぱいの涙だった。

「羽沢さん、よく頑張ったわね。美竹さんたちも、とても良い演奏だったわ」

「湊さん...ありがとうございます」

「つぐ、子どもみたいだね~」

「だってぇぇ」

まだ夢じゃないのかと思ったりするが友希那の温もりは現実のものだ。

「つぐが1番頑張ってたからな。今日の演奏もつぐが一番良かったとおもうぞ」

「巴ちゃん、そんな事ないよ。巴ちゃんたちの方が上手だったよ」

「つぐみはもっと自信もっていいと思う」

「そうだよ!私は知ってるよ、つぐが練習終わった後も友希那先輩たちと内緒で練習してたこと!」

1ヶ月ほど前から友希那に頼んで白金さんというRoseliaのキーボードの方に教えて貰っていた。まさか知られてるとは思ってはいなかったけど。

「けどこれで満足しちゃダメよ、これからが本当に頑張らなきゃいけなくなるのだから」

「はい、わかってます」

私は涙を拭うと友希那から離れた。このCiRCLEでライブができるようになったということ、それは友希那たちと対等の立場となったと同時に別の意味も込められていた。

「年度末にあるガールズバンド総選挙、その資格を貴女たちも得た。私たちRoseliaは貴女たちAfterglowが1番の強敵になると思っているわ。だから、これからは同じガールズバンドとして、そして競い合うライバルとしてよろしくね」

「はい!友希那さんたちよりも私たちは絶対上手くなって見せます!」

「おぉ~、つぐが今日は一段とつぐってる」

「湊さん、絶対負けませんから」

「うぅ~、緊張するなぁ」

「ひまりはすぐ泣いたり緊張するな、大丈夫だって」

やっと友希那たちに並べた気がした。それは確実に私たちが成長していると改めて実感した1日だった。

そして私たちは一週間後、CiRCLEでの初ライブを行った。

ライブは大成功、演奏前はとても緊張したが曲が始まるとそれも全て吹き飛んだように楽しかった。

そこからは順調に人気も急上昇し、RoseliaとAfterglowが2強と呼ばれるまでになった。

しかしそんな中で予期せぬ出来事が起こった。




次回「イベランしすぎて頭がAtZになった俺氏 死す」
嘘です
次からはめっちゃシリアスにするかもです
気分次第で休憩回にも


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お久しぶりです 忘れていた方は気合で思い出してください
主に就活とバンドリとシャドバが忙しくてなかなか書く時間が取れなかったですがやっとシャドバのモチベがヒエヒエになってきたので続きのお話

ちなみにモンストなんてやってないですよ 桜樹みりあちゃんが可愛すぎて影響されたなんて無いんだからね!


「羽沢さん、これを時田先生に渡しておいてくれますか?」

「はい!わかりました」

「あ、羽沢さん、頼まれてた資料貴女の机に置いてるからチェックお願いね」

「了解です!見ておきますね!」

「羽沢さん~、演劇部の方からまた講堂の許可書が欲しいからって~」

「後で渡しに行っておきます!」

授業が終わり外では部活生徒が暑い中汗を流して練習に励んでいる放課後、私は生徒会の一員として今日も忙しなく働いていた。

CiRCLEで人気が出始めてAfterglowのみんなは気合が入り練習により力を入れていた。しかし学校での勉強、部活や生徒会等を疎かにするわけには当然いかないのでできるだけギリギリまで私は学校でやる事をやっていた。

生徒会役員には1年生は私だけで他は先輩達ばかりなのでよくあれやこれや頼まれる事ばかりだ。

「羽沢さん、そろそろ時間でしょう?あとはこちらでやっておきますから行って良いですよ」

そう私に言ったのは生徒会の風紀委員でRoseliaの氷川紗夜さんだ。

紗夜さんはよく私の実家である羽沢珈琲店に来てくれてよく話す機会が多く仲良くしてもらっている。

「本当だ、もうこんな時間。紗夜さん、ありがとうございます、あとはこれとこれだけなのでお願いします!」

時計を見ると練習時間まで割とギリギリの時間、私は早口に言うとバッグを取りそのまま駆け足で生徒会室を後にした。

 

紗夜はつぐみが出て行ったのを見届けると書類に目を通しながら自分の席へと戻った。机の上は整理されていてとても綺麗だ。

「ここ、間違ってますね。羽沢さんにしては珍しいミス...あら、ここも」

ミスだらけというわけではないが普段丁寧なつぐみにしては誤字や脱字が多い。しかも書いてある文字も少し乱雑に見える。

紗夜は手早くミス箇所を修正すると書記の娘に渡し、そのまま生徒会長の元へと向かった。

 

つぐみが学校を出た頃、美竹さん達はスタジオで各々楽器の調整等をしながら話をしていた。

「でねー!そこのクレープ屋さんでもうすぐ期間限定クレープが出るらしいからみんな食べに行こうよ!!」

「期間限定は気になりますな~」

「ひまりがダッシュで私たちのこと連れてってくれるさ、なっ、ひまり」

「私頑張っちゃうよー!って巴ちゃん!私そんなに力持ちじゃないよ!!」

「ひまり...頑張ろう」

「蘭まで~!!」

「っと、そろそろつぐが来る頃じゃない?」

美竹さんが時間を確認してみんなに言った。練習は17時半からであと5分で時間になる。

「だな、キーボードの方はちゃんと調整終わってるか?」

「大丈夫だよ~、かんぺき~」

青葉さんがピースしながら相変わらずの間延びした声で言うと美竹さん達はそのままつぐみが来るのを待った。

 

しかし、

「ねえ、つぐみ遅くない?」

30分経ってもつぐみは来なかった。10分程度の遅刻なら学校を出るのが遅くなったのだろうと思うのだが流石に遅すぎる。

「連絡も無いし何かあったのかな?」

ひまりが心配そうに携帯を確認する。

「私、電話かけてみるよ」

巴はそう言ってスタジオからロビーの方へと出た。

「どうしよう、もしつぐが事故にでもあってたりしたら...」

「ひまり落ち着こうよ、もしかしたら生徒会の方で何かあったのかもしれないし」

「けどつぐなら連絡くれそうだけどな~」

今にも泣き出しそうなひまりをなだめながらも私も内心どうすれば良いか分からなかった。モカの言う通りつぐみなら多少の遅れでも必ず前もって連絡してくれる。連絡が無いということは何か良くないことがあった、という可能性が高い。胸の中がモヤモヤする。

巴はすぐに戻ってきた。

「駄目だ、繋がらない。ずっとコールは続いてたから電池は切れてないはずだけど出てくれない」

「やっぱり何かあったんだよ!私探してくる!」

「おいひまり!」

ひまりは私たちの答えを待たずにスタジオから出て行ってしまった。

「どうする?このままじゃ練習どころじゃないよ」

「分かってるよ、ひまり1人じゃテンパってどうすればいいかってまた悩むだろうし私たちも行こう」

「私リサさんに連絡してみるよー、あともしつぐが来た時に分かるようにここに残ってるねー」

「モカ、頼む」

私たちがスタジオから出ようとした時に不意に携帯が鳴った。

電話はつぐみの携帯からだった。

「巴!つぐみから電話...、はい、もしもしつぐみ!?今どこに...」

「もしもし美竹さん...?私よ、友希那よ」

電話の相手はつぐみではなく湊さんだった。電話越しの湊さんの声は少し元気がないように感じた。

「湊さん?なんでつぐみの携帯を...」

「よく聞いて、私は今病院の方にいるの」

「病院...?何で病院に?」

「羽沢さんが...羽沢さんが倒れて運ばれたのよ」

「え...」

「私が用事を済ませて帰ってる途中で倒れてる羽沢さんを見つけて救急車を呼んだのよ。どうすれば良いのか分からなくて羽沢さんの携帯で親御さんに連絡したけどなかなか繋がらなくてそのまま貴女に電話を掛けたの」

「あの、それでつぐみは...」

「まだ検査中よ、詳しいことが分かったらまた知らせるわ」

「わかりました、わざわざすみません...」

電話はそこで切れた。私たちはひまりに連絡を入れてスタジオへと戻った。そして湊さんから教えてもらったことを伝えそのまま解散となった。帰り道では誰も何も喋らなかった、雰囲気も悪くそんな気分ではないといった空気が流れていた。

 

湊さんから連絡が来たのはその日の夜だった。

結果は極度の疲労、ずっと無理をしていてしばらく入院しなくてはいけないとの事だった。巴たちにもメールを送りつぐみの意識が戻った時にお見舞いへ行こうと決めた。

だが、1週間経ってもつぐみの意識が戻ることは無かった。




山場って大事だよね 緩急緩急


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泥沼

新しくバトルものの小説も投稿したので是非見てあげてください
そして今回はやる気少しだけ出たので前よりは短い期間で投稿できたと思います((꜆꜄ ˙꒳˙)꜆꜄꜆


2週間が過ぎた。あれからつぐみの意識はまだ戻らない。

私は毎日様子を見に来ているが目を覚ます様子は見られない。

医者は脳に何らかの影響があるからだと言っていた。

「ごめんなさいね湊さん、毎日お見舞い来てもらって」

「いえ、私も羽沢さんが心配ですから」

つぐみのご両親もお店の時間をずらしたりしてお見舞いへと来ている。

あの日からずっと、私はつぐみに何があったのかを調べてみたが結果は何もわからなかった。美竹さんたちも生徒会の人達に様子はどうだったのかを聞いていたようだが収穫は無かったらしい。

 

私はじっとつぐみの顔を眺めながら時間が過ぎるのをただ待っていた。この2週間、何も手につかず入っていたライブも断り練習すらまともに参加しなかった。学校には行っていたが何をしたかは殆ど覚えていない。リサとはクラスも家も隣だが一言も話していない...いや、話しかけられたような気はするが覚えていない。

「湊さん、お時間です」

時刻は18時、この時間になるともう帰らなければいけない。看護師さんに呼ばれて私は荷物を持った。

「...また明日ね」

私はまた今日も目を覚まさなかった彼女にそう言って病室を出た。少しでも笑顔を作ろうとしてももう笑い方すら忘れてしまった。どうやったら彼女は目を覚ましてくれるのだろう。脳裏に「友希那さん」と私の名前を呼びながらはにかむ彼女の顔、その笑顔をまた見られる日が来るのだろうか。

 

 

「そこは違うでしょ!何回言ったら分かるの!」

「蘭こそテンポが速いんだよ!もっと合わせろ!」

巴と蘭の言い合う声が今日もスタジオに響いている。最近はずっとこんな感じでみんなピリピリしている。

「何?私が悪いって言うの?間違ってることを教えてあげてるだけでしょ!」

「蘭が1人でテンポズレてるから合わせようとしてるから間違えちまうんだろ!」

「ちょっと2人とも喧嘩はよしてよ!」

2人を止めようとひまりが止めに入るが2人ともあーでもないこーでもないと言い合いが終わる気配はない。

「ひーちゃんの言う通りだよー。蘭も巴も、そんな喧嘩腰だと余計悪くなるだけだと思うなー」

私の言葉に2人は不満そうに口を噤んだ。ひまりは深いため息をついて壁にへたりこんだ。

「ねえみんな、こんな毎日喧嘩続きの練習に何の意味があるの?次のライブも延期になるんでしょ?」

ひまりが不満をついに口にした。普段こんなことを言わないから相当ストレスが溜まっているのだろう。

「そうだけど、つぐみが居ないからって練習をしないわけにはいかないでしょ。それに意味が無い練習なんて...」

「意味無いよ!!!私たちは5人でAfterglowでしょ!!!!5人幼馴染で、5人でずっと一緒にって...言ったじゃん...!!!!!」

ひまりの悲痛な叫びがスタジオにこだました。巴も蘭も私もそんなひまりに何も言い返すことができなかった。

その後は練習どころでは無くなったので解散になった。私は受付で支払いを済ませて次のライブの辞退を申し出た。こんな状態ではとても客を満足させるようなパフォーマンスなんてできるとは思えない。

外にいたまりなさんにも報告するとRoseliaもしばらくステージには立てないかもしれないと教えてくれた。つぐみの関係を考えたらその理由は容易に想像出来た。

その日の帰りは久しぶりに1人の帰り道だった。

蘭といつもは帰っているのだが今日はさっさと帰ってしまったらしい。巴もひまりも1人にしてほしい雰囲気をかもし出していたので遠慮した。

なんだかみんながバラバラになっていくような、そんな気がした。




かなり重苦しくなりましたね 主人公が活躍しない作品ってなかなか無いような気もする
否、この作品はみんなが主人公 なんてかっこいいことは言えませんですはい


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陰鬱

どうもどうも 気温の変化に付いていけず体調が悪いちゅぐみさんです
自分はラブライブサンシャインも好きなんですけど4thライブチケットのためにBlu-ray買っちゃいました お金がガガガガガガ

それは置いといて今回もどうぞ読んでください((꜆꜄ ˙꒳˙)꜆꜄꜆


「ねー...どうすればいいの?このままじゃ私たち解散になっちゃうよ...」

今にも泣きそうな顔であこは机に突っ伏しながら言った。

「どうにかしたいのはやまやまだけど...友希那さんがあんな様子じゃ...私たちにはどうすることも...」

燐子も悲しそうな顔で椅子に座っている。いつもはオンラインゲームで通話しながら話すのだが最近は2人でお互いの家に入り浸るようになった。一人でいると不安なのだ。

「友希那さんにメールしても返してくれないし...氷川さんも生徒会で忙しそうだしみんなバラバラになっちゃうのかな...」

「リサさんも友希那さんとはあれから話せないって言ってたし...」

練習ができないからライブもできないので既に先週と再来週のライブは中止になった。紗夜からは落ち着いたら友希那以外の4人で話をすると1週間前に言ってはいたがなかなか連絡が届かないでいた。

2人がダラダラと話をしているとメールが届いた。

 

「学校で見かけてはいるはずなのに久しぶりに感じますね、白金さん。宇田川さんも元気そうで良かったです」

呼び出された場所はCiRCLEのカフェテリア、その1席に紗夜は座って待っていた。

紗夜はいつものピリッとした雰囲気は無く、なんだかやつれている様にも見える。

「紗夜さん...大丈夫ですか?」

あこが心配そうに声をかけた。紗夜はそれに微笑みで返した。

「あ...あの、今井さんの姿が見えないですけど...来ないのですか?」

燐子はてっきり紗夜とリサが一緒にいると思っていてキョロキョロと辺りを見回した。

「今井さんは今日はバイトが入っているらしく悪いのですが私たちだけです。湊さんにも一応メールは送ってみたのですが...やはり返ってはきませんでした」

「私たちどうなっちゃうんですか?まさか解散なんて言わないですよね?」

「私の一存でそれは決められませんが少なくとも解散なんてする気はありません。それは約束しましょう。それよりも今は湊さんをどうするのか決めましょう。といっても私の中ではどうするかは決まっているのですが、2人が他に案があれば聞きますよ」

「わ....私は...氷川さんのその案で....いいのが思い浮かばないので」

「私は友希那さんにガツンと1回言うのがいいと思います!!もうこれ以上我慢できません!!」

燐子とは対照的にあこは今にも飛び出して行きそうな様子。

2人の答えに紗夜はふっと微笑んだ。

「私も宇田川さんと同じです。みんなで湊さんの目を覚ましに行きましょう。待ってるだけでは何も解決しません」

あこと燐子はパッと笑顔になった。

「なら、今すぐ行こうか~。ちょうどみんな揃ってるしね」

入口の方から声が聞こえた。そこにはバイトのはずのリサが居た。

「リサさん!」

「今日は...来れないのでは無かったのですか?」

「モカに言って早上がりさせてもらっちゃった☆それより友希那なら今の時間病院にいるよ。今から行けばまだ間に合うよ」

紗夜達は立ち上がり荷物を持った。

「では、行きましょうか!私たちの"リーダー"を迎えに!」




なんかRoselia回になっちゃった(๑>؂•̀๑)テヘペロ
ちゃんとAfterglow回も用意してます


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秀愛

どうも ちゅぐみちゃんです 皆さん大雨の被害は大丈夫だったでしょうか 自分の家は無事ですがシャツが1つ風に飛ばされ世界一周の旅へと出ていってしまいました
それでは今回もゆっくり読んでいってね


「失礼しまーす...友希那?入るよ...?」

私たちが病院へ着くと看護師さんの案内でつぐみちゃんの病室へと通された。病室内は静かで開け放たれた窓から風の音だけが聞こえてくる。

つぐみちゃんの寝ているベッドの側に友希那は座っていた。夕陽に照らされたその顔は暗く、感情が無い。目の下には黒いクマができていてその目は、ただ想い人の顔をじっと見つめている。毎日見ているはずの私の幼馴染なのに、まるで全く知らない別人を見ているように感じられる。

「湊さん、お話があります」

紗夜は友希那の方まで歩み寄ると厳しい顔で言った。だが友希那はチラリとこちらを見ただけで何かを言う気配はない。あこと燐子は私の後ろからじっと様子を見ている。

「湊さん、貴女は私たち...Roseliaを見捨てる気なんですか?」

紗夜は私が予想していたことよりもかなり厳しい言葉を投げかけた。しかし友希那はその言葉にも何も反応しない。

「何か答えたらどうなんですか?Roseliaのリーダーは貴女なんですよ?」

紗夜は必死に説得しようと様々な言葉を投げかける。しかしその言葉はどれも届かない。次第に紗夜の声に嗚咽が混じりはじめる。

「あこは友希那さんに憧れてこのRoseliaに入ったんです!かっこいいRoseliaが、友希那さんが、みんなが大好きなんです!だからRoseliaが無くなっちゃうなんてあこ、絶対に嫌です!!」

「私も...!Roseliaが大好きです!けど...友希那さんがいない...Roseliaなんて、Roseliaじゃありません!お願いですから...目を覚ましてください!!」

あこも燐子も気持ちをぶつけるが友希那は見向きもせず無表情のままつぐみちゃんの顔をじっと見ているだけだった。そんな友希那の様子に私の中で何かが切れる音がした。

パァン!!!

病室内に乾いた音が響いた。気づいたら私は友希那の頬を思いっきり引っ張たいていた。

「ねぇ...いい加減にしなよ友希那、なんでこれだけ紗夜達が言っても何も言おうとしないの...?」

私の目から頬へ涙が伝う。私はそれを拭おうともせずじっと友希那を見る。

「答えなよ!!友希那ぁ!!」

私は友希那の胸ぐらを掴んで無理やりこちらへ顔を向けた。こうして向き合うのは初めてのような気がした。

「...よ」

友希那が何かを呟いた。しかしその声は私の耳には届かなかったが、確かにもう一度友希那は言った。

「私だって逃げたい時くらいあるわよ!!貴女達のことを忘れてたことなんて1度も無いわ!!練習にだって何回も行こうと思った!けど...ダメなの...羽沢さんの側にいないと、不安で不安で仕方ないのよ...今にもこの世からいなくなったらって考えると...夜も眠れないの...」

友希那の目から大粒の涙が零れた。私は友希那をそっと抱き寄せる。

「友希那、私たち仲間じゃん、もっと頼ってよ。気持ちはわかるけどさ、私たちだって何も連絡もなかったら心配だよ?」

「湊さんが羽沢さんのことを心配してるのと同じです。湊さん、ずっとこのままでは何も変わりません。今は羽沢さんの分まで、貴女が頑張らなくてはいけないのではないですか?」

私と紗夜の言葉に友希那は泣きじゃくりながら頷いた。

「友希那さん...良かったです」

それを見て燐子はにっこり微笑んだ。あこも嬉しそうな顔を見せた。

そして私たちは眠っているつぐみちゃんの様子を見る。いつも羽沢珈琲店で接客をしてくれているから話す機会はあるしライブにも来てくれているのでよく見かけるがそこで見る彼女より頬が明らかにやつれている。

「お医者さまは、何て診断したのですか?」

「私には伝えられてないわ...ただこのまま起きない状態が続いたら、手術も視野に入れると...」

それは手術をしたら目を覚ますものなのか疑問にも思ったが原因がわからない以上信じるしかないだろう。友希那は眠っている彼女の手をぎゅっと握った。

「つぐちん...大丈夫だよね?絶対起きるよね...?」

あこはいつもの元気はどこに行ったのか今日はとても大人しい。

「あこ、大丈夫よ。絶対起きるわ」

友希那はあこにそう言ってまだ涙の跡が残っているが優しく微笑んだ。

「失礼致します。時間ですので今日はご退室お願いします」

ドアがノックされ看護師さんが促した。私たちは荷物をまとめて病室を後にした。

 

 

「...はい、わかりました。ではそのように...はい、失礼します」

「らーんー!誰から電話だったの?」

「うん、ちょっとね。つぐみのことで病院からだよ」

「あら、その事なら私に任せたんじゃなかったの?」

「こころに任せてたら勝手なことしそうだから、親友を変な実験台にされても困るし」

「そんな事しないわよ。蘭の友達に変なことしたら怒るんでしょ?」

「当たり前でしょ。まあ話は終わったからいいよ、ありがとう、こころ」

「蘭の笑顔が見れるなら私はなんだってするわよ!私は蘭が大好きだからね!」

「ふふ、私も大好きだよ」




今回はここまーで かなり駆け足になっちゃったけど大丈夫かな?


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生きる

実はですね 昨日あたりまでかなり書いてたんですよ それで自動保存してて あ、少し休憩 と思ってモンストとかTwitterとか回ってたんです そしたら保存してたやつすら消えてて泣きそうになりました
ちゅぐみです


暗い 暗い闇の中で声が聞こえる。

(は......さ....!!)

誰だろう、よく聞こえないよ。私は声のする方を頼りに暗闇を走る。

だがその声は次第に小さくなる。

「待って!!待ってよ!!!」

私は無我夢中で叫んだ。何故かはわからない、でも追いかけなきゃいけない気がした。

「お願い!!待って!!!」

目から涙を流しながら私は追いかける。すると目の前が急に暗転した。

「え...!?」

気づくと私はスタジオに一人で立っていた。楽器は置いてあるが私以外は誰もいない。

「ら、蘭ちゃん...?ひまりちゃん...?」

名前を呼んでみるが辺りは静まり返っていて音1つしない。

私はスタジオを出て入口の所まで行ってみた。

「あら?つぐみちゃん?どうしたの、今日は1人?」

受付にはまりなさんが立っていた。私はホッと胸を撫で下ろした。

「その、蘭ちゃん達見ませんでしたか?」

「美竹さん達?今日は来てないわよ」

「そ、そうですか...ありがとうございます」

私は一礼すると外へ出ようとした。すると、

「あ、つぐみちゃん」

まりなさんが私の腕を取って引き止めた。いつの間に受付のカウンターから来たのだろうか。

「つぐみちゃん、何かあったら私に頼ってね、きっと力になるから」

まりなさんは意味深な発言をしてまたカウンターの方へ戻った。

「それはどういう...」

私はまりなさんにどういう事なのか聞こうとしたがまた暗転して次はいつの間にか学校の教室へと場面が変わった。

「え...?どういう事なの...?」

全く状況が飲み込めない。そこへ誰かが入ってきた。

「あー、疲れたー。巴は相変わらず運動得意だよねー」

「そんなことは無いさ。ひまりも頑張ってたじゃないか」

巴ちゃんやひまりちゃん、それに他のクラスのみんなも入ってきた。体育から帰ってきたらしくみんな体操服姿だ。

しかし私が見えていないのか誰も声をかけるどころか気づいてすらいない様だった。更にこのクラスにいるはずの私の姿も無い。

「何...これ...?」

自分の机の方をふと見てみるとそこには花が入れてある花瓶がぽつんと置かれていた。私はこれが何を意味するのか直感的に悟った。

「死ん...だ?私...?え...?」

頭の中が真っ白になった。それと同時に体験したことのないような寒気と恐怖感が私を襲う。

「やだ...やだよ...」

震えが止まらない。受け入れたくないのに、無情にも現実は目の前に突きつけられる。

「つぐみも...この間まではここにいたのにね...」

蘭ちゃんの声が聞こえてきた。私は話を聞きたくなくてサッと目を伏せて耳を塞ぐが声は耳元で聞こえてくる。

「蘭...ダメだよ。つぐの話はしない約束でしょ」

モカちゃんの声も聞こえてきた。その声は震えているようにも感じる。

「だ...だって...」

蘭ちゃんの声は明らかに泣いているような声だった。私はハッと蘭ちゃんの席の方を見た。

しかし、

教室の中には誰もいなかった。それどころかさっきまであったはずの机や椅子すら何も無い。まるで私だけ別の次元に切り離されたような感じがした。

私は怖くなって教室を出た。もう心の中がめちゃくちゃだ。助けてほしい。会いたい、抱きしめてもらいたい、泣きたい、会いたい、会いたい、会いたい....

 

 

 

 

 

誰に?

 

私は、誰に会いたいのだろう?

 

その人のことを思い出せない

 

何でだろう 忘れちゃいけない人なのに

 

大切な人のはずなのに

 

まるで思い出が塗り潰されたかのように 思い出すことができない

 

 

 

『つぐみ、もういいんだよ』

違う

『よく頑張ってたじゃないか、もう、苦しむ必要は無いよ』

そうじゃない

『〇〇ちゃん達に後は任せなさーい』

お願い

『だから、つぐは休んでて』

偽物は消えて!!!!!

 

 

 

 

「羽沢さん、こっちよ」

 

 

 

ハッと気がつくと私は白い、何も無い空間に立っていた。

辺りを見回してみても何も無い、ずっと白い空間が続いているだけだ。

「こっち」

声が聞こえた。だがどこかはわからない。

「こっちに、まりなさんがいるわ」

声が聞こえた方を頼りに私は走る。不思議と怖いという思いは無い。何か、懐かしい声だ。

「おーーーい!!」

遠くの方でまりなさんが手を振っているのが見えた。私が駆け寄るとまりなさんは言った。

「つぐみちゃん、あそこに貴女の求める人がいるわ」

その方を見ると、1人の女性が立っていた。

「行ってらっしゃい、そして、幸せになってきなさい」

まりなさんは背中を押して促した。

私は1歩、足を踏み出した。だが、そこから動くことはない。

「違う...」

ポツリと呟いた。まりなさんの不審そうな声が聞こえてきた。

「どうしたの?貴女の大切な人でしょう?早く行ってあげなさい」

その声に反するかのように私は振り返った。

まりなさんを見ると私は言った。

「違います。確かに...あれは友希那さんかもしれない、けど、違います!私の生きる場所は...私と、友希那が生きる場所は!ここじゃ無い!!」

そう叫ぶように言うとまりなさんは満足そうな顔を見せた。

「いいのね?ここじゃなくて、ここなら一生楽できて、苦しいこともなくて、死ぬこともない」

「嫌です。私は...友希那と、生きたい!!」

そう叫ぶと一瞬にして私の意識は現実の世界へと引っ張られた。

夢の世界から出ていく瞬間、私の耳元で確かに、大切で、大好きな人の声が聞こえた。

「×××××」




もう一度同じことを書くモチベが何故か無かったので別のを挟むことにしました。 しばらくつぐ出てなかった気もするしちょうど良かったかな


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遅くなって申し訳ない ちょっとバイト等忙しくてなかなか時間取れませんでした


「ん......んぅ...」

私はぼやけた視界でゆっくりと目を開けると白い天井が視界に映し出される。私はベッドの上で寝かされていた。周りにはクリーム色のカーテンが掛かっている。起き上がろうとするも体が酷く痛んで動けず、私はふと視線を自分の足の方へと向けた。ベッドの脇に両腕を枕代わりにこちらに顔を向けて寝ている銀髪の女性がそこには居た。

その顔はいつもの美しさは陰り、涙の跡が見えた。

「ぁ......ゅ.....きぃ....」

私は声を出そうとするも掠れて上手く出せない。体も節々が痛んでピキピキ鳴っている。最愛の人が目の前にいるのに、手が届かない。

私が四苦八苦しているとその人はゆっくりと目を覚ました。

「んん.......ふあぁ...」

小さなあくびをして目を擦るその姿はまるで小動物のようでとても可愛らしい。

「おはよぅ...羽沢さ...ん.....、え...!?」

私の顔を見ると眠気が一気に覚めたのかキョトンとした顔になる。そして彼女は私をぎゅっと抱きしめた。

「よかった...!もう目を覚まさないかと心配で....!」

その声で顔を見なくても涙を流しているのが分かった。私はそんな友希那の頭をそっと撫でてあげる。友希那の相変わらず甘い柑橘系のシャンプーの匂いが鼻腔をくすぐる。それだけでも私は安心感を持てた。

 

それからしばらくしてお医者さんから私が数週間寝ていたことや友希那が毎日のように看病に来てくれていたこと等を聞いた。

そしてお母さんとお父さんも私の目が覚めたことを聞いたらすぐに来てくれた。お母さんは特に心配してくれてたみたいで私を見るとすぐに泣き出してしまった。

 

そして更に1週間ほど経って私は外出許可が降りた。声は出ないしまだ上手く歩けないけどだいぶ体を動かすことはできるようになった。

久しぶりに我が家へと帰ると蘭ちゃんたちが来ていた。みんな嬉しそうに私の所へと駆け寄ってきてくれた。

いつものように窓際の端の席で私が居ない間の学校でのことを話した。

 

話しも終えて私は病院へと戻った。ひまりちゃんが早く退院できるようにと手作りのお守りをくれた。形がちょっと変だが嬉しい。

病室に戻って30分くらい経った頃に友希那はまた来てくれた。

「羽沢さん、体の方は大丈夫だった?」

私はうんうんと笑顔で頷いた。それを見て友希那もふふっと笑った。

「なら良かったわ。あまりはしゃぎすぎないようにね」

友希那は微笑みながら私の頭を撫でる。それだけで嬉しくて顔のニヤけが止まらない。今日は色々な話を友希那にしてあげたかった。いっぱい話したいことはあるけど声が出ない今は我慢だ。

それから私と友希那は面会終了時間まで静かに2人の時間を過ごした。

 

こんな日が約2週間ほど続いた。リハビリも順調で声も少しずつ出せるようになった。

蘭ちゃん達も毎日来てくれて練習も無事に再開したようだ。ライブは私が退院して戻ったらやると言ってくれた。

Roseliaの方も活動を再開したらしくあこちゃんが嬉しそうにはしゃいでいた。

 

そして入院して2ヶ月が経った夏休みも終わる8月29日に、私は無事に退院した。




なんかね、自分でも微妙だなって思った


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変わらない日常

さて、とりあえずサボり続けてしまいごめんなさい


とりあえずあけましておめでとうございます 新年初ガチャはさよつぐの☆4でしたフォ━━━━━━━ヽ(▼∀▼)ノ━━━━━━━!!!!!!!


「つぐー!今日は店番無い日だよな!ひまりが美味しいクレープ屋行こうって言ってんだけど一緒に行かねーか?」

もうすっかり冷え込んできた11月、私たちAfterglowの今日はお休みの日である。巴ちゃんは相変わらず寒さも吹き飛ばすくらい元気でむしろ制服の裾は腕まくりをしている。見ているこっちが寒くなりそう。

「うん!いいよ!行こう行こうー!」

甘い物は大好きなので断る理由は無い。強いていえば友希奈とも一緒に行きたかった。

退院以来友希那との関係は前よりもずっと良くなった。口数は相変わらず少ないが二人で居る時の距離はずっと近くなり、私も友希奈もお互いの為に頑張ろうという気持ちも持つようになっていた。

「つぐー!早く行くよー!」

頭の中で友希那の事を考えていたらひまりちゃん達が既に荷物を持って教室のドアのところから私を呼んでいた。いけないいけない、最近ちょっと時間があったらすぐに友希那の事を考えてしまう。

(好きだから、仕方ないよね)

そう、私は友希那が好きだ。大好きでたまらない。だから、もっと追いつけるように、頑張ろう。

 

「うっわぁー!」

「凄い行列...」

ひまりちゃんの言うクレープ屋さんの前には物凄い長蛇の列が出来上がっていた。どうやら最近オープンしたばかりなのと、駅の近くにあるということで特に私たちのような女子学生にはかなり人気があるらしい。甘い物だし当たり前ではあるが、まさかここまでとは予想していなかった。

「ひまりちゃんどうする...?並ぶ?」

「うーーーーーん...何分くらい待ってるんだろう...」

流石にこの行列だ、ひまりちゃんも難しい顔をして悩んでいる様子。

「私ちょっと最後尾見てくるよ、ひまりとつぐはここで待っていてくれ」

そう言って巴ちゃんはパッと走って行った。

「うー...ごめんねぇつぐぅ〜」

「だ、大丈夫だよ...私もこんなに並んでるなんて思わなかったし」

ひまりちゃんは目をうるうるさせながら店先のショーケースに展示されている見本のクレープを見ている。 バナナやいちご、チョコレートといった沢山の種類のクレープがあり、変わったもので抹茶醤油クレープなんてものもある。見本を見ているだけで食べたくなってきた。

「ひまりー!つぐー!最後尾1時間待ちだってよ、どうする?」

「1時間かー、今から並んだら6時過ぎちゃうよー」

今の時間は17時15分、この時期なので既に暗くなり始めている。

「私は一応大丈夫だけど...1時間も並ぶのかー......」

この寒い中1時間も外にいるのはちょっと嫌だなと思った。こういう時、寒さに強い巴ちゃんが羨ましいと感じる。こういう時友希奈ならどうするだろうか...。

「あら?羽沢さん、それに...宇田川さんに上原さんまで」

うだうだと悩んでいると聞き覚えのある声。そこには友希那と紗夜さん、あこちゃんと燐子さんらRoseliaのメンバーと、

「あ!ひまりちゃんにつぐみちゃん!やっほー元気ー?」

巴ちゃんにも負けないくらいいつも元気な日菜さんがいた。

「日菜さんはいつも元気そうですね、みなさんもクレープを食べに?」

「えぇ、今日はスタジオが取れなくてどうしようか相談してた所へ日菜が美味しいクレープ屋があるから一緒に行こうと誘われて」

「リサも来れれば良かったのだけれど、バイトだから来れないって言われたわ」

私達もモカちゃんを誘ったのだがシフトが入っているからと断られた。今頃は2人でまた話しながらレジでのんびりしているのだろう。ちなみに蘭ちゃんは華道のお稽古の日だ。

「それで、上原さん達は一体何を?」

「並ぶかどうか迷ってまして...最後尾が1時間待ちらしくて」

「えー?並ぼうよ、折角来たのに勿体ないじゃん」

日菜さんやあこちゃんたちは並ぶ気満々らしい。燐子さんはあこちゃんにがっちりと腕を捕まれていて逃げられない様子。何かを訴えるような目で私やひまりちゃんを見ている。

「あこは紅鮭といくらのクレープが食べたいだけだろう?ったく、絶対不味いからやめとけって」

「ふっふっふっ、どんなに邪道な食物であろうと我が胃袋に...にー、にー...」

言葉が途切れた。たまにあこちゃんは言葉が思い浮かばない時こうして詰まる時がある。そういう所が本当に可愛い。

「あこちゃん...えっと、えっと...」

燐子さんもいつもならサッとあこちゃんのサポートをするのだが今日はあわあわと落ち着かない様子。

「とりあえず何でも食えるってことだろ?...って本当にどうする?並ぶなら早くしないと本当に遅くなっちまうぞ」

巴ちゃんの言う通りこうして話してる間にもどんどん時間は過ぎていく。

「私と羽沢さんは並ぶわ、多少遅くなってもバンド練習の時間に比べればどうって事ない」

友希那は私の手を取って言った。友希那の手はひんやりと冷たかったがすぐに暖かくなった。

「そうですね、折角来たんですし、みんなで話しながら待っていれば暇を持て余すことも無いでしょう」

そして私たちはぞろぞろと列に並んだ。日菜さんとひまりちゃんからの好奇な視線をずっと感じるが気の所為、だと信じたい。

 

「お待たせ致しました!こちらコーヒーとバニラのクレープです。落とさないようにお気をつけください、ありがとうございましたー」

並ぶこと1時間ちょっと、やっとの事で私たちはクレープを購入することが出来た。店の中では食べれそうになかったので近くの公園に移動して食べることにした。

「友希那さんは何にしたんですか?」

「私はチョコレートといちごのクレープよ。...思ったのだけれどこのお店、変な組み合わせのクレープが多くない?」

確かに多かった。あこちゃんが食べたがってた紅鮭といくらなんてとてもクレープと合うとは思えない。少し気にはなるが...。

「そこも店の売りらしいですね、話題を呼ぶためにあえて出してるのだとか......あ、1口貰っていいですか?」

「ええ、いいわよ」

私はパクッと小さくかぶりついた。チョコの甘さといちごの甘酸っぱさが噛み合っていてとても美味しい。

「ん〜、美味しいです〜!」

「ふふっ、良かったわ。私も羽沢さんの1口いいかしら?」

「はい!いいですよー」

私はクレープを差し出す。髪を耳に掛け、はむっとクレープを食べる友希那はとても優雅で可愛かった。見ているだけで幸せだ。

「少しほろ苦いけど美味しいわね」

苦い物が苦手な友希那もなんとか食べれるようだ。

「お2人さんは相変わらず仲がよろしいようで」

「ふぇ?」

ひまりちゃんのじとーっとした声が聞こえて、見るとみんなの視線が私たちに向けられていた。気づいたら私は友希那にくっ付く形で座っている。

「いやー、つぐちゃんと湊さんは見ててほんわかするよー」

カスタードとココアのクレープを食べながらにやにやと日菜さんがこちらを見る。なんだか少し恥ずかしくなってきた。

「日菜、食べづらいから少し離れてくれるかしら」

日菜さんも紗夜さんにべったりとくっ付いている。紗夜さんは迷惑そうな言い方だが少し嬉しそうな表情。ただその手に持っているのはナゲットとアボカドのクレープ...流石はジャンクフード好きの紗夜さんだ。あこちゃんと燐子さんも2人でぱくぱくとクレープを食べている。やっぱり紅鮭といくらのクレープを頼んでいて2人の表情からして意外と美味しいというのが窺える。巴ちゃんとひまりちゃんは互いにバニラと抹茶のクレープ。うん、私と一緒でとても普通だ。私たちはわいわいと公園で話をしながら少しの時間を過ごした。

 

「うぅ.....」

「そんな難しい顔をしないでいいのよ」

「だってこの状況は...ちょっと...」

私と友希那はあの後まだ2人で居たいということで友希奈が私の家に泊まることになった。そして食事を済ませ、シャワーを浴び、ちょっと雑談を楽しんでいざ寝ようと現在に至る。

「ふふっ、可愛いわね」

「そ、そんな...可愛くなんて...」

「力を抜きなさい、大丈夫...すぐに気持ちよくなるから」

「ちょ...駄目っ...あ...」

「羽沢さん、あまり動かないで。まだ私も慣れてなくて...」

「友希那...さん...私......もう...駄目っ...」

背筋がぞわっとする感覚が私を襲う。私はベッドのシーツをぎゅっと握りしめ快感に耐える。

「あっ...うぅ...」

手は震え目からは一筋、涙が頬を伝う。こんな姿を友希奈に見られているのが恥ずかしくなり、私は枕に顔を埋める。

「ふぅ...このくらいかしら。足裏のマッサージって案外難しいのね」

「......友希那さんのいじわる」

「いじめていたつもりは無いわよ...それにやってほしいと言ったのは羽沢さんじゃない」

確かにそうだがそれでもこんなに気持ち良いなんて思って無かった。最初はちょっと痛かったけど。

「友希那さん...私...」

頬を赤らめ潤んだ瞳で友希那を見つめる。頭がぼーっとして殆ど何も考えていなかった。

この後私と友希那は朝方までイチャついていた。次の日に寝ぼけながらバンドの練習に行ったのは言うまでもない。




次回「つぐ×友希那異世界転生」


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羽沢珈琲店

普通に緩い日常のお話になっちゃいました


羽沢つぐみ、絶賛店番中です。今日もお店はいつも通りゆったりとした雰囲気に包まれております。

「いらっしゃいませー!」

私はお盆にお手拭きとメニュー表を持って、ご来店したお客さんへお渡しします。メニュー表を渡してまじまじと眺め時間をかけて選ぶお客様もいれば、

「いつもの、コーヒーとラスク」

という感じで、すぐにオーダーを頼むお客様、いわゆる常連さんも多くいます。常連さんといえばお店にはよくAfterglowのメンバーやRoseliaさん、ハロハピの薫さんと美咲ちゃんと松原先輩、ポピパの市ヶ谷さんにパスパレの千聖先輩にイヴさんが良くお店に来てくれます。

「やっほー!つぐー!」

今日もひまりちゃんが巴ちゃんとイヴさんを引き連れてご来店しました。

「ひまりちゃん!それに巴ちゃんにイヴさんも、いらっしゃいませ!」

「おーっす!いつもの頼むよー」

「はーい、席で待っててねー」

「つぐみさん!私はホットココアとチーズケーキでお願いします!」

「はーい!」

イヴさんは特に決まったメニューは無く、日によって違った飲み物とケーキを頼んでくれる。ただし期間限定物には目が無く、絶対に毎回欠かさずに頼みにくる。逆にひまりちゃんや巴ちゃんはいつも同じもの。2人曰く、

「私メニュー表見たら悩んじゃって決められないんだよ〜」

「私は腹に入りゃなんでもいいよ」

とのこと。ひまりちゃんはともかく巴ちゃんはとりあえず選ぶのがめんどくさいのだろう。なんというか巴ちゃんらしい。

 

「いらっしゃいませ...友希那さん!」

「羽沢さん、こんにちは」

私は水色のマフラーを脱ぎ笑う。羽沢さんはいつもと変わらないふわっとした笑顔で出迎えてくれる。

「今日は練習もう終わりですか?」

「ええ、いつも閉店間際にごめんなさいね」

私は店の1番窓際の端っこの席に座る。この場所が1番落ち着く。羽沢さんはコーヒーとミルフィーユを持って私の前に置いてくれた。

「いいんですよ、来てくれてとても嬉しいです!」

「ふふっ、そう言ってくれると私も嬉しいわ」

彼女は笑顔だけ返してぱたぱたと裏の方に引っ込んで行った。私はコーヒーに砂糖とミルクを入れると一口飲んでふっと息を吐く。お客さんは私だけなので外の車の音と店に流れている物静かなBGMだけが私の耳に聞こえてくる。最近はバンド練習後にこうしてコーヒーを飲みに来るのが私の日課。羽沢さんとも会えるし静かな時間を過ごせるので欠かさずに通い続けている。

(思えばこうして静かに1人で居る時間なんて、前は自主練の時かニャーちゃん達に会いに行っていた時くらいね...羽沢さんと付き合い始めてから、色々と変わった気がするわ)

羽沢さんと付き合う前は私の隣にはずっとリサが居た。私はふと思う時がある。もしも付き合っていなかったら、今でも私の隣にはリサがいるのだろうか。そういえば最近話す機会も減っているような気がする。今度ここに誘ってみようかな、とミルフィーユを頬張りながら考える。

「友希那さん、隣いいですか?」

羽沢さんがココアを片手に私の所へと戻ってきた。まだ閉店にはもう少し早い気がする。

「ええ、いいわよ。店番の方は?」

「お母さんが今日はもういいから友希那さんとお話してきたら?って」

羽沢さんのお母さんには本当に良くしてもらっている。わざわざ気を使ってくれたのだろう、とても良い人だ。

「優しいお母様ね...Afterglowの方は最近どうなの?」

特にめぼしい話題も無いので自然と話はバンドの事になってしまう。これでも以前に比べたら話をするようにはなった。前はお互いにぎこちなくて会話もすぐに途切れてしまっていたので本当に進展したと思う。

「それで巴ちゃんがねー...あ、雪!」

羽沢さんがパッと目を輝かせ窓の外を見る。窓の外にはふわふわと空から小粒の雪が降ってきていた。

「本当ね...そういえば、もうすぐクリスマスだったわね」

「今年は何か予定あります?」

「CiRCLEで24日にクリスマスライブよ、確か羽沢さん達も出るはずよね?」

今年のクリスマスライブはAfterglow、Roselia、Poppin’Partyの3メインだったはずだ。

「そうですよ、頑張りましょうね!...ってそれはイブじゃないですか!私が言ってるのはクリスマス当日のことです!」

期待しているような目で私を見つめる。子どものようでついからかいたくなる。

「そうね...今年は好きな人と過ごす予定よ。私が1番愛している人と」

「えっ......」

ぷしゅーっと音が聞こえてきそうなほど羽沢さんは顔が真っ赤に染め上がった。かくいう私も心臓がバクバクと破裂しそうなほど高鳴っている。

「聞こえなかったかしら?私は...」

他に人が居ないことをいいことに調子に乗った私は羽沢さんの髪を耳に掛けて露わになった小さな耳に優しく囁く。

「羽沢さんと...クリスマスは過ごしたいのだけれど」

赤くなっていた顔が更に赤くなり、羽沢さんは何も答えずにただコクリと頷いた。

「友希那さんの....いじわる....」

羽沢さんは私の顔をこちらに向けると、不意に私の唇を奪う。甘いココアの風味を感じたがすぐにそれは溶けていつもの彼女の味へと変わる。数秒経った後に唇を離し私の胸に顔をうずめ、ギュッと私の裾を掴んだ。

「あんな言い方...ずるいです」

「私は羽沢さんの可愛い一面を、もっと見たいだけよ」

彼女の頭を撫で窓の外を見る。変わらず雪がしんしんと降り続いていて親に手を引かれている子どもがはしゃいでいる。

「つぐみー、そろそろお店閉めるわよー!」

店の奥から羽沢さんのお母さんの声が聞こえてきた。時計は20時前でもう閉店の時間だ。

「羽沢さん、そろそろ私も帰るわ」

彼女を引き離そうとするがふるふると頭を振って動こうとしない。

「もう時間でしょう?羽沢さんのお母様にも迷惑はかけられないわ」

「嫌だぁ...もっと一緒に居たい...」

珍しく子どものように駄々をこねる。私はため息をついて頭を撫でるが時間が気になりちらちらと時計の方を確認する。

「明日もまた来るから...今日のところは...」

「嫌...一緒に居て...」

結局その後も引っ付いて離れそうになかったので家に連絡して羽沢さんの家に泊まることにした。その日の彼女は妙に甘えたがりで私にくっついて離れない。心当たりは全く無いし可愛かったので特に気にはしなかった。けれど私も羽沢さんもこの時まだ再び彼女に起こる異変を知る由も無かった。

 




次回こそ、「つぐ×友希奈異世界転生」 するといいね


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孤独の歌姫

Happy Birthday つぐみちゃん



ポチャン...ポチャン...

 

一定の感覚で水の落ちる音が聞こえる。

 

ポチャン...ポチャン...

 

暗い場所...ここはどこなのかしら?

 

ポチャン...ポチャン...

確か私はリサと久しぶりに話をして、それで...

 

ポチャン...

 

そう、羽沢さんにメールを送ろうとして寝ちゃったんだわ

 

内容...なんだったかしら?それにしても寒いわね...暖房つけ忘れた?そもそもここはどこよ、真っ暗で何も見えないわ...

 

「そうですね、友希那さん...貴女は何も見えていない、何も分かっていない」

 

この声、羽沢さん?私が何も分かっていないってどういう...

 

「答えなんて無い。何も無いのだから」

 

...?何を言っているの?はっきり言ってくれないとわからないわ。

 

「答えなんて無い。何も無いのだから」

 

それはさっき聞いたわよ。ちゃんと答えて!

 

「知りたい?私の身に起きたことを...あの日の、あの時の苦しみを、寂しさを」

 

あぁ...ようやく理解できたわ。これは私が作り出した幻聴であり、夢

 

「友希那さん...私は何も知りませんよ?」

 

そうだ、彼女は何も知らない。だって...

 

「あなたが全て知っているのだから」

『わたしが全て知っているのだから』

 

 

 

ハッと目を覚ました。何か嫌な夢を見ていた気がするがよく思い出せない。

「はぁ...はぁ...気持ち悪い...」

私は体を起こし額の汗を拭う。吐き気を催すが物は出ない。視界はぐるぐると渦を巻いているような錯覚に陥り頭はぼーっとして自分が何をしようとしたのかさえ思い出せない。着ていた服は汗でベトベトになって気分が悪い。着替えようとタンスまで歩こうと立ち上がるが、

バタン!!

歩ける訳もなく、私は膝から崩れ落ちるように倒れた。立ち上がる気力すら無く肩と腕に鈍い痛みが走る。その痛みはやがて私の全身を襲う。視界はぼやけて滲んできた。眉間につーっと生暖かいものが伝う。私は身を縮こませて涙を拭う。しかし拭えば拭うほどそれに反するかのように涙はとめどなく溢れてくる。

(友希那さん...)

やがて視界はブラックアウトし、私の意識は再び深い深い谷底へと沈んでいった。

 

 

 

12月23日、明日はクリスマスライブ本番。CiRCLEでのリハーサルだが他のバンドも見ている前で歌うので本番さながらの緊張感、になるはずだった。肝心の3メインのうちの1組がリハーサルが始まっても来ない。何かあったのだろうか?流石に日程を忘れるなんてこと彼女たちがするはずない。そもそもそのメンバーのうちの一人は私の大切な人、昨日の夜にお互い頑張ろうとメールで言ったはずだ。オーナーのまりなさんは忙しなくどこかへ電話をかけながらリハーサルを見続けている。私は客席の壁に寄りかかり携帯で彼女にメールを送った。電話は曲の音量であちらの声が聞こえないだろうから意味が無い。

「湊さん、気持ちは分かりますが今はライブに集中しましょう」

紗夜は私を心配そうに見つめる。そんなことは分かっている。私たちの順番はもうすぐ、仕方ないが切り替えていくしかない。ただ自分たちの番が近づけば近づくほど焦る気持ちは風船のように膨らんでいった。

「友希那...私たちの番だよ」

しかし彼女達が出入口から入ってくることは無かった。ステージに立ち、マイクを持つ。こんな気持ちで前に立つのははじめてで客席が遥か遠くに感じた。

「Roseliaです...聞いてください」

曲が始まる。しかし1曲目、2曲目と全くと言っていいほど気持ちは入らず、ただ歌っているだけ。演奏でカバーされていたがはっきり言ってこんなのを本番で客に聴かせられるものでは無い。曲が終わり拍手と歓声に包まれる。しかし私たちはさっさと楽屋へと引き返した。

パァン!!!!!

楽屋へ戻るなり私に待っていたのは紗夜からの強烈な平手打ち。乾いた音が楽屋に響き、そこにいた他のバンドのひとたちが驚いたようにこちらに注目する。

「なんですか...?今の歌...」

紗夜の声は怒りで震えている。私は俯いて何も答えない。

「何も気持ちが入ってない、あんな酷い歌を明日聴かせるつもりですか?」

そんなつもりは無い、そう答えればいいのだが私の口は動かない。

「私たちは必死に良い曲にしようと演奏しているんですよ!それを貴女の歌で台無しにするつもりですか!?」

「ちょっと...紗夜落ち着いて...」

リサが紗夜をなだめようとするがすぐに言い負かされる。私のせいだっていうのは分かっている。気持ちが入っていないなんてのも私が一番よくわかっている。私たちのやり取りを見て他のバンドの子たちは楽屋を出て行った。

「湊さん、どうするおつもりなんですか?私言いましたよね、ライブに集中してくださいと...それでこのザマですか?はっきり言って失望しました」

これだけ言われても私の心には何も届かなかった。悔しいとか、悲しいとか、そういった感情を全く感じない。そもそも私の瞳には何も映していない、何も見えていない。

「そうやってずっと黙っているつもりですか?それとも...頭の中には羽沢さんの事しか無いのですか?」

紗夜の言葉はどこか呆れたような口ぶり。

「......そうよ、気になって仕方ないのよ」

私の言葉に紗夜は深い溜息を吐いた。燐子とあこは紗夜の態度に圧倒されて口を挟もうにも挟めない様子。

「湊さん...私は人の恋愛にどうこう言うつもりはありませんでしたが、流石に今回は見逃すわけにはいきません。そもそも前までのあなたなら恋愛に現を抜かすなんてこと、絶対に無かったはずです」

「そう...かもね」

「そうかもねって......私...達は、友希那さんを...信じて、着いてきたんですよ...!それなのに......!」

燐子の怒気を帯びた声が私にぶつけられる。

「こんなの......私が好きだったRoseliaじゃ、ありません......!!友希那さんは......私たちを、見ようとしていないから......!私たちのことなんて......!何も考えてない......!」

そして燐子は荷物も持たず楽屋を飛び出して行った。

「り、りんりん!?待って!」

それを追いかけるようにあこも楽屋を出ていく。私とリサと紗夜の3人だけが取り残されてしまった。

「燐子の言う通りね...ここ最近の私は貴女達のことを何も考えてなかったのかもしれないわ」

思い出されるのは羽沢さんとのやり取りや思い出ばかり。バンドの練習やライブの事は遠い昔の出来事のように殆ど思い出せない。

「こんなことになるなら...恋愛なんてするんじゃなかったのかもね...」

ふとした呟きだった。しかし、

パァン!!!!!

またもや楽屋に乾いた音が響いた。

「今の...あの子にも同じことが言えるの?」

リサが目に涙をためて私を睨む。

「私たちだけじゃなく...!あの子の気持ちも裏切るつもりなの...!?」

鋭い言葉が私の胸に突き刺さる。私は何も言い返せなかった。

「最低だよ...!今の友希那!」

そしてリサもバッと荷物を取ると楽屋から出ていった。

紗夜は無言で立ち上がり荷物の中から着替えを取り出す。衣装を脱ぎジャージに着替えると私に向かって言い放つ。

「明日のライブは断りを入れておきます。このまま出たところで最高の演奏なんてとてもできませんし。バンドの練習もしばらく私は休ませていただきます。......湊さん、このままじゃRoseliaは本当に解散になりますよ」

楽屋の扉が閉まり、私は1人になった。楽屋で1人になったのはRoselia結成前以来だ。その頃はただフェスに出たくて純粋に高みを目指していた。いつからだろうか、その目標すらも忘れてしまったのは。いつからだろう、一人でいることが、こんなに寂しいと感じるようになったのは。楽屋には私の嗚咽を漏らす声だけが、虚しく消え入るように聞こえていた。




え?つぐみちゃんが殆ど出てこなかった?いやいやそんなことはあるかもね

「つぐ×友希那異世界転生」はいつになるだろうか


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虚空の歌姫

みなさんはたい焼きは尻尾から食べる派ですか?それとも頭からですか?もしくは背びれ?お腹って人もいます?

自分は尻尾の付け根からです


12月24日、クリスマスイブ。

朝起きると私は携帯で時間を確認する。8:19、学校があれば飛び起きていただろうが既に冬休みに入っているのでそのまま布団にまた手を入れる。ひんやりとした空気で冷たくなった手がぽかぽかと暖められ、眠気が私を微睡みの中に誘い込んでいく。

 

_...を.......ら.....い...

 

 

 

10:37

再び私は目を覚ました。携帯が点滅している。誰かから電話だが出る気にはならない。今は一人がいい...いや、これまでも1人だった、そしてこれからも私は孤独だ。だって私は孤高の歌姫なのだから。

 

 

_私......げ.....いで

 

 

 

12:00

ぼーっと窓の外を眺めていたらいつの間にか昼になっていた。何も考えていなかったせいかもしれないが時間が経つのは早くて遅い。携帯はずっと鳴りっぱなしだ、もう放っといてほしい。私はおもむろに携帯の電源を切った。

 

 

 

 

私は坂道を駆け上がる。巴やひまり、氷川先輩達がずっと携帯を鳴らしていたのに一向に出る気配がない。業を煮やした私は怒りを抑え今井先輩に教えて貰った家へと向かっている。今一度電話をかけてみるが電池が切れているのか機械的な声が聞こえただけだった。

「っっっっ!!!!」

歯を食いしばって走る。沸沸と沸き起こる怒りを必死に抑えるが彼女の、私のライバルの腑抜けた顔面を1発ぶん殴ってやらないと気は済まなそうだ。

 

ようやく目的地が見えてきた。私は家の前まで来ると深呼吸をして気持ちを落ちつける。この時間なのでもしかしたら親御さんもいるかもしれない。慎重に、ゆっくりと深呼吸をし終わるとチャイムを鳴らす。

 

ピンポーン...

 

少し待ったが誰か出てくる気配はない。

 

ピンポーン...

もう1回鳴らすがやはり出ない。

私は少し後ろめたかったがドアノブに手をかけ、それを回す。するとゆっくりと、ドアは開いた。彼女の匂いが充満している。私は小声でおじゃましまーすと言うと鍵をかけて家の中へ上がった。

家の中はとても綺麗に片付いていて普通のどこにでもありそうな一般家庭といった印象。1階には誰もいない。2階へと上がると2つの部屋とトイレと思わしきドア。そして2つの部屋のうちの1つのドアには『Yukina』と木の英語ブロックが掛けられている。私はもう一度深呼吸してコンコン、とドアをノックする。

「湊先輩?」

呼びかけてみるが返事はおろか出てくる気配すらない。玄関に靴は無かったし鍵も掛かって無かった、もしかしたら出掛けているという考えがよぎる。私はもう1回同様にノックして呼びかけてみるが結果は同じ。私はドアを開けてみる。この部屋も、鍵はかかってない。

ドアの先に、湊先輩は居た。水色のパジャマ姿でベッドの隅に壁に寄りかかり膝を抱えて座っている。仄かな柑橘系の香りが漂う部屋は小綺麗で女の子の部屋としては少し殺風景、私も人のことは言えないが。

湊先輩は私が入ってきたことに気づいてないのか、じっと生気のない瞳で床を見つめている。その姿はさながら魂の入っていない人形を思わせる。

「湊先輩、お久しぶりですね」

返事は無い。聞こえていないのか、もしくは聞いていないのか。

「湊先輩!!」

肩を掴んで揺さぶる。手荒だがこちらに気づいて貰えるならなんでもいい。とりあえず話が出来る状態にしなければ。

「湊先輩!!!!そうやって腑抜けてても!!!つぐみは...つぐみは目を覚ましませんよ!!!」

彼女の瞳に色が戻る、その瞳はまっすぐと私を捉えた。次第に目が潤み、涙が頬を伝った。顔はクシャッと崩れ、いつもの関心なさげで綺麗な顔はどこにも無い。

「なんで電話に出なかったんですか...氷川先輩も今井先輩もみんな心配してるんですよ」

「知らない!!私に構わないで!!」

私の腕を振り払い傍にあった枕を投げつけてくる。柔らかい素材だったので痛くはないが私はプチンときた。右拳で彼女の左頬を思いっきりぶん殴った。鈍い音がして彼女は反動で頭を壁にぶつける。私の右手も徐々に鈍い痛みが広がり手を抑えた。だがここで、意外なことに彼女は反撃してきた。私の視界がぐるんと変わり、左頬に痛みが走る。殴られたと理解した時には、私は押し倒され、湊先輩は馬乗りになって私を抑えつけた。

静寂が流れる。私の頬にぽたぽたと彼女の流す涙が落ちては弾け、彼女の小刻みに震える手の振動が押さえつけられた腕から伝わってくる。

「お願い...もう放っておいて...!みんな...みんなどうせ!私から離れていくのなら!...私はもう1人でいい!!!」

その悲痛な叫びは、きっと彼女の本心だ。

「紗夜も、リサも、燐子もあこも!みんな...みんな私のせいで離れていく!前だってそうだった...けど、今回は前のようにいくはずない!」

彼女は手を離すと私の胸に顔を埋めた。嗚咽を漏らし、それに混じって呟いた。

「私なんて......いなければよかったのに......」

その一言に、私は、

「違う...違う違う違う!思ってもないことを口にしないでください!いなければよかった...?そんな甘ったれた事をつぐみが聞いたら、泣いて悲しみますよ!」

「やめて!!羽沢さんの名前を出さないで!」

「現実から目を背けないでください!湊先輩がやっていることは、みんなを...つぐみを裏切ってるんですよ!」

「やめてって言ってるでしょう!!」

湊先輩は私の胸を叩く。しかしその拳に力は無い。

「私はずっと1人だった!これまでも、これからも!」

 

「もう...やめてください!」

 

 

部屋に響いたのは蘭ちゃんでも、友希那でもない声。友希那はゆっくりと、こちらに顔を向けた。その顔は酷く暗く、涙でぐしゃぐしゃになっていた。




今回は一旦ここまで


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悲哀の歌姫

頭の中に浮かんだんですよ なので別のバンドリ小説もはじめます(☝°﹆°)☝え?馬鹿じゃないのかって?そうです私が頭のおかしい人です


「なん...で?何で羽沢さんがここに...?だってあなたは...」

目を丸くして私を見つめる。その声は泣いているせいなのか震えている。

「わ、私が倒れたのは...ただの貧血と寝不足ですよ。連絡できなかったのはごめんなさい」

私は息を整え、まっすぐと彼女と視線を合わせる。

「もういいの?無理するとまた倒れるんじゃない?」

「大丈夫だよ、いっぱい寝たから。それより友希那さん、とりあえず蘭ちゃんの上からどいてあげて...そこに正座してください」

友希那は小さく頷くとベッドの上に正座をする。私は腰に手を当てて仁王立ちになり頬を膨らませた。

「それで、私が言いたいことは分かりますよね?」

「......わかっているわ」

「なら何で自分が1人だなんて思ってるんですか?友希那さんにとって私はなんだったのですか?遊びなんですか?」

「そ、それは違うわ!」

「そういう事ですよね?...少しでも足崩したら別れますから絶交ですから二度と口聞いてあげませんから」

厳しい視線を友希那へと送る。いつもなら甘やかしていたが今日ばかりはビシッと言っておかなければ。

「友希那さん、私怒ってます。紗夜さんから聞きました、さっきの話もそこの影から聞いてました」

「......私は自分が迷惑をかけてみんなが離れていくのが怖いのよ...羽沢さんを、失うのが怖いの」

「私が怒ってるのはそこじゃありません。それに燐子さんや今井先輩は言いすぎたって、友希那さんのことすっごく心配してました。後でちゃんと謝ってあげてください」

私は一旦呼吸を整える。蘭ちゃんは黙って私たちの行く末を見つめている。

「友希那さん...私が本当に頭にきてるのは友希那さんが今井先輩と紗夜さんに、恋愛なんてするんじゃなかったって言ったこととさっき自分なんていなければよかった、なんて言ったことです」

友希那は目を逸らすように俯いたが私は友希那の顔を掴んで無理やり目を合わせる。

「何でですか?何で私との時間を、思い出を否定するような事言うんですか...友希那さんにとって、私と過ごした時間はなんだったんですか!!」

悔しくて涙が流れてきた。怒りより友希那に思ってもらえてない自分が情けなくて、悔しかった。

「私は......私にとっては...!羽沢さんとの時間は何より大切よ!けど...もうわからないのよ!!みんなの...あんな顔を見たら....!私は......どうすればいいのよ!!!!」

悲痛な叫び声が響き渡った。

 

 

何で?友希那さんには言葉は届かないの?

 

友希那さんにとって私ってその程度のものだったの?

 

......違う...友希那さんはいつもそうだった。言葉より行動で示す...

 

そうだ...簡単だったんだよ、伝え方なんてはじめからわかってたじゃん

 

 

 

暗い...少し前まではこんなに心の中は、暗くなかった

 

紗夜が居て、リサが居て、燐子が居てあこが居て......羽沢さんが居た

 

それを私は、手放してしまった...私のせいで、みんな離れていってしまった...

 

もう、わがままは言っちゃいけないのよ。私が望めば望むほど、それは離れていってしまうのだから...

 

だから...私は......

「友希那さん...もう、自分の気持ちを抑えなくても...良いんですよ」

心に光が差した気がした。暖かい、私のよく知る匂い...私のよく知る柔らかい感触...私のよく知る声...

「気づけなくてごめんなさい...」

何で羽沢さんが謝るの...?謝らないといけないのは、私の方なのに...

「わがまま、言ってもいいんですよ。私は友希那さんの恋人ですから」

頭を優しく撫でてくれる。とても気持ち良くて、もっと撫でてほしくて私は彼女の肩に顔を埋めた。そしてそのまましばらく羽沢さんは何も言わずに頭を撫で続けてくれて、私は誘われるように夢の中へと落ちていった。

 

 

 

 

ようやく落ち着いたのか友希那はすーすーと私の胸で寝息をたてる。

「つぐみ、おつかれさま」

「うん、ありがとう」

蘭ちゃんと一緒に友希那さんをベッドへと運んで布団を被せる。ただ彼女の手は私の袖を掴んで離さなかったのでベッドの脇に座って一息つく。

「ライブ、すっぽかしちゃったね」

時間はいつの間にか16時を回っている。私たちの出番は14時だったのでもうライブ自体終わってしまっている時間だ。

「仕方ないよ、また来年頑張ろう?」

「うん、そうだね」

ちょっと残念だけど友希那さんの無垢な寝顔を見れただけでも満足だ。

「みんなに連絡は入れといたから、つぐみはこの後のクリスマスパーティーどうする?」

ライブの片付けが終わったらみんなでパーティーをしようと計画していた。そういえば私の両親も料理を持って行くと言っていた筈だ。

「うーん...友希那さんと一緒にいるよ。もし友希那さんが行くって言うなら私も後で行くから」

「そっか、わかった。つぐみのお母さんには私から伝えておくから」

「うん、よろしくー」

蘭ちゃんはCiRCLEに戻って、部屋には私と寝ている友希那さんだけになった。彼女の小さな手は、私の袖をまるで子どものようにギュッと握っている。

「友希...那...」

何かあったわけじゃない、いわゆる私の気まぐれで呼び捨てで呼んでみた。うーん...ちょっと小っ恥ずかしい気がする。そういえば私はさん付けだけど下の名前で呼んでるのに友希那からは苗字で呼ばれている。

「友希那...下の名前で呼んでほしいなー...」

起こさないように小声で呟く。ただ、ちょっぴり起きて甘えさせてくれないかな...なんて思ったり思わなかったり。

そんな私の小さなわがままは、今はまだ叶わない。

 




fateのアニメ面白いですよね


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