僕ら/私たちの覇王 (貧弱戦士)
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プロローグ

一つ歩けば、その地は腐り。一つ進めば、そこは魔境の地へ変貌。一つ止まれば、この場は地獄の渦と化す

 

二つ飛べば、空は未知なる夕空に。二つ越えれば、災害の跡が残る。二つ走れば、冥界に繋がる

 

三つ動けば、怪奇の嵐に。三つ見つめれば、千年の呪いを受ける。三つ振り返れば、無の空間ができあがる

 

 

 

 

 

最後は、ただそこに『覇王』が存在するのみ

 

 

 

 

 

そう―――――オレこそが、まさに生まれてこの世界に『覇王』を知らしめる最高の人間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんて設定どう?」

 

「厨二乙。早く仕事すれば?」

 

「相変わらず毒舌だな………はは。オッサン、泣けてきたよ」

 

 

錆びれた工場。すでに大破寸前という危なっかしい状況に、男女二人組が堂々と座り込んでいる

 

しかも、一方は何かとブツブツ言いながら。もう一方は、優雅に本を片手に、眼鏡をクイッと上げる

 

 

 

「あ。ねぇ、ニート」

 

「シーザだ!! 三文字しか合ってないだろ。そのボケ好きですね本当」

 

「そんな名前だったね」

 

「最近の若者マジ怖い」

 

 

 

男性は額に手を当てて、オヨヨと演技っぽく泣き始める。しかし、女性はそれに目線を移さず、ただ本だけを見つめる

 

本を捲りながら、女性は思い出したかのように口を開ける

 

 

 

「もうすぐだね、今年のハンター試験」

 

「俺が鳴いてるのに、無反応ですか。一辺地獄に落ちて、十五の○を聴きながら、盗んだバイクでランナウェイしてきやがれ」

 

「ごめん、めんどくさそうだから聞かなかった」

 

「神よーーーー!!!!! 俺はこの女を殺したいです!!!!」

 

 

 

大声で叫び、辺りを走り回る。その光景はまさに、末期というべきか………

 

女性はまたも気にせず、本の内容をスラスラ進める。すでに読んでから十数分だが、もう半分ほどいっている

 

 

 

「うるさい」

 

「はい…………」

 

 

 

その一言で、この現状は収まった

 

 

 

「つか、シズク……お前ハンター試験なんて、よく覚えていたな」

 

「シーザの手帳に書いてあったから。気持ちわるいぐらいに、その日だけ花丸にしてて、どうかと思ったけど」

 

「人の個人情報みて、謝ったりしないのか?」

 

「ほぼ空欄のくせに」

 

「アルアルネタだろ!? 学生のとき調子乗って手帳買っても、ほぼ空欄で終わり挙句には関係ないこと書くパターンだろう!!」

 

「白紙に意味もないゲームの裏技書いている人に言われても……」

 

「裏技じゃねぇ!!! 復活の呪文だ!」

 

 

 

そんな会話をつづけながらも、この二人の耳には『音』が聞こえていた。何十人の、人間の歩く足音が

 

だが、それでも口論は続く

 

足音がだんだんと、この錆びれた工場に近づく。外にはすでに、兵器という危険が囲んでいる

 

激しく口論を言う二人

 

そして―――

 

ついには、外の武装集団が工場に入った時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グシャ!!!!!』

 

 

「ひっ!?!?」

 

「お、おい!? 急に潰されたぞ!?」

 

「誰か医療……は、はん………アァ……!!! ハァハァ!!! あ…………あ」

 

 

『バタン』

 

 

「な、なにがどうなってんだ?! 次々と潰されたり、首を抑えて死んだり……!!!」

 

「あ、悪魔だ………!!!!」

 

 

『ドーン!!!』

 

 

「嘘だろ!? 新型の戦車が、木端微塵に爆発だなんて……!!!」

 

「戦闘機もヘリも全部だ!! に、逃げろ!!!」

 

 

 

奇怪な事件が、この工場の周りに起った。それは、まるで亡霊が彷徨っているかのような、神が天罰を下しているかのように思える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいシズク。とりあえず、コイツ等片しといて。後で団長たちが来たら、お説教くらうからよ」

 

「うん、わかった」

 

 




おまけ

「ねぇ、シーザ」

「ん? なんだ、毒舌娘」

「いつ死ぬの?」

「さもフラグ立てようとするな!!」


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