生まれ変わって調整体魔法師 (アマノハブキ)
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第1話

 

 

 

 

 

「イリヤスフィール様、会場の準備が整いました。」

「そう」

 

シワのないスーツを着た支配人が私のいる控え室のドアを開けて恭しく頭を下げる。

 

今日は私の開発した初めての新作の発表会なのだ。何を作ったのか。

それは、今まで不可能と言われ続けた汎用型CADに特化型CAD用の照準補助システムを増設するという技術を初めて実用化した試作デバイスだ。これにより、CADの開発はさらなる飛躍を見せるだろう。

 

前代未聞の技術という触れ込みでマスコミも世界各国から集まっている。この私に限って失敗することなど万に一つない。

 

座っていた椅子から立ち上がり、部屋から出る途中で鏡を見る。

 

身だしなみに問題は無し。鏡に映っていたのは一人の幼女。白銀の長髪に紅の瞳、その様はまるで雪の妖精のようだった。肩や袖に刺繍が施された紫色のシャツにシャツより薄い紫のアスコット・タイ、申しわけ程度のフリルがついた白のスカートを身にまとっていた。

 

「行きましょう」

 

そう言って銀髪をなびかせるながら部屋を出る。

 

誰もが私に頭を下げてくる廊下のど真ん中を堂々と歩く。

 

(転生なんて不思議なことを経験してからもう15年か)

 

ふとそんなことを考える。

 

病弱だった私は案の定、病魔に抗うことができず死んだ。しかし、気がつけば知らない天井の元、この世界に生まれ変わっていた。

 

かつて「超能力」と呼ばれていた先天的に備わる能力が「魔法」という名前で体系化され、強力な魔法技能師は国の力と見なされるようになった。各国はこぞって魔法の開発に専念するようになったという。そんな世界に私は生まれ変わった。

 

ところで調整体魔法師というのをご存知だろうか。

 

遺伝子操作、人体実験上等な研究者によって作り出された文字通り、調整された魔法師だ。

ドイツ発祥のその技術、そのドイツで頂点に立つアインツベルンという一族が研究していた『聖杯シリーズ』の最高傑作の調整体魔法師が私だ。

『聖杯シリーズ』の概要は、聖杯と呼ばれる大規模ストレージに大量の想子(サイオン)を保有することができ、常人の十数倍に及ぶ想子(サイオン)を有する個体であるということ。他には、魔法演算領域の広い個体と個体を掛け合わせ続けた結果、今までで最高の広さである魔法演算領域を持っていることなど。特に物体の解析と構築に対して瞬間とも言える演算速度を持つ。ということだ。

 

実験の果てに死んでしまったのか、父親と母親はいなかった。

 

そして、私を生み出して満足したのか、アインツベルンの当主とその他幹部もほとんどが死亡してしまい、必然的に私がアインツベルン当主となった。

 

かつての世界には無かった魔法。私は魔法の虜になってしまった。ドイツという国が魔法を用いた工学先進国というのもあり、私は魔法工学に始まりCADの開発にまで手を出した。

私の教育係でもあるセラに政治関係のことを丸投げしてしまっているのがすこしあれだが、私には政治のせの字も分からないので頼むしかあるまい。なんせドイツの魔法界隈の頂点が私たちアインツベルンだ。下手な手は打てないのである。

 

そしてCADの開発を進めて数年。私は不可能と言われ続けた汎用型CADに特化型CAD用の照準補助システムを増設することに成功したのだ。

 

壇上の袖で一度深呼吸をする。後ろを見るといつのまにかセラとセラの妹で私の世話をしてくれるリーゼリットが微笑みながら立っていた。

 

「行ってくるわ」

「行ってらっしゃいませ」

「行ってらっしゃ〜い」

 

二人の声を背に私はステージに立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拍手とカメラのフラッシュの光を背中に浴びながら私はステージを降りた。

 

「お疲れ様です」

「ありがとう」

 

そう言って冷えた水をセラから受け取ると一息に煽る。食道を伝って体が中から冷えていく感覚が興奮で火照った体にとても気持ちがいい。

 

「イリヤ〜、ニュース」

 

そう言ってリーゼリットからタブレットを受け取る。

 

『トーラス・シルバーがループ・キャストを公表!』

 

でかでかと掲げられた見出し。なんでも、日本のデバイス開発会社、フォア・リーブス・テクノロジーに所属する魔法工学技師であるトーラス・シルバーがループ・キャストを実用化したとか。ループ・キャストとは、魔法師の演算キャパシティが許す限り何度でも連続して魔法を発動できるように組まれた起動式、またはそのソフトウェア技術のことである。通常の起動式は魔法発動の都度消去される為、同じ術式を発動するにはその都度CADから起動式を展開し直さなければならなかった。しかし、この技術を用いれば、二度目以降の展開工程を省略し、より高速で魔法が展開出来るというわけだ。

 

よりによってこのタイミングか。

 

なんとなく納得がいかず眉をひそめる。

そもそも、ループ・キャストは実用化ができてなかっただけで、論文自体は私が発表したのだ。実用化されて嬉しくないわけではないが、タイミングがタイミングであるだけ、素直に喜べない。

 

「日本か……」

「如何なさいましたか?」

「あ、いやなんでもないわ」

 

思わず口に出てしまっていたか。

 

生まれからドイツだったため、今では慣れたが、もともと私は日本人。寿司に和菓子、日本が懐かしくて仕方がない。

 

「そういえばイリヤ様、高等学校に行かれたりするのでしょうか?そろそろかと思うのですが」

「高等学校?」

 

セラの言葉で、あー、もうそんな歳だったか。あっという間だったなぁ、なんて考えてしまう。高校かー、高校。懐かしい。私が病気になったのも高校卒業してからだ。それまでは楽しい高校生ライフを送っていたからなぁ。

 

 

 

ちょっとまって

 

 

 

「セラ、日本って魔法の先進国だったわよね」

「そうですね、件のループ・キャストのフォア・リーブス・テクノロジーを、初めとして先進国と言われるレベルにあるかと。現代魔法だけではなく、古式魔法においても追随を許さないかと」

 

まぁ、イリヤ様には敵いませんがと付け加えてくるのをそれとなく聞き逃しながら考える。

 

日本への留学、悪くないんじゃないか?

 

魔法技術大国、魔法先進国である日本なら学ぶことも多いはず。何か持って帰ってくるという条件付きならうるさい奴らも黙るはず。

 

廊下にあった手頃なソファに腰掛けると、手元にあるタブレットで日本について調べ始める。

 

日本が力を入れている魔法教育、その先頭に立っているのが国立魔法大学付属高校。国内に九つの学校の中でも、第一高校は最高峰の国立魔法大学へ一番多く生徒を輩出しており、十師族と呼ばれる魔法に優れた家系の者たちが二人いると。東京にも近い。

 

ここにしよう。入学しよう。

 

「セラ、日本の第一高校に入学するわ」

「本当ですか!?」

 

驚いたように目を見開くセラ。リーゼリットも驚いたのか声は上げずとも目を見開いていた。

 

「そのことで色々騒がしくなると思うの。だから手回しと準備をお願い。日本には私とセラ、リーゼリットで行くわ。よってアインツベルンの城は残りのメイドと保険で私のゴーレムを置いておくわ」

「……かしこまりました、お任せください」

 

多少の間があったものの、これでなんとかなりそうだ。

 

リーゼリットにタブレットを渡し、ソファから立ち上がる。

 

「楽しみだわ、日本!」

 

手を広げ、廊下をくるくる舞いながら進んで行く。

 

なんせ十何年ぶりの帰省だ。私の住んでた世界からとんでもなく様変わりしていると思うが、なるようになるはず。

 

目指せ友達100人!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第2話

 

 

 

「ふざけるな!アインツベルンは祖国を捨てるというのか!?」

「ですから先ほどから申し上げているとおり、ただの留学で御座います」

 

ドイツの中心、政治の最重要機関である国立会議場の一番特上の部屋では大荒れな会議が行われていた。

 

楕円形の片方にスーツを着たドイツ政府の重役十数人、もう片方にはドイツが誇る魔法師の一族の現アインツベルン家当主の白銀の幼女、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンとその後ろに控える二人の従者。

その片割れであるこれまた美しい銀の長髪を持った従者とハゲ散らかった頭部に無駄に高価そうなスーツを着込んだ中年と言い合いをしていた。

 

「であれば、当初の計画通りミュンヘン魔法工学大学付属高校へ行くことで事足りるではないか!?あなたは自分がどれほどの人物であるか知っているのですか、なぜわざわざ危険を冒してまで日本へ行こうとするのだ!?」

 

ミュンヘン魔法工学大学付属高校?そんなもの初耳だったのだが。チラリとセラの方を見やる。

すると私の言わんとすることが伝わったのか、セラが耳打ちをしてくる。

 

「申し訳ございません、一応形式だけでもいいので入って欲しいと日本の土下座というのまでされてしまい。形だけならと判断してしまいました」

 

あ、そう。べつにそんな特別に怒ってるわけでもないのでいいのだが。

それにしても面倒なことになった。もっとぱっぱと話が決まって今日の夜には日本に飛べるかと思っていたんだけれど。窓から覗く景気はオレンジ色と紫色が混じったようなものになってしまっていた。

ぶっちゃけた話、もうすでに日本の第一高校には出願している。入試まであと一ヶ月といったところだけれど、問題ない。日本の高校入試の過去問を見てみたが大したことなかった。余裕で受かることができる自信がある。

 

ここでガツンといって諦めてもらいたいところだ。

 

「なぜあなた方は私の行動に否定的なのかしら?」

「さっきも述べた通りです。わざわざ日本に行かなくても……」

 

ほかの重役たちもうんうんと頷いている。

 

「日本とドイツとの関係は悪いものではなかったはずよ。現に、フォルク・ワーゲン社と日本の研究機関で技術提携が行われているじゃない。それに日本は世界でも有数の魔法技術先進国。あなた方が危惧するようなことはないのではなくって?」

「それは……そう、ですが」

 

なんだ、案外簡単そうじゃないか。まぁ、そんなにゆうのなら納得するような理由でも作ろうかしら。

 

「日本には、アインツベルンと同じく物体解析を研究しているエミヤ魔法工学研究所というのがあるのはご存知かしら?」

「ええ」

「そこの見学も兼ねてアインツベルン家として滞在することはできないかしら?エミヤ魔法工学研究所だけではなく、他にも色々。それこそ技術を祖国に持って帰ることで納得していただけないかしら?アインツベルンのものとして、もっと見聞を広げたいの」

「…………しかし、飛行機に乗っている間に狙われたりしたらーーー」

 

もうそろそろ面倒臭くなってきた。

 

「貴方達、まさかアインツベルンの長たる私がその程度で死ぬとでも思っているのかしら?だとしたら、そんなこともわからないような者達が主導する国になんている必要がないわ。それこそ日本やUNSAに移った方が余程いいわ。もう一度だけ聞くわ。日本に渡ってもいいかしら?」

 

自分でもびっくりするほど怖い声が出た。正面を見れば顔色を青く染める様を見て少しわらえてくる。

 

沈黙は肯定

 

となればこれ以上ここに用はない。

そもそも、私がドイツにいるのは魔法工学へと手の出しやすさが世界で一番だからだ。別に、魔法技術先進国ならどこでもいいという感じはある。ただ、なんとなくドイツでなくてはいけないような感じがするのだ。

 

立ち上がると懐からメモリーカードを取り出す。あらかじめ反重力の魔法をかけてメモリーカードを対面に投げる。綺麗な放物線を描いて机に落ちることなく役人の目の前に留まった。

 

「許可をくれたお礼よ。先の新作デバイスの情報を入れておいたわ。生かすも殺すも貴方達次第ってことで。ああ、安心して。日本に渡っても研究データは定期的に送信するわ。それについては構わないけど、データ毎の報酬金はいつもの口座によろしくね。それじゃあね」

 

そういって両開きの大きなドアをセラとリズ(リーゼリット)にそれぞれ開けさせると悠々と会議場を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「荷物はこの程度でよろしいでしょうか?」

 

セラが荷造りの終わったキャリーバックを開いてみせる。私服に普段着、紫色の美しいドレス、下着に歯磨きなどその他日用品まで。まるで旅行に行くかのような荷物の量だ。

 

「大丈夫じゃないかしら。もし足りなければあっちで揃えればいいし」

「イリヤ、CADは、これでいい?」

 

そういって今度はリズが灰色のアタッシュケースを開いて私にみせる。

中には機械と一目でわかるものから、ただの貴金属のようなものまで様々だった。特化型CAD用の照準補助システムを増設した汎用型CAD『ナインライブズ』、刻印魔法が施された水銀『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』。あとはカスタムされたブレスレット型の汎用型CADにその他いくつか機械類。

 

「あと、もしものためっていうのと、研究の続きってことでバーサーカーも持って行くわ。日本の拠点にバーサーカーが入るくらいの工房はあるでしょ?」

「うん、ある」

「よかった。じゃあ、運搬と隠蔽は任せるわ」

「わかった」

 

こんなものか。とりあえずバーサーカーを持ってけるのはありがたかった。すでに運用可能にはなっているがまだまだ足りない。参考にしているギリシャ神話の英霊。彼の成した十二の偉業をモチーフにしたシステムがまだなのだ。

 

日本はドイツに劣らず魔法工学も進んでいる。エミヤ魔法工学研究所に始まり遠坂重工、一部のものしか知らない柳洞寺の魔法師など。そこのあたりの話を聞ければさらに躍進するかもしれない。

 

そうだ、城の警備をゴーレムにもさせるんだった。

ゴーレムを起動させるために私は、城の地下へと足を運んだ。

 

 

 

セラは諸々の準備があるといって別れた。今はリズを連れて地下の格納庫へと向かっていた。

 

松明が点々と置かれた階段を下り切るとそこは暗闇だった。あかりもなければ地下ということもあり、窓もなかった。ふう、と一息つくと

 

「起動」

 

パチンと指を鳴らす。

すると、おくから点々と光が灯っていった。よく見ればそれは各ゴーレムの瞳だった。岩を無理やりくっつけたようなものから、すらっとした細いもの、さらには二メートルはあるかという巨人のようなものまで。

 

タブレット式のCADでゴーレム達を稼働させた魔法式を展開する。そこに指示のための命令系統の式を加える。そうすると、それぞれが意思を持ったかのように動き始めた。それを確認すると、CADをリズに手渡す。

 

「これでよし、あとは行くだけね」

「お待たせしました」

 

ちょうどセラの方も準備が終わったようだ。

 

「玄関に車をつけておきました。あとは出立するのみです」

「そう」

 

 

 

 

 

「じゃあ、行きましょうか!!」

 

そう言って、アインツベルン御一行様は自家用車で自前の空港に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






読んでくれて本当に感謝。

感想評価、モチベアップですわ。よろしければ、ご意見下さいませ。

つぎ、一ヶ月飛ばして入学式!




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第3話

 

 

 

 

リズが運転するメルセデス・ベンツ300SLクーペの後部座席に座り、私は流れて行く外の景色を眺めながら、これから過ごすであろう十数年ぶりの高校生活へと思いを馳せていた。

 

「イリヤ様、もうすぐ第一高校付近です」

「ありがとう……そうだ、今後は公共交通機関で登校するわ。さすがに毎日この車で送ってもらうのはね」

 

ただでさえアインツベルン家当主として顔が割れているのだ。無理だとは思うが、新天地ということですこしは穏やかに過ごしてみたいと思ったりするわけなのだ。

 

揺れが収まり、同時にエンジン音もやむ。ドアがセラの手によって開けられ、桜の花びらが車内に入ってくる。

私は春の空気を胸いっぱいに吸い込むとゆっくりと吐いた。

懐かしい空気だ。ドイツではこうはいかなかったしアインツベルンの城は年中雪に覆われているので外に出て深呼吸など論外だ。肺が凍って死ぬ。

 

「CADはお持ちになられましたか?マネーカードは?ええと、それから」

「そんなに慌てなくても大丈夫よ」

「ですが……」

 

現在のセラは、いつものメイド姿ではない。麦わら色の長袖に焦茶色のロングスカート、その上にエプロンをつけていた。私からの命令で日本にいる間は日本で一般的な服装をすることと厳命しており、今のセラはどこか母のような雰囲気を感じる服装となっていた。高校に入学するにもかかわらず依然見た目が幼女の私がいるのも相まって完全に入学式についてきてしまった母親と娘にしか見えない。

 

「それじゃ、何かあったら連絡するわ」

「いってらっしゃいませ」

「いてら〜」

 

礼儀正しくお辞儀をするセラと窓越しにひらひらあと手を振るリズに手を振りながら真新しい制服に身を包んだ生徒たちの波に紛れるように、第一高校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中条あずさは興奮していた。校門脇でその人を出待ちするほど興奮していた。興奮のあまり昨日は一睡もできなかった。

なんと今年、あの今まで不可能と言われ続けた汎用型CADに特化型CAD用の照準補助システムを増設するという技術を確立させ、世に発表したイリヤスフィール・フォン・アインツベルンがこの第一高校に入学するらしいのだ。あの記者会見は何度見返したかわからない。あの幼い見た目でまさか中学三年生だったとは。小学生ぐらいかと思ってたなど口が裂けても言えない。

 

アインツベルンとは。

 

ドイツに本拠地を構える魔法師の一族。先代は魔法実験の事故で亡くなってしまいイリヤスフィールが当主になったと聞く。

物体の解析や構築を専門とし、魔法工学の根底を築いたとも言われている。CADという機器の初期構想もアインツベルンという話もあるほどだ。

そして、件のイリヤスフィール、彼女がこれまたとんでもないのだ。

先ほどの汎用型と特化型の融合に始まり、トーラス・シルバーが実用化したループ・キャストも理論や証明は全て彼女によるものなのだ。CADだけではない。貴金属の変形、変質。錬金術と呼ばれるようになった一種の魔法を体系化したのも彼女だ。厳密には『等価交換による物質の変形』なのだが、とんでもない人物であるのは疑いようもない。もし会えるのなら、話したり、サインをもらったりしたいものだが……

 

「ふえ?」

 

その時

中条あずさの目の前を自分と同じくらいの銀髪の少女が通り過ぎていった。

 

「はっ!?」

 

もしかして今のが!?慌てて見回すが銀色はどこにも見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人混みに流されるように歩いていくこと数分。気がつけば『国立魔法大学付属第一高等学校 入学式』と達筆な事態で書かれた看板がかけられた体育館の入り口に立っていた。

とりあえず、入学式か。

そんなことをぼやきながら私は体育館内に入る。

 

「うわぁ」

 

これはひどい。くだらなすぎる。

前情報として、この学校が一科生二科生制度を取っていることも知っていた。一科生には教師がつき、二科生にはつかないことも、一科生は花弁(ブルーム)と、二科生は雑草(ウィード)と呼び合い差別していることも知っていた。

しかしまさか、入学式の席もがそれで決められるとは。

 

阿呆らしい。

 

そんなことを思いながら会場の真ん中ほどの私には少し高めの椅子に座る。

 

完全に余談だが、私ももちろん一科生だ。証拠に私の制服には花弁をモチーフにしたエンブレムが付いている。

 

バーサーカー に組み込む魔法を脳内でシミュレーションを繰り返していたらいつの間にか入学式が始まっていた。

内容としては、私の知っている入学式とは大して変わらなかった。

印象に残っているのは、新入生総代の言葉だ。一科生にしては「魔法以外で」「皆等しく」などの際どいフレーズがたっぷりと盛り込まれたスピーチだったが、その美しい容姿ゆえなのか、皆気にしている様子がなかった。

 

その後も式辞や会長からの言葉があったが別段興味が湧かなかったので、ずっと研究のことを考えている間に入学式は終わっていた。

 

式が終了すれば、次はIDカードの交付だ。予め各個人のカードが作成されているわけではなく、個人認証を行なってその場で学園内カードにデータを書き込む仕組みだからだ。銀髪紅瞳というのもあり、様々な意図を含んだ視線の中で私はカードを受け取り、自分のクラスを確認する。

 

「A組か」

 

さて、これからどうしようか。ずっとドイツにいたからか、いまいち感触がつかめない。

人件費の無駄、いちいち人手を割くのも面倒ということで、ホームルームがないのも事前情報として知っているが。どうしたものか。

 

とりあえず、今日のところは帰るとしよう。

 

そう言って私は校門をくぐるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







もうちょい文字数増やしたほうがいいですかね?
そこんとこ、皆さんはどんな感じなんだろうか……

あ、評価・感想・誤字報告、助かっております。
モチベの一つ、ありがとうございます!



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第4話


ちなみにうちのカルデアのクロエちゃんはレベル100スキルマ絆マフォウマです。

最強なんやで





 

 

 

 

 

入学式から帰ってきて、セラから色々と言われ、夜ご飯を食べたあとこの地下の工房にやってきた。

 

そして、私は今工房に篭って、ドイツから持って来ていた秘密道具を持って来ていた。

ディスプレイや機器の照明の他に僅かな光源のみの地下工房。そして、その暗闇に薄っすらと浮かぶ漆黒の影。

 

識別名称『ヘラクレス』

 

今持てる私の技術の全てを凝縮して作り出した半自立人形だ。巨人と見間違うほどの巨躯を持った、(いわお)のような男性の人形(ゴーレム)。纏っている装備は刻印魔術を施した金属をあしらった腰巻のみ。燃え盛る炎のような黒の髪。起動してないがゆえに生命の光を灯していない紅の瞳。

 

これはギリシャ神話の英雄ヘラクレスをモチーフに私が開発したものだ。

 

十二の試練(ゴッドハンド)』と銘打った魔法を始めとしたものに対魔法障壁や万物を叩き割る高出力の両腕。あらゆるものを飛び越えて駆け抜ける機動力。恐らく、魔法工学としてはこれを超えるものは今の世界にはないという自負さえある。

 

普通に学校生活を送っていればバーサーカー(ヘラクレス)を使うことなんて無いだろうが、私はアインツベルンだ。戦いに巻き込まれるというもしかしてに備えたほうがいいことに変わりはない。

 

さらに開発困難と思っていた十二の試練はやっと完成した。ほんの数十分まえの話だ。確かな達成感とともに、自分の生きがいでもある研究のテーマをやりきってしまった虚無感を感じていた。やることはなくなってしまったし、これから私は何を生きがいしようか……。

 

ドイツに開発データを回さなきゃいけないし。ナインライブズの研究でもしようかしら。確かにあれもまだまだムラがあるし、もっとスマートを目指してやってみようか……。

 

そんなことを思いながらディスプレイに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば朝を迎えていた。

オートセーブでシャットダウンしているディスプレイとコンピュータを見た感じだと、寝落ちしてしまったのだろう。まったく、高校生にもなってだらしないと思いながら階段を登って行く。

 

階段を登りきり、まずは洗面所で顔を洗う。冷たい水か心地よい。

リビングに出ると美味しそうな匂いが漂ってきた。

 

「おはようございます、イリヤ様」

「おはよーイリヤ」

「うん、おはよう」

 

セラとリズに挨拶を返すと、席についてコンソメスープをゆっくり飲む。内側からじんわりと体が温まって行く感触を味わいながら、バターの乗ったコンガリと焼かれたトーストを手に取ると思いっきりかぶりつく。サクッと音を立てるトーストはその通り、最高の歯ごたえだった。さらに噛むとバターが滲み出てくる点で100点満点だ。

 

「また髪をこんなにして……あ、リーゼリットはイリヤ様の服を取ってきて」

「は〜い」

 

思わず笑みがこぼれてしまうような朝食に舌鼓を打ってるちょうどその時に、セラが髪を梳いてくれた。くすぐったいようで気持ちが良い。

 

「服、ここ置いとくね」

「ありがとー」

 

最後に牛乳を一気飲みしたタイミングでセラの方も終わったようだ。

寝巻きから第一高校の制服に着替えると、そのまま再び洗面台に向かって歯磨きを始める。

 

ドイツにいた頃なら、全ての準備をやらせていたが、ここにきてからは少しずつ自分でやることを増やしていった。やっぱり、環境が大きく変わったのなら、生活スタイルも変えて見たいというものなのだ。いつもならここでセラにお小言の一つや二つ言われそうなものなのだが、どうやらセラも存外、この生活を気に入っているらしい。

 

口をゆすぎ、最後に身だしなみを整える。

 

「行ってきます!」

「行ってらっしゃいませ」

「いてらー」

 

つい昨日も同じやりとりだったような、と思いながら私は家を出た。

 

 

 

 

 

ドイツでは未だに電車やバスが使われていたのだが(もちろん、前世で私が使っていたものとは大きく異なる)、日本は大分違うらしい。大人数を乗せて走るものなど一部のみで、公共交通機関といえば、この目の前にある四人乗りほどの大きさのキャビネットを指すらしい。なんでもこのリニア式小型車両は全て交通管制システムで一括で管理されており、それ故に移動で時間がかかるなどほとんどないらしいのだ。この技術はドイツに持って帰ろう、そんなことを考えながら、第一高校前までのキャビネットに乗り込んだ。

 

ふと携帯端末をここのところ開いてなかったと思い開いてみる。案の定ドイツの官僚からのメールが山ほど届いていた。面倒なので目も通さずゴミ箱のフォルダーにぶち込む。そうしてフォームがすっきりしてから再び液晶を見直す。

 

『遠坂重工よりアインツベルン様へ』

 

そう書かれたメールを速攻で開くと早速中身を確認した。

 

『この度は魔法大学付属第一高等学校への入学、おめでとうございます。

以前より相談をいただいてました会談、及び技術提携につきましては、是非やらせていただきたく思っております。会談につきましては以前確認した日付けでよろしいでしょうか?そのた事前資料も添付しておきます。お返事の程、お待ちしております。』

 

と書かれていた。添付されていたファイルもなかなか興味深そうなものだった。すかさず返信を書く。お返しとばかりに、刻印魔術の効率化についての理論と証明を添付して送信した。

 

ほう、と一息つくと深く椅子に座りなおす。

 

遠坂重工のみならずエミヤ魔法工学研究所とも今の所うまく行っている。私は小さくほくそ笑みながらもう慣れてしまったメルセデスとは違った揺れに身をまかせるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 





進まんかった!

これで森崎とのいざこざまでやるつもりだったんだが……

早くて明日朝、お昼くらいに投稿できればと思ってます。



感想評価ありがとうござます!!



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第5話


すみません、朝とか昼とか言ってたけど無理でした……





 

 

 

少し余裕を持って学校に着いた私は早速席に着くと、A組の自分の席にある端末を起動した。

 

端末の起動を待つその数秒の間で少し耳を立ててみる。

 

コソコソとこちらに向けられたものが目立った。そりゃ、ドイツの魔法界の頂点であるアインツベルンが同じクラスにいるとなれば目立つに決まっている。特に容姿なんて、日本ではコスプレ以外一生お目にかかれないだろう。銀髪に紅瞳なんてそんなよくある特徴でもあるまいし。

 

別に私は一人でも構わないし、困ることなんて何一つないんだが、せっかく同じクラスなのだから話しかけてくれたりしてもいいのに。

 

そんなことを考えながら起動した端末にIDカードをセットし、インフォメーションを開いた。

 

履修規則、風紀規則、施設の利用規約から入学に伴うイベント、自治活動の案内、一学期のカリキュラムなどを全て頭に入れ、スクロールして行く。

読むべきものを全て頭に叩き込んだ後は、コンソールからキーボードを呼び出し、受講登録や記入の必須事項などをノータイムで一つのミスなく打ち込んで行く。

 

最後にもう一度全ての項目に目を通す。

 

(総括、私が受けて得するような授業はなし。ここでのメリットといえば閲覧制限付きの文献が読み放題ってことだけね)

 

日本で1、2を争う進学校なのだ、魔法や授業、色々と期待など全くしていなかったといえば嘘になるが、やはり思ったとおりだった。魔法技術先進国とはいえ、所詮高校一年生でやれる分野などたかが知れている。魔法工学に至っては本格的に実施するのは二年生からだそうだ。

 

そんなことを考えながら内心ため息をついた。

 

「あの、こんにちは!私、隣の席の光井ほのかです、よろしくお願いします!」

「北山雫、です。あの、えっとよろしくお願いします……」

「あ、ちゃんと言わなきゃダメだって……」

 

すると隣から声をかけられた。明るいい色の髪をした子が光井ほのか、黒髪のショートの子が北山雫。なんかこの子すごくもじもじしているんですけども。

 

北山ってどこかで……

 

「はじめまして。ドイツから来ました、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンです」

「日本語お上手なんですね!」

「えぇ、まぁ。ありがとうございます」

 

ふと雫の方を見る。あまり表情に起伏が見えないが、その瞳は驚きのためかすこし見開いていた。

 

「もしかして、あのアインツベルン(・・・・・・・)ですか?」

「多分、貴方が考えているアインツベルンであってるわ」

「ほん、もの……!」

 

興奮のためか、雫は顔を赤くしてドタバタと自分の席まで戻って行く。バッグを持って戻ってくると、いそいそとバッグをあさる。するとバッグから一冊の本を取り出すと手を若干震わせながら手渡して来た。

 

「あの、今日これしか持ってないんですけど……全部、初版で揃えてます!えぇっと……さ、サイン、下さい!」

 

と言いながらズイと出してきた。

 

本の表紙を見れば『魔法工学から考察するこの先の魔法師の在り方』とドイツ語(・・・・)で書かれていた。

自分の研究を世に公表したいという研究職としての本能が私にいくつかの本を書かせた。どれも魔法工学についてだが、ただの論文から魔法工学を通じて考えた哲学や倫理観、他にも新たな魔法についての可能性など、根底にあるのは工学とはいえ、多岐にわたる範囲で本を書いた。この『魔法工学から考察するこの先の魔法師の在り方』と題した本はあまり上手く書けた自信がなかったので、自費出版でわずか千部弱しか世に出回ってないものだ。世間で言うところのレアものである。興味本位で本の題名から中古ショップのサイトを覗いたことがあるが、元の値段の数十倍の値段で取引されていた。

こんなものを持ち歩いて大丈夫なのかと思ったが、この本自体あまり知られておらず、ドイツでなければ知らない人の方が多い。

 

はず。

 

「ドイツ語わかるの?」

「うん、じゃなかったはい!論文の紹介でアインツベルンさんのことを知ってから、人の手が入った物じゃなくて、そのままを感じてみたいって思ったから」

「そう、すごいわ。私もこんなファンがいてくれたなんてとても驚いているもの」

「あ、ありがとうございます……」

 

ますます顔を赤くしている雫。このままだと顔から本当に湯気でも出しそうだ。

 

「サインだったかしら。喜んで書かせてもらうわ」

「ありがとうございます!!」

 

そんな返事を聴きながら手提げからペンを取り出すと表紙を開く。

 

(そういえば、サインなんて書類でしか描いたことがなかったわね……)

 

サインなんて書類の契約欄に書く程度で、こういったいわゆるファンサービス向けのサインは考えてなかった。

 

いい機会だし今日考えたものを私のサインにしようと思った。

 

いくら考えても仕方ないと思ったので、直感で書いてしまった。イリヤスフィールという文字を筆記体にして、全体的に丸っぽい形になるように。なんとなく可愛げが足りないと思ったのでデフォルメした猫を添えておく。最後に日付とZu Shizuku(雫へ)と書くと、パタンと表紙を閉じる。

 

「どうぞ。あぁ、私今までサインとか書類契約でしか書いたことがなくって……このイリヤスフィールのサインを書いたのは貴方が初めてよ」

 

そう言いながら丁寧に両手で雫に渡した。

 

「は、じ…めて……………………ありがとうございます!!一生の宝物にします!!」

 

そう言って雫が涙を浮かべながら頭を下げたところで、始業を伝えるチャイムが鳴った。

 

 

 

 

 






文字数に関してのさまざまなご意見、ありがとうございます。
誤字脱字報告も助かっております。

えっと、結構大きな見落としがありました。
魔法師の渡航は厳禁だったのでは?というお言葉を頂きまして。
調べてみたところ、「ハイレベルの魔法師の遺伝子資源が流出することを危惧する政府により、海外渡航をも厳しく管理され、実質的に魔法師開発の国際化の時代は終わった」という記述がありました。

確かにそうですね。自国の火力と同義である魔法師を、そう易々と国外に出すわけにはいきませんよね。増して、その優秀な遺伝子を取られたりなんて……

ということや、リーナが留学してきたという例外を吟味した結果、ドイツ政府と会議していた回のお話を変えておきます。今、書いている途中なので、もうしばらくお待ちください。

大まかな設定としては、期限は三年間、性行為等遺伝子データの流出する恐れがある行動は必ず避ける、日本で公開していい魔法関係の道具及び資料は限定する。などの制約ありです。この制約を破ることでアインツベルンの全財産を政府に譲渡などの契約をした上での留学とします。

すみません、ガバガバ設定で……

もし何かあれば、また変更するかもしれません。



長々とお付き合い頂きありがとうございました。




あ、評価・感想、ありがとうございます!!





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第6話



今まで2500くらいだったんすか、気づいたらこんなになってました。
切る場所もわからなかったので取り敢えず投稿。


よろしければお付き合いください。

ではでは




 

 

 

 

 

 

授業を行う先生達が教室に来たり、ディスプレイ越しに挨拶したりなど、一通りオリエンテーションが終了した。他にもカリキュラムのガイダンスや履修科目の選択方法、男女一組のカウンセラーの説明などもあった。

 

この後、直ぐに授業が始まる。と言うわけではなく、残りの2日ほどをかけて新入生は学校の施設や上級生の授業の見学をするのだ。

 

それはなぜか。

 

この二日間の見学という時間は、今まで魔法に触れてこなかった生徒たちの不安を取り除くためだったり、自分の中で思い描いていたものとの差をなるべく縮めるための措置だ。

 

今日はこの各種説明の時間だけで、残りは学校の見学に当てていいとのことだ。

 

(さて、何を見に行こう)

 

今後の予定を考える。中々に難しい。

 

当たり前のことながら私自身、分身などできるはずもない。つまり、行きたい場所が中々多く、時間が足りないということだ。

 

この第一高校ではどれほどの深さまで授業をしているかとか。

ここの設備の充実さとか。

前世ぶり、ひさびさに口にすることになる学生食堂のメニューだったり。

その他には、施設見学ということで闘技場や工房。

あ、遠隔魔法用実習室にも行って見たい。

日本の中でも指折りの実力者、十師族の一つ、七草の長女こと七草真由美の所属するクラスが今日遠隔魔法用実習室、通称射撃場で授業があるというのだ。

 

仕方がないし、見学期間ではこの1日しか見学できないという七草会長の実技演習でも見に行こう。こうして考えてるだけでも時間は無駄に過ぎていく。

 

だとすれば話は早い。

 

端末に接続していたIDカードを引っこ抜くと、そのまま端末の電源も落とす。

 

さぁ、行こう。前世ぶりの高校見学へと!

 

「あのアインツベルさん」

 

勢いづいたそのときに声をかけられるものだから思わず転びそうになってしまう。しかしこれでも私は淑女。そんな失態、見せるわけにはいかない。

よろけたことを気付かれないように努めながら、声の方へと振り返ると、そこには先程私に話しかけてくれた明るい女性、光井ほのかさんと私のファンだと言ってくれた北山雫さん。声をかけてくれたのはほのかだったようだ。

 

「どうしたの?」

「えっとね。もしよかったら見学、一緒に行かない?」

 

しかし、これは嬉しい事だ。一人でも全く問題ないが、この高校で三年間生活するわけだ。友人の一人や二人ほどは欲しいと考えていたところだ。しかも、こんなビッグネーム(自分で言うのもアレだが)に声をかけるのは勇気もいるだろうに。ほんと、こういった人は尊敬する。

 

「ええ、そう言っていただけると嬉しいわ」

「ありがとう、アインツベルン さん!」

「ありがとうございます!!」

 

ほのかと雫が嬉しそうにそう返した。

 

友人……そうだ!

 

「アインツベルン さんだなんてそんな他人行儀じゃなくってもいいわ。イリヤって呼んで。もう私たち、友達でしょ?」

「うん、イリヤさん!!」

「――――――」

 

ほのかは驚いたような表情を一瞬浮かべたのち、嬉しそうに破顔させて手を握ってきた。はじめての友達だ、私も嬉しくなって笑う。

そういえば、雫はどうしたんだろう?

そう思って見てみれば

 

「私が……アインツベルン さんと?友達?……イリヤって…………あ……」

 

オリエンテーション前に話した時とは数倍、いや比にならないほど顔を赤く染めて目を回していた。

 

「ちょっと雫!大丈夫?」

「ちょっと……む、り……」

 

そう言うと、気を失い倒れてしまう。すんでのところでほのかが支えに入ったが、危なかった。

 

「ふふ……」

 

なんだか楽しい高校生活になりそうな予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい。というか下らなすぎる。たまたま居合わせたというので巻き込まれてしまったこの状況に思わずため息が出てしまう。

 

「いい加減諦めたらどうなんですか?深雪さんは、お兄さんと一緒に帰ると言っているんです。

他人が口を挟む事じゃないでしょう!」

 

眼鏡をかけた二科生の女生徒が、一科生に食ってかかっていた。

 

 

 

事の発端はこうだ。

 

新入生の総代を務めていた同じA組の司波深雪という女生徒がいる。今回の問題となったのはその総代さまとお近づきになりたい、仲良くしたいと思っている一科生のグループだ。

 

まず最初、ことは七草会長の演習が見れるという遠隔魔法用演習室、通称『射撃場』で起こった。私とほのかと雫は運良く、射撃場の中央あたりに座れた。会長の腕はどんなものか、そんな話をしていたところで件の一科生のグループが射撃場に入ってきた。あいにく、人気だったためか、あっという間に席が埋まってしまい座れる場所など疾うになかった。そんな中彼らが目をつけたのは、最前列に座っていた二科生のグループだった。

 

「二科生の落ちこぼれがここに居るのはおかしい。ここは優れている一科生に譲れ」

 

そんなことを言いながら一科生のグループの代表のような生徒は二科生に突っかかった。幸いなことに、多少騒がしくなったが、七草会長の鶴の一声で一科生が舌打ちとともに二科生を睨みつけながら射撃場を後にするという形でその場は収まった。

 

もちろん件の二科生は悪い意味で目立っていた。

 

 

 

そういえば、同じ声を食堂でも聞いた。

懐かしの日本食。ご飯に味噌汁、おかずには鮭の塩焼きと漬物という完璧な組み合わせに舌鼓を打っている最中のことだったか。

ドイツでは、そんなものにありつけるはずもなく、十数年ぶりに口にする日本食への喜びを訳の分からない言い争いで邪魔されたことに僅かながら怒りを覚えた。

 

 

 

そして今に至る。

 

一科生(深雪)の近くに居続ける二科生に、我慢ができなくなったのか、深雪の後についてきていたA組のクラスメイトが、会話の流れから察するに、兄である男子生徒を含む二科生に難癖をつけ、言い合いになってしまった。

 

一科生というのと、たまたま立ち位置が一科生グループと重なってしまったというのもあり、まるで私もこの低レベルな集団とカウントされているようで、うんざりだ。

 

先程放った正論の下、黙りこくってしまった一科生に追撃を加える眼鏡の女生徒。

 

「別に深雪さんはあなたたちを邪魔者扱いなんてしてないじゃないですか!一緒に帰りたいなら、ついて来ればいいんです。なんの権利があって二人の仲を引き裂こうとするんですか!?」

するんですか!?」

 

しかし、今の言葉を聞いてなぜ顔を赤らめる司波深雪よ。

 

「僕たちは彼女に相談することがあるんだ!」

「そうよ!司波さんには悪いけど、少し時間を貸してもらうだけなんだから!」

 

おいおい一科生の男子その一と女子その二。その言葉のセレクトは秒で正論叩きつけられるのが目に見えるだろう。

 

「ハン!そういうのは自活(自治活動)中にやれよ。ちゃんと時間がとってあるだろうが」

「相談だったらあらかじめ本人に同意を取ってからにしたら?深雪の意思を無視して相談もあったものじゃないの。それがルール、高校生になってそんなこともわからないの?」

 

少し日本人離れした大柄な男子がどうどうと、そして赤い髪が目立つ快活そうな女子が小馬鹿にしたような態度ですかさず反論する。

ほれみたことか。ほとんど私の考えていたことを正確に代弁してくれたぞ。

 

「うるさい!他のクラスが、ましてや雑草(ウィード)ごときが僕たち花弁(ブルーム)に口出しするな!」

 

ウィード、か。その言葉は校則で使用禁止になっていたのでは?とつい先刻頭に叩き込んだ校則を思い出しながらため息をつく。

 

筋の通った意見を物怖じせずにしっかりと伝えられる生徒、我儘な考えばかりが先行し訳の分からないことを喚き散らす生徒。これではどちらが優れているかなど自明ではないのだろうか。

 

 

 

「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点でどれだけ優れているというのですか!?」

 

 

 

決して叫んだわけではないが、眼鏡の女子生徒の言葉は不思議と校庭に響き渡った。

 

(それは言わないほうがいいんじゃないかしら)

 

そんなことを考えていたとき、私が危惧していたことが起きようとしていた。

 

「どれだけ優れているのか……知りたいなら教えてやるぞ」

「ハッ、おもしれぇ!是非とも教えてもらおうじゃねぇか!」

 

まさに売りことばに買いことば。こんなに模範的な例が見れるとは。

 

「だったら教えてやる!」

 

 

 

とても見てられない。幼稚すぎやしないだろうか?

 

魔法というものが世に出回ってから、というのだろうか。魔法は別にCADがなければ発動できないというわけではない。よって、CADの所持について、事細かに法律が決まっているわけではない。しかし、安全のため、魔法の使用については細かく法律が制定されている。

天下の第一高校で生きていく上で守らなければならない法律が守れないというのは流石にマズイだろう。

 

クイックドロウで有名な森崎家の長男だ。携帯しているCADは、内蔵できる魔法式が少ない代わりに、座標を魔法式に入力する作業をサブシステムで肩代わりする事で展開の時間を短くする特化型で間違いないだろう。

その設計上、攻撃に特化した魔法が内蔵されていることの多い特化型ならなおさらダメだ。

 

「っ!」

 

隣を見てみれば、覚悟を決めたような表情を浮かべたほのかが腕輪型の汎用型CADに指を走らせ、魔法式を起動しようとしていた。国々によって魔法式の形式は違う。ドイツの形式ならどういったの魔法なのか、魔法式から読み取れるのだが、形式の違う日本ではそうはいかない。

 

しかし、わかることはある。今ここで魔法を発動すれば、罪が一際重い攻撃魔法と勘違いされかねない。

 

魔法式を展開しようとするその手を遮る。

 

「え?」

「今このタイミングで魔法を使うのはダメよ」

 

そんなことを話していると、件の森崎が懐からCADを取り出そうとする。ホルスターに入っていること、うっすらとブレザーの上から浮かび上がる形から、やはり森崎が抜こうとしているのは特化型だと断定出来る。

 

これは動けるのなら動いた方がいいパターンだ。

 

そのままほのかの返事を待たずに軽やかに駆け出す。対面にいた赤髪の二科生の女生徒も止めに入るために何かを取り出すようだったがこの距離なら私の方が早い。

 

どうやって二人を止めるか。

そうだ、どうせなら少し遊んでも問題はないはずだ。これを機に少し反省してもらおう。

 

私がいつも持ち歩いているCADは三つ。一つはテストプレイも兼ねている特化型の標準システムをくっつけた汎用型デバイス『ナインライブズ』、余程のことがない限り公にしたくない『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』。そしてもう一つが今私が使おうとしているものだ。

 

『アイリス』

 

簡単に言って仕舞えば、とても細い貴金属の針金だ。しかしただの針金ではない。ナノという単位の下、術式を幾何学模様化して刻印してあるのだ。そうすることで硬化や弾性変形、伸縮から思い描いた形状にできるなど自分で言うのもアレだが、とんでもない代物だ。

 

刻印魔法自体、刻印にサイオンを流すだけで、刻印された魔法をどんなCADよりも早く発動できると言う利点を持つが、燃費が悪いと言うことで衰退していってしまった。しかし、調整体魔法師の『聖杯シリーズ』の最高傑作である私には関係ない。むしろ燃費の問題さえ解決できればとても便利で探求のしがいがある魔法の分野であると私は考えている。

 

アイリスを取り出し幾何学模様化された魔法式の中から伸縮と弾性を選択し、呼び出す。魔法が発動したことを確認すると、その一端を森崎めがけて飛ばした。

 

針金は森崎の制服の袖を貫通すると、そのままレオの背後に回り一周すると、今度はレオの袖を貫通した。そのまま本人たちが気がつかない程度の距離を飛びながら何重にも回る。

 

Fertig(お終い)!」

 

そう言ってアイリスを思いっきり引っ張る。するとどうだろうか。

 

「ガッ!?」

「ばっ!?」

 

周りを漂っていた針金が一気に収縮しはじめ、二人を縛り付けてしまった。袖も一緒に引っ張られることで、お互いが抱きつきあっているようにしか見えない。

森崎は衝撃のあまりか、特化型のCADを落としてしまった。二人とも、雁字搦めに巻きつけられた針金から抜けようともがくが、腕が相手の背中まで回されているものだからどうしようもない。むしろ抱き合いながらモゾモゾと動いているので、こう何か言葉にしがたい感情が思い浮かぶ。

 

案の定、私と同じく止めに入ろうとしていた女子生徒はゲラゲラと笑っていた。

 

さて、この芋虫sをどうしてやろうか。言葉よりも先に(CAD)が出るとは。二科生のかれは分からないが、名家の森崎家ならその辺のこともわきまえていると思ったのだが。

面倒だしこのまま風紀委員会にでも突き出してやろうかと考えていたそのとき。

 

「やめなさい!自衛目的以外での魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」

 

本校が誇る生徒会長、七草真由美が、生徒会役員だろうか、何人かの生徒を引き連れてこちらへと歩いてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






感想・評価!とても嬉しいです、ありがとうございます!!

多分次からまた文字数が減るかもですが、よろしくお願いします!





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第7話

すまねぇ……






 

 

 

 

「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」

 

生徒を引き連れながらやってきた七草真由美は、生徒会長として相応しい威圧感を放ちながら声をあげる。

声のする方を振り返った一科生達が次々と顔を青く染めていく。

 

「貴方達、1―Aと1―Eの生徒ね。事情を聞きます。ついて来なさい」

 

真由美の隣に立って居た上級生と思われる女子生徒が、硬質な声で命じた。彼女は確か……そうだ思い出した、入学式の委員会紹介のうちの一つ、風紀委員会の委員長として登壇していた先輩だ。三年生で、名前は渡辺摩利だったはずだ。

 

ふと彼女の手元に目を向けてみれば、既にCADは完全に起動しており、魔法式は完璧に展開していた。つまり、いつでも我々を無力化できるということだろう。もう面倒だから帰ろうか、などと思っていたが無理そうだ。少しでも怪しいそぶりを見せればすぐにでも実力行使されかねない。

 

私はアインツベルンだ。おごりでも慢心でもない。本当のことを言ってしまえば、あの三年生の魔法を打ち破れるし逆に無力化できる自信もある。よって私自身たいしてなんとも思ってないのだが、周りの生徒はそうでもないらしい。現に、ほのかと雫を始めとした一科生や二科生たちも、言葉なく、硬直してしまっている。

 

どうしたものか、と思っていたそのとき。深雪と、その兄と思われる二科生のグループの中心にいた切れ目の男子生徒が他の生徒のように萎縮したり、項垂れたりすることなくしっかりとした足取りで、背後に付き従う深雪と共に、風紀委員長である摩利の前へ歩み出た。

 

注意される側の生徒がいきなり堂々とした態度で前に出てくるのだ。当然、摩利は訝しげな視線を向けた。

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました」

「悪ふざけ?」

 

一礼して何を言い出すのか、思わず私も風紀委員長と同じことをうっかり言いそうになってしまった。なおも司波兄の言葉は続く。

 

「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学のために見せてもらうだけだったのですが、あまりにも真に迫っていたもので、思わず手が出てしまいました」

 

チラリと司波兄がこちらを見る。風紀委員長殿も眉をひそめながらこちらを見てきた。周りを見回せば一科生のグループも二科生の彼らもみんなこっちを見てくる。

どうしてそんなにこっちを見るのだろうか。

いくつもの視線のうち、いくつかは私の足元に向けられていた。視線を追ってみれば、簀巻きにされた状態から抜け出すことを諦めたのか、ため息をつきながらぐったりとしている二人(森崎とレオ)がいた。もちろんまだ縛られたままだ。

 

因みに、先ほどまで身体中をアイリスで縛っていたが、何か言われても面倒なので、それは既に取り除き回収した。今彼らを縛っているのは彼ら自身の袖と袖。お互いの腕が相手の背中側にあるのでそこで両手をしまってしまえばどちらにせよ、動けないし、何もできないという寸法だ。

 

森崎が落とした特化型CAD、赤髪の二科生が慌てて隠した警棒など。周囲の状況を確認すると、改めて達也に質問した。

 

どうやら、抱き合う二人はひとまず後回しらしい。

 

「少し前から遠目に見させてもらっていた。そこの1―Aの女子生徒が男子生徒に何かをしていたな。あれはなんだ?」

「先ほども言った通り、真に迫った森崎のクイックドロウに思わず手が出てしまったのでしょう。条件反射であそこまで行動できるとは……流石は一科生ですね」

「本当か?」

 

あの男子生徒の言葉はどことなく白々しかった。

 

しかし、見られていたのか。まぁ、あれは別に見られてもなんの問題もない。アイリスのような機構のアプローチはすでに世間に公表してある。(刻印魔法の効率化などと共にだしたそれは、刻印魔法の研究を10年進めたなどと言われるまでだ。)作り方がわかっているものを見られても別に問題ないのだ。

 

「私のホウキ(術式補助演算機)です。すでに学校に持ち込みするCADとして登録してあります。このホウキは捕縛から戦闘まで幅広く応用が利く物です。今回は捕縛のために使用しました」

 

もし原理が知りたかったら、アインツベルンの論文、「刻印魔法の研究報告 第13号」を見てみてくださいね。とさりげなく宣伝もしてみる。

 

「その森崎と君の友人は彼女に拘束されているのだがそれについては」

「それはーーー」

「目の前で学友が法を破るところだったのよ?止めなくてどうするのかしら?」

「……ふっ、確かにその通りだ。しかし、魔法式に触れるだけでも拒絶反応を起こすこともある。少し軽率だったんじゃないか?」

 

なるほど、そうくるか。

しっかりと説明しようとしたその時。司波兄が口を開く。

 

「どちらにせよ、問題はなかったでしょう。あの糸のような形状のホウキには捕縛以外にもう一つ並列で行なっているものがありました。サイオンを弾丸として魔法式に直撃させると、魔法式はその効力を発揮せず、魔法は不発のまま霧散しますね。あの糸の表面には高出力のサイオンが膜のように張り付いていました。それによって最初の一巻きの時点で魔法式は全て破壊されてましたよ」

 

驚いた。誰も気づいていないと思っていたのに。

司波兄の言った通りだ。サイオン光も目立たないように情報改変の魔法を裏で発動していたのにも関わらず、すべて的確に当ててみせた。司波兄、彼は他の生徒たちとは一味も二味も違うらしい。

 

会長と委員長の方をみれば、彼女たちも気付けてなかったのか驚きの表情を浮かべていた。

 

「その様子だと、私が魔法を展開してたのにも気がついていそうね」

「魔法式の形式が違っていたな。あれは確かドイツだな?そうだとすればあれは現実の情報改変、視覚情報の操作だったか?」

「正解!あなたは分析が得意なのね!」

 

とりあえず、レオと森崎を拘束していた分を回収する。流石にこれ以上暴れないと思うが。

 

というわけでこれぐらいで納得していただけるとありがたいのだけれども。そう言った意味合いも込めて委員長を見やる。

 

「二人揃って誤魔化すのも得意なようだ」

 

値踏みするような、睨みつけるような、その中間の眼差しが私と司波兄を貫く。

そこで司波深雪が私たちを庇うように前に出た。

 

「兄と彼女の申した通りちょっとした行き違いだったんです。先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」

 

そうして深く頭を下げた。私も一応頭を下げておく。

 

流石に司波兄も含めた3人から真正面で深々と頭を下げられて、毒気を抜かれた摩利は目をそらした。

 

「摩利、もういいじゃない。達也くん、それにイリヤさん。本当にただの見学だったのよね?」

 

どうして名前で呼ばれているのだろうか。と思ったが絶好の機会でやってきた助け舟を無駄にするわけにはいかない。たまたま目があった達也もおんなじことを考えていたようだ。

 

「はい」

「大変参考になりました」

 

それを真由美は満足そうに頷いた。

 

「生徒同士で教え合うことは禁止されているわけではありませんが、魔法の行使には、起動するだけでも細かい制限があります。このことは一学期の授業で教わる内容です。魔法の発動を伴う自主活動は、それまで控えた方がいいでしょう」

 

会長の言葉の後に風紀委員長も続く。

 

「……会長がこうおっしゃられていることでもあるし、今回は不問とします。以後はこのようなことがないように」

 

その言葉を皮切りに、当事者全員が‘慌てて頭を下げた。

そんな一同に見向きもせずに摩利は踵を返した。

と、思われたのだが。

 

「そういえば、そこの君」

「なんでしょう」

 

視線もこちらに固定されている。何だろうか?

 

「先程会長からイリヤさんと呼ばれていたな」

 

そういうことか。

 

「申し遅れました。1―Aのイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと申します。ドイツからの留学ということでこの第一高校で三年間学ばせて頂きます。よろしくお願いしますね、先輩」

 

そう言い切ると、周りからどよめきが聞こえてくる。耳を澄ましてみる。内容としては、「あのアインツベルンが!?」「本物だ……」などなど。やはりそういう反応になるよなぁ……。

 

「君が……うん覚えておこう。それで隣の分析が上手な君は?」

「1―Eの司波達也です」

「君のことも覚えておこう」

 

そんなやりとりを最後に、第一高校に入学してからの最初の波乱は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 




すごい無理矢理な気がしますが……

ちょこちょこでいいので直していけたらと思います。

評価・感想!ありがとうございます!!!


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第8話



生存報告


また当分更新できないと思いますが、待ってていただければ幸いです。





 

 

 

 

 

「借りだなんて思わないからな」

 

噛ませ犬ですと言わんばかりの捨て台詞を吐いた男子生徒。森崎は達也を棘のある視線で睨み、同じく棘のある口調で達也にそう言った。

 

達也を見れば、やれやれという表情を浮かべていた。ほかにも二科生の生徒が達也と同じような顔をしていた。

 

「貸しているなんて思っていないから安心しろよ。決め手になったのは俺の舌先じゃなくて深雪の誠意とアインツベルさんのとっさの判断によるものだからな」

 

「イリヤでいいわよ」一応同学年の学友になるわけなのでちゃんと言っておいた。

 

その後の司波兄妹のやりとりに毒気を抜かれたのか、気を削がれたのか、やや敵意の薄れた表情で名乗りをあげる。

 

「……僕の名前は森崎駿。お前が見抜いた通り森崎の本家に連なるものだ」

 

そうなんども言わなくても分かる、と言いかけたが飲み込む。いつだったか、興味本位で日本の魔法について調べていた時、森崎一門のクィックドロウを見たことがある。確かにアレは速いが、やはり到底私には敵わないレベルだと思った。彼は森崎の中でも優秀なのかは知らないが、動画より少しクィックドロウが速かった。ちゃんと鍛えれば素晴らしい魔法士になると思う。

 

まぁ、本人次第だが。

 

さらにエリカとレオ、美月のコントのようなやりとりを挟んで

 

「僕はお前を認めないぞ司波達也。司波さんは僕たちと一緒にいるべきなんだ。それにアインツベルさんもだ。雑草(二科生)に肩入れするなんてこと、しない方がいい」

 

この期に及んでまだそんなことを言うのか。まさか、こいつは私の楽しみにしていたスクールライフを邪魔するつもりなのだろうか。前言撤回、ちゃんとした魔法師になりたくばその性格を直したほうがいい。

 

「まぁ、考えておくわ」

 

そう言い切り、私の返事を聞くと、「いきなりフルネームで呼び捨てか」という達也の独り言のようなボリュームの言葉に反応することなく、そのまま立ち去った。達也の言葉に若干方が動いていたが、彼のプライド故か、こちらを振り返ることなくズンズンと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、なんやかんやで一緒に帰ることとなった。

 

高校生らしいイベントの王道を体験することができると言うことで、私の気分は最高の状態だった。

 

若干微妙な空気であることを除けば。

 

ふと、そんな雰囲気を壊すかのようにほのかが達也に向けて質問をした。

 

「じゃあ、深雪さんのアシスタンスを調整しているのは達也さんなんですか?」

「ええ、お兄様にお任せするのが一番安心ですから」

 

ほのかの質問に対して深雪が我が事のように得意げに答えた。

達也は深雪の発言に対して「そうでもない」と苦笑いをしていた。

 

「それだってデバイスのOSを理解できるだけの知識がないとできませんよね」

「美月の言う通りよ。デバイスのアレンジなんて・・(普通)の高校生では難しいはずよ?それほどの技術を持っている貴方が本当に二科生なんだか少し不思議だわ」

 

深雪の隣から覗き込むようにして顔を出して会話に加わった美月に続いて私も気になったことを聞いてみる。

 

深雪ほどの実力者が使うCADだ、本来ならプロのエンジニアにやってもらうのが一番いいはずだ。しかし先ほど、深雪はただの学生だあるはずの達也に任せるのが一番安心といったのだ。何かありそうと思うのは当然だろう。すごいと思うのは事実だが。

 

深雪がなにか同士を見つけたかのような嬉しそうな表情を浮かべてこちらに声をかけようとしていたが、いち早く気づいた達也に手で制された。文句を言いたげな深雪をよそに

 

「少しデバイスに慣れているだけさ。実力主義の魔法科高校では実技のな俺は二科生であっても別におかしくないだろう」

「ふふ、今はそう言うことにしといてあげるわ」

 

なんにせよ、いずれ分かることだ。今はそう言うことにしておこう。

 

「CADの基礎システムにアクセスできるスキルもないとな。大したもんだ」

「達也くん、私のホウキもみてくれない?」

 

振り返りながらレオとエリカ。

 

確かエリカのホウキはあの警棒か。彼女が制圧に動く前に私のアイリスで片付けてしまったからわずかな時間しか見れていないが。

あれ(エリカの警棒)は見たことがある。確か物体解析などに優れたエミヤ魔法工学研究所と日本で刻印魔法の権威と言われている五十里家の共同制作のものだったはずだ。世界でトップクラスの刻印魔法の使い手である(アインツベルン)に意見を求めるためにサンプルが送られてきたことがあったからだ。

 

「無理。あんな特殊な形状のCADをいじる自身はないよ」

「あはっ、やっぱりすごいね達也くんは」

 

達也の返事は本気なのか謙遜なのかわかりにくいものだったが、エリカの反応は裏表がないものだった。先の会話から、私は十中八九謙遜だと思うが。

 

「えっ?その警棒、デバイスなの?」

 

目を丸くして驚きの声をあげる美月に満足したのか、ウンウンと頷くエリカ。

 

まぁ、それが普通の反応だろう。

 

私が起こした技術革命の影響か、ドイツでは刻印魔法自体それほどマイナーでもない。刻印を効率よく、無駄なく刻むことができればどんなものだってホウキとして使えるし、いくらでも応用が効くからだ。それに対して、日本では魔法の発動はCADが主で刻印魔法自体の認知度がとても低いのだ。

 

「……どこにシステムを組み込んでるんだ?さっきの感じじゃ、全部空洞ってわけじゃないんだろ?」

「いえ、全部空洞じゃないかしら。警棒の中にCADの機械を入れたりなんかしたら縮められなくなるし、振った時の衝撃で木っ端微塵になるわ。だとすれば刻印魔法かなって思ったのよ」

 

レオの質問に続いて私が言葉をつなげる。

 

「さっすがイリ、……えーと」

「イリヤでいいわよ、エリカ」

 

友達とは名前で呼び合う、はず。本当に呼び捨てでいいのかと言う目とともにこちらを見てきたエリカに間髪入れずオッケーを出す。

 

「ありがと……コホン、イリヤの言った通り。柄以外は全部空洞なの。刻印式の術式、刻印魔法で強度を上げているの。レオ、効果魔法得意なんでしょ?」

「……術式を幾何学模様にして刻み、サイオンを注入することで発動するって言うアレか?そんなもん使ってたら並みのサイオン量じゃ済まないぜ?よくガス欠にならねぇな?そもそも刻印型自体、燃費が悪すぎるってんで、今じゃあんまり使われていねぇ術式のはずだぜ」

 

レオの指摘にエリカは目を開き驚き半分、関心半分を表した。

 

「あんた、鋭いっちゃ鋭いけど本当にドイツの血が流れてるのかしら?アインツベルンの、イリヤの刻印魔法って言ったらドイツの誰もが知ってるって兄貴の知り合いが言ってたけど」

「そりゃ知ってるさ。アインツベルの魔法技術革命は世界中で話題になってたしな。革命の主な内容は刻印魔法とかマイナーな魔法の完全効率化だったわけだからな。それで効率が良くなったってサイオンを大量に使うことには変わりねぇだろう?」

 

やっぱりそこまで話題になってたか。

私は壁が大きければ大きいほど乗り越えたくなる性格なのだ。ゴミと呼ばれていた魔法を効率化・最適化して世に発表したのが魔法技術革命だなんて呼ばれているのは小耳に挟んでいたがこれほどまでだったとは。

 

「ま、そこは私の腕でカバーってところね。要は効果が必要な時だけ魔法を発動させればいいってわけ。振り出しと打ち込みの瞬間だけね

。その刹那を見極めてサイオンを流せば、そんなに消費しないわけ。つまり兜割と似たようなものね……って、みんなどうしたの?」

 

逆に関心と呆れ顔がブレンドされた空気にさらされて、居心地悪げに尋ねたエリカに、

 

「エリカ……兜割って、それこそ秘伝とか奥義とかに分類される技術だと思うのだけれど」

「単純にサイオン量が多いよりもすごいと思うわよ?」

 

全員を代表して深雪と私が答えた。

 

「達也さんも深雪さんも、イリヤさんもすごいけど、エリカちゃんもすごい人だったのね…………うちの高校って、一般人の方が珍しいのかな?」

「魔法科高校に一般人はいないと思う」

 

美月の天然気味な発言と、それまで押し黙っていた北山雫がボソッと漏らした的確すぎるツッコミで、色々とわけありの空気は確信が見えぬまま霧散した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「おかえりなさいませ」

 

靴を脱ぎ、リビングへ続くドアを開けるとそこらの主婦となんら変わらない衣装にエプロンをつけたセラが出迎えた。

 

「あれ、リズは?」

「ああ、情報収集と関係各所に挨拶に向かわせました。あと少しで帰ってくるかと。イリヤ様はこれからどうしますか?」

「エミヤ魔法工学と五十里の共同開発の警棒って持ってきたかしら?」

「申し訳ありません。持ってきていません。データの方のみとなっています」

 

残念だ。送られてきたその時は、ナインライブズの開発で大忙しだったので見向きもしなかったのだ。一応、データの収集のみは行わせていた。エミヤ魔法工学研究所に行く時のお土産として警棒を改良して持って行こうとしたのだが……最悪データだけあれば魔法式の構築と幾何学模様化、デザインの設計はできる。

 

「そう。まあいいわ…………そうだ、遠坂重工との会談とか研究の件、正式に許可が出たわ。スケジュールのチェックをお願い」

「かしこまりました。警棒の件なのですが、ドイツより持って来させましょうか?」

「お願いするわ」

「では、2日以内に」

 

そう言うと私は自室に戻った。

 

 

 

 

 






謝罪

第7話に続く8話と9話を削除して投稿をしました。
理由は、どうしても続くがかけなかったからです。変にごちゃごちゃしてしまって、このままグダグダしてしまうならやってしまえと言うことで、はい。
何かあれば感想等でお知らせください。

感想・評価お待ちしております。



では





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第9話


生存報告

しばらくは不定期更新になると思います。しかし、これからもなるたけ続けてけたらなと思っています。

よろしくお願いします。


 

 

 

 

「単刀直入にお聞きします。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンさん、生徒会に入りませんか?」

 

「お断りします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法科高校に入学して早数日。

私はほのかと雫と一緒に食堂でお昼ご飯を食べていた。

食べているのはもちろん和食。今日は肉じゃが定食だった。味の染み込んだジャガイモ、甘く優しい食感の人参、主張しすぎずしっかりとした味の牛肉。ここのシェフはいい腕をしている。

 

このご時世、未来食というわけではないが、日本食が見れなくなった場所もところどころある。しかし、この学校ではちゃんと日本食も用意されており、毎日日本食が食べられる。それだけでドイツから日本に渡って来た意味があるというものだ。

 

先日の一科生と二科生のいざこざを解決?してからというもの、中心人物であった森崎は大人しくなり、楽しい食事中に不快な声はあまり聞かないようになった。

 

モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ 。とは誰が言ってた話だったっけ。

 

「でも、先日のイリヤさんのCADとてもすごかったですね!あんなに細いものに複数の術式を刻めるなんて!」

「イリヤさんがすごいのは当然」

「ふふ、ありがとう」

 

鼻息荒く話すほのかに対して、なぜか自慢げに胸を張る雫の姿が面白くて少し笑ってしまう。

 

「あのあと、気になってイリヤさんの論文、いくつか読みました。刻印魔法の基礎技術を、あそこまで改良できるなんて本当に驚きました!とくに第24号の論文なんて!あの発想は誰も思いつきませんって!」

「本当にありがとう。なんかくすぐったいわ」

「ほのかはわかってる。第24号の書いてあることがわかったなら『体細胞と刻印魔法 刻印魔法の医療技術転用』の論文も読むべき。これは極小物体への刻印を課題とした実験の副産物というサイドストーリーがあってーー」

「そうだ!もうすぐ部活動勧誘期間が始まるらしいけれど、二人は何部に入るか決めた?」

 

そのままにしておくといつまでも話してしまいそうだったので多少無理に話を変える。

やっぱり、目の前で自分のことを褒め称えられ続けるのはこそばゆい。

マスコミや政治家、アインツベルにいい顔をしようとする者たちに言われ続けていい加減なんとも思わなくなったと思っていた。しかし、『友達』に純粋に褒めてもらうのはまた違う感じでどうしてもなれなかった。さっきも言ったがとてもくすぐったい。

 

「うーん、部活動勧誘期間中は各部活を観れるらしいから、そこで見てから決めたいなぁって」

「わたしもほのかと一緒…………えっと、それで。もしよかったら、部活動見学、一緒に回りませんか?」

 

そう聞いてくる雫に対して私は二つ返事で了承した。

 

「もちろん!是非ご一緒させてもらうわ」

「やった……ありがとうございます!」

「もう、せっかくの友達なんだから敬語はやめてって言ってるのに」

「うぅ……あ、ありがとう。イリヤさん」

 

そういえば、ここの学校の部活動についての事前情報はゼロに等しいんだった。ゼロではないのはなぜか、というのも、入学式後にカリキュラムなどを確認した際に部活の欄を流し読みしたからだ。あくまでも、あの時は日本の高校ではどんなことを学べるのかというのを調べるために、それらに関係した欄しかちゃんと読んでいなかったからだ。

 

もしかしたら、ほのかや雫は部活動について何か知っているかもしれない。

 

お昼休みの終了までまだあるし、ここで聞いておくのも手かもしれない。

 

「えっとーー」

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン さんですか?」

 

ほのかと雫にかけようとした言葉はふと頭上から放たれた声に遮られた。

 

声のした方を見てみると見覚えのある顔がそこにはあった。フワフワとした黒髪に小柄ながら素晴らしいプロポーションをもつ女性。国立魔法大学付属第一高校生徒会長こと、七草真由美だ。

 

「こんにちは、生徒会長」

 

取り敢えず返事をする。しかし、なんで声をかけられたのか全く見に覚えがない。もしかして、先日のイザコザの件だろうか?だとしたらとても面倒くさいので是非ともおかえりいただきたいところなのだが。

 

「普通に名前で呼んでくれても大丈夫なのに」

「では、七草先輩と。それで、用とはなんでしょうか?」

「少し話したいことがあるの。イリヤさんは今日の放課後は暇かしら?」

 

話?やはり返事つの件なのだろうか。というか何故名前呼びか。あっちが先輩だからだろうか。まぁ、ともかく。折角の学園生活なのだし、『直接生徒会長に呼び出される』なんてシチュエーションはそうそうないだろうし。別に断る必要もないか。

 

「大丈夫です」

「ありがとう、では放課後に生徒会室でお待ちしてるわ」

 

そう言うと、小さく手を振って行ってしまった。ほぅと一息ついてほのかと雫の方を見る。ほのかと雫はすこし不安げな表情を浮かべていた。

 

「どうかした?」

「今の生徒会長さんでしょ?もしかして先日の一件で呼び出されたとか?」

「まぁ、そうかもしれないしそうじゃないかもしれないわね。別に貴方が思い詰めることなんてないわよ。私自身、悪いことなんてしてないし。ほら、元気出して。私、ほのかに部活のことでいくつか聞きたいことがあるの」

 

そう言うと、すこし表情が晴れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一科生と二科生の大きな違い。それは魔法師である教師から直々に実技指導が受けられる点がまず最初に挙げられる。

ぶっちゃけ、私はそこらの魔法師よりも魔法が扱えるのでいらないといえばいらない。

 

 

しかし、学習方法として見習う点はたくさんあることがわかった。

 

 

というのも、過去に政治家の権力争いにアインツベルン が巻き込まれたことがあったのだ。そのとき、ドイツの魔法教育局の特別顧問になってしまったのだ。私は面倒ごとが嫌いだ。最初は魔法教育局の局長にされるところだったのだ。

 

 

どうして魔法教育局の特別顧問になんてなったのか、話は少し長くなる。

 

 

しかし、当時の私は新しいCAD、汎用型CADに特化型CAD用の照準補助システムを繋げた例のモノの開発に夢中だった。そんなことする時間があったら開発に回したいと考えていた。実際、食事や風呂の時間を削ってでも研究をしようとしてセラの指揮の元、リズに首えり引っ掴まれて風呂場まで輸送されたこともあった。

 

だから、それに気づけたのは幸運だった。私を生み出したのと同時に両親はこの世から去り、ドイツを代表する魔法師の家系の当主となった私には、そこそこ仕事がある。その中に書類仕事も含まれているのだが、開発で大忙しでまともに書類なぞまともに確認していなかった時に「魔法教育局局長について」の書類が挟まっていたのだ。

 

その書類を確認するや否や、政府に乗り込み、断りに行った。

 

最初は断るつもりだった。しかし、眼前で行われる小さな政治家の下らない言い争いを目にすると冷静になった。よくよく考えれば教育局でのコネは色々使えるのでは、と思い至ったのだ。魔法教育局などというくらいなのだから、政府はもちろん、研究所やその他の機関とも関係があるはずだ。これなら、研究論文を提出するために様々な機関をわざわざ回らずとも、魔法教育局の人に丸投げするだけで世に公表できるのではないかと。

 

局長だと、何かと前に出る機会が多いので、それ以外なら受けてもいいと承諾。

 

そうして勤めることになった職が、ドイツ魔法教育局特別顧問。主な仕事は、魔法教育機関に配布する教科書や資料の校閲・アドバイス、魔法教育機関の視察、カリキュラムの確認などだ。

 

よって、日本に来た目的の一つに、日本の教育機関のシステムを少しでも持ち帰って、ドイツで活かせるようにすることも含まれているのだ。

 

そんなことを考えていたら、いつのまにか生徒会室前まで来ていた。

 

廊下の一番奥、私の目の前には教室とは全く異なる作りのドアが鎮座していた。セキュリティーのためか無骨ながら重厚感を放つ扉、その扉の隣には『生徒会室』と達筆な文字で刻まれた木版とドアのロックなどのシステムを管理するためのタッチパネル。よくよく見てみると、このセキュリティーシステムは遠坂重工の最新版ではないか。

 

「よし」

 

意を決してタッチパネルに触れる。

 

『あ、イリヤさん。待ってたわよ〜今開けるわね』

 

タッチパネルの画面に真由美が映り、彼女の返事と同時にドアからカチン、と音がなった。そして自動でドアが開き、イリヤを迎え入れる。

 

 

 

さて、どんな話をするんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 



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