東方死体祭〜幻想少女達が天神小入り〜 (ハゲ男)
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Chapter1
第1話「幸せのサチコさん」


この作品は、東方project×コープスパーティーのクロスオーバー小説です。


友達が危険な目に合っていたら、絶対に助ける。

子供の頃はよくそんな事を謳っていたものである。

今はどうだろうか?果たして救えているのか?

友達が虐められているのを、見て見ぬ振りをしていないか?

まぁそんな事は、この世界からすれば些細な事である。

救おうが救うまいが、死からは免れないのだから。

 

 

 

貴方達はご存知だろうか。

かつて無惨な殺人事件が行われ、廃校になり取り壊されてしまった呪いの小学校…"天神小学校"の存在を。

いつの間にか人々の記憶から忘れ去られた学校は、別次元に今もなお、呪いの力を蓄えて生きている。

 

"幸せのサチコさん"

 

紙人形を爪で持ち、人数+サチコさんを合わせた回数分、心の中で「サチコさんお願いします」と唱え、紙人形を一斉に引きちぎる事で

、遠く離れる事になる友達と、いつまでも絆が切れる事なく繋がっていられるというおまじない。

しかし、実はこれが幸せなんかでは無く「死逢わせ」である事を、おまじないをした者たちは知る由も無い。

それが後世に語られる事も無い。

契った者は、一生戻って来れなくなるとされている。

"天神小学校"の、果てなき呪縛によって。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

季節は夏真っ盛り。

「あっつ…はぁ…私いつになったら満足に生きられるのかしら。参拝客は無し、お賽銭もなし。…あんたん所とはまるで大違いね」

「そうですかぁ?最近は私達の所も信仰が少なくなってきたので、一緒だと思いますよ?」

ここは平和でのどかな幻想郷。

様々な種族の生命がここに暮らし、皆々楽しく過ごしている。

言わば"楽園"と言った所だろうか。

そんな楽園の東に位置する博麗神社で、自分の神社に参拝客が来ない事を愚痴る紅白の巫女、博麗霊夢。

そしてたまたま遊びに来ていた東風谷早苗も、自身の神社の信仰の少なさに溜息をついていた。

「いや、あんたは少なくなったんでしょ?私なんか永遠に0よ0。れー!」

親指と人差し指をくっつけて0の形を作り、早苗にぐいと近寄る。

「わ、分かりました、分かりましたって!…霊夢さんもたまには信仰の為の演説ぐらいしたらどうですか?人里辺りで」

「嫌」

早苗が言い終わるよりも早いぐらいに、霊夢は即決で却下した。

その言葉を何となく予想してたのか、苦笑いする早苗。

この博麗の巫女は、努力や修行が大嫌いなのである。

その為、そう言った演説も一切やろうとはしない。

「楽してたら稼げた」みたいな、自分から何もせずに良い結果に転べば良いと思っている。

だからいつまで経っても信仰や参拝客、お賽銭は来ない。

一応これでも、幾度となく"異変"を解決した実力者なのだが。

「…あ!そういえば霊夢さん、こういうのあるんですよ!おまじない程度ですが」

いきなり何かを思いついた早苗は、ポケットからゴソゴソと何かを取り出し、霊夢に見せつけた。

「じゃーん!紙人形〜!…随分くしゃくしゃですけど」

「は?あんた何言ってんの。そんなのと私の今後に何が関係あるのよ。その紙切れを紙幣と思えっていうの?私そこまで馬鹿じゃ無いわよ」

その紙人形を訝しげに見つめ、ブツブツと文句を言う霊夢。

しかし…

「…ん?でもこれ、僅かながらに妖気を宿してる…一体何なのこれ」

その紙人形は、普通の様であって普通でなかった。

本来なら物には無いはずの妖気を宿している、不気味な紙人形。

霊夢の顔は、ますます眉をひそめていた。

「今日これ持ってきてたのすっかり忘れてました…これはですね。

契った人の願いを叶えてくれると噂になっている「幸せのサチコさん」に使う紙人形なんです!これで私も霊夢さんもウハウハ気分で幻想郷にいられます!」

早苗が鼻息荒く、目を輝かせながら説明する。

「へぇ…そんなんで何が…って思ったけど、妖気宿してるし、もしかしたら本当に叶うかもしれないわね…よし!早苗!私達だけで大金持ちになるのよ!」

「はい!霊夢さん!」

二人は意気投合、ガッチリと腕を組み合い、もう叶ったのかの様に嬉しそうに笑う二人。

「………それでこれ、どうやるの?」

「ですよねー。えっと、まずは…」

「待って。…来やがった」

やり方を説明しようとした時、霊夢が静止してあからさまに嫌な顔をしだす。

早苗もその顔で、誰が来たのか察した様だ。

「おーっす霊夢!暇だから遊びに来たぜ!…おぉ、早苗か!久しぶりだな!」

「ご無沙汰ですね!あ、魔理沙さんもどうです?幸せのサ」

「駄目よ!こいつすぐ自分だけ願いを持っていこうとするんだから!いないふりいないふり!」

「えぇ!?何か知らんが酷過ぎるぜ霊夢!私とお前の仲だろ!?そんな事言うなよ!」

いきなり雑な扱いを受けた魔理沙は、ショックを受けながら霊夢に抗議した。

「いつから私とあんたの仲が良くなった設定なのよ!あんたが勝手に来てるだけでしょ?」

「まぁまぁ…魔理沙さんはそんな事しないと思いますよ?一緒にやりましょうよ、霊夢さん!」

宥めつつ、魔理沙の参加を認める様に頼む早苗。

「…分かった、分かったわよ!ただし魔理沙!あんたの願いは5割以下しか叶えないからね!」

「イマイチ話についていけないが…分かったぜ。それで、何をするつもり…」

「霊夢さーん!新聞ですよー!文々。新聞号外ですよー!」

空からそんな声がした途端、霊夢はまた面倒そうに溜息をついた。

「文じゃんか。何しに来たんだ?」

文と呼ばれた少女は、生えた翼を折り畳み、綺麗に地へと足を置いた。

「魔理沙さんに早苗さんじゃないですか!今日はここで何してるんですか?…あ、霊夢さん、今日の新聞は号外ですよー。真夏の怪談とくしゅ」

「いらん!」

バシッと差し出された新聞をはたく霊夢。

始める度に来客者が来るので、中々話が進まなくて苛立ちを覚えていた。

「あぁー…酷いですよ霊夢さん。この暑い夏に、ヒヤッとする怖い怪談話を用意したのに」

「何で妖怪鬼亡霊が普通にいるこの世界で怪談話を載せようと思うのよ…というかつい最近完全憑依とかしてたのに」

はたかれて落ちた新聞を拾いあげる文に対して、呆れている霊夢。

「それがまた良いんですよ!こういう怪談話も、何処と無く懐かしさを感じて良いですよ?特におすすめは…」

ペラペラと新聞をめくる文。

それが気になり、魔理沙と早苗、そして何だかんだ言いながらも霊夢も記事を見ていた。

「…あ、そうそうこれですよ!『幸せのサチコさん』!とあるおまじないをすると、別の世界に飛ばされてしまうんだとか!やり方も載ってるんで…ってあやや?どうしたんですか霊夢さん、早苗さんをそんなに睨んで。何かついてるんですか?」

「…別に。ねぇ早苗」

「そ、そう…ですね。お、おまじないですもんねー…」

睨むのも無理は無いだろう。このまま知らずにやっていたら、あわよくば別の世界に飛ばされていたかもしれなかったのだ。

そんな事あるわけないとも思えたが、生憎この紙人形には妖気が宿っている。あり得なくも無いのだ。

「で、でも!私は風の噂で、このおまじないをすると願いが叶うって聞きました!確かに聞きました!もしかしたら文さんがいつものように天狗になってデタラメ書いてるかもしれませんし!」

「なにおう!この社会派ルポライター射命丸文、新聞を嘘偽りの記事で載せたり私利私欲の為に使った事なんて少ししかありませんよ!失礼な!」

「少しはあるんじゃないか…で、結局の所どうなんだ?私的には文は信じられんが…霊夢はどう思う?」

魔理沙が霊夢に尋ねる。

まぁどちらが信用できると言ったら…

「そりゃ勿論早苗でしょ。こんなデタラメであんまり売れてない新聞書く落ちこぼれ天狗の言う事、真面目に聞いた方がおかしいし。…ただ嘘を言っている様にも思えないのよね。今回は!」

「『今回』の部分を強調しないでくださいよ〜!本当ですって!私もちゃんと取材して、ほぼ都市伝説化したこの噂を耳にしたんですから!」

文は嘘だと思われたのが嫌だったのか、珍しく訴えかけている。

しかし、霊夢には思う事があった。

「…でも、変よね。私や魔理沙もたまーに人里に下りるけど、一回もそんな話聞いた事ないわよ?」

「割と新しい話なんじゃないか?私も知らんからどうとも言えんが」

四人は考える仕草をして、この微妙に不気味な謎を解き明かそうとしていた。

そして…

「ま、いっか!叶ったら叶ったで私達は幸せを手に入れる。別の世界に行ったらそれまで、その時はさっさと帰れば良いわ」

考えるだけ無駄だと考えた霊夢は、もうその時の自分に任せる事にした。

「それじゃあ決まりですね!…では、やり方を説明します。一回しか言わないので、よぉぉく聞いといてくださいね」

早苗がしわくちゃの紙人形を伸ばしながら、説明に入る。

文の新聞にもやり方が書いてあったが、口で言った方が早いと思ったため、文自身も何も言わなかった。

現人神説明中…

 

 

「はぇ〜、そんな簡単に出来るんだな!そんなんで願いが叶っちまって良いのか?」

「良いのよ良いのよ。あるものには縋っておけば。…それに、まだ願いが叶うとも決まったわけじゃないし。危険な賭けね」

そう言う霊夢の顔は、心無しか嬉しそうだった。

未知なる地へ向かえる可能性に、少しワクワクしている様だった。

やがて早苗に説明された通りに、皆で紙人形を、親指と人差し指で掴む。

「さぁやりましょう!私達は四人なので…五回『サチコさんお願いします』って心の中で唱えてください!唱えたら教えてくださいね。

…いきます!」

その掛け声に合わせて、四人は目を瞑り、言葉を思い浮かべ心の中で唱えた。

「…出来たわ」

「…私もだ」

「…私も完了しました」

「…よし、私も出来ました!…それでは、この紙人形を一斉に引っ張って、ちぎってください!せーのっ!」

ビリビリビリッ!

四人は一斉に紙人形を引っ張り、引きちぎった。

「…っ…?」

その瞬間、霊夢は何だか無視できない寒気を覚えた。

…タスケテ。

シニタクナイ…

ココカラダシテ…

そんな幻聴が聞こえた気もした。

「…?霊夢さん、どうかしましたか?」

「い、いや…何か…」

早苗に声をかけられハッとした霊夢だったが、やはりその寒気は拭えない。

「んで?どうやったら願いが叶うんだ?もしかして今言ったら願いがかな…」

ゴゴゴゴゴゴ…

「な、何だっ!?地震か!?」

魔理沙が話した途端、大きな揺れが神社全体を襲う。

「あやや!?もしかして新たな異変ですかっ!?」

「み、みみなさん取り敢えず落ち着きましょう!私達は飛べます!飛べばいいんですよ!」

そう言いつつ一番慌てている早苗が、飛んでここを出ようと呼びかける。

しかし…

「ぐうっ!?…から、だが…重いぃ!重力が凄まじい事になってるぜ…!?」

「くっう…私も飛べません…っ!」

文と魔理沙が飛ぼうとするが、謎の重力の重みにより、地から足が離れる事さえ無かった。

「…っ。一体どうなって…ひっ!?」

霊夢は先程の寒気、それに加えて凄まじい霊力の気配を覚えた。

体から冷や汗が止まらなくなっている。

そして…

ズガァン!!ズガガガッ!

「きゃあぁぁぁ!?ゆ、床がぁぁぁ!?」

「あやややや…多分これ私の言った通りですね…だから言ったのに…」

「っぐぅ!なんっだよこれ!お、落ちるっ!霊夢!」

「ま、魔理沙っ!!」

床に大きな穴が空き、霊夢が落ちそうになった魔理沙の腕を掴む。

ズガガガァン!!

しかしその努力も虚しく穴は更に広がり、やがて全員を飲み込む程の大きさになる。

四人は叫びながら落ちていく。

「っ!?きゃあぁぁぁぁ!?」

「あやややや…もう終わりですね…」

「何だと!?うわぁぁぁぁ!!」

「…っ!?そんなっ…!!紫ぃぃぃぃ!どうにかしてぇぇぇ…」

そんな霊夢の必死の願いも、あの妖怪賢者には届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「!?…今の寒気と、凄まじい気配は何…?風邪でも引いたかしら…」

「紫様、どういたしましたか?」

「い、いえ…何でもありませんわ。……後で霊夢の所に寄ってみましょう、何だかとてつも無く嫌な予感がするわ…」

 

 

 

幻想少女達が天神小入り…

現在の幻想少女…4人

 

 

 

死亡した幻想少女…0人




どうも初めまして、ハゲ男と申します。
今回が初投稿なので、自分の文章力の無さに慄きながら、これを読んで頂いた方からの罵倒に怯えながら書きました(笑)
さて、今回は東方project×コープスパーティー2次創作クロスオーバー小説に挑戦しました。
あまりこの組み合わせは聞いた事が無いので、ならば自分が!と息巻いて書いてみたのですが…世界観の違いが難しいので、能力とか、幻想少女達の力についてはどうしようかと悩んでいるところです。
後女の子しか出ないので、若干そういう要素もあるかも…?と思ったのでタグ付けしときました。無かったらごめんね!
なお、コープスパーティー本編とは別の次元の話なので、本編のキャラは出ません。

最後の方にカウント表示しているやつは、話が進むに連れて進んでいきます。
霊夢達を追いかけて向かった者、遊びでおまじないをしてしまった者など…色々な人が来ます。
それと…入ってくる人がいれば、あんな目やこんな目にあう方もいるわけでして。
もし「自分の好きなキャラが色々なっちゃうのは嫌だ!」
「何だこのクソ小説!俺の好きな奴殺しやがって!作者が天神小入りしろ!」
という事があると思いますが、ご了承ください。私もあんな世界絶対に行きたく無いです。ごめんなさい。
…さて、長くなってしまいましたが、これから地道にコツコツと書いていきたいと思います。
次の話から色々と設定をしていきたいと思うので、乞うご期待(?)。
それでは!


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第2話「強がりの巫女」

かなり遅くなりました。というかこの作品話が書きづらいっ!…でも頑張る!

今回はあまり進みません。ゆっくり行こうかなと。アニメ版ドラゴン何とかの冷凍庫の時みたいに。
…まぁ流石にそこまでは行きませんけど(笑)


空はどんよりと曇り空、大雨と落雷に見舞われて。

真っ暗な一室の部屋の中で、紅白の少女は目を覚ます。

「ん…んぅ…あれ…?ここは…」

少女…博麗霊夢は自分のいる場所がどこが分からず、辺りを見回す。

所々穴が空いて、今にも崩れ落ちそうな床。

使い古された、と言うより長い間使われずに放置されてボロボロになった机や椅子。

片っぽだけで揃っていない、色違いの上履きがちらほらと。

暗くてちゃんとは見えないが、少し奥にある黒い板に、白い文字が書いてある。

ここが幻想郷では無いと思わせるには十分すぎる空間だった。

「え…?ここ、どこ…?まさか文の言った通り、本当に別の世界に…?いやいや、そんな事…あるかもしれないって言ったのは私だ…」

霊夢は溜息をついて、ゆっくりと立ち上がる。

その時、この部屋の全貌を見る。

「な…何よこれ。寺小屋みたいな…薄気味悪くて嫌だわ、さっさと帰りましょう。次元に穴を開ければ、どうにかして帰れるはず…」

全身を落ち着かせ、集中する。

そして…

「『霊符「夢想封印」』!」

ありったけの力を込めて、スペルを放った。

…筈だった。

「あ、あれ?出ない…夢想封印!夢想封印!夢想!夢想!むそーうっ!…はぁ…はぁ…嘘…全然出て来ない…確かに霊力は宿っているのに…」

何度やっても弾幕が出る事はなく、少女の叫び声が室内に響くのみだった。

「…もしかして私、このまま出られない、なんて事は…あーダメダメ、そういう事考えちゃ。新手の異変かもしれないし、このままじゃ相手の思うツボ。弱気になってたら異変解決なんて務まらな」

「ばあぁぁぁぁぁいたいたいたいたいたいぃぃぃ!?」

「〜…ッ!ッ!」

ギリギリとヘッドロックを決める涙目の霊夢。

その相手は…

「ギブギブ!ギブです霊夢さん!何か一人でブツブツ言ってたから守矢さんパワーで気配隠して驚かせようといたぁぁぁぁ!?」

「馬鹿!馬鹿ぁ!!一瞬心臓止まりかけたわ!幻想郷の亡霊よりタチ悪いぐらいに怖かったわ!」

そう、早苗だった。

やがて霊夢は拘束を解く。

首をさすりながら、早苗はむくりと起き上がる。

「いたた…それにしてもここは何処なんでしょうね?現代で言う学校みたいな所ですけど…」

「そこら辺の机はボロボロ、椅子も無造作に壊されてたり放り投げられてたり…しかも微妙に暗いから薄気味悪いわ。寒気するし」

そう言って霊夢は身を寄せて肩をさすってみせた。

「確かに寒気はしますけど…それに、霊夢さんがやったみたいにスペルや弾幕は出せないみたいですね。となると…」

「多分私達の能力自体も使えなくなってるでしょうね」

「そうそれ、それが言いたかったんです!…このまま幻想郷の皆さんが何も気づかず、私達がこのまま閉じ込められたりしてあだっ!」

霊夢が早苗の頭部にチョップを喰らわせる。

「そんな事考えるからいけないの。さっさと出る方法を考えて、出れば良いのよこんな所」

その時、早苗は察した。

多分霊夢も少しは怖いのだ、と。

ただ元々いた場所が幻想郷、亡霊やら何やらが普通にいる世界。

そういう類に慣れている筈なのに、怖がるのは恥ずかしいと思っているのだろうと。

だからこんなに前向きに言っているんだと心の中で思った。

(素直じゃ無いなぁ…でもこの世界、幻想郷よりも遥かに危ない何かがある…守矢の巫女、そう感じます)

早苗は自分が持っているお祓い棒をキュッと握りしめ、霊夢に声をかける。

「霊夢さんの言う通りですね!少し後ろ向きになりかかってました!

この東風谷早苗、一生霊夢さんについていくと共に、博麗神社を真・守矢神社とし、信仰をより」

「はいはい、さっさと行くわよ。…まずはあの壁に書いてある字を…」

霊夢は早苗をスルーして一室の奥へと進んでいった。

「あーん、待ってくださいよ霊夢さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母さン…いっパイ友達、ツれてきタよ…アハ、アハハハハハ…ギャハハハははハはハハははハハはハはハははは!!!アー楽シい!

もっとモーッと友達、『あっチ』かラ連れて来ルね…!そしタらモう…寂しクないヨね?」

 

 

 

 

 

現在の幻想少女…4

 

死亡した幻想少女…0

 

 




最後までお読み頂きありがとうございます!ハゲ男です。
という事でどうでしょうか、第2話。
多分グダグタしてると思いますけど、どうかお付き合いください。
霊夢達の力はこの学校のかなり強い呪いの為に、使えなくなりました。何という超ご都合的展開…自分でも反吐が出そうです。
霊夢はプライド高そうですよね。その反面色々我慢してる事多そう。
まぁでも喜怒哀楽が激しいって前に見た事があるし、溜め込まないのかもしれませんが。
それと…この作品は「死」が常に隣り合わせです。
まだまだ何人かこの世界に転送するつもりですが、もう既に誰をあぁするか、とかこうするか、とかは決めています。
なので自分の推しキャラが死んでしまってもご了承ください…
犠牲が必要なんや…
あ、一応言っておきますが、作者のキャラの好みであんな事したりはしません。
好きなキャラもあんな事になりますし、そうでないキャラもそうなったりならなかったり。
まぁドキドキしながら読んで頂けると幸いです。
また長くなってしまいました…
ゴールデンウィークなので、もう1話出したい所。
それでは、また!


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第3話「先生」

今回長めだよ!
この調子でどんどん書き進めて行きてぇ…!
でもどう頑張ってもあまり話が進まない…


四人が天神小入りして少し経った頃…

 

ここは人里から少し離れた寺小屋沿いの空き地。

「チルノちゃん、皆。ちょっと良いかな?」

幼い見た目の翼の生えたサイドテールの少女が、他の少女達に呼びかける。

「ん?大ちゃんどうしたの?」

チルノ…そう呼ばれた少女もまた氷翼を生やし、緑色のリボンをぴょこんと揺らしながら声がした方を振り向く。

「最近流行りのこれ、やってみない?『幸せのサチコさん』!この御呪いをすると、皆いつまでも一緒にいられるんだって!」

そういって紙人形を差し出す。

大ちゃんこと大妖精は、御呪いの類の物が大好きで、新しい情報や御呪いを見つけてはそれを皆でやったりしている。

「おー!あの人里でぶーむになってるやつか!やろやろ!」

「御呪いより人をいつまでも食べていたいよー」

「私もやるー!」

「じゃあ私も!」

他の面子…ルーミア、ミスティア、リグルもいつもの様にそれに乗っかり、大妖精の元へ近づいていった。

…ルーミアの言った事はここではスルーしておこう。

「やり方は皆分かるかな?」

「ぶんぶんの新聞に載ってたからばっちし分かるよ!さっちゃん10人分でしょ?」

「チルノの事だからそんな事だろうとは思ったよ」

リグルの素早いツッコミ。これもこのメンバーなら最早定番である。

「あはは…とりあえずやり方を説明するね…」

妖精説明中…

「成る程ー…紙人形をちぎるのはなんか可哀想な気がするのだ」

「いつも人を食べようとかどうのこうの言ってるルーミアちゃんが言う事かなぁ!?」

「むっ、ミスティアその言い方は無いな…もっと良い言い方があるのだ」

「どう言えと…まぁ良いや、かまってても疲れるだけだし…」

溜息をつくミスティア。

「じゃあ、早速やってみよう!まずは…」

皆が紙人形を掴み始めた時だった。

チルノがちらっと余所見をすると、ある人物が目に入った。

「…お?あっ!けーねっっ!ついでにけーねも入れよう!」

けーねと呼ばれた女性は、チルノのその声に気づき、こちらに近づく。

「…む?チルノ達じゃないか。ここで何をしてるんだ?今日は授業は無いはずだが」

上白沢慧音。

歴史を食べ、それと共に歴史を創る賢い獣人である。

本人はその賢さを生かし、寺小屋で教師として子供やチルノ達に授業を教えている。

「慧音先生もやりませんか?『幸せのサチコさん』。これをやると皆いつまでも一緒に居られるんです!」

大妖精も慧音を誘う。

(…幸せのサチコさん?確かこれは……そうだ、これは危険な…やめさせなければ!)

慧音はこの御呪いについて、ある程度の情報は知っていた。

この御呪いをする時、紙人形に妙に妖気が宿ってしまう事。

御呪いをした後から精神が狂ったり、行方不明になる者がいた事。

後者に至っては最近の話だが、皆はすぐ忘れ、話題にすらならなかった。

だから多分この妖精達は何も知らずに、この御呪いをしようとしている。

幻想郷の大事な存在として…そして、教師として。

「悪いがお前達。それはしてはいけない御呪いなんだ。話にこそあがっていないが色々と危ない例が出ている。だからやめて…」

慧音は幸せのサチコさんを阻止しようとした。

が…

「え、そうなんですか…?ごめんなさい、私そんな悪い事なんて…」

「そんなわけ無いよ!こんな紙切れにそんな危ない事出来るわけ無い!もしなんかあってもあたいが倒してあげるから大丈夫だって!」

大妖精はやめようとしたが、チルノが意味の分からない主張をし始め、胸を張る。

「馬鹿者!それでは済まないのだ!行方不明者まで出ているのだぞ!?大妖精、その紙人形を渡しなさい。もう妖気がついていて危ない」

「は、はい…」

慧音は大妖精から紙人形を受け取ろうとするが…

「あっ!駄目けーね!自分ばっかりいい思いしようとして!大ちゃん貸して!あたいが引っ張る!皆も手伝って!」

「え、えぇ!?とにかく良く分からないけど、引っ張れ!」

「おー!」

「これ嫌な気がする…」

「ああぁ…」

その他の馬鹿3人はチルノに従い引っ張る。大妖精は慌てふためいているだけだ…

「お前達、分かってくれ!本当に駄目なんだ!これをしてはお前達の身が…」

「いーやーだーっ!」

お互いに渡すものかと引っ張り合う。

「そ、そんな事したら…!」

大妖精がそう言った次の瞬間。

ビリビリビリッ!

「あっ!」

「痛っ!」

「あいたたー」

「いてっ!」

三人は尻餅をつき、慧音は破れた紙人形のかけらをみてわなわなと震えている。

その顔は怒りでも悲しみでも無く。

これから起こりかねない事に恐怖している、そんな顔だった。

そんな慧音の様子を見て、今更それを感じ取った三人は…

「これ、本当にマズイやつなんじゃ…」

「けーねがこんな顔をするのは珍しい…まさか本当なのか?」

「嫌な予感的中した…」

動揺の色を隠せなかった。

この少女を除いて。

「やった!これで皆一緒にいられるね!けーねもちぎったから一緒にいられるよ!独り占めしようとしてたけどこれで皆こーへーってやつでしょ!」

そう言ってニカッと笑った。

慧音はその笑顔を見ても、心に芽生えた恐怖は消えない。

「チルノ…違う、違うんだ…お前はまだ理解できていないんだ…これが…」

と、その時。

ゴゴゴゴゴ…

「じ、地震!?」

「おー!ナマズ!」

「とりあえず飛んで回避しなきゃ…!」

大きな地響きと揺れに突如見舞われ、皆体勢を崩してしまう。

「…!?なんだ、この圧は…!?ぐっ、体が重い…これがこの呪いの力…っ」

「と、飛べない!?体が重くて飛ぶ事が出来ない…!」

「おー…こ、れ、は…かなり重いぞー…」

謎の重力により、チルノ達は空へと逃げる事が出来ない。

しかし、一番驚いているのは…

「み、皆…どうしたの?」

1人平然としている大妖精だった。

「だ、大ちゃん何とも無いの…?」

「う、うん…何が起きてるの?」

皆がこの重力に耐えている時、大妖精は何食わぬ顔で佇んでいる。

「何故だ…!?何故私達だけが…と、とにかく大妖精!すまないが助けを呼んで…」

ズガガガッ!!

「「「!?」」」

突如大きな地割れが発生し、その場にいた全員が驚愕する。

ズガガガ…!

地割れは拡大していく。そして…

ズガァンッ!

「うわぁぁぁ!!」

「ち、チルノちゃん!?嘘…!」

チルノは割れた地と地の間に吸い込まれていった。

「大妖精…!頼む…!こいつらは私が絶対に救う!だから…」

慧音は未だ拡大していく地割れに落ちてしまう事を察したのか、

唯一被害の無い大妖精に向け、大きく息を吸い。

「この事を…博麗の巫女か、大妖怪八雲紫に伝えてくれっ…お前にしか出来ない仕事だ…頼んだぞ!」

そう言い放った途端。

ズガァンッ!

「きゃあぁぁぁ!?」

「おーー!?闇だーー!」

「嫌だぁぁぁぁ!!」

「…くぅっ!…任せたぞ、大妖精…」

慧音は闇に向かう中そう呟き、静かに目を閉じていった。

 

 

 

「あぁぁぁ…いや…嫌ぁぁぁ!!」

大妖精はその場で泣き崩れる。

皆を巻き込み、闇へと吸い込んだ地割れは未だに開いたままだ。

このままみんなと一緒に行ければどれだけ良かった事か。

「…違う。元は私がいけないんだ…こんな事になるなんて思ってなかった!私がもっとちゃんと御呪いについて分かっていれば…!私の…私のせいだ…!」

自分を責める大妖精。しかしそんな事をしても友達や先生は帰ってこない。

「うえぇ…ぐすっ…!私のせい……え?」

一瞬顔を上げた大妖精は、自分の体を見て驚く。

「何…この黒いの…」

黒い渦のようなものが、自身の体を包み込んでいたのだ。

しかし、不思議と嫌では無かった。

謎の安心感、もう何もかもがどうでも良くなる倦怠感に見舞われて、何だか心地が良かった。

「チルノちゃん達はもう何処かへ行ってしまったかもしれない…先生も行方不明者が出たって言ってたのはきっとこの事だったんだろうなぁ…良いなぁ皆一緒に死ねて…私も…私ももうすぐでそっちに行くから…待っててチルノちゃん…」

その途端、勝手に足が割れた地面へ向かって動き出す。

体はほぼ完全に黒色の渦に呑まれてしまっている。

目も虚ろになり、口はニヤリと不気味な笑みを浮かべている。

恐らく誰も、こんな大妖精を見た事が無いだろう。

「もう…言ってもしょうがないや…自分のせいで皆を殺しちゃったんだもん…言ったって…言ったって…」

足は止まる事なく割れ目へと向かう。

(皆…ごめんね。先生…ごめんなさい)

涙を流して不気味に笑いながら、一歩、また一歩と進んで行く。

『お前にしか出来ない仕事だ…頼んだぞ!』

その時、慧音が自分に託した言葉を思い出した。

(でも、先生…私…私は)

首を横に振り、諦めをつけたかのように歩みを進める。

『頼んだぞ!』

それでも浮かぶ、教師の言葉。

「ごめんなさい、ごめんなさい先生…私は先生達を殺して…」

『こいつらは私が絶対に救う!だから…』

「先生…!先生…!」

『頼んだぞ!』

死んだ人を救う。

そんな事出来るわけが無い。第一救う人自身も死んでいる筈なのに。

それでも…

「先生…!皆…!本当に、生きて帰って来れるの…?私が伝えれば皆は無事なの…?分からない。分からないけど…」

『お前にしか出来ない仕事だ!』

「先生に仕事を任されたのに死のうとしてる自分が馬鹿だったって事は…一番分かった気がする」

彼女は一度目を閉じて、心を落ち着かせる。

瞳についた涙の粒を、指で拭う。

「私…皆を助ける為に伝えなきゃ。皆が生きてるかどうかは知らないけど…そのままにするのはもっとダメだ…」

ついに決心がつき、割れ目に向かっていた踵を返した。

…筈だった。

「…え?嘘…足、止まらない…」

自分の意思とは裏腹に、足は未だに割れ目に向かって歩いている。

良く見ると黒いオーラも消えていない。

「いや…このままじゃ私も…やだっ!止まれ!止まれ!止まれってば!…きゃっ!?」

ドサッ!

突然躓き、体勢を前に崩す大妖精。

「いたた……ひいっ!?」

その時、彼女は心から怯えた。

自分が向かおうとしていた先…割れ目のちょうど真ん中に、赤いワンピースの女の子が浮いていたのだから。

それも、凄い形相でこちらを睨んで。

「こッちにクれバ良かっタのに…ケッ、お前ニあいツラの命が救エるかナ?あは、あははは…キャハはははハハ!!お前モ必ズ連れて行ク…『お母さんの場所』ニ…!」

「嫌ぁぁぁ!!誰か助けてぇええ!!」

大声で助けを乞う大妖精。

そのまま動き出そうとするが…

「う、動けない…!金縛り…!?」

「クスクス…さァ、お迎エに来マしたヨ…」

その場に固定され動けない大妖精を捕らえようと、近づいてくる女の子。

(いや、いや…!先生と約束したんだ!早く伝えないと…!)

そう思うも虚しく、体は言う事を聞かない。

「キャハはは…死んジゃえ」

やがて目の前まで来ていた女の子が、大妖精の腕を掴もうとする。

終わった。そう思い目を瞑った時だった。

「…あら?そこで何をしてるの?」

「っ!邪魔ガ入っタか…」

女の子は大妖精から離れる。

「ちょっと、大丈夫…?」

「はぁっ…はぁっ…かひゅ…かっ…はぁっ…」

金縛りから解放された大妖精は、あまりの怖さに過呼吸になってしまった。

「何があったのか分からないけど…大丈夫。大丈夫です。安心なさい」

通りかかった女性が大妖精を抱きしめ、落ち着かせる。

「はぁっ…すぅ…はぁ…ゆ、ゆ…」

「私はどこにも行かないから。落ち着いて話を聞かせなさい」

「紫さん…どう、して…ここに…」

まだ少し整え切れていない息で、大妖精が尋ねた女性は。

「ここ辺りから大きな力を感じてね…調査しに来てみたけど、どうやら正解だったみたいね」

妖怪賢者、そして幻想郷の創生者の1人でもある、八雲紫本人であった。

 

 

そしてここは…

「うーん、むにゃむにゃ…はっ!ここはどこだ!あたいは…あたいか!そうだよね!」

「真っ暗で個人的には好みだなぁ」

忘れられた郷よりも忘れられた悲劇の小学校。

 

「あいてて…何ですかいきなり…上から落ちてきて…」

「…お前は新聞の…何故ここにいるのだ」

この悲しい悲しい学校は。

 

「誰もいないぜ…霊夢や早苗もいないし…ってうわぁっ!」

プツンッ

罪も無い人々を蓄え、糧として。

また新たに進化しようとしていた…。

 

 

 

「かーごーめ かーごーめ…

かーごのなーかの…

キャハ、キャはハはハははは…!早ク死んデね、皆」

 

 

 

 

 

 

現在の幻想少女…9人

 

死亡した幻想少女…0人

 




今回も割と長い割には話が全然進まない…!
駄目だ、僕には全然文章構成力が足りていない…!
何はともあれ、読んでいただきありがとうございます!ハゲ男です。
さて、メンバー増やしました。まぁこの人達は絶対に入れようと思ってたので。だってやりそうでしょ?この人達なら。
とかいう偏見は置いときましょう。
ゴールデンウィーク中に出す予定でしたが、無理でした!
無理無理。僕じゃ無理です。
さて、大妖精は紫と会う事が出来ましたが、果たしてどうするのか。
天神小にいる9人の幻想少女達は、ちゃんと生きて帰れるでしょうか。
まぁまだもう少しメンバーは増やすかもしれません。
でも増やし過ぎたらグダグダになりますね…考えとこ。
若干長くなりましたが、ここで僕は寝ます。
東方憑依華楽しすぎるね!
それでは、また!


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第4話「絶望へのカウントダウン」

タイトルが一番難しいと思います!!
話が浮かんでこねぇ…


「…っくぅ…転んじまった。全く、ここはどこなんだ?」

霧雨魔理沙は迷っていた。

この訳の分からない謎の異空間で。

殆ど何も見えないこの暗い世界に、心底うんざりしていた。

「ふぅ…とりあえず歩き回って疲れたし、ちょっとここらで休憩…痛っ」

そう言って立ち上がろうとした時、後頭部に少し痛みを感じる。

「な、なんだ…?って、うわっ!よく見たらワイヤートラップ的なのが設置されてるじゃないか!私はこれに気付かず転んでたのか…もし後少しズレてたらあの時のろくろ首みたいになる所だったのか…おぅぅ…寒気がする…とりあえず離れるか」

魔理沙は少しずつ慣れてきた視界を頼りに、ゆっくりとワイヤーを避ける。

少しでも当たれば切れてしまうほど、このワイヤーは鋭いものだと魔理沙は気づいていた。

「…あぶねー…どうやらさっきぶつかった時の後頭部は切れてないみたいだが…げっ、帽子の先端切れてる…こわ」

この異空間では何が起こるか分からない。

このワイヤーのように命を刈り取るようなトラップもあるため、全く安心できない。

「うーん、どうしたものか。私はこういう雰囲気は好きなんだが、殺しに来てると考えるとちょっとなぁ…。それに」

その言葉に続くように、魔理沙はいつものミニ八卦炉を取り出し、『あの技』のモーションへと移る。

「恋符…『マスタースパーク』!」

大声でスペルを唱える魔理沙。

しかし極太の高火力レーザービームが出る事は無く、活気な少女の叫び声がこの空間に反響するだけだった。

「…何故かスペルや能力も使えんし。本当にここはどこなんだ…?霊夢達は大丈夫だろうか」

仲間の身を案じる魔理沙。

彼女は素直でない時が多いが、割と仲間想いなのだ。

「む、何か急に凄いイラッとしたんだが…まぁそんな事より、さっさとここを出る方法を考えないとな」

魔理沙はどっかりと胡座をかき、腕を組んで考える。

そして、ポケットから一枚の紙切れを出す。あの時契った紙人形の欠片だ。

「うーん…これは私なりの勝手な予想だけど…この紙、持っといた方が良い気がするんだよなぁ。こういう時あいつの勘はよく当たるから、後で合流した時にでも話してみるか」

すぐに紙切れをしまい、よっこらせと立ち上がる。

「さぁ、楽しい探索にでも行きますかね」

この雰囲気を全く怖がる様子もなく、どんどん先へと向かう魔理沙。

ただこの少女の性格がのちに災いをもたらす事は、誰も知る由も無いだろう…

 

 

 

舞台変わって、とある一室の部屋…

「霊夢さん、黒板になんて書いてるか分かります?目が悪いので私は分かりませんよ!全然!」

「見栄張って言う事じゃないから。えーと…とりあえず分かるのは、

3人の人間が誰かを囲んでいる絵と、その隣には『ユ』と『シ』が辛うじて見えるぐらい…他の字は掠れてまったく見えないわねー…」

二人は黒板に書いてあるものを解読していた。

しかし、かなり古いものなのか、チョークで描かれた絵や、書いてある文字はところどころ掠れている。

霊夢が言ったように、文字に至っては二つしかちゃんと見えなくなっている。

「特に手がかりらしい手がかりじゃないわね。先を急ぎま…って何してんの」

「ふぇ?いや、壁に新聞みたいなのが貼ってあったんで、取ってみようかと。…キェェェイ!」

ビリっ!

変な掛け声を発しながら、綺麗に剥ぎ取る早苗。

「はい霊夢さん。これ結構色あせてますけど普通に読めそうですよ」

「ん。どれどれ…『当学校 廃校のお知らせ』…廃校ってなに?」

「ありゃ」

早苗は軽くずっこける。

それもそのはず、霊夢や魔理沙などは幻想郷の住人。隔てられている外の世界の事など知るわけが無いのだ。寺小屋は知っていても学校は知らない。

しかし早苗や守矢神社の神様二人等の一部の者達は、外の世界を知っていたり、外からやってきたりしている。

なので早苗は外の学校というものをちゃんと知っているのだ。

「そういや知りませんね、霊夢さん…。まず学校っていう、寺小屋が進化したみたいな施設がありまして。そこの学校をなんらかの事情で閉めてしまう事を廃校って言うんです。まぁ人数が少なくなったりとかそういう事が無いとめったに廃校は無いんですけどね」

「へぇ…とりあえず閉めたのね。分かったわ」

「随分ざっくりと簡略化されました…まぁ伝われば良いのですが」

霊夢と早苗はそのまま読み進んでいく。

「『かつて起こった悲惨な殺人事件や〜〜〜が起こった事を踏まえて、当学校を閉鎖し、取り壊す事に決定致しました。誠に遺憾ではありますが、無惨に殺され〜〜〜〜〜〜の3人の子供達と〜〜』…何よこれ、全然読めないじゃない。何か大事な所だけかき消されてない?…あ、でも多分殺された子の顔写真が…可哀想に、まだ小さかったのに…」

「ここで一体、何が起きたんでしょう…?とても悲惨な事件だったのは文面を見れば分かりますが……ん?ちょっと待ってください霊夢さん、新聞貸してください」

「あ?あー、はい」

何かに気づいた早苗が、新聞を霊夢から受け取る。

「…やっぱりこれ、おかしいですよ」

「え?何が?急におかしいって言われてもあんたの頭ぐらいしかどこがおかしいのか分からないんだけど」

「そんなギャグに走ってる場合じゃなくて!…いやギャグですよね?何ですかその顔!」

変な目で見てくる霊夢に怒りながら、早苗は説明する。

「良いですか?私達が今いるところは間違いなくこの学校なんですよ。学校新聞を貼ってあるぐらいですし、それが分かるのは簡単です。ですが、一番おかしいのはここです!」

そう言って、早苗は文章の『ある部分』に指を指す。

「霊夢さん、もう一回読んでみてください」

「え?『当学校を閉鎖し、取り壊す事に』…何もおかしな事ないじゃない。使わなくなったから閉鎖して取り壊…っ!?」

霊夢はこれまで以上にない寒気に囚われた気がした。

「気づきましたか?取り壊された…つまりこの学校はもう存在しないはずです。外の世界にいた時もこの話は聞きませんでしたし、キャンセルされたという事も無いはず。それでも私達はこの天神小とやらにいる…」

「つまり、殺されて怨霊になった子供達が、異空間にこの学校を幻想として形成したってこと?」

「さぁ、そこら辺は良く分かりませんね。でも、ここの学校は長くいちゃマズイと思うのです。能力も使えない今、私達はただのか弱い女の子…多分ここの怨霊とかに取り憑かれたら詰みですよ詰み!」

早苗がぐいっと霊夢に押し寄る。

「そ、そうね…分かったから…近い!」

「はっ!つい必死になりました…」

早苗は我に帰り、霊夢から離れる。

「で、でも…仮にこの学校自体が最初っから幻想って事は無いの?」

確かに、早苗が外の世界にいた頃にも話を聞かなかったとなると、本当に実在したのかどうかさえ怪しくなる。

すると…

「いや…間違いなくココはカツテ存在シタ場所だ…」

「あれ?早苗いつの間に男になったの?」

「今のは私じゃ無いですよ!…って事は」

2人は喉をゴクンと鳴らし、ゆっくりと後ろを振り向く。

そこには…

「君タチが次の犠牲者カ…」

青い炎が弱々しく、宙で燃えていた。

その下には、ぐったりと倒れている人の身体が。

「これは…人魂って事で良いのかしら…」

「え、ええ…良いでしょうね」

若干怯えながら2人は人魂の方へと体を向ける。

「君タチはまだ若いトいうノニ…可哀想に」

人魂は哀れみを込めた様な弱々しい男の声を出す。

「ねぇ…ここで何があったの?」

「ワタシは詳シいことは分カラナイ…ただここハ危険だ。私の様にここカラ出る事が出来ズ死ンダ者は何人もイル。モシ脱出しヨウと考えてイルのなラ諦めた方が良いダろう。…そこノ緑髪の君。試シに窓ヲ開ケてゴらん」

「え?分かりました…」

早苗はそこから少し離れた場所にある窓へと近づく。

外は真っ暗で何も見えず、ただただ大雨がザァザァと降り続く音が聞こえるだけだった。

「ここを開けて出れても何か無理な気がしますが…ふっ!くぅ!…嘘、ビクともしない…」

「は?そんなはず無いでしょ…ちょっと変わって」

霊夢も窓へと近づき、縁に手をかける。

「…ん〜〜っ!ぐっ…!…待って、何これ…まるで空間に固定されてる様な…」

その後も2人がかりで引っ張ったり、蹴ったりなど色々な事を試したが、一向に外に出れる気配は無く…

「はぁ…はぁ…何で…?これじゃ私達、本当に出れないの?」

「はぁ…ふぅ…どうしましょう…」

「どうスル事も出来ナイ。可哀想ダガココでユックリと飢え死ヌノを待ツしカ無いノダ…」

「…うるっさいわね!そんなの分かんないでしょ!何もかもやってみなくちゃ分からないの!あんたが死んだのは気の毒だとは思う!けど私達はここで死ぬ訳にはいかないの!良い!?」

霊夢は人魂に激怒し、声を荒げた。

「…!…スマなカッた…確カにやっテみなケレば分カラナイ事もアル…私はココで野垂れ死ぬノを待っテイタだけだったガ…君達ナラココヲ出る事…そレも可能なノカも知レないナ…」

人魂は謝罪の弁を述べ、言葉を続ける。

「私が…知ッてイル全テを教エヨう…ココから出ル為のヒンとになるかは分からなイが…」

「…頼むわ」

「お願いします!」

果たして彼女達は、人魂から何を聞き出せるのか?

少しずつ進んでいく物語は、ここから更なる悲劇を呼ぶ事になる。

 

 

 

「…『呼ぶ事になる。』っと。はー良いですね!ここにいると記事のネタが湧き放題ですよ!」

「お前は何がしたいんだ…?まぁ良い、先へと向かおう。…射命丸文」

「何でフルネームなんですか。慧音さんも遅れないでくださいよ」

「む…遅れるわけないだろう。それより早くチルノ達を探さなければ…」

「えー、あのへっぽこ妖精達も来てるんですか〜?何か一緒にいると足手まといになりそうですけど」

「へっぽこだろうが何だろうが大事な生徒なのだ!…天狗はすぐ舐めた態度をとる…」

「なにおう!ここで1発やりますか!?天狗の本気を見せてやりますよ!」

「遠慮しておく。それより先を急ぐぞ!」

「…分かってますよ。特ダネゲットの為行きますよ!」

「お前と言う奴は……無事でいろよ、お前達…」

…………




今日もあんまり話進まなかったようわーん!!
でもご安心ください!(QVC福島)次の話で大きく話を進める予定でいますので。
とか言っても大体グダグダになると思うんですが…
こんにちは、ハゲ男です。
最近寝不足で眠いです助けてぇ!
さぁ、本編についてのお話を。

一応僕はコーパスパーティはクリア済み、wrongエンドも全制覇しています(どうでもいい)。
しかし学校の新聞や人魂の口調など、一部若干違ったりする事があります。
これは意図的であってミスってたらじゃ無いですよ!多分。
後人数表示は増えたり減ったりした時のみ出す事にしました。
邪魔に感じてしまったので…(汗。
現時点で何人いるかは3話を見れば多分分かると思うので、よろしくお願いします。
少し長くなりましたが、ここで終わりたいと思います。寝る!!
それでは!


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第5話「繋がり」

5話です!あと1〜2話でchapter1は終了する予定でいます!
chapter1全然進まなくてごめんね!!
今回はグダグダで長いからちょくちょく飛ばして見るのをお勧めするよ!


「ココは君達ノ言うよウニ…かツて存在シテいた天神小学校…シカしあマリにも悲惨ナ事件だった故…かナリ昔二もみ消サレたらシイ…」

霊夢と早苗は、かつてここで命を落としたという亡霊から話を聞いていた。

「じゃあ私が聞かなかったのも無理はない…やはり存在していたとは」

「…」

霊夢は黙って話を聞く。

「…私がまだ生キテいタ頃、仲の良カっタ友達が引っ越す事にナッテな…その友達は御呪いや占イと言ッタモノが好キだっタんだ…」

人魂はゆっくりと、何かに耐える様に静かに話を続ける。

「そこで私ハ、イツマでも縁がキレル事無く繋ガッテいらレルよウナ御呪いを調ベた…すルト、とアル掲示板に縁結びの御呪イと書かれテイル物を見ツケタ…。私ハすぐに方法ヲ調ベタ…。君達もこの御呪イの事は知ッてイル、とイウよリ…『した事がある』ダロう?」

「っ!」

「幸せの…サチコさん…?」

二人はその言葉に驚きながらも、自分らのやった御呪いの名前を答えた。

「ソウ…あの御呪いハ『幸せ』ナンカ呼ばナイ…『死逢わせ』を呼ブ呪いの儀式だっタのだ…。この御呪イヲした引っ越ス予定ノ友達、その他の仲が良かッタ友達も…、ミンナ、こノ学校に連レテ来らレ…バラバラにナッテしまった…。そノバラバラの意味も、一つデハ無い事ヲ教エテおこう…」

「よ、余計な事…!」

「気持ち悪くなってきた…」

「…すまナイ、少シ刺激ガ強カッタかもしれナイが、この世界デハ本当ニ起こりカネナイ事なノだ…。…しかし」

人魂は急に黙り込む。

「…え、何?」

「ど、どうしたんですか?」

二人は人魂から視線を感じた。恐らく見られているのだろう。

「ふむ…君達二人ハ、仲が良いカイ?」

「え?仲が良いか悪いかって言ったら…」

「私は良い方だと思ってますよ!ね、霊夢さん!」

早苗は霊夢の腕に抱きつく。

「…まぁ」

霊夢も割と満更では無いようで、少し照れて頰を掻く。

「ハハハ…その友情を大事ニシテくれ…君達は二人でイレタだケラッキーだ…」

「ど、どういう事…?」

「この学校には…『多重閉鎖空間』とイウ空間ガ存在シテいる…。同じ所ニイても、空間ガ違エバ他の人ト会ウ事が出来ナイ…。

君ラの空間二は、君達以外にもう生キテイる者はイナいミタイダ…」

「そ、そんな…魔理沙や文だっているのよ…!?あいつらは何処なの!?」

「…安心シテくれ、とは言エナイかもシれナイが…君達以外ニもこの学校ニ送り込マレタ者が7名程イる…。恐ラク君達の友達もいるダロう…。シカシ、会う事は出来ナイ…。…スマない、これグライしか私ニハ教える事が出来ナイ…」

人魂はそう言ったっきり黙りこくってしまった。

「他の空間…ですか。霊夢さんは信じますか?私はにわかには信じ難いですが、この状況では信じるしかなさそうです」

「そりゃもちろん信じたくないけど…このずっと前からいた人がそう言ってるんだから、そうだと思う…ねぇあんた、嘘ついてないわよね?」

霊夢は一応確認の為、人魂に真偽を問う。

「アァ…私ハ嘘をツイテいない…。モウここで死ンデいく人達を見ルに耐えなイノだ…。…頼ム。私達の代わリにココから脱出シてくれ。君達にコんな危険な場所デ死ンデ欲しクハ無い…」

静かに、ただ静かに。

人魂は切実な願いを、霊夢達に訴えた。

「…当たり前でしょ。こんな所、絶対に出てやるわ!あんた達の遺志を継いで!この危険な異変を終わらせる!」

霊夢も胸を張り、威勢良く、人魂の訴えに答えてみせた。

「…フフ…ありがトウ。友達ハ大切に、な…」

優しい声でそう言い終えると、ゆっくりと人魂は消えていった。

「夢…みたいでしたね。いや幻想郷にいた私達が言うのも何ですけど」

「この場所は幻想郷よりもイレギュラーよ。明らかに。この人達の為にも、絶対出るわよこんな所!」

「…はい!」

二人で決意を固めた、その時だった。

ピシャン!

「っ!?」

「な、何よ!?」

扉が閉まる音が響き渡る。

しかし、それだけでは済まなかった。

 

『ケケケケ…余計な事ヲ教エてくレたネ?…ユルサナイ』

突如聞こえたのは、威圧的で低めの女性の声。

「ヒッ!」

先程消えた筈の人魂がまた現れ、その声に怯えているのが分かった。

「何、この声…!?聞いただけで寒気が…」

「ひっ!?れ、霊夢さんあそこ…!」

早苗が指差した方向を見る。

「…っ!?あの子がこの寒気を!?」

するとそこには、真紅に染まるワンピースを身に纏い、ボロボロのぬいぐるみを持った女の子がポツリと佇んでいた…

『ククク…ケケケケ…貴女達可愛イ…お人形サンミタい…』

その言葉を聞くだけで、冷汗と寒気が止まらない二人。

「不気味にも程がある…!幻想郷の連中よりヤバいわよこれ…!」

「ど、どうしましょう…!?」

「君達ッ!絶対ニココから出ルんだ!他の霊達が何ヲ言うかは分からないが…私ハ…私は!君達に思いを託す!今から扉を開ける!すぐに出るんだ!」

絶望的な状況下、人魂がこれまでに無い大きさの声でこちらにそう呼びかける。

二人は黙ってコクンと頷く。

そして…

ガララッ!

「今だっ!」

人魂の掛け声と共に二人は出口に向かって走り、外に飛び出した!

「ぐっ!」

「うっ!…はぁっ…はぁっ…なんなのよ…あいつっ!」

勢い余って壁にぶつかった霊夢と早苗は、そのままへたれこむ。

開いた扉はゆっくりと一人でに閉まっていく。

…その刹那。

『絶対にユルサナイ…殺シテヤル…』

女の子が強烈に睨みつけていたのを、二人は怯えながら見ていた…

恐怖的な寒気を覚えさせるには充分すぎる程の殺意を込めたその瞳は、扉により隔たれ、見えなくなった。

「いやだ…もう帰りたいよぉ…神奈子様…諏訪子様…どうかご加護をください…」

早苗はガクガクと震えて嗚咽を漏らし、立ち上がる事さえままならない状況になっていた。

「早苗…大丈夫よ、絶対に戻れるから。出るって約束したでしょ?」

霊夢は早苗の背中をゆっくりとさすり、落ち着かせようと宥める。

「ごめんなさい霊夢さん…私がこんな御呪いを持ってきたばかりに…」

「今はそんな事良いの…とりあえず出る事を考えましょう?ほら、立てる?」

霊夢が優しく手を差し伸べる。

「は、はい…ありがとうございます…」

手を取り、ゆっくりと立ち上がる早苗。

人は悪い事が立て続けに起こると、気持ちも後ろ向きになってしまう。

早苗もその極限状態となってしまい、前向きに物事を考える事が出来なくなってしまっている。

それを危惧した霊夢は、場を明るくしたいと考えるも…。

(こんな状況で冗談言えないわよね…。でも私がちゃんとカバーしないと、早苗は危ないわ…。よし)

決意を固めた霊夢は、立ち上がらせる為に取った早苗の手をギュッと握る。

「…え?ど、どうしたんですか霊夢さん…?」

突然の事に戸惑いを隠せない早苗。

「こうすれば、一人じゃ無いって実感できるでしょ。ちゃんと私もいるから、まだあの神様達の加護を受けるのは早いわよ」

少し照れ気味にそう答える霊夢に、早苗はポカンとしていたが…

「…ふふっ」

「な、何が面白いのよ!?」

「すみません…なんか神奈子様達の加護を受けるのは早いって言うのが、面白くて…」

早苗は指で涙を拭い、少し微笑んだ。

いつの間にか体の震えも止まっていた。

「そ、そんなんが面白いの…?あんた変なツボ持ってんのね」

「よく言われます…変人だって。別に自覚してる節は少しはあるので無視してますけどね」

「少しだけ?全部だと思うんだけど」

「それは酷いですよぉー。私だってちゃんとしてる部分があるにはあるんですからね!」

「あるにはあるって…」

二人の雰囲気は明るくなり、先程のような暗さは消えていった。

霊夢の作戦は、何とか成功したようだ。

「行きましょ。私達は止まる暇なんて無いのよ。あの人がくれたチャンスを無駄にしないで、ここから出る方法を考えないと!」

「はいっ!」

 

(そうだ、私達は前へと進み続けるんだ…。こんな所早く出て、神奈子様や諏訪子様に会いたい…!心配してるよね…もうかなり時間は経ったと思うし…早く帰らな)

ぶちゅっ。

「…えっ?」

「…?どうしたのさな…え…」

早苗は足裏に、弾力のある柔らかい感触が伝わったのを不思議に思い、足元を見た。

霊夢も、つられて下を見る。

ブブブブ…ブブブ……

多数の蝿が飛び回る音が聞こえる。

それと共に強烈な悪臭が鼻にこびりつく。

それはそう、例えば。

「う、嘘…うそでしょ…っ!?し、ししし…した…」

「いやあぁぁぁぁぁっ!!!」

臓器の臭い、血の臭い。

二人の前に広がっていたのは。

「さ、早苗が踏んだのって…!」

「いやぁ!言わないでください!…っ!おえぇっ…ケホッ…!」

ぐちゃぐちゃになって原型を留めていない、『元』死体の肉片であった。

早苗が踏んだのは、その臓器である。

「一旦離れましょう!行くわよ早苗!」

「はっ…はっ…ケホッ…は、はいっ…!」

二人は急いで元来た場所を戻る。

 

 

「ここまで来れば大丈夫…だと思うけど…。早苗、まだ吐きそう?」

「はっ…はっ…いえ、大丈夫ですっ…はっ…」

早苗はショックのあまり、過呼吸を起こしている。

少しだけ見える顔は、青ざめている様にも感じた。

(あの臭さは腐って出来た物じゃないわ…。多分恐らくあれは死んでからまだ時間が経っていない…という事は…?…駄目、ダメよ!そんな事考えたら…あいつらの『死体』なんて考えちゃ…。今はこの子を…)

霊夢は最悪の事態を考えてしまう自分を一蹴し、早苗を見やる。

…が。

「…っ。ごめんなさ…い…意識が…」

早苗はゆっくりと目を閉じて、後ろの壁にもたれかかってしまった。

「早苗っ!!…気を失う程の体験…だったわよね流石に…はぁ…」

霊夢もそれに続き、壁にもたれる。

そのまま早苗を支え、床へと座り込んだ。

「私…おかしいのかしら。この子がこんな思いをしてるのに…私は泣けないし、怖いけど助けを求める程じゃなかった…。でも早苗がいないと今の私は…多分危ない事になるかもしれないわね…。今のこの子みたいに……あれ、なんか、目が…」

霊夢も緊張の糸が切れたのか、目を閉じて眠りについてしまった。

果たして、二人の今後は…?

待ち受けるのは、生か、死か。

この二択以外に、選択肢は無い。

 

 

 

「紫様…本当に、行うのですか…?」

「当たり前でしょう。霊夢達を放っておいて良いと思ってるの?私達が助けなければ、あそこに行った者達は生きて帰ってこれないどころか、二度と見る事は無いと思うわ…。…ごめんなさいね藍、貴女も道連れにする様な真似をして」

「紫様…。いえ、私は大丈夫です。式神として主に忠誠を誓うのみ。例え今回の様な危険な場所でも、私はずっと紫様のお側にいます」

「そう言ってもらえると嬉しいわ。…さて、貴女はここで待ってて頂戴ね。…ついて行こうなんて言い出すのが怖いから、寝てる時に行っちゃうけど…ごめんなさいね。…橙、その子を頼みます」

「了解です!」

「…。では御呪いを始めますよ、藍」

「はい!」

 

 

 

 

 

〜幻想少女が天神小入り〜

現在の生存者…『8』人

 

犠牲者…『1』人




何か話進んだかどうかこれもうわかんねぇな…
どうもこんにちは、ハゲ男です!
今回もこのお話を読んでくださりありがとうございます!感謝感激雨霰です!
今回は長いです!そして若干アレでしたね!
僕は別にあっち系の趣味は無いですよ。マジで。


…さぁ、ついに…ですね。
下の表示されたカウントが…。
現時点では言う事は出来ませんが、原作と似た様な展開ですね。
空間によって時間軸に若干のズレがあるのは原作と一緒です。
ぼくのかんがえたさいこうのれいむおねえちゃん最高!!!
…すみません、深夜テンションです。許せ。
さぁここまで長くなってしまいましたが、Chapter1もいよいよ終わりです!
向かう事になった紫と藍の命運にも注目ですね!()
それでは、また!
(追記:1話の最後に本編のキャラが…みたいな事を言ってましたが、正しくは「本編の主人公などを始めとしたプレイヤー側のキャラ」が出ません。説明不足で「あれ?こいつ本編のキャラなのにおるやん作者死ね!」ってなってしまってる方もいるかと思います…本当にすみません)


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第6話「ありがとう」

これでchapter1は終了します!!!!!!
長いようで短いようで…
まぁそんなこんなですが、是非観て行ってください!!



…な… さ…な……なえ…

(ん…誰か私を呼んでる…?それも聞いた事ある…)

早苗!起きて!もうご飯の支度出来てるよ!!

(…えっ…?ご飯…?)

ははは…悪いな早苗、今日はだいぶ疲れたろうから、まだ寝かせておいても良かったんだが…諏訪子が皆で食べようと聞かなくてね。

(諏訪子様…神奈子様…何でここにいるの…?…違う、ここは守矢神社…私の家!?私、帰ってこれたんだ!!)

……そんな顔をするのも無理はないな、あんな目に遭ってしまったんだから…。助けに行けなくて悪かったね…こちら側からは何もする事が出来なかったんだ。八雲紫の力を使って、やっと助けられたわけだが。

(そ、そうだったんだ…。でも良かった…助かって…!)

ほら、早く食べるよ!!!二人とも早くこっち来てよ!!!

じゃないと私が全部食べちゃうよ!!

(諏訪子様…)

おっと、そろそろ行かないとだな。…早苗、霊夢達の事は…一旦忘れて、ご飯にしよう。あの状態じゃ仕方なかったんだ…仕方が…

(…え?)

大丈夫だ、私達がいるから。これからも…いや、これまで以上にお前を私と諏訪子で守っていくから、安心して。

(な、何を言ってるんですか?その言い方だと霊夢さん達が死んだ、みたいな…)

…何を言ッてルんダい??霊夢達ハ死んだダロう?お前ガ、殺シタんだカらな…。

ソウだよ、早苗ッたラ助ケに行ケたと思ッたラ***の****を食べてタンだモん、私達びックりしたよ!

(…っ!?)

うんうん、たしかにあれはおもしろかったな、またみたいものだ…さなえがごうかいに***を…

「やめてっ!!私はそんな事していない…!貴方達は偽物だ!!私の心に浸け入ろうとしてるこの学校の悪霊だ!!」

…サぁ、どウカな…?

逃ゲラれルと思ウナよ、偽善者が…。

「ひっ…!?いや…いやぁ…!」

 

 

 

 

「…なえ、早苗!」

「…っ!」

聞き覚えのある声に呼び覚まされる早苗。

そこはさっき見た我が家とは全く違う風景。

しかし早苗はそれにむしろ安堵し、隣にいた霊夢に縋り付き涙を零した。

「…霊夢ざぁ"ん"…め"っぢゃ怖い夢見ま"じたぁぁ…」

「うん、分かる。めっちゃ分かる。あんたかなり唸ってたし、あの仲良し神様達の名前も呼んでたわよ。夢で会っちゃうなんて余計不安要素ね…」

霊夢は溜息をつき、やれやれと手を振る。

「その神奈子様と諏訪子様がぁ…!っ…私が人を殺して食べたって…!霊夢さん達を殺したって言ってくるんです…!私何もしていないのにぃ…!!」

霊夢の胸に顔を埋め、嗚咽を漏らしながら話す早苗。

その悪夢の内容に、霊夢はまた心底呆れた様な顔をした。

「何、この世界は夢の中にまで干渉してくるの?めんどくさすぎない?…大丈夫よ、私は簡単には死なない。てか死ぬわけないじゃない。何回も言ってるけど、これは絶対!!」

早苗の肩を掴んで引き剥がし、自分が立つと同時に早苗も立ち上がら

せる。

「ほら、さっきの所は流石にきついし、あっちのルートからいきましょう!」

霊夢は早苗の手を取り、先程とは逆の方向に向けて歩み出す。

ばしっ。

しかし早苗はその手を振り払い、俯く。

「…さんに何が分かるんですか…さっきから人が怯えて怖がってるのに…霊夢さんはそんな気持ちも知らないで…」

ブツブツとかろうじて聞こえる声で呟いたのは、霊夢に対する不満。

「…は?何言ってんの…私はあんたが怖がってる事、普通に理解してるじゃない。というか私だって少しは怖いわよ」

「嘘、つかないでください…さっき死体があった時も…全然怖がってなかったじゃないですか…どうせ私が怖がって怯えて腰が抜けてるのを霊夢さんは邪魔だとか、嘲笑ってるに決まってる…」

「ちょっと、被害妄想もいい加減にしなさいよ。変な夢見たからおかしくなってんの?まぁこの歪な空間の気にやられるのは分からないでもない…」

「うるさいっ!!!」

霊夢の言葉を遮り、耳をつんざく程の大きな声が響く。

「…え?」

「うるさいんだよ!!毎回毎回上から目線でうざったい…!私は怖くて仕方がないんだよ!お前も少しは同情しろよ!泣けよ!怯えろよ!!!あっははははははは!!!あの夢正夢かも!!!あははははは!!あははは…!!…はっ…はっ…!死ねっ…!死ね死ね死ね!!!お前の顔なんて見たくもない!!死ね!消えろ!!」

早苗は今までに見せた事のない剣幕で、霊夢に罵声を浴びせ続ける。

「…あ、そ。そうね、私もあんたみたいなビビり一緒にいたら足手まといって思ってたとこだったから。邪魔なのよね、あんた」

霊夢も腕を組み、静かに怒りを見せる。

「ここには私とあんたしかいない。だから勝手にどっちもの垂れ死ぬ。まぁあんたがいない方がマシな死に方出来るから良いわね」

淡々と述べるその言葉は、早苗の罵声よりも小さいものの、重みはこちらの方が遥かにあった。

「…え?」

「え?じゃないわよ、あんたが言い出したんでしょ?じゃあ私はあっちの死体の方から行くから。せいぜい勝手に死んでなさい」

霊夢はそう言って、早苗を横切り、後方の暗闇へと消えていった。

「ま、まってれいむさ…!今のは言おうとして言ったんじゃ…っ!…ひっ!?」

必死で霊夢を引き止めようとする早苗。しかし突如襲ってきた悪寒により、その言葉は遮られる。

その悪寒の正体は、赤いワンピースを着た女の子。早苗の方を見ながら、とても楽しそうにしている。

「ケケケケ…おまえたちはおたがいがきらい…いずれコロしあう…タノシイネ…?クスクス…キャハハ…」

「はっ…はっ…何が言いたいの…!!なんなのよ、もう……!れ、れいむさっ…待って…!」

早苗は女の子の放つ寒気を振り切り、粉砕死体のある道へと進んで霊夢を追う。

と、その時。

早苗が床を踏み込んだ瞬間だった。

バキバキ…ミシッ…バキィッ!!

「…!?嘘っ!?」

床が抜け、早苗の足は宙へと浮かぶ。すっぽりと体が収まるほどの大きな穴が開く。

重力に耐え切れるわけもなく、そのまま落下する。

「くうっ!!」

とっさの反応で、抜けていない床へと手をかけて落下を防ぐ早苗。

しかし全体的に脆かった床が、早苗の体重に長く持つとは思えない。

早苗は急いでどうするかを考える。

手元に助かるようなアイテムも何もない。

「ど、どうしよう…!て、手が…!もう…こうするしか!」

早苗には二つの案があった。というかそうするしか無い考えだった。

一つは、素直に手を離し、落下する事。下が何かしらの柔らかいものでクッションになっている事を祈るしかないが、可能性は低い。

二つ目は、必死にもがいて、どうにか上がる。床が耐えてくれれば、

上がる事が出来て助かる。

しかし無駄に動いたりする事で、手をついている部分が抜けて体制を崩し、危ない落ち方をしてしまうかもしれない。

このハイリスクハイリターンとも言いがたい二つの案の中、早苗がとったのは…

 

 

 

「お願い、まだ死にたくないっ!!」

するっ。

早苗は素直に手を離して、落下を進めた。

早苗は下に衝撃を吸収する何かがあると信じて、勇気ある行動をしたのだ。

「〜〜〜〜〜〜!!!」

下を見ないように、目を瞑る。

そして…

バァン!!!

「っ!!いったぁ〜…わ、割と直ぐに下に落ちた…あんまり高くなかったのかな…」

一瞬で下の地へと着いた早苗は、尻餅をつくという一番安全な体制で落ちていたようで、怪我はなかった。

「…?」

早苗は、尻の下に何か違和感を覚えた。まるで何かの上に座っているかのようだった。

確認しようと、早苗は立ち上がる。

「何の上に落ちたんだ…ろ……!?」

早苗は下の「それ」を見て、顔を青ざめる。

そこにいたのは、早苗よりも一回り大きい、巨体の男性。

服はボロボロで、右手には鉄製のハンマーを持っていた。

「え、え…!?な、何この人…!?もしかして、した…」

死体なのか。そう言おうとした瞬間だった。

「グゥゥ…グゥオォォォァアアア!!!!」

いきなり大声をあげて、その男性は立ち上がったのだ。

そして辺りを見回し、早苗を見つけ、視線を捉える。

「いやあぁぁ!!ご、ごめんなさい!!!」

その男性の顔を見て、早苗はさらに怯える。

目は赤く染まり、全身は灰色になり、生きている感じは全くしなかった。まるで、「幽霊」のようだった。

 

大男は一歩ずつ、一歩ずつ早苗に近づく。

その度にハンマーを引きずる音が辺りにこだまする。

カツン…カツン…

早苗は後ずさりしながら距離を取る。

「ごめんなさいぃぃ!!ごめ…ごめんなさい!いやだ…やめてよ…!!いや…あうっ!」

しかし、後ろは行き止まりとなってしまった。

「嘘…うそ…!!いやだ…私まだ霊夢さんに謝ってないのに…!カッとなってあんな事言っちゃったのに…!あの時いてくれるだけでありがたかったのに…!『ありがとう』って…伝えてなかったのに…」

早苗は泣きながら先程のことを後悔する。

しかし一度発した言葉は取り消すことは出来ない。

だから軽い気持ちで暴言を吐いてはいけないというのは、子供でもわかる。

しかしここは天神小学校。気持ちが錯乱して、取り乱したりする事はほぼ間違いなくあるのだ。

それが早苗の「ツキ」だった。

この学校には…

「お、大男さん…!貴方が誰だろうと、この東風谷早苗、貴方を倒して霊夢さ」

ブンッ!

「ん"っ」

ガツン、という鈍い音が1回、そのあと立て続けに何かを殴る音が数回。何かが苦しく呻く声、僅か2回。

辺りは血で赤黒く染まる。

そこに倒れている、さっきまで「早苗だった」何か。

顔がどうなっているかどうかさえ、まるで分からない。

この学校には、「運」や「奇跡」は関係ない。

何がどうあれ、待ち受けているのは「死」である。どのような結果になっても死ぬ。変わるのは死に方ぐらいだろう。

ズル…ズル…

「ヴゥゥゥゥ…ヴォォォア…プシュルル….」

緑色の髪を掴んで、大男はこの学校の徘徊を始めた。

次の犠牲者を、右手の鈍器で弔うために。

 

「フフフ…ありガとう…!サチコのタめに死ンでクれて…アハ、アハハはは…ギャハハははは!!!」

 

 

 

「さっきは言いすぎた…かも…あいつ、1人にしちゃったわ…。

一回戻って、謝りに行かなきゃ…」

 

 

 

幻想少女が天神小入り…

 

現在の生存者…7人

 

死亡した幻想少女…2人

 

 

 

 

chapter1〜end〜

 




ふぅ…何とか書き終えました!!!でもやっぱり文章おかしい…w
どうもお久しぶりです、ハゲ男です!!!
いやぁ、色々と忙しくてなかなか書く機会が無くてですねw
お待たせしました、というしかないですよ本当に!すみませんでした!!!!
さて、chapter1、ここでおしまいです!!
まぁここからの展開をどうするかまだ何も考えてないですが…「推しのキャラ死んだわお前殺すぞ」ってならないでくださいお願いします!!!

今日のあとがきロクでもなさすぎるな…w おっと、そろそろアルバイトの時間なのでここで終わらせていただきます!
それでは、また!!!


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