荒神万事塞人ガ喰ウ (裕 紫翠)
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プロローグ

初めましての方、初めまして。そう出ない方々もおはこんにちばんわ
どうも、ナメクジこと紫翠です
最近GOD EATER レゾなんとかというゲームをしていたら急激にゴッドイーターを書きたくなってしまったが故にこうなりました。

『書き換える者』をお待ちしている皆様。投稿鈍くて申し訳ございませぬ!。m(。>__<。)m
こっち書くためにゴッドイーターやりたくなってヒャッハーしちゃいましたとか言えないですね。(ハイDも原作読み直ししないと話がが………)
と、とにかく本当ナメクジで申し訳ない。
これからも自身の身に塩振って頑張るので応援よろしくお願いします!○┓ペコリ

とりあえず、どうぞ!(っ´∀`)っ


寒っ!

なんだよ、俺冷房付けっ放しで寝たのか。

あぁぁ、寒いぃぃぃぃ!!

 

エアコンのスイッチは何処だ?

そもそも俺こんなに設定温度低くしたっけ?

しかもさっきからザクザクってスナック菓子でも零したか?

にしては冷た…………え?

なんか視界おかしくね?

左と右見えるものが違うって言うか前がよく見えない?

なぁんで外にいるんだ俺?全然わかんねぇ。

夢遊病じゃねえし、寝ながら歩く趣味も無いしな

というかなんか歩きにくい?手の感触も無いし………

 

手の感触が無い?

体のあちこちを触ろうと、『手』を動かしてみた。

 

「ガウ、ガァァァウ………ウゥ?」

俺、今なんった?

確か「ない、触れない」って言ったはずだよな

「ガ」(あ)

 

嘘だ

「ガアアアア」(あああああ)

何だよこれ、なんでこんな………こんな

「グルウウウウアアアアアアアアアア!!!!!!」(素晴らしい姿なんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!)

 

どこかに鏡はないのか?

姿見は?水溜りでもいい、俺に今の姿を見させてくれ。

なんでも構わない。俺に今のすが───

「グルルルルル」

今のは俺の鳴き声じゃねぇぞ。

そっと声のした方を向いた

 

やっぱり『オウガテイル』だ

捕食って感じじゃねぇな目がギラギラして無くもないけど。

なんか喜んでる?いや違うな、誘ってる?

仲間と勘違いされたか?

なんでもいいけど、付いて行くか。

よく分からないけどものすごく『ハラヘッタンダ』

物凄い飢えを、食欲に襲われる。

なんでもいい『タベタイ』『オナカスイタ』『クワセロ』そんな言葉が頭の中を埋めていく。

視界が赤く、飢えに……………

 

 

 

 

 

 

 

アレ?俺また寝てたのか?

うぇ口ん中がグチャグチャだ。気持ち悪い、うぇ………

うぇぇええええ!!

 

ベチャッ!

 

吐き出された物体は赤黒かった。

何だ?これ、何かの肉?鉄っぽい血の味がする。

近くにに何が………え?

 

アレ人間か?そうだよな。でも血で濡れて………

死んでる?死んでるな……俺がやったのか?

いや、でも周りに他のオウガテイルがアレ?

オウガテイルも死んでる?なんで?なんで俺だけ生きてんだ?

ナンデモイイカ、『オナカスイタ』

とにかく今は腹を満たそう

 

『イタダキマス!』

 

バキッ!グシャグチャグチ!ブチ!バギャ!バキバキッ!ブシュッ!ブチブチ、グシュッ、グシャ!………………………ゴクン

 

『アア、ウマイナ。ニンゲンテ』

 

 

 

 

 

神喰(かみじき) 劍華(けんが)

この弱肉強食(ゴッドイーター)の世界で『オウガテイル』として生まれ変わった?ただの一般人だ。

 

 

 




プロローグなんで短めです。
次の話はなるべく早めに投稿できるよう頑張ります。
それではまた次回お会いしましょう。


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オウガテイルどこいった!?

タイトル通りの内容ですが………


どうぞ(っ´∀`)っお楽しみください


コツコツコツと靴の音がよく響く。

天井高い割によく響くなぁ。アレ?天井高くて密閉された空間って音がよく響くんだったっけ?忘れちまったな

『ようこそ人類最後の砦『フェンリル』へ、君にはこれから神器適性。即ちゴッドイーターとしての適合試験を受けて貰う。何、試験は簡単さ、君はその台に乗っている神器の柄を握ればいい』

ほのかに暈しのかかったガラスの向こうそこに立っているであろう人物から声をかけられた。

 

それにしても、もっと色々すんのかと思ったけどゲームのまんまかよ、握ってポンですか?ヤダヤダ、怖いねえ。それと説明適当過ぎない?もうちょい細かく説明しようよ。

だってこれ適合出来なきゃ死ぬんだろ?

イヤまぁ、『外』にいても死ぬんだけど。普通は

それにこれめちゃくちゃ痛いんでしょ?やだよ痛いの。だってドMじゃないもん俺。

 

普通の、ノーマルな、人間(?)ですから

さて、それにしてもそんなに早くしろとばかりに睨まんで下さいよシックザール支部長、それと横に女の人。雨宮だっけ?俺昔君に会ってるからね?君のせいで俺、右目の色変わっちゃったんだからね?

しかし、オッドアイとかカッコよくね!?とか喜んでた俺が馬鹿だったと今でも記憶してるあたり相当印象強かったんだな。

それと聞こえてないだろうし別に言う必要も無いんだけどさ。

パンツ見えてますよ。大人っぽい紫色のやつ

あれ?でも普通は見えねぇか。俺一応変わりもんだしな〜

おぉう、なんか支部長の目がどんどん怖くなってんだけど、誰だよあんなになるまで放置してる奴。

あっ俺か、俺がさっさと掴まないのが行けないのか。

 

んじゃま、取り敢えず。これを掴めばいいんだな?

よし、どんと来い!

アレ?何ともないし、全然降りてこねぇじゃ────

ドンッ!!!

 

「っ!?がァァァァ!!!」

不意打ちとか卑怯だぞ、クソ油断してた。

痛てぇし、なんか入り込んできやがったし。

あぁ、気持ち悪い。

あぁ?こいつ俺の体の方を神器に合わせようとしてやがる。すげぇ抑圧される感覚に襲われてんな。

ただなぁ。逆だ逆、お前が俺の体に合わせろよ神器だろ?

新型なんだろ?だったらもう少し頑張ってくれよ

「ぐうううっ」

俺だってきついんだからな。こんなに痛いのウロボロスの飛び掛りを直に受けた時以来だぞオイ

 

シュウウウッと音を起てながらギロチン装置が開いた。

 

しばらくして少しずつ神器に体が馴染んでいく感覚に浸っていた。

最終的に俺が妥協する様な形で神器との最も調子よく合わせられる所でシンクロさせることにした。

 

ちょうどその辺でコネクタらしき黒いものが神器から出てきて腕輪と繋がった。………一瞬だけ今黒い紋様?筋繊維?らしきものが見えた。あれは多分元々持ってるやつだよな、俺の場合。……バレたら笑えねえ。にしても

「ふう、痛かった。おおいい感じかな、体も軽いし。酔いも無い」

お疲れ様、お前にも無茶させて悪かったな。これから二人で頑張って行こうな。

心做しか少し神器が俺の言葉に反応して輝いた様に見えた。

 

「適合おめでとう、これで君はこの支部初の『新型』だ。大いに期待しているよ。それから………」

なんか言ってるみたいだけど全部聞き流した。だってこのあとの流れは大体把握してるから。聞いているふりをしながら暫く神器を眺めていた。

 

 

 

──エントランス

「グペェ〜」

つ、疲れた。変な声出たし

神器と初めてリンクするのって結構きついんだな。

最も調子のいい所探してたら時間かかって余計疲れたのかもしんないけど。

「疲れてそうだね、ガムたべる?」

「いいのか?」

「うん、まあね。………あ、切れてた。今食べてるのが最後だったみたい、ごめんごめん」

 

うん、知ってた。

俺、最初それ聞いて画面殴りそうになったもん。

「そりゃざんねんだ。あんたも新人?」

「そうだよ。ってことはあんたもか。俺、藤木コウタあんたの名前は?」

「俺は神喰(かみじき) 劍華(けんが)。さっき適合試験受けてきたばっかでさ。緊張も解けて一気に疲れが出たっぽいんだ」

「そっか、オレと同じか少し上かな?まぁでもほんの一瞬でもオレのが先輩ってことでよろしく」

 

ムードメーカーらしい話しかけやすくて良い奴だな相変わらず。

でも俺の疲れは取れないな。悲しいことに。

「そっか、じゃあ俺に抜かれないように頑張ってくれよ先輩」

「うっ。なんか先輩面したこと後悔してきた」

「あはは、そっかなら同期としてよろしく。コウタ」

「うん、こっちこそよろしくな劍華」

立ち上がり、握手を交わす。

思ってたより大きい手だ、強く握り過ぎない様に気をつけないとな。

これから一緒に戦う仲間なんだから大事にしないとな。

それに…………今度は絶対に失わない、失わせない。

 

「新人同士、会話に花を咲かせているようで何よりだ」

あ、雨宮さん出てきた。

「この人誰?劍華の知り合い?」

「いや、今日初めてあった。あっでも、さっきの適合試験の時にいましたよね?他の人達と一緒に」

「ほぅ。私の名前は雨宮 ツバキ。お前達の教練担当だ。それにしてもお前、神喰 劍華と言ったな。あの距離でしかもうっすらと見えにくくなっているガラスごしにこちらを把握していたのか?」

パンツの色まで把握してますって言ったらどうなるかな?

………あれ?おかしいな殴り飛ばされて壁にめり込む姿しか想像出来ないぞ?俺一応アラガミ扱いになると思うんだけど。

うん、このまま下らない事考えてたらうっかり口走りそうだし切り替え、切り替え。

「はい、一応俺は『外』から来た人間ですからね、目が、耳が、出来れば鼻も良くなきゃ中々うまく生き抜けない所ですし、あの程度の濃さなら普通に見えますよ」

ココで止めたのは暗に、『その程度も出来なければ容易に死ぬんだよ』と遠回しに皮肉を込めただけなんだけどね『フェンリル』に対して。

というかそもそも、マジックミラーじゃなければ俺は普通に見えるな。

 

「おもしろい。が無駄話はここまでだ。このあとは予定が立て込んでいてな、まずはメディカルチェックをする。劍華、お前はこのあと一五:○○までにペイラー・サカキ博士の部屋までに集まるように。他にも基礎体力の強化、基本戦術の習得、各種兵装の扱いなどのカリキュラムをこなしてもらわないと行けないからな」

 

俺、正直基礎体力を付ける必要ないと思うな。基本戦術は、まぁ『ゴッドイーター』としての一つの技能として覚えておけばいいか。

元々戦う力も、戦術も持っている。それを最も有効に使うことのできる世界に来たんだ。俺も少しは生きやすくなる。

でも、返事くらいしようか。これはどこの世界行っても共通の事だからね

「はい」

「………あ、はい」

「それとお前達はこれから守る側になるんだ。つまらないことで死にたくなければ私の言うことにはすべてYESで答えろ。いいな」

「「はい!」」

どこの鬼教官ですか?と突っ込まなかった俺は偉いと思うんだ。

 

 

─サカキの部屋

「失礼しまーす」

「予定時刻ちょうど、私の予想を遥かに超えて到着かおもしろい。君が『新型』適合者の神喰 劍華君だね?」

予想ってなんだ予想って。

「ふむ、こうして面と向かって声を聞いてみると思っていたよりもずっと大人びた雰囲気をかんじるね。どうだい?博士」

「そうだね。私も年齢の割に大人びているとも思うよ彼は」

本人の前でなんつー会話してんだあんた達

 

「さて神喰くん。これから君にいくつか質問をさせてもらおう。何、質問と言ってもただの問診さ」

「逸る気持ちは分かるがまずは自己紹介だろう?博士」

「おっと、私とした事が。どうも『新型』に適合したという事実に少しばかり舞い上がってしまったみたいだね。すまない神喰くん。改めて、私はペイラー・榊。ここでは博士と呼ばれているから君もそう呼ぶといいよ」

「そうですか、よろしくお願いしますね。えーっと、博士そちらの方は?」

「彼かい?アレ?ヨハン、キミ彼に自己紹介してないのかい?」

「どうやら名乗り忘れていたようだ。私はこの極東支部、支部長ヨハネス・フォン・シックザールという者だ。憶えていてくれるとたいへん助かる」

うん、忘れたりしないから大丈夫。色々黒幕なの知ってるから。

 

「支部長さんと博士ですかよろしくお願いします。お二人共ご存じの様ですが自分は神喰 劍華です」

せっかく自己紹介してもらったのだから俺も返しぐらいしないと失礼だよな。

まぁ別にする必要なかったと思うけど。

「それじゃあ早速だけどメディカルチェックを始めようか。まず───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──1時間後

「───でという訳なんだけど。そうそう、神喰くんにあったらひとつ聞きたい事があったんだ。君が極東支部の所で預けたあの刀どうやって作ったのか教えて貰ってもいいかな?」

正直。刀と言うよりは少し鋭利な骨なんだが。と小さく呟いているのが聞き取れた。

「ああ、『狼骨』の事ですか?いいですよ。と言ってもあれなんかのアラガミの骨を削って、持ち手の部分に布巻いただけなんですけど」

「削った?実に興味深い。あのアラガミの骨を削ると来たかどうやって削ったんだい?アラガミの体はそもそも人間の道具ではどうやっても傷付けることができないからね。」

 

それから俺はオウガテイルの牙や棘、他にもなんか削れそうなゴツゴツした体のアラガミの死骸使って削った事を教えた。

というかよく刀として使ってたの分かったな

いい感じに反ってる骨見つけたからそれを『俺』の牙やら棘を使って削っただけのやつで。言うなればただの鋭い骨だったのに。すごいな博士、これが天才ってやつの力か。

ほんの少しだが頭のいい天才はこの世界で生きるのは辛そうだなと思った。

 

「それから──────」

あれからさらに1時間以上も話が続いた。具体的には俺の持ち物とか、生命のなんたらとか。最終的に予定時間を大幅に超えて話をしていたため雨宮教官が迎えに来た。

正直助かったし、ラボから出て教官に「ありがとうございます。助かりました」といったら。何故か知らんが憐れむような目を向けられた。解せぬ………

 

時刻的には6時だと思う。もう話のせいで時間感覚が狂ってきてるわ俺。本当の質問攻めの恐怖を身を持って体感した。

 

──訓練所

俺に休みはない。と言いたい所だが流石に俺でも疲れで動けなくなる事はある。たとえば今日みたいに肉体、精神共に疲れ果てた時は回復に集中したいから体が動く事を拒絶する。つまり寝るのだ。

しかし────

 

『これより基礎戦術訓練を開始する。まずは自由にその中を走って見ろ』

「了解」

雨宮教官厳しくね?

あんだけやつれてた俺の顔を確認するなら大丈夫そうだな。の一言で訓練所に詰め込まれた。

まぁ身体の方は正直軽いけどね。

にしても『走る』か。走る、走る…………そうだ、丁度いいどんだけ動けるのか全力で動いてみるか。

その場に『神器』ブレードを突き立て少し距離を取った。

「よし」

『?どうした劍華何故神器を置いた』

少し厳しめの、諭すような口調の教官の声が聞こえた。

「ちょっと全力で動いてみたくなって。ストレス解消的な奴ですよ」

『いいだろう。丁度いいお前の基礎データを取っておくことにしよう、今後の作戦で使えるかもしれないからな。許可する、これから30分間、一七:四五まで基礎体力測定をする基本的には自由にして構わないお前も先程の長話で疲れているだろうしな』

「ありがとうございます」

案外優しいのかもしんないな教官。

コチラのバイタルは常に確認してるみたいだし、ラボから出てきた直後の俺を見て心配そうな顔してたからな。

エントランスで死んでたコウタには見向きもしなかったけど。

「ふっ、はっ、せい!」

昔の馴染みのせいか体操の選手バリに動く事が出来ている。感覚はまだ憶えてるなやっぱり………身体はもう全くの別物なのに。

『劍華少し走って見てくれ』

「了解」

ゆっくりと息を吐いて、吸う。呼吸が整った段階で目を開き後ろの壁に後退して行く。

『準備はいいな?よーい………走れ!』

「─────!」

合図と同時に走り出す。向かうは反対側の壁、左足に()()で力を込めて踏み出す!そしてすぐに反対の足を────え?

 

ズドオオオオオオオオン!!!

 

俺は反対側の壁に激突。身体はボロボロだったけど。壁は無傷だったなぁんであんな音が出んだ?

「痛ってえ………加減ミスったな」

『大丈夫か!?返事をしろ劍華!?なんだ今の転び方は!!?』

そう、俺は転んだのだ。ゴロンゴロンと

「生きてます。すみません足ひっかけたみたいですっ転びました。」

咄嗟に転んだ俺は正解だったな。あのままだったら壁に真正面から衝突してたわ流石に顔から突っ込んで骨折しない自信が無い。つか死ぬ

力の調整って難しいんだな、早く慣れないと。あの速度を外でやったら空母からエイジスまで跳べんじゃねぇのかな俺。

などと考えつつ、その後は普通に訓練をした。

 

最後の最後まで最初の衝突の事を心配され続けたが、実際怪我はしていなかったので何とか訓練をやり遂げることが出来た。

訓練が終わった後に教官から明日の日程がわたされたがカリキュラムの開始が9時からに変更になっていたので本格的に教官を心配させてしまったようだ。

 

──自室

「ただいま、姉さん」

 

扉を開けて入って誰もいない部屋に声を掛ける

いたる所にある一人の女性の『絵』が散らばっていた。入り口にある二人の男女が写った写真を手に持ち奥に入る。絵を片付けながら、ベッドになだれ込む。

 

「今日から本格的にゴッドイーターになったよ。俺、早く実戦に出れるように頑張るからな。姉さんの仇は俺が絶対に絶対に果たすから」

とその男は少しだけ微笑んだ。

しかし、それは一瞬だけのことで微笑みが崩れたかと思うと。怒り、憎しみ、憎悪を含んだ()()()()()顔で『アノニンゲンダケハ、オレガカナラズケシテミセル』と人でない何かがそう呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ラボ

「ふむ、興味深いデータだねこれは」

「はい、今までの適合者の中でも群を抜いています。ソーマ・シックザールと同列。いえ、若しかするとそれ以上の適合率だと判断しております」

()()()()()も、か………彼の出身はこのアナグラの『外』なんだね?」

「はい、審査の際に神器適合資格を持ち、尚且つ新型に適していたという事で即刻受け入れました」

「ありがとう。この事、支部長には?」

「いえ、まだ報告しておりませんが。基礎データの管理は全て博士に一任しているのでこれから行く予定ですが」

「………そうかい、なら一つお願いがあるんだが─────」

 

 

 

 

 

 

「───以上が神喰 劍華の報告です。」

「そうか、報告ありがとう。彼の事はなるべく気にかけてやって欲しい。漸く手に入れた『新型』なんだ、簡単に失くすのは惜しいからね」

「はい、それでは失礼します」

女性が部屋から出ようと扉に手をかけると

「ちょっと待ってくれ、この事ペイラー博士に報告したかい?」

「はい、基礎データの管理を博士に一任しておりますのでデータを届ける際に一緒に報告致しました」

「そうか。引き留めて済まなかった、明日も忙しくなるだろう。十分に休養してくれたまえ」

「はっ!失礼します」

女性は敬礼をすると静かに部屋から出ていった。

 

 

各々の部屋で人は思い馳せる。

自身の願望を、期待を、予測を言葉に変えて

 

「人が神になるか」

『神が人になるか』

「『その答えはゴッドイーターになる為に生まれた彼に見つけられそうだ』」




今作の主人公。神喰 劍華くんです。
はい、先程の短いプロローグのオウガテイルだった奴です。
プロローグの時に出たサイコな感じはかなり抑えられてるかなあ?と少し不安ですがオウガテイルから『人間』の見た目になりました。
オウガテイルどこ行った!と突っ込んで頂けるとナメクジは喜びます。
前回の『書き換え』からこれだけ時間が空いてる割にこれしか書けなかったのが凄く悔やまれます。
正直もっと書きたかった。と後悔しています。
両作品とこれからもよろしくお願いします○┓

余談ですが、この作品……と言うより私の作品は全体的に急展開が多いです。
ですので時代が飛んだりする事が結構あります。場面も然り……とこんな感じなので分かりにくいところがあったら教えて頂けると大変助かります。
言葉足らずの駄作者ですがこれからも読んで頂けると嬉しいです

それでは、また次のお話で。


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使いと整備と彼の過去

やっとこさ投稿出来ました!
(・ω・ノノ゛☆パチパチ
書き換えの方は全く進められませんでしたがこっちは何とかなったので投稿しました!
書き換えをお待ちしている方々申し訳ありませんm(_ _)m

という事で今回の話もタイトル通りで行きたいと思います。
百聞は一見に如かず。と言うことで
(っ´∀`)っどうぞ!


─────「お前ふざけているのか!!!」

「すみません、わざとじゃないんです!何故か手から滑って行くんです!」

「わざとじゃないだと?余計たちが悪いじゃないか、お前は自分のしているのことが分かっているのか?」

「兎に角やべぇのは理解してます。本当、すみませんでした。今後ショートブレードは使いません!」

「………いいだろう。ただし、整備班の神機担当の者に謝って来るんだな」

「はい!」

はぁ、いくら何でもこれはない。マジでない

 

 

なんでショートブレード使った時だけ神機が手から逃げてくんだよオイ!

 

 

 

──────それはつい先程のこと。折角神機の兵装を変えられるという事で全部の兵装を試したのだ。

 

初めに「身を守る事を覚えろ」とのお達しで、シールド系全てを試した。

それで分かったのは俺の『シールド』に対しての適性が異常に高い事だ。具体的には『シールド』の展開速度がほかの神機使い達が展開する『バックラー』と同等以上の速さで展開する事が出来た事だ。

それに際して教官からは「お前のようなバカみたいな速さでシールドを展開する者は初めて見た」と言われてしまった。

 

銃身に関しては『アサルト』若しくは『ブラスト』だろう

俺自身、肉体が『アラガミ』とほぼ同じく構造である事から自身の体内でオラクルを生成出来るのだ。

だから『アサルト』を使用した場合だとオラクル消費を考えずに連射し続ける事が出来る。実際にダミーが文字通りの蜂の巣になった事から威力の方も申し分ない。

 

『ブラスト』の方も体内でで生成されたオラクルを神機に突っ込む際にたった1度で『ブラスト』の許容限界まで達することが出来た。

ただ、無限にそんな事が出来るかと言われれば俺はNOと答える。1度で銃身の限界まで持って行く事は出来るが体内から急激にオラクルを失う事になるので凄まじい酔いと虚脱感に襲われる。

簡単に言えば激しく揺れた船に乗りながら画面内のブレが激しいゲームをやっているようなもので。更にそこに筋疲労で力が抜けた様な脱力が起こる。

教官は一度に最大までチャージ出来る事には気が付かなかったようだけど、実戦でアレを使うとなると1度の作戦に1回が限度になると思う。

 

最後に近接武器だが言うまでもなく『ショートブレード』の適性は最下位だ。

逆に最も高かった物が『ロングブレード』でそれに次いで『バスターブレード』も高かった。

『ロング』に関してはゲーム時代に最も多く使っていた兵装だったので馴染み深く、もの凄く()()()()

神機を片手で握ってダミーの首を真っ二つにする程度は余裕で出来た。長さ的にも大太刀に近かったので思っていた通りの動きが出来た

教官には「ロングブレードをそんな使い方する奴は初めてみた」と少し窶れ気味に言われた。

流石に居合いと同じような構え方をした時には「劍華。お前、気は確かか?」ととても辛辣なお言葉を頂いた。

 

『バスターブレード』は構えた瞬間に「剣華。貴様はバカなのか?」と教官からこれまた辛辣な突っ込み………と言うか罵倒を受けた。

 

何故って?片手で構えたからだよ。

実際両手でないと持つことができないほど重かったのだが何となく行ける気がして片手で構えた。

正直、めちゃめちゃ重たかったけど両手で構えた瞬間に驚く程神機を軽く感じた。

『バスターブレード』の基本技能である『チャージクラッシュ』を試しに放ってみたが。

 

壁が抉れた

 

そう表現するしかないのだ。

限界まで溜めたチャージクラッシュをダミー向かって全力で振り下ろした。

すると何故か空気の大砲と呼ぶべきものが発生、更に振り下ろした『バスターブレード』がダミーに直撃してコア諸共粉砕。

振り下ろした際に生み出された空気の大砲は、地面を抉り返し鉄板を巻き上げ弾き飛ばしながら訓練所の壁に衝突。

結果、壁が抉れた。正確に言えば地面もなんだけど。

 

あとで聞いた話だがその日はアナグラを中心として不思議な地震が起こったそうだ。

 

 

そして問題の『ショートブレード』だ

今までの実績を見てきて、教官から「ロングブレードだけでなく、バスターブレードすらも片手で振るおうとするお前だ、ショートブレードが恐らく最も適性が高くなるだろうから。早々にショートブレードの近接武器付け替えてこいと言われていたのだ」

しかし、結果は真逆。適性値は『ショートブレード』が最も低く使い物にならなかった。

言い訳になるが初めは良かったのだ()()()

他の神機と違い最後の神機形態だったので()()でやろうと思ったのだが、俺は『ロング』が軽かったのだ。

正直、『ショート』の刀身に替えた後にテニスラケット?って思うくらいに軽かった。

行った訓練内容は、他と同じく素振りとダミーに対しての攻撃。

この素振りが悪かった。

俺自身、片手で剣を()()()という行動の素早さだけは他と比較する必要の無いくらい『速い』という自負があった。

だから、初めはゆっくり。段々と早くしていくという日課だった素振りと同じやり方でやることにした。

その結果というかなんと言うか。

実は俺、人間の時に周りの人間に異常だと言われる程の速さで剣を振るっていた時期があった。まぁどんどん速くなって行くから最終的には誰も彼もが離れていったんだけど……まぁそこは置いとくとして。

じゃあそれが、人間ではない。それ以上に肉体的に優れているものだったらどうなるか。答えは簡単だ。

 

更に速くなる。なってしまったのだ。

 

もっと言えば神機も生き物だ。どんなに優れた生物でも予想外の動きには対応する事が出来ない。

例えば、ただの素振りで音速に近い速さで振り回されたら人間は間違いなく死ぬ。なら物理的耐久に優れた神機がその速さでずっと振り回され続けたらどうなるか。

 

訓練の時はリンクを切っていたので感覚でしか分からないけど。

俺の神機は間違いなく酔っていた。俺とリンクし過ぎて人間と似たような感覚を持ってしまったのかもしれないが。

兎に角、神機が自分の意志で使用者から逃げているのだ。悲しい事に

 

―――――――――――と。まあそんなことがあり冒頭に至る訳だ

 

更にリンクすれば酔わなくなるのは間違いないんだけどそんなこと簡単に出来るわけがないので、神機には我慢してもらおうかなと思っていたいたのだけど。

その前にショートブレードを付けている時に限って腕を振っただけで神機がすっぽ抜けて行くようになってしまった。

そして、今はトボトボとアナグラの中を歩きながら整備室に向かっているんだけど…………

 

 

「はあぁ、ゆううつだぁ~」

 

そりゃそうだ。

ついさっき『ショート』の剣先へし折ったばっかだからな、とんでもなく足取りが重たい

一応、整備班の人たちから怒鳴られる覚悟をしてみたのだが。

なんか整備班の人たち、特に上役の人は神機使いの人に対抗してるのかよくわからないが屈強な見た目の人たちが多いのだ。

何が言いたいのかというと。

めちゃめちゃ怖いんです!!!

いや、俺の方が物理的に強いのは知ってる、自覚もしている。

ただ見た目の迫力で敵う気がしないの。ホント、マジで

 

一応、身長170cm。体重64kg。という平均的な数値を持っているけどイマイチ迫力にかける

触った感じは結構筋肉質なんだけどなぁ

 

「って、おあ!!」

「え?うひゃ!!」

いっつつ、考えごとに没頭しすぎたな誰かにぶつかっちまった

「あの、すみません考え事してて………(ヤベぇ)」

「いいよいいよ、私の方も考え事してたからね。って君!」

り、リッカだ。整備班のリッカだ。ヤベぇ神機ぶち壊した上に衝突するとか死刑もんだぞコレ。

「ごめん、怪我しなかった?」

「うん、大丈夫だよ。それよりキミ、神喰 劍華君だよね?『新型』の。なんでか知らないけど君の書類だけ顔写真ついてなかったからどんな人なのかものすごく考えてたけど。やっぱりいい人そうだね」

アレ?怒られると思ってたのになんかむしろ俺の評価高い?

 

「あの、君の名前は?」

正直聞かなくても分かるんだけど、立場上聞いておかないとまずい。なんせ今の俺は()()()()()ではなく()()の新型神機使いだからな。

「ああ、ごめんごめん。私はリッカ。楠 リッカだよ。皆からは大体リッカって呼ばれてるから君も好きなように呼んでよ」

「そうなんだ。知っての通り俺は神喰 劍華。『新型』の神機使いとして昨日付でこの極東支部に配属されました。よろしくお願いします。リッカさん」

「あっははは!面白いねキミ、そんなに畏まらなくてもいいよ。私キミ同じか少し下だから」

すごい笑われた。まぁ、自分でもキャラじゃねぇな。とは思ってたけど。

「そっか、なら堅苦しいのは抜きで、よろしくリッカ。それとごめん、『ショートブレード』の剣先へし折れてたでしょ」

 

「うん、よろしくね。『ショートブレード』のことなら気にしないで、訓練で神機を折ったって言うのは初めて聞いたけど。キミがどれだけあの神機を大切に扱ってくれているかは良くわかるから」

流石、と言うべきだろうか。彼女が神機の状態を観るだけで持ち主の状態、性格まで把握できる事は知っていたけど。これは少し予想外……予想以上で驚いた。

このままだと俺の神機適合率が異常に高い事と『()()()』の技能が外に漏れるかもしれない。少し警戒するか?

「あんなに手入れをされた状態で帰って来た神機は初めてみたよ。それにね、キミが神機を大切に扱ってくれているのは私たち整備班の人間からするととても嬉しいことなんだ。こんな世界だからね神機だけが帰って来るなんて事もあるんだよ……………」

 

俺って以外と整備班の人達から評価高かったんだな、まだここに来てたった1週間しか経ってないのに。適合したのは昨日なのに。と自然とそう思った。

それから最後の一言、やっぱり神機の『持ち主』が居なくなるのは整備班の人達にとっては最も辛いことなんだろうな。

そうじゃなかったら、あんなに悲しそうな声は出せない。

 

「あのさ俺ってそんなに有名人なの?」

「うん、少なくともこの極東支部ではね。『新型』でしかも『外』から来た人だから否応なしに有名になるよ」

「そうなんだ。だから皆俺のこと知ってたのか。」

基本的に挨拶に行った神機使いの先輩達には名前を知られていた。何故か皆顔だけは知らなかったけど。そこはあまり重要じゃないか。

「そうそう、キミさ外で活動していた時にあの刀みたいな骨使ってたんだよね?」

あぁ『狼骨』のことか。

「そうだよ。しかし、博士といい、リッカといいなんであれが刀だってすぐに分かったんだ?」

我ながら刀には程遠い無骨な骨だよな、うん。って感想を持つくらいホネホネしてたのに。

 

「私は何となくだよ、反りの入り方から握る所の形状と持ち手に巻かれた包帯の巻き方。それと私の願望。」

「リッカの願望?」

「そう。刀だったらいいなぁ〜。っていう私の願望。でも当たってたんだ。すごいね私」

 

うん、俺もそう思うよ。アレを見て刀だと思える想像力が。

「それでね、1つ提案とお願いがあるだけど。私にあの骨を譲って貰えないかな?悪いようにはしないから。ただ少しやってみたい事があって、ね?ダメかな?」

「提案の内容にもよるけど、何がしたいんだい?あの骨使って」

「刀を作ってみたいんだ!」

即答!?

「か、刀?神機じゃ無くて?」

「確かに神機の近接武器形態の中に刀に形状が似ているものもあるけど。やっぱり本物が作ってみたいんだ。勝手ながら構成物質も調べさせて貰ったけど。鋼に近いしなやかさを持っていて。かつそれ以上に硬質で強靭な耐久を持っていることが分かったんだ」

そういやあの骨、俺が初めてアラガミ化して出てきたよく分からん骨なんだよなぁ。

具体的には腕の骨が太刀くらいの長さになった感じ?

まぁ扱い易かったっちゃあ、扱い易かったんだけど。

 

「それにね。神機としての機能を持った特殊な刀なら、アラガミにもちゃんと対応できると思うし。君の構え方、データベースの中に残っている刀剣の扱い方に似ているからさ。神機並に上手く扱えると思うんだ」

どうかな?と目をキラキラと輝かせながらこちらを見てくる

そんなに綺麗な目でこっちを見ないでくれぇ!

心はおじさんでも身体はまだ健全な18歳なんだから!反応しちゃうから!

「具体的な構成は考えてあるのかい?」

「私のお願い、聞いてくれるのかい?」

「うん、まぁ俺もそれなりに手伝うからさ。欲しい材料とか俺が実地に行けるようになったらいつでも言ってよ」

「ありがとう!キミいい人だねやっぱり」

ま、眩しいくらい明るいなリッカ。

「どんな構成にするのかとか色々教えてよ。俺、整備の方も少し興味あるからさ」

「もちろん、そうと決まったら早速私の部屋に行こう!」

「あ、ちょっと」

リッカはそう言うと俺の手を引っ張って元気に走り出した。

 

 

────整備班・男衆

 

その日、整備班の男衆たちに二つの大きな話題が持ち上がった。

1つ目リッカが笑顔で『新型』の坊主とイチャついていたこと

「今日、リッカ嬢と例の『新型』の坊主が我々整備班の神機格納庫の方でイチャついているのを見た」

「なんて、うらやま…………けしからん奴だ『新型』坊主は敵だ!」

「「「そうだ、そうだ!」」」

「でもリッカ嬢の笑顔が見れたから俺は満足だ!」

「「「「「「お前も敵だ!オラァ!!」」」」」」

「ふべし!」

 

2つ目、『新型』のショートブレードが真っ二つにへし折れて帰って来たこと。

「あの新型坊主もう実地入ったのか?」

「いえ、流石にまだ2日目ですんで訓練所の方で雨宮三佐と神機の扱いに関する訓練をしてたみたいっすよ」

「どうしたらこんなに綺麗に割れんだよ。神機を訓練でぶっ壊したやつなんて初めて見たぞ」

「リッカ嬢が言うには神機を『()()』としてじゃなくて『()()』あるいは『相棒』として大事にしてくれるよこの人とは言ってたけど」

「あぁ、その言葉には信用に値するものがある。昨日帰って来た神機はピカピカに磨きあげられた状態で帰って来たからな。何よりリッカが言うんだ間違いねぇ」

「にしてもどんな速さで神機を振ったら、真空波なんて出せるんだろうな」

「雨宮教官殿の呟きでは100手前当たりで手が消えたそうです。一緒に訓練のモニターをしていた、オペレーターのヒバリさんからそんなことを呟いていたとか何とか」

「あの、雨宮三佐が見えなくなる程の速さか少し………いや、かなり気になるな」

「そうですね。彼が外で一体どんな生活を送っていたのかすごく気になります」

 

 

────劍華

「ぶェックション!!!」

なんだ?風邪でも引いたのか?それとも誰かに噂されてる?

…………なんか、なんとなくだけど後者の方が合ってる気がする。俺の顔殆どの人が知らないらしいから、その噂でもされてるのかな?

それだといいなぁ。

整備班の人達に今日のリッカとの噂をされるのだけは勘弁、神機を整備されなくなったら俺、困っちゃう。

 

「さてさて、続き続き。今日もサクッと『姉さん』書き上げるからな」

明かり灯る自室で黙々と女性の絵を描き上げる。

その女性は銀白色の髪を肩の当たりまでを伸ばしていて、白乳色の肌を持ち。腕や脚はすらっとしながらも、ハリを感じる事ができるような力を持っている。

その表情は柔らかく、見る者を魅力する様な妖艶さと何処か包容力を感じさせる()()瞳を持っている。

 

血の繋がりなどなかった。けれど人の姿を持ち一人この世界をさ迷っていた時に助けてくれたある家族の唯一の娘さん。

俺を暖かく迎えてくれた、俺より見た目少しお姉さんの女の子。精神年齢なんてこと言い出したら俺はもうとっくに50、60を超えている。

なのに、そんな俺をいつも守ってくれた。強い心を持つ女の子。

俺は姉として彼女を見ていた。

けど彼女は俺を男として見ていた。

 

自惚れるつもりは無いが『今』の俺は見た目かなり格好いいと思う。そうありたい、そうなりたいと願ったからこそ今の俺がある訳だが。

その見た目を抜きにしても彼女は俺を愛していたと。

俺は。神喰 劍華は。『神薙(かんなぎ) 夢唄(ゆう)』に愛されていたと断言しよう。

力があるのに守れなかった。助けられなかった。救えなかった。何も出来なかった。気づけなかった。

ただ俺に勇気が無かっただけだったのに。彼女は、()()()()俺を責めず。間に合わなかったのに『ありがとう』って。

心配してくれて。来てくれてありがとう。ってそう言って皆1人ずつ逝ってしまった。

 

だから俺は、()()()()()()()()()大事にしてる()()をもう二度と奪われることの無いように、心の中に仕舞い続ける。

 

 

 

 

心の奥に仕舞い込んで初めて気付いたことがある。本当は俺も────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────『夢唄(ゆう)』の事を愛してたんだって事に

 

 

 

 

 

 

 

 




最後のやっすいラブコメみたいなやつ何だよ!
と思った方がいらっしゃるのではないかなぁ〜と思っております。
語彙力の少ない雑魚作者の私にはこれが限界でした。ハイ

ちょこっと話の補足をしますと。
最初に教官が切れているのは『ショート』の剣先をへし折ったからですね。そりゃ怒るよなぁと書きながら思ったのは内緒です。

前回の話の中にも出てきた謎の女性『姉さん』
唐突に名前を明かして行くスタイルで読者の皆様混乱しそう。と思ったら内心焦って来ました。
彼女の見た目誰かに似ているような気がしますが。あの子に似てない?と思った方。多分その人です(テキトー)。ハイ

リッカとの絡みが少し欲しかったから書いていたのに、気がついたら増えていて私もびっくりです。
ちょっとやりたいことがございまして(グヘヘ)
あんまり書いてしまうとネタバレになってしまうのでお口チャックしておきます。(・-・)

と今回はこんなところでしょうか。
読んで頂いている皆様大変励みになります。これからも応援の程をよろしくお願いします。

以上ナメクジこと紫翠でした
それではまた次回お会いしましょう。( ´ ▽ ` )



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使いと4つと先輩と

大変長らくお待たせ致しました。
紫翠です。ナメクジです、ゴッドイーターです!
今回はいざ実地訓練へ!
ということで張り切って
(っ´∀`)っどうぞ


────エントランス

神機使いになって四日目、昨日まで訓練場の方で基礎技能の反復練習、応用方法の模索。

神機との短時間リンクと長時間リンクとの差を比較。など

短時間でかなり内容の詰まったことをしていた。

 

時間は有限だから大事に使わないと、亡くなった人達の分も長く幸せに。それが生きている人の義務だと思っているから

少なくとも俺はそうしたい。

 

………にしても遅せぇな上官殿。もう、かれこれ30分間ここで立ちっぱなしなんですけど、本当に足が棒になり始めて来たんですけど!?

 

「よう。悪いな新入り、榊のおっさんの話が長くてな」

飄々とした態度で現れた。俺より見た目年上の男性。

茶色のコートを着て、ほんのりタバコの香りが漂って来るその男性は。

なるほど、“強い”と思わせる瞳を持っている。

数多くの修羅場をくぐり抜けて来たのであろう。しかし、それを感じさせない先程のあの態度はそうとう心が強いのか。それとも既に心が壊れているのか。はたまたこちらに不要な緊張をさせまいと配慮しての行動なのか。………こんなこと考えても正直どうしようもないんだよなぁ〜

でも遅れた理由が榊博士か、なるほど、うん。

 

「なるほど、そういう事ですか」

この人の言おうとしている事が何となくわかった。分かってしまった。もうヤダ、アレだけは嫌だ。本当に

「そうか、分かってくれるか───ってお前さん適合率してからまだそんなに経ってないのにあの長話に付き合わされたのか!?」

「えぇ、まぁ。あれは確か2時間ほど?でしたかね」

「よく耐えた。凄いぞ新入り」

「はい、ありがとうございます」

全くもって嬉しくないんですけど!

 

「さてさて、遅れてしまった訳だが。今日からお前さんの直接的な上官として着くことになった。雨宮リンドウだ。よろしくな」

「はい、神喰 劍華です。よろしくお願いします」

「おう、ていうか何か緊張してないか?………って。ああそうか、お前さん初の実地訓練だから緊張してんのか」

その慧眼には感服せざるを得ないと言うか何と言うか………。

 

「はい、本当は緊張するべきではないと思うんですけどね」

「どうしてそう思うんだ?」

俺の呟きに対して、思った通りの……いや、思った以上に淡白な質問が飛んできた

「俺は『外』で暮らしてきた人間です。アラガミには他の人より慣れがあると言っても過言ではないです。『外』にいた俺がアラガミを殺すことに緊張するなんて、本当は緊張しない方がいいんじゃないかなって思うんです」

恥ずかしい話、緊張しているのは事実だ。リンドウにも言ったが俺は『外』いたんだ。その上、アラガミを()()()()()生き物だ。

だから、いまさら緊張するなんて方が、よっぽどおかしな話なんだ。

しかもほかの神機使い、オペレーターの人たちには気づかれないように。と極めて冷静に努めていたつもりだった。それなのにいとも簡単にこの()()は見破ってくれた。

 

全く、俺もまだまだ未熟者だよなぁ。

「そういうことか、全く若いのに随分としっかりしてんじゃねえか」

お前の方が若ぇぞ。とか言ってみたいな~

「お前さんはずっと外で暮らしてたんだろ?ならその緊張は当然のもんだ。今まで見つからないように隠れ、逃げて来た相手に対して、これから面と向かってぶち当たるんだ。だからその緊張は当然のもんだ、そう思っておけそのほうが気が楽になるだろう?」

とどこか楽しそうに話す俺の上官は、間違いなく極東最強であると俺に再認識させた。

 

――――リンドウ

 

長い会話………この場合は一方的な説明だな。

何を説明されてるかって?

 

一つ、単騎でのウロボロス討伐の祝いの言葉

二つ、ここ極東支部に新人が入った事

三つ、その新入りが『新型』で絶対に失うことのできない存在であること

四つ、じゃあ優秀な君のことだ何が言いたいのかわかるだろう?というお話

最後に支部長から「君に一任する」というありがた~いお言葉をいただいて、軽く項垂れた気分でエントランスで待っているという新入りのところに向かっている←今ここ

 

さて、そろそろエントランスだ

「気を引き締めていきますかね」

 

小さく呟いた言葉は誰の耳にも届いていなかったが、呟いた者の態度が飄々としたものに変わったのは誰が見ても明らかだった。

ドアが開きエントランスに入る。

「へぇ~」

どいつが新入りだ?と視界を巡らせる必要がなかった。

 

受付カウンター、その付近に立っていた“悠然を演じている”人物に()()()()目を惹かれた

そこにいたのは、今まで見たことのない人物で、考えるまでもなく。

「こいつが新入りだ」とそう知覚させられた。

 

その容姿は、俺より少しばかり低い身長。

肌の見えている部分からうっすらと見えている筋肉の起伏。

右に流すように、少し目にかかるように伸ばされた前髪、ほかの部分はおおよそ等しい長さに切りそろえられていて、清潔感も感じさせる。

対照的に目元は鋭く射抜くような瞳をしていて、怪我をしているであろうその右目には眼帯をしてる、どことなく眼帯に施されている『フェンリル』のマークと親近感を持たないようでもない、それくらい彼の持っている紅い左目がとてつもない野性味と掴みようのない()()()を持っているように思えた。

 

そして何よりも俺の目を引いたのは、その髪の色だ。

鮮やかに、視界で映えるその色は、燻った様な灰色を纏っているのにも関わらず、獣のような、アラガミのような。言いようのない力強さを持っていて、まるで“俺はここに居るぞ!”と月に向かって遠吠えをする狼のようで、幻想的な輝きの放つその髪の色は。

《銀》という一言で表すにはあまりに美しく、そして力強かった。

 

 

───贖罪の街

ここに来るのも何度目になんだろうなぁ。

幾度となくここでアラガミを狩ってきた、思えば初めて実地訓練をした時の場所は俺もここだった気がする。

あの時の姉上は怖かったなぁ。今でも覚えてる

 

さてさて、いい加減現実と向き合わないと。割と本気で怖かった思い出(トラウマ)を蒸し返し、現実に意識を引き戻す。

そして、チラッと後に指示を待ち大人しく待っている後輩の姿を見やる。さらに目が合う前にその視線を後輩から高速で外す。

 

逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……………

某決戦兵器搭乗員の主人公のセリフが頭の中でゲシュタルト崩壊を起こしかけている。

おかしい。俺は()()の実地訓練をしに来たんだよな?

その筈だ、姉上から直接内容を聞いた時だって───オウガテイルか問題なさそうだな〜。早めに切り上げてビール飲もう。

と思っていたくらいだ。

なのに─────

何故全身から噴き出すような勢いで殺気をあたり一面に撒き散らしている奴の実地訓練に付いていかなければ行けないのだろうか。

ねぇ、君さっきまでガチガチに緊張してたよね?

俺とも少しぎこちない感じで話してたよね?

それがどうして現地についた瞬間に「オウガテイルか、はハッ喰い散らかしやんよ!」って。

怖ぇよ!姉上に引けを取らないくらい怖かったぞ。

豹変するゴッドイーターって流行ってんのか!?この前だって台場 カノンって子がこんな感じだって聞いたぞ。怖ぇどうすんだよこんな奴。

 

リンドウの胃がキリキリと痛み始めるのもそう遠い話では無かったのは別の話。

 

「さ、さて。そろそろ作戦時間だ。気を引き締めていけ」

「……了解」

殺気が増してないか?周囲がちゃんと見えてるのだろうか。

「命令は3つだ。死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。運が良けりゃスキをついてぶっ殺せ。……ってこれじゃ4つか?」

「ふふ、そうですね」

「───!?」

新人がこの程度のことでウケたことにびっくりしたがそれ以上にさっきまでのおぞましい量の殺気が。今では止水の様にひっそりとなりを潜めている。その事実にものすごく安心した。

 

アレはアラガミに対しての憎悪だろうな。『外』で、多くの人を失って来たんだろう。それが全て出たらあんな風に………やっぱりしっかり見ていてやらねぇとな。

 

「兎に角、命令は以上だ。相手はオウガテイル三体、バックアップはしてやる。一人でやれるか?」

「ええ、大丈夫ですよ。行ってきます」

そう言うと劍華は振り返りもせずにオウガテイルに向かって行った。

さて、俺も行きますか

バッ!!と丘を飛び降り着地と同時に

 

ドチャァァアア!

真横にオウガテイルの()()が吹き飛んできた。

「んだよ、アレ。本当に同じゴッドイーターなのかよ!?」

 

飛び降りた先で見た光景は。

神機にまだ触れて間もない新入とは思えないほど鮮やかで、圧倒的で、悠然としていて、何より他の神機使いと比較するまでも無くアラガミを一方的に蹂躙している者が視界に映る。

 

首だけ残ったオウガテイルはまだ慣性によってその場に留まっているにも関わらず、横の一体のオウガテイルに対して迷わず『ロングブレード』の刀身を突き立てる。

もう一体のオウガテイルが劍華に向かって突進をしようとするが後回し蹴りが落下し始めたオウガテイルの首にクリティカルヒット。

意思を持っているかの様に突進して来たオウガテイルテイルの顔に『首』のキバが突き刺さる。

対して劍華は蹴った勢いそのままに『ブレード』を振り抜き、近くにいたオウガテイルの横腹に真一文字の傷を付ける

回転は止まることなく神機が切りつけたオウガテイル正面に向かって行ったかと思うと。────ズパッ!という肉を断ったと思えないほど軽快な音とともに

コア手前の辺りまでオウガテイルを一瞬で切り裂いた

 

────グォォォオオオオ!!!

もう一体のオウガテイルが突き刺さった首を振りほどいたらしい。

怒りに近い反応で劍華に突っ込んで行く。

さて、どうする?

今あいつはコアの捕食中だ。このまま気が付かなければ突進で吹き飛ぶか喰われて死ぬか。

気づいてなさそうだな………しょうがないサポート行きますか。

 

俺がフォローに回ろうと踏み出したその瞬間。

 

─────スパッ!

 

おかしな光景を目に焼き付ける事になった。

まるで野菜でも切るかの様に自然な流れで、俺ですら剣筋を捉えきれない位の速さで『ロングブレード』を()()で振り抜いた。

先程まで捕食をしていたのにも関わらずにだ。

 

正直自分の目を疑った。

最初に飛んできたオウガテイルだってそうだ。

何故なら、()()()残ったオウガテイルがその場に落下したから。

 

なら胴体は、と言うと。

空中、それも劍華の真上だ。

当の本人は真上からオウガテイルの胴体が降って来ていることに目もくれずに神機を捕食形態(プレデターフォーム)に移行させていた。

 

─────グググッ

 

至って普通の、と言いたくなるような『ロング』の捕食形態。

けれども「少し大きくねぇか?そのサイズ」俺らのよく知る捕食形態よりも一回りか二回り程大きくなった捕食形態。

 

十分に溜めきったのか神機を捕食形態のまま上に向けると───

 

─────バクン!!

 

オウガテイルの胴体を血の一滴も残さずに喰い尽くした。

 

しばらく呆ける様に劍華を見つめていたが、劍華がこちらに振り返った時に初めて気付いた。

何時浴びたのか劍華の右半身に返り血がベッタリと張り付いているのだ。それだけだったらまだ「シミになる前にふいとけとよ」で終わるのだろうが─────

 

「ミッションコンプリート、ご馳走様でした」

 

何故かこのセリフを聞いただけなのに、全身を虫に這いずり回られた様な凄まじい嫌悪感と寒気に襲われた。

ウロボロスと相対した時よりもビビってるなんて、俺もやきが回ったかね?

 

「終わりました。ってうん?どうしたんですか?顔色悪いですよリンドウさん」

「ああ、いや。何でもない、自分が初めての実地訓練に出た時の事を思い出してな?それと、ほれ」

「うおっと。タオル?ですか」

「そうだ。右側返り血で汚れてるからシミになる前に拭いとけよ」

「そうですね。ありがとうございます、リンドウさん」

そう言うとグシグシと顔を拭き始めた。

こうして見ると、ただの好青年何だけどなぁ。タバコを吹かしながらそんな事を思った。

 

そういや、コイツの履歴書……だったか?顔写真付いてなかったんだよなぁ。特技の欄に居合い、抜刀術、刀剣術って書いてあるのは伊達じゃないな。はて、苦手なものって何が書いあったんだけなぁ?

 

思い出そうとするとモヤが掛かったかのように隠れてしまった。

まぁいいか、後で帰って履歴書見れば。

 

「よーし、綺麗になったなそれじゃ帰るぞ」

「了解」

「帰り道は反省会だからな〜」

「反省会ですか?」

何ですか?それと言いたげな顔だねぇ

「上官の俺から客観的に見た目アドバイスだ。聞いておいて損はないだろう?」

「なるほど、お手柔らかにお願いします!」

「その意気だ、早く背中を預けられるくらいに強くなってくれよ?」

「はい!」

 

───帰路with劍華

 

軍用車両でアナグラへ向かって帰還中だ。

リンドウから言われたことは、簡潔にまとめてしまえば。

文句なしのゴッドイーターだそうだ。

 

新人とは思えない程戦闘慣れしていて、なおかつ初の実地訓練で三体のオウガテイルを一方的に蹂躙して終わるという結果を出せばそんなもんだ。と言われた。

ただ改善できるなら、なるべく返り血を浴びずに倒すようにとも言われた。

確かに返り血を浴びると視界が塞がれたり、服にシミが残ったりなど、余りいい事がない。そういう点ですごく納得がいった。

 

それとリンドウにバレていなければいいのだが。捕食欲求が抑えられなくて4()()いたオウガテイルを一体食ってしまったそのせいで顔の右半分が血だらけになってしまった。実際には右半身だったのだが………そこはリンドウに渡されたタオルのおかげで綺麗に出来た。

顔を重点的に吹いたのは口元に肉がこびりついていた場合を考慮してだ。

 

とりあえず初の実地は成功に終わった。

帰ったらまた姉さんの絵を描こうそうすればこの空腹(欲求)も収まるだろ。

 

そんな事を考えながら俺は、俺たち二人+αは帰路に着いた。

 

余談だが、リンドウは終始俺が気になるのか。すごいチラチラ見てきた。アナグラが見えてきた所で、俺の戦闘スタイルやら豹変したような性格について質問してきた。

あなた今までそんなこと考えてたのか。と思うくらい簡単な質問ばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前書きのハイテンションは気にしないで下さい。
深夜テンションなんです。
中々時間が取れずに何時も投稿日の間隔や文の長さもまちまちになってしまいがちですが色々な方に読んで頂いて、ナメクジ嬉しくて干からびそうです。

それとひとつご報告が。なんと、この作品の元として使っていたゴッドイーターリザレクションを紛失しました。
家が汚くてですね。掃除する時間もうまく取れていないのが現状で…………まぁ、仮に時間があってもしないんですけどね。
とまぁ下らないあとがきになってしまいましたが。

何時も読んで下さる読者の皆様に感謝を述べて締めたいと思います。
「ありがとうございます。また次回お会いしましょう」
( ´ ▽ ` )ノシ


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使いと狙撃と化物と

ノリで書いたので誤字脱字多いと思われますが目を瞑ってやって下さい。
それから、今更ながらでございますがゴッドイーター3を買いました。
フィムが可愛すぎるんですが。
パパってもっと呼んでくれぇ!!と叫びました。(大嘘

取り敢えずナメクジクソ野郎なので更新ペースはゲリラだと思って頂ければストレスフリーだと思われます。そもそもこの作品を待ってる方がいらっしゃるのだろうか。いらっしゃったらごめんなさいノロマで。

それとキャラ崩壊がちょくちょく出てきますのでダメだなと思った瞬間にブラバでお願いします。

長々と失礼しました。では
どぞ(っ´∀`)っ


この間の作戦以来リンドウとチームを組んでミッション参加はしなかった。

なんでも色々な人の戦闘を見て、経験にした方がお前の為になりそうだ。とかいう理由で別の二人と組むことになった。正確には三人になるはずたった。内容的に問題は無かったとおもう。思いたい。

ちなみに別の三人っていうのはサクヤ、ソーマ、エリックの事だ。

 

サクヤさんと───

「あら、あなたね?噂の新人くん」

「え?あ、はい神喰 劍華ですよろしくお願いします。もしかしてサクヤさんって貴女の事ですか」

サクヤさんとはまぁ、こんな風に声をかけられる形で任務が始まった

 

「全くリンドウったら本当に何も説明しなかったのね。目立つから説明しなくてもお前ならすぐ分かるとは言ってたけど。───まぁ確かに目立つわねあなた」

「ん?」

「うふふ、気にしないで。さぁ出るわよもうすぐ作戦時間だもの」

「了解です」

サクヤさんのどこか含んだ様な言い方に少し引っかかる所はあったけど特に気にはしなかった。本人も言う気なさそうだったし

〜移動中〜

「劔華であってたかしら、あなた凄く強いんですって?」

「はぁ、そうなんですかね?自分ではそんなつもりはないんですけど。リンドウさんから何か聞いてたりするんですか?」

「あら、わかる?」

「まぁ、直属の上司ですしあの人それなりに情報くらい教えてるんじゃないのかなーと」

「そうね〜、普通の上官だったら細かく教えてくれるんでしょうけどね。あの人君の事こんな風に言ってたわよ『見ればわかるこいつが新人だって、戦い方は正直言うことないなむしろ教えて欲しいくらいだ』って」

「うっ、面と向かって言われると結構恥ずかしいですね」

「結構喋るって言ってたんだけどそこまで口数多い方じゃなかったりするの?」

「ああ、いえ。サクヤさんって綺麗な人じゃないですか。だから話すの緊張するって言うかなんかしっかりしたお姉さんって感じがするなって思って」

「あら、見た目に寄らず結構恥ずかしがり屋なのね。うふふ」

作戦始まるまでこんな風にずっと雑談してた。本当にすごい人達だ第一部隊の人達は。こちらの緊張を解してくれる。

 

作戦内容はザイゴートの討伐それ自体でも結構楽な内容だ。

それからサクヤさんに「緊張する必要はないしサポートはするから自由にやって構わない」との事。これが1番緊張が解れた。

 

〜作戦開始〜

『お二人共、バイタル安定何時でも作戦開始して構いません、ご武運を。無茶しないで下さいね、劔華さん』

そしてこれが1番大きく変わったこと前回では()()()いなかったヒバリさんが今回はモニターしてくれるのだ

「了解です、ヒバリさんオペレーターお願いしますね……行きます────ラァ!

『はい、と言っても普段は部隊での行動をモニター、オペレーティングしているので劔華さんに固定で入ると言うことはなかなか難しいかもしれませんが。今回からよろしくお願いしますね』

「ヒバリちゃんいつもありがとね。大変でしょ各部隊ごとにオペレーティングなんて。まぁ、この子も第一部隊所属になるだろうし長い付き合いになると思うからよろしくね」

『はい、で作戦なんですけど………』

「ああ、ごめんなさい劔華────あれ?」

『すみません、サクヤさんもう終わっちゃってます』

「えっ?」

「作戦行動終了。サクヤさん終わりました」

「えぇ?」

『「作戦終了です」』

「えぇぇぇぇぇぇー!?」

「どうでしたか?サクヤさん」

「ごめんなさい見てなかったわ。ねぇヒバリちゃん、あなたこの子のモニタリングしてた?」

そんなァ!美人の前だから張り切って頑張ったのに───( ´・ω・`)シュン

『え、えぇ。一応小型アラガミの群れに一度発砲、その後スタングレネードを使ったと思われるのですが群れの一部の行動が停止。停止しなかったアラガミを正確にしかも一撃で反応消滅させています。それから2秒後残った群れを3秒未満で掃討しています。ちょっと現場に出て実際にどんな動きをしているのか見てみたいとも思いました』

「ごめんなさい劔華、あなたかなり強いのね。私たちより遥かに強いんじゃないかしら」

「そんなことありませんでございますよ?」

「………ともあれ作戦終了。帰りましょうか」

帰り道で戦闘技能の事についてや、実際にどんな立ち回りをしたのか聞かれた。あとは世間話とか色々。

まぁこんな日があってもいいか。とその時は思った。

帰ってからサクヤさんの奢りで幾つか缶ビール貰った、なんでも作戦の時のお詫びだとか、もう気にしてないのに。

その日もいつもの様に姉さんを描いた。満面の笑みだった。

こんな顔見たのいつ以来だっただろうか。ああ、今日は昨日よりずっと大変だった。綺麗な女性が目の前にいるとあの日を思い出してしまう。

俺が『夢唄』を失ってからどれくらいの時が経ったっけ?凄く遠い昔のことだったような気もするし、つい最近だった様な気もする。………ダメだな、今夜は眠れそうにない。

そうだ貰ったビールがある久々に飲むか、これもいつ以来だろう姉さんと飲んだのが最後だよな………我ながらシスコンかよ気持ちわりぃ。分かってんだけどなぁ

初恋………早く忘れないかな───ってこんな絵描いてる時点で忘れるのは無理か。

ああ、今日は月が綺麗だな。

綺麗な三日月だ。ビールも美味い。

姉さん()()あんたに見えてるか?

明日も作戦はある、眠くはないけど早く寝よう。

そうして昨日を終えた。

 

そして今日。

「え、今日の作戦って3人じゃありませんでしたか?」

「まぁな、その予定だったらしいんだが……ッたく何してんだアイツ」

エリックなんと作戦に参加しなかったのである。

なんでも昨日貰った謎のジュースなるものを飲んで腹を下したらしい。

ソーマと合流して数十分後にその連絡が届いた

おかしい、その差し入れは俺のおすすめ

カレーおしるこトウモロコシ果汁配合エナジードリンクリンゴ味のはず何故だ。美味しいのに……

ちなみに配合して作ったのは俺だ。缶の自作は難しかったから博士に手伝って貰った何に使うのかと聞かれたが料理ですとにこやかに答えた瞬間博士に何か良くない影響を与えた気がした。

誰も被害に会いませんように そう心の中で呟いた

「まぁいい新入り行くぞ今回は俺たち二人だけだ。着いてこなくてもいいがな」

「ん?行くに決まってるじゃないですかソーマさん」

「……ソーマでいい。それとあまり俺に関わるな。早死したくなければな」

「それこそ意味が分かりませんね。作戦行くんでしょう?ならさっさと雑魚の排除してご飯食べましょうよ」

「……………ああ」

凄く不服そうな声がしたけどまぁいいか。

〜移動中〜

「今回の対象はドレッドパイクとオウガテイルだ。お前の言うように確かに雑魚だ。だがそんな雑魚でも怪我人や下手をすれば死人がでる。あまり油断するなよ」

「了解です。ソーマ…さんは優しいんですね」

「なに?」

「だって態々空気を張り詰めさせてこちらが雑魚だと高を括らない様に緊張感を持たさてくれているんでしょう?」

「いや、そんなつもりはない」

「もしかしてツン───」

ツンデレ、そう言いかけたところで首元でバスターソードを止められた。

「お前それ以上言ったら飛ばすぞ」

なるほどツンデレは地雷これはひとつ学んだぞ

「失礼しました、それでソーマさんは─「ソーマでいい、というか名前も憶えなくていい」じゃあソーマ」

「お前なぁ」

「なんでみんなに化け物って呼ばれてんの?」

「──っ!」

「初対面でズケズケと申し訳ないとは思ってるけどこれだけは確認しておかないと。不親切な奴にさっき言われたんだよ。『お前あの死神と関わらない方がいいぞ』って。ねぇ、死神ってどういう事?なんで化け物なの?」

言うまで目を逸らさない、彼は溜め込み過ぎている

俺はそう思う爆発してからじゃ遅い。()()と会ったときもっと柔らかで暖かい反応を示せる様に今から変えてやる!

「…………俺は他よりも適合率が高い。その上俺は偏食因子を持って生まれた存在だ。よく知らないけど俺が産まれた時に母さんが死んだらしい。そのせいでクソ親父も俺を恨んでる、母さんだってきっと「それは無い」どうしてそんなことが言える!?」

「だってソーマ。アンタがここにいるだろ?アンタが産まれることを拒んだとしても必ずお前の母さんはお前を産んだはずだ!たとえそれで自分が死ぬと分かっていても。そりゃ覚悟していても怖かっただろうし、苦しかったはずだ。アンタの母さんが命張って繋いでくれたんだぞ。その命をバカにする奴がいるならそんなやつ俺が全員殴り飛ばしてやる。生きる事をアンタが望んでいなくてもアンタの母さんは望んでいたはずだ!生きる意味が分からないなら見つければいい見つかるまでは望まれたからでもいいじゃねぇか!あんたには生きる事義務がある亡くなった人達の分も幸せになる権利がある。それを外野に言われた程度で手放すなよ」

「でも俺と一緒に作戦に参加するやつは大抵死ぬ」

「それはこんな世界だ。弱いやつが悪い。死にたくなかったら強くなるしかない。たとえ弱くて死んでしまったとしてもそれを次に繋ぐ事が出来たのなら無駄死にになんてなってないまた続く続けられる。意思が続けばきっと自分は死んでも自分の在り方は続いて行くだから大丈夫だ」

「だがそれでも弱いやつはいるぞ」

「なら強くすればいい、弱いのならば鍛えてやればなんとかなる。俺はそう思う。強くなりたくないのならだけど。護りたいものがないのから、食われて死んでもいいのなら勝手にしろって俺は言うね」

「そうかお前は俺を化───「ソーマでいいんだろ」ああよろしく頼む新…………すまん名前聞いてなかったな」

「いい話っぽかったのに台無しだよ!?」

「ふっすまない」

「劔華だよ劔華。神喰 劔華それが俺の名前」

「よろしくな劔華」

「なんか凄く説教臭くなったけどこちらこそよろしくソーマ」

 

「あぁ、なんだかんだ長話している間に着いたみたいだしな」

『しくしく』

ん?ヒバリちゃんの声?

『劔華さんあなた凄くいい人ですね、うぅわだじ、感動じまじた』

「あれ?聞こえてた?」

「オイ、お前まさかオープン回線開いたまま、あの会話してた訳じゃないだろうな?」

「オ、オープン回線?」

『はい、言い忘れていましたが劔華さんをモニターする時は基本オープン回線を使っていますそうでないとデータが追いつかないと言うのと基本的に音が拾えなくなってしまうので』

「つまり?」

『お前たち二人の会話は第一部隊ならびに今ここでモニターしているもの全員に聞こえてたいたということだ』

「雨宮三佐!?」

「劔華………お前…………やっぱり飛ばす」

「ひぃ!?そ、ソーマごめん話せば分かる、そう。話せば分かるから!?」

「何がわかるって?」

「ここは作戦場所つまりアラガミが来る。そう、いままさにオウガテイルに囲まれてるんだけどぉ!?」

「問題ない、ドゥオオオリャア!!」

『範囲回転攻撃によりアラガミの群れ消失を確認残り三体です』

「もう群れはいないなさぁどうする?」

「お、俺も狩ってきます!」

バッ!と神器を回収し一呼吸で2体刻んでコアを捕食

捕食状態から神機が通常状態に戻る間に息を整え残った一体に

目前で立ち止まり目標を両断する。但しコアを壊さないようにそしてむき出しになったコアを捕食する

「ミッションコンプリート。ご馳走様でした」

『両人ともバイタル安定お疲れ様でした。これにてミッション終了です。気を付けて帰ってきてくださいね。特に劔華さんは』

「うぉおおおやめろソーマ。こっちに向かってバスターソードを振り回すなぁ!」

「うるせぇ───ふんっ!」

チャージクラッシュは不味いって!しかもチャージしてないし!

すんでのところでシールド展開が間に合い防ぐことは出来たが

「ぬおおおおあああ!」

間に合ったぁ!けど重い!

チャージクラッシュ自体はそれほど長続きする攻撃じゃなかったからガードには苦労しなかった。それに大して疲れてもいない。

大袈裟な反応でじゃれ合ってるだけだ。ソーマはどうか知らんけど。

「ひぃ、ひぃ。耐えきったぞコラ。チャージクラッシュはずりぃだろ」

「ガードしきった癖に何を言う……帰るぞ帰りはお前の話を聞かせろ、外での話少しは少し気になる」

「もちろん。どこから話すか、俺には彼女が沢山いたって話からするか!?」

『おい、劔華それほんとか!?おれ、俺にも作り方教えてくれよ!?』

oh…違うやつが食い付いた

『馬鹿者そんなくだらん事にオープン回線を使うな、今この場にいる全員と第一部隊の面々には聞こえてるんだぞ。さっきも言っただろう』

『ヒイイイイ。ごめんなさいぃ!じゃ、じゃあな劔華また今度その話聞かせてくれよな!』

『いいからさっさと訓練に戻れ馬鹿者!!』

『はいぃっ!!』

予想外に外野が盛り上がってしまった。あとコウタ訓練抜け出して何してたのよ

「冗談だったのにまともに食い付くやつが現れるとは思わなかった」

「ふん、馬鹿だな」

「おっ、あくまでもクールに行きますかソーマ君。そんなあなたに外の世界のお話をして差しあげようではないか。ふふん」

「いや、やっぱり辞めておく」

「なんでや!」

「お前の態度がウザイ」

「そんな馬鹿な、こんな真面目ちゃんがウザイだなんて、ソーマちゃんひど──ごめんなさいちゃんとします、はい。」

無言の圧と、バスターソードを首に当てないで!!怖いから

首切り落とされた程度じゃ死なないけどさ。

怖いものは怖いから!!

 

「まぁそうだな〜。何から話そうか、何を話そうかって事なんだけど。外にいる人間は弱いよ。アンタらアナグラにいたゴッドイーターや人間達よりずっと弱い」

「そうか?お前のあの立ち回りといい戦闘のセンスは──「それは一部の例外俺が特別なだけ」そうか」

「そう、というかそもそも分かるだろうが。あの中に入れる人間はごく僅かテストに受かった人間とその血縁者だけ。たとえ家族であっても血縁が無ければ入れないそういう場所だろ?」

「そうだったな、それは俺たちにもわかる」

「俺はその中のひとつのコロニーに拾ってもらった人を養う余裕なんてないのに馬鹿な人達だよ。男性も女性も関係なしに手を取り合ってまとまって行こうっていう理想的なコロニーさ、勿論反対した奴もいる。そういう奴は最低限の食糧を持たせてコロニーから追い出す、そういう決まりのある厳しさもある場所だった。酷いとか言うなよやってることはフェンリルとなんら変わりないんだからね」

あの頃は本当に楽しかった。ガキどもと馬鹿騒ぎしたり大人に混じって競い合ったり、女性陣に囲まれて料理したり。本当に……本当に楽しかった。

「そんなコロニーの中で俺の役割は囮だ」

エッ!そんな雰囲気も言うか声に出した人が何人かいた。ヒバリさんとサクヤさんは分かりやすかった。ソーマは冷たいな。雨宮姉弟は口には出さなかったけど息が詰まったらしい。コウタは……返事がないただの屍のようだ。

「そんなに驚かなくても。やることは単純探索の範囲を決めてその周辺にいるアラガミを挑発して焚き付けるそれらを引き付けて遠くまで行くのが俺の仕事。なんでアラガミ共に対して対処が的確なのかもこれでよく分かったでしょ?それにこの役割は俺が自分で買って出たもの、誰かに押し付けられたわけじゃない。そこは安心してもらって構わないよ」

半分本当、半分嘘。

囮を引き受けたのは本当、自分から名乗りあげたのも本当、アラガミに対して的確に対処できるのは俺がプレイヤーだったから、それとアラガミを喰らい続けていたから。囮をしていたから的確に対処できるようになったなんて嘘だ。そんなことする前に普通は死ぬ事実それで何人もが死んだ。護れなかった手が届く距離で死んだやつもいる。助けられなかったやつの分だけ悔しさも楽しみも持っていた。そいつらも喰った。喰って一緒に背負うことにした。これが本当

「辛いことも勿論あったぞ。食糧とか食べ物が少ないだとか、食いもんが不味いとか───『ハハッ、それじゃあ全部食いもんじゃねえか』バレましたか、美味しいものを食べないとやっぱり気分下がるじゃないですか、まぁそのあと色々あっても今ここにいるんですけど」

「俺としてはその色々というのが気になるがまぁいい。また次回聞くことにする。今日はもう終わりだ帰って寝ろ。報告書は出しておく」

「あれ?もうアナグラ着いたの?そっかじゃあ今回はお開きということで、またおしゃべりしようぜソーマ」

「俺は喋ってないぞ、殆どお前一人で喋り通しただけだろ」

そんな馬鹿なそんなに1人で喋っててたのか。ガックシorz

これではおしゃべりさんと呼ばれてしまう

『劔華、貴様は見た目のクールさに合わずによく喋るな』

「あ、雨宮三佐まで………」

チーン、そうですか俺はおしゃべりモンスターですか。そうですか。

と神機を返した後項垂れながらで自室に戻った。

「ただいま姉さん。今日はクールに描き上げようか」

部屋に入って直ぐに着替える。(彼女)を描くために。

着ていたものを洗濯機に放り込み、汗と返り血を洗い落とす。

髪を乾かしたら横の髪を後ろの髪と合わせて1つに纏める。

そうして筆を取り彼女を描く。

一本一本丁寧に、彼女がそこにいるかの様に立体的に魅せる、美しく魅せる、俺のなかに残る彼女を形として残しておくために。

集中しよう。余計な思考(食欲)は切り捨てる、そのために描く絵なのだから。

 

今日描きあげたのは

クールに、だけど柔らかに微笑む彼女、ロケットの中の家族写真の時ほど微笑みを浮かべている訳では無いものの、慈愛、親愛、友愛を感じる微笑み。決して誰かを貶める為の笑いではなく。思いのこもった。愛のある。どこまでも格好いい微笑み。

あー、どこかのツンデレクールイケメンよりも心に響く笑顔だね。素晴らしい。……あくまでも俺視点だけど。

 

さて、今日のお仕事お終い。

エリックいつ復活できるかな。

次は一緒に仕事したいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがきにて補足という禁断とも思われる行為を行うのを御容赦くだされ。どっかに説明挟もうと思ってたら気がついたら流れに流れて終わってたもんでして。

ソーマについてです。普通あんなだる絡みをしたらもっと激昂します。
激昂じゃなくとも鬱陶しがるか怒ります。俺でも怒ります。
ソーマは一応偏食因子がアラガミに近いので、劔華がリンクを使って感情をずっと安定化させ続けて話を聞かせ続けていたという状況です。
まぁリンクという前提で多少なり劔華の自由にできるので好き勝手いじってた所があります。なのでそれが今後のストーリーでどんな感じで爆発するのかをご覧いただければ幸いです。
それ以前にそこまで到達すんのかよとツッコミが飛んできそうではありますが。

えー、取り敢えず今回は以上になります。
珍しく創作意欲もまとまった休みがないこともないので、ちまちまかけたら書いていこうと思います。ではまた次回お会いしましょう。
追記、半分寝ながら書いているので後で見直して書き直すかも知れませんあとがきは特に
それじゃあ( ´ ▽ ` )ノ




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使いと同期ともう1人

あけましておめでとうございます
そして安定のナメクジ更新の紫翠でございます
今年も私の稚拙な作品をよろしくお願いします
さて挨拶もこのくらいでスパッと切って


(っ´∀`)っどぞ


先日のソーマとのミッションで作戦に参加しなかったエリックだが、5日程腹を下してトイレとお友達になっていたらしい。

昨日にこやかにその話をされて苦笑した。

なんでも、その日は格好いい所を見せようと張り切っていたらしいのにお腹は下すし、ソーマから聞いた話で自分よりも遥かに強いと思ったらしく。ちょっと自信を無くしてしまったんだとか。。

元々地の強さがあるのだろう。ソーマともよくチームを組んで作戦に参加しているらしいので対外的にもかなりの強さだ。

俺からしてみればゲームのイベントで強制退去させられなければ第一部隊に匹敵するレベルと思える。まぁ、軽い差し入れのつもりで送った物がまさか普通のゴッドイーターには劇薬だったなんて思いもしなかった。ちゃんと味見したんだけどな?

あれ以来何故か索敵範囲とアラガミ感知能力が上がったらしく。不意打ちにはめっぽう強くなったとか。

第一世代神機でブラストを使うエリックとしてはかなり有用な能力になるだろう。今後の成長に期待だ。

因みに性格も落ち着いたのか、ナルシスト然としたキャラではなく紳士的で真面目っ()()雰囲気だった

見た目と喋り方と態度はともかく、話す内容の所々に教養の高さを感じたしその上、他人。特に年下に対しての対処、接し方に着いて結構熟知している。妹いるからな、そういうの得意なんだろう。

エリナはまだ小さいからゴッドイーターではないが、将来はお兄ちゃんと一緒にアラガミを倒すんだ!と微笑ましく話して回っていたのはつい今朝の事だ。エリック顔真っ赤で面白かったな、ただやっぱりプライドは高かったああ言うを高潔って言うんだろうか。俺にはわからん

 

……さてそれじゃああの微笑ましい生活を守るために今日もお仕事行きますか

 

────

「劍華じゃん、そっか今日のミッションお前となんだっけ?」

「昨日雨宮三佐に言われてたじゃん覚えとけよ」

「ゴメンゴメン。バガラリー見たかったから流して聞いてたよ」

「それ、雨宮三佐に言ってやろうか」

「ヒイイイイ!!なんて恐ろしいことを!?」

そんなに怖いか雨宮三佐。まぁ確かにこの目を撃ち抜いたおっそろしいゴッドイーターだけどさ、今もう引退してるからなぁ

厳しさがあるって言うのはそれだけ俺たちに死んで欲しくないって事だし、そんな思いを背負う程多くの人を失って来たって事だしな。

 

「そういやその眼帯なんで付けてんの?」

おっと、無意識で触ってたか

「理由があるっちゃあるんだけど───ほら」

「おぉ、すっげーきれーな色してんのな。確かに紅い目の方が髪と合ってて格好いい感じもするけどさ。そっちの金色の瞳も何かすげーって感じていいと思う。でもなんで隠すんだ?」

綺麗……か、久しぶりに言われたなそんなこと

「オッドアイってだけでからかわれる事があるし、何かと気味悪がられるんだよ。普通の人からしたら特に、あと瞳に縦スリットが入ってるだろ?コレが良く思われないんだよ」

「そっかー、俺は別に格好いいと思うけどな。そのオッドアイ。それに両眼見えてた方が見えやすいでしょ。まぁ無理にとは言わないけど俺はない方がいいと思うなー」

「久々に言われたよこの目が綺麗で格好いいなんて、ありがとう。眼帯外すよ、コウタの言う通り両眼で見てた方がよく見える死角も減るし」

「うん、それじゃあ行こうか。話してるウチに時間になっちゃった」

「今回の討伐対象はコンゴウ、中型種だし警戒すべき攻撃も分かってるから、特に問題もないかな」

「おお、勉強してるね〜。俺、馬鹿だからさそういうの教えてくれると助かる」

「OK、じゃ移動しながら説明しようか」

「おねがいするよ」

 

〜移動中〜

 

着いた、ここは……まぁ相変わらずの寒さだな、そんなに気にはならないけど、ここはそういう場所だし。ただ……

「ブエェックシ!!」

「流石にその格好は寒いだろ」

「うん、ざぶい」

ここは雪が振り続けるクソ寒い土地、にも関わらず。

ノンスリーブ、へそ出し、短パン。

マフラーは付けてはいるけどそれはあんまり意味がないだろ〜と思った。それ以外がダメすぎる。と言ってもここに数回来ればというか少し時間が経てばこの環境にも慣れる。俺たちゴッドイーターはそういう存在だ。

 

「あ、ちょっと慣れてきた。それで作戦はさっき言った通りでいいの?劍華が前衛、俺が補助でいいんだよね」

「そう。俺は近接武器が使えるから、基本的にやつの気を引くからコウタは隙を着いて銃で攻撃、誤射はコウタを信頼してないと思っておくよ」

「うっ、何か俺にプレッシャーかけてない?」

「そんなことはないぞ?」

「疑問形かよ!」

『お二人共、談笑している所失礼しますが、対象のアラガミ発見しました。接敵次第討伐をお願いします。あ、コアの回収も忘れないで下さいね』

「「了解」」

「目標視認、出ます」

「り、りょうか───はやっ……すげぇよお前」

一瞬、経った一瞬それだけでも命のやり取りをする世界で生死を分けるであろう判断。コウタは止まり、劍華は動いた。この差はいずれ大きく現れるだろうがそれはこのままでの話し、直ぐに神機を構え直し照準を合わせながらコウタはコンゴウに目を向けた。

 

コンゴウに向かって走る、ただのブレードだと耐久性にかける。だから基本的には尾を集中的に狙って削って行きたい。

けどそんな余裕はないし、何よりコウタに注意が向きやすい。だからここは正面突破で一発叩き込む。

「ラァァ!!」

グーでコンゴウの顔面に一発

鉄板を殴ってる気分だ。流石にダメージはない、が

一瞬怯む、捕食行動に移るまもなく目の前に急に現れた俺に対して一歩引いた。その隙に左手に握っていたブレードを顔面に向かって振り下ろす、ブレードはコンゴウの頭に突き刺さり止まる。

面が裂けるような音と同時に肉の破れ抉れる音が、そして何よりコンゴウの小さくない悲鳴がその場に広がる

「コウタ!」

「了解!」

コウタに合図を出すのと同時にブレードを引き抜きながら飛び、空中で一回転しコンゴウをブレードで切りつけながら背後に立つ。

 

ガシュンガシュン。と言う音が分かりやすいだろうか。一定の間隔で的確に狙い撃ってるみたいだ。流石にどこに当ててるかまでは分からないけど多分さっきの顔めがけてかな。

 

コウタは合図通り撃ち続けてくれているらしい。なら

立った位置から時計回りに回転しコンゴウの尾を切り飛ばす。

そしてヤツの意識をこちらに逸らす。ここで回転して攻撃をしてくるようなら回避しないといけないけど、そんなこともなく。こちらに向かって向きを変えただけ。

それなら

「チェックメイト、喰らえ!!」

他の神機使いよりも大きな捕食形態でコンゴウを一飲みにする。コアごと肉体は捕食させてしまえばいいだろう。

どうせ後でコアは回収される。なら肉体は消滅する前にこちらで頂いてしまおう、その方が神機と俺のためになる。

「ミッションコンプリート、ご馳走様でした」

 

────

「すげー、すげーよ劍華お前めちゃくちゃ強いじゃん!実はさ俺、今回が初めての中型だったんだけど。正直怖くて、でも劍華全然落ち着いてるから、俺も頑張ろうって思ったんだ。そんで作戦始まってもくだらない世間話に付き合ってくれてさ、実際コンゴウが目の前でてきた時だって少し怯んじゃってさ。動けなかったんだ。それなのにお前真っ直ぐ向かってってコンゴウの顔面殴ってさ。なんて言うかさ……格好良かったありがとう。俺もお陰で頑張れたまた一緒にミッション行こうな」

「おう、こちらこそ。また一緒にミッションに付き合ってくれるとありがたいよ」

真正面から格好いいとか言われると流石に俺でも照れるぞ

「俺ももっと頑張らなきゃな、母さんと妹の為にも」

そういや、コウタはお母さんと妹がいるんだったな

「そういやコウタ明日は非番だって言ってたっけ」

「うん、俺は家が外部居住区にあるからね劍華は?」

「一応俺も明日は非番。多分部屋でビール飲んでるかデータベース読み漁ってるかな」

「ん?劍華家族は?」

「他人を放っておけないお人好しの親父に、普段優しいのに怒るとめちゃくちゃ怖え母さんと銀髪の綺麗で俺よりも明るい緋色の眼で美人の姉さんがいたよ」

「あ………ごめん不用意に聞くことじゃなかったね」

「いいよ、俺はあんまり気にしてないから」

あっ、嘘だ。そう思った。

あまりに寂しそうな顔で、その不思議な圧のある笑顔がそう物語っている、コウタにはそう見えていた。

「ねぇ、写真とかある?どんな感じの人達だったのか気になる」

「随分と聞いてくるな、でも俺もこのお人好し家族は色んな人に知ってて貰いたいな。ほら、家族三人が写ったロケットならあるよ」

「ほんとだ優しそうな人達だ、あとお姉さん綺麗すぎやしないか?それとこの人たち何か日本人って感じじゃないよな〜、アレ?お前はなんで写って無いんだ?」

「俺は養子、言ってしまえば赤の他人、このご時世10代の娘がいるような家族がこんなの拾って家族だって言うんだからすごいよなもう5年以上も前のことだけど。それからこの人達はロシア出身らしくてなんでも数年前にこちらに来る理由があったらしいんだけど詳しくは知らない。因みにこの写真は俺が撮ったから写ってないだけ」

「────そうだったんだ。すごくいい人たちだったんだね」

「おう、それこそ紹介してやりたかったよ、まぁないものねだりはしないけどな」

「───そっか、俺もっと二人のこと大事にする。これまで以上に大切にする、絶対失ったりしない」

「おう、そうしてあげな。一人で守るのキツくなったら言えよ。俺も手伝うからさ」

「ありがとう、よし。ってアレ?励ますつもりだったのに何か俺が励まされたみたいになってね?」

「そうか?気にしなくてもいいんじゃない?コウタこの後バガラリー見るんでしょ?」

「ああ、劍華も一緒に見るか?」

「いや、俺は遠慮しとく。その前に報告書忘れないようにね」

「え!?手伝ってくれないの!?」

「……はぁ、一人で書ける様になろうよコウタそんなに難しくないだろ」

「………ツバキさん怖いんだもん」

「要点は教えてあげるから、それをベースに自分なりに書けばそんなに怒られないから大丈夫、というか今まであんな書き方でよくOK貰ってきてたね、ちょっとビックリしたよ俺」

「その都度ツバキさんの目がめちゃくちゃ怖いんだ、だから助けてくれぇ劍華!」

「いいよ別に、それも雨宮三佐から言われてるしコウタの報告書を手伝ってやってくれって」

「うぅ…」

「全く神機の扱いでは凄く褒めてたのに残念な奴だな」

「ホントか!?この神機前任者がいたらしくってさ、その人の意思を継ぐなんて格好いい事は出来ないけどせめて綺麗な状態で使って壊したくないなって思ったんだ」

「アレ、雨宮三佐から聞いてないんだ」

「ん?何か言ってたの?」

「いや、なんでもない。その神機大切に使って上げなよ。その方が整備班も前任者も喜ぶからさ」

「おう!それはともかくいい加減アナグラに戻ろうぜ早くバガラリーの続き見なくちゃ」

「コウタはホントにそればっかりだね」

「面白いんだぞバガラリー─────」

そっか、ツバキさんこの神機の前任者が自分だってこと言って無いんだ。データベース使ってアーカイブから調べれば直ぐに分かるのに、調べて無いって事は本当に勉強嫌いなんだなコウタ。

まぁでも、ツバキさんもこの神機も俺にとっちゃ因縁の相手だし、忘れられないトラウマ植え付けてくれたからな。

思い出すと今でもゾワッとするな。えげつない威力した一発だけの特殊弾。片目吹き飛ばされて痛かったなぁ………うぅやめとこ、態々トラウマ蒸し返す必要はないな

アナグラに戻ったあとコウタと報告書と格闘するはめになり俺の手伝いありで、いい報告書が出来たと喜んでいた。そのまま調子に乗って雨宮三佐の元へ突撃ここまでは良かった。

その後何か無駄な事を言ったらしくもう一人で出来るな?と言われて今までの報告書全てを書き直す羽目になったコウタなんて知らない。

 

 

この部隊に配属されてひと月ほどしたころだろうか。

「なんか用すか?」

「貴様の外と部屋での態度の違いを初めて知って困惑が止まらないのだが、劍華招集だ今日の一三:○○までにロビーに集まれ。それまでにその絵を完成させろいいな」

「了解っす。じゃ出てってもらってもいいですか?」

「貴様なぁ………まぁいい。遅れるなよ」

「当然」

初めてこの時間に邪魔が入った。

まぁつい先日この絵について色んな人にバレたばっかりなんだけど、最初にコレを見つけた奴は許さん、せめてノックをして欲しかった。

恨むぜリンドウ。配給ビールを求めてさまよっていたらしくサクヤさんと一緒に俺の部屋にやって来てその流れでコレを見られてしまった。まぁ片付けしてなかった俺も悪いけど。

『なんだ、この絵?上手いなぁ誰なんだ?この人、お前の初恋相手か何かか?いやでも家族に見えないことはないが……』

まぁ、おっさんのダル絡みをされた。リンドウあんたまだそんなに歳食って無いだろうに

その際に姉の絵だとか、写生、デッサンが趣味だとか話した。

それからだろうか仲間の絵を書くようになったのは、最近は姉さんの絵よりもみんなの戦う姿ばかりを書いている気がする。

そう言えばまだアリサが仲間になっていない。時期的にもうそろそろだっただろうか。この期間内で倒した大型は未だゼロ時々ヴァジュラとかボルグカムランを見かけはしたものの接触はしなかった。

 

となればそろそろアリサが出てきてもおかしくないと思うんだけど。

まぁいいやどうせ行けば分かるし。

「っし。完成かな」

ソーマとリンドウの戦う姿、少し躍動感が足りないか、もうちょい描き足したいけど………時間が足りないな、帰って来てから続きを書くか。

衣装準備だけ済ませてロビーに向かった。

 

───移動中───

 

あれ、まだみんな集合してないのか?

「もう来ていたかもう少しかかるものだと思っていたが」

「雨宮三佐、お疲れ様です。ロビー集合との事でしたが第一部隊全員集合じゃないんですか?」

「貴様は本当に絵を書いている時は性格が変わるようだな」

「アレ?何か失礼な事してました?」

「いや、構わん。普段の会話も同期とであればあれくらいで問題も無いだろう、多少語調は変えた方がいいかもしれんが」

「は、はぁ」

「すまない、話が脱線したな。今回呼んだのは劍華お前だけだ。そもそも第一部隊全員集合であればデータベースに連絡を入れる。今回用があったのはお前だけだったから。部屋に直接向かっただけだ」

「そうでしたね」

 

確かにミッション指示とかだったらデータベースに入ってくるな

じゃ今回は何?

「お前の同類が一人増える、面倒を見てやれ無論実地ではリンドウを初めとする。第一部隊の者を付けるがコイツは新人で新型だ。訓練くらいであれば貴様でも何とかなるだろう」

「え?でも俺まだ大型倒した事ないですけど」

「だから訓練だけだと言っているだろう。ここ極東支部には新型の神機使いは現状貴様しかいない。扱い方程度だったら貴様の方が圧倒的に詳しいだろう」

なるほど新型が一人増えるからその使用補佐に俺を付けるって事かでも誰が来るんだ?アリサは訓練成績だけであれば優秀だったはずだし、いやもし仮にアイツが生きていたとすれば………そういう事か

「なるほど理解しました。それで?その新型さんとは何処に」

「まて、もう少しで戻って来るはずだ」

 

「雨宮さん、メディカルチェック終わりました」

「そうか、ご苦労。なら次は神機をつかった戦闘訓練だ。担当教練としてコイツを付ける。一応コイツも新人と言えるがお前よりも先輩だ。気になる事があればコイツに聞けば大抵の事は何とかなるだろう。神機の事は特にな」

「ああ、どうも。俺は空木レンカだよろしく頼む」

「やっぱり生きてたか。よろしくなレンカ」

「!?その声あの時の」

「あの時は自己紹介してなかったからな、顔も隠してたから分かんないと思ったけどよく声だけで分かったなお前」

まさかの新型三人か…………これは先が読めないぞ……

「なんだ、お前たち知り合いだったのか」

「知り合いっていうか」

「命の恩人です。俺の、俺たちの」

「そうだ、あの子どうなった。一応できる限りの事はしたけど」

「あぁちゃんと生きてる。あんたの言った作戦で姉さんも……いや、イロハもアナグラに入れたよ」

ほほぉ、コイツ漢だな。あれを素直に実行したのか。そんときのイロハさんの顔が見てみたいな。

「ふふっ、そうか、良かったイロハさんを大事にな」

「分かってる」

役に立ったのなら良かった案外フェンリルも笊なんだな

「で、そろそろいいか?思い出話に華を咲かせるのはいいがこれから早速模擬訓練だ。蓮華お前の神機についてだが訓練所にて渡す。分かったらさっさと向かえ、劍華貴様もだ。モタモタするなよ」

「「了解」」

 

~移動中~

 

さてさて、一体何をどう教えろと言うのかねあの鬼教官殿

神機関係って言ってたから形態移行の方法、各種近接武器の使用方法って所か

「なぁ劍華さん」

「劍華でいいさ、でどうした蓮華」

「分かった。劍華あんたあの後どうしたんだ?どうやって逃げ延びたんだ?あの数はいくらなんでも無謀すぎる普通の人間にはどうやっても捌ききれる数じゃなかった」

「まぁ頑張ったとしか言い様がないんだけど、詳しくはまた後でな」

そりゃ無理だ、20体近くのオウガテイルに囲まれて逃げ延びるとか無理だから普通。俺は全部喰っただけだし美味くもなかった。唯一つ思った事があるとすれば『逃げ切れ、生き延びろ』くらいなもんだし

 

さて着いた

「じゃあ始めようか、雨宮三佐始めても?」

『構わん手順などは貴様に任せる。言ったところでお前は守らんだろう?』

あらヤダなんだと思われてんだろ俺、指示はある程度ちゃんと()()()()んだけどなぁ

「了解しました〜。それじゃあ訓練始めるぞ。まずは周囲の確認ちょっとした段差とほんの少し高い高台があるのは分かるな?」

「ああ、人一人分くらいの高さがある段差をちょっとした段差って言うのは無理がないか?」

「大丈夫ゴッドイーターになった自分の力を信じろこのくらい屁でもねえから、やろうと思えばあの少し高い高台もジャンプ余裕だから」

まぁ身体能力の把握は大事だよなぁ、俺の時はミスったしまずあんなことになる奴はいないだろうけど一応ねぇ?

 

 

 

「OK大体把握した。身体能力は優秀っと次神機の操作についてお前のその神機は第二世代。いわゆる新型だ近接、遠距離どちらも対応できる。分かりやすく言えば近くにいる人は元より遠くにいる人も助ける事ができる様になった神機だまず近接から始めるお前のそれかなりいいスペックの神機だからな大事にしてやれよ」

「ああ」

「刀身の名前はリベリオン。意味は教える必要ないか」

「どうしてだ?」

「使ってるうちに分かる。じゃいきなりだけどダミーお願いします」

『了解しました。オウガテイル一体だします』

「ダミーだ。まだ攻撃してこない1度だけでいいからそいつをこのダミーに振り下ろせ今まで逃げて来た相手に立ち向かう一歩だ殺り損ねても大丈夫だ。殺しに慣れろとは言わないただ生きる為に殺せ」

「………分かってる。アラガミのいない世界を作るんだ!ハァッ!」

 

 

概ね好調っと形態移行も特に問題なし自分の戦闘スタイルも確率できるようになったし最後の課題と行こうか。

「模擬神機お願いします」

『貴様態々こんなものを持ち出してなんの真似だ?』

「まぁまぁ見ててくださいよ、蓮華俺からの最終課題対人戦闘だ。正直俺の息抜きのためなんだけど全力で殺しに来い今のお前が戦場に出ても絶対に慢心しない様にボロボロにしてやる。そのポンチョ隅に置いておけ。破けるから」

「分かった」

思ったより素直に乗ってきたな

「あんたには借りがあるそれを返せるくらい強くなってやる」

「言うねぇ、口先だけにならないよう気をつけな。さて始めるか」

「ああ、頼む」

「神絶つ劍が一つ、華の一型、牡丹………」

「…………?」

『…………』

「ねぇリッカ、コレでいい?滑ったんだけどすっごい恥ずかしいんだけど」

『ありがとうリクエストに答えてくれて!また後でやってね!じゃ』

「やらねぇよ!あーもーすまん蓮華今のは茶番だ忘れろ」

「あ、ああ」

「次から本気な?はい、じゃあ生き整えてぇ〜。スー、ハー……よし、やるか」

「──っ!!」

息を整え、殺気を体から滲ませる。

様子見で呼吸を整えただけでコレか。人間に殺気を向けたことも向けられた事もないんだろう。

明らかに素人の構え、神機の大きさとしては長刀に近いから構えも先程の物に寄っている、ただそれは化け物を狩る為の構えだ()()を殺す為の構えじゃない。蓮華なら使い分けられるだろうし俺に対しての保険になって欲しい。だから強くなれ蓮華

「尋常に、はじめ!」

 

バン!

踏み込みのフェイントを一歩。わざと大きく分かりやすく音をたてる

「はぁああ!」

それに一瞬遅れて反応して飛び出す蓮華、構えを上段に動かす。

振り下ろされるそれに打ち合わさる様に神機を振るう、力は込めずあくまでも打ち合わせるだけ、受け止めいなす。

「っぜああ!」

振り落とされた神機を呼吸を置かず切り返す、けど届かないアラガミなら或いは。けどそれじゃ()には届かない

そこから二、三撃。体を少しずらすだけで回避する。

「らあああ!!」

「せいっ」

至近距離でもう一度上段振り下ろしをした瞬間に一撃、神機を持つ手とは反対の手で思い切り殴る。腹部に一発重たいやつを

「ぐあ!?」

あっ、吹っ飛んだ

 

ガシャーン!

 

…………コレは予想外。死んでないよね?

『やり過ぎだ馬鹿者』

「あははは、すみません加減はしたつもりなんですが。強くなって欲しいと思ったら。つい」

『貴様なぁ………はぁ、次からはついですむ威力ですませろ』

「了解です」

ついで済むならいいんかーい。っていい加減安否確認しなきゃ

 

「おーい蓮華大丈夫か?」

「あ、ああ何とか、骨は折れてない。なんかとてつもない力で後ろに引っ張られたみたいな感覚だった。初体験だもうコリゴリだあんなの」

「あ〜、すまんな。許せ蓮華」

「まぁいいさあんた俺を強くしようとしてくれたんだろ?なら感謝こそすれあんたを恨むつもりもない。大体あんたは命の恩人だからな大抵の事は受け入れる」

純粋というか真っ直ぐと言うか馬鹿というか。正直だな

「悪いな気を使わせてるみたいで、同期みたいな感覚で構わないからさっきも言った通り劍華で構わないし恩人だからとか気にしないでくれた方が俺としては助かる」

「そうか、あんたがそう言うなら俺もあんまり気にしないようにするよ」

当たり前だがオラクルの侵食はまだないな、無理しすぎるとコイツ早死しちまうからな、イロハさんの為にも少し健康管理位はしてやるか。飯は作ってやれないけど

 

「雨宮三佐、蓮華生きてます、これで訓練の方は終わりにしたいと思うんですが何かほかはありますか?」

『生きてるのはバイタルを見れば分かる、本日の任務は以上だ蓮華は貴様は明日も訓練だ。劍華貴様は午後の任務を開けておけ。また蓮華の面倒を見てもらおういいな?』

「「了解」」

『よかろう、ならばさっさとシャワーでも浴びて来い』

「了解です雨宮三佐」

「は〜い了解です」

 

その後は整備班の下に行って刀の様子を見てきたり、蓮華の紹介した。

シャワー浴びた後にまた合流して今度は極東のゴッドイーター達に蓮華を紹介して回った。概ね快く受け入れて貰えてる様なので良かった、リンドウは少し含みのある視線だったがまぁ問題ないだろう

コウタは蓮華と歳が近いと言う事もあってか積極的にコミュニケーションを取ろうとしていた。

俺も一応見た目だけだったら2人に近いかも知れないけど中身正真正銘のオッサン、下手すりゃジジイだからなぁ

なんて思ったりもしてた。

 

その日は結局同期三人でいいよなって話になって結構盛り上がったコウタはバガラリーと外の話について。蓮華は俺ら2人が倒した事のあるアラガミの話とここでの生活について。俺からは特に話題を出したりはしなかったけど2人と同様楽しく会話することが出来た。

 

 

─夜─

「ここは、こう……こっちはこんな感じだったけな………まぁ及第点かな」

今日は狩りに出ていなかったから欲求がかなり激しかった。もうかなり遅い時間になっているとは思うが収まるまでかなり時間がかかったんじゃないだろうか。

「タイトルは同期の笑顔が無難かな?普通すぎて面白みなんか全くないけどそれはまぁいいや」

今日一緒にいた三人が笑っている所。2人は笑うとどんなふうになるのかどんな感じにシワが寄るのか、見ていて特に目がついた部分を描いておく。細かくしすぎると収集がつかなくなるしな。自分は鏡を見ながら描いたからちょっとバランスが悪いかな。後で写真とか撮って見ようかな。まぁそれは機会があれば、って感じか

 

「うぅーーん」

少し伸びる。背骨がポキポキ鳴る

気持ちいいよなコレ、クラッキング自体はあんまりいい行為じゃないらしいけど。

眠くなって来たし明日も仕事あるし寝るか

 

掛け続けているロケットを取ってテーブルにおく。

「おやすみ、姉さん」

ずっと立て掛け続けている一枚の絵に一言だけ声をかける。本当に心のそこから出る優しい声。こんな声皆の前で出したことあったかな?まぁいい眠ろう。明日も蓮華をイジメなきゃ。

 




まさかの蓮華登場でございますよ
さてさてこれから極東支部はどうなっていくのやら
私も分かっておりません(ダメやろそれ)
次回はアリサをお迎えしたいなぁとは思っているのですが本当にどうなることやら

ちなみに原作を知っていらっしゃる方には分かりやすかったかもしれませんが主人公の義姉は原作における主人公の神薙ユウがモチーフですだからなんだという感じではあるんですがまぁ前提知識として知って置いて貰えたらのちのち無駄な説明要らないかなぁと思っただけで他意はありません。下の名前?当て字ですが何か。まあ少しくらい捻りはしましたが

と軽いネタバレはここまでとして、こちらのあとがきでは雑談形式で行きたいと思います。別のやつはどんな感じなん?と比較してみたいと言う物好きの方はぜひ『書き換え』の方も読んで見てください。こういう感じがいいとかあればコメ欄でもTwitterでも教えて頂ければ改善してみようと思います(実行するとは言っていない)

さて無駄話も長くなりましたがお楽しみ頂けたのなら幸いです
また次回にお会いしましょう(´∀`*)ノシ


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使いとヴァジュラとトラウマと(前編)

どうもナメクジとこ紫翠です
コロナ怖いですねコロナ、そんな訳で外出もせずにお家でゴロゴロし続けてやっとの思いで書き上がった今回のお話(大嘘)
外に出ないで何すんの?二次創作読もうよ!とどなたか誘っても趣味仲間が増えて面白いかもしれませんね。
え?そんな相手は居ない?悲しくなるじゃないですか(ブーメラン)
さてさて今回は世間話はこのくらいで。ようやっとあの子が来ます。お待たせしました。そして!今回はなんと二本立て前編後編に別れています。ひとまとめにしてもよかったんですが文字数2万に届きそうだったのでやめました。


はい、長ったらしい前置きになりましたがこちら(前編)はそこまで長くありません6千ちょいですパッと読んで後編行きましょ
因みに後編はこの後すぐ投稿するのでお待たせすることはないかと



それではどぞ(っ´∀`)っ


蓮華が極東支部に配属されてからおよそ三日。

訓練の方は順調に進んでいるらしい。雨宮三佐からも数日後には実地に送るという報告を受けている。

それよりも前に俺たちにも経験をというとで今日は実地でヴァジュラを狩ることになった。

初の大型戦になる今回は第一部隊から俺、ソーマ、サクヤさん、コウタの四人がこの作戦に当たる教会横の広い敷地で狩り倒す予定だ。にしても俺が指揮を執ることになるとは上の連中は一体何を考えているんだか。

───っと一応早めに集合するのが俺のモットーではあるが流石に早すぎただろうか?

なんか最近ボーッとするんだよな、そろそろ絵を描いて食欲を抑えるのも限界が来はじめているみたいだしまた食わなきゃダメか。でも今回はなぁ………

 

「おお、相変わらず集合が早いな」

どうやって空腹を満たそうか悩んでいると、不意に声をかけられた

「ああ、リンドウさん。今回は一緒じゃないんですね?」

「まぁな今回ちょっと別件が入ってるもんでなそっち優先で動かして貰うわ」

「そうなんですか、俺らは今回ヴァジュラ討伐になりました」

「ああ、知ってるお前さんなら問題ないとは思うが他のサポート任せたぞ、詳しい話は向こうについてからだ」

「あれ?別件で動くんじゃないんですか?」

「そうなんだけどな?まぁ一応、第一部隊長だからなお前たちをちゃんと見送ってから行きたい訳よ、最期になっちまうやつだって少なくないだからキチンと顔を合わせておきたいんだよ。特にお前さんみたいに優秀で優しい奴ほど早く逝っちまうからな。頑張ってくれよ新入り」

「大丈夫です、出来る限りのことをやってきます」

「そうか、期待して待ってるぞ。さてそろそろ全員集まるだろ。一応作戦開始位置まではついて行ってやる。その後は本当に任せたぞ、いいな?」

「了解」

「よろしい、なら出発するぞ」

 

 

───

 

「おう、全員ちゃんと揃ってるな、それじゃ作戦前のブリーフィング始めるぞ」

「アレ?今回って5人での任務なんですか?」

「いや悪いな俺はお忍びのデートのお誘いがあるんでな、今回の作戦はお前ら四人だ」

ほんの少しだけだがソーマとサクヤさんの雰囲気が変わった最も近いもので言えば嫌悪感と悲壮感どちらも顕著に現れたのは心配だ。やっぱり第一部隊のみんなは優しすぎるよ

「えぇーっ!いいなぁリンドウさんモテるんだろうなぁ」

「はははっそりゃ第一部隊の隊長やってるからな、コウタもいずれわかる時がくるさ───っと。さっさと行かないと機嫌損ねて帰っちまうとさ」

「リンドウさん」

「そんな心配そうな顔するな、俺は大丈夫だそれに今回の作戦の要はお前さんだ頑張れよ。お偉いさん方からの推薦で作戦の隊長に任命されたんだ、やり過ぎくらいで構わないから全力で叩き潰せいいな?」

「はい」

やっぱりこの人凄い人だ、これから向かうウロボロス討伐に対しての恐怖が全く見えない。それに俺に対してのフォローの入れ方も的確だ。やり過ぎでいいんだな?なら本気で殺しに行くぞ俺は

「さて新入りばかりに声をかけるのは不公平と言うことで全体に命令だ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ、運が良ければ隙をついてぶっ殺せ。ってこれじゃ4つだな」

「その命令自分でもせいぜい守ることだな」

「ああ、当たり前だこんな所でおっちんでられないからな。というか放って置いたら勝手に死んでっちまいそうなやつに言われたくはないね。お前こそこの命令守りきれよ?」

「当然だ」

「リンドウ……」

「あー、悪いなサクヤいつも通り配給ビール取っといてくれ。劍華がいい働きしたら分けてやってもいいからそこはお前の裁量に任せる」

「はぁ、分かったわよあまり無茶しないでね?」

「あーハイハイ、その辺はデート相手の機嫌によるかね?────っとそろそろ不味そうだ本格的に帰っちまうまうとさ。じゃ検討を祈る」

「えっ!?リンドウさん俺には!?」

「あーすまんすまん忘れてた。コウタお前はその神機に恥じないよう全力で戦って来い。そいつには俺もちょっとばかし思い入れがあるんでね」

「あっはい!やってみせます!」

なんかコウタだけやっつけ感があった様な………いやなんでもないや

「それじゃ気張って行けよ第一部隊!」

「「「「了解」」」」

息のあった返事でより連帯感が強まった様に感じた

 

 

……………

 

 

あれから数分

 

リンドウがウロボロス討伐に向かったのを見送ったあとヒバリさんからの連絡でヴァジュラの接近を確認。

作戦エリアに入ったという事で全員が索敵体制に入っていた。

 

まだ出会わないかそれでももうすぐ接敵だ……切り替えよう

立ち止まる

「劍華?」

「オイどうした」

「劍華?どうしたんだよ」

サクヤ、ソーマ、コウタに声がかけられる。

一度意識をずらそう。集中しろ、意識を引き延ばし広く遠くへ波紋の様にゆっくりと呼吸をして更に感覚を研ぎ澄ませる

左後方大きな反応あり。

「ヴァジュラ来ます臨戦態勢!7時の方向サクヤさんコウタ!迎撃頼むソーマフォローを!」

「「了解」」

「任せろ」

「狩るぞヴァジュラを!」

「「「了解!」」」

 

 

振り返り声を上げる

その先にいるのは大きな体躯の虎。と称するのが妥当だろうか、中型までとはまた別の威圧と存在感。

銃口を向けながら「ああ……」と声が漏れた。

恐怖?否。歓喜?否。今あるモノはそんな生優しい感情なんてモノじゃない。

欲求(食欲)だ、()なんだよ

欲求と言うものは難儀なモノだ。理性だけで抑え込むのは相当にキツイし難しい。それにどうだ目の前に久々に現れたあのヴァジュラ(美味そうな肉)をどうして我慢できるんだろうか、どうして自分を殺さなければならないんだろうか……バレなきゃ行けるんじゃないか、俺ならそのくらい出来る。誰かの目に止まることなく一瞬でアレを解体(粉砕)出来るとそんな考えがよぎった。

が今の俺はゴッドイーターだ

飯より先に仕事だ!なんの為に態々コッチを選んだと思ってる、飯なら一人で食いに来てやる。だから……

「スタングレネード!ソーマ右前頼む!」

「分かった」

銃撃による連撃を止め、スタングレネードを投下してヴァジュラの行動停止を図り

「サクヤさんコウタ、リロードしててくれ!」

「「了解」」

「遊撃、前出ます!」

全体に命令を出し自分も前に出る。ソーマは正面右足に俺は左足に向かって走る。スタングレネードの効果時間内に攻撃

「喰らえ!」

クイック捕食で肉を千切る、OKこれで動けない

両足をボロボロにされた事によりヴァジュラがバランスを崩して前のめりにつんのめっていた。

当然その状態で何もしないはずもなくリロードの終わった2人から集中放火を受け、更に両サイドからの挟撃で全身を叩き斬られ続けて地面に突っ込んでいった。

ダウン状態になっている事を確認してもう一度捕食。

よし、これでいい。

「サクヤさん、コウタ!受け取れ!」

「えっ?」

「うわっ!アレ?凄っ力が溢れてくる」

リンクバーストによるバースト化とアラガミバレットの譲渡。これで……!

「2人ともそのままそいつをぶち込め!ソーマ一旦離れろ巻き込まれるぞ」

「「了解!」」

「ああ……」

俺もとソーマが離れたことを確認してから放たれた2発のアラガミバレット2発ともヴァジュラの頭部に着弾そして………

 

ドバァアアアン!

 

………これは酷い、ゲームであれば何ともないんだろうけど。現実だとこんなもんか。

打ち出された濃縮アラガミバレットにより頭部は元よりコアの一部が剥き出しになるまでヴァジュラ前面がグチャグチャ。完全に放送規制モザイク案件だ。いくらなんでもこれはキツイ。俺はアラガミ食って慣れがあるからそこまで酷くはないけど。ほら……

「うっ………オェーーーっ……」

「これは凄い威力ね、あのバレット………うっ、コウタ大丈夫?」

「────ふん……っ」

他は厳しいっぽい、コウタは分かってたけど。ソーマもか……意外だな。仮にもしこれが人間なら明確にアウトだっただろうけど、流石にアラガミでもここまでの惨状になるとダメか。

ただ、まだ死んだ訳じゃない。まだコアが残ってる。まぁここからの再生は不可能だろうけどそれでもまだだ

 

コア剥き出しのヴァジュラの前に立つ

「うぅ……劍華?」

「コアの捕食お願いするわね」

「帰還準備しとくぞ」

「ああ」

形態変型を行う、現れた牙は狼の形。

もとプレイヤーには分かるであろうこの捕食形態

最大まで溜めた捕食形態。あえてこの捕食形態にしてきたんだ外す訳には行かない。本来なら戦闘中に使うべきなんだろうがいかんせん発生が遅すぎる。まぁリンクでそこん所はどうにでもなるんだけど。

今はいい。初の大型なんだ、これでキメたい。これが欲しくてリンクし続けたんだイメージを神機に取り込ませ一緒に進化していく、それを強制的に行うのがリンクという技能の側面のひとつ。

まず一体これが初の大型のコアだ。もっと強くしないとな

「───イタダキマス」

バクん!と狼の食らった先にはもう何も残ってはいなかった。あるのは血溜まりだけ。全て喰らい尽くす俺の捕食イメージ。空腹もあってかかなり強力だなこれ……取り敢えずひと段落、か

「ミッションコンプリート。ご馳走様でした」

「お疲れ様劍華!」

……コウタ、さっきまであんなにオロロロしてたのに復帰早いな

「お疲れ様、この後帰りながら反省会ね?」

「はい、お願いします」

「……この分なら第一部隊隊長の名も張れるんじゃないか?」

「あははは、それはないない。第一部隊長はリンドウさんだからね。俺はそこを替わるつもりはないよ。本人に直談判でもされない限りね」

「そんなこと言っていいのかしら?リンドウがそれ聞いたら本当にやりかねないわよ」

「…………やっぱ無理、直談判されても無理!」

一瞬で想像出来てしまった。リンドウが俺に「休みたくなったから第一部隊長変わってくれ!」って言いにくる姿が

「あははは、やっぱりすげーよ劍華。また一緒にミッション行こうぜ」

「ああもちろん」

「オイ、帰還準備出来たぞ。さっさと帰ってリンドウに成果を報告してやれ」

「了解。じゃあ帰りましょ〜」

「「おー」」

ちぇー、ソーマは乗っては来ないか

 

帰還用のヘリを見て一息

「ハぁ」

………あんま余裕ないかもなァ、視界が半分赤くなってやがる。ヴァジュラはちょっとまずったな

アァ、オナカスイタ

 

────

アナグラへ帰還

 

「おお、お前ら早かったなぁお疲れさん。誰も欠けてないな優秀でけっこう。あー疲れた」

エントランスに戻って来たと思ったらこれだ。

カウンター上のソファーにどっかりと居座り、いかにも疲れてますみたいな感じたっぷりのリンドウに、嫌味ではないが、それに似た八つ当たり気味の口調で出迎えられた。理由はウロボロス討伐によるものだろう。いくらなんでもアレの相手は流石に疲れるんだなリンドウでも。

 

「リンドウさん、お忍びデートどうだったんですか?」

コウタ報告より先にそっちが口から出るのはある意味凄いと俺は思うよ

「ん、まぁ疲れたな。俺が行った時にはもう怒り心頭でな、いやぁ流石に今回はキツかったなぁ」

「リンドウさん俺もっとその話聞いてみたいです!」

「また今度な。今日は勘弁してくれ」

「はい!」

「……リンドウ」

「すまんなサクヤビール取っといてくれって言った割に俺のが早かったわ」

「あんまり無茶しちゃダメよ。お願いだから」

「わーってるよ、大丈夫俺は死なないさ」

……あぁ、あんたは死なない。殺させはしない

「お前もちゃんと生きて帰って来たな」

「当然だ」

「へぇ、もっとなんかあると思ってたけど意外とすんなり受け入れるんだな」

「うるせぇ。そもそもコイツが指示してんだ俺らが死ぬはずがねぇ」

「え?どういう事?」

「あれ?ソーマ説明しなかったのか、コイツ状況が分かってない感じだぞ?」

「………あんたから説明してやった方が納得するだろ(最後のインパクトが強すぎて今まで忘れてたとは言えない)」

どういう事だ?説明?なんの?それに関しては何も分からないしそもそもなんの話をしてるんだ?

「それもそうかじゃあ──『第7班によるウロボロス討伐を達成───』おっと邪魔が入ったか」

「あの、ウロボロスってなんですか?」

コウタから疑問の声が上がった。本当にノルン起動させてないんだな……

「ウロボロスと言うのは超巨大アラガミよ」

「ヴァジュラよりも強いんですか?」

「そうだなぁお前たち()()だとキツイだろうな」

「三人ですか?」

そこはお前ら四人じゃ、って言うところだと思うんだけど

「ああ間違ってない三人だ。新入り、お前さんソロでウロボロス討伐出来るだろ」

「………さあどうでしょうか。皆さんからだいぶ強いって評価は頂いてますけど流石にソロはキツいと思いますよ」

マジだ。今の声のトーンマジだった。

この人エイジスだけじゃなくて俺の事も何か知ってるのか?

別に構わないけど支部長に知られるのは色々と不味い。博士の方は大丈夫、あの人は利用出来る。それに何だかんだでお人好しだから

「はははっ!そうか()()じやなくてキツいか。これは期待出来そうだ。早く強くなっておっさんに楽させてくれよ」

「いや、オッサンて俺あなたと6つしか違わないですからね?」

「「「「えっ!?」」」」

「え?」

なに?なんでそんな反応なの?

「新入りお前今幾つだ?」

「20ですけど」

そういう設定なだけで肉体的には18か19だ。精神的には60後半になるだろうか

「なんだろ、うん。劍華さん今までタメ口使っててすみませんでした今日から劍華さんと───「コウタ?オコルヨ?」ひぃぃ!」

そんなツバキさん見つけて隠れる時みたいな声出さなくても………

「ごめんなさい、わたしもう少し若いと思ってたわ。ソーマと同い年くらいだと思ってたけどちょっと上なのね」

「ええまぁ、というかノルンに普通に載ってますよね」

「すまない俺も初めて知った。これからもソーマで頼む。お願いだからさん付けとか絶対にやめてくれ本気で」

ちぇー面白くないなー。まぁそんな事を言ったところで俺がやめるとは言っていないがなぁ!

 

「ああ、それでお前さんの所に配給ビール回っているのか」

「今ですか!?俺結構飲んでますよねリンドウさんと一緒に」

「いやーすまんすまん。今度一杯奢るから許してくれ」

「んー、しょうがないですね。じゃ一番高いところにお願いします」

「おま。容赦ないねーまぁいいや、そこそこ上手い所に連れてってやるから楽しみにしとけ」

「うっしゃー!じゃヴァジュラ初討伐成功って事で俺ら全員に奢って下さいね」

「え?」

「マジですか、ありがとうございます!リンドウさん」

「あら、いいの?リンドウあなたの奢りなら遠慮なく」

「ふん、こういうのも時々あってもいいかもしれないな。俺も行く」

「待て待て待て、4人分?俺も入れて5人分だぞ!?本気か?」

「ちゃーんと命令通り四人戻って来たんだから良いじゃないですか〜」

「いい訳あるかーー!」

その日、アナグラ内で何度もリンドウの断末魔が聞こえたらしい

それから数日間リンドウを見たものは『すごくゲッソリしてた』と口を揃えて言った

 

 

ヴァジュラ討伐から二日後

ついにこの日が来た。このアナグラにアリサが来た。




概要としては前編がヴァジュラ討伐
後半で主人公の本気の狩りとアリサ入隊って感じです
どちらも戦闘面がイマイチな自信があるのでこうした方が面白くなりそうじゃね?とかアドバイス、アイディアとうありましたら是非是非教えて下さりませ


それではまたすぐ次回で


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使いとヴァジュラとトラウマと(後編)

はい後編です
こちらは過去最多の1万3000です
ちと長いですが是非最後まで読んでみて下さい




どぞ(っ´∀`)っ


─上空/12:00─

そう言えば今日だっけまた新しく1人増えるのって。

ロシアからの新顔、間違いなくアリサだな………という事は()()()も来るのか、そうか。

「マチキレナイナァ」

『どうかしましたか?劍華さん』

「いや、何でもないです。今日はこの任務終了後に1度集合するんですよね?」

『はい、ロシアから新型に適応した子が来るみたいです。部隊登録が第一部隊と言うことになっているので、これから劍華さん達の仲間になる子という事になりますね』

取り敢えず見て見ないことには何とも言えないし、アリサをどうこうする事も出来ない、ただ見れば大体どういう状態かは分かる伊達に()()()体になった訳じゃない

『2人とも会話中すまない、劍華、今回()()でのヴァジュラ討伐任務ということだが大丈夫か?』

「問題無いですよ、あれですか時間がかかりすぎるとかそういう心配ですか?」

『いや、ハッキリ言ってその辺は全く心配していないと言うよりもむしろ逆だ。ほか何体かの大型がそちらの方に向かっている。殺れるか?』

「はははっ。そこは殺れるな?1匹残らず食い殺せで良かったと思いますよ」

『愚問だったか、ならばいい、そちらの方は任せる今回中央モニターで管理するのは蓮華の方になる、つまりお前の監視が出来なくなる。バイタルと腕輪の位置くらいしか正確に測れないが───構わないな?』

「はい、大丈夫です蓮華の方ちゃんと見ててやってください。ほかの皆さんもフォローお願いします。蓮華も頑張って」

『了解任せて』『おぉ!蓮華頑張って行こうぜ!』『……ああ』

『大丈夫だアンタに扱かれて即死亡なんてありえないからな』

「そっかそっか、大丈夫そうだね。じゃあ俺そろそろ時間なんで通信切ります。またアナグラで」

『分かった、それでは降下開始、作戦位置に到着し次第各自で作戦行動を開始。その後の対応は各作戦の指示者に一任する。集合時間に遅れるな、死ぬな、必ず生きて帰ってこい。私からは以上だ。健闘を祈る』

「了解、神喰でます───目標視認、任務(食事)開始します」

ヘリからの降下。

命綱なしでしかもパラシュートなしでこの高さ。目測でおよそ100メートルいやぁ怖いわぁ、死ねるわぁこの高さ

なんて心にもない事を考えながら全力で捕食形態に移行させながら高速落下する。この程度の高さゴッドイーターが落ちるなんてなんてことはない、打ちどころにもよるけど。少なくとも俺はどう落ちても無傷だ。

「目標捕捉、イタダキマス!」

ヴァジュラからすれば不思議な一瞬だっただろう目の前に一瞬狼の口が見えたと思ったら次の瞬間には死んでるんだから。

昔風に言うなら交通事故か?飛び出し事故とか引かれた側はそんな感じだな。

「ミッションコンプリート。ゴチソウサマデシタ」

目標のヴァジュラ任務開始からわずか10秒前後で討伐及びコアの回収の終了。

この具合なら他も余裕だな。

『……流石、早いですね次のアラガミ来ますボルグ・カムランとグボロ・グボロ並びにコンゴウとシユウです』

先程までと違いヒバリさんじゃない別のオペレーターなのでどこが冷たい感じがする。ただ早すぎて引いてるだけかもしれないけど

それにしても結構来るなぁ〜、しかもそこまで美味くないヤツらが

まぁ殲滅目指してぼちぼち頑張って行きますか

「了解、全て殲滅します」

『はいお願いします、できればモニターで捉えられる速さでお願いします。バイタルと戦闘時間の統計を取りたいので』

「了解、善処します」

この返事を最後に通信用のマイクを切った

 

まず初めに姿を表したのはボルグ・カムラン

針飛ばしくらいしか警戒する技がないから大したは事ない。

手始めに間合いを詰めて奴の攻撃が届かない足下へ、そのまま関節部を全て切断し足の1本を噛みちぎって空腹を満たす。

「アァ、マずイ」

鉄齧ってる気分だ。でも少し満たされる

食事を終えたら尻尾を両断して行動を完全に停止させる。これでダルマ状態になったこいつは針を飛ばすくらいしか出来ない。そして足で体を支える事も出来ないから盾腕も意味をなさない

ダルマと化したボルグ・カムランの背後に立って天ノ咢で捕食。コアも同時に回収。次

 

次はコンゴウとシユウだ。

どっちもそんなに美味くない比較的コンゴウの方が肉がある感じの食感だ淡白な味わいで肉質的には豚に近い一番美味いのは腹だ。

シユウは全体的に筋張って硬いから好きじゃない。腕なんて食えたもんじゃない強いて上げるなら脳だなシユウミソ?とでも名付けるか

でも味はウニじゃない。水団の種だ小麦っぽい味だ。

 

2体同時ゲームだと中距離コンゴウ。近距離シユウって感じだけどコンゴウの肉弾戦車食らった直後にシユウの波動弾はムカついたな。

アレ?中近逆だなまぁいっか

ハラヘッタから、クぅそれだけダ

2体同時で近い場所にいる。なら───初めに攻撃を仕掛けたのはコンゴウ前と一緒顔面に一発その後に蹴りも一発ただ前と違うのは

 

ブチ、グシャァァァ、ベシャ

 

首から上が消し飛んで胴体は蹴り上げられて空中へ舞い上がる

ついでに腹の肉を食い破っておく

グチゅぐぢゃと獣らしい咀嚼音がする。モニターされていない上に通信も切っているから指示が一方的に入るだけ。

ただ一つ問題とするならその指示すら聞いちゃいないこと

 

欲に飲まれて体が上手くコントロール出来ていない。意識だけはハッキリしてるからVRゲームで操作してる様な感覚に近いそれに味と触覚があると言うだけの話だ

 

「フツうかそれなり。次」

コンゴウが落ちてくる前にこちらに向かって波動弾を放ったシユウへ特攻。大して速くもないし追尾も弱いだからギリギリでと言いたいが大きく旋回しながらシユウへ迫るいくら弱いからと言っても油断は命取り確実性を期すには旋回してからのダッシュ捕食

滑りながら捕食を使って加速。足元掬い取ったらこちらの勝ち

腕しか使えないシユウはそんなに強くない。

捕食形態を戻す間にシユウに向かって走るまだ慣性で体が残っているうちにクイック捕食で腕以外を喰らう。

コアの回収も出来て一石二鳥。

そしてコンゴウの下に戻って上に向かって捕食。

ツマミ感覚でシユウの腕をバリボリと………前より顎強くなったな

「デカくてムみの煎餅か」

 

最後にグボロ・グボロ

今回で一番美味いやつだな

味わいは淡白な白身魚、ただちょっと臭みが強い。

鼻の利くこちら側としてはたまったもんじゃないんだが、それはお互いさまとして、アラガミの中でも比較的上手い部類に入るやつだ。揚げ物にしたら絶対に美味い。シソがあればなお良い。

まぁこの世界アラガミのせいで香辛料とかハーブとか以前に植物も絶滅仕掛けてるからな。そんな贅沢出来ないが

 

幸いやつはまだこちらに気付いてはいない

となれば、だ兼ねてから試して見ようと思っていたカスタムバレットを使っわてみようかね

この体になっての利点の一つオラクルリザーブの装填が1度で完了すること。それにあやかって一つ粘着爆弾を作ってみた

まずレーザーを一発的に向かって、そして装飾印を残す

そしてそこにリザーブの限界まで爆発し続ける様に開発したこのバレット

爆発規模は最大の物を用意してある。回数は1発につき9回

これは限度があったゲームと比べれば優秀過ぎるくらいだ。リンクを続けていたらリザーブ容量がかなり増えたみたいで出来ることが増えた。バレットエディット楽しい。という訳で試作したこのバレットを使用する

狙うのは砲塔部分。結合崩壊を起こせる部位で弱体化を狙える。と言ってもまぁ実際には切りつければ傷つくし流血酷いとアラガミでも死ぬから大して差は無い。さてダミーだと木っ端微塵が可愛いレベルだったけどアラガミだとどうなるかね

 

銃口をグボロ・グボロに向けカスタムバレットを一発

 

ドパン!

 

特に違和感も無く真っ直ぐグボロ・グボロに向かってレーザーが飛ぶ、順調に接触し軽く穴があくが直ぐに塞がりそこに印が残る

丸い印だどうやって引っ付いてるのか分からないけどスゲー半透明なのにキチンと張り付き続けている。

そして問題の爆発本物に大してはどんな威力になるんだか

ちなみに奴さんは撃ち込まれたのに気付きはしたものの俺がどこにいるのかには気付いていないらしい。というか見えていない。ずーっとキョロキョロしてる。ちょっと面白い。

観察していると少しして爆発が始まった

 

バアアァァァァン!!!!

 

という音が9回土埃で見えないが連絡からすると対象の反応の消滅、討伐完了したのは間違いないらしい。土埃もしばらくして収まってきた。そこに広がっていたのは

「うわぁ………これは流石にちょっと」

爆発により撒き散らされた血液や体液体の一部と思しき何かによって赤く染まっていたり爆発の影響で黒く焦げていた

残っていたのは胴体の下半分とヒレの部分。ちなみに残っていた部分も物の数秒で消滅した。

なんせコアですら木っ端微塵になるまで爆発し続けたみたいで物凄く凄惨な現場になった。

 

一応連絡入れておこうか

「こちら神喰です。討伐対象の殲滅完了しました」

『了解よくやった、こちらの方ももうすぐ終わる、迎えを送るから先に帰ってこい』

「了解です、雨宮三佐一つ問題が」

『どうした?』

「グボロ・グボロのコアの回収に失敗しました」

『お前にしては珍しいな。何かあったか?』

「コア諸共グボロ・グボロを木っ端微塵にしました」

『……………………………そうか。後で話がある戻ってきたら私の元へ来い』

「………はい」

オワタ、これは死んだわ。アハハハハ

『新入り一つ聞いていいか?』

「リンドウさんお疲れ様です。聞きたい事ってなんですか?」

『ああ、お疲れさん。いや大した事じゃないんだけどな?お前さんどうやって木っ端微塵にしたんだ?オレでも出来ねぇぞ』

「簡単ですって言うのもちょっと違うんですけど、カスタムバレットっていうシステムを使って自分で作ったバレットを撃ち込んだだけです」

『それだけ?』

「はい、それだけです。一発撃ち込んだだけで木っ端微塵です」

『そうかお前さんの作ったバレット後で見せてくれや』

「はい、もちろんです」

『じゃな気を付けて帰れよ〜』

「またアナグラでお会いしましょう」

………正直あのバレットは封印案件だなどう考えてもオーバーキル過ぎるウロボロスとかアマテラスとかあの辺の超巨大系の連中には持って来いかも知れないけど流石になぁ

 

結局アナグラに帰るまで封印するか否かをずーっと考えていた

 

 

 

─帰還─

「あら、おかえりなさい劍華どうだった?」

「サクヤさんぼちぼちって感じですね」

「そうこっちは順調だったわよこっちに割く人員が多すぎ──「何がぼちぼちだ!劍華貴様送られてきたグボロ・グボロの絵を見たぞ本当にあんなになったのか!?」──あら?」

おぉ、お怒りですね雨宮三佐

「ええとまぁはい。概ねあのままです。流石に全部書くのはちょっとはばかられたので、はい。俺もちょっとあれは無理です」

「私だって無理だあんなモノ、後でリンドウとバレットについてと言っていたな私もその場に同席するいいな?」

「あ、はい。いいですよ。良ければサクヤさんとコウタもどう?」

「あらいいの?どんなバレット作ったのか私も気になるし是非見せて欲しいわ」

「お、俺も参加、す、するよ」

いや、だからビビり過ぎだってコウタ

「まぁまぁ、そんなに怒ると血圧上がりますよ雨宮さ───」

スパアアアァァァァン

あれ?いまリンドウが見えた気がしたんだけど三佐の手がぶれた瞬間に消えたな

 

「まぁいい、それよりもだ。今日よりお前たちの仲間になる新型適合者だ」

三佐が後ろに連れていた少女を前に出す

「本日一二:〇〇付けで極東支部配属になりましたアリサ・イリーニチナ・アミエーラと申します。よろしくお願いします」

「───っ」

わかってはいたけど、息を飲んだ。やっぱり似てる

彼女の声に、彼女の姿に。

違うところは髪の色がアリサの方が少し鈍い色をしている。

そして瞳の色、彼女は美しい緋色だったけど。アリサは黒い漆黒とまでは行かないが少し濁った黒い瞳をしている。

明確に違うのは態度くらいだろう。まだ()()というのが抜けきれていない幼い子供の仕草の様に思える。その髪を指で巻くという行為が。別に大人でやっている者がいないという訳ではないけれど。けれどどうしたって俺には子どもっぽく見えてしまう。

彼女はそんなことしなかったから。

はぁ…………切り替えろよ俺

彼女は彼女。アリサはアリサだ。

分かってるだろうが

 

「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」

「よくそんな浮ついた考えで生き残って来れましたね」

「ぐは……」

コウタ、それは初対面の女の子にかけると言葉じゃないと思うよ。俺でも引くよそれはちょっと。場を和ませようとしたんだろうけどバッサリ切られたね

「彼女は実戦経験こそ少ないが訓練では優秀な成績を残している。皆、追い抜かれぬよう精進するんだな。まぁ約一名心配ないと思うが」

ん?なんでこっち見たの雨宮三佐

「了解です、いいよなぁ劍華は強いから」

「何言ってんのコウタはまだまだこれからでしょ」

直すべき所は多いがそれでも十分なくらいの強さがある。伊達に雨宮三佐の後を継いでいる訳じゃないな。

「うう、ありがとうフォローしてくれて」

「コウタお前も俺と一緒に訓練受けないか?」

「え?蓮華と一緒に?って事は劍華の?」

「そうなるな」

成程いい考えだ、コウタともっと仲良くなれるしコウタも強くなる。近接主体の俺よりもコウタの方が射撃に付いては詳しいし俺よりも精度が高い丁度いいんじゃないか?

「なるほど……じゃ「そこ、私語は慎めせめて話が終わってからにしろ」はい」

おぉ、珍しく悲鳴を上げなかった。硬直はしたけど

「リンドウ、いつまで伸びているつもりだ。さっさと立て。アリサは以後リンドウについて行動してもらう。いいな」

「了解しました」

「リンドウこの後前の支部からの引き継ぎの書類などがあるから私と一緒に来るように他のものは各自持ち場に戻れ、第一部隊同士中を深めて貰って構わん。それと劍華次の仕事はアリサ、リンドウ、貴様の3人だ依頼の受注を頼むぞ」

「了解でーす」

 

さてと、どうやって仲良くなろうかなと思い視線を戻すと

思いっきりコウタがアリサをナンパしていた。

同期の女の子だからってそこまでガツガツしなくても……

 

あっコウタが白くなった。まるで燃え尽きた某ボクサーのようだ

何言われたんだろ

「貴方が神喰さんですか?」

「ああ、そうだよ。神喰 劍華よろしくねアリサちゃん」

「………ちゃん付け辞めてもらってもいいですか?」

「んーー無理」

「なんでですか!?」

「何でも、強いて言うなら俺の方が年長者だからかな」

「なんですかそれ、理由になってないですよ」

「まぁまぁ、取り敢えずよろしくね」

「……まぁはい、先程の方よりは真面目そうなのでよろしくお願いします」

曖昧にしたのは話したく無い理由があるから、こればっかりはちょっとアリサには言えない。だって君が初恋の人に似てるから。なんて恥ずかしくて言えないだろ?そんな事

でも良かった、手を取って貰えて。それと今ここで誓おう、アリサ俺は何があっても君を護ると極東支部の仲間になったんだから絶対に壊させはしない。たとえそれで消えるのが俺になったとしてもだ。

「アリサちゃん実はねもう一人新型がいるんだよ」

「そうなんですか、ちゃん付けやめてもらってもいいですか?」

「んふふ、無理。蓮華挨拶したか?ちゃんとしろよ既婚者」

「劍華!?何を!というか既婚者ってなんだ!俺はまだ結婚出来る年齢じゃないぞ!」

左手の薬指にエンゲージリング着けてて何を言うか

「貴方ですか最近入ったっていう新型の人は」

「ん、ああ空木レンカだよろしく、と言っても本当に最近入ったばかりで今日初めて実地に出たばかりなんだ。だから足りないこととかあったら是非教えてくれ」

「いいですよ。こちらこそよろしくお願いします」

………思っていたよりも新型には当たりが柔らかいな

足でまといにはならないで下さいねくらい言うと思ったんだけどな。やっぱりリンドウにだけああいう反応になるのか。まぁただちょっぴりプライド高めだよな。発言が上からだ

 

でもうん、仲良くなるのはいい事だね。この調子でもっとみんなと仲良くなって行ってほしいな。なんて微笑ましく思いながらアリサを見ていたら

「アリサの事は劍華に任せれば大丈夫そうね」

とサクヤさんに声をかけられた。

「うぇ?なしてそう思ったとですか?」

「うふふ、変な訛りになってるわよ。一目惚れかしら?貴方さっきからずーっとあの子の事ばかり見てるんですもの」

「いや別にそんな事は」

なに?俺そんなにアリサのことばっかり見てたのか?

恥ずかし、意識しないようにとか思いつつ思いっきり意識してんじゃん。

「なんの話で盛り上がってるんですか?サクヤさん」

「ええ、ちょっとね。劍華がアリサに一目惚れしちゃったって話」

「ちょサクヤさん。違いますよ。姉さんに似てただけで別にそんな事じゃ」

「あっごめんなさい……そう言えば彼女貴方が描いていた女の人にそっくりね」

…………oh。一気に声のトーンが下がった。

ちょっと悪い事しちゃったな

「ああ、確かに劍華。ロケットちょっと見せてくれる?」

「いいよ、ほら」

首から提げてる家族写真のロケットをサクヤさんにも見えるように見せる

「うんやっぱり似てる」

「あら本当に似てるわね………劍華、貴方がちゃんと守ってあげなさいね。こんなに似てるんだものもしかしたらもう一度守るチャンスが回って来たのかもしれないわよ」

「………そう、ですね」

そうだ。この世界に祈れば助けてくれるような神はいない。

いるのは世界をめちゃくちゃにした化け物だけ

この世界に神なんていないんだ、俺も含めて全部が敵なんだから

 

「あの、さっきからこちらを見てコソコソとなんの話しをしているんですか?」

「うお!気づかなかった」

近い!息がかかる程では無かったがそれでもアリサの匂いが分かるほど近く。その表情から『私不機嫌です!』と言うのも聞かずとも伺えた。

「うふふ、内緒。もし聞きたかったら劍華にでも聞いてみたらいいんじゃないかしら?」

「サクヤさん!?」

「俺もそれをオススメするよ。次2人任務一緒に行くんでしょもう少し話してもいいんじゃないかな。じゃ俺部屋に戻ってバガラリー見るわ。ばいばーい」

「こ、コウタまで」

「どうなんですか?神喰さん」

「い、いやぁまぁそのだね。蓮華なんとか」

「劍華ファイトだ、俺は訓練所に行ってくる」

まじかぁ〜

「じぃ…………」

「わ、分かった話す、話すからちょっと待ってて任務の受注だけしてくるから」

「そうですか、仕方ないですね。すぐ戻って来てくださいね」

「はーい」

あの人見た目の割によく喋りますね。しかも軽く

もっと口数の少ないクールな人だと思っていたんですけど

などと思われている事はつゆ知らない劍華であった

 

 

 

さてリンドウさん来るまでまだ時間あるみたいだし少しおしゃべりをしようか

「アリサちゃん何飲む?」

「あのちゃん付け辞めてもらってもいいですか?あとソーダでお願いします」

「OKソーダね、じゃあ俺は冷やしコンポタにしよ。あとちゃん付けは外しません」

ガタンと2回音がする

自販機っていい文明だよなぁいつでも冷えてたり温まった飲み物飲めるんだから

「ありがとうございます。それ美味しいんですか?」

「冷やしコンポタ?ちょっとコツがあるんだけどね結構美味しいよ」

「へーそうですか私は飲みたいとは思いませんね。それよりさっきはなんの話をしてたんですか?文句があるのなら正直にどうぞ」

あら、アリサちゃん冷たい。あとビックリするくらい発言がカッコイイわ。普通面と向かって文句があるならどうぞとか言えないぞ怖くて

「文句じゃないんだけど、サクヤさんがアリサちゃん可愛いから一目惚れでもしたの?ってからかわれてたんだよ」

「…………それ本気で言ってます?からかっているのはあなたの方じゃないですか?」

えぇっ、怖っ声ひっく。そんな声出んの?

「冗談ではないね。アリサちゃんは実際可愛いと思うし、成績も優秀だって言ってたし、もしかしたら俺たちよりも強いのかななんて思って見てたんだよ」

───嘘をつく時に本当の事を交えると嘘に聞こえなくなる。

ただ嘘を付く側はそれを忘れてはいけない。傷つくのは嘘をつかれた側だから。これは前世で学んだ事。

「それで、一目惚れだと?」

「まぁね、そんなに情熱的に見つめてたつもりはなかったんだけど。サクヤさんにはどうもそう見えたらしくって。不快な思いをさせたのなら謝るよ、ごめんね」

「いえ別にそんな事は、それに実力であれば神喰さん貴方がこの極東支部で最強なんじゃないですか?雨宮三佐から聞いた話だともう大型なら単独で討伐に行けるとか」

「ああ、うん行けるよ。でも極東最強はリンドウさんかな、あの人飄々としてるくせにめちゃくちゃ優しくて、コッチへのフォローも忘れないしアラガミを殺すことに関しては他よりも頭一つ二つ抜けてるよあの人は。それと俺は元々外の出だからね。四六時中アラガミと生活していたって言っても過言じゃないと思うし、その経験があるからこそ憎しみで動いてるって感じかな」

また少し嘘を付いた

「そうですか、外はやっぱり過酷ですか?」

「過酷だよ、ゴッドイーターの様にアラガミを殺す力はないから、一方的に食われるだけ、できると言っても食われないように逃げるだけ。そのために色々やったりしたけどね。だけどね外でいちばん怖いのはアラガミなんかじゃないんだよ。知ってた?」

これも嘘、少しのホント

「それってどういう?」

「おっ、リンドウさん来たねそろそろ行こうか」

「あ、はい」

最後の一言どういう意味だろう

どうしてあんなにも悲しそうな顔をしたのだろう

それだけがアリサの心に残り続けた

 

─任務─

「えー、という訳で今回は新型二人と一生に任務って事でどちらも成績優秀っと何ともまぁ嬉しくないね。俺いる必要なくないか?劍華いるし。まぁ足を引っ張らない程度に頑張るからよろしく頼むわ」

「旧型は旧型なりの仕事をして頂ければ結構です……でも神喰さんの言う通り極東最強であるのならその力見せて欲しいです」

「……………」

開いた口が塞がらないってこの事か

リンドウなんてコッチ向いて信じられないもの見るような目をむけてきやがる

それにしてもまさか真に受けるとは思わなかった、いや実績上最強なのはリンドウだけど

「はははっ、新入りお前さん俺の事を極東最強だって?嬉しいが自己評価が低すぎやしないかね単純な殲滅力だったら俺より上だろうに。でもまぁその期待に添えるよう頑張って見るさ、アリサ取り敢えずよろしくな」

トンとリンドウが肩に手を付いた瞬間だった

「キャア!!」

アリサが尋常じゃない反応で後ろに下がった

フラッシュバックか

「…………おーお、随分嫌われちまったもんだな」

「あれ?私なんでそんなつもりじゃ、すみません………なんでもありません。もう大丈夫です」

明らかに異常な反応、流石のリンドウでもちょっと心外だなっていう顔してたけど

「フッ…冗談だ。……そうだ、アリサこういう時は動物に似た雲を探すといい。心が落ち着くぞ」

「どうして私がそんな事」

「見つけるまでここを動くな、いいな?これは命令だ、見つけたらこっちに合流してくれ、いいな?」

「…………はい」

おっ素直だ、意外だな。さっきの行動への罪悪感みたいなものか?

 

「おい、新入り先に行くぞ」

「了解でーす」

「ったくお前さん、最近軽くなってないか?」

2人で喋りながら降り討伐対象を探す

「まあ緊張しなくなりましたしね。アリサちゃんも今回コッチで初の実地だから緊張したんじゃないですかね?」

「そうだったらいいんだかな。あの子ちょっとわけアリらしい。まぁこのご時世だいたいのやつが色んな悲劇を背負ってるっちゃ背負ってるんだが、お前さんもあるだろ?あの描いてた女の人みたいに。そのなんだ何が言いたいかって言うと、同じ新型のよしみだ仲良くしてやってくれ」

「いいですよもちろん。俺も個人的にアリサとは仲良くなりたいですし」

「お?なんだ惚れたか?」

「リンドウさんといい、サクヤさんといいみんな何故そっち方面に話を持っていこうとするんですかね?」

「いやぁだって面白いだろ?」

「違いますからね、今はまだ」

「今はまだって事はそうなる事もあるって事じゃないか」

「当たり前ですよ、あんな可愛い子普通男がお近付きになりたいと思うもんでしょ。ただ、俺は俺の問題を解決しない限りアリサとそういう関係になりたくないと思ってますけどね」

「おーお、イケメンは言うことが違うねぇ、なれる前提か」

「さぁ分かりませんよ最後に選ぶのは彼女ですし。俺はまだ姉に似た女の子としか認識出来ていないんですから」

「あぁ、そういう事かそういや似てるなアリサのやつ。そうかだからあんなにも気を掛けてたのか。ずっと近くにいただろ」

「あれはアリサちゃんが話をしたいって言うのでいただけですけどね」

「お、噂をすればなんとやらか、アリサも合流したな」

「あのリンドウさん。どう頑張っても動物に似た雲なんて見えないじゃないですか。今日曇りですよ」

「ん?あ、本当だ。すまんすまんじゃあ索敵と行きますか「リンドウさん9時の方向、シユウ来ます」っとする間もなかったか」

今回は近接主体のリンドウさんとどちらも出来るアリサがいる俺は遊撃だな

「リンドウさん俺遊撃に入りますアリサちゃんは得意な方で!」

「ああ!近接は任せろ!」

「私に指示しないで下さい」

あ、そこは否定するんだ。ちょっぴりショックだ。………切り替え切り替え。

神機を一度銃形態に変更しリザーブ、アリサとリンドウはどちらも近距離主体の立ち回り、俺は今回ずっとこれで問題さなそうだな。

っと波動弾貯めてんな

「スタン行きます!」

「「了解」」

パァンとスタングレネードが弾けてシユウが怯んだ。

その間にアリサとリンドウが切り込む。

俺は空いた間合いに銃撃を撃ち込む

一分程で方がついた。ほとんどリンドウの活躍だ。

俺は後半スタン投げ入れてただけだったからな

 

「お疲れさん、完璧なフォローありがとさん。どうだ?次近接主体でやるか?」

「いえ、リンドウさんは近接のみですし、アリサちゃんは遊撃を完璧にこなせているので俺は遠距離から固定砲台で大丈夫だと思いますよ」

「神喰さん貴方、同じ新型なのにどうして近接攻撃を一度もしなかったんですか!?アラガミが怖いんですか?」

それ君にだけは言われたくはないなぁ

 

「いいや、必要ないと思ったから銃撃に徹してただけだよ。さっきも言ったけど、リンドウさんは近接しか出来ない、でもその近接を的確に確実に行っているからフォローも入れやすかった。一方でアリサちゃんは近接と遠距離どちらも出来ていて遊撃を完璧にこなせていた。だから俺は遠距離からのサポートに回っただけ、別に近接が怖いなんて事はないけど。まぁでもちょっとビビるよねアイツら無駄にでかいし」

「そんなので「まあまあいいじゃねーのコイツは役割をしっかり見極めて行った。アリサは遊撃を完璧にこなせた。つまりアリサは訓練の成果をしっかりと実践でも発揮できてるって事だろ?それでいいじゃねえか」それはまぁそうですけど」

「あ、もしかして俺の近接戦見てみたかった?」

「はい、雨宮三佐が目で追えるのならやつの戦闘スタイルを真似るのが1番強くなれるとの事でしたので」

やだ可愛い。すごい素直この子

「あー成程、三佐の言う通りだな仮にコイツの動きが目で追えるのであれば大したもんだ俺よりすげぇわ」

え?俺ってそこまで逸脱してる?あーでもそんなもんか大型中型合わせて五体を3分未満で倒すんだから逸脱してるわ

『緊急事態です、想定外の中型種が作戦区域に侵入。すみません討伐にお願いします』

「ああ、分かった。おい新入り出番だぞ。アリサに見せてやれお前の近接」

「はい、了解しました───スゥ……ハァー」

切り替えろ。リンドウの言葉、あの感じからするに単独で討伐になるだろうし────食い荒らす!

「え?違う、さっきまでの神喰さんじゃ」

「凄いだろでもこれからもっと凄いのが見られるぞ。この中型、手を出さずコイツの動きだけをよく見てみろ本当に凄いから」

「討伐対象視認、任務(食事)開始します」

入って来たのはコンゴウまだこちらを認識してない

一度全身の力を抜きフラフラと体を揺らす

そのまま前に倒れるように脱力してコンゴウの目の前に向かって走り神機が届く距離で停止

認識される前に両腕を切り落とし前宙をしながらコンゴウを飛び越える、無論神機を持ったまま

面から通して背部を切り裂く、浅かったのか直ぐに傷が塞がるが着地と同時にコンゴウに向き直って尻尾を断つ

少し下がって銃形態に移行

怒りコンゴウがコチラを向いたところでブラストからのゼロ距離爆破

首が吹き飛んだところで捕食形態に移行

最後にその大きな顎で一飲みにする。これで終わり

「ミッションコンプリート、ごちそうさまでした」

これが俺の食事だ

 

「……………」

言葉が出ないそんな様子だった、でもそこに恐怖とか嫌悪といった感情は感じられなかった

ただ単純には起こった事を、事実を消化しようとしているそんな風な感じだった。まぁビックリしてるそれだけ

「どうかな、参考になった?」

「え、ああはい。正直凄すぎてどうすればそうなるのか分かりませんでしたけど、同じゴッドイーターとしては遥かに卓越した身体能力なんじゃないかと思いました」

「俺も全くの同意見だ。お前さんも俺と初めて組んだ時よりも強くなってやがるな?成長してること自体は好ましい事なんだが。体、不調とかはないのか?」

リンドウが言っているのは恐らくオラクルの侵食による肉体の限界について言っているんだろういくらゴッドイーターでも俺の身体能力は他を遥かに凌駕するものだから。

「大丈夫ですよ、どこにも不調はないです」

「そうか、ならいい。それじゃあ戻るぞ、帰りながら反省会な」

「はい、お願いしますね。アリサちゃんも客観的指示は受けといた方がいいよ。この先の連携にも繋がるし」

「どうして私がそんなに説明を受けなきゃならないんですか?」

んんん?アリサなんか俺にちょっと反抗的じゃないかな?かな?

「さっきも言ったけどこれから先他の人と組んだ時により効率的にアラガミを狩れる様に連携が取りやすくなるようになるのと、自分でも気づけなかった癖とか修正する為だよ。アリサちゃんなんかは特に訓練時の成績が優秀だから独りよがりな戦い方になりがちなんじゃない?」

煽るつもりは無いのに無意識に言葉に棘があるような言い回しばっかりになっちゃうな

「ふーん、なら貴方は反省会なんて必要ないんじゃ無いですか?最初の戦闘では完璧なフォローをしていましたし、先の戦いでは戦闘内容は単独でしたがどう見ても非の打ち所がありませんでしたから」

「高評価ありがとうでもちょっと違うかな、俺もまだ直すべき所はいっぱいあるからね、もともと神機に合わせて無理やり体を動かしているから時々体を痛めるんだ、だからそれを無くすために話し合って改善して行っているんだよ。さっきリンドウさんも言ってくれたけどこれを続けたから初の実地の時よりもどんどん強くなれているんだ」

ついでにコミュニケーションも取れるしね〜と続ける

「……分かりました、でもあなたはちょっと異常ですあんな戦い方が出来ていて更に上を目指すなんて何を目指しているんですか?」

「うーんそうだねぇ最終的な目標はアラガミを根絶する事だけど多分無理だから、当分の間は自己強化かな」

「大層な目標ですね、でもいいと思います。私の家族のような人が出なくなるのなら」

「そっかアリサちゃんの家族はアラガミに」

「っ!……ええまぁ、必ず仇はとります」

危ない今はまだ深く思い出す必要はないから、前向きにいこう『前向きに』

「そっかそっかじゃあ頑張って強くならなきゃね」

「あと」

「ん?」

「強くなったらちゃん付け辞めてもらってもいいですか?」

「──ふふ。いいねじゃあアリサちゃんが仇を討てたら辞めてあげよう」

これは意外だったな。ここまで『前向きに』なるとは思わなかったけどでもいい兆候だ。このままずっと前向きに上手く行くことはまぁないだろうけどそれでもアリサの心境に少しでも変化があったのならそれはいい事だ

「ええ勿論です」

ほらこんなにも綺麗な笑顔の華が咲くんだ、仏頂面なんて勿体ない。

彼女とは違う凛とした強さと人間的強さもなく。それでもまだあどけなさのある中に蕾の様な強さと前進的力は彼女よりも大きく強い。

ああ、そうだ、例えトラウマが掘り起こされ、別のトラウマと不安を植え付けられても前に進めるような強い子なんだ。

 

あぁ、久々に感じた優しい温かさ、心の奥にポっと灯る。例えまだか弱い火種の様な力でもいずれ大きく燃え盛る炎になるだろうか

こんな気持ち本当に彼女以来だ

 

 

 

 

 

 

 

その日とその翌日から俺は色々な人から新型担当の新型と呼ばれる様になった

リンドウがアリサと俺の様子を第一部隊のみんなに話したらしく。本格的にアリサを任されるようになるらしい

それと気が付いたら第一部隊の副隊長になっていた。この間説明しようと思ったけどし損ねたらしい。

 

今日はアリサを描いた

あの時見た笑顔を忘れないように、残してしまおうと思ったから

何故だか分からないけど描き終わったら泣いていた。

いつから泣いていたかも気が付かなかったけど心は暖かった。

 

 

 

今日は新月だった




やっとアリサ来たァ!
しゃぁぁあ!と思ったのですが君随分と素直だね
と書いてる途中に思いました。まだ書き方が拙いんだなぁ思いつつ
できるだけアリサに出番が回るように可愛く見てもらえるように書いてみたんですがいかがですかね?
来てすぐの時は見た目もそうですが、性格のインパクトも強かったのでその辺ちょっと強調して書きたいなぁ。とは思っていたので受け手によってはちょっときつい感じになっちゃったかもしれませぬ。それはそれでいいと思っているので。流して下さい
さて次回は少し箸休めと行きたいところですがどうなりますかね
アリサが来たから書きたい事が多すぎる!
どうしよう!となっております

それではまた次回にてお会いしましょう


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使いと刀とお休みと(前編)

今回も前編後編分けていきます
まとまりきらなかったとも言う
この騒動でいっぱい書いてんじゃないの?
と思われるでしょうがそうでもないです。引き篭っているのは事実ですが映画ばっかみて全然書いてなかったです。
スランプとも言う
え?いつもの事だって?いや〜褒めないでくださいよ〜
褒めてもいないし前置きが長い?
それは失礼しました。
ではどぞ(っ´∀`)っ


ピチャ────ピチャッ…………

滴り落ちている物は雨か涙か、それとも血か

薄れて掠れた灰色の記憶

見えているのは灰色の空。何か叫んでいた。

届かない悲鳴、伝わらない想い、止まらない憎悪

 

見渡せば辺り一面が赤く染まっている

手元には女性が一人眠っている

その顔は窶れやせ細ってはいたが幸せそうな顔をしていた

ただその身は夥しい程の血と中に収まっているべき物が飛び散り凄惨と言う他ない有様だった

他の赤い所もよく見ると多くの()()が倒れていた。不思議なまでに男性の遺体はなかった。まだ抱いている彼女は綺麗な方だ、身体が上下左右に分かたれてしまった人、一部分が亡くなった人、肉片しか残っていない人、それすら残らず血溜まりに伏す人

その状態に程度の差はあれど誰一人として生き延びている()はいなかった。

 

もう一度彼女をみた。か細く、力弱い。けれどうっすらと目が開いた、気を失っていただけらしい、いやこの状態であればこのまま死んだ方がずっと楽かもしれない。そう思っていたら弱々しく口を開いた

「───◆□▲■◁△▷◆」

ノイズがかかってなんと言っているのかは聞き取れなかった

ただ彼女のその満足そうな笑顔を見れば、言いたい事は言えたようだ

ただそれを俺は一体どう受け取ったのだろうか。愛する人が目の前で息を引き取り、復讐相手は逃げ延びた

俺は何をしていた?何のためにこの姿を選んだ?何のためにここまでやった?なんのために…………

 

 

 

その日、全てが嫌になった。

人として生きる事も神として生きる事も

世界と自分に価値を見いだせなくなった

自分に何かを求めるのを

他人に寄り添ってもらう事を

諦めた、諦めて

 

 

 

 

 

 

自分を─した

 

 

 

 

 

「やぁ劍華、随分暗い顔してるじゃん」

「ん?あぁリッカか。そんな顔してたか?」

「うん、凄く思い詰めてるって感じだった」

「そっか〜そう見えたかぁ。実はね?今日は良くない夢を見たからさちょっと不安になっちゃって」

「あぁうん。そうなんだ意外だね。キミでもそんな風には思うことあるんだ」

え?俺なんだと思われてんの?不安な事くらい1つや2つじゃないくらいあるけど

「心外だァ」

「あははっキミ心の声が思いっきり出ちゃってるよ」

「それよりもリッカ、何か用があって声を掛けたんじゃないの?」

「む、私としてはもうちょっとキミで遊んでいたかったんだけど残念本題に入ろうか」

「よろしく頼むよ」

人をおもちゃにしないでおくれリッカ、さっきのもそうだけど年上なのに時々容赦なく弄ってくるよね君おじさん硝子のハートが砕けちゃう

「実はねキミの刀出来上がったよ!っていう報告をしに来たんだ」

「マジで!?」

「そうだよ、ついさっき出来上がったばかりなんだけどね。やっぱり本人に一番に伝えたいからさ。この後博士も呼んで動作テストとかしたいんだけどいいかな?」

「勿論!俺今日明日非番だからさぜひ頼む!」

「あはは、OKそれじゃ訓練所でまた」

「了解」

 

刀、刀かぁ

いやぁ〜どんなの出来たのかなぁ。俺結局1度も完成品とか試作品とか見てないんだよなぁ、凡その形は出来たらしいしあとは俺の動作確認とリンク次第だと思うけど。

捕食機能とか着いてんのかなぁ?それより銃形態だよあれは付けられたのか?たぶんパーツ交換とかは出来ない類だからそのへんは俺のリンク技量次第ってことだよなぁ〜にしても刀、刀だ

前世でも刀の収集が好きでよく集めてたなぁ、そういやあれどうなったんだろ無くなったとか?売り払われたとか?もしかしてアラガミに喰われたとか無いよなぁ?俺それだけは勘弁願いたいあんなに苦労して集めた妖刀、神刀のコレクションを俺だって数回程度しか触ってないのにそれを喰われるってショックだよショック。

ああ、ヤバい刀の事考えてたらにやけちまうなぁ〜

「ふふふっふふふふふふ」

「え”っ!ドン引きです」

しまったどん引きされてしまった

「こんにちはアリサちゃん今日もお仕事?」

「目の前でドン引きですってハッキリ言ったのになんであなたまだニヤニヤしてるんですかきもちわるいですよ。やっぱりドン引きです。あと今日は非番でお休みです、今健診が終わったのでトレーニングルームにでも行こうかと思ってたんです」

それはプレイヤーにはご褒美なんですアリサさん

「そうなんだ。いやぁ〜ちょっといい事あってね頬が緩んじゃって」

「なんです?そのいい事って」

「実は以前整備班のリッカから刀を作りたいから俺が持ってたアラガミの素材を譲って欲しいって言われたんだけど。その刀が出来上がったらしくってこれから見に行くところなんだ。トレーニングルーム行くんでしょ?ついでに一緒に見に行かない?」

「へぇ〜刀ですか。あの極東独自の作りで昔は海外でも凄く人気だったって言うやつですか資料では見たことありますけど実物はないので。そうですねそういう事なら一緒に行っても構いませんよ」

「ほんとに?やったじゃあ古いけど型とかあるから少しサービスしてみようか」

「なんですか?それ型?」

「そう型。流れに決まりのある斬り方って言えば分かりやすいかな?」

「なんとなく……なら」

「なんとなくで大丈夫。型って言われてこういうものだってハッキリ答えられるやつなんて極東でもかなり珍しいと思うから、要は必殺技みたいなものだと思ってくれればカッコイイかも」

「必殺技ですか、男の人とか好きそうですよね。そういうの、必殺ナントカ斬りとか叫んじゃうんですか?」

「あははっウチの流派は底までハッキリ言うやつじゃないかな。技名叫ぶとか態々この技しますよ〜って教えてるようなもんだから人に向けて放つのに無駄がすぎるからね。名は合っても言わないのがウチのやり方」

「へぇーそうなんですか。別にどうでもいいですけど、私は刀を見に行くだけです。あなたのその型とやらは別に興味がありません」

冷たいね〜まぁこっちに来てまだ数日こんなもんだろ、あんまり焦って距離を詰めるとドン引きどころか射殺されかねないからな〜

でも

「そうか〜興味無いか〜俺の身体の動かし方のベースになってるんだけどそっか〜残念じゃ他のやつ呼んで軽くレクチャーするかな〜」

「あなたのその身体能力は置いておくとしてその型というのがベースであの完璧な戦闘ができるのであればぜひ私にも見せてください。教えて下さらなくても結構です。でも一度見せてみてください」

あ、簡単に釣れたよ。アリサってこんなにチョロインだったっけ?

「勿論。っしついた着いた」

「やあ待ってたよって。あ!君は新しく来た新型の女の子でしょ!やった〜この仕事やってるとやっぱり女性の人数少ないなぁって思うんだけどさ同年代の女の子がいるって嬉しいよね!よろしく私は楠 リッカ」

「え、ええどうもアリサ・イリーニチナ・アミエーラですよろしくお願いします」

「アリサちゃん。リッカがさっき言ってた整備班の子。それでリッカ刀は?」

「勿論今下に降ろしたから触ってみて、ねえアリサは一緒にここで見てようよ博士もいるし」

「やあアリサくんに劍華くん、待っていたよあとから蓮華くんも来るから君の剣技ぜひ見せておくれ、ついでにデータもね」

「了解すぐ準備します」

「ああ」

 

よっしゃさっさと準備して剣を握るぞぉ!

 

〜sideout〜

 

 

「ほぼはじめましてと言っても過言ではないかな、念の為もう一度挨拶をしておこうか?」

「いえ、結構です。ペイラー博士」

「そうかい、ならいいのだけど。少し不躾なお願いをしてもいいかい?」

「なんですか?内容に寄ってはお断りしますが」

「彼を人で居させてあげて欲しいとは言わない。出来るだけ彼の傍にいてあげて欲しいと思ってね」

「どうしてです?あんなにも強くて優秀なのに」

「すまないね、来たばかりの君にこんな事。分からなくても構わないさ、でもこれは来たばかりでそしてその姿をした君だからこそお願いしたいんだ彼の()()は必ずどこかで限界を迎えるそれが何を発端に迎えるかはまだ分からない。だから君も中々に事情を抱えているのは分かっているそれでも彼に寄り添ってあげて欲しい」

「どうして底までして彼に肩入れするんです?」

「君は彼の今までの経歴、そしてアラガミの討伐数を知っているかい?」

「いえ、全く刀が好きでとても強くて優しい人くらいしか知らないです」

「……そうか、でもそれでいいさ、もし気になったならアーカイブを使って調べればいいからね。……そうだね、一つだけ教えておくとしようか、彼はこの極東にいる全てのゴッドイーターのアーカイブを読んで覚えているからね。どこまでも他人に向けられた瞳でね、初めて見た時は驚いた……いやゾッとしたと言う方が正しいか。自分を見ていないんだよ彼は。僕としてこのまま何処に進んで行くのかというのも気になるところだけど。それはあまりに危険だ。もし彼について新しく知った事とか教えてくれると助かるという事も伝えておくとしようか」

「それはどういう──」

「すみません遅れました」

「いや予測通りだ。間に合うよまだ調整の段階だからね、そろそろだと思うよ蓮華くん。それと君には特に彼と近い位置にいるからね。彼の技出来るだけ覚えてくれるとコチラもデータになるから助かるよ」

「勿論です」

『博士、二本の刀剣との接続完了しました。問題なさそうですいつもの神機と同じ感じです。それと俺を危険生物か何かの様に言わんで下さい。ゴッドイーター全体がそうなる可能性はあるんですから』

「それは失敬、それじゃ始めようか」

『了解』

あんたらどこまで気付いてんだよ

 

〜劍華side〜

「了解」

2本ともいい長さいい固さそして十分なしなやかさ。ベースは間違いなく俺の骨だ。作りは基本的に刀の鍛鉄方法と同じらしいから玉鋼よりいい活躍が期待出来る耐久的にはって話だけど。

切れ味はたぶん問題ないコイツら常に研ぎ澄まされた刃を用意してくれるリンクを使うとよく分かる。剣心一体ってやつかな?コイツらは俺だ。俺はコイツらだ。

見てくれは普通の刀。小烏造りの黒刀と同じ造りの白刀

どちらも重さ大きさは同じ、重心の寄り方が少し違うけど大した問題じゃないどうせすぐ揃う。

鞘も作ってもらって良かったベルトから左の腰に2本ぶら下げている

のがいい重みだこれもアラガミの材料を使ってるからこれで殴ってもアラガミ倒せるとかいう優れものだ。

 

偏食因子の再投与はしなかったから負荷的にはそれほど重くはないと思っていたけどこれは多分博士の計算違い。俺かシオでなければ恐らく刀に喰われてる。このじゃじゃ馬め……自分で自分にじゃじゃ馬めって言うのちょっと恥ずかしくないか?

それはさておき捕食の方法は3つどれもこの刀剣形態でないと出来ない一つ目、柄部分を押し込む

二つ目、2本の刀の刃を向かい合わせて構える

三つ目、鞘に一度戻しそこから押し込んで抜刀

三つ目だけやたらカッコよく仕上げたのはあの二人の欲だな

次に斬波形態

これは斬撃を飛ばす以上

と言っても2人の言い分だと刀なのに態々銃にする必要無くない?

じゃあ斬撃飛ばせるようにすれば問題無くない?

そうしよう!との事らしい

まぁなんと驚くことに他にも幾つか形態があるんだけど今回は要らねぇなメインウェポンにするつもり無いし。

 

さてさてここまでの動作確認は問題なしということで

「博士そろそろダミーお願いします」

『分かった直ぐに送ろう』

『オウガテイル7体送ったよ。じゃあテスト始めるね』

「OK殲滅する」

 

前方三体、左右に一体ずつ、残りは背後。余裕だな

納刀し足を少し広めに構えて刀に手を添える

ゆっくりと呼吸を整える、まだ向こうは動かない。

心音が広がり呼吸は静かに、波のない静かな水面の様に

後ろと横は既に間合いにあとは前だけ、1……2……今

抜刀術・零ノ型『(まどか)

 

チンッ

 

発した音はそれだけ、少し腕が落ちたな

音もさせないで斬るのが一流の斬り方だと思っていたから

まぁ今はいいやデモンストレーションにはなっただろ

 

ドサドサと全てのオウガテイルが首と胴が離れた状態で崩れ落ちた

「ふぅ」

『…………………………』

あれ?ノーコメントなの?

『すまない劍華くん君今なにをしたんだい?』

ああ、見えなかったのか速すぎて

「斬りました。間合いに入ったんで」

『どうやって?』

「抜刀術と言って刀を鞘に納めた状態から刀を抜き放って相手を斬る方法です。その中でもうちの流派の抜刀術・零ノ型『円』という自分を中心に円形に斬る方法を用いて斬りました。以上」

『劍華、私からもいいかな』

「なに?」

『その型全部見せてくれる?』

「見えるかどうかは知らないぞ?」

『待ってて!雨宮三佐呼んでくる』

「OKじゃあちょっと休憩だ」

『劍華!俺にもその技教えてくれ!』

「じゃあまず刀作って貰え、神機じゃ重すぎて無理だ。データは俺が集めるから次からはもっと安全に作れるだろ」

『分かった、俺頑張って大型倒せるようになるよ』

「おう、やったれやったれ」

『あの、神喰さんちょっといいですか?』

「なにかな?」

『もう少しスピードを落として放つことってできますか?いくらなんでも残像すら見えないとか速すぎて訳が分からないくらいですから』

「そっかそっか、それじゃ見せる意味無くなっちゃうからね、OK調節してみるよ。頑張って見てくれよ」

『劍華連れてきたよ!』

『なんなんだ一体』

『劍華の剣速もしかしたら雨宮三佐なら見えるかもって思って何してるのか見て欲しいんです』

『ほぉう面白そうだ、劍華つまらぬものを見せるなよ?』

「了解、ド肝抜いてやりますよ」

抜刀術・壱ノ型『(おき)

ただの横薙ぎの居合い。敵は オウガテイル一体

これに捕食を乗せれば

 

ズダァァァァァアアアン!

 

どう聞いても刀が出すような音ではない音を響かせオウガテイルが消滅した。

 

「どうすか?見えましたか?」

『あぁ、しかしまぁ本当に何者なんだ貴様』

『私も少しだけ、ただ音が異常でした。先程みたいな静かで綺麗な斬り方じゃないんじゃないですか?』

『俺も少しだけ、捕食形態上乗せして叩ききったんだな?』

『なるほど、そういう事か音が違うという点では合点がいった。でもそれじゃどうやって斬っているのかが分からない』

『私も見えなかった、流石神機使い達だね』

「ははっ凄いなぁ雨宮三佐。これ見えるのかよ」

『劍華貴様まだ本気じゃないだろう?』

「さて?どうでしょう、如何せん刀を握るのは久々なもんで腕が落ちてますね」

実際全く本気じゃないですけどねぇ、なんで分かるの?この人怖いよ

『そうか、さっさと他の型とやらを見せて見ろ私は非番じゃないんでな』

「あ、はい」

目が笑ってないよォ、怖ぇよ

 

 

その後どこから話が広まったのかは知らないけど、極東支部の殆どの人が集まって型を見に来ていた。

当然その中に支部長もいたし、()()もいた。

 

 

 

〜数時間後〜

 

 

おかしい、非番の筈なのにアラガミ狩ってるときより疲れてやがる

「はぁ、疲れた」

 

「凄かったな!早くて全然見えなかったけど!ダミーがあんなバラバラ〜ってな!」

「あぁ!普段訓練してくれる時に使ってる技に似てるところも沢山あったし、ベースが分かって勉強になった」

「お前、普段あれを神機でやってたんだろ?一体どんな身体能力してんだ」

「お疲れさん、ひとつ聞いていいか?お前さんあのレベルに達するまでどんだけ鍛錬してきたんだって事が聞きたいんだが。アレ並大抵の事じゃ出来ねぇだろ」

「なぁ劍華俺にもあの技教えてくれないか!」

「もし良ければ俺にも何かできる技があれば教えてくれるとありがたい」

そして何故今こんなにも野郎に囲まれているんだ!?

上からコウタ、レンカ、ソーマ、リンドウ、タツミ、ブレンダンだ

さっきからずーっとこの調子だ。あまりにも男子面子そしてトップランカーといえる近接主体の人が集まったもんだから女の子が近寄り難いという現状。遠巻きに見てくる女の子はいるよ。いるんだよ?

ただ本当に人が寄り付かない!!

 

「わ、分かりました分かりましたから離れて下さい。コウタ今日お前の実家行くんだろ?早く行こう」

「ああ、そうだった早く行ってお土産沢山持って行かなきゃ」

「劍華も行くのか、俺も一度ねえさ………イロハの所に帰ろうと思ってるからちょうど良かった二人もついでに寄って行かないか?劍華は特にあの時の俺もしたいし」

まだ言い慣れてなかったんだなぁ思いっきり姉さんって言いかけたよコイツ可愛いな

「おぉ行く行く、コウタ先に蓮華ん家寄ってもいいか?コイツの嫁さんとも知り合いでさ」

「よ、嫁!?蓮華結婚してたのか!?」

「あ、いや「左手の薬指見てみろよエンゲージリング着いてるだろ?」おい!劍華!?」

「ホントだ!?」

「蓮華お前さん中々隅に置けないやつだな、どこで知り合った?やっぱ外か?」

「フン、興味無いな………俺は仕事に戻る。リンドウお前も手伝え」

「えっ!?なんでだよいいじゃねえか恋バナさせろよ〜」

「家族に会いにいくんだろ?なら邪魔者は失せるのが礼儀だ。ほら行くぞ」

えっ?ソーマいつからそんなに空気読めるようになったん?

なぜリンドウまで巻き込んだんだ?すごくありがたいけど。ありがとうソーマ!

「そんな馬鹿な!?俺より年下で後輩に嫁さんがいるだと!?こんなとこでだべってる場合じゃなかった。ヒバリちゃーん!!」

ブレないよなぁ〜あの人。一途でいい人なんだけどなぁ?

「劍華機会があればぜひ稽古を頼む」

「了解です、ちなみに明日コイツらと軽めのやるんでよろしければ雨宮三佐に声かけてみてください。全員モックアップ使ってやるんで怪我はしないかと。そっちの君たちも興味あったら是非!」

「「「「はい!」」」」

あっちの子達もどうせ刀か型目当てだろうし声かけといてそんはないでしょ。大体全員男子なんてむさ苦しい状態に雨宮三佐を投げ込む訳にわいかねぇしなぁ。あの人なら気にしなさそうだけど……

「分かった雨宮三佐にだな……他の連中にも声をかけてもいいだろうか?」

「勿論です。来ていただければそれぞにあった型をお教えします。ただ正直先輩方はあまり型に凝らない方がいいかもしれないですね」

何年もアラガミを殺すために戦って来た人だっている。それをこの方によって無駄なキメや動きが出てしまっては元も子もない。ソーマやリンドウがいい例だ。

アリサや蓮華はまだ新人だから矯正すればちゃんとした形になる。だがそれ以外の人が無駄な知識をつければ余計な重りになりかねない。まぁ技を型を出すのに固執するバカはいないと思うけど

「ん?どうしてだ?」

「皆さんは既に戦うための考えや経験を持っています。俺の型はいない相手を目の前にイメージして行うものそれも人に向けてです。今のところ人型のアラガミは確認されていませんがもしそういったものが現れた時に役立ちはすると思いますが。やる事は変わりません俺たちはアラガミ殺すだけですそうですよね?だから経験では俺よりも上の先輩方は型に凝らない方が良いかと思っただけです。勿論経験として趣味としてであればぜひ嗜んで行って下さい」

「すまない、これ程考えているとは思わなかった。しかし経験として、いい刺激になるだろうからぜひお願いするとしよう」

このくらいの考えなら全然教えても問題ない。むしろ今より強くなれるだろ。ブレンダンなら硬くなり過ぎなければ上手いこと扱える型もあるいい機会だ。実験させてもらおうか

「はい、それではまた明日。時間はデータベースに記載しておくのでよろしくお願いしますね」

「こちらこそよろしく頼む、じゃあな」

にしてもまぁ明日大変だなぁこれ非番じゃねぇぜコレ

「劍華、話し終わった?」

リンドウ達が退散して速攻で部屋に戻った二人はもう出かける準備を済ませたみたいだ

「おう待たせて悪かったなコウタ、レンカ」

「いや、大して待ってはいない。何か持っていったりするものがあれば手伝うぞ?」

「残念ながら俺には渡す人がいないぞ……って言いたいところだけど。コウタの御家族と蓮華の嫁さんに土産持ってかねぇと行けないからな」

あんま下手なこと言ってコイツらのテンション下げるのも悪いからなあくまでも明るく元気に行こう

「おっいいね俺も手伝うよ」

「じゃあ荷物整理するから持ち運び頼むわ、俺コイツの所持申請出してから行くから」

「あ、その刀常時装備する感じになったんだ」

「ああ、腕輪と同じような機構を鍔に備えようとしたらしいんだけどあれをこのサイズからさらに小型化させるって言うのはさすがに無理があったらしくて結局腕輪に直接接続させる形になったからベースは普通の神機と同じだけど扱いがはるかに難しいって感じ。鞘が捕食作用を抑える働きがあるから収めてる間はただの刀みたいなもんだからそんなに危険はないかな」

「なるほど、わっかんねーや」

「俺は少しだけ理解出来た要は鞘に入ってさえいれば危険じゃないってことだな」

「そゆこと、じゃコレをコウタが。こっちを蓮華持ってって置いてくれホールのエレベーター集合な申請すぐ出して来るから」

「了解早くしてよ〜」

「うちへの土産多くないか?サイズ比がおかしいぞ」

「生存祝いに結婚祝い、他にも色々入ってるからな。ま、それはまた行きながらでいいだろじゃよろしくなー」

2人に荷物を預けて直ぐに神機保管庫に向かった

 

「刀剣型神機2本の常時帯刀の許可申請。これくらい新型ってことで認めてね。っと。OKおしまいだ。さっさと行かねーと………アァ?」

「おやおや、コレは新型の神喰 劍華くんだったかなァ?初めましてだねェ私は大車ダイゴ。アリサの主治医だ。よろしくね」

短髪のオールバック、白髪混じりの濃い茶髪、アロハシャツの様なものを纏っていてその下に覗ける鍛え抜かれた肉体とその身に纏う謎のオーラ。そして何より原作よりも明らかに若い20代後半に見える。大車ダイゴであってコイツはそうでは無いと言えるだろう。何より───

 

「あぁ、ハジメマシテ、オオグルマ先生。こちらこそよろしくお願いしますね」

「ところでキミ。シオって知ってる?」

「塩ですか?塩なら食堂か配給で貰えるんじゃないですか?」

「そう、じゃあジャンケンしないかい?」

「ジャンケン?」

「そう、最初は『グー』ジャンケン」

腰だめで構えて、オーラを手に集めているコレは

 

………やっぱり

「ジャンケン『グー』!!」

守の型・壱『風車』

 

馬鹿みたいな威力のただのパンチ

それに対してこっちは刀を高速で回転させて一枚の盾の様に使っているだけ。

明らかに人間同士が放っとは思えない爆発音と衝撃をアナグラに響き渡らせた

 

「へぇ、これ防ぐんだいい刀だねェ。さていきなりすまなかったね、強い子を見ると試しに強めの挨拶をするのが癖でねェ」

「いえ、そちらもいいパンチでしたよよく鍛錬なさってる様で」

「そうでもないけどねェ、それじゃあね非番楽しんで。うヒヒヒ」

「そちらもごゆっくり」

 

 

 

 

 

──────コロス

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この続きはまた後でという事で
すんません全然書いてなかったもんで
相も変わらずナメクジ更新ですが久々に見ていただけれ幸いです

続きですがまだ書き出していないのでまた時間がかかりますが次回も見ていただければ嬉しいです
それではまた


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使いと刀とお休みと(後編)

どうも皆様
お久しぶりですナメクジ野郎でございやす
覚えていらっしゃいますか?
御託はいい?別に待ってない?
そんな冷たいことは仰らずに前回のお話から通してでのお話になります
大変お待たせ致しました。後編でございます。

とりあえずどぞ(っ´∀`)っ



地に沈む不快の極まった重たい感覚

自分の身体から自分が抜け堕ちていく感覚

欲に溺れてこの世全てを喰い殺そうとする感覚

全て投げ捨てた心に身を任せた憎悪の一撃を撃とうと構えてしまった

 

 

──────『まだ早い』

 

 

心の中で強く思い構えを解く

 

………今の言動で確信が持てた

大車ダイゴは転生者だ、俺以外にもこの世界には何人()いることが明確になった。若しかすると蓮華も転生者だったのかもしれない。

前世の記憶がないだけで、そうでなければ主人公の1人であるアイツがここに存在するわけがない。

俺が新型に適合できるはずがない

 

……まぁそれは考えたところで意味がないか

 

アイツが俺の殺すべき敵、姉さん達の仇

大車ダイゴもとい『蜜裂 狂羅(みさき きら)

名前こそ変えているが姿、在り方、喋り方

そしてなんと言ってもあのネットリとした視線は早々変えられるものではない。

見られる側としても中々忘れられるものじゃない気持ち悪くて。何がキモイって舐るようなジッと観察するような全身に虫が這いずり回っているような錯覚を起こす程見つめてくるのだ。男性女性関係なく

 

真っ当な生活が出来ていたら誰もアイツには近づかなかっただろう。

それでもカウンセラー、精神科医の真似事をするような人間だこんな世界じゃ切っても切れない存在だろう

だからこそ余計に腹が立つ

アイツもこの世界に降り立った俺と同じ転生者のクズだ。憑依と言った方が正しいのだろうが少なくともあのゲーム内の大車ダイゴとしては生きていない

それから現状アリサがどういった扱いを受けさせられているか知らないが何かしらされているだろう

でもまだ顔に生気がある、生きている

アイツに食われてしまえば段階的に壊れていく

最終的には人ですら無くなる、そういう奴だ、アレは

『俺』も相当だという自覚があるが『アレ』はそれより遥かにタチが悪い。

 

………あの音を聞いて誰もこの場に駆けつけないという事はアレのせいだろう。結界でも張ったか。はたまた見ていたものが幻想だったか

どちらにせよ面倒極まりないのは事実。手立てを考えるのも行動するにしてもだ

本音を言えばきるだけ早く片を付けたい。でも無駄に殺せばこちらが警戒される、なんとも食えない状況だ

 

アレを殺す事も大事だが今は同期と一緒に下に降りよう

無駄に心配させるわけにはいかない

 

 

エントランスにすぐに向かってすぐにコウタに声をかけられた

「おー、劍華遅かったじゃん申請に時間かかった?」

「まぁな、危険物を常時持ち歩き許可の下さいなんて素直に言えるわけがないからな。ゴッドイーターだから常時帯刀の許可だけでも時間かかったんだよ」

「そうか神機と同じなんて上の上が許可する訳がないからな」

これで良い。コイツらに無駄な心配かけさせるわけには行かないから

それにしても博士許可下ろすの早すぎやしなかったか?

 

「じゃあ行くか!」

「よぉおし!しゅっぱーつ!」

「お、おー」

コウタが盛大に叫んだおかげで周りのゴッドイーター達に笑われた。

うんうん、こういうくだらない事で笑えてるのはいい事だ。

まだ心にゆとりある生活ができている証拠だ。

それが無ければもっと殺伐して誰も彼もが嫌な目をする

願わくばこの時間が永く続きますように

 

 

 

「ただいま、姉さ───イロハいるか?」

「あら、おかえりなさいレンカ今回は早かったのね」

「あぁ今回は同期と一緒に休みとったんだだから早い。それと次はちょっと先になる」

「そう。怪我、してないわよね?」

「ああ。問題ない。この通りピンピンしてるさ」

「よかった、おかえりなさいレンカ」

そう言って蓮華にギュッと抱きつくイロハさん

……ふむ、お熱いねぇ空木夫婦

まだ完全に慣れていないのだろう。レンカが名前呼びする事に躊躇いが見える。まぁそのうち気にしなくなるだろうからレンカのペースで呼んでいけるようになるだろう

 

それにしてもイロハさんレンカのこと好きすぎるよなぁ

ちょっと妬ける

 

「邪魔者は退散しとく?」

「そうするか」

「ま、待ってくれ!イロハ1回離れて」

「え〜?ダメ?」

「ダメじゃないけど………ってそうじゃ無くて俺の同期紹介するからくっ付くのやめてくれ」

(素が出たな)

(出たなレンカ)

前言に追加をレンカもイロハさん大好きだなこれ。

 

「しょうがないなぁ、では改めまして。空木レンカの妻イロハと申します出来の悪い子ですが何卒よろしくしてあげてください」

「いや、その紹介じゃ妻と言うよりオカンだよイロハさん。そしてお久しぶりです。怪我、もう大丈夫みたいですね」

「あ!!あの時の!ありがとうございましたおかげでこの子と離れ離れにならずに済みました」

「いえ、俺がやったのは手当と再生の手伝いくらいなもんですから大したことはしてないですよ。それと俺の名前は神喰 劍華です劍華とでも呼んでください」

「ええ、本当にお世話になりました。そうすると劍華さんもゴッドイーターなんですね、この子が───うちの主人が連れてきたって事は」

「ええまぁ、同期兼教官やってます」

イロハさんもやっぱりちょっとまだ恥ずかしいらしい。ちょっとモジモジしてる

「主人のことよろしくお願いしますね教官殿」

「当然、大切な仲間を死なせる訳にはいかないんで」

「はいはーい!じゃあ次俺の番。藤木コウタです右に同じく同期のゴッドイーターです!ついでに言うと空木家の横に住んでる藤木家の長男です!ご近所同士仲良くしてくれるとありがたいです!」

「ふふっ知ってるよコウタくんいつも元気だもんね」

マジかよ蓮華とコウタお隣さんどうしかよすげぇな、それにしても元気だなぁ

「あらやっぱりコウタだったのね?怪我、してない?体調崩してない?大丈夫なの?」

コウタが、元気よく挨拶をしていたためか声がかなり響いたのだろう、コウタのお母さんが出てきた。周囲の人達も遠巻きにだがコチラの様子を伺っているようにも見える

「あ、母ちゃんただいま。俺ちゃんとやれてるから心配しないでよ」

「何言ってるのよ親なんだから心配するのは当たり前じゃない。まぁでもその調子なら大丈夫そうだね。あら空木さんこんにちは」

「こんにちは藤木さん。この間はどうもありがとうございました助かりました」

「いいのよまた何時でもいらっしゃい。あの子も喜ぶから」

「はい、是非!」

「イロハお姉さん。こんにちは!レンカお兄さんもいる!お兄さんは初めて会った!初めまして藤木ノゾミですよろしくお願いします!」

「神喰 劍華だよよろしくねノゾミちゃん」

「うん!あっお兄ちゃんおかえり!」

「ただいま、のぞみ。ねぇ気のせいだと思うんだけど俺の事一瞬忘れてなかった?」

「そんなことないよ?おうち入ろ、またいーっぱいお話きかせて欲しいの!」

「おう、じゃ今回はどのことについて話そうかな〜」

 

コウタはノゾミちゃんに手を引かれ家へと向かって行った

 

「空木さん達もいらっしゃい。大したもてなしは出来ないけど」

「ありがとうございます。そうだ!うちからお茶持っていきますね」

「おじゃまします。それとお土産いっぱいあるんで是非」

「神喰くんもいらっしゃい。少し気になっていたのよ帰ってきたらいつも話に出てきていたから」

「是非、というかそうなんですか。コウタが俺の話を」

「ええ、自慢の同期で教官なんだぜ!って。貴方が教官のような事を始めてから負傷率がかなり減ったって話も聞いたの。外からの生きながらえてきた知識なのかな〜なんて言ってたけど」

「さあ?どうでしょうみんな後輩に遅れを取りたくないから頑張ってるだけかもしれませんよ」

「うふふ、レンカくんも負けてちゃ居られないわね」

「はい、コイツに追いつくのが今の目標なんでそれなりには頑張ってるつもりです」

「藤木さーんお茶持ってきましたよ!ってあれ?まだ外でお話してたんですか?またこの間みたいに興奮したコウタくんがうるさくて近所迷惑だー!って怒られちゃいますよ」

えっ、待ってコウタ何してるの?騒ぎすぎた?神機が無いからってゴッドイーターが暴れたらタダじゃすまないんだよ?

「それもそうね。中でゆっくり───」

その時だった。

 

 

───────────ッ!!!!

けたたましく鳴り響くサイレンの音

微かに聞こえる悲鳴とアラガミの声

……近いなここから

 

 

『外部居住区外壁部損傷、防衛班は直ちに───』

放送が入り当たりの人間にも何が起こったのか理解ができたのだろう。

周囲の人間が慌てふためき始めた

 

まずいなこのままだとパニックになる

「コウタ!家族を中心に避難場所に移動始めててくれ!蓮華、イロハさん!二人は避難誘導の手伝いを!」

「え、あぁ、うんわかった」

「了解、イロハ俺たちはあっちの方から声掛けてこう」

「わ、分かりました。蓮華コレも持って行くよ」

「俺はこのまま外壁の方に向かうからこっちの方は任せる。アナグラに向かえば他の職員と合流出来るだろうからそれまででいい、パニックと混乱から暴動にならないよう落ち着かせてくれ」

そう言いながら2本の刀をスーツケースから取り出す

 

「外壁に行くって……そっかそれあるならアラガミもなんとかなるか、わかった。こっちは任せてよ。ノゾミ、母ちゃんとりあえずアナグラの方に向かおう外壁近くは危ないから」

「おう、何かあれば雨宮三佐から伝令来るはずだから。じゃ足止め行ってくる」

言うだけ言って直ぐに外壁に向かって走った

 

────走りながら考える

今のコウタには考える余裕を与えるのはダメだ、不安で潰れる。

何よりも家族を大切にする男に近くで外壁が崩れたなんて言ったらどうなるかなんて想像に難くない

蓮華はこっちに連れてくるのも愚策

もし死体なんぞあればアイツは周辺の鉄骨でも拾って応戦するだろう。それでもし蓮華が死ぬなんて事になれば俺は自分を許せないし。何よりもイロハさんが悲しむ

姉として生きながら同時に愛する人としても蓮華を観ている。

愛に満ちた色、ピンクだ花だとか言いたい訳じゃないが、彼女の瞳はそんな色をしている

 

……全くどこの姉弟に似たのやら、恥ずかしくて堪らないね

まぁもっとも蓮華の方は俺が嗾けなければ自分の気持ちにすら気づかなかったようだが

 

っと───着いた

確かに外壁が崩れているそこそこの大きさ。サイズ間からして多分ヴァジュラだろう。周辺に少し焼け焦げたようなあとがあるものの目立つ炎は上がっていない。ヴァジュラの雷撃によるものだろうコンロが吹き飛んで引火からの大爆発とかにならなかっただけマシと言えばマシ

 

「さて、防衛班の到着まで少し間引いておくか」

黒刀、白刀を腰から抜き放つ同時に『リンク』も行う。

そしてポテチを貪るようにサクサクとオウガテイルやドレッドスパイクを薙いでいく。亜種も少し混じっている様だけど大差ない、軽く振り下ろした刀に首も角も胴体だろうと細切れる

『リンク』というのは俺が勝手に名付けただけでゴッドイーターなら誰もがやっている事だ。簡単に言えば神機と同調する際の現象を『リンク』と名付けて使用している

 

他の神機使い達と違うのは意図的に自分の意思で行えるという点

もう一つは神機〈〈以外〉〉との同調だ

前者は文字通り。俺が『リンク』しようと思えば何時どことでもどんな状況であろうと同調出来るということ

主に他の神機使い達は神機から伸びるあれが腕輪に入り込むことで同調を果たす。

俺はそれを腕輪なしに出来る、俺が触腕を延ばして強制同調出来るという事だ。

 

後者については……っとこんだけ集まれば充分か

死屍累々とは言わないものの近くにいたオウガテイルとドレッドスパイクはほぼ狩り尽くしたと言える。もう少し意図的に呼び集めても良かったんだが如何せん壁の中でアラガミ共に変な行動されるとちょっとばかり俺が困ってしまうので今回はしか無かった。大型の相手は今の刀じゃきついだろうし

「おーい!大丈夫か!?」

「わわっ凄い。神機も無しにどうやってこの数のアラガミを倒したんですか!?」

「…怪我はないか?」

 

タツミ、ごしゃ──カノン、ブレンダンの3人だ

「はい、大丈夫ですよタツミさん、ブレンダンさんもこの通りピンピンしてますから」

そう言いながら抜き身の刀を袈裟に振る

 

ひゅん

 

と小さく風を斬る音がする

「その調子なら大丈夫そうだな。にしてもそれ。さっき使ってた刀剣型神機だろ?よく持ち出せたなそれ」

「ええまぁ、〈〈刀剣〉〉の常時帯刀許可の申請しただけなんで大丈夫ですよ」

「………すまん、俺は何も聞かなかった事にするわ」

「あはははは、そんな事言わずにもう知ってしまったんだから共犯ですよタツミさん」

「明日に響かないか?」

「それは大丈夫だと思います。雨宮三佐から軽く折檻は受けるとは思います。少なくとも博士が許可くれたのは確認したんでそんなにガミガミ怒られないんじゃないですかね?」

事実俺は本当に刀剣の帯刀許可申請しか出てない。博士やリッカも態々あんな物をフェンリル本部に伝えたりしないだろうし

博士から研究の一環としての許可も降りているからまぁなんとかなるんじゃなかろうか

「そういうものか」

「あの、刀剣型神機ってなんの事です?みなさんばかり盛り上がってるところ申し訳ないんですけど」

ガンナー組も何人か見に来てたのは確認してはいたけどそういやこの人見てないんだよな俺のアレ。訓練場のモニタールームに気配がなかった。

「えっとですね俺が持ってるこの刀なんですけどね───」

 

1人だけ話に着いていけないと言うのも可哀想なので午前中に俺が訓練場で刀を使った型や演舞をした事を軽く説明した。

 

「なるほどーそんなことがあったんですね!私も見に行けば良かったですね」

「もし良かったら明日刀剣教室みたいな事やるんで来てみて下さい」

「え?いいんですか?」

「もちろん」

「でも私第1世代のブラスト持ちのゴッドイーターですよ?」

「問題ないですよ。寧ろ近接動きが分かるようになると思うんでどう撃てばいいとかどのタイミングなら確実に合わせられるとか連携にも活かせるようになると思うので体験するのはいい事だと思いますよ」

「なるほど!そういう事なら是非お願いします!教官!」

「あ、いやカノンさんの方が先輩ですんで教官はちょっと」

「そうですか?じゃーいつも通り劍華さんで。よろしくお願いしますね」

「はい、よろしくお願いします」

会話を終えて振り返るとタツミとブレンダンがなんだか崇めるような瞳でコチラを見ていた。

「あれ?お二人共どうしたんですか?そんな顔して」

「劍華〜さっきの話ってカノンが頑張れば誤射が減るかもしれないって事だろ?」

「ええっと、はいカノンさんの頑張りによるとは思いますけど………」

正直に言うとむ───

「そうなんですね!じゃあ私一生懸命頑張りますね!」

「アッハイ」

そんな爛々と輝いた瞳でコチラを見ないでくれ。と言うか察したコレは無理だぁ

「感謝する」

ブレンダンの期待が重い、やるだけやってダメだったら……後は知らないからな

 

3人がこちらにきたので俺の仕事は終わったと判断して2人の家に戻った。

本音を言うなら誤射されるのはもう勘弁願いたい。

 

俺の対処が比較的早かったからかすぐに戻って来ていたらしくコウタや蓮華達と合流して話を聞いた。

アナグラ方面に向かう道がフェンリルによって狭められていたらしい。1部暴動になりかけていた人たちもいるようだけど蓮華が鎮圧。

その後警報が鳴り止んで戻ってきたとのこと。

防衛班が到着した事を報告した時はあからさまにコウタの表情が和らいだ。本当に家族を大事に思っているんだなコウタは

 

その日は帰るまでの少しの間だけだったけど非番を楽しんだ。

 

 

────

 

 

「今日は楽しかったよ姉さん」

いつものように筆を進める

「懐かしいっていうのが1番近いんだろうね、苦しい環境でも家族みんなで楽しく生活して。日常って感じがしたよ」

 

今日は姉さん以外にも父さん、母さんも久々に描くことにした

 

「コウタのお母さん優しそうだったんだ。母さんよりも大人しい感じの人だったけどコウタを見る目は愛に溢れてたんだ」

 

だからだろうか

「蓮華の方もさイロハさんも壁の内側に連れてこれてとても幸せそうだったんだよ。3人にも見せてあげたかったなぁ」

 

こんなにも

「寂しいよ……復讐に生きるのも愛する人たちがいないのも」

 

弱々しく情けない声が出てくるのは

 

「俺さアイツら絶対に守るから、護るからさ。力貸してくれよなもうみんなみたいな目に合わせないって誓うから、だから───」

 

不意にコンコンと扉を叩く音が聞こえた。

リンドウじゃないのは確かだな。あいつ、ついもノック無しで入って来やがるから……

 

「………開いてますよ」

「失礼します、本当に絵を描かれているんですね」

アリサか

こんなに散らかして。と悪態をつくようにしながら絵を拾って来るアリサ

「いやぁごめんねアリサちゃん。片付けてもらっちゃって」

「別にいいです。それよりもコレ、被写体は本当にあなたのお姉さんなんですね?」

怪訝そうに疑うようにジトーっとした目でコチラを見る

あぁ、なるほどそういう事か。手元にある絵姉さんの絵だ

 

「うん、そうだよ幾つかアリサちゃんがモデルになってる物もあるけど。それはアリサちゃんがと言うより。第1部隊のみんながモデルって感じだからね。俺さ好きなんだよ絵を描くの俺が見たものを。俺が見るものを。忘れないように遺しておけるから」

「……そうですか。それにしても私は貴方のお姉さんによく似ているようですね」

「冷たいなぁ〜。でもそうだね君と彼女、姿形はよく似てるよ」

性格は全然違うけどね。と少しおどけたように言う

「瞳の色くらいですか?大きく違うのは」

「うん」

「あの、貴方のお姉さんはもしかして」

「気遣わなくていいよ。もうとっくに死んでる」

自分だって余裕ないだろうになんでこんな奴に構うかね?

 

「それよりも何か用事があったんじゃないの?じゃなきゃ態々俺の部屋なんか来ないでしょアリサちゃん」

「そうでした。ツバキさんがお冠です。あの刀剣型神機についての件で。その報告と明日件よろしくお願いします。私は今よりもっともっと強くなってアイツを……ピターを倒さなくちゃ行けないので」

 

後ろ向きに前向きだね君は

復讐なんてやったところで残る物は仇が死んだ喪失感だけ。

かけた時間も思いも仇と共に全て流れて消えてしまうから俺はやっぱり復讐は嫌いだよ

 

「アリサちゃん」

「なんです?」

「雨宮三佐には博士が全部悪いって伝えといて!」

先程の微妙な空気感になってしまった分をここで挽回しよう

嫌な事なんて笑い飛ばせるくらいに

 

「なんで私がそんな事しなくちゃ行けないんですか!」

「いいじゃん俺のところまで態々報告しに来てくれたんだから。ちょっと戻って一言伝えるだけだから、ね?」

「何がね?ですかイヤですよ。だいたい今日だって貴方に捕まって仕事が滞ったのが三佐にバレてとばっちり受けたんですから!」

大方同行した神機使いとのトラブルだろうなぁ、まだ俺のところに話回って来てないからいーやって思ってたけどバッチリトラブってるよね。うん

「そいつは失敬。でも着いてきたのはアリサちゃんだからね、俺別に強制してないもーん」

「何がもーんですか、ドン引きです!だいたいアレは貴方が私を煽るようなことを言うのが行けないんじゃないですか」

「おや、おやおや成績優秀なアリサさんでも僕の戦闘スタイル気になっちゃいますか。コレは明日張り切って頑張らなきゃね!」

「あんな動き見せつけられて何も思わない方がおかしいです、旧型の人達はともかく空木さんがあそこまで異常な速さで成長してるのは貴方が戦闘訓練をしているからじゃないんですか?」

「新型同士仲良くするのはいい事だからね。アリサちゃんもどう?蓮華の吸収率すげーぜ。あと俺銃の扱いあんまり上手くないから蓮華に教えてやってよ」

「なにがあんまり上手くない。ですかブラストで超長距離射撃行うじゃないですか」

「適性的にはちょうどいいんだけどね?やってる事が違いすぎて教えられないんだよ俺。ほらカノン先輩が教えるって考えると色々があれじゃん?」

「カノンって誰です?」

「え?ウソそこから?」

「大方旧型のブラスト使いなのは分かりました。でも何が問題なんです?」

カノンを知らんて、マジかコミュ障極めてないか?

 

「ええっとアリサちゃん一応確認なんだけど。第1部隊以外の人とコミュニケーションとってる?」

「なんでですか?」

「なんでってそりゃ同じ極東支部で戦ってる仲間だし、もしかしたら協力を要請する場合もあるかもしれないし」

「必要ありますか?」

えぇ、コミュ障って言うか会話ゼロやんこの子、この先心配になってきたなぁ

 

「えっとじゃあ逆に会話する人教えてくれる?リンドウさんとか」

「嫌いです」

まぁ何となく分かるかな……

「サクヤさんは?」

「口うるさいです」

世話焼きだもんねサクヤさん

「こ、コウタは?」

「ウザイです」

ごめんフォローできないよコウタ。頑張れ

「ソーマは?」

「……喋ったことないです」

ああああああああぁぁぁコミュ障同士ですもんね!絶対会話とか無理だろうね!聞いた俺がバカだったね!

「三佐は?」

「怖いです」

……うんそれは俺も分かる

「博士は?」

「長く喋らせたくないです」

うん、大いに分かる

「蓮華は?」

「頑張りやさん。ですかねあの人いつも訓練所にいて訓練ばかりしてますから。私にもよく聞いてきますしブレードの扱い方とか」

……まさかの高評価、凄い凄いぞ蓮華お前は

「あ、俺はどんな感じ?」

「あなたは、私のもく───って言うわけないじゃないですか!ドン引きですです!最低最悪の人ですね。大嫌いです!」

過去最低のご評価頂きました。畜生泣いてやる

でも暗い感じは無くなったから良しとするか。

 

「さて、アリサちゃんもう夜も更けるそろそろ自室にお帰り。俺もこの絵仕上げたいし。完成まで残ってもいいけど本当に夜になっちゃうからね」

「この絵ご家族ですか?」

「ああ、優しくてアグレッシブな上に強い母さんと博識で病弱だけど心の熱い父さんと2人のいいとこ取りな上に美人な姉さん」

「貴方の絵がありませんよ?」

「さっき言った通り俺が見たものを描いているからね。そこに俺はいないさ」

「それでみんなの絵ばかりなんですね」

「でも、直接見ながら書いてる訳じゃないからどうしたって精度が落ちるんだよね」

「こんなに上手なのにですか?」

「うん、モデルにその場にいてもらった方が上手く描けるよ」

「そうですか。じゃあいつか見せて下さいそのモデルで描いた絵を」

「期待して待っててよ」

いつか君をモデルに描き上げるからとは流石にキモくて言えないなぁ

 

「じゃあ私はコレで」

「うん、アリサちゃん」

「なんですか?まだ何かあるんですか?」

「おやすみ、明日頑張ろうね」

「おやすみなさい。それとよろしくお願いします」

パタンと扉が締められる

 

少し動悸がする。アリサの匂いが残っているからだろうか

「どうよ?めちゃめちゃ似てなかった?」

心を落ち着けながらいつものように筆を進める、語りかけることも辞めない

「姉さんに瓜二つって言うか殆どそのまんまなんだよな彼女」

性格はキツイけどと続ける

「彼女を直接姉さんに合わせてあげたいな……もう無理なんだろうけどさ。夢唄どう思う?どうしたらいいかな」

筆を置く

「完成かな」

出来上がったのはロケットの中にある写真と同じ3人が写った絵ただそれぞれが優しく微笑みコチラを見ている絵。

 

絵をそのままに窓へ近づく。

 

窓枠に腰を乗せ、温くなったビールを開ける

カシュッとこぎみいい音と少し泡が溢れる

「うん、不味いな。ビールは冷えてねぇと上手くねぇ」

 

前世からの習慣と言うか癖だろうか。

窓際で月を、星を、空を見上げるリラックスしたいんだろうか物思いに耽るわけでも無くただボーッと空を見上げる

 

今日は半月か

 

早いところ満月にでもならないかね。

別に変身するわけじゃないけど満月の夜は体の調子がすこぶるいい

肉体をアラガミ化しても意識を完全に保っていられる貴重な時間。理由は分かってないけど何故かそうなる。

 

まぁ明日もあるし早く寝るか

 

翌朝、過去最大の折檻を喰らうことを俺はまだ知らない。

 

 




楽しんで頂けましたでしょうか
内容が二転三転とした感じはありますがこれが私の作品です
話が飛びます。急な展開があります
コレぞナメクジクオリティ
それも含めて楽しんで頂ければ幸いです

考えはあるのに上手く言語化が出来ないせいでペースが上がらないのが現状です。
なのでゆるりゆるりとお待ち下さい。
それではまた次回お会いしましょう〜


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