ハピネスチャージプリキュア 激獣拳使いの幼馴染み (ナツ・ドラグニル)
しおりを挟む

修行その1~
修行その1  面白そう!激獣拳


どうも!!ナツ・ドラグニルです!!


今までハピネスチャージの方の話を投稿していましたが、今回からゲキレンジャー側の話を投稿していきます!!


その理由は、ハピネスチャージの話がスランプに入ってしまい、続きが投稿できなくなってしまった為です。


しばらく2番煎じに、お付き合いください。


この話が終わる頃には、流石に終わっていると思うので。


それでは作品をどうぞ!!


町を一望できる高さの煙突や、人々が集まる商店街。

 

 

河川敷や棚田の広がる山、『ぴかり山』。

 

 

千年前からの伝承が残る神社『ぴかり神社』。

 

 

多くの人々が住む街『ぴかりが丘』

 

 

そのぴかりが丘の、あるマンションの一室から1人の少年が現れた。

 

 

「じゃあ、行ってきまーす」

 

 

中にいる人に向けて、少年『相楽誠司』は声を掛ける。

 

 

薄い鼠色の半袖カッターの上着に赤いTシャツ、黒の長ズボンを着用し、靴はスニーカーを履いている。

 

 

「あれ?誠司、どこか出かけるの?」

 

 

薄いピンク色の髪をポニーテールにしている少女、『愛乃めぐみ』が出かけようとしている誠司に話しかける。

 

 

虹の絵が描かれたシャツに、水色の半袖シャツを羽織り、ピンク色のスカートに白いニーハイソックス、ピンク色のハイカットシューズを履いている。

 

 

誠司とめぐみはお隣さんで、同い年の幼馴染だ。

 

 

「ちょっと散歩にな」

 

 

そう伝えた途端、めぐみは明らかに目を煌めかせた。

 

 

「あたしも一緒に行く!!」

 

「はぁ!?何で!!?」

 

 

着いてこようとするめぐみに、誠司は驚く。

 

 

「だってその方が面白うそうなんだもん」

 

「面白そうって...」

 

 

呆れる誠司だったが、そこでめぐみが買い物で使うであろうバックを持っている事に気づいた。

 

 

「お前、何か用事があったんじゃないのか?」

 

 

誠司がそう聞くと、何かを思い出したのかあぁっ!!とめぐみは大きな声を上げる。

 

 

「そうだ!!あたしお母さんに買い物頼まれてたんだ!!」

 

 

そう言って、めぐみはエレベーターに向かって走り出した。

 

 

「じゃあね、誠司」

 

 

走り出すめぐみを見送った誠司は、落ち着きのない自身の幼馴染に呆れる。

 

 

「まったくあいつは」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

気分転換の為に、河川敷を歩く誠司。

 

 

すると、後ろから掛け声が聞こえてきた。

 

 

「ファイ・オー!!ファイ・オー!!」

 

 

声をした方を見ると、恐らく空手のであろう胴着を来た人達が走っていた。

 

 

「ファイ・オー!!ファイ・オー!!」

 

 

その集団の中でも、一番目立っていたのは先頭に立つ紫髪をポニーテールで纏めている女の子だった。

 

 

横を走り抜けるのを、誠司は黙って見ていた。

 

 

「やっぱ俺も格闘技始めようかな」

 

 

格闘技が大好きな誠司にとって、空手家などは憧れの存在だった。

 

 

但し、格闘技が好きすぎる余り、どの格闘技に入るか迷ってしまい中々始めずにいた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

特に宛もなく散歩していた誠司は、商店街に入った所でぐぅ~とお腹が鳴った。

 

 

「そろそろ昼か」

 

 

そこで誠司は、商店街の一角にある弁当屋『おおもりご飯』に訪れた。

 

 

「いらっしゃいませ!!って誠司君!?」

 

「よっ」

 

 

誠司を出迎えてくれたのは、茶髪の外はねショートカットの少女『大森ゆうこ』である。

 

 

めぐみと同じ、誠司のもう一人の幼馴染だった。

 

 

胸に紐付きの半袖に、やや短めのキュロットを履いていた。

 

 

普段、滅多におおもり食堂に足を運ばない為に、誠司が入店した事に驚くゆうこ。

 

 

「誠司君が来るなんて珍しいね、今日はどうしたの?」

 

 

席に案内しつつ、ゆうこは質問する。

 

 

「ちょっと散歩してたんだけど、腹減っちゃってな」

 

「そうだったのね、急にきたからびっくりしちゃったわ」

 

 

そう言って、ゆうこはメニューを誠司に渡す。

 

 

「ご注文は?」

 

「じゃあ...唐揚げ弁当で」

 

 

誠司はメニューを一通り見た後、ゆうこに注文する。

 

 

「畏まりました」

 

 

ゆうこは、厨房に向かって大きな声を上げる。

 

 

「お父さん、唐揚げ弁当1つ!!」

 

「あいよ!!」

 

 

厨房から、ゆうこの父『大森たけお』が元気ある声で返事する。

 

 

「あら?誠司君じゃない」

 

 

誠司の存在に気づき、ゆうこの姉『大森あい』が話しかける。

 

 

「久しぶりね~」

 

「ご無沙汰してます、あいさん」

 

「しばらく見ない間に格好良くなっちゃって!!」

 

 

よほど会えたのが嬉しいのか、誠司の背中をバシン!と力強く叩いた。

 

 

「学校でもモテるんでしょう?」

 

「いやいや、俺なんて全然モテませんよ」

 

 

実際、誠司が通うぴかりが丘学園には、誠司に好意を寄せる女子生徒は多数おり、目の前にいるゆうこもその1人だった。

 

 

誠司が恋愛に疎く、鈍感な事もあって気づいていないだけだ。

 

 

「俺なんかを好きになる変わり者なんて、早々いないですよ」

 

「ぐふ...」

 

 

誠司は冗談混じりに答えたつもりだったが、《変わり者》という言葉が、ぐさっ!!とゆうこに刺さった。

 

 

「あらら...」

 

 

その事に気づいたあいは、苦笑するしかなかった。

 

 

「ちょっと2人共、無駄話してないでちゃんと働いてちょうだい。まだ他にもお客さんいるのよ」

 

 

誠司が頼んだ唐揚げ弁当を持って、1人の女性がゆうこ達に注意する。

 

 

「あっ、ごめんなさいお母さん」

 

 

ゆうこ達の母、『大森ようこ』は弁当を誠司の前に置く。

 

 

「お待たせしました。唐揚げ弁当です」

 

 

しかし、そこでようやくようこも誠司の存在に気づいた。

 

 

「あらっ誠司君じゃない!!久しぶりね!!」

 

「今気づいたの?」

 

 

誠司にまったく気づいていなかった母に、あいは呆れる。

 

 

「大きくなったわね~」

 

「お久しぶりです、おばさん」

 

 

上機嫌で話しかけたようこだったが、一瞬で表情が一転する。

 

 

「おばさん...」

 

 

おばさんと言われた事に、ようこは悲しそうな顔をする。

 

 

「うっ...ようこさん...」

 

 

ようこの悲しい顔に負けてか、誠司は名前で呼びなおす。

 

 

「珍しいわね、誠司君が1人でうちに食べに来るなんて」

 

「散歩していたら、お腹すいてしまって」

 

「あらそうなの?じゃあゆっくりしていってね」

 

 

そう言って、ようこは仕事に戻っていく。

 

 

「じゃあ、私達も仕事に戻りましょう。これ以上話してたらまた怒られるからね」

 

「そうね、じゃあ誠司君ごゆっくり」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

おおもり食堂で食事を済ませた誠司は、ぴかり神社に訪れていた。

 

 

この神社は伝承によると、千年前にこの地に1人の神が1人の女性の下に降り立ったとされており、特殊な力を宿した神秘的な土地だと言われている。

 

 

せっかくなので、お賽銭でも入れようとした誠司だったが...

 

 

「ようやく見つけましたよ」

 

 

突如誠司の前に、金髪の青年が現れた。

 

 

「まさかこんな所にいようとは」

 

「えっと...あなたはいったい...」

 

 

突然話しかけられた事に、動揺する誠司。

 

 

「あなたが知る必要はありませんよ。なぜなら...あなたはここで死ぬのですから」

 

 

青年はそう言うと、オーラが青年の身体を包んだ。

 

 

「一体何が...」

 

 

驚く誠司だったが、更に驚く光景を目にする。

 

 

誠司の目の前に金色の龍が、姿を現す。

 

 

「うわぁ!?」

 

 

驚いた誠司は、思わず尻もちをついてしまう。

 

 

その姿はまるで、ヤマタノオロチの様に多くの首を持った龍の化け物だった。

 

 

「はぁっ!!!」

 

 

龍の口から放たれた気が、誠司に向かって放出される。

 

 

ドッガァァァァァン

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

圧縮された気が誠司に着弾し、大爆発が起こる。

 

 

爆炎が晴れると、そこには誠司の姿がなかった。

 

 

「ふふふ、ん?」

 

 

消し飛ばしたと思った龍の化け物だったが、先程まで誠司が居た場所に異変を感じた。

 

 

龍の化け物は姿を青年の姿に戻し、そこまで近づくとしゃがんで地面を撫でた。

 

 

「これは...」

 

 

そこでようやく、青年は次元が歪んでいる事に気づいた。

 

 

「今の攻撃で、次元に穴を開けてしまいましたか...これは面白い」

 

 

誠司がいなくなっていたのは、跡形もなく消えたのではなく、攻撃で偶然空いた次元の穴に呑み込まれたのだ。

 

 

「簡単に消してしまっては面白くない、精々楽しませてもらいますよ」

 

 

こうして、誠司はぴかりが丘から......いや、この世界から姿を消した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

チュンチュンチュン

 

 

鳥のさえずり、穏やかな風が吹いている。

 

 

その風で、木々がざわざわと騒ぎ立て、枝や葉の揺らぎが、まるで波打っているようだ。

 

 

「うっ...」

 

 

気絶していた誠司が呻き、目を覚ました。

 

 

「ここは...」

 

 

誠司は上体を起こし、辺りを見渡した。

 

 

「ここは一体...」

 

 

先程までぴかり神社にいた筈なのに、起きたら知らない森にいた事に誠司は動揺する。

 

 

その時。

 

 

ブゥゥゥゥゥンという音が、誠司の上から聞こえた。

 

 

そこで誠司は、途中で森が途切れている事に気づいた。

 

 

誠司は途切れている所に向かうと、その先は崖になっており下に広がる樹海を一望する。

 

 

そしてようやく、誠司は先程の音の正体に気づいた。

 

 

それは1台のセスナが煙と炎を上げ、空を飛んでいた。

 

 

「あれは...」

 

 

セスナを見ていた誠司だったが、等々飛行機は森の中へと墜落してしまう。

 

 

「行くか...」

 

 

ここが何処だか分らない誠司にとって、何か手掛かりを掴めるかもと墜落現場へと向かう。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

墜落現場では、大量の異形が木々を飛び移っていた。

 

 

その異形は茶色い服を着て、目元を帽子と目隠しで覆っている容姿だった。

 

 

そして、その異形の集団に襲われている人がいた。

 

 

恐らく、墜落したセスナに乗っていた人物だろう。

 

 

「困っちゃうわね、そんなにこれが欲しいの?」

 

 

スーツを着た女性は、大事そうにアタッシュケースを抱える。

 

 

その時、異形の1体が襲い掛かる。

 

 

「ふっ!!」

 

 

女性が飛び上がるのと同時に、飛びかかってきた異形に肘鉄を食らわせる。

 

 

「でもダメ、渡さない」

 

 

そう言うと、女性は何かの型を繰り出した。

 

 

「激獣レオパルド拳」

 

 

女性はそのまま、異形達を相手する。

 

 

「はぁ!!はっ!!」

 

 

異形の鳩尾に向けて拳を、または足を叩き込む。

 

 

「はい!!はいっ!!」

 

 

今度は規則正しく、その場にいる異形達に拳を叩き込む。

 

 

「仮初の命を与えられた、哀れな死者『リンシー』達。今こそ永遠の眠りにつきなさい」

 

 

女性がそう言うと、異形...『リンシー』達は全員が崩れるように消えていった。

 

 

「すっげ~」

 

 

今の戦いの一部始終を見ていた誠司は、熱いものが込み上げてくるのを感じる。

 

 

「すっげ~!!」

 

 

思わず、もう一度大声を上げてしまう誠司。

 

 

「⁉」

 

 

流石の大声に、女性は誠司の存在に気づいた。

 

 

「子供!?」

 

 

驚いた女性は誠司に近づき、肩を強くつかんだ。

 

 

「君!!なんでこんな所にいるの!!?」

 

「あ、いや...俺も気づいたらここにいまして...」

 

 

曖昧な答えに、困惑する女性。

 

 

そんな時だった、何かに気づいた女性が誠司を突き飛ばす。

 

 

女性と誠司の間を、何かが通り過ぎて岩に直撃する。

 

 

ドッガァァァァン!!!

 

 

「うぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

着弾した場所が爆発し、更に誠司を吹き飛ばす。

 

 

「はっはっはっは!!!」

 

 

誠司達がいる頭上から、高笑いが響いた。

 

 

「惜しかったな!!まぁ、一発で終わっちまうとつまらねぇからな。そうだろう?拳士『真咲 美希』」

 

「こっちは関わりたくないんだけど、一応引退した身だしね」

 

 

女性...美希がそう言うと、先程のリンシーに似た異形が崖の上から飛び降りる。

 

 

その異形はリンシーとは異なり、赤い服を着て帽子と目隠しが取られ、素顔を晒していた。

 

 

更に、額にはカマキリであろうレリーフがついていた。

 

 

「選ばせてやるぜ、俺に甚振られてからそれを渡すのと、それを奪われてから甚振られるのと...どっちが良い?」

 

「どっちもお断り!!」

 

 

いきなりの展開で困惑する誠司は、2人のやり取りを黙って聞いているしかなかった。

 

 

「ひゃっはっはっは!!!良いぜ!!良いぜ!!強がってた女が、苦痛と恐怖で泣き出す所を見るのは大好きだ!!」

 

「カマキリ!?」

 

 

異形が構えを取ると、その横に鎌を振るうカマキリの幻影が見えた。

 

 

「俺の名前は臨獣マンティス拳のマキリカ!!今がお前の最後の祈りの時だぜ!!」

 

 

そう台詞を吐き捨てると、美希に向かって襲い掛かってくるマキリカ。

 

 

「はぁ!!」

 

 

マキリカは走る勢いを利用し、美希に飛び掛かり蹴りを繰り出す。

 

 

マキリカの蹴りを、美希は片手で防いだ。

 

 

しかし、マキリカの攻撃はそれだけでは終わらなかった。

 

 

裏拳、肘内、後ろ回し蹴りなど、怒涛の攻撃を繰り出した。

 

 

美希はその怒涛の攻撃を、片手で防いだり、躱したりして攻撃を凌いだ。

 

 

そして、後ろに跳ぶことで距離を取る二人。

 

 

「うっ...」

 

 

しかし、着地した後構える美希だったが、急に腕を押さえだした。

 

 

押さえた箇所をよく見てみると、一か所スーツに切れ目が入っており、血が滲んでいた。

 

 

「おっ!!セスナで不時着した時の傷か...ならそこを狙うとするか」

 

 

マキリカが、執拗に怪我している左腕を狙う。

 

 

1発目は何とか攻撃を躱す美希だったが、2発目が左腕に直撃しアタッシュケースを手放してしまう。

 

 

アタッシュケースは誠司の足元まで飛んでくると、中が飛び出して誠司の足元に転がる。

 

 

「しまった!!」

 

 

足元に転がった物を拾う誠司、それは3つの輪っかが絡み合ったような物だった。

 

 

「なんだ?腕輪...?」

 

 

どんな代物なのか分からない誠司だったが、その腕輪を見たマキリカが声を上げた。

 

 

「おぉ!!それはまさに拳魔の腕輪!!寄越しな小僧!!」

 

「逃げてぇ!!!」

 

 

声を荒げる美希だったが、マキリカが動くのが速かった。

 

 

「おらっ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

マキリカの攻撃を真面に受けた誠司は、後ろに吹っ飛び木に激突する。

 

 

マキリカは誠司に向かって、強力な手刀を飛ばした。

 

 

「喰らえ!!丘断拳(がくだんけん)!!」

 

 

その手刀は、誠司の近くの木を全て切り刻んだ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

誠司は倒れてくる木の下敷きとなり、姿が見えなくなった。

 

 

マキリカは誠司を潰したことを確認すると、足元に転がっていた腕輪を拾った。

 

 

「拳魔の腕輪は、俺等臨獣殿の物!!」

 

 

美希がその事に気づき、腕を押さえながらマキリカの元に向かう。

 

 

しかし、マキリカは地面の中へと沈んでいき、その場を引き上げてしまう。

 

 

悔しがる美希だったが、マキリカの後を追うよりも誠司を救出することを優先した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

紫色の雲と霧に覆われている寺院。

 

 

その玉座であろう場所で、瞑想するマントを羽織った青年。

 

 

その青年の後ろに、動く影があった。

 

 

突如として、何かが足元から徐々に姿を現す。

 

 

それは、カメレオンを模した異形だった。

 

 

その異形は口を開くと、青年に向けて長く鋭い舌を伸ばす。

 

 

しかし、完璧な奇襲だったにも関わらず、青年は見もせずに顔を逸らすだけで難なく避けて見せた。

 

 

青年に舌をガシッと掴まれた異形は、そのまま舌を捻る。

 

 

「きゃっ」

 

 

異形は体が宙に浮き、背中から地面に叩きつけられた。

 

 

「足りぬ...高揚も、衝撃も。メレ、その程度の攻撃では俺の渇きは癒されぬ」

 

「ああん、理央様」

 

 

青年...『理央』がそう言うと、異形...『メレ』は顔を手で覆いながら姿を変える。

 

 

その姿は若い女性の姿で、露出の多いチャイナドレスにニーハイブーツ。

 

 

髪型はツインテールの三つ編みが、ぐるぐると巻いてある。

 

 

「私の愛の一撃で、いつか癒してさしあげたい!!あなた様の...その渇き...」

 

 

しかし、そこでメレは本来の用事を思い出す。

 

 

「はっ!!それより...」

 

 

メレは外に向かって、大きな声を上げる。

 

 

「マキリカ!!」

 

 

マキリカが美希から奪った腕輪を持って、寺院...『臨獣殿』の通路を歩く。

 

 

『臨・獣・拳、臨・獣・拳』

 

 

その通る道では、リンシー達が修行を行っていた。

 

 

そしてマキリカが、理央の元までたどり着くと腕輪を献上した。

 

 

「ははぁ」

 

「それは...拳魔の腕輪」

 

「はい!!いよいよ、いよいよですね理央様!!ついに理央様の時代!!理央様の世界が始まるのですね」

 

 

理央は拳魔の腕輪を、左腕に嵌めた。

 

 

「古の拳魔達よ、我に言葉を授けよ」

 

 

理央の言葉に答えるように、拳魔の腕輪が光を放つ。

 

 

「きゃっ!!」

 

 

あまりの眩しさに、メレは目を瞑った。

 

 

『我らを呼び起そうとする若獅子よ、お前は何を求める』

 

 

腕輪から、男の声が聞こえた。

 

 

「強さ...それのみ」

 

 

理央が答えると、今度は女の声が聞こえる。

 

 

『ならば人間共に悲鳴を上げさせよ』

 

 

その女の声に続き、今度は別の男の声がする。

 

 

『弱き者どもの絶望が、我ら臨獣拳を強くする』

 

「弱き者どもの...絶望」

 

 

理央が腕輪を前に突き出すと、更に光り輝き、臨獣殿に雷が落ちる。

 

 

理央はマントを翻し、玉座へと立つ。

 

 

「道は示された!!」

 

 

その理央の横に、ライオンの幻影が見える。

 

 

ガアァァァァァァッ!!!

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はっ!!」

 

 

何かの気配を感じ、飛び起きる誠司。

 

 

「何だ今の...すっげぇゾワッとした...」

 

 

誠司は体中に鳥肌が立ち、身震いする。

 

 

「あれ?」

 

 

そこでようやく、自身が知らない場所で寝ている事に気づいた。

 

 

「何処だ?ここ」

 

 

 

 

 

スクラッチ社、本社ビル。

 

 

「はい、スポーツを科学とハートでサポートするスクラッチです!!」

 

 

電話対応している社員の後ろを、電話をしている美希が通過する。

 

 

「もうしわけありませんマスター・シャーフー、まさか臨獣殿に見つかるなんて」

 

 

美希は、臨獣殿という言葉の時に、他の社員には聞こえないよう携帯を手で覆った。

 

 

「500年に一度の月食の夜、拳魔の腕輪を永遠に封印する唯一の機会だったのに」

 

『気に病むな、いずれ戦いは避けられなかった事じゃ。いよいよ、その時が来たようじゃな』

 

「はい」

 

『して、森で見つけた少年を拾って来たと聞いたが...』

 

「はい、それが不思議なんです。彼...大木の下敷きになったのに、骨折一つしてなくて丈夫と言っても程があります」

 

『なるほどのう』

 

「それと...もう一つ不思議な点がありまして...彼の身元を調べる際に、所持品を調べたんです。そしたら、彼の通う学校の生徒手帳が出てきまして」

 

『それの何が不思議なんじゃ?』

 

「それが...調べてみたんですが、彼の住む街ぴかりが丘、彼の通う学校ぴかりが丘学園、どちらも存在しない地名と学校なんです。それに戸籍も見つからなくて...」

 

『なんと...ではその少年...』

 

「はい、もしかしたら...」

 

 

 

 

 

美希が電話で会話している間、目を覚ました誠司はトレーニングルームを探索していた。

 

 

そんな中、誠司はある物を見つける。

 

 

顔が動物を模したようなマスクに、片方が黄色、もう片方が青の全身スーツを纏った者達が戦っていた。

 

 

「はい!!はっ!!はぁっ!!」

 

「ふっ!!」

 

 

お互いが技を決め、一旦距離を取る。

 

 

黄色いスーツを纏った人が、拳を鳴らした次の瞬間。

 

 

誠司は自身の目を疑った。

 

 

「激獣!!チーター拳!!」

 

 

黄色いスーツを纏った女性らしき人の後ろに、機械的なチーターが姿を現す。

 

 

「激獣!!ジャガー拳!!」

 

 

青いスーツを纏った、こちらも女性らしき人の後ろに、機械的なジャガーが現れる。

 

 

「うおっ!!!チーターとジャガーが出てきた!!」

 

 

 

突如現れたチーターとジャガーの幻影に、誠司は目を輝かせる。

 

 

「ふっ!!」

 

「はっ!!」

 

 

2人がまた戦いを始めると、今度は幻影のチーターとジャガーも戦いだす。

 

 

「なんだあれ!!すげぇ!!」

 

 

ガラスに手を付いてへばりつき、興奮しながら戦いを見る誠司。

 

 

「獣拳じゃよ」

 

「獣拳?」

 

 

疑問に思う誠司だったが、声のした方に振り向いた。

 

 

するとそこには、2足歩行した巨大な猫が立っていた。

 

 

チーン!!

 

 

すると猫は、手に持っていたトライアングルを鳴らした。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

スクラッチ社の一室にて、誠司は先程の猫...『マスター・シャーフー』、美希、そして先程戦って居た2人と一緒にいた。

 

 

黄色いカンフーシャツに黒いスカートを履いた、ポニーテールが特徴の誠司と同じくらいの女の子...『宇崎ラン』が、ラーメンを誠司の前に置く。

 

 

「あ、ありがとう...」

 

 

ランと色違いの青いカンフーシャツを着た女の子...『深見リン』が、誠司に質問する。

 

 

「相楽誠司君だったわね、美希さんから聞いたけど...何であんな樹海にいたの?」

 

「いや...それが...俺にも何が何だか...気づいたらあそこで倒れてて」

 

「何かの事故に巻き込まれ、そのショックで事故前後の記憶がなくなったのかしら」

 

 

誠司の話を聞いていたランがそう推測すると、美希が話に入ってくる。

 

 

「ねぇ誠司、あなた...自分が住んでいた場所と、通ってた学校名って分かる?」

 

「え?ぴかりが丘とぴかりが丘学園ですが...」

 

 

記憶の後遺症が何処まであるのかを確認する為の質問だと思い、誠司は素直に答えた。

 

 

「やっぱり...」

 

 

しかし、その話を聞いた美希は深刻そうな顔をする。

 

 

「美希さん?」

 

「何かあったんですか?」

 

 

様子の可笑しい美希に、質問するランとリン。

 

 

「誠司には悪いけど、あなたの身元を確認する為に所持品を調べさせてもらったの」

 

 

そう言って、美希は誠司の生徒手帳を取り出した。

 

 

「それがどうかしたんですか?勝手に荷物を漁ったのはしょうがないかと...」

 

「あなたが言ったぴかりが丘とぴかりが丘学園は、この世界には存在しないの」

 

 

誠司が言い切る前に、美希が重大な事実を告げる。

 

 

「え...」

 

 

思わぬ事実に、言葉を失う誠司。

 

 

ランとリンも、口に手を当て言葉も出ない様子だった。

 

 

「い...いや...いやいやいや!!!そんな筈ないじゃないですか!!!もう一回調べ直してくださいよ」

 

 

声を荒げ美希に詰め寄る誠司だったが、美希は首を振るうだけだった。

 

 

「私もそう思って何回か調べたけど、結果は同じだったわ。それどころか、誠司の戸籍すら見つけられなかった」

 

「戸籍が見つからないって...じゃあ、彼は今までどうやって過ごしてきたんですか!!」

 

 

とんでもない事実に、話を聞いていたランまでも声を荒げる。

 

 

「考えられる可能性は、1つだけじゃな」

 

 

そこで、シャーフーが自身の推測を話す。

 

 

「小僧、お主が別の世界から来たという事じゃ」

 

 

シャーフーの推測を聴いた誠司達3人は、ポカーンと呆然とする。

 

 

そして...

 

 

『えぇぇぇぇぇっ!!!』

 

 

誠司達の叫び声が、スクラッチ社の特別開発室内に響いた。

 

 

「待ってくださいマスター!!それは幾ら何でも極論すぎるのではありませんか!?」

 

「では...存在しない地名と戸籍には、どう説明するのじゃ?小僧が嘘を付いているとでも?」

 

「そ...それは...」

 

 

リンがシャーフーの推測を否定するが、それを論破され黙ってしまう。

 

 

「じゃあ誠司には、帰る場所がないって事ですか...」

 

 

事の深刻さに気付いたランが、質問する。

 

 

「そうなるのぅ」

 

 

思わず誠司の顔を見てしまう、ランとリン。

 

 

「い、いや、まだ帰れないって決まったわけじゃないし、何とかなるかも!!」

 

 

わざとらしく、大きな声で誤魔化す誠司。

 

 

「そ、そうだ!!そういえば獣拳ってなんですか?」

 

 

話を逸らすために、誠司は別の話題を切り出した。

 

 

「獣拳って言うのはね、激気を燃やして獣の力を手にする拳法よ」

 

「激気?」

 

 

美希は更に詳しく、獣拳について説明を始める。

 

 

「獣拳の力の源よ、心に獣を感じた時に湧き上がる情熱を《激気》と言うの。それを燃やして、無限の力を引き出すのが獣拳よ」

 

 

美希は座っていたランとリンの背後に回り、説明を続ける。

 

 

「ランとリンは、獣拳4000年の精神を受け継ぎ発展させた激獣拳ビースト・アーツの拳士。マスター・シャーフーはその師匠よ」

 

「凄いじゃろう」

 

 

自分と同い年にも関わらず、目の前にいる2人がそんなに凄い人達だとは思わず驚愕する誠司。

 

 

「そして、私達が戦うのをサポートしてくれてるのがこの会社『スクラッチ』、美希さんはここの重役なのよ」

 

 

ランが説明を引き継ぎ、美希の紹介をする。

 

 

「でも、戦うって何と戦うんですか?」

 

 

誠司の疑問に答えたのは、ううむと声を上げ椅子から立ち上がったシャーフーだった。

 

 

「獣拳には相対する2つの流派があってのう。1つ正義の獣拳『激獣拳ビースト・アーツ』、1つ邪悪な獣拳『臨獣拳アクガタ』。我らの敵はそのアクガタを使うもの達、臨獣殿じゃ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その頃、臨獣殿では理央がメレ、マキリカ、そしてリンシー達の前で宣言していた。

 

 

「これより臨獣拳が、世界を統べる。愚かな人間共の悲鳴を、絶望を!!そして臨獣殿の力となせ」

 

 

理央の言葉に、全員が御意!!と膝まづく。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ん!?」

 

 

臨獣殿の気配を察知したのか、シャーフーは耳をピクピクと動かした。

 

 

そして、その気配を感じたのは誠司も同じだった。

 

 

「何だこれ...さっき以上にぞわっとした」

 

 

背中に冷たいものが走ったような感覚に襲われた誠司は、体を震わせる。

 

 

「おぉ!!お主も感じたのか!!」

 

 

シャーフーは、誠司が臨獣殿の気配を感じ取れている事に驚いた。

 

 

「マスター・シャーフー...まさか...」

 

「うむ...臨獣殿が早速動き出したようじゃ...」

 

 

その話を聞いたリンは、体を強張らせる。

 

 

「ついに...実戦の日が...」

 

「何?怖いの?」

 

 

ランにバカにされ、リンは声を荒げる。

 

 

「怖くないわよ!!」

 

 

リンは、誠司を押しのけてシャーフーの前に立つ。

 

 

「行きます!!」

 

「私も!!」

 

「うむ!!」

 

 

2人の意思を確認したシャーフーは、何かの箱を持って誠司に近づく。

 

 

「どうじゃ小僧、お主もこの2人と一緒に獣拳を学んでみるか?」

 

『えぇ!?』

 

「え?」

 

 

驚く誠司達を他所に、シャーフーは箱の中から取り出したのはラン達が付けているのと同じ手甲のような物だった。

 

 

シャーフーがそれを誠司の両手に付けると、グローブへと変化する。

 

 

「何ですかこれ?」

 

「ゲキチェンジャー、激気を最大限活用する為に我が社が開発したグローブよ」

 

 

美希が説明するが、それにランとリンが止めに入る。

 

 

「待ってください!!マスター!!美希さん!!誠司は話を聞く限り、拳法のけの字も知らない超初心者なんですよ!!?」

 

「無理です!!危険すぎます」

 

 

しかし、そんな2人の言葉を無視し、シャーフーは誠司に語り掛ける。

 

 

「激獣拳の第一歩は正義の心じゃ、正義の心なくして激気は生まれん」

 

 

そう言って、シャーフーは誠司の肩に手を置いた。

 

 

「分かるかのぅ?」

 

「正義の心...よく分からないけど、俺やります!!」

 

 

誠司のその言葉に、ランとリンは呆れる。

 

 

「よーし!!」

 

 

誠司は扉を押し開けようとするが、気が高ぶって認証が必要な自動ドアだという事を忘れ、ドアに激突してしまう。

 

 

「いってぇ...」

 

 

打ったおでこを押さえ、誠司は悶絶する。

 

 

「ほら、これを着ていけ!!」

 

 

そう言って、シャーフーは赤いカンフーシャツに、黒いズボンを渡す。

 

 

シャーフーが扉横の認証機に手をかざすと、扉が開いた。

 

 

「よーし!!」

 

 

誠司は元気よく、その扉から出て行った。

 

 

「待ちなさい!!」

 

「ふざけないでよ!!」

 

 

その後を、ランとリンも追いかけた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

人々の悲鳴が飛び交う中、町中でリンシー達が暴れていた。

 

 

ある者は直接攻撃され、ある者はリンシーが壊した車の爆発に巻き込まれる。

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

その悲鳴を聞いたマキリカは、体を高揚させる。

 

 

「いいぞぉ...この泣き叫ぶ声、力が体に漲るぜ!!リンギ!!獣人邪身変(じゅうじんじゃしんへん)!!」

 

 

顔と手が体にめり込んだ途端、マキリカの姿が変化する。

 

 

挑発的までに天に伸びた黒い棘が頭部から生え、黒い胴体である全身を緑色のカマキリを思わせる鎧に身を包み込んだ。

 

 

当然ながら両腕はカマキリの様にギザギザの刃の付いた鎌状となっており、胸部がカマキリの頭部で両肩がその目の形をしている。

 

 

「マンティス閃光斬!!」

 

 

マキリカが飛び上がり、繰り出した斬撃が高速道路をぶった切る。

 

 

高速道路を走っていた車やトラックがそのまま落下し、高速道路が崩れ落ちるのと同時に大爆発を起こす。

 

 

「酷い...」

 

 

駆け付けたランが目にしたのは、人々が泣け叫ぶ惨劇だった。

 

 

「おーい!!」

 

 

ランの後ろから、走ってくる誠司が声を掛ける。

 

 

「お前、足速いな」

 

「ラン!!誠司の事追い越してどうするのよ!!」

 

 

誠司はランの足の速さに感心し、リンは自分処か誠司すらも追い越して先に言ってしまった事に文句をつける。

 

 

そんな3人の前に、リンシー達が立ちふさがる。

 

 

「行くわよ!!」

 

 

ランがそう言うと、2人は人差し指と親指を開いた状態で前に突き出した。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力!!ビースト・オン!!』

 

 

音声コードと共に、右手甲のスイッチ部に触れる。

 

 

『はぁぁぁぁぁぁ!!はぁ!!』

 

 

両腕を外側に回して胸の前の腕をクロスさせ、右腕を前に突き出す。

 

 

次元圧縮されたスーツ...『ゲキスーツ』が、瞬時に2人に装着される。

 

 

「日々是精進、心を磨く!!オネスト・ハート!!ゲキイエロー!!」

 

「技が彩る大輪の花!!ファンタスティック・テクニック!!ゲキブルー!!」

 

 

名乗りを上げた2人に、誠司はおぉ!!と興奮する声を上げる。

 

 

「ふっ!!」

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

 

2人は、リンシー達に向かって走りだした。

 

 

「はっ!!やっ!!はいっ!!」

 

 

ゲキイエローは、素早い動きで、1体1体を確実に倒していく。

 

 

するとリンシー達は、槍を手に取り襲い掛かってきた。

 

 

しかし、ゲキイエローは怯む事無く攻撃を躱し、槍を掴んだ。

 

 

「はいっ!!」

 

 

蹴りを入れる事によって、リンシーの持っていた槍は真っ二つに折れてしまった。

 

 

「はぁ!!」

 

 

得物を失ったリンシーは、ゲキイエローの蹴りを真面に食らう。

 

 

「激獣チーター拳!!ゲキワザ!!瞬瞬弾(しゅんしゅんだん)!!」

 

 

ゲキイエローが、激気を練りだす。

 

 

「はぁ!!」

 

 

気合の声と共に、黄色いチーター...『ゲキチーター』が放たれた。

 

 

シャアアアアアアッ!!!

 

 

ゲキチーターが超高速でジグザグに動き、リンシー達を蹴り倒す。

 

 

 

 

 

ゲキブルーは四方八方からくる攻撃を、まるで演舞を踊っているかのような華麗な動きで全て避ける。

 

 

ごきごきと拳を鳴らす、ゲキブルー。

 

 

「激獣ジャガー拳!!ゲキワザ!!転転弾(てんてんだん)!!」

 

 

ゲキブルーは激気を練り上げ、前に放出する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!はぁっ!!」

 

 

ニャォォォォォォン!!

 

 

放たれた青いジャガー...『ゲキジャガー』は、コマの様に高速回転してリンシー達を薙ぎ倒す。

 

 

「すっげ~!!」

 

 

ゲキイエロー達の戦いを見ていた誠司は、2人の実力に目を輝かせていた。

 

 

ドッガァァァァァァン!!!

 

 

その時、近くのビルが爆発した。

 

 

「おわっ!!?」

 

 

倒壊していくビルに驚きながら、誠司は破壊されていく街を見る。

 

 

「よし!!」

 

 

そして誠司は、破壊が行われていく街に向かう事を決意する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

逃げ惑う人々の流れを逆らう様に、誠司は間を抜けて先に進む。

 

 

「あっ!!」

 

 

そこで、誠司はある事に気づいた。

 

 

1人の女の子が、泣きながら立ちすくんでしまっている事に。

 

 

「うぅぅぅ...」

 

「おい!!何やってんだ!!そこは危ないぞ!!」

 

「おとうさん...おかあさん...」

 

 

危険だと叫ぶ誠司だったが、女の子は恐怖で動けないでいた。

 

 

「ちょっと待ってろ!!今そっちに行くから!!」

 

 

誠司は目の前に無造作に止めてある車を乗り越え、女の子の元へ行こうとする。

 

 

しかし...

 

 

ひゅん!!!

 

 

ドッガァァァァァン!!!

 

 

突如としてもう一台先の車が爆発で宙に浮き、誠司の元へと降ってきた。

 

 

「うわっ!!?」

 

 

誠司はその場から離れるように、走り出した。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

2台の車がぶつかり、大爆発を起こす。

 

 

その衝撃に、誠司は吹っ飛ばされてしまう。

 

 

「痛っ...」

 

 

誠司は地面に叩きつけられ、痛みに顔を歪める。

 

 

「はぁ!!」

 

 

その時、誠司の目の前にマキリカが着地した。

 

 

「はっはっは!!!女の子見ーつけた!!!」

 

 

突如現れた怪物に女の子は恐怖で後ずさるが、瓦礫に足を取られ尻もちをついてしまう。

 

 

「その子に何をするつもりだ!!」

 

 

「恐怖を与えてやるのよ、弱き者の悲しみ、苦しみが俺達を強くする!!それが臨獣拳!!」

 

 

マキリカが放った斬撃が、誠司を襲う。

 

 

「ぐあっ!!」

 

 

何もすることが出来ず、誠司はただ這いつくばっているしかなかった。

 

 

「きゃっ!!」

 

 

マキリカに鎌を向けられた女の子は、悲鳴を上げた。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁ...良いぜぇ...良い感じだ!!力が体に漲るぜ!!」

 

 

興奮し叫ぶマキリカは、鎌を女の子の洋服に引っ掛けて宙づりにする。

 

 

「最期に最高の叫びを聞かせてみろぉッ!!!」

 

 

マキリカの手によって、誠司の目の前でその命を奪おうとする。

 

 

ドクン!!ドクン!!とどんどん早く脈打つ心臓の音を感じながら、誠司は拳を掌で打ちながら立ち上がる。

 

 

その際、誠司の指が右手甲のスイッチ部分に触れる。

 

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 

その時、誠司から途轍もない激気が溢れ出す。

 

 

ガァァァァァァァァァ!!!

 

 

それと同時に、誠司の中で何かが目覚め、誠司の後ろに虎の幻影が雄叫びを上げる。

 

 

「うおっ!!?」

 

 

突然の出来事に、マキリカは驚いて女の子を落としてしまう。

 

 

その近くで戦って居たゲキイエローとゲキブルーも、突如溢れだした物凄い激気に手で顔を覆う。

 

 

「っ!?」

 

「えっ!?」

 

 

突然の出来事に、驚く2人。

 

 

「お前だけは...お前だけは絶対に許さねぇ!!!」

 

 

誠司は握っていた拳を、前に突き出した。

 

 

「はぁ!!」

 

 

すると、ゲキチェンジャーに次元圧縮されていた赤いゲキスーツが、誠司の身体に装着される。

 

 

マキリカの...臨獣拳の蛮行に怒りを覚えた誠司は、漲る激気で『ゲキレッド』へと変身する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

身体から激気を放ちながら、ゲキレッドはマキリカへと走り出した。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

ゲキレッドが繰り出した拳がマキリカに当たった瞬間、ドゴォン!!という衝撃がマキリカを襲い、遥か先まで吹っ飛ばした。

 

 

「うぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

吹っ飛ばされたマキリカは瓦礫に激突し、建物の反対側まで飛んで行った。

 

 

「なにあれ!?凄い激気」

 

「ありえない!!」

 

 

自分たち以上の激気を放つゲキレッドに、ゲキイエローとゲキブルーは驚く。

 

 

「このっ!!」

 

 

マキリカは怒り心頭で、瓦礫の中から這い出てくる。

 

 

「特別な祈りが必要だな!!俺を愚弄したお前には!!」

 

 

鎌を構えて走り出すマキリカに、ゲキレッドも走り出す。

 

 

マキリカの横薙ぎに、ゲキレッドは跳躍する事で避ける。

 

 

マキリカの鎌の攻撃を物ともせず、ゲキレッドは全て受けきる。

 

 

「はぁ!!やぁ!!」

 

 

マキリカによって切り裂かれ吹っ飛ぶゲキレッドだったが、直ぐに体制を立て直し建物の壁を蹴る事で勢いをつけ、攻撃する。

 

 

「はぁ!!」

 

 

ゲキレッドは跳びあがり、マキリカに蹴りを放つ。

 

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃ!!!」

 

 

ゲキレッドは続けて蹴りを放ち続け、マキリカを圧倒する。

 

 

 

 

そしてその戦いを、臨獣殿にいながらも理央は感じ取っていた。

 

 

「圧倒的なパワーと柔軟性...これは...虎。激獣タイガー拳か...まさか...」

 

 

 

 

 

「この野郎!!飛んでっちまえ!!」

 

 

激気によって作り出した虎型のオーラ『ゲキタイガー』が、マキリカに噛み付き、振り回して放り投げる。

 

 

「おわぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

放り出されたマキリカは、そのまま建物に激突する。

 

 

「すっげぇぇぇぇ」

 

 

ゲキレッドは自身の力に驚き、子供のようにはしゃぎだした。

 

 

「すげぇ俺!!激獣拳凄ぇ!!凄ぇビースト・アーツ!!めっちゃ凄ぇな!!」

 

「えぇ...」

 

 

駆け寄ってきたゲキイエロー達に、興奮するあまり詰め寄ってしまうゲキレッド。

 

 

「ぬおっ!!!」

 

 

瓦礫を吹っ飛ばし、出てきたマキリカは今まで以上に激怒していた。

 

 

「最大の侮辱!!最強の怒りだぜ!!」

 

 

そこでマキリカは、あるリンギを発動する。

 

 

「リンギ!!邪身豪天変(じゃしんごうてんへん)!!」

 

 

突如マキリカの身体が膨れ上がり、見る見るうちに体が大きくなっていく。

 

 

「うおー!?デカくなりやがった!!?」

 

「何よこれ、これも臨獣拳の技なの⁉」

 

 

いきなりマキリカが巨大化した事に、ゲキレッドとゲキブルーは驚く。

 

 

「危ない!!」

 

 

ゲキレッド達に向け、巨大となった鎌を振るうマキリカ。

 

 

「もはや祈りなど、もうお前らには必要ねぇ!!」

 

 

走り出したゲキレッド達の後ろに鎌が振り下ろされ、ゲキレッド達は吹っ飛ばされてしまう。

 

 

地面に倒れるゲキレッド達を、マキリカの鎌が再度襲う。

 

 

「うわっ!?」

 

「うっ!?」

 

「うわぁっ!?」

 

 

成す術もなく、倒れるゲキレッド達。

 

 

「ほい」

 

 

しかし、巨大化したマキリカの攻撃を止めた者がいた。

 

 

『え!?』

 

 

ゲキレッド達が目にしたのは、巨大化したマスター・シャーフーだった。

 

 

『マスター・シャーフー』

 

 

驚くゲキレッド達を他所に、マスター・シャーフーは余裕綽々と立っていた。

 

 

「つい手が出てしもうた、儂も若いのぅ」

 

 

笑いながらそう喋るマスター・シャーフーだったが、ゲキレッド達は目の前の光景に着いていけず言葉を失うだけだった。

 




美希「獣拳の力の源、激気。ゲキチェンジャーは、激気を色々と活用するアイテムよ」


美希は、手に付けたゲキチェンジャーの説明を始める。


美希「身体の中から湧き上がる激気を、最先端の科学の力でゲキビーストするわ。激気を変えるからゲキチェンジャー。えいっ!!」


そう言って、美希は激気を練って近くにいたロボットに向けて放つ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修行その2 楽しい!!獣拳合体

どうも!!ナツ・ドラグニルです!!


ゲキレンジャーの第2話を基にした話です。


原作との違いは、ジャンとは違って記憶を失っておらず会話がちゃんと成立している事でしょうか





何の変哲も無い日常を送っていた誠司だったが、突如謎の男に襲われて異世界へと飛んでしまった。

 

 

その世界で誠司は、無敵の拳法『獣拳』と出会った。

 

 

誠司は『激獣拳ビースト・アーツ』の拳士、ラン、リンと共に、悪の獣拳『臨獣拳アクガタ』と戦う中で、正義の心を自らに見出す。

 

 

そう、誠司は『獣拳戦隊ゲキレンジャー』となったのだ。

 

 

だが、恐るべき臨獣殿。

 

 

誠司達に、更なる危機が迫る。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

巨大化するマキリカの攻撃を、受け止めるシャーフー。

 

 

「ほいっ」

 

 

鎌を捻る事で、マキリカの身体を宙に浮かせる。

 

 

「ぐああああああっ!!?」

 

 

地面を転がるマキリカだったが、直ぐに起き上がって鎌をシャーフーに向ける。

 

 

「拳聖シャーフー!!伝説の使い手が相手とは、美味しいぜ!!」

 

「お主は、年上の者に対する敬意が足りんようじゃな」

 

 

巨大なマキリカが大きな鎌を振るうが、シャーフーは避けたり弾いたりして、攻撃を避けていた。

 

 

「ほい!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

シャーフーの肘内がマキリカに直撃し、遥か彼方へと飛んで行った。

 

 

「すっげ———!!!」

 

 

その壮絶な戦いを見ていた誠司は、興奮して大声を上げる。

 

 

すると、巨大化していたシャーフーが縮んでいく。

 

 

よく見ると、巨大化したシャーフーの足元にもう一人シャーフーがおり、恐らく本体であろうシャーフーに激気が収束していった。

 

 

マスター・シャーフーに、駆け寄るゲキレッド達。

 

 

「すげぇマスター!!マスターすげぇな!!!すげぇ!!!」

 

「助かりました!!マスター・シャーフー!!」

 

 

興奮するゲキレッドと、感謝を述べるゲキイエロー。

 

 

しかし、ゲキブルーだけは近づいてきた途端、ゲキレッドを突き飛ばした。

 

 

「巨大な分身を出すなんて、すごい技です!!!あれは特別なゲキワザですか!?」

 

 

ゲキブルーの質問に、シャーフーは答える。

 

 

「倍々分身拳。激気を高め、巨大な人型...というかネコ型に練り固めたのじゃ」

 

「私にも、そのゲキワザを教えてください!!」

 

「私にも是非!!」

 

「俺も!!俺も!!俺もやります!!」

 

 

倍々分身拳の指南を求めるゲキブルーに、便乗するゲキイエローとゲキレッド。

 

 

しかし......

 

 

「じゃが、今のお主らには無理じゃな」

 

『えぇ!?』

 

「え?え?え?」

 

 

無理と言われ、驚くゲキイエローとゲキブルー。

 

 

そして、何も分かっていないゲキレッド。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「うっ...うおっ...」

 

 

フラフラの身体で、飛ばされた森で彷徨うマキリカ。

 

 

「おのれ激獣拳め~!!!」

 

 

ダメージでリンリンシーに戻ってしまったマキリカは、激獣拳に対して恨みを持つ。

 

 

『無様ね、マキリカ』

 

 

突如、メレの声が森の中に響く。

 

 

マキリカが慌てて辺りを見回すが、メレの姿は何処にも無かった。

 

 

「うわっ!!!」

 

 

マキリカはいきなり立たされ、殴られる衝撃に襲われて驚く。

 

 

地面に倒れるマキリカだったが、見えない力によってまたも立たされて、近くの大木に押さえつけられる。

 

 

首を絞められているマキリカだったが、突如マキリカの前に自身の首を絞めているメレが姿を現す。

 

 

「メレ様...」

 

 

メレはマキリカの首を絞めながら、話始める。

 

 

「敗北...すなわち、死」

 

「お、お待ちください!!俺はまだ負けておりません!!シャーフーの首を抱えて必ず戻ります!!」

 

 

マキリカの命乞いを聞いたメレは、首を更に締め付け上に持ち上げる。

 

 

「すっかり臨気の失せたあんたが、どうやって勝つ気なの?シャーフーは伝説の拳聖よ」

 

「さ、策があります!!あ、あれです!!」

 

 

そう言ってマキリカが指した先には、ダムが存在した。

 

 

「ダムか...」

 

 

マキリカの策に気づいたメレは、笑みを浮かべて怪人化する。

 

 

メレは長い舌で、マキリカの頬をなめた。

 

 

「ふんっ、一応覚悟の味がする。いいわ猶予を上げる」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「マスター・シャーフー!!!どういうつもりですかっ!!!」

 

 

スクラッチ本社に帰ってきた誠司達を迎えたのは、美希の怒声だった。

 

 

自分達が怒られていないと分かっていても、身を縮こませてしまう誠司達。

 

 

「あなたは、戦ってはいけない定めなんです!!獣拳不闘の誓いを忘れたわけじゃないでしょうね?」

 

「にゃにゃにゃ!!にゃに!!あれぐらい戦ったうちには入らんよ!!」

 

 

シャーフーは悪びれる様子もなく、にゃ!!と言って美希の肩を叩いてその場を離れた。

 

 

「でも、マスターに何かあっては困ります。臨獣殿との戦いは、私達に任せてください!!」

 

「そうです!!奴との戦いは、これからが本番です!!あの...理央との戦いは...」

 

「理央?」

 

 

ランとリンがシャーフーの身を案じるが、誠司は話に出た理央という言葉に食いついた。

 

 

「臨獣殿を率いる、首領の名前よ。理央は、道半ばで死んでいった古代の臨獣拳使い達を秘術で蘇らせ、手下にしているの」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

臨獣殿の門の前に、理央の姿があった。

 

 

「臨在せよ地獄の亡者、リンシー達」

 

 

理央が臨気を流すと、地面から10や20を超えるリンシーが大量に地面から這い出てくる。

 

 

「今こそ存分に、飢えと渇きを満たすがいい。強く!!強くなるために!!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「臨獣殿から人々を守る、これからの戦いは貴方達ゲキレンジャーに掛かっているの」

 

 

美希の言葉に、誠司とランは頷く。

 

 

「だからこそ!!マスター・シャーフー!!私に巨大分身のゲキワザを教えてください!!」

 

 

リンだけは、シャーフーに断られてもなお食い下がり、指南を求める。

 

 

「ゲキビーストなら、私はもう自由に操れる!!ですが...人の形に大きく練り上げるには、どうすればいいのか...その方法を教えてください!!」

 

 

リンが話している間も、シャーフーは意に返さずお茶を入れていた。

 

 

「だ・か・ら!!お主ら3人にはまだ早いと言うておる」

 

 

断られたリンだったが、それよりも気になる事があった。

 

 

「3人?誠司は部外者だし論外でしょ!!」

 

「へ?」

 

 

いきなりの罵倒に、頭が追いつかない誠司。

 

 

「根性一本鎗のランはともかく、私はどんな難しいゲキワザでも直ぐに習得できる自信があります!!」

 

「ちょっと、それどういう意味?」

 

 

癇に障ったのか、ランはリンに掴みかかる。

 

 

「ちょ、ちょっと落ち着けって」

 

 

ケンカを始めようとする2人を、止めようとする誠司。

 

 

「うるさい!!」

 

 

しかし、リンによって突き飛ばされてしまう。

 

 

「根性の何が悪いのよ!!」

 

「根性だけじゃ敵には勝てないでしょ!!」

 

 

2人のやり取りに呆れた美希は、止めようと2人に近づいた。

 

 

「まぁ、早いのなんのと言ってはおれんかのう」

 

 

お茶を飲み、一息ついたシャーフーは決心する。

 

 

「良し!!お主らに倍々分身拳習得への道を示そう!!」

 

「え?」

 

 

意味が解らず、頭をかしげる誠司。

 

 

『はい!!』

 

 

誠司とは反対に、ランとリンは綺麗な笑顔で返事した。

 

 

「それはじゃな、リン、ラン、2人で誠司に激獣拳ビースト・アーツを教えてやる事!!」

 

「は?」

 

 

意味が解らず、驚くリンと、言葉を失うラン。

 

 

「以上!!」

 

 

そう締め括り、お茶を飲み直すシャーフー。

 

 

「待ってください!!全然意味が解りません!!誠司に何の関係があるんですか!!」

 

 

意味が解らず、シャーフーに詰め寄るリン。

 

 

「山は登ってみるまで、海は泳いでみるまで分からんもんじゃよ!!のう?以上!!!」

 

「はぁ?」

 

 

そう問いかけるが、要領のえない話にリンはまたも言葉を失う。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「リンギ!!無限烈破(むげんれっぱ)!!!」

 

 

メレは自身の舌で、マキリカの体を数箇所突く。

 

 

「無限烈破は、あんたの細胞と血潮を燃料にして、力を与える。蝋燭が自らを燃やして光を放つようにね」

 

「俺の細胞と血潮が...望むところだ!!!うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

拳を握りしめ、立ち上がったマキリカは雄叫びを上げる。

 

 

すると、マキリカは邪心豪天変で怪人態へと姿を変える。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司は、パンチングミットを備えたロボットに突きを放っていた。

 

 

「右!!左!!突きこそ基本!!これをトレーニングドロイドロボタフ相手に、一日千回よ」

 

「そんなに!!?」

 

 

まだ始めたばかりの誠司だったが、既に空き始めていた為に千回という言葉に驚く。

 

 

「日々の鍛錬で、ハートを鍛えるのよ」

 

「えぇー!!」

 

「こら、ちゃんとやるの!!」

 

 

2人のやり取りを見ていたリンだったが、つまんなさそうに見た後に壁に掛けてある武器に近づいた。

 

 

そしてリンは、掛けてあったヌンチャクを手に取った。

 

 

「右!!左!!」

 

「あー!!」

 

 

特訓をしていた誠司だったが、リンが手に取ったヌンチャクを見て大声を上げる。

 

 

その事に驚く2人を他所に、誠司はリンの元に駆け寄る。

 

 

「何だよそれ!!?」

 

「何って、ゲキヌンチャクよ」

 

 

リンが手に持つのは、虎を模した特殊合金製のヌンチャク。

 

 

「面白そうだな!!俺もそれやりたい!!」

 

 

教えを乞う誠司だったが、リンは反対する。

 

 

「これはただのヌンチャクじゃないの、センスがない人には無理よ」

 

「やってみないと分からないだろ」

 

 

そう言って食い下がる誠司を、ランが止める。

 

 

「誠司!!初心者の君は基本から!!」

 

 

しかし、そんなランを誠司は突き放す。

 

 

そして、誠司はリンからゲキヌンチャクを奪おうとするが、その手は空ぶってしまう。

 

 

前に倒れる誠司の手が、ロボタフの顔のモニター画面に触れる。

 

 

警告音が鳴るのと同時に、画面にMAXという文字が画面に映る。

 

 

『あっ!!!』

 

 

それが何を意味するのかを知っているランとリンは、声を上げる。

 

 

「え?」

 

 

意味が解らない誠司だったが、突如ロボタフが誠司に襲い始めた。

 

 

「痛っ!!痛っ!!なんだこいつ!!」

 

 

豹変したロボタフから逃げる誠司だったが、執拗に追いかけられる。

 

 

「うわっ!!」

 

 

逃げる誠司だったが、足がもつれてしまって転倒してしまう。

 

 

そして転んだ誠司の足に、ロボタフも足を取られて転倒する。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

ロボタフは、誠司に覆いかぶさる形で転倒する。

 

 

「うっ...」

 

 

重量のあるロボタフに圧し掛かられ、誠司は地面とロボタフに挟まる形で頭を強打する。

 

 

「ちょっと!!」

 

「大丈夫!!?」

 

 

ランとリンは誠司を心配し、覆いかぶさっているロボタフをどける。

 

 

「あいたたたた」

 

 

強打した頭を押さえて、誠司は上半身だけ起こす。

 

 

「ほら、手当てするからこっち来なさい」

 

 

そう言って、ランは誠司の手を取って、手当てする為に部屋から連れ出した。

 

 

「何なのよ、あんな奴に教えないといけないのよ。知らない」

 

 

なぜ自分が時間を割いてまで、才能もないような誠司に激獣拳を教えないといけないのか分からないリンは、八つ当たり気味にロボタフを蹴った。

 

 

「何が知らないの?」

 

 

しかし、そこに別の入り口から入ってきた美希に、今の言葉を聞かれていた。

 

 

「室長...」

 

 

まさか聞かれていると思わなかったリンは、突然現れた美希に驚いた。

 

 

「はぁ、重役業はお腹減るのよね。行くよ!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

美希に連れられたリンは、ラーメン屋『百列軒』に訪れていた。

 

 

「ゲキワザをマスターするには、誠司にビースト・アーツを教える事、そういう話じゃなかった?」

 

「あんな丈夫さだけが取り得みたいな奴に、何をどう教えたって無駄です」

 

「それは...降参宣言?」

 

 

美希にそう言われ、何も言い返せなかったリン。

 

 

その様子を見た美希は、笑みを浮かべる。

 

 

「ゲキレンジャーにとって、大事なことは何だと思う?」

 

「ランは...ハートだって...」

 

「リンは?」

 

「技のセンス」

 

「リンらしいわね、他には?もっと根本的ですっごく簡単な事」

 

 

そう問われ、考えるリンだったが全く分からなかった。

 

 

「好きである事、ビースト・アーツをね」

 

 

センスに囚われていたせいか、基本的な事を忘れていた事に気づくリン。

 

 

「誠司がゲキヌンチャクやりたいって言ったんでしょ?だったら、そこから教えてあげるのもありじゃない?まずは好きになってもらわなきゃ。ね?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

百裂軒から一人で本社に帰ってきたリンだったが、開け放たれた扉の前でランがこそこそと部屋を覗いていた。

 

 

「何してるの?」

 

「っ!?」

 

 

突然声を掛けられたのがびっくりしたのか、ランは肩をびくっとして小さい悲鳴を上げた。

 

 

「ちょっと!!急に声を掛けないでよ!!」

 

「私のせい!?そもそもそっちこそ何して...!?」

 

 

大声で怒鳴るリンだったが、直ぐにランに口を押えられる。

 

 

突然の出来事に驚くリンだったが、ランが中を覗く様に促す。

 

 

意味が解らなかったリンだったが、言われた通りランと同じように開け放たれた扉の中を覗く。

 

 

すると中に、ゲキヌンチャクを振り回している誠司の姿があった。

 

 

「私が少しの間席を外してたんだけど、ずっとやってるの」

 

 

誠司は旨く振り回せずに、落としたり、逆に自分の顔に当たってたりしていた。

 

 

「よっぽど気にいった見たい」

 

 

それをみていたリンは、先程までの美希とのやり取りを思い出し、意を決して誠司に近づく。

 

 

「思った通りね、センスゼロ」

 

「お前...いや、ちょっと興味本位で...」

 

 

また怒られると思った誠司は、勝手に使っていた言い訳をし始める。

 

 

「貸して」

 

 

しかし、リンはそんな事気にせず、誠司からゲキヌンチャクを奪った。

 

 

「見てて、ゲキヌンチャクに、力はいらない」

 

 

そう言うと、リンはゲキヌンチャクを振り回した。

 

 

「すっげ~!!」

 

 

リンの華麗なヌンチャク捌きに、誠司は興奮する。

 

 

一通り振り回したリンは、誠司に投げ渡す。

 

 

「やってみなさい」

 

 

誠司はゲキヌンチャクを構えると、先程のリンの動きを見本にしてヌンチャクを振り回す。

 

 

すると...

 

 

「おっ!!出来た!!」

 

 

リンと同じまでとは言わないが、ちゃんと誠司にもゲキヌンチャクを振り回せることが出来た。

 

 

「すっげ~!!やっぱ面白いな!!」

 

 

先程まで満足に触れなかったゲキヌンチャクを、真面に振り回せるようになって誠司はご満悦だった。

 

 

「どう?好きになれそう?」

 

「おう!」

 

 

誠司の元気な返事に、リンは安堵する。

 

 

「お前らも激獣拳好きなんだろ?」

 

「もちろん、私も激獣拳大好きよ!!」

 

 

そう答えたのは、少し離れた所で見守っていたランだった。

 

 

「お前もか?」

 

「当たり前」

 

 

誠司の質問に、リンはぶっきらぼうに答える。

 

 

だけど、態度とは裏腹にリンは嬉しそうだった。

 

 

その楽しそうにする3人の様子を、マスター・シャーフーは嬉しそうに見守っていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ダムの目の前に、マキリカが鎌を構えて立っていた。

 

 

「おりゃっ!!!」

 

 

鎌から放たれた斬撃が、ダムに直撃する。

 

 

そこからひびが入り、ピキピキと音を立ててどんどん広がっていく。

 

 

「人間共の悲鳴を聞きに行くとするか、悲鳴のコーラスが俺の力を高めてくれる!!」

 

 

マキリカ達がその場を離れる中、等々耐えきれなくなってダムが決壊した。

 

 

大量の水が、ダムから放出される。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「む?」

 

「ん?」

 

 

同じ時に、シャーフーと誠司が臨獣殿の気配に気づいた。

 

 

「どうしたの誠司?」

 

「この感じ!!」

 

 

誠司はランの問いに何も答えず、部屋から出て行ってしまう。

 

 

『ちょっと!!』

 

 

突然出て行った誠司を、ランとリンは追いかける。

 

 

 

 

 

商店街の方に出た誠司達は、信じられない光景を目にする。

 

 

「みんな!!あれ!!」

 

 

ランが指を指す方から、人を余裕で呑み込むほどの大量の洪水が迫っていた。

 

 

「危ない!!」

 

 

ランは咄嗟に誠司の腕を取り、車の上へと飛び移る。

 

 

リンも跳躍し、ランの隣へと着地する。

 

 

しかし、それでも高さが足りないと思ったランとリンは、近くの建物の屋上へとジャンプする。

 

 

「あ、ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 

助けてくれたお礼を言うと、ランは何でもない様子で答える。

 

 

「臨獣殿の仕業かしら」

 

 

街を呑み込む洪水を見て、リンがそう推測する。

 

 

「あ——!!あいつ!!」

 

 

大声を上げて叫ぶ誠司が指を指す先に、水浸しになった街の中を歩く、巨大化したマキリカの姿があった。

 

 

「もっとだ!!もっと悲鳴を聞かせろ人間共!!」

 

 

押し寄せる大量の水に呑み込まれ、悲鳴を上げる街の人々。

 

 

「お前らが泣き叫べば泣き叫ぶほど、俺の力となる!!」

 

 

人々の悲鳴を聞き、高笑いを始めるマキリカ。

 

 

「止めるわよ!!」

 

「ああ!!」

 

「無駄よ」

 

 

戦おうとする誠司達を、止める者がいた。

 

 

「無・駄」

 

 

誠司達の後ろに、メレとリンシーズが姿を現した。

 

 

「何者!?」

 

 

ランの問いかけに、メレは人間の姿に戻り答えた。

 

 

「理央様の愛の為に生き、理央様の愛の為に戦うラブウォリアー!!臨獣カメレオン使いの、メレ」

 

「お前も臨獣拳だな!!」

 

 

誠司達は両手の人差し指と親指を伸ばし、前に突き出す。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力!!ビースト・オン!!』

 

 

両手を胸の前で組み、ゲキチェンジャーのボタンを押す。

 

 

『はぁ———!はぁっ!!』

 

 

腕を回して胸の前でクロスし、拳を前に突き出す。

 

 

ゲキチェンジャーに次元圧縮されたゲキスーツが、誠司達に装着されゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「身体に漲る、無限の力!!アンブレイカブル・ボディ!!ゲキレッド!!」

 

「日々是精進、心を磨く!!オネスト・ハート!!ゲキイエロー!!」

 

「技が彩る大輪の花!!ファンタスティック・テクニック!!ゲキブルー!!」

 

「燃え立つ激気は、正義の証!!」

 

『獣拳戦隊!!ゲキレンジャー!!』

 

 

名乗りを決めるゲキレンジャーだったが、メレはその様子を馬鹿にした様子で見る。

 

 

「せっかくだけど~あたし格下とは戦わない主義なの」

 

 

そう言うと、メレは後ろのリンシーズに命令する。

 

 

「リンシーズ、代わりに楽しんで」

 

 

メレの指示を受け、ゲキレンジャーに襲い掛かるリンシーズ。

 

 

「はぁ!!はっ!!」

 

 

パワーで戦うゲキレッド。

 

 

「はっ!!やっ!!」

 

 

柔軟性を活かし、戦うゲキイエロー。

 

 

流れる動作で敵を倒す、ゲキブルー。

 

 

その時、ゲキブルーは手元に一つの武器を召喚する。

 

 

「はいっ!!」

 

 

ゲキブルーは跳躍し、もう一つ下の階の屋上へと転がるように着地する。

 

 

起き上がったゲキブルーは、武器を構える。

 

 

「ゲキトンファー!!」

 

 

『ゲキトンファー』、持ち手が棒の端に付いている武具。

 

 

3つの形態に変形できる、一対の武具でもある。

 

 

ゲキブルーがゲキトンファーに激気を送ると、柄のタービンが回転させ破壊力を上げる。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

リンシーの武器を弾くことで、攻撃を防ぐゲキブルー。

 

 

「はぁ!!」

 

 

ゲキトンファーによる一撃が、リンシーに直撃して吹っ飛ばす。

 

 

2体のリンシーの槍を、2本のゲキトンファーで捌き切る。

 

 

「貴方達センスゼロ!!むしろマイナス!!」

 

 

ゲキブルーは右手のゲキトンファーの持ち手を棒の部分に変え、鎌状に変える。

 

 

「はぁ!!」

 

 

持ち手の部分を槍に引っ掛け、円を描く様に回転させる。

 

 

その事で、リンシーは一回転して地面に背中から落ちる。

 

 

ゲキブルーは右手の持ち手を戻し、腕をクロスさせる。

 

 

「アーイ!!メディック!!」

 

 

降り広げられたゲキトンファーが、リンシーを吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

別の場所でも、ゲキイエローがゲキトンファーを召喚して居た。

 

 

ゲキイエローは、ゲキトンファーを90度曲げ、2つをつなぎ合わせ戦棍へと姿を変える。

 

 

「ゲキトンファー・ロングバトン!!」

 

 

激気を送る事で、タービンが回転する。

 

 

「はい!!はいっ!!はい!!」

 

 

突く、振り回す、振り下ろす等の動作で、リンシーズを薙ぎ払うゲキイエロー。

 

 

「はい!!はい!!はいっ!!」

 

 

ゲキイエローはリンシーの槍をロングバトンで受け止め、回転を利用した振り回しで全て弾く。

 

 

「はいっ!!」

 

 

一体のリンシーの腹を、ロングバトンで突いた。

 

 

「根性が足りないのよ!!もっとハートを鍛えなさい!!」

 

 

そう言ってゲキイエローは、リンシーを反対側に放り投げた。

 

 

「はっ!!」

 

 

ランは跳躍し、上段からの振り下ろしを落下する勢いを利用し、リンシーの脳天に叩き込んだ。

 

 

 

 

 

「よーし!!俺もやる!!」

 

 

ゲキレッドは、ゲキヌンチャクを召喚する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ」

 

 

ゲキレッドは、ヌンチャクを振り回す。

 

 

「ゲキヌンチャク!!」

 

 

迫りくるリンシーズを振り回すゲキヌンチャクで、一体一体倒していく。

 

 

「はっ!!りゃっ!!おりゃ!!」

 

 

その戦いを見ていたゲキブルーが、アドバイスを送る。

 

 

「誠司!!激気を込めてみなさい!!」

 

「分かった!!」

 

 

ゲキレッドは、手に持ったゲキヌンチャクを見ながら返事する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

ゲキヌンチャクを振り回しながら、激気を込めていく。

 

 

すると、ゲキヌンチャクがオレンジ色に輝きだした。

 

 

「はぁ!!」

 

 

激気がチャージされ、再度ゲキヌンチャクを振り回すゲキレッド。

 

 

「はぁっ!!おりゃ!!はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

先程まで1体1体倒すだけで手一杯だったゲキレッドだったが、激気が込められた事で直接当たっていないリンシーにも攻撃が当たりだした。

 

 

リンシーは完全に消滅し、土へと帰った。

 

 

全てのリンシーを倒したゲキレッドは、巨大マキリカへと視線を向ける。

 

 

「後はお前だけだ!!巨大カマキリ野郎!!」

 

 

ゲキレッドの言葉が気に障ったのか、マキリカは近くのビルを鎌で破壊した。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

破壊されたビルの残骸が、ゲキレッドに降り注ぐ。

 

 

『はっ...』

 

 

瓦礫の下敷きになったゲキレッドを見て、息を呑むゲキイエロー達。

 

 

「誠司!!!」

 

「ちょっと!!」

 

 

起こそうとするゲキイエロー達だったが、何事も無かったかのように起き上がるゲキレッドに違う意味で息を呑む。

 

 

「あいつ!!デカすぎる!!」

 

 

2人の心配を他所に、ゲキレッドはマキリカの大きさに苛立ちを見せる。

 

 

「私にあの...倍々分身拳が出来れば...」

 

『出来るぞい!!』

 

 

その時、ゲキブルーのゲキチェンジャーに通信が入る。

 

 

『マスター・シャーフー!!!』

 

「でも、まだ何も教えてもらっていないじゃないですか!!」

 

『リン!!これはお主だけじゃない、トライアングルで行うゲキワザじゃ』

 

「トライアングル?3人でって事ですか?」

 

 

その意味を考える3人。

 

 

『激獣拳の真髄は、心技体のトライアングル。お主らには、その真髄が一つずつ宿っておる!!』

 

「心・技・体...ランが心で...」

 

「リンが技...そして誠司が...」

 

「体だ!!」

 

 

ゲキイエローが言い切る前に、ゲキブルーが叫んだ。

 

 

『さっきまでのバラバラなお主達では無理じゃったが、今なら出来るじゃろう。お主等が揃って持っておる気持ちを重ね合わせるのじゃ!!』

 

「揃って持ってる気持ち?何...」

 

 

考えるゲキイエローだったが、ゲキレッドが声を上げる。

 

 

「分かった!!好きっていう気持ちだ!!激獣拳が大好きだっていう事!!」

 

「その気持ちを重ね合わせたら、何かが起こる...」

 

「よーし!!やってみようよ!!感じるままに!!」

 

 

そう言って、3人はマキリカの前に並び立つ。

 

 

「よーし!!あいつぶっ飛ばすぞ!!」

 

 

拳を鳴らし、気合を入れるゲキレッド。

 

 

『ゲキワザ!!獣拳合体!!』

 

 

3人から、それぞれゲキビーストが飛び出す。

 

 

ゲキレッドからゲキタイガーが、ゲキイエローからゲキチーターが、ゲキブルーからゲキジャガーが召喚される。

 

 

『はぁ!!』

 

 

ゲキレッド達が跳躍し、ゲキビースト達に吸収される。

 

 

シャァァァァァ!!

 

 

ニャァァァァァ!!

 

 

ガァァァァァァ!!

 

 

ゲキチーターがマキリカに突進し、ゲキジャガーが回転しながら体当たりし、ゲキタイガーの爪がマキリカを襲う。

 

 

マキリカから距離を取ったゲキビースト達は、激気だけの姿から実体化する。

 

 

ゲキチーターの前脚と後ろ足が折り畳まれ、首が90度曲げる事で右脚へと変形する。

 

 

ゲキジャガーの脚も折り畳まれ、首が90度曲がる事で左脚へと変形する。

 

 

最後に、ゲキタイガーの後ろ脚が折り畳まれ、後ろ脚にゲキチーターとゲキジャガーが接続される。

 

 

ゲキタイガーの口が開かれ、中から顔が現れる。

 

 

コックピットに相当する激気に満ちた場所、『激闘場』に3人が集う。

 

 

3体のゲキビーストが合体し、1人の巨人が生まれる。

 

 

『ゲキトージャ!!バーニングアップ!!』

 

 

その様子を街の監視カメラで見守っていた美希は、驚きの声を上げる。

 

 

「ゲキビーストを合体させて巨人を作るなんて」

 

「ほっほっほ、これがあ奴等成りのゲキワザ倍々分身拳という事じゃ!!見事習得!!」

 

 

マスター・シャーフーは、手に持っていた楽器のトライアングルを、チーンと鳴らす。

 

 

「せーので行くわよ!!突きこそ基本魂込めて!!せーの!!」

 

 

『はぁ!!』

 

 

激闘場にいる3人の動きに同調して、ゲキトージャも突きを放つ。

 

 

「獣拳合体ね~奴ら以外とやるのかも...ん?」

 

 

戦いを見守っていたメレだったが、腹から何かが込み上げる物を感じ、口を押える。

 

 

「うえっ!!」

 

「ブーン!!」

 

 

メレが口から吐き出したのは、人の顔と同じサイズの巨大なハエだった。

 

 

「そうなんです!!獣拳合体は激獣拳ゲキワザの中でも、奥義中の奥義と言われたもの!!よもやこの目で見る事が出来るとは...この激獣フライ拳のバエ、感涙で咽び泣いております。ブーン」

 

「勝手に出てくんじゃないわよ!!このお喋りバエ!!」

 

 

ペラペラとお喋りが止まらないバエにムカついたのか、捕まえようとバエに手を伸ばした。

 

 

しかし、その手は素早い動きで避けるバエによって、空ぶってしまう。

 

 

「メレとの戦いに敗れて以来、囚われの身である私ですが、この世に巨大戦がある限り、私山越え、海越えて、ついでにメレの胃袋からも飛び出して、実況させて頂く所存でありまーす!!」

 

「ふん!!」

 

「ふがっ!?」

 

 

上から振りかぶったメレの手が、今までちょこまかと動いていたバエを潰した。

 

 

『はぁっ!!』

 

 

激闘場の3人が走り出すと、ゲキトージャもマキリカに向かって走り出す。

 

 

それに迎え撃つ様に、マキリカも走り出した。

 

 

「さあ始まった!!マキリカここで大きく振りかぶる!!おおっとゲキトージャ避けた!!激しい攻防だ!!」

 

 

水に足を取られながらも、マキリカの猛攻を避けていくゲキトージャ。

 

 

「おりゃ!!」

 

「うおっ!?」

 

「ゲキトージャ、掌底が入った!!両者激しく激突!!」

 

 

ゲキレッドの動きに合わせた両手による掌底が、マキリカに直撃する。

 

 

「やっ!!!」

 

 

ゲキブルーの動きに合わせ、肘鉄がマキリカに繰り出される。

 

 

『はぁ!!』

 

 

激闘場の3人の動きに合わせ、ゲキトージャの後ろ回し蹴りがマキリカの顔面に当たり、地面を転がった。

 

 

「ここで大技!!ゲキトージャ後ろ回し蹴り!!マキリカ水浸しであります!!立ち上がるゲキトージャが優勢であります!!どうですか?解説のメレさん」

 

 

そこでバエは、今まで黙って見ていたメレに問いかける。

 

 

「うっさい!!誰が解説よ!!勝負はこれからよ」

 

 

そう言っている間にも、ゲキトージャとマキリカは激しく戦って居た。

 

 

「さぁ、両者再び激突!!」

 

 

そこでマキリカの頭突きが、ゲキトージャに当たってしまう。

 

 

「おおっと!!マキリカが頭突き!!姑息な手段で反撃に出た!!ずるい!!ずるいぞマキリカ!!」

 

 

今まで優勢だったゲキトージャだったが、そこからはマキリカの鎌による攻撃を受けてしまう。

 

 

「鋭い鎌がゲキトージャに迫る!!ゲキトージャピンチ!!追い詰められた!!」

 

 

鎌による猛攻を、ただ避けるだけになってしまったゲキトージャ。

 

 

「そこだっ!!」

 

 

両腕の鎌を大きく振りかぶり、ゲキトージャに襲い掛かる。

 

 

『はぁ!!』

 

「ゲキトージャ避けた!!」

 

 

しかし、ゲキトージャは後ろにバク転することでその攻撃を避けた。

 

 

「うおっ!!抜けねぇ!!」

 

 

大振りで攻撃したのが災いしたのか、鎌がビルに深く刺さってしまい抜けなくなっていた。

 

 

「おおっと!!命拾いです!!チャンスだゲキトージャ!!」

 

 

ゲキトージャは跳躍した後、マキリカの後ろに着地して水飛沫を上げながら、下段からの回し蹴りを繰り出す。

 

 

「決まったー!!ゲキトージャ!!ローキック!!見事だゲキトージャ!!」

 

 

その時、ゲキトージャは1つの武器を取り出した。

 

 

「ゲキトージャ何かを取り出した!!あれは何だ!?手にしてるのは...」

 

『ゲキセツコン!!』

 

 

3体のゲキビーストの尻尾を鎖で繋ぎ合わせた、三節棍型の武器。

 

 

「ゲキヌンチャクの要領よ!!行けるわよね誠司」

 

「当たり前だ!!」

 

『うおぉぉぉぉぉっ!!』

 

 

誠司のその言葉を合図に、3人は気合の入った雄叫びを上げる。

 

 

「ヌンチャクは2本、しかしこのゲキセツコンは3本の棒が合わさっております!!」

 

 

初めてつかう武器に対して、ゲキトージャはそれを物ともせず、攻撃したり防いだりと見事使いこなしていた。

 

 

「しかしゲキトージャ!!この難しい武器を華麗に操っております!!激しいせめぎ合いだ!!」

 

 

するとゲキトージャはゲキセツコンの激気の込め方を変える。

 

 

すると先程までバラバラに動いていた3本の棒は、鎖が引き絞るのと同時に長い棍へと形を変えた。

 

 

「うおっ!?」

 

「ゲキトージャが攻め勝った!!」

 

 

ゲキトージャはその棍を、マキリカ向かって突き出した。

 

 

「ゲキワザ行くわよ!!」

 

 

ゲキブルーの言葉を合図に、激闘場の3人は左右に腕を一杯に広げる。

 

 

『ゲキトージャ!!ゲキワザ!!大頑頑拳!!はぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

激闘場の3人が回りだすと、ゲキトージャの上半身も高速回転し始めた。

 

 

「おおっ!!ゲキトージャが回りだした!!わたくしの目もガンガン回っております!!」

 

『はぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

上半身を回転させながら、マキリカに突進するゲキトージャ。

 

 

『ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!』

 

 

激気が集めた両腕の拳で、連続パンチを繰り出す。

 

 

「獣拳は正義の拳!!」

 

「正しき者は!!」

 

「必ず勝つ!!」

 

 

ゲキトージャの必殺技を受けたマキリカは、みるみる内に身体が石化していく。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

石化したマキリカに罅が入り、断末魔と共に大爆発が起こる。

 

 

『ゲキトージャ!!WIN!!』

 

「ゲキトージャやりました!!まずは1勝!!獣拳の歴史から見れば、小さな1勝でも、彼らニュートライアングルにとっては大きな1勝だあああばば!!」

 

 

解説している途中でメレの舌が伸びてきて、バエを絡み取る。

 

 

「どわぁぁぁぁ!!」

 

 

バエは悲鳴を上げながら、メレに呑み込まれた。

 

 

「いつまで喋ってるのよ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

臨獣殿の玉座の間。

 

 

理央の嵌めている拳魔の腕輪が、突如光りだした。

 

 

その事に気づいた理央は、今回のリンリンシーの役目が終わった事を悟った。

 

 

「俺の求める強さには...まだ足りぬ!!」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

スクラッチ社、本社。

 

 

特別開発室に入ってきた美希は、ゲキヌンチャクを誠司に教えているラン達が目に入った。

 

 

「誠司、大事なのは基本よ」

 

「貸してみなさい、ゲキヌンチャクは技が全て」

 

「おぉ!!リンすげぇな!!」

 

 

まず美希は、報告をしようとマスター・シャーフーに近づく。

 

 

「手続き完了、誠司は身元が分かるまでウチの会社で引き取って、ランやリンと同じ特別開発室所属のアスリートにしました」

 

「ご苦労さん」

 

 

労うマスター・シャーフーだったが、そこでランの指摘する声が響く。

 

 

「違うでしょ!!これだって基本は根性!!」

 

「センスが全て、いいから見てなさい!!」

 

 

ランからゲキヌンチャクを奪い取ると、リンは技を見せようとする。

 

 

「はぁ...あの3人で獣拳戦隊ゲキレンジャーか...この先大丈夫かしら」

 

 

誠司に教えるだけで、言い争っている2人に心配する美希。

 

 

「ふぉっふぉっふぉ!!これから見えてくるんじゃよ!!あ奴等の道は」

 

 

そう言って、マスター・シャーフーは美希と一緒に3人を見守る。

 




美希「ゲキチェンジャーには、様々なアイテムが次元圧縮で内臓されてるの。変身スーツもゲキヌンチャクも、この最先端の科学ポケットから取り出せるの」


そう言うと、美希は誠司の腕を取ってテーブルへと近づける。


「えい」


すると、誠司のゲキチェンジャーからラーメンが出てくる。


『えぇぇぇぇ!!ラーメンも!!?』


ゲキチェンジャーからラーメンが出てきた事に、驚く3人。


「いただきま~す」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修行その3 悲しい、そうじ力

どうも、ナツ・ドラグニルです!!


投稿が1日遅れてしまい、申し訳ございません。


3月24日に発売したバイオハザードRE:4をプレイしていて、投稿を忘れていました。


本当に申し訳ございません


バイオ4はやった事が無かったので、思ったよりのめり込んでしまいました。


今日ようやく、クリアすることが出来たので少しは余裕が出来ると思います。


しばらくはバイオで遊んでいると思います


それでは作品をどうぞ


臨獣殿の一角にある建物、『試しの房』。

 

 

その建物の中で、複数のリンシー達が詰め込まれていた。

 

 

その中でも、赤い鉢巻をつけた特殊のリンシーがいた。

 

 

そのリンシーは、襲い掛かってくる他のリンシー達と戦って居た。

 

 

最初は順調に攻撃を裁いていたリンシーだったが、徐々に捌き切れなくなり、等々地面に倒れてしまった。

 

 

その倒れたリンシーを、他のリンシーが袋叩きにする。

 

 

その試しの房に、そのリンシーの断末魔が響いた。

 

 

「はぁ...」

 

 

その断末魔を建物の外で聞いていたメレは、ため息を吐いた。

 

 

「また駄目か...」

 

 

髪の毛をガシガシと掻いたメレは、次のリンシーを呼んだ。

 

 

「次は誰?」

 

 

しかし、呼ばれて出てきたリンシーがもう1体だけな事に、驚くメレ。

 

 

「お前で最後!?まぁいい、頼むわよ」

 

 

そう言って、メレは試しの房の中に入っていくのを見送った。

 

 

「ほんと、誰一人出てこないなんて...まったく」

 

 

項垂れて嘆くメレだったが、誰かが近づいてくる気配を感じ、顔を上げる。

 

 

「臨獣殿試しの房」

 

「理央様!!」

 

 

理央が現れた事に、メレは笑みを浮かべる。

 

 

「ここを潜り抜けなければ、リンシーがリンリンシーになる事が出来ない。力無きものに存在は許されぬ、風に流される塵となれ、それが臨獣殿の掟だ」

 

「おっしゃる通りですわ、しもべを冷たく厳しく鍛える理央様って素敵!!」

 

「見ろメレ」

 

 

理央が促した方を見ると、ちょうど先程のリンシーが試しの房から出てくるところだった。

 

 

「うおおおおっ!!!」

 

 

雄叫びを上げるリンシーの後ろに、中に入っていたリンシーが全員倒れていた。

 

 

「うふ♡」

 

 

等々リンリンシーのいなりうるリンシーが現れた事に、喜ぶメレ。

 

 

 

 

臨獣殿の玉座の間に移動した理央達は、先程試しの房を突破したリンシーの儀式を始める。

 

 

「力を示しし者、理央様にその顔を晒す事を許すわ。名前は?」

 

 

リンシーは帽子と目隠しを取り払い、素顔を晒す。

 

 

「臨獣バッファロー拳使いのギュウヤじゃい!!」

 

 

リンシーがそう名乗り上げると、額に牛のレリーフが現れ、臨気が溢れて茶色だった服が赤色に変わる。

 

 

「ギュウヤ、お前の力を存分にしらしめよ。世界に!!そして激獣拳の奴らに!!」

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

スクラッチ社、特別開発室。

 

 

「もっと早く、これじゃあ臨獣殿に対抗できないわ!!!」

 

 

ランはロボタフを相手に組み手を行い、リンはゲキトンファーを更に磨くために修行していた。

 

 

そこに、誠司が入ってくる。

 

 

「おぉ、二人共修行してるのか!!すげぇな!!」

 

 

常日頃から修行を欠かさない2人に、誠司は感心する。

 

 

するとそこに、チーン!!と音が響いた。

 

 

誠司は音がした後ろの方に振り向くと、トライアングルを手に持つマスター・シャーフーの姿があった。

 

 

「朝のメニューはアジの干物に限るのぅ」

 

 

入ってきたマスター・シャーフーの前に、並び立つ3人。

 

 

『マスター・シャーフー!!!』

 

 

3人は右拳を左掌で包み、胸の前で合わせる。

 

 

「誠司よ、お主には修行の特別メニューがあるぞい」

 

 

その修行が何かを知っているのか、ランとリンは意味ありげな笑みを浮かべる。

 

 

「特別...修行......」

 

 

言葉を反芻し、ようやく意味を理解した誠司は笑みを浮かべる。

 

 

「はい!!やります!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

場所を移動し、誠司はラン達を始めて会った体育館のような場所で雑巾掛け(・・・・)をしていた。

 

 

その様子を、2階のジムからランとリンが見ていた。

 

 

「やってるわ、雑巾掛け」

 

「マスター・シャーフーの口癖、暮らしの中に」

 

「暮らしの中に修行ありじゃよ」

 

 

リンの言葉に被せる様に、マスター・シャーフーが誠司に告げる。

 

 

「その勢いで、隅々までピカピカにするんじゃ」

 

 

ひたすら雑巾掛けをする誠司だったが、マスター・シャーフーの前まで雑巾掛けしながら戻ってくると、雑巾を突き付ける。

 

 

「って!!これって修行じゃなくて、ただの掃除じゃないですか!!?」

 

「そう、掃除力じゃ!!掃除こそ、ゲキワザ習得の為の究極の修行じゃ。この修行を見事終えたあかつきには、掃除力が身に付くのじゃ」

 

「は、はぁ...」

 

 

意味が解らず困惑する誠司だったが、そこにマキリカの時に感じた背筋に冷たいものが走る感覚がした。

 

 

「この感じ...まさか臨獣殿!!」

 

「臨獣殿の気配じゃ」

 

 

上で様子を見ていたランとリンは、その話を聞いて直ぐに駆け出した。

 

 

「行きます!!」

 

 

誠司はそう言って、マスター・シャーフーに雑巾を預けてラン達の後を追い、街へ向かった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『きゃああああっ!!!』

 

 

町中で悲鳴が木霊し、逃げ惑う人々で一杯だった。

 

 

逃げる人達を、大量のリンシーが追いかける。

 

 

「ふっはっはっはっは!!!これが悲鳴の味かい、最高じゃ!!」

 

 

そのリンシーの後ろから、ギュウヤが姿を現す。

 

 

「くたばれ人間共!!わしの力となりゃ、それがお前らの幸せじゃ!!」

 

 

人々の悲鳴を聞き、ギュウヤの力が満ちていく。

 

 

「臨獣殿!!」

 

 

そこに、ランの制止する声が響く。

 

 

「ん?」

 

 

ギュウヤが後ろを振り向くと、走って来る誠司達の姿が目に入る。

 

 

「そこまでよ!!!」

 

「貴様等...」

 

 

ギュウヤを目の前にした誠司達は、ゲキチェンジャーを構える。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力!!』

 

 

両手を左右に広げ、抱拳礼のように拳を合わせる。

 

 

『ビースト・オン!!!』

 

 

ゲキチェンジャーのスイッチ部分に触れ、拳を前に突き出す。

 

 

『はぁ!!!』

 

 

3人に瞬時にゲキスーツが装着され、ゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「燃え立つ激気は、正義の証!!」

 

『獣拳戦隊!!ゲキレンジャー!!』

 

 

3人の名乗りを、ギュウヤはフンっと鼻で笑った。

 

 

「やれ」

 

 

ギュウヤの命を受け、リンシーが襲い掛かる。

 

 

「行くぞ!!」

 

『おう!!』

 

 

ゲキレッドの掛け声に2人が答え、リンシーを迎え撃つ。

 

 

「激獣チーター拳!!ゲキワザ!!瞬瞬弾!!」

 

「激獣ジャガー拳!!ゲキワザ!!転転弾!!」

 

「激獣タイガー拳!!ゲキワザ!!砲砲弾!!」

 

 

3人の必殺技を受け、リンシーは倒されて肉体は粉々に砕け散り塵と化す。

 

 

リンシーを倒し終え、後はギュウヤのみとなった。

 

 

「ふっ、子供騙しよ。本物っちゅうのはこういうことじゃ!!」

 

 

そう言うと、ギュウヤは構える。

 

 

「リンギ!!獣人邪身変!!」

 

 

ギュウヤの顔と手が身体にめり込み、獣人の姿へと変わる。

 

 

胸部にバッファローの顔を持ち、両肩と両大腿部にもそれぞれ牛の上顎骨と下顎骨が付いた漆黒の身体をしており、背中に赤いマントを羽織っている。

 

 

そして牛の頭蓋骨を人間のそれに歪めた様な頭部にも巨大な牛の角が生えており、身体の随所に牛のリングの装飾も見受けられる。

 

 

「バッファロー衝角打(しょうかくだ)!!」

 

 

右足で地面をひっかく仕草をしたギュウヤは、ゲキレッドに向かって走り出す。

 

 

ゲキレッドも、それを両手で角を掴んで押さえる。

 

 

「こ...この...牛野郎...」

 

 

ゲキレッドはギュウヤとパワー勝負を挑むが、ギュウヤに押されていた。

 

 

「一歩たりとも後いは引かん!!」

 

 

ギュウヤがそう宣言すると、さらにパワーを増しだした。

 

 

圧倒的なパワーに、ゲキレッドは等々負けてしまった。

 

 

ゲキレッドの足が地面から離れ、ギュウヤに持ち上げられてしまう。

 

 

そしてギュウヤは、ゲキレッドを持ち上げたまま突進を始める。

 

 

「パワーで全身あるのみ!!」

 

 

突進で柱を破壊しながら進むギュウヤ、柱を壊す事にゲキレッドはダメージを受ける。

 

 

「それがギュウヤ様の臨獣バッファロー拳じゃい!!」

 

 

最後に車に叩きつけられたゲキレッドは、そのまま上空へと放り投げられる。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

『誠司!!』

 

 

打ち上げられたゲキレッドを、心配する2人。

 

 

「バッファロー猛牛脚(もうぎゅうきゃく)!!」

 

 

落下してくるゲキレッドに、ギュウヤは後ろ回し蹴りを放つ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

吹っ飛ばされたゲキレッドは、壁に叩きつけられて地面に転がった。

 

 

『誠司!!』

 

 

ゲキレッドを心配し、駆け寄る2人。

 

 

「どうじゃい、儂のパワーは」

 

「くそっ...」

 

 

ギュウヤの言葉に、悔しがるゲキレッド。

 

 

「私が相手よ!!」

 

 

ゲキトンファーを構え、ギュウヤに突っ込むゲキブルー。

 

 

「バッファロー衝角打!!」

 

「激獣ジャガー拳!!舞舞打(まいまいだ)!!」

 

 

ギュウヤの突進を、宙をまうようにして躱すゲキブルー。

 

 

「ぬおっ!!?」

 

 

まさか避けられるとは思わなかったギュウヤは、驚きの声を上げる。

 

 

「はぁ!!」

 

 

ゲキブルーは壁を蹴って、回転を利用しギュウヤにゲキトンファーを叩きつける。

 

 

「うおっ!!?」

 

 

ゲキブルーの攻撃を受けたギュウヤは、転倒する。

 

 

「なっ!!」

 

 

自分が敵わなかったギュウヤを圧倒するゲキブルーに、言葉を失うゲキレッド。

 

 

「今度は私が相手よ!!」

 

 

すると今度は、ゲキイエローが飛び出す。

 

 

地面に倒れるギュウヤだったが、向かってくるゲキイエローに気づいて慌てて起き上がる。

 

 

「激獣チーター拳!!貫貫打(かんかんだ)!!」

 

 

多数の正拳打ちを、一点に集中して放つ。

 

 

「はぁ!!」

 

 

とどめの強力な正拳打ちがギュウヤに繰り出され、後ろに吹っ飛んだ。

 

 

「お前ら2人の方は、少しは相手になるらしい。面白い」

 

 

その時、ギュウヤの体に異変が起こる。

 

 

「うっ!!うおぉぉぉっ!!?」

 

 

ギュウヤは胸を押さえだし、苦しみだした。

 

 

すると先程まで獣人だったギュウヤの姿が、リンリンシーに戻ってしまう。

 

 

「リンリンシーになったばっかりで、身体がまだ馴染んでおらんのか...今日の所は勘弁しといてやる!!」

 

 

ギュウヤはそう言い残すと、地面に潜る事で姿を消した。

 

 

「あぁ!!待て!!逃げるな!!まだ終わってねぇ!!」

 

 

負けたのが悔しかったのか、ゲキレッドはギュウヤの後を追おうとする。

 

 

「誠司!!」

 

「待ちなさい!!」

 

 

しかしそれを、ゲキイエローとゲキブルーが止める。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ギュウヤのデータをインストールされたロボタフと、誠司が向かい合う。

 

 

すると、ロボタフが先程のギュウヤの技『バッファロー衝角打』と同じ動きをする。

 

 

「来い!!!」

 

 

突進してくるロボタフに、誠司は先程のゲキブルーの攻撃をイメージする。

 

 

「舞舞打!!」

 

 

誠司はゲキブルーと同じようにロボタフの頭上を飛び越えようとするが、つま先がロボタフの頭に当たってしまう。

 

 

「うわああああっ!!!」

 

 

誠司はそのまま、床に腹ばいの状態で落ちる。

 

 

それでも誠司は諦めず、直ぐに立ち上がりロボタフを睨む。

 

 

「貫貫打!!」

 

 

今度はゲキイエローの技をマネして放つが、簡単にロボタフに受け止められてしまう。

 

 

「えぇ!!?」

 

 

受け止められると思わなかった誠司は、驚きの声を上げる。

 

 

攻撃を受け止めたロボタフは、誠司に裏拳を繰り出す。

 

 

「うわぁぁっ!!!」

 

 

裏拳を喰らった誠司は、まるでアクセルジャンプのように回転して地面に転がった。

 

 

流石にこのままでは不味いと思ったランが、ロボタフを止める。

 

 

「なんでだぁ...なんでリンやランみたいに出来ないだ...」

 

 

誠司は自分が考えているように動けない事に、不満に思う。

 

 

「よっぽど負けたのが悔しかったのね...」

 

 

誠司の様子を見て、察する美希。

 

「ビーストアーツ初心者の誠司が、私達と同じメニューやったって無駄なのに」

 

「あの臨獣拳使いは、誠司と同じパワータイプ。誠司とは相性が悪いわ!またやってきたら、その時は私達で頑張るしかないわね」

 

 

リンとランがそう話し合っていると、部屋にマスター・シャーフーが入って来る。

 

 

「マスター・シャーフー!!」

 

 

誠司は、入ってきたマスター・シャーフーに駆け寄った。

 

 

「教えてください!!あのギュウヤを倒す方法を!!」

 

「お主の修行メニューは、これじゃぞ」

 

 

そう言って、マスター・シャーフーは誠司に雑巾を見せた。

 

 

「もう掃除力はいりません!!」

 

 

そう言って、誠司は雑巾を叩いた。

 

 

そのせいでマスター・シャーフーの手から雑巾が離れ、床にガシャン!!と音を立てて落ちた。

 

 

『ん?』

 

 

雑巾が落ちたにしては、重すぎるその音にランとリンは疑問に思った。

 

 

気になったランは、雑巾を拾い上げようとする。

 

 

「え!?」

 

 

片手で持ち上げようとしたランだったが、余りの重さに驚いた。

 

 

「ん~~!!何この雑巾!!?」

 

 

両手でようやく持ち上げる事が出来たランだったが、雑巾の余りの重さに驚愕の声を上げる。

 

 

「暮らしの中に修行あり」

 

 

マスター・シャーフーは、その雑巾を片手で持ち上げて反対の手で誠司の襟を掴む。

 

 

「ちゃんと隅々までピカピカにそうじするのじゃ」

 

「うわっ!!いやだ~!!掃除力じゃ勝てないですよ~!!」

 

 

嫌がる誠司を連れて、マスター・シャーフーは部屋から出ていった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、ある山の中でギュウヤも修行に励んでいた。

 

 

巨大な岩に向かって、突進するギュウヤ。

 

 

「うおおおおおおっ!!」

 

 

ギュウヤが岩に頭突きをすると、ドッガァァァン!!と音を立てて粉々に砕け散った。

 

 

「ふぅ...やっとリンリンシーの身体にこなれてきたわい」

 

「ギュウヤ」

 

 

身体の調子を取り戻したギュウヤの元に、メレが現れる。

 

 

「お前には期待しているのよ、理央様が喜ぶのは勝利だけ。私には、理央様を喜ばせる義務があるの。愛の義務が...」

 

 

メレはそう言うと、鏡を取り出して口紅を塗る。

 

 

「今度こそ、あの激獣拳使いを叩き潰してやるのよ!!」

 

「ご期待ください!!直ぐに戻ってまいりますわい!!」

 

 

そう言うと、ギュウヤは街へと走り出した。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「うおおおおおっ!!!」

 

 

怪人態になったギュウヤは、突進で建物を壊す。

 

 

逃げる人々を追いかけるギュウヤは、街灯にぶつかる事でようやく止まった。

 

 

しかし、その衝撃で街灯が根元から折れて、人が乗っている車に向けて倒れる。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

慌てて車から降りて、逃げる人達。

 

 

その様子を監視カメラのデータにアクセスしたパソコンで見ていたランは、リンに声を掛ける。

 

 

「リン!!」

 

「うん!!」

 

 

2人は急いで、ギュウヤが暴れている街へと向かった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その頃、誠司は修行をしていてギュウヤが暴れている事に気づいていなかった。

 

 

「誠司!!もっと腰を落として一気に突き進むんじゃ!!」

 

「俺はこんな事じゃなく、ギュウヤを倒す修行がしたいんだー!!」

 

 

マスター・シャーフーの言葉に、誠司は修行の不満をぶつけながら雑巾掛けをしていた。

 

 

それがいけなかったのか、使っていた雑巾が真っ二つにちぎれてしまった。

 

 

「うわぁぁっ!!?」

 

 

雑巾が切れた事により、バランスを崩してしまった誠司はゴロンゴロンと床を転がった。

 

 

「痛ってぇ~」

 

 

痛みに耐える誠司だったが、無慈悲にもマスター・シャーフーから声が掛かる。

 

 

「まだ終わっとらんぞ」

 

「え?」

 

 

マスター・シャーフーは、ちぎれた雑巾を手に取る。

 

 

「美希に言って、新しい雑巾もらってこい」

 

「えぇぇぇっ!!」

 

 

まだ終わらない事に、誠司は不満の声を上げる。

 

 

「はぁ...」

 

 

しぶしぶ起き上がった誠司は、マスター・シャーフーから雑巾を受け取る。

 

「行ってきます...」

 

 

そう言って、誠司は部屋から出て行った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

特別開発室で仕事をしていた美希だったが、扉が開く音で誰かが入ってきたのに気づいて顔を上げる。

 

 

すると、暗い顔をした誠司が目に入った。

 

 

「新しい雑巾ください」

 

 

そう言って、誠司はやぶれた雑巾を美希に見せる。

 

 

「あ~ら~暗い顔ね~」

 

「もう!!こんな修行嫌です!!」

 

 

そう言って、誠司は雑巾を机に叩きつけた。

 

 

「何言ってるの、ゲキレンジャーのモットーは修行して勝つなのよ」

 

「けど!!こんな修行じゃ、いつまでたってもギュウヤは倒せません!!」

 

 

誠司がちぎれた雑巾を持ち上げて揺すると、中から大量の重りが出てくる。

 

 

「俺は、リンの技とか、ランの速さとか修行したいんです!!」

 

 

不満に思う誠司に、美希が質問する。

 

 

「ねぇ誠司、マスター・シャーフーが貴方の為に考えてくれたキャッチフレーズは何?」

 

「え?えっと...身体に漲る無限の力、アンブレイカブル・ボディ」

 

「そうよ、決して砕けない強靭な肉体、そこから溢れる凄い馬力。そこが!!あなたの優れてる所なの!!決して、ファンタスティック・テクニックでも、オネスト・ハートでもないわ」

 

「でも俺...ぶつかりあいでギュウヤに負けました」

 

 

誠司は先程の戦いを思い出して自身の拳を見つめ、すっかりやる気を失ってしまっていた。

 

 

「マスター・シャーフーのメニューで修行すれば負けないわ」

 

「え?」

 

 

美希は大量の箱が積まれており、その一つのガムテープを剥がし雑巾を取り出す。

 

 

「シャーフーはね、その丈夫な身体と無限なパワーで勝負したら、絶対に勝てるって信じてるのよ」

 

 

その言葉を聞いた誠司は、壁に掛けられている激気という文字を見る。

 

 

「彼の修行メニューは最高よ」

 

 

美希はそう言って、重りが入ったケースから先程のよりも大きい重りを取り出し、雑巾の中に仕込む。

 

 

「マスター・シャーフーを、それと君をスカウトした私の目を信じなさい!!」

 

 

仕込みが終わった雑巾を美希が持ち上げようとするが、余りの重さに「重っ」と声を上げてしまう。

 

 

「サービス!! 重り増やしておいたから」

 

 

美希から雑巾を受け取った誠司だったが、余りの重さに腰を沈めてしまう。

 

 

「マスター・シャーフーのメニューで修行をすれば、負けない!!」

 

「うん」

 

 

ようやく誠司は、自信を取り戻した。

 

 

「分かりました!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

雄叫びを上げ、先程の修行場所までひたすら走る。

 

 

それは、体育館の中で待つマスター・シャーフーの所まで聞こえる程だった。

 

 

「ん?」

 

 

マスター・シャーフーが振り向くと、ちょうど誠司が入って来る所だった。

 

 

「どうした誠司」

 

 

マスター・シャーフーは、誠司の目が自身に満ちて覚悟を決めた目である事に気づいた。

 

 

「マスター・シャーフー!!修行して勝つ!!です」

 

「ふふふ」

 

 

誠司の変わり様に笑みを浮かべるマスター・シャーフーは、チーン!!とトライアングルを鳴らす。

 

 

「修行して勝つ!!修行して勝ーつ!!」

 

 

ギュウヤに勝ちたい一心で、誠司はひたすら雑巾掛けをする。

 

 

「隅々までピカピカにした時、お前は必ず強くなるぞ」

 

「だぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

誠司は行ったり来たりをするだけでなく、ななめに、横になど動き気づけばトライアングルの形になるように雑巾掛けをしていた。

 

 

そしてようやく...

 

 

「だぁぁぁぁっ!!!終わった——!!!」

 

 

全ての雑巾掛けを終わった誠司だったが、勢いが付きすぎて止まる事が出来なかった。

 

 

「どいて!!どいてください!!」

 

 

ぶつかりそうになる誠司だったが、マスター・シャーフーは跳躍する事によってそれを避ける。

 

 

マスター・シャーフーとの衝突を避けた誠司だったが、そのまま用具入れに突っ込んでしまう。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

ガッシャァァァァァン!!!と派手な音を立てて、誠司はようやく止まった。

 

 

「痛ってぇ~」

 

 

籠の中に入っていた大量のボールがぶちまけられ、その中から誠司は這い出てくる。

 

 

「終わった~」

 

「うむ!!今回の修行メニューは、終了じゃ!!」

 

 

マスター・シャーフーが体育館を見渡してみると、どこもかしこもピカピカだった。

 

 

「さぁ、戦いに行くがよい」

 

「え?」

 

 

言葉の意味が解らず、首をかしげる誠司。

 

 

「修行に夢中で気づかんかった様じゃが、ランとリンは先に行っておる。お主も行って、身に着けたその掃除力を見せつけてやるがよい!!」

 

「はい!!!」

 

 

マスター・シャーフーに言葉に元気よく答えた誠司は、街へ向かって走り出した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

突っ込んでくるギュウヤの突進を、ゲキイエローとゲキブルーは左右に分かれて避ける。

 

 

「甘いわ」

 

 

すると、ゲキイエローはリンシーズによって羽交い絞めされてしまった。

 

 

「猛牛脚!!」

 

 

ギュウヤの飛び蹴りが、リンシーズを巻き込んでゲキイエローを蹴り飛ばす。

 

 

「うわっ!!?」

 

 

リンシーズと一緒に吹っ飛ばされたゲキイエローは、近くのコンテナに激突する。

 

 

「ラン!!」

 

 

駆け寄ろうとするゲキブルーだったが、ゲキブルーもリンシーズに羽交い絞めにされてしまう。

 

 

「卑怯よ!!」

 

「卑怯?それが臨獣殿のやり方じゃい!!」

 

 

ギュウヤの突進を諸に受けたゲキブルーは、リンシーズと共に吹っ飛ばされた。

 

 

「これで終わりじゃい!!」

 

「きゃあああああっ!!!」

 

 

ギュウヤはゲキブルーの両脇に角を引っ掛け、後ろへと放り投げる。

 

 

「リン!!」

 

 

地面に転がるゲキブルーに、駆け寄るゲキイエロー。

 

 

「2人纏めて、ぺしゃんこにしてやる」

 

 

ギュウヤは地面を蹴って、2人に突進しようとしたその時だった。

 

 

「やめろ!!」

 

 

駆け付けた誠司の声が、その場に響いた。

 

 

「臨獣殿の牛野郎!!」

 

『誠司!!?』

 

「やめろとは、儂にほざくか小僧」

 

 

ギュウヤのその言葉に、誠司はニヤッと笑う。

 

 

「ほざく!!」

 

 

誠司は、ゲキチェンジャーを構える。

 

 

「たぎれ!!ケモノの力!!ビースト・オン!!!」

 

 

ゲキチェンジャーに次元圧縮されたゲキスーツが装着され、誠司はゲキレッドへと変身する。

 

 

「何度来たって同じことじゃい」

 

 

ギュウヤは右脚で地面を蹴った後、ゲキレッドに向かって突進する。

 

 

「バッファロー衝角打!!!」

 

 

ギュウヤの突進に対抗するように、ゲキレッドは雑巾を取り出す。

 

 

「激気雑巾!!」

 

 

ゲキレッドは中に仕込まれた重りを外し、地面に置いた。

 

 

「行くぞ!! 腰を落として、一気に突き進む!!」

 

 

ギュウヤに向かって、雑巾掛けを始めるゲキレッド。

 

 

『雑巾掛け!?』

 

 

ギュウヤの突進に対して、雑巾掛けで対抗するゲキレッドに驚愕する2人。

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「うぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

雄叫びを上げて、突進する両者。

 

 

「俺は!!体に漲る無限の力!!アンブレイカブル・ボディ!!ゲキレッドだ!!!!」

 

 

ゲキレッドは身に着けた「そうじ力」を最大限に発揮し、更に突進の威力を増した。

 

 

ゲキレッドとギュウヤがぶつかり合った結果、今度はギュウヤの方が吹っ飛ばされた。

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!!?」

 

 

ぶつかり合いに勝ったゲキレッドは、得意げに雑巾を人差し指で回す。

 

 

「へっへ~ん!!」

 

「おのれ!!儂がパワーで負けるハズがねぇ!!」

 

すぐさま起き上がったギュウヤは、負けた事を認められずに再度突進する。

 

 

ゲキレッドは雑巾を放り投げ、突進してくるギュウヤの角を両手で受け止める。

 

 

「ゲキワザ!!雑巾絞り!!」

 

 

雑巾絞りの要領で、ギュウヤの角を捻じ曲げるゲキレッド。

 

 

「な..なんてパワーだ!!?」

 

 

自分以上のゲキレッドのパワーに、ギュウヤは驚愕する。

 

 

「おらぁ!!」

 

 

すると、ゲキレッドはギュウヤを持ち上げて後ろへと放り投げる。

 

 

「ゲキワザ!!タイガー雑巾掛けだぁ!!」

 

 

背中から地面に転がるギュウヤを、雑巾の代わりにして走るゲキレッド。

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

ゲキレッドはそのままギュウヤを引き摺りながら走り、火気厳禁と大きく書かれた大量のドラム缶に向かう。

 

 

「喰らえっ!!!」

 

 

ゲキレッドはそのドラム缶に向かって、ギュウヤを投げる。

 

 

ドラム缶を薙ぎ倒したギュウヤは、ドラム缶が地面に接触し発生し、そのわずかな火花がガスに引火し、大爆発が起こる。

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

その大爆発の中から、何とか飛び出てくるゲキレッド。

 

 

地面に転がるゲキレッドに、駆け寄ってくるゲキイエロー達。

 

 

「やったわね、誠司!!凄いパワー!!」

 

「まっ修行の成果があったって事ね」

 

 

純粋にゲキレッドのパワーを褒めるゲキイエローと、修行のお陰だと捻くれて物を言うゲキブルー。

 

 

「あぁ、ランとリンが先に行ってくれたから、その間修行できたんだ。すんごくなったからな!!!」

 

 

その様子を見て、微笑みあうゲキイエローとゲキブルー。

 

 

「貴様等!!!」

 

 

その時、爆発に飲まれた筈のギュウヤの声が響く。

 

 

「終わったと思ってるなら、大間違いじゃ」

 

 

爆発した方を見ると、ボロボロになった状態でよろける様に歩くギュウヤの姿が3人の目に入った。

 

 

「リンギ!!邪心豪天変!!!」

 

 

ギュウヤの身体が膨れ上がり、巨大化する。

 

 

「こうなったらやけじゃい!!街の大破壊じゃい!!」

 

 

そう言って、ギュウヤは街の方へと向かう。

 

 

「俺達も行くぞ!!」

 

『ゲキワザ!!獣拳合体!!』

 

 

ゲキタイガー、ゲキチーター、ゲキジャガーの3体が合体して、巨大な獣人『ゲキトージャ』が誕生する。

 

 

『ゲキトージャ!!バーニングアップ!!!』

 

 

街の中で、睨みあうゲキトージャとギュウヤ。

 

 

「ぶ~ん!!ギリギリセーフ!!試合開始に間に合いました!!本日も巨大戦の実況は激獣フライ拳のバエがお送りします!!」

 

 

そして、突如現れた毎度おなじみのバエが、実況を始める。

 

 

「そして解説はおなじみ、にっくき小娘、臨獣カメレオン拳のメレさんです」

 

「まったく...生意気なコバエね。でも可哀そうに、あんたの好きなゲキトージャも今日で終わりよ」

 

 

余程、ギュウヤが勝つ事に自信があるのか、強気なメレ。

 

 

「戦いは最後まで分かりませんよ」

 

 

それでも、ゲキトージャが勝つ事を信じるバエ。

 

 

信号機が青になるのと同時に、動き出す両者。

 

 

「とか言っている内に、両者突進です!!激突!!」

 

 

激突するゲキトージャとギュウヤ、そしてゲキトージャはギュウヤの背中を転がるようにして移動し、後ろを取る。

 

 

ギュウヤの後ろを取ったゲキトージャは、ギュウヤのマントを剥がした。

 

 

「おぉ!!ギュウヤのマントが剥がされた!!ギュウヤ怒っています!!!」

 

 

ゲキトージャは、赤いマントをひらひらと動かし、ギュウヤに向かって手招きする。

 

 

「ゲキトージャ、闘牛士よろしく赤いマントをヒラヒラ!!ギュウヤを挑発しております!!」

 

「よくも俺のマントを!!!」

 

 

胸部のバッファローの鼻からフー!!と鼻息を吐き、怒りを露わにする。

 

 

激怒するギュウヤは、四足歩行でゲキトージャに突進する。

 

 

「ギュウヤ!!怒りの突進!!凄い迫力!!?これぞまさしく、闘牛のようであります」

 

 

ゲキトージャは、マントでギュウヤの目を遮り、ビルへと突っ込ませる。

 

 

「ゲキトージャ!!ギュウヤを翻弄しております!!まさに怒りが収まらないギュウヤ!!」

 

 

瓦礫から這い出てきたギュウヤは、再度突進する。

 

 

「おおっ!!また突進だ!!それをゲキトージャ迎え撃つ!!」

 

 

迫って来るギュウヤに、臨戦態勢を取る。

 

 

「おっと、あれ?」

 

 

突如ギュウヤが、横に軌道を変えた。

 

 

「ギュウヤ横っ飛び!!?」

 

 

まっすぐ突進する牛の概念を覆す動きをするギュウヤに、バエはもちろんゲキトージャも困惑する。

 

 

「なんとっ!!まっすぐ突っ込むと見せかけて、いきなりの方向転換!!巨大さに似合わず敏捷さです!!」

 

 

ジグザクに街の中をあちこち走り回り、スピードでゲキトージャを翻弄するギュウヤ。

 

 

ドッガァァァン!!!

 

 

突如、ゲキトージャの背後にあるビルが破壊され、壊れた事によって発生した土煙の中からギュウヤが現れる。

 

 

「おおっと!!ギュウヤ、背後からビルを突き崩し襲い掛かった!!」

 

 

ギュウヤの突進を諸に受けたゲキトージャは、そのまま地面に倒れた。

 

 

「ゲキトージャたまらずダウン!!」

 

「ワシの動きが見切れるか?」

 

 

ゲキトージャは起き上がろうとするが、ダメージが大きかったのか立ち上がれないでいた。

 

 

「ああっ!!?ゲキトージャ立てません!!起き上がれないのか、起き上がらないのかどっちだ!!?」

 

 

実況するバエの横で、ゲキトージャが倒れた事に喜ぶメレ。

 

 

「あいつ...意外とトリッキーな動きをするわね...」

 

「リン、大丈夫だ。俺は修行したんだ!!」

 

「そうだわ!!誠司の言う通りよ!!今こそ、私達3人のトライアングルを思い知らせる時よ!!私のスピード、リンのテクニック!!」

 

「修行してアップした、誠司のパワーね!!」

 

 

3人の力を1つにするべく、ゲキレッドは気合を入れる。

 

 

「よーし!!リンとランも気合入れて行くぞ!!」

 

『うん!!』

 

 

右脚を回してしっかり開脚し、その回転力を活かしながら腰を浮かして上半身をひねり、両手で地面を押して立ち上がるゲキトージャ。

 

 

「さぁゲキトージャ、ようやく立ち上がったぞ!!」

 

 

すると、ゲキトージャがギュウヤに向かって、手招きし始めた。

 

 

「ん?なんだ!?ゲキトージャ!!ギュウヤを挑発しております!!何か思いついたのか?」

 

 

ギュウヤは、再度ゲキトージャに向かって突進を始める。

 

 

「ギュウヤそれに答えて、飛び出しました!!」

 

 

ゲキトージャも、ギュウヤに向かって走り出す。

 

 

「ゲキトージャも走ります!!走る!!走る!!走る!!!」

 

 

ぶつかり合うギュウヤとゲキトージャだったが、ぶつかり合ったその瞬間にギュウヤがゲキトージャを上空へと突き上げる。

 

 

「うわぁ!!?」

 

「やったわぁ!!!」

 

 

ゲキトージャが突き上げられた事に、バエは動揺し、メレは歓喜の声を上げる。

 

 

「ギュウヤ、ゲキトージャを跳ね上げた!!?」

 

 

しかしそれは、ゲキレンジャーの作戦の内だった。

 

 

「テクニック!!!」

 

 

ゲキブルーがそう叫ぶと、ゲキトージャは上空で体を捻る。

 

 

「ゲキトージャ!!上空で華麗に舞っているようです!!」

 

「まさか!!やられた振りだっていうの!!?」

 

 

ようやく跳ね上げられた意図に気づいたメレだったが、時すでに遅し。

 

 

「パワー!!」

 

 

ゲキレッドがそう叫ぶと、ゲキトージャが両足を伸ばして蹴りの体制に入る。

 

 

そして、下半身が回りだした。

 

 

「おぉ!!脚が回った!!?」

 

「スピード!!」

 

 

ゲキイエローがそう叫ぶと、さらに回転の威力が増す。

 

 

「ゲキトージャ!!超高速で落ちてくる!!いや、降りてきます!!」

 

「牛の弱点は脳天だ!!」

 

『ゲキトージャ!!ゲキワザ!!大頑頑脚(だいがんがんきゃく)!!!』

 

 

両脚でのスクリューキックが、ギュウヤの脳天目掛けて繰り出される。

 

 

『ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!』

 

「決まったー!!!」

 

 

ゲキトージャの大頑頑脚を諸に受け、ギュウヤの身体が石化していく。

 

 

「獣拳は正義の拳!!」

 

 

断末魔と共に、ギュウヤは大爆発を起こす。

 

 

『正しき者は、必ず勝つ!!!ゲキトージャWIN!!』

 

「やりました!!ゲキトージャ!!大頑頑拳に続く、新たなゲキワザ!!大頑頑脚でギュウヤを下しました!!激獣拳最強!!」

 

 

調子に乗るバエの頭を、メレが鷲掴みにする。

 

 

「それ以上喋るんじゃないわよ!!お喋りバエ!!」

 

「え?あ...」

 

「はしゃいでいられるのもそれまでよ」

 

「なんで?」

 

「次の相手は...」

 

 

メレはバエの耳元で、何かをボソッと呟く。

 

 

「えぇ!!?あ...あの5人ですかぁ!?」

 

 

その相手が誰なのかを知っているバエは、驚愕して大声を上げる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その頃、臨獣殿の玉座の間にて理央が瞑想を行っていた。

 

 

すると、背後の扉が開き、5人のリンリンシーが姿を見せる。

 

 

『我ら五毒拳、揃いましてございます』

 

 

理央の元に、『五毒拳』と呼ばれる5人の拳士が招聘(しょうへい)されていた。

 

 

「ふっ、五毒拳。お前らが、俺の渇きを癒してくれるか?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『後3分じゃぞ、隅々までピカピカにするんじゃ』

 

『えぇ——!!?が、頑張ります!!』

 

 

不満そうに声を上げるが、我慢して雑巾掛けをするラン。

 

 

『根性——!!』

 

 

しかし、途中でこけてしまい、肘を擦りむいてしまう。

 

 

『痛ったぁ~』

 

 

擦りむいた肘を押さえ、痛がるラン。

 

 

『両手両足で効率アップ!!隅々までピカピカにするんじゃ!!』

 

 

両手両足で雑巾掛けをするリンだったが、思う様に動けず中々進めないでいた。

 

 

『うぅ...効率アップ...ってむしろマイナスぅ?』

 

 

その光景は、余りにも情けなかった。

 

 

「あはははははっ!!!」

 

 

特別開発室に、誠司の笑い声が響く。

 

 

戦いの後、ランとリンもかつては『そうじ力』を鍛えていた事を知る誠司。

 

 

その様子はVTRにしっかり収められており、誠司はそれを見て大いに笑っていた。

 

 

「2人共、へなへなですね」

 

 

一緒に見ている美希と一緒に、笑いが止まらない誠司。

 

 

その時、タイミング悪くラン達が入って来る。

 

 

「何見せてるんですか?美希さん、って...」

 

『あ——————っ!!!!』

 

 

質問するランだったが、それがかつて『そうじ力』の修行をしていた2人の映像だと知ると、2人は大声を上げる。

 

 

「貴方達が、まだスピードもテクニックもまだまだだった頃の修行よ」

 

 

その間も、映像では雑巾掛けしている2人が頭をぶつけあい、悶絶する映像が流れていた。

 

 

「見ちゃダメ!!!」

 

 

ランは直ぐに誠司の目を隠し、続きを見せないようにする。

 

 

「見せろよ!!」

 

 

手をどかそうとする誠司だったが、絶対見せまいと体を押し付けて全体重をかけてまで必死にしがみつくラン。

 

 

「今はそれなりに立派になって、よかったわ」

 

 

そう言って、席を立つ美希。

 

 

すかさずリンが席に座り、パソコンをいじる。

 

 

「だけど室長!!こんなみっともない格好、誠司に見せなくても!!」

 

 

余程恥ずかしかったのか、直ぐに映像を止めるリン。

 

 

『はぁ...』

 

 

これ以上恥を晒さなくて済んだことに、ランとリンは安堵のため息をつく。

 

 

「よっしゃー!!!俺もまだまだ修行するぞ!!修行して勝つ!!」

 

 

雑巾を持った誠司は、特別開発室の床を雑巾掛けし始めた。

 

 

「行くぞー!!」

 

 

すると、誠司は雑巾掛けをしながらランとリンの後ろを追いかける。

 

 

「きゃああああっ!!!」

 

「ちょっと誠司!!!」

 

 

いきなりの事で途惑い、逃げる2人。

 

 

「やれやれ、次の修行メニューは行儀力じゃのぅ...」

 

 

呆れながら、マスター・シャーフ―はトライアングルをチーンと鳴らす。

 




如何だったでしょうか?


今回の修行3では、誠司が如何に修行が大事なのかっていう事を実感する回でした。


雑巾掛けは一見大した事のない行動ですが、足腰しっかりしていないとまっすぐ走る事が出来ないですからね。


社会人になり、雑巾掛けをする機会があったので上司と一緒に行ったところ、まっすぐ走る事が出来ず何度も転んでしまいましたからね。


年を取るという事を甘く見ていました。


マジか...と凹みましたからね


それでは次回、修行その4もしくはLOVE TAIL第20話でお会いしましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修行その4 嫌な予感!!五毒拳

どうも、ナツ・ドラグニルです!!


長らく投稿を休んでしまい、申し訳ございません!!


暑さと疲労で書く気力が起きませんでした。


取り敢えず、11月までの小説は書けましたので、今月からまた復帰します。


それでは、作品をどうぞ


五毒拳...特別、邪悪凶暴な臨技を極め、その身の内に『熱』『痛み』『寒さ』『痺れ』『吐き気』の毒を持つという臨獣殿精鋭の5人

 

 

臨獣殿の一角、そこには五毒拳の為に用意された部屋があった。

 

 

その部屋の1つを、メレが覗き込んだ。

 

 

その中には、額にムカデのエンブレムがあるリンリンシーがいた。

 

 

そのリンリンシーは、大量の皿を手に持ってそれを上へと放り投げる。

 

 

臨獣センチピード拳のカデム、光の速さで1秒間に百の突きを繰り出す地獄の手数王。

 

 

カデムは物凄いスピードで突きを放ち、放り投げた皿を全て突きで破壊する。

 

 

するとメレは、次にその向かいにある部屋を覗いた。

 

 

その部屋の中には、額にコブラのエンブレムを付けたリンリンシーがいた。

 

 

ブラコは、1列に並べられた7本の蝋燭を、一太刀の手刀で一刀両断する。

 

 

臨獣スネーク拳のブラコ、変幻自在の動き、冷酷非道な一撃必殺の狙撃手。

 

 

メレは、次の部屋を覗き込む。

 

 

その中には、サソリのエンブレムが刻まれたリンリンシーがいた。

 

柔軟性を活かした動きで、蹴りを放ち地面に穴を開ける。

 

 

臨獣スコーピオン拳のソリサ、その微笑みと舞で敵を誘い、翻弄し止めを刺す。

 

 

メレが次の部屋を覗くと、中にはヤモリのエンブレムが付いたリンリンシーがいた。

 

 

そのリンリンシーは、壁や天井を縦横無尽に這いずり回る。

 

 

臨獣ゲッコー拳のモリヤ、想定外の反応と攻撃、対応不能の惑乱者。

 

 

次の部屋には、カエルのエンブレムをつけたリンリンシーがいた。

 

 

そのリンリンシーの手には、6つの鉄球が握られていた。

 

 

その鉄球を投げると、自身に帰ってきたのを全て受け止める。

 

 

臨獣トード拳のマガ、鉛の神経、鉛の身体、鈍重ながら鋼鉄鉄壁の守護者。

 

 

その5人を、メレは理央の元へと連れて行く。

 

 

「邪悪を極めし、5人のリンリンシー『五毒拳』。お前達が出陣する意味、分かってるわよね?」

 

 

メレは、そう5人に質問する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

東京都内にある、アイススケート場。

 

 

そこで、今日も誠司達は修行に励んでいた。

 

 

「これだって、要は根性でしょ?」

 

「センスでテクニックさえ掴めれば、出来るわよ」

 

 

そう意気込むが、2人共柵に捕まっており凄く格好悪かった。

 

 

意を決して柵から離れる2人だったが、少しでもバランスを崩せば倒れそうだった。

 

 

「ほっほっほ、暮らしの中に修行あり。今日の修行はスケートじゃ!!ペンギンの物真似ではないぞ!!」

 

 

するとそこに、まるでプロスケーターのような華麗な滑りを見せるマスター・シャーフーの姿があった。

 

 

『マスター・シャーフー』

 

 

共に挨拶する2人だが、フラフラとして何とか立っていた。

 

 

「お主等、今日の修行メニューはカレイドスパイラルジャンプを飛ぶ事じゃ」

 

「カレイドスパイラルジャンプって、フィギュアスケートの中でも難易度スーパーEの大技じゃないですか!!?」

 

「そんないきなり!?」

 

 

マスター・シャーフーの急な無茶ぶりに、ラン達は叫んだ。

 

 

「諦めは未来を閉ざす、いきどまりの道じゃぞ」

 

 

マスター・シャーフーはそう言うと、トライアングルを鳴らした。

 

 

「して、もうひとり...誠司はどうした?」

 

 

誠司の所在を聞いたその時だった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

スケート場に、誠司の叫び声が木霊する。

 

 

勢いを付けすぎたのか、止められなくなっている誠司がラン達の横を通り過ぎる。

 

 

「どいてくれ~!!!」

 

 

誠司の進む先に、1人の女性がいた。

 

 

「危ない!!」

 

 

ぶつかると思ったランが、声を上げる。

 

 

ランの掛け声で、その女性が振り返る。

 

 

「どいてくれ~!!」

 

「はっ!!」

 

 

そこでようやく女性は、誠司が止まれずに突っ込んできている事に気づいた。

 

 

女性は胸の前で腕をクロスすると、高速回転し誠司の頭上を飛び越える。

 

 

「あれは⁉」

 

「カレイドスパイラルジャンプ!!?」

 

 

女性が今まさに修行をしていた技、『カレイドスパイラルジャンプ』を見せた事に驚愕の声を上げるランとリン。

 

 

「うわっ!!?」

 

 

驚くラン達を他所に、誠司は壁にぶつかる事によってようやく止まる事が出来た。

 

 

件の女性は、綺麗な着地を見せて華麗な滑りを見せる。

 

 

その動きはまるで、プロのようだった。

 

 

「いて~」

 

 

ぶつけた所を押さえ、悶える誠司に手を差し伸べる女性。

 

 

「八木沼純子さん、じゅんじゅんじゃ。最も美しいジャンプを誇る、華麗なる氷の妖精。フィギュアの女王じゃ」

 

「今はこのスケートクラブで、コーチをやっています」

 

 

誠司を起こしながら、そう説明する。

 

 

「握手してもらえませんかのう、一生のお願いじゃ」

 

 

そう言って、純子さんの両手を取って握手するマスター・シャーフー。

 

 

「ね、猫さん!?肉球...」

 

 

そこに転びそうになりながらも、ランとリンが近づく。

 

 

「まぁ、そこはお気になさらず」

 

「え?えぇ...」

 

 

リンの言葉に困惑しながらも、頷く純子さん。

 

 

「お主等見たか?今のジャンプじゃぞ」

 

「あれをマスターするのね!」

 

「よーし!!取り敢えずやってみるか!!」

 

 

そう言って、誠司は滑り出した。

 

 

「簡単に言ってくれるわよね、単純って言うかなんて言うか」

 

 

その時、リンのゲキチェンジャーにピピピピ!!ピピピピ!!と通信が入った。

 

 

『マスター・シャーフー、ちょっと戻って来てほしいんですが今すぐに』

 

「ん?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ザァァァァ!!!っと大雨が降る山の中、1人の少年が佇んでいた。

 

 

その少年の足元には、家族であろう人達が倒れている。

 

 

グォォォォッ!!と、靄のようなものが雄叫びを上げる。

 

 

「...央様...理央様」

 

 

メレの呼ぶ声が聞こえ、そこで理央は目を覚ます。

 

 

メレは心配そうな顔で、理央の顔を覗く。

 

 

「ご気分でも悪いんですか?おなか?おつむ?メレに出来る事があれば、何なりとおっしゃってくださいませ」

 

 

そう言って、メレはお茶が入った湯呑を渡す。

 

 

「また夢を見た、激突か、融和か、巡り合いの予感がする」

 

 

理央は持っていた湯呑を握りつぶし、粉々にする。

 

 

「五毒拳!!」

 

『はっ!』

 

 

理央の呼び声に、五毒拳は整列し膝をつく。

 

 

「臨獣殿は拳魔の声を聴き、世界制覇の道を踏み出した。しかし...激獣拳によって失ったリンリンシーは既に2人」

 

 

理央の話を聞いていた五毒拳の1人、マガが立ち上がる。

 

 

「マガなら負けない、どんな攻撃も痛くない」

 

「マガ!!あんた鈍いだけでしょう?あたしのかかと」

 

 

マガに対して、ソリサが踵をぎりぎりで顔に当たる所で止める。

 

 

「思いっきりぶち込んであげようか?」

 

「そりゃあ羨ましい」

 

 

そう言って、モリヤが立ち上がる。

 

 

「ソリサの蹴りは効くって話ですからね、こっちが変わってもらいたいくらいだぁ」

 

「モリヤ!!」

 

 

マガに絡むモリヤの軽い口調が気に障ったのか、カデムが怒鳴りながら立ち上がる。

 

 

「お前のイライラする軽口を封じるには、俺の拳を百発も突き入れれば十分か?千だって万だって構わないが・な!!」

 

「ケッ」

 

 

カデムの言葉に、モリヤは吐き捨てる。

 

 

「カデムもモリヤも口を慎め、理央様の前だぞ」

 

 

一色触発しそうな2人を、ブラコが止める。

 

 

ブラコに言われ、モリヤ達は理央を見ると圧を放っていた。

 

 

4人は慌てて、整列し直す。

 

 

「臨獣拳アクガタに敗北は許されない、雪辱を晴らせ」

 

「印は既につけておきました」

 

 

メレの言葉を聞いた理央は、マントを翻す。

 

 

「激獣拳に報いを与える」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

特別開発室に戻ってきたシャーフーは、モニターに映し出された臨獣殿の印がついたビルを見て、眉間に皺を寄せる。

 

 

「臨獣殿の印、何かの宣告つもりでしょうか?」

 

「五毒拳が来る...」

 

「五毒拳......それは...つまり......」

 

 

深刻そうな顔をして、美希は立ち上がる。

 

 

「あの子たちには、まだ荷が重すぎます...」

 

「う~む...」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

スケート場で純子さんの指導の元、修行を続ける誠司達。

 

 

「ふっ!!」

 

「はっ!!」

 

 

ランとリンは、まずジャンプを出来るように頑張ていた。

 

 

しかし、リンは着地を失敗してしまって背中から倒れ、ランは何とか着地は出来たものの姿勢を崩してしまい、慌ててバランスを取る。

 

 

「2人共、もっと氷を蹴って攻めていくの」

 

「攻めて?」

 

 

純子の手を借りながら、起き上がるリン。

 

 

「そう、多分出来ないだろうとか、無理に決まってるとか思ってると絶対飛べないから。諦めは行き止まりへの道よ」

 

「それって、マスターも同じこと言ってました!!」

 

 

ランの言葉に、純子は頷いた。

 

 

「諦めは可能性を全て消してしまうの、幾ら無駄に見えても、失敗が続いてしまっても、諦めない限り未来は開かれるはずだから」

 

「諦めない限り...」

 

「未来は開かれている」

 

 

復唱する2人に、純子は再度頷いた。

 

 

そして純子は、尚も修行を続ける誠司に目を向けた。

 

 

「あの元気少年良いわね、がむしゃらで一生懸命で何だか無茶苦茶だけど」

 

 

誠司は強く氷を蹴り、ジャンプした後クルクルと回転するが、着地をミスしてしまい回転しながら氷の上を転倒する。

 

 

「くっそっ!!絶対諦めねぇ!!」

 

 

尚も諦める事無く、起き上がり再度挑戦する。

 

 

「私もああやって、カレイドスパイラルジャンプを飛べるようになったの」

 

 

もう一度氷を蹴って、飛ぼうとしたその時だった。

 

 

誠司の背中に、ぞくっと冷たいものが走った。

 

 

「この感じ、臨獣殿だ」

 

 

ラン達にもその呟きが聞こえ、顔を見合わせ頷き合う。

 

 

「行きましょう!!」

 

「うん!!」

 

 

2人は、純子さんの前に並んだ。

 

 

「八木沼さん、ありがとうございました!!」

 

「私達、頑張ります!!」

 

 

そう言い残し、2人は誠司と一緒にスケート会場から出て行った。

 

 

「頑張って」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

人々が逃げ惑う街、多くのビルから爆発が起きており阿鼻叫喚となっていた。

 

 

臨獣殿の印が付いたビルの屋上に、ブラコが立っていた。

 

 

「ふっふっふ、何て心地よさだ」

 

「そこまでだ、臨獣殿!!」

 

 

人々の恐怖し、絶望する様を眺めていたブラコの前に、ゲキレンジャーが立ち並ぶ。

 

 

「お前なんか一撃で倒してやる!!」

 

 

構えるゲキレッドだったが、そこに別の声が響いた。

 

 

「それはどうかしら?」

 

 

左からモリヤとソリサが、右からカデムとマガが現れる。

 

 

「リンリンシーが5人!?」

 

 

今まで1体ずつ現れていたリンリンシーが、一気に5人も現れた事にゲキイエローが驚きの声を上げる。

 

 

「こ~んなひよっこ共が、私達の相手とわね~」

 

「理央様は、五毒拳の力を見くびってるのかな?」

 

 

ソリサとモリヤは、ゲキレッド達を見てバカにする。

 

 

「さっさと仕留めてしまえばいい話だろ!!」

 

 

カデムのその言葉を合図に、五人が並び立つ。

 

 

『獣人邪心変!!』

 

 

五人同時に、獣人邪心変を行った。

 

 

「地獄の手数王!!臨獣センチピート拳のカデム!!」

 

 

カデムの獣人態は胸部にムカデの顔を持ち、四角いズタ袋を被っている。

 

 

「一撃必殺の狙撃手、臨獣スネーク拳のブラコ!!」

 

 

胸部にコブラの顔を持った獣人態で、ブラコは五毒拳のリーダー格でもある。

 

 

「戦慄の踊り子、臨獣スコーピオン拳のソリサ!!」

 

 

頭部がそのままサソリとなっており、全身をその外骨格に覆われた姿を持つ。

 

 

「対応不能の惑乱者、臨獣ゲッコー拳のモリヤ!!」

 

 

胸部にヤモリの顔が付いた忍者を思わせるような姿をしており、茶色と緑のカラーリングが特徴。

 

 

「鋼鉄鉄壁の守護者、臨獣トード拳のマガ!!」

 

 

胴体がヒキガエルの顔を模し、両手に鉤爪を備えている。

 

 

『我ら!!五毒拳!!』

 

「五毒拳!?」

 

 

名乗りを上げた五毒拳に、構えるゲキレンジャー。

 

 

「暗殺」

 

 

ブラコがパチンっと指を鳴らすと、それを合図に五毒拳が動き出した。

 

 

ゲキレンジャー達も、各々武器を手に取り相対する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その様子を、監視カメラで見ていた美希は慌てだす。

 

 

「マスター・シャーフー!?」

 

 

縋る美希に、その戦いを見て何かを考えるマスター・シャーフー。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁっ」

 

 

吹き飛ばされたゲキブルーの前に、カデムが着地する。

 

 

「リンギ!!百斬手(ひゃくざんしゅ)!!」

 

 

ゲキイエローの打打弾にも勝るほどの連続の正拳打ちが、ゲキブルーを襲う。

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

手も足も出ず、ゲキブルーはそのまま壁にぶつかった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

別の場所では、ロングバトンを手にゲキイエローがソリサと戦っていた。

 

 

ロングバトンで攻撃するゲキイエローだったが、その全てがソリサの足で防がれてしまう。

 

 

「リンギ!!朱鞭脚(しゅべんきゃく)!!」

 

 

サソリの尻尾を思わせるソリサの蹴りが、ゲキイエローに炸裂する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

また別の場所では、ゲキレッドがモリヤと戦っていた。

 

 

ゲキヌンチャクでモリヤを攻撃するゲキレッドだったが、モリヤは跳躍して避ける。

 

 

避けたモリヤは、何と天井に逆さまの状態で着地した。

 

 

「そんなもんで俺に対抗しようなんて、甘い甘い!!」

 

「何だと!!?」

 

 

モリヤの人を小馬鹿にする物言いに、ゲキレッドは苛立ちを見せる。

 

 

「手裏剣ババンバ!!!」

 

 

無数の手裏剣が、四方八方からゲキレッドを攻撃する。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

吹っ飛ばされ、山積みにされた段ボールに突っ込むゲキレッド。

 

 

「くそっ」

 

 

直ぐに体制を立て直すゲキレッドだったが、そこにマガが襲い掛かる。

 

 

「ゲロ!!」

 

 

マガの鉤爪による攻撃を、転がる事で避けるゲキレッド。

 

 

「この!!」

 

 

マガに攻撃するゲキレッドだったが、マガの鋼鉄鉄壁の身体には傷1つ付かなかった。

 

 

「痛ってぇぇぇ!!!」

 

 

マガの硬すぎる身体のせいで、逆にゲキレッドが手を痛めてしまう。

 

 

「ケロ!!」

 

 

マガの体当たりを喰らったゲキレッドは、後ろに吹っ飛んで地面に転がった。

 

 

「ケロケロ!!」

 

 

マガの強力な鉤爪の攻撃によって、ゲキレッドは外へと吹っ飛んだ。

 

 

転がるゲキレッドの近くに、同じように吹っ飛ばされたゲキイエローとゲキブルーも転がった。

 

 

「お前達の獣拳、そんなもんか」

 

 

ブラコは二振りのショーテル型の剣、『妖蛇刀』を構える。

 

 

「これで.....終わりだ」

 

 

起き上がろうとするゲキレッド達だったが、蓄積したダメージが大きすぎて立ち上がれないでいた。

 

 

「くたばれ!!リンギ!!」

 

 

ブラコが跳躍し、リンギを発動する。

 

 

「妖蛇斬!!」

 

『うわぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

 

ブラコの攻撃が当たる瞬間、何かがゲキレッド達を攫ってブラコの攻撃が空ぶった。

 

 

「む!!?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

先程の場所から遠く離れた竹林の中に、誠司達は放り出された。

 

 

「あっ」

 

 

誠司が見たのは、ゆっくりと回転を止めたマスター・シャーフーだった。

 

 

『マスター・シャーフー!!?』

 

 

五毒拳の手から誠司達を守るために、高速回転でここまで移動したようだった。

 

 

「五毒拳か...厄介な事になったのぅ。あやつら、並みの獣拳使いではない」

 

「ふっふっふっふ!!!」

 

 

そこに、女性の笑い声が響いた。

 

 

殺気を感じたマスター・シャーフーは、跳躍する事で相手の一撃を避けた。

 

 

先程までマスター・シャーフーが居た場所に、何かが貫いて竹を破壊する。

 

 

着地したマスター・シャーフーの前で、構える誠司達。

 

 

「メレ!!」

 

 

誠司達の目の前に、メレが姿を現した。

 

 

「激獣拳は終わりよ、そして臨獣拳の世が始まる。ご降臨と共に」

 

 

次の瞬間、その辺り一帯が不穏な気配で包まれる。

 

 

雷鳴が轟き、落ち葉を吹き飛ばすほどの突風が吹く。

 

 

「な...なんだこれ...今までで一番デカい臨気だ...」

 

 

漂う気に当てられ、震えだす誠司。

 

 

幾つもの落雷が、誠司達の周りに落ちる。

 

 

「これは...」

 

 

この気を放つ人物に心当たりがあるのか、警戒するマスター・シャーフー。

 

 

『はぁ!!』

 

 

すると、その場に五毒拳までも現れた。

 

 

「五毒拳!!あいつらが!!」

 

 

リンが気の正体が五毒拳だと推測するが、それを誠司が否定する。

 

 

「違う!!この臨気を放っているのは...」

 

 

そして誠司は、その臨気が放たれている箇所を見つめる。

 

 

次の瞬間、誠司が見つめていた場所が突如爆発し、そこから誰かが現れる。

 

 

その人物は、五毒拳の上空まで跳躍し、自らが椅子の形になった五毒拳に腰を掛けた。

 

 

「理央...」

 

 

誠司達の前に、等々理央が現れた。

 

 

「夢は...お前との戦いを告げていたのか」

 

 

理央の登場に、メレが嬉々として語りだす。

 

 

「五毒拳出陣は、理央様降臨の序章!!いよいよ世界が回り始めるのよ、理央様を中心にして」

 

 

臨獣拳現当主である理央の出陣に、リン達は驚く。

 

 

「彼が...理央...」

 

「なんて臨気...熱風に晒されてるみたい...」

 

「魔道の邪見に魅入られよって、嘆かわしい事じゃ」

 

 

そう言って、誠司達の前に出るマスター・シャーフー。

 

 

「俺をまだ弟子だと思ってるなら、心得違いも甚だしい」

 

「弟子?...って!!マスター・シャーフーの!?」

 

「理央は元々激獣拳の拳士、マスター・シャーフーのかつての弟子よ」

 

「憎むべき、裏切り者よ!!」

 

「えぇ——!!そうなの⁉」

 

 

思いもよらない事実に、誠司は驚愕の声を上げる。

 

 

「シャーフー、お前の首を臨獣拳の世の礎としよう」

 

 

理央はそう言うと、地面に降り立って羽織っていたマントを脱ぎ捨てた。

 

 

誠司達も更に前に出て構えるが、それをマスター・シャーフーが再度前に出て制する。

 

 

「お主等は下がっておれ」

 

「駄目ですマスター!!」

 

「マスターには不倒の誓いがあります!!それを破ればどんな事になるかご存じでしょ!!」

 

 

ランとリンが静止する言葉も無視し、マスター・シャーフーは更に前に出て激気を放出させる。

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

それに答える様に、理央も臨気を放出させる。

 

 

マスター・シャーフーの激気と、理央の臨気が激しくぶつかりあう。

 

 

「臨獣ライオン拳リンギ、臨気凱装」

 

 

理央の背後にライオンが現れ、そのライオンが分離し理央の身体に纏って鎧へと変化する。

 

 

「猛き事獅子の如く、強き事また獅子の如く、世界を制する者、我が名は黒獅子・理央」

 

 

胸にライオンの装飾がある黒い鎧に、頭にはライオンの鬣を模した黒い毛があった。

 

 

「ライオンだ!!」

 

 

理央がライオン拳使いである事を始めて知った誠司は、本日何度目か分からない驚きの声を上げる。

 

 

「臨獣の拳、受けてみよ!!」

 

 

理央は誠司達に向けて、臨気の砲弾を放つ。

 

 

誠司達が怯む中、マスター・シャーフーだけは前に出た。

 

 

マスター・シャーフーに向かって駆けた理央は、回し蹴りを放つ。

 

 

その蹴りを片手で防いだマスター・シャーフーは、続けて裏拳放つが顔を逸らすだけで避けた。

 

 

激しい攻防を繰り広げる理央達だったが、理央の回し蹴りがマスター・シャーフーに直撃する。

 

 

後ろに吹っ飛ぶマスター・シャーフーだが、竹に着地して反った時の反動を利用し、理央に向かて飛ぶ。

 

 

理央は飛んでくるマスター・シャーフーに拳を振るうが、その拳にマスター・シャーフーは着地する。

 

 

「ほっほっほ」

 

「チッ!!」

 

 

理央は苛立たせながら、マスター・シャーフーに蹴りを放つ。

 

 

2人の戦いを、誠司達は見ているしか出来なかった。

 

 

理央が放った鋭い蹴りを避けるマスター・シャーフーだったが、その蹴りが当たった木が木端微塵に砕け散った。

 

 

「永遠に逃げ続けられると思っているのか?」

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

そして等々、理央の一撃を受けてマスター・シャーフー吹き飛んでしまう。

 

 

「マスター・シャーフー!!」

 

 

思いもよらなかったマスター・シャーフーの敗北に、誠司は驚きの声を上げる。

 

 

吹き飛ばされたマスター・シャーフーは、何とか着地するがダメージが大きすぎたのか胸を押さえ膝をつく。

 

 

「引導を渡してやる」

 

 

マスター・シャーフーの前に着地する理央の後ろに、メレと五毒拳が駆け付ける。

 

 

「それが俺の務め」

 

『マスター・シャーフー!!』

 

 

止めを刺さそうとする所に、誠司達も駆け付ける。

 

 

「臨獣ライオン拳、剛勇吼波!!」

 

 

リンライオンの形に具現化した臨気が、理央から発射される。

 

 

「させるかぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

やらせまいと、誠司が走り出しゲキレッドへと変身する。

 

 

『誠司!!?』

 

 

ラン達が制止させようとするが、止める事が出来なかった。

 

 

ゲキレッドは、マスター・シャーフーの前に立った。

 

 

「ゲキワザ!!抱抱弾!!」

 

 

ゲキタイガーの形に発射された激気は、理央の攻撃とぶつかった。

 

 

2人の激気と臨気がぶつかり合い、その威力は互角だった。

 

 

「何!?」

 

「何と!?」

 

 

誠司が理央と互角である事に、理央とマスター・シャーフーは驚愕する。

 

 

「やぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

激気と臨気がぶつかり合いの結果、霧散するがそれと同時に誠司と理央の変身が解ける。

 

 

「お前と戦うのは俺だ!!」

 

 

誠司の宣言に答えたのは理央ではなく、メレだった。

 

 

「ななな、何を言ってんの!!?どきなさい!!!理央様はあんたみたいな格下とは戦わないわ」

 

 

馬鹿にするメレとは逆に、理央は面白い物を見る様に誠司を見る。

 

 

「そうか...シャーフーではなく、お前が俺の感じた予感だったか」

 

「物凄い寒気を感じてるのに、ワクワクしてる。俺はお前と戦う、お前も俺と戦え!!」

 

「面白い」

 

 

そこで、理央が合図を送るとモリヤが動き出した。

 

 

「いかん!!」

 

 

マスター・シャーフーが直ぐに気づいたが、ダメージのせいで動けなかった。

 

 

「うりゃ!!」

 

「ぐあっ!!?」

 

 

モリヤが誠司の首を掴むと、誠司は何かに刺されたような激痛が首に走る。

 

 

そして誠司は首を押さえ、膝をつく。

 

 

「何だ...」

 

 

苦しむ誠司の首に、赤い腫物に毒々しい何かが蜘蛛の巣状に走った。

 

 

「俺の毒は即効性だよ、動けば動くほど回りが速い」

 

 

モリヤがそう告げるが、誠司は毒のせいで目の前がぼやける。

 

 

『誠司!!?』

 

 

苦しむ誠司に、ランとリンが駆け寄る。

 

 

「俺と戦おうと言うなら、毒試合に勝って見せろ」

 

 

理央がそう言うと、五毒拳が跳躍する。

 

 

「毒試合?」

 

 

誠司の疑問とは他所に、五毒拳の全員が巨大化する。

 

 

「いきなり全員、獣人化、巨大化したわ」

 

 

突如五毒拳たちが獣人化と巨大化した事に、リンが驚く。

 

 

「ぐぅ!!!」

 

 

立ち上がろうとした誠司だったが、毒のせいでまたしても膝をついてしまう。

 

 

『誠司!!』

 

「その毒は、5分もすれば全身に回って命を奪うわ。それまでに......」

 

 

ブラコが何かを地面に突きつけた。

 

 

「あの解毒剤を手に入れれば、お前達の勝ち」

 

 

ブラコが突き付けたのは、臨獣殿のマークが入った旗とそれにくっ付いている巨大な注射器だった。

 

 

「簡単なルールでしょ?」

 

 

メレの言葉を聞き、ラン達は五毒拳を睨んだ。

 

 

「行くわよ!!」

 

「試合に勝てなければ、意味がないからね」

 

「絶対...」

 

 

苦しみながら、注射器を睨みつける誠司。

 

 

「絶対手に入れます!!」

 

 

立ち上がった後、マスター・シャーフーに宣言する誠司。

 

 

「うむ」

 

 

そしてそんな誠司を、見守る事にしたマスター・シャーフー。

 

 

誠司達は横に並び立ち、ゲキチェンジャーを構えた。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力!!ビースト・オン!!』

 

 

ゲキスーツが装着され、誠司達はゲキレンジャーへと変身する。

 

 

『ゲキワザ!!獣拳合体!!』

 

 

ゲキタイガー、ゲキチーター、ゲキジャガーを合体させ、ゲキトージャを召喚する。

 

 

『ゲキトージャ!!バーニング・アップ!!』

 

 

ゲキトージャはゲキセツコンを手に持ち、五毒拳と相対する。

 

 

「大変な事になりました、5対1の変則マッチ『毒試合』、はたして時間内に五毒拳を蹴散らし、解毒剤を手に入れる事が出来るのか!?ブーン!!」

 

 

何を思ったのか、バエは理央に近づいて解説する。

 

 

「今回は特別ゲストに、臨獣ライオン拳の理央さんと」

 

 

そして、次はマスター・シャーフーに近づいた。

 

 

「拳聖マスター・シャーフーをお迎えしています。お二方、今日はお願い致します」

 

 

しかし、そんなバエの言葉に、理央とマスター・シャーフーは反応しなかった。

 

 

「ってあれ?無視ですか!?しかし今はゲキトージャです!!」

 

「ああああっちょぉぉぉ!!!」

 

 

我慢できなかったのか、メレがバエに向かって飛び上がってからの手刀を脳天に繰り出す。

 

 

『はぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

気合を入れて、走り出すゲキトージャ。

 

 

「さあ始まりました毒試合、まずは臨獣センチピート拳使いのカデムと、臨獣スネーク拳使いのブラコがゲキトージャに襲い掛かります。ゲキセツコンで戦うゲキトージャ」

 

 

カデムとブラコの攻撃を、ゲキセツコンを使って捌くゲキトージャ。

 

 

「センチピード拳!!リンギ!!百斬手!!おらおりゃりゃりゃ!!!」

 

『わあぁぁぁぁぁっ』

 

 

目にも止まらない無数の突きが、ゲキトージャを襲う。

 

 

「カデムの高速の突きを喰らったー!!」

 

 

次に、ブラコが動き出す。

 

 

「スネーク拳!!妖蛇刀!!」

 

 

扱いが難しいと言われている、二振りの刀から繰り出されるブラコの攻撃がゲキトージャを苦しませる。

 

 

「ブラコの二刀流半月刀がゲキトージャを切り裂くー!!」

 

 

怒涛のブラコの攻撃に、ゲキトージャは崖に追いやられてしまう。

 

 

「これはたまらない!!カデムとブラコのダブル攻撃で、ゲキトージャは大ダメージだ!!」

 

 

その時、ゲキトージャから黒い煙が上がった。

 

 

「あぁ!!ゲキトージャの身体から黒い煙が!!これは毒の影響でしょうか?」

 

 

激闘場の中で、毒を受けたゲキレッドだけでなく、ゲキイエローとゲキブルーまでも苦しんでいた。

 

 

「獣拳合体は、私達3人の意識も感覚も共有されるゲキワザ。誠司の毒が回ってきたようね」

 

「誠司!!リン!!根性!!大頑頑拳よ!!」

 

「よっしゃ!!」

 

 

ゲキレッド達は、大頑頑拳を繰り出そうと両手を広げる。

 

 

「そのゲキワザ!!させないよ!!」

 

 

上を見上げると、モリヤが崖に垂直に立っていた。

 

 

「何と!?モリヤが崖の斜面に垂直で立っている!?」

 

 

モリヤの手から数枚の手裏剣が放たれ、ゲキトージャの手が崖に固定されてしまう。

 

 

「あっ!!手裏剣でゲキトージャの手が固定された!!?」

 

 

動けないゲキトージャを、モリヤが襲い掛かる。

 

 

「そこを殴る!!殴る!!蹴った!!モリヤ酷い!!」

 

 

動けないゲキトージャを、今度はソリサが襲う。

 

 

「スコーピオン拳!!朱鞭脚!!」

 

『うわぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

ソリサの蹴りが、ゲキトージャに繰り出された。

 

 

「女戦士ソリサ、サソリの毒針のような足技を華麗に決めると、マガにタッチであります」

 

 

ソリサにタッチされたマガは、胞子のような球を幾つも取り出した。

 

 

「怪しい爆弾を...ゲキトージャに投げつけた!!」

 

 

爆発に包まれたゲキトージャは、その拍子に手裏剣が外れたのか地面に倒れる。

 

 

「あぁ、ゲキトージャ溜まらずダウン!!」

 

 

その様子を見ていた理央は、馬鹿にするようにマスター・シャーフーに告げる。

 

 

「期待はずれだったな」

 

「まだ終わってらんぞ、あの3人はお主が持たなかったもの、持とうとしなかったものを持っておる」

 

 

その言葉に、理央は眉間に皺を寄せる。

 

 

「何だと?」

 

 

理央がゲキトージャに視線を戻すと、そこには五毒拳に囲まれた姿があった。

 

 

「さぁ、五毒拳がゲキトージャを取り囲む!!」

 

「諦めない!!」

 

「そうだ!!諦めは行き止まりの道!!私達トライアングルは、決して未来を閉ざしたりなんかしないんだ!!」

 

「臨獣拳なんかに負けねぇ!!」

 

 

純子との修行を思い出し、3人は気合で立ち上がった。

 

 

「立った!!立ち上がりました!!ゲキトージャ!!」

 

「毒試合、お前達の敗北で終了だ!!」

 

 

ブラコが、高々と宣言する。

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

 

激闘場の中で、ゲキレッド達は気合を入れる。

 

 

『ゲキトージャ!!ゲキワザ!!』

 

 

ゲキトージャが、空高く跳躍する。

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

空中で、ゲキトージャが回転する。

 

 

その回転する姿は正に、トライアングルの3人が修行していたカレイドスパイラルジャンプだった。

 

 

「させるか、一気に叩き潰せ!!」

 

 

ブラコの指示で、全員が動き出す。

 

 

「ゲキトージャ!!空中スピンした!!」

 

 

ゲキトージャがスピンする様を、理央達は驚愕し、マスター・シャーフーだけは満足そうに見ていた。

 

 

『回転分脚!!!ゲキゲキゲキ!!ゲキゲキゲキ!!』

 

 

ゲキトージャの高速回転蹴りが、五毒拳を吹き飛ばす。

 

 

「カレイドスパイラルジャンプ!!華麗さと力強さの見事な融合です!!五毒拳吹っ飛んだ!!」

 

 

旗の近くに着地したゲキトージャは、そのまま注射器を手に取り腕に刺した。

 

 

「ゲキトージャ!!解毒剤ゲット!!ゲキトージャ!!大完全勝っい!!?」

 

 

悔しかったのか、解説中のバエをメレが捕まえ握りつぶそうとする。

 

 

ゲキレンジャーが勝った事に、理央は悔しそうに睨む。

 

 

獣拳合体が解除され、ゲキトージャが消えた。

 

 

その足元に、変身が解けた誠司達が倒れている。

 

 

「やったっ......」

 

「でも、もう身体が動かない......」

 

「うん......」

 

 

毒のせいで、全員疲労困憊で動けなかった。

 

 

「五毒拳に土をつけて、タダで済むと思うな!!」

 

「卑怯よ!!」

 

 

勝負がついたにも関わらず、まだ戦おうとする五毒拳。

 

 

「勝負ありだ!!下がれ」

 

 

理央のその宣言で、五毒拳はしぶしぶと引いていく。

 

 

「この先あの弟子達が、我が臨獣拳との戦いを勝ち抜けると?」

 

「諦めぬ限り、未来に続く道は開けるもんじゃ」

 

 

そう言って、理央とマスター・シャーフーは睨みあう。

 

 

「ふっ、ではその夢が潰えるまでの束の間、生きながらえるがいい」

 

 

そう言い残すと、理央はその場から姿を消した。

 

 

「命拾いしたわね」

 

 

理央に続いて、メレも姿を消した。

 

 

『マスター・シャーフー!!』

 

 

マスター・シャーフーの元に、誠司達が駆け寄る。

 

 

「ふっふっふっふ」

 

 

満足げに誠司達を見るマスター・シャーフーだったが、突如雷が鳴って辺りが暗くなる。

 

 

誠司達が見つめる先には、空に臨獣殿のマークが現れて霧散する。

 




はい、如何だったでしょうか?


ゲキレンジャーの動画を見ながら小説を書いていたのですが、モリヤとソリサの声をどっかで聞いた事があるな~と思っていました。


調べたら、モリヤは百獣戦隊ガオレンジャーのヤバイバ。


ソリサは超力戦隊オーレンジャーのコチャでした。


まさか他の戦隊の幹部が数話しかでない敵の声を担当しているとは、思いませんでした。




それでは次回、修行その5、もしくはベストマッチな加速能力者でお会いしましょう!!




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話~第5話
第1話 ゲキレンジャーとして


今回、なぜ誠司がゲキレンジャーにをなったのかを
書きたいと思います。

誠司視点での語りになりますので
戦闘描写は一切ありません

戦闘描写やプリキュア達の絡みは次回になります

では作品をどうぞ




ある場所で、ある1つの戦隊。

 

 

獣拳戦隊ゲキレンジャーと、全ての黒幕、『ロン』の最終決戦が行なわれていた。

 

 

『獣拳奥義!慟哭丸!』

 

 

ゲキレッド、ゲキイエロー、ゲキブルーから黄色いエネルギー体がロンを襲う。

 

 

「ば、馬鹿な!」

 

 

エネルギー体はロンを包み、徐々に小さくなっていく。

 

 

「獣拳は正義の拳!」

 

 

「正しき者は必ず勝つ!」

 

 

「ロン!これが...獣拳の力だ!」

 

 

球体の中のロンは、中で暴れ破壊しようとするがビクともしなかった。

 

 

「ふ、ふざけるな!永遠の闇の中に封印するつもりか!全ての王座であるこの私をぉぉぉぉ!!」

 

 

ロンを包んだ球体はやがて小さな球体へと変わり、ロンを封印することに成功した。

 

 

「やった――!よっしゃー!」

 

 

ロンを封印できた事にゲキレッド、相楽誠司は声を上げ喜んだ。

 

 

「やりやがった...」

 

 

「まいったぜ」

 

 

その様子を遠くで見ていたゲキバイオレットである深水ゴウと、ゲキチョッパーである久津ケンも喜びを露にした。

 

 

『よっしゃー!』

 

 

ゲキレッド達は、ゴウ達に駆け寄り全員で輪を作り喜んだ。

 

 

「お前ら!皆最高だ!」

 

 

ゴウは涙を流しながらも、喜びを噛み締めていた。

 

 

「ゴウ、お前泣いてんのか?」

 

 

誠司に指摘され、ゴウはすぐさま涙を拭いた。

 

 

「泣いてねぇよ!」

 

 

「本当だ!泣いてる!」

 

 

その様子を見守りながらマスター・シャーフーは、封印され小さな球となったロンを拾い上げた。

 

 

「永遠の暗闇に1人、面白いことなど1つもないじゃろうな」

 

 

そう呟くシャーフーの前に、近づく存在が居た。

 

 

「どうやら、俺が与えた全臨伝授が役に立ったようだな」

 

 

シャーフ「うむ、お主のお陰で奴を倒す手段を見つける事が出来た。ありがとう」

 

 

理央「大したことはない、俺達を助けてくれたあいつらに少しでも恩を返そうと思っただけだ」

 

 

シャーフの言葉に、理央は笑みを零しながらそう答えた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その後、七拳聖とラン達が集まり誠司を見送りに集まっていた。

 

 

誠司はこの世界の人間ではなく、別の世界の人間だった。

 

 

現在は七拳聖の力を借り、元の世界に帰ろうとしていた

 

 

そこに、ゲキイエローである宇崎ランと、ゲキブルーである深水リンが近づいた。

 

 

「元気でね誠司、私達の事を忘れないでね」

 

 

「ええ、寂しいけどしょうがないよね」

 

 

「何言ってんだよ、俺達トライアングルはどんなに離れていても永遠だ」

 

 

誠司はそう言い、拳を突き出した。

 

 

『うん!』

 

 

それにならい、ラン達も拳を突き出し誠司の拳に合わせた。

 

 

そして今度はケンが話しかけた。

 

 

「誠司、お前は俺にとって弟みたいな存在だ。元の世界でも元気でな!」

 

 

「オッス!」

 

 

誠司は普段ケンが行なっている仕草で、返事を返した。

 

 

最後に、ゴウが誠司に歩み寄った。

 

 

「誠司、俺もケン同様お前を弟だと思っている。寂しいがあっちでも元気でな」

 

 

そう言って、ゴウは誠司の胸に拳をぶつけた。

 

 

「おう」

 

 

そして誠司は、マスターシャーフーと美希の2人に向き直った。

 

 

「では、マスターシャーフー、美希さん。今までお世話になりました!」

 

 

「うむ、修行を怠るでないぞ誠司」

 

 

「忘れないでね誠司。ここはもう、あなたのもう1つの帰るべき場所だという事を」

 

 

誠司は美紀の言葉に、元気良く答えた。

 

 

「はい!ありがとうございます!ロンの事は任せます!」

 

 

見送りの言葉を聞いた誠司は、全員に背中を向けた。

 

 

誠司の目の前には、七拳聖が開けた時空の渦があった。

 

 

「じゃあな、みんな!」

 

 

誠司は振り返り、もう一度全員に別れの挨拶をする。

 

 

『じゃあね、誠司!』

 

 

女性陣の挨拶。

 

 

『またな、誠司!』

 

 

男性陣の挨拶。

 

 

「じゃあねぇ!誠司ぃ!」

 

 

マスターシャッキーは涙を流しながら、挨拶をする。

 

 

そして全員の挨拶を聞き、振り返ることもなく渦の中に入った。

 

 

入った瞬間、上下左右の平衡感覚が分からなくなって誠司は目を閉じた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司が目を覚めると、そこは誠司にとって見覚えのあるものだった。

 

 

「ここは...ぴかり神社?」

 

 

そこは間違いなく、誠司が生まれてから住んでいる町だった。

 

 

「帰ってきたのか、俺」

 

 

誠司はさっそく、神社の敷地から出て自分の家へと帰ろうとした。

 

 

「なっ!?」

 

 

だが、そこから見えた光景に誠司は目を奪われた。

 

 

町のあちこちにカビが発生していたり、巨大なお菓子があった。

 

 

「こ、これは...何が起きてるんだ?」

 

 

自分の住んでいた町の変貌に、誠司は開いた口が閉まらなかった。

 

 

誠司はぴかりが丘の商店街に向って、走り出した。

 

 

 

 

 

商店街に着いた誠司だったが、そこは誠司が知っている商店街と何も変わっていなかった。

 

 

建物もそうだが、商店街の人達も何も変化がなかった。

 

 

まるでカビやお菓子があることが日常であるように、特に気にしていなかった。

 

 

すると、近くの建物から流れてくるテレビの音が誠司の耳に入った。

 

 

『みんなに伝えたい!私が伝えたい!ご存知!プリキュアウィークリーの看板キャスター!増子美代です!続けて読めばマスコミよ!』

 

 

テレビには《プリキュアウィークリー》という文字が表示されていた。

 

 

『今回もプリキュア達の活躍で、サイアークが浄化されています!このまま幻影帝国を倒せるのも時間の問題かもしれません!』

 

 

誠司はテレビを見ながら、先程言っていた言葉を頭の中で整理する。

 

 

(プリキュア、サイアーク、幻影帝国。話からして、プリキュアは俺達ゲキレンジャーと同じこの世界を守る者達。そしてサイアークは恐らく俺達で言うリンリンシーと同じで考えていいだろう。最後に幻影帝国はそのサイアークを作り出し、この世界を襲っている連中か...)

 

 

ドサッ!

 

 

誠司が考えを纏めている時、後ろから何かを落とした音が聞こえた。

 

 

振り返ると、そこには誠司にとって家族ような存在。

 

 

幼馴染の《愛乃めぐみ》がいた。

 

 

先程の音は、めぐみが買い物袋を落とした音だった。

 

 

「せ...誠司...?」

 

 

「めぐみ...」

 

 

驚愕するめぐみの言葉に誠司が返すと、めぐみは嬉しそうな顔をした。

 

 

だが直ぐに、めぐみの眼から涙が溢れて泣き出してしまう。

 

 

「誠司――――!!」

 

 

めぐみはそう叫ぶと、涙を零しながら誠司に抱きついた。

 

 

急に抱きついて来た事で、危うく後ろに転倒しかけたが何とか持ちこたえた。

 

 

「うわあああああん!誠司ぃ!」

 

 

いきなりの事で驚いた誠司だったが、めぐみの様子を見て誠司は黙ってめぐみを受け入れた。

 

 

その場に、暫くめぐみの泣き声が響いた。

 

 

 

 

しばらくして落ち着いためぐみだったが、次に誠司を襲ったのはめぐみの言葉攻めだった。

 

 

「もう!1年もいままで何処にいたの!?いくら探しても見つからないし!もしかしたら死んでるかもしれないって言われて凄く心配したんだからね!」

 

 

「お、落ち着けってめぐみ」

 

 

落ち着かせようとする誠司だったが、めぐみの言葉攻めは止まる事はなかった。

 

 

「落ち着けるわけないでしょ!どんだけ心配したと思ってるの!?私だけじゃなくて真央ちゃんやゆうゆうも心配してたんだからね」

 

 

真央は誠司の妹で、ゆうゆうはもう1人の幼馴染、大森ゆうこのことだ。

 

 

「でも良かった...誠司ぃ...」

 

 

めぐみはそう言うと、誠司の胸に顔を埋めた。

 

 

めぐみはしばらく、ぐりぐりと顔を擦りつけた。

 

 

するとめぐみは急に、がばっと顔を上げた。

 

 

「おかえり、誠司!」

 

 

その顔は、誠司がよく知っている笑顔で満ち溢れていた。

 

 

「ああ、ただいま」

 

☆★☆★☆★

 

 

商店街からの帰り道。

 

 

買い物袋を誠司が持ち、反対の手にはめぐみの手が握られていた。

 

 

「それでね!最近は真央ちゃんも料理を手伝うようになったんだよ!」

 

 

「おいおい、大丈夫なのかよ。怪我とかしてないのか?」

 

 

「大丈夫だよ、料理と言っても包丁は使わせてないから」

 

 

「それならいいけど」

 

 

再開出来た事が嬉しいのか、めぐみは誠司がいなくなった後の事を話していた。

 

 

「そうだ!」

 

 

すると、急に立ち止まって声を上げた。

 

 

「今からおおもりご飯に行こうよ!」

 

 

「おおもりご飯に?」

 

 

おおもりご飯とは、幼馴染のゆうこの実家であり、ゆうこの家族が経営している飲食店だ。

 

 

「そうだよ!ゆうゆうにも誠司が帰って来たことを教えないと!」

 

 

「うわぁ!」

 

 

めぐみは誠司の返事を待つ事無く、誠司の手を引きながらおおもりご飯へと目指した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

誠司達はおおもりご飯へ到着したが、めぐみは直ぐに入ろうとしなかった。

 

 

「ごめん、誠司はここで待ってて」

 

 

めぐみは誠司を、中から見えない位置で待たせる。

 

 

意図を理解した誠司は、めぐみの言う通りにした。

 

 

「お邪魔しまーす!」

 

 

「あらめぐみちゃんこんにちは、今日は元気一杯ね」

 

 

めぐみを出迎えたのは、ゆうこの両親だった。

 

 

「うん!だって今の私は幸せハピネスだからね!」

 

 

「ははは、まるで誠司君が居た時と同じだね」

 

 

中の様子が分からない誠司だったが、めぐみがゆうこの両親と話しているのは聞こえた。

 

 

「あれ?めぐみちゃん?」

 

 

そこに、もう1人の幼馴染、大森ゆうこの声が聞こえた。

 

 

「今日はどうしたの?何か良い事でもあったの?」

 

 

顔は見えないが、どこか声に元気がない事に誠司は気付いた。

 

 

「うん!すっごく良い事があったんだよ!だからゆうゆうにも教えてあげようと思って来たの!」

 

 

「凄く良い事?」

 

 

「ふふふっ、入ってきていいよ」

 

 

めぐみはゆうこの言葉に答える事無く、誠司に声を掛けた。

 

 

誠司はめぐみの言葉を合図に、おおもりご飯の中へと入った。

 

 

「え...」

 

 

『ッ!?』

 

 

俺の顔を見ると、ゆうこは呆然とし、ゆうこの両親は驚きすぎて言葉が出ていなかった。

 

 

「誠司...君...」

 

 

「よう、ゆうこ。久しぶりだな」

 

 

誠司は何気ないように、ゆうこに再開の挨拶する。

 

 

驚愕するゆうこだったが、口許を押さえ眼から涙が溢れ出した。

 

 

その様子に、誠司は既視感(デジャブ)を感じた。

 

 

「誠司君!」

 

 

誠司の予想通りゆうこはめぐみ同様、誠司に抱きついた。

 

 

「おっと!」

 

 

予想出来たおかげか、今度はしっかりと受け止める事が出来た。

 

 

「うそ...誠司君?」

 

 

「無事だっったのか!」

 

 

死んでいたと思われていた誠司が無事だった事に、ゆうこの両親は歓喜した。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

めぐみの時同様、ゆうこによる質問攻めを誠司は受けた。

 

 

何処に居たのか、なぜ連絡しなかったのか、今まで何をしていたのか。

 

 

さすがに異世界に行き、スーパー戦隊の1人として戦っていたなど言える筈もなかった。

 

 

ゆうこ達には事件に巻き込まれ、父親の故郷に行っていたと誤魔化した。

 

 

その後、誠司の帰還を祝しておおもりご飯で軽いパーティーを開いた。

 

 

めぐみが連絡し、真央とかおりさんもおおもりご飯へと訪れた。

 

 

真央は号泣し、かおりさんからも無事で良かったと心配された。

 

 

誠司は自分を心配してくれためぐみ、ゆうこ、真央、かおりさん、そしてゆうこの両親。

 

 

全員を見渡し、誠司は改めて決意する。

 

 

自分の戦いを終えたが、この町の人達。

 

 

ここにいる者達を守る為に、幻影帝国相手に戦うことを。




如何だったでしょうか

前書きに書いていた通り、今回は誠司がゲキレンジャーとして
戦っていた時の描写を誠司視点で書きました。

プリキュア寄りの作品なので
ゲキレンジャーの話は簡潔にまとめて
投稿させていただきました。

次回はハピネスチャージの1話の部分から
投稿いたしますので戦闘描写など増えていくと思います。

次回から誠司が変身いたします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 ラブリー誕生 激獣拳の力!

今回誠司がゲキレッドに変身します
処女作なので多めに見ていただけると
助かります。

ハピネスチャージの1話を見ながら書きました
ふがいない所がありますが見ていただけると
幸いです。

では作品をどうぞ


誠司が元の世界に戻り、数ヶ月が経った。

 

 

幻影帝国と戦う為、獣拳の修行を行っていた。

 

 

また、修行を行う中で誠司は1人の少女と出会った。

 

 

『氷川いおな』、誠司と同い年で隣のクラスに在籍する女子生徒だ。

 

 

祖父が『氷川流空手道場』の師範をしており、いおなも幼い頃から空手を始めていた。

 

 

その為、同じ格闘家として意気投合して時には一緒に修行をしている。

 

 

「ふぅ、今日はこれぐらいにするか」

 

 

誠司は修行を切り上げ、帰る準備をする。

 

 

「まったく、何時になったらサイアークは見つかるんだ」

 

 

プリキュアと共に戦いたいと考えている誠司だったが、プリキュアの正体を知らないので接触する事が出来なかった。

 

 

日課の修行を終え、家に帰る途中に誠司は近くに見知った姿を見つけた。

 

 

誠司の視線の先には、水の上に浮かぶ帽子を片足立ちで取ろうとしているめぐみがいた。

 

 

近くには、ゆうこと真央が不安そうにめぐみを見ていた。

 

 

「何やってんだ、危ないだろ!」

 

 

「お兄ちゃん!」

 

 

今にも倒れそうで危ないめぐみに、誠司は戻ってくるように伝える。

 

 

「早く戻ってこいよ」

 

 

「大丈夫、もうちょっとで拾えるから」

 

 

めぐみはそう言うが、グラグラしだしコケそうになる。

 

 

誠司は自分の靴が濡れるのもお構いなしに、駆けつけてめぐみの手を取った。

 

 

「ありがとう誠司!」

 

 

「どういたしまして」

 

 

無事に帽子を取ることが出来た誠司達だったが、2人とも両方の靴が濡れてしまった。

 

 

「ごめんね、私のせいで」

 

 

めぐみは誠司の濡れている靴を見て、謝る。

 

 

「平気だよ、それよりこいつの帽子ありがとな」

 

 

誠司は真央の頭に手を置いて、注意する。

 

 

「お前、危ないから川には近づくなって言ってるだろ」

 

 

「だってー」

 

 

口を尖らせ、真央は不満そうに答える。

 

 

「その帽子、形とかリボンとか、凄く可愛いね!」

 

 

「おかあさんが、お誕生日に買ってくれたの!」

 

 

真央は嬉しそうに、めぐみに教える。

 

 

「さっすがお母さん!真央ちゃんのかわいさ、200%アップだよ!」

 

 

「えへへ!めぐみちゃん、ありがとう!」

 

 

真央はめぐみに褒められたのが嬉しいのか、顔を帽子で隠しお礼を言う。

 

 

「お兄ちゃん、行っていい?」

 

 

「おう、気をつけろよ」

 

 

「わかった~!」

 

 

真央はそう言うと、走りながら別の場所に遊びに出かけた。

 

 

真央がいなくなるのを見送った誠司は、今度はめぐみに注意する。

 

 

「お前人助けもいいけど、自分の事少しは考えろよな。ドジなんだから」

 

 

「でも、真央ちゃんが喜んでくれたし、誠司もゆうゆうも助けてくれて私も嬉しいし、みんな幸せ。幸せハピネス!これって愛だね!」

 

 

「幸せ増量。大盛りね!」

 

 

注意する誠司だったが、めぐみは聞く耳を持たなかったようだ。

 

 

「でも、困ってる人をほっとけないのは誠司君も一緒よ?」

 

 

そんな時、今度はゆうこが誠司に注意する。

 

 

「この前、不良の人達と喧嘩してたでしょ」

 

 

ゆうこが言っているのは、先日に高校生の不良にかつあげされていた人を助ける為に拳を振るった時の事だ。

 

 

誠司は幾つもの修羅場を潜った戦士の1人、喧嘩なれている不良が相手だとしても誠司の敵では無かった。

 

 

「相手は高校生なのよ。怪我でもしたらどうするの?」

 

 

注意する側から、注意される側に変わった誠司は何かと言い訳を考える。

 

 

「大丈夫だって、ちゃんと手加減したから相手には怪我はさせてないし...」

 

 

「私は誠司君の心配をしてるの!」

 

 

的外れな事を言う誠司に、ゆうこは怒鳴り声を上げる。

 

 

「す、すみません」

 

 

普段怒らないゆうこに対し、誠司は直ぐに謝罪する。

 

 

思わないことで先程までの威厳をなくした誠司は、逃げる為に説教の相手をめぐみに変えさせようとする。

 

 

「でも...それはめぐみだって同じじゃ...って!あれ?いねぇ!?」

 

 

今さっきまで、直ぐ傍のベンチに座って居た筈のめぐみがいなくなっている事に、誠司は驚きの声を上げる。

 

 

「ちょっと!聞いてるの?誠司君!この前だって子供を助ける為に...」

 

 

「あっ!俺急用を思い出した!それじゃあな!」

 

 

急いでその場から離れる誠司は、背後から聞こえるゆうこの静止する声を無視した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゆうこから逃げ出し、しばらくぶらついていた誠司だったが橋の方がカビだらけになっている事に気づいた。

 

 

「もしかして、サイアークが現れたのか?」

 

 

橋に向かうと、そこにはめぐみと青いひらひらの服を纏った、プリキュアらしき少女の姿があった。

 

 

近くに鏡があり、中に真央が取り込まれている事に気づいた。

 

 

「なっ!?真央!?」

 

 

めぐみ達の方に視線を戻すと、めぐみがサイアークの前に立ちはだかり青いプリキュアを庇っていた。

 

 

「あの馬鹿!何やってんだ!」

 

 

めぐみを助けようと動こうとしたその時、突如めぐみから強い光が放たれた。

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

光が消え、めぐみの手の中に何かが握られていることに誠司は気づいた。

 

 

「では、愛乃めぐみ!行きます!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみのポニーテールが光に包まれ、赤色のポニーテールから膝に届くほどの長いマゼンタ色のポニーテールへと変わる。

 

 

プリキュアの変身アイテム、『プリチェンミラー』に変身用の『プリカード』をセットする。

 

 

「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

めぐみはプリチェンミラーの下部のミラー部分を上にスライドさせ、前に構える。

 

 

ピンク色に光るベールを纏うめぐみ、両手と両足にハートが包み込み装飾や膝の上まであるロングブーツが出現する。

 

 

めぐみがハート型のエネルギー体に乗ると、ベールの中に吸い込まれる。

 

 

めぐみはベールを脱ぎ捨てると、新たなプリキュア『キュアラブリー』が誕生した。

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

めぐみが変身する一部始終を見ていた誠司は、驚きを隠せなかった。

 

 

「ま、まさかめぐみが変身したのか!?」

 

 

プリキュアに変身出来たことが嬉しかったのか、めぐみははしゃいでいた。

 

 

「キュアラブリー、新しいプリキュアのお手並み拝見しますぞ。サイアーク!」

 

 

近くにいたシルクハットを被った謎の男は、サイアークにラブリーを倒すよう命令する。

 

 

自分の幼馴染がプリキュアに変身した事で、混乱していた誠司だったがラブリーを助ける為に横からサイアークに向かって蹴りを入れた。

 

 

「はぁ!」

 

 

突然の攻撃にサイアークは対処出来ず、諸に攻撃を受けて後ろに後ずさった。

 

 

「せ、誠司!?」

 

 

突如、誠司が乱入した事に驚き、ラブリーは自分がプリキュアに変身している事を忘れて思わず誠司の名前を呼んでしまった。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「う、うん、大丈夫。って何やってんの!?早く逃げて!」

 

 

「そうだよ!?危険だから逃げて!」

 

 

もう1人のプリキュアも、誠司に逃げるように促す。

 

 

「なんですかあなたは。女の子を助けて正義の味方気取りですか?笑えますね」

 

 

謎の男は、誠司に対して挑発する。

 

 

「お前か?俺の妹を鏡に取り込んだ奴は。なんで真央を鏡に取り込んだ!?」

 

 

「そこにいるプリキュア達にも伝えましたが、帽子を喜ぶその姿が目障りだったのでねぇ、その幸せを不幸に変えてサイアークにしてやったのですぞ」

 

 

男の言葉に、誠司は怒りがこみ上げてきた。

 

 

「ふざけやがって、お前は俺が倒してやる!」

 

 

「面白い!やれるものならやってみるのですな。サイアーク!先にその男から倒しなさい!」

 

 

男の命令を受け、サイアークは誠司に対して攻撃を仕掛けた。

 

 

いきなりの事で、ラブリー達はすぐに対応出来なかった。

 

 

「だめ!逃げて誠司!」

 

 

ラブリーが再度逃げるように促すが、既にサイアークは誠司接近しパンチを繰り出そうとしている所だった。

 

 

サイアーク上から拳を振り下ろし、砂塵でサイアークと誠司の姿が見えなくなった。

 

 

「いやぁぁぁぁ!誠司ぃぃぃぃ!」

 

 

ラブリーは瞳から涙を零し、絶叫する。

 

 

ただの人間があんな攻撃を受けてしまったら、どうなるかなんて考えるまでも無かった。

 

 

「ふん、でしゃばるからそうなるのですぞ」

 

 

砂塵が晴れ、サイアーク達の姿がはっきり見えてきた。

 

 

「な、何!?」

 

 

「う、嘘!?」

 

 

その光景に、謎の男と青いプリキュアは驚愕の声を上げた。

 

 

なぜならそこには、サイアークの攻撃を受け倒れている誠司の姿ではなく、サイアークの攻撃を片手で受け止めている誠司の姿があった。

 

 

「せ、誠司?」

 

 

反撃として、サイアークの腹部に一撃を入れて殴り飛ばした。

 

 

「ば、馬鹿な!?プリキュアでもない者がサイアークを殴り飛ばしたですと!?」

 

 

只の一般人だと思っていた誠司が、サイアークを殴り飛ばした事に謎の男は動揺する。

 

 

「お前に教えてやるよ。この世界を守る戦士が、プリキュアだけじゃないってことをな!」

 

 

誠司は懐から、変身アイテム『ゲキチェンジャー』を取り出して腕に装着する。

 

 

両手の人差し指と親指を伸ばし、前に突き出す。

 

 

「たぎれ!ケモノの力!ビースト・オン!」

 

 

両手を胸の前で組み、ゲキチェンジャーのボタンを押す。

 

 

「はぁ―――!はっ!」

 

 

腕を回して胸の前でクロスし、拳を前に突き出す。

 

 

ゲキチェンジャーに次元圧縮されたゲキスーツが誠司に装着され、誠司はゲキレッドへと変身する。

 

 

「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」




如何だったでしょうか
戦闘描写がどう描いたらいいか
分からなかったので書きながら
考えていましたがなんとかなったと思います。

今回、誠司は空手を習っていないため
いおなとは修行中に知り合ったことにしました。

また、ゲキレッドに変身する描写も書きたかったのですが自分の文才のなさが原因で書けませんでした。

今回はなんとかめぐみ達との会話ができましたが
これからはこのように投稿していきます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 ハピネスチャージ結成 めぐみの覚悟

どうもナツ・ドラグニルです。

今回、ハピネスチャージプリキュアの2話を題材にしています

勉強の為に原作見ましたがびっくりしました。
まさかのしばらくしたら逃げるとは(-_-;)

この後の展開に困りましたが
なんとか書いていきたいと思います。

では作品をどうぞ




衝撃の光景を目の当たりにし、ラブリーは驚愕する。

 

 

「ゲキレッド?」

 

 

幼馴染である誠司がいきなり現れサイアークに立ち向かっただけでなく、ラブリーの知らない姿に変身したのだ。

 

 

「か、かっこいい―――!!」

 

 

プリンセスは変身した姿に、目を輝かせる。

 

 

「あなた、一体何者ですか!?」

 

 

只の人間だと思っていた誠司が、変身した事に男は警戒する。

 

 

「俺はスーパー戦隊の1人、獣拳戦隊ゲキレンジャーのゲキレッドだ!!」

 

 

「何!?まさか...プリキュアとは別の戦士がいたと言うのですか!?」

 

 

「そういうことだ!」

 

 

ゲキレッドはそう言うと、サイアークに立ち向かった。

 

 

その場に残されたラブリー達は、驚きすぎてただ見ている事しか出来なかった。

 

 

「ねぇラブリー、あの人ってさっきラブリーと一緒にいた人だよね?どういうこと?」

 

 

プリンセスが質問するが、ラブリーにも分からず答える事が出来なかった。

 

 

「誠...司?」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はぁ!おらっ!」

 

 

ゲキレッドはサイアークに右の拳を叩き込み、くの字に曲がったサイアークの顔面に後ろ回し蹴りを繰り出した。

 

 

「どうやら、プリキュア達よりも強いみたいですな」

 

 

ゲキレッドの強さを目の当たりにし、男はそう分析する。

 

 

「当たり前だ!俺はこれでも、幾つもの修羅場を乗り越えて来たからな!」

 

 

「なるほど、ならばめんどくさいのでここは一旦引かせて貰いますぞ」

 

 

男はそう言うと、サイアークと一緒に逃げようとする。

 

 

「俺が逃がすとでも思ってるのか?」

 

 

「その通り、チョイアーク!」

 

 

男がその場で手をあげると、それを合図に建物、カビの裏から黒タイツの集団が現れる。

 

 

「なっ!?」

 

 

突如黒タイツの集団が現れ、ゲキレッドは数に驚愕する。

 

 

その数は、ゲキレッド達がいる河川敷を埋め尽くさんばかりの数だった。

 

 

「めんどくさいから、彼の足止めは頼みますぞ」

 

 

男が命令すると、黒タイツの集団『チョイアーク』がゲキレッドに襲い掛かる。

 

 

「では、さよならですぞ」

 

 

男はサイアークを連れ、テレポートでその場から逃げ出そうとする。

 

 

「ま、待て!」

 

 

追いかけようとするゲキレッドだったが、チョイアークが行く手を阻む。

 

 

「たくっ、先にこいつら片付けろってことか」

 

 

追いかけるのを諦め、ゲキレッドは目の前の敵に専念する。

 

 

「ふっ!はぁっ!一体一体は弱いが、数が多すぎるな」

 

 

ゲキレッド達が戦っていた相手、リンシーズに比べるとたった一撃で倒せてしまうほどチョイアークは弱かった。

 

 

だが、数が多すぎるせいか少し苦戦していた。

 

 

「しょうがねぇ、アレ使うか」

 

 

ゲキレッドは後ろに跳躍し、チョイアーク達から距離を取った。

 

 

「ゲキセイバー!」

 

 

ゲキレッドがゲキチェンジャーから召喚したのは、ゲキレッド専用の武器。

 

 

鮫を模した二本一組の柳葉刀『ゲキセイバー』だった。

 

 

「はぁ!」

 

 

ゲキセイバーを横一線に振り、チョイアークを薙ぎ払う。

 

 

「ゲキセイバー!ゲキワザ!薄薄斬(はくはくざん)!」

 

 

2本のゲキセイバーを振り回し、すれ違いざまに全てのチョイアークを切り捨てた。

 

 

チョイアークを倒した後、ゲキレッドは周りを見渡すが男とサイアークの姿は既に無かった。

 

 

「とりあえず、あいつらに説明してもらうか」

 

 

何か知っているであろうめぐみ達に説明してもらうべく、ゲキレッドは変身を解きめぐみ達の元へ向かう。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司が変身して戦っている中、キュアラブリーに変身しためぐみは驚愕する。

 

 

自分やプリンセスが手も足も出なかったサイアークを圧倒するだけでなく、その後に出現したチョイアークも一瞬で倒してしまうほどの圧倒的強さ。

 

 

自分が知らない誠司のもう一つの姿に、ラブリーは言葉が出なかった。

 

 

誠司は戦いを終え、変身を解きラブリー達に近づく。

 

 

「まさかお前がプリキュアになるとはな...めぐみ」

 

 

「へあ...?」

 

 

正体がばれている事に驚き、ラブリーは変な声を出す。

 

 

「どなたとお間違いでは!?私は正義の味方キュアラブリー!めぐみという者ではないのだ!」

 

 

ラブリーは慌てて胡麻化そうとするが、口調が可笑しい事になっており嘘であることがバレバレだった。

 

 

誠司はめぐみが変身する所を目撃している為、その行為は無意味だった。

 

 

「言っておくが、俺はお前がプリキュアになる所を見ているぞ」

 

 

「嘘ー!」

 

 

自分がやっていた事が無意味だと分かり、ラブリーはその場に膝を着く。

 

 

「正体を知られたのであれば、しょうがないですわ」

 

 

誠司の目の前に、頭部にクローバーがついたピンク色がついている人形のような物が空中に浮遊していた。

 

 

「わたくしはリボンと申します。プリンセスのパートナーですわ」

 

 

常人なら大声を出して驚く所だが、誠司は少ししか驚かなかった。

 

 

「おお、この人形喋るんだな」

 

 

「わたくしを見ても余り驚いてないようですわね、めぐみは凄く驚いていましたのに」

 

 

獣人と化した七拳聖や臨獣殿の拳士達を見てきたせいか、喋る人形程度では誠司は驚かなかった。

 

 

「慣れてるからな、俺は二足歩行の喋る猫や鮫を見た事があるからな」

 

 

「いやいやいや!二足歩行の喋る猫や鮫って、どんな連中よ!」

 

 

誠司の言葉に、プリンセスが突っ込みを入れる。

 

 

「取り敢えず、サイアークについて詳しく教えて欲しいんだが」

 

 

「でしたら大使館に行きましょう、あそこなら安全ですから」

 

 

説明を受けようとする誠司に、リボンが提案する。

 

 

「大使館?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司とめぐみはリボン達の案内の元、大使館と呼ばれる大きな豪邸へと招待された。

 

 

「ここが我がブルースカイ王国の大使館ですわ」

 

 

「へぇ!こんな所に」

 

 

その場所は、地元民である誠司やめぐみ達ですら知らない場所だった。

 

 

大使館の中に入り、誠司が自己紹介をする。

 

 

「改めて俺は相楽誠司、めぐみの幼馴染だ」

 

 

「私は、ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイよ」

 

 

(名前長っ!長すぎて覚えきれねぇよ!)

 

 

余りの名前の長さに、誠司は心の中で叫ぶ。

 

 

「長いからひめでいいよ!」

 

 

「分かった、俺も誠司でいいぜ」

 

 

自己紹介が終わり、誠司は本題に入る。

 

 

「分かりましたわ、ですが少々お待ちください。もう少しで戻ってくると思いますので」

 

 

「戻る?一体誰が...」

 

 

疑問に思うめぐみだったが、突如として近くにあった鏡が光りだした。

 

 

「やぁ」

 

 

光がやむと、そこには1人の男が立っていた。

 

 

「なっ!ビックリした!」

 

 

鏡から人間が出てくるという、ありえない現象を目撃しためぐみは驚いて声を上げる。

 

 

「ただいま帰りましたわ、ブルー様」

 

 

「ただいま、神様」

 

 

『神様?』

 

 

神という言葉に、めぐみだけでなく流石の誠司も反応する。

 

 

「ねぇ、この人が神様なの?」

 

 

めぐみの問いに、ひめとリボンが答える。

 

 

「そうよ!」

 

 

「このお方は地球の全てを守る神、正真正銘の神様であらせられますわ」

 

 

リボンに紹介されたブルーは、めぐみに手を差し出した。

 

 

「僕はブルー。宜しく、愛乃めぐみさんことキュアラブリー」

 

 

めぐみは差し出された手を握り、握手に答える。

 

 

「おお!さすが神様、何でもお見通しだね」

 

 

めぐみは神様に会えた事に、感動する。

 

 

「鏡で見ていたからね」

 

 

ブルーが壁に取り付けられている鏡を触ると、鏡に映像が映し出される。

 

 

その鏡には、色んな世界が映し出される。

 

 

「うわぁ!何この鏡!?」

 

 

「サイアークはこのぴかりが丘だけじゃなく、世界各地で暴れている」

 

 

鏡にはゴミだらけの街、煙に包まれた丘、雪だらけの南国、炎に包まれた砂漠が映っていた。

 

 

「知ってる!ニュースで見た!」

 

 

ブルーの説明にめぐみはそう告げると、ブルーは説明を続ける。

 

 

「ことの始まりは、アクシアと言う箱だ」

 

 

ブルーの説明と共に、誠司達の目の前にある鏡に1つの箱が映し出された。

 

 

「アクシアとは、世界に災いを及ぼす者達が封印されていた」

 

 

箱が開き、5つのシルエットが映し出される。

 

 

「ある時、そのアクシアが開けられてしまったんだ」

 

 

薄い金色のボブショートヘアと赤い瞳が特徴で、頬に涙の模様を持つ女性。

 

 

赤い眼と口が描かれているような姿が映った、1枚の鏡。

 

 

水色の縦ロールヘアが特徴で、リンゴ模様の大きなベレー帽を被った女性。

 

 

黄色の制帽や軍服を着用しており、屈強な体格を持つ男性。

 

 

2本の触覚の生えたシルクハットを被り、緑色のフロックコートを着用している男性。

 

 

「そして解放された者達は、サイアークを世界中に暴れさせている」

 

 

「あのナマケルダってやつが、化け物の親玉?」

 

 

めぐみの質問に、ブルーは首を横に振った。

 

 

「いや...彼は幹部の1人にすぎない、サイアーク達を率いているのは幻影帝国の女王、クイーンミラージュだ」

 

 

ブルーがそう告げると、鏡に先程映ったシルエットの1人。

 

 

頬に涙の模様を持った、女性が映し出される。

 

 

「クイーンミラージュは愛を忌み嫌う、この世界から幸福を消し去ろうとしている」

 

 

説明を終えたブルーは鏡から手を放し、めぐみに向き直る。

 

 

「サイアークの侵攻を止めなければ、世界は愛も幸福もない世界になってしまう」

 

 

今まで話を聞いていためぐみに、ブルーはある頼み事をする。

 

 

「めぐみ、ひめと共にプリキュアとして戦い、サイアークからこの世界を守って欲しい」

 

 

めぐみは決意した顔で、ブルーの頼みを了承する。

 

 

「良いよ!私達にドンと任せて!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

めぐみが決意を伝えたらブルーは満足そうに頷き、誠司に顔を向けた。

 

 

「さて、今度は君の話を聞かせてくれないか?相楽誠司君」

 

 

「良いぜ、俺も知りたい事は聞けたからな」

 

 

それから誠司は、数か月前まで別の世界に飛ばされていた事を説明する。

 

 

その世界も、幻影帝国のような悪者がいる事。

 

 

その悪者達と戦う戦士、『スーパー戦隊』がいる事。

 

 

誠司はスーパー戦隊の1人、獣拳戦隊ゲキレンジャーとして戦い世界を守った事をブルー達に教えた。

 

 

「さっきの戦いを見て強いと思っていたが、まさか既に世界を救った戦士だったとは...」

 

 

地球の神と言えど、流石に別の世界の事は知らなかったようでブルーは驚いていた。

 

 

「そう言う事だ、俺もめぐみ達と一緒に幻影帝国と戦うぜ」

 

 

「ありがとう、こちらこそ宜しく頼むよ」

 

 

ブルーが感謝する中、話を聞いていためぐみとひめはキラキラした目で誠司に近づく。

 

 

「誠司がいれば百人力だね!さっきも凄く強かったし!」

 

 

「確かに!滅茶苦茶格好良かった!」

 

 

興奮する2人を落ち着かせ、誠司は今後の方針を決める。

 

 

「まずは真央を助ける為に、ナマケルダを見つけないとな」

 

 

「そうだね、真央ちゃんを助けないと」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

誠司達は二手に分かれて、捜索を始める。

 

 

めぐみはひめと、誠司はナマケルダを探す為に1人で街に訪れていた。

 

 

余談だが、めぐみ達はナマケルダを探しておらず変身後のポーズを考えていた。

 

 

しばらく捜索していた誠司だったが、めぐみからナマケルダを見つけたと連絡があった。

 

 

向かう途中にめぐみ達と合流し、ぴかりが丘にある一角のビル。

 

 

そのビルの屋上に誠司達が向かうと、そこにはカビの上で寛ぐナマケルダの姿があった。

 

 

「やるべき仕事をさぼって怠ける。これぞ最高の贅沢、不幸はじわじわと広がっていく。この街はいずれカビだらけ、我が楽園の誕生ですな」

 

 

「そうはさせないよ!」

 

 

寛ぐナマケルダに、めぐみが叫ぶ。

 

 

「おや、君達どうしてここに?」

 

 

「勿論、サイアークをやっつける為だよ!でもって、真央ちゃんを助け出す!」

 

 

「そう言う事だ!」

 

 

誠司とめぐみは、ナマケルダに対して強く宣言する。

 

 

「君もかね?」

 

 

ナマケルダは今度はひめに質問するが、ひめは怯えて誠司の後ろに隠れる。

 

 

「わざわざ痛い目にあいに来るなんて、君も懲りないね。いい加減にしないと怒るよ?」

 

 

怯えるひめに、ナマケルダが脅しを掛けてきた。

 

 

「なんでひめが怒られなきゃいけないのさ!悪いことしてるのはそっちでしょ!」

 

 

怯えるひめに対し、めぐみが勇気づけるように話しかける。

 

 

「ほら、ひめも何か言ってやんなよ!」

 

 

誠司の後ろに隠れていたひめだったが、めぐみの言葉を聞いて決意する。

 

 

「サイアークも最悪だけど、カビの中でゴロゴロして喜んでるあなたが一番最悪よ!」

 

 

「おお!言ってやったですわ!」

 

 

臆病で弱々しかったひめが、めぐみのお陰で変われたことにリボンは感動する。

 

 

「誠司、ひめ!行くよ!」

 

 

「おう!」

 

 

「うん!」

 

 

ひめはプリチェンミラーを、誠司はゲキチェンジャーを装着した拳を構えてめぐみに答える。

 

 

 

 

 

「たぎれ!ケモノの力!ビースト・オン!」

 

 

誠司に瞬間的にゲキスーツが装着され、ゲキレッドへと変身する。

 

 

 

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみの髪の毛が膝に届く程のマゼンタ色のポニーテールになり、ひめの髪が青色のロングヘア―から膝に届く長さの空色のツインテールに変化する。

 

 

プリチェンミラーから声が発声すると、めぐみ達は3枚のプリキュアの衣装のカードをセットして小さいミラーボールを下からスライドさせる。

 

 

『プリキュア!くるりん・ミラーチェンジ!』

 

 

めぐみとひめがベールに身を包み両手両足にハートが包むと装飾が施され、めぐみには膝まであるロングブーツが、ひめには深い藍色の長い靴下とショートブーツが装着される。

 

 

めぐみは頭の左側にフリル型のハート型の飾りが現れ、ひめには王冠のついた青いリボンが現れる。

 

 

めぐみとひめに、髪の毛と同じ色のイヤリングが装着される。

 

 

2人がハート型のエネルギー体に乗ると、ベールの中へと吸い込まれる。

 

 

ベールを脱ぎ捨てると、2人はプリキュアへと変身する。

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

『ハピネス注入!幸せチャージ!ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

「身体に漲る無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

誠司達が名乗り上げる間、ナマケルダは只黙って見ていた。

 

 

「おお、いい!名乗りもポーズも最高!さっすがー!」

 

 

「でしょ?」

 

 

自分達が考えた名乗りに、2人は興奮する。

 

 

「2人共!まずは目の前の敵に集中しろ!」

 

 

誠司は敵を目の前にしているにも関わらず、余所見をする2人に注意する。

 

 

「プリキュアを倒せとのクイーンミラージュのご命令、こちらから探す手間が省けましたぞ。チョイアーク!」

 

 

ナマケルダが手を挙げると、またしてもカビの裏から大勢のチョイアークが現れる。

 

 

「めんどくさいから、君達でプリキュアを片付けたまえ」

 

 

『チョイー!』

 

 

「ラブリー!プリンセス!俺達も行くぞ!」

 

 

『うん!』

 

 

ナマケルダの命令を受けて向かってくるチョイアークを、ゲキレッド達は迎え撃つ。

 

 

「ふん!やぁ!」

 

 

迫ってきている内の2体を、ラブリーは頭突きとパンチで退ける。

 

 

「えい!たぁ!」

 

 

プリンセスが右チョップで1体、左チョップで2体を払い除け、迫ってきていた1体に左回し蹴りを食らわせチョイアーク軍団をなぎ倒す。

 

 

「ふっ、はぁ!」

 

 

ゲキレッドはチョイアークの攻撃を片手でいなしながら1体にパンチを繰り出し、2体目に蹴りを放つ。

 

 

しかし、その数は全然減っておらず3人共直ぐに囲まれてしまった。

 

 

「きりがないわ」

 

 

「ラブプリブレスを使って、自分の考えた技を使うのですわ!」

 

 

プリンセスの言葉に、遠くで見守っていたリボンがアドバイスを送る。

 

 

「やってみる!」

 

 

ラブリーはラブプリブレスを構え、左拳にエネルギーを溜める。

 

 

「ラブリーパーンチ!」

 

 

拳の形に凝縮されたエネルギーが発射され、技が炸裂して全てのチョイアークがビルの外へと飛ばされた。

 

 

「すごい!」

 

 

自分の技の威力に、ラブリーは驚いた。

 

 

「この前とは少し違うようですなぁ」

 

 

見物していたナマケルダだが、ラブリー達の戦い方が前回と違うことに気が付きサイアークに命令する。

 

 

「ならば...サイアーク!」

 

 

ナマケルダの命令を受け、サイアークは手足を収納しUFOのように突撃してくる。

 

 

サイアークの突撃を、ゲキレッド達は上に跳躍して躱す。

 

 

「たぁー!」

 

 

ラブリ―がサイアークにキックを放つが、パンチで殴り飛ばされてしまう。

 

 

「きゃあっ!」

 

 

殴り飛ばした後も、サイアークがラブリーを狙っている事に気づいたゲキレッドが、飛び蹴りで遠くに蹴り飛ばした。

 

 

そんな中、ラブリーはプリンセスに近づき頼み事をする。

 

 

「プリンセス、私があいつを止める。浄化をお願いね」

 

 

「え、でも」

 

 

「お願いね」

 

 

ためらうプリンセスを他所に、ラブリーは返事を聞かずサイアークに向かっていく。

 

 

「たくっ、しょうがねぇ奴だな」

 

 

2人のやり取りを聞いていたゲキレッドは、不安そうにしているプリンセスに近づく。

 

 

「プリンセス、2人で一緒に決めるぞ!」

 

 

「わ、分かった!」

 

 

その時、ラブリーの技を受けたサイアークは幾つものハートのエネルギー体が身体に纏わりつく。

 

 

「サイアーク!」

 

 

苦しそうに唸るサイアークだったが、金縛り状態で動く事が出来なかった。

 

 

「プリンセス、今だよ!」

 

 

ラブリーの合図で、ゲキレッドは激気を身体から放出する。

 

 

「お願い、私に力を頂戴!」

 

 

額の前にラブプリブレスを願うように構え、終わるなりファイティングポーズを取る。

 

 

「勇気の光を聖なる力へ、ラブプリブレス!」

 

 

ラブプリプレスの稼働部分をクルクル回し、光輝いた後にラブプリブレスを叩く。

 

 

「プリキュア!ブルーハッピーシュート!」

 

 

「激獣タイガー拳!ゲキワザ!砲砲弾(ほうほうだん)!」

 

 

ゲキレッドは放出した激気を纏い、炎を纏った虎の形をした激気をサイアークに放つ。

 

 

エネルギー弾と、虎の形をした激気がサイアークを襲う。

 

 

プリンセスがサイアークに背を向け、拳を空に突き出す。

 

 

「勇気よ、天に還れ!」

 

 

ラブプリブレスが輝くと、サイアークは浄化される。

 

 

「サイアーク...」

 

 

サイアークが浄化された事によって、真央が鏡から解放される。

 

 

「やったぁ!」

 

 

「っしゃあ」

 

 

「よし!」

 

 

初めてサイアークを倒せた事に、プリンセスは喜びを見せていた。

 

 

「プリンセス、お見事ですわ!」

 

 

消えるのを察したのか、ナマケルダはカビの上から飛び退いた。

 

 

「ハピネスチャージプリキュア、めんどくさいが面白くなりそうですぞ」

 

 

空中浮遊した後、テレポートで消えた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「おかーさーん!」

 

 

夕暮れの河川敷。

 

 

真央が母さんに抱き着く。

 

 

その光景を誠司達は、植え込みの陰から覗いていた。

 

 

「大好きなお母さんと、可愛い娘が抱き合ってホンワカラブだね!幸せハピネス!」

 

 

一緒に覗いていためぐみがそう呟くと、リボンが急に叫びだす。

 

 

「これは、情熱的なフラメンコのパワーを感じますわ!」

 

 

リボンは、ひめに鼻を向ける

 

 

「こちょこちょしてくださいな」

 

 

「こちょこちょ」

 

 

ひめは言われた通り、リボンの鼻を擦る。

 

 

「は...は...はっぴっしょん!」

 

 

リボンがくしゃみをするのと同時に、2枚のプリカードが出てきた。

 

 

出てきたのは、『チェリーフラメンコ』と『ローラースケーター』の2枚だった。

 

 

「うわぁ!めぐみ、誠司、見て!私初めてプリカードをゲットしたよ!」

 

 

余程嬉しかったのか、ひめは2枚のプリカードをめぐみと誠司に見せる。

 

 

「うんうん!良かったね!」

 

 

はしゃぐひめを見て、めぐみも嬉しそうにする。

 

 

「友達って凄い!」

 

 

ひめは、プリカードを取り出したファイルの中に収納する。

 

 

「これでまた、大いなる願いに近づきましたわ!」

 

 

「大いなる願い?」

 

 

誠司の問いに、リボンが答える。

 

 

「このファイルがカードでいっぱいになったら、願い事がなんでも叶いますわよ」

 

 

「なんでも!?凄いご褒美付きだね!」

 

 

リボンの説明に、めぐみは眼を輝かせる。

 

 

「でも、これから多くのサイアークを倒さなければなりませんわ!簡単ではありませんですわ」

 

 

「力を合わせれば、不可能はないって!」

 

 

力強く答えるめぐみに対して、誠司は忠告する。

 

 

「余り調子に乗ってると、いつか足元すくわれるぞ」

 

 

「大丈夫!がんがんサイアークを倒して、じゃんじゃんカードを集めよう!」

 

 

めぐみがそう告げると、ひめがめぐみと誠司の手を握る。

 

 

「めぐみ、誠司、ありがとう...一緒に頑張ろうね!」

 

 

頬を赤く染め、ひめは2人に感謝する。

 

 

「うん、宜しく!」

 

 

「あぁ!」

 

 

そう言って、2人はひめの手を握り返した。

 

 

こうして、誠司達の戦いは幕を開けた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その日の夜。

 

 

自分のベッドに寝っ転がるめぐみは、考え事をしていた。

 

 

今日の戦いで、誠司が行方不明になった理由が分かった。

 

 

一緒にいる事が当たり前になっていたに気付かなかったが、誠司が行方不明になった事でめぐみは自覚した。

 

 

自分が誠司の事を、幼馴染以上として考えている事に。

 

 

警察に捜索願いを出しても見つからず、もしかしたら最悪の場合を覚悟して欲しいと言われた。

 

 

めぐみは悲しくなってしばらく家に引きこもり、食事もままならないほどだった。

 

 

その為に、街で誠司を見つけた時は言葉に表せない程嬉しかった。

 

 

プリキュアの力を手にして、誠司の事を守れると考えためぐみだったが誠司はめぐみ達よりも遥かに強かった。

 

 

めぐみはベッドから起き上がり、隣にある誠司の部屋に視線を向けて強くなりたいと願う。

 

 

何もできず、只生きている事だけを信じて待っていたあの時のようになりたくないからと。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「準備は出来たか?」

 

 

1人の男性が、誠司と歳の近い4人の男女に声を掛ける。

 

 

「はい、大丈夫です!」

 

 

自分のトレードマークである黄色の服を纏った女の子が、元気よく答える。

 

 

「『???』許可を頂き、ありがとうございます!」

 

 

「何、お安い御用じゃ」

 

 

青の服を纏った女の子が、男性に感謝する。

 

 

「それにしても誠司の奴、俺達が行ったらビックリするんじゃないか?」

 

 

「確かにな、まさか追いかけてくるなんて考えもしないだろうからな」

 

 

それぞれ、紫と白をトレードマークにする男の子達が誠司について話し合う。

 

 

「お主ら、誠司の事は任せたぞ」

 

 

『はい!』

 

 

4人は返事をすると、目の前に次元の渦が発生する。

 

 

「では、行ってまいります!」

 

 

「うむ、暮らしの中に修行ありじゃ」

 

 

チーン




如何だったでしょうか
考えながら書いていたのですが
思ったより文字数が多くなってしまいました。

最後に出てきた人たちはダレダッタノデショウカ?
話し方あれであってたかな?

今回の反省を元に原作は1話ずつではなく何話か見た後に
書いていこうと思います。

プリキュア寄りになりますので誠司の台詞が少なくなってしまう。

さて次回ですがハピネスチャージの4話ひめの転校を元に作っていきます。

もしかしたらあの人たちが出てくるかもしれません。

では次回でお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 転校生はお姫様!! 誠司の仲間達!

ナツ・ドラグニルです

先程確認したら、お気に入りが10件になっていました!

自分なんかの作品を見て頂けていると思うと感謝感激です!

また、感想を送って下さった覇王龍様ありがとうございます。

ラブリーやフォーチュンのタッグや
いおなとの絡みも増やして行きたいと思います。

タッグの戦闘描写は勉強しながらになりますので
ご容赦下さい。

なので前回はほとんど原作のまんまになってしまったので
これからはオリジナル展開を入れて行きたいと思います。

では作品をどうぞ


早朝の河川敷。

 

 

そこでは、いつもの日課を行っている誠司の姿があった。

 

 

修行は体力をつける為の筋トレや走り込み、技の精度を上げる為のヌンチャクと剣の素振り等だ。

 

 

誠司は今、殆どの修行を終えて走り込みを行っていた。

 

 

その時、後ろから誠司に話しかける者がいた。

 

 

「おはよう誠司君、いつも早いわね」

 

 

「おはよう、いおなこそ早いじゃないか。まだ7時前だぞ」

 

 

話しかけてきたのは、誠司の同級生で修行仲間でもある氷川いおなだった。

 

 

いおなは誠司に追いつくと、同じペースで隣を走る。

 

 

「私は強くならないといけないから...」

 

 

いおなの答えに、誠司は首を傾げる。

 

 

「強くならないとって、今でも十分強いだろ?」

 

 

修行の中で、いおなの実力を知っている誠司はそう質問する。

 

 

「まだ全然足りないわ、もっともっと強くならないといけないから」

 

 

顔を伏せながら、いおなはそう答えた。

 

 

その様子に、誠司はどこか焦ってるようにも見えた。

 

 

「そうか、強くなりたいと思う気持ちは分からなくもないが、余り無理するなよ。俺で良ければ力になるぞ」

 

 

なぜそんなに焦っているのかは誠司には分からかなったが、悲壮感を漂わせるいおなを元気づける。

 

 

誠司の言葉にいおなは驚き、微笑んだ。

 

 

「ありがとう誠司君、頼りにさせてもらうわ」

 

 

誠司に元気づけられたお陰か、または別の理由か、いおなの顔には悲壮感は漂ってなく喜色を浮かべていた。

 

 

「ねぇ誠司君、うちの道場に入門しない?」

 

 

誠司に対するいおなの勧誘は、会うたびに言ってくるので既に常套句となっていた。

 

 

「いつも言ってるが、俺は獣拳一筋だ。悪いが他の格闘技はするつもりはないよ」

 

 

「残念ね、誠司君は強いから直ぐに黒帯も取れると思うのに...でも、私は諦めないわよ」

 

 

そんなに強い奴と戦いたいのかね、と誠司は内心で呆れる。

 

 

「そういえば、今日学校に転校性が来るそうよ」

 

 

いおなは話題を変えようと、思い出したように話した。

 

 

「転校生?どんな人なんだ?」

 

 

転校生が来ることを知らなった誠司は、いおなに質問する。

 

 

「5人もいるんだけど、2人は私達と同い年の女の子で、もう2人は1つ年上の男の人よ。後1人は分からないわ」

 

 

「5人も転校してくるのか、珍しいな」

 

 

誠司は驚きながらも、同い年の女子が2人と1つ年上の男子が2人という心当たりのある組み合わせに、もしかしたらと考える。

 

 

しかし、まさか自分を追ってわざわざ世界を超えてくるとは思えないと思い、たまたまだと考える。

 

 

だが、この推測が当たる事をこの後に痛感する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

時刻は変わり、誠司は学校に向かっていた。

 

 

その途中、めぐみとひめの後ろ姿を見つけた。

 

 

「でもよく考えたら私、もう2人も友達出来てるし100人くらい楽勝だよねー」

 

 

遠くでは気づかなかったが、近づいたらひめが誠司達の学校の制服を身に纏っている事に気づいた。

 

 

「よう、何の話だ?」

 

 

2人が話している内容が気になり、話に入る。

 

 

「あのね!ひめが今日私達の学校に転校してくるんだって!」

 

 

めぐみの話を聞いて、今朝いおなが話していた転校生の1人がひめだという事に気づいた。

 

 

「なるほど、今日来る転校生はひめの事だったのか」

 

 

「えっ!?何でひめが転校してくるの知ってるの!?」

 

 

誠司にはサプライズとして教えようとしていためぐみは、誠司が既に知っていた事に驚きを隠せなかった。

 

 

「今朝、いおなから聞いたんだよ」

 

 

誠司がそう答えると、めぐみはジト目で誠司を見つめた。

 

 

「ふーん...」

 

 

めぐみの態度に、誠司は疑問に思う。

 

 

「なんだよ」

 

 

「別にぃ」

 

 

誠司から他の女性の名前が出たせいか、めぐみは不機嫌になる。

 

 

「?それよりも、ひめが友達が出来るようにサポートするんだろ?」

 

 

首を傾げながらも誠司が確認すると、めぐみは不機嫌なまま、答えた。

 

 

「そうだね...ひめ、あたしもバッチリサポートするからね」

 

 

「よっろしく~」

 

 

誠司はめぐみとひめを連れ登校し、学校に到着する。

 

 

「凄い生徒の数...」

 

 

ひめは登校している生徒の人数に圧倒されている。

 

 

「おっはよう!」

 

 

声のした方に振り向くと、そこには同級生である石神りんがいた。

 

 

「おはよー、いっしー!」

 

 

この中でりんと一番仲が良いめぐみが、挨拶を返す。

 

 

その時、誠司はひめがめぐみ達を羨ましそうに眺めてるのに気付いた。

 

 

「ねぇ知ってる?今日転校生が来るらしいよ」

 

 

「いっしーも知ってるんだ」

 

 

「もっちろん、もうみんな噂してるよ!なにせ、5人も転校生がいるから」

 

 

りんの話を聞いて、その転校生の内の1人であるひめが驚く。

 

 

「え?そんなにいるの?」

 

 

「ああ、2人は俺達と同い年の女の子で、もう2人は1つ年上の男子らしいぜ」

 

 

「へー、私以外にも転校生がいるんだ」

 

 

不安だった為か、自分以外にも転校生がいるのを知ってひめは安堵していた。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

離れた場所で、誠司達の動向を覗いていた者達がいた。

 

 

「あいつ可愛げな女の子ばかりと、一緒にいるな」

 

 

「鈍感な所は、相変わらずみたいだけどな」

 

 

誠司を見ながら、2人の男子生徒が会話していた。

 

 

「2人はあそこに混ざらなくていいのか?」

 

 

1人の男子生徒が、近くにいる女子生徒に話しかける。

 

 

「私は教室に行くまで我慢するわ」

 

 

「私も...再開した時の誠司の顔が見たいし」

 

 

2人の話を聞きながら、男子生徒の1人は残念そうに答える。

 

 

「まぁ、俺達は学年が違うから会うのは放課後だな」

 

 

「そうだな、取り敢えず職員室に向かおうぜ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

あの後、職員室に向かうひめと別れて誠司達は教室へと向かった。

 

 

教室に着くと、クラスの皆は転校生の話題で持ち切りだった。

 

 

「誠司君、めぐみちゃん、おはよう」

 

 

「おはよう、ゆうこ」

 

 

「ゆうゆう、おっはよう!」

 

 

教室に入ると2人に気づいたゆうこが、挨拶する。

 

 

「ねぇ、知ってる?今日このクラスに転校生が来るんだって、しかも3人も」

 

 

「へぇー、転校生が来るのは知ってたけど、このクラスに来るんだな」

 

 

1人はひめだとして、後2人もこのクラスに転校してくる事に誠司は驚く。

 

 

「どんな子達なんだろう、今から楽しみだね」

 

 

ゆうこと転校生について話していると、誠司達のクラス担任である和泉先生が入っていた。

 

 

「みんな、席について」

 

 

先生の掛け声で、全員が席に着いた。

 

 

「今日はこのクラスに、新しい仲間が増えます」

 

 

朝からその話題で持ち切りだった為か、クラスの皆が騒ぎ出す。

 

 

「では、入ってきて」

 

 

先生の合図で、、ひめと2人の女の子が入ってきた。

 

 

その2人の顔を見た瞬間、誠司は驚愕する。

 

 

なぜならその2人は、トライアングルとして一緒に戦ったランとリンだったからだ。

 

 

「宇崎ランです。宜しくお願いします!」

 

 

皆に聞こえるように、ランは元気よく挨拶する。

 

 

ランの自己紹介の後、リンに促され今度はひめが自己紹介をする。

 

 

「わ...私は、し...白雪ひめです。よ...宜しくお願いします」

 

 

がちがちになり、所々噛んでいた何とか自己紹介を終わらせることが出来た。

 

 

ひめが自己紹介を終わらせると、最後にリンが自己紹介を始める。

 

 

「深水リンです、宜しくお願い致します」

 

 

ぺこりと頭を下げ、リンは自己紹介する。

 

 

『おおっ―――――』

 

 

1人はポニーテールが特徴で、活発そうな女の子。

 

 

1人は内気で、何処か守ってあげたくなるような女の子。

 

 

1人は黒いロングヘア―と振る舞いで、何処かご令嬢を連想させる女の子。

 

 

三者三様で、男子達の心を奪うには十分だった。

 

 

しかしそんな中、誠司だけは自分の推測が当たると思っていなかった為、呆然としていた。

 

 

「みんなー、3人を宜しくね~!」

 

 

『はーい!』

 

 

先生の掛け声で、クラスの全員が元気よく答える。

 

 

「じゃあ、白雪さんは愛乃さんの隣、宇崎さん達は相楽君の隣に座ってね」

 

 

『はい』

 

 

先生にそう言われ、ひめはめぐみの隣に腰かけた。

 

 

「これから宜しくね!」

 

 

「よろしく」

 

 

ランとリンも誠司の両隣りに座り、誠司に挨拶する。

 

 

しかし、誠司は返事を返すことが出来ずに頭を抱えた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

朝のHRが終わり、現在は休み時間。

 

 

誠司は先生からラン達のサポートを任され、めぐみもひめのサポートを任された。

 

 

休み時間の時間を利用し、ひめに女子達が押し掛ける。

 

 

「何処から来たの?」

 

 

「髪綺麗だね」

 

 

「シャンプー何使ってるの?」

 

 

質問攻めを受け、ひめは人見知りの性格のせいで対応出来ずにいた。

 

 

「おまえら、あまり押し掛けるなよ。そいつ消極的だから困ってるぞ」

 

 

誠司の静止の声で、押し寄せていた女子達が一歩引いた。

 

 

「ありがとう、誠司」

 

 

質問攻めを受けていたせいか、ひめは少し涙目になりながらお礼を言う。

 

 

「誠司君、白雪さんと知り合いなの?」

 

 

ひめが誠司の名前を知ってる事に、ゆうこは誠司に質問する。

 

 

「めぐみの人助けを切っ掛けに知り合ったんだよ。なぁ?めぐみ」

 

 

「そうだよ!ひめは私と誠司の友達なんだよ!」

 

 

「へー」

 

 

3人が話をしていたその時、ひめとは逆に男子達から質問攻めを受けていたランとリンが誠司に近づく。

 

 

「ちょっと誠司、何で私達は助けてくれないのよ」

 

 

「そうよ、差別なんじゃないの?」

 

 

自分達を助けてくれなかった為か、2人は不機嫌そうに抗議する。

 

 

「いや、お前達の場合いらないだろ」

 

 

「どういう意味よ、それ」

 

 

誠司の言葉に、ランは不満そうに告げる。

 

 

「余裕で受け答えしてた癖に、何を言ってんだよ」

 

 

『えー...』

 

 

誠司の言う通り、ラン達は男子達の質問に簡単に答えていた。

 

 

しかし、好きな人には助けてほしいと思うのは、恋する乙女心という物。

 

 

「え!?誠司、宇崎さん達とも知り合いなの!?」

 

 

「しかも、名前で呼んでたし」

 

 

親しそうにやり取りをする誠司達に、めぐみ達は驚愕する。

 

 

「私達は、ある格闘技を学んでいる仲間なのよ」

 

 

そう言って、ランは見せつける様に誠司の首元に抱き着いた。

 

 

『むぅ』

 

 

「ちょっとラン、誠司から離れなさい」

 

 

2人のやり取りを見ためぐみ達は不機嫌になり、りんが注意する。

 

 

「相楽の野郎ぅぅ!愛乃さんや大森さんだけでなく、転校生の3人とも仲良くしやがってぇ...」

 

 

さらに、クラスメイトの男子が悔しそうに誠司達を見る。

 

 

「それだけじゃねぇ!隣のクラスにいる氷川さんとも、名前で呼び合う程の仲らしい」

 

 

「なんであいつばかり!」

 

 

「クッソー!羨ましい!」

 

 

他のクラスメイトも、恨みが籠った眼で誠司を見つめる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

放課後となり、めぐみと誠司の2人でひめ達に学校を案内する。

 

 

誠司以外女子の為か、通り過ぎる男子から羨望と嫉妬の視線が誠司に刺さる。

 

 

しかし、誠司はその視線の意味に気づいていなかった。

 

 

「どう?楽しい所でしょ?」

 

 

「うん、みんな良い人ばかりね」

 

 

「う、うん」

 

 

めぐみの質問に、ランとひめが答える。

 

 

「でも、私達も一緒で良かったの?」

 

 

「もちろん!友達の友達は友達だから!」

 

 

めぐみの言葉に、ラン達は驚いたが直ぐに了承する。

 

 

誠司はひめに近づく。

 

 

「ひめ、だったらラン達とも友達になれるんじゃないか?」

 

 

「え?」

 

 

誠司の言葉に、ひめは驚く。

 

 

「あの2人は俺の友達だから、お前の友達になれるんじゃないか?」

 

 

「あっ!」

 

 

誠司の言葉の意図に、ひめは気付いた。

 

 

「まぁ、直ぐには無理だろうからお前のペースで作っていけよ」

 

 

「うん!」

 

 

しばらく案内する誠司達だったが、今後の話をする為に2手に別れた。

 

 

誠司はランとリンの2人と、めぐみはひめと。

 

 

「それで?お前達何でここにいるんだ?」

 

 

「マスター・シャーフーにお願いして、こっちの世界に送ってもらったの」

 

 

ランの言葉に、誠司は納得する。

 

 

「なるほどな、戸籍とかはどうしたんだよ?」

 

 

「スクラッチ社に用意してもらったのよ」

 

 

別の世界なのに良く用意出来たな、と内心で感心する。

 

 

「てか、あっちの世界は大丈夫なのかよ」

 

 

「私達は既に役目を終えたから大丈夫だって、マスター達が言ってたわ」

 

 

ランの説明に、誠司は納得する。

 

 

「それより、この世界で何が起きてるの?」

 

 

リンが真剣な顔で、誠司に質問する。

 

 

「街を見て来たけど、至る所にお菓子やカビが生えていたからビックリしたわ」

 

 

リンの質問に対し、誠司は幻影帝国の事やそれと戦っているプリキュアについて話した。

 

 

「なるほど、そんな事が起きてたのね」

 

 

「ああ、そしてめぐみとひめが今説明したプリキュアなんだ」

 

 

めぐみ達が今説明を受けたプリキュアである事に、ランとリンは驚きを見せる。

 

 

「めぐみちゃん達が!?」

 

 

「ああ、俺も一緒に戦ってるんだ」

 

 

「だったら、私達も一緒に戦うわ」

 

 

プリキュアと一緒に戦っていると聞いたランは、自分達もと申し出る。

 

 

「そうだな、お前達がいてくれたら心強いからな」

 

 

今まで幾つもの修羅場を共に潜ってきた仲間達に、誠司は心強さを感じる。

 

 

「きゃ――――!!」

 

 

今後について方針を決めていた誠司達の耳に、悲鳴が聞こえた。

 

 

「何!?」

 

 

「まさか、学校にサイアークが現れたのか!?」

 

 

突如聞こえた悲鳴にランは驚き、誠司は幻影帝国が現れたのかと警戒する。

 

 

「行きましょう!」

 

 

リンの掛け声を合図に、誠司達は悲鳴がしたグランドの方へと急いだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「そこまでよ!」

 

 

「あん?」

 

 

ひめはサイアークへと変えられてしまった先生を助ける為、プリンセスに変身し1人で立ち向かう。

 

 

サイアークが振り回した右腕を、プリンセスは後ろに飛んで回避する。

 

 

サイアークは追撃で腕を振り回し、1発目はしゃがんで回避して2発目を振り回された腕を使って空中で飛び上がった。

 

 

地面に着地したプリンセスに向かって、サイアークは両手を絡み合わせダブルハンマーを繰り出す。

 

 

プリンセスは慌てる事無く、後ろに飛び退いて回避する。

 

 

サイアークの腕が伸び、プリンセスを攻撃する。

 

 

サイアークの攻撃をジャンプして回避したプリンセスは、ラブプリブレスを回転させる。

 

 

「プリンセス弾丸マシンガン!」

 

 

弾丸マシンガンが、サイアークの顔面に命中する。

 

 

サイアークは頭のコーンを回転させ、暴風を巻き起こす。

 

 

空中にいたプリンセスはまともに受けてしまい、墜落する。

 

 

「弱すぎですぞ」

 

 

地面に転がったプリンセスを、左、右と繰り出されたパンチを転がって回避するが、それを基点としたボディブレスを喰らってしまった。

 

 

「1人でカッコつけようとするからですぞ。さぁサイアーク、この学校をカビだらけにしてしまうがいい」

 

 

その言葉に、プリンセスは反応する。

 

 

唸りながら、サイアークは校舎中にカビを発生させる。

 

 

「だめぇ~!」

 

 

サイアークの腹部に、左のエネルギーパンチを入れる。

 

 

しかし、プリンセスの攻撃は全然効いておらず弾き飛ばされてしまう。

 

 

着地して踏ん張り、左掌から光線を発射するがその攻撃も効いていなかった。

 

 

「全く、諦めが悪いですな」

 

 

ナマケルダが、呆れながらプリンセスに呟く。

 

 

「当たり前よ!学校がなくなったら...まだ、お礼も言ってないのに...」

 

 

プリンセスは、今日の出来事を思い出す。

 

 

教室での自己紹介の時、背中を押して勇気づけてくれたランとリン。

 

 

誠司達と別れた後、自己紹介と共にハニーキャンディをくれたゆうこ。

 

 

「飴くれたあの子と...同じ転校生として励ましてくれたあの子達と友達になれなくなっちゃうじゃん!」

 

 

無我夢中で放っていた光線が突如太くなり、攻撃力が増した。

 

 

先程まで全然効いていなかった攻撃だったが、徐々に耐え切れなくなりサイアークは吹き飛ばされる。

 

 

プリンセスは息が上がってしまったが、攻撃力が増した事に自分でも驚いた。

 

 

左の掌を見た後、1人でも戦えた事に安堵する。

 

 

「私、みんなと面と向かうすっごく恥ずかしくて緊張しちゃうけど、やっぱりこの学校で友達作りたい」

 

 

その話を聞いたナマケルダは、鼻で笑いながらプリンセスに話しかける。

 

 

「友達?くだらないことを...人付き合いなんて面倒な事ばかりですぞ。サイアーク」

 

 

ナマケルダの命令を受けたサイアークは、ジャンプしてプリンセスに迫る。

 

 

サイアークが右腕を振り上げるのと同時に、雄叫びと共に両手にチョイアークを抱えたラブリーが現れる。

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 

右手に持ったチョイアークをサイアークの右側頭部に叩きつけ、着地後に左手のチョイアークで右頬、右手のチョイアークで左頬を張り倒す。

 

 

「ラブリー!」

 

 

ラブリーの登場に、プリンセスは歓喜の声を上げる。

 

 

「おまたせ!さぁ、早く倒してゆうゆうに会いに行こう!」

 

 

「何処に行くつもりです?貴方達はここで終わりですぞ」

 

 

ナマケルダの言葉の後、立ち上がるサイアーク。

 

 

「まて!」

 

 

ラブリー達とサイアークが対峙する中、その場に誠司の声が響いた。

 

 

「俺達も相手してやるぜ!」

 

 

誠司がラン達を連れ、ナマケルダの前に並び立つ。

 

 

「誠司!?なんで宇崎さん達を連れて来ちゃったの!?早く逃がさないと!」

 

 

ラン達を一般人だと思っているラブリーは、慌てて逃がそうとする。

 

 

「大丈夫だ、こいつらも俺と同じだからな」

 

 

「え?」

 

 

誠司の言葉を聞いて2人を良く見ると、手の甲に誠司と同じゲキチェンジャーを着けているのに気づいた。

 

 

「行くぜ!2人共!」

 

 

「おう!」

 

 

『たぎれ!ケモノの力!ビースト・オン!』

 

 

3人にゲキチェンジャーに次元圧縮で収納されていたゲキスーツが装着され、ゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「何!?」

 

 

「嘘!?」

 

 

誠司だけでなくラン達まで変身した事に、ナマケルダとラブリーは驚愕する。

 

 

「身体に漲る無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

「燃え立つ激気(げき)は正義の証!」

 

 

『獣拳戦隊ゲキレンジャー!』

 

 

今ここに、激獣拳ビーストアーツの若きトライアングル達が揃う。

 

 

「行くぜ!」

 

 

誠司の掛け声を合図に、3人はチョイアークとサイアークに立ち向かう。

 

 

「プリンセス!私達も!」

 

 

「うん!」

 

 

ラブリーと共に、プリンセスもサイアーク達に向かう。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゲキレッドはチョイアークの攻撃を避けながら、1体ずつ撃破していた。

 

 

その時、後ろからチョイアークが襲い掛かろうとしている事に気づき、迎え撃とうとする。

 

 

「はぁっ!」

 

 

ゲキレッドが動くよりも早く、右ストレートを繰り出してチョイアークを吹き飛ばす。

 

 

「大丈夫?誠司」

 

 

「サンキュー、ラブリー」

 

 

お礼を言うゲキレッドだったが、直ぐに別のチョイアークが襲い掛かる。

 

 

ゲキレッドは慌てる事無くチョイアークにパンチを食らわせ、ラブリーが入れ替わりでキックを放ち、吹き飛ばす。

 

 

チョイアークと戦っているゲキレッド達の傍に、プリンセス達がチョイアークを倒しながら近づいてくる。

 

 

「こいつら、弱いくせにどんだけいるのよ」

 

 

ゲキイエローはゲキトンファー・ロングバトンを駆使して戦い、ゲキブルーはゲキトンファーを使ってチョイアークを倒している。

 

 

「どうする?一気に片付けないと時間が掛かるわよ」

 

 

ゲキブルーの質問に、プリンセスがプリカードを構えながら答える。

 

 

「私がやる!早く倒して、まずはゆうこと友達になる!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

プリンセスは、プリチュンミラーにシャーベットバレーのプリカードをセットする。

 

 

「シャーベット・バレー!」

 

 

プリンセスの服装がチェリーフラメンコのようになり、それに伴い髪型も変化する。

 

 

「プリキュア!アラベスクシャワー!」

 

 

何処からかバレエのオーケストラ風の音楽が流れ、その曲に合わせプリンセスは優雅にバレエを舞う。

 

 

雪花状の光の粒を振り撒き、舞い終わると同時に命中したチョイアーク達が凍結する。

 

 

『ちょい~』

 

 

「そして誠司の言う通り、自分のペースでゆっくりと、友達100人作るんだから!」

 

 

プリンセスの活躍により、全てのチョイアークは倒された。

 

 

残っているのは、サイアークとナマケルダのみとなった。

 

 

「良し!今度は俺達が行くぞ!」

 

 

『了解!』

 

 

ゲキレッドの掛け声を合図に、ゲキイエローとゲキブルーがゲキレッドの前に出る。

 

 

『ゲキバズーカ!』

 

 

ゲキレッド達が召喚したのは、マスター・シャーフーがモデルになっているバズーカだ。

 

 

ゲキイエローとゲキブルーが左右から支えるのと同時に、バズーカに激気を注入する。

 

 

「何ですか!?あれは!?」

 

 

突如出てきた見た事ない武器に、ナマケルダは驚愕する。

 

 

激気の注入が完了し、発射体制に入る。

 

 

「ゲキワザ!激激砲(げきげきほう)!」

 

 

圧縮された激気が弾丸となり、サイアークに命中する。

 

 

サイアークはそのまま消滅し、鏡から先生が解放される。

 

 

「くっ...これが友情の力。いやいや、ただの偶然だぁ。私はまだ本気を出してないからぁ」

 

 

ナマケルダは空へと飛びあがり、ゲキレッド達に向かって叫ぶ。

 

 

「それでは、また会いましょうぞ!」

 

 

そう言い残すと、ナマケルダはテレポートを使い逃走する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

戦いを終えた誠司達は、変身を解いてひめと中野先生のやり取りを遠くから見ていた。

 

 

「大丈夫?」

 

 

「なんとか」

 

 

ひめの問い掛けに、中野先生はそう返す。

 

 

「ねぇ、先生」

 

 

「ん?」

 

 

「私、決めたよ!みんなに心を開いてアタックする。1人ずつ焦らずゆっくりとやってみるよ。だからさ、先生も勇気出して!こうして私と友達になれたんだからさ」

 

 

と、ひめは自分の決意を述べる。

 

 

「そうだね!先生も頑張るよ!」

 

 

「うん!」

 

 

2人のやり取りを見ていた誠司達だったが、リボンが急に声を上げた。

 

 

「あっ!ノリノリなヒップホップのパワー感じますわ!」

 

 

リボンはめぐみに鼻を差し出した。

 

 

「コショコショしてください」

 

 

「こしょこしょ」

 

 

めぐみがリボンの鼻をくすぐると、リボンは盛大なくしゃみをする。

 

 

「は、は、はっぴしょん!」

 

 

盛大なくしゃみと共に、4枚のプリカードが出現する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

学校を終え、誠司達は河川敷に移動していた。

 

 

そこでは、ひめがゆうこに話しかけようとしていた。

 

 

しかし、話しかけようとしているひめはガチガチに緊張してしまっていた。

 

 

「あっ...あっ...あのぉ...」

 

 

滅茶苦茶に緊張しているが大丈夫かと、誠司は心配しながら様子を見守っていた。

 

 

「はい」

 

 

「あ、あの、2度も飴をくれて美味しかったの。ありがとう」

 

 

周りをキョロキョロと見回し、挙動不審になりながらもゆうこに話しかける。

 

 

「喜んでもらえて嬉しいわ」

 

 

「ハヒッ...あ、あの、私、白雪ひめ!趣味はオシャレです!よかったら、お友達になってください」

 

 

ひめはしどろもどろになりながらも、ゆうこに手を差し出した。

 

 

ゆうこはひめの両手を、優しく包み込む。

 

 

「ひめちゃんね、大森ゆうこです。趣味はご飯を美味しく食べる事です。よろしく」

 

 

「ゆうこちゃん...じゃあ、ゆうこって呼ぶね!」

 

 

ゆうこはポケットからハニーキャンディを取り出し、ひめに差し出す。

 

 

「ねぇ、飴舐める?」

 

 

ゆうこに聞かれ、嬉しそうにひめは頷いた。

 

 

「うん!」

 

 

2人の様子を見守っていためぐみだったが、いきなり2人の所へ走り出す。

 

 

「あたしもなめるぅ~!」

 

 

そう言って、ひめの飴を横取りする。

 

 

ひめは驚き、ゆうこは笑っている。

 

 

「まったくあいつは...」

 

 

めぐみが水を差した事に、誠司は呆れる。

 

 

「でも、楽しそうじゃない」

 

 

ランの言う通り、ひめは飴を取られた事に怒ってはいるが何処か楽しそうだった。

 

 

「白雪さんも友達が出来て良かったね」

 

 

誠司達が3人のやり取りを笑いながら見ていると、後ろから誰かに話しかけられた。

 

 

「どうやら、無事終わったみたいだな」

 

 

「はぁ、ラン達がいるからまさかとは思ったけど、やっぱり残りの2人はお前達だったのか」

 

 

誠司はため息をつきながら、後ろに振り向いた。

 

 

「久し振りだな、誠司」

 

 

「よぉ、久し振り~」

 

 

「久し振りだな、ゴウ、ケン」

 

 

そこにいたのは、ゴウとケンの2人だった。




はい、如何だったでしょうか

今回、3人の変身と名乗りと全体の名乗りを入れました。

なんでゴウ達を入れなかったのは最初の全体の名乗りは初期メンバー3人でと決めていたからです。

次回ですが原作5話書いてからオールスターズ書くか先にオールスターズを書くか迷っています。

また原作の方ではそろそろ幻影帝国組みの視点を入れたいと思います。

どうにかしてサイアークを巨大化できないかなと

やっぱりスーパー戦隊といったら巨大ロボを出さなきゃと思います。

オールスターズではゲキトージャを出す予定です。

剛たちは置いていこうかな?

では次回お会いしましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 リボンの優しさ 幻影帝国の新たな力

どうもナツ・ドラグニルです

オリジナル展開を考えていたら思ったより時間を掛けてしまいました。

マジですいませんでしたぁぁぁぁぁ!!。

お気に入り入れてくれた19人の方(内1人は身内)大変お待たせいたしました。

今回、ゲキレンジャーに出てくるある二人を出します。

一人は味方。もう一人は敵として出します。

また、サブタイトルに書いている通り、今回原作にはない力をサイアークが持っています。

では作品をどうぞ


-誠司side-

 

 

 

俺は今日はラン達と一緒に、激獣拳の修業をしている。

 

 

ゴウ達と再会した後に知ったが、どうやらあいつらのこっちでの住居は、俺と同じマンションらしい。

 

 

なのでいつもの日課の修業は、ラン達と行っている。

 

 

今日は日曜日で、学校の時間を気にしなくていいからいつもより遅く始めている。

 

 

そのせいか、今日はいおなとは会わなかった。

 

 

誠司「そろそろ切り上げるか、もう昼頃だし」

 

 

俺は、みんなに修行を終わらせるよう促す。

 

 

ゴウ「もうそんな時間か」

 

 

ケン「確かに腹減ったな」

 

 

ラン「それじゃあ、帰りましょ」

 

 

俺達は帰る準備をしていると、後ろから声をかけられた

 

 

ゆうこ「誠司くーん!」

 

 

声がする方に向くと、遠くからゆうこが走りながら向かってきていた。

 

 

ゆうこ「今日も精が出ますね~」

 

 

誠司「ゆうこも頑張ってるなぁ」

 

 

ゆうこ「これも美味しいご飯を食べるためだもん」

 

 

ラン「えっ!?ゆうこちゃんご飯の為に走ってるの?」

 

 

ゆうこの言葉に、ランは驚いた。

 

 

誠司「わざわざお腹を空かせる為に走ってる奴なんて、お前以外に見た事ないぜ」

 

 

ゆうこ「空腹はお料理を美味しくする最高のスパイスなのですよ」

 

 

言葉の後、ゆうこはドヤ顔をする。

 

 

ゴウ「ご飯の為に、そこまでするなんて凄い奴だな」

 

 

ゆうこ「うふふ、ん、あれぇ?」

 

 

ゆうこは何かに気付き、誠司達の後ろを凝視する。

 

 

誠司「ん?どうかしたのか」

 

 

俺は気になり、後ろを振り向くとひめが凄い形相で走ってきていた。

 

 

誠司「うおっ!」

 

 

ひめ「ゆうこ~!!」

 

 

走ってくるなり、ひめはゆうこに抱き着いた。

 

 

ひめ「飴を~、飴をちょうだい!」

 

 

ひめはゆうこに、おねだりをしていた。

 

 

ゆうこ「ごめんね、今手持ちがないの」

 

 

ゆうこは申し訳なさそうに、答えていた。

 

 

ひめ「えー、そっかー・・・」

 

 

ゆうこの言葉に残念そうに、ショックを受けていた。

 

 

誠司「なんだよひめ、腹でも減ってんのか?」

 

 

ひめ「シャー!」

 

 

俺は呆れながら聞くと、ひめは威嚇してきた。

 

 

リン「余程お腹が空いてるのね」

 

 

ケン「どんだけだよ」

 

 

ひめの行動に、みんな呆れていた。

 

 

ゆうこ「よしよし、ひめちゃんはお腹ペコペコなんだね」

 

 

ゆうこが察すると、ひめの服を後ろから鷲掴みにする。

 

 

ひめ「え?」

 

 

ゆうこ「じゃあウチに来るといいよ、誠司君達も一緒にどう?」

 

 

ゆうこは俺達の聞いてきた。

 

 

誠司「俺達もいいのか?」

 

 

ゆうこ「うん!うちは構わないわよ」

 

 

ラン「本当!ゆうこちゃんありがとう!」

 

 

ゴウ「じゃあ、お言葉に甘えて俺達も食べさせてもらうか」

 

 

ゆうこの言葉に、ランは感謝する。

 

 

誠司「悪いが先に行っといてくれ、俺は少しやることがあるから」

 

 

ゆうこ「分かった、先に行ってるからすぐ来てね!」

 

 

ゆうこはひめをひきずりながら、ラン達を案内していた。

 

 

誠司「さてと、俺はめぐみに連絡いれるか」

 

 

俺はブルーにもらったスマホみたいな物、キュアラインを取りだし、めぐみに連絡を入れた。

 

 

 

 

-???side-

 

少し離れた所に、誠司の事を見ていた男がいた。

 

 

?「やっと見つけた、あいつらに力を借りればあいつの事を助けられるかもしれないな」

 

 

男は拳を握りしめ、何かを決意していた。

 

 

?「その為にはあいつらに接触しないとな」

 

 

そう言い、男は誠司に近づいて行った。

 

 

 

-幻影帝国side-

 

 

 

そこはファンシーな部屋で、クイーンミラージュは手下らしき女に手を揉ませていた。

 

 

クイーンミラージュ「いつになったら、あの街を最悪に染められるのかしら?」

 

 

クイーンミラージュは、ナマケルダに質問していた。

 

 

ナマケルダ「申し訳ございません。プリキュアだけでなく別の戦士が現れなかなか侵攻できずにいます」

 

 

?「ふん!情けないわね!あなたがそんな様子じゃ私が出てもいいのよ?」

 

 

ナマケルダを挑発してきたのは幹部の一人、『ホッシーワ』だった。

 

 

ナマケルダ「余計なお世話ですな。私一人で十分ですぞ」

 

 

クイーンミラージュ「まぁいいわ。あなただけじゃ不安だからこれからは彼女を一緒に同行させるわ」

 

 

クイーンミラージュの言葉の後、クイーンミラージュの後ろから一人の女性が現れた。

 

 

クイーンミラージュ「彼女は新しい仲間よ。あなた自己紹介なさい」

 

 

?「はい!私の名前はメレ、臨獣拳、臨獣カメレオン使いのメレだ」

 

 

クイーンミラージュの紹介の後、メレは自己紹介をした。

 

 

ナマケルダ「臨獣拳?」

 

 

メレ「お前が戦っていた、激獣拳に相対する拳技だ」

 

 

クイーンミラージュ「彼女の力を使えば、あなたの言う別の戦士を倒すことが出来るはずだわ、お願いね」

 

 

メレ「はい!クイーンミラージュ様の為に!」

 

 

クイーンミラージュの言葉に、メレは答えるがその眼は虚ろな目をしていた。

 

 

クイーンミラージュ「そうだわ、彼女の力を使って新しい力を作ったからあなた達に渡しておくわ」

 

 

そう言ってクイーンミラージュは、ナマケルダとホッシーワに力を渡す。

 

 

クイーンミラージュ「その力を使えばサイアークが面白いことになるわよ」

 

 

ナマケルダ「面白いことですか?」

 

 

クイーンミラージュ「そう。まぁ使えばわかるわ。それを使ってさらに最悪に染めてちょうだい」

 

 

ナマケルダ「はい!仰せのままに!」

 

 

 

 

 

-誠司side-

 

キュアラインの画面にめぐみが映る。

 

 

めぐみ『なんだ誠司か・・・』

 

 

誠司「なんだとはなんだよ~」

 

 

めぐみ『いや、実は・・・ひめが居なくなっちゃってさ』

 

 

めぐみに、ひめが出て行った経緯を聞いた。

 

 

誠司「なるほどな。だからひめはあんなにお腹が空いていたのか」

 

 

めぐみ『え?ひめと会ったの?』

 

 

誠司「ああ、さっきゆうこにあった時にな、今はおおもりご飯に行ったぞ」

 

 

めぐみ『え!ひめがおおもりご飯に!?』

 

 

誠司「そっちで何かあったと思って電話してみたが、正解だったみたいだな。」

 

 

-ゆうこside-

 

ひめちゃんはお弁当を次々と平らげていき、一気に食べて喉を詰まらせていた。

 

 

ゆうこ「ひめちゃん、ゆっくり食べてね」

 

 

私はひめちゃんに、お茶を渡す。

 

 

ひめ「ぷはー」

 

 

ゆうこ「どうかな? ウチのお弁当」

 

 

ひめ「最高だよぉ!」

 

 

ケン「確かにおいしいな」

 

 

ゴウ「ああ、いくらでも食べられるぜ!修行の後だから特にな」

 

 

ゆうこ「フフ、ありがとうございます」

 

 

ゆうこはおいしそうに食べるゴウとケンの様子を見て、嬉しそうにする。

 

 

ひめ「ゆうこは私の、命の恩人だよぉ!」

 

 

ゆうこ「そんな風に喜んでもらえると嬉しいわ!」

 

 

ゆうこは嬉しそうにするも、悲しい顔になった。

 

 

ゆうこ「でも、おうちの人は今頃きっと、悲しい思いをしてるんじゃないかな」

 

 

ひめ「え?」

 

 

私が悲しそうに言うと、ひめちゃんは少し驚いていた。

 

 

ゆうこ「折角ごはんを作ったのに、ひめちゃんに食べてもらえなかったんだから」

 

 

心当たりがあるのか、ひめは俯いていた。

 

 

ひめ「いいのよ!リボンが悪いんだから、私の気持ちなんか無視なんだもの~」

 

 

私はひめちゃんの言葉に呆気に取られたが、ひめちゃんに質問する。

 

 

ゆうこ「ひめちゃんはお料理のお手伝いをしたりするの?」

 

 

ひめ「するわけないでしょ。私は美味しく食べるのがお勤めなんだもの」

 

 

ゆうこ「そっか・・・あのさ、ひめちゃん」

 

 

ひめちゃんの言葉に少し困ったが、一つ提案をすることにした。

 

 

ゆうこ「お願いがあるんだけど、あとで少しウチのお店のお手伝いをしてくれない?実は今日、月に1度のハッピーモリモリデーだから忙しいの」

 

 

ひめ「勿論!ゆうこは私の命の恩人だもん!」

 

 

ラン「だったら私達も手伝うわ!」

 

 

リン「人手はあった方が良いと思うし」

 

 

私の提案にランちゃん達は、意図に気づいたのか手伝いを申し出てきた。

 

 

ゴウ「そうだな、俺達も料理じゃなくても、他の事を手伝えるかもしれないからな」

 

 

ケン「よし!いっちょやるか!」

 

 

ゆうこ「ありがとう!助かります」

 

 

 

-誠司side-

 

誠司「なるほどな、飯の事が切欠でねぇ」

 

 

めぐみに朝あった出来事を、説明してもらった。

 

 

めぐみ『だからね誠司、私が2人の為に頑張っちゃおうと思うの!仲直りは早ければ早いほどいいもんね!』

 

 

誠司「お前ちょっと強引すぎるぞ。ちゃんと2人の気持ちは考えたのか?」

 

 

俺はいつものめぐみの癖が出てきたので、注意する。

 

 

めぐみ『大丈夫だって。ねぇリボン、私と一緒にお迎えに行くよね』

 

 

リボン『嫌ですわ。誰があんなワガママひめなんか・・・』

 

 

画面の向こうから、リボンの断る声が聞こえた。

 

 

ブルー『リボン、君が誰よりもひめに愛情を注いで来た事を僕は知っている。その愛はきっと、ひめも分かってくれるはずさ』

 

 

意地になっているリボンに対し、ブルーが説得する。

 

 

リボン『し、仕方無いですわね。ひめが1人だと何をしでかすか分かりませんし』

 

 

ブルーの言葉に根負けしたのか、リボンは強気に了承する。

 

 

めぐみ『よし!そうと決まったら早速ひめに会いに行こう!』

 

 

誠司「だったら、俺もこの後おおもりご飯に行くからそっちで合流しようぜ」

 

 

めぐみ『うん!分かった』

 

 

その時、誠司の前に1人の男性が現れた。

 

 

誠司「!」

 

 

俺はその男に驚いた。

 

 

めぐみ『誠司?どうしたの?』

 

 

誠司「悪い。少し野暮用が出来たから、もしかしたら遅くなるかもしれない」

 

 

めぐみ『え?どうゆうこ 「ブチッ」』

 

 

俺はめぐみの通信を一方的に切った。

 

 

?「久しぶりだな、誠司」

 

 

誠司「どうしてお前がここに...」

 

 

俺の目の前にいたのは、臨獣殿の頭首だった男、『黒獅子理央』だった。

 

 

理央「お前達に力を貸して欲しいんだ」

 

 

誠司「お前が俺達に力を貸して欲しいだと?」

 

 

俺は理央が突然現れた事に驚いたが、理央の言葉にさらに驚いた。

 

 

理央「そうだ、メレを助ける為にな」

 

 

 

 

-ひめside-

 

ひめ「さぁて、命の恩人ゆうこへの恩返しタイムね」

 

 

私は料理を食べ終わり、ゆうこの手伝いをするため、ゆうこの元へ向かった。

 

 

ひめ「かっこいい」

 

 

調理場に向かうと、料理をしているゆうこのお父さんと、お弁当に具を盛っているゆうこのお母さん。

 

 

そして受付で対応している、ゆうこのお姉さんがいた。

 

 

ゆうこ「あら?ひめちゃんその格好、気合十分だね」

 

 

調理場の様子を見ていると、ジャガイモを持ったゆうことラン達がいた。

 

 

ひめ「私に任せといてよ」

 

 

ゆうこの言葉に、私はドヤ顔で答える。

 

 

ゆうこ父「そいつは頼もしいや」

 

 

ゆうこ母「よろしくね、ひめちゃん」

 

 

ひめ「は、はい。よろしくお願いします」

 

 

2人の言葉に、私は少し萎縮されてしまった。

 

 

私達はジャガイモを持って、調理場の裏に行き皮を剥いていた。

 

 

ひめ「ねぇ、ゆうこ。この皮むきっていつまでやればいいの?」

 

 

ゆうこ「ん?」

 

 

私はつまらなくなり、ゆうこに質問した。

 

 

ひめ「ほら、もっとさぁジャーとか、ジューとかカッコイイ仕事があるでしょ」

 

 

鍋を使うジェスチャーをしながら、ゆうこに説明した。

 

 

ゆうこ「お料理はね、下ごしらえが一番大切なんだよ。キッチンの前でお料理するのは最後の最後なんだから」

 

 

ひめ「じゃあ、後でやるのよね?」

 

 

ゆうこ「ううん、今日は1日、ジャガイモの皮むきだよ。ウチのコロッケは目玉商品だから、ジャガイモがたっくさん必要なの」

 

 

ゆうこはニッコリと笑う。

 

 

ラン「じゃあ頑張りますか!」

 

 

リン「うん!」

 

 

ひめ「へいよー」

 

 

ゆうこの言葉にラン達はやる気を見せるが、私は不満気に返事をする。

 

 

その時、ゆうこのお父さんがジャガイモのかごを持ってきた。

 

 

ゆうこ父「ゆうこ、これも頼むわ」

 

 

ゆうこ「はーい」

 

 

ひめ「え!まだこんなにー?」

 

 

ゆうこのお父さんがもってきたジャガイモに、ひめは驚く。

 

 

ゆうこ「一緒に頑張ろうね、ひめちゃん」

 

 

リン「みんなでやればすぐに終わるよ!」

 

 

ゆうこ達が励ましてくれるが、私はやる気が出なかった。

 

 

ひめ「はぁ...、料理って思ってたよりもずーっとめんどくさいね」

 

 

私は皮を剥いていたジャガイモを見るが、そこにはいびつで小さくなったジャガイモがあった。

 

 

ゆうこ「そう?私は美味しい物を食べるのと同じくらい、作るのも大好きだよ」

 

 

ひめ「え?」

 

 

私は驚いてゆうこの方を見ると、ゆうこが剥いたジャガイモは凄く綺麗に剥けていた。

 

 

ゆうこ「私はね、食べてくれる人達に少しでも幸せな気分になってほしいの」

 

 

ゆうこは続けて言う。

 

 

ゆうこ「多分、お料理する人達はみんな同じ気持ちなんじゃないかな?だからきっと、ひめちゃんのおうちの人も同じ気持ちだったと思うよ」

 

 

ひめ「そんなことないもん。リボンは私の事、何も分かってないもん」

 

 

ゆうこに言われてリボンの事を考えたが、私は認めようとしなかった。

 

 

ゆうこ「でも、そうでなきゃこんなに大変なことできないでしょ」

 

 

そう言いながらゆうこは私の手を取り、一緒にジャガイモの皮を剥く。

 

 

ゆうこ「お料理を作る時は誰だって、食べてくれる人のことを想っていると思うな」

 

 

剥き終わったジャガイモを、ボールに持っていく。

 

 

ひめ「リボンも・・・私の為に?」

 

 

リボンを思いながら、皮を剥いていくと今度は綺麗にむけた。

 

 

気づくとジャガイモはいびつな形ではなく、綺麗に剥け終わっていた。

 

 

ゆうこ「あ、ひめちゃん上手。ひめちゃんも誰かの事を考えてお料理したのね」

 

 

ひめ「えへへ」

 

 

ゆうこ「じゃあご褒美に、はい。大森ごはん特製仲良しコロッケ。揚げたてよ」

 

 

そう言って、ゆうこはコロッケを渡してきた。

 

 

ひめ「うわー」

 

 

私はさっそく一口食べる。

 

 

ひめ「美味しい」

 

 

ゆうこ「ねぇ、苦労して下ごしらえするのも悪くないものでしょ?あとでこれお土産に持たせてあげるね。ケンカしちゃったお家の人と食べるといいよ」

 

 

ひめ「じゃあ・・・そうしてみようかな」

 

 

ラン・リン「ふふっ」

 

 

ラン達は遠巻きながら、ひめ達を見て微笑んでいる。

 

 

ゆうこ「はい!ランちゃん達にもご褒美よ!」

 

 

ラン「ありがとう!」

 

 

リン「ありがとう」

 

 

めぐみ「ちょっとひめぇ」

 

 

いきなり声を掛けられ、横を見るとリボンを持っためぐみがいた。

 

 

ゆうこ「めぐみちゃん」

 

 

ひめ「何しにきたのよ!?」

 

 

めぐみ「迎えに来たんだってば。早く2人に仲直りしてほしいからさ。リボンだって、きっと許してくれるよ」

 

 

リボンを見ると、リボンもその気の様子に私は呆気にとられる。

 

 

ひめ「私は悪くないもん!」

 

 

仲直りしたかったが、私は意地になってしまいそう言ってしまった。

 

 

めぐみ「もう、そんなこと言わないで」

 

 

めぐみが説得しようとしたがその時、悲鳴が聞こえた。

 

 

ゆうこ「商店街の方よ」

 

 

悲鳴の方にゆうこは向かった。

 

 

-ランside-

 

 

 

向かってみると、弁当型のサイアークがチョイアークを連れ歩いていた。

 

 

『ナマケルダ!』

 

 

ひめちゃんとめぐみちゃんは、近くにいたナマケルダに気づいた。

 

 

ナマケルダ「サイアーク、どうやらあの弁当屋が不快な愛の香りの源の様ですぞ」

 

 

ナマケルダは、大森ご飯に指を差し命令する。

 

 

ゆうこ「お店にカビなんて生やさないで!」

 

 

サイアークの前に、ゆうこちゃんが立ちはだかった。

 

 

ナマケルダ「ほぉ。勇気のある少女ですぞ」

 

 

めぐみ「ゆうゆうが危ない!」

 

 

リボン「ひめ!」

 

 

ひめ「分かってる、話はあとよ!」

 

 

そう言ってめぐみちゃんとひめちゃんは、プリチュンミラーを取り出した。

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみ・ひめ「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

めぐみちゃん達は三枚のカードをセットし、プリキュアに変身する。

 

 

ラブリー「世界に広がるビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

プリンセス「天空に舞う蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

『ハピネス注入!幸せチャージ!ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

変身後、2人はゆうこちゃんの方へ向かった。

 

 

ゴウ「ラン!リン!」

 

 

その時、ゴウとケンが近づいてきた。

 

 

リン「兄さん!」

 

 

ケン「待たせたな!」

 

 

ゴウ「誠司はまだ来てないのか!」

 

 

ゴウは、誠司がまだ来てない事に対して文句を言う。

 

 

ゴウ「しょうがない、俺達もいくぞ!」

 

 

メレ「待ちな!カクシターズ!」

 

 

変身しようとするランたちの前に、メレが立ちはだかる。

 

 

ゴウ「メレ!」

 

 

ラン「何でここに!?」

 

 

メレは獣人態に姿を変え、名乗りあげる。

 

 

メレ「クイーンミラージュ様の愛の為に生き、クイーンミラージュ様の愛の為に戦うラブウォーリアー!臨獣カメレオン使いのメレ!」

 

 

ケン「何!?」

 

 

ラン「どうゆうこと!?」

 

 

リン「なんでメレが幻影帝国に!?」

 

 

メレ「そんなことはどうでもいい!あんた達の相手は私達だよ」

 

 

メレの合図で、複数のリンシーズが出てきた。

 

 

メレ「やれ!」

 

 

ゴウ「よく分からないが、取り敢えず戦うぞ!」

 

 

ラン「私とリンがメレと戦うから、ゴウさん達はリンシーの方をお願い!」

 

 

ケン「あいよ!」

 

 

ラン・リン「たぎれ!ケモノの力!」

 

 

ゴウ「響け!ケモノの叫び!」

 

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

『ビースト・オン!』

 

 

4人にゲキスーツが、瞬間的に装着される。

 

 

ゲキバイオレット「行くぞ!」

 

 

 

 

 

-ラブリーside-

 

ゆうゆうを逃がした後、チョイアークを蹴散らせた所に、サイアークが攻撃してきたがリボンのお陰で間一髪避けることができた。

 

 

ナマケルダ「サイアーク、2人のことは放っておいてまずは、あの愛を放つ弁当屋を壊すのですぞ~!」

 

 

ナマケルダがサイアークに命令するとスプーンを大森ご飯に攻撃を仕掛けようとしていた。

 

 

プリンセス「させないよ!プリンセスバリアー!」

 

 

ひめが先回りをして水色のバリアを張り、大森ご飯を守っていた。

 

 

ラブリー「私も!ラブリーシールド」

 

 

プリンセスに続き、私もピンク色のバリアを張った。

 

 

ナマケルダ「ふん、2人で止められるものですかねぇ?」

 

 

ナマケルダが私達に対して、余裕そうに挑発してくる。

 

 

リボン「私もいきますわ!ビックリーボンボン!」

 

 

リボンも私達と一緒に、バリアを張ってくれた。

 

 

ナマケルダ「まったく、どうして君達はそんなに頑張るのかね?」

 

 

ナマケルダが呆れながら私達に質問してくる。

 

 

ラブリー「あなたこそ、なんで大森ご飯を壊そうとするのよ?」

 

 

私はサイアークの攻撃に耐えながら、ナマケルダに聞く。

 

 

ナマケルダ「この店が愛を生み出すからですぞ~。誰かの為に料理を作るなんて、ホントに馬鹿げた努力をするからですぞ~。私はそれを壊してしまいたいのです」

 

 

プリンセス「馬鹿げた努力じゃない!」

 

 

ナマケルダの言葉に、プリンセスが叫んだ。

 

 

私とリボンは攻撃に耐えながら、プリンセスの方を見る。

 

 

プリンセス「私は知らなかった。料理を作る人達があんなに苦労して食べる人の幸せを願ってたなんて」

 

 

リボン「プリンセス・・・」

 

 

プリンセス「私ワガママだった!作る人の気持ちなんて、考えもしなかった!でも、今なら分かるの。その気持ちは食べる人を思う愛情だったんだって」

 

 

リボンはプリンセスの言葉に感動し、涙目だった。

 

 

プリンセス「だから!その愛をバカにしないで!」

 

 

プリンセスは言葉の後、サイアークを弾き飛ばした。

 

 

ラブリー「ナイス、プリンセス!」

 

 

ナマケルダ「な・・・生意気ですぞ~」

 

 

リボン「プリンセス、このプリカードを使うですわぁ!」

 

 

プリンセス「サンキューリボン!」

 

 

プリンセスは、リボンからプリカードを受け取る。

 

 

プリンセス「癒しの舞を見せてあげるわ!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

プリンセス「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!マカダミアフラダンス!」

 

 

プリンセス「プリキュア!ハワイアンアロハオエー」

 

 

ハワイアンな曲と共に、釣られて踊ってるチョイアーク。

 

 

投げキッスをし、一回転してフィニッシュ。

 

 

すると、チョイアーク漂白して天に召された。

 

 

ナマケルダ「なんとも心地よいメロディですぞ~。 ハッ、いかん!」

 

 

ナマケルダはウットリとしていたが、すぐに正気に戻る。

 

 

プリンセス「今よ!ラブリー!」

 

 

プリンセスの言葉に、私は我に返る。

 

 

ラブリー「オッケー!」

 

 

私は、腕のラブプリブレスを回した。

 

 

ラブリー「プリキュア!ピンキーラブシュート!」

 

 

私の必殺技がサイアークに命中し、砂塵で見えなくなった。

 

 

ナマケルダ「バカな!?なぜプリキュアにこうも簡単に倒される!?クイーンミラージュ様に強化されたのではないのですか!?」

 

 

サイアークが倒された事に、ナマケルダが驚愕している。

 

 

リボン「おかしいですわ!サイアークが倒されたのに鏡に取り込まれた人が解放されませんわ!」

 

 

リボンの言葉通り、鏡に取り込まれた人はそのままだった。

 

 

プリンセス「どうゆうこと?」

 

 

ドッカーン!!

 

 

ゴウ・ケン「うわーっ!!」

 

 

爆発の後、ゴウとケンが吹っ飛ばされてきて変身が解除された。

 

 

ラブリー「ゴウさん、ケンさん!」

 

 

飛ばされてきたゴウさん達に私達は駆け寄る。

 

 

プリンセス「大丈夫ですか!?」

 

 

ゴウ「ああ、大丈夫だ」

 

 

ケン「あいつ、前に戦った時よりも強くなってやがる!」

 

 

ゴウさん達が飛ばされた方を見ると、ランちゃん達が一人の女性型の怪人と戦っていたが苦戦していた。

 

 

プリンセス「嘘でしょ!?ゴウさん達でも苦戦する相手ってあいつ何者なの!?」

 

 

ゴウ「あ、あいつは俺達が敵対していた組織、臨獣殿の幹部の一人、臨獣カメレオン拳使いのメレだ!」

 

 

ラブリー「なんで剛さん達の世界の敵がここに?」

 

ケン「分からない、だが幻影帝国の仲間なのは確かだ!」

 

 

ラン達と戦っていたメレという怪人が、私達の状況に気づくと戦いの手を止め、ナマケルダに近づいた。

 

 

メレ「大きな口を叩いていた割に、もう倒されたのかい?」

 

 

ナマケルダ「どうゆうことですか!?クイーンミラージュ様の力があれば強くなるんじゃないんですか!?」

 

 

ナマケルダがメレに対して、文句を言っている

 

 

メレ「サイアーク事態は強化されていない、その代わりに別の事が出来るようにしてあるだけだ」

 

ナマケルダ「別の事ですと?」

 

 

メレ「そうよ。ほら、もう始まったわよ」

 

 

メレは、倒したサイアークの方に注目した。

 

 

私達もサイアークの方を見ると、砂塵が晴れてそこには倒された筈のサイアークが立っていた。

 

 

プリンセス「なんで!?ラブリーが倒した筈なのに!?」

 

 

その時、いきなりサイアークが光りだす。

 

 

サイアーク「サ、サイアーク!」

 

 

叫びと共に、いきなりサイアークは巨大化した。

 

 

ラブリー・プリンセス「えーーーーっ!?」

 

 

サイアークが巨大化したことに。私達は驚愕する。

 

 

ナマケルダ「こ、これは!?」

 

 

ゴウ「おい!まさかあれって!」

 

 

メレ「あれは臨技。邪身豪天変(じゃしんごうてんへん)の力を使ってサイアークを巨大化させたのさ」

 

 

プリンセス「嘘でしょ!?」

 

 

ケン「面倒くさいことしやがって!!」

 

 

ナマケルダ「クイーンミラージュ様が言っていた面白い事とは、このことだったのですな!よしサイアーク!そのままその店を破壊しなさい!」

 

 

ナマケルダがサイアークに命令する。

 

 

ゴウ「まずい!このままだと、大森ご飯が壊されるぞ!」

 

 

ゴウさんの言葉に、私達はあせった。

 

 

ナマケルダ「やれ!サイアーク!」

 

 

サイアークがナマケルダの指示を受け、大森ご飯を破壊しようとする。

 

 

ラブリー「だめぇーーー!!」

 

 

サイアークが大森ご飯を壊そうとした、次の瞬間!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガアッーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

サイアーク「さ、サイアーク!」

 

 

巨大な赤い虎が、サイアークを襲った。

 

 

ラブリー「何あれ!?」

 

 

プリンセス「デカっ!!」

 

 

ゲキブルー「ゲキタイガー!!」

 

 

ゲキイエロー「ゲキタイガーがいるってことは!?」

 

 

ゲキレッド「悪い!待たせたな!」

 

 

ゲキタイガーの出現に驚いていると、ゲキレッドへと変身した誠司が後ろから現れた。

 

 

『誠司!』

 

 

ケン「お前、今までなにやってたんだよ!!」

 

 

ゲキレッド「悪い、こいつの話を聞いてて遅れちまった」

 

 

その時、誠司の後ろから現れたのはコートを羽織った一人の男性だった。

 

 

ケン「なっ!?」

 

 

ゴウ「理央!」

 

 

プリンセス「誰!?」

 

 

ゴウ「こいつは臨獣殿の頭主、黒獅子理央だ」

 

 

ラブリー「え!?てことはメレと同じ敵ってこと!?」

 

 

ゴウさんの言葉に、私とプリンセスは構えた。

 

 

理央「安心しろ、俺はお前達と戦うつもりはない」

 

 

ラブリー「え!?」

 

 

そう言って、理央さんはメレの方に顔を向けた。

 

 

理央「やっと見つけたぞ!メレ!」

 

 

メレ「なんでお前がここにいる!?」

 

 

理央さんに対して、メレは驚いていた。

 

 

ゲキイエロー「え!?嘘でしょ!?あの理央一筋のメレが、理央に対してあんな態度をとるなんて!?」

 

 

ゲキレッド「悪いがその話は後だ、取り敢えずなんでサイアークが巨大化してるんだ?」

 

 

理央「恐らく、邪心豪天変の力を使って巨大化させたんだろ」

 

 

ゲキレッド「しょうがない、ラン!リン!アレやるぞ」

 

 

ゲキイエロー「アレね!了解!」

 

 

ゲキブルー「分かった!」

 

 

ラブリー「何?アレって?」

 

 

プリンセス「何をするの?」

 

 

私達の言葉の後、ランちゃん達が気を纏い始めた。

 

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

 

イエロー「ゲキチーター!」

 

 

ブルー「ゲキジャガー!」

 

 

技を発動した後、巨大な黄色のチーターと青いジャガーが現れた。

 

 

ラブリー「すごーーい!」

 

 

プリンセス「カッコいい!!」

 

 

その姿に、私達は興奮した。

 

 

ゲキレッド「言っとくが、凄いのはこっからだぞ」

 

 

ラブリー「まだなにかあるの?」

 

 

ゲキブルー「取って置きのがね」

 

 

ゲキイエロー「驚くわよ」

 

 

 

言葉の後、誠司達が並びその後ろにゲキタイガー達が並ぶ。

 

 

ゲキレッド「行くぜ!獣拳合体!」

 

 

誠司の言葉の後、ゲキタイガーが二足歩行になり、後ろ脚が折り畳まれる。

 

 

ゲキチーターが、前脚と後ろ脚を収納し、首を90度曲げ脚になった。

 

 

ゲキジャガーも脚を収納し、首90度曲げ脚になる。

 

 

ゲキタイガーの右足にゲキチーターが、左足にゲキジャガーが合体し、一つの巨大ロボになった。

 

 

『ゲキトージャ!バーニングアップ!』

 

 

ナマケルダ「な、何!?」

 

 

ラブリー・プリンセス「超カッコいい!!」

 

 

リボン「凄いですわ!」

 

 

ゲキレッド「いくぞ!」

 

 

ゲキトージャがサイアークに突っ込む。

 

 

『ふっ!はっ!』

 

 

ゲキトージャがサイアークに右パンチを繰り出し、怯んだ所を後ろ回し蹴りで攻撃を与える。

 

 

ゲキレッド「一気にいくぞ!」

 

 

3人「ゲキワザ・大頑頑拳(だいがんがんけん)!」

 

 

ゲキトージャの上半身が回転させながら、サイアークに突進し連続パンチを繰り出す。

 

 

サイアーク「サイアーク!」

 

 

ドッカーン!!

 

 

サイアークが自分の名前を叫んだ後、爆発し倒された。

 

 

ゲキレッド「獣拳は正義の拳!」

 

 

ゲキイエロー「正しき者は!」

 

 

ゲキブルー「必ず勝つ!」

 

 

『ゲキトージャ!WIN』

 

 

メレ「チッ!やはり元が弱ければすぐに倒されるか、まぁいい今回は引かせてもらう!」

 

 

理央「待て!」

 

 

理央さんはメレを追いかけようとしたが、直ぐに逃げられてしまった。

 

 

ナマケルダだけが残っていたので、私達は対峙する。

 

 

ナマケルダ「料理に注ぐ愛情など私には必要ないですぞ~!」

 

 

言葉の後、テレポートして消えてしまった。

 

 

 

-誠司side-

 

戦いが終わった後、めぐみ達にリオの事を説明する。

 

 

誠司「さっきのメレの態度を見れば、様子がおかしいと思うかもしれないが、どうやらメレは幻影帝国に操られているらしい」

 

 

ラン「メレが操られている!?」

 

 

理央「そうだ、何者かは知らないがメレを操っている奴がいるらしい、俺はそいつを倒してメレを取り戻す!だからお前達の力を貸してほしい」

 

 

理央は自身の意思を告げると、俺達に頼み込んできた。

 

 

誠司「そうゆう訳だから、俺は理央の力になろうと思う」

 

 

ゴウ「なるほどな、それならあの態度も頷けるな」

 

 

ラン「だったら、私達でメレを取り戻しましょう!」

 

 

リン「そうね!みんなで力を合わせたら必ず取り戻せるわ!」

 

 

理央「助かる」

 

 

ラン達の言葉に、リオは感謝の言葉を告げる。

 

 

めぐみ「それよりも!さっきの超巨大ロボは何!?」

 

 

ひめ「そうだよ!あんなの聞いてないよ!」

 

 

話が終わった後、めぐみ達がゲキトージャについて聞いてきた。

 

 

誠司「悪い悪い、まさか出番があるとは思わなかったから言わなかったんだよ」

 

 

ラン「あれは私達の内なるケモノをゲキの塊、ゲキビーストとして召喚し合体させたのよ」

 

 

めぐみ「内なるケモノって事は、剛さん達も出せるんですか?」

 

 

ゴウ「おう!出せるぜ!」

 

 

リン「兄さんの場合、自分のだけじゃなく私のゲキジャガーと誠司のゲキタイガーも出せるのよ」

 

 

ひめ「すごーい!」

 

 

ケン「俺の場合は獣拳の神、獣拳神サイダインを召喚して戦うんだよ」

 

 

めぐみ「獣拳の神!?なんか凄そう!!」

 

 

俺達の説明に、めぐみ達は興奮している。

 

 

誠司「凄いけど、俺達の場合はデメリットもあるけどな」

 

 

ひめ「デメリットなんかあるの?」

 

 

誠司「ゲキトージャは俺達の動きを反映させているから、三人の息が合わないと能力が低下したり、合体する前に受けたダメージなんかは共有しちゃうんだよ」

 

 

めぐみ「でもゲキトージャがいれば、巨大サイアークなんかすぐ倒せるよね!」

 

 

ひめ「そうだね!」

 

 

誠司「とりあえず、巨大サイアークや理央の事は、ブルーにも話しといてくれ」

 

 

俺は、ひめ達に説明しておくように頼んだ。

 

 

ひめ「分かった」

 

 

リボン「お任せ下さいですわ」

 

 

 

俺達はその後大森ご飯の前に来ていた。

 

 

めぐみ「あー!今日も大森ご飯はお客さんでいーっぱいだね!」

 

 

その時俺達に気づいたのか、ゆうこが手を振ってきたので俺達は振り替えした。

 

 

ひめ「ごめんねリボン。私、ワガママだった」

 

 

ひめは反省しているようで、リボンに謝っていた。

 

 

ひめ「これお詫びのしるし。とーっても美味しいから食べてみて」

 

 

ひめがリボンに差し出したのは、大森ご飯特製コロッケだった。

 

 

リボン「ひめ・・・」

 

 

嬉しそうに受け取って一口食べるリボン。

 

 

リボン「本当、美味しいですわ」

 

 

めぐみ「2人が仲直りできてよかった!」

 

 

誠司「そうだな、これもゆうこのお陰だな」

 

 

俺は先程、ラン達に大森ご飯であったことを聞いた。

 

 

リボン「はっ!」

 

 

リボンがいきなり叫んだ。

 

 

リボン「めぐみ、持っててください」

 

 

リボンは持っていたコロッケを、めぐみに預ける。

 

 

リボン「これは!キュートなさくらんぼのパワーを感じますわ」

 

 

そう言ってコショコショすると、2枚のプリカードが出てきた。

 

 

ひめ「さ、帰ろう。お腹空いちゃった」

 

 

リボン「そうですねぇ。でしたら今日の夕飯は・・・」

 

 

ひめ「パンケーキ!」

 

 

リボンが夕食のメニューを考えていると、ひめが横から口を挟む。

 

 

リボン「あ、またひめったら、まだそんなワガママを」

 

 

リボンはひめがわがままを言った事に、驚き困っていた。

 

 

ひめ「ワガママじゃないよ、リクエストだよ。」

 

 

リボン「ひめの体のためにNGですわ!」

 

 

ひめは反論したが、リボンがすぐに拒否をした。

 

 

ひめ「なにをー!」

 

 

リボン「なんですの!」

 

 

2人は対立していた。

 

 

誠司「まったく、料理を作ってくれるありがたみを知ったのに、ひめは相変わらずという事だな」

 

 

ゴウ「そうだな」

 

 

ひめ達のやり取りを見て、俺達は呆れていた。

 

 

めぐみ「ケンカするほど仲が良いってこの事だね」

 

 

ひめ「リボンはもう少し私に優しくしてもいいと思うわっ!」

 

 

リボン「ひめこそ!少しは私の言うこと聞いてほしいですわぁ!」

 

 

ひめとリボンはまだ対立したいた。

 

 

めぐみ「まあまあ、2人とも落ち着いて」

 

 

誠司「あいつらはほっといて、俺達は帰ろうぜ」

 

 

ゴウ「そうだな。腹減ったし」

 

 

ケン「そういえば理央の奴は?」

 

 

誠司「気づいたらいなくなってた」

 

 

ケン「自由な奴だな」

 

 

誠司「そんなことはいいから、早く帰ろうぜ腹減っちまった」

 

 

ラン「そうだね」

 

 

俺達はひめ達を置いて帰路についた。

 

 

帰るとき、まだひめ達はまだ言い合いをしていた。

 

 




はい!如何だったでしょうか。

オリジナル展開を考えていたら思ったより文字数が増えてしまいました。

前書きに言っていた二人とはリオとメレのことでした。

サイアークを巨大化させるのに迷っていましたがこの展開が一番しっくりしたので書きました。

なので今回やっとゲキトージャが出せました。

とりあえず次回はオールスターズを書きたいと思います。

たぶん上、中、下で分けると思いますのでお楽しみに

では次回でお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

プリキュアオールスターズ New Stage3
永遠の友達 プリキュア達とスーパー戦隊の会遇


どうもみなさん!ナツ・ドラグニルです。

なんと今回!お気に入りが20件を超えUAが2000を超えました!

これだけの人に見ていただいていると思うとうれしいです。

前回の後書きの通り、今回はオールスターズを書きます。

また、前回の投稿を思い出してひとつ思いました。

肝心の戦闘描写入れるの忘れてた!!

読んで頂いている皆様本当に申し訳ありません!!

てことで今回からまた戦闘描写を入れていきます。

感想を送っていただいたユッキーさんありがとうございました。
この調子で完結できるように頑張っていきます。


今回、剛とケンは出しません!

なぜなら今回はある奴を出したいからです。

ある奴は剛がいると邪魔になるので今回剛達はお休みで初期のメンバーで書いていきます。

ヒントはリオです。

では作品をどうぞ


そこは何処か、神聖なる場所だった。

 

 

そこには大きな建物があり、たくさんの妖精がいた。

 

 

ここは妖精学校。

 

 

プリキュアをサポートする為の勉強をするため、妖精が通う学校である。

 

 

そこではたくさんの妖精がプリキュアに関して勉強している。

 

 

その中でも一番頑張っている、妖精が2体いる。

 

 

その妖精の名は『グレル』と『エンエン』。

 

 

現在はその頑張りが認められ、先生に呼び出しを受けていた。

 

 

先生「2人とも、近頃は良く頑張っていますね」

 

 

グレル「まあな!なんたって俺達の夢は、プリキュアの妖精になることだから!なっ!」

 

 

グレルは横にいたエンエンに、同意を求める。

 

 

先生「頼もしいですね、実は君達に頼みたいことがあります」

 

 

先生はグレル達に、ある頼み事をする。

 

 

先生「実は最近、新しいプリキュアが誕生しました!その名も...ハピネスチャージ!プリキュア!」

 

 

『ハピネスチャージプリキュア!?』

 

 

聞き覚えのないプリキュアの名前に、グレルとエンエンは同時に頭を傾げる。

 

 

先生「分かっているのは名前だけ!そこで君達2人でこの教科書の為に、新しいプリキュアの事を調べてきて欲しいのです」

 

 

話の後、先生は一つの教科書を取り出す。

 

 

それはプリキュア教科書と言い、プリキュアに関して記されている教科書である。

 

 

エンエン「え!?」

 

 

グレル「お…俺達が!?」

 

 

エンエン「そんな重大な事を!?」

 

 

先生「頑張り屋の君達を見込んでの事です。それのプリキュアのそばにいれば、学校では学べないこともいろいろと学べるでしょう!行ってくれますか?」

 

 

グレル・エンエン「うわぁー!いってきまーす!」

 

 

先生の言葉を聞くと、嬉しそうに了承する。

 

 

 

場所は変わり、荒野のようなところである。

 

 

そこで1人の女の子が、一生懸命走っている。

 

 

女の子「ハァハァ!誰か助けて!」

 

 

?「ハッハッハッ!」

 

 

女の子の後ろから。大きいクマのぬいぐるみみたいのが追いかけていた。

 

 

女の子「あっ!」

 

 

女の子は段差に躓いて、転んでしまった。

 

 

?「あーくむー!」

 

 

大きなクマは女の子に向かって襲い掛かる。

 

 

女の子「きゃあー!」

 

 

大きなクマは襲いかかろうとしたが、どこかに吸い込まれようとしていた。

 

 

?「あくっ?ムエピエー!」

 

 

大きいクマを吸い込もうとしていたのは、1体の妖精だった。

 

 

妖精は掃除機を使い、大きいクマを吸い込んだ。

 

 

女の子「ああっ」

 

 

その妖精は、女の子の前までやってきた。

 

 

?「大丈夫?」

 

 

声と共に妖精の後ろから、小さい妖精が現れた。

 

 

?「悪い夢をみたね、でももう大丈夫!悪夢はぼくのお母さんがたべちゃったから!」

 

 

女の子「あなたは?」

 

 

?「うう...僕は『ユメタ』!ようこそ夢の世界へ!」

 

ユメタの言葉の後、荒野だった場所が一瞬にして一面お花畑に変わった。

 

 

女の子「あっ!うわぁー!」

 

 

お花畑に変わったことに、女の子は喜んでいる。

 

 

女の子「え?」

 

 

女の子の周りに、シャボン玉に入ったお菓子やおもちゃが出てきた。

 

 

ユメタ「君へのプレゼントだよ!全部あげる!」

 

 

女の子「本当?」

 

 

ユメタ「ねぇ僕と友達になってくれる?」

 

 

女の子「うん!遊ぼう!ユメタ!」

 

 

女の子はユメタの手を取り、遊び始める。

 

 

ユメタ母「あそびなさい、楽しい夢の中で永遠に…」

 

 

-グレルside-

 

俺達はハピネスチャージプリキュアの情報を得る為、以前知り合ったプリキュア『ドキドキプリキュア』のみんなに会いに来た。

 

 

グレル「ここがソリティアか」

 

 

エンエン「うん!ドキドキプリキュアのみんなが集まる所だね!みんな僕たちのこと覚えてるかな?」

 

 

エンエンは、不安そうに聞いてきた。

 

 

グレル「覚えてるに決まってんだろ!だって友達じゃないか!」

 

 

エンエン「でも...」

 

扉の前で話していると、急に扉が開いた。

 

 

グレル・エンエン「うぃっ!」

 

 

扉を開けて出てきたのは、アイちゃんだった。

 

 

アイちゃん「ああ...」

 

 

グレル・エンエン「ああ...」

 

 

アイちゃん「こんにちは」

 

グレル・エンエン「こんにちは~」

 

 

アイちゃんの可愛さで、俺達はメロメロだ。

 

 

?「こんにちは妖精さん!なにかご用ですか?」

 

 

アイちゃんの後ろから、1人の女の子が話しかけてきた。

 

 

マナ「妖精?」

 

 

二階の吹き抜けから、マナ達が顔を出した。

 

 

マナ「ああっ!グレルだ!」

 

 

六花「エンエン久しぶり!」

 

 

あぐり「うん?」

 

 

グレル「はは!」

 

 

エンエン「えへへ!」

 

 

俺達はうれしくなり、お互いに微笑みあう。

 

 

マナ「ハピネスチャージプリキュア?」

 

 

グレル「ああ、最近生まれた新しいプリキュアだ」

 

 

マナ「私達の後輩か~」

 

 

六花「えへへ」

 

 

真琴「どんな子達なの?」

 

 

グレル「俺達もそれを調べに来たんだ」

 

 

エンエン「でもどこにいるか分からなくて...」

 

 

シャルル「新しいプリキュアの妖精、リボンなら知ってるシャル」

 

 

シャルルが、新しい妖精の事を教えてくれた。

 

 

グレル「ほんとか!」

 

 

エンエン「連絡とってもらえるかな?」

 

 

シャルル「任せるシャル!」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、リボンと待ち合わせをした所に来ている。

 

 

マナ「ああ~!早く会いたいな~!楽しみすぎて胸のキュンキュンが止まらないよ!」

 

 

そういってエンエンを抱いている手に力が入り、エンエンが奇声をあげているが、マナはその事に気がついていない。

 

 

シャルル「そういえばリボンが言ってたシャル!プリキュアよりも凄い戦士がいるから紹介したいって」

 

 

立花「プリキュアよりも凄い戦士?」

 

 

ありす「そんな方達もいらっしゃるのですか?」

 

 

マナ「プリキュアよりも凄い戦士!?なにそれ!?」

 

 

シャルルの言葉に、マナはさらにテンションがあがっている。

 

 

シャルル「たしか『スーパー戦隊』って言ってシャル」

 

 

『スーパー戦隊?』

 

 

シャルル「なんでも、こことは別の世界の戦士見たいシャル」

 

 

真琴「なんで別の世界の戦士が、この世界にいるの?」

 

 

シャルル「プリキュアの1人の幼馴染がその世界に飛ばされ、スーパー戦隊として戦ってたからって言ってたシャル」

 

 

マナ「凄ーい!新しいプリキュアだけでも楽しみなのに、別の世界の戦士もいるなんて、さらにキュンキュンが止まらないよ!」

 

 

テンションがあがっているが、腕の中のエンエンはえらい事になっている。

 

 

ありす「でも少し遅いですわね」

 

 

真琴「約束の時間は過ぎたけど...」

 

 

その時、近くのテレビに流れてるニュースが聞こえてきた。

 

 

アナウンサー「次は子供たちに広がる、謎の現象についてです」

 

 

マナ達「うん?」

 

 

アナウンサー「数日前から、幼い子供たちが眠ったまま目覚めないという、不思議な現象が起きています」

 

 

テレビでは病院の様子が映し出された。

 

 

アナウンサー「病院で調べても異常はなく、原因は不明との事です。眠り続ける子供たちは日を追って増えています」

 

 

立花「子供達が眠り続ける?」

 

 

その時、1人の男性がマナ達に話しかけてきた。

 

 

誠司「お前達がドキドキプリキュアか?」

 

 

真琴「なんで私達の事を知ってるの?」

 

 

男性に対してマナたちは構える。

 

 

誠司「安心しろ。俺はリボンに頼まれてお前達を迎えにきたんだ。時間に遅れて悪かったな」

 

マナ「もしかして!スーパー戦隊の人!」

 

 

誠司「悪いがその話はあとだ。実はトラブルがあってな」

 

 

マナ「トラブル?」

 

 

誠司「とりあえずプリキュアのところに案内する、着いてきてくれ」

 

 

私達は男性の案内の元、新しいプリキュアのところに案内された。

 

 

 

-誠司side-

 

俺はリボンの頼みで、ドキドキプリキュアの人たちを大使館に案内した。

 

 

ひめ「めぐみ~起きて!めぐみ~」

 

 

ひめはめぐみのほっぺをつねって起こそうとしたが、まったく起きなかった。

 

 

その時ひめがペンを持って、落書きしようとしていた。

 

 

誠司「お前はこんな時に何しようとしてんだ」

 

 

俺は止めるため、ひめに拳骨を落とした。

 

 

ひめ「いったーい!」

 

 

ラン「大丈夫?ひめちゃん」

 

 

リン「でもいまのは自業自得だよ」

 

 

誠司「たくっ、それで見ての通り、うちのめぐみがソファでうたた寝したまま起きなくなってな」

 

 

エンエン「この2人が新しいプリキュア?」

 

 

ひめ「あっ!どうも...」

 

 

ひめは他の人に気づいて、ソファの後ろに隠れる。

 

 

マナ「ああ...ねぇ、これってニュースで言ってたのと同じじゃない?」

 

 

ひめ「えっ?」

 

 

亜久里「今、多くの子供達が目覚めないという不思議な現象が起こっているのです」

 

 

ひめ「ええっ!?めぐみこのまま起きないの!?」

 

 

女の子の言葉にひめは驚いている。

 

 

ラン「でも目覚めないのは私達よりも幼い子供よね?なんでめぐみちゃんも起きなくなったんだろう?」

 

 

リン「そうよね」

 

 

誠司「ようするに、めぐみの精神年齢が目覚めない子供たちと一緒って事だろ」

 

 

ラン・リン・ひめ「あ~なるほど!」

 

 

マナたち「ハハハ...」

 

 

俺の言葉にひめ達は納得し、ドキプリ勢は苦笑していた。

 

 

ブルー「ちょっと待って」

 

 

その時、ブルーが現れめぐみの頭に手をのせた。

 

 

ブルー「あ...かすかに妖精の力を感じる」

 

 

マナ「妖精の?」

 

 

ブルー「みんな、めぐみの夢の中に入って調べてきてくれないか?」

 

ありす「そんなことができるのですか?」

 

 

リボン「こちらのブルー様は地球の神様であらせられますわ。それくらいお茶の子さいさいですわ」

 

 

ブルー「ではいくよ!」

 

 

ブルーは集中する。

 

 

ブルー「んっ!鏡よ鏡 みんなを夢の中へ」

 

 

すると部屋全体が青く光った。

 

 

俺達は、気づくと空に放り出されていた。

 

 

ゲキレンジャー組みは無事着地できたが、プリキュア組みは着地できず積み重なっていた。

 

 

マナたち「ううっ」

 

 

その時、空からブルーの声が聞こえた。

 

 

ブルー『めぐみや子供たちに何が起こっているのか見てきておくれ』

 

 

ひめ「もう!神様いきなりすぎるわ!」

 

いきなり放り込まれた事に、ひめはブルーにたいして文句を言っていた。

 

 

誠司「ほら、大丈夫か?」

 

 

俺はひめに手を伸ばす。

 

 

ひめ「う、うんありがとう」

 

マナ「ここは?」

 

 

周りを見渡してみると、空に魚がたくさん泳いでいた。

 

 

マナたち「うわー!」

 

 

その光景にプリキュア組みは驚いていた。

 

 

真琴「亀が空を飛んでいる!」

 

 

言葉の通り亀が空を飛んでおり、その背中には子供達が乗っていた。

 

 

亜久里「おいしそうなスイーツ!ではなくて雲に乗っています」

 

 

他にも雲に乗りながらお菓子を食べている女の子や、雲に乗って遊んでいる子供達がいた。

 

 

ありす「まあ!なんて素敵な世界ですの!」

 

 

マナ「ヤッホー!気持ちいいー!」

 

 

立花「ちょっと!マナー!」

 

 

めぐみ「アハハ!」

 

 

その時めぐみの声が聞こえた。

 

 

めぐみ「フフッはいどー!はいどー!フフフッ」

 

 

誠司達は、上空で空飛ぶフグに乗っているめぐみを見つけた。

 

 

ひめ「いた!おーい!めぐみー!」

 

 

誠司「めぐみー!すぐにおりてこい!」

 

 

俺達の声に、めぐみは気づいたようだ。

 

 

めぐみ「あれ?ひめと誠司じゃん!やっほー!おっ!?」

 

 

ひめたち「あっ!」

 

 

めぐみ「うわぁー」

 

 

めぐみはフグからすべり落ちてしまった。

 

 

誠司「あの馬鹿!ゲキワザ!来来獣!ゲキタイガー!」

 

 

俺は落ちてくるめぐみを助ける為に、ゲキタイガーを召喚する。

 

 

ガァッーーーーー!

 

 

六花「何あれ!?」

 

 

ゲキタイガーはめぐみを受け止め地面に着地すると俺目掛けてめぐみを放り投げる。

 

 

めぐみ「きゃーーー!」

 

 

誠司「よっと!」

 

 

俺は飛ばされためぐみを、お姫様抱っこで受け止めた。

 

 

めぐみ「え?あっ!誠司!」

 

 

誠司「危ないだろ、気をつけろ」

 

 

俺はめぐみに注意すると、泣きながら抱きついてきた。

 

 

めぐみ「うわーん!凄く怖かったよ~!」

 

 

誠司「たくっ、ありがとなゲキタイガー!」

 

 

ガァッーーーー!

 

 

ゲキタイガーは俺が感謝すると、大きく吼えた。

 

俺はめぐみを降ろすと、相田が雲から降りてきた。

 

 

マナ「大丈夫?」

 

 

誠司「ああ、なんとかな」

 

 

マナ「よかった!」

 

 

ひめ「もうめぐみ!なにのんきに遊んでるのよ!」

 

 

遊んでいためぐみに対してひめは注意する。

 

 

めぐみ「だって!ここすっごく楽しいんだもん!そこらのお菓子も食べ放題なんだよ!」

 

ひめ「マジ!うわぁ夢見たい!」

 

 

誠司「だから夢だっつーの」

 

 

立花「それより、その大きな虎は何?」

 

 

菱川がゲキタイガーに対して質問してくる。

 

 

誠司「こいつは俺達が使う激獣拳の力で出した、俺のゲキビーストだ」

 

 

ありす「激獣拳?ゲキビースト?」

 

 

誠司「まぁスーパー戦隊の力って思えば良いよ」

 

 

マナ「すごーい!スーパー戦隊ってそんな事が出来るんだ!」

 

 

その時近くで女の子が鬼ごっこをしていた。

 

 

女の子「ユメタつーかまえた!じゃあ次はユメタが鬼ね!」

 

 

ユメタ「うん!」

 

 

女の子「うふふ」

 

 

ユメタ「いーち、にー」

 

 

エンエン「ねぇ、グレル!」

 

 

グレル「ん?何だ?」

 

 

エンエン「あそこにいるのユメタじゃない?」

 

 

ユメタ「ごー、ろーく」

 

 

グレル「あっ!ホントだ!」

 

 

グレル・エンエン「おーい!」

 

 

ユメタ「しーち」

 

 

グレル「ユメター」

 

 

ユメタ「ええっ!?グレル、エンエンどうしてここに?僕のこと覚えてるの?」

 

 

グレル「え?当たり前だろ!俺達友達じゃないか」

 

 

ユメタ「友達?」

 

 

リボン「お知り合いですの?」

 

 

グレル「ああこいつはユメタ、前に妖精学校の同級生だったんだ」

 

 

エンエン「ユメタは夢の妖精バクなんだよ」

 

 

グレルたちがユメタの事を紹介する。

 

 

立花「バクは悪い夢を食べてくれるっていうけど、本当なの?」

 

 

ユメタ「うん、でも僕はまだ悪夢を食べられないんだ。こわっくて」

 

 

グレル「ハハハ!そっか俺達と同じだな」

 

ユメタ「え?」

 

 

エンエン「ぼくらもプリキュアの妖精になるために勉強中なんだ~」

 

 

グレル「お互い頑張ろうぜ!」

 

 

ユメタ「あっ...う・うん」

 

 

六花「ん?マナどうしたの?」

 

 

菱川は相田の様子がおかしい事に気づく。

 

 

マナ「あの子...」

 

 

女の子「ん?シーッ」

 

 

マナ「ニュースで写ってた」

 

 

誠司「何?てことは...」

 

 

ラン「ここにいるのは眠り続けている子供たち?」

 

 

ユメタ「ううっ」

 

 

グレル「おいユメタ!これどういうこと...うっ!」

 

 

その時俺達を中心に竜巻が発生した。

 

 

めぐみたち「うわぁー」

 

 

竜巻が晴れるとそこは荒地だった。

 

 

めぐみ「うっうう...ええ!」

 

 

ひめ「な...何事!?」

 

 

マナ「こども達は!?」

 

 

マアム「子供たちはみんな遊んでいるわ」

 

 

その時俺達の目の前に、ユメタに似た1体の妖精が現れた。

 

 

立花「あなたは?」

 

 

マアム「私は夢の妖精『マアム』ユメタの母親よ」

 

 

グレル「ユメタの...」

 

 

エンエン「お母さん?」

 

 

マアム「あそこはユメタとこども達の大事な夢の世界、勝手に入ってはだめよ。さぁそこから出てってちょうだい!」

 

 

マアムは耳を叩くと、巨大なドアが出てきた。

 

 

マナ「こども達を残しては出ていけないよ!」

 

 

真琴「なぜ子供たちを夢の中に閉じ込めているの?」

 

 

マアム「私はユメタの笑顔と夢を守りたいだけ、邪魔するものは許さない!」

 

 

言葉の後、マアムがまたがっていた掃除機から一匹の巨大なクマが排出された。

 

 

?「あーくーむー!」

 

 

ひめ「ぎゃあー!」

 

 

エンエン「ひぃー!」

 

 

めぐみ「なんかすごいの出てきた!」

 

 

マアム「私が吸い込んだ悪夢よ、さあ痛い目にあいたくなかったら出ておいき!」

 

 

マナ「言ったでしょ!こども達を置いては行けないって!」

 

相田が言った後、俺達も隣に並ぶ。

 

 

マナ「誠司君!ランちゃん!リンちゃん!」

 

 

誠司「俺達も一緒に戦うぜ!こども達を助ける為にな!」

 

 

マナ「誠司君...よし!みんな行くよ!」

 

 

その時ドキプリ勢の妖精達が、スマホへと姿をに変わった。

 

 

マナたち「プリキュア!ラブリンク!」

 

 

亜久里「プリキュア!ドレスアップ!」

 

 

光がやむと、相田たちはプリキュアに変身していた。

 

 

キュアハート「みなぎる愛!キュアハート!」

 

 

キュアダイヤモンド「英知の光!キュアダイヤモンド!」

 

 

キュアロゼッタ「陽だまりぽかぽか!キュアロゼッタ!」

 

 

キュアソード「勇気の刃!キュアソード!」

 

 

キュアエース「愛の切り札!キュアエース!」

 

 

ハート達「響け愛の鼓動!ドキドキプリキュア!」

 

 

ユメタ「プリキュア!あの子達が...」

 

 

誠司・ラン・リン「たぎれ!ケモノの力!ビーストオン!」

 

 

誠司達にゲキスーツが装着される。

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は正義の証!」

 

 

3人「獣拳戦隊ゲキレンジャー!」

 

 

マアム「!プリキュアとは別の戦士!?でも誰だろうとユメタの笑顔を奪う者は許さないわ!悪夢」

 

 

悪夢獣「あーくーむー!」

 

 

マアムの指示で、悪夢獣が襲い掛かってきた。

 

 

悪夢獣の攻撃を、ハートが受け止めた。

 

 

ハート「はっ!やぁっ!」

 

 

片手で受け止めた後、腹に右パンチを入れ、顔に右キックを入れた。

 

 

ハート「はああ!」

 

 

その後、悪夢獣の左脇腹に左回し蹴りを繰り出し、吹き飛ばす。

 

 

ハート「ロゼッタ!」

 

 

ロゼッタ「はいっ!」

 

 

飛んできた悪夢獣をバリアーで受け止めた。

 

 

悪夢獣「うっはっはぁー」

 

 

悪夢獣はロゼッタに攻撃を仕掛けるが、全て防がれてしまう。

 

 

悪夢獣は一度距離を取り、大きく飛び上がり身体をドリルのように回転させ突進する。

 

 

グレル「危ない!」

 

 

ロゼッタ「プリキュア!ロゼッタリフレクション!」

 

 

ロゼッタはさらに大きなバリアを張り、攻撃を防いでいる。

 

 

ソード「プリキュア!スパークルソード!」

 

 

ソードは手に持っていた武器を弓のような形状に変え、攻撃をする。

 

 

攻撃していた悪夢獣に命中し、吹き飛ばす。

 

 

ソードは、吹き飛ばした悪夢獣より先に行き追撃する。

 

 

ソード「でやっ!だああ!」

 

 

悪夢獣にパンチを繰り出しとめた後、手を絡み合わせハンマーのように攻撃し吹き飛ばした。

 

 

ダイヤモンド「はああ」

 

 

飛んできた悪夢獣にダイヤモンドが攻撃する。

 

 

ダイヤモンド「やああ!」

 

 

空中で悪夢獣の首に脚を絡ませ、地面に向かって投げ飛ばす。

 

 

めぐみ「かっこいい!」

 

ひめ「私達の出る幕はなさそうね」

 

 

エース「ときめきなさい!エースショット!バキューン!」

 

エースの攻撃が悪夢獣に命中し、消滅し粒子になる。

 

 

ゲキレッド「おいおい、俺達の出番はなしかよ」

 

 

ゲキイエロー「凄いコンビネーションね」

 

 

ハートたちの圧倒的な攻撃に、誠司達は感心する。

 

 

マアム「さすがはプリキュアね。でも...」

 

 

言葉の後、粒子が集まり元の姿の戻る。

 

ロゼッタ「倒した悪夢が!」

 

 

悪夢獣はドキドキプリキュアに突進し、ドキドキプリキュアを吹き飛ばす。

 

 

ハートたち「きゃあ!」

 

 

ゲキレッド「ちっ!今度は俺達が行くぞ!」

 

 

ゲキイエロー「ええ!」

 

 

誠司達は悪夢獣に突っ込む。

 

ゲキレッド「はあ!」

 

 

悪夢獣に右回し蹴りを入れ吹き飛ばす。

 

 

ゲキイエロー「はっ!」

 

 

吹き飛ばした先でゲキイエローがパンチを繰り出す。

 

 

ゲキイエロー「ふっ!」

 

 

ゲキブルー「はああ!」

 

悪夢獣の攻撃をイエローが受け、そこにすかさずブルーが追撃する。

 

 

ゲキレッド「おらあ!」

 

 

その後、俺が後ろ回し蹴りで吹き飛ばす。

 

 

ゲキレッド「ゲキワザで一気に行くぞ!」

 

 

イエロー・ブルー「おう!」

 

 

ゲキレッド「ゲキワザ!砲砲弾!」

 

 

ゲキイエロー「瞬瞬弾!」

 

 

ゲキブルー「転転弾!」

 

 

『はぁ!』

 

 

ゲキタイガーが悪夢獣に噛み付き上に掘り投げ、ゲキチーターが超高速で体当たりし、ゲキジャガーが回転しながら悪夢獣をなぎ倒し消滅させる。

 

ハート「凄ーい!かっこいい!」

 

 

ソード「物凄い技ね」

 

 

だが悪夢獣は先ほどのように元に戻った。

 

 

マアム「残念ね!悪夢を倒せるのはバクだけよ!出ておいき!」

 

マアムが耳を叩くと俺達の足元が開いた。

 

 

めぐみたち「うわぁっ!きゃあー!」

 

 

俺達はそのまま穴に吸い込まれた。

 

 

 

-ユメタside-

 

グレルとエンエンは岩の突起に手を掛け踏ん張っていた。

 

 

その時、上にいたユメタに気がついた。

 

 

グレル「あっ...ユメタ!」

 

エンエン「ユメター!」

 

 

だがその時、グレルが捕まっていた突起が崩れた。

 

 

グレル・エンエン「うわぁー」

 

 

そのままプリキュアたち同様穴に吸い込まれた。

 

 

ユメタ「ああ...」

 

 

ユメタは近くにあったプリキュア教科書を拾った。

 

 

ユメタ「プリキュアが来た」

 

 

マアム「大丈夫よユメタにはお母さんがついてるわ。ユメタの大切な友達、大切な夢必ず守ってあげる」

 

 

そう言いながら、お母さんは僕を抱きしめてくれた。

 

 

ユメタ「ああ...」

 

 

-誠司side-

 

めぐみ「うう...疲れたー」

 

 

ひめ「あんな夢を見た後じゃね」

 

 

真琴「これからどうする?」

 

 

立花「こども達を放っておくわけにはいかないわ」

 

 

亜久里「しかし、夢の中でどう立ち向かえばいいのか...」

 

 

マナ「応援を呼ぼう!」

 

 

『ん?』

 

 

マナ「プリキュア全員に連絡を取って、力を貸してもらおうよ」

 

 

エンエン「ううっ」

 

 

グレル「待ってくれ!プリキュア全員でユメタをやっつけるのか?あいつは悪い奴じゃない!」

 

 

マナ「そうだね、グレルとエンエンの友達だもんね」

 

 

グレル・エンエン「え?」

 

 

マナ「私達でできないことでも、みんなで考えればいいアイデアが浮かぶと思うんだ」

 

 

立花「こども達をどう助けるか、ユメタ君にどう話せばいいかみんなで考える。そういうことよね?」

 

 

マナ「そういうこと!」

 

 

グレル・エンエン「ふう」

 

 

相田たちの言葉に、グレルたちは安心していた。

 

 

グレル「そっか!そうだな!」

 

 

エンエン「宜しくお願いします」

 

 

誠司「だったら理央にも協力してもらおう」

 

 

ラン「え!?理央に!?あいつがそんな簡単に協力してくれるとは思わないけど」

 

 

誠司「そこは俺が説得する」

 

 

ありす「どなたのことですか?」

 

俺達の言葉に四葉が質問してくる。

 

 

誠司「俺達の仲間の1人だ。今は訳が合っていないが、そいつも結構強いから連れて行こうと思う」

 

 

マナ「さっき簡単には協力してくれないって言ってたけど、どんな人なの?」

 

 

ラン「理央は元々私達ゲキレンジャーの敵、臨獣殿のボスだった男よ」

 

 

立花「え!?そんなひと連れて来て大丈夫なの?」

 

 

リン「理央と互角に戦えるのはこの中では誠司しかいないから、誠司がいれば大丈夫だけど」

 

 

亜久里「そんなに強い人なんですか!?」

 

 

リンの言葉に円は驚いている。

 

 

ラン「ええ、たぶんあなた達が束になっても勝てないでしょうね」

 

 

真琴「そんなに強い人が来てくれれば、確かに心強いけど大丈夫なの?」

 

 

誠司「たしかに悪い奴だったけど、今は俺達の仲間だから大丈夫だ」

 

 

マナ「でもそんな人と互角に戦えるなんて、誠司君強いんだね」

 

 

めぐみ「凄く強いんだよ!私達が戦ってる敵も誠司1人で倒せるんだから!」

 

 

六花「へー!そんなに凄いんだ!」

 

 

マナ「そういえばスーパー戦隊の話聞いてなかった!どうやって別の世界にいったの?」

 

 

誠司「悪いがその話は今回の事件が終わってからだ」

 

 

スーパー戦隊の話を聞こうとしてきた相田に対して、誠司は注意する。

 

 

ブルー「今日はもう遅い、決行は明日にしよう」

 

 

ブルーの言葉で俺達は解散する事にした。

 

 

 

-マアムside-

 

雲をお布団にし子供たちを寝かせる。

 

 

マアム「うふふ」

 

 

マアムはプリキュアの教科書を取り出した。

 

 

マアム「ゆっくりお眠りなさい...プリキュア!」

 

 

マアム「キュアブラック、キュアホワイト、シャイニールミナス」

 

 

マアムはMax Hartの3人を夢の中に閉じ込めた。

 

 

マアム「キュアブルーム、キュアイーグレット」

 

 

さらに、Splash Starの2人も閉じ込めた。

 

 

マアム「プリキュア5、フレッシュプリキュア、ハートキャッチプリキュア、スイートプリキュア、スマイルプリキュア」

 

 

どんどんプリキュアを夢に閉じ込めていく。

 

 

マアム「そして…ドキドキプリキュア」

 

そして最後に、ドキドキプリキュアの5人を夢に閉じ込めた。

 

 

マアム「プリキュア...戦いなど忘れて安らかに永遠におやすみ」

 

 

マアムはプリキュア教科書に載っているプリキュアを、全て夢の中に閉じ込めた。

 

 

マアム「それにしても、プリキュア達と一緒にいた戦士達は何者だったのかしら」

 

 

プリキュア教科書にも載っていない戦士。獣拳戦隊ゲキレンジャー。

 

 

マアム「まあいいわ、私の邪魔をするなら倒すまで、うふふっ」




はい!如何だったでしょうか!

今回オールスターズの映画を見ながらオリジナル展開を考えて書いているので何時もより考えて書きました。

やっぱり難しいですね

映画ではめぐみを助けたのはマナでしたが今回誠司に助けさせました。
もうちょっと絡めたかったのですがそれは次回にします。

次回はリオが登場します。

やっぱりオールスターズだから巨大ロボ戦やりたいなと思っています。

感想またはメッセージお待ちしております。

ではまた次回お会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

永遠の友達 プリキュア達の救出

どうもナツ・ドラグニルです。

ロックシード様感想ありがとうございます。
これからも他のヒロイン達との絡みや活躍も増やして行きたいと思います。

今回からリオが登場します。

映画見てて思ったんですがアイちゃん喋るんですね。

お気に入りに入れている小説でドキドキプリキュアの作品は見ているのでアイちゃんの存在は知っていたのですが今回の映画を見てアイちゃんがしゃべった事に驚いてしまいました。

さて、今回は戦闘描写が増えると思いますが頑張ります。

では作品をどうぞ


-誠司side-

 

朝になり起きようとしたが、身体に重い物が乗っかっていて起き上がれなかった。

 

 

何事かと思いよく見てみると、めぐみが俺に抱きついて寝ていた。

 

 

めぐみ「んっんんっ」

 

 

誠司「なんで俺の部屋で寝てんだよ、こいつ」

 

 

よく分からなかったが、取り敢えず起こすことにした。

 

 

誠司「おい!起きろめぐみ!」

 

 

めぐみ「んんっ後5分」

 

 

誠司「お前の5分は5分じゃないだろうが!」

 

 

誠司はさらに、めぐみをゆする。

 

 

誠司「おい!早く起きろ!」

 

 

めぐみ「んっああー!よく寝た!誠司おはよう」

 

 

誠司「おはようじゃねえよ!なんで俺の部屋で寝てんだよ!」

 

 

めぐみ「だってまた夢に捕らわれたら大変だし、誠司の近くで寝たら大丈夫だと思って!」

 

 

誠司「どういう理屈だよ」

 

 

俺はめぐみの返答に呆れた。

 

 

誠司「ほら早く離れてさっさと支度しろ。この後理央を迎えに行って、プリキュア達に連絡しないといけないからな」

 

 

めぐみ「はーい!」

 

 

めぐみはベッドから降り、ベランダから自分の部屋に戻った。

 

 

誠司「まったく、朝から心臓に悪い事しやがって」

 

 

その後、誠司も着替えて理央を迎えに行く準備をした。

 

 

俺達は理央を迎えに行き、現在大使館に向かって歩いている。

 

 

誠司「悪かったな、いきなり頼んじまって」

 

 

理央「別に構わない、最近暴れ足りなかったからな」

 

 

誠司はあの後、理央に会いに行き、協力を申し込んだが思ったよりすんなり協力してくれた。

 

 

理央「それで俺達はそのマアムとユメタとかいう奴を倒せばいいのか?」

 

 

誠司「いやいやいや!お前は俺の話を聞いてたのか!?俺達はこれから他のプリキュア達と話し合って解決策を決めるんだよ」

 

 

リオ「面倒だがしょうがないか」

 

 

誠司「ああ、相手はグレル達の友達だからな」

 

 

めぐみ「早く行こうよ!他のプリキュアの人に会うの楽しみだよ!」

 

 

誠司「まったく、少しは落ち着けよ」

 

 

そう話していると、大使館に着いた。

 

 

めぐみ「さあて、プリキュアのみんなに連絡を・・・」

 

 

リボン「大変ですわー!」

 

 

大使館の扉を開けると、リボンが騒ぎながら近づいてきた。

 

 

めぐみ「リボン、どうしたの?」

 

 

理央「朝から騒がしいな」

 

 

リボン「プリキュアのみんなが眠ったまま、起きなくなってしまったそうですわ」

 

 

誠司「何!?」

 

 

理央「めんどくさいことになったようだな」

 

 

その後、俺達は大使館の中に移動した。

 

 

ブルー「どうやらプリキュア全員が、夢の中にとらわれてしまったようだね」

 

 

ラン「そういえば今回めぐみちゃんは大丈夫だったんだね」

 

 

めぐみ「うん!誠司と一緒に寝たから大丈夫だったよ!」

 

 

ラン・リン・ひめ「え!?」

 

 

めぐみの言葉にラン達は驚いている。

 

 

ラン・リン「ふーん」

 

 

ラン達はジト目で俺を睨んできた。

 

 

誠司「なんだよ」

 

 

ラン・リン「別にー」

 

 

ブルー「ハハハ、彼女達も大変だね」

 

 

リオ「鈍いのは相変わらずだな」

 

 

俺達のやり取りにブルーは苦笑し、理央は呆れている。

 

 

エンエン「どうしようプリキュアがいなくなるなんて...」

 

 

めぐみ「いるよ!」

 

 

グレル・エンエン「え?」

 

 

めぐみ「ここにいるじゃん2人も!それに誠司達もいるし!」

 

 

ひめ「え?ま...まさか...私達で悪夢と戦うつもり!?」

 

 

めぐみの言葉に、ひめは驚いていた。

 

 

めぐみ「子供達と先輩達を助けるために、もう一度夢の中に行こう!」

 

 

グレル「俺も行く!」

 

 

エンエン「僕も!」

 

 

その時、グレル達が同行を申し出てきた。

 

 

ひめ「はあ?あなたたち分かってるの?これは凄く危険なことなんだよ!」

 

 

エンエン「ううっ」

 

 

グレル「分かってる、でもっ!プリキュア達も子供達もユメタもこのままにはしてられない!」

 

 

めぐみ「分かった!一緒に行こう!」

 

 

リボン「ひめはお留守番ですか?」

 

 

ひめ「うう...行くわよ!行けばいいんでしょ!でもまともにいってもかなわないわ!作戦を考えないと!」

 

 

めぐみ「いい方法があるよ」

 

 

そういってめぐみはプリカードを取り出した。

 

 

-めぐみside-

 

ブルーの力で夢の中に入り、忍者になって隠れながら移動している。

 

 

誠司達と私達は2手に別れ行動している。

 

 

ひめ「いい方法ってこれ?」

 

 

めぐみ「見つからないように忍び込むそういう時は忍者でしょ!」

 

 

私の言葉の後、隠れていた岩が移動し隠れる場所がなくなった。

 

 

マアム「まったく懲りないこたちね」

 

 

ひめ「見つかるの早!」

 

 

リボン「どうして!?」

 

 

マアム「言ったでしょ?ここは夢の妖精、バクの世界。侵入者はすぐに分かるわ」

 

 

めぐみ「見つかったならしょうがない!プリキュアのみんなはどこよ!」

 

 

マアム「プリキュア達は甘くて幸せな夢の中、それぞれが思い描く最高の夢の中で楽しく過ごしているわ。プリキュア達はもう目覚めない!おとなしく出ていったほうがみのためよ!」

 

 

その時、グレル達が前に出た。

 

 

グレル「ユメタのお母さん、ユメタに会わせてくれ!」

 

 

マアム「あなたたちは?」

 

 

エンエン「僕たちは妖精学校で一緒だったユメタの友達です」

 

 

マアム「友達?ユメタから聞いたことないわ。それに今まで一度もユメタに会いに来たことも連絡してきたこともない!」

 

 

エンエン「あっ」

 

 

グレル「あっ・・・そうだけど」

 

 

エンエン「ユメタに会わせてください!ちゃんと話したいんです!」

 

 

マアム「ユメタには他の友達がいるわ!あなたたちは必要ない!」

 

 

そう言って、マアムは悪夢獣をだした。

 

 

マアム「さあ、でておいき!でていかないと」

 

 

めぐみ「そんな脅しには屈しません!だって私達はプリキュアだから!」

 

 

マアム「プリキュア!?教科書に載っていたプリキュアは全員捕らえたはず」

 

 

めぐみ「私達は新しいプリキュアです!ひめ!行くよ!」

 

 

ひめ「もう・・・なんかこうなる気がしてたわ」

 

 

その後、戦ったが簡単に捕まってしまった。

 

 

めぐみ・ひめ「ううっ」

 

 

マアム「あなたたち弱すぎるわ」

 

 

めぐみが変身しようとするが、起動しなかった。

 

 

めぐみ「あれれ?」

 

 

マアム「そのなかでは変身出来ないからおとなしくしてなさい」

 

 

 

 

-誠司side-

 

俺達はめぐみ達と別れ、プリキュア達を助けようとしていた。

 

 

ラン「めぐみちゃん達だけで大丈夫だったかな?」

 

 

誠司「あいつらもプリキュアだから大丈夫だろ」

 

 

リン「だったらいいけど」

 

 

マアム「見つけたわよ!」

 

 

その時、誠司達の前にマアムが現れた。

 

 

マアム「あなたたちはここにいたのね」

 

 

誠司「もう見つかったか」

 

 

マアム「あなたたちいったい何者?プリキュアじゃないみたいだけど」

 

 

誠司「俺達はスーパー戦隊だ!」

 

 

マアム「スーパー戦隊!?まあいいわユメタの夢は私が守るわ」

 

 

誠司「ふざけるな!お前がやっているのはただの自己満足だ!子供達を返してもらうぞ!」

 

 

マアム「それの何がいけないの?私はユメタの為にやっているの。親なら子供の事を考えるのは当たり前でしょ」

 

 

誠司「だったら眠り続けている子供達を心配している親の気持ちを、同じ親なら分かるだろうが!」

 

 

マアム「ぐっ!私はユメタの為にやっているの!何も知らないくせに他の人にとやかく言われる筋合いはないわ!」

 

 

その時、マアムは大量の悪夢獣をだした。

 

 

マアム「ああそれと新しいプリキュアはとっくに捕まえて牢屋に入れてるわ」

 

 

ラン「え!?もう捕まったの!?」

 

 

誠司「いくらなんでも早すぎだろ」

 

 

マアム「あなたたちは強いみたいだけど、これだけの数はさすがに相手はできないでしょう。悪いけど私は忙しいの!だからあなたたちはこいつらの相手をしていなさい」

 

 

そう言ってマアムは去っていった。

 

 

ラン「どうする?」

 

 

誠司「取り敢えず、こいつら片付けてめぐみ達を助けに行こう」

 

 

俺達は、悪夢獣に立ち向かった。

 

 

-めぐみside-

 

ひめ「もう最悪~!」

 

 

めぐみ「大丈夫だよ!まだ誠司達がいるし!」

 

 

ユメタ「無駄だよ」

 

 

めぐみ達「ん?」

 

 

グレル・エンエン「はっ!ユメタ!」

 

 

ユメタ「夢の世界では、僕のお母さんが一番強いんだ」

 

 

グレル「ユメタもうやめるんだ!」

 

 

エンエン「こんなことしちゃいけないよ!」

 

 

ユメタ「うう・・どうして?」

 

 

グレル・エンエン「え?」

 

 

ユメタ「悪夢を食べて子供達に楽しい夢を見せるのが僕らバクの役目だ。

 

でも・・・子供達は夢から覚めると夢の事は忘れちゃう、どんなに仲良くなっても僕の事は忘れちゃうんだ...そんなの...つらすぎるよ。

 

そしたらお母さんがみんなを夢の中にとどめてくれたんだ、友達がずっと一緒にいてくれる、永遠に楽しい夢が続くんだ。

 

僕も楽しいしみんなも喜んでるみんな幸せだよ!なにがいけないの?」

 

 

グレル「そ・それは」

 

 

ユメタ「友達ならほっといてよ」

 

 

めぐみ「友達だからほっとけないんだよ」

 

 

ユメタ「え?」

 

 

ひめ「はあ、私グレルとエンエンに忠告したんだよ"危険だ"って、でも2人とも友達のあなたを放っていけないって言うから」

 

 

エンエン「ユメタ・・・」

 

 

ユメタ「うう・・・心配してなんて頼んでないよ!」

 

 

そう言って、ユメタは持っていた教科書を檻に向かって投げた。

 

 

グレル・エンエン「うわっ」

 

 

エンエン「ユメタ!」

 

 

グレル「ユメタ~!」

 

 

-マアムside-

 

私は夢に囚われたプリキュア達を観察していた。

 

 

ユメタ「お母さん」

 

 

マアム「うん?ユメタどうしたの?」

 

 

ユメタ「あの...」

 

 

マアム「なあに?」

 

 

ユメタ「ああ...ううん」

 

 

私はユメタを抱き締めた。

 

 

マアム「ユメタは心配しなくていいのよ、お母さんあなたのためならなんでもするわ。悲しみからも危険からも守ってあげる」

 

 

ユメタ「うう・・・」

 

 

悪夢獣「あ~く~む!」

 

 

ユメタ「あ?ああっ」

 

 

声の方を見ると、空が黒く歪んでいた。

 

 

マアム「また誰かが悪夢をみてるわね、行かなくちゃ」

 

 

ユメタ「お母さん大丈夫?疲れてるんじゃ」

 

 

マアム「疲れてても行かなくっちゃ!悪夢をやっつけるのがバクの役目だもの!ユメタは友達と遊んでなさいいいわね?」

 

 

ユメタ「うん」

 

 

 

 

-めぐみside-

 

めぐみ「ふぬぅー!」

 

 

私は檻を破ろうとしていた。

 

 

めぐみ「だめだー」

 

 

ひめ「世の中そんなに甘くないって」

 

 

めぐみ「おかしいなこんな時はみんなで力を合わせれば開けられるはずなのに」

 

 

エンエン「ユメタ・・・」

 

 

エンエンが教科書を持ち上げると、中から鍵が出てきた。

 

 

エンエン「これは・・・鍵?」

 

 

めぐみ・ひめ「マジ!?」

 

 

めぐみ「あの子、このために来てくれたんだね」

 

 

ひめ「なんだ、すごくいい子じゃない」

 

 

めぐみ「そういえば侵入者はすぐに分かるって言ってたけど、誠司達は大丈夫かな?」

 

 

ひめ「大丈夫でしょ、だって誠司達凄く強いから」

 

 

誠司「めぐみ!ひめ!」

 

 

その時、遠くから誠司達が向かって来ていた。

 

 

めぐみ・ひめ「誠司!」

 

 

誠司「捕まったって聞いたけど、無事だったみたいだな」

 

 

めぐみ「うん!ユメタ君のお陰でね!」

 

 

誠司「ユメタのお陰?」

 

 

ひめ「プリキュアの教科書に、牢屋の鍵が挟んであったの」

 

 

誠司「なるほどな、自分でも間違ってると思ったんだろうな。だったら後はちゃんと話せば分かってくれるだろ」

 

 

ラン「だったら、ユメタ君を探さないとね」

 

 

めぐみ「よし!じゃあ探しに行こう!」

 

 

しばらく全員でユメタ君を探す為に捜索していたら、前からとぼとぼと歩いているユメタくんを見つけた。

 

 

ユメタ君は私達に気づかないまま歩いていて、私の足元を潜ったときに私の存在に気づいた。

 

 

ユメタ「ん?」

 

 

めぐみ「やっほー!」

 

 

ユメタ「ういいっ!き...君は!」

 

 

めぐみ「私愛乃めぐみ!改めましてよろしくね!」

 

 

グレル「よう...」

 

 

エンエン「鍵、どうもありがとう」

 

 

ユメタ「早く出ていきなよ、お母さんに見つかったらもう知らないよ」

 

 

グレル「お前を放って出ていけるかよ!」

 

 

エンエン「ねえユメタ覚えてる?妖精学校やめる時、君が言ったこと」

 

 

ユメタ「あっ...」

 

 

エンエン「君はこう言ったんだよ、『僕には将来の夢があります!だから夢を叶える為に学校をやめます!』って」

 

 

ユメタ「うう...」

 

 

グレル「お前の夢は子供達を閉じ込めることじゃないだろ?」

 

 

エンエン「君の本当の夢は何?」

 

 

ユメタ「僕の夢は...ダメだよ...僕には無理だったんだ!」

 

 

グレル「そんなことないって!」

 

 

エンエン「諦めずに頑張り続ければ、夢は叶うよ!」

 

 

ユメタ「どうやったって叶わないんだよ!だったら楽しい夢の中で過ごしたほうがいいじゃないか!プリキュア達だって夢の中で楽しんでるよ!」

 

 

めぐみ「じゃあ、見に行こうよ」

 

 

グレル達「えっ?」

 

 

めぐみ「プリキュアのみんなが夢の中でどうしているのか見てみようよ」

 

 

誠司達はユメタの力を使って、プリキュア達の夢を見ていた。

 

 

めぐみ「お医者さん、獣医さん、ピアニスト、小説家、漫画家、ほお~夢いろいろだね!」

 

 

ユメタ「ほら、プリキュアだっていい夢を楽しんでるじゃないか」

 

 

誠司「いや、そうでもなさそうだぜ」

 

 

めぐみ「ん?」

 

 

誠司「ほら見てみろ」

 

 

そこには、ひとりのプリキュアが教師として授業している所が映っていた。

 

 

のぞみ「花の色はうつりにけりな...えっと...何だっけ?」

 

 

続きを忘れてしまい焦っていたその時、持っていたチョークがひとりでに動き続きを書いた。

 

 

のぞみ「えっ?えっ?えっ?」

 

 

生徒「のぞみ先生カッコイイ~!」

 

 

生徒「スラスラと出てくるなんてさすがです!」

 

 

驚く生徒達だったが、のぞみは少し考え生徒達の方に向き直った。

 

 

のぞみ「うーん...今のは私の実力じゃありません!これは都合のいい夢ですね!」

 

 

ユメタ「えっ!?」

 

 

のぞみ「私の将来の夢は学校の先生になることです。夢を叶えるにはもっともっと勉強しなきゃいけません。

 

こんなふうに本当に教壇に立てる日が来るように頑張ります。楽しい夢をありがとう!」

 

 

その瞬間、のぞみの見ていた夢に亀裂が入る。

 

 

生徒「どうしてですか?楽に夢が叶うならそれでいいじゃないですか」

 

 

のぞみ「ううん夢は叶えばいいって物じゃないよ!だって夢はなりたい自分になることだから。だから自分の力で頑張らなきゃ!」

 

 

ユメタ「ああ...」

 

 

誠司「おまえにもあるんじゃないのか?叶えたい夢が」

 

 

ユメタ「でも僕には...」

 

 

誠司「いいかユメタ、男ってのは守るものがあればいくらでも強くなれるんだ!お前にはないのか?守りたいものが」

 

 

ユメタ「守りたいもの...」

 

 

ひめ「私、あなたの気持ち分かるわ」

 

 

ユメタ「えっ?」

 

 

ひめ「このままじゃ駄目だって分かってるけど、怖くて勇気が出ない...私もそうだったから」

 

 

ユメタ「今は違うの?」

 

 

ひめ「今は...友達がいるから」

 

 

ひめは俺たちを見ながら、そう呟いた。

 

 

理央「お前にもいるんじゃないのか?」

 

 

ユメタ「え?」

 

 

理央「俺はかつて力だけを求めて仲間というものを知らなかったが、今は誠司のおかげで仲間がどういうものか教えてもらった。そこにいる2人はお前の友達じゃないのか?」

 

 

理央はグレル達を指差した。

 

 

グレル「ユメタお前の本当の夢を目指して頑張ろう」

 

 

エンエン「僕達が力になるから!」

 

 

ユメタ「ああ...」

 

 

マアム「ユメタ!」

 

 

ユメタ「あっ!あ...」

 

 

その時マアムが息を切らしながら、ユメタに駆け寄ろうとした。

 

 

マアム「ハアハア...」

 

 

ユメタ「お母さん」

 

 

マアム「無事でよかったわユメタ、こっちへいらっしゃい」

 

 

ユメタ「うーん...」

 

 

マアム「どうしたの?さあおいで」

 

 

ユメタ「ううう...ううっ!」

 

 

マアム「はっ!くっ...!あなた達ユメタに何を言ったの!?悪夢よ!私の息子に悪いことを吹き込むあの子達を飲み込みなさい!」

 

 

マアムは6体の悪夢獣を出した。

 

 

誠司「よし!みんな行くぞ!」

 

 

ラン「ええ、この数だったら変身するまでもないわ!」

 

 

理央「さっさと片付けるぞ」

 

 

めぐみ「私達も!」

 

 

ひめ「行くわよ!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみ・ひめ「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

ラブリー「世界に広がるビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

プリンセス「天空に舞う蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

ラブリー・プリンセス「ハピネス注入!幸せチャージ!ハピネスチャージプリキュア!」

 

 

悪夢獣「あ~く~む!」

 

 

悪夢獣の1匹が、俺に突っ込んできた。

 

誠司「ふん!はあ!」

 

 

俺は悪夢獣の攻撃を受け止め、すかさず右パンチを繰り出す。

 

 

プリンセス「きゃあ!」

 

 

プリンセスの悲鳴が聞こえそっちを見ると、悪夢獣のボディプレスを受けていた。

 

 

マアム「いくらプリキュアでも、悪夢には敵わないわ」

 

 

ユメタ「お母さん...プリキュア...」

 

 

その時、プリキュアたちを閉じ込めている夢に亀裂が入る。

 

 

マアム「またプリキュアの夢にひびが!」

 

 

ラブリー「みんな作られた夢から出ようとしてるんだよ!」

 

 

マアム「どうしてわざわざ?甘い夢の中で楽しく過ごしていればいいのに!」

 

 

プリンセス「誰かに作られた夢じゃ、心の底から楽しめないわよ!」

 

ユメタ「あっ...」

 

 

その時、見ていたプリキュアたちの夢から声が聞こえた。

 

 

こまち「確かに現実は楽しいことだけじゃありません、嫌な事辛い事もたくさんあります。でもそういうことから目をそらしていたら駄目だと思うんです」

 

 

うらら「うまくできなくても落ち込むこともあるし、自分が情けなくて泣くこともあります。でも!」

 

 

やよい「涙を乗り越えたらきっと強くなれる!」

 

 

ラブ「失敗しても大丈夫!やりなおせばいいんだよ何度でも!」

 

 

その時ラブリー達が広場の方に飛ばされ、2匹の悪夢獣が追いかけて行った。

 

 

誠司「ラブリー!プリンセス!」

 

 

理央「たくっ...世話の掛かるやつらだ!」

 

 

誠司「とりあえず、こいつらを一瞬で片付けるぞ!」

 

 

俺たちはすぐにラブリー達を助けるため、残った悪夢獣と戦う。

 

 

-ラブリーside-

 

ラブリー・プリンセス「ああ!」

 

 

私達は悪夢獣の攻撃で、誠司たちと離されてしまった。

 

 

マアム「痛い目に遭いたくなかったらおとなしく、言うとおりにしていたほうが賢明よ」

 

 

ラブリー「痛い目に遭うと分かってても、見て見ぬふりなんか出来ないよ!」

 

 

その時、また先輩達の夢から声が聞こえた。

 

 

りん「くっ!私は自分に嘘をつきたくない!私の夢はこの情熱は誰にも消せない」

 

 

舞「自分の描いた夢だから、自分の力で羽ばたきたい!」

 

 

なお「大事なことだから直球勝負!自分の足で走らなきゃ!」

 

 

えりか「自分の夢の種を育てられるのは、自分だけだしね!」

 

 

響「私は私のメロディーをみんなの心に響かせたい!」

 

 

みゆき「私はみんなと一緒に笑いたいな」

 

 

患者「辛い思いをしますよきっと...怖い目にも遭う」

 

 

かれん「そうですね、でも私には友達がいます。自分ひとりでは難しいことでも友達が一緒なら必ず乗り越えられます」

 

 

ラブリー「えーい!ハアハアハア」

 

 

プリンセス「危ない!」

 

 

悪夢獣「あくむっ!」

 

 

プリンセス「うっ・・・」

 

 

後ろから悪夢獣が迫ってきてるのにラブリーは気づかなかったが、プリンセスが庇ってくれた。

 

 

ラブリー「くうっ!プリンセス!」

 

 

プリンセス「ラブリーはやっとできた友達なのよ...そのおかげで誠司達とも友達になることができた!悪夢なんかに奪われてたまるもんですか!」

 

 

ラブリー「プリンセス...」

 

 

私はプリンセスに手を差し伸べ、立ち上がらせる。

 

 

ラブリー「行くよ!プリンセス!」

 

 

プリンセス「うん!」

 

 

ラブリー「はあ!」

 

 

私達は悪夢獣に立ち向かう。

 

-ユメタside-

 

プリキュア達を相手していた一匹が、グレルとエンエンを捕まえていた。

 

 

悪夢獣「ウッシッシッシッ」

 

 

グレル「ううっ...」

 

 

ユメタ「ああ...」

 

 

悪夢獣「ああ~!」

 

 

グレル・エンエン「あっ!ううっ」

 

 

悪夢獣が、グレル達を食べようとしていた。

 

 

ユメタ「うう...」

 

 

エンエン「うっ...」

 

 

グレル「くっ...ユメタ!力を貸してくれ!」

 

 

ユメタ「ええっ?」

 

 

エンエン「ユメタ助けて~!」

 

 

グレル「俺達の力だけじゃ無理だ!」

 

 

ユメタ「ああ...」

 

 

グレル「頼む助けてくれ!」

 

 

エンエン「ユメタ!」

 

 

グレル・エンエン「ユメタ!ユメタ~!」

 

僕はその時、昔悪夢獣に襲われた事を思い出した。

 

 

ユメタ「うう...僕には無理だよ!」

 

 

グレル・エンエン「ええっ!?ああっ!」

 

 

食べられそうになったその時、グレル達を食べようとしていた悪夢獣が消滅した。

 

 

グレル「あれ?」

 

 

エンエン「助かった...」

 

 

ユメタ「え?」

 

 

グレル「ユメタ...」

 

 

ユメタ「うう...!」

 

 

グレル達が近づいてきた。

 

 

グレル「うん...ユメタ危ないからお前はここで待ってろ!」

 

ユメタ「ええっ?」

 

 

エンエン「今悪夢の狙いはプリキュア達と僕達だけだから、君には襲ってこないと思うんだ」

 

 

グレル「悪夢が怖いのに、お前を巻き込んじまったら悪いからな!俺達のことは気にすんな」

 

 

エンエン「僕達プリキュアを見てくるから、また後でね!」

 

 

マナ「私はみんなとキュンキュンしたい!」

 

 

ユメタ「え?」

 

 

マナ「自分だけが幸せな夢なんて、そんなの全然いい夢じゃない!」

 

 

ユメタ「うう...うっううううう...うわあ~!」

 

 

 

-???side-

 

?「ふう...危なかったわね。まったくブルーたら人使いが荒いんだから」

 

 

そこには、ラブリー達と似たような格好をした少女がいた。

 

 

?「誠司君を助けに来たつもりだったけど、あの調子だったら私はいらないわね」

 

 

そう言いながら、少女は戦っている誠司を見ていた。

 

 

?「相変わらず困っている人がいたらほっとけないんだから、心配するこっちの身にもなってほしいわ」

 

心配そうに誠司を見ていたが、少女は踵を返した。

 

 

?「さてと、お役ごめんとなったし私は帰りますかね」

 

 

少女はそのまま移動していった。

 

 

 

-ラブリーside-

 

ラブリー・プリンセス「うっ!」

 

 

マアム「どんなに頑張ったって、あなたたちには勝ち目はないわ」

 

 

その時、近くで遊んでいた子供達が私達に気付いた。

 

 

女の子「ん?何あれ?」

 

 

悪夢獣を見て女の子は、追いかけれた時のことを思いだした。

 

 

女の子「う...うう...怪獣~!」

 

 

男の子「ママ...パパ...」

 

 

悪夢獣に気付いた子供達が、次々に泣き出してしまった。

 

 

なぎさ「あっ聞こえる!」

 

 

ラブ「子供達の泣き声が...!」

 

 

マナ「行かなきゃ!ぐっ...うーん!」

 

 

その時、泣いている子供達の目の前にライトが落ちてきた。

 

 

ブルー「子供達よ、妖精達よ!みんなに頼みがある。君達の、プリキュア達を夢の世界から救うためにみんなの応援が必要だ」

 

 

グレル「このミラクルライトでプリキュアにパワーを送るんだ!」

 

 

妖精達がプリキュアを応援する。

 

 

妖精達を見て、子供達も応援する。

 

 

その時、ラブリー達に力がみなぎってきた。

 

 

ラブリー「力がわいてくる」

 

 

プリンセス「みんなありがとう!」

 

 

その力は、夢に囚われているプリキュア達にも届いていた。

 

 

響「みんなが呼んでる!」

 

 

咲「行こう!」

 

 

みゆき「みんなの笑顔を守るために!」

 

 

のぞみ「みんなの夢を守るために!」

 

 

マナ達「私達はプリキュアだから!」

 

その時、囚われていたプリキュア達が解放され、次々とプリキュア達が目を覚ました。

 

 

ブルー「鏡よ鏡、目覚めたプリキュア達を夢の世界へ!」

 

それぞれのプリキュア達が夢の世界へ行き、プリキュアへと変身する。

 

 

ユメタ「ああ...」

 

 

いくつもの光が、ラブリー達の周りに集まってきた。

 

 

ラブリー「ああっ」

 

 

光が爆発し周りが見えなくなる。

 

 

ラブリー「うう...」

 

 

プリンセス「んん...」

 

 

ラブリー「ああっ!?」

 

 

光が収まるとそこには、先輩のプリキュア達がいた。

 

 

子供達「プリキュア!」

 

 

ホワイト「子供達を泣かせたのは...」

 

 

ブラック「あなた達ね!」

 

 

ラブリー「先輩プリキュア来た~!」

 

 

プリンセス「すごっ!」

 

 

メロディ「あれは何?」

 

 

マーチ「ここはどこ?」

 

 

ハート「あれは悪夢の怪物!ここは夢の中の世界だよ」

 

 

マリン「なんだ夢か...夢ならいっか!」

 

 

エース「夢の世界を悪夢に支配されてしまったら、見る夢全てが悪夢になってしまいます!」

 

 

ロゼッタ「眠るのが怖くなってしまいますわ!」

 

 

マリン「なぬ!?そりゃ困る!」

 

 

マアム「くっ...悪夢たちよプリキュアを捕まえなさい!」

 

 

誠司「悪いがそうはさせないぜ!」

 

 

その時、誠司の声が聞こえた。

 

 

誠司「ハッ!」

 

 

ラン「ハッ!」

 

リン「ハッ!」

 

 

理央「ハッ!」

 

 

誠司達が私達の目の前に着地した。

 

 

誠司「悪い遅くなった」

 

 

ラブリー「誠司!」

 

 

プリンセス「もう!遅かったじゃない!何やってたの!」

 

 

誠司「悪い悪い。俺達が戦ってた奴だけじゃなく、他にも出てきたから時間掛かっちまった」

 

 

ハッピー「え!?なんで一般人がここに!?」

 

 

ブロッサム「早く逃げてください!」

 

 

誠司「安心しろ。俺達はお前達と似たような戦士だからな」

 

 

ピーチ「似たような戦士ってもしかしてあなたもプリキュアなの!?」

 

 

ドリーム「男のプリキュアもいたの!?」

 

 

誠司達の登場で、先輩のプリキュア達が驚いている。

 

 

プリンセス「まさかとは思うけど、誠司達生身で戦ってたわけじゃないよね?」

 

 

ラン「そのまさかよ」

 

 

ラブリー「凄ーい!」

 

 

ハート「え!?誠司君達あれと変身しないで戦ってたの!?」

 

 

ダイヤモンド「凄すぎでしょ」

 

 

誠司達の正体を知っているドキプリ勢は、誠司達の強さに驚いていた。

 

誠司「よしお前ら!行くぞ!」

 

 

ラン達「おう!」

 

 

『たぎれ!ケモノの力!ビーストオン!』

 

 

リオ「臨気凱装(りんきがいそう)!」

 

 

誠司達にスーツが、理央に鎧が瞬間的に装着される。

 

 

ブルーム「何あれ!?」

 

 

サニー「変身した!」

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

リオ「猛きこと、獅子の如く。強きこと、また獅子の如く。世界を制する者黒獅子・理央」

 

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は正義の証!」

 

 

『獣拳戦隊ゲキレンジャー!』

 

 

ゲキレッド「我ら!」

 

 

『スーパー戦隊!』

 

 

その時、4人の後ろで爆発が起こった。

 

 

ブラック「スーパー戦隊?」

 

 

『かっこいいー!』

 

ピース「嘘!?本物のスーパーヒーロー!?ちょ、ちょっと誰か!書く物!書く物ちょうだい!サインがほしい!」

 

 

マーチ「ちょっとピース、落ち着きなさいよ」

 

 

誠司達の登場で、先輩プリキュア達が興奮している。

 

 

ゲキレッド「さあ、子供達を返してもらうぜ!」




はい、如何だったでしょうか

リアルが忙しすぎてなかなか書けませんでした。

暇つぶしで描いてましたが思ったよりはまってしまいました。

やはり処女作ということがあって必要な部分をいれて書いてますがどれも必要なきがしてこの文字数になってしまいます。

次回で決着です。ちょうど巨大な敵が出てくるのでそのときにゲキトージャを出します。

明日は1週間ぶりの休みなのですぐに投稿出来ると思います。

感想またはメッセージお待ちしてます。

では次回お会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

永遠の友達 スーパー戦隊とプリキュアの共闘

どうも!ナツ・ドラグニルです。

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

ゴールデンウィークに書こうと思っていたのですが書く気が起きず
放置していました。

お気に入り入れてくれた33人の方々誠に申し訳ございませんでした!

たぶんこの後の投稿はそんなに開けずに投稿できると思います。

また今回やっとゲキトージャが出せます。

やっぱり小説の描写は難しいですね。

今回はゲキレンジャーを主体として書きたいと思います。

プリキュアの戦闘描写もラブリーとの共闘等は書きますが原作であった。他のプリキュアの戦闘は書きません。

なぜなら書いたらゲキレンジャーの要素が無くなるからです!

なので今回はほぼオリジナル展開でお送りします。

また今まで-side-と書いてましたが今回からはそのような記述をするのをやめます。

なぜなら誠司で書いていて別の場所にいる人の描写を書きにくいからです

では作品をどうぞ!


ゲキレッド「さあ、子供達を返してもらうぞ!」

 

 

マアム「子供達を返せですって、あの子達はユメタの友達よ!返すわけにはいかないわ!」

 

 

ゲキレッド「お前には、苦しんでるユメタの気持ちが分からないのか!」

 

 

マアム「そんなことないわ!ユメタは楽しんでるのよ!変な事を言ってユメタを苦しめないで!悪夢!そいつらをやっつけなさい!」

 

 

ゲキレッド「口で言っても分からないみたいだな!だったら実力で分からせるだけだ!」

 

 

悪夢達が、誠司達に襲い掛かってくる。

 

 

ゲキレッド「ふっ!はっ!」

 

 

悪夢獣に右パンチを繰り出し、後ろ回し蹴りを繰り出す。

 

 

ゲキレッド「ゲキセイバー!」

 

 

誠司はゲキセイバーを召喚した。

 

 

ゲキレッド「ゲキワザ!翔翔斬(しょうしょうざん)!」

 

 

高速移動の滑空状態を利用し、2本のゲキセイバーで多くの悪夢獣を切りつけた。

 

 

悪夢獣「あ~く~む!」

 

 

その時、俺に向かって悪夢獣が突進してきた。

 

 

俺はゲキセイバーの片方の先に、もう片方のゲキセイバーを合体させ1つの剣にした。

 

 

ゲキレッド「ゲキワザ!波波斬(なみなみざん)!」

 

 

水流刃により生じた波のパワーをプラスし、横一線に悪夢獣を斬る

 

 

ラブリー「誠司!」

 

 

声がする方を向くとラブリー、プリンセス、ラン達、ドキプリ勢がこっちに向かってきていた。

 

 

よく見ると他のプリキュア達も、各チーム事に別れ戦っていた。

 

 

悪夢獣「あ~くむ~!」

 

 

大量の悪夢獣が、誠司達に向かってきた。

 

 

ゲキレッド「たくっ、まだいるのかよ!」

 

 

ダイヤモンド「呆れる程たくさんいるわね。どうする?」

 

 

ラブリー「私に任せて下さい!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

ラブリー「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!チェリーフラメンコ!」

 

 

ラブリーがプリカードをセットし、チェリーフラメンコに変わる。

 

 

ラブリー「プリキュア!パッションダイナマイト!オレ!」

 

 

ラブリーの周りに炎が発生し、一瞬で炎が広がり悪夢獣を飲み込み消滅させる。

 

 

『おー!』

 

 

ロゼッタ「かっこいいですわ」

 

 

ラブリーの活躍に、ドキプリ勢は感心する。

 

 

プリンセス「それじゃあ私も!」

 

 

ハート達の反応に、プリンセスもやる気をみせる。

 

 

プリンセス「ぶっ!」

 

 

だがその時、上から大きな岩が落ちてきてプリンセスの頭に直撃する。

 

 

プリンセス「あいた~!」

 

 

上を見てみると、羽を生やした悪夢獣がたくさん飛んでいた。

 

 

ダイヤモンド「空にもあんなにいっぱい!」

 

 

ゲキブルー「私に任せて!ゲキファン!」

 

 

リンは蝙蝠を模した鉄扇、『ゲキファン』を召喚した。

 

 

ゲキブルー「ゲキワザ!昇昇舞(しょうしょうまい)!」

 

 

リンはゲキファンのゲキワザを使用し、空へと舞い上がる。

 

 

ゲキブルー「行くわよ!ゲキワザ!宙宙斬(ちゅうちゅうざん)!」

 

 

ゲキファンに激気を集め、飛んでいた全ての悪夢獣を切り落とした。

 

 

ハート「凄い!」

 

 

ダイヤモンド「誠司君といい、リンさんといい、スーパー戦隊って凄く強いのね」

 

 

理央「おい!お前ら上ばかりに気をとられすぎだ」

 

 

上に注意が行っていたせいか、周りを見てみると大量の悪夢獣に囲まれていた。

 

 

ラブリー「囲まれた!」

 

 

プリンセス「どうしよう!」

 

 

ラブリー達が慌てだす。

 

 

ゲキイエロー「誠司とリンが頑張ってるんだから、私だって負けてられないわ!」

 

 

ゲキイエロー「ゲキハンマー!」

 

 

ランは象を模した鎖鉄球、『ゲキハンマー』を召喚した。

 

 

ゲキイエロー「行くわよ!」

 

 

ゲキレッド「おい...お前まさか!」

 

 

ゲキイエロー「そのまさかよ!」

 

 

ゲキレッド「! お前ら全員ふせろ!」

 

 

俺達のやり取りで俺の意図が分かったのか、全員がふせる。

 

 

ゲキイエロー「ゲキワザ!弾弾丸(だんだんがん)!」

 

 

ランは頭上でゲキハンマーを振り回し、その遠心力によって威力を上げ周りの悪夢獣を攻撃し一掃した。

 

 

ゲキイエロー「よし!」

 

 

ゲキレッド「よし、じゃねえよ!少しは周りの事を考えて行動しろよ」

 

 

ランの行動に、誠司は注意する。

 

 

ゲキブルー「みんな大丈夫?」

 

 

その時、ゲキファンで飛んでいたリンが降りてくる。

 

 

理央「とりあえず、ある程度は倒したな」

 

 

 

場所は変わって、少し離れた所でユメタがプリキュア達の戦いを見ていた。

 

 

ユメタ「ああ...プリキュア...」

 

 

マアム「ハァ、ハァ...いくら悪夢を出しても打ち砕かれる...これがプリキュア...でも負けられない...ユメタを守らなきゃ!」

 

 

ラブリー「ラブだね」

 

 

マアム「あっ?」

 

 

そこには、ラブリーとプリンセスと妖精達がいた。

 

 

ラブリー「ユメタ君を守りたいっていうあなたの気持ち、とってもラブだね。お母さんの愛情でユメタ君はやさしい子になったんだね」

 

 

マアム「何が言いたいの?」

 

 

ラブリー「ユメタ君みたいないい子が、子供たちを閉じ込める事を望んでいるとは思えないんだ」

 

 

ユメタ「あっ...」

 

 

ラブリー「ユメタ君は、ちゃんと自分で頑張れる子だよ。信じてあげて!」

 

 

マアム「何を言ってるの?ユメタの事は母親の私が一番よく分かってるわ。だからユメタの幸せを考えて夢をかなえて...」

 

 

プリンセス「それはユメタ君の夢じゃなくてあなたの夢だわ!わが子を守りたくて、守りすぎてユメタ君を閉じ込めている!」

 

 

ユメタ「うう...」

 

 

マアム「おだまり!おだまりぃぃ~!」

 

 

マアムはプリキュアに向かって、悪夢獣を出した。

 

 

ユメタ「ううっ...」

 

 

その時、ユメタは夢の中でプリキュアが言っていた言葉を思い出した。

 

 

『涙を乗り越えたらきっと強くなれる!』

 

 

ユメタ「うう...うっ...」

 

 

『失敗しても大丈夫!やり直せばいいんだよ何度でも!』

 

 

ユメタ「うう...あっ...」

 

 

悪夢獣「あく~!」

 

 

グレル・エンエン「くうっ」

 

 

ユメタ「グレル、エンエン...」

 

 

『痛い目に遭うと分かってても、見てみぬふりなんか出来ないよ!』

 

 

ユメタ「プリキュア...」

 

 

『ユメタの大切な友達、大切な夢必ず守ってあげる』

 

 

マアム「くう...」

 

 

ユメタ「お母さん」

 

 

『男ってのは、守るものがあればいくらでも強くなれるんだ!お前にもあるんじゃないのか?守りたいものが!』

 

 

ユメタ「僕の守りたいもの...」

 

 

『自分だけが幸せの夢なんて、そんなの全然いい夢じゃない!』

 

 

ユメタ「うう...お母さん!もうやめて~!」

 

 

悪夢獣がラブリーたちに迫る。

 

 

ユメタ「んん~!」

 

 

ユメタは無我夢中で、悪夢獣に突き進む。

 

 

バチンっ!

 

 

グレル・エンエン「うう...あっ!」

 

 

マアム「ああっ!」

 

 

ユメタ「うにゅ~~!」

 

 

グレル・エンエン「ユメタ!」

 

 

ユメタは、悪夢獣の攻撃を防いでいた。

 

 

ユメタ「うう~!」

 

 

その時、ユメタはマアムと同じような掃除機を召喚した。

 

 

マアム「ああ...」

 

 

ユメタ「うう...んっ!」

 

 

そのまま掃除機で、悪夢獣を吸い込んだ。

 

 

ユメタ「うっ!ハア...ハア...ハア...」

 

 

マアム「ああ...ユメタあなた、悪夢を...」

 

 

ユメタ「お母さんごめんなさい!僕が弱虫だからいつも心配掛けて...お母さんにこんなことさせて...」

 

 

マアム「何言ってるの?いいのよあなたを守る為ならお母さん何だって...」

 

 

ユメタ「守ってくれるのはうれしいよ。でも...子供達には将来の夢が...未来がある。僕の為にみんなの未来を犠牲に出来ないよ!」

 

 

マアム「はっ...!」

 

 

ユメタ「辛くても、苦しくても、僕は自分の力で頑張りたい!プリキュアやスーパー戦隊みたいに!」

 

 

マアム「ユメタ...お母さんはあなたの悲しむ姿を見たくなかったの。ただあなたを守りたくて...それが...間違ってたの?」

 

 

「きゃー!」

 

 

「うわー!」

 

 

その時、子供たちの悲鳴が聞こえた。

 

 

子供たちの方を見てみると、子供たちが悪夢獣に襲われていた。

 

 

マアム「子供達には手を出すなと教えたじゃない!」

 

 

悪夢獣「ん?うぎゃー!」

 

 

マアムは近くにいた悪夢獣を吸い込んだ。

 

 

マアム「うう...ああ...」

 

 

マアムは悪夢獣を吸い込めず、その場に倒れてしまった。

 

 

ユメタ「あっ...お母さん!」

 

 

マアム「悪夢を...吸い込めない」

 

 

グレル・エンエン「え!?」

 

 

リボン「力を使いすぎたんですわ!」

 

 

マアムの状況に、リボンはすぐに気づいた。

 

 

悪夢獣たち「あくむ~あくむ~」

 

 

悪夢獣たちが集まり、儀式を行っていた。

 

 

すると瞬く間に空が雲に覆われ、草原が荒地になってしまった。

 

 

悪夢に包まれたせいか、プリキュア達が倒した悪夢獣達が復活し始めた。

 

 

グレル「これじゃ切がないぞ!」

 

 

エンエン「なにか方法は?」

 

 

ユメタ「バクの力だ!」

 

 

グレル・エンエン「えっ?」

 

 

ユメタ「バクの力なら、悪夢をやっつけられる。プリキュアとスーパー戦隊、そしてバクの力が合わされば...僕が行く!」

 

 

マアム「待ちなさいユメタ!行っちゃだめよ危ないわ!」

 

 

マアムはユメタの腕を掴み、止めようとする。

 

 

ユメタ「でも、僕はバクだ!お母さんいつも言ってるじゃないか、悪夢をやっつけるのがバクの役目だって!悪夢をやっつけて、みんなの夢を守らなきゃ!」

 

 

マアム「ユメタ...」

 

 

ユメタ「行かせてお母さん お願い!」

 

 

マアム「はあ...」

 

 

マアムはユメタの腕を離す。

 

 

マアム「ユメタ、行ってらっしゃい。お母さんここで見てるわ。しっかりね」

 

 

ラブリー達と一緒に、ユメタは悪夢獣の方へ向かう。

 

 

マアム「うう...」

 

 

マアムはユメタの言葉で、自分が間違っていた事を知り涙を流す。

 

 

 

ラブリー達「ハアハアハアッ」

 

 

悪夢獣「あ~くむ~!」

 

 

子供達の所へ向かう途中、悪夢獣が襲ってきた。

 

 

ユメタ「うっ...」

 

 

ラブリー・プリンセス「ふっ!やあ!」

 

 

ラブリーとプリンセスが同時に攻撃し、消滅させる。

 

 

ユメタ「うう...うっ!怖いけど...プリキュアがいる」

 

 

グレル「ユメタもうすぐだ!」

 

 

エンエン「頑張って!」

 

 

ユメタ「うん!」

 

 

ユメタ「友達がいる...僕は1人じゃない!」

 

ハート「う!だあっ!」

 

 

ユメタ達は、ハート達が戦っている所に到着した。

 

 

ユメタ「キュアハート!僕の力を受け取って!うう!」

 

 

ユメタはハートに向けて、エネルギーの塊を放出する。

 

 

ハート「ユメタ君!あっ...ああ...」

 

エネルギーの塊は、ハートの中に吸収された。

 

 

その時、ハートに向かって悪夢獣が襲い掛かる。

 

 

ハート「あなたに届け!マイスイートハート!」

 

 

悪夢獣にハートの必殺技が命中し粒子になることなく完全に消滅した。

 

 

グレル「悪夢が消えた!」

 

 

エンエン・ユメタ「ああ...」

 

 

ユメタ「プリキュアのみんな!ゲキレンジャーのみんな!ええいっ!」

 

 

ユメタがハートに送った物と同じエネルギーの塊が、全てのプリキュアとゲキレンジャーに吸収される。

 

 

その時、ブラックを含むピンクチームが一箇所に集まった。

 

 

『プリキュア・コラボレーションパンチ!ニューステージ!』

 

 

ピンクチームの合体技で、多くの悪夢獣が完全に消滅した。

 

 

プリンセス「すっごーい!ってなんかラブリーもちゃっかりまじってたし!」

 

 

良く見ると隣にいたはずのラブリーが、ピンクチームの攻撃に混じっていた。

 

 

プリンセス「待ってよー!」

 

 

プリキュア達が戦っていた悪夢獣が、いきなり地面に消えた。

 

 

レモネード「地面に消えました!」

 

 

ルージュ「何をするつもり?」

 

 

悪夢獣ドーム「集まれ~集まれ~!」

 

 

地鳴りが起き、プリキュア達の足元から巨大な口が現れ、プリキュア達を飲み込もうとしていた。

 

 

プリキュアたち「あっ!」

 

悪夢獣「あ~く~む~!」

 

 

マリン「でっかくなっちゃった!」

 

 

巨大な口はそのままプリキュア達を飲み込んだ。

 

 

 

場所は変わり、誠司たちは子供たちを一箇所に集めて悪夢獣から守っていた。

 

 

ゲキレッド「どういうことだ?いきなり悪夢獣達が地面に消えたぞ」

 

 

ゲキイエロー「なにか起こるのは確かね」

 

 

誠司達は、急に消えた悪夢獣を警戒する。

 

 

ゲキブルー「大丈夫よ。あなた達は私達が絶対守るから!」

 

 

女の子「お姉ちゃんたちもプリキュアなの?」

 

 

ゲキイエロー「ううん、私達はスーパー戦隊よ」

 

 

男の子「スーパー戦隊?」

 

 

ゲキレッド「そうだ。俺達はプリキュアとは別の戦士なんだよ」

 

 

俺達は不安がる子供たちを安心させる為に、警戒しながら説明していた。

 

ゲキイエロー「ねえ!あれを見て!」

 

 

ランが指を指した方を見ると巨大な口がプリキュア達を飲み込んでいた。

 

 

ゲキブルー「何あれ!?」

 

 

理央「恐らく、消えた悪夢獣達の塊といったところだろう」

 

 

ゲキイエロー「どうしようラブリー達が飲み込まれちゃったよ!」

 

 

ゲキレッド「あれが悪夢獣の塊なら、恐らくもう子供達を襲ってはこないだろうから今のうちにユメタ達の方へいくぞ」

 

 

ゲキイエロー「そうね。さっき私達に吸収された力も気になるし」

 

 

ゲキレッド「みんな!いくぞ!」

 

 

『おう!』

 

 

子供達「うん!」

 

 

俺達はプリキュア達を助けるべく、子供達を連れユメタ達の方へ向かった。

 

 

 

 

場所は変わり、ユメタ達はプリキュア達を飲み込んだ巨大な口を見ていた。

 

 

その時内部から外側へプリキュアの力が放出しようとしていたが、すぐに収まった。

 

 

ユメタ「プリキュアの力だけでは悪夢は消せない...バクがいなければ!」

 

 

その時口が大きな顔となり、3体の悪夢獣が出て来てユメタ達を襲おうとしていた。

 

 

ユメタ「うう...」

 

 

グレル「ユメタ!」

 

 

エンエン「危ない!」

 

 

その時、ユメタを守ろうとグレル達が前に出る。

 

 

ユメタ「グレル、エンエン...」

 

 

悪夢獣「く~!」

 

 

グレル・エンエン「絶対に守るんだ!僕らの友達を!」

 

 

その時、グレル達の持っていたライトが光り悪夢獣からグレル達を守った。

 

 

光がやむと、不思議な空間にグレルとエンエンはいた。

 

 

エンエン「ここは?」

 

 

坂上あゆみ「グレル、エンエン」

 

 

グレル・エンエン「ん?」

 

 

坂上あゆみ「あなた達ね、私を呼んだのは」

 

 

声の方を向くと、そこには一人の少女がいた。

 

 

あゆみ「友達を助けたい、そんなあなた達の声が聞こえたの」

 

 

エンエン「君はだあれ?」

 

 

あゆみ「坂上あゆみ、プリキュアよ」

 

 

グレル「プリキュア?でも教科書には君のことは...」

 

 

エンエン「僕先生から聞いたことがある。たった一度だけ変身した幻のプリキュアがいるって」

 

 

グレル「幻のプリキュア?」

 

 

あゆみ「私にはパートナーの妖精がいないの、私もあなた達と同じように友達を...プリキュアのみんなを助けたい!力を貸して!」

 

 

グレル・エンエン「うん!」

 

 

あゆみの言葉に、グレルたちは力を貸すためあゆみと手をつなぐ

 

 

あゆみたち「みんなの思いを守るために心を一つに!」

 

 

あゆみはグレルたちの力を借り、プリキュアに変身する事が出来た。

 

 

キュアエコー「想いよ届け!キュアエコー!」

 

 

グレル「キュアエコー!」

 

 

エンエン「ぼくらのプリキュア!」

 

 

エコー「フフ...」

 

 

ユメタ「グレル、エンエン。本当だね諦めずに頑張り続ければ夢はかなう!」

 

 

ゲキレッド「グレル・エンエン!」

 

 

その時、子供達を連れ誠司達が現れる。

 

 

リボン「誠司さん!」

 

 

ゲキレッド「どうやら無事みたいだな」

 

 

ゲキイエロー「大丈夫?」

 

 

グレル「ああ、なんとか」

 

 

ゲキブルー「所でさっき私達にエネルギーの塊が吸収したんだけど何か知ってる?」

 

 

エンエン「それはユメタがバクの力をプリキュアとスーパー戦隊に渡したんだよ」

 

 

ゲキレッド「ユメタが?」

 

 

ユメタ「そうだよ!僕は悪夢と戦うって決めたんだ!だってそれがバクの役目だから!」

 

 

ゲキレッド「そうか。そっちは旨く行ったみたいだなグレル・エンエン」

 

 

グレル「おう!プリキュアのお陰でな!」

 

 

ゲキブルー「良かったね!」

 

 

その時、エコーが話しかけてきた。

 

 

エコー「あの、私キュアエコーと言います。あなた達もプリキュアなんですか?」

 

 

リボン「彼らはプリキュアとは別の戦士、スーパー戦隊ですわ!」

 

 

ゲキレッド「その話は後だ!まずはラブリー達を助けないとな!」

 

 

エコー「それは私に任せて下さい」

 

 

エコーはそう言うと、空へ舞い上がった。

 

 

エコー「世界に響け!みんなの思い!プリキュアハートフルエコー!」

 

 

エコーの技が空の雲に当たると、夢の世界を包んでいた闇が晴れていく

 

 

グレル・エンエン「うわぁ!」

 

 

悪夢獣「ぐおお~!」

 

 

エコーの技の影響で巨大な悪夢獣を苦しみだし消滅した。

 

 

メロディ・ハッピー「うっ!あっ・・・」

 

 

メロディ「あれは!」

 

 

ハッピー「あゆみちゃん!いやキュアエコー!」

 

 

エコー「みんな、上よ!」

 

 

エコーに言われ上を見ると消滅した悪夢獣が一箇所に集まり、先程とは比べほどにならない大きさの悪夢獣が現れた。

 

 

マリン「でか!!」

 

 

ブラック「嘘でしょ!いくらなんでも大きすぎでしょ!」

 

 

あまりの大きさに、プリキュア達は驚いている。

 

 

ホワイト「どうする?」

 

 

ドリーム「さっきみたいに足元を狙って体制を崩させる?」

 

 

アクア「あの大きさでは、私達全員の力を合わせても攻撃が効くとわ思えないわ」

 

 

ハート「どうしよう...」

 

 

ゲキレッド「ラブリー!プリンセス!」

 

 

その時、ゲキレンジャーがプリキュア達に合流した。

 

 

ラブリー・プリンセス「誠司!」

 

 

ハート「誠司君!無事だったんだね!」

 

 

ゲキレッド「悪いな、今まで子供達を守ってたから遅れちまった」

 

 

ダイヤモンド「誠司君達も合流した事だし、どうやってあいつを倒すか考えましょう!」

 

 

ゲキレッド「大丈夫だ。あいつは俺達が相手するからお前達は下がっててくれ」

 

 

ロゼッタ「相手をするって、あの巨大な相手をどうやって...」

 

 

プリンセス「ああ!そうじゃん!誠司達がいればあんなやつ余裕じゃん!」

 

 

メロディ「え?スーパー戦隊ってあんな巨大な敵を簡単に倒せるぐらい強いの!?」

 

 

ゲキブルー「私達からしたら日常茶飯事だからね」

 

 

ミューズ「凄すぎでしょ...」

 

 

ゲキレッド「さてと、ユメタも男を見せたんだ!俺達も男をみせないとな!理央」

 

 

理央「ああ、そうだな」

 

 

ゲキイエロー「私達も行くわよ!」

 

 

ゲキブルー「ええ!」

 

 

ゲキレッド「よし!みんな行くぞ!」

 

 

理央達「おう!」

 

 

3人「ゲキワザ・来来獣!」

 

 

ゲキレッド「ゲキタイガー!」

 

 

ゲキイエロー「ゲキチーター!」

 

 

ゲキブルー「ゲキジャガー!」

 

 

理央「リンギ・招来獣!リンライオン!」

 

 

ゲキレッド達からゲキビーストが、理央からリンビーストが召喚される。

 

 

ハッピー「何あれ!?」

 

 

ピース「凄ーい!かっこいい!」

 

 

ゲキビースト達が出て来たことにより、プリキュア達が興奮している。

 

 

ハート「あれってたしかラブリーを助けたときに出てきた虎よね?」

 

 

ソード「他にもいたのね」

 

 

ブロッサム「でも確かにあの動物さん達がいれば、倒せるかもしれませんね!」

 

 

ラブリー「それよりも、理央さんも誠司達と同じように出せるんだね!」

 

 

ゲキイエロー「今回は理央も入れた特別バージョンだからね」

 

 

プリンセス「なんか凄そう!」

 

 

ゲキトージャを知ってるラブリー達も、興奮しだした。

 

 

ゲキレッド「行くぞ!」

 

 

『呉越同舟!獣拳合体!』

 

 

ゲキタイガーが後脚で立ち上がり、後脚が折りたたまれる。

 

 

ゲキチーターとゲキジャガーが脚を収納し、首を90度曲げ脚になる。

 

 

リンライオンが頭、胴体、背中、足、尾の5つのパーツに分かれる。

 

 

ゲキチータがゲキタイガーの右足に、ゲキジャガーがゲキタイガーの左足になり、ゲキトージャが完成され、リンライオンの頭がゲキトージャの胸の装甲になり、胴体と足は両肩の装甲、背中と尾は合体し激臨剣(げきりんけん)となり、ゲキリントージャが完成した。

 

 

4人「ゲキリントージャ!バーニングアップ!」

 

 

ハート「が、合体した...」

 

 

プリキュア達「かっこいい~!!」

 

 

ゲキビースト達が合体した事により、ラブリー達も含め殆どがさらに興奮し始めた。

 

 

ピース「嘘!合体する巨大ロボとか超神展開なんですけど!誰かビデオカメラ!ビデオカメラ持っていませんか!?スマホのカメラでもいいから!!」

 

 

中でもスーパーヒーローが大好きなピースが一番興奮していた。

 

 

ゲキレッド「行くぞ!」

 

 

ゲキリントージャで巨大悪夢獣に立ち向かう。

 

 

4人「ハァ!」

 

 

巨大悪夢獣に向かって、上段から斬りつける。

 

 

巨大悪夢獣「あく!あ~く~む!」

 

 

巨大悪夢獣はひるんだが、すぐに攻撃を仕掛けてくる。

 

 

4人「フッ!」

 

 

巨大悪夢獣は腕を叩きつけて、攻撃してきたが剣によって防ぐ。

 

 

4人「フッ!ハア!」

 

 

剣を押し返すことで巨大悪夢獣の体制を崩し、すかさず斬りつける。

 

 

巨大悪夢獣「あ~く~!」

 

 

理央「リンギ・獅子吼(ししこう)!」

 

 

胸部のリンライオンの口から臨気のエネルギー弾が放たれる。

 

 

巨大悪夢獣「あ~く~!」

 

 

エネルギー弾が命中し、巨大悪夢獣は吹っ飛ぶ。

 

 

ラブリー「おお~!凄~い!」

 

 

ゲキレッド「止めだ!激臨剣!」

 

 

4人「ゲキリントージャ 奥義!激激臨臨斬(げきげきりんりんざん)!」

 

 

ゲキリントージャの上半身が回転しながら巨大悪夢獣に突撃し、すれ違いざまに連続して斬りつける。

 

 

奥義が命中し巨大悪夢獣は消滅し、それと同時にマアムが閉じ込めていた夢の世界が解放された。

 

 

4人「ゲキリントージャ!WIN!」

 

 

ハート「やったぁ!」

 

 

ソード「これで子供達が夢から覚めるわ!」

 

 

戦いを終えた俺達は、マアムの力で病院で眠っている子供達を見ている。

 

 

そこには次々と子供達が目を覚まし、子供に泣きついてる母親の姿があった。

 

 

マアム「親にとって我が子を失うほどの悪夢はない、悪夢を食べるバクが悪夢を見せていたなんてバク失格だわ」

 

ユメタ「お母さん」

 

 

マアム「あっ...」

 

 

ユメタ「僕、将来の夢があるんだ」

 

 

マアム「えっ?」

 

 

ユメタ「自身がなくて言えなかったけどずっと思ってたんだ。どんな怖い悪夢にも立ち向かっていくお母さんはすごいって」

 

 

マアム「ああ...」

 

 

ユメタ「だから僕は将来お母さんみたいなバクになる。もう一度自分の夢をかなえる為に頑張るんだ!」

 

 

ユメタ「ユメタ...」

 

 

マアムはユメタの言葉に感動し泣きながらユメタを抱きしめた。

 

 

マアム「うう...」

 

 

ユメタ「お母さん!」

 

 

グレル・エンエン「フフフ...」

 

 

 

 

 

 

ブラック「みんな、じゃあね!」

 

 

エース「またお会いしましょう!」

 

 

あいちゃん「ばいばーい!」

 

 

その後、プリキュア達が自分達の町へ帰っていった。

 

 

ユメタ「夢から覚めればみんな僕のことを忘れる。でも、それでいいんだ。楽しい夢を見て今日一日頑張ろうって思ってくれたらそれで...」

 

 

グレル「俺は忘れないぞ、お前のこと絶対に忘れない」

 

 

エコー「離れ離れになっても友情は消えないわ。心がつながっている限りずっと友達よ」

 

 

エンエン「ぼく教科書に書くよ!新しいプリキュアハピネスチャージのこと。僕達のパートナー、キュアエコーのこと。別の世界の戦士、スーパー戦隊のゲキレンジャーのこと。そして...夢の中でみんなの夢を守ってくれているユメタっていう妖精がいることみんなに伝えるからね!」

 

 

ユメタ「グレル エンエン...」

 

 

グレルが手を前に出す。

 

 

エンエン「えへ...」

 

 

グレルの手の上に、エンエンが手を置く。

 

 

ユメタ「えへへ...」

 

 

エンエンの手の上に、ユメタが手を置く。

 

 

エンエン「また会おうね!」

 

 

ユメタ「うん!」

 

 

グレル「俺達は永遠に友達だ!」

 

 

プリンセス「うぅ...」

 

3人のやり取りを見て、プリンセスが号泣していた。

 

 

リボン「プリンセス、もらい泣きしすぎですわ」

 

 

プリンセス「だってだって...永遠の友達って...うわーん!」

 

 

ラブリー「お母さんの愛情があって永遠の友達がある世界にラブはいっぱいだね!」

 

 

ゲキレッド「じゃあ俺達も帰るか」

 

 

ゲキイエロー「そうだね」

 

 

マアム「みなさん本当にありがとうございました」

 

 

ゲキレッド「気にするな。これからは親子二人で頑張れよ!じゃあな!お前ら!」

 

 

ラブリー「またね~!」

 

 

プリンセス「ま゛だね゛~」

 

 

理央「お前はいつまで泣いてんだ」

 

 

俺達はブルーの力を使い、元の世界へと戻っていく。

 

 

俺達は無事大使館に到着した。

 

 

ブルー「みんなご苦労様」

 

 

誠司「ああ、ただいま」

 

 

めぐみ「でもよかったよ。ユメタ君達がちゃんと分かってくれて」

 

 

ラン「そうだね」

 

誠司「そういえば、なんか忘れてないか」

 

 

ラン「なんかあったっけ?」

 

 

ブルー「ははは...」

 

 

ゴウ「その忘れてるって、俺達のことじゃないのか?」

 

 

その時、ブルーの後ろから剛とケンが現れた。

 

 

誠司達「あっ...」

 

 

ケン「理央のことを呼んでいて、なんで俺達は呼ばなかったんだよ!」

 

 

誠司「悪い悪い、忘れてた」

 

 

ゴウ「ふざけんなよ!このやろう!」

 

 

ゴウとケンは、誠司を捕まえてもみくちゃにしていた。

 

誠司「おい!...やめろ!」

 

 

ケン「うるせぇ!置いていかれた俺達のことを考えろよな!」

 

 

ひめ「ど、どうしよう?」

 

 

リン「ほっといて大丈夫よ」

 

 

ラン「いつものことだしね」

 

 

めぐみ「みんなも仲が良い友達なんだね!これにて幸せハピネス!」

 

 

 

-Fin-

 

 

 

 

 

 




はい如何だったでしょうか

私がいっていたあるやつとはゲキリントージャの事でした。

メレがいないから分からなかったと思います。

合体には本来ならリンカメレオンも必要なんですが必要な合体パーツというわけじゃないので今回はリンライオンのみ合体しました。

また思ったより時間掛かってしまい申し訳ございません。

感想及びアドバイスお待ちしております。

では次回でお会いしましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話~第14話
第6話 友情全開!!二人の新しい力!!


どうもナツ・ドラグニルです

今回は7話を題材にして書いていきたいと思います。

ケンケン様、ご感想ありがとうございます

ハピネスチャージの映画ですが、もちろん投稿しようと考えています。

オールスターズの活躍も、フォーチュンが加入したあたりに
ゲキレンジャーVSゴーオンジャーの映画を書こうと考えており
その時に出そうかなと思います。

また矢車様誤字報告ありがとうございます。

言われて気づきました。

他にも感想及び誤字報告等お待ちしております。


誠司「ぐぼお!!」

 

 

ドッシーン!

 

 

おはよう!相楽誠司だ!俺は今寝ていたが、いきなりの衝撃でベットから落ち目を覚ました。

 

 

誠司「イタタタ...」

 

 

ベットの方を見てみると、めぐみが寝ていた。

 

 

この前の夢の世界で起こった騒動の後も、朝起きたら一緒に寝ていることが多くなった。

 

 

だが、問題は他の所にある。

 

 

ラン「グ~」

 

 

リン「ん.んん...」

 

 

めぐみの他に、ランとリンが寝ていた。

 

 

良く見ると、ランが突きを放った後みたいに腕を伸ばしていた。

 

 

どうやら俺は、寝ぼけていたランの突きが命中し、ベットから落ちたようだ。

 

 

誠司「こいつらまた俺の部屋で寝てんのかよ」

 

 

そう、なぜかラン達もめぐみ同様、最近俺の部屋で寝るようになっていた。

 

 

寝る時に部屋の鍵は閉めているのに、どうやって入ってくるのか謎だ。

 

 

時間を見てみると朝の4時だった。

 

 

誠司「たくっ、修行するから俺は問題ないけど、普通だったらまだ寝てるぞ」

 

 

俺は起こされたことに悪態をつく。

 

 

誠司「とりあえず、郵便受け見てくるか」

 

 

めぐみ達を寝かせたまま、郵便受けを見に行くことにした。

 

 

誠司「ん?なんだこれ?」

 

 

郵便受けには、『相楽誠司様へ』というメッセージカードが入っていた。

 

 

誠司「なになに、スペシャルパーティー!おしゃれしてきてね?」

 

 

カードには、大使館でパーティを行う旨が書かれていた。

 

 

誠司「差出人はひめみたいだな、今日なんかの記念日だったか?」

 

 

俺は何のパーティーか分からない為、疑問に思っていた。

 

 

誠司「とりあえず、あいつら起こして修行に行くか」

 

 

俺は修行に行くため、自分の部屋に戻った。

 

 

ラン「あっ!誠司おはよう!」

 

 

リン「おはよう」

 

 

部屋に戻ると、ランとリンは既に起きていた。

 

 

誠司「ああ、おはよう」

 

 

ラン「今日はずいぶん早いんだね」

 

 

ランの質問に対して、俺はジト目で返した。

 

 

誠司「どっかの誰かさんに攻撃食らって、ベッドから落ちて目を覚ましたんだよ」

 

 

ラン「え?」

 

 

誠司「まあいいや、とりあえず支度して修行に行こうぜ」

 

 

俺達は修行するため、支度して剛達を向かいに行き、いつもの河川敷に向かった。

 

 

 

4人「スペシャルパーティー?」

 

 

修行が一段落つき、今朝のメッセージカードについて話していた。

 

 

誠司「ああ、朝郵便受け見たらひめから届いててな、お前達には届いていなかったか?」

 

 

剛「俺達には届いていなかったぞ」

 

 

ラン「私達にも届いていなかったわ」

 

 

誠司「てことは、俺にしか届いてないのか?」

 

 

リン「めぐみちゃんには届いてないの?」

 

 

誠司「一応修行終わったら確認しようと思ってる。お前達はどうする?」

 

 

ケン「参加するかってことか?悪いが俺はパス」

 

 

ゴウ「おれも誘われてないのに参加するのはな」

 

 

誠司「分かった」

 

 

いおな「誠司君!」

 

 

その時、いおなが話しかけてきた。

 

 

いおな「誠司君おはよう!」

 

 

誠司「おはよう、いおな」

 

 

ゴウ「誠司知り合いか?」

 

 

いおなに対して、剛が質問してくる。

 

 

誠司「彼女は氷川いおな、俺の隣のクラスで同じ格闘家として意気投合して、たまに一緒に修行してるんだよ」

 

 

いおな「宜しく」

誠司「こっちはいおなが前に言っていた転校生達だ。左から宇崎ラン、深見リン、リンの兄の深見ゴウ、そして久津ケン。同じ獣拳を指南した者たちだ」

 

 

いおな「え?それじゃあそちらの男性二人は年上なの!?し、失礼しました!」

 

 

ゴウ「気にするな別に気にしてないからな」

 

 

ケン「俺も気にしてないぜ」

 

 

誠司「そうだ、この後いつもの走り込みしようと思ってたんだけど、お前も一緒にやるか?」

 

 

いおな「え!?いいの!?じゃあお願いするわ」

 

 

そう言っていおなは微笑んでいた。

 

 

ケン「どう思う?」ボソッ

 

 

ゴウ「脈ありだろ完全に」ボソッ

 

 

ケン達が後ろの方でなにかやっていた。

 

 

ケン「幼馴染だけかと思いきや、他にもいたとはな」

 

 

ゴウ「あいつらも苦労するな」

 

 

その後、しばらく走っているといおなが話しかけてきた。

 

いおな「そう言えば、最近幻影帝国と戦ってるプリキュアとは別の戦士って知ってる?」

 

 

誠司「ああ、ゲキレンジャーの事だろ」

 

 

いおな「そう、プリキュアよりもはるかに強い戦士達だったわ」

 

 

誠司「彼らがいれば、幻影帝国も簡単に倒せるだろ」

 

 

いおな「そうかしら?いくらプリキュアより強くてもファントムには勝てないわ」

 

 

誠司「ファントム?」

 

 

いおな「幻影帝国の幹部の一人で、プリキュアハンターと呼ばれてるわ」

 

 

ゴウ「そんなやつがいるのか」

 

 

いおな「ええ、ファントムに勝てたプリキュアは一人もいないわ」

 

 

ファントムの話をしているいおなは、何か思い詰めているようだった。

 

 

誠司「なるほどな」

 

 

いおな「ごめんなさい、こんな話をして」

 

 

誠司「別に構わないよ。気にするな」

 

 

いおな「そう。私そろそろ切り上げるわまた明日」

 

 

誠司「ああ」

 

 

いおなはそのままペースを上げて、先へ行ってしまった。

 

 

ゴウ「誠司どう思う?」

 

 

先程のいおなの言動が気になったのか、ゴウが聞いてきた。

 

 

誠司「いおなが、そのファントムという奴と何かあったのは明確だな」

 

 

ラン「何かって何?」

 

 

誠司「それは分からないが、あいつは前から強さにこだわっているんだ」

 

 

ゴウ「ファントムを倒す為にか?」

 

 

誠司「たぶんな」

 

 

ケン「まあ、俺達がこんなところで考えても仕方ないだろ」

 

 

誠司「そうだが。俺はあいつがそのファントムという奴で悩んでるなら、力になりたいと思ってるんだ」

 

 

ゴウ「お前らしいな」

 

 

ラン「まったく、あんたのそう言う性格少しは直しなさいよね」

 

 

リン「本当よ」

 

 

誠司「なにがだ?」

 

 

ラン・リン「はぁ」

 

 

ラン達は俺の態度に対して、ため息をついた

 

 

誠司「なんだよ?」

 

 

ラン・リン「別に...」

 

 

ケン「いやあ、恋する乙女は大変ですな」ボソッ

 

 

ラン・リン「うるさい!」

 

 

ケン「ぐはっ!」

 

 

ケンがラン達に何か言ったと思ったら、2人から肘鉄をもらっていた。

 

 

ゴウ「阿保か」

 

 

 

 

その後、俺達も切り上げ俺はめぐみにメッセージカードの事を聞くため、自分の家のドアじゃなく隣にあるめぐみの家のドアに来てインターホンを鳴らした。

 

 

ガチャッ

 

 

ドアが開くと、中からめぐみのお母さんが出てきた。

 

 

かおり「あら誠司君どうしたの?」

 

 

誠司「おはようございます、おばさん」

 

 

かおり「おばさん....」

 

 

誠司「か、かおりさん。めぐみいますか?」

 

 

おばさんと呼ばれたせいか、かおりさんはショックを受けていた。

 

 

かおり「ごめんなさいね、めぐみなら友達に招待されたから出掛けてくるって言ってたわ」

 

 

誠司「なら大丈夫です。俺も招待されたんですが、めぐみにも届いてるか確認しにきただけですから」

 

 

かおり「あらそうなの?でもめぐみが出てるってことは時間大丈夫なの?」

 

 

誠司「大丈夫ですよ、まだ約束の2時間前ですから」

 

 

かおり「そう、ならめぐみはなんでもう出てったのかしら?」

 

 

誠司「あいつの事ですから手伝おうとして早めに出てったんじゃないですかね?まったく」

 

 

かおり「ふふ、誠司君いつもめぐみの事ありがとうね」

 

 

誠司「大丈夫ですよ幼馴染ですから」

 

 

かおり「誠司君には言ってなかったけど。めぐみはね、誠司君が行方不明になった時、全然元気がなくて学校に行くとき意外部屋に閉じ籠ってばかりいたのよ」

 

 

誠司「そうなんですか?」

 

 

かおり「ええ、食欲もなくなって大変だったのよ。でも誠司君が帰ってきてからは今まで通り笑うようになったの」

 

 

知らなかった。

 

 

俺がゲキレンジャーとして戦ってる間にそんなことになっていたなんて。

 

 

かおり「だからね、これからもめぐみの事を宜しくね」

 

 

誠司「はい!任せて下さい!」

 

 

俺はかおりさんと別れた後、時間になったので大使館に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

俺は大使館のチャイムを鳴らすとドアが勢い良く開いた。

 

 

誠司「よう」

 

 

ひめ「誠司か、いらっしゃい」

 

 

ドアを開いた時は嬉しそうな顔をしていたが、俺だと分かると落ち込みはじめた。

 

 

誠司「自分から呼び出しておいて、なんだそのテンションは?」

 

 

ひめ「ううん、なんでもない」

 

 

そう言いながら、ひめは奥へと消えて行った。

 

 

ブルー「すまない。君のせいじゃないんだ。僕が余計な事を言ったから」

 

 

誠司「はあ?」

 

 

俺はブルーに案内され、事情を聞く。

 

 

ブルー「実は、今ひめはパーティーの準備をしていて1人でやりたかったみたいなんだが、めぐみとリボンに邪魔されて追い出してしまったんだ」

 

 

誠司「どうせ手伝おうとしてたんだろ、あいつらしいな」

 

 

ブルー「それで誠司君が来たときに、僕がめぐみが仲直りしに戻ってきたんじゃないかと言ってしまったんだ」

 

 

誠司「なるほど。それでドアを開けたらめぐみじゃなくて俺がいたと」

 

 

ブルー「すまない、僕が余計な事を言ったから君にも不快な気持ちにしてしまって」

 

 

誠司「別に構わないよ。俺もタイミングが悪かったみたいだしな」

 

 

ブルー「それですまないがめぐみの事を探して来てくれないか?このままだとひめもかわいそうだからね」

 

 

誠司「任せてくれ!あいつが行きそうな場所は分かりきってるからな」

 

 

ブルー「さすがは幼馴染だね。じゃあ宜しく頼むよ」

 

 

ブルーに頼まれ、俺はめぐみがいるであろう大森ごはんを目指した。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

大森ごはんを目指すと、案の定めぐみ達がいた。

 

 

誠司「よっ!」

 

 

声を掛けると、めぐみ達はビックリし俺を視認すると安心していた。

 

 

めぐみ「なんだ誠司か」

 

 

誠司「なんだよ、ひめだと思ったのか?」

 

 

めぐみ「なんで誠司が知ってんの?」

 

 

誠司「さっきブルーから聞いたんだよ。お前がひめの邪魔したって」

 

 

めぐみ「邪魔してないよ!」

 

 

誠司「分かってるよ、手伝おうとしたんだろ?」

 

 

めぐみ「うん、ケーキ作ってたから手伝おうと思ったんだけど、ひめすっごく怒るんだよ」

 

 

リボン「そ、それは...」

 

 

誠司・めぐみ「ん?」

 

 

リボン「違うんですの...」

 

 

めぐみ「違うって?」

 

 

リボンはめぐみに質問され困っていた。

 

 

めぐみ「なに?リボンどういうこと?」

 

 

リボン「ひめには秘密って言われてましたけど...ぬえええ...もう限界!お話しますわ!」

 

 

めぐみ「おあ?」

 

 

リボン「実はあのケーキ、ひめがめぐみと誠司にサプライズプレゼントとして作ってたものですの。だから、ひめはめぐみと誠司に内緒にしてコッソリ1人で作りたかったんですわ」

 

 

リボンは、俺達にひめが隠していた事を教えてくれた。

 

 

めぐみ「そうだったの...。ひめは私達の為に1人でケーキを...」

 

 

リボン「うーん...これでひめに怒られてしまいますわ」

 

 

めぐみ「ありがとう!リボンが話してくれてよかった。私、ひめに謝ってくる!」

 

 

リボン「めぐみ!」

 

 

誠司「それが良いと思うぞ。ひめのやつ、俺が来たときお前と勘違いして落ち込んでたからな」

 

 

その時、めぐみのキュアラインに着信が入る。

 

 

ブルー『めぐみ、サイアークが現れた。今、キュアプリンセスが1人で向かっている」

 

 

誠司・めぐみ「え!?」

 

 

リボン「えー!?」

 

 

めぐみ「ダメだよ、一人じゃ危ないよ!」

 

 

ブルー『僕も止めたんだけど、自分1人で倒せるって飛び出してしまったんだ』

 

 

めぐみ「どうしよう」

 

 

ひめが1人で行ったことに、めぐみは動揺している。

 

 

誠司「とりあえずお前は先に行け。俺はラン達に連絡とってから向かう」

 

 

めぐみ「分かった」

 

 

めぐみはラブリーになり、急いでプリンセスの許へ向かった。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

その頃、ウェデングケーキのサイアークが結婚式場をお菓子だらけにしていた。

 

 

ホッシーワ「ホッシーワ至福のひと時。サイアーク、もっともっとお菓子を」

 

 

プリンセス「待ちなさい!」

 

 

その時、プリンセスが現れた。

 

 

プリンセス「プリンセス、急降下ダーイブ!」

 

 

プリンセスは飛行状態の勢いをそのままにし、サイアークを蹴り飛ばした。

 

 

ホッシーワ「来たわねプリキュア。あーら? 今日はお嬢ちゃんお1人?」

 

 

プリンセス「そう、1人よ! それが何っ?」

 

 

ホッシーワ「プププッ弱そ」

 

 

プリンセス「ななっ! もうバカにして~! 私だってプリキュアなんだからね! 強いんだからね!」

 

 

ホッシーワ「はいはい、チョロすぎて張り合いないけどー、コテンパンにしてあげましょう。サイアーク!」

 

 

ホッシーワが命令すると、私の後ろにサイアークがいた。

 

 

振り向くと、サイアークは鞭で攻撃してきた。

 

 

プリンセス「ハッ」

 

 

サイアークの攻撃をジャンプでかわす。

 

 

サイアーク「サイアッ」

 

 

サイアークは追撃で攻撃するが、私は空中で華麗にかわす。

 

 

私は両腕で、大きな空色の球を作り出した。

 

 

プリンセス「プリンセス・ボール!」

 

 

プリンセス・ボールを放つが、サイアークに受け止められてしまった。

 

 

プリンセス「ならこれよ!プリンセス弾丸マシンガン!」

 

 

両拳から空色の光の球を連続で撃ち出し、サイアークを吹き飛ばす。

 

 

プリンセス「やったぁ!」

 

 

喜んだのも束の間、身体に鞭が巻きつきそのままぐるぐる回し、目が回っている所をウエハースの壁に叩きつける。

 

 

ホッシーワ「弱っちぃのに、1人で来ちゃった事を後悔してるのかしら?」

 

 

ホッシーワに馬鹿にされ私は、悔しんでいた。

 

 

ホッシーワ「サイアーク、トドメ!」

 

 

ホッシーワに命令され、サイアークは胴体についていたイチゴをミサイルとして一斉発射させる。

 

 

絶体絶命の状況になり、目をつぶった。

 

 

ホッシーワ「はい、プリキュアいっちょあがり~!」

 

 

衝撃に耐える為、目をつぶったが一向に衝撃が来ない為目を開けるとバリアを展開し私を守ってるラブリーがいた。

 

 

プリンセス「ラブリー!」

 

 

ラブリー「ごめん、遅くなっちゃった」

 

 

プリンセス「ううん」

 

 

ラブリー「今度はこっちの番だよ」

 

 

ラブリーは腕を上にかざしピンク色の巨大な拳を作り出した。

 

 

ラブリー「ラブリーパンチングパンチ!」

 

 

ラブリーは巨大な拳で、サイアークを殴り飛ばした。

 

 

ラブリー「決まったぁ!プリンセス大丈夫?」

 

 

ラブリーは手を取りながら聞いてきた。

 

 

プリンセス「サイアークぐらい、1人で倒せたのに」

 

 

さっきの事を思い出し、思わず強がってしまった。

 

 

ラブリー「ごめんね、プリンセス」

 

 

プリンセス「んあ?」

 

 

いきなり謝られて、プリンセスは変な声が出てしまった。

 

 

ラブリー「リボンから聞いちゃった。あのケーキ、サプライズプレゼントだったんだね」

 

 

プリンセス「えー、リボン言っちゃったの? もうリボンたら...。まぁ作ってるのバレた時からサプライズもへったくれもないけどね」

 

 

ラブリー「私、ひめの気持ちも考えずにお節介焼きすぎちゃった。ホント、ごめんね」

 

 

プリンセス「ううん。私こそ、どうしても1人で作りたくて、つい意地張っちゃった。私こそごめんね」

 

 

お互いに謝罪し笑いあう。

 

リボン「さ、仲直りしたところでサイアークを倒すですわ」

 

 

ホッシーワ「くううう!まさかこのタイミングでもう一人来るなんて!」

 

 

ラブリーが現れた事に、ホッシーワは悔しがっている。

 

 

メレ「まったく、見ていられないね」

 

 

その時、メレが現れた。

 

 

ホッシーワ「あんた!今更何しに来たのよ!」

 

 

メレ「あんな格下連中にやられてるあんたが情けないと思ったから、私が出てきたのよ」

 

 

ホッシーワ「なんですって~!」

 

メレの言葉にホッシーワは憤慨する。

 

 

メレ「なによ?本当の事でしょ?ゲキレンジャーならともかくこんな奴らに苦戦するなんて」

 

 

プリンセス「操られてるって分かってても、凄くむかつく」

 

 

メレ「ここからは私が相手するから、あんたはその雑魚と離れてな」

 

 

ホッシーワ「はんっ!そんなに自信があるならやってみなさいよ!」

 

 

メレ「言われなくても、そのつもりだよ」

 

 

メレはホッシーワと口論した後、私達に向かってきた。

 

 

リボン「ど、どうしましょう!あのゴウさん達でさえ手も足も出なかった相手ですわよ!」

 

 

プリンセス「どうするって言ったって」

 

 

ラブリー「迷っててもしかたないよ!誠司達が来るまで私達で相手しないと!」

 

 

プリンセス「そうだね!誠司が来たらあんなやつ!」

 

 

私は誠司が来る事を信じて、やる気を出す。

 

 

ラブリー「行くよ!」

 

 

私達はメレに攻撃を仕掛ける。

 

 

プリンセス「はあ!」

 

 

私は右パンチを繰り出すが、片手で受け止められてしまった。

 

 

ラブリー「はあああっ!」

 

 

ラブリーがすかさず回し蹴りを繰り出すが腕を立てて受け止めていた。

 

 

メレ「こんな程度かい?」

 

 

ラブリー「くう」

 

 

メレ「ふん!はあ!」

 

 

メレは私に蹴りを入れラブリーを後ろ回し蹴りで吹き飛ばした。

 

 

メレ「リンギ・舌花繚乱!」

 

 

メレは長い舌を連続で伸ばして突きを放ってきた。

 

 

ラブリー・プリンセス「きゃあ~!」

 

 

メレのリンギをくらい私達は吹き飛ばされた。

 

 

メレ「ふん!やっぱりたいした事なかったわね」

 

 

プリンセス「うう...」

 

 

メレ「さて、そろそろとどめとして、まずはそっちの青い奴から始末するか」

 

 

メレが私達に近づき、私を長い舌で拘束し持ち上げた。

 

 

プリンセス「うう!」

 

 

ラブリー「駄目!やめて!」

 

 

メレ「このまま絞め殺してやるよ」

 

リボン「プリンセス!」

 

 

私はメレに締め付けられ殺されそうになった時、誠司の顔が思い浮かんだ。

 

 

プリンセス「助けて...誠司...」

 

 

 

 

 

ザシュ!

 

 

 

メレ「ぐあ!」

 

 

急にメレの舌の拘束が解け、プリンセスは下に落下する。

 

 

落ちたときの衝撃に備えて目をつぶっていたら、地面の固い感触ではなく暖かい感触を感じた。

 

 

不思議に思い目を開けると、誠司が私を抱えていた。

 

 

誠司「無事か?プリンセス」

 

 

プリンセス「せ、誠司...」

 

 

ラブリー「誠司!」

 

 

メレ「くっ!よくもやってくれたわね!」

 

 

メレが誠司に対して、激怒していた。

 

 

誠司「目を覚ませメレ!お前は幻影帝国に操られてるんだ!」

 

 

誠司は私を降ろすと、メレを正気に戻そうとしていた。

 

 

メレ「何を訳の分からない事を言っている!?」

 

 

誠司「さすがに俺の言葉だけじゃ無理か」

 

 

ラン「誠司!」

 

 

その時、遠くからラン達が走ってきていた。

 

 

ラン「おまたせ!」

 

 

ゴウ「悪い遅くなった!」

 

 

ラブリー「みんな!」

 

 

ラン達が合流し遅れた事を謝っていた。

 

 

ラブリー「もう!遅いよ!なにやってたの!?」

 

 

誠司「悪い、理央を探すのに手間取ってな」

 

 

理央「そんな事より、まずはあいつを止めるぞ」

 

 

ケン「ああ!」

 

 

ゴウ「そうだな!」

 

 

誠司「みんな!行くぞ!」

 

 

ラン達「応!」

 

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

 

ゴウ「響け!ケモノの叫び!」

 

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

『ビーストオン!』

 

 

理央「臨気外装!」

 

 

瞬間的に、誠司達にゲキスーツが装着される。

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力! アンブレイカブル・ボディ! ゲキレッド!」

 

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く! オネスト・ハート! ゲキイエロー!」

 

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花。ファンタスティック・テクニック! ゲキブルー!」

 

 

ゲキバイオレット「紫激気、俺流、我が意を尽くす! アイアン・ウィル! ゲキバイオレット!」

 

 

ゲキチョッパー「才を磨いて己の未来を切り開く。アメイジング・アビリティ! ゲキチョッパー!」

 

 

理央「猛きこと、獅子の如く。強きこと、また獅子の如く。我が名は黒獅子・理央」

 

 

『燃え立つ激気は正義の証! 獣拳戦隊ゲキレンジャー!』

 

 

メレ「くっ!出てきなリンシーズ」

 

 

メレの合図で大量のリンシー達が現れた。

 

 

ゲキレッド「ラブリー、プリンセスあいつらは俺達が相手するからお前達はサイアークの方を任せたぞ」

 

 

ラブリー「分かった」

 

 

プリンセス「任せたわよ」

 

 

メレの事を誠司達に任せ、私達はサイアークに向かう。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

私達は誠司に言われた通りサイアークの相手をする為、ホッシーワの許へ向かった。

 

 

ホッシーワ「あら?あんな大口叩いていたのにもう負けたのかしら?」

 

 

ラブリー「メレだったらゲキレンジャーが相手してるわ!」

 

 

ホッシーワ「まあいいわ、あなた達を倒せばいいだけの話だから!サイアークやっちゃって!」

 

 

サイアークは両手に炎を出現させ、投げ飛ばしてくる。

 

 

私達は両サイドに避ける事で、炎をかわす。

 

 

ラブリー「ラブリーライジングソード!」

 

 

ラブリーはライジングソードを出現させ、炎を両断する。

 

 

サイアーク「サイア~ク!」

 

 

サイアークは頭の蝋燭から私に向かって、火炎を発射した。

 

 

ラブリー「プリンセス!」

 

 

ラブリーは私を守るために、剣で火炎を防いでいる。

 

 

プリンセス「私、いつもラブリーと誠司に守ってもらってばっかり」

 

 

ラブリー「そんなこと無い!」

 

 

私が気にしてる事をつぶやくとラブリーがすぐ否定する。

 

 

ラブリー「プリンセスがいるから私は戦えるんだよ」

 

 

私はラブリーの言葉に驚いた。

 

 

ラブリー「プリンセスがいるから、私は強くなれるの。怒ったり泣いたり、ケンカしたり、プリンセスといると自分の知らなかった自分の気持ちが分かる気がするの」

 

 

プリンセス「私も! 私もラブリーと居ると自分が強くなってる気がするよ」

 

 

ラブリー「1人じゃない、2人なんだよ! だって2人はプリキュアなんだから!それに私達には誠司がいる!私達にはスーパー戦隊がついてるんだよ!誠司達がいればどんな敵にも立ち向かえる!」

 

 

そう言って、ラブリーは私に手を伸ばした。

 

 

プリンセス「うん!」

 

 

私は嬉しくなり手を伸ばし、ラブリーの手を握った。

 

 

その時、光が爆発のように広がった。

 

 

ホッシーワ「な、なんなのこの暖かな光は...」

 

 

いきなりの事で、ホッシーワはうろたえている

 

 

リボン「すごい! すごいですわ! 今こそ、2人のハッピーお届けですわ!」

 

 

リボンの言葉に、私達は嬉しくなった。

 

 

ラブリー「プリンセス!」

 

 

プリンセス「うん!」

 

 

ラブリー「愛の光を聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

 

プリンセス「勇気の光を聖なる力へ!ラブプリブレス!」

 

 

ラブリーとプリンセスが腕を交差させ、ブレスを回す。

 

 

ラブリー・プリンセス「あなたにハッピーお届けデリバリー!ハーッピー!」

 

 

ピンキーラブシュートとブルーハッピーシュートの光弾を召喚し、ハートの周りに丸が囲まれ合体する。

 

 

ラブリー・プリンセス「プリキュア!ツインミラクルパワーシュート!」

 

 

合体した光弾を、サイアークに向けて蹴り飛ばす。

 

 

ラブリー・プリンセス「ハピネスチャージ!」

 

光弾が爆発し、サイアークを包む。

 

 

ホッシーワ「1人で弱っちぃプリキュアが、2人で強力なコラボ技ですって?生意気...これはミラージュ様にご報告せねば」

 

 

サイアーク「サイアーク!」

 

 

その時、サイアークが立ち上がり光に包まれる。

 

 

ホッシーワ「何?」

 

 

サイアーク「サイアーーーク!」

 

 

光が収まると、そこには巨大化したサイアークがいた。

 

 

ホッシーワ「これがナマケルダの報告にあったクインミラージュ様に頂いた力?」

 

 

プリンセス「やっぱり巨大化した!」

 

 

ラブリー「あの力はナマケルダだけじゃないみたいだね」

 

 

ゲキレッド「お前ら無事か?」

 

 

ラブリー・プリンセス「誠司!」

 

 

その時、誠司達が合流した。

 

 

ラブリー「メレはどうしたの?」

 

 

ゲキレッド「さすがに分が悪いと思ったのか、引いていったよ」

 

 

プリンセス「そうなんだ」

 

 

ゲキレッド「てか前から思ってたけど、変身してる時はゲキレッドと呼んでくれ」

 

 

ラブリー「ごめん、つい呼んじゃうんだよね」

 

 

ゲキイエロー「そんなことよりさっさと片付けるわよ!」

 

 

ゲキブルー「ええ!」

 

 

ランちゃん達がやる気をみせ前へ出る。

 

 

ゲキバイオレット「待て!」

 

 

誠司達がゲキビーストを出そうとした時、ゴウさんがそれを止めた。

 

 

ゲキブルー「兄さんどうしたの?」

 

 

ゲキバイオレット「悪いが今日は俺にやらせてもらうぞ」

 

 

ゲキレッド「なんだよ?突然」

 

 

ゲキバイオレット「このままだと俺の活躍がないからな」

 

 

ゲキレッド「まったく...分かった今日はお前に任せた」

 

 

ゲキバイオレット「よし行くぜ!ゲキワザ・獣拳合体!」

 

 

技が発動した後、ゲキタイガーとゲキジャガー、ゲキウルフが召喚され『ゲキトージャウルフ』へと合体した。

 

 

ゲキバイオレット「ゲキトージャウルフ!バーニングアップ!」

 

 

ラブリー「あれがゴウさんの1人で出来る合体なんだ!」

 

 

ゲキバイオレット「行くぜ!」

 

 

ゲキトージャウルフが、サイアークに攻撃を仕掛ける。

 

 

ゲキバイオレット「はあ!」

 

 

ゲキトージャウルフはサイアークに向かって蹴りを放つ。

 

 

サイアーク「サイア~!」

 

 

ゲキバイオレット「てや!」

 

 

サイアークに向かって、後ろ回し蹴りを放つ。

 

 

ゲキバイオレット「とどめだ!」

 

 

ゲキウルフのウルフカッターが外され、ゲキウルフの口に装着される。

 

 

ゲキバイオレット「ゲキワザ!大狼狼脚(だいろうろうきゃく)!」

 

 

回し蹴りの要領でサイアークに向かって、ウルフカッターが撃ちだされる。

 

 

サイアーク「サイアーク!」

 

 

ゲキトージャウルフの必殺技が命中し、サイアークは消滅する。

 

 

ゲキバイオレット「ゲキトージャウルフ!Win!」

 

 

サイアークが消滅した事により、捕らわれていた新郎新婦が解放されお菓子だらけの協会もお菓子がなくなり、元の姿に戻った。

 

 

ホッシーワ「くそー!次ぎ会った時は覚えてなさいよ!」

 

そう言って、ホッシーワはテレポートして消えていった。

 

 

サイアークを倒した後、俺達は協会の上にいた。

 

 

ラブリー「ねえ、さっきの凄かったよね!」

 

 

プリンセス「うん! 気持ちよかったぁ!」

 

 

リボン「2人の新しいコラボレーション技ですわ」

 

 

ゲキレッド「へえ、新しい技を編み出したのか?」

 

 

プリンセス「うん!コラボレーション最高!」

 

 

リボン「あっ!これはキュートのアサガオのパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな!」

 

 

プリンセス「こちょこちょ」

 

 

リボン「ハッ!ハッ!ハッピション!」

 

 

リボンがくしゃみをすると4枚のプリカード「ポップ」「浴衣上下」「リゾート」が出てきた。

 

 

リボン「これでまた大いなる願いに近づきましたわ」

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、大使館でパーティを行っていた。

 

 

リボン「ティーパーティー改め、ディナーパーティの始まりですわ」

 

 

ひめ「じゃじゃーん! 昼にめぐみとリボンが焼いてくれたケーキに私がデコレーションしてみましたぁ!」

 

 

そこに、ケーキを持ってきたひめが現れた。

 

 

ひめ「つ・ま・り、ケーキのコラボ技でーす」

 

 

そこには100と書かれた板チョコが乗っている見覚えのあるケーキがあった。

 

 

めぐみ「なんかこのケーキ、すっごく見覚えあるんだけど...」

 

 

ラン「確かに」

 

 

誠司「これ今回出てきたサイアークだろ」

 

 

リボン「ある意味、キャッチーなデザインですわね...」

 

 

ケン「斬新なケーキだな...」

 

 

めぐみ「で、結局スペシャルなことってなーに?」

 

 

誠司「そういえば、俺も聞くの忘れてた」

 

 

ひめ「えー! まさかめぐみと誠司忘れてるー?」

 

 

そう言ってひめはケーキの100と書かれた板チョコを指差した。

 

 

めぐみ・誠司「100?」

 

 

ひめ「そう。思い出した?今日はめぐみと誠司と私の友達100日記念日だよ!」

 

 

リボン「スペシャルデーですわ」

 

 

めぐみ「えー!?覚えてない! 普通1周年じゃないの?」

 

 

ひめ「いいの! 3人の友情記念なんだから、200日も300日もやるからね!」

 

 

めぐみ「えー」

 

 

ケン「めんどくさいな」

 

 

ラン「それほど嬉しかったってことでしょ」

 

 

その時、ひめが包丁を持ってきた。

 

 

ひめ「めぐみはこっちで、誠司はこっち!」

 

ひめの指示で、俺達はひめを挟むように並ばされた。

 

 

ひめ「はい、2人とも私と一緒に包丁持って!」

 

 

ゴウ「何をするんだ?」

 

ひめ「ご注目くださーい。仲良し3人による共同作業。ケーキ入刀でーす!」

 

 

誠司・ゴウ・ケン「結婚式かよ!」

 

 

思わず突っ込みを入れてしまった。

 

 

3人「せーの!」

 

 

俺たち3人でケーキを切った。

 

 

パパン!

 

 

『おめでとう!』




はい!如何だったでしょうか

思ったより時間が掛かってしまいました。

やはり自分の文才の無さに嫌気が差してきます。

ですが皆様から感想など頂いて私の作品を面白いと言っていただいて
凄くうれしいです。

今のところ酷評等はありませんので負けずに頑張っていこうと思います。

さて次回ですがプリキュアの原作の話ではなく番外編を書こうと思います。

なんと!読者の方からリクエストが届きその話を書きたいと思います。

なんの話かは次回までのお楽しみです!

恐らく次回は誠司が大変な事になります。

色々な意味で

では次回でお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 鼓動戻し 誠司が大変な事に!

どうもナツ・ドラグニルです

なんとお気に入りが40件越えてました。

多くの人に見てもらえて嬉しい限りです。

前話のあとがきにも書きましたが今回!

アニメ大好き様からのリクエストがあり話を作りました。

サブタイトルで気づいた方もいるかも知れませんがゲキレンジャーの15話『ホワホワ!ママ業!」でジャンとレツが敵の攻撃を受けてジャンが子供にレツが赤ちゃんになってしまった話があります。

今回、誠司で同じ事をして欲しいとリクエストがあったため投稿いたします。

アニメ大好き様の満足いく話になっているか不安ですが精一杯頑張って書かせていただきました。

では作品をどうぞ


場所はクイーンミラージュのファンシーな部屋。

 

 

そこで、メレがナマケルダに話しかけた。

 

 

メレ「ちょっとあんた、顔貸しな」

 

 

ナマケルダ「なんですか?いきなり」

 

 

メレ「ゲキレンジャーの戦力を減らす為に、私があるリンギを改良したんだが発動までに時間が掛かってしまってね。そこであんたにあいつらの時間稼ぎをしてもらうよ」

 

 

ナマケルダ「なぜ私なのですか?めんどくさいですぞ」

 

 

メレ「別に私は構わないが、手柄を増やさないと不味いのはあんたじゃないのかい?私がせっかくあんたにも手柄を分けてやろうと思ったのにね~」

 

 

ナマケルダ「くっ!そこまで言うなら協力しましょう。ですが、本当に旨くいきますかな?」

 

 

メレ「ふん!あんたらと一緒にするんじゃないよ!あんたは自分の役割を果たせばいいのさ」

 

 

そう言って、メレはその場を去った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

こんにちは愛乃めぐみです!

 

 

今、ナマケルダが作った巨大化したサイアークを誠司達がゲキトージャで戦っています。

 

 

3人「ゲキワザ!大頑頑脚!ゲキ!ゲキ!ゲキ!ゲキ!ゲキ!」

 

 

ゲキトージャの必殺技が決まり、サイアークが消滅した。

 

 

3人「ゲキトージャ!win!」

 

 

誠司達がゲキトージャから降り、私達はナマケルダと対峙する。

 

 

ゲキレッド「さてサイアークも倒したし、後はお前だけだな」

 

 

ナマケルダ「残念ですが、今日はある人に頼まれてあなたたちの時間稼ぎをしていただけですぞ」

 

 

プリンセス「時間稼ぎ?」

 

 

ナマケルダの言葉に、不信に思っていたその時。

 

 

ゲキレッド「ぐはっ!」

 

 

誠司の呻き声が聞こえそちらに目を向けると、誠司の背中に腕を突っ込んだメレがいた。

 

 

ラブリー・プリンセス「誠司!」

 

 

ゲキバイオレット「てめぇ!」

 

 

ゲキバイオレットは助ける為に、メレに攻撃するが避けられてしまう。

 

 

メレ「ふん!時間稼ぎご苦労さんお陰で簡単に終わったよ」

 

 

そう言うメレの腕には、黄色い玉があった。

 

 

私は攻撃を受け、変身が解けてしまった誠司に駆けつける。

 

 

ラブリー「誠司!大丈夫!?」

 

 

誠司「ああ、なんとか」

 

 

ゲキイエロー「誠司に何をしたの?」

 

 

メレ「こいつはあるリンギを私が工夫して編み出したものさ」

 

 

ゲキチョッパー「何?」

 

 

メレ「はあっ!」

 

 

メレは手に持っていた玉を、私達に投げ飛ばした。

 

 

ゲキイエロー「危ない!」

 

 

ランちゃんは、ゲキトンファーロングバトンで弾き返した。

 

 

メレ「馬鹿だね~。あれが何か知らないで弾き飛ばすなんて」

 

 

ラン「なんですって!」

 

 

メレ「ふふふっ、じゃあねゲキレンジャー!」

 

 

誠司「ま、待て!」

 

 

そう言って、メレはいなくなった。

 

 

誠司「ぐっ!」

 

 

誠司は胸を押さえて、膝をついた。

 

 

ゲキチョッパー「取り敢えず、誠司を大使館に運ぼう!」

 

 

ゲキバイオレット「そうだな」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

場所は変わり、現在大使館で誠司の治療を行っていた。

 

 

ブルー「治療は終わったが、しばらくは安静にしていた方がいいだろう」

 

 

ラン「それにしても、誠司から抜き出されたあの玉は何だったのかしら?」

 

 

ゴウ「お前、なんともないのか?」

 

 

誠司「ああ、今の所は大丈夫だ」

 

 

誠司の言葉を聞き、私達は安心する。

 

 

ブルー「今はまだ体に変化がないだけかもしれない。取り敢えず何が起こるか分からないから、今日は大使館に泊まって行った方がいいだろう」

 

 

誠司「分かった」

 

 

ブルーの申し出に、誠司は了承する。

 

 

ケン「じゃあ俺達は帰るわ」

 

 

ゴウ「そうだな」

 

 

誠司「手間かけて悪かったな」

 

 

ゴウ「気にするな、これを気に少しは休め」

 

 

ケン「なにかあれば理央もいるしな」

 

 

ゴウさん達は、帰る支度をする。

 

 

ゴウ「じゃあ誠司の事は任せたぞ」

 

 

ラン「分かった」

 

 

リン「任せて兄さん」

 

 

誠司「え?お前らも泊まるの?」

 

 

ラン「当たり前でしょ」

 

 

めぐみ「もしかしたら寝てる間に何かあるかもしれないから私達も泊まるよ!」

 

 

誠司「悪いな」

 

 

その後、私達は少し話をして眠りについた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

時刻:朝7:00

 

 

 

俺は目が覚め日課の修行を行うため、起きる為に寝ていたソファから降りようとした。

 

 

ドッシーン!

 

 

誠司「イタタタ...」

 

 

普通に降りようとしたら、なぜか体を上手く動かせずソファから落ちた。

 

 

誠司「痛って~寝違えたかな」

 

 

だがこの時、俺は気づいた。

 

 

誠司「ん?」

 

 

なぜか視点が低くなっており、着ていた服がぶかふかになっていることに。

 

 

俺はすぐ近くにあった鏡を見るとそこには。

 

 

 

 

 

 

 

 

"5歳ぐらいに小さくなっている俺がいた"

 

 

 

 

 

 

 

誠司「な、な、なんじゃこりゃ~~~!!」

 

 

その時、俺の絶叫が大使館中に響いた。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

理央「恐らく、誠司が受けたのは鼓動戻しだな」

 

 

誠司「鼓動戻し?」

 

 

あの後、俺の絶叫を聞きつけためぐみ達と一騒動あったがなんとか落ち着き、現在理央に来て貰って俺が受けた技について聞いている。

 

 

理央「そうだ、人が生まれてから鳴り続けてきた鼓動を、文字通り巻き戻し肉体から分離させ、命を若返らせるリンギの一つだ」

 

 

ゴウ「それじゃあ、メレが持っていた光る玉は...」

 

 

理央「恐らく誠司から抜かれた鼓動だろう。だが一つおかしい所がある」

 

 

リン「おかしい所?」

 

 

理央「本来鼓動戻しを受けたら、鼓動と一緒に記憶も抜かれるはずなんだが、見た所、誠司には記憶があるみたいだな」

 

 

ラン「そう言えば、メレが少し改良したって言ってたわ」

 

 

理央「だとしたら、恐らくメレが記憶が抜けないように改良したんだろう。」

 

 

誠司「どうやったら元の姿に戻るんだ?」

 

 

理央「抜かれた鼓動を戻せば本来の姿に戻るはずだ」

 

 

ケン「じゃあ鼓動を探しに行くか」

 

 

ラン「でもどうやって探すの?私がどっかに飛ばしちゃったのよ」

 

 

理央「その心配はない。鼓動は誠司が感じることができるはずだ」

 

 

誠司「ああ、なんとなくだが鼓動を感じることができる」

 

ラン「ごめんね誠司...」

 

 

誠司「気にするな。探せばいいだけの話だからな」

 

 

ゴウ「探しに行くのはいいが、お前その状態じゃ格好つかないぞ」

 

 

ゴウの言う状態とは、現在俺はランの膝の上にのり、後ろから抱き締められている。

 

 

ラン「だって、小さい誠司凄く可愛いんだもん!」

 

 

誠司「だもんじゃねえよ!早く放してくれない!?」

 

 

ラン「何言ってんの?私が満足したら次はリンの番よ」

 

 

まさかの交代勢!?

 

 

めぐみ「しばらくはそのままでもいいんじゃない」

 

 

誠司「ふざけるな!何が何でも元に戻るぞ!俺は!」

 

 

ひめ「勿体ない」

 

 

ケン「てゆうか誠司その服どうしたんだよ」

 

 

ケンが俺の着ている服を指摘してきた。

 

 

ひめ「私達で買ってきたのを、色々着せてたの!」

 

 

ゴウ「なるほど、だから誠司そんなに疲れてんのか」

 

ゴウの言う通り、さっきまでひめに色々着替えさせられていた為、俺は疲れ切っていた。

 

 

ケン「だからおとなしく捕まってんのか」

 

 

誠司「そんなことよりさっさと探しに行くぞ」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

その後、俺達は鼓動を探す為、商店街に来ていた。

 

 

ケン「それで?お前の鼓動はどこら辺にあるんだ?」

 

 

誠司「俺も大体の方向しか分からないからな」

 

 

ゴウ「取り敢えず、そっちに行ってみるしかないな」

 

 

俺達は鼓動を感じる方に歩いていた。

 

 

誠司「それよりめぐみとひめに、一つ言いたい事があるんだけど」

 

 

めぐみ・ひめ「何?」

 

 

誠司「なんで俺はお前達に手を繋がれてるんだ?」

 

 

そう、なぜか俺はめぐみとひめに手を繋がれていた。

 

 

めぐみ「なに言ってんの?転んだりしたらどうするの?」

 

 

ひめ「そうだよ、危ないよ」

 

 

誠司「いや、子供扱いしないでくれる!?」

 

 

俺はめぐみ達に意見する。

 

 

ラン「今の誠司は子供なのよ!」

 

リン「そうよ!なにかあったら大変じゃない!」

 

 

誠司「過保護過ぎだろうが!いくらなんでも!」

 

 

めぐみ達の過保護ぶりに、俺は頭を抱えたくなった。

 

 

ゆうこ「あれ?めぐみちゃん達何やってるの?」

 

 

めぐみ「ゆうゆう!」

 

 

その時、めぐみ達にゆうこが声をかけた。

 

 

めぐみ「見て見て!ゆうゆう!誠司が幻影帝国のせいでちっちゃくなっちゃったの!」

 

 

めぐみは俺を嬉しそうに持ち上げ、ゆうこの前に突きだす。

 

 

ゆうこ「か...」

 

 

誠司「か?」

 

ゆうこ「可愛い~~!!」

 

 

ゆうこはめぐみの腕から俺をかっさらい、胸に抱き締めた。

 

 

誠司「~~~~!」

 

 

ゆうこ「なにこれ!こんなに可愛いかったけ!凄く可愛い~!持って帰っても良い?」

 

 

めぐみ「駄目だよ。誠司は私が持ち帰るんだから!」

 

 

ひめ「何言ってんの?誠司は家で預ります!」

 

 

ラン「持ち帰るのは私達よ!」

 

 

誠司「ぶはっ!いや誰にも持ち帰られないし!この後すぐ元に戻るからな!」

 

 

5人「え~!」

 

 

誠司「えーじゃねえよ!さっさと探しに行くぞ!」

 

 

俺はゆうこに降ろしてもらい、鼓動探しを続ける。

 

 

 

 

 

 

 

その後、商店街の人達にも懐かしいや可愛いと言われ、もみくちゃにされた。

 

 

誠司「はあ...疲れた...」

 

 

めぐみ「誠司大人気だったね」

 

 

現在、俺が疲れ果ててしまったので休憩している。

 

 

ゴウ「それにしても、なかなか見つからないな」

 

 

誠司「近づいてるのはなんとなく分かるんだけどな」

 

 

ケン「じゃあ早く見つけないとな」

 

 

めぐみ・ひめ・ラン・リン「はあ...」

 

ゴウ「約何人かやる気無くしてるけどな」

 

 

誠司「ほっとけ」

 

 

ケン「おい!あれ見ろ!」

 

 

ケンが指差した方を見ると、メレに抜き取られた鼓動が建物の屋上にあった。

 

 

誠司「俺の鼓動だ!」

 

 

ゴウ「やっと見つけたか」

 

 

ケン「さっさと回収しようぜ」

 

 

メレ「待ちな!」

 

 

その時、メレが俺達の前に現れた。

 

 

誠司「メレ!」

 

 

ゴウ「何しに来やがった!」

 

 

メレ「ふん!何の為にゲキレッドを小さくしたと思ってるんだい、あんた達の戦力を減らす為さ」

 

 

誠司「理央に聞いたが本来は記憶も抜かれる見たいだが、なんで俺の記憶を消さなかった!」

 

 

メレ「その方が面白いと思ったからだ」

 

 

誠司「面白いからだと」

 

 

ラン「あなたのお陰で誠司がこんなに可愛くなっちゃったのよ!」

 

 

誠司「おい!今お前の台詞おかしいぞ!」

 

 

メレ「それより良いのかい?このままだとゲキレッドは元に戻っちゃうわよ」

 

 

ラン「くっ!」

 

 

リン「これじゃ手が出せないわ」

 

 

誠司「いや出せるから!何言ってんの!?」

 

めぐみ「このまま手をだせば...私の抱き枕計画が...」

 

 

ひめ「私の着せ替え人形計画が...」

 

 

誠司「ゴウ!ケン!さっさと取り戻すぞ!こいつら録な事考えてねえ!」

 

 

ケン「別に良いんじゃね少しくらい」

 

 

ゴウ「俺もそう思う」

 

 

誠司「お前ら、他人事だと思って楽しんでんだろ!」

 

ゴウ・ケン「おう」

 

 

誠司「ふざけんなよ!俺は絶対やらないからな!」

 

 

俺はゴウ達に意見する。

 

 

ケン「しょうがねえな。誠司耳貸せ」

 

 

誠司「あ?」

 

 

ケンが俺に耳打ちしてくる。

 

 

誠司「そんなんでいいのか?」

 

 

ケン「ああ、それですぐ動くはずだ」

 

 

誠司「分かった。めぐみ!ひめ!ラン!リン!これ以上しぶってると二度とお前らとは口聞かないぞ!」

 

 

めぐみ達にケンに言われたことを、そのまま伝えた。

 

 

ラン「メレ!誠司の鼓動を返してもらうわ!」

 

 

リン「みんな行くわよ!」

 

 

めぐみ・ひめ「おう!」

 

 

ラン達はすぐさま変身し、メレに立ち向かった。

 

 

誠司「切り替え早!」

 

 

ケン「だから言っただろ」

 

 

ゲキイエロー「はあああ!ゲキワザ!弾弾丸!」

 

 

ランがゲキハンマーを頭上で振り回し遠心力を利用しメレに攻撃する。

 

 

ラブリー「ラブリーライジングソード!」

 

 

メレがゲキハンマーを受け止めたところにラブリーがライジングソードで攻撃する。

 

 

メレ「ちっ!」

 

 

ラブリーの攻撃をかわし距離を取った。

 

 

プリンセス「プリンセス弾丸マシンガン!」

 

 

すかさず、プリンセスが追撃する。

 

 

メレ「こしゃくな!リンギ!舌花繚乱!」

 

 

舌を連続で伸ばし、弾丸マシンガンを相殺した。

 

 

ゲキブルー「ゲキトンファー華華弾(はなはなだん)!」

 

 

リンはジャンプしゲキトンファーを回転の勢いに乗せてメレに叩き付ける。

 

 

メレ「ぐはっ!」

 

 

リンの攻撃を食らい、メレは吹き飛んだ。

 

 

誠司「なんかあいつら、何時もより強くないか?」

 

 

ケン「思ったより効果があったみたいだな」

 

 

ゴウ「今のうちに俺達で鼓動を回収するぞ」

 

 

メレの事はラン達に任せ、俺達は鼓動を回収する。

 

 

誠司「良し!これで元に戻るはずだ!」

 

 

俺は鼓動を自分の胸に押し当てた。

 

 

すると、鼓動は俺の中に入っていき元の姿に戻った。

 

 

誠司「よっしゃ!元に戻った!」

 

 

ゴウ「やっとか...長かったな」

 

 

ケン「だったらさっさとあいつらに合流しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ラン達がメレと対峙していた。

 

 

メレ「くっ!ゲキレッドを小さくすれば戦力が減ると思っていたって言うのに」

 

 

ゲキイエロー「残念だったわね!貴女の好きにはさせないわ」

 

 

メレ「それがさっきまでやる気見せなかった人の台詞!?」

 

 

ゲキブルー「なんとでも言いなさい!今の私達は強いわよ!」

 

 

ゲキイエロー「ゲキワザ!流星弾!」

 

 

ゲキハンマーを使用し、メレをふっ飛ばす。

 

 

メレ「おのれ!」

 

 

ゲキブルー「ゲキワザ・舞舞掌!」

 

 

宙を舞うようにメレを飛び越えつつゲキトンファーを叩きつける。

 

 

ゲキイエロー「止めよ!」

 

 

ラブリー「愛の光を聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

 

プリンセス「勇気の光を聖なる力へ!ラブプリブレス!」

 

 

ラブリーとプリンセスが、腕を交差させブレスを回す。

 

 

ラブリー・プリンセス「あなたにハッピーお届けデリバリー!ハッピー!」

 

 

お互いの光弾を召喚し、合体する。

 

 

ラブリー・プリンセス「プリキュア!ツインミラクルパワーシュート!」

 

 

合体した光弾を、メレに蹴り飛ばす。

 

 

ゲキイエロー「ゲキワザ!瞬瞬弾!」

 

 

ゲキブルー「転転弾!」

 

 

ゲキチーターが高速移動でメレに体当たりをし、ゲキジャガーが高速回転しメレに攻撃をする。

 

 

さらにそこに、ツインミラクルパワーシュートが命中する。

 

 

メレ「きゃあ~~~!!」

 

 

必殺技が命中し、メレが吹っ飛ぶ。

 

 

メレ「くっ!まさかこいつらにやられるなんて今日は引かせて貰うわよ!」

 

 

ゲキイエロー「待ちなさい!」

 

 

叫んだ後、メレは透明化し引いていった。

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、俺達はラン達と合流する為、メレと戦っていた所まで戻った。

 

 

誠司「皆!」

 

 

4人「誠司!」

 

 

ラブリー「元に戻ったんだ」

 

 

誠司「当たり前だ!」

 

 

ケン「あれ?メレは?」

 

 

その時、メレがいない事に気がついた。

 

 

ゲキブルー「メレだったらもう引いたわよ」

 

 

誠司・ゴウ・ケン「早!」

 

 

ゲキイエロー「私達に掛かればこんなもんよ!」

 

 

ゴウ「俺達いらなかったな」

 

 

誠司「メレも俺1人を使えなくさせれば戦力が減ると思っていたみたいだが、とんだ計算違いだったな」

 

 

ゴウ「さすがに、あんな言葉で何時もより強くなるなんて思わないだろ」

 

ケン「どんだけ嫌われたくなかったんだよ...」ボソッ

 

 

誠司「とりあえず大使館に戻ろうぜ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その頃、メレは人気の無い所で傷を癒していた。

 

 

メレ「くそ!まさかあんな小娘達にやられるなんて」

 

 

ナマケルダ「あれだけ大口を叩いていた割には、対したこと無かったみたいですな」

 

 

その時、メレの前にナマケルダが現れた。

 

 

メレ「あんた、なんでここに!」

 

 

ナマケルダ「いえいえ、結構自信があったみたいなので拝見させて頂いただけですぞ」

 

 

メレ「くっ!今回は少し計算を間違えただけだ!いい気になるんじゃないよ!」

 

 

ナマケルダ「ええ、そう言う事にしといてあげますよ。では私は一足先に戻っていますので」

 

 

そう言って、ナマケルダはテレポートで消えていった。

 

 

メレ「ちっ!朝言った事気にしてるのか、器の小さい男だね」

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、俺達は大使館で休憩をしていた。

 

 

誠司「はあ...朝からひどい目にあった...」

 

 

ブルー「でも、無事に戻れて良かったじゃないか」

 

 

ゴウ「それにしても、まさか人を若返らせるリンギがあるなんて思わなかったな」

 

 

ケン「ああ、そうだな」

 

 

余談ではあるが、帰る途中にゆうこに会い俺が元に戻った事に落胆しており、手に色々袋を持っていたが嫌な予感がした為、中身は聞かなかった。

 

 

めぐみ「あ~もっと小さい誠司堪能したかったな」

 

 

ひめ「私も、もう少し洋服着せたかったのに...」

 

 

誠司「その子供服、もう使わないから早く処分しとけよな」

 

 

俺は大量に置いてある、子供服を指差した。

 

 

剛「てか朝より増えてないか?」

 

 

ひめ「なに言ってんの!また小さくなった時の為に取っとくに決まってんじゃない!」

 

 

誠司「いや、次なんて無いからな!」

 

 

ひめの意見に、俺は抗議する。

 

 

ケン「てかさ、リンギって事は理央にも使えるんじゃないか?」

 

 

4人「はっ!」

 

 

誠司「おいぃぃぃ!何余計な事言ってんだ!」

 

 

ケン「いやなんとなく」

 

 

誠司「そのなんとなくに悪意が満ち溢れてるだろうが!」

 

ラン「こうしちゃいられないわ!今すぐ理央を探しに行くわよ!」

 

 

3人「おう!」

 

 

そう言って、4人は大使館を出ていった。

 

 

誠司「お前ら!あいつらより先に理央を見つけるぞ!」

 

 

ゴウ「しょうがねえな」

 

 

ケン「行くか」

 

 

ラン達に続き、俺達も大使館を出る。

 

 

残されたブルー達は...

 

 

ブルー「ははは...誠司も大変だね」

 

 

リボン「ひめも大分、小さかった誠司さんを気に入ってたようですわね」

 

ブルー「所で、彼らは誰を探しに行ったんだろうね」

 

 

そう言ってブルーが顔を向けた方を見ると、ソファの上にあった子供服が落ち、中から理央が出て来ていびきを搔き、眠っていた。

 

 

リボン「灯台下暗しですわね」

 

 

ブルー「まあ誠司君の為にも教えない方がいいだろうね」




はい!如何だったでしょうか

ほとんどオリジナルだったので時間がかかってしまいました

自分では上手く書けていると思います。

他にもリクエスト等がありましたら書ける範囲で書いて行きたいと思います。

感想及びメッセージお待ちしております。

では次回でお会いしましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 友情の危機!ミスフォーチュンの不吉な予言

どうもナツ・ドラグニルです

今回8話を題材に書いていきます

やっとキュアフォーチュンを出せます。

ここまでが長かったですね

今回は巨大ロボ全てを出したいと思います。

では作品をどうぞ


おっす相楽誠司だ!

 

 

俺達は今大使館に集まり、皆でプリキュアウィークリーを見ている。

 

 

『みんなに伝えたい!私が伝えたい!ご存知!プリキュアウィークリーの看板キャスター』

 

 

『増子~~~美代です!続けて読めばマスコミよ!』

 

 

『世界中でプリキュアがサイアークをじゃんじゃん浄化しています』

 

 

『その中でも今、大注目のプリキュアが日本のぴかりが丘に居るのです』

 

 

『皆さんだけにコッソリ教えちゃいますよ~。彼女達の名はハピネスチャージプリキュア!』

 

 

テレビには、ラブリー達のシルエットが映っていた。

 

 

『プリンセス!弾丸マシンガン!』

 

 

『サイアー』

 

 

テレビには、ラブリー達がサイアークと戦っている所が映っていた。

 

 

『はあああ!』

 

 

上から回転しながら下りてきてサイアークにドロップキックを当てる。

 

 

『プリキュア!ツインミラクルパワーシュート!』

 

 

テレビでは二人の合体技が命中し、サイアークを倒していた。

 

 

『おおー!凄い技でしたね!』

 

 

『私達のコラボ技なんです』

 

 

『コラボー! 仲良しな響きですねぇ! 絶好調なお2人ですが、秘訣を教えてください』

 

 

『それは二人の友情パワーです!』

 

 

『友情~! これからも2人の活躍は要チェックですよ~!』

 

 

テレビの前で、めぐみとひめが食い入る用に見ていた。

 

 

めぐみ「テレビに出ちゃった!」

 

 

ひめ「このまま人気者になっちゃったら...」

 

 

めぐみ・ひめ「どうしよう!」

 

 

リボン「プリキュアが、そんな浮ついたことではダメですわよ」

 

 

めぐみ・ひめ「え?」

 

 

ひめ「浮ついてなんかないって。調子乗ってるだけだよ!」

 

 

誠司「もっと駄目だろ...」

 

 

ブルー「自信を持つのはいいけど、油断は禁物だよ。今はサイアークの侵攻は抑えられているけど君達にもしものことがあったら...」

 

 

ひめ「大丈夫!」

 

 

ブルーが二人を心配し、忠告するがひめが一蹴する。

 

 

ひめ「私とめぐみのコンビならどんなサイアークが来てもヘッチャラだって!ね?」

 

 

めぐみ「その通り!二人は最強なんだから!」

 

 

ケン「その自信はどっからくるんだよ」

 

 

『さらにさらに!ぴかりが丘にはプリキュア以外の戦士がいるんです!』

 

 

誠司「え?」

 

 

『こちらをご覧下さい!』

 

 

『身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!』

 

 

『日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!』

 

 

『技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!』

 

 

『紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!』

 

 

『才を磨いて己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!』

 

 

『猛きこと、獅子の如く。強きこと、また獅子の如く。我が名は黒獅子・理央』

 

 

『燃え立つ激気は正義の証!獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

 

そこには、俺達の名乗りが映っていた。

 

 

めぐみ「すごーい!誠司達もテレビに映ってる!」

 

 

ひめ「やっぱり、何回見ても格好いい!」

 

 

誠司「いつの間に撮られてたんだ?」

 

 

『しかも彼らの凄い所はこれだけじゃありません!なんとぴかりが丘のサイアークは他のサイアークとは違い、巨大化するんです!』

 

 

テレビには、サイアークが巨大化した所が映っていた。

 

 

『彼らはその巨大化したサイアークとも戦います!こちらをご覧下さい!』

 

 

『ゲキワザ!獣拳合体!』

 

 

そこには俺達のゲキビーストが合体し、ゲキトージャになっていた。

 

 

『ゲキトージャ!バーニングアップ!』

 

 

『なんと巨大な動物が現れたと思ったら、一つの超巨大ロボに合体しました!聞いた話では彼らは激獣拳と呼ばれる拳法の達人で、巨大ロボは激獣拳の奥義だそうです!』

 

 

誠司「なんでそんなこと知ってんだよ!」

 

 

ケン「どこから情報取ってくるんだよ」

 

 

『なお、情報は一緒に戦っているハピネスチャージの二人から聞きました』

 

 

俺達は無言でめぐみ達を見る。

 

 

めぐみ「聞かれたからつい答えちゃった」

 

 

誠司「お前ら余計な事を言ってないだろうな?」

 

 

ひめ「大丈夫だよ!正体がばれるような事は言ってないから」

 

 

誠司「だったらいいけど」

 

 

『ぴかりが丘では週末に大きなお祭りがあるそうですが、ハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャーが居れば安心ですねぇ』

 

 

めぐみ「そっか。もうぴかりが丘祭の時期なんだ」

 

 

ひめ「なにそれ?」

 

 

めぐみ「1000年前から続いてる、伝統のお祭りだよ」

 

 

誠司「ぴかりが丘には伝説があって、昔、空から地上に下りた神様と人間の女性が恋に落ちたと言われてるんだ。その頃の名残で女の子はオシャレして参加するんだよ」

 

 

ラン「そんなお祭りがあるんだ」

 

 

ひめ「ジャパニーズフェスティバール。お祭り楽しそう 」

 

 

めぐみ「じゃあ皆で行こっか!」

 

 

ひめ「うん!」

 

 

ラン「そうね」

 

 

ひめ「私も行ってもいいよね!リボン!」

 

 

ひめはリボンに、了承を得ようとする。

 

 

リボン「お小遣いは300円ですわよ」

 

 

ひめ「えー!ケチー!」

 

 

ゴウ「やけに少ないな」

 

 

誠司「あまり持たせると無駄使いするからだろ」

 

 

リボン「そうですわ、後で使いすぎて困るのが目に見えてますから」

 

 

ケン「確かに...」

 

 

ブルー「その300円をどう使うかで、お祭りの楽しみ方も変わるだろうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、幻影帝国の本拠地では、世界の侵略具合を確認していた。

 

 

ディープミラー「プリキュア達の反撃によって、不幸のエリアは徐々に奪い返されております。特にぴかりが丘が連敗続きです」

 

 

その言葉に、ナマケルダとホッシーワはギクッとなる。

 

 

クイーンミラージュ「この世に不幸を撒き散らして、最悪の世界を作り上げる。それが私の望みなのに...何よこのザマは」

 

 

扇子を扇いで、ご立腹な様子。

 

 

メレ「すみませんクイーンミラージュ様~この格下達が使えなくて~」

 

 

ホッシーワ「凄い猫かぶりね...」ボソッ

 

 

ナマケルダ「自分だって負けていたくせに...」ボソッ

 

 

クイーンミラージュ「弁解はあるのかしら?」

 

 

ホッシーワ「調子が悪かっただけです!」

 

 

ナマケルダ「働きすぎのせいですな。バカンスでリフレッシュすれば...」

 

 

?「はん!」

 

 

その時、一人の男が現れた。

 

 

?「所詮、ワガママ娘と怠け者の戯言だな」

 

 

ナマケルダ「あ?」

 

 

?「お前達では100年経っても、プリキュアを倒すことなどできんわ」

 

 

チョイアーク「オレスキー将軍だ...」

 

 

その時、チョイアークの一人がその男の名前を呟いた。

 

 

オレスキー将軍「このできる男のオレ様が、ぴかりが丘ごときスグ不幸に染めて見せましょう」

 

 

クイーンミラージュ「じゃあ、やってみなさいよ。この2人使えないし」

 

 

ホッシーワ「そんな! コイツにだってムリに決まってます」

 

 

ホッシーワはオレスキーを指差し批判する。

 

 

オレスキー「できる! オレ様はできる自分が、大好きだ!このお手製のオレスキーが勲章がその証だ!」

 

 

オレスキーが胸元のオ♥️レと書かれた勲章を見せる。

 

 

ナマケルダ「手作りですか?」

 

 

ナマケルダが呆れながら聞く。

 

 

オレスキー「成功の暁には、新たな勲章をつける許可を」

 

 

クイーンミラージュ「いいわよ」

 

 

オレスキー「ありがとうございます!プリキュアぐらい簡単に倒して見せましょう」

 

 

ナマケルダ「言っときますがぴかりが丘にはプリキュア以外の戦士もいますぞ」

 

 

オレスキー「プリキュア以外の戦士?」

 

 

ホッシーワ「スーパー戦隊と言って、プリキュアよりもはるかに強いわよ」

 

 

オレスキー「ふん!スーパー戦隊だかなんだか知らないが、オレ様にかかればそんな連中赤子も同然だ!」

 

ナマケルダ「凄い自信ですぞ」

 

 

ホッシーワ「どこから来るのよその自信は...」

 

 

クイーンミラージュ「成果さえ出してくれたらなんでもいいわ。メレ!オレスキーに例の力を」

 

 

メレ「はい、クイーンミラージュ様」

 

 

メレはクイーンミラージュの指示で、オレスキーに邪心豪天変の力を渡す。

 

 

オレスキー「これは?」

 

 

メレ「それを使えば、サイアークを巨大化する事が出来るのさ」

 

 

クイーンミラージュ「貴方の力を見せて頂戴」

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

場所は変わり、大使館で祭りに行く準備をしていた。

 

 

『ゆゆゆゆ 浴衣 かわルンルン!』

 

 

プリチュンミラーを使い、めぐみは黒を基調としている花の模様の浴衣、ひめは水色を基調とした花の模様の浴衣に着替える。

 

 

ゴウ「そのプリチュンミラー、本当に便利だな」

 

 

ケン「そうだな」

 

 

めぐみ「誠司どう?この浴衣」

 

 

ひめ「似合う?」

 

 

めぐみ達が俺に感想を聞いてくる。

 

 

誠司「すごく似合ってるぞ」

 

 

めぐみ「えへへ」

 

 

ひめ「そんな事!あるけど!」

 

 

しばらくすると、ラン達が着替えを終えて部屋に戻ってきた。

 

 

ラン「ごめんお待たせ!」

 

 

リン「久しぶりだったから、着付に時間が掛かっちゃって」

 

 

ランは黄色を基調とした浴衣、リンは青を基調とした浴衣を着ている。

 

 

ゴウ「みんな揃ったし、そろそろ祭りに行こうぜ」

 

 

誠司「よし!行くか!」

 

 

俺達は祭りに向かうため、大使館を出る。

 

 

 

 

ラン「所で誠司私達の浴衣はどう?」

 

 

道中、なぜかランも俺に感想を求めてきた。

 

 

誠司「どうって、二人とも似合ってるぞ」

 

 

ラン「他になにかないの?」

 

 

誠司「なにかって?」

 

ラン「いや誠司に求めた私がバカだったわ」

 

 

誠司「は?」

 

 

ランの言葉を理解できず、誠司は頭を傾げた。

 

 

めぐみ「今日もぴかりが丘は平和ー♪」

 

 

ひめ「明日も明後日もへーいわ♪」

 

 

めぐみ「それはなんで!?」

 

 

ひめ「プリキュアが居るから!」

 

 

2人「ワハハのハー。ワッハッハッハー」

 

 

2人は腰に両手をあて、上を向いて笑っている。

 

 

ゴウ「すげぇ浮かれてるな...」

 

 

ケン「ああ、一緒に歩いてるのが恥ずかしいぐらいにな...」

 

 

ラン「めぐみちゃんっていつもこうなの?」

 

誠司「いつもって訳じゃないが、機嫌が良いときはああやって即興の歌を歌ったりはするよ」

 

 

リン「そうなんだ」

 

 

俺の説明に、皆呆れていた。

 

 

ケン「てゆうか、誠司は平気なのかよ」

 

 

誠司「あいつと何年一緒にいると思ってんだよ。もう慣れた」

 

 

しばらくして、俺達は祭りの会場についた。

 

 

ひめ「わお!なにこれー!?」

 

 

ひめは祭り会場の屋台通りを見て、興奮している。

 

 

石神「おっ!気合い入ってるね」

 

 

後ろから声がしたので振り替えると、クラスメイトの4人がいた。

 

 

めぐみ「みんなー!」

 

 

石神「こんにちはひめちゃん、ランちゃん、リンちゃん」

 

 

ラン・リン「こんにちは」

 

 

ひめ「こんにちは、えっと...」

 

 

石神「石神りんだよ」

 

 

高野「高野れいです」

 

 

吉田「私、吉田かな」

 

 

椎名「椎名えれな、えれにゃんだよ~」

 

 

石神「自分でえれにゃんって言うな」

 

 

椎名の自己紹介に、石神が突っ込む。

 

 

石神「それよりずるいよめぐみ!」

 

 

めぐみ「ん?」

 

 

石神「ひめちゃん達を独り占めして」

 

 

めぐみ「独り占めなんてしてないよ。はい」

 

 

そう言ってめぐみは、後ろに隠れてたひめをみんなの前に出した。

 

 

ひめ「うわぁーお」

 

 

恥ずかしがったのか奇声をあげてすぐにめぐみの後ろに隠れる。

 

 

高野「ここで会ったのもご縁です。みんなで屋台を回りませんか?」

 

 

めぐみ「うんいいよ!誠司達もいいよね?」

 

 

誠司「俺は別に構わないよ」

 

 

ゴウ「俺もな」

 

 

ケン「俺も」

 

 

石神「あれ?そう言えばそっちの2人は見た事ないけど、相楽君の知り合い?」

 

 

石神がゴウ達に気づき、質問してくる。

 

 

めぐみ「この人はねリンちゃんのお兄さんの深水ゴウさん!」

 

 

ゴウ「宜しく」

 

 

めぐみ「こっちは誠司達の友達で、久津ケンさん!」

 

 

ケン「宜しく~」

 

 

めぐみ「ふたりとも、私達の一つ上の学年の人なんだよ!」

 

 

石神「年上の方でしたか、道理で見覚えの無いと思った」

 

 

めぐみ「お互い自己紹介も終わった事だし、一緒に回ろうか!」

 

 

その後屋台の出し物を食べる為、俺達は色々回っていた。

 

 

めぐみ「あ、パン屋のお兄さん」

 

 

パン屋さん「今日はわたあめ屋さんだよ」

 

 

ひめ「わたあめ?」

 

 

パン屋さん「ウチのは秘伝のザラメを使ってるんだ」

 

 

ひめ「美味しそう...」

 

 

パン屋さん「今日は特別価格の100円!」

 

 

ひめ「100円!?」

 

 

ひめはすぐさま、財布をまさぐった。

 

 

ひめ「この300円で私の胃袋を満たさないといけないんだよね」

 

 

ひめは掌の300円を見ながら、考え込んでいた。

 

 

ひめ「ちょうだい!」

 

 

パン屋さん「あいよ!毎度あり!」

 

 

パン屋さんからわたあめを受け取ると、ひめはさっそくかぶりつく。

 

 

ひめ「うまぁ!」

 

 

余程美味しかったのか、ひめはうっとりとしている。

 

 

石神「あたしはコレ」

 

 

ひめ「何それ?」

 

 

ひめは石神の持っている物に気がつく。

 

 

石神「あんず飴だよ」

 

 

ひめ「おー、何処で買ったの?」

 

 

ひめは石神に場所を教えて、貰い買いに行く。

 

 

ひめ「うんまー!」

 

 

吉田「あたしは・・・焼きとうもろこし!」

 

 

吉田は焼きとうもろこしを注文する。

 

 

「200円だよ」

 

 

ひめ「200円!?」

 

 

ひめは掌を見るがそこには100円しかなく買うことは出来なかった。

 

 

ひめ「はあ...」

 

 

吉田「一口どうぞ」

 

 

吉田はひめに、とうもろこしを差し出した。

 

 

ひめ「いいの?」

 

 

吉田「うん」

 

 

ひめは吉田からとうもろこしを受け取り、一口齧る。

 

 

ひめ「うんまー!」

 

 

高野「みそおでんも」

 

 

椎名「じゃがバターもいけるよー」

 

 

ひめ「うまぁ!」

 

 

ゆうこ「出張おおもりごはんでーす」

 

その時俺達にゆうこが話しかけてきた。

 

 

めぐみ「ゆうゆう!」

 

 

ゆうこ「特製ジャンボソースせんべいは如何ですか?」

 

 

ゆうこが首から提げている箱には、巨大なせんべいが入っていた。

 

 

ひめ「でかっ!」

 

 

ゆうこ「1つ100円でーす」

 

 

ひめは残った100円と睨めっこしていた。

 

 

ひめ「ちょうだい!」

 

 

ゆうこ「毎度ありー」

 

 

ひめは買ったせんべいを、11分割し俺達に配る。

 

 

めぐみ「え?」

 

 

吉田「いいの?」

 

 

ひめ「うん!お返し!」

 

 

『ありがとう!』

 

 

俺達はひめにお礼を言う。

 

 

『うまぁ』

 

 

ゴウ「確かに美味しいな」

 

 

ケン「そうだな」

 

 

ひめ「お祭りっておいしいね!」

 

 

椎名「もう! ホントにかわいい!」

 

 

椎名はひめに抱きついた。

 

 

ひめ「ねぇ、えれにゃん。みんなもどうして優しくしてくれるの?」

 

 

椎名「そりゃあ小さくて、かわいくて、外国の人で珍しいからだよ」

 

 

ひめ「それが理由!?」

 

 

高野「友達になりたいと思う切欠なんて、そんなものです」

 

 

石神「この祭りの間に、絶対友達になるって狙ってたんだから」

 

 

めぐみ「友達、4人もできちゃったね!」

 

 

ひめ「うん!」

 

 

誠司「じゃあ俺は、焼きそばでも買いに行くかな」

 

 

ひめ「焼きそば!」

 

 

ひめは俺の言葉に反応する。

 

 

誠司「ひめも食べるか?俺が買ってやるぞ」

 

ひめ「いいの?」

 

 

誠司「さっきのソース煎餅のお返しだ」

 

 

ひめ「ありがとう!」

 

 

石神「あっ!相楽君、焼きそば買うなら気をつけた方がいいよ」

 

 

焼きそばを買いに行こうとする誠司に、石神が声を掛けてきた。

 

 

誠司「気をつけるって何をだ?」

 

 

石神「さっきあんず飴を買うときに聞いたんだけど、焼きそばの屋台の人が凄く怖い人なんだって」

 

 

めぐみ「怖い人?」

 

 

石神「なんでも商店街の人じゃないみたいだよ」

 

 

ひめ「え~!嘘~!」

 

 

めぐみ「じゃあみんなで行こうよ!」

 

 

ラン「そうね私も少し気になるし」

 

 

俺達は焼きそばを買う為に、屋台へ向かう。

 

 

 

しばらくして焼きそばの屋台につくと、店員は何かの準備をしているのか、俺達に背中を向けていた。

 

 

誠司「すみません、焼きそばください」

 

 

理央「ああ」

 

 

店員が振り返ると、そこには理央がいた。

 

 

5人「理央!」

 

 

理央「なんだお前達か」

 

ケン「お前こんな所で何してんだよ!?」

 

 

理央が屋台で店員やっていた事に驚き、ケンが質問する。

 

 

理央「この前この屋台の店主に助けて貰ってな、今日はそのお礼に手伝いをしている」

 

 

誠司「そうだったのか」

 

 

理央「所でお前達は焼きそばを買いに来たのか?」

 

 

誠司「ああ、大盛り4つ頼む」

 

 

理央「分かった」

 

 

そう言って、理央は焼きそばを焼き始めた。

 

 

誠司「どうだこの町は?」

 

俺は理央に町の感想を聞く。

 

 

理央「ふん、この町はお節介な奴が多いな。こんな俺にも声を掛けてくれたからな」

 

 

誠司「ふっ、そうか」

 

 

理央の言葉に、俺は嬉しくなった。

 

 

理央「少しは過ごしやすい町かもな」

 

 

誠司「それがこの町のいい所だからな」

 

 

理央「ほら、ひとつ500円だ」

 

 

誠司「おう、サンキュー」

 

 

俺は理央に2000円渡し、焼きそばを受け取る。

 

 

誠司「じゃあ、この後も頑張れよ」

 

 

理央「言われるまでもない」

 

 

俺達は屋台から離れ、休憩スペースに行く。

 

 

石神「相楽君達、さっきの怖い人と知り合いなの?」

 

 

さっきの理央とのやり取りを聞いていた石神が、焼きそばを食べながら質問してきた。

 

 

誠司「ああ、あいつとは昔色々あってな、今では俺達の仲間なんだ」

 

 

ラン「見た目は怖いけど、そんなに悪い人じゃないのよ」

 

 

高野「そうみたいですね」

 

 

しばらくして、焼きそばも食べ終わった。

 

 

誠司「じゃあ、焼きそばも食べ終わったし、次はどうする?」

 

 

めぐみ「もうだいたい食べたし、どうしよっか?」

 

 

「ミスフォーチュンが恋の占いから明日の天気まで、ズバリと当てますよ~」

 

 

その時、呼び込みをしている声が聞こえた。

 

 

めぐみ「占い?」

 

 

誠司「あれは確か...氷川道場の門下生だったはずだ」

 

 

ひめ「空手が・・・占い?」

 

 

石神「恋占いもするって言ってたよね!?」

 

 

椎名「すみませーん!お幾らですか?」

 

 

椎名が売り込みに質問する。

 

 

売り込み「一回100円です」

 

4人「はい!」

 

4人は凄い勢いで100円を渡す。

 

 

ひめ「あ、もうお小遣いなくなっちゃった」

 

 

めぐみ「すみませんこれ2人分でお願いします」

 

 

めぐみは売り込みに、200円渡した。

 

 

めぐみ「ソース煎餅のお返し」

 

 

そう言って、ひめにウインクする。

 

 

ひめ「めぐみー!」

 

 

嬉しくなったのか、ひめはめぐみに抱きつく。

 

 

ひめ「友達だね!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その後めぐみ達は占いをするため、列に並び俺達は近くで待機していた。

 

 

ラン「ひめちゃん楽しそうで良かったね」

 

 

誠司「そうだな。友達も出来たから、あいつにとっては凄く楽しかったんじゃないのか?」

 

 

リン「そうだね」

 

 

誠司「てか、ラン達は占いしなくて良いのか?」

 

 

ラン「私あんまり占いとか信じてないから」

 

 

リン「私も」

 

誠司「ふーん」

 

 

しばらく待っていると、めぐみ達が戻ってきたが落ち込んでいた。

 

 

誠司「どうしたお前ら?」

 

 

めぐみ「2人の未来を占ってもらったんだけど最悪だって言われちゃって」

 

 

そう言って、めぐみはひめと一緒に落ち込みだした。

 

 

誠司「あまり気にしない方がいいんじゃないのか?占いなんて当たるか分からないんだから」

 

 

めぐみ「そうだよ!占いはよかった時だけ信じればいいんだよ!」

 

 

ひめ「そうだよね!占いがなんだー!」

 

めぐみ「おー!」

 

 

ゴウ「凄いポジティブだな」

 

 

誠司「それがめぐみだからな」

 

 

リボン「ハッ!サイアークですわ」

 

 

めぐみ・ひめ「え!?」

 

 

誠司「急いで向かうぞ!」

 

俺達はサイアークの方へ向かう。

 

 

 

 

 

 

途中理央と合流し、到着すると辺りは枯れ木だらけの荒野になっていた。

 

 

そこには2体のサイアークがおり、近くには石神達が捕らわれている鏡があった。

 

 

ひめ「みんなが」

 

 

めぐみ「助けよう!みんな!」

 

 

『おう!』

 

 

『かわルンルン!』

 

 

 

めぐみ・ひめ「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

二人はプリチュンミラーを使いプリキュアに変身する。

 

 

誠司・ラン・リン「たぎれ!ケモノの力!」

 

 

ゴウ「響け!ケモノの叫び!」

 

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

5人「ビーストオン!」

 

 

理央「臨気凱装」

 

 

俺達に瞬間的にゲキスーツが装着され、理央には鎧が装着される。

 

 

ゲキレッド「行くぞ!」

 

 

俺達は、サイアークとチョイアークに立ち向かう。

 

 

少女「プリキュアだ~」

 

 

少年「ゲキレンジャーもいる!あの人達、凄く強いんだよ!」

 

 

プリンセス「どもども!」

 

 

ラブリー「みなさん、逃げて下さい!」

 

 

プリンセスは照れた様子で周りに答え、ラブリーは周りに注意する。

 

 

ゲキイエロー「今日は2体いるのね」

 

 

ゲキブルー「4人捕らわれてるから、その数分作れるって事かしら」

 

ゲキレッド「俺達が一体相手するから、ラブリー達はもう一体を頼む。もしかしたら他にも隠れてるかもしれない、気をつけろよ!」

 

 

『おう!』

 

 

ゲキイエロー「その前に、さっさと雑魚共を片付けますか」

 

 

俺達はチョイアークを倒す為、突撃する。

 

 

ゲキレッド「ゲキヌンチャク!ハア!フッ!ハアアッ!」

 

 

俺はゲキヌンチャクを召喚し、チョイアークを撃破する。

 

 

ラブリー「プリキュア!パッションダイナマイト!オレ!」

 

 

ラブリー達の方を見ると、ラブリーがチェリーフラメンコにスタイルチェンジしてチョイアークを一掃していた。

 

 

オレスキー「お前達がハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャーか」

 

 

ラブリー・プリンセス「んあ?」

 

 

リボン「あなた、幻影帝国の新しい幹部ですわね!」

 

 

オレスキー「オレ様は、ナマケルダ達と違って!できる男なのだ!」

 

 

その時、俺達の近くに1台の軽自動車が停まり、中から増子美代が出てきた。

 

 

増子「おーっと! 見た事の無い相手ですっ! 初めまして、お名前は?」

 

 

増子はオレスキーに取材していた。

 

 

理央「こんな時に何をやっているんだあの女は」

 

 

理央が増子の行動に、呆れていた。

 

 

オレスキー「オレスキー将軍だ!覚えておけ!ぴかりが丘の住人よ!ファンレターは幻影帝国に送るがいい!」

 

 

増子「いきなりファンレターを要求するとは、なんと大胆な相手でしょうか~!危うし、ハピネスチャージプリキュア!ゲキレンジャー!」

 

 

サイアークがとうもろこしの棍棒でラブリー達を攻撃するが、2人はジャンプして避ける。

 

プリンセス「私達は勝つ!プリンセスカッター!」

 

 

プリンセスはツインテールに電撃をまとって、身体を回転させることでツインテールの髪先から刃状の光弾を複数放ち、サイアークを攻撃する。

 

 

サイアークは複数の光弾を棍棒で防いでいたがとうもろこしの実はすべて剥がされてしまった。

 

 

ラブリー「ハアッ!」

 

 

ラブリーはライジングソードを召喚し、サイアークに攻撃するが棍棒で受け止められる。

 

ラブリー「ハアアアアアアッ!ハアッ!」

 

 

ラブリーはサイアークとの競り合いに勝ち水面の方へサイアークを吹っ飛ばす。

 

 

ラブリー「いくよ、2人のコラボ技!」

 

 

プリンセス「OK!」

 

 

2人は止めを刺すためコラボ技の準備をするが、その時俺は気づいた。

 

 

ラブリー達の後ろから、もう一体のサイアークが襲い掛かろうとしている事に。

 

 

ゲキレッド「ラブリー!プリンセス!後ろだ!」

 

 

ラブリー・プリンセス「え?」

 

 

2人はすぐに反応できず、もう一体の攻撃を受けてしまった。

 

 

オレスキー「油断したなぁ、4人分のエネルギーで2体のサイアークしか作らない訳がないだろう!」

 

 

ゲキレッド「やっぱりもう一体隠れてたか」

 

 

プリンセス「ずるいよ!」

 

 

オレスキー「ゲキレンジャーはもう一体のサイアークとチョイアークと戦ってるからな、2対2なら、お前達など敵ではない!」

 

 

ゲキレッド「チッ!ゴウ!ケン!理央!お前達はラブリー達の援護を頼む!」

 

 

ゲキバイオレット「分かった!」

 

 

ゲキチョッパー「あいよ!」

 

 

理央「ふん!世話の掛かる奴らだな」

 

 

俺の指示を受け、ゴウ達はラブリー達の援護に向かった。

 

 

ゲキレッド「ラン!リン!過激気で一気に行くぞ!」

 

 

ラン・リン「分かった!」

 

 

3人「スーパーゲキクロー!」

 

俺達は爪のついた握力計のような形をしている強化変身アイテム、『スーパーゲキクロー』を召喚する。

 

 

3人「スーパービーストオン!」

 

 

掛け声とともに、スイッチ部に触れることで俺達はスーパーゲキレンジャーに変身する。

 

 

スーパーゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!過激気にアンブレイカブル・ボディ!スーパーゲキレッド!」

 

 

スーパーゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!過激気にオネスト・ハート!スーパーゲキイエロー!」

 

 

スーパーゲキブルー「技が彩る大輪の花!過激気にファンタスティック・テクニック!スーパーゲキブルー!」

 

 

スーパーゲキレッド「たぎる過激気は正義のために!」

 

3人「獣拳戦隊!ゲキレンジャー!」

 

 

増子「ご、ご覧下さい!ゲキレンジャーの3人がパワーアップし、新たな姿に変わりました!」

 

 

男性「すげー!」

 

 

少年「格好いい!」

 

 

スーパーゲキレッド「行くぞ!」

 

 

俺達はサイアーク達に突進する。

 

 

スーパーゲキイエロー「ゲキワザ!スーパーチーター撃!」

 

 

スーツの噴射口から噴出した過激気により、飛翔して急降下しながらスーパーゲキクローを使って縦横無尽の斬撃を放つ。

 

 

スーパーゲキブルー「ゲキワザ!スーパージャガー撃!」

 

 

スーツの噴射口から噴出した過激気により、地面スレスレを高速で滑空し、すれ違いざまにチョイアークにスーパーゲキクローを撃ちつける。

 

 

スーパーゲキレッド「よし!後はサイアークだけだな!」

 

 

スーパーゲキイエロー「! 誠司!あれ!」

 

 

ランの言う方を見ると、めぐみ達が足元を水飴みたいなものに固められ動けなくなっており、サイアークの攻撃をくらいぶっ飛ばされてしまった。

 

 

増子「どぅあああ!あっと言う間に大逆転の大ピンチです!」

 

 

オレスキー「これでオレ様ができる男だと分かったろう!ファンクラブの年会費は800円だ!」

 

 

ラブリー「まだ、負けてない!」

 

 

ラブリーは右手を庇って立ち上がり、プリンセスは辛そうに立ち上がる。

 

 

プリンセス「りんちゃん、れいちゃん、かなちゃん、えれにゃん!あたしはみんなを...友達を助けるんだからぁ!」

 

 

オレスキー「お前達には~ムリだ~!」

 

 

2体のサイアークが二人に得物を振り下ろそうとしていた。

 

 

剛達の方を見ると大量のチョイアークを相手しており、助けに行ける状況じゃなかった。

 

 

スーパーゲキレッド「くそ!」

 

 

俺が助けようとしたその時、紫の光がサイアークを襲撃しぶっ飛ばす。

 

 

ラブリー「あなたは」

 

 

ラブリー達を助けたのは、キュアフォーチュンだった。

 

 

増子「なんと!ぴかりが丘最強のプリキュアの登場です!」

 

 

オレスキー「まだプリキュアが居たのか、やれサイアーク!」

 

 

オレスキーの指示でサイアークはフォーチュンを攻撃するが、あっさり避けられお腹に一撃を入れられ吹っ飛ばされる。

 

 

その時、俺はフォーチュンの後ろからサイアークが襲い掛かろうとしてるのに気づいた。

 

 

ゲキレッド「ゲキワザ!スーパータイガー撃!」

 

 

スーツの噴射口から噴出した過激気によって飛翔し、サイアークにスーパーゲキクローを撃ちつけ襲い掛かろうとしているサイアークにぶつける。

 

 

サイアーク「「サイアーク!」」

 

 

俺は直ぐにフォーチュンの横に並ぶ。

 

 

スーパーゲキレッド「余計なお世話だったか?」

 

 

フォーチュン「いえ、助かったわありがとう」

 

 

フォーチュンは俺にお礼を言う。

 

 

スーパーゲキレッド「フォーチュン一緒に決めるぞ!」

 

 

フォーチュン「ええ!」

 

 

ゲキチョッパー「誠司!」

 

 

俺達が止めを刺そうとした時、ケンがサイブレードを俺に投げ渡した。

 

 

スーパーゲキレッド「おう!」

 

 

俺はサイブレードにスーパーゲキクローを合体させ、『スーパーサイブレード』にする。

 

 

スーパーゲキレッド「スーパーサイブレード!過激気!研鑽(けんさん)!」

 

 

フォーチュン「星の光を聖なる力に!ラブプリブレス!プリキュア!スターダストシュート!」

 

 

スーパーゲキレッド「ゲキワザ!超鋭鋭過激気斬(ちょうえいえいかげきざん)!」

 

 

過激気噴射によって高速で突進し、サイアークにスーパーサイブレード一振りで3体を切りつけ、フォーチュンのスターダストシュートが命中する。

 

 

フォーチュン「星よ、天に還れ」

 

 

サイアークは浄化されようとしていたがいつものように3体のサイアークは巨大化する。

 

 

サイアーク「「「サイアーク!」」」

 

 

スーパーゲキレッド「チッ!やっぱり巨大化しやがったか」

 

 

ゲキチョッパー「しかも今回は3体もいるのか」

 

 

ゲキバイオレット「どうする?」

 

 

スーパーゲキレッド「各々の巨大ロボで各個撃破だ!」

 

 

『おう』

 

 

3人「ゲキワザ!来来獣!」

 

 

スーパーゲキレッド「ゲキゴリラ!」

 

 

スーパーゲキイエロー「ゲキペンギン!」

 

 

スーパーゲキブルー「ゲキガゼル!」

 

 

俺達はゲキタイガー達とは別のゲキビースト『ゲキゴリラ』、『ゲキペンギン』、『ゲキガゼル』を召喚した。

 

 

ラブリー「何あれ!?」

 

 

プリンセス「いつもの奴と違う!」

 

 

ゲキバイオレット「ゲキワザ!来来獣!ゲキタイガー!ゲキジャガー!ゲキウルフ!」

 

 

剛は自分のゲキビーストのゲキウルフの他に、ゲキタイガーとゲキジャガーを召喚する。

 

 

ゲキチョッパー「いでよ!サイダイン!」

 

 

ケンは操縦刀(そうじゅうとう)を使い『獣拳神サイダイン』を召喚する。

 

 

少年「すごい大きなサイだ!」

 

 

少女「大き~い!」

 

4人「獣拳合体!」

 

 

ゲキチョッパー「獣拳変形!サイダイオー!」

 

 

ゲキゴリラの腕を90度回転させ、胸部のパーツが肩に装着され足を下に回転する。

 

 

両腕が回転し、腕が下に降り胸のアーマーが展開する。

 

 

ゲキペンギンが乗っているジェットボードからヘルメットとゲキペンギンが外され、ゲキペンギンとジェットボードが合体し右足となる。

 

 

ゲキガゼルの脚が収納し、首が90度曲がり左足となる。

 

 

ゲキゴリラの右足にゲキペンギン、左足にゲキガゼルが合体する。

 

 

ゲキゴリラの顔が上に上がり中から顔が出て来て、ジェットボードから外れたヘルメットが装着され『ゲキファイヤー』が誕生する。

 

 

 

 

 

ゲキタイガーが後脚で立ち上がり、後脚が折りたたまれる。

 

 

ゲキウルフとゲキジャガーが脚を収納し、首を90度曲げ脚になる。

 

 

ゲキウルフがゲキタイガーの右足に、ゲキジャガーがゲキタイガーの左足になりゲキトージャウルフが誕生する。

 

 

 

サイダインから盾が外され、サイダインの腰部分が180度回転し、サイダインが直立しサイダインの顔の中に腕が収納しており、腕が下がると顔が剣になり、左腕に外された盾が装着される。

 

 

顔のアーマーが展開し、『サイダイオー』が誕生する。

 

 

3人「ゲキファイヤー!バーニングアップ!」

 

 

ゲキバイオレット「ゲキトージャウルフ!バーニングアップ!」

 

 

ゲキチョッパー「獣拳巨神サイダイオー!見惨!」

 

 

増子「ご覧下さい!私達の前に巨大なロボットが3体も現れました!」

 

 

スーパーゲキレッド「行くぞ!」

 

 

俺達はサイアークに突撃する。

 

 

3人「ハア!」

 

 

増子「おおっと!さっそくゲキファイヤーがサイアークに向かって殴りかかりました!強烈な一撃です!」

 

 

ゲキバイオレット「オラァ!」

 

 

増子「今度はゲキトージャウルフの後回し蹴りがもう一体のサイアークに命中!」

 

 

ゲキチョッパー「ハアッ!」

 

 

サイアーク「サイア~!」

 

 

増子「サイアークにサイダイオーの斬撃が当たりました!まさに圧倒的な戦いです!」

 

 

スーパーゲキレッド「決めるぞ!」

 

 

3人「ゲキワザ!頑頑ナックル落とし!」

 

 

ゲキファイヤーの腕が縦に回転し、サイアークに連続パンチを繰り出す。

 

 

3人「ガン!ガン!ガン!ガン!ファイヤー!!」

 

 

連続パンチを繰り出した後、強烈な一撃をサイアークに与え消滅させる。

 

 

増子「決まったー!ゲキファイヤーの必殺技がサイアークに繰り出され消滅しました!」

 

 

ゲキバイオレット「ゲキワザ!大狼狼脚!」

 

 

ウルフカッターが外されゲキウルフの口で噛むように装着し、回し蹴りの要領でウルフカッターを撃ち出す。

 

 

増子「ゲキトージャウルフの必殺技がサイアークに命中!こちらも消滅いたしました!」

 

 

ゲキチョッパー「ゲキワザ!大大砕大斬(だいだいさいだいぎり)!」

 

 

砕大剣で大の字を描くように、連続でサイアークを斬り消滅させる。

 

 

増子「サイダイオーの必殺技によって最後のサイアークも消滅されました!んー!大勝利です!我らがゲキレンジャーとキュアフォーチュンがぴかりが丘を救ってくれましたぁ!」

 

 

俺達はゲキファイヤーから降り、オレスキーの前に対峙する。

 

 

スーパーゲキレッド「後はお前だけだがどうする?」

 

 

オレスキー「はっ、今日は十分オレ様の強さを見せたので満足だ。お前達の相手は今度してやる!」

 

 

ぐらさん「さすがだぜフォーチュン、幸せが高まっちまったぜこれはおいしそうなアイスクリームのパワーを感じるぜ」

 

 

そう言ってフォーチュンが手に入れたのはアイドルとパーティのプリカード。

 

 

スーパーゲキレッド「悪いな今回は助かった」

 

 

フォーチュン「いいえ、お互い様よ。私では巨大サイアークは倒せないもの」

 

 

ラブリー「すごく強いんですね!お陰で助かりました。ほら、プリンセスも」

 

 

プリンセス「やだ!」

 

 

ラブリーはプリンセスにもお礼をするように言うが、プリンセスはそれを否定する。

 

 

ラブリー「うぇ?」

 

 

スーパーゲキレッド「プリンセス?」

 

 

フォーチュン「あなた達を助けたわけじゃない。わたしはこの街を守っただけよ」

 

 

フォーチュンは俺達の間を通り、立ち去ろうとしていた。

 

 

フォーチュン「あなたがキュアラブリーね?1つ、忠告しておくわ」

 

フォーチュンはラブリーの横まで来ると横目でラブリーに話しかける。

 

 

フォーチュン「キュアプリンセスを信じてはいけない...。でないと...あなたに大きな災いが降りかかるわ」

 

 

ラブリー「え?...」

 

 

フォーチュンは俺の横を通った時、すれ違い様に話しかけてきた。

 

 

フォーチュン「それじゃあまた会いましょうゲキレッド、いや相楽誠司君」ボソッ

 

 

スーパーゲキレッド「!?」

 

 

フォーチュンは俺にそっと呟くとそのまま立ち去っていった。

 

 




はい!如何だったでしょうか

自分で書いてて思うのですが戦闘描写もっと増やした方がいいでしょうか?

もっと上手く書ける用にしたいと思いますがなかなか上手く書けません。

それでは次回!やっとキュアハニーの登場です!

原作では誠司の通う道場で修行を行いますが
今作では通ってないため河川敷で激獣拳の守りの基礎の修行でもさせようと思います。

では次回でお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 激獣拳の修行!!プリキュアパワーアップ!?

どうもナツ・ドラグニルです

今回は9話を題材に書いていきます

原作では氷川道場で修行しますが今作では通ってないため激獣拳の修行させます

なのでいつもよりすこし少なめになります。

今回やっとハニーが出ます

では作品をどうぞ




おっす!相楽誠司だ!

 

 

俺達は日課の修行を行う為河川敷に向かっているが、この前のフォーチュンの言葉が気になっていた。

 

 

ラン「誠司どうしたの?」

 

 

リン「朝から心ここにあらずって感じだけど、どこか具合でも悪いの?」

 

 

誠司「いや、そういうわけじゃないよ、心配してくれてありがとう」

 

 

リン達が体調の心配をしてきたので、心配ないように言う。

 

 

ゴウ「誠司、お前が気にしているのはこの前のフォーチュンの言葉だろ?」

 

 

誠司「ああ、"プリンセスを信じたら大きな災いがふりかかる"この言葉が気になってな」

 

 

ラン「どうゆう意味なんだろう」

 

 

誠司「恐らくひめは何か隠し事をしてるんじゃないか?それに関係している事でフォーチュンがひめに対して怒っているとしたら説明がつく」

 

 

ゴウ「隠し事ってなんだよ」

 

 

誠司「分からないがこればっかりは、ひめが話してくれるのを待つしかないな」

 

 

リン「そうだね」

 

 

ケン「それにフォーチュンが誠司の正体を知ってたのも気になるな」

 

 

ゴウ「確かに、何処で正体を知ったかだな」

 

 

誠司「俺も気になるが、とりあえずひめの事もフォーチュンの事も今は様子見しかないな」

 

 

ケン「まっ!そうだな!こんな所でうだうだ考えてたってしょうがないからな!」

 

 

ゴウ「さっさと修行に行こうぜ」

 

 

俺達は修行する為に河川敷に向かうと、土手の所でめぐみ達が横になっているのを見つけた。

 

 

誠司「何してるんだ?お前ら」

 

 

めぐみ「誠司!みんな!」

 

 

リボン「強くなる為に走ってたら弱っちゃったんですわ」

 

 

誠司「なるほど。強くなる為とか言って、ペース配分考えずに走ったんだろ」

 

 

めぐみ「なんで分かったの!?」

 

 

ひめ「誠司ってエスパーだったの!?」

 

 

俺の言葉にめぐみは驚き、ひめはとんちんかんな事を言っている。

 

 

誠司「お前達の性格考えたらすぐに分かるさ」

 

 

リボン「さすがですわね」

 

 

めぐみ「ねえ誠司、強くなる為にはどうすればいいの?」

 

 

めぐみが俺に質問してきた。

 

 

誠司「そりゃ勿論、修行だな!」

 

 

ラン「ええ!日々是、精進心を磨く!強くなる為には日々の努力が必要なのよ!」

 

 

めぐみ「そうなんだ」

 

 

誠司「そうだ、お前ら激獣拳の修行してみるか?」

 

 

めぐみ「激獣拳の修行!?なんか凄そう!!」

 

 

ひめ「やってみたい!」

誠司「よし!じゃあ修行出来る所に移動するか!お前達はそのまま修行をしててくれ」

 

 

ゴウ「分かった」

 

 

ケン「あいよ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり修行する為、大使館にやってきた。

 

 

めぐみ「え?修行する場所って大使館なの?」

 

 

ひめ「ここでなんの修行するの?」

 

 

誠司「悪いがまだ教えられないな。今から準備してくるからちょっと待ってろ」

 

 

俺はめぐみ達を外に待たして中に入り、雑巾と水が入ったバケツを持って戻った。

 

 

誠司「じゃあこれ持って」

 

 

俺は持ってきた雑巾を、2人に渡す。

 

 

めぐみ「雑巾?」

 

 

ひめ「なんで雑巾なんか持ってきたの?」

 

 

誠司「お前達には今から、大使館の雑巾掛けをしてもらう」

 

 

めぐみ・ひめ「えーーー!!」

 

 

俺の言葉に2人は驚く。

 

 

めぐみ「なんで雑巾掛け!?」

 

 

ひめ「激獣拳の修行は!?」

 

 

誠司「これが激獣拳の修行の基礎なんだよ、暮らしの中にも修行ありだ」

 

 

めぐみ・ひめ「うーん...はーい...」

 

 

俺達はその後修行の為、大使館を雑巾掛けする。

 

 

誠司「さて雑巾掛けするに当たっての注意事項だ。まずバケツの水はこまめに変えること、汚れた水で拭いても汚れるだけだからな」

 

 

めぐみ「はーい」

 

 

誠司「それと雑巾掛けする時は、転びやすいから気をつけろよ」

 

 

ひめ「分かった」

 

 

誠司「じゃあ始めるぞ、今回は俺も一緒にやってやるから」

 

 

その後雑巾掛けをするが、途中めぐみがこけてバケツをひっくり返したり、ひめが足を使って雑巾掛けをしてるのを見つけ注意したりしたが、なんとか終わらせることが出来た。

 

 

めぐみ「終わったー!」

 

 

ひめ「イタタタ...雑巾掛けって結構大変だね」

 

 

2人は腰を押さえながら、休憩していた。

 

 

誠司「さすがに3人でやったらすぐに終わるか...お前ら次の修行に移るぞ」

 

 

めぐみ「次は何の修行するの?」

 

 

ひめ「もしかして!ゲキビーストを呼び出す為の修行とか!」

 

 

誠司「いや、今からするのは防御の練習だ」

 

 

ひめ「えー!攻撃の練習が良い!」

 

 

俺の修行内容にひめが悪態をつく。

 

 

誠司「防御だって大切なんだ、防御が攻撃に繋がることだってあるんだからな」

 

 

めぐみ「そうなの?」

 

 

ひめ「そんな事言って自分は強いからって、適当な事言ってんじゃないの?」

 

 

誠司「あのな俺だって最初から強かった訳じゃないぞ!血のにじむような修行をしたからここまで強くなれたんだからな。つべこべ言わず始めるぞ」

 

 

めぐみ・ひめ「はーい...」

 

 

誠司「まず右手を窓を拭くように前に突き出し、掌を前に向けたまま時計回りに回して今度は左手を同じように突き出し反時計回りに回す。これを交互に繰り返すんだ。」

 

 

めぐみ「それだけ?」

 

 

誠司「ああ、ほら俺の真似をしろ右回し、左回し」

 

 

めぐみ達は俺の言葉に合わせ、練習する。

 

 

ひめ「ねー、これ何時までやるの?」

 

 

誠司「動きが体に染み付くまでだ」

 

 

めぐみ「それっていつ?」

 

 

誠司「いいからやる。強くなりたいんだろう?」

 

 

めぐみ「これで強くなれるのかな?」

 

 

ひめ「もっと、ター!とかやりたいよね」

 

 

誠司「はあ...お前らに一つ教えといてやるよ」

 

 

めぐみ・ひめ「?」

 

 

誠司「昔の人は練習なんか行わず、強くなる為にひたすら組み手をしていたんだ」

 

 

めぐみ「へー」

 

 

ひめ「そうなんだ」

 

 

誠司「だからお前達もやってみるか?本気になった俺と死ぬかもしれない組み手を!」

 

 

俺は怪しい笑みを浮かべ、めぐみ達に言う。

 

 

めぐみ・ひめ「ひぃぃぃぃ!すみませんでした!」

 

 

めぐみ達はお互いを抱き合いながら、座り込み謝罪してきた。

 

 

誠司「ほらさっさと再開するぞ」

 

 

めぐみ・ひめ「り、了解しました!」

 

 

2人はすぐさま立ち上がり、敬礼してきた。

 

 

ひめ「私もう誠司を怒らせるような事するのやめよう...」

 

 

めぐみ「私も...」

 

 

それから俺の脅しが効いたのかひたすら練習を行った。

 

 

ひめ「あんな地味な動きなのに疲れるー」

 

 

練習が終わりめぐみ達はその場で座り込んでいる。

 

 

誠司「よし!じゃあ締めに走りこみ行くぞ!」

 

 

めぐみ「えー!嘘ぉ!」

 

 

ひめ「もう疲れた...」

 

 

雑巾掛けの後に防御の練習をしたせいか、2人はクタクタだった。

 

 

誠司「ほら、早く行かないと日が暮れちまうぞ」

 

 

めぐみ・ひめ「はーい...」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司「ゴーファイ!ゴーファイ!ゴーファイ!ゴーファイ!」

 

 

めぐみ「ごー...」

 

 

ひめ「ふぁい...」

 

 

めぐみ「ごー...」

 

 

ひめ「ふぁい...」

 

 

しばらく走ってめぐみ達の方を見るとへとへとだった為、これ以上走らせると危ないと考え休憩する事にした。

 

 

誠司「少し休憩するか」

 

 

めぐみ・ひめ「はぁ~い...」

 

 

俺が休憩と言った瞬間、2人は崩れ落ちた。

 

 

めぐみ「疲れた~」

 

 

ひめ「もう動けない...」

 

 

誠司「情けないな」

 

 

ラン「誠司!」

 

 

休憩してたら、ラン達が合流してきた。

 

 

ケン「おうおう、2人ともバテバテだな」

 

 

リン「2人とも大丈夫?」

 

 

ひめ「全然大丈夫じゃない...」

 

 

ゴウ「何をさせたんだよ」

 

 

ゴウが俺に質問してきた。

 

 

誠司「何って大使館を雑巾掛けした後に防御の練習やって、今の走りこみをやってたんだ」

 

 

ラン「なるほどね」

 

 

めぐみ「てか、なんで誠司は私達と同じ事したのに息一つ乱れてないの?」

 

 

誠司「お前達とは鍛え方が違うからな」

 

 

ひめ「凄すぎでしょ...」

 

 

俺の言葉に2人は驚いている。

 

 

ゆうこ「まいどー、オヤツいりませんかー?」

 

 

ひめ「あ、ゆうこ...」

 

 

めぐみ「なんでここに?」

 

 

ゆうこ「たまたま通りかかったらみんなの姿が見えたんだぁ~」

 

 

するとゆうこは持っていたバスケットを弄る。

 

 

ゆうこ「飴舐める?」

 

 

ひめ「ニャー!」

 

 

ゴウ「うおっ!」

 

 

ゆうこが飴を取り出した瞬間、ひめが物凄い勢いで立ち上がりゆうこに駆け寄った。

 

 

ケン「全然元気があるじゃねえか...」

 

 

ゴウ「どんだけ食い意地はってんだよ...」

 

 

ゆうこ「みなさんもどうぞ」

 

 

ゆうこは全員に飴を配る。

 

 

めぐみ・ひめ「あ~!美味しい!」

 

 

ラン「確かに!」

 

 

誠司「修行した後だと格別に美味しいな」

 

 

ケン「そうだな」

 

 

ゆうこ「ふふふ」

 

 

めぐみ「明日も頑張るぞー」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わりそこには幻影帝国の幹部達が集まっていた。

 

 

オレスキー「ふん!この街は世界に羽ばたくオレ様にとっては小さすぎる。まさか、こんな街の担当になるとはな」

 

 

ホッシーワ「始まったわ。オレ様トーク」

 

 

ナマケルダ「これ絡みにくくて、めんどくさいんですよー」

 

 

オレスキー「それにしてもナマケルダ、お前のやる気の無さは、オレ様を安心させる」

 

 

その言葉に、ナマケルダは反応する。

 

 

オレスキー「そしてホッシーワ、お前のほしがるだけで努力せず、成果もあげない態度は実にいい」

 

 

ホッシーワも、オレスキーの言葉に嬉しがる。

 

 

オレスキー「2人共、オレ様を引き立てるために存在するかのようだ」

 

 

オレスキーの自己中な発言に、2人は拍子抜けし顔を背ける。

 

 

オレスキー「それに引き換え、なんだあそこは。ムンムンとヤル気が漲っているではないか」

 

 

オレスキーの指差す所には、氷川道場があった。

 

 

オレスキー「オレ様の地位を脅かす、やる気のある若い芽は早いうちに摘んでしまわねば!」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゆうこと別れた後、俺達は全員で走りこみの続きをしていた。

 

 

リボン「はっ!サイアークの気配ですわ!」

 

 

ひめ「え!?」

 

 

誠司「急いで向かうぞ!」

 

 

めぐみ「場所は!?」

 

 

リボン「あっちですわ!」

 

 

 

 

 

俺達がリボンの案内の元、到着すると氷川道場がサイアークに襲われていた。

 

 

めぐみ「氷川道場が!」

 

 

誠司「急いで助けるぞ!」

 

 

6人「おう!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみ・ひめ「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

めぐみ達がプリチュンミラーを使用し、プリキュアに変身する。

 

 

3人「たぎれ!ケモノの力!」

 

 

ゴウ「響け!ケモノの叫び!」

 

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

5人「ビースト・オン!」

 

 

俺達に、瞬間的にゲキスーツが装着される。

 

 

ラブリー「世界に広がるビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

プリンセス「天空に舞う蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

ラブリー・プリンセス「ハピネス注入!幸せチャージ!ハピネスチャージプリキュア!」

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー」

 

 

ゲキバイオレット「紫激気!俺流!わが意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

 

ゲキチョッパー「才を磨いて己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は正義の証!」

 

 

5人「獣拳戦隊!ゲキレンジャー!」

 

 

オレスキー「来たな!プリキュアにゲキレンジャー!」

 

 

ラブリー「そこまでよ!」

 

 

オレスキー「あー?キュアフォーチュンはいないのか。ゲキレンジャーをなんとかすればお前ら2人ならチョロいもんだ」

 

 

プリンセス「腹立つー!」

 

 

ラブリー「どっからでもかかってきなさい!」

 

 

プリンセス「まだ攻撃を教わってないのに?」

 

 

ラブリー「気合だよ!気合!」

 

 

オレスキー「はん!オレ様の出世の踏み台となれ!」

 

 

その後、大量のチョイアークが襲ってきた。

 

 

ゲキレッド「はあ!」

 

 

俺は先頭にいたチョイアークをふっとばし後方に続いていたチョイアークを道連れにした。

 

 

ゲキイエロー「ゲキワザ!打打弾(だだだん)!」

 

 

ランはチョイアークに無数の突きを、正確に猛スピードで繰り出す。

 

 

俺達が戦っていると、チョイアークの軍団が白くなった。

 

 

ラブリー達を見ると、プリンセスがポーズを決めた所だった。

 

 

リボン「プリンセス、美しいですわ!」

 

 

オレスキー「ぬぬぬ!」

 

 

プリンセス「フォーチュンが居なくても余裕ですぞ!」

 

 

オレスキー「ナマケルダのマネなどしおって!サイアーク先にプリキュアを片付けろ!」

 

 

ゲキチョッパー「はあ!それにしてもプリンセスもやるようになったな」

 

 

ゲキレッド「フッ!オラ!確かに最初に比べれば戦えるようになってきてるしな」

 

 

ゲキバイオレット「あっちはあいつらに任せても大丈夫そうだな」

 

 

俺達は戦いながら、プリンセスの成長を喜んでいた。

 

 

ラブリー達はサイアークの攻撃を受けているが、しっかりと避け反撃をしていた。

 

 

ラブリー「よし!」

 

 

プリンセス「行ける!」

 

 

オレスキー「喜ぶのはまだ早いぞー?さぁ、オレ様の地位向上の為、本気を出せサイアーク!」

 

 

オレスキーは命令し、サイアークはそれに応えていた。

 

 

ラブリー「私達も本気だして」

 

 

プリンセス「こっちから攻撃よ!」

 

 

2人は跳躍し、サイアークに突撃する。

 

 

サイアークは右拳を引く。

 

 

プリンセス「突きが来る!」

 

 

2人は咄嗟にガードするが、サイアークは突きを放とうとした勢いをそのままに右回し蹴りを繰り出してきた。

 

 

ラブリー「危ない!」

 

 

ラブリーがプリンセスを庇い、サイアークの攻撃をもろに受けてしまい墜落する。

 

 

プリンセス「ラブリー!」

 

 

リボン「卑怯ですわ!」

 

 

オレスキー「賢いと言ってくれたまえ。突きと見せかけて回し蹴り。見たか?この戦いのセンス!オレ様最高!」

 

 

ゲキレッド「確かに卑怯とは言えないな」

 

 

オレスキー「防御も無しにまともに喰らって、さぞかし効いたことだろう!キュアプリンセス!お前の油断がこの事態を招いたのだ!」

 

 

リボン「ラブリー、ラブリー!」

 

 

リボンがラブリーを起こそうとしているが、ラブリーは立ち上がれないでいた。

 

 

プリンセス「どうしょう...これじゃキュアフォーチュンの言ったとおりになっちゃう...」

 

 

オレスキー「はっはっはっはっは!」

 

 

プリンセス「負けられない!プリキュア弾丸マシンガン!」

 

 

プリンセスは弾丸マシンガンを放つが、サイアークはバリアを張り簡単に防がれてしまう。

 

 

オレスキー「そんな適当な攻撃、オレ様には通用せん!今日はキュアフォーチュンの助けも無い様だな」

 

 

プリンセスはサイアークの攻撃を受け、ラブリーの所まで吹っ飛ばされる。

 

 

リボン「あ!」

 

 

ラブリー「プリンセス!」

 

 

ゲキレッド「ちっ!はあっ!」

 

 

俺はチョイアークとの戦いを中断し、サイアークに向かった。

 

 

ゲキレッド「オラッ!」

 

 

俺は、サイアークに右パンチを繰り出し吹き飛ばす。

 

 

 

オレスキー「な!?くそ!邪魔をするな!あと少しでプリキュアを倒せるんだからな!」

 

 

ゲキレッド「悪いがそうはさせない!仲間は俺が守る!」

 

 

プリンセス「誠司...。やっぱり、私には守れないの?ラブリーのことも、この街も...!」

 

 

俺はラブリー達を守るため、サイアークと対峙していたその時…

 

 

?「いただきます~とごちそうさま~♪笑顔が膨らむ合言葉~♪」

 

 

ゲキレッド「歌?」

 

 

ゲキバイオレット「一体何処から?」

 

 

?「しあわせごはんで今日もハピネースね♪」

 

 

オレスキー「ぬ、そこか!」

 

 

?「卵かけたご飯食べーたいー♪うん、そう、手料理それは格別~♪」

 

 

オレスキーが向いた方を見ると、道場の屋根に一人のプリキュアがいた。

 

 

ラブリー「新しいプリキュア?」

 

 

オレスキー「また1人やる気ある芽が現れたか!」

 

 

?「おかず無しでもそのままでオッケーイです♪笑う門にほかほかのごはーんがいつもーあるー♪」

 

 

オレスキー「はぅ!そうだOKだ! ごはんサイコー!」

 

 

新たなプリキュアの歌に、オレスキーが反応したことに俺達は唖然としていた。

 

 

オレスキー「でもなんだ、この歌声、思わず和んでしまうではないか...」

 

 

?「夢が大盛り、てんこ盛ーり!みんな一緒にたらふく食べれば元気いっぱい♪」

 

 

オレスキー「ご飯は!」

 

 

ラブリー・プリンセス・リボン「愛のエネルギー!」

 

 

ゲキレッド「なんでお前達まで歌ってんだよ!てかなんで歌詞が出てきた!」

 

 

?「あー!ごはんはおいしーなー♪あー、ごはんはおいしーいーなー♪」

 

 

ラブリー「ごはん食べたーい!」

 

 

プリンセス「なんかこの歌聞いてたら、元気出てきた!」

 

 

?「修行を思い出して。防御、防御!」

 

 

ラブリー・プリンセス「防御?」

 

 

オレスキー「なっ、サイアーク、何している!行け!」

 

 

歌が終わり自分の失態に気がつき、すぐにサイアークに指示を出す。

 

 

ラブリーは右手、プリンセスは左手で軽く弾きそして今度は2人で上に弾く。

 

 

プリンセス「あれ? なんか体が勝手に」

 

 

ラブリー「防御の形、できちゃってる!」

 

 

その後も、サイアークの攻撃を弾き返す。

 

 

ラブリー「やったね!プリンセス!」

 

 

プリンセス「誠司の言ってた通り、防御が攻撃に繋がった!」

 

 

ゲキレッド「だから言っただろ」

 

 

ラブリー「よーし、お次は一緒に行くよ!」

 

 

プリンセス「うん!」

 

 

ゲキレッド「おう!」

 

 

ラブリー「愛の光を聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

 

プリンセス「勇気の光を聖なる力へ!ラブプリブレス!」

 

 

ラブリーとプリンセスが腕を交差させ、ブレスを回す。

 

 

ラブリー・プリンセス「あなたにハッピーお届けデリバリー!ハーッピー!」

 

 

ピンキーラブシュートとブルーハッピーシュートの光弾を召喚し、ハートの周りに丸が囲まれ合体する。

 

 

ラブリー・プリンセス「プリキュア!ツインミラクルパワーシュート!」

 

 

合体した光弾を、サイアークに向けて蹴り飛ばす。

 

 

ゲキレッド「ゲキワザ!砲砲弾!」

 

 

ゲキの塊となったゲキタイガーがサイアークに噛み付き、振り回して放り投げる。

 

 

放り投げた所にツインミラクルパワーシュートが命中する。

 

 

ラブリー・プリンセス「ハピネスチャージ!」

 

 

サイアーク「さ、サイアーク!」

 

 

サイアークは浄化されかけたが、直ぐに巨大化する。

 

 

?「あれが巨大化したサイアーク...」

 

 

ゲキレッド「よし!ここからは俺達の出番だ!」

 

 

ゲキイエロー「ええ!」

 

 

ゲキブルー「そうね!」

 

 

ゲキレッド「行くぞ!ゲキワザ!来来獣!ゲキタイガー!」

 

 

ゲキイエロー「ゲキチーター!」

 

 

ゲキブルー「ゲキジャガー!」

 

 

俺達の激気の塊が実体化し、各々のゲキビーストとなる。

 

 

3人「獣拳合体!」

 

 

3体のゲキビーストが合体し、ゲキトージャとなる。

 

 

3人「ゲキトージャ!バーニングアップ!」

 

 

増子「さあ!始まりました!巨大サイアークとゲキトージャの戦い!お送りするのは私増子美代とプリキュアの皆さんです!」

 

 

ラブリー「あっ!どうも!」

 

 

プリンセス「いえーい!」

 

 

ゲキバイオレット「いつのまに現れたんだこいつ...」

 

 

ゲキチョッパー「全然気づかなかった...」

 

 

ゲキレッド「お前ら!獣拳武装で一気に行くぞ!」

 

 

2人「おう!」

 

 

3人「ゲキワザ!来来獣!ゲキエレファント!」

 

 

俺達はゲキビースト『ゲキエレファント』を召喚する。

 

 

増子「ご覧下さい!ゲキトージャから巨大な像が出てきました!あれは一体なんなのでしょうか!」

 

 

ラブリー「大きな象さんだ!」

 

 

プリンセス「何が起こるの?」

 

 

3人「獣拳武装!」

 

 

俺達の掛け声と共にゲキエレファンとが頭、前足、後足と分離する。

 

 

ゲキトージャの両肩に分離した足が装着し、腕に頭が装着されゲキエレファントの鼻の先に鉄球が装着される。

 

 

3人「ゲキエレファントージャ!バーニングアップ!」

 

 

増子「な、なんと!現れた巨大な像がゲキトージャと合体しました!」

 

 

ラブリー「すごーい!あんな合体もあるんだ!」

 

 

プリンセス「かっこいい!」

 

 

ゲキレッド「行くぜ!」

 

 

増子「おーっと!さっそくサイアークに攻撃をしかけるか?」

 

 

3人「はっ!」

 

 

サイアーク「さいあ~!」

 

 

増子「ゲキエレファントージャがサイアークに向かって鉄球を下から振り上げたー!」

 

 

3人「はあ!」

 

 

増子「今度は回転を利用し、サイアークに鉄球を叩き付けた!」

 

 

ゲキレッド「止めだ!」

 

 

3人「ゲキワザ! 大頑頑丸(だいがんがんがん)!」

 

 

上半身を回転させエレハンマーを振り回す。

 

 

3人「ゲキ!ゲキ!ゲキ!ゲキ!ゲキ!」

 

 

 

エレハンマーがサイアークに連続で命中し、サイアーク消滅する。

 

 

3人「ゲキエレファントージャ!WIN!」

 

 

増子「決まったー!必殺技が決まりサイアークは消滅しました!強い!圧倒的です!」

 

 

俺達はエレファントージャから降りる。

 

 

オレスキー「明日の勝利の為に今日はここまで!」

 

 

そう言って、オレスキーはテレポートで消えていった。

 

 

プリンセス「あの、ありがとう!」

 

 

プリンセスは謎のプリキュアに感謝する。

 

 

?「パンチやキックも凄いけど、歌ってみーんなが和むよね。じゃあまた」

 

 

ラブリー「あ、待って」

 

 

プリキュアが立ち去ろうとするのを、ラブリーがとめる。

 

プリンセス「あなたは一体?」

 

 

ハニー「私はキュアハニー、お腹一杯、幸せいっぱいがモットーだよ」

 

 

羽を生やしハニーは飛び去っていく。

 

 

ラブリー「キュアハニーかあ」

 

 

プリンセス「誰なんだろう?」

 

 

増子「まさか新しいプリキュアの登場!?今のは2人の仲間なんですか?」

 

 

ラブリー「多分」

 

 

プリンセス「きっと仲間だよ」

 

 

俺達は場所を移動し、変身を解除する。

 

 

誠司「2人とも、防御の大切さは分かったろう?さ、稽古の続きをしようぜ」

 

 

めぐみ「おす!」

 

 

構えるめぐみだが、その時お腹が鳴る。

 

 

めぐみ「なんかキュアハニーの歌聞いたらお腹空いちゃった」

 

 

ひめ「うん、ごはんたべたーい」

 

 

めぐみ「激獣拳はまた今度おしえて」

 

 

ひめ「ひまな時に」

 

 

誠司「ったく、お前たちってやつは...」

 

 

めぐみ「ゆめがおおもり」

 

 

ひめ「てんこもーり」

 

 

リボン「なんとも言えず不思議な歌でしたわねー」

 

 

ひめ「ていうか変!」

 

 

めぐみ「ごはんは愛のー」

 

 

めぐみ・ひめ「エネルギー」

 

 

めぐみ「はぁー!」

 

 

めぐみ・ひめ・リボン「ごはんがおいしいなー」

 

 

ひめ「はぁ~!ごはんが食べたいーなー♪」

 

 

ケン「どんだけ気に入ってんだよ...」

 

 

誠司「それより、なんであの時一緒に歌えたんだよ?」

 

 

めぐみ・ひめ「なんか自然と歌詞が出てきた!」




はい如何だったでしょうか

今回やっとキュアハニーが出ました

そしてエレファントージャが登場しましたね

なんか同じような台詞を書いているような気がします

さて次回ですが原作の10話を元に書いていきます。

そしてここで一つご報告があります。

ハピネスチャージプリキュア激獣拳を極めし者を書いている途中ですが
もう一つ作品書こうと思います。

この作品を上げた後、プロローグを投稿いたします。

作品名は『アクセル・ビルド』です。

アクセル・ワールドと仮面ライダービルドのクロスオーバーになります。

よければそちらもご覧下さい。

では次回でお会いしましょう



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 歌うプリキュア!キュアハニー登場!

どうもナツ・ドラグニルです

なんとお気に入りが50件超えました。

思ったより見ていただいているので嬉しい限りです。

今回は10話を題材にして書いていきます。

また、この間活動報告でリクエストを応募したところプリキュア達のオリジナル武器やオリジナル武器を使った必殺技等アイデアを頂きました。

他にもファントムの武器とそれの必殺技等もありました。

今回は頂いたアイデアのオリジナル武器を出していきます。

また、アイデアを頂いた事によって少しテンションがおかしい時に書いているので
誤字脱字などがありましたら報告いただけると助かります。

では作品をどうぞ


朝、俺達は大使館に集まり、昨日現れたハニーについて話し合っている。

 

 

 

 

だったのだが―。

 

 

 

 

めぐみ「いただきますとごちそうさま♪笑顔が膨らむ合言葉♪幸せご飯で今日もハピネース♪」

 

 

いきなりめぐみがアイドルに衣装チェンジし、ハニーの歌を歌いだした。

 

 

リボン「めぐみのアイドル姿、素敵ですわ~」

 

 

リン「余程、気に入ったのね」

 

 

ひめ「このキュアハニーの歌、あれからずーっとあたしの頭の中をグルグル暴れまわるの」

 

 

誠司「それほど印象が強かったって事だろ」

 

 

ひめ「おかずなしでも、そのままでオッケーです♪」

 

 

いつの間にか、ひめまで歌っている。

 

 

ひめ「はっ!じゃないわよめぐみぃ。キュアハニーが一体何者なのか調べないといけないでしょ」

 

 

ひめは歌ってる事に気づき、めぐみに指摘する。

 

 

めぐみ「あの子が一緒に戦ってくれたら、とっても心強いもんね!」

 

 

ひめ「一体、何者なんだろうね?」

 

 

リボン「私もキュアハニーは担当ではないもので。ブルー様ならご存知かも知れませんけど、生憎海外出張中ですので」

 

 

めぐみ・ひめ「えー!」

 

 

誠司「神様も出張とかするんだな」

 

 

リボン「ブルー様は今、クイーンミラージュの脅威に備えて世界各地の応援に行かれてるんですわ」

 

 

めぐみ「そっかぁ、他のプリキュアに負けないように私達も頑張らないとね!」

 

 

誠司「ああ!...ん?どうしたひめ?」

 

 

その時、ひめが耳を塞いでいるのに気づいた。

 

 

ひめ「やっぱりダメー。キュアハニーの歌が頭から離れないー」

 

 

めぐみ「ハニーの歌は強力だもんね、よし、キュアハニーを探して仲間になってもらおう!」

 

 

ひめ・リボン「え!?」

 

 

誠司「お前、ハニーが誰か分かってるのか?」

 

 

めぐみ「分からないけど、何とかなるでしょ!」

 

 

誠司「お前な...あっ!そういえばお前達に渡すものがあったんだ」

 

 

めぐみ・ひめ・リボン「渡すもの?」

 

 

そう言って、俺は持ってきた荷物から二つの箱を取り出す。

 

 

ひめ「何それ?」

 

 

誠司「これはスクラッチが開発した、お前達専用の武器だ」

 

 

めぐみ「専用武器!?」

 

 

ひめ「私達の!?」

 

 

2人は驚きながらも、目を輝かせていた。

 

 

ラン「箱についてるリボンの色がピンクなのがめぐみちゃんで、水色がひめちゃんよ」

 

 

俺は2人に箱を渡す。

 

 

めぐみ「何が入ってるんだろう?」

 

 

ひめ「楽しみ!」

 

 

2人は箱を開けるとめぐみの箱にはゲキヌンチャクが、ひめの箱にはゲキセイバーが入っていた。

 

 

めぐみ「これって、誠司の武器と同じやつだよね?」

 

 

誠司「そうだ。めぐみのはラブリーヌンチャク、ひめのはプリンセスセイバーだ」

 

 

めぐみ「なんか凄そう!」

 

 

ゴウ「2つとも、プリキュアの力を込めれば技を放つことが出来るんだ」

 

 

めぐみ・ひめ「おおーー!」

 

 

リボン「凄いですわ!」

 

 

誠司「まあ、細かい話は学校が終わってからだな」

 

 

めぐみ「なんで?」

 

 

ひめ「今じゃないの?」

 

 

ケン「そろそろ出ないと遅刻するぞ」

 

 

二人が時計を見ると、いつも出ている時間になっていた。

 

 

めぐみ「やば!」

 

 

ひめ「急がないと!」

 

 

その後、俺達は学校へと向かった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

学校に到着すると、至る所でハニーの歌が歌われており俺達のクラスでも歌われていた。

 

 

ひめ「ちょっとみんな~、その歌どこで聞いたの?」

 

 

石神りん「え?テレビだよ!」

 

 

れい「昨日、キュアハニーがラブリーとプリンセスのピンチを助けたところをやってたじゃない」

 

 

めぐみ「そっか。だから今日は学校の皆がハニーの歌を歌ってたんだ」

 

 

えれな「だってこの歌、超ウケルっしょ?」

 

 

かな「不思議だよね。なんだか元気が出てくる感じがするの」

 

 

ゆうこ「皆の心にキュアハニーの歌が届いたんだね」

 

 

ひめ「うそぉ!こんなヘンチクリンな歌が?」

 

 

ゆうこ「ヘンチクリン...!?」

 

 

誠司「お前な、人が作った歌をあまり悪く言うもんじゃないぞ」

 

 

ラン「そうだよ」

 

 

えれな「そうそう!ひめっちも歌ってごらんよ~。せーの」

 

めぐみ・りん・えれな・かな・れい「はー、ごはんはおいしいな~♪あー、ごはんがおいしいーーなー♪」

 

 

ひめ「うー、ハニーがグルグルー、オーノープリーズストーップ」

 

 

そう言うと、ひめは教室から出ていってしまった。

 

 

誠司「はあ...まったく...」

 

 

めぐみ達は、ひめを追いかけていく。

 

 

ラン「それにしても、本当にキュアハニーの正体って誰なのかしらね?」

 

 

誠司「まあ、大体の正体は分かってるけどな」

 

 

リン「え!?」

 

 

ラン「誠司、ハニーの正体分かったの!?」

 

 

誠司「まあ大体だけどな」

 

 

リン「一体誰なの?」

 

 

俺の言葉に、2人は驚き質問してくる。

 

 

誠司「俺はゆうこだと思う」

 

 

ラン「ゆうこちゃん?」

 

 

誠司「しあわせごはんとか、ゆうこっぽいだろ」

 

 

リン「確かに」

 

 

誠司「だが、なんで正体を黙ってんのかが分からないんだ」

 

 

リン「確かに、めぐみちゃん達が防御の練習してたのを知ってたてことは、正体を知ってるってことよね」

 

 

誠司「取り敢えず、様子を見た方がいいかもな」

 

 

ラン「そうね」

 

 

その後、めぐみ達がひめを連れて戻ってきた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

放課後、俺達はいつもの河川敷を歩き帰路についていた。

 

 

ひめ「ひとみ、練習頑張ってたなぁ」

 

 

めぐみ「今度のコンクール、上手くいってくれるといいよね」

 

 

誠司「何の話してんだ?」

 

 

めぐみ「今日、音楽室でひとちゃんと会って、ひめが意気投合して仲良くなったの!」

 

 

誠司「へー、人見知りのひめが珍しいな」

 

 

ひめ「ハニーの歌がおかしいって事で意気投合したの!」

 

 

誠司「ああ...そうゆう事か」

 

 

めぐみ「それでね!今度大事なコンクールがあって、それに向かって頑張るんだって!」

 

 

ゆうこ「でも、部員のみんなはなんだかあまり元気がなかったよね。大丈夫だといいんだけど」

 

 

ひめ「ドントウォーリー、きっとひとみなら何とかするってばぁ!」

 

 

ひめはゆうこと手をつなぎ、大振りしながら進む。

 

 

めぐみ「オー、イエス。シーキャーン!」

 

 

ゆうこ「うん、そうだよね」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

翌日、俺達はゆうこが持ってきたハニーキャンディを合唱部に差し入れする為、音楽室に向かっている。

 

 

めぐみ「合唱部に特製ハニーキャンディの差し入れだなんて、グッドアイディアだね!」

 

 

ゆうこ「うん。お母さんからハチミツは喉にとってもいいって聞いたから」

 

 

ひめ「どれどれ、まずはこの私が味見を」

 

 

誠司「お前な...ん?」

 

 

その時、前から1人の生徒が俯いて走ってるのに気づいた。

 

 

めぐみ「あれ? ひとちゃん?」

 

 

ひとみ「あ...」

 

 

めぐみ「ひとちゃん、どうしたの?」

 

 

ひとみ「合唱部のみんなから、もっと楽しく合唱がしたいって言われちゃってさ。私の指揮じゃ、ダメみたいなんだ」

 

 

ゆうこ「お互い、何か誤解してるんじゃ」

 

 

ひめ「日本では、音を楽しむから音楽って言うんでしょ? 合唱部のみんなはそれを伝えたかったんじゃない?」

 

 

ひとみ「あ...ぁ...」

 

 

めぐみ「頑張って! ひとちゃんならきっと、みんなと分かり合えるはずだよ!」

 

 

ひとみ「簡単に言わないで!どうせ私の思いなんて誰にも伝わってないのよ」

 

 

めぐみ「ひとちゃん...」

 

 

ケン「どうやら、めんどくさい事になったな」

 

 

ゴウ「みたいだな」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、歩道橋。

 

 

めぐみ「私また余計な事言っちゃったかな~」

 

 

ひめ「私もかも~」

 

 

めぐみ達が先程の件で、落ち込んでいた。

 

 

誠司「そんな事はないだろ、ただタイミングが悪かっただけだと思うし」

 

 

ゆうこ「そうね、2人の気持ちはひとみちゃんに伝わっているよ」

 

 

めぐみ・ひめ「そう!」

 

 

ラン「だったら、ひとみちゃんを探しに行かなきゃね」

 

 

ゴウ「そうだな」

 

 

その時、突然地響きが起きた。

 

 

めぐみ「あ!サイアーク!」

 

 

めぐみは、サイアークが地面を踏みしめてるのを見つける。

 

 

めぐみ「ゆうゆう。ここから早く逃げて」

 

 

ゆうこ「でも...」

 

 

ひめ「私達なら大丈夫だから」

 

 

ゆうこ「分かった、気をつけてね」

 

 

そう言って、ゆうこは逃げていく。

 

 

ゆうこがいなくなるのを確認すると、リボンが出てきた。

 

 

リボン「さあ、皆さん変身ですわ!」

 

 

7人「おう!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみ・ひめ「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

3人「たぎれ!ケモノの力!」

 

 

ゴウ「響け!ケモノの叫び!」

 

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

5人「ビースト・オン!」

 

 

俺達は瞬間的に、変身を完了する。

 

 

 

 

ラブリー「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

2人「ハピネス注入!幸せチャージ!ハピネスチャージプリキュア!」

 

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

ゲキバイオレット「紫激気!俺流!わが意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

 

ゲキチョッパー「才を磨いて己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は正義の証!」

 

 

5人「獣拳戦隊!ゲキレンジャー!」

 

 

 

俺達は、ホッシーワの前に立ちふさがる。

 

 

ラブリー「そこまでよ!」

 

 

ホッシーワ「最後まで歌わせなさいよ、プリキュアとゲキレンジャー!」

 

 

プリンセス「幾らお菓子が好きでも、やって良い事と悪い事があるのよ」

 

 

ホッシーワ「今日はお嬢ちゃん達には用は無いのー。早くキュアハニーを呼んできてちょうだい」

 

 

プリンセス「そりゃ無理ね。私達だってハニーを探してるんだから」

 

 

ホッシーワ「何よソレ。同じプリキュアなのに知らないのー?」

 

 

リボン「あ!?この子がサイアークの被害者ですわ」

 

 

そう言うと、胸部のミラーに捕らわれたひとみが映る。

 

 

ラブリー「ひとちゃん!」

 

 

ホッシーワ「おっほっほっほっ、その子ったら歌の事で悩んでたみたいねー。歌はね、自分1人が気持ちよく歌えれば、それでいいのよ!」

 

 

プリンセス「あんたの歌と一緒にしないで!ひとみはみんなでハーモニーを生み出すために頑張ってたの」

 

 

ラブリー「ひとちゃんの思いは、とっても素敵なものなんだから!」

 

 

ホッシーワ「あーら、どうやらあなた達、本当の歌ってモノをご存知ないようね。私が聞かせてあげるわ!」

 

 

言葉の後、ホッシーワはマイクを持ち歌いだす。

 

 

ホッシーワ「チョコケーキと~」

 

 

ホッシーワの歌と共に、悪音波がサイアークから放たれる。

 

 

リボン「うるさいですわー!」

 

 

プリンセス「もう、なんて歌聞かせてくれんのよ~!」

 

 

ラブリー「これじゃ、全然近づけないよ~!」

 

 

ゲキイエロー「なんて攻撃なの!」

 

 

ゲキバイオレット「まるでジャイ○ンだな」

 

 

俺達が、ホッシーワの歌で動けなくなっていたその時。

 

 

ガアッーーーー!

 

 

ホッシーワ「きゃー!」

 

 

ケモノの雄叫びと共に、何かがホッシーワを攻撃した。

 

 

ゲキレッド「あれは!」

 

 

そこにいたのは、鎧を纏った理央だった。

 

 

リオ「貴様か、先程から雑音を撒き散らしている奴は」

 

 

5人「理央!」

 

 

ホッシーワ「だれが雑音を撒き散らしてるのよ!あれは立派な歌よ!」

 

 

理央「ふん!あれのどこが歌だ!俺の眠りを妨げた事を後悔するんだな!」

 

 

ゲキレッド「あ~あ...よりにもよって理央の眠りを妨げるとは」

 

 

ゲキチョッパー「一番寝起きが悪いからなあいつ」

 

 

『ポカポカのごはんがーいつもーあるー』

 

 

その時、ホッシーワとは別の歌が聞こえてきた。

 

 

『夢が大盛りてんこも~り みんな一緒にたらふく食べれば元気いっぱい』

 

 

振り向くと、ハニーが歌いながらこっちに歩いてきていた。

 

 

ホッシーワ「お嬢ちゃんがキュアハニー?うーん、お子ちゃまの歌声ね。私の魂を揺さぶる歌声には遠く及ばないわ」

 

 

ハニー『はー、ごはんはおいしいな~♪』

 

 

ホッシーワ「ちょっとあんた達ぃ!」

 

 

ホッシーワの方を見ると、ハニーの歌でサイアークたちがメロメロになっていた。

 

 

ハニー「2人共、大丈夫?」

 

 

ラブリー「また助けに来てくれたんだね」

 

 

ゲキレッド「助かったぜ」

 

 

ハニー「ここは、私に任せて」

 

 

ホッシーワ「生意気!さぁ、歌で決着つけてやるわ」

 

 

『チョコケーキとショートケーキ』

 

 

『笑顔が膨らむ合言葉』

 

 

歌いだすと2人の歌が激突する。

 

 

『お菓子がごはんで今日もホッシーワ♪』

 

 

『たまごかけたごはんたべたーいー♪』

 

 

『マカロン、メレンゲ、フロマージュ格別ー♪』

 

 

『おかずなしでもそのままでオッケーです♪』

 

 

『なんでもほしい 私は欲深きー 貴婦人ですー♪』

 

 

『夢が大盛りてんこもり みんな一緒にたらふく食べれば元気いっぱい♪』

 

 

 

ホッシーワの悪音波と、ハニーの癒しの音波がさらに激突する。

 

 

『お菓子だけがー、心の癒し!』

 

 

『あーごはんはおいしいなー♪』

 

 

『あー、ごはんはおいしいなー、あ...』

 

 

影響を受けたのか、ハニーと一緒に歌ってしまった。

 

 

ラブリー「あ、ハニーの歌がホッシーワの歌を押し切った!」

 

 

ホッシーワ「う、うそでしょ?私がこんな小娘の歌に魅了されたって言うの?」

 

ハニー「あなたに教えてあげるわ!歌は心なのよ!」

 

 

ゲキレッド「確かにな」

 

 

ホッシーワ「歌姫は私1人で十分よ。♪ミサイルー!」

 

 

ホッシーワはマイクでサイアークに命令する。

 

 

サイアーク「さいあー!」

 

 

サイアークは音符と、紫の光線と共に発射する。

 

 

ラブリー・プリンセス「あっ!?」

 

 

ハニー「ハニーバトン!ハニーテレポート」

 

 

バトンを上に上げ分身状態で左側へスライドし、姿まで消す。

 

 

ラブリー・プリンセス「あ!」

 

 

ハニー「じゃじゃーん」

 

 

ハニーはその後、突然サイアークの前に現れる。

 

 

ホッシーワ「じゃじゃーん!?」

 

 

ハニー「いきますよー、バトンチェーンジ!リボンモード!」

 

 

ハニーはバトンの先を、ハートから星に変える。

 

 

ホッシーワ「うぇ!?」

 

 

ハニー「ハニーリボンスパイラル!」

 

 

ハニーはサイアークを、光のリボンで絡め取る。

 

 

ハニー「ハニースロー!」

 

 

リボンで絡め取ったサイアークを、そのまま投げ飛ばす。

 

 

ハニー「マラカスモード!」

 

 

ハニーは持っていたバトンを分離させる。

 

 

ハニー「ハニーヒーリングリズム!」

 

 

技が発動後、俺達に音符のリングが囲み上昇する。

 

 

プリンセス「体が元気になってきた」

 

 

ゲキレッド「ああ、力がみなぎるぜ!」

 

 

ラブリー「すっごいね、キュアハニーって何でも屋さんみたい」

 

 

ハニー「さぁ、後はお願いね」

 

 

ラブリー・プリンセス「うん!」

 

 

5人「おう」

 

 

ホッシーワ「クッソー!チョイアーク!やっちゃって!」

 

 

プリンセス「私に任せて!」

 

 

襲い掛かってくるチョイアークに、プリンセスが突っ込む。

 

 

プリンセス「行くわよ!プリンセスセイバー!」

 

 

プリンセスは専用武器、プリンセスセイバーを召喚する。

 

 

プリンセス「プリキュア!姫乱舞(きらんぶ)!」

 

 

プリンセスはプリンセスセイバーに水色のエネルギーを纏い、チョイアークに斬撃を放つ。

 

 

ゲキチョッパー「おおー!すげー!」

 

 

ホッシーワ「何よあれ!?サイアーク早く立ちなさい!」

 

 

ラブリー「次は私が!ラブリーヌンチャク!」

 

 

ラブリーはサイアークに突っ込む。

 

 

ラブリー「はぁぁぁ!プリキュア!愛乱撃(あいらんげき)!」

 

 

ラブリーはラブリーヌンチャクにピンクのエネルギーを纏い、サイアークに連続攻撃する。

 

 

サイアーク「さいあ~!」

 

 

サイアークはラブリーの必殺技を食らい吹っ飛ぶ。

 

 

ゲキレッド「あいつらもう使いこなしてんのかよ」

 

 

ゲキイエロー「凄いわね」

 

 

サイアーク「さいあ...サイアーク!」

 

 

雄叫びと共に、サイアークは巨大化する。

 

 

その時、一台の軽自動車が俺達の近くで止まった。

 

 

増子「どうやらプリキュア達がサイアークを倒し、巨大化したところです!」

 

 

ゲキバイオレット「相変わらず早い到着だな」

 

 

軽自動車から出てきたのは、増子美代だった。

 

 

ゲキレッド「さてと次は俺達の番だ」

 

 

ゲキバイオレット「ああ!」

 

 

ゲキイエロー「そうね!」

 

 

理央「まてゲキレンジャー、今回はアレやるぞ」

 

 

ゲキブルー「アレってもしかしてアレの事!?」

 

 

ゲキレッド「おっ!久しぶりにやるか!」

 

 

増子「おおっと!アレとは一体なんの事でしょうか」

 

 

ゲキイエロー「よし、行くわよ!」

 

 

4人「呉越同舟!獣拳合体!」

 

 

ゲキタイガー達を召喚しゲキリントージャに合体させる。

 

 

4人「ゲキリントージャ!バーニングアップ!」

 

 

増子「ご覧下さい!ゲキトージャに新たな武装が施されました」

 

 

4人「はあ!」

 

 

増子「サイアークに向かい上段から、剣が振り下ろされた!」

 

 

理央「リンギ!獅子吼!」

 

 

増子「なんと今度は胸の装甲となっているライオンの顔からエネルギー弾が発射されました!」

 

 

ゲキレッド「止めだ!」

 

 

4人「ゲキリントージャ奥義!激激臨臨斬!」

 

 

すれ違いざまに激臨剣での連続斬りを放ちサイアークを消滅させる。

 

 

4人「ゲキリントージャ!WIN」

 

 

増子「決まったー!ゲキレンジャーの勝利です!」

 

 

ホッシーワ「ぬー!私負けてなんかいないー!ふん!」

 

 

ホッシーワは怒って、そっぽを向き逃げた。

 

 

ラブリー「ハニー、あなたは一体誰なの?」

 

 

ハニー「ラブリー、プリンセス。あなた達にはいずれ会うことになるわ、もちろんゲキレンジャーの皆様ともね」

 

 

謎の答えを残しハニーは去って行った。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

場所は変わり、捕らわれていたひとみを介抱していた。

 

 

めぐみ「ひとちゃん」

 

 

ひとみはめぐみに呼ばれ、目を覚ます。

 

 

ひとみ「あれ?あたし...」

 

 

めぐみ「みんなでひとちゃんを探してたんだ」

 

 

その時、俺達の所に合唱部のメンバーが近づいてきた。

 

 

ひとみ「みんな、ごめんね。私、やっぱり合唱がしたい。今度こそ、みんなが自然と笑顔になれる、そんな楽しい音楽をめざすよ!」

 

 

ひとみは合唱部の皆に、自分の意気込みを告げる。

 

 

ひとみ『夢が大盛りてんこ盛ーり♪』

 

 

ひとみはハニーの歌を歌う。

 

 

合唱部の皆『みんな一緒にたらふく食べれば元気いーっぱいごはんが愛のエネルギー あぁ~ごはんはおいしいなー あぁ~ごはんはおいしいーなー♪』

 

 

ひとみと一緒に、合唱部の皆も歌いだす。

 

 

リボン「素敵なハーモニーに幸せが高まりますわ...はっ!これはキュートなベルのパワーを感じますわ~!」

 

 

リボンの鼻をくすぐると、山ガールのプリカードが出てきた。

 

 

ゆうこ「めぐみちゃん」

 

 

その時、いきなりゆうこが現れ、二人が驚く。

 

 

ゆうこ「ひめちゃんも、誠司君達も大丈夫だった?ケガとかしなかった?」

 

 

ひめ「サイアークは、プリキュアとゲキレンジャーが現れて、パーッとやっつけてくれたよ。今は合唱部のみんなの歌が、とーっても素敵だって話をしてたのこうやって聞いたら、ハニーの歌もいいかもしれないねって」

 

 

ゆうこ「ひめちゃん、私嬉しい!」

 

 

ゆうこは嬉しそうにし、ひめに抱きつく。

 

 

ひめ「ちょ、ちょっとなんでゆうこがそんなに喜ぶのよ~」

 

 

ゆうこ「だって、やーっと私の作った歌をほめてくれたんだもん」

 

 

めぐみ「え、歌?ゆうゆうがハニーの歌を作った・・・あっ!?」

 

 

ゴウ「え!?」

 

 

ケン「嘘だろ!?」

 

 

リボン「まさか!」

 

 

ひめ「そんなことってぇ、ありなの!?」

 

 

ゆうこ「大有りです」

 

 

誠司「やっぱりな」

 

 

ゆうこ「そうです、私がキュアハニーなのです!」

 

 

そう言ってゆうこは、ハニーのポーズを取る。

 

 

めぐみ・ひめ・リボン「え...えぇぇぇぇ!!」

 

 

剛「マジかよ...」

 

 

めぐみ「ゆうゆうが」

 

 

ひめ「キュアハニー!」

 

 

リボン「全然気付きませんでしたわー!」

 

 

誠司「いや、普通に気づくだろ」




はい!如何だってだしょうか

今回、さっそく頂いたアイデアを書かせていただきました!

g-3x様ありがとうございます。

次回は11話を元に書かせていただきます。

ハニーのオリジナル武器は次回出てきます。

次の投稿ですがもう1つの作品、アクセル・ビルドを投稿してからになりますので
少しあいてしまいます。

ぜひ、お気に入り登録をお願いします。

また、感想及びメッセージをお待ちしております。

では次回、11話もしくはアクセル・ビルド2話でお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 謎のメッセージ キュアハニーの秘密!

どうもナツ・ドラグニルです。

長らくお待たせしました

リアルが忙しくてなかなか書けませんでした。

今回は11話を元に書いていきます。

頂いたアイデアのハニーのオリジナル武器が登場します。

それでは作品をどうぞ


ゆうこが自分の正体をバラし、現在リボンと挨拶をしている。

 

 

ゆうこ「前から姿は見かけてました」

 

 

リボン「私は、リボンと申します」

 

 

ゆうこ「私は大森ゆうこ、キュアハニーをやってます」

 

 

挨拶の後、我慢できなかったのかリボンを跳ね飛ばし、めぐみはゆうこに抱きつく。

 

 

めぐみ「キュアハニーがゆうゆうだったなんてー!」

 

 

めぐみはそのまま、ゆうこをぐるぐる回す。

 

 

誠司「嬉しいのは分かったからそれぐらいにしてやれ、目を回すぞ」

 

 

めぐみ「え?あっ!ごめん!ゆうゆう!」

 

 

俺が止めさせるとゆうこは案の定、目を回していた。

 

 

ひめ「ゆうこがキュアハニー!?どうしてキュアハニーなの!?」

 

 

ひめが頭を抱えながら、ゆうこに質問した。

 

 

ゆうこはアメを出す。

 

 

ゆうこ「あたし、食べ物は何でも好きだけど中でもハチミツが大好きなの。だからキュアハニーって名前にしたのよ」

 

 

めぐみ「なるほどー」

 

 

誠司「いや、ひめが聞きたいのは名前の由来じゃなくて...」

 

 

ひめ「いつからハニーだったの!?なんで今まで黙ってたの!?」

 

 

俺がゆうこに指摘すると、被せて言ってきた。

 

 

ゆうこ「それはぁ」

 

 

ゆうこが説明しようとしたがいきなり脱力し、座り込んでしまった。

 

 

めぐみ「ゆうゆう!」

 

 

誠司「どうした!?」

 

 

ひめ「大丈夫!?」

 

 

座り込んでしまったゆうこを、俺が支える。

 

 

ゆうこ「お腹が空きすぎて...めまい...が」

 

 

ゴウ・ケン「はい?」

 

 

誠司「お腹空いたってお前」

 

 

ラン・リン「ははは...」

 

 

いきなり倒れたゆうこだったが理由を聞き、ゴウ達は呆然とし、ラン達は苦笑する。

 

 

誠司「取り敢えずここで話すのもなんだから、大使館に移動するぞ」

 

 

そう言って、俺はゆうこをお姫様抱っこをする。

 

 

ゆうこ「へ?ちょっ!誠司君!?なにしてるの!?」

 

 

誠司「しょうがないだろ、お前動けないんだから誰かが運んでいかないといけないだろ」

 

 

ゆうこ「じゃあ、お願いします///」

 

 

俺はそのまま大使館へ向かった。

 

 

余談だがこの時、めぐみ達は誠司の事をジト目で見ており、ゴウ達は呆れていた。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

ゆうこ「うーん、おいしい」

 

 

大使館に到着し、リボンにホットケーキを作ってもらいみんなで食べていた。

 

 

ゴウ「悪いな、俺たちまでご馳走になって...」

 

 

リボン「いえ、手間は同じですから大丈夫ですわ」

 

 

ゆうこ「このフワッフワの生地、メレンゲを入れたでしょ~?」

 

 

リボン「えぇ、手間はかかりますけど!」

 

 

ゆうこ「手間をかけるほど、美味しいオヤツが食べられるのよね」

 

 

リボン「ええ!」

 

 

ゆうこ「そうだ!」

 

 

ゆうこはカバンから蜂蜜の瓶を取り出し、パンケーキにかける。

 

 

ゆうこ「このパンケーキなら、アカシヤのハチミツをかけるともっと美味しく食べられるわ」

 

 

ひめ「うーん、ハチミツがパンケーキに更なる甘さとコクを・・・って!じゃなくて!ゆうこ!」

 

 

ゆうこ「ダメよ。パンケーキは焼きたてのうちに食べないと」

 

 

ひめはゆうこに事情を聞こうとするが、注意されてしまった。

 

 

めぐみ「ゆうゆうは食べものを美味しく食べることにすごく拘ってるからね!」

 

 

誠司「ちゃんと話したいなら、食後にするんだな」

 

 

めぐみに続いて俺も指摘するが、ひめは不満そうに唸っていた。

 

 

その時、近くにあった鏡が光だし、ブルーが帰ってきた。

 

 

ブルー「ただいま。みんな、いらっしゃい」

 

 

誠司「よう」

 

 

ケン「邪魔してるぜー」

 

 

ゆうこ「こんにちは、神様」

 

 

ブルー「みんなゆっくりしていってね、ゆうこ頼まれてた本場インドのカレー粉、色々買ってきたよ」

 

 

ゆうこ「うわぁ!ありがとう!」

 

 

ブルー「これで何を作るんだい?」

 

 

ゆうこ「カレーパンよ」

 

 

ひめ「ちょっと待てーい!2人共知り合いなの!?ゆうこがキュアハニーだって知ってたの!?」

 

 

2人のやり取りをみて、ひめが突っ込みを入れる。

 

 

ブルー「勿論。ゆうこをプリキュアにしたのは僕だからね」

 

 

ブルーはニッコリと笑って答える。

 

 

ブルー「僕は時々世界各地へ赴き、愛の結晶を飛ばしている。愛の結晶は強い愛の心を持ったものが手にした時、光り輝く。そして、プリキュアが誕生するんだ」

 

 

めぐみ・誠司「へぇー」

 

 

ブルー「ゆうこもその1人だよ。めぐみの少し前からプリキュアになって、サイアークを戦ってる」

 

 

ひめ「そんな前から!?じゃあなんで今まで黙ってたの!?」

 

 

ゆうこ「みんながピンチの時に登場した方がおいしいかな~と思って」

 

 

めぐみ「あ~!」

 

 

誠司「登場にまでおいしさを追求するのか」

 

 

ゆうこの言葉にめぐみは感心していたが、俺は呆れていた。

 

 

ゆうこ「それだけじゃ、無いけどね。ごちそうさまでした。店の手伝いがあるから私はこれで、お邪魔しました」

 

 

ひめ「ちょ、ちょっとまだ話は終わってないわ!」

 

 

ゆうこ「明日の日曜日、朝6時にぴかりが丘駅に集合ね。キュアハニーの秘密、教えてあ・げ・る。誠司君達もぜひ来てね!」

 

 

ゆうこはウインクしながら、ドアを閉め出て行ってしまった。

 

 

ひめ「うー...」

 

 

ゆうこの言葉に、ひめはキョトンとしていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

翌日、俺達は日課の修行を行っていた。

 

 

誠司「ふっ!はっ!」

 

 

ゴウ「はっ!おら!」

 

 

俺は剛と組み手をし、他の者は各々別の修行をしていた。

 

 

ゴウ「それにしてもハニーの秘密ってなんだろう、な!」

 

 

誠司「分からないけど何かあるのは確かだろう、な!」

 

 

ケン「ふう、それにしても朝6時って早すぎないか?ひめちゃんとか起きれないだろ」

 

 

誠司「ひめはリボンとブルーがいるから大丈夫だけど問題はめぐみだな」

 

 

ラン「めぐみちゃん朝弱いからね」

 

 

誠司「まあ最近は俺の布団に潜り込んで来てるから、部屋にいく必要なくなったけど」

 

 

ゴウ「お前も大変だな」

 

 

誠司「お前の妹だろうが!何とも思わないのか!」

 

 

剛「誠司だったら問題ないと思ってるからな、なんだったら俺の事を義兄さんと呼ぶか?」

 

 

誠司「呼ぶか!てかいつも思うけどランとリンは何処から入って来てるんだよ」

 

 

リン「何処ってベランダからだけど」

 

 

誠司「部屋が隣のめぐみなら兎も角、お前らどうやってベランダから入るんだよ!」

 

 

ラン「そんなの簡単よ、只マンションをよじ登っただけよ」

 

 

誠司「まさかの不法侵入!?空き巣かお前らは!」

 

 

リン「失礼ね、バレなきゃ問題ないのよ」

 

 

誠司「それ以前の問題だろうが!」

 

 

2人の回答に、思わず突っ込みを入れてしまった。

 

 

ケン「一緒に寝るためにそこまでするか普通」ボソッ

 

 

ゴウ「我が妹ながら恐ろしいな」ボソッ

 

 

ゴウとケンがラン達に聞こえないようにこそこそ話していた。

 

 

ラン「それより、そろそろ切り上げないと約束の時間に間に合わないわよ」

 

 

誠司「あっ!やべ!急いで帰らないと!」

 

 

俺達は急いで片付け帰路に着くがこの時、俺達が誰かに監視されてることは知るよしもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

?「あいつらが獣拳の使い手ね」

 

 

そこにいたのは白い髪をポニーテールで纏め、青色の服と白いスカートを着て白いマフラーをしている1人の女性。

 

 

その姿は、スタイルも良く誰が見ても見惚れるものだった。

 

 

 

?「人間のせいで動物達が減っているのに、何故人が獣の力を使うのか意味が分からない、まあいいわ少しは余興として楽しませてもらうわ。ふふふ」

 

 

 

言葉の後、女性はその場から立ち去ってしまった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

俺達は修行を切り上げた後、めぐみを叩き起こして約束の時間にぴかりが丘駅に到着したが、肝心のゆうこがおらずしばらく待っているとキュアラインにゆうこから通信が入る。

 

 

ゆうこ『駅に着いたら、ぴかり山行きのバスに乗って山の麓まで来てね』

 

 

よく分からなかったが、俺達はゆうこに言われた通りにして、指定されたぴかり山の麓に到着した。

 

 

『かわルンルン!』

 

到着するなり、めぐみが山ガールにコスチュームチェンジする。

 

 

めぐみ「やっほー!」

 

 

誠司「めぐみ!遊んでないで先に進むぞ!」

 

 

めぐみ「はーい」

 

俺はめぐみに注意し、ゆうこの祖父母の家に向かった。

 

 

 

めぐみ「え!誠司はキュアハニーの正体に気付いてたの!?」

 

 

家に向かう途中、俺達はハニーについて話していた。

 

 

誠司「なんとなくな。ラン達にも言ったがごはんは美味しいな~って歌詞とか、すごくゆうこっぽいだろ?」

 

 

めぐみ「そう言われれば...。あたし、全然気付かなかった!」

 

 

誠司「でも、本人が何も言わないから、確信が持てなかったんだ。あいつ、どうして正体を隠してたんだろうな」

 

 

ケン「恥ずかしかっただけじゃねぇの?」

 

 

ラン・リン「まっさかー」

 

 

ひめ「私達の事、陰で笑ってたのかも」

 

 

めぐみ「えー、そんなことないよー」

 

 

ひめ「ニコニコ笑いながら、心の中で・・・クークックックックッ。キュアハニーは私だ!って、嘲笑ってたんだわ」

 

 

ひめはトーンを低めにそう言ったが、前を見ずに歩いていたため俺とめぐみは肩を掴んで止める。

 

 

俺達の目の前にあったのは、沢山の棚田だった。

 

 

めぐみ「おー! 田んぼがいっぱいだ! 段々田んぼだ!」

 

 

誠司「棚田って言うんだ」

 

 

めぐみ「あ!あそこに人がいるよ!」

 

 

めぐみが指を指した所には、笠を被って作業している人がいた。

 

 

めぐみ「すみませーん、この辺りに大森さんってお家ありませんか~?」

 

 

めぐみが呼び掛けられ、作業していた人は俺達に振り返る。

 

 

ゆうこ「いらっしゃーい」

 

 

めぐみ「あ...ゆうゆう!?」

 

 

作業していた人は、なんとゆうこだった。

 

 

俺達は、作業していたゆうこに話しかける。

 

 

誠司「こんな所で何してんだよ?」

 

 

ゆうこ「ここは、私のおじいちゃんとおばあちゃんの田んぼで、おおもりご飯で出すおコメはここで作っているの。だから毎年田植えのお手伝いに来てるんだ」

 

 

ケン「なるほどな」

 

 

ひめ「それより、早くキュアハニーの秘密ってのを...」

 

 

めぐみ「ハイハーイ。私達も手伝う」

 

 

誠司「そうだな」

 

 

ラン「皆でやったほうが直ぐに終わると思うし」

 

 

ひめ「え...」

 

 

ゆうこ「そう言ってくれると思った」

 

 

ひめ「ちょ!」

 

 

リボン「ひめ、頑張ってくださいな」

 

 

ひめ「ちょっと!私は手伝うなんて一言も」

 

 

祖父「おー、若い人達がこんなにも手伝いに来てくれるなんて、ありがたいねー」

 

 

祖母「よろしくお願いしますねー」

 

 

ひめ「ぁ...は...はい...」

 

 

ひめは断ろうとしていたが、ゆうこの祖父と祖母の言葉に押され断れなくなってしまった。

 

 

 

 

 

その後、俺達は着替え各々田植えをする。

 

 

めぐみ「みんなで田植え楽しいな~」

 

 

ラン「めぐみちゃん楽しそうね歌まで歌って」

 

 

誠司「そうだな」

 

 

ひめ「きゃー!」

 

 

俺達が話しながら田植えをしていると、ひめの悲鳴が聞こえひめの方へ視線を向けると、ひめは後ろに転んでいた。

 

 

めぐみ「ひめー」

 

 

誠司「大丈夫かー?」

 

 

心配してひめの方を見ると、ゆうこが駆けつけてるのに気づいた。

 

 

誠司「ゆうこがいるから大丈夫そうだな」

 

 

ラン「そうね」

 

 

ラン達と話していたその時、あたり一面がカビだらけになっていく。

 

 

誠司「これは!」

 

 

ゴウ「まさか!」

 

 

異変に気付き辺りを見回すと、チョイアーク達が田んぼで遊んでいた。

 

 

ひめ「あー折角植えた苗が~!」

 

 

ナマケルダ「頑張りは全て水の泡。いい気味ですぞ」

 

 

ケン「なんだとこのやろー!」

 

 

めぐみ「人の頑張りをメチャクチャにするなんて、酷い!ひめ!皆!行くよ!」

 

 

ひめ「うん!」

 

 

5人「おう!」

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみ・ひめ「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

3人「たぎれ!ケモノの力!」

 

 

ゴウ「響け!ケモノの叫び!」

 

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

5人「ビースト!オン!」

 

 

俺達は変身し、サイアークに立ち向かう。

 

 

ゲキレッド「行くぞ!」

 

 

6人「おう!」

 

 

チョイアークが向かってきたので迎え撃とうとした時、一瞬足を取られたが普段の修行のお陰で俺達には何の障害にもならなかった。

 

 

プリンセス「動きにくいー!」

 

 

プリンセス達の方を見ると案の定、足を取られて満足に戦えないでいた。

 

 

ゲキレッド「何やってんだお前ら!」

 

 

ラブリー「だって、足元が悪いから動きにくくて」

 

 

プリンセス「もう最悪!」

 

 

ゲキレッド「お前ら飛べるんだから、空から狙えば良いだろうが!」

 

 

ラブリー・プリンセス「そっか!」

 

 

俺がラブリー達に指摘すると、羽を出して空からチョイアーク達に攻撃する。

 

 

ラブリー「さすが誠司!」

 

 

プリンセス「空を飛ぶなんて全然思いつかなかった!」

 

 

ゲキレッド「普通は思いつくだろ...」

 

 

俺はラブリー達の言葉に呆れる。

 

 

ナマケルダ「やはりプリキュアだけならともかく、ゲキレンジャーがいると勝負がつきませんぞ」

 

 

ゆうこ「勝負なんて...やめようよ」

 

 

ナマケルダ「ん?何の御用ですかな?」

 

 

ゆうこ「飴はいかが?一緒に美味しいものを食べれば、争いなんて...」

 

 

ナマケルダ「結構。なぜなら、私はカビが大好き。美味しい食べ物など大っ嫌い。ごはんで人間達が喜ぶならば、田んぼごと破壊するのが、私の喜びなのですぞ!」

 

 

ナマケルダが腕を振るうと暴風が発生し、ゆうこの帽子と持っていたキャンディが飛ばされてしまう。

 

 

ゲキレッド・プリンセス「ゆうこ!」

 

 

飛ばされてしまったキャンディをゆうこはすぐさま飛びついてはキャッチした。

 

 

ナマケルダ「そんな飴玉1つに何を必死に」

 

 

ゆうこ「私は平和とご飯が大好き。争いは嫌いよ」

 

 

ゆうこはナマケルダに背を向けながら、立ち上がる。

 

 

ゆうこ「でも、食べ物を粗末にしたり、踏みつけたり、何より私のお友達を傷つける人を、見過ごせないわ!」

 

 

言葉の後、ゆうこはプリチュンミラーを構える。

 

 

『かわルンルン!』

 

 

ゆうこ「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

 

ゆうこが光に包まれ、キュアハニーへと変身する。

 

 

ハニー「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

 

リボン「素晴らしいですわー!紛れもなくゆうこがキュアハニーですわ!」

 

 

ナマケルダ「あなたが噂のキュアハニー。お手並み拝見、チョイアーク!」

 

 

ナマケルダに命令され、チョイアークがハニーに突撃する。

 

 

するとハニーが『幸せごはん』の歌を歌いだし次々とチョイアークが浄化されていく。

 

 

リボン「はぁ、今日も癒されますわ~」

 

 

チョイアークを浄化していたハニーだったが、目の前にサイアークが飛び降りてきて強烈な衝撃で舞い上がる。

 

 

砂塵に飲み込まれハニーは怯んでしまい、サイアークはハニーを掴み取って持ち上げる。

 

 

プリンセス「そんな!なんでハニーの歌が効かないの?」

 

 

ナマケルダ「私も、私が生み出したこのサイアークも、歌などに癒されませんぞ~。何故なら!私はめんどくさがり屋!歌を聞くのも、めんどくさいのですぞ!」

 

 

ゲキチョッパー「何処までめんどくさがりなんだよ」

 

 

ナマケルダのドヤ顔発言に、俺達は呆れる。

 

 

ナマケルダ「歌が通じない我々に、あなたが勝つ術はありませんぞぉ」

 

 

ハニー「それでも私は戦うわ。美味しいご飯を守る為に!」

 

 

プリンセス「ハニー...」

 

 

サイアークに締め上げられ、ハニーは苦しんでいた。

 

 

ナマケルダ「君1人で何ができると言うのだね」

 

 

ゲキレッド「悪いが一人じゃないぜ!」

 

 

ガァァァァァ!

 

 

俺はハニーを助ける為、砲砲弾でサイアークを攻撃する。

 

 

サイアークが怯んだ所を、ラブリー達がハニーを救出する。

 

 

ラブリー「キュアハニーには、あたし達がついてるからね!」

 

 

ハニー「ラブリー...」

 

 

ゲキレッド「勿論、俺達もいるぜ!」

 

 

ハニー「誠司君...皆...」

 

 

プリンセス「コッホン!」

 

 

プリンセスの咳払いに、俺達は振り向く。

 

 

プリンセス「私、あなたが何考えてるのか全然わかんない」

 

 

プリンセスはジト目で口を尖らせ話している。

 

 

プリンセス「でも私は、私は...私は友達だと思ってるんだからぁ!」

 

 

プリンセスはハニーに指を指し宣言する。

 

 

ハニー「怒ってないの?」

 

 

プリンセス「怒ってるわよ。決まってるでしょう?」

 

 

ラブリー「プリンセスはハニーの事が大好きだから怒ってるんだよね」

 

 

プリンセス「サイアークやっつけて田植えが終わったら、ちゃーんと話してもらうからね」

 

 

ハニー「うん、分かったわ!」

 

 

ハニーはサイアークを見る。

 

 

ラブリー「ってなわけで、今日から3人になったんで、せーの」

 

 

ラブリー「ハピネス注入!」

 

 

プリンセス・ハニー「幸せチャージ!」

 

 

3人「ハピネスチャージプリキュア!」

 

 

ラブリー「よろしくぅ!」

 

 

ナマケルダ「チョイアーク、サイアーク。全員まとめて片付けたまえ~!」

 

 

ナマケルダが命令すると、サイアークと何処から沸いてきた大量のチョイアークが襲ってきた。

 

 

リボン「ハニー、フォームチェンジですわー」

 

 

リボンがハニーにプリカードを投げる。

 

 

『かわルンルン!』

 

 

ハニー「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!ポップコーンチア!」

 

 

ハニーはプリチュンミラーにカードをセットし、ポップコーンチアにフォームチェンジする。

 

 

ハニー「プリキュア!リボンハートエクスプロージョン!」

 

 

リボンをくるくる回したり、動かしたりしながらジャンプした後、ハートを描いていく。

 

 

ハニー「ビクトリー!」

 

 

ハニーは足を上げてまたジャンプする。

 

 

チョイアーク達は応援団のごとく応援ポーズで蟹股になったチョイアークがYの字になり、

ハートの炸裂と共にチョイアーク達は吹き飛ばされる。

 

 

ハニーに向かって走ってくるサイアークは、ラブリーのパンチングパンチとプリンセスのプリンセスボールで空中に打ち上げられる。

 

 

ゲキレッド「ハニー!受け取れ!」

 

 

俺はハニーにスクラッチが開発したハニー専用の武器、『ハニートンファー』を投げ渡した。

 

 

ゲキレッド「そいつの使い方は...」

 

 

ハニー「大丈夫!誠司君達の見てたから!」

 

 

ハニーはハニートンファーをキャッチし、打ち上げられたサイアークを追ってジャンプする。

 

 

ハニー「平和は大事。だって、平和でないと、ゆっくりごはんを味わえないもの」

 

 

ハニー「ハニートンファー!バトンモード!」

 

 

ハニーはハニートンファーを変形させ、バトンモードにする。

 

 

ハニー「行くわよ!プリキュア!甘撲舞(あぼくらん)!」

 

 

トンファーに黄色のエネルギーを纏い、サイアークを攻撃する。

 

 

ハニー「いぇい!」

 

 

二つのバトンを回転させ、上に突き上げる。

 

 

ハニー「命よ!天に還れ!」

 

 

ハニーの必殺技を受け、サイアークは吹き飛ばされる。

 

 

ラブリー「やったね!ハニー!」

 

 

俺達はハニーに駆け寄る。

 

 

ナマケルダ「まだですぞ!サイアーク!本番はここからですぞ!」

 

 

サイアーク「サイアーク!」

 

 

ナマケルダの掛け声で、サイアークは巨大化する。

 

 

ゲキレッド「今度は俺達の番だ!」

 

 

ゲキブルー「ええ!」

 

 

ゲキイエロー「そうね」

 

 

ゲキレッド「行くぞ!」

 

 

3人「ゲキワザ!獣拳合体!」

 

 

ゲキタイガー達を召喚し、ゲキトージャへと合体させる。

 

 

3人「ゲキトージャ!バーニングアップ!」

 

 

増子「さあゲキトージャ対巨大サイアークの戦いが始まりました!そして今回実況を勤めますのは、毎度お馴染みこの私!増子美代!ゲストとしてゲキレンジャーの2人とハピネスチャージプリキュアの三人でお送りします!」

 

 

ゲキチョッパー「また、いつのまにか現れてるし...」

 

 

ゲキレッド「棚田を荒らす訳には行かないから、空中戦で行くぞ!」

 

 

ゲキイエロー・ゲキブルー「おう!」

 

 

3人「ゲキワザ!来来獣!ゲキバット!」

 

 

俺達はゲキバットを召喚する。

 

 

増子「おおーと!また見たことが無い動物が現れました!見たところ大きなコウモリのようです!いったいあれは何なんですか?ゲキチョッパーさん!」

 

 

ゲキチョッパー「あれはゲキビーストと言って、俺達の内なるケモノを召喚したものだぜ!ちなみにあれはゲキブルーが宿しているゲキビーストの1体、『ゲキバット』だ!」

 

 

ゲキバイオレット「何のりのりで実況に参加してんだよ...」

 

 

ハニー「ははは...」

 

 

増子美代の実況に、のりのりで参加してるケンに剛は呆れていた。

 

 

3人「獣拳武装!」

 

 

ゲキバットがゲキトージャに合体し、ゲキバットージャが完成する。

 

 

3人「ゲキバットージャ!バーニングアップ!」

 

 

増子「先程のゲキバットがゲキトージャに合体しゲキバットージャとなりました!」

 

 

ゲキチョッパー「ゲキバットージャは空を飛ぶ事が出来、翼は鉄扇としても使えるんだ!」

 

 

ラブリー「おお~!」

 

 

プリンセス「すごーい!」

 

 

3人「はあ!」

 

 

ゲキバットージャは空へと舞い上がり、サイアークに突撃する。

 

 

3人「はあ!」

 

 

増子「ゲキバットージャがすれ違い様に翼の鉄扇でサイアークを攻撃!」

 

 

3人「はあ!」

 

 

増子「おおーっと今度はサイアークを掴み上空へと持ち上げていく!」

 

 

ゲキレッド「止めだ!」

 

 

3人「ゲキワザ!大分分扇(だいぶんぶんせん)!」

 

 

上空で離したサイアークを、竜巻で閉じ込め斬りさく。

 

 

3人「ゲキ!ゲキ!ゲキ!ゲキ!ゲキ!ゲキ!」

 

 

必殺技が決まり、サイアークが消滅する。

 

 

3人「ゲキバットージャ!WIN!」

 

 

増子「ゲキレンジャーの勝利です!ありがとう!ゲキレンジャー!」

 

 

ナマケルダ「ごはんと平和のプリキュア、キュアハニー...。面倒ごとが増えて退屈しませんぞー!」

 

 

ナマケルダはそう言い残し、テレポートして姿を消した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

戦いを終えた俺達は田植えを終わらせて、ゆうこの祖父の家で休憩させてもらってる。

 

 

ゆうこ祖母「皆さん、今日はお疲れ様」

 

 

ゆうこ祖父「うちの米で作った塩おにぎりだよ」

 

 

ゆうこ祖母「どうぞ、召し上がれ」

 

 

7人「いただきます」

 

 

俺達は、ゆうこの祖父が握ってくれたおにぎりを食べる。

 

 

めぐみ「あー、おいしいー!」

 

 

ひめ「塩をつけただけのおにぎりなのに...」

 

 

誠司「この美味さ、感動だ」

 

 

ゴウ「確かにな」

 

 

ゆうこ祖父「頑張った甲斐があるのぉ。どれ、もっと握ってこようかね」

 

 

ゆうこ祖母「ええ」

 

 

ゆうこの祖父は追加のおにぎりを握りに行き、祖母も着いていった。

 

 

ゆうこ「これが、キュアハニーの秘密だよ」

 

 

「え?(お?)」

 

 

ゆうこ「美味しいごはんを作る田んぼ。育てる人達の努力。そして、食べる人の笑顔。そういうモノを守りたくて、私はプリキュアになったの...最初はね、1人でサイアークと戦っていこうと思ってた。でも、めぐみちゃんとひめちゃんがプリキュアだって分かって誠司君達がプリキュアとは別の戦士だって分かったら...分かったら...」

 

 

ゆうこは言葉が詰まり震えだす。

 

 

めぐみ「ゆうゆう?」

 

 

ゆうこ「だって、だってぇ!こんなの嬉しすぎるよ!」

 

 

ゆうこは振り返り、口の前で両手を組む。

 

 

ゆうこ「毎日考えてたんだよ。何時言おう、何て言おうって」

 

 

両手で口を隠したと思ったら、今度は頬に両手を当て照れて顔を横に振りまくる。

 

 

ゆうこ「でも、恥ずかしくって!」

 

 

両手で目を覆いながら俯いて言う。

 

 

俺達はその言葉に、呆気に取られていた。

 

 

ひめ「それが理由かい!まわりくどいなぁ!」

 

 

怒り出し怒り顔だったひめも、一息ついて立ち上がる。

 

 

ひめ「でも、分かるわ。ウキウキして幸せすぎて、ちょっと恥ずかしい気持ち。私も友達が出来て、すごく嬉しかったか、一緒に守っていこう!おいしいごはん!」

 

 

ゆうこ「うん!」

 

 

誠司「要するに嬉しすぎて、中々言い出せなかったってことか」

 

 

ラン「まさかのケンの予想が当たってるとわね」

 

 

リン「本当にね」

 

 

リボン「ゆうこは意外と照れ屋さんなのですね」

 

 

めぐみ「ごはんが美味しくて、仲間も増えて、幸せハピネスだね!」

 

 

リボン「これは、あったまいい本のパワーを感じるですわ」

 

 

リボンの鼻をくすぐると、先生のプリカードが出現する。

 

 

ゆうこ「よーし、それではおいしいご飯の為に、次は隣町の田植えだよ!」

 

 

ひめ「へっ!? それはムリ~!」

 

 

ゆうこ「冗談よ」

 

 

ひめ「もう!」

 

 

「ははははは」

 

 

ゆうこの冗談にひめは怒り、俺達は笑っていた。




はい!如何だったでしょうか!

思ったより時間が掛かってしまいました。

申し訳ございません

最初に出てきたポニーテールのキャラはg-3x様よりアイデアを頂いたオリキャラです。

桐野桜(きりのさくら)声:下屋則子

前回と今回に登場したオリジナル武器と必殺技のアイデアも頂きました。

g-3x様ありがとうございます

只、量が多すぎて裁ききれていないところがありますので
もし抜けている所があれば感想又はメッセージを送って頂けると助かります。

では次回12話を基に書いて行きます

お気に入り登録、感想、評価お願い致します。

では次回、もしくはアクセルビルド第3話でお会いしましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 めぐみピンチ!プリキュア失格の危機!!

どうもナツ・ドラグニルです

今回は第12話を基に書いて行きます。

前回登場したオリジナルキャラが今回から誠司達と絡んでいきます。

絡みとしては早朝の河川敷での修行中です。

そろそろプリキュア達も早朝の修行に参加させたいと思います。

そしてその修行で合体技の修行を考えております。

g-3x様から頂いためぐみと誠司の合体技、ひめと誠司の合体技、ゆうことランの合体技の3つの修行をしていきます。

また今回は巨大ロボの出番はありません!

他にも自分が考えた合体技を書いて欲しいと思われている方は合体技の詳細をメッセージで送って頂ければ書かせて頂きます。

合体技、必殺技のみ応募します。

もしくはプリキュア達のゲキビースト等でも構いません。

では作品をどうぞ。


早朝の河川敷で誠司達は日課の修行を行っていた。

 

誠司「よし!じゃあ始めるか!」

 

剛「そうだな」

 

めぐみ・ひめ・ゆうこ「お願いします!」

 

いつもと違う所は、めぐみ達も参加していることだ。

 

ゆうこの秘密を知った後、ゆうこが誠司達の修行に参加したいと言ってきた。

 

せっかくなのでめぐみとひめも誘い、今日は皆で早朝から修行を行っていた。

 

誠司「よし!まずはお前達に渡した武器を使って修行するぞ」

 

ひめ「武器の修行って...私達もう使いこなしてるし意味ないでしょ?」

 

誠司「あのな、使いこなしているからって怠けてたら強くなれねえぞ。さらに技を強くしたりすることだって出来るし、俺とお前らの技を組み合わせることで新しい技だって作れるかも知れないからな」

 

めぐみ「おおー!ようするに合体技って事!」

 

ひめ「なんか凄そう!」

 

やる気が無かったひめにそう伝えると、一気にテンションが上がった。

 

誠司「分かったら修行を始めるぞ」

 

めぐみ・ひめ・ゆうこ「おっす!」

 

誠司「武器の扱い方はめぐみとひめは俺が、ゆうこはランが教える」

 

ラン「宜しく!」

 

誠司「リン達は各々別の修行しててくれ。必要なときに声を掛けるから」

 

リン「分かった」

 

ケン「あいよ!」

 

誠司がリン達に伝えると三人とも修行を始めた。

 

誠司「早速始めるぞ!」

 

めぐみ・ひめ「お願いします!」

 

ラン「じゃあ私達も始めましょうか」

 

ゆうこ「お願いします!」

 

誠司達は使用している武器について説明し、他にどんな事が出来るか教えていた。

 

ゆうこ「はあ!」

 

ラン「そうよ、その調子!」

 

ゆうこはハニートンファーをロングバトンにして、ランと組み手しながら使い方を教わっている。

 

ラブリー「はっ!はあ!」

 

めぐみには誠司がゲキヌンチャクに激気を送ることで、通常時でも威力が上げられる事を教え、ラブリーに変身させ必殺技の時だけではなく、常にラブリーヌンチャクに力を送り続けて慣れさせる修行をしている。

 

ひめ「はっ!はっ!はっ!はあ!」

 

ひめには2本の状態と双剣合身(そうけんがっしん)を使いこなすため、俺と組み手をしながら慣れさせている。

 

リボン「ううっ...あんなにめんどくさがりで、あんぽんたんなひめがあんなに立派になるなんて」

 

少し離れた所でリボンが感動して涙を流していた。

 

しばらく修行した所で休憩を取ることにした。

 

誠司「よし!大分慣れてきたから少し休憩するか。近くの自販機で飲み物買って来るわ!」

 

剛「分かった」

 

ケン「サンキュー」

 

剛とケンは返事をするが他はそれ所では無かった。

 

ラン「大丈夫?ゆうこちゃん」

 

ゆうこ「な、なんとか」

 

リン「めぐみちゃんとひめちゃん大丈夫?」

 

めぐみ「無理...」

 

ひめ「もう体が動かない...」

 

ゆうこはランがやりすぎてしまい、疲労困憊だがめぐみとひめに関しては体力が無く朝早かった為か死にかけていた。

 

誠司はめぐみ達の事をラン達に任せ、近くの自販機に飲み物を買いにいったが誠司は夢にも思わなかった。自分達が何者かに見られていた事に。

 

 

__________________

 

 

 

誠司は人数分の飲み物を買い、修行場所に戻っていた。

 

誠司「ふう、さすがに1人じゃきつかったかな」

 

誠司は9本の飲み物を抱きかかえる形で持っていたが、持ちすぎた為か誤って1本落としてしまった。

 

誠司「あ!やべ!」

 

急いで拾おうとしたが、誠司が拾う前に近くにいた女性が拾ってくれた。

 

その女性は白い髪をポニーテールで纏めており、青色の服を着て白いマフラーと白いスカートを穿いた女性だった。

 

?「はいこれ、落としたわよ」

 

女性は誠司に飲み物を渡す。

 

誠司「すみません、ありがとうございます」

 

?「持ちにくそうだけど大丈夫?」

 

誠司「大丈夫です。これくらい」

 

?「良かったら私も手伝うわよ」

 

誠司「え?いやでも悪いですよ」

 

女性が誠司に協力を申し出るが誠司は遠慮する。

 

?「大丈夫よ、たまたま散歩していただけだし」

 

そう言って女性は誠司から9本の内、4本を取った。

 

誠司「すみませんわざわざ」

 

?「良いのよ別に、私は桐野 桜(きりの さくら) よ」

 

誠司「相楽誠司といいます」

 

誠司達はお互い自己紹介をし、修行場所に向かった。

 

誠司「桐野さんはいつも朝が早いんですか?」

 

桜「桜でいいわよ、今日は早く起きたから散歩していただけよ。誠司君こそこんな朝早くに何をしてたの?」

 

誠司「俺は友達と一緒に修行をしてました」

 

桜「修行?朝早くからやってるなんて凄いわね」

 

誠司「いえ、大した事じゃないですよ」

 

しばらく歩き修行場所の近くまでやってきた。

 

誠司「すみませんありがとうございました。もう近いのでここまでで大丈夫ですよ」

 

桜「そうなの?最後まで持ってってもいいけど」

 

誠司「そこまでしてもらうのも悪いので、ここで大丈夫です」

 

桜「そう、じゃあ私はもう行くわね。また会いましょ誠司君」

 

そう言って誠司に飲み物を渡し、桜はその場を後にした。

 

誠司はそのまま、修行場所に向かった。

 

 

_____________________

 

誠司と別れた桜は少し離れた所で誠司を見ていた。

 

桜「ふふふっ、あの子意外と面白いわね。少しは楽しめそうかしら」

 

桜は怪しい笑みを浮かべ誠司を見ていた。

 

桜「あいつらを私の手で直々に潰してやりたいけど、彼らが動き出すまで辛抱しなきゃ私が消されてしまうからね、明日も楽しみだわ」

 

そう言って桜はその場を離れた。

 

___________________

 

 

時刻は変わり、現在帰り際のHRで前回のテスト結果を発表している。

 

和泉先生「はい静かにー」

 

手を叩き、結果を見て騒いでいた生徒達を静める。

 

和泉先生「今配った紙にはテストの順位が書いてあります。この結果をふまえ、自分の勉強の仕方を見つめなおすように」

 

先生が生徒達に教える。

 

和泉先生「ちなみに相楽くんが学年2位でした」

 

生徒達「おお~!!」

 

誠司に他のクラスメイトが集まり、誠司を褒めていた。

 

ラン「誠司凄い!!」

 

リン「さすがね」

 

和泉先生「それから白雪さん、学年で唯一英語が100点だったわよ」

 

続けて先生は発表する。

 

こちらも驚いた後、クラスメイトが集まりひめは照れていた。

 

めぐみ「すごいひめ~!」

 

ひめ「でも漢字の書き取りはいっぱい間違えてたし」

 

和泉先生「みんな、ホームルームはまだ終わってないよ」

 

先生から注意を受け直ぐに席に戻った。

 

だがその時、こっそり教室から抜け出そうとした生徒を先生は見つけた。

 

和泉先生「山崎くん」

 

先生に呼び止められ抜け出そうとした生徒『山崎 健太』はギクリと肩を揺らした。

 

健太「だって、話が長すぎるよ。部活に遅刻しちゃうぜぇ!」

 

和泉先生「山崎くん!」

 

先生は結果を見せてさらに呼ぶ。

 

和泉先生「あなたの今回の成績だけど」

 

健太は直ぐに先生から結果の紙を奪い取る。

 

健太「あぁ。学年でワースト2。久しぶりにビリは免れたぜ」

 

ホラホラと言いつつ皆に見せながら喜んでいる。

 

和泉先生「だから、再テストを受けてもらうわ」

 

先生は健太に指を差した後、腕を組んで宣言する。

 

健太「あちゃー!」

 

健太は目に手を当てショックを受ける。

 

めぐみ「健太くんファイトー!」

 

和泉先生「愛乃さん!」

 

応援するめぐみだったが、先生に呼ばれ怯んでしまった。

 

和泉先生「あなたも再テストよ」

 

先生に言われめぐみもガックリする。

 

ゆうこ「めぐみちゃん、もしかして」

 

ゆうこはめぐみの近くに聞きに行く。

 

めぐみ「ビリでした」

 

『ええー!』

 

平然と明かすめぐみに俺達は驚いた。

 

めぐみ「でもホラ、私がびりっけつなお陰で健太くんはワースト2に昇格しただけだし、人の幸せは私の幸せ。これで幸せハピネス!」

 

めぐみは指を立てて言った。

 

ひめ「それはハピネスと言えるのですかな?」

 

めぐみの言葉にひめは呆れていた。

 

和泉先生「愛乃さん、山崎くん!」

 

先生に呼ばれ二人は背筋を伸ばす。

 

和泉先生「再テストでも赤点を取るようなことがあれば...毎日居残り勉強を強制しますから」

 

凶悪なにやつき顔で先生が言った。

 

めぐみ・健太「えー!!!」

 

その言葉にめぐみと健太は絶叫した。

 

 

 

めぐみ「毎日、居残り勉強~。絶対にやだよー!」

 

放課後になり、かばんに顔から突撃しながらめぐみは愚痴を言っていた。

 

ゆうこ「そうならないように、この後がんばって勉強していこうよ。私も付き合うから、ね?」

 

めぐみ「ありがとう、ゆうゆう!」

 

めぐみはゆうこの手を取り、感謝する。

 

その時、ゆうこはめぐみの席の近くで体育座りしていた健太が目に入った。

 

ゆうこにつられめぐみも健太の方を向く。

 

健太「んー、参ったなぁ。勉強なんてサッパリわかんねーのによー!」

 

そう言って健太はしょんぼりしていた。

 

めぐみ「じゃあ、一緒に勉強しようよ」

 

健太「いいのか!?助かるぜー」

 

ゆうこ「一緒に頑張ろう」

 

めぐみ・健太「おー!」

 

ゆうこの言葉の後、2人は手を合わせた。

 

めぐみ「ひめ達も勿論手伝ってくれるよね?」

 

誠司「別に構わないぜ」

 

ラン「私も」

 

リン「私もよ」

 

ひめ「しょうがないなぁ」

 

めぐみ「やったぁ!」

 

健太「英語100点の白雪と学年2位の誠司がいれば鬼にカナブンだ!」

 

ひめ「それを言うなら、鬼に金棒でしょ」

 

健太の言葉にひめが突っ込む。

 

健太「それそれさすが白雪頭いいなぁ」

 

ひめ「そんなこと、あるけど!」

 

健太の言葉にひめは自慢気に答える。

 

健太「頼りにしてるぜ、白雪先生」

 

ひめ「先生!?なんかそんな風に呼ばれたら、段々その気になっちゃうかもー」

 

健太に言われひめは嬉しそうに退場しプリチュンミラーを使用し先生に着替え登場する。

 

ひめ「じゃじゃーん」

 

めぐみ・ゆうこ「おお!」

 

健太「すっげぇ!」

 

ひめ「おっほん。2人とも~ビシバシ勉強教えちゃうからね」

 

誠司「すげぇやる気満々だな...」

 

ラン「そうね...」

 

 

 

 

 

しばらく勉強し遅くなってしまった為、学校での勉強はお開きとなった。勉強したせいかめぐみと健太の表情は優れずとぼとぼ歩いていた。

 

健太「じゃあオレっち部活やってくからぁ」

 

めぐみ「えー、今から参加するの?」

 

健太「あぁ、今週末は試合だしな」

 

ひめ「帰って勉強しなくていいの?再テストに落ちたら毎日居残り勉強になっちゃうよ?」

 

健太「わーかってるって、ちょっとやったら帰るよ。じゃ」

 

健太は手を挙げ去っていった。

 

めぐみ「はぁ...今日はいっぱい勉強したな~」

 

ひめ「めぐみ、この後ウチに寄ってって」

 

めぐみ「いいけど」

 

ひめ「再テストに向けて、もう少し勉強しないとね」

 

めぐみ「えー!お腹ペコペコだよぉ」

 

ひめの言葉にめぐみは喚いた。

 

ゆうこ「わかるわかる、お腹が空いたら勉強どころじゃないよね。私、一旦帰って美味しい差し入れ持っていくわね」

 

そう言ってゆうこは先に帰った。

 

剛「おーい!お前ら!」

 

剛の声が聞こえ振り向くと、剛とケンがこっちに走ってきていた。

 

誠司「悪いな二人とも待たせちまって」

 

剛「別に構いやしねえよ」

 

ケン「そうそう」

 

誠司「そういえばそっちは結果どうだったんだ?剛達も発表されたんだろ」

 

俺は剛達に結果を聞いた。

 

剛「まあそこそこだな」

 

剛は曖昧に答える。

 

誠司「なんだよそれ、ケンはどうだったんだ?」

 

ケン「そんなの決まってんだろ!全教科ギリギリ!」

 

ケンはもったいぶりながら答える。

 

ケン「赤点でした...」

 

ケンの言葉に俺達はがくっとなる。

 

剛「だからさっきまで俺と一緒に勉強してたんだよ」

 

誠司「なるほどそうゆう訳か」

 

ケン「はあ...再テストとかめんどくせー」

 

誠司「嘆いててもしょうがねえだろ。この後も勉強するから大使館に行くぞ」

 

ケン「へーい...」

 

しばらくして俺達は大使館に移動した。

 

 

 

_____________________

 

 

俺達が大使館に到着してしばらくするとゆうこが差し入れを持ってきた。

 

テーブルの上にはおにぎり・味噌汁・サバの煮付け・納豆・きんぴらごぼう・ブルーベリーケーキが人数分並んでいた。

 

剛「差し入れのレベルじゃないだろこれ...晩飯じゃん」

 

誠司「確かに...」

 

剛と小声でやり取りをした後、俺達はゆうこの差し入れを食べることにした。

 

『いただきまーす』

 

それぞれ料理を食べる。

 

めぐみ・ひめ「美味しい!」

 

ケン「うまい!」

 

誠司「さすがおおもりごはんだな」

 

ゆうこ「いっぱい食べてね。おおもりご飯特製、勉強できちゃう定食でーす」

 

めぐみ「うわぁ!これだけでも十分頭よくなった気がするよ~!」

 

ゆうこ「がんばれー、めぐみちゃん」

 

ゆうこが応援するなか、ひめは黙々とご飯を食べていた。

 

その時、部屋のドアが開きブルーが入ってきた。

 

ブルー「来てたんだね」

 

リボン「わぁ美味しそうですわ」

 

ブルーの後ろからリボンが現れ机の料理に目が入る。

 

ブルー「学校随分遅かったんだね」

 

ひめ「めぐみの補習に付き合ってたんだ。あのねぇ、めぐみったらなんと今回のテスト、学年でビリになっちゃったんだよねぇ」

 

ひめの言葉にめぐみは恥ずかしそうにする。

 

ブルー「学年でビリ? めぐみ、本当なのかい?」

 

めぐみ「実は私、勉強...そんなに得意じゃないんだ...」

 

リボン「笑ってる場合じゃないですわ!」

 

めぐみの言葉にリボンが切れる。

 

めぐみ「でもテストなんかより私、プリキュアの方が断然大事だし!」

 

めぐみは必死に腕を振り主張する。

 

ブルー「めぐみ。プリキュアだから勉強しなくていいなんて、ただの言い訳だよ」

 

誠司「確かにな。プリキュアとお前の将来は全く関係ない。プリキュアだからって勉強しなかったら将来後悔するのはお前だぞ」

 

めぐみ「誠司...」

 

ブルー「その再テストで一つでも赤点をとったら、めぐみのプリキュア活動を禁止する」

 

めぐみ「え! プリキュア禁止!?」

 

ブルーの言葉にめぐみは立ち上がる。

 

ブルー「世界も大事だけど、めぐみの人生も大事だ」

 

めぐみ「そんなぁ...」

 

ひめ「大丈夫。白雪大先生がみっちり丁寧に教えてあげるから」

 

めぐみ「そっか!私、頑張る!世界平和のためにも!」

 

リボン「その意気ですわ!」

 

めぐみ「うん!」

 

めぐみは拳を握って頷く。

 

 

その夜、めぐみは一人で勉強しようとしたが結局寝てしまった。

 

 

 

 

________________

 

めぐみ「昨日は寝てしまった」

 

健太「俺も...」

 

今日はめぐみとケンの再テストの勉強の為、早朝の修行は行わなかった。

 

ひめ「めぐみ、健太。残って勉強頑張ろうねぇ」

 

健太「う、うん~」

 

ひめがやる気を見せるが健太の返事はイマイチだった。

 

ゆうこ「ひめちゃん、張り切ってるねぇ」

 

ひめ「うん!指導してる時のこの上からの目線の感じ。正直嫌いじゃないんだよねぇ」

 

健太「白雪先生、スパルタだからなぁ」

 

ひめ「なんかいったあー?」

 

健太「え、いやぁー何も」

 

健太がボソッと呟いたのをひめが聞き返し一瞬怯みつつ目をそらす。

 

ひめ「でもさ、勉強って教えると自分の復習にもなるから一石二鳥なんだよねぇ」

 

めぐみ「ありがとう、ひめ! 大助かりだよ!」

 

 

 

 

 

 

放課後の午後4時、昨日は二人同時に教えていたが今日は2班に別れて勉強をしていた。

 

健太は誠司が、めぐみはひめ達が教えている。

 

ひめ「ドイツの首都はどこでしょう?」

 

めぐみ「えーっと…」

 

ラン「確かフランクフルトじゃない?」

 

リン「違うわよ」

 

めぐみ「ドイツの首都って確かハンバーガーっぽかったような…」

 

ゆうこ「あ、ハンブルクだ!」

 

ひめ「ブー!フランクフルトでもハンブルクでもありません。ドイツの首都はベルリン。ちゃんと覚えていてね」

 

ゆうこ「フランクフルトにハンバーグ。なんか世界地図を見てるとお腹空いてきちゃうね」

 

めぐみ「うん、お腹すくすく~!」

 

ゆうこがめぐみと雑談していたがひめが丸めた教科書で机を叩く。

 

ひめ「こら、雑談はしない! 明後日は再テストなんだよ?」

 

めぐみ「そうだったぁ...」

 

めぐみは頭を抱え出す。

 

ひめ「これ」

 

ひめはめぐみにノートを渡す。

 

ひめ「暗記するやつ纏めといたよ」

 

ひめは一瞬優しい顔で言い、険しい表情に戻る。

 

めぐみ「え!すごーい。ひめ、これノート作ってくれたの?」

 

ひめ「そ」

 

めぐみ「すごく分かりやすく書いてある。これがあれば一気に勉強が捗るよ!」

 

めぐみはノートを捲りながら目を輝かせながら言う。

 

めぐみ「ありがとうひめ!」

 

めぐみは嬉しさのあまりひめに抱きつくが受け止め切れなかったのか二人して倒れてしまう。

 

健太「おー!なーるほど、さっすが誠司教えるの上手いな!」

 

その時、教室に健太の感心する声が響いた。

 

誠司「健太、今日も野球部に顔出すのか?」

 

健太「勿論」

 

誠司「明後日の再テストに受からないと野球部に顔出せなくなるぞ?」

 

健太「大好きな野球をするために嫌いな勉強をやらなければならない。はぁ...エースはつらいぜぇ」

 

誠司「野球の試合には作戦が大事だよな?」

 

健太「そりゃそうだよ。作戦が左右すると言ってもいいくらいさ」

 

誠司「数学がその作戦に役に立つって言ったら?」

 

健太「数学が?またまたぁ」

 

誠司「健太、打率の求め方知ってるか?」

 

健太「打率...うーん、わかんねえや!」

 

誠司「打率は安打数÷打数で計算できる」

 

誠司は紙に計算式を書きながら教える。

 

健太「ほわぁ!ってことは、この式を使えば我が野球部の打率も簡単に出せるってことか?」

 

誠司「健太が毛嫌いする数学も野球部の作戦に役立つ。勉強って大切だぜ」

 

健太「なるほどぉ。いやぁ、勉強嫌いのオレっちをヤル気にさせるなんて、さっすが誠司だぜ」

 

 

 

 

下校時間、誠司達は剛達と合流し校舎を出た所で健太と別れる。

 

健太「今日は部活休むことにしたよ。やっぱり帰って、勉強しておこうかなっておもって」

 

『おお!』

 

めぐみ「えらーい」

 

健太「まぁな~」

 

健太は鼻の下をこすり照れていた。

 

健太「じゃまた明日!」

 

誠司「頑張れよ」

 

『ばいばーい!』

 

めぐみ達は手を振って見送る。

 

誠司「それでそっちはどうなんだよ」

 

健太を見送った後、誠司は剛達の状況を確認する。

 

剛「このまま勉強してればなんとかなるレベルだな」

 

誠司「だったら今日も大使館で勉強するか?」

 

ひめ「そうねさっきの続きをしなきゃ」

 

すると近くでこどもの悲鳴が聞こえた。

 

ラン「悲鳴!?」

 

リン「まさかサイアーク!」

 

誠司「行くぞ!」

 

誠司達は悲鳴が聞こえた方へ行くと回りはカビだらけになっており、チョイアークに追われてるこども達がいた。

 

めぐみ「あー!」

 

めぐみも発見して声を上げる。

 

誠司「ッ! 健太!」

 

その時、誠司は鏡に捕らわれた健太を見つけた。

 

リボン「またサイアークが暴れていますわ」

 

めぐみ「みんな!」

 

『うん!(おう!)』

 

 

 

 

『かわルンルン!』

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

めぐみ達がプリチュンミラーにプリキュアのカードを入れプリキュアに変身する。

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

剛「響け!ケモノの叫び!」

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

『ビースト・オン!』

 

誠司達にゲキスーツが装着し、ゲキレンジャーへと変身する。

 

ラブリー「世界に広がるビックな愛!キュアラブリー!」

 

プリンセス「天空に舞う蒼き風!キュアプリンセス!」

 

ハニー「大地に実る命の光!キュアハニー!」

 

ラブリー「ハピネス注入!」

 

プリンセス・ハニー「幸せチャージ!」

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

ゲキバイオレット「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

ゲキチョッパー「才を磨いて己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は正義の証!」

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

ナマケルダ「そろそろ来ると思ったでずぞ。チョイアーク達、いくのだー!」

 

ナマケルダの命令を受けチョイアークが突撃してくる。

 

各々、武器を手に取り戦う。

 

ラブリー「はっ!はっ!はっ!はあ!」

 

ラブリーはラブリーヌンチャクにプリキュアの力を纏わせチョイアークに攻撃する。

 

プリンセス「はあ!」

 

プリンセスもプリンセスセイバー2本の状態と双剣合身を使いこなし戦っていた。

 

ハニー「ふっ!はっ!たあ!」

 

ハニーはハニートンファーをロングバトン状態にし、上から振り下ろし一回転することで凪ぎ払いバトンを回転させ下から振り上げた。

 

ナマケルダ「なっ!ハニーやラブリーだけならともかく、プリンセスにまでこうも簡単にやられるなんて!」

 

ゲキレッド「見たか!これが修行の成果だ!」

 

ナマケルダ「くっ!チョイアーク!さっさと奴等を片付けるのですぞ!」

 

ナマケルダの指示でさらにチョイアークは数を増やした。

 

ラブリー「今日はしつこい!再テストまで時間が無いっていうのにぃ!」

 

迫り来るチョイアークに頭を抱えてラブリーは怒る。

 

ナマケルダ「はぁ、テスト?そんなのくだらない、本当は勉強なんか嫌々やっているのではないかね?」

 

プリンセス「そんなことない!」

 

ハニー「そうよ勉強の後のお夜食もまた最高なんだから!」

 

ナマケルダ「ほぉ、なら...君はどうですかな?」

 

ナマケルダはラブリーに指を指し質問する。

 

ナマケルダ「君は勉強が嫌いなようですな」

 

図星な為かラブリーは返答に詰まってしまう。

 

ナマケルダ「怠けるのは最高ですぞー。君もこっちに来るが良いですぞーポテチ食べながらまったりテレビを見たり、ゲームしたり」

 

プリンセス「ラブリー!」

 

ラブリー「勉強は得意じゃない!」

 

ナマケルダ「ですぞですぞ」

 

ラブリー「でも!」

 

ナマケルダ「ん!」

 

ラブリー「補習につきあってくれたり、美味しい物を差し入れしてくれたり、皆が助けてくれる!だから勉強も頑張れる。そんなみんなの為にも、私は頑張るの!」

 

ラブリーは涙を散らしながら答える。

 

その言葉にプリンセスとハニーは嬉しそうな顔をし、誠司達はマスクの下で笑みを浮かべる。

 

ナマケルダ「ふーん。君とは分かち合えそうな気がしたのですが、残念ですぞ。では、サイアーク、やれ!」

 

ナマケルダの命令を受けサイアークは腕をぐるぐる回し無数のボールを発射する。

 

ラブリー達は横に飛んで避け、ゲキレッドはゲキヌンチャクを、ゲキブルーはゲキトンファーを、ゲキイエローはゲキトンファーロング・バトンを駆使し攻撃をさばき、ゲキバイオレット達はラブリー達同様、横に飛んで避けているが相手の手数が多い為、反撃に出れずにいた。

 

ラブリー「これじゃサイアークに近寄れない!」

 

プリンセス「私に任せて!」

 

プリンセス「プリンセス弾丸マシンガン!」

 

プリンセスはサイアークにプリンセス弾丸マシンガンを放つが全て受け止められてしまいお返しと言わんばかりに腕からボールを投げてくる。

 

プリンセス「えー!」

 

すぐさまプリンセス達は横に飛んで避ける。

 

ゲキレッド「逃げてばかりじゃダメだ!」

 

ラブリー「分かった!」

 

ラブリーはライジングソードを召喚するがいつもの剣の形ではなくバットの形で召喚する。

 

ラブリー「さぁ、野球で勝負よ」

 

ラブリーはバットをサイアークに向け宣言する。

 

ナマケルダ「いいでしょう。プレイボールですぞ!」

 

ラブリーはバッターボックスに立ってホームベースを2度叩く。

 

リボン「これはまさにプリキュアとサイアークの運命を決める野球勝負!絶対負けられないですわ!」

 

応援しているプリンセスとハニーだが、プリンセスはどこからかメガホンを持ってきており、ハニーはいつの間にかポップコーンチアにフォームチェンジしており、ハニーバトンをセパレートにして応援していた。

 

試合開始直後、サイアークは目を光らせた後、足を上げて回転しトルネード投法で投球。

 

ラブリーは盛大に空振り、目回して倒れる。

 

審判チョイアーク「チョーイ(ストラーイク)」

 

あちゃーと全員して顔に手を当てる。

 

ハニー「フレッフレッ、ラーブリー!頑張れ頑張れ!キュアラブリー!」

 

プリンセス「ラブリー、気合よ気合!」

 

ゲキレッド「落ち着いていけー!」

 

ラブリー「うん!次こそホームラン打つよ!」

 

ラブリーは意気込むがまたも空振りしてしまう。

 

リボン「またまた空振りー!もう見てられないですわ!」

 

リボンは目を覆う。

 

ナマケルダ「よし次で三振ですぞ。サイアーク、頑張るのですぞー!」

 

プリンセス「ラブリー、球をよく見てぇ!」

 

ラブリー「分かった!」

 

サイアークの投げる球をラブリーは足を踏ん張ってバットを振ると遂にバットに当たった。

 

ハニー「うったぁ!」

 

だが球はライト線を越えファールになってしまう。

 

審判チョイアーク「チョーイ(ファール)」

 

リボン「惜しい、ファールですわ」

 

だがサイアーク的には当てられた事が気に食わないのか青筋を立てる。

 

そしてまた投げるが今度はレフト線ファールしてしまう。

 

その後、3回連続で当てるも全てがファール。

 

ゲキレッド「これは...あっ!?」

 

ゲキレッドは何かに気づいたがその時、回り過ぎたのかラブリーは目を回して倒れてしまう。

 

リボン「15回連続ファール...」

 

ハニー「本場水戸納豆の様な粘りっぷりね!」

 

ナマケルダ「ぬぇ、よしこちらが有利ですぞ。三振にしてプリキュアを打ちのめすですぞー」

 

ラブリー「次こそ...」

 

プリンセス「ラブリーが焦ってる...。このままじゃ負けちゃう...タイムー!」

 

ナマケルダ「認めますぞ」

 

ラブリーのピンチにプリンセスがタイムと叫びナマケルダが了承する。

 

ハニー「大丈夫?ラブリー?」

 

ラブリー「うん。でも、球の見極めが難しいの」

 

ゲキレッド「大丈夫だ。敵の投球には規則性がある」

 

ハニーの言葉にラブリーが嘆いてるとゲキレッドがアドバイスを送る。

 

ゲキレッド「よーく思い出すんだ」

 

ラブリー「確かサイアークはストレート、右カーブ、左カーブ、ストレート、フォークの順番で投げてきてる」

 

プリンセス「投球は右カーブ、左カーブと続いたから・・・この次来る球は!」

 

『ストレート!』

 

ゲキレッド「ああ!」

 

ナマケルダ「試合再開ですぞ」

 

ラブリーは打席に入りホームラン宣言をする。

 

ラブリー「来い!」

 

ナマケルダ「サイアーク! 本気を出すのですぞー!」

 

ナマケルダの応援に頷いた後、サイアークは唸りながらジャンプ。そのまま回転して投球する。

 

風に見舞われるラブリー。飛んでくる無数の光弾。

 

ラブリー「見えた!」

 

その時、ラブリーは球を見つける。

 

ラブリー「やっぱりストレート! ラブリーホームラン!」

 

ラブリーはバットに当て球を遥か彼方に飛ばした。

 

ナマケルダ「何!?」

 

ゲキレッド達は喜び、ナマケルダ達は驚愕していた。

 

サイアークは唸った後、マウンドに跪く。

 

ラブリー「勝負ありだね!」

 

ナマケルダ「サイアーク、勝負は勝負ですぞ。サイアークらしく、立派に浄化されるのですぞ!」

 

ナマケルダの言葉にサイアークは決意し立ち上がる。

 

ラブリー「ゲームセットだよ!」

 

ラブリーはピンキーラブシュートをサイアークに命中させる。

 

サイアークはナマケルダの言葉通り、巨大化することもなくそのまま浄化されていった。

 

ナマケルダ「くっ!あそこはカーブにするべきでしたぞ!えーい!」

 

ナマケルダは悔しそうに持っていたステッキをガリガリと噛んでいたが、直ぐに我に変える。

 

ナマケルダ「私とした事が思わず熱くなり過ぎてしまったですぞ」

 

ナマケルダは少しカッコつけるとテレポートして帰っていった。

 

 

 

 

健太「あ、あれ?あぁ参った」

 

しばらくして解放された健太が目を覚ます。

 

誠司「プリキュアとゲキレンジャーが助けてくれたんだよ」

 

健太「ぬぁ!道草してる場合じゃねえや。誠司に教わった事、おさらいしないと」

 

健太は直ぐに立ち上がり帰ろうとする。

 

健太「勉強も野球も繰り返しの特訓が大事だからな」

 

健太は誠司に指をたてる。

 

誠司「ああ!」

 

誠司も健太に指を立て返す。

 

リボン「くーうふ!」

 

健太を見送った後、リボンが唸る。

 

リボン「これは、カッコイイバスのパワーを感じるですわ」

 

リボンの鼻を擦るとバスガイドと野球のカードが出てくる。

 

ひめ「やった、またプリカードゲットだよ!」

 

ゆうこ「これでまた、大いなる願いに近づいたね」

 

めぐみ「さーてと、私も早く家に帰って勉強しよ!」

 

ゆうこ「ヤル気大盛!」

 

ひめ「めぐみ頑張れ!」

 

めぐみ「イェイ!」

 

 

 

 

 

________________

 

次の日の学校で俺達はめぐみ達の再テストの結果発表を待っていた。

 

その時、ドアが開きめぐみと健太が入ってきた。

 

ゆうこ「どうだった? 再テスト」

 

めぐみ「まぁ、やれるだけの事はやったけどねぇ...」

 

健太「オレっちも、ベストは尽くしたー」

 

二人共、全然覇気がなく、足取りも重いものだった。

 

ひめ「2人共大丈夫かな~?」

 

リン「あれだけ頑張ったんだから大丈夫よ」

 

ラン「そうね!」

 

和泉先生「愛乃さん、山崎くん!」

 

二人は後ろから声をかけられビビりまくる。

 

めぐみ・健太「はい...」

 

和泉先生「再テストの結果が出ました」

 

二人が振り替えると怖い顔でメガネを光らせている先生がいた。

 

和泉先生「2人共・・・残念だけど」

 

その言葉に二人はガックリする。

 

和泉先生「合格よ」

 

めぐみ・健太「えー!」

 

健太「よっしゃあ!」

 

めぐみ「やったぁ!」

 

和泉先生「でも、これに懲りて今後は5科目赤点なんて、やらないでよ?」

 

めぐみ・健太「はーい」

 

 

 

 

 

場所は変わり放課後俺達は野球部の練習を見ていた。

 

ゆうこ「うわぁ、健太くん野球部復帰だねぇ」

 

めぐみ「あたしもプリキュア禁止を免れたし。これからも世界の為にバリバリ活躍しちゃうもんねぇ!」

 

ひめ「めぐみ、プリキュアだけじゃなくて、ちゃんと勉強しなきゃダメだよ?」

 

めぐみ「大丈夫。プリキュアの合間にたまにやるから!プリキュア・プリキュア・勉強くらいね」

 

ひめ「ダメだよ。勉強・勉強・プリキュアくらいしなきゃ」

 

めぐみ「えー、せめてプリキュア・勉強・プリキュアで~」

 

めぐみはひめの言葉に食い下がりゆうこは笑っていた。

 

誠司「そういえばケンの再テストは大丈夫だったのか?」

 

リン「兄さんが教えてたんだから大丈夫に決まってんでしょ」

 

剛「それがな...」

 

ケン「再テストでも赤点取ってしまいました」

 

ケンは結果を平然と明かした。

 

『え~!!』

 

ラン「なんで!?剛に教わってたんじゃないの!?」

 

剛「こいつ再テスト中に居眠りして赤点食らったんだよ」

 

誠司「なにやってんだよ!」

 

ケン「いや~つい...でも俺は居残り勉強とかはないから大丈夫だぜ!」

 

剛「ああ、その代わりお前はしばらく晩飯抜きだけどな」

 

ケン「ええ!!何で!!」

 

剛「当たり前だ!教えてやったのに赤点とる愚か者に食わせる飯はねえ!」

 

リン「自業自得ね」

 

誠司「今回はしょうがないな」

 

ケン「そんな!殺生な~!!」

 

 

その後、しばらく誠司達の笑い声が響いた。

 

 




はい!如何だったでしょうか!

そろそろメレを出さないとと思っている今日この頃。

今回は最初に武器の修行とオリキャラを登場させました。

彼女は今後の物語に重要なキャラになりますのでご注目ください。

さて次は13話を元に書いていきます。

また、次回!遂にゲキレッドとラブリーの合体技が登場します!!お楽しみください。

g-3x様から頂いたアイデアです。

次回こそメレを出したい。

では次回、第13話、又はアクセル・ビルド 第4話でお会いしましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 強敵登場!キュアフォーチュンVSプリキュアハンター

どうもナツ・ドラグニルです。

今回は原作13話を基に書いていきます。

今まで出番が無かったメレも今回登場します。

いつも何処で出すか悩むんですよね

オリジナル回から数えて5話ぶりですね

そんなに出していなかった事に驚きです。

前回のあとがきにも書きましたが合体技があります

お楽しみ下さい

では作品をどうぞ


場所はサハラ砂漠の上空、そこで2つの影が激突していた。

 

片方はラブプリブレスをつけたエジプト風味のプリキュア『キュアナイル』。

 

片方は姿のはっきりしない相手。

 

キュアナイル「ナイトストリーム!」

 

キュアナイルは相手に対し、水の柱を放つ。

 

キュアナイル「くっ」

 

技は相手に命中したが、ナイルは全然効いていないことに気づく。

 

相手が少し気張ると水の柱が粉砕してしまい、伸びてきた赤黒い4本の光がナイルの四肢を拘束しナイルは悲鳴を上げる。

 

抵抗するが微動だにしない。

 

キュアナイル「あなたは一体?」

 

ファントム「わが名はファントム」

 

月光が照らすとそこには赤い髪をした1人の青年がおり、名乗るとナイルに向け手を伸ばし手先から発射した光で攻撃する。

 

ナイルは悲鳴を上げ鏡に拘束され、プリチュンミラーと分離されてしまう。

 

ファントムの前にナイルが拘束された鏡と、プリチュンミラーが落ちてくる。

 

ファントム「プリキュアハンターだ」

 

 

____________________________________________

 

ある神聖な場所。

 

そこで1人の巫女が神楽鈴を鳴らしながら舞っていた。

 

すると上空から1人の青年が光を纏って降りてくる。

 

巫女「愛してる…神様…永遠に…」

 

巫女は降りてくる青年を見上げながら呟く。

 

両者の手が触れ合う瞬間、意識が遠のいていく。

 

 

 

気がつくと、クイーンミラージュは前に手を差し伸べている。

 

先程までのはクイーンミラージュが見ていた夢だった。

 

ミラージュ「幸せは一瞬、愛は幻」

 

ディープミラー「愛は、心を惑わす災い」

 

ミラージュ「あなたに言われるまでもないわ、ディープミラー。愛なんて要らない、この世界から消し去るわ」

 

ファントム「そのお望み、私が叶えます」

 

するとクイーンミラージュの前にファントムが現れる。

 

ファントム「ミラージュ様。サハラ砂漠のプリキュア、キュアナイルを倒してきました」

 

ミラージュ「さすが、私のファントム」

 

ミラージュはファントムを称え手を差し出し、ファントムは手の甲にキスをする。

 

ホッシーワ「気障ー、食えない男」

 

オレスキー「おのれ!プリキュアハンター!オレ様より目立つとは許せん!」

 

ナマケルダ「次々とプリキュアを倒す働き者。気が合いそうにありませんぞ」

 

近くで見ていた3幹部はファントムにそれぞれ陰口を零していた。

 

メレ「まぁ、あんたらよりは使えるからね」

 

ホッシーワ「なんですって!」

 

メレ「何?やる気かい?」

 

ホッシーワがメレの言葉に反応して突っかかる。

 

ナマケルダ「はあ...めんどくさい事になりましたぞ」

 

オレスキー「確かにな...」

 

ファントム「ディープミラー、今もっとも手強いプリキュアは?」

 

近くでホッシーワとメレが言い争いをしているのを全員が無視し、ファントムはディープミラーに質問する。

 

ディープミラー「ぴかりが丘に居るハピネスチャージプリキュアです」

 

ファントム「ぴかりが丘!」

 

ディープミラーの回答にファントムはハッとする。

 

オレスキー「待てい!やつらは俺達の獲物だ。手柄の横取りは許さんぞ」

 

ファントム「何?」

 

オレスキーの言葉にファントムは反応し立ち上がる。

 

ホッシーワ「それにぴかりが丘にはプリキュアだけじゃなく、ゲキレンジャーも居るしね」

 

ファントム「ゲキレンジャー?」

 

ナマケルダ「プリキュアよりも強い戦士ですぞ。いくらあなたでも勝てるかどうか」

 

ファントム「ほう...」

 

ミラージュ「いいわ。ぴかりが丘のプリキュアはあなた達4人に任せるわ」

 

クイーンミラージュは言葉にファントムはムッとする。

 

オレスキー「おお!ミラージュ様!」

 

ミラージュ「でも、もし倒せなかったら...その時は...分かってるわよね?」

 

オレスキー「も、勿論です。なっ!」

 

ミラージュの言葉に怯みながらも2人に同意を求めようとするが、2人はオレスキーの裏に座り込んでいる。

 

オレスキー「ん?わー!おまえら!」

 

自分の裏に隠れていることに気づいたオレスキーは2人に叫ぶ。

 

ミラージュ「まあいいわ、あなた達にこれを渡しとくわ」

 

ミラージュは近くに居た召使いに指示すると、召使いはすぐに3つの箱を持ってきた。

 

オレスキー「これは?」

 

ミラージュ「あなた達の新しい武器よ」

 

3人は箱を受け取るとすぐに開けた。

 

ナマケルダの箱にはいつも使っている物と似たような杖が入っており、ホッシーワの箱には愛用の傘と同じ物が入っているが新しい方は銃口が増えている。

 

オレスキーの箱には2つの鉤爪状武器が入っていた。

 

ミラージュ「ナマケルダのは仕込み杖になっていて、杖のもち手を引っ張ると剣が出てくるわ」

 

ナマケルダは箱から杖を取り出し説明どおり持ち手を引っ張ると剣が出てきた。

 

ミラージュ「さらにあなたのシルクハットに刺すことで、投げて使えるソードハットにもなるわ」

 

ナマケルダ「おおっ!」

 

新しい武器にナマケルダはテンションが上がった。

 

ミラージュ「次にホッシーワのはアンブレラ改と言って、元々の傘より銃口が増えてマシンガンになってるの。弾が当たれば即時にチョコになって固まるわ」

 

ホッシーワ「素敵!」

 

ホッシーワは箱から傘を取り出し、大事そうに持つ。

 

ミラージュ「最後にオレスキーのはペインクロー。両手に装着し自身のエネルギーを送ることで切れ味を上げることができてビルも切る事が出来るわ」

 

オレスキー「まさにオレにふさわしい武器だ!」

 

オレスキーは箱からペインクローを取り出し、早速装着する。

 

ホッシーワ「あら?どっかの誰かさんは何も貰えないのかしら?かわいそうね」

 

気分が良くなったホッシーワは、何も貰えなかったメレに対し挑発する。

 

メレ「ふん!あんた達と違ってお情けを貰うほど私は弱くないからね」

 

ホッシーワ「なんですって!」

 

メレ「何よ?」

 

2人はクイーンミラージュの前だと言う事を忘れ、言い争いをするがもう誰も見向きもしていなかった。

 

ミラージュ「ファントム、世界中のプリキュアを片付けて頂戴。私の為に」

 

ファントム「はっ!」

 

ファントムはミラージュの頼みを引き受けその場を後にする。

 

ファントム「ぴかりが丘...」

 

ファントムは宮殿内を少し歩いてぴかりが丘の名前を口にする。

 

 

______________________________________

 

大使館の広間。

 

そこではプリキュアとゲキレンジャーの全員が集まっていた。

 

『かわルンルン!』

 

ひめ「フォーッ!」

 

ひめがプリチュンミラーを使ってドレスに着替えテンションが上がっている。

 

テレビ『姫!どこですかー!姫ー!』

 

ひめ「はい!王子様ぁ!私はここよぉ!」

 

テレビ『どうか返事を!』

 

ひめ「イエス、アイムヒアナーウ!」

 

ひめはテレビの王子に対して答えていた。

 

剛「なんでテレビ見るのにオシャレする必要があるんだ?」

 

リボン「登場人物になりきるんですわ。ひめは最近、恋愛ドラマにハマってるんですわ」

 

誠司「昼に時間を持て余した主婦か、あいつは」

 

ケン「確かにな」

 

ひめ「わかってなーい!」

 

誠司達の言葉にひめはムッとし指摘する。

 

ひめ「将来の予行練習!いつ白馬に乗った王子様が迎えに来るか、分からないのよ!?」

 

ひめは力説するが

 

めぐみ「え?ひめも早く食べなよ。ケーキ美味しいよ!」

 

ゆうこ「王子様じゃお腹膨れないんだなぁ」

 

ラン「それにしても、このケーキ本当に美味しいわね」

 

リン「そうね」

 

他の女性陣はまったく聞いていなかった。

 

ひめ「もう!あなた達、お年頃の女の子として大事な物が欠けてなーい!?」

 

テレビ『ひめ、返事をー!』

 

ひめ「マイプリーンス!」

 

めぐみ「それにしても今朝は凄かったよね!!」

 

誠司「ああ、あれな...危うく大惨事になる所だったけどな」

 

めぐみが言っている今朝の事とは、誠司とめぐみが合体技の修行していたら未完成の状態で技を放ってしまい、河川敷が大変なことになってしまった。

 

幸い早朝と言う事もあり、誰にも見つからずブルーが元に戻してくれた。

 

誠司「ブルーが居たから良かったものの、もう少し考えてやらないとな」

 

めぐみ「そうだねまさかあそこまで威力があるなんて思わなかったし」

 

テレビ「姫…あなたとはもうお会いできないのか…あなたに私の本当の気持ちをお伝えしたい」

 

その時、ブルーの頭にある巫女の顔がよぎる。

 

ブルーは立ち上がりその場を離れる。

 

その様子を誠司とめぐみは見逃さなかった。

 

誠司はブルーの後を追い、めぐみは首をかしげている。

 

誠司は1つの部屋に入ると、そこは鏡がいくつもある部屋だった。

 

ブルーはその部屋で1つ箱を見ていた。

 

誠司「大丈夫か?」

 

ブルー「ッ!?ああ、誠司君かどうかしたのかい?」

 

誠司「いや、ブルーの様子がおかしかったから様子を見にな」

 

ブルー「そうか」

 

誠司「その箱は?」

 

誠司はブルーが持っていた箱に対し質問する。

 

ブルー「これはアクシアだ。世界に災いを及ぼす者達を封印していた箱。これが開けられる事によって幻影帝国との戦いが始まったんだ。いわば不幸の源だよ」

 

その時、誠司は前にフォーチュンが言っていた言葉を思い出した。

 

誠司「なあブルー、そのアクシアを開けたのはもしかして...」

 

めぐみ「わぁ、何ここぉ!?きーれーい!」

 

誠司が気づいたことを聞こうとしたその時、部屋にめぐみの声が響いた。

 

めぐみ「えへへ、ついてきちゃった」

 

誠司「たくっお前は...」

 

めぐみ「ね、この部屋なーに?鏡がいっぱいだね~!」

 

ブルー「クロスミラールームだよ。ここにある鏡は世界のいろいろな場所と繋がってるんだ」

 

めぐみ「じゃあここから世界中にいけるの?」

 

ブルー「そうだよ」

 

誠司「へー」

 

めぐみ「すっごーい!」

 

ブルーの言葉に誠司は驚き、めぐみはあたりを見回していたがブルーが持っていたアクシアに気づく。

 

めぐみ「何その箱?」

 

ブルー「さっき誠司君にも説明したが、これはアクシアだ。世界に災いを及ぼす者達を封印していた箱。これが開けられる事によって幻影帝国との戦いが始まったんだ。いわば不幸の源だよ」

 

ブルーはめぐみに聞かれ先程誠司に説明した事と同じ内容をめぐみに伝える。

 

めぐみ「ふーん。そうかな?キラキラ綺麗なだけじゃなくてなんか優しい感じ。私は愛を感じるよ」

 

ブルー「愛?」

 

めぐみの言葉にブルーは驚く。

 

ブルー「そうだ鏡を通って何処かへ遊びに行ってみるかい?」

 

めぐみ「え?いいの!?行く行く!」

 

ブルーの言葉にめぐみは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。

 

誠司「たくっしょうがない奴だな」

 

ブルー「ははは...」

 

めぐみ「誠司ー!はやくー!一緒に選ぼー!」

 

誠司「はいはい...」

 

誠司はめぐみに呼ばれ直ぐに駆け寄る。

 

めぐみ「誠司どれが良い?」

 

誠司「お前の好きな奴でいいよ」

 

めぐみ「本当!?じゃあこれ!」

 

めぐみは近くにあった鏡を指差す。

 

めぐみ「どこに行くの?」

 

ブルー「ここは…行ってからのお楽しみかな。さ、掴まって」

 

ブルーは誠司に手を差し出す。

 

誠司「ああ」

 

めぐみ「はーい!」

 

めぐみが誠司の腕を取ると部屋が白い光に包まれた。

 

 

 

 

 

光が収まると神社らしき場所へ移動していた。

 

めぐみ「ヤッホー!」

 

めぐみは嬉しそうに駆け出すが。

 

めぐみ「あ、あれぇ?ん?ここって...」

 

誠司「ぴかり神社だな」

 

めぐみ「めちゃくちゃ近所じゃん!」

 

着いた場所が遠い場所だと思い込んでいた為、場所が近かったことにツッコミをいれる。

 

ブルー「鏡は見る者の心を映し出すものなんだ。めぐみは本当にこの街が大好きなんだね」

 

めぐみ「うん、だーい好き!でも来て良かった~。良い天気だし、空も青いし、気持ち良い!ね!誠司!」

 

誠司「ああ、そうだな」

 

その時、またもブルーの頭には巫女の姿がよぎり、今度は踊っている姿も思い出した。

 

誠司「?」

 

めぐみ「誠司ー!」

 

ブルーの様子がおかしい事に気づいたがめぐみに呼ばれてしまった為、誠司はめぐみに視点を戻す。

 

めぐみ「お参りしようよ、神社に」

 

めぐみが誠司にお参りしようと誘ってくる。

 

誠司「お参りってここに神様いるだろうが...」

 

めぐみ「あっそうか!」

 

めぐみがブルーを神様だという事を忘れていた事に誠司は呆れる。

 

ブルー「ははは、めぐみと一緒だと誠司も大変だね」

 

誠司「いつも一緒みたいなものだからな。さすがに慣れたよ」

 

ブルー「まあめぐみは別の意味で誠司に苦労しそうだけどね」

 

めぐみ「えっ?」

 

ブルーはめぐみに近づき小声で呟く。

 

ブルー「恋愛面では苦労すると思うけど頑張りなよ。ライバル多いと思うけど、別に恋愛禁止とか厳しい事は言わないから」ボソッ

 

めぐみ「なっ!////」

 

めぐみはブルーに言われ顔を赤くする。

 

誠司「ん?どうした?」

 

めぐみ「な、なんでもないよ////」

 

慌ててごまかすめぐみだったが3人とも急に強風に見舞われた。

 

誠司「うわ!」

 

めぐみ「なに?」

 

3人の目の前にひとつの影が降り立つ。

 

ファントム「お前!」

 

ファントムは3人を見るなりムッとする。

 

ブルー「君は」

 

めぐみ「知り合い?」

 

ブルーはファントムを知ってるらしくめぐみは質問する。

 

ファントム「ここに居たのか、地球の神ブルー!」

 

ブルー「久しぶりだねファントム。ミラージュは…」

 

ブルーの言葉を聞くなりファントムは右手にエネルギーを纏いそのまま右へ振り払う。

 

衝撃が3人に向かい顔を庇う。

 

神社に三日月型のクレーターが出来る。

 

ファントム「お前が、ミラージュ様の名前を気安く口にするな!」

 

めぐみ「ちょ、ちょ、ちょっとタンマ」

 

ファントムは待ったをかけためぐみを見る。

 

めぐみ「いきなり乱暴すぎるでしょ!あと神社壊しちゃダメじゃん!」

 

誠司「いや叱る所そこじゃないだろ」

 

めぐみの言葉に誠司は突っ込む。

 

ファントム「怪我をしたくなかったら引っ込んでいろ」

 

めぐみ「あなた、神様に乱暴する気ね!誠司!」

 

誠司「おう!」

 

めぐみの合図で誠司はゲキレッドにめぐみはキュアラブリーに変身する。

 

ファントム「プリキュアか...それとお前があいつらの言っていたゲキレンジャーか」

 

ラブリー「神様に乱暴するなら私達が相手になる!」

 

ゲキレッド「そう言う事だ!」

 

ブルー「危険だ2人とも、ファントムは!」

 

ブルーが警告するも2人は戦闘を始める。

 

ブルー「待って!」

 

ラブリーがファントムに攻撃をしようとするがテレポートで避けられてしまう。

 

ラブリー「あれ?」

 

ラブリーはキョロキョロと周りを見る。

 

するとファントムはラブリーの後ろから現れ攻撃を仕掛けようとする。

 

ゲキレッド「はあ!」

 

ファントム「ぐっ...」

 

だがゲキレッドがファントムにパンチを繰り出し攻撃を中断させる。

 

ラブリー「ビックリした~」

 

ゲキレッド「油断するな!」

 

ラブリー「ごめ~ん」

 

ブルー「ラブリー!上!」

 

ラブリーはブルーの声を聞きファントムの上からのパンチを飛び退く。

 

ラブリー「これならどう?」

 

ラブリービームを放つがテレポートで避けられてしまう。

 

ラブリー「え?」

 

続けて3発も撃つが全て外れてしまう。

 

ラブリー「なんで、全然当たらない!」

 

ゲキレッド「油断するな!あいつは今までの敵とは一味違うぞ!」

 

ゲキレッドはファントムに攻撃を仕掛けテレポートで避けられるが、現れる先を予測し蹴りを放つ。

 

現れた瞬間に攻撃をされるとは思わなかったのか、まともに攻撃を食らった。

 

ファントム「ぐっ!なるほど、あいつらの言う通り一筋縄では行かないみたいだな」

 

ゲキレッド「俺を他のプリキュア達と一緒にしていたら痛い目見るぞ!」

 

ラブリー「凄ーい!さすが誠司!」

 

ファントム「ふっ!面白い!ん?」

 

フォーチュン「はー!」

 

ゲキレッド達がファントムと対峙していると掛け声と共にキュアフォーチュンが現れる。

 

フォーチュン「ファントム!」

 

フォーチュンはファントムに強烈なキックを仕掛けるが、受け止められてしまい弾き飛ばされるもバック宙し受身を取る。

 

ぐらさん「気配を辿って来てみれば、こいつはビッグだったぜ」

 

フォーチュン「プリキュアハンターファントム!ここであったが100年目よ」

 

ファントム「俺を知っているのか。何者だ?」

 

フォーチュン「私はキュアフォーチュン。あなたに大切な人を奪われた者よ!」

 

そう言いながらファントムに突撃するが攻撃を受け止められてしまう。

 

フォーチュンは唸りながら猛ラッシュを繰り出すも全て当たらずその様子をファントムは鼻で笑う。

 

ファントム「筋は悪くない。今までのプリキュアよりはマシだ」

 

フォーチュン「フォーチュンスターバースト!」

 

フォーチュンは掌に光を纏いファントムに攻撃するがファントムは平然としている。

 

ファントム「だが、俺を倒すには力が足りない」

 

フォーチュンはあっさりと弾き飛ばされるが空に戻ったフォーチュンは反対側に飛んで急降下キックを繰り出す。

 

だが、直前まで背を向いていたファントムに足を掴まれフォーチュンは驚く。

 

そこから反対側へ投げ飛ばされ背中に攻撃を受け悲鳴をあげながら地面へ墜落してしまう。

 

ぐらさん「フォーチュン!」

 

ラブリー「そんな!あんなに強いフォーチュンも叶わないなんて!」

 

フォーチュンがやられている事にラブリーは驚きを隠せない。

 

ファントム「ふん!やはり夢とか愛など下らない事で戦うプリキュアが、このファントムに叶うはずも無い」

 

フォーチュン「プリキュアを馬鹿にしないで...。私は、大好きなあの人を助けるんだから。その為に、あなたを倒す!」

 

ファントム「キュアフォーチュン、幸福の名を持つプリキュアよ。その程度の力で俺に挑んだ不幸を嘆きながら…消えろ」

 

ファントムは掌にエネルギーを溜め止めを刺そうとする。

 

ゲキレッド「悪いがそうはさせるか!」

 

ゲキレッドはファントムに止めを刺させまいと攻撃を仕掛ける。

 

ゲキレッド「はっ!はっ!はぁっ!」

 

パンチとキックを繰り出しファントムにダメージを与える。

 

ぐらさん「すげぇ...フォーチュンでも手も足も出なかった相手に善戦してるぜ」

 

ゲキレッド「ラブリーはフォーチュンの事を頼む!」

 

ラブリー「分かった!」

 

ゲキレッドに頼まれラブリーはフォーチュンの元に駆けつける。

 

ラブリー「大丈夫?」

 

フォーチュン「余計な事しないで、あなた達の力なんか借りない!」

 

冷たく引き離そうとするフォーチュンだったがラブリーに肩を掴まれハッとする。

 

ラブリー「余計な事じゃないよ! 同じプリキュアだもん!」

 

ラブリーに言われフォーチュンは驚く。

 

ラブリー「大好きな人を助ける為にプリキュアしてるんでしょ?私も大好きなみんなの為にプリキュアしてる。だから一緒に頑張ろう?2人はプリキュアなんだから!ね?」

 

ぐらさん「意地を張ってても、ファントムには勝てないぜぇ?」

 

フォーチュン「ぐらさん...」

 

ぐらさん「できること全部ぶつけなきゃ太刀打ちできない。奴はそういう相手だぜ」

 

ゲキレッド「はぁっ!おいおい俺の事も忘れるなよ」

 

ゲキレッドは蹴りを放つことでファントムから距離を取り2人の近くに寄る。

 

ラブリー「もちろん誠司の事も忘れてないよ!」

 

ゲキレッド「だからお前...まあいいや」

 

ラブリーに名前で呼ぶ事を指摘しようとするが諦める。

 

ファントム「くう...」

 

ゲキレッドの攻撃を受け吹き飛ばされていたファントムだったが直ぐに3人の前に立ちはだかる。

 

フォーチュン「キュアラブリー!ゲキレッド!行くわよ」

 

ラブリー「おっす」

 

ゲキレッド「おう!」

 

3人は構えファントムに激突する。

 

ラブリーが右パンチを右腕でフォーチュンの右キックを左腕で受け止める。

 

ゲキレッド「ゲキ技!砲砲弾!」

 

ゲキタイガーのエネルギー弾を発射し攻撃する。

 

ファントム「ぐぅぅぅぅぅ!!ぐあ!」

 

ファントムはエネルギー弾を受け止めるが耐え切れず吹き飛ばされてしまう。

 

ファントム「くっ!やはりゲキレッドの強さは規格外だな」

 

フォーチュンがキックを放つが受け止められてしまう。

 

そのまま弾き飛ばされてしまうが反動で戻ってきたフォーチュンにラブリーは手を伸ばし、空中で腕を掴み一回転後ファントムめがけてダブルパンチを繰り出す。

 

2人の攻撃を受け止めるファントムだったがこれまでのダメージのせいか少し辛そうだった。

 

ラブリー「いけるよフォーチュン」

 

フォーチュン「次で決めるわよ」

 

ラブリー「うん」

 

2人はピンキーラブシュートとスターダストシュートを同時に発射する。

 

ファントム「これは!」

 

攻撃は命中し受け止めていたファントムだったが少し怯んでいる。

 

フォーチュン「すごい!私とラブリーの力が合わさって力が何倍にも!」

 

だが次の瞬間ファントムの周りに漆黒のドームが出来上がり、ドームが破裂し2人の技を吹き飛ばす。

 

するとそこには刀身は漆黒の色でダガーに近い形の二刀流の剣を持ち、赤いオーラを纏ったファントムがいた。

 

ラブリー「そんな!私達の技がかき消されるなんて!」

 

ファントム「まさか、プリキュア如きにこの剣、ヘイトリッドブレイドを抜く時が来ようとは...1人のプリキュアは弱い。だが共に戦うことで力が何倍にもなる。やはりプリキュアは1人残らず倒す!」

 

その時、ゲキレッドがラブリーの隣に立つ。

 

ゲキレッド「ラブリー!今朝やったアレやるぞ!」

 

ラブリー「え!?アレやるの?でも未完成だったじゃん!」

 

ゲキレッド「ぶっつけ本番だがやるしかないだろ!」

 

ラブリー「うん!分かった!」

 

ゲキレッド「ゲキヌンチャク!」

 

ラブリー「ラブリーヌンチャク!」

 

ゲキレッドはゲキヌンチャク、ラブリーはラブリーヌンチャクを取り出す。

 

2人はヌンチャクにエネルギーを纏いファントムに突撃し攻撃する。

 

ゲキレッド「はー!はぁ!」

 

ラブリー「プリキュア!愛乱撃!」

 

『合技!!ゲキラブ乱宴(らんえん)!!』

 

2人がヌンチャクでファントムに連続で攻撃する。

 

ファントム「ぐっ!ぐあー!!」

 

ファントムは剣で受け止めようとするが2人の連携に翻弄され攻撃を受けてしまう。

 

ゲキレッド「よし!」

 

ラブリー「やったー誠司!」

 

ラブリーは嬉しくなりゲキレッドに向かって右手を上げる。

 

ゲキレッド「おう!」

 

ゲキレッドも右手を上げパン!っとハイタッチをする。

 

ファントム「ちっ!さすがにこのままじゃまずいな...よく聞けブルー!!オレはミラージュ様の為、この手で全てのプリキュアを倒す。そして、世界を不幸に染める。必ずお前を跪かせてやる!!」

 

そういい残しテレポートで逃げていった。

 

ラブリー「フォーチュン!イッェーイ!」

 

ラブリーは嬉しそうに飛び込むが、フォーチュンは立ち上がり避ける。

 

フォーチュン「勘違いしないで、キュアラブリー。これは今回だけ。あなたやキュアプリンセスと一緒に戦う気は無いわ」

 

ラブリー「えへへ、そっか・・・今日は力を貸してくれてありがとね、キュアフォーチュン!」

 

ぐらさん「こっちこそ礼を言うぜ!」

 

ブルー「キュアフォーチュン。君はどうやってプリキュアの力手に入れたんだい?」

 

フォーチュン「この力は、姉から譲り受けた物」

 

ブルー「姉?」

 

フォーチュン「姉の名は、"キュアテンダー"」

 

ブルーは聞き覚えがあるのか、その名に驚きを隠せないでいた。

 

フォーチュンは羽を出し空へ飛んでいく。

 

ブルー「僕のせいだ。全ての不幸の源は...僕なのかも知れない」

 

ラブリー「私は幸せだよ。神様と会えて、プリキュアになれたこと。すごく感謝してる」

 

ラブリーは立ち上がりブルーに近づく。

 

ラブリー「不幸からだって何からだって、私達がが守るから!だから神様も大丈夫!神様も1人じゃない!私達がついてるよ!」

 

ゲキレッド「ああ、そうだな」

 

ラブリーの隣にゲキレッドも並ぶ。

 

ラブリー「悩み事があったら、相談してよ!あたしでよければ相談に乗るよ?力になるからさ、ねっ!」

 

ゲキレッド「俺も相談に乗るし、ゲキレンジャーの皆もいるから安心しろ」

 

ブルー「めぐみ...誠司君...ありがとう...」

 

ブルーはゲキレッド達に感謝する。

 

ブルー「君達が居てくれて良かった」

 

ゲキレッド「まあ、気にすんな」

 

ラブリー「うん!」

 

ゲキレッド「てかラブリー...お前あまり無茶するなよ?俺が居たから良かったものの1人だったらどうしたんだよ」

 

ゲキレッドはラブリーが最初ファントムに突っ込んだ事を注意する。

 

ラブリー「えへへ、ごめんごめん」

 

ゲキレッド「たくっ...まあ、次から気を付けろよ」

 

そう言ってゲキレッドはラブリーの頭をなでる。

 

ラブリー「う、うん////」

 

ブルー「ははは、めぐみも大変だね」




はい!如何だったでしょうか

合体技を七つの大罪風にしてみました。

ゲキレッドのは技ではないですけどいい感じに仕上がったんじゃないかと思います

3幹部のオリジナル武器はg-3x様から頂きました。

他にもファントムの必殺技や色々ありますので今後もご期待ください

あとめぐみと誠司のイチャイチャを少し書いたけどうまく書けていたかは自信がありません

合体技を放った後のハイタッチはフェアリーテイルのナツとルーシィを意識しました。

これからも他のメンバーとのイチャイチャも書いていけたらなと思います

お気に入り登録と評価の程、よろしくお願いします

では次回、14話もしくはアクセル・ビルド第5話でお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 ヒーロー登場!あいつはいかしたすごい奴!

どうも!話の内容を気にしすぎて、句読点入れ忘れるアホな作者!ナツ・ドラグニルです!

指摘頂いたsk-sanありがとうございます。

改めて、読んでみて気づきました...超読みづれぇ...特に合体シーン...

見た瞬間、自分が馬鹿じゃないのかと思い、笑ってしまいました。

今回は句読点を入れ忘れないよう、意識して書いたのでまだマシだと思います。

今までの作品も改善していっています。

また、スマホ投稿からパソコン投稿に変えました!

理由としてはスマホだと見づらい!それで見落としなどがある為、パソコンに変えました。

では作品をどうぞ!


日課の修行を終え、ゲキレンジャー組は誠司の家で、テレビを見ていた。

 

テレビ『イギリス最強のプリキュアがまさかの敗北。その後もモスクワ、シドニー、ローマなど世界各地で活躍するプリキュアが相次いで同じ強敵に敗れてしまいました。その強敵は!プリキュアハンターと名乗ったとのことですが、その正体は未だに謎に包まれています』

 

テレビには、3人のプリキュアを倒したファントムが映っており、増子が語っているが、どこか嬉しそうなのは気のせいだろう。

 

ラン「プリキュアハンターね...まさかそんな奴が居るなんてね」

 

テレビ『世界が、プリキュアが、大ピンチです!ゲキレンジャーもいますが、彼らでも太刀打ち出来ないのでしょうか!』

 

剛「テレビではこう言ってるけど、実際はどうだったんだよ」

 

誠司「確かにプリキュア達じゃ勝ち目はないかもしれないけど、俺達の敵ではないな」

 

剛の質問に誠司は答える。

 

リン「でもめぐみちゃん大丈夫かな...自信なくさなきゃいいけど」

 

誠司「相手はフォーチュンでも倒せない相手だったからな。まあ、ひめやゆうこがいるから大丈夫だろ」

 

誠司達が話していると、玄関の扉が開く音がして、しばらくするとリビングの扉が開き、真央が帰ってきた。

 

真央「ただいま~」

 

誠司「お帰り」

 

ラン・リン「おじゃましてます」

 

真央「あ、皆さんいらっしゃい」

 

真央はラン達に気づくと挨拶する。

 

ラン達は、たまに一緒に晩御飯を食べたりするので、真央だけでなくかおりさんとも顔見知りである。

 

真央「みんな揃って今日はどうしたの?」

 

誠司「あ、明日の潮干狩り大会について話してたんだよ」

 

誠司は先程までの事を話す訳にはいかないと思い、慌てて誤魔化した。

 

真央「あー!そっか!明日潮干狩り大会じゃん!準備しないといけないんだった!」

 

真央は誠司の言葉を聞いて潮干狩り大会の事を思い出し部屋に戻った。

 

剛「なんだ?潮干狩り大会って?そんなのがあるのか?」

 

誠司「ああ、良かったらお前たちもくるか?最後にみんなで取った貝を食べるんだ」

 

ケン「おっ!良いねぇ!行く!行く!」

 

ラン「私も!」

 

剛「たまにはいいかもな」

 

リン「そうね」

 

誠司「だったらあいつらにも連絡して確認するか」

 

誠司はキュアラインを取り出し、めぐみに連絡を入れる。

 

しばらくするとキュアラインに、めぐみの顔が映る。

 

誠司「よっ!」

 

めぐみ『もしかして潮干狩りのお誘いかな?』

 

誠司「当たりだ。みんなで行くだろ?」

 

めぐみ『勿論!』

 

誠司「こっちもラン達が参加する事になったから」

 

めぐみ『分かった』

 

そう言ってめぐみは通信を切る。

 

誠司「明日、朝マンションのバス停前で集合だから、遅れたら不味いし修行はなしだな」

 

ラン「そうだね」

 

剛「子供達の面倒も見ないといけないしな」

 

_____________________________

 

翌朝、誠司達はマンションのバス停前に集まり、子供達の面倒を見ていた。

 

『かわルンルン!』

 

めぐみがプリチュンミラーを使い、バスガイドに変わる。

 

めぐみ「みんな、おっはよう!今日は私がみんなのバスガイドさんでーす」

 

子供達「はーい!」

 

めぐみの挨拶に、子供達は元気良く返事をする。

 

めぐみ「これからバスに乗るからねぇ」

 

誠司「点呼とるぞー」

 

ゆうことランとリンは、にこにこと笑って子供達の面倒を見ており、ひめは子供達に追われていた。

 

剛とケンは、子供達に肩車や腕にぶら下げたりして、大人気だった。

 

そして一緒に来ていた理央は、子供達から怖がられていた。

 

誠司「なんだよその格好」

 

めぐみ「旅行を盛り上げようと思って」

 

誠司「まったく...えーと、誰かまだ来ていない奴いるか?」

 

真央「お兄ちゃん、まだ卓真が来てないよ」

 

卓真「俺ならここにいるぞ!」

 

誠司達が点呼をしていると、仮面とマントを付けた卓真が現れた。

 

卓真「疾風の如くかけつけて、疾風の如く貝を取る、卓真レッド!」

 

めぐみ「おー!」

 

真央「またやってる...」

 

卓真の格好にめぐみは驚き、真央は呆れていた。

 

えり「卓真君はゲキレンジャーのゲキレッドに、憧れているの」

 

めぐみ「そうなんだ」

 

ひめ(本人ここにいるけどね...)

 

卓真「この星の平和はオレが守る!」

 

真央「そんな事言っても何かあるとすぐ逃げるじゃん。すぐ泣くし」

 

卓真の言葉に、真央がすぐに指摘する。

 

卓真「そんなことない。今までは、まだ本気出してなかっただけで」

 

卓真は慌てて仮面を外す。

 

真央「うそばっかり」

 

卓真「嘘じゃない」

 

めぐみ「あのねぇ、実は私もヒーローなんだ」

 

卓真「え!」

 

誠司「!?」

 

ひめ「ちょっとめぐみぃ」

 

卓真と真央が言い合いをしていると、めぐみがいきなり爆弾発言をする。

 

その発言に卓真はうれしそうにし、誠司は驚き、ひめは慌てる。

 

めぐみ「ひめ、私は、めぐみピンクなんだ!」

 

ひめ「ぇ・・・ソウダッタノ?」

 

めぐみがプリキュアの事を暴露すると思っていたひめは、めぐみの発言に目が点になり、言葉も棒読みになっていた。

 

卓真「お姉ちゃん、ホントにヒーローだったのか?」

 

めぐみ「いざとなれば目からビーム出すよ」

 

めぐみはラブリービームのポーズをとり、『めぐビーム!』と叫ぶ。

 

卓真「だったらオレは! スーパー卓真弾!」

 

卓真はゲキレッドの砲砲弾を撃つ、ポーズを取る。

 

めぐみ「卓真レッドすごーい!」

 

卓真「めぐみピンクもな!」

 

ひめ「めぐみピンクってラブリーの色から取ってんのかな...」

 

誠司「だろうな」

 

めぐみ「それに誠司だって、スーパーヒーローなんだよ!ねっ!誠司レッド!」

 

誠司「俺まで巻き込むんじゃねぇよ...」

 

めぐみは何を思ったのか、自分が作った設定に誠司まで巻き込んだ。

 

卓真「すげぇ!スーパーヒーローって事は凄く強いのか?」

 

めぐみ「そうだよ!なんてったって、プリキュアよりも強いんだから!」

 

卓真「すっげー!じゃあゲキレンジャーとどっちが強いんだ!」

 

めぐみ「誠司レッドはね、ゲキレッドと同じくらい強いんだよ!」

 

真央「もー!めぐみちゃん、卓真に合わせないでよー!」

 

めぐみ達のやりとりに真央は怒り出す。

 

ラン「あれどうすんの?」

 

リン「まあ、嘘はついてないしそのままでいいんじゃない」

 

誠司「そうだな。っとそろそろ出発の時間だぞ!」

 

誠司は時計を見て、全員に声を掛ける。

 

めぐみ「あたし達も行こう! とお!」

 

卓真「とぉ~!」

 

めぐみが走り出すと、卓真もめぐみを追いかけ走り出す。

 

 

 

______________________________

 

めぐみ「美味しい海がいっぱいぱ~い♪ざっくりざくざく潮干狩り~!美味しく食べましょ、海の幸~♪」

 

移動中、めぐみはバスのマイクを使い、自作の歌を歌っていた。

 

めぐみ「バスガイドの愛乃めぐみです。潮干狩り大会へようこそ! 盛り上がっていくよ!」

 

子供達「はーい!」

 

めぐみの言葉で、車内は盛り上がる。

 

ひめ「テンション高!」

 

ゆうこ「かわいい」

 

真央「めぐみちゃんかわいい!」

 

ゆうこと真央が、めぐみの姿を絶賛する。

 

卓真「うぅ...吐きそう...」

 

ひめ「大丈夫!?」

 

ひめは卓真が気持ち悪くなっているのに気づき、慌ててエチケット袋を取り出す。

 

ひめ「はい、エチケット袋」

 

卓真「どうも」

 

ゆうこ「飴舐める?スッキリするよ」

 

ゆうこは飴をなめるように、勧める。

 

真央「卓真ったら、いっつもこうなんだから」

 

卓真「面目ない...」

 

真央は卓真の様子に呆れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、大会を行う浜辺に到着する。

 

誠司「注目しろー」

 

剛「みんな集まれー」

 

誠司達は大会の準備が整った為、子供達を集める。

 

めぐみ「みんな、準備はオッケーかな?」

 

子供達「はーい!」

 

卓真「バッチリだぜ」

 

真央「さっきまでグッタリしてたくせに」

 

バスの中とは違い、卓真が元気いっぱいな事に真央は、卓真をジト目で見ていた。

 

ゆうこ「1番いっぱい取った人にはおおもりご飯特製、焼きおにぎり!ダイナマイト大盛り盛りをプレゼント!」

 

賞品を聞き、子供達はやる気をみせる。

 

ゆうこ「じゅーじゅー焼くよ~。じゅーじゅー」

 

めぐみ「他にも美味しい参加賞いーっぱい用意してるからお楽しみにね~」

 

ゆうこ「ではでは潮干狩り大会」

 

めぐみ・ゆうこ「スタート!」

 

卓真「いっけー!卓真レッド!はまぐりゲットアターック!」

 

卓真は走りだすが、早々に石に躓いてこけてしまい、声を出さず泣いていた。

 

誠司「大丈夫か?」

 

誠司達がいち早く気付き、卓真を抱き起こす。

 

剛「しっかりしろ、ヒーローなんだから転んだ程度で泣くな」

 

ケン「そうだぜ!ヒーローだったら強くならなきゃな!」

 

理央「そんなんじゃゲキレンジャーみたいになれないぞ」

 

誠司「頑張れよ!」

 

誠司達の言葉に、卓真はハッとして立ち上がる。

 

卓真「おう!」

 

リン「はいタオル」

 

卓真「え、お...ど、どうも...」

 

ラン「頑張ってね!卓真レッド!」

 

卓真の目には、ラン達の姿が輝いて見えた。

 

卓真「まかせろー!」

 

卓真は、赤面しながら張り切る。

 

卓真「相楽ー!オレ今日なんかモテモテだぁ」

 

真央を追いかけ、卓真はそう言いだす。

 

真央「え?」

 

卓真「この調子で頑張るぞー!」

 

真央「バッカじゃないの!?」

 

走り去る卓真を見て、真央はそっぽを向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、他の場所ではゆうこが早速、大量のハマグリを掘り当てていた。

 

ゆうこ・リボン「これは美味しいハマグリのパワーを感じ(ますわ)るわ」

 

めぐみ「私はあっちで大量ゲットだぁ!」

 

めぐみは叫び、その場を離れる。

 

ひめ「これがハマグリか~」

 

ひめは自分が取ったハマグリを抱えると、水をかけれてしまう。

 

ひめ「うわぁ!水が出たぁ!」

 

ゆうこ「活きのいい証拠だよ!」

 

ひめは水をかけられたことに驚く。

 

卓真「よし、今こそヒーローが活躍する時だ!はまぐりサーチ、起動」

 

卓真は手で双眼鏡の形を作り、辺りを見回す。

 

卓真「ロックオン!はまぐりゲットストリーム」

 

両手に熊手を持って、4足歩行で走り出す。

 

卓真「フィニーシュ!」

 

走るのを止め、両手で掬いあげる。しかし取れたのは1つのみで、凄く小さかった。

 

ひめ「すくなっ!」

 

ひめが前から覗き込み、突っ込みを入れる。

 

真央「ホント、バカなんだから」

 

真央は呆れており、卓真はショックを受けていた。

 

めぐみ「貴重な1個だね」

 

ゆうこ「きっと美味しいよ」

 

ショックを受けていた卓真を、めぐみとゆうこは励ます。

 

卓真「よーし、2人を卓真戦隊の隊員にしてやろう」

 

ゆうこ「え、いいの?」

 

めぐみ「光栄であります」

 

めぐみは嬉しそうに敬礼する。

 

卓真「めぐみピンクとゆうこイエローの入隊を許可する」

 

卓真はめぐみ達に入隊を許可し、ゆうこにも名前が付けられた。

 

卓真「遂にオレもリーダー。くふふー!ヒーローって最高だぁ!」

 

卓真はリーダーになれたことに喜びを感じ、はしゃいでいた。

 

卓真「大量ゲット、スペシャルアターック!」

 

卓真は熊手を一振りするが、先程の派手な動作ではなく、地道に掘り始めた。

 

ひめ「地道に頑張りはじめた!」

 

ゆうこ「貝を取るにはそれが一番。せっせ、せっせ」

 

めぐみ「リーダー!自分も地道に頑張るであります」

 

卓真「頼むぞめぐみピンク!ライバルの誠司戦隊には負けるな!ひめルダーも頑張れ!」

 

ひめ「え、私はひめブルーじゃないの!?」

 

 

 

 

 

 

誠司「卓真の奴楽しそうだな」

 

剛「そうだな」

 

ケン「いつのまにかライバル扱いされてるけどな」

 

その時、誠司達は遠くで、めぐみ達の様子を見ていた。

 

真央「デレデレしちゃってバッカみたい!」

 

誠司「そう言うなって、あいつはいい奴なんだ。いつもみんなの役に立ちたいって思ってるさ」

 

真央「でも失敗ばっかだよ?」

 

誠司「そうだな。でもオレはアイツの事好きだぜ」

 

誠司と真央が卓真について話していると、誠司に理央が近づく。

 

理央「おい誠司、飯は何時になったら食べられるんだ?」

 

誠司「この大会が終わってからだから、もう少し待ってくれ」

 

理央「そうか...しかたないな」

 

そう言って理央は、その場から離れた。

 

ケン「あいつ、飯目当てで着いてきたのかよ」

 

剛「お前も似たようなもんだろ」

 

ケンが理央が着いてきた理由を指摘するが、ケンも似たような動機だった為、剛に突っ込まれてしまった。

 

真央「お兄ちゃん...あんな怖そうな人とも知り合いなの?」

 

理央が来たときから、ずっと誠司にしがみ付いて隠れていた真央が質問してきた。

 

誠司「ああ、あいつも俺の仲間の1人だよ」

 

真央「そ、そうなんだ」

 

誠司「まあ、見た目は怖いけど良い奴だから大丈夫だよ」

 

誠司はそう言って真央を安心させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆうこはめぐみ達の前に、ハマグリで一杯になったバケツを置く。

 

ゆうこ「任務完了でーす」

 

めぐみ「隊長のハマグリサーチのお陰で大量ゲットできました!」

 

卓真「うむ! めぐみピンクも頑張ったな!」

 

卓真はめぐみに、自分のお陰と言われあんぐりしていたが、卓真もめぐみの事を褒める。

 

ゆうこ「ハマグリってすごいよね」

 

ハマグリを凝視していたゆうこが呟いた。

 

めぐみ「すごい?」

 

卓真「どういうことだ? ゆうこイエロー!」

 

ゆうこ「焼いてよし煮てよし。小さいのに栄養満天で、みんなの為に活躍しているところ。卓真レッドも同じですね」

 

卓真「おお!」

 

めぐみ「確かに! リーダー、すごいっす!」

 

卓真「よーし、みんなの為にもっともっと頑張るぞー!」

 

めぐみ達の言葉を聞き、卓真は張り切る。

 

 

 

 

_____________________________

 

場所は変わり、会場から少し離れた灯台。

 

オレスキー「うむむ!いかん、いかんぞ。あの浜辺はあぶなーい!若いヤル気が満ち満ちている!ナマケルダ!」

 

ナマケルダ「はいはい、ヤル気が気にいらないのですね」

 

オレスキー「そうだ! ヤル気ある若い芽は...」

 

ホッシーワ「オレ様の出世の妨げになるものね」

 

メレ「だから早くつみに行くんでしょ...」

 

オレスキー「お前達ー、分かってきたようだな。オレ様の事が」

 

ナマケルダ達の言葉に、オレスキーは嬉しそうにする。

 

ホッシーワ「えー、めんどうくさ男だってね」

 

ホッシーワは嫌そうな顔をする。

 

ナマケルダ「ホント、めんどくさいですぞ」

 

そう言いながら、横になってたナマケルダは起き上がる。

 

メレ「はぁ...なんで私がこんな奴らと一緒に...」

 

オレスキー「イイカンジになってきたぞぉ。我らオレスキーチームは!」

 

3人「チーム!?」

 

オレスキーの言葉に、3人は驚く。

 

オレスキー「よし! ヤル気が出てきた!若い芽、つむぞ~!」

 

叫びながら、オレスキーは灯台の展望台から、飛び降りた。

 

ナマケルダ「1人で行っちゃいましたぞ」

 

ホッシーワ「ホント、めんどうくさ男!」

 

メレ「まあいい、私は好きに動かせてもらうぞ」

 

そう言ってメレも展望台から飛び降りた。

 

ホッシーワ「あいつもめんどくさい女ね...」

 

ナマケルダ「同感ですぞ...」

 

その場にはナマケルダとホッシーワが取り残された。

__________________________

 

 

誠司「よいしょっと」

 

誠司は鍬で、ハマグリを掘り出す。

 

『ありがとう』

 

誠司は子供達に感謝される。

 

誠司「ふぅ、そろそろ時間か...よーしみんな、あと10分だ」

 

ひめ「お」

 

卓真「何?あと10分!?」

 

めぐみ「隊長、ラストスパート頑張りましょう!」

 

ゆうこ「うふ」

 

卓真「おう!」

 

その時、真央が慌てて卓真に駆け寄ってきた。

 

真央「卓真!えりちゃんが大変なの、手伝って」

 

卓真「何!?」

 

真央に連れられ、卓真はえりのもとに向かい、手伝いをする。

 

ゆうこ「卓真くん偉いよね。誰かの役に立とうと頑張っているところ」

 

ひめ「隊長何してるの?」

 

ゆうこ「えりちゃんがまだ少ししか取れてないから、真央ちゃんと手伝っているのよ」

 

めぐみ「私も隊長を手伝いたいけど、真央ちゃん達の邪魔しちゃいけないもんね」

 

ゆうこ「そうだね」

 

ひめ「なるほどー」

 

リボン「なるほどですわー」

 

真央達の様子を見て、ひめとリボンはある事に気づいた。

 

リボン「それにしてもひめはともかくめぐみまで気づくとは思いませんでしたわ」

 

ゆうこ「そうね、昔のめぐみちゃんだったら、絶対に気づかなかっただろうし」

 

リボン「やっぱり恋する乙女だから、気づくものがあったのかもしれませんわね」

 

めぐみ「なっ///こ、恋する乙女って///べ、別にそんなんじゃ///」

 

ひめ「嘘ついたって駄目よ、私にはお見通しなんだから」

 

めぐみ「うぅぅぅぅ///そう言うひめやゆうゆうだって、誠司の事好きなんでしょ!」

 

ひめ「ちょっ!///」

 

ゆうこ「めぐみちゃん!///」

 

ひめとゆうこはめぐみが大声で言った為、誠司に聞こえると思い誠司の方を見て確認するが、本人は子供達の相手をしており聞いていないようだった。

 

ひめ・ゆうこ「ふう...」

 

ひめとゆうこは聞こえていなかった事に、安堵のため息を吐く。

 

ひめ「もう!///聞こえたらどうするのよ!///」

 

めぐみ「だって...」

 

誠司「何騒いでんだお前ら」

 

めぐみ・ひめ・ゆうこ「!?」

 

3人が後ろを振り向くと、さっきまで子供達の相手をしていた誠司が居た。

 

めぐみ「せ、誠司どうしたの?」

 

誠司「いや、お前達が騒いでるから、何かあったのかと思って」

 

ひめ「べ、別に何にも無いよ///」

 

めぐみ達は慌ててごまかそうとする。

 

ゆうこ「ソ、ソウダ!オリョウリノジュンビヲシナクテハ!サアイキマスヨ、ヒメルダー、メグミピンク!」

 

めぐみ「ソ、ソウダネ!」

 

ひめ「ワ、ワーイ、ハマグリジュージュー!」

 

リボン「ま、待ってくださいですわ~!」

 

めぐみ達は棒読みになりながら、調理場に駆けて行き、リボンはその後を追いかけていった。

 

誠司「なんだあいつら...」

 

残された誠司は、めぐみ達の行動を怪訝に思い、駆けていった方を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卓真達の所では、頑張って掘る卓真を見ているえり。真央もあんぐり顔でそうだったりする。

 

砂に汚れた顔をこすりながら頑張る彼に、真央は複雑な顔をしていた。

 

えり「あ!取れた!」

 

卓真「にひひ!」

 

しばらくすると、えりのバケツはハマグリで一杯になった。

 

えり「うわぁ、たくさーん!真央ちゃん、卓真くん、ありがとう!」

 

卓真「いいって事よ」

 

えりは手伝ってくれた真央と卓真にお礼を言う。

 

えり「でも、これじゃ卓真くんより私の方が多くなっちゃうよ?」

 

卓真「それでいいって」

 

えり「そんなの悪いよ。このままじゃ私が1番になっちゃう。卓真くんのバケツ持ってくる~」

 

えりは立ち上がり、卓真のバケツを取りに行く。

 

オレスキー「いかーん!」

 

卓真達の近くで、水柱が立ち上がる。

 

オレスキー「せっかく1番になれるのに、みすみす譲るなど愚かなお子様よ!」

 

卓真「何者だ!」

 

オレスキー「俺様登場~!」

 

卓真が問いかけると、水の中から神輿に乗った、オレスキーが現れた。

 

卓真「相楽、えり。ここは卓真レッドに任せて逃げろ」

 

卓真は真央とえりの前に立ち、2人を守ろうとする。

 

えり「でも」

 

真央「だめだよ~、卓真も一緒に鏡にされちゃうよ」

 

卓真に逃げるように言われた二人だったが、卓真を心配して逃げる事が出来なかった。

 

オレスキー「女子2人の前で格好つける。その様なうらやましい行為は、このオレスキー様が許されるのだ!」

 

真央「また私ー?」

 

オレスキーは、3人をまとめて鏡に閉じ込め、ハマグリの顔をしたサイアークを作り出した。

 

 

 

 

「あっ!サイアークですわ!」

 

その時、料理の準備や子供達の世話をしていた誠司達が、サイアークの存在に気付く。

 

オレスキー「若い芽を摘め!潮干狩りを台無しにするのだー!」

 

オレスキーの命令を受け、チョイアーク達は、ハマグリが入ったバケツをひっくり返す。

 

ひめ「わ、リーダー!」

 

めぐみ「また、真央ちゃんが!」

 

ゆうこ「リーダーは2人を守ろうそしたんだね」

 

誠司達が駆けつけ、真央達が鏡に閉じ込められている事に気付く。

 

誠司「お前ら!真央達を助けるぞ!」

 

『おう!』

 

誠司の掛け声で、それぞれ変身アイテムを構える。

 

3人「たぎれ!ケモノの力!」

 

剛「響け!ケモノの叫び!」

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

5人「ビースト!オン!」

 

理央「臨気凱装!」

 

『かわルンルン!』

 

3人「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!」

 

めぐみ達は光に包まれ、プリキュアに変身し、誠司達は、瞬間的にゲキスーツが装着される。

 

ゲキレッド「体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

ゲキバイオレット「紫激気!俺流!わが意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

ゲキチョッパー「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

理央「猛きこと獅子の如く。強きこと、また獅子の如く。黒獅子・理央」

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は、正義の証!」

 

6人「獣拳戦隊!ゲキレンジャー!」

 

ゲキレンジャーが、名乗り上げる。

 

ラブリー「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

ハニー「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

ラブリー「ハピネス注入!」

 

プリンセス・ハニー「幸せチャージ!」

 

3人「ハピネスチャージプリキュア!」

 

プリキュアが名乗り上げると同時に、チョイアーク軍団が襲い掛かりゲキレッド達は迎え撃つ。

 

ラブリーはパンチを放ち、別のチョイアークからの攻撃をガードし、パンチを放つ。

 

プリンセスはチョイアークにチョップを繰出し、後ろから来る2人のチョイアークを、左チョップで薙ぎ払い、更に後ろから来た1人に右回し蹴りを放ち、パンチを繰出す。

 

ハニーはハニーバトンを使い、2体のチョイアークを漂白する。

 

ゲキレッドは前から来るチョイアークに向って、パンチを放ち、後ろから襲い掛かってくる2体のチョイアークに、左足を軸にして蹴りを放つ。

 

ラブリー「私はフォームチェンジで行くよ!」

 

ラブリーはチェリーフラメンコにフォームチェンジする。

 

ラブリー「プリキュア!パッションダイナマイト!」

 

ラブリーはパッションダイナマイトを放ち、チョイアークを一掃する。

 

オレスキー「プリキュア、ゲキレンジャー、お前達も一番になりに来たのか?」

 

吹き飛ぶチョイアークを見送って、オレスキーが質問してくる。

 

ラブリー「1番とか2番とか関係ない」

 

ハニー「私達は美味しいハマグリを食べたいだけなんだから!」

 

プリンセス「みんなで集めたハマグリを楽しく美味しく分け合うのよ!」

 

オレスキー「へっ!オレ様が一番!ハマグリはすべてオレ様のモノなのだ!サイアーク!お前は手を出すな!こいつらは俺様が戦う!」

 

オレスキーはサイアークに命令するとミラージュから貰った武器を取り出す。

 

オレスキー「これはクイーンミラージュ様から頂いた俺様の新しい武器だ」

 

そう言ってオレスキーはプリキュアに襲い掛かる。

 

プリンセス「関係ないわ!卓真レッドはこの第3の隊員ヒメルダーが助ける!とう!」

 

ハニー「ゆうこイエローも行きますよ!」

 

ラブリー「リーダー!」

 

ラブリー達はオレスキーに立ち向かう。

 

剛「俺たちも負けてられないぞ!」

 

ゲキチョッパー「よし!燃えてきたぜ!」

 

ゲキレッド「行くぞ!」

 

メレ「待ちな!」

 

サイアークに立ち向かおうとした誠司達の目の前に、メレが現れる。

 

ゲキレッド「メレ!」

 

メレ「お前達の相手は私だよ」

 

メレはゲキレンジャーの前に立ちはだかる。

 

ゲキバイオレット「今回は誠司と理央も居るんだ!お前に負ける気がしないな!」

 

メレ「それはどうかな!新しい力を手に入れたのがあいつだけだと思ったら大間違いよ!」

 

メレは怪人体になると臨気を高めだした。

 

メレ「はあああああああ!!」

 

臨気を高めていたメレに変化が訪れる。

 

体の色が緑色からさらに深い緑、深緑になっている。

 

メレ「はあ...はあ...はあ...これがクイーンミラージュ様に臨気を強化して貰った、私の強化形態だ!」

 

ゲキバイオレット「おいおい、マジかよ...明らかに強さが上がっている...」

 

ゲキチョッパー「ああ...今までの比じゃねぇ...」

 

ゲキレッド「来るぞ!」

 

メレはゲキレッドに攻撃を仕掛ける。

 

メレ「はあ!」

 

メレの攻撃をゲキレッドが腕をクロスさせ受け止める。

 

ゲキレッド「ぐっ!」

 

ゲキバイオレット「はあ!」

 

ゲキバイオレットはすかさずメレに蹴りを放つ。

 

メレ「フッ!フン!」

 

メレはゲキバイオレットの蹴りを片手で受け止め、お返しとメレも蹴りを放つ。

 

ゲキバイオレットは蹴りを受け止めるが、受け止めきれず吹き飛ばされてしまう。

 

ゲキバイオレット「ぐあああああ!」

 

ゲキチョッパー「バイオレット!」

 

ゲキブルー「兄さん!」

 

チョッパーとブルーは飛ばされたバイオレットに駆け寄る。

 

ゲキレッド「理央!」

 

理央「分かっている!」

 

ゲキレッドと理央がメレの前に並び立つ。

 

ゲキレッド「ゲキワザ!砲砲弾!」

 

理央「臨気!剛勇吼波(ごうゆうこうは)!」

 

メレに虎とライオンの激気と臨気が襲い掛かる。

 

ゲキレッド「お前達はプリキュア達の援護を頼む!あいつは俺達で戦う!」

 

ゲキイエロー「分かった気をつけてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、プリンセスがプリンセスセイバーを召喚し、オレスキーが戦っていた。

 

プリンセス「はっ!はっ!はぁっ!」

 

プリンセスは下からの振り上げ、上からの振り下ろし等、縦横無尽に切りつけオレスキーを圧倒していた。

 

オレスキー「ふっ!まさかプリンセスがここまでやるとわ...」

 

プリンセス「当たり前でしょ!いつも修行してるんだから!」

 

ハニー「私達は簡単にやられたりはしないわ!」

 

ラブリー「卓真レッドのヒーロー魂は!この美しきプリキュアの魂が受け取りました!」

 

ラブリーは一歩前に出る。

 

ラブリー「ラブリーロサトルメンタ!」

 

ラブリーは花弁の竜巻を起こし、竜巻はオレスキーとサイアークを襲う。

 

オレスキー「何も見えん!」

 

ハニー「ハニースーパーソニックスパーク」

 

ハニーは両手のハニーバトンから光のクローバーを連射する。

 

サイアークに命中しダメージを受ける。

 

プリンセス「とばすよカッター!」

 

プリンセスは構え、プリンセスカッターを発射する。

 

オレスキー「うぇっと危ない!」

 

オレスキーはカッターを寸前でかわす。

 

ラブリー「情熱の炎を受けて、美味しくなってね!ラブリーファイヤーフェスティバル!」

 

ラブリーが舞うと炎が発生する。

 

ラブリー「オ・レ!」

 

炎が一際強くなり、サイアークの顔の貝から身が出てくる。

 

オレスキー「いかーーーーーーん。美味しく焼きあがってしまうではないか」

 

そして遂に頭の貝が開ききってしまう。

 

ハニー「後は美味しく頂くだけね」

 

ラブリーは通常のフォームに戻り、ハニーの言葉に頷く。

 

ハニー「ハニートンファー!」

 

ハニーはハニートンファーを召喚する。

 

ハニー「プリキュア!甘撲舞!」

 

ハニーの必殺技がサイアークに命中する。

 

ラブリー「やった!後は巨大化するサイアークだけだね!」

 

ゲキイエロー「みんな!大丈夫?」

 

その時、ゲキイエロー達が合流する。

 

ラブリー「ランちゃん!」

 

イエロー「ラブリー...レッドも言ってるけど今はイエローって言ってほしいんだけど」

 

チョッパー「それより、こっちは大丈夫だった見たいだな」

 

プリンセス「大丈夫って何が?」

 

ブルー「それは...」

 

ドッカーン!!

 

ゲキレッド・理央「ぐあーー!!」

 

説明しようとした瞬間、爆発と共にゲキレッドと理央が吹っ飛ばされてくる。

 

ラブリー「誠司!?」

 

ラブリーはゲキレッドに、駆け寄る。

 

プリンセス「嘘!?あの2人が吹っ飛ばされるなんて!?」

 

ハニー「一体何が!?」

 

ゲキレッド達が飛ばされて来た方から、メレが歩いてきた。

 

ゲキチョッパー「マジかよ...あの2人でも勝てないなんて...」

 

ゲキイエロー「どうするの?」

 

イエロー達がレッド達を介抱しながらメレに警戒をする。

 

メレ「なんだいもう倒されたのかい?」

 

オレスキー「お前...なんだその姿...」

 

オレスキーはメレの変化に驚く。

 

メレ「新しい力を貰ったのは、お前達だけじゃ無かったってことさ」

 

プリンセス「嘘でしょ...誠司達でも勝てない程の力なんて...」

 

メレ「まあ、サイアークがやられたならこれ以上いても意味無いわね」

 

そう言ってメレはテレポートでその場から消えた。

 

サイアーク「サ、サイアーク!!」

 

メレが去った後、サイアークが巨大化する。

 

ゲキレッド「取り合えず...サイアークを倒すぞ!」

 

ゲキレッドが胸を押さえながら、立ち上がる。

 

ラブリー「大丈夫なの?」

 

ゲキレッド「サイアークを倒すぐらいだったら大丈夫だ。行くぞ!」

 

『ゲキワザ!獣拳合体!』

 

ゲキビーストを召喚し、合体させる事でゲキトージャが完成する。

 

『ゲキトージャ!バーニングアップ!』

 

増子「さあ!いつもの巨大ロボ戦が始まりました!今回も司会は私、増子美代がお送りします!」

 

理央「この女、いつ現れた...全然気づかなかったぞ...」

 

ハニー「ははは...」

 

ゲキバイオレット「理央...気にしたら負けだ...」

 

そんなやり取りをしてる間にも、ゲキトージャはサイアークと戦闘を始める。

 

増子「おおっとゲキトージャがサイアークに攻撃を仕掛けた!先手必勝だ!」

 

ゲキトージャはサイアークにパンチやキックを放ち、ダメージを与える。

 

増子「サイアークにパンチとキックの応酬だ!しかし心なしか、いつもよりゲキトージャの動きが鈍く感じます!」

 

ゲキチョッパー「ゲキトージャは3人で操縦するが、3人の内誰かが受けているダメージも共有してしまうんだ。恐らく先程のメレとの戦闘によるダメージが残っていたんだろう」

 

増子「なるほど!どうなるゲキトージャ!」

 

『ゲキワザ!来来獣!ゲキシャーク!』

 

ゲキトージャからゲキシャークが召喚される。

 

増子「おお!ゲキトージャから新たなゲキビーストが召喚されました!」

 

『獣拳武装!』

 

ゲキシャークが3つに分割し、頭部と両腕に装着する。

 

『ゲキシャークトージャ!バーニングアップ!』

 

ゲキチョッパー「あれはゲキレッドのゲキビートの1体、『ゲキシャーク』が合体した姿!『ゲキシャークトージャ』だ!尾びれを分割したシャークセイバーによる二刀流と水中戦を得意とする武装だ!」

 

『はっ!はっ!』

 

増子「サイアークにゲキシャークトージャの二刀流が繰り出される!もはやサイアークに成すすべはありません!」

 

『ゲキワザ!大頑頑斬!』

 

頭上にシャークセイバーを構え、きりもみ回転しサイアークに突っ込む。

 

サイアーク「サイアーク!」

 

ドッカーン!!

 

必殺技を受け、サイアークは爆発し消滅する。

 

『ゲキシャークトージャ!WIN』

 

増子「決まりました!本日もゲキレンジャーの勝利です!」

 

オレスキー「くそー!」

 

サイアークがやられた事に、オレスキーは悔しがる。

 

ハニー「オレスキーさん、一緒にハマグリ食べましょう」

 

オレスキー「え、いいのか!?」

 

ハニーの提案にオレスキーは嬉しそうにする。

 

オレスキー「はっ!オレ様に優しくしても無駄だぞ! その手は桑名の焼きハマグリだ」

 

オレスキーはすぐに我に返り、テレポートでその場から消える。

 

 

 

 

 

 

 

えり「助けてくれてありがとう」

 

真央「私なんか2回目だよ~」

 

ラブリーはえりに手を取られながら、感謝される。

 

プリンセス「幻影帝国には気をつけるんだよ」

 

プリンセスの言葉に真央とえりは頷く。

 

ラブリー「卓真レッド!」

 

俯く卓真にラブリーは声を掛ける。

 

ラブリー「カッコ良かったよ!」

 

プリンセス「勇気あるじゃん」

 

ゲキチョッパー「ああ、男だったぜ!」

 

ラブリー達が励まし、チョッパーは卓真の背中を叩き励ました。

 

ゲキレッド「お前は充分立派なヒーローだ!自信持て!」

 

そう言ってゲキレッドは卓真の頭を撫でた。

 

バイオレット「じゃあな!卓真レッド!」

 

ハニー「リーダー、またね!」

 

最後にハニーが励まし、プリキュアは羽を出し空の彼方まで飛び、ゲキレンジャーは跳躍してその場を離れた。

 

卓真「ゲキレンジャー...プリキュア...まじですげぇよ。やっぱりヒーローはあぁでなくちゃな!」

 

ゲキレンジャー達の姿に卓真は尊敬していた。

 

えり「卓真くんもすごかったよ。幻影帝国に立ち向かったんだもん」

 

真央「まぁね...。仮面卓真って子供っぽいと思ってたけど、あたし卓真のこと見直した!」

 

真央は前半はそっけなく言いつつ、後半は普通に褒める。

 

卓真「オレ、ヒーローとしてみんなを守ろうとしてきたけど、何時も上手くいかなくて、そんな風に言ってもらうの初めてで...」

 

卓真は2人に褒められたのが嬉しかったのか、半べそかきながら呟く。

 

卓真「オレ、ヒーローやっててよかったぁ!」

 

 

 

 

そんな光景を、誠司達は遠くから見ていた。

 

めぐみ「リーダーが真央ちゃんに認められて良かったぁ!」

 

3人のやり取りを見てめぐみはうれしそうにする。

 

リボン「これは!灼熱のサンバのパワーを感じますわ」

 

リボンから出てきたのは『レポーター』と『ココナッツサンバ』だった。

 

ひめ「これは新しいフォームチェンジのカード」

 

めぐみ「レア? レアなの?」

 

ゆうこ「ココナッツサンバかぁ。どんな技を出そうかしら」

 

 

 

 

場所は変わり、みんなで取ったハマグリを食べていた。

 

めぐみ「これはご飯何杯でもいけるよ~!」

 

ゆうこ「リーダー、ご飯のお代わりいかがですか?」

 

卓真「頼むゆうこイエロー!」

 

誠司「ゆうこ、俺も頼む」

 

真央「こっちもお願いしまーす」

 

ゆうこ「喜んで」

 

ゆうこが配膳しており、みんなのおかわりを用意していた。

 

ひめ「潮干狩りっておいしい」

 

ひめは身を食べてうっとりしていた。

 

めぐみ「美味し過ぎて幸せハピネス!」

 

その後、ケンとひめが食べ過ぎてお腹壊したのは別の話。




はい!如何だったでしょうか!

メレの強化形態を考えて頂いたg-3x様ありがとうございます。

今後の展開としましては、理央がメレに敗北した事によって、このままじゃ助けられないと憤りを感じ、自分を強化するオリジナル回をどこかで書きたいと思います。

また、理央の強化形態もg-3x様に考えて頂きました。

そしてフォーチュン加入後!オリジナル劇場版を書きたいと思います!

その時!プリキュアに新たな力が生まれます!

その力もg-3x様のアイデアです。

旨く書ければなぁ...

内容としてはゲキレンジャー対ゴーオンジャーの話に似せて書こうかなと思います。

では次回!第15話もしくはアクセル・ビルド第6話でお会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オールスターズ大集合!プレシャスを見つけ出せ!
ボウケンジャーとの再会!黒獅子王・理央降臨!!


どうも!ナツドラグニルです!

なんとお気に入りが60件突破しました!

ここまで投稿できたのも、皆様の応援があってこそです。

本当にありがとうございます。

活動報告に上げた通り、今回理央強化会を2話にかけて投稿いたします。

では作品をどうぞ!


-ぴかり山-

 

そこで修行する者が1人居た。

 

理央「はあ!」

 

そこには、10個以上の丸太を縄で吊るして振り子のようにし、迫ってくる丸太に攻撃をする理央がいた。

 

理央「はー!はあっ!」

 

理央は迫ってきた丸太に、強烈な一撃を浴びせる。

 

バコーン!!

 

理央「はっ!はっ!はあっ!」

 

次々と丸太を粉砕し、最後の一本は右回し蹴りで粉砕する。

 

理央「はあ...はあ...はあ...、まだだ..こんなんじゃ全然足りない...あいつを救う為には...」

 

理央は強化したメレに負けた事により、憤りを感じていた。

 

強くなる為に、オーバーワークになるまで修行を行っていた。

 

理央「待っていろメレ」

 

この時、理央は誰かが自分を呼んでいるような気がして、辺りを見回したが気のせいだと思い修行を再開した。

_____________________________________

 

-幻影帝国のアジト-

 

ミラージュ「それで?いつになったらこの世界は不幸に包まれるのかしら?」

 

ミラージュの前にナマケルダ、ホッシーワ、オレスキー、メレ、そしてファントムがひざ間づいている。

 

ファントム「申し訳ございません。思いのほか、ゲキレンジャーに苦戦してしまいまして」

 

ミラージュ「へー、ファントムでも苦戦するとなるともう少し考えないといけないわね」

 

ファントムの報告にミラージュは対策を考える。

 

ディープミラー「それなら良い物があります」

 

ファントム「何?」

 

ディープミラー「この世界の何処かに、別の世界から渡ってきた刀があります」

 

ミラージュ「刀ですって?」

 

ディープミラー「はい、その刀を手にした者には莫大な力を与えると言われています」

 

オレスキー「そんな刀があるのか...」

 

メレ「クイーンミラージュ様!その刀の回収にはこのメレに行かせてください!」

 

今まで黙っていたメレが突然立ち上がり名乗り上げる。だがその様子は誰が見ても明らか様に様子が可笑しかった。

 

ミラージュ「ええ、良いわよ」

 

ホッシーワ「何よあんた、強化して貰ったのにまだ足りないって言うの?」

 

メレ「黙れ!」

 

ホッシーワ「きゃあ!!」

 

いつもみたいにメレに突っかかろうとしたホッシーワだったが、メレに吹き飛ばされてしまった。

 

メレ「ふふふふふ...」

 

ナマケルダ「なんか様子が可笑しいですぞ」

 

オレスキー「ああ、この前の強化してからな...」

 

メレの様子が可笑しい事にナマケルダとオレスキーが指摘する。

 

ミラージュ「その刀があるのは確かなのね」

 

ディープミラー「はい、そしてその刀の名は...」

 

_____________________________________

 

―サージェスミュージアム―

 

 

暁「獅子黒刀?」

 

ミスターボイス「ああ、それがそのプレシャスの名前だ」

 

ここは、轟轟戦隊ボウケンジャーのアジト、サージェスミュージアムのサロン。

 

ボウケンレッドの明石 暁がプレシャスの名前を復唱する。

 

ミスターボイス「その刀は手にした者に莫大な力を与えるが、力が強すぎるあまり、手にしようとした者はその場で命を落としてるんだ」

 

真墨「そんな危険なプレシャスが存在するのか」

 

さくら「急いで回収に向かいましょう!」

 

ボウケンブラックの伊能 真墨がプレシャスの情報に驚き、ボウケンピンクの西堀 さくらが立ち上がり、急いで向かおうとするのをミスターボイスが止める。

 

ミスターボイス「待ってくれ!そう簡単な話じゃないんだ!」

 

蒼太「簡単じゃない...と言いますと?」

 

慌てて止めるミスターボイスに、ボウケンブルーの最上 蒼太が質問する。

 

ミスターボイス「実は...そのプレシャスの反応があったのは、こことは別の世界なんだ」

 

『別の世界!?』

 

映士「なんで別の世界にプレシャスの反応があんだよ」

 

ミスターボイスの言葉に、ボウケンシルバーの高丘 映士が意見する。

 

ミスターボイス「経緯は分からないが、元々こっちにあったのがその世界に飛ばされたみたいなんだ」

 

菜月「えー!じゃあ、どうやって回収するの!?」

 

真墨「菜月の言う通りだ。行く方法が分からなければ、回収することすら出来ないぞ」

 

ミスターボイスの言葉を聞き、ボウケンイエローの間宮 菜月が叫び、真墨も同調する。

 

ミスターボイス「そこは今、牧野君に調べて貰っている」

 

暁「牧野先生が?」

 

蒼太「調べるってどうやって?」

 

牧野「すみません。お待たせしました」

 

蒼太が疑問に思っている所に、牧野がサロンに入ってきた。

 

牧野「プレシャスが飛ばされた世界について、幾つか分かった事があります」

 

暁「別の世界なのにもう情報を手に入れたんですか?さすが牧野先生ですね」

 

牧野が情報を手に入れた事に暁は賞賛する。

 

牧野「いえ、今回は美希さんのお陰で調べる事が出来ました」

 

さくら「美希さん?たしか誠司君達をサポートしていた方ですよね?」

 

映士「ああ、ゲキレンジャーの!」

 

牧野の言葉を聞いて、以前会った事のあるゲキレンジャーを思い出す。

 

真墨「でも、なんで美希さんがその世界の事知ってたんだ?」

 

牧野「なんでも、その世界はゲキレッドの相楽誠司君の生まれた世界なんです」

 

暁「え?ということは、誠司は別の世界の人間だったって事ですか?」

 

牧野「どうやらそのようです」

 

映士「マジかよ...」

 

驚きの新事実にメンバーは、驚愕する。

 

牧野「しかもその世界にはスーパー戦隊とは別の戦士達がいるそうです」

 

さくら「別の戦士?」

 

牧野「プリキュアという戦士で、歳は誠司君と同い年の女の子ばかりだそうです」

 

蒼太「同い年って...たしか誠司君はまだ中学生でしたよね」

 

菜月「そんな子達が、私達みたいに戦ってるんだ!すごーい!」

 

牧野からプリキュアについて説明を受け、蒼太と菜月は自分達より年下の女の子が戦っている事に驚く。

 

牧野「それで、ゲキレンジャー全員がその世界に渡り、一緒に戦っているみたいなんです」

 

暁「という事は、その世界に行く方法があるって事ですか?」

 

牧野「はい、七拳聖様の力を借りれば、可能との事です」

 

真墨「よし!それなら直ぐにその世界に渡り、誠司達にも協力して貰おう。そして、危険なプレシャスを回収、もしくは破壊する!」

 

『了解!』

 

___________________________________

 

 

―大使館―

 

めぐみ達プリキュア組と、誠司達ゲキレンジャー組が大使館で準備をする為、朝早くから行っていた。

 

今日は、夢の世界の騒動で会った歴代のプリキュア達が遊びにくるので、パーティーを行う事にした。

 

ケン「それにしても、俺達は会った事ないが結構人数いるのか?」

 

誠司「確か、めぐみ達を除くと、30人以上は居たと思うぞ」

 

剛「そんなにいるのか?」

 

リン「しかも殆どが、私達と同い年の子達よ」

 

ケン「それさ、俺達いてもいいのか?」

 

剛「確かにな、誠司と理央は会った事あるから良いけど、俺達は初対面だぞ」

 

誠司「大丈夫だろ、そんな事気にしないだろうし」

 

剛達が人数を確認すると、さすがに多いからか怪訝に思っていたが、誠司が指摘する。

 

めぐみ「あ~!早く来ないかな~!楽しみすぎる!」

 

ひめ「めぐみ~、気持ちは分かるけど少し落ち着きなよ」

 

忙しないめぐみをひめが落ち着かせようとする

 

ゆうこ「私も楽しみだな。前回、私は会ってないもの」

 

誠司「まあ、ゆうこが合流する前の話だからな」

 

誠司はゆうことある程度話すと、理央に話し掛ける。

 

誠司「あまり1人で思い悩むなよ...俺達もいるんだからな」

 

理央「ああ、そうだな...」

 

誠司の言葉に、理央は生返事する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、誠司達は準備を終えて、他のプリキュア達の到着を待っていた。

 

めぐみ「約束の時間まであと少しだね!」

 

誠司「分かったから少し落ち着け」

 

我慢できないのかずっとそわそわしているめぐみを、誠司が落ち着かせる。

 

ピンポーン!

 

その時、大使館のチャイムが鳴る。

 

めぐみ「来た!!」

 

チャイムに反応し、めぐみは立ち上がる。

 

リボン「私が行って来ますわ」

 

そう言ってリボンが玄関に向かう。

 

しばらくすると、ドキドキ組を先頭にぞろぞろと部屋に入ってきた。

 

マナ「めぐみちゃん!久しぶり!」

 

めぐみ「うん!ひさしぶり!マナちゃん!」

 

さっそくめぐみとマナが手を取り合って喜んでいた。

 

六花「もう、マナ少しは落ち着きなさいよ」

 

誠司「めぐみ、お前もだ」

 

六花と誠司が、テンションが高かったお互いの幼馴染を止める。

 

マナ「ごめん、六花」

 

めぐみ「つい、嬉しくなっちゃって...」

 

止めた事により、テンションが元に戻る。

 

ありす「ふふふ、マナちゃんずっと楽しみにしてましたものね」

 

真琴「ええ、分かり易いぐらいに」

 

ゆうこ「そうなんだ、こっちと同じね」

 

その時、我慢できなくなったのか他のプリキュア達も話しかけて来た。

 

みゆき「もう!ずるいよ!マナちゃんばっかり!楽しみにしてたのは私達も一緒なんだから!」

 

響「そうだよ!」

 

マナ「ごめーん!みんな」

 

その後、騒ぐメンバーを落ち着かせて今は妖精達も加えた、ゲキレンジャーに対しての質問コーナーが開かれていた。

 

その間、ラケルとランスはあいちゃんに耳をしゃぶられていた。

 

つぼみ「え!?じゃあ誠司君以外のメンバーは、こことは別の世界の人なんですか!?」

 

ラン「ええ、そうよ」

 

ハミィ「別の世界の戦士なんて凄いニャ!」

 

誠司達の回答を聞き、ラン達が別の世界の人間だと聞いた知らなかったメンバーは騒然としていた。

 

タルト「でも、なんで別の世界の戦士がここにいるんや?」

 

誠司「それは俺がラン達の世界に飛ばされたからだ」

 

なぎさ「飛ばされた?」

 

タルトの質問に誠司が答えると、なぎさが聞き返した来た。

 

誠司「そうだ、俺は中1の始めの頃、ラン達の世界に飛ばされたんだ。そこでゲキレンジャーとして戦い、宿敵を倒して帰ってきたんだよ」

 

咲「おおー!なんか凄そう!」

 

リン「それで元の世界に戻った誠司を、私達が追いかけてきたって事」

 

のぞみ「追いかけて来たって...ランちゃん達の世界は大丈夫なの?」

 

リンの言葉にのぞみが指摘する。

 

剛「心配要らない。今は俺達の後輩が守ってるからな」

 

ラブ「後輩?スーパー戦隊にも私達みたいに先輩、後輩があるの?」

 

ケン「ああ、いるぜ」

 

誠司「ちなみに俺達は31番目のスーパー戦隊だ」

 

あかね「31番目!?」

 

なお「スーパー戦隊ってそんなにいるの!?」

 

誠司「ああ、俺達を含めて179人もいるからな」

 

奏「179人!?」

 

アコ「想像できないわね」

 

スーパー戦隊の人数に全員驚愕する。

 

やよい「ねえ!ゲキレンジャーには強化形態とかないの!?」

 

やよいが興奮気味に、誠司に対して質問する。

 

誠司「ああ、俺はスーパーゲキレッド、ランはスーパーゲキイエロー、リンにはスーパーゲキブルーていうのがあるぜ」

 

興奮気味のやよいに誠司は圧倒されながらも、質問に答えた。

 

やよい「どんな力なの!?」

 

誠司「激獣拳の基本は『激気(げき)』と呼ばれる気を使うんだが、この激気の上に『過激気(かげき)』という究極の気が存在するんだ。それは『激気を超えた激気』と呼ばれる至高の境地で、誰も習得できなかった幻の力なんだ」

 

マナ「え!?じゃあ3人はそんな凄い力を習得したって事!?」

 

シャルル「凄いシャル!」

 

キャンディ「かっこいいクル!」

 

誠司の説明を受け、殆どの者が驚愕する。

 

やよい「強化する事で何か変わったりするの!?」

 

誠司「前に見せたゲキタイガー達とは違う、ゲキビーストを召喚する事が出来るんだ」

 

やよい「他にも召喚できるの!?どんな動物なの!?」

 

やよいは説明を聞く度にテンションが上がっており、誠司に詰め寄って行く。

 

誠司「俺がゲキゴリラ、ランがゲキペンギンでリンがゲキガゼル。その3体を合体する事で、ゲキファイヤーが出来るんだ」

 

やよい「凄い!凄い!凄い!スーパー戦隊ってかっこいいんですね!!」

 

誠司「ああ...、気持ちは嬉しいが少し落ち着け」

 

誠司は説明しながらも、キラキラした目で詰め寄ってくるやよいから距離を置く為、後ずさりしていたが壁に追い詰められてしまった。

 

なお「ちょっ!落ち着きなよやよい!」

 

あかね「あんたテンション可笑しな事になってるで!いつもの人見知りな性格は何処にいったんや!」

 

さすがにやよいが暴走していたので、咄嗟になおとあかねが止めに入る。

 

その後、なんとかやよいの暴走を止めて、全員一息ついていた。

 

れいか「すみません誠司さん。やよいちゃんスーパーヒーローが好きだから、テンション上がっちゃったみたいでして...」

 

誠司「大丈夫だ。少し驚いただけだから」

 

みゆき「ははは...、やよいちゃんパーティーが決まった時からテンション高かったけどね..」

 

みゆきは苦笑しながら呟く。

 

やよいの暴走があった為、質問タイムは終了し用意したお菓子などを食べて、誠司達がゆっくりしていたその時。

 

ピンポーン!

 

突然来訪客を知らせるチャイムが鳴った。

 

ケン「ん?まだ来てない奴がいたのか?」

 

マナ「いえ、もう全員来てる筈だけど...」

 

ひめ「じゃあ、誰?」

 

突然の来訪者にプリキュアメンバーは困惑する。

 

ブルー「誰か分からないから僕が行くよ。リボンが出るわけには行かないからね」

 

リボン「お願いしますわ、神様」

 

ブルーは玄関に向かい、来訪者を確認しに行った。

 

めぐみ「誰が来たんだろ?」

 

誠司「分からないが...、場所を事前に知っていなければ、ここに来ることは出来ないだろ」

 

剛「ああ、少し用心していた方がいいな」

 

しばらく待っているとブルーが部屋に戻ってきた。

 

ブルー「誠司君、どうやら君のお客様みたいだ」

 

誠司「俺?」

 

ケン「何で誠司がここにいる事知ってんだよ」

 

誠司は自分に客が来た事に驚き、ケンはブルーに対して質問する。

 

ブルー「一度、誠司君の家に向かったら、妹さんからここに居ることを聞いて尋ねてきたらしい」

 

ラン「なるほど、それで相手は誰だったの?」

 

ブルー「明石暁って名乗ったけど、誠司君の知り合いかい?」

 

5人「なっ!?」

 

ブルーの口から告げられた名前を聞き、誠司達は驚きの声を上げる。

 

誠司「ブルー、もしかしてその人以外に5人ぐらい居なかったか?」

 

ブルー「ああ、男の人が3人、女の人が2人いたよ」

 

ケン「なんで、あいつらがここにいんだよ」

 

ブルーの回答にケンがさらに驚く。

 

ゆり「なにをそんなに驚いているの?」

 

剛「驚くのも当たり前だ。その人たちはこの世界の人間じゃないからな」

 

『え!?』

 

剛の回答にプリキュア全員が驚く。

 

いつき「ここの世界の人間じゃないって、もしかしてその人たちも剛さん達の世界の人ですか?」

 

リン「ええ、その人たちは私達の1つ前の先輩、轟轟戦隊ボウケンジャーの人たちよ」

 

えりか「え!?轟轟戦隊って事は、誠司君達とは別のスーパー戦隊ってこと!?」

 

暁「そういうことだ」

 

えりかの質問に答えたのは、いつの間にか部屋に入っていた暁だった。

 

暁「久しぶりだな誠司」

 

誠司「暁さん!お久しぶりです!」

 

誠司は暁に近づき握手をする。

 

暁「すまないな、いきなり入って」

 

ブルー「いや、問題ないから気にしないでくれ」

 

暁はいきなり入った事をブルーに謝罪するが、気にしていないようだった。

 

ラン「それにしても、なぜ暁さんがこっちの世界に?」

 

暁「それはこれから説明する」

 

暁はそう言って説明する為に、他のメンバーを部屋に入れた。

 

余談だが、2代スーパー戦隊が揃った事で、やよいがまた暴走するが、それは別の話。

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

暁「さて、まずは自己紹介をしよう。俺は明石暁、轟轟戦隊ボウケンジャーのチーフ、ボウケンレッドだ」

 

さくら「ですから’元’チーフですよ、暁さん」

 

暁「そうだったな、すまないさくら」

 

暁とさくらのやり取りを見て、ケンと映士が後ろの方で小声で話していた。

 

ケン「なあ、おたくの所のレッド達はなんか進展あったのか?」

 

映士「特に進展はないな、さくら姐さんは帰ってきてからは苗字で呼んでたが、しばらくしたら普通に名前で呼んでたぜ」

 

ケン「なるほどな」

 

映士「そっちはどうなんだよ」

 

ケン「こっちはラン達だけじゃなくプリキュアの3人も誠司の事が好きで、他にも脈ありが1人居る」

 

映士「マジかよ...、そっちは面白い事になってんだな」

 

ケン「ああ」

 

ニヤニヤしながら話していたケン達だったが、映士は右肩を掴まれ、ケンは両肩を掴まれた。

 

錆付いたロボットのようにギギギっと後ろを向くと、映士の肩にさくらの手が、ケンの肩にランとリンの手が掴まれていた。

 

3人の目は冷たく凄く恐ろしかった、2人はだらだらと冷や汗を流していた。

 

その後、映士はさくらに、ケンはランとリンにボコボコにされ、後ろに転がされていた。

 

真墨「えー、あの馬鹿達は放っておいて自己紹介を続けるぞ。俺が現チーフ、ボウケンブラックの伊能 真墨だ」

 

蒼太「僕はボウケンブルーの最上 蒼太だ。宜しく」

 

菜月「私はボウケンイエローの間宮 菜月!宜しくね!」

 

さくら「私はボウケンピンクの西堀 さくらと言います。宜しくお願いします」

 

真墨「ちなみにそこで転がってるのはボウケンシルバーの高丘 映士だ」

 

さくら「別に覚えなくても大丈夫ですよ」

 

真墨の言葉の後、さくらは笑いながら答えていたが、目は笑っていなかった。

 

先程の一部始終を見ていた者は苦笑していたり、気の弱い者は後ろに隠れていたりした。

 

ちなみに妖精達は一箇所に集まり、震えて抱き合っていた。

 

シプレ「あの人達凄く怖いですぅ...」

 

ポプリ「恐ろしかったでしゅ...」

 

妖精達の幼い者達は殆どが涙目になっており、3人は自分が恐れられている事に気がついていなかった。

 

真墨「それで俺達が来た理由だが、この世界にあるプレシャスの回収する為なんだ」

 

祈里「プレシャス?」

 

暁「プレシャスとは俺達の世界に存在する、危険な力を秘めた宝の事だ」

 

蒼太「中には地球その物を破壊できる程の力を持っている物もあるんだ」

 

さくら「私達はそのプレシャスを見つけ出し、保護、又は破壊を目的とした組織なんです」

 

祈里の質問に暁達が答える。

 

せつな「でも、なんでそちらの世界の物がこの世界に?」

 

真墨「それは俺達も分からないんだ。何かのきっかけでこっちの世界に渡ったみたいなんだが...」

 

せつなの問いに真墨が答える。

 

誠司「それで、そのプレシャスは何処にあるんですか?」

 

暁「あそこだ」

 

暁が指差し、その先にはぴかり山が見えていた。

 

めぐみ「え!?ぴかり山!?」

 

ゆうこ「こんな近くにそんな危険な物が...」

 

この時、理央は今朝の事を思い出し、自分を呼んでいたのはそのプレシャスじゃないかと考える。

 

暁「それで誠司達にも協力して貰いたいんだ」

 

暁は誠司達に協力を申し出る。

 

誠司「分かりました協力します」

 

ラン「そうね、そんな危険な物があるなら黙って見てる訳にも行かないし」

 

剛「ああ、皆で力を合わせれば何とかなるだろう」

 

真墨「すまない、助かる」

 

暁の申し出に誠司は了承し、他の者達も賛同する。

 

めぐみ「だったら私達も協力するよ!ねっ!皆!」

 

マナ「そうだね!皆で力を合わせよう!」

 

『うん!』

 

めぐみとマナの言葉にプリキュア全員が頷く。

 

誠司「よし!準備が出来次第、出発だ!」

 

『おー!』

 

誠司の掛け声に、全員が声を上げる。

 

 

 

____________________________

 

 

 

 

誠司達はプレシャスの反応を確認しながら、ぴかり山を登っていた。

 

誠司「そろそろ休憩した方がよさそうだな」

 

めぐみ「なんで?いくらなんでも早くない?」

 

ひめ「まだ、そんなに登ってないよ」

 

誠司の提案にめぐみとひめは腑に落ちない様子だった。

 

剛「何が起こるか分からないからだろ」

 

暁「確かにそれは一理あるが、さすがに早すぎるんじゃないか?」

 

誠司「それもありますが...あいつらがもう限界みたいなので」

 

そう言って誠司が指差す方を見ると、体育系の者は少し離れた所に疲れている様子で登っていたが、文化系の者は随分離れた所で足取りがゾンビみたいにゆっくりと登っていた。

 

剛「休憩するか...」

 

ケン「そうだな」

 

事情を把握し、誠司達は休憩する事にした。

 

さくら「すみません、自分達のペースで登っていたので、他の皆さんの事を考えていませんでした」

 

マナ「いえ、大丈夫です」

 

立花「少しきつかったけどね」

 

えりか「少しって、凄くきつかったんですけど!」

 

立花の言葉にえりかが突っ込みを入れる。

 

つぼみ「めぐみちゃん達は凄く体力があるんですね...誠司さん達に着いていけるなんて...」

 

めぐみ「まあ、誠司達の修行に参加してるしね」

 

ゆうこ「そうね」

 

ひめ「あの死にかけた修行に比べたらどうって事ないわ。いやでも体力つくし」

 

めぐみ達は説明しながら遠くを見つめていた。

 

いつき「死にかける修行ってどんな修行...」

 

ゆり「想像したくないわね」

 

つぼみの質問にめぐみ達はさりげない様子で答えていた。

 

ほのか「あの...、後どれぐらい登るんですか」

 

誠司「反応はまだ先みたいだからな、まだ登るぞ」

 

舞「嘘...」

 

やよい「死んじゃう...」

 

みゆき「疲れた...」

 

休憩していた誠司達だったが、理央が何かに気付き、立ち上がる。

 

誠司「?どうした?理央」

 

誠司は理央の様子に気がつき質問するが、理央には聞こえていなかった。

 

剛「どうした?」

 

ケン「なにかあったのか?」

 

他の者も理央の様子がおかしい事に気がつき、話しかけるが理央は反応しない。

 

怪訝に思っていると、理央が急に走り出した。

 

誠司「理央!?」

 

暁「おい!何処に行くんだ!」

 

誠司と暁の声で、休憩していたプリキュア達も状況がおかしい事に気がつく。

 

誠司「追いかけるぞ!」

 

誠司達はすぐさま理央の後を追った。

 

えりか「えー!嘘!今度は走るの!?」

 

奏「冗談でしょ...」

 

マナ「取りあえず、私達も追いかけよう!」

 

体力がない者達は絶望する。

 

立花「今思ったんだけど、私達プリキュアに変身すれば良かったんじゃないの?」

 

『あ...』

 

立花の言葉を聞き、殆どの者が呆然とするが、誠司達との距離が離れていくのを見て慌てて変身し、追いかける。

 

 

 

 

誠司「待て理央!」

 

誠司は理央を止めようと声を掛けるが、一向に止まろうとしなかった。

 

さくら「暁さん!彼の走っていく先に、プレシャスの反応があります!」

 

暁「何?もしかして、プレシャスに呼ばれているのか?」

 

剛「プレシャスに?」

 

リン「どうゆう事ですか?」

 

暁の考察にリンが質問する。

 

暁「今回のプレシャス、獅子黒刀は手にした者に莫大な力を与えると言われている。もしかしたら獅子黒刀が理央を呼んでいるのかもしれない」

 

ケン「莫大な力を与えるって事は、それを手に入れたら理央の力が増すって事か」

 

剛「そいつは凄いな」

 

暁「確かに手にした者は強化されるが、今まで手にしようとした者は力が強すぎる為に、命を落としているんだ」

 

『なっ!』

 

誠司「じゃあ、このまま理央が手にしたら!」

 

真墨「力に耐え切れず、死ぬだろう」

 

めぐみ「そんな!」

 

ひめ「早く止めないと!」

 

誠司「急ぐぞ!」

 

誠司達は理央を追いかけていると、洞窟の入り口に辿り着いた。

 

さくら「この中からプレシャスの反応があります!」

 

暁「やはりプレシャスに呼ばれていたのか」

 

蒼太「早く追いつかないと!」

 

メレ「待ちな!」

 

理央に追いつこうとしたその時、誠司達の前にメレとファントムが現れた。

 

誠司「メレ!」

 

めぐみ「ファントム!」

 

ケン「なんであいつらがこんな所に...」

 

メレの後ろから何体ものリンリンシーが現れるが、殆どの者が荒々しいように見えた。

 

剛「リンリンシーまで居やがるのか」

 

ラン「だけどなんか様子がおかしいわ!」

 

メレ「こいつらは私同様強化されているから、気をつけた方がいいよ。お前らあいつらの相手をしてやんな!私はこの先にある刀を取りにいくからね」

 

暁「っ!何で奴が獅子黒刀の事を!?」

 

ゆうこ「もしかして、幻影帝国も刀を狙ってここに!?」

 

メレが理央の後を追いかけ、誠司達も追いかけようとしたがファントムとリンリンシー達が行く手を阻む。

 

ファントム「お前達の相手は俺がしてやる」

 

ファントムを前に、全員立ち尽くしていたが、めぐみ達が前に出る。

 

めぐみ「誠司!ここは私達が相手するからメレを追いかけて!」

 

誠司「な、何言ってんだ!相手は俺とラブリーの2人係で倒した相手なんだぞ!」

 

めぐみが誠司達に前に進むよう促すが、誠司は止めに入る。

 

めぐみ「大丈夫!なんとかなるって!」

 

ひめ「うん!修行の成果を見せてやるわ!」

 

ゆうこ「それに今日はハート達もいるしね!」

 

めぐみはいつもの調子で答え、ひめは消極的な性格とは裏腹に今日は自信満々な様子だった。

 

めぐみ「ひめ!ゆうゆう!行くよ!」

 

ひめ・ゆうこ「うん!」

 

『かわルンルン!』

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

3人はプリキュアに変身する。

 

ラブリー「世界に広がるビックな愛!キュアラブリー!」

 

プリンセス「天空に舞う!蒼き風!キュアプリンセス!」

 

ハニー「大地に実る!命の光!キュアハニー!」

 

ラブリー「ハピネス注入!」

 

プリンセス・ハニー「幸せチャージ!」

 

3人「ハピネスチャージプリキュア!」

 

3人が名乗り上げると、ファントムがリンリンシーに指示を出し、ラブリー達に襲い掛かる。

 

ラブリー達が迎え撃ち、戦う。

 

誠司「しょうがない、ここは任せたぞ!ラブリー!プリンセス!ハニー!」

 

誠司達はラブリー達を残し、理央達の後を追う。

 

誠司達が理央達を追いかける姿を、ファントムは黙って見ているだけだった。

 

ハニー「誠司君達を追いかけなくていいの?」

 

ファントムに対し、攻撃しながらもハニーが質問する。

 

ファントム「本当だったらゲキレッドにリベンジしたい所だが、俺1人じゃ勝てないからな。だからあいつらより弱いお前達から倒させて貰う」

 

プリンセス「くそー!確かに誠司達に比べたら弱いかもしれないけど!私達だって負けてないわよ!」

 

ひめがファントムに対し突っかかっていると、ラブリー達の後方から攻撃が飛んでくる。

 

ドカーン!

 

ファントム「くっ!なんだ!」

 

攻撃が飛んできた方からハート達が合流する。

 

ハート「ラブリー!大丈夫!」

 

ラブリー「ありがとう!ハート!」

 

ダイヤモンド「それより何よあいつら、ハートの攻撃を食らったのに全然効いてない」

 

ロゼッタ「それに誠司さん達の姿も見えませんわ!」

 

ダイヤモンドが先程の攻撃を受けたにも関わらず、無傷のリンリンシーに驚愕し、ロゼッタは誠司達が居ない事を指摘する。

 

プリンセス「気をつけて!あいつらはゲキレンジャー達が戦っていた敵で、凄く強化されてるの!」

 

ラブリー「それと、あいつらに指示を送ってるのは、プリキュアハンターって言って、誠司達がいないと倒せないぐらい強いの!」

 

ソード「あいつそんなに強いの...」

 

エース「それに、強化されているとおっしゃいましたが、どれほど強化されているのですか?」

 

ハニー「分からないけど、同じ様に強化されたメレは、誠司君と理央さんの2人係でも倒せなかった程、強かったわ」

 

ハート「え!?だって、誠司君と理央さんって、私達全員が束になっても倒せないぐらい強いんでしょ!」

 

ピース「えー!そんな2人が倒せないなんて、私達に勝ち目ないじゃん!」

 

ハッピー「そもそも、誠司君達は何処に行ったの!?」

 

ハニーの言葉にハートは驚愕し、ピースは自分達の置かれている立場に慌て、ハッピーは誠司達が居ない事を質問する。

 

ラブリー「誠司達は理央さんを追いかけてもらったの!こいつらは私達が相手するからって」

 

サニー「いやいやいや!送っちゃだめやん!なんで行かせたんや!」

 

ハニー「理央さんがプレシャスに呼ばれてるみたいなんだけど、それを手にしたら命を落とすかもしれないの」

 

ビューティ「急に走り出したのは、そういう事だったんですね」

 

マーチ「そっちもそっちで大変な事になってるなんて」

 

ラブリー「みんな!悪いけど、あいつらを倒すのに協力して!」

 

『OK!』

 

 

 

 

 

 

____________________________________

 

 

 

 

 

理央は、自分を呼んでいる存在に向かって走っていた。

 

休憩していた時、突如頭に自分を呼ぶ声が響いた。

 

理央はその声に向かって走り続け、洞窟の中をしばらく走っていると広い場所に出た。

 

そこは異様な力に満ちており、中央には1本の刀が刺さっていた。

 

理央は刀から力が放たれている事に気がつき、刀に近づく。

 

理央「お前が、俺を呼んでいたのか...」

 

理央が呟くと、刀が返事をするかのように、ドクン!と脈打ち力がさらに放出される。

 

理央が刀に触れようとした瞬間、後ろからの攻撃に気がつき、ガードする。

 

メレ「悪いがその刀は渡さないよ!」

 

理央「くっ!」

 

2人は対峙した後、メレは距離を離し、理央も向かい合う状態になる。

 

理央「メレ...」

 

メレ「邪魔するんじゃないよ!私はクイーンミラージュ様の為に、その刀を手に入れないといけないんだからね」

 

理央は前回戦ったときよりも、メレの様子がおかしい事に気がついた。

 

理央「よせメレ!その力を使えば!お前がお前でなくなるぞ!」

 

メレ「黙れ!お前には関係ない事だ!」

 

メレは叫んだ後、前回見せた強化形態になり、理央に向かって突っ込む。

 

理央「臨気凱装!」

 

理央は瞬時に鎧を纏い、メレの攻撃を防ぐ。

 

理央「ぐっ!」

 

メレの攻撃が前回に比べ、さらに重くなっていた。

 

メレ「はぁ!」

 

メレは理央のお腹に右回し蹴りを放つ。

 

理央「ぐはっ!」

 

理央は先程の攻撃に耐えていた為、まともに食らってしまい壁に激突した。

 

理央「くそ...」

 

メレ「ううううううっ!」

 

理央は膝を突き、メレはゆっくりとした足取りで理央に近づく。

 

その様子はおかしく、自我がないように思えた。

 

理央「はっ!」

 

理央はメレの油断を誘う為、メレに一気に近づく。

 

メレが迎え撃とうとした時、理央は地面を蹴ることにより、跳躍してメレの後ろを取って攻撃をする。

 

理央「なっ!」

 

理央の攻撃は後ろに回された腕によって、防がれていた。

 

メレ「はっ!」

 

メレは理央に蹴りを放ち、刀の近くまで吹き飛ばす。

 

この時、理央は自分が情けないと思っていた。

 

メレに手も足も出ない自分に、メレを助ける事が出来ない自分に。

 

自分の不甲斐なさに悔しんでいた理央の頭に声が響いた。

 

『汝、力を求めるか?』

 

理央は自分の頭の中に響く声に対し、欲しいと願う。

 

『何の為に力を求めるか?』

 

理央は頭の中に響く声を聞き、何の為に力が欲しいか願う。

 

メレを助ける為、そして自分に訳隔てなく接してくれる、ぴかりが丘の住人を守る為に力が欲しいと強く願う。

 

『覚悟があるなら、刀を手に取れ!そすれば汝に力を与えよう!』

 

言葉を聞き、理央は覚悟を決める。

 

理央「この俺にメレを!そしてこの町の皆を守る為の力をよこしやがれ!」

 

そう言って理央は刀を手にした。

 

理央が刀を手にした瞬間、理央に凄まじい力が流れ込む。

 

理央「ぐああああ!!」

 

理央は流れ込んでくる力に意識を失いかけるが、気合で意識を保っていた。

 

理央「はああああっ!!」

 

そして次の瞬間!理央を中心として凄まじい衝撃波が発生する。

 

メレ「ぐああああ!」

 

衝撃波に耐え切れず、メレは吹き飛ばされてしまう。

 

 

 

 

理央を追いかけていた誠司達も異変に気付く。

 

誠司「なんだ!」

 

剛「地震か?」

 

暁「違う!全員衝撃に備えろ!」

 

暁が叫んでしばらくすると、誠司達を凄まじい衝撃波が襲う。

 

ケン「うおおおお!!」

 

ラン「何!?」

 

誠司達は飛ばされないように耐えていた。

 

しばらくすると衝撃波は止み、誠司達は体勢を整えていた。

 

誠司「みんな、大丈夫か?」

 

リン「ええ」

 

剛「なんとかな」

 

誠司は皆の安否を確認する。

 

蒼太「いったい今のはなんだったんでしょう」

 

暁「もしかしたら、どちらかがプレシャスを手に取ったのかもしれない」

 

ケン「おいおい、それは不味いんじゃないか?」

 

誠司「取りあえず、急ぐぞ!」

 

そう言って誠司達は先を急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理央とメレが居た広場は、衝撃波によって発生した煙によって、何も見えない状況になっていた。

 

メレ「ううううっ」

 

メレは唸りながらも、理央が居た場所を睨む。

 

しばらくすると煙が晴れ、中から理央が出てくる。

 

理央の纏っていた鎧が少し変わっており、肩にライオンの彫刻、腰にライオンの皮を模した鎧が追加されており、理央の手には獅子黒刀が握られていた。

 

メレは本能的に危ないと感じたのか、理央に襲い掛かる。

 

メレ「うがああああっ!」

 

メレは理央に攻撃を仕掛けるが、理央は片手で受け止めていた。

 

理央「はぁ!」

 

理央は獅子黒刀を下から振り上げる。

 

メレ「ぐあっ!!」

 

攻撃を受け、メレは仰け反る。

 

理央「はああああああ!!」

 

理央は刀身に外が黒、中が黄色のエネルギーを纏わせる。

 

理央「獅子連斬(ししれんざ)!!」

 

理央が刀を振り上げると、刀から獅子の形をした斬撃が放たれる。

 

メレ「ぐあああああっ」

 

斬撃を食らい、メレは吹き飛ばされる。

 

理央「これで...終わりだ!」

 

理央は刀身にエネルギーをさらに纏わせ、巨大な刀身になる。

 

理央「うおおおおおお!!獅子断斬(ししだんざん)!!」

 

理央は巨大な刀身を振り下ろし、メレを一刀両断する。

 

メレ「があああああっ!!」

 

パリーン!!

 

鏡が割れたような音がした後、メレの体から黒い瘴気が出てくる。

 

最後の攻撃はメレ自体を攻撃したのではなく、メレにかけられていた呪縛を破壊する為に放った物だった。

 

メレの体が深緑から元の緑色に戻り、人間体に変わる。

 

理央は鎧を解除し、崩れ落ちるメレを咄嗟に抱きしめた。

 

理央「まったく、世話の掛かる奴だ」

 

悪態をつく理央だったが、メレを優しい目で見ていた。

 

誠司「理央!」

 

するとそこに誠司達が広場に入ってきた。

 

理央「遅かったな誠司」

 

誠司「良かった、無事だったんだな」

 

理央「ああ、こいつのお陰でな」

 

そう言って理央は獅子黒刀を見せる。

 

さくら「それは獅子黒刀!?」

 

ラン「え!?」

 

リン「それが!?」

 

全員理央が見せた刀に驚愕する。

 

暁「まさか!獅子黒刀の力を自分の物にしたのか!?」

 

理央「そうだ」

 

真墨「凄まじいな」

 

暁達は理央が獅子黒刀を制御した事に驚く。

 

剛「てかメレはどうしたんだよ」

 

理央「安心しろ。この刀の力を使って、メレにかけられていた呪縛を破壊した」

 

ケン「てことは、もうメレは操られていないってことか?」

 

理央「ああ、そうだ」

 

ラン「良かった...」

 

ここにいる全員がメレの状態に安堵する。

 

メレ「う、うう」

 

理央「メレ!」

 

話しているとメレが意識を取り戻した。

 

メレ「ここは...いったい...」

 

理央「意識が戻ったようだな」

 

メレ「理央様!?えっ!?私はいったい!?」

 

メレは自分が理央に抱きしめられて居る事に気がつき、慌てる。

 

リン「メレ...本当に良かった」

 

メレ「なっ!ゲキレンジャーに、なんでボウケンジャーの連中まで!?」

 

誠司「お前は操られていたんだ。何も覚えてないのか?」

 

メレ「私が...操られて...」

 

メレは自分の状態が理解できず、混乱していた。

 

ケン「お前が操られているのを、理央が助けたんだ」

 

メレ「理央様が...申し訳ございません、私が不甲斐ないばかりに」

 

理央「気にするな」

 

メレ「ですが、私のせいで理央様に迷惑をかけてしまいました」

 

メレは理央に迷惑をかけていた事を嘆いていた。

 

理央「だったらこれからの生涯、ずっと俺の傍にいろ」

 

しばらくその場は静寂に包まれた。

 

『えーーーーー!!』

 

その後、暁と誠司以外が驚きの声を上げる。

 

メレ「り、理央様!それって。つ、つまり!」

 

理央「分かったか」

 

メレ「は、はい!」

 

メレは理央の言葉の意味を理解すると、顔を赤くし詰まりながらも返事をする。

 

誠司「お前ら、何をそんなに驚いてんだ?」

 

暁「何かあったのか?」

 

状況が把握できないのか、誠司と暁は頭に疑問符を浮かべていた。

 

真墨「明石、お前冗談だろ...」

 

剛「いくらなんでも鈍すぎるだろ...」

 

映士「さすがの俺でも分かったぞ、今のは」

 

誠司達の様子に男子メンバーは呆れていた。

 

ラン「えー!嘘!メレおめでとう!」

 

さくら「おめでとうございます!」

 

菜月「おめでとう!」

 

女性メンバーはメレに祝福を送っていた。

 

ケン「この状況でお前らだけだぞ、気付いてないの」

 

暁「どういう事だ?」

 

誠司「何かおめでたい事でもあったのか?」

 

ケン「はあ...もういいや」

 

ケンは誠司達の返答に呆れた。

 

誠司「それより、めぐみ達を助けに行かないと」

 

ラン「ああ!そうだった!」

 

さくら「こちらも大切な事ですが、早く助けに行きましょう!」

 

その場にいた全員が頷き、めぐみ達の元へ向かう。

 




はい!如何だったでしょうか!

やっと!メレ救済出来ました!

ここまでが長かった。

ミスターボイスの口調ですが、記憶で書いていますので少し違う所はあるかもしれません。

また、理央の強化形態のアイデアを提供して頂いたg-3x様

本当にありがとうございます!

元々、黒獅子王・理央と獅子黒刀は別々のアイデアだったのですが、

私が獅子黒刀をプレシャスにしてボウケンジャーと一緒に探しにいったら良いと思い、

g-3x様に要望をしたのですが、無事了承して頂いたので助かりました。

全て私が考えた話なのですが、どうせそこまで長くならないだろうと書いていたら

まだ、巨大ロボ戦の序盤にも関わらず、2万文字越えしてしまいました。

思いのほかアイデアが出てきた為、2話に分けて投稿致します。

続きは近いうちにまた投稿致しますので、お楽しみ下さい。

それでは次回お会いしましょう!

またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2大スーパー戦隊の共闘!新たな敵出現!

どうも!ナツ・ドラグニルです!

お待たせ致しました!やっと投稿できました!

時間が掛かったのも、ゲキリントージャウルフの必殺技を放つ時の台詞が分からず、調べていたのですが、まったく分からなかったのでゲキリントージャと同じにしました。

そして書いてて気付いたのが、プリキュアの戦闘描写が少ないことに気がつきました。

今回、スーパー戦隊が主軸になっているのでご容赦下さい!

では作品をどうぞ!


プリキュア達はファントムの強さにも苦戦していたが、強化されたリンリンシーにも苦戦していた。

 

ファントム「どうやら、お前達だけだったら対した事ないみたいだな」

 

プリンセス「嘘!この人数でも倒せないなんて」

 

ハニー「ファントムもそうだけど...強化されたリンリンシー達がここまで強いなんて」

 

ブラック「どうしよう、このままじゃ私達に勝ち目がないわ...」

 

ラブリー「大丈夫!誠司達が来たらあんな連中!」

 

プリンセス「でも、さっき凄い地響きがあったから、何かあったんじゃ」

 

プリンセスは先程感じた地響きが、何かの前触れだと考える。

 

ハニー「もしかして、理央さんがプレシャスを手にしたんじゃ」

 

ハニーの言葉を聞いて、殆どの者が最悪の状況を想像する。

 

ラブリー「大丈夫!だって誠司がいるもん!それに理央さんがそんな簡単に死ぬとも思えないし!」

 

ハート「そうだね!たぶん大丈夫だよ!」

 

ダイヤモンド「まったく、いつもながらその自信は何処から来るのよ...」

 

ロゼッタ「ふふふ、でもマナちゃんらしいですわ」

 

ハニー「うちのめぐみちゃんもね」

 

プリンセス「本当よ、まったく」

 

ラブリーとハートの言葉にダイヤモンドとプリンセスが呆れ、ロゼッタとハニーが本人らしいと笑う。

 

ファントム「ふん!何がおかしいか分からないが、お前達には勝ち目はあるのか?」

 

ラブリー達の言葉にファントムは今置かれている現状を指摘する。

 

誠司「それはどうかな!」

 

その時、洞窟から誠司達が出てきた。

 

誠司「ここからは俺達も相手にしてやるぜ!」

 

ラブリー「誠司!皆!」

 

プリンセス「無事だったんだ!」

 

誠司達が現れた事に、プリキュア達は安堵する。

 

メレ「今まで世話になっていた分、返させて貰うわよ!」

 

ラブリー「メレさんがあっちに居るって事は...」

 

ハニー「正気に戻せたのね!」

 

メレが元に戻っている事に気付いたラブリー達は、歓喜する。

 

理央「メレ、行けるのか?」

 

メレ「はい!理央様!」

 

理央はメレを心配して質問するが、メレは問題なく返答する。

 

誠司「良し!皆行くぞ!」

 

『おう!』

 

暁「レディー!」

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

剛「響け!ケモノの叫び!」

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

ボウケンジャーがアクセルラーとゴーゴーチェンジャーを構え、誠司達がゲキチェンジャー、剛がゴングチェンジャー、ケンがサイブレード、理央が獅子黒刀を構える。

 

『ボウケンジャー!スタートアップ!』

 

『ビースト!オン!』

 

理央「臨気王凱装!」

 

全員にスーツと鎧が瞬間的に装着される。

 

 

 

 

ボウケンレッド「熱き冒険者!ボウケンレッド!」

 

ボウケンブラック「迅き冒険者!ボウケンブラック!」

 

ボウケンブルー「高き冒険者!ボウケンブルー!」

 

ボウケンイエロー「強き冒険者!ボウケンイエロー!」

 

ボウケンピンク「深き冒険者!ボウケンピンク!」

 

ボウケンシルバー「眩き冒険者!ボウケンシルバー!」

 

ボウケンレッド「果て無き冒険スピリッツ!」

 

『轟轟戦隊ボウケンジャー!』

 

 

 

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

ゲキイエロー「日々是精進!心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

ゲキバイオレット「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

ゲキチョッパー「才を磨いて!己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

理央「猛きこと 強きこと 獅子の如く 人の(めい)を守る者 我が名は黒獅子王・理央!」

 

メレ「理央様の愛のために生き、理央様の愛のために戦うラブウォリアー! 臨獣カメレオン拳使い・メレ!」

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は正義の証!」

 

『獣拳戦隊ゲキレンジャー!』

 

 

 

 

 

ゲキレッド「ばっちり揃った!」

 

ボウケンレッド「13人!」

 

『我ら!スーパー戦隊!!』

 

 

 

 

 

 

『おー!かっこいい!!』

 

プリキュア達はスーパー戦隊の変身と名乗りを見て、目を輝かせていた。

 

ピーチ「凄いかっこいい!」

 

ブルーム「やばい!超鳥肌立った!」

 

変身と名乗りを見て興奮していたプリキュア達だったが、ひとつの違和感を感じていた。

 

ミューズ「あれ?そういえば一番騒ぎそうなピースがおとなしいけど、どうしたの?」

 

ミューズの言葉に全員が違和感の正体に気付き、ピースがいるであろう場所を見ると、そこには白目を向き失神して倒れているピースがいた。

 

ハッピー「きゃー!ピース!しっかり!」

 

ハッピーが悲鳴を上げ、ピースを起こそうとするが完全に気絶していた。

 

サニー「あかん!あまりのかっこよさに失神してもうた!」

 

マーチ「ちょっと!しっかりしてピース!」

 

戦闘とは関係ない事で、プリキュア達はパニックを起こしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボウケンレッド「アタック!」

 

ボウケンレッドの掛け声で全員がファントムとリンリンシーに突っ込む。

 

ボウケンレッド「はあ!」

 

ボウケンレッドがリンリンシーに攻撃を加えるが、あまり効いていなかった。

 

ボウケンブラック「なんだこいつら、全然攻撃が効いてないぞ!」

 

ゲキバイオレット「通常のリンリンシーとは桁違いだ!」

 

ゲキイエロー「やはりメレ同様、強化されているのね」

 

ゲキレッド「だったら俺達も本気で行くぞ!」

 

ゲキブルー「OK!」

 

ゲキレッド達はスーパーゲキクロウを召喚し、構える。

 

『スーパービースト!オン!』

 

過激気を使用し、ゲキレッド達はスーパーゲキレンジャーに変身する。

 

Sゲキレッド「行くぞ!」

 

Sゲキレッドがファントムに攻撃を仕掛ける。

 

Sゲキレッド「はあっ!」

 

ファントム「ぐっ!」

 

ファントムに攻撃し、空中に浮かせる。

 

Sゲキレッド「スーパータイガー撃!」

 

スーツの噴射口から噴出した過激気によって飛翔し、空中に浮かせたファントムへの連続攻撃の後、地面へ叩き付けるようにスーパーゲキクローを撃ちつける。

 

Sゲキブルー「私達も負けていられないわね!」

 

Sゲキイエロー「ええ!」

 

Sゲキブルー「スーパージャガー撃!」

 

スーツの噴射口から噴出した過激気によって地面スレスレを高速で滑空し、すれ違いざまにリンリンシーをスーパーゲキクローで撃ちつける。

 

Sゲキイエロー「スーパーチーター撃!」

 

スーツの噴射口から噴出した過激気によって飛翔して急降下しながら放つ、スーパーゲキクローを使って、縦横無尽の斬撃を放つ。

 

ボウケンレッド「ボウケンアームズ!ボウケンジャベリン!」

 

ボウケンレッドはボウケンボウを召喚し、先端から刀身を出すと槍型の武器・ボウケンジャベリンとなる。

 

ボウケンレッド「行くぞ!ゲキレッド!」

 

Sゲキレッド「はい!」

 

ボウケンレッドとスーパーゲキレッドは、ファントムに向かって突っ込む。

 

2人「レッドゾーンタイガー撃!」

 

ボウケンレッドがレッドゾーンクラッシュを発動する時のスピードを過激気噴射で行い、レッドゾーンクラッシュとスーパータイガー撃でX字にファントムを切り裂く。

 

技が命中し、ファントムは吹っ飛ぶ。

 

理央「はああああ!」

 

理央は獅子黒刀にエネルギーを纏い、刀身を長くさせる。

 

理央「獅子一閃(ししいっせん)!」

 

刀を横一線にリンリンシーを斬る。

 

理央の攻撃を受け、リンリンシーが一箇所に纏められた。

 

Sゲキレッド「止めだ!」

 

Sゲキレッドの合図で必殺技の準備を行う。

 

Sゲキレッド「ゲキバズーカ!」

 

ボウケンレッド「ドリルクラッシャー!ドリルヘッド!」

 

Sゲキレッドはゲキバズーカを召喚し、ボウケンレッドはアクセルテクターを装着してデュアルクラッシャーを構える。

 

ボウケンシルバーがサガストライクを、ボウケンピンクがシューターハリケーンを、ボウケンブラック、ブルー、イエローがサバイバスター・スナイパーモードを構える。

 

Sゲキイエロー・ブルー「過激気!注入!」

 

ボウケンレッド「轟轟!」

 

スーパーゲキレッド「激激!」

 

『シュート!』

 

スーパー激激砲とデュアルクラッシャーは直進し、残りの技で2つの周りに渦を巻くようにしてリンリンシーに直撃する。

 

ドッカーン!

 

ボウケンレッド「グッジョブ!」

 

必殺技を受け、リンリンシーは倒される。

 

ラブリー「やったね!誠司!」

 

その時、ラブリー達が合流してきた。

 

Sゲキレッド「ああ。それよりお前達、何やってたんだよ?」

 

プリンセス「いやー、それが...」

 

ハニー「そのー、いろいろありまして...」

 

ゲキレッドの質問に、プリンセス達は答えづらそうにしていた。

 

ハート「実は、ピースが気絶しちゃって、起こすのに時間掛かってしまいまして...」

 

『はい?』

 

ハートの言葉にゲキレッド達は疑問符を浮かべる。

 

ボウケンブラック「なんで気絶したんだよ?」

 

ボウケンピンク「まさか!敵の攻撃を食らってですか!」

 

ボウケンイエロー「えー!大丈夫!?」

 

ボウケンピンクが慌て、ボウケンイエローが心配する。

 

ハッピー「いえ、そういう事じゃなくて...」

 

マーチ「皆さんの変身と名乗りがかっこよすぎて失神してしまっただけです」

 

マーチの言葉を聞き、全員がなんとも言えない状況になった。

 

ボウケンブルー「ああ、そういえば彼女、スーパーヒーローが好きだったっけ...」

 

ボウケンシルバー「失神するほどって...どんだけ好きなんだよ」

 

その時、倒れていたファントムが立ち上がる。

 

ファントム「ちっ!やはりスーパー戦隊は厄介な存在だな」

 

ファントムはゲキレッド達の強さに悪態をつく。

 

Sゲキレッド「後はお前だけだな!ファントム!」

 

ファントム「ふん、それはどうかな?」

 

ゲキバイオレット「どういう事だ?」

 

ファントム「やつらは強化されているんだ。そう簡単にやられるものか」

 

ファントムの言葉の後、突如リンリンシーが居た場所が光だし、そこからリンリンシーが姿を現し巨大化する。

 

ゲキチョッパー「やべ!あいつらも巨大化するの忘れてた!」

 

ラブリー「嘘でしょ!」

 

巨大リンリンシーを前に、プリキュア達は慌てる。

 

Sゲキイエロー「よーし!ちゃっちゃと終わらせるわよ!」

 

Sゲキブルー「ええ!」

 

ゲキチョッパー「押忍!」

 

Sゲキレッド「行くぞ!」

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

Sゲキレッド「ゲキゴリラ!」

 

Sゲキイエロー「ゲキペンギン!」

 

Sゲキブルー「ゲキガゼル!」

 

ゲキバイオレット「ゲキタイガー!ゲキジャガー!ゲキウルフ!」

 

各々、ゲキビーストを召喚する。

 

『リンギ・召来獣!』

 

理央「リンライオン!」

 

メレ「リンカメレオン!」

 

理央達がリンビーストを召喚する。

 

『獣拳合体!』

 

『呉越同舟獣拳合体!』

 

ゲキゴリラ、ゲキペンギン、ゲキガゼルが合体しゲキファイヤーに、ゲキタイガー、ゲキジャガー、ゲキウルフ、リンライオン、リンカメレオンが合体してゲキリントージャウルフになる。

 

『ゲキファイヤー!バーニングアップ!』

 

『ゲキリントージャウルフ!バーニングアップ!』

 

巨大リンリンシー達の前に、ゲキファイヤー、ゲキリントージャウルフが並び立つ。

 

『超かっこいい!』

 

2体の巨大ロボが並び立つ姿にプリキュア達は興奮する。

 

カシャ!カシャ!

 

ピース「凄い!凄い!凄い!巨大ロボが2体もいる!」

 

サニー「って!何写真撮ってんねん!」

 

ピース「だって!スーパー戦隊の姿を写真に撮りたかったんだもん!」

 

ビューティ「あまり興奮すると、また気絶しますよ」

 

ビューティが興奮するピースをなだめようとする。

 

増子「さあ!始まりました!2体の巨大ロボと4体の巨大リンリンシーの戦いです!」

 

何処からかいつもの様に、増子美代が現れる。

 

ロゼッタ「ど、どちら様ですの?」

 

突然現れた増子に、ハピネス組以外のプリキュアが驚く。

 

ラブリー「美代さん、こんな所までくるなんて...」

 

プリンセス「凄い執念ね」

 

その間もゲキファイヤー達が戦っているが、数が多い所為か苦戦していた。

 

ボウケンピンク「やはり数は相手の方が上です!このままでは」

 

ボウケンブラック「くそ!ゴーゴービークルさえあれば!」

 

ボウケンジャーは自分達が戦えないことに、遺憾な様子だった。

 

アイちゃん「あーい!」

 

ハート「アイちゃんどうしたの?」

 

合流してからハートの腕の中で寝ていたが、いきなり空に飛び上がる。

 

アイちゃんはある程度、上まで飛びそこで停止する。

 

アイちゃん「きゅぴらぱー!!」

 

アイちゃんからプリキュアの力が発動する。

 

力を使った後、アイちゃんはハートの腕の中に降りた。

 

ソード「何が起こったの?」

 

ロゼッタ「特に何も起こっていないようですが...」

 

その場に居た全員が何が起こったのか見回していたその時。

 

『『発進シフトオン!』』

 

ボウケンレッド「何!?」

 

ハート「え!?何!?」

 

『ダンプ!フォーミュラ!ジャイロ!ドーザー!マリン!ドリル!ショベル!ミキサー!クレーン!ジェット!』

 

『ファイヤー!エイダー!ポリス!』

 

『『GO!GO!』』

 

いきなり、アクセルラーとゴーゴーチェンジャーからゴーゴービークルの発進音声が流れ、ボウケンジャーは慌てる。

 

ボウケンブルー「なんでゴーゴービークルが勝手に!?」

 

そして今度は、ボウケンジャー達の近くに巨大な次元の渦が発生する。

 

ボウケンブラック「おいおい、もしかして...」

 

殆どの者が呆然とする中、渦の中からゴーゴービークルが飛び出してくる。

 

ボウケンシルバー「嘘だろ!別の世界にあるゴーゴービークルが出てきたぞ!」

 

ボウケンシルバーは驚愕する。

 

増子「ご、ご覧ください!突如謎の渦が発生し、中から巨大な車が現れました!」

 

ボウケンレッド「まさかアイちゃんが?」

 

そう言って全員がアイちゃんを見る。

 

するとボウケンジャーの足元に、ボウケンドライバーが出現する。

 

ボウケンピンク「ボウケンドライバーまで!」

 

ボウケンイエロー「アイちゃん凄い!」

 

ボウケンイエローはアイちゃんを褒める。

 

ボウケンレッド「すまない、感謝する。行くぞ!」

 

ボウケンレッドの掛け声で、各々ゴーゴービークルに乗り込む。

 

ボウケンレッド「究極轟轟合体!」

 

『合体シフトオン!』

 

『ダンプ!フォーミュラ!ジャイロ!ドーザー!マリン!ドリル!ショベル!ミキサー!クレーン!ジェット!』

 

『アルティメットフォーメーション!』

 

ボウケンシルバー「緊急轟轟合体!」

 

『合体シフトオン!』

 

『ファイヤー!エイダー!ポリス!』

 

『サイレンフォーメーション!』

 

10台のゴーゴービークルが合体し、アルティメットダイボウケン、3台のゴーゴービークルが合体し、サイレンビルダーになる。

 

『アルティメットダイボウケン!合体完了!ファーストギア・イン!』

 

「サイレンビルダー!合体完了!ファーストギア・イン!」

 

ボウケンレッド「アタック!」

 

掛け声の後、2体はゲキレンジャー達に合流し、巨大リンリンシーと戦う。

 

ボウケンレッド「待たせたな、ゲキレンジャー」

 

ゲキレッド「暁さん!」

 

ボウケンレッド「行くぞ!」

 

ゲキレッド「はい!」

 

4体の巨大ロボが並び立ち、リンリンシー達と対峙する。

 

増子「ご、ご覧ください!今私達の前に、4体の巨大ロボが並んでおります!物凄い光景です!」

 

『はあ!』

 

アルティメットダイボウケンはリンリンシーに右パンチを繰り出す。

 

巨大リンリンシー「ぐぐ」

 

ボウケンレッド「一気に行くぞ!」

 

『オーバートップギア!イン!』

 

全員の掛声の後、アルティメットダイボウケンは空高く舞い上がる。

 

『アルティメットブラスター!!』

 

アルティメットダイボウケン胸にエネルギーが集まり、鳥のような形をした超強力な火炎ビームを発射する。

 

アルティメットブラスターが命中し、巨大リンリンシーが倒される。

 

増子「決まったー!ご覧になられましたか!?アルティメットダイボウケンから、鳥の形をした攻撃がリンリンシーに命中!撃破されました!」

 

ボウケンシルバー「はあ!はあ!」

 

サイレンビルダーは、巨大リンリンシーにラッシュ攻撃を食らわせる。

 

ボウケンシルバー「ナックルバルカン!!」

 

拳を前に突き出し、両拳から光弾を連続発射する。

 

ボウケンシルバー「こっちも決めるぜ!!トリプルリキッドボンバー!!」

 

3基のネオパラレルエンジンのパワーを全開にして、両肩と頭部に装備された3本のジェットカノンから強力な水流を連続発射する。

 

トリプルリキッドボンバーが命中し、巨大リンリンシーが倒れる。

 

シャイニールミナス「やりました!後はゲキレンジャーが戦っている2体だけです!」

 

ラブリー「ボウケンジャーも凄い!!」

 

______________________________________

 

 

『はあ!』

 

ゲキファイヤーは、巨大リンリンシーにアッパーを食らわす。

 

『はあ!はあ!』

 

巨大リンリンシーに右パンチ、左パンチと攻撃を仕掛ける。

 

Sゲキレッド「止めだ!」

 

『ゲキワザ!頑頑ナックル落とし!!』

 

両腕を回転させ、連続パンチを繰り出す。

 

増子「ゲキファイヤーの必殺技が決まったー!巨大リンリンシーは後1体です!」

 

『はあ』

 

ゲキリントージャウルフは、激臨剣で巨大リンリンシーを攻撃する。

 

メレ「リンギ!がんじ固め!」

 

リンカメレオンの口から伸ばした舌で、巨大リンリンシーの動きを封じ、吊り上げる。

 

『はあ!はあ!はあ!』

 

増子「おおっと!舌で拘束した相手を剣を使って、何度も攻撃しています。巨大リンリンシーに反撃の隙も与えません!」

 

『はあ!』

 

巨大リンリンシーの拘束を解き、遠くへ飛ばす。

 

ゲキバイオレット「止めだ!!」

 

『ゲキリントージャウルフ 奥義!激臨狼狼斬(げきりんろうろうざん)!! 』

 

大狼狼脚の後に激臨剣で斬り付ける。

 

増子「決まったー!凄い!相手に攻撃をさせる隙も与えず倒しました!ゲキリントージャウルフ!強すぎる!」

 

ビューティ「やりました!」

 

パッション「凄い!全部倒しちゃった!」

 

巨大ロボから降り、ファントムの前に並び立つ。

 

Sゲキレッド「今度こそお前だけだな!」

 

ファントム「ぐっ!さすがにこの人数ではまずいな...、引かせてもらうぞ」

 

そう言って、ファントムはテレポートして逃げていった。

 

 

_______________________________________________

 

 

戦いの後、ボウケンジャーのメンバーも加え、パーティーの続きを行っていた。

 

暁「それにしても、まさか獅子黒刀を自分の物にするなんてな...」

 

誠司「おそらく、理央の誰かを守りたいという気持ちが奇跡を起こしたんでしょう」

 

暁「なるほどな...」

 

暁と誠司が今回のプレシャス、『獅子黒刀』について話をしていた。

 

誠司「てゆうかさ、なんで俺達参加出来ないの?」

 

暁「たしかにな」

 

誠司達2人は、なぜか部屋の隅に追いやられていた。

 

蒼太「すみませんが、お祝いの理由が分からない人には参加する資格はありません」

 

菜月「誠司君達には悪いけど、今回ばかりはしょうがないからね」

 

そう言って菜月は、ゆうこが作った料理を食べていた。

 

メレ「なんだいあんたら、まだあいつに思いを伝えていないのかい」

 

ラン「だって...すっごい鈍いんだもん」

 

リン「尋常ない程にね...」

 

メレ「まったく...。それにしても...まさかあいつを好きな奴が他にも居たなんてね...」

 

そう言ってメレは、めぐみ達の方を見る。

 

めぐみ「ははは///」

 

ひめ「うー///」

 

ゆうこ「///」

 

めぐみ達は顔を赤くしていた。

 

メレ「それで?あんたらどこまでいったんだい?」

 

リン「一応、一緒の布団で寝たりはしてるけど...」

 

ラン「私も...」

 

めぐみ「私も」

 

メレの質問にめぐみ達は顔を赤くしながら答えていた。

 

つぼみ「あわわわ///まさか誠司さんをめぐって、恋のバトルが起こっているとは///」

 

みゆき「しかもめぐみちゃん達、一緒の布団で寝ているって///」

 

マナ「うわ~!きゅんきゅんだね!」

 

他のプリキュア達は、めぐみ達の話を聞き、殆んどの者が顔を赤くしていた。

 

メレ「それで気付かないとは、あいつどんだけ鈍いんだ」

 

リン「なにせ、今回の祝福の意味も分からないぐらいだからね...」

 

そう言って、ラン達は誠司達の方を見た。

 

誠司「そうか!理央がプレシャスを手に入れたお祝いだ!」

 

菜月「それもあるけど、違います」

 

暁「分かった!メレか理央、どっちかの誕生日だろ!」

 

蒼太「全然違います。何を持ってそう思ったんですか?」

 

誠司達はパーティーに参加する為、祝福の理由を考えていた。

 

映士「あいつらマジで重症だな」

 

剛「そうだな...」

 

真墨達は、理央も含めて男5人で固まっていた。

 

メレ「お前達も大変だねぇ...」

 

ラン「ええ」

 

リン「本当にね」

 

メレ「しょうがないね、私がアドバイスしてやろうじゃないか」

 

ラン「本当!?」

 

さくら「ぜひ!教授の程、お願いします!!」

 

メレの言葉にラン達は食いついた。

 

ケン「あいつら必死だな」

 

真墨「まあ、相手が相手だからな」

 

ケン達はラン達の様子に引いていた。

 

暁「誰でも良いから、祝福の理由を教えてくれー!!」

 

耐え切れなくなったのか、暁の叫びが大使館中に響いた。

 

 

_________________________________

 

ミラージュ「そう、メレの催眠が解けたのね」

 

ファントム「はい、ゲキレンジャーが手に入れた刀によって」

 

ミラージュ「まさか、ゲキレンジャーの他にも厄介な奴らが居たとはね」

 

ファントム「申し訳ございません」

 

ファントムはクイーンミラージュに頭を下げていた。

 

ミラージュ「まあいいわ。これからどうするか考えましょう」

 

ツトコウ「それなら、俺達が手を貸そうか?」

 

ミラージュが今後について考えていた時、1人の男性の声が聞こえた。

 

ファントム「誰だ!?」

 

声がした方を向くと、そこには7人の異型が立っていた。

 

ツトコウ「俺の名はツトコウ、この中で参謀を務めている」

 

全体的に白く、白黒のスーツを着ていた。

 

ゼガ「俺はゼガだ」

 

体が黒で肩、胸、両手、両足、脛に銀色の甲冑をして見た目は鷲の姿している。

 

ウンライ「私はウンライよ」

 

全身は黄緑で上半身に毛布を被い、下半身は銀色の鎧をしている。

 

ラブマナン「私の名前はラブマナンよ。宜しくね~!」

 

体がピンクで全体的に金色の甲冑と胸にハートのマークがある。

 

ゲンヤハ「俺はゲンヤハだ」

 

体は灰色で全体的に白色の甲冑で、背中に黒い翼がある。

 

ロノイ「俺の名はロノイだ」

 

全体的に深青で体中に御札が貼っている。所処に人魂が浮いている。

 

ダンダ「ダンダだ」

 

全体的に真っ赤な鎧を被っている。

 

ミラージュ「あなた達は何者なの?」

 

ツトコウ「俺達は以前から、お前達幻影帝国に協力している者だ」

 

ミラージュ「なんですって?」

 

ツトコウの言葉にクイーンミラージュは怪訝に思う。

 

ファントム「以前から協力していたと言ったが、それならなぜ今まで姿を現さなかった」

 

ツトコウ「それが、俺達のボスの命令だったからな。最初は手を出さず、時期を見てからお前達に協力するようにとな」

 

ファントム「ボスと言う事は、他にも居ると言う事だな」

 

ツトコウの言葉を聞き、ファントムは質問する。

 

ツトコウ「ああ、俺達以上の力を持った別格な奴らが、ボスを含めて後3人いるぜ」

 

クイーンミラージュ「そいつらはなんで姿を現さない訳?」

 

ツトコウ「悪いが3人は別件で用事があるからな、ここにはいないんだ」

 

クイーンミラージュ「そう、まあいいわ使えるんだったら大歓迎よ」

 

ツトコウ「ああ、宜しく頼むぜ」

 

そう言って、ツトコウは怪しい笑みを浮かべていた。




はい、如何だってでしょうか!

巨大ロボ戦の戦闘描写が少ないと思いましたが、殆ど同じような描写になると思いやめました。

また、最後に出てきた敵ですが、g-3x様から頂いたアイデアを使わせて頂きました。

本当にありがとうございます。

キャラのイメージは声優のアイデアも頂いていたので、ここで軽く紹介させて頂きます。

詳細は後で設定に追加いたします。

ツトコウ 声:藤原啓治
私がイメージしたキャラ:青の祓魔師 藤本獅郎
分かりやすく言えば、クレヨンしんちゃんの野原ひろし

ゼガ 声:中井和哉
私がイメージしたキャラ:ONE PIECE ロロノア・ゾロ

ウンライ 声:高垣彩陽
私がイメージしたキャラ:ソードアート・オンライン リズベット

ラブマナン 声:三石琴乃
私がイメージしたキャラ:エヴァンゲリオン ミサト

ゲンヤハ 声:特になし
私がイメージしたキャラ:特になし

ロノイ 声:内山昂輝
私がイメージしたキャラ:インフィニット・ストラトス 織斑一夏

ダンダ 声:石川英朗
私がイメージしたキャラ:NARUTO うちはイタチ

今後はこの7名を加えたメンバーと戦っていきます。

残りの3人の内、1人は既に出てきております。

ある程度のストーリのアイデアも頂いているので、原作とはまったく違う終わり方をすると思います。

また、そろそろ誠司にめぐみ達の思いに気付く描写も書けたらなと思います。

25話で誠司が告白されるシーンで書いてもいいですが、それまでには書きたいと思います。

これからも応援の程、宜しくお願い致します。

それでは次回、激獣拳を極めし者第15話、もしくはアクセル・ビルド第7話でお会いしましょう!

それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話~第22話
第15話 お母さんに逢いたい!ひめブルースカイ王国に帰る!


どうもナツ・ドラグニルです!

読者の皆様!長い間お待たせしてしまい申し訳ございません。

遅くなった理由ですが、実は仕事のせいで精神科に通うまで心が疲れてしまっていました。

さすがにまずいと思い、今回仕事をやめました。

読者の皆様には本当に感謝しております。

皆様が送って頂いた感想を見て、元気を頂いております。

また、生存確認までして頂き、本当にありがとうございます。

最近になってやっと元気になってきたので作品を投稿する事が出来ました。

さて!暗い話はここまでにします!

なんと!お気に入りが70件突破しました!

前回の投稿で一気に10件以上増えました!

本当に嬉しいです!

また以前、活動報告でリンリンシーのリクエストを送りましたが、

多くの読者の方からリクエストが届きました。

本当にありがとうございます!

まずはマキリカから出して行きたいと思いますが、今回ブルースカイ王国に行って帰ってくるだけになるので、マキリカは次回出てきます。

本当に申し訳ございません!

さらに今回!皆様からの要望が多かったあいつが登場いたします!

それでは作品をどうぞ!


―スクラッチ本部―

 

俺達は現在、メレを取り戻した事を美希さん達に報告しに訪れていた。

 

美希「本当にメレが戻って良かったわ」

 

マスターシャーフ「うむ、皆も良く頑張ったな」

 

誠司「いえ、メレを取り戻せたのは理央のお陰です」

 

ケン「ああ、理央が新しい力を手に入れなかったら危なかったしな」

 

理央「それはいいが、他の奴らはどうしたんだ?」

 

理央が言っている他の奴らとは、この場にいないラン、リン、剛の3人である。

 

誠司「今日は母の日だから、全員家に帰ってるんだよ」

 

メレ「なるほど」

 

ケン「確か誠司達の世界では明日が母の日だったよな」

 

美希「誠司は何を渡すの?」

 

誠司「俺はカーネーションでも渡そうと思っています」

 

ケン「いいんじゃないか」

 

美希「明日はお母さんいるの?」

 

美希は誠司に質問する。

 

誠司「はい、母の日なので朝からいると思いますよ」

 

美希「そう、だったら私も誠司達の世界に行くわ。いつか挨拶に行きたいと思っていたから」

 

誠司「分かりました」

 

すると、美希は思い出したかのように、その場を離れる。

 

その場の殆どの者が不思議に思って、美希が出て行った扉を凝視する。

 

しばらくすると布をかぶせた何かを手に戻ってきた。

 

誠司「それはなんですか?」

 

美希「これはね、スクラッチ社が開発したメレ専用の強化アイテムよ」

 

美希はそう言って布を取ると、誠司達が使っているゲキチェンジャーが置かれていた。

 

色はオレンジの所が緑色になっている。

 

美希「使い方は誠司達と同じになってるわ」

 

美希はメレにゲキチェンジャーを渡す。

 

メレ「これが...私の強化アイテム...」

 

メレは恐る恐るゲキチェンジャーを受け取る。

 

美希「誠司達はケモノの力だけど、あなたの場合は爬虫類の力になるわね」

 

メレ「爬虫類の力...。ありがとう...使わせてもらう」

 

理央「良かったなメレ」

 

メレ「はい!これを使って私も頑張ります!」

 

理央「ああ」

 

メレは幸せそうに笑い、理央は優しそうな顔で笑っていた。

 

ケン「まったく、人前で堂々とイチャイチャしやがって...」

 

美希「ふふふ、良かったわねメレ」

 

2人の様子を見てケンは呆れ、美希は微笑ましそうに眺めていた。

 

マスターシャーフ「そういえば、誠司達の話をしたらぜひ自分も一緒に行きたいと言う者が居たんじゃ」

 

誠司「一緒に行きたい人ですか?」

 

ケン「一体誰が...」

 

不思議に思っていた俺達だったが誰かが部屋に入ってきた。

 

バエ「どうも~!みなさんお久しぶりです!」

 

『バエ!』

 

俺達の前に現れたのは激獣フライ拳のバエだった。

 

誠司「お前、世界を旅するって言って、1人で出て行ったんじゃないのかよ」

 

バエ「ええ!旅を終えて帰ってきました!」

 

マスターシャーフ「これからは、こやつも誠司の世界に行きたいと言っておる」

 

バエ「皆さん!宜しくお願いします!」

 

______________________________

 

 

―めぐみの家のリビング―

 

『お母さん!』

 

めぐみ「あのね、いつもありがとうね。はい、母の日のプレゼント」

 

めぐみはかおりさんに、ピンクのリボンでラッピングされている箱を渡す。

 

かおりさんはさっそく箱を開けると、中からたくさんのお菓子がトッピングされたケーキが出てきた。

 

かおり「わぁ~、ありがとう~。朝から頑張って焼いてたケーキね」

 

めぐみ「トッピングもりもりケーキだよ!」

 

かおり「なんか見てるだけでパワーが出てきちゃうわ。ありがとうね、めぐみ」

 

めぐみの作ったケーキに興奮し、感謝するかおりさんにめぐみは照れている。

 

真央「あたしもお母さんにじゃーん!」

 

今度は真央が母さんに箱を渡す。

 

真央「真央特製のバナナケーキでーす。明日の朝も早いでしょ、このケーキ食べて仕事に行くといいよ」

 

ひろ子「朝からケーキ?」

 

母さんはジト目でケーキを見る。

 

かおり「ひろ子~?真央ちゃんが一生懸命作ったケーキなのよ」

 

かおりさんが母さんにジト目で釘を刺す。

 

真央「そうだぞ~、大変だったんだから~」

 

と、真央はドヤ顔になる。

 

ひろ子「ごめんごめん」

 

誠司「俺からは月並みだけど、はい」

 

俺は母さんにカーネーションを渡す。

 

ひろ子「真央も誠司もサンキューね!2人共本当にいい子なんだから、もう親にそっくり!」

 

母さんは涙目になり、俺と真央を抱きしめグチャグチャにする。

 

しばらく抱きしめて満足したのか、俺達は解放された。

 

誠司「まったく...そうだ、母さんに会わせたい人がいるんだ」

 

ひろ子「会わせたい人?」

 

誠司「俺が行方不明になってる間にお世話になった人だよ。母さんがいるって言ったらぜひ挨拶がしたいって、今俺達の部屋で待っててもらってるんだ」

 

俺はそう言って自分達の部屋に行き、美希さんを連れて戻ってきた。

 

美希「初めまして、真咲美希といいます」

 

ひろ子「初めまして、誠司の母の相楽ひろ子と言います。うちの誠司がお世話になりました」

 

美希「いえ、私達も誠司には何回も助けられましたので」

 

_________________________

 

 

その後、2人はかおりさんも交えて母親談義を始めた。

 

ひろ子「え!?美希さんは夫の事を知ってるんですか?」

 

美希「ええ、ダンは私の兄弟子なんです」

 

かおり「兄弟子って事は何か学んでいるのですか?」

 

美希「獣拳という物を」

 

ひろこ「獣拳ですか?」

 

美希「はい、ダンは『白虎の男』と恐れらる程の実力者でした」

 

ひろ子「白虎の男...」

 

美希「でもまさか...誠司がダンの息子だとは最初は思いもしませんでした。今では誠司も獣拳を学んでいて、既に相当の実力者なんですよ」

 

かおり「そうなんですか?」

 

美希「獣拳使いの中でも、彼と戦えるものは限られる程ですから。さすがはダンの息子ですね」

 

美希さんは父さんの事や獣拳の事を母さん達に教えていた。

 

ひろ子「夫が武術をやっていた事にも驚きましたが、誠司も教わっているとは...」

 

かおり「でも、少しは誠司君が戦っている所も見てみたいわね」

 

ひろ子「まあ、私としては誠司の鈍感ぷりが心配だけどね...」

 

美希「誠司のあれはもはや病気ですね。ランやリンのアタックに全然気付いてないみたいですし」

 

かおり「うちのめぐみも最近は誠司君の布団に潜り込んだりしてるみたいだけど」

 

ひろ子「え!?めぐみちゃんそんな事してるの!?」

 

ひろ子はめぐみの大胆さに驚く。

 

美希「私にも娘がいまして、年は誠司達の1つ下なんですが、娘も誠司に気があるみたいで...」

 

ひろ子「親としては複雑な気持ちね...」

 

かおり「私は早くくっつかないかなと思うけど」

 

美希「私も誠司達は息子や娘みたいに接して来たので、もどかしいですね」

 

かおり「あの調子じゃ、くっつくのは当分先だと思うけど...」

 

『はあ...』

 

誠司の先の事を考え、3人は揃ってため息をこぼす。

 

 

______________________________________

 

母親と母親代わりである2人から、そんな話をされているとは知らず、誠司は大使館でひめのケーキ作りを手伝っていた。

 

誠司「よし、後は膨らむのを待って冷やすだけだな」

 

ラン「それにしても、誠司が料理が得意なのは知ってたけど、お菓子作りも得意なんてね」

 

誠司「お菓子作りって、ただレシピ通りに作っただけだぞ」

 

リン「まあ、レシピ通りに作っても上手くいかない時もあるからね」

 

チーン!

 

めぐみ「あっ!出来た!」

 

ひめはケーキを取り出し、お皿に移す。

 

お皿の上にはレーズンのドライケーキがあり、天辺にハートのクッキーがデコレーションされている。

 

ひめ「よーし、後は冷蔵庫に入れたら出来上がり!」

 

その後、十分に冷やしたケーキを冷蔵庫から取り出す。

 

ひめ「はーい、ゆうこ。あーん!」

 

ゆうこ「あーん」

 

ひめはフォークで一口分をゆうこに食べさせる。

 

ゆうこ「美味しい」

 

ゆうこはケーキの出来にうっとりする。

 

ゆうこ「って、ひめちゃーん。母の日のプレゼントのケーキ食べちゃうの?」

 

ひめ「うん。だってどうせお母様には渡せないじゃん」

 

ゆうこ「そっか、ひめちゃんのお母さんはブルースカイ王国に居るんだっけ?」

 

ひめ「1人でこれ食べたら太っちゃうし、遠慮なく食べてよ」

 

俺は回りを見渡すと、ひめ以外の4人が頷く。

 

ゆうこ「1つずつラッピングして~」

 

めぐみ「この籠に入れよう」

 

ラン・リン「ラジャー」

 

誠司「良し!やるか!」

 

俺達はケーキを1つ1つラッピングし、籠の中に入れていく。

 

ひめ「何々?食べないの?」

 

ひめは理解できないのか、俺達に聞く。

 

『じゃーん!』

 

めぐみ達はラッピングしたケーキをひめに見せる。

 

ゆうこ「だって、このケーキはひめちゃんのお母さんのだもん」

 

ゆうこの言葉に俺達は頷く。

 

ひめ「えー、そう言わずに食べてよー!」

 

めぐみ「ひめ。そのケーキ、ちゃんとお母さんに届けようよ」

 

ラン「そうだよ、ひめちゃん!」

 

ひめ「えー、いやいやいや、そんなの無理だよ~」

 

めぐみ「今日は年に一度の母の日。お母さんに感謝の気持ちを伝える日なんだよ」

 

ゆうこ「折角レーズンが大好きなお母さんの為に、美味しいドライケーキを作ったんでしょ?」

 

リン「折角作ったんだから、渡さないなんて駄目だよ」

 

ひめは、めぐみからバスケットを俯きながら受け取る。

 

めぐみ「いつもは言わないけど、本当はお母さんに会いたいって思ってるんだよね」

 

ひめ「なんで分かるの?」

 

めぐみ「分かるよ、友達だもん」

 

誠司「今日ぐらいはわがまま言っても良いんじゃないか?」

 

俺達の言葉にゆうこ達が頷く。

 

ひめ「私、お母様に会いたい。このケーキを渡したい!」

 

めぐみ「じゃあ皆で行こうよ、ブルースカイ王国へ。ひめとのケーキをお届けデリバリー!」

 

 

______________________________

 

その後、皆が集まっている部屋に行き、ひめの意思を全員に伝える。

 

リボン「そんなの無理に決まってるでしょうが~!」

 

するとリボンが強く反対する。

 

リボン「王妃様に会いにブルースカイ王国に行くなんて...命からがら逃げてきたのをお忘れですの?」

 

ひめ「忘れてないよ!忘れる訳ないじゃん...」

 

リボンの言葉にひめは尻すぼみする。

 

リボン「今じゃ、ブルースカイ王国は幻影帝国に乗っ取られて不幸の源。ひめが暮らしてたお城だってクイーンミラージュが我が物顔で住み着いてますわ」

 

ひめ「分かってるよ~」

 

リボンの言葉にひめは涙目になる。

 

リボン「それに会うって言ったって王妃様は鏡の中ですわ」

 

ひめ「でも、会いたいの。このままずっと何年も会わなかったら私、お母様の顔を忘れちゃうよ。たまにはお母さんに会ったっていいじゃない!」

 

リボンの指摘に、ひめは全力で反論する。

 

誠司「リボン。お前の言い分も分かるが俺達もいるんだ、何とかなるんじゃないのか?」

 

理央「確かに家族なんて、いつ居なくなっても可笑しくないからな」

 

メレ「理央様...」

 

剛「理央...」

 

事情を知っているメンバーは、どんよりとするが、分かっていないめぐみ達は疑問符を浮かべる。

 

めぐみ「理央さん、何か家族に関して何かあったの?」

 

めぐみは近くに居たランに事情を聞く。

 

ラン「理央はある男に家族を殺されたの...」

 

『え...!?』

 

ランの言葉にめぐみ達は言葉を失う。

 

理央「別にお前達は気にする必要はない。もう敵は討ったからな」

 

暗い気分になるめぐみ達を、理央は気遣う。

 

理央「まあ、俺達の子供にはそんな思いはさせないがな」

 

理央はメレに向かって宣言する。

 

メレ「子供って...///そんな理央様...///」

 

理央の言葉にメレは顔を真っ赤にする。

 

ケン「もうあいつら、そのまま式挙げちまえよ」

 

剛「確かにな」

 

ちなみに女性陣は全揃って顔を真っ赤にしている。

 

めぐみ「そ、それに今日はなんと言っても、年に一度の母の日!」

 

ゆうこ「う、うん、こんなに美味しいケーキを作ったら、お母さんに届けないとね」

 

恥ずかしながらもひめの事を後押しをする。

 

リボン「だ、駄目ったら駄目。第一ブルー様だって許さない筈ですわ」

 

リボンも我に返り、反対する。

 

ひめ「やだやだやだー。行くったら行くーぅ~~!」

 

ブルー「良いよ、行っておいで」

 

反対すると思っていたブルーからの言葉に、全員が驚く。

 

リボン「えーー!!」

 

リボンも時間差で驚く。

 

ひめ「やったぁ!」

 

ひめは喜んでおり、リボンは信じられない顔をする。

 

__________________________________________

 

俺達はブルーの案内の元、以前ぴかり神社に行く際に使った『クロスミラールーム』に移動した。

 

ブルー「ここは、クロスミラールーム。この鏡は世界のあらゆる所に通じている」

 

すると、鏡の1つが光りだす。

 

ブルー「ブルースカイ王国へのミラーゲートを開けたよ」

 

ひめ「ありがとう神様」

 

鏡に映る王国を前に、ひめは目を潤ませていた。

 

ブルー「1つ注意してほしい。幻影帝国に支配された今のブルースカイ王国では、プリキュアの力は殆ど発揮できない」

 

『えー!』

 

ブルーの注意にプリキュア組が叫ぶ。

 

ケン「だったら俺達で、サイアーク達の相手していればいいんじゃないのか?」

 

誠司「いや、もし監視がいたらそれは逆にめぐみ達が動きにくくなる。さらに監視が厳しくなるかもしれないからな」

 

ブルー「もし敵に見つかったら、君達に勝ち目は無い。僕もここからフォローはするけど、くれぐれも捕まらないようにするんだよ」

 

ひめ「分かったわ」

 

ラン「もし見つかったら、その時に私達が戦えばいいわね」

 

剛「そうだな」

 

誠司「良し!行くぞ、みんな!」

 

『おう!』

 

ミラーゲートが輝き、光がやむと目の前には、無数の鏡がある草原に出た。

 

ひめ「ここがブルースカイ王国だよ」

 

ゆうこ「人々が鏡に...。話には聞いてたけど」

 

誠司「ひどいな...」

 

ひめ「活気があった街も笑顔溢れる公園も、こんな悲しい姿に変わってしまったの。私の大切なお父様とお母様も...」

 

めぐみ「ひどい!ひどすぎるよ!なんでこんなことするの」

 

めぐみは怒りを露にする。

 

リボン「ぴかりが丘だって他人事じゃないですわ!幻影帝国に乗っ取られたら...一夜にしてこうなってしまいますわ」

 

めぐみ「え!?ぴかりが丘も!?」

 

ゆうこ「そうならないように、私達プリキュアが頑張ってるんじゃない」

 

リン「もちろん私達もね」

 

リボン「その通りですわ。幻影帝国をのさばらしておくわけにはいかないですわ!」

 

ゆうことリンの言葉にリボンが同意する。

 

理央「あの街は、絶対にこの街の荷の前にはさせない。俺達で絶対に守る」

 

誠司「ああ、そしてこの街も絶対に助ける」

 

俺達の言葉に全員が頷く。

 

なんてやってると、大勢の声が聞こえて来たので俺達は物陰に隠れる。

 

隠れていると、俺達の前を大量のチョイアークが行進している。

 

めぐみ「何あれ~?」

 

リボン「シーッ、警備員ですわ」

 

ゆうこ「なんかウジャウジャ居るけど」

 

誠司「あいつらに見つからないように、隠れながら進まないとな」

 

めぐみ「隠れる?そうだ!こんな時はあれだよ!」

 

そう言いめぐみはプリカードを取り出す。

 

3人は忍者のプリカードを使い、忍者にスタイルチェンジする。

 

その後、俺達は屋根伝いに飛んだり、道を走って進み宮殿が見える場所まで到着した。

 

ひめ「あれが私のお城よ」

 

ゆうこ「え、あの大きいお城?」

 

ケン「でかっ!?」

 

めぐみ「すごい、一体何部屋あるんだろ」

 

ひめ「大きすぎるのも困るよ。よく迷子になったもーん」

 

『へー』

 

誠司「自分の家で迷子って...」

 

理央「おいお前ら、呑気に話してる場合じゃないぞ」

 

メレ「理央様の言う通りよ、あそこを見なさい」

 

メレが示す先を見ると、城に続く道を2体の鎧サイアークが立っていた。

 

ゆうこ「あんな所にサイアークが」

 

ひめ「でもお城へはこの広場を抜けるしか無いんだよね」

 

誠司「どうする?俺達は身体能力でなんとかなると思うが、めぐみ達にはきついだろ」

 

めぐみ「大丈夫。問題ないでござる」

 

ひめ・ゆうこ「ほえ?」

 

めぐみ「ニンニン」

 

『?』

 

_______________________

 

その後、めぐみは俺達は待機するように指示し、めぐみ、ひめ、ゆうこの3人でサイアークの隙を突いて近くの茂みに入った。

 

ラン「めぐみちゃん達どうする気なんだろう」

 

剛「さあな、でも何か考えがあるんじゃないのか?」

 

しばらく様子を見ていると、めぐみ達の入った茂みからさらに3つの茂みが出てきた。

 

ケン「おいまさか、考えってあれのことか?」

 

誠司「いやいや!すぐばれるだろ!」

 

リン「あっ、サイアークがめぐみちゃん達に近づくわ」

 

リンの言葉通り、サイアークがめぐみ達が化けている茂みに近づく。

 

サイアークは凝視するがしばらくすると離れていった。

 

『はあ...』

 

安心していた俺達だったが、めぐみの茂みが壊れてしまい、めぐみの姿が露になる。

 

誠司「あっ!」

 

剛「おい、やばいぞ」

 

慌てるめぐみだが、ゆうこが直ぐに対処する。

 

だが、荒地の真ん中に、不自然に怪しい芝生があった。

 

誠司「おいー!!それはさすがに無理があるだろ!あからさまに不自然じゃん!!」

 

突っ込みを入れる誠司だったが、サイアークは気付く事無くその場を離れていった。

 

誠司「え!?なんでばれないの!?俺が可笑しいのか!?」

 

リン「誠司落ち着いて、全然可笑しくないから」

 

剛「あいつが特殊なだけだろ」

 

あまりの事態に動揺する誠司を、深水兄妹が落ち着かせる。

 

だが次の瞬間、誠司達の場所にまで響く、お腹の音が鳴った。

 

ラン「ねえ...今の音って...」

 

誠司「ああ...ゆうこだな」

 

今の音が原因で、完全にばれてしまった。

 

『誠司!』

 

誠司「分かってる!行くぞ!」

 

俺達は慌てるめぐみ達のもとに向かう。

 

誠司「何やってんだお前ら」

 

めぐみ「ごめーん」

 

ゆうこ「お腹が空いちゃって...」

 

俺達はめぐみ達を連れ、すぐ近くの木に身を隠す。

 

しばらくすると鎧サイアークが大量のチョイアークを連れて戻ってきた。

 

めぐみ「たくさん来たー」

 

ひめ「みんな、ローラースケーターに変身よ」

 

めぐみ・ゆうこ「オッケー」

 

誠司「行くぞ!」

 

『おう!』

 

めぐみ達はローラースケーターにスタイルチェンジし、俺達は自分達の身体能力で突破する。

 

誠司「ゲキワザ!砲砲弾!」

 

ガアッーーーーー!

 

ゲキタイガーが前に居た大量のチョイアークを蹴散らす。

 

ゆうこ「すごーい!」

 

めぐみ「さっすが誠司!」

 

ひめ「よし!このまま突き進むわよ!」

 

前に塞がるチョイアークを、俺達で対処しながらチョイアークを引き離す。

 

めぐみ「どうにかまいたね」

 

リボン「お城の入り口はすぐそこですわ」

 

先を進む俺達だったが、城の入り口は2体のサイアークが見張っており、入る事が出来なかった。

 

めぐみ「見て、サイアークが2体も」

 

リボン「王妃様はお城の中ですし、うーん困ったですわ」

 

ひめ「大丈夫、大丈夫」

 

『え?』

 

ひめ「ここは任せて」

 

ひめは城の壁に近づき、壁の一部を押す。すると押した場所に長方形の大穴が出てきた。

 

ひめ「こっちこっち」

 

めぐみ・ゆうこ「えー、ここー?」

 

ひめ「お母様の部屋への近道だよぉ」

 

リボン「なんと!そんな所に隠し通路が!?全然知らなかったですわぁ!」

 

隠し通路の存在にリボンは驚愕する。

 

ひめ「だってみんなが知ってたら隠し通路にならないじゃん。子供の頃、こっそり抜け出す時使ってたんだよ~」

 

リボン「それも初耳ですわ~!」

 

ひめの言葉にリボンは更に驚愕する。

 

めぐみ「子供の時は楽々に通れたんだね」

 

ゆうこ「もう少し成長する前に来たかったかも」

 

しばらく進むと、ひめはまた隠し扉を開き、玉座の間らしき場所に出る。

 

そこには鏡に閉じ込められたひめの両親がいた。

 

ひめ「お父様...お母様...」

 

両親の姿を見て、ひめは涙を浮かべる。

 

めぐみ「ひめ、ひめはお母さんによく似てるね」

 

ひめ「うん、よく言われる」

 

めぐみの言葉にひめは嬉しそうに涙を拭う。

 

誠司「ひめ、お母さんにケーキを渡すんだろ?」

 

ひめ「あ...そうだった」

 

ひめはケーキが入ったバスケットを王妃様の前に置く。

 

ひめ「これ母の日のプレゼント。卵も割れなかった私がケーキを作るなんてびっくりでしょ。お母様が大好きなレーズンをたーっぷり入れたんだよ」

 

ひめが王妃様と話していると、その場がチョイアーク達に囲まれる。

 

めぐみ「チョイアーク!」

 

ケン「たくっ、空気を読まない連中だな」

 

誠司「良し!みんな行くぞ!」

 

『おう!』

 

全員が変身アイテムを構える。

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

剛「響け!ケモノの叫び!」

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

メレ「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

『ビースト・オン!』

 

理央「臨気王凱装!」

 

メレ「レプタイル・オン!」

 

めぐみ達は光に包まれプリキュアに変身し、誠司達に瞬間的にゲキスーツが装着される。

 

理央は鎧を纏い、メレは顔が怪人態になり、体に緑のゲキスーツが装着され、胸のマークはカメレオンのマークが施されている。

 

ラブリー「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

ハニー「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

ラブリー「ハピネス注入!」

 

プリンセス・ハニー「幸せチャージ!」

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

ゲキイエロー「日々是精進!心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

ゲキバイオレット「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

ゲキチョッパー「才を磨いて!己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

理央「猛きこと、強きこと、獅子の如く!人の命(めい)を守る者!我が名は黒獅子王の理央!」

 

メレ「理央様の愛のために生き!理央様の愛のために戦うラブウォリアー!カメレオン使いのメレ!」

 

誠司「燃え立つ激気は正義の証!」

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

ゲキレッド「行くぞ!」

 

 

_____________________

 

 

ディープミラー「城内にプリキュア達が潜入した模様です」

 

クイーン・ミラージュ「またプリキュア?懲りないのね。どうせすぐやられると言うのに」

 

ミラージュはソファに寛ぎながら、プリキュアに呆れていた。

 

ツトコウ「今回は俺も行こう。プリキュアが居るという事はゲキレンジャーも居ると思うからな」

 

ミラージュ「そう、勝手になさい」

 

_____________________

 

 

俺達は目的を果たした為、その場から逃げる事にした。

 

ラブリー「沢山きたぁ」

 

リボン「さ、早く」

 

リボンに従い俺達はバルコニーへ逃げる。

 

プリンセス「うわぁ!どうしよう」

 

バルコニーの外は建物の突起だらけで、高さもかなりのものだ。

 

ラブリー「降りよう」

 

ラブリーの言葉に俺達は頷く。だがプリンセスだけ違う方向を向いている事に気付いた。

 

プリンセスは先程居た両親の場所を見ていた。

 

ラブリー「行こう!」

 

ラブリーはプリンセスの両手を取りながら言う。

 

俺達はバルコニーから飛び降りる。

 

ホッシーワ「ハピネスチャージプリキュアちゃんにゲキレンジャーじゃない。私達のお城までわざわざ来てくれるなんて、ご親切ねぇ~」

 

俺達の前にホッシーワが立ちはだかる。

 

リボン「きゃー!見つかっちゃったですわ~。取り敢えず逃げるですわ!」

 

ラブリー「分かった!」

 

慌てるリボンにラブリーとハニーは従って逃げようとする。

 

プリンセス「ふざけないで!何が私達のお城よ!ここは私のお城よ!」

 

だがひめだけは残って、ホッシーワに抗議する。

 

ホッシーワ「はぁ~?あらやだ、よく見たら本当にこの国のプリンセスじゃない。プリンセスがキュアプリンセスの正体なんて~。や~ね~、単純すぎてまったく気付かなかったわ~」

 

プリンセス「あなた達最低よ!絶対許さない!愛と怒りの~プリンセスボール!」

 

プリンセスはホッシーワに向かって、プリンセスボールを放つ。

 

ホッシーワ「きゃー!って、なんつって」

 

叫ぶホッシーワだったが、あっさり弾き飛ばす。

 

リボン「何しているんですの!ここではプリキュアの力は大幅にパワーダウンしてしまうのよ。ブルー様に言われたのをお忘れですの?」

 

プリンセス「でも...お父様とお母様が...」

 

リボン「でももすもももありませんわぁ!とにかくここから脱出するですわ~!」

 

ホッシーワ「もうお嬢ちゃん達は袋のネズミよ」

 

するとナマケルダ達が俺達の前にテレポートしてきた。

 

ナマケルダ「ここで始末すれば、出張の手間も省けて楽チンですぞ」

 

オレスキー「クイーンミラージュ様の見ている所でプリキュアをやっつければ、俺様の評価も鰻上りだ」

 

ホッシーワ「私が先に見つけたのよ~!」

 

いきなり現れたナマケルダ達にホッシーワは怒り出す。

 

ゲキレッド「リボン、プリンセスの気持ちも理解してやれよ」

 

プリンセス「誠司...」

 

リボン「誠司さん...でもこのままじゃ...」

 

ゲキレッド「確かにここじゃプリキュアの力は大幅にダウンするかもしれないが、力を合わせたら話は別だぜ」

 

リボン「力を合わせる?」

 

俺の言葉にリボンは疑問符を浮べる。

 

ゲキレッド「プリンセス、あれやるぞ!」

 

プリンセス「え?あっ!わ、分かった!」

 

プリンセスは最初は疑問符を浮べていたが、直ぐに俺の意図に気付いた。

 

ゲキレッド「行くぞ!ゲキセイバー!」

 

プリンセス「プリンセスセイバー!」

 

俺はゲキセイバーを、プリンセスがプリンセスセイバーを召喚する。

 

ゲキレッド「今までの修行の成果を見せるぞ!」

 

プリンセス「うん!」

 

オレスキー「お、おい、あれはさすがに不味くないか」

 

ナマケルダ「不味いと思いますぞ」

 

ゲキレッド「ゲキワザ!波波斬!」

 

プリンセス「プリキュア!姫乱舞!」

 

『合技!ゲキセス斬波(ざんなみ)!』

 

波波斬の斬撃と姫乱舞の斬撃が合わさり、ホッシーワ達に放たれる。

 

ドッガーン!

 

『ぎゃー!』

 

俺達の前に居たホッシーワ達がダメージを食らい、チョイアーク達が消滅する。

 

ラブリー「やったぁ!」

 

ゲキバイオレット「さすがだな」

 

ゲキレッド「プリンセス、今はこれで逃げるぞ」

 

プリンセス「うん」

 

ゲキチョッパー「よし!今の内に早く大使館に帰るぞ!」

 

退けた俺達はその場を離れようとした。

 

ツトコウ「なるほど、さすがはゲキレンジャーだな」

 

ゲキレッド「誰だ!」

 

だが、1人の怪人態が俺達の前に立ちはだかる。

 

ツトコウ「俺の名前はツトコウ。以前10拳聖とブルーサ・イーによって封印された者の1人だ」

 

『!?』

 

ツトコウの言葉に俺達は驚く。

 

ラブリー「ブルーサ・イー?」

 

ハニー「10拳聖って何?」

 

ゲキレッド「ブルーサ・イーは、俺達が使う獣拳の創始者のことだ!」

 

理央「10拳聖は、臨獣拳の創始者である三拳魔がまだ拳聖と呼ばれていた時に、誠司達の師匠である七拳聖達と一緒に呼ばれていた総称だ」

 

ラブリー「え!?それじゃあ、あいつはランちゃん達の世界の敵って事!?」

 

プリンセス「なんでこんな所に!?」

 

ツトコウ「それはお前達に話す必要はない」

 

すると後ろからダメージを負ったホッシーワ達がやってきた。

 

ホッシーワ「ちょっと!何抜け駆けしてるのよ!」

 

オレスキー「そうだ!プリキュア達は俺の獲物だ!」

 

ホッシーワ達はいきなり現れたツトコウに怒りだす。

 

ツトコウ「ふん!プリキュアだけならまだしも、ゲキレンジャーを相手にする事はお前達には無理だろ」

 

ツトコウはホッシーワ達を馬鹿にした言い方をする。

 

ホッシーワ「ぐぬぬぬぬ!」

 

ナマケルダ「悔しいですが、事実なので言い返せないですぞ」

 

ツトコウの言葉にホッシーワ達は悔しがる。

 

ゲキバイオレット「おい、どうする?」

 

ゲキブルー「マスター達が封印したって事は相当の実力者って事よね」

 

ゲキイエロー「ラブリー達を守りながらじゃ戦えないわ」

 

プリンセス「私がお母様に会いたいなんて言わなければ...」

 

プリンセスがそう呟くと、ラブリーのキュアラインにブルーから通信が入る。

 

ブルー『すぐ近くに帰る為のミラーゲートを開いた。早く脱出してくれ』

 

ゲキレッド「ナイスタイミングだ!ブルー!」

 

ラブリー「分かった」

 

ブルーの言葉に、殆どの者が嬉しそうにする。

 

ツトコウ「おっと、もう帰るのか?もう少しゆっくりしていったらどうだ?」

 

理央「ふざけた事を...」

 

ゲキチョッパー「なめてんのか、あいつ」

 

ツトコウの態度に俺達は怒りを露にする。

 

ホッシーワ「何呑気に逃がそうとしてるのよ」

 

ナマケルダ「その通り、今が倒すチャンスですぞ」

 

ツトコウ「まあ、今倒しても面白くないからな」

 

オレスキー「何言ってんだ!お前!」

 

ツトコウに対して、ホッシーワ達が不満を漏らす。

 

ゲキレッド「ハニー今だ!」

 

ハニー「うん!ハニーテレポート!」

 

ハニーはハニーテレポートを使い、全員をホッシーワ達とは大分離れた場所へテレポートする。

 

ホッシーワ・オレスキー「何!?」

 

ナマケルダ「サイアーク、チョイアーク、逃がすなですぞ」

 

俺達は、ブルーが開いたミラーゲート目掛けて走る。

 

追われる俺達だったが、目の前にブルーが開いたミラーゲートが見えてきた。

 

ゲキレッド「あれだ!」

 

リボン「追いつかれてしまうですわ!早く早くですわー!」

 

徐々に距離も詰められてしまう。

 

ブルー「皆、飛んで!」

 

ラブリー達は前にスライディングで飛んでゲートに入り、俺達は普通に飛んでゲートへと入る。

 

ホッシーワ「あー!」

 

オレスキー「何をしている!逃げられてしまったじゃないか!」

 

ナマケルダ「やはりゲキレンジャーはやっかいですぞ...」

 

_____________________

 

俺達はクロスミラールームに帰ってきた。

 

ラブリー達は目の前で重なっていた。

 

ブルー「大丈夫かい?」

 

ゲキレッド「ああ、なんとかな」

 

ラブリーとハニーは立ち上がるが、プリンセスだけが立ち上がる素振りを見せなかった。

 

ゲキレッド「プリンセス?」

 

プリンセス「また逃げちゃった...」

 

ぼそりとプリンセスが呟くが、その時誰も声を掛ける事が出来なかった。

 

 

 

 

 

その後、いつもの部屋まで俺達は戻った。

 

ひめ「私やっぱり、ヘナチョコプリキュアだな...。お母様やお父様、ブルースカイ王国も守れない...」

 

めぐみ「ヘナチョコじゃないよ。私もチョイアークにさえ適わなかったんだから」

 

ゆうこ「幻影帝国の中でプリキュアの力が弱くなるなら、私達がもっと強くなろうよ」

 

誠司「それに、最後に出てきたツトコウって奴にも俺達が敵うか分からなかったしな」

 

理央「ああ、ブルーサ・イー達が封印していた程だ。三拳魔を超える程の実力者なのは間違いないな」

 

剛「後でマスター・シャーフに確認しないとな」

 

ひめ「それでも、力が100万分の1じゃ、いくら強くなっても無理だよ」

 

誠司「ひめ...人間ってのはな、自分の弱さを知れば人に優しくする事だって出来るし、強くなれることだって出来る」

 

俺はひめの両手を握り、励ましの言葉を掛ける。

 

誠司「ひめはもう自分の弱さを知ったんだ。だったらこれから強くなればいい」

 

めぐみ「そうだよ!それにひめには私達がついてるんだから」

 

リボン「私もついてるですわ」

 

ブルー「僕もいるよ」

 

ケン「俺達もいるぜ!」

 

ひめ「みんな...」

 

めぐみ達の言葉にひめは涙目になる。

 

誠司「もちろん俺だって居るんだ。さっきの合体技だってあいつらに効いていたじゃないか」

 

誠司の言葉を聞き、ひめは先程誠司と一緒に放った合体技を思い出す。

 

誠司「ひめ1人で勝てないなら、俺達が力を貸してやる。だから諦めるな!俺達でお前の国を取り戻そう」

 

ひめ「誠司...う...うわあぁぁぁぁぁん!!」

 

俺の言葉にひめは我慢出来なかったのか、涙を溢れさせ誠司に抱きつく。

 

俺もひめの頭を抱きしめ優しく頭を撫でた。

 

 

 

その後、大使館にはしばらくひめの泣き声が響いた。

 




はい!如何だったでしょうか!

前書きで言っていたあいつとは『バエ』の事です。

思っていたよりも読者の声が多かったので、これからの巨大ロボ戦は増子美代とバエの2人で行います。

また、メレの強化アイテム等のアイデアを提供して頂いた読者の方々、本当にありがとうございます。

自分でもうまく書けたんじゃないかなと思います。

次回からマキリカや他にもリクエストにあったリンリンシーを出していきます。

お楽しみにしてください!

しばらくは小説を読んでゆっくりしようと思うので、投稿は大分先になると思います。

では次回!激獣拳を極めし者第16話、もしくはアクセル・ビルド第9話でお会いしましょう!

それじゃあ!またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 私はマスコミよ!!プリキュアの秘密全部見せます!!

どうも!最近他の作者に感化されて、他にも小説を書きたくなっているナツ・ドラグニルです。

まあ、さすがにこれ以上増やしたら大変なので、書きませんが。

今回からリクエストにあった、リンリンシーが登場します!

原作に登場した順番で登場させますので、まずはマキリカから登場です。

読者の皆様から多くのリクエストを頂きました。

マキリカの次は5毒拳を出します。

それでは作品をどうぞ!


幻影帝国の本拠地

 

クイーンミラージュ「まったく、あなたがいながら逃がすなんて...」

 

ツトコウ「別に戦うなんて、ひと言も言ってないからな」

 

ファントム「貴様!クイーンミラージュ様に向かってなんだその口は!」

 

ツトコウ「なんだぁ?やる気か?」

 

2人は戦闘態勢に入る。

 

クイーンミラージュ「やめなさい、ファントム」

 

ファントム「くっ!分かりました」

 

そう言って、ファントムは構えを解く。

 

構えを解いたファントムを見て、ツトコウも構えを解く。

 

ツトコウ「まあ、逃がした詫びじゃないが、俺も戦力を用意したから許してくれよ」

 

ファントム「戦力?」

 

ツトコウ「おい!入って来い!」

 

ツトコウの合図で、1体のリンリンシーが入ってきた。

 

?「おっ!やっと俺の出番かぁ?」

 

リンリンシーの額には、カマキリの装飾が施されていた。

 

マキリカ「ひゃっはっはっはー!俺様は臨獣マンティス拳使い!マキリカ様だ!」

 

ツトコウ「こいつはゲキレンジャーに倒された奴だが、あるお方によって蘇ったんだ」

 

マキリカ「俺を復活させるなんて、あのお方はセンスがあるぜ!」

 

クイーンミラージュ「ふーん、まあいいわ。プリキュア達を倒せるなら」

 

マキリカ「ひゃっはー!プリキュアだか何だか知らないが!俺様の鎌の餌食にしてやるぜ!」

______________________

 

-大使館-

 

以前現れた敵『ツトコウ』の事についてマスター・シャーフに連絡をする為、家の手伝いがあるゆうこ以外のメンバーが大使館に集まっている。

 

マスター・シャーフ「なるほど...、まさかあやつらの封印が解けていたとは...」

 

誠司「やつらは一体何者なんですか?」

 

ラン「十拳聖に封印されていた者と言っておりましたが...」

 

マスター・シャーフ「理央に聞いていると思うが、わし等七拳聖と三拳魔がまだ十拳聖と呼ばれていた頃、獣拳を凌駕する力を持つ拳法使いが現れたんじゃ」

 

剛「なっ!?獣拳を凌駕するほどの拳法使い!?」

 

ケン「そんな連中がいたのか!」

 

マスター・シャーフ「そうじゃ、そやつらのせいで世界が崩れ掛けたが、ブルーサ・イーと十拳聖が力を合わせ封印した後、臨獣殿の本拠地である寺院の地下深くに埋めたんじゃ」

 

理央「なるほどな、恐らく俺が本拠地を燃やした際に封印が解けたんだろう」

 

誠司「そして解けた後に、この世界に渡ってきたと...」

 

俺と理央で経緯を推測する。

 

ひめ「誠司とは、逆のパターンって事?」

 

誠司「恐らくな」

 

リン「もし戦う事があるなら、私達も最初から全力で行かないとね」

 

ラン「そうね!」

 

マスター・シャーフ「わし等は不闘の誓いがあるから一緒に戦えないが、精一杯のサポートはするつもりじゃ」

 

美希「ええ、まだめぐみ達のサポートアイテムも開発中よ」

 

めぐみ「本当ですか!?」

 

ひめ「凄ーい!」

 

美希さんの言葉に、めぐみ達は驚く。

 

マスター・シャーフ「理央、メレ、こやつらの事を頼んだぞ」

 

理央「ああ」

 

メレ「ふん!お前に言われるまでもない!」

 

マスター・シャーフ「誠司、ラン、リン、剛、ケン、あやつらは全員で10人おる。わし等で何とか封印した相手じゃ、戦う時は充分に気をつけるのじゃ」

 

『はい!』

 

____________________

 

その後、俺達は広間に集まり、先程の件について話していた。

 

ケン「それにしても、まさかあいつがそんなやばい奴だったとはな...」

 

剛「ああ、しかも他にも9人もいるなんてな...」

 

めぐみ「でも!誠司達がいれば余裕でしょ!過激気だってあるし!」

 

ひめ「それに理央さんだっているしね!」

 

考え込む俺達を他所に、めぐみ達は楽観的に考えていた。

 

誠司「あのなぁ...相手は世界を崩しかけた相手なんだぞ」

 

めぐみ「大丈夫!何とかなるよ!」

 

いつものめぐみの様子に、誠司は大きく息を吐く。

 

誠司「たくっ...どこからその自信が来るんだよ...。まあ、確かに今ここで考えても仕方ないしな」

 

ラン「そうね」

 

リボン「さあ、辛気臭い話はそこまでにしましょう。そろそろプリキュアウィークリが始まる時間ですわよ」

 

ひめ「え!?もうそんな時間!?」

 

ひめ達はテレビの前に移動し、リボンが用意したお菓子を食べ始める。

 

時間になり、いつもの美代の台詞から始まる。

 

リボン「始まりましたわ」

 

美代『突然ですが、今日は悲しいお知らせがあるんです』

 

その知らせを聞き、俺達は反応する。

 

美代『実は先日に続いて、マドリードのプリキュアもプリキュアハンターに負けてしまいました』

 

テレビには剣を抜いたファントムと、地に伏せたプリキュアが映っていた。

 

『えー!』

 

めぐみ「またプリキュアが!」

 

ひめ「くー、プリキュアハンターめ!」

 

めぐみは驚き、ひめは悔しそうにする。

 

誠司「あの剣を抜いたって事は、あのプリキュアも相当の実力者だったって事だな」

 

美代『だけど心配ご無用!最後は必ずプリキュアが勝つのです!』

 

美代は自信満々に答える。

 

美代『なぜなら、彼女達はヒロイン。いや、ヒーローだからです!』

 

テレビには、増子のバックにハピネスチャージを始めとしたプリキュア達が映っていた。

 

増子の言葉を聞き、めぐみ達は嬉しそうにする。

 

美代『そして!彼らゲキレンジャーがいれば何も心配はありません!』

 

今度は、ゲキレンジャーが増子のバックに映った。

 

美代『そんなわけで!来週は気合を入れて緊急特集をお送りしますよ!』

 

美代は間を置き、画面に向かって指を指す。

 

美代『題して!巷で噂のハピネスチャージプリキュアと、ゲキレンジャーの話題に迫る!お楽しみに~』

 

『えー!』

 

美代の言葉に、全員が驚く。

 

バエ「おー!なんか彼女とは息が合いそうな気がしますね!」

 

するとどこからか、バエが現れテレビに張り付いた。

 

リボン「きゃー!大きいハエですわー!」

 

ひめ「ひぃ!でかすぎるでしょ!!」

 

めぐみ「さ、殺虫剤持ってきて!」

 

バエを初めて見て、めぐみ達は慌てだす。

 

誠司「待て待て待て!こいつも俺達の仲間なんだよ!」

 

めぐみ「え!?この大きなハエが!?」

 

バエ「どうも!激獣フライ拳使いのバエと申します!」

 

ひめ「嘘!こいつも獣拳使いなの!?」

 

剛「ああ、そうだ」

 

バエ「これから宜しくお願いします!」

 

____________________________

 

 

 

 

―翌日―

 

俺達は学校に登校する為、河川敷を歩いていた。

 

めぐみ「それにしても吃驚したね~、昨日のテレビ」

 

ゆうこ「私達の正体に迫る~って言われてもねぇ」

 

誠司「それに迫るって言うけど、どうやって迫るんだろうな?」

 

剛「増子さんの事だから、直接聞き込みでもして正体を突き止める気なんじゃないか?」

 

ケン「あ~、ありそうだな」

 

ひめ「これはハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャー、最大の危機よ!」

 

昨日のテレビについて話していると、ひめが主張する。

 

めぐみ「え!?大袈裟じゃあ...?」

 

ひめ「そんなことないわ。プリキュアウィークリーはお茶の間の人気番組なんだから」

 

油断しているめぐみに対し、ひめは指摘する。

 

ひめ「プリキュアとして注目されるのは嬉しいけど...もしあたし達の正体が全国ネットで明かされちゃったりしたらぁ...」

 

ひめの言葉に、報道陣に囲まれた所を想像しためぐみ達は、あーと遠い目をする。

 

ひめ「毎日カメラマンに追い回されて、プライベートなんてなくなっちゃうんだから」

 

ゆうこ「それはさすがに困るかも~」

 

ひめの言葉に、ゆうこが同意する。

 

ひめ「でしょ~」

 

誠司「でも、気をつけていたらばれるなんて事は...」

 

美代「あなた、キュアラブリーですね!」

 

めぐみ「え!?」

 

いきなり聞こえた言葉に、めぐみは驚く。

 

前方を見ると、1人の女生徒に詰め寄っている美代さんの姿があった。

 

女生徒「違います」

 

増子「本当?」

 

女生徒「本当です、違います~」

 

美代「うーん、髪型がすごく似ていると思ったんだけど...失礼しました」

 

女生徒は謝れるなり慌てて逃げた。

 

ゆうこ「増子...」

 

ひめ「美代さん...」

 

めぐみ「うそー」

 

誠司「マジで直接聞き込みしてたな...」

 

剛「嘘だろ...」

 

驚いている俺達の前を唸りながら素通りする。

 

美代「お!」

 

だが直ぐに俺達にカメラを向け、早足で近づいて来る。

 

美代「あなた達!」

 

いきなり呼ばれ、俺達は吃驚する。

 

美代「うんうん」

 

美代はメモを見ながら頷いている。

 

彼女に注目していると、メモを見終えた後こっちを見たので俺達は怯む。

 

美代「元気、おっとり、わがまま」

 

めぐみ、ゆうこ、ひめの順番でカメラに映した。

 

美代「私が調べた、ハピネスチャージプリキュアの特徴にピッタリだわ!」

 

すると、今度は俺達にカメラを向けた。

 

美代「そして男子が3人、女子が2人。ゲキレンジャーの主要メンバーと同じ人数で男女比も同じ!」

 

ひめ「てゆうか、なんで見た目だけでわがままって分かるのよー」

 

美代が言った自分の特徴に、ひめは不満に思う。

 

リボン「当たってますけど...」

 

小声で呟いたリボンを、ひめは鷲掴みにする。

 

美代「おや?そのぬいぐるみ、どこかで見覚えが...」

 

美代に注目され、リボンは滝の様に汗を流す。

 

ひめ「あ、急がないと遅刻しちゃう!」

 

そう言って、ひめはリボンをバックに仕舞う。

 

めぐみ「みんな!いっそげー!」

 

めぐみの言葉を合図に、俺達はその場を走り去る。

 

美代「怪しい...」

 

置いて行かれた増子は少しあんぐりだったが、眼鏡を光らせぼそっと呟く。

 

 

 

 

場所は教室に移り、現在は出欠を取っている。

 

和泉先生「それでは出欠を取ります」

 

めぐみ「先生、その前にちょっと...」

 

先生が出欠を取ろうとするが、めぐみが挙手をする。

 

和泉先生「どうしました?愛乃さん」

 

不思議がる先生だったが、めぐみの傍ではカメラを構えている美代がいた。

 

めぐみ「なんで増子さんが居るんですか?」

 

めぐみの言葉を聞き、増子は何かの紙を広げる。

 

美代「ちゃんと学校から取材許可は貰っているわ」

 

美代が広げた紙には、学園内取材許可証と書かれていた。

 

美代「愛乃めぐみちゃん、白雪ひめちゃん、大森ゆうこちゃん、相楽誠司君、宇崎ランちゃん、深水リンちゃん、そして別の学年の深水剛君、久津ケン君」

 

『私(俺)達の名前』

 

美代に名前が知られていた事に、俺達は驚く。

 

美代「ジャーナリストですから...」

 

美代はドヤ顔になり、手にチョークを取る。

 

美代「この数日、私はハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャーについて、徹底的に調べ1つの事実に行き着いたの...」

 

そう言って、増子は唸りながら後ろの黒板に何かを書き出す。

 

美代「それは彼女達がぴかりが丘中学の学区内によく現れる事。更に言えば、3人の見た目は中学生。そうつまり...プリキュアはこの学校の生徒の中に居る!」

 

増子の言葉に、教室の面々は叫ぶ。

 

図星なので気が気ではないめぐみ達。

 

女生徒「プリキュアがこの学校に?」

 

美代「そして!ゲキレンジャーはスーツを纏っているので、見た目は分かりませんが...プリキュアと一緒にいると言う事は!彼らもこの学校の生徒の可能性が高い!」

 

その言葉に俺達もあんぐりとなる。

 

和泉先生「もしそうなら、先生も鼻が高いですー」

 

和泉先生は、うっとりとしていた。

 

めぐみ「これは」

 

『まずい...』

 

俺達は思わず、声を揃えてしまった。

 

_______________

 

俺達は移動する為、廊下を歩いていた。

 

「おはよう」

 

『おはようございまーす』

 

俺達は挨拶を返すが、ひめは恥ずかしそうに小声かつ遅れて言ってる。

 

その時、ひめはカメラを向けられている事に気づき、誠司の背中に逃げる。

 

美代「私の取材によれば、キュアプリンセスは人見知り...」

 

メモを読み上げる増子に、図星を突いてきたので俺達は怯む。

 

ひめ「人見知りじゃないし!」

 

そう主張して逃げようとしたひめだったが、誠司は前から男子生徒が歩いて来るのを見て、このままではひめが衝突してしまう事に気がついた。

 

誠司「待て、ひめ」

 

誠司はひめの手を掴み、自分に引き寄せた。

 

『あー!』

 

めぐみ達は声を上げ驚く。

 

ひめはいきなり引っ張られた事に驚いたが、自分が誠司の胸に顔を埋めている事に気付き、顔を赤くする。

 

誠司「すいません」

 

男子生徒「いや、大丈夫だ」

 

ぶつかりかけた男子生徒とやり取りする誠司だったが、ひめはそれ所では無かった。

 

以前、誠司の胸元で泣いてから、誠司の事を更に意識するようになったひめに取っては一大事だった。

 

誠司「たくっ、少しは気をつけろよ」

 

俺はひめに声を掛けるが、返事が無い事に疑問を浮かべる。

 

誠司「ひめ?」

 

ひめ「きゅー」

 

顔を赤くしていたひめだったが、限界を向かえてしまい気絶してしまった。

 

誠司「ひ、ひめ!」

 

誠司は倒れたひめを抱き起こすが、ひめは目を覚ます事はなかった。

 

めぐみ「えー!?ちょ、ひめ!?」

 

ゆうこ「だ、大丈夫!?」

 

さすがに、緊急事態だと思っためぐみ達も駆け寄った。

 

ラン「だ、大丈夫!?」

 

リン「は、はやく保健室に!」

 

俺達は急いで、保健室に向かった。

 

 

 

 

その後、何とかひめが目を覚ました。

 

俺達は午前の授業を終え、給食を食べている。

 

給食を食べているゆうこに、美代が取材を行っている。

 

美代「6人は仲良しなんだよね」

 

ゆうこ「はい勿論...」

 

美代「いつも一緒に行動しているのかな?放課後は何してるの?どんなとこで遊ぶの?休日は?」

 

ゆうこ「あの...私、ごはんは落ち着いて食べたいんです...」

 

美代「あはは、ごめんねー」

 

美代は距離を置いてメモを取り出した。

 

美代「キュアハニーはご飯に拘る...」

 

俺はその呟きを聞き、冷汗を浮かべる。

 

 

______________________

 

放課後になり、その日は何もせず各々家に帰った。

 

俺達はめぐみの家で、夕食の準備をしている。

 

めぐみ「今日は、グッターリー、早くおふとんにはいりーたいー」

 

めぐみはご飯をよそいながら、元気なく歌を歌っていた。

 

めぐみ「この調子じゃすぐに美代さんにスクープされちゃうよ。ひめもゆうゆうも気を引き締めてくれなきゃ」

 

誠司「一番危ないのはお前だろ」

 

めぐみ「そんな事ないもん」

 

俺の言葉にめぐみは反論する。

 

?「なになに?何の話?」

 

いきなり聞こえた声に、俺達はハッとする。

 

めぐみ「だからぁ」

 

めぐみは声の方へ顔を向けるが、そこに増子さんが居たので驚いた。

 

めぐみ「美代さん!」」

 

美代「はーい!」

 

めぐみの言葉に美代さんは手を振る。

 

真央「わぁ、本物だぁ!明日クラスの皆に自慢しよ!」

 

剛「とうとうここまできやがったな」

 

リン「嘘でしょ...」

 

美代さんの登場に、俺達は驚愕する。

 

めぐみ「なんで居るんですか?」

 

美代「今夜は愛乃めぐみちゃんのお宅に突撃取材でーす」

 

かおりママ「あらあら」

 

美代さんの言葉に、かおりさんは苦笑いをする。

 

美代「増子家の勘が告げるのよ。あなた達とお友達には秘密があるってね」

 

めぐみ「ん!な、なんのことやら~?」

 

すると増子さんは、机の上に置いている餃子に目がいった。

 

美代「それにしても、美味しそうな餃子ですね」

 

かおりママ「まぁ嬉しい。食べ盛りの子達がいるので、いっぱい作ったんですよ。良かったら食べていってくださいな」

 

美代「遠慮なく、ご相反に預かります」

 

めぐみ「えー!」

 

誠司「はあ...面倒くさい事になったな」

 

 

 

その後、俺達は夕食を済ませ、リビングでお茶を飲んでいた。

 

美代「ご馳走様でした~」

 

かおりママ「お粗末様でした」

 

美代「さて...あれ?めぐみちゃん?」

 

その時、美代はめぐみが居ない事に気付いた。

 

誠司「取材なら部屋で受けるそうですよ」

 

俺は素っ気無い態度で答える。

 

俺の言葉を聞き、美代さんはめぐみの部屋に向かった。

 

ケン「おい、大丈夫なのかよ。めぐみちゃんだけに取材させて」

 

隣に座っていたケンが、ぼそっと俺に呟く。

 

誠司「余程の事が無ければ大丈夫だろ」

 

剛「その余程の事があったらどうするんだよ」

 

誠司「なんかそう言われたら、不安になってきたな。ちょっと様子見てくるわ」

 

俺はめぐみの部屋へ向かった。

 

部屋に向かうと、めぐみの部屋から光が漏れているのに気付いた。

 

誠司「ま、まさか!」

 

部屋のドアを開けると、中には増子さんとラブリーに変身しためぐみがいた。

 

誠司「うぁ!あっちゃー!」

 

美代「うわぁ!プリキュアの変身、見ーちゃッたー!」

 

めぐみの変身を見て、増子ははしゃいでいた。

 

____________________

 

美代「お願いします。あたしをプリキュアにしてください」

 

ブルーに向かって増子は頭を下げる。

 

その姿に、ひめ達はあんぐりとする。

 

ひめ「バラしちゃったのー!?」

 

めぐみ「ごめーん」

 

誠司「すまない、俺の考えが甘かったばっかりに」

 

俺は全員に謝った。

 

ゆうこ「しょうがないよ、めぐみちゃんに隠し事をしろっていうのが無茶なんだから」

 

リボン「そうかもしれませんですわ」

 

すると、美代はリボンを抱きしめる。

 

美代「お!あなた妖精だったんだ!会えて感激だよ~!今度取材させてね~」

 

美代はリボンに頬ずりする。

 

リボン「お断りしますですわ」

 

美代「それにしても、やっぱりあなた達がゲキレンジャーだったのね」

 

誠司「え、ええ」

 

美代さんは、今度は俺達に詰め寄ってきた。

 

美代「そういえば、あなた達が言う獣拳って一体なんなの?」

 

誠司「獣拳っていうのは、激気を燃やして獣の力を手にする拳法だ」

 

俺は獣拳について説明する。

 

美代「激気?あなた達がいつも名乗りの時に使うあれね」

 

ラン「激気は獣拳の力の源なのよ」

 

リン「心に獣を感じた時に湧き上がる情熱を、激気と言う。それを燃やして無限の力を引き出すのが獣拳よ」

 

剛「俺達は獣拳4000年の精神を受け継ぎ発展させた、激獣拳ビーストアーツの戦士なんだ」

 

俺だけでなく、ラン達も説明する。

 

理央「そして、獣拳には相対する2つの流派がある。1つは誠司達が使う正義の獣拳、激獣拳ビーストアーツ。もう1つは俺達が使う邪悪な獣拳、臨獣拳アクガタ」

 

美代「邪悪な獣拳って事は...悪者って事!?」

 

理央の説明を聞き、増子は理央達に構える。

 

メレ「安心なさい。今はこいつらの仲間だから」

 

美代「そ、そうなんですか?」

 

すると、そこにブルーが近づく。

 

ブルー「世界を救うのは簡単な事ではないよ。それでも君は、プリキュアになりたいのかい?」

 

美代「はい!私の特技は情報集め。プリキュアやサイアークの情報はバッチリ頭に入っています。きっとお役に立てる筈です」

 

ブルー「分かった、いいよ」

 

ブルーは、美代の真剣の顔を見て、あっさりと快諾する。

 

美代「んー!やったぁ!」

 

ブルーの言葉に、美代は嬉しそうにする。

 

ひめ・リボン「そんなあっさりー!?」

 

ブルーは愛の結晶を作り出し、増子に差し出す。

 

ブルー「この愛の結晶をあげよう。君の本当の願いを込めてごらん」

 

美代は浮いてる結晶を掴み、眼を瞑る。

 

美代「お願い...私をプリキュアに...」

 

願う美代に皆が注目する。

 

だが、いつまでたっても何も起きなかった。

 

美代「あれ?」

 

リボン「変ですわね。本来なら結晶が光ってプリチュンミラーになるはずですが」

 

ひめ「お願いの仕方が足りないんじゃない?」

 

ひめは増子に指摘する。

 

美代「なるほど、よーし!」

 

張り切る美代は結晶を机の上に置き、低く唸って両手を合わせ、頭上で高く両手を広げる。

 

美代「プリキュアー」

 

 

 

 

色々と試行錯誤している内に、夕方になってしまった。

 

ひめ「えっとー...」

 

めぐみ「きっと、そのうち光りますよ」

 

ひめはかける言葉に困り、めぐみは励ます。

 

美代「ありがとう...。でも、あたし分かってる。大人だから...」

 

美代は机から結晶を取る。

 

美代「お邪魔しました」

 

美代は落胆した様子で一礼して去っていく。

 

めぐみ「美代さん...」

 

俺達は、美代さんの寂しく立ち去る姿を見ているしか出来なかった。

 

 

 

 

ラン「大丈夫かな?美代さん」

 

リン「ええ、凄く落ち込んだ様子だったけど...」

 

ケン「まあ、今回ばかりはしょうがないだろ」

 

めぐみ「でも...思い詰めなきゃいいけど...」

 

誠司「!」

 

その時、誠司は臨獣殿と戦っていた時に感じた気配に気付いた。

 

ひめ「誠司?」

 

ゆうこ「どうしたの?」

 

誠司「この気配...臨獣殿と戦っていた時に感じた...」

 

剛「何!?」

 

理央「まさか...あのツトコウという奴か」

 

めぐみ「どうゆうこと?」

 

ラン「誠司は臨獣殿の気配を感じる事が出来るの」

 

ひめ「嘘!?凄いじゃん!」

 

誠司「行くぞ!」

 

ブルー「待ってくれ!」

 

飛び出そうとする誠司達を、ブルーが止める。

 

メレ「なによ、こんな時に」

 

ブルー「サイアークの気配だ!」

 

ブルーが鏡に手を掲げると、鏡にサイアークが映る。

 

ゆうこ「まさか同時に!?」

 

誠司「恐らく一緒にいる筈だ、急ぐぞ!」

 

俺達はサイアークの所まで急ぐ。

 

___________________

 

現場に到着したが、鏡に美代さんが捕らわれている事に気付いた。

 

めぐみ「あれは...美代さん!」

 

ひめ「プリキュアになりたかったのにサイアークにされちゃったの!?逆じゃん!」

 

めぐみ「ひどい...絶対に助ける!みんな行くよ!」

 

『おう!』

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

剛「響け!ケモノの叫び!」

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

理央「臨獣ライオン拳!」

 

メレ「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

『ビースト・オン!』

 

理央「臨気凱装(りんきがいそう)!」

 

メレ「エプタイル・オン!」

 

誠司達はゲキレンジャーに、めぐみ達はプリキュアに変身する。

 

ラブリー「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

ハニー「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

ラブリー「ハピネス注入!」

 

プリンセス・ハニー「幸せチャージ!」

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

 

 

 

ゲキレッド「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

ゲキイエロー「日々是精進!心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

ゲキバイオレット「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

ゲキチョッパー「才を磨いて!己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

理央「猛きこと獅子の如く!強きこと、また獅子の如く!世界を守る者!我が名は黒獅子、理央!」

 

メレ「理央様の愛の為に生き!理央様の為に戦うラブウォリアー!カメレオン使いのメレ!」

 

誠司「燃え立つ激気は正義の証!」

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

ナマケルダ「来ましたなー。サイアーク!」

 

向え討とうする俺達だったが、別の方向からの攻撃に気付いた。

 

ゲキレッド「全員ふせろ!」

 

俺がラブリー達をふせさせると、頭上を何かが通り過ぎる。

 

どっかーん!

 

ラブリー「何!?」

 

マキリカ「ひゃっはー!久しぶりだな、ゲキレンジャー!」

 

ゲキチョッパー「リンリンシー?」

 

ゲキブルー「なっ!?」

 

ゲキイエロー「あいつは!?」

 

ゲキレッド「間違いない!マキリカだ!」

 

俺達の前に、マキリカが現れた。

 

ゲキバイオレット「誰だ?」

 

ゲキレッド「俺達が一番最初に倒した敵だ!」

 

ハニー「てことは臨獣殿!」

 

ゲキチョッパー「もしかして、誠司が感じた気配ってアイツの事か?」

 

ゲキレッド「ああ、間違いない!」

 

するとマキリカの前に、メレが立ちはだかる。

 

メレ「マキリカ!あんた理央様に蘇らせて頂いた恩も忘れ、理央様に楯突くつもりかい!?」

 

マキリカ「理央様?悪いが俺はあの方に蘇らせて頂いたんだ!そんな事知らないな!」

 

理央「どうやら、あの方って奴がマキリカを復活させたみたいだな」

 

マキリカ「そんな事はどうでもいい!俺と勝負しろ!ゲキレンジャー!」

 

ゲキレッド「しょうがない、ラブリー達はサイアーク相手をしろ!」

 

ラブリー「分かった!」

 

ラブリー達はサイアークに向かう。

 

マキリカ「リンギ!獣人邪身変(じゅうじんじゃしんへん)!」

 

マキリカの頭と腕が体に埋め込まれ、中から獣人化のマキリカが現れた。

 

だが、以前の緑色の体ではなく深緑色になっていた。

 

マキリカ「いいぞぉ!力が体に漲るぜ!」

 

ゲキレッド「気をつけろ!恐らく奴もメレみたいに強化されている筈だ!」

 

マキリカ「その通り!俺様はあの方に強化されて新たに生まれ変わったのさ!」

 

メレ「生まれ変わった?」

 

マキリカ・怒「俺様は臨獣マンティス拳使い!マキリカ・怒だ」

 

ゲキイエロー「マキリカ・怒ですって!?」

 

マキリカ「さあ!相手してもらうぜ!はぁ!」

 

マキリカ・怒は鎌を振り回し、巨大な真空刃を繰り出す。

 

ドッガーン!!

 

真空刃は遊具を吹き飛ばし、地面に大きな切れ目を入れた。

 

ゲキブルー「子供達の遊び場が!」

 

ゲキチョッパー「野郎!」

 

ゲキイエロー「ゲキトンファー!」

 

イエローはゲキトンファーを組み合わせ、ロングバトンに変える。

 

ゲキイエロー「ロングバトン!伸伸打(しんしんだ)!」

 

ロングバトンを伸ばして貫こうとするが、マキリカは鎌をクロスさせる事で攻撃を受け止めていた。

 

ゲキイエロー「くっ!」

 

マキリカ・怒「はあ!」

 

マキリカは鎌を広げるようにして、ロングバトンを弾く。

 

ゲキブルー「ゲキワザ!舞舞掌(まいまいしょう)!」

 

宙を舞うように相手を飛び越えつつ、回転を利用しゲキトンファーを叩きつける。

 

マキリカ・怒「ふっ!」

 

だが、ブルーの攻撃はマキリカに片方の鎌だけで防がれてしまう。

 

マキリカ・怒「はっ!」

 

マキリカはもう片方の鎌で、ブルーを斬り付ける。

 

ゲキブルー「きゃー!」

 

ブルーはそのまま、吹き飛ばされてしまう。

 

ゲキバイオレット「リン!」

 

バイオレットが飛ばされたブルーの元に向かう。

 

マキリカ「このまま、お前達をあの世に送ってやる」

 

ゲキレッド「んな事させるか!理央!」

 

理央「ああ!」

 

俺はスーパーゲキクローを、理央は獅子黒刀を召喚する。

 

ゲキレッド「スーパーゲキクロー!スーパービースト・オン!」

 

理央「臨気王凱装(りんきおうがいそう)!」

 

俺はスーパーゲキレッドとなり、理央は黒獅子王理央となる。

 

Sゲキレッド「ゲキセイバー!双剣合身(そうけんがっしん)!」

 

俺はゲキセイバーを召喚し、2本のゲキセイバーを1つにする。

 

Sゲキレッド「ゲキワザ!スーパー波波斬(なみなみざん)!」

 

理央「リンギ!獅子一閃(ししいっせん)!」

 

スーパー波波斬と獅子一閃が合わさり、マキリカに向かう。

 

マキリカ「負けるか!リンギ!マンティス閃光!」

 

マキリカは負けじと、先程よりも巨大な真空刃が俺達の合わせ技にぶつかる。

 

『うおおおおおおお!!』

 

俺と理央は押し返す為、気合を入れる。

 

『はあああああ!はぁ!』

 

更に気合を入れ、俺達はマキリカの攻撃を相殺する。

 

ゲキチョッパー「嘘だろ!あの2人と互角なんて!」

 

マキリカ「ひゃっはっはー!ん?」

 

もう一度攻撃しようとしたその時、マキリカはラブリー達の方に視線を向ける。

 

俺達もそちらを見ると、ラブリーとプリンセスがサイアークに止めを刺す所だった。

 

ナマケルダ「なんとお間抜けなぁ!とんだ見込み違いですぞ!今度は巨大戦で再戦ですぞ!」

 

サイアーク「サイアーク!」

 

雄叫びを上げ、サイアークは巨大化する。

 

マキリカ「あらら、あっちは終わったのか。なら俺はここでお暇するぜ!じゃあな!」

 

そう言ってマキリカは姿を消した。

 

メレ「あいつ、逃げやがった!」

 

Sゲキレッド「それより、今はあいつを倒そう!」

 

『おう!』

 

ラブリー「誠司気をつけて!あのサイアークは、私達の攻撃が全部筒抜けだったの!」

 

俺達がゲキビーストを召喚しようとした時、ラブリーが忠告する。

 

ゲキブルー「え!?」

 

ゲキイエロー「それって美代さんのサイアークだから?」

 

ラブリーの言葉に驚く。

 

ゲキバイオレット「なるほど、美代さんは俺達の事に詳しいからな。恐らくゲキトージャ達の事も知られている筈だ」

 

ハニー「私達は新しいフォームチェンジで倒したけど...」

 

プリンセス「ゲキトージャやゲキファイヤーも研究されているはずよ」

 

ラブリー「ゲキトージャウルフやサイダイオーだって...どうしよう」

 

不安になるラブリー達だったが、俺は既に別の方法を編み出していた。

 

Sゲキレッド「だったら美代さんも知らない合体で倒せばいいだけだ!」

 

俺は過激気を解き、通常形態に戻る。

 

ゲキレッド「全員の力を1つにするんだ!」

 

ゲキチョッパー「なるほど!アレが有ったか!」

 

ゲキバイオレット「ああ、アレか!」

 

ゲキレッド「理央とメレは、もしもの時の為にこっちに残っててくれ」

 

理央「分かった」

 

メレ「まかせなさい」

 

ゲキレッド「良し!行くぞ!」

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

ゲキレッド「ゲキタイガー!」

 

ゲキイエロー「ゲキチーター!」

 

ゲキブルー「ゲキジャガー!」

 

ゲキバイオレット「ゲキウルフ!」

 

ゲキチョッパー「いでよ!サイダイン」

 

バエ「おおっと!始まりました!ゲキレンジャーと巨大サイアークの戦いです!解説はプリキュアの皆さんと、鏡に捕らわれた増子美代さんでお送りします!」

 

鏡美代「どうもー!宜しく!」

 

バエ「さて!いきなりゲキタイガー達5体が現れました!どう思いますか?美代さん」

 

鏡美代「そうですね!やはりこの組み合わせなら、ゲキトージャウルフとサイダイオーでしょうか?ですが、それだとゲキチーターが余ってしまいますが...」

 

バエ「ふふふ!やはりそう思いますか!ですが甘い!あの組み合わせはもしかしなくても、絶対にアレだ!」

 

『獣拳合体!』

 

ゲキタイガーが2足歩行となり、足が折りたたまれサイダインと合体する。

 

ゲキウルフがサイダインの頭の上に乗り、ゲキチーターとゲキジャガーが両脇に構える。

 

『サイダイゲキトージャ!バーニングアップ!』

 

バエ「やっぱりサイダイゲキトージャの登場だ!」

 

ラブリー「凄ーい!」

 

ハニー「あんな合体もあるんだ!」

 

ゲキレッド「一気に行くぞ!」

 

『ゲキワザ!砕大頑頑撃(さいだいがんがんげき)!』

 

ゲキトージャの上半身の回に加え、ゲキチーター達がサイダインの回りを旋回する事により、巨大竜巻が発生する。

 

バエ「来たー!回転によって、巨大竜巻が発生!巨大サイアークを上空に吹き飛ばしたー!」

 

鏡美代「凄い威力です!」

 

舞い上がった巨大サイアークにゲキチーター達が攻撃する。

 

バエ「そして!ゲキジャガー!ゲキチーター!ゲキウルフの怒涛の攻撃!相手に一切の隙を与えない攻撃だ!」

 

『止めだ!』

 

最後はサイダインの角で止めを刺す。

 

バエ「そして止めは!サイダインの砕大剣が決まったー!」

 

『獣拳は!』

 

ゲキチョッパー「正義の!」

 

ゲキバイオレット「拳!」

 

ゲキイエロー「正しき者は!」

 

ゲキブルー「必ず!」

 

ゲキレッド「勝つ!」

 

『サイダイゲキトージャ!WIN!』

 

バエ「ゲキレンジャーの勝利です!ありがとう!ゲキレンジャー!」

 

ナマケルダ「くそー!こうなれば...場所を変えて不貞寝ですぞ!」

 

ナマケルダは怒りつつ、テレポートで消えてしまった。

 

巨大サイアークを倒した事により、美代さんが鏡から開放された。

 

俺達は元に戻った美代さんに駆け寄る。

 

めぐみ「美代さん」

 

美代「めぐみちゃん...そっか、私プリキュアとゲキレンジャーに助けてもらっちゃたんだ。ありがとう...。なんかかっこ悪いとこ見せちゃったな。こんなんじゃプリキュアになんて...」

 

美代さんは元気なさげに溜息をつく。

 

リボン「サイアークを浄化したのにカードが出ません。美代さんの心は、まだ不幸に沈んだままですわ」

 

どうしようと、考える俺達だったが。

 

「あ、居た!」

 

突然聞こえた声に、リボンとバエは隠れる。

 

声の方に振り向くと、そこには真央がえりや他の子供達を連れて駆け寄ってきていた。

 

男の子「すげぇ、本物の増子美代だ!」

 

真央「みんな、小学校の友達なの」

 

えり「あの、サインちょうだい!」

 

えりは美代さんに色紙を渡す。

 

美代「え?」

 

男の子「俺達、毎週プリキュアウィークリー見てるんだ」

 

女の子「お姉ちゃん、プリキュアのこと沢山知ってて凄いね!」

 

女の子は美代の事を称える。

 

えり「あのね、プリキュアを見てるとすごくワクワクして元気が沸いて来るの」

 

男の子「俺はゲキレンジャーの巨大ロボの戦いが好き!かっこいいから!」

 

えり「だから、これからもいっぱいプリキュアやゲキレンジャーの事を教えてね!」

 

真央達の眩しい笑顔に、美代は自分の胸に手を当てる。

 

美代「うん、まかせて!」

 

暫くあんぐりだったが、にっこりと子供達に眩しい笑顔を返す。

 

リボン「あ!これは、スポーティなサッカーボールのパワーを感じるですわ!」

 

リボンから、サッカーとデザイナーのプリカードが出てきた。

 

ひめ「プリカードが出たぁ」

 

俺達は笑い合い、後ろでは美代さんがサインしていた。

 

だがこの時、剛が思い詰めた表情をしている事に誰も気がつかなかった。

 

 

 

___________________

 

翌日、俺達はブルーの鏡を使い、プリキュアウィークリーを見ていた。

 

美代『先週予告した、ハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャーの特集ですが、取材不足の為、延期にさせて頂きます。ごめんなさい』

 

始まり早々、美代さんは頭を下げる。

 

美代『代わりに今週はこの映像を皆さんにお届けします』

 

テレビには、応援する子供達が映っていた。

 

美代『今、ご覧頂いてるのは世界各地でプリキュアを応援している子供達です』

 

美代さんは解説を始める。

 

美代『プリキュアの力は思いの力。みんなの元気な声援があれば、プリキュアはどこまでも力強くなれちゃうんです。彼女達は1人で戦っているわけじゃないの。いつだってみんなの声を力に変えて、愛が溢れる世界にしたいと願う気持ちを背負ってみんなと一緒に戦っているんだよ。みんなもヒーローなんだよ!これからも私はプリキュアの活躍を伝えていきます。それでは、次のコーナー行ってみましょう~』

 

ブルー「彼女の愛の結晶が光らなかった理由が分かったよ。彼女はもう世界に希望を与える大切な役目を持っていたんだね」

 

誠司「なるほどな」

 

リン「あれ?兄さんは?」

 

ケン「そういえば見てないな」

 

ラン「何処に行ったのかしら?」

 

_________________

 

 

場所は変わり、剛は河川敷で修行を行っていた。

 

剛「はっ!はっ!はっ!」

 

剛は突きや蹴りを放ち、修行を行っていたが何処か焦っていた。

 

剛「駄目だ!このままじゃ!俺は足手まといになってしまう!」

 

そう言って剛は、さらに修行に取り組んだ。




はい!如何だったでしょうか!

前書きでも書いた通り、今回はマキリカが登場しました。

マキリカの強化形態ですが、読者の方からアイデアを頂きました。

本当にありがとうございます。

これからのリンリンシーも全て同じ様に強化いたします。

後、誠司と理央の合体技を考えていたのですが、思いつかなかったので断念しました。

また、気付いた方もいると思いますが、今回から少し変えて書いていきます。

まずは、誠司が臨獣殿の気配を感じ取る事が出来る描写。

これは、今回からリンリンシーが出てくるので書きました。

そして、戦闘描写を多めで書く事。

これは分かりにくいと思いますが、現在ゲキレンジャーを1話から見直し戦闘描写を研究中です。

おせぇよと思うかもしれませんが、今まで余裕が無かったのでこれからはさらに増やして行こうと思います。

最後に巨大ロボ戦の最後の言葉。

原作でもあった台詞ですが、ぶっちゃけ入れ忘れておりました!

何してんだよ俺!

今まで本当に余裕が無かったんだなと痛感しました。

これからは気をつけて行きます!

これからも応援の程、宜しくお願い致します。

それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 努力と友情!覚醒!ゲキブルーバイオレット!

どうもナツ・ドラグニルです!

投稿が遅くなってしまい、申し訳ございません。

ハローワークで職探しなど、色々急がしかったで遅くなってしまいました。

今回はゴウのパワーアップ回なのでいつもより長くなっております。

それでは作品をどうぞ!


早朝の河川敷。

 

いつものように、誠司達は修行を行っていた。

 

『はっ!はっ!はっ!』

 

「良いわ!そのまま続けて!」

 

「突きこそ基本!魂込めて!」

 

めぐみ達はランとリンの指導の元、修行を行っていた。

 

ゴウ「ふっ!」

 

誠司「はっ!」

 

誠司はゴウと組み手をしていた。

 

ゴウ「おらっ!」

 

誠司「ぐっ!」

 

だが、いつもの組み手と違い、ゴウに余裕がないように見えた。

 

めぐみ「はっ!はっ!ねぇ、ゴウさんなんか様子おかしくない?」

 

ゆうこ「はっ!はっ!うん...この間の戦いからだよね」

 

ひめ「はっ!はっ!なんかあったのかな...」

 

めぐみ達は突きを出しながらも、話していた。

 

ラン「ほら、修行中は雑談しない」

 

『ご、ごめんなさい』

 

ランに注意され、めぐみ達は謝る。

 

リン「兄さん...」

 

いおな「悪いけど、ちょっといいかしら」

 

リンがゴウを心配そうに見ていると、そこにいおなが近づいてきた。

 

ひめはすぐさま、めぐみの後ろに隠れる。

 

ラン「どうかしたの?氷川さん」

 

リン「私達に何か用かしら?」

 

いおな「貴方達に用はないわ。私が用があるのは誠司君よ」

 

いおなは冷たい態度で、ラン達の質問に答える。

 

めぐみ「誠司に何か用なの?」

 

いおな「あなた達には関係ないことよ」

 

ひめ「関係ないって...どうゆう事よ」

 

ひめの言葉が聞こえたのか、いおなはひめを睨み付ける。

 

ひめ「うっ...」

 

めぐみの後ろから顔だけ出していたひめだったが、睨み付けられた事で引っ込んでしまう。

 

誠司「どうかしたのか?」

 

一触即発の所に、誠司が駆け寄る。

 

『誠司(君)!』

 

めぐみ達は、救世主が現れた事に安堵する。

 

いおな「おはよう誠司君」

 

誠司「ああ、いおなか。おはよう」

 

いおなは先程の冷たい態度とは裏腹に、誠司に優しい笑みを浮かべる。

 

ひめ「何よあれ、私達とは明らかに態度が違うじゃん」

 

めぐみ「確かに」

 

いおなの変わりように、めぐみ達は驚く。

 

誠司「所で何か揉めてたみたいだけど、何かあったのか?」

 

いおな「何でもないわ。今日は誠司君にお願いがあって来たの」

 

誠司「お願い?」

 

いおな「ええ、それは...」

 

________________

 

ブルー「空手の試合?」

 

誠司「ああ、何でも1人出れなくなったから、ぜひ俺に出て欲しいって」

 

ブルーの言葉に誠司は答える。

 

ブルー「それにしても、何で誠司なんだろう」

 

誠司「いおなとは、前に頼まれて組み手した事があるんだよ」

 

ブルー「なるほど、それで誠司の強さを知っているから声を掛けたんだね」

 

誠司「たぶんな。まあ、それはいいんだけどさ。あいつらは何やってんだ?」

 

そう言って誠司が指差す方には、学ラン姿のめぐみ達が居た。

 

ひめ「ね、ねぇ...。本当にこの格好をするの?」

 

ひめは学ランを手にして聞く。

 

ひめの質問に答えたのは、セイジと書かれた鉢巻きをしためぐみだった。

 

めぐみ「イエス。ディスイズ、日本の応援だよ」

 

ラン「さあ!ゴウさんもそれを着て応援しましょう!」

 

リン「ほら兄さんも!」

 

剛「なんで俺まで...」

 

ケン「俺はこうゆうの好きだぜ!」

 

別の所では、ラン達がゴウに学ランを着させようとしていた。

 

ゆうこ「誠司君が空手大会で優勝出来るように、ひめちゃんも応援してね」

 

頭にボロい学園帽をかぶったゆうこに言われ、ひめは怯む。

 

ひめ「いやいや、誠司だったら余裕で優勝できるでしょ」

 

そんなゆうこに、ひめはジト目で答える。

 

リボン「さぁ、いきますわよー!」

 

太鼓の前でリボンは鉢を両手に叫ぶ。

 

リボンの掛け声を合図に、ガンバレセイジと書かれた横断幕の前に、めぐみ、ゆうこ、ラン、リン、ケン

 

の5人が並ぶ。

 

ひめ「え...?」

 

いきなりの事でひめは困り気味になり、剛は硬直する。

 

ケン「そーれ」

 

『セ・イ・ジ!セ・イ・ジ!』

 

ケンの掛け声の後、応援団の応援のように応援しだすめぐみ達。

 

セ・イ・ジ!を連呼しながら迫ってくるめぐみ達に、ひめ達はひきつる。

 

すると、ブルーが紅茶を飲みながらタンバリンを鳴らし始めた。

 

ひめ「ちょっとストップストップ」

 

なおも迫ってくるめぐみ達に耐えかねたのか、ひめは待ったをかける。

 

ひめ「あのさぁ、応援なら他にもあるでしょ?例えばほら~、お弁当でも作るとかさ」

 

ひめの提案にめぐみ達はあんぐりとする。

 

『それだぁ!』

 

暫くあんぐりだったが、めぐみ達は目を輝かせる。

 

めぐみ「さっすがひめ!誠司優勝を願って、皆で応援弁当を作るんだよね。なんで思いつかなかったかなぁ」

 

リボン「いいですわ!いいですわ!それなら私もお手伝いしますですわ」

 

ゆうこ「それじゃあ私はおおもりご飯秘伝の技を披露しちゃおうかな」

 

めぐみ「いよーし!みんなでひめの考えたお弁当を作っちゃおう!」

 

『おう!』

 

めぐみが拳を突き上げ、他の者も同意する。

 

ひめ「えー...。えー...」

 

ゴウ「まいったぜ...」

 

ひめは困るしかなくなり、ゴウはいつもの癖の拳を額に当てる仕草をする。

 

______________

 

マキリカは生まれ変わった事により、手に入れた新しい力に酔っていた。

 

マキリカ・怒「ひゃっはー!なんか力がみなぎるぜ!すげー力だ!」

 

ツトコウ「それは怒臨気だ」

 

マキリカ・怒「怒臨気?」

 

ツトコウ「そうだ、臨気の上に存在するという究極の気だ」

 

マキリカ・怒「すげー!これがあの方に頂いた力か!」

 

ツトコウ「その力で、あの世界の連中に悲鳴と絶望を与えろ」

 

マキリカ・怒「ふん!言われるまでもねえ!マキリカ様に掛かればゲキレンジャーも怖くないぜ」

 

そう言って、マキリカはその場を離れる。

 

?「あんな奴に怒臨気を与えるなんて...あの方は何を考えているんでしょう」

 

そう言って、1体のリンリンシーがツトコウに近づく。

 

ツトコウ「我が臣下、モスキート拳使いのカーか」

 

リンリンシーの額には、蚊のモチーフが施されていた。

 

カー「ツトコウ様...なぜあの方はあんな奴に...」

 

ツトコウ「カー、あの方のやる事に不満があるのか?」

 

カー「い、いえ。滅相もございません!」

 

ツトコウの言葉に、カーは跪く。

 

ツトコウ「まあいい、お前には特別に教えてやる。何の力を持たないリンリンシーに、いきなり怒臨気な

 

んて力を与えたらどうなるかあの方でも分からないんだよ」

 

カー「なるほど、そうゆう事ですか」

 

ツトコウの言葉に、カーは納得する。

 

ツトコウ「さて、どうなるのか楽しみだな」

 

________________________

 

翌日。

 

ひめはだし巻き卵を作っていたが、全て失敗して卵がなくなってしまったので、ゴウと一緒に買い物に出ていた。

 

ひめは大きな紙袋を、剛は両手いっぱいにビニール袋を持つ。

 

ひめ「すみません、手伝ってもらいまして」

 

ひめは、買い物を手伝ってくれた剛に感謝する。

 

ゴウ「別に構わねぇよ。ラン達は料理してるし、ケンに行かせたら余計な物を買いそうだしな」

 

ひめ「でも、だし巻き卵って作るの大変なんですね」

 

ゴウ「料理ってのはそんなもんだ。上手く出来ないだけでやる気が失せるからな」

 

ひめ「確かに...」

 

ひめは先程、うまく出来ずに怒っていたのを思い出す。

 

ゴウ「これも修行だな、まあ頑張れよ」

 

ゴウはそう言って、歩みを進める。

 

ひめ「あの...ゴウさん何かあったんですか?」

 

ひめはゴウに質問する。

 

ゴウ「ん?どういう事だ?」

 

ひめ「いや、少し様子がおかしかったので」

 

ひめの質問に、ゴウは立ち止まって黙ってしまう。

 

ゴウ「大丈夫だ、なんでもねぇよ」

 

ゴウは歩みを続けるが、何かを見つけ直ぐに歩みを止める。

 

ひめ「ゴウさん?」

 

ひめはゴウが歩みを止めた事に、疑問符を浮かべる。

 

ひめ「あっ...」

 

ひめがゴウの視線の先を見ると、そこには河川敷で修行を行っている誠司の姿があった。

 

誠司「ふー、ん?おう、ひめ、ゴウ」

 

誠司が息を整えた所で、ひめとゴウの存在に気付いた。

 

剛「よっ」

 

ひめ「おつかれ」

 

ひめ達は誠司に近づく。

 

誠司「弁当作る為に買い物してたのか?」

 

ゴウ「ああ、ひめちゃんはお前の為に、一生懸命だし巻き卵を作ってんだぞ。感謝しろよ」

 

ひめ「ちょっ!ゴウさん!」

 

暴露された事に、ひめは慌てる。

 

誠司「随分と大変そうだけど、色々ありがとな」

 

ひめ「べ、別に、私が言い出した事だから最後までやらないといけないでしょ//」

 

顔を赤くし、うろたえながらもひめは返す。

 

誠司「そっか。でも、無理すんなよな!」

 

誠司のにっこりとした笑顔を見て、ひめはさらに顔を赤くする。

 

誠司「みんな大使館にいるのか?」

 

ゴウ「ああ」

 

誠司はひめから紙袋を受け取る。

 

ひめ「ね、ねぇ...。誠司はなんで獣拳を始めたの?」

 

ひめはごまかす為に、話題を変えようとする。

 

誠司「まあ興味もあったのもそうだけど、強くなれるような気がしたから...かな?」

 

ひめ「ふーん」

 

誠司「まあ、自分が信じた正義と、信念を貫き通す為でもあったけどな」

 

ひめ「信念?」

 

誠司「そうだ、大切な人達、俺を支えてくれる仲間や、かけがえのない家族を守ること。それが俺の信念

 

だ」

 

誠司はそう言って、拳をひめ達に向ける。

 

誠司「でも...いきなりどうしたんだ?そんな事を聞いて」

 

ひめ「いや...私も修行してるけど、強くなってるのかなと思って...」

 

ひめはごまかす為に話題を出したが、今まで気になっていた事を誠司に質問する。

 

ひめ「こんなに努力しても、私はめぐみみたいに最初から強くなかったから...意味があるのかなって」

 

誠司「確かに、百の努力は1つの才能に劣るかもしれないな...」

 

ひめ「やっぱり...」

 

誠司の言葉に、ひめは肩を落し頭を下げる。

 

誠司「でも、千の努力や万の努力ならどうだ?」

 

誠司の言葉に、ひめは頭を上げる。

 

誠司「なんで武術が何千年も伝えられるか分かるか?、それは武術の世界では、努力が才能を凌駕するからだ!」

 

『!!』

 

ひめ達はその言葉に驚愕する。

 

誠司「修行は決して自分を裏切らない、だからお前も頑張れよ」

 

この時、ゴウは焦っていたせいで忘れていた事を思い出した。

 

なんで、ゲキレンジャーの一員になったのか。

 

そして、ゲキレンジャーとしての戦いを。

 

(いつだってそうだ。誰もが諦めそうな時、こいつだけは諦めなかった)

 

誠司を見て、ゴウは確信する。

 

ゴウ「まいったぜ...」

 

ゴウは拳を額に当てる仕草をしたが、その顔はどこか晴れやかな物だった。

 

誠司「ふっ」

 

誠司はそんなゴウを見て、安心する。

 

その時、誠司は臨獣殿の気配を感じる。

 

誠司「この感じ!臨獣殿だ!」

 

ゴウ「まさか、マキリカの奴が!」

 

ひめ「急ごう!」

 

_____________

 

きゃー!!

 

マキリカ・怒「はっはっは!もっと悲鳴を上げろ!そして絶望しろ!」

 

サンドバックサイアーク「サイアーク!」

 

チョイアーク「チョイー!」

 

マキリカは斬撃を飛ばし、サイアークとチョイアークが暴れる事で人々に悲鳴を上げさせる。

 

オレスキー「いいぞ!お前らもあいつに負けるなよ!」

 

オレスキーはマキリカ・怒を指差し、サイアーク達に指示をする。

 

プリンセス「プリンセス爆弾ボンバー!」

 

『チョイー!』

 

プリンセスの上空からの攻撃で、チョイアーク達が一掃する。

 

プリンセス「スタッシュ!」

 

ゲキレッド「そこまでだ!オレスキー!マキリカ!」

 

プリンセスが地上に降り立つと、隣にゲキレッドとゲキバイオレットが並ぶ。

 

オレスキー「来たか!プリキュア!ゲキレンジャー!」

 

マキリカ・怒「なんだ?たった3人じゃねぇか。お前らだけで俺様を相手する気か?」

 

ゲキバイオレット「そういうことだ!」

 

バイオレットの言葉に、マキリカは鼻で笑う。

 

マキリカ・怒「ふん!お前ら如きが、新しい力を手に入れた俺様に勝てると思ってるのか!」

 

そう言うと、マキリカ・怒は怒臨気を溢れ出させる。

 

ゲキレッド「あの気は怒臨気!?」

 

プリンセス「怒臨気?何それ?」

 

ゲキバイオレット「簡単な話、理央達が使う臨気より強い力だ」

 

プリンセス「そ、そんな力が...」

 

バイオレットの言葉に、プリンセスは驚く。

 

ゲキレッド「なるほどな、急激のパワーアップは怒臨気によるものだったのか」

 

レッドはスーパーゲキクローを取り出す。

 

ゲキバイオレット「待て」

 

バイオレットが肩を掴み、レッドを止める。

 

ゲキバイオレット「あいつは俺がやる!」

 

プリンセス「俺がやるって...、ゴウさん相手は誠司達と互角なんですよ!無理ですって!」

 

バイオレットの行動にプリンセスは驚くが、レッドは黙って見ている。

 

ゲキレッド「分かった、任せたぞ!」

 

プリンセス「任せるって...誠司!」

 

マキリカ・怒「1人で何が出来るんだ!返り討ちにしてやるぜ!」

 

マキリカ・怒はバイオレットと対峙する。

 

ゲキレッド「俺達はサイアーク達の相手をするぞ!」

 

プリンセス「でも!ゴウさんが!」

 

レッドの言葉に、プリンセスが抗議する。

 

ゲキレッド「大丈夫だ!ゴウを信じろ!」

 

プリンセス「ん~...分かった!」

 

不満に思うプリンセスだったが、レッドの言葉に従う事にした。

 

オレスキー「ふん!何が信じるだ!カッコつけおってー!ゆけ、サイアーク!」

 

オレスキーの指示を受け、サイアークが襲い掛かってくる。

 

プリンセス「たぁー!」

 

プリンセスはキックを繰り出すが、サイアークの腕で受け止められてしまう。

 

プリンセス「はっ!はっ!」

 

さらにパンチを繰り出すが、相殺されてしまう。

 

サイアークはプリンセスに反撃するが、後ろに飛ぶ事で回避する。

 

チョイアーク「チョイー!チョイ!チョイー!」

 

回避したプリンセスに、チョイアーク達が襲い掛かる。

 

ゲキレッド「ゲキワザ!砲砲弾!」

 

ガアーーーー!!

 

チョイアーク「チョイー!」

 

襲い掛かろうとするチョイアークを、ゲキタイガーが一掃する。

 

ゲキレッド「こいつらは俺に任せろ!」

 

オレスキー「くー!ゲキレッドめ!俺様より有能で、俺様より優秀な若い芽は許さーん!」

 

オレスキーは叫びながら、ペインクローを取り出す。

 

オレスキー「チョイアーク達は手をだすな!あいつは俺様が直々に相手する!」

 

ゲキレッド「プリンセス!お前はサイアークを倒すんだ!」

 

プリンセス「分かったわ、そっちは頼んだよ!」

 

そう言って、プリンセスはサイアークに突撃する。

 

ゲキレッド「ゲキセイバー!」

 

ゲキレッドはゲキセイバーを召喚する。

 

オレスキー「うおおおおおお!!」

 

ゲキレッド「はあ!」

 

ガギン!

 

オレスキーのペインクローと、ゲキレッドのゲキセイバーが衝突する。

 

ガギン!ガギン!

 

オレスキー「ぬぅ...さすがはゲキレッド...。俺様の攻撃が全然当たらないなんて...」

 

ゲキレッド「当たり前だ!俺は常に自分を磨いているからな!」

 

どっしーん!

 

ゲキレッドがオレスキーと対峙していると、プリンセスの方から地響きが聞こえた。

 

プリンセス「どうだ!」

 

プリンセスの方を見ると、サイアークが倒れていた。

 

だがしばらくすると、サイアークが何事もなかったかのように立ち上がる。

 

プリンセス「え?えぇぇぇぇ!!」

 

オレスキー「ははははは!そのサンドバックサイアークはうたれ強さナンバー1。貴様のヘナチョコパンチなどそよ風の囁きよ~!」

 

オレスキーはゲキレッドと戦いながらも、プリンセスを馬鹿にする。

 

オレスキー「良いのか?お姫様を助けなくて?もう1人の方もやばいんじゃないのか?」

 

オレスキーはプリンセスと、マキリカ・怒と戦っている、バイオレットに視線を向ける。

 

ゲキレッド「バイオレットもそうだが、プリンセスは常日頃から修行しているからな。そう簡単には負けないぞ」

 

どっがーん!

 

ゴウ「ぐあー!!」

 

すると、マキリカ・怒の攻撃を受け、吹っ飛ばされてしまい変身も解けてしまった。

 

プリンセス「ゴウさん!」

 

プリンセスが飛ばされたゴウに駆け寄ろうとするが、サイアークに邪魔されて近づけることが出来なかった。

 

オレスキー「はん!何が簡単には負けないだ!くだらない!もう既に負けているじゃないか!」

 

ゲキレッド「あまり俺達をなめるなよ。あいつはまだ負けてねえ!」

 

ゲキレッドは戦いながらも、剛の方に視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

マキリカ・怒「どうした?俺を倒すんじゃなかったのか?」

 

マキリカ・怒は、倒れている剛を挑発する。

 

ゴウ「ぐっ...」

 

ゴウは変身が解けた状態でも、必死に立ち上がろうとした。

 

マキリカ・怒「もう諦めろよ、お前じゃ俺には勝てねぇよ!」

 

マキリカ・怒の言葉を聞きながらも、ゴウは尚も立ち上がろうとする。

 

ゴウ「諦める?悪いがそれは出来ないな...」

 

マキリカ・怒「何?」

 

ゴウ「1つ良い事教えてやるよ...俺達はリーダーが諦めないかぎり!絶対に諦めたりしねぇ!」

 

ゴウは立ち上がろうとしながらも、叫び続ける。

 

ゴウ「俺もアイツと同じ様に!自分の信念を貫き通す!うおおおおおお!!」

 

気合を入れる事で、ゴウは立ち上がりそれに呼応して紫激気が溢れ出す。

 

オレスキー「なっ!?」

 

マキリカ・怒「馬鹿な!?」

 

プリンセス「え?」

 

ゲキレッド「あれは...」

 

オレスキー達はゴウが立ち上がった事に驚いたが、ゲキレッド達は別の事で驚いていた。

 

ゴウ「これは...」

 

ゴウは自分が溢れ出させている紫激気を見てみるといつもの紫色ではなく、青みを帯びた青紫色になっていた。

 

『修行は決して自分を裏切らない』

 

その時、先程誠司が言っていた言葉を思い出す。

 

ゴウ「まいったぜ...マジであいつの言う通りになるなんてな...」

 

ゴウは額に拳をぶつける仕草をする。

 

マキリカ・怒「なんだそれは!?」

 

いきなりの出来事に、マキリカ・怒は混乱する。

 

ゴウ「こいつは俺が新たに手に入れた力!《青紫激気(しょうしげき)》だ!」

 

ゴウがゴングチェンジャーを前に突き出すと、青紫激気の影響を受けて紫色から青紫色に変わり、ゴングチェンジャーブルーへと変化する。

 

マキリカ・怒「青紫激気...新しい力だと!」

 

剛「悪いがこれ以上、あいつらにみっともない姿を見せたくないからな!一気に行かせて貰うぜ!」

 

 

 

BGM【OP 獣拳戦隊ゲキレンジャー】

 

 

 

剛「轟け!!獣の叫び!!ビースト・オン!!」

 

掛け声と共にゴングを鳴らす事で、ゲキレンジャーへと変身する。

 

ゲキブルーバイオレット「青紫気激、我流、我が道を貫く!シンアイアンウィル!ゲキブルーバイオレット!」

 

その姿は青紫激気の影響を受け、ゲキスーツが青紫色に変わり、頭の耳の部分が少し伸びている。

 

ゲキブルーバイオレット「行くぜ!」

 

ブルーバイオレットはマキリカ・怒に立ち向かう。

 

ゲキブルーバイオレット「はぁ!」

 

ブルーバイオレットは高く跳躍し、マキリカ・怒に肘打ちを繰り出す。

 

ゲキブルーバイオレット「はぁ!ふっ!はぁ!はぁ!」

 

右フック、膝蹴り、回し蹴りを流れるように放ち、マキリカ・怒の攻撃も上手くさばいて行く。

 

ゲキブルーバイオレット「ゲキワザ!厳集拳(ごんしゅんけん)!」

 

ブルーバイオレットは拳に青紫激気を集中させ、パンチを放つ。

 

マキリカ・怒も負けずと、鎌に怒臨気を集中させて技を受け止める。

 

マキリカ・怒「ぐっ!ぐうううう!!」

 

ゲキブルーバイオレット「うおおおおおおお!!おら!!」

 

マキリカ・怒「ぐあああああっ!!」

 

ブルーバイオレットはさらに青紫激気を高め、防御をぶち抜きマキリカ・怒を吹き飛ばした。

 

 

 

 

オレスキー「馬鹿な!立ち上がっただけじゃなく、あれ程の力を持った奴を打ち破っただと!!」

 

ゲキレッド「当たり前だ!俺達は常に高みを目指しているからな!」

 

レッドはゲキセイバーに激気で水流を生じさせ、振り回す。

 

ゲキレッド「ゲキワザ!水流破(すいりゅうは)!」

 

連続でオレスキーを斬り付ける。

 

オレスキー「ぐわあああ!!」

 

サイアーク「サイアー!」

 

水流破を喰らい、オレスキーはサイアークの元まで飛ばされる。

 

ゲキレッド「無事か?プリンセス」

 

プリンセス「う、うん」

 

プリンセスは返事を返しながらも、ブルーバイオレットの戦いを見ていた。

 

ゲキレッド「よく見ておけよ、あれがゴウの修行の成果だ」

 

プリンセス「修行の...成果...」

 

プリンセスはブルーバイオレットの戦いに、目を離すことが出来なかった。

 

オレスキー「おのれゲキレッド!よくもやってくれたな!!」

 

その時、ゲキレッドによって吹き飛ばされたオレスキーがサイアークと一緒に、立ち上がりながらも叫び続ける。

 

オレスキー「もう遊びは終わりだ!サイアーク!チョイアーク!あいつらを片付けろ!」

 

サイアーク「サイアーク!」

 

チョイアーク「チョイー!」

 

オレスキーの指示を受け、サイアークがゲキレッドに攻撃を仕掛ける。

 

ゲキレッド「ん?」

 

反撃しようとしたレッドだったが、何かに気付き構えを解く。

 

サイアークの攻撃がレッドに当たると思った瞬間、空からラブリー達が現れてレッド達の前に現れ、ラブリーがサイアークの攻撃をガードする。

 

プリンセス「ラブリー!」

 

ラブリー「ハニー、チョイアークお願い!」

 

ハニー「はーい!」

 

ラブリーの指示を受けて、ハニーはプリチュンミラーを取り出す。

 

『かわルンルン!』

 

ハニー「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!ココナッツサンバ!」

 

プリチュンミラーを使用し、ハニーはココナッツサンバに変身する。

 

ハニー「プリキュア!マラカスリズムスパーク!」

 

ハニーはマラカスを鳴らすと、チョイアーク達も一緒に鳴らし始める。

 

ハニー「うー!マンボ!」

 

掛け声と共に、チョイアーク達は浄化され白く変わってしまう。

 

オレスキー「マンボ!マンボ!マンボ!」

 

マンボ!と連呼しながら、オレスキーとサイアークは踊りまくる。

 

ハニー「サイアークな気持ちは、汗に流しちゃいましょう」

 

ゲキイエロー「待たせてごめん」

 

プリンセス「ううん、ありがとう」

 

リボン「うふ!心配したですわー」

 

リボンは余程心配していたのか、プリンセスの方に張り付く。

 

プリンセス「大丈夫だよ、誠司とゴウさんもいるし」

 

ひめはそう言うと、ゴウの方を見る。

 

そこには、青紫激気を使いマキリカ・怒と互角以上に戦っているゲキブルーバイオレットの姿があった。

 

ラブリー「あれ?ゴウさんいつもと姿が違うよ!」

 

ハニー「本当だ!それに誠司君達と互角だった相手を、ゴウさんが押してるよ」

 

ラブリー達はゴウがいつもと違う事に、直ぐに気がついた。

 

ゲキレッド「あれはゴウが新しく手に入れた力だ」

 

ゲキチョッパー「まじかよ...あいつパワーアップしたのか」

 

ゲキブルー「兄さん!」

 

ゲキレッドの話を聞いてラブリー達は驚き、ブルーは嬉しそうにゴウを見つめる。

 

マキリカ・怒「この土壇場でパワーアップしただと!ふざけるな!」

 

マキリカ・怒は怒りながら、鎌に怒臨気を集中させる。

 

マキリカ・怒「リンギ!マンティス閃光!」

 

巨大な真空刃がブルーバイオレットに迫る。

 

ブルーバイオレットは焦ることなく、ゴングチェンジャーブルーに青紫激気を集中させる。

 

ゲキブルーバイオレット「ゲキワザ!厳厳拳 轟(ごんごんけん ごう)!!」

 

青紫激気を両手に溜め、ゲキウルフの形をした激気がマンティス閃光を迎え撃つ。

 

アオーーーーン!!

 

マキリカ・怒「なっ!?ぐあああああ!!」

 

厳厳拳 轟はマンティス閃光と均衡することもなく、そのまま直撃してマキリカ・怒は倒れる。

 

ゲキブルーバイオレット「ふうー」

 

一呼吸をして、ブルーバイオレットは高ぶった意識を落ち着かせる。

 

ゲキレッド「やったな!バイオレット!」

 

レッドは近づくとバン!と背中を叩く。

 

ゲキブルーバイオレット「ああ、お前のお陰だ」

 

ゲキレッド「俺は何もしてねえよ、ただお前を信じてただけだぜ」

 

ゲキブルーバイオレット「ふっ...やっぱりお前には敵わないな...」

 

ブルーバイオレットはレッドの言葉に、笑みをこぼす。

 

ゲキチョッパー「やったじゃねえか!バイオレット!」

 

ゲキイエロー「おめでとう!」

 

ラブリー「凄かったですよ!」

 

ハニー「ええ!」

 

すると、他のメンバーも続々とブルーバイオレットに近づく。

 

ゲキブルー「兄さん!」

 

最後にブルーが近づく。

 

ゲキブルーバイオレット「悪かったな、今まで情けない姿を見せて...」

 

ブルーバイオレットは、ブルーの頭に手を置く。

 

ゲキブルー「ううん、私も兄さんの事を信じてたから...」

 

そう言って、ブルーはマスクの下で涙を浮かべる。

 

ゲキレッド「さて、バイオレットが頑張ったんだ。今度は俺達も頑張らないとだな」

 

ラブリー「うん!そうだね!」

 

ゲキレッド達は尚も踊っている、オレスキーとサイアークに視線を向ける。

 

プリンセス「みんな、あのサイアークめちゃくちゃタフなの。気をつけて」

 

ラブリー「オッケー、プリンセスは少し休んでて。あたし達がみんなの分まで戦っちゃうんだから!ねっ!誠司!」

 

ゲキレッド「ああ!そうだな!」

 

ラブリーの言葉に、ゲキレッドは答えて2人は構える。

 

オレスキー「サンバなのに...マンボとは、奥が深い!ってバカー!」

 

ハニーの攻撃で踊っていたオレスキーだったが、マラカスを捨てて我に返る。

 

オレスキー「サイアーク!こいつらを纏めて片付けてしまえ!」

 

サイアークは構えて、ゲキレッド達に攻撃を仕掛けようとしたが、直ぐに驚愕して足が止まってしまった。

 

オレスキー「なっ!?」

 

先程まで遠くにいたゲキレッド達が、一瞬でサイアークの目の前まで距離を縮めていた。

 

『はあ!』

 

ゲキレッドが右パンチ、ラブリーが左パンチをサイアークに繰り出す。

 

サイアーク「サイアーク!」

 

攻撃を喰らい、サイアークは後ろに仰け反る。

 

ゲキレッドは、激気を右手に集中させる。

 

ゲキレッド「うおーーっら!!」

 

ドゴン!!

 

ゲキレッドのストレートが、サイアークに繰り出され大きく後ろに仰け反る。

 

ゲキレッド「うおおおおおおおっ!!」

 

ドドドドドドッ!!

 

激気が篭った拳を、連続で叩き込む。

 

ゲキレッド「ゲキワザ!!タイガー連撃!!」

 

ドガン!!

 

止めとして、重い一撃がサイアークに叩き込まれ、サイアークは後ろに倒れる。

 

 

 

 

 

 

 

ハニー「やっぱり凄いな...2人は...」

 

プリンセス「え...?」

 

遠くで見ていたハニー達だったが、ハニーが語りだす。

 

ハニー「小さい頃から、あの2人は変わらない」

 

先程の重い一撃を受けて尚、サイアークはまだ立ち上がる。

 

ハニー「めぐみちゃんは皆の為なら、いつも全力で頑張ってるんだ」

 

すると、今度はラブリーがサイアークに攻撃を仕掛ける。

 

ハニー「そして誠司君は、自分が信じたことを貫き、誰もが見て見ぬふりをする事を決して許さなかった」

 

ハニーはその時、昔めぐみが誠司を足場にして猫を助けようとした所、誠司がいじめられている子を守る

 

為に立ち向かった所を思い出した。

 

ハニー「2人とも、自分の事より他人の事に一生懸命だった」

 

そう言って、ハニーは同時にその後の事を思い出した。

 

めぐみは猫を助けようとしたが、猫に威嚇されてしまい、驚いて誠司の上から落ちてしまった事。

 

誠司は守る為に立ち向かったが、人数が多かったせいかあちこちに怪我をしてしまった事。

 

ハニー「だから私は頑張っているあの2人が大好き。2人と一緒にいると、自分も頑張らなくちゃってパワ

ーが湧いてくるから」

 

ゲキイエロー「私にも分かる。誠司は今までの戦いで諦める事は無かった」

 

ゲキブルー「そして誠司が諦めない以上、私達も決して諦めない!」

 

ゲキチョッパー「それが俺達のリーダーだからな!」

 

ハニーの言葉に続き、イエロー達も語りだす。

 

ハニー「プリンセスもそうでしょ?」

 

ハニーの言葉にあんぐりとするプリンセスだったが、その時サイアークと戦うゲキレッド達が目に入った。

 

プリンセス「うん、私もそうかも」

 

ゲキブルーバイオレット「俺も、あいつと一緒に居ると...自分も負けてられないって思うからな!」

 

プリンセス「私も、私もその気持ちよく分かります」

 

ゲキレッドを見ながら話していたブルーバイオレットに、同じくプリンセスはラブリーを見ながら答える。

 

ハニー「さ、ラブリー達だけに頑張らせちゃ駄目よ」

 

『え?』

 

ハニー「バトンチェンジ!マラカスモード!」

 

驚く皆を他所に、ハニーバトンをマラカスモードへチェンジさせる。

 

ハニー「ハニーヒーリングリズム!」

 

ハニーヒーリングリズムで2人を回復させる。

 

プリンセス「来た来たぁ!パワー100倍!」

 

ゲキブルーバイオレット「よし!これでさらに戦えるぜ!」

 

ハニー「さ、ラブリー達と一緒に!」

 

『応!』

 

ハニーの掛け声に、全員が答える。

 

 

 

 

ラブリー「でやあー!」

 

ラブリーは、サイアークのお腹にアッパーをかます。

 

吹き飛んでラブリーが地上に降りた後、サイアークは墜落する。

 

ラブリー「どうだ!」

 

サイアーク「サイアーク」

 

だが、サイアークは何事も無かったかのように普通に起き上がる。

 

ラブリー「え!?」

 

ゲキレッド「こいつ...いくらなんでも頑丈すぎだろ...」

 

サイアークのタフさに、2人は驚く。

 

ゲキレッド「!危ない!」

 

その時、ゲキレッドは別方向からの攻撃に気がつき、咄嗟にラブリーを伏せさせる。

 

すると、頭上を真空刃が通りすぎる。

 

マキリカ・怒「くそ!この俺をコケにしやがって!絶対に許さないぞ!」

 

マキリカ・怒は怒臨気を溢れさせながら、激怒していた。

 

オレスキー「おい!何をやっている!」

 

マキリカ・怒は敵、味方見境無く、その場で暴れ始めた。

 

ラブリー「何あれ?」

 

ゲキレッド「恐らく、あの力の代償だ」

 

レッドはマキリカ・怒の意識が可笑しい原因が、怒臨気である事に気付いた。

 

サイアーク「サイアーク!」

 

ゲキレッド「ちっ!」

 

マキリカ・怒に意識が行っていたせいか、接近していたサイアークに気付かなかった。

 

レッド達は伏せた状態なので、すぐに回避する事が出来なかった。

 

プリンセス「プリンセスゲンコツツインマグナム!」

 

片方のゲンコツがお腹に一撃を入れて、さらにもう一つが追撃をする。

 

『プリンセス!』

 

プリンセス「ラブリー、レッド、私も頑張るよ!ていうか、2人を見てるとこっちまで頑張りたくなっちゃうのよね。まったく~」

 

ゲキレッド達の言葉にプリンセスはそっけなく答える。

 

ラブリー「え?どういうこと?」

 

プリンセス「そんなの照れくさくて言えないよー。秘密、ミステリアス!」

 

ラブリーの質問にプリンセスは困り、誤魔化した。

 

オレスキー「おのれ、プリキュア!ゲキレンジャー!他人の為に頑張るなど無駄無駄無駄ぁ~!」

 

プリンセス「私達、ハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャーは!」

 

ラブリー「みんなの為ならいくらでも頑張れちゃうんだから!」

 

ゲキレッド「そういう事だ!」

 

そう言ってゲキレッド達は、スーパーゲキクロウを構える。

 

『スーパービースト・オン!!』

 

過激気を纏い、ゲキレッド達はスーパーゲキレンジャーに変身する。

 

スーパーゲキレッド「一気に行くぞ!!」

 

『はあああああ!!』

 

スーパーゲキレッドの掛け声の後、全員が激気を開放させる。

 

『スーパーゲキバズーカ!』

 

ゲキブルーバイオレット「厳厳拳!」

 

ゲキチョッパー「サイブレードフィンガー!」

 

各々が武器と技を構える。

 

ラブリー「愛の光を聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

プリンセス「勇気の光を聖なる力へ!ラブプリブレス!」

 

2人が腕を交差させ、ラブプリブレスを回す。

 

『あなたにハッピーお届けデリバリー!ハッピー!』

 

掛け声と共に、それぞれの振り上げた両手にエネルギー弾を発生させる。

 

激気合一(げきごういつ)!!』

 

スーパー激激砲、厳厳拳、サイブレードフィンガーから放つ激弾が、1つに合わさりマキリカ・怒に放つ。

 

『プリキュア!ツインミラクルパワーシュート!』

 

2人の合体技がサイアークに命中する。

 

『ハピネスチャージ!!』

 

マキリカ・怒「ぐわああああ!!」

 

どがーーーん!!

 

合体技を喰らい、2体とも今度こそ倒れ爆発が起こる。

 

ゲキチョッパー「よっしゃー!」

 

プリンセス「やったー!倒した!」

 

相手が倒れた事に、プリンセスとチョッパーは喜ぶ。

 

ゲキブルーバイオレット「待て!喜ぶのはまだ早い!」

 

この後の事を予想し、2人に注意する。

 

すると倒れた2体が立ち上がる。

 

マキリカ・怒「うおおおおお!リンギ!邪身豪天変!」

 

サイアーク「サイアーク!!」

 

マキリカ・怒とサイアークは巨大化する。

 

ゲキブルーバイオレット「マキリカは俺に任せろ。お前達はサイアークを頼むぞ」

 

スーパーゲキレッド「分かった」

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

ゲキブルーバイオレット「ゲキウルフ!ゲキタイガー!ゲキジャガー!」

 

スーパーゲキレッド「ゲキゴリラ!」

 

スーパーゲキイエロー「ゲキペンギン!」

 

スーパーゲキブルー「ゲキガゼル!」

 

それぞれがゲキビーストを召喚する。

 

『獣拳合体!』

 

ゲキタイガー、ゲキジャガー、ゲキウルフが合体しゲキトージャウルフに、ゲキゴリラ、ゲキペンギン、ゲキガゼルが合体しゲキファイヤーになる。

 

『ゲキファイヤー!バーニングアップ!』

 

ゲキブルーバイオレット「ゲキトージャウルフ!バーニングアップ!」

 

バエ「さあ!始まりました!」

 

美代「皆様待望の巨大戦です!」

 

いつもの如く、どこからかバエと美代が現れた。

 

バエ「解説は私、バエと美代さんの2人でお送りさせて頂きます!いつもと違って、今回はテレビに映っているので私のテンションも最高潮です!」

 

美代「さっそくですが、ゲキウルフの色がいつもと違う気がするのですが、どう思いますかバエさん!」

 

美代の指摘通り、ゲキウルフの色は青紫色に変化していた。

 

バエ「そうですね!今回バイオレットが新たに手に入れた力!青柴激気の影響だと思います!」

 

美代「なるほど!これからの戦いに注目ですね!」

 

美代達の解説が終わるのと同時に、ゲキトージャウルフがマキリカ・怒に攻撃を仕掛ける。

 

ゲキブルーバイオレット「はあ!」

 

バエ「おおっと!ゲキトージャウルフの先制攻撃だ!」

 

マキリカ・怒にゲキトージャウルフの蹴りが決まる。

 

ゲキブルーバイオレット「はあ!」

 

バエ「今度は飛び膝蹴りが決まったー!今までより威力が段違いだ!これが青柴激気の力なのか!」

 

『はあ!』

 

美代「さらにこちらでは!ゲキファイヤーと巨大サイアークの戦いが始まりました!」

 

ゲキファイヤーのパンチが、サイアークに繰り出させる。

 

美代「こちらも凄い戦いです!私も負けずに実況していきます!」

 

『はあ!はあ!』

 

美代「もの凄いパワーです!さすがはゲキファイヤー!」

 

ゲキブルーバイオレット「止めだ!ゲキトージャウルフ!ゲキワザ!大狼狼脚!」

 

バエ「ゲキトージャウルフのゲキワザがマキリカ・怒を滅多切りだ!圧倒的強さ!マキリカ・怒は反撃するまでもなく倒されてしまったー!」

 

マキリカ・怒「うわあ!うわああああ!!」

 

大狼狼脚を受けて、マキリカ・怒は石化して砕けた。

 

スーパーゲキレッド「こっちも決めるぜ!」

 

『ゲキファイヤー!ゲキワザ!頑頑ナックル落とし!』

 

美代「出ました!ゲキファイヤーのゲキワザ!これが出たと言う事は!」

 

『ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!』

 

両腕を縦に回転させて、炎を纏った拳を叩き付ける。

 

『ファイヤー!』

 

止めの一撃がサイアークに命中し、浄化される。

 

美代「決まったー!ゲキファイヤー!巨大サイアークを倒しました!今日も我らがゲキレンジャーの勝利です!ありがとうゲキレンジャー!」

 

『獣拳は正義の拳!正しき者は!必ず勝つ!』

 

ゲキブルーバイオレット「ゲキトージャウルフ!」

 

『ゲキファイヤー!』

 

『WIN!!』

 

オレスキー「サイアークだけでなく、あいつまで倒されるとは!だが俺様は自分の為に頑張るのみ!目指すは俺様最高だー!」

 

謎の言葉を言い残し、オレスキーはテレポートで逃亡した。

 

 

________________________

 

翌日。

 

誠司は大会に出場する為、応援に来た皆と一緒に会場に来た。

 

誠司「ここだな」

 

ラン「氷川さんとは、入り口で待ち合わせしてるんでしょ?」

 

誠司「そのはずなんだが...」

 

キョロキョロと辺りを見回すと、こちらに駆け寄ってきているいおなを姿が目に入った。

 

いおな「おはよう誠司君!来てくれて嬉しいわ!」

 

誠司「いや、俺でよければ全然構わないよ」

 

他愛無い話をしていると、いおなの後ろから誰かが近づいて来てる事に、誠司は気付いた。

 

いおな祖父「ほう、彼がいおなが言っていた相楽誠司君か?」

 

近づいてきた人は、凄く貫禄のある方であり、恐らくいおな道場の関係者と思われる。

 

いおな「ええ、そうよ。誠司君、この人は私の祖父でいおな道場の師範でもあるの」

 

いおな祖父「宜しく頼む」

 

いおなの祖父は挨拶と共に、誠司に手を差し出す。

 

誠司「こちらこそ、宜しくお願いします」

 

誠司も挨拶を返し、差し出された手を握る。

 

いおな祖父「うむ、一目見て分かったが...その年で相当の実力者のようだな」

 

武闘家はその者が纏う覇気を見たり、手を握れば相手の実力が分かると言うが、いおなの祖父は挨拶と同時に誠司の実力を測っていた。

 

誠司「いえ、俺なんかまだまだ修行中なので」

 

いおなの祖父の言葉に、謙遜しながら答える。

 

いおな祖父「ほう、その領域に達していながらまだ上を目指すとは...ぜひ家の道場に欲しいものだ」

 

誠司「すみません、いおな...お孫さんにも言いましたが、俺は既にある武術を学んでいるので遠慮させて頂きます」

 

祖父の前で名前で言うのもどうかと思い、誠司は呼び方を変えていおなの祖父の提案を断った。

 

いおな祖父「いやなに、今日は孫のわがままに付き合ってくれたんだ。野暮の事は言わんよ」

 

誠司「ありがとうございます」

 

いおなの祖父の言葉に、誠司は感謝する。

 

いおな祖父「本当だったら、他の門下生を出すのだが、いおながどうしても君を出したいって事だったからな」

 

いおな「ちょ、ちょっと師範!余計な事は言わないで下さい!」

 

いおなの祖父の発言を、いおなが慌てて止めようとする。

 

いおな「せ、誠司君!大会が始まるのはまだ先だから!時間なったら氷川道場の門下生達の所に来てね!それじゃあ!」

 

いおなは早口で捲し立てると、祖父の背中を押して会場の中に消えていった。

 

 

 

_______________

 

突然の出来事に、呆気に取られた誠司達だったが時間があるので、外でひめ達が誠司の為に作ったお弁当を食べる事にした。

 

ひめ「はい、どうぞ」

 

ひめが誠司にお弁当の蓋を開け、誠司に渡す。

 

ひめのお弁当には、大量の卵焼きが詰められていた。

 

誠司「すごい量の卵焼きだなぁ」

 

誠司はあまりの量に、半笑いする。

 

ひめ「いいの、色々味があるんだからぁ。えっとね、これが鶏肉ネギ入りで~、これが梅入りで、こっちが甘いやつで、隣がしょっぱいの!」

 

ゆうこ「他にも皆でおかず作って来たのよ」

 

ゆうこの言葉の後、めぐみ達もお弁当箱を取り出す。

 

めぐみ「私はおにぎりを作って来たの!」

 

めぐみのお弁当には、いくつものおにぎりが入っていた。

 

めぐみ「具は鮭に~、こっちはおかかで、ツナに塩もあるよ!」

 

めぐみはキラキラした目で、中身を答える。

 

ゆうこ「私は大森ご飯特製のからあげです!」

 

そう言うゆうこのお弁当には、からあげがぎっしりと入っていた。

 

ラン「最後は私とリンで作ったハンバーグよ!」

 

今度は小さい2つのお弁当箱に、それぞれ違うハンバーグが入っていた。

 

リン「ランのソースはデミグラスで、私のは和風おろしよ」

 

ケン「いや、これはさすがに多すぎるんじゃないか?」

 

誠司の前に出されたお弁当の数に、ケンは呟く。

 

誠司「いや...俺の為にありがとうな!皆!」

 

『うん!』

 

誠司は自分の為に作ってくれた事が嬉しくて、作ってくれた皆にお礼を言う。

 

リボン「あ!これはアニマルな犬のパワーを感じますわ!」

 

リボンの言葉を聞き、鼻をくすぐると2枚のプリカードが出てきた。

 

めぐみ「かわいい、犬のプリカード!」

 

ゆうこ「私、犬って大好きなの」

 

出てきたプリカードを、めぐみ達は嬉しそうに見ていた。

 

誠司「良し!俺もお弁当食べて気合入れますか!いただきます!」

 

誠司はさっそく、ひめが作った卵焼きを食べる。

 

誠司「美味いな、これならいくらでも力が沸いて来るぜ!」

 

ひめ「うん」

 

誠司の言葉に、ひめは嬉しそうにする。

 

___________

 

場所は会場内に変わり、誠司はいくつもの試合を勝ちあがり現在は決勝戦が始まろうとしていた。

 

めぐみ達は応援席で、誠司の試合が始まるのを待っていた。

 

審判の合図の後、決勝戦が始まった。

 

試合が続く中、審判から試合終了の合図が入った。

 

審判「勝者!赤!」

 

審判が赤旗を上げた事により、誠司の優勝が決まる。

 

めぐみ「やったぁ!」

 

ゆうこ「誠司君凄ーい!」

 

ケン「さすがだぜ!」

 

応援席でめぐみ達が騒ぎ出す。

 

誠司は相手選手と握手をする。

 

相手選手はそのまま誠司の腕を、突き上げてくれる。

 

めぐみ「誠司優勝だよー!」

 

めぐみの言葉が聞こえたのか、めぐみ達に向かってサムズアップする。

 

めぐみ「誠司!凄ーい!」

 

ひめ「頑張る人の為に頑張るって、1番の応援かもね」

 

ひめは誠司の姿を見て、嬉しそうにする。




はい!如何だったでしょうか!

オリジナルリンリンシーや、ブルーバイオレット等色々詰め込みすぎたかなと思いましたが、後悔していません。

また、アイデアを頂いた読者の方、本当にありがとうございます。

そして今回出てきたオリ技《タイガー連撃》は読者の方から感想で、FAIRY TAILの主人公であり、私のユーザー名の由縁でもある、ナツ・ドラグニルが使う《滅龍奥義 紅蓮火竜拳》を元にオリ技を作るというアイデアを頂いたので、作らせて頂きました。

今年の投稿はこれが最後になると思います。

読者の皆様、今まで応援して頂きありがとうございました。

来年からもよろしくお願いいたします。

それでは次回!激獣拳を極めし者 第18話、もしくはアクセル・ビルド 2章第2話でお会いしましょう!

それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 みんなで幸せ全力応援!ぴかりが丘の結婚式

どうも!ナツ・ドラグニルです!

今月の16日から新しい仕事が始まりました!

これから忙しくなると思います。

前回の仕事よりは働きやすいと思います。

定時に帰れるって、なんて素晴らしいんだろうと喜びを噛み締めています。

それでは、作品をどうぞ!



お昼頃。

 

誠司達は大森ごはんで昼食を食べていた。

 

ひめ「ごはんがすすむー!」

 

めぐみ「無限にいけるねー!」

 

『おかわり!』

 

めぐみとひめが、揃っておかわりを要求する。

 

ゆうこ「喜んで!誠司君達は大丈夫?」

 

引き受けたゆうこは、別の席で食べていた誠司達にもおかわりの有無を聞く。

 

誠司「じゃあ、俺も頼む」

 

ケン「俺も!」

 

誠司とケンがおかわりを要求する。

 

めぐみ「ねぇ、ゆうゆうも一緒に食べようよ」

 

ゆうこ「ごめんね、今日はこれから忙しくて」

 

誠司「何か用事があるのか?」

 

ゆうこ「実は結婚する事になってー」

 

『え――!!』

 

めぐみ「結婚!?」

 

ひめ「誰とー!?というか何時の間に?」

 

ゆうこの発言に、めぐみ達は驚愕し席を立つ。

 

ゆうこ「あー、違うの。私じゃなくてウチのお客さん!」

 

ひめ「へ、お客さん?」

 

めぐみ「だよねー吃驚した」

 

誤解していた事に拍子抜けして、全員が席に座る。

 

ケン「ていうか、ゆうこちゃんの好きの人はあいつなんだから、他の人の訳ないだろ」

 

ゆうこ「!?」

 

ケンの言葉にゆうこは驚く。

 

誠司「ん?ケンなんか言ったか?」

 

ケン「だから...」

 

説明しようとするケンだったが、ゆうこが誠司達の机に近づき。

 

ゆうこ「誠司君!あそこにサイアークが!」

 

誠司「何!」

 

入り口に向かってそう叫ぶ。

 

誠司が入り口に意識を行っている間に、ゆうこは手に持っていたお盆をケンに向かってフルスイングする。

 

ゆうこ「ふん!」

 

ガン!!

 

ケン「あだっ!!」

 

お盆で思いっきり殴られたケンは、そのまま机に突っ伏した。

 

ラン「アホ...」

 

リン「アホね...」

 

ゴウ「アホだな...」

 

誠司は入り口側に座っていたが、他のメンバーはゆうこがケンを殴り倒した一部始終を見ていた。

 

誠司「なんだよゆうこ、サイアークなんか居ないじゃないか」

 

ゆうこ「ごめんね、見間違いだったみたい」

 

誠司「見間違いって...ん?ケンはどうしたんだ?」

 

席に座ろうとした時、誠司はケンが突っ伏している事に気付いた。

 

ゆうこ「お腹いっぱいになったから、眠くなったんじゃないの?」

 

ゆうこは何事も無かったかのように、誠司に説明する。

 

誠司「たくっ、しょうがない奴だな」

 

何も知らない誠司は、呆れた目でケンを見る。

 

ひめ「そ、それで結婚するってどういう事?」

 

話を逸らす為、ひめはゆうこに話を振る。

 

ゆうこ「いつも来てくれるお客さんがおおもりご飯で出会ったから、ここで結婚式をあげたいんですって」

 

ひめ「ここで結婚式するのー?」

 

ゆうこ「そう!」

 

めぐみ「いいねー!」

 

誠司「ああ、いいんじゃないか」

 

ゆうこの説明に、めぐみと誠司は賛成する。

 

ゆうこ「でしょう?でも初めての事で家族一同どうすればいいのか大騒ぎなの。お料理は何弁当がいいのかなぁ?とか」

 

ひめ「ちょっと待ってぇ?結婚式と言えばフランス料理でしょ?」

 

ゆうこ「お客さんが思い出の料理でみんなをおもてなししたいからって、結婚式でお弁当を出したいんだって」

 

ひめの指摘に対して、ゆうこは説明する。

 

めぐみ「結婚式弁当食べたーい!」

 

ひめ「えー!お弁当じゃロマンチックが足りないよー!」

 

誠司「まあ、偶にはそんな結婚式も良いんじゃないのか?」

 

不満そうにするひめを、誠司がなだめる。

 

そこで、大森ご飯の扉が開かれる。

 

ゆうこ「あ、噂をすれば」

 

大輔「こんにちは」

 

ゆうこママ「あら、お待ちしてましたよ」

 

ゆうこの母が奥から出て来て、出迎える。

 

大輔「どうぞ、宜しくお願いします」

 

ゆうこママ「おおもりご飯で結婚式してくれるなんて光栄だわー。ね、お父さん?」

 

ゆうこパパ「あぁ」

 

ゆうこ「私達も頑張っちゃいます。ね、お姉ちゃん?」

 

あい「えぇ、ゆうこ」

 

めぐみ「はいはーい!私達もお手伝いしたいです」

 

誠司「おっ!良いなそれ!」

 

めぐみの提案に、誠司も賛同する。

 

幸代「ありがとう。ゆうこちゃんのお友達?」

 

めぐみ「ゆうゆうの親友でーす」

 

大輔「助かるよ」

 

めぐみに男性は感謝する。

 

大輔「あれ?そこの子は突っ伏しているようだけど大丈夫かい?」

 

男性はゆうこにのされた、ケンを心配する。

 

ゴウ「ああ、大丈夫です。こいつの自業自得なので...」

 

大輔「はぁ...」

 

めぐみ「よーし、お弁当結婚式頑張るぞー」

 

『おー!』

 

めぐみの合図で、誠司やゆうこ達だけでなくその場に居た客までも賛同していた。

 

ひめ「私はフレンチの方が素敵だと思うけどなー」

 

ひめが呟くが、扉の開く音でかき消されてしまった。

 

ゆうこ「あっ!いらっしゃいませー!」

 

入ってきたのは、誠司が朝の修行中に何度か会った事のある、《桐野 桜》だった。

 

ゆうこ「おひとりですか?」

 

桜「ええ、そうよ」

 

ゆうこ「では、席にご案内します」

 

そう言って、ゆうこは誠司達の近くに桜を誘導した。

 

誠司の机の近くを通った時、誠司と桜はお互いを認識した。

 

桜「あら、久しぶりね誠司君」

 

誠司「桜さん、お久しぶりです」

 

いきなり誠司が、知らない女性と仲良さげに話している事により、女性陣の剣幕が悪くなる。

 

めぐみ「誠司...誰その人?」

 

誠司「え?あ...ああ、この人は桐野 桜さん。前に朝の修行してた時に会ったんだよ」

 

『へー...』

 

女性陣が揃ってジト目になりながら、返事をする。

 

誠司「なんだよ、お前ら」

 

『別に...』

 

様子が可笑しいと思ったのか、誠司が質問するが流されてしまった。

 

ゆうこママ「あらあら」

 

ゆうこパパ「ははは、彼も大変だね」

 

遠くで見ていたゆうこの両親は、修羅場になっているのを暖かい目で見ていた。

 

あい「一番大変なのはゆうこ達だと思うけど...」

 

あいは誠司が鈍感なのを知っているので、ゆうこ達に同情する。

 

______________

 

ブルースカイ王国

 

現在、クイーンミラージュが復活させたリンリンシーの事で、ツトコウを問いただしていた。

 

クイーンミラージュ「リンリンシーとやらを復活させといて、あんな簡単にやられるなんてどう言うこと?」

 

ツトコウ「安心しろ、奴はリンリンシーの中でも一番弱い奴だ。復活させた奴は他にもいるからな」

 

ツトコウの言葉に反応したのは、前回マキリカと一緒に戦っていたオレスキーだった。

 

オレスキー「何!?あれほどの力を持っていながら、一番弱いだと!」

 

ツトコウ「そういう事だ」

 

クイーンミラージュ「ふうん、じゃあ次の奴は期待できるのかしら?」

 

ツトコウの言葉に、クイーンミラージュが反応する。

 

ツトコウ「その心配はいらない...来い!五毒拳!」

 

ツトコウの合図で、クイーンミラージュの前に5人のリンリンシーが現れる。

 

『はっ!』

 

ナマケルダ「何ですか、こいつら」

 

ツトコウ「《五毒拳》、臨獣拳士の中でも特に邪悪で凶暴なリンギを極め、その身の内に熱、痛み、寒さ、痺れ、吐き気の毒を持つと言う臨獣殿精鋭の五人だ」

 

ホッシーワ「五毒拳...」

 

ブラコ・怒「お呼びですか、ツトコウ様」

 

ツトコウ「お前達を呼び出したのは他でもない、次の襲撃の際にこいつらについていけ」

 

モリヤ・怒「そりゃいいですね!新しい力を手に入れたから暴れたくてうずうずしてた所なんですよ!」

 

カデム・怒「モリヤ!その軽口を黙らせたらどうだ!イライラしてくる!」

 

モリヤの軽口を聞き、カデムが怒りだす。

 

ブラコ・怒「いい加減にしろ。カデム、モリヤ、消されたいのか」

 

『うっ』

 

ブラコに脅され、二人共黙り込む。

 

ブラコ・怒「ツトコウ様の仰せのままに」

 

____________

 

―放課後―

 

誠司達はクラスメイトを集め、結婚式を盛り上げる作戦を立てていた。

 

めぐみ「さーて、どうやって結婚式を盛り上げる!?」

 

椎名「雑貨店椎名、家族総出で小道具関係盛り上げちゃうよー!」

 

めぐみ「おお!」

 

高野「であれば、アンティーク高野は衣装関係をサポートさせて頂きますわ」

 

誠司「だったら、その他雑用は俺達で引き受けるか」

 

ゴウ「そうだな」

 

ケン「よっしゃー!燃えてきたぜ!」

 

誠司の言葉に、ゴウ達が賛同する。

 

めぐみ「じゃあ私はそこに混ぜてもらおうっと」

 

ゆうこ「みんあ、ありがとう。幸代さんと大輔さん、きっと大喜びだよー」

 

ゆうこは、その場に居た全員に感謝する。

 

すると、全員がひめを無言で見る。

 

ひめ「え...私?」

 

めぐみ「ひめ、オシャレとか素敵な事に詳しいでしょ?ね、何か盛り上げるいいアイデアないかな?」

 

ひめ「そうだなぁ。結婚式と言えばサムシングフォーかな?」

 

めぐみの質問に気を良くしたのか、ひめはそう答える。

 

『サムシングフォー?』

 

ひめ「花嫁さんがつけると幸せになれる4つの物のことだよ」

 

高野「サムシングフォー、なにか4つのもの?」

 

ラン「古い物と新しい物、借りた物と青い物。この4つで花嫁さんは一生幸せになれるのよ」

 

高野の質問に、サムシングフォーについてランが説明する。

 

椎名「へー、ランちゃんも知ってるんだ」

 

ランが知っていた事に、ゲキレンジャー以外のメンバーが驚く。

 

誠司「ランの家は格式の高い家庭でな。こう見えてランはお嬢様なんだよ」

 

『ええー!』

 

誠司の言葉に、さらに驚く。

 

ラン「ちょっと、こう見えてってどういう事よ」

 

誠司「悪い、悪い」

 

誠司の言葉に、ランが指摘する。

 

ゆうこ「ランちゃんには驚いたけど、さすがひめちゃんね」

 

ひめ「そんなこと...あるけど!」

 

めぐみ「では、ひめのアイデア採用しまーす」

 

めぐみがひめのアイデアを採用し、その案で今後の予定を決めていく。

 

誠司「具体的にはどうするんだひめ?」

 

ひめ「へ?私が考えるの?」

 

誠司「当たり前だろ?」

 

唖然とするひめに、誠司は即答する。

 

ゆうこ「時間が無いし、皆で手分けして準備しないと」

 

めぐみ「ひめ...いや、ひめ師匠、陣頭指揮お願いします」

 

ゆうこ「お願いします、ひめ隊長」

 

めぐみがひめに敬礼し、それにゆうこが便乗する。

 

ひめ「んーわかった」

 

ひめは一瞬困った顔を作るが、めぐみの提案を引き受けた。

 

ひめ「れいの家ってアンティークショップなのよね?」

 

高野「ええ」

 

ひめ「じゃあ何か古い物、アンティークのティアラとかないかな?」

 

高野「お任せを」

 

ひめの提案に、高野は引き受ける。

 

ひめ「新しい物はー」

 

椎名「はーい!えれにゃにおまかせを!うちの雑貨で花嫁さんが被るベールを作りまーす」

 

ひめ「青い物は私が青いブーケを作っちゃおうかな」

 

『おおー!』

 

ひめの言葉に、歓声をあげる。

 

ひめ「ふっふっふっ」

 

誠司「あとは何か借りた物か...」

 

ひめ「幸せな友達とかに借りなくちゃ駄目なんだよ」

 

誠司が残りの借りた物を考え、ひめが詳細を教える。

 

ゆうこ「じゃあ週末、幸代さんに聞きましょう?」

 

ゆうこが全員に提案する。

 

めぐみ「よーし、幸せハピネスお嫁さん作戦」

 

『ゴー!』

 

___________

 

あの後、誠司が理央とメレにも連絡を入れて大使館に集まっている。

 

現在は、メレを含めた女性陣が結婚式について話していた。

 

めぐみ「結婚式、超楽しみー!」

 

ひめ「幸代さんのドレスってどんなのかな?クラシックなのとモダンなのじゃ、あわせるブーケも違うの」

 

ゆうこ「じゃあ、それも幸代さんに聞きましょう」

 

めぐみ「ウエディングドレスかー」

 

リボン「憧れますわよねー」

 

ひめ「私なんか3歳の時から着たいドレス決めてるんだ」

 

めぐみ「はや!」

 

ひめの言葉に、めぐみは驚く。

 

ひめ「みんなはどんなドレスがいいの?」

 

ゆうこ「私はやっぱりー炊きたてのご飯みたいな、真っ白なドレスがいいかなー」

 

ゆうこは自分が真っ白なドレスを着て、結婚式を挙げている自分を思い浮かべる。

 

『おー!』

 

ひめ「めぐみは着物も似合いそう」

 

めぐみ「着物かー」

 

ゆうこ「そういえば、ランちゃんのお家は格式のある家なんでしょ?だったらランちゃんは着物なの?」

 

ラン「たぶんね」

 

めぐみ「リンちゃんは?」

 

リン「私もドレスかな」

 

ひめ「やっぱりそうだよねー」

 

ひめが呟くと、全員して自分がドレス又は着物を着た姿を思い浮かべる。

 

その時、隣に立っている新郎の姿が一緒なのは、言うまでも無い。

 

メレ「あんたら、想像するのは勝手だけど先に相手を捕まえなければ話にならないでしょ」

 

『うっ...』

 

メレに指摘され、女性陣は黙ってしまう。

 

 

 

 

 

少し離れた所では、ブルーと理央を交えた男性陣が会話していた。

 

誠司「あいつら何想像してんだ?」

 

ケン「俺は想像がつくがな」

 

ゴウ「俺も」

 

誠司は疑問符を浮かべていたが、他のメンバーは想像がついていた。

 

ブルー「それで誠司君はドレスと着物、どっちがいいんだい?」

 

誠司「え?俺?」

 

ブルーの質問に驚く誠司だったが、ブルーが質問した瞬間女性陣が静かになった。

 

誠司以外は、女性陣が盗み聞きしてるのが直ぐに分かった。

 

誠司「んー、どっちかっつーと、ドレスかな」

 

誠司の返答を聞き、女性陣はボソボソと話し始めた。

 

ひめ「誠司はドレスだって...」

 

めぐみ「だったら私もドレスかな...」

 

ラン「そしたら美希さんに頼んで、ドレスのカタログとか見せて貰いましょう」

 

リン「そうね」

 

女性陣の話が聞こえた、誠司以外の男性陣は驚く。

 

ケン「あいつらマジだな」

 

ゴウ「知らない間に外堀から埋められるんじゃないか」

 

理央「それほどしないと駄目って事だろ」

 

そして、呆れた目で誠司を見る。

 

誠司「なんだよ」

 

ブルー「いや...彼女達も大変だなって思って...」

 

誠司「はあ?」

 

言っている意味が分からず、誠司は頭を傾げた。

 

 

 

_________

 

―翌日―

 

誠司達はおおもりご飯に訪れていた。

 

到着すると、驚く事にそこには山積みに積まれたからあげがあった。

 

『おお!』

 

めぐみとランは声をあげ、誠司達は驚いていた。

 

ゆうこ「家族で話し合った結果、ウェディングケーキの代わりにから揚げを積み上げた、からあげタワーを作る事にしたの」

 

ひめ「からあげタワー?」

 

誠司「良いっすねぇ、男としては燃える!」

 

ゆうこパパ「そうだろう?」

 

ひめ「でもでも、ケーキカットは?ファーストバイトはどうするの?」

 

めぐみ「ファースト...なに?」

 

ひめ「ファーストバイト!」

 

めぐみが聞き返したことに、ひめは力強く答える。

 

ひめ「奥さんを食べる物には困らせませんって言う誓い」

 

めぐみ「じゃあバッチリだね、から揚げ!」

 

誠司「ケーキより腹持ちよさそうだしなー」

 

『うんうん』

 

大森一家が揃って頷く。

 

ひめ「そうかも知れないけどロマンチックがぁ...」

 

ひめが納得が出来ていない中、主役の大輔と幸代が来た。

 

幸代「わぁ凄い!」

 

大輔「美味そう!」

 

ゆうこママ「ほら、2人ともから揚げ大好きでしょう?」

 

ゆうこ「だからケーキの代わりにから揚げタワー!」

 

幸代「嬉しい!」

 

大輔「あぁ!」

 

ひめ「こういうのもありか」

 

ひめは心配していたが、2人の反応を見て安心する。

 

ひめ「あっ!サムシングフォー!」

 

ひめは幸代に聞くことがある事を、思い出した。

 

ひめ「幸代さん借りたい物ってなんですか?」

 

幸代「借りたい物?」

 

ひめ「結婚式の日に大切な人から借りた物を身につけて、バージンロードを歩くんです」

 

幸代「それならある...でも叶わないものなの」

 

幸代は話すにつれ、元気をなくす。

 

ひめ「へ?」

 

めぐみ「どうしてですか?」

 

幸代「何か借りるなら親友、まりあに借りたいんだけど...」

 

誠司「まりあ...もしかしていおなの...」

 

幸代「そう、まりあはいおなちゃんの姉よ。式にはいおなちゃんが来てくれるの」

 

誠司「いおなから聞いた事があるな、いおなのお姉さん《氷川まりあ》さんは今行方不明だって...」

 

誠司の言葉を聞き、全員が黙ってしまった。

 

 

 

 

場所は変わり夕方。

 

誠司達は帰り道である河川敷を歩いていた。

 

めぐみ「知らなかったなぁ。氷川さんのお姉さんが...」

 

いおなのお姉さんが行方不明だと聞き、めぐみはしょんぼりする。

 

ひめ「よっしゃ、サムシングフォー!最後の1つ、借りた物は決まりだね」

 

『え?』

 

ひめ「氷川さんにお願いして、まりあさんの物を何か借りることにしよう」

 

ひめはVサインをしながら続きを話す。

 

ひめ「サムシングフォーにはね、結婚式に来てくれたみんなの幸せを願うって言う意味もあるの。だからまりあさんの無事を祈って、素敵な結婚式にしよう」

 

『おう!』

 

ひめが拳を突き上げ、全員が賛同する。

 

誠司「ん?」

 

その時、前から誰かが歩いてくるのに誠司は気付いた。

 

誠司「いおな...」

 

歩いてきたのは、先程まで話の話題になっていたいおな本人だった。

 

誠司「よう、いおな。幸代さんの結婚式に招待されてるんだって?」

 

いおな「ええ、そうよ」

 

ひめ「あ、あの、どうかまりあさんと幸代さんの思い出の品を貸して下さい」

 

ひめはいおなにお願いをする。

 

誠司「俺からも頼むよ」

 

めぐみ「あたしも!」

 

誠司とめぐみが頭を下げ、遅れてひめも頭を下げる。

 

いおな「考えとくわ」

 

誠司達の誠意を見て、いおなは動揺気味に答えそのまま去っていく。

 

誠司達はいおなの後姿を、見送る事しか出来なかった。

 

 

 

_________________

 

夕暮れのマンションの屋上。

 

そこにはいつもの3人、オレスキー、ナマケルダ、ホッシーワが居た。

 

オレスキー「またしても、この街に俺様の出世の妨げとなるやる気が満ちている。加えて今日は、物凄く幸せオーラを感じるぞ!」

 

オレスキーは不満をあらわにする。

 

オレスキー「俺様がやる気の次に嫌いな幸せオーラ!」

 

ホッシーワ「あちこちで幸せムードが高まってるわね」

 

ナマケルダ「6月は大勢のカップルが結婚するみたいですぞ。めんどくさい」

 

ホッシーワ「くだらない。なぜ結婚なんてするのかしら」

 

ナマケルダ「ジューンブライドと言って6月に結婚した花嫁は生涯、家族と共に幸せに暮らせるとか」

 

ホッシーワ「バッカみたい」

 

ホッシーワはパラソルの柄を強く握る。

 

ホッシーワ「家族なんて増えたら、独り占めできないじゃない。ケーキはホールごと食べたいわ!」

 

オレスキー「いずれにしても、幸せはやる気に繋がる。イコール俺様の出世の妨げとなる!早いうちに潰さなければ!」

 

オレスキーはさらに張り切る。

 

ホッシーワ「だったら、私が教えてあげるわ。結婚するより、独り占めすべきよね」

 

_____________

 

―翌日―

 

めぐみはひめを迎えに、大使館に訪れた。

 

チャイムを鳴らし、ひめが出てくるのを待つ。

 

ひめ「おはよう、めぐみ」

 

出迎えたひめだったが、めぐみの格好を見てあんぐりとした。

 

ひめ「なっ!なんで制服?」

 

ひめの言う通り、めぐみの格好は夏の制服だった。

 

めぐみ「だって、学生は制服でしょ?」

 

ひめ「そりゃそうなんだけど...おりゃ!」

 

ひめは同意しつつ、めぐみを無理やり中に入れる。

 

ひめ「折角だから、今日はドレスアップしていこう」

 

ひめはプリカードを2つ組み合わせ、めぐみに見せる。

 

ひめ「これでどう?」

 

めぐみ「さっすがひめ」

 

ひめ「おしゃれしていくのもお祝いの気持ちの1つなんだよ」

 

めぐみ「分かった!ありがとう!」

 

めぐみはプリチュンミラーに、プリカードをセットする。

 

 

 

 

 

『パ、パ、パ、パ、パーティ、かわルンルン!』

 

 

 

 

リボン「2人とも可愛らしいですわ!」

 

めぐみ「ひめの言う通りにして良かった~」

 

ひめ「でしょ、後は氷川さんがまりあさんのサムシングを貸してくれたら完璧だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はいおなのお家に変わり、いおなは悲しい表情でMARIAと刺繍されたハンカチを見ている。

 

いおな「お姉ちゃん...」

 

いおなは悲しい気持ちを切り替える為、以前、誠司が言っていた事を思い出す。

 

 

 

 

 

いおなは誠司と一緒に、河川敷で修行していた。

 

いおな『やっぱり相楽君は強いわね』

 

誠司『なんだよいきなり、まあ修行してるからな』

 

いきなりの質問に、誠司は答える。

 

誠司『でも、頑張れば氷川も強く慣れると思うぞ』

 

いおな『簡単に言わないで!』

 

誠司の言葉に、いおなは声を荒げる。

 

いおな『あなたみたいに最初から強い人には分からないわ!!私の気持ちは!!』

 

叫んでから、いおなは関係ない人にあたってしまった事を後悔する。

 

いおな『ご、ごめんなさい...』

 

誠司『いや、俺も無神経だった...ごめん』

 

いおなはすぐに謝るが、誠司はそこまで気にしていなかった。

 

いおな『本当にごめんなさい』

 

誠司『気にするな、何か訳ありみたいだしな』

 

いおな『ええ、私にはやらないといけない事があるの。それには力が必要なのよ』

 

誠司『なるほどな』

 

いおなの言葉を聞き、誠司は納得する。

 

いおな『ねぇ、参考程度に聞いて良い?相楽君はなんでそこまで強いの?』

 

いおなは誠司に質問する。

 

誠司『俺も最初から強かった訳じゃないよ。一度逃げた事もあるしな』

 

いおな『え!?』

 

いおなには信じられなかった。

 

いおなは一緒に修行して、相楽誠司は自分が変身するフォーチュンより強い事が分かった。

 

そんな誠司が、逃げた事があるという事を。

 

いおな『なんで逃げたの?』

 

気になったいおなは、誠司に質問する。

 

誠司『俺にはライバルがいるんだが、俺の父さんはそいつによって殺されたんだ』

 

いおな『!?』

 

誠司の口から思いもよらない言葉が出てきた事に、いおなは驚く。

 

誠司『その時に、父さんがライバルに言ったんだ。俺の息子がお前を倒すと』

 

いおな『...』

 

いおなは黙って、誠司の言葉を聞いていた。

 

誠司『俺はライバルにその話を聞かされた時、なんで俺がって思ったんだ。勝手にライバルを倒す事を強要され、戦わされる事に憤りを感じたんだ』

 

いおなはその時、気付いてしまった。

 

誠司と違い、自分は姉をまだ失っていないが、誠司は自分と同じ。

 

いや、自分よりも過酷な運命が訪れていた。

 

父親を殺され、勝手に宿命の相手を作られた事。

 

その出来事があったからこそ、誠司は強くなったのだと。

 

自分が振った話だが、誠司が話すにつれ顔が暗くなっていく事にいおなは後悔した。

 

誠司『でも父さんの故郷へ行った時、それは違うって分かったんだ』

 

いおな『え?』

 

先程まで話すにつれ元気がなくなっていた誠司だったが、その話をし始めた途端元気を取り戻した。

 

誠司『父さんが残してくれたのは、押し付けられた宿命じゃない...俺に残してくれた願いだって』

 

誠司は胸の前に拳を握る。

 

誠司『だから決めたんだ。どんな事があろうと、誰が相手でも、俺は負けない!てな』

 

そう言って、誠司はいおなに微笑みかける。

 

その笑みは、いおなにとって凄く眩しいものだった。

 

誠司『悪いな氷川、こんな話聞かせちまって』

 

いおな『いおなよ』

 

誠司『え?』

 

いおな『私の事はいおなって呼んで誠司君』

 

いおなは名前を呼ぶように言い、自分も誠司の名前を呼ぶ。

 

誠司『ああ、分かったいおな』

 

いおな『ふふ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いおなはあの時の誠司の言葉を思い出し、自分を奮い立たせる。

 

いおな「誠司君がいれば、私は強くなれる。だから...誠司君と一緒にいながら、彼の足を引っ張る彼女達が許せない...そしてあの女も」

 

いおなはもう一度、ハンカチを見る。

 

いおな「お姉ちゃん。お姉ちゃんの分まで、幸代さんをお祝いしてくるからね」

 

 

 

____________

 

誠司「よいしょっと」

 

誠司は机を設置し、会場の準備を行っていた。

 

あい「慎重に...」

 

あいがゆっくりと、前回の比にならない大きさのから揚げタワーを積み上げていた。

 

『うわぁ!』

 

あい「これ流行ったら儲かるね~」

 

ゆうこ「ご飯もいっぱい進むね~!」

 

あい「うん、進むね!」

 

その時、めぐみ達が会場に到着した。

 

『おー!』

 

めぐみ「出来てるー!」

 

めぐみ達は、おおもりご飯の中に入る。

 

そこには、ウェディングドレスを纏った幸代がいた。

 

『おお!綺麗!』

 

めぐみ達が、その姿に感激しながら近づく。

 

幸代「ありがとう」

 

めぐみ「いいなー」

 

メレ「凄く綺麗ね」

 

ひめ「白が眩しいですぞ」

 

ひめが眩しそうに、顔を覆う。

 

ゆうこ「では、サムシングフォーの品を幸代さんに贈ります」

 

ゆうこの隣に、箱を持った高野が居た。

 

ゆうこ「まずは古いものです」

 

高野は箱の中から、ティアラを取り出す。

 

高野「アンティークティアラですわ」

 

高野は幸代にティアラを被せる。

 

幸代「素晴らしい物をありがとう」

 

幸代は、ティアラを渡してくれた高野に感謝する。

 

ゆうこ「そして次は新しい物」

 

椎名「雑貨店椎名でーす」

 

ゆうこの合図で、椎名が挙手をする。

 

椎名「家族で作ったベールです」

 

椎名は幸代さんの頭に、ベールを被せる。

 

幸代「ありがとう!」

 

ゆうこ「そして、青い物はー?」

 

ひめ「じゃーん!」

 

ひめが青いブーケを取り出す。

 

幸代「かわいい!」

 

めぐみ「お花は鮮度が大事だって、朝4時に起きて作ったんですよ」

 

めぐみがひめの努力を明かす。

 

幸代「みんな、本当にありがとうね」

 

感謝する幸代。

 

その時、ドアが開く音が聞こえた。

 

そこには、ドレスアップしたいおなが立っていた。

 

めぐみ「氷川さん」

 

いおな「おめでとうございます」

 

いおなは幸代に頭を下げる。

 

いおな「これ、何か借りた物。あたしからです」

 

幸代「これって...まりあの使っていたハンカチ...」

 

幸代はハンカチを受け取ると、あんぐりとしながらハンカチからいおなに視線を移す。

 

いおな「今日は姉と一緒にお祝いさせてもらいます」

 

幸代「ありがとう...本当にありがとう!」

 

 

 

 

いおなはおおもりご飯を出ると、池の前に立つ。

 

めぐみ達は、いおなにお礼を言う為に追いかけてきた。

 

めぐみ「氷川さん」

 

ゆうこ「お願い聞いてくれてありがとう」

 

ゆうこの感謝の言葉を聞き、いおなは振り向く。

 

いおな「お姉ちゃんも、そうしたかったと思うから」

 

ひめ「お姉ちゃん、無事に見つかるといいね」

 

ひめはいおなを励まそうとするが。

 

いおな「軽く言わないで」

 

いおなは、一段と険しい顔をしながらそっぽを向く。

 

そして、そのまま去ってしまった。

 

めぐみ「氷川さん、辛いからついあんな風に言っちゃうんだよ」

 

ひめ「うん...」

 

ショックを受けていたひめを、めぐみが慰める。

 

_______________

 

大輔と幸代の結婚式が始まる。

 

神父をゆうこパパが行い、進行していた。

 

ゆうこパパ「病める時も健やかな時も、永遠の愛を誓いますか?」

 

大輔「誓います」

 

幸代「誓います」

 

大輔「このご飯に誓って、幸せになります!」

 

大輔の言葉の後、参列者が拍手を送る。

 

 

 

その後、いよいよブーケトスの時間となる。

 

幸代「それじゃ、幸せのおすそ分けを。みんな、幸せになってね!」

 

幸代がブーケを投げた瞬間、女性達が歓声を上げる。

 

ブーケが空高く上がり、めぐみ達も受け取ろうとしっかりと参加している。

 

だが、そこに邪魔する者が現れた。

 

ホッシーワ「キャッチ&パス!」

 

突如現れたホッシーワが、ブーケを奪い取りチョイアークに投げる。

 

『あ!』

 

突然現れたホッシーワに、誠司達は驚く。

 

ホッシーワ「お馬鹿さんね~!結婚するより独り占めよ!」

 

幸代「え?」

 

大輔「幸代、下がっているんだ」

 

大輔は幸代を守る為、前に立ち塞がる。

 

ホッシーワ「鏡に写る未来を最悪に変えちゃってー!いらっしゃーい!サイアーク!」

 

ホッシーワの掛声で、大輔達が鏡に取り込まれサイアークが生まれる。

 

サイアーク「サイアーク!」

 

サイアークが生まれた事により、辺りがお菓子で侵食される。

 

めぐみ「皆!」

 

『変身よ!』

 

めぐみの掛け声の後、ひめとゆうこが揃えて叫ぶ。

 

『おう!』

 

めぐみ達がプリチュンミラーを、誠司達がそれぞれ変身アイテムを構える。

 

『かわルンルン!』

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

めぐみ達がプリキュアに変身する為の、プリカードをセットする。

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

ゴウ「響け!ケモノの叫び!」

 

ケン「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

理央「臨獣、ライオン拳」

 

メレ「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

『ビースト・オン!!』

 

理央「臨気凱装!」

 

メレ「エプタイル・オン!」

 

 

めぐみ達がプリキュアに変身し、誠司達にゲキスーツが装着される。

 

 

 

ラブリー「世界に広がる、ビッグな愛!キュアラブリー!」

 

プリンセス「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

ハニー「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

ラブリー「ハピネス注入!」

 

プリンセス・ハニー「幸せチャージ!」

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

ゲキレッド「体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

ゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

ゲキブルー「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

ゲキバイオレット「紫激気、俺流、我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

ゲキチョッパー「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

理央「猛きこと、獅子の如く!強きこと、また獅子の如く!世界を守る者、我が名は黒獅子・理央!」

 

メレ「理央様の愛のために生き、理央様の愛のために戦うラブウォリアー!カメレオン使いのメレ!」

 

ゲキレッド「燃え立つ激気は正義の証!」

 

『獣拳戦隊ゲキレンジャー!』

 

 

 

ホッシーワ「来たわね、お譲ちゃん達」

 

ハニー「幸せになる2人をサイアークにするなんて!」

 

ホッシーワ「どうして?教えてあげてるのよ。家族なんか増えたらケーキを独り占め出来ないわよーって」

 

ラブリー「そんなの分け合えばいいじゃない」

 

ハニー「みんなで一緒に食べた方がおいしいよ?」

 

ホッシーワ「ケーキはホールが一個なのー!それに、今回は私一人じゃないわよ!」

 

ホッシーワが手を上げると、ホッシーワの前に5体のリンリンシーが降り立つ。

 

ゲキレッド「なっ!」

 

理央「あいつらは...」

 

リンリンシー達を見て、ゲキレッド達は驚愕する。

 

『獣人邪身変!』

 

《リンギ・獣人邪身変》を使用し、リンリンシー達は動物をモチーフにした怪人、《獣人》へと変身する。

 

カデム・怒「地獄の手数王!臨獣センチピード拳のカデム!」

 

光の速さで1秒間に百の突きを繰り出す地獄の手数王、ムカデをモチーフにした獣人《カデム》。

 

ブラコ・怒「一撃必殺の狙撃手!臨獣スネーク拳のブラコ!」

 

変幻自在の動き、冷酷非道な一撃必殺の狙撃手、コブラをモチーフにした獣人《ブラコ》。

 

ソリサ・怒「戦慄の踊り子!臨獣スコーピオン拳のソリサ!」

 

その微笑みと舞いで敵を誘い、翻弄し止めを刺す戦慄の踊り子、サソリをモチーフにした獣人《ソリサ》。

 

モリヤ・怒「対応不能の惑乱者!臨獣ゲッコー拳のモリヤ!」

 

想定外の反応と攻撃、対応不能の惑乱者、ヤモリをモチーフにした獣人《モリヤ》。

 

マガ・怒「鋼鉄鉄壁の守護者!臨獣トード拳のマガ!」

 

鈍りの神経、鈍りの体、鈍重ながら鋼鉄鉄壁の守護者、ガマガエルをモチーフにした獣人《マガ》。

 

『我ら!五毒拳!』

 

邪悪を極めし、5人のリンリンシー《五毒拳》。

 

プリンセス「なにあれ!誠司達みたいに名乗りだしたよ!」

 

ゲキレッド「気をつけろ!あいつらはリンリンシーの中でも、あらゆる毒を持つ精鋭達だ!」

 

ラブリー「毒!?」

 

ハニー「あっ、だから五毒拳なんだ!」

 

ゲキレッドの注意で、ラブリー達は五毒拳の名前の由来を知る。

 

モリヤ・怒「そういう事だ!お前達、俺様の動きについてこれますかな~?」

 

カデム・怒「モリヤ!お前の減らず口は聞くに堪えない!すっこんでろ!あんな連中、俺様の拳で充分!だろ!」

 

モリヤの言動に、カデムが突っ掛かる。

 

ソリサ・怒「ひっこむのはあんたら二人だよ!あんな連中、私とマガで充分。ねえマガ」

 

マガ・怒「ああ、ソリサの言う通りだ!」

 

ブラコ・怒「口を慎め、お前達はあいつらに一度負けてるんだぞ」

 

仲間割れするモリヤ達を、ブラコが大人しくさせる。

 

ゲキバイオレット「ふん、随分なめてくれるじゃねぇか」

 

理央「油断するな、恐らく奴等も怒臨気によって強化されてるはずだ」

 

ゲキレッド「だったら、こっちも最初から全力で行くまでだ!」

 

『応!』

 

ゲキレッドの掛け声と共に、ゲキレッド達はスーパーゲキクロウを、ゲキバイオレットは青紫激気を纏いゴングブルーチェンジャーを、理央は獅子黒刀を構える。

 

『スーパービースト・オン!』

 

ゲキバイオレット「轟け!ケモノの叫び!ビースト・オン!」

 

理央「臨気王凱装!」

 

ゲキレッド達はスーパーゲキレンジャーに、ゲキバイオレットはゲキブルーバイオレットに、理央は黒獅子王理央へとパワーアップする。

 

『!?』

 

ゲキレッド達のパワーアップを見て、五毒拳は驚愕する。

 

ブラコ・怒「なるほど、強くなったのは俺達だけじゃ無いと言う事か」

 

ブラコがゲキレッド達のパワーアップを見て納得している中、理央はパワーアップしたゲキバイオレットを見ていた。

 

理央「話には聞いていたが、それがゴウが手に入れた力か」

 

ゲキブルーバイオレット「ああ、お前達には負けてられないからな」

 

理央「ふっ、そうか」

 

ブラコ・怒「パワーアップしていようが関係ない!俺と戦え!メレ!」

 

ブラコはメレに対し、激怒する。

 

ラブリー「なんであいつ、メレさん対してあんなに怒ってんの?」

 

メレ「あいつは理央様に反逆しようとしたのを、私が阻止し倒したのよ」

 

チョッパー「てことはあいつ、メレへの復讐心でいっぱいって事か」

 

ラブリーがブラコが激怒している事に疑問に思い、メレが理由を説明する。

 

理央「だったらゴウ、久しぶりに一緒に戦うか?」

 

ゴウ「親友タッグか良いぜ」

 

復讐しようとしてるブラコを見て、理央はブルーバイオレットに共闘を提案する。

 

理央「そう言う訳だブラコ。お前は俺達の相手をしてもらうぞ」

 

Sゲキレッド「だったらソリサとマガは俺とブルーが戦う。モリヤはチョッパーが、カデムはイエローが戦ってくれ」

 

『了解!』

 

メレ「なら私はホッシーワの相手をするわ」

 

ラブリー「良し!私達はサイアークとチョイアークを相手しよう!行くよ!みんな!」

 

『応!』

 

スーパーゲキレッド達がそれぞれに指示を出し、ゲキイエロー達は返事をする。

 

ブラコ・怒「俺の...邪魔をするな!」

 

最初に動いたのは、ブラコだった。

 

ブラコは理央に向かって、右パンチを放つ。

 

理央は腕をクロスする事で、攻撃を受け止める。

 

ゲキブルーバイオレット「俺も居る事を忘れるなよ」

 

ブルーバイオレットは、理央に攻撃してるブラコに対して飛び膝蹴りを放つ。

 

ブラコ「ぐあっ!」

 

理央に集中していた為か、ブラコはブルーバイオレットの攻撃をまともに受けてしまった。

 

ブラコ「上等だ!先にお前達を倒してやる!」

 

理央「やれるものならやってみろ!ゴウ!」

 

ゲキブルーバイオレット「応!」

 

理央の呼びかけに、ブルーバイオレットは答える。

 

理央「リンギ!剛勇吼波!」

 

理央は臨気をライオンの形状にして打ち出す。

 

ブルーバイオレット「はあ!」

 

ゲキブルーバイオレットが臨気で作られたライオンを蹴る事により、青紫激気を送る。

 

『合技!剛勇狼弾(ごうゆうろうだん)!』

 

理央の臨気と、ブルーバイオレットの青紫激気が合わさり、黄色と青紫のエネルギー波をブラコに与える。

 

ブラコ「ぐあああああ!!」

 

2人の合体技を喰らい、ブラコは大きく吹き飛ばされる。

 

共に修行してきた2人だからこそ、常日頃から知った動き同士、このような合体技は出来て当然。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所では、モリヤ対チョッパーの戦いが始まっていた。

 

モリヤ・怒「さーて、俺様の動きについてこれますかね~?手裏剣ババンバ!」

 

モリヤはゲキチョッパーに、手裏剣を投げる。

 

ゲキチョッパー「サイブレードフィンガー!捻捻弾(ねんねんだん)!ハア!」

 

サイブレードフィンガーの指先から激気弾を撃ち出して、手裏剣を全て撃ち落す。

 

モリヤ・怒「なんですと!?」

 

ゲキチョッパー「へっへーん!見たか!俺にかかればこんなもんよ!」

 

モリヤ・怒「くう!どうせまぐれに決まってます!」

 

モリヤは攻撃を防いだチョッパーに、負け惜しみを言う。

 

ゲキチョッパー「だったら、ライノソラス拳の底力見せてやるぜ!サイブレードカッター!」

 

チョッパーはサイブレードのブレードを伸ばした、サイブレードカッターに変形させる。

 

ゲキチョッパー「ゲキワザ!鋭鋭刀(えいえいとう)!」

 

激気研鑽によってサイブレードカッターに激気を集中させる。

 

ゲキチョッパー「チェスト―――!!」

 

サイブレードカッターを勢い良く振り下ろして、モリヤを両断する。

 

モリヤ「ぐああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、別の場所ではカデムとイエローの戦いが行われていた。

 

ガガガガガガガガガガッ!

 

カデム・怒「はああああああ!」

 

Sゲキイエロー「はああああああ!」

 

カデムとスーパーゲキイエローによる、突きの応酬が行われていた。

 

Sゲキイエロー「はあ!」

 

カデム・怒「ぐう!」

 

突きの応酬に終止符を打ったのは、スーパーゲキイエローだった。

 

カデムの突きを全て弾き返し、わずかに出来た隙を見つけ出し攻撃を当てた。

 

カデム・怒「以前より、突きのスピードが上がってる...」

 

Sゲキイエロー「日々是精進、心を磨く!私は今まで自分の突きを追及してきたのよ!復活したとは言え、貴方なんかに負ける道理なんてないわ!」

 

スーパーゲキイエローはスーツの噴射口から噴出した過激気によって飛翔する。

 

Sゲキイエロー「はあああああああああ!」

 

飛翔しながら、カデムをスーパーゲキクローを使った無数の突きを放つ。

 

Sゲキイエロー「スーパーチーター撃!」

 

カデム・怒「ぐあああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホッシーワ「はあ!」

 

メレ「おっと」

 

ホッシーワは傘を振り回してメレに攻撃するが、華麗に避けられてしまう。

 

ホッシーワ「くっ、ちょこまかと!」

 

メレ「どうしたの?この程度では私を倒す事は出来ないわよ」

 

メレがホッシーワを挑発する。

 

ホッシーワ「この...調子に乗るな!」

 

ホッシーワは、メレに傘の先を向ける。

 

ドドドドドドドドッ!

 

傘の先から、幾つもの弾丸が発射された。

 

直ぐに対処できなかったのか、メレは発砲によって舞い上がった砂埃に隠れてしまう。

 

ホッシーワ「どうよ、これがクイーンミラージュ様に頂いた武器の力よ!」

 

ホッシーワは砂埃の中に居るであろう、メレに向かい叫ぶ。

 

ホッシーワ「さあ!砂埃が晴れたその時が最後よ!蜂の巣にしてあげる!」

 

ホッシーワは出て来た時に、直ぐ対処できるよう傘を構える。

 

だが砂埃が晴れると、其処には誰もいなかった。

 

ホッシーワ「なっ!一体何処に...ぐう!」

 

辺りを見回していたホッシーワだったが、急に首を締め付けられる感覚が襲った。

 

メレ「油断したな、私が透明になれる事を忘れていたみたいね」

 

その言葉の後、舌でホッシーワを拘束したメレが姿を現す。

 

メレは舌の拘束を解くと、空中で逆さまのの状態で静止する。

 

メレ「リンギ!舌禍繚乱(ぜっかりょうらん)!」

 

ホッシーワ「きゃああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

Sゲキレッド「行くぞ!ブルー!」

 

Sゲキブルー「ええ!」

 

スーパーゲキレッド達は、ソリサとマガに立ち向かう。

 

マガ「ソリサ!俺の後ろにいろ!」

 

ソリサ「分かったわマガ」

 

マガがソリサに、後ろに居るように指示する。

 

マガ「トード拳秘伝リンギ!体油包(たいゆーぱお)!」

 

マガは秘伝リンギを使い、体をリンギの油で包み、体を守る。

 

Sゲキレッド「はあ!」

 

Sゲキブルー「はあ!」

 

ガキン!

 

2人が攻撃するが、マガの秘伝リンギに防がれてしまう。

 

Sゲキブルー「やっぱり硬いわね」

 

マガ「ふん!お前達だけでは俺の秘伝リンギを破る事は出来ないぞ!」

 

マガは2人に対し、高々と宣言する。

 

Sゲキレッド「それはどうかな」

 

スーパーゲキレッドは、マガとの距離を一気に縮めて攻撃する。

 

Sゲキレッド「はあ!」

 

マガの秘伝リンギに強烈なアッパーを仕掛ける。

 

ピシ!

 

Sゲキレッド「うおおおおおおお!」

 

スーパーゲキレッドは両手で多数のパンチの乱打を放つ。

 

ピシピシピシ!

 

スーパーゲキレッドのパンチの乱打で、秘伝リンギに皹が入る。

 

マガ「なっ!馬鹿な!俺の秘伝リンギに皹が!」

 

Sゲキレッド「ゲキワザ!!」

 

スーパーゲキレッドは右手に過激気を纏わせる。

 

Sゲキレッド「スーパータイガー撃!!」

 

ドガ――――――――ンッ!

 

過激気を纏った右手で、強烈な一撃を放つ。

 

マガ「ぐあああああ!!」

 

秘伝リンギを破られ、マガは大きく吹き飛ばされる。

 

ソリサ「マガ!」

 

ソリサは吹き飛ばされたマガの心配をする。

 

Sゲキブルー「仲間の心配より、自分の心配をした方がいいわよ!」

 

ソリサ「!?」

 

スーパーゲキブルーは、スーツの噴射口から噴出した過激気によってソリサとの距離を縮める。

 

Sゲキブルー「スーパージャガー撃!」

 

地面スレスレを高速で滑空し、すれ違いざまにソリサに向かってスーパーゲキクローを撃ち付ける。

 

ソリサ「きゃあああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハニーが白くなったチョイアークからブーケを返して貰う。

 

ハニー「ありがとう」

 

ハニーがお礼を言うと、満足したのか一斉に去るチョイアーク達。

 

その時、ハニーは自分の前に現れた人物に気付く。

 

そこにはフォーチュンがおり、ハニーに気付くなり横に走っていく。

 

サイアークがラブリーに攻撃するが、ガードし損ねて殴り飛ばされてしまう。

 

プリンセス「ラブリー!」

 

飛ばされたラブリーをプリンセスは心配しつつ、プリンセスはサイアークとパンチやキックを駆使し互角に戦う。

 

サイアーク「サイアーク!」

 

プリンセス「あっ、きゃあ!」

 

サイアークが地面を殴り、その衝撃でプリンセスが吹き飛ばされる。

 

ラブリー「プリンセス!」

 

チョイアーク「チョイー!」

 

プリンセスはラブリーとハニーの間に墜落し、ラブリーが心配するが後ろにチョイアーク軍団が並ぶ。

 

絶体絶命だと思ったその時、ラブリー達の前にフォーチュンが降り立つ。

 

フォーチュン「しっかりしなさい、結婚式を守るんでしょ!」

 

フォーチュンはラブリー達に叱咤した後、サイアークに立ち向かう。

 

『うん!』

 

ラブリーとハニーは嬉しそうに返事をするが、プリンセスはあんぐりとしていた。

 

フォーチュン「はあ!」

 

フォーチュンはサイアークのローキックをかわすと、上空より回し蹴りを放つ。

 

ラブリー「たあああ!ふっ!はあ!」

 

腹部にパンチした後、サイアークの右手振り払いを回避し、またパンチを繰り出す。

 

ハニー「ハニースーパーソニックスパーク!」

 

ハニーは上空から、ハニースーパーソニックスパークを連射する。

 

プリンセス「フォーチュンすごい...」

 

フォーチュンの戦いぶりにプリンセスは驚く。

 

リボン「さ、プリンセスも!」

 

リボンはそう言って、プリンセスにプリカードを渡す。

 

プリンセス「うん!このダンスで、結婚式の幸せムードを取り戻しちゃうよ!」

 

『かわルンルン!』

 

プリンセス「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!マカダミヤフラダンス!」

 

プリチュンミラーにマカダミヤフラダンスのプリカードをセットし、ミラーボールを上にスライドする。

 

プリンセス「プリキュア!ハワイアンアロハオエー!」

 

『ちょい~』

 

プリンセスの必殺技を受け、チョイアークは白く浄化され、サイアークとラブリー達、そしてリボンとグラサンまでも踊っている。

 

楽しそうに踊るラブリー達を見て、フォーチュンはあんぐりとする。

 

プリンセス「さ、今よ」

 

プリンセスの言葉に、ハニーはハッとする。

 

ハニー「命の光を聖なる光へ!ハニーバトン!」

 

ハニーの掛け声の後、聖なる力がハニーバトンへと送られる。

 

ハニー「プリキュア!スパークリングバトンアタック!イエーイ!」

 

ハニーバトンを新体操のように振り回し、掛け声の後に頭上に挙げる。

 

巨大な四葉のクローバー型のエネルギー弾を、宇宙空間から隕石のようにサイアークに落す。

 

ハニー「命よ、天に帰れ!」

 

ハニーが決め台詞を叫ぶ事で、エネルギー弾を爆発させる。

 

ラブリー「やったね!ハニー!」

 

ハニー「うん!」

 

ラブリーがサイアークを倒したハニーを褒めていたその時。

 

ドガ―――――――ン!!

 

いきなり各所で爆発が起こる。

 

ラブリー「え?」

 

プリンセス「何!?」

 

いくつもの爆発に、ラブリー達は驚く。

 

『ぐあああああ!!』

 

爆発の後、各所で戦っていた五毒拳とホッシーワが吹っ飛ばされてきて、一箇所でお互いがぶつかりあった。

 

『ぐあ!』

 

ブラコ・怒「ば、馬鹿な...我ら五毒拳がやぶれたというのか...」

 

ブラコは自分だけでなく、他のメンバーまでやられている事に驚愕する。

 

Sゲキレッド「そっちも終わったみたいだな」

 

ゲキレッドが話しかけながら、ラブリー達に駆け寄る。

 

ゲキチョッパー「それにしても、全員が同じタイミングで倒すなんてな」

 

Sゲキイエロー「ええ、あとは巨大化したサイアークを倒すだけよ」

 

ゲキイエローの言葉を合図に、全員がサイアークに視線を向ける。

 

サイアーク「さいあ、サイアーク!」

 

サイアークは掛け声の後、巨大化する。

 

Sゲキレッド「よし!最後の締め、行くぞ!」

 

『応!』

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

Sゲキレッド「ゲキゴリラ!」

 

Sゲキイエロー「ゲキペンギン!」

 

Sゲキブルー「ゲキガゼル!」

 

各々がゲキビーストを召喚する。

 

サイアーク「サイアーク!」

 

巨大サイアークとゲキビースト達が対峙する。

 

美代「全世界の巨大戦ファンの皆様、お待たせしました!巨大サイアークとゲキレンジャーの戦いです!」

 

バエ「解説は私バエと美代さんでお送りします!」

 

Sゲキブルー「ガゼル脚!ペンギン弾!」

 

ゲキガゼルがゲキペンギンのジェットボードを蹴り飛ばす。

 

Sゲキレッド「ゴリゴリ波!」

 

ゲキゴリラがドラミングを行う事で、衝撃波を発生させる。

 

ゲキガゼルの蹴りの威力に、ゲキゴリラの衝撃波が加わってゲキペンギンがサイアークに体当たりをする。

 

サイアーク「サイアーク!」

 

バエ「出ました!トライアングルの合体技!ゲキガゼルがゲキペンギンのジェットボードを蹴り、ゲキゴリラのドラミングによる衝撃波が掛け合わさりサイアークに大ダメージを与える!」

 

Sゲキレッド「よし!一気に行くぞ!」

 

『応!』

 

『ゲキワザ!大豪豪獣!』

 

Sゲキレッド「ゲキタイガー!ゲキシャーク!」

 

Sゲキイエロー「ゲキチーター!ゲキエレファント!」

 

Sゲキブルー「ゲキジャガー!ゲキバット!」

 

それぞれが、他のゲキビーストをさらに召喚する。

 

美代「なんと!9対のゲキビーストの大集合です!なんて凄い光景なんでしょう!」

 

『激激ビースト砲!』

 

9体のゲキビーストによる咆哮を光線状にして放つ。

 

美代「やりました!獣拳合体することなく巨大サイアークを倒してしまいました!」

 

ホッシーワ「ふん!せいぜい小さな幸せを分け合って、ひもじい思いをすることね!あんたら引くわよ!」

 

ホッシーワは後ろを振り返り、五毒拳に命令するが其処には誰も居なかった。

 

ホッシーワ「って!いつの間にか居なくなってるし!もーう!!」

 

そう叫びながら、ホッシーワは去っていく。

 

ラブリー「キュアフォーチュン!」

 

ラブリーに声を掛けられ、フォーチュンは振り向く。

 

ラブリー「来てくれてありがとう!」

 

フォーチュン「忘れない事ね。守りたいものがあるなら、絶対に負けたらいけないってことを」

 

フォーチュンは、ラブリー達に忠告する。

 

プリンセス「わ、分かったわ...」

 

フォーチュン「キュアプリンセス、あなたには期待はしてないわ。貴方達も、精々彼の足を引っ張らない事ね」

 

フォーチュンに言われ、ラブリー達は困り顔になる。

 

フォーチュンはそのまま飛び去ってしまった。

 

プリンセス「あーあ、美味しい所持っていかれちゃった。別に来てくれなくてよかったのに」

 

ハニー「まぁ、そう言わずに。助けてくれたんだし」

 

プリンセス「まぁそうだけど」

 

ラブリー「それにしても、彼の足を引っ張るなって誰の事だろう?」

 

メレ「恐らく、ゲキレッドの事じゃないのかい?」

 

プリンセス「なんでフォーチュンはそんな事言ったんだろう?」

 

ラブリー「分かんない事考えても仕方ないよ!今はあたし達が守りたい物の為に頑張ろう!」

 

プリンセス「うん!」

 

リボン「あ!これはアニマルなひよこのパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな!」

 

プリンセス「こちょこちょ」

 

プリンセスが、リボンの鼻をこちょこちょする。

 

リボン「ははははは!はっぴしょん!」

 

リボンからひよこと美容師のプリカードが生まれる。

 

ラブリー「ひよこって何に使うの?」

 

プリンセス「でもなんかかわいいかも」

 

 

____________________

 

その後、幻影帝国に邪魔されたので仕切り直しをしていた。

 

高野「おめでとうございます」

 

椎名「おめでとう」

 

幸代「ありがとう」

 

ひめ達がライスシャワーを浴びせ、2人を祝福する。

 

そこにいおなが近づき、幸代がいおなに気付く。

 

幸代はハンカチを見た後、いおなを見る。

 

それを見て、いおなも嬉しそうにする。

 

 

 

 

 

めぐみ「幸せそうだね」

 

ひめ「うん、お腹いっぱいなくらいね」

 

ゆうこ「私はまだまだいけるぅ!」

 

そう言って、ゆうこはから揚げを食べる。

 

ラン「ゆうこちゃん、それは意味が違うんじゃない?」

 

『あっはっはっは!』

 

めぐみとひめは、笑いあう。




はい!如何だったでしょうか!

いおなの描写があったので、誠司との描写を入れてみました。

軽くヤンデレみたいになったのは、気のせいでしょうか?

まあぶっちゃけアクセル・ビルドを投稿してから3日の時点で、既に戦闘シーンまで書きあがっていました。

ブラコの相手を、理央ゴウにするか理央メレにするか迷っていました。

考えた結果、悩む事じゃねえなと結論に至り、今回をゴウと理央にしてブラコとの最終対決を理央とメレにしようと思いました。

そして今回は、ゲキレッドのスーパータイガー撃を、フェアリーテイルのナツ・ドラグニルが使う『雷炎竜の撃鉄』を元に技を繰り出しました。

今後も、オリ技等を増やして行きたいと思っています。

それでは次回、第19話、もしくはアクセル・ビルド第3話でお会いしましょう!

それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 サッカー対決!チームプリキュア結成!

どうも!ナツ・ドラグニルです!

お待たせしてしまい、申し訳ございません!

1ヵ月ぶりの投稿ですね。

2月は忙しく書く暇がありませんでした。

棚卸しも終わったので、しばらくは忙しくないと思います。

さて、リアルの話はここまで!

作品をどうぞ!


ブルースカイ王国。

 

「強化しているにも関わらず、なんだあのざまは」

 

幻影帝国のアジトで、5毒拳がツトコウによって咎められていた。

 

「申し訳ございません、ツトコウ様」

 

「まあいい、それで?次はどうする気なんだ?」

 

「策はあります、他のメンバーにある切り札を渡しております」

 

「切り札?」

 

ブラコの言葉に、ツトコウは聞き返す。

 

「次はマガとソリサの2人にやらせます」

 

ブラコの言葉で、マガとソリサが前に出る。

 

「ほう、ならやってみろ」

 

「はい、おおせのままに」

 

____________________

 

 

 

 

夕方の大使館。

 

「見て、見て、見てですわ。ファイルにカードが溜まってきたですわ!」

 

カードファイルを開きつつ、リボンは嬉しそうにする。

 

『おおー!』

 

リボンの言葉に、全員が声を上げる。

 

「ファイルがいっぱいになったらお願い事が叶うですわ!何をお願いしちゃいますの?」

 

リボンはめぐみ達に質問する。

 

「私は勿論、ブルースカイ王国の復活~!」

 

故郷を元に戻したいと願う、ひめ。

 

「私は体の弱い、うちのお母さんが元気モリモリになるように、かな?」

 

母親の病気を治したいと願う、めぐみ。

 

「私はみーんながご飯を美味しく食べられるようにお願いしちゃう」

 

皆の幸せを願う、ゆうこ。

 

「ゆうこらしいな」

 

ゆうこの言葉に、誠司は微笑む。

 

『ははははは』

 

誠司とゆうこが微笑あい、その後全員が笑いあう。

 

「えーと...」

 

「それから~」

 

めぐみ達は、他にもお願い事を考える。

 

「でも、叶えられるお願いは1つだけですわ」

 

そこで、リボンがめぐみ達に指摘する。

 

『えー!そうなの?』

 

3人は驚愕する。

 

「なんだよ、大変な思いをして集めても叶えられるのは1つだけかよ」

 

「そうだよー!みんなで集めたんだから、みんなの分お願い叶えてよー!けちー」

 

ケンに同調して、ひめはリボンに文句を言う。

 

「けちも何も、そういうお約束になってるんですのー」

 

ひめの言葉に、リボンは反論する。

 

「そっかー、1つかー。皆で一生懸命集めたカードだもん、皆でよく考えないとね」

 

めぐみは残念そうに呟く。

 

「まあ、まだファイルがいっぱいになるまで時間もあるし、それまでしっかり相談しておくですわ」

 

リボンはそう言いつつ、ファイルを閉じる。

 

「あっ、そういえば誠司、明日サッカーの試合があるんだろ?」

 

ゴウが思い出し、誠司に質問する。

 

「ああ、明日町内のサッカー大会があるんだよ」

 

「へぇー、そうなんだ!じゃあ、皆で応援に行こうよ!」

 

誠司の言葉にめぐみは、全員に応援に行こうと提案する。

 

「良いなそれ、行こうぜ!」

 

「ああ、俺達のリーダーの活躍を見せて貰おうぜ」

 

ケンが直ぐにめぐみの提案に乗り、ゴウは茶々を入れる。

 

「じゃあ明日、朝早くに河川敷に集合な」

 

『おう!』

 

 

 

 

_____________________

 

 

翌日の早朝。

 

めぐみ達は約束通り、河川敷に集合した。

 

「よう、悪いなみんな」

 

誠司が集まったメンバーに挨拶をする。

 

「大丈夫よ」

 

「うん、誠司!今日は頑張ってね!」

 

「ああ...それなんだが...」

 

めぐみの応援に対して、誠司は歯切れ悪く返事をする。

 

 

 

 

 

誠司達は試合会場に移動し、そこで誠司が説明をする。

 

『二日酔い!?』

 

誠司の説明に全員が驚愕する。

 

「昨日メンバー数人で作戦会議を居酒屋さんでやってたらしいんだけど、飲み過ぎちゃったみたいで...」

 

誠司が視線を向けた先には、頭を抱えたりぐったりしている8名の男性が居た。

 

『あちゃー』

 

「そこで頼みがあるんだが、お前達に助っ人に入って欲しいんだ」

 

「助っ人?良いよ任せて~!」

 

「ああ、俺達のチームワークを見せてやろうぜ!」

 

めぐみが直ぐ様了承し、ケンが気合を入れる。

 

「ありがとー!話は聞いていたよ、君達が助っ人になってくれるんだって?」

 

その時、1人の男性が近づいてきた。

 

「おっす!ゴンです!」

 

「紹介するよ、ぴかりが丘商店街サッカーチーム監督、ゴンさん。皆は親しみと尊敬をこめて隊長と呼んでるんだ」

 

「んー!」

 

誠司の紹介に、ゴンはドヤ顔になる。

 

『隊長!宜しくお願いします!』

 

全員が声を揃えて、挨拶をする。

 

「おう!宜しくな!」

 

「隊長は我が商店街のお団子屋さんの2代目。対する相手チームの監督はお隣、中央商店街のお饅頭屋さんの2代目。奇しくもライバル店2代目同士の争いとなってしまって」

 

説明する誠司だったが、顔は困り顔になっていた。

 

「ウチの看板商品、団結団子のパワーを見せ付けてやるぜ!」

 

「ふん!果たしてウチの満足饅頭に勝てるかな?」

 

ゴンに対して、中央商店街の2代目が反論し、両者は張り合う。

 

「お団子対お饅頭かぁ!」

 

その様子をめぐみは嬉しそうに見ている。

 

「シュートを決めた人には饅頭20個入りのこの菓子折りをプレゼントするぞー!」

 

『おおー!』

 

中央商店街の2代目の宣言により、中央商店街の人達は盛り上がる。

 

「こっちはシュートを決めたら団子30本だ!」

 

ゴンの言葉に、無事だった2人のメンバーが気合を入れる。

 

「お団子30本かー!」

 

「よっしゃー!燃えてきたぜ!」

 

ひめとケンも目を輝かせ、めぐみ達も嬉しそうにする。

 

「絶対に負けられない戦いがそこにはある」

 

ゴンの背後に炎が燃えているように、誠司達には見えた。

 

ゴンとお饅頭屋2代目は、火花を散らしながら睨み合う。

 

「お団子もお饅頭も、どっちも好きなんだけどなぁ」

 

2人の間でウットリするゆうこだったが、2人に呆れ顔で見られる。

 

「あれ?」

 

そこでひめが何かに気付き、周りを見回す。

 

「欠員者は8人でしょ?1人足りなくない?」

 

助っ人はめぐみ、ひめ、ゆうこ、そしてラン、リン、ゴウ、ケンの合計7人。

 

ひめの言う通り、1人足りなかった。

 

「大丈夫だ、他にも助っ人を呼んでいるからな」

 

「他にも?それって...」

 

「遅くなってすみませーん」

 

めぐみが誠司に質問しようとした時、凄く聞き覚えのある声が聞こえた。

 

声がした方を全員が振り向くと、いつもの髪型をポニーテールに変えたいおながやってきた。

 

「あー、氷川さんだ!8人目の助っ人は氷川さんなんだね!」

 

思いがけない助っ人に、めぐみは嬉しそうにする。

 

「ええ、誠司君に頼まれたのよ」

 

いおなはそっけなくも、めぐみに返答する。

 

「助かったよ。ありがとうな、いおな」

 

「いいの、誠司君にはいつもお世話になってるし。偶にはお返ししないとね」

 

誠司に微笑むいおなだったが、めぐみ達を見て表情を曇らせる。

 

「あの子達も一緒なの?」

 

「え?何かまずかったか?」

 

「いえ、大丈夫よ」

 

聞き返す誠司だったが、いおなは誤魔化す。

 

「おーい、集合してー」

 

そこで、監督であるゴンの掛け声が聞こえた。

 

「キックオフの時間だ!皆!気合入れていくぞ!」

 

『おう!』

 

誠司の掛け声に、全員が元気良く答える。

 

「よーし!張り切って行こうぜ!」

 

自分達の監督の掛け声に答え、駆け出す選手一同。

 

もちろん、誠司達もその中にいる。

 

「ただいまより、ぴかりが丘商店街対中央商店街の試合を開始します」

 

審判が試合の開始を告げる。

 

「饅頭と団子のガチンコ勝負だ!」

 

「団子の団は団結の団!我がチームを甘くみるなぁ!」

 

饅頭屋2代目の言葉に、ゴンは挑発する。

 

 

ピーッ!

 

そしてついにキックオフ。

 

まずはめぐみがボールを蹴る。

 

相手選手が、めぐみにスライディングしてボールを奪おうとする。

 

スライディングされる寸前、めぐみはゆうこにボールをパスする。

 

「ああっ!?」

 

だが、ゆうこは上手く受け取れず、ボールは上に高く上がってしまう。

 

「ああ!ボールが!」

 

「任せろ!」

 

いおなが驚く中、誠司がボールの落下地点に向かって走る。

 

「はあ!」

 

誠司はボールに向かって跳躍する。

 

「ふっ!」

 

誠司はヘディングでゴールに向かってシュートを決める。

 

「うわあ!」

 

いきなりの事で反応出来なかったのか、キーパーはボールを止める事が出来なかった。

 

『おおー!!』

 

「ナイスシュート、いいぞぉ!炎のストライカー!まるで、昔の僕のようだ!」

 

誠司のナイスプレーに、味方だけではなく敵までも感心する。

 

「よっと」

 

「凄い誠司!」

 

「かっこいい!」

 

着地した誠司に、めぐみ達は駆け寄った。

 

「サンキュー。だけどまだ始まったばっかりだ、気を抜くなよ」

 

「うん!よーし、次こそお団子30本、ゲットだぁ!」

 

 

 

 

__________________

 

その後も、試合は進んで行き早々にボールをゲットしたひめ。

 

「いっただき~!」

 

だが、前から相手選手が迫る。

 

「ひめちゃ~ん」

 

「こっちだ!」

 

選手達の間から、深水兄妹がパスを要求する。

 

「いけるはず!」

 

ひめはパスをすることなく、そのままシュートする。

 

だが勢いが弱く、簡単に取られてしまう。

 

「うぐ!ごめーん!」

 

ひめは悔しそうな顔を見せつつも、直ぐに2人に謝る。

 

「どんまいだな」

 

「気にしないで、ひめちゃん」

 

そう言って、2人は持ち場に戻った。

 

「ありがとう!よし、今度は失敗しないぞ!お団子30本!」

 

2人にお礼を言うと、ひめは次こそはと意気込みを入れる。

 

「白雪さん!」

 

そこへ、いおながひめに近づく。

 

「また自分だけのプレーに走ろうとしてるでしょ。ちゃんとパスで繋げて!」

 

いおなは叱って、そのまま去っていった。

 

試合は続行し、またもボールをめぐみがゲットする。

 

「めぐみー、こっちこっち」

 

「ひめ!」

 

めぐみはパス要求に答え、ひめにパスする。

 

だが、ひめにパスされたボールをいおなが横取りする。

 

「ちょっと、それ私のボール。めぐみが私にパスしたんだよ、なんで横取りするの?」

 

いおなに並走しつつ、怒りをぶつける。

 

「あなたが敵にマークされてたから、ボールを救っただけ。あなたはチームプレイが分かってない」

 

「分かってる」

 

いおなは指摘し、ひめは反論する。

 

「分かってないわ。私のアドバイスだって素直に聞けないじゃない」

 

「アドバイスって言うか、氷川さん上から目線なんだもん!」

 

「上から目線?」

 

怒ってるひめに対して、いおなが驚く。

 

「あっ!」

 

いおなが驚いている間に、ひめがボールを奪う。

 

「あっ!」

 

ボールを奪ったひめだが、直ぐにひめも奪われてしまう。

 

「はあ!」

 

ボールを奪った選手は、そのままシュートを決める。

 

「させるか!」

 

キーパーであるケンが、相手選手のシュートを止める。

 

「そう簡単には、ゴールは決めさせないぜ!」

 

『よっしゃー!』

 

ゴールを守った事で、ぴかりが丘商店街の人達が喜ぶ。

 

ピピーッ!

 

そして、1対0のまま前半戦が終わった。

 

「前半戦おつかれさーん!勝つ為にはチームの団結。それが大切だ」

 

『はい!』

 

ゴンの言葉に、チーム一同が声を揃えて答える。

 

横目からお互い向き合って目が合うひめといおなだったが、すぐにそっぽを向いてしまう。

 

「今日はウチの自慢の団結団子を持ってきた。みんなで仲良く食べてエネルギー補給だ!」

 

『おー!』

 

ゴンの言葉に、一層元気になるメンバー。

 

「団結団子かー。もっちもちで弾力があって美味しいんだよねぇ」

 

とろーんとした目で呟くゆうこを、めぐみはにっこりと頷く。

 

ゴンは団子を取りに行く為、その場を離れる。

 

「食べた事がないから楽しみだな」

 

「ああ、早く食べたいぜ!」

 

楽しみにするゴウとケンだったが。

 

「ふん、随分楽しそうにしてるじゃないか」

 

声のする方を見ると、そこには5毒拳の2人。

 

ソリサとマガの姿があった。

 

「5毒拳!」

 

「お前ら、この前あんだけやられたのに何しに来やがった!」

 

5毒拳の2人に対し、ケンが質問する。

 

「この間は油断したが、今回はこの前のようにはいかないぞ」

 

ケンの質問に対し、マガが答える。

 

「だったら今回も蹴散らしてやるぜ!」

 

マガの言葉に、ゴウが返す。

 

「相手するのはいいが、私達だけに構ってていいのかい?」

 

 

 

『うわあぁぁぁぁ』

 

 

その時、遠くから悲鳴が聞こえた。

 

悲鳴が聞こえた方を見ると、そこにはサッカーボールを模したサイアークがいた。

 

『サイアーク!』

 

「あっちは確か、隊長が団子を取りに行った方向じゃない!?」

 

「てことは、あのサイアークは隊長の!」

 

めぐみ達が驚く中、ランとリンがサイアークの正体に気付く。

 

「よくも隊長を!みんな行くぞ!」

 

誠司の掛け声を合図に、全員が変身アイテム、《プリチュンミラー》、《スーパーゲキクロウ》、《ゴングチェンジャーブルー》、《サイブレード》を構える。

 

「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

「轟け!ケモノの叫び!」

 

『ビースト・オン!』

 

『スーパービースト・オン!』

 

ケンがゲキチョッパーに、ゴウがゲキブルーバイオレットに、誠司達がスーパーゲキレンジャーへと変身する。

 

『かわルンルン!』

 

プリチェンミラーに、プリカードをセットする。

 

『プリキュア!クルリンミラーチェンジ!』

 

めぐみ達が、プリキュアへと変身する。

 

「過激にアンブレイカブル・ボディ!スーパーゲキレッド!」

 

「過激にオネスト・ハート!スーパーゲキイエロー!」

 

「過激にファンタスティック・テクニック!スーパーゲキブルー!」

 

「青紫激気、我流、我が道を貫く!シンアイアンウィル!ゲキブルーバイオレット!」

 

「才を磨いて!己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

「燃え立つ激気は、正義の証!」

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

 

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

「ハピネス注入!」

 

『幸せチャージ!』

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

「出たなプリキュア、ゲキレンジャー、サイアーク!強烈なシュートをプリキュアにお見舞いしてやれ」

 

オレスキーの命令を受け、サイアークはエネルギー弾を生み出してラブリー達に向けて蹴り飛ばす。

 

レッド達は跳躍してかわすが、ラブリー達は驚いたまま動く事が出来ず、直撃を受けてしまった。

 

3人は吹き飛ばされ、ゴールネットを突き破り墜落する。

 

墜落した後も、3人はネットで雁字搦めになって動けないでいた。

 

その様子を見て、オレスキーは笑っている。

 

「さすが素晴らしいキック力だ。プリキュアがまさに団子状態になっておるわ」

 

もがいている3人に、ゲキセイバーを持ったレッドが近づく。

 

「何やってんだ、お前ら!しっかりしろ!」

 

「ごめーん」

 

「ありがとう」

 

助けられた事にラブリーが謝り、プリンセスが感謝する。

 

「ふん、ゲキレンジャーはともかく、プリキュア達は大した事ないみたいだな」

 

今までのやり取りを見て、ソリサはプリキュア達を馬鹿にする。

 

「さて、もう一発食らわせてやろう」

 

「サイアーク!」

 

オレスキーの言葉の後、サイアークは再度エネルギー弾を作り出し、蹴り飛ばす。

 

レッドがゲキセイバーで対処しようとした、その時。

 

「ん?」

 

1つの光が走ったと思った次の瞬間、何かがエネルギー弾と衝突し弾き飛ばす。

 

「何だ!?」

 

砂塵が晴れていく中、そこには拳を突き出したフォーチュンが居た。

 

『キュアフォーチュン!』

 

突如現れたフォーチュンに、ラブリー達は驚く。

 

「何!?キュアフォーチュン!?えーい関係ない!攻めて攻めて、攻めまくるのだ!」

 

サイアークはオレスキーの命令でエネルギー弾を作り出して蹴り飛ばすも、今度は3つに分裂しキュアフォーチュンに迫る。

 

だがキュアフォーチュンは慌てることなく、2つを腕で弾き返して1つを受け止め蹴り返す。

 

エネルギー弾はサイアークに直撃し、吹き飛ばす。

 

「ありがとう、助けてくれて」

 

レッドが、キュアフォーチュンに感謝する。

 

「別に構わないわ。それにしても、プリキュアが3人も居てまるで連携がなってないわ」

 

「連携かー」

 

フォーチュンに言われ、ラブリーが考える。

 

「そうだ!だったらキュアフォーチュンも一緒になって4人で連携プレイすればいいじゃん!」

 

『え!』

 

ラブリーの提案に、声を揃えて驚くプリンセスとフォーチュン。

 

「確かに。全員の方がパワーも特盛り。バッチリ団結出来そうね」

 

「うん、プリンセスもそう思うでしょ?」

 

「あ...うん」

 

ハニーが同意し、ラブリーがプリンセスに同意を求める。

 

「それは駄目よ。私はあなた達と一緒に戦う気はないわ」

 

フォーチュンの冷たい言葉に、プリンセスは頬を膨らませて不機嫌になる。

 

「だが、ピンチの時に仲間がいると心強いぞ。この前のファントムの時みたいにな」

 

「あ...」

 

レッドに指摘され、フォーチュンは反論出来ずにしょんぼりする。

 

「悪いけど、私達の事を忘れてもらっては困るわ」

 

今まで黙って見ていたソリサが、オレスキーを差し置いて前に出る。

 

「今度は私達が相手してやるよ、リンシーズ!」

 

ソリサの合図で、数多くのリンシーが現れる。

 

「ダンスで鍛えた私達のチームワークを見せてやるよ!行け!リンシーズ!」

 

ソリサの命令を受け、リンシーズは突撃する。

 

「俺達も行くぞ!」

 

『おう!』

 

レッドの掛け声を合図に、全員が迎え撃つ。

 

「はあ!」

 

プリンセスがリンシーに攻撃するが、リンシーは腕を交差させることで攻撃を受け止める。

 

「!」

 

「きゃあああ!」

 

すると、他のリンシーにプリンセスが攻撃され吹き飛ばされる。

 

「何こいつら!」

 

「他のリンシー達と違って、このリンシー達は連携が取れているのよ」

 

今まで戦ったリンシー達と違う事に、ラブリー達は驚く。

 

「気をつけろ!こいつらは連携取れてる分、手強いぞ!」

 

レッドは、ラブリー達に警告する。

 

「だったら指揮してる奴を先に倒せばいいじゃん!」

 

そう言って、プリンセスはソリサに突っ込む。

 

「待って、プリンセス!ソリサに迂闊に近づいちゃ駄目よ!」

 

突っ込むプリンセスに、ブルーが注意する。

 

「警告しても、もう遅い!リンギ・朱鞭脚(しゅべんきゃく)!」

 

「きゃあ!」

 

ソリサは逆立ちし、逆立ちした時の勢いを利用して踵でプリンセスを攻撃する。

 

「プリンセス!」

 

「チョッパー!プリンセスを連れて少し離れろ!バイオレットはソリサを、イエローとブルーはリンシーズを頼む!」

 

『応!』

 

レッドの指示を受け、チョッパーはプリンセスを助けて、ブルーバイオレットはソリサの相手をする。

 

チョッパーに助けられたプリンセスは、ラブリー達の場所まで運ばれる。

 

「ごめんなさい」

 

「大丈夫だ、気にすんな」

 

謝るプリンセスだったが、チョッパーは余り気にしていなかった。

 

「大丈夫?プリンセス」

 

「怪我はない?」

 

「うん、大丈夫」

 

ラブリー達が心配し、プリンセスに近づく。

 

「なさけないわね、勝手に突っ込んでゲキレッドの足を引っ張るなんて」

 

フォーチュンが冷たい口調で話しかける。

 

「いくら何でも、それは言い過ぎなんじゃないのか?」

 

余りの口調に、チョッパーがフォーチュンに質問する。

 

「事実を言ったまでよ。やっぱりあなたでは...彼の助けにはならないわ」

 

そう言って、フォーチュンはレッド達の方を見る。

 

つられてラブリー達も、レッド達を見る。

 

そこでは、マガとソリサが追い詰められていた。

 

「今度こそ倒させて貰うぞ!」

 

レッドが、全員の前に出る。

 

「でもどうするんだ?まだサイアークもいるんだぞ」

 

ブルーバイオレットがゲキレッドに質問する。

 

「大丈夫だ、全部俺の新技で片付ける」

 

レッドの言葉に、全員が驚く。

 

「新技!?そんなのいつ作ってたのよ」

 

「ちょっと1人で特訓してたからな。よし!行くぜ!」

 

レッドは、激気を集中させる。

 

「ゲキワザ!来来獣!ゲキタイガー!」

 

レッドは、ゲキタイガーを召喚する。

 

「なんだ!何をするつもりだ!」

 

突如、ゲキタイガーが現れた事にオレスキーは驚く。

 

「はあ!」

 

レッドは、ゲキタイガーの頭の上まで跳躍する。

 

「ゲキワザ!赤虎の咆哮(タイガー・ロア)!」

 

グルルルルルッガアァ―――――ッ!!

 

ゲキタイガーの咆哮と共に、衝撃波と激気の嵐がサイアークとソリサ達を襲う。

 

『ぐあああああ!!』

 

「サイアーク!!」

 

タイガー・ロアを受け、チョイアークとリンシーズは消滅し、サイアークとソリサ達には大ダメージを受ける。

 

「何ー!?一瞬でサイアークとチョイアークがやられてしまった!」

 

余りの出来事に、オレスキーは驚愕する。

 

「やったな、レッド!」

 

「ああ」

 

ゲキタイガーを戻したレッドに、イエロー達そして離れていたチョッパーが駆け寄る。

 

そんな中、ソリサ達が立ち上がろうとしていた。

 

「くぅ...マガ、こうなったらあれを使うよ」

 

「ああ!」

 

ソリサの言葉で、2人は何かを取り出す。

 

「何だ!?」

 

レッド達は、2人が取り出した物を警戒する。

 

『ふん!』

 

2人は、取り出した物を胸に突き刺した。

 

『ぐあああああ!!』

 

何かを突き刺した瞬間、2人は苦しみだし身体にも紫色の痣が幾つも広がる。

 

『うがああああああ!!』

 

ソリサとマガは、叫びだしたと同時に巨大化する。

 

「サイアーク!」

 

同じタイミングで、サイアークも巨大化する。

 

「良く分からないが、俺達も行くぞ!」

 

「応!」

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

「ゲキゴリラ!」

 

「ゲキペンギン!」

 

「ゲキガゼル!」

 

「ゲキタイガー、ゲキジャガー、ゲキウルフ!」

 

「いでよ!サイダイン!」

 

各々が、ゲキビーストを召喚する。

 

『獣拳合体!』

 

「獣拳変形!サイダイオー!」

 

ゲキゴリラ達が合体してゲキファイヤーに、ゲキウルフ達が合体してゲキトージャウルフに、サイダインが変形しサイダイオーになる。

 

『ゲキファイヤー!バーニングアップ!』

 

「ゲキトージャウルフ!バーニングアップ!」

 

「獣拳巨神サイダイオー!見惨!」

 

「さあ!巨大戦の時間が始まりました!解説はおなじみ増子美代と!」

 

「フライ拳使いのバエがお送りします!今回はゲキファイヤー対サイアーク、ゲキトージャウルフ対ソリサ、サイダイオー対マガの戦いが行われております!」

 

「はあ!」

 

ゲキトージャウルフがソリサに攻撃するが、特にガードすることなく簡単に喰らう。

 

「おおっと、ゲキトージャウルフの先制攻撃だ!」

 

「うがああああ!!」

 

ソリサが叫ぶと同時に、ゲキトージャウルフに攻撃する。

 

「ぐうっ!何だ!?まるで暴走してるみたいだ」

 

「うがあああ!!」

 

またもソリサが攻撃するが、ゲキトージャウルフが脚で防御する。

 

「足技が得意なのはお前だけじゃないぜ!はあ!」

 

ゲキトージャウルフは、左足を軸に後ろ回し蹴りを放つ。

 

「ソリサの様子が可笑しいのも気になりますが、ここからはゲキトージャウルフの反撃だ!」

 

「一気に行くぜ!ゲキトージャウルフ!ゲキワザ・大狼斬(だいろうざん)!」

 

脚でソリサを蹴り上げ、空中にあがったソリサを両拳で殴り飛ばす。

 

そして止めに、ウルフカッターをゲキウルフが口で挟み、連続で回し蹴りを放つ。

 

「ぎゃあああああ!!」

 

ソリサは絶叫を上げた後、石化して砕ける。

 

「決まったー!ゲキトージャウルフの必殺技が決まり、ソリサが倒れました!」

 

 

 

ソリサが倒された後も、他の所では戦いは続いていた。

 

「うがああああ!!」

 

「はあ!」

 

暴走するマガに対し、サイダイオーが戦っていた。

 

「なんだこいつ、自我もないし...暴走してるのか?」

 

バーサーカー状態となってるマガを、チョッパーは推測する。

 

「うがああああ!!」

 

「はあ!」

 

「サイダイオーに襲い掛かるマガ!何度も切りつけるがまったく効いていない!」

 

美代の解説通り、サイダイオーの攻撃は全然効いていなかった。

 

「くそっ!だったら何度も切りつければいいだけだ!」

 

チョッパーの言葉通り、マガに対し砕大剣を縦横無尽に切りつける。

 

「ぐううううう!!」

 

さすがに何度も切りつけたお陰か、マガはダメージを受けていた。

 

「良し、行くぜ!ゲキワザ!大大砕大斬!」

 

砕大剣を大の字に何度も斬り付ける。

 

「ぎゃああああ!!」

 

サイダイオーの必殺技を受け、マガは石化し砕ける。

 

「おおっと!サイダイオーの必殺技を受け、マガが倒されました!あとはサイアークのみ!」

 

 

そして最後、ゲキファイヤーとサイアークの戦いのみ。

 

「サイアーク!」

 

サイアークはエネルギー弾を作り、ゲキファイヤーに向って蹴り飛ばす。

 

『はあ!』

 

ゲキファイヤーは腕を振り下ろす事で、エネルギー弾を弾く。

 

「相手が玉なら、こっちも玉で行くぞ!」

 

『応!』

 

2人はレッドの意図をすぐに読み取り、次の行動に移る。

 

『ゲキワザ!来来獣!ゲキエレファント!』

 

ゲキファイヤーから、ゲキエレファントが召喚される。

 

「出たー!ゲキエレファントの登場です!鼻と足を使い、器用にボールを扱っております!」

 

ゲキエレファントは足と鼻でボールをドリブルし、サイアークへと迫る。

 

そしてそのまま、サイアークに向ってボールを鼻で放り投げる。

 

「シュート!!ゲキエレファントのシュートが!サイアークに決まりました!」

 

サイアークに当たり、ボールはゲキエレファントの元に戻り、そのままゲキファイヤーの近くまで戻る。

 

『獣拳武装!』

 

3人の掛け声を合図に、ゲキエレファントが分離してゲキファイヤーへと合体する。

 

『ゲキエレファントファイヤー!バーニングアップ!』

 

「なんと!ゲキエレファントがゲキトージャではなく、ゲキファイヤーと合体しました!」

 

美代はゲキファイヤーとゲキエレファントの合体に、驚く。

 

「サイアーク!」

 

サイアークはエネルギー弾を作り出し、ゲキエレファントファイヤーに向って蹴り飛ばす。

 

エネルギー弾は途中で、10個以上に分裂する。

 

「させるか!」

 

『はああああ!!』

 

ゲキエレファントファイヤーは、鎖鉄球を前で回転させ全てのエネルギー弾を弾く。

 

「一気に決めるぜ!」

 

『ゲキエレファントファイヤー・ゲキワザ!弾弾ハンマー崩し!』

 

右腕でハンマー何度も回転させ、勢いよくエレハンマーをサイアークに叩きつける。

 

「サイアーク!」

 

ゲキエレファントファイヤーの必殺技を受け、サイアークは消滅する。

 

「今日もゲキレンジャーが勝利を収めました!」

 

「さすがは我らがゲキレンジャー!」

 

『獣拳は正義の拳!正しき者が必ず勝つ!』

 

『ゲキエレファントファイヤー!』

 

「ゲキトージャウルフ!」

 

「サイダイオー!」

 

『WIN!!』

 

「くう!チームワークなど俺様にはいらん!頂点は常に俺様1人なのだ!」

 

悔しそうにそう言い残し、オレスキーはテレポートで逃げていった。

 

 

 

 

_________________

 

その後、ゴンも解放されてテント前に選手達が集まる。

 

「サイアークはプリキュアとゲキレンジャーがやっつけてくれた。俺達も後半戦頑張るぞー!」

 

「おー!」

 

ホイッスルを合図に、後半戦が始まる。

 

 

 

試合は1対0のまま、続いていく。

 

ボールは相手選手がキープしている。

 

「はあ!」

 

ゴウがスライディングで、相手選手からボールを奪う。

 

「よっしゃ!」

 

奪ったボールを、すかさず誠司がキープする。

 

ゴールに近づくにつれ、守備も堅くなる。

 

「いおな!」

 

誠司はゴールの近くに居た、いおなにパスを回す。

 

「ナイスパス!」

 

いおなはそのまま、ゴールに向ってシュートを決める。

 

「決まったぜ!」

 

そこで丁度、後半戦終了のホイッスルが鳴る。

 

「試合終了!」

 

「よっしゃー勝ったぜ!」

 

ゴンが喜び、2代目饅頭屋が悔しがる。

 

『やったー!』

 

ひめを除いたメンバーで、ハイタッチをする。

 

その中には、いおなも混じってる。

 

 

その後、試合が終了した事でテントを撤収作業が行われていた。

 

作業の合間に、ゴンが誠司達に近づく。

 

「そうだ。シュートを決めたから、君達にお団子30本プレゼントしないとなー」

 

「チームのみんなが心を1つにしたからです。私の手柄ではありません。お団子は是非みんなで」

 

「俺も同意見です」

 

誠司達を見る一同、ひめだけはあんぐりとしている。

 

「チームメンバーを思いやる心。素晴らしい!将来有望だな!」

___________

 

『だんだん団子が優勝だー♪』

 

帰り道、ひめを除いたメンバーが歌を歌いながら帰っていた。

 

だが途中で、ひめが歌っていない事に全員が気付く。

 

「どうした?ひめ、元気ないじゃないか」

 

「ちょっと慣れないサッカーで疲れただけだよ」

 

誠司の質問に、ひめはそう答える。

 

「私も、お腹すいたー」

 

ゆうこはお腹を押さえ、肩を落す。

 

「それにしても、ソリサとマガの変化はなんだったんだろうな」

 

「ああ、何かを胸に刺した瞬間、いきなり巨大化したからな」

 

「それに、自我も無く只暴れているだけだったしな」

 

バーサーカー状態になったマガとソリサについて、誠司、ゴウ、ケンが考察する。

 

その時だった。

 

「誠司くーん、ちょっといいかしら?」

 

誠司達の元に、いおなが走ってきた。

 

「いおな、おつかれ」

 

走ってきたいおなに、誠司は労いの言葉を掛ける。

 

「今日は楽しかった。あたしね、強くなる為に自分を鍛えることばっか考えてた。でも、サッカーをやってみて、空手とはまた違ったチームプレイの醍醐味を味わったわ。信頼できる仲間が居て、安心して背中を任せる。そうすることで技の集中力も高まって攻撃力が倍増する」

 

そう言いながら、いおなは誠司達の前を歩き出す。

 

「そんなチームワークがきっとプリキュアハンターに打ち勝つ突破口となるはず」

 

『え?』

 

めぐみ達が驚く中、いおなはプリチュンミラーを取り出す。

 

『うえー!』

 

「やっぱりお前がフォーチュンだったんだな、いおな」

 

「そうよ、キュアフォーチュンの正体は、私よ!」

 

『えー!』

 

いおなの言葉に、誠司以外が驚く。

 

「誠司君、いえゲキレッド、私と一緒にチームを組まない?」

 

誠司に向け、いおなは手を差し出す。

 

いおなは笑い、いおなの後ろから飛び出たぐらさんも笑顔だった。

 

いおなの提案に、誠司達はあんぐりとする。




はい!如何だったでしょうか!

今回の新技!タイガー・ロア。

名前はパッと思いついた物ですので、もしかしたら今後変えるかもしれません。

イメージとしては、家庭教師ヒットマンリボーンに出てくる天空ライオンのナッツの咆哮です。

たまたまHULUで見てた為、思いつきました。

そして、サッカーの所ですが試合などを見ない為、他のアニメのサッカーのシーンを思い出し書きました。

何処か可笑しい所があっても、ご容赦ください。

さて、ここで皆さんに報告というか、相談というのが1つあります。

実は現在、ハピネスチャージプリキュアが終わった後の作品を考えています。

プリンセスプリキュアとある作品のクロスオーバーです。

現在、ハピネスチャージとアクセル・ワールドはパソコンで書いていますが、プリンセスプリキュアはスマフォで書いています。

移動時間や休憩時間に書いていますが、終わった後にストックを投稿していこうと考えていたのですが、皆さんはどう思いますでしょうか。

どんな作品かは、感想ではなくメッセージを送って頂ければ返答をさせて頂きます。

見てみたいという方が出た場合、3作目として投稿を考えています。

3作目として投稿する場合、ハピネスチャージとは別の並行世界として投稿し、ハピネスチャージの続編として出す場合、同じ世界として投稿致します。

オールスターズの時に、誠司達も出てくるような状況ですね。

それでは皆様のメッセージをお待ちしております。

これからも応援をお願いいたします。


それでは挨拶の後に、クロスする作品のヒントを出したいと思います。

恐らく知っている人はすぐに分かると思います。

次回、激獣拳を極めし者第20話もしくはアクセル・ビルド第4話でお会いしましょう!

それじゃあ、またな!










『スピリットエボリューション!』





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話 悲しい過去!!キュアフォーチュンの涙

どうも!ナツ・ドラグニルです!

大変お待たせしました!

思いの他、時間が掛かってしまいました。

今回は色々とてんこ盛りとなっております。

それでは作品をどうぞ!


「誠司君、いえゲキレッド、私と一緒にチームを組まない?」

 

『な、なああああああああああああ!』

 

いおなの言葉に、めぐみ達が驚く。

 

「あなたと私だったら、彼女達よりも良いチームを組めると思うの。どんなサイアークにも負けないし、あのプリキュアハンターに勝つ事だって夢じゃない」

 

いおなの言葉に、誠司は黙って聞いていた。

 

「ちょ、ちょっと待ったぁ!」

 

誠司といおなの間に、ひめが割り込む。

 

「何、勝手な事言ってるの?誠司は私の友達よ!」

 

「私は誠司君と話しているの。割り込んでこないで」

 

そう返すいおなに、一瞬怯むひめ。

 

「あなたこそ、私の友達に勝手に話しかけないでよ!」

 

怯んでいたひめだったが、いおなに対して怒りを表す。

 

「まあまあ落ち着いて」

 

「特製ハニーキャンディ、食べる?」

 

怒るひめを、めぐみとゆうこが宥める。

 

「もう!2人はどっちの味方なの!?このままじゃ誠司が取られちゃうんだよ!!」

 

ひめは2人に喚き散らすが、ちゃっかりとキャンディーを受け取る。

 

「どっちの味方じゃなくて、皆で一緒に戦えばいいんじゃないか?」

 

ひめの言葉に、誠司はそう主張する。

 

「それはできない」

 

だが、いおなが即答する。

 

「私はキュアプリンセス、この子が犯した過ちを絶対に許す事が出来ない」

 

拳を握りながら語るいおなに対して、ひめとリボンはぎくりと動揺する。

 

「過ちって?」

 

ケンがいおなに質問する。

 

「ちょっと、タンマタンマ!」

 

「ここはなんですし、日を改めません事ぉ~」

 

すると突然、ひめとリボンがいおなが話そうとするのを妨害する。

 

「やっぱり本当の事を伝えてなかったのね」

 

いおなに言われ、またぎくりと動揺する。

 

「なら、私が教えてあげる。この世界に不幸を振り撒き、ブルースカイ王国が滅亡する原因を作ったのは、この子なのよ!」

 

いおなはひめに向って、指を差す。

 

いおなの言葉に、怖い顔であんぐりするめぐみ達。

 

「ひめが...」

 

ぽつりと、めぐみが呟く。

 

あんぐりと口を開け、汗をダラダラと流すひめとリボン。

 

「アクシアの事は知っているわよね?」

 

「確か、世界に最悪を(もたら)す者達が封印されている箱だよね?」

 

いおなの言葉に、めぐみが答える。

 

「その通り。その子が」

 

「ワー!ワー!」

 

喋ろうとするいおなを、ひめは叫んで妨害する。

 

「決して開けてはならないその箱を...」

 

いおなは気にせず語り続け、ひめは耳を塞いで座り込む。

 

「開けてしまったのよ!」

 

いおなの話を聞き、頭を抱えるリボンの横で驚く誠司達。

 

「封印を解かれた不幸の女王、クイーンミラージュは忽ちブルースカイ王国を征服し世界中に侵攻を始めたわ」

 

いおなは目を細め、辛そうに語り続ける。

 

「そして、私の姉のキュアテンダーはプリキュアハンターに倒されてしまった」

 

「!お姉さんが?」

 

「氷川まりあ。キュアテンダーはとっても強いプリキュアだったんだぜ」

 

「あなたがアクシアを開けたりなんてしなければ」

 

いおなに言われ、ひめは耳を塞いだまま目を開ける。

 

「お姉ちゃんがプリキュアになって戦う必要もなかった。だから...私はあなたを許さない」

 

いおなの冷たい言葉に、ひめは動揺して再度目をつぶる。

 

「ひめちゃんが開けたという証拠はあるのか?」

 

いおなにケンが質問する。

 

「今起きてるこの状況、これが一番の証拠でしょ」

 

「お前が言っているのは、只の可能性の話だろ。可能性だけでそう決め付けていいのでしょうか!?」

 

「可能性があれば充分なのよ」

 

「意義あり!裁判長!彼女の言っている事は憶測であり、只の妄想にすぎない!」

 

ケンは誠司に向って、叫ぶ。

 

「え?俺?俺が裁判長?」

 

誠司は自分に指差し、ケンに確認する。

 

「裁判長!彼女が行なっているのはひめちゃんに対する侮辱行為だ!」

 

「え?いや、まあ、確かに一理あるので意義を認めます...」

 

突然の事に戸惑いながらも、誠司は乗っておくことにした。

 

「何を言っているの?誠司君」

 

誠司がケンの意見に同意した事に、いおなは納得がいかなかった。

 

「裁判長、ちょっとよろしいでしょうか?」

 

すると今度は、ゴウが前に出て来て喋りだす。

 

「仮にひめちゃんが本当に開けていたとして、この場合...ひめちゃんの性格を考えると何か理由があったんじゃないでしょうか。そう!例えば誰かに騙されたとか」

 

「フッ」

 

ゴウの意見に、いおなは鼻で笑った。

 

「裁判長!」

 

いおなが高々と、手をあげる。

 

「乗ってきた!?」

 

いおなが設定に入って来た事に、誠司は驚きの声を上げる。

 

「意義あり、被告人側は肝心な事を忘れています。大事な事は彼女が起こした事を私が許さないという事よ、詳しい事は彼女を問い詰めて聞いてみることね」

 

いおなの言葉で、全員がひめに注目する。

 

今まで目と耳を塞いでいたせいで状況を把握出来ていないひめだったが、全員の視線に気付いたのかひめは目を開ける。

 

すると、自分を責められていると勘違いしたのか、ひめの瞳に涙が浮かぶ。

 

「だって!だって!私...だって...」

 

辛そうに目を閉じて、俯き涙を散らす。

 

「こんな事になるだなんて思わなかったんだもーん!」

 

そう言って、ひめは走り去る。

 

「ひめちゃん」

 

「ひめー、待ってくださいませー!」

 

ひめの後を追うリボンと、その後を追うめぐみとゆうこ。

 

誠司達も追いかけようとするが、それをいおなが止める。

 

「追いかけてどうするの?何度追いかけたって、あの子はまた逃げるわ。そもそもあの子にプリキュアになる資格なんて無かったのよ」

 

逃げたひめを、いおなが否定する。

 

「チームの話、考えてみて」

 

横目で見た後、いおなはそう言い残し去っていった。

 

「誠司ー!」

 

「誠司くーん!」

 

すると、ひめを追いかけた筈のめぐみ達が前方から呼ばれ、誠司達が3人の後を追う。

 

「ごめん、見失っちゃった」

 

「やっぱり逃げ足だけは一番ですわ」

 

めぐみが謝り、リボンがひめを評する。

 

「だったら、別れて探すぞ。俺とめぐみ、リボンは大使館、ランとリンそしてゆうこは商店街、ゴウとケンは学校を頼む」

 

『了解』

 

誠司の言葉を合図に、全員が動き出す。

 

_______________

 

 

場所は変わり、幻影帝国の1箇所でブラコ達が集まっていた。

 

「どうやら、マガとソリサは使えなかったようですね」

 

モリヤが、倒されたマガとソリサの事を馬鹿にする。

 

「うるさいぞモリヤ、俺が黙らせてやろうか?」

 

カデムがモリヤに対し、拳を突き出し顔をスレスレで止める。

 

「やめろ、カデム、モリヤ」

 

ブラコの言葉で、モリヤ達は佇まいを整える。

 

「お前達にこれを渡しておく」

 

ブラコが渡したのは、マガとソリサが土壇場で使った物だった。

 

「これは?」

 

「それは俺の秘伝リンギ《真毒・新》だ。それを使えば強力な力を手に入れられる、次はお前達のどちらかに行ってもらうぞ」

 

『はっ!』

 

2人に指示を出したブラコだったが、この力を手に入れた時の事を思い出す。

 

__________

 

ブラコはツトコウに復活させて貰ったばかりの頃、理央の時と同じ様に暗殺を考えていた。

 

ツトコウが通路を歩いている所で、ブラコがツトコウを襲おうとしていた。

 

(馬鹿な奴だ、こうも簡単に隙を見せるとは...)

 

歩いているツトコウに後ろから近づき、襲い掛かろうとする。

 

(死ね!)

 

攻撃しようとしたまさにその瞬間、ブラコの意識が無くなってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、ブラコは意識が戻り目の前に天井が見えた。

 

なぜ自分が倒れているのか分からなかったブラコだったが、取り敢えず立ち上がろうとした。

 

(ん?なんだ?体が動かせない...)

 

起きたばかりで意識がはっきりしていないせいか、ブラコは体が動かせないでいた。

 

唯一動かせる首を動かし、自分の体の状況を確認する。

 

すると、ブラコの目に入ったのは...有り得ない方向に曲がっている、自分の両手両足だった。

 

『うわあああああ!!』

 

余りの事に、ブラコは悲鳴を上げる。

 

『ぐう!がはっ!!』

 

意識がはっきりしてきた事により、先程感じなかった痛みが体に走る。

 

『ようやく目が覚めたようだな』

 

すると、ブラコの視界内にツトコウの姿が目に入った。

 

『この俺を殺そうとするとは、随分舐められたものだな』

 

ツトコウはトーンを低くし、ブラコに話しかける。

 

『歯向かうならお前に用はない、消えてもらうぞ』

 

ブラコは今までに感じた事が無い恐怖に、心の底から支配されていた。

 

『死ね!』

 

ツトコウがブラコを始末しようとした、その瞬間。

 

『何をしている、ツトコウ』

 

誰かがツトコウを止める。

 

『??様』

 

ツトコウは直ぐに膝を突く。

 

突如現れたその人物は、フードによって顔は見えなかったが。

 

姿はツトコウ達のような怪人体ではなく、人間のものに近かった。

 

その男を見た瞬間、心臓を掴まれたような感覚が襲い、ブラコはツトコウ以上に恐怖を感じる。

 

『??様、こいつが私に歯向かおうとしていたので消そうとした所です』

 

『そうか』

 

そう呟くと、フードの男はブラコへと近づく。

 

(け...消される...)

 

恐怖するブラコとは裏腹に、フードの男はブラコの両手両足を回復させる。

 

『??様、なぜ!?』

 

ツトコウは、??がブラコを回復させた事に驚く。

 

『ブラコと言ったな、お前にその気があれば俺の側近にしてやるぞ』

 

『!?』

 

??の言葉に、ブラコは驚く。

 

『俺は...私はどうすれば...』

 

『メレの首を取れ』

 

間髪いれず??が告げた言葉に、ブラコが驚く。

 

『なぜメレを...』

 

『お前が気にする必要がない』

 

??がそう言うと、ブラコの爪に手を当て力を分け与える。

 

『これは...』

 

ブラコが力を与えられ強化された。

 

秘伝リンギ《真毒》が《真毒新》へと変わった。

 

『前払いだ、お前の秘伝リンギを強化してやった。今回は助けてやったが、次はないぞ』

 

そう言うと、??はその場を離れる。

 

『??様に感謝するんだな、ブラコ。この後クイーンミラージュに紹介してやる、他の奴らを集めておくんだな』

 

________________________

 

ブラコはあの時の事を思い出し、体が震えるのに気付いた。

 

「あの男...一体何者だったんだ?」

 

ブラコは本能的に、あの2人に逆らってはいけないと思った。

 

「取り敢えず、メレを倒せばいい話だ...おれ自身も、あいつには借りがあるからな」

 

そう言って、ブラコは怒臨気をあふれ出させる。

 

その様子を、遠くからフードの男が見ていた。

 

「それでいい、お前の力を見せてもらうぞ」

________________________

 

その後、誠司達はひめを探す為に理央達にも連絡を入れ一緒に探してもらっている。

 

だが、ひめを見つける事が出来ずにいた。

 

現在、商店街を探しに行ったゆうこ達以外が集まっていた。

 

「どうだ?見つかったか?」

 

「駄目だ、学校には行っていなかった」

 

「先生にも聞いてみたが、ひめちゃんは見てないそうだ」

 

誠司の問いに、ゴウとケンが答える。

 

「こっちも大使館に行ってみたが、戻ってないそうだ」

 

「ひめ...どこに行っちゃったんだろう」

 

めぐみは逃げたひめを心配する。

 

「そうだ、こんな時のキュアラインだよね」

 

めぐみはキュアラインを取り出し、ひめに連絡する。

 

だが、ひめは出る事は無かった。

 

「んー、何で出ないのかな?ひーめー!出ろー!」

 

めぐみは叫びながら、液晶に映っているひめの名前を突きまくる。

 

「ちょっと、壊れますって!」

 

リボンは、キュアラインを乱暴に扱うめぐみを止める。

 

「それに、今のひめじゃ出る事は出来ないだろ」

 

「えーどうして?私とひめは友達なのに」

 

誠司の言葉の意味が理解できないのか、めぐみは質問する。

 

「友達だからこそだ、ひめの性格を考えると...この状況でひめが俺達と向き合うのは難しいだろうな」

 

「そうなの?」

 

「誠司の言う通りですわ。ひめはほんのちょーっとだけ自分を出せるようになりましたけど、まだまだ臆病で人見知りなままなのです」

 

誠司の推測に、リボンが同調する。

 

「そうなの?」

 

「お世話係の私が言うのですから間違いありませんわ。もっと早くアクシアの話を打ち明けておけば、こんな事にはなりませんでしたのに」

 

リボンは断言すると、しょんぼりしてしまう。

 

「てことは、さっきの話は本当なんだな。白雪ひめがアクシアを開けたというのは」

 

リボンの言葉を聞き、理央が質問する。

 

「ええ。きっと今、ひめは不安でいっぱいの筈ですわ」

 

______________

 

場所は代わり、ゆうこ達が商店街を探していた。

 

「さて、どうやって探す?」

 

「闇雲に探しても、見つからないわよ」

 

ラン達が思案する中、ゆうこがプリチュンミラーと探偵のプリカードを取り出す。

 

「ここは私に任せて!」

 

『タタ、タタ、探偵!かわルンルン!』

 

ゆうこはプリチュンミラーを使い、探偵へと変身する。

 

「さあ!ここからは名探偵ゆうこの出番よ!」

 

ゆうこは乗り乗りで、周辺を虫眼鏡を使い調べ始める。

 

「本当に便利ね、その力...」

 

ランがプリキュアの力を、評する。

 

「これは!」

 

すると、ゆうこの虫眼鏡に光る物が映った。

 

近づいて調べてみると、それは黄色い包み紙だった。

 

「間違いないわ、私が上げたハニーキャンディーよ」

 

「じゃあ、この近くにひめちゃんが」

 

ゆうこ達がさらに周辺を調べてみると、道沿いに包み紙が落ちている事に気付く。

 

「もしかして、これを辿ればひめちゃんの元に?」

 

「まったく...食べた後そのまま捨てたのね」

 

リンが推測し、ランが嘆息しながらその場にいないひめに対し注意する。

 

「取り敢えず、包み紙を辿りましょう」

 

ゆうこの言葉で、ラン達は落ちている包み紙を辿った。

 

 

 

 

 

しばらく辿ると、ラン達は公園へと辿り着いた。

 

「ここで包み紙は途絶えているわね」

 

「という事は、ここにひめちゃんが?」

 

ひめを探して周辺を探すラン達だったが。

 

「あ、あれ!」

 

ゆうこが指差す方を見ると、遊具のトンネルの中に隠れるひめを見つけた。

 

ラン達は互いに頷き合い、遊具へと近づく。

 

ゆうこ達に気付かないのか、ひめはハニーキャンディが入った袋を取り出し食べようとしていた。

 

だが中身が無い事に気がつき、名残惜しそうに中身を見た後に涙目になる。

 

「どうぞ」

 

ゆうこは、ひめに持っていたハニーキャンディを渡す。

 

「ありがとう」

 

ひめはあんぐりとするが、笑顔で受け取り早速食べる。

 

「ん!?」

 

そこでやっとゆうこ達に気付いたのか、ひめは驚く。

 

「ひめちゃん、見ーっけ」

 

「ゆうこ!それにランにリン!どうしてここに!」

 

ラン達に見つかると思っていなかったのか、ひめは絶叫する。

 

「飴の包み紙はちゃんとゴミ箱に捨てましょうね」

 

「まあ、これのお陰で見つかったんだけど」

 

呆然するひめだったが、ハッと我に返る。

 

「ごめんなさい!」

 

ひめは謝り逃げようとする。

 

だが、直ぐにゆうこがひめの手を取った。

 

「どうして逃げるの?」

 

ゆうこの質問に、ひめからどんどんと涙が溢れる。

 

「だって、アクシアのことバレちゃったじゃん...。私、世界に不幸をばら撒いた張本人なんだよ?しかもそれをずっと黙ってたりして...最悪じゃん!」

 

ひめはなおも涙を流し続ける。

 

「ゆうこ達も絶対に嫌いになったでしょ?これって絶交モノだよね。それでもって私よりもキュアフォーチュンを選ぶんだ!もうおしまいだぁ!」

 

ひめはそう言うと、下に俯き号泣する。

 

「嫌いになんてならないよ」

 

「ウソだぁ!」

 

ゆうこの言葉を、ひめは直ぐに否定する。

 

「だって私も隠し事をしてたし」

 

「え?」

 

ゆうこの台詞を聞き、俯いていたひめは顔を上げてゆうこの方に振り向く。

 

「自分がキュアハニーだってこと言ってなかったでしょ?」

 

ゆうこに言われ、ひめはハッとする。

 

「あの時、ひめちゃんは私と絶交しようと思った?」

 

「そんなの思うわけない」

 

ゆうこの質問に、ひめは即答する。

 

「きっとめぐみちゃん達も同じだよ」

 

「誠司だって、そんな事気にしないわよ。なんだって、敵だった理央を仲間にするくらいだからね」

 

「そうね」

 

ゆうこの言葉に、ランとリンも同調する。

 

「誠司達も...絶交しないでくれるかな?」

 

『もちろん!』

 

ひめの質問に、ラン達はにっこりと頷いた。

 

 

___________________

 

その頃、誠司達はリボンから事情を聞いていた。

 

「でも、ひめには悪気は無かったんでしょ?」

 

「勿論ですわ。ひめにはひめなりに責任を感じて、サイアークをどうにかしようと頑張っていたのですから」

 

めぐみの質問に、リボンは悔しそうに答える。

 

「だったら全然悪くないじゃないか。あの怖がりなひめが逃げたりせず、今まで戦って来たんだからな」

 

「そうだよ、ひめは偉いよ!」

 

「誠司ー!めぐみー!ありがとうございますですわ」

 

誠司の言葉に感動したのか、リボンは誠司に抱きつく。

 

「私、めぐみのなんでも前向きに考える所と、誠司の自分が正しいと思った事を貫く所が大好きですわ!」

 

「俺(私)ってそういう風に見える(んだ)のか」

 

誠司とめぐみは、そう同時に呟いた。

 

「はいですわー。ひめはめぐみ達と逆で考えすぎな子ですから、めぐみ達と友達になれたお陰でひめはほんのちょっとでも前に踏み出せたのですわ」

 

「私も同じだよ。ひめはオシャレとか私に知らない事をいーっぱい教えてくれるし。一緒にいると凄く楽しくて暖かい気持ちになれるの」

 

めぐみはリボンの手を取る。

 

「だから私とひめは何があってもずーっと友達!」

 

めぐみはにっこりと答える。

 

「めぐみの言う通りだ!ひめは俺達の大事な仲間だからな。なあ、みんな?」

 

誠司はゴウ達に質問する。

 

「ああ、勿論だ」

 

「俺達は10人揃ってチームなんだ。誰一人欠けても駄目だ」

 

『フッ』

 

ゴウとケンはそう答え、理央とメレは笑みを浮かべる。

 

「皆様ー!」

 

全員の言葉に、リボンは涙目になる。

 

「勿論、リボンとも大切な友達だよ」

 

「光栄ですわー」

 

めぐみの気持ちが嬉しかったのか、リボンは照れて顔を赤くする。

 

「うぉー!なんだかハピネスが溢れてきたー!私、この気持ちをひめに伝えなきゃ!」

 

めぐみは元気満々で、張り切りだす。

 

「よーし、張り切ってひめを探すぞー!」

 

『おー!(ですわー!)』

 

だがそこで、誠司とリボンが何かを感じ取る。

 

「サイアークの気配ですわ。しかも...これは2体」

 

リボンの言葉に、誠司以外が驚く。

 

「それだけじゃねぇ、臨獣殿の気配もする」

 

「まさか、五毒拳の誰かが...」

 

誠司の言葉に、ゴウが推測する。

 

「とにかく、急ぐぞ!」

 

誠司の言葉を合図に、全員は気配のする方へと急いだ。

 

 

 

_______________

 

広場に、2体のサイアークが存在していた。

 

片方はクレープのサイアーク、もう片方はギターを持ったミュージシャンサイアーク。

 

クレープサイアークの横にはホッシーワ、ミュージシャンサイアークにはナマケルダが立っていた。

 

「ちょっと邪魔するつもり?めんどくさいですぞーとか言って、昼寝でもしてればいいんじゃない!」

 

「そうしたいのはやまやまですが、私はお菓子ではなくカビに囲まれて眠りたいのです」

 

ホッシーワの言葉に、ナマケルダは反論する。

 

「勝手に人の縄張りを荒らすのはやめていただきたいですなー」

 

ナマケルダとホッシーワが睨み合いを続ける中、別の場所でも言い争いは起こっていた。

 

「今回は私達のどちらかという話です。なぜあなたもいるのでしょうか?カデム」

 

「そんなもの、お前だけに任せられないからに決まってる、だろ!」

 

「そうでしょうか?自信がないから私の手柄を横取りするつもりでは?」

 

「なんだと!」

 

別の場所で、モリヤに対してカデムが突っかかっていた。

 

そこに、誠司達が到着する。

 

「なんかケンカしてるみたい」

 

「迷惑すぎですわ」

 

「止めるぞ!」

 

『おう!』

 

各々が変身アイテムを構える。

 

『かわルンルン!』

 

「プリキュア!クルリンミラーチェンジ!」

 

「たぎれ!ケモノの力!」

 

「響け!ケモノの叫び!」

 

「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

「臨獣!ライオン拳!」

 

「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

『ビースト・オン!』

 

「臨気凱装!」

 

「エプタイル・オン!」

 

めぐみが光に包まれてキュアラブリーに、誠司達に瞬間的にゲキスーツ、鎧が装着されゲキレンジャーとなる。

 

「やめろ!」

 

誠司の掛け声で、2体のサイアークが誠司達の方へ振り向く。

 

「商店街は誰か1人のものじゃない。みんなものよ」

 

言い争うホッシーワ達に、ラブリーはお説教をする。

 

「面倒なのが来ましたぞ...」

 

「あなた達なんかお呼びじゃないのよ!」

 

ホッシーワは飛び上がり、傘の先端からレッド達に向って光線を出す。

 

レッド達は散り散りになって、光線を避ける。

 

ラブリーは上空にいるホッシーワに向ってパンチを繰り出す。

 

だが、簡単に回避されてしまう。

 

もう一度狙うが、今度は緑の光弾に弾かれる。

 

「ふん!」

 

鼻で笑うナマケルダ。

 

先程の攻撃はナマケルダによる攻撃だった。

 

「頼んでない、邪魔しないでよ」

 

「何を言う、あなたこそ邪魔しないで頂こう」

 

なおも言い争いを続けるホッシーワ達。

 

そして別の場所でも、五毒拳とゲキレンジャーの戦いが始まっていた。

 

「リンギ!百斬手!」

 

カデムの百発の高速のパンチを、ゲキレンジャーに叩き込む。

 

「リンギ!舌禍繚乱!」

 

舌による無数の突きで、カデムのパンチを弾く。

 

「な、何!?」

 

弾かれた事に、カデムは驚愕する。

 

「今よ!」

 

メレの合図で、レッド達が攻撃を仕掛けようとする。

 

 

だが。

 

 

「手裏剣ババンバ!」

 

モリヤがカデム諸共、レッド達に攻撃を仕掛ける。

 

「くっ」

 

レッド達は攻撃を中断し、直ぐに回避に移る。

 

「モリヤ!貴様...俺ごと攻撃するとはどういうつもりだ!」

 

「おや?居たんですかカデムさん、気付きませんでしたよ」

 

「貴様...!」

 

ホッシーワ達同様、こちらでも言い争いが始まる。

 

「たくっ、あいつら俺達に構わず争いを始めやがったぞ」

 

「やりずらいったらねえな」

 

モリヤ達と初めて戦うバイオレット達は、戸惑いを見せた。

 

レッドはサイアーク2体と、幹部2人と戦うラブリーを一瞥する。

 

「さすがに幹部2人とサイアーク2体じゃ、ラブリーには荷が重いみたいだな。俺が助太刀するからこっちは任せたぞ」

 

「分かった」

 

「そっちは任せたわよ」

 

レッドの言葉に、理央はメレは了承する。

 

レッドが駆けつけると、クレープサイアークが起こした暴風によってラブリーが吹き飛ばされている所だった。

 

ラブリーはそのまま木に激突しそうになるが、レッドがラブリーと木の間に入ってラブリーを受け止めた。

 

「無事か?ラブリー」

 

「誠司!ありがとう!」

 

レッドはラブリーを支え、立たせようとする。

 

「大丈夫!へっちゃらだよ」

 

ラブリーはふらついて上手く立てなく、それは明らかに虚勢だった。

 

「無理をするな、お前は少し休んでいろ」

 

レッドはラブリーを、地面に無理やり座らせる。

 

「ここからは俺が相手してやる!掛かって来い!」

 

ナマケルダとホッシーワに向って、レッドは叫ぶ。

 

「生意気ー!サイアーク!先にあいつを徹底的にやっつけちゃってー!」

 

ホッシーワの命令で、クレープサイアークはレッドに襲い掛かる。

 

「サイアーク!」

 

クレープサイアークはトンボを振り上げ、レッドに向って思い切り振り下ろす。

 

ドッガ―――――ン!

 

振り下ろした際に発生した砂埃で、レッドの姿が見えなくなった。

 

「やったかしら?」

 

ホッシーワはゲキレッドがやられたかどうか、目を凝らして確認しようとする。

 

ナマケルダは、黙ってただ見ているだけだった。

 

砂埃が晴れると...

 

そこには...スーパーゲキレッドに変身して、トンボを片手で受け止めている誠司の姿あった。

 

「はあ!」

 

レッドは背中からジェットを噴射し、クレープサイアークに向ってパンチを繰り出す。

 

「サイアーク!」

 

レッドの強烈な一撃を受け、クレープサイアークは吹き飛ぶ。

 

「ちょ、ちょっと!しっかりしなさいよ!」

 

やられたサイアークに、ホッシーワは叱咤する。

 

「やはり一筋縄じゃいかないようですね。サイアーク、先にプリキュアをやっつけるのです」

 

ナマケルダの命令を受け、ミュージシャンサイアークはラブリーを狙う。

 

「しまった!」

 

戦いに巻き込まないように離れて戦っていたのが仇となり、ゲキレッドはラブリーを直ぐに助けられなかった。

 

ミュージシャンサイアークがラブリーに向って、ギターを振り下ろす。

 

「ラブリー!!」

 

ゲキレッドが叫ぶが、疲れているせいかラブリーは動けないでいた。

 

ギターがラブリーに当たると思った次の瞬間、フォーチュンが危機一髪でラブリーを助ける。

 

『なっ!』

 

いきなりキュアフォーチュンが現れた事に、ナマケルダ達は驚いた。

 

キュアフォーチュンは、ラブリーをお姫様抱っこした状態で近くの建物の屋上に着地した。

 

「キュアフォーチュン...ありがとう...」

 

「私は彼の邪魔にならないように、あなたをどかしただけよ。勘違いしないで」

 

フォーチュンはラブリーを床に降ろし、クレープサイアークと戦っているゲキレッドの元へに向う。

 

「助かったぜ、フォーチュン」

 

「気にしないで、誠司君」

 

感謝するゲキレッドに対し、フォーチュンはまったく気にしない様子で答えた。

 

ゲキレッドとキュアフォーチュンは、揃って2体のサイアークに向き直す。

 

「私は右を」

 

「なら俺は左だな」

 

ゲキレッド達は、それぞれ目標を言う。

 

「行くぞ!」

 

【BGM 過激気!】

 

キュアフォーチュンは翼を広げミュージシャンサイアークに、ゲキレッドは背中から過激気を噴射してクレープサイアークに向った。

 

ミュージシャンサイアークはギターをバットのように振り回すが、空振りしてしまい大回転して転倒してしまう。

 

クレープサイアークが腕のホイップから、クリーム弾をゲキレッドに向けて撃つが全て回避する。

 

それぞれの相手の膝裏に、キックを繰り出す。

 

2体のサイアークは咄嗟の事で後ろに転倒するが、転倒する際にお互いの顔を殴り合う形で倒れた。

 

「ちょっと何してくれてんのよ!」

 

「今のはそっちがぶつかってきたのですぞ」

 

怒るホッシーワに対して、ナマケルダは反論する。

 

「そっちでしょー!」

 

ナマケルダの反論に、ホッシーワは納得出来ないでいた。

 

両者のサイアークも、睨み合いを始める。

 

『はああああああ!!』

 

そうこうしている間に、ゲキレッド達は追撃のパンチを繰り出してサイアークを吹き飛ばす。

 

『サイ!』

 

『ああ!!』

 

自分達のサイアークが吹き飛ばされたことに、ナマケルダ達は驚く。

 

立ち上がろうとするサイアークに、跳躍して向うゲキレッド達。

 

「フォーチュン・スターバースト!」

 

「ゲキワザ・砲砲弾!」

 

キュアフォーチュンのスターバーストと、ゲキレッドの砲砲弾がサイアークに向って放たれる。

 

スターバーストが砲砲弾の周りを旋回すると、砲砲弾と合体してゲキタイガーが激気だけでなくプリキュアの力も纏わせる。

 

ドッガ―――――ン!!

 

2体のサイアークは上空へと、大きく吹き飛ばされる。

 

「行くわよ!」

 

フォーチュンの掛け声を合図に、2人は飛び上がる。

 

「星の光を、聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

キュアフォーチュンはラブプリブレスを回し、力をためる。

 

「プリキュア!スターダスト・シュート!」

 

貯めた力を星の形へと密集させ、サイアークに向って放つ。

 

スターダスト・シュートはミュージシャンサイアークへと直撃する。

 

ゲキレッドは背中の噴射口から、過激気を大量に噴射させる。

 

「ゲキワザ!スーパータイガー撃!」

 

一気にサイアークとの距離を詰め、強烈な一撃をクレープサイアークへと繰り出す。

 

「サイアーク!」

 

2人の必殺技を受け、消滅はしないものの2体のサイアークは大ダメージを受けていた。

 

「やったわね」

 

「ああ」

 

___________

 

別の場所では、ゲキバイオレット達も決着をつけようとしていた。

 

「リンギ!獅子連斬!」

 

「ゲキワザ!厳厳拳 轟!」

 

黒獅子王となった理央が繰り出す黒い獅子の形をした斬撃をモリヤに、ブルーバイオレットとなったゴウの狼の形をした青紫激気をカデムに繰り出す。

 

『ぐああああ!!』

 

2人の攻撃を喰らい、モリヤ達は吹っ飛ばされてしまう。

 

「ふん!怒臨気をどうやって身につけたか知らないが、この程度で理央様に勝とうなんて100年早いのよ」

 

モリヤ達に対し、メレは皮肉を言った。

 

「モリヤ!お前あいつらを倒すと言っていただろ!お前が戦って来い!」

 

「なんですか!?勝てないと分かって、私に戦わせるつもりですか!?あなたがやればいいでしょう!」

 

「いいからやれといったら、やれといっている!!だろ!!」

 

理央はメレに近づき、メレの手を恋人繋ぎで握った。

 

「やつらにはチームワークがない、俺達だったらあいつら以上の力を出せるはずだ」

 

「はい!理央様」

 

メレは理央の手を握り返した。

 

理央とメレは、繋いでいる手に臨気を1つに集結させる。

 

「はあああああああ!!」

 

「うおおおおおおお!!」

 

繋いでいる手に、2人の緑と黒の臨気が交じり合い融合されていく。

 

「な、なんだ!?」

 

「こ、これは!?」

 

言い争いしていたモリヤ達だったが、理央達の融合する臨気に気がついた。

 

臨気合一(りんきごういつ)獅臨愛砲(しりんあいほう)!』

 

繋いでいた手を前に突き出し、融合した臨気をモリヤ達に放つ。

 

『ぐあああああああ!!』

 

モリヤ達は2人の合体技を受け、大きくダメージを受ける。

 

「やりましたね!理央様!」

 

「ああ」

 

すると、理央は繋いだままの手に視線を向ける。

 

「いつまで握ってるんだ?」

 

「ふふふ、一生です!理央様!」

 

そう言って、メレは理央の手を握りながら腕に抱きついた。

 

「そうか」

 

理央も、まんざらではない様子で答えた。

 

「こっちも片付いたみたいだな」

 

理央達が声のする方に視線を向けると、ゲキレッドがラブリーを支えた状態でフォーチュンと共に近づいてきていた。

 

「それより、ラン達はまだ来てないのか?」

 

「あれ?そういえば...」

 

「まだひめちゃんを探しているのか?」

 

レッドの言葉を聞き、バイオレットとチョッパーは辺りを見回す。

 

「さ...サイアーク!」

 

「サイア!」

 

そこで、レッド達が倒したサイアークが巨大化した。

 

「たくっ...相変わらずしつこい奴らだな」

 

バイオレットは、巨大化したサイアークを見てそう溢した。

 

「ああ、そしてあいつらもな」

 

レッドがそう言うと、モリヤ達の方に視線を向ける。

 

「くそぅ!おいモリヤ!ブラコから貰ったあれ使うぞ!」

 

「ええ、分かりました」

 

追い詰められた2人は、ブラコから貰った爪を取り出す。

 

「またあれか、何なんだあれは?」

 

「あれは!?」

 

レッド達はカデム達が取り出した物が分からなかったが、メレには見覚えがあった。

 

『ふん!』

 

カデム達が何かを胸に突き刺した。

 

『ぐああああああああ!!』

 

刺した場所から、紫色の線状の痣が体中に広がってカデム達は巨大化する。

 

「どうする相手は4人だぞ!ランちゃん達がいなかったら、俺とバイオレットの2人で相手しないといけないぞ」

 

「さすがに2人であの4人の相手は厳しいぞ」

 

どうするか考えるレッド達だったが、遠くから声がレッドを呼ぶ声が聞こえた。

 

『誠司~!』

 

声の主は、スーパーゲキレンジャーになったランとリンの2人だった。

 

「やっときたのか2人共」

 

「待ってたぜ!」

 

チョッパーとバイオレットが、2人に声を掛ける。

 

「それで、ひめは?」

 

レッドが周りを見回しながら、2人に尋ねる。

 

「いや~ちょっと...」

 

「まだ少し恥ずかしいみたいで...」

 

レッドの質問に、2人は答えることが出来ずにはぐらかした。

 

「取り敢えず、あいつらを倒すぞ!」

 

『おう!』

 

レッドの掛け声で、全員が激気と臨気を集中させる。

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

「ゲキゴリラ!」

 

「ゲキペンギン!」

 

「ゲキガゼル!」

 

「ゲキウルフ!」

 

「いでよ!サイダイン!」

 

ゲキレンジャーが各々の、ゲキビーストを。

 

『リンギ!招来獣!』

 

「リンライオン!」

 

「リンカメレオン」

 

理央達が、リンビーストを召喚する。

 

「さあ!巨大戦が始まりました!」

 

「今日はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか?」

 

ゲキレッド達の戦いを、いつものように美代とバエが中継し始めた。

 

「ゲキタイガー!ゲキシャーク!」

 

ゲキゴリラから、ゲキタイガーとゲキシャーク。

 

「ゲキチーター!ゲキエレファント!」

 

ゲキペンギンから、ゲキチーターとゲキエレファント。

 

「ゲキジャガー、ゲキバット!」

 

ゲキガゼルから、ゲキジャガーとゲキバットが現れる。

 

『ゲキワザ!大豪豪獣!』

 

「おおーっと、これは!」

 

「全ゲキビーストとリンビーストが集結しました!この光景が見れるとは...私は感動が止まりません!」

 

美代は涙を流し、実況をしていた。

 

「行くぞ!」

 

レッドの言葉を合図に、ゲキビースト達がサイアーク達に行進を始めた。

 

「ガゼル脚!ペンギン弾!」

 

ゲキガゼルが、ゲキペンギンのジェットボードを後ろ足で蹴り上げる。

 

「ゲキワザ!ゴリゴリ波!」

 

ゲキゴリラがドラミングで起こした衝撃波に、ゲキペンギンが波に乗るようにジェットボードで乗りこなす。

 

『サイア~』

 

ドラミングによる衝撃波と、ゲキペンギンのジェットボードによる体当たりがサイアークに直撃する。

 

「出ました!トライアングルの合体技!いつ見ても素晴らしいです!ブルルン!」

 

バエが興奮しながら、中継する。

 

「まだまだ行くぞ!ゲキワザ!赤虎の咆哮(タイガー・ロア)!」

 

グルルルルッ!ガア――――ッ!

 

「リンギ!獅子孔(ししこう)!」

 

ガルルルルッ!ガアアアァァァッ!

 

『ぐああああッ!』

 

ゲキタイガーの咆哮で起こった激気の嵐と、リンライオンの咆哮によって起こった臨気の嵐がカデム達を襲った。

 

「なんと!今度はゲキレッドと理央の合体技だ!凄すぎる!」

 

美代が誠司達の合体技を、絶賛する。

 

「一気に行くぞ!」

 

『激臨!全ビースト砲!』

 

10体のゲキビースト、サイダイン、2体のリンビーストが大行進し、激気、過激気、紫激気、臨気の奔流を放ちサイアークとカデム達に炸裂する。

 

「こ...これは!激激全ビースト砲に、臨気が加わって物凄い威力となった!これではサイアーク達もひとたまりも...」

 

合体技によって発生した砂埃で見えなくなったが、段々と砂埃が晴れてきた。

 

「なっ!?これは!?」

 

砂埃が晴れると倒れ付したサイアークと、カデムを盾にしているモリヤの姿があった。

 

『サイアーク...』

 

「ぐあああああ!」

 

2体のサイアークは消滅し、カデムは石化して砕けた。

 

「あ...あの野郎!カデムを盾にしやがった!」

 

「なんて奴だ...」

 

余りの出来事に、全員が言葉を失う。

 

「なっ!?なんて事でしょう!自我を失いながらも、モリヤはカデムを盾にすることで攻撃をかわしたようです!なんてずるいんだ!」

 

実況するバエ達も、さすがに驚いていた。

 

「関係ない!一気に片付けるんだ!行くぞ!ラン!リン!」

 

「ええ!」

 

「分かったわ」

 

ゲキゴリラ、ゲキペンギン、ゲキガゼルが一箇所に集まる。

 

『獣拳合体!』

 

ゲキゴリラ、ゲキペンギン、ゲキガゼルが合体してゲキファイヤーへと合体。

 

さらにゲキバットが合体し、『ゲキバットファイヤー』へと獣拳武装する。

 

『ゲキバットファイヤー!バーニングアップ!』

 

「おおっ!ゲキバットファイヤーだ!ゲキファイヤーに合体すると思いきや、ゲキバットまでの合体とは!」

 

「凄い!凄すぎる!」

 

するとモリヤが空高くへジャンプした。

 

「おおっと、モリヤが空高く飛んだ!」

 

『はあ!』

 

ゲキバットファイヤーが、モリヤを追いかける。

 

「そしてゲキバットファイヤーも飛んだー!」

 

『ゲキバットファイヤー!ゲキワザ!分分(ぶんぶん)ファン(こぶし)!』

 

「決まったー!ゲキバットファイヤーの必殺技だ!」

 

『ブン!ブン!ブン!ブン!ブン!ブン!』

 

ゲキバットファイヤーが、モリヤに連続パンチを繰り出す。

 

「ぐああああああ!」

 

モリヤは地面に墜落し、石化して砕け散った。

 

『獣拳は正しき拳!正しき者は、必ず勝つ!』

 

『ゲキバットファイヤー!WIN!』

 

「あなたと組んだのが間違いでしたぞ!」

 

「それはこっちの台詞よ!」

 

『ふん!』

 

2人はお互いにそっぽを向き、テレポートして消えていく。

 

ゲキレンジャー達が巨大戦を終え地上に戻ると、キュアフォーチュンがゲキレッドに近づく。

 

「ゲキレッド、私達は絶対にチームを組むべきだわ。良かったら返事を聞かせてもらえる?」

 

キュアフォーチュンの質問を、全員が黙って見ている。

 

勿論ひめも遠くから、その様子を見ていた。

 

「キュアフォーチュン、悪いがお前とはチームを組む事は出来ない」

 

「え...」

 

誠司の答えに、フォーチュンは呆然とする。

 

「な...なんで!?彼女達なんかよりも、私の方が役に立てるわ!それを今日証明出来たはずよ!」

 

納得がいかないのか、フォーチュンが誠司を問い詰める。

 

「それが分からなければ、俺はお前とはチームを組む事はできない」

 

「そ、そんな...」

 

___________________________________________

 

その頃。

 

辺りが捕らわれたプリキュアだらけの世界。

 

そこで1人のプリキュアがファントムに敗れ、変身が解かれてしまった。

 

「きゃあ!」

 

ファントムはプリキュアに近づくと、腕をクロスさせる。

 

「希望の戦士、絶望の淵で眠れ」

 

ファントムは舞うように両手を動かし、その動作によってプリキュアの体が浮き上がる。

 

「エターナルゲージ!」

 

ファントムが技名を叫ぶと、プリキュアが雷の様なエネルギーに襲われる。

 

エネルギーが消えると、そこにはプリチュンミラーのみが残り近くにそのプリキュアを閉じ込めた鏡が現れる。

 

ファントムは、プリチュンミラーを拾い上げる。

 

「そろそろ奴らの始末をつけるとするか。ハピネスチャージプリキュア...ゲキレンジャー...」




はい!如何だったでしょうか!

今回は合体技のオンパレードでした!

プリキュア達との合体技は、プリキュアと獣拳という別の力だったので合技にしていましたが、今回は同じ臨気だったので激気合一の臨気バージョン。

臨気合一にしました。

さて、長くなりましたがこれからも応援の程、宜しくお願い致します。

次回、激獣拳を極めし者第21話、アクセル・ビルド第5話でお会いしましょう!

それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 ひめの過去の過ち!新たな変身!?フォーチュンの大いなる願い!

どうも、ナツ・ドラグニルです!

今回、ひめの勘違いがなかった為に21話が思いのほか短くなりました。

その為、21話と22話を合体させました。

なので、一気にフォーチュンが仲間に入る所まで今回は話が続きます。

それでは作品をどうぞ!


―氷川道場―

 

道場にて、いおなが1人で修行していた。

 

「ふっ!はぁ!」

 

練習で汗を流すいおな。

 

「なんで誠司君は私を認めてくれないの?」

 

いおなは誠司に断られた理由を、あれからずっと考えていた。

 

「いおな...」

 

ぐらさんがいおなに話しかける。

 

「彼は言っていたわ、断る理由が解らない限り、私と仲間になるつもりはないと...。てことはその理由が解れば私は彼の仲間になれるのよ」

 

「それはそうだけど...」

 

いおなの言葉に、ぐらさんは言い淀んでしまう。

 

「今の私に足りないのは、強さ!強くなれば彼も認めてくれるわ!」

 

拳を突きながら、眼を瞑るいおな。

 

「そんなことを言うなよ。ハピネスチャージにいおなが入れば今よりずっと強いチームになる、そうすれば誠司とだって同じチームになれるし、いおなだって1人より...」

 

「その必要はないわ!彼の足を引っ張るあの子達と一緒に居たって強くなれないわ!それに、信頼出来ない相手とは仲間になれないわ」

 

「いおな...なんでそんなに誠司に依存するんだ?」

 

ぐらさんは、今まで気にしていた疑問をいおなに質問する。

 

「彼は私以上の辛い境遇に置かれていたのよ。彼なら私の事を理解してくれる、だから私は彼を隣で支えたいのよ」

 

そう言ういおなに対して、ぐらさんは驚く。

 

「全力を!尽くして!」

 

台詞に合わせ、いおなは拳を繰り出す。

 

「だからお姉ちゃんをあんな目に会わせたプリンセスと、何も知らずに一緒にいるラブリー達が許せない!」

 

話すにつれ、拳を繰り出す鋭さと、拳を握る力が増した。

 

この時、いおなの体からどす黒い瘴気が発生していることに、いおな本人はもちろんぐらさんも気付いていなかった。

 

__________________________

 

大使館で、誠司達が集まり話し合っていた。

 

「ごめんねひめ。悩んでたの分からなくてフォーチュン、フォーチュンって」

 

「ううん、私が最初から話しとけば良かったんだよ」

 

謝るめぐみに対して、ひめは首を振る。

 

「世界の災いは全部私のせいだって」

 

ひめはそう言って、歯を食い縛りながら涙を流す。

 

「私がアクシアを開けさえしなければ...ううー!なんであけちゃったのよ私、オバカー!おたんこなすー!うう――――」

 

ソファに座っていたひめが立ち上がるなり、叫ぶことで自分に怒りをぶつける。

 

あんぐりしていためぐみとゆうこだったが、めぐみがニッコリと笑いながら立ち上がる。

 

「開けちゃったものはしょうがないよ」

 

「どんまい、どんまい」

 

めぐみに続いてゆうこもひめを励ます。

 

「ふぅ、めぐみとゆうこには分からないのね。世界の災いが自分のせいだって悩みは...」

 

ひめはもう一度ソファに座り、下に俯き目を閉じてしょんぼりとする。

 

「ひめのせいじゃないよ」

 

「ん?」

 

そう言われ、ひめは目を開ける。

 

「そうだよ!悪いのはひめちゃんじゃなくて幻影帝国だ!」

 

「そうだな、悪いことしてるのはサイアークだろ!」

 

ケンの言葉に、ゴウが同意する。

 

「そうなの?」

 

「そうだよ!」

 

ひめの質問に、めぐみが元気一杯に答える。

 

「それともひめちゃん、本当はアクシアわざと開けたの?」

 

「ううん!わざとなわけないじゃん!」

 

リンの質問に、ひめは否定する。

 

「じゃあ、それを氷川さんに言おうよ。誤解が解ければ仲良くなれると思うよ」

 

ランがそう勧める。

 

「無理だよー!だってキュアフォーチュンは私の事が大嫌いなのよ?あの人怖いし、絶対無理だよー」

 

手をバタバタさせて、ひめは拒絶する。

 

「ひめ」

 

そんなひめを、誠司が呼びかける。

 

「ぴかりが丘中学に転校してきた頃もそう言ってただろ。学校が怖い、友達を作るのは無理って。でも今は毎日学校通ってるし、友達も沢山いるじゃないか」

 

誠司の指摘に、ひめはあんぐりとする。

 

「ちゃーんと話せばわかってもらえると思うよ」

 

誠司の言葉に、ゆうこも同意する。

 

「ひめも何かあるんじゃないの?氷川さんに言いたいこと。気持ち、伝えに行こうよ!」

 

「皆も一緒に行ってくれる?」

 

『勿論!』

 

不安そうなひめに、全員が頷く。

 

「一緒に行くのは構わないが、上手くいくかどうかは分からないぞ。なぜならキュアフォーチュンの誠司に対する依存はそうとうのものだったからな」

 

「理央様の言う通りよ、あいつはめぐみ達に対してもひめ同様嫌っているようだったからね」

 

理央とメレが、いおなに対して指摘する。

 

「お前...氷川に何したんだよ」

 

ケンが誠司に対して、何気なしに質問する。

 

「何をって...別に一緒に修行したりしただけだぜ」

 

「てことは...いつの間にかフラグ建ててたってことか...」

 

「いつものパターンか...」

 

誠司の言葉に、ゴウとケンが呆れた。

 

_______________

 

 

巨大な煙突。

 

その頂上に、ファントムが現れる。

 

「ぴかりが丘、愛の満ちた街。ふりかかる災いをハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャーが跳ね除け、愛が大きくなっている」

 

ファントムは街全体を見下ろしながら、そう呟く。

 

「しかし、愛が大きければ大きいほど失った時の絶望は大きくなる。良い頃合だ」

 

ファントムは剣を抜き、天へと翳す。

 

「鏡に映る未来を最悪で満たせ!」

 

剣から放たれた波動は、ぴかりが丘のあちこちに紫のクリスタルを数多く出現させる。

 

そして、街の人々が次々と鏡に捕らわれる。

 

____________________

 

「今のは何だ!」

 

ファントムが放った波動を、誠司達も感じ取った。

 

「これは!」

 

ブルーが壁に掛けられている額縁に手を翳すと、鏡に変化し街の様子を映し出した。

 

「こ、これは!ぴかりが丘にサイアークが!1体、2体...数え切れないぐらい現れましたわー!」

 

映し出された鏡の前で、リボンが慌てだす。

 

「こんな事が出来るのは彼しかいない」

 

「プリキュアハンターか!」

 

ブルーの言葉に、誠司は誰の仕業か検討がついた。

 

「急いでサイアークを倒すぞ!」

 

『おう!』

 

______________

 

現場に到着した誠司達が見たのは、いまだかつてないサイアークの大軍だった。

 

「凄い数のサイアークだ!」

 

サイアーク達は、オレンジ色のオーラを纏って紫色のクリスタルを次々に増えていった。

 

「あの時と一緒だわ!」

 

そう言うひめを、全員が注目した。

 

「ブルースカイ王国が幻影帝国に支配されてしまった、あの時と...」

 

ひめはかつて、サイアーク達によって城が変貌してしまった時の事を思い出す。

 

「このままじゃ、ぴかりが丘も」

 

尚もクリスタルを増やし続ける、サイアーク。

 

「絶対にそうはさせねぇ!皆!行くぞ!」

 

『おう!』

 

誠司の言葉を合図に、全員が変身アイテムを構える。

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

「響け!ケモノの叫び!」

 

「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

「臨獣ライオン拳!」

 

「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

『ビースト・オン!』

 

「臨気凱装!」

 

「エプタイル・オン!」

 

誠司達に、それぞれゲキスーツと鎧が装着され、ゲキレンジャーへと変身する。

 

 

 

『かわルンルン!』

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

めぐみ達が光に包まれ、プリキュアへと変身する。

 

 

 

「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

「猛きこと、獅子の如く!強きこと、また獅子の如く!世界を守る者!我が名は黒獅子・理央!」

 

「理央様の愛の為に生き、理央様の愛の為に戦うラブウォリアー!カメレオン拳使いのメレ!」

 

「燃え立つ激気は!正義の証!」

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

 

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

「ハピネス注入!」

 

『幸せチャージ!』

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

 

ラブリーが先陣を切って、サイアークに蹴りを入れる。

 

「はあ!」

 

それぞれが、サイアークを1体ずつ戦う。

 

「ゲキセイバー!」

 

「ゲキハンマー!」

 

「ゲキファン!」

 

ゲキレッド達が、それぞれの専用武器を召喚する。

 

「ゲキセイバー!波波斬!」

 

ゲキセイバーにゲキを纏わせ、波のパワーを込めて多くのサイアークを薙ぎ払った。

 

『サイアーク!』

 

 

「ゲキハンマー!弾弾丸!」

 

頭上でゲキハンマーを振り回し、その遠心力によって威力を上げて周りを囲んでいたサイアークを攻撃する。

 

 

 

 

「ゲキファン!昇昇舞!」

 

ゲキファンを使い、ゲキブルーは空へと舞い上がる。

 

「宙宙斬!」

 

ゲキファンに激気を籠め、サイアークを斬り付ける。

 

『サイアーク!』

 

ゲキレッド達の活躍で、ある程度のサイアークは倒された。

 

「こいつら、いつものよりタフだが大した事ないな」

 

「気をつけろ!これだけの数が巨大化したら厄介だぞ!」

 

油断するゲキチョッパーに対して、ゲキバイオレットが注意する。

 

「いや、その心配はいらないみたいだぞ。アレを見ろ」

 

理央が指差す方を見ると、ゲキレッド達の攻撃を受けて浄化されるサイアークの姿があった。

 

「なっ!?巨大化することなく浄化されてる!?」

 

「どういう事!?」

 

サイアークが浄化されている事に、ゲキイエローとゲキブルーは驚愕する。

 

「恐らく、ファントムはサイアークを巨大化させる力を受け取っていないんだ」

 

ゲキレッドが、ファントムに対して推測を立てる。

 

「よく分からないが、逆に一気に畳み掛けるチャンスだ!行くぞ!」

 

ゲキレッドの言葉を合図で、全員がサイアークに向った。

 

 

 

 

 

別の場所では、ラブリー達がサイアークと戦っていた。

 

「ラブリービーム!」

 

ラブリーはサイアークに向けて、目から光線を放つラブリービームを放った。

 

ラブリービームが直撃したサイアークは、そのまま後ろに倒れた。

 

「どうだ!」

 

そう言ったラブリーだったが、ラブリーの後ろに別のサイアークが現れた。

 

「サイアーク!」

 

「うわああああ!!」

 

バンッ!

 

サイアークのハンマースイングによって、遠くに殴り飛ばされてしまう。

 

「きゃあああああ!」

 

「あっ!ラブリー!」

 

ラブリーはクリスタルの1つに激突した。

 

「あっ!」

 

「ラブリー!」

 

激突するラブリーを心配するリボン達。

 

「うっ...うう」

 

クリスタルにぶつかり、痛みに耐えながら立ち上がろうとするラブリーだったが、そこを唸りながら大振りのパンチを繰り出そうとしているサイアークが目に入った。

 

「私の友達に!何するのよ!」

 

ラブリーの前に、プリンセスが立ちはだかった。

 

「プリンセス!ゲンコツツインマグナム!」

 

プリンセスの必殺技を受け、サイアークは吹き飛んだ。

 

「ラブリー、大丈夫?怪我はない?」

 

プリンセスは振り返り、ラブリーの安否を確認する。

 

「私、プリンセスが好きだよ」

 

「ふぁっ!?何いきなり!?こんな時に」

 

ラブリーの言葉に、両手をバタバタ振って慌てだすプリンセス。

 

「プリキュアの時だけじゃなく、私いつもひめに助けてもらってる」

 

「え?」

 

「いっぱい、いっぱい何度も!」

 

「そんなこと、ないよ...」

 

そう言って、プリンセスはラブリーに手を差し伸べる。

 

「そんなことあるよ!」

 

ラブリーはそう言うと、プリンセスの手を取った。

 

「私はひめと繋がっているのが嬉しいの。私は鈍感で頼りないけど、困ったことがあったりしたら相談してね。悲しくなっちゃうから」

 

「私はめぐみが居たから頑張ってこられたんだ。頼りないなんて思ってないよ。まあ、鈍感な所は誠司には負けるけどね」

 

「ふふ、そうだね!」

 

仲良く手を繋ぐ2人、お互いがその手を強く握った。

 

プリンセスはラブリーを立ち上がらせると、周りを見回す。

 

『サイアーク!サイアーク!』

 

パタパタと腕を動かしながら、サイアーク達はラブリー達の近くに集まってきた。

 

「最悪か...確かにこの状況はそうかもね」

 

この状況にプリンセスは呟いた。

 

「でも、私はそんな悪い気分じゃないよ?」

 

「私も!ラブリーがいるから!」

 

「うん!行こう、プリンセス」

 

ラブリーの言葉に、プリンセスは頷いた。

 

『はああああ!』

 

2人同時に、サイアークへと突っ込む。

 

「ハニースーパーソニックスパーク!」

 

ハニーが上空から、必殺技を放ってサイアークを攻撃する。

 

「ラブリーがいる、ハニーがいる。そして、誠司達がいる」

 

2人の前方からサイアークが攻撃を仕掛けるが、2人は左右に分かれることで攻撃を避けた。

 

「私には大好きな友達がいるから!もう何があっても最悪だなんて!思わないわ!」

 

尚も、プリンセスはサイアークを攻撃する。

 

「ハニースタンプ!」

 

ハニーは、出現したクローバーをサイアークに叩きつける。

 

サイアークが怯んだ隙に、ラブリーが腹部を攻撃する。

 

ラブリー達の攻撃を受け、サイアークは倒れるがまだまだ残っていた。

 

「みんなの力がいつもより強くなっていますわ!」

 

プリンセスとハニーが、ラブリーとプリンセスが手を繋ぐ。

 

 

 

その様子を、ブルーが鏡を通して見ていた。

 

「プリキュアの力の源は愛。互いを信じあい支えあうのも、また愛だ!」

 

 

_____________________

 

 

氷川道場の近く。

 

そこでもキュアフォーチュンがサイアークと戦っていた。

 

「星の光を聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

腕についているラブプリブレスを回す。

 

「プリキュア!スターダストシュート!」

 

星の形をしたエネルギー弾をサイアークにぶつける。

 

「星よ!天に帰れ!」

 

「ごくら~く」

 

必殺技を受け、サイアークは浄化された。

 

戦い疲れたのか、フォーチュンは地面に膝を突いてしまった。

 

「大丈夫か?」

 

「まだ大丈夫...やれるわ...」

 

そう言うフォーチュンだったが、疲れ切っているのは明らかだった。

 

そこに1人の人物が近づく。

 

近づいてきた人物に気がつき、ぐらさんは振り向く。

 

「お前は!」

 

「ふん!」

 

キュアフォーチュンの前に現れたのは、プリキュアハンターファントムだった。

 

「プリキュアハンター...ファントム!」

 

キュアフォーチュンの前に姿を現したファントムだったが、何も言わずその場を移動した。

 

「!? 待ちなさい!」

 

「フォーチュン!」

 

ぐらさんの掛け声も無視し、フォーチュンはファントムを追いかけた。

 

_____________________

 

「一気にいきますよー!」

 

そう言って、ハニーはハニーバトンを取り出した。

 

「プリキュア!スパークリングバトンアタック!」

 

宇宙空間に巨大なクローバ状のエネルギー弾を出現させ、落下させた。

 

「命よ!天に帰れ!」

 

必殺技を受け、10体以上のサイアークが浄化される。

 

『ごくら~く』

 

「おおー!」

 

ハニーの攻撃で殆どのサイアークが浄化された為、ラブリー達は歓声を上げる。

 

「ラブリー、ハニー、改めていいます。私、2人と友達になれてよかった!」

 

「私も!」

 

「私もだよ!」

 

ラブリーとハニーが、プリンセスの言葉にそう返した。

 

「改めて言うと、照れるね」

 

目に涙を浮かべながら、プリンセスは照れる。

 

「ああ!これはおいしそうなハンバーガーのパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな!」

 

「こちょこちょ」

 

「はっ!はっ!はっ!はっぴしょん!」

 

リボンの鼻をくすぐると、3枚のプリカードが出てきた。

 

「おー!プリカード結構出たね!」

 

「幸せ増量、大盛りね!」

 

いつもよりカードが出たことに、ラブリー達は喜ぶ。

 

「リボンもありがとう。いつも私のこと心配してくれて」

 

「リボンは、プリンセスが幸せいっぱいなら幸せなのですわ」

 

プリンセスの感謝の言葉に、リボンはニッコリとそう答えた。

 

『サイアーク!』

 

そこに、サイアークの唸り声が聞こえた。

 

「まだまだ居るみたいね。ファントムのサイアーク」

 

辺りを見渡すと、あれだけ倒してもまだサイアークは残っていた。

 

「行こう!ぴかりが丘を元に戻さなきゃ」

 

『ゴー!』

 

ラブリーと同時にハニーがそう叫び、サイアークに突撃する。

 

「私はみんなが居れば、もう怖くない」

 

そう思っていたプリンセスだったが、ある1つの事に気がついた。

 

「でも...フォーチュンは?」

 

プリンセスは、今までのフォーチュンの戦いを思い出した。

 

「1人で戦っているフォーチュンは...怖くないのかな...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所では、フォーチュンとファントムが激闘を繰り広げていた。

 

「ファントム!私の姉を返しなさい!」

 

ファントムに殴りかかるフォーチュンだったが、回避されてしまう。

 

「ファントム!」

 

フォーチュンは、ファントムが背後に回った事を察知して羽を使い後ろへ飛んだ。

 

だが、そこには鏡を召喚したファントムが待っていた。

 

「ああ!」

 

「フォーチュン!」

 

ぐらさんが叫ぶがフォーチュンは勢いを止める事が出来ず、鏡に飲み込まれてしまった。

 

 

___________________

 

 

突然の事で驚いて目を閉じるフォーチュンだったが、目を開けるとそこには曇った空と廃墟のような世界が広がっていた。

 

「!? ここは?」

 

良く見ると、あちこちに鏡が置かれていた。

 

すると、近くで赤い光と共にファントムが現れる。

 

「今まで幾人ものプリキュアがここで力尽き、絶望して倒れた。いわば、プリキュアの墓場」

 

「あなたは私をここに誘き寄せるためにわざと?」

 

「全てはミラージュ様のため。キュアフォーチュン、お前を倒す」

 

フォーチュンの質問にそう答えると、ファントムは剣を抜いた。

 

「ここにいるプリキュア達は皆、絶望しながら倒れた」

 

ファントムは切っ先を向け、そう言った。

 

「くうっ!はっ!」

 

睨みながら歯を食い縛るフォーチュンだったが、ファントムの後ろにある物を発見して驚く。

 

フォーチュンが目にしたのは、鏡に捕らわれているキュアテンダー。

 

いおなの姉、氷川まりあだった。

 

「お姉ちゃん!」

 

行く手を遮るように、ファントムは剣を構える。

 

「キュアフォーチュン、お前もここで息絶えろ。それがお前の運命だ!」

 

構えるファントムに対して、暫し間を置いてフォーチュンは叫ぶ。

 

「ファントム!あなたを倒す!この命に代えても!」

 

_____________________

 

 

ぴかりが丘。

 

ゲキレッド達が、最後のサイアーク達を倒そうとしていた。

 

「よし!一気に行くぞ!」

 

『おう!』

 

ゲキイエローとゲキブルーが、ゲキレッドの前に立つ。

 

『ゲキバズーカ!』

 

ゲキレッド達は、ゲキバズーカを召喚する。

 

『激気注入!』

 

ゲキイエローとゲキブルーが、ゲキバズーカに激気を注入する。

 

ゲキバズーカに、必要量の激気が注入される。

 

『ゲキワザ!激激砲!』

 

激激砲がサイアークに直撃する。

 

『ごくら~く』

 

残っていたサイアークが浄化された事により、紫のクリスタルも全て消滅する。

 

「ぴかりが丘からサイアークの気配が、綺麗さっぱりなくなりましたわ!」

 

「よっしゃ!」

 

「無事解決だな!」

 

「お疲れー!」

 

リボンの言葉に、ゲキレッド、ゲキバイオレット、ゲキチョッパーがお互いを称える。

 

「あっ!これはキラキラな魚のパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな!」

 

プリンセスが、リボンの鼻をこちょこちょする。

 

「はっ!はっ!はっぴしょん!」

 

リボンの中から、今度は6枚のプリカードが生まれる。

 

リボンはそのカードを、ファイルにしまった。

 

「あと少しでファイルがいっぱいになりますわー」

 

「もうすぐひめの国が救えるね」

 

リボンの言葉を聞き、ラブリーがそう呟く。

 

「私の願い、叶えていいの?」

 

「勿論だ」

 

「あともう少し頑張ろうね」

 

プリンセスの言葉に、ゲキレッドとラブリーが答える。

 

「ありがとう」

 

感謝するプリンセス。

 

だが、その時上空から叫び声が聞こえた。

 

「ゲキレッド、みんなー!」

 

ゲキレッド達が振り向くと、上空からぐらさんが飛んできていた。

 

「あいつは...」

 

「キュアフォーチュンの妖精、ぐらさんですわ」

 

「フォーチュンがプリキュアハンターと一緒に、何処かへ消えちまった」

 

ぐらさんは降りてくるなり、説明する。

 

『えー!』

 

ぐらさんの説明に、ゲキレッド達は驚く。

 

「プリキュアを何人も倒している、あの人と?」

 

「今回、サイアークがいっぱい現れたのも、ファントムの仕業だとブルー様はおっしゃっていましたわ」

 

「てことは、サイアークはフォーチュンを誘き出す為の罠...」

 

リボンの言葉を聞き、ゲキレッドがファントムの意図に気付く。

 

「そんな相手と1人で戦っているなんて」

 

ハニーの言葉を聞いて、プリンセスはショックを受ける。

 

「フォーチュン!」

 

堪える様に眼を瞑ると、プリンセスは走り出した。

 

「俺達も行くぞ!」

 

プリンセスに続いて、ゲキレッド達も走り出す。

 

「みんなー!フォーチュンを助けてくれー!」

 

走り出したゲキレッド達に、ぐらさんはそう叫んだ。

 

「ぐらさん、大丈夫ですわ。ゲキレッド達がきっとフォーチュンを助けますわ」

 

ゲキレッド達を見送るリボン。

 

「頼む」

 

同じく見送り、ぐらさんはそう口にする。

 

______________________

 

プリキュアの墓場で、ファントムとキュアフォーチュンが戦っていた。

 

「はあ!はあ!」

 

フォーチュンの攻撃を、全て剣で受け止めるファントム。

 

「ふっ!」

 

ファントムが剣を横薙ぎするが、フォーチュンは身体を後ろに反らせる事で回避する。

 

そこでバック転キックで剣を蹴り上げ、ファントムとの距離を空ける。

 

「はああああ!」

 

フォーチュンはファントムに向って、光線を放った。

 

光線は直撃し、辺りは煙で包まれる。

 

フォーチュンは警戒しながら様子を窺っていたが、煙の中からフォーチュンに向って手が伸びた。

 

手から衝撃波が発生し、フォーチュンを吹き飛ばす。

 

「きゃあああああ!!」

 

フォーチュンはそのまま、クリスタルへと激突した。

 

「うっ...」

 

フォーチュンは膝から崩れ落ちた。

 

「もう終わりか?」

 

「まだよ」

 

ファントムの問いに、フォーチュンはそう答える。

 

「フォーチュン・スターリング!」

 

5つのリング状のエネルギー弾を、ファントムに放つ。

 

だが、たった一閃剣を振っただけで全て切り崩されてしまう。

 

「ふん、他愛ない」

 

悔しがるフォーチュンだったが、一瞬でファントムがフォーチュンとの距離を一気に距離を詰めた。

 

「ふん!」

 

ファントムが連続で剣を振るう。

 

剣から発せられた斬撃がフォーチュンを襲う。

 

「きゃああああああ!!」

 

 

1度目、2度目は耐える事が出来たが、3度目の攻撃は耐えることは出来なかった。

 

「ふん、この程度で俺を倒そうとは傑作だな」

 

力不足のフォーチュンに対して、ファントムは鼻で笑った。

 

「くう...」

 

ファントムの言葉に、フォーチュンは悔しがる。

 

「これだったら、ゲキレッドを狙った方が良かったかもな」

 

ファントムの言葉にフォーチュンは驚いた。

 

悔しそうに唸るフォーチュンだったが、その場に誰のものでもない声が響く。

 

―いいのか?このままだと姉を救う事が出来ないぞ

 

「だ、誰!」

 

フォーチュンは辺りを見渡すが、ファントム以外は見当たらなかった。

 

「何だ?いきなり」

 

その声はフォーチュンにしか聞こえておらず、ファントムには聞こえていなかった。

 

―相楽誠司もお前の事を絶対に認めないぞ、お前みたいな弱い奴はな

 

「いやよ...そんなの...そんなの嫌ー!!」

 

フォーチュンがそう叫ぶと、身体から黒い瘴気が溢れ出す。

 

「なっ!なんだこれは!?」

 

突然の出来事に、ファントムは驚く。

 

瘴気はフォーチュンの周りに纏わりつくと、衣装の色を変化させていく。

 

フォーチュンの衣装は、瘴気のせいで黒く変色してしまった。

 

「返して...」

 

フォーチュンはゆっくりと、ファントムに歩み寄る。

 

「姉さんと誠司君を返して!」

 

フォーチュンはそう叫ぶと、ファントムに攻撃を仕掛けた。

 

「くう!」

 

ファントムいきなりの事で戸惑いながらも、フォーチュンを迎え撃った。

 

________________

 

その頃、ぴかりが丘の方ではゲキレッド達がフォーチュンの事を探していた。

 

「フォーチュン!フォーチューン!」

 

「どこにもいないよ」

 

「一体どこへ」

 

探し続けるが、フォーチュンを見つける事が出来なかった。

 

「もしかしたら、ここにはいないんじゃないか?」

 

ゲキレッドがそう推測する。

 

「みんなー!」

 

そこへ、キュアラインを持ったリボンが駆けつけた。

 

「ブルー様からご連絡ですわ」

 

「ブルーから?」

 

ゲキレッドがキュアラインを受け取ると、そこにはブルーが映っていた。

 

「キュアフォーチュンはこの近辺には居ないようだ」

 

「じゃあ、どこにいるの?」

 

考え込むブルーだったが、何かに気付いた。

 

「まさか...あの空間へ!」

 

「あの空間?」

 

ブルーの言葉に、ラブリーが質問する。

 

「ファントムに倒されたプリキュアは皆、どこか別の空間へ連れて行かれてそれきり消息を絶っているんだ」

 

「それどこ!?」

 

「分からない」

 

プリンセスの問いに、ブルーは残念そうに答える。

 

「そんな...」

 

「まさか、フォーチュンはもう...」

 

ブルーの言葉に、プリンセスは悪い想像をしてしまう。

 

「プリンセス」

 

「大丈夫よ、きっと」

 

そんなプリンセスを、ラブリーとハニーが励ます。

 

「あぁ、俺は感じるぜ。フォーチュンは今必死に戦っている。まだやられちゃいないってな」

 

「ぐらさん...」

 

ぐらさんの言葉を聞き、プリンセスはリボンからキュアラインを受け取る。

 

「神様お願い、フォーチュンを見つけて!私、フォーチュンに言わなきゃならない事があるの。だからお願い!お願いします!」

 

プリンセスが必死にお願いをする。

 

「その思いがあれば、道が開けるかもしれない」

 

その言葉に、ゲキレッド達は驚く。

 

「みんな、クロスミラールームへ」

 

「分かった、よし皆行くぞ!」

 

ブルーの言葉を聞き、全員が移動しようとした時。

 

「待て、誠司」

 

理央が、誠司を引き止めた。

 

「俺に考えがある」

 

「考え?」

 

理央の考え、それは――

 

_____________

 

ドッガーン!

 

クリスタルにフォーチュンが激突し、砂塵が発生していた。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ...」

 

瘴気によって強化されたフォーチュンだったが、それでもファントム相手に苦戦していた。

 

「うわあああああ!!」

 

フォーチュンは突撃してキックを繰り出すも、腕でガードされてしまう。

 

「はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!」

 

なおも攻撃を繰り出すも、全て避けられてしまう。

 

「はあ!やあ!あっ!」

 

攻撃を何度も仕掛けるが、今度はファントムに腕を掴まれてしまった。

 

「無駄だ」

 

ファントムはその場で一回転し、回転を利用しフォーチュンを投げ飛ばした。

 

「きゃあああああ!」

 

ファントムは剣に自身の憎しみのエネルギーを纏わせる。

 

黒狼波(こくろうは)!」

 

ファントムはフォーチュンに向け剣を振い斬撃を放ち、斬撃は狼の形へと変わりフォーチュンを襲った。

 

「ああ!」

 

斬撃を受けたフォーチュンは、そのまま後ろにあるクリスタルまで衝突した。

 

ダメージを受け続けたせいか、フォーチュンの変身が遂に解けてしまった。

 

落ちていくいおなを見ながら、ファントムは剣を収める。

 

「ん?」

 

近くに落ちてきたプリチュンミラーを見て、ファントムはそれを拾い上げる。

 

「このプリチュンミラー...」

 

「! か、返して!」

 

いおなは取り返そうとするが、ダメージのせいで上手く動けないでいた。

 

「これはキュアテンダーの...そうか、お前はあの時のキュアテンダーの妹か」

 

ファントムはそこで、キュアテンダーとの戦いを思い出す。

 

「そうよ、あなたは姉の仇!」

 

いおなは弱々しく立ち上がり、ファントムからプリチュンミラーを取り返そうとするが、ファントムはテレポートして回避する。

 

「ぐっ、ぐう」

 

いおなはそのまま、転倒してしまう。

 

「キュアテンダー、数いるプリキュアの中でも際立って強いプリキュアだった。だが...」

 

ファントムは当時の事を思い出す。

 

ファントムはキュアテンダーを攻撃する振りをして、いおなを攻撃した。

 

その攻撃はテンダーが自分の身を犠牲にして、いおなを守った。

 

テンダーはそのまま倒れ、ファントムに敗れてしまった。

 

「最後、キュアテンダーはお前を庇って倒れた。その甘さが奴の敗因だ」

 

「違う!お姉ちゃんは!」

 

否定しようとするフォーチュン、しかしファントムの前に2枚のプリカードが現れる。

 

それは、キュアフォーチュンに変身する為のプリカードだった。

 

「姉を助ける事はできない」

 

「はあ!」

 

ファントムはプリカードに手を添え、いおなはファントムが何をするのか気付いた。

 

「最早戦う力もない」

 

そう言って、ファントムはプリカードを燃やした。

 

「お前の願いは、もう叶わない...」

 

プリカードは燃え尽き、灰がいおなの方へ飛んでくるが目の前で消滅してしまう。

 

「あっ、あっ、あっ、ううぅぅぅ...」

 

プリカードが燃やされた事で、いおなの目から涙が零れる。

 

「良い絶望だ。お前達の不幸がミラージュ様を安堵させる。姉のキュアテンダーと同様に、絶望しながら鏡の中で永遠に眠れ」

 

そう言ってエネルギー弾を生成しようとしたファントムだったが、腰に提げている剣《ヘイトリットブレイド》から黒いオーラの様な物が出ていることに気付く。

 

「これは?うっ、うわああああああ!!」

 

突如発生したオーラに驚くファントムだったが、オーラはどんどんファントムを包み込む。

 

「何だこの力は!」

 

黒いオーラは、ファントムの力を増幅させていく。

 

「ぐう!意識が飛びそうだ...」

 

ファントムは黒いオーラの影響で意識が飛びそうになっているが、強い意識と精神力のお陰で力に飲み込まれずいた。

 

「この剣のせいか?」

 

そう言って、ファントムは剣を抜いた。

 

「まあいい、絶望しながら鏡の中で永遠に眠れ!」

 

ファントムは剣に纏わせ、いおなに攻撃を仕掛ける。

 

いおなはもう駄目だと思い眼を瞑った。

 

そんな時だった。

 

「フォーチュン!」

 

自分の呼ぶ声にフォーチュンは眼を開けると、上空に鏡が出現する。

 

「プリンセス!弾丸マシンガン!」

 

鏡から出てくるなり、プリンセスはファントムに攻撃を仕掛ける。

 

ファントムは攻撃を中断し、回避する。

 

「プリンセス!」

 

鏡から、ゲキレッド達も続々と出てくる。

 

「いおなー!」

 

その中から、ぐらさんが叫びながらいおなに近づく。

 

「このバカ野郎!心配かけやがって」

 

「ぐらさん」

 

いおなはぐらさんを抱き上げた。

 

「間に合って良かったわ」

 

その2人の姿を見て、ハニーは喜んだ。

 

そんな光景を見ていたゲキレッド達が、ファントムの方に振り返る。

 

「ここからは私達が相手になるよ!プリキュアハンターファントム!」

 

ラブリーがファントムに対して指を立て、ハニーも拳を握る。

 

「ハピネスチャージプリキュア...ゲキレンジャー...バカなどうやってここへ!?」

 

ゲキレッド達が現れた事に、ファントムは驚きを隠せなかった。

 

「私達の友情のなせる業だよ」

 

「それとブルー様のお力ですわ」

 

ラブリーの言葉に、リボンが説明を加えた。

 

ファントムが上空に現れた鏡を見ると、そこにはブルーらしきシルエットが映っていた。

 

「おのれ...地球の神ブルー...」

 

ファントムは怒りに震えていた。

 

「俺達の街に、よくもサイアークを沢山出してくれたな!」

 

「こっからは!俺達がお返しする番だぜ!」

 

ゲキレッドとゲキチョッパーがファントムに向ってそう叫び、全員がファントムに対して構えた。

 

その様子を黙って見ていたいおなだったが、プリンセスがいおなに駆け寄った。

 

「フォーチュン!」

 

驚くいおなの前に、プリンセスは跪く。

 

「プリカード、全部あげる」

 

「えぇ!?」

 

プリンセスの言葉に、いおなは驚く。

 

「アクシアを開けた事、どう謝ればいいか考えたわ。でもどう謝ったって、何度謝ったって、許されることじゃない。許してなんていわないわ!これで償えるとも思わない!でも!私に出来ることはこれしかないから!あげられる物はこれしかないから!」

 

プリンセスはそう言って、プリカードを無理やり渡して去ろうとする。

 

「待って!プリンセス!」

 

いおなに引き止められ、プリンセスは足を止める。

 

「あなたにも、願いがあるんでしょ?あなたの故郷、ブルースカイ王国を救いたいんでしょう?」

 

いおなはプリンセスに、そう質問する。

 

「大丈夫、プリカードはまた集められる。あなたの願いを先に叶えて。お姉さんを助けてあげて」

 

「プリンセス...」

 

「本当にごめんなさい!」

 

今度は頭を下げて、いおなに謝罪する。

 

「違う、違うわ。悪いのはあなたじゃ...」

 

ドッガーン!

 

近くで爆発が発生し、プリンセスが爆発が起きた方向を見ると、ラブリーとハニーが悲鳴と共に宙を舞っている所だった。

 

「行かなきゃ!フォーチュンはここに居て!」

 

「あ!?」

 

手を伸ばすいおなだったが、プリンセスはそのまま飛んでいってしまった。

 

「悪いのは、あなたじゃない...幻影帝国よ。あなたは世界を救う為に彼等と戦っている...もう十分償っているわ」

 

パリーン。

 

その時、何かが割れるような音がした後、いおなの身体から瘴気が出てきて消滅する。

 

 

 

 

 

「私が相手よ!」

 

プリンセスがラブリー達を守るように立つゲキレッド達と、座り込んだラブリーとハニーの間に着陸してファントムに向けて指を指す。

 

「わざわざ倒されにくるとは愚かな」

 

「友達が戦っているのに、私1人逃げるわけないでしょ!」

 

プリンセスの言葉を聞き、ラブリー達は立ち上がった。

 

「気をつけろプリンセス、あいつ前に戦った時よりもパワーアップしてるぞ」

 

「それに、必要にラブリー達を狙ってくるしな」

 

プリンセスに、ゲキレッドとゲキバイオレットが警告する。

 

「友情...愛と同様、束の間の幸福を生み出す幻。ミラージュ様を苦しませる元凶!」

 

ファントムは、ラブリー達に向って剣を構える。

 

 

 

 

ゲキレッド達が戦っている所を、いおなはただ見ている事しか出来なかった。

 

「みんな...」

 

「いおな、何を願う?」

 

心配そうに見ているいおなに対し、ぐらさんがそう質問する。

 

「プリンセス達のお陰でファイルがカードで満たされる。これでなんでも願いが叶う。お姉さんを助けるか?」

 

「助けたい...でも。それじゃ、お姉ちゃんを助けられても、みんなを助けられない」

 

いおなの視線の先では、ゲキレンジャーを無視してプリキュア達に攻撃を仕掛けるファントムの姿があった。

 

「なら、ハンターを消す事を願うか?いっそ、幻影帝国を滅ぼすと願うのもありかもしれねぇ」

 

いおなは、プリカードをファイルに収納していく。

 

「それで、プリンセスの国を救える?ここにいるプリキュアや世界中の鏡に閉じ込められた人達を、全員助けることが出来る?」

 

「分からねぇ...助けられるって保障はねぇな...」

 

ラブリー達はファントムに挑む。

 

だが――

 

黒炎刀!(こくえんとう)

 

ヘイトリッドブレイドに黒い炎を纏わせ、3人に攻撃する。

 

『きゃああああ!!』

 

攻撃が命中した3人は、変身が解けてしまった。

 

「ふう、これで雑魚はいなくなったな」

 

ファントムは一息零すと、そう言った。

 

「お前...ラブリー達を狙い続けていたのはそう言う事か!」

 

ゲキレッドは、ファントムの狙いに気付いた。

 

「強い奴と戦うなら...まずは弱い奴を狙う。それが戦いの基本だろ」

 

ファントム、今度はゲキレッド達に向け剣を構える。

 

「それでは駄目な気がする。誰かを助けるとか、誰かを消すとか、そういう願いでは何処かに不幸が残ってしまう」

 

いおなはファイルにプリカードをしまい終わると、ファイルはカードで満たされた。

 

「私はみんなを助けたいの。みんなの願いを叶えたい」

 

すると、ファイルは光り輝いて宙に浮く。

 

「この手で!何より今、友達を助けたい!」

 

いおなは、宙に浮いたファイルを手に取る。

 

「プリカードよ、私にプリキュアの力を!」

 

ファイルを掲げると、ファイルから凄まじい光が溢れる。

 

「これは...」

 

突然の出来事にファントムは勿論、ゲキレッド達も驚く。

 

「それでこそいおなだぜ」

 

ファイルは光となって、ぐらさんを包む。

 

「こしょこしょしてくれ」

 

いおながぐらさんの鼻をくすぐる。

 

「はっ!はっ!はっ!はっぴしょん!」

 

ぐらさんがくしゃみをすると、ぐらさんから2枚のプリカードと箱のような物が出現する。

 

「これは!」

 

「これはフォーチュンピアノ!新たなるプリキュアの力だぜ」

 

驚くいおなにぐらさんが説明すると、ピアノはいおなの手元へと移動する。

 

「ぐらさん、行くわよ!」

 

いおなはフォーチュンピアノを開いた。

 

いおなの髪が光り輝くと紫色に変化し、髪形がストレートヘアーからポニーテールへと変わる。

 

フォーチュンピアノに、2枚のプリカードをセットする。

 

「プリキュア!キラリンスターシンフォニー!」

 

指輪の付けた中指で、ドを3回鳴らして滑るように全ての鍵盤を鳴らす。

 

フォーチュンピアノから沢山の星が出現し、手や足に星が纏わりつく。

 

手に衣装が出現し、足にはブーツが出現する。

 

フォーチュンピアノが頭の髪飾りへと変化し、両耳に星が近づくと耳飾へと変化する。

 

ハートがマントの中へと吸い込まれる。

 

フォーチュンがマントを脱ぎ去ると、いおなはプリキュアへと変身を完了していた。

 

「夜空に煌く、希望の星!キュアフォーチュン!」

 

ここに、新たなプリキュアが降り立った。

 

「キュアフォーチュン!」

 

「新たなキュアフォーチュンの誕生ですわ」

 

キュアフォーチュンの誕生に、リボンは目をきらきらさせ感動していた。

 

「再びプリキュアになった所で何を。俺はプリキュアハンター、プリキュアを倒す狩人だぞ。愚かな」

 

フォーチュンは、座り込んでいる3人の前まで移動する。

 

「そうね、愚かね。私はずっとあなたへの憎しみで戦ってきた。姉の仇をうつために...でも今は守りたい!世界の全てを、こんな私に大切な物をくれた、友達を!」

 

「友達って...」

 

「プリンセス」

 

「はい!」

 

プリンセスは急に呼ばれ、怯えながら返事をする。

 

「あなたには酷い事ばっかり言って、私の方こそごめんなさい!」

 

プリンセスに対し、フォーチュンは頭を深く下げ謝罪する。

 

「え!?」

 

「ありがとう」

 

フォーチュンは顔を上げ、プリンセスに感謝する。

 

「フォーチュン...」

 

泣きそうになってるプリンセスに、ラブリー達が微笑ながら近づく。

 

「ラブリー達もごめんなさい、貴方達を足手まといと言ってしまって...。どうやら弱かったのは私の方だったようね」

 

フォーチュンは、ラブリー達にも謝罪する。

 

するとそこに、フォーチュンに向ってファントムが攻撃を仕掛ける。

 

「はっ!?ふっ!」

 

ファントムの攻撃はフォーチュンに当たることはなく、見事フォーチュンが弾き返した。

 

「お前はキュアテンダーと同じだ。己の甘さで身を滅ぼす!」

 

ファントムは今度はフォーチュンに向って殴りかかるが、先程と違いあっさりと流しフォーチュンがカウンターを仕掛けるが、ファントムの手甲によって防がれてしまう。

 

その後の追撃も全て防がれてしまい、ファントムは距離を取り紫のクリスタルに着地する。

 

だが、フォーチュンは更に追撃のパンチを繰り出し、ファントムは受け止めるが着地したクリスタルが粉砕した。

 

「な、なんだこの力は、プリカードによって新たな力が生み出されたのか!?」

 

先程とは違い、自分が押されている事にファントムは驚愕する。

 

「私は幸せだわ。姉から愛をもらって、友達から優しさをもらって」

 

フォーチュンはそれぞれ、右手と左手を見ながらファントムに向って歩く。

 

「私もこんな風に誰かを幸せにしたい」

 

そう言って、フォーチュンは両手を合わせた。

 

「幸せなど幻。この世界は不幸に滅ぶ運命だ」

 

ファントムは剣から炎を発生させ、フォーチュンを攻撃する。

 

しかし、すぐにファントムは驚く事になった。

 

「なっ!」

 

なぜならフォーチュンが、片手だけで攻撃を消滅したからだ。

 

「滅ぶのが世界の運命なら、私が変えるわ!このフォーチュンが希望の星となって、不幸を打ち砕く!」

 

フォーチュンはそう叫ぶと、左手を天へと伸ばした。

 

「星の光を聖なる力に」

 

手を胸の前へと下ろし、前に伸ばすと指輪から光が発せられタンバリンが出現する。

 

「フォーチュンタンバリン!」

 

タンバリンのハートの装飾の所を、フォーチュンが撫でるとピンク色に輝いた。

 

「プリキュア!スターライト・アテンション!」

 

何度もタンバリンを叩くと、ファントムに向って星を含んだ極太な光の光線が発射される。

 

「敗れるわけにはいかない。ミラージュ様のために!」

 

ファントムは光線を受け止める。

 

「はあ!」

 

フォーチュンは、さらに追撃の光線を発射する。

 

「ぐあああ!!」

 

2度目の攻撃は耐える事が出来ず、ファントムは攻撃に飲まれる。

 

「星よ、天に還れ!」

 

フォーチュンがタンバリンを1叩きすると、光線が爆発を起こす。

 

爆発の中から、プリチュンミラーがフォーチュンの足元へと転がってきた。

 

それは、フォーチュンが奪われたプリチュンミラーだった。

 

フォーチュンは拾い上げ、胸元に当て眼を瞑った。

 

「フォーチュン!やったな!」

 

「すごい!」

 

そこへ、変身を解除した誠司達が駆け寄ってきた。

 

『フォーチュン!』

 

「まだよ...」

 

フォーチュンの言葉に、誠司達は足を止める。

 

砂塵の中からファントムが出てくるが、その姿は傷だらけで息切れをしている状態だった。

 

「勝負は...まだ...」

 

そう言って、ファントムは剣を構える。

 

「もうお前の負けだ、ファントム!」

 

「まだだ...俺はまだ負けてない...」

 

ボロボロの状態でも尚、ファントムはまだ戦おうとしていた。

 

「いや...お前の負けだ。何せ俺達はお前を倒しに来たんじゃない!いおな()を助けに来たんだからな」

 

「達?ま、まさか!?」

 

誠司の言葉の意図に気付き、ファントムは辺りを見渡した。

 

そこには、そこらじゅうにあったはずの鏡が1枚を残して全てなくなっていた。

 

そしてファントムの眼に入ったのは、開放されたプリキュア達を一箇所に纏めているメレと、残った最後の鏡、まりあが捕らわれている鏡の前で剣を構えている理央の姿が映った。

 

「リンギ!命還瞬迅(めいかいしゅんじ)!」

 

パリーン!

 

理央が剣を横薙ぎすると、鏡が割れて捕らわれていたまりあが開放された。

 

「なっ!?馬鹿などうやってプリキュア達を開放して...!」

 

全てのプリキュアが開放された事に、ファントムは驚愕する。

 

「俺達がお前と戦っていたのはお前を倒す為じゃない、プリキュア達を助ける為の時間稼ぎだったんだよ」

 

「まあ、理央がプリキュア達を開放出来る技を習得してた事に驚きだけどな」

 

驚くファントムに対して、ゲキバイオレットとゲキチョッパーがネタ晴らしをする。

 

「く、くう...」

 

歯を食い縛り、悔しがるファントム。

 

「何をしているの?」

 

すると突如、ファントムの背後に巨大な鏡が出現する。

 

その鏡には、1人の女性が映っていた。

 

「ミラージュ様!」

 

ファントムの言葉に、その場に居る全員が驚く。

 

「クイーンミラージュ...」

 

「あれが...」

 

突如現れた黒幕の登場に、めぐみ達は目を見開いた。




はい!如何だったでしょうか?

思いの他、早く書き上がりました。

今見たら、アクセル・ビルドを投稿してからまだ4日しか経ってないんですね。

そして、や―――っとフォーチュンが仲間に入りました!

ここまでが長かった。

投稿してから1年でここまで来ました。

本当に長かった。

そして!原作の23話が終わったら、オリジナルの話に入ります!

この話を早く書きたくて、合体させたんですけど。

オリジナル展開は恐らく2話構成となるでしょう。

それでは、次回第22話もしくはアクセル・ビルド第6話でお会いしましょう!

それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話 超キンチョー!いおなとひめ、はじめてのおつかい!

どうも!ナツ・ドラグニルです!

2ヶ月ぶりの投稿になります。

今回は難産でしたが、何とか書き上げることが出来ました。

特に、巨大戦には時間が掛かりました。



それでは作品をどうぞ!


「クイーンミラージュ...」

 

 

 

「あれが...」

 

 

 

正体を現したミラージュに、ひめとめぐみがそう呟いた。

 

 

 

「世界中を不幸にしてる張本人ですわ」

 

 

 

その呟きに答えたのは、リボンだった。

 

 

 

そんなめぐみ達の事を特に気にする事もなく、ミラージュはファントムに問い掛けた。

 

 

 

「ねぇ、ファントム。私、ぴかりが丘に行けって...あなたに言ったかしら?」

 

 

 

ファントムはミラージュの問いに答えることが出来ず、俯いていた。

 

 

 

「ひめちゃん?」

 

 

 

ミラージュの姿を見て、ひめが震えているのにゆうこが気付いた。

 

 

 

「ミラージュを倒せばお父様もお母様も、ブルースカイ王国だって取り戻せるのに」

 

 

 

ゆうこの呼び声に、ひめは悔しそうに答えた。

 

 

 

「ビッグな威圧感を放ってやがる。さすがは敵の親玉だぜ」

 

 

 

ぐらさんも、ひめの言葉に同意する。

 

 

 

「ハピネスチャージプリキュア、獣拳戦隊ゲキレンジャー、不幸を撒き散らし最悪の世界を作るという私の計画を、随分と邪魔してくれたわね」

 

 

 

鏡に映るミラージュが杖を前に突き出すと、鏡の前に闇のエネルギーが集結して大きくなっていく。

 

 

 

めぐみ達はその様子を呆然と見つめ、誠司達は臨戦態勢を取った。

 

 

 

「待つんだ!」

 

 

 

だがそこに、この場に居ない人物の声が響いた。

 

 

 

誠司達が振り向くと、1つの光り輝く姿見が現れた。

 

 

 

光が消えると、そこにはブルーの姿があった。

 

 

 

『神様(ブルー)!』

 

 

 

ブルーが現れたことに、誠司達は声を出し驚いた。

 

 

 

「ブルー!貴様!」

 

 

 

ブルーの登場で、ファントムも憎しみの眼差しを向けて剣を抜こうとする。

 

 

 

「久しぶりね。地球の神、ブルー」

 

 

 

だが、ミラージュがブルーに声を掛けた事で、ファントムは手を止めた。

 

 

 

ブルーは誠司達の前に歩き出てきた。

 

 

 

ミラージュは、怖い眼差しでブルーを見下ろしている。

 

 

 

「ミラージュ、君はいつまでこんな事を続けるつもりなんだ」

 

 

 

ブルーは尚もミラージュに話しかける。

 

 

 

その間、誠司達は黙って事の顛末を見守っていた。

 

 

 

「このまま世界に不幸を放ち続ければ、君自身がその不幸に飲み込まれる日が来てしまう。まだ間に合う。この世界を元に戻すんだ」

 

 

 

説得するブルーだったが、その言葉にクイーンミラージュは鼻で笑った。

 

 

 

「ふん、あなたが私に教えてくれたのよ。愛、勇気、優しさ、幸せ、全てが幻なのだと」

 

 

 

「幻なんかじゃない!」

 

 

 

淡々と語るミラージュに対して、めぐみが否定する。

 

 

 

「愛も、勇気も、優しさも幻なんかじゃない。みんな心の中にちゃんとある。幸せハピネスなんだから!」

 

 

 

言い切るめぐみだったが、黙って聞いていたミラージュは、紫のオーラから黒いオーラへと変化させた。

 

 

 

「ふん、なーるほど」

 

 

 

ミラージュを覆っていたオーラが爆発し、周りにあった鏡が全て砕けちった。

 

 

 

そして、彼女を投影していた鏡にも皹が入った。

 

 

 

「ッ!?ブルー!急いで扉を開けろ!早く!」

 

 

 

この後、起こりうるであろう出来事を予想した誠司が、ブルーに指示を飛ばす。

 

 

 

「わ、分かった」

 

 

 

突然の事で動揺するブルーだったが、誠司の指示通りに扉を開いた。

 

 

 

誠司は急いで理央達に視線を向けると、そこでは理央が召喚したリンライオンに捕らわれていたプリキュア達を乗せ終え、こちらに向って来ている所だった。

 

 

 

「ブルーに力を与えていたのは、お前ね」

 

 

 

ミラージュは、めぐみを凝視した。

 

 

 

「ゲキワザ!来来獣!ゲキタイガー!」

 

 

 

誠司はゲキタイガーを召喚すると、めぐみを担いでゲキタイガーの背中へと飛び乗った。

 

 

 

意図を理解したラン達は、ひめとリボンをランが、ゆうこをリンが、いおなをゴウが、ブルーをケンが担ぎゲキタイガーへと飛び乗った。

 

 

 

「その大きな愛、目障りよ!」

 

 

 

罅割れた鏡に映るミラージュが、光る目を細めた次の瞬間!

 

 

 

目を大きく見開き、光線を発射した。

 

 

 

光線を着弾したのと、誠司達を乗せたゲキタイガーと理央達を乗せたリンライオンが扉に入ったのはほぼ同時だった。

 

 

 

_____________________

 

 

ドッガーン!!

 

 

 

クロスミラールームで、大きな爆発が起こった。

 

 

 

ブルーの開いた扉に何とか入る事が出来た誠司達だったが、ミラージュの攻撃の余波までは消す事が出来なかったようだ。

 

 

 

『あぁ...』

 

 

 

突然の出来事に、めぐみ達は呆然として、ひめとリボンに関しては目を回して倒れていた。

 

 

 

先程のミラージュとブルーのやり取りを思い出し、誠司はブルーに質問する。

 

 

 

「ブルー、以前にもミラージュと会ったことがあるのか」

 

 

 

2人のやり取りを、その場に居る全員が黙って見守っていた。

 

 

 

「昔の...知り合いさ」

 

 

 

「知り合いってどんな...「だが、今は敵だ」」

 

 

 

ひめの言葉を遮り、ブルーはそう答えた。

 

 

 

「どうか君達の力でこの世界を守ってくれ」

 

 

 

そのブルーの様子を、誠司とめぐみは心配そうに見つめる。

 

 

 

「ブルー(神様)...」

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、大広間にて全員が集まっていた。

 

 

 

「そうか、キュアテンダーがファントムによってあの場所へ...」

 

 

 

ブルーはテンダーのプリチュンミラーを手に取りながら、俯くいおなに確認する。

 

 

 

「はい」

 

 

 

「黙っていてすまなかった。あいつを失ってお前にあわせる顔がなかった。俺は...」

 

 

 

ぐらさんは悔しそうに、手摺りの上で拳を叩きつける。

 

 

 

「いいんだぐらさん。君は本当に頑張ってくれた」

 

 

 

悔しがるぐらさんを、ブルーは励ました。

 

 

 

そこで、俯いていたいおなが理央へと視線を向ける。

 

 

 

「ありがとう、理央さん。姉さんを助けてくれて...」

 

 

 

「気にするな。無事に助かったとはいえ、助かるかどうか五分五分だったからな」

 

 

 

いおなは姉を助けてくれた理央に、感謝の言葉を告げると理央はそう答えた。

 

 

 

「どういうこと?」

 

 

 

疑問に思ったのか、めぐみが理央に質問する。

 

 

 

「以前ブルーから捕らわれたプリキュア達の事を、俺とメレは聞いていてな。その時に捕らわれたプリキュア達は死んでいないか確認したんだ」

 

 

 

「それでプリキュア達が死んではいないと分かった理央様は、プリキュア達を開放する技《命還瞬迅》を開発したのよ」

 

 

 

めぐみの質問に、理央とメレそれぞれが答える。

 

 

 

「俺にはリンリンシーを蘇らせる秘術があり、それを改良して出来たのが《命還瞬迅》だ」

 

 

 

『おー!』

 

 

 

理央の言葉に、めぐみ達は感心する。

 

 

 

「凄いね理央さん、すぐにそんな技作るなんて」

 

 

 

「ただ、試せる相手が居なかったからぶっつけ本番だったけどな」

 

 

 

「そうだったんだ...」

 

 

 

理央が使っていた技が、物凄い博打だったことにめぐみ達は驚愕する。

 

 

 

「助かったとはいえ、彼女達はいままで鏡によって捕らわれていたからね。しばらくは養生が必要だ」

 

 

 

「ですのでテンダーを含め、捕らわれていたプリキュア達は別の部屋で休ませていますわ」

 

 

 

技について知っためぐみ達に、ブルーとリボンが説明する。

 

 

 

「そう...」

 

 

 

ブルーとリボンの説明に、いおなはもう一度俯いてしまう。

 

 

 

すると、いおなの後ろで立っていためぐみとゆうこがアイコンタクトをする。

 

 

 

「ねえ氷川さん。これからは私達ハピネスチャージプリキュアと一緒にやっていかない?氷川さんが来てくれたら、私とっても嬉しい」

 

 

 

「そうだな。今のいおなとだったら、チームを組んでもいいと思うし」

 

 

 

誘うめぐみと誠司の言葉に、いおなはあんぐりする。

 

 

 

「やめておくわ」

 

 

 

あんぐりするいおなだったが、めぐみ達の言葉にすぐそう答えた。

 

 

 

いおなの言葉に、今度はめぐみと誠司があんぐりとする。

 

 

 

「ハピネスチャージプリキュアはとてもいいチームよ。だから私が入ることでそのチームワークを壊したくない」

 

 

 

いおなは返答すると、いおなが座っているソファの裏に隠れていたひめに声を掛けた。

 

 

 

「あなたもそう思うでしょ?ヒメルダ・ウインドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ」

 

 

 

「ふぇ!?わ、私は...そんなことぉ~」

 

 

 

話しかけられると思わなかったのか、ひめは大きく怯んだ。

 

 

 

そんなひめの様子をみて、いおなは目を逸らした。

 

 

 

「まぁまぁそれは後にして、折角集まったんですから今日はみんなで、ささやかなホームパーティでもしましょ」

 

 

 

するとそこで、暗い気持ちを取り除く為にリボンがパーティーを提案する。

 

 

 

「ナイスアイデア!」

 

 

 

「いいな!やろうぜパーティ!」

 

 

 

リボンの提案に、一番にめぐみとケンが反応して他のメンバーもアイコンタクトを送りあい笑みを浮かべた。

 

 

 

「無理する必要はないわよ」

 

 

 

「いいじゃん、みんなが集まって今日はハピネス記念日」

 

 

 

めぐみの言葉に困り顔のひめだったが、ゆうこが口の中にキャンディを入れられ「甘ー!」と蕩け顔になる。

 

 

 

「私もみんなでパーティしたいな」

 

 

 

そう言って、ゆうこはいおなにハニーキャンディを差し出した。

 

 

 

いおなはめぐみにも視線を向けると、キラキラした目でいおなの事を見ていた。

 

 

 

「なら...少し...だけね」

 

 

 

いおなは、キャンディを受け取り承諾した。

 

 

 

 

『かわルンルン!』

 

 

 

 

めぐみとゆうこは、プリチュンミラーにパティシエのカードを装填する。

 

 

 

「パ・パ・パ・パ・パティシエ!かわルンルン!」

 

 

 

プリチュンミラーを使用し、2人はパティシエに変身する。

 

 

 

めぐみとゆうこ、そしてリボンはキッチンに移動しパーティの準備を始める。

 

 

 

「今日はめぐみ特製、スペシャルフルーツケーキを作っちゃうよ!」

 

 

 

「でもフルーツがないわ」

 

 

 

気合を入れるめぐみだったが、冷蔵庫の中を覗いたゆうこが指摘する。

 

 

 

「はっ!?それじゃフルーツケーキにならない!」

 

 

 

そして、リボンからも指摘が入る。

 

 

 

「他の料理も材料が全然足りてませんの」

 

 

 

「それじゃパーティにすらならない!」

 

 

 

「色々大変でしたから、買出しする暇が」

 

 

 

嘆くめぐみに、リボンは弁解する。

 

 

 

「誰かに行ってもらわないと駄目ね」

 

 

 

するとリボンは、ひめ達が居る大広間へと移動する。

 

 

 

「ひめ~?買い物に付き合ってくださいな」

 

 

 

階段に座っていたひめは、その言葉を聞いて「ゲッ!」と反応する。

 

 

 

「ひめ~」

 

 

 

リボンはひめの事が見えていないのか、尚もひめの名前を呼んだ。

 

 

 

「それなら俺達も手伝うぜ。働かざる者食うべからずだぜ」

 

 

 

ひめを探すリボンに、ぐらさんは自分達も一緒に行く事を提案する。

 

 

 

「それもそうね、何が必要なの?」

 

 

 

「フルーツとサラダに使うお野菜。から揚げのお肉、卵、他にも色々ですわ」

 

 

 

「分かったわ」

 

 

 

いおなは了承すると、階段に隠れているひめに視線を向ける。

 

 

 

見られている事に気付いたひめは、怯んでしまった。

 

 

 

「あなたも来てちょうだい。荷物持ちが必要だわ」

 

 

 

買い物に誘われたひめは、手摺に掴まり怯えながらいおなの事を見ていた。

 

 

 

「だったら、私も...」

 

 

 

「いや、買い物だったら私が行くわ」

 

 

 

ランが一緒に行こうとしたが、メレが一緒に行く事を提案する。

 

 

 

意外な人物が名乗り出て来た事に、その場にいた誠司達が驚く。

 

 

 

「珍しいな、お前が名乗りだすなんて」

 

 

 

誠司の問いに、メレは答えた。

 

 

 

「この2人だけに、買い物させる訳にも行かないでしょ」

 

 

 

「確かにそうだけど...」

 

 

 

一理あったが、メレが一緒に行こうとしている事に疑問を思う誠司達。

 

 

 

「そして!あわよくば理央様と買い物デートに!」

 

 

 

『ああ、なるほど』

 

 

 

だが、次のメレの台詞で全員が納得した。

 

 

 

「さあ、理央様!一緒に買い物に行きましょう!」

 

 

 

「ああ、分かった」

 

 

 

理央はそう言ってソファから立ち上がり、出かける準備を始める。

 

 

 

 

______________________

 

河川敷にてぐらさんを乗せたかごを持ったいおなを先頭にし、その後ろを理央とメレが並んで歩き、3人から離れた所でリボンを抱えたひめが歩いていた。

 

 

 

(気まずい!何か何か話題を~!)

 

 

 

心中で困っているひめだったが、その気持ちを察したのかいおなが声をかける。

 

 

 

「ねえ、ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ」

 

 

 

「はっ!な、なんでしょう!?」

 

 

 

いきなり声を掛けられた事によって、ひめはうろたえた。

 

 

 

「なぜ白雪ひめって名乗っているの?」

 

 

 

「わたしー、フルネーム長いし、絵本の白雪姫が好きでそこから...」

 

 

 

「そういう理由だったのねぇ」

 

 

 

「う、うん...」

 

 

 

頷くひめだったが、やはり怯えていた。

 

 

 

「ていうかひめ、もう少し近くまで寄りなさいよ。離れすぎよ」

 

 

 

自分達とひめの距離を、メレは指摘する。

 

 

 

「だ、だって~...」

 

 

 

ひめが涙目になりながらも、メレに反論しようとする。

 

 

 

「ね、ねぇぐらさん。えーっと、キュアテンダーってどんな方ですの?」

 

 

 

話題を変える為に、リボンはぐらさんに質問をする。

 

 

 

「俺の知る限り1番のプリキュアだぜ。本当にハートの強い奴だぜ」

 

 

 

「へえ、かっこいい!」

 

 

 

「それだけじゃないわ」

 

 

 

すると、いおなも自分の姉の説明をする。

 

 

 

「お姉ちゃんは、1人の女性としても素敵な人よ。とてもオシャレで勉強が出来て、友達も沢山居て!」

 

 

 

と、テンションが上がるいおな。

 

 

 

「すごーい!1度会って色んなお話してみたいな!」

 

 

 

怯えていた事も忘れ、ひめはテンションが上がっている。

 

 

 

「そうね。姉さんが目が覚めたら、私も色々話したいわ」

 

 

 

2人も雰囲気が良くなったのを見て、理央達は微笑む。

 

 

______________

 

4人は、ひめが利用しているお店に到着し、買い物を始めようとしたが。

 

 

 

「ここが私がいつも来るお店よ、良い食材が揃ってるでしょー?」

 

 

 

「えぇ。でも、どれも高級品ね」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

「何か問題でもあるのかい?」

 

 

 

ひめが疑問符を浮かべ、メレが不思議そうにいおなに質問する。

 

 

 

「私がよく行くお店が、今日特売日なの」

 

 

 

「はぁ...?」

 

 

 

「そっちの方が、お得よ!」

 

 

 

『は、はい...』

 

 

 

強い眼光を見せられて、ひめだけでなく理央達まで引いてしまった。

 

 

 

 

場所を移動し、いおなが言っていたお店に到着した。

 

 

 

早速、ひめ達は卵売り場へと向った。

 

 

 

「おお!確かに安い!」

 

 

 

そう言って、ひめは茶色の6個入りの卵と白の10個入りの卵、それぞれを籠の中に入れる。

 

 

 

「待ってちょうだい」

 

 

 

いおなはひめを止めると、財布の中から1枚のクーポン券を取り出した。

 

 

 

「卵ならこのクーポン券が使えるほうを買いましょう!」

 

 

 

クーポン券には、20円引き(お一人様1点限り)と記載されていた。

 

 

 

「特売価格から更に20円引き。しかも4人居れば4パック買えるのよ!お得じゃない!」

 

 

 

「まるで主婦だな...」

 

 

 

2人のやり取りを見ていた理央は、そう呟いた。

 

 

 

「これで全部揃いましたわ」

 

 

 

その後も色々あったが、ひめ達は何とか全ての買い物を済ませる事が出来た。

 

 

 

「あっ!」

 

 

 

その時、近くの棚に陳列しているお菓子にひめは目を奪われた。

 

 

 

「これは!プリキュアスナックカード付き!うひょー!」

 

 

 

「余計な買い物は買わないわよ」

 

 

 

嬉しそうなひめだったが、この後の展開を予想したいおなは指摘した。

 

 

 

「ん...さっきから10円20円の事で細かすぎー」

 

 

 

反論するひめだったが、その言葉にカチンと来たのか強い言葉で指摘してしまう。

 

 

 

その言葉で反論できないひめだったが、2人の間にメレが割って入った。

 

 

 

「あんたらいい加減にしな、他の人の迷惑になるでしょうが」

 

 

 

さすがに他のお客の迷惑を考えて、メレが止める。

 

 

 

「それにひめ、お前ちゃんとそのお菓子食べきる事が出来るのか?」

 

 

 

「え?」

 

 

 

理央が指摘するが、ひめは何の事か分からず首を傾げた。

 

 

 

「お前の持っているお菓子を良く見てみろ」

 

 

 

理央に言われた通り、ひめはスナックの袋を見てみる事にした。

 

 

 

すると、先程はスナックの存在に気を取られていて気付かなかったが、スナックの味を見てひめは戦慄した。

 

 

 

なんとそこには、納豆餃子味(・・・・・)と記載されていた。

 

 

 

「お前...そんな明らかにまずそうな物を食べられるのか?」

 

 

 

うう――と唸りながら、ひめはスナックが陳列されている棚を見るが、全てが納豆餃子味だった。

 

 

 

「......やめます」

 

 

 

躊躇してたひめだったが、あまりの地雷臭しかしないスナックを泣く泣く諦めて、スナックを棚に戻した。

 

 

 

 

______________

 

場所は幻影帝国のアジトに移り、そこではチョイアーク達によって割れた鏡の取替え作業が行なわれていた。

 

 

 

割れた鏡の前で、ホッシーワは鏡に映っている水晶だらけの町の様子を見ていた。

 

 

 

「ふん、ファントムなんかに水晶だらけにされて堪るもんですか。世界もお腹も、満たすならやっぱりお菓子が...一番でしょ?」

 

 

 

悪い顔をしながら何かを企むホッシーワだったが、五毒拳の最後の生き残りであるブラコが壁に寄りかかりながらその様子を見ていた。

 

 

 

そんなブラコの右腕には、己の秘伝リンギ『真毒 真』が握られていた。

 

 

 

ブラコはフードの男の命令で、真毒をメレに渡すように命令されていた。メレに渡すことで他の五毒拳のメンバーと同じ様に、暴走をさせて理央と相打ちにさせ2人纏めて消させる作戦だ。

 

 

 

「これで...あいつらも報われるだろう。待っていろ、メレ」

 

 

 

ブラコは自分を殺したメレに対し、復讐をする為に行動を移そうとする。

 

_______________

 

買い物を終えたひめ達は、近くのベンチで休憩していた。

 

 

 

「はあー疲れたー」

 

 

 

買い物に疲れたのか、ひめはベンチに座り込んでしまった。

 

 

 

「ねぇ、ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイ」

 

 

 

「なにー?」

 

 

 

「アクシアを開けてしまった時のこと、聞いて...いいかしら?」

 

 

 

いおなの言葉に、ひめはハッとする。

 

 

 

近くに座っていた理央達も、内容が内容だけに黙って見ている事にした。

 

 

 

「理由になるかどうか、分からないけど」

 

 

 

そう言って、近くにある水辺の水面を見ながら、当時の事を語りだした。

 

 

 

「ブルースカイ王国では、昔から王族が交代でアクシアに祈りを捧げる儀式があって、あの時...突然、アクシアから声が聞こえたの」

 

 

 

話していくにつれ、ひめは声のトーンが低くなっていく。

 

 

 

「私をここから出してって言ってるような、とても悲しい声で...だから!私助けなきゃって思って...でも...不幸が世界中に広まっちゃった。私がアクシアを開けたせいで...」

 

 

 

話し終えたひめは落ち込んでしまい、下に俯いてしまう。

 

 

 

「アクシア自身があなたを引き寄せた...。どうしてその事をもっと早く」

 

 

 

「言おうとしたんだけど、何度も...。でも...」

 

 

 

その時、いおなは気付いた。

 

 

 

彼女に対して、冷たい態度を取っていた事を。

 

 

 

(話を聞こうとしなかったのは、私だ)

 

 

 

その事を思い出し、いおなは思わず顔を背けてその場を走り去ってしまう。

 

 

 

「え!?氷川さん!?」

 

 

 

「俺が追いかける、お前達はここにいろ」

 

 

 

そう言って、理央はいおなの後を追いかけた。

 

 

 

「氷川さん...」

 

 

 

ひめはいおなが走り去った方を、呆然と見つめていた。

 

 

 

_____________

 

 

いおなは走り去った後、木下で俯いていた。

 

 

 

(私はあの子の事情を知ろうともしないで、責め続けていた。お姉ちゃんを失った私だけが不幸だと思ってた)

 

 

 

いおなは、まりあが倒された時の事を思い出す。

 

 

 

(あの子だって、家族も故郷も失って...その責任を背負ってとても辛いはずなのに...)

 

 

 

「自分の間違いを認めるってのは勇気の居る事さ」

 

 

 

いおなの心中を悟ってか、ぐらさんはそう口にする。

 

 

 

「だが、いおなにはそれが出来た。それにもうごめんなさいは済んでるんだろ。だったら、あとはお互い歩み寄るだけだぜ!あっちから迷っているのなら、まずはこっちから一歩踏み出すんだ」

 

 

 

ぐらさんの言葉に、いおなはハッとする。

 

 

 

「ええ。ありがとう、ぐらさん」

 

 

 

いおなは嬉しそうになり、ぐらさんに感謝する。

 

 

 

そんな2人に、近づく存在が居た。

 

 

 

「どうやら、俺の出番は無かったようだな」

 

 

 

近づいて来たのは、一部始終を見ていた理央だった。

 

 

 

「結論が出てるなら、後は行動に移すだけだ。ひめに謝るんだろ?」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

そんなやり取りをしているその時だった、辺り一面がいきなりお菓子だらけになった。

 

 

 

「サイアーク!」

 

 

 

近くで爆発が起こり、サイアークの物である叫び声が聞こえた。

 

 

 

「幻影帝国!」

 

 

 

「まずはあいつらを片付けてからだぜ」

 

 

 

「ええ、行きましょう理央さん!」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

変身しようとしたその時、サイアークの居る場所とは別の場所で爆発が起こる。

 

 

 

爆発が起きたのは、先程まで理央達がいた場所だった。

 

 

 

「っ!?あそこは、さっきまで私達が居た場所!」

 

 

 

「この気配...まさかブラコか?」

 

 

 

理央は、メレ達の方から感じる気配がブラコの物である事に気付いた。

 

 

 

「お前は幻影帝国の方を相手しろ、あっちは俺が行く」

 

 

 

「分かりました!」

 

 

 

____________________

 

 

 

時刻はいおなが走り出した所まで、遡る。

 

 

 

「私...また氷川さんに嫌な思いをさせたのかな...」

 

 

 

ひめは自分のせいでいおなが傷ついてしまったと思い、落ち込んでいた。

 

 

 

「今回はあんたのせいじゃないよ」

 

 

 

「そうですわ。メレさんの言う通り、ひめは悪い事なんてしてませんわ」

 

 

 

落ち込むひめを、メレとリボンが慰める。

 

 

 

「ほう、随分面白い話をしているな」

 

 

 

そこに、ひめ達の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 

 

「お前は!」

 

 

 

「五毒拳の最後の1人、ブラコですわ!」

 

 

 

リボンの言葉の通り、ひめ達の前に現れたのは五毒拳のブラコだった。

 

 

 

「ひめ、あんたは理央様達の所に向いな」

 

 

 

「えっ!?何で!?」

 

 

 

「こいつが現れたという事は、幻影帝国も近くにいるはず。あんたは理央様達と合流してそっちに行きな」

 

 

 

メレの提案に、ひめは素直に聞く事は出来なかった。

 

 

 

「で、でも!そしたらメレさんは1人で戦う事に!」

 

 

 

ひめの言葉通り、ひめが理央達の方に行ってしまえばメレは1人でブラコを相手にしなければいけない。

 

 

 

他のリンリンシー達と同様にブラコも強化されている筈。

 

 

 

1度倒したとはいえ、油断出来ない相手だった。その為、ひめは動く事が出来なかった。

 

 

 

「早く行きな!あんたが行ても足手まといなのよ!」

 

 

 

「くっ!」

 

 

 

ひめは悔しそうに歯を食い縛り、理央達の居るであろう場所へと向った。

 

 

 

メレはあえて冷たい口調で、ひめを引き離した。

 

 

 

さすがのメレも、強化されたブラコを相手にひめを守りながら戦えないからだ。

 

 

 

その場を離れるひめだったが、ブラコは追いかける様子も無くただメレを見つめるだけだった。

 

 

 

「あくまでも、狙いはあたしって訳ね」

 

 

 

「当たり前だ、俺は今日この日の為に今まで手を出してこなかったんだ。メレ...お前を殺すためにな!」

 

 

 

ブラコは2本の妖蛇刀を取り出し、メレに対して構えを取った。

 

 

 

メレも2本の釵を取り出し、ブラコを迎え撃とうとする。

 

 

 

「リンギ!大蛇砲!」

 

 

 

ブラコは両手に構えた2本の妖蛇刀で臨気の塊を作り出し、砲弾としてメレに撃ち出す。

 

 

 

「リンギ!絡撃拳!」

 

 

 

メレは両手に構えた一対の釵で、ブラコの放った大蛇砲を受け止め、自分の臨気を練り合わせ威力を倍増させる。

 

 

 

「何度やろうと無駄だ、何度でも打ち返してやる!」

 

 

 

メレがブラコに技を放ちながらそう呟くが、ブラコは静かに囁いた。

 

 

 

「それはどうかな」

 

 

 

ブラコはもう一度、妖蛇刀で臨気の塊を作り出す。

 

 

 

「ふん、同じ事を何度やっても...っ!?」

 

 

 

その時、メレはブラコが練っている臨気の異変に気付いた。

 

 

 

なぜなら、先程放ったブラコの大蛇砲は紫を帯びた臨気だったが、今ブラコが練っている臨気は紫というより黒色に近かった。

 

 

 

「俺がただ蘇っただけだと思うなよ!リンギ!大臨蛇砲(だいりんじゃほう)!」

 

 

 

「!? ハアッ!」

 

 

 

メレはブラコの新技を放ったのと同時に、自分が練り合わせた大蛇砲を放った。

 

 

 

バチバチバチッ!バチバチバチッ!

 

 

 

ブラコの大臨蛇砲と、メレの絡撃拳によって力を増した大蛇砲がぶつかり合った。

 

 

 

バチバチバチッ!バチバチバチッ!バチン!

 

 

 

しばらく均衡していたブラコの放った大臨蛇砲と、メレが放った大蛇砲だったが。

 

 

 

メレの放った大蛇砲が押し負けてしまい、消滅してしまった。

 

 

 

「くっ!リンギ!絡撃拳!」

 

 

 

メレはもう一度、絡撃拳で受け止めようとする。

 

 

 

「うぐっ!うおおおおおおおっ!」

 

 

 

メレは先程の大蛇砲と同じ様に、受け止めようとするが強化されている事もあって失敗してしまった。

 

 

 

「きゃああああああ!」

 

 

 

大臨蛇砲が直撃したことにより、大きな爆発と共にメレは吹き飛ばされてしまう。

 

 

 

「ああっ...くぅ...」

 

 

 

吹き飛ばされても、メレは何とか立ち上がった。

 

 

 

しかし、先程の攻撃によるダメージのよってフラフラになっていた。

 

 

 

「ふん、この程度か」

 

 

 

ブラコは、フラフラになっているメレに近づく。

 

 

 

メレはフラフラになりながらも、もう一度戦おうとしたがダメージが大きかったのか上手く動けないでいた。

 

 

 

「諦めろ、もうお前に勝ち目は無い」

 

 

 

「うるさい...私は...理央様が居る限り、絶対に諦めたりしない!」

 

 

 

「くくくっ...はははははっ!」

 

 

 

メレの言葉に、ブラコは声を上げて笑い出す。

 

 

 

「何が可笑しい...」

 

 

 

ブラコが笑っていることに、メレは怪訝な顔をする。

 

 

 

「理央の為に生きるか、既に死んでリンリンシーになっているというのに、可笑しな事を言うものだな」

 

 

 

ブラコは笑いながら、メレに近づいた。

 

 

 

「貴様は所詮死人、だから人間と愛する事なんか出来はしない...。理央は所詮貴様の気持ちを利用しているに過ぎない、直ぐに貴様を捨てるだろうよ。お前の理央に向ける愛する気持ちは、所詮蘇らせてくれた感謝な気持ちを勘違いしているだけに過ぎない」

 

 

 

「違う!私のこの気持ちは!そんなものじゃない!」

 

 

 

反論するメレだったが、全てを否定しきる事は出来なかった。

 

 

 

ブラコの言う通り、メレはリンリンシーで既に死んでいる。

 

 

 

生きている理央が、死人である自分を愛してくれるのかと色々と考えていた。

 

 

 

ブラコは明らかに迷っているメレを見て、笑みを浮かべた。

 

 

 

「リンギ!妖蛇斬!」

 

 

 

ブラコは2本の妖蛇刀で、メレを斬り付ける。

 

 

 

「きゃああああ!」

 

 

 

ブラコの攻撃を受け、メレは膝を着いてしまった。

 

 

 

そんなメレに、ブラコは近づき真毒・真を手渡した。

 

 

 

「生き返る事が出来たら、理央は貴様をちゃんと愛すだろうな」

 

 

 

(これを使えば...私は生き返る事が出来る。そうすれば...理央様は...)

 

 

 

そんな事をメレが考えていた、その時だった。

 

 

 

「リンギ!剛勇吼波!」

 

 

 

ガアアアアアァァ!!

 

 

臨気によって練られた、リンライオンがブラコを襲った。

 

 

 

「ぐああああ!」

 

 

 

油断していたブラコは、リンライオンに噛み付かれてしまう。

 

 

 

「何をしている、メレ」

 

 

 

そこに現れたのは、黒いマントを身に纏った理央だった。

 

 

 

だが、いつもだったら騒がしい筈のメレが静かな事に、理央は首を傾げた。

 

 

 

「メレ?」

 

 

 

不思議に思った理央は、地面に座り込んだメレに近づき声を掛けた。

 

 

 

「どうした?メレ」

 

 

 

そこでようやく、メレは理央の存在に気がついた。

 

 

 

「理央様...もういいんです...私は死人で、あなたは生きています。愛し合うことなんて出来はしない、理央様は何故死人である私を愛するのですか?」

 

 

 

メレは話していくにつれ、眼から涙が零れていく。

 

 

 

話を聞いていた理央は、メレの前にしゃがみ目線を合わせると額にデコピンを繰り出した。

 

 

 

「何を馬鹿な事を言っている、死んでいようが、生きていようが、メレはメレだ。死人だろうが関係ない、いつも騒がしいお前が好きなんだ。そんなお前を俺は愛している」

 

 

 

恥ずかしげもなく、理央はそう告げるとブラコと戦闘を始めた。

 

 

 

「おのれ、理央!もう少しで上手く行く所を!」

 

 

 

ブラコは作戦を台無しにされ、理央に対して激昂する。

 

 

 

「貴様こそ、俺の女に手を出したんだ。それ相応の覚悟は出来てるんだろうな!」

 

 

 

理央もメレを傷つかれた事により、ブラコに対して怒りを表した。

 

 

 

「臨獣ライオン拳!臨気凱装!」

 

 

理央は外殻化した臨気を、鎧として纏うことで黒獅子理央へと変わった。

 

 

 

「リンギ!烈蹴拳!」

 

 

 

脚に臨気を込め、ブラコに強力な蹴りを放つ。

 

 

 

「ぐぅ!」

 

 

 

ブラコは妖蛇刀をクロスすることで、理央の技を受け止める。

 

 

 

2人の戦う様子を、見ているメレだったが。

 

 

 

先程まで自分が考えていた事が、バカバカしくなった。

 

 

 

「私は理央様の愛の為に生き、愛の為に戦うラブウォリアー。誰に何と言われようとそれは変わらない!もう...私は迷わない!」

 

 

 

理央の本音を聞き、吹っ切れたメレだったが。

 

 

 

突如、ブラコに渡された真毒・真が光り輝いた。

 

 

 

「こ...これは...」

 

 

 

真毒・真が光り輝いている事に、戦っていた理央とブラコも気がついた。

 

 

 

「なんだ?」

 

 

 

「な、何が起きている!?」

 

 

 

突然の出来事に、2人は驚き戦いの手を止めた。

 

 

 

中でも、ブラコが一番驚愕していた。

 

 

 

真毒・真は光の粒子へと変わり、メレの周りを回って体の中へと吸収される。

 

 

 

ドクン!

 

 

体が光るのと同時に、今まで感じなかった鼓動がメレには聞こえた。

 

 

 

メレが胸に手を当てると、ドクン、ドクンと脈打っているのが分かった。

 

 

 

「心臓の...音...」

 

 

 

それはリンリンシーであるメレにとって、聞こえるはずが無い心音の鼓動だった。

 

 

 

ぼそりと呟いた声だったが、理央とブラコは聞き逃さなかった。

 

 

 

呟きを聞き、マスクの下で笑みを浮かべた。

 

 

 

「ば、馬鹿な!生き返ったと言うのか!?」

 

 

 

真毒・真を使えば暴走すると考えていたが、当てがハズレて想定外の事態が起こったことにブラコは驚愕する。

 

 

 

戦いの手を止めていた理央は、メレに向って叫んだ。

 

 

 

「メレ!お前の強さを見せ付けてやれ!今のお前なら出来るはずだ!」

 

 

 

「理央様...はい!」

 

 

 

理央が下がり、代わりにメレが前に出る。

 

 

 

「覚悟しなブラコ、さっきまでの私だと思ったら大間違いだよ!」

 

 

 

そう言って、メレはゲキチェンジャーを構えた。

 

 

 

「たぎりなさい!爬虫類の力!エプタイル・オン!」

 

 

 

掛け声ともに、右手甲のスイッチ部を触れることでメレにゲキスーツが装着される。

 

 

 

だが、頭部のマスクは怪人体の時の同じマスクではなく、理央の鎧と同じカメレオンを模したマスクへと変わっている。

 

 

 

「理央様の愛の為に、新たな力を得た新ラブウォリアー!獣拳カメレオン使いのメレ!!」

 

 

 

メレの名乗りを聞き、ブラコはさらに憤慨する。

 

 

 

「新たな力を手に入れただと!?ふざけるな!」

 

 

 

憤慨したブラコは、真毒・真を自分の胸に突き刺した。

 

 

 

ブラコは他の五毒拳のメンバーと同じ様に、体中に紫色の線が走った。

 

 

 

だが、自分の力であるお陰か自我を失う事は無かった。

 

 

 

「死ね!メレ!」

 

 

 

ブラコは妖蛇刀を構えながら、進化したメレに攻撃を仕掛ける。

 

 

 

メレはそれを釵を両手に構え、迎え撃つ。

 

 

 

その釵も、刀身が少し伸びていた。

 

 

 

ブラコの妖蛇刀の攻撃を、メレは両手の釵を交差させる事で受け止める。

 

 

 

ブラコは攻撃を受け止められると、直ぐ後ろに飛んでメレとの距離を離した。

 

 

 

「臨獣スネーク拳、リンギ!妖蛇斬!」

 

 

 

両手に構えた2本の妖蛇刀で、瞬時に跳びかかりつつメレを斬り付ける。

 

 

 

メレに攻撃が炸裂すると、砂煙が上がりメレの姿を隠してしまう。

 

 

 

ブラコは追撃しようと、砂煙の中に居るメレにさらに攻撃を仕掛ける。

 

 

 

ブラコが斬りつけた際に起こった風により、砂煙が晴れた。

 

 

 

なんとそこには、メレの姿は無かった。

 

 

 

「何!?一体何処に!?」

 

 

 

辺りを見渡すブラコだったが、上空からメレが攻撃を仕掛ける。

 

 

 

ブラコが妖蛇斬を放ち、砂煙が起こったと同時に上へと飛んだのだ。

 

 

 

「リンギ!舌禍繚乱!」

 

 

 

両手の釵で、ブラコ目掛けて無数の突きを放つ。

 

 

 

今まで長い舌で無数の突きを放っていたが、新しい姿ではマスクで覆われている為に舌が利用でき無かった。

 

 

 

「ぐう...」

 

 

 

メレの釵による無数の突きで、ブラコは怯んだ。

 

 

 

「何故だ!何故真毒・真を使っているのに俺が押されているんだ」

 

 

 

ブラコの叫びに、メレが答えた。

 

 

 

「それは簡単だ。あたしにはあって、お前には無いものがあるからだ」

 

 

 

「俺に無いものだと!?ふざけるな!確かにお前は生き返った様だが、それは俺も同じだ!」

 

 

 

ブラコは妖蛇刀で、紫色を帯びた臨気の塊を作り出した。

 

 

 

「臨獣スネーク拳!大臨蛇砲!」

 

 

 

ブラコは先程と同じ様に、大蛇砲の強化技である大臨蛇砲をメレに放った。

 

 

 

「お前に足りないもの...それは!誰かを愛する力だ!」

 

 

 

メレはそう言うと、先程は受け止める事が出来なかった大臨蛇砲を受け止めた。

 

 

 

「なっ!馬鹿な」

 

 

 

大臨蛇砲を受け止められた事に、ブラコは声を上げて驚いた。

 

 

 

「リンギ!絡撃拳!」

 

 

 

メレは大臨蛇砲に己の臨気を混ぜ合わせ、ブラコに放つ。

 

 

 

「うぐっ、ぐああああああ!」

 

 

 

メレの技がブラコに命中し、ブラコから炎が溢れ出す。

 

 

 

「ば、馬鹿な...一度ならず2度までも...」

 

 

 

ブラコがそう呟くと、体全体が炎に包まれた。

 

 

 

「ぐあああああああ!!」

 

 

 

ブラコはそのまま炎に包まれ、消滅した。

 

 

 

「良くやったな、メレ」

 

 

 

ブラコが倒された事を確認した理央が、メレに近づく。

 

 

 

「理央様、私やりました!」

 

 

 

理央の言葉に、メレはそう答えた。

 

 

 

「さて、そろそろあいつらに合流しないとな」

 

 

 

そう言って、理央はいおな達が戦っているであろう場所に視線を向けた。

 

 

 

「そうですね」

 

 

 

メレも、理央と同じ方向に視線を向けた。

 

 

___________________

 

 

キュアフォーチュンとサイアークの戦い。

 

 

 

途中、キュアプリンセスが合流して一緒に戦っている。

 

 

 

そして今、2体のサイアークにキュアフォーチュンの必殺技が放たれようとしていた。

 

 

 

「星の光を、聖なる光に!」

 

 

 

キュアフォーチュンの着けている指輪が光り輝くと、指輪から『フォーチュンタンバリン』が出現する。

 

 

 

「フォーチュンタンバリン!」

 

 

 

フォーチュンがフォーチュンタンバリンを手に取ると、大きいハートの装飾に手をかざす。

 

 

 

フォーチュンタンバリンを手で2回、おしりで1回叩く。

 

 

 

フォーチュンタンバリンを頭上に掲げる。

 

 

 

「プリキュア!スターライト・アセッション!」

 

 

 

フォーチュンタンバリンから、多くの星を乗せた衝撃波が2体のサイアークを襲った。

 

 

 

「星よ!天に還れ!」

 

 

 

フォーチュンの掛け声の後、サイアークは爆発に包まれた。

 

 

 

「キュアプリンセス」

 

 

 

サイアークが動けないのを確認すると、フォーチュンはプリンセスを呼んで右手を差し出した。

 

 

 

「あなたが来てくれて助かったわ。ありがとう」

 

 

 

「フォーチュンだって、凄くカッコ良かったんだから!」

 

 

 

プリンセスは、差し出された右手を両手で握り笑みを浮かべた。

 

 

 

2人のやり取りを見ていたリボンとぐらさんは、ニッコリと笑っていた。

 

 

 

そこに、空からプリンセス達を挟んでラブリーとハニーが降りてきた。

 

 

 

「世界に広がるビックな愛、キュアラブリー!」

 

 

 

「大地に実る命の光、キュアハニー!」

 

 

 

2人は名乗り上げるが、サイアークは既に倒された後だった。

 

 

 

「2人とも...遅すぎ...」

 

 

 

『え...』

 

 

 

少し遅れて、ゲキレッド達も到着した。

 

 

 

「何だよ、もう終わっちゃったのか?」

 

 

 

「凄ぇな」

 

 

 

既にサイアークが倒された事に、バイオレットとチョッパーが感心する。

 

 

 

「あれ?そういえば臨獣拳の気配も感じたんだが、そっちも倒したのか?」

 

 

 

ゲキレッドの言葉に、ブラコがメレの前に現れた事をプリンセスは思い出した。

 

 

 

「あっ!そうだ、忘れてた!メレさんの前にブラコが現れたんだった!」

 

 

 

『ええ!!』

 

 

 

プリンセスの言葉に、全員が驚いた。

 

 

 

「あっ!そういえば、爆発を見て理央さんがそっちに向ったけど...」

 

 

 

「じゃ、じゃあ!メレさんと理央さんは今、2人で戦っているの!?」

 

 

 

「早く向わないと!」

 

 

 

ラブリーの言葉を合図に、全員が動こうとしたその時。

 

 

 

「その必要はないよ」

 

 

 

そこに、メレと理央が姿を現した。

 

 

 

全員がメレのマスクが変わっていることに、直ぐに気付いた。

 

 

 

「メレ、お前新しい力を手に入れたのか?」

 

 

 

全員を代表して、ゲキレッドが質問する。

 

 

 

「ええ、ブラコの真毒と、理央様のお陰でね」

 

 

 

新しい力を手に入れた話をしようとした、その時だった。

 

 

 

『サイアーク!』

 

 

 

近くで倒れていたサイアークが起き上がり、雄叫びを上げながら巨大化する。

 

 

 

「話は後だ、全員であれやるぞ!」

 

 

 

理央が、ゲキレッド達に提案する。

 

 

 

「あれって...もしかしてアレか?」

 

 

 

「おおっ!アレか!」

 

 

 

「良し皆!気合入れて行くぞ!」

 

 

 

『おう!』

 

 

 

ゲキレッドの掛け声を合図に、全員が激気と臨気を練りだす。

 

 

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

 

 

「ゲキタイガー!」

 

 

 

「ゲキチーター!」

 

 

 

「ゲキジャガー!」

 

 

 

「ゲキウルフ!」

 

 

 

「いでよ!サイダイン!」

 

 

 

『リンギ!召来獣!』

 

 

 

「リンライオン!」

 

 

 

「リンカメレオン!」

 

 

 

それぞれが、自分のゲキビースト、リンビーストを召喚する。

 

 

 

「ブーン!さあ、始まりました!ゲキレンジャー対巨大サイアークの巨大戦!お送りしますは毎度おなじみ、激獣フライ拳使いのバエと!」

 

 

 

「増子美代がお送り致します!」

 

 

 

何処からか、いつもの2人が現れる。

 

 

 

「さあ、最初から全てのゲキビースト、リンビーストが集結だ!」

 

 

 

「前回と同じ様に、全激臨ビースト砲で2体とも一気に倒すのでしょうか?」

 

 

 

「さあ、どうでしょうか。この後の展開に期待しましょう!」

 

 

 

『獣拳合体!』

 

 

 

全員の掛け声を合図に、ゲキタイガー2足歩行となって後足が折畳まれる。

 

 

 

リンライオンが頭、胴体、背中、足、尾のパーツに分かれる。

 

 

 

サイダインにゲキタイガーが合体し、ゲキタイガーにリンライオンの頭、胴体と足が合体。

 

 

 

そして、背中と尾が合体し激臨剣となり右手に装着され、左手にリンカメレオンがくっついた。

 

 

 

『サイダイゲキリントージャ!バーニング・アップ!』

 

 

 

「出~~た~~!サイダイゲキリントージャだ!真に究極の獣拳合体として、これ以上のものはないと言っても良い形態だ!」

 

 

 

「凄い!これは私達でなくても、興奮必至といった所でしょう!」

 

 

 

2人が解説してると、何かがサイダイゲキリントージャを襲った。

 

 

 

「うおっ!なんだいきなり!?」

 

 

 

「何かに攻撃されたのか?」

 

 

 

不思議がるバイオレット達だったが、そこにフォーチュンの声が響いた。

 

 

 

「気をつけて!大きいサイアークの他に、チョイアークサイズの小さいサイアークもいるわ!」

 

 

 

フォーチュンの警告を受け、周囲を警戒していると速くて見えなかったが、確かに普通よりも小さい子供サイアークが存在した。

 

 

 

「あんなちっちゃい奴がいたのか」

 

 

 

あまりの小ささに、ゲキレッド達は驚く。

 

 

 

小さなサイアークが、もう一度サイダイゲキリントージャに攻撃を仕掛けようとした、その時。

 

 

 

「ガルルルゥゥゥアアアア!」

 

 

 

小型サイアークよりも速い速度で、ゲキチーターが小型サイアークを襲った。

 

 

 

「な、なんと!ゲキチーターが小型サイアークを捕らえた!」

 

 

 

小型サイアークは、猛スピードで距離を開けようとするが、ゲキチーターの足からは逃げる事は出来ずに爪による攻撃にダメージを与えられた。

 

 

 

「さすがはチーター!自慢の脚力で小型サイアークを追い詰める!」

 

 

 

小型サイアークをゲキチーターが喰わえ、空高くへと放り投げた。

 

 

 

「ニャオオオオオン!」

 

 

 

空高く上げられた小型サイアークに、ゲキジャガーの回転攻撃が決まる。

 

 

 

「決まったー!ゲキチーター、ゲキジャガーによるタッグ攻撃だ!」

 

 

 

ゲキチーターとゲキジャガーが小型サイアークと戦っている間も、サイダイゲキリントージャと巨大サイアークの戦いが行なわれていた。

 

 

 

「獅子吼!」

 

 

 

「槍舌突針(そうぜつとうしん)!」

 

 

 

胸のリンライオンの口から臨気の弾丸が連続で撃ち出され、左腕のリンカメレオンが鋭い舌を連続で打ち込む。

 

 

 

「おおっと!臨獣拳カップル2人による共同作業です!」

 

 

 

「さ、サイアーク!」

 

 

 

「サイアーク」

 

 

 

臨獣拳2人の攻撃を受け、巨大サイアークは吹き飛ばされて小型サイアークへとぶつかった。

 

 

 

「止めだ!」

 

 

 

サイダイゲキリントージャが前進すると同時に、サイダインの角で巨大サイアークと小型サイアークを空中高く突き上げる。

 

 

 

「これで止めです!サイダインに続いて、ジャガー、チーター、ウルフの連続攻撃です!」

 

 

 

美代の解説通り、サイダインが突き上げるとゲキチーターとゲキジャガー、そしてゲキウルフの攻撃が2体のサイアークを襲う。

 

 

 

『砕大激臨斬!』

 

 

 

上半身が高速回転し、2体のサイアークに激臨剣で無数の斬撃を与える。

 

 

 

『サイダイゲキリントージャ!WIN!』

 

 

 

「今日もこの町の平和が守られました!ありがとうゲキレンジャー!」

 

 

 

 

 

________________

 

 

河川敷。

 

 

 

誠司達はパーティをする為、大使館へと戻っていた。

 

 

 

「それにしても、メレがパワーアップするとわな」

 

 

 

「ええ、これも理央様の愛のお陰だわ」

 

 

 

メレが恥じかしげもなくそう言うと、すかさず理央が答えた。

 

 

 

「俺は思っていた事を言っただけだ」

 

 

 

理央はそっけない感じで答えたが、理央の手はしっかりとメレの手を握っていた。

 

 

 

「それに、2人だけでサイアークをやっつけちゃったなんて!」

 

 

 

「そりゃもうバッチリとね」

 

 

 

驚くめぐみに、ひめはドヤ顔で答える。

 

 

 

「本当なのか?いおな」

 

 

 

「ええ、ヒメルダ・ウィンドウ・キュアクイーン・オブ・ザ・ブルースカイの言うとおりよ」

 

 

 

誠司の質問に、いおなは返答する。

 

 

 

「もう、それ長いからひめでいいよ」

 

 

 

フルネームで呼ばれることを、ひめが指摘する。

 

 

 

「でも...」

 

 

 

「ふーん、本人が言ってるんだからぁ。いいでしょ、いおな?」

 

 

 

ひめは困り気味ないおなの両手を取り、にっこりと笑いながらそう聞いた。

 

 

 

「え...わかったわ、ひめ」

 

 

 

「うん、よろしい!」

 

 

 

そんな2人の様子を見て、誠司達は温かい目で見ていた。

 

 

 

「めぐみちゃん」

 

 

 

「うん」

 

 

 

ゆうこがめぐみに声を掛けると、めぐみはポケットからキュアラインを取り出した。

 

 

 

「これ、神様から預かってきたの。私、やっぱりこの4人でハピネスチャージプリキュアとして一緒にやっていきたい!」

 

 

 

「俺も賛成だぜ、いおな」

 

 

 

めぐみの言葉に、ぐらさんも賛同する。

 

 

 

「でも...」

 

 

 

「もう!いいからさっさと受け取る!」

 

 

 

遠慮気味のいおなに、ひめは無理矢理手に取らせる。

 

 

 

出かける前とは対極的行動に、誠司達はあんぐりとする。

 

 

 

「もう、仕方ないわね」

 

 

 

「決まりだな」

 

 

 

その時、リボンが力を感じるのに気付いた。

 

 

 

「これは!アニマルな豹のパワーを感じますわ!こちょこちょしてくださいな!」

 

 

 

「こちょこちょ」

 

 

 

ひめがいつものように、リボンの鼻をこする。

 

 

 

「はっ、はっ、はっ、はっぴっしょん!」

 

 

 

リボンがくしゃみをすると、アニマルのプリカードが生まれた。

 

 

 

「というわけで、私も下の名前で呼んで!いおなちゃん!」

 

 

 

「え!?」

 

 

 

「私もお願い!」

 

 

 

名前で呼ぶことを要求するめぐみに、いおなは驚き。

 

 

 

それに、ゆうこも便乗する。

 

 

 

「めぐみ...ゆうこ...」

 

 

 

『おー!(うわー!)』

 

 

 

いおなが名前で呼んでくれた事に、めぐみとゆうこは感激する。

 

 

 

「あー、ほらほら、早く戻ってパーティしようよ!私もう腹減りグーなんだからぁ」

 

 

 

『ははははははっ!』

 

 

 

ひめの言葉に、笑う一同。

 

 

 

 

 

 

その後、大使館に戻ってきた誠司達はパーティを行なった。

 

 

 

テーブルの上には1つのケーキがあり、プレートには『ようこそ★いおなちゃん ハピネスチャージプリキュア』と書かれていた。

 

 

 

そのプレートをリボンとぐらさんが持っており、プレートの前にはラブリー、プリンセス、ハニー、フォーチュンの人形が置かれていた。

 

 

 

「せーの!」

 

 

 

『ようこそ、ハピネスチャージプリキュアへ!』

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

ぴかり山。

 

 

 

そこに、最後に使った真毒・真のお陰で生き延びたブラコが居た。

 

 

 

自分の秘伝リンギだったお陰か、ブラコだけ復活する事が出来たのだ。

 

 

 

だが、メレにやられたダメージまでは消す事が出来なかった。

 

 

 

「これで終わると思うなよ...次こそは必ず!っ!?」

 

 

 

前よりも復讐心が高まるブラコだったが、辺りから気配を感じて周囲を警戒する。

 

 

 

周りを見るが、誰も居なかった。

 

 

 

だがその時、ブラコは背後に気配がするのに気付いた。

 

 

 

急いで振り返ると、フードを被った男が居た。

 

 

 

ブラコは驚き、冷汗を掻きながら後ろに下がる。

 

 

 

「君のおかげで実験は成功したよ...哀れな青蛇君」

 

 

 

馬鹿にする口調で、フードの男はブラコに話しかけた。

 

 

 

「実験...?実験とはどういうことだ!?」

 

 

 

フードの男の言葉に、ブラコは食いついた。

 

 

 

「簡単な事だ。最初にお前を助けた件だが、元々お前には用は無かったが真毒だけに用があったんだ」

 

 

 

「俺の真毒に?」

 

 

 

「だからお前を実験用のモルモットとして、ついでに生かしといたんだ」

 

 

 

衝撃の真実に、ブラコは言葉も出なかった。

 

 

 

「メレなら強化した真毒の壁を越えて、真の力に目覚めると考えていたがこうも上手く行くとはな」

 

 

 

「まさか...その為に俺の復讐心を利用して、メレに渡すように仕向けたのか!」

 

 

 

フードの言葉を聞いて、意図に気付き怒りを表す。

 

 

 

「ちなみに言っとくと、俺の側近にしてやると言ったのも真っ赤な嘘だ」

 

 

 

ブラコは真実を知って自分がモルモット扱いにされ、更に復讐心も利用された事。

 

 

 

自分のせいで他の五毒拳の四人が、実験に使われてしまった事を後悔する。

 

 

 

「ふざけるなぁぁぁぁ!!」

 

 

 

全てが重なり、キレてフードの男に攻撃仕掛ける。

 

 

「うおおおおおおお!!」

 

 

 

連続で攻撃を仕掛けるが、全て避けられてしまう。

 

 

 

フードの男が隙を突き、ブラコの額に触れる。

 

 

 

途端、ブラコは意識を失った。

 

 

なぜなら、首から上が無くなっていたからだ。

 

 

 

フードの男が頭を失ったブラコに近づくと、フードの中から口が現れブラコの死体を食べ始めた。

 

 

 

くちゃ!ぐちゃ!

 

 

 

ぴかり山に、食べる音が響いた。

 

 

 

死体を食べ終わった所に、ツトコウが現れた。

 

 

 

「???様」

 

 

 

ツトコウはフードの男の名前を口にすると、目の前で膝をついた。

 

 

 

「ツトコウか...これから実験の第2段階に入るぞ」

 

 

 

「了解しました」

 

 

 

ツトコウは、頭を下げて返事をする。

 

 

 

フードの男はそう呟くと、その場を離れた。

 

 

 

フードの男が消えてツトコウも消えようとしたが、足元にブラコの肉片が落ちている事に気付いた。

 

 

 

ツトコウは、肉片を足で踏み潰した。

 

 

「ふん、地獄の底で永遠に後悔するがいい」

 

 

 

鼻で笑いながらそう呟くと、ツトコウはその場を離れた。




はい!如何だったでしょうか?

今回の投稿は、見やすいように文字の間の空白を増やして見ましたが、どちらが見やすいでしょうか?

こちらが見やすいのであれば、これからはこの書き方で行こうと思います。

また、今回メレのパワーアップのアイデア提供して頂いた読者の方、本当にありがとうございます!

メレの強化会ということもあり、今回の巨大戦はサイダイゲキリントージャにしました!

その代わり、考えるのが大変でしたが。



さて!次回はオリジナル劇場版に入ります。

本当に長かった、この会を書けるのを待っていました。

そのオリジナル劇場版のタイトルは、次の通りになります。





『獣拳戦隊ゲキレンジャー VS プリキュアオールスターズ』



スーパー戦隊のVSシリーズ、炎神戦隊ゴーオンジャーVSゲキレンジャーを元に書きます。

と言っても、ゴーオンジャーは出てきませんが。

楽しみにしていて下さい。



それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

獣拳戦隊ゲキレンジャー VS プリキュアオールスターズ
第23話 並行世界!? もうひとつのぴかりヶ丘!


どうも!ナツ・ドラグニルです!


今回、やっと待望のオリジナル劇場版を投稿出来ました!


前回の後書きで書いた通り、ゴーオンジャー対ゲキレンジャーを参考にしております。


それでは作品を、どうぞ!


いおながチームに入った翌日、誠司達は早朝の修行を終えて大使館に集まっていた。

 

 

「やっぱり皆で一緒にやると、修行が捗るわね」

 

 

そう答えたのは、先日ハピネスチャージに仲間入りしたいおなだった。

 

 

「皆でやればより楽しいし、団結力も生まれるからね」

 

 

「それに修行の後にシャワー浴びるのも、さっぱりして気持ちいいしね」

 

 

「あっ!それ分かる」

 

 

めぐみとひめが、そんなやり取りをする。

 

 

「あっ!そうだ!いおなに渡すものがあったの忘れてた」

 

 

誠司はそう呟くと、その部屋から出て行った。

 

 

「私に渡す物って何かしら?」

 

 

「もしかして、いおなちゃんがハピネスチャージに加入したお祝いだったりして!」

 

 

「あっ!あるかも!」

 

 

めぐみ達が色々と考察する中、誠司が中々大きい箱を持って戻ってきた。

 

 

誠司はいおなの目の前に箱を置く。

 

 

箱には、紫色のリボンが装飾されていた。

 

 

「これは?」

 

 

「開けてみれば分かるよ」

 

 

疑問に思ったいおなだったが、誠司にそう言われとりあえず開けることにした。

 

 

いおなが箱を開けると、中から出てきたのはリンが使っているゲキファンと同じものが入っていた。

 

 

いおなの物は、ゲキファンの要と中骨の部分が青に対して、紫色が施されていた。

 

 

「それは『フォーチュンファン』と言ってな、スクラッチが開発したいおな専用の武器だ」

 

 

いおなはフォーチュンファンと手に取り、まじまじと見つめた。

 

 

「いおなが仲間に入った時に、渡そうと決めてたんだ」

 

 

誠司の言葉を聞き、いおなはフォーチュンファンを嬉しそうに抱きしめた。

 

 

新しい武器を手に入れたのもそうだが、誠司に認められたことがいおなに取って嬉しい事だった。

 

 

「おい、そろそろ支度した方がいいんじゃないか」

 

 

その時、ゴウが誠司達に近づく。

 

 

「ああ、もうそんな時間か」

 

 

「何処か行くの?」

 

 

いおなの疑問に答えたのは、意外にも理央だった。

 

 

「何だ知らないのか?今から俺達の世界に行くんだ」

 

 

「理央さん達の世界!?どういうこと?」

 

 

思わぬ台詞に、いおなは驚愕する。

 

 

「マスター・シャーフーに呼ばれたんだよ」

 

 

「一度戻って来いってな」

 

 

ゴウとケンが、いおなの質問に答える。

 

 

「時間だ」

 

 

誠司がそう呟くと、壁に次元の渦が発生する。

 

 

「行くぞ!」

 

 

誠司の掛け声を合図に、全員が次元の渦の中へと入っていく。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

誠司達が次元の渦から出ると、そこは何処かのビルの中だと言うことが分かった。

 

 

次元の渦を出ためぐみ達は、さっそく部屋を見渡した。

 

 

「ここって?」

 

 

「ここはスクラッチ本社内にある、特別開発室じゃ」

 

 

そう答えたのは、誠司達の中の誰でも無かった。

 

 

誠司達が声のした方を向くと、そこには7人の拳聖達がいた。

 

 

『マスター・シャーフー、お久しぶりです!』

 

 

誠司達ゲキレンジャー組は、右拳を左手で包み挨拶をする。

 

 

「うわぁ、本当に動物達が2足歩行で歩いてる!」

 

 

「すごい!」

 

 

七拳聖を初めて見ためぐみ達は、興奮する。

 

 

「御主達がハピネスチャージプリキュアじゃな」

 

 

マスター・シャーフーが、めぐみ達に質問する。

 

 

「はい!私は誠司の幼馴染で、愛乃めぐみと言います。プリキュアの名前はキュアラブリーです!」

 

 

全員を代表し、まずはめぐみが元気一杯に挨拶をする。

 

 

「わ、私は白雪ひめです。せ、誠司とはクラスメイトで、キュアプリンセスです...」

 

 

次はひめが、おどおどしながら答えた。

 

 

「私もめぐみちゃんと同じ誠司君の幼馴染で大森ゆうこと言います。プリキュアの時の名前はキュアハニーです!」

 

 

「キュアフォーチュンの氷川いおなです!誠司君とはクラスメイトです」

 

 

「私はリボンと申しますわ、ひめの世話係みたいなものですわ」

 

 

「俺はぐらさん、いおなのパートナーだ」

 

 

ゆうこといおなの自己紹介に続き、リボンとぐらさんも含めた全員の自己紹介が終わる。

 

 

「うむ、めぐみにひめ、ゆうこにいおなじゃな。ワシはシャーフー、誠司達全員の師匠じゃ」

 

 

暮らしの中に修行ありをポリシーに持つ、激獣フェリス拳使いのマスター・シャーフー。

 

 

「俺ちゃんはエレハン・キンポーだゾウ!ランちゃんの師匠だゾウ!」

 

 

遊びの中に修行ありをポリシーに持つ、激獣エレファント拳使いのエレハン・キンポー。

 

 

「私の名はバット・リー!リンの師匠だ」

 

 

忘我の中に修行ありをポリシーに持つ、激獣バット拳使いのバット・リー。

 

 

「シャッキーン!僕はシャッキー・チェン!誠司の師匠だ!宜しく!」

 

 

自身のポリシーと呼べるものをまだ持っていない、激獣シャーク拳使いのシャッキー・チェン。

 

 

「荒ぶる賢人、レイジングハート!ゴリー・イェン」

 

 

マスタートライアングルの一角、心を司る激獣ゴリラ拳の使い手、ゴリー・イェン。

 

 

「華麗なる戦いの女神、シュープリームテクニック!ミシェル・ペングよ!」

 

 

マスタートライアングルの一角、技を司る激獣ペンギン拳の使い手、ミシェル・ペング。

 

 

「俺はサバンナの遊撃手、アンダイイングボディ!ピョン・ピョウ!」

 

 

マスタートライアングルの最後の1人、体を司る激獣ガゼル拳の使い手、ピョン・ピョウ。

 

 

「マスター・シャーフー達は、激獣拳ビーストアーツの頂点に立つ7人の獣拳使い、それが七拳聖なんだ」

 

 

七拳聖を知らないであろう、めぐみ達に誠司が説明する。

 

 

「中でも、《心・技・体》をそれぞれ最も極めた3人はマスター・トライアングルと呼ばれる称号を持つのよ」

 

 

「それが、マスター・ゴリー達よ」

 

 

ランとリンが、自分達トライアングルの先輩であるマスタートライアングルの説明をする。

 

 

「さて...来て早々悪いが、お主達に良い知らせと悪い知らせがあるんじゃ」

 

 

「良い知らせと悪い知らせ?」

 

 

「それは一体...」

 

 

マスター・シャーフーの言葉に、誠司達は疑問符を浮かべる。

 

 

「まず良い知らせじゃが...御主達に渡した武器はちゃんと使っておるようじゃな」

 

 

「はい!」

 

 

「勿論です!」

 

 

シャーフーの言葉に、めぐみ達は元気一杯で答える。

 

 

「私は、今日貰ったばっかりなのでまだ...」

 

 

今日、武器を貰ったばっかりのいおなは歯切れ悪く答える。

 

 

「武器にプリキュアの力を込めて戦えるから凄いよね」

 

 

「さすがはスクラッチ社!プリキュアの力を込められるように改良するなんて」

 

 

「そんな事はしてないゾウ」

 

 

ケンが何気なく呟いた言葉に、エレハンが答えた。

 

 

『え!?』

 

 

思いがけない言葉に、全員が驚愕の声を上げた。

 

 

「じゃ...じゃあ、何でプリキュアの力を激気のように込められるんですか?」

 

 

めぐみの疑問に答えたのは、マスター・シャーフだった。

 

 

「それが良い知らせじゃ、どうやら御主達が使うプリキュアの力は、獣拳と似て非なる力のようじゃ」

 

 

「だからラブリー・ヌンチャクやハニー・トンファーに、力を込める事が出来るんだぞ!」

 

 

シャーフとエレハンの言葉を聞いて、プリキュア達は唖然とする。

 

 

「御主達がもっと修行すれば、倍々分身拳を習得する事も可能じゃ」

 

 

「ほ、本当ですか!?」

 

 

思わず、誠司が驚愕の声を上げる。

 

 

「倍々分身拳?」

 

 

「何それ?」

 

 

聞き慣れないゲキワザに、めぐみ達は疑問符を浮かべる。

 

 

「分かりやすくいえば、俺達のゲキトージャの事だよ」

 

 

『え!?』

 

 

誠司が分かりやすく教えた事で、事の重大性に気づいた。

 

 

「と言うことは、私達にもゲキビーストが出せるって事?」

 

 

「そういうことじゃ」

 

 

「凄い!私達も巨大戦に参加出来るようになるんだ!」

 

 

「やったね!」

 

 

今まで巨大戦を見ている事しか出来なかっためぐみ達だったが、自分達もゲキビーストを召喚出来ると知って喜ぶ。

 

 

「プリキュアのゲキビーストだから、キュアビーストだね!」

 

 

ひめがゲキビーストを、キュアビーストと名づけた。

 

 

「さて、次に悪い知らせじゃな」

 

 

マスター・シャーフの台詞で、緩んでいた気持ちを全員が気を引き締めた。

 

 

「何かあったんですか?」

 

 

誠司が質問するが、七拳聖の全員が黙ってしまう。

 

 

沈黙していた七拳聖達だったが、マスター・シャーフーが口を開いた。

 

 

「実は...慟哭丸が何者かに盗まれたのじゃ」

 

 

『なっ!?』

 

 

シャーフーの口から告げられた事に、誠司達は驚愕する。

 

 

「慟哭丸って?」

 

 

「永遠の時を生き、退屈を紛らわせる為だけに世界を滅ぼそうとした最悪の存在、無限竜ロンを封じた玉だ」

 

 

「二度と出てこれねぇように、スクラッチ社で保管していたんだ」

 

 

ゆうこの疑問に、ゴウとケンが答えた。

 

 

「そんな危険な物が...一体誰が...」

 

 

「分からん、じゃが...盗んだ者は何かを企んでるはずじゃ。必ず御主達の前に現れるじゃろう」

 

 

横一列に並んでいた七拳聖達だったが、シャーフーが一歩前に歩み出た。

 

 

「盗んだ者が慟哭丸を使い、何をするか分からん。御主達、油断することなく対処するんじゃ」

 

 

『はいっ!』

 

 

「ああ」

 

 

「分かってるわ」

 

 

シャーフーの言葉に、それぞれが答える。

 

 

「良し!誰だか知らないが、絶対に慟哭丸を取り戻すぞ!」

 

 

『応!』

 

 

誠司の掛け声に、めぐみ達を含めた全員が答える。

 

 

その時、室長である美希の姿が無い事に誠司が気づく。

 

 

「あれ?そういえば美希さんは?」

 

 

「美希なら、道場のほうで門下生達の修業を行っている」

 

 

「道場?そんなのあるんですか?」

 

 

「勿論じゃ、若き獣拳使いを育てる道場じゃ」

 

 

誠司達以外にも獣拳使いをいるとは思わなかったのか、めぐみたちは驚いていた。

 

 

「なんなら、今から行ってみるかのう?」

 

 

『はい!』

 

 

シャーフーの問い掛けに、めぐみ達は元気よく答えた。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「始め!1、2、3!1、2、3!」

 

 

美希の指導の元、多くの子供達が獣拳の修行を行っていた。

 

 

中には、真央と同じくらいの子供も混じっている。

 

 

「あんな小さな子も激獣拳を学んでいるんだ!」

 

 

「凄ーい!」

 

 

すると、美希が手を数回叩き、次の指示を子供達に出す。

 

 

「はい!次、組み手!始め!」

 

 

子供達は2人1組になり、組み手を始めた。

 

 

美希も1人の子供と、組み手を始めた。

 

 

その子供は、誠司達に近い歳の女の子に見えた。

 

 

『はっ!はっ!はっ!はっ!』

 

 

美希と女の子は組み手をしていると、2人とも激気を込めだした。

 

 

「はああああ!」

 

 

「はああああ!」

 

 

『はぁ!』

 

 

お互いが込めた激気を前に放つが、女の子が放った激気は獣の形をしておらず、ただの激気の塊が美希に向かって放たれた。

 

 

その激気の塊を、美希が放った激気はレオパルドへと変化し、女の子が放った激気を飲み込んだ。

 

 

その様子を、めぐみ達は口を開け、あんぐりとしていた

 

 

まさか自分達と歳も変わらない女の子が、獣拳を使えるとは思わなかったのか凄く驚いている。

 

 

「ああ!」

 

 

「誠司!みんな!」

 

 

すると、誠司達に美希が気づき声を上げる。

 

 

相手していた女の子も、誠司達に近づく。

 

 

「おかえりなさい!」

 

 

「おう!なつめも大きくなったな!」

 

 

誠司は女の子の頭に手を乗せて、女の子の頭を撫でる。

 

 

「誠司、この子と知り合いなの?」

 

 

美希と組み手をしていた女の子が、誠司達と親しそうに話していることに疑問に思っためぐみが質問する。

 

 

「ああ、この子は美希さんの娘で、なつめって言うんだ」

 

 

「宜しくね!」

 

 

なつめが自己紹介すると、めぐみとゆうこがなつめに近づく。

 

 

「凄いね、私達と年も変わらないのに獣拳使えるなんて!」

 

 

「そんな、誠司達に比べたら私なんて全然...」

 

 

なつめは珍しく、自信なさげに答える。

 

 

「何言ってんだよ、初めて間もないのにあそこまで激気を込められるんだから対したものだよ」

 

 

そう言って、誠司は尚もなつめの頭を撫でた。

 

 

「えへへへ///」

 

 

大好きな誠司に撫でられて、なつめはご満悦だった。

 

 

その2人の様子を、めぐみ達はおもしろくない様子で見ていた。

 

 

「おや~?まさかなつめちゃん相手に嫉妬ですか~?」

 

 

そんな女性陣に、エレハン・キンポーが茶々を入れた。

 

 

『うるさい!』

 

 

「あいたっ!」

 

 

ランとリンの肘打ちが、エレハンの顔面に打ち込まれた。

 

 

「さて...エロハンの事は放って置くとして、プリキュアの皆に街を案内した方がいいんじゃないの?誠司」

 

 

「俺ちゃんは、エレハン・キンポーだゾウ!」

 

 

美希の言葉に、エレハンが指摘するが誰も聞いていなかった。

 

 

「そうですね、そうします。皆はどうする?」

 

 

めぐみ達を案内する誠司は、ラン達はどうするか確認する。

 

 

「俺はしばらく、ゆっくりするぜ」

 

 

「俺もだ」

 

 

『私も』

 

 

ゴウとケン、ランとリンはゆっくりすると答えた。

 

 

「俺は俺で出掛けるぞ」

 

 

「なら、メレもお供致しますわ」

 

 

理央は出掛けることを伝え、メレは同行する事を申し出る。

 

 

「そうだ皆、そろそろゲキチェンジャーの調整が必要じゃないかしら?」

 

 

「そうですね。俺は勿論、ラン達は俺の世界に来てから一切メンテナンスをしていなかったから」

 

 

誠司はそう言って、自分が身に付けているゲキチェンジャーに視線を向ける。

 

 

「ちょうどいいから、しばらく調整するために預かるわ」

 

 

「分かりました」

 

 

誠司は美希にゲキチェンジャーを渡す。

 

 

『お願いします!』

 

 

「頼むぜ、美希」

 

 

「オッス!お願いします!美希さん!」

 

 

ラン達も続いて、ゲキチェンジャー、ゴングチェンジャー、サイブレードを渡した。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司達はその後、街を案内する為にスクラッチから出た。

 

 

「わぁー!大きい会社!」

 

 

「スクラッチ社って、表向きはスポーツメーカーなんだ」

 

 

めぐみは自分達が先程までいた場所の大きさに、驚愕の声を上げる。

 

 

「さて、まずは何処行く?」

 

 

「お洋服屋さん!」

 

 

「飲食店!」

 

 

ファッションに興味があるひめは洋服屋と、ご飯が大好きなゆうこは飲食店と答える。

 

 

「じゃあ、服買いに行った後にご飯にしましょうですわ」

 

 

「そうだな」

 

 

リボンの提案に誠司が乗り、商店街がある方へと向かった。

 

 

誠司の後を追うめぐみ達は、別の世界と言う事もあり周りをキョロキョロと見渡していた。

 

 

「別の世界と言っても、私達の世界と全然変わんないんだね」

 

 

「まあな、ここは俺達の世界と何ら変わりないぞ」

 

 

めぐみの疑問に、誠司は答えた。

 

 

そんなやり取りをしていると、誠司達は商店街に到着した。

 

 

「さて...じゃあ早速買い物でも...」

 

 

いざ買い物をしようとした誠司達だったが、その時。

 

 

 

ドカーン!

 

 

突如、近くで爆発が起きた。

 

 

「何!?」

 

 

突然の爆発に、戸惑う誠司達だったが目の前ではありえるはずの無い光景が広がっていた。

 

 

「ホワチャー!」

 

 

暴れている人物は、ヌンチャクを手に持ちサングラスをかけた見覚えのある存在だった、

 

 

それは...、この世界には居ない筈のサイアークだった。

 

 

「サイアーク!?」

 

 

「何でこの世界に!?」

 

 

自分達の世界に現れるならまだ分かるが、ここは別の世界。

 

 

まず、サイアークが居ること自体がおかしいのだ。

 

 

「よく分かりませんが、今すぐ変身ですわ!」

 

 

『うん!』

 

 

「おう!」

 

 

リボンの台詞の後、めぐみ達は変身アイテムを構える。

 

 

『かわルンルン!』

 

 

めぐみ達はプリチュンミラーにプリキュアのプリカードを、いおなはフォーチュンピアノにプリキュアのプリカードを装填する。

 

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

 

「プリキュア!キラリンスターシンフォニー!」

 

 

めぐみ達はそれぞれ、プリキュアへと変身する。

 

 

「たぎれ!獣の力!ビースト・オン!」

 

 

誠司に瞬間的にゲキスーツが装着され、ゲキレッドへと変身...

 

 

 

 

 

しなかった。

 

 

 

「あれ?」

 

 

変身出来ない事に疑問を浮かべた誠司だったが、手元を見てなぜ変身出来ないか分かった。

 

 

「しまったー!ゲキチェンジャー調整に出してたんだった!」

 

 

ゲキチェンジャーを調整に出している事を思い出し、頭を抱える。

 

 

「ああっ!そうじゃん!」

 

 

「誠司君どうするの?」

 

 

誠司が変身出来ないという事態に、プリンセスもゲキチェンジャーが無い事を思い出し、ハニーは誠司の心配をする。

 

 

「変身できなくても、こんな奴に負けないぜ!」

 

 

変身出来なくても意気込む誠司だったが、全員して信じられない物を目にする。

 

 

「お前等!さっきからうるさいッチャ!このヌンチャクサイアーク様に勝てると思ってるのか?」

 

 

 

 

 

 

「へ?」

 

 

『え?』

 

 

 

 

 

 

思わぬ出来事に、全員して間抜けな声を出してしまう。

 

 

『えぇ―――――!!』

 

 

しばらく呆然としていた誠司達だったが、数秒後に驚愕する声を上げた。

 

 

「さ...サイアークが喋った!」

 

 

「嘘!?」

 

 

流暢に喋りだしたサイアークに、めぐみ達は驚きを隠せなかった。

 

 

「何を驚いているか分からないが、俺に喧嘩を売ったからには覚悟をするッチャ!」

 

 

ヌンチャクサイアークは、ヌンチャクを構えながら誠司達に叫ぶ。

 

 

「ラブリー!ラブリーヌンチャクを俺に渡せ!」

 

 

その時、拳を構えるラブリーに対して、誠司が指示を出す。

 

 

「え?わ、分かった!」

 

 

いきなりの事で意図を理解できなかったラブリーだったが、とりあえず言われた通りする事にした。

 

 

ラブリーはラブリーヌンチャクを取り出し、誠司に投げ渡した。

 

 

「サンキュー!」

 

 

誠司は振り回しながら、ラブリーヌンチャクに激気を込めた。

 

 

「激気注入!」

 

 

誠司は先程のマスター・エレハンの言葉、ラブリーヌンチャクとゲキヌンチャクはまったく同じ物だということを思い出した。

 

 

その為、誠司でもラブリーヌンチャクを使えると考えたのだ。

 

 

ヌンチャクサイアークが振り回すヌンチャクに対し、誠司もヌンチャクを振り回し対抗する。

 

 

「はぁ!」

 

 

「ホワチャー!」

 

 

しばらく均衡する誠司達だったが、壁に当たったヌンチャクを誠司が足で押さえ動きを止めた。

 

 

「隙あり!」

 

 

ヌンチャクを横薙ぎして、ヌンチャクサイアークを吹き飛ばす。

 

 

「凄い、変身しなくても圧倒するなんて」

 

 

「生身でも強いんだな」

 

 

サイアーク相手に生身で戦う誠司に、フォーチュンとぐらさんは驚いた。

 

 

ヌンチャクでの勝負が不利だと感じたのか、ヌンチャクサイアークはヌンチャクを投げ捨て拳を構える。

 

 

「こうなったら...臨獣トータス拳リンギ!」

 

 

「臨獣拳!?」

 

 

「サイアークが!?」

 

 

サイアークが臨獣拳を使うことに、またも誠司達は驚愕する。

 

 

空烈波(くれっぱ)!」

 

 

ヌンチャクサイアークの両手から発生した竜巻によって、誠司達は空高く舞い上げられた。

 

 

『うわぁぁぁぁぁ!』

 

 

竜巻はそのまま空に穴を開け、誠司達も穴の中に吸い込まれてしまった。

 

 

「はぁ!」

 

 

ヌンチャクサイアークも誠司達の後を追い、穴の中に飛び込んだ。

 

 

その後、ラン達が駆けつけるも既に手遅れだった。

 

 

「くそっ!遅かったか!」

 

 

遅れたことに、ゴウは悔しがった。

 

 

「どうしよう!?」

 

 

「取り敢えず、マスター達に報告するんだ!」

 

 

ラン達は誠司達を救うべく、スクラッチ社へと急ぐ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『うわぁ――――――!!』

 

 

穴に吸い込まれた誠司達だったが、いきなり地面に放り出された。

 

 

「あいたっ!」

 

 

「うわっ!」

 

 

誠司達は咄嗟の事だったので、全員が受身も取れず全身を打ち付けてしまった。

 

 

「いたたた...」

 

 

誠司は打ちつけた背中を押さえながら、何とか立ち上がろうとする。

 

 

「全員大丈夫か?」

 

 

立ち上がりながら、誠司は全員の安否を確認する。

 

 

「私は大丈夫」

 

 

「私も」

 

 

めぐみとゆうこが、直ぐに返答する。

 

 

「私も大丈夫、体のあちこち痛いけど...」

 

 

「私も大丈夫ですわ」

 

 

ひめはお腹から落ちたのか、お腹を押さえていた。

 

 

「私も大丈夫よ、ぐらさんは?」

 

 

「俺も大丈夫だ」

 

 

いおなは返事した後、パートナーであるぐらさんの心配をする。

 

 

ぐらさんも何ともと、元気よく返答する。

 

 

「皆大丈夫みたいだな、取り敢えずここが何処だか調べる必要が...」

 

 

ある、という言葉を口にしようとした誠司だったが、ある物を見つけ固まってしまった。

 

 

話している途中で、喋るのをやめた誠司を不審に思うめぐみ達だったが、同じ方向を見てめぐみ達も固まってしまう。

 

 

なぜならそこには、めぐみ達にとって見覚えのある建物があったからだ。

 

 

それは、めぐみ達の町に存在する『ぴかり神社』だった。

 

 

「ぴかり神社!?」

 

 

「嘘!?めっちゃ近所じゃん!」

 

 

誠司達は別の世界に飛ばされたと分かったが、それが自分達の世界だと知り驚愕する。

 

 

「戻ってきたって事?」

 

 

「そうみたいだな」

 

 

辺りを見回しながら、めぐみの問いに誠司は答えた。

 

 

「これからどうする?」

 

 

今後どうするか、ゆうこは全員に問いかける。

 

 

「取り敢えず、大使館であのサイアークが出てくるのを待つしかないな。俺達がこの世界に戻ってきたって事は、あいつもこの世界にいるだろうからな」

 

 

「それもそうだね」

 

 

「分かったわ」

 

 

「でしたら、私は先に戻ってご飯の用意でもしますですわ」

 

 

誠司の提案に全員が賛同すると、リボンが先に帰ることを伝える。

 

 

「そうだな、さっき飯食べ損ねたし」

 

 

「だったら俺も手伝うぜ」

 

 

リボンの言葉に誠司も同意し、ぐらさんがリボンに手伝いを申し出た。

 

 

「ありがとうですわ、ぐらさん」

 

 

リボンはお礼を言うと、ぐらさんを連れて先に大使館へと飛んでいった。

 

 

「じゃあ、俺達も戻るか」

 

 

誠司はめぐみ達を引き連れ、歩いて大使館へ向かう。

 

 

この時、誠司達は知る由もしなかった。

 

 

ここが自分達の住んでいる町と殆ど同じだが、1つだけ大きな違いがあることに。

 

 

そしてこの後、知ることになるだろう。

 

 

ここが自分達の世界ではないことに......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「それにしても...まさかサイアークが喋りだすとはな」

 

 

「そうだね...今までもサイアーク!って叫んでただけだもんね」

 

 

「まさか、あんな流暢に喋りだすとは思わないわよ」

 

 

誠司達は大使館に戻りながら、先程戦ったサイアークに関して話をする。

 

 

「一番の問題は、なんでサイアークが臨獣拳を使えたのかだ」

 

 

そこで、誠司がサイアークが臨獣拳を使ったことについて話し出す。

 

 

「もしかして...慟哭丸が盗まれた事と何か関係してるのかな?」

 

 

「かもしれないな」

 

 

そんな話をしてる誠司達だったが、不意に後ろから話しかけられた。

 

 

「あれ?皆こんな所で何してるんだい?」

 

 

話しかけれた誠司達は後ろを振り向くと、そこには買い物袋を持ったブルーと、何故か先程先に行った筈のリボンとぐらさんがいた。

 

 

「ブルー!?お前こそ何してんだよ、こんな所で」

 

 

ブルーが外にいるとは思わなかった誠司は、驚いて逆に質問してしまった。

 

 

「何って、皆が準備で手が離せないから買い物に行ってたんじゃないか」

 

 

「それよりも、ひめ達は何してますの?準備は終わったんですの?」

 

 

ブルーが手に持っている買い物袋を掲げながらそう話すと、今度はリボンが質問してきた。

 

 

「準備って何の話?」

 

 

「何って、パーティの準備ですわ。今日は他の町にいるプリキュアの皆様を呼んで、パーティーするって言ってたじゃないですか」

 

 

『パーティー!?』

 

 

身に覚えのない誠司達は、揃って疑問符を浮かべた。

 

 

「てか、リボンとぐらさんは大使館に先に戻ったんじゃなかったか?何でブルーと一緒にいるんだよ」

 

 

誠司の言う通り、リボンとぐらさんはご飯の支度をするべく先に大使館に戻った筈だった。

 

 

だから、誠司達の後ろから現れるのはおかしい事なのだ。

 

 

「何言ってますの?私達はずっと神様と買い物をしてましたわ」

 

 

話が噛み合わず不思議がる誠司達だったが、この後信じられない物を目にする事になる。

 

 

「た、大変ですわ~!!」

 

 

「大変だぜ~!!」

 

 

すると今度は誠司達の後ろから、叫び声が聞こえた。

 

 

誠司達が声のした方を振り向くと、なんとそこには...慌てた様子で飛んでくる、リボン(・・・)ぐらさん(・・・・)の姿があった。

 

 

「え!?リボン!?」

 

 

「ぐらさん!?」

 

 

自分のパートナーが2人いる事に、ひめといおなは驚愕する。

 

 

「私がもう一人!?」

 

 

「どうなってんだ!?」

 

 

もう1人の自分が出てきた事に、ブルーと一緒にいたリボン達も動揺する。

 

 

だが、驚くべき出来事はこれで終わらなかった。

 

 

なぜなら。

 

 

「ちょっとリボン、どうしたのよ~!」

 

 

「待ってー!」

 

 

慌てて飛んでくるリボン達の後ろから、もう1人のめぐみ達(・・・・)が現れたからだ。

 

 

『え!?』

 

 

誠司達はもう1人のめぐみ達を見て、驚く。

 

 

『え!?』

 

 

そして、リボン達を追いかけてきためぐみ達も誠司達を見ると驚きの声を上げた。

 

 

『えぇ―――――――!!』

 

 

誠司達はこの日、2度目の絶叫を上げることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獣拳戦隊ゲキレンジャー

 

VS

 

プリキュアオールスターズ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠司達は何とか落ち着き、現在は大使館に集まっていた。

 

 

そこにはドキドキプリキュアを筆頭に、他のプリキュア達もいた。

 

 

だが、誰もが黙り込んでしまった。

 

 

なぜなら、同じ顔をした人物が2人もいるのだから。

 

 

そんな中、話を切り出したのは誠司だった。

 

 

「なるほどな。どうやら俺達は、別のパラレルワールドに飛ばされたみたいだな」

 

 

『パラレルワールド?』

 

 

誠司の言葉に、意味が分からなかっためぐみ達全員は疑問符を浮かべる。

 

 

「パラレルワールドとは、その時々の選択によって世界はどんどん枝分かれして行ってて、色んな未来が存在するって事だ」

 

 

「世界が枝分かれ?」

 

 

「たとえば、めぐみ達がプリキュアとして存在する未来と、めぐみがプリキュアになっておらず一般人として生活する未来。そのどちらの世界も存在するって言う考え方だ」

 

 

「つまり...もしもの世界が実際にあるという事?」

 

 

「そうだ、もしもの数だけな」

 

 

誠司とめぐみのやり取りに、ひめが割って入った。

 

 

「ちょっと待って、この世にもしも何て事はたくさんあるよ!」

 

 

「ああ、だから無数の枝分かれをして、無数のパラレルワールドが存在すると考えられるんだ」

 

 

「ええ!」

 

 

「嘘!?」

 

 

誠司の説明を聞いて、お互いがもう1人の自分を見つめた。

 

 

「でも...パラレルワールドって事は何か違いがあるって事よね?」

 

 

その時、キュアダイアモンドである『菱川 六花』が誠司に質問する。

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

それを聞いて、六花は誠司達を見渡す。

 

 

「それにしては、特に違いは見当たらないけど...」

 

 

「確かに...」

 

 

「そっちの私達もプリキュアなんだよね?」

 

 

違いを確認しようと、この世界のめぐみが質問する。

 

 

「うん、そうだよ」

 

 

「私がキュアプリンセスで、めぐみがキュアラブリー」

 

 

「私はキュアハニー」

 

 

「私はキュアフォーチュンよ」

 

 

めぐみ達の言葉を聞き、全員がさらに混乱する。

 

 

「違いなんてある?」

 

 

「全員がプリキュアで、名前も一緒だしね」

 

 

キュアメロディである『北条 響』と、キュアリズムである『南野 奏』が話し合う。

 

 

「そんなことより、今はこの状況をどうするか話し合うのが先よ」

 

 

誠司達の違いについて話し合っていたプリキュア達だったが、いおなが別の話を持ち出す。

 

 

「どうするって?」

 

 

意図が解らなかったのか、この世界のめぐみが質問する。

 

 

「ヌンチャクサイアークをどうするか、だろ?」

 

 

意図を理解した誠司が、そう呟いた。

 

 

「えぇ、そうよ」

 

 

その誠司の呟きを、いおなは肯定する。

 

 

「これは俺の推測だが、俺達をこの世界に飛ばしたのはヌンチャクサイアークだ。それが必然なのか偶然かは解らないが、間違いなくこの世界で何かをするのは明確だ」

 

 

先程まで騒いでいたこの世界の者達だったが、誠司から発せられた言葉によって事の重大さに気付いた。

 

 

「でも、サイアークだったら大丈夫じゃない?いおなは勿論、他の皆だっているんだから!」

 

 

この世界のひめが、楽観的な考えを話す。

 

 

「いや、そう簡単な話じゃないと思うぞ」

 

 

その一言で、プリキュア達は誠司に注目する。

 

 

「簡単じゃないって、どういう事?」

 

 

不思議に思ったこの世界のいおなが、質問する。

 

 

「俺達を襲ったサイアークは、普通のサイアークじゃないって事だ」

 

 

先程まで戦っていたヌンチャクサイアークの説明を、誠司がする。

 

 

「まず、普通のサイアークとは違って流暢に喋りだす」

 

 

『はい?』

 

 

誠司の説明が理解出来なかったのか、この世界のめぐみ達は思わず聞き返してしまう。

 

 

「喋るってどういう事?」

 

 

「そのままの通り、普通に喋りだしたんだ」

 

 

そこでようやく理解したのか、全員が信じられない顔をする。

 

 

「それにそのサイアークが使う、臨獣拳が一番の問題だ」

 

 

『臨獣拳?』

 

 

聞き覚えのないこの世界のめぐみ達は、揃って疑問符を浮かべる。

 

 

「サイアークが使った拳法の事だ、その力で俺達はこの世界に飛ばされたんだからな」

 

 

「そんな力が...」

 

 

誠司の説明に驚くこの世界の者達だったが、そこでブルーが声を上げた。

 

 

「サイアークの気配だ!」

 

 

誠司の説明を聞いたこの世界のめぐみ達に、緊張感が走る。

 

 

「行くぞ!」

 

 

誠司の掛け声を合図に、全員が大使館から出た。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

時間は数時間遡り、場所は別の世界にある幻影帝国のアジト。

 

 

そこにはクイーンミラージュは勿論、三幹部とファントムの姿があった。

 

 

だが、その場にいる全員はありえない現象によって戸惑っていた。

 

 

なぜなら......。

 

 

「全員して、何黙ってるッチャ?」

 

 

突如として、ヌンチャクを持ったサイアークが現れたからだ。

 

 

まだそれだけならいいが、自分達が作るサイアークとは違い流暢に喋っているのが一番の問題だった。

 

 

「お前...何者だ?」

 

 

全員を代表して、ファントムがヌンチャクサイアークに質問した。

 

 

「何者って...、自分達で俺を作っといて何を言ってるッチョ」

 

 

ヌンチャクサイアークの話を聞いて、さらに混乱する幻影帝国の者達だったが。

 

 

そこに、近づく者がいた。

 

 

「何をしている、ヌンチャクサイアーク」

 

 

その近づいた人物とは、この世界に居るはずのないツトコウだった。

 

 

「おぉ!ツトコウ様!」

 

 

ツトコウの登場に、ヌンチャクサイアークは声を上げて驚く。

 

 

「ちょうど良かった、こいつらが俺の事を忘れてんだっチャ」

 

 

クイーンミラージュ達が自分の事を忘れていると指摘するが、ツトコウから思いもよらない言葉が告げられる。

 

 

「知らないのは当たり前だ、ここはお前を作った世界とは別の世界なんだからな」

 

 

「えぇ!」

 

 

ツトコウから告げられた台詞に、ヌンチャクサイアークは驚く。

 

 

「あなた達、いったい何者なの?」

 

 

そこで、クイーンミラージュがツトコウに質問する。

 

 

「俺はこことは別の世界にいる、お前達の協力者だ」

 

 

ツトコウの言葉に、クイーンミラージュ達は驚く。

 

 

「本当だったらゲキレッドの世界で使おうと思ってたが、まぁ何処でも良いか」

 

 

そう言うツトコウの手には、慟哭丸(・・・)が握られていた。




はい!如何だったでしょうか!


今回、原作のハピネスチャージとの対面しました。


この話は、ずいぶん前から考えていた話でした。


そして、VSシリーズでのあるあるをやってみました。


1.変身出来なくなる


2.別の世界に飛ばされる


そして、次の話でもう1つのあるあるを出します。


前回2話構成と書きましたが、もしかしたら3話構成になるかもしれません。


思いの他、アイデアが出てくるので早く書きあがりました。


本当だったら、誠司同士の試合を書いていたのですが、結果が分かりきっているのでやめました。


次回、三幹部とファントム、そしてヌンチャクサイアークとの戦いがあります。


何処まで書くか分かりませんが、取りあえず修行シーンは書こうと思っています。


それでは次回、第24話もしくはアクセル・ビルド第8話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話 異世界の差、ラブリー達の実力

どうも、ナツ・ドラグニルです。


今回、オリジナル劇場版第2話になります。


思ったよりアイデアが出てくるので、今回はいつもより短めに書いております。


プリキュアオールスターズなので、プリキュア側を活躍させたいと思っていました。


各プリキュアの名乗りや、各プリキュアの合体技などを書こうとしたのですが、長くなると思って断念しました。


なので、オールスターズ要素は次回に持ち越しします。


それでは、作品をどうぞ。


スクラッチ社の特別開発室に、ラン達と七拳聖が集まっていた。

 

 

「なるほど、誠司達が」

 

 

ラン達の説明を受け、シャーフーは誠司達がいなくなった事を知った。

 

 

「まずは、どのような技が使われたのかを知るのが先じゃのう」

 

 

「知るって...どうやってですか?」

 

 

ランが質問したその時、タイミング良く道着からスーツに着替えた美希がパソコンを片手に入ってきた。

 

 

「すみません、お待たせしました」

 

 

『美希(さん)!』

 

 

美希は入室するなり、テーブルの上にパソコンを置いて操作する。

 

 

「今、町の監視カメラを調べて、誠司達に何が起こったのか調べてたんです」

 

 

全員がパソコンを覗き込む中、美希は1つの映像を写した。

 

 

そこには、ヌンチャクサイアークと戦う誠司達の姿が映っていた。

 

 

「これって...サイアーク!?」

 

 

「何でこの世界に!?」

 

 

サイアークが現れていたことに、ランとリンは驚愕する。

 

 

映像が進んでいき、相手の攻撃を受け上空に現れた穴に誠司達が吸い込まれた所で映像が止まった。

 

 

 

 

 

その後、ラン達はシャーフ達をと一緒に誠司達が飛ばされた場所まで移動した。

 

 

「あの拳法は恐らく、空烈波じゃな」

 

 

「空烈波?」

 

 

シャーフーの言葉に、ケンが疑問符を浮かべる。

 

 

「臨獣拳の技だ」

 

 

疑問符を浮かべているラン達に対して、理央が説明する。

 

 

「まさか...幻影帝国の背後に、ツトコウ達以外の残党が?」

 

 

理央の説明で、ゴウが予想を立てる。

 

 

「仮にそうだとすれば、慟哭丸を盗んだのは恐らく、ツトコウで間違いないじゃろう」

 

 

「ツトコウ達は慟哭丸を使って一体何を...」

 

 

「良からぬ事に使おうとしてるのは、まず間違いないだろう」

 

 

リンの問いかけに、バット・リーが答えた。

 

 

「さて...あそこじゃな」

 

 

シャーフは、誠司達が吸い込まれた場所を凝視する。

 

 

「ならば!ゲキワザ!空々裂斬(くうくうれつざん)!」

 

 

シャーフーがゲキワザを放つと、空が割れて穴が出現する。

 

 

「これを」

 

 

美希がそう言うと、調整に出していた《ゲキチェンジャー》、《ゴングチェンジャー》、《サイブレード》を渡す。

 

 

「頼んだわよ、みんな」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

大使館を飛び出し、誠司達は幻影帝国が現れた場所に向った。

 

 

そこでは大勢のチョイアークと、ヌンチャクサイアークが人々を襲っていた。

 

 

「町の人達が!」

 

 

人が襲われている事に、この世界のゆうこが驚く。

 

 

「行こう!みんな!」

 

 

この世界のめぐみの掛け声で、全員が変身アイテムを取り出す。

 

 

各々がプリキュアに変身し、ヌンチャクサイアーク達と対峙する。

 

 

「悪巧みもそこまでよ!」

 

 

全員を代表して、キュアブラックが静止の声を上げる。

 

 

「ん?」

 

 

静止の声を聞き、ヌンチャクサイアークが誠司達の方に振り向いた。

 

 

「まーた邪魔が入ったッチャ!何度も何度も鬱陶しいッチャ!」

 

 

他の街のプリキュア達はまったく驚かなかったが、サイアークの事を知っているこの世界のラブリー達は目を見開いた。

 

 

『さ、サイアークが喋った――――!!』

 

 

叫ぶこの世界のラブリー達に、何処か既視感(デジャブ)を感じる誠司達だった。

 

 

「特別なのはそれだけじゃないわよ!」

 

 

その時、サイアークの後ろからこの世界の幻影帝国の三幹部と、プリキュアハンターのファントムが現れた。

 

 

「幻影帝国の三幹部!」

 

 

「それに、ファントムもいるわ!」

 

 

この世界のファントムが現れたことに、この世界のラブリー達が声を上げる。

 

 

「それだけじゃない...この気配は臨獣殿の!」

 

 

臨獣殿の気配を感知した誠司が向けた視線の先に、一体のリンリンシーが居た。

 

 

「我輩は臨獣殿一の天才にして、マッドなエンジニア。臨獣トータス拳のメカでまんねん!」

 

 

「やっぱり他にも臨獣殿の残党がいたのか!」

 

 

サイアークが臨獣拳を使った事から、それを仕込んだ者がいると誠司には分かっていた。

 

 

「あなた達、何を企んでいるの!?」

 

 

不気味に笑うメカに対し、ラブリーが問い詰める。

 

 

すると、メカは懐からある物を取り出した。

 

 

それは誠司に取って、見覚えのありすぎる物だった。

 

 

「この慟哭丸の持つ力を、とってもいい事に使うでまんねん」

 

 

メカが取り出したのは、スクラッチ社から盗まれた慟哭丸だった。

 

 

「慟哭丸!?お前達、それがどういう物か分かっているのか!」

 

 

誠司の問い掛けに、メカが答える。

 

 

「確かに無限龍は恐ろしい、奴に復活されては困りまんねん。だが、あるお方の力によってこの慟哭丸は力を抑えられている」

 

 

「それによって、封印したまま無限龍の力を使えるんっだッチャ」

 

 

メカの説明に、ヌンチャクサイアークが続く。

 

 

「そんな事、私達がさせない」

 

 

ラブリー達が構えると、メカ達も構えた。

 

 

「リンシーズ!」

 

 

大量のチョイアークの他に、メカがリンシーズも召喚する。

 

 

「三幹部は私達で相手するわ!」

 

 

「あなた達はチョイアークとリンシーズを!」

 

 

ラブリー達はそう言うと、ラブリーとプリンセスはナマケルダに。

 

 

ハニーはホッシーワ、フォーチュンはオレスキーと対峙する。

 

 

「誠司!よく分からない敵もいるから、今回は離れてて!」

 

 

「わ、分かった」

 

 

この世界のラブリーに言われ、この世界の誠司は流石にその場を離れた。

 

 

「あれ?あいつ何処いった?」

 

 

その時、この世界の誠司はもう一人の自分が何処にも居ないことに気づいた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「さて、俺は誰と戦うか...ッ!?」

 

 

ファントムは、出て来たからには誰かと戦おうと思った。

 

 

だがその時、自分に向けられた殺気に気づいた。

 

 

先程までファントムが居た場所に、剣が振り下ろされた。

 

 

「お前は...」

 

 

ファントムの前に現れたのは、プリンセスセイバーを手に持った誠司だった。

 

 

「悪いが、お前は俺の相手をしてもらうぞ」

 

 

ファントムが知っている相楽誠司は、何の力も持たない只の一般人だ。

 

 

だが、今目の前にいる相楽誠司からは物凄い覇気を感じる。

 

 

ファントムは油断する事無く、剣を構える。

 

 

今、誠司とファントムの戦いが切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

別の場所では、ラブリーとプリンセス、そしてナマケルダが戦っていた。

 

 

「はあ!」

 

 

「フッ!」

 

 

ラブリーが突きを放つと、ナマケルダが持っていたステッキでガードする。

 

 

「はあっ!」

 

 

すかさずプリンセスが、ナマケルダにキックを放つ。

 

 

ナマケルダは後ろに飛ぶことで、プリンセスのキックを避ける。

 

 

攻撃を避けられても、プリンセスは諦めることはしなかった。

 

 

「もう一回行くよ!ラブリー!」

 

 

「オッケー!」

 

 

すると、今度は同じタイミングで攻撃を仕掛ける。

 

 

ラブリーは右拳で、プリンセスは左拳で突きを放つ。

 

 

まったく同じタイミングで攻撃された事で、ナマケルダは対処に戸惑った。

 

 

何とか2人の攻撃をステッキでガードしたナマケルダだったが、今度は左右から同じタイミングで腹部に膝蹴りを放った。

 

 

「ぐっ」

 

 

前のめりになったナマケルダの顔面に、2人がまた同じタイミングで回し蹴りを放った。

 

 

「ぐはっ」

 

 

2人の蹴りを喰らい、ナマケルダは吹っ飛ばされる。

 

 

「くっ...何なんですか、何で即席でこんな連携が取れるんですか!」

 

 

蹴られた顔を押えながら、ナマケルダは立ち上がりながらも2人が連携を取れていることに不思議に思った。

 

 

ナマケルダが知っているラブリーとプリンセスは、ここまで連携を取る戦いを見せたことがなかった。

 

 

ナマケルダは勿論、この世界のプリキュア達も知らない事だが、修行で組み手を行う時はめぐみとひめは常にお互いを相手にしていた。

 

 

常日頃から知った動き同士、この程度の連携は出来て当然だった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

別の場所では、ハニーはハニーバトンやハニートンファーを使わず、素手のみでホッシーワの相手をしていた。

 

 

「お穣ちゃん、お得意の歌やバトンを使わなくてもいいの?」

 

 

ホッシーワは攻撃を避けながらも、ハニーに対して挑発する。

 

 

「ええ、1つの事に秀でてても他が疎かになってたら、彼に追いつく事なんか出来ないから!」

 

 

ハニーはそう言いながら、拳を構えなおす。

 

 

「何よそれ、意味分かんない!チョイアーク!」

 

 

ホッシーワは、さらにチョイアークを召喚する。

 

 

「悪いけど、私野蛮な事は嫌いなの。あんたはそいつらの相手をしてなさい」

 

 

そう言って、ホッシーワは少し距離を取り、高みの見物を始めた。

 

 

「だったら...」

 

 

ハニーも距離を取ると、1つの武器を召喚する。

 

 

「あら?あんな事言っといてもうバトンを使うのかしら?」

 

 

ホッシーワが挑発するが、ハニーが召喚した武器はホッシーワが知っている物では無かった。

 

 

「ハニートンファー・ロングバトン!」

 

 

ハニーが召喚したのは、スクラッチ社が開発したハニー・トンファーだった。

 

 

「はぁ!?何よそれ」

 

 

自分の知らない武器を取り出した事に、ホッシーワは驚愕する。

 

 

「行くわよ!」

 

 

ハニーがプリキュアの力を込めると、ロングバトンに内臓されているモーターが回転する。

 

 

ハニーはロングバトンを振り回し、チョイアークを攻撃する。

 

 

「はい!はい!はい!はい!」

 

 

下からの振り上げ、体を回転させたなぎ払い、腹部に放たれた突き、足に攻撃し相手を転ばせる。

 

 

「ふっ!」

 

 

止めに転ばしたチョイアークに、大振りの振り下ろしが繰り出される。

 

 

「チョ、チョイー...」

 

 

ハニーのロングバトンによる攻撃で、チョイアークは全て浄化されてしまった。

 

 

「ちょっ!何よこいつ!」

 

 

いつもの歌やフォームチェンジによる浄化ではなく、武器のみによる攻撃でチョイアークは浄化された。

 

 

ホッシーワが知っているハニーからは、思いもよらない攻撃だった。

 

 

「はぁ!」

 

 

呆然とするホッシーワに、ハニーは一気に距離を詰める。

 

 

勢いを利用し、ハニーはホッシーワの腹部にロングバトンの突きを放った。

 

 

「ぐはっ」

 

 

「はい!」

 

 

ハニーは腹部にロングバトンを食い込ませ、上に放り投げた。

 

 

「きゃああああ!!」

 

 

高く放り投げられたホッシーワは、悲鳴を上げながら落下する。

 

 

「痛ーい!」

 

 

お尻から落下したホッシーワは、放り投げたハニーを睨み付けた。

 

 

「もう!何なのよ!あんた!」

 

 

「ふふふ、あたしを甘く見てると痛い眼を見るわよ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

また別の場所では、フォーチュンとオレスキーの戦いが始まっていた。

 

 

「はあああああ!!」

 

 

「うおおおおお!!」

 

 

雄たけびを上げながら、拳を交える。

 

 

「はあああああ!!はあ!!」

 

 

「ッ!?」

 

 

均衡する2人だったが、均衡を崩したのはフォーチュンが先だった。

 

 

フォーチュンは思い切り拳を振りぬくことで、オレスキーの拳に勝ったのだ。

 

 

オレスキーはそのまま後ろに吹き飛び、膝をついた。

 

 

「ハハハハハ!さすがはキュアフォーチュンと言った所か!」

 

 

強い敵と戦えるのが嬉しいのか、オレスキーはフォーチュンを褒め始めた。

 

 

「あなたに褒められても嬉しくないわ!」

 

 

そう言いながら、フォーチュンは油断する事無く拳を構える。

 

 

「だがなぜ戦う?あいつらの話では、お前達はこの世界の人間では無いだろう。関係ないお前達が何で戦う必要がある?」

 

 

オレスキーにとって、それは至極真っ当な質問だった。

 

 

自分の世界を守るのはまだ分かるが、自分達の世界とまったく関係ない別の世界の為になぜ戦うのか。

 

 

それがオレスキーとって、分からない事だった。

 

 

「そんなこと関係ないわ!」

 

 

オレスキーの質問に、フォーチュンは答えた。

 

 

「何ぃ?」

 

 

「人を守りたいと思う気持ちに、世界の違いなんか関係ない!」

 

 

フォーチュンはさらに、拳を握る力が強くなる。

 

 

「フォーチュンファン!」

 

 

フォーチュンは今朝渡された、フォーチュンファンを召喚する。

 

 

「なんだそれは?」

 

 

見慣れない武器に、オレスキーは首を傾げる。

 

 

「悪いけど、ぶっつけ本番だから手加減は出来ないわよ!」

 

 

「何をごちゃごちゃと!フン!」

 

 

オレスキーが繰り出した拳を、フォーチュンは広げたフォーチュンファンで受け止めた。

 

 

「なっ!?」

 

 

自分の攻撃が扇のみで受け止められた事に、オレスキーは驚愕する。

 

 

「はっ!」

 

 

隙だらけとなったオレスキーに、フォーチュンはフォーチュンファンを横薙ぎにする。

 

 

「ぐあっ!」

 

 

「ふっ!」

 

 

フォーチュンは手を止める事なく、攻撃を続ける。

 

 

避けるオレスキーだったが、フォーチュンの繰り出す攻撃に見惚れていた。

 

 

オレスキーは、2つのフォーチュンファンを使い攻撃するフォーチュンが、桜が舞う中を踊るような幻想を見た。

 

 

それはまるで、"舞"のようだった。

 

 

「行くわよ!」

 

 

フォーチュンファンに自身のプリキュアの力、紫のエネルギーを纏わせる。

 

 

「プリキュア!幸桜舞乱(こうさくまいらん)!」

 

 

紫色の桜吹雪がオレスキーを襲った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

また別の場所では、この世界のプリキュア達とチョイアーク、そしてリンシーズが戦っていた。

 

 

プリキュア達の活躍によって全てのチョイアークは浄化されたが、リンシーズの数はあまり減ってはいなかった。

 

 

「なんなんやこいつら!」

 

 

「物凄いタフだよ~...」

 

 

リンシーズのタフさに、サニーとピースが愚痴を零す。

 

 

「それに、何か武術を使ってきますわ!気をつけて!」

 

 

リンシーズが使う臨獣拳に、ビューティは警戒を促す。

 

 

「チョワー!」

 

 

その時、リンシーズと戦っているラブリー達にヌンチャクサイアークが襲い掛かる。

 

 

ラブリーがヌンチャクサイアークの攻撃を防ぐが、防ぎ切れず後ろに吹き飛ばされてしまう。

 

 

「きゃあああああ!!」

 

 

『ラブリー!』

 

 

飛ばされたラブリーを心配し、この世界のプリキュア達が駆け寄る。

 

 

「大丈夫!?ラブリー!」

 

 

「うん、なんとか...」

 

 

プリンセスの手を借りて、ラブリーは起き上がる。

 

 

ラブリー達がヌンチャクサイアークを警戒する中、ヌンチャクサイアークは拳を構える。

 

 

「食らえ!臨獣トータス拳リンギ!」

 

 

目に見えない速度で、ヌンチャクサイアークはプリキュア達に攻撃する。

 

 

時劣態(じれったい)!」

 

 

「ん?」

 

 

「あれ?」

 

 

攻撃を受けたプリキュア達だったが、体のあちこちを触るが何処も異常が無かった。

 

 

「全然効いて無いわよ!」

 

 

キュアマリンが腕を組み、ヌンチャクサイアークに宣言した次の瞬間。

 

 

「うっ」

 

 

いきなり全員が胸を押さえ、倒れだした。

 

 

「痛たたたっ」

 

 

「ぐぅぅぅぅぅ!」

 

 

「バーカ、ダメージを時間差で与える技だッチャ!」

 

 

痛む胸を押さえながら、プリキュア達は何とか立ち上がった。

 

 

「何なの?あのサイアーク」

 

 

「あんな技使うサイアークは初めてだわ」

 

 

見たことのない技を使うヌンチャクサイアークに、プリキュア達は警戒する。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

プリキュア達の耳に、隠れていた筈の誠司の悲鳴が聞こえた。

 

 

全員が誠司を見ると、リンシーズに襲われているのが目に入った。

 

 

「誠司!」

 

 

「大変、助けなきゃ!」

 

 

全員が助けに向かおうとするが、行く手を他のリンシーズが阻んだ。

 

 

「こんな時に!」

 

 

「邪魔しないで!」

 

 

行く手を阻まれ、一番付き合いの長いラブリーとハニーが声を上げる。

 

 

「ほうら、早く助けないと大変なことになるまんねん」

 

 

メカの言葉を聞いて、ラブリーはもう一度誠司の方を見る。

 

 

ラブリーの目に、誠司の首を絞めて右手を貫手の状態で構えたリンシーの姿が映った。

 

 

その瞬間、最悪な光景を想像してしまう。

 

 

"死"

 

 

ラブリーの脳裏によぎったのは、そんな最悪な光景だった。

 

 

「ダメェェェェェ!!」

 

 

ラブリーが声を上げ、誰もがもう駄目だと思った次の瞬間!!

 

 

「リンギ!剛勇吼波!!」

 

 

ガオォォォォォ!!

 

 

一体のライオンが、その場にいたリンシーズを一掃した。

 

 

「ぐっ!」

 

 

いきなり自分を持ち上げていたリンシーが居なくなった事で、誠司は地面に落下してしまう。

 

 

「な、なんや!?」

 

 

突如リンシーズが倒された事で、メカは戸惑いを見せる。

 

 

『誠司!』

 

 

『相楽君!』

 

 

妨害がなくなったことで、ラブリー達は誠司に駆け寄った。

 

 

「誠司大丈夫!?」

 

 

「ゲホッゲホッ!な、なんとか...」

 

 

締め付けられていた首を押さえながらも、誠司は何とか返事をする。

 

 

「よかった...」

 

 

誠司が無事だった事に、全員が胸を撫で下ろした。

 

 

「でも、今のは一体...」

 

 

フォーチュンが先程のライオンについて考えていたその時だった。

 

 

誠司達の近くに、着地する人影があった。

 

 

それは誠司達を追いかけてきたラン達だった。

 

 

「何をしている誠司、あんな連中如きに遅れを取るとは」

 

 

理央がこの世界の誠司に話しかける。

 

 

「まったくだぜ」

 

 

「いつものお前ならゲキチェンジャーがなくても、リンシーズなんか簡単に倒せるだろうが」

 

 

ゴウとケンも、目の前の誠司を自分達が知っている誠司だと勘違いして話しかけた。

 

 

「せ、誠司この人達と知り合いなの?」

 

 

「い、いや、俺は知らないぞ」

 

 

いきなりの事で、ラブリー達は驚愕する。

 

 

『えっ!?』

 

 

だが、一番驚愕したのはその言葉を聞いたラン達だった。

 

 

「お、おい!嘘だろ!全員俺達の事忘れたのかよ!」

 

 

ケンが自分の事を指差し、声を荒げる。

 

 

「まさか、前の理央の時と同じように記憶喪失に!?」

 

 

自分達の事を知らないと言う誠司達を、ゴウは記憶喪失なのではと疑う。

 

 

そんな時だった。

 

 

『うわぁぁぁぁ!!』

 

 

何処からか、幻影帝国の三幹部。

 

 

ナマケルダ、ホッシーワ、オレスキーがラン達の目の前に吹き飛ばされてきた。

 

 

そして次の瞬間、ラン達は目を疑うものを目撃する。

 

 

「あっ!ランちゃん、皆!」

 

 

「来てくれたんだ!」

 

 

ラン達の目の前に現れたのは、もう一人のラブリー達がこっちに駆け寄ってきていた。

 

 

「ラ、ラブリー達がもうひとり!?」

 

 

「ど、どういうこと!?」

 

 

戸惑うラン達に、ハニーとフォーチュンが現在の状況を説明する。

 

 

「ここは私達の世界じゃなくて、別の世界なの」

 

 

「だからこの誠司君も、私達が知っている誠司君じゃなくてこの世界の誠司君なの」

 

 

ここが自分達が暮らしていた世界だと思っていた為、驚きは大きかった。

 

 

『まいったぜ...』

 

 

驚きのあまり、ゴウだけでなくケンと理央も額を小突く。

 

 

「いったーい!!もう何なのよ!」

 

 

その時、吹っ飛ばされてきたホッシーワが痛みで声を上げた。

 

 

「向こうの世界のプリキュア達は、こっちの世界のプリキュア達に比べると相当強いですぞ」

 

 

「それに、見慣れない武器まで使いやがる」

 

 

プリキュア達の強さに、ナマケルダとオレスキーは動揺を見せる。

 

 

「でも、こっちにはファントムという奥の手がいるのよ!」

 

 

まだファントムが残っている事に、自分が負けた事を棚に上げて鼻で笑いながら威張り始める。

 

 

「それで...その奥の手のファントムは今何処に?」

 

 

ナマケルダの呟きで、ホッシーワはこの場にファントムがいない事に気づいた。

 

 

「あれっ!?ちょっと!ファントムは何処に行ったのよ!」

 

 

『さあ?』

 

 

「もー!肝心な時に何処行ったのよー!」

 

 

頼りにしていたファントムがいない事に、ホッシーワは憤慨する。

 

 

そんな時だった。

 

 

三幹部の前に、何かが飛んできて砂煙が発生する。

 

 

「な、何!?」

 

 

「一体何が...」

 

 

目の前でいきなり砂塵が舞った事に戸惑う三幹部だったが、砂塵が晴れた瞬間3人は目を疑った。

 

 

なぜならそこには、背中から倒れているフォントムの姿があったからだ。

 

 

「なっ!?」

 

 

「ファ、ファントム!?」

 

 

ファントムがやられている事に、三幹部は動揺する。

 

 

ファントムは立ち上がるなり、先程飛んできた方を睨み付ける。

 

 

他の者達も、ファントムが睨らんでいる方向を見る。

 

 

するとそこには、プリンセスセイバーを手に持った誠司の姿があった。

 

 

「なっ!」

 

 

「嘘でしょ!!」

 

 

誠司の事をよく知らないこの世界の者達は、誠司がファントムを圧倒している事に驚愕する。

 

 

この世界の者達が驚愕する中、ファントムは剣を握る手に力を入れる。

 

 

「はあ!」

 

 

ファントムが剣を振ると、幾つもの横一文字に放たれた斬撃が誠司を襲う。

 

 

だが誠司は、慌てることなくプリンセスセイバーを構えた。

 

 

「プリンセスセイバー・ゲキワザ!」

 

 

誠司はプリンセスセイバーに激気を纏わせ、ゲキワザを発動する。

 

 

「水流破!」

 

 

プリンセスセイバーを生じさせ、連続で振り回しファントムが放った斬撃を切り付ける。

 

 

本来、ゲキチェンジャーによって激気を増幅させ威力を増している為、どうしてもいつもより威力が劣ってしまう。

 

 

それでも、ファントムの斬撃を切るには十分の威力だった。

 

 

ファントムの放った斬撃は、全て真ん中から両断され分散し消滅する。

 

 

攻撃を無力化され、ファントムは驚いた。

 

 

だが、流石はプリキュアハンターと呼ばれるだけはあり、直ぐに冷静さを取り戻し瞬間移動で誠司の死角に移動し、剣を振り下ろした。

 

 

ガギン!!

 

 

「なっ!?」

 

 

瞬間移動を予想していたのか、誠司は前を向いた状態で死角から放たれた一撃を受け止めた。

 

 

流石のファントムも、驚愕を見せた。

 

 

「ハアッ!ハアッ!ハアッ!ハアッ!」

 

 

誠司の縦横無尽に繰り出される攻撃に、ファントムは成す術が無かった。

 

 

「ハアッ!」

 

 

最後に、ファントムの顔に回し蹴りが放たれた。

 

 

「ぐあっ」

 

 

誠司の回し蹴りを受け、ファントムは後ろに後ずさる。

 

 

「波波斬!」

 

 

プリンセスセイバーが横一線に放たれ、ファントムはまたも吹き飛ばされる。

 

 

「ハァー!砲砲弾!」

 

 

ゲキタイガーがファントムを襲い、ファントムは地面に倒れた。

 

 

「ファントムがやられただと!?」

 

 

「ちょっとー!あのファントムが負けるなんて、一体何者なのよ!」

 

 

ファントムが倒れたことに、三幹部は驚く。

 

 

メカとヌンチャクサイアーク以外がやられた事で、今まで動かなかったメカが動き出した。

 

 

「こうなったら、奥の手を使うでまんねん!」

 

 

奥の手という言葉を聞き、誠司達は警戒する。

 

 

誠司は慟哭丸の存在を知っている為、一番警戒する。

 

 

三幹部とファントム、そしてメカとヌンチャクサイアークは一箇所に集まる。

 

 

「奥の手ですって...」

 

 

「一体何を...」

 

 

警戒する誠司達だったが、次のメカの台詞で全員が脱力する。

 

 

「戦略的撤退まんねん!」

 

 

そう言って、メカ達はテレポートでその場からいなくなった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

メカ達が逃げた後、誠司達はラン達を連れ大使館に戻った。

 

 

「平行世界ねぇ...」

 

 

「要するに、もしもの世界に飛ばされたって事か」

 

 

先程めぐみ達から説明を受けたが、誠司から改めて説明をした。

 

 

「それにしても...これがこの世界の誠司か!」

 

 

ケンはこの世界の誠司に近づき、肩に手を回した。

 

 

「なあ、お前好きな人はいるのか?」

 

 

「えっ!?」

 

 

この世界の誠司はケンの言葉に戸惑い、チラッとこの世界のめぐみを見て直ぐに視線を逸らした。

 

 

その動作を、ケンは見逃さなかった。

 

 

「なるほどな~、良かったら俺が女の子の口説き方を教えてやろうか?」

 

 

「ていっ!」

 

 

「あいたっ」

 

 

ニヤニヤしながらこの世界の誠司に絡むケンを、ゴウが頭に一撃を入れて引き剥がした。

 

 

「この世界の誠司を困らせるな」

 

 

「フレンドシップだろうが」

 

 

ゴウが注意するが、ケンは気にもとめていなかった。

 

 

「それにしても、あいつらが慟哭丸を盗んでいたなんてな」

 

 

ケンに呆れながらも、ゴウは話を進める。

 

 

「ああ、事態は深刻だ」

 

 

深刻そうに話す誠司達に、この世界のめぐみが話しに入った。

 

 

「あの~、さっきのメカって人も言ってたけど、慟哭丸って何なの?」

 

 

この世界のめぐみの質問に、誠司が答える。

 

 

慟哭丸に封印されているロンのこと、獣拳のこと、かつて誠司が別の世界に飛ばされスーパー戦隊として、ロンを封印する為に戦っていたこと。

 

 

「あの玉がそんな危険な物だなんて...」

 

 

「じゃあ、あの慟哭丸がヌンチャクサイアークに使われたら...」

 

 

誠司の説明で、この世界のプリキュア達は慟哭丸の危険性を知る。

 

 

「恐らく、今まで以上の力を手に入れるだろうな」

 

 

「そんな...」

 

 

誠司の言葉に、この世界のプリキュア達は言葉を失う。

 

 

「それを阻止するためにも、慟哭丸を絶対に取り戻さなきゃ!」

 

 

ランが落ちている士気を戻すために、やる気を見せる。

 

 

「やつらは力をつけ、必ずまた攻め込んでくるわ」

 

 

「だったら、そこを迎え撃って今度こそうちのめす!」

 

 

リンとゴウの言葉を聞いて、めぐみが拳を握った。

 

 

「よーし、皆で頑張ろう!」

 

 

『おう!』

 

 

めぐみの言葉に、誠司達が答える。

 

 

「そっちの私達は凄いね」

 

 

「でも...今の私達じゃメカや、さらに強くなったヌンチャクサイアークには...」

 

 

誠司達が士気を上げようとするが、ヌンチャクサイアークに手も足も出なかったこの世界のプリキュア達は、今のままじゃ足手まといだと思い込む。

 

 

そんな中、この世界の誠司が誠司達に近づいた。

 

 

「なあ、お前達の獣拳の修行させてくれ」

 

 

「獣拳の修行するのか、お前が?」

 

 

この世界の誠司の申し出に、この世界のめぐみ達だけでなく誠司達も驚いた。

 

 

「ああ!」

 

 

この世界の誠司の言葉を聞き、この世界のめぐみ達が顔を見合わせる。

 

 

「そうだね!私達も修行お願いします!」

 

 

『お願いします!』

 

 

この世界のめぐみを筆頭に、プリキュア達全員が頭を下げた。

 

 

「オッケー」

 

 

こうして、この世界のプリキュア達と誠司の獣拳の修行が始まった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「まったく、大きい口を叩いていた割りにすぐ戻ってきたのね」

 

 

そう告げるクイーンミラージュの前には、戦略的撤退を行ったファントムと三幹部が跪いており、その近くにはメカ達が立っていた。

 

 

「申し訳ございません」

 

 

「別の世界のプリキュア達が、思いのほか強くて...」

 

 

そこで、メカがクイーンミラージュの前に出た。

 

 

「心配する必要はないでまんねん。今回撤退したのは理由があるでまんねん」

 

 

「理由?」

 

 

メカは慟哭丸を取り出す。

 

 

「この慟哭丸を使う前に倒されては困るので、今回は撤退したでまんねん」

 

 

メカの言葉に、クイーンミラージュは顔をしかめる。

 

 

「この前も同じ事を言っていたけど、そんな物役に立つのかしら?」

 

 

「百聞は一見にしかずだまんねん」

 

 

そう言って、メカはヌンチャクサイアークに向き直った。

 

 

「慟哭丸セット」

 

 

メカはヌンチャクサイアークに慟哭丸を埋め込んだ。

 

 

「ぬぬぬぬぬぬ!」

 

 

ヌンチャクサイアークの目が光り、オーラのようなものがその体を包んだ。

 

 

「アチャー、ホワチャー、アチャチャチャー!」

 

 

オーラを包んだヌンチャクサイアークは、その場でヌンチャクを振り回した。

 

 

「これからは再び臨獣殿の天下、わしが新世界の亀、いいや神となるまんねん!」

 

 

メカはそう言うと、ヌンチャクサイアークを連れてその場から出て行った。




はい、如何だったでしょうか!


今回、フォーチュンのオリジナル技のアイデア提供して頂いた読者の方、本当にありがとうございます。


また、感想の返信が出来ず誠に申し訳ございません。


今後、感想を書く際に返信の有無を書いて頂けると幸いです。


さて、やっとラン達と合流できました!


最初は、ゴーオンジャー対ゲキレンジャーの理央とメレが登場するシーンにしようと考えていたのですが、それだと終盤になってしまうのでやめました。


そして今回、異世界のファントムと生身の誠司の戦いですが、誠司が強すぎる描写になってしまいましたが、今更だと思い気にするのをやめました。


そして次回でオリジナル劇場版最終話になります。


その後の展開も考え、今回は短くなってます。


巨大戦では、VSシリーズあるあるとプリキュア劇場版あるあるを1つずつ出します。


お楽しみにして下さい。


それでは次回、第25話もしくはアクセル・ビルド第9話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第25話 プリキュア拳習得!最悪な存在の復活

Happy New YeaR!!


新年、あけましておめでとうございます!


新年最初の投稿をすることが出来、嬉しく思っております。


新しい年となりましたが、これからも頑張っていきますので応援の程よろしくお願い致します!


それでは作品をどうぞ



この世界の誠司達の頼みを聞き、誠司達は4手に別れて修行を始めることにした。

 

 

誠司が修行を行う、めぐみとこの世界の誠司とピンク・赤チーム。

 

 

ランとケンが修行を行う、ゆうことこの世界の黄色チーム。

 

 

深水兄妹が修行を行う、ひめと青・緑チーム。

 

 

理央とメレが修行を行う、いおなと紫チーム。

 

 

この4チームで、誠司達は修行を開始した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『お願いします!師匠!』

 

 

誠司達は大使館の外に集まり、全員がやる気に満ちていた。

 

 

誠司の近くには、バケツと大量の雑巾が用意されていたがこの世界の者達は誰一人として気づかなかった。

 

 

「良し、じゃあ全員この大使館の壁を上に向かって雑巾掛けだ!」

 

 

『オッス!え...?』

 

 

全員やる気を見せるが、意味を理解しめぐみまでもが呆然とする。

 

 

「良し!やるか!」

 

 

「ちょ...誠司?」

 

 

めぐみが問いかけるより先に、誠司は言っていた通り上に向かって垂直に壁の雑巾掛けを始める。

 

 

『えぇ!?』

 

 

余りの出来事に、全員が驚く。

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

誠司はそのまま屋根の天辺まで登り切り、下にいるめぐみ達相手に声を掛けた。

 

 

「何してんだ!早くこーい!」

 

 

『えぇ―――――――!!』

 

 

壁を垂直に登るという不可思議な現象を目の当たりにし、めぐみ達は驚愕の声を上げる。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

ランとケンはぴかり神社に赴き、修行を開始する。

 

 

「じゃあ始めるわよ、見ててね?」

 

 

『はい!』

 

 

「ケンお願い!」

 

 

「あいよ!ランちゃん!」

 

 

ランが木の上にいるケンに声を掛けると、ケンは手に持っていた籠を揺らして中に入っている枯葉を落とす。

 

 

「根性!はぁぁぁぁぁ!」

 

 

ランは拳を構えると、落ちてくる枯葉に向かって何発もの突きを放つ。

 

 

「はい!」

 

 

そう言ってランが突き出した手の中には、幾つもの枯葉が握られていた。

 

 

ランは只突きを放っただけではなく、落ちてくる枯葉をキャッチしていたのだ。

 

 

『嘘...』

 

 

余りの出来事に、全員が驚愕する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

深水兄妹が今回行う修行の手本を見せている中、プリキュア達全員が言葉が出ないほど驚いていた。

 

 

♪~

 

 

大使館の中に用意して貰ったピアノ。

 

 

深水兄妹がピアノを弾く音が、部屋中に響くがその弾き方に問題があった。

 

 

本来ピアノは椅子に座り、手の指で弾くものだ。

 

 

だが、深水兄妹は鍵盤の上に乗って足の指で曲を演奏していた。

 

 

全員が口を半開きにして呆然と見守る中、リンとゴウは鍵盤の上で一回転をして演奏を終了させる。

 

 

「さあ、次はあなた達の番よ」

 

 

リンにそう言われるが、全員出来る気がしなかった。

 

 

『ははは...無理...』

 

 

☆★☆★☆★

 

 

理央とメレは、プリキュア達を連れ大使館の裏に移動した。

 

 

「良し、俺達も始めるぞ」

 

 

他の者達とは違い、理央達は特に用意している物は無かった。

 

 

「始めるって、何をするんですか?」

 

 

全員を代表して、いおなが質問する。

 

 

「やることは簡単だ、全員俺かメレと組み手をしてもらう」

 

 

『え!?』

 

 

理央の口から出た言葉に、この世界のプリキュア達が驚愕する。

 

 

「組み手って、私達プリキュアじゃない時は只の女の子なんですけど」

 

 

理央に対して、キュアソードである『剣崎真』が思わず口を出す。

 

 

「安心しろ、お前達はプリキュアに変身しても構わない」

 

 

「変身してもいいって、それじゃあ理央さん達が危険では?」

 

 

理央の言葉に、今度はキュアムーンライトである『月影ゆり』が質問する。

 

 

「その心配はいらない」

 

 

理央はそう言うと、獅子黒刀を取り出した。

 

 

『臨獣ライオン拳!臨気王凱装!』

 

 

理央は獅子黒刀の力を使い、黒獅子王理央へと変わる。

 

 

『!?』

 

 

理央のその姿に、この世界の者達は理央から発せられる威圧感に圧倒され、いおなはいきなり強化形態の状態の理央を相手する事に驚愕する。

 

 

「さあ、修行を始めようか」

 

 

『......』

 

 

問いかける理央だったが、プリキュアの中で答えられる者は1人もいなかった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

落ちてくる落ち葉を突きでキャッチするという、ラン達の修行。

 

 

今の所、誰一人として成功していなかった。

 

 

「もうやだ~、絶対無理だよ~」

 

 

修行を行ってまだ数時間、キュアピースである『黄瀬やよい』が早くも弱音を吐く。

 

 

「頑張ってください!頑張らないと私達に勝ち目はありません!」

 

 

弱音を吐くやよいに、キュアレモネードである『春日野うらら』が慰める。

 

 

そんなうららも、一枚も掴む事が出来なかった。

 

 

修行見る者がランとケンの2人しかいない為、現在は2人1組で修行を行っている。

 

 

「じゃあ、そろそろあなた達も休憩しましょう」

 

 

『はい...』

 

 

ランがそう言うと、2人は修行がうまく行かない事を気にして元気をなくす。

 

 

2人の他にも、この世界のプリキュア達全員がへばっていた。

 

 

「最後はゆうこね」

 

 

「えぇ、頑張るわ」

 

 

ランが顔を向けると、ゆうこだけはやる気に満ち溢れていた。

 

 

「はあああああ!!」

 

 

ゆうこは幾つもの突きを放ち、落ち葉を掴もうとする。

 

 

だが、ゆうこも1枚も取れていない。

 

 

それでも、ゆうこは諦めなかった。

 

☆★☆★☆★

 

大使館の中で行われているリン達の修行。

 

 

3台用意したピアノの上に、各々プリキュア達が修行に励んでいた。

 

 

3人が演奏する音は、お世辞にも上手いとは言えなかった。

 

 

「えっと、足の幅から考えると、えっと」

 

 

キュアベリーである『蒼乃美希』は、手にメモ帳と鉛筆を持って計算しながらピアノを弾こうとしている。

 

 

完璧主義であるがゆえに、まずは彼女は頭で考える事を始めた。

 

 

「あ~...足が攣りそう...気を紛らわすために何か別の事を考えよう。洋服...ファッションコンクール...」

 

 

キュアマリンである『来海えりか』は、気を紛らわせる為に自分の好きな事を考え出した。

 

 

その時、ゴウがえりかが邪念を抱いて涎を垂らしている事に気づいた。

 

 

「よ・だ・れ!」

 

 

「え?うわっ!」

 

 

いきなり声を掛けられた事で、えりかはピアノの上から落ちてしまう。

 

 

「えりか!?大丈夫!?」

 

 

えりかが落ちたことに美希は驚くが、持っていたメモ帳をリンに奪われてしまう。

 

 

「何するのよ!?」

 

 

メモ帳を奪われた事を抗議しようとするが、リンは聞く耳を持たなかった。

 

 

「2人とも、もっと頭の中を空っぽにしてひたすら鍵盤を踏むのよ」

 

 

「は、はい」

 

 

えりかは返事をした後、慌ててピアノの上に立とうとする。

 

 

「焦るな、無心で弾いて心と体を一体にするんだ。あいつみたいにな」

 

 

そう言うと、ゴウはピアノを弾いているもう一人に目を向けた。

 

 

そこでは、ピアノの上に立ちひたすら鍵盤を足の指で弾いているひめの姿があった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「きゃあああああ!!」

 

 

攻撃を受け、ミルキィローズである『美々野くるみ』が吹っ飛ばされる。

 

 

「くぅ...」

 

 

「うぅ...」

 

 

ミルキィローズの他にも、全てのプリキュア達が地面に倒れていた。

 

 

「どうする、もうやめるか?」

 

 

理央の問い掛けに、誰もが諦めようとしたその時。

 

 

「まだ...やります!」

 

 

ボロボロで倒れていたキュアフォーチュンが立ち上がり、理央に挑む。

 

 

「はあああああ!!」

 

 

「リンギ!獅子連斬!」

 

 

無情にも理央の一撃を受けて、もう一度地面に倒れてしまう。

 

 

力の差は歴然、組み手とはいえ今の理央とまともに戦える者はこの中にはいなかった。

 

 

「どうするんだい、やめるなら今のうちだよ」

 

 

メレの言葉を聞き、何人かはやめようかと考える。

 

 

その中でたった一人だけ、諦めない者がいた。

 

 

「まだ...やめません!」

 

 

キュアフォーチュンだけが、諦めることはしなかった。

 

☆★☆★☆★

 

 

「つぼみ、頑張るですぅ!」

 

 

「負けるなココ!のぞみ!」

 

 

シフォンがキュアブロッサムである『花咲つぼみ』を、ココがキュアドリームである『夢原のぞみ』を応援する。

 

 

「頑張れって言われましても...」

 

 

「これは...さすがに...」

 

 

他のプリキュア達も自分のパートナーに応援されるが、頑張れる気がしなかった。

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

一般人であるこの世界の誠司も頑張るが、半分まで行った所で止まってしまう。

 

 

「って!やっぱり無理!ほらぁ!」

 

 

そう言って、この世界の誠司はそのまま背中から地面に落ちてしまう。

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

 

余りの出来事に、誠司が駆け寄った。

 

 

「なんなんだよ、この修行は!」

 

 

「修行したいって言ったのは、お前だろ」

 

 

「修行は大事だけど...俺が思っていた修行はこんなんじゃ...」

 

 

この世界の誠司に、もう先程までのやる気は見られなかった。

 

 

「きゃああああ!!」

 

 

その時、先程のこの世界の誠司と同じ様にめぐみも落ちてきた。

 

 

「あいたたた...」

 

 

めぐみは腰を押さえながら、何とか立ち上がる。

 

 

「よーし!もう一度!」

 

 

他のみんなは諦めているにも関わらず、めぐみだけは諦めていなかった。

 

 

「なあ、何でそこまで頑張るんだ?こんな訳の分からない修行、続ける意味なんてあるのか?」

 

 

諦めないめぐみの姿を見て、誠司は思わずそう声を掛けた。

 

 

「意味なんて関係ない...私はいつも、誠司に助けられてきた...。日常でも...戦闘でも...誠司に守られてきた...」

 

 

他の場所でも、ひめ、ゆうこ、いおなの3人も同じ様な質問を受けていた。

 

 

「私は弱虫で...わがままだけど、誠司はそんな私を支えてくれた」

 

 

「誠司君はどんな時も、私達を助けてくれる」

 

 

「私が道を間違えた時も、彼が私を導いてくれた」

 

 

ひめ、ゆうこ、いおなが自分の胸の内を語る。

 

 

「でも...守られるだけじゃ嫌だから...」

 

 

その時、別々の場所にいるにも関わらず、めぐみ達4人の心が1つとなる。

 

 

『あの背中を支える為なら、私はどんな修行だって乗り越えて見せる!』

 

 

めぐみ達が叫ぶの同時に、めぐみ達の体から極僅かな激気が溢れ出した。

 

 

めぐみ達は集中している為に気づく事は出来なかったが、誠司達は気づく事が出来た。

 

 

「これは!」

 

 

「幻影帝国の気配だぜ!」

 

 

リボンとグラさんが、幻影帝国の気配を感知する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ホワチャー!アチョー!」

 

 

街では無限龍の力を使い、ヌンチャクサイアークが暴れていた。

 

 

「体に溢れる無限龍の力、最高だッチャ」

 

 

その近くではガンマイクを使い、人々の悲鳴を集めているメカの姿があった。

 

 

「メカカ、良いぞ。もっともっと悲鳴を上げろ!それがワシ等リンリンシーの力になりまんねん!」

 

 

『そこまでよ!』

 

 

そこに、ラブリー達を含めたプリキュアとゲキレンジャーが駆けつけた。

 

 

「待たせたわねサイアーク、私達プリキュアが相手よ!」

 

 

そこに、近くで悲鳴を集めていたメカが近づく。

 

 

「なーにが待たせたわねだ!前に手も足も出なかったのを忘れたのか?」

 

 

メカの言葉を聞いて、キュアブラックが一歩前に出る。

 

 

「そんなの関係ない!」

 

 

同じ様にキュアホワイトも、前に出る。

 

 

「誰かを守りたい、その気持ちがある限り私達は諦めたりしない!」

 

 

先程のめぐみ達の言葉を聞いて、この世界のプリキュア達はやる気を取り戻した。

 

 

「それに、俺達がいる事を忘れないことだな。メカ」

 

 

「まさか、あんたみたいな馬鹿が生きていたなんてね」

 

 

「理央様...メレ様...ええーい!来いリンシーズ!」

 

 

理央とメレが目の前に現れた事で、メカはやけくそ気味に大勢のリンシーズを召喚する。

 

 

「あのリンシーズは私達が相手するわ」

 

 

「あなた達はメカとサイアークを!」

 

 

『応!』

 

 

ゲキレッド達が返事を返すと、メカとヌンチャクサイアークに向かった。

 

 

ブラック達はリンシーズに向き直ると、ホワイトはブラックに質問する。

 

 

「それで?あのリンシーズに勝てる見込みはあるの?」

 

 

「もちろん!無い!」

 

 

ホワイトは予想できていたのか、呆れた様に溜息をついた。

 

 

「だって...あんなの聞いちゃったら、私達だって負けてられないよ!」

 

 

「えぇ、そうね」

 

 

ブラックの言葉に、ホワイトは勿論。

 

 

他のプリキュア達も笑みを浮かべる。

 

 

「行くよ!みんな!」

 

 

『えぇ!』

 

 

ブラックの掛け声で、全員が構える。

 

 

「光の使者!キュアブラック!」

 

 

「光の使者!キュアホワイト!」

 

 

「輝く命、シャイニールミナス!」

 

 

「輝く金の花!キュアブルーム!」

 

 

「煌く銀の翼!キュアイーグレット!」

 

 

「大いなる、希望の力!キュアドリーム!」

 

 

「情熱の赤い炎!キュアルージュ!」

 

 

「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!」

 

 

「安らぎの、緑の大地!キュアミント!」

 

 

「知性の青き泉!キュアアクア!」

 

 

「青いバラは秘密のしるし!ミルキィローズ!」

 

 

「もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!」

 

 

「摘みたてフレッシュ!キュアベリー!」

 

 

「取れたてフレッシュ!キュアパイン!」

 

 

「熟れたてフレッシュ!キュアパッション!」

 

 

「大地に咲く、一輪の花!キュアブロッサム!」

 

 

「海風に揺れる、一輪の花!キュアマリン!」

 

 

「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!」

 

 

「月光に冴える一輪の花!キュアムーンライト!」

 

 

「爪弾くは荒ぶる調べ!キュアメロディ!」

 

 

「爪弾くはたおやかな調べ!キュアリズム!」

 

 

「爪弾くは魂の調べ!キュアビート!」

 

 

「爪弾くは女神の調べ!キュアミューズ!」

 

 

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」

 

 

「太陽サンサン!熱血パワー!キュアサニー!」

 

 

「ピカピカピカリン!ジャンケンポン(チョキ)!キュアピース!」

 

 

「勇気リンリン!直球勝負!キュアマーチ!」

 

 

「深々と吹き積もる清き心!キュアビューティー!」

 

 

「みなぎる愛!キュアハート!」

 

 

「英知の光!キュアダイヤモンド!」

 

 

「陽だまりポカポカ!キュアロゼッタ!」

 

 

「勇気の刃!キュアソード!」

 

 

「愛の切り札!キュアエース!」

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

 

「夜空に煌く、希望の星!キュアフォーチュン!」

 

 

『全員集合!プリキュアオールスターズ!』

 

 

プリキュア達が、名乗りを上げる。

 

 

「って!幾らなんでも長すぎるでしょ!」

 

 

余りの名乗りの長さに、この世界のプリンセスが突っ込みを入れる。

 

 

「さすがにこの人数じゃ...しょうがないと思うよ」

 

 

この世界のプリンセスの突っ込みに、この世界のハニーが指摘する。

 

 

「そんな事言ってる場合じゃないわ、私達も行くわよ!」

 

 

この世界のプリキュア達が、大量のリンシーズに向かった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

『かわルンルン!』

 

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

 

「チェリーフラメンコ!」

 

 

「シャーベットバレエ!」

 

 

「ポップコーンチア!」

 

 

「パインアラビアン!」

 

 

ラブリー達はプリカードの力を使い、フォームチェンジを行う。

 

 

「プリキュア!パッションダイナマイト!オ・レ!」

 

 

チェリーフラメンコの必殺技を食らい、何体かのリンシーズが消滅する。

 

 

「プリキュア!アラベスクシャワー!」

 

 

「プリキュア!リボンハートエクスプロージョン!」

 

 

「プリキュア!オリエンタルドリーム!」

 

 

この世界のラブリーに続き、この世界のプリンセス達も必殺技を放ちリンシーズを倒す。

 

 

「向こうの私が言っている事、分かる気がする。私にも誰かを幸せにしたいっていう気持ちがあるから!」

 

 

この世界のラブリーに、プリンセス達も同じ気持ちになる。

 

 

『ハピネス注入!幸せチャージ!』

 

 

☆★☆★☆★

 

ハート達が三種の神器のひとつ『マジカルラブリーパッド』を召喚する。

 

 

マジカルラブリーパッドに、金色のキュアラビーズを填め込む。

 

 

マジカルラブリーパッドの中央に、それぞれのシンボルマークを表したトランプのようなエネルギーカードが出現する。

 

 

『私達の力を、キュアハートの元へ!』

 

 

4人が1枚づつ、ハートのラブリーパッドにエネルギーカードを送る。

 

 

マジカルラブリーパッドの画面上にある5枚を、ハートの形を描くことで5枚のカードが1枚になり強力なエネルギーカードが生成される。

 

 

「プリキュア!ラブリーストレートフラッシュ!」

 

 

生成されたエネルギーカードをリンシーズ達に向けて放つと、カードがハートの形となりリンシーズ達を浄化する。

 

 

「愛を知らない悲しい拳法使いさん達!私達プリキュアが、あなた達のドキドキ取り戻してみせる!」

 

☆★☆★☆★

 

 

「プリキュア!サニーファイヤー!」

 

 

「プリキュア!マーチシュート!」

 

 

キュアサニーは腕に纏った炎を放ち、キュアマーチが風の力をボール状に凝縮し、リンシーズに向けて蹴り飛ばす。

 

 

「大切な人だからこそ、力になりたい。それは私達も同じです!皆で力を合わせて来たから、今の私達がある!」

 

 

キュアビューティーは氷の剣を握り、力強く語る。

 

 

「誰かの為に戦う...私は笑顔を守る為に戦いたい!」

 

 

キュアハッピーは手をハートの形に組み、エネルギーを集中させる。

 

 

「プリキュア!ハッピーシャワー!」

 

 

ハートの形の光波を放ち、リンシーズを浄化する。

 

 

「ドンドン行こう!皆笑顔でウルトラハッピー!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「メロディ!私達も負けてられないわよ!」

 

 

「ええ!ここで決めなきゃ女がすたる!」

 

 

リズムの言葉に、メロディはいつもの口癖を口にする。

 

 

「奏でましょう、奇跡のメロディ!」

 

 

メロディは必殺技を使用するための専用武器。

 

 

ピンク色のスティック型のハンドベルをイメージする、『ミラクルベルティエ』を召喚する。

 

 

「おいで、ミリー!」

 

 

「ミミ!」

 

 

メロディの掛け声で、ミラクルベルティエの先端にフェアリートーンの1体である『ミリー』が装着される。

 

 

「刻みましょう、大いなるリズム!」

 

 

リズムの掛け声で、ハート状の輪の装飾がついた白いスティック型の鈴をイメージする、『ファンタスティックベルティエ』を召喚する。

 

 

「おいで、ファリー!」

 

 

「ファファ!」

 

 

ファンタスティックベルティエの先端に、ファリーが装着される。

 

 

「おいで、ドリー!」

 

 

「ドド!」

 

 

メロディはさらにドリーを呼び、ミリーが装着された反対側にドリーを装着される。

 

 

「ミラクルベルティエ・セパレーション!」

 

 

ミラクルベルティエが中心から分割され、『ミラクルベルティエ・セパレーション』となる。

 

 

♪~

 

 

メロディがハンドベルの要領で、2本のベルティエを鳴らす。

 

 

「溢れるメロディの、ミラクルセッション!」

 

 

掛け声の後、ドリーとミリーの色の炎を両手でハートを描く。

 

 

「プリキュア!ミラクルハートアルベシオ!」

 

 

ハート型の2色の炎を、リンシーズに向けて放つ。

 

 

「おいで、レリー!」

 

 

「レレ!」

 

 

リズムはさらにレリーを呼び、ファリーが装着された反対側にレリーを装着される。

 

 

「ファンタスティックベルティエ・セパレーション!」

 

 

ファンタスティックベルティエが中心から分割され、『ファンタスティックベルティエ・セパレーション』となる。

 

 

♪~

 

 

リズムがハンドベルの要領で、2本のベルティエを鳴らす。

 

 

「弾けるリズムの、ファンタスティックセッション!」

 

 

掛け声の後、レリーとファリーの色の炎を両手でハートを描く。

 

 

「プリキュア!ファンタスティック・ピアチェーレ!」

 

 

ハート型の2色の炎を、リンシーズに向けて放つ。

 

 

リズムが放った必殺技が、先程メロディが放った必殺技と合わさる。

 

 

『三拍子!1・2・3!フィナーレ!』

 

 

2人の掛け声の後、大爆発が起きて大量のリンシーズ達が浄化される。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「別の世界にも関わらず、誠司君達だって頑張ってるんです!私達も負けていられません!」

 

 

ブロッサムは、マリンに顔を向ける。

 

 

「行きましょう!マリン!」

 

 

「やるっしゅ!」

 

 

ブロッサムとマリンは、フラワータクトを取り出す。

 

 

『集まれ!2つの花の力よ!』

 

 

掛け声の後、タクトに花の力が集結する。

 

 

『プリキュア!フローラルパワー・フォルティシモ!』

 

 

タクトを振ってフォルテッシモ記号のような形をした、ピンクとブルーのエネルギーを生み出す。

 

 

ブロッサム達はそれを纏い、2人はハートの形をしたエネルギー弾となってリンシーズに突撃する。

 

 

2人が通り過ぎたリンシーズが、何体も浄化される。

 

 

「今回は決まったっしゅ!」

 

 

マリンのその言葉に、ブロッサムは苦笑する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ピーチ、ベリー、パイン、パッションの4人がリンシーズに向かって走り出す。

 

 

「ハピネスリーフ!パイン!」

 

 

パッションは前に走っているパインに向かって、『クローバーボックス』によって生成されたハピネスリーフを投げ渡す。

 

 

「プレアーリーフ!ベリー!」

 

 

パインがハピネスリーフキャッチすると、プレアーリーフをセットして前に走っているベリーに投げ渡す。

 

 

「エスポワールリーフ!ピーチ!」

 

 

ベリーは自分のエスポワールリーフをセットすると、ピーチに投げ渡す。

 

 

「ラブリーリーフ!」

 

 

ピーチが最後のリーフをセットすると、フレッシュプリキュアのシンボルでもある四葉のクローバーが完成される。

 

 

ピーチが完成したクローバーを前に投げると、クローバーが巨大化する。

 

 

それぞれが、自分が生成したリーフの上に立つ。

 

 

「どんな相手だろうと、私達は絶対に諦めない!皆で幸せゲットだよ!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「クリスタル・フルーレ!希望の光!」

 

 

「ファイヤー・フルーレ!情熱の光!」

 

 

「シャイニング・フルーレ!はじける光!」

 

 

「プロテクト・フルーレ!安らぎの光!」

 

 

「トルネード・フルーレ!知性の光!」

 

 

5人は剣のような形状をした武器、『キュアフルーレ』を手にする。

 

 

「5つの光に!」

 

 

『勇気を乗せて!』

 

 

掛け声の後、キュアフルーレから巨大なピンク、赤、黄色、緑、青の5つのバラが放たれる。

 

 

『プリキュア!レインボー・ローズ・エクスプロージョン!』

 

 

5つのバラがリンシーズに向かう途中、1つに融合しさらに巨大な虹色のバラへと変化した。

 

 

虹色のバラが、リンシーズ達を押しつぶす。

 

☆★☆★☆★

 

 

ブルームとイーグレットの2人は手を繋ぎ、精霊達に呼びかける。

 

 

「大地の精霊よ!」

 

 

「大空の精霊よ!」

 

 

2人が呼びかけると、空いている掌に精霊の力が収束する。

 

 

「今、プリキュアと共に!」

 

 

「奇跡の力を解き放て!」

 

 

精霊の力を集めると、2人の手の甲のマークが発光する。

 

 

『プリキュア!ツイン・ストリーム・スプラッシュ!』

 

 

回転した片腕から金色と銀色の2つの異なるエネルギー奔流を、両手で打ち出してエネルギー奔流がリンシーズ達を包み込み浄化する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

シャイニールミナスが持つ『ハーティエルバトン』を頭上に掲げ、溢れ出た光の洪水をブラックとホワイトに浴びせる。

 

 

「漲る勇気!」

 

 

「溢れる希望!」

 

 

「光輝く絆と共に!」

 

 

掛け声の後、3人同時に力を押し出し、前方にハート型の虹色のエネルギーから強力な金色の光波を発射する。

 

 

『エキストリーム・ルミナリオ!!』

 

 

金色の光波を受け、複数のリンシーズが浄化される。

 

 

「凄い!あれだけ苦戦してたリンシーズを浄化できたよ!」

 

 

前回苦戦していた相手を倒せたことに、ブラックは喜びを見せる。

 

 

「あの修行も、無駄では無かったってことね」

 

 

先程までの修行が身を結んでいた事に、ホワイトは驚きを隠せなかった。

 

 

ブラックが辺りを見回すと、殆どのリンシーズが浄化されており、残すはメカとヌンチャクサイアークだけだった。

 

 

「よーし!この調子でメカとヌンチャクサイアークを...って!何あれ!?」

 

 

ブラックの視線の先には、メカ達と対峙してるゲキレッド達と、体から視認できる程の激気を体から放出してるラブリー達の姿があった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

時間は少し遡り、ゲキレッド達はリンシーズをこの世界のプリキュア達に任せ、自分達はメカ達と対峙する。

 

 

「誰が相手だろうが、無限龍の力を得た俺の前では無力だ!」

 

 

苦戦したゲキレッドを相手にしても、ヌンチャクサイアークは自信があるのか凄い強気だった。

 

 

「無限龍!?まさか...慟哭丸をヌンチャクサイアークに埋め込んだのか!?」

 

 

ヌンチャクサイアークの言葉を聞いて、ゲキレッドが推測する。

 

 

「メカカ!その通り!幾らお前達といえど簡単に倒せまい!」

 

 

無限龍の力があるお陰か、メカも強気で答えた。

 

 

「どんな力だろうと関係ない!私達はこの世界を守る為に戦う!」

 

 

強気なメカに対し、ラブリーはそう宣言する。

 

 

「皆!行くよ!」

 

 

ラブリーの掛け声で、プリンセス達もメカとヌンチャクサイアークに突っ込む。

 

 

『はあああ!!』

 

 

ラブリーとプリンセスがヌンチャクサイアークに、ハニーとフォーチュンがメカに殴りかかる。

 

 

だが、ラブリー達の攻撃は簡単に受け止められてしまった。

 

 

何かを考えているのか、ゲキレッド達は様子を見ているだけだった。

 

 

「別の世界にも関わらず、無茶な奴等だッチャ!」

 

 

そんなヌンチャクサイアークの言葉に、ラブリーが答える。

 

 

「誠司達に追いつくには、無茶でも何でも突き進むしか知らないのよ!」

 

 

ラブリーの言葉で4人同時に力を込めた、その時。

 

 

『うわっ!』

 

 

ラブリーの体からはピンクの、プリンセスは青、ハニーは黄色、フォーチュンからは紫色の激気が溢れ出した。

 

 

「これは...」

 

 

「もしかして...」

 

 

ラブリー達が困惑する中、ゲキレッド達が拍手しながら近づく。

 

 

「それは激気だ」

 

 

「激気?」

 

 

誠司の説明に、4人は首を傾げる。

 

 

「何で?私達、修行を途中で止めて来たのに...」

 

 

ラブリーの言葉に、ゲキレッドは首を横に振った。

 

 

「いいや、それは今日の修行だ。今までの修行が身を結び、今やっと激獣拳を習得したんだ」

 

 

自分達が激獣拳を習得出来た事がまだ信じられないのか、ラブリー達は自分達から溢れ出す激気を見る。

 

 

「今からお前達は、『プリキュア拳』の使い手だ!」

 

 

「プリキュア拳...良いね!それ!」

 

 

ゲキレッドとラブリーがそんなやり取りをしていると、飛ばされたヌンチャクサイアークが起き上がる。

 

 

「ええーい!何をごちゃごちゃと言ってるっチャ!」

 

 

ヌンチャクサイアークのサングラスが光った瞬間、ゲキレッド達の前で爆発が起こる。

 

 

「やってくれましたな」

 

 

さらに、ヌンチャクサイアークと一緒に飛ばされたメカも起き上がる。

 

 

ヌンチャクサイアークとメカがゲキレッド達に向かうが、動くのはゲキレッド達の方が早かった。

 

 

ゲキレッド達は、それぞれ相手する敵を引き離した。

 

 

ゲキレッド、ゲキブルー、ゲキバイオレット、ラブリー、プリンセスはヌンチャクサイアークの相手を。

 

 

ゲキイエロー、ゲキチョッパー、理央、メレ、ハニー、フォーチュンはメカの相手をする。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「リンギ!甲羅苦円(こうらくえん)!」

 

 

メカは臨気による盾を作り出す。

 

 

ゲキチョッパーはサイブレードから激気を放ち、理央とメレは臨気の光弾を作り出しメカに向かって放つ。

 

 

「うわあああ」

 

 

『ぐぅ!』

 

 

だがその全てが弾かれてしまい、逆に自分達に返ってきてダメージを受けてしまう。

 

 

「中々やるじゃねぇか!だったら、硬いものなら俺に任せろ!」

 

 

ゲキチョッパーは、サイブレードの折り畳まれているブレードを伸ばしサイブレードカッターに変形させる。

 

 

「ゲキワザ!鋭鋭刀!」

 

 

ゲキチョッパーは臨気の盾に向かって跳躍し、サイブレードカッターを振り下ろす。

 

 

「セイヤ―――!!」

 

 

サイブレードカッターの攻撃で、臨気の盾は簡単に砕け散った。

 

 

「な...何!?」

 

 

自分の盾が破壊されたことに、メカは自分の目を疑う。

 

 

「今だ!二人とも!」

 

 

ゲキチョッパーの声を受け、ハニーとフォーチュンは激気を練りだす。

 

 

『プリキュア拳ゲキワザ!』

 

 

命命弾(めいめいだん)!」

 

 

星星弾(スタスタだん)!」

 

 

ハニーからは四葉のクローバーの形をした激気が、フォーチュンからは星の形をした激気が放たれる。

 

 

「メカー!」

 

 

2人の攻撃を受け、メカは大きく吹っ飛んだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『はぁ!』

 

 

ゲキレッド、ラブリー、プリンセス、3人の拳がヌンチャクサイアークに叩き込まれる。

 

 

その後も、ラブリーの攻撃を受け止めても、逆側からプリンセスが蹴りを入れ、それを後ろに避けてもゲキレッドとラブリーの追撃が襲い掛かる。

 

 

『はぁ!』

 

 

3人の攻撃にヌンチャクサイアークは翻弄され、またも3人の拳が決まる。

 

 

「良し!止めだ!」

 

 

『応!』

 

 

ゲキレッドの掛け声に、ゲキブルーとラブリーとプリンセスが答える。

 

 

『プリキュア拳!ゲキワザ!』

 

 

愛愛弾(ラブラブだん)!」

 

 

風風弾(ふうふうだん)!」

 

 

「ゲキワザ!砲砲弾!」

 

 

「ゲキワザ!転転弾!」

 

 

ラブリーからはハートの形をした激気が、プリンセスからは丸の形をした激気が放たれる。

 

 

その2つの激気が、砲砲弾と転転弾と合わさってヌンチャクサイアークに直撃する。

 

 

「ホワチャ、ホワ、ホワ、ホワチャー!!」

 

 

ヌンチャクサイアークは4人の必殺技を受け、そのまま背中から倒れ爆発する。

 

 

「やったー!」

 

 

「よくやったな!」

 

 

喜ぶラブリー達を、ゲキレッドは髪の毛をわしゃわしゃする。

 

 

「何すんのよ~」

 

 

「髪が乱れるでしょ!」

 

 

3人がそんなやり取りをしている中、ヌンチャクサイアークのサングラスから光が失い、それと同時にヌンチャクサイアークの内部にある慟哭丸の封印が解けてしまう。

 

 

その時、他の場所で戦闘していたハニー達と、リンシーズの相手をしていたこの世界のプリキュア達がその場に集まった。

 

 

「凄ーい!何今の!?」

 

 

先程の戦いを見ていたこの世界のラブリーは、プリキュア拳について質問する。

 

 

「今のは私達が習得した獣拳の力だよ!」

 

 

『えぇ―――――!!』

 

 

ラブリーの言葉に、この世界のプリキュア達は驚愕の声を上げる。

 

 

「凄い!獣拳を習得出来たの!」

 

 

「良いなー!」

 

 

この世界のラブリー達は、獣拳を習得した自分達を羨ましがる。

 

 

「あちゃ~、やられてもうた!」

 

 

ヌンチャクサイアークが倒されたことに、メカは頭を抱える。

 

 

メカの存在に気づいたゲキレッドは、メカと向かい合った。

 

 

「おい!亀野郎!どうすんだ?」

 

 

「あとはあなただけよ!」

 

 

「な、なんやと!?」

 

 

メカはハンマーを抱えながら、後ろに後ずさる。

 

 

「行くぞー!覚悟はいいか?」

 

 

ゲキレッド達とプリキュア達がメカと対峙する中、後ろに倒れてるヌンチャクサイアークに異変が起こる。

 

 

ヌンチャクサイアークの中にある慟哭丸が光り輝き、ヌンチャクサイアークから爆発が起こり地響きが発生する。

 

 

「なんだ!?」

 

 

ゲキレッド達が警戒する中、ヌンチャクサイアークが急に立ち上がり、ヌンチャクサイアークにある人影が重なった。

 

 

「お前は!?」

 

 

その人影は、最初は薄かったが目が光った途端に実体として現れる。

 

 

その人物は、ゲキレッド達にとっては見覚えのありすぎる人物だった。

 

 

「ロン!」

 

 

それはかつて誠司達を苦しめた存在、無限龍のロンだった。




はい!如何だったでしょうか!


まず最初に、投稿が遅くなってしまったことと、嘘をついてしまった事を謝罪します。


まず最初に投稿が遅くなった件ですが、どうせなら新年最初の投稿にしようと思い投稿が遅くなってしまいました。


その方が新年の挨拶も出来ると考えた結果ですが、続きを待っていた読者の皆様本当に申し訳ございませんでした!


また、嘘をついた件ですが前回の後書きで次回がオリジナル劇場版最終話と申しましたが思いのほか長くなってしまいロン復活までで切らせて頂きました。


オールスターズという事もあり、プリキュア達にも活躍させたいと思い名乗りと合体技で長くなってしまいました。


その為に、わざわざオールスターズのDX1,2,3を見ました。


なぜその3つだけと思った方はいると思いますが、時間が無くてその3つしか見れませんでした。


さて、次回でロンとの戦いですが、色々考えていますのでお楽しみにして下さい。


それではまた次回、第26話、又はアクセル・ビルド第10話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話 ロンとの最終決戦!新たな拳士、キュアトージャ誕生!!

どうも!ナツ・ドラグニルです!


長らくお待たせしました!


オリジナル劇場版の最終話になります!


ここまでが長かった!


最初は2~3話で済むだろうと思っていましたが、まさかの4話。


ここまで長くなるとは...


それでは作品をどうぞ


「お久しぶりですね、ゲキレンジャー!」

 

 

復活を果たしたロンは、自分を封印したゲキレッド達に憎しみが籠った眼を向ける。

 

 

ロンが復活するという非常事態に、ゲキレッド達は構えを取って臨戦態勢に入る。

 

 

「蘇ってしまったの!?」

 

 

「そんな馬鹿な!」

 

 

「無限龍の力だけを利用しようなんて、虫が良すぎたってこった」

 

 

驚くラブリーとゲキレッドに、ゲキバイオレットが指摘する。

 

 

「お待ちしておりました!」

 

 

ゲキレッド達の後ろにいたメカは、喜々としてロンに近づく。

 

 

『ぐわぁぁぁぁぁぁ!』

 

 

メカはすれ違いざまに、ゲキレッド達を攻撃する。

 

 

「そのお体を差し上げた、メカと申しまんねん」

 

 

自己紹介するメカだったが、ロンは鼻で笑うとメカを無視しゲキレッド達に話しかける。

 

 

「まずは...この私をあんな玉に変えてくれたお礼です!」

 

 

地面に倒れるゲキレッド達に、ロンは強烈な一撃を浴びせる。

 

 

「すぅ~、はぁ!」

 

 

ロンが息を吸い込むと、ロンの口から幻気の本流がゲキレッド達を襲う。

 

 

『うわぁぁぁぁ!!』

 

 

ゲキレッド達は壁に叩きつけられ、全員が変身が解けてしまいその場に倒れる。

 

 

「フフフ、クフフフフ」

 

 

ロンは笑いながら、宙に浮き上空から倒れる誠司達を見下ろす。

 

 

「良い眺めです、今のはほんのご挨拶」

 

 

もう一度口から幻気を吐き出すが、今度は幾つもの幻気の塊を撃ち出した。

 

 

『うわぁぁぁぁ!!』

 

 

今度は生身の状態で攻撃を受けたせいか、プリキュア達はようやくロンの恐ろしさを実感する。

 

 

「もがき苦しむ姿、たっぷり見せてください」

 

 

誠司達もダメージのせいで、立ち上がれないでいた。

 

 

「そういえば、平行世界とはいえここはあなたが住んでいる世界と同じでしたよね!ゲキレッド!」

 

 

慟哭丸の中で話を聞いていたのか、ロンが誠司に確認する。

 

 

「だから何だと言うの!?」

 

 

思わずめぐみが反応するが、その言葉を聞いてロンはさらに怪しい笑みを浮かべる。

 

 

「ならば、あなたの家族を見つけ出し殺して差し上げますよ。あなたの父、相楽ダンと同じようにね!」

 

 

怪しい笑みを浮かべながらそう告げるロンに誠司だけでなく、ラン達までも怒りを露にする。

 

 

だが、誠司の父親を殺したという言葉に、この世界のプリキュア達だけでなくめぐみ達も戸惑いを見せる。

 

 

「せ、誠司...どういう事?誠司のお父さんの様に殺すって...」

 

 

めぐみが確認するように誠司達に視線を向けるが、誠司達は答える事無く全員が俯いた。

 

 

「おや?知らないなら教えてあげましょうか?」

 

 

ロンは理央を指差し、説明をする。

 

 

「私はそこにいる理央を利用し、相楽誠司の父親を殺したんですよ!」

 

 

ロンの口から告げられた衝撃の事実に、プリキュア達は言葉を失う。

 

 

「う...嘘だよね...、あいつが言ってること...ねぇ!誠司!」

 

 

「...嘘じゃねぇ、あいつの言っている本当だ」

 

 

信じたくなかったのか、めぐみは誠司に質問するが誠司の口から告げられやっと理解する。

 

 

「家族を目の前で殺されたら、あなたはどんな顔をするんでしょうかねぇ?」

 

 

ロンの何気ないその言葉で、内側から怒りが爆発しフラフラになりながらも立ち上がる。

 

 

「ふざけるなよ...そんなことさせる訳ねぇだろうが!」

 

 

誠司の言葉を聞き、めぐみも立ち上がる。

 

 

「真央ちゃんもひろ子さんも殺させはしない!この世界も私達の世界も、両方守る!」

 

 

誠司達が立ち上がった事で、負けじと他の者達も立ち上がる。

 

 

だが、この世界のプリキュア達はダメージが大きいのか立ち上がれないでいた。

 

 

「ふんっ、いいでしょう!余興は終わりです!」

 

 

ロンはヌンチャクサイアークの中に入ると、ヌンチャクサイアークの姿が変わった。

 

 

体のあちこちから龍の顔が生え、胸の龍の顔は他の顔に比べると二回りほど大きい。

 

 

ロンがヌンチャクサイアークに入る事により、『ロンサイアーク』が出来上がった。

 

 

『世界はお前(あなた)の玩具じゃねぇ(じゃない)!』

 

 

誠司とめぐみがそう叫ぶと、全員が変身アイテムを構える。

 

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

 

「プリキュア!きらりんスターシンフォニー!」

 

 

めぐみ達が光に包まれ、プリキュアへと変身する。

 

 

『ビースト・オン!』

 

 

「臨気凱装!」

 

 

「エプタイル・オン!」

 

 

誠司達は、各々の変身アイテムに次元圧縮されたゲキスーツを纏い、理央は臨気の鎧を纏う。

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

 

「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!」

 

 

『ハピネス注入!』

 

 

『幸せチャージ!』

 

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

名乗るラブリー達だったが、ハニーとフォーチュンの2人をラブリーとプリンセスが挟んでいる。

 

 

更に、ポーズもバラバラで全然纏まりが無かった。

 

 

 

「身体に漲る、無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

「技が彩る、大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

 

「強き事、獅子の如く!猛き事、また獅子の如く!我が名は黒獅子・理央!」

 

 

「理央様の為に、新たな力を得た新ラブウォリアー!臨獣カメレオン使いのメレ!」

 

 

「燃え立つ激気は、正義の証!」

 

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

 

「俺達!スーパー戦隊!」

 

 

「&プリキュア!」

 

 

ロンとメカの前に、11人の戦士が並び立つ。

 

 

「まだ私を楽しませてくれるのですか?」

 

 

ロンは全ての龍の顔から、炎の玉を吐き出した。

 

 

ゲキレッド達が炎に包まれるが、全員が一瞬で距離を詰めすれ違い様にロンとメカに攻撃する。

 

 

『はぁ!』

 

 

イエローとブルーがロンに、バイオレットとチョッパーがメカに拳を叩き込む。

 

 

『はぁ!』

 

 

プリンセスとハニーがメカに、フォーチュンがロンに飛び蹴りを放つ。

 

 

『はぁ!』

 

 

ゲキレッドとラブリーがそれぞれ左右から攻撃する。

 

 

ラブリーは右拳を、ゲキレッドは左拳をロンに叩き込む。

 

 

そのまま二人は裏拳を繰り出し、そこに理央の蹴りが炸裂する。

 

 

追撃として、2人も左右から回し蹴りを放つ。

 

 

3人が戦う中、逃げようとしたメカをメレとハニーが止める。

 

 

「あんたみたいな馬鹿を逃がすわけないでしょ」

 

 

「そういうこと」

 

 

メレは釵を、ハニーはロングバトンをメカの喉元に当てる。

 

 

「覚悟は出来てるんでしょうね?」

 

 

メカの前で、フォーチュンがフォーチュンファンを構える。

 

 

「うぅ...この野郎!」

 

 

メカは喉元に当てられた武器を、下から払いのけ2人に攻撃を仕掛ける。

 

 

しかし、2人はハンマーによる攻撃を武器で防ぎ、逆に反撃する。

 

 

ハニーとメレはすれ違い様に横一文字に武器を薙ぎ払い、フォーチュンが跳躍しメカに向かってフォーチュンファンを振り下ろす。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

右、左と引っ搔き攻撃を理央が繰り出し、顔面に蹴りを食らわす。

 

 

ゲキレッドとラブリーが、ロンの後ろから腕を取り関節技を決める。

 

 

がら空きになった腹部に、2人は数発の拳を叩き込む。

 

 

理央が2人の肩を掴むと、2人に臨気を送る。

 

 

「臨気注入!」

 

 

『激臨プリキュア弾!!』

 

 

2人の叩き込まれた拳から、送られた臨気と2人の激気とプリキュアの力が放たれる。

 

 

3人の合体技を受け、ロンは後ろに大きく吹っ飛ばされる。

 

 

ロンの横に、フォーチュン達にやられたメカが転がってきて、2人は横に並び立つ。

 

 

「良し!みんな行くぞ!」

 

 

『応!』

 

 

ゲキレッドの掛け声を合図に、ゲキレンジャーとプリキュアで分かれる。

 

 

『ゲキバズーカ!』

 

 

ゲキレッド達は、ゲキバズーカを召喚する。

 

 

バイオレットが拳に紫激気を纏わせ、チョッパーがサイブレードを構える。

 

 

理央とメレは、体から臨気を溢れ出させる。

 

 

『超超スペシャル激臨砲!』

 

 

『プリキュア拳!ゲキワザ!』

 

 

ラブリー達は、激気を練り出す。

 

 

『超超スペシャルハピネス砲!』

 

 

4人は拳を構え、発射準備を整える。

 

 

『ターゲットロック!』

 

 

ゲキレッドとラブリーの掛け声を合図に、全員の合体技が放たれる。

 

 

『シュート!』

 

 

ゲキタイガー、ゲキチーター、ゲキジャガー、ゲキウルフにサイダイン。

 

 

リンライオンに、リンカメレオン。

 

 

そしてプリキュア達のトレードマーク、ハート、マル、クローバー、星。

 

 

それぞれの形をした激気と臨気が、ロンとメカに命中する。

 

 

「残念でまんねん!」

 

 

今の攻撃が止めとなり、メカは倒れ爆発する。

 

 

「やったね!皆!」

 

 

そこに、今までレベルが違いすぎて戦いに入れなかったこの世界のプリキュア達が駆け寄る。

 

 

「後はあいつ1人!」

 

 

この数だったら勝てると考えるこの世界のプリキュア達だったが、その考えが甘かった事を痛感する事になる。

 

 

「ふふふ、面白くなってきましたね!それではメインイベントと行きましょう!」

 

 

怪しい笑みを浮かべた後、ロンの目が光りだす。

 

 

ロンの全身が光に包まれると、見る見るうちに巨大化する。

 

 

「ちょっ...嘘でしょ...」

 

 

この世界の誰かが呟いたのか、目の前の現象に驚愕の声を上げる。

 

 

「面白がってんじゃねぇ!皆行くぞ!」

 

 

『ゲキワザ!来来獣!』

 

 

ゲキレッドがゲキタイガーを、ゲキブルーがゲキジャガーを、ゲキバイオレットがゲキウルフを召喚する。

 

 

『リンギ!招来獣!』

 

 

理央がリンライオンを、メレがリンカメレオンを召喚する。

 

 

『獣拳合体!』

 

 

ゲキタイガー達が合体し、ゲキリントージャウルフが完成する。

 

 

『ゲキリントージャウルフ!バーニングアップ!』

 

 

巨大化したロンに恐怖するこの世界のプリキュア達だったが、ゲキレッド達が召喚した超巨大ロボに目を輝かせる。

 

 

「何あれ凄い!」

 

 

「格好いい!!」

 

 

目を輝かせるプリキュア達の近くに、近づく影があった。

 

 

「ご覧ください!私達の目の前で、物凄い戦いが繰り広げられています!」

 

 

「美代さん...この世界でも相変わらずなんだね」

 

 

別の世界と言えど、毎度のことながら現れる美代にラブリーは呆気に取られる。

 

 

しかし、現れたのは美代さんだけでは無かった。

 

 

「これは魔王の復活か!?この非常事態を生中継でお伝えいたします!」

 

 

美代の横に、なぜかバエの姿もあった。

 

 

「バエ!?なんでここにいるの!?」

 

 

驚愕するプリンセスに、バエはなんともない風に答える。

 

 

「たとえ火の中、水の中!巨大戦の為ならば、このバエは異世界だろうが現れます!」

 

 

力強く言うバエだったが、直ぐにネタ晴らしをする。

 

 

「まぁ、皆さんが行った後にマスター・シャーフーに事情を聴き、飛ばして貰ったんですが」

 

 

バエ達がそんな話をする中、巨大化したロンが龍の顔を伸ばしゲキリントージャウルフを攻撃する。

 

 

「さぁ...終焉の宴の始まりです」

 

 

「おおっと!ロンサイアークの先制攻撃です!」

 

 

ロンの攻撃を受け、ゲキリントージャウルフは地面に倒れてしまう。

 

 

「思い出して頂けましたか?この私の力を!」

 

 

ロンの言葉に、ゲキイエローとゲキブルーが答える。

 

 

「忘れるはずない!」

 

 

「お前がその力で、どれだけの人を苦しめたのか」

 

 

「ふんっ、おおっ!」

 

 

ロンは2人の言葉を鼻で笑うと、立ち上がったゲキリントージャウルフに向かって走り出す。

 

 

「人間共の苦しみなど、私の苦しみに比べれたら些細なものです!」

 

 

ロンは叫びながら、ゲキリントージャウルフを攻撃する。

 

 

「私の自由を取り戻す為、お前達は死になさい!」

 

 

ロンとの戦いを、美代が実況する。

 

 

「おおっと、これは恐ろしいパワーです!苦戦しています!そしてなお!」

 

 

美代が言い切る前に、ロンが次の攻撃に移った。

 

 

全ての龍の口から、火炎の玉を吐き出しゲキリントージャウルフに命中させる。

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

ロンの攻撃を受け、またしてもゲキリントージャウルフは地面に倒れてしまう。

 

 

「強い...」

 

 

「強すぎる...」

 

 

この世界のプリキュア達だけでなく、ラブリー達も不安そうな目でゲキレッド達の戦いを見守っていた。

 

 

「私達にもキュアビーストが出せれば...」

 

 

「無理よ、獣拳を習得したとは言え...今の私達にそこまでの力は残っていないわ...」

 

 

プリンセスとフォーチュンの会話に反応したのは、この世界のラブリーだった。

 

 

「キュアビーストって何なの?」

 

 

疑問に思うこの世界のラブリーに、ラブリー達は説明する。

 

 

「さっき誠司達が召喚したゲキタイガー達を、ゲキビーストって呼ぶの」

 

 

「キュアビーストって言うのは、そのゲキビーストのプリキュア版というわけ」

 

 

「獣拳を習得した今の私達なら、キュアビーストを召喚出来ると思うけど...」

 

 

「今の私達では、さっきの戦いのせいで呼び出すための力を使い果たしてしまったの」

 

 

ラブリー達の説明で、状況理解するこの世界のラブリーはある提案をする。

 

 

「ねぇ、私達の力を渡す事って出来ないかな?」

 

 

『え?』

 

 

この世界のラブリーの提案に、全員が耳を疑う。

 

 

「渡すって、どうやって!?」

 

 

プリキュアの力を、相手に譲渡するという前代未聞の事を告げるこの世界のラブリーに、この世界のプリンセスが質問する。

 

 

「分からないけど、どうにかして渡すことは出来ないかな?」

 

 

この世界のラブリーの言葉に、この世界のプリンセスが呆れる。

 

 

「もう...ラブリーったら...でも、その案には賛成ね」

 

 

「確かに、今の私達には見てる事しか出来ないもの。やるだけやってみましょう」

 

 

この世界のプリンセスが呆れながらも賛成し、この世界のフォーチュンも同意する。

 

 

「そっちのラブリー達に可能性があるなら、私達も力を貸すよ!」

 

 

ハートがそう言うと、この世界のプリキュア達がラブリー達を周りを囲う。

 

 

「みんな行くよ!」

 

 

『はぁぁぁぁぁ!』

 

 

この世界のラブリーの掛け声を合図に、全員が身体から力を放出する。

 

 

『はぁ!』

 

 

放出された力が、ラブリー達に譲渡された。

 

 

この世界のプリキュア達の力が、渡されたと同時に力が漲ってくるのをラブリー達は感じた。

 

 

ニャァァァァァ!!

 

 

ピィィィィィィ!!

 

 

ブモォォォォォ!!

 

 

モォォォォォォ!!

 

 

ラブリー達は、自分の中に眠っていた獣達の目覚めの声を聴いた。

 

 

「みんな!ありがとう!」

 

 

ラブリーはこの世界のプリキュア達に感謝すると、ラブリー達はいつも誠司達がやっているようにゲキビーストを召喚する。

 

 

『プリキュア拳!ゲキワザ!来来獣!』

 

 

「キュアリンクス!」

 

 

ラブリーが召喚したのはピンクの巨体に白い斑紋があり、背中にラブリーのマークがある山猫『キュアリンクス』。

 

 

「キュアスワロー!」

 

 

プリンセスが召喚したのは、体は全体的に水色で喉と頬が赤く、腹は白くて胸に黒い横帯がある。

 

 

背中にはプリンセスのマークがあり、銀色の翼を持った燕『キュアスワロー』。

 

 

「キュアジラフ!」

 

 

ハニーが召喚したのは体は黄色で黒の斑紋があり、尻尾は黒でお腹にハニーのマークがある麒麟『キュアジラフ』。

 

 

「キュアバイソン!」

 

 

フォーチュンが召喚したのは全体的に紫で、背中にフォーチュンのマークがある猛牛『キュアバイソン』。

 

 

「で~た~!あれは伝説のゲキビースト、いやキュアビーストの登場だ!」

 

 

キュアビーストの登場に、バエは興奮しながら実況する。

 

 

「あれは...」

 

 

「何なんですか!?お前達は!?」

 

 

突如として現れたキュアビーストに、ゲキレッド達だけでなくロンも驚きを隠せない。

 

 

「お待たせ!みんな!」

 

 

「私達も加勢するわ!」

 

 

まず我先にと、ラブリーがリンクスの爪でロンを攻撃する。

 

 

 

「プリキュア!山山弾(ざんざんだん)!」

 

 

リンクスの鋭い爪で、ロンに連続で引っ搔き攻撃をする。

 

 

「くぅ!」

 

 

「おおっと、キュアリンクスの連続攻撃で、流石のロンも少しは怯みました!」

 

 

「プリキュア!風風弾(ふうふうだん)!」

 

 

空を飛ぶスワローが大きな翼で風を起こし、ロンを吹き飛ばす。

 

 

「プリキュア!脚脚弾(きゃくきゃくだん)!」

 

 

ハニーがロンが吹き飛ばされる先に先回りし、後ろ脚で蹴りを放つ。

 

 

「ぐぁ!」

 

 

「プリキュア!轟轟弾(ごうごうだん)!」

 

 

ジラフによって蹴り飛ばされたロンに向かって、バイソンが突進で更に吹っ飛ばす。

 

 

「キュアスワローの風圧に、キュアジラフの蹴り。そしてキュアバイソンの突進!プリキュア達の連携攻撃だ!」

 

 

「おのれ!邪魔するな!」

 

 

ロンの龍の口から、キュアビーストに向けて火炎の玉が放たれた。

 

 

『きゃああああ!!』

 

 

放たれた火炎の玉を受け、4体のキュアビーストは地面に倒れる。

 

 

「ラブリー!皆!」

 

 

倒れたキュアビースト達を守るように、ゲキリントージャウルフが前に出る。

 

 

「大丈夫!」

 

 

ラブリーはリンクスを起き上がらせると、プリンセス達も負けずと起き上がる。

 

 

「たった4人の成りたて獣拳使いに、何が出来るというのですか?」

 

 

「私達だけじゃない!」

 

 

「この力は、この世界のプリキュア達全員の力も合わさってるのよ!」

 

 

ロンの言葉に、ラブリーとプリンセスが反論する。

 

 

「みんな!行くよ!」

 

 

『おう!』

 

 

キュアビースト達が一か所に集結する。

 

 

『プリキュア!獣拳合体!』

 

 

キュアバイソンの前脚が後ろに、後ろ脚が前にたたまれ、背中の装甲が開いて太腿が展開される。

 

 

キュアバイソンの顔が股関節部分となり、キュアバイソンが下半身となる。

 

 

キュアジラフの脚が折りたたまれ、お腹が正面となりキュアバイソンの下半身と合体し上半身となった。

 

 

キュアジラフの肩から上が分離され、上半身の左側に合体し首が90℃回転して左手になる。

 

 

キュアリンクスの脚が折りたたまれ、首が90℃回転して右側に合体し右手となる。

 

 

キュアスワローの頭部が分離され、キュアジラフの首がついていた場所に合体する。

 

 

キュアスワローの口が開くと、顔が出てきて頭部となる。

 

 

顔はゲキトージャに似ており、目にはゴーグルを装着してる。

 

 

キュアジラフの尻尾とキュアスワローの残りのパーツが、キュアジラフの背中に装着される。

 

 

『キュアトージャ!バーニングアップ!』

 

 

4体のキュアビーストが合体し、新たな拳士『キュアトージャ』が誕生する。

 

 

「何と!ハピネスチャージプリキュアから大きな獣が出てきただけでなく、巨大なロボットへと変わりました!」

 

 

キュアトージャの誕生に、美代が興奮気味に実況する。

 

 

「凄い!あれがキュアビーストの力なんだ!」

 

 

「獣拳を習得した私達の力...」

 

 

この世界のラブリー達は、もう1人の自分達の力に興奮する。

 

 

その時、ゲキレンジャーの加勢として現れたのは、キュアトージャだけでは無かった。

 

 

中でも一番の巨体を持つゲキビースト、サイダインが現れる。

 

 

「来たな!サイダイン!」

 

 

「次々に助っ人が現れた!わくわくすることが起こりそうだ!」

 

 

しかし、反撃の準備はそれだけでは終わらなかった。

 

 

突如として、世界各地にブルーが映った鏡が出現する。

 

 

「世界の人々よ、子供達よ、プリキュアとゲキレンジャーを応援してほしい!」

 

 

光の小さい玉が、この世界のめぐみの手のひらに落ちる。

 

 

「今、別の世界の戦士たちが僕達の世界を守るために戦ってくれている!皆の応援が必要なんだ!」

 

 

光がはじけると、そこにはプリキュアを応援するアイテム『ミラクルライト』に変化する。

 

 

「さあ、皆!ミラクルライトを振って、応援してくれ!」

 

 

ミラクルライトはこの世界のめぐみ達だけでなく、美代が生中継している放送を見ている人々の手にも握られていた。

 

 

「プリキュア!ゲキレンジャー!頑張れー!」

 

 

この世界のめぐみが、ミラクルライトを振ってラブリー達を応援する。

 

 

『プリキュア!ゲキレンジャー!頑張れー!』

 

 

めぐみを始めとして、他のプリキュア達も応援を始める。

 

 

力が使えない今、この世界のプリキュア達は応援をする事しか出来ない。

 

 

だが、プリキュア達は知っている。

 

 

その応援が、どれだけの力をくれるのかを。

 

 

『プリキュア!ゲキレンジャー!頑張れー!』

 

 

世界中からの応援で、ゲキリントージャウルフとキュアトージャの周りに光の粒子が密集する。

 

 

「なんですか!この忌々しい光は!」

 

 

ロンは応援の力を見て、鬱陶しそうにする。

 

 

「この光は、俺達を応援するこの世界の人達の心だ!忌々しい光なんかじゃねぇ!」

 

 

「そうだね!今戦っているのは、私達だけじゃない!この世界の人々も一緒に戦ってくれてるんだ!」

 

 

『行くぜ!』

 

 

ゲキレッドとラブリーの言葉で、全員が気合を入れる。

 

 

『獣拳合体!』

 

 

ゲキリントージャウルフの両足が外れ、上半身がサイダインと合体する。

 

 

『サイダイゲキリントージャ!バーニングアップ!』

 

 

「全世界が夢にまで見た栄光のタッグが、今ここに実現します!」

 

 

「全世界の応援を受け、最初で最後の止めの一撃が放たれます!」

 

 

ゲキレンジャーとプリキュア達の勇士を見逃さない為に、バエと美代が実況する。

 

 

『スーパー戦隊!』

 

 

『プリキュア!』

 

 

『ハピネス・ビースト・シュート!』

 

 

サイダイゲキリントージャからは、ゲキビースト達の激気とリンビースト達の臨気が放たれる。

 

 

キュアトージャからは、キュアワイルドキャット、キュアスワロー、キュアジラフ、キュアバイソンの激気が放たれる。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!私は不死身だぁ!!」

 

 

2体の拳士による合体技を受けたロンは、火花を散らす。

 

 

「うわぁぁぁ、うぉぉぉぉ...」

 

 

悶え苦しむロンだったが、動きが止まると大きな爆発を引き起こした。

 

 

『よっしゃ―――!!』

 

 

『やったぁ―――!!』

 

 

ロンを倒した事に、ゲキレッド達やプリキュア達も喜びを見せる。

 

 

「やったー!やりました!」

 

 

その時、ロンが慟哭丸に戻る際に数匹の蚊が飛び去って行くのを、理央は偶然に目撃した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『乾杯!』

 

 

ロンを倒した事を記念して、誠司達は大使館でパーティーを開いていた。

 

 

パーティーの中で、めぐみ達はこの世界のめぐみ達と話していた。

 

 

「え!?そっちって恋愛禁止なの!?」

 

 

思わぬ情報に、ひめは驚愕の声を上げた。

 

 

『誰が決めたの!?そんな事!?』

 

 

思わずめぐみ達とランとリンの女性陣が、この世界のめぐみ達に問い詰める。

 

 

「誰って...ブルーだけど...」

 

 

「大切な人を守る為にって...」

 

 

この世界のめぐみ達は、ラン達に圧倒されながらもそう答える。

 

 

「何それ!分からなくはないけど、恋愛禁止はやりすぎでしょ!」

 

 

余りの理不尽さに、めぐみは怒りを露にする。

 

 

「もしかして、そっちの私達って好きな人がいるの!?」

 

 

『え!?』

 

 

この世界のめぐみの質問に、ラン達は思わず声が上擦ってしまう。

 

 

顔も赤く、誰が見ても分かりやすい反応だった。

 

 

「もしかして、相手って誠司なの?」

 

 

『なんでそれを!?』

 

 

何気ないひめの質問だったが、女性陣は更に顔を赤くする。

 

 

『嘘...』

 

 

この世界のめぐみ達は、誠司に恋するめぐみ達に驚愕する。

 

 

中でも、この世界のひめが一番驚いていた。

 

 

「嘘でしょ!白馬の王子との結婚はどうしたの!?それより何で誠司なの!?」

 

 

この世界のひめの質問に、ひめは頬を染めながら答える。

 

 

「白馬の王子様の夢はまだ持っているけど、それよりも素敵な人が現れたの...。最初は戦う姿に一目惚れしたけど、誠司の人柄を知っていく内にどんどん惹かれたの」

 

 

語るひめの姿は、この世界のひめに取っては同じ自分にも関わらず凄く大人に見え、唖然とする。

 

 

「それに...誠司に王子様の服着て貰って、白馬に乗ってもらうのもありかなって...」

 

 

そう語るひめの頭の中では、王子様の服を身に纏って白馬に乗る誠司の姿を思い浮かぶ。

 

 

 

 

 

迎えに来たぜ、ひめ

 

 

 

 

 

白馬に乗りながら、誠司はひめに手を差し伸べる姿を想像する。

 

 

「でへへへ...」

 

 

想像するひめは、だらしない笑みを浮かべていた。

 

 

別の場所では、めぐみとゆうこがこの世界の自分達に質問されていた。

 

 

自分の事とはいえ花の中学生という事もあり、恋愛には興味深々だった。

 

 

「ねぇ、何で誠司の事を好きって気づいたの?」

 

 

「私も気になる」

 

 

『えぇ...』

 

 

自分自身の質問に、めぐみは照れながら答えた。

 

 

「一時期、誠司がいなくなった時があったの。その時、いなくなって初めて分かったの...私には誠司がいないと何も出来ないって...」

 

 

「私も同じかな...」

 

 

照れくさそうに答える2人、ランとリンの2人も他のプリキュア達から質問されあたふたする。

 

 

「そういえば、リン達のそういう話を聞いてなかった」

 

 

「じゃあ、この機会に聞いてみようぜ!」

 

 

『おぉー!!』

 

 

ゴウとケンが、その場を盛り上げる。

 

 

 

 

 

 

 

部屋が盛り上がる中、誠司は外の手摺に寄りかかって涼んでいた。

 

 

誠司は騒動が起きる前に外に出た為、中の様子を知らない。

 

 

「よっ!」

 

 

涼んでいる誠司に話しかけたのは、この世界の誠司だった。

 

 

「今日はありがとう、俺達の世界を救ってくれて」

 

 

この世界の誠司が、誠司に感謝の言葉を告げる。

 

 

「お礼を言うのは俺の方だ、お前達のお陰でロンを倒す事が出来た。ありがとう」

 

 

お礼を言いに来たのに、逆に感謝されてこの世界の誠司は少し戸惑う。

 

 

「いやお礼を言われても...俺は今回何も出来なかった...。あのリンシーズって奴にも歯が立たなかったし...」

 

 

今回の戦いで思う所があったのか、この世界の誠司は手摺を掴み暗い顔をする。

 

 

「なぁ...どうやってそんなに強くなったんだ?」

 

 

「どうやってって、俺も只ひたすら戦っていたからな」

 

 

この世界の誠司の質問に、誠司は戸惑いながら答える。

 

 

「俺だって、最初から強かったわけじゃないしな...」

 

 

「そうなのか!?」

 

 

思わぬセリフに、この世界の誠司は驚愕の声を上げる。

 

 

「確かに、ゲキレンジャーになりたての時は、あいつらの中で誠司は一番弱かったからな」

 

 

そう言って近づいてきたのは、なんと理央だった。

 

 

「理央、お前中で料理食べてたんじゃないのか?」

 

 

「うるさくなったから、外に出てきたんだよ」

 

 

理央はそのまま、誠司の隣に寄りかかった。

 

 

「それより、今の話は本当なのか?そっちの俺が最初は弱かったって...」

 

 

「本当だ」

 

 

「最初の頃は、理央に手も足も出なかったからな」

 

 

本人達の言葉が信憑性の高さを物語っており、この世界の誠司は驚愕する。

 

 

誠司達の戦いを見ていたこの世界の誠司は、ゲキレンジャーの中で一番強いのは誠司だという事を直ぐに見抜いた。

 

 

その誠司が最初は一番弱かった何て、誰が予想出来るだろうか。

 

 

「俺も強くなれるかな... 」

 

 

2人の話を聞いて、自分もさらに強くなれるのでは、とこの世界の誠司は考える。

 

 

「なれるさ」

 

 

~♪

 

 

その時、何処からか通知音が聞こえた。

 

 

「あっ、悪い俺だ」

 

 

音の発生源は、この世界の誠司の携帯だった。

 

 

「おっ!父さんからメールだ」

 

 

その言葉に、誠司と理央は驚いた。

 

 

この世界の誠司は2人が驚いている事に気づかず、父親とのメールのやり取りを続ける。

 

 

「お前の父親は何をしてるんだ?」

 

 

思わぬ理央の質問に、この世界の誠司は戸惑いながら答える。

 

 

「え?あぁ、今は出張で海外にいるよ」

 

 

平行世界という事もあり、この世界の誠司の父親は生きている事に誠司はほっとする。

 

 

誠司は、この世界の誠司が父親とのメールのやり取りが終わったのを確認すると、この世界の誠司にあるお願いをする。

 

 

「なぁ、父さんの写真とかあるか?」

 

 

「うん?ああ、あるぞ」

 

 

この世界の誠司は携帯を操作すると、一枚の写真を画面に表示させた。

 

 

そこには、つい最近撮ったものなのか母さんと真央。

 

 

そして誠司と1人の男性が映っていた。

 

 

その男性の顔は、かつて見つけた写真に写っていた父さんと瓜二つだった。

 

 

誠司と理央はまたも驚くが、理央はこの世界の誠司の頭をワシャワシャと乱暴に撫でた。

 

 

「親父を大切にしろよ」

 

 

理央はそう言うと、大使館の中に戻っていった。

 

 

この世界の誠司は、いきなりの事で訳が分からず首を傾げる。

 

 

だが、誠司は驚いていた。

 

 

先程の理央は優しい笑みを浮かべており、その表情を見たのは初めてだからだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司達と、この世界の者達との別れの時が訪れた。

 

 

誠司達の上空に、次元の渦が発生する。

 

 

その時、ゲキチェンジャーから美希の通信が入った。

 

 

『皆聞こえる?マスター達にお願いして、次元の渦を作り出したわ。これで、いつでも帰って来られるわよ』

 

 

「ありがとうございます、美希さん」

 

 

「とうとうお別れだね...」

 

 

「あぁ...、本来なら俺達はいてはいけない存在だからな...」

 

 

誠司達とめぐみ達は、この世界のプリキュア達に喝を入れる。

 

 

「お前達、修行を怠るなよ」

 

 

「そうよ、一日休んだら取り戻すのに3日掛かるからね」

 

 

『み...三日...』

 

 

誠司とランの言葉に、この世界のプリキュア達は言葉を失う。

 

 

ランの言葉通りなら、誠司達のお陰で強くなれる事が出来たが修行をお怠ると今回の修行が無になるという事だ。

 

 

この世界のプリキュア達が固まっている間、この世界の誠司が誠司に近づく。

 

 

「お前も修行を頑張れよ」

 

 

「ああ、お前達に負けない位にな!」

 

 

2人の誠司はお互いに挨拶すると、誠司が右手を差し出す。

 

 

この世界の誠司も右手を差し出し、2人は握手をする。

 

 

めぐみ達は、この世界の者達に別れを告げる。

 

 

『さようなら!』

 

 

まず最初にめぐみ達がプリキュアに変身し、翼を広げて次元の穴へと入っていく。

 

 

誠司達も次元の穴に入ろうとする直前に、理央が誠司に話しかける。

 

 

「誠司、ロンを倒した時に妙な数匹の蚊がいた。何かあるかもしれない...」

 

 

「あぁ、分かった。頭に入れておく」

 

 

今度はゲキレンジャー達が、この世界の者達に別れの挨拶をする。

 

 

『じゃあな!』

 

 

誠司達は別れの言葉を告げると、次元の渦に視線を向ける。

 

 

『はぁ!』

 

 

その場で全員が跳躍し、次元の渦の中に消えていった。

 

 

変身もせずに空高くにある次元の渦に飛び込む跳躍力に、めぐみ達は言葉を失った。

 

 

「すごかったね...スーパー戦隊」

 

 

1人1人の戦闘力もそうだが、誠司達が関わった事によるもう1人の自分達の成長速度。

 

 

その姿を見せられたこの世界のめぐみ達は、自分達も負けてられないと考える。

 

 

「よーし!明日からは私達も修行だよ!」

 

 

「そうね!」

 

 

誠司達に感化されたこの世界のめぐみ達は、さっそく明日から修行に取り掛かることにした。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

幻影帝国に占拠されたブルースカイ王国の一室、そこにはツトコウの姿があった。

 

 

その後ろに、一匹の蚊が現れると続けざまに大量の蚊が現れ集合体へとなる。

 

 

蚊の集合体は、1体のリンリンシーへと姿を変える。

 

 

そのリンリンシーはツトコウの腹心、カーだった。

 

 

「カーよ、例の物は手に入れる事は出来たのか?」

 

 

「はっ!こちらです!」

 

 

カーは膝をつくと、ロンの幻気が入った瓶をツトコウに渡す。

 

 

「よくやった、礼をいうぞ。カーよ」

 

 

ツトコウは瓶を見ながら頷くと、カーに礼を言い部屋を出る。

 

 

部屋を出て廊下を歩くツトコウの前に、フードを被った人物が現れる。

 

 

フードの人物の存在に、ツトコウは瞬時に膝を付く。

 

 

「???様」

 

 

ツトコウは頭を下げながら、その人物の名前を言う。

 

 

「例の物は?」

 

 

「こちらに...」

 

 

ツトコウが渡したのは、先程カーから渡された気が入った瓶と、見覚えのある玉を渡した。

 

 

それは、ロンが封印されている慟哭丸だった。

 

 

ツトコウはどうやってかは分からないが、ロンが倒され慟哭丸へと戻った時に回収していたようだった。

 

 

フードの人物は微かに笑い、慟哭丸と幻気の入った瓶を受け取る。

 

 

「良くロンの幻気と慟哭丸を手に入れましたね、入手ご苦労様でした。慟哭丸を入手したツトコウと幻気を入手したカーに礼を言わないと」

 

 

「私とカーには勿体ないお言葉です」

 

 

フードの人物は瓶を見ると、不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「???様」

 

 

「どうしました?」

 

 

ツトコウは、フードの人物に質問する。

 

 

「何故ロンではなく、ロンの幻気が欲しかったのですか?ロンなら我々の戦力に加えられる力はあります」

 

 

「今、彼奴を加えても意味はないし、居ても邪魔になる...」

 

 

「分かりました...出過ぎた真似をお許しを」

 

 

「気にするな」

 

 

2人がそんなやり取りをしていると、クイーンミラージュの手下が現れた。

 

 

内容は、2人に話があるとの事だった。

 

 

ツトコウが断ろうとするのを、フードの人物が遮り手下に付いていく。

 

 

手下に付いていくフードの人物、ツトコウも遅れて付いていく。

 

 

クイーンミラージュのいる部屋に着くと、ツトコウはキレ気味にクイーンミラージュに要件を聞く。

 

 

「俺だけでなく、わざわざこの方まで連れてくるとは一体何のようだ」

 

 

ファントムはツトコウの僅かな殺気に反応し、前に出る。

 

 

「下がりなさい、ファントム」

 

 

下がるように言われ、ファントムはしぶしぶ元の場所に戻った。

 

 

「あなた、一体何者なの?」

 

 

「何者...とは?」

 

 

「私は今日の出来事を、鏡の力で見ていたの」

 

 

クイーンミラージュは近くにある鏡に手を翳すと、そこには色々な景色が映っていた。

 

 

「あなた達が只者ではない事は分かってるの、協力する者として素性が分からない奴らを加える程、私は甘く無いわ」

 

 

クイーンミラージュの態度に、ツトコウは気に食わず文句をつけようとする。

 

 

「やめなさい、ツトコウ」

 

 

だが、それをフードの人物が遮る。

 

 

フードの人物は数秒黙るが、丁寧な口調で口を開いた。

 

 

「なるほど、ミスミラージュ様の言い分もごもっともですね。分かりました、お教えしましょう」

 

 

そう言うと、フードを外し顔が露になる。

 

 

その顔を見て、クイーンミラージュは少し驚く。

 

 

「私の名は『ドン』、そして鏡で見ていたならお分かりの筈ですよね、ミスミラージュ様」

 

 

クイーンミラージュが驚くのも無理はない、フードの男の顔はロンと瓜二つだったからだ。

 

 

「お初に御目にかかります。私は幻獣王、そして無限龍ロンの兄で御座います」

 

 

ドンは胸に手を当てて、お辞儀をする。




はい!如何だったでしょうか?


まず最初に、プリキュア達のキュアビースト、そしてキュアトージャのアイデアを渡してくれた読者の方、本当にありがとうございます!


自分は満足のいった作品に仕上がったと思うのですが、どうでしたでしょうか?


そして、VSシリーズあるある。


他の戦隊から力を貰い、巨大ロボのパワーアップ。


それをキュアビーストの召喚に使用しました。


また、プリキュア劇場版あるある。


ミラクルライトで、プリキュアのパワーアップ。


これもラストの必殺技を放つ際に使用しました。


前から決めていた事でしたが、上手く書けて満足しています。


そして最後に、これは気づいた人は居たかもしれません。


今回のオリジナル劇場版のタイトル。


『獣拳戦隊ゲキレンジャー 対 プリキュアオールスターズ』


何か可笑しいな、違和感があるな、と思いながら小説を書いていました。


そして、25話書いている途中に気づきました。


『VS』が『対』になっていることに...


なぜ気づかなかった!そして気づくの遅えよ!と思わず自分に突っ込みを入れてしまいました。


恥ずかしい...


なんでこんなミスを...


バーサスシリーズなんだから、「たい」な訳ないじゃん...


本当に恥ずかしい...


取り敢えず、気づいて直ぐに対をVSに書き直しました。


次からは、このようなミスが無いようにします。


それでは次回、第27話もしくはアクセル・ビルド第3章・第1話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第27話~
第27話 いおなコーチのプリキュアパワーアップ大作戦!


どうも!ナツ・ドラグニルです!


投稿が遅くなってしまい、申し訳ございません。


コロナのせいで、大変な時期になりましたが特に体調不良もなく、元気に過ごしております。


遅くなった理由は、ただ単純にいつもより長くなってしまったからです。


それでは早速、作品をどうぞ!


フードの男が正体を明かした事に、ナマケルダ達は驚愕する。

 

 

「なるほど、あなたの正体は分かったわ。それで?あなたが協力する目的は何?」

 

 

クイーンミラージュは冷静に、ドンの目的を聞く。

 

 

クイーンミラージュの態度に、ツトコウが腹を立てる。

 

 

「やめろ、ツトコウ」

 

 

その事に気づいたドンは、ツトコウに命令し口を挟ませないようにする。

 

 

ドンは少し間を空けると、語り始める。

 

 

「私達の目的は人間に不幸や絶望を与える事、貴女方の目的と同じなので協力をしてるのです。安心して下さい、決して私は貴女達に害を加える事はしません」

 

 

ドンの話を聞いたクイーンミラージュは、ドンは嘘をついていないように見えた。

 

 

「ミラージュ様、私はミラージュ様の気持ちは痛い程良く分かります、愛や幸せなどは幻...そのせいでミラージュ様は不幸になってしまいました...」

 

 

「貴様がミラージュ様の何を知っている!!適当な事を!!」

 

 

ドンのその言葉に、クイーンミラージュを馬鹿にされたと感じたファントムが怒りを表す。

 

 

「おい!ミラージュの腰巾着が誰に口を聞いている...消すぞ」

 

 

「何!?」

 

 

ツトコウとファントムの間に嫌悪な雰囲気が流れるが、それをクイーンミラージュとドンが止める。

 

 

「落ち着け」

 

 

「落ち着けなさい」

 

 

その言葉にハッとした2人は、直ぐに反省し膝をつく。

 

 

クイーンミラージュはファントムに向けていた視線をドンに戻し、答える。

 

 

「そうよ、愛や幸せなんて幻に過ぎない...」

 

 

「えぇ、その通りです。そしてミラージュ様を不幸にした元凶、ブルーをこの世から消えてもらいましょう」

 

 

ドンの言葉に、クイーンミラージュの指摘が入る。

 

 

「まだよ、ブルーを消すのはもっと不幸と絶望を与えてからよ」

 

 

「おや?直ぐにブルーを消した方が宜しいのでは?もしやまだ彼の事を...」

 

 

ドンがそう言うと、クイーンミラージュは立ち上がり怒鳴った。

 

 

「黙りなさい!!ブルーを消すのはまだ先よ、分かったわね!!」

 

 

「分かりました、それと過ぎた真似をして申し訳ありません。それでは、私達は失礼します」

 

 

ドンはツトコウを連れ、部屋から出た。

 

 

「はぁ...」

 

 

クイーンミラージュはドンが部屋から出たのを確認すると、ため息を吐いて力を抜きソファに座り直す。

 

 

そこに申し訳なさげに、ファントムが近づく。

 

 

「ミラージュ様、申し訳ございませんでした」

 

 

「いいのよ、気にしないで」

 

 

(ドン...中々読めない相手ね。少し注意しておいた方が良さそうね...)

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

「申し訳ございませんでした、ドン様」

 

 

「いや、良い。気にするな」

 

 

部屋を出たドンとツトコウも、同じようなやり取りをしていた。

 

 

「それより、例の物は置いてきたのか?」

 

 

「はい、偽物の慟哭丸はロンが爆発した場所に置いてきました」

 

 

「宜しい、慟哭丸が無いとゲキレンジャー達が探すからな」

 

 

その時、白い長い髪を持ち、動きやすい服装をした1人の女性が2人の前に現れた。

 

 

「お呼びでしょうか、ドン様」

 

 

「イナか...」

 

 

ドンにイナと呼ばれた女性は、ドンの前で膝を着く。

 

 

「イナ、お前に頼みがある」

 

 

「分かりました、それで頼みとは?」

 

 

「君に頼みたいことは...」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『合宿~!?』

 

 

大使館に、めぐみ達の驚愕の声が響いた。

 

 

「そうだ、プリキュア強化合宿だ。いおなが仲間になり、お前達もゲキビーストを出せる様に」

 

 

「キュアビースト!」

 

 

ゲキビーストと言った誠司に、ひめが指摘を入れる。

 

 

「悪い、キュアビーストを出せる様になったからな、より強くなる為に合宿するんだ」

 

 

「でも...場所はどうするの?」

 

 

場所について、ランが誠司に質問する。

 

 

「事前に私と誠司君で話し合って、ゆずヶ丘海岸にうちが合宿に使用しているコテージを借りる事になってるの」

 

 

『おぉー!!』

 

 

いおなの言葉に、全員が歓声を上げる。

 

 

「海かぁ、キラッキラッの太陽」

 

 

「白い砂浜!」

 

 

「バーベキューに磯料理ー!」

 

 

それぞれの妄想で、ウットリするめぐみ達。

 

 

その様子を見た誠司といおなは、3人に指摘を入れる。

 

 

「ちょっとみんな~!遊びに行くわけじゃないのよ?」

 

 

「俺達が行くのは、強化合宿だからな」

 

 

「分かってるって」

 

 

「うんうん」

 

 

2人は、めぐみ達にジト目の視線を向ける。

 

 

「神様も一緒に行ってくれるでしょ?」

 

 

「僕は遠慮しておくよ」

 

 

ひめが誘うが、ブルーは直ぐに断った。

 

 

「だめだめ、私達がパワーアップしていく様子をブルーにも傍で見てもらわなくちゃ」

 

 

「神様、行きましょうよ」

 

 

ゆうこの言葉に、誠司達が頷く。

 

 

「みんながそう言うのなら」

 

 

『やったぁ!』

 

 

ブルーのその言葉に、めぐみとひめは声を上げ喜んだ。

 

 

ゆうこも嬉しそうにする。

 

 

「神様も参加決定ね、勿論!リボンもぐらさんもね!」

 

 

「わーいですわ!」

 

 

「海か、潮風が俺を呼んでるぜ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

合宿に行くという事で、日課になっている修行は行わない事になった。

 

 

しかし、習慣とは恐ろしいもので誠司はいつもの癖で、早朝の河川敷に訪れた。

 

 

今日の修行がない事に気づいたのは、河川敷に着いた時だった。

 

 

「さて、どうするか...」

 

 

この後の修行があるため、このまま帰るか。

 

 

せっかく河川敷まで来たので、日課の修行を行うか。

 

 

修行を行ったとしても、この後の修行に支障が出るわけではない。

 

 

しかし、昨晩大雨が降った影響で河川敷が荒れていた。

 

 

しょうがないと考え、そのまま家に戻ろうと踵を返そうとした時。

 

 

「あら?誠司君じゃない、どうしたの?」

 

 

誠司に声を掛けたのは、白いポニーテイルが特徴の桐野 桜だった。

 

 

「桜さん!お久しぶりです」

 

 

久し振りに桜にあった事に、誠司は笑みを浮かべる。

 

 

「えぇ、久し振りね誠司君。それで?何か困ってるようだったけど、何かあったの?」

 

 

なぜ自分が困っていたのか、誠司は桜に話した。

 

 

「ふふふ、しっかりしてるように見えて、案外おっちょこちょいなのね誠司君は」

 

 

桜はそう言いながらもクスクスと笑い続け、誠司は少し恥ずかしくなる。

 

 

「わ、笑わないでくださいよ!」

 

 

恥ずかしさからか、誠司は桜に向かって声を荒げる。

 

 

「キャーン...」

 

 

「ん?」

 

 

桜と会話していた誠司だったが、何処からか何かの鳴き声らしきわずかに聞こえた。

 

 

「どうしたの?」

 

 

「いや、今何か聞こえて」

 

 

「キャ―――ン!キャイン!」

 

 

「犬の鳴き声?」

 

 

今度ははっきりと聞こえ、その鳴き声は犬の鳴き声だと分かった。

 

 

だが、その鳴き方は何処か助けを求めるような鳴き方だという事に誠司は気付いた。

 

 

「一体どこから?」

 

 

桜も犬の鳴き声に気づいたが、何処から鳴いているのか分からなかった。

 

 

「ッ!?あれは!」

 

 

誠司の目に入ったのは、川に浮いている流木に必死にしがみついている子犬の姿だった。

 

 

「なんで子犬があんな所に!?」

 

 

「まさか...昨日大雨で流されたのか!?」

 

 

桜も子犬を目視すると、驚きの声を上げる。

 

 

「大変!早く助けないと...だけどどうやって...」

 

 

今はまだしがみついているが、いつ弱って溺れてしまうか分からない。

 

 

どうやって助けるか、桜が考えていたその時。

 

 

バッシャ――ン!!

 

 

誠司が何の躊躇もなく川に飛び込み、子犬の元へと泳いでいった。

 

 

「なっ!?」

 

 

昨日大雨が降った影響か、川の流れがいつもより急だった。

 

 

そんな中、誠司は子犬の場所まで泳ぎ着いた。

 

 

誠司は子犬を頭の上に乗せ、濡らさない様に桜の元まで戻る。

 

 

「はぁ...はぁ...ほら、もう大丈夫だぞ」

 

 

誠司は地面に子犬を降ろすと、そのまま地面に寝っ転がった。

 

 

まだ朝日が昇っていない早朝の5時は水温が急激に下がる為、凄く冷たくて誠司の体力を奪っていった。

 

 

その為、流石の誠司も疲れてしまった。

 

 

「誠司君、大丈夫!?」

 

 

驚きの余り呆然と見ていた桜だったが、ようやく正気に戻り誠司に駈け寄る。

 

 

「えぇ、何とか」

 

 

息が切れきれになりながらも、誠司は答える。

 

 

「くぅ~~ん」

 

 

助けられた子犬も、助けられたお礼か尻尾を振りながら誠司の顔を舐める。

 

 

「ははは、もう大丈夫そうだな」

 

 

元気に自分の顔を舐める子犬を見て、誠司は安堵する。

 

 

「何であんな無茶したの?下手したら死んでたかも知れないのよ」

 

 

落ち着いた所で、桜が誠司を注意する。

 

 

「すみません、気づいたら身体が勝手に動いてて...」

 

 

「もう...」

 

 

桜は呆れるが、子犬を助けた事で桜は更に誠司に興味を持った。

 

 

この日を境に、桜は人間に対する印象が変わるのだった。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司達はいおなの別荘に、電車で向かっていた。

 

 

警笛の音と共に、列車はトンネルを通過した。

 

 

トンネルから出た電車の窓からは、海が一面に広がっている光景が見えた。

 

 

「わぁ見て見て~!海だよ!」

 

 

外の景色を見て、めぐみがはしゃぎ出した。

 

 

「すごごご~い!」

 

 

めぐみと一緒で、ひめも元気そうだった。

 

 

「ブルー様と一緒にミラーで移動すれば楽ですのに」

 

 

「いいのいいの。電車じゃなきゃ美味しい駅弁が食べられないでしょ?」

 

 

不満そうにするリボンに、ゆうこは駅弁に入っている梅を食べさせてあげる。

 

 

「ぬあ!確かにウマウマですわ!」

 

 

梅を食べた後、驚いた顔でリボンもはしゃぎ出す。

 

 

「はい、理央様。あーん」

 

 

別の席では、メレが理央に駅弁を食べさせていた。

 

 

「はっくしょん!!」

 

 

そんな時、電車内に誠司のくしゃみが響いた。

 

 

「なんだよ誠司、風邪か?」

 

 

「あぁ、ちょっとな」

 

 

子犬を助けた時に危険な事をした為、心配かけないようにゴウの問い掛けに対し、誠司は誤魔化した。

 

 

あの後直ぐに家に帰り、お風呂に入り身体を温めた誠司だったが、帰る前に体が冷え切ってしまったのだ。

 

 

その為、現在風邪気味なのである。

 

 

「大丈夫?余り無理しないでね?」

 

 

隣に座って居るランが、誠司を気遣う。

 

 

「そういえば、あの慟哭丸ってどうなったんだ?」

 

 

「ケンの質問に、誠司が答える」

 

 

「マスター・シャーフーに渡して、前回よりも厳重に管理してもらってるんだ」

 

 

「そうか、それなら安心だな」

 

 

その後、誠司達を乗せた電車は目的地に到着し、誠司達は駅から見える砂浜前のコテージへと移動した。

 

 

「荷物を置いたら、着替えてデッキ前に集合よ」

 

 

『はーい!』

 

 

いおなの言葉に、めぐみ達は元気よく返事する。

 

 

「わぁーひーろいー」

 

 

「わぁ!超ワクワクだよぉ」

 

 

コテージ内の内装に、めぐみとひめは感激する。

 

 

「さぁ、こちらですわ」

 

 

リボンがそう言って鏡を叩くと、その鏡からブルーが出てくる。

 

 

「ありがとう、リボン」

 

 

ブルーはリボンに感謝を告げると、ドアを開けてベランダに出る。

 

 

海から吹く潮風が、ブルーの頬を撫でる。

 

 

「良い風だ」

 

 

ブルーは海を眺めていると、昔の出来事を思い出す。

 

 

かつて1人の女性と、手を握りながら浜辺を歩く所を。

 

 

「ミラージュ...」

 

 

ブルーが悲しい表情でそう呟くのを、近くで誠司と理央が聞いていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「よーし!プリチュンミラー、出動!」

 

 

『り、り、り、り、リゾート!かわルンルン!』

 

 

「じゃーん!リゾートドレスだよ!」

 

 

『おおー!』

 

 

「めぐみとゆうこも早くおしゃれしなよ、私のお勧めはこのマリンスタイル!」

 

 

二つのカードを重ね合わせ、ひめは2人に見せる。

 

 

「おお!さすがひめ、センスいいね!」

 

 

「ナイスコーディネート!」

 

 

プリチュンミラーで着替えためぐみ達は、砂浜を楽しそうに駆け回る。

 

 

「青い空、白い砂浜~!」

 

 

「見て見て!綺麗な貝殻がいっぱいぱーい!」

 

 

めぐみとひめがはしゃぐ中、ゆうこも貝殻に耳を当てウットリする。

 

 

『もう最高!』

 

 

はしゃぐめぐみ達の前に、ジャージ姿のいおなが姿を現す。

 

 

「げ、ジャージ!」

 

 

いおなのジャージ姿に、ひめは驚く。

 

 

「ちょっとみんな、ここへはバカンスを満喫しに来たんじゃないわよ」

 

 

「そうだった...」

 

 

いおなに指摘され、めぐみ達は本来の目的を思い出した。

 

 

「分かったらさっさと着替えて気なさーい!」

 

 

『はーい!』

 

 

いおなに叱られ、3人は着替える為にコテージへと戻る。

 

 

「3分以内に集合だぁ、遅刻はするなぁ。俺を怒らすと怖いぜ」

 

 

戻ろうとする3人に、性格の変わってるぐらさんが指摘する。

 

 

「うわぁ~、ぐらさんがスパルタモードになってる~!」

 

 

「でも何か何時もの誠司達の特訓とは違う、新鮮さを感じるね!」

 

 

怯えるひめに対し、めぐみはやる気を見せる。

 

 

コッテージへと戻り、早速着替えた3人はいおなの前に整列する。

 

 

「コーチ着替えました!」

 

 

「うん!」

 

 

敬礼するめぐみに、いおなは頷いた。

 

 

「で、何やればいいの~?」

 

 

「ひめはプリンセスボールの特訓よ」

 

 

口を尖らせながら確認するひめに、いおなはそう告げる。

 

 

「プリンセスボール?えーっと、それ大真面目に言ってる?」

 

 

「勿論、大真面目よ」

 

 

信じられないと思い再確認するひめに、いおなは即答する。

 

 

「いやー、でもあれは」

 

 

「そうそう。プリンセスボールは今までもあまり敵に当たった事が無いですし」

 

 

しぶるひめに、リボンもフォローになってないフォローをする。

 

 

「それに当たってもほら、大した威力もないからねー」

 

 

「それは違う!己の技を磨く事は決して無駄な事ではないぜ!」

 

 

言い訳するひめに、ぐらさんが指摘する。

 

 

「りょ、了解です」

 

 

敬礼するひめを見て、ぐらさんはどや顔で下がっていく。

 

 

ひめはプリチュンミラーを使用し、プリンセスに変身しようとする。

 

 

「待って」

 

 

だが、それをいおなが止める。

 

 

「プリキュアの姿で特訓したら、静かな浜に見物客が集まってきちゃうでしょ?変身せずに特訓するのよ!」

 

 

そう言っていおながひめの前に用意したのは、大量のボールが入った籠だった。

 

 

籠から落ちたボールを、ひめは見つめる。

 

 

「このドッジボールを、プリンセスボールだと思ってシュートするの」

 

 

「えー!」

 

 

「頭で考えるな、感じるんだ!これも立派なトレーニングだぜ」

 

 

「そうなの?よーし、私頑張るよ!」

 

 

渋るひめだったが、ぐらさんの言葉でやる気を出した。

 

 

「そして、ゆうこの特訓はこれよ!」

 

 

いおながゆうこに投げ渡したのは、新体操なのでよく使われるリボンだった。

 

 

「リボン?」

 

 

「そう、ハニーリボンスパイラルの特訓」

 

 

「はい、頑張ります!」

 

 

自分の修行を行うべく、ひめとゆうこはその場を離れた。

 

 

「いおなコーチ、私は何を使って特訓すればいい?」

 

 

「めぐみの特訓に道具は必要ないわね」

 

 

「え...」

 

 

いおなの言葉に、めぐみは驚く。

 

 

「エアラブリービームの特訓だ」

 

 

「エアラブリービーム?」

 

 

いおなは目の前に手で輪っかを作り、ラブリービームの動作を行う。

 

 

「そう。人差し指と親指で美しい眼鏡を作る、特訓よ!」

 

 

「正確なビームは、正しいフォームから生まれる」

 

 

「そうなんだ!」

 

 

修行内容を不思議がるめぐみだったが、ぐらさんの言葉で納得する。

 

 

「ラブリービーム!ラブリービーム!」

 

 

「クルクル」

 

 

めぐみ達は早速、いおなから課せられた修行を行う。

 

 

「いおなコーチは何を特訓するの?」

 

 

ひめは、ボールを抱えたままいおなに質問する。

 

 

「私?私は...」

 

 

いおなはタンバリンを取り出してフォーチュンの武器の一つ、フォーチュンタンバリンと同じリズムで叩く。

 

 

「とことんタンバリンを極めるわ」

 

 

『おー』

 

 

めぐみ達が修行する中、ランとケンが朝食用の魚を釣る為に魚釣りに出掛けた。

 

 

コテージの中はリンが掃除を行っており、理央とメレはめぐみ達の邪魔をしないように別の場所で鍛錬をしに2人で出かけた。

 

 

誠司はゴウと一緒に薪割をしていると、ひめの掛け声が聞こえた。

 

 

「プリンセスボール!」

 

 

「ハニーリボンスパイラルぅ!さぁラブリー、ビームを」

 

 

ひめがボールを投げ、ゆうこが楽しそうにリボンをクルクル回す。

 

 

「オッケー!ラブリービーム」

 

 

「あ、チョイアークがこっちにも!」

 

 

「任せて!フォーチュンタンバリーン」

 

 

その修行を見ていた誠司達だったが、誰がどう見てもその修行は異様な光景だった。

 

 

「あれで特訓になるのか?」

 

 

「まぁ...イメージトレーニングは必要だからな...」

 

 

ゴウの問い掛けに、誠司は答えづらそうに答えた。

 

 

さらにめぐみ達の修行は、ベランダからブルーも見ていた。

 

 

「みんな楽しそうだ」

 

 

本人達は本気で修行を行っているが、ブルーには遊んでるように見えたようだった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

めぐみ達が修行を行っているコテージの近くで、幻影帝国に三幹部達が集まっていた。

 

 

熱い日差しの中でオレスキーはスクワットをしており、ナマケルダとホッシーワは持参したパラソルの下で寛いでいた。

 

 

「こんな場所に呼び出して、どういうつもりですかな?」

 

 

「暑苦しいわねぇ。バカンス気分の邪魔しないで」

 

 

ナマケルダはミニ扇風機で涼みながら、ホッシーワはかき氷を食べながらオレスキーにそう告げた。

 

 

「ん?何を言っている。俺を呼び出したのはお前達じゃないのか?」

 

 

『え!?』

 

 

てっきりオレスキーが呼び出したと思っていた二人は、思わず驚愕の声が同調する。

 

 

「じゃあ、一体誰が我々を?」

 

 

自分を呼び出した者に心当たりがないナマケルダは、首を傾げる。

 

 

「誰が呼び出したか知らないが調度いい、今からここで我々の強化合宿を始めるぞ」

 

 

『え!?』

 

 

オレスキーの突然の発言に、またしてもナマケルダとホッシーワは驚愕の声を上げる。

 

 

「キュアフォーチュンがハピネスチャージプリキュアに加わった今、我々もチームを強化する必要がある」

 

 

オレスキーはスクワットを中断し、ナマケルダ達に視線を向けた。

 

 

「まずはこのオレスキー様をリーダーとして崇め、一致団結!といこうじゃないか」

 

 

そう主張するオレスキーだが、それを聞いたナマケルダとホッシーワは呆れ顔になっていた。

 

 

「リーダー?合宿?冗談はその暑苦しい顔だけにして」

 

 

「特訓なんて、面倒臭いですぞ」

 

 

「おまえら~」

 

 

嫌そうにするナマケルダとホッシーワに、オレスキーは怒りを見せる。

 

 

「フフフ」

 

 

突如、その場に女性の物と思われる笑い声が聞こえた。

 

 

「誰だ!」

 

 

オレスキーは笑い声の主を見つけるべく辺りを見渡す。

 

 

すると、空からイナが降りてくるのを見つけた。

 

 

「貴方達がオレスキー、ナマケルダ、ホッシーワね」

 

 

3人が驚く中、イナは平然とした態度で3人の名前を言う。

 

 

「悪いけど、今日からあなた達は私に従って貰うわよ」

 

 

「何を勝手に言っている!!誰が従うか!!」

 

 

「えぇ、彼の言う通りあなたに従う義務なんてありませんぞ」

 

 

「誰があなたに従うものですか」

 

 

突然現れたイナから上から目線で言われ、3人は怒りを表す。

 

 

「貴方達の意見は聞いてないわ、私に従いなさい」

 

 

イナの態度に、オレスキーの怒りは頂点に達した。

 

 

「ふざけやがって、少しお灸を吸わせてやろう」

 

 

イナの顔に向かって鋭い拳が繰り出されるが、イナは身体を動かすことなく首を傾げただけで攻撃を躱す。

 

 

「なっ!?くっ...うおおおおおおお!!」

 

 

躱された事に驚いたオレスキーは、連続でパンチを繰り出すが一発も当たらなかった。

 

 

「ふっ」

 

 

イナは繰り出されたパンチを、手のひらで受け止めそのまま横に払った。

 

 

「うおっ!」

 

 

オレスキーはパンチの勢いを利用され、前につんのめり転倒してしまった。

 

 

「おのれ!」

 

 

オレスキーは攻撃方法を変える為、ペインクローを取り出す。

 

 

「はああああ!!」

 

 

クローを使った攻撃を繰り出すが、イナは人差し指を構えた。

 

 

「なっ!」

 

 

オレスキーの攻撃を、イナは人差し指のみで受け止めた。

 

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

 

オレスキーは、イナの人差し指から発せられた衝撃波によって吹っ飛ばされてしまった。

 

 

オレスキーの戦いを見守っていた2人が驚く中、今度はイナは2人に向かって手招きをする。

 

 

挑発された2人は各々の武器、仕込み杖とアンブレラ改を取り出す。

 

 

ナマケルダは仕込み杖で、ただ単に上から振り下ろす。

 

 

分かりやすいナマケルダの攻撃を、イナは後ろにステップする事で簡単に避ける。

 

 

ホッシーワもアンブレラ改を使い、イナに向かって狙撃する。

 

 

だがその攻撃は、ナマケルダを援護する為の攻撃ではなくただ単にイナを攻撃する事が目的だった。

 

 

「なっ!?」

 

 

片手で発砲するホッシーワだったが、弾はイナに当たることなくナマケルダに当たってしまった。

 

 

弾はチョコになって固まり、ナマケルダの動きを止めてしまう。

 

 

「何をしているのですか!?ホッシーワ!」

 

 

「うるさいわね!ぼさっとしてるあんたが悪いんでしょ!?」

 

 

口論する2人だったが、それをイナが見逃す筈が無かった。

 

 

「こんな時に喧嘩?結構余裕あるわね」

 

 

 

イナはそう告げた後、手のひらから衝撃波を繰り出してオレスキー同様吹き飛ばす。

 

 

倒れてるオレスキーの近くに、2人も転がった。

 

 

起き上がれないでいる3人に、イナが近づいた。

 

 

「うん。オレスキー、貴方は力任せの攻撃ばかりで次の攻撃が分かりやすいわね」

 

 

イナに告げられたダメ出しに、オレスキーは何も言い返す事が出来ず歯を食いしばった。

 

 

「そしてホッシーワ、貴女は傘の銃口を撃つ時にしっかり押さえないから標準がずれ、狙い通りに当たらないのよ」

 

 

イナの指摘にホッシーワは怒りが込み上げてきたが、イナの言う通り一発も当たらなかった事から遇の音も出なかった。

 

 

「最後にナマケルダ、貴方は剣の身のこなし、剣の握り方、構えの姿勢が全然なってないわ。これじゃあ相手に当たらないわよ」

 

 

ナマケルダも怒りが込み上げてきたが、たった一度戦っただけで3人の欠点を見極めたイナに対して驚愕する。

 

 

「お前は...一体何者なんだ?何が目的だ」

 

 

3人を代表して、オレスキーがイナに質問する。

 

 

「私は幻獣アルミラージ拳使いのイナ。目的は貴方達を強くする為に来たのよ」

 

 

「強くする為に?まさか...俺達を呼び出したのはお前か」

 

 

イナの目的を聞き、オレスキーはようやく目の前の人物が自分達を呼び出した張本人だという事に気づく。

 

 

「えぇ、貴方達はゲキレンジャーに手も足も出ないから、奴らと戦えるようにあるお方の命で来たのよ」

 

 

イナの言う通り、オレスキーはゲキレンジャーに勝てない事から一番や、頂点になれない事を気にしていた。

 

 

「本当に強くなれるのか?」

 

 

「それは貴方達次第ね」

 

 

「いいだろう!だったらあいつらに負けない程に鍛たい抜いてやる!」

 

 

イナの言葉にオレスキーは立ち上がり、めらめらとやる気を見せる。

 

 

「悪いですけど、私は面倒くさいので貴方達だけで勝手にやっていると良いですぞ」

 

 

「そうね、私もパス」

 

 

他の2人は先程の戦いの事もあってイナに従う気は無く、立ち上がるとその場を離れようとする。

 

 

「念の為に言うけど...ミラージュ様は貴方達に失望に近い感情を抱いてるわよ。このまま負けっぱなしのままでいるとどうなるか分かるわよね」

 

 

イナの言葉に、3人の背筋が凍った。

 

 

3人はイナの言葉が、嘘だと一蹴する事が出来なかった。

 

 

「分かりました」

 

 

「分かったわ」

 

 

2人は渋々と、修行に参加することを決意する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ラブリービーム100連発!」

 

 

修行のノルマを達成しためぐみは、その場で崩れ落ちてしまう。

 

 

「終わった~...」

 

 

慣れない事をしたせいか、それとも長時間行ったせいか、3人揃ってぐったりしてしまった。

 

 

「お疲れ様!さぁ、次は浜辺をジョギングするわよ」

 

 

「もう!?」

 

 

終わったと思っていた修行が、まだ終わっていなかった事にひめは驚く。

 

 

「時は俺達を待ってはくれないぜ」

 

 

ぐらさんに言われ、ひめはため息をつく。

 

 

ジョギングをしていためぐみ達だったが、ひめの提案で4人の決めポーズを考える事にした。

 

 

意見を聞くため、誠司達も連れて岩場まで移動する。

 

 

全体のポーズを確認する為に、誠司はカメラを持って全員の前に立つ。

 

 

「よーし、じゃあ行くぞ」

 

 

早速始めようとしたが、リボンが質問する。

 

 

「何で岩場なんですの?」

 

 

「戦隊ヒーローのポージングは、こういうロケーションが大事なんだぜ」

 

 

リボンの質問に、ぐらさんが答えた。

 

 

『せーの!』

 

 

皆で掛け声を合図に、各々がポーズを取る。

 

 

いおなとゆうこがセンターになり、めぐみとひめが両脇に並ぶ。

 

 

全員がポーズを取った所で、誠司がカメラで写真に収める。

 

 

「どれどれ?」

 

 

めぐみ達は、早速カメラを確認する。

 

 

「うわぁ...みんなバラバラじゃん...」

 

 

「これじゃ、敵に笑われちゃいそう」

 

 

ひめがそう呻き、ゆうこが指摘する。

 

 

「立ち位置とかも気にした方がいいと思うぞ、例えばめぐみとひめをセンターにしてみるのも良いんじゃないか?」

 

 

『おおー!』

 

 

まさに戦隊ヒーローである誠司のアドバイスに、全員が感心する。

 

 

「なるほど!早速やってみよう!」

 

 

誠司のアドバイスの通り、今度はめぐみとひめをセンターにして、ゆうこがめぐみの隣、いおながひめの隣に並ぶ。

 

 

「誠司~、もう1回おねがーい」

 

 

「じゃあ、行くぜ!」

 

 

『せーの!』

 

 

もう一度写真を撮り、今度は良い感じに撮れたと思った。

 

 

だが、誠司がシャッターを切るのと同時に、大きな波がめぐみ達を襲った。

 

 

「あちゃーですわ」

 

 

ずぶ濡れになっためぐみ達は、着替える為にコテージへと戻った。

 

 

しかし、1人だけ着替えない者がいた。

 

 

「へっくしょん!」

 

 

「あれ?めぐみちゃん着替えないの?」

 

 

「うん!お天道さんが乾かしてくれるからー!」

 

 

ゆうこの質問にめぐみが万歳しながら答えるが、タオルを持った誠司がめぐみに近づく。

 

 

「そんなわけないだろうが、ちゃんと拭かないと風邪ひくぞ」

 

 

そう言って、誠司はめぐみの頭をタオルで無理やり拭いた。

 

 

「ほら、さっさと着替えてこい」

 

 

「はーい...」

 

 

誠司に促され、めぐみはコテージへ着替えに戻った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はい、特訓を再開するわよ」

 

 

めぐみが戻って来た所で、いおなが修行を再開する。

 

 

「え、まだ何かやることあるの?」

 

 

「本日最後の特訓は...ビーチバレーよ!チームプレーの強化にピッタリな感じでしょ?」

 

 

ビーチボールを手にしながら、いおながそう告げる。

 

 

『おー!』

 

 

全員がやる気を見せ、早速ビーチバレーを行う。

 

 

今回はめぐみ達の修行という名目なので、誠司達は参加することなく審判をすることとなった。

 

 

「はい!」

 

 

「ふん!おりゃあ!」

 

 

いおなが上に上げたボールを、ひめが飛び上がりスパイクを決める。

 

 

しかし、そのボールはめぐみの顔面に直撃してしまった。

 

 

当たった反動で、ボールは岩場裏にまで飛んでいく。

 

 

「ごめん、ゆうゆう」

 

 

「大丈夫、取ってくるね」

 

 

ゆうこがボールを取るために岩場の裏を覗くと、そこには疲れた様子の3幹部達がいた。

 

 

それだけでなく、3幹部の近くには1体のサイアークと無数のチョイアーク達の姿があった。

 

 

「これは!」

 

 

ゆうこの様子が可笑しいと思った誠司達も、ゆうこと同じように岩場の裏を覗く。

 

 

「あれって、オレスキー達じゃなーい?」

 

 

「何でこんな所に?」

 

 

ひめと誠司が驚く中、リボンが全員に叫んだ。

 

 

「みんな、急いで変身するですわ!」

 

 

『応!』

 

 

『かわルンルン!』

 

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

 

『プリキュア!きらりんスターシンフォニー!』

 

 

めぐみ達は光に包まれ、プリキュアへと変身する。

 

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

 

「響け!ケモノの叫び!」

 

 

「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

「臨獣!ライオン拳!」

 

 

「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

 

『ビースト・オン!』

 

 

「臨気凱装!」

 

 

「エプタイル・オン!」

 

 

誠司達にゲキスーツが装着され、理央が臨気の鎧を纏う。

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

 

「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!」

 

 

『ハピネス注入!』

 

 

『幸せチャージ!』

 

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

先程の練習を元に、立ち位置を気にして名乗りを上げるラブリー達。

 

 

左からハニー、ラブリー、プリンセス、フォーチュンと並び、決めポーズもしっかりと決まっている。

 

 

「身体に漲る、無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

 

「強き事、獅子の如く!猛き事、また獅子の如く!我が名は黒獅子・理央!」

 

 

「理央様の為に、新たな力を得た新ラブウォリアー!臨獣カメレオン使いのメレ!」

 

 

「燃え立つ激気は、正義の証!」

 

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

 

「おぉ!?」

 

 

プリキュアとゲキレンジャーの登場に、オレスキーは驚きの声を上げる。

 

 

「こんなとこで悪巧みして!」

 

 

「ゆずヶ浜の平和は私達が守る!」

 

 

ラブリーとハニーがオレスキーに宣言する中、プリンセスは先程の名乗りに興奮する。

 

 

「きゃー!今のバッチリじゃない?」

 

 

「うん!」

 

 

プリンセスの問いに、ラブリーが答える。

 

 

「みんな綺麗に揃ってた!」

 

 

「お前ら、今は目の前の戦闘に集中しろ!」

 

 

浮かれてるラブリー達に、ゲキレッドが指摘する。

 

 

「ぬぅ!俺達もやるぞぉ!」

 

 

悔しそうにするオレスキーが、チョイアークに指示を出す。

 

 

「鏡に映る未来を最悪に変えろー!」

 

 

オレスキーは自身が身に着けてる、オレメダルを掲げる。

 

 

「オレスキーとその仲間達、ただいま参上!」

 

 

オレスキーがポーズを決める中、チョイアークがその後ろで組体操の扇の形を作る。

 

 

だが、チョイアーク達は形を維持できずに崩れてしまう。

 

 

「チームワークがバラバラですぞ」

 

 

それを見ていたプリンセスが、ナマケルダのモノマネでオレスキー達を馬鹿にする。

 

 

「ムカッ!えーいうるさいわ!お前ら!今こそ修行の成果を見せる時だぞ!」

 

 

オレスキーは、未だ倒れてるナマケルダ達にそう告げる。

 

 

しかし。

 

 

「すみませんが、私はもう疲れてやる気が起きませんぞ」

 

 

「悪いけど、やるなら貴方1人でやってちょうだい。私達はもう帰るわよ」

 

 

そう言って、ナマケルダとホッシーワはテレポートでその場からいなくなった。

 

 

「あいつらー!」

 

 

さっさと帰った2人に、オレスキーは激怒する。

 

 

「もういい!俺一人でもやってやる!チョイアークよ、いけー!」

 

 

「私達の特訓の成果を、バッチリ見せてあげるわ!」

 

 

ラブリーを先頭に、4人はチョイアークに突撃する。

 

 

「俺達も行くぞ!」

 

 

『応!』

 

 

ゲキレッド達も突撃しようとするが、行く手を妨げる者がいた。

 

 

「待ちなさい」

 

 

ゲキレッド達の前に現れたのは、イナだった。

 

 

「誰だお前は!?」

 

 

突如現れた人物に、ゲキレッド達は警戒する。

 

 

このタイミングで現れるのは、間違いなく幻影帝国側の人間だという事が目に見えているからだ。

 

 

「ふふふ」

 

 

イナが笑うと、その姿が人間の物から異形の物へと変わる。

 

 

黄色の体毛に包まれており、ウサギのロップイヤーように耳が垂れている。

 

 

最大の特徴は、額から伸びる黒い螺旋状の角だ。

 

 

その異形の姿は、ゲキレッド達が良く知る物だった。

 

 

「なっ!リンリンシー!?」

 

 

イナの怪人体の姿に、バイオレットが驚く。

 

 

「それにあの姿はウサギ...まさかラビット拳の使い手か?」

 

 

イナの容姿から、チョッパーが相手の使う臨獣拳を推測する。

 

 

しかし、それを博識なゲキレッドが否定する。

 

 

「いや...違う、ウサギの容姿にあの鋭い一角の角...まさか...イスラームの詩に登場するアルミラージか!?」

 

 

「ご名答、私は幻獣アルミラージ拳使いのイナ。以後、お見知りおきを」

 

 

「幻獣拳の使い手だと!?」

 

 

「馬鹿な!幻獣拳使いは全て俺達が倒した筈!?」

 

 

幻獣拳使いという事に、バイオレットとチョッパーが驚愕の声を上げる。

 

 

「それを貴方達に話す筋合いはないわ、リンシーズ!」

 

 

イナがリンシーズを召喚する。

 

 

新たな幻獣拳使いと、獣拳使い達の戦い幕が切って落とされた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

また、別の場所ではラブリー達とチョイアークが戦っていた。

 

 

「やるなぁ!これが特訓の成果なのか!」

 

 

ラブリー達の戦いぶりに、オレスキーは感心する。

 

 

「いやいやいや」

 

 

直ぐに我に返り、オレスキーは首を振る。

 

 

「我々も特訓の成果を見せるのだー!」

 

 

オレスキーの指示で、チョイアーク達はラブリーに襲い掛かる。

 

 

「ラブリービーム!」

 

 

襲い掛かってくるチョイアークの集団を、ラブリーはラブリービームを発射しながら回転する。

 

 

ラブリービームを受け、次々に吹き飛ばされるチョイアーク。

 

 

「ぬぁ!あぶね!」

 

 

飛んでくるチョイアークと、流れ弾のビームがオレスキーに向かって飛んでくるが何とか避ける。

 

 

「私も特訓の成果を見せるわよ!」

 

 

フォーチュンはそう言って、フォーチュンピアノを掲げる。

 

 

『かわルンルン!』

 

 

「プリキュア!きらりんスターシンフォニー!」

 

 

フォーチュンは、あんみつ小町のカードを装填する。

 

 

「あんみつ小町!」

 

 

フォーチュンは、浴衣のような衣装へと姿を変える。

 

 

「プリキュア!桜吹雪の舞!」

 

 

タンバリンを叩きながらフォーチュンが舞うのと同時に、フォーチュンの周りを桜吹雪が吹き荒れチョイアーク達を吹き飛ばす。

 

 

「おのれー!調子に乗りおって!やれサイアーク」

 

 

「サイアーク!」

 

 

オレスキーの攻撃命令を受け、サイアークはチャッカマンのような武器をラブリー達に向ける。

 

 

サイアークの武器から、ラブリー達に向かってミサイルが発射される。

 

 

発射された数は3発、直ぐにフォーチュン、プリンセス、ハニーが蹴り落とす。

 

 

「はぁぁぁぁ!だぁ!」

 

 

ラブリーが正面からサイアークの腹部にパンチを繰り出す。

 

 

「はぁ!」

 

 

隙を逃さず、フォーチュンが背後から蹴りを放ち。

 

 

「はぁ!」

 

 

続いてハニーが、腹部にハニーバトンで攻撃する。

 

 

「とりゃあ!」

 

 

プリンセスも続けて、サイアークの腹部を3連続パンチを決めた後に飛び蹴りを繰り出した。

 

 

「サイアー...ク!」

 

 

プリンセスの攻撃で怯んだと思ったサイアークは、直ぐに武器をプリンセスに向けた。

 

 

「はぁ!?」

 

 

咄嗟の事で、プリンセスは動く事が出来なかった。

 

 

「ラブリー!パンチングパンチ!」

 

 

ラブリーがすかさず助けに入り、発射されようとしているミサイルを殴る。

 

 

武器の中でミサイルが爆発し、サイアークを後ろに吹き飛ばす。

 

 

「よーし、私もプリンセスボールをお見舞いしちゃうよ!」

 

 

ラブリーの活躍を見て、プリンセスも張り切る。

 

 

「へへへへ。プリンセスボールだと?あんなへなちょこボール、指1本で止めてやる!」

 

 

「へなちょこかどうか、自分で味わってみなさい!」

 

 

プリンセスはラブプリブレスを回転させ、プリンセスボールを発動する。

 

 

「プリンセスボール!」

 

 

技を発動したプリンセスは、プリンセスボールを空高くに投げ飛ばした。

 

 

「トス!」

 

 

先回りしたハニーが、空中でトスをする。

 

 

「それ!」

 

 

続いてフォーチュンもトスをして、ラブリーに繋げる。

 

 

「プリンセス!」

 

 

「任せて!」

 

 

ラブリーがトスで上げたボールに、プリンセスが強烈なスパイクを決める。

 

 

「チームワークアターック!」

 

 

無数の光弾となったプリンセスボールが、サイアークを襲う。

 

 

「ぬお!プリンセスボールの連携技!」

 

 

「すごーい!」

 

 

新しいプリンセスボールにオレスキーは驚き、ラブリーは称賛する。

 

 

「フォーチュン!」

 

 

「うん!」

 

 

ハニーの問い掛けに、フォーチュンは頷く。

 

 

「星の光を聖なる力に!フォーチュンタンバリン!」

 

 

フォーチュンの指輪から、フォーチュンタンバリンが出現する。

 

 

「プリキュア!スターライトアセンション!」

 

 

フォーチュンタンバリンから発せられた衝撃波で、サイアークを吹き飛ばす。

 

 

「やったぁ!」

 

 

サイアークを倒した事に、ラブリーが喜びの声を上げる。

 

 

「あんな凄いプリンセスボール打てたのも、いおなコーチのお陰だよ」

 

 

「うぇ?」

 

 

プリンセスの絶賛する声に、フォーチュンは変な声を出して振り向く。

 

 

「いおなちゃんのお陰」

 

 

ラブリーの言葉に、嬉しそうな顔になるフォーチュン。

 

 

フォーチュンは赤面しつつも、本気の顔になってラブリー達を指差す。

 

 

「明日もビシビシ鍛えるわよ!」

 

 

『はい!』

 

 

フォーチュンの言葉に、ラブリー達は敬礼して答える。

 

 

「調子に乗るなよプリキュア!戦いはまだ終わってないんだからな!サイアーク!」

 

 

オレスキーがそう叫ぶと、吹き飛ばされたサイアークが立ち上がり光に包まれる。

 

 

「サイア...サイアーク!」

 

 

光に包まれたサイアークは、見る見る内に巨大化する。

 

 

「さぁ!第2ラウンドと行こうか!」

 

 

そう言って向き合うオレスキーだったが、今更になってゲキレンジャー達がいない事に気づく。

 

 

「むぅ?そういえばゲキレンジャー達はどうした?」

 

 

「あれ?そういえば...」

 

 

「いったい何処に?」

 

 

オレスキーの言葉で、辺りを探すめぐみ達。

 

 

「あっ!あれ!」

 

 

そこで、ハニーが離れた所で戦うゲキレッド達を見つける。

 

 

そこには、一体のリンリンシー達に苦戦しているゲキレッド達がいた。

 

 

「ゲキワザ!砲砲弾!」

 

 

「リンギ!剛勇吼波!」

 

 

ゲキレッドと理央の同事攻撃が、イナを襲う。

 

 

しかし。

 

 

「ふっ」

 

 

イナの体がぶれるのと同時に、稲妻が走りイナの姿が消える。

 

 

『なっ!?』

 

 

2人の攻撃は、そのまま何もない所に着弾する。

 

 

そしてしばらくすると、イナがゲキレッド達の前に姿を現す。

 

 

「どんなに強力な技でも、当たらなければ話にならないわよ」

 

 

『くぅ』

 

 

その戦う様子を見ていたラブリー達は、ゲキレッド達の攻撃が当たらない事に驚愕する。

 

 

「嘘でしょ!?誠司達が苦戦するなんて」

 

 

「相手のあの超高速移動が厄介ね、攻撃がまったく当たっていないわ」

 

 

しかし、理由はそれだけではなく、先程から誠司の動きが鈍かった。

 

 

その様子に気付いた者は、誰一人としていない。

 

 

イナとゲキレンジャーの戦いを見たオレスキーは、チャンスだと考える。

 

 

「ふん、残念だったな。肝心のゲキレンジャーは今忙しい見たいだな」

 

 

ゲキレンジャーしか巨大なサイアークを倒せないと考えているオレスキーは、ラブリー達を挑発する。

 

 

しかしそれは、ついこの間までの話だ。

 

 

「だったら、私達で巨大サイアークの相手するわよ!」

 

 

『応!』

 

 

フォーチュンの問い掛けに、ラブリー達は答える。

 

 

『プリキュア拳!ゲキワザ!来来獣!』

 

 

「キュアリンクス!」

 

 

「キュアスワロー!」

 

 

「キュアジラフ!」

 

 

「キュアバイソン!」

 

 

各々が、キュアビーストを召喚する。

 

 

「何!?」

 

 

ラブリー達がキュアビーストを召喚した事に、オレスキーは驚愕する。

 

 

『プリキュア!獣拳合体!!』

 

 

キュアバイソンの前脚が後ろに、後脚が前に畳まれ、背中の装甲が開いて太腿が展開される。

 

 

顔が股関節部分へとなり、キュアバイソンが下半身へと変形する。

 

 

キュアジラフの脚が折り畳まれ、お腹が正面を向き上半身となってキュアバイソンと合体する。

 

 

キュアジラフの首から上が分離され、上半身の左側に合体して首が90度回転して手が現れ、左腕となる。

 

 

キュアリンクスの脚が折り畳まれ、首が90度回転して手が現れる。

 

 

キュアジラフの右側に合体し、右腕となる。

 

 

キュアスワローの頭部が分離され、キュアジラフの首がついていた個所に合体する。

 

 

キュアスワローの口が開くと、目にゴーグルをつけた顔が出てくる。

 

 

キュアジラフの尻尾とキュアスワローの残りのパーツが、キュアジラフの背中に装着される。

 

 

『キュアトージャ!バーニングアップ!』

 

 

「馬鹿な!プリキュア達も巨大ロボを作り出しただと!?」

 

 

新たな拳士の登場に、オレスキーは驚く事しか出来なかった。

 

 

「これは夢でしょうか!?私達の目の前でプリキュア達もゲキビーストを召喚し、巨大戦を行っています!」

 

 

何処から現れたのか、何時ものように美代が現れ実況を始める。

 

 

しかし悲しい事に、ゲキレンジャーはイナと戦闘しており、プリキュア達は巨大戦を行っている為にその事に誰も突っ込めなかった。

 

 

「いえ、これは夢ではありません!あれはプリキュア達が獣拳を習得して得た新たな力、キュアビーストです!」

 

 

そしてまた同じように、何処からかバエが現れる。

 

 

「さて、この状況をどう思いますか?解説のオレスキーさん」

 

 

美代がマイクを持って、オレスキーに質問する。

 

 

「ふん、たとえ巨大化したサイアークと戦えるようになったとは言え、俺のサイアークが負ける筈がない!」

 

 

美代の問い掛けに、オレスキーも乗り乗りで答える。

 

 

美代達がそんなやり取りをする間に、キュアトージャと巨大サイアークが戦いを始める。

 

 

『はぁ!』

 

 

ラブリー達のシンクロしたパンチが、そのままキュアトージャへと反映されサイアークに強烈なパンチを繰り出され吹き飛ばす。

 

 

「おおっと!キュアトージャの先制攻撃だ!」

 

 

「これは強烈だ!サイアークは立ち上がる事は出来るのか!?」

 

 

吹き飛ばされたサイアークは直ぐに立ち上がり、チャッカマンの武器をキュアトージャへと向ける。

 

 

「サイアーク!」

 

 

武器から放たれたミサイルが、キュアトージャを襲う。

 

 

『きゃああああ!!』

 

 

「これは!体が大きい事が裏目に出てしまい、攻撃を避ける事が出来なくなってしまった!」

 

 

キュアトージャは身体が大きい為に、本来のように動く事が出来ない。

 

 

その為に攻撃を避ける事が出来ず、まともに受けてしまう。

 

 

「良いぞサイアーク!そのまま捻り潰してしまえ!」

 

 

「登場したばかりにも関わらず、ここでプリキュア達は負けてしまうのか!?頑張れプリキュア!!」

 

 

優勢に立ったサイアークをオレスキーが応援し、美代が実況しながらプリキュアを応援する。

 

 

「避けられないなら、別の方法で戦うまでよ!」

 

 

フォーチュンがそう言うと、4人は手を前に突き出す。

 

 

『カーレッジスピアー!』

 

 

キュアジラフの背中に装着されていた、キュアジラフの尻尾とキュアスワローの2枚の翼パーツが分離される。

 

 

キュアジラフの尻尾の上下に、翼パーツが上下に合体しキュアトージャの手の中に納まる。

 

 

キュアトージャの手に、1本の薙刀『カーレッジスピアー』が握られる。

 

 

「サイアーク!」

 

 

サイアークはもう一度、キュアトージャに向かってミサイルを発射する。

 

 

『はぁ!』

 

 

しかし、キュアトージャはカーレッジスピアーを下から上に振り上げ両断する。

 

 

ミサイルは2つに別れ、キュアトージャの後ろで爆発する。

 

 

「何!?」

 

 

簡単に形成を逆転された事に、オレスキーは驚きの声を上げる。

 

 

「一気に行くよ!みんな!」

 

 

『ええ!』

 

 

ラブリー達は、頭上に両手を掲げる。

 

 

『カーレッジスピアー!ゲキワザ!』

 

 

ラブリー達は目の前で、バトンを回転させるような動作をする。

 

 

4人の動きにシンクロしたキュアトージャが、胸の前でカーレッジスピアーを回転させる。

 

 

(ざん)!」

 

 

(ざん)!」

 

 

(ざん)!」

 

 

()り!」

 

 

カーレッジスピアーを回転させ、サイアークに向かって突進する。

 

 

カーレッジスピアーのゲキワザ、『斬斬斬切り(ざんざんざんきり)』が決まる。

 

 

「サ...サイアーク...」

 

 

「愛よ!」

 

 

「勇気よ!」

 

 

「命よ!」

 

 

「星よ!」

 

 

『天に還れ!』

 

 

キュアトージャが拳を天に向けて突き上げると、サイアークは浄化される。

 

 

「ごくら~く...」

 

 

「今回の巨大戦は、プリキュア達の勝利です!このまま勝ち続けてくれる事を祈るばかりです!」

 

 

美代は実況を、そう締め括った。

 

 

「くそ~!今度は更にパワーアップしてやるからな!さらば!」

 

 

悔しそうに言い残したオレスキーは、テレポートしていなくなった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

プリキュアが巨大サイアークと戦っている間、イナとゲキレンジャーの戦いはまだ続いていた。

 

 

『ゲキワザ!激激砲!』

 

 

ゲキバズーカから放たれた激激砲が、イナを襲う。

 

 

しかし、その攻撃もイナのスピードの前では無意味だった。

 

 

先程から攻撃をしているが、イナを捉える事が出来ないでいた。

 

 

「ふふふ、ん?」

 

 

ゲキレンジャーと戦闘中だったイナだったが、オレスキーが敗れている事に気付いた。

 

 

「あら?あっちはもう終わったみたいね。じゃあ、私もここでお暇させてもらうわ」

 

 

「何!?」

 

 

そう言って、イナは本当にその場から消えようとしていた。

 

 

「ま、待て!!」

 

 

追いかけようとするゲキレッドだったが、イナの脚に追いつける筈もなく逃げられてしまった。

 

 

「あいつ、何者だったんだ?」

 

 

「分からない、それよりも今はめぐみ達と合流した方がいいだろう」

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

ゲキレッド達は、ラブリー達と合流しようとしたその時。

 

 

戦いを終えたラブリー達が、ゲキレッド達に走りながら近づいてくる。

 

 

「誠司!大丈夫!?」

 

 

「ああ、なんとかな...それよりもお前ら、4人だけで巨大サイアークを倒したのか?」

 

 

「うん!ばっちりね!」

 

 

ゲキレッドは4人だけで倒せるまでに成長した事に、驚きを見せる。

 

 

「はっ!これは!スポーティーな雪の結晶のパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな」

 

 

「こちょこちょ」

 

 

「は、は、はーぴしょん!」

 

 

プリンセスがリボンの鼻をくすぐると、盛大なくしゃみをする。

 

 

「新しいプリカードをゲットね!」

 

 

リボンから、フィギュアスケーターのカードが生まれる。

 

 

「へーくしょん!」

 

 

すると今度は、ゲキレッドが盛大なくしゃみをする。

 

 

「あら、ゲキレッドもですの?」

 

 

「つられてくしゃみしちまった」

 

 

笑いながら、ゲキレッドは答える。

 

 

☆★☆★☆★

 

コテージの外で、夕食の準備が行われていた。

 

 

「みんなー食べよー!」

 

 

「イエーイ!」

 

 

ゆうこが用意した夕食を机に並べ、全員を呼ぶ。

 

 

「あれ?そういえば誠司は?」

 

 

「ん?言われてみれば帰ってから見てないな」

 

 

ひめに言われ、誠司を見ていない事にゴウは気づく。

 

 

「じゃあ、私呼んでくるよ」

 

 

めぐみは誠司を呼んで来る為に、コテージの中へと入る。

 

 

めぐみは誠司に宛がわれた部屋に入ると、暗い部屋の中で誠司は外を見つめていた。

 

 

めぐみはこっそり近づき、誠司の顔を見ると悲しい表情をしてるのが分かった。

 

 

めぐみは誠司の傍により、声を掛けた。

 

 

「ねぇ...誠司、大丈夫?」

 

 

声を掛けられた事で、誠司はようやくめぐみの存在に気づき驚く。

 

 

「なんだめぐみか。悪い、心配かけたようだな...もう大丈夫だよ」

 

 

大丈夫というが、何処か元気がない事にめぐみは気付いた。

 

 

しかし、誠司自身が何でもないというなら追及はしないと決めた。

 

 

「うん、早くゆうゆうの晩御飯食べよ。私もう腹ペコだよ」

 

 

「あぁ、今行くよ」

 

 

用事をすませためぐみは振り向き、部屋を出ようとする。

 

 

しかし。

 

 

ドサッ!

 

 

直ぐ後ろで倒れる音がして、振り返るめぐみが見たのは倒れる誠司の姿だった。

 

 

「誠司!」

 

 

めぐみは駆け寄り声を掛けるが、誠司からの返事は無かった。

 

 

「誠司?誠司!!」




はい!如何だったでしょうか?


まさか1話分でここまで長くなるとは、思いませんでした。


原作ではめぐみが風邪を引きますが、今回は誠司に風邪を引かせました。


理由としましては、リクエストがあったのは勿論、私も誠司が風邪を引かせた方が後々面白いと思ったからです。


そして新たな幻獣拳使いのアイデアを提供して頂いた読者の方、ありがとうございました。


今後、3幹部の師匠として登場させていく予定です。


皆様もコロナに負けず、頑張って乗り切りましょう!


それでは次回!第28話もしくはアクセル・ビルド第2話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第28話 恋にドキドキ!プリキュアと三幹部達の合宿

どうも!ナツ・ドラグニルです!


2ヶ月の間、投稿できずに申し訳ありませんでした!


家族間でトラブルが発生し、小説が書ける精神状況ではなかったのですが、今ようやく落ち着いたので投稿する事が出来ました。


また、これ以上長くなるのはまずいと思い、まだ途中でしたが投稿することにしました。


続きはいつものように、アクセル・ビルドを投稿後に投稿いたします。


長らくお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。


それでは作品をどうぞ!


「うー...」

 

 

誠司の唸り声が、静かな部屋に響く。

 

 

ブルーは誠司のおでこに手を当て、熱を測る。

 

 

「まだ熱が高いね」

 

 

「一晩寝れば...良くなると思ったんだけどな...すまない」

 

 

謝る誠司だったが、ゴウが呆れた口調で語りかける。

 

 

「お前...昨日の朝からくしゃみしてたけど、その時から体調が悪かったんじゃないのか?」

 

 

倒れた事で、ようやく前日の誠司の様子が可笑しかった事にゴウは気付く。

 

 

「あ、あぁ実は...」

 

 

心配かけまいと思い黙っていた誠司だったが、観念して子犬を助ける為に無茶したことを全員に話す。

 

 

『なんでそんな無茶したの!!』

 

 

話し終わった直後、誠司は女性陣全員から叱責される。

 

 

「いやぁ...助けるにはそうするしかなくて...」

 

 

「お前な...」

 

 

誠司の性格を理解している理央は、呆れるしか出来なかった。

 

 

「てか、何でお前体調悪いの隠してたんだよ」

 

 

体調を隠していた事を疑問に思ったケンが、誠司に質問する。

 

 

「めぐみ達が今日の事を楽しみにしてたからな、俺のせいで台無しにしたくなかったからな」

 

 

「それであんたが倒れたら、本末転倒でしょうが」

 

 

「面目ない...」

 

 

メレに指摘され、誠司は委縮し謝罪する。

 

 

「まぁまぁ、誠司が無茶するのは今に始まった事じゃないんだから」

 

 

風邪で弱っている誠司を不憫に思ったのか、ケンが誠司のフォローに入る。

 

 

「こういう時はとにかく寝る!」

 

 

「大人しくしてな」

 

 

いおなとぐらさんが助言を告げる。

 

 

「今は無理をしないのが一番ですわ」

 

 

「ああ、分かった」

 

 

リボンにそう言われ、誠司は素直に頷いた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

部屋から出ためぐみ達は、誠司のご飯を作る為にキッチンで作業を行っている。

 

 

「ごはんは愛のエネルギー♪」

 

 

ゆうこは歌いながら、お粥を混ぜている。

 

 

「ゆうこ、それお粥?」

 

 

「うん、誠司君もこれならお腹に入るかなーって」

 

 

「美味しそう!」

 

 

そこに、食べ物や飲み物を持ったゴウとケンが入ってきた。

 

 

「風邪に効きそうな食べ物や飲み物持ってきたぜ」

 

 

「あと、これも借りてきたぞ」

 

 

ゴウが見せたのは、氷嚢だった。

 

 

「ありがとう」

 

 

和気あいあいと誠司が食べれるご飯を用意するめぐみ達だったが、ケンの何気ない一言で修羅場と化す。

 

 

「それで?誰が誠司の看病するんだ?」

 

 

『勿論、私がするよ(わ)』

 

 

自分が看病するとメレを除いた女性陣が、火花を散らしあう。

 

 

「何言ってるの?誠司君は私が作ったお粥を食べるのよ。だったら私が看病するのは当たり前でしょ?」

 

 

「ゆうここそ何を言ってるの?誠司君には私の料理を食べてもらうのよ」

 

 

ゆうこといおなが言い争いをする中、ランとリン、そしてめぐみとひめも参加する。

 

 

「リンには負けないわよ」

 

 

「それはこっちの台詞よ」

 

 

「誠司を看病するのは私だよ」

 

 

「いーや!私なんだから!」

 

 

言い争いは止まる事を知らず、ゴウはこの状況を作り出した元凶に話しかける。

 

 

「おい、どうするんだよこの状況」

 

 

「どうするって...」

 

 

殺伐とした雰囲気の中、めぐみがある提案をした。

 

 

「こうなったら、アレで勝負をつけよう」

 

 

「そうね、そろそろ決着をつけないとって思ってたからね」

 

 

「望む所だわ」

 

 

めぐみの提案に、全員が了承する。

 

 

めぐみ達は身体から激気を溢れさせ、臨戦態勢に入る。

 

 

『はぁぁぁぁぁ!!』

 

 

その様子を見ていたゴウ達は、ここで戦いを始めるのかと慌てだしたその時。

 

 

『最初はグー!!じゃんけんポン!!』

 

 

彼女達が始めたのは、じゃんけんだった。

 

 

先程の殺伐とした雰囲気とは一変したことに、ゴウ達は拍子抜けする。

 

 

「決着って...じゃんけんかよ...」

 

 

「驚かせやがって...」

 

 

『あいこでしょ!あいこでしょ!』

 

 

じゃんけんの結果、勝利の女神が微笑んだのは...

 

 

「やった―――!!」

 

 

めぐみだった。

 

 

『くぅ...』

 

 

めぐみは出した手であろうグーを上に突き上げ、勝利の雄たけびを上げる。

 

 

他の者はチョキを出したことを後悔し、悲痛の声を上げる。

 

 

「じゃあ行ってくるね!」

 

 

めぐみはゆうこが作ったおかゆと、氷嚢を持って元気よく誠司の部屋に向かった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

コンコン。

 

 

寝ていた誠司はだったが、ドアがノックする音で眼を覚ました。

 

 

「うっ...入っていいぞ」

 

 

誠司は上体を起こしながら、ノックした人物に入室を許可する。

 

 

「お邪魔します」

 

 

ドアを開け、入ってきたのはめぐみだった。

 

 

「誠司、大丈夫?」

 

 

「ああ、寝たら少し楽になったよ」

 

 

「そっか...」

 

 

めぐみはベッドの近づくと、近くに置いてあった椅子に腰かけた。

 

 

「ご飯食べられそう?ゆうゆうがお粥作ってくれたんだよ!」

 

 

「あぁ、ありがとう」

 

 

誠司は器を受け取ろうと手を伸ばそうとするより早く、めぐみはお粥を一掬いし自分の口元に寄せる。

 

 

「ふー、ふー」

 

 

めぐみはお粥を冷まし、スプーンを誠司の口へと持っていく。

 

 

「はい、あーん」

 

 

「はっ!?」

 

 

誠司はあーんをされると思わなかったのか、驚きを見せる。

 

 

「そ、そんなことして貰わなくても自分で食べれるぞ!」

 

 

「いいから!はい、あーん」

 

 

自分で食べると抗議する誠司だったが、有無を言わさないめぐみの勢いに押され誠司はしぶしぶ口を開けた。

 

 

「あ、あーん...」

 

 

「おいしい?」

 

 

「あ、ああ...」

 

 

そう返事する誠司だったが、実際味なんて分からなかった。

 

 

自分の恋愛事だけではなく他人の恋愛事にも鈍い誠司だが、さすがに恥ずかしかったせいか意識せずにはいられなかった。

 

 

「ふー、ふー、はい、あーん」

 

 

もう一口掬って冷まし、食べさせる。

 

 

「あーん」

 

 

食べさせられる誠司の顔が赤いのは、熱だけが理由ではないだろう。

 

 

誠司の態度が変わった事により、めぐみも誠司を意識する。

 

 

2人が良い雰囲気を作っている所に、水を差す者がいた。

 

 

「ごっほん!お取込み中失礼しまーす!」

 

 

わざとらしく咳き込み、大声でひめが部屋に入ってくる。

 

 

「チッ...」

 

 

良い所を邪魔されたせいか、めぐみは誠司には聞こえない音量で舌打ちをする。

 

 

「ん?」

 

 

『いぇーい!』

 

 

誠司がドアの方に視線を向けると、そこには誠司達のクラスメイトの姿があった。

 

 

「やっほー」

 

 

「お見舞いに来たよ!」

 

 

「お加減いかが?」

 

 

「相楽君が風邪ひくなんてビックリだよ」

 

 

えれな、かな、れい、りんが順番に話す。

 

 

「みんなぁ!」

 

 

「ひめちゃんから合宿するって聞いてたから、私達もきちゃったー」

 

 

「そうなんだ!」

 

 

えれなの話を聞いて、めぐみはニッコリと返す。

 

 

「おや?お客様かな?」

 

 

そこに、誠司の様子を見に来たブルーが居合わせる。

 

 

「えっと、その...」

 

 

ブルーを見て、かなは言葉に詰まる。

 

 

「こちらのお美しい殿方は?」

 

 

質問するれいだったが、えれなが答えを聞かずに早とちりする。

 

 

「ッ!?まさかめぐみの彼氏!?」

 

 

『えー!?』

 

 

えれなの早とちりで、かなとれいが驚愕の声を上げる。

 

 

「うぇっ!?違う...この人は神様でぇ...」

 

 

「神様ぁ?」

 

 

ブルーの事を紹介するめぐみだったが、神様というフレーズでえれなに返される。

 

 

「いや...その...、ゴホッゴホッ!」

 

 

フォローしようとした誠司だったが、咳き込んでしまう。

 

 

「ひめの遠い親戚でね。保護者として来てるんだよ」

 

 

誠司の代わりにブルーがフォローし、優しい笑顔をえれな達に向ける。

 

 

『いやーんカッコいい~!』

 

 

その笑顔に魅了され、えれな達はウットリとする。

 

 

「ちょっと貴方達!病人の前で大騒ぎして!」

 

 

騒ぎを聞きつけた、いおなが部屋に入ってくる。

 

 

「さ、行くわよ!かみさ...」

 

 

神様と言いそうになり、いおなは赤面し狼狽える。

 

 

「ぶ、ブルーさん、誠司君の事お願いします」

 

 

いおなのお願いに、ブルーは笑顔で返す。

 

 

「誠司君、大人しく寝てるようにね」

 

 

「おう」

 

 

「さあ、みんな!」

 

 

いおなはえれな達を促し、退室する。

 

 

「だって」

 

 

「じゃあいこっか」

 

 

「はーい」

 

 

ひめにも促されりんとれいは退室する。

 

 

「早く元気になって」

 

 

「お邪魔しました」

 

 

続いて、えれなとかなも退室する。

 

 

「じゃあ誠司、私も修行に行ってくるね」

 

 

「ああ、頑張れよ!」

 

 

自分が一緒に修行出来ない事に、誠司は寂しさを覚えるがめぐみの事を元気に送り出した。

 

 

リビングに戻って来たいおな達は、めぐみ達と合流する。

 

 

「お昼のお米、一升で足りるかなー?」

 

 

ゆうこは炊飯器を閉じて、何処かウキウキしながら考える。

 

 

「どうだった?誠司の様子」

 

 

「うん。お粥もちゃんと食べてたし、大丈夫そうだったよ」

 

 

ひめの質問に、めぐみはそう答える。

 

 

「誠司君が体調が良い事が分かった所で、私達も武器の修行始めるわよ」

 

 

修行を始めようとするいおなだったが、ゴウが待ったをかける。

 

 

「修行するのは良いが、場所はどうするんだ?昨日はめぐみ達の修行だったから問題なかったが」

 

 

ゴウの質問に、ケンが答える。

 

 

「それだったら大丈夫だ、俺がブルーに頼んで周りには認識することが出来ない結界を張って貰ってんだ」

 

 

「そうか、それだったら問題ないな」

 

 

ケンの説明に納得したゴウは、外に出る。

 

 

外に出たラン達は修行を行うにあたって、2手に別れた。

 

 

ラン達ゲキレンジャー達はめぐみ達4人を連れ、武器の修行に。

 

 

理央とメレは、イナの攻略方法を考える為に近くの森へと向かった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、三幹部とイナはプリキュア達が浜辺から離れた海。

 

 

イナは海の上を走っており、それを三幹部は全力で飛んで追いかけている。

 

 

「ちょっと!何であいつ海の上を走ってるのよ!」

 

 

「俺が知るか!」

 

 

「つべこべ言わず、今は追いかけるのに集中したほうがいいですぞ」

 

 

イナが海の上を走っている事に驚愕しながらも、三幹部達は必死に追いかける。

 

 

「やり方は簡単よ、足が沈む前にもう片方の足を出し、その足が沈む前にもう一方の足を出す。それの繰り返しよ」

 

 

ホッシーワの声が聞こえたのか、イナは海の上を走るやり方を教える。

 

 

「簡単そうに言ってるけど、それ結構難しいでしょ!」

 

 

軽く説明するイナに、ホッシーワは突っ込みを入れる。

 

 

海の上を走っていたイナは、孤島を見つけ上陸する。

 

 

三幹部も後を追い、島に上陸する。

 

 

「さあ、修行を始めるわよ」

 

 

イナが指パッチンすると、3体のリンシーが現れる。

 

 

しかし、そのリンシーは只のリンシーでは無かった。

 

 

「あれは...」

 

 

ナマケルダは自分の眼を疑った。

 

 

なぜなら、イナが召喚した3体のリンシー達はナマケルダ達がクイーンミラージュから渡された武器と同じものを持っていたからだ。

 

 

「貴方達には、このリンシーと戦って貰うわよ」

 

 

「このリンシー達とですか?」

 

 

ナマケルダが疑問を感じる中、オレスキーはリンシーを甘く見る。

 

 

「ふん、いいだろう!こんな奴、チョイアークと大差ないだろうからな!」

 

 

オレスキーはそう言って、ペイルクローを召喚して先手必勝とばかりにリンシーに襲い掛かる。

 

 

「ふん!なっ!?」

 

 

攻撃したオレスキーだったが、同じペイルクローを持ったリンシーが簡単に受け止める。

 

 

「くぅ...くそぉ!」

 

 

チョイアークと同じだと思っていたリンシーに攻撃を受け止められたせいか、オレスキーは悔しそうにもう一度攻撃する。

 

 

「ふん!ふん!」

 

 

拳を大振りに振り、リンシーを殴り続けるが攻撃は全て受け流されたり、避けられてしまった。

 

 

オレスキーとリンシーが戦闘を行っている中、ナマケルダとホッシーワも自分と同じ武器を持つリンシーと戦闘を始めた。

 

 

しかし、オレスキー同様2人も苦戦を強いられる。

 

 

『ぐあああああ!!』

 

 

「きゃああああ!!」

 

 

そして等々、オレスキー達はリンシー達に敗北する。

 

 

「あら?もう終わったの?案外早かったわね」

 

 

負けたオレスキー達を、イナは嘲笑う。

 

 

「くそがあああ!!」

 

 

笑われたオレスキーは、力任せに攻撃を仕掛ける。

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

逆上したオレスキーの怒涛の攻撃を、躱し続けるリンシー。

 

 

突如、躱し続けていたリンシーの動きが良くなり、逆に綺麗な蹴りがお腹に入る。

 

 

オレスキーは声も出せず、膝を着いた。

 

 

ナマケルダとホッシーワもオレスキー同様、逆上し攻撃を仕掛けるが動きが良くなったリンシーに反撃を喰らい吹き飛んでしまう。

 

 

吹き飛ばされたナマケルダとホッシーワは、直ぐに起き上がる。

 

 

膝を着いていたオレスキーも立ち上がり、3人でリンシーを攻撃する。

 

 

しかし、攻撃しても反撃され吹っ飛ばされる。

 

 

そして立ち上がり、また攻撃を仕掛ける。

 

 

それを何度も繰り返した数分後、等々オレスキー達は動かなくなった。

 

 

イナは動けなくなった3人を見て、指パッチンしてリンシーを消滅させる。

 

 

「なぜ...」

 

 

リンシーを消滅させ、その場を後にしようとしたイナだったがナマケルダの言葉に歩みを止める。

 

 

「なぜ、リンシー達の動きがいきなり良くなったのですか?」

 

 

「......」

 

 

問いかけるナマケルダだったが、イナは何も答えずその場から消えた。

 

 

そして残ったのは、三幹部達の荒い息だけだった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

眠りから覚めた誠司は辺りを見渡すと、視界に入ったのは自分を看病していたであろうブルーの姿だ。

 

 

「目が覚めたようだね誠司、調子はどうだい」

 

 

「あぁ、一眠りしたら今朝よりは良くなった」

 

 

誠司の言う通り、今朝に比べたら顔の色も良くなっている事に気づいてブルーは安堵する。

 

 

「めぐみ達はまだ修行してるのか?」

 

 

「うん、そろそろ帰ってくるんじゃないかな」

 

 

誠司の問い掛けにそう答えると、ブルーは椅子から立ち上がり窓へ近づく。

 

 

「なぁ、ブルー」

 

 

「うん?」

 

 

誠司に声を掛けられ、ブルーは誠司に視線を向ける。

 

 

「お前、ミラージュと何かあったのか?」

 

 

その問いにブルーは怯み、俯いてしまう。

 

 

「悪い、今のは忘れてくれ」

 

 

表情から察して、誠司は聞くのは野暮かと考え詮索するのをやめた。

 

 

「いや...君には聞いてほしい。かつて僕はミラージュを傷つけてしまったんだ...」

 

 

覚悟して話すブルーに、誠司は上体を起こして真剣に話を聞く。

 

 

「それ以来...彼女はクイーンミラージュとなり、この世界を憎むようになった。なんとしても彼女を止め、この世界を守らなくては...」

 

 

ブルーが窓を開けると、窓から入ってきた風がカーテンを靡く。

 

 

「お前...本当はミラージュと戦いたくないんじゃないのか?」

 

 

「そうだね...出来れば彼女を傷つけるような事をしたくはない...。だけど...彼女を変えてしまった責任が僕にはあるんだ。嫌でもやらないと」

 

 

ブルーの覚悟ある言葉に、誠司も答える。

 

 

「余り1人で抱え込むなよ、俺達がいるんだ。少しは相談しろよ」

 

 

「ありがとう...ん?」

 

 

感謝を述べるブルーだったが、何かに気づき外を見る。

 

 

「どうした?」

 

 

「どうやら、めぐみ達が帰ってきたみたいだね」

 

 

ブルーの目には、ゾンビのような歩き方になるまで疲れためぐみ達が映っていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

めぐみ達がリビングに着くと、電池が切れたロボットのようにハピネス組が倒れた。

 

 

「大丈夫ですの!?」

 

 

「どうしたんだお前ら!?」

 

 

いきなり倒れためぐみ達に、リボンとグラサンは急いで駆け寄り介抱する。

 

 

「死んじゃう...」

 

 

「もう無理~...」

 

 

か細い声をひめ達が呟く中、めぐみは極限状態に陥っていた。

 

 

「変な川に死んだおばあちゃんが見えるよ~...、あっ...ちょっと...服を取らないで~...」

 

 

正直言ってやばいかもしれない。

 

 

「なんでめぐみ達はこんなになってるんですの?」

 

 

「何をしたんだ?お前達?」

 

 

リボン達の質問に、申し訳なさげにリンが答える。

 

 

「獣拳を習得した事によってめぐみ達が上達したし、いおなもフォーチュンファン使い方を教えると直ぐに上達したから調子乗っちゃって...」

 

 

「少し厳しくしすぎたかもな、めぐみ達にはハードすぎたみたいだ」

 

 

『ははは...』

 

 

リンに続いてゴウも申し訳なさそうに答えるが、リボンとグラサンは乾いた笑いしか出せなかった。

 

 

ぐうぅぅぅぅ。

 

 

そんな時、ひめのお腹の音が大きい音で鳴った。

 

 

「お腹すいた~!何かないの~!」

 

 

喚くひめに、リボンがお昼の準備に取り掛かる。

 

 

「ではお昼の時間なので、昼食を作りますわ。今日はカレーですわ」

 

 

「じゃあお詫びとして私達も手伝うわ」

 

 

「そうね」

 

 

ランとリンはリボンに着いていき、昼食の準備を始める。

 

 

「じゃあ、俺達は食器を並べるか」

 

 

「応!」

 

 

ゴウ達は、昼食に使う食器を並べる。

 

 

「じゃあ、お前達はシャワーでも浴びてこい」

 

 

「そうね」

 

 

ぐらさんの先導の元、倒れていためぐみ達はシャワーを浴びに行った。

 

 

 

 

 

 

 

「うーす、邪魔するぜ」

 

 

食器を並べ終わった後、ケンが様子を伺いに誠司のいる部屋に赴いた。

 

 

「様子はどうだ?」

 

 

ケンが体調を確認すると、誠司は何ともないように答える。

 

 

「あぁ、もう大丈夫だ」

 

 

「ほぅ、流石だな」

 

 

ケンの眼から見ても、誠司の体調が良い事が分かる。

 

 

誠司が元気を取り戻した事に、ケンは感心する。

 

 

「昼飯出来てるが、どうするんだ?」

 

 

誠司は壁に掛かった時計を確認し、既に昼を過ぎている事に気づいた。

 

 

「もうそんな時間か、じゃあ食べるか」

 

 

「じゃあ、飯を持ってくるからちょっと待ってろ」

 

 

踵を返し、部屋を出ようとするケンを誠司が止める。

 

 

「いや、わざわざ悪いし俺が下に降りるよ」

 

 

「熱は下がったとはいえ、余り無理するなよ?」

 

 

心配するケンだったが、誠司は大丈夫大丈夫と言って下に降りていった。

 

 

自分の心配を他所に下に降りて行った誠司に、ケンは溜め息をつく。、

 

 

そこで、先程の女性陣のやり取りを思い出しこの後起こるであろう修羅場を想像し、にやにやしながら誠司の後を追った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ラン達が昼食の準備をしてる中、理央とメレは森の中でまだ鍛錬を続けていた。

 

 

前回戦ったイナを攻略する為、理央はメレ相手にしながら作戦を練る。

 

 

しかし、良い作戦は思い浮かばなかった。

 

 

悩む理央を見て、メレは自分も何かできないか考える。

 

 

そんな時、ふとメレは周りを見渡すと水溜りが沢山出来ている事に気づく。

 

 

どうやら近くの川の水が、理央達の鍛錬の影響で何度も飛沫が上がり水溜りを作り上げていた。

 

 

その水溜りに、木の枝や葉っぱから雫が落ちる音が響いた。

 

 

その光景を見たメレは、ある事を閃いた。

 

 

「おーい!理央、メレ!」

 

 

閃くと同時に、ゴウが理央達を呼ぶ声が聞こえた。

 

 

「もうすぐ昼飯の時間だ、そろそろ戻ろうぜ」

 

 

「分かった」

 

 

踵を返して戻るゴウの後を追い、理央とメレはコテージへ戻る。




はい、如何だったでしょうか?


前書きで書いた通り、今回は途中だったので少し短くなっております。


今回の文章量の方が読みやすかったら、今後も前編後編のように分けて投稿致します。


最初に家族間のトラブルと言いましたが、コロナとかではないのでご安心ください。


それでは次回、第29話もしくはアクセル・ビルド第3話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第29話 イナ攻略!?合宿クライマックス!

どうも、ナツドラグニルです!


長らくお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。


少しスランプになっていたのと、書く気力が湧かなかった為に遅くなってしまいました。


ハピネスチャージもようやく半分いった所ですね。


後3話程でイノセントフォームに突入すると考えると、今まで長かったなと思います。


それでは、作品をどうぞ!


お昼の準備するめぐみ達は、外にテーブルを用意して人数分のカレーを並べる。

 

 

「これで準備は完了ね」

 

 

準備を終えためぐみ達は、さっそく席に着いた。

 

 

「もう待ちきれない!お腹と背中がくっついちゃうよ!」

 

 

早く食べようと促すひめに、ゴウは用意した誠司のカレーを持ちながら、待ったをかける。

 

 

「その前に、誠司にご飯持って行かないといけないだろ」

 

 

その言葉で、またしても女性陣の目の色が変わる。

 

 

「じゃあ、私が持っていくね」

 

 

ゴウからカレーを受け取ろうとするめぐみを、ひめが止める。

 

 

「何で自然な流れで受け取ろうとしてんのよ、めぐみはさっきいったでしょ!」

 

 

「だって私、さっきじゃんけんに勝ったから資格はあるはずでしょ」

 

 

「さっきはさっき、今は今よめぐみちゃん。という事でもう一度じゃんけんしましょ」

 

 

誠司の看病の権利を得る為に、ゆうこがじゃんけんの再戦を提案する。

 

 

女性陣が燃える中、思いもよらない人物が名乗り出てきた。

 

 

「みんな疲れているようだし、私が持っていこうか?」

 

 

そう提案してきたのは、めぐみ達のクラスメイトである石神りんだった。

 

 

『え...?あっ...そう...』

 

 

りんの申し出に、めぐみ達は思わず頷いてしまった。

 

 

驚いたこともそうだが、りんの善意を断る事がめぐみ達には出来なかった。

 

 

「じゃあ、頼んだぜ」

 

 

りんは誠司の寝ている部屋に向かうべく、ゴウからカレーを受け取った。

 

 

「じゃあ、いってくるね」

 

 

『行ってらっしゃい』

 

 

『行ってらっしゃい...』

 

 

ゴウとかな達は元気に見送り、めぐみ達は悔しそうに見送った。

 

 

「おっ!今日の昼ご飯はカレーか」

 

 

しかし、誠司が降りてきたお陰でその必要がなくなってしまった。

 

 

「誠司!?何で起きてきたの!?」

 

 

寝ていた筈の誠司が降りてきた事に、めぐみ達は驚愕する。

 

 

「もう起きて大丈夫なの!?」

 

 

「あぁ、もう大丈夫だよ」

 

 

驚くめぐみの質問に、誠司は問題ないように答える。

 

 

「誠司君、これ」

 

 

りんは持っていこうとしていたカレーを、誠司に渡す。

 

 

「ありがとう、石神」

 

 

カレーを受け取った誠司は何も置かれていない場所に、自身のカレーを置いた。

 

 

「皆揃った所で頂きましょう。それじゃあ」

 

 

『いただきます!』

 

 

☆★☆★☆★

 

 

お昼ご飯を食べ終わり、誠司達は後片付けをしていた。

 

 

その中、ひめは食べ終わった食器の片づけをしていた。

 

 

「ひめちゃん、ひめちゃん」

 

 

自分を呼んでいる声に気づき、ひめは振り向く。

 

 

「ちょっといい?」

 

 

陰からりんとかなが手招きをしていた。

 

 

りん達に連れられ、ひめはコテージの裏に連れてこられた。

 

 

「あのね、相楽君の事なんだけど...相楽君って好きな人いるのかな?」

 

 

「え?」

 

 

「その...相楽君って男らしいしカッコいいし頭もいいし、スポーツもできるし...」

 

 

そう口にするりんだったが、察しが悪くひめは首を傾げる。

 

 

「いざって時、守ってくれそうって言うか、優しいんだよね」

 

 

「ほぉー」

 

 

赤面しながら誠司の事を話すりんを見て、ひめはようやく察しがついた。

 

 

「つまりね、りんは相楽君のことが...」

 

 

「好きなんだー!」

 

 

かなの言葉の続きを、ひめの絶叫がかき消した。

 

 

「声が大きい!」

 

 

りんは慌てて、ひめの口を塞ぐ。

 

 

「とにかくそう言うわけでさ」

 

 

そこでひめは、改めて誠司に好きな人がいるのか考える。

 

 

ゲキレンジャーとして、いつくもの修羅場を一緒に超えてきたランとリン。

 

 

そしてプリキュアという共通の秘密を抱え、幻影帝国を倒す為に一緒に戦うめぐみ、ひめ、ゆうこ、いおな。

 

 

同じ学校のクラスメイト、りん、かずみ、かな、れい、えれな。

 

 

ここまで考えて、この中で誠司が特別扱いしている人物がいるのだろうかと考える。

 

 

中でも、お互いを理解し合っているめぐみとゆうこですら、他の者達と変わらず平等に接している。

 

 

「んー、私もよく知らないなー。役に立てなくてごめん」

 

 

「ううん、どうもありがとう」

 

 

役に立てなくて謝るひめだったが、逆にりんは感謝の言葉を述べる。

 

 

「話は聞かせてもらったぜ」

 

 

『きゃあ!』

 

 

突如ケンが現れた事で、その場にいたひめ達は短い悲鳴を上げる。

 

 

「ケンさん!?何処から湧いて出たの!?」

 

 

「ひめちゃん...人をそんなゴキブリが沸いたみたいに言わないでよ...」

 

 

ひめの一言に、ケンはショックを受ける。

 

 

「それよりも、りんちゃんは誠司の事が好きなんだって?」

 

 

にやにやと笑いながらりんに話しかけるケンに、ひめが指摘する。

 

 

「ケンさん...野次馬根性で来たならりんに失礼なんで帰ってもらえます?」

 

 

「それは侵害だぜひめちゃん、俺は善意100%で関わろうとしてるんだぜ!」

 

 

そう告げるケンだったが、はっきり言って明らかに胡散臭かった。

 

 

これがゴウや理央だったらひめも信頼出来たのだが、相手がケンになってしまうと信用よりも怪しさが出てしまう。

 

 

完全に日頃の行いが物を言うのだが、この際だからとひめはケンにも協力してもらう事にした。

 

 

「あ、あの...ケンさん。相楽君に好きな人はいるんですか?」

 

 

早速りんが、ひめも知らない核心に触れる。

 

 

「はっきり言って、あいつが特別に意識している相手はいない」

 

 

きっぱりとそう告げるケンに、りんはもう一度質問をする。

 

 

「根拠はあるんですか?」

 

 

「ある!なぜならあいつは、そういう恋愛に関してはびっくりするほど鈍いからな」

 

 

その事に関しては、ひめも分かっていた。

 

 

自分達の好意に、誠司はまったく気づいていないからだ。

 

 

「だからりんちゃんにも、まだ可能性はあるぜ」

 

 

ケンの話を聞いたりんは、やる気に満ち溢れていた。

 

 

「分かりました!私、頑張ります!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、めぐみ達がいるコテージから少し離れた小島で三幹部とイナが昼食を食べていた。

 

 

メニューはめぐみ達とは違い、お握りと沢庵というシンプルな物だった。

 

 

お握りを頬張っていたオレスキーだったが、突然鼻の穴を大きくしてクンクンと匂いを嗅ぎ出す。

 

 

「ほへは(これは)!はふひほはほひ(やる気の香り)!」

 

 

「食べるか、喋るかどっちかにしてください。何を言ってるのか分かりませんぞ」

 

 

ナマケルダに指摘され、オレスキーは急いでお握りを食べ終える。

 

 

「やる気の匂いがする!」

 

 

「犬か」

 

 

思わずホッシーワが、突っ込みを入れてしまう。

 

 

「磯の香りに混じり、若者達のヤル気の香りが漂ってくる、しかーも!」

 

 

オレスキーのその言葉に、ホッシーワは青筋を浮かべる。

 

 

「しかーも、何なのよ!」

 

 

「ヤル気の香り+ほんわかの恋の香りまでするぞ!」

 

 

「恋の香り?」

 

 

ホッシーワの質問に、オレスキーは説明口調で答える。

 

 

「そうだ。オレ様がやる気の次の次に嫌いな恋の香り!あれはイカン!人間を妙に活き活きさせるからな」

 

 

「くだらな~い。恋なんて直ぐに冷めて消えちゃうものなのにぃ~」

 

 

「そうでしょうか?」

 

 

オレスキーとホッシーワが恋愛について話をしていると、誰よりも先に食べ終えて寝っ転がっていたナマケルダが反応する。

 

 

「冷めて消えるならいいですがぁ、冷めないままいくと、恋とは相当面倒な物ですぞ」

 

 

そう言って、ナマケルダは目を光らせる。

 

 

目を光らせるナマケルダに、イナが話しかける。

 

 

「へぇ~ナマケルダって恋の事に詳しいのね」

 

 

目を見開いてイナが意外そうな顔をするが、ナマケルダは何も言わなかった。

 

 

「ねぇ...もしかしてナマケルダは恋や恋愛で何か...」

 

 

イナが言い切るより先に、ナマケルダがイナに剣を向けた。

 

 

「黙って欲しいですぞ、貴方の話を聞くのも面倒ですぞ」

 

 

殺気を放ちながらイナを睨むナマケルダだったが、当の本人は涼しい顔をしてナマケルダの事を見続ける。

 

 

そんな中、オレスキーとホッシーワは突如発生した2人の空間に居たたまれない感じだったが、普段見ないナマケルダの表情に驚きを隠せないでいた。

 

 

「チッ」

 

 

暫く見つめ合っていた二人だったが、ナマケルダが舌打ちをする。

 

 

ナマケルダは剣を戻し、踵を返して歩き出す。

 

 

「何処に行くの?ナマケルダ」

 

 

「散歩ですぞ」

 

 

そう言って、ナマケルダはその場から消えた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「さてと...片付けも終わったし、この後どうする?」

 

 

この後何をするかを、ゴウは皆に確認する。

 

 

「だったら、皆で貝でも採りに行くか?」

 

 

そう言い出した誠司に、かなが気になった事を質問する。

 

 

「でも、貝って勝手に採っちゃいけないんでしょ?」

 

 

「昨日、漁協のおっちゃんに訊いたら、少しなら採っていいってよ」

 

 

『へぇー』

 

 

そんな事を確認していると思わなかっためぐみ達は、誠司に感心した。

 

 

「ホント、気が利く」

 

 

誠司の段取りの良さに、いおなが褒める。

 

 

「行くのは良いが、余り無茶するなよ」

 

 

「そうだぜ、お前はまだ病み上がりなんだからな」

 

 

熱は引いたとはいえ、油断は禁物だと理央とゴウが注意する。

 

 

「ああ、分かっている。じゃあ、行こうぜ」

 

 

誠司の先導の元、めぐみ達は貝を採りに岩場へと向かった。

 

 

理央とメレは留守番の為、その場に残った。

 

 

「やっぱ、カッコイイ~」

 

 

皆をまとめ先導する誠司の姿に、りんはうっとりする。

 

 

そんな中、誠司の後ろをついていくひめは悪巧みを考えているような顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

岩場に到着した誠司達は、各々が貝を採り始めていた。

 

 

皆が岩の間を覗いて貝を採っている中、誠司は上着を脱ぎ海へと入っていった。

 

 

病み上がりなのにと心配するひめだったが、無茶する誠司に少しお仕置きをしようと考える。

 

 

『に、に、人魚!かわルンルン!』

 

 

プリチュンミラーを使用し、ひめの姿が人魚へと変わる。

 

 

「人魚ーひめー」

 

 

ひめは早速海に入り、誠司を探す。

 

 

楽しそうに泳いでるひめ、深い所まで潜り貝を探す誠司を目視する。

 

 

(いたいた)

 

 

誠司を発見し、ひめは悪い笑みを浮かべる。

 

 

だが、そこに魚が近づいてきてお尻をツンツンされる。

 

 

(うわぁ!なに、なに?)

 

 

驚いているひめだったが、前からも別の魚が現れ全身に群がる。

 

 

(くすぐったい~)

 

 

全身をツンツンと突かれ、ひめは悶え苦しむ。

 

 

振り払おうと抵抗するひめだったが、近くの岩場に肘を強打してしまう。

 

 

痛さの余り、息を吐いて沈んでしまう。

 

 

沈んでいくひめの視界に、誠司の姿が映った。

 

 

(え?)

 

 

沈んでいくひめの手を誠司が掴み、浮き上がる。

 

 

『ぷはぁ』

 

 

浮かび上がり、2人は息を整える。

 

 

「人魚が人間に助けられて、どうすんだよ」

 

 

突っ込みを入れ呆れる誠司だったが、ひめは頬を染め惚けていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ひめの手当てをする為に、誠司は皆を一か所に集める。

 

 

「まったくー、どうせイタズラでも考えてたんでしょ」

 

 

「ドキッ!」

 

 

いおなの指摘に、ひめは図星を突かれ驚く。

 

 

「んー...」

 

 

顔を俯かせ、ひめはしょんぼりとする。

 

 

「ひめは貝を採るのを手伝ってくれたんだよな」

 

 

「え?」

 

 

責められると思っていたひめは、誠司がフォローしてくれた事に驚く。

 

 

「これでよし」

 

 

ひめの左肘に、絆創膏を貼ってあげる誠司。

 

 

「痛くないか?」

 

 

「う、うん...」

 

 

誠司の問いに、ひめは動揺しながら答える。

 

 

「君達ですかな?恋をする愚か者達は?」

 

 

聞き覚えのある声に反応し、後ろに振り向くとナマケルダが立っていた。

 

 

誠司達はナマケルダが現れた事に驚くも、全員が構える。

 

 

「全く恋はいけませんぞ...恋なんてあるから傷つくんですぞ...本当に恋はいけません」

 

 

「まるで自分が恋で傷ついたって、行ってるみたいに聞こえるぜ」

 

 

ケンが指摘すると、ナマケルダは指摘された事に激怒する。

 

 

「黙りなさい!!今日の私は少し機嫌が悪いんです!少々八つ当たりに付き合って貰いますぞ!」

 

 

変身しようと構える誠司達、そんな時に最悪なタイミングで現れる者達がいた。

 

 

「相楽くーん、みんなー」

 

 

「なっ!?」

 

 

りんの声が聞こえ、誠司は驚愕する。

 

 

「あ、居た。れいー、かなー、居たよー!」

 

 

りんが姿を現して誠司達を見つけると、自分が来た方向に向かって叫ぶ。

 

 

「本当?」

 

 

「めぐみー!みんなー!」

 

 

りんに続いて、れいとかなも姿を現す。

 

 

「こっちに来ちゃ駄目だ!」

 

 

静止する誠司だったが、一歩遅かった。

 

 

「ん?あっ!?幻影帝国!」

 

 

「え!?」

 

 

「うそぉ!?」

 

 

止められた事により、誠司達の前にナマケルダがいる事にりん達は気付く。

 

 

「調度いい、貴方達を利用させていただきますぞ!」

 

 

ナマケルダはりん達に向かって、ステッキを向ける。

 

 

「え?また私?」

 

 

「鏡に映る未来を最悪にしろぉ!!」

 

 

りん、れい、かなの3人が鏡に閉じ込められてしまう。

 

 

「来い、来い!サイアーク!」

 

 

『サイアーク!』

 

 

3人が鏡に閉じ込められてしまった事により、3体のサイアークが生み出された。

 

 

ピンク色のワンピースに、頭と耳にハートの装飾をつけたサイアークだった。

 

 

「よくも石神達を!行くぜ!みんな!」

 

 

誠司の掛け声で、全員が変身アイテムを構える。

 

 

『かわルンルン!』

 

 

『プリキュア!くるりん・ミラーチェンジ!』

 

 

「プリキュア!きらりん・スターシンフォニー!」

 

 

プリチュンミラーを使用し、めぐみ達はプリキュアへと変身する。

 

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

 

「響け!ケモノの叫び!」

 

 

「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

『ビースト・オン!』

 

 

激気と臨気を纏い、誠司達はゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「身体に漲る、無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

「技が彩る大輪の花、ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

 

「燃え立つ激気は、正義の証!」

 

 

『獣拳戦隊ゲキレンジャー!』

 

 

 

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

 

「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!」

 

 

『ハピネス注入!』

 

 

『幸せチャージ!』

 

 

『ハピネスチャージプリキュア!!』

 

 

「恋とは面倒くさいものなのです、苦労したのですよ私は。行きなさい、サイアーク!」

 

 

ナマケルダの命令を受け、ゲキレッド達に突っ込むサイアーク。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

同時刻。

 

 

先程まで食事していた外のテーブルで、理央とメレが誠司達の帰りを待っていた。

 

 

メレがポットからグラスに勢いよくお茶を注ぐと、パキパキッと軽やかな音が響く。

 

 

「理央様、お茶ですわ」

 

 

「ああ、ありがとう」

 

 

もう1つあるグラスに自分の分のお茶を注いだメレは、理央の隣に腰かける。

 

 

「それにしても、誠司の奴は大丈夫でしょうか?」

 

 

「ゴウ達も一緒なんだ、心配はいらないだろ」

 

 

「そうですが...。まったく、少しは心配するこっちの身にもなりなさいよ」

 

 

不満そうに呟くメレを見て、まるで子供を心配する母親のようだな、と理央は考える。

 

 

「ふふっ」

 

 

そんな想像をしていたせいか、自然と理央の顔から笑みが零れた。

 

 

「どうかなさいましたか?理央様」

 

 

「いや、なんでもない」

 

 

突然笑い出した事をメレは不思議に思ったが、理央は上手くはぐらかした。

 

 

グラスを取ろうと手を伸ばそうすると、グラスの中でカランッと氷が鳴った。

 

 

「ッ!?」

 

 

それと同時に、理央は邪気を感じ椅子から立ち上がる。

 

 

「どうかなさいましたか?理央様」

 

 

いきなり立ち上がった理央に、メレは質問する。

 

 

メレの質問に、理央は答えず一点を見つめていた。

 

 

その代わり、かつて臨獣殿の頭首だった頃の...いや、それ以上の闘気を放っていた。

 

 

それでメレは悟った、奴が現れた事を。

 

 

「理央様、お供致します」

 

 

メレも立ち上がり、理央が見つめている先にいるであろうイナの事を睨む。

 

 

「ああ、行くぞ」

 

 

理央はメレを連れ、邪気の感じる方に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく走った理央達が辿り着いたのは、コテージからかなり離れた場所で近くには川が流れていた。

 

 

「あら?今回は貴方達だけみたいね」

 

 

するとそこには、予想していた通りイナの姿があった。

 

 

「お前など、俺達だけで十分だ!」

 

 

理央はそう言うと、着ていたコートを脱いで後ろに投げた。

 

 

「臨獣ライオン拳!」

 

 

「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

 

メレもゲキチェンジャーを構える。

 

 

「臨気凱装!」

 

 

「エプタイル・オン!」

 

 

理央に臨気の鎧が、メレにゲキスーツが装着される。

 

 

「猛き事、獅子の如く!強き事、また獅子の如く!我が名は黒獅子・理央!」

 

 

「理央様の為に、新たな力を得た新ラブウォリアー!臨獣カメレオン使いのメレ!」

 

 

イナも人間の姿から怪人の姿に変わり、戦闘態勢に入った。

 

 

ゲキレッド達とプリキュア達が戦っている所とは別の場所で、理央達とイナの戦いが始まった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

理央達がイナと戦っている間も、ゲキレッド達とサイアーク達の戦いは続いていた。

 

 

現在ゲキレッド達は、3手に別れて戦っていた。

 

 

プリキュア達4人が1体、ゲキレッド、ゲキイエロー、ゲキブルーが1体。

 

 

そして、ゲキバイオレットとゲキチョッパーが最後の1体を相手している。

 

 

「はぁ!」

 

 

プリンセスの強烈なパンチが、サイアークの顔面に繰り出される。

 

 

「はぁ!」

 

 

反対側からフォーチュンがキックを放ち、次の動作の隙を与えない。

 

 

「はぁ!」

 

 

ハニーがサイアークの後ろに周り、クローバーの光弾がサイアークの背中に直撃する。

 

 

「ク!」

 

 

後ろから攻撃された事により、サイアークは怒りを見せる。

 

 

「はあああぁぁぁぁ!!」

 

 

跳躍したラブリーは、左の掌にエネルギーを溜める。

 

 

「ラブリーシャイニングインパクト!」

 

 

エネルギーが籠められた掌で、サイアークに掌底(しょうてい)を放つ。

 

 

ラブリーの攻撃で、サイアークは怯む。

 

 

「今だよ!フォーチュン!」

 

 

ラブリーの合図で、フォーチュンは構える。

 

 

「星の光を、聖なる力に!フォーチュンタンバリン!」

 

 

フォーチュンタンバリンを召喚し、ハートの部分に手を翳す。

 

 

「プリキュア!スターライト・アセンション!」

 

 

タンバリンを3回鳴らし、最後に頭上でタンバリンを打ち鳴らす。

 

 

タンバリンから光が放たれ、サイアークを包み込む。

 

 

「サイアーク...」

 

 

フォーチュンの必殺技で、サイアークが倒れる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「サイブレードカッター!鋭鋭刀!」

 

 

サイブレードカッターに激気を纏わせ、サイアークを切り付ける。

 

 

「チェスト―――!!」

 

 

「サイア―!」

 

 

切り付けられたサイアークは、そのまま後ろに吹きとんだ。

 

 

吹き飛ぶサイアークの後ろに、拳を構えたゲキバイオレットが待ち構えていた。

 

 

「ゲキワザ!昇昇拳!」

 

 

強烈なアッパーカットがサイアークの後頭部に直撃し、空高く飛ばした。

 

 

「一気に行くぞ、ケン!」

 

 

「応よ!」

 

 

ゲキバイオレットが腰の位置で拳を構え、ゲキチョッパーがサイブレードの形状を変化させる。

 

 

「ゲキワザ!厳厳拳!」

 

 

「サイブレードフィンガー!捻捻弾」

 

 

ゲキバイオレットは紫激気を込めた必殺の一が放ち、ゲキチョッパーはサイブレードフィンガーの指先から激気の銃弾を放つ。

 

 

『セイヤァァァァァ!!』

 

 

2人から放たれた技が、上空のサイアークに直撃する。

 

 

「サイアーク!」

 

 

ゲキバイオレットとゲキチョッパーはサイアークに背を向け、拳を上に突き上げる。

 

 

『ノックアウト!』

 

 

爆発に包まれたサイアークはそのまま地面に落下し、そのまま動かなくなった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はぁ!」

 

 

ゲキレッドの正拳突きが、サイアークに繰り出される。

 

 

「サイ!」

 

 

ゲキレッドの攻撃で怯むサイアークだったが、腰が入っていなかったせいか怯みはしたが全然効いていなかった。

 

 

「サイアーク!」

 

 

サイアークの大振りのパンチが、ゲキレッドに向けて放たれる。

 

 

後ろに飛び、避けようとしたゲキレッドだったが。

 

 

「なっ!」

 

 

急に足に力が入らなくなり、跪きそうになる。

 

 

「しまっ!」

 

 

既に目前にまで迫っているサイアークの拳を見て、ゲキレッドはせめてもと思い、受け身を捨て両手をクロスし攻撃をガードしようとする。

 

 

「ゲキワザ!瞬瞬弾」

 

 

ニャアアアアア!!

 

 

ゲキレッドに拳が当たる寸前、ゲキチーターがサイアークを襲う。

 

 

「サイアーク!」

 

 

そのまま地面に倒れると思っていたゲキレッドを、ゲキブルーが支える。

 

 

「もう、病み上がりなんだから無理しないの」

 

 

「悪い」

 

 

そこに、ゲキイエローが近づく。

 

 

「誠司の事を考えたら、これ以上長引かせると危険だわ」

 

 

「そうね、一気に片づけるわよ」

 

 

ゲキブルーの提案に、ゲキレッドが頷く。

 

 

「ああ」

 

 

ゲキイエローとゲキブルーが前に立ち、ゲキレッドがその後ろに立つ。

 

 

『ゲキバズーカ!』

 

 

ゲキバズーカを召喚し、サイアークに向けて構える。

 

 

「激気注入!」

 

 

ゲキバズーカに激気が注入される。

 

 

『ゲキワザ!激激砲!』

 

 

ゲキバズーカから放たれた激気の弾丸が、サイアークに命中する。

 

 

「サイアーク!」

 

 

激激砲が直撃したサイアークは、そのまま立ち上がる事は無かった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

サイアークが3体共倒された事に、ナマケルダは声を荒げて怒りを見せる。

 

 

「立つのですぞサイアーク!このくらい、恋の苦労に比べれば、なんてことない筈ですぞぉ!」

 

 

ナマケルダの命令を受け、先程まで倒れていたサイアークは3体共立ち上がった。

 

 

『サイアーク!』

 

 

気合の籠った掛け声と共に、サイアーク達は巨大化する。

 

 

(ナマケルダって、なんか辛い事があったのかな?)

 

 

プリンセスは心の中で、ナマケルダが何故そこまで恋を嫌っているのか気になったが、サイアークが巨大化した為に意識を切り替えた。

 

 

「誠司は病み上がりだからな、俺達で片づけるぞ」

 

 

『了解!』

 

 

「押忍!」

 

 

ゲキバイオレットは、ゲキイエローとゲキブルーに次の指示を出す。

 

 

「お前達は誠司の事を任せたぞ」

 

 

「分かりました」

 

 

「任せて、兄さん」

 

 

誠司の事を任せたゲキバイオレット達は、巨大化したサイアークに向かい合った。

 

 

『プリキュア拳!ゲキワザ!来来獣!』

 

 

「キュアリンクス!」

 

 

「キュアスワロー!」

 

 

「キュアジラフ!」

 

 

「キュアバイソン!」

 

 

プリキュア達は、各々のキュアビーストを召喚する。

 

 

「ゲキワザ!来来獣!ゲキウルフ!ゲキタイガー!ゲキジャガー!」

 

 

「いでよ!サイダイン!」

 

 

ゲキバイオレットが3体のゲキビーストを、ゲキチョッパーが操縦刀でサイダインを召喚する。

 

 

『プリキュア!獣拳合体!』

 

 

「獣拳合体!」

 

 

「獣拳変形!」

 

 

4体のキュアビーストがキュアトージャへ、3体のゲキビーストがゲキトージャウルフへと合体する。

 

 

そして、サイダインが変形してサイダイオーになった。

 

 

「ゲキトージャウルフ!バーニングアップ!」

 

 

「サイダイオー!見参!」

 

 

『キュアトージャ!バーニングアップ!』

 

 

巨大化した3体のサイアークの前に、3体の巨大ロボが並び立つ。

 

 

「行くぞ!」

 

 

ゲキバイオレットの合図で、サイアークとの第2ラウンドが開始される。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

一方、イナと戦っていた理央達は苦戦を強いられていた。

 

 

「リンギ!獅子連斬!」

 

 

黒獅子王へと変わった理央が放った幾つもの斬撃は、イナの素早い回避によって全て避けられてしまう。

 

 

黒獅子王へ変わったにも拘らず、理央達は手を焼いていた。

 

 

理央は攻撃が当たらない事に、苛立ちを見せていた。

 

 

しかし、メレは攻撃が当たっていないにも関わらず、逆に冷静だった。

 

 

「いい加減にしろ!リンギ!獅子断斬!」

 

 

理央は黒刀に力を籠め、正面に強力な斬撃を放った。

 

 

「無駄よ」

 

 

イナがそう言うと、その攻撃も簡単に避けられてしまう。

 

 

理央が放った一撃は、川にぶつかって大量の水飛沫が辺りに雨の様に降り注ぐ。

 

 

川が近くにあったせいか、理央達の周りには攻撃の余波によって幾つもの水溜りが出来ていた。

 

 

「この程度では、私を倒すことは出来ないわよ」

 

 

自分が有利であるが為に、イナは理央とメレを挑発する。

 

 

「ふん、今に見ていろ!」

 

 

強がりを見せる理央にイナは笑みを浮かべたが、メレが冷静な事に疑問に思った。

 

 

しかしイナは、考えても仕方ないと切り替え直ぐに移動する。

 

 

理央はイナの高速移動に翻弄されていた。

 

 

しかし。

 

 

バシャッ!

 

 

理央の右後方で水溜りの水が弾けた。

 

 

「理央様!4時の方向です!」

 

 

「!」

 

 

急なメレの指示に驚く理央だったが、直ぐに4時の方向に向け斬撃を放つ。

 

 

「きゃあ!」

 

 

すると、先程まで当たらなかった攻撃が、イナに直撃する。

 

 

「なっ...」

 

 

「当たった!」

 

 

攻撃が当たった事にイナは勿論、攻撃を当てた理央自身も驚いていた。

 

 

「くっ...」

 

 

驚きつつも、イナはもう一度高速移動を開始した。

 

 

バシャッ!

 

 

今度はメレの後ろで、水が弾けた。

 

 

「はぁ!」

 

 

メレは自分の後ろに向かって、蹴りを放った。

 

 

「ぐぅっ!」

 

 

2度も攻撃が当たると思っていなかったイナは、メレの蹴りが真面にお腹に入る。

 

 

後ろに飛んで威力を半減したイナだったが、何故居場所がバレたのか分からず混乱する。

 

 

「そう言う事か」

 

 

今のやり取りを見て、理央もイナの居場所を特定した仕組みを理解する。

 

 

未だに仕組みを理解していないイナは、取り敢えず動いていないと追撃が来ると判断してまた高速で移動する。

 

 

バシャッ!

 

 

すると今度は、理央の後ろで水が弾ける。

 

 

「リンギ!剛勇吼波」

 

 

理央のリンライオンが臨気として打ち出され、イナを攻撃する。

 

 

「ぐっ」

 

 

リンライオンが突進するのを、イナは正面から受け止める。

 

 

ガオォォォォォォォォ!!

 

 

リンライオンが咆哮を上げると、爪を下から振り上げイナを上空へと打ち上げる。

 

 

「きゃあああああ!!」

 

 

バッシャーン!!

 

 

打ち上げられたイナは、そのまま川に落下する。

 

 

「くう...」

 

 

手を付いて立ち上がるイナだったが、その時。

 

 

「ッ!?」

 

 

足元の川の水と、あちこちにある水溜りで理解した。

 

 

どうやって、自分の位置を正確に把握していたのか。

 

 

それと同時に、理央達もイナが仕掛けを理解した事に気づく。

 

 

メレは周りに出来た水溜りを使って、イナの居場所を特定したのだ。

 

 

たとえ姿が見えなくても、イナが通った時に水を踏んだ音である程度の居場所は分かる。

 

 

後は集中する事で、正確な位置を特定していたのだ。

 

 

その事に気づいたイナは、メレに興味を抱いた。

 

 

今までこのようなやり方で、自身の位置を探すなんて事をしてくる者がいなかったからだ。

 

 

イナは面白がり、少し本気を出すことにした。

 

 

「気を引き締めろ、メレ」

 

 

「はい、理央様」

 

 

イナが先程までと、少し様子が違う事に気づいた理央達は再び気合を入れる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

理央達がイナと戦っている間も、ゲキトージャウルフ達と巨大サイアークの戦いは続いていた。

 

 

「さぁ、今回はいつもと違って巨大化したサイアークは3体!」

 

 

「それに対し、ゲキレンジャー達はゲキトージャウルフ、サイダイオー、キュアトージャで立ち向かいます!」

 

 

いつもの様に、美代とバエが生放送で中継していた。

 

 

「サイアーク!」

 

 

一体のサイアークが、ゲキトージャウルフへ強烈なパンチを繰り出した。

 

 

「おおっと!ゲキトージャウルフに向かって、サイアークの先制攻撃だ!」

 

 

しかし、ゲキバイオレットは慌てる事無く、バックステップする事で難なく避ける。

 

 

「はぁ!」

 

 

お返しとばかりに、ゲキバイオレットお得意の回し蹴りが繰り出される。

 

 

「決まったー!!ゲキトージャウルフの回し蹴りがサイアークに直撃しました!」

 

 

「サイアーク!」

 

 

ゲキトージャウルフが戦っていたのとは別のサイアークが、頭部のハートからゲキトージャウルフに向かってビームを放つ。

 

 

「なんと!別のサイアークがゲキトージャウルフにビーム攻撃だ!ゲキトージャウルフ危ない!」

 

 

しかし、ビームがゲキトージャウルフに直撃する前に、サイダイオーが間に入ってシールドで防ぐ。

 

 

「やらせるわけねぇだろ!」

 

 

サイアークの一撃を防いだサイダイオーは、ゲキトージャウルフと背中合わせで戦い始める。

 

 

「そっちは任せたぜ」

 

 

「お前こそ、ヘマするんじゃねぇぞ」

 

 

お互い背中を任せつつ、前方の敵のみに集中する。

 

 

また、バイオレット達は3体の内2体を引きつける事で、まだ一対多の戦いになれていないキュアトージャに向かわせない様にしていた。

 

 

「はぁ!」

 

 

サイダイオーは、上段から剣を振り下ろす。

 

 

「せいっ!」

 

 

それと同時に、ゲキトージャウルフも回し蹴りを繰り出す。

 

 

『サイアーク!』

 

 

攻撃が直撃したサイアークは、2体共後ろに吹き飛んだ。

 

 

ゲキトージャウルフとサイダイオーは元の位置に戻り、また背中合わせになる。

 

 

「これは!背中をもう1人に任せ、自分は前だけに集中して戦うとは...信頼し合っていないと出来ない芸当ですね!」

 

 

バエがバイオレット達の戦い方を称賛する中、キュアトージャも1体のサイアークと戦っていた。

 

 

「サイアーク!」

 

 

サイアークの強烈な一撃が、キュアトージャに繰り出された。

 

 

『きゃあああ!!』

 

 

まだキュアトージャの戦い方に慣れていないプリキュア達は、まともに攻撃を受けて転倒してしまう。

 

 

「なんと!キュアトージャが倒れてしまいました!派手に転倒しましたが起き上がる事は出来るのでしょうか!?」

 

 

美代が実況する中、ラブリーがプリンセス達の安否を確認する。

 

 

「みんな!大丈夫!?」

 

 

ラブリーの問い掛けに、プリンセスは傷ついた体を抑えつつも答える。

 

 

「何とか...」

 

 

「でも...戦い慣れてないせいか、動きづらいわね」

 

 

「そうね、今まで普通に見てただけだったけど...実際に動かすとこうも難しいとは思わなかったわ」

 

 

ハニーとフォーチュンも普段とは違う戦い方に、まだ慣れていない様子だった。

 

 

「それでも絶対に倒さないと...サイアークにされた、いっしー達を助ける為にも!」

 

 

ラブリーの言葉で、プリンセス達は気合を入れ直す。

 

 

「そうだね!」

 

 

「誠司君が動けない以上、私達がやらないと!」

 

 

ラブリー達はキュアトージャを立ち上がらせると、拳を構える。

 

 

「行くよ!」

 

 

ラブリーの掛け声を合図に、サイアークに向けて先程のお返しにと大振りのパンチを繰り出す。

 

 

しかし、そのパンチは今までと違ってプリキュアの力も込められていた。

 

 

「サイッ!?」

 

 

ラブリーのピンク、プリンセスの青、ハニーの黄色、フォーチュンの紫。

 

 

4色のプリキュアのエネルギーを纏った一撃を受け、サイアークは怯んだ。

 

 

『はぁっ!』

 

 

ラブリー達は隙を与える事無く、畳み掛ける様に回し蹴りを放った。

 

 

「一気に行くよ!」

 

 

今度はキュアトージャの足が、4色に輝いた。

 

 

「プリキュア!浄化連脚(じょうかれんきゃく)!」

 

 

怒涛な連続の蹴りが、サイアークに繰り出された。

 

 

「愛よ!」

 

 

「勇気よ!」

 

 

「命よ!」

 

 

「星よ!」

 

 

『天に還れ!』

 

 

「ごくら~く...」

 

 

キュアトージャが拳を天に向け突き上げると、サイアークはそのまま浄化されていった。

 

 

「決まった―!サイアークが浄化されました!後はゲキトージャウルフとサイダイオーが相手している2体のみです!」

 

 

キュアトージャがサイアークを倒したのを、バイオレット達も確認した。

 

 

「あっちは終わったみたいだな」

 

 

「だったらこっちも、そろそろ片づけるか」

 

 

バイオレットがそう宣言すると、ゲキトージャウルフはウルフカッターを一度取り外し、ゲキウルフの口に装着させる。

 

 

「ゲキワザ!大狼狼脚!」

 

 

紫激気を右足に集中させ、回し蹴りの要領で飛ばし何度もサイアークを切り裂く。

 

 

「こっちも行くぜ!大大砕大斬り!」

 

 

激気研鑽によって伸ばされた砕大剣で、大の字を描くように連続でサイアークを斬る。

 

 

『サイアーク...』

 

 

2体のサイアークは、必殺技を受けて浄化される。

 

 

『獣拳は、正義の拳!正しき者は、必ず勝つ!』

 

 

「ゲキトージャウルフ!」

 

 

「サイダイオー!」

 

 

『キュアトージャ!』

 

 

『WIN!!』

 

 

『やったー!WIN!』

 

 

サイアークとの巨大戦を勝利した喜びで、美代とバエはグーサインを送る。

 

 

サイアークが完全に浄化された事によって、ナマケルダも撤退する。

 

 

「恋があるからとても辛いんですよ...いずれ貴方達も辛い目に会いますぞ」

 

 

去り際に、ナマケルダは誠司達にそう言い残していった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

未だにイナと戦闘を続けていた理央達だったが、イナはナマケルダの気配が消えた事に気づき構えを解いた。

 

 

「なんのつもりだ」

 

 

いきなり構えを解いたイナに、理央は警戒する。

 

 

「どうやらあっちは終わったみたいだから、私も帰らせて貰うわよ」

 

 

イナはそう言うと、真顔でメレに視線を向ける。

 

 

「メレ...貴方の名前は覚えたわ」

 

 

そう言い残すと、イナは一瞬で姿を消した。

 

 

「待ちなさい!」

 

 

メレは集中し、居場所を突き止めようとするが理央が止めに入った。

 

 

「待て、メレ」

 

 

先程の戦いで、神経を使いすぎた為に2人共疲弊していた。

 

 

こんな疲弊した状態で、これ以上戦闘を続けてもまともに戦えないと判断し、理央はメレを止めたのだ。

 

 

「次に奴と戦う時は、今回のように上手くいかないかもな」

 

 

向こうも只やられたままではいかないだろうと、理央は考える。

 

 

「そうですね」

 

 

一瞬とは言え、イナの攻略方法を見つけたメレは目をつけられてしまった。

 

 

メレは理央に並び立つ為に、そしてイナを倒す為にも、今以上に強くなる事をメレは胸に誓った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司達は鏡から解放されたりん達も交え、外でバーベキューをしていた。

 

 

「よーし!肉も野菜も焼き上がったぞ!」

 

 

串に肉や野菜を刺し、調理していたゴウが声を上げて皆に伝える。

 

 

「やったー!!」

 

 

「まってました!」

 

 

めぐみ達は用意した自分達のお皿に、串を載せていく。

 

 

「ん~!おいしい!」

 

 

ひめは串に刺さった肉を頬張り、ご満悦だった。

 

 

そこに、りぼんがりん達に気づかれない様にひめに近づいた。

 

 

ひめ、お皿にお肉しか乗ってませんわ。野菜も食べてくださいまし

 

 

え~、いいじゃん別に~

 

 

「よくありませんわ!野菜も食べないと栄養が偏りますわよ!」

 

 

りん達にばれないように小声でやり取りするひめ達を見て、ケンは2人が親子の様に見えた。

 

 

「なんだかあの2人、親子みたいだな」

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

ケンの言葉に、ゴウが頷く。

 

 

みんなが楽しくバーベキューをする中、ブルーだけが暗い表情をしていた。

 

 

「どうかしたの?ブルー」

 

 

「何かあったのか」

 

 

その事に気づいためぐみと誠司が、ブルーに問いかける。

 

 

誠司達が話しかけた事で、他のメンバーもブルーの様子が可笑しい事に気づいた。

 

 

「いや、なんでもない。大丈夫だよ」

 

 

心配かけまいと、ブルーは問題ないと答える。

 

 

「そう...、なんかあったら相談してね」

 

 

「そうだぜ、皆ブルーの力になるからな」

 

 

誠司がそう言うと、ラン達は力強く頷く。

 

 

「ありがとう」

 

 

誠司達の気持ちが嬉しくなり、ブルーは微笑みながら感謝する。

 

 

(本当にありがとう...近い内に話そう...あの事を)

 

 

いつか全て話す事を誓い、ブルーはその後もバーベキューを楽しんだ。




はい!如何だったでしょうか!


前書きにも書きましたが、前回の投稿より2ヶ月以上掛かってしまい申し訳ございませんでした。


今までは大体1ヶ月で投稿していましたが、今回の様に2ヶ月以上掛かってしまうかもしれません。


楽しみにして頂いている読者の方には申し訳ございませんが、ご了承ください。


また、今回の話のアイデア提供して頂いた読者の方、本当にありがとうございました。


次回、原作では誠司とひめが迷子になる話ですが、今作ではゆうこと迷子にさせようと考えております。


そろそろ、ゆうこにもヒロイン回を作ろうと思って変更致します。


それでは次回の第30話、もしくはアクセル・ビルド第4話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話 迷子の2人!ゆうこと誠司の大冒険!

どうも、ナツ・ドラグニルです。


そして、新年明けましておめでとうございます。


と言っても、既にもう一月も終わりなのですが...


長らく待たせてしまい、申し訳ございませんでした。m(_ _)m


なぜ遅くなったかは、後書きで話させて頂きます。


それでは、第30話をどうぞ!


ここは、ブルースカイ王国にある城の一角。

 

 

そこでは、2人の人物がクイーンミラージュ達に内緒で密談を行っていた。

 

 

1人はツトコウ、そしてもう1人は何と人間だった。

 

 

整った顔に髪の毛がロン毛の黄緑色で、緑色のTシャツとジーンズを着た高身長の男だった。

 

 

「???、次はお前が行け」

 

 

ツトコウの言葉にその男は頷き、その場から消えた。

 

 

「フフフ...悲願の第一歩ですねドン様」

 

 

思慕した表情でそう呟きながら、ツトコウもその場から消えた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『お世話になりました』

 

 

誠司達は、滞在していたコテージに向けお礼を告げる。

 

 

昨日までは晴天に恵まれていたにも拘らず、今日は生憎の曇り空が広がっていた。

 

 

「楽しかったね!合宿~!」

 

 

「うん。みんなで美味しいご飯もたくさん食べられたし~」

 

 

めぐみの言葉に、ゆうこも同意する。

 

 

「でも、疲れたよ~。早くぴかりが丘に帰ろう」

 

 

と、嘆くひめ。

 

 

「それじゃ駅までマラソンね」

 

 

「え―――っ!!」

 

 

そう言い出したいおなに、ひめはショックを受ける。

 

 

「そんな声出さないの!結構遊んじゃったせいで特別メニューを半分もこなせなかったんだから」

 

 

いおながひめに指摘するが、誠司もいおなに指摘する。

 

 

「いおなが一番楽しんでなかったっけ?」

 

 

「何のことかしら?」

 

 

「目を逸らすな」

 

 

誠司の指摘に、いおなは目を逸らしながらしらばくれる。

 

 

「さぁ、駅まで走るわよ!」

 

 

――話を逸らしたな、と誠司は心中で呟いた。

 

 

「おー!家に帰るまでが合宿だね!」

 

 

走るように促すいおなに、ゆうこが乗った。

 

 

他の皆、誠司とひめ以外も乗り気だった。

 

 

「じゃあさ、最下位にはジュースを奢って貰おうぜ!」

 

 

「お、いいなそれ」

 

 

「決まりね!」

 

 

ケンの提案に、ゴウとランも乗った。

 

 

「えー!!」

 

 

そこで、この中で一番の最下位の可能性があるひめが声を上げた。

 

 

「よーし、レッツゴー!」

 

 

ひめを除いたプリキュア組が駆け出した。

 

 

「何それー!」

 

 

叫ぶひめだったが、その横で鏡の中からブルーが声を掛ける。

 

 

「僕は一足お先に失礼するよ」

 

 

そう言って、ブルーは去っていった。

 

 

「ずるい!」

 

 

自分達を置いて簡単に戻ったブルーに、ひめは不満そうに叫んだ。

 

 

「俺達も行くぞ!」

 

 

ケンの掛け声で、めぐみ達の後を追う為に駆け出した。

 

 

「もう待ってよー!」

 

 

残されたひめと誠司だったが、ひめも遅まきながら追いかける。

 

 

誠司も走ろうとしたその時だった、後ろから視線を感じ振り返った。

 

 

しかし、振り返った先には誰もいなかった。

 

 

「気のせいか」

 

 

そう考えて、誠司も走り出した。

 

 

その誠司の後ろ姿を、コテージの上で1人の男が見ていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ぴかりが丘に帰る電車の中、誠司以外のメンバーは疲れているせいか全員が眠っていた。

 

 

その中でも理央とメレは、イナの戦いで神経を使いすぎた為に深い眠りに入っていた。

 

 

「ん...」

 

 

外を見ていた誠司だったが、ゆうこが目を覚ました。

 

 

「ん...ここ何処?」

 

 

まだ寝ぼけているのか、ゆうこは半目になりながらも辺りを見渡す。

 

 

「今やっと半分まで来た所だけど、ぴかりが丘まではまだ掛かるからもう少し寝てて良いぞ」

 

 

ゆうこは大きい欠伸をすると、誠司に質問する。

 

 

「誠司君はずっと起きてたの?」

 

 

「あぁ、俺はずっと寝てたからな。皆ほど疲れないし、誰か起きてないと寝過ごしちゃうだろ」

 

 

「そっか...」

 

 

そう言うと、ゆうこは喉が渇いたのか水筒の水を飲もうとする。

 

 

しかし、いくら傾けても水筒の中から水が出て来なかった。

 

 

「もっと計画的に飲めよな」

 

 

その様子を見ていた誠司は、ゆうこをからかう。

 

 

「むー...」

 

 

誠司に揶揄われたからか、ゆうこは膨れっ面になる。

 

 

「喉乾いた...」

 

 

寝起きだからか、口の中がネバついているせいで余計飲み物が欲しいみたいだった。

 

 

「飲み物で思い出したが、ジュース奢り宜しくな」

 

 

その言葉で、ゆうこは更に膨れっ面になる。

 

 

先程の駅までの競争は、なんとゆうこがビリだった。

 

 

はっきり言って誠司はひめがビリッ決になると思っていたが、意外にも1位だった。

 

 

余程ビリが嫌だったのか、何処にそんな体力があったんだと思うぐらいの火事場の馬鹿力を発揮した。

 

 

ひめがトップを走った事に驚いた誠司達も、手を抜いて走っていたが本気で走り始めた。

 

 

そのせいで、めぐみとゆうこといおなの3人で最下位争いする事になった。

 

 

その結果、ゆうこが最下位になってしまった。

 

 

「まさか私が最下位になるとは...」

 

 

「まぁ、失礼な話。俺もひめが最下位になると思ってたからな」

 

 

そう言って誠司は、ゆうこの隣に座るひめに視線を向けた。

 

 

余程疲れたのか、ぐでーっと椅子に寄りかかっている。

 

 

その時、乗っていた電車が駅に停車した。

 

 

「ちっちゃい駅だね」

 

 

「無人駅みたいだな」

 

 

駅の職員がいない事から、誠司はそう分析する。

 

 

名前は体を表すはよく言った物で、その駅の名前は『ちいさい駅』という名前だった。

 

 

「あっ!自動販売機があるよ!」

 

 

ゆうこが指を差す先を見ると、確かに自動販売機が1台設置されていた。

 

 

「買いに行こう!」

 

 

ゆうこは立ち上がると、誠司の腕を取って立ち上がらせた。

 

 

「なんで俺まで?」

 

 

「皆のジュースも買うなら、私ひとりじゃ持てないでしょ」

 

 

そう言って、ゆうこは誠司を連れて自動販売機まで移動する。

 

 

この時、立ち上がる際にゲキチェンジャーが懐から落ちた事に誠司は気付かなかった。

 

 

「さてと...」

 

 

自販機の前まで移動したゆうこは、何を買おうか思考している。

 

 

その間、誠司は自販機のラインナップを見ていた。

 

 

『お茶』

 

 

『レモンティー』

 

 

『プリンセス』

 

 

『アボカド100%ジュース』

 

 

『おしるこソーダ』

 

 

『ハバネロスカッシュ』

 

 

普通の飲み物から、ゲテモノの飲み物まで色々揃っており誠司は頬を引き攣らせた。

 

 

「まず私はお茶かな」

 

 

ゆうこがお茶のボタンを押すと、自販機に搭載されているルーレットが回り出した。

 

 

ピッピッピッピッと回り出したルーレットは、なんと当たりで停止した。

 

 

『当たり!おまけがもう1本!』

 

 

「え!」

 

 

当たりが出た事に、誠司は怯む。

 

 

「やった!じゃあ今度はひめちゃんに、このプリンセスを」

 

 

ジュースが出てくると、またルーレットが回り出す。

 

 

『また当たり!』

 

 

「何!?」

 

 

当たりが連続で出た事に、誠司は驚く。

 

 

「わぁ!」

 

 

対照的にゆうこは当たりが出た事に、純粋に喜ぶ。

 

 

「じゃあ今度は、ケンさんにこのハバネロスカッシュを!」

 

 

ジュースが出る、そしてまた当たりが出る。

 

 

『また当たり』

 

 

ジュースが出て、当たりが出る。

 

 

いつのまにかゆうこがジュースを回収して、誠司がボタンを押すという無限ループが起きていた。

 

 

誠司は困り気味になる。

 

 

「いつまで続くんだ」

 

 

「外れるまでだよ」

 

 

その時、電車からベルの音が響いた。

 

 

「あ、電車が出るぞ」

 

 

「でも、まだ当たって」

 

 

「いいから」

 

 

名残惜しそうにするゆうこを、誠司は手を取って電車へと戻る。

 

 

しかし、誠司達は電車に乗る事が出来なかった。

 

 

「行っちゃた...」

 

 

「まったく仕方無いな。ここは1つ、プリキュアになった私がひとっ飛びして電車に追いついてあげる。このプリチュンミラーで!」

 

 

そう言って、ゆうこは手を上に掲げる。

 

 

「持ってないぞ」

 

 

しかし、誠司の言葉の通りでゆうこの手には何も握られていなかった。

 

 

「あれー?」

 

 

「それより、ゲキチェンジャーでラン達に連絡した方が早いだろう」

 

 

そう言って誠司はゲキチェンジャーを取り出す為に、懐を探る。

 

 

「ん?」

 

 

しかし、誠司がいくら懐を探ってもゲキチェンジャーの硬い感触が感じなかった。

 

 

「あれ!?」

 

 

可笑しいと思った誠司は着ていた上着を脱ぎ、バサバサと上下に振った。

 

 

「ない...」

 

 

「え!?何処に置いて来たの!?」

 

 

ゆうこの質問に、誠司は何処にあるのか思考する。

 

 

そして、数秒の沈黙が続いた後、2人してプリチュンミラーとゲキチェンジャーがある場所を思い至る。

 

 

『電車だー!』

 

 

2人の叫び声が、小さな駅に木霊する。

 

 

 

 

 

その時、電車内では誠司達が居なくなっている事に気づく事なく、めぐみ達は眠りについていた。

 

 

そして、誠司達が座って居た席にはプリチュンミラーとゲキチェンジャーが落ちていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゲキチェンジャーを電車の中に落とした事に、誠司はショックを受ける。

 

 

「これからどうしよう?」

 

 

ゆうこの質問で我に返った誠司は、次の電車がいつ来るのかを確認する事を先決する。

 

 

「取り敢えず、時刻表を確認しよう」

 

 

誠司はゆうこを連れ、その駅に設置してある時刻表まで移動する。

 

 

だが、時刻表を見た誠司達は絶望した。

 

 

何故ならこの時刻表が正しければ、次の電車がくるのは5時間後だったからだ。

 

 

「なんてこった...まいったぜ...」

 

 

余りの出来事に、誠司は思わずゴウの口癖を呟いてしまった。

 

 

「次の電車は5時間後か...」

 

 

「そんなに待ってたら日が暮れちゃうよ...」

 

 

電車はもうあてに出来ないと思い、周りを見渡す。

 

 

「どうしたの?」

 

 

「公衆電話を探してるんだよ。大使館に連絡すればブルーが迎えに来てくれるだろうし、何もしないで待ってるよりはいいだろう」

 

 

そう言って、誠司はポッケから100円玉を取り出してゆうこに見せる。

 

 

「そうだね」

 

 

誠司達はその後、公衆電話を探すために駅から離れ田舎道を歩いて行く。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その頃、目を覚ましためぐみ達は誠司とゆうこがいなくなっている事に、ようやく気づいた。

 

 

2人が座って居た席には、誠司のゲキチェンジャーとゆうこのプリチュンミラーのみが残されていた。

 

 

めぐみ達は急いで電車から降り、プリキュアに変身し空を飛んで来た道を引き返す。

 

 

ラン達もゲキレンジャーに変身し、後を追いかける。

 

 

「誠司ー!ゆうゆうー!」

 

 

見回しながら2人の名前を叫ぶラブリー達、休憩がてら先程まで誠司達がいた小さい駅に着地する。

 

 

「ここにもいない」

 

 

「誰にも気付かれず電車から消えるなんて、ミステリーなんだぜ」

 

 

そう考えるぐらさんだったが、フォーチュンが指摘する。

 

 

「気付かなかったのは全員寝てたからでしょう?」

 

 

「うっ...」

 

 

そこで、ラン達もめぐみ達の近くに着地する。

 

 

「取り敢えず、この近くで誠司達を見た人がいないか探してみましょう」

 

 

ランはそう言うと、変身したままでは聞き込みが出来ないと考え変身を解く。

 

 

「そうだね」

 

 

ランに続き、めぐみ達も変身を解いた。

 

 

「でも、こんな所に人なんているのかな?」

 

 

変身を解いたひめが、もっともな意見を述べる。

 

 

「うーん、あっ!」

 

 

考えるめぐみだったが、何かを見つけたのか声を上げた。

 

 

「すみませーん!!」

 

 

いきなり大声を出しためぐみに驚いたラン達だったが、めぐみの視線の先を見て合点がいった。

 

 

近くの田んぼの中で、作業している人を見つけたのだ。

 

 

その人は作業している手を止めて、めぐみ達に近づく。

 

 

「どうかしたのかい?」

 

 

作業していたのは、優しそうなおばあちゃんだった。

 

 

「この辺りで、私達と同い年ぐらいの男の子と女の子を見ませんでしたか?」

 

 

全員を代表して、めぐみが質問する。

 

 

「ごめんなさいね、最近物忘れが激しくて余り覚えてないのよ。その子達の写真か何か持ってないのかい?もしかしたら見たら思い出せるかもしれないから」

 

 

おばあちゃんの言葉に困惑するめぐみ達、流石のめぐみ達も常日頃から誠司の写真など持っていないからだ。

 

 

「あっ!ちょっと待って」

 

 

そう言って、声を上げたのはリンだった。

 

 

リンはカバンの中から、いつも持ち歩いているスケッチブックを取り出した。

 

 

そこでめぐみ達は、以前描いた誠司の似顔絵でも見せるのだろうと思った。

 

 

しかし...

 

 

「はぁっ!」

 

 

リンは気合を入れると、ペンを持ち白紙のページに何かを描き始めた。

 

 

シュババババッと、物凄い勢いで何かを描いていく。

 

 

描き終わった後、おばあちゃんに描き上げた絵を見せる。

 

 

「こういう顔です!」

 

 

白紙だった画用紙には、誠司の似顔絵が描かれていた。

 

 

『すげぇ―――!!』

 

 

急いで書いたにも拘わらず、写真のような出来栄えの似顔絵を描いた事に、ゴウとケンは驚愕した。

 

 

「兄さん、今までどれだけ誠司の顔を見てきたと思ってるの?私だってね、成長してるのよ」

 

 

「いや!もうそれ成長って言うレベルじゃない!なんかもう怖い!」

 

 

兄妹のやり取りを他所に、似顔絵を見せて貰ったおばあちゃんは誠司の顔を見て思い出す。

 

 

「ああ~、この子だったらさっき見たわよ。1人の女の子を連れてあっちの方に行ったわよ」

 

 

おばあちゃんが指差したのは、森の方に続いている一本道だった。

 

 

「おばあちゃんありがとう!」

 

 

教えてくれたおばあちゃんにお礼をいっためぐみは、森に向かって走っていく

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

「ねぇ、全然公衆電話見つからないけど大丈夫?」

 

 

「う~ん。小さな駅だったけど、少し離れれば民家とかコンビニとか見つかると思ったんだけどな...」

 

 

そう言って歩き続ける誠司達だったが、田舎のせいか建物自体が見当たらなかった。

 

 

それ所か、どんどん森の中に入ってしまっていた。

 

 

「うっ!!」

 

 

しばらく歩いていた誠司達だったが、いきなりゆうこがお腹を押さえ座り込んでしまった。

 

 

「どうした!?ゆうこ!」

 

 

何処かケガしたのかと思い、駆け寄った誠司だったが。

 

 

ぐうぅぅぅぅ!!

 

 

という音が、ゆうこのお腹から聞こえた。

 

 

「お腹すいた...」

 

 

「お前な...」

 

 

その言葉を聞いて、誠司は脱力する。

 

 

「だ、大丈夫!こんな時こそ、ハニーキャンディがあれば」

 

 

入れ物からハニーキャンディを取り出そうとしたが、中には1つも入っていなかった。

 

 

「あれっ!?」

 

 

入れ物を逆さまにして振ってみるが、やはり中には何も入ってなかった。

 

 

「何で......あっ!」

 

 

そこでゆうこは、帰りの電車の中で皆にハニーキャンディを配った事を思い出す。

 

 

「そんなぁ...」

 

 

食べ物が無いと分かると、ゆうこは余計にお腹が空いてきた。

 

 

「しょうがねぇな」

 

 

誠司はゆうこの前で屈み、背中を向ける。

 

 

「ほら、おんぶしてやるよ」

 

 

「え!?」

 

 

流石のゆうこでも、おんぶして貰うのは恥ずかしいようだった。

 

 

「良いよ、別に!」

 

 

わたわたと手を動かし、おんぶを拒否するゆうこだったが。

 

 

「そうは言っても、その状態じゃ動けないだろ」

 

 

誠司に痛い所を指摘されてしまった為に、ゆうこはしぶしぶ後ろから抱き着いた。

 

 

「よいしょっと、しっかり捕まってろよ」

 

 

誠司がゆうこを持ち上げると、ゆうこは落ちない様に首に手を回す。

 

 

「ねぇ誠司君、私重くない?」

 

 

ゆうこも1人の女の子、特に好きな人には気になってしまう事を確認する。

 

 

「鍛えてるから大丈夫だよ」

 

 

欲しい答えとは全く違う回答に、ゆうこは不満に思う。

 

 

「取り敢えず、駅に戻るぞ」

 

 

「そ、そうだね...」

 

 

返事をするゆうこだったが、本人はそれ所では無かった。

 

 

密着している事で先程からうるさい心臓の音が、誠司にも聞こえてしまうのではないかと心配になってしまう。

 

 

それに加え、ゆうこはおんぶされるのは久しぶりの感覚だった。

 

 

昔誠司にもおんぶをして貰った事はあるが、その時と比べると激獣拳をやっているだけあって、背中が凄く逞しかった。

 

 

逞しくなったその背中に身を預けたゆうこは、途端に意識しだしてしまう。

 

 

「(って!何考えてるのよ私!誠司君は善意でやってくれてるのに)」

 

 

首を横に振り邪念を取り払おうとするゆうこだが、いきなり頭を振った事で疑問に思った誠司がゆうこに質問する。

 

 

「どうかしたのか?」

 

 

「な、なんでもないよ!」

 

 

誤魔化された誠司だったが、ゆうこの赤くなった顔を見て追及を辞めた。

 

 

そんな時だった。

 

 

ザザっと誠司達の周りを、チョイアーク達が囲む。

 

 

だが、誠司達を取り囲んだチョイアーク達は何時もと違って髪型をリーゼントに変えていた。

 

 

「お前達は!」

 

 

いきなりチョイアークに囲まれた事に、誠司は驚く。

 

 

「みーちゃった。こんな所でイチャついちゃって~」

 

 

嫌味を言いながら、ホッシーワが誠司達の前に現れる。

 

 

「ホッシーワ!」

 

 

「見せ付けてくれるじゃない。私、不愉快!サイアーク!」

 

 

ホッシーワが手を上げる合図を送ると、誠司達の前にリーゼントのサイアークが降り立った。

 

 

「今はプリキュアになれないのにどうしよう!」

 

 

プリキュアに変身出来ない事に、慌てるゆうこ。

 

 

変身出来なければ、ゆうこは只の女の子。

 

 

しかし、誠司は慌てなかった。

 

 

誠司はゆうこを静かに降ろし、ホッシーワ達に対峙する。

 

 

「誠司君、どうするの?」

 

 

「どうするもこうするも、戦うしかないだろ」

 

 

普通なら生身で戦うのは危険だが、ゆうこは誠司が生身でも強い事を知っていた。

 

 

「ふっ、はぁ!」

 

 

殴りかかってきた一体のチョイアークの攻撃を受け流し、逆に腹部に正拳突きを放つ。

 

 

「へぇ、流石はゲキレッドね。でも...これならどうかしら?」

 

 

パチンッとホッシーワが指を鳴らすと、数人のチョイアークがゆうこに攻撃を仕掛ける。

 

 

「なっ!?」

 

 

誠司は急いでゆうこの元に駆け寄り、代わりに攻撃を受ける。

 

 

「ぐっ!」

 

 

「誠司君!」

 

 

自分のせいで誠司が傷ついた事に、ゆうこは動揺する。

 

 

そしてこの時、誠司自身も自分の判断ミスを悔やんでいた。

 

 

今のゆうこは戦えないのは明白、相手を倒すことを優先してしまった為にゆうこを危険な目に会わせてしまった。

 

 

いくら強い誠司でも、自分達を囲む程の数のチョイアーク相手にゆうこを守りながら戦うのは無理があった。

 

 

それでも、誠司は一歩も引かない攻防を繰り広げる。

 

 

「いつまで守り切れるかしら?早く何とかしないとあなたが倒れるわよ」

 

 

「その必要はないわ!」

 

 

余裕ぶっているホッシーワだったが、そこに誠司でもゆうこのでもない声が響く。

 

 

「瞬瞬弾!」

 

 

ニャアアアアアア!!

 

 

「転転弾!」

 

 

シャアアアアアア!!

 

 

誠司達を囲んでいたチョイアークを、ゲキチーターとゲキジャガーが一掃する。

 

 

「ちょっと!何よこれ!?」

 

 

一瞬でチョイアーク達が倒された事に、ホッシーワは驚愕する。

 

 

「誠司、ゆうゆう、大丈夫!?」

 

 

そこに、めぐみ達が駆け付けた。

 

 

「めぐみちゃん!みんな!」

 

 

「みんな、どうやってここに?」

 

 

自分達の居場所が分かった事に、誠司は疑問に思った。

 

 

「お前達を見かけた人が居たんだよ」

 

 

「マジかよ...」

 

 

ゴウの言葉に、誠司は人が居た事の方に驚いた。

 

 

「誠司、ゆうこちゃんこれを」

 

 

ランが誠司にゲキチェンジャーを、ゆうこにプリチュンミラーを渡す。

 

 

「サンキュー」

 

 

「ありがとう!」

 

 

変身アイテムを受け取った誠司達は、横並びで並び立つ。

 

 

「あと少しで良い所だったのに!許さないわよ!」

 

 

「許さないはこっちの台詞よ!」

 

 

誠司を傷つけられた事で、ゆうこはお腹が空いてた事を忘れる程に怒りを見せていた。

 

 

「皆!チェンジよ!」

 

 

『おう!』

 

 

ゆうこの掛け声を合図に、全員が構える。

 

 

『かわルンルン!』

 

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

 

「プリキュア!きらりんミラーチェンジ!」

 

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

 

「響け!ケモノの叫び!」

 

 

「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

 

「臨獣ライオン拳!」

 

 

「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

 

『ビースト・オン!』

 

 

「臨気凱装!」

 

 

「エプタイル・オン!」

 

 

光に包まれてめぐみ達がプリキュアに、ゲキスーツと鎧を纏い誠司達がゲキレンジャーに変身する。

 

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

 

「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!」

 

 

『ハピネス注入!』

 

 

『幸せチャージ!』

 

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

いつも通り名乗るラブリー達だったが、何時もと違いハニーとラブリーの位置が逆になっていた。

 

 

「身体に漲る、無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

 

「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

 

「技が彩る、大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

 

「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

 

「猛き事、獅子の如く!強き事、また獅子の如く!我が名は黒獅子・理央!」

 

 

「理央様の為に、新たな力を得た新ラブウォリアー!臨獣カメレオン使いのメレ!」

 

 

「燃え立つ激気は、正義の証!」

 

 

『獣拳戦隊ゲキレンジャー!』

 

 

名乗りを上げるゲキレッド達だったが、サイアークは気にせずリーゼントの手入れをしていた。

 

 

「さっきはよくもやってくれたな!借りは返させてもらうぜ!」

 

 

「そうよ!許さないんだから!」

 

 

先程まで一方にやられていたゲキレッドとハニーが、怒りを見せる。

 

 

「ふん!ぜーんぜん怖くなーい。サイアーク、やっちゃって~!」

 

 

尚も手入れを続けていたサイアークだったが、ブラシが詰まり歯が折れる。

 

 

「サイアーク!」

 

 

「行くよ、みんな!」

 

 

吠えるサイアークに、突撃するラブリー達。

 

 

ビュオオオオオッ!

 

 

 

何の前触れもなく、強風が発生する。

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

ゲキレッド達は、突如発生した強風に飛ばされない様に耐える。

 

 

強風は発生した時と同じように、何の前触れもなくピタッと止まった。

 

 

「なっ...」

 

 

ゲキレッドは驚愕する、なぜなら先程までいなかったロン毛の男がホッシーワの隣に現れたからだ。

 

 

「なんだあいつ...」

 

 

「分からない、だが...只者じゃないぞあいつ」

 

 

突然現れた男に、ゲキレッド達は警戒する。

 

 

男はゆっくりと、腕を上げる。

 

 

ゲキレッド達が警戒する中、男は手をくいっと捻った。

 

 

『なっ!?』

 

 

突如として、ゲキレンジャー達の足元に竜巻が発生する。

 

 

『うわあああああっ!!』

 

 

竜巻に巻き上げられ、ゲキレンジャー達は飛ばされる。

 

 

「誠司!皆!」

 

 

「どうしよう?」

 

 

ラブリー達が飛ばされたゲキレンジャー達の心配する中、ホッシーワはいきなり現れた男に疑念を思う。

 

 

「あなた何者?」

 

 

ホッシーワは謎の男に質問するが、興味がないのか反応を示さなかった。

 

 

「ちょっと!何とか言いなさいよ!」

 

 

無視されたのが気に食わなかったのか、ホッシーワが謎の男に詰め寄った。

 

 

詰め寄られて流石に鬱陶しかったのか、初めて男が喋った。

 

 

「プリ何とかは好きにしろ、俺には関係ないからな」

 

 

男はそう言うと、姿を消した。

 

 

「何よあいつ!」

 

 

いきなり現れたと思ったら、ゲキレンジャーを連れ去ってまた消える。

 

 

意味の分からない事をした謎の男に、ホッシーワは憤慨する。

 

 

「まぁいいわ!ゲキレンジャー達が居ないならチャンスじゃない!」

 

 

ゲキレンジャーが居ない今、プリキュアだけなら勝てるかもしれないとホッシーワは考えた。

 

 

「やっちゃって!サイアーク!」

 

 

「サイアーク!」

 

 

ホッシーワの命令を受け、サイアークはラブリー達に向かう。

 

 

ラブリー達も、向かってきたサイアーク相手に構えた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『うわあああああ!!』

 

 

突風に追い上げられたゲキレッド達は、プリキュア達からかなり離れた場所に墜落した。

 

 

ゲキレッド達は墜落した衝撃で身体を痛める中、理央は上手く着地して落下してきたメレをお姫様抱っこで受け止める。

 

 

「痛ったぁ―――!!」

 

 

ゲキチョッパーはお尻から落ちたせいか、痛みに耐えながら尻もちをついていた。

 

 

「ここは...」

 

 

何処かに飛ばされたゲキレッドは、辺りを見渡した。

 

 

ドガァァァァァン!!

 

 

遠くの方で、激突音が聞こえる。

 

 

「ラブリー達が戦ってるんだ、俺達も行くぞ!」

 

 

『おう!』

 

 

ラブリー達の元に向かおうとするゲキレッド達の行く手を、突如として発生した竜巻が阻む。

 

 

「まさか!」

 

 

辺りを警戒するゲキレッド達の前に、先程の男が現れた。

 

 

ここにゲキレッド達を飛ばした竜巻を発生させたのも、この男だった。

 

 

その為に、目の前で竜巻が発生したという事は男も近くにいるという考えに及んだ。

 

 

「何者だ、お前は!?」

 

 

誠司の問い掛けに、男は律義に名を名乗る。

 

 

「ゼカ、偉大なるあの御方に忠誠をしている者」

 

 

その言葉を聞いて、ゲキレッド達はかつてブルースカイ王国で出会ったツトコウの事を思い出した。

 

 

相手は見た目は只の人間だが、男の力を見てツトコウの仲間だという事を確認して警戒する。

 

 

「あいつらから手強い相手だと聞いてたが、大した事ないみたいだな?」

 

 

「何だとテメェ!!」

 

 

ゼカの挑発に、ゲキチョッパーが乗ってしまった。

 

 

「よせ!あからさまの挑発に乗るな!」

 

 

「うるせぇ!サイブレードフィンガー!捻捻弾!」

 

 

ゲキレッドの忠告を無視し、ゲキチョッパーはゼカに向かって捻捻弾を放った。

 

 

バババババン!!

 

 

力任せに放たれたそれは、幾つかはゼカの周りに着弾する。

 

 

しかし、ゼカ本人にはダメージを与える事は出来なかった。

 

 

なぜなら、ゼカに放たれた弾丸は殆どが避けられ、その内の一発を中指を内側に丸め親指で受け止めていた。

 

 

「なっ!?この野郎!」

 

 

自分の攻撃が効いてないだけでなく、完全に遊ばれている事に気付いたケゲキチョッパーはもう一度同じ攻撃を繰り出す。

 

 

先程と同じように、ゼカに向かって幾つもの捻捻弾が放たれた。

 

 

しかし、今まで受けに徹していたゼカが攻撃に転じた。

 

 

受け止めた捻捻弾に風を纏わせ、デコピンの要領でゲキチョッパーに向かって放った。

 

 

ゲキチョッパーが放った捻捻弾の数は数十発、それに比べゼカが放ったのはたった一発。

 

 

考えなくても、ゲキチョッパーが有利なのは間違いない。

 

 

しかしこの後、簡単に形勢が逆転してしまう。

 

 

ゼカが放った風を纏った捻捻弾が、ゲキチョッパーの捻捻弾に当たったその時だった。

 

 

捻捻弾を纏っていた風が弾け、ゼカに迫っていた全ての捻捻弾がゲキチョッパーへと向きを変えた。

 

 

「何!?ぐぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

ゲキチョッパーは驚きで、回避出来ず全て直撃してしまう。

 

 

『ケン!!』

 

 

ゲキレッド達が、倒れたゲキチョッパーに駆け寄る。

 

 

「大丈夫か!?」

 

 

「あぁ、何とかな」

 

 

ゲキレッドの手を借りながら起き上がったゲキチョッパーは、ゼカの事を睨んだ。

 

 

「あの野郎...完全に遊んでやがる...」

 

 

ゲキチョッパーは、先程まで手も足も出なかった事を悔いた。

 

 

「このままじゃ駄目だ、俺達も本気で行くぞ!!」

 

 

『応!!』

 

 

ゲキレッドの合図でゲキレッド達はスーパーゲキクロウを、ゲキバイオレットは青紫激気を纏わせゴングチェンジャーブルーを、理央が獅子黒刀を構える。

 

 

『スーパービースト・オン!!』

 

 

「轟け!!ケモノの叫び!ビースト・オン!!」

 

 

「臨気王凱装!」

 

 

ゲキレッド達はスーパーゲキレンジャーに、ゲキバイオレットはゲキブルーバイオレットに、理央は黒獅子王に姿を変えた。

 

 

「行くぞ!!」

 




はい!如何だったでしょうか?


最後まで見て頂き、ありがとうございました。


難産だった事もありますが、文字数が多くなってしまい投稿が遅くなってしまいました。


しかもそれだけでなく、お分かりの通り今回の話はまだ途中で終わってしまいました。


この後の話の流れとしては、プリキュアとサイアークの戦い、巨大戦、ゼカとの戦いその2等が残っており全然長くなると思い途中で投稿させて頂きました。


2ヶ月程待って頂いたにも関わらず、続きが気になる終わらせ方にさせてしまい申し訳ございません。


次回の話こそ、早めに投稿できるように頑張ります。


それでは次回、第30話、もしくはアクセル・ビルド第5話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話 ゲキレンジャー達のピンチ!猛威を振るうゼカの脅威

どうも、ナツドラグニルです。


続きをお待ちになっていた読者の皆様、お待たせいたしました。


今回は早く投稿する事が出来たので、嬉しく思っております。


それでは、作品をどうぞ。


ゲキレッド達がいなくなった後、プリキュア達はサイアークとの戦いを続いていた。

 

 

「誠司君を傷つけた事...絶対に許さないんだから!」

 

 

ハニーは、ハニートンファーを召喚し駆け出した。

 

 

いつもはサポートに徹するハニーだったが、前に出て戦う程に誠司を傷つけられた事が相当頭に来てるようだ。

 

 

「サイアーク!」

 

 

サイアークのリーゼントを利用した頭突きが、ハニー迫る。

 

 

「ふっ!」

 

 

ハニーは、サイアークの頭突きをハニートンファーで受け止めた。

 

 

本来ならそのまま吹き飛ばされるが、ハニーはハニートンファーに激気を籠める事によって威力を上げていた。

 

 

「ふっ!はぁっ!」

 

 

ハニーはその場で素早く一回転して、ハニートンファーをサイアークのリーゼントに叩き込んだ。

 

 

激気と遠心力によって、威力が上がった一撃を受けたサイアークのリーゼントが粉砕する。

 

 

自慢のリーゼントが砕けてしまった事に、サイアークはショックで唸る。

 

 

「まだよ!」

 

 

着地したハニーは、飛び上がりハニートンファーをサイアークの顎に止めを叩き込んだ。

 

 

リーゼントを壊されたショックで唸っていたサイアークは、真面に一撃を喰らい後ろに倒れる。

 

 

「う、うそぉ!」

 

 

「すっごーい」

 

 

何時もと違うハニーの様子に、ラブリー達だけでなくホッシーワまでもあんぐりとする。

 

 

「サイアーク...」

 

 

重い一撃を受けたサイアークだったが、何とか立ち上がる。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

このままだと不利だと思ったサイアークは、巨大化する事で形勢を逆転しようと考える。

 

 

そして、巨大化した事によってリーゼントも復活する。

 

 

「皆!行くわよ!」

 

 

『は...はい!』

 

 

威圧感のあるハニーの声に、ラブリー達は直立して答える。

 

 

『プリキュア!獣拳合体』

 

 

ラブリー達が召喚したキュアビーストが1つとなり、キュアトージャに合体する。

 

 

『キュアトージャ!バーニングアップ!』

 

 

キュアトージャと、巨大リーゼントサイアークが対峙する。

 

 

「さぁ、巨大サイアークとキュアトージャの戦いが始まりました!今回の巨大戦、どう思いますか?解説の美代さん」

 

 

「そうですね、最近成長してきたプリキュア達の活躍に注目ですね」

 

 

何時もの恒例、いつの間にか現れたバエと美代による巨大戦解説が始まった。

 

 

『はぁ!』

 

 

「サイアーク!」

 

 

キュアトージャの正拳突きと、巨大リーゼントサイアークのリーゼントによる頭突きが激突する。

 

 

「おおっと、これは両者互角の戦いだ!」

 

 

『はぁ!』

 

 

キュアトージャは拳を脇に構え正拳突きの構えを取りながら、巨大リーゼントサイアークに跳躍する。

 

 

もう一度受けて立とうと、巨大リーゼントサイアークはリーゼントを構える。

 

 

――しかし、ラブリー達もそこまで馬鹿じゃなかった。

 

 

『はぁっ!』

 

 

もう一度正拳突きを放つと思っていたキュアトージャは、強烈な回し蹴りを繰り出した。

 

 

「サイアッ!!」

 

 

巨大リーゼントサイアークは、いきなり攻撃動作が変わった事によって対応が遅れモロに喰らう。

 

 

「私は...誠司君を傷つけた貴方達を...絶対に許さないんだから!!」

 

 

「何よあいつ、怖っ」

 

 

ハニーの叫び声を聞いたホッシーワは、キュアトージャから離れているにも関わらず、ハニーの怒っている様子に驚いている。

 

 

「おおっと!どうやらハニーはゲキレッドが傷付けられた事に、相当頭が来てるようですね。恋する乙女は怒らせると怖いですねぇ~」

 

 

「それは言わないでよ!!もうっ!!」

 

 

バエの入れた茶々に反応し、ハニーは恥ずかしがりながらも巨大リーゼントサイアークに一撃を入れる。

 

 

ラブリー達のそれぞれの4色の色、ピンク、青、黄色、紫の激気の輝きがキュアトージャの腕を包む。

 

 

『プリキュア!浄化連拳!』

 

 

巨大リーゼントサイアークに、連続パンチが繰り出される。

 

 

「愛よ!」

 

 

「勇気よ!」

 

 

「命よ!」

 

 

「星よ!」

 

 

『天に還れ!!』

 

 

「ご、ごくら~く...」

 

 

キュアトージャが右手を上に掲げるのと同時に、巨大リーゼントサイアークは浄化する。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

プリキュアと巨大サイアークの戦いに決着がついた頃、ゲキレッド達はゼカ相手に苦戦していた。

 

 

『スーパーゲキバズーカ!!』

 

 

「厳厳拳 轟!!」

 

 

「サイブレードフィンガー!」

 

 

ゲキレッド達は、それぞれ技を構える。

 

 

「俺達も行くぞ、メレ」

 

 

「はい!理央様!」

 

 

理央とメレは手を繋ぎ、臨気を高める。

 

 

『激気合一!!』

 

 

『臨気合一!!獅臨愛砲!!』

 

 

ゲキレッド達の合体技が、ゼカに放たれる。

 

 

ゼカは迫る合体技に焦ることなく、人差し指を前に突き出す。

 

 

人差し指に球状に圧縮されたエネルギーを作りだし、ゲキレッド達に放った。

 

 

ゼカが放ったエネルギーと、ゲキレッド達の合体技がぶつかる。

 

 

しかし、ゲキレッド達の合体技は簡単に消されてしまった。

 

 

「何っ!?」

 

 

合体技を打ち破ったゼカの技は、ゲキレッド達の近くまで来ると巨大な竜巻に変化した。

 

 

『ぐわぁぁぁぁぁ』

 

 

空高く巻き上げられ、竜巻の中で猛烈な旋風に襲われゲキレッド達はダメージを受ける。

 

 

竜巻が止むと、巻き上げられたゲキレッド達は変身が強制解除し、地面に落下した。

 

 

全身傷だらけになった誠司達は、うつ伏せの状態で倒れた。

 

 

――これなら、シャーフー達の方が強かったな

 

 

ゼカは内心で、以前戦ったことのあるマスター・シャーフー達の方が強かったと考える。

 

 

「誠司―!皆―!」

 

 

遠くから、ラブリー達の呼ぶ声が聞こえる。

 

 

「誠司!?大丈夫!?」

 

 

ラブリー達は誠司達の近くに降り立つと、今の惨状を見て急いで誠司達の元に駈け寄る。

 

 

「あのお菓子女、もうちょっと時間稼げよ」

 

 

ゼカはそう愚痴りながら、誠司達を見る。

 

 

ゼカの視線に気づいたラブリー達は、ゼカ相手に構える。

 

 

「よせ!俺達でも手も足も出なかったんだ!お前達じゃ敵わない相手だ!早く逃げろ!」

 

 

ボロボロになりながらも、誠司はラブリー達に向かって逃げる様に促す。

 

 

「逃げろって...そんなの出来るわけないでしょ!」

 

 

「そうだよ、逃げる時は皆一緒に逃げないと!」

 

 

誠司の言葉に、ラブリーとプリンセスが反論しゼカを見る。

 

 

「邪魔するな...お前達のような猿には用は無い消えろ」

 

 

ゼカはプリキュア達に嫌悪感を出しながら、軽い殺気をぶつける。

 

 

『っ!!』

 

 

初めての殺気を受けたラブリー達は、背中に氷を入れられたようなゾッとした感覚が襲う。

 

 

ゼカの殺気に当てられ、ラブリー達は動けなくなる。

 

 

動けなくなったラブリーだったが、目だけを自分の足元に動かす。

 

 

「ラブリービーム!」

 

 

ラブリービームは、ラブリー達の足元を軽く爆発させた。

 

 

『きゃあっ!!』

 

 

軽く爆発したとはいえ、至近距離の爆風がラブリー達を襲う。

 

 

「ちょっとラブリー!一体何を...」

 

 

「こうでもしないと...真面に動けないから!」

 

 

文句を言うプリンセスだったが、ラブリーの言う通り今の攻撃で体の硬直が解けた事に気付く。

 

 

「確かに...私達じゃ敵わないかもしれない...。でも...ここで逃げたら、後で後悔する!」

 

 

「そうだね...私も怖気づいてる場合じゃない!!」

 

 

ラブリーの言葉で、3人は気合を入れ直す。

 

 

「プリンセス!一気にいくよ!」

 

 

「OK!」

 

 

「愛の光を、聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

 

「勇気の光を、聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

 

ラブリーとプリンセスが腕を交差させ、ブレスを回す。

 

 

『あなたにハッピー、お届けデリバリー!』

 

 

2人の必殺技、ピンキーラブシュートのハート型のエネルギー弾と、ブルーハッピーシュートの丸型のエネルギー弾が合体する。

 

 

『プリキュア!ツインミラクルパワーシュート!!』

 

 

合体したエネルギー弾を、ゼカに向けてキックで放つ。

 

 

「命の光を、聖なる力へ!ハニーバトン!」

 

 

両端が光るハニーバトンを、ハニーは新体操のように振り回す。

 

 

「プリキュア!スパークリングバトンアタック!!」

 

 

イエーイ!という掛け声の後、ハニーバトンを頭上に掲げる。

 

 

巨大な四葉のクローバー型のエネルギー弾を、宇宙空間から隕石の様にゼカの上から落とす。

 

 

「星の光を、聖なる力に!フォーチュンタンバリン!」

 

 

タンバリンを叩きながら、フォーチュンは舞い踊る。

 

 

「プリキュア!スターライトアセンション!!」

 

 

紫色の鎖と星を纏った金色の閃光波が、ゼカに向かって放たれた。

 

 

前方からはラブリー達のツインミラクルパワーシュートと、フォーチュンのスターライトアセンションが。

 

 

頭上からは、ハニーのスパークリングバトンアタックが迫る。

 

 

全員の必殺技が当たる直前、ゼカはぼそっと呟く。

 

 

「少し遊んでやるか...」

 

 

ドガァァァァァン!!!!

 

 

必殺技がゼカに命中し、辺りが砂煙に包まれる。

 

 

砂煙が晴れるまでの間、ラブリー達は気を引き締める。

 

 

相手は、誠司達を追い詰めた程の実力の持ち主だからだ。

 

 

砂煙が晴れたその場に、先程までいたゼカの姿は無かった。

 

 

「浄化できたのかな...」

 

 

プリンセスがそう呟いた後、誠司が叫んだ。

 

 

「プリンセス!!後ろだ!!」

 

 

誠司の叫び声で、プリンセスはいつの間にか後ろにゼカが立っている事に気づいた。

 

 

離れようと跳躍しようとしたプリンセスだったが、それより先ゼカの拳がプリンセスのお腹にめり込んだ。

 

 

「ぐぱぁっ!!!」

 

 

変な声を出しながら吹っ飛び、木にぶつかって強制解除しそのまま倒れた。

 

 

『プリンセス!!?』

 

 

ラブリー達が、プリンセスの安否を気にする中。

 

 

「他の心配をするより先に、自分達の心配をしろよ...猿」

 

 

ゼカの言葉を聞いたラブリー達は、プリンセスを心配しつつも構える。

 

 

先に動いたのは、ハニーリボンを手に持ったハニーだった。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

ハニーリボンでゼカを拘束したハニーは、ラブリーとフォーチュンに顔を向ける。

 

 

「今よ!ラブリー!フォーチュン!」

 

 

ハニーの掛け声を合図に、2人はゼカに向かって駆け出す。

 

 

「ふんっ」

 

 

鼻で笑ったゼカはリボンに高速された状態で、その場で回転を始めた。

 

 

「なっ!きゃあっ!!」

 

 

ゼカは回転する事によって、ハニーリボンを握ったままのハニーを振り回す。

 

 

「きゃあああああっ!!」

 

 

強すぎる回転力のせいで、ハニーはハニーリボンを手放してしまう。

 

 

「しまっ!」

 

 

遠心力で飛ばされたハニーは、空中で何とか体勢を整えるが自分自身に影が差さっている事に気付いた。

 

 

ハニーが上に視線を向けると、既に拘束を解いたゼカが脚を上げた状態、かかと落としの体制に入っていた。

 

 

ハニーは瞬時に、両手を顔の前に交差させる。

 

 

それと同時に、ゼカが脚を勢い良く振り下ろした。

 

 

腕を交差する事で頭を守っていたのだが、ハニーは耐える事が出来なかった。

 

 

「きゃあああああっ!!!」

 

 

ドッガァァァァァン!!!

 

 

悲鳴を上げながら、墜落したハニーは地面にぶつかり強制解除される。

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

フォーチュンはゼカが地面に降り立つのと同時に、ゼカに渾身の蹴りを放つ。

 

 

しかし、フォーチュンの蹴りは簡単に防がれてしまう。

 

 

「なっ!?くっ!!」

 

 

防がれた事に驚いたフォーチュンだったが、直ぐにゼカから離れようとするが既に遅かった。

 

 

ゼカは先に両手でフォーチュンの脚を握り、ハンマー投げの要領で勢い良く振り回す。

 

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

ある程度回し終わると、ゼカはフォーチュンの脚から手を離した。

 

 

ズガガガッ!!

 

 

何本もの木々をなぎ倒しながら、吹き飛んでいくフォーチュン。

 

 

ドゴンッ!!

 

 

「ガハッ!!」

 

 

最後は岩に窪みが出来る程にぶつかったフォーチュンは、強制解除されたいおなはそのまま倒れた。

 

 

1人残されたラブリーは、震えが止まらなかった。

 

 

「お前だけでも逃げろ!ラブリー!」

 

 

「そうよラブリー!早く逃げて!!」

 

 

誠司とランが、ラブリーに再度逃げる様に促す。

 

 

しかし、恐怖に支配されているラブリーの耳に、2人の声は聞こえなかった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ラブリーヌンチャクを手に持って、叫びながらゼカに無謀ながら突っ込む。

 

 

ラブリーヌンチャクの攻撃を喰らうが、ゼカにとって痛くも痒くも無かった。

 

 

「はぁ...」

 

 

ため息をついたゼカは、ラブリーの顔を鷲掴みにして持ち上げる。

 

 

脚が地面から離れ、じたばたと暴れゼカの手から逃れようとするが、びくともしない。

 

 

鬱陶しく思ったのか、ゼカはラブリーの頭を握る手に更に力を入れた。

 

 

ラブリーの頭蓋骨から、メキメキと音を出し始めた。

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 

 

激痛の余り、ラブリーは悲鳴を上げる。

 

 

――うるせぇ猿だな...キーキーと叫んで...

 

 

ラブリーの悲鳴に嫌悪感を抱いたゼカは、直ぐに黙らせようと更に力を入れる。

 

 

黙らせようとしたゼカだが、ラブリーの悲鳴は止まらなかった。

 

 

「.........やめろ」

 

 

ラブリー達が倒されていくのを、誠司は黙って見てる事しか出来なかった。

 

 

「......やめろ」

 

 

目の前でラブリーまでもが倒されようとしてるのに、誠司は動けなかった。

 

 

「...やめろ」

 

 

「これで止めだ」

 

 

「やめろっ!!!」

 

 

目の前で傷ついていくラブリー達を見た誠司は、とうとう堪忍袋の緒が切れた。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

ダメージのせいで動けなかった誠司だが、無理やり体を起き上がらせた。

 

 

「砲砲弾!!!」

 

 

ガォォォォォォォォッ!!!

 

 

誠司から放たれた砲砲弾が、ゼカの腕を攻撃する。

 

 

そのお陰で、ゼカの手からラブリーが解放された。

 

 

誠司は憤怒した表情で、ゼカを睨みつける。

 

 

そんな中、ゼカは誠司に攻撃された腕を見る。

 

 

その腕は、今の攻撃で至る所に小さな傷が出来ていた。

 

 

その傷を見たゼカの顔に、影が差す。

 

 

次の瞬間、ゼカは誠司の目の前に一瞬で移動する。

 

 

突然の事で対応できなかった誠司だったが、ゼカが誠司の胸辺りに強烈な一撃を入れる。

 

 

肺の中の空気が一気に無くなった誠司は、前のめりに倒れる。

 

 

だが、倒れようとする誠司をゼカが髪を乱暴に掴み上げて止める。

 

 

「おい...まだ倒れるなよ糞猿が...」

 

 

ゼカは誠司の顔を覗き込みながらそう呟くと、倒れているラン達に顔を向けると狂気の笑みを浮かべる。

 

 

「お前ら...これから面白い物を見せてやるよ」

 

 

そう言うと、ゼカは誠司を掴みながら上空へと上昇する。

 

 

誠司は上昇する間も、ゼカに何度も殴りつけるが全く効いていなかった。

 

 

それ所か、余計に呼吸が出来ず力が入らなかった。

 

 

「確か...お前ら人間の遊びの中に、スカイダイビングってのがあるよな...」

 

 

その言葉で察せない程、誠司は馬鹿では無かった。

 

 

今から何をするか察した誠司に、ゼカは笑みを浮かべる。

 

 

「じゃあな...猿」

 

 

ゼカが手を離した瞬間、誠司は重力に従って地上へと落下を始める。

 

 

落下する誠司は、砲砲弾を地面に放つ事で激突を避けようと体勢を整える。

 

 

――しかし。

 

 

「させるかよ」

 

 

ゼカが落下中の誠司に接近し、誠司の背中に膝蹴りを叩き込んだ。

 

 

「ぐはっ...」

 

 

ゼカの攻撃を受けた誠司は、そのまま意識を手放した。

 

 

――人がトマトみたいに潰れたら、どうなるんだろうな。

 

 

気絶し落ちていく誠司を見ながら、ゼカはそう考える。

 

 

落ちていく誠司を見てたラン達は誠司を助けようと立ち上がろうとするが、蓄積したダメージが大きすぎて動く事すら出来なかった。

 

 

『誠司!!!』

 

 

あと少しで誠司が地面に激突する、そう思ったラン達は叫ぶ。

 

 

「ん?」

 

 

『え?』

 

しかし、誠司が地面に激突すると思っていた全員の目に有り得ない光景が飛び込んだ。

 

 

誠司が青い光を発して、激突する一歩手前で止まっていた。

 

 

「なんだあれは...」

 

 

「どうなってるの?」

 

 

謎の現象に戸惑っていたラン達だったが、突如誠司の横に鏡が現れる。

 

 

「あの鏡...まさかブルー!?」

 

 

ランの予想通り、鏡の中からブルーが現れた。

 

 

「何故ブルーがここに?」

 

 

「僅かながら邪悪な気配を感じてね、それで見つける事が出来たんだ。間に合って良かったよ」

 

 

「そう...ありがとうブルー」

 

 

リンが感謝の言葉を告げるが、危機はまだ去っていなかった。

 

 

なぜならブルーが誠司を助けた事で、ゼカが怒りを露にしていたからだ。

 

 

「よくも邪魔してくれたな!今度はお前ら全員細切れにしてやる!」

 

 

ゼカは手を前に突き出すと、巨大な球体のエネルギー弾を作り出していた。

 

 

ブルーは慌てる事無く目の前に3枚の鏡を出現させて、遠くで倒れていたひめ達を回収する。

 

 

そして誠司をひめ達の近くに寝かせると、誠司達の前に出る。

 

 

 

――僕には彼らのような戦う力は無い、でも...彼らの盾になる事は出来る...

 

 

胸の内でそう考えていたブルーは、ゼカの攻撃から誠司達を守ろうとする。

 

 

「あいつまさか...やめろ!ブルー!」

 

 

ブルーの意図に気づいたゴウは、慌てて止めようとする。

 

 

しかし、未だに体を動かす事が出来なかった。

 

 

「死ね!」

 

 

ゼカが攻撃を放とうとした、その時。

 

 

「そこまでよ」

 

 

ブルーとゼカの間に、突如見た事のない女性型の怪人体が現れた。

 

 

その姿は全体的に水色で、体中に濃い青のラインが入っており、両肩に灰色の麒麟の彫刻がある。

 

 

下半身に、麒麟の皮が鎧として使われていた。

 

 

ラン達は、更に敵が増えた事に絶望する。

 

 

しかし、仲間であるはずゼカが首を傾げる。

 

 

「何しに来た」

 

 

ゼカの質問に、突如現れた女性型の怪人は答えた。

 

 

「ゼカ..貴方の命令はゲキレンジャー達を痛め付ける事よ、此処までする必要は無いわ」

 

 

怪人は冷淡な口調で、ゼカに告げる。

 

 

「俺達の脅威になり得る苗は、根元から断ち切るべきだ」

 

 

「それは貴方の勝手な判断よ、あの御方の判断じゃない...命令に背くのなら...」

 

 

女性型の怪人はゼカに殺気を向ける、するとゼカは先程までの姿勢を崩した。

 

 

「!!すまない俺が悪かった!今すぐ撤退する!」

 

 

ゼカは作り出した球体を消し、早口でまくし立てるとその場から姿を消した。

 

 

女性型の怪人は一度ラン達に視線を向けると、その場から離れようとする。

 

 

「どういうつもりだ!」

 

 

ラン達の中でも、いち早く回復した理央が女性型の怪人を問い詰める。

 

 

女性型の怪人は一瞬だけ誠司の方に視線を向けるが、何も言わずにゼカ同様にその場から消えた。

 

 

九死に一生を得るラン達だったが、ラン達は動けなくなり、誠司とプリキュア達は意識不明の重症。

 

 

状況は最悪だった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

普段使われていない、ブルースカイ王国の一室。

 

 

そこに、先程の怪人とゼカの姿があった。

 

 

その2人の前にツトコウの姿があり、ゼカは片膝をついた状態で頭を下げていた。

 

 

「俺はお前にゲキレンジャーを相手するようには言ったが、倒せとは言ってないぞ。なぜ命令に背いた」

 

 

「も...申し訳ございません...」

 

 

ツトコウから殺気を飛ばされながら問い質され、ゼカは謝るしか出来なかった。

 

 

「2人共戻っていたか」

 

 

すると、ドンが現れた事に気付いたツトコウは、ゼカ同様片膝をつく。

 

 

しかし、女性型の怪人だけは、膝をつくことなく黙ってドンを見ていた。

 

 

ドンはゼカに近づき、肩に手を置いた。

 

 

ゼカは身体中に溢れる、冷や汗を止められなかった。

 

 

消される――そう、ゼカは考えた。

 

 

しかし、ゼカの予想は良い意味で外れていた。

 

 

「ゼカ...お前の考えは分かった、けど..そんな事は不要だ」

 

 

「申し訳ございません」

 

 

優しい口調で語りかけるドンに、ゼカは素直に謝罪した。

 

 

「龍の顔も三度までだからな」

 

 

そう言ったドンは、ゼカの肩から手を放し歩き出した。

 

 

3人もドンの後に続き、歩き出した。

 

 

ある程度歩いた所で、ドンの前の空間が歪む。

 

 

ドンは気にする事なく、そのまま進み歪みの中に入っていく。

 

 

ツトコウ達も、特に気にすることなく後に続いた。

 

 

歪みの先には、ブルースカイ王国の物とは別の王の間が存在していた。

 

 

数段階段があり、その天辺の場所に2つの玉座が存在する。

 

 

ドンは片方の玉座に座り、もう一つには女性型の怪人が座る。

 

 

ツトコウはドンの横に立ち、ゼカは階段の手前に跪く。

 

 

パチンッ

 

 

ツトコウが指をならすと、ウンライ、ラブマナン、ゲンヤハ、ロノイ、ダンダが現れゼカの横に並び跪く。

 

 

更に、彼らの後ろにフードを被り姿が見えない何かが複数いた。

 

 

ツトコウの後ろにも、カーの姿があった。

 

 

「我が盟友達よ...いよいよ我らの悲願の幕開けだ。盟友達の力があれば必ず達成できると俺は信じている」

 

 

『我らも貴方様のお力があれば、不可能な事はございません!!!我らは偉大なる貴方様の為なら、喜んでこの命を貴方様に捧げましょう!!!』

 

 

ドンの言葉に、女性型の怪人以外が声を揃えて答える。

 

 

「盟友達、お前達は一体何を望んでいる?」

 

 

『愚かな猿達の世界を燃やし尽くし、平和ボケしている猿共の顔を恐怖で歪ませる事!!!』

 

 

ドンは笑いながら立ち上がり、両手を前に広げる。

 

 

「流石我が盟友達、我らこそゲキレンジャーやあの女共と違い真の絆を感じる。さぁ我が盟友達に命ずる、この世界に地獄を作ろう」

 

 

そう宣言するドンの後ろのステンドガラスには、赤き玉と青き玉が描かれていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「クイーンミラージュ様、お呼びですか?」

 

 

ブルースカイ王国の玉座では、クイーンミラージュがファントムを呼びだしていた。

 

 

「あなたにお願いがあるの、ファントム」

 

 

「お願いですか?」

 

 

クイーンミラージュからの命令と言う事もあり、ファントムは姿勢を正す。

 

 

「あなたには、ドンを監視して欲しいの」

 

 

「ドンを監視...ですか?」

 

 

「彼は私達に害を加える事はしないって言ってたけど、はっきり言って彼は信用できないわ」

 

 

クイーンミラージュの言葉に、ファントムも異論は無かった。

 

 

「畏まりました、クイーンミラージュ様の仰せのままに」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

意識を取り戻した誠司達を連れ、ブルーは大使館に戻っていた。

 

 

「いたたたっ」

 

 

「我慢してくださいまし、ひめ」

 

 

怪我をした誠司達を、リボンとグラさんそしてブルーが治療する。

 

 

しかし、その場の空気は最悪だった。

 

 

「あの野郎...完全に遊んでいやがった...」

 

 

「俺達相手に、本気出すまでもないって事か...」

 

 

今までの努力に意味が無かったかのように、ゼカに相手にされてなかった事に全員が悔しがっていた。

 

 

「俺達では..あいつには勝てない...」

 

 

誠司の言葉に、全員の気分が落ちる。

 

 

パシンッ!!

 

 

皆が気が沈む中、めぐみが急に自分の頬を両手で叩いた。

 

 

「悩んだってどうしよう無い!!向こうが私達より強いなら、私達がもーっと強くなれば大丈夫だよ!!」

 

 

 

立ち上がり、そう宣言するめぐみ。

 

 

「めぐみの言う通りだ。俺達の今までの戦いだって、同じだったじぇねぇか。マクの時も、ロンの時も」

 

 

誠司も立ち上がり、めぐみに続いて喝を入れる。

 

 

『そうね』

 

 

『そうだな』

 

 

誠司の喝で、全員に気合が入る。

 

 

「良し!そうと決まれば早速修行だ!」

 

 

『おう!』

 

 

誠司達は部屋から出ていき、修行に向かった。

 

 

――僕も彼らくらいのガッツがあれば、ミラージュと向き合えるのかな...。

 

 

先程の光景を見たブルーは、内心でそう考えた。




はい!如何だったでしょうか?


前回の続きになりますが、案の定長くなりました。


原作1話分の話で、2話分の文字数になるとは思ってもみませんでした。


道理で時間かかってるなと思いましたが。


さて、次回の話ですが原作ではひめが誠司の恋でモヤモヤする話ですが、それを少しアレンジしケンの恋の話にしようと思っています。


ネタばれになってしまいますので、余り言えませんが。


次回、ケンが強化する事だけ言っておきます。


そして最後に、これはハピネスチャージもアクセル・ビルドも関係ないのですが、実はこの2つの他に別の作品も書いている途中です。


大分前に言ったプリンセスプリキュアの物とも別の物ですが、この話を書いている途中に1話書ききったのですが、今後投稿するかはまだ決めてません。


なぜなら、まだクロスオーバーにするか、クロスするアニメに似たオリキャラにするかしっかりと決まっている訳ではないので。


もし気になる人がいれば、メッセージ送って頂ければ返信致します。


それでは次回、第32話もしくは、アクセル・ビルド第6話でお会いしましょう。


アデュー!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第32話 ケンに彼女!!?ドキドキの初デート

どうも、ナツ・ドラグニルです。


前回の投稿から4か月以上も投稿が遅れてしまい、申し訳ございません!!


言い訳としては、3月にモンハンが発売し、5月にバイオハザードが発売したために、7月の始めまでずっと遊んでいました。


殆ど遊びつくしたので、しばらくは今までと同じ1ヶ月投稿になると思います。


長くなりましたが、作品をどうぞ


 

 

「流石我が盟友達、我らこそゲキレンジャーやあの女共と違い真の絆を感じる。さぁ我が盟友達に命ずる、この世界に地獄を作ろう」

 

 

そう宣言するドンの後ろのステンドガラスには、赤き玉と青き玉が描かれていた。

 

 

「では...私が盟友達...諸君らの健闘を祈ろう」

 

 

そう言って、ドンはその場から消える。

 

 

ドンと一緒に女の怪人、ギョクナもその場から消える。

 

 

2人の姿が消えたのを確認すると、ゼカは立ち上がり出口に向かおうとする。

 

 

「ゼカ」

 

 

ゼカは振り返らず、そのまま返答する。

 

 

「何だ、ウンライ」

 

 

ゼカに声を掛けたのは、ウンライだった。

 

 

「聞きましたけど、貴方ドン様の命を背いたらしいじゃない」

 

 

「あぁ゛、何でその事を知ってやがる」

 

 

っと、キレ気味に質問する。

 

 

「ひっひっひ」

 

 

と笑い声がして、ゼカは笑い声のする方に顔を向ける。

 

 

「てめぇか、ロノイ」

 

 

笑い声を上げたのは、ロノイだった。

 

 

怪しい笑みを浮かべるロノイの周りには、人魂が浮いていた。

 

 

「ひっひっ、僕の特製の監視カメラに、君の無様な面がバッチリ撮れてたよ~。君のあの面を見た時は、笑い転げたよ~ひっひっひっひ」

 

 

ロノイの馬鹿にする物言いに、ゼカは蟀谷にしわを寄せて頭に血が上る。

 

 

「良いわね、やっぱり争いを観戦するのは。体がゾクゾクするわ...。でも、やっぱり男女のドロドロな争いが欲しいわ」

 

 

その様子を見ていたラブマナンが、体を擦りながら悶絶する。

 

 

ダンダとゲンヤハは、興味が無かったのかいつの間にかいなくなっていた。

 

 

「ロノイ、仕事をする前にウォーミングアップに付き合って貰うぞ。うっかり殺っても知らんがな」

 

 

と、両手に普通の人ならば飛ばされる位の風を纏いながら、ロノイに脅しに入れる。

 

 

「おやおや、怖いですね~恐ろしいですね~」

 

 

ロノイは笑いながら、両手に深青色の幻気を纏う。

 

 

「ハァ...」

 

 

ウンライはため息を吐きながらゼカを見て、彼らの後ろにいるフードを被った者達の八割は困惑する。

 

 

残りは先ほど帰ったダンダとゲンヤハに着いていったのか、居なくなっていた。

 

 

「そこまでだ」

 

 

一発触発の中、見ているだけだったツトコウが止めに入った。

 

 

「ゼカ、ロノイ、お前達が争う事でドン様の命令に支障が出たらどう責任を取るつもりだ」

 

 

頭では理解しているが、ゼカにもプライドがあり納得がいかない様子でいる。

 

 

「それでも続けるつもりなら、俺が2人の相手をしてやる。安心しろ、殺すことは無い。9割くらいで済ませてやる」

 

 

ゼカは、ツトコウが冗談を言う男ではない事を知っている。

 

 

「チッ...」

 

 

ツトコウが本気だと分かり、ゼカは纏っていた風を消して出口に向かう。

 

 

ロノイの隣を通る時、ゼカはロノイを睨みつけてその部屋から消える。

 

 

ウンライも、ゼカに続くようにして消える。

 

 

そしていつの間にか、ラブマナンもフードの者達も居なくなっている。

 

 

残っているのは、ロノイとツトコウとカーだけだった。

 

 

「(あらら~あっという間に逃げ出して、だから貴様は弱虫と言われるんだよ~)ひっひっひっひ」

 

 

ロノイはゼカに睨まれたにも関わらず、平然とし笑いながら消えていった。。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『せ、せ、せ、せ、先生!かわルンルン!』

 

 

「変装完了!」

 

 

いおなはフォーチュンピアノで、先生の衣装へとコスチュームチェンジする。

 

 

「わお!いおな先生だ!」

 

 

「超似合う!」

 

 

先生に変装したいおなの姿に、ゆうことめぐみが称賛する。

 

 

「夏休みの宿題は今日全部終わらせるわよ」

 

 

「はーい!」

 

 

いおなの言葉に、めぐみが元気よく返事する。

 

 

勉強の準備を行う中、誠司がある事に気付いた。

 

 

「ん?何でランだけ歴史の教科書が2つあるんだ?」

 

 

誠司の指摘通り、ランが用意している教科書の中で歴史の教科書が2つ用意されていた。

 

 

「あっ、これ?こっちはこの世界の教科書で、こっちは私達の世界の教科書よ」

 

 

そう言って、ランは最初に誠司達も持っている教科書を持ち上げ、次に全く違うデザインの教科書を持ち上げた。

 

 

「なんで2つも用意してるんだ?1つで充分だろ」

 

 

「何を言ってるんですか!!!」

 

 

ゴウが指摘したら、ランはバンッと力強く机を叩いて立ち上がる。

 

 

「世界が違うという事は、歴史に起こった出来事も違うという事ですよ!!それを比べないでどうするんですか!!?」

 

 

「お、おう...」

 

 

力説するランに、ゴウは引き気味に返答する。

 

 

「ねぇ、その教科書見せて貰ってもいい?」

 

 

いおなも興味が出てきたのか、教科書を貸して貰おうとランに頼む。

 

 

「えぇ、良いわよ」

 

 

ランの了承を得たいおなは、教科書を手に取って中を確認する。

 

 

その時、皆の話を聞いていたブルーが指摘を入れる。

 

 

「皆分かってると思うけど、次のテストで赤点取ったら...」

 

 

「プリキュアの活動を禁止でしょ?分かってまーす!」

 

 

ブルーの言葉に、めぐみがまた元気よく答える。

 

 

めぐみの反応に、ブルーは苦笑し、誠司は本当に分かってるのかと疑う。

 

 

 

 

 

誠司達が勉強を始め、数時間が経過した。

 

 

「うー、もうだめ!」

 

 

数学の教科書と睨めっこしていためぐみは、そのまま背中からソファに倒れ込む。

 

 

「私もまったく捗らない...」

 

 

ひめも同じように、ソファに倒れる。

 

 

「その様ですわね...」

 

 

倒れるひめを、リボンが呆れた顔で見つめる。

 

 

めぐみやひめが倒れてる中、未だに別の世界の教科書に目を通しているいおなにぐらさんが話しかける。

 

 

「随分熱心に読んでるが、何か面白い物でもあったのか?」

 

 

「えぇ、大体は私達の世界と変わりないんだけど、此処を見て」

 

 

そう言っていおなが見せてきたのは、忠臣蔵について記載されたページだった。

 

 

「ここに赤穂浪士が乗り込む前に、巨大戦があったって書いてあるのよ」

 

 

『巨大戦?』

 

 

教科書には、赤穂浪士が乗り込む前に剣を持った巨人とアンコウの巨大な怪物が戦っていたと、確かに記載されていた。

 

 

横には挿絵として剣を持った獅子の鎧を纏った巨人と、槍を持ったアンコウの怪物の絵が描かれていた。

 

 

「何これ!!そっちの世界では、そんな事があったんだ!!」

 

 

さっきまでもうだめと言っていためぐみでさえも、興奮気味に教科書を覗き込む。

 

 

「ねぇ、これゲキリントージャに似てない?」

 

 

「そんな訳ないでしょ、忠臣蔵が行われたのは江戸時代なのよ」

 

 

巨人の絵を見たひめの質問に、いおなが指摘を入れる。

 

 

「流石の誠司君達でも、タイムスリップするなんて事がある訳が...」

 

 

「いや、あるよ」

 

 

『あるの!!?』

 

 

誠司の何気ない言葉に、めぐみ達は驚愕の声を上げて一斉に誠司に視線を向ける。

 

 

「ひめちゃんの言う通り、その教科書に載ってるのは皆も知ってるゲキリントージャよ」

 

 

「そうなの!?」

 

 

ひめも何気なく言った言葉だったが、まさか本当にゲキリントージャだと思わなかったのか驚きの声を上げる。

 

 

「でも、どうやって江戸時代にタイムスリップしたの?」

 

 

ゆうこの質問に、誠司が答える。

 

 

「敵の攻撃を受けて、江戸時代に飛ばされたんだよ」

 

 

「いきなり飛ばされたからな、あの時は大変だったぜ」

 

 

ゴウが当時の事を思い出し、悪態をつく。

 

 

「あぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

いきなりケンが大声を上げながら、立ち上がった。

 

 

ケンが大声を上げた事で、全員がビクッと反応した。

 

 

「やべぇ!!約束の時間まであと少しじゃねぇか!!」

 

 

壁に掛けてある時計を確認しながら、ケンは慌てだす。

 

 

「約束?何だよケン、この後予定があったのか?」

 

 

「だったら先に言えよな」

 

 

予定があった事を知らなかった誠司達は、何も知らせなかったケンに呆れる。

 

 

「じゃあそう言う事だから、俺はもう行くぜ」

 

 

ケンはそう言うと、急いで支度をして玄関へと向かう。

 

 

「予定って、何の予定が入ってんだよ」

 

 

気になったゴウが、ケンに質問する。

 

 

「決まってんだろ、これとデートだよ」

 

 

ケンは小指を立てて、ゴウに宣言する。

 

 

「そうか、気をつけろよ」

 

 

『いってらっしゃい』

 

 

「そっちから聞いておいて、その反応かよ」

 

 

既にケンに興味を無くし、勉強に夢中になっていた誠司達にケンは悪態をつく。

 

 

ケンが居なくなった後も、勉強を続けながらケンについて話し続ける誠司達。

 

 

「デートって何だっけ?」

 

 

「付き合った異性の人と、お出かけする事よ」

 

 

「あのケンがデートね」

 

 

「いつの間にか彼女が居たみたいだな」

 

 

「あのケンさんが...」

 

 

 

 

 

『........ん?』

 

 

 

 

 

「ケンが...」

 

 

「彼女と...」

 

 

「デート...?」

 

 

そこでようやく誠司達は、ケンの言葉の意味を理解する。

 

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

大使館に、誠司達の驚愕する声が響いた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「あいつ、いつの間に彼女なんか出来たんだ?」

 

 

「さぁ?少なくとも私は気づかなかったわ」

 

 

誠司とランがそんな話をしてる中、ゴウはこの後のオチを予想する。

 

 

「彼女って、どうせ妹の幸子ちゃんの事じゃねぇか?」

 

 

「でも、わざわざこっちの世界に呼ぶかしら?」

 

 

ゴウが予想したオチに、リンが指摘する。

 

 

「じゃあ、美希さんか、なつめか?」

 

 

「もしその2人だったら、私達にも連絡がくるはずでしょ」

 

 

「私達の方にも、そんな話来てないよ」

 

 

さらに誠司が予想するが、ランとめぐみが否定する。

 

 

今誠司達は、彼女とデートすると言ったケンが気になり、全員で尾行していた。

 

 

全員が、サングラス(・・・・・)マスク(・・・)を着けた状態でだ。

 

 

明らかに悪目立ちしており、逆に怪しかった。

 

 

少し離れた所から監視していた誠司達だったが、ケンが1人の女性に手を振りながら近づいていった。

 

 

「お待たせしました!美和子さん!」

 

 

「いえ、私も今来たばかりですから」

 

 

遠巻きながら見ていた誠司も、自分達も知らない女性と親しそうに話してるケンに驚愕する。

 

 

女性の第一印象は、丁寧な口調とお淑やかそうな見た目から何処かのご令嬢のように思えた。

 

 

「あの人がケンの彼女さん?」

 

 

「どこで知り合ったのかしら」

 

 

めぐみ達は、ケンがどうやってあの女性と知り合ったのかが気になった。

 

 

「ん?」

 

 

その時、誠司が何かに気付いた。

 

 

「どうしたの?誠司」

 

 

「いや、あの女の人......何処かで見たような...」

 

 

ひめの問い掛けに、誠司が頭を悩ませながら答える。

 

 

「誠司、あの人の事知ってるの?」

 

 

「何処で会ったのよ!?」

 

 

ランとリンの質問に、誠司は考えながら答える。

 

 

「ん~、何か頻繁にあの顔を見たような気が...何処で会ったんだっけな?」

 

 

考える誠司だったが、いくら考えても答えは出て来なかった。

 

 

誠司達が尾行している等、露にも思っていなかったケンは美和子との会話を楽しんでいた。

 

 

「ケンさん、今日はありがとうございます」

 

 

「それはこっちの台詞だって美和子さん!今日は荷物持ちでも何でもしちゃいますよ!!」

 

 

ケンがテンションを上げて張り切る様子を見て、美和子はクスクスと笑う。

 

 

「張り切るのは嬉しいですが、今からその調子じゃ直ぐに疲れてしまいますよ」

 

 

「す...すみません」

 

 

美和子に指摘され、ようやくケンは落ち着いた。

 

 

誠司達はその後も、ケン達の尾行を続けた。

 

 

まず最初にケン達が訪れたのは、洋服のブランドショップだった。

 

 

「ねぇ、ケンさん。これ似合うかしら?それともこっち?」

 

 

美和子は洋服を比べ、ケンに尋ねる。

 

 

「どっちも似合ってます!!」

 

 

「そう?じゃあ、両方買おうかしら」

 

 

ケンの返事を聞き、美和子は比べていた洋服を購入する。

 

 

 

 

 

お昼は近くのファミレスに入り、食事をするケンと美和子。

 

 

甘いものが好きなのか、美和子はチョコパフェ美味しそうに食べていた。

 

 

ケンは食べている様子を見て、幸せそうにしていた。

 

 

美和子はチョコパフェを食べ終わり、ナプキンを取ろうと手を伸ばしたその時。

 

 

「あっ!!」

 

 

近くに置いてあったお冷を倒してしまい、バシャッと中身をこぼしてします。

 

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

 

「いえ、大丈夫です」

 

 

ケンは何枚かナプキンを手に取り、テーブルに零れた水を拭き取る。

 

 

そんな2人の様子を、離れた席に座る誠司達はメニューで顔を隠しながら見ていた。

 

 

「楽しそうですわね」

 

 

「あぁ、本当にデートしてるみたいだな」

 

 

ひめといおなが顔を隠しているメニューから、同じように顔を出して2人の様子を見るリボンとぐらさん。

 

 

「あいつ、意外と女性の扱いに長けてるな」

 

 

今までのやり取りから、誠司はケンが女性の扱いに慣れている事に疑問に思った。

 

 

「あれだろ?ナンパばかりしてるから慣れてるんだろ?」

 

 

『あぁ...』

 

 

ゴウの一言によって、今回のデートによって少し上がっていた、女性陣のケンに対する好感度が一気に下がった。

 

 

「すみません、一本電話をしてこようと思うのですが、荷物を任せても宜しいですか?」

 

 

美和子は携帯を取り出し、ケンに席を外す了承を得る為に質問する。

 

 

「はい、良いっすよ」

 

 

「ありがとうございます、すぐ戻ってきますので」

 

 

ケンから了承を取った美和子は、荷物をケンに任せ連絡する為にその場から離れた。

 

 

ケンから姿が見えなくなった場所まで来ると、辺りを見渡し誰もいないのを確認すると美和子は近くに声を掛けた。

 

 

「出てきていいわよ」

 

 

それを合図に、美和子に近づく者がいた。

 

 

「そろそろ始めるのか?」

 

 

「ようやくですな」

 

 

美和子に近づいてきたのは、オレスキーとナマケルダの2人だった。

 

 

「えぇ、作戦開始よ」

 

 

先程までのお淑やか喋り方から一転し、急に人が変わった美和子。

 

 

それもそのはず、この美和子という女性...実はホッシーワが変装した姿である。

 

 

「くふふ、案外チョロいわね。これなら上手くいきそうだわ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

遡る事、数日前。

 

 

「ナマケルダ、オレスキー、貴方達には私の作戦に協力してもらうわよ!」

 

 

ホッシーワがある作戦を行うに当たって、ナマケルダ達の協力を要請する。

 

 

――しかし

 

 

「めんどくさいですぞ」

 

 

ナマケルダはいつものように、めんどくさいと断り。

 

 

「俺は今、己を鍛える為に忙しいんだ。失敗すると分かっている作戦に参加する程、暇ではない」

 

 

オレスキーは自分磨きで忙しいと、スクワットしながら言う。

 

 

「失敗するって何で分かるのよ!!やってみないと分からないじゃない!!」

 

 

オレスキーに決めつけられた事で、ホッシーワは憤慨する。

 

 

「じゃあ、聞きますけど何をするつもりですか?」

 

 

「この私の美貌を使って、ゲキレンジャーの1人を籠絡するのよ!」

 

 

ナマケルダの質問に、ホッシーワは自信満々に答える。

 

 

「ナマケルダ、悪いが背中を押してくれ」

 

 

「しょうがないですね」

 

 

興味がないのか、今度はストレッチを始めるオレスキーの背中を、同じように興味が無くしたナマケルダが押す。

 

 

『いっちに、さんし、にっに、さんし』

 

 

「ちゃんと聞きなさいよ!!」

 

 

既に興味を無くした2人に、ホッシーワは大声を上げて意識を向けさせる。

 

 

はぁ、とため息を吐いた2人はホッシーワに向き直り、質問する。

 

 

「籠絡すると言いますけど、どうやってあのゲキレンジャーを籠絡すると言うんですか?」

 

 

「プリキュアならまだしも、ゲキレンジャーを籠絡するなど無理な話だろ」

 

 

2人の言葉に、ホッシーワはふふんと鼻を鳴らした。

 

 

「ゲキレンジャーの中にも1人いるじゃない、チョロそうな奴が...」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

そして行われたのが、今回のホッシーワによる作戦だった。

 

 

「さて、そろそろあいつとの遊びも終わりにしないとね」

 

 

「その事なんだがな...」

 

 

作戦を実行しようとするホッシーワを、オレスキーが指摘する。

 

 

「お前、本当に作戦の為にあの男とデートしてるんだよな?」

 

 

「はぁ?当たり前でしょ」

 

 

何言ってんのよとホッシーワはオレスキーに顔を向けるが、ナマケルダが代わりに答える。

 

 

「一部始終を見ていましたが、あなた普通にデートを楽しんでいましたよね」

 

 

「なっ!?そんな訳ないでしょ!?」

 

 

思わぬ所を指摘されたホッシーワは、大声を上げる。

 

 

「そんな事より!アンタ達!ちゃんと言われた事やりなさいよ!失敗したら許さないんだから!!」

 

 

ビシッと指を差し2人に指示をすると、ホッシーワはケンの元へと戻った。

 

 

「では、言われた通りに動きますか...」

 

 

「あぁ、失敗でもしたら後がうるさいからな」

 

 

そう言ってナマケルダ達は茂みに隠れ、次の作戦を実行する為にホッシーワの尾行を始めた。

 

 

美和子が元の場所に戻ったが、先程買った荷物はあるがケンの姿は見当たらなかった。

 

 

「あれ?ケンさん?」

 

 

キョロキョロと辺りを見渡すが、何処にもケンの姿は見当たらなかった。

 

 

「(もう!しっかり荷物見てなさいよね!)」

 

 

美和子は胸中で、ケンに対して悪態をつく。

 

 

「あっ!美和子さん!!」

 

 

その時、美和子の後ろからケンの声が聞こえた。

 

 

美和子は、一言文句を言おうと振り返った。

 

 

しかし。

 

 

「美和子さん、良かったら貰ってくれませんか?」

 

 

そう言ってケンが美和子に見せたのは、花をモチーフにした1つのネックレスだった。

 

 

「あ...ありがとう...」

 

 

今までみたいな演技等ではなく、美和子は純粋に驚いてネックレスを受け取った。

 

 

「おっ!サプライズ成功みたいだな」

 

 

「そういう所は本当に気が利くのよね」

 

 

その様子を、近くの茂みの中から見ていた誠司達は少し感心していた。

 

 

「まったく、あんなチャラチャラした男の何処が良いんだか?」

 

 

しかしそこで、ケンの事を悪く言う声が聞こえる。

 

 

「まぁそう言うなって、あれでも結構男気がある奴だからな」

 

 

「女にだらしなさそうだけどな」

 

 

「まぁ、それは否定できないな」

 

 

「お前さっきから誰と話してんだよ、誠司」

 

 

「へ?」

 

 

てっきりゴウと会話してると思っていた誠司は、声が聞こえてきた方とは反対側からゴウに話しかけられポカーンとする。

 

 

え?と思い、声が聞こえた方に視線を向ける。

 

 

「ん?」

 

 

そこで誠司は、同じ茂みに隠れていたオレスキーと目が合った。

 

 

『あ――――――っ!!!』

 

 

お互いを指差し、誠司とオレスキーは驚きの声を上げる。

 

 

「オレスキー!!?」

 

 

「ナマケルダもいるですわ!!!」

 

 

オレスキー達が居る事に、ひめとリボンは驚愕する。

 

 

「ゲキレンジャーにプリキュアだと!!?」

 

 

「なぜこんな所に!!?」

 

 

それはオレスキー達も同様で、2人共驚きを隠せなかった。

 

 

「ハッ!!そう言う事か!!」

 

 

そこでようやく、誠司は今まで感じていた違和感の正体に気付いた。

 

 

「ケン!!!」

 

 

美和子との会話を楽しんでいたケンだったが、誠司に声を掛けられた事でようやく誠司達の存在に気付いた。

 

 

「誠司!!?それに皆も!!?」

 

 

何でこんな所に!!?とか、何だよその格好等、色々と突っ込み処満載な誠司達に何処から突っ込んでいいかケンには分からなかった。

 

 

「気をつけろ!!その女はホッシーワだ!!!」

 

 

そんなケンを無視し、誠司は気づいた事をケンに伝える。

 

 

「ホッシーワだと!?」

 

 

「あの女の人が!!?嘘でしょ!!?」

 

 

誠司が告げた言葉に、ゴウやめぐみ達が驚きの声を上げる。

 

 

「本...当に...ホッシーワ...なのか...?」

 

 

その中でも、ケンが一番驚いていた。

 

 

「チッ!バレちゃあしょうがないわね」

 

 

美和子はそう言うと、着ていた服に手を掛ける。

 

 

そしてそのまま服を脱ぎ捨てると、ストレートだった髪がいつもの縦ロールに、服がいつもの黒とピンクを基調した服に変わっていた。

 

 

「美和子さんがホッシーワだったなんて...」

 

 

実際に目の前で姿が変わったにも関わらず、ケンはまだ信じられ無かった。

 

 

「ふふふ、それなりに楽しかったわよ。あなたとの付き合いわ」

 

 

その一言を聞いて、ホッシーワは高笑いをする。

 

 

「ねぇ!パパ!ママ!あれ!」

 

 

「幻影帝国!?」

 

 

そこに、子供連れの親子が居合わせる。

 

 

「調度いいわ、あなた達やるわよ!」

 

 

ホッシーワの言葉を合図に、3人は親子に視線を向ける。

 

 

『鏡に映る未来を』

 

 

「最悪にしろぉ!!」

 

 

「最悪に変えろ!!」

 

 

「最悪に変えちゃって!!」

 

 

ナマケルダが父親を、オレスキーが母親を、ホッシーワが子供を1つの鏡ではなくそれぞれ別の鏡へと閉じ込める。

 

 

「来い来い!!サイアーク!!」

 

 

「カモン!!サイアーク!!」

 

 

「いらっしゃ~い!!サイアーク!!」

 

 

『サイアーク!!』

 

 

親子を鏡に閉じ込めた事で、3体のサイアークが現れる。

 

 

ナマケルダが父親から作ったサイアークは、スーツに営業用のカバンを持ったサラリーマンのサイアーク。

 

 

オレスキーが母親から作ったサイアークは、エプロンにフライパンを手に持った主婦のサイアーク。

 

 

ホッシーワが子供から作ったサイアークは、黒いランドセルにリコーダーを手に持った小学生のサイアーク。

 

 

「あいつら、何の関係もない家族を!!」

 

 

「早く助けないと」

 

 

ケン以外の全員が変身アイテムを構えようとした、その時だった。

 

 

「...許さねぇ」

 

 

ぼそっとケンが呟いたのをホッシーワが気づき、耳に手を当て馬鹿にする様に聞き返す。

 

 

「何て言ったの?全然聞こえないわよ~」

 

 

「お前らだけは、絶対に許さねぇ!!!」

 

 

ケンが声を張り上げたのと同時に、ケンから激気が溢れる。

 

 

「これは!?」

 

 

「何よ!?」

 

 

ケンから激気が溢れている事に、誠司とホッシーワは驚愕の声を上げる。

 

 

「サイブレード!!!」

 

 

ケンがサイブレードを召喚すると、ケンの放つ激気に共鳴したのかサイブレードの刀身が少し伸びる。

 

 

「研ぎ澄ませ!!新たなケモノの刃!!ビースト・オン!!」

 

 

サイブレードのスイッチを押すことによって、ケンにゲキスーツが装着される。

 

 

しかし、そのゲキスーツはいつものとは異なる物だった。

 

 

チョッパーの角部分が少し伸び、両腕の白い部分が黒色に変わっている。

 

 

そして、腰の帯のオレンジ色が無くなり黒一式になる。

 

 

「己を磨き、人々の明日(あす)を切り開く!シンアメイジング・アビリティ!ゲキライノゥチョッパー!!」

 

 

ゲキライノゥチョッパーへとパワーアップを果たしたケンは、新たな名乗りを上げる。

 

 

「嘘でしょ!!?このタイミングでパワーアップなんて!!?」

 

 

チョッパーがパワーアップした事に、ホッシーワは驚愕する。

 

 

「お前だけは許さねぇからな!!!ホッシーワ!!!」

 

 

チョッパーはそう叫ぶと、ホッシーワが呼びだしたサイアークへと駆け出して行った。

 

 

ケンがパワーアップした事に驚いていた誠司達だったが、いち早く誠司が復活し他のメンバーに指示を出す。

 

 

「ケンがあいつらの相手をしてる間に、俺達はサイアークの相手をするぞ!!」

 

 

『応!!』

 

 

 

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

『プリキュア!!くるりん・ミラーチェンジ!!』

 

 

「プリキュア!!きらりん・スターシンフォニー!!」

 

 

めぐみ、ひめ、ゆうこがプリチュンミラーで、いおながフォーチュンピアノでプリキュアに変身する。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力』

 

 

「響け!!ケモノの叫び!!」

 

 

『ビースト・オン!!』

 

 

誠司、ラン、リンがゲキチェンジャーで、ゴウがゴングチェンジャーでゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「ゴウはケンのサポートを頼む、俺達はそれぞれ別のサイアークを相手する」

 

 

「ああ、任せろ」

 

 

誠司の指示の元、バイオレットはケンのサポートを、トライアングルはオレスキーが召喚したサイアークを、プリキュア達はナマケルダが召喚したサイアークを相手する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「人間とは良く分からないですね、恋なんてしても良い事なんてないですぞ」

 

 

「そんなことない!!恋する事は素敵な事なんだよ」

 

 

否定するラブリーに、ほぅとナマケルダが口角を上げニヤリと笑う。

 

 

「恋に振り回されているあなたが、そう言いますか」

 

 

ナマケルダに指摘された事で、ラブリーは驚き言葉を失う。

 

 

「匂いで分かりますぞ。貴方だけでなく、他の3人も恋に振り回されている事に」

 

 

「えぇ!!?」

 

 

「嘘でしょ!!?」

 

 

ラブリーだけでなく、自分達もバレてしまった事にプリンセスとフォーチュンは驚きの声を上げる。

 

 

「まぁ、誰に恋をしてるのかは見れば分かりますけどね」

 

 

そう言ったナマケルダは、オレスキーのサイアークと戦っているゲキレッドに視線を向ける。

 

 

「恋などしない方が身のためですぞ、悩む事自体無駄で面倒なのですから」

 

 

視線をゲキレッドに固定しながら、そうラブリー達に参考にもならないアドバイスを送った。

 

 

「余計なお世話よ!!」

 

 

「えぇ、無駄かどうかは自分達で決めるわ」

 

 

しかし、ナマケルダの言葉にもめげる事なくラブリー達は力強く宣言する。

 

 

「ふん、後で後悔する事になりますぞ」

 

 

ナマケルダはそう言うと、右手を上に掲げる。

 

 

それを合図に、ナマケルダとサイアークの周りに大勢のチョイアークが現れる。

 

 

「やっちゃいなさい!チョイアーク!」

 

 

ナマケルダの命令で、ラブリー達にかかっていくチョイアーク達。

 

 

「私に任せて!!」

 

 

ハニーがそう叫ぶと、プリチュンミラーと3枚のカードを構える。

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

「プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!ポップコーンチア!!」

 

 

プリチュンミラーにポップコーンチアのカードをセットし、コスチュームチェンジする。

 

 

「プリキュア!!リボンハートエクスプロージョン!!」

 

 

ハニーは新体操のリボンをくるくる回し、ポーズを決める。

 

 

「ビクトリー!!」

 

 

ハニーを中心に発生した大爆発が、チョイアーク達を包む。

 

 

『ちょいー!!』

 

 

チョイアーク達を一掃したハニーは、ラブリー達の近くに着地する。

 

 

「あとはサイアークだけよ!」

 

 

「流石ハニー!」

 

 

チョイアーク達をすべて倒したハニーに、ラブリーは称賛の声を掛ける。

 

 

「おのれ~!!」

 

 

チョイアーク達が倒された事に、ナマケルダは頭に血が上り蟀谷に皺を寄せる。

 

 

「サイアーク!!今日こそプリキュア達を倒すのですぞ!!」

 

 

ナマケルダの命令を受けたサラリーマンサイアークは、一気にプリキュア達との距離を詰め営業カバンを上から振り下ろす。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

ドッガァァァァァン!!!

 

 

叩きつけられた営業バッグを、ラブリー達は後ろに跳ぶことによって回避する。

 

 

「サイアーク!!!」

 

 

サラリーマンサイアークは、懐から皮状の名刺入れを取り出した。

 

 

「何あれ?名刺入れ?」

 

 

「何でこんな時に?」

 

 

疑問に思うラブリー達だったが、この後にその意図を知る事になる。

 

 

サラリーマンサイアークは名刺入れの蓋を開け、バサッと頭上に名刺をばら撒いた。

 

 

10枚以上の名刺がばら撒かれ、1枚1枚がその場で電動ノコギリの様にギュイィィィィンと高速回転を始める。

 

 

ヒュン!!と風を切る音と共に、高速回転した名刺がラブリー達を襲う。

 

 

 

向かってくる名刺を、ラブリー達は跳躍する事で回避する。

 

 

ズバンッ!!!

 

 

後ろに飛んでいった名刺の1枚が、1本の木を切断しなぎ倒す。

 

 

「ちょっと!!あの名刺威力高すぎるんですけど!!」

 

 

「当たったら怪我程度じゃ済まないわね」

 

 

名刺の威力を見たプリンセスは驚愕の声を上げ、当たっていたらと想像してフォーチュンは戦慄する。

 

 

「大丈夫!!ここは私に任せて!!」

 

 

そう言ってラブリーは、3枚のプリカードを取り出した。

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

「プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!チェリーフラメンコ!!」

 

 

ラブリーは炎技を得意とする、チェリーフラメンコへとフォームチェンジする。

 

 

ギュィィィィン!!!

 

 

フォームチェンジしたラブリーに向かって、高速回転した名刺が襲う。

 

 

しかし、ラブリーは慌てる事なく、技を発動する。

 

 

「プリキュア!!パッションダイナマイト!!オレ!!」

 

 

ラブリーを中心に爆炎が発生し、全ての名刺を炎が包み灰に変える。

 

 

「何!?」

 

 

サラリーマンサイアークの攻撃を簡単にいなされ、ナマケルダは驚愕する。

 

 

「良し!ここはアレで止めだよ!」

 

 

「アレね」

 

 

『了解!』

 

 

ラブリーの言っている『アレ』が何なのかをプリンセス達は直ぐに理解し、ハニーはラブリーの前に、フォーチュンはプリンセスの前に立つ。

 

 

『ハピネスバズーカ!!』

 

 

スクラッチ社が開発したプリキュア専用武器、『ハピネスバズーカ』。

 

 

ゲキバズーカが赤、青、黄色の3色で彩られているのに対し、ハピネスバズーカはピンク、水色、黄色、紫の4色で彩られていた。

 

 

召喚したハピネスバズーカをハニーとフォーチュンが左右から抑え、ラブリーとプリンセスがレバーに手を掛ける。

 

 

『激気注入!!』

 

 

ハピネスバズーカに、4人の激気が吸収される。

 

 

「この技はゲキレンジャーと同じ技!?」

 

 

プリキュア達がゲキレッド達と同じ技を使用した事に、ナマケルダは驚愕する。

 

 

『プリキュア!!!ハピネス砲!!!』

 

 

4色の入り混じったエネルギー弾が、サラリーマンサイアークに向かって放たれる。

 

 

「サ、サイア―...ク...」

 

 

エネルギー弾がサラリーマンサイアークに着弾し、爆発に包まれた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゲキレッドは主婦サイアークと戦いながら、ラブリー達の戦いを見ていた。

 

 

その戦いぶりでラブリー達の成長を改めて見たゲキレッドは、笑みを浮かべた。

 

 

「俺達も負けてられないな」

 

 

「えぇ!!」

 

 

「そうね!」

 

 

ゲキレッドの言葉でゲキブルーとゲキイエローは気合を入れ直し、3人はスーパーゲキクローを召喚する。

 

 

『スーパービースト・オン!!!』

 

 

過激気を纏い、スーパーゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「それにしても、恋なんかして何が面白いんだ?そんなもの何の意味もない!!」

 

 

オレスキーの言葉に、ゲキレッドが反応する。

 

 

「俺は恋とか愛とかまだ分からない...。それでも!恋をする事に意味が無いとは思わない!」

 

 

「減らず口を...やれ!サイアーク!」

 

 

「サイアーク!」

 

 

オレスキーの命令を受け、ゲキレッドに向け主婦サイアークはフライパンを振り下ろす。

 

 

そのフライパンを、ゲキセイバーを手に持ったゲキレッドが迎え撃つ。

 

 

「ゲキワザ!スーパー波波斬!!!」

 

 

サイアークのフライパンと、ゲキレッドの剣が交差した次の瞬間には...もう両者はお互いに振り切った状態だった。

 

 

一瞬の静寂の中、主婦サイアークが持っていたフライパンからピシッと音が鳴った。

 

 

ピシピシと音を立てながら亀裂はみるみる内に広がっていき、最後には粉々に砕け散った。

 

 

「なっ!!?」

 

 

「サイアッ!!?」

 

 

自分の武器が無くなった事に、主婦サイアークは勿論、オレスキーも驚愕の声を上げる。

 

 

ゲキレッドは、もう一度ゲキセイバーに過激気を纏わせる。

 

 

「ゲキワザ!!スーパー水流破!!!」

 

 

過激気で赤い水流を生み出し、高速で振り回しサイアークを切り付ける。

 

 

「サ...サイア―...ク...」

 

 

切り伏せられたサイアークは、そのまま地面に倒れ動かなくなった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「この土壇場でパワーアップって、意味わかんないんですけど!!?」

 

 

ライノゥチョッパーが新たな力に目覚めた事に、ホッシーワは動揺を隠せなかった。

 

 

「そんな事はどうだっていい!!!よくも俺を騙してくれたな!!!」

 

 

騙されていた事にライノゥチョッパーが怒り、怒声を上げる。

 

 

それによって、ようやくホッシーワも我に返る。

 

 

「ふん!騙される方が悪いのよ!サイアーク!!さっさとそいつら片付けちゃいなさい!!」

 

 

「サイアーク!!」

 

 

小学生サイアークは、ランドセルを開けると中から何かがが飛び出してきた。

 

 

「何だあれ、筆箱か?」

 

 

飛び出してきたのは、両面開きになっている筆箱だった。

 

 

筆箱には、サイアークとチョイアークが描かれていた。

 

 

筆箱が空中に浮遊し、一人でに筆箱が開いて中から、鉛筆がいくつも出てきた。。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

小学生サイアークの掛け声を合図に、全ての鉛筆達がライノゥチョッパー達に向かって発射される。

 

 

「うおっ!!?」

 

 

バイオレットは後ろにバックステップで回避するが、筆箱からさらに鉛筆が飛び出してきた。

 

 

「あの鉛筆は幾らでも出てくるのか!!!」

 

 

「上等だ!!俺が相手してやるぜ!!!」

 

 

そう宣言すると、ライノゥチョッパーはサイブレードを構える。

 

 

「サイブレードフィンガー!!捻裂弾!!」

 

 

サイブレードに1つの捻捻弾が激気研鑽され、向かってくる鉛筆達に放たれた。

 

 

「ふん!そんな一発の銃弾で...」

 

 

何が出来ると言いかけたホッシーワだったが、その一発の捻捻弾が炸裂弾のように弾け全ての鉛筆を撃ち落とした。

 

 

「なっ!!?」

 

 

10本以上あった鉛筆が全て撃ち落とされた事に、ホッシーワは驚きで言葉を失った。

 

 

「まだこれで終わりじゃないぞ!!」

 

 

ライノゥチョッパーはもう一度、サイブレードに超捻捻弾を激気研鑽する。

 

 

しかし、その超捻捻弾は今まで研鑽してきた超捻捻弾の中でも一際大きかった。

 

 

「超捻捻弾・凱!!!」

 

 

筆箱に向かって放たれた超捻捻弾・凱は、大きさだけでなくスピードも上がっていた。

 

 

超捻捻弾・凱は、筆箱をズガンッと音を立て貫通した。

 

 

大きな風穴が空いた筆箱は、ドガァンッと爆発を起こし木っ端微塵となった。

 

 

「サイアーク!!?」

 

 

「嘘でしょ!!?」

 

 

立て続けに技が攻略された事に、小学生サイアークとホッシーワは驚きの声を上げる。

 

 

「凄ぇな」

 

 

ライノゥチョッパーの活躍に、バイオレットも驚いた。

 

 

「サイアーク!!あんたの力はその程度じゃないでしょ!!さっさとそいつらを片付けちゃいなさい!!」

 

 

「サイアーク!!」

 

 

ホッシーワの命令を受け、小学生サイアークはランドセルから飛び出したリコーダーを武器として手に持った。

 

 

「上等だ!!俺もこっちで相手してやるぜ!!サイブレードカッター!!」

 

 

小学生サイアークがリコーダーを持ったことに対抗して、ライノゥチョッパーはサイブレードの刃を返しサイブレードカッターに変化させた。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

「ゲキワザ!!鋭鋭刀!!」

 

 

リコーダーを振り下ろしてくるのに対して、ライノゥチョッパーは鋭鋭刀で迎え撃つ。

 

 

「チェスト――!!!」

 

 

リコーダーとサイブレードカッターが交差するが、激気研鑽されたサイブレードカッターにリコーダーが勝てる筈もなく、スパンッと縦に一刀両断する。

 

 

「サイアーク!!?」

 

 

ライノゥチョッパーはリコーダーを真っ二つにしただけでなく、サイアークにまでダメージを与えた。

 

 

怯んだサイアークの隙を見逃さなかったライノゥチョッパーは、新たなゲキワザを繰り出した。

 

 

その場で駒の様に回転を始めたライノゥチョッパーは、サイアークにそのまま近づき回転斬りを放った。

 

 

「ゲキワザ!!千千弾・断!!」

 

 

サイブレードカッターを構え、猛スピードで高速回転しながら、間合いを一気に詰めてすれ違い様に小学生サイアークを切り裂く。

 

 

「せいやぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

ズバァァァンッと、下から振り上げられた止めの一撃が決まった。

 

 

「サ...サイアーク...」

 

 

一撃必殺の攻撃を受けた小学生サイアークは、そのまま動かなくなった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「くぅ!!またしても敗れるとは!!」

 

 

「おのれ!!ゲキレンジャーにプリキュア共め!!」

 

 

サイアークが負けた事に、ナマケルダとオレスキーは悔しそうに唸る。

 

 

「サイアーク!!あんた達の力はこの程度では無いでしょ!!立ちなさい!!」

 

 

ホッシーワの言葉で、サイアーク達の目に光が戻る。

 

 

『サイアーク!!』

 

 

立ち上がったサイアーク達は、そのまま巨大化を果たした。

 

 

「巨大化しようが関係ねぇ!!俺が倒してやるぜ!!」

 

 

ライノゥチョッパー操縦刀を手に取り、頭上に掲げる。

 

 

「いでよ!サイダイン!!」

 

 

ライノゥチョッパーによって、サイダインが呼びだされた。

 

 

「獣拳変形!!サイダイオー!!」

 

 

サイダインが変形し、サイダイオーへと変わる。

 

 

「俺達も行くぞ!!」

 

 

『応!!』

 

 

ゲキレッドの言葉を合図に、全員が激気と紫激気を練る。

 

 

『ゲキワザ!!来来獣!!』

 

 

「ゲキゴリラ!!」

 

 

「ゲキペンギン!!」

 

 

「ゲキガゼル!!」

 

 

「ゲキウルフ!!ゲキタイガー!!ゲキジャガー!!」

 

 

各々が、ゲキビーストを召喚する。

 

 

『獣拳合体!!』

 

 

ゲキゴリラ、ゲキペンギン、ゲキガゼルが合体しゲキファイヤーに、ゲキウルフ、ゲキタイガー、ゲキジャガーが合体しゲキトージャウルフへとなる。

 

 

『ゲキファイヤー!!バーニングアップ!!』

 

 

「ゲキトージャウルフ!!バーニングアップ!!」

 

 

「鏡に捕らわれた者達を救う為、激獣拳の拳士達がゲキファイヤー!!ゲキトージャウルフ!!サイダイオーとなって戦いを始めました!!」

 

 

「ゲキレンジャーの前には、3体のサイアークが立っています!!」

 

 

小学生サイアークが筆箱を、サラリーマンサイアークが名刺を取り出す。

 

 

『サイアーク!!』

 

 

筆箱から出たきた鉛筆が発射され、名刺が回転を始めゲキファイア達を襲う。

 

 

「おおっと!!最初に動いたのはサイアークの方だ!!大量の鉛筆と名刺がゲキレンジャー達を襲った!!」

 

 

サイアークの先制攻撃を受け、ゲキファイヤー達は砂塵に包まれる。

 

 

「いきなりの攻撃に、ゲキレンジャー達は手も足も出ないなんて!!?これではもう...」

 

 

最悪の展開を予想したバエだったが、それは良い意味で裏切られた。

 

 

砂塵が晴れ、その中から見えた光景に美代が声を荒げる。

 

 

「あっ!あれは!!」

 

 

砂塵の中から現れたのは、激気によってさらに大きくなった盾でゲキファイヤーとゲキトージャウルフを守る様に前に立つサイダイオーの姿だった。

 

 

「な、なんと!!今の攻撃を全てサイダイオーが護り切りました!!」

 

 

「チョッパーが強化された事で、サイダイオーも強化されたようですね!!あの攻撃を全て防ぎきるとは」

 

 

サイダイオーの活躍に、バエも美代も興奮し実況する。

 

 

「今度はこっちから行くぜ!!」

 

 

そう言って、ゲキトージャウルフが飛び出した。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

ゲキトージャウルフは飛び上がったと同時に、主婦サイアークに膝蹴りを放つ。

 

 

「おおっと!!ゲキトージャウルフの膝蹴りが、主婦サイアークに炸裂だ!!」

 

 

「しっ!!」

 

 

続けて肘打ちを放ち、主婦サイアークが持つフライパンをへし折る。

 

 

「ふっ!!!」

 

 

肘打ちから流れる様に、後ろ回し蹴りを繰り出した。

 

 

「俺達も行くぞ!!」

 

 

負けてられないと、ゲキファイヤーもサイダイオーの後ろから飛び出した。

 

 

『はぁ!!』

 

 

過激気によって強化された拳で、小学生サイアークをぶん殴る。

 

 

『はぁ!!はぁ!!はぁ!!』

 

 

ゲキファイヤーのラッシュ攻撃が、小学生サイアークを襲う。

 

 

「ゲキファイヤーの連続パンチが放たれた!!ラッシュ!!ラッシュ!!」

 

 

ゲキファイヤーの戦いぶりを、バエが実況する。

 

 

『はぁ!!』

 

 

「ふっ!!」

 

 

ゲキファイヤーの右パンチと、ゲキトージャウルフの膝蹴りが炸裂して巨大化したサイアーク達を一か所に留める。

 

 

『ケン!!』

 

 

「今だ!!」

 

 

「おう!!」

 

 

ゲキレッド達が、ライノゥチョッパーに止めを刺すように促す。

 

 

「サイダイオー!!ゲキワザ!!」

 

 

砕大剣を回して円を描いて激気の塊を作り、サイアークに向かって飛ばす。

 

 

『サイアッ!!?』

 

 

3体のサイアーク達は、激気で出来た球体の中に閉じ込められる。

 

 

「大月切り!!」

 

 

満月を模した球体に閉じ込めたサイアークを、砕大剣を振り下ろすことによって真っ二つにする。

 

 

『ごくら~く』

 

 

サイダイオーの一撃を受け、サイアーク達は浄化される。

 

 

『獣拳は正義の拳!正しき者が必ず勝つ!!!』

 

 

『ゲキファイアー!!』

 

 

「ゲキトージャウルフ!!」

 

 

「サイダイオー!!」

 

 

『WIN!!!』

 

 

「やったー!!やりました!!」

 

 

「本日も獣拳巨人の勝利です!!」

 

 

ゲキレンジャー達が勝利した事に、美代とバエが大手を上げて喜ぶ。

 

 

「くっ!恋をしたって今回みたいに後悔するだけよ!精々痛い目にあうことね!」

 

 

そう言い残し、ホッシーワ達は姿を消した。

 

 

「はっ!!これは自然の木のパワーを感じるですわ!!こちょこちょしてくださいな!!」

 

 

「こちょこちょ」

 

 

リボンにいつもの奴が起こり、ゆうこが鼻をこちょこちょする。

 

 

「は、は、はっぴしょん!!」

 

 

くしゃみと同時に、2枚のプリカードがリボンから生まれる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司達は家に帰る為に、夕暮れの橋の上を歩いていた。

 

 

しかし、その足取りは重く、誰も会話する事が出来ない程だった。

 

 

先頭をケンがとぼとぼと歩き、その後ろを誠司達が歩く。

 

 

ホッシーワの事があり、誰もケンに話しかける事が出来なかった。

 

 

全員を代表して、誠司が話しかけようとした時。

 

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

急にケンが立ち止まり、雄叫びを上げた。

 

 

突然の出来事で、驚く誠司達を他所にケンは名一杯叫んだ後、息を切らしながら誠司達に振り向いた。

 

 

「はぁ...はぁ...誠司!!ゴウ!!ラーメン食いに行くぞ!!」

 

 

『はぁ!?』

 

 

いきなりの事で、思わず声を揃える誠司とゴウ。

 

 

「こうなったらやけ食いだ!!食べれるだけ食べてやる!!」

 

 

意図を察した誠司達は、笑顔でケンに近づく。

 

 

「まったく...心配した俺達が馬鹿だったな」

 

 

「あぁ、この程度でへこたれるケンじゃないしな」

 

 

誠司達が横並びで歩き始めると、ガシッと誠司達の首に腕を回すケン。

 

 

「よっしゃー!!行くぞ!!」

 

 

もう既に自棄になってるケンと共に、誠司達はぴかり商店街にあるラーメン屋を目指す。

 

 

「あれだけ元気なら大丈夫そうね」

 

 

「そうね」

 

 

心配していたラン達だったが、自棄になってるとは言え元気になったケンを見て安堵する。

 

 

「それじゃあ、私達は先に帰ってよっか」

 

 

「そうね、どうせ食べ過ぎて帰って来るだろうし、胃薬でも買って待ってましょ」

 

 

この後、お腹を抱えて帰って来るであろうケンの為に、めぐみ達は薬局へと向かうのであった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、幻影帝国のアジトであるブルースカイ王国。

 

 

自室代わりにしている部屋で、ホッシーワはお気に入りのアクセサリーを眺めていた。

 

 

「あんな失敗で私達を振り回しておきながら、よく呑気に宝石何て眺めていられますね」

 

 

部屋の入り口に立ち、ホッシーワに向けナマケルダが嫌味を言う。

 

 

「何よ、失敗したのはあんた達のせいでしょ」

 

 

ホッシーワの返答に答えたのは、ナマケルダではなくその後ろから現れたオレスキーだった。

 

 

「確かにゲキレンジャー達にバレたのは俺達のせいだが、ゲキレッドの言う通り最初からお前の作戦には無理があっただろ」

 

 

「うぐっ...」

 

 

オレスキーの正論に、ホッシーワは口を紡いだ。

 

 

「ふ、ふん!!今に見てなさいよ!!私があんた達をあっと驚かせてやるんだから!!」

 

 

「だといいですけどね」

 

 

ホッシーワの宣言に、ナマケルダは興味なさげに呟きオレスキーを連れ部屋を出ていった。

 

 

ホッシーワはもう一度机に向き直り、アクセサリーを眺める。

 

 

ナマケルダ達は、部屋に入った時に気づかなかった。

 

 

お気に入りのアクセサリーの中に、ケンがプレゼントしたネックレスが混ざっている事に。

 

 

ホッシーワはネックレスを両手で持ち、眺める。

 

 

「ふふっ♪」




はい!如何だったでしょうか?


今回、ケン×ホッシーワという新しいカップリングを作ってみました。


私的には良い出来になったんじゃないかと思います。


ゲームで遊んでいたのもそうですが、思いの外アイデアが出てきて纏めるのにも時間がかかりました。


赤穂浪士、ケンのデート、チョッパーの強化、巨大戦。


最初は前回同様2話に分けようかと迷いましたが、ケンの強化回ということもあってやめました。


そして、活動報告でも書きましたが、ようやくフェアリーテイルのコラボ小説が2話書き上がりました。


小説を書く合間に息抜き程度で書いていましたが、思いの外早く書き上がったので場合によっては3作目として投稿を考えております。


最近は更に熱くなってきましたが、皆様も熱中症等にはお気をつけてください。


私は先々週、暑さのせいで倒れ1週間は寝込みました。


皆様も倒れないように、水分補給を怠らないよう気を付けてください。


これからも頑張っていきますので、応援の程宜しくお願いいたします。


それでは次回、第33話もしくはアクセル・ビルド第7話でお会いしましょう!!


それじゃあ、またな!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第33話 それぞれの日常

どうも!!ナツ・ドラグニルです!!


もう10月も終わるのに、なんでこんなに暑いのでしょうか?


朝は寒いですが、日中は暑く半袖で充分です。


ぶっちゃけ、暑すぎてまだ冷房つけてますw


皆様も気温の変化で体調を崩さないよう、気を付けてください。


今回は原作にはない、オリジナル会になります。


面白く仕上がったと思うので、お楽しみ下さい!


それでは作品をどうぞ


ぴかりヶ丘の人気のない森の奥に聳える館。

 

 

大使館。

 

 

プリキュアとゲキレンジャー達が、拠点としている場所でもある。

 

 

その大使館の一室に、修行を終えた誠司が入ってきた。

 

 

誠司が部屋を見渡すと、そこにはリンの姿しかなかった。

 

 

リンはソファに座り、携帯をいじっていた。

 

 

「あれ?他の皆は?」

 

 

「兄さんとケンはスクラッチ社に、ランとめぐみちゃん達はショッピングに行ったわよ」

 

 

「へー、お前は一緒に行かなかったのか?」

 

 

めぐみ達と一緒に行かなかった事に疑問に思った誠司は、リンに質問する。

 

 

「特に買いたい物も無かったし、私はラン達みたいに買い物に時間かける方じゃないからね」

 

 

「なるほどな」

 

 

納得した誠司は、リンの体面に座る。

 

 

「はぁ~、平和な事は良い事だけど何か暇だな」

 

 

「そうね~」

 

 

誠司の呟きに、リンも賛同する。

 

 

「何か暇潰せる物何かないか?」

 

 

「だったら、外で遊んでくれば?」

 

 

「遊ぶって言っても、何して遊ぶんだよ...」

 

 

リンの提案に、誠司は余り乗り気ではなかった。

 

 

「これで良し」

 

 

「ん?何かしてたのか?」

 

 

「ちょっと兄さんにメールを送ってたのよ」

 

 

「ふーん、所で机の上に色んな資料が乗ってるけど何かしてたのか?」

 

 

流石に兄妹のやり取りに深入りすべきではないと考えた誠司は、そこで別の話を持ち出す。

 

 

「実は最近、絵だけでなく漫画も描いてみようと考えててね、漫画のアイデアを纏めてるの」

 

 

「え!?何お前そんな事までやってんの!!?」

 

 

まさかリンが漫画を描こうとしているとは思っても居なかった誠司は、純粋に驚いていた。

 

 

「何かあれば相談してくれよ、何でも力になるぜ」

 

 

「本当!?じゃあ、次のコンクールに出す新作漫画のアイデアを聞いて貰ってもいい?今暇なんでしょ?」

 

 

「おう良いよ、でも俺なんかで大丈夫か?俺ド素人だけど...」

 

 

漫画を読む事はあっても描いた事がない誠司は、不安になってリンに質問する。

 

 

「ド素人でも大丈夫、てゆうか逆に誠司みたいなド素人な意見が一番大事なのよ」

 

 

「そうなの?」

 

 

「漫画を読むのはド素人の人だし、そう言ったド素人の人を大切にしないと、漫画はヒットも長続きもしないから」

 

 

「そ、そっか」

 

 

話を聞いていた誠司だったが、ある一つの事が気になってしまっていた。

 

 

「そう言った意味では、このタイミングで誠司みたいなド素人の人に意見をきくというのは...」

 

 

「リンいいかな、ちょっといいかな?」

 

 

我慢出来なかった誠司は、良い話をしているリンの話を遮った。

 

 

「あのさ、凄く内容的には良い事を言ってんだけど...なんか言い方があんま良くないじゃないか?」

 

 

「そう?」

 

 

「俺が自分からド素人って言うのは良いんだけど、リン側からド素人って言われると何かあんま良くないかもな」

 

 

「流石にド素人の人はまずかったかしらね」

 

 

「ん~?まあ、ちょっと聞こえが悪いかもな。ド素人の人って言うのはな」

 

 

「ド素人の“方„かしらね」

 

 

「そこじゃない!!そこじゃねぇよ!!ド素人に問題があるんだよ!!」

 

 

的外れな事を言うリンに、誠司が突っ込みを入れる。

 

 

「じゃあ?どーしろうと?」

 

 

「イントネーションじゃねぇよ!!ド素人そのものに問題があるって言ってんだろ!!」

 

 

「じゃあ、クソ素人」

 

 

「もっと駄目だよ!!完全にアウトだよ!!」

 

 

そう突っ込まれたリンは、少し思考すると何かを閃いたのか目を見開く。

 

 

「クソ読者!!」

 

 

「最悪だよ!!一番駄目だよ!!今見てる人達が変な誤解したらどうするんだよ!!それよりもアイデアだろ?聞いてやるよ」

 

 

誠司がそう言うとリンはアイデアを纏めたノートを片手に、誠司の横に座った。

 

 

「この漫画はどっちかっていうと少年漫画に近くて、私自身こういったジャンルを読んだ事も無いからぜひ聞いて欲しいの」

 

 

「どんなの?」

 

 

「まぁざっくり話すと、宇宙人の少年の話なのよ」

 

 

「おう」

 

 

誠司は頭の中にイメージしながら、リンの説明を聞く。

 

 

「宇宙人って言っても見た目は地球人とほぼ同じなの、それで唯一違うのが尻尾が生えてる所」

 

 

誠司の頭には、自分と同じような少年に尻尾を生えている姿がイメージされていた。

 

 

「それで人並外れた戦闘能力を持っていて、その少年が七つ集めるとどんな願いでも叶うっていう不思議な玉を探しに旅に出るの」

 

 

「ん?」

 

 

人並外れた戦闘能力という所で既に疑問に思っていた誠司だったが、七つの玉の話が出てきた事によって先程イメージしていた少年は、亀と書かれたオレンジ色の道着を来た少年に変わっていた。

 

 

「そこから、どんどんスケールの大きな話になって行って、最終的に尻尾の生えた少年が地球の危機を救うのよ」

 

 

話を聞き終えた誠司だったが、誠司の頭の中にドラゴンとボールの作品が思いついていた。

 

 

「どうだった?」

 

 

「あのね1つね、重大な問題があるね」

 

 

「やっぱつまんないわよね」

 

 

「いやつまんなくないよ!!あのねめっちゃ面白いよそれ!!」

 

 

「本当?でもヒットはしないわよね...」

 

 

「いや、ヒットする!!めちゃヒットするし...てかヒットしちゃってるんだよね...」

 

 

「どういうこと?」

 

 

気づいた点を指摘する為に、誠司は意を決してリンに伝える。

 

 

「言うけど、あの...その話...既にあるぜ」

 

 

「被ってるの?」

 

 

「被ってるって表現になるのかな?まぁそれはそれですげぇけどな」

 

 

誠司の話を聞いて、リンは内容の修正を始める。

 

 

「じゃあ、玉を七つ集めたら願いが叶うっていうのも変えちゃうってのは?」

 

 

「あぁ、なるほど。まぁ確かにそこは物語の軸になってるからな」

 

 

「玉を七つ集めたら願いが叶うんじゃなくて、玉を七つ集めると龍が出てきて、その龍が願いを叶えてくれ「近い近い近い!!!かなり近いぐっと近づいてる!!!」」

 

 

誠司が知ってる漫画にどんどんそっくりになってきたので、まだ話してる途中だったが思わず突っ込みを入れてしまう

 

 

「本当?」

 

 

「もうまんま一緒になっちゃってるよ」

 

 

「でも聞いて?こっちは只の龍じゃないの」

 

 

「どんな龍?」

 

 

誠司の質問に、リンはドヤ顔で答える。

 

 

「神が作った龍なの」

 

 

「もうそれだね!!まさにそれ!!大正解!!」

 

 

「ありがとう」

 

 

「ありがとうとかじゃないから!!」

 

 

何に対してのお礼なのか分からない為に、誠司は指摘する。

 

 

「本当に少年漫画読んだ事ないの?」

 

 

「読んだ事ないよ、何か自分でもびっくりしてるの」

 

 

「まぁ確かに...リンは人のアイデアをパクるような性格じゃないから、もしかしたら偶然の一致かもしれないけどさ...。だとしたら凄いぜお前!!だってさ、思いつくタイミングがもっと早かったら超ヒット漫画家になってるからね!!」

 

 

リンの話を聞いた誠司は、才能があると思い興奮する。

 

 

「そんな一緒なの?」

 

 

「今の所まったく一緒なんだよね!!」

 

 

興奮していた誠司だったが、次のリンの一言で落ち着きを取り戻す。

 

 

「ピッ〇ロのくだりとかも?」

 

 

「読んでるでしょ!?もう読んでるでしょ!!」

 

 

「いやいや読んでないわよ」

 

 

「絶対読んでるじゃん!!」

 

 

誠司が知ってる漫画に出てくるキャラの名前が出て来た時点で、誠司がリンが知ってて言ってる事に気付いて指摘する。

 

 

「そっちの漫画にもピッコ〇がいるの?」

 

 

「いや、長きに渡っているんだよね」

 

 

「でも...ナ〇ック星には」

 

 

「いるいるいるいる!!!まんま一緒!!いるいる!!」

 

 

「そっかぁ...」

 

 

そこで誠司は、リンが自分の事を揶揄っている事に気付いた。

 

 

「ちょっとさ、俺の事揶揄ってんでしょ?」

 

 

「いや揶揄ってないよ」

 

 

「いやこれはもう揶揄ってるじゃん」

 

 

「揶揄ってないよ」

 

 

「揶揄ってる」

 

 

しばらくそのやり取りをしていた2人だったが、それをリンが流れを変える。

 

 

「誠司、私の目をちゃんと見て」

 

 

「なんだよ」

 

 

リンは真剣な目を見せるのかと思いきや、黒目を上に向け白目になった状態で誠司に目を見せる。

 

 

「揶揄ってんじゃんかよ!!めっちゃ揶揄ってんじゃねぇかよふざけんなよ」

 

 

「本当に私、その漫画見たことないの」

 

 

「本当に~?」

 

 

誠司は胡散臭いと感じ、そう返答する。

 

 

「そもそも、少年漫画自体読んだ事ないもん」

 

 

「まぁ、百歩譲ってそうだとしよう。でも、そのアイデア自体既にあるし、超有名だからやめた方がいいよ」

 

 

「でも、今の時点でゼロから考え始めるとなると締め切りに間に合わないから、キャラとか設定を変えて全然違う感じにするとか?」

 

 

「たとえば?」

 

 

「主人公の少年はもう宇宙人じゃなくて、未来から来る人未来人にするとか!!」

 

 

「あぁ、なるほどね!!それだけでも話は変わって来るからね」

 

 

誠司は、直ぐに別の設定を思いついた事に素直に感心する。

 

 

「戦闘能力が高いのもやめちゃって、代わりに不思議な道具を使う事にする」

 

 

「なるほど、道具ね!!そうなって来るとまったく別の話になってくるからね」

 

 

感心していた誠司だったが、次のリンの説明を聞いて首を傾げ始める。

 

 

「それで少年ってのもやめて...猫をモチーフにしたロボットで...「ん?」二頭身で...「うん?」色が青で...名前が...」

 

 

そこで誠司は、自分が思いついたキャラクターの名前を口にする。

 

 

「ド〇えもん?」

 

 

「そう!!」

 

 

「そうつってんじゃん!!そうって言ってんじゃん!!知ってるじゃん!!バリバリ知ってんじゃん!!」

 

 

「知らないって!!」

 

 

「知ってんじゃんかよ!!」

 

 

指摘を入れると、リンは聞いた事があるような一言を口にする。

 

 

「ボク、シラナイ~」

 

 

「知ってんじゃん!!知って言ってるじゃんかよ!!ていうかやるならもっと似せろよ!!」

 

 

自分の知ってるキャラクターの真似をするリンに対して、突っ込みと共に頭を小突く。

 

 

「いや、本当に知らないから出来ないわよ」

 

 

「ごめん、これは本当に信じられない」

 

 

「誠司!!」

 

 

「なんだよ」

 

 

「私の目を見て!!」

 

 

もう一度リンがそう言って自分の目を見る様に言うが、またしても白目を見せて馬鹿にしてくる。

 

 

「揶揄ってんだろって!!揶揄ってんじゃんかよ!!」

 

 

「ちょっと待ってよ、今なんて言ったの?」

 

 

「揶揄ってるって言ってるんだよ」

 

 

「誰が?」

 

 

「リンが!!」

 

 

「誰を?」

 

 

「俺をだよ!!」

 

 

「どうしてるって?」

 

 

「揶揄ってるっつってんの!!」

 

 

「それを纏めて言うと?」

 

 

「だから!!リンが俺を揶揄ってるっつってんの」

 

 

「正解!!」

 

 

誠司の言葉に、リンは笑顔でそう答える。

 

 

「揶揄ってるじゃん!!やっぱ揶揄ってたのか!!」

 

 

そこで誠司は、今のやり取りで重要な事に気付きリンに質問する。

 

 

「ちょっと待って...じゃあさ、今話した漫画全部知ってて言ってたの?」

 

 

「うん、知ってて言ってた」

 

 

「ふざけんなよ...なんだこれ...」

 

 

その言葉を聞いて、誠司は脱力しソファにもたれ掛かる。

 

 

誠司はがばっと起き上がり、リンに質問する。

 

 

「なんなのこの無駄な時間、何の為にこんな事やってるの!?」

 

 

誠司に質問を受けたリンは、可愛く首を傾げて一言だけ告げる。

 

 

「暇つぶし」

 

 

「ひゅ~♪」

 

 

先程誠司自身が言ってた事をそのまま返されて、思わず口笛を吹く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スポーツを科学と心でサポートするをキャッチフレーズとする、スポーツ用品メーカーであるスクラッチ社。

 

 

ここは若き獣拳使い達を育て、高みを目指し学ばせる会社でもある。

 

 

「はぁ...」

 

 

今日もまた、1人の獣拳使いが悩みため息を付いていた。

 

 

「どうしたんだケン、元気がないみたいだな?」

 

 

ため息をついていたケンに、七拳聖の1人であるピョン・ピョウが話しかける。

 

 

「お前まさか、ホッシーワの事をまだ引きづってるのか?」

 

 

心当たりがあったゴウも、心配して声を掛ける。

 

 

「誠司達から話は聞いたぞ。敵に騙されたんだってな」

 

 

「何か悩みがあるのなら、森の賢人である私が相談に乗ろう」

 

 

他にもバット・リーやゴリー・イェンまでもが、ケンの力になろうと声を掛ける。

 

 

「えっと...実は...」

 

 

何処か歯切れの悪いケンに疑問に思う一同だったが、そこにエレファンがテンション高く入ってきた。

 

 

「やっほ~!!俺ちゃん登場!!全員揃って何してるの~?」

 

 

「ケンの元気が無いから、皆で話を聞いていたんだ」

 

 

エレファンの質問に、ピョンピョウが答える。

 

 

「なんだぁケン、あんなに仲良さそうだったのにもう駄目になったのか?」

 

 

「ん?マスターエレファンはケンに元気が無い理由を知ってるんですか?」

 

 

「いやぁ~ケンが騙されて元気が無いって言うから、この前俺ちゃんがケンをキャバクラに連れてったんだぞ~」

 

 

『キャバクラ!?』

 

 

エレファンの口から出たキャバクラという言葉に、全員が反応する。

 

 

「お前、この前痛い目に会ったばかりだろ!!なのに性懲りもなくまだそんな事やってるのか!!?」

 

 

ケンの行動に呆れたバット・リーは、思わず説教をする。

 

 

「俺をあんまり舐めないでくださいよマスターリー、この程度で俺は止まりませんよ」

 

 

ドヤ顔でカッコつけて語るケンに、エレファン以外が呆れる。

 

 

「それで?そのキャバクラで何かあったんですか?」

 

 

「いや~ケンたらね、隣に座った女の子をえらい気にいちゃってさ、結構いい雰囲気になって連絡先まで交換してたんだゾウ」

 

 

『へぇ~』

 

 

質問したゴウだけでなく、他のマスター達まで感心する。

 

 

「なるほどな、その女の子になんてメールを送ればいいのか迷ってる訳か」

 

 

「いや...メールは送ったんですが、その女の子からメールが一切来なくて連絡してるのは俺だけなんですよ!!」

 

 

最初は元気が無かったケンだったが、悲しくなったのか後半になるにつれて口調が荒くなる。

 

 

「え?何々何々何々、じゃあ、何?あのメール帰ってこなかったのか?」

 

 

「最初の1回は来ましたよ、店出てすぐにね」

 

 

そう言うとケンは携帯を取り出し、エレファンにメールを見せる。

 

 

「しかも、猿美ちゃんの方から」

 

 

「猿美!?猿美って名前なの!?」

 

 

女の子の名前が奇抜すぎて、ゴウは思わず突っ込みを入れる。

 

 

ケンから携帯を受け取ったエレファンは、猿美から届いたメールを読み上げる。

 

 

「え~、『今日はとっても楽しかったありがとう。私は月水金出勤してるからね、待ってま~す』」

 

 

「完全に営業メールじゃないすか」

 

 

「それに対するケンの返信が『じゃあ、火木土日が都合良いんだね』」

 

 

「え?あっ!そう取ったのかお前!?」

 

 

ケンの認識の違いに、今度はピョン・ピョウ指摘する。

 

 

「『帰り道、久し振りに夜空を見上げたら星が綺麗だった。東京の夜空も見捨てたもんじゃないね。けど、そんな星達も霞んで見えたのは何でだろう...きっと猿美ちゃんにあった後だからかな?ここで1つ質問

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.....一目惚れって信じる?』」

 

 

『やかましいわ!!!』

 

 

突っ込み処満載のメールを聞いていたゴウ達だったが、最後の最後で我慢できずに全員そろって突っ込みを入れる。

 

 

「でも、ここでパッタリってあるか?」

 

 

「いや、あるだろう今のメールだったら」

 

 

ケンの質問に、ゴウが最もな事を指摘する。

 

 

「いやいやいやお前、こっちはさ疑問文で終わってんだぞ?投げかけた質問の答えは何処(いずこ)へ?」

 

 

「知らねぇよ」

 

 

ケンの質問に、ゴウは呆れながら答える。

 

 

「で、え~ケンの次のメールが」

 

 

「また送ったの!?」

 

 

さっきのメールを送っておきながら、まだメールを送っている事にゴウは驚きで声を上げた。

 

 

「え~、『どんな感じですか?一目惚れの件』」

 

 

「まだ言ってんの!?」

 

 

「そりゃ言うだろ!!そこで止まってるんだからよ!!」

 

 

「もう、諦めた方がいいだろ」

 

 

これ以上の醜態を晒させまいと思ったのか、バット・リーが諦める様にケンを説得しようとする。

 

 

「やっぱそうですかね?ここで帰って来ないってことは終わりなんですかね?」

 

 

バット・リーの説得で、ケンも諦めようとする。

 

 

「どうせ叶わぬ出会いなら要らなかったよ!どうして俺の目の前に現れたりしたんだよ!!」

 

 

「おめぇがキャバクラ行ったからだよ」

 

 

ケンの疑問に、ゴウが正論を突きつける。

 

 

「ケン...お前、本当に諦めるのか?」

 

 

「え?」

 

 

その時、いつにも無く真剣な表情をしたエレファンがケンに問いかける。

 

 

「お前の本気の恋、そんなモノなのか?」

 

 

「いや...でもマスターエレファン...」

 

 

「もう一度メールを送るんだゾウ」

 

 

エレファンの言葉に、ケンは本気で驚いた。

 

 

「嘘だろ...俺は既に2つの疑問文を無視されてんだぞ?何を打てって言うんだよ!!」

 

 

「逃げてんじゃねぇぞ!!ケン!!」

 

 

「だって、マスターよぉ!!!」

 

 

「すげぇ、うるせえんだけどさっきから!!何なの!?」

 

 

2人のやり取りを見ていたゴウが、突っ込みを入れる。

 

 

「お前の恋...俺ちゃんに預けて見ないか?」

 

 

エレファンはそう言うと、ケンに携帯を差し出す。

 

 

「悪くない」

 

 

携帯を受け取ったケンは覚悟を決めた顔をして、そう告げる。

 

 

「確かお前、店で猿美ちゃんに好きな男のタイプ聞いてたよな?」

 

 

「あぁ、男らしくて、ちょっと影があって、引っ張ってくれる人が好きだって言ってた」

 

 

その話を聞いたエレファンは、ゴウに指示を出す。

 

 

「ゴウ、ちょっとメモしてくれ」

 

 

「何でですか...」

 

 

悪態つくゴウだったが、何時もミーティングで使ってるホワイトボードをエレファンの近くまで引っ張ってきて、先程の3つを書き込む。

 

 

「男らしいか...良し!それで行こう!!ケン、俺ちゃんが言った通りにメールを打つんだゾウ」

 

 

「分かった!!」

 

 

準備をするケンだったが、エレファンの口から出た言葉は正気を疑う物だった。

 

 

「テメェ!!!バカ野郎!!!この野郎!!!何でメール寄越さねぇんだこの野郎!!!テメェふざけんじゃねぇぞこの野郎!!!」

 

 

「マスター...マスター...男らしいってそう言う事なのか?」

 

 

さすがのケンも動揺が隠せず、思わずエレファンに質問してしまう。

 

 

「そうだ、男らしいだろ?」

 

 

「男らしいというか、頭おかしいでしょうよ」

 

 

エレファンの言葉に突っ込みを入れるゴウだったが、エレファン達は聞いていなかった。

 

 

「そんなメール送ったらよ、俺嫌われないか?」

 

 

「何今更ビビッてんだ?どうせ、終わるつもりだったんだろ?」

 

 

エレファンの言葉を聞いたケンは、エレファンに任せた事を思い出した。

 

 

「そうだよな、マスターエレファンに預けた恋だ。ふっふっふ、俺は直ぐに忘れちまう...最後までアンタに任せるよ」

 

 

「お前は本当にいいのかそれで...」

 

 

バット・リーはその様子を見て、完全に呆れていた。

 

 

「良し!!覚悟が出来たなケン!!このままメール打てバカ野郎!!」

 

 

「分かった!!」

 

 

そしてエレファンは、先程のテンションで叫ぶ。

 

 

「テメェ!!!バカ野郎!!!このくそ野郎!!!」

 

 

「テメェ!!!バカ野郎!!!このくそ野郎!!!」

 

 

同じ事を叫びながら、その内容をメールに打つ。

 

 

「テメェ!!!どうせお前の親父無職だろ!!!」

 

 

「テメェ!!!どうせお前の親父無職だろ!!!」

 

 

「何言ってんすか」

 

 

流石の内容に、ゴウはエレファンに突っ込みを入れる。

 

 

「そんでお袋は鉄くず盗んでんだろ!!!」

 

 

「そんでお袋は鉄くず盗んでんだろ!!!」

 

 

その内容に、ケンは笑いをこらえながらメールを打つ。

 

 

「送れバカ野郎!!!」

 

 

「しゃっ!!!送信!!!」

 

 

そう言って、今打ったメールを猿美に送信する。

 

 

「絶対嫌われるぞ」

 

 

「送ったぞ!!!送ってやった!!!」

 

 

興奮気味に叫ぶケンだったが、近くにあった椅子に座り頭を抱えだす。

 

 

「送んなきゃ良かった...」

 

 

「もう後悔してんじゃねぇかよ」

 

 

その様子を見ていた、マスターエレファンは。

 

 

「本当に送ると思わなかった~」

 

 

笑いを堪え、少し引いていた。

 

 

「何引いてんの!?ちょっと笑ってる!!ちょっと笑ってるよこの人!!」

 

 

指を差しながら、ゴウが指摘する。

 

 

「それはねぇぞ!!!それはひでぇぞマスター!!!」

 

 

「大丈夫!!返事来るから!!来る来る来る!!!」

 

 

「来るわけないでしょうが」

 

 

あんなメールを送られて、それに返す人なんていないとゴウは否定する。

 

 

そこに、携帯のメールが届いた事を告げる着信がなった。

 

 

「あっ!!来た!!猿美ちゃんからだ!!」

 

 

『嘘だろ!!?』

 

 

猿美からメールが届いた事に、その場にいた全員が驚く。

 

 

「読むぞ」

 

 

ケンは、猿美から届いたメールを読み上げる。

 

 

「『今日のケンさん何か雰囲気違う...猿美ドキドキしちゃった』」

 

 

「何その女...」

 

 

先程ケンが送ったメールに対しての返信に、ゴウは猿美に対してかなり引いた。

 

 

「よっしゃー!!!よっしゃ!!よっしゃ!!よっしゃ!!これは最高のよっしゃだ!!!今夜はよっしゃだー!!!」

 

 

「うるせぇよ!!」

 

 

メールが届いた事に興奮するケンだったが、余りの五月蠅さにゴウが頭をどつく。

 

 

「今夜はよっしゃの意味がまったく分からねぇよ」

 

 

ゴウが指摘をするが、ケンは余りの嬉しさにそれを無視する。

 

 

「マスターエレファン!!あんた最高だよ!!」

 

 

自分を導いてくれたエレファンに感謝を送るケンだったが...

 

 

「え?お..おぉ..そうだろ?」

 

 

本当に来ると思っていなかったのか、エレファンは驚きながら返事する。

 

 

「びっくりしちゃってんじゃん!!返事来てびっくりしちゃってんじゃん!!」

 

 

エレファンが驚いている事に、ゴウが指摘する。

 

 

「よ、良し!!そのまま返信しろ!!」

 

 

ゴウの指摘を誤魔化すように、エレファンは大声を上げる。

 

 

「OK!!ドキドキしてんじゃねぇぞこの野郎!!」

 

 

「ケン、ケン」

 

 

「な、なんだよ」

 

 

さっきのテンションでまた送ろうとしているケンを、ゴウが止める。

 

 

「それで押してくの?」

 

 

「そりゃそうだろ」

 

 

「いや、駄目だ」

 

 

「え!?」

 

 

まさかエレファンからも止められると思っていなかったケンは、驚きで声を上げる。

 

 

「はっきり言って、もうそのパターン飽きてきた」

 

 

「言っちゃってる!!言っちゃってるよ!!もう言っちゃってるよ!!」

 

 

そう言い切ったエレファンに、ゴウが突っ込みを入れる。

 

 

「次は『影がある男』これで行こう!!」

 

 

「なるほどぉ...畳み掛けるって事だな!!」

 

 

「なんで納得したんだよ今」

 

 

「俺ちゃんの言う通りに打つんだぞ」

 

 

「了解!!」

 

 

「実は僕...腹に虫が湧いてるんです...」

 

 

エレファンが言い切る前に、ケンが止める。

 

 

「ちょ...ちょっと待て、ちょっと待ってくれマスターエレファン!!これ大丈夫か!?」

 

 

「影がありすぎるだろそれは」

 

 

余りの内容に、バット・リーまでも突っ込みを入れる。

 

 

「俺が間違いを言った事があるか?」

 

 

「無い!!」

 

 

「有ったよ!!さっき有っただろうが!!」

 

 

エレファンの言葉に即答するケンに、ゴウが指摘する。

 

 

「それで...その虫達が日に日に大きくなってきて...ぼ...僕の体を乗っ取ろうとしてるんです...助けてください!!助けてください!!うわあああああっ」

 

 

叫ぶのと同時に、手を使って腹から虫が飛び出してきたような動作をする。

 

 

「こんにちは...」

 

 

余りの出来事に、ゴウ達だけでなく様子を見ていたゴリーまでもが笑いを堪える。

 

 

「最後、こういう絵文字あるか?」

 

 

「ねぇよ!!そんなのねぇよ!!誰が使うんだよ!!そんな絵文字!!!」

 

 

「それは表現できないよ!!」

 

 

「送れ!!」

 

 

「何でもいい送信だ!!送ったぞ!!送ったぞ!!良し!!」

 

 

やぶれかぶれになっているケンは、そのままメールを送信した。

 

 

「今のどうやって書いたんだよ」

 

 

「来い来い来い!!」

 

 

「もう来ねぇよ」

 

 

あんなメールを送られて、今度こそ送られてこないだろうとゴウは呆れて近くに椅子に座った。

 

 

「嫌...絶対来るぞ!!3!!2!!1!!」

 

 

カウントダウンするケンだったが、0になった瞬間本当にメールが届いた。

 

 

「来たー!!!」

 

 

「あっメールだ」

 

 

しかし、メールが届いたのはゴウだった。

 

 

「お前かい!!!お前かーい!お前か~い...」

 

 

「何回言ってんだよ」

 

 

「何だよ!!そんなくだらない携帯捨てちまえよ!!バカ野郎!!」

 

 

「こっちはな、大事な妹からのメールなんだよ!!」

 

 

ゴウはそう反論するが、届いたメールを見て「ん?」と目を疑う。

 

 

なぜなら、届いたメールには『暇』という1文字しか書かれていなかった。

 

 

何故こんなメールを送ってきたのか分からなかったゴウは首を傾げるが、見なかった事にして携帯をしまう。

 

 

そしてもう一度ケンの方を見たゴウは、もう一度目を疑う。

 

 

なぜなら、机の上に置いている携帯を、ケンが唇で押していたからだ。

 

 

「怖ぇよ!!何してんだよお前!!」

 

 

「ほら早くブルブル言えよお前」

 

 

ゴウの突っ込みを無視して、ケンは尚も下唇で携帯を押す。

 

 

「ほらブルブルブルって...」

 

 

「止めとけよ!!止めとけって!!」

 

 

ゴウは止める為にケンの頭を何度も叩くが、ケンは止まらなかった。

 

 

「全然来ねぇぞどうなってんだよ...」

 

 

嘆くケンだったが、ゴウが廊下の方を指差して叫ぶ。

 

 

「廊下の方から悲鳴が聞こえたぞ今!!」

 

 

恐らく、今の気持ち悪いケンを見て悲鳴を上げたのだろう。

 

 

「止めとけよお前は」

 

 

「だって全然鳴らないんだよ!!これどういうことだよゴウ?」

 

 

泣きそうになりながらも、ケンはゴウに質問する。

 

 

「知らねぇよ、そんな直ぐに来ないだろうが」

 

 

「いやさっきは来ただろうが、さっきは直ぐ来たろうが!!」

 

 

「じゃあ何か用事でもあるんじゃねぇのか?」

 

 

嘆くケンに、ゴウが言い聞かせる。

 

 

「だったらそれを伝えるべきじゃないのか?」

 

 

熱く語り始めたケンは、椅子から立ち上がる。

 

 

「今から始める事があるので、一旦メールは止まりますが無視してる訳ではないので心配しないでくださいって!!!」

 

 

「そんなメールしねぇよいちいち!!!」

 

 

面倒くさくなったケンに、ゴウはそう怒鳴る。

 

 

「嫌われたんだよぉ...俺...嫌われたんだよぉ...」

 

 

「泣くなよ」

 

 

本格的に泣き始めたケンに、ゴウはどうすればいいか悩む。

 

 

「どうすんだよぉ...こうなったのもマスターエレファン!!あんたのせいだぞ!!」

 

 

ケンが、こうなった元凶であるエレファンを責める。

 

 

「まだ失敗と決めつけるのは早いゾウ」

 

 

「え?」

 

 

エレファンは、まだ終わっていないとケンに告げる。

 

 

「もう一回メールを打つんだ」

 

 

「それは嫌だよ...これで帰って来なかったら俺立ち直れねぇぞ!!」

 

 

「バカ野郎!!」

 

 

嘆くケンを、エレファンが一喝する。

 

 

「お前...さっきあんなメールを送ったんだぞ!!」

 

 

『お前が送れって言ったんだろうが!!!』

 

 

ゴウだけでなく、その場にいたゴリー、ピョンピョウ、バット・リーまでもが突っ込みを入れる。

 

 

しかし、エレファンは全員の突っ込みを他所にもう一度ケンに指示する。

 

 

「良し!!最後はこれだ!!『引っ張ってくれる男』これでいこうじゃねぇか!!」

 

 

「もうやぶれかぶれだ!!」

 

 

自棄になったケンは、エレファンの言う通りにする。

 

 

「もういい!!俺ちゃんが打つ!!貸せばか野郎!!」

 

 

しかし、ケンが打つ前にエレファンが携帯を奪い代わりに打つ。

 

 

「はい送信!!」

 

 

「早ぇよ!!何て打ったんだ今!!」

 

 

余りの速さに、ゴウは驚きつつも突っ込みを入れる。

 

 

「これが『引っ張てくれる男』のメールだ!!」

 

 

そう言って、エレファンはケンに携帯を返す。

 

 

「頼もしいじゃねぇかよ!!」

 

 

そう叫んだケンは、エレファンが送った内容を確認する。

 

 

「ぐいー!ぐいぐい!!ぐいー?」

 

 

『しょうもなっ!!』

 

 

全員がエレファンを見ると、エレファンは笑いながら答える。

 

 

「引っ張ってる感じはするだろ?」

 

 

「引っ張ってる感じはするけども!!」

 

 

「なんだよ...信じた俺が馬鹿だったよ!!」

 

 

「だから言っただろうがよ」

 

 

ケンは携帯を机の上に投げ、椅子に崩れ落ちる様に座る。

 

 

他の皆も、ケンから離れる。

 

 

ブー、ブー、ブー。

 

 

そこに、ケンの携帯に着信を示す震動音が部屋に響く。

 

 

『え?嘘!!?』

 

 

来ないと思っていた返信が来た事に、全員が動揺する。

 

 

「猿美ちゃんからだ!!」

 

 

「な、何て書いてある?何て書いてある?」

 

 

「『そういう人好き』マジで!!?」

 

 

猿美から届いたメールの内容に驚き、ケンは目を見開く。

 

 

「間違ってなかったろ!!」

 

 

「良かったじゃねぇかよケン!!」

 

 

ケンの努力が結ばれた事に、祝福するゴウ。

 

 

他のマスター達も、嬉しそうに見ていた。

 

 

「おぉ...」

 

 

「どうしたんだよ、ケン」

 

 

しかし、ケンの反応が思ったよりも薄かった事にゴウが質問する。

 

 

「俺こんな訳分かんない女嫌い...」

 

 

「なんだよそれ!!」

 

 

ゴウは思わず、本日何度目か分からない突っ込みを入れる。




如何だったでしょうか?


今回は今までと違い、戦闘シーンが一切ないギャグ会だけで終わりましたが、結構面白く仕上がったと思います。


本当は、ゴウ達の話の後に、出て来なかった他のメンバー、プリキュア組、未希、なつめ、ミシェルの買い物シーンを書こうと思っていたのですが、全然アイデアが出て来なかった為に断念しました。


ゴウ達の話までなら10月の始めに書き終わっていたんですが、そろそろ前回のアクセル・ビルドの投稿から1ヶ月経ってしまうので投稿しました。


次回は原作通り、ハワイの話を書こうと思っております。


そして先に言っておきますが、多分次の投稿まで2ヶ月以上かかるかもしれません!!


下手したら年越すかもしれません。


なぜなら、11月にポケモンが発売するからです!!


ちゃんと小説も書きますが、恐らくゲーム三昧になってしまうでしょう。


バイオやモンハンの時と同じように...


私用になってしまいますが、マジですいません。


それでは次回...第34話もしくはアクセル・ビルド第8話でお会いしましょう!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第34話 ハワイ上陸!アロ~ハプリキュア登場!

明けまして、おめでとうございます!!


どうも、ナツ。ドラグニルです!!


年明けてから既に2週間経ってますが...そこはご了承ください...


年明けからずっと大掃除をしていたお陰で、部屋が綺麗になり小説を書く環境がようやく整いました。


新しいデスクとテーブルランプを買い、以前より小説書くペースが速くなったと思います。


さて、今回は原作の28話を元に作っております。


意外と面白く出来上がったので、楽しみにしてください。


では、早速作品をどうぞ


ブルースカイ王国にて、ドンと一体の怪人がクイーンミラージュ達は勿論、他の怪人たちにも内緒で密談していた。

 

 

「それじゃあ、行きましょう」

 

 

ドンの言葉に怪人は頷き、2人してその場から消える。

 

 

その様子を見ていた1人の影があった事も知らずに...

 

 

☆★☆★☆★

 

パリのエッフェル塔前。

 

 

マカロンをモチーフにしたサイアークと、パリのプリキュア『キュアアール』が立っていた。

 

 

しかし、キュアアールは既に傷だらけで巨大な筆を杖の代わりにしてようやく立っている状態だった。

 

 

「芸術の都、パリはこのメルシィプリキュアが!守って見せる!」

 

 

そう、宣言すると同時に羽根で飛び上がる。

 

 

「たぁ―――っ!!」

 

 

キュアアールは、筆をサイアークに向けて振りかざす。

 

 

しかし、左手のマカロンで簡単に受け止められてしまう。

 

 

「そんな!」

 

 

受けとめられた事に驚いたキュアアールは、反撃のサイアークの攻撃に対処できなかった。

 

 

「サイアーク!!」

 

「ああ――――っ!!」

 

 

右手のマカロンで殴り飛ばされたキュアアールは、墜落してしまう。

 

 

地面に倒れたキュアアールの前に、自身の武器である筆が落ちてきた。

 

 

「私1人の力じゃ...」

 

 

サイアークに手も足も出なかった事に、キュアアールは悔しそうに呟く。

 

 

右手を構えられ、目を瞑り頭を引くキュアアール。

 

 

そこに――

 

 

『いただきますとごちそうさま』

 

 

歌が聞こえ、キュアアールはハッと目を開け、サイアークは動きを止める。

 

 

「この歌は?」

 

 

キュアアールは、上を見上げる。

 

 

『笑顔が膨らむ合言葉♪幸せご飯で今日もハピネス!』

 

 

キュアアールは、エッフェル塔の鉄骨の上で歌うキュアハニーの姿を見つけた。

 

 

「彼女もプリキュア?あの歌声を聞いてると不思議と力が湧いてくる!」

 

「ボンジュール、私はキュアハニー。あなたの応援に日本から来たの。あと少しだよ、頑張って!」

 

「メルシー、キュアハニー」

 

 

キュアアールはレディー風に、キュアハニーに感謝する。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

サイアークのパンチを、キュアアールは筆で受け止める。

 

 

さっきまでのキュアアールならまた吹っ飛ばされていたかもしれないが、キュアハニーに支援された今のキュアアールなら防ぐことも簡単だった。

 

 

しかし、援護はそれだけでは無かった。

 

 

ガアァァァァァァァッ!!

 

 

獣の雄叫びと共に、ライオンのエネルギー波がサイアークにぶつかりサイアークを吹き飛ばす。

 

 

キュアアールがエネルギー波が飛んで来た方に顔を向けると、そこには黒獅子の鎧を纏った理央の姿があった。

 

 

「今だ!!」

 

 

理央に言われ、キュアアールは止めの必殺技をサイアークに決める。

 

 

「パッソーアルカンシェル!!」

 

 

筆から放たれた虹色の光がサイアークに直撃し、浄化する。

 

 

サイアークを浄化したキュアアールは、ハニーの居た所を見る。

 

 

そこには、今の様子を嬉しそうな顔で見るハニーと腕を組んでいる理央の姿があった。

 

 

「皆さん!ご覧いただけましたでしょうか?ぴかりが丘が誇る歌うプリキュア、キュアハニーの世界的大活躍が海の向こうから続々と届いています」

 

 

場所は変わり、スタジオで今の戦いをスタジオで美代が中継していた。

 

 

「今や彼女は世界のキュアハニーなのです!」

 

 

スタジオに映る映像には、カメラに気付いたハニーがポーズを決めるところだった。

 

 

「そのキュアハニーと共に居る黒獅子理央!!その圧倒的な実力!!ますます目が離せません!!」

 

☆★☆★☆★

 

「ゆうゆう!!!」

 

 

めぐみの大声で、揺れる大使館。

 

 

「見たよ、プリキュアウィークリー!!何時の間に世界で活躍してたの?」

 

 

そう質問するめぐみの目は、キラキラと輝いていた。

 

 

「だいぶ前からかなー?」

 

「水臭いわねー。私達に一言言ってくれればいいのに」

 

 

照れ笑いするゆうこに、いおなは腰に手を当て不満げだった。

 

 

「本当だぜ、てゆうか何で理央は知ってたんだよ」

 

「僕がゆうこと理央に頼んだんだ。ゆうこなら、世界のプリキュア達のサポートや相談にも乗れると思ってね。理央にはそんなゆうこの手伝いを頼んだんだ」

 

 

誠司の質問に答えたのは、ゆうこでも理央でもなく、鏡から出てきたブルーだった。

 

 

「なんで理央にゆうこの手伝いを頼んだんだよ」

 

「もしサイアークが巨大になったら、ハニー1人では対処が難しいからね。理央に頼んだんだよ」

 

「まぁ、結局あれが巨大になるのは今の所は此処だけだがな。精々俺が出来るのはプリキュア達の援護する位だな」

 

 

その言葉を聞いて、ゴウは理央が行く必要があるのかと考えたが口には出さなかった。

 

 

「神様のお手伝いをさせてもらうと、たくさんのプリキュアとお友達になれるし...世界中のご馳走を食べることが出来るの!」

 

 

ウットリとするゆうこに、理央もうんうんと頷く。

 

 

心なしか、口の端に涎が見えていた。

 

 

「(それが目的か!!)」

 

 

ゴウが心の中で突っ込む。

 

 

「おお!さすがゆうゆう。まさに世界のキュアハニーって感じだね」

 

 

ゆうこが活躍してる事に、めぐみは嬉しそうにする。

 

 

「だめだめ!ゆうこは私達ハピネスチャージプリキュアのものなんだからね!誰にも渡さないもん!」

 

 

そう言って、ひめはゆうこに抱き着いた。

 

 

「ひめちゃん」

 

 

ひめのその様子を見て、ゆうこは嬉しそうにする。

 

 

「ロロー!!」

 

 

その場に、誠司達やめぐみ達の物でもない泣き声が響く。

 

 

光る鏡の中から、1体の妖精が出てきた。

 

 

その妖精は泣きながら、めぐみの顔に張り付いた。

 

 

めぐみは慌てて、顔から引き剥がす。

 

 

「なんじゃー?」

 

 

引き剥がした妖精の顔を見たリボンとグラサンは、揃って声を上げる。

 

 

『アロアロ!?』

 

 

「あ、ブルー様!アローハプリキュアが大変ロロ!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ハワイの2人に何かあったのかい?」

 

 

「とにかく大ピンチなんだロロ」

 

 

ブルーの質問に、アロアロは涙目で報告する。

 

 

「神様!私アロアロちゃんと一緒にハワイに行ってきます!!」

 

「ゆうこが行くなら、俺も行こう」

 

「ゆうこ...理央...」

 

「アローハプリキュアのために、そしてハワイ名物ロコモコを食べる為に!!」

 

 

私欲丸出しのゆうこに、黙る一同。

 

 

先程まで泣いていたアロアロまでもが、黙って見詰める程だった。

 

 

「分かった。それならゆうこ達にお願いするよ」

 

 

最後の言葉を聞かなかった事にしたのか、何故かそこはスルーをしたブルー。

 

 

「だめだめ!!1人でなんか行かせないよ!!ハワイのプリキュアにゆうこを取られちゃったらどうするの!!」

 

 

ひめはゆうこに抱き着いて、1人で行かせることを断固反対する。

 

 

「あたしだって、ゆうゆうと一緒に世界のプリキュアを助けたい!!」

 

 

めぐみも負けじとゆうこに抱き着き、その様子をゆうこは苦笑いするしか無かった。

 

 

「私はゆうこがどうやって世界のプリキュアをサポートしているのか、じかに見て見たいわ」

 

「それなら、みんなでハワイに行ってみる?」

 

『うん!』

 

「ええ!」

 

 

ゆうこの質問に、めぐみ達は2つ返事で引き受ける。

 

 

「理央も行くんだ、俺達ゲキレンジャーも力を貸すぜ!!」

 

『えぇ!!』

 

「そうだな!!」

 

「押忍!!燃えて来たぜ!!」

 

「決まりですわ!!ハピネスチャージプリキュア、ゲキレンジャー、海外出張ですわー!!」

 

 

誠司達も行くと決めた事で、リボンもはしゃぎ出す。

 

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

めぐみ達はリゾートのプリカードを使い、変装をする。

 

 

「変装完了、でも...わざわざこんな格好しなくても」

 

「折角ハワイに行くんだから、とびっきりのオシャレをして行くのよー!!」

 

 

そう張り切るひめの後ろに、ハワイの砂浜にビッグウェーブ、そして輝く太陽が見えた気がした。

 

 

「それより、誠司達は変装しないの?」

 

「あのなぁ...ハワイは今、緊急事態なんだぞ。態々変装する必要ないし、戦う準備の方をした方が良いんじゃないのか?」

 

「ぶーぶー!!」

 

 

誠司の正論に、ひめは不満げに叫ぶ。

 

 

鏡の間へ移動した誠司達は、中央の鏡の前へと立つ。

 

 

「メレ、ぴかりが丘の事は任せるぞ」

 

「はい!理央様」

 

 

メレは元気よく返事をすると、なんと理央の頬にキスをした。

 

 

突然の出来事に、その光景を見ためぐみ達やランやリン、そして不満げに叫んでいたひめまでもが顔を赤らめる。

 

 

「無事を祈っております」

 

「あぁ」

 

 

素っ気なく返事をする理央だったが、その顔はめぐみ達同様赤くなっていた。

 

 

「もうあれって新婚夫婦の領域だよな」

 

「あぁ、さっさと結婚しろ」

 

 

2人の新婚夫婦のようなやり取りに、ゴウとケンは呆れる。

 

 

そしてその中で、さっきのやり取りとゴウ達の言葉の意味が分からなかった誠司は首を傾げる。

 

 

「あいかわらずだね誠司君は」

 

 

誠司の鈍感さに、ブルーは少し呆れる。

 

 

「そ...それじゃあお願いします」

 

 

仕切り直して、めぐみがブルーにハワイへとゲートを開くように頼む。

 

 

「鏡よ、彼女達をハワイへ」

 

 

ブルーの力で、中央の鏡が光り出す。

 

 

光の道を通って、誠司達はハワイへと移動する。

 

 

「アローハ!ハワーイ!」

 

 

光の道を抜け、ハワイへ到着したと同時にひめが元気よく挨拶する。

 

 

しかし...

 

 

ひゅ~

 

 

『ひー!』

 

 

風の一吹きで、寒がるめぐみ達。

 

 

「ハワイって暑いんじゃないのぉ?」

 

 

めぐみの最も疑問に、誠司は辺りを見渡した。

 

 

「なんだよこれ...海だけじゃなく、植物まで凍ってやがる」

 

 

ハワイと言えば常夏をイメージするが、ヤシの木やハイビスカス、そして綺麗な海までもが凍り付いた氷の世界へと変貌していた。

 

 

「ここここ、これじゃまるで南極よー」

 

 

寒さに震えるめぐみ達だったが、ここでひめがある事に気付いた。

 

 

「って!!誠司達もう変身してるし!!」

 

 

誠司達が既にゲキレンジャーに変身している事に、ひめが突っ込みを入れる。

 

 

「変身しとけば、少しは寒さがマシになるからな」

 

 

『ずるーい!!!』

 

 

誠司の言葉に、めぐみ達が非難する。

 

 

「ハワイは今、プリキュアが幻影帝国に負け続けたせいで半分が氷漬けにされたんだロロ」

 

「そんな...」

 

「まじかよ...」

 

 

アロアロの説明に、誠司達は言葉を失う。

 

 

ドォォォォォォン!!という地響きが聞こえ、全員が構える。

 

 

ゲキレッド達が現れた場所からそんなに離れていない場所に、ファイヤートーチをもったサイアークと戦う2人のプリキュアの姿があった。

 

 

「ハワイのプリキュア?」

 

「キュアサンセット!キュアウェーブ!」

 

 

めぐみの質問に、アロアロが叫ぶように2人の名前を呼ぶ。

 

 

「サンセット、慎重に」

 

「そんなんじゃ、このハワイを取り戻せない!」

 

 

長い巻きスカートと大きな花の髪飾りが特徴のオレンジ色のプリキュア『キュアサンセット』と、大きなシニョンが特徴の水色のプリキュア『キュアウェーブ』。

 

 

その2人が言い争いをしながら、サイアークと戦っていた。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

サイアークに向けて、突撃するキュアサンセット。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

足元を狙ったファイヤートーチの攻撃をジャンプで回避し、パンチやキックを繰り出すが全てファイヤートーチで防がれてしまう。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

サイアークのカウンターパンチを、サンセットの前にウェーブが立ちはだかる事で受け止めるが、結局2人共殴り飛ばされてしまう。

 

 

「ウェーブ、余計な事しないで!」

 

「サンセットが考えも無しに突っ込んでいくから」

 

 

ウェーブの返す言葉に、サンセットはキッと睨みつける。

 

 

「モーメモメー!揉め事は最高ねー」

 

 

その2人の様子を、ダンス講師風の衣装を着たオカマ男が笑いながら見ていた。

 

 

「サイアーク!!」

 

 

サイアークがファイヤートーチを振るい、火球が2人に向けて放たれた。

 

 

「不味い!!行くぞ理央!!」

 

「ああ!!」

 

 

ゲキレッドと理央は2人を助ける為に、技を構える。

 

 

「ゲキワザ!!砲砲弾!!」

 

「リンギ!!剛勇吼波!!」

 

 

ゲキレッドが放った技が炎を弾き、理央が放った技がサイアークを吹き飛ばす。

 

 

サンセット達はそこでようやく、ゲキレンジャー達の存在に気付いた。

 

 

「ちょっとー、モーメモメ。何よあんた達」

 

「日本から来た助っ人だ!!」

 

「ふ~ん、貴方達がゲキレンジャーねぇ~。これで少しは面白くなりそうね、け~どもうそろそろお肌のケアの時間なの~。また今度ね~バイバ~イ」

 

 

そう言いながら、投げキッスをする。

 

 

それを見た男性陣は、ゾクゾクと背中に寒気が走った。

 

 

「待ちなさいマダムモメール!!まだ私達は負けてないわ!!」

 

 

その場を去ろうとするオカマ男『マダムモメール』を、サンセットが止める。

 

 

「ふん、サンセットー私に勝ちたいならその情けない妹をどうにかしなさいよ。あなた1人の方が大分マシになるわ」

 

 

言われたウェーブはしょんぼりとし、聞いたサンセットもムッとする。

 

 

「足手まといはさっさと切り捨てるのね、じゃあ今度こそ行くわ。またモメモメ、楽しませて頂戴ねー!」

 

 

空中に浮遊後、マダムモメールはテレポートで今度こそいなくなった。

 

 

「オハナ!オリナ!」

 

 

2人の本来の名前を叫びながら、アロアロは2人に駆け寄る。

 

 

その後ろをゲキレッド達もついていく。

 

 

「アロアロ?」

 

 

知らない人たちを連れたアロアロに、サンセットは不思議そうな顔をする。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、誠司達はアロ~ハプリキュアの2人が住んでいる家に訪れていた。

 

 

「日本のプリキュアとスーパー戦隊が、わざわざ助けてくれたロロ!!」

 

 

アロアロは、嬉しそうに誠司達を紹介する。

 

 

「初めまして、私達はハピネスチャージプリキュアっていいます」

 

「俺達は獣拳戦隊ゲキレンジャーだ、宜しくな」

 

 

プリキュアを代表してめぐみが、ゲキレンジャーを代表して誠司が2人に挨拶する。

 

 

「別に私達は助け何か頼んでないわよ」

 

「オ、オハナ...何もそんな言い方しなくたって」

 

 

サンセットであるオハナの棘のある言い方に、ウェーブであるオリナが咎める。

 

 

そんなオハナの様子に、誠司達は困り顔になりいおなだけはその2人を厳しい顔で見ていた。

 

 

「うへ、2人は姉妹でプリキュアなんだよね」

 

「妹じゃなかったらオリナと一緒になんて戦わないわ」

 

 

めぐみの質問に、オハナは冷たく返答しオリナはその言葉で半泣きになる。

 

 

「いつもウジウジ考えて、あたしの足を引っ張ってばかりなんだから」

 

 

嫌味を言うオハナに我慢が出来なかったのか、オリナも反論する。

 

 

「私は、よく考えて戦っているだけだよ!オハナみたいに単純じゃないの」

 

「何よそれ!」

 

 

オリナの反論に怒るオハナ、睨み合う両者。

 

 

「2人共ケンカしちゃダメロロ!」

 

 

その2人の間に、割って入るアロアロ。

 

 

「ダメロロ...」

 

 

ポロポロと涙を流すアロアロに、オハナは顔を背け、オリナは俯く。

 

 

ここでいおなとケンが我慢できず、立ち上がった。

 

 

「ちょっとあなた達、妖精を泣かせるプリキュアなんて最低よ」

 

「あぁ、俺も我慢出来ねぇ!!言わせてもらうがな!!わざわざ助けに来たってのに何だその態度は!!」

 

「だから最初から助け何て求めてないって言ってるでしょ!!」

 

「そうよ!!日本の人達は黙ってて!!」

 

 

いおなとケンの言葉に、オハナとオリナが反論する。

 

 

「な、あのねー!?」

 

「何だとテメェこの野郎!!?」

 

 

2人の言葉に、さらにムッとするいおなとケン。

 

「もうストップストップ―!!」

 

「ここは一旦落ち着いてー」

 

 

あまりの出来事に、めぐみとひめが4人の間に入り仲裁する。

 

 

「お前も落ち着け!」

 

「気持ちは分かるが、熱くなったら話も出来ないだろうが!」

 

 

誠司とゴウが、今にも掴みかかりそうなケンを2人掛りで羽交い絞めにして抑える。

 

 

何か言おうとしたオハナとオリナの口に、ハニーキャンディが放り込まれる。

 

 

放り込んだのは勿論、ゆうこだった。

 

 

自身もハニーキャンディを食べ、大きなバスケットを取り出した。

 

 

「あのね、私日本から美味しいご飯を持ってきたの。まずはみんなでお昼ご飯にしましょ!」

 

『ごはん?』

 

 

2人がきょとんとする中、ゆうこがニッコリと笑いご飯の準備をする。

 

 

「ジャジャーン!!おおもりご飯特製仲良しスペシャルです!!」

 

 

ゆうこが紹介するお弁当は、エビフライや唐揚げ、出汁巻き玉子等美味しい料理が並んでいた。

 

 

「召し上がれー」

 

「わあ!まさかハワイでおおもりご飯が食べられるなんてー」

 

「あぁ、どれも美味そうだな!!」

 

 

おおもりご飯のご飯が食べられる事に、めぐみと誠司は素直に喜ぶ。

 

 

「ね、いおなも一緒に食べよ」

 

「じゃあ少しだけ」

 

 

ひめに誘われ、いおなも不満そうにしながらも頷く。

 

 

めぐみがロールキャベツ、ひめがソーセージ、いおなが出し巻き玉子を食べる。

 

 

『おいしー』

 

「おー!」

 

 

美味しそうに食べるめぐみ達に、オハナとオリナはあんぐりとする。

 

 

「本当に美味いな!!」

 

「美味しい!!」

 

 

誠司やランは勿論、先程まで不機嫌だったいおなやケンまでも笑顔で料理を食べていた。

 

 

「2人共食べてみて、とっても美味しいから」

 

 

2人に勧めるゆうこにオハナとオリナも、エピフライを食べる。

 

 

『リアリー!!美味しい!!』

 

 

ぱあっと2人は笑顔になり、顔を見合わせる2人。

 

 

しかし、ふと我に返りそっぽを向く。

 

 

「おいしいご飯を一緒に食べると、ケンカなんか忘れて笑顔になっちゃうよね」

 

 

ゆうこの言葉を証明するかのように、いおなとケンは目を輝かせながら黙々とご飯を食べていた。

 

 

その様子を見て、諦め顔で俯く2人。

 

 

横目でお互いを見た2人は、目が合うとまた顔を逸らす。

 

 

「お腹いっぱいになったら、ハワイのお話聞かせてくれる?」

 

 

ゆうこにそう言われ、オハナとオリナはゆっくりと頷いた。

 

 

その様子を見ていた誠司達は、改めてブルーがゆうこを選んだ事が正しかったと実感した。

 

 

「私達、マダモメールがハワイに来てからまだ一度も勝ててないの」

 

 

そこでようやく、オハナが自分達の現状を明かす。

 

 

「ハワイが氷の世界にされていく内に、ケンカも多くなっちゃって」

 

「大切な場所がこんな風にされたら、誰だって辛いもの」

 

 

ゆうこの言葉に、オハナとオリナは泣きそうになる。

 

 

「で?お前達はこれからどうするんだ?」

 

 

理央の質問に、オハナとオリナは答える。

 

 

「私は、モメールに勝ってハワイを元の姿に戻したい!!みんなが自然と笑顔になれる、あの太陽が好きだから」

 

「私も、あのキラキラ輝く優しいハワイの海に戻したい!!」

 

 

話を聞いた理央は、軽く微笑みながら2人に告げる。

 

 

「お前達は考える事が一緒なんだな」

 

 

理央の言葉に、オハナとオリナはきょとんとする。

 

 

「そうだな、オハナもオリナもこのハワイが大切なんだろ。だったらもう一度2人で戦う事が出来る筈じゃないのか」

 

 

理央の言葉に同調した誠司が、そう2人に告げる。

 

 

「俺達ゲキレンジャーも、ハピネスチャージプリキュアも手を貸すぜ」

 

 

誠司の言葉に、めぐみ達全員が頷く。

 

 

誠司達の意志を受け取り、頷く2人。

 

 

「オリナ、色々とゴメンね」

 

「ううん、私こそごめんなさい」

 

 

ここでようやく、2人の気持ちが1つとなるのだった。

 

 

「2人共一緒に頑張ろうね」

 

 

2人の肩に手を置き、3人はニッコリと笑い合う。

 

 

「うへぇ~、よかったロロー」

 

 

ようやく2人が仲直りした事に、アロアロは涙目になりながら嬉しそうにする。

 

 

「へっ、世界のキュアハニーはだてじゃないぜ」

 

「でもなんだかゆうこが遠くに行っちゃった気がするな」

 

「そんなことないよ、みんなに優しいのがゆうゆうなんだから」

 

 

みんなが和んでる中、場違いな叫び声が聞こえる。

 

 

「ちょっとモメモメー!!」

 

 

聞き覚えのある声を聞き、全員が外に出る。

 

 

するとそこには、大勢のチョイアークと2体のサイアークを引き連れたマダムモメールがいた。

 

 

「もう!!私の大好きなモメモメの香りが消えちゃってるじゃないのよ!!」

 

 

鼻をクンクンとしながら、そう怒り奮闘に叫ぶマダムモメール。

 

 

「もうこれ以上、私達の大好きなハワイをあなたの好きにはさせない!!」

 

「オハナの言う通りだ!!俺達が居る限り、お前達の好きにはさせないぞ!!」

 

 

誠司がめぐみ達の方に視線を向けると、全員誠司に向かって頷く。

 

 

反対の方に立つオハナとオリナの方に視線を向けると、他の皆同様2人も頷く。

 

 

 

 

 

「行くぞ!!!」

 

 

 

 

誠司の合図で、全員が変身アイテムを構える。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力!!』

 

「響け!!ケモノの叫び!!」

 

「研ぎ澄ませ!!ケモノの刃!!」

 

「臨獣ライオン拳!!」

 

 

 

『ビースト・オン!!!』

 

「臨気凱装!!!」

 

 

 

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

『プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!』

 

「プリキュア!!きらりんスターシンフォニー!!」

 

 

アロ~ハプリキュア達も含め、全員が変身する。

 

 

「赤い夕陽は明日への誓い!!キュアサンセット!!」

 

「寄せて返す、悠久の調べ!!キュアウェーブ!!」

 

『南国に輝く2つの光、アロ~ハプリキュア!!』

 

 

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!!キュアラブリー!!」

 

「天空に舞う、蒼き風!!キュアプリンセス!!」

 

「大地に実る、命の光!!キュアハニー!!」

 

「夜空に煌めく、希望の星!!キュアフォーチュン!!」

 

『ハピネス注入!!』

 

『幸せチャージ!!』

 

『ハピネスチャージプリキュア!!』

 

 

 

「身体に漲る、無限の力!!アンブレイカブル・ボディ!!ゲキレッド!!」

 

「日々是精進、心を磨く!!オネスト・ハート!!ゲキイエロー!!」

 

「技が彩る、大輪の花!!ファンタスティック。テクニック!!ゲキブルー!!」

 

「紫激気!!俺流!!我が意を尽くす!!アイアン・ウィル!!ゲキバイオレット!!」

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!!アメイジング・アビリティ!!ゲキチョッパー!!」

 

「猛き事、獅子の如く!!強き事、また獅子の如く!!我が名は黒獅子・理央!!」

 

 

「燃え立つ激気は、正義の証!!」

 

『獣拳戦隊ゲキレンジャー!!!』

 

 

 

今ここに、ハワイを守る為に12人の戦士が並び立つ。

 

 

「ハピネスチャージ!?ゲキレンジャーだけでなく、日本のプリキュアまで...」

 

 

マダムモメールが驚く中、チョイアーク達がゲキレッド達に襲い掛かる。

 

 

『チョイー!!』

 

「はぁ!!」

 

チョイアークの攻撃を裏拳で退け、吹き飛ばす。

 

 

「やぁぁぁぁ!!」

 

 

チョイアークを蹴り飛ばしたウェーブの前に、サイアークが立ちはだかる。

 

 

構えるサンセットとウェーブの2人、サンセットはジャンプし、ウェーブはそのまま突っ込む。

 

 

サンセットはジャンプからのパンチを繰り出すも、ファイヤートーチで防御される。

 

 

サンセットに続き、ウェーブもハイキックをするも空振ってしまう。

 

 

「サイ...アーク!!」

 

 

ファイヤートーチを横薙ぎするだけで、2人を殴り飛ばすサイアーク。

 

 

『きゃあっ!!』

 

 

着地する2人は、自分達の攻撃が簡単にいなされた事で悔しそうに歯を食いしばる。

 

 

「プリキュア!!ハニーリボンスパイラル!!!」

 

 

空中から、ハニーがリボンで数体のチョイアークを拘束する。

 

 

「お願いレッド!!」

 

「おう!!スーパービースト・オン!!!」

 

 

ゲキレッドはスーパーゲキクロウを使用し、スーパーゲキレッドへと変身する。

 

 

スーツのダクトから噴出した過激気によって上空へと飛翔し、チョイアークとの距離を一気に縮めた。

 

 

「ゲキワザ!!スーパータイガー撃!!!」

 

 

地面に叩きつける様に、拘束されたチョイアークへとスーパーゲキクロウを撃ちつける。

 

 

 

 

 

ゲキレッドが数体のチョイアークを倒す中、別のチョイアークがゲキイエローに突撃する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

ダダダダダダッと多数の正拳突きを放ち、突撃してきたチョイアークを圧倒する。

 

 

「頼んだわよ!!ラブリー」

 

「うん!!」

 

 

ゲキイエローに応え、ラブリーが動く。

 

 

『かわルンルン!!』

 

「プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!チェリーフラメンコ!!」

 

 

ラブリーは、チェリーフラメンコへとフォームチェンジする。

 

 

「プリキュア!!パッションダイナマイト!!」

 

フラメンコのダンスを舞い、ラブプリブレスを叩く。

 

 

ラブリーの周りに、炎が渦を巻き始める。

 

 

「オ・レ!!!」

 

 

ラブリーの掛け声で渦を巻いていた炎が爆発し、チョイアーク達を吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

「ハワイと言ったら、これで決まりですわー!!」

 

 

そう言って、リボンはプリンセスにプリカードを投げ渡す。

 

 

「サンキューリボン!!ナイースチョイ―ス!!」

 

『かわルンルン!!』

 

「プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!マカダミアフラダンス!!」

 

 

プリンセスは、マカダミアフラダンスへとフォームチェンジする。

 

 

「プリキュア!!ハワイアンアロハロエ!!」

 

 

ラブプリブレスを叩く事で、敵と共にフラダンスを舞い踊り、ゆったりとした気分にさせる事で油断させる。

 

 

キッスを投げた後、チョイアーク達は白く浄化され天へと昇っていく。

 

 

「サイア~ク...」

 

 

プリンセスと共に、サイアークもフラダンスを踊っている。

 

 

「はふ~、本場ハワイのフラダンスは最高ですわ」

 

 

フラダンスを踊っていたのは敵だけでなく、リボンとぐらさんまでもがうっとりとしながら踊っていた。

 

 

「ブルー!!決めちゃって!!」

 

「分かったわ!!」

 

 

ゲキブルーはゲキファンを取り出し、高々と宣言する。

 

 

「今度は私が、綺麗な舞を見せてあげる!!!」

 

 

2枚のゲキファンを使い、フラダンスを踊って油断しているサイアークと一緒に空高くへと舞い上がる。

 

 

「ゲキワザ!!昇昇舞!!!」

 

 

空へと舞い上がったゲキブルーは、縦横無尽に飛び回りサイアークを攻撃する。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

攻撃しているにも関わらず、その動きはまるで演舞のようだった。

 

 

「ブルー!!凄い綺麗ですわ」

 

 

2枚のゲキファンを器用に使い、空を舞うゲキブルーはサイアークに止めをさす。

 

 

「ゲキワザ!!宙宙斬!!」

 

「サイ...アーク...」

 

 

2枚のゲキファンに激気を集め、サイアークを切り裂く。

 

 

 

 

 

「俺も負けてられないな!!」

 

 

皆の活躍を見て、ゲキチョッパーは気合を入れる。

 

 

ゲキチョッパーに向けて、大勢のチョイアークが迫って来る。

 

 

「サイブレードフィンガー!!捻捻弾!!」

 

『チョイ―!!?』

 

 

サイブレードフィンガーの指先から打ち出された激気弾が、チョイアーク達を襲う。

 

 

「まだだ!!サイブレードカッター!!」

 

 

ゲキチョッパーはブレードを返し、サイブレードカッターへと変形させる。

 

 

「鋭鋭刀!!」

 

 

勢いよく振り下ろされたサイブレードカッターが、チョイアークを一刀両断する。

 

 

「よっしゃー!!後は頼んだぜ!!フォーチュン!!」

 

「OK!!チョッパー!!」

 

 

引き受けたフォーチュンは、必殺技を決めに行く。

 

 

「星の光を聖なる力に!!フォーチュンタンバリン!!」

 

 

掛け声と共に、フォーチュンタンバリンを召喚した

 

 

「プリキュア!!スターライトアセンション!!」

 

 

タンバリンを舞い踊り、紫色の鎖と星を纏った金色の閃光波がチョイアーク達を襲う。

 

 

『チョイ―......』

 

 

スターライトアセンションで、多くのチョイアークが浄化される。

 

 

 

 

また、別の場所ではゴウと理央のタッグで戦っていた。

 

 

「ゲキワザ!!狼狼蹴!!」

 

 

高速回転で威力を高めた右足で、チョイアークの延髄を蹴り込む。

 

 

「烈蹴拳!!」

 

 

臨気を脚に込め、超高速で強力な回し蹴りをチョイアークに放つ。

 

 

「さっさと決めるぞ!!理央!!」

 

「ああっ」

 

 

バイオレットが青紫激気を纏う事で、ゴングチェンジャーがゴングチェンジャーブルーへと変化する。

 

 

「轟け!!ケモノの叫び!!ビースト・オン!!」

 

 

掛け声と共に、ゴングを鳴らすことで青紫激気がスーツとなり、ゲキブルーバイオレットへと変身する。

 

 

「リンギ!!剛勇吼波!!」

 

 

理央から撃ち出された剛勇吼波に向かって、ブルーバイオレットが走り出す。

 

 

「行くぜ!!」

 

 

ブルーバイオレットが剛勇吼波を脚で蹴り、青紫激気を送り事によって理央の臨気に混ざる事で威力を増す。

 

 

『合技!!剛勇狼弾(ごうゆうろうだん)!!』

 

 

ガッアァァァァァァァァァァッ!!!

 

 

2つの気が交わったエネルギー波が、チョイアーク達を襲う。

 

 

ドッガァァァァァァァン!!

 

 

「チョイ―...」

 

 

2人の必殺技を受け、残っていた最後のチョイアーク達が浄化される。

 

 

ゲキレンジャーとハピネスチャージの戦いを見て、アロ~ハの2人はその戦いぶりに驚く。

 

 

「凄い」

 

「どうしてあんな戦い方ができるの」

 

「2人にもきっと出来るロロ、アロアロは信じてるロロ」

 

 

泣きそうになりながらも、アロアロは2人を真っ直ぐ見つめていた。

 

 

『アロアロ...』

 

 

アロアロの言葉に、2人も泣きそうになる。

 

 

「あんた達には無理よ。サイアーク、先に2人をやっておしまい」

 

 

マダムモメールの命令を受け、最後の1体となったサイアークがアロ~ハプリキュアの2人を襲う。

 

 

構えるサイアーク、すると木の棒に火が灯りファイヤートーチになる。

 

 

そして、ファイヤートーチを回転させる。

 

 

驚いて見てる2人に、ファイヤートーチを投げるサイアーク。

 

 

「サンセット!!」

 

 

狙われたサンセットを突き飛ばし、身代わりとなって直撃する。

 

 

「ウェーブ!!」

 

 

駆け寄るサンセット、倒れるウェーブを抱きかかえる。

 

 

「何で無茶したのよ!?」

 

 

半ば怒りながらも質問するサンセットに、ウェーブは静かに答える。

 

 

「うう...そんなの、お姉ちゃんだからに決まってるじゃない」

 

「ウェーブ...」

 

 

ウェーブの言葉に、サンセットは涙を浮かべ抱きしめる。

 

 

そこに、マダムモメールの高笑いが響く。

 

 

「情けないわねー、だからダメな妹何て切り捨てろって言ったのよ」

 

「妹を悪く言わないで!!」

 

 

馬鹿にするマダムモメールだったが、まさか反論されるとは思わなかったのかあんぐりとする。

 

 

「この子は、いつもウジウジして頼りない所もあるけど、いつも私を支えてくれる大切な妹なんだから!!」

 

「サンセットだって、いつも考えなしに動くしワガママばっかりだけど、私の大好きなお姉ちゃんだよ」

 

 

にっこりと笑い合う2人に、我慢が出来ずイライラするマダムモメール。

 

 

「何よあんた達!!なんでそんな仲良くなっちゃったわけ?」

 

「キュアハニー達が教えてくれたの、私達の守りたいものは一緒なんだって!!」

 

「その為にも2人で力を合わせるって決めたの」

 

 

2人の言葉が気に食わなかったのか、マダムモメールは喚き散らす。

 

 

「あたしわねー、ケンカだらけの世の中にしたいのよ!!皆が憎み合う冷たい世界に!!もっともめちゃいなさいよ!!」

 

「私は揉め事は嫌いよ!!」

 

 

ハニーは、アロ~ハプリキュアの2人の隣に立って叫ぶ。

 

 

「あなたは多くのものを凍らせるうちに自分自身の心まで冷たくしてしまったのね」

 

「何よ小娘が!!生意気ね!!」

 

 

そして今度は、理央が一歩前に出てハニーの横に並ぶ。

 

 

「確かにお前の言う通り、人は時には喧嘩する。それによって取り返しのつかない事を仕出かしてしまう愚かな生き物だ」

 

 

理央のその言葉は、かつて世界に恐怖を齎せていた自分自身に向けた言葉だった。

 

 

「理央...」

 

「あら?良く分かってるじゃない。あなたとは気が合いそうね」

 

 

理央の言葉に、ゲキレッドは悲しそうに見つめ、マダムモメールは自分と同じ考えを持つ人間が現れたと思い喜ぶ。

 

 

「だがな!!たとえ大きな過ちを犯してしまったとしても、互いの事を分かり合い強い絆を得る事が出来る!!この俺の様にな」

 

 

最後はゲキレッド達の方に視線を向ける理央、それに対してゲキレッド達は大きく頷いて肯定する。

 

 

「何よ!!他にも仲間が出来ると思って喜んだのに!!サイアーク!!お仕置きしちゃって!!」

 

 

マダムモメールの命令に、やる気満々の2体のサイアーク。

 

 

2体のサイアークは棒に炎を灯し、2本のファイヤートーチを理央に向かって投げ飛ばす。

 

 

「臨気王凱装!!」

 

 

獅子黒刀を召喚し、黒獅子王へと変身する。

 

 

「リンギ!!獅子一閃!!」

 

 

刀身に黒と黄色が入り混じったエネルギーが纏い、横一線に切り付けた。

 

 

刀身が長くなり、飛んで来たファイヤートーチを全て弾く。

 

 

「ハニーヒーリングリズム!!」

 

 

その間に、ハニーがアロ~ハプリキュアを回復させる。

 

 

「凄い!!」

 

「身体中に力が漲って来る!!」

 

 

自身の力が回復しただけでなく、力が漲って来ることに2人は驚く。

 

 

「さぁ、2人の力でハワイを取り戻して!!」

 

「今回は俺も手を貸してやる!!」

 

『うん!!』

 

 

ハニーと理央の言葉に、2人は力強く頷く。

 

 

理央は獅子黒刀を両手で持ち、頭上に掲げる。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

理央の気合と共に、獅子黒刀の刀身にさっきよりも多くのエネルギーが纏い巨大な大剣へと姿を変える。

 

 

「リンギ!!獅子断斬!!!」

 

 

振り下ろされた巨大な大剣が、サイアークを一刀両断する。

 

 

「サ...サイアーク...」

 

 

圧倒的な力に呑まれ、サイアークは浄化される。

 

 

「私達も行くよウェーブ!!」

 

「OK!!サンセット!!」

 

 

サンセットの左掌にウェーブは右掌を合わせて、背中をくっつける。

 

 

「ハワイの精霊達よ」

 

「プリキュアに力を」

 

 

無数のオレンジと青の光が、上から2人に降り注ぐ。

 

 

「プリキュア!!ハワイアンリノアフア!!」

 

 

合わせていた掌を前に向け、光のクローバーがサイアークに向けて放たれる。

 

 

光のクローバーが命中したサイアークは、中に閉じ込められる。

 

 

『アロ~ハ』

 

「ごくら~く...」

 

 

その言葉を合図に、サイアークは光に包まれ浄化される。

 

 

「やったロロ!!」

 

 

初めて勝てた事に、アロアロは喜ぶ。

 

 

「すっごーい!!」

 

「アロ~ハプリキュアめちゃくちゃ強いじゃん!!」

 

 

ラブリー達も勝てた事に喜び、言葉が無いながらもハニーと理央も満足そうだった。

 

 

「う――っ!!!」

 

 

悔しそうに、ハンカチを噛んでるマダムモメール。

 

 

「次こそは、ハワイをカッチンコッチンにしてやるんだから!!」

 

 

そう言い残し、マダムモメールはテレポートで逃亡した。

 

 

マダモメールが姿を消すのと同時に、今まで凍っていたハワイが元の姿を取り戻す。

 

 

「うーん、やっぱこれでこそハワイよねー」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

夕方になり、誠司達は姉妹の家の前でハワイ名物『ロコモコ』を味わっていた。

 

 

「ロコモコリアリー」

 

「ハンバーグと目玉焼きを引き立たせる、このグレービーソースが最高ね!!」

 

 

ロコモコの美味しさに、口にソースを着けながらウットリとするひめ。

 

 

その横で、レビューをするゆうこ。

 

 

「はふ~、これはポップなサイコロのパワーを感じるですわ!!コチョコチョしてくださいな」

 

「はい、コチョコチョ~」

 

 

鼻を突きだすリボンに、ゆうこがくすぐる。

 

 

「は...は...ハッピション!!!」

 

 

リボンのくしゃみと同時に、ピエロのプリカードが生まれた。

 

 

 

ロコモコを堪能した誠司達は、オハナとオリナと別れの挨拶を済ませる。

 

 

「ゆうこ、誠司、理央さん、ありがとう。今回は貴方達のお陰でオリナと仲直りできた」

 

「これからは、オハナと2人でハワイを守っていくわ」

 

「どういたしまして、私もこんな素敵な景色を見ながらロコモコを食べる事が出来て、幸せ増量大盛りでした」

 

「何かあればまた俺達を呼んでくれ、いくらでも力を貸すぜ」

 

「今のお前達なら、必要ない事かもしれないけどな」

 

 

感謝する2人に、誠司達はそう返す。

 

 

「うん、プリキュアに国境は無しだね」

 

「ゆうこが世界で活躍してる理由がよく分かったわ」

 

 

誠司達から少し離れた場所で見ていためぐみ達は、ゆうこの凄さを改めて実感した。

 

 

「Oh my ハニー!!やっぱり遠くに行っちゃうのね」

 

 

そう残念がるひめに、いつの間にか近づいてきていたゆうこが話しかける。

 

 

「ひめちゃんたら酷いな~、私はこれからもずーっとハピネスチャージプリキュアだよ!!」」

 

 

そうニッコリと笑うゆうこに、ひめは抱き着く。

 

 

「ゆうこ~!!」

 

 

 

 

そしてその様子を、鏡を使ってみていたブルー。

 

 

「ハピネスチャージプリキュアは、常に僕の予想超えて成長していく。彼女達になら目覚めさせる事ができるかもしれない...大いなる力、シャイニングメイクドレッサーを」

 

 

そう言うブルーの手には、アクシアが抱えられていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

場所は変わり、逃亡を果たしたマダムモメールは自身のアジトに向かっていた。

 

 

「もう!!アロ~ハプリキュア!!揉めてないなんて詰まらないじゃないの!!」

 

 

そう愚痴りながら、マダムモメールはアジトの中に入ろうとする。

 

 

「あら?」

 

 

しかしそこで、扉の鍵が開いている事に気付く。

 

 

「あたしったら、開けっ放しで出かけちゃったのかしら」

 

 

鍵が開いていた事に、自分のミスだと思い込んだマダムモメールはそのまま中に入って行った。

 

 

日が落ちているせいで、下に降りる階段が何処か不気味に見えるマダモメール。

 

 

階段を降りて部屋に入ると、パチっと部屋の電気のスイッチを入れたマダムモメール。

 

 

「なっ!!?」

 

 

電気が着いた事によってようやく、フードを被った謎の人物がワインを片手に座っている事に気が付く。

 

 

「誰よアンタ!!てかっ!!それあたしのワインよ!!返しなさいよ!!」

 

 

マダムモメールは人の家に勝手に入っただけでなく、自分のワインを飲んでいる愚か者に近付き制裁を加えようとする。

 

 

「ッ!!!」

 

 

しかし、突如フードの男から放たれた異様なオーラに足がすくんでしまう。

 

 

「おやおや、帰りが遅かったですね...ミスマダムモメール」

 

 

謎の男から話しかけられるが、マダムモメールは心臓を直接握られたような感覚に陥ってしまう。

 

 

「あ...あん..た...な...なに...ものよ...」

 

 

息が出来ない状態に陥りながらも、マダムモメールは何とか振り絞り質問する。

 

 

「私の名前はドン、ミラージュ様の協力者です」

 

「その...協力者が...私に..何の用...よ...」

 

 

マダモメールの質問に、ドンはフードから覗かせる口元をニヤリと歪ませる。

 

 

「簡単な事ですよミスマダムモメール、君を処分する為にきました」

 

 

意味が分からず、呆然とするマダムモメールだったが直ぐに正気を取り戻した。

 

 

「何で私が消されなきゃいけないのよ!!!」

 

「ふふふ、直ぐにお分かりにますよ」

 

 

その言葉を合図に、マダムモメールの後ろ...さっきまで自分が降りてきた階段から足音が聞こえる。

 

 

マダムモメールが階段に視線を向けると、そこには階段を降りてくるミラージュの姿があった。

 

 

「ミラージュ様!!?」

 

 

マダムモメールの目の前にいるのは、間違いなく自身の主人であるミラージュ本人だった。

 

 

「ミラージュ様!!私を消すってどういう事なんですか!?」

 

 

ミラージュは冷たい目をマダムモメールに向けて、質問に答える。

 

 

「マダムモメール、貴女はもう用済みなのよ」

 

 

ミラージュの言葉に、マダムモメールは愕然とするがミラージュの話はまだ終わっていなかった。

 

 

「後はドンさm...ドンに任せるわ」

 

「分かりました、ミスミラージュ様」

 

 

そう言うと、ドンはマダムモメールの前に立つ。

 

 

「可哀想だけどミス...いやミスター...まぁどちらでも良いですか、君はもう終わりですかね」

 

 

可哀想という言葉とは裏腹に、ドンは嬉しそうに近づいてくる。

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!サイアーク!!!」

 

 

恐怖に染められたマダムモメールは、叫びながらその場にサイアークを召喚する。

 

 

ドッガァァァァァァン!!!

 

 

4体のサイアークが天井を壊し、現れる。

 

 

「サイアーク!!!私が逃げる間の時間稼ぎをしなさい!!!」

 

 

そう命じたマダムモメールは、目の前にいたミラージュを突き飛ばしその隙をついて階段を駆け上がる。

 

 

サイアークは棒に火を灯し、ドンに攻撃を仕掛けようとする。

 

 

ミラージュが直ぐにドンの前に移動し、サイアークに攻撃しようとする。

 

 

しかし、それをドンがミラージュを自身の後ろへと下がらせて止める。

 

 

「無用ですよ」

 

 

棒がドンに当たる僅かな時間に、サイアークに向かって軽くふ~っと息を吹いた。

 

 

たったそれだけの動作で、旋風が発生して4体のサイアークを刻み込む。

 

 

サイアークを刻み込んだ旋風は、そのまま上空へと伸びる。

 

 

4体のサイアークはある程度の高度まで飛ばされると、旋風が止みそのまま落下する。

 

 

落下するサイアーク達が見た光景は、自分達に迫る自身よりも大きな口だった。

 

 

その口が閉じた瞬間、サイアーク達の意識は無くなった。

 

 

グシャ、クチャ、クチュと咀嚼音だけが残り、ゴックンと呑み込む音が聞こえる。

 

 

「お見事です、ドン様」

 

 

ドンに近付いたミラージュは、膝を突き頭を下げる。

 

 

「もう元に戻って良いですよ、ロス君」

 

「はっ!!」

 

 

ドンの許可を得たその人物は、ミラージュの姿から怪人へと姿を変えた。

 

 

先程までのミラージュの姿は、この怪人の変身能力だった。

 

 

「良くやりましたね、ロス君。お陰で上手くいきました」

 

「いえ...ドン様の命令を完璧に遂行する事は当たり前の事ですので」

 

 

ロスと呼ばれる怪人の言葉に、ドンは笑みを浮かべる。

 

 

「ふふ、そうですか。では後は私がやっておきますので、ロス君は今まで通りにブラックファングの警護をお願いしますね」

 

「はっ!!」

 

 

ドンの命令を受け、ロスはその場から消える。

 

 

「それでは...迎えに行きますかね」

 

 

そう言って、ドンはマダモメールが走り去った方を見つめる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

マダムモメールは、全速力で逃げていた。

 

 

彼らに捕まらない為に、頭をフル回転させていた。

 

 

そして、あるひらめきが浮かんだ。

 

 

「そうよ!!アロ~ハプリキュアに保護して貰えば...そうすれば安全の筈!!!」

 

 

そう考えたマダムモメールは、一目散にアロ~ハプリキュアの家に向かう。

 

 

ひたすら走ったマダムモメールの目に、プリキュアの家が見えてきた。

 

 

「良かった!!これで助かる!!!」

 

 

家に辿り着いたマダムモメールは、ドアノブを掴もうとする。

 

 

「アロ~ハプリキュア!!!助け...!!?」

 

 

ドアノブを掴もうとした瞬間、身体が動かなくなってしまった。

 

 

身体が動かないだけでなく、声までも出せなくなってしまいマダムモメールは動揺する。

 

 

何故かと思い下に視線を向けると、薄く黄色い糸状の物が巻き付いている事に気付いた。

 

 

「ッ!!!ッ!!!!」

 

 

声を出して助けを呼ぼうとするが、どうしても声が出なかった。

 

 

そしてマダムモメールの後ろから、ドンの声が聞こえる。

 

 

「ふふ、どうですか?助かると思ったのに助からない状況は...貴女の身体は私の気で作った糸で既に絡ませていたのですよ。貴女が何処に行こうが無駄ですよ、そしてその糸で貴女の声帯を潰しました」

 

 

マダムモメールは必死に身体を動かそうとするが、自分の意志とは別で身体はピクリとも動かなかった。

 

 

するといきなり、マダムモメールの身体が後ろに引っ張られた。

 

 

どんどん家から離されていき、マダムモメールはもう助からないと察し涙を流す。

 

 

声をだして助けを求めたいのに、それができないマダムモメール。

 

 

「さぁ、現世とのお別れですね。ふふ」

 

 

その言葉を最後に、マダムモメールは意識を失う。

 

 

 

 

 

 

ガチャっと音を立て、開かれる扉。

 

 

少しだけ開いた扉の隙間からオハナが顔を出し、辺りを見渡す。

 

 

しかし、周りには何も変わった様子は無かった。

 

 

「オハナ?どうかしたの?」

 

「ううん、何でもない!!」

 

 

オリナの質問に、オハナはそう答える。

 

 

そしてもう一度、オハナは辺りを見渡す。

 

 

「気のせいだったのかな?」

 

 

そう言ってオハナは扉を閉め、中に戻る。

 

 

しかし、オハナは気が付かなかった。

 

 

上空に、マダムモメールを抱えたドンが飛んでいた事に。

 

 

「さて、私達の野望を叶える序奏を奏でよう」

 

 

その言葉を残し、ドンはその場から姿を消した。




はい、如何だったでしょうか?


今回の話からですが、前回の感想で行の感覚を1行に減らすした方が良いと意見があった為に、台詞の感覚を1行に変更しました。


今後、この方が見やすいのならばこれに変更しますし、逆に見にくいのであれば元に戻します。


そして今回、久しぶりに巨大戦のない戦闘シーンでしたが、理央の言葉通り巨大化するのはぴかりヶ丘だけなので巨大戦は省きました。


それでもいつもより長くなってしまいましたが...


そして、Twitterのアカウントを作り直しました。

アドレスはユーザー情報に載っておりますので、良ければフォロー宜しくお願いします。

投稿する際は、Twitterでツイートしますのでぜひ確認してください


次回第36話、もしくはアクセル・ビルド第9話でお会いしましょう!!


それでは、今年も宜しくお願い致します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第35話 儀式を守れ!!幻影帝国の本気

どうも、ナツ・ドラグニルです!!


投稿が遅くなり、申し訳ございません!!


思ったより時間がかかるなと考えていたのですが、気付いたら2話分の文章量になっていました。


オリジナルも含めているので、29話の「アクシアの真の姿!シャイニングメイクドレッサー」を2話に分けようと思います。


中途半端の所で終わってしまいますが、これ以上待たせるのはいけないと思い、先に投稿させて頂きます。


それでは、作品をどうぞ


幻影帝国の最深部にある、暗い謎の場所。

 

 

そこには、大きなカプセルの機械を弄るドンの姿があった。

 

 

「ドン様...例の調整は如何ですか?」

 

 

その背後から、ツトコウが現れる。

 

 

「そうですね、大体8割完了しましたね」

 

「ではそろそろ」

 

 

ツトコウのその言葉に、ドンは笑みを浮かべて頷く。

 

 

「では、私は準備をします」

 

 

ツトコウは頭を下げ、その場から消える。

 

 

「私を超える働きを期待しますよ」

 

 

ドンはそう言い残すと、ドンも姿を消した。

 

 

真っ暗の部屋の中、残されたのは怪しげなカプセルただ一つ。

 

 

そのカプセルの上部、硝子部分になっている所から怪しく光る2つの目がカッと開かれた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

大使館の2階のバルコニー。

 

 

そこで、ブルーが手に持ってるアクシアを見つめていた。

 

 

そこに、階段を駆け上がってくる音が2人分聞こえる。

 

 

階段を駆け上がってきたのは、めぐみと誠司の2人だった。

 

 

バルコニーでブルーがアクシアを開けているのを見つけ、2人は声をかける。

 

 

「ブルー!」

 

「それ開けていいのか?」

 

「あぁ、このアクシア中には誰もいないからね」

 

 

そこで気になったことを、めぐみが質問する。

 

 

「またクイーンミラージュを、アクシアに封印するの?」

 

「世界を守る為には仕方がない」

 

 

辛そうに話すブルーを、めぐみは心配そうに見つめる。

 

 

「本気で言ってるのか?」

 

「本気だよ...そして皆に言わないといけない事があるんだ。アクシアの真の力について」

 

 

 

誠司とめぐみを連れて下に降りたブルーは、広間に全員を集めた。

 

 

『アクシアの真の力?』

 

 

声を揃えてアクシアを覗き込む、めぐみ以外のプリキュアの3人。

 

 

「マジかよ!!」

 

「なんてこった...参ったぜ...これにそんな力があるなんて」

 

 

ブルーから説明され、ゴウ達は驚きの声を上げる。

 

 

「アクシアは封印する為の道具じゃないのか?」

 

「このアクシアは災いを封印するだけでなく、プリキュアのパワーアップさせる力もあるんだ」

 

 

理央の質問に、ブルーはそう答える。

 

 

「アクシアの真の力を開放すれば、幻影帝国諸共クイーンミラージュを倒す事も可能だろ」

 

 

背景を知ってるめぐみと誠司は、残念そうな顔でブルーを見つめる。

 

 

「もう!そんな最強アイテムあるなら早く出してよー!」

 

「本当よ、それがあればめぐみちゃんがパワーアップ出来るって事でしょ」

 

 

新しい力が手に入ると聞いて、ひめとランが喜ぶ。

 

 

ジーっとアクシアを見ていたいおなが、突如立ち上がった。

 

 

「神様、今すぐアクシアの力を解放しましょう!!そしてクイーンミラージュを倒しましょう!!」

 

 

そう提案するいおなに驚く誠司達、その提案にブルーは何も答えなかった。

 

 

「駄目だよ!!」

 

 

いきなりそう叫ぶめぐみに、驚く一同。

 

 

「駄目だよ!クイーンミラージュを倒すなんて!だってブルーは...」

 

 

めぐみはそう言いながら、ブルーの後ろから前に出て立ちはだかる。

 

 

「本当はミラージュと戦いたくないんだから...」

 

 

めぐみは最後、言いづらそうに俯く。

 

 

「え?戦いたくないって?」

 

 

不思議そうなひめと、その言葉に驚きを隠せないブルー。

 

 

「めぐみ、僕は地球の神だ。神としてこの世界に災いを齎す者を倒さなければならない」

 

 

めぐみの肩に手を置き、ブルーは自身の決意を話す。

 

 

「ミラージュを倒して、ブルーは本当に幸せになれるの?」

 

「僕はいいんだ」

 

 

めぐみの質問に驚いた後、ブルーは目線を逸らしそう答えた。

 

 

「私はみんなで幸せになりたい。誰かが不幸のまま、自分だけ幸せにはなりたくないの。だからブルーにも幸せになってほしい」

 

「めぐみ...」

 

 

しかし、めぐみのその言葉をいおなが厳しく指摘する。

 

 

「その幸せを壊しているのはクイーンミラージュよ?彼女を倒さないと世界から不幸は無くならない」

 

「でも!」

 

 

それでも食い下がるめぐみに、いおなは更に説得を続ける。

 

 

「もう甘い事言ってられないの。クイーンミラージュは倒さなくちゃいけない。世界の幸せの為にも」

 

 

辛そうに説得するいおなは、誠司の方に向き直る。

 

 

こんな時、誠司なら自分の言ってる事が正しいと分かってくれると思ったからだ。

 

 

「誠司君...あなたからも言ってちょうだい」

 

 

誠司の言葉なら、めぐみも説得できるだろうと。

 

 

「俺は......めぐみの意見に賛成だ...」

 

 

しかし、誠司から返ってきたのはいおなが想像していたものとは反対の言葉だった。

 

 

「なっ!!?何で!!?」

 

 

まさか自分の意見が否定されるとは思わなかったいおなは、激しく動揺する。

 

 

「ゲキレンジャーとして!!!スーパー戦隊として戦ってきた誠司君なら分かるでしょ!!?彼女を倒さない限り、この世界は救われないって!!!」

 

「確かに...いおなの言ってる事は正しい...」

 

「なら!!!」

 

「でも!!やたらめったら倒したって、全てが解決できるとは思えない。もしかしたら...話せば分かり合えるかもしれない。かつて俺達が理央とメレと分かり合えた様に...」

 

 

そう言われてしまっては、誰も反論する事が出来なかった。

 

 

静寂が部屋を包む中、唯一ケンだけが口を開いた。

 

 

「今日はもう遅いし、その話はまた後日にしようぜ」

 

 

その言葉に、全員が頷いた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

夕暮れの河川敷。

 

 

ゆうこ、いおな、ラン、リンの4人が、横一列に並び川を眺めていた。

 

 

「あむ」

 

 

いおなは、ゆうこから貰ったハニーキャンディを口の中に放り込む。

 

 

「あたしっていつも駄目だわ。めぐみの気持ちも判るのに厳しいことばっかり言っちゃう」

 

 

そのせいで誠司とも言い争いになってしまった事に、いおなは落ち込む。

 

 

「私は、いおなちゃんがあぁ言ってくれて良かったと思ってるよ」

 

「へ?」

 

「私はみんなで笑ってご飯を食べられるといいなって思ってる。でも、それが難しいって事も分かっているの」

 

 

いおな達は、黙ってゆうこの話を聞く。

 

 

「だけど、私じゃめぐみちゃんに強く言えないから」

 

 

なるほど、と納得するいおな。

 

 

「ゆうこはどうすればいいと思う?」

 

「私にも分からない。でも、みんなで答えを見つけましょう」

 

 

にっこりと笑うゆうこに、いおなはそうねっと返す。

 

 

「ねぇ、ランとリンもゆうこと同じなの?」

 

「そうね、自分1人で答えを見つけるより、みんなで答えを見つけた方がいいわね」

 

「うん...私も同じね」

 

 

ランとリンは、いおなの方に向き直り微笑む。

 

 

「それにいおなは、もうあの頃と違って1人じゃないでしょ?」

 

 

リンの質問に、いおなも笑顔で返す。

 

 

「そうね」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゴウの部屋に集まり、一緒に対戦アクションゲームをするケン。

 

 

ゲームをしながら、今日の事を話題に出す。

 

 

「お前、誠司の事どう思う?」

 

「どうって?」

 

「明らかにおかしかっただろ」

 

「確かにな...誠司の言う通り、理央達のように話せば分かり合える奴もいるかもしれないが...」

 

「ロンのように、確実に倒さないといけない相手もいる...それはあいつだって知ってる筈だ」

 

 

ロンのように、絶対許す事が出来ない敵がいる事を知ってる筈の誠司が、めぐみと一緒になってクイーンミラージュは倒すべきではないと言い張る事にゴウ達は疑問に思う。

 

 

「クイーンミラージュを倒せない理由があるにせよ、俺達はあいつを信じるだけだ。何があってもな」

 

 

ゴウの言葉を聞いて、ケンは黙ってしまった。

 

 

「手元がお留守になってるぞ」

 

 

そう言って、ゴウはケンが操作するキャラを場外に吹っ飛ばす事によって、画面一杯に『GAME SET』という文字がデカデカと表示される。

 

 

「あっ!!ずりぃ!!」

 

「油断大敵だぜ」

 

「くそぅ...もう一度勝負だ!!」

 

 

悔しがるケンは、再戦を挑む。

 

 

「良いぜ、何度でも相手してやるよ」

 

 

その後、ゴウ達はこれ以上考えても仕方ないと思い、ゲームに明け暮れるのだった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

誠司達の住むマンション。

 

 

そのベランダで、誠司とめぐみが話していた。

 

 

「みんなが幸せになるって難しいね...私、ブルーにもいおなちゃんにも幸せになってほしい。どうすればいいか全然分からないよ」

 

 

不安そうになるめぐみは、目を瞑る。

 

 

「それをそのまま言えばいい」

 

 

誠司の言葉に、驚くめぐみ。

 

 

「いつもみたいに思いっきりぶつかっていけよ。たとえケンカになってもお前の気持ちは伝わるさ」

 

 

驚いた顔のめぐみに、誠司は悩みならいつでも聞いてやるからさと続ける。

 

 

「うん、ありがとう」

 

 

お礼を言うめぐみの顔は、すこし赤くなってるように誠司には見えた。

 

 

「どうしためぐみ、少し顔が赤いんじゃないのか?」

 

「へぁ!?そ、そんな事ないよ!!!気のせいじゃない!!!」

 

 

いつもは鈍いくせにこんな時に限って気付く誠司に、驚いためぐみは腕をわたわたと動かし誤魔化す。

 

 

「気のせいなわけないだろ、夜風に当たって風邪でも引いたか?」

 

 

誠司はそう言うと、めぐみの頭の後ろに手を置いた。

 

 

「ふぇ!!?」

 

 

いきなりの事で驚くめぐみだったが、誠司はそんな事にお構いなく自身のおでことめぐみのおでこをコツンとぶつけた。

 

 

「う~ん、熱はなさそうだな」

 

 

おでこを合わせる事で熱を測ろうとする誠司だったが、めぐみはそれ所ではなかった。

 

 

唇と唇が触れそうな距離にまで顔を近づけてくる誠司に、めぐみは興奮しさらに顔を赤くする。

 

 

「お、おい!!急に熱が上がったぞ!!」

 

 

さっきまで普通の体温だったのに、いきなり熱が上がった事に誠司は驚いて声を上げる。

 

 

これ以上はまずいと思っためぐみは、がばっと顔を後ろに仰け反らせる。

 

 

「わ、私は大丈夫だから!!!じゃ、じゃあお休み!!」

 

 

めぐみはそう言い残すと、急いで部屋の中に入っていった。

 

 

「なんだったんだ...一体...」

 

 

取り残された誠司は、訳が分からず放心していた。

 

 

 

部屋の中に入っためぐみは、布団を頭まで被りドックンドックン言ってる自分の胸を押さえつける。

 

 

「うぅ~...誠司のバカぁ...」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

クロスミラールームにて、アクシアを抱いて座るブルー。

 

 

その近くには、理央とメレの姿があった。

 

 

「お前、何か隠してるんじゃないのか?」

 

「何の事だい?」

 

 

理央の質問に、ブルーは答える事無く誤魔化した。

 

 

「誤魔化すんじゃないよ、めぐみはともかく誠司は何かなければあんな事言わないのよ。てことは、あの2人しかしらない何かがアンタとクイーンミラージュの間にあるって事でしょ?」

 

 

メレの確信をついた言葉に、ブルーは答える事が出来ず俯いてしまった。

 

 

「神様!」

 

 

そこにリボンを引き連れた、ひめが現れた。

 

 

「はい、召し上がれ!!」

 

 

ひめが持っていた皿の上には、形が崩れたおにぎりが乗っていた。

 

 

「形が歪だな...」

 

 

あまりにもうまく握れていない為か、思わず指摘してしまった理央。

 

 

「む~!理央さん!!」

 

「まぁまぁ、見た目は悪いですけど味はそこそこですから」

 

「ひめにしては上出来でしょ」

 

「ちょっとリボン!!失礼よ!!それにメレもひめにしてはってどういう事!!?」

 

 

ひめに注意され、リボンとメレは慌てて自分の口を押える。

 

 

「ゆうこが言ってたよ、お腹が空いてちゃ元気も出ないって」

 

 

横に座りつつ、ひめはブルーを励ます。

 

 

「すまないね、心配かけて」

 

「心配出来て嬉しいんだ。だって私、ずっと神様やめぐみや誠司に助けられてばっかりだったからさ、今度は3人の力になりたいんだ」

 

 

それに!と続けるひめに、驚くブルー。

 

 

「神様がションボリしてたら、地球もションボリしちゃう。それじゃ私達が困っちゃうの。だから悩みがあったら言ってよね」

 

 

ドヤ顔で言うひめは、はい!とおにぎりを差し出す。

 

 

「ありがとう、ひめ。いただくよ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

幻影帝国にある、クイーンミラージュの部屋。

 

 

クイーンミラージュは、胸元に手を当て鏡に映る地球を見ていた。

 

 

「青い星、地球...」

 

 

鏡が映してたものが、地球からブルーの後ろ姿へと変わる。

 

 

その後ろ姿に向かって、クイーンミラージュは手を伸ばす。

 

 

「ミラージュ様」

 

 

しかし、ディープミラーに声を掛けられハッと我に返り動揺する。

 

 

「また地球を見ているのですか?」

 

「不幸に染まりきる前の姿を見ているだけよ」

 

 

ディープミラーの問いに、クイーンミラージュは目を逸らしながら答える。

 

 

「それならばよろしいのですが」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ぴかり神社の境内にいるブルー。

 

 

『ブルー!!』

 

 

目を瞑っているブルーだったが、階段を上がってくるめぐみと誠司の呼ばれ目を開く。

 

 

「おはよう!ブルー」

 

「大使館に居なかったから、ここに居るんじゃないかと思ってな」

 

 

誠司達がそう言うが、ブルーは何も答えずただ黙って見下ろしているだけだった。

 

 

「ブルーが悲しいと私も悲しくなるんだよ。ブルーはミラージュの事を話す時、いつも悲しい顔をしてるよ。そんな時、私どうしたらいいか分からない。お願い、ブルーとミラージュに何があったのか教えて」

 

「私達も知りたいよ」

 

 

めぐみがそう頼み込むと、そこにいない筈のひめの声も聞こえる。

 

 

誠司達が振り返ると、そこにはひめ達とラン達、そして理央にメレの姿もあった。

 

 

「申し訳ありません、立ち聞きしてしまいまして」

 

 

リボンがそう謝ると、いおなが前に出る。

 

 

「私は幻影帝国もクイーンミラージュも倒すべき敵だと思ってます。彼等を倒して世界を取り戻されなくてはならないから」

 

「そうだね、君の言う通りだ」

 

「でも、めぐみの気持ちも分かるんです」

 

 

いおなのその言葉に、驚く誠司、めぐみ、ブルーの3人。

 

 

「私も本当は誰かを倒したりやっつけたりしたいわけじゃない。世界を取り戻しても、そこか不幸が残ってしまうのではダメだと思うんです。もしみんなが幸せになれる方法があるのなら、私はそれを皆で考えたいです」

 

 

胸に手を当てて、主張するいおな。

 

 

「そうね、事情を知らないとどうしたらいいか考えられないしね」

 

「もっと私達を頼ってくれないとね」

 

 

ゆうことランの言葉に、リン達はうんと頷いて同意する。

 

 

「みんなありがとう」

 

 

 

皆の思いを受け取り、ブルーは感謝する。

 

 

「ミラージュの事は僕の中で解決しようと僕の中で解決しようと思っていたけど、確かに僕達の間で秘密があるのはよくなかったね」

 

 

そこで、ブルーは決心する。

 

 

「今こそ話そう、僕とミラージュの過去を!そして僕の本心を」

 

 

と、胸元に手を当てるブルー。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

入口から、建物側へ移動した一同。

 

 

「あれは300年前の事だったろうか...僕はミラージュと出会った」

 

 

ブルーの言葉に、全員が驚いた。

 

 

ブルーはより分かりやすく説明しようと、目の前に鏡を出した。

 

 

鏡の青い背景から、1人の女性の後ろ姿が映し出された。

 

 

女性は振り向くと、『神様!』と嬉しそうにそう呼んだ。

 

 

『うぇ!?』

 

 

その女性の正体に気付いた誠司達は、驚きの声を上げる。

 

 

「えー!!これがクイーンミラージュ!!?」

 

 

今のクイーンミラージュとは違い、何処にでもいるような女の子だった。

 

 

「あぁ、これは僕と出会った頃の彼女だ。ぴかり神社の巫女をしていた、普通の女の子だ」

 

 

ブルーの説明に、あんぐりだった一同は顔を見合わせる。

 

 

「僕達はぴかり神社でよく会ってたんだ。他愛の無い事を話したり、一緒に景色を楽しんだり、一緒に景色を楽しんだりして、共に過ごしたんだ」

 

 

鏡には神社の階段前から、景色を見下ろす2人の姿が映っていた。

 

 

「ちょっとちょっと~!神様とミラージュって恋人同士だったの?」

 

 

ブルーの前に立ち、ひめが指を突き付けて質問する。

 

 

「僕は彼女を愛していたよ。そして大切だと思っていたんだ.....。でも、僕は地球の神だから、地球の全ての者を愛さなければならない。そう思い込んでいた」

 

 

ひめの質問に、悔しそうに答えた。

 

 

「だからずっと傍に居てほしいと望む彼女の想いには応えなかった...頑なに」

 

 

鏡には、暗い背景の中のミラージュ、そしてそのミラージュの前から去っていくブルー。

 

 

「僕はミラージュを傷つけてしまったんだ!!」

 

 

ミラージュが流した涙が、今の涙のマークへと変わる。

 

 

「僕のせいで彼女は変わってしまった。本当のミラージュは他人の不幸を望むような人ではないんだ」

 

 

そう言った後、悔しそうに歯を食いしばるブルー。

 

 

「ブルーはミラージュに戻ってほしいんだね?」

 

「出来る事ならミラージュの笑顔を見たい。もう一度...」

 

 

めぐみの質問に、ブルーは決意して答える。

 

 

「じゃあその気持ちをそのまま伝えちゃえばいいと思います」

 

 

めぐみの両肩に手を置き、そう勧めるゆうこ。

 

 

「傷つけちゃったなら、ちゃんと謝らなくちゃね」

 

「相手の話を聞かないで、一方的に倒すとかもよくないと思いますし」

 

 

ゆうこに同意するひめに、自虐気味ないおな。

 

 

「クイーンミラージュが今何を思っているのか話さないと分からないしな」

 

 

皆の顔を見るブルー。

 

 

「私もミラージュに気持ちを伝えた方がいいと思う」

 

 

めぐみも、そうブルーに勧める。

 

 

「僕はずっと、ミラージュから逃げていたんだ。ミラージュに憎まれてると思うと辛かったから、でもそれではお互いの気持ちは伝わらない」

 

 

俯いた後、鏡の中のミラージュの方を向いて手を当てつつ、振り向いた。

 

 

「アクシアの力を解放しよう。そしてミラージュがいる幻影帝国へ行こう!!」

 

「幻影帝国の中では、プリキュアの力が100万分の1になっちゃうわ」

 

「そうだよ、どうするの?」

 

 

ブルーの言葉に、ゆうこは問題になってる事を告げる。

 

 

「アクシアの真の力を目覚めさせる事ができれば、大丈夫だ。少なくとも、対等に戦えると思う」

 

「アクシア、スゴゴゴーイ!!」

 

 

アクシアの真の力の説明に、ひめは興奮する。

 

 

「これまで以上にみんなを危険な目に遭わせてしまうかもしれない。力を貸してくれるかい?」

 

『もちろん!!』

 

『ああ!!』

 

 

めぐみと誠司達は即答し、ゆうこもにっこりと笑っている。

 

 

「どんとこいだよ!!」

 

 

ひめも胸を叩いて、賛同する。

 

 

「みんな、ありがとう」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ぴかり神社の様子を、ディープミラーはずっと監視していた。

 

 

「ミラージュ様と話し合う...無駄な事を...」

 

「それはどうでしょうかね」

 

 

本来ディープミラーしか入ることが出来ない空間に、人の声がして驚いて振り向く。

 

 

ディープミラーが振り向くと、そこにはドンの姿があった。

 

 

「貴様、何故此処に...いや貴様なら来れるか...それで?今のはどういう意味だ?」

 

「言葉通りの意味ですよ」

 

「ブルーがミラージュ様と話し合う事が出来ると?」

 

「さぁ、それはどうなるか私にも分かりませんね...ただ油断した事によって、足元を掬われる事なんて星の数程見て来ましたから」

 

 

そう言い残し、ドンはその空間から姿を消した。

 

 

「ふん、言われなくても分かっている...だがアクシアの力はやっぱり...」

 

 

そう言ったディープミラーは、ミラージュの部屋を覗く。

 

 

いつもの明るい部屋とは対照的に、部屋は暗くなりピンクの煙のような物が漂っていた。

 

 

「ミラージュ様、地球の神ブルーがアクシアでプリキュアに力を与えようとしています。あなたを倒す為にキュアラブリーを使って」

 

「キュアラブリー...」

 

 

キュアラブリーの名前に反応し、ミラージュは目を見開く。

 

 

その目は、真っ赤に怪しく光っていた。

 

 

「愛の名を持つプリキュア。地球の神が愛しているプリキュア」

 

「ブルーが愛するプリキュア...」

 

「ブルーはあなたを裏切ったのです。ブルーは倒されなくてはなりません」

 

 

でっち上げた事をミラージュに吹き込み、洗脳しようとする。

 

 

ソファに寝そべっていたミラージュだったが、起き上がり杖を手に取る。

 

 

「ナマケルダ!!ホッシーワ!!オレスキー!!」

 

『はっ』

 

 

ミラージュに呼ばれ、ナマケルダ達がテレポートで姿を現し膝をつけて首を垂れる。

 

 

「地球の神ブルーが、アクシアでプリキュアに新たな力を与えようとしている」

 

 

ミラージュの話を聞いて、顔を上げる3人。

 

 

「今すぐぴかりが丘に行き、奴等の企みを阻止するのよ」

 

 

そう命じたミラージュは、カンッ!と杖で床を突く。

 

 

『はっ!』

 

 

ミラージュの命を受け、ナマケルダ達はテレポートでその場から姿を消した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『ツトコウ、任せましたよ』

 

「畏まりました、ドン様」

 

 

テレパシーでドンから命令を受けたツトコウは、後ろに振り向いた。

 

 

ツトコウの後ろには、ゼカが控えていたからだ。

 

 

「...頼むぞ」

 

「はっ!!」

 

 

ツトコウに返事を返したゼカは、テレポートで消える。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

シャランと、神楽鈴を鳴らすひめ

 

 

「じゃーん!!」

 

 

長い髪を1つに纏め、ポニーテールにしたひめは何処か神聖さがある洋服に着替えていた。

 

 

「おー!ひめ素敵―!」

 

「そんなこと、あるけど~!」

 

 

満更でもなさそうに、嬉しそうにするひめ。

 

 

「ブルースカイ王国の王族の衣装ですわ」

 

「流石は王女様、よく似合ってるな」

 

 

リボンの説明に、誠司も純粋に褒める。

 

 

あ、ありがとう

 

 

その間も、儀式の準備を進めるブルー。

 

 

そしてその準備も整い、ようやく儀式を始める。

 

 

「アクシアの解放の儀式を始める!ひめ、頼む!!」

 

 

目の前の台にアクシアを置き、両手を開くブルー。

 

 

道の端に位置するめぐみ達の間を、おしとやかに歩いていくひめ。

 

 

「はい!」

 

 

答えたひめは、ブルー同様両手を開く。

 

 

神楽鈴を鳴らしながら、踊るように舞うひめ。

 

 

「踊りでアクシアを解放できるの?」

 

「ブルースカイ王国の王女であるひめが踊れば、聖なる力を集めてブルー様の力を高める事が出来ますわ」

 

「プリキュアのフォームチェンジが踊りなのも、その為なんだぜ」

 

 

めぐみの質問に、リボンとぐらさんが答える。

 

 

神楽鈴を鳴らし、舞い終えたひめは始めと同じように両手を開く。

 

 

すると、ひめ達に光が降り注ぎ辺りが暗くなる。

 

 

「光が!!」

 

 

声を上げて驚くいおな。

 

 

他のメンバーも、あんぐりとする。

 

 

「いよいよアクシアの真の力が解放されますわ!」

 

「そうはさせないわよ!!」

 

 

嬉しそうにするリボンだったが、そこにホッシーワの静止する声が響いた。

 

 

声が聞こえた入口の方に全員が視線を向けると、そこには3幹部とイナの姿があった。

 

 

「貴様等、アクシアとやらでオレ様を超えるつもりだな!そうはさせんぞ!!」

 

「めんどくさいですが、もっと面倒な事になる前に邪魔させてもらいますぞ?」

 

 

誠司達に向けて、宣戦布告をするオレスキーとナマケルダ。

 

 

「こんな時に!」

 

「ひめは続けろ!」

 

「ひめちゃんの事は俺達が守るからな!」

 

「よし!燃えてきたぜ!」

 

 

ひめを守るように、全員が姫の前に立つ。

 

 

「みんな変身よ!」

 

『おう!』

 

 

いおなの掛け声に、ひめ以外の全員が答える。

 

 

『かわルンルン!!』

 

『プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!』

 

「プリキュア!!きらりんスターシンフォニー!!」

 

 

ひめを除いた3人が、プリキュアに変身する。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力!!』

 

「響け!!ケモノの叫び!!」

 

「研ぎ澄ませ!!ケモノの刃!!」

 

「臨獣ライオン拳!!」

 

「たぎりなさい!!爬虫類の力!!」

 

『ビースト・オン!!』

 

「臨気凱装!!」

 

「エプタイル・オン!!」

 

 

誠司達にゲキスーツが装着され、ゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!!キュアラブリー!!」

 

「大地に実る、命の光!!キュアハニー!!」

 

「夜空に煌めく、希望の星!!キュアフォーチュン!!」

 

 

 

 

変身を終えたゲキレッド達を前に、オレスキー達も各々の武器を手に持ち構える。

 

 

「今日はオレ様達が、直々に相手になってやる!有難く思うがいい」

 

「面倒ですが、ミラージュ様直々の命令なら仕方ないですな!」

 

「アクシアは頂くわ、直々に!」

 

 

オレスキーが先陣を切り、突撃するナマケルダとホッシーワ。

 

 

それを迎え撃つ、ラブリー達。

 

 

「あなた達の相手は私よ、ゲキレンジャー!!」

 

 

ゲキレンジャー達の前に、イナが立ちはだかる。

 

 

「ひめの邪魔はさせない!!」

 

 

ラブリー達はオレスキー達3幹部と、ゲキレンジャー達はイナと戦いを始めた。

 

 

「幹部が直接戦うなんて!!」

 

「よっぽどアクシアの真の力を恐れているみたいだぜ!!」

 

 

オレスキー達が直々に現れた事に、リボンとぐらさんは驚く。

 

 

「ひめ!!アクシアの真の力を解放するには、まだ力が足りない。舞を続けてくれ」

 

 

ブルーの言葉に頷いたひめは、舞を再開する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ペインクローを手に装着したオレスキーが、フォーチュンに向けてパンチを放つ。

 

 

それを受け止めたフォーチュンは、反撃としてパンチを連続で2発繰り出す。

 

 

「こんなパンチ、まったく効かん!!」

 

 

しかし、オレスキーには全く効いていなかった。

 

 

オレスキーは腕をクロスさせ、力を貯める。

 

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

 

気合を入れる雄叫びを上げ、オレスキーは自身のエネルギーを送る。

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

自身のエネルギーを纏ったペインクローを、フォーチュンに向けて殴りかかる。

 

 

「きゃああああっ!!!」

 

 

先程と同じように防ぐフォーチュンだったが、少しの間受け止める事が出来たが直ぐに吹っ飛ばされてしまう。

 

 

「ふんっ!修行して強くなってるのは、何もお前達だけではない!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ホッシーワのパラソル攻撃を、バトンで受け止め続けるハニー。

 

 

しかし、3撃目で吹き飛ばされてしまう。

 

 

「はぁ!!」

 

 

パラソルの先っぽの銃口が増え、回転してガトリング砲のように銃を発砲する。

 

 

飛んでくる銃弾を避ける事が出来ないと察したハニーは、痛みに耐えるために腕をクロスする。

 

 

しかし...その対処は悪手だった。

 

 

銃弾が当たった瞬間、弾が弾けて中から茶色い液体が飛び出る。

 

 

「これは!?」

 

「見ての通り、チョコレートよ。ただし瞬間的に固まる物だけどね」

 

 

ホッシーワの言葉通り、ハニーの身体にかかったチョコレートが直ぐに固まり動けなくする。

 

 

「ふっ!!はぁっ!!う...動けない...」

 

 

もがいて拘束を解こうとするハニーだったが、微動だにしなかった。

 

 

「無駄よ、幾ら足掻いてもそう簡単にはチョコは外れないわよ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ナマケルダのステッキの攻撃を、慌てて回避するラブリー。

 

 

ナマケルダはハットを手に取ると、ジャキンとハットの鍔から刃物が飛び出る。

 

 

「ふっ!!」

 

 

フリスビーの要領で、ラブリーに向けてハットを投げる。

 

 

ハットを避けたラブリーだったが、ナマケルダは投げたと同時に仕掛け杖を抜き、ラブリーに迫っていた。

 

 

「ふっ!!」

 

 

ナマケルダの突き攻撃をバックステップで避けるラブリーだったが、その様子をナマケルダはニヤリと怪しい笑みを浮かべる。

 

 

なぜなら、先程投げたハットが円を描いて戻ってきていた。

 

 

バックステップで避けたラブリーに、ハットが迫る。

 

 

「え?きゃあああっ!!!」

 

 

ナマケルダに集中していたせいで、死角からの攻撃に対処できず真面に受けてしまった。

 

 

返ってきたハットをキャッチしたナマケルダは、ハットを被りなおす。

 

 

「ふん、面倒くさいですがいつまでも弱い我らではないですぞ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ラブリー達がオレスキー相手に苦戦してる間、ゲキレンジャー達もイナに苦戦していた。

 

 

「はぁっ!!」

 

「ぐっ!!」

 

 

前回同様、イナの高速移動に悪戦苦闘していた。

 

 

「言っとくけど、同じ作戦は2度も効かないわよ」

 

「言われなくても分かってるわよ!!」

 

 

前回は水たまりを使ってイナを攻略したメレだったが、2度も効くほど甘い相手ではなかった。

 

 

しかし、ゲキレッド達もいつまでもやられてはいなかった。

 

 

「皆!!背中を内側にして円を描くように並ぶんだ!!」

 

 

いつどこから襲ってくるか分からないイナに、何処から来ても対処できるように、自分の死角である背中を合わせる事で死角をなくす。

 

 

「はぁ!!」

 

 

ゲキブルーに向かって、攻撃を仕掛けるイナ。

 

 

イナの攻撃を受け止めたゲキブルー、そして挟むように並んでいたゲキレッドとゲキチョッパーが反撃する。

 

 

『はぁっ!!』

 

 

ゲキセイバーとサイブレードカッターを、イナに向かって振り下ろす。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

攻撃を受けたイナは、もう一度高速で移動する。

 

 

すると、今度はメレの目の前に現れたイナだったが、またしても攻撃をいなされてしまった。

 

 

「リンギ!!剛勇衝打!!」

 

「ゲキワザ!!厳厳拳!!」

 

 

ゲキバイオレットの紫激気を纏った拳と、理央の臨気を全身に覆った掌底がイナに直撃した。

 

 

「きゃあああっ!!!」

 

 

ようやくイナ攻略の鍵を握ったゲキレンジャー達は、ここから反撃をする。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ゲキレンジャー達はともかく、幹部3人相手じゃピンチですわ!!ひめの舞はまだ終わらないのですの?」

 

「まだみたいだぜ!?」

 

 

プリキュア達がピンチに陥ってる事に、慌てるリボンとぐらさん。

 

 

その間も、ひめは舞い続ける。

 

 

「あと...もう少しで...」

 

 

力が溜まり、あと少しで解放が出来るという所で突如透明な球体がひめの近くに出現する。

 

 

「ひめ!!危ない!!」

 

 

ブルーのその言葉を合図に、球体が爆発する。

 

 

爆発による砂埃が、ひめの姿を隠す。

 

 

『ひめ!!?』

 

 

ラブリーとゲキレッドが、ひめの名前を叫ぶ。

 

 

煙が晴れると、身体中に傷つき膝を着いているひめと、肩やお腹から血を流しそれを押えるブルーの姿があった。

 

 

「ブルー!!」

 

 

自分を庇い負傷したブルーに、ひめは駆け寄る。

 

 

「誰だ!!?」

 

 

誠司が横にある森に向けて叫んだ瞬間、木々の間から風が通り抜き一か所に集まる。

 

 

渦巻く風が人の形になり、ゼカへと姿を変えた。

 

 

「細切れにするつもりだったが、貴様咄嗟にバリアを張ったな」

 

 

傷だらけになったブルーを見ながら、ゼカは推測する。

 

 

そう、ブルーはあの球体のエネルギーが解放する僅かの時間で、ひめにバリアを張った。

 

 

しかし、威力が思っていた以上に強く、全てを防ぎきる事が出来なかった。

 

 

その為、ブルー自身にバリアを張る時間がなく直撃ではないが、大ダメージを受けてしまった。

 

 

「大丈夫ブルー!?」

 

「僕の事はいい、それよりもひめは直ぐにラブリー達に合流して一緒に戦うんだ」

 

 

ブルーは儀式を中断しようと、ひめに提案する。

 

 

「このままでは君が危険だ、一旦体制を整えよう」

 

 

ブルーの提案を黙って聞いていたひめだったが、決意した目でブルーを見詰め返す。

 

 

「やろう...最後まで...」

 

「なっ!!?」

 

 

まさかひめからその提案がでるとは思わなかったブルーは、驚いた。

 

 

「危険だからって辞める訳にはいかないよブルー、危険なのは皆一緒だよ。皆に甘える訳にはいかない、もう逃げないって決めたから!!」

 

 

ブルーはひめの顔が諦めていない事に、ブルーは感銘を受けた。

 

 

「分かった!!」

 

 

そしてブルーも、腹を括った。

 

 

「いつも逃げてばっかりで、泣き虫だったひめがここまで成長してたなんて...私感動しましたわ!!」

 

 

ひめの成長に涙を流し、リボンも感銘を受けていた。

 

 

「うぜぇな」

 

 

同じやり取りにゼカは逆にイラつきを覚え、ひめに接近する。

 

 

「ふっ!!」

 

 

拳を振るうゼカだが、寸前でゲキレッドが両手で受け止める。

 

 

「何!?」

 

「悪いが邪魔はさせない」

 

 

邪魔が入った事と、攻撃を受け止められた事に驚くゼカ。

 

 

「はぁっ!!」

 

「おらっ!!」

 

 

ゲキバイオレットの肘と、ゲキチョッパーのサイブレードカッターの攻撃がゼカに迫る。

 

 

「チッ!!」

 

 

ゼカは舌打ちし、後ろに飛んで回避する。

 

 

ゲキレッドと理央を中心に、メレ以外のメンバーが並び立つ。

 

 

「ふんっ」

 

 

鼻で笑ったゼカは、笑みを浮かべながらクイクイっと手招きして挑発する。

 

 

「ゲキレッド!!皆!!」

 

 

ゼカが現れた事で、ラブリー達も加勢しようとする。

 

 

「あら?余所見なんて随分余裕ね」

 

 

加勢しよとしたラブリー達だったが、三幹部の攻撃が再び始まる。

 

 

「こいつは俺達がやる!!そっちはお前達に任せたぞ!!」

 

「分かった!!そっちは任せたよ!!」

 

 

そしてゲキレンジャーはゼカと、プリキュア達は三幹部と戦う。

 

 

「理央様!!私も一緒に...!!?」

 

 

メレも理央に助太刀しようとするが、イナによって遮られてしまう。

 

 

「あたしの相手はあんたって事ね」

 

「ふふ、相手してあげるわ」

 

 

そしてここで、メレとイナの戦いも始まった。

 

 

 

 

 

 




はい!如何だったでしょうか?


今回、誠司とめぐみのベランダでのシーンで、誠司の無意識の行動でめぐみが動揺するシーンを書きましたが、もう少し描写を増やした方が良かったかなと思いましたが皆様はどうでしたか?


やはり戦闘描写だけは苦手だと、書くたびに思い知らされますが...


さて、新しい作品も投稿したので、良ければそちらも見ていただけると幸いです!!


フェアリーテイルの方の戦闘描写は、直ぐに出てくるんですけどね...


逆にテンションが上がってサクサク進むのは、やっぱり一番好きな作品だからですかね


それでは次回!!第37話もしくはLOVE TAIL第3話でお会いしましょう!!


それじゃあ、またな!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第36話 アクシアの真の姿!シャイニングメイクドレッサー

どうも!!ナツ・ドラグニルです!!


今回の話は、前回の話の続きとなります。


前回の話は、長くなり過ぎたのと投稿までに時間が掛かってしまったので、中途半端な状態で投稿してしまいました。


続きを待っていた皆様、お待たせいたしました。


これからは、決まった日付に投稿をする事を決めましたので、余り待たせることのないように気を付けます。


まぁ、もう既に7月分の小説は書き終わってるのですが...


それでは作品をどうぞ!!


「最初っから全力で行くぞ!!」

 

 

ゲキレッドはスーパーゲキクロウを取り出し、構える。

 

 

『おう!!』

 

 

ゲキイエローとゲキブルーはスーパーゲキクロウを、ゲキバイオレットはゴングチェンジャーブルーを、理央は獅子黒刀を構える。

 

 

「轟け!!ケモノの叫び!!」

 

「研ぎ澄ませ!!新たなケモノの刃!!」

 

 

 

『スーパービースト・オン!!』

 

『ビースト・オン!!』

 

「臨気王凱装!!」

 

 

 

「身体に漲る、無限の力!!過激気にアンブレイカブル・ボディ!!スーパーゲキレッド!!」

 

「日々是精進、心を磨く!!過激気にオネスト・ハート!!スーパーゲキイエロー!!」

 

「技が彩る、大輪の花!!過激気にファンタスティック・テクニック!!スーパーゲキブルー!!」

 

「青紫激気!!我流!!我が道を貫く!!シンアイアン・ウィル!!ゲキブルーバイオレット!!」

 

「己を磨き、人々の明日を切り開く!!シンアメイジング・アビリティ!!ゲキライノゥチョッパー!!」

 

「猛き事、強き事、獅子の如く!!人の命を守る者!!我が名は黒獅子王。理央!!」

 

 

「燃え滾る気は正義の魂!!」

 

『獣拳戦隊!!スーパーゲキレンジャー!!』

 

 

全員が強化形態になった事で、新たな名乗りを上げたスーパーゲキレンジャー。

 

 

「ふっ!!」

 

 

背中の噴射口から過激気を噴射させたスーパーゲキレッドは、一気にゼカとの距離を縮めた。

 

 

「スーパータイガー撃!!」

 

 

過激気によって威力を高められたスーパーゲキクロウの一撃が、ゼカに炸裂する。

 

 

「ふっ!!」

 

 

しかし、ゼカはその一撃を余裕で受け止める。

 

 

ある程度予想していた事とはいえ、内心で舌打ちするスーパーゲキレッド。

 

 

そして、直ぐに次の行動に移すスーパーゲキレッド。

 

 

スーパーゲキレッドは、ゼカの腕を掴み背中に回る事で関節技を決める。

 

 

「今だやれ!!」

 

 

簡単に関節技を決められたゼカだったが、むしろされるがままになっていた。

 

 

「ゲキワザ!!スーパージャガー撃!!」

 

「ゲキワザ!!厳集拳(ごんしゅんけん)!!」

 

 

高速で低空飛行し、強力の一撃を繰り出すスーパーゲキブルーと、青紫激気を拳に込めたゲキブルーバイオレットのパンチがゼカに炸裂する。

 

 

「こんなもんか?」

 

 

しかし、2人の攻撃は全く効いていなかった。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

ゼカが気合を入れる声を上げると、ゼカの周囲に強風が巻き起こる。

 

 

『うわぁっ!!?』

 

「きゃあっ!!?」

 

 

至近距離で強風に煽られたスーパーゲキレッド達は、吹っ飛ばされてしまう。

 

 

そしてゼカは戦いの中で、ドンとの会話を思い出す。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ゼカ...何故私はゲキレンジャー達を倒すのではなく、痛め付けるか分かるかね?」

 

 

ドンの質問に答える事が出来なかったゼカは、黙ってしまう。

 

 

「ふふっゼカ、人間は大きく分けて2種類のタイプが居るのですよ。1つは圧倒的な力の前に挫折をして死ぬまで怯える臆病者、そしてもう1つはなお力を見せても諦めずに立ち上がる愚か者」

 

 

そう言うと、ドンは座っていた椅子から立ち上がり、外を眺める。

 

 

「ふふ、私はゲキレンジャー達がどちらになるのか見たいのですよ」

 

 

手に持っているワインを、一気に飲み干す。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ゲキレンジャー達は、諦めない愚か者だな」

 

 

ドンとの会話を思い出したゼカは、ゲキレンジャー達がどっちのタイプなのかを理解する。

 

 

「さて、もう少し遊んでやるよ」

 

 

 

 

 

ゼカがゲキレンジャー達と戦っている間、三幹部はプリキュア達と戦っていた。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

ホッシーワのパラソルの振り下ろしを、横に飛んで避けるハニー。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

先程と同じように、パラソルの先から銃弾が発射される。

 

 

「同じ攻撃に引っ掛かる程、バカじゃないわよ!!」

 

 

同じ手は食わないと、ハニーは全弾回避する。

 

 

「それはどうかしら?」

 

 

ニヤッと怪しい笑みを浮かべたホッシーワに、ハニーは警戒する。

 

 

「きゃあっ!!?」

 

 

ハニーの後ろから、フォーチュンの悲鳴が聞こえる。

 

 

フォーチュンの方に視線を向けると、先程避けたチョコレート弾がフォーチュンに被弾していた。

 

 

「ざんね~ん、最初っからアンタを狙ってないのよ」

 

「あなたの相手は私でしょ!?なのに他の人を狙うなんて卑怯よ!!」

 

「誰が1対1で勝負するって言ったのお嬢ちゃん?世の中そんなに甘くないのよ」

 

 

ハニーの指摘に、ホッシーワはおーほっほっほっほ!!と高笑いをする。

 

 

「だったら...」

 

 

ナマケルダと戦いながら、今のやり取りを見ていたラブリーはプリカードを取り出す。

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

「プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!チェリーフラメンコ!!」

 

 

ラブリーは、チェリーフラメンコにフォームチェンジする。

 

 

「プリキュア!!パッションダイナマイト!!オレ!!」

 

 

ラブリーのパッションダイナマイトが、オレスキーに向かって放たれた。

 

 

「ふん!そんなものは効かん!!」

 

 

上に跳躍する事によって、パッションダイナマイトを避けるオレスキー。

 

 

しかし、ラブリーが狙ったのはオレスキーでは無かった。

 

 

「はあああああっ!!」

 

 

炎の中から、雄叫びを上げながらフォーチュンが出てくる。

 

 

「何!!?ぐあぁぁぁぁ!!!」

 

 

驚くオレスキーは、咄嗟の事でガード出来ず真面に攻撃を受ける。

 

 

「なっ!?何でフォーチュンが動けるのよ!!?チョコで動けなくしてた筈でしょ!!?」

 

 

動けなくさせた筈のフォーチュンが、炎の中から何事もなく出てきた事に驚くホッシーワ。

 

 

「まさか...」

 

 

そこでようやく、ナマケルダがラブリーの攻撃の意図に気付いた。

 

 

「パッションダイナマイトは、オレスキーに攻撃する為のものじゃなくフォーチュンのチョコを溶かすために...」

 

「何それ!!ムカつく~!!」

 

 

ナマケルダが考察し、ホッシーワは自身の攻撃が攻略された事に腹を立たせる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゲキレンジャーがゼカに苦戦し、プリキュア達が三幹部に善戦してる中、メレはイナと戦っていた。

 

 

イナの高速移動の前に、メレは防戦一方だった。

 

 

「避けてばかりじゃ、私には勝てないわよ」

 

「言われなくても分かってるわよ!!」

 

 

イナの嫌味に、メレは悔しそうに声を荒げて答える。

 

 

しかし、イナの高速の拳法に苦戦するメレだったが、直撃などしないようになっている。

 

 

「集まれハピネスな気持ち!」

 

「高まれイノセントな想い、地球の光を聖なる力へ!」

 

 

儀式も最終段階に入り、アクシアへと力が込められる。

 

 

「輝け!!シャイニングメイクドレッサー!!」

 

 

ブルーがそう叫ぶと、アクシアが宙に浮いて眩しい光が放たれる。

 

 

その光に、目を庇う三幹部とイナとゼカ。

 

 

「この光はヤバいぞ!幸せになってしまうではないかー」

 

 

――時間か

 

 

ゼカはアクシアの解放されたのを確認すると、戦闘を止める。

 

 

「悪いが今日はここまでだ、さらばだゲキレンジャー共」

 

 

そう言うと、その場から消えた。

 

 

それと同時に、イナも砂埃を上げて三幹部の元へと向かう。

 

 

眩しい光が晴れると、アクシアが赤、青、黄、白のハートの飾りがついた鏡へと変わっていた。

 

 

「さぁ、シャイニングメイクドレッサーが3人の動きを止めているうちに!」

 

「うん!」

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!!ロリホップヒップホップ!!」

 

 

ラブリーはコスチュームチェンジで、ロリホップヒップホップに変身する。

 

 

「プリキュア!!ポップンソニックアタック!!」

 

 

三幹部に向けて、巨大な音符の雨を降らせ動きを封じる。

 

 

「フォーチュン!!」

 

「ええ!」

 

 

フォーチュンが、フォーチュンタンバリンを構える。

 

 

「プリキュア!!スターライト!!アセンション!!」

 

 

フォーチュンの必殺技が三幹部に当たる直前、イナが前に割り込んだ。

 

 

「はぁっ!!!」

 

 

足にエネルギーを纏わせ、それをフォーチュンの必殺技を蹴りを入れて相殺する。

 

 

「なっ!!?」

 

 

自身の必殺技が搔き消された事に、驚くフォーチュン。

 

 

「ここは撤退するわよ」

 

「なっ!!?何を言っている俺達はまだやれる!!!」

 

 

イナの言葉に、オレスキーが反発する。

 

 

「状況が悪い」

 

「ぐぅ...」

 

 

簡潔に言ったイナの言葉に、あと少しでやられていた事を実感した3人はプリキュア達に向き直る。

 

 

「私は幸せなどいらんですぞ」

 

「自分の幸せより、他人を不幸にしたいわ!」

 

「ぬるい幸せよりも、オレ様は1番になることを選ぶのだ!」

 

 

そう叫ぶと、イナと共に3人はテレポートで逃げる。

 

 

「私の必殺技を消すなんて」

 

 

フォーチュンは、自身の力不足を実感しタンバリンを見つめる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「シャイニングメイクドレッサー...力を感じる!」

 

 

今までの一部始終をみていたミラージュは、シャイニングメイクドレッサーを辛そうに見つめる。

 

 

「ブルーが本気になったようですね。ブルーを倒さなくてはあなたが倒されるでしょう」

 

「そんなに私が憎いの!?」

 

「そう、ブルーはあなたを憎んでいるんです」

 

 

怒るミラージュに、ディープミラーは煽りだす。

 

 

「ファントム!!」

 

「ここに」

 

 

ミラージュの呼ぶ声に応じ、前に現れるファントム。

 

 

「ファントム、地球の神ブルーを倒しなさい!」

 

「よろしいのですか?」

 

 

ファントムの問いに、強めに言うミラージュ。

 

 

「倒しなさい!!私の為に」

 

「必ず、ミラージュ様のために」

 

 

そう答えるファントムだったが、口元は嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

カプセルが置かれていた、謎の場所。

 

 

そこに、ドンとツトコウの姿があった。

 

 

「なるほど、シャイニングメイクドレッサー...はは、面白い物があるんだね...酒の摘まみとして飽きないよ」

 

 

ドンは笑みを浮かべながら、椅子に座りながらワインを飲む。

 

 

「はぁ」

 

 

何が面白いのかが解らず、ツトコウは曖昧な返事をしてしまう。

 

 

その事にも気にもしなかったドンは、手を上げ空中を撫でるように手を振ると、目の前に複数のモニターが現れる。

 

 

そしてドンは、モニターに向けて話しかける。

 

 

「ふふふ、我が同盟達よ、作戦は無事完了したかな?」

 

「こちらメキシコシティのウンライ...作戦終了した」

 

「はーい、パリに居るラブマナンも終わったよ~」

 

「ワシントンD・C~ロノイ~無事終わり~呆気ない...ひひひ」

 

「モスクワのゼンヤハ..既に終わった」

 

「北京...ダンダ...作戦完了」

 

「???だ、キャンベラでの目的は終えている」

 

 

次々と報告された結果に、ドンはされに笑みを浮かべる。

 

 

「流石は我が同盟達だな...ではサンプルをちゃんと持ってきて下さいね」

 

『了解』

 

 

各モニターから、返事が返ってくる。

 

 

「ドン様...そろそろ」

 

「えぇ...行きましょうかね」

 

 

そう言って、ドンとツトコウの2人はその場から消える。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ドイツ、ベルリン。

 

 

住宅街の裏路地を、ボロボロの格好した怪人が逃げるように走っていた。

 

 

「はぁはぁ...なんだよ...彼奴は何者なんだよ!!」

 

 

悪態をつきながら逃げる彼の正体は、幻影帝国の幹部の1人、ドイツ担当のヒトリジーメだった。

 

 

「なぁ!!嘘だろ!!」

 

 

ヒトリジーメは驚く、なぜなら逃げた先が行き止まりだったからだ。

 

 

ヒトリジーメが後ろを振り向くと、1人の怪人が歩きながら近づいてきた。

 

 

「きっ、来た!!」

 

 

その怪人は、身体中に鎖が巻き付けられていて、両手には枷がついてあり、顔は仮面を着けており、仮面の眼の部分から覗く赤い目が彼を見ていた。

 

 

「ふざけるな!!私は幹部なんだぞ!!こんな訳のわからない奴にやられてたまるか!!」

 

 

そう叫びながら、手を挙げると怪人の左右に大量のチョイアークとサイアークが空から落下してくる。

 

 

怪人の周りを、サイアーク達が一瞬で囲んだ。

 

 

彼はただ逃げていただけではなかった、逃げながらもサイアークを作り、潜ませて機会を伺っていたのだ。

 

 

「ファファ、貴様もこの数ではただではすまない!!」

 

 

しかし、その状況でも怪人は何も言わなかった。

 

 

「やれ!!」

 

 

ヒトリジーメの命令を受け、サイアーク達は怪人に襲い掛かる。

 

 

ここからは、サイアーク達による蹂躙...ではなく怪人による蹂躙が始まった。

 

 

それはまるで、面白そうに蟻を踏んで殺す子供のような残虐非道なやり方で、チョイアーク達とサイアーク達を消していく。

 

 

「サ..サイアーク!!」

 

 

中には逃げ出そうとする者もいたが怪人は一体も逃がさず潰し...そして全滅させた。

 

 

「ははは...」

 

 

ヒトリジーメは、その様子を見て乾いた笑いしかでなかった。

 

 

そして、怪人は再び彼に向かって歩き出す。

 

 

「ふざけるなふざけるなふざけるな!!!うわぁぁぁ!!」

 

 

自暴自棄になったヒトリジーメは、両手にエネルギーを貯めて怪人に向けて放った。

 

 

エネルギー弾が着弾し、爆風で怪人が見えなくなる。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

ヒトリジーメは休む事無く、連続でエネルギー弾を放つ。

 

 

ドドドドドォンッ!!!!

 

 

無数のエネルギー弾が着弾し、怪人の姿が見えなくなる。

 

 

「はは、ははは、はははははは!!!!」

 

 

ヒトリジーメは、突然大声で笑い出した。

 

 

「どうだ!!このヒトリジーメ様にケンカを売ったのが間違いだったんだ!!お前みたいな訳の分からない奴が、幹部である私に敵うはずがないんだよ!!」

 

 

高々と勝利宣言するヒトリジーメだったが、砂煙の中からカツン、カツンと歩く音が聞こえる。

 

 

「あり得ない...嘘だ...」

 

 

先程まで笑っていたヒトリジーメだったが、どんどん絶望する顔へと変わる。

 

 

そして煙の中から、無傷の怪人が出てくる。

 

 

ヒトリジーメは恐怖の表情を浮かべ、エネルギー弾を放つ。

 

 

しかし、エネルギー弾が当たるが怪人にはまったく効かずゆっくりと近づいてきた。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

悲鳴を上げながら、両手にエネルギーを1つに集め、巨大なエネルギー弾を作る。

 

 

「これでもくらえ!!」

 

 

怪人にぶつけようとしたが、先に怪人が動いた。

 

 

ヒトリジーメの懐に一気に近づき、怪人は手刀で彼の腹を貫く。

 

 

「ぐっ...!!!」

 

 

痛みで悲鳴を上げようとしたヒトリジーメだったが、残った手で口を塞がれる。

 

 

ヒトリジーメが作ったエネルギー弾は霧散し、赤い血だまりの中で彼は倒れた。

 

 

「ふふ、想像以上の出来ですね」

 

 

 

倒れたヒトリジーメを見下ろす怪人は、声が聞こえた方に振り向くとドンとツトコウが現れる。

 

 

ドンを視界にいれた怪人は、ヒトリジーメ同様手刀で体を切り裂こうと振るう。

 

 

「ふん」

 

 

しかし、怪人の手刀をドンは人差し指と中指で挟むように受け止める。

 

 

「でもまぁ...まだまだ調整は必要ですね...」

 

 

怪人の様子に、ドンは眉を寄せる。

 

 

「そうですね」

 

 

そういうと、ツトコウは怪人に近づき首輪をはめる。

 

 

首輪を嵌めた途端、怪人は糸が切れた人形の様に崩れ落ちる。

 

 

「それでは戻りましょうかね」

 

 

ドンはヒトリジーメを能力で浮かせ、ツトコウは怪人を持ち上げて消える。

 

 

 

ドンたちが消えた後の裏路地に、近づく者達がいた。

 

 

「なんだ!!なんだ!!先程の爆発音は!!」

 

「分かりません!!」

 

 

裏路地に入ってきたのは、警察だった。

 

 

「警察だ!!そこを動くな!!」

 

 

2人の警官は、拳銃を突き付ける。

 

 

「あれ?」

 

 

しかし、警官の目の前には、血だまりも爆発後も何もなかった。

 

 

「何もないぞ」

 

「おかしいですね」

 

 




はい!!如何だったでしょうか?


今回は全員が強化形態になった事で、新たな名乗りを入れてみました。


燃え滾る気は正義の魂。


燃え滾る気とは、激気、過激気、紫激気、臨気の全てを現し、正義の魂は言わずもがなスーパー戦隊魂の事です。


全員強化形態への変身時のみの名乗りとなります。


プリキュアにも新たな力、シャイニングメイクドレッサーが現れました。


誠司達、ゲキレンジャーが関わった事でどのような変化があるかは、ぜひ皆様自身の眼でご確認ください。


これからも、応援の程よろしくお願いいたします!!


それでは次回、8月1日に投稿予定の第37話、もしくは6月15日投稿予定のLOVE TAIL第5話でお会いしましょう!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第37話 ファントムの秘策!!もうひとりのキュアラブリー!!

どうも!ナツ・ドラグニルです!!


大変お待たせしてしまって、申し訳ございません!!


まぁ、しばらく休むって言ってたんですけどね...


私のわがままでアクセル・ビルドをリメイクしているのですが、そのお陰でハピネスチャージが投稿が遅くなっていしまいました。


それでは!!作品をどうぞ!!


「倒しなさい!!私の為に」

 

「必ず、ミラージュ様のために」

 

 

そう答えるファントムだったが、口元は嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

 

パチパチパチパチ。

 

 

「流石ですね、ミスミラージュ様」

 

 

拍手をしながら、ドンとゼカが現れる。

 

 

「一体何しに来たの?ドン」

 

「えぇ...ファントムさんに助っ人を用意しました」

 

 

ドンのその言葉に、ファントムは顔をしかめる。

 

 

「助っ人だと?フンっ...断る」

 

 

鼻で笑ったファントムは、ドンの誘いを断った。

 

 

「その精神は素晴らしいですね...。ですが、ファントムさん貴方一人でゲキレンジャー達とプリキュアを相手にしてブルーを消すのは些か無茶ではありませんか?」

 

 

図星を突かれ、ファントムは言い淀む。

 

 

「安心してください、ファントムさんの邪魔はしません。彼がお膳立てしますので」

 

 

そう言うと、ドンはゼカに目で合図を送る。

 

 

「来い」

 

 

ゼカの言葉を合図に、上からフードを被った何者かが現れ、ゼカの前で膝まつく。

 

 

「こいつは俺の臣下だ、良い働きをするぞ」

 

「ふ~ん...」

 

 

ミラージュはゼカの説明を聞いて、少し考える素振りを見せる。

 

 

「良いわ、彼との同行を許可するわ」

 

「なっ!!?」

 

 

ミラージュの思わぬ言葉に、ファントムは驚く。

 

 

「いいわね?ファントム」

 

「くっ......畏まりました...」

 

 

素性もよくわからない奴を同行させるなんて、とファントムは不満に感じていた。

 

 

しかし、ミラージュの命令という事なので渋々承諾した。

 

 

「ミスミラージュ様の心広い寛大さに、感服いたします」

 

 

ドンはそう告げると、ミラージュに向けて頭を下げる。

 

 

「ちっ」

 

 

気に食わないファントムは、その場を後にしようと歩き出す。

 

 

それに続いて、ゼカの臣下も後を追いかける。

 

 

臣下がドンの隣を通り過ぎようとしたその時。

 

 

「作戦通りに...」

 

「...了解」

 

 

と、小さな声でそんなやり取りをするドンと臣下。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「うーん、綺麗だねーシャイニングメイクドレッサー」

 

 

目を輝かせながら、シャイニングメイクドレッサーを見つめるひめ。

 

 

めぐみも、目がキラキラさせる。

 

 

「見た目だけではありませんわ、ドレッサーの加護を受けたプリキュアはとっても強くなれるのです」

 

「おー!」

 

 

リボンの説明に、めぐみはテンションを上げる。

 

 

「強くって、誠司達よりも超強くなれる?」

 

「それは、ひめ達の技量次第ですわ」

 

『おおおおおおっ!!!』

 

 

誠司達よりも強くなれると聞いて、テンションが上がるめぐみとひめ。

 

 

「このアイテム1つで俺達よりも強くなれるなんて......まいったぜ...」

 

「確かにな」

 

 

ゴウの言葉に、ケンも同意しハハッと笑う。

 

 

「それに、ドレッサーには秘密のパワーが隠されていて、すげー奇跡を起こせるって言われてるんだぜ」

 

「奇跡...」

 

 

ぐらさんの説明に、誠司は奇跡という言葉を繰り替えす。

 

 

「(どんな奇跡も起こせるなら...死んだ父さんも...)」

 

 

そこまで考えた誠司だったが、左右に振るって考えを打ち消す。

 

 

「(いや...何を考えてるんだ俺は...死んだ人間はもう帰ってはこないんだ...)」

 

 

思い留まった誠司だったが、次のめぐみの言葉で考えが打ち消された。

 

 

「奇跡、それって...テストで満点とれるとかー?」

 

 

めぐみは、全てのテストで満点を取る想像をする。

 

 

ひめも隣で拍手を送る。

 

 

「そういう事は、奇跡に頼るんじゃなくて自分で努力して取るもんだろ」

 

『うっ...』

 

 

笑顔になってるめぐみとひめに向かって、突っ込みを入れる誠司。

 

 

「じゃあ、毎日お米が食べ放題にー?」

 

「おー!」

 

「おコメおコメ」

 

 

ゆうこが想像したのは、大量の俵の山だった。

 

 

「それはまだ夢があるな」

 

「確かに」

 

 

ゆうこの想像に、ゴウとケンはうんうんと頷いて同意する。

 

 

「というわけで」

 

『全部まとめてお願いします』

 

 

声を揃えシャイニングメイクドレッサーに、お願いをするめぐみ達4人。

 

 

だが、シャイニングメイクドレッサーは無反応だった。

 

 

「あれ?」

 

「ドレッサーはそう簡単には応えてくれないよ」

 

 

何も反応がない事に不審がるめぐみだったが、ブルーが説明する。

 

 

「どうすれば応えてくれるの?」

 

「プリキュアの強いイノセントな想いなら」

 

 

ゆうこの質問に、ブルーは説明を続ける。

 

「イノセント?」

 

「イノセントって言うのは、心からの気持ちってことよ」

 

 

めぐみの疑問に、ひめはめぐみの胸に手を当てて教える。

 

 

「心からの...」

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その頃、ぴかりが丘の一角にある森林地帯。

 

 

強風が吹く風が強い日だったが、その強風の中気の天辺に立つ一人の男の姿があった。

 

 

「ブルー」

 

 

そんなファントムの元に、フードを被ったゼカの家臣が近づく。

 

 

「こんな所にいたのか、ファントム」

 

「何の用だ」

 

 

フードの男の問いに、ファントムは素っ気なく答える。

 

 

「何の用だはねぇだろ、今回の作戦で一緒に戦う仲間だろ?」

 

 

フードの男の言葉に、ファントムはフッと鼻で笑う。

 

 

「仲間だと...笑わせるな。俺は一度もお前達を仲間だと思った事はない」

 

「おいおい、悲しい事言うなよ」

 

「フードで顔を隠して、素性を隠す奴が良く言うな...」

 

 

ファントムのその言葉を聞いたフードの男は、自身が着ているフードに手を掛ける。

 

 

「なら...見せてやるよこの俺の力をな」

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

『かわルンルン!!』

 

 

フォーチュンピアノを使って、ドレスに着替えるいおな。

 

 

「変装完了!」

 

 

ドレスに着替えたいおなの前に、用意される数々の化粧道具。

 

 

「しょうがないなー、しばらくはおしゃれな鏡として使うしかないか」

 

 

そう言って、いおなの化粧を始めるひめ。

 

 

「困りましたわねー。早くクイーンミラージュの居る幻影帝国に乗り込まないといけませんのに」

 

「これも運命か」

 

 

ブルーの呟きを、誠司が拾った。

 

 

「ブルー?どうかしたのか?」

 

「いや、昔の事を思い出してね。300年前、僕とミラージュはドレッサーの力を借りて大きな敵と戦ったんだ」

 

 

そう言って、ブルーはかつてプリキュアだったミラージュ、キュアミラージュと共にドレッサーの力を使って敵と戦った事を語った。

 

 

「キュアミラージュ!!」

 

「プリキュアだったの⁉」

 

 

ミラージュが自分達の先輩だったと知って、めぐみ達は驚く。

 

 

「そんな前から、幻影帝国があったの?」

 

「いや、あの頃は幻影帝国はなかった...」

 

 

ブルーがランの質問に答えると、そのまま立ち上がった。

 

 

「少し風に当たってくるよ」

 

 

そう言って、ブルーはその部屋から出て行った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ぴかり神社に鏡が現れ、そこからブルーが現れた。

 

 

ブルーは神社の階段前で、そこから見える町を見下ろしていた。

 

 

かつてミラージュと一緒に見てきた景色を見ながら、ミラージュとの出会った日々を思い出す。

 

 

「ミラージュ...」

 

 

悲しそうにミラージュの名前を呼ぶブルーは、握る手の力が強くなる。

 

 

「何辛気くせぇ顔してんだよ」

 

 

声を掛けられた事に驚いたブルーは、声のした方に振り向いた。

 

 

するとそこには、鏡から出てきたであろう誠司が立っていた。

 

 

「誠司...どうかしたのかい?」

 

「あぁ——...ブルーが心配になってな」

 

 

ブルーの問いに、誠司は何処か言い辛そうに後ろ髪を掻いた。

 

 

「うわぁ...とととと、待って、待って待って~!」

 

 

その時、消えようとする鏡の中からめぐみが現れた。

 

 

「めぐみ?」

 

 

めぐみの声が響いた事に、誠司は驚いて振り向く。

 

 

「おわぁ———!!」

 

 

勢いよく入ったせいか、出てきたのはいいが転びそうになるめぐみ。

 

 

「とーとっとっと!!」

 

 

けんけんしながら、転びそうなのをめぐみは堪える。

 

 

そんなめぐみを、誠司は受け止める。

 

 

誠司に抱きしめられる形で受け止められためぐみは、すぐに状況を理解して顔を赤くする。

 

 

「違うの!じゃなくてゴメンね!あーでもなくてー!」

 

 

手をバタバタと忙しなく動かし、うろたえるめぐみ。

 

 

その様子に、誠司はなぜ慌てているのか分からず、きょとんとする。

 

 

「あーいやー、ブルー大丈夫?」

 

 

誠司だけでなく、めぐみまで心配された事にブルーは驚く。

 

 

しかし、ブルーはめぐみの問いに答えず、ミラージュについて語りだした。

 

 

「あの時、僕とミラージュは確かにパートナーだった。でもそれは遠い過去の話だ。今の彼女はクイーンミラージュ。世界を不幸に撒き散らすほど僕を憎んでいる。もし彼女に会えたとしても、僕の言葉は届くだろうか...」

 

 

ブルーは不安そうに、空を見上げる。

 

 

「きっと届くよ」

 

 

不安そうなブルーに、めぐみが答える。

 

 

「めぐみの言う通りだ。ミラージュに対する気持ちは本物なんだろ...ならその気持ちに嘘をついたら駄目だ」

 

「そうだ!!会いに行こうよ!クイーンミラージュに!」

 

 

そこで、めぐみが何か思いついたのか、ブルーに提案する。

 

 

「あぁ、そうだね。ありがとう、めぐみ、誠司」

 

 

2人にお礼を告げて、笑いあう誠司達。

 

 

「愚かな男だ」

 

 

その声に、誠司とブルーが反応する。

 

 

「ゲキワザ!!砲砲弾!!」

 

 

グルルルル!!ガォォォォォ!!

 

 

誠司達に向けて放たれた光線を、誠司の砲砲弾が打ち消した。

 

 

「ファントム!!」

 

 

誠司達の前に現れたのは、ファントムとフードを被った謎の人物だった。

 

 

「お前はあの方の怒りを分かっていない。ブルー、ミラージュ様の命に従い、お前を倒す」

 

「ミラージュが僕を倒せと言ったのか?」

 

「そんな事をしたら、ミラージュは本当に取り返しの付かない事になっちゃうよ」

 

「それがどうした。ミラージュ様はお前の事など、既に何とも思っていない。この世界から、消えろ!!」

 

 

今にも襲いかかろうとするファントムに、誠司が静かに質問する。

 

 

「何とも思っていないなら、なぜブルーを倒そうとする?」

 

「⁉」

 

 

誠司の言葉に、ファントムは言葉を失う。

 

 

「それはつまり、ミラージュはまだブルーの事を...」

 

 

「黙れっ!!!」

 

 

誠司の言葉を遮るように、ファントムが叫んだ。

 

 

「貴様に!!あの方の何が分かる!!?」

 

 

ファントムの怒号に、またも誠司は静かに答える。

 

 

「確かに俺は、ミラージュを知らない。だが、思いやる事は出来る」

 

 

誠司はそう言うと、右隣にいたブルーに手を差し伸べた。

 

 

意図が分からなかったが、ブルーはその差し出された手を握った。

 

 

そして今度は、左隣にいためぐみにも手を差し伸べる。

 

 

めぐみにも意図が分からなかったが、笑顔でその手を握った。

 

 

「こうやって寄り添うことで、これから相手を知っていけば良いんだ」

 

 

『⁉』

 

 

誠司の言葉に、驚くブルーとファントム。

 

 

その後、2人は真逆の反応を示す。

 

 

ブルーは誠司の優しさに涙を流し、ファントムは何の根拠のない誠司の言葉に怒りを見せる。

 

 

「落ち着け、冷静さを欠ければ例の作戦も上手くいかないぞ」

 

「分かっている」

 

 

フードの男に指摘された事で、ようやくファントムも冷静さを取り戻した。

 

 

「ブルー、下がってろ!!」

 

「分かった」

 

 

これ以上話をしても聞く耳を持たないだろうと判断した誠司は、ブルーを下がらせる。

 

 

「行くぞ!!めぐみ!!」

 

「うん!!」

 

 

誠司はゲキチェンジャーを、めぐみはプリチュンミラーを構える。

 

 

『かわルンルン!!』

 

「プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!」

 

「たぎれ!!ケモノの力!!ビースト・オン!!」

 

 

めぐみはキュアラブリーへと、誠司はゲキレッドへと変身する。

 

 

「ブルーは私達が守る!!」

 

 

ファントムは早速、ブルーに目掛けて光弾を放つ。

 

 

「ラブリーシールド!!」

 

 

ラブリーは目の前に、ハートの形をしたシールドを張って攻撃を防ぐ。

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ラブリーは羽を生やして、ファントムへと突撃する。

 

 

「ふっ!!」

 

 

ラブリーの攻撃をファントムは腕の籠手で受け止めようとする。

 

 

しかし

 

 

「⁉」

 

 

籠手で防がれると思ったラブリーの攻撃は、ファントムが瞬間移動をした事で空を切った。

 

 

「なっ⁉」

 

 

咄嗟の出来事で驚くラブリーの横に、ファントムはまたも瞬間移動で現れ、手刀を横薙ぎする。

 

 

虚を突かれたラブリーだったが、体をひねることで攻撃を回避する。

 

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

 

ラブリーは一回転し、ファントムの脳天目掛けてかかと落としを繰り出す。

 

 

しかし、それも瞬間移動によって交わされてしまう。

 

 

一旦距離を取ったラブリーは、ラブリービームの構えを取った。

 

 

「ラブリービーム!!」

 

 

発射されたラブリービームを、今度は瞬間移動で避けるのではなく、弾き飛ばすことによって明後日の方向へと飛ばした。

 

 

「愛の名を持つプリキュア、邪魔をするならお前も倒す」

 

「私を倒すっていうなら相手になるけど、私だけを相手にしていて良いの?」

 

 

ラブリーの質問の意図に気づいたファントムは、鼻で笑った。

 

 

「ふっ、ゲキレッドの事を言っているのか?奴には空を飛べる手段がない」

 

 

ファントムは、空を飛べる事が出来ないを笑う。

 

 

「ゆえにこんな上空で戦う俺達に対して、奴は何もできまい」

 

「それはどうかな」

 

 

驚きで体を強張らせてしまったファントムに、後ろからの攻撃を避けるすべは無かった。

 

 

「ぐぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

凄まじい衝撃に、勢い良く吹っ飛ばされるファントム。

 

 

勢いを殺し、痛む背中を押さえるファントムが見たのは、過激気によって空を飛ぶスーパーゲキレッドの姿だった。

 

 

「飛べないなんて、俺は一言も言ってないぜ」

 

「貴様!!」

 

 

明らかな挑発に、ファントムは怒りを見せる。

 

 

「ラブリー!!一緒に行くぞ!!」

 

「おっけー!!」

 

 

スーパーゲキレッドは拳に過激気を、ラブリーは巨大な光の拳を作り出す。

 

 

「ゲキワザ!!スーパータイガー撃!!」

 

「ラブリー!!パンチングパンチ!!」

 

 

2人の必殺技が、ファントムに迫る。

 

 

「⁉」

 

 

避けようとするファントムだったが、先程のスーパーゲキレッドの一撃が効いていたのか、ファントムの背中に痛みが走る。

 

 

そして、その隙が命取りとなる。

 

 

「ぐぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

 

2人の攻撃が命中し、地上に向かって吹っ飛ばされるファントム。

 

 

地面に激突する寸前、ファントムは攻撃を後ろへと投げ飛ばした。

 

 

地面に着地したファントムの後ろに、パンチングパンチとスーパータイガー撃が着弾し、砂埃を上げる。

 

 

ファントムの前に、ラブリー達が降り立った。

 

 

「ゲキレッドが強いのは知っていたが、キュアラブリーも力をつけたな」

 

「みんなを守る為にね!!」

 

 

ラブリーの言葉に、ファントムはふっと鼻で笑った。

 

 

「強くなったのはお前だけではない」

 

 

ファントムがそう言うと、ヘイトリッドブレイドを取り出した。

 

 

「この剣が教えてくれた、新たな技でキュアラブリー...お前を倒す」

 

 

ブレイドを掲げると、赤黒いエネルギーを纏う。

 

 

「はぁ!!」

 

 

横薙ぎに振るわれた斬撃は、ラブリーを襲う。

 

 

「ふっ!!」

 

 

寸前で後ろに飛び退き避けるラブリーだったが、狙いはラブリーではなかった。

 

 

その斬撃は、ラブリーではなくラブリーの足元の影を切り裂いた。

 

 

「私の影が?」

 

「何だあれは?」

 

 

影が分離された事に、誠司達は警戒する。

 

 

ファントムはラブリーの影の中に、手を突っ込む。

 

 

「捉えたぞ!!」

 

 

見ているラブリー達の前で、影から巨大な赤黒い塊を引きずり出す。

 

 

「俺は幻影を操る戦士。キュアラブリー!!お前はお前の影によって倒される!!」

 

 

ファントムがその塊を前に掲げると、その塊が人の形へと姿を変える。

 

 

すると、闇塊の中から、糸を引くように黒いブーツ、ロング手袋を纏った手が出てきた。

 

 

「あなたは!」

 

「マジかよ...」

 

 

中から出てきたのは、黒いドレスを纏い赤いスカートを履いたキュアラブリーそのものだった。

 

 

もう一人の自分が現れた事に、動揺したラブリーは瞬間移動で目の前に現れた影のラブリー『シャドウラブリー』に反応できなかった。

 

 

シャドウラブリーは足に力を入れると、地面が陥没する。

 

 

そしてシャドウラブリーのパンチが、ラブリーへと炸裂する。

 

 

「きゃあ!!」

 

 

真面に攻撃を食らったラブリーは、後ろへと吹っ飛ばされた。

 

 

「ラブリー!!」

 

 

スーパーゲキレッドはラブリーを追いかけようとするが、その前を謎のフードの男に阻まれた。

 

 

「何だお前は」

 

 

邪魔された事にいらつくスーパーゲキレッドだったが、フードの男はスーパーゲキレッドの質問を無視し、ファントムに告げる。

 

 

「作戦通りに、お前はブルーを片付けろ」

 

「ふん、言われるまでもない」

 

 

ブルーの元に向かったファントムを追い掛けたいスーパーゲキレッドだったが、邪魔されてしまう。

 

 

スーパーゲキレッドは2人の安否を気にして、急いで奴を倒そうとする。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

上空へ飛ばされたラブリーに、追い打ちを掛けるように更に瞬間移動してきたシャドウラブリーがラブリーの腹部に手を当てる。

 

 

その手から放たれた衝撃波によって、ラブリーは更に吹っ飛ばされる。

 

 

「うっ!!」

 

 

勢いよく吹っ飛ばされたラブリーは、建物に激突した事でようやく止まった。

 

 

しかし、シャドウラブリーの攻撃は止まらない。

 

 

建物に突っ込んだラブリーに追い打ちを掛け、建物を貫通して反対側から2人が出てきた。

 

 

シャドウラブリーの攻撃を、ラブリーは腕をクロスさせて受け止めると地面を滑っていく。

 

 

「何者なの⁉」

 

 

ラブリーがもう一人の自分に聞くと、シャドウラブリーはいつものラブリーと同じような笑顔で話す。

 

 

「私は貴方だよ。だから...今からこの街をメチャクチャに壊してあげる」

 

 

彼女が指先にエネルギーを纏い、ある一定の大きさになるとそのエネルギーを空へと放つ。

 

 

「何を...」

 

 

不思議がるラブリーを他所に、空に放たれたエネルギーが解放され、空が薄黒く染まった。

 

 

先程まで青空だったぴかりが丘が、一瞬にして暗くなってしまった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「うわ!真っ暗!」

 

「これは!」

 

 

急に空が真っ暗になった事に、驚くプリンセス達。

 

 

「嫌な予感がする...急ぎましょう!!」

 

 

何かを感じたのか、ハニーが皆を急かす。

 

 

そのハニーの腕の中には、リボンとぐらさんが抱えられていた。

 

 

しかし、急ぐ3人の前を遮るように、一発のエネルギー弾が着弾する。

 

 

「今のは!!?」

 

 

見覚えのあるエネルギー弾に、フォーチュンは飛んできた方向を注目する。

 

 

そこには、先程ブルーを追ったはずのファントムの姿があった。

 

 

「ファントム!⁉」

 

「なぜ貴方がここに⁉」

 

 

ファントムと鉢合わせした事に、驚くプリンセス達。

 

 

「あの神を消す前に、まず邪魔なお前達を排除する」

 

 

こうして、プリキュア達3人とファントムの戦いの火蓋が切られた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

同時刻。

 

 

プリキュア達とは別方向から、誠司達の元に向かうゲキレンジャー達。

 

 

「辺りが急に暗くなった!!」

 

「これも敵の何らかの技なのか?」

 

 

急に辺りが暗くなった事に、相手の技なのかとバイオレットとチョッパーが警戒する。

 

 

走って向かうゲキイエロー達の前を、何かが凄い勢いで通過した。

 

 

「うおっ!⁉」

 

「何!⁉」

 

 

ドッガァァァァン!!!

 

 

ゲキイエロー達の前を通り過ぎた物は、近くの建物に激突した。

 

 

「一体なにが...」

 

「気をつけろ!!」

 

 

何が出てくるか分からない為、警戒するゲキレンジャー達。

 

 

しかし、中から出てきた人物にゲキイエロー達は驚愕する。

 

 

がらがらとがれきをどかして、建物の中から出てきたのはゲキレッドだった。

 

 

『ゲキレッド!!!』

 

 

ゲキイエロー達は、慌ててゲキレッドに駆け寄った。

 

 

「大丈夫⁉」

 

「あぁ、助かった」

 

 

ゲキブルーがゲキレッドを支え、バイオレットが訳を聞く。

 

 

「何があったんだ?」

 

「それが...」

 

 

ゲキレッドが話そうとする前に、フードの男がゲキレンジャー達の前に現れた。

 

 

「気をつけろ!!あいつ結構強いぞ!!」

 

 

ゲキレッドの言葉を聞いて、全員が警戒する。

 

 

「何もんだお前⁉」

 

「ふふふふっ」

 

 

チョッパーの問いに、フードの男は笑いながらバサッと着ていたフードを外すことで答えた。

 

 

「なっ!⁉」

 

「お前は!⁉」

 

 

フードの下から現れたのは、バッタの装飾が額についた一体のリンリンシーだった。

 

 

「俺はゼカ様の臣下の1人!!臨獣グラスホッパー拳使いのタッバ様だ!!」

 

「ゼカの臣下だと⁉」

 

「あいつも、マク達三拳魔みたいに臣下がいるのか」

 

 

ゲキレッドはフードの男がゼカの臣下だと聞いて驚き、バイオレットはゼカにマク達と同じように臣下が居る事に驚いていた。

 

 

「獣人邪身変!!」

 

 

タッバの顔が体に埋まり、リンリンシーの身体が獣人化する。

 

 

上半身、主に胸部には特徴としてバッタの頭部が浮かび上がる。

 

 

「俺を楽しませてくれよ」

 

 

こうして、獣人化したタッバとゲキレンジャーとの戦いが始まった。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ゲキレンジャーがタッバと、プリキュア達がファントムと戦っている間、ラブリーはシャドウラブリー相手に苦戦していた。

 

 

「街を壊すって、どうして⁉」

 

 

自分が大好きな街を壊すと言われ、動揺するラブリーは本気を出せないでいた。

 

 

「うふ♡めぐみが皆を守るだなんて言ったからだよ」

 

 

そう言うと、シャドウラブリーは近くにあった電柱を殴ると手がめり込んだ。

 

 

手を突っ込んだまま、電柱を引っ張る事で電線を引きちぎるシャドウラブリー。

 

 

その電柱を、シャドウラブリーはラブリーに叩きつけた。

 

 

砂塵が巻き起こるが、少し離れた所に何とか避けていたラブリーが着地する。

 

 

「ほ~んと、ダメな子だね」

 

「どういう事?」

 

「あたし、めぐみの事何でも知ってるんだから~。醜くて自分勝手なもう一人な私」

 

 

そう言われ、怯むラブリー。

 

 

シャドウラブリーは電柱を捨てて、片手にエネルギー状の刀を出現させ、ラブリーに斬りかかる。

 

 

ラブリーもラブリーソードで応戦し、鍔迫り合いを始める。

 

 

「ねぇ...覚えてる?小さい時、初めてお母さんの手伝いをした時の事...」

 

 

鍔迫り合いの状態から、押しきる形でシャドウラブリーはラブリーを吹っ飛ばした。

 

 

「そして...お母さんからありがとうって言われたその時、私はとても嬉しかった。お母さんが喜んでくれた...こんな私でも役に立つだってね」

 

 

吹っ飛んだラブリーに一気に距離を詰めたシャドウラブリーは、ラブリーの後ろ襟を鷲掴みにして引っ張りながら上空へと飛んだ。

 

 

自分の前にラブリーを持ってきて、シャドウラブリーは更に言葉をぶつける。

 

 

「それから私は、もっとありがとうが欲しくて色々頑張った」

 

 

余裕顔のシャドウラブリーに対して、動揺しまくりなラブリー。

 

 

「そしてそれはお母さんだけじゃなく、他の人にもお手伝いをして沢山ありがとうって言われて嬉しかった」

 

 

動揺解けぬラブリーを、今一度地面に向けて投げつける。

 

 

ドガァァァァァン!!と大きな音を立てて、ラブリーは地面に激しく墜落した。

 

 

追撃を加えようと、エネルギー弾を飛ばす。

 

 

「それの...何がダメなのー!!」

 

 

砂塵の中から、飛んできたエネルギー弾をはじき返すラブリー。

 

 

その一撃で砂塵が消えるのと同時に、瞬間移動でラブリーの前に現れる。

 

 

突然目の前に現れた事に驚くラブリーを他所に、シャドウラブリーはラブリーに抱き着いた。

 

 

「分からないの?本当の愛乃めぐみは、ありがとうって言葉が欲しいから自己満足する為に人助けをしている...最低な偽善者なのよ」

 

「そんなこと...」

 

「そして、回りからしたら貴女のやっている事はただのお節介だって...まぁ関係ないよね自分がハピネスになれればどうでも良いのだから」

 

 

動揺するラブリーに、シャドウラブリーはそう耳打ちする。

 

 

「私がプリキュアに変身したのは、皆を幸せハピネスにする為?ハハハ...違うよ。私は誠司を護る為にプリキュアになったのよ」

 

 

シャドウラブリーの言う通り、ラブリーがプリキュアになった理由がそれだった。

 

 

「勉強も運動も全然駄目で、将来の夢すらまるで決まってない。普段から誠司に頼りっぱなしな私は...このままだと誠司に見放されるかもって」

 

 

本心を付かれ、何も言えなくなったラブリー。

 

 

「プリキュアになった事で誠司より優れ、どんな相手でも誠司を守れると思ったよね」

 

 

すっかり脱力したラブリーを、軽く押したシャドウラブリーは拳を構える。

 

 

「でも現実は残酷だった...誠司は私より遥かに強く、覚悟も凄かった。本当に私は中途半端、だからこんなあたしみたいな悪者にも全く歯が立たない」

 

 

シャドウラブリーの言葉で、等々泣き出してしまうラブリー。

 

 

ラブリーの腹を突いて、吹き飛ばすシャドウラブリー。

 

 

後に吹き飛んで建物に激突し、倒れるラブリー。

 

 

ラブリーは立ち上がることなく、地面に倒れたまま嘆いている。

 

 

ラブリーの前に、シャドウラブリーが着地するが見向きもしなかった。

 

 

「めぐみの愛なんかじゃ、誰の幸せも満たせるわけないよ」

 

 

 




如何だったでしょうか?


今回、オリジナルキャラであるタッバが登場いたしました!


ゼカの臣下にして、グラスホッパー拳使いのリンリンシーです。


そして今回、原作と違う所はファントムがラブリーの影を纏いアンラブリーとなりましたが、今作では影がラブリーの姿に変わってシャドウラブリーへと変わったところでしょうか。


そして、文字数の関係上2話に分けさせていただきました。


既に38話は出来上がっていますので、12月に投稿いたします。


それでは次回、第38話もしくはベストマッチな加速能力者第7話でお会いしましょう!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第38話 ラブリーの覚悟!輝け!ハピネスビックバーン!!

どうも、ナツ・ドラグニルです!!


お待たせしました、今回でようやく第29話が終わります。


途中で終わらせてしまい、申し訳ございません。


いきなり寒くなって来ましたが、皆さん体調管理には気を付けて下さい。


それでは作品をどうぞ!!



「皆!!あれを見て!!」

 

 

タッバと戦っていたゲキレンジャー達だったが、ゲキイエローがある物を見つけた。

 

 

ゲキイエローが指差す方へ視線を向けるゲキレッド達、そこにはラブリーの抜けたプリキュアの3人がファントムと戦っていた。

 

 

それを見たタッバも、先程ファントムがブルー達を襲う前にドンから入った通信を思い出す。

 

 

『タッバ君、作戦通りにゲキレッドの相手をしてファントムは他のプリキュアの方に向かう様に誘導してもらいますよ』

 

『...ブルーを消すのは』

 

『ふふ...それは駄目ですよ』

 

『はい?』

 

『今ブルーを消すのはまだ早いですよ...〝ミラージュを育てる〟為には』

 

『畏まりました』

 

 

その指示があった為に、バッタはゲキレッドを、ファントムは残りのプリキュア達を相手するのが決まっていた。

 

 

タッバがブルーを片付けろと言ったのはブラフで、それもゲキレッドを動揺させる作戦の1つだった。

 

 

「そろそろ...こっちも再開と行きますか」

 

 

タッバのその言葉で、止まっていた戦いが再開された。

 

 

全然距離があるにも関わらず、タッバは蹴りを放とうとする。

 

 

「なんだあいつ?」

 

「まさか、あそこから蹴りを放つ気?」

 

「何のために?」

 

 

タッバの挙動に、不審に思うゲキイエロー達。

 

 

「油断するな!!!気をつけろ!!」

 

 

警告するゲキレッドの意図が分からなかったが、次のタッバの行動で意味を理解する。

 

 

「はぁっ!!!」

 

 

タッバが蹴りを放った瞬間、飛ぶ斬撃が前方に飛ばされた。

 

 

「なっ⁉」

 

「斬撃が飛んで来ただと」

 

 

驚きながらも、飛ばされた斬撃を避けるゲキレンジャー。

 

 

「鎌風を呼び起すほどの速度と、爆発的な脚力があれば可能だ。そして...」

 

 

しゅん、と音を立ててタッバの姿が消えた。

 

 

「なっ!?」

 

「消え...」

 

 

次の瞬間、ゲキレッドの後ろにタッバが現れる。

 

 

「その脚力があれば、姿が消える程のスピードを出す事が出来る」

 

 

そう解説するのと同時に、ゲキレッドに向けて蹴りを放つ。

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!」

 

 

タッバの蹴りによって、吹っ飛ばされるゲキレッド。

 

 

『ゲキレッド!?』

 

『てめぇ!!』

 

 

ゲキイエローとゲキブルーの2人は、ゲキレッドが吹っ飛ばされた事を心配する。

 

 

「さらに...」

 

 

ゲキレッドがやられた事に、怒りを見せるゲキバイオレットとゲキチョッパー。

 

 

「厳厳拳!!」

 

「念念弾!!」

 

 

2人の間に現れたタッバに向かって、バイオレット達は技を繰り出す。

 

 

しかし。

 

 

「空も飛ぶことが出来る」

 

 

2人の攻撃が当たる寸前、タッバは空気そのものを足場にして空へと逃げた。

 

 

「なっ⁉」

 

「しまっ⁉」

 

 

タッバに放たれた技は、標的が居なくなった事で互いに当たってしまう。

 

 

『ぐぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

 

バイオレットには念念弾が、チョッパーには厳厳拳が炸裂する。

 

 

同士討ちの形で、バイオレット達は倒れる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「しぶといな」

 

 

なかなか倒れないプリンセス達のしぶとさに、ファントムは少し感心する。

 

 

「ん?」

 

 

そこでファントムは、影ラブリーがラブリーを地に伏せているのが見えた。

 

 

「見てみろ、面白いのが見えるぞ」

 

 

ファントムの言葉で、ようやくプリンセス達はラブリーの状況を理解する。

 

 

「ラブリーが倒れてる⁉」

 

「あ、あれ?でも、ラブリーがもう一人いる⁉」

 

 

ラブリーが倒れている事に驚くハニーだったが、その相手もラブリーである事にプリンセスが驚く。

 

 

「全然違いますわー!」

 

 

遠くで戦いを見ていたリボンが、口を出した。

 

 

「中身は別人なんだぜ。この闇のオーラはファントムと同じものだ」

 

「その通りだ」

 

 

ぐらさんの言葉に、ファントムが同意する。

 

 

「あいつは俺の力で生み出したラブリーの影、シャドウラブリーだ」

 

 

シャドウラブリーが優勢な状況に、ファントムは笑みを浮かべる。

 

 

「キュアラブリーが倒れるのも、時間の問題だな」

 

 

ファントムの言葉を聞いて、シャドウラブリーに向かって飛び出す者がいた。

 

 

「そんな事はさせない!!」

 

 

飛び出したのは、プリンセスだった。

 

 

「プリンセス急降下ダーイブ!」

 

 

飛び出した時の勢いを利用し、ドリルの様に回転しながらシャドウラブリーに向かって蹴りを放つ。

 

 

プリンセスの存在に気づいたシャドウラブリーは、軽く左足を掴んでそのまま投げ飛ばす。

 

 

「うわ、ちょちょちょ、わぁー!」

 

 

投げ飛ばされたプリンセスは、空中で態勢を変える事で勢いを殺し、無事に地面に着地する。

 

 

「行ってフォーチュン!!援護するわ!!」

 

 

このままじゃまずいと感じたのか、ハニー達もシャドウラブリーに向かう。

 

 

「ハニースタンプ!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ハニーは上空から、フォーチュンが前からシャドウラブリーに迫る。

 

 

しかし、シャドウラブリーは左手でハニースタンプを、右手でフォーチュンのパンチを受け止める。

 

 

2人の攻撃を難なく受け止めたシャドウラブリーから、赤黒いエネルギーがあふれ出す。

 

 

攻撃を受け止められたのと、赤黒いエネルギーに驚くハニーとフォーチュン。

 

 

そして...次の瞬間。

 

 

ドッガァァァァァン!!!

 

 

大きな爆発が、3人を包む。

 

 

「うわっ!うっ...」

 

 

爆風から顔を庇うプリンセス。

 

 

「ふふ、ふふふ、あっはっはっは!!」

 

 

砂塵の中から、シャドウラブリーは高笑いをしながら出てきた。

 

 

ハニーとフォーチュンが地面に倒れている事に、驚きを隠せないプリンセス。

 

 

その様子を見て、ショックを受けるラブリー。

 

 

「見てなさーい!これからめぐみが守りたかったもの、ぜーんぶ壊してあげる」

 

 

そう言うと、シャドウラブリーは空高く上昇していった。

 

 

「大丈夫?ラブリー?」

 

 

無事だったプリンセスは、ラブリーへと駆け寄った。

 

 

「どうしよう...」

 

 

弱弱しい声で、上体を起こすラブリー。

 

 

「さっきから力が出ないの。やっぱり...ダメなんだね。私...シャドウラブリーの言う通り、大した事も出来ないくせに何も考えず突っ走って...。あたし弱いから誰も助けられないし、誰も守れないよ」

 

 

胸の前で拳を握りながら、目尻に涙を浮かべるラブリー。

 

 

「ラブリー...」

 

 

プリンセスは、ラブリーの手を取った。

 

 

そして、その言葉はタッバと戦って居るゲキレッドも聞こえていた。

 

 

「お前!!一体今まで、俺達から何を学んで来た!!」

 

 

ゲキレンジャーやプリキュア達が戦う戦場に、ゲキレッドの怒声が響き渡る。

 

 

はぁはぁと荒い息を吐きながら、ゲキレッドは叫び続ける。

 

 

「俺達がお前を鍛えてきたのは、体や技だけじゃねぇぞだろうが!!」

 

 

「誠司...」

 

 

誠司の言っている言葉の意味を理解したラブリーは、等々泣き出してしまった。

 

 

誠司の言葉の意味、それは心技体の1つ、『心』も鍛えてきたという意味だ

 

 

「誠司達の言う通りだよ、弱音なんてラブリーらしくないよー!」

 

 

ゲキレッド達の言葉に同意し、ラブリーを叱咤激励するプリンセス。

 

 

「え?」

 

 

プリンセスの言葉に、驚いた様子のラブリー。

 

 

「そうだね」

 

 

ハニーも同意するが、ラブリーには意味が解らなかった。

 

 

「どういうこと?」

 

 

ラブリーの質問に答えたのは、フォーチュンだった。

 

 

「ラブリーはどんな時でも、諦めない誰かの為に頑張ればいいのよ」

 

「でも、それでみんなに迷惑かけて...」

 

 

しょんぼりとするラブリーに、プリンセスは両腕を掴んだ。

 

 

「ラブリーはそれでいいんだよ!迷惑だなんて思ってないんだから」

 

「私達は頑張っているラブリーに、いつも引っ張ってもらっているんだよ」

 

 

そう言って、手を差し伸べるハニー。

 

 

「さぁ、手を出しなさい」

 

 

そこにまた1つ、フォーチュンの手が差し伸べられた。

 

 

両腕を掴んでいたプリンセスも、両手を差し伸べる。

 

 

最初はあんぐりだったが、嬉しそうな顔でその4つの手を両手で掴むラブリー。

 

 

 

 

 

その様子を戦いながら見ていたゲキレッドは、もう大丈夫だと安堵する。

 

 

「俺達も負けてられないな」

 

 

誠司はずっと、タッバの戦い方をよく見ながら戦っていた。

 

 

そのお陰で、ある1つの可能性に気づいた。

 

 

「そろそろ、俺達も決着をつけるか」

 

 

気づいた可能性に賭け、決着をつけようとしたその時だった。

 

 

「いや、その必要はない」

 

 

そう言うと、タッバはゲキレッド達に背中を向ける。

 

 

「逃げる気か⁉」

 

 

撤退しようとするタッバに、ゲキレッドは叫んだ。

 

 

「俺の目的は達成した。もうここにようはない」

 

「なめやがって」

 

 

明らかに自分達を見下したタッバの態度に、バイオレットは苛立ちが募らせる。

 

 

「ここで俺達を倒さなかった事を、後で後悔するぞ」

 

 

ゲキレッドの言葉にも耳を貸さず、タッバはその場から姿を消した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「シャドウラブリー!!」

 

 

羽を広げ、空中にいるシャドウラブリーに向けて叫んだ。

 

 

自分に向かってくるラブリーを見て、驚くシャドウラブリー。

 

 

「立ち上がるんだね...」

 

 

シャドウラブリーが腕を一振りすると、紫色の狼の形をしたエネルギーの塊がラブリー達を襲う。

 

 

「プリンセス!!弾丸マシンガン!!」

 

 

弾丸マシンガンを放つが、狼には回避されてしまう。

 

 

「はぁ!」

 

 

狼がプリンセスを見ている隙に、上へ回ったフォーチュンが頭部を殴る。

 

 

「ハニー!」

 

「ハニーテレポート!」

 

 

プリンセスとフォーチュンが狼を相手している間、ハニーはラブリーを抱えシャドウラブリーの元までテレポートする。

 

 

「後は任せたわ!」

 

「うん!」

 

 

ラブリーが近づいてきた事で、右拳に紫の炎を纏うシャドウラブリー。

 

 

うおおおおっ!!という唸り声と共に右手に炎を纏うラブリー。

 

 

激突する両者。

 

 

「調子に乗って!」

 

「調子に乗るよ!だって友達が、みんなが信じてくれるんだから!」

 

「なっ⁉」

 

 

ラブリーが気張るのと同時に、彼女の炎が更に強くなり、シャドウラブリーは驚く。

 

 

「大好きな人達の為に戦う。私は、キュアラブリーは無敵なんだから———!!」

 

 

空中で爆発し、2人を包む。

 

 

「はぁ...はぁ...はぁ...」

 

 

煙が晴れると、肩で息をするラブリーと、腕を組みながらどこか満足しているシャドウラブリーがいた。

 

 

「そう...だったら貫いてみなさい貴女の覚悟を、その道を私は見ているわ貴女の陰から」

 

 

その言葉の意味を理解したラブリーは、目尻に涙がたまる。

 

 

「ごめんね...」

 

 

ラブリーは謝ると、必殺技を放つためにプリチュンミラーを構える。

 

 

『かわルンルン』

 

 

「プリキュア!!くるりんミラーチェンジ!!チェリーフラメンコ!!」

 

 

ラブリーは、チェリーフラメンコにコスチュームチェンジする。

 

 

「プリキュア!!パッションダイナマイト!!」

 

 

炎が、シャドウラブリーを包み込む。

 

 

「オ・レ!!」

 

 

シャドウラブリーは、目を閉じて全てを受け入れてそのまま消えていった。

 

 

「ありがとう」

 

 

消えていったシャドウラブリーにお礼を言ったラブリーは、自身に影が戻ってきたのを確認した。

 

 

「バカな!?」

 

 

シャドウラブリーが倒された事に、驚くファントム。

 

 

ラブリーの前に、降りてくる3人。

 

 

「さすがー!」

 

 

と、シャドウラブリーを倒したラブリーを褒めるプリンセス。

 

 

「プリンセス、ハニー、フォーチュン、ゲキレッド、みんなのおかげだよ!」

 

 

嬉しそうに言うラブリーの手を、フォーチュンが掴んだ。

 

 

「それはお互い様でしょ?」

 

「私達、たりないところはいつも助け合ってきたものね」

 

 

そう言って、フォーチュンとプリンセスの2人と手を繋ぐハニー。

 

 

「仲良しだもんねー」

 

「うん、ありがとう」

 

 

顔をくっつけながら言うプリンセスに、感謝するラブリー。

 

 

すると、手を繋いで円を作る4人の中央で、何かが光りだす。

 

 

「何、この光?」

 

 

驚くラブリーに、リボンが答える。

 

 

「みんなのイノセントな想いが、輝いているんですわ」

 

「今なら行けるんだぜ」

 

 

リボンに続いて、ぐらさんもそう告げた。

 

 

「おのれ!プリキュアー!」

 

 

叫んだファントムは、己のエネルギーを解放する。

 

 

「行くよ!みんな!」

 

『うん!』

 

 

ラブリーの掛け声を合図に、4人は光に包まれる。

 

 

「集まれ!ハピネスな気持ちー!」

 

 

胸から、ラブリー達に向けて光を放つリボン。

 

 

「高まれ!イノセントな想い!」

 

 

リボンに続いて、ぐらさんも光を放つ。

 

 

「輝け!」

 

『シャイニングメイクドレッサー!!』

 

 

リボンとぐらさんが出した光が融合し、シャイニングメイクドレッサーが現れる。

 

 

4人が天に手を伸ばすと、ペンのようなアイテムが手に現れる。

 

 

鏡の前で構える4人、順にそれぞれの色に対応したハートをペンで押していく。

 

 

ペンで口紅をラブリーが塗り、鏡にハートマークが現れる。

 

 

プリンセスはペンでまつげを化粧し、青い丸のマークが現れる。

 

 

次にハニーが現れ、ペンをチークとして使い、黄色のクローバーが現れる。

 

 

最後にフォーチュンが、ペンでネイルを塗り紫の星と青い羽根のマークが現れる。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっと!!」

 

 

プリンセスがペンで羽根を描き、ドレッサーへと飛ばす。

 

 

3人が見守る中、羽根がドレッサーへと吸い込まれ強烈な光を放つ。

 

 

「愛と!」

 

「勇気と!」

 

「優しさ!」

 

「幸運を込めて!」

 

 

そう叫ぶのと同時に、4人の背中に羽根が生える。

 

 

ペンをドレッサーに向け、鏡の前で小さく回転させる。

 

 

先程の5つのマークと赤いリボンのマークが、ぐるぐると1つずつ光っていく。

 

 

「みんなにとどけ!幸せの大爆発!」

 

 

すると、鏡の中央に、4人の胸のリボンについているハートマークの紋章が現れる。

 

 

『プリキュア!ハピネスビッグバーン!!』

 

 

ペンを天に向ける4人。

 

 

浮いたシャイニングメイクドレッサーを覆う様に、4人の色に対応した光のリングが発生し収縮する。

 

 

そして次の瞬間、シャイニングメイクドレッサーを中心に、ハート型の虹色の塊が大きくなっていき、まるで爆発の煙の様にファントムを飲み込んでいく。

 

 

「うわぁぁぁぁっ!!おおおおぉぉぉ......」

 

 

元凶のファントムを倒した事で、ぴかりが丘の空が元の晴天へと戻った。

 

 

ぴかりが丘に、光の粒が降り注ぐ。

 

 

『はぁ~!』

 

 

嬉しそうに、にっこりと笑う4人。

 

 

「これがドレッサーの力!」

 

「幸せハピネスだね」

 

「みんなを幸せにする、スゲ―技だぜ」

 

 

フォーチュンとハニーの言葉に、ぐらさんが興奮気味で答える。

 

 

「私、幸せすぎて、気持ちが大爆発しちゃうよー!!みんな!だーい好き!」

 

 

そう言って、ラブリーは3人を抱き寄せた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

プリキュアの攻撃を受け、クレーターの中で倒れるファントム。

 

 

「ミラージュ...様...」

 

 

そして、その様子を遠くで見ていた者がいた。

 

 

「ふむ、ここで彼を失うと後々面倒ですね」

 

 

一部始終を見ていた男...ドンは倒れているファントムを見てある作戦を決行する。

 

 

「仕方ない...」

 

 

ドンがそう言うと、パチンと指を鳴らした。

 

 

「な...なんだこれは...」

 

 

何とか意識を保っていたファントムが見たのは、ヘイブリッドブレードから黒いエネルギーがあふれ出てきていた。

 

 

そして、ファントムは何も抵抗できず、バクっとエネルギーに覆いかぶせられた。

 




はい!!如何だったでしょうか?


今回、ゼカの臣下の1人タッバが現れました。


バッタのリンリンシーという事もあって、足技としてワンピースのサイファーポールが使っていた六式『嵐脚』『剃』『月歩』を出しました。


まぁ、六式を出したという事は、誠司が気づいた可能性についても気づいた人もいるかもしれませんね。


今回の話で、ハピネスチャージの原作も残り19話になりました。


最後まで頑張って投稿していきますので、応援の程宜しくお願いいたします。


それでは次回第39話もしくは、LOVE TAIL第10話でお会いしましょう!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。