ヨークシンシティでオークションすっぞ! (KTケイティ)
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事前設定資料集

【2018年5月5~10日辺りから書き始めます】
ぜひ今のうちの『お気に入り』登録をして、更新をお待ちいただければと思います。


前作、前々作などが長くて読むのが大変だと思われるので、要約作りました。

 

前作ネタバレが思いっきり書いてあるので、ちゃんと読みたい方は、①の『悟空とベジータのハンター試験?』から読んで見てください。

 

 

<最初のお話はこちら>

https://syosetu.org/novel/151315/

①『悟空とベジータのハンター試験?』

 

 

<前回のお話はこちら>

https://syosetu.org/novel/152392/

②『ベジータの天空闘技場 攻略』

 

 

<サイドストーリーはこちら>

https://syosetu.org/novel/151289/

『悟飯のハンター試験?』

 

 

 

 

とにかく続きからでいいから読みたい

 

という方は下へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<要約>

①『悟空とベジータのハンター試験?』

https://syosetu.org/novel/151315/

ハンター試験に挑んだ悟空とベジータ。

ブルマに戦闘力を制御するリミッターを付けられて、パワーの出せない二人。

難敵ヒソカに破れながらも、辛くもベジータだけは合格。

禍根を残してハンター試験は終了した。

 

 

②『ベジータの天空闘技場 攻略』

https://syosetu.org/novel/152392/

ヒソカへのリベンジの為、天空闘技場へやってきたベジータ。

ゴン、キルアと共に念を学びながら200階へ。

ヒソカと戦うも、リベンジならず。

次のヨークシンシティでの再戦を目指す。

 

 

 

<設定集>

・リミッター

戦闘力を制限するブルマの作品

 

・気

ゴン、キルア、クラピカ、レオリオはほんの少しだけ使える。悟空にハンター試験中に習ったため。

 

・念

気の劣化版と言われているが、使い方によっては強くなることも。

 

・戦闘力(Z戦士は()内だとリミッター付けた数値)

通常ベジータ ⇒(20前後)

気を入れたベジータ ⇒(200~300前後)

スーパーサイヤ人ベジータ⇒(1000前後)

 

通常悟空 ⇒(20前後)

気を入れた悟空 ⇒(200~300前後)

スーパーサイヤ人悟空⇒(1000前後)

 

通常ヒソカ ⇒100前後

念使用時ヒソカ⇒1000前後

 

通常カストロ ⇒100前後

念使用時カストロ⇒1000前後

 

通常ゴン ⇒30前後

念使用時ゴン⇒200前後

 

通常キルア ⇒45前後

念使用時キルア⇒280前後

 

クラピカやレオリオは今後出てくるので、この資料集には入ってません。

 

 

リミッターを付けると、スーパーサイヤ人の上にはなれません。

その他、戦闘力などの細かい数値は省きます。

ぜひ、最初の作品か、前作の『ベジータの天空闘技場攻略』からお読み下さい。

 

 

 

<前回のお話はこちら>

https://syosetu.org/novel/152392/

②『ベジータの天空闘技場 攻略』

 

 

<最初のお話はこちら>

https://syosetu.org/novel/151315/

①『悟空とベジータのハンター試験?』

 

 

<サイドストーリーはこちら>

https://syosetu.org/novel/151289/

『悟飯のハンター試験?』

 




この物語の更新は2018年5月5~10日からです。
それまでの間はこの設定資料集しか掲載されません。

ぜひ今のうちに『お気に入り』登録をして、更新をお待ちいただければと思います。


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【57】ヨークシンシティ到着 ”9月1日”

お久しぶりです!
なかなか筆が乗りませんが最後まで書ききるのでよろしくお願いします!
(前作の「ベジータの天空闘技場攻略」の続きです)


9月1日

 

~ヨークシンシティ 露天街~

 

「やっと着いたね」

 

「ゴンの家、クジラ島が遠すぎるんだよ」

 

ゴンとキルアは、クラピカ達との約束通りヨークシンシティにやってきていた

 

天空闘技場でベジータが帰ったあと、ゴンとキルアはカストロと共にフロアマスターを目指して戦った

 

カストロはすぐにフロアマスターとなったが、師であるヤムチャと連絡が取れず、意気消沈し、しばらくして天空闘技場を去っていった

 

ゴンとキルアも同じくして、フロアマスターの一歩手前で天空闘技場を去った

 

しばらく帰ってなかったゴンの実家に、キルアを連れて行くためだった

 

そして、ゴンの実家であるクジラ島で、母親代わりのミトから"ジンからの預り物"を受け取っていた

 

「それにしてもなんでゲームなんだろ?」

 

ゴンは首をかしげながら歩く

 

「そこだよなぁ、ほんとわかんねぇ。ミルキの奴もわかんねぇんだから、多分オレたちが考えてもムリムリ」

 

ヨークシンの出店が並ぶ市場を練り歩く

 

「ま、とにかく50億ジェニーだかなんだか知らないけど、バカ高くてこのままじゃ買えないってのだけは確かだな」

 

「二人で8億だもんね…」

 

「あれ?もうちょいなかった?」

 

「残りはベジータさんの分だよ」

 

「そういやそっか。とりあえず携帯買わないと連絡も取れないな」

 

目先の目標は携帯だと、キルアが言いながら露天を覗く

 

そこへ後ろから声がかかる

 

「そっちじゃなくてこっちにしたほうがいいぜ」

 

バッ、と振り向く二人

 

「レオリオ!!」

 

再会の喜びを味わいながら、レオリオの値切りで携帯を購入した二人

 

「…そういやベジータさんの連絡先、知らないんだった」

 

携帯を買っても連絡が取れないことに気づいた二人は、とりあえずレオリオと共に宿泊先の確保やこれからのことを話しながら中心街へと進んで行った

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 入口~

 

シュタッ

 

4人が降り立つ

 

「なんか騒がしそうなとこだな」

 

「ふん、お祭り気分とはおめでたいやつらだぜ」

 

そう、悟空とベジータがヨークシンへやってきていた

 

「パパ、でも楽しそうだよ!」

 

「お父さん、ボクあっち見てきていい?」

 

そして、トランクスと悟天も一緒に

 

ベジータは、ヒソカとの再戦を求めて

 

トランクスはブルマから言われてベジータが連れてきていた

 

そしてトランクスに誘われた悟天

 

その悟天の保護者としてチチに言われてついてきた悟空

 

「んで、どうすんだこれから?」

 

悟空がベジータに尋ねる

 

「クラピカを探せばヒソカの居場所がわかるはずだ。クラピカを探すにはまずはゴンかキルアを探すのが早いか」

 

「おめぇヒソカに会いにここまで来たんか!?」

 

「う、うるさい!理由があるんだ!」

 

「まぁいいけど、オラもゴンたちには会いてぇからな」

 

そんな二人の会話を、トランクスと悟天は不思議そうに聞く

 

「パパ、ヒソカって誰?」

 

「ゴンさんたちって、お父さんが話してたハンター試験の人たちのこと?」

 

ベジータはトランクスには答えず、悟空が代わりに答える

 

「ヒソカっちゅうのはハンター試験のときにいた結構強ぇやつだ。ゴンたち、特にゴンとキルアはおめぇたちと歳も近ぇから友達になれるかもな」

 

それを聞いた二人はワクワクしながら悟空たちのあとをついて、ヨークシンシティへと入って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

~西の都 カプセルコーポレーション~

 

ピンポーン ピンポーン

 

「おーい」

 

ガチャ

 

「なによ朝っぱらから…、ってヤムチャじゃない」

 

「あぁ、すまない」

 

「どうしたのよ」

 

いつもの陽気な雰囲気とは違い、真面目な顔のヤムチャ

 

「ここにウーロンいないよな?」

 

「ウーロン?そう言えば最近ずっと見てないわね。どうしたの?」

 

「実は…」

 

ヤムチャはウーロンが居なくなっていることを話した

 

天空闘技場に一緒に居たこと、そしてそのあと見かけてないこと

 

よく亀仙人様のところにいるので、今回もそこにいるだろうと思っていたのだが、久しぶりに亀仙人様のところへ行ったら、半年は見ていないと言われて、ここへ探しに来たのだった

 

「天空闘技場にまだいるとか?」

 

「いや、電話してもう確認したんだ」

 

フロアマスターの権利を剥奪されていたので、部屋の権利も消えてウーロンが住める場所などなかった

 

「うーん、でもあんたやプーアルみたいに空を飛んで帰ってくることできないでしょ?確か変身も5分くらいしか出来ないから鳥になってもすぐ落ちるし」

 

「やっぱりあっちにいるか…」

 

「行きましょうヤムチャ様!」

 

悩むヤムチャを促すプーアル

 

「もし見かけたらすぐに連絡してあげるわよ」

 

「…すまない」

 

「あ、そう言えばいまヨークシンシティにベジータとトランクスが居るから、そっちに行く機会があったらベジータにも聞いてみるといいわよ」

 

「ヨークシン…ありがとう!」

 

そしてヤムチャはプーアルを抱えて飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 廃墟ビル街~

 

2つの影が廃墟と化したビルの間を歩いていた

 

「ほ、ほほ、本当にあの幻影旅団のとこに行くのかよ」

 

「もちろん、ボクも団員だから大丈夫◆」

 

ウーロンを引き連れてヨークシンへと入ったヒソカは、そのまま幻影旅団の集合場所へと向かっていた

 

見えてきたのは一際崩れた廃ビル

 

階段の面影がある部分を登り、広々としたフロアに入る

 

「やぁ◆」

 

ニコリと笑って廃墟ビルのフロア内にいる11人に声をかける

 

その11人こそが幻影旅団

 

視線がヒソカと、その後ろにいるウーロンに刺さる

 

「…そいつ、なに?」

 

マチがなぜか嫌な顔をしながらウーロンを見る

 

「…ボクの…友達、かな?◆」クククッ

 

はぐらかしながら腰を下ろすヒソカ

 

そこに12人目の人影がスッと奥から現れる

 

「勝手に部外者を連れて来るからには理由があるんだろう、だよな?ヒソカ」

 

オールバック姿の男が確認するようにヒソカへ問う

 

「そうそう、面白い能力持ってるんだ◆」

 

その言葉で更にウーロンへ視線が突き刺さる

 

(む、無理だ…死んじゃう…)

 

青ざめるウーロンにオールバック姿の男が問う

 

「そうか…ならばお前の能力、見せてくれ」

 

 

 



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【58】ヒソカの企み

~ヨークシンシティ 市内~

 

「いねぇなぁ」

 

キョロキョロと辺りを見回しながらゴン達を探す悟空

 

「ちっ、流石に気を入れてないやつらの小さな気までは探せんか」

 

ベジータも悪態をつきながら歩く

 

「場所がわかってたら気が小さくても探せんだけどなぁ」

 

そんなことを話ながら歩いていると、トランクスと悟天が戻ってくる

 

シュタッ シュタッ

 

「パパー!予約してきたよ!」

 

はい、とホテルまでの道が載った地図をベジータに渡す

 

「ねぇ、お父さん遊んできていい?」

 

悟天が悟空の袖を引っ張る

 

「あぁ、いいぞ。日が暮れる前までにはそのなんとかっちゅうホテルに戻るんだぞ」

 

「ベーチタクルホテルだよ」

 

「205号室と206号室ね」

 

悟天とトランクスが矢継ぎ早に説明し、今にも飛んでいきそうになる

 

「おい、力を出しすぎるなよ」

 

今度はベジータが忠告する

 

「大丈夫!ちゃんとわかってるよ!ボクもパパと同じやつ着けてもらおうかなぁ」

 

トランクスがベジータの腕を見る

 

「そう言えばお父さんも着けてるよね」

 

悟天も揃って悟空の腕を見る

 

「なんだ?貴様もまだ着けていたのか」

 

「ときどき力んで物壊しちまうからチチが着けとけってうるせぇんだ」

 

そんなやり取りを待てなそうにウズウズする子供たち

 

「もう行くよ!」

 

「お父さん行ってきます!」

 

ドヒューーーン

 

「そういや飛ぶなって言うの忘れてたな」

 

「ふん」

 

あっという間に消えていく2人を見送り、悟空とベジータはゴン達を探し始めた

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 廃墟ビル街~

 

「どこへ行く?ヒソカ」

 

「ちょっといいとこ◆」

 

団長クロロの問いに笑って答えるヒソカ

 

「悪巧みか?」

 

「もちろん◆」

 

そんなヒソカを見て薄く笑いながらクロロは言う

 

「決行は明日、9月2日の夜だ」

 

「りょーかい◆」

 

そしてヒソカはビルから消えていく

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 郊外~

 

「やっ◆」

 

「もう昼だぞ。午前中のはずだったと思うが?」

 

ヒソカに向けて厳しい視線を飛ばすクラピカ

 

「なかなか抜け出す機会がなくてね◆」

 

「旅団の情報を教えてもらおう」

 

静かに問うクラピカ

 

「いいよ◆ボクの知ってる団員の能力を教えよう◆」

 

「旅団の動きについては?」

 

「そこは教えられない◆確実にボクだとバレちゃうから」

 

ふぅ、と一息つきながらクラピカが続けて尋ねる

 

「わかった。団員の能力だけでいい。だがなぜ私に協力する」

 

「ボクの狙いは団長◆でもガードが堅くてね」

 

「…なるほど」

 

ヒソカの狙いがわかったクラピカは頷く

 

(やっぱりキミで良かったよ◆頭の回転が早い)

 

ククッ、と笑うヒソカ

 

「納得してもらえたようで何より◆」

 

そしてヒソカは話す

 

団員の能力を

 




次回から少しずつヨークシンシティの時間が動き始める…かも?
何かが起こる、そんな予感のするヨークシンシティ

次回もお楽しみに!


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【59】目標はグリードアイランド

絵付きの分はこちらに載せてます
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1525521929/
こちらのように小説ではなくSSっぽくなっているので、苦手な方はそのままこちらを読んで頂ければと思います。
とりあえずどんな絵がついているか見てみたい、という方は一度見に行かれて下さい。

(上のアドレス辿らなくても、「ヨークシンシティでオークションすっぞ!」とGoogleで検索したら何番目かに出てきます)


~ネテロ会長 別荘~

 

プルルルルル

 

「もしもし、ワシじゃ、ネテロじゃ」

 

『なーにー?電話なんて珍しいじゃない』

 

その相手はブルマ

 

「いやいや、礼くらい言っておかんとの」

 

そう言いながらネテロはある物を顔に装着する

 

『あぁ、そのことね。いいわよそれくらい』

 

「それにしても凄いのぉ、相手の力がわかるとは便利なものじゃ」

 

ピピピッ

 

『でも気を付けた方がいいわよ。ベジータが言ってたけど、同じくらいの戦闘力なら戦い方次第だー、とか』

 

そう言われて笑うネテロ

 

「ほっほっほっ、もちろんじゃて。この歳になってもいろんな発見がある、嬉しいもんじゃて」

 

『喜ぶのはいいけど、壊れやすいから気を付けなさいね』

 

「うむ、予備のもう1つはちゃんと仕舞ってあるので大丈夫じゃ」

 

『それじゃぁまたね。━━━っと、忘れるところだったわ』

 

急にトーンの変わったブルマ

 

『そっちで、ウーロンっていうブタに似たやつが行方不明みたいなのよ。もし見かけたら連絡くれる?』

 

「ふむ…聞いたことはないがの。情報が入ったらすぐ報せようかの」

 

『ありがと。あと、ヨークシンにベジータが行ってるからもし近いならベジータにも探すように伝えといてー』

 

そう言うとプッと電話を切るブルマ

 

「あ、相変わらず一方的じゃの…」

 

呆れるネテロ

 

(ヨークシンまでは丸1日といったところかの。ちと遠いから…いっか)

 

ポリポリと頭をかきながら、顔に装着をした物を静かに外し、瞑想を始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 市内~

 

「んで、お前らが狙ってるってのが?」

 

「グリードアイランド!」

 

レオリオの問いに勢いよく2人同時に答えるゴンとキルア

 

「オレのオヤジの手掛かりがそのゲームにあると思うんだ」

 

「ゲームぅ?」

 

いぶかしむレオリオにキルアが説明を加える

 

「そー、50億ジェニーとか言うバカ高い金額してんの」

 

「そりゃー難儀な額だな。他に情報ないのか?」

 

「んー、そう言えばまだあんま調べてなかったね」

 

ゴンがキルアを見る

 

「ちょうど良い方法があるぜ。ゴン、ハンターライセンス持ってるよな?」

 

指でカードの形を作りながらキルアが尋ねる

 

「うん、これだよね」

 

「なるほど」

 

そのやり取りを見てすぐに頷くレオリオ

 

「レオリオはわかるみたいだね。そ、ハンター専用サイトなら情報が得られるはず」

 

「ならオレはその間に他の情報を探っておくさ。合流はベーチタクルホテルでな」

 

そう言ってレオリオは郊外へ向かって行った

 

「あぁ、オレたちも調べたらすぐ行くよ。もう遅いし」

 

既に日も落ち、街頭にはディナーに向かう人々が満ちていた

 

ゴンとキルアはそそくさとネットカフェに入り、ハンター専用サイトの閲覧を始めた

 




ネテロ会長とブルマ?
何かを受け取っているネテロ

そして少しずつグリードアイランドに近づくゴンとキルア

次回は悟空のバトル勃発!?
どうなるヨークシンシティ!

更新日は「活動報告」をご覧下さい


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【60】悟空、再戦

次回の更新は「活動報告」をご覧下さい。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=183032&uid=229844



~ヨークシンシティ ホテル一室~

 

「ここがオレ達がヨークシンでの拠点とするホテルだ」

 

目の下に楔状のアザがある男、ダルツォルネがクラピカたちに説明をする

 

「この部屋だけか?」

 

クラピカの問いにダルツォルネは続けて答える

 

「いや、この1つ下の階の部屋が予備としてある。また、地下にも特別な部屋がある。それより昼はどこに居た!?」

 

「自由時間だったはずだが?交代要員も来ていた」

 

当然の権利だと答えるクラピカ

 

「自由時間だろうが交代要員がいようが、気を抜くことは許されんのだ」

 

ダルツォルネがクラピカに詰め寄る

 

「特別な部屋って?」

 

そこに話を戻すように、目を大きく見開いた小柄の女性が問いかける

 

「センリツ、君は知らなくていいことだ」

 

そのダルツォルネの回答にクラピカは考えを巡らせる

 

(説明をしない、ということは…敵対する者を捕らえておく場所、そして恐らくは尋問などができる施設…)

 

「いいか、お前達はお嬢様の安全だけを考えておけばいいんだ!わかったな!」

 

それだけを言うと、ダルツォルネは部屋を後にして行った

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 郊外~

 

「本当にこっちでいいんか?」

 

「知らん。貴様が地図を見たんだろう!」

 

「でも先に進んだのベジータだろ」

 

「貴様がオレ様の前を歩くからだ!」

 

不毛な言い争いをする悟空とベジータ

 

と、そこに声がかかる

 

「なんだ、キミも来たのか」

 

バッと振り向く2人

 

「ほぅ、貴様の方から会いに来るとはな」ニヤリ

 

「久しぶりだなー」

 

「いや、今回は本当に偶然◆」

 

おどけた感じで首を竦めるヒソカ

 

「偶然でもなんでもいい。オレ様と戦え」

 

構えをとるベジータ

 

「うーん、キミとはもう3回も戦ってるからね」

 

ちらり、と悟空を見るヒソカ

 

「んじゃオラとやっか」

 

にっこりと笑う悟空

 

「まぁそれでもいいけど…」

 

「待て!オレ様が先だ!」

 

「なんだよベジータ。いいじゃねぇか。もう何度も戦ってんだろ?」

 

押し退け合う2人に呆れながらも、ヒソカは選ぶ

 

「じゃぁキミで。そのあとベジータ、キミと戦ってあげるよ◆」

 

スウゥ

 

静かに構えを取るヒソカ

 

「やることがあるのにこんなところで邪魔されるとボクでもイラッとしちゃうよね…」

 

そう言った瞬間、ヒソカが動く

 

シュッ

 

「っと、あぶねぇ」

 

トランプを避ける悟空

 

ヒソカの右手にはトランプが1枚

 

「流石に動きが良い◆」

 

「未来トランクスの剣みたいだな」

 

切れ味の良さ、で思い出す悟空

 

ヒュンヒュンヒュン

 

トランプを寸でのところで避けながら反撃の機会を窺う悟空

 

「うーん、キミたちは本当にヤりにくい◆」

 

そう言うと今度は左手に無数のトランプを取り出す

 

バッ

 

「そんなもん上に投げてどうすんだ?」

 

目眩ましにもならない、と思った瞬間

 

シュッババババババ!!!!

 

悟空目掛けて次々とトランプが飛んで来る

 

「ちょ、超能力か!?」

 

慌てて避ける悟空

 

ピシッ ピシッ

 

避けているはずのトランプが悟空を微妙に切り裂く

 

(なんでだ?オラちゃんと避けてるはずなのに)

 

その間にも、悟空の周りにはトランプが飛び交う

 

勢いを増すトランプは悟空を中心に半径20mほどの球を作り、次々に襲いかかる

 

「そろそろ狩るか」

 

ヒソカがジリっと動く

 

(ちっ、まだ気づかんのか)

 

ベジータは既に”凝”でそれを見ていた

 

ヒソカのトランプは悟空の体にバンジーガムによって付けられている

 

ベジータのイライラが限界に達しようとしたとき

 

「痛てぇええええ!!!!!」

 

悟空たちの後ろから叫び声が上がる

 

バッと振り向く悟空たち

 

(彼は確かレオリオ…)

 

「あぶねぇ!」

 

悟空の周りを飛んでいるトランプの球の半径内に入ってしまっていたレオリオ

 

レオリオに向かってトランプが飛ぶ

 

ガッ

 

近くにあった柱に刺さって止まる

 

だが他のトランプがまだ舞っている

 

一瞬の判断で下がる悟空

 

逆にヒソカは動く

 

「邪魔されるのは嫌なんだよね」

 

「待てヒソカ!殺すな!」

 

追い縋る悟空を無視して、トランプでレオリオに切りかかるヒソカ

 

ヒュッ、とレオリオの喉にトランプが吸い込まれる瞬間

 

シュン

 

悟空とヒソカが消えた

 

「…いま…悟空とヒソカがいたような…」

 

唖然とするレオリオ

 

「カカロットのやつまたやりやがって」

 

「あ!ベジータ!ベジータじゃないか!」

 

レオリオが切られた左肩を抑えながらベジータに近づく

 

「運が良いな、柱に助けられるとは」

 

「そういやこの柱、なんでこんななんもないとこにポツンと刺さってんだ?」

 

斜めに刺さった柱を不思議そうに眺めるレオリオ

 

「それよりベジータ、久しぶりなのにつれねぇじゃねぇか」

 

「ふん、少し前までならちょうど良かったんだがな」

 

もう目的のヒソカを見つけてしまった後ではレオリオ、そしてゴン、キルア、クラピカに会っても意味がない

 

「ちょうど良いって…?」

 

「ふん、こっちのことだ」

 

「それよかゴンとキルアがベジータのこと探してたんだ。偶然にしちゃ上出来だ」

 

そう言ってベジータの肩を叩くレオリオ

 

そこへ

 

シュン

 

「ふひぃー、危なかった」

 

「おっ!悟空じゃねぇか!やっぱり見間違いじゃなった」

 

「おっす!レオリオ久しぶりだなぁ」

 

嬉しそうに話す悟空

 

「待て!貴様ヒソカをどこへやった!?」

 

「どこって…」

 

 

 




またもや中途半端な決着となった悟空とヒソカ。
そんなに互いに戦う興味はなさげか

だが、ヒソカはどこに連れていかれたのか
ヨークシンシティ、幻影旅団のところに戻れるのか!?


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【61】ヒソカは手に入れる

絵付きの分はこちらに載せてます
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1525521929/
こちらのように小説ではなくSSっぽくなっているので、苦手な方はそのままこちらを読んで頂ければと思います。
とりあえずどんな絵がついているか見てみたい、という方は一度見に行かれて下さい。




~ネテロ会長 別荘~

 

「な、なんでお主がここにおるんじゃ…?」

 

「…ボクが聞きたい方だと思うんだよね」

 

ヒソカはネテロのところへ飛ばされていた

 

(またやられたようだね…◆)

 

「一瞬、悟空が見えたような気がしたんじゃが…」

 

「いいよ、それよりここはどこだい?」

 

「ワシの別荘じゃ。なんでお主達が知っておるんかのぉ」

 

いぶかしむネテロ

 

「ヨークシンシティ、に行きたいんだけど…。道はわかるかい?◆」

 

「ふむ、何かと”ヨークシン”を聞くのぉ」

 

良いじゃろう、と地図を見せて説明するネテロ

 

「ここから南東の方角に徒歩で1日ってとこじゃろうな」

 

「ギリギリ間に合う、かな◆」

 

2度目のマラソンをさせられるようで、少しイラつきを覚えるヒソカ

 

そのヒソカの目に、ネテロの机の上にある物が映る

 

「あれは…」

 

「そう言えばお主、ハンター試験の時に似たものを着けておったの」

 

いま思えば、なぜ?と疑問が湧いてくる

 

「じぃさん、それ、貰えないかい?」

 

スカウターを指して尋ねるヒソカ

 

「うーむ…」

 

ポリポリと頭をかくネテロ

 

「そうじゃのぉ…お主が”ワシの頼みを無条件で引き受ける”ということなら良いかの」

 

「頼み、とは?◆」

 

「それは頼み事が出てきたときに言おうかの。ほっほっほっ」

 

「相変わらず喰えないじぃさんだ◆」

 

その返事でヒソカが了承したのがわかったネテロは、ヒソカにスカウターを渡す

 

「連れてこられた甲斐があった◆逆に感謝しなくちゃね◆」

 

「そうじゃ、もののついでじゃ。ヨークシンにベジータ、ハンター試験の時のサスペンダー男じゃ、彼がおったら伝えてくれんかの」

 

「クククッ、その呼び方は懐かしいね◆」

 

不覚にも笑うヒソカ

 

「”ウーロン”というブタに似た者を探しとるんだがの、もし見かけたら教えてほしいと伝えて欲しいのじゃ」

 

「…いいとも◆」

 

(こやつ…何か知っておるな)

 

ジーーーっと刺さる視線を他所に、ヒソカはネテロの別荘を後にした

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 郊外~

 

「連れ戻して来い!」

 

ベジータが悟空に食って掛かる

 

ネテロ会長のところに置いてきちまった、と話す悟空にイライラしながら詰め寄っていた

 

「別にもういいじゃねぇか。あいつ見境なく攻撃すっし、それよりもレオリオの治療が先だろ」

 

「うるさいっ!オレ様がここに来た目的はやつと戦うためなんだぞっ!」

 

喚くベジータにおされて悟空は仕方なく瞬間移動する

 

シュン

 

「本当に消えちまうんだな…」

 

目を丸くするレオリオ

 

シュン

 

すぐに戻ってきた悟空

 

「もう居なかったぞ」

 

「なにぃ!?」

 

「ヨークシンに向かって出発しちまった後だった」

 

「だからすぐに連れ戻していれば!」

 

収まらない言い合いにレオリオが割って入る

 

「まぁまぁベジータ。悟空の話じゃヒソカはこのヨークシンに向かってるんだし、近い内に会えるさ」

 

それに、と続ける

 

「クラピカがヒソカと繋がってるはずだ。ゴンやキルアと一緒に居ればクラピカから連絡も来るはずだしよ」

 

「…ふんっ」

 

そっぽを向くが、納得している風だ

 

「んで、ゴンやキルアたちはどこに居んだ?」

 

尋ねる悟空にレオリオは答える

 

「ベーチタクルホテル、オレ達が泊まってるホテルさ」

 

 

 




なんとヒソカはネテロ会長の元へ。
そして運良く、また新たなスカウターを手に入れたヒソカ。
ヨークシンシティには戻れるのか。
そしてレオリオと出会った悟空たちは。

次回、「グリードアイランドを知る」をお楽しみに!



※サスペンダー、2度目のマラソン、などのネタは前々作『悟空とベジータのハンター試験?』で出てきます。
まだ読まれてない方は是非是非ご一読頂ければ幸いです。
https://syosetu.org/novel/151315/


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【62】グリードアイランドを知る

~ヨークシンシティ ベーチタクルホテル フロント~

 

「あ!レオリオお帰り!」

 

ゴンが勢いよく立ち上がる

 

「なんだよ、レオリオの方が遅かったじゃん…って、ベジータさんに悟空!」

 

キルアも席を立って近づいてくる

 

「おっす!2人とも久しぶりだな!」

 

手を上げる悟空と、静かに指だけ上げるベジータ

 

「お前達の方は情報手に入ったか?」

 

レオリオが2人に尋ねる

 

「あぁ、嫌な情報付きだがな」

 

「あ!お父さん!」「パパ!」

 

キルアが話そうとしたとき、悟天とトランクスがロビーに降りてくる

 

「遅いよお父さん。いまトランクス君と探しに行こうとしてたところだったんだよ」

 

「悪ぃ悪ぃ。それよりほら、言ってたゴンとキルアだ」

 

2人と、そしてレオリオを紹介する悟空

 

「こんばんは。孫悟天です」

 

「ボクはトランクス、よろしくね」

 

ペコリ、と挨拶をする

 

「よろしくね」

 

「おう!」

 

ゴンとレオリオも挨拶を返す

 

「意外過ぎるだろ」

 

キルアは1人驚く

 

「子供いるとは聞いてたけど…なんか普通に礼儀正しいし!」

 

それを聞いてベジータはニヤつく

 

「ふん、当たり前だ。オレの息子だからな」

 

「2人はいくつなの?」

 

ゴンが目線を合わせて尋ねる

 

「7歳だよ。トランクス君は8歳」

 

「オレとキルアは12歳。レオリオは20歳だよ」

 

「…見えない………」

 

トランクスがレオリオを見て呟く

 

「悪かったな!」

 

アハハ、と笑う悟空たち

 

「そろそろいいか?」

 

キルアが本題に入りたい、と声をかける

 

「フロント前のこのロビーじゃ不用心だな。部屋に行こう」

 

レオリオがそう促し、3人が泊まる部屋へと悟空達を誘った

 

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 8003号室~

 

「うわーーー高いなぁ」

 

悟天が窓からの景色を見て喜ぶ

 

「なんだ悟天、おめぇいつもここより高いとこ飛んでんじゃねぇか」

 

「自分で飛ぶのとは違うもん」

 

さて、とキルアが話し始める

 

「悟空達も来たからはじめから話すよ」

 

キルアは悟空たちにもわかるように話を始めた

 

・ゴンの父親がどこかへ行っていること

・手掛かりがグリードアイランドというゲームにある

・ヨークシンのオークションに出品されること

・最低落札価格が89億ジェニー

・ゲームは危険なこと

・念能力者が作ったゲームであること

・ゲームに吸い込まれること

・行き着く先は全員同じゲーム内であること

 

「これ以上はわからない」

 

と、ここで区切る

 

「89億…それで最低価格だとしたら5倍は見とかねぇとな」

 

オークションを知るレオリオが補足する

 

「別にそんなに高くないじゃん」

 

トランクスは頭の後ろで腕を組んで余裕の表情

 

「あ、ベジータさんに4億ジェニー返さなきゃ」

 

ゴンが思い出したようにライセンスカードを取り出す

 

「なんの金だ?」

 

既に忘れているベジータ

 

「天空闘技場のお金だよ!」

 

「…そう言えばそうだったな。だがカードなど持っとらんぞ」

 

「カードって…」

 

そう言うベジータの隣でトランクスがポケットをガサゴソし始める

 

(…あれ?ない?え!?)

 

「どうしたのトランクス君?」

 

悟天が首をかしげる

 

「…クレジットカード…家に忘れて来ちゃった…」

 

「ここのホテル代どうするの…?」

 

心配になる悟天

 

「それがねぇとどうなるんだ?」

 

(…?)

 

問題に気づいてない悟空とベジータ

 

「と、とりあえず全部下ろして渡すよ」

 

ゴンは夜間銀行へお金を降ろしに出て行った

 

 




グリードアイランドの存在を知った悟空たち
どんな反応をし、これからどうしていくのか

ヨークシンシティの夜は更けていく


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【63】オークション?

~ベーチタクルホテル 8003号室~

 

ゴンが銀行にお金を降ろしに行っている頃

 

「ねぇねぇ、グリーなんとかってそんなに危険なの?」

 

悟天とトランクスが興味津々でキルアに問いかける

 

「オレもやったことないからわかんねぇよ。ただ、ハンターサイトの情報だから間違いはないはずさ」

 

「そんなに危険ならオラもやってみてぇなぁ。ベジータもどうだ?」

 

「念能力者が作った、というのは興味があるな」

 

「ネン?それってヒソカの超能力みたいなやつか?」

 

ベジータの言葉に反応する悟空

 

「そうか、まだ貴様は知らなかったな。ちょうどいい、ゴンやキルアから時間見つけて学ぶことだな」

 

「へー、おめぇたち超能力使えるようになったんかぁ」

 

感心する悟空

 

「いや、まぁ合ってるような違うような…」

 

返事に困るキルア

 

そこにトランクスたちは意気込んで質問を重ねる

 

「どこで買えるの!?」

 

「いつ買えるの!?」

 

二人の勢いにたじたじになるキルア

 

「落ち着けよ2人とも。オークション会場で買える。市の中央区にあるからすぐわかるさ」

 

「いついつ!?」

 

「1つ目は早速明日だな。だけどお金が足りない」

 

ちっ、と口を尖らせるキルア

 

「オークションだけでも見てみたいなぁ」

 

「わくわくするよなー、悟天!」

 

わくわくしているトランクスと悟天

 

そこに黙っていたレオリオが口を割る

 

「オークション会場見に行くことは良いことさ。オレたちは2つ目以降のゲーム落札を目標に、明日からは金策だがな」

 

「なんだよレオリオ、何か良い方法あんのかよ」

 

聞いてねぇぞ、とキルアが顔を向ける

 

「明日の朝になったら話すさ」ニヤッ

 

そんな話をしていると、ゴンが戻ってくる

 

ガチャ

 

「ただいま。はい、ベジータさん」

 

アタッシュケースをベジータに渡す

 

「トランクス、持っていろ」

 

そのままトランクスに渡すベジータ

 

「これがあればオークションで何か買えるかも」

 

ニヒヒ、と悟天と笑い合うトランクス

 

「おいおい、子供だけじゃオークション会場入れないぜ」

 

そう言い、悟空とベジータをちらりと見るレオリオ

 

「オラも行かなきゃなんねぇのか!?」

 

「お父さん、一緒に来てよ」

 

せがむ悟天

 

「…パパ、だめかな?」

 

同じくトランクスもベジータを見上げる

 

「ちっ」

 

その返事が肯定だとわかるトランクスは大喜び

 

「じゃぁもう遅いし、今日はこの辺にしよ」

 

ゴンの言葉でその日はお開きとなる

 

部屋から出ていく悟空たちにレオリオが声をかける

 

「あ、オークション会場はそんな服装じゃ入れないからな。ホテルのフロントでスーツ借りてくの忘れるなよ」

 

トランクスが頷いたのを見て安心するレオリオ

 

そして、平和な1日が終わる

 

 

 




9月1日が終り、波乱の9月2日が始まる

オークションを見に行く悟空たち
金策に走るゴンたち
緋の目と旅団を追うクラピカ
ヨークシンへと急ぐヒソカ
ウーロンを探すヤムチャ

それぞれの思惑が交差するヨークシンシティ
一体どうなって行くのか

皆さんお楽しみに!


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【64】地下競売とオークション ”9月2日”

書き溜め分です。
次の投稿は5月19日(土)となります。


9月2日

 

~ヨークシン路地~

 

「んで?こんな路地に出店構えたあとは?」

 

キルアが片眉を上げてレオリオを見る

 

「競売するんだよ」ニヤリ

 

「このダイヤで?」

 

ゴンが掲げるダイヤは、先ほど中央区の宝石店で買ってきたものだ

 

「一個しか買ってねぇし、しかもこんな路地で300万ジェニーの宝石なんて売れねぇよ」

 

不満げに言うキルア

 

「いや、これでいいんだ」

 

クイッとサングラスを持ち上げるレオリオ

 

「ねぇ、レオリオもうそろそろ教えてよ」

 

気になるゴンもレオリオに尋ねる

 

「いいか━━━」

 

そしてレオリオは説明する

 

<条件競売>

ダイヤは景品。

ゴンと腕相撲をして買ったら贈呈。

参加費は一回1万ジェニー。

 

「な、簡単だろ?ギリギリで勝つ、そしてたまに疲れた振りをしてたら更にOKだ」

 

どうだ?と2人を見るレオリオ

 

「まぁやれそうかな」

 

「いいぜ、面白そうじゃん」

 

そして条件競売、腕相撲が始まる

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル フロント~

 

「おじさん、スーツ?っていうのある?」

 

ホテルマンに尋ねるトランクス

 

「君が着るのかい?」

 

まだまだ子供なトランクスを見ていぶかしむ

 

「うん、あとこっちの悟天の分と、大人2人」

 

大人がいることに気づいて頷くホテルマン

 

「さ、どうぞ」

 

そう言って大人用2着、子供用2着を渡した

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ ホテル一室~

 

「今日が競売、か…」

 

落ち着かなげに、クラピカは部屋をうろつく

 

「落ち着いて♪」

 

センリツが笛を奏でてクラピカを落ち着かせる

 

「あぁ、すまない」

 

「いいのよ。あなたの大事なものが何かも教えてもらったことだし。理由が理由だものね」

 

緋の目、その競売の行方が気が気ではないクラピカ

 

だが、護衛の任から外れられずやきもきしていた

 

センリツの音色で落ち着いてはいるが、このヨークシンに幻影旅団がいる、その事も静かにクラピカの怒りを再燃させていた

 

 

 

 

 

~ヨークシン路地~

 

「さぁさぁ!次の挑戦者は!?」

 

レオリオが手を叩いて競売へ集客する

 

スッ

 

女性が手を挙げる

 

「お、可愛らしい女の子が挑戦かな」

 

鼻の下を伸ばすレオリオ

 

女性はずり下がったメガネを持ち上げながら席に着く

 

ゴンと手を握りあって準備は完了

 

(あれ?この女性…)

 

ゴンが不思議に思った瞬間

 

「レディー ファイッ!」

 

レオリオの合図で始まる

 

ミシッ

 

拮抗するゴンと女性

 

「んー」

 

「…………!」

 

そして

 

グググググッ パタン

 

徐々にゴンの側へ傾き勝敗がつく

 

女性はペコリと挨拶をして去っていく

 

「おいゴン、いま本気じゃなかったか?」

 

ボソリと呟くキルア

 

「うん、一体なんだろう…?」

 

「腕相撲のチャンピオンとかじゃねぇのか?」

 

キルアが茶化してその場は終わる

 

そしてその後も難なく競売は順調に進んでいた

 

 

 

 

 

 

~オークション会場~

 

「へ~、ここがなんとかっちゅう場所かぁ」

 

「お父さん、オークションだよ」

 

「パパ、楽しみだね!」

 

「一々服装を変えねばならんとは面倒なことだ」

 

悟空、ベジータ、悟天、トランクスの4人は、オークション会場へとやって来ていた

 

目標はグリードアイランド

 

そして受付で呼び止められる

 

「オークションカタログはお持ちですか?」

 

「なにそれ?」

 

悟天が聞き返すと、あからさまに侮蔑の目をして続ける受付員

 

「このオークション会場で行われる、全ての目録が掲載され、且つ入場チケットの代わりとなっております。購入できる方のみ入場が許可されております」

 

「ふーん。で、おばさんこれで足りる?」

 

ガチャ、とアタッシュケースを開けるトランクス

 

中には4億ゼニー

 

「…!も、もちろんですとも!ようこそオークション会場へ!」

 

1200万ゼニーを払い、カタログを受け取った悟空たちはオークション会場へと入っていった

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン路地~

 

「さぁ、次は誰だ!?そろそろ疲れてきてるからやり時かもしれないぜ!」

 

レオリオが言葉巧みに挑戦者を誘う

 

「じゃぁやらせてもらおうか」

 

顔にターバンを巻いて素顔のわからない男が手を挙げる

 

肩には見慣れない動物も乗っている

 

「おい、ゴン。なんか…」

 

「うーん、なんか…」

 

顔が全くわからないため、見覚えがあるとは言えないが、何かが引っかかる2人

 

レオリオは何も感じていないようだ

 

ゴンと男は腕相撲の体勢に入る

 

「レディー ファイッ!」

 

ガギッ

 

ゴンが歯を食い縛って力を入れるが、全く動かない

 

「一般人にしてはだいぶ鍛えてるな…すまない」

 

ドンッ

 

そして腕は男性の側に倒れる

 

「ま、まじか…勝者、男性!」

 

呆気に取られるも、急いで勝ちを宣言するレオリオ

 

ここで渋れば客は付かなくなる

 

「さぁ、このダイヤは君のものだ!受け取ってくれ!」

 

鑑定書と共にダイヤを手渡す

 

受け取った男は顔は見えないが喜んでいるようだ

 

そして立ち去っていく男性を見ながら、レオリオたちは店じまいをする

 

「レオリオ、全然儲かんねぇじゃんか」

 

口を尖らせるキルア

 

「キルアの言うとおりだよ。まだ100人ともしてないよ?200万ジェニーくらい損してるもん」

 

2人の攻め口が上がるが、レオリオはニヤリと笑っている

 

「いいんだ、餌撒きってことよ。今日はもうすぐ日が暮れるし終わりだな。明日もやるぜ」

 

そして3人はホテルへ戻って行った

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 廃墟ビル街~

 

幻影旅団のメンバーが揃っていた

 

ヒソカを除いて…

 

「欲しかったなぁ」

 

ダイヤを思い出して呟くシズク

 

「盗めばいいんだよ。オレたちは盗賊だからな」

 

大柄の男、フランクリンの手がシズクの頭を優しく包む

 

「そういうことだ」

 

スクッ と団長クロロが立ち上がる

 

「オークション会場の競売品、全てを盗む」

 

「そいつはやべぇよ、ここのマフィア全てを敵に回すことになるんだぜ!」

 

毛皮を纏った男、ウボォーギンが叫ぶ

 

「なんだ?怖いのか?」

 

「嬉しいんだよ…命令してくれ団長!!」

 

ふっ、と笑むクロロ

 

そしてクロロは言う

 

「全てを盗んでこい」

 

 

 

 

 

~オークション会場~

 

「長いよぉ」

 

「つまんねーの」

 

悟天とトランクスは完全にダレきっていた

 

目的のグリードアイランドの競売までが長く、入札が繰り返される同じシーンばかりで飽きていた

 

暫くしてすやすやと眠りに着く2人

 

「しょうがねぇなぁ」

 

頭をポリポリと掻く悟空

 

そして次の商品が運ばれてきたとき

 

 




次回はオークション会場で何かかが起こる!?
そのとき悟空たちは!?



皆さん、あたたかい声援ありがとうございます。
お陰さまで、執筆への力が湧いてきました。
再開は5月19日(土)の予定です。
それまでは少しずつメモ書きしながら書き溜めていきます。
本当にありがとうございます。


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【65】悟空たちのオークション

お陰さまで再開致します!
皆さん本当にありがとうございます!


~オークション会場内~

 

舞台に次の商品が運ばれてくる

 

「ベジータ、そういやオークションのやり方覚えてっか?」

 

「貴様ちゃんと聞いていなかったのか!?」

 

舞台ではオークショニア(競売員)が商品説明を始めていた

 

「━━━グリー」

 

「ベジータ!ちょっと待て!」

 

悟空が競売員の声に反応してベジータを止める

 

「━━━ッド、このゲームは2つセットです!」

 

「ゲームって言ってっぞ!」

 

「貴様のせいで危うく機会を失うところだったぞ!」

 

慌てて舞台に注目する悟空とベジータ

 

「なんとこのゲーム!噂では人を吸い込むと言われています!生きて帰ったものはいる・いない、と謎多きゲームです!」

 

「こ、これだベジータ!」

 

「なんでも、”人を鍛えるゲーム”、”コレクターゲーム”などと言われております!」

 

「なるほど、鍛えるゲームか」

 

嬉しそうに笑うベジータ

 

「さぁ、このゲームの価格は…1億ジェニーからスタートです!!!」

 

この商品のオークションがスタートする

 

「い、1億なら買えるんじゃねぇかベジータ?」

 

「値上がりしなければな。見ておけ、持ってる額まで入札してみる」

 

会場から手が挙がる

 

「おおっとー!早速1人手が上がりました!1億3千万ジェニーです!」

 

ベジータも慌てて手を挙げる

 

人差し指、中指、薬指だけを立てる

 

「おお!こちらも上がりました!3千万プラスで、1億6千万ジェニーです!」

 

他の商品より手の挙がりが悪い

 

オークションに参加するのは富豪ばかりで、自分の体を鍛えることに興味がないためなのか

 

だが、最初に挙げた男がもう一度手を挙げる

 

「おお!また被せてきました!1億9千万ジェニー!」

 

チッと舌打ちしながら手を挙げようとするベジータ

 

「なぁベジータ、その指の形なんだ?この親指立てたやつはなんだっけ?」

 

「バッ…!」

 

慌てて下げさせようとしたベジータだったが、間に合わない

 

「おおおお!!倍額です!!3億8千万ジェニー!!!これで決まるか!?」

 

「いいいい!?お、オラが挙げちまったことになんのか!?」

 

「バカ者め!!あれほど何もするなと言ったはずだぞ!!」

 

先ほどの男からは手が挙がらない

 

「では!3億8千万ジェニーで落札です!!」

 

競売員からの大きな拍手が鳴り響く

 

「受け渡しの説明は全オークション終了後ですが、お急ぎの方は近くの係員までお申し付けを!」

 

そして商品はカーテンの奥へ運ばれていく

 

「な、なぁベジータ。お金…足りっかな?」

 

「ギリギリだバカ者め!」

 

4億ゼニーから、カタログ購入の1200万ゼニーを引いて、残りは3億8千8百万ゼニーだった

 

「すまねぇベジータ。このあとはどうすんだ?」

 

「もう用はないだろう。目当ての物も買えたことだ」

 

そう言ってトランクスを抱える

 

悟空も悟天を抱えて立ち上がる

 

会場から出た悟空たちは、競売受付でお金を払う

 

「品物の受け渡しは2日後となります。どちらのホテルにご滞在でしょうか?」

 

「なんだ?いま受け取れねぇのか?」

 

「申し訳ございません、全てのチェックが完了するまでお渡しすることができませんので…」

 

「ちっ、どうやら待つしかないようだな」

 

悟空たちはホテルの場所を伝えて帰路についた

 

 

 

 

 

 

そして、悟空達が帰ったあと

 

オークション会場内ではオークションが続いていた

 

だが、先ほどまでの競売員ではなかった

 

商品を運んでくる係員も違う

 

観客はあまり気にしていない

 

気づいた者もいたが、次の商品が高価な為か

 

額、そして口の左右、顎に傷痕がある屈強な男が台車を押す

 

そして舞台についたとき

 

新たなオークションが始まる

 

 




感想、声援ありがとうございます!


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【66】念を学び始める

~ベーチタクルホテル フロント~

 

「おっ、悟空たちもいま帰りか?」

 

ホテルのドアをくぐったところでレオリオに声をかけられる

 

「あぁ、オークションで目当てのものも買えたしな」

 

「グリードアイランドをか!?」

 

悟空が返事をしていると、悟天が目を醒ます

 

「ん…」

 

「なんだ悟天、いま頃起きたんか」

 

「…あれ?オークションは?」

 

キョロキョロと辺りを見回す悟天

 

悟天の声に反応してトランクスも起きる

 

「パパ、オークションは?」

 

「もう終わって帰ってきたぞ、ったく」

 

ベジータはトランクスを降ろす

 

そこにゴンとキルアも帰ってくる

 

「あ、悟空たちだ」

 

「で、オークションどうだった?」

 

キルアの問いかけに同じように悟空が返す

 

「おう、ちゃんと買えたぞ」

 

「え?グリードアイランド買えたの!?」

 

ゴンとキルアが驚く

 

「ふん、当然だ」

 

「えぇー、オークション見逃しちゃったの!?」

 

トランクスと悟天は違う意味で驚くが、ゴンとキルアは構わず続ける

 

「ベジータさんどこにあるの!?」

 

「悟空が持ってるのか!?」

 

勢いよく話す2人に、とりあえずは部屋で、とレオリオが促した

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 8003号室~

 

「なんだよ、2日後かぁ」

 

オークションの商品受け渡しが2日後と知って落胆するゴンとキルア

 

「オークションやってみたかったのになぁ」

 

「つまんない…」

 

悟天とトランクスも不満気味

 

そこにレオリオが口を挟む

 

「で?悟空はそれまでどうするつもりなんだ?」

 

「んー、修行でもすっかなぁ」

 

呟きながら修行のメニューを考えていると、ベジータが悟空に提案する

 

「貴様も念とやらを知ったらどうだ?」

 

「そういや”ネン”がどうとかって言ってたな」

 

昨日、ベジータがキルアたちに教えてもらえ、と言っていたのを思いだし、キルアの方を向く

 

「悟空たちならいいぜ。気のことを教えてもらったお礼もあるし」

 

「うん、日中じゃなければ別にいいよね」

 

キルアと見合うゴン

 

「ねぇねぇ、ネンってなぁに?」

 

「ボクも気になる」

 

目がすっかり醒めたトランクスと悟天

 

じゃぁ、とキルアとゴンが練をしてオーラを作ってみせ始めた

 

 

 

 

 

 

 

~オークション会場~

 

淡々とオークションが進み、今日の最後の商品が運ばれてくる

 

”緋の目”

 

そしてそれが舞台の中央に運ばれてきたとき

 

顔に縫い跡のある大男が観客席を向く

 

「そんじゃまぁ、くたばるといいね」

 

折れた指先からマシンガンのような銃弾が飛び交い、観客を蹂躙する

 

十秒もかからないうちに会場は静まり返る

 

そして掃除機のようなものを持った女が死体や椅子など全てを吸い込む

 

客席から何もかもが消えるまで数十秒もかからない

 

そう、彼らは幻影旅団だった

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 8003号室~

 

「これが念の力だぜ」

 

バリバリバリバリ

 

オーラを電気に変えて放電して見せるキルア

 

ゴンも指先に貯めて尖らせたオーラで缶を切り裂く

 

「おおー。キルアのは超能力みてぇだな」

 

興味深そうに見る悟空

 

「わぁ!すごいすごい!」

 

「ボクにも教えて!」

 

トランクスと悟天が飛び跳ねる

 

「オラもそんなことできるようになるんか?」

 

そんな悟空の質問にキルアが放電をやめて答える

 

「それはわかんねぇ。それぞれ得意な系統があるみたいでさ」

 

「けいとう?」

 

いまいちよくわからない、と眉をひそめる悟空

 

だよな、と一息吐くとキルアは念について説明し始める

 

そして━━━

 

念を間近で見ていた悟空たちは、オークション会場での出来事に気づくことはなかった

 



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【67】悟空の水見式

今日は2話更新!
皆さんよかったらお気に入りや評価を是非是非お願いします



~ベーチタクルホテル 8003号室~

 

「━━━って感じで、六系統あって、この水見式でわかるってこと」

 

あらかた説明を終えたキルアは、水見式を悟空たちに試してもらう

 

「おっし、んじゃやってみっか」

 

悟空がグラスの前に立つ

 

気を手のひらからグラスに向けて出しながら添える

 

スゥッ パッ

 

中の水が赤になった瞬間、消えてなくなる

 

残された葉はゆらりとグラスの中に落ちる

 

「えっ!?」

 

「どういうこと!?」

 

キルアとゴンが飛び付くようにグラスに駆け寄る

 

「水が消えちまったけどどういうことだ?」

 

当然、悟空はわからない

 

「水が消える…?そんなことウイングさんは何も言ってなかったな…」

 

考え込むキルア

 

「その前に真っ赤にならなかった?」

 

ほら、とゴンがグラスについた水滴を指す

 

「おいおい、どういうことだ?オレが調べた限りでは2系統の反応が出るなんて載ってなかったぜ!?」

 

自力で念を覚えたレオリオも、その現象がわからないと言う

 

ただし、水が消えたことには心当たりがあった

 

「水が消えるのは━━━」

 

レオリオがそう言いかけたとき

 

「特質系、というやつじゃないのか?」

 

しばらく黙っていたベジータが口を開く

 

「とくしつけい?」

 

頭にはてなを浮かべる悟空

 

「こいつはオレたちと違って特殊な技を使いやがる。お前たちも見ただろう”瞬間移動”をな」

 

あ!と気付くキルア

 

「そういうことか!悟空のあの能力!考えてみたら特質系くらいじゃなきゃできない!」

 

「水が赤くなったのは…じゃぁベジータさんと同じく2系統示したのは、どっちかが放出系だから?」

 

ゴンの言葉にキルアが頷く

 

「ベジータさんは水が増えて青になった…念が強化系で気が放出系。なら悟空は念が特質系で、気が放出系ってことになる」

 

キルアの解説を聞きながら、悟空は首をかしげたまま

 

「わからんようだが、貴様には細かい説明など不要だ。自分が念を使うのではなく、念を使うやつがどんな攻撃をしてくるか、それを学べばいいだけだ」

 

ふんっ、とベジータはそこまで言うと腕を組む

 

「よくわかんねぇけど…なんかいろんなことができるみてぇだな」

 

ふむふむ、と頷く悟空

 

そこで、何か気づいたようにキルアがレオリオの方を向く

 

「そういやさ、レオリオも悟空の念に気づいたみたいだけど…なんでだ?」

 

いや、まぁ…、と頭をかきながらレオリオは答える

 

「実はオレも悟空の真似して、あの能力を使えるようにしようと思ったんだよ…」

 

「へー、確かに便利だもんな」

 

「便利なんてもんじゃねぇ!あれが使えたら世界中のどこにでも病人の元へ一瞬で駆けつけられるんだぞ!!」

 

熱くなるレオリオ

 

「…簡単に言って悪かった」

 

珍しく小さく呟くように謝るキルア

 

「オレの方こそ熱くなってすまん。で、だ。あの能力をやろうと思ったんだが、放出系のオレじゃ無理だったんだよ」

 

「あれ?レオリオ放出系なの?強化系かと思ってた」

 

ゴンがレオリオの系統を聞いて驚いたように口を挟む

 

「あぁ、心源流のさっきの水見式試したから間違いないな。で、どの念の系統だったらできるか調べたんだが、どの能力もできねぇんだ」

 

「なんで?」

 

そのまま素直に尋ねるゴン

 

「悟空がやってるのは、念を補助する神字も何も使わず、体そのものを瞬間的に移動させること。放出系や具現化系では、神字の補助を使って体の一部、もしくは体に似せた形のものを移動させることしかできない」

 

すげぇんだな、とそれを聞いて頷くキルア

 

「何人か集まればできるのかもしれねぇが、まず一人じゃ無理だった」

 

うん、と頷くゴン

 

「わかるよ。レオリオがさっき熱くなったことからも、本気で調べたってことがね」

 

「ありがとよ。で、せっかくだからオレの能力も見せるぜ」

 

そう言うと、レオリオは針と糸を取り出す

 

「手術用?」

 

しげしげと見るゴン

 

「いいか…」

 

ヒュッ

 

手首をぶれるくらいの速度で動かしたレオリオ

 

全員が見守る

 

「…何が起こんだよ?」

 

何もないじゃん、とキルアがレオリオに言う

 

「いや、終わったぜ」

 

そう言うと、レオリオは悟空が水見式をしたグラスを指す

 

「何かしたの?」

 

そう言って確認しに行くゴン

 

そして

 

「━━!この葉っぱ、縫われてる!!」

 

ゴンはグラスの底にある葉を持ち上げる

 

「なっ!レオリオどうやったんだよ!?」

 

キルアも驚いてレオリオを振り返る

 

「わー、ボクにも見せて見せて」

 

悟天とトランクスも葉っぱを手に持って楽しそうに見る

 

「レオリオ!すごいや!こんなに離れてるのに本当にどうやったの!?」

 

レオリオとグラスは3mは離れていた

 

そしてグラスの上ではなく、底に落ちていた葉

 

どうあっても届かない

 

レオリオはくいっとサングラスを持ち上げて言う

 

「”空間移動”それがオレの能力さ」

 

 

 



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【68】オークション会場襲撃のあと

評価ありがとうございます!!


~オークション会場 上空~

 

「オラ!!降りてきやがれコラァ!!!」

 

怒号が飛び交う

 

オークション会場を襲撃した幻影旅団たちは、気球で会場をあとにしていた

 

会場の異変に気づいたコミュニティを仕切るマフィア達は、上空の気球を発見

 

犯人と断定して追跡を開始した

 

「おい、会場には観客も椅子も何もなかったらしいぞ!」

 

会場を見てきたマフィアの一人が情報を伝える

 

「まさか!…敵は能力者!?十老頭に連絡だ!!」

 

そして上空、気球の上では

 

「おーおー、うるさい蟻共が騒いでやがるぜ」

 

ウボォーギンが下を見ながら笑う

 

「そんなことどうでもイイネ。問題はお宝ヨ」

 

「そうですよ。なぜ金庫が空っぽだったのか」

 

フェイタンの言葉にシャルナークが補足しなが頷く

 

そして電話をかけ始める

 

「あ、ダンチョー?オークション会場、お宝なにもなかったですよ。事前にフクロウとかいう陰獣が移動させたとか」

 

『なるほど…』

 

「もしかして情報漏れてます?」

 

『それは…ユダがいるということか?』

 

「そういうわけじゃないんですけどね」

 

『ユダはオレたちの中にはいない。何かの噂を聞いたコミュニティの上層部がやったことだろう。だが…単なる噂を信じる者が上層部にいる…いや、信じるに値する噂を流せる者がいる、といったほうが正しいか』

 

「とりあえずマフィアたちの掃除をしたら帰りますね」

 

電話を切ったあと、みんなの方へ振り向くシャルナーク

 

「と、いうことで。このまま気球は荒野に向けてください。そこでマフィア全部片付けて帰りましょう」

 

ニコッ、と笑ってそう伝えた

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ あるホテルの一室~

 

そしてちょうどその頃

 

クラピカの元にも情報が届いていた

 

”オークション会場襲撃”

 

はっ!と顔を上げるクラピカ

 

(オークション会場を襲うなど、普通の者なら考えない。普通の…まさか幻影旅団!?)

 

ばっ!と振り向くクラピカ

 

そこにはダルツォルネが居た

 

「シャッチモーノたちとの連絡が取れない」

 

「…多分…、オークション会場の襲撃者は幻影旅団…」

 

そのクラピカの呟きにダルツォルネが目を丸くする

 

「幻影…旅団、だと!?あの!」

 

「そうとしか考えられません」

 

「くそっ!なら生存確率はほぼ0か!」

 

どうしますか?と尋ねるように問うクラピカだが、その表情は追いかけることしか念頭にない

 

「もちろん、追いかけるさ。もし本当に幻影旅団ならコミュニティへ恩を売るチャンスだ!」

 

そしてダルツォルネとクラピカはセンリツを連れて車に乗り込み、動き始めた

 



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【69】悟天とトランクスの水見式

感想・評価ありがとうございます!


~ベーチタクルホテル 8003号室~

 

「この能力で傷もなく手術ができる」

 

ちょっと自慢げに言うレオリオ

 

「実際どうなってんだよ」

 

そんなレオリオに説明を求めるキルア

 

「さっき言った通りさ。指先、もしくは指先に持ったものだけを空間移動させることができるのさ。神字を使わない代わりに、範囲はせいぜい3mってとこか。頑張れば拳くらいは空間移動させれるぜ」

 

「はぁー、ほんと凄いや」

 

感心しきるゴン

 

「すげぇけどさ、実際こう見ると医療と暗殺ってすげぇ近いもんなんだな」

 

そう呟くキルア

 

「どうして?」

 

「考えてみろよ。気付かないうちに心臓の大動脈切られるかもしれねぇんだぜ」

 

ゴンの疑問に恐ろしい例えで返すキルア

 

「ま、武器も念も使う人次第ってことだな」

 

そうレオリオがまとめると、悟天とトランクス水見式をしたいとせがみ始める

 

レオリオはグラスに水を注ぎ

 

「ほらよ、悟空たちの子なら何が起こってももう不思議じゃねぇな」

 

そう言いながら水の入ったグラスをテーブルに置く

 

「ねぇ、もうやっていい!?」

 

トランクスが手を伸ばす

 

「えー、トランクスくんずるいよ」

 

「悟天もすぐできるから待ってなって」

 

そしてトランクスが手をかざす

 

「えっと…気を手から外に?」

 

「━━!ちょっとま」

 

ベジータが止めに入ろうとした瞬間

 

ドッザバァアアアアアアアアアアア

 

道路に設置してある消火用水のごとく水が勢いよく吹き出す

 

「…あ、あはは」

 

苦笑いするトランクス

 

天井は水圧で大きな穴が空いている

 

「さ、最上階で良かったね」

 

なんとか取り繕う

 

「ちっ、気の出しすぎだバカめ」

 

ゴンッとトランクスに拳骨を落とすベジータ

 

「あちゃぁ…部屋も廊下もぜーんぶ水浸しだぞ」

 

ドアを開けて廊下を確認していた悟空が戻ってくる

 

「ま、まじか…」

 

惨状に目を丸くするレオリオと、言葉が出ないキルアとゴン

 

「ゴホン」

 

わざとらしく咳をするベジータ

 

「い、いまのはマグレだ」

 

そうベジータが誤魔化している間、悟空は悟天に耳打ちする

 

「悟天、ちゃんと気を抑えないとダメだぞ。いいか」

 

「うん、わかったよ」

 

そして悟天がグラス近づいたとき

 

「あれ?トランクスくん、中に何か入ってるよ?」

 

鉄のような金属の塊がグラスの中に入っていた

 

「まさかトランクスも?」

 

レオリオがその金属を取り出す

 

「ものが現れるのは具現化系ってことだね」

 

それを見ながらキルアが言う

 

「じゃぁトランクスは念が強化系で気が具現化系?」

 

ゴンが確認するようにキルアを見る

 

「いや、水の勢いが凄すぎてどっちが先だったかわかんねぇ。でもこの気の強さの感じだと、たぶん気が強化系で、念が具現化系かな」

 

そのキルアの説明を聞いてトランクスは喜ぶ

 

「え!?じゃあ何か作り出せるの!?」

 

「ってことになるけど、何か作りたいものあるのか?」

 

「んーと、剣!カッコいいやつ!」

 

にんまりと笑っていうトランクス

 

そこで我慢しきれなくなった悟天がレオリオからグラスを受けとる

 

「ボクもする!」

 

そして気を小さくしながらグラスに向ける

 

スゥゥ ザバー

 

水が紫色に変化したあと、水が溢れてこぼれる

 

「…悟天もか」

 

既にレオリオは当然として見はじめる

 

「ボクのこれってなぁに?」

 

キルアの方を見る悟天

 

「悟天はわかりやすかったな。気が放出系で、念は強化系だな」

 

「何ができるの?」

 

「んー、特に変わったことはできないかな。たぶん今までと同じ戦い方が一番だと思うぜ」

 

そう説明したキルアだったが、悟天は口を尖らせる

 

「…つまんない。ボクだけ新しいこと何もできない」

 

「拗ねるなよ悟天。ボクだってまだ何か新しいことできるって決まったわけじゃないんだしさ」

 

トランクスが慌ててなだめるが、悟天は完全に拗ねて部屋を出ていく

 

「ちょっと待てよ悟天!もぉ…パパ、悟天と先に部屋戻っとくよ」

 

そしてトランクスは悟天と共に、205号室へと向かった

 

「んー、やっぱりトランクスと比べると悟天はまだ子供だなぁ。オラが甘やかし過ぎてっかな」

 

ポリポリと頭をかく悟空

 

「貴様の甘さがそのまま受け継がれたようだな」

 

ふっ、と笑うベジータ

 

「ま、とりあえず部屋変えようぜ。修理代は半分持ってくれよな」

 

そう言って部屋を出るキルアに続き、悟空たちはフロントへ向かい、修理費の手続きをし、キルアたちは部屋の変更を始めた

 

 



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【70】ウボォーギンの余裕

昨日は投稿できずにすみません。
ちょっと体調崩してたもので…
最近気温の変化が激しいので、皆さんも体調にはお気をつけください。


~ヨークシン外 荒野~

 

「落とし前つけろやコラァ!!!」

 

パンパン!!

 

幻影旅団たちが乗った気球は、ヨークシンシティ外れの荒野へ降り立っていた

 

追いかけてきたマフィアたちは続々と終結しつつある

 

初めに着いていたマフィアたちは、銃声を轟かせながら威嚇する

 

だが、幻影旅団たちは崖の上から見下ろすのみ

 

彼らは待っているのだ

 

マフィア全てを一息に片付ける為に

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 道路~

 

「見えてきたぞ!」

 

ダルツォルネの言葉の通り、遠くに気球の一部が見えてきていた

 

あと一山越えれば幻影旅団たちが居るであろう荒野へと着く

 

センリツは耳をそばだてる

 

「…もうだいぶ多くの人が集まってるわ」

 

「たぶんコミュニティのマフィア達だろう」

 

ダルツォルネが答える

 

クラピカはただ静かに指についた鎖を見つめていた

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 8011号室~

 

「結構高ぇんだな」

 

悟空たちはホテルの修理費、1400万ゼニー(キルアたちと折半)を払って、別の部屋を用意してもらっていた

 

「で、実際に念ってどんなことできんだ?」

 

悟空はキルアたちに念の能力について教わる

 

実際にどんな攻撃をされるのか、ヒソカを例にしてベジータも話始めた

 

そしてその頃

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 205号室~

 

「つまんない」

 

「そんなこと言うなよ悟天」

 

「だってさ、トランクスくんは何か作ったりできるんでしょ」

 

「でもまだやったことないし、できるかもわかんないよ」

 

それでも、とグズる悟天

 

「それにさ、━━━━」

 

トランクスがそう口にしたとき

 

「━━━!悟天!いまの!」

 

「うん!そんなに大きくないけど戦ってる感じの気!」

 

2人して顔を見合わせる

 

ニシシ

 

「もちろん…」

 

「行こっ!」

 

ふわっ

 

そのまま飛んで行こうとする悟天

 

「待てよ悟天!このままの格好で行ったらもしバレたときにパパたちに怒られるよ」

 

「着替えて行くの?」

 

チッチッチ

 

指を振りながらもったいぶるトランクス

 

「どんな格好してたって子供のまんまじゃバレるさ」

 

「わかんないよトランクスくん」

 

「よーく思い出せよ悟天」

 

「えー、うーん」

 

考え込む悟天

 

「全く鈍いなぁ悟天は。”天下一武道会”これでいいか?」

 

「あっ!パンティーマスク!」

 

ズコッ

 

「マイティマスクだよ!まったく」

 

「そうだったそうだった」

 

そして2人はまた見合って笑う

 

「悟天、窓のカーテン取っといてよな」

 

そこの窓の長い方のカーテンな、と指示するトランクス

 

「トランクスくんは?」

 

「ボクはベルトの代わりになるもの探すからさ」

 

悟天とトランクスはガサゴソと動き始めた

 

 

 



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【71】荒野で動きあり

誤字脱字報告ありがとうございます!
ちゃんと見てますよー!

(あと、70話の題名変えました)


~ヨークシン外 荒野~

 

悟天とトランクスが気づく少し前

 

ほぼ集結したマフィアを見下ろす幻影旅団

 

「こんなもんかぁ」

 

腕組をして見ていたウボォーギンが振り返る

 

「まぁこんなものでしょ。あとはパラパラと来るだけじゃないですかね」

 

そのシャルナークの言葉に満足し、ウボォーは腕を解く

 

「手…出すなよ」

 

ザシャー

 

崖を滑り降りるウボォー

 

そこに1人のマフィアが進み出る

 

カチャ

 

銃をウボォーに向ける

 

「宝と観客をどこへやった?」

 

「知らねぇなぁ」ニヤリ

 

顔面に銃を突きつけられても平然と笑う

 

「てめぇらの頭はどいつだ」

 

「さぁてなぁ」ニヤ

 

「ちっ、下っぱが」

 

ドンッ

 

マフィアは躊躇なく引き金を引いた

 

だが

 

その男、ウボォーギンは跳ね上げられた顔をゆっくりと顎を引くように戻す

 

その顔、いや、歯には銃弾が咥えられていた

 

「ペッ…、オレ様には銃なんか効かねぇんだよ」

 

「…なっ!」

 

その瞬間

 

グシャ━━━

 

ウボォーはマフィアの頭を握りつぶす

 

「くくく…、どうした?かかってこいよ」

 

現状が理解できずに立ち尽くすマフィアたち

 

その目の前に、握りつぶした仲間のマフィアを放り投げる

 

「そいつぁ飾りか?」

 

マフィアたちが持つマシンガンを顎で示すウボォー

 

やっと反応できたマフィアたちがマシンガンを構える

 

「やっとやる気出てきたか?」

 

うぉらー!!!

 

気合いの雄叫びと共にオーラを爆発させる

 

その念に反応した者が2人、ヨークシンのホテルにいた

 

そしてちょうどそこに1台の車が着く

 

キキー ガチャ

 

「もう始まってやがるぞ!」

 

(あれがまさか幻影旅団か…?)

 

ダルツォルネに続きクラピカ、そしてセンリツが荒野に到着していた

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 205号室~

 

ガサゴソと荷物を漁っていたトランクスがバッグを持ち上げる

 

「このバッグの紐がベルトの代わりになるかな?」

 

「トランクスくん、カーテン取れたよ!」

 

ドタバタと準備する2人

 

「よし!じゃぁ悟天まずそこに立って」

 

「うん!」

 

カーテンを持って悟天の肩に乗るトランクス

 

「えー、またボクが下?」

 

天下一武道会と同じ組み合わせに文句を言う悟天

 

「この案考えたのボクだから文句言うなよな」

 

2人の体に上からカーテンを巻くトランクス

 

「よし、こんな感じだな。悟天、そこのバッグの紐取ってよ」

 

「これじゃ見えないよ。よっと」ボスボスッ

 

カーテンに穴を開けて視界を確保する悟天

 

「あ、あったあった。はい、トランクスくん」

 

最後に紐をベルト代わりに結ぶ

 

「━━━よし、これでバッチリ」

 

カラカラ

 

窓を開けるトランクス

 

 

 




「中断します」と「再開します」の回は消しました。

<紹介>
TV放映記念で公式でHUNTER×HUNTERが読めるようになってます。
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【72】見せつけるウボォーギンのその力

トランクスの一人称について
何名かの方から「ボク」⇒「オレ」じゃないのか?
との問い合わせが来ましたが、子供の頃のトランクスは「ボク」と言っていたので、この小説では「ボク」で通させて下さい


~ヨークシンシティ中心 あるホテルのフロア~

 

「幻影旅団の可能性はどれくらいだ?」

 

円卓に10人の壮年の男たちが向かい合って座っている

 

「マフィア共の言うことだから当てにはならんのじゃないかね?」

 

「いや、ノストラードからの情報が当たったことを考えるとあながち嘘ではないかもしれんぞ」

 

「最初に行かせた陰獣4人だけじゃ荷が重いか?」

 

「ふむ…ならば陰獣統括の彼に行ってもらうかね?」

 

部屋の扉の傍らに静かに立っていた男に視線が集まる

 

「ご命令とあらば直ぐにでも」

 

目を伏せて即答する男

 

「残りの6人の陰獣も連れて行くがよい」

 

「しかしそれではここの警備が…」

 

陰獣統括と共にこの10人の男たち、十老頭を護衛する身としては陰獣全てと共に出払うわけにはいかない

 

だが、十老頭はそれを見越して答える

 

「ここは問題ない。先生がいるのでな」

 

視線の先には十老頭が先生と呼ぶ男がいる

 

部屋の隅に置かれた一際豪華なソファーに腰をかけ、自身の三つ編みした毛先を整えている男

 

男は見もせず、手だけで”行け”と指示する

 

「…わかりました。では、陰獣を連れて私も向かいましょう」

 

一礼をして男は出ていった

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン外 荒野~

 

「どうしたぁーーーー!!!」

 

ドォゴォオオオン

 

その頃荒野ではウボォーギンがマフィア相手に大立ち回りをしていた

 

まるで人を紙屑のように素手で千切って投げ捨てる

 

ダダダダダダダダ

 

マシンガンの音は鳴り止まずに響き続ける

 

だが、ウボォーの体の前には銃弾など効かない

 

いつしかウボォーの回りには人が居なくなっていた

 

遠巻きに立ち、呆然とするマフィアたち

 

「どうした?もう終わりか?」

 

その言葉に反応できないほど、マフィアたちはあまりにも圧倒的な力を見せ付けるウボォーにのまれていた

 

ズキューーーン

 

その静寂を切り裂く鋭い銃声

 

「ってー、…ライフルか?」

 

ウボォーの顔にライフルの銃弾が当たった

 

だが、普通の人間が消ゴムを投げられた程度の痛がり方

 

そしてウボォーは足元の小石を拾う

 

ライフルを撃ったスナイパーを見つけると、拾った小石を投げる

 

ボンッという音と共にはぜるスナイパーの頭

 

そのあまりの強さに絶望しかけた時

 

1人のマフィアがあるものを担いでウボォーの前に現れる

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 205号室~

 

そしてその頃

 

トランクスと悟天が変身したマイティマスクがベーチタクルホテルを飛び出した

 

ドヒューーーーーーン

 

「悟天、場所ちゃんとわかってるか?」

 

「うん、大丈夫!」

 

「基本的な動きは下半身役の悟天なんだからしっかり頼むよ!」

 

「トランクスくんはちゃんと指示してよ!」

 

そんな話をしてる間にグングンと距離を縮める

 

ヨークシン中心街を抜け、郊外を抜け、あっという間に荒野が見えてきた

 

「あ!悟天あそこだ!」

 

「わ!人がいっぱい!」

 

上空から荒野を見下ろすマイティマスク

 

「言っただろ、変装してたほうがいいって」

 

「さすがトランクスくんだよ」

 

へへーん、と得意気に胸を張るトランクス

 

「とりあえず岩場の影から観察しようぜ」

 

「うん、あそこ?」

 

ヒューン

 

全体を一望できる岩影を探し始めた

 

 

 




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【73】陰獣到着

~ヨークシン外 荒野~

 

クラピカたちはウボォーの強さに冷や汗を流していた

 

「…とてもじゃないが…捕まえるのは無理だ」

 

「本当に人なの…?」

 

ダルツォルネとセンリツは知らず知らずに後退りする

 

そのとき、ピクリとセンリツが背筋を伸ばす

 

「どうした?」

 

その様子を見逃さなかったクラピカが問いかけるが

 

「━━━心音…増えてるわ」

 

耳をそばだてていたセンリツからその言葉が出たとき

 

スッ

 

どこからともなく人が現れる

 

「あいつらただのコソ泥じゃない」

 

「殺しが生活の一部になってるな。いわば殺しのプロだな、うんうん」

 

「餅は餅屋。オレたち陰獣に任せときな」

 

「………」ズリュ

 

いつの間にか横に現れていた4人

 

この4人こそが、十老頭の懐刀と噂される実行部隊である陰獣

 

そして先行して送り込まれていた

 

”病犬(やまいぬ)”

”豪猪(やまあらし)”

”蛭(ひる)”

”蚯蚓(みみず)"

 

4人はクラピカたちの横を通りすぎていく

 

その視線の先には暴れまわっていたウボォーギンの姿

 

「…ここは、任せよう…」

 

陰獣のその存在感から、ダルツォルネの口から自然と出た言葉に誰も反論はしなかった

 

 

 

その頃、マイティマスクは全体が見渡せる高所の岩場の影から様子を見ていた

 

「どっちが悪者?トランクスくんわかる?」

 

「んー、あの大きな人の周りにいっぱい人が倒れてるから…大きい人が悪者かな?」

 

ウボォーとマフィアを見てそう考えるトランクス

 

「でも周りの人たち銃持ってるよ?」

 

「そうなんだよなぁ…」

 

そして2人が迷っているとき

 

「あ、1人が前に出てきたよ」

 

大きなロケットランチャーを担いだマフィア

 

「そこまでだバケモンが!戦車も一発でオシャカにしちまうスーパーバズーカ砲だぜ!」

 

砲身をウボォーギンに向ける

 

「悲しいぜ。オレはたかが戦車と同じ評価かよ」

 

嘆く様子を見せながら右手を前に出す

 

ロケットランチャーを受け止めるつもりのよう

 

「コナゴナになれや!!」

 

バシューー! ドッゴォオオオオオオオン

 

着弾してもうもうと立ち込める煙

 

それを見ていたトランクスたちは

 

「トランクスくん!」

 

「うん!あの黒い服の男たちが悪そう!」

 

「いくよ!」

 

「力はギリギリまで下げとけよ!」

 

ふわっ シュン

 

浮かび上がったあとに高速移動するマイティマスク

 

遠巻きに見ていたマフィアたちの合間を縫うように通りすぎ、全ての首筋に手刀を落として意識を刈っていく

 

そして残った、ロケットランチャーを撃った男の前に出る

 

「貴様は━━━」

 

ドフッ

 

お腹に一撃を決めて倒れさせる

 

マイティマスクが岩影から飛び出してわずか3秒での出来事

 

「よし、っと。悟天、バッチリだぜ」

 

「いいなー、トランクスくんあとで変わってよぅ」

 

そんなことを言っている間に煙が次第に晴れていく

 

 

 

 



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【73】マイティマスクVSウボォーギン

~ヨークシン外 荒野~

 

遠くから見ていたクラピカたち

 

「何が起こった…?」

 

「一瞬でマフィアが倒れたようだ…」

 

眉をひそめるダルツォルネにクラピカは事実のみしか答えられない

 

「ロケットランチャーの爆風か?」

 

「…いや、意識を失うくらいならもっと吹き飛ばされるはずだが…」

 

そう言ったあとにセンリツの方を向くが

 

センリツもふるふると首を振る

 

 

 

そしてクラピカたちの横を通りすぎてウボォーの近くまで来ていた陰獣たちは

 

「おい、見えたか?豪猪(やまあらし)」

 

「いや、かすかに何かが動いていたのがわかったくらいだな、うんうん」

 

病犬(やまいぬ)の問いに、かすかに、と答える

 

と、煙が少しずつ晴れて1人の姿が見え始める

 

マントとマスクを被った男だ

 

「おい、いたか?あんな男」

 

「いや、最初はいなかったな、うんうん」

 

そこでいままで黙っていた蛭(ひる)が口を開く

 

「ぐしゅしゅしゅしゅ。どちらにせよこちら側のマフィアがやられたんだ。あいつも敵ってことでいいよ」

 

そろそろやるか、と臨戦態勢に入ったとき

 

 

 

 

マイティマスクの前で煙が晴れる

 

目の前には男が立っていた

 

(あれ?)

 

驚くマイティマスク

 

「…さすがにかなり痛ぇな」

 

男は掌をさする

 

そして異変に気付く

 

「な!?お前は誰だ!…というか虫けら共は…」

 

「えーっと、マイティマスクだよ!」

 

そんな問いかけよりもトランクスたちは焦っていた

 

ボソボソとマスクの中で会話する

 

(ねぇ、トランクスくん。もしかして間違えたんじゃ…。悪い人ってこっちだったんじゃないの?)

 

(あ、あの状況じゃ仕方ないだろ!)

 

(でも全員倒しちゃったよ…)

 

(う…パパたちに見つかったら相当怒られるかも…)

 

まずいぞ、やばいぞ、と2人でボソボソ話す

 

「おい!てめぇ聞いてんのか!」

 

無視した形になっているマイティマスクに拳を繰り出すウボォー

 

パシッ

 

それを見ることもなく受け止めるマイティマスク

 

「な━━━!?」

 

驚愕するウボォー

 

拳を戻して自身の拳を見つめる

 

別に力加減などしなかったはずだ

 

だがマイティマスクは突っ立ったまま動かない

 

(トランクスくん、どうするの?)

 

(うーん、喧嘩両成敗?)

 

(え?どういうこと?)

 

(ほら、黒い服の人たちと、この男の人が喧嘩してたんだから、黒い服の人たちは倒しちゃったから、あとはこの男の人を倒して終わり、ってこと)

 

(あ、そうだね。じゃぁバレないようにさっと倒していこ)

 

そして振り返るマイティマスク

 

「やいやい!いっぱい暴れまわったようだな!この正義のマイティマスク様がぶっとばしてやるぜ!」

 

「正義のマイティマスクだ?ああん?」

 

怪訝そうにするウボォー

 

(えーっと、とにかく力を弱めてっと)

 

トランクスは拳の力を最低限まで抜く

 

「よっ」

 

パンッ

 

顔面に向けて放ったパンチはウボォーの掌に止められる

 

(あれ?弱すぎたかな。さっきの男の人を殴ったときと同じくらいの力を入れたんだけど…)

 

「…てめぇ何者だ?強ぇかと思ったらこんなパンチ繰り出して来やがって。いいか、パンチってのはな…」

 

そう言って右こぶしにオーラを溜めるウボォー

 

「こうやるんだよ!”超破壊拳”!!!」

 

拳から溢れんばかりのオーラを放ちながら右ストレートを繰り出す

 

だが…

 

パシッ

 

左手でそれを軽く受け止めるマイティマスク

 

「━━━なんだと!?」

 

自身の最高の技をいとも簡単に受け止められたウボォーは立ち尽くす

 

「うーん、じゃぁこれくらいかな?」

 

力加減を少し変えてウボォーの顔面に向けてパンチを返す

 

ヒュン

 

メキョッ! ドヒューーーーーーン

 

顔面に当たったと同時にきりもみしながら吹き飛んでいくウボォー

 

そのまま崖にぶつかり轟音を立てて沈む

 

「よし、こんくらいだな」

 

「トランクスくん、じゃぁ帰ろっか」

 

にんまりと笑うトランクスと悟天

 

 

 



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【74】マイティマスクVSノブナガ

~ヨークシン外 荒野~

 

だが、それを見ていた他の幻影旅団たちは即座に反応する

 

シャルナークがウボォーへと駆け寄る

 

残りは一斉にマイティマスク目掛けて動く

 

フェイタン、シズク、マチ、フランクリン、ノブナガ

 

5人は1秒とかからずに一斉にマイティマスクへ攻撃を繰り出す

 

シャシャシャシャシャ

 

その全てをかわしきるマイティマスク

 

「危ないなぁ…」

 

(((((一体何者だこいつは!?)))))

 

そう5人が思った時

 

その場に乱入してきた4つの影

 

ガキィンッ

 

フェイタンの剣と病犬(やまいぬ)の牙が甲高い音を立てて交差したのをきっかけに、残りの幻影旅団も陰獣との戦いに引き込まれる

 

1人浮いたノブナガのみ、マイティマスクと対峙する

 

「よぉ。やってくれるじゃねぇか」ピキピキ

 

怒りで血管が浮き上がるノブナガ

 

相棒であるウボォーがやられて相当な怒りが立ち込めていた

 

「なんだよおっさん。もう帰るとこなんだけど」

 

そっけなく言い放つマイティマスク

 

「どうやら覚悟はできてるらしいな」

 

カチャリ、と腰に差した刀に手をかけた

 

 

 

 

 

その頃クラピカたちは

 

「やらせてくれ」

 

「だめだっ!」

 

クラピカとダルツォルネの押し問答が続いていた

 

ウボォーがロケットランチャーで撃たれたあと、裸姿になり、背中の蜘蛛の刺青が見えたあとからだ

 

急にクラピカの態度が変わった

 

「ならばもういい、1人でもやる」

 

制止を振り切り歩みを進めるクラピカ

 

ふわっ

 

そこに一瞬で花畑が広がる

 

「…落ち着いたかしら?」

 

センリツが音色で落ち着く景色を見せていた

 

「…あぁ、度々すまない」

 

そう言いながら、顔を上げて続ける

 

「だが、勝算がある」

 

そう言いきったクラピカに、ダルツォルネも頭を冷やして話を聞き始めた

 

 

 

 

 

そしてマイティマスクとノブナガ

 

「もうオレの間合いに入ってんだよお前はなっ!」

 

シュ パシッ

 

居合い抜きをしたノブナガの刀を掴むマイティマスク

 

「━━━?な、なんなんだお前はっ!!!」

 

「そんなスピードじゃ切れないよおっさん」

 

パッと手を離して刀を解放するマイティマスク

 

「…ちっ、くそっ!!!」

 

ヒュヒュヒュヒュヒュ

 

斬撃を繰り出し続けるノブナガ

 

「まさか陰獣がここまでやりやがる野郎だとはなっ!」

 

聞き慣れない言葉を耳にする

 

「”いんじゅう”?」

 

その聞き返しにピタッと手を止めるノブナガ

 

「なんだ…?お前さん陰獣じゃないのか?」

 

「だからなんだよそれ」

 

「何って言われてもな…、横で戦ってる4人の奴らの仲間だろ?」

 

ちらりと横を見る

 

確かに急に現れた4人組だ

 

「ううん、知らない」

 

「じゃぁお前は誰だっつー話だ」

 

「だから言ったじゃん、マイティマスクだって」

 

「…あー、そうかい。悪かったな。じゃぁ帰っていい」

 

ヒラヒラと手を動かして帰れと合図するノブナガ

 

「あれ?いいの?じゃ!」

 

嬉しそうに後ろを向いた瞬間

 

シュピン

 

ノブナガの刀が胴体を切断する

 

「…いまのを避けるか」

 

服を薄く一枚切った手応えしか残らなかった

 

だが、マイティマスクの体は完全に上下に分離していた

 

「へ…?」

 

上下に視線を動かすノブナガ

 

(やっべ!帰るぞ悟天!)

 

(う、うんっ!)

 

ドヒューーーーーーン

 

下半身と上半身が空を飛んで一瞬で消えていく

 

「…子供2人、か?」

 

ノブナガの困った顔は暫く元に戻らなかった

 

 

 



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【75】幻影旅団VS陰獣

~ヨークシン外 荒野~

 

そして幻影旅団と陰獣たちは激しいバトルを繰り広げていた

 

激しい鍔鳴りの音を立てるフェイタンと病犬(やまいぬ)

 

蛭の毒を吸いとって膠着状態になるシズクと蛭(ひる)

 

針が通らずに苦戦するマチとその相手の豪猪(やまあらし)

 

念弾の届かない地面にいて場面の動かないフランクリンと蚯蚓(みみず)

 

それを見たシャルナークが動こうと、意識をウボォーから外した瞬間

 

ジャラ

 

一瞬で鎖がウボォーに巻き付く

 

ギュオオオオオオオオ!!

 

その瞬間に、あっという間に引っ張られていくウボォー

 

「マチ!!」

 

シャルナークの声に反応して、一瞬で事態を把握したマチ

 

シュッ

 

瞬時に針を飛ばす

 

だが、豪猪(やまあらし)の毛がその針を掴んではたき落とす

 

「ちっ、やってくれるじゃないか」

 

苦々しげに豪猪を見るマチ

 

それを見たシャルナークは

 

「うーん、先に陰獣をやるしか無さそうですね」

 

と、呟いて陰獣たちとの戦いに参戦した

 

ノブナガもその戦いに入る

 

そしてそのあとはほぼ一瞬の出来事だった

 

グシャリ━━━━

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 道路~

 

「…どうだ?」

 

「━━━追っ手はないみたい。どうやら大丈夫そうよ」

 

クラピカに問われて耳をそばだてていたセンリツが答える

 

「おい、そいつ起きないだろうな?」

 

運転しながら心配そうにバックミラーへ視線を向けるダルツォルネ

 

「えぇ、大丈夫よ。完全に意識を失ってるわ」

 

「起きても問題ない。奴らにはこの鎖は解けはしない」

 

心音を聞いたセンリツと、鎖で捉えているクラピカは二人で大丈夫だと念を押す

 

そんなやり取りをしていたせいか、はたまた普通にしていても気づけたか

 

クラピカ達の車が通りすぎていくのを、崖の上で見ていた影が7つあった

 

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 205号室~

 

ガラガラ

 

「よっ、と」

 

「トランクスくん、お父さんたちまだいない?」

 

先に入ったトランクスの様子を窺うように窓から顔を出す悟天

 

「大丈夫、大丈夫。それよりこのカーテンとか片付けようぜ」

 

「うん、片付けたらそのあとは?」

 

「どうしようかなぁ…」

 

うーん、と悩み出すトランクス

 

「━━━やっぱり念が気になるよなぁ。まぁ今日は遅いし寝とこうぜ」

 

バッグの紐を元に戻したトランクスはバフッとベッドに飛び込む

 

悟天も真似してベッドに飛び込む

 

そしてあっという間に眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンのあるホテル地下~

 

「ここは?」

 

「言っていた別のアジトだ。地下のな」

 

クラピカたちはノストラードファミリーが所有する施設の一つに入り、ダルツォルネから詳細を聞いていた

 

「拷問器具なども一通りある。覚醒ガスを吸わせたから、こいつももうじき起きるだろう」

 

クイッと顎でウボォーギンをさすダルツォルネ

 

 



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【76】追う

遅くなりすみません


~ヨークシン郊外 道路~

 

「場所わかるあるカ?」

 

「とりあえずヨークシン方面に逃げたのだけはわかります。そこまではこの街道一本しかありませんしね」

 

フェイタンにそう答えるシャルナーク

 

マフィアの車を盗んだ幻影旅団たちは、ウボォーギンを拐った者たちを猛スピードで追いかけていた

 

「それにしてもあのマスク野郎は一体何者?」

 

マチは直接戦ったノブナガに尋ねる

 

「…陰獣じゃねぇ、って言ってたがな…」

 

「なにそれ?じゃぁなんで来たの?」

 

不思議そうに今度はシズクが尋ねる

 

「知らねぇよ。あの2人に聞けよ」

 

「2人?」

 

「あぁ、多分だが子供2人だな」

 

思い出しながら説明するノブナガ

 

「お前さんたちは他の陰獣と戦ってたから見てねぇだろうが、あのマスク野郎をぶった切ったんだよ」

 

自慢じゃねぇぞ、と一言告げて続ける

 

「手応えがないから避けられたと思ったら…2つに分裂して何か話ながら飛んでいきやがった」

 

「飛んだ?」

 

シャルナークがそこに反応する

 

「あー、そこはなんだ…、ちょいと驚いてて忘れてたが、確かに空を飛んで逃げていきやがった」

 

「なぜ子供ってわかるあるカ?」

 

「見たわけじゃねぇよ。ただ声が幼いのと、元々手足が短かったじゃねぇか」

 

ふーむ、と考え込むシャルナーク

 

「で、強さは?」

 

「…団長以上だ」

 

マチの質問に少し難そうに答えるノブナガ

 

「はっ、それはあり得ないね。あんたが弱くなったんじゃないの」

 

ふざけるなと言外に伝えるマチ

 

「冗談なんか言ってねぇよ。マチ、お前はオレの居合いを止められるのか?」

 

「なんの関係があんのさ」

 

「いいから答えろよ」

 

「…そりゃ難しいかもしれないけど…あんただってうちの強化した糸を絶対に切れる保証はないだろ」

 

ノブナガはポリポリと頭をかきながら、そういうことじゃねぇんだよなぁ、と呟く

 

「いいか、あのマスク野郎はこっちを見もせずに、オレの居合い抜きを指先で”掴み”やがった。この意味がわからねぇお前らじゃねぇだろ」

 

「それで?パワーはウボォーギン以上あるカ?」

 

静かにしていたフェイタンが口を開く

 

「速さはノブナガさんの居合い抜き以上、力はウボォーさん以上、そして空を飛ぶ能力ですか…危険ですね…」

 

危機感を顕にするシャルナーク

 

その瞬間

 

ドンッ

 

ボンネットに人影が見えた瞬間、車が影に包まれる

 

ザザッ

 

車から飛び出した4人

 

「おい!こら!出せ!」

 

ボンネットに飛び乗った男の手、そこに小さな布が袋状にして包まれている

 

その袋からノブナガの声が響いていた

 

「…ノブナガは場所が悪かったネ」

 

ノブナガは後部座席の真ん中に座っていた

 

そして街道の横、崖を見上げる幻影旅団の4人

 

そこには━━━━

 

 

 

 

 

 



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【77】幻影旅団VS新たな陰獣

感想ありがとうございます!
返信できてなかった分を返信しておきました!
評価(高評価)もお待ちしてますので是非是非ポチっとお願いします(>_<)!


~ヨークシン郊外 道路~

 

崖の上に見える7つの影

 

「あのノブナガを捕まえてる男、あいつが梟(ふくろう)あるカ?」

 

「だと思いますよ。金庫からお宝を持ち出すにはうってつけの能力ですしね」

 

そう解説し、狙いを定めるシャルナーク

 

「待って。でも人数が合わない」

 

動こうとする2人にマチが制止をかける

 

「人数?」

 

「…あぁ、そういうことですね。確かに」

 

わからないシズクと頷くシャルナーク

 

「陰獣は10人。さっき4人潰したから、残りは6人のはずなんだけど」

 

「そんなことどうでもいいネ。こいつらに聞けばわかるネ」

 

カチャ、と剣に手をかけるフェイタン

 

「まぁ今回はそういうことですね」

 

同意して構えるシャルナーク

 

「お相手はどうします?」

 

陰獣たちを見上げるシズク

 

崖の一番上にいる長髪の男は様子見のようで気迫も構えも感じられない

 

「多分あの人は最初は動きませんね。ということは6:4」

 

「ならワタシが2人もらうネ。あとは好きにしたらいいヨ」

 

「じゃぁボクも2人もらいましょうか。先ほどの陰獣は皆さんにお任せしましたしね」

 

「じゃぁあたしはあの梟(ふくろう)を捕まえるとするよ」

 

フェイタンとシャルナークが2人ずつ受け持つと答え、マチは梟の捕獲を決める

 

「じゃぁ私は…」

 

シズクが困ったように残りの陰獣を見渡した瞬間

 

シャッ

 

一斉に6つの影、陰獣が動いた

 

キキンッ

 

瞬きする間で戦闘が開始される

 

拮抗する幻影旅団と陰獣たち

 

それを見下ろす長髪の男

 

(幻影旅団か…結構な強さだが…)

 

フェイタンと2人の陰獣を見る

 

(あの小さい黒マントの男、相当な手練れだな。陰獣2人がかりで精一杯…、押し負ける可能性もあるか?)

 

そしてシャルナークと2人の陰獣

 

(こちらは逆に押している…?いや、のらりくらりとかわされているだけか?…あいつの目の動き、全体の状況分析をしているということか)

 

更に足元ではシズクと陰獣

 

(こちらも拮抗、か。あの細い女はそこまで戦闘向きでは無さそうだな)

 

最後に奥に視線を移す

 

マチと梟(ふくろう)

 

何かをかわし続ける梟(ふくろう)

 

目を細める長髪の男

 

(…糸か!まさか梟が競売品を運んだことを知っている!?捕まえるつもりか!)

 

まずい!、と動く長髪の男

 

その動きに髪がなびき、月の光で銀色に煌めく

 

崖を走るように駆け下りて梟(ふくろう)の加勢に向かう

 

それを見たシャルナーク

 

「いまだ!全員潰せ!」

 

幻影旅団の4人は一気にオーラを高める

 

ぎゃぁ!うげぇ!

 

陰獣たちの断末魔が周りから響いてくる

 

そして目の前の女が梟(ふくろう)を糸で絞め上げようとしたその瞬間

 

ザッ

 

手刀で糸を切り落とす長髪の男

 

(せめて梟だけでもっ!)

 

片腕に梟を掴んで一歩下がる

 

だが、女の足元には梟(ふくろう)の手からこぼれた布袋が落ちている

 

ブワッ

 

一瞬で大きくなり、包まれていた車が現れる

 

そして車のドアが開き、侍風の男が出てくる

 

ちらりと視線を左右に移す長髪の男

 

黒いマントの男も、白い服を着た優男も、掃除機を持った女も、敵は全員悠々と立っている

 

その足元には陰獣たちの亡骸

 

形成は一瞬にして5:1

 

(力を隠していたとは…。全員がヒソカと同じレベルの能力者…)

 

ジリ、と後ずさる長髪の男

 

そこに侍風の男から声がかかる

 

「おい、お前さんは何者だ?オレらの仲間をどこに連れ去った?」

 

「連れ去る?」

 

意味がわからずに聞き返す

 

「あー、質問してんのはこっちだ。まともに答えろ」

 

うっすらと額に血管を浮かべる侍風の男

 

「ノブナガ、そんなことどうでもいいネ。必要なのはお宝あるヨ」

 

黒いマントの男は、そう言って長髪の男が担いでいる梟(ふくろう)を指す

 

「お宝より先にウボォーだろうが!」

 

ブチッと聞こえる程の怒りを持って振り返る侍風の男

 

そこに、まぁまぁ、と間に割って入る優男

 

「まずは聞きましょうよ。彼が誰なのか、を」

 

そして向き直す

 

(これは…逃れられない、か)

 

「ある組織の武闘派をまとめている者だ」

 

うーん、と首をかしげる優男

 

「そんなに濁さないで下さいよ。彼らがコミュニティの長である十老頭付きの陰獣っていうのはわかってるんですから」

 

そう言ってにこりと笑って続ける

 

「ボクは貴方の立場と名前が聞きたいんですよね」

 

「嘘を言うかもしれないが?」

 

「そこは大丈夫ですよ。嘘を見破れる仲間もいますし、勘が鋭い人もいますから」

 

そしてちらりと女性に視線を向ける

 

梟と戦っていた糸使いの女だ

 

(記憶が読めるのか、もしくは嘘かどうかがわかるのか…)

 

「まぁいいじゃないですか、教えてくれても。じゃないと今すぐ攻撃しなくちゃいけませんし」

 

長髪の男は一息ついて口を開く

 

「陰獣の統括をしている━━━」

 

 

 

 



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【78】油断大敵の男

~ヨークシンシティ中心街 カクテルバー~

 

「あら?いい男じゃない」

 

グラマスな女性がカウンターに座った男に声をかける

 

「見かけない感じの雰囲気だけどどこの出身かしら?」

 

「出身はしがない荒野さ。普段は西の方の都に住んでるがね」

 

ふぅん、と物珍しそうに見ながら距離を縮めてくる

 

「き、君こそどちらの出身かなー?なんて…あはは」

 

「あら?興味ある?」

 

艶っぽい唇を見せながらしなだれる

 

(あいつを先にホテルに行かせてて良かったー!)

 

「で、お嬢さんは何を飲みますか?」キリッ

 

「気が利くのね、うふふ。じゃぁマティーニを貰おうかしら」

 

「マスター!こちらの麗しい女性にマティーニを」キリッ

 

雰囲気に酔っている男は、チラリと視線を向けたマスターの憐れみの視線には気付かなかった

 

「この街に来たのはオークションかしら?」

 

「いえ、友人を探しに…」

 

「あら、そうだったの…。オークションをされるお金持ちの方が多いからつい。お酒は奢りじゃなくて割り勘でいいわ」

 

スッ、と立ち上がろうとする女

 

「あ、まっ待ってください。大丈夫ですよ。こう見えてちゃんと持ってますから!」

 

懐から箱を取り出す男

 

パカッ

 

中に入った大粒のダイヤを見せる

 

「わぁ、とっても綺麗だわ」

 

いつの間にかしっかりと座っている女

 

心なしか男に胸を押し付けて

 

(むふっ)

 

「今日はもう少し飲みたいな…」

 

意味ありげにそう呟く女

 

「実はボクもなんです」キリッ

 

「ねぇ、この店内…人目が多くて嫌だわ。外のテラスにしない?」

 

お店の外にあるテラス、その端のテーブルに視線を送る

 

ちょうど死角で人目にもつきにくい

 

「マスター、外のテラスで飲んでもいいかい?あと、シャンパンをボトルで」キリッ

 

「いいですけど…大丈夫ですかいお客さん」

 

「まだまだ飲めますよ」キリッ

 

マスターは何の心配をしたのか

 

だが男はそう答えたのだった

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 道路~

 

「陰獣の統括をしている━━━カストロだ」

 

優男は女の方を見る

 

糸使いの女はその視線を受けて頷く

 

「成る程ね。嘘は言ってないみたいだね」

 

その間にもカストロはどこかに隙はないかと目配せする

 

だが、幻影旅団たちに隙はない

 

頬を汗が一筋流れて、落ちた

 

 

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル 8011号室~

 

「成る程なぁ。そんな能力使ってたんかぁ」

 

ベジータからヒソカの能力を聞いて納得する悟空

 

「念を使う奴らは根本的に気を使う奴らとは戦い方が違うからな」

 

「けどフリーザもブウも超能力使うから一緒みてぇなもんじゃねぇか。大変だったけど勝てたんだしさ」

 

ちっ、と舌打ちするベジータ

 

(まるでこの前までの自分を見てるようだぜ)

 

「な、なんだよベジータ怒るなって」

 

「相手の気をはるかに上回ったら力で勝てるだろ。だがオレ様が言っているのは”同レベルの奴”と戦った時のことだ」

 

「く、工夫して勝つんじゃねぇのか…?」

 

「だからその工夫の仕方を話してきたんだろうがーーーー!!!」

 

ベジータの怒声が上がる中

 

ゴンたちは、早く自分の部屋に戻って欲しいと思い始めていた

 

 

 




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【79】光の玉

評価ありがとうございます!!!!!
誤字脱字報告もありがとうございます!


~ヨークシンシティ中心街 カクテルバー~

 

「いやー、こんな綺麗な人と飲めるなんてボクはついてるなー、なんて」あはは

 

「ほんとお世辞がお上手ね」

 

テーブルの上には空のシャンパンが何本も並んでいた

 

男はだいぶ酔っているようで、顔も赤く上機嫌

 

女はグラスに口をつけるが、一向に減っていなかった

 

「そうそう、綺麗と言えばオークションの最終日には花火が上がるそうよ」

 

「花火なんかより貴女の方が何倍も綺麗ですよ」うへへ

 

「あ、ありがとう。でも花火は綺麗よ。見たいわぁ」

 

そう言いながら女は男のグラスになみなみと注ぐ

 

話題を作りながらとにかく飲ませ続けていた

 

「花火ならボクも打ち上げられますよ」ニヤッ

 

女性の頭に?が浮かぶ

 

「お仕事は花火師か何かだったかしら…?」

 

「いえいえ、ただの武道家なんですけど。よっ」

 

ぽんっ

 

男の手のひらから光輝くものが出て浮かぶ

 

「━━━!なにこれ!?」

 

色っぽい余裕なイメージが消え去り、驚く女性

 

そのまま男は上に投げる動きをする

 

それにつられて上空に飛んで行った光の玉

 

そして男が手のひらをぎゅっと閉じて握りこぶしにした瞬間

 

パァン

 

上空で光の玉が弾けて消える

 

「…綺麗」

 

「と、まぁこんな感じで」へらっ

 

赤らんだ顔でにんまり笑う男

 

「凄い!どうやったの!?」

 

男の腕を胸に引き寄せて喜ぶ女性

 

「普通の人には無理なんだけどね、ボクには簡単かなーなんて」あはははは

 

見せて見せてとせがむ女性

 

「んじゃもういっちょいきますか」でへへ

 

手のひらから5つの光の玉を作り出す

 

くるくると体の周囲を回ると、そのまま螺旋を描きながら上空へ上がる

 

「すごーい!文字とかも書けるの!?」

 

「も、…もちろん!」

 

男は酔った頭で一生懸命操作する

 

光の玉を高速移動させて、その残像で文字を空中に描く

 

頭にアルコールが登ってふらつくが、女性の胸が体を支えていて心地良い

 

(むふふっ)

 

気が抜けた顔をしながら、4つのハートを描く

 

そして最後に同じく弾けて消える

 

女の喜ぶ顔を見ながら、注がれるシャンパンに酔いしれる男

 

一瞬で感動の感情を抑え込んで男の懐に手を伸ばす女

 

どちらも、出した光の玉が5つ、弾けた光の玉が4つだとは気づいていなかった

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 道路~

 

「じゃぁ改めて話を整理しよう」

 

幻影旅団の優男はそう言って指を2つ立てた

 

「ボクらが知りたいのは、拐われた仲間の行方。そして隠された競売品、お宝の在りか。この2つなんだよね。できれば両方知りたいんだけど」

 

「君たちの仲間のことは本当に知らない。競売品のことについては盗賊には教えられない」

 

またチラリと糸使いの女を見る優男

 

「うーん、本当に嘘じゃないみたいなんだよね」

 

「ねぇ、あたし思うんだけどさ。拐った奴は陰獣とは関係ない気がするんだよね」

 

「うん、その可能性は大いにあると思ってるよ」

 

糸使いの女の言葉に頷き、推論を続けて述べる優男

 

「陰獣は10人。あっちの荒野で4人、ここで5人潰して、目の前にいる男に担がれてるのが1人。これで10人。なら連れ去ったのは違う組織かもしれない」

 

「まぁとりあえず半殺しにしてお宝の場所吐かせればいいネ」

 

結論は変わらなかった

 

(もうここまでか…。だがただではやられはせん!)

 

オーラを練り込むカストロ

 

それに反応して動く幻影旅団

 

その瞬間

 

 

 




皆さん高評価ありがとうございます!
頑張って投稿続けます!
「そういや評価してなかったなー」という方、ぜひぜひよろしくお願いします!

<次回>
バーで飲む男は一体誰なのか
そして追い詰められたカストロはどうなるのか
次回『心のすれ違い』をお楽しみに!


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【80】心のすれ違い

~ヨークシン郊外 道路~

 

ドォオオオオオオオオン

 

凄まじい衝撃がカストロと幻影旅団の間に起こる

 

全員その場から吹き飛ぶ

 

「な、何が起こった、あるカ」

 

頭を抑えながらふらつくフェイタン

 

「ぐっ…。わかり、ません」ガハッ

 

血を吐いて腹部を押さえる

 

爆心地に近かったシャルナークはまともに衝撃を受けた様子

 

「内臓、やられた、あるカ」

 

周りを見渡すフェイタン

 

「マチ、シズク、…は完全に、意識ない、あるネ」

 

1人、ノブナガだけは刀を杖代わりにして立っている

 

「ちっくしょ…、なんだ、あの光の玉…」

 

「光の玉…、言われて、みれば、見えた、気がする…あるネ」

 

衝撃が起こる一瞬前、カストロと自分達の間に光る玉が見えたような気がしていた

 

「ヤツの、技、あるカ…?」

 

「わからねぇ…。だが、フランクリンの、やつみたいな放出能力、だった」

 

「威力が、桁違い、あるヨ」

 

そして相手、カストロを探し始めた

 

カストロも同じく、衝撃により吹き飛んでいた

 

幻影旅団たちとは反対方向の崖側

 

(何が起こった…?いや、私は見たはずだ!あれは師の繰気弾…!私を助けてくれたのか!)

 

膝付き状態から立ち上がる

 

爆心地が幻影旅団寄りだったこともあり、幸いダメージは大きくない

 

「師匠!どこです!?」

 

声を張り上げて師、ヤムチャを探す

 

だが反応はない

 

「なぜ答えてくれないのですか!?」

 

神経を研ぎ澄ませてみても、師を見つけることができない

 

(助けたられたのに…お礼も言わせてくれないなんて…。でもなぜ姿を現してくれないのか…?それに師なら私にダメージを与えることなく敵を倒せたはず…なぜ…?)

 

わからないことだらけで困惑するカストロ

 

そこに

 

ブワッ

 

煙を掻き分けるように敵が現れる

 

「ここに、いたネ!」

 

ガギィンッ

 

フェイタンの剣をカストロの手が抑え込む

 

(なぜ敵がまだ生きている!?)

 

「ワタシの、剣、止められるの、ムカつくあるネ」

 

虎咬拳を極めたカストロには刃は通らない

 

(な、ぜ…敵…が?)

 

「どこ見てる、あるカ」

 

ガギィンッ キンッ キンッ

 

猛烈なフェイタンの剣捌き

 

一瞬でも手に集めたオーラを緩めればあっという間に切られる

 

だが、カストロの頭は疑問と疑念でいっぱいだった

 

スウゥ

 

その意識がオーラを緩める

 

シュッ!

 

フェイタンの剣がカストロを両断するように振り下ろされる

 

剣が眼前に迫ったその瞬間

 

キイィン

 

もうひとつの刃がカストロの顔前に差し出されてフェイタンの剣を止める

 

「なんの、つもり、あるカ?」

 

剣を止めたのはノブナガの刀

 

「殺すな。何でもいい。ウボォーに、繋がるかもしれねぇんだ」

 

だいぶ息が整ってきたフェイタンとノブナガ

 

「無理ネ。こいつ、かなり強いあるヨ。生け捕りできるような、ヤツじゃないあるネ」

 

「強さなんて、どうだっていいんだよ。ウボォーのこと知らなかったとしても、もしかしたら取引材料になるかもしれねぇ」

 

目の前で睨み合う幻影旅団の2人

 

(…いまは師のことより梟を連れ帰ることが優先!)

 

カストロは右手にオーラを集める

 

「━━━繰気弾!」

 

ブゥウウウウン

 

手のひらに現れる光の玉

 

フェイタンとノブナガは一瞬で距離を取る

 

「ヤツの技だったあるカ。非常に厄介あるネ」

 

珍しく顔を曇らせるフェイタン

 

「あぁ、こいつはやべぇな…。あんな技を何発も出せるたぁな…」

 

ノブナガも握る刀に汗が滲む

 

「はっ!」

 

ヒュヒュン

 

カストロは繰気弾を動かして幻影旅団の2人を狙う

 

フェイタンとノブナガは先ほどの爆発の威力を警戒して大きく避けるしかなく、隙が出てくる

 

カストロはジリジリと下がりながら操作する

 

「このままだと逃げられるあるヨ」

 

「と言っても、こいつがある限り追えねぇ、だろ!おっと」

 

ヒュン

 

ノブナガの鼻先を掠める光の玉

 

そして━━━

 

「もう、無理あるネ」

 

カストロの姿が見えなくなった

 

「ちっ、くそっ!」

 

それと共に光の玉も消えていく

 

カストロはヨークシンの中心へ向けて走っていた

 

陰獣の梟(ふくろう)の保護と、十老頭への陰獣全滅、そして敵が幻影旅団であることの報告をする為に

 

だが、心はそこになかった

 

(なぜ師は敵を助けた…。なぜ私を助けに出て来てくれなかった。師は…変わってしまったのか…。幻影旅団に味方した師を…私は…)

 

ぐっ、と拳を握り締める

 

「師が悪の道に落ちたのなら…私が倒さねば!」

 

決意をもって顔を上げたカストロ

 

そこには1人の男として立った厳しい顔があった

 

 

 




皆さん高評価ありがとうございます!
頑張って投稿続けます!
「そういや評価してなかったなー」という方、ぜひぜひよろしくお願いします!

<次回>
何の偶然か、カストロを救った光の玉
だがそれは逆にカストロに疑念を抱かせた
このさざ波は次第に大きくなっていくのだろうか
次回『気づかぬは1人だけ』をお楽しみに!


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【81】気づかぬは1人だけ

わざわざ低評価や設定やについて感想欄で言ってくる人はどういう意図でやってるんですかね…


~ヨークシンシティ中心街 カクテルバー~

 

ゆさゆさ ゆさゆさ

 

「ちょっとお客さん。起きてくださいよ」

 

ゆすり起こされて目を擦る男

 

「…ふぁぁぁ。あれ?マスター…?」

 

「もう閉店時間ですよ」

 

マスターは時計を指しながら男に閉店を告げる

 

「あー、寝ちゃってた…?」

 

「あんなに飲むから…。お会計して早くホテルに戻って下さいよ」

 

そう言いながら水を差し出すマスター

 

受け取って口を付ける

 

「あれ…?女性は…?」

 

キョロキョロと辺りを見回す男

 

「もう2時間以上前に帰ってますよ」

 

はぁ、とため息をつくマスター

 

「お会計、53万ジェニーですよ」

 

「………。53万ゼニー!?」

 

目が醒める男

 

「そりゃ…あれだけ高いシャンパン飲まれたら…」

 

そう言われてテーブルを見る男

 

空き瓶が8本転がっている

 

どれも良い値段のする銘柄だ

 

「あちゃー…。あるかな…」

 

ガサゴソとお尻の方から財布を取り出す

 

「…………。ない」

 

現金が1枚も入っていない

 

小銭すら入っていない

 

「う…そ…だろ…?」

 

「お客さん、やられたみたいですなぁ」

 

憐れみの目で見るマスター

 

その慰めの視線で気づく

 

「あの………女!」

 

ガタン、と立ち上がった男だったが、マスターが腕を掴む

 

「どこに行くんですかねぇ」

 

「いや、あの、女を捕まえようかと…」

 

「お勘定済ませてからでお願いします」

 

丁寧だが有無を言わせない態度のマスター

 

「でも…」

 

と、言いかけた時

 

相棒の言葉が脳裏をかすめる

 

『いいですか?何かあったときの為にこの靴底にクレジットカード入れておきますからね!でも、そんなことがないようにしてくださいね!』

 

はっ!として靴を脱ぐ男

 

右の靴…にはない

 

左の靴を確かめる

 

「━━━あった!カード!クレジットカードだっ!」

 

小躍りしながらマスターに渡す男

 

マスターは受け取ってレジへ行く

 

━━━だが

 

「このカード、限度額いくらですかね?決済通らないのですが」

 

ジトりとした目で見るマスター

 

「…50万ゼニーだったような………」

 

「3万ジェニー足らないですよお客さん」

 

上げて落とされた感じである

 

いや、まだある!と懐を探る男

 

懐を探る男

 

懐を………

 

………

 

(ない!!!ダイヤがない!!!)

 

現金だけでなくダイヤも持っていかれていた

 

「あ、あはは。50万ゼニーになったり…しませんかね?」

 

「無理だね。カードで50万ジェニー切るから残りの3万ジェニーはここで掃除でもして返してもらおうかね」

 

「そ、そんな…」

 

そして男は雑巾を渡された

 

 

その頃、男の相棒は

 

「遅いなぁ…大丈夫かな…」

 

窓を開けてヨークシンの街を見下ろし、主人の心配をして待ち続けていた

 



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【82】囚われの男

楽しく書きたいんですけどね…
せっかく応援してくださってる皆さんが高評価付けてくれて、多くの人に見てもらえる下地を作ってくれているので、それに報いたくて精一杯書いてるんですけど…
反対感想や低評価が付く文章力だったみたいで…高評価付けてくれていた皆さん、評価無駄にしてしまいすみません。



~ヨークシンのあるホテル地下~

 

「目が覚めたようだな」

 

ダルツォルネの問いかけにぼんやりと目を開けるウボォーギン

 

「ここは?」

 

「オレたちのアジトの一つだ。競売品をどこへやった?」

 

そう言うとダルツォルネは刀を取り出す

 

「どれくらい眠ってた?解放するなら生かしておいてやる」

 

寝台に完全拘束されているにも関わらず、あくまでも自身の立場が上であると言わんばかりの態度

 

「質問をしているのは…こっちだ!」

 

ガキィィン

 

突き立てた刀はウボォーの肉体に弾かれる

 

(な…なんて野郎だ…)

 

後ずさるダルツォルネ

 

「誤解だ。オレたちは競売品を盗んでない。既にもぬけの殻だった」

 

平然と言うウボォー

 

「う、嘘は言ってないわ…」

 

その心音から判断したセンリツがクラピカに言う

 

「じゃあ会場の客はどうなった?我々の仲間もそこにいたんだが」

 

「殺した。そういう手筈だったんでな」

 

悪びれることなく言いきったウボォーに

 

ドガァア!

 

「ふざけるな!」

 

顔面を殴り付けるクラピカ

 

鼻が曲がって血を流すウボォー

 

「お前たちの都合で殺された者たちはどうなる!」

 

「そこまでだクラピカ」

 

間に入って止めるダルツォルネ

 

「一時間以上前にコミュニティに連絡は入れてある。もうすぐ引き取りに来るだろう」

 

「そうよクラピカ。あとは任せましょう」

 

センリツも止めに入り、クラピカの背を押して地下室を出る

 

残されたウボォーは鼻から流れ出る血をペロリと舐め、猛烈な怒りと共にクラピカの出て行った扉の先を睨んでいた

 

「どんなに強がってももう少ししたらお前を迎えにコミュニティの者が来る。貴様は終わりだ」

 

そう告げたダルツォルネは折れた刀を置く

 

そして地下室を出たセンリツは、アジトとして確保していた上階の部屋へとクラピカを連れて行った

 

 

━━━それから20分程後

 

「ようやく来てくれたか。待っていた」

 

地下室の入口を開けてコミュニティからの使者を迎え入れるダルツォルネ

 

「幻影旅団はどこに?」

 

そう急かす使者に

 

「こちらだ」

 

と案内をする

 

そして捕らえたウボォーのところまで来たとき

 

「ふん、馬子にも衣装だな」

 

そうウボォーが言った瞬間

 

ドスッ

 

ダルツォルネは腹部に熱いものを感じて下を見る

 

腹部には突き刺さった手

 

「ま…さか…」ゴフッ

 

そして倒れ込む

 

「ったく、お前が拐われたと聞いたときは耳を疑ったぜ」

 

コミュニティからの使者たちは幻影旅団が化けた者たちだった

 

ウボォーの拘束を外す幻影旅団

 

「くっそおおおおおお!!!」

 

雄叫びと共に起き上がるウボォー

 

「あの鎖野郎許さねぇ。そしてマスク野郎もだ。団長に伝えてくれ。オレは鎖野郎とケリをつけるまでは戻れねぇとな」

 

ギリギリと歯噛みしながら闘志を滾らせていた

 

 

━━━そしてクラピカたちは

 

ウボォーの雄叫びを聞いて、すぐさま別のアジトへと移っていた

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 空き家~

 

「見つかったか?」

 

パソコンを覗き込むウボォーギン

 

「あともう少しですよ」

 

ウボォーの為に、鎖野郎の居場所を調べているシャルナーク

 

「あの地下施設はノストラードファミリーのものですね。ならあとはそのファミリーに所属している組員と、所有している物件を当たれば…」

 

カタカタ、っとキーボードを打つ

 

「あれ?これ以上はハンターライセンス必要ですか」

 

よっ、と腰を浮かせてポケットからカードを取り出すシャルナーク

 

「ウボォーさんも取ったらどうです?ハンターライセンス。いろいろと便利ですよ」

 

「オレぁそんなの取りにいかねぇ。必要なら盗むさ」

 

「盗賊の鑑ですね。と、出てきましたよ」

 

画面にノストラードファミリーの組員の顔一覧が表示される

 

「こいつだ!」

 

画面を指差すウボォー

 

「ノストラードファミリーで当たりですね。アジトは3つ。どれを当たります?」

 

「全部だ。地図を出してくれ。オレ一人で行く」

 

「気をつけて下さいよ。はい」

 

地図を受け取ったウボォーは窓から闇夜に抜けて行った

 

 




でも書くのはやめないです。
応援してくださっている方がたくさんいるのはちゃんとわかってますので!
この前みたいに「やめます」とは言いません。
皆さん本当に応援(お気に入り、評価、声援)ありがとうございます。


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【83】クラピカVSウボォーギン(前半)

評価ありがとうございます!
こんなにもたくさんいただき嬉しいです!!
感想もメールもちゃんと読んでます!
では、お待ちかねのクラピカ×ウボォー戦、行ってみましょう!


~ノストラードファミリー所有アジト~

 

ザッ

 

「━━━来たか」

 

「よぉ。良い度胸じゃねぇか」

 

一人部屋で待っていたクラピカ

 

ウボォーギンはクラピカを睨む

 

「オレとやる気満々って感じだな」

 

「場所を変えよう。貴様の断末魔はうるさそうだ」

 

ピクッ、と眉を動かしたウボォーだったが、狭い室内で闘うより、全力を出せる荒野の方が都合が良いのもその通りだった

 

「いいだろう」

 

そして2人はヨークシンの郊外へと向けて移動して行った

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン外 荒野~

 

「一つ聞きたい。お前何者だ?並の使い手じゃねぇ。お前の念には特別な意志が感じられる」

 

ペキョ、と飲み物の缶を潰しながら問うウボォー

 

「その質問に答えるには、聞き返さなければならないことがある」

 

そう言いながらバサリとコートを脱ぐ

 

「殺した者たちのことを覚えているか?」

 

「少しはな。印象に残った相手なら忘れねーぜ。…つまるところ復讐か。誰の弔い合戦だ?」

 

「クルタ族」

 

ポツリと呟くクラピカ

 

「━?知らねぇな」

 

「緋の目を持つルクソ地方の少数民族だ。5年ほど前にお前たちに襲われた」

 

「ヒノメ?なんだそりゃ?お宝の名前か?悪いが記憶にねぇな、5年前ならオレも参加してるはずなんだがな」

 

悪びれもせず、平然と答えるウボォー

 

スッ、とクラピカの雰囲気が変わる

 

「およそ関わりのない人間を殺すとき、お前は…お前は一体何を考え、何を感じているんだ?」

 

ジリ、と一歩近付く

 

「別に何も」

 

その感情のない回答に、クラピカの雰囲気は完全に変わる

 

「クズめ」

 

そうポツリと呟いたあと、顔をあげて言う

 

「死で償え」

 

そうクラピカが宣告した瞬間

 

ゴッ!!!

 

ウボォーがオーラを爆発させる

 

ゴゴゴゴゴゴゴ

 

「たまにこういう奴がいるからやめられねぇ。殺しはな」

 

「返り討ち、か」

 

「はっ、わかってるじゃねぇかよ」

 

「いつまでも返り討ちにできる相手ばかりだと思わないことだな。あのマスクの男のように」

 

カッ、と怒りの表情を込めるウボォー

 

「━━━あいつは、オレが殺す!そしててめぇもな!!!」

 

ふんぬ!はぁっ!!!

 

「くらえっ!破岩弾ん!!」

 

ボッ!という音と共に岩が飛ぶ

 

それを飛んで避けてすぐさま反撃するクラピカ

 

「束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)」

 

中指に付けた鎖がウボォーをからめとろうとする

 

バッ

 

ヂュイイイン ドォオオオオン

 

紙一重で避けたウボォーの足元に鎖が当たり、地面を砕いて轟音を立てる

 

(この鎖がやばい!どんな手品を使ったかわからねぇが、通常じゃ考えられない程の念があれに込められてやがる)

 

ヒュヒュ

 

クラピカの操る鎖を避けながら考えるウボォー

 

(と、くれば…!)

 

思考を終わらせてクラピカを見る

 

(先手必勝!!!)

 

飛び上がっていたクラピカ目掛けて右ストレートを叩き込む

 

ズガッ!!!

 

ガードしているクラピカの左腕を殴り付けたウボォー

 

「手応えあり!」

 

だが━━━

 

ヒュオ!

 

殴られた反動を利用して鎖が飛んで来る

 

「くっ…!」

 

上半身を反らしてかろうじでかわすウボォー

 

「驚いたぜ。今のパンチをくらってなお、攻撃してくる気力があるとはな」

 

(だが左腕はイカれちまったはず…)

 

そう判断していたウボォーの前で

 

ポンポン

 

左手を使って服についた砂ぼこりを払うクラピカ

 

(無傷!?ばかな!)

 

驚くウボォー

 

(鎖にあれだけの念を込めることができるのは物体を操る操作系かオーラを物体化する具現化系!奴はおそらく前者!しかしオレの拳を生身で防御可能なのは肉体をオーラで強化できる強化系ぐらいのはず!!奴は一体…)

 

そう思考していたウボォー

 

そこにクラピカが口を開く

 

「今のパンチ」

 

そう言うと同時に顔をあげて鋭い視線を向けると同時に続ける

 

「まさか全力か?」

 

カッ!

 

目が血走るウボォー

 

「くくくくくくくくく。…面白くもねぇ冗談だな!?安心しろ2割程度だ。じゃぁ半分くらいの力でいくぜ!」

 

そしてウボォーがオーラを込めた時

 

荒野の崖の上に人影が一つ

 

スゥッ、と表れる

 

気配を完全に消して二人を見下ろす影

 

戦闘中の2人は気付かない

 

大胆にも崖に腰をかける

 

逆に月明かりによってできる影を小さくしているのか

 

だが、ニタリと笑った不気味な雰囲気は周囲の生き物を瞬時に遠ざけていた

 

 

 




イメージ通りの対戦…?
いや、一つの影が表れた。
その人影はこの戦いに関わるのかそれとも…

次回『クラピカVSウボォーギン(後半)』をお楽しみに!


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【84】クラピカVSウボォーギン(中盤)

皆さん、感想も評価もありがとうございます!
増える度に嬉しくてニコニコしてます!(本当)笑


~ヨークシン外 荒野~

 

ザウッ!

 

地面を蹴って一足飛びにクラピカに殴りかかる

 

ブンッ

 

だがウボォーのパンチは当たらない

 

ゴッ!

 

一瞬で後ろに回り込んでいたクラピカがウボォーの後頭部を殴る

 

そしてそのまま、バキッ!っという大きな音と共に背中を蹴り飛ばすクラピカ

 

衝撃で、ズザザッ!と押されるウボォー

 

(このっ…!)

 

振り返ったウボォーの目には何もない荒野しか映らない

 

ドウッ!

 

(グッ…上かっ!)

 

後頭部を蹴り飛ばされたウボォーは即座に上へ拳を突き出す

 

「らぁっ!!」

 

スカッ

 

だがそれもかすりもしない

 

気づくとクラピカは目の前に居た

 

「ちょこまかと動きやがって。だがな━━━」

 

「”今の隙に鎖でオレを捕らえなかったことを後悔するぜ”か?」

 

ウボォーの思考を読んだように、先読みして言葉にするクラピカ

 

「くだらん負け惜しみはやめて全力でこい。時間の無駄だ」

 

そう言われてこめかみの横に青筋を浮かべる

 

「やってやるぜ━━━全開だ!!!」

 

カッ!!!

 

 

 

 

その頃、戦う2人を見る男は

 

「いいね…これからが本当に楽しくなるところ◆」

 

崖の上でほくそ笑む

 

月が雲から顔を出し、男の顔を照らす

 

ピエロメイクの男、ヒソカ

 

「さて、どっちが勝つのかな?◆」ククク

 

 

 

 

 

ズォオオオオオオオ!!

 

激しいオーラの爆発と共に、幾層にも練り込まれた強靭なオーラを纏うウボォー

 

「ふむ…、凄まじいほどのオーラだ」

 

これだけのオーラを目の当たりにし、彼我のオーラの差は明らかであるにも関わらず、平然と観察するクラピカ

 

動いたのはウボォーから

 

ドオッ!!!

 

地面を殴り付け土埃を立てる

 

(目眩まし!?)

 

一瞬で巻き上がった土埃に、目を庇う

 

━━━!

 

(気配が消えた!”隠”!)

 

そう判断した瞬間

 

ヒョォ

 

土埃を掻き分けてウボォーが現れる

 

反応の遅れたクラピカは避けきれず、左腕を上げてガードを滑り込ませる

 

そしてそこに渾身の右ストレートがクラピカに突き刺さる

 

ベキィ!!!バキ!ボキ!

 

衝撃と、そこからの押し込みで骨の砕ける音が響き、そのままの勢いで吹き飛ばされる

 

「今度こそ!砕いたぜ!」

 

怒りと笑みの混ざった顔をしながら続ける

 

「本気を出したオレの超破壊拳を生身で止められる奴なんぞいねぇ!だが褒めておくぜ!確実に背骨がぶち折れるはずの攻撃だったのが、お前のあの反応の速さ!おそらく土埃の微妙な変化を目の端で捉えたな!?」

 

ピタリと空中で静止しているクラピカは、それを聞いても平然としていた

 

「こちらこそ褒めておこう。まさか”隠”を使えるとは思わなかった。地面を叩き、土埃を上げたのは体だけでなく気配を絶って攻撃する作戦だったわけだな」

 

(…なぜ空中に!?)

 

ウボォーがそう思う間もなく、クラピカは続ける

 

「だが、”隠”を使えるのは私も同じ」

 

━━━!?

 

ピキィッ

 

「まさか…!」

 

瞬時に”凝”をするウボォー

 

”束縛する中指の鎖”

 

「見えたか?”凝”も使えるようだな」

 

じゃらり、とウボォーの全身を絡め取っている鎖

 

その鎖の力で空中に静止していたクラピカ

 

地上に降りながら先の戦闘を解説する

 

「この鎖は念能力でオーラを具現化したもの!したがって、”隠”で見えなくすることも可能!」

 

 




昨日は更新できず、すみません。。。
仕事で疲れてて、帰って仮眠取ったらいつの間にか夜中でした…


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【85】クラピカVSウボォーギン(後半)

今日はいつもの2.5倍の文章量でお届け!


~ヨークシン外 荒野~

 

そこまでのやり取りを見ていた崖の上のヒソカ

 

「ふーん、何かおかしいね」

 

陽気な雰囲気は消え、少しばかり目が細まる

 

幻影旅団と共に行動していたヒソカ

 

もちろん、ウボォーギンという男のその強さも知っている

 

ピピピッ

 

『2213…1564…774…221』

 

(2213から221まで下がった…?)

 

鎖を巻き付けられたウボォーの戦闘力が激減したのをスカウターが拾う

 

(この状況下で彼がオーラを消すはずはない…。ならクラピカの鎖に秘密があるのかな◆)

 

ゾクゾクッ、と何かが込み上げてくる

 

(強制的にオーラを絞り取っている、といった辺りかな◆)

 

だが、それよりもヒソカには気になっていたことがあった

 

(それでも…、彼の攻撃にクラピカが耐えられていることがおかしい)

 

そう、スカウターにはクラピカの戦闘力も表示されている

 

『817』

 

(最初は47、そしてオーラを高めて384、それが急にまた上昇して817。けれどそれでも差がありすぎる…)

 

ヒソカは冷静に分析する

 

ウボォーの戦闘力”2213”が本物なのは、その戦いぶりから知っている

 

(比較するならベジータ辺りかな。彼は1000程度だったけど、念の質が違うのか…強さとしては2倍くらい、2000程度の戦闘力があると感じた━━━)

 

そんな力を受けて800程度のクラピカが平然としていられるわけがない、と

 

「ちょっと、気になるんだよね…◆」

 

そう小さく呟くと、ヒソカは更に目を細めてクラピカたちの戦いに注目し始めた

 

 

 

 

 

そしてクラピカとウボォー

 

「お前が普段も鎖を具現化してたのは…”本物の鎖”に見せかけるためか!」

 

そう推察したウボォーに回答を述べる

 

「その通りだ。”実在する鎖”を操る操作系能力者を装っておけば、敵は見える鎖にだけ注意を払うだろう?」

 

そして続ける

 

「まさに今それが証明された。お前がくだらん強がりを言いかけた時、既に鎖はお前の体を覆ってたんだよ」

 

そして完全に念を込め終わる

 

ビシイッ

 

ちょうどヒソカがスカウターで数値を拾ったタイミングだった

 

「捕獲、完了」

 

クラピカはそう静かに呟いた

 

 

 

 

 

 

「なるほど◆…”絶”、か」

 

クラピカの能力を見抜いたヒソカ

 

(厄介な能力、そしてあまりにも強力すぎる…制約か。その内容によっては諸刃の剣◆)

 

ククク

 

「さて、…ボクはどうしようかな?」

 

そう呟きながらも、ヒソカはスカウターに集中していた

 

 

 

 

 

 

ウボォーはギリギリと力を込めて鎖を外すことを試みる

 

それを見てクラピカは言い放つ

 

「無駄だ」

 

「━━━いいぜ、オレの力とお前の鎖、どちらが強いか勝負だ!」

 

「貴様ごときにその鎖は外せん」

 

うぉらぁ!

 

「ぐっ、グギギギギ!!」

 

だが、鎖は全く外れる気配もない

 

「無駄だと言っただろう。束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)は捕らえた旅団を強制的に”絶”の状態にする!その上で身体の自由を奪う!」

 

(くっ、それでか。さっきから全然オーラが出せねぇのは!)

 

「ぬぅぅ!」

 

ギリギリ

 

それでも力を込めるウボォー

 

「オーラが全く出ない状態”絶”。つまりこの鎖に捕らえられた者は、肉体の力のみで鎖を絶ち切らねばならない」

 

そう、クラピカは順当に選んでいた

 

幻影旅団の中で一番の力を持つ者、ウボォーギン

 

ウボォーがこの鎖をほどけなければ、旅団全員が捕獲可能ということになる

 

また、念の系統としても強化系のウボォーはクラピカにとって相性が良い

 

そして、まだ抵抗を試みるウボォーにクラピカは畳み掛ける

 

「捕らえておくだけではない」

 

ジャラ、と親指の鎖を具現化する

 

”癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)”

 

クラピカの折れた右腕に鎖が巻き付き、一瞬で完治させる

 

(━━━バカな!これ程の鎖を作り出せるのは、奴が間違いなく具現化系であることの証!強化系能力者のような強力な自己治癒力が出せるはずがない!)

 

「くそぉおお!てめぇ…一体!?」

 

「緋の目になったいま、私の系統は特質系」

 

そして━━━

 

「特質系の私の能力『どの系統の能力も100%引き出せる』そして”気”すらも使える!」

 

”絶対時間(エンペラータイム)!!”

 

「さて、では答えてもらおう」

 

左こぶしに気を溜めるクラピカ

 

「幻影旅団のアジトはどこだ!」

 

「知らねぇな」

 

「仲間の能力は!」

 

「へっ、知らねぇ」

 

「答えろぉ!!!」

 

ドゴオッ!!!!

 

メキメキボギッ!!

 

クラピカの拳がウボォーの腹部にめり込む

 

(━━━!ま、ずい…内臓に…肋骨…背骨まで…折れ━━━)

 

あまりにも強烈な気の拳で、一撃で沈むウボォー

 

「まだだっ!」

 

クラピカは倒れようとするウボォーの顎を掴み、ガッ!と揺さぶる

 

「━━━ぐっ……」

 

かろうじて左目だけをうっすらと開けるウボォー

 

「最後の、チャンスだ!ぐっ…」

 

なぜか辛そうにする

 

「こた、え…ろ━━━…や、はり…気は、難し、かった…か━━━」

 

フッ、とクラピカのオーラが消える

 

そして意識を失ってゆらりと倒れる

 

ウボォーも既に意識は途絶え、無くなった鎖から解放され、その場に倒れ込んだ

 

 

 

 

 

 

「うーん、意外な結末◆」

 

スウッ、と立ち上がるヒソカ

 

(ウボォーの”絶”状態の戦闘力は221、クラピカの戦闘力は817。…3.6倍にしては威力が桁違い。まるでベジータのパンチを見ているようだった)

 

そう思案しながら崖を降りる

 

そしてクラピカとウボォーの元へ

 

(…完全に2人共意識を失っているようだね)

 

「━━━さて、どう使おうか◆」

 

薄気味悪い笑みを浮かべ、クラピカとウボォーを担いだヒソカは闇夜へと消えていった

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 旅団アジト~

 

「まだウボォーが戻ってないんだよね」

 

シャルナークが団員たちの前で説明をする

 

「鎖野郎を追いかけて行ったはいいけど、あれからもう3時間経ってる」

 

「まさか、やられるわけないよ」

 

マチがウボォーの戦いを思い出しながら言う

 

「当たりめぇだ」

 

同調するように言うノブナガ

 

だが、団長クロロは言う

 

「いや、その鎖野郎の能力次第だな」

 

「鎖を使うなら操作系か具現化系じゃないかな?」

 

そう言うシャルに頷きながらクロロは推論を述べる

 

「十中八九、具現化系だな。強化系一途のウボォーには一番やりにくい相手だ。具現化した鎖に麻痺の能力を付けたりしていればウボォーでもやられる可能性はある」

 

「どうすんのさ」

 

そう言うマチに

 

「━━━明日まで待ってみよう。もし帰ってこなかったら…作戦変更だ」

 

そう言って団員全員を見渡す

 

その視線を受けて、1人縮こまっていたウーロンは更に身を強張らせる

 

 

そして━━━

 

長かった9月2日が終わりを迎えた

 




クラピカとウボォーのバトルは、なんと共倒れ
終始攻めたクラピカ
”気”まで使いこなし、ウボォーを一撃で沈めたが…
無理をし過ぎたせいで倒れてしまう
そしてその2人を連れ去るヒソカ
幻影旅団たちは帰らないウボォーに焦りを見せはじめる
団長が出した決断とは一体
残されたウーロンは

次回、夜が明けた9月3日のヨークシンシティの動きをお楽しみに!


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【86】地下競売への誘い ”9月3日”

9月3日

 

~ヨークシン路地~

 

「さ、今日も気合い入れてやろうぜ!」

 

昨日と同じく、レオリオとゴンたちは路地で腕相撲の条件競売をしていた

 

ダイヤモンドを手にいれた男の話が出回っていたのか、朝から多くの人だかりができている

 

━━━はい、次の方!

 

次々と勝っていくゴン

 

それが100人近くになろうとした頃

 

「おい、次はオレの番だ」

 

2mはあろうかという、レスラーのような体格の大男が名乗り出る

 

スーツ姿という点、そしてもう1人柄の悪そうな男が後ろにいるのがいかにも怪しい

 

ズシッ

 

椅子に座ってゴンに腕を出す大男

 

だが、あまりにも体格が違いすぎて腕相撲をするための手が組めない

 

「おいおい、どうやってやんだ?あぁ?」

 

そうドスを効かせる大男

 

そこでレオリオがスッと前に出る

 

「オレがやる」

 

その言葉に大男の後ろにいた男が反応する

 

「おいおい、兄ちゃん。ごねる気はねぇがそれはルール違反なんじゃねぇのかい?」

 

もっともな問いに、レオリオはドンッと300万ジェニーを机に置く

 

「ダイヤにプラスして300万ジェニーも付ける。これでどうだ?」

 

チラッと振り向く大男

 

それを見て頷く男

 

「じゃぁ始めようぜ」

 

そう言うとレオリオは席に着いて大男と手を組む

 

「んじゃはじめるぜ?レディー…ゴッ!」

 

キルアがそう言った瞬間

 

ゴッ!!!

 

一瞬で、大男の腕がレオリオ側にあり得ない角度に曲がる

 

「お…あぁ…あ」

 

自分の右腕を抱えながらふらつく大男

 

そしてその腕相撲の様子を見ていた挑戦待ちの男たちは一目散に後ずさる

 

「ちっ……商売あがったりだぜ しゃーねー店終まいすっか」

 

ポリポリと後ろ頭をかきながらそう言うレオリオ

 

そこに先程の大男の連れの男から声がかかる

 

「いやー、兄ちゃん強いねぇ」

 

近づきながら名刺を取り出す男

 

「後ろの2人はもっと強いぜ」

 

レオリオはゴンとキルアを指す

 

「━━━どんぐらいだ?」

 

スッ、と目を細める男

 

「こんくらい、━━━は簡単だな」スッ

 

そう言って名刺を見せるレオリオ

 

そこには男が渡そうとしていた名刺が

 

まだレオリオとの距離は3m以上

 

名刺もケースから出そうとしたところだったはず

 

「本当に出来るようだな。その名刺の場所に来な」

 

それだけを言うと、大男に肩を貸して路地裏へと消えていった

 

「かかった魚はでかいかな?」

 

レオリオはにやりと笑って名刺の裏を見ていた

 

 

 

 

~ビスカ森林公園~

 

その頃、悟空・ベジータ・悟天・トランクスの4人はビスカ森林公園に出掛けていた

 

「お父さん、ここで何するの?」

 

「何か美味しい生き物いねぇか探すんだ」

 

「あの時の豚はもういないようだな」

 

「パパ、あの時の豚って?」

 

4人はオークションで購入した商品が届く9月4日までの間、ハンター試験で食べた美味しいもの巡りに行っていた

 

その間にヨークシンシティで大変なことが起こるとは露知らず………

 

 

 

 




悟空たちはちょっとヨークシンから離れます
ここからはハンターメンバーが活躍?です!


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【87】条件付きかくれんぼ?

86話の題名変更しました


~ヨークシンシティ中心 あるホテルのフロア~

 

十老頭たちは顔を付き合わせていた

 

昨晩、陰獣の梟(フクロウ)を抱えて戻ってきたカストロ

 

怪我の具合は酷くはなかったが、その口から聞かされたのは”他の陰獣全滅”の言葉だった

 

他にもたらされた”幻影旅団かもしれない”との情報は、まだ完全な確認ができていない為、結論は横置きされていた

 

 

 

こんなに何度も集まることはないな、と思いながらも、十老頭たちは朝から円卓に集合していた

 

「昨日の話はもう聞いた者もいると思う。━━梟以外の陰獣は全滅した」

 

そう口を開いたのは初老の男

 

ざわっ、とざわつく円卓

 

自分達の安全は大丈夫か!?敵は倒せるのか!?

 

各々が自分勝手に話はじめる

 

初老の男は手でそれを制して、そして全員を見ながら言う

 

「我々の安全はここにいらっしゃる先生が守ってくれる。そして敵に対しては、昨晩のうちに先生以外のプロの殺し屋を雇った」

 

それを聞いてカストロが反応する

 

「聞いていなかったのですが…。一体どのような者を」

 

「━━━ゾルディック家の者だ」

 

一瞬溜めを作って口にした初老の男

 

「あのゾルディック…」

 

殺し屋として有名なその名前を聞き、眉をひそめるカストロ

 

そしてもう1人の男も眉をひそめていた

 

先生と呼ばれている男だ

 

「ちょっといいですかな?ゾルディック家の誰を呼んだのか、まさかあのジジイは呼んでないでしょうな?」

 

急な問いかけに初老の男は困ったように言い淀む

 

「…ゼノ先生のこと、でしょうか…?」

 

「もちろんだとも」

 

「呼んではまずかったでしょうか…?」

 

「そうか、もう呼んでしまったか」

 

苦々しげに呟く男

 

何か因縁があるのか、それとも

 

男は静かに三つ編みをいじりながらどこか遠くを見ているようだった

 

そして━━━微妙な空気が流れる中、会議は終わった

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン裏路地 地下~

 

「なにここ」

 

裏路地にある小さなビルの階段を下りたゴンたちの目の前には、およそビルの敷地面積の数倍はあろうかという地下ホールが広がっていた

 

地下ホールはボクシングやレスリングでお馴染みの、試合会場のような出で立ち

 

”レディース&ジェントルメン!”

 

急に舞台の上から派手な格好をした司会者がマイクで話はじめる

 

”今回の条件競売は!「かくれんぼ」でございます!”

 

ざわざわっ

 

”皆様には、このヨークシンシティに隠れている者たちを捕まえて頂くのが条件です!参加費用は500万ジェニー!”

 

そして、と続ける

 

”捕まえた者1人あたり、20億ジェニーをお渡しします!”

 

おおおおおおおおおお!!!!!

 

大歓声と共に舞台に詰めかける観客

 

”500万ジェニーを支払った方には、かくれんぼの対象者の顔写真をお渡しします!では━━━競売スタート!”

 

「20億ジェニー…」

 

呟くゴン

 

「3人も捕まえたらグリードアイランド買えるかな」

 

呑気に言うキルア

 

「…何かあったな」

 

「何かあったってどういうことだよ」

 

真剣な表情のレオリオに疑問を挟むキルア

 

「この場所を見ろよ。地下ホールに試合の舞台。本来ならここはボクシングやレスリングの試合を賭けにしたお金稼ぎをしてたとこだったはずだぜ」

 

「…ってことはここのマフィアたちに何かあったってことか」

 

頷くレオリオ

 

「ああ、だがヨークシンシティを仕切るコミュニティマフィアにケンカを売るやつなんて国でもいやしねぇ」

 

「いや━━━、いる」

 

真顔でそう言うキルア

 

「え?誰?」

 

「ゴン、オレたちが聞いたことある名前さ。もちろんレオリオも。…そう、”幻影旅団”」

 

一瞬沈黙の流れる3人

 

「…あの幻影旅団か」

 

「そういうこと。…どうする?」

 

そう問いかけるキルアに返事をしたのはゴン

 

「オレは…やるよ」

 

「おまっ!相手はあのA級首だぞ!」

 

「それでもやらなきゃ始まらないから」

 

ゴンの真っ直ぐな目

 

「無理だよレオリオ。こうなったらこいつは聞かないよ」

 

そのキルアの言葉に従うように、3人は500万ジェニーを支払って地下ホールを後にした

 

 




ちょっと立て込んでまして、更新できない日がぽつぽつあるかもしれません。
ちなみに、95~100話くらいでこのヨークシン編も終わる予定です


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【88】掲示板

良かったら評価(高評価)や感想、お気に入りお願いします!


~ヨークシン郊外 廃屋~

 

(━━━ここは…どこだ…?)

 

ぼーっと辺りを見回すクラピカ

 

天井が見えるところから、自身が寝かされていることがわかる

 

(明るさからいって朝、か。天井の壊れ具合から廃屋だと推察できる。気候は変化がない、ということはヨークシンシティ周辺か)

 

そして首を回して部屋を見渡したとき

 

「やぁ◆」

 

この男と目が合う

 

「━━っ!ヒソカ!」

 

起き上がろうとするが体が動かない

 

「まだ無理みたいだね。オーラの使いすぎ◆」

 

その様子に、何かをされることはないと感じたクラピカ

 

「私は、どうなった?」

 

その問いにヒソカは簡単に説明する

 

「キミと彼は相討ち。と言ってもほぼキミの勝ちみたいなものだったけどね◆無駄にオーラを消費してオーラ切れにならなければ余裕で彼を屠れただろうね」

 

「奴は、どこだっ!」

 

「それは教えられない◆キミはボクに助けられた。だから彼をどうするかはボクの自由」

 

「何が目的だっ!」

 

指先の上でトランプをくるくると回しながら答えるヒソカ

 

「うーん、前にも言った通り目的は”団長”◆そこに彼が使えそうだからカードとして持っておこうと思っただけ」

 

数秒ヒソカと視線を合わす

 

「━━━くそっ!」

 

クラピカは拳で地面を叩く

 

わかっているのだ

 

自分がヒソカに助けられて借りができてしまったこと

 

だからこそ、ウボォーギンをどうするかはクラピカに決められないこと

 

冷静になれず、オーラを無駄に消費しすぎた自身が招いた結論だということも

 

「さて、じゃぁボクは行くよ◆1日くらいは大丈夫だと思うけど、彼のほうも見とかなきゃ逃げられるしね。キミはダメージも少ないからもう少し横になってれば動けるだろう」

 

そう言うと、ヒソカはクラピカの横に水の入ったペットボトルを置いて、廃屋から姿を消した

 

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ 中心街~

 

「じゃぁどうやって探す?」

 

裏路地から中心街へと出てきたゴンたち

 

「やっぱりなんも考えてなかったか…」

 

ゴンの発言に首を落とすレオリオ

 

「それより、本当にやるのかよ」

 

改めてそう言ったキルアは、話をしはじめる

 

「実はさ、オレの親父が仕事で幻影旅団の1人を殺ってんだ。そして珍しくぼやいてたんだ”割りに合わない仕事だった”って」

 

「それってどういう意味?」

 

「それは標的に対する最大の賛辞なんだけどさ、その時オレたちに言ったんだ。”旅団には手を出すな”ってね。まぁ3年くらい前の話だけど」

 

静まる3人

 

「━━━でも、できるだけのことはやるよ!それに今回は捕まえるだけなんだしさ!」

 

「しゃーねぇな。なら探すか」

 

「えっ?レオリオ、なにか良い方法あるの!?」

 

「まぁな。他のやつらもやってるはずだぜ」

 

それはネット掲示板

 

3人は掲示板に幻影旅団の写真を張貼り付け、有力な情報に支払いをする方法を取った

 

一瞬で溢れかえる情報に、”場所・時間・証拠写真”を条件にし、正確な情報の選別を始めた

 

 

 




次回はついにあの三つ編み男についてが…


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【89】殺し屋集合

今回は少し長い文章量でお届け!
良かったら読み終わったあとにでもポチっと評価だけでもして行って下さると嬉しいです!
すんごい寂しがり屋なので…(泣)


~ヨークシンシティ 繁華街~

 

「なかなか網にかからねぇな」

 

「ほんとにこんなとこに出て来るのかね、鎖野郎は」

 

長髪の男と、ボサボサ髪の女

 

2人は連れ立って歩く

 

既に陽は真上

 

昼間を回っていた

 

「ウボォーを狙った理由がわからねぇからな。狙いがオレたち幻影旅団なら、あのとき荒野にいたオレたちを狙いに来る可能性はあるが」

 

「どうだろうね。あたしはすぐに出ては来ないと思うけどね」

 

「またお得意の勘か?」

 

「勘もあるけど、鎖野郎があのときウボォーを拐ったんは、あたしたち全員と戦うのを避けるためだったと思うんだよね」

 

そう言いながら繁華街を見回す2人

 

「ってことはなんだ、オレたちが2人でいたら鎖野郎は来ないってか?」

 

「と、あたしは思ってる。けどツーマンセルは団長の指示だから個人行動はさせないよ」

 

そう言ったところで、女、マチが足を止める

 

「ノブナガ、あそこならテラスがあるからちょうど良いんじゃない?」

 

そして2人はテラス付きの喫茶店へと入っていった

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン 秘密の会合所~

 

(━━━間に合ったか)

 

ヨークシンのあるビルの一室

 

十老頭が管轄する秘密の会合所

 

そこには殺し屋が集められていた

 

今回のオークション会場襲撃犯の暗殺の為である

 

そこにクラピカはノストラードファミリーから派遣される形で参加していた

 

先に部屋に居たのは7人

 

 

凄みも何も感じない、冴えない者が3人

 

別段特徴もなく、コミュニティに恩を売るためにどこかのファミリーがその中で腕の立つものを派遣してきたような感じだ

 

 

その横にいるのは、確実に殺ってそうな者が2人

 

ベレー帽のようなものをかぶった男

 

センターの左側だけを剃った男

 

 

そして壁際で静かに立っている者が2人

 

銀色の長髪で整った顔立ちの男

 

顔に機械を取り付けた三つ編みの男

 

(この2人は確実にできる…)

 

 

クラピカが参加している者たちを見渡していると、背中から声がかかる

 

「すまんが退いてくれんかの?」

 

後ろに居たのは、老人と壮年の男

 

クラピカはスッと避ける

 

「すまんの」

 

そう言って老人は壮年の男と共にソファーへ向かう

 

と、老人だけが三つ編みの男の前で足を止める

 

「お主、…もしや桃白白か?」

 

桃白白(タオパイパイ)と呼ばれた男は苦々しげに老人と視線を合わせる

 

「ゼノ、やはり貴様が来たか」

 

ゼノと呼ばれた老人

 

「ふむ、お前さんがおるならここに集められた者たちのレベルが知れるということじゃな」

 

「ゼノじじい…。いつまでも昔のままの私とは思わない方が良いと思うがね」

 

キュイン

 

桃白白の機械の目が注意深くゼノを見る

 

「なんじゃお主、機械なんぞ使いおってからに。…まぁ40年以上も会ってなければ人は変わるからの」

 

それだけ言うと、ゼノはソファーに座る

 

全員が揃ったことを確認したのか、銀色の長髪男が口を開く

 

「お集まり頂きありがとうございます。今回は十老頭よりの依頼で、幻影旅団の抹殺指令が出ております。私は十老頭で陰獣統括をしているカストロと申します」

 

そうカストロが説明すると、冴えない3人組から質問が出る

 

「やり方は?」

 

「特にございません。依頼事項は”幻影旅団の抹殺”それだけです」

 

それ以上の説明がないと悟ったのか、冴えない3人が残りの殺し屋たちに話しかけ始める

 

「とりあえず呼び名でも決めよう。何かあったときに連絡も取り合える。…色でいいか。オレはブラックと呼んでくれ」

 

「じゃぁオレはレッド」

 

「なら私はイエローで」

 

そう3人組が言ったあと、順番的に壮年の男とゼノの番になる

 

「シルバ」

 

「ゼノ」

 

それだけ短く言うと興味なさげにする

 

「シルバーに…ゼノ?何色だ?というよりさっき呼ばれてた名前じゃないのか?」

 

冴えない男の1人がそう口を開いたとき

 

もう1人の冴えない男が反応する

 

「待て、シルバにゼノ…まさかゾルディック家!?誰も本当の姿を見たことがないという伝説の…」

 

「別にワシらは普段、変装も潜伏もしとらんのだがのぉ」

 

「もしかしてゾルディックというのも暗号名じゃなくて本名なのか!?」

 

「そうじゃ。名刺やっとこか?住所と電話番号も載っとる」

 

不気味に笑うゼノ

 

「な、なら…」

 

そう言って冴えない男は後ろを振り向く

 

「ま、ま、まさかあんたの桃白白っていう名前も本当に…」

 

「私も隠してはいませんがね。いまなら1億ゼニーのところを、半額の5000万ゼニーで引き受けてあげても良いですよ」

 

そう言って笑う桃白白を、更に鼻で笑うゼノ

 

「ふん、お主は割引し過ぎじゃ。もし殺したいやつがいたら連絡をくれ。3割引で請け負うぞ?しかもやつとは違って確実にな」

 

それを聞いて冴えない男3人組は静まり返る

 

クラピカはゼノとシルバを見る

 

(彼らがキルアの家族…成る程、明らかに他の者より威圧感が数段上だ)

 

そして冴えない3人組を見る

 

(この者たちも、決して暗殺者としてレベルが低いわけではないだろうが、力の差を感じて萎縮してしまっている…)

 

次に視線を向けたのは桃白白

 

(桃百百…暗殺者としてあまりにも有名。表世界で有名なことから、実力は裏世界の者に劣るかも知れないと言われていたが…そんなことはないな。明らかにゾルディック家の2人と同等…。)

 

そして隣に立つカストロ

 

(彼は見たことがある。天空闘技場のフロアマスターになった男。すぐに辞めたことで有名になったが…まさか十老頭のところに居るとは…。かなりできそうな雰囲気だ)

 

最後に残りの2人に目をやる

 

(そんな強者たちになんとか対抗できそうなのはこの2人、か)

 

「別にいいじゃん呼び名なんて。だって呼ぶことないもん」

 

ベレー帽をかぶった男がそう口を開き、続ける

 

「一人一人が好きにやって良いんじゃないの?」

 

「同感だな互いに流儀も思想も違うんだ。無理に足並みを揃えることはあるまい。オレも勝手にやらせてもらう」

 

髪を半分だけ剃った男も、ベレー帽の男に同意する

 

それに合わせてクラピカも口を開く

 

「私もその意見に賛同だ。稚拙な連携はかえってミスを生む。人手が必要ならコミュニティの者を使えば良いだろう」

 

「そういうことじゃな」

 

クラピカの言葉にゼノも頷く

 

そして頃合いを見ていたカストロが口を開く

 

「それに桃白白先生は十老頭の護衛任務が入っている。それぞれやるべきこともあるだろう。では、これで解散です」

 

その言葉を最後に、殺し屋たちは部屋を出ていった

 

 




やっぱりあの三つ編みの男は桃百百!
自信を見せているところからも、修行を積んで強くなっている模様
一体どれほどの強さなのか!?
次回もお楽しみに!

そして是非是非お気に入りと、下の評価ボタン(高評価)もお願いします!


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【90】尾行開始!

今日もちょっと長めの投稿です!
また、明日でこの物語も終わりの予定です!
明日は5話くらいの投稿になる予定ですので、皆さんお楽しみに!


~ヨークシン 喫茶店~

 

「あそこ!」

 

ゴンたちは掲示板の情報を頼りに、喫茶店へと入っていた

 

外のテラスには標的の幻影旅団2人

 

「おい!ゴン!気配を出すな!」

 

「あ…うん」

 

とりあえず席に座る

 

「こっから先は絶対に姿を見られちゃいけないから━━━」

 

スッ

 

そう言いながらキルアが気配を消す

 

「”絶”を使う」

 

「了解!」

 

ゴンもスッと気配を消す

 

「レオリオは”絶”できる?」

 

「もちろんできるぜ。だがオレはグリードアイランドの情報を集めとくぜ。要はゲームができれば良いんだろ?」

 

「…?そうだけど買わないとゲームできないよね?」

 

首をかしげるゴン

 

「あぁ、まぁその辺りは考えなくていい。とりあえずそっちの方は任せといてくれよ」

 

ニコッと笑って親指を立てるレオリオ

 

 

「ゴン、尾行について守ってもらうことがある。奴等に姿を見られたら尾行は即中止!速やかにその場を離れること!そしてオレが中止と判断したときも同じ!」

 

「オッケー!わかった!」

 

「じゃぁオレからも。ゴン、キルア、2人共本当に無茶はするなよ」

 

それだけを言うと、レオリオは喫茶店を出ていく

 

そしてゴンとキルアの幻影旅団追跡が始まる

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン テラス広場~

 

「見られてるな」

 

「だね」

 

ノブナガとマチは油断なく周囲を警戒していた

 

「鎖野郎の仲間か?」

 

「あたしが知るわけないだろ。もし捕まえてみて鎖野郎の仲間だったらどうすんだい?」

 

「さぁな。もしそうなら団長の命令通りやりたいようにやるだけだ」

 

「…団長はおそらくそいつを仲間にしたがってると思うけど」

 

「マチ」

 

少しピリッ空気が変わる

 

「てめぇの意見を押し付けてんじゃねぇ」

 

「はぁ?押し付けてんのはノブナガ、あんただろ。私は団長の考えを推察しただけ」

 

「それが押し付けみてぇなもんなんだよ」

 

ピリッ!

 

テラスの温度が下がったように感じるほど、緊張感が漂う

 

屋根の上から見ていたゴンとキルアも全身に冷や汗が流れる

 

ノブナガがコインを取り出す

 

ピンッ

 

弾いて掴む

 

「裏」

 

マチがそう答えるとノブナガが手を退ける

 

「表だ。いいな、鎖野郎は殺す」

 

「ふん、わかったよ」

 

憮然とするマチ

 

ノブナガは気にせずにマチに促す

 

「んじゃ、まぁ━━━動くかね」

 

「だね。この見てるやつらを誘き出さないとね」

 

立ち上がるノブナガとマチ

 

それを見ていたゴンたちは、気づかれていることも知らずに追跡を開始する

 

キルアの読みは間違っていない

 

場所はバレていない

 

だが、どこからか見ていることは気づかれていた

 

「ゴン、続行だ」

 

「わかった!」

 

ノブナガとマチが歩いていくのを屋根伝いに追いかける

 

次第に広場から裏手へ移動していくノブナガたち

 

(まずい、気づかれてるか…いや、そんなことはないはず!アジトに向かっている可能性も!)

 

そんなキルアの予想に反して、ノブナガたちは逆にキルアたちを探っていた

 

「なかなか尻尾掴ませねぇな」

 

「だね、広場でいろんな視線を感じたけど、全部素人だった。だけど今回はプロだね」

 

次第に人気のない完全な裏路地に着く

 

「さぁて、出てくるか」

 

ノブナガはそう言いながら腰を下ろす

 

(くそっ、待ち合わせか…それとも…)

 

キルアは動きのない幻影旅団2人を見て焦り始めていた

 

念も覚えて、発も覚えて、必殺の電撃も使える

 

だが、それでもいまの自分に勝てる相手ではない

 

そうキルアは判断していた

 

ましてやゴンを逃がすこともしなければならない

 

そう考えていたとき

 

幻影旅団の1人、男の方に電話がかかる

 

電話を取ったノブナガ

 

「よう、苦労してるみたいだな。追跡者の場所教えてやろうか?」

 

それはフィンクスからの電話だった

 

そんなことを知らないキルア

 

用心深く幻影旅団の男を見ていたその瞬間

 

スッ

 

男の目がキルアを見た

 

(マズイ!)

 

一瞬で廃ビルから抜け出そうとするキルア

 

同じくゴンも、それを察して逃げようとする

 

だが、キルアの前にはフィンクス

 

ゴンの前にはパクノダが立ち塞がる

 

 

 

ガガガガガガガガガッ!

 

縦横無尽に飛び回り、部屋の出口へ向かうキルア

 

フィンクスはキルアの動きを見切って足を掴む

 

その瞬間

 

バリバリッ!

 

キルアの雷掌(イズツシ)が炸裂する

 

「ッツ!」

 

フィンクスの手が緩んだ好きに蹴りを入れて抜け出すキルア

 

そのまま出口へ駆け込んだ途端

 

キルアは動きを止める

 

首筋にうっすらと血が浮かぶ

 

キルアの首には刀が添えられていた

 

「いいか、動くんじゃねぇぞ」

 

ノブナガの刀が喉元に当たり、動きを抑えられる

 

「よぉ、フィンクス。まさかお前たちまで来てるとは。二重尾行とはやられたぜ」

 

「ふん、団長の指示だよ」

 

「かー、どおりで絶の使い手が多いと思った」

 

(二重尾行…!やられた!)

 

「でもよぉ、その二重尾行してた奴が逃げられてちゃぁ意味ねぇよな」

 

「そいつぁ悪かったな、だが気を付けろよ。そのガキ電撃使いだぜ」

 

(バラされた…警戒してる中で使って効果のある相手じゃない…逃げるのは、無理か)

 

そんな話をしていると、ゴンが連れてこられる

 

「あ!キルア!無事だったんだね!」

 

「これで無事に見えるならな」

 

ため息をつくキルア

 

「追跡者はこのガキ2人だったみたいだね」

 

マチがノブナガたちの前にゴンを差し出しながら言う

 

キルアもフィンクスに締め上げられる

 

「パクノダ、お前ぇ怪我してるじゃねぇか」

 

「えぇ、やられたわ。肋骨数本はいってるかも。まぁまぁな子たちね」

 

「で、どうする?」

 

そのフィンクスの問いの答えは決まっていた

 

ゴンとキルアは車で幻影旅団のアジトへと連れ去られて行った

 

 

 




まだ評価入れてなかったよー、という方!
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【91】旅団アジト

今日で最後となります。
本日投稿①本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ヨークシン郊外 幻影旅団アジト~

 

「ほら、入れ」

 

ノブナガに押されて建物へと入るゴンとキルア

 

「こんなとこ見せていいのかよ」

 

アジトを見せていいのか?と問うキルア

 

「減るもんじゃねぇしな」

 

かっかっか、と気さくに笑うノブナガ

 

連れられて上の階へと行く

 

そしてフロアに着く

 

そこには幻影旅団たちが勢揃い

 

「なに?その子供達」

 

シャルナークが興味深そうに見てくる

 

「私たちをつけてきた子供達よ。懸賞金目当てで追ってたみたいだけど、鎖野郎の記憶はなかったわ。ただノブナガが連れて帰るって言うから」

 

(記憶…?なぜそんな言い方を?…まさか記憶を読む念能力者!?)

 

パクノダの言い方に疑問を抱いたキルアは、そう結論付ける

 

キルアはさっと全体を見渡して、ヒソカを見つけていた

 

(ヒソカ!奴ならゴンのことを気に入ってるから逃がしてくれるかも…知らんぷり)

 

ヒソカもゴンたちを見て一瞬驚くが、知らない振りをする

 

「で、団長は?」

 

マチが団長の所在を聞くが、誰からも返答がない

 

と、そのとき

 

「あ!」

 

フロアを見渡していたゴンが声を上げる

 

(バカ!)

 

(アホ…)

 

キルアとヒソカが同時に心のなかで呟く

 

「なんだ?知り合いでもいたか?」

 

そう問われて、自分のミスに気づくゴン

 

「あー、えーっと、あの人!人?」

 

ゴンが指したのはヒソカの足元で縮こまっている豚のような人物

 

「天空闘技場で250階のフロアマスターにくっついてた!」

 

「そーいや居た気がするな…」

 

ゴンが指したのはウーロン

 

天空闘技場でベジータとヤムチャが戦ったときに、後ろにいた2人(匹)の人物の1人

 

「なんだ?あの豚のこと知ってんのか?ヒソカのペットだと思ってたが」

 

「知ってるというより見たことあるというか?」

 

「あんま良いイメージないけどな」

 

微妙な回答をする2人

 

「もしあの豚の仲間だったらあんたら殺してたけどね」

 

ギリッ、と歯噛みしながら睨むマチ

 

天空闘技場でウーロンに下着を盗まれたマチは未だに根に持っていた

 

「団長が殺すなって言うから我慢してるけど…そうじゃなかったら一瞬でロースハムにしてるとこだね。そんなことにあたしの糸を使いたくないけど」

 

「で、そいつらどうするあるか?」

 

「結構使えそうなんで仲間にしたくてよ。とりあえず団長に見てもらうつもりだ」

 

フェイタンに問われてそう返すノブナガ

 

だが、それを聞いて大声を上げるゴン

 

「誰がお前らなんかの仲間になるか!人を殺すような奴等に!」

 

「お前、生意気ね」

 

ヒュッ、とフェイタンの剣が風切り音を立てる

 

キュイン

 

その剣とノブナガの刀が交差して止まる

 

「なぜ止めるあるか?」

 

「こいつはオレが連れてきた。手を出すんじゃねぇよ」

 

フェイタンが動いたときに、キルアも動こうとしたが間に合わなかった

 

更にキルアの喉元にはヒソカのカードが添えられていた

 

(速すぎる…。この黒服の男も、侍の男も、そしてヒソカも…。絶対的な速さが必要。雷掌だけじゃない、速さを極める能力が)

 

自分ではゴンを助けられないキルアは、そう心に誓っていた

 

ピピピッ

 

そんなやり取りの中、ヒソカはスカウターでゴンとキルアを見ていた

 

(ゴンが『376』、キルアが『422』…素晴らしい成長速度◆…あぁ、早く食べたい………)

 

舌舐めずりをするヒソカ

 

また、一瞬だけだが剣と刀をぶつけた時のフェイタンとノブナガの戦闘力もスカウターは拾っていた

 

(フェイタンが『136⇒1360』、ノブナガが『121⇒1185』か。やっぱり旅団は楽しめそうだ…)

 

ヒソカが妄想しながら楽しんでいると、シャルナークが全員に話始める

 

「まぁまぁ。とりあえずその子供達をここに置いておくわけにはいかないからさ。別の建物に移そう。監督は連れてきたノブナガがする、ってことで」

 

「わーったよ。ほら、行くぞ2人共」

 

ゴンとキルアを促すノブナガ

 

そこにヒソカが声をかける

 

「ついでにこの豚君も頼むよ◆」

 

ひょい、と掴んでノブナガに投げる

 

「こいつはお前ぇのペットだろうが」

 

「その子供たちと知り合いみたいだからね◆それにちょっと用事があっていまからまた抜けるし」

 

「ヒソカ、あんたそんな勝手してたら団長から殺されるよ」

 

集合命令がかかっているにも関わらず、いまから抜けるというヒソカ

 

マチのそんな警告も無視して

 

「それは楽しみ…◆」

 

と、それだけを言って消えていった

 

 




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【92】ノブナガとウーロン

今日で最後となります。
本日投稿②本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)

流れ上、ちょっとだけ下ネタっぽいのがあるので、苦手な方は読み飛ばして下さい(>_<)スミマセン


~ヨークシン郊外 幻影旅団アジト別棟~

 

「さぁて、とりあえず団長来るまではお前さんたちはここで待ってな」

 

ゴン、キルア、ウーロンは先程のアジトとは別の棟に連れてこられた

 

「お、オレたちをどうしようってんだよ」

 

ウーロンがキルアの後ろからノブナガへ問いかける

 

「お前さんが怯えることはねぇだろよ…。ヒソカのペットだし、団長からは殺すなって命令されてるしな」

 

「い、いつ帰してくれるんだよ!」

 

「そりゃぁ…ヒソカに聞くしかねぇなぁ」

 

困ったようにポリポリと頭をかくノブナガ

 

「あ、あのピエロ、なんか不気味なんだよ」

 

「だっはっはっ!だよな、あの顔は不気味だよな!」

 

嬉しそうに笑うノブナガ

 

「まぁ悪いようにはしねぇさ。お前さんも、そっちのガキ2人もな。団長の眼鏡にかなわなければ無事に逃がしてやるから安心して待ってな」

 

そう言うと一つしかない入口に腰を下ろすノブナガ

 

「どうするキルア?」

 

「…どうしようもねぇな。この狭い部屋じゃ会話は筒抜け、そしてあいつの刀はオレでも見切れない」

 

2人の会話が聞こえていることの証のように、ノブナガが口を開く

 

「そういうことだ。どうしたってお前ぇさんたちは逃げられねぇよ。オレはお前ぇさんたちを気に入ってんだ。刀を抜かせるような真似だけはさせねぇでくれよ」

 

とにかく座るゴンとキルア

 

「ねぇ豚さん」

 

隣に座っているウーロンに声をかけるゴン

 

「豚さんじゃねぇよ。ウーロンだよガキんちょ」

 

「え?そっちも子供じゃないの?」

 

「こう見えても結構な歳いってんの!ったく、最近のガキはこれだから」

 

愚痴るウーロン

 

「なにこの豚、さっきまでの態度と違うじゃん」

 

驚くキルア

 

「けっ、どうせどうにもならないなら座っとくしかないだろ」

 

「態度わるっ!」

 

アハハ、と笑うキルアとゴン

 

「ウーロンさんはなんで捕まったの?」

 

「ヒソカに連れてこられたんだよ。天空闘技場で捕まってからずーっとだ」

 

「何したんだよ」

 

キルアにそう問われて言いにくそうにぶつぶつ呟くウーロン

 

「…旅団の……女のパンティー盗んだ」

 

一瞬の間があって笑いだすゴンとキルア

 

ノブナガも笑いを堪えている

 

「そりゃーお前さんが悪いな。で、盗んだのはパクノダか?マチか?シズクか?」

 

「なんでおっさんが話に入ってくんだよ」

 

キルアがじと目でノブナガを見る

 

「いいじゃねぇか。仲間はずれにするなよ。で?誰のだ?」

 

「…マチ、っていう女のやつ」

 

だーーっはっは!と膝を叩いて笑うノブナガ

 

「よりによってマチのとはな、くっくっく」

 

「マチ、ってあのツンツンした髪の?ちょっとキルアに似てる?」

 

「似てねぇよ!」

 

キルアの突っ込みも無視して、ノブナガがウーロンに尋ねる

 

「あいつ、どんな趣味してんだ?くくっ」

 

「もしかしてオッサンも話せる口か?あの女、可愛い熊のキャラクターもの穿いてたんだぜ!」

 

だーーっはっは!!

 

本気で膝をバンバン叩いて笑うノブナガ

 

「笑い死にさせるきかお前ぇ。くっくっく。あー腹痛ぇ」

 

それを嫌な目で見るキルア

 

「エロ豚とエロ侍じゃん」

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン中心街 カクテルバー~

 

「あのー、まだまだっすかね…?」

 

「3万ジェニーの借金だよ?1日1万としても3日は働いてもらわんとね」

 

「そこをなんとか…」

 

「そんなことを言う暇があったら手を動かしてくれ。次はトイレ掃除だ」

 

モップを渡される男

 

(こんなことしてる暇じゃないんだけどなぁ…)

 

そう思いながらも、男はトイレへと入っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 幻影旅団アジト別棟~

 

「さて、冗談抜きにして帰ろうぜ、ゴン」

 

「でもどうするの?」

 

スッと雰囲気を変えたキルア

 

「ウーロン、って言ったっけ?あんたの能力は?」

 

「さん、を付けろよな。変身、ができたんだけど…」

 

言い淀むウーロン

 

「ウーロンさん?」

 

「…なんか使えねぇんだ」

 

肩を落とすウーロン

 

「じゃぁ役に立ちそうにはないな」

 

ズバリ言うキルア

 

「おい、お前ら。妙なことすんなよ。絶対に無理なことはすんな」

 

そんな3人の筒抜けの会話にノブナガが口を出す

 

「無理かどうかやってみなきゃわからねだろ」

 

殺気を放つキルア

 

「ちょ、ちょっと待ってよキルア」

 

「そいつの言うとおりだ。入口、お前らにとっては出口か。それはここ一つしかねぇ」

 

コンコン、と拳で背中の扉を示すノブナガ

 

「道が一つしかない…!そうだよキルア!トリックタワーだ!」

 

「なんだよいきなり」

 

「覚えてない!?悟空さんやベジータさんのあの行動!」

 

「━━ッ!なるほど!」

 

バッ、と振り向くゴンとキルア

 

「ヤル気満々、って顔か…。残念だな、本当に気に入ってたんだがな」

 

カチャ、と刀に手をかけるノブナガ

 

「いくよ!キルア!」

 

シャッ!

 

ゴンとキルアが一直線にノブナガへ向かう

 

「真っ向からとは本気のバカか!」

 

ヒュッ、と刀を抜きかけた瞬間

 

ババッ

 

ゴンとキルアが左右に飛んで壁を蹴破る

 

(何っ!こいつら壁を!)

 

カンカン

 

階段を下りる音を聞くノブナガ

 

(ツンツン頭の方はすぐ階段側、黒髪のほうは袋小路…)

 

なら、とノブナガは廊下に出てゴンを追う

 

部屋を開ける度に壁を蹴破っていくゴン

 

「くそっ!」

 

最後の部屋まできたがゴンはいない

 

(しまった!壁だけ壊して部屋に潜んでやり過ごされたか!)

 

そう思った瞬間、声が聞こえてくる

 

「キルア!いまならやれるよ!」

 

(黒髪のやつの声か。バカが!暗闇に乗じてやるつもりだろうが無駄だ)

 

そしてノブナガは精神を集中させる

 

(”円”!これで暗闇でも手に取るようにわかる。オレは太刀の間合い、半径4mまでで十分、つーかこれが限界)

 

円を維持したままジリジリと歩くノブナガ

 

だが、ゴンとキルアは戦う宣言をしたまま既に逃げ去っていた

 

「誰が戦うかっつーの」

 

捨て台詞を吐きながら走るキルア

 

「そう言えばウーロンさんは逃げられたかな?」

 

「どっちにしても殺されないから大丈夫じゃね?」

 

そう言いながら、ゴンたちはヨークシンの中心街へと向けて戻って行った

 

 

 




評価10、ありがとうございます(T_T)!


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【93】ウボォーとヒソカ

今日で最後となります。
本日投稿③本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ヨークシン郊外 幻影旅団アジト~

 

「で、その子供達にも、豚にも逃げられたということか?」

 

団長、クロロに問われるノブナガ

 

「面目ねぇ」

 

「まぁいいだろう、大事の前の小事だ。それよりヒソカはどうした?」

 

「一時間ほど前まではいたんだけど、出ていってからはそれっきり」

 

そうマチが答えると、クロロは顎に手を当てて少し考え込む

 

「…まぁいいだろう。今日はいまからやるべき事がある。皆もわかっているだろう?」

 

全員が頷く

 

「━━━よし、行くぞ」

 

バサッとマントを翻し、旅団全員を引き連れてクロロたちはアジトを後にする

 

目指すはヨークシン中心街

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン郊外 廃屋2~

 

ヒソカはアジトを出て、少し離れた廃屋へとやって来ていた

 

クラピカが寝かされていた廃屋とは別の廃屋

 

そこにはヒソカが連れてきたウボォーギンが寝かされていた

 

「━━━ここ、は?」

 

「やぁ◆目覚めたかい?」

 

うっすらと目を開けるウボォー

 

「…寝起きにてめぇの顔は効くな…」

 

起き上がろうとするが、まだ体が動かない

 

「ちっ、ここまでガタガタにやられるとはな。ヒソカ、てめぇがここに連れてきたのか?」

 

「もちろん◆」

 

首だけ動かしてヒソカの方を向くウボォー

 

「ってことはてめぇに助けられたってことか。やってられねぇな。…鎖野郎はどうなった?」

 

「逃げられたよ。キミを助けるだけで精一杯◆」

 

「はっ、相変わらず嘘くせぇな」

 

「んー、逆に相変わらず信用がないなぁ」

 

当たり前だ、と言いたげにあきれた顔でヒソカを見る

 

「で、助けたからには理由があんだろ?」

 

「やっぱり話が早い◆」

 

いいから早く言え、と急かす

 

「団長と1対1で戦ってみたいんだよね、男同士として」

 

「あー、なるほどな」

 

ヒソカの言い方は最もだ

 

ウボォーから見ていても、クロロの周りにはいつも何人かいる

 

しかもマチやシャルなんかは、男の決闘なんて考えずに邪魔をするだろう

 

「確かにあいつらは決闘の邪魔をするだろうな」

 

「だろ?キミでもそう思うくらいだから相当なベッタリでね」

 

「決闘は邪魔すべきもんじゃねぇからな。ってーことはオレにマチやシャルを止めて欲しいってことか」

 

「そゆこと◆」

 

にっこりと笑うヒソカ

 

「まぁ貸しができちまったし、そんくれぇなら仕方ねぇか」

 

「じゃあ気がついたみたいだし、ボクは用事があるからいくよ」

 

「あぁ、オレはあと数時間くらいしたら動けるようになる。団長にすまねぇ、と伝えておいてくれ」

 

それだけ話すとヒソカは廃屋を出ていく

 

(今日は団員の戦闘力を測る最高のチャンスだからね◆)

 

 

 

 




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【94】その男は?

今日で最後となります。
本日投稿④本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ヨークシン中心 ショッピングモール~

 

ノストラードファミリーのネオンに声をかける男

 

頬に十字傷があるのが特徴的だ

 

「ナンパ?」

 

「かもね」

 

そんな会話から自然と話し始める2人

 

「━━━って感じで退屈だから逃げ出してきちゃった」

 

「あはは、それは凄いね」

 

レストランでそんな会話をしながら、和気あいあいとする

 

「実はあたし占いが得意でー」

 

「へー!すごいね!オレも占ってよ」

 

「じゃぁ紙に自分のフルネーム、生年月日、血液型を書いて」

 

ペンと紙を渡すネオン

 

受け取った男はサラサラと書く

 

「じゃぁ占うよ」

 

そう言ってペンを取ったネオン

 

男は注意深くその動き全てを見ていた

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン 秘密の会合所~

 

トゥルルルルルル

 

「もしもし、クラピカだが」

 

『あ!クラピカ!オレだよ!ゴン!』

 

「あぁ、声でわかるさ」

 

『いまヨークシンにいるんだよね!?どこかで会えない!?』

 

「いまは難しいな。噂になっているかもしれないが、いまは旅団を追ってる」

 

秘密の会合所の窓からヨークシンを一望するクラピカ

 

『その旅団についてなんだ。さっきまで捕まっててさ━━』

 

「どういうことだ!?無事なのか!」

 

『あ、うん。それは大丈夫だったんだけど。オレたちもクラピカと同じく旅団を止めたいんだ』

 

「…わかった。いまからは無理だが、明日話そう。場所は追って連━━━」

 

ドォオオオオン

 

窓の外で爆煙が上がる

 

「すまない、また連絡する!」

 

プッ、と電話を切るとクラピカはその爆煙の上がった場所へと向かった

 

カストロはその様子を見て、爆煙の近くにある重要施設、セメタリービルへと移動する

 

カストロの読みと同じく考えか、ベレー帽の男と、髪を半分剃った男も同じビルへと足を向けた

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン セメタリービル~

 

「ここ来てみたかったんだー」

 

はしゃいで歩くネオンと、付き添う男

 

「オレもやりたいことがあってね」

 

「えー、なになに?」

 

(大暴れ)トンッ

 

ドサッ

 

急にネオンが倒れる

 

周囲がざわつく

 

 

そのシーンを警備室見ていた男が2人

 

カストロとベレー帽の男

 

髪を半分剃った男は既に動いていた

 

「その画面、巻き戻せるか?」

 

「ん、あぁ」

 

ベレー帽の男に言われて画面を巻き戻す警備員

 

そこには微かに男の腕がぶれたように映っている

 

(恐ろしく速い手刀…オレでなきゃ見逃しちゃうね)

 

ニヤリと笑う、手刀を見逃さなかったベレー帽の男

 

だが、カストロは違う反応を見せていた

 

「師匠…」

 

愕然とするカストロの横を抜け、手刀を見逃さなかったベレー帽の男は、頬に十字傷のある男を追って行った

 

 




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【95】カストロ激突

今日で最後となります。
本日投稿⑤本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ヨークシン セメタリービル最上階~

 

各地で爆煙が起こり、人々は逃げ惑う

 

階段を駆け下りる人の流れに逆らって歩く男が1人

 

最上階の部屋へと消えていく

 

そして最上階フロアについたもう1人の男

 

廊下に落ちた血痕を見ながら追いかける

 

まるで血の道標

 

途中の壁にわざとらしく突き立てられた1人の男

 

髪を半分だけ剃った男の死体

 

(匂う、匂うぞ…)

 

くくく、と笑みを溢しながら男の後を追う、手刀を見逃さなかった男

 

カチャ━━━

 

そして一番奥の部屋の扉を開けた

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン 中心街~

 

ドォオオオオン

 

パパパパパパパパ

 

爆炎と銃声があちこちで響き渡る

 

幻影旅団たちが各地で暴れまわる

 

それを追う影が1つ

 

(マチが『983』)

 

(シャルが『997』)

 

(フィンクスは『1457』、流石にやるね◆)

 

(ノブナガとフェイタンはさっき測ったし…)

 

(フランクリンは…『1344』か)

 

(シズクとパクノダは戦闘要員じゃないけど…『722』に『734』か。結構やるね◆)

 

(『1997』!?コルトピ、次のターゲットはキミでもいいかな◆)

 

(ボノレノフは『1110』、やっぱり旅団はいいねぇ…◆)

 

ヒソカにとっての獲物、幻影旅団の戦闘力を測っていた

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン セメタリービル最上階~

 

カストロは最上階の部屋へと入る

 

先に手刀を見逃さなかった男が入って行ったはずの部屋

 

だがそこに居たのは1人

 

頬に十字傷を付けたその男

 

「師匠!!!」

 

有らん限りの声でそう叫ぶ

 

「…なるほど。運命とは面白い」

 

「何を訳のわからないことをッ!!なぜこのような!!」

 

「余程信頼しているのか。いや、信頼していた、と言った方が正しいか。私からの説明を求めるあたりそれが真実」

 

「ふざけるのも大概にしてください!」

 

激昂寸前のカストロ

 

「今日は鎮魂歌を奏でる日でね。キミも聴いていくといい」

 

ビルの下では街中から爆発音が上がる

 

「…もう、前の師匠ではないのですね。なら!私が止める!」

 

ゴオッ!

 

オーラを爆発させるカストロ

 

「師匠、貴方から教えて頂いたこの技で!」

 

構えるカストロ

 

天空闘技場のときには完成していなかった技、虎咬風風拳

 

「行きます!”真・虎咬風風拳”!」

 

ガガガガガガガガガッ!!!!!

 

猛烈な勢いで男へ攻撃するカストロ

 

男はそれを片手と両足を使って捌く

 

「本を読んで余裕のつもりですか!?でもっ!」

 

顔の正面に拳を繰り出し、ガードを上げさせたカストロ

 

空いた横腹に深々と突き刺さる蹴り

 

きりもみしながら男は壁に打ち付けられる

 

(ぐっ!この男、本当に強い!本を閉じて戦うか…、いや、下にあの2人組が来ているのを感じる。この戦いの後にあの2人を相手にするのは無理だ)

 

かつかつ、と歩み寄るカストロ

 

「弱くなりましたね。私ごときに一撃入れられるとは…」

 

失望の色と共に見下ろすカストロ

 

(この男、団員と同じレベルの強さはあるな…。そんな男が一撃も入れられない奴がいる…ヤムチャ、名前は覚えておくか)

 

ズリ、と壁を使って立ち上がる男

 

「私は刺し違えてでも師の行動を正す!」

 

指先にオーラを溜めたカストロ

 

そして突きを繰り出した瞬間

 

バッ

 

一瞬にして男が消える

 

「消えた!?」

 

(いや!違う!部屋が違う!どういうことだ!?)

 

一瞬前まで戦っていた部屋とは違う場所に居た

 

扉を開けて廊下に出るカストロ

 

(ここは…同じくセメタリービルの最上階!)

 

バッと振り向き、先程までいたはずの部屋へ駆け込む

 

そこには、縮こまって頭を抱えた中年の男が1人

 

他には誰もいない

 

(どういうことだ!?師はどこに!?)

 

「おい!師はどこだ!?」

 

中年の男を掴み上げる

 

「ひっ!ひぃいい!ちょ、超能力者っ!」

 

「超能力者だと!?」

 

カストロは男を下ろす

 

そして大きく一度深呼吸をする

 

 

━━━━その中年の男が言うにはこうだ

 

爆発が起こり、怖くなって部屋に隠れてうずくまっていた

 

すると一瞬にして違う部屋に飛ばされていた

 

その男の元の部屋は、カストロが飛ばされた部屋だった

 

(…この男と場所を入れ替えられたのか)

 

いつの間にそんな新技を、という思い

 

そしてそこまで姑息な技を使って逃げる師

 

姑息なところは昔からだが、こんなやり方はしなかった

 

「本当に変わってしまわれたのですね…」

 

師を蹴った右足より、心の方が痛む気がして

 

カストロは胸をおさえた

 

 




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【96】桃白白とイルミ

今日で最後となります。
本日投稿⑥本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ヨークシン セメタリービル地下~

 

「さて、どう戦うかな」

 

男の目の前には、老人と壮年の男

 

「お前さん、クロロじゃろ」

 

老人がそう声をかける

 

「なんでわかるかな」

 

「後ろ手に持っとる本、その能力は忘れんよ」

 

やりにくいなぁ、と後頭部をかきながら本をしまう

 

ボンッ

 

頬に十字傷のあった男から、幻影旅団の団長クロロに戻る

 

「なんでそんな格好しとったんじゃ?」

 

「元フロアマスターらしくてね。監視のきついこの中心街に入るのに便利だったんで」

 

「じゃぁ、早速はじめるかの」

 

ゴオッ!!!

 

老人、ゼノ

 

壮年の男、シルバ

 

ゾルディック家の2人がオーラを爆発させる

 

「やっぱり凄いな…」

 

ゴオッ!!!

 

クロロもオーラを爆発させる

 

「シルバ、ちと厄介かもしれんの。ワシもろともで良い。やれ」

 

「わかった」

 

そして息の吐く暇もない戦いが始まる

 

 

 

(流石クロロ◆『1313』、そしてあのじぃさんもやるね…『1287』)

 

そしてヒソカはシルバにも目をやる

 

(ゾルディックの現当主、か…)

 

スカウターに映る『1988』の数字に笑みが溢れる

 

(ウボォーよりも少ないけど…動きが段違い◆戦ったら確実にこの男の方が勝つね)

 

そんな2人の攻撃を捌くクロロ

 

(あぁ、やっぱりいいよ…クロロ◆)

 

悦に入ったヒソカはしばしその戦いを見守り、そして別のあるホテルへと向かった

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシンシティ中心 あるホテルのフロア~

 

「来たようですな」

 

十老頭のいる部屋で待機していた桃白白が立ち上がる

 

「そ、それは本当ですか先生!」

 

「ふむ、この気配からいって楽しめそうな相手ですな。1人は完全に気配を消してますが…まぁ何かする気は無さそうなのでいいでしょう」

 

スタスタと歩いて扉を開く桃白白

 

そこには長髪で、服に針を刺した男が立っていた

 

「なんだ、見つかちゃってたのか」

 

猫目のような顔をしたその男

 

「邪魔なんだよね。急ぎの仕事ってクロロから言われてるのに」

 

スッと針を取り出す

 

「ほぅ、私を桃白白とわかっても、やるつもりかね?」

 

構える桃白白

 

「あー、あの有名な。うちのじぃさんがよく笑い話で出してたよ」

 

「ぐぐぐっ…あのジジイめ。なら貴様はゾルディック家の者ということだな」

 

「まぁ全員殺すからバラしてもいっか。そ、ボクはゾルディック家の長男、イルミ」

 

その瞬間

 

シュッ!!

 

挨拶をして気が緩んだ隙をついたように針を投げるイルミ

 

「で、挨拶は終わりかな?」

 

イルミの投げた針を全て掴んでいた桃白白

 

「…じぃさんの話と違うな」

 

ズオッ!!

 

オーラを爆発させるイルミ

 

「あのジジイが使う念、というやつか」

 

桃白白も気を上げる

 

 

 

(あのイルミで『1179』、そしてあの変なじぃさんがあの有名な桃白白…)

 

スカウターの数値は『634』

 

(そんなに高くはない。けどこの感じ…)

 

念とは違うようなこのオーラ

 

つい昨日も感じたもの

 

クラピカが使ったそれだ

 

(数値だけではわからない、か)

 

動き出した2人の動きに、ヒソカは静かに見守った

 

 

 

シュシュシュシュ!

 

全方位から針が飛んで桃白白を襲う

 

キキキキキンッ

 

弾き落とすものもあれば、当たって弾かれるものもある

 

「どんな体してるのか」

 

イルミのその呟きに答えるように、桃白白は上着を脱ぐ

 

そこに見えたのは鋼の体

 

「そんな技術見たこともないんだけど」

 

「貴様らにはわかるまい」

 

ヒョォ!

 

息を吸い込む桃白白

 

はっ!

 

発声と共に繰り出される拳

 

メキョッ!!!

 

避ける間もなくイルミの顔面を凹ませて吹き飛ばす

 

(…!?見えなかった!?)

 

吹き飛ばされた先で混乱するイルミ

 

「ただ拳を速く動かしただけにすぎん」

 

脱いだ服をパタパタとはたいて、机の上に畳んで置く

 

(依頼の失敗はあり得ない)

 

イルミは起き上がって桃白白に攻撃を仕掛ける

 

(オーラの量はこっちが上のはずなのに!)

 

全てを捌かれていなして返される

 

「まだまだ、甘い」

 

下蹴りを繰り出すイルミを、イルミの頭を掴んでジャンプで避ける桃白白

 

そのままキュッ、と手首を動かしてイルミの首を曲げる

 

「あ…が…が………」

 

倒れ込んだイルミが針を投げる

 

キキン

 

弾いた針と、散らばった針がイルミに刺さる

 

「苦しまずに済むように、どどんぱで止めをさしてあげましょう」

 

ぽろっ、と手首を取る

 

そして気を高める

 

(桃白白の戦闘力が上がっていく…!『933』ここまで一瞬で戦闘力を変えられるのか…素晴らしい◆)

 

桃白白が腕をイルミに向けた瞬間

 

最後の力を絞ってイルミが特大の針を投げる

 

カンッ、と桃白白に弾かれたそれは、イルミの首に刺さり、今度こそ完全に沈黙する

 

気を静めて手首を付ける桃白白

 

「ふむ…さて、終わりましたぞ」

 

部屋で縮こまっていた十老頭に声をかける

 

「さ…さすが先生!!!」

 

わぁっ、と歓声が上がる

 

「前金で5000万ゼニー頂いておりましたので、残りの5000万ゼニーの振り込みをお願いしますよ」

 

そう言われて慌ててパソコンを操作する十老頭の1人

 

「では、私の任務はこれで終わりで。最後にそこの者を火葬してあげましょうかね。一応知り合いの孫のようですので」

 

そう言ってイルミに近寄ると

 

「待て、その者は晒し首にする」

 

十老頭の1人がそう告げる

 

「…昔の私だったらどうしようが何も言いませんでしたが、今の私はそういうことには賛同できないのですがね」

 

だが、それでも十老頭は首を縦には振らなかった

 

面子というものがあるのだろう

 

「ならば私はもう関与しないことにしましょう」

 

それだけ言うと桃白白はテラスに出る

 

そして柱の前に立ち、上と下を小突いて柱を取る

 

「聖地カリンは…この方角か」

 

ぶんっ!!!

 

シュッ!!

 

そして投げた柱に乗って桃白白は消えていった

 

「所詮は表の殺し屋か。殺した相手をどうしようと構わないのがマフィアのやり方」

 

どんな晒し首にしようか、と十老頭がイルミの死体に振り向いたとき

 

「だ、誰だお前は!」

 

小さな子供がイルミの死体の横にいた

 

着物姿の子供

 

その子供がイルミの首から針を抜く

 

そして━━━

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン セメタリービル地下~

 

ズズズズン

 

地響きと共に鳴り響いたのは機械音

 

ピピピピピ

 

その音は暗殺完了の合図

 

「何を遊んでおったんじゃイルミ」

 

『ごめんごめん、ちょっとやられちゃってて』

 

ゼノに電話をしてきたのは、死んだはずのイルミ

 

「まさか桃白白のやつじゃなかろうな」

 

『そ、知り合いなんだよね?教えてもらってたよりだいぶ強かったよ。今はカルトに起こしてもらってなんとか、って感じ』

 

「そうか、奴も鍛え上げておったようじゃの。この連絡をしてきたということは十老頭は始末できたのじゃな?」

 

『全く勝てる気しなかったよ。十老頭の方は抜かりなく。それよりボクの依頼者はまだ生きてる?』

 

そのとき、ガラガラ、と瓦礫を押し退けて立ち上がる者が1人

 

幻影旅団、団長クロロ

 

「ふん、ピンピンしとるわい」

 

苦々しげに言うと、ゼノはシルバを連れて帰っていった

 

「ふひぃー、しんど。あれは盗めねぇわ」

 

それだけ言うとクロロはバタリとその場に倒れ込んだ

 

 



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【97】クラピカとの再会

今日で最後となります。
本日投稿⑦本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ベーチタクルホテル レストラン~

 

「あ!クラピカ!」

 

こっちこっち!と手を振るゴン

 

それに答えるように軽く右手だけ上げてクラピカはゴン達のいる席へと座る

 

「久しぶりだね!」

 

「あぁ」

 

「なんだよ、会えたの嬉しくないのかよ」

 

「いや、そういうわけではないんだ。すまない」

 

抑揚のない返事に口を尖らすキルア

 

「それにしても全員無事で良かったぜ!」

 

それを宥めるようにまとめるレオリオ

 

「クラピカ、知ってっか?こいつらあの幻影旅団に捕まって逃げてきたんだぜ!?全然連絡ねぇから心配してたら、心配してた以上の事してきやがる」

 

アハハ、と笑うゴンたち

 

「ねぇ、クラピカどうしたの?」

 

「あぁ、実は━━」

 

そしてクラピカは話す

 

先程のヨークシンシティ襲撃は幻影旅団の仕業であること

 

そしてその幻影旅団たちは十老頭の指示により全員抹殺されたこと

 

死体も全て確認されていること

 

「私は…もう目的を失った」

 

復讐に駆られて生きてきたクラピカ

 

その目的が一瞬で途絶えたいま、次に何をしていいかわからなくなっていた

 

「な、ならオレたちと━━━」

 

そうゴンが言いかけた瞬間

 

ピリリリリ

 

クラピカの携帯にメールが届く

 

”死体はフェイク”

 

 

その送り主はヒソカ

 

ガタッ、と立ち上がるクラピカ

 

「え!?どうしたのクラピカ!」

 

「…旅団の…死体は偽物…」

 

「偽物?どういうことだよ!」

 

矢継ぎ早にゴンとキルアから質問が飛ぶ

 

「とりあえず落ち着いて座ろうぜ」

 

レオリオがクラピカの手をとって座らせる

 

「━━━ヒソカから連絡があった。あの旅団の死体は偽物だそうだ。…確かに旅団クラスの能力者ならそんなこともできるかもしれない」

 

クラピカの目にはまた光が灯っていた

 

「ならさ!クラピカも協力してよ!旅団にオレたちも捕まってさ。そのとき仲間の為に一生懸命なやつ、侍だったけど、そういう人もいたんだ!だからこんなことやめさせたいんだ!」

 

ゴンは身を乗り出してクラピカを説得する

 

「私も一度、旅団の一人と戦っている。そいつはクズだったが。ただ、私も倒すことはできず、相討ちとなった」

 

それを聞いてキルアがピクッと耳を動かす

 

「相討ち?旅団と?」

 

「あぁ、冷静にやれば勝てたかもしれない」

 

眉をひそめるキルア

 

「なんで急にそんなに強くなった?」

 

「”制約と誓約”。自身にルールを課すことで、念能力が上がる。その分リスクも上がる」

 

「例えば?クラピカは?」

 

「…私は”旅団以外にこの能力を使わない、使えば死”という制約と誓約を立てている」

 

そう言って”束縛する中指の鎖”(チェーンジェイル)を見せる

 

「それって…」

 

言いよどむゴン

 

「そんな重大なことなんでオレたちに言うんだよ!」

 

キルアが立ち上がってクラピカに言う

 

「君たちを信頼しているから、かな」

 

恥ずかしげもなく言うクラピカに、少し照れたようにドサッと座り直すキルア

 

「で、具体的にやり方はあんのか?」

 

そう問いかけるレオリオに、クラピカはかねてより考えていたことを告げる

 

「せめて旅団の頭、団長と呼ばれる男にこの鎖をかけれたら」

 

じゃら、と小指の鎖を見せる

 

”律する小指の鎖”(ジャッジメントチェーン)

 

「これを刺して、念能力を使えば死ぬようにする。これで旅団の動きは止まるはずだ。できれば全員にかけることができればいいが…」

 

「団長1人だけ、ってならいけるかもしれないな」

 

そう返事をするキルア

 

「きっとできるよ!」

 

にっこり笑うゴン

 

「ありがとう、2人とも」

 

「あ!そうだ!ベジータさんたちにも協力してもらおうよ!悟空さんもいるし!」

 

そう言ってゴンが立ち上がると、レオリオがため息を吐く

 

「それがな、いねぇんだよ。朝からずーっと。お前たちと連絡取れなくなって、ヤバイと思ったから助けを求めに行ったんだがな」

 

「そっか…」

 

「ベジータさんに悟空さんもいたのか。あの2人の力が借りられないのは残念だが、旅団を止めるのは私の私怨だ。私1人でもやる」

 

そう宣言するクラピカ

 

「まぁ悟空さんたち待つわけにもいかねーからな。早くしないと旅団がヨークシン離れる可能性もあるし」

 

そのキルアの言葉にクラピカは頷き、4人は作戦を練り始めた

 

 

 

 



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【98】旅団を逃がすな

今日で最後となります。
本日投稿⑧本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ヨークシン郊外 幻影旅団アジト~

 

ヒソカは携帯を覗く

 

”団長との1対1を用意する”

 

目を見開くヒソカ

 

そのメールはクラピカから

 

続きには、

 

”旅団をヨークシン中心街に誘い出して欲しい”

 

と、書かれていた

 

「そこが一番難しいんだけどね…◆」

 

ヒソカは見回す

 

旅団たちは大盛り上がりだ

 

特にノブナガは泣きながら喜んでいる

 

ウボォーギンが戻ってきたからだ

 

スタッ、と腰かけていた手すりから降りて団長の元へ向かう

 

「どうした?ヒソカ」

 

「豚くんが逃げたこと言っとかなきゃ、と思ってね」

 

「あぁ、ノブナガから聞いた。どこかでの垂れ死にしなければいいさ」

 

「変身能力は役に立ちそうかい?」

 

それとなく会話を続けるヒソカ

 

「…どうした?今日は珍しく話すじゃないか」

 

注意深くヒソカを見るクロロ

 

「どうせ自分だけ大暴れに参加しなかったから気まずいんでしょ」

 

マチが冷たく言い放つ

 

「そりゃねーんじゃねーか?ヒソカはウボォーを助けに行ってくれてたんだぜ」

 

珍しくヒソカを庇うノブナガ

 

「くくくっ、気まずいとかはないね◆せっかくだから団長の面白い能力でも見せてもらえないかと思ってね」

 

「何か楽しい企みらしいな、フフッ」

 

クロロは、ヒソカが自分を狙っていることを知っていた

 

だからこそ、今回も念を出させて能力を解析するつもりだろう、と考えていた

 

ならば戦闘には関係のないものを、と本を開くクロロ

 

「今日手に入れた能力なんだが━━━」

 

そしてクロロは占う

 

ノストラードファミリーのネオンから奪った、100%当たる能力で

 

そして━━━

 

「成る程…このまま残れば半分が死ぬ。だがここを去れば全員が死ぬ」

 

団員たちが読み上げた内容を聞いて、団長がそれを要約する

 

「そして気になるのはヒソカの文。”満月の下 宴の地で真っ赤な目が虫を待つ”か。これは緋の目を持つ鎖野郎のこと。そして虫はオレたち。宴の地は、今日暴れたヨークシン中心。…そして今日が、満月だ」

 

全員がクロロを見る

 

「今日ここで鎖野郎をやらないと、半分が死ぬ。ヨークシンを出ればじわじわと全滅する。つまり、今から鎖野郎をやりにもう一度ヨークシン中心街へ向かう」

 

そう宣言して立ち上がるクロロ

 

ヒソカは服の中で携帯を打つ

 

”誘い出し完了”

 

 

 

 

 

 

 

~ビスカ森林公園~

 

「んじゃもう暗いしそろそろ帰っか」

 

悟空たちはあらかた食べ散らかしたところだった

 

「ちょうどいい暇潰しにはなったな。明日にはグリーなんとかというゲームも届くことだしな」

 

バシュー、と気で食べかすを燃やすベジータ

 

「楽しみだなー、悟天!」

 

「うん、早く帰ろ!」

 

「じゃぁ競争だな!」

 

ドンッ!

 

「あ、ずるい!」

 

そう言ってドンッ!と追いかける悟天

 

「まだあいつら子供だなぁ」

 

「ふんっ、カカロット、貴様もあまり変わらんがな」

 

そう言いながら、悟空とベジータは食い散らかしたものの片付けを始めた

 

 



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【99】確保と幕引き

今日で最後となります。
本日投稿⑨本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)


~ヨークシン中心街~

 

『配置完了!』

 

『こっちもオッケー』

 

『オレの方も大丈夫だ』

 

ゴン、キルア、レオリオから返事が来る

 

作戦の要はクラピカ

 

「では手はず通りに…頼む」

 

中心街に旅団を誘い込み、ゴン達が隠れながら気配を出す

 

そして団長から団員を1人ずつ引き剥がす

 

団長の周りの人数が5人を下回ったら、クラピカがやる

 

ほぼ賭けに近かった

 

だが、クラピカが団長さえ捕まえられればなんとかなる、と言い張って決まった作戦

 

不安が残る中、クラピカたちはベーチタクルホテルのそばで待ち伏せる

 

 

 

待つこと10数分、壁走りしてくる集団が視界に映る

 

(来た!)

 

待ちきれずクラピカが殺気を出してしまう

 

先頭のクロロ含め旅団全員の視線がクラピカへ向く

 

それに気づくゴンたち

 

だが旅団とクラピカの距離に対して遠すぎる

 

クラピカは鎖を出して応戦の構えを取る

 

旅団全員が鎖野郎だと認識して壁を蹴って飛びすがる

 

旅団とクラピカがぶつかるその瞬間

 

ドゴオオオオオオオオオン!!!!

 

クロロ以外の後ろについてきていた団員が吹き飛ぶ

 

固まるクロロとクラピカ

 

後ろを気にしたクロロより、ほんの数瞬だけ早く動けたクラピカ

 

ジャラ!

 

”束縛する中指の鎖”(チェーンジェイル)!

 

ギュルルルルルル!

 

巻き付いた鎖を締め上げるように引き上げて車に詰め込む

 

レオリオが運転する車は、ブレーキをかけることなく荒野を目指して走る

 

「何が起こった!?」

 

「わからない!」

 

レオリオの問いに語気荒く答えるクラピカ

 

ゴンとキルアは乗り込む暇がなかった

 

(無事に逃げてくれているといいが…)

 

そうクラピカが思ったとき、クロロが口を開く

 

「鎖野郎がこんな優男だったとはな」

 

くくっ、と笑うが、その表情が笑っていないことが透けて見える

 

「余裕がないのは貴様も同じだろう」

 

ギリッと鎖の締め付けを強める

 

「…一体何をした」

 

クロロは静かに尋ねる

 

「…こちらも…わからない」

 

「ふん、どうやら本当らしいな」

 

互いに何が起こったかわからない

 

だが、いまはそんなことはどうでもいい

 

「レオリオ、この道の先にある荒野へ向かってくれ」

 

そう言うと、クラピカはヒソカに落ち合う場所をメールする

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル前~

 

ガラッ

 

瓦礫の中から人影が姿を表す

 

シュインシュインシュインシュイン

 

「いてててて」

 

ズズーーーン

 

大きな瓦礫を持ち上げて落とす

 

立ったのは金髪の子供

 

そこにもう1人の子供が飛んで降りる

 

「悟天ずるいよー!スーパーサイヤ人は無しだろ!」

 

「えへへ、ごめんごめん」

 

「ったくもー」

 

そうしてるうちに砂ぼこりが薄くなってくる

 

(あっ!)

 

(悟天逃げるぞ!)

 

ヒュン!ヒュン!

 

とにかく飛び上がって雲の上に隠れる

 

 

そして2人が飛んでいったあと

 

ガラガラガラガラ

 

起き上がる団員たち

 

「何が起こった…?」

 

フィンクスが瓦礫を避けながら立ち上がる

 

「わからないあるね」

 

フェイタンは首を振って砂ぼこりを落とす

 

「団長は…?」

 

マチが気づいたように周りを見渡すが、姿はない

 

そしてパクノダやシズク、その他ほとんどの団員がダメージを負って立ち上がれずにいた

 

ウボォーの後ろにいたヒソカは奇跡的に無傷

 

そしてヒソカは携帯を見る

 

”ヨークシン外の荒野、昨日の場所”

 

とだけ書かれていた

 

どうやって抜けるか思案していると、ウボォーが声をかけてくる

 

「お前はわかってんだろ?誤魔化しとくから行けよ。その代わり携帯持ってるシャルにでも後で連絡入れといてくれや」

 

「きっちり借りを返してくれるとはね◆」

 

スウッ、と砂ぼこりに紛れて消える

 

その数秒後

 

「ウボォーは大丈夫?」

 

シャルやノブナガたちがやってくる

 

「ヒソカのやつはどうした?」

 

「オレが動けないでいる間に団長を探しに行った」

 

そしてヒソカが動いた方と反対側を指す

 

「あっちか」

 

動ける団員たちはヒソカを追って反対方向へと向かって行った

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン外 荒野~

 

ズギュル!

 

クラピカはクロロの心臓に鎖を刺す

 

「この鎖はお前の心臓に刺さっている。発動条件は━━━」

 

・団員との接触(会話含む)

・念能力の使用

 

「わかった」

 

それだけ言うと黙り込む

 

そこにヒソカがやってくる

 

「本当にクロロを捕まえるなんてね◆しかもあの攻撃!まさか全てクラピカ、キミかい?」

 

ゾクゾクゾクッ、と身体を震わせながら近づくヒソカ

 

「あの爆発?は私ではない。逆に私が聞きたいくらいだ」

 

そしてクロロを置いてクラピカは車に乗り込む

 

「あとは好きにしたらいい」

 

そしてクラピカは去っていく

 

ヒソカはクロロを見る

 

もう待てない

 

背中の蜘蛛のマークを剥がし、クロロに言う

 

「団員の真似事は終わり◆さぁ、やろう」

 

オーラを徐々に上げていくヒソカ

 

だが、クロロはそのまま無防備な状態で笑う

 

「団員じゃないなら話せるな。オレはいまあの鎖野郎のせいで念が使えない」

 

そしてクロロは取引を持ちかける

 

”除念”と”タイマン”を取引に━━━━

 

 



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【100】そして誰もいなくなった━━━”9月4日”

これで最後となります。
本日投稿⑩本目
(連投してますので、読み始めるところにご注意を)

最後に次回作の紹介載せてます。
皆様、ご声援本当にありがとうございます。
これで完結となりますので、ぜひぜひどなたでも一言感想で構いませんので気軽に書き込んでいって下さい。
(批判以外で…お願いします)



~ベーチタクルホテル フロント~

 

「うわぁ…やっぱり酷いな」

 

「ボクたちのことバレてないよね?」

 

柱の影から壊れた入口を見るトランクスと悟天

 

そこにゴンたちがやってくる

 

「おっ、帰ってきてるじゃねぇか」

 

レオリオがトランクスと悟天の肩を叩く

 

「おはよ。オレたち今からレオリオが見つけてきた”グリードアイランドができるかもしれない方法”を試しに行くとこなんだ」

 

「まぁレオリオにしちゃぁいい方法見つけてきたと思うぜ?」

 

キルアまで太鼓判を押す

 

(トランクスくんどうする?待ってたらゲーム届くはずだけど…)

 

(でもこのホテルからは離れときたいよな…夕方までに戻ればいっか)

 

「ボクたちも行っていい?」

 

トランクスがゴンたちに尋ねる

 

「いいけどトランクスたちはゲーム届くんじゃないの?」

 

「あ、えーと、まずはパパたちがすると思うからさ。あ、あはははは」

 

「ま、いんじゃね?」

 

そう言うキルアたちに連れられて、トランクスと悟天はバッテラ氏の館へ向かった

 

 

 

 

 

 

~バッテラ氏 地下ホール~

 

「人がいっぱいいるな」

 

ざわざわと音が聞こえるほどの人

 

壇上に上がった男が説明を始める

 

「私はバッテラ氏に雇われたハンター、ツェズゲラ!今から一人一人テストをする!好きな順番で並べ」

 

ホールの横の扉を指すツェズゲラ

 

ザザザッ、とそれだけで人の列ができる

 

そして段々人が減っていき、残ったのはゴン、キルア、トランクス、悟天

 

ゴンとキルアが先に向かう

 

そして最後になったトランクスと悟天

 

「子供?まぁいい。では、練を見せてもらおうか」

 

ツェズゲラがトランクスと悟天にそう告げる

 

「練ってなに?ゲームは?」

 

「念を知らないのか?話にならん」

 

「念なら知ってるけど…気でもいいの?」

 

トランクスが会話している間暇そうにする悟天

 

「キ?とりあえずキミたちの力がみたいということだな」

 

「なんだ、そんな簡単なことか。ほい」

 

バシュ

 

ドォオオオオオオオオン

 

気を放って壁に大穴を開けるトランクス

 

「そんなのでいいの?」

 

パァッ

 

ドォオオオオオオオオン

 

悟天も反対側の壁に大穴を開ける

 

「━━━ッ!ご、合格だ!」

 

そして外に出てきたトランクスたち

 

「その様子じゃ合格したみたいだな」

 

キルアがニコニコの2人組を見てそう言う

 

「なんだ、結局4人とも合格か。いまからもうゲーム入るのか?」

 

「オレたちはそのつもり。レオリオはどうするの?」

 

「オレは医者の免許取るために国に帰るぜ。まぁ悟空たちへの挨拶はオレからしとくよ」

 

簡単な挨拶だけで帰っていくレオリオ

 

そして4人はバッテラ氏の邸宅の一番下、頑丈に守られた地下室へ行く

 

「誰が一番最初に入るか決めたか?」

 

ツェズゲラが合格者たちに尋ねる

 

「はいはい!ボクやる!」

 

「あ!トランクスくんずるい!」

 

躊躇なく立候補したトランクス、そして悟天が1、2番、そしてよくわからないプーハットなどが続いた

 

そして━━━

 

トランクスがゲームに手をかざす

 

シュン

 

「消えた!」

 

驚く周囲

 

悟天も手をかざす

 

シュン

 

同じく消え去る

 

 

 

 

 

 

 

 

~ベーチタクルホテル205号室~

 

「あれ?ベジータ、悟天知らねぇか?」

 

「ふっ、ちょうどいい。届いたぞ」

 

部屋に入ってきた悟空にゲームを見せるベジータ

 

「おー!あのゲーム届いたんか!」

 

「2つセットのようでな。緑と赤がある」

 

赤い方を渡すベジータ

 

「どう違うんだ?」

 

「知らん。説明書には”持ったまま念を発動する”とだけ書いてある」

 

「気でも大丈夫なんかな?んじゃ試しにやってみっか」

 

「おい!抜け駆けはずるいぞ!」

 

ズオッ

 

同時に気を発する2人

 

コンコン ガチャ

 

「悟空、ベジータ、いるか?」

 

そしてレオリオがドアを開けて見たものは

 

目の前でゲームの中に消えていく悟空とベジータ

 

ゴト ゴトッ

 

残されたのは2つのゲーム機

 

「なんだこれ…?ゲームボーイじゃねぇか!」

 

タイトルは”ポケモン グリーン&レッド”

 

 

 

 

 

 

 

~ヨークシン中心街 カクテルバー~

 

「あと何日働くのかな…」

 

ヨークシンに来てから掃除しかしてない男

 

そう、ヤムチャは取り残されていた

 

 

 

 




皆さん、ここまで読んで頂き本当にありがとうございました!完読ありがとうございます!
最後は駆け足で来てしまいましたが、途中でやめることなく書ききれて一安心しました。。。

それでは、早速ですが次回作の予告です!

<次回作紹介>
『グリードアイランドってなぁに?』
https://syosetu.org/novel/160703/
グリードアイランドに入ってしまった悟天とトランクスが、やっぱり何かをやらかします!
ハチャメチャが押し寄せてくるのかそれとも…
更新は2018年7月末の開始となります
(少しだけ休息期間頂きます)

いまのうちにお気に入り登録して、忘れないようにしてて頂けると幸いです。

それでは、次回作で会いましょう!
皆さん、お楽しみに!


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