スーパーロボット大戦OG+A (おぐけい)
しおりを挟む

極めて遠く、限りなく近い世界

かつて、この世界には多くの闘争が起きていていた。

 

突如、地球圏を襲撃した「木星蜥蜴」。そして徐々に明らかになった過去の地球連邦の不正。そして地球連邦の弾圧によって、ジオン公国が地球連邦に宣戦布告をした一年戦争。そして腐敗によって地球連邦の内乱のグリプス戦役。それより、月で独立を宣言した統一帝国ギガノス。これらは地球連邦政府の腐敗により発生した。さらには宇宙開拓の為に、サイボーグ処置を施した人間『メガノド』が人類に反乱。人類を滅ぼすことを目的とするガイゾックが地球に襲来した。宇宙から地球征服を目論む、ミケーネ軍、ベガ星連合軍、キャンベル星人、ボアザン星。そしてとある組織により、発生したバームとの戦争。これらのことが起こっても地球連邦の上層部は変わらなかった。極めて近く、限りなく遠い世界からやってきた、一つの組織により闘争はより、激しくなっていた。その名はシャドウミラーである。目的は腐敗を防ぐために、行われる「制御された闘争」である。

だが、それはこの世界の守護者たちと、彼らに関わり兵士から人になった男の手によって、その野望は阻止された。

そして今、男は平穏な日常が当たり前の世界の礎になるため、そして自分のせいで失われた命への償いをするため、闘争のためではなく、その対極のものを守るため闘っていた。

 

「そんじゃあ、まぁ、行きますかね!!アクセル・アルマー中尉、ソウルゲイン出撃する!」

「アクセル中尉、君はまだ、病み上がりだ、無茶するな」

「ああ、わかっているさ。アムロ大尉」

 平和のために、闘っている男は先の大戦の傷を治して、司法取引の結果により地球連邦に入り、ある程度の自由は与えられているが、ロンドベルではいい意味でその、司法取引はあるようでないものだった。

「では、今回の任務はシャドウミラーの残党が、コロニーを襲撃していることが分かった。なぜ、今になって奴らが、行動したのかはわからないが」

「それは、多分転位の影響かもしれん、奴らは俺と同じ時期に空間転位したが、何らかの影響で時期が異なったのだろう、まだ俺たちの世界でも空間転位の影響は完全にわかってない、これがな」

「そうか、わかった。では、本艦の目標はシャドウミラー残党!!」

そうして、小隊で行動しているゲシュペンストMk-IIIに対し、ソウルゲインとνガンダムに向かって行き

「シャドウミラーは、消滅した。貴様ら人形ごときに言ってもわからんだろうが、降伏しろ」

今までの彼なら、この様なことを言わなかっただろう。だが彼なりに先の大戦での経験は彼を変えていった。だが敵からの反応は無反応だった。

「そうか、なら俺からの手向けだ。行くぞ。ソウルゲイン!!」

ソウルゲインとνガンダムは、シャドウミラー残党を倒していった。

「人形ごときが、俺に敵うと思うなよ」

敵を、全て倒した後、彼らはアーガマに帰ろうとした時、ソウルゲインが反応した

「アクセル!?どうかしたか!?」

「アムロ大尉!早くここから逃げろ!?転位に巻き込まれる!!」

「何だと!?ブライト!?」

「ああ、わかった!」

この宙域から逃げるため、必死になっているが

「くっ!?もう、間に合わん!!」

そう言うとアクセルだけが飛ばされてしまった。

「中尉!?アクセル中尉!?」

「まさか。アクセルが消えた!?」

 

アクセル・アルマーが飛ばされた先は、とあるフラスコの中

 




多分まだ序章しか頭に思いついていないので、先はまだ先になりそうです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

堕ちてきた異邦人

「くっ!?ここは?……アーガマは?」

そう、時空転移に巻き込まれたアクセルは地球にいた。

「アーガマ?なんだ、それは?…俺は…誰だ…?どうしてこんなところに…?くそ…思い出せない…記憶喪失というやつか…」

だが、アクセルは少し落ち着いていた。何故ならこの感覚を覚えていた

「どうやら……これが最初ってわけではないらしいな……」

アクセルは周りを見渡しながら今の状況を確認していた。周りは崖と海だけ

「くっ!肝心なことが思い出せない!?」

アクセルはまず、機体が動くことや、状態を確認していた。

「どうやら、この機体の操作の仕方などはおぼえているみたいだな。これから先、どう生きていこうかね……記憶を取り戻す前に、命の危機なんだな、これが」

溜息をしながら、見ていると光が見えた。

「そこの、アンノンウのパイロット、こちらは地球連邦軍極東支部・SRXチーム リュウセイ少尉だ。今すぐ、そちらの名前と所属を言ってくれ」

アクセルは考えていた。今この場にいる、彼らのようにお人好し出なかったら、終わりである。

(信じてもらえるかわからないけど正直に言ってみるか、これがな)

そしてアクセルは無意識に“彼ら“を一瞬であるが思い出しかけたのに気づいていなかった。

「信じてもらえるかわからんが、俺も知りたいんだ」

「はあ?ふざけてるのか?」

「いや、これがマジなんだな、これが」

「どうしますか?隊長」

「敵意がなければ、こちらの基地まで案内しろ、軽く尋問をする。処遇についてはそのあと、決める」

「了解。特機のパイロット、基地まで案内するからついてきてくれ」

「よろしく、頼んます」

「なんか気が抜ける奴だな」

そうして、リュウセイに基地まで案内してもらい基地に向かった。

「いやー、この特機すげーな。なんていうか鬼みたいでカッコいいなー」

アクセルが機体から降りると、この基地まで案内をしたリュウセイが話かけてきた

「いやー、助かったー、もしかしたあそこで誰かに会わなかったら死んでたかもしれんかもしんから。リュウセイ少尉助かったんだな、これが」

「リュウセイでいいよ。本当に何も覚えてないのか?」

「ああ、マジだ」

そうやってリュウセイと話していると、このSRX隊長のヴィレッタ・バディムがやってきた。

「ではまず尋問より先に、検査を受けてもらおうか」

「了解、お姉さんの名前は?」

「私はヴィレッタ・バディム大尉だ。あとまたふざけた呼び方をしたら許さんからな」

(こりゃー、手厳しい)

大人しく、治療室に向かいアクセルは検査された。

 

 

 

「検査の結果、あいつは本当に記憶喪失らしい。だが名はわかった。アクセル・アルマーという。ドッグタグがあり、名がわかった」

「それじゃ、アクセルはどうするんですか?」

「……どうやら、奴自身に敵意はない。どうやら私たちがあずかることになるらしい」

「……まぁ、俺みたいな男を、軍がほっとく訳ないだろうしなー」

「検査は全て終わったのか?」

「もち……それにこれは、監視の役割もあるだろう?」

(こいつ、素人の考えじゃないな。軍にいた経験でもあるのか?)

「ほんじゃあ、まぁよろしくお願いしますわ、逆に記憶がないまま、ほうりだされてもどうしようもないんだな、これが」

「記憶ないわりに前向きだな」

「まぁ、飯の食い方もわかるし、服の着方もわかる。それに、不安になっても記憶が戻るわけじゃないでしょ」

「そこまで、忘れられも困るけどさ……」

「んま、よろしく頼むわ、リュウセイ」

「おう、あとでこの特機みせてくれよ!!」

「……」

「ん?だめか?」

「……いや、一瞬見せてはだめと思ったけど、なんか今は大丈夫なきがするんだな、これが」

そうやって、リュウセイと話しながら他のこの極東基地を案内された。

「……この特機のことを、どれくらいわかった?」

ヴィレッタは整備班にソウルゲインのことを、調べるように命令していた。

「はい、このマスタッシュマンは」

「マスタッシュマン?名前がわかったのか?」

「いえ、我々で名を決めました。そしてこのマスタッシュマンは全高41.2 m重量129.6 t

動力はどうやら電力のようです。パイロットの動きをそのまま機体にトレースさせるシステムで動いているようです。それでこの機体は妙なんです」

「妙とは?」

「ええ、我々が見たことがない技術があると思えば、我々が使っている技術の何段階前の技術を使っている所もありました」

「それは、妙だな……他におかしい所は?」

「いえ、以外は特に何も……あとは、彼の私物が」

そうして、ソウルゲインの中にあった写真が何枚かあり、それをヴィレッタに渡した

「わかった、他人のプライベートを見る趣味はないが、何かわかるかもしれん」

写真をみると、「アクセルさん救出パーティ」と書かれた垂れ幕と、民間人の子供、軍人らしき人物たち、金持ちそうな風雲児と執事、艦長みたいな服を着ながら男の子に抱き付いてる女の子と色々な人がいた。共通して言えるのは誰も見たことがない。民間人はともかく、軍人も誰一人見たことがなかった。そして、軍人らしき人物が着ている制服もヴィレッタは見たとこがなかった。他の写真もこのパーティの写真だった。だが、何故かデジャブを感じていた

「……わからない、彼らは誰なんだ?」

そう呟きながら、写真を見て呟いた。その写真をしまい、アクセルに渡すため彼のいる所に向かった。

 

 

「うまいな、ここの飯は」

そういいながら、ご飯を食べながら

「よく、食うなー」

「いやー、マジで腹減っていたからねーいやー、このままじゃ飢え死にだったから助かった、助かったー」

のんきにご飯を食いながらリュウセイと雑談している。

「アクセル……君の私物だ」

ヴィレッタが現れると

「これは?」

「写真だ。機体の中にあった。君の記憶を取り戻す手掛かりになればいいが」

「いやー、わざわざありがとうございます……アクセルさん救出パーティ?-」

 写真を見ながら、そう呟くと

「何か思い出したか?」

「いやー、何も思い出せないんだな、これが」

「そうか、ではこれから、君は我々のSRXチームに入ってもらう、私のことは隊長と呼んでくれ」

「了解ー」

「このあと、君にはシュミレーションを受けてもらう」

「んじゃま、いいですけど」

そうしてシュミレーションを受けることになったアクセル。

シュミレーションは彼に取って彼に取って簡単すぎた。

「アクセル……すげー、下手したら、俺負けてるかも?」

「いや、アクセルはお前より上だ。リュウセイ」

(だが、これ程の腕どこで?実践経験も十分……スパイか?いやそれにしては、間抜けすぎる……だが、スパイの潜入しては、疑われることがわかりきった行動だ……)

「こんなもんでいいですかい?隊長殿?」

「ああ、十分よ、では他のパイロットを紹介するわ」

 

そうして、この基地にいる、アヤ

「アヤ大尉です。記憶喪失とは災難でしたね……」

「いあや、君みたいな美人がキスしてくれたら記憶も戻るかもな」

「はぁ?」

いきなり言われたため、アヤは戸惑っていた

「な!?いきなり何言ってるんだ?」

リュウセイに言われアクセルはにぃと笑いながらこう言った

「いやあ、冗談さ。あんまり、記憶に関しては悲観してないしな。まぁ、一生このままじゃ、困るが、まぁいつかは元に戻るだろう」

こうしてアクセルSRXチームに入ることになった。そして間もなくこのフラスコの中に、彼に取って関わりのない、彼の記憶に関係ある組織が起こす闘争に身を投じることになる

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

護るべきモノ

アクセルがフラスコの中に来てから、約一か月後

「いやあ、ツキは俺にあるんだな、これが」

 休憩時間、整備班たちと賭けポーカーをやっているアクセル。たった一か月だけだが、記憶喪失の彼は、いつの間にかこの基地にいる全員と仲良くなっていた。

「いやー、大量だな、これが」

この、賭けポーカーの賭けるものは、お酒である。一文なしのアクセルは借金からのスタートだったが今では、整備班の一人が隠し持っていた高級の酒も賭けポーカーで取ってしまったのだ。

「ちくしょう!!またアクセルさんの一人勝ちかよ」

「アクセルさん、もう、一回……次で取り返してみせる。いや倍返してやる!!」

 今や、アクセルは極東基地の兄貴分である。

「いあやー今なら何やってもうまく行く気がするんだな。これが」

そう話していると、整備班が仕事の時間になりアクセルは残念な顔しながら、立ち上がり、リュウセイが模擬戦をやるのを聞いていたので見に行くことにした。

格納庫では、ヴィレッタとリュウセイ、そしてアクセルはまだ会ったことのない男が立っていた

「ん……あんたがアクセルかい?」

「そうだけど、あんたは?」

「俺は、イルムだ。あんた、いきなりアヤを口説こうとしたんだよな。もしかしたら、記憶を失う前は、そうとうな女たらしだったんじゃないのか?」

笑いながら、アクセルに言い肩を叩く。

「それは、イルム中尉が言えることじゃ、ないでしょ」

「そんじゃ、俺はこのグルンガストに乗るからな」

「よろしくお願いします」

そうして、リュウセイは新型のアルブレードに乗り、イルムは、グルンガストに乗り込んだ。

「そんじゃあ、俺はマシンのメンテでもして待ってますかねー」

 そして、外ではリュウセイとイルムとの、模擬戦が始まった。そのあいだ、アクセルはソウルゲインの整備をしていた。この一か月ソウルゲインは少しずつ改良が、加えられて元の世界にいた時よりも反応速度などが多少向上していた。

「まぁ、こんなもんかねー」

 整備と言っても、ほとんどが整備班任せでいるため、向上した性能をチェックしているだけであった。その時、外の様子が変わった。

「な!?なんだ?」

 外には、DC残党がこの極東基地をレーダーにも反応せず、急に現れた。

「アクセルさん!!スクランブルがかかりました!!」

「了解!!行くぞ!!」

ソウルゲインが発進すると、海から現れたDC残党を見ると、ほとんど身に覚えがないが、三機だけ、アクセルの記憶を刺激する機体があった。

「なんだ……見たとこあるような……」

ソウルゲインは空を飛びながら、ランドグリーズを見ていた。それもその筈、ランドグリーズはラーズアングリフの後継機で量産型。ラーズアングリフはアクセルがシャドウミラーに所属していた際、一時期であるが乗っていた機体でもある。

 

 

「なんだ、あの青の特機は!?データには無い……つまり、新型か!」

「ユウ。あれも、ビルトファルケンみたいに」

「いや……俺たちは、任務だけを、こなせばいい……欲張って、任務失敗だけは避けたい」

「わかったわ……」

「いいか、各機作戦通りだ……アラドは、下がれ」

「なっ!?俺も、闘えるっスよ!?」

「何言ってるよ!?アラド!!あんたが前線に出たってやられちゃうだけよ!?」

「な!?」

「いいか、アラド……退路を護るのも、重要な任務の一つだ」

「了解っス……」

 カーラはプライベートチャンネルをを使いユウキに通信した。

「ユウ……優しいじゃん」

「カーラ……俺は、ただこの任務の成功率あげるため、アラドに指示しただけだ……」

「ふーん……そう言うことに、してあげる」

 

「アクセル……実践は大丈夫なのか!?」

「ああ、まぁ心配しなくても大丈夫さリュウセイ……何となく覚えてるし、お前が休暇中に何度か試運転はしてたんだな、これが」

「ああ、それは私が保障しよう……アクセルは重要な戦力になる。リュウセイ……貴方は下がっていて」

「な!?何で、ですか!?隊長」

「ビルトファルケンが、DC残党に盗まれた以上もしかした、アルブレードが敵の目的かもしれん」

「……わかりました」

「まぁ、安心してみてな、リュウセイ。俺とアクセルでやっちまうからよ」

「ああ、そうだぜリュウセイ」

「そこの二人、くれぐれも油断はしないように」

 そして、闘いは始まった。まず最初に動いたのはイルムたちであった

「勝手に、人様の所に土足で、来たんだ……覚悟はできてるだろうな!!こいつで打っ飛びな!!ブーストナックル!!」

「こっちもやってやるか!!行くぞ。ソウルゲイン!!……ん?今。ソウルゲインって?……これが、こいつの名前だったな……んじゃあ、改めて行きますかね!!ソウルゲイン!!ロケット・ソウルパンチ!ってな!」

リオンFとソルプレッサを、次々落としていく、ソウルゲインとグルムンガスト。

「くっ!?DC再興のため、負けられないのよ!!」

 次々にゼオラは、ランドグリーズでソウルゲインやグルムンガストを攻撃しているが、ソウルゲインは全て避けていた。

「残念、無念、また来てねん」

まるで、ふざけてるように、かわしているが、動きなどは、真剣そのもの。徐々に、ゼオラの乗るランドグリーズに近づいて行った

「安心しな、命までは取る気はない!

 

記憶が無くたって、武器の威力は変わらないんだな、これが」

 ゼオラの乗る、ランドグリーズに向かって攻撃を繰り出そうとする。その時、真っ先に反応したのはアラドだった。

「ゼオラ!?」

 アラドは、落ちこぼれと言うのが周りからの評価だったが、今、この瞬間は、まるでエースパイロットのような動きで、基地からの砲撃などを回避しながら、アクセルとゼオラの間に入った。

「なんだ、あの動きは!?」

「まさか、あの子が!?」

 そして、アラドはアクセルに向かっていった。

「ゼオラはやらせねー!!」

「行けぇ!!ウロコ砲!!」

 ソウルゲインの青龍鱗を、受ける、アラド

「……うわぁあぁぁぁあ!!」

 撃墜される、アラド

「まさか、あの子が?」

「アラド?……嘘でしょ?……タフさだけは、貴方自慢だったじゃない……約束したじゃない、ラトがやっと見つかったのよ?……ね、返事してよ……アラド!アラド!!……よくも、よくも!!アラドを!!」

「全軍引け!!」

「ゼオラ!!引いて!!作戦はもう、終わったの……」

カーラが何とかして、ゼオラを下がらせる。そして、相手の戦艦が海から浮上してきて、無数のミサイルを撃ってきた。

「あれは、ちょっときついかもしれないんだな、これが」

「リュウセイ、貴方も手伝って!!」

「了解」

「と、言っても多勢に無勢ってもんだがな」

 ミサイルを落としていくが、あと一本足りない。

「くっ!?ミサイルが!」

「もう間に合わん」

 ミサイルが、極東基地に当たりそうになった瞬間ミサイルがギリギリ手前で爆発した

「はいはーい、お助けにきましたよー」

「間に合ったようだな、リュウセイ」

「その声は、キョウスケ中尉に!?」

 そう、ハガネである。ハガネが、極東基地に当たる寸前に間に合ったのだ。

「ふん、これで貸し一つと言うとこか……」

気に入らなそうにしながら、極東基地を見つめるリー。DC残党も、作戦は失敗したと思った。だが、アクセルの乗ったソウルゲインが危険信号とアクセル自身が何かに反応した。

「これは!?気をつけろ!空間転移してくる機体が、あるぞ!!」

 空間転移と言う、聞きなれない、言葉にここにいる、全員が止まってしまった。ただ、一人を除いて。

(あれは、アクセル隊長!?何故!?……いや、こちら側のアクセル隊長か!?)

「我はウォーダン……ウォーダン・ユミル!メイガスの剣なり!!」

ハガネの上空から現れたのは、スレードゲルミル。

「あれは、特機か?」

斬艦刀を出すスレードゲルミル。

「あの、装備は!?」

 彼らは斬艦刀を使う人物には、一人しか心当たりしかなかった。その名は、ゼンガー・ゾンボルト唯一人

「敵対する者は、排除する!!」

 ハガネも、スレードゲルミルに対し攻撃するが当たらない。

 ブーストを吹かしだす、アルト

「リボルディングステーク!!」

スレードゲルミルの斬艦刀に向かって、リボルデングステークを繰り出した。そして、一瞬だったが、スレードゲルミルの動きが、止まった。

「この、切っ先……触れれば、斬れるぞ」

 一瞬だけでよかった。ソウルゲインがスレードゲルミルの間合いに入るのには、十分な時間だった。

「前から後ろからバッサリだ!!」

 凄まじい、速さでソウルゲインがスレードゲルをあらゆる角度か、攻撃していく。その速さは、スレードゲルミルが反応できないほどであった。高速移動による残像を残しながらアクセルは叫んだ。

「とどめ!!」

そして、スレードゲルの上空から、聳弧角で斬り刻んだ。

ダメージを受けた、スレードゲルは回復していったが、さすがに完全にまだ回復できなく、退却しようとし

「まて、ゼンガー少佐」

「そうよ、ボス」

「我は、ゼンガーではない!!

我が名はウォーダン!……ウォーダン・ユミル!メイガスの剣なり!!」

「ゼンガーにメイガス?……」

 先ほどから、アクセルには自分の記憶を刺激するような言葉を聞いていた。だが、全く思い出せない。自分が生まれた世界のことを

「な!?まさか、ボスの双子の兄弟とかかしら!?」

「あんなのが二人いてたまるか!!」

みな、驚きながらウォーダン・ユミルを見つめていた。そしてウォーダン・ユミルが見えなくなると、みんな緊張が溶けていった。

「なんだったんだ?」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

因果の感覚

極東基地

「キョウスケ中尉、助かったぜ」

「ああ……

そういえば、あの青い特機は?」

 キョウスケは、ソウルゲインを見つめていた。

「俺を呼んだか?」

 アクセルはソウルゲインから降りるとキョウスケたちがいる所に来た

「あらん、結構いい男じゃないいのー新人さんかしら?」

「いや、アクセルは記憶喪失してるのを保護されたんだ」

「んまー大変ねー」

「いやーまぁ、飯や寝る所もあるし、大丈夫さ」

「記憶がなくなってるのに、前向きですね……」

「ま、悲観はしてないさ

俺の名はアクセル・アルマー。よろしくな」

「俺は、ATXチームのキョウスケ・ナンブだ」

「よろしくな」

「私は、エクセレン・ブロウニングよーん。気軽にエクセ姐さまと呼んでねん」

「!?……」

 一瞬だったが、アクセルは記憶に反応した。そして、一人の女が頭に浮かんだ。そして、アクセルは何故か虚しくなっていた

「どうかしたのかしら?」

「ん……いや、ただブロウニングって名前が引っ掛かったんだが、もしかしてエクセ姐様とあったことない?」

「わぁあお!!ノリがいいわねー!でもナンパのしかた古いわよーん。あとでも残念私は、もう相手はいるのですー」

 そう言いながら、キョウスケの方を向き両手を広げた。

「抱き付くなら後でだ……」

「……え?マジでいいの?」

「俺は、ブルックリン・ラックフィールド

ブリットって呼んでください。アクセルさん」

 そうしていると、整備班や衛生兵が慌ただしく動いていた

「何か、整備班が」

「そういやさっき拾ったんだが、敵の脱出ポットや生命反応があるものを拾ったんだが」

「敵を助けたんですか?あの状況で!?」

「ああ、いざって時は覚悟を決めるだろうが、闘いは相手を倒すのが全てってわけではないんじゃないのか、これが」

「わーお、何て、お人好しかしら。でも、ポイントアップー!!ブリット君の順位をかなり引き離して順位が1000上がりました」

「いや、何ですかその順位は!?」

そうして、コクピットだけ、無事な機体からはまだ年端のいかない少年が、気絶していた。

「アラド!?」

 一番に反応したのは、ラトゥーニであった。彼女はスクールと言うのは地球連邦軍のパイロット養成機関であったが、身寄りのない少年少女を実験材料として使っていた。

「アラド!?大丈夫なの!?」

「大丈夫さ、嬢ちゃん

気を失っているだけで、時期に目が覚める」

「本当ですか?」

「ああ、ま!これも、俺の技があってこそなんだな、これが」

「あらん、ちょっといい空気だけど、ラトちゃーん、その子とはどんな関係なの?リュウセイはいいのかしらん?」

 いきなり、ラトゥーニの後ろから抱き付くエクセレン

「ふわ!?」

「お前たち何してる?」

カイ少佐がやってきて状況を確認していた。

「ラト、お前が言っていたスクールの生き残りか?」

「はい……アラドって言います」

「わかった、まずこの子が回復したら話を聞きたい……だが、その時間はない」

「はい」

「だから、ハガネに乗せていく……どうやら、この基地はさっきほどからDC残党の怪我人や捕虜で満杯らしいからな」

「あらん、甘くなったわね?」

「押さえつけるだけがすべてではないと学習したんだ」

 そういいながら話しているとリュウセイが、ハガネのある新しい機体を聞いていた。

「そういや、新しいの入ったんだな」

「ああ、あの機体ね?惚れちゃった?」

「うんうん、惚れた惚れた!!」

(え?)

リュウセイの言葉に、ラトゥーニが反応した。

「あの、スカートがいい!いやーR3もスカート穿けば、少しは色気がでるのになー」

(私も……スカート穿いてるのに……)

「あらー?誰が色気がないですって?」

 話しを聞いていたのか、アヤがリュウセイの足を踏んだ。

「痛ってー!!別にアヤのことを言ったんじゃねーよ!?」

「R3ってことは、あとRシリーズってのは2機あるのか?」

何も知らない、アクセルはふとリュウセイに聞いた

「ああ、ライが乗っているのがR2で俺はR1で合体するんだ!!」

「ほうほう、そんじゃリュウセイがメインの時はRロボ1でライがメインの時はR2ロボ、そんでアヤちゃんがメインの時はRロボ3って感じか?」

アクセルが言うとみな、ポカーンとしていた

「いやいやー、アクセル……ロボットアニメじゃあるまいし……」

 アクセルが三機で合体ロボと思いつくのはゲッターとザンボットだったのでこのような質問をしてしまった。

「そういや、あのロボットのパイロットは?」

「ふふ、イルム中尉やアクセルが大喜びしそうなボインちゃんよ!!喜べ野郎ども!!

カモーン!!ラミアちゃん!!」

 そうエクセレンが叫ぶと誰も、ラミアが現れた。

「はい、お呼びでござんすか?エクセ姐様」

 そうしてイルムはすぐに口説こうとしていたが、アクセルはじっとラミアの顔を見ていた。

「あらん、アクセルは見惚れちゃったのかしらん?」

「ん……いやーなんかどっかで見たことあるよな……」

「だから、アクセルのナンパの仕方古いわよんー」

 アクセルはラミアと顔、ブロウニングに反応したのは、何かあると思っていた。

(やはり、『こちら側』の隊長か?そうとしか考えられんが、こんなに性格が異なるものなのか?)

 イルムに口説かれながら、ラミアはアクセルとエクセレンの行動を見ながら思っていた。

「そういえば、アクセル」

「ん?」

「何故あの特機が現れた時、空間転移と何故わかった?」

 そう言われるとアクセルは悩んでいた。何と言っていいのかわからなかった。ソウルゲインが反応したからも確かにあるが、その前に自分も何か確信があって叫んだ、その何かがわからないのだ。

「言えないのか?」

「いや、ソウルゲインが反応したんだ……そんで、感覚的にわかったんだなこれが」

アクセルはそう言いながら写真を見せた。

「あと、この写真で誰か見たことないか?」

「アクセルさん救出パーティ?」

キョウスケはその写真を見ながらふと不思議な感覚になった。何人かは見た覚えがあった。いや正確には見た覚えがないが、一瞬デジャヴみたいのを感じた。

「いや、わからんな」

 デジャヴ感じただけで、他には何もわからなかった。だが、その写真を見た。エクセレンとライ、そしてブリットも同じデジャヴを感じていた。それは、ヴィレッタやリュウセイ、そしてアヤも僅かだが、デジャブを感じている。

 そして、リュウセイとアクセルそしてイルムはハガネに転属することに決まりハガネに乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

DC残党

やっとのことでゼオラを機体のコクピットから出した、ユウキとカーラ

「ねえ、本当に……あの子、やられちゃったの?でもあの子タフそうだし大丈夫かも知れないよね?」

「この基地に帰って来なかったのは、アラドだけじゃない……もしかして、弟と重ね合わせているのか?」

「……そうかもしれない……ユウはいつもクールだよね」

そう話しながら夜は深くなっていく

 

DC残党のとある一室

「アラド……アラド」

泣きながら、何度もアラドの名を呼んでいた。

「せっかく、ラトが見つかったのに……みんなで、オウカ姉さまと一緒に暮らすって約束するって言ったじゃない

……絶対にあの特機はゆるさない……許さない!!」

「アラド」

そう呟いた、その場にいない彼に向かって

 そして、呼ばれた彼はどうしているのか?

 ハガネの医務室、彼は一時的だったが目を覚ましこう呟いた。

「腹……減った」

っと

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

桜の花

……は死んだ

「つっ! あああっ!!」

28号は死んだ

「28じゃない!ちゃんとした名前が……アラドっていう」

 忘れなさい

「忘れる……? 忘れる!?」

忘れなさい

「忘れたくない! 忘れたくない! 忘れたくない!!」

もういない。28はもういない

「!?もういない……アラドは……28はもういない」

忘れなさい

「忘れなさい……忘れなさい」

 

 

 

ハガネ

「ん……でっかい?」

 アラドは目を覚ますと、目の前に大きな膨らむがあった。

「ふふ。お・め・ざ・め?」

 顔を上げると、大きく、柔らかいものに頭が埋まった

「いやん!積極的!!」

 それは、エクセレンのバストだった。

「って!!何なんッスか!?」

 慌てて、頭を離し状況確認しようと周りを見ていた。

「よかった、無事で」

「ラト!?なんで、ここに!?ってかここどこだ!?」

「ここは、ハガネよ」

「そうか……ハガネかー……助かったのかーって!!敵の船じゃねーか!!」

 ビックリして、叫んでしまった。

「あれ、てか俺、青い特機に……」

 徐々に落ち着いていくと、記憶がだんだん蘇ってきた。青い特機・ソウルゲインに撃墜された記憶がだんだんでてきた。

「アラド……アラドはアクセルさんに撃墜されて、ハガネの治療室に運ばれたの……」

「そうか……っていててて!!」

 体を動かそうとするが、体がゆうこと聞かなかった。

「まだ動いちゃだめよ!?命に別状はないけど、まだ安静にしてなきゃ」

 そうして、アラドは大人しく横になっていた。

「……ね、アラド」

 ラトゥーニはエクセレンやカイ少佐が治療室を出て、二人きりになると、アラドに問い掛けた。

「アクセルさんから聞いたんだけど、もしかしてゼオラを助けようとしたんでしょ。アラドって昔から、無茶するから……でも変わってなくて嬉しかった」

「そういう、お前は変わったよな……前は大人しくしくて、あまりしゃべらなかったし、笑わなかった……よかったな」

 ニィと笑いながら、ラトゥーニにそう言って

「そう言えば、ゼオラは!?もしかしてこの船に乗っては?」

 その問いかけに、ラトゥーニは少し寂しそうにした

「ゼオラはこの船に乗ってないの……でも、安心してあのあと、無事撤退したんだって」

「そうか……」

 アラドはひとまず安心した。生きて入ればまた会える。そう考えていた。

 

ハガネのトレーニングルーム

 体が訛らないように、それぞれが体を鍛えていると、カイ少佐から、アラドのことを言い始めた。

「リュウセイ、ブリッド。お前たちがアラドと話しをしてくれないか?」

「俺とブリットが、ですか?」

「ああ、ラトゥーニのことがあるからな。できれば、尋問じゃなく対話をしてほしいと思っている。彼はお前たちとも年が近い。あと俺は、アラドが自分で自分の道を決めてほしいと思っている」

「ブーステッド・チルドレン……もしかしたら、催眠暗示をかけられたスパイとも考えられます」

「それは、ないと思われちゃったりします」

「それは、ないんじゃないか?」

二人同時に、ライに対し、答えた。一人はアクセル、そしてもう一人はラミアだった。

「お!ラミア、奇遇にも同じ考えか?」

「ええ……多分、同じ考えだと思うでごんす」

「根拠は?」

「だってよう……ありゃあー普通に撃墜されるだろう?助かったのは俺の腕があってこそだったんだな、これが」

「ええ、スパイと考えられのであれば、もっと確実に安全かつ疑われないようにくるでありんす

 あのような、死亡率が高い潜入方法でくるわきゃねーでしょう。それに、アクセルたい……アクセルの腕で助かったとしても、偶然を狙いすぎだと思いやす」

「確かに、この船に潜入する前に死んだらもともこうもないか」

「だが、アクセル。仮にだが、お前がDC残党の一員で、記憶喪失が嘘だったらどうする?」

 それを言われたアクセルは困った顔をした。

「んーそれを言われたらぐーの音もでねー。けど確かに、俺も自分がこんなこと思いつくのかわからんしなー

あと、前にも同じことがあったような気がするんだな、これが」

「ライ、お前の懸念もわかるが、俺はあいつに対し、兵士ではなく人として接してやりたい」

「ですが、彼は捕虜です。」

「ああだが、リョウトみたいな選択をすれば、もしかしたら……」

「ですが、強制はしたくありません」

「ああ、それでいい。では頼むぞ」

 そのカイ少佐が言った言葉に対しラミアは考えていた

(何が悪いんだ?任務を完遂させるには、兵士である必要がある……何故、私はこうも気にかかる?)

「ミアちゃん!ラミアちゃん!!?」

 はっと、エクセレンの言葉に気が付くと、ラミアはマシーンを壊していた

「お……おほほ、おほほほ……」

 ごまかすように、笑いながらエクセレンを躱そうとしていた。

 

廊下

「ふむ、前にも同じことがあったよな?……ああーわからねー」

 アクセルはもやもやしていた。前にも同じことがあった気がしていて考えがまとまらなかった。

「ふむ……わからねーわからねー……」

 思い出そうとしても、中々思い浮かばなかったが

「いや、確かにあった……裏切り……俺はシャア」

何かを思い出しそうな、その時、ハガネの中でスクランブルがなった。

「って俺は赤い彗星か!?考えてる場合じゃねー!!」 

 スクランブルによって思い出しかけたが遮られてしまった。彼が思いだすにはまだまだ先のようである。

 

 

出撃した、アクセルやATXチームの面々が海で出撃すると、各機の射程圏外からビームが飛んできた。

「ちっ!?こっちの射程圏外からの攻撃かよ!?」

そうしてビームが発射された所を見ると月の光により照らされラピエサージュは姿を現し、そして後ろには多くのアルブレードが空にいた

「ラト……聞こえますか?」

通常通信で、ラピサージュから話かけてきている

「その声は……桜花姉さま!?」

「ああ、ラト、貴方が生きていてくれてとても嬉しいわ……」

 そういうと、ラピエサージュの後ろにいるアルブレードが各機に攻撃仕掛けて、ラピサージュはラトが乗っている量産型ヒュッケバインMk-IIを摑まえた。

「きゃあ!?」

「ラト……アラドを殺したのは、連邦のパイロットです。その連邦に貴方はいるべきではありません」

「それは誤解だ!姉さん!!俺は生きている!!」

「アラド!?何故そこに!?」

 アラドはハガネの治療室にいるとき、スクランブルが鳴って慌ただしくなっている時に逃げた。ラトゥーニに見つかってしまったために、ラトゥーニを機体に乗せていた。

「俺、ハガネに拾われたんだけど、この機体を盗んでラトと逃げてきたんだ」

「そうですか、なら早く一緒に帰還しましょう。私たちの母様が待っています」

 オウカの言葉にアラドは、疑いを持った。

「母様?……そんなのいないはず」

「やめて、アラド……私……帰りたくない……セトメ博士に、この大好きな人達の記憶を消される」

 アラドにラトゥーニは叫んだ。消したくない記憶ができていた。

「ラト?」

「かわいそうな、ラト……リマコンされてしまったのですね」

「違う、私は、私は」

「貴方は私たちと一緒に暮らしていた時を忘れてしまったのですか?」

「違う!!私は覚えているわ!!」

 悲痛な叫びだった。スクールの生き残りで、大好きだったオウカやゼオラが敵であるが会えた。そのことがラトゥーニには嬉しかった。今は敵だが、いつかはまたみんなで一緒に暮らせる日が来ると信じていた。希望はあった。何も変わってなかったアラド。この行動も敵側にいるからだと思い自分のためにしている。ならば、自分の言うことを信じてくれると、この状況でも彼女は信じていた。

「私は決めたの……みんなを、スクールのみんなを助けるって……だから、セトメ博士の所にはいけない!!」

 先ほどの悲痛な叫びとは違い、これは決意の証。みんなを救いたい。ただそれだけを願っていた

「アラド!ラトは強いリマコンを受けています!!助けてあげましょう。母様と私が救って見せます」

 これも、悲痛な叫びであった。お互いがお互いを思っているのに重ね合えない現実がただ無情だった。

「母様ってだれだよ?」

「アギラ博士です」

「姉さん!!あんな奴を何で母様って呼ぶんだよ!?あいつが何してきたか、わすれたのか!?」

「何を言っているんです!?セトメ博士は私たちを育ててくれたではありませんか!?さぁ。帰りましょう!!」

「駄目だ!!ラトは変わった!!笑うようになった!!前までのラトは笑わなかった……俺は今のラトが好きだ!!姉さん!!アギラのとこに連れていったらラトはラトじゃなくなる!!」

 そういうと、ラピエサージュの拘束を解き逃げようとする。

「貴方まで、リマコンされてしまったのですね……なら、助けてあげます!!それが私の姉としての義務です!!」

 そういいオウカは量産型ヒュッケバインを戦闘不能にしようする。だがその時、赤い閃光と青い閃光が見えた。

「アラドお前の心意気見せつけてもらったんだな、これが!!」

「あとは、俺たちに任せろ!」

 まず、アルトがラピサージュを押さえつけたが、パワーが違うのか、蹴りを食らわされ、飛ばされるが、すぐソウルゲインが聳弧角で斬りかかり、武器を破壊した。

「ちっ!邪魔しないで!」

 彼女から見たら、彼らは、自分の弟と妹を洗脳し、戦場に送り込む倒すべき敵だった。

「く……こんな時に……アスレス展開ブースト!!」

 ラピエサージュは、この宙域から脱出していった。

「アラドすまないが拘束させてもらうぞ」

 アクセルは申し訳なくアラドに言った。

「はい……これで、良かったんだ…多分…」

ラトゥーニをセトメ博士の元に連れていかなかったことを何度も確かめように呟いた

「ごめんね…ううん、ありがとう…アラド」

「いいんだ……」

 アラドには、オウカがあのような強いリマコンされているのであれば、ゼオラもリマコンされていると確信があった。

 

 

???

 戦場の混乱に生じて離れて誰もいない所行ったラミアと謎の女。

「状況は理解した。やはり故障していたのだな。これが予備だW17」

「ああ、W16」

 その時、W16と呼ばれている女の機体が重力反応を察知した。

  

ハガネ

「くっ!!空間転移か!?だれが近くにいる!!キョウスケ中尉!!敵が来るぞ!!」

 重力反応を察知したのは、アクセルのソウルゲインも反応したが、自分はアラドを拘束しハガネに移送中であり、すぐには動けない。そのため一番近いキョウスケに通信をした。

「ちっ!!また追ってあの特機か!?」

 キョウスケが反応している場所に向かうと、そこには傷だらけで片腕がないソウルゲインが現れた。

「ソウルゲインだと!?お前は誰だ!?」

 そうして、傷だらけのソウルゲインから

「まだ、滅んでいなかったのか!!ベーオウルフゥゥウ!!!」

「この声は、アクセルか!?」

赤い閃光と青い閃光が激突しそうになる、だが『あちら側』の戦闘によりボロボロなソウルゲインは倒れた。そこにまだ残っているアルブレードがアルトに牽制して、ボロボロなソウルゲインを運んでいった。それを見ているラミア

「やはり、アクセル隊長は『こちら側』のアクセル隊長だった……アクセル隊長」

 ラミアは気づいていなかった。最後に呼んだのはアクセルは、『あちら側』のアクセルではなかった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鏡に映った影

「この無能どもが!!貴様ら一時的であったが捕虜が逃げ出したんだぞ!!捕虜に自由を与えてはいけない!!」

 リーは苛ついていた。彼らは学んでいない。インスペクター事件の教訓は学んでいなかった。もし、捕虜が機体に乗りハガネの内部で暴れだしたらこのハガネは、沈んでいた。とリーは考えていた。

「……リー艦長」

 アクセルは怒っているリーに声をかけた。

「あーのー俺がアラドに命令したんですよ」

 アクセルが言った瞬間、他のパイロット達がアクセルの方を向いた

「貴様、いい加減なことを言うな!!証拠はあるのか!!?」

「いやー、アラドを餌にして敵をおびき出そうとしたんですよ……証拠はないですけど一応監視役として、ラトも乗せていたんだな、これが」

「信じられん!!……貴様が全て罪を被るのだな!」

 この問いかけに頷くアクセル

「なら!!修正してやる!!」

 リーは感情に任せ、アクセルの頬を何発も殴っていた。見ている者はリーを止めようとするものが多くいたが、カイやキョウスケが止めていた。

「……もういい!!貴様と捕虜は独房送りだ!!他の者はもういい!!本艦は補給にのため、アルビノ基地に向かう」

 アクセルは倉庫送りになった。アクセルは大人しくしながら、カイやキョウスケに倉庫に運ばれた。

 

倉庫

「本当にいいのか、アクセル?悪いのは俺だ。万が一も考えず見張りをつけなかったのは俺だ……俺に責任がある」

カイはアクセルに聞いていた。

「……まーしょうがないでしょ、上官に逆らったんだからな、これが」

 全く気にせずに倉庫に入る

「アクセル……」

「ま、気にすんなって、たった一日か二日だろ?」

 へらへらしながら、独房で横になっていた。そうして、しばらくしてラミアがやってきってアクセルに話かけてきた。

「アクセルた……アクセル、何故捕虜を庇ったのですか?」

「ん、ラミアか?……まぁ、アラドだったよな?」

「ええ……」

「……そこんとこは俺にもわからねーし、庇った所で結局独房にいられちまったからなー……俺は甘々だな、これが」

 そう呟いた。だが、アクセルに後悔はなかった。

「それは、兵士として致命傷ではありませんか?それでは、任務は達成できません……」

「んー兵士ねー……でもよ、兵士の前に俺らって人であるべきだと思うんだな、これが」

(……やはり、このアクセル隊長は……私の知っている、アクセル隊長とは違う……だが,

何故だ!?私は……何故、こうも……?)

 ラミアは気づいていなかった。自分が何を手に入れているのかを

「では、兵士は……兵士でしかないものは任務を取ったら何が残るのですか?」

「……そりゃあ人だろ、たぶんな」

「人が……」

(なら、人でない私は……何が残るって言うのだ?)

 ラミアは考えてもわからない。答えが出ない問いを探していた。アクセルのとこを去ると、それにアクセルは気づいていなかった。

「何てなー、どうだ、カッコいいか?……ラミア?ラミアちゃん!?ねえ、もういないの!?うおおおお!!なんか、恥ずかしくなってきたんですけど!?」

 アクセルの寂しい声が倉庫の中で響いていた。

 

 

補給をするため、ハガネはアルビノ基地ではリーが配属を変わることが決まった。リーは上からの命令でハガネの艦長を降りるように言われていた。次の艦長はダイテツに変わった。

「上の者はわかっていない!!このままじゃ……現場にいて造反者を出したL5戦役の二の前だ!私は異星人共を倒すために……父や母、シンシアの無念を晴らすために今まで戦ってきた何とか…何とかせねば」

 リーは苛立っていた。ハガネではアクセルのような勝手な行動や、捕虜を庇ったり、若いブリットは自分が言うことに一々突っかかってくる。このような、規律が甘い軍隊では地球圏は護れない。

「あらん……荒れているようね……確かに貴方が言うように今の腐った連邦の体制では、地球圏を護ることは出来ないでしょうね」

 リーは後ろから、謎の女性に声をかけられた。

「誰だ!?」

「……私は、貴方の理想を叶えてあげられる組織にいるの……リー・リジュン艦長」

「……要求は何だ?」

「ふふ、貴方が乗ることになる……シロガネよ……」

 こうしてリーは、悪魔の囁きに耳を貸してしまった。

 

 

 

ハガネ 倉庫

「ふがああー!!……ふがああー!!」

 大きな鼾をしながら独房で寝ていると、独房の扉が開くのを察したのかアクセルは目を覚ました。

「寝ている場合じゃないわよ!ワクウキのーリゾートに向かうわよ!!」

「あれま?あの堅物君は?」

 目を覚ますと目の前にはラトゥーニ、ライ、キョウスケとテンションが高いエクセレンが立っていた。そして、目の前にいないリーに多少の悪態をついた。

「あー、アクセルが独房にいる間に艦長が変わりましたー!!そんで、アクセルには独房を耐えたご褒美で……何と、リクセント公国でーす!!」

「どこだいそこは?」

「いい加減なことを言うな、エクセレン……新たな任務だ。リクセント公国で行われる式典の警備だ」

「あれまー俺がいない間に色々あったみたいだな、これが」

「詳しい話はブリーフィングルームでする……」

「へいへい、そんじゃあワクウキの任務でも聞きますかねー」

 立ち上がり、ブリーフィングルームに向かうアクセル。ブリーフィングルームにはカイ少佐がいた。

「アクセルも来たので、今から任務の詳しい内容を話すが、何故リクセント公国に向かうかと言うと明後日から始まる地球環境サミットが始まるのは、知っているな?そこでお前たちにPTで警備を支援してもらう」

「向こうにも連邦の駐留部隊がいたと思いますが?」

「そこは、政治的な判断になるらしい、それにお前たちの機体は知名度が高いからな……そしてアクセルを選んだ理由は、極東基地での報告をみていたからだ。万が一のことを考えて白兵戦になった場合、お前が最も対応できると判断した」

「まぁ、ぶっちゃけ技の型は体が覚えているだけだからなー頼りになるのかはわからんぜ」

「お前の記憶がないことを引いても、お前の身体能力や技は頼りになる。そしてアクセルやキョウスケには万が一を考え、ゲシュペンストmk‐Ⅱを用意した。アルトにソウルゲインは今メンテナス中だからな」

 そう言うと二人にゲシュペンストmk‐Ⅱのデータを渡した。

「ソウルゲインも、メンテは必要だからな」

「了解です」

「……キョウスケ中尉とエクセレン少尉とアクセルが行く理由はわかりましたが、自分とラトゥーニ少尉は何故?」

 ライはふと疑問を口にした。

「色男さん……鈍いわねー!女王様がお友達のラトちゃんと貴方に会いたいからに決まっているじゃなーい!!」

「エクセ姉さまもしかして……?」

「ええ、そうよアクセルー……あのむっつり色男はねー」

「あらー、むっつりにみえて意外とやるんですのねーエクセ姉さまー」

 エクセレンとアクセルはにやにやしながら、ライを見ていた。

「む……何を見ている?」

 見つめてくる二人に少しむっとしたのか、二人を少しにらんだ。

「別にー、だよねーアクセルくーん」

「そうですねー、エクセ姉さま」

 二人はほほほほと笑いながら、ライをからかっていた。

「まだ、機体の修理に補給を済んでない以上DC残党追撃任務はできんしな……そして、ラトゥーニはオウカ・ナギサやアラドのことは気にするな。アラドのことは、悪いようにはしない……では頼んだぞ」

 そうして、ブリーフィングが終わりアクセルたちはリクセント公国に向かった。

 移動機の中

「いやー、ラトラトは王女様と友達なのかー」

向かう途中はL5戦役の話しなどを聞いていた。そしていつの間にかラトゥーニをラトラトと呼んでいた。

「あの……ラトラトって?」

「あらーいいじゃないラトちゃん。

可愛らしい愛称よー」

 この様にアクセルやエクセレンはラトゥーニと遊んでいて、キョウスケやライは静かに過ごしていると到着した。

 移動機から降りると多くの兵隊が出迎えていた。

「あらあらまるで国賓待遇じゃないー」

「こりゃーすげー」

 この光景を見ながらアクセルとエクセレンは興奮していたが

「二人して騒ぐな」

「みっともない」

 その言葉に二人はムッとしながら

「ラトちゃんあのむっつりコンビ酷―い!!」

「ラトラトも何か言ってやれ!ここに来れて嬉しいですとか」

 二人の子供っぽい行動に苦笑いをしながら、歩き出し前をみると、そこには大切な友達の一人シャイン王女が送迎のリムジンの前で待っていた

「ようこそ、リクセント公国へ」

 にっこり笑顔で5人を出迎えにきていた。

 

アルビノ基地

「久しぶりだねーリュウセイ君」

「リュウセイで言いて」

「それじゃあ……リュウセイ」

 少し、恥ずかしそうにしながら答えるリョウト。イルム、リュウセイ、カイ、ブリットは未知の機体について専門科であるイルムの父でありテスラ・ライヒ研究所の所長のジョナサンやマオ社に出向しているリョウトに通信をしていた。

 「それじゃあ、このアルブレードについてだけど、マオ社では流失した形跡はないし……それに今現状である三機のアルブレードの所在が判明してるし、仮にデータが漏れたとしても、開発期間があわないんだ……それに、これは存在してないんだ。オオミヤ博士に見せた所によると……この機体は、アルブレードの量産型……まだ、設計中なんだ」

「全くわからん……謎だらけだな」

「謎って言えば、ブリットたちが中国で遭遇したという超機人や植物型の怪物も気になるな」

 この中で唯一遭遇したブリットは答えた

「ええ、植物型アンノンウも超機人も足取りもわかっていませんし」

「いやーでも映像を見る限りだと青龍と白虎のスーパーロボット……燃えるなー!!もしかしたら、あと二機あるんじゃないか?朱雀や玄武型の超機人がさー!!」

「まぁ、そっちは考えたってしたかがない」

 そう、イルムが言うとリュウセイはがっかりしていた。

「気になる機体はあと二機だ……親父何かわかったか?」

イルムは、ウォーダンと名乗る人物が乗っている機体とアクセル・アルマーが乗っているソウルゲインの映像を見せた。

「全く、たまに連絡をよこしたらと思ったら……」

 ジョナサンの第一声はボヤキから始まった。

「今更、親子の会話をしようってのんかよ?それよりだ、この二機についてどう思う?俺はこのドリルの機体は、まるでゼンガー少佐が乗ったグルムンガストだ。俺はこの機体は、グルムンガスト系統かもっと進化した機体だと思っているんだが?」

「この、ウォーダンと名乗る者の機体は何処となくお前が言うようにグルムンガストの系統に所々は似ている……しかし、このソウルゲインは見たことがない……こいつの系統はわからんが、一つ気になることがある……」

「なんだ?」

「実はテスラ研でソウルゲインに似た設計図を見たことがある」

「何だって!?そりゃあー本当か!?」

「ああ、だが……それは、存在するわけがない……」

「意味が分からんのだが?もしかしたら可能性は低いが流失したかもしれんじゃないか?」

「……確かに、ソウルゲインに似た設計図は見たとはあるが……完成していない、というか……それは破棄されたプロジェクトだ」

「破棄ですか?」

 ブリットは疑問を口にする。

「ああ、グルンガストシリーズと他にもう一つ他の特機を作ろうとしていたチームが有ったらしい……それがソウルゲインに似た設計図だ。だがこの案は却下された」

「何故です?」

「この……プロトソウルゲインとでも呼べばいいか……このプロトソウルゲインの構想はパイロットの動きをそのまま機体にトレースさせるシステムとパイロットの思考を機体の動きに反映するシステム。この二つのシステムにより、パイロットの動きをそのまま機体にリンクさせる事により人間の動きに近い滑らかで格闘戦に特化した機体として完成されるはずだったが、機体が完璧でもそれを操る人間が格闘の達人でないと使えんことや、動力に生体エネルギーを使うことを想定されていた……しかもこの生体エネルギーを使うためには特殊な訓練が必要だったため、ワンオフの機体が予想された……

当然当時のこのプロトソウルゲインを完璧に操れるパイロット候補生がいなかったこともあり、破棄されたが、このシステムだけを使い一機だけ似たような機体をビアン総帥が作り上げた」

「それは?」

「ヴァルシオーネだ」

「では、その科学者たちが独自で作り上げたとは考えられませんか?」

 ブリットは考えられること口にした。

「いや、無理だ……そのチームはまだテスラ研にもいるし……それにプロトソウルゲインは合体想定をされ合体し、このソウルゲインと同等の力を出すとされている。つまり、ソウルゲインはプロトソウルゲインの完成系と言える……これを二機も作っている資金も時間もない」

 そう話すと結局わからないことばかりだった。

「突拍子な話ですが、この機体たちは未来から来たのではありませんか?」

 リョウトは、自分も信じられないことを言った。

「おいおい、それはさすがに」

「ええ、ですから突拍子な話って前置きしたじゃないですか……ですが未来から来たということならこの機体たちが存在する納得するんですが……」

「まぁ……それくらい非現実的な話ってことか」

 そう話していると、廊下には聞き耳立てている者の姿があった。

(どういうことだ?あのアクセル隊長は『こちら側』のアクセル隊長ではないのか?……いや、今は任務が優先すべきことだ……人が残るか……何故この言葉が頭から離れない!?)

 ラミアはアクセルに言われたことを考えていた。兵士から、任務を取ったら人が残る。自分は人ではない、自分から任務を取ったら存在価値はなくなるのではないかと……ふと。ラミアはアクセルに会いたいと思った。自分の存在価値をもしかしたら、あのアクセルならば答えをくれるのではないかと。

 




リーの扱いが悪かったですかね……しかも、無理矢理感がありますし……
あと、ソウルゲインがこちら側にない理由を自分なりに作って見ましたので、ご了承ください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

黒い堕天使

アクセルらはリクセント公国の城につくと、シャイン王女の働きぶりを見ていた。

「皆様、お久しぶりですね……どうやら、まだご挨拶もしたことのないかたもいますが。あと落ち着かず申し訳ございません……でも、夜会になれば自由な時間もあったりしちゃうので、ぜひご参加してくださいませ……じい、彼等を服飾室まで案内を」

「はい」

 シャイン王女は忙しそうにしながら、執事のジョイス・ルダーラに後を任せ自分の仕事に再開した

「ルドール卿……服飾室と言うのは?」

「こちらでございます」

その後シャイン王女のご厚意によりジョイス・ルダーラからの世界中の老若のあらゆる服がそろっている服飾室へ案内された。

「いやー色々な服があるな、これが」

「ええー、どれにするか迷っちゃう!!」

 このようにアクセルやエクセレンは多くの衣装を見ながらテンションを上げていた。

「では、皆様をコーディネートするのはリクセント公国服飾部です」

 服飾室でメイドなどがアクセルたちに服装を

「アクセル様、こちらの服などがいかかがですか?」

「他にもこちらはいかがでしょうか?」

 複数のメイドから服を進められてアクセルはご機嫌だった。

「いやーこんな可愛いメイドちゃんたちが服を選んでくれる感激なんだな、これが」

 アクセルはメイドたちを口説きながら服を選んでいた。

「では、お嬢様……こちらはいかがでしょうか?」

 エクセレンに対しメイドは派手なドレスを進めていた。

「あらん、お嬢様なんてー……これもいいわねー」

 まんざらでもないのか、嬉しそうにしながら服を選んでいた。

「サイズはいかがでしょうか?」

「悪くはない」

 口ではあまり言わないが上機嫌でタキシードに着替えているキョウスケ。

「ラトゥーニ様はこちらがお似合いになるかと」

「えっと……軍の服がありますので」

 進められた服を見ながら、苦笑いをしながらやんわり断っていた

「ライディース様にはこちらの服装などはいかがでしょうか?名門のブランシュタイン の名に恥じない衣装だとおもうのですが?」

 そう言うと執事のジョイス・ルダールが貴族の軍服を出してきた。

「いや、自分は軍の礼服がありますので……そもそも夜会と言う場は……」

「失礼しました……ライディース様……年甲斐もなくはしゃいでしまって……ですが、ご無理を承知でお願いします……本日の夜会はどうかご出席ください」

 シャインは予知能力を持つ家系であり、本人も予知能力者である。 その王女が数日前から悪い予感に気に病んでいることをライに明かした。

「他にもお願いした方はいますが本日だけでもなんの衒いもなく方々と、とそう考えライディース様とラトゥーニ様を無理言ってお願いしたのであります」

「わかりました……では我々の本日の夜会で王女のそばにいます。護衛という形で」

「恐れ入りますライディース様……では、この服装を」

「いえ、普通のイブニングで……」

ライはさすがにその服装は無理だったのか、丁重にお断りした。

「ほんじゃ、今日の王女さまの護衛はライにまかせるぜ……」

 話を聞いていたのか、ライに話かけるアクセル

「アクセル?」

「だってよう、恋する乙女を邪魔するのは趣味じゃないんだな、これが」

 ライにそういうとアクセルは結局いつも着ている服で過ごすことを決めた。パーティーが嫌いと言うわけではなかったが、自分は一応護衛の任務で来ているためいつもの服の方が動きやすいと言う理由ではなく、ただ純粋にこの国を見て見たいと思いそれならば、いつもの服の方が動きやすいと思ったからだ。

 

路地

「まあ、夜会が終わる前までには帰ればいいかねー」

 そうして、城から出てリクセント公国を見ていたが誰かに尾行されていた。それに記憶を失っていてもそれに気づかないアクセルではなかった。アクセルはいきなり走り出して、路地裏へ走っていった。尾行していた者もそれに気づき、路地裏へ向かった。

「お前俺のことを知っているのか~?」

 路地裏でアクセルは待ち構えていた。もしかしたら、尾行している人物が自分の過去を知っているかもしれないと思ったからだ。

「知っているさ……恐れていた事態になってしまったが仕方がない……せめてでも俺の居場所がわからないように貴様はここで倒す!!」

 アクセルは目の前の男は拳銃を構えながらそうアクセルに向けていった。

「あらー記憶を失う前の俺は恨まれていたのねん?」

 アクセルは身構えて男が持っている拳銃と男の目を見ていた。男は拳銃で撃ってきたが、アクセルは相手の動きを見ながら銃弾の軌道を読みながら躱していった。

「ちょいなぁ!!」

「ちっ!!」

 アクセルは男の銃弾避けながら男の懐へと近づいた。

「悪いな、いただく!!」

 そして、男に向かって殴る、殴る、殴る。男もアクセルの連撃に守りを固めるが、相手が悪い。一撃一撃が必殺の拳が男を襲うが、男も致命傷を避けている。

「白虎咬!!はあああ!!」

 アクセルは手の平に気のエネルギーを収縮させて、男に向けて収縮した気を相手に向けて、一撃を喰らわした。

「くっ!!流石と言うべきか……」

「てめぇ……何者だ?」

 アクセルは気づいていた。白虎咬を当てたが、手応えを感じなかった。男は寸前に後ろに下がり致命傷を避けていた。

「……俺を知らないのか?」

「ああ……わからないが、あんたは俺のことを知っているみたいだけど……」

「……俺の名はギリアム・イェーガー……地球連邦軍情報部所属ギリアム少佐だ」

 ギリアムはアクセルに対して言うとアクセルの反応を見ていた

「俺はアクセル・アルマー……あと悪いがギリアム少佐……記憶にないんだな、これが」

 申し訳なさそうにギリアム対して言う

「あとギリアム少佐これ、見てくれ……もしかしたら、あんたなら知っているかもしれねーからな」

 アクセルは写真を見せた。

「どれ……!?」

 ギリアムは写真を見ながら内心驚いていた。写真にはかつての、懐かしき友が写っていた。

「どうやら、俺は勘違いしていたようだ、申し訳ない」

 ギリアムは目の前にいるアクセルは自分が前にいた世界の住人ではないことに気づいた。そしてこの世界ではないとも気づいた。

「んで、俺を知っているのか?」

「……いや、君によく似た人物は知っているが、君自身は知らない」

「そうか、なら聞いても仕方がない」

「信じるのかね、いきなり襲ってきた俺の言うことを?」

「ああ、それに半端な知識はいらねーんだな、これが」

 そう言うと、夜会の方が騒がしくなってきた。アクセルとギリアムはそれに気づき城に向かった。

 

リクセント公国・街中

 そこには、パレードを見ている袴姿のキョウスケに肩を出したドレス着たエクセレンの姿があった

「いいのか……夜会に出なくて?」

「ええ、あっちは色男にラトちゃんに任せるの……それに久しぶりの二人だし……今は任務中?」

「街の警邏は任務に入ってないさ」

そう聞くとエクセレンはキョウスケの腕に抱き付いた。

「二人きりか……覚えているか?中国でのアンノンウの声を」

「ええ……PTの通信記録にも残っていないし……聞こえたのは二人だけ、愛し合う二人しか聞こえなかったわね」

「……共通点はあの事故だ……」

「やっぱり、そっちか……もしかしたら、私たちもブリット君やクスハちゃんみたいな超能力に目覚める前兆だったりして!!」

「まぁ、それだけではわからないが……どんな超能力に目覚めるんだ?」

「愛……」

「そうか、お前デートがしたいから夜会をことわったのか?」

 こうもストレートに言われると顔が赤くなりのを感じたエクセレンは誤魔化すようにキョウスケから離れた。

「とと、とにかく祭りよ!そう、祭り!!若菓子たべたり、型抜きしたり、牛に追われたり、トマトを投げ合いするのよん!!」

「どこの国の祭りだ?」

溜息しながら、どこか嬉しそうにしながらエクセレンのあとを追って行った。

リクセント公国・夜会

「やっぱり、お似合いですわ!!ラトゥーニ!!」

嬉しそうにシャイン王女はこの夜会のためにラトゥーニに可愛らしいメイド服のような服を用意していため、流石に断れなくラトゥーニはその服を着ていた。

「ええ……ありがとうございます」

「ラトゥーニ……どうかしましたか?」

 友人のラトゥーニに少し元気が無いことに気づいたのか見つめる。

「いえ、なにも」

 そう話していると、タキシードを着たライとジョイス・ルダーラがやってきた

「きゃあー!!ライディース様めっちゃいけ……もとい凛々しいですわー!!あの今夜……」

 ライに黄色い声援を出しながら、急にシャイン王女はライに倒れこんできた

「シャイン王女!?」

 ライは倒れたシャインを支えた。

「炎……地……爆音……はじける」

 19時丁度になった瞬間城の周りで爆発を起こした。そうすると顔を隠して武装集団が城を包囲した。

「ふむ、王女がいないと身代金の額に影響しますからね……こちらから、お迎えにいきますかね」

 アーチボルトはそう呟くと、部下を連れて歩き出した。

リクセント公国・城

「いやあ!!」

 ラトゥーニはテロリストらしき者を蹴り倒していた

「この方々は!?」

「おそらく、ただのテロリストではないでしょう……武器や手際のよさ……警備は強化していたのに」

「状況を確認しにいったジョイスとも連絡がつきません」

 その時銃撃の音がした。

「お分かりの通り今のは、警告です……いやー、大人しく人質になってくれませんかんね、シャイン王女」

「貴様何者だ!?所属は!?」

「僕の名前はアーチボルト・グリム……雇い主は教えられませんので」

 ライはアーチボルトと言う名を聞くと持っているマシンガンを構え、怒りに含みながら睨みつけた

「おや、僕の名前を知っているんですか~?」

「忘れるものか!!エルピス事件の張本人を!」

「まぁ仕事柄恨まれることは多いですが……良ければ貴方のお名前教えてくれませんかね?」

「ライディース・F・ブランシュタイン!!」

「ほうーブランシュタインと言うとあの黒い竜巻・エルザム君の弟ですかー」

「貴様のせいで義姉上が!!」

 怒りで顔を睨んでいた。

「くははは……はははは……いい反応ですねーエルザム君に教えた時もいい反応でしたよまるで自分は冷静ですよという振りがー」

「アーチボルト!!」

怒りが頂点に達したのか、マシンガンでアーチボルトに対して撃っていくが、全弾アーチボルトの前で落ちていった。そして銃弾を止めたと思われる者たちが姿を現した。彼等にはステルスがしてあった。だが、彼等を人とよんでいいのかわからない。何故なら誰も同じ格好で生気を感じられなかった。

 そのうちの一体がライに襲い掛かってきた。

「ぐっ!?こいつ!?」

 そのスピードは一瞬であり、反応できなかった。

「おっと殺しては行けませんからねー」

「くっ!こいつらは!?」

「いやーさるお方から借り受けたんですが……僕もわからないですよー……いやーもしかしたら人ではないかもしれませんねー」

 その時スモークが出て、周りの視覚を遮っていた。そしてライを捉えていた者が倒れライに通信が入った

『私が敵を足止めする。少尉は早く非難したまえ』

「その声は!?」

 スモークで周りは見えないがライはアーチボルトの姿だけは見えていた。

「いやー邪魔は入りましたが……くくく、ライディース君!!」

ライに向かって一発の銃弾を撃ったが義手でライは銃弾を止めた

「アーチボルト!!貴様の顔は覚えたぞ!!」

 そしてライはシャインをお姫様抱っこしながら、ラトゥーニは走り出し中庭の方へ向かった。

「ギリアム少佐!?アクセル!?」

 中庭にいたのはギリアムとアクセルだった

「少尉こっちだ……サミットが狙われるという情報があってな、内偵を進めていたのだが、敵の方が一枚上手だった」

 走りながら状況を説明すると、ベランダにつき、逃げ場を失ってしまった。

「このあとはどうすれば!?非常階段はありません」

 シャインは焦っていた。このままではやられてしまう。

「その通り……もう逃げ場はありませんよ?」

 もうアーチボルトたちに追いつかれてしまったが、ギリアムは落ち着いていた。

「ふ、心配はいらないさ……メインターン・アクセス」

 そういうとギリアムはベランダから飛び出した。

「コード・アクティブ!!コール・ゲシュペンスト!!」

 そういうと城の敷地内に隠していたゲシュペンストが動き出しギリアムは右手に乗った。

「掃射!!」

 そういうとゲシュペンストが城の上の方を撃ち瓦礫を落としアーチボルト達を足止めした。

 そうして、ゲシュペンストの手のひらにはシャイン王女、ラトゥーニ、ライ、アクセル。だがアクセルは急に

「んじゃ、俺はキョウスケ中尉たちのほうへ向かうあとは頼むんだな、これが」

 そう言うと飛んでいるゲシュペンストからから飛び降りてしまった。

「な!?アクセルさん!?」

「アクセル!?」

 みなの心配をよそにアクセルは無事屋根に飛び降りて屋根から屋根へと移動しているのが見えた。

「あいつは人間か!?」

 そう話していると、海にでたがその時だった。海の中からリオンFなどのPTが現れてギリアムが乗るゲシュペンストに攻撃を。

「くっ!……人を手のひらに乗せながら闘いは無理か!!」

 ギリアムはリオンFからの攻撃を細心の注意をしながら避けていた。その時リオンFにビーム砲が当たり数機のPTが撃墜されていた

「祭りに無粋なことはさせないわよん」

ヴァイスリッターにのったエクセレンがゲシュペンストの援護をしている

「さがれ、エクセレン!」

「任せろ、エクセ姐さま!」

 後ろから二人が乗るゲシュペンストが現れた。

「使ってみるか」

「んじゃあ、データに有ったやつ使いますかね!」

そう言うと、赤くペイントされたキョウスケの乗るゲシュペンストとアクセルの乗るゲシュペンストが最大ブーストをし、空を飛んだ

「極める!!究極!!ゲシュペンストォォォォオ!!キィィィックッ!!でぃぃぃやっ!!」

「究極!!ゲシュペンストォォオ!!キィィィィックッ!!」

 そして二機のゲシュペンストは攻撃をするPTを破壊していった。

「どんな装甲だろうと、蹴り破れるのみ」

「こいつは一回やるとはまるんだな、これが」

 二人は満足そうに言っていた。

「アクセルはともかくキョウスケも……」

 いつもは自分がやっていることを、キョウスケがやると思ってなかったのか苦笑いで二人を見ている。

 どうにか、この状況を脱することができたのかギリアムは安心していると、ギリアムの乗るゲシュペンストに通信が入った

『未確認の……地球に』

 途切れ途切れの通信が鳴っていると、その瞬間空を見ると大気圏外からの攻撃が空に一直線のビーム砲らしきものが飛んでいた。

「まさか……彼等が!?」

 そうギリアムは呟いた。

 




すいませんが、リョウト君やら、アイビスやらの活躍はアクセルが出てきそうもない話なので飛ばしますね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集う勇者たち

???

 とある基地ではソウルゲインの修理が急ピッチで行われていた。だがしかしこのソウルゲインは我々の知っているアクセルが乗っているソウルゲインではなかった。

ソウルゲインの修理を『あちら側』のアクセルは見ていると後ろからレモンに話かけられた。

「……アクセル」

「俺は、ベーオウルフの言葉が許せなかった……確かに俺は闘争を日常とする世界を望んだが奴のような異物はそのバランスすら崩壊させる……」

「その世界があのような怪物を産んだのかもね……でもこちらのキョウスケ・ナンブはあなたの知っているベーオウルフではないみたいよ」

「今の所は……だ……」

「アクセル?」

「心配するな、目的は破棄違いたりせん、これがな……だがもし『あちら側』と同じになれば奴は倒す……この俺がな!!」

「あらーずいぶん頼もしいわね……なら面白い情報を教えてあげる」

「面白い情報だと?」

「ええ……『こちら側』の貴方はどうやら、キョウスケ・ナンブと同じ艦に所属しているらしいわ……皮肉よね、『あちら側』では殺し合いをした仲の二人が『こちら側』では仲間って言うのも」

「……何という悪い冗談だ……」

 アクセルは考えていた。あのベーオウルフと自分が同じ艦いることが想像したが、想像することができなかった。やはり、自分とベーオウルフは何処まで行っても相容れない存在だと思った。

 アクセルは立ち上がり、格納庫の方へ向かった

「レモン……動く機体はないのか?」

「アクセルまさか貴方、向かう気?」

「ああ、この世界の俺が気になる……心配はするな、偵察程度だ、これがな」

 そう聞くとレモンは溜息をしながら、やれやれと言う感じでアクセルに言った。

「貴方用にアシュセイヴァーを調整しとくわあと、ソウルゲインの修理も作戦までに間に合わせる……だから今の体で動くのはやめて貰えるかしら?」

「ふん、わかった」

「それじゃあ、今は体を万全にしてなさい。」

 そう言うと、アクセルは格納庫の方を向いた。

「真の敵は己と言うが……面白い俺の前に立ち塞がるのが俺でも俺が倒すまでだ、これがな!」

 

 

月マオ社

 リクセント公国襲撃の約一時間前謎の集団に攻撃され、パイロットや機体だけでもヒリュウ改へ逃げ伸びることができた。

「こちらメキボス……制圧は完了したが、ヒュケバインの奪取は失敗」

「こちらアギーハ……ピーターソン基地制圧完了」

「……」

「こちらヴィガジ……ラングレー基地制圧終了」

「これで足場は固まった作戦も次の段階に進めよう……ああ……テスラ研も制圧しておいてね、あとはシュウ・シラカワの居場所も探っておいてね」

 外宇宙からやってきたと思われる彼等は地球圏への侵攻の開始した

「さぁー愚かな種族のおもちゃを取り上げよう」

テスラ研

テスラ研に彼等は侵略していったが謎の食通によって機体やパイロットは無事避難できたがテスラ研は制圧されてしまった。

 だが、機体やパイロット達は逃げられた。次に勝利するため今は逃げるときだった。

 アビアノ基地

「各員に告げる、我々は今からDC残党に占拠されたリクセント公国へ向かう……現在の地球圏の状況を知る者には疑問を抱くかもしれん……だが、来るべき決戦の時に向けて後顧の憂い断たなければならん!!各員の奮戦に期待する…ハガネ発進する」

ATXチーム、イルム、リュウセイ、ライ、カイ、ラトゥーニ、アクセルは次の闘いに向け準備をしていた。目指すはリクセント公国

 

ヒリュウ改

「ダイテツ中佐、今参謀本部から許可が下りました……ヒリュウ改は只今をもちましてハガネと行動を共にします」

 そうして、レフィーナはこの艦にいる者達に向かって声をかけた

「本艦に所属するオクトパス小隊、月から合流したマオ社スタッフ、テスラ研から脱出したプロジェクトTDメンバー……そしてサイバスターとヴァルシオーネ……皆の気持ちは一緒です……L5戦役の奇跡を……」

「諸君の参加に歓迎すると同時に感謝する……行くぞ」

 目指すはリクセント公国

「ふんー、ヒリュウ改にも色々な種類の機体が乗っているんだな」

 ブリーフィングルームに行く前にアクセルは初めて一緒に闘うオクトパス小隊や、サイバスター、ヴァルシオーネの資料を見ながら、歩いていた。

「君がアクセルか?」

 アクセルは目の前にハガネの艦長のダイテツがいた。ダイテツに対してアクセルは頷いた。

「カイ少佐から噂は聞いている」

「いやー大した噂ではないと思いと思うんだな、これが」

「あとリュウセイから聞いたんだが、高級な酒を多くもっているらしいな……」

「あー……やっぱ持ってきちゃいけなかったですかねー」

「いや別にいいが、全てが終わった後、皆で飲まんか?この艦に隠している、とっておきがあるのだが」

「それは、いい考えなんだな、これが」

 ダイテツがそう言うと、アクセルは極東基地での賭けは勝ったことしかないため大量に隠していた。一人で飲める量ではない、それならば皆で飲もうと思ったアクセルは頷いた。

「では、頼む……すべてが終わったら、皆で飲み明かしたいと思う」

そう言うと、アクセルは頷いた

「了解なんだな、これが」

「では、アクセル……頼むぞ」

「わかったぜ、ダイテツ艦長」

 そういうとアクセルはブリーフィングルームに向かった。

「来たか、アクセル」

 ブリーフィングルームにはアクセル以外そろっていた。

「では、インスペクターの反抗に先立ち、DC残党に占拠されたリクセント公国を解放する……そのためにまず我々の戦力を二つに分けることにした……先行上陸部隊は、俺とオクトパス小隊、イルム、リョウト、リンだ……敵は市街地外周に展開している。そこで先行上陸部隊は敵兵力を引きずり出すことだ。市民の犠牲は出さず作戦を成功させたい……皆も意識してくれ!!」

「了解!」

皆がそう言うと、先行上陸部隊はハガネに乗り、アクセル達はヒリュウ改へ乗り込んだ。

 ヒリュウ改へ乗り込むと、すぐにアクセルらは作戦への準備をしていた。

「しかし、あの隣のヴァルシオーネって機体……何と言うかすげーな、これが」

 ヒリュウ改へ乗っている機体を見ながら、アクセルは見たことのない系統のサイバスターやヴァルシオーネに興味を持ったのか見ているとラミアがやってきた。

「アクセルた……アクセルちょっとよろしいでありんすか?」

 ラミアがアクセルに話をかけてきた。

「お、ラミアちゃん……」

「ラミアちゃん?」

 ラミアはアクセルからちゃん付けされるのに、少し戸惑いながら見つめている。

「あの、前の質問の続きなのですが、もし任務だけに生まれ作られた者から任務をなくしたらのならですなると思っちゃたりしますか?」

「……自分の好きなように進むしかないじゃないか?」

「自分の好きに……?」

「ああ、ラミアちゃんが何に悩んでいるか知らないけどさ、自分が迷っているなら自分の気持ちにしたがった方が楽だと思うのだな、たぶんな」

「悩む……気持ち……」

「まぁ、答えではないかもしれないけどな、これが」

「いえ、とても参考になりやした、ありがとうと思ったりします」

 そう言うとラミアは自分の機体であるアンジュルグに向かった。

「そうか、これが……気持ちと言うものなのかもしれんな……私は、壊れてしまったのか?」

 ラミアはそう呟いて歩いていると後ろから抱き付かれた

「ラーミーアーちゃん……ってやっぱこのサイズ……ガーネット敗れたり、だったのね」

 エクセレンはラミアに抱きつくとついでに胸も触っていた

「あの、エクセ姐様?」

「あ……ごめんねラミアちゃん」

 にやけながらエクセレンはラミアを見つめていた。

「ラミアちゃん……もしかして、アクセルに惚れちゃったのかしらん?」

「惚れるですか?」

「ええ、だってアクセルが独房に入れられた時も何度も足運んだし……今だって作戦前にアクセルに会いに行くなんて、恋よね、これは!!会いたいって思ったことはないかしら?」

「会いたいとですか……確かに、いなかった時は会いたいと思っちゃったりしましたが」

「ふふふ……ラミアちゃん自身が気づいてないかもしれないけど、それが恋よ……ああー戦場で結ばれた二人……ロマンチックねー……それじゃあ、この作戦が終わったら恋する少女の大作戦を開始するわよー」

 そう言うとエクセレンはラミアと一緒に自分の機体へ向かった

「……あの、気持ちが恋か……覚えてこう」

 アンジュルグに乗り込み、ラミアはそう呟いた。

 

 

「俺のR‐1も運んでくれたのか……リョウトには感謝しなきゃな……」

 マオ社から運ばれたR1の調子を確かめながら、リュウセイはそう呟いている

「リュウセイ……ちょっといい?」

 リュウセイの所にラトゥーニから通信が入った

「ん?ラトゥーニ……どうかしたのか?」

「ええ、ライディース中尉のことなんだけど……」

 

 

 ハガネ

「たまには女の子に激励されてみたいっすねー……そう思いませんか、ラッセル少尉」

タスクは溜息しながらふと愚痴を呟いた。

「いや、自分は……」

 タスクに言われて、ラッセルは困惑していた

「……タスク」

「リョウト君だけなら、いいけど」

 リオとレオナはタスクの言葉にそう呟く

「それじゃあ私が言ってやろうか?」

「いやー、なんか、カチーナ中尉は違うんですよ」

「なんだよ!!私じゃ不満なのか!?私も女の子だぞ!!」

 たまたま通信を聞いていたのかアクセルは通信に割り込んだ

「それじゃあ……コホン、ここは、僭越ながら俺が」

 咳払いしながら、アクセルは声を整えた

「タスクさん、ラッセルさん……頑張ってねえん」

「気持ち悪いっす……アクセルさん」

「……」

 ラッセルに至っては無言になっていた。

「アクセル!!……地獄に落ちろ気持ち悪い!!」

「ひでえ」

「おい、お前ら無駄話は終わりにしろ……先行上陸部隊は全員出現だ」

 




皆さん指摘ありがとうございます。直していきますね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

妖精と人形と

バレリオン部隊がハガネに気づいたのか、リクセント公国では警報が鳴り響いていて先行上陸部隊へ攻撃を開始した。

「カイ少佐……どうやら、敵に見つかったようです」

「それでいい……各機落とされるなよ!!最大火力でおびき寄せる!」

「了解!」

 

ハガネ 独房

「始まったのか……」

 アラドは独房のため外の様子はわからないが、音などで戦闘が始まったと感じた。

「ラトも……あの王女さんも……闘っているのか?」

 アラドは作戦が始まる前にラトゥーニとシャイン王女が独房に来た時を思い出した。

 

「シャイン・ハウゼンと申します……よろしくお願いしますわ」

 シャイン王女は独房にいるアラドに挨拶をした。

「シャイン王女は私の大切な友達なの」

「そうか……いい友達がいるのだな」

「あら、ラトゥーニのお友達なら私にとっても大切なお友達になってくれると思いますの、ですから、私とお友達になりませんか?」

「俺が!?」

 アラドは驚いていた。シャイン王女とは何も接点がない、それに後に知ったがシャイン王女の国を蹂躙しているのは、自分が所属していたDC残党である。

「作戦前に紹介したくて」

「作戦?……まさか、王女さんも?」

「ええ……今DCに蹂躙されているのは私の国、そして民……護るべきものためなら、私は闘います」

 

「王女さんにあんな顔させて……DC……俺たちがやってきたことって何だったんだ……」

 

リクセント公国・市街地外周

カイ少佐が乗る緑色の量産型ゲシュペンスト、カチーナ中尉が乗る赤い量産型ゲシュペンスト、ラッセル少尉が乗る青いゲシュペンストが先頭にたっていた。

「行くぞラッセル!!遅れるんじゃねぞ!!」

「了解しました中尉」

 ラッセルが空から攻撃してくるリオンFに牽制をし、カチーナが落としていった。

「ズィーガーリオン……その名の如く、勝利を」

 ブレードレールガンでリオンFを切り裂いていくレオナ

「行くよ、エクスバイン!」

 リョウトとリオはエクスバインとガンナーも次々に落としていった。

「次が来るわよ、リョウト君!!」

 

「行くぜ、父さんが作り上げたウイングガスト!!……何てな」

 イルムもウイングガストでリオンFを落としていく

「各機母艦を攻撃しろ」

「了解」

 機体相手では勝ち目がないと思ったリオンFは母艦であるハガネを襲撃してきたが

「へっへん!!そうはさせるかよ!!ギガ・ワイルドブラスター!!」

 ガンドロがその見た目の如く盾のようにハガネに迫りくるリオンFを落としていった。

 そうして、DCの部隊がどんどん出てきて、先行上陸部隊の役目は果たしていた。

ハガネ 

ハガネではとある機体の調整中だった。

「タカクラチーフ、火器管制系のシステムチェック終わりました」

「ごめんなさいねアイビス……調整を手伝ってもらって」

「いえ、アステリオンは再調整中ですし」

 そう言うとアイビスは目の前の機体を見ていた

「ゴールドとシルバー……本来なら前線へ出す機体ではないのだけど」

 タカクラはゴールドとシルバーを見た後ラーダから説明を受けているシャイン王女を見ていた。

「王女が闘うことにチーフは反対何ですか?」

「ええ……訓練もせずに実践なんて……」

「でも、王女はきっと周りが止めても闘うと思います……自分の大切なモノを護りたい、取り返したい……この思いはきっと……誰にも止めることはできません」

「……アイビス」

 

ライノセラス

「そうですか……ではハガネは誘導ですね」

 戦況を聞きながらアーチボルトは考えていた

「ああーユウ君、君は紅茶が好きでしたね……どうですか?君に言われた手順で作って見たのですが」

 アーチボルトは後ろにいるユウキとカーラに向かって紅茶を飲みながら話かけた。

「いえ、自分は結構です……あと別働隊がいると」 

「ユウ君は真面目ですね、僕のように楽しみを覚えてはいかがですか?……別働隊は赤い船でしょうね……それでカーラ君は僕に聞きたいことがあるんですよね?」

「少佐……何で市民を郊外へ避難させないの!?」

「避難はさせました……サミット参加者と同じシェルターにね」

 そう言いながら、アーチボルトは紅茶を飲みながらさも当たり前のように言い続けた

「それに避難させたら、僕たちの盾にはなってくれないじゃありせんか?それに戦争は遊びじゃないんですよ……ああーでも僕にとっては遊びみたいなものですねー」

 カーラはもともと気に食わなかったアーチボルトに何か言ってやろうと思った

「いい加減にしろ!!あんたは!!」

 その時ユウキはカーラの肩を掴み静止した

「いい加減にしろ……戦場での情けは、自分自身の死を招くぞ」

「ユウ!?」

 そうしていると、ライノセラス内で警戒音が鳴り響いていた。

「戦艦級が一隻接近中!!北から真っ直ぐ!!」

「では、御二人は出撃の準備をしてください……ああ、僕としたことが、一つ報告が忘れていました……今回の作戦は御一人スポンサーから来ますのでよろしくお願いします」

 

 

ヒリュウ改

 そろそろ出撃になりアクセルはソウルゲインの出撃準備をしていると、ヒリュウ改から通信が入った。

「アクセルさん……もしかしたら、軍人ではない方にも、この作戦に参加してもらい申し訳ありません……記憶をなくして大変なのに……」

「えっと、レフィーナ艦長、気にしないでくれ……それにもしかしたら、俺は軍人だったかもしれないんだぜ……記憶も、もしかしたら美しい艦長さんがキスの一つしてくれたら戻るかもな、これが」

 アクセルは美人に記憶喪失のことを聞かれると、いつものように答えていた。

「そうですか……わかりました、それで記憶が戻るのなら……しかしアクセルさん……そのようなことで記憶喪失が回復した事例は知らないのですが、そのようなことがあるのですね」

 リフィーナはアクセルの言葉に真面目を真面目に捉えたらしく、アクセルに真面目に答えた。

「いや、リフィーナ艦長これは小粋なジョークなんだがな、これが」

 アクセルは思いもよらぬ、リフィーナの言葉に慌てながらジョークと言った。

「そうなのですか!?」

「面白い艦長さんだ……そんじゃあ、アクセル・アルマー!行きますかね!!」

 笑いをこらえながらアクセルはヒリュウ改から出撃すると最後にアルトが出撃した。

「アサルト各機、敵機関をおびき出し叩くぞ!」

「了解」

 地上にアルトが降りるとバレリオン部隊からビーム兵器からの攻撃を弾きながら、突撃する。

「あら、熱烈大歓迎って感じねー」

 空からヴァイスリッターでバレリオンを撃破していく

「市街地についたら無駄弾は撃つなよ」

「わかっているわよ……あの綺麗な国を焼きたくないもんね」

 ミサイルがキョウスケ達の方へ飛んできた。

「ブリット君」

「わかった!!オメガブラスター!!」

 ブリット、クスハが乗るグルンガスト参式はオメガブラスターでミサイルを全て空中で爆発させた。

(敵殲滅以外の戦術目標が多すぎる……目的達成が困難になるだけだ……だが、彼らも『こちら側』のアクセル隊長もそれをやってのけていた……何故そんな事が出来る?……いや、何を目指している?)

 ラミアはイリージョンアローでバレリオン一機一機を撃破しながら、ハガネ、ヒリュウ改のメンバーが目指すものを考えていた。

「ライ、今日は俺がバックスをやる」

 リュウセイはR2に乗るライに向かって通信した。

「リュウセイ?……何か聞いているのか?」

「ああ、ラトゥーニからさっき聞いた……敵のアーチボルトってやつはエルピス事件の張本人で、お前の義理の姉さんの敵なんだろ!?」

「俺を気遣っているつもりか?……俺も随分」

「俺たちはチームだ!互い助け会うために組んでいるんだ」

「お前がそう言うとは……成長しているんだな」

「いいから、行けよ!!」

 そういうとリュウセイは目の前にいるリオンを撃破していった。

 

「行け!!ウロコ砲!!」

青龍鱗でリオンやバレリオンを破壊していくと、

「くっ!?なんだとこの嫌な感じは?」

 アクセルは感じたことのない気持ち悪さを感じていた。

 

ライノセラス

「見損なったよ!!あんたもあんなこと言うなんて!!」

 カーラはユウキに向かって怒鳴っていた。ユウはそれに対してヘルメットのバイザーを閉めて、カーラにも同じようにしろとジェスチャーを送った。

 カーラもそれに気づいてユウの指示に従った。そうすると、ユウはカーラにしか聞こえないように通信を使った

「カーラ……お前の機体は整備不良としておくから出撃は見合わせろ」

「な……なんで?」

「少佐の態度が妙だ……あれはきっと何かを目論んでいる。」

「いいか、頼んだぞ」

 そう、ユウは言うとガーリオンに乗り込んだ。

「わかったよ……ユウ」

 

リクセント公国・郊外

「あれはサイバスターとヴァルシオーネ…各機、MAPWに注意し散開しろ!それとスポンサーだと少佐から聞いているが俺の指揮に従ってもらう……」

 ユウキはガーリオンの出撃寸前に現れた男に言った。ユウはこの男に対して不快に感じていた。

「俺の目的が見つかりしだい、この隊から離れることを忘れるな、ユウキ・ジェグナイそれまでは貴様の指示に従ってやる、これがな」

「……了解した」

「いや、悪いがもう俺も目的を発見したようだ、貴様らの邪魔はせんが俺の邪魔をしないでもらおう!!」

 その男はソウルゲインの方へ向かった。

「さぁ、この世界の俺はどの程度か試させてもらおう!!」

 その男の名はアクセル・アルマー。

 

 

「ちっ!!お前か気持ち悪いのは!」

 アクセルは向かってくるアシュセイバーに向かって飛んでいった。

「ほう、『こちら側』のソウルゲインはテスラ・ドライブでも積んでいるのか?」

 アクセル・アルマーは自分の乗っているソウルゲインとの違いを見ていた。

「空は飛べんがこれならどうだ!!狙いは外さん!!ソードブレイカー!!さぁ、行けいっ!!」

 アシュセイバーはソウルゲインに向かって六つのソードブレイカーを飛ばして行った。

「ちっ!?」

 前から迫りくるビームの雨にソウルゲインで防御を取りながらアクセルはアシュセイバーに突っ込んでいった。

「まだだ!アクセル・アルマー!!」

 アクセル・アルマーはアクセルに対し攻撃の手を緩めずソードブレイカーとガンレイピアでソウルゲインを攻撃していった。ソードブレイカーを避ければ、ガンレイピアで攻撃され、ガンレイピアを避ければソードブレイカーで攻撃されて行く

「ちっ!!これじゃあ、手も足も出ないんだな、これが」

アクセルはアシュセイバーの攻撃を耐えていた。

「タイミングはばっちりなんだな、これが!!青龍鱗!!」

アクセルはアシュセイバーの攻撃のタイミングがわかったのか一瞬のインターバルを付き、周りのソードブレイカーを落として行った。

「ふん、俺ならばもっとスマートにできんのか?」

アクセル・アルマーはそう呟くと迫りくるソウルゲインに向かってレーザー・ブレードを出し、構えた

「寄らば、斬る!」

「でぃぃぃやっ!!」

ソウルゲインの聳弧角とアシュセイバーのレーザー・ブレードがぶつかり合い、火花を散らした。

「ちっ!!アクセル無事か!?」

 キョウスケはアクセルに通信しながら、バレリオンやリオンF破壊していった。手が空かないため、アクセルの援護に回れない。

「何とかな、このパイロットは俺が抑える、これがな!!」

 キョウスケの通信にアクセルは自分でも無意識に口調が変わっていた。

「手が空いたらすぐに援護に回る……それまで、耐えてくれ」

「了解なんだな、これが」

「アサルト1から各機へ、手が回るものはアクセルの援護に回れ!!」

 だが各機も先行上陸隊が敵を引き付けてはいるが多くのランドリオン、バレリオン、リオンの相手をしているためキョウスケ同様アクセルの援護には回れない。

「あの、指揮官機のアシュセイバーは……もしや、アクセル隊長か?」

 ラミアはソウルゲインとアシュセイバーの闘いを見ると、アシュセイバーに対しイリージョンアローでアシュセイバーを牽制に入った

「W17どういうつもりだ!?」

「……この状況で、援護に入らなくては怪しまれちゃったりするのであります」

「ふざけているのか?それとも奴らに改造でもされたか?」

「いえ、転移の影響で語源機能に不備があり、敬語をつかなかったりしちゃいますです」

「まぁいい……今日は偵察程度だ……このくらいにしておこう……どうやら、この世界のベーオウルフは本当に普通の人間らしいな……」

 アクセル・アルマーはそういうと、ソウルゲインから離れこの戦場から離脱していった。

「……なぜ私は……『こちら側』のアクセル隊長を……救うのに、言い訳を探してしまったのだ?」

 ラミアはアクセル・アルマーに言った言葉が自分でも嘘だとわかっていた。任務を忘れて、アクセルを助けたのだ。

「ラミアちゃん……助かったんだな、これが」

「いえ、当たり前のことをしちゃっただけですのよ」

 アクセルから通信が入りラミアは感情が高まるのを感じた。

 

ライノセラス

「おや、あれの機体はライディース君のではありませんか?……そうですね、お義姉さんの所に送ってあげましょう……直営部隊で迎撃を」

 そう言うとライノセラスに乗っているバレリオンがR2に向かって迎撃を開始して言った。ライは迎撃を避けていると前から突撃してくるランドリオンが一機あった。

「ちっ!!」

「ライ!!T-LINK・ナッコォ!!」

 ライに迫るランドリオンに対してリュウセイが援護に入った。

「いけぇ!ライ、後ろは任せろ!」

「リュウセイ!!すまん!」

 目の前の多くのランドリオンが迫りくるが、他の機体も手が空いてきたのかキョウスケ、エクセレンがランドリオンを撃破していく。

「打ち抜く!!」

「色男さん、援護は任せて!!」

 仲間たちに援護されライはライノセラスに近づいた。

「アーチボルト!!貴様は俺の手で!!ハイゾルランチャー!シュート!!」

 ライの攻撃はランドリオンのホバーユニットに直撃するが致命傷は与えられなかった。

「ライディース少尉、同じ所を狙えるか?」

 ラミアは空中からライノセラスのホバークラフトへイリージョンアローを構えていた。

「無論だ!!」

「なら」

「一点集中で貫く!!」

 ハイゾルランチャーとイリージョンアローが先ほどのハイゾルランチャーが命中した場所に見事命中し動けなくした。

「各機、警戒を怠るな!!」

 キョウスケがそう言うと、ライノセラスから巨大な特機が現れた。

「いやー、惜しかったですねライディース君」

 その巨大な特機に乗っていたのはアーチボルト・グリムだった

「アーチボルト!!」

 ライは乗っているのがアーチボルトとわかるとすぐに構えた。

「おーと……そこまでですよ……あなた方は気にならなかったのですか?サミット参加者がどこにいったのか?」

「まさか、その戦艦の中に?」

「いえいえ、そのような心配はしなくても大丈夫ですよー安全なシェルターの中にいますよー爆弾と一緒ですがね!!これでわかりましたね……連邦のパイロットの皆さん武装解除に即時戦闘の停止をおねがいしますねー」

 笑いながらアーチボルトはキョウスケたちに言った。

「条件を呑んで、貴様が約束を守る保証があるのか… あの時のように!」

「ボクが信用出来ないと?まあ軍人としてテロリストの脅迫に屈する訳にはいきませんかねーでは、後で言い訳が出来るようにしてあげましょう」

 アーチボルトはどこのシェルターを爆発させるか見ていた

「どこにしましょうかねー悩みますが……ここに決めました!!」

「まってー!!」

「待ちません!!ふはははは……どかん!!」

 アーチボルトはボタンを押したがどこも爆発しなかった。

「あれーおかしいですね?」

「爆発しない?」

「どうやら間に合ったようだな」

 ユウキはオープンチャンネルを使い連邦軍にも聞こえるように言った。

「DCの全てがあの男のような卑劣漢というわけではない」

 そう言うとユウキのとことにカーラから通信が入ってきた。

「全ての爆弾処理成功……どうやら、連邦にも同じように考えていた人がいて、協力してもらったんだ」

 そう言うと、紫色の髪をした男が爆弾処理を終えている様子がユウキの目に映った

「やれやれ、身内にたばかれるとは」

「アサルト1より各機へ次ぐ、奴はブラフだ、今のうちに叩くぞ!!」

 そう言うと各機はアーチボルトが乗るグラビリオンを攻撃していった。

「どうやら、引き際のようですが、僕の楽しみを奪ったのは許せませんね」

 そう言うとグラビリオンは攻撃を聞かないのか、攻撃を無視して、手にはメガ・グラビトンウェーブを発射した。各機は回避したが、範囲が広くR1、R2、サイバスターヴァルシオーネ、ソウルゲインは喰らってしまい全壊は回避できたが機体にダメージを喰らってしまった。

「おーやしぶといですねーでは、もう一撃喰らって貰いましょうか」

 アーチボルトは発射準備に入る

「お待ちなさい!!それ以上はやらせませんわ!!」

 ハガネが到着するとシャイン王女が叫んだ。そうすると、ハガネの上にはシャイン王女とラトゥーニが乗る赤色と青色のフェアリオンが現れた。

「私……戻ってきました……」

 そう言うと、ライトアップされる二機のフェアリオン。

「国を返してもらいます!覚悟なさいませ!!行きますわよ!ラトゥーニ!!」

「わかりました、シャイン王女」

「私の国、私を信じてくれる民を護る……それが私の闘いですわ!」

 二機のフェアリオンがハガネから出撃する。

「その意味が分かりますか?」

 アーチボルトはフェアリオンにビームを発射しながらシャイン王女に聞いた。

「ええ、己と他人の血を流すとこでしょう、覚悟はできています……この赤い色は私の覚悟の現れです!!」

 アーチボルトはミサイルを全方位に向けて発射する

「システム・リンク弾道予知!」

「ウェイクシステムWモード」

「「シンクロ」」

 そう言うと二機の動きはシンクロし、ミサイルを落としていった。この二機はシンクロしていて、シャイン王女が弾道を予知し、その予知をもとにラトゥーニが二機を動かしていた。

「ラミアちゃん!!援護入るわよ!」

「了解でござる」

(倒れてはいけない、王女が前線でるとは……だが、それくらい負けられないと言うことか!)

 エクセレンとラミアは隙を見せた、アーチボルトに対して、攻撃しだした。

「ラトゥーニ!止め行きますわよ」

「はい!シャイン王女!!」

「託します、貴方に」

「受け取りました、貴方から」

 ラミアはアーチボルトに対しアンジュルグ最大の技を出そうと構えた。

「ファントム・フェニックス!!」

 同じく、二機のフェアリオンも繰り出した。

「ファイナル」「ブレイクですわー!」

 そして二つの技が一つになりグラビリオンを突き破った。グラビリオンから出る煙りにまぎれ、アーチボルトは脱出ポッドになるAMガーリオンで脱出した。

「こんなものですかね……楽しみはまた今度で……」

 アーチボルトやDC残党はこの空域から脱出した。

 

リクセント公国

 二機のフェアリオンは城に降りると多くの民から歓声などに包まれていた。その光景をラミアは見ていた。

「そうか、これがアクセル隊長たちの目指す物か……戦術目標の達成ではなく、勝利……これが、何かを得るということか……悪くない」 

 ラミアは自分が感情をもったことに気づきだした。

「ラミアちゃん……帰ったら、早速作戦結構よ!さっきアクセルを助けたのだからポイントアップは間違いなしよん!!」

 ラミアはエクセレンからの通信を聞き

「了解しましたですわ」

 『こちら側』のアクセルだと思い込んでいる、アクセルに理解できない感情を抱きながら、ラミアはこれが恋だと思い、恋を理解してみようと思いハガネに戻った。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

嵐の前の休息

地球連邦極東方面軍伊豆基地

 リクセント公国の戦闘を終えた、ハガネとヒリュウ改は伊豆基地で停泊して補給やPTの修理などが進められていた。

 それぞれがしばしの休息を取っていた。

「ふう……みんな頑張っているのだから、私もみんなのために健康ドリンクでも作ってあげなきゃ」

 ニコニコしながら、クスハは新作の漢方やハーブなどを持ってドリンクを作っていた。またしても、クスハ汁の犠牲者が増えてしまうのか?

 

独房

「うまい!!おかわり!!」

 捕虜とは思えないほど笑顔で、アラドはラトゥーニからの差し入れを食べていた。

「ラト差し入れありがとうな」

「カイ少佐が言っていた、アラドの態度が模範的だからもうすぐだしてあげられるかもしれないって」

 ラトゥーニは嬉しそうにアラドに伝えた。だが、アラドは興味なさそうにし、別のこと聞いた。

「なぁ、シャイン王女のことなんだけどさ、お前たちが取り返したんだから、あの子は闘わないで済むんだよな!?」

「……王女はこの艦から降りない」

「え!?」

 アラドはシャイン王女がリクセント公国に戻っていると思っていた。

「何で!?」

「リクセントだけでなく、他の国を護るため私たちと闘うって……それがシャイン王女の決意と覚悟……」

 ラトゥーニはシャイン王女の決意を思い出していた。

「それじゃあDCと!?」

 アラドはこのままDC残党を相手に闘い、最悪ラトゥーニ、オウカそしてゼオラと闘って誰かが命を落とす結末を想像してしまった。

「違う……次の私たちは、異星人……インスペクター」

 そう言うとラトが出ていき、アラドは一人になった独房で、考えていた。これから、自分はどうすれば、いいのか、ゼオラはどうなっているのか、シャイン王女は自分よりも決意を持ち、覚悟をしていること、不意にアラドは自分の力の無さに苛立ちを覚え、独房のドアに一発、殴った。

「俺は、一体に何をしてんだ!?」

 そう言うともう一発ドアを殴った。

「……どうやら、元気だけは余っているようですね」

 アラドは独房の外から聞こえた声に反応し、独房で唯一外の景色が見られる所を見ると、マリオン・ラドム博士とアクセルが見えた。

「出なさい、貴方の能力をうまく使いこなしてあげる」

 そうして、独房のドアを開けた。

「よう、アラド」

 アラドは呑気な声で声をかけるアクセルとマリオンを見つめた。

「あの、俺ももうすぐでられるって聞いたんですけど、今なんッスか?」

「いいえ、違います」

 マリオンは、はっきりアラドに言うとさらに続けた。

「早く出なさい、時間の無駄なのだから」

 そう言うと、マリオンはさっさと来なさいと言っているかのように歩き出してしまった。

「アラド、まぁ俺もわからんがあの人は怒らせないほうがいいと思うんだな、これが」

「そう見たいっスね、アクセルさん」

 アラドは溜息しながらアクセルと共に、マリオンについて行くと、シミュレーター室に連れていかれた。

「それでは、アラド・バンカー、貴方にシミュレーターをしてもらうわ……どうしたの、早く乗りなさい」

シミュレーター室につくといきなりアラドに有無も言わさずにシミュレーターへ乗せる。

「ちょっと……ってうわ!?」

 シミュレーターに乗せられるとアラド

「では、やってもらうわよ」

「あの、俺は何をすれば?」

 アクセルは取り上げ自分もアラドと同じように、ヒリュウ改のメンバーとまだ顔を合わせただけだったので、会いに行って見ようかと思った所、マリオン博士に見つかり、アラドを出すからついてきなさいと言われただけであった。

「ああ……貴方は見てればいいわ……あの子と闘っているのなら、あの子の特性ぐらいわかるわよね……では、アラド・バンカー始めます」

 アラドに与えられた機体はキョウスケが乗るアルトアイゼンであった。アルトアイゼンは絶対的な火力を以て正面突破を可能とする機体というコンセプトとしている。言わば強攻型のPTであるが、機体バランが悪く非常に繊細かつ大胆な操作技術が必要である。さらにはパイロットの安全性を全くと言っていいほど考慮していなく暴力的なGがかかるためブリットがシミュレーターだけで体調を崩したほどの機体である。

「これスっか?」

「ええ、では開始します」

 マリオン博士がそう言うとシミュレーターが始まった。アラドの目の前にいるのは量産型ゲシュペンスト一機。アラドはまず、アルトアイゼンの加速性を知ってか知らずか量産型ゲシュペンストに突っ込んで行き、リボルビング・ステークをゲシュペンストに当て、破壊するとまた次のゲシュペンストに突進して言った。そして、他のゲシュペンストもビーム兵器で攻撃しているが、アルトアイゼンのビームコートでビーム兵器のダメージを軽減しながら、次のゲシュペンストにアラドはヒートホーンで貫いて抜けなくなってしまった。シミュレーターとはいえ、アルトアイゼンを完璧と言えないが使いこなしていた。

「いやー、このアルトアイゼン……俺好みの性能だ!」

 嬉しそうにシミュレーターか出るアラド。

「……それじゃあ、貴方次よ……」

「俺!?」

 アラドの戦闘を見ていると急にアクセルはマリオン博士から指名を受けた。

「ええ、貴方も色んなタイプを使いこなせるって聞いたわ……なら、お願いね」

「んまーいいかもしれないんだな、これが」

 そういいアクセルもシミュレーターに入ると、今度はアクセルがアルトアイゼンに乗り込み、アラドはアルブレードに乗り込んでいた。

「それじゃあ、アラド……また俺に落とされるな、これが」

「うう……了解ッス」

 そう言うと、アラドはまた、突進していくと、アクセルはそれを避けずこちらも突進していった。

 

「どうやら、キョウスケと誰がシミュレーターを使っているんだ?」

 数十分後、カイ少佐がシミュレータールームにやってくると、アルトアイゼンとアルトアイゼンが闘っていた。

「いいえ、キョウスケ中尉はこのシミュレーターは使っていません」

 マリオン博士はそう言うと

「では、誰が?」

 カイ少佐が

「やっぱアクセルさんつえーッス」

 片方のアルトアイゼンが破れシミュレーターが終わるとアラドとアクセルが出てきた。

「突っこんでばっかじゃ、負けちまうぜ、これが」

 そう話していると、アラドはカイ少佐に気づいたのか、はっとしていた。

「何故お前がここにいる?」

 カイ少佐は何故独房に入っているアラドが何故シミュレーターをやっているのか謎であった。

「ああ、それは私がだしましたので安心してください」

 マリオン博士は悪びれることもなくカイ少佐に伝えた。

「そんな申請聞いていない」

「ええ、出していません……ですが、艦長には伝えましたので」

「何のために出したんだ?」

「彼の適正を試すためです……」

「だが、アラドはスクール出身だが操縦技術は……」

 カイ少佐はアラドの腕前を思い出していたが、まだまだ未熟者だと聞いていた。

「ええ、リオンでは彼の特性を生かすことはできませんでした……まずは、彼のタフさに興味が持ちましたが、このシミュレーターで色々なデータが取れました……率直な感想を言いますと彼はキョウスケ中尉とよく似たタイプですね。このまま彼の長所を伸ばせば、キョウスケ中尉ぐらいのポテンシャルになると思います」

 マリオン博士はそう言うと、カイ少佐にアラドのシミュレーターの成績やデータ、映像を見せていた。アラドは操縦技術が未熟にもかかわらず、危険な突撃からの接近戦に固執する傾向があり、砲撃戦向けのランドグリーズでも接近戦に拘っていたためアラド自身のポテンシャルを発揮できなかった。ビーム兵器が不得手など面や戦法傾向を見ると確かにキョウスケと近い点が多く見られていた。

「確かにキョウスケに似ているが、アクセルは何故?」

「ああ、それはただ新しい機体のパイロットを探していまして、データを見ますとアクセルは短所が見られず、極東基地でやったシミュレーターの結果を見ましたがどのタイプの機体もエースクラスの腕前を発揮しますからね……まぁ、アルトに関しましてはキョウスケ中尉に一日の長があるので、キョウスケ中尉以下アラド以上って感じですね……ですが、面白い人物を発見したので考査中ですね」

 マリオン博士はそう言うが、まずアルトアイゼンを使いこなす人物はそうはいないため、実質この世界で二番目にうまく動かせることを示唆していた。

「あのー俺はどうなるんッスか?」

 アラドはマリオン博士やカイ少佐の声が聞こえていないためまた独房から出られる日が遠くなるのではないかと不安そうにしながら、二人を見ていた。

 

 

 

 

「好きなアンチクショウを落としてしまえ!!恋する乙女大作戦決行よん!!」

 エクセレンはエプロン姿で調理ができる部屋にラミアを連れてテンションマックスで言っていた。

「了解しちゃいました……エクセ姐様」

 そう言いながらラミアはエクセレンの後に続いた。

「はーい!了解しちゃって!

ではまずは、なにを作りましょうかねー……アクセルは何が好きだと思う?」

「アクセルた……アクセルの好きなモノは……」

 ラミアは『あちら側』『こちら側』のアクセルの好きな食べ物を考えていたが思い浮かばなかった。

「んーアクセルはなんでもよさそうねー……」 

 エクセレンも考えていたが思い浮かばなかった。

「それじゃあ、ベタなものから攻めて行きましょう!まずは肉じゃがよん」

 数分後

「えっとね、ラミアちゃん……」

「何でごいまするか?」

「んとねー完璧に本の手順道理じゃなくてもいいのよ?」

 苦笑いをしながら、毎回大匙、1/2や3/4と出るたび完璧な割合にするため重さ、砂糖であったら粒の数、醤油だったら最大に入る量を調べてから正確な量を求めているので、中々料理が進まなかった。

「んー、適当なアクセルに几帳面すぎるラミアちゃんたちは意外に合うのかもしれないけど……もっと適当でいいのよ?」

 そう言うとエクセレンも料理を作りだすと、ラミアとは違い砂糖や醤油など自分のフィーリングに任せて作っていく。ラミアはそれを見ながら自分も作っていくが、やはり、気になるのか正確な量を図ってしまい完成はエクセレンよりもあとだった。

「では、味見してみましょう!!」

 ニコニコしながらエクセレンは自分の作った肉じゃがとラミアが作った肉じゃが食べていた。ラミアも食べてみると、エクセレンの肉じゃがはとても甘く、砂糖が多く入っていたことがわかりとてもではないが食べられなくはないが美味しいとは言えない味だった。そしてラミアの肉じゃがは美味しくできていたが、何故かラミアはエクセレンの作った肉じゃがの方が好ましく思えた。

「んーごめんね、ラミアちゃんの方がうまくできたね」

「いえ、エクセ姐様の方が好ましいです……私のは……」

 ただの肉じゃがだった。エクセレンの肉じゃがは何かあった。

「それじゃ今度は、アクセルのことを思って作ってみたら?」

 ニコニコしながらエクセレンはそう言うと、ラミアは頷き

「了解したでー」

 っと言った。

「んんー真顔で、その口調は……いいのかな?」

 そう言うとエクセレンは料理をしているラミアを見守っていた。

 

数時間後

「ふう……アクセルさん、ありがとうございます」

 シミュレーターが終わり、少し早かったがカイ少佐もアラドの態度を見ていたため、独房から出すことをゆるした。

「いや、別に何も大したことはしてないんだな、これが」

 そう言いながら、食堂に入ると、リュウセイ、マサキ、エクセレン、クスハがいた。

「いや、それは……」 

 笑いながら、目を合わそうとしないリュウセイ

「私達疲れていないから……」

 おびえながら後ずさりしているエクセレン

「だ……だから、遠慮しとくぜ……」

 隠れながら言うマサキ

「そうですか……」

 誰も自分が作ったオリジナルの健康ドリンクを飲まないので残念そうにしているクスハ

「どうか、しっちゃたりしますか?」

 そこに、ラミアはアクセルのために作った肉じゃがを持って後ろからアクセルに声をかけた。

「ラミアちゃん……いや、俺も今来たばっかだからわからないんだな、これが」

 そう話していると、3人に気づいたのかクスハが笑顔で話かけてきた。

「あ、ラミアさんにアクセルさんにアラド君……えっと、私栄養ドリンク作って見たのですけど良かったら飲みませんか?」

「マジですか!?いやー喉乾いていたんッスよ」

 アラドはそれを聞いて嬉しそうに健康ドリンクに手を伸ばした。

「おい、やめといたほうがいいぞ」

「そうよ、アラド君……それ普通の人が飲んだら……」

 アラドはマサキとエクセレンの静止を聞かずに一気に飲んでしまったが

「これは……!?」

 誰もが心配していた。

「アラド君!?」

「うまい!!うますぎる!!おかわり!!」

「ああ、アラド君ごめんね、漢方とか使っているから、取りすぎると体に毒なの」

 アラドは感想を言うと誰もが驚いていた。何故ならクスハが作る健康ドリンク別名クスハ汁は確かに効果抜群なのだが、ただ一つだけ欠点があった。それは味がこの世のものとは思えないほどの不味さである。このクスハ汁をうまいと言ったのは地球人ではアラドただ一人だったのだ。

「へえ、そんなにうまいのなら……俺も飲みますかね。クスハちゃん、悪いね」

「では、クスハ少尉私もいただきます」(人のために作ることがもっと理解することが出きるかもしれん)

 二人が飲もうとすると、周りは流石に上達したのではないかと思った。リュウセイは幼馴染だったため、毎回新作が出るたびに飲まされていた。やっとクスハが成長したと思い目から涙がこぼれそうになったが、事態は一変した。

「う……!?」(まさか、これは!?……ぬかった私は……疑われていたのか?)

「んが!?」

 二人はうまいと聞いたので、一気に飲んでしまった。それがいけなかったのか二人はふらふらしながら地面に倒れた。

「アクセル!?ラミアちゃん!?」

「アクセル!!ラミア!!」

 周りは二人の名を呼んでいたが二人はだんだん意識が無くなっていった。

 

彼等が目を覚ますのに数時間かかった。

「はっ!……ここは?」

 ラミアが目を覚ますと、もう夕日が落ちようとしていた。

「不覚だった……だが体を調べられている様子はない……いや、先ほどより調子がいい……そうかクスハ少尉の作る健康ドリンクは効果も抜群でさらにすぐ気を失うことにより疲れも取ることができる……効率的……なのか?」

 ラミアは先ほどのクスハ汁について考えていると、ラミアに機密通信が入った。

「新たな作戦か……」

 

時同じくして

「く……俺の……歌を……き」

 寝言をいいながら、まだアクセルは目を覚ましていなかった。朝になるとアクセルも目を覚ました。

「はぁ……何だったんだ?」

 目を覚ますとアクセルは見た夢について考えていた。夢の内容はこことは別の地球でラミアと闘い、恋人と闘い、かつての同志を倒し、自分は仲間を救うため、死の覚悟をした夢を見ていた。

「俺は言ったい……アクセル・アルマー……レモン……W17……ヴィンデル……シャドウミラー……地球連邦軍……特別任務実行部隊シャドウミラー……特殊処理班隊長……地球連邦軍独立部隊ロンドベル……アクセル・アルマー……中尉……」

 アクセルは思い浮かんだ単語を言っていると思いだしていった。自分が何者で、何故この世界にいるのかを、だがもう少しの所で警報がなってしまった。

「な!?敵か!?」

 警報が聞き、アクセルはソウルゲインがある格納庫の方へ走りだした。

「アクセルさん!!DC残党の奇襲です!!今の地球圏は争っている場合じゃないって言うのに!!」

 ブリットから、状況を聞いてアクセルは

「ブリット、意見が違う相手ましてや敵と、わかり合うことは難しいことだが、諦めるんじゃないぞ、これがな」

「アクセルさん?」

 ブリットはアクセルの雰囲気が変わったことに気づいたが、アクセルの言葉を噛みしめた

「……経験からだ、こいつが」

 アクセルがそう言うと、ソウルゲインに乗り込み、発進する

「アクセル・アルマー……ソウルゲイン!!出る!!」

 そう言い各機も続々と出撃していった。アクセルが記憶を取り戻すのは近い。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【思い付き】堕ちてきた100万Gの男【一発ネタ】

「金が無い……」

 クロウはリ・ブラスタB目を覚ますと悲しい習性なのか、自分の持っている財布、ポケットなど金を無意識に探していた。

「……はっ!!……確か、俺は……次元獣を追って……そこから先が思い出せない……」

 クロウは考えながら、まずチーフに連絡しなくては、もうすぐ借金が1000Gとなって今日、給料日なため、やっと借金返済と言う記念すべき日になる。そのためには働かなければと意気込んでいたのに、ここで、もたもたしていたら、あのチーフに借金を増やされてしまいかねない。

「チーフ……に連絡……おかしい、反応がないな」

 チーフから反応がなく、ここがどこなのかわからなかった。

「まぁ、とりあえず今日中に帰ればいいか……」

 クロウは周りを見だすとリ・ブラスタの換装パーツが落ちているのを気づいた。

「ん……なんでこんな所に……まぁ、いいか……持って帰ればいいか」

 溜息をしながら、換装パーツを持つとクロウはリ・ブラスタBで周りを見ていた。

「何にもないな……未確認機近づいてくる!?」

 リ・ブラスタから無確認の機体から通信が入ってきた。

「そこの、アンノンウのパイロット、こちらは地球連邦軍極東支部・SRXチーム リュウセイ少尉だ。今すぐ、そちらの名前と所属を言ってくれ」

 未確認の機体から、通信が入ってきたので、クロウは大人しく従った。

「ああ……名前はクロウ・ブルースト……所属はスコート・ラボで、職業は次元獣バスターだ……そんで、こっちからの質問なんだが、連邦っていうのは正式名所か?地球連邦平和維持軍じゃないのか?」

 クロウは地球連邦と言う単語に反応した。

「はぁ、何言っているんだ?地球連邦軍に決まっているじゃないか?」

 クロウはリュウセイと名乗った男の言ったことで、全てを理解した。自分は時空振動に巻き込まれ、平行世界に転移してしまったと推測を立てた。

「OK、理解した……」

「いや、こっちはわからないんだけど……」

「それも、合わせて話はさせてもらうさ……」

 クロウは落ち着いた様子で言う

「わかった、ではついてきてくれ」

「了解だ、リュウセイ」

 

 

極東基地

「まぁ、一つ聞いておくが、多次元世界ってのを知っているか?」

 クロウは確認のつもりで多元世界を聞いてみた。もしかしたら、この世界も自分が知っている二つの多元世界の他の多元世界に迷いこんだかもしれない。それなら話は早い。

「はぁ!?多元世界!?」

 リュウセイ、マヤ、ヴィレッタはクロウの話を聞いていた。

「ああ、知らないんだな……つまり、時空振動により複数の平行世界が一つの世界に融合した世界ってことだ……俺の世界は日本が二つある……そして俺は時空振動の影響でこの世界に来たと思う」

 全く動ず淡々と語っていた。この世界は平行世界からの放浪者にこの世界の住人は遭遇したことがないと思い説明した。

「それにしては、動じてないんだな……」

「まぁ、こればっかりはなしょうがないさ、多元世界に住んいでる以上自分が転移することを心のどこかで覚悟はしていたさ」

 クロウはニヒルな笑いをしながら、そう言った。

「……どうしますか、隊長?」

 リュウセイはヴィレッタに問い掛けた。

「一応危険人物ではないようなので……軍で預かるが……クロウ・ブルースそれでいいのか?」

「ああ、ヴィレッタ隊長殿」

 クロウはそういい、起ちあがった。

「……俺は軍所属ってことは、給料でるの?」

 給料、それは大切なことだった。借金と言う今までの最強の敵は纏わりついていた。だが今は借金が無い綺麗な身体。

「ああ、それはもちろんだがどうしてだ?」

「いえ、やらせていただきます!!」

 給料と聞きクロウのやる気はかなり上がった。

「これで、戦闘データも取れれば……ふふふ」

 クロウは戦闘データも取れれば、元の世界に戻った時にさらに金になると考え、その額によってはリ・ブラスタから降りて、街外れで小さな喫茶店を経営したり、裏通りに小さな事務所を構えて、小粋な私立探偵になるのも悪くはないと考えていた。果たしてそうなのか、彼は借金という最大の敵に勝てるのか?

「クロウ・ブルースト……しっかりと働かせてもらいます」

 クロウは敬礼をしていると、スクランブルが鳴った。

「OK……俺の初の仕事ってわけか……」

 クロウはそう言うと、自分の機体に乗り込んだ。

「おい、待て、クロウ!!」

 ヴィレッタは何かを言うつもりだったが、それを聞かずにクロウはリ・ブラスタの方へ向かったので、溜息をついた。

「それじゃ、ゲットレディ!行くか、相棒」

 リ・ブラスタに乗り込むとリ・ブラスタに設置してある時空振動を感知する機械が反応していた。

「これは、次元獣か……」

 そうとわかるとクロウは、リュウセイに通信を入れた。

「お、クロウ!敵はどうやら未確認の怪獣らしい!」

「それはリ・ブラスターも感知している……この反応は次元獣だ……俺たちのいた世界では、自然災害とされている……」

 そう言うと、基地の周りに次元獣ライノダモンクラス一体、次元獣ダモンクラス五体、現れていた。

「あの赤い奴は自己修復能力によりかなりのタフネスを誇っているから気をつけろよ」

 リュウセイにそう通信しクロウは次元獣に向かってRAPTORを構えた。

「お前らとの因縁もそうそう切れるもんじゃなーってわけか、それじゃ行くぞ……狙い撃つぜ、俺もな」

 リ・ブラスタはRAPTORを構え、撃ちぬいて行った。破界時変やガイオウなどとの闘いにより、初めて闘うリュウセイはともかくクロウの敵ではなかった。そうして、次元獣を倒し終わると、格納庫に向かうクロウ。

「ふう、これで終わりか」

 クロウはリ・ブラスタから降りると目の前にはヴィレッタがいた

「お、隊長さん……見事に敵を倒したぞ」

 クロウは女嫌いを撤回したので、取りあえず自分から話かけた。

「……クロウ、残念なお知らせがある」

 ヴィレッタはとあるデータを見ながら、クロウに伝えようとしていた。その時クロウもうすうす気づいているのか、クロウは神に祈っていた。

(やめろ、俺が何をしたって言うんだ!?まだ何もしていないじゃないかぁぁあ!!)

「まだ、貴様は軍所属ではなかった点だ……つまり、クロウ、貴様がこの戦闘で損失した賠償は軍に払う必要はなく、クロウ個人にあると軍の上の者は判断した」

「ひ」

 クロウは某大臣風に悲鳴をあげた

「ただし、軍もクロウの働きに感謝し……ある程度は軍がだすことになった……」

「あの、それで金額は」

 クロウは地獄に蜘蛛の糸が垂らされた気分になった。もしかしたら軍がほとんど払ってくれると淡い気体を持ってヴィレッタを見つめていた。

「総額、100万Gだ」

「ひゃくきゅうまんんんんっ!あい…あいあういあ、うあああええ」

 せっかく借金がない綺麗な身体なったばっかりの世界ですぐ借金を背よってしまった。

「では、内訳はPT、戦闘機の破壊だ、それが無ければ全くなかったのだが……」

 RAPTORはリ・ブラスタのスフィアによって生成された次元力をエネルギー弾として射出ため、あの闘いを勝ち抜いたクロウのスフィアは次元獣を貫いて、無人のPTや戦闘機を破壊してしまっていた。

「クソ!!結局俺の敵は借金かこの野郎ぉぉぉお!!」

 クロウは言葉にならない悲鳴を上げて、真っ白になり燃え尽きてしまった。

「ヴィレッタ隊長どうにか、ならないのですか?」

 流石にかわいそうになったのか、リュウセイはヴィレッタに聞いた。

「これは私も……どうしようもない、軍の上の人間が決めたことだからな……」

 ヴィレッタも流石に今のクロウを見てかわいそうになったのが、自分の権限ではどうにもならないので残念そうにそう呟いた。

「頼むぜ、母さん。すぐに食えるものを持って来てくれ……」

 クロウはここにいないチーフに向かって呟いた。本来なら借金は今日で解放されるはずだったのに、今はチーフの顔が懐かしい。

 




 ただ思いついただけでやったので完成度はいつも以上に低いです。
あと本編もちゃんと書いてあるので近いうちに更新します


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

影は鏡に

ハガネ

「カイ少佐!」

 アラドはDC残党が伊豆基地に奇襲したことを知り、慌ててカイ少佐の所に走ってきた。

「カイ少佐……あの、敵の中にビルトファルケンはいませんか!?」

 アラドは息切れをしながら、敵の中にゼオラがいたら、最悪ラトゥーニとゼオラが殺し合いをしてしまう、さらにゼオラがこの艦の誰かを殺してしまう、またはゼオラが撃墜されてしまう。それだけは避けたかった。

「お前……」 

 カイ少佐はアラドに伝えるかどうか、悩んでいた。だが下手に隠してアラドが無理矢理出撃をしてしまい、また独房に入れるのは心苦しい。ならば伝えたほうがいいと思った。

「ファルケンが出てきても捕獲を優先とする、だから心配するな」

 カイ少佐はアラドに安心させるためアラドの肩の手を乗せた。

「俺も出撃させてください!」

 アラドは決心した目でカイ少佐を見つめた。絶対にゼオラを救う、そう決心した目であった。

「気持ちはわかるが……しかし、許可できない。それに出来たとしても機体に余裕がない」

「あら、機体ならありましてよ」

 二人の会話を聞いていたのか、マリオン博士がやってきた。

「昨日言いましたよね……新しい機体のパイロットを探していると……丁度伊豆基地にあるのでこの子に乗ってもらいたいと思います、データも取りたいので」

 マリオン博士は淡々とデータを見ながらそういう

「……カイ少佐……お願いします!」

 アラドは目の前のカイ少佐に頭を下げて言った

「わかった……責任は俺が取る」

 カイ少佐はアラドの決意、覚悟を感じとりアラドを信じることにした。

 

伊豆基地

「ふむ、DCとは一時休戦協定が結ばれそうになっていると聞いていたが……」

 伊豆基地のレイカーはこの時期にDC残党が伊豆基地を奇襲することに、疑問を抱いていた。

「ワシもそう聞いている(もうすぐミッション・ハルパーの時間、奴らが支援にきたのか)」

ケネス・ギャレットは心に何かを抱えながら時を待っていた。

 

ハガネ

「では、各機出撃を」

 そうして、ハガネ、ヒリュウ改から続々と出撃していき最後にアンジュルグがハガネから出撃するといきなり

「武相解除をしてもらおう」

ハガネの操縦室に向けてハガネに左腕から高出力のエネルギーの矢を構えていた

「ラミア!?」

 アクセルは、この光景を知っている。見たことがある。いや、自分は体験している。いや、配役が違うだけでこの行為を起こしたことがある。

「くっ!!ラミア!?……俺は……俺は!?」

 そう、今にも記憶が回復しようとしていた。

「わぉ!ラ、ラミアちゃん、まさか!?」

 エクセレンはいきなりの行動に戸惑っていた。

「どういうつもりだ!?この状況で冗談とも言えんが説明しろ」

 キョウスケは冷静に今の状況を考えていた。

「キョウスケ・ナンブ……お前たちに説明する必要はない……大人しくしていれば、命の保障はしよう。この機体には自爆装置がある……ただの火薬ではない、この機体の自爆装置はお前たちはもちろんヒリュウ改、ハガネも撃墜する威力だ……大人しくしていばシャドウミラーの兵士として生かされる、やることは今と変わらない……特にアクセル隊長……貴方は、大人しくしてもらおう」

 ラミアは殺したくないと思った。何故かわからないがそう感じていた。

「ラミア……いや、W17、俺を隊長と呼ぶな。前にも言ったはずだ」

 完全とは言えないまでも記憶が元に戻ったアクセルはラミアに向かって発した。

「……私は、そのような命令は受けていませんが」

 ラミアは口調が変わったアクセルに、自分の知っているアクセルに

「やはり、俺はあの時……転移していたのかこの世界に……」

 アクセルは、だんだん記憶を取り戻しながら呟いていた。

「W17?それはラミアさんのことですか?」

 クスハはアクセルの言葉に対し

「ああ……クスハ・ミズハ、それが正式名称だ……」

「アクセルが隊長!?おい、お前も敵だって言うのかよ!!」

 まだ状況がわからないのか、マサキはアクセルに噛みついてきた。

「いや、マサキ・アンドー……俺はお前らの敵ではない。まぁ、ここで言っても信じて貰えないだろうがな、もし信じられないのであれば後ろから討っていいぞ、これがな」

 口調が変わりアクセルがその問いかけに答える

「……アクセル、お前は敵ではないのではないのか?」

「ああ、キョウスケ・ナンブ……」

 アクセルは、これも皮肉かと思いながらこの状況を見ていた。W17がもし、かつての自分と同じなら、だが自分の知っているW17は自分を持たない、持つことができない、出来がいいだけのただの人形だ。自分と同じ行動がとるわけがないと考えていた。

「ラミア!!ふざけんじゃね!!自爆したら、お前も死ぬんだぞ!」

 マサキはラミアに向かって叫んだ。

「無駄だ。マサキ・アンドー……奴は人形……死という概念さえ、わからんさ」

 アクセルはマサキに向かって、冷たくそう言ったが口元は少し笑っていた。この部隊は甘いと、ならばラミアは変わっているはずだ。

(人形……やはり、私は……だが、何故アクセル隊長に言われるとこんなにも……)

 ラミアはアクセルの人形と言われると、『こちら側』のアクセルには言われたくないと思っていた。

「ラミアちゃん……どうして、こんな事を?」

「それが、私の任務だからだ……」

 ラミアは、心を苦しく言った。

「W17……いや、ラミア……貴様に聞きたいことがある……迷っているのではないか?」

 アクセルはラミアとの会話を聞きながら、まるでかつての自分と重ね合わせていた。ならばこのラミアも自分と同じ道をたどるのではないかと思った。ならば、自分がやることは、決まっていた。ラミアを救う。W17のままなら、自分が気づかせる。W17はもうラミアだってことを。自分と同じならこの場所でラミアがこの行動を取るはずのない。アクセルは確信していた。

「……」

 ラミアはその問い掛けに、答えることができず、俯いていた。

「!?重力反応!!この反応は!?」

 ハガネが重力反応を感知すると、シロガネ、先日現れたウォーダンと名乗る者が乗る特機とソウルゲインによく似た機体そして、ヴァイスセイヴァーだった

「ご苦労だ。W17……ほう、こちら側のアクセルは敵に回っていたとはな」

 ヴィンデルはこれも我々が世界を超えた証かと思ったが、聞いた話によればアクセルは我々の知っているアクセルの性格がかけ離れていると、ならば指しての問題はない、それに性格はともかくアクセルがもう一人増えれば、かなりの戦力になると考えていた。

「会えて光栄だ、ハガネ、ヒリュウ改の諸君……私はヴィンデル・マウザー……シャドウミラーの指揮官」

 ソウルゲインによく似ている機体からオープンチャンネルで通信が入ってきた。

「シャドウミラー……それが、組織の名前なのか?」

 キョウスケはシャドウミラーと名乗った部隊に向かって聞いた

「ああ……その通りだ。連邦軍特殊鎮圧部隊ベーオウルフズ隊長キョウスケ・ナンブ大尉」

(特殊鎮圧部隊ベーオウルフズ?俺が……?)

 キョウスケは身に覚えのないことを言われ、謎が増えた。

「『こちら側』では、あの力を持たないと聞いているがな」

「ちょっと、あんたたちうちのラミアちゃんに何をしたのよ!?」

 エクセレンはラミアが操られていると思い、シャドウミラーに聞いた。

「何もしてなくてよ……W17は始めから、私達の命令に従ってやっていただけ、わかりやすく言うと、スパイってわけね」(あの子が、エクセレン……)

 アクセルはエクセレンの問い掛けた声の主に反応した。

「その声は、レモンか?」

 アクセルは懐かしい口調を聞きすぐに誰だか、わかった。

「あら、私のことを知っているのね。『こちら側』のアクセルは?」

「ふん、当たらずと雖も遠からずだ、これがな」

 レモンはこのアクセルは別に自分の知っているアクセルと違うと割り切っているため、レモンはアクセルの無関心だった。

(アンジュルグ……?ハガネのブリッジで制圧しろと命令したはずなのに、どうして外から?)

 レモンはラミアの行動の方が変だと思った。まさか不足の事態が陥ったのかと考えていた。

「では聞こう、ダイテツ・ミナセ中佐……武装解除に応じるか、否か?」

 その時、伊豆基地から通信が入った。

「こちらは極東方面軍司令ケネス・ギャレット少将……ハガネとヒリュウ改は直ちにシャドウミラーの指示に従え」

 それはとんでもない命令だった。

「ほう、ケネス少将……司令部の制圧は完了したようだな……」

 まるで、予定通りの行動だ、と言うように平然と言った。

「貴様余計なことを言いおって!!」

「ちっ!仕込みはずでに済んでいたということか……貴様らシャドウミラーの目的は何だ?」

「我等の、目的は理想の世界を創ることだ」

「ふん……永遠の闘争……シャドウミラーの理想は絶えずに争いが行われる世界だ……そうだろ、ヴィンデル」

 アクセルはすぐに、ヴィンデルに言った。

「何故知っている?」

「何だと!?……どこが理想の世界なんだ!!ってかなんで、アクセルてめぇ、知っているんだ!?」

 マサキはかつてテロによって、自分の親を殺されている。闘争、争いが日常となった世界は否定するべき世界だった。

「……それは俺が、俺の行った世界でシャドウミラー……つまりあいつらを裏切ったからさ、これがな」

「ほう、つまりアクセル、貴様は『こちら側』でも『あちら側』でもない世界のアクセル・アルマーと言うわけか」

「ああ、そうだ驚かないのか?俺が貴様らを裏切っていることに対して……」

「何、戦争には裏切りがつきもの。それが別の世界の私に起こっただけだ」

 ヴィンデルはふと、アクセルの言うことに興味を持ったこの世界とは

「あと、坊や……戦争があるから、破壊があり同時に創造が始まる……戦争が起こるからこそ、発展した技術がどれほどあって?」

 レモンはさも当たり前のように言った

「貴方たちが乗っている兵器は戦争の生み出した技術の結果出来上がったもの……人類の英知とも言えるもじゃなくて?」

「そんなこと、あってたまるか!」

「科学は、人類の発展のためにあるものよ!!戦争のための技術が人類の英知などではないわ」

「だが、人類の発展は戦争の歴史……すでに証明している……最終通告だ、武装解除をしろ……出来ぬのであれば、貴様らに待ち受けているのは死だ」

「確かに、戦争、闘争が人類の発展を促す……これは間違いではない……だが、闘いによって、生み出されるもの、そして失われるもの……その意味を理解せず、結果だけを見る輩に戦争や闘争を語る資格はない!!」

 ダイテツは自分の経験、自分の意思、それをこのような外道に下れなかった。

「ああ、その通りだ……ダイテツ艦長」

 アクセルはそう呟くと、ラミアも心に決めたのかヴィンデル達に突っこんで言った

「ああ、それが正解なのだろう!殺し合い、壊し合い、奪い合う世界…それを維持する理論は、恐らく間違っている…!」「ラミア!貴様が自爆する……その必要はない!」

 アクセルはラミアに叫んだ。そして、アンジュルグの動きがわかっていたのかアンジュルグが動くとの同時にアクセルも動きだした

「奴らの相手はこの俺がやる、これがな!!」

 アクセルはラミアの乗っているアンジュルグを追い越し、アンジュルグに蹴りを入れラミアをヴィンデルたちの方に行かせなかった。

「まさかアクセル隊長!?」

「さっき、言ったはずだ俺は隊長ではないと」

 アクセルはラミアにそう言うと、ヴィンデルへ突っ込んだ。

「貴様らたちもこの世界に来るべきではなかったんだ、これがな!!」

「まさか、貴方自爆装置を!」

「やめてください!!アクセル隊長!!私のかわりに自爆装置を使うのは!」

「まさか、アクセル!?」

 アクセルの行動を見てみな自爆をすると思っていた。

「残念だが、俺の世界のレモンが取ってしまった、これがな!!だが、俺はアクセル・アルマー……地球連邦独立部隊ロンド・ベル……アクセル・アルマー中尉……ここが、どこだろうと、俺がやるべきことは変わらんさ!!……限界を超えるぞ!!ソウルゲイン!!」

 アクセルはそう叫ぶと、ブーストを最大にあげて、ヴィンデルへ突っ込んだ。

「ちっ!W15、W14、奴を近づかせるな!!」

 ヴィンデルはW15とW14にアクセルを止めるように言うが、アクセルのスピードに反応しきれなく突破を許してしまう。

「俺もなめられたものだ……人形如きで、俺に追いつけると思っているのか!!リミッター解除!行けぇ!青龍鱗!!」

アクセルは青龍鱗をヴィンデルに連続で放った。

「くっ!!アクセル貴様!?」

 ヴィンデルはアクセルからの青龍鱗を防御し身動きが取れなかった。さらにアクセルは攻撃を続け追い打ちをかける。

「まだだ!!でやぁ!」

飛び込み蹴りでヴィンデルの間合いに入り、拳の乱れ突き、踵落とし、そして最後に、ヴィンデルの機体を蹴り上げた。

「コード麒麟!!」

アクセルはソウルゲインのエネルギーを解放して聳弧角を伸ばし

「この一撃、極める!!でぇぇやっ!!」

一刀両断した

「ちっ!アクセル貴様ぁあ!!」

 何とか、ヴィンデルはアクセルの麒麟を受ける際何とか体を動かし、両断されたのは腕であった。

「ヴィンデル!?システムXNは大丈夫なの!?」

「ちっ!やられたが、全壊ではないが……」

 ヴィンデルのツヴァイザーゲインにつけられているシステムXNに不備を感じた。

「ほう、貴様らの時空転移装置は、ボソンジャンプや俺たちの世界の時空転移装置程の技術は持っていないみたいだな」

 アクセルは慌てている二人の会話を聞き、自分たちの世界ほど時空転移装置の開発が進んでいないことを感じ取った。

「ブースト。ナックルゥゥウ!!」

 ウォーダンはアクセルに向けてブーストナックルを飛ばし、ヴィンデルから距離を取らせた。

「ふん、W15……貴様、俺に勝てると思っているのか!!」

 アクセルは斬艦刀を持つスレードゲルミルに向かって言うと、構えるソウルゲイン

「ラミア、貴様はW16の相手をしろ!」

 アクセルはそう言うと、ラミアはすぐに反応ができなかった。

(隊長は……私を、ラミアと……)

 ラミアは自分の正体がわかってもラミアと呼ぶアクセルに対して、心が揺さぶるのを感じた。

「はやくしろ……まさかW17と呼ばれたいわけはないだろ?」

 アクセルは笑いながら、ラミアに向かって言った。

「いえ、隊長……ラミアと呼んでくれていいぜ……失礼しました……ラミアとおよびください」

「しまらんな……まぁいいラミア、後ろは任せた、これがな!」

 アクセルは苦笑いをしながらラミアに向かって言った。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天使と二人の髭男

「さぁ、こいW15」

 アクセルは構えながら、ウォーダンの動きを見ていた。かつて、別の世界で勝った相手だが、先ほど転移装置が自分の知っているモノと全く違う以上もしかしたら、目の前にいるWシリーズの性能は上かもしれないと考えていた。だが、負ける気などさらさらない。

「……我は、メイガスの剣なり!!」

 動いたのは、ウォーダンも方だった。アクセルもそれに反応した。ウォーダンは斬艦刀で斬りかかってきた。

「斬艦刀・一文字斬りぃぃい!!一刀両断!!」

「どうした、W15!?踏む込みが足りんぞ!!」

 アクセルはウォーダンの横一線に斬艦刀で、斬りかかってきたが、アクセルはソウルゲインの聳弧角で受け止めた。

「ぐぐ……うおぉぉお!」

 ウォーダンは受け止められると、斬艦刀でアクセルに向かって何度も斬りかかってくるが、アクセルはそれを全て聳弧角で弾いていた。

「ふん、W15……所詮それは、ゼンガー・ゾンボルトのマネに過ぎん……なめるんじゃねぇ、人形風情がぁ!!他人の業で、俺に勝てると思うな!!」

 アクセルはウォーダンからの攻撃を受けて、ソウルゲインは凄まじいスピードで分身をしながらウォーダンに向かった。

「我は……我は……ウォーダン・ユミル!メイガスの剣なりぃぃぃい!!敵対する者は何者だろうと……我が剣に断てぬモノなし!!」

 凄まじいスピードで向かってくるアクセルに対し、ウォーダンは斬艦刀を振り回した。

「借り物の想いで、どこまでやれるか!俺に見せてみろ!!この切っ先、触れれば切れるぞ!!舞朱雀!貴様に見切れるか!?」

 ウォーダンの剣を躱しながら、アクセルはウォーダンの懐に入り高速移動による残像を残しながら、聳弧角で斬り刻みながらウォーダンを空中にあげっていった。

「はぁあ!!」

 

 ラミアはレモン、W16の二人を相手にしながら、何とか立ち回っていた。

「まさか、W17、貴方が私たちを裏切るとはね……」

 レモンは、まさか自分の最高傑作に裏切られるとは思っていなかったが、どこか嬉しさを感じていた。

「レモン様、私たちはここの世界に来るべきではなかったのです……戦争で成り立っていた世界……それが、私たちの世界……戦争、闘争……否定することによって作られていく世界がある……それがここだったのです……私のような作り物……戦争のために生まれてきた、子供が介入できる場所ではなかったのだ!!」

「W17、貴様我々の創造主に向かって」

W16はラーズアングリフの両腰に装着している5連装ミサイルランチャーガンで攻撃していった。

「ふふ……貴方の芽生えた意思なのね……W17」

 レモンはW17の行動を見ていた。それは自分が求めた最高傑作の証。ただ予想外だったのはその最高傑作が自分たちを裏切ることだった。

「ええ、私は任務を聞いているだけの人形で良かった……でも、甘美な味を知ってしまった……私はもう、元に戻れません……」

 ラミアは創造主に対する裏切りに罪悪感を抱いているのかレモンに対し、申し訳なさそうに言った。まるで人間のように、強い意志で創造主であるレモンに対して見つめていた。

「凄いわ、W17……貴方がそこまで感じ取れるようになったなんて…あなたは私の誇りよ……でもね、これも覚えなさい…絶対に退けない、意地をかけた戦いがあることをね……」

 レモンはラミアに対し親元から旅立つ子を見送る母親の気持ちになった。

「でも、今は引く時ね、リー艦長退却するわ」

 レモンはヴィンデルと一緒にシロガネに退却していった。

「はっ!レモン様」

 リーはそう言うと、ハガネから通信が入ってくることに気づいた。

「テツヤか……」

 リーは煩わしそうにテツヤからの通信を取った。

「まさか……リー、お前なのか!?」

 テツヤは、自分の同期であるリーの裏切りに動揺を隠せなかった。

「ふん、お前たちでは地球を護れん、あのL5戦役の時はたまたま勝ったが、今度の異星人はどうだ!?上は自分の保身しか考えてなく、下は命令系統も理解しない無能ども……また、シンシアみたいな犠牲を出さないためには異星人に勝たなくてはならない……だが、連邦はボロボロじゃないか!!今度の異星人に勝てるのはシャドウミラーだけだ!!だから、私は連邦と決別した!」

「リー……お前……」

 テツヤはリーの変貌ぶりに言葉が出なかった。

「……では、シロガネはこの宙域から脱出する」

 シロガネはこの宙域から脱出した。

 

「W17……貴様を破壊する」

 W16はW17に向かって、ラーズアングリフの両腰に装着している5連装ミサイルランチャーガン、肩のシールド内に1発格納された多弾頭ミサイル、左背面に装備されたミサイルポッドなどの実弾兵器でアンジュルグに攻撃していた。

「くっ!?流石にアンジュルグでは!!」

 アンジュルグの装甲は特機クラスにしては、薄いため躱しているがそれも限界が近かった。運動性は高いがそれも特機クラスとしては、比較的高いだけで躱しきれない。

「くっ!」

 多数のミサイルがアンジュルグに当たろうとした。

「オメガビーム!」

「オメガ・ブラスター!!」

 二機のグルンガストからの攻撃により、ミサイルは全て撃ち落とした。

「……イルム中尉、ブリット少尉、クスハ中尉……何故私を助けるのでしょうか?……裏切り者ですことよ?」

 ラミアは困惑した様子で、三人の行動を見ていた。自分はスパイとして潜入した。シャドウミラーを裏切ったとは言え、彼らに後ろから討たれても文句は言えない。

「ですが、ラミアさんは俺たちを助けようとしました……それだけで十分です」

 ブリットはラミアの行動だけで十分だと言った。

「ええ、そうです……ラミアさん」

 クスハも頷きながら、ラミアに言った。

「話はあとだ、行くぞ……ラミア、今は何も言わん。だがあとで説明はしてもらおう!アクセル、お前もだ!」

 キョウスケはそう言い、各機にシャドウミラーの機体・エルアインスに対し攻撃を開始した。

「ラミアちゃん、援護は任せて!」

 そういい、エクセレンはラミアが避けられない、ミサイルを撃ち落としながら、

「了解ッス、エクセ姐様!」

 エクセレンの援護を受けた、ラミアはW16に向かってエネルギーの矢を構えた。

「行くぞ!エキドナ!」

 ラミアは、エキドナに向かって矢を放った。

「私は、W16だ!エキドナではない!」

 W16はラーズアングリフの最大の武器、右背部に折り畳まれて装着されている長身のリニアカノンを構え、アンジュルグに向かって発射した。ラーズアングリフとアンジュルグの砲撃と矢はぶつかり、どちらとも粉砕された。

「W17……貴様は戻ってこないのか?」

「ああ、W16……」

「ならば……次会うときは、容赦はしない」 

 そう言うと、ラーズアングリフは撤退していった。

 

 各機が戦闘に入っていると、いきなりハガネやヒリュウ改に接近する小隊が現れた。その戦闘にいるのは、ソウルゲイン、そしてビルトファルケンが見られた。

「あの時、転移してきた、ソウルゲインか!?」

 真っ先に反応したのは、キョウスケだった。キョウスケはアルトアイゼンで突進していった。

「アサルト1より各機へ、こちらに接近する小隊がある。余裕がある者は小隊に迎え」

 そう言うとハガネから通信が入った

「キョウスケ、ハガネからビルトビルガーを出撃させる」

 カイは各機に言うとビルトビルガーが出撃の準備をしていた。

「一体誰が!?」

 キョウスケはビルトビルガーと言われた機体の方を見た

「俺です!」

 その声はアラドのものだった

「まさか、アラド!?」

「ああ、ラト!俺はゼオラを助ける!」

 アラドは発進前にゼオラが乗っているビルトファルケンを見ていた。アラドはゼオラを絶対に助ける、そう覚悟をしていった。

「なら行け!アラド!……それを助けるのが、大人の役割だろキョウスケ・ナンブ、アラドを任せたぞ、これがな」

 アクセルはかつての仲間で恋人が敵にいるなんていうのは結構多かったため笑いながら、通信を入れた。

「なんか、アクセルさん雰囲気変わったッスか?」

 アクセルの口調がお気楽だったのに自分がいない間に何かが変わったことを察したのかふとアクセルに尋ねてみると

「記憶が失っていた時のことは言うな」

 アクセルは記憶をなくしていた時の記憶はあるらしく、あまりにも自分とかけ離れた性格だったことをわかっているため、あまり思い出したくはなかった。

「あらん、アクセルの記憶が戻っちゃったら、むっつり仲間が増えたかしらん?」

 記憶を取り戻したアクセルの口調がキョウスケやライに似ている感じがしたのかエクセレンはそう感想を言った。

「……アラド、記憶を失っていたとはいえ、昨日シミュレーターに付き合ったんだから、無様な姿は見せるなよ、これがな」

 アクセルは早く忘れたいのかアラドに通信をして話を変えた。

「うう、了解です」

 アラドもそれを察したのか、それとも昨日のシミュレーターでアクセルに一撃もクリーンヒットをしてないことを思い出したのか、項垂れながらアクセルに向かって言った。

「それじゃ、ラトラトも行ってやれ、ビルトファルケンのパイロットはラトラトの知り合いだろ?」

 アクセルはラトゥーニにそう言い、アラドと一緒にゼオラを救うように言った。

「……私の呼び方は変わらないのですね……」

 アクセルが記憶をもとに戻ったと聞いても自分の呼び方は変わらないことに対し苦笑いをしながらアクセルの指示に従ってキョウスケと共に迫りくる小隊の方へ向かった。

「ノリはいいみたいね~」

 エクセレンはそう言いながら敵を落としていった。

 通信が終わるとアクセルは目の前のウォーダンに向かい構えた。

「さぁ、そろそろ終わりにするか!W15!」

 アクセルは目の前のウォーダンに向かって叫んだ。

「いざ、尋常に勝負!」

 ウォーダンも斬艦刀を構えながらそう叫んだ。

 

「この世界のベーオウルフは俺たちの世界と同じ力を持っているかどうか……確かめる必要があるな」

 アクセル・アルマーは迫りくる、ゲシュペンストMk-Ⅲを見つめながらそう呟いた。

「……ゼオラ、セトメ博士の要望によりお前を連れてきた……その期待答えて見せろ」

 アクセル・アルマーは自分の部下の他にゼオラにそう言い、自分は迫りくるゲシュペンストMk-Ⅲに向かって行った

「ベーオウルフ!!貴様との間には何もないが、あの力がここにあるのか見極めさせてもらおう!そのゲシュペンストと共に!」

 アクセル・アルマーはゲシュペンストMk-Ⅲに対して叫んだ

「また、ベーオウルフ……貴様は何者だ!?」

「ふん、アクセル・アルマー……だが、貴様の知るアクセル・アルマーではない!!」

アクセル・アルマーはそう叫ぶとキョウスケに対し、攻撃していった。

「くっ!?こちらの攻撃が読まれているのか!?アルトと闘い慣れているのか!?」

 自分が繰り出す攻撃を躱し、防ぐソウルゲインに対しキョウスケは次第にジリ貧になっていった。

「どうやら、この世界のキョウスケ・ナンブはあの異形の力はないらしい……しかし、いつあの力が出るかわからん以上ここで、貴様を撃つ!」

 アクセル・アルマーは

「リミッター解除!コード麒麟!」 

 と叫び、アクセル・アルマーはゲシュペンストMk‐Ⅲに麒麟を繰り出し、腕を切断した。

「キョウスケ!?」

 真っ先に反応したのは恋人のエクセレンだった。援護に入ろうにもキョウスケたちまでの距離が遠く、間に合わない

「どうやら、本当に『あちら側』のような力は持たないみたいだが、ここで貴様は終わりだ!」

 アクセル・アルマーがキョウスケに止めを刺そうとした瞬間エネルギーの矢が飛んできた。

「離してくださいませ、アクセル隊長」

 アクセル・アルマーに対しラミアはそう言うと、また矢を構えた。

「ふん、W17か……裏切るのか?人形風情が自分の存在すらも否定して」

 アクセル・アルマーは興味があるのか、ラミアに対し、そう

「はい、殺し合い、壊し合い、奪い合う……それを維持する理論は、恐らく間違っているのです」

アクセル・アルマーに対し、ラミアはそう言った。自分の意思で、誰に教わったわけでもない、自分で見つけ、感じたことを

「甘くなったものだな、人形ごときが」

「その甘美な味を知ってしまった……それだけです、アクセル隊長」

 アクセル・アルマーに対しラミアは向かって行った。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【思い付き2】堕ちてきた番人【一発ネタ】

昔考えた小説です。



 平行世界の番人・クォヴレー・ゴードンはあらゆる平行世界に向かった、そのうち一つのとある世界には記憶にある自分の世界によく似たことが起きていた。かつての仲間を救うために向かおうとした、だがそちらに行くには因子が足りない。むしろ世界の終焉を導く因子達が集結していった。それを防ぐため何度かこの世界に介入していったが、因子は集まってしまった。ならば、自分が直接向かうしかない。そうクヴォレーは覚悟した。

「ここのままでは……この世界は終焉を迎えてしまう……行くしかないか……完全に因子がそろっていなくとも」

 クォヴレーはディス・アストラナガンの力を解放した。

「さぁ、ディス・アストラガン……解放するぞ!その力を!」

 そうして、クォヴレーは向かった。自分の愛すべき“あの世界”の友たちではない、友がいると世界へ

「行くぞ、ディス・アストラガン!」

そうして、クヴォレーは光に包まれた。

 

 

 

 

第二次スーパーロボット大戦OG  虚空の使者

 

 

 

 クォヴレーは目を覚ますとどこかの砂浜にいた。何故自分がここにいるのか、わからなかったがクォヴレーは周りを見渡した

「俺は一体……」

 ふらふらしながら見ているとどうやらここは、何らかの機体の中のようであった。

「俺はこの機体のパイロットなのか?」

 クォヴレーはこの機体の名が何故かわかった。

「この機体は……ベルグバウだ……何故ベルグバウに戻っているんだ?」

 クォヴレーはベルグバウに反応しながら、ふと気づいたことがあった。

「俺は……誰だ?」

 クォヴレーは自分が誰だか忘れていた。しかも

「俺は一体?……」

 気を失いそうになりながら、周りを見ていると接近してくる機体を見つけた。

そうして、通信が入ってくる。

「そこの未確認機、応答せよ……こちらは地球連邦軍特殊戦技教導隊所属ゼオラ・シュバイツァー曹長です……今すぐ、そちらの名前と所属を言ってください」

「あれは、ビルトファルケンにビルトビルガー……アラドにゼオラ……何もかも懐かしいのに……思い出せない彼等を」

 クォヴレーはゼオラからの通信を聞き、二機の機体を見ると懐かしくなるのを感じ自分が大切なことを忘れていると思いだそうとするが、体力の限界が来たのか気を失ってしまった。

 

 

「そこの未確認機、応答せよ……こちらは地球連邦軍特殊戦技教導隊所属ゼオラ・シュバイツァー曹長です……今すぐ、そちらの名前と所属を言ってください」

 ゼオラは目の前にいる機体に通信を入れてみた。そうすると驚きの返信がきた

「あれは、ビルトファルケンにビルトビルガー……アラドにゼオラ……何もかも懐かしいのに……思い出せない彼等を」

 ゼオラは未確認機のパイロットが呟いた言葉に耳を疑った自分やアラドの名前を知っている。それでいて乗っている機体も知っている。最初は敵かと思ったが、相手は懐かしい、それでいて思い出せない。そう言った。もしかしたら彼はスクールの生き残りかもしれない、それで記憶を消されている。自分たちの記憶にないだけで、そうなれば助けなくては、彼を

「ゼオラ!?今あいつ俺たちの名前を?」

 アラドも気づいたのかゼオラに通信を入れた。

「ええ、もしかしたら……スクール……それとも私たちの消された記憶を知っているかもしれない人物……」

「ああ」

 二人は目の前にいる機体は反応をしないことを確認し二人は二機で基地まで運んだ。

 

「ここは?……」

 クォヴレーが目を覚ますとベッドの上で寝ていた。そして立ち上がり自分の置かれている状況を整理した。

「俺は……確かクォヴレー……αナンバーズの兵士……」

 自分が覚えていることを次々に言うが意味は分からないのが多かった。まずαナンバーズと何なのかさえ覚えていない。まずここがどこだか調べなくては、自分は確かベルグバウのコクピットで気を失ったはずだがベッドに運ばれたのをみると、どうやら誰かに救助されたらしい。そう判断し、クォヴレーはベッドからでると、ちょうど治療室に入ってくる5人の男女がいた。

「目を覚ましたようだな」 

 一番年長者であろう、髭を生やした男が声をかけてきた。

「……」

 クォヴレーは警戒しながら、男の方を見ていた。

「……ここは軍の施設か?」

 クォヴレーはまず情報が必要だと思い見つめた。

「ああ、そうだ……まず、君は誰だ?アラドやゼオラはスクールの出身だと言う可能性が高いと言っているがどうなんだ?」

 男の質問にクォヴレーは言うかどうか悩んでいた。自分は記憶が無く確証もないが、言わなくては納得しないだろうと感じた。

「……クォヴレー・ゴードン……所属はαナンバーズだったと思う……他のことは覚えていない」

 クォヴレーは悩んだ末に打ち明けた。

「記憶が無いというのは?」

 男は不振そうに見つめていた。

「それじゃあ、なんで俺やゼオラ知っているんだ?」

 紫色の髪をしている少年・アラドがこちらを見つめて聞いてきた。クォヴレーは記憶に無いが彼と隣にいる彼女の名はすぐにわかった

「わからない……アラドからは懐かしさを感じる……あとゼオラからも感じる……だけど思い出せない……俺は何もわからない……」

 クォヴレーはアラドやゼオラに向かって申し訳なさそうに言った。

「わかった……では、クォヴレー・ゴードン……君の身は我々が預かる、君も記憶の中にある人物といる方がいいだろ……俺はカイ・キタムラ少佐だ」

 そう言うと、5人が順に自己紹介をし始めていった。クォヴレーは全員の名を覚えると検査室に運ばれた。

「全く、リュウセイやキョウスケが行方不明になったと思えば、ハガネもヒリュウ改も忽然と姿を消した……何かの前兆でなければいいが……」

 カイ少佐はそう言うと格納庫にあるベルグバウを見つめていた。あれがPTとも言えず、機体にはブラックボックスが多く、重さが不明と言う謎の多い機体、これをPT、いやロボットと言ってもいいのかわからなかった。

「ラミア……彼をどう思う?」

 そばにいるラミアはどう感じたのか尋ねるとラミアは困ったような顔をした。

「……彼がスパイと言う可能性は限りなく低いと思っちゃったりします……あの機体は謎が多い以上に私がいた世界でも、見たことはありません」

 ラミアは自分も知らない機体に向かってそう呟いた。

「わかった……あの少年から目を離すな」

「了解ですわ」

 そうして、ラミアはクォヴレーの所へ向かおうとする。

「ラミア……αナンバーズと言うのに聞き覚えは?」

 あの少年が言ったαナンバーズと言うのは組織の名前でそれを知らないのは『あちら側』の組織で、ブラックボックスにラウルたちが『こちら側』に来た原因と同じ、または類似したものがのってるのではないかと考えた。

「いえ、『こちら側』でも『あちら側』とも聞いたことはありますん」

「どっちだ?」

「ありません」

「そうか……ではあの少年を見ていてくれ」

 カイは溜息をしながら、機体の報告をもう一度見直した。

 

 

検査結果クォヴレーは記憶喪失だった。

「ゼオラ……アラド」

 クォヴレーは頭に浮かんだ人物を何度も呟いていた。自分が忘れてはいけないことを忘れている。大切なことを忘れている感覚だった。

「まぁ、そんなに気を落とすなよ」

アラドは心配そうにクォヴレーを見つめていた。何度も自分を言っている相手を心配していて話かけた。

「うん……アラドの言う通りですよ、クォヴレーさん」

 ゼオラもそばにいながら頷いた。

「……クォヴレーでいい」

 さんづけされ少し違和感を感じたのかゼオラに対して言った。

「……俺は大切なことを忘れている……大切な仲間を……」

 その時敵襲がした。

「ゼオラ!!」

「わかったわ!クォヴレー!!私達は出撃するから、貴方はここにいて!」

 二人はすぐに反応して、クォヴレーを置いていくのは心苦しかったが自分たちの機体へ向かった。

「アラド!?ゼオラ!?」

 二人が機体に向かえば、自分の行こうしたが他の連邦の兵士に止められた。

「俺は……行かなくては……仲間の元へ」

 クォヴレーはそう呟くと連邦の前からいきなり、姿を消した。

 




 もし、第二次スーパーロボット大戦OGに久保が参戦したらと言う思い付きで書いたままほっといた小説です。
 この小説が完結したら続きを書きたいなと思ってます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

桜の花は何度でも咲き誇る

「キョウスケ・ナンブ!?」

 キョウスケが自分とは別の世界のアクセル・アルマーにやられたことがわかると、アクセルは自分を止められるのは自分だけだと思い、アクセル・アルマーの所に向かおうとするが、W15との戦闘が続いている今、そちらに向かえない。W15も勝てないと悟ったのか、勝つため闘いではなくアクセルが他のモノと闘わないように足止めをしているようにも感じた。

「その行動は命令か?それとも自分で考えたことか、W15!?」

 アクセルは目の前のウォーダンに対して人形なのか、それとも感情を持ったラミアと同じ存在なのか見極めていた。

「俺は……俺はゼンガーと闘い勝つまで、負けるわけにいかん!故に我はここで貴様を斬る!」

 そう言いウォーダンは斬艦刀を構えて、アクセルに向かって行った。

「ならば、俺に見せてみろ!」

 アクセルはソウルゲインの腕に気を貯めた

「リミッター解除!」

 アクセルは構えていた。

「行くぞ!!青龍鱗!」

 青龍鱗をウォーダンに繰り出すが、ウォーダンはそれを斬艦刀で斬り払いしながら、アクセルに向かって行った。何発もの気の塊を受けながら、斬艦刀で斬りかかろうとしていた。

「コード麒麟!」

「我が一撃……受けてみろ!!斬艦刀究極奥義『一閃・星薙の太刀』」

 ウォーダンは自身の斬艦刀の刀身を最大限まで伸ばし、突撃の勢いで振り回しながら、向かってきた。味方も敵もお構いなしに巻き込んでいった。

「でぇぇや!」

「我が一撃は星をも斬る一撃なり!!」

 斬艦刀と聳弧角の、スレードゲルミルとソウルゲインの、最大の、必殺の、業がぶつかり合った。その衝撃は凄まじく、そばにいる機体も巻き込み、装甲が薄い機体は墜落していった。

「ちっ!?」

 そして、結果は痛み分け、引き分け、どちらの武器もヒビが入ってしまった。

「どうやら、貴様とは……決着をつけるべきか?」

「ああ……ゼンガー・ゾンボルト……奴を斬ったあと……貴様を斬る」

 そうして、スレードゲルミルはこの宙域から離脱した。

「ゼンガーの名に縛られる運命か、これがな」

 アクセルは離脱したウォーダンに向かってそう呟くと、キョウスケ達の所へ向かった。

 

「アクセル隊長……行きます」

 ラミアはアクセル・アルマーに対し、まず接近戦をしようとなど、考えていなかった。まず空中権を取ることにした、幸いアクセル・アルマーの乗るソウルゲインはアクセルの乗るソウルゲインと違い空中で戦闘はできない。

「空中権を取ったつもりか!?例え空中権を取ったとしても俺に勝てると思うなよ、これがな」

 アクセル・アルマーは空中にいるラミアに対し腕に気を貯めた。

「行くぞ!青龍鱗!」

 空にいるアンジュルグに対し、青龍鱗を飛ばしながら広範囲に攻撃をして行った。

「くっ!?」

 ラミアは弓矢で応戦しようにも弓矢で狙えない。アクセル・アルマーが飛ばす、青龍鱗を避けながらでは攻撃できない。だが、ラミアはシャドウランサーで応戦するが、どちらの業も必殺と言えない業であり、膠着状態が続く。

「W17、貴様との決着ここでつける!」

 アクセル・アルマーはそう叫ぶとシャドウランサーに喰らうダメージに問題が無いのか、アクセル・アルマーは修理し、新しくした右腕に集中した。

「この玄武金剛弾に、砕けぬものはない!!」

空を飛ぶアンジュルグは玄武剛弾の威力は知っているが、このアクセル・アルマーの攻撃モーションを見たことが無かった。

「くっ!?私の知らない業!?」

 見たことが無い業なので、アクセル・アルマーからの攻撃に戸惑ったラミアは少し反応が遅れてしまい、アクセル・アルマーからの玄武金剛弾を直撃は避けたものの、かすっただけでもダメージが当たり、アンジュルグは墜落しながらアクセル・アルマーを見つめていた。

「……私を甘くみないでもらいたい!!」

 ラミアは堕ちていきながら、左腕から高出力のエネルギーの矢を発生させた。

「リミッター解除!最大質力……照準セット……」

 ラミアは目の前のアクセル・アルマーに向かって自身の最大の業を繰り出していった。

「ファントムフェニックス!!」

 鳳凰を模した巨大なエネルギーの塊をアクセル・アルマーに対し放った。

「W17!?味な真似を!?」

 アクセル・アルマーの中にも多少の奢りがあった。あの新しい業に自身があったのか、避けられなかった。

「ちっ!?」

迫りくる鳳凰に模した巨大なエネルギーの矢・ファントムフェニックスを喰らい、ダメージを受けたアクセル・アルマーの乗るソウルゲインからは警告音が鳴り響いていた。

「アクセル隊長……私にも意地があるのです」

 ラミアは墜落しながら、そう呟いた。そうして墜落する瞬間ラミアの機体をまるで堕ちてくる女の子を支えるかの様にアクセルのソウルゲインが、アンジュルグを支え地面におろした。

「よくやった、ラミア……俺の相手は俺がやるべきだ、これがな」

 二機のソウルゲインは戦闘態勢に入ってはいなかった。

「貴様のソウルゲイン……その有様で戦えるのか?舐められたものだ、これがな!」

 アクセル・アルマーはアクセルのソウルゲインのヒビが入っている聳弧角を見ながらそう呟く。そしてアクセルはそれに対し

「ふん、貴様もアンジュルグの最大の業を喰らって俺に勝てるとでも思うのか?こちらも舐められたものだ!」

 二機のソウルゲイン、二人のアクセルはこの場では闘わなかった。

「……どちらも、人形風情にやられているのは情けない……まぁ、いい……レモンたちも無事逃げられた……これ以上やっても仕方がない、これがな」

 そう言うと、シャドウミラーの機体は戦闘をやめ、この宙域から離脱していった。

「ベーオウルフ、アクセル・アルマー……貴様らは俺が倒す」

 アクセル・アルマーも離脱していった、それをアクセルは見ていた。

「よろしいのですか、アクセル隊長を逃がしても……アクセル隊長?」

「ああ、このまま俺と闘うのは得策ではない……あと、ややこしいから、俺か、奴のどちらかは隊長をつけるな……俺はアラドの所に向かう、誰かに回収してもらえ、これがな」

 アクセルはそう言うと、ブーストを最大にあげて海上へ向かった。

 

 

海上

「あれか!?ゼオラ!?俺だ、アラドだ!」

 アラドは敵に突っこんで行きながら、ビルトファルケンを見つけ突っこんで行った。

「アラド……アラド・バランガは連邦の兵士……倒すべき敵!」

 ゼオラはアラドからの通信を聞き、ゼオラはアラドに対して敵意を持ってこちらに叫んできた。

「って、なんで!?……いや、当たり前か?いま助けてやるからな、ゼオラ!」

 アラドは、万が一ゼオラにはリマコンをされてはいないと淡い期待をしていたが、敵意を持って、アラドの記憶を失っているのをみるとさらに、リマコンされてしまった。ならば、自分が助ける。

「ゼオラ今、思い出させてやるからな」

 アラドはそう言うと、ゼオラに接近していった。

「お前さえいなければ、ラトは私達と闘わずにすんだのに!あの子を洗脳して闘わせるなんて!!」

 ゼオラはアラドに対し、ビルトファルケンに武装されているオクスタン・ライフルを構え、アラドに対して、エネルギービームを発射していった。

「くっ!?ゼオラ!?」

 アラドはビルトビルガーの運動性を生かしながら、避けながら左腕に内蔵されている、3連ガトリング砲で牽制するが、当たらない。

「アラド!?ゼオラ!?」

 ラトゥーニがやっと追いついたのか二機の後ろについていると海の中から一機のPTが現れ、ラトゥーニの乗るフェアリオンは捕まってしまった。

「やっと、捕まえました……もう安心しなさい、ラト」

 ラトゥーニを捕まえたのは、ラピエサージュ、オウカ・ナギサだった。

「オウカ姉様!?」

「もう、安心しなさい、ラト……私が母様のとこへ連れて行って、貴方がされた洗脳を解いてあげます」

 捕まったラトゥーニを救おうとアラドはオウカの方へ向かおうとする。

「やめろ、姉さん!?」

「アラド・バランガ、貴方に姉呼ばわれる覚えはありません!!」

 オウカははっきりと言った。

「まさか、姉さんも!?」

 アラドは驚きのあまりそう呟いた。

「そんな……前はアラドのことを……」

「あのアラド・バンカラは貴方を私達から奪い去った憎むべき敵なのです!」 

 オウカははっきりとした口調で、敵意を持ち、憎しみを持ってラトゥーニにアラドのことを言った。

「また、姉様……リマコンを?」

 そう呟くと、ラピサージュはリマコンされていると思っているラトゥーニが反撃できないよう、逃げないようにダメージを負わせた。

「姉さん!?」

 アラドはオウカに突っこんで行こうとするが目の前にオクスタン・ライフルをこちらに構えるビルトファルケンがいた。

「よくやりました、ゼオラこのまま、ラトを連れて帰りましょう……」

 そうして、二機が離脱しようとしたとき。

「ラトラトは連れて行かせんぞ、これがな!」

 ラピエサージュとビルトファルケンに迫りくる二つの拳が見えた

「玄武剛弾!!」

 二つの拳が二機に当たり、本来ならこの二つの拳が一機に当たる業だが、一つの拳のためか威力は半減され、それにより二機の離脱を防いだ。

「アクセルさん!?」

「お前は、お前のやるべきことをしろ、こいつは俺が相手をする」

 アクセルはラピエサージュに向かって、戻ってきた拳を構えた。

「アクセルさん、オウカ姉さんも助けてください!」

 記憶が無い時のアクセルの実力を散々知っているアラドは、記憶が元に戻っているアクセルはあれ以上の実力を持っていると感じアクセルを見込んでアラドはオウカを任せることにした。

「……わかった……その、姉さんもラトラトも俺が助けてやる、これがな」

 アクセルはアクセル・アルマーを見て、かつての自分を思い出し、本当に自分は甘くなったものだと、心の中で笑った。この甘さが心地よく思える。

「行くぞ、ラトラトを返してもらおうか、これがな!!」

 アクセルはオウカに向かって行った。

「私とこの子の絆も知らずに!!」

 オウカは片腕で支えているラトゥーニが乗るフェアリオンを衝撃でラトゥーニが傷つかないように細心の注意をしながら両肩に装着されたクラスターミサイル・スプリットミサイルHでソウルゲインを攻撃していった。

「青龍鱗!!でぇぇい!」

アクセルは飛んでくるミサイルを青龍鱗で落としながら、自分は特機である以上距離をとるのは利なると感じたアクセルはブーストを最大にあげて一気にオウカとの距離を縮めた。

「……あいつの姉なら救わなくてはならんな!命までは取らん!白虎喉!」

 アクセルは手加減をしながら拳で、ラピサージュに拳の連打を当てていった。

「くっ!?」

 オウカはラトゥーニが巻き込まれないようにしているが、ソウルゲインからの攻撃を受けながら、一つ気づいた。相手は自分を撃墜させようとしていない。何故?ラトゥーニを自分が捕まえているから、全力で攻撃できないと考えたが、相手は血も涙もない連邦の兵士、自分を捕まえてこの子のようにリマコンを施すつもりではないかとオウカは考えた

「そうは、させません!こうなったら、ゲイム・システムを!!」

 ゲインシステムとは、パイロットの脳に直接情報を送り込む仕組みである。その反面脳に強い負担が掛かり、情報把握能力の拡大は戦意の高揚感を無尽蔵に拡大させてしまうことがあり、パイロットの精神崩壊や暴走を引き起こす危険があった。

「姉様!?やめて!!それを使ったら姉様の体や精神は!!」

「大丈夫です……敵を倒し、家に帰りましょう……ラト」

 オウカはまるで聖母のようにラトゥーニに優しく言った。自分は大丈夫だから心配しなでほしかった。

「妹と弟を護ります……弟?私に……いえ、そんな筈はありません……私には、ラトとゼオラ……妹だけ……それじゃあ、あの子は?」

 オウカは自分の言ったことに自信がなくなってきた。弟と呟いた時、紫色の髪の毛の男の子がゼオラに色々言われながら、ご飯を何度もおかわりをしてそれを見ながら笑っている自分と自分の後ろから見ているラトゥーニのビジョンが頭の中に思い浮かんできた。

「姉様……完璧に忘れたわけではないのね!……姉様、アラド……アラドを思い出して!!」

 アラドと聞いた瞬間オウカは頭の中に今までの記憶の映像が出てきた。

「私は……私……何で、あの子の……あ……アラドを……私は……私は……私は!!私に弟などいない!!」

 心は正しいと判断しても頭が否定してしまい、自分ではどうにもならなかった。

「ふん、悲しい人形だ……俺がその糸を切ってやろう」

 向かってくるオウカに対しアクセルはアラドとの約束を果たすべく、ラピサージュの腕を掴み握り動けなくする。

「オウカ・ナギサ!貴様はアラドを、弟を思い出さなくてもいいのか!!」

 アクセルはオウカの心のどこかでアラドを覚えている可能性に賭けた。

「私に弟など!」

「姉様……いつも三人前は食べて、ゼオラに毎日のように怒られて、私より、操縦へたなくせに私たちを護ろうとしてくれた……アラドを忘れちゃったの!?」

 ラトゥーニはスクールでの辛いことが多かったが、彼等と過ごしたことは辛くなく、楽しかった日々をオウカに向かって叫んだ。

「ラト!?……私が……私がアラドを忘れる……ことなどありません……うわぁあぁぁあ!私は、あの子を護るから、取り戻すから、セトメ博士やめて!!私たちにはあの子が必要なの!」

 オウカはそう呟くと頭の中に忘れてしまった記憶が一気に来たのか、悲鳴を上げると気を失ってしまった。

 

 

「ゼオラ……お前が俺のこと忘れても、俺はお前との約束を守らなくちゃ行けならねーんだ!」

 アラドはビルトファルケンからのビームを避けながら叫んでいた。

「わけのわからないことを!!」

 ゼオラは何度も攻撃していくと、流石にアラドもいつも調子でゼオラに叫んだ。

「ああ!!もうその胸並に頭も柔らかくなれよ!!」

「また胸のことを言って!!アラド!!」

 ゼオラもいつものようにアラドに対して叫んでしまった。そしてゼオラは気が付いた。何故連邦の、しかもラトをさらった元凶にまたと言ってしまったのかを。

「また……そうか完全に記憶が無くなったわけじゃねーんだな!!」

 アラドはゼオラが戸惑っているあいだにビルトファルケンの間合いに入った。

「何を言っているの!!」

「俺のタフさと幸運……もとい悪運の強さを舐めるんじゃねー!!」

 嬉しそうに、ゼオラの中に自分は残っている。あとはゼオラに思い出させるそれだけを考えていた。オクスタン・ライフルを構えビームを飛ばしてくるのも構わず、ビームがかすってもアラドはビルトビルガーでひるまず、ビルトファルケンを捕まえた

「何を!!……ビルトビルガー?ファルケンのパートナー」 

 ビルトファルケンからの情報が出てきて、相手の機体の名がわかり、パートナーと呟く

「お前をここで行かせたら、今度は完全に忘れちまう!!だから、俺はお前を放さない!!」

 ゼオラに向かって叫んだ。アラドもアクセルと同じように賭けた。ゼオラが自分を思い出すことを

「何を……何を、忘れる……いやぁぁぁあ!!セトメ博士お願いします!!あの子を私から奪わないで!!」

 ゼオラは発狂するかのように叫ぶ

「いや、忘れたくない。忘れたくない、忘れたくない!!!」

 セトメ博士が自分の大切なパートナーの“   ”の記憶を忘れさせようとしていることを思い出した。

「ゼオラ!!俺だ!!アラドだ!!」

 アラドも落ち着かせようと叫んだ。しかし、緑の光がそれを邪魔した。

 

「気を失ったか、このままハガネに帰還するか……!ラトラト!!オウカ・ナギサを任せた!!」

 アクセルは何か敵意が来たのがわかったのか緑の光りから二人を悪意の反対側に投げた。

「アクセルさん!?そんな急に!!」

 ラトゥーニはアクセルの突然の行動に反応が遅れるが、何とかオウカを支えながら必死に空中を飛んでいた。

「貴様ら何者だ!?」

 アクセルは目の前にいる色違いの二機に警戒をしながら見つめ、いつでも動けるようにしていた。

「ふふ、人間如きが僕に敵うと思っているの?」

 不敵に笑いながら、アクセルを見つめる青色の機体に乗るイーグレット・アンサズは見つめていた。

「そこの機体を僕たちに渡してくれないかな?そうしてくれてくれれば、楽に殺してあげるよ」

「人間如きか……そうやって負けた異星人がいくつあると思っているんだ?舐めるなよ、こいつが」

元の世界、自分たちが向かった世界、この世界、三つの世界で幾度となく闘い、人間だけでなく、鬼、サイボーグ、宇宙人などの闘争から生き抜いてきたアクセルにとって人間以上のモノと闘うこと事態珍しくもなかった。

「やめとけ、アンサズ」

 銀色の機体から青色の機体と同じ声がした。

「アンサズ、ウルズ……回収したよ」

 茶色の機体がビルトファルケンを持って現れた。

「貴様……アラドはどうした?」

 アクセルはビルトファルケンを見るとそう呟いた。アラドを心配するが、ここからアラドの所へ向かえば後ろにいるラトゥーニ、オウカ・ナギサが攻撃されてしまう。

「ああ、あの出来損ないか……殺してやりたかったさ……でも、やめてやった」

 茶色の機体からは又もや同じ声が聞こえた。

「そうか……貴様らクローンか?」

 アクセルは三人、同じ声がしたためそう感じた。クローン。この世界にWシリーズと同じような技術があってもおかしくない。

「君に答える必要はない……そろそろ、離脱する」

 リーダ各らしき銀色の機体が言った

「……アウルム1はいいの?」

「それより、あの出来損ないはやらなくてもいいの?あんな出来損ないが僕たちの一部に使われていると思うと……」 

 茶色の機体はマシンナリー・ライフルを構え追ってきたビルトビルガーに構えた。

「ゼオラ!!」

アラドはそう言いながら叫んでいた。

「……パパからの指令が入った、スポンサーからあの青い特機とは闘うなって命令だ……パパの命令は絶対だ……わかっているよね?アンサズ、スリサズ」

「わかっているよ……スリサズは?」

「……」

 茶色の機体はマシンナリー・ライフルを下ろし、ゼオラを連れ去った。

「……チクショウ!!!」

 アラドはただ見送るしかなかった。

「すなない、アラド……正直あの三機と闘うのは、きつかった」

 アクセルは連戦のソウルゲインとヒビが入っている聳弧角を見ていた。EG装甲で自己回復するとはいえ、しばらくは舞朱雀や麒麟などの業が使えそうもなかった。

「ラトラト……大丈夫か?」

 アクセルは大きさの違うフェアリオンがラピエサージュを支えているのは無理があると思いラトゥーニの近くに向かった。

「ええ、何とか」

 ラトゥーニには今にも墜落しそうになりながら、頷きソウルゲインがラピエサージュをお姫様抱っこするまでさせていた。

「アラド……ハガネに帰還する……」

「了解ッス……」

 アクセルはアラドにそう言うとハガネに帰還した。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

それぞれの世界、それぞれの始まり

 アクセルはハガネに帰還すると格納庫では、カチーナが待っていた。

「どうやら……記憶が戻った俺は歓迎されてないみたいだな、これがな」

 カチーナの顔を見ながらアクセルはそう呟いた。

「お前とラミアはスパイなんだろが!」

 カチーナはアクセルに問いただそうとすると、後ろからタスクやラッセルがカチーナを止めに入った

「カチーナ中尉を止めないと、ラッセル!!」

「はい……落ち着いてくださいカチーナ中尉!まずアクセルさんの話しを聞きましょう!!」

 慌ててカチーナを後ろから、飛びかかりカチーナの腕に二人で捕まった。

「止めんじゃね!!けじめをつけねーと私の気がすまねんだ!!それにこいつらは私らの情報を敵に流していたんだぞ!!」

 カチーナは二人が腕につかまっていても関係なく二人を振り払いアクセルに殴り掛かりはしないものの近づいてきた。

「カチーナ・タラスク……それに関しては後で説明する……今はこっちだ」

 アクセルはカチーナを躱し、ソウルゲインがお姫様抱っこしているラピサージュに飛び移りコクピットを開けた。

「アクセルさん!!」

「アクセルさん!オウカ姉様は!?」

 ラトゥーニとアラドは機体から降りるとすぐにラピサージュの所に向かった。流石のカチーナもその光景を見ていると、アクセルに問いただすことはできなく、見ていた。

「アラドにラトラト……心配はしなくていいぞ、これがな」

 アクセルはラピエサージュのコクピットを開き、気絶しているオウカをコクピットから出した。

「お前らの姉は無事だぞ、これがな」

 アクセルは気絶している、オウカをお姫様抱っこしながらアラド達の所に戻った。

「早く、治療室に連れて行かないと」

 ラトゥーニはそう言うとオウカの顔を見ていた。気絶しているオウカを見ていると心配になってしまい、アクセルにお願いをした。

「ああ、了解した」

 アクセルはそのまま治療室へ向かっているとオウカが一時的だが目を覚ました。

「うう、貴方は?」

「お前を撃墜した男だ、これがな」

 アクセルは自分を皮肉りながらオウカに向かって言った。

「その声は……私は貴方とラトのおかげで、大切な弟を思い出したのです……ありがとうございました……貴方のお名前は?」

 オウカは目の前のアクセルに微笑んだ。

「……アクセル……アルマーだ……お前は俺に洗脳されることを考えてはいないのか?」

 アクセルはそう言い、オウカを治療室へ運んだ。

「……不安はあります、でもあの子たちが連邦を、貴方を信じるなら、私も……私はもうあの子たちしか信じモノがありませんから……でも、私は貴方を信じます、あの子たちが信じているからではなく……私を救ってくれた……貴方を」

 オウカはそう言うとまた気を失ってしまった。アクセルは急いで治療室へ入ると先ほどの戦闘により、怪我をしたはずのキョウスケが検査を終えたのか、上着を着ているところだった。

「アクセルか?」

 キョウスケは無傷でアクセルに気づき、アクセルの方を向いた。

「……よく俺にやられて、怪我の一つもないな……」

 アクセルはキョウスケがピンピンしている姿を見ながら、そう呟いた。平行世界の自分とはいえ、アクセル自身の自身が無くなりそうであった。

「いや、かすり傷が幾つかあるが、それ以外は別になんともない」

 キョウスケはさも当たり前のようにアクセルに言った

「貴様は人間か?」

 アクセルは格納庫で全壊までとは言えないまでも、半壊以上で直した方が速いか、一から作り直した方が速いか、五分五分であるアルトアイゼンを見ていたためアクセルは信じられなかった。

「いや、それは……アクセルさんも言えないと思います」

 ラトゥーニは飛び降りたら即死クラスの高さから、飛び降り無傷のアクセルを見ているので、どちらかと言えばアクセルの方が人間ではないのではないかと思っていた。

「まぁ、いい……それで、奴は何者だ?……あのソウルゲインを操る、アクセル・アルマーは」

 キョウスケはすぐに、アクセル・アルマーについてアクセルに問いただそうとした。

「まぁ、あれについてはラミアに聞いた方がいい、俺はあれが『別の世界』の俺としか、言えん、何故お前を狙っているのかもな……」

 アクセルは何故アクセル・アルマーが目の前のキョウスケを狙っているのかがわからなかった。自分の知っている『あちら側』にも『こちら側』でも、キョウスケ・ナンブと言う男を知らなかった。

「そうか……では、シャドウミラーについては?」

「それに関しては皆を集めて言った方がいい、これがな」

 アクセルはそう言うと後ろにいる二人に話かけた

「アラド、ラトラト……俺とラミアから話がある……オウカ・ナギサはここで検査を受けてもらう」

 いつの間にか、気を失ったオウカをベッドに寝かせた。

「でも、オウカ姉様が」

「姉さんは?」

 二人は誰がオウカを検査するか心配しながら、オウカを見ていた。

「安心しろ、今は気を失っているが時期に目が覚めるさ、これがな……心配ならオウカのそばにいろ、後で俺がまた話すがどうする?」

 アクセル二人そう言うと二人は

「……俺、アクセルさんの話聞きます」

「私も……」

 二人はアクセルの話しを聞こうと思った。アクセルの

「では行くか、これがな」

 アクセルはそう言い、ブリーフィングルームへ向かった。ブリーフィングルームにはハガネ、ヒリュウ改のメンバーがいた。そしてアクセルを待っていたのかラミアはアクセルが来るのがわかればすぐにアクセルの元に来た。

「アクセル隊長待ってたり、しなかったりしちゃいます」

 ラミアはそう言うとすぐに自分の言ったことに気づき咳払いをしていい直した

「こほん……待ってやがったぜ」

「もういい、わかった」

 アクセルは目の前のラミアが『こちら側』のW17だと言うことに笑いを隠しきれなかった。それを見て、ラミアは顔には出さなかったがむっとしながらアクセルを見ていた。

「さて、それで何から話ししようか?」

 アクセルは皆に問い掛けた。

「では、まずアクセル・アルマーそしてラミア・ラブレス……君に改めて聞こう……名前と所属は」

「……ラミア・ラブレス、正式名所W17……元連邦軍特別任務実行部隊・シャドウミラー」

「アクセル・アルマー所属元地球連邦軍特別任務実行部隊・シャドウミラー特殊処理班隊長……そして現地球連邦独立部隊ロンド・ベルで階級は中尉だ」

 アクセルとラミアはそれぞれ順番に自分の所属を言っていった。

「二つとも聞いたことがないが」

 真っ先に反応したのはテツヤだった。テツヤは自分の聞き覚えの無い単語が二つあった。『シャドウミラー』と『ロンド・ベル』、地球連邦と言うのであれば自分が知らないはずもない。もしかしたら極秘に作られた部隊かと思ったが、特別任務実行部隊に独立部隊であればどちらかは、聞いたことがあるはずと思った。

「だろうな、俺はこの世界の住人ではないからな……ラミア、お前もそうだろ」

 淡々と語るアクセルとラミア。聞かれたラミアも簡単に頷いた。

「ええ」

 理解に追いつけないのか、周りは軽くパニックを起こしていた。

「おいおい、それはなんでもありえねーよ」

 イルムのように理解できなくアクセル達が言ったことを否定したり

「おい、アクセル!適当なことを言っているんじゃね!」

 カチーナのようにふたりが適当なことを言っていると思っているものがいた。

「キョウスケ・ナンブ……貴様なら、わかるだろ?」

 アクセルは冷静に、キョウスケの方を向いた。

「つまり、アクセル、お前はあのアクセル・アルマーは自分であり、自分でないと言うとこか?」

 キョウスケは自分が闘ったアクセル・アルマーについて思い浮かべた。

「ああ、あれはラミアたちのアクセル・アルマー、つまり俺だ、これがな」

 キョウスケの言葉に少し納得したのか少し静かになった。その時通信が入った。

「それは本当のことだ」

 その通信はクロガネからだった。そして通信の主はギリアム・イェーガだった。

「その声はヘリオス・オリンパス!?」

 真っ先に反応したのはラミアだった。自分の重要な任務の一つであるヘリオス・オンリパスの捕獲内にあるデータが反応した。

「……そうか、やはり君たちシャドウミラーは私がいた世界のシャドウミラーだな……アクセル、君は記憶を失っている時私を知らないと言ったが今の君はどうだ?」

 ギリアムの問いにアクセルはギリアムを見つめながら、

「俺は記憶をなくした時も言ったような気がするが、ギリアム・イェーガ……俺はお前を知らん、これがな」

「そうか……では、後アクセル、君に聞きたいことが幾つか聞いておきたいことがある」

 三人は自分たちがそれぞれ互いのことを理解していった。だが周りで聞いている者はわけがわからなかった。

「ちょっと待て、ギリアム……お前らの会話がわからん、もっと俺たちに分かるように話してくれ」

 カイ少佐は元特殊戦技教導隊メンバーとしてギリアムに話しかけてきた。

「では、俺の世界から話そう……疑問があれば、その都度言ってくれて構わない」

 アクセルはそう言うとみんなに向かって自分の世界について話した。

「俺の生まれた世界……宇宙世紀についてだ……俺が産まれた世界は人類が宇宙へ進出して約一世紀……宇宙で住む人々と、地球に住む人々……その半分が亡くなったスペースコロニー・サイド3別名ジオン公国が地球連邦からの独立戦争、俺たちは一年戦争と呼んでいる……そしてその最中に異星人が襲ってきた……地球連邦は外宇宙勢力の侵略に敗れ、隷属下に置かれてしまった、人類が逃げ場を無くしたインスペクター事件についてだ、この世界でも同様なことが起きているのだろ?」

 アクセルが言った『インスペクター事件』に反応したのはラミアとギリアム。

「インスペクターって!?まさかあいつらか!?」

 マサキ、クスハ、リューネ、リョウト、アイビスなどは心あたりあるのか月、テスラ研を襲った機体を思い出していた。

「多分な……貴様らが闘った奴らだろうな」

 アクセルはそう言うと話を続けた。

「だがこれは俺の世界ではまだ序章に過ぎない……その頃の俺は地球解放軍と言うゲリラとして、各地でインスペクターと闘っていた」

 アクセルは語った。自分が何故シャドウミラーに入り、何故闘争を望んだのかを

 




しばらくは多くのOGのメンバーは出ません。ちょっとの間アクセルがいた世界を自分なりに書きます。できるだけ、長くは書きません。もし長くなる場合はこの小説が終わった際別の形で載せたいと思います。
A関係以外のOGで出るメンバーはエクセレン、ゼンガー、ビアンなどです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第0次スーパーロボット大戦A
アクセル・アルマー


 俺が15、16の頃だ。俺は各地で行われていたゲリラに参加していた。当時、俺は連邦の新兵として前線へ送られた。だがその日のうちに基地にインスペクターが攻め込んできた。ジムと言うMSに乗り込んで、インスペクターの機体との戦闘が始まった。だが結果はその基地の兵は俺を除いて全滅だ。俺は命からがら逃げ出した。

そして突如インスペクターによって軍の主要な基地、研究機関の殆んど攻撃され機能していなかった。それで俺は軍を抜けてゲリラとしてインスペクター、時には軍と闘っていた。軍の上のモノは自分の保身で、何もしなかった。何もしないという事は生きる事を放棄する事と同じだ。俺は軍を抜けて、あらゆる戦場で傭兵として生きていた、これがな。

 地球全体で比較的平和だったのは日本だけだった。何故か俺が産まれた世界では日本に多くの民間の機関が特機を作っていたため日本は多くの特機がレジスタンスとして闘っていた。まさに鋼のレジスタンスだったな。

 

「…傭兵のアクセル・アルマーか、まだミルク臭いガキかよ……」

 地球解放軍。ここにいた兵士の名前を今だ、思い出せないが最低な奴らだった覚えがある。何しろゲリラといいながら、こいつらは地球解放といいながら、攻撃するのは村や無力化した連邦の基地などでほとんど盗賊だった。俺はこいつらから雇われて、インスペクターの攻撃から何とか残っている研究機関を襲撃し機体を奪う作戦に参加した。

「俺は寝ていたんだ、静かにしていろ」

 当時の俺は闘えればいいと思っていた。というよりも死に場所を探していたのかもしれなかったがな。俺は生意気だったのか行く先々で、地球に潜入していたジオンの兵や元地球連邦の兵だった奴らに攻撃されそうになった。もちろん血の気が多かった当時の俺は返り討ちをしていた。

「ふん、生意気言ってんじゃねーよ!」

「異星人に攻撃されていた時に闘いもしなかった奴らが、俺に話かけるな」

 俺は何度も殺し合いに発展しそうになったが、俺は触れてくるものは全て倒してきた。今回も相手を

「お前ら、いつまでも暴れているな。もうすぐで作戦の時間だ、肝心な時に暴れてもらっては困る。わかっているなアクセル、俺たちの作戦は、連邦の研究機関である地球連邦軍特殊技術兵装研究所を襲撃し、隠し持っている」

 その時の俺はザクⅡと言う機体に乗っていた。ザクと言うのは、ジオンの量産型の機体だ。流石にザクでは限界を感じていた俺はこの作戦で新しい機体が報酬だった。

「ああ、約束どうり俺が一番に機体を選ばせてもらう」

 そして俺たちは地球連邦の研究機関を襲った。だが結果は散々だった。先ほど言ったが日本には多くの特機が闘っていた。つまり反撃する力があったのは日本。敵の主力も日本に集中していた。俺たちゲリラは自分たちで異星人と闘い勝っていたという間違った自信、さらに連邦は多くの力を残していた。自分たちが身を護れる程度はな。俺たちは一方的にやられれた。俺は機体がザクだったこともあり、基地に潜入することが任務だった。そこで俺は何とか機体が諦めきれず、機体を探していた。

 

「あら、侵入者……それじゃあ、あの機体に実験でも付き合って貰いましょうか」

 のちにシャドウミラーの所属するレモン・ブロウニングはここの元研究者が言うには俺に気づいていて、わざと泳がしていたとも言っていたがな。

俺は連邦の兵士から見つからないように機体を探していた。そうして格納庫につくと一人の女が待っていた。そいつがレモンだった。

「あら、監視カメラで見るよりいい男ね、坊や」

 まるで俺が来るのがわかっていたような口ぶりだった。まぁ監視カメラでみられていたのだからわかっていたんだがな、これがな

「感謝しなさい、坊や。私がこの基地の所長……と言ってもインスペクターによって責任者が全員いなくなっただけなんだけどね」

 そう言うとレモンは俺を機体の方に案内し機体のデータを渡してきた。

「いいのか?」

 俺は罠かと思ったが、別に俺一人を排除するのにこんな罠を立てるとは思えなかった。そして俺はレモンについて行くと、特機やPTなどがあった。

「好きなのを選んでいいわよ。どうせここも攻撃されて機体を作ったもの無駄になるなら、ゲリラ風情に持っていかれて使われる方がいいわ」

「……それじゃあ俺はこれを貰う」

 そう言いながら興味のなさそうにレモンは機体を案内していった。その機体は俺たちシャドウミラーが使っている今の機体の前のタイプだった。

「あら、そのそれでいいの?それ作った私が言うのもなんだけど、それ使いにくいわよ」

「機体の操縦方なら自信がある」

「そうなら良かったわ、あと貴方連邦に戻りなさい、アクセル・アルマー一等兵」

「……なぜ俺を知っている」

「簡単なことよ、ゲリラにしては動きもいいし軍人でしょ貴方、そして若い坊やだったからデータを探していたら貴方が出てきたのよ」

「そうか……」

「それで、連邦に戻るの?もし戻らないって言ったのなら、この場で兵隊を呼んで貴方の体は鉢の巣よん」

「……わかった」

 俺はレモンと淡々と話して、レモンによる強制だったが連邦に戻った。その時俺がやっていたゲリラ活動は全て無くなった。レモンがこの先連邦で兵士に復帰するなら、ゲリラであった過去は邪魔になると思ったのだろう。綺麗になっていた。そして俺は命からがら助かって、この基地まで何とかたどり着てレモンに拾われたことになった。

「それじゃあ、いきなりだけど出撃してもらえるかしら?ああ、ごめんなさい拒否権はあなたには無いから乗りなさい」

 レモンにそう言われた俺は機体に乗り込んでいた。

「ふん、ロクな死に方はせんぞ、女」

「あら、坊や……女の扱い方しらないみたいね、帰ってきたら教えてあげる……あと私はレモン、レモン・ブロウニングよ……坊や」

「なら、レモン……俺を坊やと呼ぶな!俺はアクセル・アルマーと言う名前がある」

「そう、それじゃあ外で逃げているゲリラを倒して来たら呼んであげる」

「そうか……わかったこの機体の名は?」

「ソルデフファーよ」

「そうか、アクセル・アルマー……ソルデファーでる」

 そして、ゲリラを相手にした俺だが3分もかからずにゲリラを全滅させた。まぁ、所詮は新型機と旧式だ性能に差があるのは当然だったがまさかここまでとは思わなかった。

「あら、言うだけのことはあるじゃない。機能の性能も試したし十分よ、心残りがあるとしたら、積んでいる爆弾も実験したかったけどアクセル、貴方が逃げないからできなかったわ、残念ね」

「やはり、レモンお前はロクな死に方はせんぞ」

 俺とレモンも出会いはこんなもんだった。こうして俺は連邦に戻り、インスペクターと闘うために新たな力を得た。

「それで、アクセル、早速だけど……連邦から指令が入ったわ」

「早速だな」

「インスペクターと闘うらしいわ、作戦にできるだけパイロットが欲しいそうよ」

まぁ、闘う機会は早くも現れた、これがな。

「了解だ」

 

 

 インスペクターとの反撃は地球連邦とジオン公国が歴史的和解により実現した。そしてあの世界の地球のエースパイロットが集まった。連邦からは素人同然でありながら一年戦争を生き残ったホワイトベース隊、スナイパーとしての腕は一流のフランシス・バックマイヤー、ジオン公国からは赤い彗星ことジオンの総帥シャア・アズナブル、赤い稲妻・ジョニー・ライデン、ソロモンの白狼・シン・マツナガ、エリオット・レム、エリック・マンスフィール。民間からはマジンガーZ・兜甲児、いやこちら世界で言えばコウジ・カブト、グレートマジンガー・テツヤ・ツルギ、真ゲッターに乗るゲッターチームなどの日本からのダイナミックチームだ。そして、ゼンガー・ゾンボルト、エクセレン・ブロウニングだ。

 

ハガネ

「それでここまで質問は?」

 アクセルは一旦話を止めた。そして、真っ先に反応したのはカイだった。

「ゼンガーやエクセレンがそちらの世界にいたとはな。それでエクセレンとそのレモンと言う女の関係はなんだ?」

 カイはレモンとエクセレンの性に気づいたのか質問をした。

「姉妹だったと俺は記憶している、ここの世界ではしらんがな……エクセレン・ブロウニング、ここの世界にレモンはいるのか?」

 エクセレンの方を向きエクセレンに問い掛けた。

「いや、私一人っこよ?妹や姉がいたなんて聞いたことはないわね……それでアクセルの世界の私ってどんな感じなのかしら?」

「……知らん、レモンに紹介される前にこの戦争で死んでしまったからな」

 アクセルはレモンとの会話を思い出しながら伝え話を続けた。

「……ならこの世界でのレモンは産まれて来なかったみたいだな、ではラミア、お前の世界にエクセレンはいるのか?」

「いえ、レモン様にそのようなデータはないでありますでしょう」

「そうか」

 アクセルは興味がなさそうにした。どうせ自分が知っているレモンはいない。

「平行世界だからな、どっちがいない世界どうしがぶつかったのだろ」

 アクセルはそう考えて話を再開させた。

 

 

 そして、俺はここでシャドウミラー司令官ヴィンデル、当時は大尉だったがな。この戦争で出会った。

「君がアクセル・アルマーか」

 当時のヴィンデルはエリートコースで正義感の強い軍人だった。何故あのようになったのかはあとで話そう。

「この作戦でこの隊の指揮を執ることになった、ヴィンデル大尉だ」

「そうか、では精々間抜けな指揮をしないように気をつけろ」

「……全くレモン博士からは口が悪いと聞いていたが……」

 そして、この出会いが俺をシャドウミラーへと入る切っ掛けになったのだから、人生とはわからんもんだ、こいつがな

「では、もうすぐで始まる。それまでゆっくりしていてくれ」

 そう言うとヴィンデルも自分の機体の調整を始めた。俺も機体の調整だ。この機体に乗ったのはつい数日前だったしな、ここにいること事態ありえなかったが、地球連邦はそんなパイロットもださなくてはいけないほどパイロット不足だった。確かに先、力は残しているといったが、所詮それは上層部を護るほどの力だったからな。

 こうして俺はインスペクターと闘い多くの犠牲を払いながらも苦しくも勝ち取った。そして不思議なことに俺は一つの高揚感を覚えていった。生きていると感じていた。皮肉な話だ。かつて、死に場所を探して闘ってきた俺が闘いの中で生を見出したのだから。まさしく死中の中にこそ生がありと感じたもんだ、これがな。

この闘いで地球連邦の体制は大きく変わった。前々から外宇宙からの攻撃に備えるべきだと言っていた、ビアン・ゾルダーク率いDCが力を伸ばしていき、その中の「インスペクター事件」を利用して、地球連邦軍の有力将校であるジャミトフ・ハイマンが結成した地球連邦軍精鋭部隊ティターンズ。「地球圏の治安維持」、中でも最も重要な「インスペクター残党の掃討」を名目上の目的として作られた部隊だったが、その実態はスペースコロニーに対する毒ガス攻撃、月へのコロニー落とし、民間のコロニーに向けてコロニーレーザーを試射するなど、その暴虐な振る舞いは数えきれん、そしてその反地球連邦エゥーゴが作られて、地球連邦の内乱にまで発した。そして一枚岩かと思われたジオンもザビ家と言うかつてシャア総帥の親を殺害し、実権を握っていた一家の生き残りとの内乱で力をどんどん失っていった。

平和になった途端に誰もが、醜い争いを始めた。これは俺の信じる闘争とは全く違い歪んでしまった。これならばインスペクターの奴らに征服されていたほうがマシだったように思えるほど連邦内部は腐っていた。そこでヴィンデルはインスペクター事件の活躍により少佐までになっていた。そして誘われた地球連邦の腐敗を止めるべく生まれたシャドウミラーにな。

始めは真面目な部隊だった。そこで俺たちはエゥーゴと協力しティターンズを闘うことを決めた。それが、インスペクター事件の二年後だ。

 




かなり省いてます。書いててものすごくアイディアが多く出たので、ほんとこの話は要点だけまとめて書き、あとで外伝的な感じで書きます
 
予定しているのは
シャドウミラー発足→シャドウミラーが闘争を求めるようになったのか→『あちら側』へ向かう

あとアクセルの世界のレモンとエクセレンは双子の姉妹と言う設定にしています。レモンとエクセレンの会話とかも思いついたのですが後で外伝として書いていきたいと思います


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

世界と世界

「あら、アクセルおめでとう、貴方父親になるわよ」

 確かこれは俺が17,18の時だった。目を覚ますと俺の部屋に入ってきたレモンにいきなり言われた。

 

「ってちょっと、まて!!アクセル!お前子持ちなのか!?」

 アクセルの話を聞いていた皆が同じような反応した。

「わぁお、お相手はその世界に私のお姉ちゃん!?」

 エクセレンはアクセルの子持ちの話を聞き子供の母親は自分の別世界の姉かと思ったがそれは間違いだった。

「名はW00……Wシリーズのプロトタイプ。レモンいわくDNAのつながりはない。俺の特徴や要素らしいが……まぁレモンが勝手に俺のDNAを使い、作った可能性は高いがな……遺伝子上は俺の子かもしれんがな」

 その発言にラミアも心覚えがあったのか、赤ん坊である上位体の姿を思い出した

「つまり、私の上位体のことでしちゃったりしませんことかしら?」

「ああ、Wシリーズ唯一の生身の人間だった。当時連邦が量産を決定したゲシュペンストをW00用に開発していたが、赤ん坊から育てる必要があり即戦力を期待していた当時のエゥーゴのスポンサーであるアナハイムからの資金援助が無くなり、一旦ここで凍結した。そしてW00は養子に出された。そしてWシリーズは即戦力としてアンドロイドになっていた。ソウルゲインの形をしたアンドロイドもあった、こいつがな」

 

 

それで話は戻すが、こうしてWシリーズは作られていった。シャドウミラーのパイロットは殆んどWシリーズの量産型になっていった。レモンはWシリーズのナンバーズには名前をつけていった。俺とヴィンデルはその時から連邦の腐敗から見限る寸前だった。

そしてエゥーゴとティターンズとの連邦の内乱はティターンズの悪行をばらいて、急速連邦内での力を失った。そのあとジオンも内乱が連邦より先に終わり疲弊した状態でも勝てると思ったのか、連邦に対して攻撃を開始し三つ巴の闘いになっていった。

「それで、これが俺の新型か?」

 俺はこの時にこのソウルゲインを乗ることになった。レモンが作った新作の機体だ。

「ええ、この特機の方が貴方に合うと思うのよ」

「そうか……あとレモンいい機会だから言っておくがあの人形達は、人間に近づけすぎてはいないか?」

「あらん、アクセルは私が一人で子作りしているから、嫉妬かしらん?それとも息子を取られちゃったからかしら?何にせよ今日は久しぶりにベッドで慰めてあげるわ、アクセル」

「わけがわからん、とりあえずデータを取るぞ」

 そして俺はソウルゲインの宇宙でのテストをしているさなか、感じとった邪気を感じた、これがな。

 何故感じ取れたかと言うと、俺の世界にはニュータイプと言う定義があった。簡単に言えば感じやすい人間ってことだな、これがな

「レモン、この感じ来るぞ!」

「わかったわ、それじゃあWシリーズの新作を出すわ」

 それはお前らも遭遇したW15だ。W15はWシリーズの中でも珍しく他者の人格を移植することを前提としたタイプだ。こいつは先の一年戦争、インスペクター事件の英雄・ゼンガー・ゾンボルト大佐だ。こいつもアナハイムからの要望でな、異星人によって地球が蹂躙されたあと種を存続できるように保存計画「プロジェクト・アーク」に軍事責任者とゼンガー大佐して参加し、コールドスリープ状態で永い眠りについていた。だが知っていたのは、その協力者だけだった。技術提供をしていたアナハイム側は知っていたのだろ。アナハイムはゼンガー・ゾンボルトがエゥーゴに参加していると思わせたかったのだろ。

「我が名は、ウォーダン・ユミル!!いざ尋常に勝負!!!」

「貴様はW15だ」

 俺はW15と一緒に闘いに向かった。敵はジオン公国の内乱を収めたザビ家の残党だ。

「ほう、連邦のパイロットにも名を名乗る軍人がいるか、その心行きは見事。だが私と張り合えるか!!」

 W15の機体は・グルンガスト参式だ。そして敵は連邦の基地から奪った、試作機2号機。敵は一年戦争のジオンの武人、ソロモンの悪夢・ガトーだ。そして、機体には恐ろしい武器が装備されていた。それは核兵器だ。俺たちの世界では核の保持は禁止されていた。これも連邦の腐敗だろうな。

「俺は雑魚をやる、W15貴様の腕見せてみろ!」

「承知!!」

 俺はW15にガトーを任せていった。それが俺の失敗だった。

「ふん、ザク如きこのソウルゲインの相手になると思っているのか!?」

 俺はザクをソウルゲインの青龍鱗で落としていった。その時だW15とガトー戦闘により核の爆発した、それも見事にな。

 地球連邦は知っていたんだ。試作機が盗まれることジオン残党の行動を知っていて核を盗みだされ、邪魔なジオンを一掃しそうとしたのだろ。俺やレモンたちは幸い生き残った。W15とガトーの闘いはかなり距離を取っていて闘っていたからな。こうしてシャドウミラーが核を爆発させた犯人にされた。まぁ、連邦としてはジオンに盗まれた機体から核が爆発したんだ。連邦は核を使っていませんとアピールをしたかったんだろうな。ついでにエゥーゴにも切られた。どっちにしろ俺たちはここから地球連邦とジオン両方と闘うことになったが、また異星人が襲ってきた。今度はベガ星連合軍と言うあらゆる異星人が手を組み地球を襲ってきた。

 異星人とのごたごたで核の件は一旦無くなった。結局連邦は内乱によって力が疲弊していたから、俺たちの力も欲しかったのだろうな、こいつがな。俺たちは最初、承諾した。だが、シャドウミラーの誰もが連邦を信じてはいなかった。ここから、俺たちは連邦の腐敗ぶりを目の当たりにした俺たちは地球連邦への反乱を計画していった。まぁ、計画を実行して行くのに5年もかかってしまったがな。だが5年もかかってしまったせいで俺たちは連邦に敗北した。俺たちに世界に恐ろしい量産機が出来ていたのさ、これがな。

ゲシュペンストだ、この世界のゲシュペンストはそうでもないが、俺たちの世界のゲシュペンストシリーズはフレームの構造上、手を加えるのが容易だった。最終的に、低コスト・高性能の量産機に、1機で戦況を変えられる究極の機動兵機になり、そのほとんどがゲシュペンストをもとにして造られた、高性能な量産型となって行った。特に量産型ゲシュペンストMK‐Ⅱは三千機も作られ、隊長機としてゲシュペンストMK-Ⅲが作られた。

 

 

 

「アクセル隊長一ついいでしょうか?」

 アクセルの話を聞いていたラミアがアクセルの会話に入ってきた。

「それはもしかして、ゲシュペンストは姿形が変化していたのでございますか?まるで化け物のように」

 ラミアは自分たちの世界のゲシュペンストMK-Ⅲを思い出しながらアクセルに向かって言葉を発した。

「?……それはどういう意味だ?確かにゲシュペンストは一機で戦況を変える程の力があるが、それは所詮機体としてだ。化け物のような性能だったかもしれんがソウルゲインが勝てない程ではない。確かに俺が向かった世界には化け物のような機体があった。いや、あれを機体と言っていいのかわからんが、ゲシュペンストMK-Ⅲは変形もしなければ、変態もしない、これがな」

 その話を聞いていたタスクは気づいた。アルトアイゼンはもともとマリオン博士がゲシュペンストMK-Ⅲとして作った機体であることに。

「それじゃあアクセルさんに世界にアルトが隊長機として採用されているんっすか?」

「あんなものが隊長機にされてたまるか、俺は乗れたが、あんなのに乗れるのはキョウスケ・ナンブかアラドしかいないだろうな」

 アクセルは昨日のシミュレーターを思い出していった。一般のパイロットが乗れるわけがないと感じたアクセルはあんなのが量産されたら、たまらないと思った。

「俺たちの世界のゲシュペンストMK-Ⅲはもっとまともだ、あんなのゲテモノではない。確かに俺たちの世界ではアルトアイゼンとヴァイスリッターは量産型ゲシュペンストMK-Ⅱのカスタム機だったが、アルトアイゼンは殆んど使われていなかった気がする。アルトアイゼンとは別の機体だ」

 

 それで俺たちはWシリーズと連邦の腐敗によって見限った連邦の兵士や元ジオンの兵士だった。俺たちは一つの理想のために闘った。それが常に闘争の溢れている世界だ。インスペクター事件の時俺たちは手を組んで闘っていた。確かに俺たちは生きていた。だが今の戦闘はまるで上層部の駒で闘わされていた。俺たちには上も関係ない俺たち兵士に必要なのは闘争だと感じた。よって俺たちは連邦へクーデターを決行した。だが所詮は数によって負けた。しかも大敗といってもいいほどにな、連邦の奴らは俺たちに対して数で押した。まさにゲシュペンスト隊だったが、それはもうゲシュペンスト軍と言ってもいいほどの数だった。連邦はゲシュペンストを開発させてからと言うものの、ゲシュペンストを量産すればいいとおもっていたからな、俺たちは数によって負けた。そしてシャドウミラーはこの世界と決別することに決めた。その時レモンが研究していた時空転移装置を使ってな。そして、ヴィンデルは向かった世界で創りあげた自分の闘争をこちら側へ復讐を考えていたらしいがな。だが一つ問題があったそれがカイゾックと言う異星人だ。

 

「そろそろか?」

「ええ、アクセル……本当にいいの?」

「ああ、もとより人形なんかに任せられん、人をだませるのは人だけだ」

 俺はこの世界のラミアと同じくあちら側のロンド・ベル隊に潜入を任務についた。

「アクセル……気をつけなさい」

「ふん、もとより死ぬ気はないさ……だが覚悟はしているさ」

 転移をする寸前になって敵が現れた。その時は連邦のゲシュペンスト隊かと思ったが、そこに現れたのは確かにゲシュペンストだった。だが様子が違った。

「腐った連邦の亡霊どもめ!!レモン先に行け。俺が時間を稼ぐ!」

 レモンたちを先に『あちら側』へ行かせて、Wシリーズの量産型数体とゲシュペンストと闘うはずだったがWシリーズが突っこんで行ったら突然ゲシュペンストがWシリーズを巻き込み爆発した。

「何だと!?自爆だと!?」

 俺は驚いた。ゲシュペンストが俺たちに対して自爆をしたことを不審と思ったが答えはすぐに現れた。

「ほーっ、ほっ、ほっ……これは、これは、シャドウミラーの諸君……といっても一人になっていますねー」

 相手はガイゾックの司令官らしきキラー・ザ・ブッチャーだった。

「貴様……ガイゾックだな。何故貴様がここにいる?」

「ええ……あなた方の司令官ヴィンデル殿に言われて手を組みに来たのだが……あと気に入ってもらえましたかガイゾックの新兵器・人間爆弾です」

「何だと?」

 俺は闘争を望む者として、それなりの覚悟、信念、理念、思想を持たぬ者の大量の犠牲者を出すことはよしと思わなかった。それにこいつの話しを聞いて俺は怒りを覚えた、これがな。

「人間はいっぱいいるんだから、少しぐらい使ってもいいだろう?」

 俺は永遠の闘争の中で生きていたかった。それで殺し、殺され恨みを受け入れるつもりであった。だがこいつらの闘いは『人形』以下の下衆、いやそれ以下のクソ野郎だった。そしてこいつらを転移させた。あと俺は転移した。そこで俺はそこで人になった。ラミアお前のようにな。転移した俺は記憶を失い、ロンド・ベルに入ることには成功したが、その部隊はとにかく甘かった。だがその甘さがいいと思った。殺しあい、壊しあい、奪い合う世界を維持しようという理論は間違っているのだと。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

歩き出す人形

「俺の話はこんなもんだ」

 アクセルは自分の世界、そして自分が骨を埋めようと思った世界の話しを終えた。

「それで、アクセル……私のお姉ちゃんと付き合っていたのかしら?」

 アクセルの話し聞き終えた彼等からまず真っ先に質問があったのはエクセレンからだった。

「まず真っ先にその質問か、まぁ成り行きでだったがな」

 アクセルは苦笑いをしながら頷いた。

「すげー特機が多いんだな!!」

 アクセルの話を聞いたリュウセイはとても興奮したようにアクセルに言った。

「……この世界もそうだろ?俺が向かった世界やいた世界にMSという機体が主力だったからな、これも数ある平行世界の選択肢の一つなんだろうな」

「アクセル、つまりこの世界に来たのは」

 ギリアムはアクセルがこの世界に来てしまった背景がわかったのかアクセルに対し問い掛けた。

「ああ、事故だ。多分俺たちが時空転移したせいだろう……世界と世界の間が曖昧になってしまったとしか思えん」

 アクセルは時空転移が自身の知っている時空転移装置が関係ないとしたら、事故で自分のせいかと思っていた。時空との間に何等か亀裂ができてしまったのだと考えた。まさか自分たちが来てから半年もたって影響が出るのだとすればこの世界にも何らかの影響を与えてしまうのではないかと考えていた。

「ここに来てしまったのは自分たちの技術ではなく事故できたのか」

 ギリアムは顔には出さなかったが安心したようだった。

「ギリアム・イェーガ……ラミアが平行世界の概念を知っているとして、何故貴様が知っている?」

 アクセルは疑問に思った。シャドウミラーならともかくこの世界の連邦の士官、それも少佐が平行世界の概念を知っているとは思えなかった。

「俺は以前この世界に来ている、シャドウミラーがいた世界から来た」

 ギリアムはそう言うと、少し悩み自分の話をした。

「さらに言うと生まれは別の世界だ……そこで俺はアクセルにいた世界の人物に会ったことがある。多分アクセルの世界ではないがな」

 ギリアムのその告白に周りがざわついているとアクセルは冷静に考えて、ふと一つの疑問が生まれた。

「何故、それを打ち明けたんだ?どうやら悩んでいた感じだったが」

 アクセルはふと疑問を口にした。

「それはアクセル、君を襲ってしまった謝罪と……久しぶりに懐かしい友を見せてくれたお礼だ……まぁ、俺の知っている世界の彼と違いようだがな。それでも俺は嬉しかった」

 ギリアムはふっと笑いながらアクセルの問いかけに言う。かつての友人、久しくあっていなかった彼、そしてあの少年がこのように成長するのかと思った。それだけで満足でもあった。もっとも、とある世界であった彼は若いうちから老け顔になっていたらしいが

「では、これから俺の話しをしよう……俺がシャドウミラーの世界『あちら側』の話だ」

 そしてギリアムとラミアは話しだした。自分たちの世界のこと、何故アクセルがキョウスケ・ナンブを襲っている理由。エルピス事件での毒ガスによる虐殺が実現。その結果、エルピスの大半の市民が死亡し、マイヤーとエルザムの二人も死亡した。エアロゲイターが地球に襲来せず、インスペクターが最初の異星人勢力として地球に襲来。アルトアイゼンが『ゲシュペンストMk-III』として正式採用。そしてキョウスケ・ナンブの暴走。そして何故シャドウミラーが破れたか。

「以上……私の世界で起きたことです。シャドウミラーの目的、そして何故この世界に来たかと言うのも……細かい所で違う点は多くありますが大体はアクセル隊長と同じです」

 ラミアがそう言うとギリアムが続いて言った

「俺は過去に犯した罪により、並行する世界をさまよう宿命を背負って『向こう側』にたどり着ついた。俺はヘリオス・オリンパスと名乗り研究者として、元の世界に戻るためにシステムXNをテスラ研で働いていた。システムXNと呼ばれるそのシステムは平行世界への転移機能を持っていたが、その内の一つ「アギュイエウス」の起動実験に失敗し、この世界へ転移してしまった。今まで黙っていてすまなかった……だが、俺を追うものが現れる可能性があった以上俺は素性を明かすわけには行かなかった。」

 ギリアムたちはそういうとアクセルはキョウスケの変貌に興味を持っていた

「そうか……『向こう側』のキョウスケ・ナンブは……」

 アクセルは心あたりがあり、DG細胞かと思ったが直感的に全く別なモノかと思った。

「まぁ、そう言う理由があるなら俺がお前を倒すのに躍起になるだろうな……俺でもそうする」

「……」

 キョウスケはアクセルの言葉に対し無言でいた。

「だが、それは『向こう側』の世界だ……キョウスケ・ナンブ、『こちら側』のお前は普通の人間だ……ならば、お前が人間じゃなくなった時は俺が止めてやる、これがな……」

 アクセルはキョウスケに対しそう言った。

「……ふっ……キョウスケでいい」

 アクセルにそう言われキョウスケは苦笑いしながらさらに答えた。

「だが、俺も貴様に負けるほど柔くない……アクセル」

「よく言うな、俺に負けたくせになキョウスケ」

 アクセルとキョウスケはにやり笑い合いながら二人を見ながらラミアは浮かない表情で俯いていた。アクセルはそれに気づきラミアに話かけた。

「ラミア……お前は人でないことに後ろめたいんじゃないか?」

「……はい……私は人ではありません」

「俺に行った世界では人間以外にも鬼、AIの巨大ロボ、異星人とバラエティーにあふれる仲間がいた……そこの仲間も俺と同じこといいだろうな。そんなの関係ないお前は俺たちの仲間だ、これがな」

 アクセルは自分が向かった世界の仲間たちを思い出しながら迷って後ろめたさを覚えているラミア対して自分を受け入れた仲間たちがもし、自分ではなくラミアを送りこんでいたならこう言うはずだと思った。

「隊長……」

「今は意味がわからなくてもいい、貴様は感情がでてきて、生まれたばかりの雛鳥だ。これから色々覚えていけばいいだろ?」

「ですが、私はシャドウミラーのスパイだったのですよ?」

 ラミアはそう呟くとハガネ、ヒリュウ改のメンバーは皆、はラミアに対し敵を見る目ではなかった。

「ラミア・ラブレス……君は今のところ現状維持だ……過去がどうであれ、今のお前は、そこのアクセル・アルマーと我らと同じであるのだろ?反論するものはいるか?」

 ダイテツの言葉にみんな黙っていた。反論するものはいなかった。カチーナも納得したのか黙っていた。アクセルはそれを予想していたのか笑っていた。

「全く、笑っちまう甘さだ……だがこの甘さがいい……覚えておけよ、ラミア……この甘さはお前を助けるんだからな」

 アクセルは自分たちの世界の仲間を思い出しながら、ラミアに言った。

「改めて、ラミアちゃん!!よろしくね、もう私たちから離れちゃあーだめよん」

 ニコニコしながらエクセレンはラミアの後ろから抱きついた。

「エクセ姐様、本当に私はここにいていいのですか?」

「アクセルも含めて私たちはいいて言いているの……自分でいるか、いなくなるかはあとはあなた次第よ」

 エクセレンは優しく諭すように話かけた。ラミアはレモンに言われているよにも思えた。

「ボイン要員は多いにこしたことないっすからねー」

「タスク……」

「ひっ……冗談ですます……レオナちゃん」

 タスクは後ろから鋭い声で呼ばれたためビクっとしながら怯えていた。それを笑いながら見ていたアクセルがラミアに話しかけた。

「そう言うわけだ、お前は自分の意思で歩けここから、貴様はもう人形ではない。ならば自分の命は大切しろ」

「それは命令ですかアクセル隊長」

「いや、俺はもう隊長ではない……だから、俺からラミア・ラブレスへのお願いみたいなもんさ、これがな」

 アクセルはラミアにそう言い離れていくアクセルに話かけた。

「悪くはない……気分です。アクセル隊長、貴方も同じ気持ちだだっりしちゃうのではないですか?」

 それに対しアクセルはふっと笑いながら答えた。

「さあな」

 

シャドウミラー・シロガネ

「どうやら、XNシステムは完全に壊れていなかったわ……でも貴方のソウルゲインはまたしばらく修理が必要よ」

 レモンはシロガネに帰還したアクセル・アルマーに対して言った。

「せっかく治したのに……あなたは」

 溜息しながらアクセル・アルマーにそう言うが等の本人は他のことを考えていた。

「レモン、他にすぐ動かせる機体はないのか?」

「アシュセイバーでいいんじゃないの?元々そっちに乗っていたでしょ?」

「いや、あれでは心持たない……『あちら側』でも『こちら側』でもない俺は、俺以上に実践経験がある……この前の俺とはまるで別人だった。あの力がないのであれば、厄介なのは俺だ」

 アクセルはそう言うとレモンはまた溜息をしながら、シロガネの格納庫に向かった。

「わかったわ、本来はW17用に調整したのだけど……言いわ、貴方用に変更するわ」

 そう言い、ヴァイサーガの調整を始めた。

「レモン、お前どこか嬉しそうだな、自分が創った人形が壊れ、俺たちに牙を向いた。この調子ではW16、W15もどうだかな」

「……私は最高傑作を創ったのよ、まさか自分の意思で私たちを裏切るとは思わなかったけど、戦争には裏切りがつきものよ……それも私たちの理想の一部よ、アクセル」

 そう言い、やはりどこか嬉しそうにしながら、ラミアに対し思っていた。どちらが正しいかは歴史が証明するだろう、なぜなら正しいのは勝ったほうなのだから。

 

ハガネ

「俺たちはこれからシャドウミラーを強襲する」

 ギリアムは皆にそう言うと、ハガネ、ヒリュウ改は多少遅れるがクロガネと共にシャドウミラーを強襲することになった。

格納庫

「しかし、よく爆弾があることがわかりましたね……アクセルさん」

 アクセルはタスクと共にラピサージュ、アンジュルグの爆弾を取っていた

「オウカ・ナギサが乗っていた機体にまさかあるとは思わなかったがな、最悪のことを考えて見てみたらここにもあったか」

 そう言いながらアクセルは爆弾が爆発しないように解除していた。

「もういいぞ、タスク。あとは俺がやる……お前も疲れているのだろ?それにこ爆弾の処理は俺にしかできんからな」

「お、それじゃあ、お言葉に甘えます」

 タスクはいなくなるとアクセルは周りを見ながら、誰もいないことを確認した

「信頼し過ぎだ、これがな」

 アクセルはそう呟くと自爆用の爆弾をソウルゲインのかつて自爆用の爆弾が入っていた所に入れて、格納庫を後にした。そして腹が減ったのか食堂に向かうとラミアしかいなく、その後ろには鍋5杯分の肉じゃがが置いてあった。

「これは何だ?」

「ああ、アクセル隊長……私が作ったのですが…アクセル隊長だけのために、他の者に食べさせる気はありませんのであしからず」

「……はぁ……全くお前は、作るのはいいが量を考えろ」

 溜息をしながら、どこかで見ているエクセレンたちに気づきながら肉じゃがを食べだした。

 




ソウルゲインはテスラ研から盗まれたと指摘がありましたが、自分としてはそれはOGだけだったのでA世界の『あちら側』ではレモンが開発したことにしました。説明不足で申し訳ありませんでした


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アダムとイブ

ハガネ

「どうした?」

 アクセルは鍋を片手で持ちながらモグモグと肉じゃがをアメリカの箱に入っているアイスクリームのように食べながら、食堂にやってきたアラドが羨ましそうに見つめていた。

「うう、アクセルさん一口……てか一鍋くださいっす」

 ぐうとお腹が鳴っているアラドに対し、アクセルは一口ではなく鍋ごと貰おうとしているアラドに苦笑いと溜息をしながらまだ食べてはいない鍋を渡そうとするが、

「駄目です、隊長……エクセ姐様から」

 このようにラミアがアクセルの腕を掴みアクセルの行動を止めた。

「というか……作り過ぎだ、こんなに食えんぞ」

 溜息をしながら、ラミアに言うがラミアは全く気にしていなかった。

「エクセ姐様から教わりました……まず、男の胃袋を落とせと……つまり、胃袋にダメージを喰らわせて、落とすのですね」

 そう言いながら物理的に落とすつもりなのか、アクセルの胃袋あたりを見ていた

「……毒は入っていないよな?」

「ええ、食べた後に落とすと言われました」

「よし、アラド食え」

 溜息をしながらアラドに鍋を渡す

「意味が多分違うぞ……あとこんなに食えんからな、作るなら適量を覚えろ」

 アクセルはラミアにそう言うが、ラミアは食べているアラドの方を向いた。

「うまー!!これ超うまいッス!!」

 もの凄まじいスピードで鍋に入っている肉じゃがを食べているアラドを見ていた。

「安心してくださいませ、隊長。どうやら適量のようです」

 アクセルはアラドの食べっぷりを見ながら溜息をしていた。

「あんなにたくさん食べるあいつと比べられても困る……個性と言うのを教えてやろう」

 

 

 クロガネ

「……お前たちにも黙っていてすまなかった」

 通信を終えたギリアムはまずここにいるゼンガー、レーツェルに頭を下げた

「いや、ギリアム。我々はそのようなことは気にしていない。君はどこの世界の住人だろうと我々の友だ」

「うむ、それも俺も同じだ、ギリアム」

 ギリアムは二人の言葉に少し笑った。

「そうか、俺はいい友に出会うことに関しては運がいいみたいだ」

 ギリアムはそう呟くと、もうすぐでシャドウミラーがいる場所につくのか、それぞれが機体に向かった。

「俺は行く……俺が引き起こした事態を収拾するために」

 

 

シロガネ

「レモン……他のWシリーズを調整してくれ、他のWシリーズがあのように故障しては困る」

 ヴィンデルは帰還するとアクセル用にヴァイサーガの調整をしているレモンにそう言った。W17の裏切り。本来は感情すら覚えなく、命令を聞いているだけの人形であるはずのWシリーズの一体でも自分たちの計画とまるで違う行動をしたとなると簡単にWシリーズを使うことができない。

「他のWシリーズはある意味完璧よ……完璧の定義をW17とすれば不完全だけどもね」

 レモンはそう呟いた。Wシリーズの開発者のレモンが考えている完璧とはW17、つまりレモンのような形である。だがそれに裏切られるとは思わなかった。

「どういう意味だ?」

「そのままの意味よ」

 二人の話は結局平行線だったが、シロガネから敵襲が響き渡った。

「何だ!?リー艦長敵か!?」

「はい……どうやら、特機が一機、PTが二機の3機が接近中です!」

「まさか、追ってか!?」

 先ほど戦闘をしたハガネが追ってきたのかと思ったが、それは違った。自分たちが手に入れるべき者だった。

「あれは……ヒュッケバインMK-Ⅲとグルムガスト参式……それに」

 リーは接近してくる機体のデータを見ながら情報を正確に伝えていた。

「あの黒いゲシュペンスト……あれは」

 ヴィンデルはそう呟くとシロガネに通信が入ってきていた。

「シャドウミラーだな……俺の名はギリアム・イェーガ。お前たちにはヘリオスと言えばわかるだろう」

 ギリアムはシャドウミラーに対しはっきりと言った。

「この声は間違いなくヘリオスに間違えないようだな、こいつは」

 アクセルはそう呟くとまだ完全には調整が済んでないヴァイサーガに乗り込んだ。

「アクセル!まだ調整は終わってないわ」

「ふん、あの人形に動かせて俺に動かせられないわけがない!!」

 アクセル・アルマーはそう言うとヴァイサーガに乗ってシロガネから出撃した。

「久しぶりだな……ヘリオス・オリンパス」

 ヴィンデルは自分たちの要となる人物を見つけた

「ああ……ヴィンデル大佐……まさかお前に会うことになるとは思わなかった」

「ああ、君が残したシステムXNのおかげだよ。やはりファーストジャンパーであるお前に通じたのだな、アギュイエウスの扉は……探していたぞ」

「ああ、お互いにな」

「いつ気づいた」

「あのアクセル・アルマーが来たときからだ。と言いたい所だが、別の世界から来たアクセルを調べていたら偶然お前らにあった……いや、お前達がテスラ研に来たときからだ……システムXNの機動に目処がついた頃真っ先にお前たちが接触してきたからな。あの時はまだ疑いだったが今確信に変わった。お前たちにそいつは制御できるものではない……そいつを使うことによって因果律は変化する……貴様らのせいであのアクセル・アルマーがこちら側に来てしまったかもしれん。あの二つの扉はもう開いてはいけない」

「確かにね……貴方ですら『こちら側』に飛ばされた不安定さだもの……おかげでこっちも多くの仲間を失った……」

「もうシステムXNはこの世界に存在してはならん!そしてお前たちもな!!」

「ヘリオスよ我らに下るのなら今のうちだぞ」 

 ギリアムはヴィンデルの言葉を無視して二人に声をかけた。

「行くぞ、ゼンガー、レーツェル」

「承知!!」

「ああ」

 そうしてギリアム、ゼンガー、レーツェルはシャドウミラーに向かっていった。

「我が斬艦刀に断てぬモノなし!!」

 ゼンガーは斬艦刀を片手に持ち量産型Wシリーズを斬っていった

「トロンベよ、今が駆け抜ける時!」

 同じくレーツェルもトロンべで撃墜していった。

「さぁ、行けギリアム!我々は君の因縁を断ち切るための露払いをしよう!」

「行けギリアム!!俺たちにここは任せろ!!」

 ギリアムは二人が作った道をゲシュペンストのブーストで突っこんで行った。

「すまん!」

 だがゲシュペンストの前にヴァイサーガが現れた。

「そうはさせんぞ!!ヘリオス!」

 アクセル・アルマーはヴァイサーガの装備されている五大剣を物質化させて斬りかかった。

「……お前達は知るまい」

 メガ・プラズマカッターを出して五大剣を防いで、距離を取った。

「どういうとこだ?」

「この世界は、我々と言う異物を受け入れながら、奇跡的なバランスで保たれている……さらに別の世界のアクセル・アルマー同士が存在しているこの現状を可笑しいと思わないのか?本来ならば、崩壊していてもおかしくないバランスだ。」

「では何故俺たちがは……存在し続けているというのだ?」

「在り得ないこのような世界は何かの力が……何者かの意志が働いているのだ。さながらこの世界は、その者が作り出した実験室のフラスコ……その結果が出た時、我々は……」

「例えそうだとしても、俺たちはもう止まることなどできん!貴様がそのこと危惧しているなら、貴様こそ、最初に自分自身をどうにかするべきではないのか?『ファーストジャンパー』ヘリオス・オリンパス」

 二人の攻撃は躱し合いながら距離を取る。

「ああ、そうかもしれんが」

 ギリアムはヴァイサーガの斬撃を躱しながら

「ギリアム!そいつは俺が相手をする!!」

 ゼンガーはギリアムに助太刀に向かうが

「ブーストナックル!!」

 そこに邪魔が入る

「貴様がゼンガー・ゾンボルトだな……我が名はウォーダン・ユミル!いざ尋常に勝負!!」

 そこにウォーダンがシロガネから出てきて完全ではないが多少先ほどの戦闘でヒビが入ったはずの斬艦刀が修復されていた。

「貴様がウォーダンか……」

 ゼンガーは斬艦刀を構え、ウォーダンも斬艦刀を構えた。

「行くぞ!!」

「こい!!」

 二つの斬艦刀がぶつかり合うがゼンガーの斬艦刀の方が押していた。

「そんなものか!?」

「ぐ!俺は負けられんのだ!!」

 ウォーダンは押されながらも踏ん張っている。そして後ろから他の量産型Wシリーズ

「貴様ら!!俺とゼンガーの勝負を邪魔するな!!」

 量産型の介入にウォーダンは怒りを感じた。感じたことを理解はしていなかったが

「ここでのあなたの役目は彼らの足止めよW15……それを忘れないでちょうだい」

「むむ……承知」

 ウォーダンはレモンからの命令に頷いて量産型のWシリーズと共に

「貴様ら!そんな腕で俺を止められると思うなよ!チェストォォォォッ!!」

 斬艦刀で周りにいる機体を一閃に斬り

「我が斬艦刀に断てぬものなし」

 ほとんどのWシリーズが乗っている機体を真っ二つにしていた。

「このままでは……レモン今すぐ転移をする」

 ヴィンデルはたった三機に押されている現状を見て、先ほど受けた損害と現状を考えてこの場を離れる決断をした。

「XNシステムは壊れているとまでは行かないまでもそこまでの距離は稼げないわよ」

「それでもいい……この場から離脱出来ればいい」

「じゃあ、アクセル……時間稼ぎよろしくね」

「了解した」

 そう話しているとハガネが接近していた。そこで出撃していた。ヴィンデルはハガネからアクセルが見えたのを見えて通信をした。

「別の世界のアクセル・アルマー。貴様にはこの世界で闘う理由はないはずだ。我々に協力すれば、お前がいた世界に戻してやろう」

「ヴィンデル……この世界に貴様らの居場所はない。俺はそれを知っている」

 アクセルは別世界では戦友であったヴィンデルの提案をすぐに蹴った。

「俺とは思えん甘さだ……貴様も、ハガネの者共も。それでは、真の意味で世界は救えん。人の意思が世界のバランスを崩す、これがな」 

「……その甘さがいいのさ。お前にはわかるまい…味を感じることを放棄したお前らではな。貴様らの創る世界は間違っている。だから俺は貴様らを潰す、ただそれだけだ、こいつがな」

 アクセルはギリアムと闘っているアクセル・アルマーのところに向かった。

「W16!貴様がヘリオスの相手をしろ!俺は俺の相手をする」

「了解しました。アクセル隊長」

接近してくるヴァイサーガを見ながらアクセルは拳を構えた。そしてソウルゲインの拳とヴァイサーガの剣がぶつかりあった、紙一重の攻防を繰り返していたが、徐々にソウルゲインが押していった。

「ちっ!技量は貴様の方が上か!だが最大速度はこのヴァイサーガの方が上だ!」

 アクセル・アルマーはアクセルに対し一気に距離を取るとまた五大剣を構えて一気に距離を縮めた。

「いいだろう!!勝ち負けでしか、善悪を決めることはできん……それが戦争だ……貴様が向かった世界では、貴様が善だったかもしれんが!!この世界ではどうだ!?」

 ヴァイサーガは五大剣で斬りかかったがソウルゲインはその剣筋を読んでいたのか、五大剣の刃を両手で受け止めた。

「見切った!!そして!玄武剛弾!」

 ソウルゲインの両手を飛ばすとヴァイサーガに一瞬の隙を逃さず蹴りを繰り出した。

「まさかそう言う手がでるとは!?」

 ヴァイサーガは蹴りを喰らい、一瞬ひるむのがわかればさらにソウルゲインの両手を戻すとすぐに次の行動に移った

「白虎喉!」

 アクセルはヴァイサーガに攻めていった。

「ちっ!!」

 アクセル・アルマーも持っている五大剣を捨てると鉤爪を伸ばした

「受けろ!水流爪牙!」

 拳と鉤爪がぶつかり合いまさに互角だがアクセルはヴァイサーガに剣を使わせないように闘っていた。聳弧角が負傷して舞朱雀、麒麟が使えない今ヴァイサーガに剣を使わせてしまったらヴァイサーガを抑えることはできない。

「貴様俺に五大剣を使わせんように闘っているな」

「……いつでも万全で闘えるわけではないからな……だがシャドウミラーもそうだろ?」

 ソウルゲインとヴァイサーガは闘っているが、ソウルゲインの後ろから狙う量産型W

シリーズが狙っていた

「危ない隊長!!」

 だがそれはラミアの手によって防がれた

「W17か……貴様俺たちを裏切り、何を望む?まさかこの世界を平和にする夢でもみているんじゃないだろうな」

「平和は何も生みださん……ただ世界を腐敗させるだけだ……そして、闘争を忘れた者達は兵士を、軍を切り捨て我らの存在を否定する」

「貴様らは何もわかっていない……」

 アクセルは呟いた。

「それは闘う者だけの都合だ。例え腐敗をしていたとしても、闘いは続く。兵士はそれしかわからないのだろうな!俺は平和になったあと闘った!平和を維持するためにな!」

 アクセルはそう叫んだ。かつての仲間と闘い救った世界で、平和を維持するために闘っていた。このことは正しいと信じて闘っていた。あの世界に可能性を見出していた。

「ええ、アクセル隊長……そうなんでしょうね。闘いを望まない者、平和という世界に可能性を見出す者にとっては、イレギュラーと思います」

 それを聞いたレモンはアクセルとラミアに対し通信をいれた。

「W17……そして、別の世界のアクセル……知恵のリンゴを食べたアダムとイブは落選から追放されたのよ」

「……ならば、私は自分の足で、楽園を探しましょう……いえ、もう私の楽園は見つかったかもしれませんが」

「レモン……アダムとイブは楽園を追放され自分の足で歩き出した、ラミアも……レモンお前が創った楽園からな、これがな」

 そして

「アクセル、転移への準備は完了したこの場から離れろ。足止めはWシリーズに任せる」

 そう言うとシロガネから量産型Wシリーズが出撃していった。

「了解した……W17、ベーオウルフはどうした?死んだの……か?」

「残念ながら、生きていまくり……いえ、生存は確認されました。ですが、かなりの重傷でもう戦列への復帰は無理でしょう。再起不能……と言っちゃったりします」

「……そうか。これで俺の憂いは一つ消えた」

 アクセルはゆっくりとラミアに向かって言った

「それが本当ならな……やはり貴様は人形だ、これがな」

 アクセルは言い放った。ラミアを軽蔑するように

「アクセル隊長、……何故、私が嘘を言ったのと?」

「それがわからないから、貴様は人形なのさ、W17……本来近い者が戦場で倒れたならば、そんな涼しい顔をしていられるはずがない貴様の言葉を聞いたそっちの俺の態度を見れば、明らかだ、これがな」

 アクセル・アルマーはアクセルの態度を見ていた。最初からラミアのことを信じてはいなかったのだ。

「わからんか?W17、貴様はそれを理解せず、口先だけで俺を欺こうとした」

 アクセル・アルマーは苛立っていた。感情が生まれたはずの人形であるはずのW17がこのような手で自分を騙そうとしたことに我慢がならなかった

「なめるんじゃねえぞ、人形風情が!!」

 アクセル・アルマーは苛立って感情的になってラミアに言った。

「俺よ、俺の頼みだ……聞いてくれるよな?ベーオウルフに伝えろ。貴様がどんな手を組もうが再び打ち砕く!っとな」

 アクセル・アルマーはそう言うと他のWシリーズがアクセルやラミアの足止めをして離脱していった。

「ああ……私は……」

「ラミア……お前はまだ感情が生まれたばかりの子供だ……覚えていけばいい、これがな」

 アクセルはラミアに向けて言うとシロガネはこの場から離脱していった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

残された遺産

ハガネ

「アクセル隊長……私はアクセル隊長がいうように人形なのでしょうか?」

 ラミアはハガネに帰還すると先ほどアクセル・アルマーに言われたことを気にしていた。結局自分の行動は壊れてしまったからで、何者にもなれず、この感情すら機械の不具合なのではないかと考えてしまった。不安になってしまった。

「ラミア……先ほども言ったが、お前は感情が生まれたばかりだ。そう言うとこを覚えればいい」

 アクセルはラミアを励ますように言った。アクセルはこの自分の知っているW17は何処までも人形であろうとしていた。いや、この言い方は正しくない所詮人形だったW17。目の前にはW17に似ているが感情が生まれ始めたラミアとは全くの別物で、自分はラミアを導くことがこの世界での役割ではないかと思えていた。他にもやることは多くあると思っているが。

「……気にするな。あと本当に俺か奴は隊長と呼ぶな、紛らわしいからな」

「……了解しちゃったりします……アクセルさん?アクセル様……アクセル君?アクセル殿?アクセル先輩?」

 ラミアはアクセルをどう呼ぼうか悩んでいた。幾ら別世界のアクセル・アルマーとは言えラミア自身は隊長と呼んでいたのですぐには慣れないのか、アクセルの後に何らか言葉で繋いで行くがどれもしっくりせずに考え続けていた。

「ラミア……俺とお前の間は対等だ、これがな」

「どういう……意味でしょうか?」

 ラミアはアクセルが言っている意味が分からないのか首を傾げた。そしてアクセルは人間臭く首を傾げているラミアに向かってふっと笑いながら

「つまり、アクセルでいい」

 アクセルはそう言った。ラミアは頷き言いにくそうに

「ア……クセル……やはり言いにくいであります」

 アクセルと言った。だがやはり誕生した時から隊長呼ばわれた

「慣れていけばいい」

「アクセル……一つ質問があります」

「なんだ?」

「……何故敵であり、この世界の住人ではない私を彼らは受け入れ信じてくれたのですか?」

「……そんなもの決まっているお前が仲間だからさ、これがな」

 アクセルは笑いながら歩きだした。そしてまた振り返る。

「貴様は何者にもなれんぞ、これがな……結局の所ラミアお前はW17に戻れんし、何者にもなれなく…ラミア・ラブレスにしかなれんさ……どういう意味か考えろ、考えてお前なりの答えを見つけろ、そして俺に教えてくれ」

 アクセルはそう言うとラミアから離れていった。そして一人になったラミアはアクセルの言ったことを考えていた。何者にもなれない。だが、ラミア・ラブレスにしかなれない。アクセルが言ったことを何度も何度も心の中で呟いていた。

「ラミア・ラブレスにしかなれないか……」

 ラミアは不思議だった。アクセルの言った言葉がどことなく自分の悩んでいた答えかもしれないと思った。自分はアクセルの言ったことは正しいのだろう、ならアクセルが言った通りに自分はラミア・ラブレスになろう。そう心で感じていた。

 

 アクセルはブリーフィングルームに入った。この後どう行動するのかを話し合っていた。キョウスケに関してはシャドウミラーのアクセル・アルマーにやられて機体がなく、マリオン博士がキョウスケの改造プランのもとに新しく改修しているらしいが完成するのはまだ先になりそうなためキョウスケは他の機体に余裕が無いためキョウスケは待機となった。このまま補給に伊豆基地に戻ることになった。

「ダイテツ艦長……一つお願いがあるのですが」

 話しが一区切りをするとレーツェルがダイテツ話かけた。

「何だ?」

「私とゼンガーをテスラ研へ先行させていただきたいのです」

 レーツェルの言葉に皆がざわめいているとゼンガーがゆっくりと話し出した。

「我らはある物を受け取らなければならんのだ」

「……ビアン・ゾルダーク博士に遺産です」

「親父の遺産だって!?」

 ビアンの名を聞き、娘であるリューネは反応した。

「そう……我らの新たなる力だ」

「ならば俺も行こう……インスペクターや異星人の相手ならここの誰よりも一日の長がある」

 話しを聞いていたアクセルは自分もついて行くと提案した。

「アクセル……君を巻き込みわけにはいかん、我々だけで向かう」

「いや、俺はこの世界では新参者だが、ゼンガー大佐……いやこの世界では少佐か。別の世界とはいえ、借りがある……それに占領されているのなら、潜入だろ?俺は経験がバッチリあるからな。」

 そうして話しているとダイテツがしゃべりだした。

「良かろう……三人でのテスラ研へ先行を許可する。ただし、事は慎重にな」

 三人をテスラ研へ先行すること許可し、それを聞いた三人はそれぞれの機体に向かった。

「アクセルさん!!」

 ソウルゲインに向かっていく途中で後ろからアラドが走ってきた

「アラドか?」

「あの、アクセルさん!俺……アクセルさんに頼みがあります!!……」

 アラドは真っ直ぐアクセルの方を向いた

「俺を鍛えてください!ゼオラはまだ…俺のことを忘れてないって、だから俺はゼオラをたすけなきゃならねー!!だからアクセルさんお願いします!俺を鍛えてください!」

 アラドは目の前にいるアクセルに頭を下げながら頼んでいた。その顔は男の子の顔だった。

「いい顔をするようになった……わかった。俺がこの任務から帰ってから鍛えだしてやる。だが俺がいない間はキョウスケやカイ少佐に鍛えて貰え、お前とキョウスケは似たタイプだから何か得る者があるはずだ、カイ少佐からは闘い方を学べ、お前の闘い方では先やれるかわからんぞ、これがな」

 アクセルはアラドに言うとアラドは少しげっとした顔になったがすぐに

「了解っす…」

 アラドはアクセルに言われたことに対して頷き

「お前が助けろよ、これがな」

 アクセルはアラドに言うと自分の機体に向かった。

 

数時間後

テスラ研

「これが成果だと?」

 ヴィガジはテスラ研の中の資料を紙だけで提出されてヴィガジは苛ついていた。

「ここのような研究施設で記録媒体が紙だけとはありえんだろう!!」

 苛つきながら机の上に乗せられた資料を見ながら机を強く叩き目の前のジョナサン、ファリオたちに怒鳴っていた。

「だからMGストレイジの復旧には時間がかかると言っただろ」

 ジョナサンはしれっとヴィガジに言うが、ヴィガジは余裕そうに机の上に足をのせた

「実力行使でも我々はよいのだぞ。お前たちが隠している地下の格納庫も含めてな」

 ヴィガジの言葉にジョナサンは顔には出さないが心の中で舌打ちをした

(っち!気付かれたか!?)

「直ちにだせ、出さなければ非研究員は全員処刑する」

 ヴィガジはニヤニヤしながらジョナサンに言った。ヴィガジはまだ地球に来て日が浅いがこの惑星の人間は他人の命と引き換えにされると何も言えなく、逆らえなくなるのも知っていた。だがその時室内にサイレンが響き渡った。

「何だ!?」

 ヴィガジはサイレンが鳴り響くと、ヴィガジはすぐさまバイオ兵に通信をした。

「アンノンウ接近、数3機」

「たった三機だと?ふん、どこの馬鹿だ」

 ヴィガジが出ていくと

「もしかしたら」

 フィリオは気づいたのかすぐにジョナサンの方へ向いた。

(エルにゼンガー……もう一人はだれなんだ?)

 そうして崖の上にいる三機の機体の姿が映し出された。

 

 

テスラ研の近くの崖に三機の機体が立っていた

「フィリオ……私は帰ってきたぞ」

機体の中でレーツェルはそう呟くと目の前にガルガウに乗ったヴィガジが出撃してきた。

「ふん、この研究所は我々が制圧している!!もはや我々の者だ!!」

 ヴィガジがそう言うとすぐさま黙っていたゼンガーがヴィガジの言葉に反応した。

「黙れ!!そして聞け!!我が名はゼンガー。ゼンガー・ゾンボルト我は悪を断つ剣なり!」

 ゼンガーがそう言うとヴィガジ

「何を言うか!!」

 三機にホーミングミサイルを撃っていくと三機はバラバラに飛び散った

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いざ行かん!目覚めよ!ダイ!!ゼン!!!ガー!!!!

「眼前の敵は全て打ち砕くのみ!」

 ゼンガー迫りくる敵に対し、オメガブラスターで撃退しヴィガジの乗るガルガウの目の前に斬艦刀を構えた。

「唯の馬鹿ではないらしい」

 

「奴は俺が食い止める、レーツェル、アクセルお前らは先に迎え」

 ゼンガーはアクセル、そしてレーツェルに向かい通信をした

「ゼンガー、いくらお前でも一人で「行くのだ!!行って師匠たちを!そしてビアン総帥の遺産を!」

「了解した、ゼンガー少佐。ビアンの遺産は俺たちに任せろ、これがな」

「ゼンガー、少しの間待っていろ!」

 アクセルとレーツェルはゼンガーとの通信を切りテスラ研の内部へ向かった。

 

「ふん、見上げた闘志だが……状況は見えんようだな!」

 レストジェミラがゼンガーの目の前に迫りくるが、斬艦刀で一刀両断にしていった。

「我は悪を斬る剣なり!!」

 

レーツェルとアクセルは囚われている人々を救い、ビアン総帥の遺産を手に入れるため門番をしているレストジャミラを撃破していった。

「所長達のPBS反応は……一階のエントランスか」

 レーツェルは銃を取り出し、セットしながら確認していった。

「アクセル……銃は一つしかないが君は?」

「俺にはミズチブレードで十分だ」

「そうか、なら行くぞ!」

 アクセルは多機能トンファーミズチブレードを構えて、レーツェルとテスラ研へ潜入していった。

 テスラ研ではエントランスに研究員たちがバイオ兵に連れられて一か所に集められていた。

「どうだ?フィリオ」

「遠隔操作で火を入れました。弐号機は何とか……ですが壱号機はまだまだ」

 フィリオはヴィガジが出ていった時からバイオ兵の目を盗みながらビアンの遺産である機体の調整をしていた。

「お前たち何をしている?」

 フィリオの行動がばれたのかバイオ兵は銃を構えながらフィリオに近づいていった。

「手に持ったものをだせ。さもなければ撃つ」

 無機質な声でフィリオたちに銃を構えているが、そのすきをついて、リシュウは目でフィリオに合図をした。その時フィリオたちに銃を構えていたバイオ兵の頭に銃が撃たれた。

「エル!?」

 その銃弾は潜入したレーツェルだった。そして銃弾の雨が流れている中、アクセルは飛び出した。さらにバイオ兵の隙を見てリシュウは仕込み杖に隠していた刀を使いバイオ兵を斬っていった。

 アクセルとリシュウは自分に迫りくる銃弾に対し弾き落としていった。

「チェストォォオ!!」

 リシュウはバイオ兵を一刀両断していった。

「銃弾を斬るなんて……」

 フィリオは二人の銃弾を落とした行為にそう言いと

「ふふ、ワシの見切りとゾル・オリハルコニウム製の仕込み杖をなめるでない」

「まぁ、こんな事誇ることでもない、こいつがな」

「先生、助かりました」

 全バイオ兵を倒した後レーツェルは近づいて行った。

「友よ、DGGは機動できるか?いくらゼンガーといえど多勢に無勢だ」

「ああ、わかっている」

「行こう、DGGは地下最深部格納庫にある」

「アクセル、君はゼンガーの元へ行ってくれ」

「ああ、了解した」

 そういい、アクセルはソウルゲインの元へ向かった。

 

 ゼンガーは全てのレストジャミラを斬り倒して、ガルガウと対峙しているがその瞬間地下からさらにレストジャミラが現れグルンガスト参式の腕、肩に取りついた。

「くっ!どけ!!」

 ゼンガーはブーストを最大にし、肩に取りついているレストジャミラを落とし、腕についているのも振り落とした。

「ブーストナックル!!」

 そして最後に残ったレストジャミラをガルガウに向けて飛ばした。

「阿保がぁ!」

 だがガルガウの腕に装備されたビーム兵器が、ブーストナックルで飛ばした拳を爆発させた。

「くっ!うぁぁああ」

 すぐさま、ゼンガーは片手に持った斬艦刀で斬りかかるがもう一つの腕もガルガウに破壊されてしまい、斬艦刀は飛ばされてしまった。

「何が悪を斬る剣だ!?悪は貴様らだ、この銀河ではな!!」

 ガルガウは斬艦刀を取り向かおうとしたゼンガーの一瞬の隙を付きグルンガスト参式を地べたに這いつくばらせた。

「我らの星へ一方的に攻め込んどいて何を言うか!?」

「予防策なのだよ、これは。貴様らのような病原菌は銀河に不必要なのだ!いずれ貴様ら地球人はこの銀河の秩序を乱す存在なのだ!」

 だがその時。

「青龍鱗!!」

「何だ!?」

「やはりその機体に対しては利かんか」

 アクセルは隙だらけのガルガウに青龍鱗を飛ばした。だがあまり効果はないように見えた。

「ふん、この程度の攻撃利かんぞ!!」

 

「アクセル、師匠は!?」

「無事だ……今からビアンの遺産が出てくる。それまで俺がこいつを抑える、これがな」

 アクセルは目の前のガルガウに対峙していった。

(だが、麒麟も舞朱雀も使えん今、あの機体にダメージを喰らわせるのは難しい。だがやるしかない、こいつがな)

 

「弐号機のセッティングにもう少し時間がかかります」

 地下最深部格納庫ではジョナサンとフィリオがWGの調整をしていた。

「なら、壱号機を先に出せいぃい!」

「しかし、OSは」

「動けばいい、あのアクセルと言うものが闘っているがほとんどダメージを与えておらん時期にやれてしまうぞ」

 確かにアクセルの乗るソウルゲインは聳弧角が先の闘いでヒビが入っているため、舞朱雀、麒麟を使えない。だが使えないなりに何とかガルガウを抑えていた。もし仮にあのソウルゲインが“あちら側”のならば玄武金剛弾と言う、新造された腕で何とかダメージを喰らわせることはできただろう。

「わかりました……フィリオ、TSOSの方がまだいいだろう……それで立ち上げるぞ」

 

「さぁ、病原菌を駆逐しよう」

 ガルガウは片手に持ち、複数のレストジャミラがアクセルの相手をしていた。

「ちっ!そうはさせん!!」

 アクセルはゼンガーを救おうとするがレストジャミラによってゼンガーの元へは迎えなかった。

「まずはこいつからだ!」

 ガルガウはグルンガスト参式の顔をゆっくりと握り潰そうとしていた。今にも握り潰されそうだったが、その時ドリルがグルンガスト参式を掴むガルガウの腕に襲い掛かった。その衝撃でガルガウはグルンガスト参式を離してしまった。

「奴は!?」

「W15だと!?」

 アクセルとゼンガーは驚きながらそのドリルで攻撃した正体ウォーダン・ユミルを見ていた。

「我はウォーダン・ユミル!メイガスの剣なり!!」

「ここは援軍など要らん、ここは俺だけで」

 そう言っているがヴィガジの言葉を無視しながらウォーダンはブーストしながら此方に向かってきた。

「押して参る!」

 そして斬艦刀を構えてゼンガー、アクセルではなくガルガウに斬りかかった。ガルガウも何とか手に付けられているシールドで斬艦刀を防いだ。

「貴様!?話と違うぞ!!」

 ウォーダンは怒鳴っているヴィガジを無視してゼンガーに向かって言った

「ゼンガー、貴様との決着……このような形であってはならない。俺はオリジナルである貴様を倒し、W15ではなく、ウォーダン・ユミルとなる……それが俺の、俺自身の意思だ」

「もしや、お前もラミアと同じく」

「貴様が新たな剣を得るまでの時間俺とアクセルが稼いでやる。我々の勝負はそれからだ」

「ふん、俺抜きで話を進めているな、ウォーダン・ユミル……だが、その作戦乗った。ここで貴様と奴の相手をするのは面倒だ、これがな」

 アクセルはウォーダンの話に乗ったのか頷いた。

「人形ごときが!!」

「ヴィガジ、貴様の相手は俺たちがする」

「ふん、付いてこられるか、ウォーダン・ユミル?」

「ゼンガーの後は貴様だ、覚えておけ、アクセル・アルマー」

 

「少佐!?少佐聞こえるか?今からWGをだす何とか乗り移ってくれ!」

 ジョナサンは闘っているゼンガーに対して通信をしていた

「承知!」

 ゼンガーは何とかグルンガスト参式を動かし、ブーストを最大限まで上げながら追ってくるレストジャミラを振り切りながら逃げていたが、レストジャミラの攻撃でグルンガスト参式はボロボロになっていった。

「くっ!まだまだ!!」

グルンガスト参式の下半身であるGバイソンを切り離し、Gラプターだけでテスラ研へ戻っていった。何とかGラプターはテスラ研へたどりついたがもうGラプターはボロボロになって行った。

「すまない、参式」

 愛機にゼンガーはそういい、DGGの元に向かって言った。

 

「くっ!貴様ら!!邪魔だ!!」

 ソウルゲインとスレードゲルミルの攻撃を防ぎながらヴィガジはゼンガーが向かった場所を確認していった

「あれは?」

「よそ見をしている暇はあるのか!?」

 ヴィガジがゼンガーを見ている隙をアクセルは見逃さなかった。

「白虎候!!」

 アクセルはガルガウの間合いに入り、何度も連撃を食らわした。

「くっ!?」

 よろけるガルガウに対しアクセルは攻撃の手を緩めなかった。

「まだまだ!!玄武剛弾!!」

 腕を回転させてガルガウに拳を飛ばした。さらにアクセルは腕が戻ってくると空に飛び上がる。

「これで最後だ!!青龍鱗!!」

 腕から気を放った。現在使える業を全て使いガルガウに対して攻撃した。そして土煙がガルガウの周りに上がっていた。

「全く自信ってのが打ち砕かれそうだが……だが貴様もだろ、ヴィガジ?」

 アクセルは土煙が無くなりガルガウの姿がはっきりすると、ヴィガジは立ち上がる。

「くっ!?このガルガウを……」

 攻撃されガルガウの強靭な装甲を撃ち破りガルガウにダメージを

「こうして一瞬の隙を突かなければ、こうしてダメージも与えられんとは大した装甲だ。だが俺に隙は見せられんぞ、これがな」

「舐めるな、野蛮人如きがぁあ!!」

 

 

 

「これが……DGG?」

 ゼンガーはDGGに乗り込みWGを機動させた。

「ビアン総帥が君のために設計した」

「これはまさに武神」

「名はダイナミック・ゼネラル・ガーディアン」

「いやあえてその名を言うまい……ビアン総帥が俺のために残し機体、俺のために創られた剣、名づけるなら

 

 

 

ダイ!ゼン!!ガー!!!」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

.

「ダイゼンガー……?」

「なるほどそう言う略し方もあるね」

 

 

「くっ!どけ!!」

 ヴィガジは先ほどソウルゲインからのダメージにより多少装甲が落ちてしまっているためソウルゲイン、スレードゲルミルの攻撃に対し、隙を見せられなかった。だがその間にもゼンガーが向かった先に新たな機体があると考え、この状態で三機を相手にすることはあまりにも無謀と思っていた。ならば動いている二機の相手をするよりも、今だ格納庫にいるゼンガーを狙った方がいいと考えたヴィガジは一気に上空へ飛んだ。

「何がダイゼンガーだ!まずは貴様からだ!!」

 ガルガウの胸部に内蔵されているメガスマッシャーを出し、高出量エネルギー破を繰り出した。

「行くぞ!……!?」

 ゼンガーはDMLシステムで機動させた瞬間止まってしまい身動きが取れなくなってしまう。ガルガウのメガスマッシャーが迫っていた。

「そうはさせるか!!玄武剛弾!」

 アクセルも即座に空に飛びヴィガジに腕を回転させ、腕を飛ばした。

「くっ!?小癪な!」

 玄武剛弾をまともに喰らいガルガウは空中でバランスを崩しよろけ、ダイゼンガーに迫っていたメガスマッシャーがギリギリで当たらなかった。

「この野蛮人がぁぁあ!!」

「まずっ!」

 ソウルゲインはまだ腕が戻って来ない状況でガルガウの口部のエネルギー砲をまともに喰らったソウルゲインは地に落ちていった。

「まずは動けん奴からだ……」

 

「く、機体が動かん」

 ゼンガーはダイゼンガーの中で何とか足掻いているが全く動かなかった。

「DNNシステムがうまく動かんのか?」

 地下最深部格納庫では何とかダイゼンガーを動かそうとジョナサン、フィリオは何とか』撃てる手を探していた。

「これでは内蔵武器が全部使えない!」

 

「ふははは、無様だな!!」

 全く動けないダイゼンガーに対してガルガウはクローに捕まって、崖に押し付けられた。

「ぐっ!?」

 その衝撃でゼンガーは血を吐いてしまった。

「まずは一匹だ!地球人!!」

 ガルガウはもう片腕についたクローで止めをさせようとした瞬間、ダイゼンガーが機動し、クローを止めた。

「何!?」

 そして無防備なガルガウに膝蹴りをし、ガルガウはダイゼンガーを離し、後ろによろめいた。

 

「何とか動けるようにしました」

「この短時間でやってのけるとは」

「ですが内臓武器は……」

 フィリオは何とかダイゼンガーを動かせるようにしたが、ガルガウに対しては振りな状態のままだった。

 

「ゼンガー!!受け取れ貴様の獲物を!!」

 ゼンガーはウォーダンの通信が入った瞬間、ウォーダンの方を向いた。そして斬艦刀が飛んできた。

「そうはさせるか!!」

 ガルガウは斬艦刀にミサイルを飛ばしたが、それは斬艦刀に当たる前に青いエネルギー波で爆発させられた。

「悪いな、俺は悪運が強いんだ、こいつがな」

そして斬艦刀を受け取ったゼンガーは斬艦刀を構えヴィガジの目の前に立った。

「だが、そんな鈍を手にした所で」

「黙れ!!斬艦刀は我が魂の剣。これさえあれば俺は戦える!我が魂を受け継げダイゼンガー!!」

 

 

「否!!」

 

 

第23話  参式、お前の魂は俺と!!こいつが受け継ぐ!その名も武神装甲!!!  ダイゼンガー!!!!

 

「もはや問答無用!!」

 斬艦刀を構えたダイゼンガーは周りにいるレストジャミラを一振りで真っ二つにした。

「調子に乗るな!俺を怒らせるな!!」

 ガルガウは胸部のメガスマッシャーを構えてエネルギーを貯めるが、その瞬間高出力のエネルギーがガルガウを襲い、メガスマッシャーの射線を変えた。

「待たせたな友よ」

 その正体はDGGの弐号機に乗ったレーツェルだった。

「くっ!あれもダイゼンガーか!?」

「そう、ダイナミック・ゼネラル・ガーディアン弐号機!その名もアウセンザイター」

 

「穴馬か言い得て妙だね」

「穴馬!?ちっ!先ほどの衝撃で翻訳機が故障したのか?」

 

 レストジャミラはいつの間にかゼンガー、レーツェルたちの周りにどんどん出てきた。

「ゼンガー、行くぞ!」

「おう、狙うは大将首ただ一つ!!」

 ゼンガーとレーツェルは背中合わせでそう言っているとソウルゲインから通信が入った。

「ゼンガー少佐、なら雑魚は俺が引き受けた」

 ソウルゲインは周りにいるレストジャミラを破壊していった。そしてガルガウまでの道を作って行った。

「トロンべよ、今が駆け抜ける時!」

 トロンべは変形した。

「友よ、今が駆け抜ける時!」

「応!!!」

 馬に変形したアウセンゼイターにダイゼンガーが乗った。

「刃馬一体!!参る!!」

 馬に乗ったダイゼンガーはガルガウに向かって駆けて行った。だがソウルゲイン一機だけでは多くのレストジャミラを抑え切れず三機のレストジャミラがダイゼンガー達の前に塞がった。

「く!間に合わんぞ!!」

 アクセルがそう叫ぶとダイゼンガーの前に塞がったレストジャミラが赤い機体によって爆破した。

「あれはスレイか!?クロガネで待機しろと言ったはずだ!」

 スレイに気が付いたのか、ベガリオンに通信を入れた。

「私はテスラ研を奪還する日を、兄様を救いだす日を待っていたのです!!」

 スレイはそう言いと、ダイゼンガー達を援護していた。

「括目せよ!!」

「これが我らの!!」

「乾押一擲の一撃なり!!」

 ダイゼンガーはアクセル、スレイが作った道を駆けて行ってガルガウに向かって行った。

「野蛮人がぁあ!!このガルガウに対して!!その鈍でぇぇえ!」

 ダイゼンガーは斬艦刀でガルガウを両断し、さらにガルガウを斬艦刀に引っかけたまま高速回転させて竜巻を起こした。

「吠えろ!ダイゼンガー!武神の如く!!」

「駆けろ!トロンべその名の如く!」

「ぬおおおおおお!!奥義斬艦刀!逸騎刀閃!!」

 そしてガルガウを空へと上げた。

「何だと!?このガルガウが!?」

 そして、空へ上がったガルガウにゼンガーたちは向かって行った。

「切り裂く!!」

「チェェストォォォオ!!」

 ガルガウは爆発しながら一刀両断された。

「ふ、我らに」

「断てぬものなしっ!!」

 

「地球人め、この屈辱忘れんぞ!!」

 ヴィガジはガルガウにある脱出装置を使い爆発に紛れながらこの宙域を去って行った。

 

「見事だ。ゼンガー」

 ウォーダンは通信を入れた。

「ウォーダン・ユミル」

「その一撃しかと見た。流石は我が宿敵!お前との再戦万全の状態であってほしいことを望む!」

 そう言いウォーダン・ユミルもこの宙域から離脱していった。

 

「これで、兄様は……アイビスたちが来たか」

 スレイはそう言いフィリオが無事であることを確認に、丁度ハガネやヒリュウ改来るのがわかれば宙域から離脱していった。

 

 

「所長、先生無事で良かったです」

 ヒリュウ改から降りたクスハはジョナサン達の所に向かい他の研究員が無事な姿を見て、安心しながら話していた。

「ああ、頼りになる奴がいたからな」

「でもあんな機体がテスラ研にあったなんて知りませんでした」

 クスハはそう言うと、ダイゼンガー、アウセンゼイターを皆がそう呟いた。

「L5戦役後ある人物に秘密裏に託されたんだ」

 

「ゼンガー、お前の壱号機だが、時間をかけて再調整しなければ内蔵武器は使用不可能だ」

 レーツェルは大破した参式を見ているゼンガーに話かけた。

「構わん、斬艦刀が一振りあれば俺は戦える」

「しかしそれでは」

「この後我々はインスペクターに立ち向かわなければならない、そのためにもダイゼンガーは必要不可欠だ」

(参式よ、今まで俺とよく闘ってくれた。礼を言う。だがお前の魂は、斬艦刀は俺とダイゼンガーが貰っていく)

 

シロガネ ブリッジ

「……W15、お前の指令は敵戦力を削ぐことだったはずだ。そして対象はヘリオス・おリンパスのみ

 何故、ゼンガー・ゾンボルトを助けた?」

 アクセル・アルマーは勝手に出撃し、帰還したW15に向かってそう言った。元々、W15にだした命令にテスラ研へ迎えと言う命令は出していなかった。

「貴様が行った結果、奴らは新型を手に入れ、連中の戦力は増強された。……貴様は命令を無視したことになる」

 ずっと黙っていたW15がゆっくりと口を開けた

「……奴らと互角の勝負をするためだ」

「互角だと?それで貴様が敗れたらどうなる?お前たちWシリーズは闘争の続く世界を支えるために必要な存在だと言うことは理解しているのか?貴様はあのW17と同じくイレギュラーになり、居場所を失うつもりか?」

 W15はアクセルの言葉に黙ってしまう。その問いかけに答えられなかった。

「もういい、下がれ……言ったからには、ゼンガーは貴様が討て」

「承知」

 アクセルがそう言えばW15はブリッジから退出していった。

「ちっ……レモン、再調整したほうがいいんじゃないか?任務に支障が出てから遅いぞ」

「……そうね、『向こう側』にいた時と同じ調整しているんだけど」

「……なら、『こちら側』に来たことで奴らに変化が現れたのか?それとも……」

「ふふ、新しい存在になりつつあるのかもしれないわねー」

「嬉しそうだな……」

 嬉しそうに笑っているレモンを見つめていた

「そうね、W17のあの子の一件があってから、特にね……私は知りたくなったの。私が作ったものが新しくなっていくのをね」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逃げられない過去

 アースクレイドル

「強化型グラビリオン……装甲にマシンセルが投入されていると聞きましたが……」

 現在急ピッチで進められているグラビリオンを見ながらアーチボルトは呟いた。

「それはあたしが使うぞえ」

 突如後ろから現れたアギハ・セトメがそう言った。

「何をするつもりなんです?セトメ博士」

「ハガネに乗っているサンプル、ラトゥーニ11そして最高傑作アウルム1を回収するんじゃ……今後の研究のためにな」

 セトメはさも当たり前の様に言った。

 

???

 目覚めよ、目覚めよ、お前はいつまで敵の中にいる?

「敵?」

 目覚めよ、お前は私、私はレビ・トーラ

ハガネ

 マイはそこで目を覚ました。あれは夢だったのか、いやどんな夢を見ていたかはもう覚えていない。だが耳に残っていることがあった。

「レビ、レビ・トーラ」

 何のことかはわからない。だが何度も呟いた。

 

本日テスラ研をインスペクターから奪取したからと言って闘いは続く、だがたった三人でテスラ研を奪取に成功したため、ハガネやヒリュウ改に戦力を補充することができた。ヴィレッタとアヤ、マヤが合流したので、SRXチームが揃ったことになった。だが一つ問題があった。それはマヤの過去だ。

「アヤとマイの念が動力すれば、バスターキャノンを使える話は分かった。でも、事情を知らないみんなが過去の話を知ったら、それにマヤがそのことを知ったら!」

 SRXチームだけで集まり、極秘の会議をしていた。R-1、R-2、R-3が揃ったことによりSRXの合体可能となり、さらにSRX専用の武装システムとして開発された機体R-GUNパワード配備され、その説明を受けたが会議の理由はそれだけではない。

「緘口令が引かれた本当の理由は何です?」

 レイは薄々気づいていたのか、ヴィレッタの方を見つめた。リュウセイは気づいていなかったのか、リュウセイもヴィレッタの方を見た。

「我々にも言えないことですか?」

 誰もが話さない状況の中ヴィレッタは口を開いた。

「……わかったわ、お前たちには本当のことを教える」

「隊長!?」

 アヤはヴィレッタに反応したが、ヴィレッタはそれを制した。

「マイの中には……レビ・トーラの残留思念が存在している」

 レビ・トーラとは先の大戦L5戦役で敵であった人物、そして敵の総司令官。マイは洗脳されて、レビという人物入れられていた。だが、その過去をマイは忘れている。そしてそれを知っているのはごくわずかだった。

「あの子にはまだ別人格化したレビが存在しているの」

「じゃあ、もしレビの念に支配されたら、また俺たちの敵に」

 リュウセイがそう言うと会議をしている扉が開いた。そおの扉を開けた人物はマイだった。

「私は……敵」

「それは違う!」

 リュウセイはすぐそう言うがマイは何処かへ走り出してしまった。そしてすぐにリュウセイとアヤはマイを追いかけた。

 

ようやく、真実に気づいたな

「やめろ!」

 恐れることはない、ただ受け入れればいい

「いやだ、わ、私は、お前じゃない……!」

 いや、お前は私……ジュデッカの巫女、レビ・トーラ

「私は、私は!!」

 

マイは走りながら誰かにぶつかった。それはアラド達だった。その勢いで、マイは転んだ。そして何度も呟いた。アラドに何かを言われた気がしたが、聞きたくない。また自分を敵だと言われるのが恐かった。

「私が、レビ……レビ・トーラ」

そうして立ち上がりまた走り出した。

 

「あの大丈夫ですか」

 アラドはぶつかり転んでいるマイに声をかけた。アクセルが戻ってくるとすぐにシミュレーターで今自分が使っている機体ビルドビルガーを使い、アクセルはかつてアラドが使っていたリオンに乗り闘っていた。そしてハンデとしてアラドは機体が撃破されたら負け、アクセルはアラドから一発を被弾したら負けと言う、アラド有利の闘いの中アクセルは使い慣れてない機体でありながら、アラドの攻撃を全て避け、被弾なしと言う圧倒的な強さだった。そのシミュレーターの帰りで、アラドの他には、アクセル、ラトゥーニ、シャイン王女そしてオウカがいた。

 そして倒れたマイにアクセルは何かを感じた。だがそれを言う前にマイは走り去った。その後すぐにマイが来た所からアヤとリュウセイが走ってきた。

「マイを見なかったか!?」

 何か慌てているようにアラド達に言った。

「あっちに走って行きました」

 アラドも何か異常状態に気が付いたのか、すぐにリュウセイに言った。

「わかった。」

「待て、リュウセイ……あいつは一体何者だ?」

 走りだそうとするリュウセイにアクセルはそう尋ねた。ヴィレッタ達が合流している時はアクセルはテスラ研にいて、さらに帰還してすぐにアラドとシミュレーターにいたため、まだ顔を合わせていなかった。だがリュウセイはアクセルがただ顔を合わせてないからマイのことを聞いているのではないことに薄っすらとだが気が付いていた。

「後で話す今は!」

 そう言うとリュウセイとアヤはマイが向かった先に走りだした。

「ラトラト、さっき奴が言っていたレビとは何だ?」

 状況がわからないアクセルはこの中で一番リュウセイたちと関わりのあるラトゥーニ尋ねた。

「前に話したL5戦役を覚えていますか?」

 ラトゥーニにアクセルにそう尋ねた。アクセルは無言で頷いた。

「その時の……敵の総司令官だった人です」

 そう言うとアラド達はリュウセイを追いかけた。そして何とか追いつきマイを探すためエレベーターに乗った。

「さぁ、話してもらうぞ、リュウセイ……あいつは一体なんだ?」

 アクセルはすぐに口を開いた。

「マイだ」

「いや、俺が聞きたいのは奴の奥底にいる邪気だ」

「邪気?」

 リュウセイはアクセルの言う邪気に反応した。

「ああ、そのマイと言うものの心は戸惑いがあった、だがその奥底には何かどす黒いモノを感じた……そいつは一体何だ?いや、一体何者だ?」

 アクセルそう感じたままのことをリュウセイに言った。

「それは……」

「いいわ、私から説明します」

 アヤはそう言いアクセルたちにマイのことを説明した

「マイはレビと言う人格を植え付けられ、その代償として過去の記憶を無くしたの」

「……あの時俺余計なこと言っちまったから」

「いえ、貴方の言う通り無理があったのよ」

 エレベーターが到着し、アヤは覚悟を決めたのか顔を上げた。

「過去と向き合わなければならない。あの子も私も」

 そうしてエレベーターから降りるとハガネからサイレンが鳴り響きR-GUNパワードが発進してしまった。

 

 

 そうしてアヤたちにも連絡が来てマイを追う任務が入ってきた。

「わかりました。直ちに追います」

「俺も手伝おう」

 そういいアクセルはリュウセイに言った。

「でも、アクセルあんた、休みなしで大丈夫なのか!?」

「ふん、心配するな、元の世界でも連戦は当たり前だ。こういうことには慣れっこさ、こいつがな」

「大尉、私も行きます」

「でしたら、私も向かいます」

「俺も!」

「私も行かせてくださいませ!」

 そういい、アクセル以外にもアラド達もそういった。

「ありがとう、副長には私から言っておくわ」

 そうして皆自分の機体に乗り込みマイを探しに向かった。

 

 

 マイは逃げていた。何から逃げているのかはわからなかったが、きっと自分自身、それにハガネからだったのだろう。マイは何も考えずに恐いものから逃げていた。だがその時機体から危険信号がでた。

「はっ!?ここは!?」

 マイは気が付いた。何も考えずに逃げていたため危険信号によりはっと目を覚まし周りを見ていた。

「敵?」

 モニターを確認すると約10機の小隊がこちらに近づいてくるのに気が付いた。

 

「認識終了、敵機体R-GUNです」

「ならT-LINKシステムを搭載しているかもしれんの」

 グラビリオンではセトメと数人の部下が乗り込み近くにいるR-GUNパワードを捉えていた。

「あやつはサンプルを誘き寄せる餌となる。それにパイロットが念動力者なら、ワシの研究に役にたつかもしれん、ブロンゾ27、奴R-GUNを捕え」

「はい、わかりました。母様」

 ゼオラはアギハからの命令を聞き、R-GUNパワードの方へ一機だけで向かった。

「ここで逃げたら……」

 マイはここで逃げたらハガネが見つかってしまう。そう思った瞬間心の奥底でささやく声がした。

 彼等は利用するんだ。そして

「い、いやだ!……私は」

 マイはそれを否定する。だがそうしている間に、攻撃が始まった。ファルケンからの銃撃を避けていった。

「うわぁああ!?」

 だが落ち着いている時ならまだしも、マイは完全にパニックを起こし、R-GUNで反撃しようにも簡単に避けられてしまった。

「抵抗をやめなさい!私たちの所に来れば、もう攻撃はしません」

 ゼオラから通信が入りマイはさらに困惑していた。

「わ、私をどうする気だ!?」

 マイはおびえながら答えた。

「あやつは、間違いない。特脳研にいたころの被検体の一人」

 セトメはゼオラと通信しているマイの姿を見てかつて自分が所属していた特殊脳研究所を思い出していた。

「おもや、生きていたとはの」

 

 

彼らを利用し

「いやだ!!」

 マイが心の中の声に対し叫んでいると、さらにファルケンからの攻撃が激しくなっていった。

「うわあぁ!!」

 被弾したR-GUNは危険信号を送っているがマイにはどうすることもできなかった。

「いやぁああ!」

 マイは死を意識した。だがファルケンから止めを刺すことはなかった。変形したR-ウイングがファルケンを牽制し、マイを救った。

「大丈夫か、マイ!」

 R-1に変形し、リュウセイはマイに通信を送った。

「リュウセイ?どうして私を?私はお前達の敵だったのに」

 マイは助けに来たリュウセイに困惑していた。

「今はそうじゃねー!」

「でも、私は存在しては行けない人間……」

「そんなことないわ!」

 マイはその通信にはっとし、空を見ると、R-3、さらにビルトビルガー、フェアリオン、ラピエサージュそしてソウルゲインが飛んでいた。

「過去がどうあれ、今は私の妹よ!あなたに真実を教えずにPTに乗せたことは謝りわ。でも私たちには貴方の力が必要なの」

 アヤはマイにそう言った。今は妹として、家族の一員として受け入れたマイに対してそう言った。

「アヤ」 

「これからの闘いを生き延び、インスペクターに襲われた人を救うためにも」

 

 

「ゼオラ!」

 アラドは目に前にいる機体・ビルトファルケンを見てそう呟いた。オウカもラトゥーニに気が付いたようで通信を入れようとするが、それはグラビリオン、セトメによって憚れた。

「かかか、懐かしい顔が揃ったな」

 

「その声は、セトメ博士!?」

「セトメ博士……」

 アラド達がそう呟いた。

「久しぶりじゃな、ラトゥーニ11よ」

「11?」

 セトメが言ったことにリュウセイは反応した。

「それがそやつの本当の名じゃ、ラトゥーニクラスの11号、だからラトゥーニ11」

「ふん、どこの世界でも同じことをする奴がいるか……ふん、業は深いか」

 アクセルはそのことを聞いて、かつての戦乱を思い出した。彼が救えて、救えなかった彼女たちを思い出した。

「ほう、何じゃ……お前は?ワシの研究材料の価値もない男が」

 セトメに取っての人間とは自分の研究に役に立つか、立たないかのその二つしかないためアクセルに対し、目の前に蟲が飛んでいるような感覚でしかなかった。

「ラトラト、俺の世界にも同じような仲間がいた……それにマイと言ったな、俺たちの世界にも世界を滅ぼそうとした仲間がいた……そもそも俺自身も世界の敵だったんだ、だから気にする必要はない」

 アクセルはかつての自分を思い出しながらマイやラトゥーニの二人に、いや、そこにはオウカやアラドも含まれていただろう

「何が言いたい?」

 自分の喋っている途中に自分には価値もない男に邪魔されたため、セトメは苛立っていた。

「……貴様の『戦争』には何もない。理想も大義も……信念すら、『人形』以下の下衆が……失せろ、世界からな!!」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。