オリ兄の死は弟の運命を正すか? (ドラゴン・タトゥーのオカマ)
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オリキャラ纏め

この作品に出てきたオリキャラをまとめました。
今回は人間と悪魔組。
鼻で笑いながらご覧ください。


・破邪

身長:187cm?

体重:変動するため不明。

好きなもの:もう存在しない

嫌いなもの:人外

ロマンスグレーの髪をオールバックにし、常に喪服を着ているナイスミドル。

その正体は対化物戦闘機関「衛府」の最高幹部の一人

最高幹部は皆何処か人離れした雰囲気を醸す中、あまりにも人間くさい存在。

最高幹部の中で人外に関するキルカウントは一番低いが、それは十把一絡げの人外は彼の眼中に無いからであり、実力者のみに限るのならば他の幹部より2桁違う。彼の人外嫌いはかなりのものであり、過去にオーフィスから勧誘されたが手酷く追い払ったり、駒王町で悪魔と契約している人間は見せしめに殺せばいいと笑顔で宣うほど。

能力は不明、しかし、敵の本拠地に1人で乗り込んで余裕綽々の態度を崩さないところを見ると相当な力を秘めている可能性が高い。

破邪というのは人外からつけられた仮の名であり、彼の名を口にする事と知ろうとすることは硬く禁じられている。

何故ならば、本名を知覚した瞬間この男との縁が生じ、この男はその縁を辿って一方的に転移してくるからである。

本人はこれを活かす為に自分の名刺を渡している

常に口元はにこやかに微笑んでいるものの、目は一切笑っていない。

 

・インディゴ=ネビロス

身長:180cm

体重:50kg

好きなもの:ソーナやライザー、シーグヴァイラの様子を眺めること

嫌いなもの:現魔王とその血族

背骨が曲がった痩せぎすの男、悪魔なのに悪魔の被害者。

現魔王や大王共の弱味を握る初代ルシファーの腹心、リゼヴィムは死ね。

その特異な能力故に、これまた特異な地位についていた。

どれだけ地位が高かったかと言うと、四大魔王とタメ口で話せるほど。

彼は己の能力を初代ルシファーの為だけに使うつもりで、大戦でルシファーが死んだと知った際は己も後追い自殺するつもりだったが、現魔王によって無理やり生かされている。ついでに軟禁もされている。

嘗て初代ルシファーが率いていた「美しい悪魔」は滅びさり、「醜い残りカス」ばかりの悪魔を、そしてそんな連中を監視する事を強いるサーゼクスとアジュカと大王共強く恨んでいる。

しかし、人間くさく眷属を大事にしているライザーや、ロボットに情熱を燃やすシーグヴァイラ、学校設立の夢を語るソーナのことを強く気に入っており、とくにソーナに関しては、本人は気がついていないがソーナに恋をしている。

え?リアスも眷属大事にしてるって?自分を閉じ込めた張本人の妹とか死ねばよろしよ???

名前の由来は黒に近い青色のインディゴから。

 

・兵藤正自

身長:187cm

体重:95kg

好きなもの:人の笑顔、家族、弟。

嫌いなもの:争い、血、下衆な目的で転生した自分

この物語の主人公と見せかけた全ての元凶。

チートを授かったのに何一つ使いこなせてないぐう無能。

だいたいこいつのせいで原作が崩壊した。

だが、こいつのお陰でイッセーは変態に堕ちず、もっと厄介な何かに成り果てたのでそんな悪いことはしていない。

NTRハーレムを築こうとかイキっていたが、本人は複数の女を囲っておけるほどの甲斐性はない事を自覚していて、ぶっちゃけ3歳の頃には冷めていた。

というか目の前でラブラブな夫婦を見ていた為、亀裂を走らせる真似は出来ない事を嫌という程痛感している。

えっちぃい事はしたいけど、孕ませた場合責任を取れるのか分からないから手を出さないヘタレ。

やめたらチーレム主人公?




アンケートにお答え頂いた皆様ありがとうございました。
ただいまベンニーアたんと懇ろするお話を書いている最中です。
もう少しお待ちくださいませ。


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番外編と平行世界
月夜に蠢く邪眼


原典のコカビエルを調べようとしましたが、情報が少なすぎる為に勝手に盛り込みました。反省はしていない。

原典の彼は星を読むのが得意な天使だったようですね。

今回もまたオリキャラがでしゃばっています。

月と邪眼が特徴の元七大天使です、別名のひとつが某有名RPGの即死呪文と同じで、死を司る天使とも言われているので彼からとったのでしょうか。

月……邪眼……と思ってあの名作漫画の要素を盛り込んでいます。
(一応伝承でもその権能は持っていますで)

ちょっと腐り気味な描写があります、ご注意を



神の子を見張るもの(グリゴリ)の一室で、二人の堕天使が酒を酌み交わしていた。1人は眉間に深いシワを刻み込んだ妙齢の男、もう1人は酷く痩せて隈の酷い長身の男。二人は堕天使の中でも鼻つまみ者であった。

現にここには二人以外誰かが来ることは滅多にない、来るとしても戦闘狂なアザゼルの拾い子くらいだろう。

 

口に出すと小っ恥ずかしいため、一度も面向かって口にしたことは無いが眉間にシワのある男―コカビエルは目の前の男と酒を飲み交わす事に一抹の楽しみと多大な安らぎを感じていた。

 

だが、今日に限っては共に酒を飲むのは避けたかった。

目に見えて機嫌が悪いのだ、原因は確実にアザゼルが下した命令だろう。

 

(よりにもよって、此奴が保護している人間を調べさせろ等と言えば、な。)

最近は自重しているとはいえ、神器を抜き取っていた男の知的好奇心を満たすために子供に犠牲になれ、と言われて首を縦に振るわけがない。

親から子を取り上げるような真似を拒絶されるのは目に見えているはずだ。

 

(周りも周りだ、特にバラキエル。)

子を持つ一人の男として声の掛け方が致命的に間違えている。

お前の子供は異常だ、だから調べると言われていい顔をする親がいるわけないだろう。

此奴は余計頑なに首を縦に振らんと言うのに……

 

 

「まったく老いとは恐ろしいものだ。嘗ての理想を忘れ、あそこまで醜く成り下がるくらいならば潔く滅びるべきであるよ……そうは思わんか、親友」

長身の男が空になった杯に酒をなみなみと注ぎながら、コカビエルに話を振る。

 

口元は笑っているが、目は全く笑っていない。寧ろ、瞳の奥に黒い焔のようなものが揺らめいているようだ。

男は機嫌が悪いと笑みを浮かべながら激怒する癖があり、しかも何かに当たり散らしたりしない代わりに突拍子もなくとんでもない事をやらかすから質が悪い。

 

どう答えても男の機嫌が治ることはない。故に黙して酒を呷る。

何言っても面倒臭いのだ、この男は。

 

「この膠着状態が我々を堕落させている原因だとするなら、是が非でも打破せねばなるまい……お前もそう思うだろう?なあコカビエル………あの老耄はちゃんと抱き込んだか?」

「ぶふぉっ!?」

 

コカビエルは思わず酒を吹き出した、無理もない。

最も厄介な存在に自分の計画が見抜かれているのだ、驚きすぎて心臓まで飛び出しかねない衝撃だ。

 

「ンー、その反応からして図星らしいなコカビエルゥ。」

ニマニマと腹立たしい顔で覗き込んでくる。

 

 

「……かつてお前を守ろうとしたものを俺は壊そうとしているのに、何故俺に協力するのだ?」

 

「簡単な事だよ、親友。もう存在しないからさ。過去に愛した女を捨てたバラキエルとシェムハザ……人間という存在の可能性に興味を示していたアザゼルは、神器を集めて解剖して殺す愚か者と成り下がった。」

 

常にザラキエルの脳裏にあるのはかつてのグリゴリの様子だった。

男にとって堕天使の全盛期とは人間の娘と交わり堕天し、人間に智慧を授けたあの頃である。

男が堕天した経緯は他の堕天使たちとは違うものの、

人間を愛したが為に堕ちた堕天使が、何故人間を「危険だから」と殺すのだろう?

嘗て化粧を教えたように、力の使い方を教えてあげれば良いのに。

 

人間を愛して堕天したはずなのに、何故悪魔と結ばれているのだろう?

前の妻の身体は醜く老いて気に入らないのか?

 

あの娘を愛して堕天した筈なのに、なぜ他の女と子を設けたのだろう?

ザラキエルはそれを許せなかった。

他の幹部も同様だ。醜い。醜くて下らないと男は感じている。

男はこの生命が滅ぼされかけた時、彼等を救ってしまった。故に、醜く穢れ果てた彼等に引導を渡すのは男でなければならない。

 

 

「……俺は……堕天使こそが最も素晴らしい種であると証明したいだけだ、お前と一緒にするな。」

どこか子供っぽく、突き放すように言ったのが可笑しいのだろう、長身の方はくすくすと笑いながら続けた。

「そうだね、そうだとも。私のはただの八つ当たりだ、過去の愚昧な自分に対する報復だ。だが、お前は違うだろう?」

「…………」

「お前は、死んでいった仲間達のために事を起こす。隠しても無駄だ、私には筒抜けなのはお前も理解しているだろう?」

皺のひどい男はお手上げと言わんばかりに深い溜息を吐いた。

 

「……誰にも言うな。」

「言わんとも。お前の目的をただの鴉に成り果てた奴らに誰が言うものか?人の子に星を教え、人の子と星を読むのが好きだった、優しいお前を殺したがりの狂人のように扱う愚弟共に」

「………」

ああ、この男はそんなにも今の堕天使が憎いのか、皺のひどい男はいたたまれない気持ちになった。

コカビエルはザラキエルをよく知っている。嘗てミカエルと肩を並べていた厳格な天使、堕ちた天使を屠る執行人だったザラキエルを知っている。

人間を愛した為に堕ちた天使の赦免を訴え、神に堕天させられた

 

「星を読むのが好きなお前が、何故戦争を望むのか……アザゼルも、シェムハザも、バラキエルも、忘れ去ってしまったようだ。

……お前はこんなにも眉間にシワを刻み込む様な男では無かったのにな。」

 

悪意と嬉々を滲ませていたが一転、悲しそうな顔をすると長身の男は皺のひどい男の眉間を撫でた。

 

「………そういうお前こそ、枯れ木のように痩せ細った男ではなかっただろう。それに…………」

 

「アイツらを貶す様な男ではなかった、と?私も奴らと同じく醜く劣っていくのさ、親友。悲しいことだ……だが、私には分かる。お前は別だと。お前の魂はあの時の熱と光を喪っていない。お前の魂はあの時のまま美しくある。

だからお前は生かしておきたい……いや、違うな。生きてて欲しいと言うべきか。」

羨むような口調で

「………お前の魂は、蝋の溶け切った蝋燭のようだ。」

 

「そうとも、些細な事で消えてもおかしくはない。だが、火種にはなる。

人間を道具にする教会を攻め滅ぼそう。人間を搾取する悪魔を嬲り殺そう。」

人間への愛を忘れた同胞をすべからく殺そう。……聖書の愚行に、終止符を。

そういい高く杯を上げると、そのまま一気に飲み干した。




・男
嘗てミカエルと同列に語られていた天使の一人。
エルシャダイではスタイリッシュバイキンマンと有名な御方。
神に堕天使達の赦免を訴えて墜とされた。
堕天の際に魂を大いに摩耗した為、ほかの堕天使と比べて不健康な見た目であり現在まともに光力を扱えないほど衰弱している。


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if・もしオリ主がイッセーの従姉だったら。

オリ主「転生したけど俺女やんけ!?え!?もしかしてHSDDiって少女漫画なんか!?マジか………でも、二度目の生があるだけ恵まれとるからこっちで幸せになったろ!!」

3年後


オリ主「両親が俺のせいで死んじまった……!!俺が転生特典持ってるからって………!!悪魔に狙われて……なのに俺は助けられなかった……!!」

5年後


オリ主「孤児院に送られた私を、実の娘のように愛してくれる人達と出逢った。兵藤さんというらしい。笑わない子供の私を家族と言ってくれた優しい人……もう二度と殺させはしない」

2年後


オリ主「叔母さんにやっと子供が生まれたらしい。男の子で名前は一誠らしい。新しい家族の一員だ、是が非でも守らなきゃ……」

そして更に時が経て………


俺、兵藤一誠には歳が10ほど離れた従姉がいる。

名は兵藤清蘭、年齢は26歳。

過去に伯父夫婦が拾った孤児であり、兵藤一族との血の繋がりはない。

しかし、兵藤一族にとって彼女は大切な家族の一人ある。

 

かく言う俺も清姉の事は大好きだ。どれくらい大好きかと言うと元浜と松田が清姉をオカズにしないよう釘を刺すくらいに大好きだ。

 

悪いが友達のお前らでも清姉をを穢すような真似は許さん。絶対に許さん。

清姉は現存する聖母だから汚い欲望をぶつけていい相手じゃありません。

そういうのはAVで発散させろ、懇ろじゃない生身の人間にぶつけるな。

 

でも欲情する気持ちはわからなくも無い、かく言う俺も性欲を戦闘欲に置換していなかったら致す回数が三倍になっているからな。

 

三倍だぞ三倍。

何処のゴリティーンだという話だ、そんなにやったら清姉の腰が砕けちゃうじゃないか。毎日俺の為に美味しいご飯作って、家をピカピカにして、清潔な洗濯物を用意してくれる清姉の身体に負担が大きいではないか。

 

……今思ったら在宅業に家事全般やってくれてるなんて申し訳なくなってきた……

今度の日曜は俺の奢りで映画2人で見に行ったり、家事手伝わないと。

あと今日は清姉の好きなお菓子を手土産に買って帰ろう。

 

『今代の宿主はなんというか……愛が重いな。』

なんだ、起きていたのか赤トカゲ。

逆に聞くが間違った事をしたら泣きながら叱り、虐められた時自分の為に怒ってくれた美人の姉貴分に惚れないのか?いや、ない。誰だって惚れる。

 

『言わんとすることは理解出来るが……』

ならよし。次俺の清姉への思いに口を挟んだら泣いたり笑ったり出来なくしてやるからな。

というか貧弱過ぎるだろうお前、精神世界で清姉に一方的にしばかれるとか赤い龍の帝の名が泣くぞ?

白龍皇とかいうクッサイ名前のライバル()なんぞの因縁を俺に押し付けておいて、やれ白いのに負けるなだの、やれ貧弱だのよく言えたな?ん?

 

『そ、それは……』

赤トカゲがたじろぐも俺は糾弾を止めない、止めるわけがない。

傍迷惑な龍の波動とやらで、興味の無い女性にまとわりつかれて鬱陶しい。

俺としては不快極まりないんだから左腕を切り落としても良いんだぞ?

寧ろ左腕くれてやるからそこから復活しろよ。で、討たれて死ね。

今度は神器なんぞにならず消されろ。

 

『ふぇえ……今代の宿主容赦がないよぅ……』

気持ち悪い声で泣くな、切り落とすぞ。

おっと、何の話をしていたんだっけ……

そうそう、清姉が素晴らしいって話だった。

 

「だからお前なんぞ眼中に無いってことだよ、リアス・グレモリー」

目の前で笑顔を取り繕うも、己の誘いを拒まれて不愉快なのだろう。子供じみた癇癪がひしひしと伝わってくる。

 

悪魔という種のメリットで俺を引き込む事が出来ると思っていたようだが、生憎俺は愛と信仰と忠誠をすべて清姉に捧げているので、お前に感じる親愛も、お前に対する恩義も、お前への信用も、何一つありはしない。

清姉に全てを捧げているのだ、お前にくれてやるものは何一つない。

 

「しかしイッセー君……」

「馴れ馴れしく俺の渾名を呼ぶんじゃあない。」

リアス・グレモリーの下僕の一匹である木場とやらが、未だ食い下がろうとするのでぴしゃりと黙らせる。

 

お前は、お前達は赤龍帝が欲しいのであって、俺という人間の事などどうでも良い癖に、何故俺の為を思って等とほざいて話しかけてくるのだろう?

俺という個人を見てほしい訳ではない、だが騙すにはあまりにもお粗末すぎる。

 

「俺を保護する?俺より弱いお前達が?」

その時点で可笑しいのだ。保護というのは強い者が弱い者にする事だ、なのにコイツらは俺を真面目な顔で保護するなどと抜かしている。

可笑しい、あまりにも愚かすぎて笑いがこみ上げてくる。

 

「何がおかしいんですか。」

くつくつと笑っていると、小猫とか言うジャリが俺を睨みつけてきた。

学校の綺麗所全員悪魔とか本当終わってんなこの学校。

 

 

「強いて言うなら、お前らの思い上がり全てがかな?」

そう言って俺は篭手を具現化させ、左手を窓に翳した。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」

瞬間、俺を囲んでいた悪魔4人の皮膚が焼けて煙が立ち上った。

全員苦しそうにのたうち回っている、やはり悪魔にとって光は害なのは確かなようだ。

 

別に特別な何かをした訳では無い、ただ陽の光に含まれる、悪魔にとって有害な「破魔」を「倍加」しただけだ。

ただそれだけだ、それだけでしかないのだが……

 

「まさかここまで弱いとは……」

大して抵抗すること無く完封、こんなのがこの街を治めているとなると不安しかない。

もう少しやるかと思ったら期待はずれにも程がある、この様子なら今出ていっても追いかけては来ないだろう。なら清姉の手土産を買いに行かないと。

 

「次俺と見える時は、もう少し賢く強くなっていることを期待するぜ。」

 

 

俺は目の前でプルプル震える赤髪の牛女にそう吐き捨てて悠々と部室から出ていった。




オリ主♀の見た目はタレ目でボブカットのときのそらママと思ってください。



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女子会

更新するのがどちゃくそ遅い癖して投稿した話が番外編とか舐めてるのかと怒られるんじゃないかとビクビクしているドラゴン・タトゥーのオカマです。
弁明をさせてください。私の更新が遅れた理由は、この話の資料として真・女神転生シリーズをプレイしたり聖書と失楽園を読み漁っていたからなのです。

その結果結末がどう足掻いてもKクラスシナリオになって頭を抱えてただけなのです。だって悪魔がどう足掻いても詰みな上に主人公いなくても結末変わらないという…………

閑話休題、それでは番外編をどうぞ。



兵藤清蘭の朝は早い。

毎日兵藤一誠が食べているいる食事は、兵藤清蘭が丁寧に下拵えをし、愛と創意工夫を込めて作ったものだ。

家事全般熟れた兵藤清蘭でも、一食作るのに1時間はかかるという。

そうして作られた食事は、兵藤一誠の血と成り肉と成り、神器にさらなる活力を与えるのだ。

 

兵藤清蘭は言う。

「前は六時に起きて作っていれば間に合ったんですが、どうしてかいっくん、5時に起きてランニングをするようになったんですよ。だから私は、こうしてちょっと早起きしてご飯を作るんです。難しいことじゃないんですけど(笑)」

さりげなく語るが、そこには年季と、確かな愛情が見えた。

 

 

「貴女本当に女として完成度高いわよねぇ……」

鼻歌交じりに手際よく洗濯物を干す兵藤清蘭の背中を見て、 黒髪の美女―レイナーレは思わず溜息をこぼした。

出された紅茶は美味しいし、さり気なくお茶請けのお菓子も添えられて歓待されている。こんな気の利いたこと、うちだったらこんな事カラワーナも、ミッテルトもやってくれないからなぁ……と、遠い目で茶を啜っている。

 

尤も、レイナーレもできるとは言っていないのだが。

というか、ドーナシークとフリードがいなければ毎食レトルトで済まそうとする時点でレイナーレもミッテルトとカラワーナの事を言えないのだが。

 

「やろうとすれば誰だって到れるわ、要は慣れなんだから。」

ベランダから戻って来ると自然な動作でレイナーレの目の前に座る。

その一つ一つの所作がまた丁寧なもので女としての敗北感がより一層強まる。

 

「何をそんなに恨めしい目で見てるか興味無いけれど、仕事の話をしに来たのよね?」

「貴女私に対して本当遠慮ないわね。」

「人の弟分を籠絡しようとした女に、お茶出してこうして話しているだけ慈悲深いわ。」

「それもそうね。」

 

何気ない軽口の応酬をすると、二人は見つめ合って微笑んだ。

10年来の付き合いである、友人とはとても(小っ恥ずかしくて)言えない奇妙な腐れ縁だ。切っ掛けは、まだ6歳の兵藤一誠の暗殺を命じられたレイナーレが、拐かそうとするものの兵藤清蘭に見つかった事から始まった。

 

兵藤清蘭にはイッセーの誘拐を目論んだと思われているが、本来の目的が殺害だと知られたら今頃チタタプと唱えながら刻まれているだろう。

 

閑話休題

 

「貴女相手に腹芸とか自殺行為でしかないから、手短に話すわね。

力を貸して欲しいの。」

「いいわよ。」

「詳しくは説明出来ない、もし失敗した際貴女も責任を……え?」

即答である。レイナーレは思わず兵藤清蘭の顔を見る。

あどけなくも包容力を感じる整った顔だ、そこには真摯な色があった。

じっとハシバミ色の目で見つめ返してくる、レイナーレはドキッとした(同性でありながら!)

 

「何よ、鴉の癖に鳩が豆鉄砲を食らったような顔なんかして。」

「……いいの?」

 

恐る恐る聞いてきたレイナーレに、兵藤清蘭は呆れた顔で答えた

 

「いいに決まってるじゃない、友達でしょ?」

 

その瞬間、レイナーレの涙腺が決壊した。




人物評

レイナーレ→兵藤清蘭
話していて結構心が落ち着く。お陰でカリカリすることもなくなった。
この関係は心地よいけど、裏の事情を知ってる彼女からすれば私は穢らわしい堕天使の一人……何時かこの関係も崩れ去るんでしょうね。

兵藤清蘭→レイナーレ
堕天使はトップがクサレDQNで大っ嫌いだけど、レイナーレはそのトップに振り回されてる側だし、ただでさえ他の勢力から毛嫌いされてる種族なのに、堕天使の中で孤立したら生きていけないし、私がその立場なら同じ事してるわ。
だから過去のことは水に流したの、よくお茶に付き合ってくれるしね


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兄転if・復讐するは我にあり

ひと足先にif√の三大勢力和平締結当たりを思いついたので書きました。
兄転のifですが、露骨な淫語等がないのでこちらに投稿します。
√分岐の条件:オリ主が記憶を失わずに転生する。

時系列:三大勢力が和平をなすあたり。
これまでのあらすじ。
オリ主「イッセェェェェ!!ニゲルォォォォォ!!」
イッセー「あ、兄貴ー!」


オリ主「ところがぎっちょん死神としてREBORN!!」
コカビ「悪魔と天使なんぞと和平を組むくらいならば俺は事を起こして討死してやる!!」
オリ主「ファッ!?俺の故郷がピンチやんけ!!家族を助けなきゃ(使命感)」


イッセー「巫山戯んな鴉殺す!!」(覇龍)
コカビ「ヤメルォォ!!そんな事したら(お前が)死ぬ!!」
イッセー(死ーん)
コカビ「言わんこっちゃない!!」

オリ主「イッセー!親父!お袋!待ってろ今すぐ行く!!」
白龍皇「ドーモ、死神=サン。白龍皇です。激しく交錯しましょう。」
オリ主「邪魔だどけぇぇぇぇ!!」

オリ主「なんとか着いた!!親父ー!お袋ー………」

傷だらけで血を吐きながらやってきた青年が見たのは、瓦礫になった我が家と、押し潰されて流れ出てくる赤黒い血でした。


【白龍皇が死神フィーネに喧嘩を売り、本来の任務であったコカビエルの捕縛を放棄し交戦。一方その頃、今代の赤龍帝が覇龍と化してコカビエルに挑むも敗死。しかし赤龍帝が必死に食らいついた為に現魔王セラフォルー・レヴィアタン、サーゼクス・ルシファーが到着。

これにより事態は収束するも町民約10000人が命を落とした。

これを受け今夜駒王学園にて三大勢力が会談する模様。】

 

この報告を受けたハーデスの心中は筆舌に尽くし難いものであった。

骨しかない顔ではその表情を伺う事は出来ないが、報告書を破かんばかりに握り締めて震える手がハーデスの怒りを表している。

 

«カラスにコウモリ……貴様ら命をなんだと思っている……!!»

 

無辜の民が大勢死んだ。これが最善を尽くした結果ならば諦めがついたであろう、これが災害ならばまだ許せたであろう。

しかし、この事態は無能と怠慢により引き起こされた必要のない犠牲である。

この町を治めているはずのリアス・グレモリーが何をしたかの記述はなく、今代の赤龍帝が命を懸けて止めようとした書かれている。

聞くと今代の赤龍帝は二十歳にも満たない少年であったと聞く。

その若い命を大切な者を守る為に燃やし尽くしたとなると……やるせない。

 

それに比べてリアス・グレモリーの有様は無様としか言いようがない。

駒王町に住む一住民が命を捨ててまで守ろうとしたのに、統治者のリアス・グレモリーが何をしていたか?コカビエルが連れてきた魔獣に手こずっていただけである。その後の魔王二人もそうだ。町に被害を出さないように立ち回った赤龍帝と違い、何も考えず暴れ回り10000人も殺した。

コカビエルの仕掛けた魔法陣は駒王学園を吹き飛ばすものであったが民間人への被害を出していない点を加味するとどれだけ悪魔がふざけているのかがよく分かる。

それに比例する天界もだ。聖剣奪還の為に送り込んだ者が二人とかふざけているのか、現地にお誂え向きの戦力があるだろうが。せめてそっちにも指令を出せ、状況を把握するのが遅くとも迅速に動いていただろうが。

まあ良い、ハトとコウモリの無能具合を叩いていてもしょうがない。

 

«一番ふざけているのはカラス共であるがな……!!»

神の子を見張る者に属する白龍皇ヴァーリー・ルシファーは与えられた任務を放棄し、フィーネこと兵藤正自に攻撃を仕掛け執拗に戦闘を迫ったと書いてある。この時点でハーデスは報告書を真二つに引き裂いていた。

«自分の故郷が心配で急いでいる者に!!戦闘をふっかけて邪魔をするだと!?しかも自分の本来の任務を放棄して!!»

 

今代の白龍皇は血の気が多いと聞いてはいたが、これはあまりにも酷い。

白龍皇の攻撃を必死にかわしながら向かった先では、魔王によって己の家族は死んでいた……当の白龍皇は反省の色を見せず、堕天使総督からもお咎めなし。コカビエルが反旗を翻して滅びるべきだと動くのも理解は出来る、人間と星を読んで過ごしていたいだけさの男(人を愛したが為に堕ちた天使)が、人間を解剖するような組織に絶望しても何らおかしくはない。

 

«申し訳ありません!!ハーデス様!!»

慌てた様子で腹心のプルートが駆け込んでくる。その様子がただならぬ為に内容は何となく察しがついたのだが、予想が外れる一抹の希望に縋り尋ねた。

 

«何があった、プルート»

«先程フィーネが冥府から飛び出していきました!!行き先は……

 

―駒王学園です!!»

 

―――――――――――…

 

 




活動報告に兄転ifの選択肢アンケートがあるので、よければご覧ください。


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番外編・破邪さんの楽しい焚き火

感想返信にて

>転生者は10人くらいいました。
いましたが、外から大量殺戮能力を持つ異物が入ってくる訳ですから、当然それに反抗する者も生じ、転生者はぶち殺されました。
どんなに強い能力があっても基礎が出来てなきゃダメ。(自己防衛おじさん顔)

これは欲に濡れた彼等がぶち殺された時と、オーフィスと出会った時の話


どーも、読者さん。

知っているでしょう?転生者でございます。

ほら、よくある奴っすわ

若者が神の不手際で死んで特典を貰い、異世界に転生してウハウハするやつ。最近多いっすよね。

例に漏れず俺もまあ、トラックにはねられてアボーンしたと思ったら神を名乗るご老人に謝られた。

転生特典に一方通行の能力をねだったぜ!!

何やら転生先はハイスクールD×D らしい。

件のガバガバ展開おっぱいエロコメらしいので、つまりうまく行けばボインボインなネーチャンと乳繰り合うことが出来るわけだ!!やったぜ!!

しかもハーレムもの!!つまり出てくるチャンネーは多いのは確定してる!!

待ってろまだ見ぬ俺の嫁達!!すぐに愛して幸せな家庭を築いてやるぜ!!

そうそう、その前に最大の障害である主人公の兵藤一誠を始末しないと!!

アイツは変態だから殺しても誰も悲しまないしな!!

俺の新しい人生は光に満ちてい「ると思っていたのかい?」

―――――――――――――――――――――――――――――

「借り物の力で何を成せると思ったのかね、この害獣は。」

 

衛府の最高幹部が1人、破邪は冷たい目で先程まで生きていたものを見下ろしていた。人であったものが火に包まれて燃えている、お察しの通り先程までいきがっていた転生者だ。

目を潰し、鼻を折り、耳を削ぎ、舌を抜き、腕を砕き、足をもぐと流石に絶命したので肉を燃やした焚き火で芋を焼くのは流石に不謹慎極まりないが、この男は全く気にせず焼いて食っていた。

全て食べ尽くし、為、火を消して片付ける中徐に呟いた。

「出てくるといい、隠れていても畜生は匂いでわかる。」

するとどこからとも無く、黒髪ゴスロリの少女が現れた。

「何故分かった」

「言っただろう?畜生は匂いでわかるとね。

―まだ次元の狭間に帰りたいと駄々をこねているのか、自食蛇。

お前が追い出されてから幾年も過ぎた、それなのに何一つ進展しないお前は余程の無能だ。このまま朽ち果てて消え去るといい、そうすれば大好きな静寂とやらに還れるよ。」

 

温厚そうな見た目から想像しえない嫌味をつらつらと少女―オーフィスにぶつけるも、オーフィスは堪えた様子がない。

「我 グレートレッド倒せない。でも 破邪 グレートレッド 倒せる」

破邪は、オーフィスの言い分を鼻で笑い飛ばした。

「嫌だね。何故僕がお前なんぞの為に世界を壊さなきゃいけないんだい。

1人で静かに居たいなら、僕がお前に引導を渡してやろう。」

破邪が構えた瞬間、オーフィスをただならぬ重圧が襲った。

破邪の殺気である、先程の転生者は

周りの木々が、足元の花が急速に枯れ果てていく。

 

その後、破邪は不機嫌そうな顔で本部に出動した。




全盛期の破邪伝説

・対悪魔用の剣として十握剣を授かるも素振りで壊す
・対面しただけで九尾の狐が腹を見せた
・三大勢力と二天龍のぶつかりあいの時、日本に影響が及ばぬよう楔の役目を果たす
・歩くだけで花がしぼんで海が凍る
・最強すぎてその強さに依存してしまうので破邪はただ座っていて下さいと言われた

・妖怪と人間の関わりあいにより起きた悲劇に涙し、私財を投じての対策機関設立に協力。これがのちの衛府である
天照「やだ……うちの最終兵器壊すぎ……?」
太占「天照様、誤字、誤字をしておりまする。」
※誇張表現ナシ




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END

こんだけ書くのに時間かけて出来たのが番外編とか辞めたらこの小説(自虐)
はい、どうもドラゴン・タトゥーのオカマです。
今回は番外編でありふれた結末を書いて見ました。


もし、オリ主がハイスクールDxDを知っていたら。
もし、己の弟の愚かさを知っていたならば。
もし、駒王町の実情を知っていたならば。
もし、聖書の行いを知っていたならば。


この結末は必然であった。


悪魔によって穢された(たましい)があった。

堕天使によって奪われた(みらい)があった。

天使によって騙された(しんこう)があった。

 

そう、「あった」のだ。

今はもう存在しない。

誰も彼も存在していない。

 

記憶も、記録もありはしない

 

無意味に消費され、飽きれば捨てられ

風に飛ぶ砂の如く忘れられ

己の罪を隠すため

存在するも抹消された

 

そうして奴ら(聖書)は己の罪を忘れて生きていく。

だが、打ち捨てられた者達は果たしてそれを看過するだろうか?

 

駒王学園が赤く燃えている。

至る所に火の手が回って黒い煙が空にへと立ち上り、まるで狼煙のようだ。

荘厳であった校舎は焼け落ちて崩れて見る影もない。

あたりには肉が焦げた嫌な匂いが充満しており、人と思われる炭の塊へは針山の如く凶器が突き刺されていた。

 

以前の「俺」ならばこの光景に嘔吐しただろうが、今は何故かこの有様を生温いと感じている自分に驚いている。

 

実際生温いだろう、この目の前の炭の名はリアス=グレモリー。

自分を高等な存在と勘違いし、杜撰な統治を行い学業も疎かにした半端者だ。

この女がつまらない理由でこの街を治めていなければ、もっと政治に長け責任感の強い者に託しておけばここまでの被害は無かったはずだ。

 

自分で治めるつもりならば、真摯に取り組むべきだったのだ。

だが、この女の統治は控えめに言ってもお粗末であり、自己満足なものでしかなかった。

 

街にはぐれ悪魔が潜んでいるならば、学校になんぞ行っていないではぐれ悪魔を捜索するべきだったのに

間に合わず殺されてしまった被害者が出ても、周りの記憶を操作せず己の不手際を遺族に謝罪するべきであったのに

自分達だけで手が回らないなら頭を下げてでも、他所の協力を得るべきだったのに

 

この女は何もしなかった。

だから彼等の怒りを買った。この街で生きる人間達の怒りを、そして悪魔によって友を、家族を、恋人を失った人間の恨みを買ったのだ。

彼らの死を糧に改善も成長もしなければ、本当に無駄な死にしかならないのに、それを理解していなかった。良き為政者になろうとしなかった。

 

尤も、武力で頂点を選ぶ時点でこの種族に政を期待するのは酷かもしれない。

 

そして今目を焼きごてで焼き潰されているのが姫島朱乃。

雷で悪魔を焼くのは好きらしいが、自分が焼かれるのは嫌らしい。

先程から父親の名前を連呼して助けを求めているが、堕天使の所業が発覚した為、冥界ごと衛府が攻めているらしく、少なくともここに来ることは不可能であろう。

 

あそこでダーツの的になっているのは確か……ギャスパー?とか言っただろうか。話した事は無いためよく知らないが、聖水に浸した銀のナイフが太腿と膝に深く抉りこんでいる。自力で走る事は不可能だろう、泣きじゃぐりながら這って逃げるのは中々見苦しい。

 

そしてその横で皆が踏みつけている蠢く肉塊は木場祐斗だ。

聖唱騎士団が保有する対化け物用兵器である【歌唱】をマトモに受けたせいで肉塊にへと変えられてしまった様だ。整った顔だったのになんとも無残で笑いがこみ上げる。

彼はもはや己が木場祐斗ということも、イザイヤであった事も分からないだろう。

 

塔城小猫は黒い着物を纏った女人によって連れ去られた、おそらく彼女の身内だろう。良かったじゃないか塔城……いや、白音、お前の姉はお前の事を本当に大切に思っていたらしいな。お前は今だけ見逃してやろう。

 

そして俺は後ろで両手両足を切り落とされ、芋虫のように這いつくばっている兵藤一誠……いや、兵藤五郎の息子でありながら悪魔に堕ちた此奴に兵藤姓は名乗る資格はない。ここは赤龍帝と呼ぼう。

 

「どうだイッセー……いや、赤龍帝。この町の人間の総意がよく分かっただろう?」

駒王町はお前達の支配を疎んだ、この町に生きる人間はお前達を憎んだ。

無理からぬ話だ、自分達を食い殺す種族が自分達の街を支配して下と知れば、普通の人間ならばこの町は悪魔の為の養殖場としか思わない。

 

そして普通の人間ならば反発し、悪意をぶつけるだろう。

………正直ここまでとは思っていなかったが。

 

「黙れクソアニキ!!殺してやる!!テメェもここにいる奴ら全員皆殺してやる!!」

「ほう、勇ましいな。だがそのザマで吠えられても滑稽でしかない。」

この弟だったものは俺がこの惨劇を引き起こした黒幕だと思っているらしいが、残念ながら

 

生憎だが、俺が行ったのはお前達の所業を暴露した一点のみだ。

扇動も、偏向報道も行っていない。

全て包み隠さず、何があったか主観を交えず淡々と報道しただけである。

まあ、こうなる事を予期していて公表したのは認めるが、自身の利益の為に意図的に情報を改竄していないと神に誓っても良いだろう。

 

神と言っても天照大神にだが。聖書の神は死んでいるからな。

 

「何が真実を語っただ!!テメェは俺達が悪だと嘘をついて広めたじゃねえか!!」

 

「………は?」

何を言っているんだこいつは。

まさか、こいつは……いや、こいつらは……自分達が本気でヒーローや正義の味方とでも思っていたのか………?

 

「俺達は街を守っていたんだぞ!!なのに……なんでこんな仕打ちを受けなきゃないけない」

「ふざけんな!!」

その一言を聞いていた誰かが赤龍帝の頭を踏みつけた。

 

「がっ…!?」

「お前らが存在してなければそもそもアイツは食われてなかったんだ!!」

友を殺された男が怒りを込めて鉄パイプを振り下ろす。

赤龍帝の鼻から赤いものが垂れるが、悪魔で龍の帝なのだから平気だろう。

 

「何が街を守っていただ!!お前らは糞をまき散らしながら糞を掃除してた害獣だ!!」

悪魔によって息子を失った男が警棒で何度も何度も執拗にしばく。

肋骨が折れて肺に刺さったのか、咳き込んで喀血している。

 

男が、女が、若者が、老人が、皆手に凶器を持ち、目に狂気を宿して赤龍帝にへと集まっていく。

どうやら他の三人は既に事切れたらしい、主と同じように火にくべられてのたうち回っている。あの様子だと赤龍帝が事切れるより少し早く息絶えるだろう。

 

赤龍帝に関しては、悪魔と兵藤一誠に恨みを持つ者によってたかって暴行を加えられている。

俺はその様を、かつて己を後ろを無邪気についてきた弟の姿を思い出しながら眺めていた。




Q,兵藤夫妻どうしたんや?
A,オリ主が記憶を改竄した後にほかの町に移住させて衛府の保護下にあります。
怒れる民衆の怒りの矛先から逸らすためです。

【ルート分岐の条件】
・オリ主が原作を知っている
・オリ主が衛府の一員である
・オリ主がイッセーの矯正に失敗する
・オリ主の職業が先生である

この後オリ主は聖書の勢力を滅ぼした後に自殺します。

以下オリ主の行動
オリ主「マジでHSDDに転生してしまったんか……ワイなりに頑張ってなんとかしよう!!」
↓︎
オリ主「先生になって駒王学園に赴任すれば必然的に原作に関われるわ、頑張ろ」

オリ主「あかん、何度注意したり叱ってもイッセーが性犯罪止めへん………そうこうしているうちにワイ駒王学園に赴任する事になったわ………」

オリ主「リアス=グレモリーに学業と統治両立出来てへんから、統治は冥界から誰か派遣してもらって勉学に励もうと提案したら聞き入れへん………」

オリ主「え?!はぐれ悪魔に喰われた人間おるんか!?あかんやん………ちゃんと謝りに行こうや……ワイも頭下げ……は?記憶改竄したから問題ない?は?」

オリ主「ちょ、待って?なしてイッセー悪魔になっとるん?ワイ確かにあの時助けたで?………ハーレム王になるために人間やめた? は?」

オリ主「こんな奴等と分かり合おうとした俺が馬鹿だった、もっと早く見切りをつけておけば、救える命があったのに……!!」


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イキリ転生者の失敗
せや!!イッセーの兄貴に転生してヒロイン寝取ったろʬʬʬʬʬʬʬʬʬʬ


息抜きに投稿しました、ドラゴンタトゥーのオカマです。
文字通りオリ主がイッセーの兄に転生してヒロインを寝取るお話なので過度な期待はせずお読みください。


どーも、読者さん。

知っているでしょう?転生者でございます。

ほら、よくある奴ですよ。

冴えない若者が神の不手際で死んで?特典を貰って?異世界に転生してウハウハするやつ。最近多いらしいですねぇ?

例に漏れず俺もまあ、過労で駅のホームに足を滑らしてミンチになったと思ったら神を名乗るご老人に謝られましたわ。

かなりの失態らしくて、ポンポンと特典くれて逆に申し訳なかったなぁ……何やら転生先はハイスクールD×D らしい。

ハイスクールとついてるから学園生活ものかな?俺の学生時代は教師が時代錯誤の論理振りかざしていて、女を差別していたのでクソでした。クソだったので殴って退学……ドロップアウト……思い出すと泣けてくるのでやめよう。

噂に聞くとおっぱいアニメらしいので、つまりうまく行けばボインボインなネーチャンと乳繰り合うことが出来るわけだ!!やったぜ!!

だがしかしここで問題が発生、どうやらハーレムものらしい。

とどのつまり綺麗なチャンネーとイチャコラできるのは主人公のみという事だ。

ザッケンナコラーッ!!俺にも出会いを残しておけやコラーッ!!

こうなったら主人公と近しい立場になり!!主人公より早くヒロインとフラグを立て!!くっつくしかねぇよな!?!?

と、いうわけで主人公の兄に転生し、主人公を利用させてもらいまーす!!

 

 

 

「……ざまぁ、ねえよ、なぁ………」

ああ、馬鹿だ。俺は本当に馬鹿だ。

折角得た第二の生を無駄にした。

彼女のフリをして、弟を殺そうとしたバケモノから弟を庇った。

弟なんて見捨てていればよかったのに、自分の目的の邪魔でしかない筈なのに。なんて愚かなのだろう。いつの間にか絆されていたなんて、いつの間にか弟と見ていたなんて、いつの間にか……本当の家族として愛していたなんて、愚かしいにも程がある。

「なんでっ……なんで笑ってるんだよ兄ちゃん!!」

でも、良かった。これで良いのだ。

俺はこの世界では異物で、本来必要なのはこの愚弟で、こいつが死なずに済んだのならそれで、いいんだ……

「寝るんじゃねえよ!!まだ……まだ兄ちゃんに教えてもらうこといっぱいあるんだよ!!」

イッセーは泣きじゃくりながら必死に俺の傷口を押さえている。

上手いじゃないかイッセー、俺が教えた止血の仕方がちゃんと出来てる。でもダメだ、俺は死ぬ。あの女は俺が神様から貰ったチートで追い払ったとはいえ、また戻ってくるかもしれない。

「はや、く………にげ、ろ………」

「嫌だ!!兄ちゃんを置いて行けるわけねえよ!!」

俺も馬鹿だけど、こいつも大馬鹿だ。

俺はお前を利用しようとしたのに、お前の女を寝取ろうとしたのに、お前の功績を奪おうとしたのに……なのに……そんなに悲しみやがって………

「ありがとう……イッセー……」

「何言ってんだよ……おい!!何言ってんだ!!」

2度目の生を得て、何も成せなかった俺に、お前の兄でいさせてくれてありがとう。

「たのしか……た………」

 

さよならだ、最愛の愚弟。昔から俺の後をよく着いてきたけど、地獄にまでついてくるんじゃないぞ?

俺はあの世で、お前が天国に昇る様子を眺めているからさ。

 

「嘘だろ……兄ちゃん!!にいちゃぁぁぁぁぁん!!」

うるさいなぁ、イッセー………

 

兄ちゃんは眠いんだ……寝かせて……くれよ………な………




オリ兄の心情
「ふふん、ようやっとワイ産まれたで」

「お、弟出来たんか!」

「(流産とか)うせやろ………」

(何度か流産を繰り返す)

「(イッセーが生まれて)俺が守護らねば……」


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兄心はフェニックス

筆休めのつもりが、ノリにノってきたので初投稿です。
頭空っぽで書いた方が楽しいですね。

ちなみにタイトルは闇の中で流行る例のアレからです。


どうも、読者の皆さん。

前回非業の死を遂げたと思っていた兵藤の兄です。

まず色々言いたいことがあると思うんですがちょっと待ってください。

違うんです俺も死ぬもんだと思ってました。

実際ベンニーアちゃんというカワイイ子に連れられてあの世行ったんですよ。

そしたらあの世の神様のハーデス様が「そなたの弟はコウモリと事を構えておる。」と仰るわけです。

コウモリ?と首を傾げていた俺にベンニーアちゃんが悪魔の事だと教えてさあ大変!!

弟を悪魔に殺されたくない俺は引き止めるために必死になって命乞い!!(意味としては間違ってないと思う)

しかし蘇生はならず!!残念!!ならせめて弟を天国に行かせてほしいと土下座する俺にハーデス様は交換条件を突きつけた!!

「貴様の持つ力を我が冥府に役立てるというならば、特別に死神として登用してやろう。」

え?つまり転生特典を用いて役に立つならば人間としては無理でも死神として現世に返してくれるということ?ヤッター!!

拾う神ばかりで本当にもうね、感謝の念しかありませんよ。

 

ところで……

「なんでハーデス様が日本人の俺の面倒を見てくれるんですか?」

 

「貴様がこの世界の魂ではないからだ。貴様はこの世界とは異なるものである。過去に痛い目を見たイザナミ、ヘル、エレシュキガルは貴様を引き取ろうとしない。

だが、儂はたとえ異邦の者とはいえ、等しく裁かねばならぬと思うておる。故に貴様を拾った。

あとは……」

 

「あとは?」

 

「……貴様が、カラスより弟を庇ったから。ただそれだけよ。」

 

「……ありがとうございます。」

本当拾う神様々だな、俺の生涯って。

 

 

―――――

――――

―――

――

 

兄ちゃんを喪ったその次の日、父さんと母さんが兄ちゃんの事を忘れていた。いや、父さんと母さんだけじゃない。松田も、元浜も、桐生も、兄ちゃんの事を忘れていた。

……忘れていたというのは正しくない言い方だ、皆知らないと返してきた。まるで俺の空想の存在とでも言わんばかりの態度で。

そんな筈はない、兄ちゃんは確かにいた。俺の頭を撫でる感覚、泣きじゃくる俺を抱きしめてくれた感触、しょうがないなと苦笑する声。全部、全部本物だ。あったはずのものだ、なのに、なのに………

 

兄ちゃんが死んでも俺は学校に行く。

兄ちゃんは自分が死んでも、やるべき事は果たせと口酸っぱく言われていたから。

けれども、やはり授業に身は入らなかった。

放課後、帰ろうと席を立ったその時だった。

「兵藤一誠君はいるかい?」

学園一のイケメンこと木場祐斗が俺を呼びに来た。




ここのイッセーは(変態じゃ)ないです。
そして上手い話に食いつくほど馬鹿でもない。

故に魔法陣を描かれたチラシをもらっていません。


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学校の先輩がクソアマ/職場の先輩がクソカワ

友「転生者君チートあるなら流産させること無かったんやないか?」
我「転生者君は良くも悪くも平凡な人間なんやで、無理に産ませようとしてママンが危険になったり、産まれてきた弟が重い障碍を持っていたら転生者君は責任取れへんねん。やからチートを使わなかったんや。」
友「ほーん……」
我「まあ転生者君自分がどれだけチート持ってるのか、どんなこと出来るか、どう使うのかまっっっったく知らんけどな。」
友「をい」


やあ読者の皆様、おはこんばんちは。

兵藤の兄です、ただいま大変なことが発覚しました。

「俺が貰った転生特典何だったっけ………」

そう!!思い出せないの!!何貰ったか!!

意識して使ったのが弟庇った時だし!!

しかも無我夢中で何をどうしたら出来たのか覚えてないし!!

駄目じゃん!!せっかくヘッドハントされたのに駄目じゃん!!

ぐおおお……!!このままでは折角拾ってくださったハーデス様の顔に泥を塗ってしまう…!!

え?お前そんなに朱心な奴じゃないだろって?

馬鹿!!お馬鹿!!

ヒロイン寝取ろうとするクズでも通すべき筋はあるんだよ!!

例えば育ててくれた両親に親孝行したりなぁ!!

産まれてきた主人公兼弟の好感度を上げるために一緒に遊んだり……

大丈夫かなぁイッセー………悪魔と事を構えてるって、何があったんだろう………あああ不安だよぉ……

「ま、まあまあ落ち着くでやんす。兵藤さん」

この厳格な雰囲気の冥府にて珍しい少女の声!!

打ちひしがれる俺の頭を撫でるこの小さなお手手は……!!

「べ、ベンニーア先輩!!」

「その先輩っていうのやめて欲しいでやんす、歳上の人にそう呼ばれるとこそばゆいんで。」

うげーという顔をして先輩は言った。

「や、でもベンニーア先輩はここに俺を連れてきてくれた恩人……恩人?恩死神ですし……」

「やめろって言った矢先に言うのどうかと思うでやんす。兵藤さん、自分より歳下の女の子に敬語使って恥ずかしくないんでやんすか?」

汚物を見るような目で先輩が俺を見ている……何故だ。

「いえ全く。死神としての仕事ぶりはベンニーア先輩の方が遥かに上ですし、先輩ですし。そこは見習って頑張るのが普通では?」

「………そっすか、ハーデス様が気に入ったのも分かるでやんす。」

「いやぁ、あの方がお優しいだけですよ。ギリシャ神話のハデスと言えば二つと無い名君ですからね。」

やらかしが多いギリシャの中でも、多くの神から信頼を得る御仁ですしおすし。というか、異世界からの異物を見所があるからって登用してくださる御方ですし。あれ?俺今人生の絶頂にいる?職場と上司に恵まれてね?最の高かよ。

「そういえば、先輩は何の御用でこちらに?」

「クソお……パパ殿に言われたんすよ、兵藤さんの訓練相手になれって。正しくは眠ってる力をたたき起こせと。以前使った時ってどういう状況だったんでやんすか?」

「え?最後に使った時ですか?堕天使に殺されかけた時です。」

「そっすか、では。」

言うや否や先輩は思い切り死神の鎌を振り下ろしてきた!!

しかきワンインチ回避!!あっっっぶねぇ!!

「ステップワン、兵藤さんの中の力を自覚させるところから始めるでやんす。気ィ張らないとまた死ぬハメになるでやんすよ。」

「ちょっと荒療治すぎませんかねぇ!?」

拝啓、弟よ。

兄はお前を止めに行く前に死ぬかも知れません。

もしそうなったらごめんなさい、でも無理なことはしないでね。

 

――――――

―――――

――――

―――

――

 

 

「ここがオカルト部の部室さ、中で部長が待っているよ。」

「待つぐらいなら手前が話に来いや。」

「あはは……手厳しいね。気が付かないうちに君を不愉快にさせていたなら謝るよ。」

「そう思うならとっとと知ってることを吐け。、テメェらに割く時間なんてねぇんだよ。」

俺、兵藤一誠は木場祐斗に連れられてオカルト研究部の部室、旧校舎にへと訪れていた。

バックれて帰ってやろうかと思ったが、リアス・グレモリーが兄ちゃんを殺したあのクソアマについて知っていると言うので渋々着いて行った。俺以外の人間から忘れられている、兄ちゃんについて言及したということは、コイツらはあのクソアマに近しい奴なんだろう。

ポケットの中には純銀の十字架のペンダントが入ってる。

いざとなったらこいつを首に突き立てて一人でもいいから殺―

「大丈夫かいイッセー君……顔、すごいことになってるよ?」

「っ……何でもねぇ、気安く名前呼びすんな。」

木場祐斗の呼びかけで正気に戻る。

兄ちゃんの教えを思い出せ……「確証も無いのに相手を疑うな」

まだクソアマとグルと決まったわけじゃない、落ち着け。落ち着け。

俺が殺気立った時、気のせいだろうか左腕が一人でにピクリと動いた。

 

 

部室に入ると、最初に目に入ったのは壁に貼られた紙と床に描かれた魔法陣、思わずドン引いた。

次に目に入ったのは菓子を食う白髪チビと黒髪女……確か塔城小猫と、姫島朱乃。確か二大お姉さまとマスコットだったか……こいつ等、何を召喚しようとしてんだ。

学園のみんな、大ニュースだ。お前らが大好きな学園の美形共はマジモンのキチガイだぞ。こんなの崇めてるとか本当狂気の沙汰だな、終わってんぞここ。

 

まあこの程度まだいい。まだいいが一番むかついたのは……

「なんでホストがゲストほっぽり出してシャワー浴びてんだよ………」

そう、リアス・グレモリーがシャワーをあびているのだ!!

呼び出した張本人が!!客の前で!!

サービスのつもりか知らんが俺の腹は立ったぞ。

 

数分後、ようやく着替えて話を始めた。

「よく来てくれたわね、兵藤一誠君。イッセーって呼んでも?」

「せっかく来たのにかなり待たされましたがねぇ。初対面なのに馴れ馴れしいにも程がありますよ?」

嫌味で返したせいか、リアス・グレモリーは一瞬眉を顰めるもすぐに元の表情に戻った。

「私達は貴方を歓迎するわ―悪魔としてね。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

一通りの話を聞いて、兵藤一誠の心中に渦巻く感情は激しい憤怒であった。

聖書の人外共のいざこざに巻き込まれて兄は死んだ。

この街の支配者気取りの、目の前の女悪魔は、堕天使の侵入を許したことに、一切の謝罪はなかった。

それどころか、俺に兄ちゃんが今際の際に見せた力について追求する始末。

何故あの時の事を知っているのか、俺は答えに行き着くまで時間はかからなかった。

コイツは……あの時全て見ていた。

人が殺されそうになったのを、人が殺されたのを見ていたのだ。

見ていただけだったのだ。

怒りで頭がどうにかなりそうだった、左腕がやたらと痛む。

震える声を抑え、俺は尋ねた。

「……朝起きたら、父さんも母さんも兄ちゃんの事を忘れていた。

………記憶の改竄を行ったのは、誰だ。」

赤髪の悪魔はなんの事もなさそうに答えた。

「それは私よ。」

 

その一言を聞いた瞬間、俺の中のナニカが切れた。




リアス・グレモリーが転生者に関する記憶を消した理由?
そりゃ君、転生者君の持つチートの力を独占するためですよ。
彼女には死者蘇生の手段があるんですから。

ただ、一つだけ誤算があるとしたら………

彼の弟がそれを聞いて、どんな感情を抱くか理解できてなかったこと、ですかね。


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おにいちゃんそいつころせない

我「オリ兄のチートの一つはメガテンのスキルにしたで」
友「メガテン好きやなオメー、どんなチートなんや?」
我「メガテンに出来てたスキル全部使えるってやつや」
友「マ?例えば人修羅の至高の魔弾とか死亡遊戯とかマグマ・アクシスとかも?」
我「せやで」
友「チートすぎん?」
我「せやから一度に同時展開できるスキルを八つまでにしたで」
友「殺意高すぎん?」
我「ベンニーアたん泣きべそ不可避やな」


俺の中にいるナニカ(歴代赤龍帝の怨嗟)が目の前の(リアス)を殺せと唆す。

俺の意思が、本能が、理性が、目の前の(リアス)を赦すなと怒号を上げる。

左腕が別のものに変わっていた、鎧というには生物的過ぎるなにかに変わっていた。

腕が変わったくらいどうした、寧ろ目の前の女を殺すのに適している。

目の前の女は俺の変貌に驚いて放心している、周りの下僕共も気圧されている。

殺すなら今だ。

その手足を引き千切り、串刺しにして火をつけ兄ちゃんへの弔いに――‼

 

【―――ダメだ】

 

―――!?

 

【ダメだ、イッセー。】

 

―――な、んで..........

 

【殺しちゃダメだ、イッセー】

 

―――なんでそいつを庇うんだよ......

 

「兄ちゃん!!」

 

――――――

―――――

――――

―――

――

 

木場祐斗は困惑している。

己が主、リアス・グレモリーが失言した瞬間兵藤一誠の左腕が変化し、襲い掛かろうとした。

形状からして神器「龍の手」と思われるも、宿る禍々しい思念……否、怨念が凄まじく主の危機だというのに腰を抜かしてしまった。

【寄らばお前から殺す】【寄らずとも殺す】【全員殺す】【貴様等全員殺す】と、男が、女が、子供が、老人が言い放った。

木場は己の体にムチ打ち、臆する体を動かすも兵藤一誠の振りかぶる腕が早い。間に合わない、そう思った時だった。

「兄ちゃん!!」

兵藤一誠がリアス・グレモリーの一歩前で止まり、悲痛な顔で叫んだ。

"兄ちゃん"……彼を庇って死んだ兵藤正自の事だろうか。

そう言えば、兄の記憶を消したと主が答えた瞬間纏う雰囲気が変わっていた事に気がつく。

そんなにも兄が大事だったのだろう、彼にとって兄は己の良心を築いた人物だったようだ。

 

現に、彼は存在しない兵藤正自に対しそこをどいてくれと、兄ちゃんそいつ殺せないと宣っている。

リアス・グレモリーはいきなり錯乱し出した兵藤一誠をキチガイを見る目で引いているし、塔城小猫と姫島 朱乃はその異様さに未だ凍りついて動けない。

……つまり、今動けるのは自分だけ。

一か八かの賭けだが、彼を止めてこちら側に引き込むにはこれしかない。木場祐斗は覚悟を決めて切り出した。

「兵藤君、君の兄さんを生き返らせる方法があるんだけど……」

 

―――――

――――

―――

――

 

ベンニーアは激怒した。

かのクソ親父の腰に必ずドロップキックをせねばと決意した。

しかしベンニーアはこの状況から抜け出す方法がわからぬ。

この………

「メギドラオンッ!!」

この!!ノリにノッてイキっている後輩の鼻っつらを折る方法が思いつかぬ!!

「ちょいちょいちょい兵藤さん暴れすぎでやんす!!」

「なに!!俺のメギドラオンが温まって来たところですよ!!まだまだ行けます!!」

メギドラオンとかいう呪文?必殺技?はそもそも温まるもんじゃないというか、それ温まるどこらか蒸発するというか、色々言いたいことはあるけれども、兎に角ベンニーアは叫んだ。元凶を呪った。

「覚えてろよクソ親父ィィィィィィィ!!」

 

※この後オルクスが来てメチャクチャ怒られました。




ネビロスが見てる とは
悪魔用語で主に仕事ができてない悪魔に対する脅し文句である。
ネビロスはあらゆる場所に赴き、七十二柱の行動を監視しているため地獄の監察官と呼ばれている。

リアスがイッセーの地雷を踏み抜いたことや、堕天使に侵入された事、はぐれ悪魔を取り締まれてないこと諸々を見ている。
この事が後の話に大きく影響するなんて(リアスは)知る由もなかった。
不死鳥のLさん「いや残当だろ。」


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一方その頃冥府では

友「イッセーくんオリ主大好き過ぎん?幻覚まで見るとかやべぇよやべぇよ……」
我「ヤンホモブラコンだからね、しょうがないね。」
友「何その業の深いワード」
我「それはそうとハーレムもののアンチ・ヘイトは主人公をぶち犯して雌堕ちさせるのが一番スッキリすると思うんが、どう?」
友「お前ってたまに悪魔よりえげつない事考えるよな。」

と、言うわけで近いうちにイッセー雌堕ちモノを書こうと思います。

※オリキャラ・キャラ崩壊注意
※今回イッセーサイドの出番はないのでつまらん駄文です


円卓に座るは冥府の王と最上級死神の三柱。

彼等が集まったのは他でもない、こないだ拾った転生者についてだ。

オルクスとベンニーアより、事の顛末を聞いたハーデスは愉悦が止まらぬと言わんばかりに笑っている。

《ファファファファ……あの若者の力はどうであった?》

《末恐ろしい力でしたよ……魔法だけでベンニーアたんを封殺するんですから。》穏健派の死神が渋い顔で言う。

《メギドラオン……と、言いましたかな。あの技は強力無比であります。》武闘派の死神が興味深い顔で言う。

《確かに、障壁が意味をなさないアレはとてつもない代物だ。しかも連発出来る。》と腹心の死神が吟味する顔で言う。

「死ぬかと思ったでやんす。死神が手合わせで死ぬとか笑い事じゃないでやんす……」と、半死神が頬を膨らます。

そんな彼女の様子を見てまた笑うハーデス。釣られて笑うプルートとタナトス。

《ご苦労ベンニーア、後で褒美を取らせよう。》とハーデス

《見事だったベンニーア、あの飽和攻撃の中無疵で立ち回るのはおいそれと出来るものではない。》とプルート

《よくやったベンニーア。だが、新入りの手の内が分からないとは言え、一方的に封殺されるのはどうかと思うが……》とタナトス

《ベンニーアたんは貴公の様な脳筋と違って戦闘の経験少ないんですから仕方ないでしょう。》と、親バカ

武闘派のタナトスと穏健派のオルクスは仲が悪い訳では無い。

むしろ、軽口叩き合う位には仲良しである。

………だが、ヒートアップしよく喧嘩しているのも事実だ。

ベンニーアなんかまたかよって顔でそそくさと帰っていった。

《誰が脳筋だ。》

《貴公以外誰がいるんですかタナトス。》

《失敬な!貴公からも言ってくれプルート!!》

《流石に、自分で自分に手錠かけて出し抜かれた話はいつ聞いても間抜けとしか思えない。》

《追い打ちをかけるなプルート!!》

彼等の配下が見たら二度見する様なやり取りであるが、全く珍しい光景ではない。過去に……そう、ハーデスが冥府の王になった頃、こうして四柱で冥府の問題について話し合った

あの時から幾千年経たが、この光景だけは何時まで経っても変わらない。冥府神は無意識のうちに、仄かに口角を上げた。

 

最上級死神同士のしょうもない罵りあいはヒートアップ。

これでは下に示しがつかないため、ハーデスは溜息を吐いた立ち上がった。それを見たプルートが一応二人に警告する。

《そこまでにしておいた方がいいぞ。》

しかし、両者二人の世界に入って全く聞き入れない。

《おいコラゴリラコラ、オーカスの話したら戦争だろうガッ!?》

《やんのか豚野郎コラ、こちとら前線切って戦ってきた死神ゴッ!?》

《言わんこっちゃない。》

肩をすくめるプルート

流石に見ていられなかったので拳骨を落とすハーデス。

《愚か者共め、話を戻すぞ……》

こうして会議は進んでいく。

 

一通りの議題は終え、何故かオルクスの悩みを聞くことになった最上級死神達。

《ベンニーアたんが口悪くなって私のことをクソ親父と呼ぶんです……どうしたら良いでしょうか、プルート……

あ、タナトスは黙っていてください。》

《おい。》

《過保護も直せ、貴公の愛は愛娘を守る盾のつもりだろうが、ただ頑丈な檻でしかないぞ。》

《ベンニーアたんに何かあってからじゃ遅いのですよ!!》

《だからそういう所が疎まれるのだと言っておろうが親馬鹿!!》

《大切にするのと何も出来ないまま育てるのは違うであろうが!!》

解決には程遠そうである。

 

 

一方オリ主こと兵藤正自はオルクスの妻と三人の賢王……とどのつまりミノス、アイアコス、ラダマンティスと共に談話していた。

遠くより聞こえる最上級死神三柱の絶叫に、兵藤正自ビビる。

「なんかすっごい盛り上がってますね……」

「ごめんなさいね、あの3人昔からああなの。」

「ああいえ、奥様が謝る事じゃないですよ。」

《あの御三方は神話が興った時よりの付き合いでありますからな。》

《好ましくないが必要、憎たらしいが拒めない。なんとも人間臭い方々で。》

「間近で見てきた人間である貴方がたが言うと説得力が凄い。」

というかこの二人……アイアコスとラダマンティスの仙人ムーヴが凄い。あそこで感情を顕にしている死神の方が人間らしいくらいだ。

《考えや誇りの異なる者が集まると組織は一枚岩ではなくなる。だが、それは決して悪い事ではない。》

《左様。一つの結論に追従する方法では限界が生じる。》

《故に、異なる意見、異なる考えを受け入れて道を模索するのだ。》

「最善は無理でも、次善の手を……ってやつですね。」

《然り。》

こちらの方がマトモな事を話しているなど、そんな野暮なツッコミをしてはいけない。

 

何はともあれ、今日も冥府は平和であった。




ベンニーアとタナトス、プルートの関係は可愛がってくれる近所のおじさんみたいなものです。
原典にて自分で自分を手錠にかけるタナトスさんは多分萌えキャラだと思います。
オリキャラでアイアコス、ミノス、ラダマンティスが出ました。
地味にベンニーアたんのママンも出てます。
こんなにオリキャラを出して顰蹙買わないだろうか………
許してください!何でもしますから!!


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覚悟完了

己の罪を背負って生きていくのが人間だと、過去に兄ちゃんは教えてくれた。
なら俺は死者蘇生の禁忌に手を染めてでも、兄ちゃんを生き返らせて二人で生きていこうと思う。


「君のお兄さんを生き返らせる方法がある」

ぐるん、と。兵藤一誠は首だけを動かして振り向く。

 

木場祐斗は確かにそう言った。

兄ちゃん、生き返らせる方法が存在する。

兵藤一誠がその言葉の真意を理解すると、構えていた腕を下ろして木場祐斗に向き直る。

「教えろ。」

木場祐斗も、先程まで発せられていた敵意と殺意が収まったのを肌で感じ、舌で唇を湿らせてからポツポツと話し始めた。

「君のお兄さんを生き返らせる方法がある、まず確実に蘇生することの出来る手段があるんだ。先程部長が説明していた悪魔の駒による悪魔への転生……は止しておこう。」

悪魔に転生と聞いた瞬間、兵藤一誠の目が大きく見開かれ、瞳が、視線が肉体を貫かんばかりに圧を掛けてきた為、慌てて木場祐斗は悪魔の駒を用いる案を廃棄した。

……何やらグレモリーの顔が青ざめているが、果たして………

「次に……これはかなり時間がかかるし、確証もないが君のお兄さんを人間として生き返らせることが出来る方法だ。

神滅具、【幽世の聖杯】の宿主を探し、 【幽世の聖杯】の力を以て君のお兄さんを復活させる。」

幽世の聖杯……極めれば神をも屠れるという、神器の中でもかなりの力を有する神滅具の一つである。

その能力を詳しくは把握していないが、命を弄ぶという点において右に出るものは無いというものらしい。

どこにあるか、誰が宿しているか、ましてや力を貸してくれるのか全く分からないが、木場祐斗はこれに賭けるしかなかった。

兵藤一誠は無言で佇んでいる。

その顔は陰になって見えないが、射抜くような視線は変わらず発せられている。

……というかどうなっているんだ彼の顔。部室は今電灯をつけていて明るいのに何故陰になっているんだ。

あといい加減自分の口から説明してください部長。いや頑張れ頑張れじゃないですから。語尾にハートつければいいもんじゃないですから。

てか何やってるんですか部長、今おふざけしたら彼にみんなぶち殺されるんですよ。

 

木場祐斗が頭と胃を締め付けられている時、兵藤一誠は深い溜息を吐いて思案していた。

――兄ちゃんを人間として生き返らせたとして、兄ちゃんの帰る場所はもう無い……俺の都合で、兄ちゃんを生き返らせても苦しめるだけなんじゃないか………

 

――けれども、兄ちゃんはあの時死ぬべきではなかった人だ。

俺なんかを庇って死んじゃいけなかった。一晩経ってから何度考えてもこの結論に至る。不意に、兄ちゃんが過去に俺に言った事を思い出した。

 

『お前もいつかは、誰かの為に何かをする時がある。

そんな時、どうするべきか悩んだら考え方を変えるんだ。

 

お前が、どうしたいかで選択肢を決めるといい。』

 

「………分かったよ兄ちゃん。俺は、自分の心に従って兄ちゃんを生き返らせる。」

決意は出来た。




何故リアス・グレモリーが青ざめているのか。
何故リアス・グレモリーが木場祐斗に何がなんでも言いくるめさせたのか。

そりゃ簡単ですよ。

彼女はとんでもないことをやらかした。


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袋の天鼠

「やれ、無能ばかりで気が滅入る。何が悪魔の駒か、何がレーティングゲームか。そんなものクソの役にも立ちはしない。大切なのは冥界で生産し、冥界で需要と供給の円環を作るか、人間界へのニーズを満たすものを作り出すことが大切だというのに。」
複数のパネルが敷き詰められた円筒型の空間で、その男はぶつくさと呟いていた。パネルに老若男女問わず、悪魔の様子が映し出されている。
男の姓はネビロス―地獄の監査官である。
悪魔の動向を逐一監視するウォッチメンであり、違反をした悪魔の首を刎ねる執行人。
「現魔王は趣味人の脳筋ばかり、唯一為政者としてマシなファルビムは怠惰で仕事をしない………こんなのがトップの種族なんぞ滅びるのも当然としか言いようがないな。特に……サーゼクスの妹の無能姫!!コイツはなんだ!!オレの介入を拒むならそれ相応に統治できてるのかと思いきや!!シトリーがいなければガバガバではないか!!まるで貴様の股のようだな!!
お前が!!お前ら兄弟が余計な事をせねばはぐれが人を襲う前に首を刎ねておるわ!!」
彼は悪魔の全てを見ている者だ。それは同時に、悪魔の愚かさを目の当たりにしているのと同義であり、彼は常に憤怒していた。
「ディオドラのカスは天界の顔に泥を塗る真似をしおって!!貴様ら現魔王の身内は揃いも揃って厄ネタばかりよ!!」
彼は深いため息を吐いて、ある少女の顔を思い浮かべる。
その少女は魔界に、転生悪魔のためのレーティングゲームの学校を作ると言っていた。
古い悪魔はそれを笑うだろうが、ネビロスは笑わなかった。

「……訂正と謝罪を。すまないソーナ・シトリー。君の崇高な目的と行いを知っていて糞共と一括りにしてしまった。」
ネビロスはその夢を無謀なものだとは思っていた。

だが、無駄なものだとは微塵に思っていなかった。
だから彼は今なおせっせと集めている。

老害共が突かれたら痛いネタを。


とぼとぼと自室に帰ると、明かりもつけず制服から着替えず、すぐさま寝台に飛び込み溜息を吐き出す。本日得たストレスを腹の底から吐き出すように。

 

兵藤一誠との顔合わせは散々なものに終わった。

眷属への勧誘は失敗、それどころか敵意を持たれる始末だ。

何がそんなに不満なのかが分からない。

祐斗のお陰で何とか協力は取り付けられたが、それでは駄目なのだ。

兵藤一誠は人間である。

それ故に、レーティングゲームのへの参加は認められない。

神滅具『赤龍帝の篭手』の力を得られないのだ。

無理矢理眷属にする事も考えたが、もし強制をすれば『連中』が黙っていない。

この国に古くから存在する、対化物戦闘組織「衛府」が介入してくるのは目に見えている。

あの連中の事を想起し、思わず歯軋りする。

ああ、忌々しい……人間なんぞ私達(悪魔)の手で操られていれば良いものを……!!

 

「衛府」……正式名称、特別防衛府庁。平安時代よりその存在を仄めかされている組織であり、名だたる猛者が衛府に属していたと言う。

だが、その存在の長さに反して内情は不明であり、分かっているのは二点のみ。

 

一つは、彼等は真っ向から他神話と戦争出来る程の戦力を有しているということ、二つ目は……人外、特に聖書に対してただならぬ悪意を有していることだ。

私はそっと目を伏せてあの時の事を思い返した。

過去、冥界で幹部の一人がお兄様と対談しているところを見た事がある。

よく日に焼けた肌に、ロマンスグレーの髪をオールバックにしていたナイスミドルであった。男は終始にこやかに話していたが、対するお兄様は汗をかき渋い顔でたどたどしく受け答えをしていた。

その光景に強い違和感を抱いた私は

男が帰った後、私はお兄様から話を聞いた際驚いた。

 

・正式な手続きを経ずに直接日本に来るのを禁ずる。また、手続きを怠って入国した場合はぐれ悪魔として処分する。

・正式な手続きを取って入国しても監視役として衛府から二人監視役に付けること。

・入国は駒王町からのみ。正式な手続きを踏んだとしてもそれ以外の場所から入国した場合はぐれ悪魔と見なして処分する。

・日本国民に眷属として引き込む場合、脅迫や合意の得られない眷属勧誘をした際処分する。ect………

 

あまりにも悪魔に対して不平等な条約を!!あの男は呑み込ませたのだ!!

私はお兄様に問いただした。『何故このような条件を飲むのですか』と

お兄様は沈痛な面持ちで答えた。『こうしなければ我々は滅ぼされる。』と

眉を顰める私に、お兄様は教えてくれた。

先程会った男は、「衛府」の最高幹部の1人。

私が駒王町を治める際の条件を突きつけに来たという。何様のつもりなのか。

始めはあまりにもこちらに不利な条約にお兄様も反対した。

だが、彼は笑いながらこう言ったそうだ。

『この条件を飲めないと言うならば、我々は不法占拠と拉致殺人諸々で君達と事を構えるのも辞さない所存だ。』

要は従わなければ悪魔を滅ぼす、と言い放ったのだ。

私はその時思わず鼻で笑った。

人間のくせによくも大きく出たものだ、と。

大口を叩いた報いを受けよ、と。

次の日、上級悪魔の首が送りつけられるまではそんな気持ちでいたのだ。

頭蓋を切り取り、脳に花を突き刺して贈られてきたそれを見て、私は嘔吐した。

私はなめていたのだ、人間の尽きない悪意を。

奴等は悪魔と戦争になっても構わない。否、それどころか悪魔を滅ぼすために準備をしてきたと言うべき状態であった。

この上級悪魔は所謂タカ派であり、不平等条約を結ばされたと聞き眷属を連れ改定を迫ったのだろう。

その返答がこれとしたら、衛府は本当に悪魔と戦争をするつもりだろう。

もし、悪魔が今戦争を行えば勝っても負けてもより衰退するのは目に見えている。

逆に衛府は自分たちが全滅しても厭わないのだろうか。

……厭わないのだろう、衛府以外にも対化物戦闘機関は存在する。

つまり、奴等は嬉嬉として全兵力を投入してくるというわけだ。

 

先程例えとして他神話を出したが、日本神話はその在り方故に、他の神の信仰を貶めず、他の神を邪神として扱わない為、他神話と和平条約を締結している。

……唯一、冥界を除いて。

無論、聖書は他の神話と同盟を組んでいないため、戦争になったら救援を期待出来ない。

それに、あの条約は、あくまで悪魔が駒王町を統治するのを認める条約でしかない。

つまり、衛府は何時だって堕天使と悪魔に対し、戦争を仕掛けられる状態なのだ。

その気になれば、駒王町の人間を犠牲にする事で奇襲を仕掛けてくる事も出来る。

有り得ない、と笑い飛ばしたいが……駒王町の人間の大半が私達の契約者だ。

「国家転覆罪」を適用させたら即刻死刑に出来る。つまり……

 

何の気兼ねもなく皆殺しに出来るのだ。

 

もし、衛府が悪魔と戦争をする事を決めたのならば、私は生きて冥界に帰れるのだろうか。

 

―ウルルァァ

「アレ」の唸り声がする、お腹が空いたのだろうか。

私の悩みを何一つ解決出来ないくせに一丁前にご飯はたかる。

全く手間のかかる狗だ。

―ウルルァ

そんなに鳴かないで、後で出すから… … …

そのままリアス・グレモリーは夢にへと落ちていった。




最高幹部と一般兵、条約締結後の会話
―隊長はかなりの悪魔嫌いでありますが、駒王町の住民についてはどう思われておりますか。
「え?駒王町の人間の事はどう思っているかって?別に、何も?
悪夢と契約なんかして、肥え太るせてる家畜程度にしか思ってないよ。」
―では、駒王町がハルマゲドンの地となったとしても……
「そんなもの、決まってるだろう?不干渉さ。
だって僕らは向こうとそう取り決めたんだから。
そもそもさ……
悪魔に毒されたクズが大勢死のうがどうでも良いだろう?
ああでも、悪魔と契約してない国民は是が非でも助けないとね。」
―左様であります。
「近い内に家宅捜索をしよう。
悪魔との繋がりが無いか見て、無かった人間を助けよう。
え?悪魔と繋がってる人間はどうするかって?そうだね。
裏切り者として皆の前に死体を晒してもらおうか。」

衛府の一般兵はモスクワ付近のオプリチニキ程度の戦闘力です。
悪魔の皆さんにとって大した障害じゃないですよねぇ?(スマイルチャージ)


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はじめてのおしごとっ!

※なお結果が出るとは言っていない模様
これまでの粗筋
オリ兄「弟の可愛さには勝てなかったよ……」
イッセー「にいちゃあああん!!」
日本「悪魔殺すべし」
ネビロス「無能かクソリアス!!」
狗「ウルルァ……(げんきだして)」
リアス「まぢ病み」

ネタバレ
衛府「おう、うちの土地管理すんならこの条件飲めや。え?聞けない?
ええんか?そんな態度しとったらお前ら埋めるで??」
悪魔「ふぇえ………」
???「ぼくたちはついほーされたおんなのこのたすけになりたいんでしゅ!ごめいわくかもしれませんがいかせてくだしゃい!!」
衛府さん「うんうん、そっかそっか。偉いねぇ、いいよぉ。」

因みに、前任の彼女の際、彼女はちゃんと日本神話に打診しましたが、リアスの統治の際悪魔側から何一つ声明を出さず、日本神話に許可も求めず駒王町を統治しようとしていました。

それ故に示威行為も兼ねて最高幹部が駆り出された訳で。
あとまたオリキャラとオリ組織が出張るので、無理という人はブラウザバック


どうも、兵藤一誠っす。

一昨日、クソ以下の堕天使に最愛の兄ちゃんを殺され糞にも満たない悪魔に兄ちゃんのいた証拠を全て消され、リア何とかと無能な仲魔達を皆殺しにしてやろうかと思うものの、兄ちゃんを生き返らせることの出来る、幽世の聖杯を手に入れるため悪魔と手を組んだ今代の赤龍帝だ。

え?情報量が多くて頭に入りにくい?そいつはすまない。

無理に覚えさせるのは本意ではないので、俺の事やリアなんとかの事は覚えなくていいから兄ちゃんが素晴らしいとだけ覚えて帰ってくれ。

 

まず、赤龍帝とかいうクッソ痛い名前が何なのか説明しよう。

俺の左腕に宿った傍迷惑極まりない、神器とかいう安寧な生活を享受する上でこの上なく使えないゴミに宿る、すごいつおいドラゴンらしい。

まあ肉体滅ぼされてこんなザマになっている時点で信憑性なんぞ皆無なのだが、自分でイキっていたからあまりにもウザったいのでこれからクソトカゲと呼ぶ事にした。

昨日帰ったら寝たら夢に話しかけてきた。何やら俺の激しい殺意で目が覚めたらしい。永遠に寝てろよクソトカゲ、左腕切り落として硫酸風呂に沈めるぞ。

 

先程言ったが、昨日俺は兄ちゃんを生き返らせることの出来る道具、《幽世の聖杯》を手に入れるため悪魔と協力する事にしたんだ。

昨日決めたばかりのことなのに、情けない話ぶっちゃけ後悔してる。

何故なら…………

「えぇ!?ここ日本ですよね?!日本国の領地ですよね!?」

「そうだよ?」

「なんでこの赤い髪の悪魔は私の領地で〜とか言ってたんです!?」

「誇大妄想者なんじゃない?」

「そっかぁ………」

 

白目を剥いて倒れ伏せるリア何とかと、それを淡々とdisる人間を見たら……ねぇ?

 

――――――

―――――

――――

―――

――

 

「あ、どーもはじめまして。聖唱騎士団四番部隊、副隊長の彩羽瑠依です。あちらで上層部に電話してるのが隊長の……」

「明星金明だ。この度はえーと…………何を謝ればいいんだ?」

「いや謝る必要ないっすよ。あ、兵藤一誠っす。」

どう考えてもこっちが悪いしなぁ………

後ろで倒れているリア何とかと愉快な眷属たちはを尻目に俺は溜息を吐いた。

何なんだこいつら、悪魔じゃなくてスペランカーかなにかなのか。

彩羽さんが手にしてるハンドベルでリンゴンリンゴン鳴らしたら泡吹いてぶっ倒れたぞ。

話を聞くところ、明星さんと彩羽さんはこの街に派遣された教会の人間だそうだ。つまるところリア何とかの敵なわけだが………

何故駒王町に?

「上層部からここに行けと指令が出てここに来たんですよー、何やら教会から追放された女の子がいるので、その子を迎えに来たんです。」

「まあその娘が来るのは予定より早いのだがね、彼女の持つ神器は特異故に狙われやすい。迎えに来たと行ったが、要は護送の下見で町を歩いていたのさ。そしたら……」

そしたら?

「はぐれ悪魔が女性を誘引してたんで、しばきました。」

はいイノセント。圧倒的無罪。

「そんなわけないでしょう?!」

うわっ、復活した。

「私の治める土地と知っていて、土足で踏み込んでくるなんて貴方達いい度胸じゃ」

「リンゴーンリンゴーン」

「アブブブブブブ」

折角目を覚ましたリア何とかに彩羽さんのベルが襲う!!

いやぁ美人が白目を剥きながら泡を吹くのは凄絶だなぁ、写真撮っておこう。

で、元浜と松田に高く売りつけてやろ。

「というか兵藤さんやっぱりあなた……」

「彩羽の鐘が効いてないってことは……あそこの伸びてる4人とは違うんだろ?」

「ええ、お察しの通り悪魔ではありません。」

「何故悪魔と行動を共に?」

「実は……」

 

――――――

―――――

――――

―――

――

 

年の離れた兄がいた事、兄ちゃんが素晴らしい事、兄が堕天使に殺された事、兄ちゃんがかっこいい事、悪魔によって兄に関する記憶が消された事、兄ちゃんが有能な事、兄を生き返らせる方法がある事、兄ちゃんのギャップ萌えが凄い事、兄ちゃんの風呂上がりがエロい事、兄ちゃんが凄い事、その他諸々を洗い浚い目の前の2人にぶちまけた。初めて会う人なのに、不思議なことにすらすらと口に出せた。

二人の反応は正反対で、彩羽さんは目に涙を浮かべているのに対し、明星さんはどこか沈痛な面持ちで俺の話を聞いていた。

「………と、言うわけなんです。」

「感動しました!!何かあったらうちにおいで兵藤君!!」

「………話の八割が兄に関することで、そこの悪魔に関する説明が三文字で済まされるとか………」

彩羽さんは俺の兄ちゃんへの愛の素晴らしさに感激してくれているが、明星さんは何故か渋い顔をしている。何故?

「………ハッキリと言うぞ、兵藤一誠君。」

 

「お兄さんの蘇生は諦めろ。というか、してはならない。」




・聖唱騎士団
日本に本部を置くヴァチカンの下部組織。
団員数は2000人、教会で拾われた孤児で構成され「歌唱」の力の担い手である。
祓魔の技量は高く現団長、副団長は「聖弓」「聖戦車」の称号を与えられた実力者であり、「聖柱」明星金明と「聖鈴」彩羽瑠依は次期団長候補。
主な活動はチャリティーコンサートと被災地復興援助、家庭に難のある子供のための学習教室等。

震災の際、救援活動を行う事で信頼を勝ち取り日本神話との同盟が成立した。
この功績は大きいにも関わらず、大半が黄色人種の為ヴァチカン本部からは黄色い猿の集まりと見下されている。


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悔恨

投稿が遅くなり大変申し訳ありません
上等な素材を焦がしてダメにした料理の如きR-18の番外編を投稿しました。

大してエロくもない上若干ゃネタバレをしているため、この時点であなたのマーラ様が萎びた場合読まない事をお勧めします。

オリ主モノなのに一向に出てこないオリ主ですが、今現在冥府で能力に頼らず戦う方法を極めております。

どれだけ大層な能力を持とうとも、基本が出来てなければなんの意味もありませんから。ノーカラテノーニンジャ


「兄ちゃんの蘇生を諦めろ。」

そう言われた瞬間、殺意が……湧き上がることは無かった。

明星さんの悲痛そうな顔を見た、度々兄ちゃんが俺をよしよしする度にしていた顔だ。何かを後悔して、誰かに謝罪している顔だ。癒えない傷を背負っている顔だ。

聞くべきではない、と頭で理解はしていた。

その傷口に無遠慮に触れるべきではない、と理性が囁く。

しかし、頭で理解はしていても口は問いかけをつむいで紡いでいた。

「何故、ですか……」

やってしまった。

明星さんの顔に宿る痛恨がより濃くなった。

「何故、か………そうだな。それは禁忌だとか、教会に属する者としての建前を捨てて答えよう。

君は、蘇生される方の気持ちを汲んではやらないのかい?」

兄ちゃんの、気持ち……?

「君のお兄さんが、君のいう公明正大な人間ならば……君を真摯に愛しているならば、悪魔と手を組んでまで自分を生き返らせようとするのを、是とするのかい?」

「それは……」

それは………俺は思わず言葉に詰まった。

兄ちゃんは俺が兄ちゃんの為に無茶したら烈火のごとく俺を叱る人だった。

涙を流しながら叱る様を、昔の俺は泣きたいのは自分だと悪態をついていたが、今ならわかる。あれは俺が無事で良かったという安堵の涙だったんだ。

兄ちゃんが裏の事情……特に三大勢力とかいうはた迷惑な糞溜りの事を知るかはわからない。でも、自分の為に悪魔と手を組んだと聞いて怒らない家族はいるのだろうか?いや、いない。

「君の兄は、君が己に囚われず幸せになる事を望んでいるはずだ。」

「……なんで貴方がそんなこと言えるんですか。俺と兄ちゃんの何を知っていると?」

俺が酷い当てこすりをすると、明星さんは痛々しく笑いながらこう答えた。

「そうだね、俺は君とキミのお兄さんのことは知らない。けれど、外法に手を染め死者蘇生を試みた結果どうなったかは痛いほど知っている。」

 

俺がそうだった

 

明星さんはそう宣った。

合点がいった、明星さんが俺を止めようとするのも、辛そうな表情をするのも、全て合点がいった。

己と同じ轍をふませまいとするのが先人の義務なのだから。

どういう事かと聞こうとする俺の眼前に鐘が突きつけられた。

「ストップ、ここから先は君が知っちゃいけない内容だよ。」

これまで俺と明星さんの会話を静観していた彩羽さんが厳しい目つきで俺を制した。口調は柔らかいものの、これ以上踏み込んだらただでは済まされないだろう。

俺は大人しく追求の手を引っ込めた。

――――

―――

――

 

「……変な空気になってしまったな。死者蘇生には大反対だが、何かあったら連絡してほしい。力になろう。」

「あ、これ私達の連絡先ね。呼ばれたらすぐ飛んでいくから!!じゃーねー!!」

あの後、彩羽さんから名刺を貰い俺は分かれた。

今日の一連の出来事は、彩羽さん明星さんという強力な協力者を得られたという点では大きな収穫であった。

逆に、俺が今組んでいるリアス・グレモリーがどれだけ使えないのかも判明した。

はぐれ悪魔討伐に出遅れた挙句一瞬で無力化されるとか情けないにも程がある。

 

リアス・グレモリーから悪魔の情報を聞き出して聖唱騎士団に横流ししようか。そうすれば向こうも惜しみなく協力してくれるだろうと腹黒いことを考える、今代の赤龍帝であった。




・現在の状況
原作一巻
リアス・グレモリー……イッセーを眷属に出来なかった代わりに、悍ましいモノを兵士の駒八つで眷属に迎える。現時点の保有戦力は原作以上である。
レイナーレ……イッセーを始末出来なかった上に、オリ主の今際の際の抵抗により右の翼2枚が消し飛び右半身がグズグズになる。現在療養中。
聖唱騎士団と衛府の台頭により原作より企みの成功率がマイナスに。
イッセー……家族大好き赤龍帝。一巻の時点で歴代席龍帝の残留思念に対して強気に出ている為、メンタルは相当強い。女の胸への着眼点が他人への観察眼に変わり、原作より搦手に強い。


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鴉のおしくらまんじゅう

原作では嫌な女、二次創作では綺麗綺麗されるレイナーレとその一派

俺の答えはこれや……!!


兵藤一誠の抹殺に失敗し、右半身が使い物にならなくなってから3日が経過した。今まで殺してきたのだから、こうなる事は覚悟していたし、生きているだけで御の字だろう。

しかし、こうなってしまっては彼女の堕天使としての生命は終わったようなものだろう。もはや飛ぶこともままならないのだ、どう足掻いても前線には戻れない。堕天使が空を飛ぶ翼すら失い、地を這うのはなんとも滑稽だと自嘲する。

まあ、こんなものだろうとレイナーレは思っていた。

今まで危険性があるからという理由で、神器保有者を殺してきたのだ。

誰にとって危険なのかは伏せておくが、こちらの都合で何人も殺してきたのに、自分がやり返されたら文句を言うのは御門違いだ。

しかも、自分に重傷を負わせたのは狙っていた神器保有者の身内と来た。

……神器保有者の抵抗による二次被害を避けるために、二人きりになり広い場所で始末しようとしたのに、何故割って入ってこれたかは不明であるけれど……

家族からすれば、人外の事情で自分の家族を殺されてたまるかと抵抗するのは当然の事だ。いい加減神器保有者を振り回すのは止めるべきだと思うのだが、上はどうも神器の謎を解き明かすのにお熱らしい。

別に咎めるつもりはないが、その行いが己の身を滅ぼすものであると気がついているのだろうか。いや、気がついていたらそもそも止めているはずだ。

何しろ、人間の娘に惚れて堕天した存在の癖に、人間を解剖しているのだからお察しだろう。

それを止めもしない副総督に、人間と結ばれて子を授かったはずのバラキエル様も止めようとしない。

 

人との子を持つ癖に、人の子と結ばれた癖に、何故人を苦しめるような真似をするのか、レイナーレは理解出来なかった。

ふと、とある堕天使幹部の台詞を思い出した。

 

【生ける者はどうしても老いからは逃れられない。それは不老長命の我々も同じである。だから堕天使はここまで醜く堕ちたのだ。神の下から抜けてまで人を愛していたはずなのに、驕り上がって今はこのザマだよ。】

 

ああそうか、上層部は老害と化したのか。

だから嘗て愛した女の子孫にこんな事が出来るのか。

ならば私はあの娘を本部に送るわけにはいかない、あの娘を実験動物として死なせる訳にはいかない。

当初の予定を変更し、あの娘を逃がしてあげなければならない。

容態が安定した。

己の部下に自分の現状とこれからに関する指示を振らねば。

 

 

「―――という事だから、皆把握よろしく。当初の予定とは動きが変わるわ。この仕事から降りたい人は遠慮なく言いなさい、降ろしてあげるわ。

………本当にいいのね?ならこれで会議を終了させるわ。」

 

「別に構いはしないが……その身体はどうするつもりだ。」

「どうしょうもないわよ、これ。ぶっちゃけこうやって椅子に座ってないと転ぶし、羽根はないから飛べないしで不便なことまるけ。

ま、これで七面倒な前線から退けて隠遁生活が送れるならそう悪くないわよ。……だから泣くんじゃないのミッテルト!あと1人でお風呂に入れるからカワラーナ!この二人を止めてドーナシーク!笑いながらビデオ撮ってんじゃないわよフリードォォォォ!!」

本人は半身ズタズタにされたというのに何とも気丈だ、寧ろ傷ついた右半身を気にしている様子すらない。いや、気にしてはいるものの周りが濃くてどうでも良くなりつつあるとも言えよう。

「た"っ"て"れ"い"な"ー"れ"さ"ま"あ"あ"あ"!!」

可愛らしい顔を皺くちゃにして大泣きする金髪の少女。背から伸びる黒い翼は彼女が堕天使であることを証明している。ミッテルトと呼ばれた彼女は涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔でレイナーレに抱きついている。

「うるさい!!利き腕がダメになってボロボロなんだから大人しく介護されろ!!」

こめかみに青筋を浮かべながらレイナーレに怒鳴りつける凛々しい顔の美女、カワラーナはレイナーレの包帯を取り替えるために服を剥がそうとし、

「歩き回られてまた怪我を負われても面倒だ、しばらくそこでお世話されていたまえ。」

渋い顔で姦しい三人の女堕天使を眺める初老の男、ドーナシークは付き合ってられないと言わんばかりの表情で傍観している。

「あひゃひゃひゃひゃひゃ!!やっぱいつ見ても面白いっすわオタクら!!悪魔を狩るのも悪かねぇけどこういう日常の潤いがないとねぇ!!」

目の前の光景を見て腹を抱えて大笑いしながらもビデオをしっかり撮る白髪の少年神父、フリード。

4人とも行き場のない者達だ、だからこそこうして結びついたとも言える。

はぐれ神父と堕天使の集団らしからぬ、和気藹々とした運命共同体になったのだろう。だが彼らは知っている、自分達の破滅はそう遠くないことを。この暖かい関係の終わりが近いことを……自分達だけではない、三大勢力自体が22世紀に入る前に消滅する事を、何処かで理解している。

だからこそ明るく在ろうとするのだ、自分たちがここに居て幸せだったと証を残すために。

 

 

「フリード、今すぐその手を止めないと給料カットするから。」

「アッハイ」

「ほら見ろ怒られた。」

「ドーナシークも」

「アッハイ」

 

 

 

 




Q,ここのレイナーレ、今自分がおるところがリアスグレモリーの土地って知っとるんか?
A,知りません。というかイッセーの件で初めて駒王町に来ました
Q,なら何でレイナーレの事をリアスグレモリー知ってんねん
A,これは拙作のみの設定なんですが、中級天使なのに神器保有者を殺すという、子どもの使いっぽいことをやらされていたのは神器保有者の抵抗があっても確実に殺すためやと思っております。これを踏まえてレイナーレは多くの神器保有者を殺していて、神器保有者を眷属に迎えようとする悪魔としては良く思われていない存在で懸賞金を掛けられています。悪魔界隈では悪い意味で有名なのでリアスグレモリーが一方的に知っているという。

Q,このレイナーレ綺麗好きひん?
A,白ではありませんが、綺麗な死に方をします


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一方その頃

我「コカビエルの事調べたら星を読むのが得意な堕天使って事しか分からんかった。」
友「それってつまり、コカビーちゃんは表舞台には出てこず人間の娘とイチャイチャしながら星読んでたって事だろ。だから記述が少ない」
我「イワビーちゃんみたいに言うな。でもコレ見てるとあれだな、バリバリの武闘派みたいなキャラ付けされてるけど何があったら戦争マンセーになるんだろうな。」
友「そら、人間の娘の子孫が苦しめられてるとかやろ。」
我「あー………」
友「それより何時になったら主人公はチーレム築くんよ」
我「えっ……お前これがチーレム寝取りものと本気で思ってたの……」

性懲りも無くまたオリキャラの追加です。


はぐれ悪魔討伐の次の日、兵藤一誠が帰路についていると一人の少女が地図を片手に右往左往しているのを見かけた。

修道服を纏い、頭の髪からは金髪がのぞいている。格好からして修道女だろうか。髪の色からして日本の生まれではないのは明らかであり、海外から日本に来たのだろう。顔はクリクリとした目に水晶のような瞳が特徴的であり、よく整っている。悪い男が食い物にしそうな女の顔だ、現に困っている彼女の方に下卑た笑みを浮かべた男達が迫っていた。

 

兵藤一誠はそのまま通り過ぎようとするも、少女が下衆の餌食になるのを見過ごすのは後味が悪い為、ひとつ大きなため息を吐いて少女の手を掴んだ。

 

Follow me(ついてこい).」

What's doing(何するんですか)!?」

Shut Up .This way !!(うるさい、こっちだ!!)

 

英語で短く告げると、慌てたように英語で返答が返ってきたのを聞き、言葉が通じることを理解すると手と少女の荷物を掴んで兵藤一誠は走り出した。

下卑た笑みを浮かべていた男達は兵藤一誠が女の子を連れ去るのを見て舌打ちし悪態をついた。

 

――――――――――――――――――――

«えっ、なにこれこわい……»

【徒ならぬ悪意と力……とんでもないものを隠し持っているではないか、日本神話】

『待って待って待って、これフィクションとかじゃないの?!』

「はっはっはっはっ、正真正銘現実で御座いますよ御三方。」

 

その頃黄泉比良坂では四柱の神が雁首揃えて話し合っていた。

彼らが見ていたのは日本神話の下部組織である衛府の最高幹部が、無限の龍神(オーフィス)を貶した後、空間を創造しその中でオーフィスと凄絶な戦いをしている様である。

これがまたすんごい事になっているのだ、何分世界最強のドラゴンと、最凶の人類が互角以上に戦っている。

何も無い空間だからこそ被害は出ていないが、これがもし地上で行われていたら地球の原型が残っているかどうかすら怪しい……

勝敗は惜しくも幹部が敗れてオーフィスは逃げたものの、翌日不愉快そうな顔で本部に出動したのだから恐ろしいものだ。

 

さて、この光景を見せつけられた彼彼女達はそれぞれ死後の世界を司る神だ。

上からギリシャ神話のハーデス、北欧神話のヘル、バビロニア神話のエレシュキガル、日本神話の月読命。言わずと知れた冥界の神々である。

4人ともこの惨状を見て筆舌に尽くし難い思いを抱いていた、特に月読命は笑ってはいるものの目はヤケクソになって黒く澱んでいる。

無理も無い、強力どころか強すぎる余りに余計な争いの火種になり得るのだ。

 

«……ツクヨミよ、この者をどうやって御しておるのだ?どう見ても此奴の力は神の範疇を超えておる……その気になれば此奴が思うがまま世界は変えられるはずだ。 »

【ハーデスの言う通りである。これ程の猛者がいるならば、もっと早く全ての神話にこの者の存在が知れ渡っているはずだ。だが、妾は今初めて知った。幾ら妾がヘルヘイムの神とは言え、目立つであろうこの者の情報が全く入ってこないのは可笑しい。】

冥府の王と死の女神が訝しげな顔で月読命に尋ねるが、当の本神は食えない顔で告げた。

 

「私にも全く分かりません。隠し立てをしているとか、ここで黙して優位に立とうとか、そういう心算はありません。

単純に彼の事が何者なのかさっぱり分からないのです。」

『……あの、喋ってもいいかしら?』

「どうぞ、エレシュキガル殿。」

 

再び三柱がうんうんと唸って頭を悩ませる中、神妙な顔つきをしたエレシュキガルが挙手をした。何かに気がついたのだろう、その顔は強ばっている。

『私の、気のせいかもしれないし、そんなに大したことじゃないんだけど……言うわ。』

 

彼、妹のイシュタルと同じ気配がするのだわ。

そういった瞬間、他の三柱は固まった。

………あの放蕩女神と同類なのかぁ………

アーパー(仮)を背負い込むことになった月読命にハーデスは思わず同情せずにはいられなかった。

 




友「破邪の正体is何」
我「ヒントあげるから当ててみ。」
友「おっしゃ来い。」
我「第一に、彼は複数の存在が一つになって出来上がった存在だ。だから完全な正体を突き止めるのは無理だろうから基を当ててほしい。」
友「ふむふむ」
我「第二に、エレシュキガルが言った通り彼は金星に関わりがある」
友「ほうほう」
我「最後に……彼は異邦人だ。」
友「ナルホド」
我「大体なんなのか分かった?」
友「分かんない♥」
我「そっか♥」
友「ところで。」
我「なんや」
友「道化の方の更新どうなっとるんや。」
我「………あ、鴉だ」


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転生失敗


«何が起こった!?»
«分かりません!!けれも儀式が失敗しました!!»
«無事か小僧!!»

本来ならば軽い罪の魂を労苦で以て贖わせる為の儀式、「タルタロスの秘儀」にて兵藤正自を死神にへと転生させる手はずであったが、失敗。
儀式を執り行った夜の女神ヘカテーと、見守っていたタナトスとオルクスは慌てて駆け寄るも、そこにあったのは………


「……ル………ァ……」
言葉にならぬ呻き声をあげる霊魂のみであった。


「レイナーレ様レイナーレ様、アーシアちゃんの事で良い知らせと悪い知らせと頭の痛くなる知らせがあるんでございやすが、どれから聞く?」

昼の3時ごろ、書類を片付けるのも一段落済んで熱々の珈琲を啜っていると外から食糧を買って帰ってきたフリードが珍しく真面目な顔でこんな事を言ってきた。良い珈琲豆が手に入って美味しく飲んでいるというのに一気に気分が消沈してきた、大概真面目な顔の時のフリードが言うことは面倒が起きたという報告なのだ。今回も例に漏れず面倒事の報告なのだと思うと正直聞きたくない。書類地獄から抜け出したばかりなんだから私の代わりに誰か聞いて解決してくれないかしら、チラリと同胞を見る。

 

 

もきゅもきゅとシュークリームを食らうミッテルトは首をかしげている。頬にクリームをつける様は可愛いけどよく分かってないみたいだからダメ。

珈琲に砂糖を入れないと飲めないカワラーナは2個以上入れようとするも私が砂糖壺を抑えている為恨めしそうな顔で唸っている。しっかりしてる様に見えてミスがあんまりにも致命的だしねぇ……カワラーナもダメ。

残るはドーナシーク……そっと視線を送ると、逆に心底嫌そうな顔で返された。私のより濃い珈琲をアイスで飲む猫舌の中年はどうやらやりたくないらしい。

あー嫌だ!!

 

「………いい知らせから教えてちょうだい……」

「ウィッス。ならいい知らせ……アーシアちゃんは駒王町にちゃんと着いてたぜ。他の堕天使に見つかることなく安全な状態だ。」

 

それを聞いて私は安心した。

あのおっちょこちょいな娘がこの町に無事に来れるのか自体不安であったから、それを聞けてよかった。意図せず私の口角が上がろうとしているので、マグカップで口元を隠す。

 

「うんうん、無事についてよかったねぇ……これで話が済んだらどれだけ良かったんだろうな……」

あっ、遠い目をして現実逃避をしようとしてる顔だ。珈琲を収めた胃がキリリと鳴り始める。どうやらドーナシークも同じものを感じ取ったらしく、眉間の皺を更に濃くして、口が寂しいのかビターチョコを噛みながら濃いアイスコーヒーを飲み干している。どんだけ苦いのが好きなんだ。

 

「すっごい悪い知らせはね、アーシアちゃんを追っかけてる上級悪魔もこの町に入ったんだよね……」

多少の事で動じないよう覚悟を決めていたのだが、予想以上に悪い状況で思わず手にしていたマグカップを落とした。

「……ウッソでしょぉ………」

「………嘘だったらどれだけよかったか……」

フリードの濁った目を見て真実なのだと悟り天を仰いだ。

Holy shit.,本当この世は地獄だわ。

…………………………

………………………

……………………

…………………

………………

……………

…………

………

……

 

光ささぬ冥府にて、俺はどれほど過ごしたのだろうか。

1ヶ月か、それとも3ヶ月か。とても長い間ここにいるような感覚がある。

己の死が遠い過去のようだ、身を貫く激痛と俺を殺した女の顔はよく覚えていない。いや、それ以前の俺が生きていた頃の記憶すら薄れていっている。

 

もはや俺にとってどうても良いことなのだろう。実際、何故自分があそこまで必死に現世に戻ろうとしたのか分からなくなってきた。

……このまま消滅してもいいのではないだろうか。

思い出せない事のために残留した所で何になるというのだ、このまま転生して……

 

―――なんでっ……なんで笑ってるんだよ兄ちゃん!!

(……っ)

―――嫌だ!!兄ちゃんを置いて行けるわけねえよ!!

(……そ、うだ……)

―――寝るんじゃねえよ!!まだ……まだ兄ちゃんに教えてもらうこといっぱいあるんだよ!!

(……俺には……待っている奴が……)

待っている奴がいるじゃねえか………!!

 

―――

冥府にて消えかけていた魂が再び燃え上がった。

彼の者の名は兵藤正自、言わずもがなこの作品の元凶である。

何故彼がここまで焦っているか?

単純な話だ、彼は死神になる事は叶わなかった。

転生の儀は失敗に終わり、彼は死神になれないだけならまだしも人の姿する保てなくなっていた。

何が原因で失敗したのかは不明である、どちらにせよ儀式が失敗した事により、男の魂は大きく摩耗した。

と言っても、大した弊害を被ってはいない。たかが記憶を六割喪っただけである。家族との記憶、前世の記憶……兵藤正自という人間を構成していたものが全て消え去っただけである。

 

今ここにあるのは剥き出しの力であり、己の手を握って泣き叫ぶ一人の少年を探す一人の男であった。

 

古い言葉にこんなものがある。

cogito, ergo sum(我思う、故に我あり)

意味は自己を思索することが自己証明の他にならない、と指す。

自己思索する事が存在証明と言うならば、今自分が何者か喪いつつある彼が、

不定形の彼が、弟の事を思索するとどうなるか……弟の姿を以て自己を定義したらどうなるのか……

 

球状の霊魂が変化し、一人の少年にへと姿を変えた。

 




レ「そういや、面倒な知らせがあるって言ってたわね……そっちは?」
フ「いや本当面倒な事になってやしてね……いや、上級悪魔の手にアーシアちゃんが堕ちてないだけ喜ばしいとも言えるんですが!!」
レ「勿体ぶらずに言いなさいよ。」
フ「その、ね……アーシアちゃん今レイナーレ様が殺し損ねた神器保有者と一緒にいるんすよ。」
レ(絶句)

死後の世界には時がないという設定です。
時というものを観測するのは生きとし生けるモノのみでありますので、死せし者が集まる冥府には時の概念がないのです。それ故に地上と時の流れが大幅に違います。

オリ主の転生失敗の原因はオリ主の転生特典とリアス・グレモリーの愚行のせいです。3:7でリアス・グレモリーがやらかしました。多分勘の良い読者様は気がついていると思うのでハマオンストーン投げつけてあげてください。


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そして点は交わる

アンケートへの回答ありがとうございました。皆様一片の容赦も無く絶やそうとするので通知が来る度げらげら笑い、よくツッコミを入れてくる友人にも見せて二人でゲラゲラしていました。特にMozuku様はよく分かっておられる……(濃尾無双の顔)

皆さん四大魔王って分かっていて淡々と辛辣に対応するのでお腹が捻れましたよ。
私としては王なら王らしく座っていればいいですけれど、生半可に指揮を執るのがダメかなー、と。

特に外交担当。トップがあの格好なのでトップを交渉の場に出すわけにはいかず、かと言って下手に身分の低い奴を寄越すとて向こうの反感を買いそうだからNo.2が死ぬほど苦労してそうだなぁ……

なら他もいいのかというと身内贔屓の魔王にゲームに耽る魔王に怠惰な魔王
何奴も此奴も脳筋趣味人ばかりじゃないかたまげたなぁ……

自分は睡眠時間ほぼ無しで悪魔全員を監視しているのに、トップが放蕩しまくるのを見せつけられるネビロスさんはほんま苦労人やでぇ………
尚ネビロス氏、アジュカによって危害を加える能力を奪われた状態で働かされている模様。封じられていなかったらはぐれ悪魔が人を襲う前に首を刎ね飛ばせるとのこと。
ノーモーションで遠くから即死攻撃放つとか強すぎるからね、封じるのは仕方ないね。
というか悪魔を同時に見張って情報処理を行うこのネビロスさん超越者なのでは……?

各人の現状
オリ主→大事な記憶を犠牲に死神へ転生
イッセー→アーシアの手を握って走っている
レイナーレ→本部に護送するよう命じられたアーシアをいかに逃がすか模索するもディオドラがついてきていることを知り胃痛
リアス→何も知らない
堕天使→某幹部が討死するために暗躍中
悪魔→ライザーが飲み友からリアスとの婚姻は地雷だからやめておけととめられている。
衛府→ボロを出すのを待っている



«私が黄泉比良坂でスプラッタ映像を見せられていた中、何が起こったのか話してもらおう。»

 

黄泉比良坂より戻った冥府の主、ハーデスは帰ってきて早々議席に座った。

それもそうだろう、英雄の魂を運んでくる役目を受け持つヘルメスはともかく、兄妹にして義母のデメテルが訪れている時点でただ事ではない事を察した。

 

毎年毎年ペルセポネーと2人きりで過ごそうとする頃を見計らって冥府に大した用もないのに遊びにくる義母兼妹が、冬でもないのにわざわざ来ているということは……彼女の力を借りねばならない事態が起こったという事だ。

 

«何があったかざっくり言おう、ハーデス。件の青年、兵藤正自にタルタロスの儀を執り行った際、予期せぬ出来事によって……まあただの魂魄にへと変化した。»

 

ヘルメスが重苦しい場の雰囲気を和らげるよう、敢えておちゃらけて事実を述べる。軽い口調で言ってはいるが、かなりの大事である。あまりに軽いので一瞬ハーデスはグーでヘルメスを殴ろうかと思ったが、止めた。

 

……ヘカテーがヘラに浮気がバレた時のゼウスより酷い顔で震えているのを見たからだ。敢えてこのちゃらんぽんは自分にヘイトを向けさせようとしたらしい。地味に女性人気が高いのはこういう粋な真似をする所なのだろう。

 

恐慌状態から持ち直したヘカテーが手でヘルメスを抑えると、途切れ途切れながらに何が起きたのか詳細に語り始めた。

 

«否。あれはどう見直しても失敗であった……儀を執り行った妾だからこそ分かる。冥府では、死者の魂をエリュシオンに送るかタルタロスに送るか、どちらに振り分けるにしろ人の形を成した状態でなければならない。特にタルタロスに送る際は責め苦を課す為に人の姿でなければならぬのだ。»

 

ヘカテーはそこで一旦区切り、罪悪感でからからになった口の中を茶で湿らせ、再び切り出した。

«だが……あの若者に儀を施した際、あの若者をただの霊魂にへと変えてしまった………これは妾の不手際だ。特殊な魂と知っていて尚、従来の方法を取った妾の………»

 

言い切る前に嗚咽混じりに泣き始めるヘカテー。

夜の女神や魔術を弄す女神として名高くはあるが、人間くさいギリシャの神の1柱でもある彼女は、己が原因で一つの魂を消滅させた事実は到底堪えきれるものではなかった。

 

«己を責めるのはよせ、ヘカテー。ギリシャにて産まれた神器保有者と同じ術式を用いたのであろう。あれとて特異な魂であるが、儀式は成功していた。

ならば原因は他にある筈だ、あの若者の魂にひっついているという力とか。»

 

そう言いヘカテーを宥めるヒプノス。

これまで黙して話を聞いていたデメテルが合点がいったようでようやく口を開いた。

 

«成る程、それで私が呼ばれたのですね。私の権能で戻すように、と。

はっきり言いましょう、無理です。»

 

だってそこに居るんですもの。

デメテルが指で差した先に人影があった。

人影は、気付かれたと分かると素直に前に出てきた。

 

«兵藤……正自なのか……?»

顔を知っているハーデスやヘカテーからすれば疑問符が浮かぶのも致し方ない。彼等が知っている兵藤正自は人懐っこい笑を浮かべる茶髪の偉丈夫である。

 

それがどうだ、目の前にいるのは齢16にも満たない少年である。

しかも、髪は灰色に染まり無表情で佇んでいる上にきらきらと輝いていた目はくすんでいる。どう見ても兵藤正自には見えない。

 

しかし、ハーデスは。人間の魂を長年見続けてきたハーデスは目の前の少年が兵藤正自であることを理解してしまった。

変質してしまった兵藤正自であると知ってしまったのだ。

 

【……兵藤正自とやらは己の事であるらしいな、申し訳ないがそれについては答えられない。自分が何者であるか己が一番知りたいからな。】

 

«ほら、ちゃんと儀式は成功しています。ならば私の出番はないでしょう?»

«あれが正常とでも言うのか!?見よ!!確かに魂の基質は死神のそれになったが魂が大きく磨り減っているではないか!!»

«そう?別にどうでもいい事ではありませんか、ヒト猿の魂がどうなろうと世界は何一つ変わりませんよ。»

«貴様……今なんて言った!!»

«私に怒りをぶつけるのは筋違いではなくて?失敗したのは貴女でしょう?»

«貴様ァ!!»

嘲るデメテルに食ってかかるヘカテー

今にもヘカテーがデメテルに掴み掛からんとしたその時だった。

両者がキャットファイトを繰り広げる前に一発の銃声によって場が静まり返った。当然冥府に銃なんてものはない、

 

もっと言えばここにいる神は銃を所持していない。だが、1人だけ持っていてもおかしくない人物はいる。

その人物に目を向けると、何やらゴテゴテした拳銃を上に向けて撃った様だ、銃口からは煙が立ち上っている。

 

【騒いでいるところ非常に申し訳ないが、良いだろうか。】

«……言ってみよ。»

ハーデスがそう促すと少年はこう言った。

【今すぐ現世に行きたい、己は己と同じ顔の人間に会わねばならぬ。】

 

 

――――――――――……

あれから10分ほど走っただろうか、地元民の兵藤一誠ですら滅多に来ない教会付近にへと辿り着いた。この辺りの地理には疎い一誠では先程の様に修道女を連れて走って逃げることは難しいが、幸い女を犯すことしか脳にない猿を撒けたようだ。

 

流石にここまで来れば追いかけて来なかったらしく、10分間全速力で走り回ったせいか安心するとどっと疲れが押し寄せてきた。

すると、手の甲に鋭い痛みが走り、力が弱まった隙に強く振り払われた。

誰の所業化は言うまでもない、修道女だ。

 

「Let's me go !!(離して!!)」

「いってぇ!What's doing !?(何しやがる!)」

 

痛みの正体は修道女による引っ掻き傷であった。爪で強く引っ掻いたのだろう、手の甲に血が滲んでいる。流石の一誠も思わずキレた。

対する修道女は猫のようにフーフー息を吐いて兵藤一誠を睨みつけている。

手の甲を引っ掻いた為余計猫のように感じる。下手をすれば何処ぞの小猫より猫らしいかもしれない。

 

「That's my line !! What's your calculation! ?(それはこちらのセリフよ!貴方こそなんのつもり!?)」

「I helped you !! If I didn't run with you , you must be raped !!(俺はアンタを助けたんだよ!!もしあの時アンタを連れて走ってなきゃ、今頃マワされてたんだぞ!!)」

 

いきなり手を掴んで引っ張り回す男を警戒するのは致し方ない事であるが、英語が得意ではない兵藤一誠が事情を詳しく手短に説明するのは無理がある。

というか、そんな事してたら確実に猿共から絡まれていた。

結果的に派遣先の教会に着いているのだがその事に気が付いていないらしい。

 

「You helped me !? Huh !! You look heel !!(私を助けた?ハッ!!貴方も卑劣漢に見えますけど!?)」

「んだとこのアマ!!」

 

両者の言い争いはヒートアップしていく。互いが口汚く罵り合おうとした直前、思わぬ人物が乱入してきた。

 

「It's too noisy!! Shut Up fuck'in childre………oh,……Ms.Asia!?(うるっせぇんだよ!!静かにしろ糞ガキど………アーシアちゃん!?)」

「Mr.Freed!!(フリードさん!!)」

 

白髪の少年が教会から顔を出し、こめかみに青筋を浮かばせて2人を怒鳴りつけた。

兵藤一誠は英語に疎いが、少年の姿を見た瞬間修道女が嬉しそうな顔をし、対する少年の方が驚いた顔をしているのを見て2人が知り合いである事を理解した。

 

「知り合いなら迎えに行ってやれよ……」




原作のアーシアってイッセーと初めて会ったとき悪魔と気が付かなかったんですよね、つまりアーシアには悪魔を識別する能力はないんじゃないでしょうか。

ディオドラがどうやって接触したか、生憎筆者は漫画で追っているのでいまいち分からんのですが、羽根を隠して近づいたとしたらアーシア人間だと思っても仕方ないのかなって。

それでディオドラの傷癒した後に悪魔って分かってアーシア糾弾するよりガバ警備の方が問題じゃないのかなぁ………と思ったり。

そういや関係ない話ですけど、昔魔女と認定されたら拷問に掛けたりしていましたよね。
聖剣計画やらシグルド機関やらやらかしている教会……魔女認定された美少女を前に本当に何もしなかったのですかね………?

さて問題!!オリ主君が貰った特典は幾つあるでしょーか!!

①,うるさいバカ、そんな事より無能姫だ!!
②,うるさいバカ、そんな事より無能姫だ!!
③,うるさいバカ、そんな事より無能姫だ!!
④,無能姫のバカは何処におるーっ!!!!!


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