2度目の人生くらいは平和に贅沢に過ごしたかった (はやく転生したい)
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リリなの

よくあるテンプレ転生において、神様的な存在から何かしらの能力を貰える際、抽象的な伝え方をすると拡大解釈でチート級の能力になる、なんて事を生前のオタ友の久保田君が言っていた。

 

では、明確に伝えたらしっかりその能力が貰えるのかと言えば、100%確実ではない。その例が、自分こと義留 黄金(よしどめ こがね)だ。

 

広く浅くがモットーな自分は、アニメもゲームも詳細情報や裏設定や後日談等はあまり目を通さず、1度クリアしたり本編を見たら興味がかなり薄れてしまう。

 

なので、いざ転生という時に、楽して贅沢に生きたい、つまり原作ストーリー、原作キャラクターに関わらず平和にまったり過ごしたい、と強く思った。

原作ブレイク出来る程の知識は無いし、万が一他の転生者に会うことがあれば十中八九面倒この上ないからである。

 

前置きが長くなったが、自分が要求した能力を紹介しよう。

 

要求したのは、東方Projectの因幡てゐ、犬走椛、ナズーリン、寅丸星の程度の能力だ。

それぞれ、他者を幸せにする程度の能力、千里先まで見通す程度の能力、探し物を探し出す程度の能力、財宝が集まる程度の能力である。

色んな意味で不幸であり、眼鏡が無いと家の中すら歩けず、日に数度物を失くし、贅沢は敵だと教育された、そんな生前が、前述の能力を欲した背景なのだが・・・

 

 

ーーーーーーー

 

 

「一体どうしてこうなるのやら・・・まぁ遺伝と言えばそれで終わりなんだけど」

 

朝目覚めて顔を洗う際に鏡を見る度に映る、金髪紅眼の整った、かの有名な英雄王様そっくりの顔。

母親がめちゃくちゃ美人(簡単に言うと女体化英雄王様、転生者ではない)なので、そっちの血の影響をかなり受けた結果なのは間違いない。

 

「そろそろ家を出るか、講義に遅れる」

 

朝食の栄養ブロックを野菜ジュースで流し込んで一人暮らしのマンションを出る。金色のボディにアクセントの翡翠色が眩しい、サイドカー付きに改造したバイクに乗り、大学を目指して走る。

 

「今日もよろしく、ヴィマーナ」

 

ヘッドライトがパッと点滅した。

 

 

ーーーーーーー

 

 

講義が終わり、レポートの作成のために図書館へ向かう。

目当ての本を3冊ほど、いつも座る席へと置き、さて始めようかというタイミングで、後ろから声をかけられた。

 

「コガネさん、今日は会えたなっ」

 

「お、はやてちゃんか、5日ぶりくらいだね」

 

振り返ると、図書館でよく遭遇する八神はやてちゃんだった。以前変な子供に絡まれているのを助けてあげてから、随分と自分に懐いてくれている、関西弁で茶髪の車椅子少女だ。

 

 

 

お気づきだろう、自分が転生したのは、リリカルなのはの世界だ。

 

絡まれていたところを助けたのも、人として一般的な感性を持っていたからであり、自己紹介されてようやく原作の重要キャラクターだと思い出した程である。

 

さらに、あの時絡んでいたのは、自分と同じく転生者なのではないかと、しばらくしてから思い至った。

なにせ、初対面で名前呼び、やたら触れ合おうとする、行動を把握している、住所を知っている、個人情報を知っている、やたら尊大、不自然に顔立ちが整っている、変な髪の色、エトセトラエトセトラ・・・役満だ。

 

結局、司書さんに目配せして警察に電話した後、転生者君の親も呼び出されて説教、二度とはやてちゃんに近付かず関わらない、という条件で事件は解決(?)した。

 

ちなみにその時恐怖で泣いていたはやてちゃんを抱きしめて慰めてから仲良くなり、都合が合えば、はやてちゃんをサイドカーに乗せてドライブに連れていく程度には交流を深めている。

 

 

 

「コガネさん、今日の夜、空いてますか?」

 

他愛のない会話をしながらマルチタスクで調べ物をしていたが、一旦手を止めた。こういう話題はしっかり聞くのが大切だ。

 

「空いてるよ、どうかしたかい?」

 

「明日、ウチの誕生日なんです。よかったら、一緒に家でお祝いしてほしいな、って・・・」

 

「勿論。なら、ケーキを買わないとね。どうせならチキンも買うかい?」

 

「あはっ、それ、コガネさんが食べたいだけちゃうか~?」

 

「あはは、ばれちゃったか」

 

そんな風にちょっとふざけながら、本を片付け、彼女を家に送り届けた。一度荷物を置きに帰ろうとしたところで、一瞬視線を感じた。

気付かないふりをして千里眼で確認、たしか原作にもいた何とか中将の使い魔の猫だと思う。魔力を持っているから野良猫とは一目瞭然だ。

おそらく自分のことを主に報告でもしているのだろう、たしかはやてちゃんの持っているデバイスをはやてちゃんごと封印するのが目的だったはずだし。

 

「こうなると、原作知識が朧気なのは痛いな・・・そもそも関わるつもりもなかったし・・・てかはやてちゃん誕生日ってことは、2期の原作開始か? 仕込みが上手くいっていれば問題は無いんだが・・・」

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「はやてちゃん、ハッピーバースデー」

 

「えへへ、1日早いけど、ありがとうなぁ、コガネさん」

 

はやてちゃんの家でささやかな誕生日パーティーを行い、はやてちゃんの手料理に舌鼓を打ち、誕生日プレゼントを渡し、疲れて眠ってしまったはやてちゃんをベッドに寝かせ、部屋でその時を待つ。

日付が変わり、例の本が輝き、守護騎士の4人が膝をついて現れた。

 

「お前達は、その本の守護騎士、で合っているか?」

 

「はっ、その通りで御座います」

 

自分の問いにポニーテールが顔を上げずに答える。どこか緊張した声色だ。

・・・まぁ、自分が英雄王(ギルガメッシュ)モードと名前を付けている、所謂カリスマ全開真面目シリアスモードだからなのだが。

 

(オレ)はコガネ、この子の保護者のような者だ。1階に来い、はやてを起こすのは忍びない」

 

そう言って先導して、1階のリビングに集まると、フローリングに跪いた4人のリーダーらしいポニーテールが口火を切る。

 

「高貴なる方よ、我等は主と貴方に一切の敵対の意思がないことを御理解して頂きたい」

 

「そのくらい疾うに解っている、そこまで硬くならずともよい」

 

そのまま視線で促して正面のソファに座らせる。

 

「改めて自己紹介だ。(オレ)の名はコガネ、最古にして最高の王の血を引く者。まぁ、現代ではごく普通の人間だがな。お前達は?」

 

そのまま4人の自己紹介を聞き、一番重要な事を聞いた。

 

「そう云えば、管制人格は出てきてはおらぬ様だが?」

 

「主が眠っております故、負荷をかけぬ為にデバイス内で待機しておりますが、我等を通して状況の把握はしております」

 

「そうか・・・」

 

賭けには勝った、原作ブレイク出来ていたようだ。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「ふぁ・・・コガネさん、おはよう」

 

「おはよう、はやてちゃん。顔洗って目が覚めたら少し真面目な話をするからね」

 

真面目な話ってなんやろ? ぼーっとした頭で考えながら顔を洗ってリビングに向かう。

 

「さて、まずは信じられないような話からしていこうか。質問は最後に纏めてでお願いね」

 

そう言ってコガネさんが話すのは、本当に信じられないような話やった。

魔法がホントに存在して、世界は地球だけやのうて、コガネさんも魔法使いで(普通の魔法使いとは少し違うゆうとったけど)、私自身も魔法が使えて・・・

正直半信半疑やった。でもコガネさんが目の前でタネなし手品やったから信じるしかなくなった。

 

「さて、ここからが本題だ。さっき言った、はやてちゃんも魔法が使えるって話なんだけど。はやてちゃん、開かない本があるよね? アレがはやてちゃん専用の所謂魔法の杖だよ」

 

あの本が私の魔法の杖・・・

 

「そして、その本の主である魔法使いを護るのが・・・」

 

「「「「我等守護騎士(ヴォルケンリッター)、主はやての剣盾となり、身命を賭して御身をお守り致します!」」」」

 

「夜天の書、管制人格。主はやてに寄り添い、共にあります」

 

・・・パンクしそうや。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

結局、はやてちゃんは一度理解するのを諦めて、とりあえず現状を受け容れる事を選択した。

ついでに夜天の書が正式に起動した事で、上手く循環出来ていなかった脚の方の魔力回路が快復し、リハビリを続ければ完全に脚の麻痺は回復するという事を伝えると、予想はしていたが泣き出してしまった。

 

「落ち着いたかい?」

 

「ぐすっ・・・うん」

 

「よし、それじゃ、朝ご飯食べ終わったら引越しの準備し始めようか」

 

「・・・えっ?」

 

千里眼で確認したが、見張りは今この世界にいない。

管理局や他の原作キャラには余り関わりたくないので、さっさと雲隠れしようと思う。

幸いにも暮らしやすそうな無人世界を見つけたので、ほとぼりが冷めるまで隠れる予定だ。

 

「はやてちゃん達にはしばらく無人世界に隠れ住んでて貰おうと思ってね。あぁ、この家はこのままで大丈夫、管理はしておくから」

 

「えっ、どっ、どういうことや?」

 

「ハッキリ言っちゃうと、はやてちゃんは命を狙われてます。だから、どうにかするまで隠れててほしいってこと」

 

そう言いながら、使えそうな宝具を手元に呼び出す。

 

「それじゃ、ちょっと頑張ってくるね」

 

サイドカーに宝具を載せ、変装用の宝具を使用、ヴィマーナ(エンジン)に魔力を篭める。

 

「・・・子供は宝、大人の都合の良い道具じゃない。御先祖様、宝具(チカラ)を借りるぜ────」

 

 

 

 

 

 

俺の名前は義留 黄金、神様に貰ったのは、幸運(Fate)、千里眼(Fate)、黄金律(Fate)。オマケでそれを持つに相応しい素質。英雄王ギルガメッシュ(Fate)を祖先に持つ、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を受け継いだ、ごく普通の王様(子供好き)な人間だ。



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デレマス

────魔法────

 

現代社会を生きる社畜なオタクの身には、なんとも甘美な響きを持つワードだ。

ケアルで疲労回復、テレポで快適通勤、ヘイストで処理速度アップ、嫌味な上司にはバイオで腹痛食らわせる。

FFの魔法を例に挙げたが、DQでもいいし、それ以外でもいい、要は役に立つ魔法を使いたいのだ。

 

ちなみに童貞ではないので、そっちの意味で魔法使いにはなれない事を先に明記しておく。

 

何故こんな事を独白するかというと、なんと今流行りの神様転生に選ばれたのである。

死んだことはショックだったがどうにも思い出せないので、気持ちを切り替えて貰えるものの精査をしなければならない。

 

参考にと他の転生者が何を貰ったか教えてもらったが、9割テンプレ、1割ガチ勢といった感じだった。

 

そして悩み抜いた結果、魔法を使いたい、と要求した。

ただし、魔力を用いず、型に嵌らない、思い通りに使える独自の物が使いたい、と言った。

・・・贅沢? たしかに、異論は認める。でもよく考えてほしい。

 

魔力が必要→魔力を辿られて身バレする(かもしれない)

型に嵌る→アドリブに弱い(かもしれない)

思い通りに使えない→イライラする(重要)

既存の物→転生者バレする(確信)

 

ほらこんなもん。

 

神様にも若干呆れられたが、最終的には問題無く転生を行えた。

 

・・・自分で要求しておいてなんだけど、どんな魔法貰えるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

────カタカタッ、タンッ

 

「ふぅ・・・レポートはこんなもんか」

 

ようやく調査アンケートが挙がってきたので、次の商品開発で参考にする為にレポートを纏めていた。外を見たらもう暗い、道理で腹も減る訳だ。

 

「この時間なら、あそこかな」

 

偶然見つけた、近所の居酒屋。運が良ければ、よく来ている彼女達にも会えるかもしれない。

事務所を出てしばらく歩き、目的の居酒屋に着いた。扉をくぐると、カウンターに見覚えのある後ろ姿を見つけた。

 

「こんばんは、今日は1人ですか?」

 

「ん? あら、博士じゃん! 奢って!」

 

「まぁ1杯くらいならいいですけど・・・もう大分酔ってますね、早苗さん」

 

元婦警、現アイドルな片桐早苗さん。お酒(特にビール)が好きということもあって、よくこの居酒屋で遭遇する。

職業柄、芸能人、特に役者さんには知り合いが多い中、懇意な芸能事務所に所属している彼女とは、特に仲が良い。

 

「そういえば、手錠と十手はどうですか?」

 

「いい感じよー! おいたした子をとっ捕まえる時に助かってるわ! 強いて言うなら、ワイヤーの巻き取りの速さを調節出来たら嬉しいわねー」

 

「成程、今度持って来てください」

 

そんな会話をしながらお互いジョッキやグラスを空け、それが2つ3つと増えていく。

早苗さんは案の定ぐでんぐでんになってうとうとし始めたので、2人分の支払いを済ませ、タクシーを呼んで彼女の自宅へ向かう。

タクシーが止まる頃にはすっかり寝入っていたので、合鍵でドアを開け、そのままベッドルームへ向かい、優しく寝かせて薄手の毛布を掛ける。

 

「・・・もしもし、今大丈夫ですか? さっきまで早苗さんと呑んでいて酔いつぶれてしまったので、彼女の自宅に寝かせてます。明日の朝、一応モーニングコールしてもらっていいですか? ・・・はい、ありがとうございます、では失礼します」

 

彼女のプロデューサーに連絡し終え、一応メモ書きを残し、鍵を掛けて彼女の自宅をあとにする。

 

「・・・飲み足りないし、新しいお店の開拓でもするか」

 

明日は特に仕事も用事も無い、偶にはこういうのもいいだろう。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

カタカタカタカタ・・・

 

「・・・あー疲れた」

 

数時間もモニターとにらめっこしていると、流石に飽きと目の乾きがやってくる。

・・・気分転換に開発の続きでもするか。

 

「今途中なのは・・・千佳ちゃんにお願いされたステッキと、光ちゃんにお願いされたベルトと、奈緒ちゃんにお願いされたスカウター・・・結構溜まってたか、パパっと済まそう」

 

ステッキとベルトに関しては、デザイン通りに雛形は作ってあり、後は材質だけって所で止まってた。子供が使う事を考慮して、軽くて丈夫で色のムラや剥がれが無いような特別な合金を使い、センサー類を色々仕込んで完成。

スカウターは、あくまでも個人使用を念押しして、そっくりに完成させた。

 

「届けに行くか・・・どうせならそれっぽく渡してみたいな、協力者を募って仕込むか」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「全くもう、プロデューサーったら、世話が焼けるんだから!」

 

「でも梨沙ちゃん、なんだかんだ言ってお手伝いするんだよね!」

 

「だな、世話焼きだよな」

 

「うるさいわよ、千佳、晴!」

 

さっきプロデューサーくんに、梨沙ちゃんと晴ちゃんと、倉庫から小物を探してきてほしいってお願いされちゃった。

何処にあるのかな〜?

 

『・・・聞こえますか・・・』

 

「・・・? 梨沙ちゃん、何か喋った?」

 

「何も言ってないわよ。ったく、何処にあるのかしら・・・」

 

「じゃあ晴ちゃん?」

 

「ん? 何も言ってないぞ?」

 

ゼッタイ何か聞こえたんだけどな〜・・・?

 

『・・・私の声が聞こえますか・・・』

 

!! やっぱり!!

 

「何処? 聞こえるよ!」

 

「ちょっと千佳、何が聞こえるのよ」

 

梨沙ちゃんと晴ちゃんには聞こえてないんだ・・・!

 

『・・・こちらです、木箱の中です・・・』

 

「こっちかな・・・」

 

倉庫の奥に進むと、ダンボールに混ざって、ひとつだけ古い木箱があった。多分この中だと思う。

 

「よし、開けよう・・・くしゅん」

 

埃が舞ってくしゃみが出ちゃった。中を見てみると、布で包まれた何かがある。

 

「何だろう・・・わぁっ!」

 

ゆっくり布をめくったら、少し汚れちゃってるけど、アニメで魔法少女が使ってるみたいなステッキがあった!

 

「私、魔法少女になっちゃった・・・!」

 

「あー・・・千佳、感動してるとこ悪いけど、全部仕込みよ」

 

・・・・・・

 

後ろを向くと、困った顔の梨沙ちゃんと晴ちゃん、扉の所にプロデューサーと博士のお兄ちゃんが覗いてた。

 

「千佳ちゃん、頼まれてたステッキ、遅くなってゴメンね。それとさっきのステッキの声は、中に入ってるスピーカーから出てる音だから、千佳ちゃん以外にも聞こえるよ」

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

千佳ちゃんを拗ねさせてしまったので今度お詫びすることを約束し、光ちゃんと奈緒ちゃんには普通に渡した。

2人とも満足してくれて良かった。

 

「教授! 今大丈夫だろうか?」

 

「お、晶葉ちゃんか。何か質問かな?」

 

「うむ。今進めているロボの機構が難航しててな・・・」

 

声を掛けてきたのは池袋晶葉ちゃん、私の事を教授と慕ってくれているアイドルの1人だ。

 

「そこは・・・こうで・・・こうはどうかな?」

 

「ふむ、となると・・・こうなって・・・」

 

前世からは考えもつかない、専門用語が飛び交うハイレベルな会話は、正直今でも自分の気がしない。

 

「・・・成程、やはり別の視点からの意見は重要だな。こんなアプローチがあったとは」

 

「晶葉ちゃんなら私に聞かずとも気付いたよ」

 

「ふふっ、教授にそう言われると照れてしまうな」

 

普段の得意気な発明家の表情から、頬を染めた年相応の少女の表情に変わる。

開発室に徹夜して2人で泊まった事が何度もあるが、普段異性を感じない彼女が見せる異性の一面は、妙に頭の片隅に焼き付く。

・・・ロリコンの気は無い筈なんだが・・・

 

「・・・教授?」

 

「あぁ、ゴメンね、今度の仕事の事考えてぼーっとしちゃってたよ」

 

「今度の仕事? また何か無茶振られたのか?」

 

「いや、簡単だけど、なんとなくね」

 

「教授よ・・・仮にも女性と会話しているのだから、別の事を考えるのは失礼だぞ?」

 

「はい、申し訳ございません」

 

自分より一回り年下の子に説教されるとは・・・いかんな、この辺は前世と変わってない。

 

「罰として、今夜は私のラボに泊まり込みで開発だ、異論は認めないぞ?」

 

「了解しました、お姫様」

 

今日はこの前見つけた居酒屋で呑むつもりだったけど・・・また今度でいいか・・・

 

そんな事を考えていたからか、晶葉ちゃんの浮かべた怪しい笑みに気付くことは無かった。

 

 

 

 

 

 

────そしてこの時はまだ知らなかった。

 

晶葉ちゃんのラボにいたトラブルメーカーこと一ノ瀬志希が晶葉ちゃんと結託し、志希の特製無味無臭媚薬を飲まされ嗅がされベッドに拘束され、2人に襲われ、初めてを奪われ、責任をとるよう脅され、今後一生2人に首輪を着けられる事になるなんて・・・

 

 

 

 

 

 

────私の名前は叶 博士(かのう ひろし)、渾名はハカセ。

神様に魔法と称して貰ったのは、現代社会から見てオーバーテクノロジーの0.5歩手前の工学知識と技術。

マンガやアニメ(特にアメコミ)に登場した物の幾つかを現代の技術で再現して動画を投稿したり、映画や特撮の技術協力を仕事にしている。

 

ちなみに業界や掲示板では『魔法使い』などと呼ばれている。

・・・童貞は奪われたから、そっちの意味で魔法使いにはなれなくなったがな!



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