Fate/Force Order (ロベスピエール龍)
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最後のジェダイ
prologue1:クレイトの戦い


小説を投稿すること自体が初めてなので、至らない点もあると思いますが、宜しくお願いします。


序盤から、最後のジェダイのネタバレがあります。ご注意下さい。


遠い昔はるかかなたの銀河系で・・・

 

 

 

 

とある星のとある島で一人の男が最後の戦いに挑もうとしている。

この星のほとんどを占める広い海に浮かぶ孤島の崖の上。

座るために造られたような平べったい岩の上に居座っていた。

彼は確かにそこにいたが、彼の意識は遥か遠くのこことは別の星にあった。

 

 

惑星クレイト

 

それは白い塩が星の表面を覆う忘れられた鉱山惑星。銀河の平和のために戦うレジスタンスが圧倒的不利な局面を迎えていた。彼らを追いつめるのは銀河を恐怖と圧政で支配しようとするファーストオーダー。

レジスタンスの前身でもあり銀河に一時の平和をもたらした反乱同盟軍。彼らがかつてこの地に造った基地に皮肉にもレジスタンスの戦士たちは追いつめられている。

そして今、兵士たちはこの基地に残っている装備を探っていた。

 

 

「シールドを上げた。これで軌道上からは攻撃してこない。」

 

 

そう言ったのはポー・ダメロン中佐。レジスタンスきってのエースパイロットである。彼もまたここまでの道のりの中、大きく成長を遂げた男だ。整った顔立ちにパーマがかかった黒髪、紺色のジャケット、彼の黒い眼には、絶望的なこの状況の中でもあきらめの色はない。

 

 

 

「後は残りのパワーで外縁部へ救難信号を・・・」

 

 

「私のコードを使って。レジスタンスとの共闘を望む者がいるか最後の望みにかけましょう。」

 

 

ポーにそう提案してきたのはレイア・オーガナ将軍。実質、レジスタンスのトップに君臨している老年の女性だ。

白髪を一つにまとめた髪型に黒いドレス、威厳あるその出で立ちはポー達若き戦士を導いて来たことを容易に感じさせる。

そして他のレジスタンスの戦士たちもその望みに賭けることに賛同していた。

 

 

「ローズ、何か見つかったか?」

 

 

ポーは整備士のローズに話しかける。

 

 

 

「期限切れの弾薬に錆びた大砲。部品の欠けたスピーダーだけ。」

 

 

 

「そうか・・・あとは扉が持つことを祈ろう。」

 

基地には巨大な防護扉があり、いくら古い基地とはいえそう簡単に破壊されるようなものではない。

 

 

 

 

しかしその時 、大きな地響きが基地を揺らした。

基地を目指し前進を続けるファーストオーダーの四足歩行の巨大兵器、AT-M6ウォーカー。その部隊が基地を目指すのを、ストームトルーパーの脱走兵で今はレジスタンスの一員であるフィンがスコープで監視していた。

そしてウォーカー部隊の中央に、ウォーカーに比べ、やや大きめのキャノン砲を彼は見つけた。

 

「バッタリング・ラム・キャノンだ。デス・スターの小型版。こんな扉すぐ吹き飛ぶ。」

 

残酷な事実をフィンはポー達に突き付ける。彼は元ストームトルーパーだったので、ファーストオーダーの兵器には詳しい。

 

 

「なんだって?」

 

 

「裏にも出口はあるのよね?」

 

ポーとローズたちに焦りの色が見え始める。

 

「BB-8何か見つけたか?」

 

 

ポーは相棒であるドロイドに確認した。

 

 

「どうやら鉱山の概略図を調べていたようです。はい。脱出するには防護扉しかないと。」

 

 

その質問にプロトコル・ドロイドのC-3POが答える。

沈黙に包まれる。追いつめられ、ただでさえ危機的な状況の中で立ちはだかる問題に閉口せざるを得なかった。

戦士たちにあきらめの色が濃くなってきた時、フィンが静かに言う。

 

 

「大丈夫。同士がいる。レイアを信じる人々が信号に気づけばかけつけて来る。それまでの辛抱だ。」

 

 

圧倒的不利な戦い。つまり何時も通りだ。今までもそうしてきた。そして、ここまで勝ち残ってきた。。彼の言葉が仲間の心に火を灯した。その火が、やがて大きな炎となっていく。

 

 

 

「まずは、あのキャノンを潰す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やむなく、レジスタンス戦士たちは、戦闘準備に向かった。地上部隊はブラスターを持って地上戦へ、ポー、フィン、ローズたちスピーダー隊は古びたスキースピーダーに乗り込み戦場へ向かう。

スピーダー隊が並行してキャノンを目指す中、ローズが通信を使った。

 

 

「フィン!モノスキーにして。緑のスイッチよ。」

 

 

この惑星を覆う塩は衝撃を与えることによって、赤く変色するらしく、スピーダーが並走しながら赤い粉塵を巻き上げ疾走する。それは、キャンバスに絵を描く様であった。

 

 

敵の射程圏内目前でポーが全員に語りかけた。

 

 

「こんなポンコツだし勝算も薄いが、おいっ・・・なんだよ。」

 

 

スピーダーの底が抜けたのだ。それでも彼は呆れながらも続ける。

 

 

「がんばれよ。キャノンの始末をつけるまで死ぬんじゃないぞ。」

 

 

 

 

 

一方、ファーストオーダーのシャトルでは最高指導者となったフォースの使い手、カイロ・レン、そしてオレンジがかった茶髪にオールバックで整えられたいかにも軍人と然とした感じのハックス将軍がウォーカーを率いて基地を目指していた。

レンが最高指導者となったことでハックス将軍は彼の部下に成り下がるという屈辱を味わっていた。

 

 

 

「敵が13機接近中。片付けますか?」

 

 

操縦手が確認を取る。

 

 

「いや、鉱山の中の奴らを叩く。このまま進め。」

 

漆黒のマントと服に身を包んだ長い黒髪、黒い目、顔に傷のある男、カイロレンは指示する。

彼は自分を一度見捨てた父親ハン・ソロを殺した。そのことで大きく心を乱し、初めてライトセイバーを取った少女、レイに負けた。しかし、今度は違う。レジスタンスを、自分の母親であるレイア・オーガナ共々根絶やしにする。過去の自分、ベン・ソロと決別するため、そしてこの手で銀河を支配するために・・・。

 

 

 

 

 

 

 

そうして遂にクレイトでの戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

「怯むな!撃ち続けるんだ!」

 

 

前方と空中からの猛攻に塹壕の中から立ち向かう地上部隊だったが、戦闘機とウォーカー相手にブラスターを持った兵士と備え付けの旧型キャノン砲では、力の差は歴然だった。それに加えて、レジスタンスはここに来るまでに多くの犠牲を出しすぎた。

今では、百人いるかすら定かではない。

 

 

「皆固まるんじゃない!散開するんだ!」

 

 

ポー・ダメロン中将が率いるスピーダー部隊も巧みに砲撃を避けるが、数と武力に圧倒されていた。キャノン砲に到達する前に次々に撃墜されていく。

 

 

ローズが狙われ、もはやこれまでかと思われたが、そこに一筋の光が見えた。

突如、空から宇宙船が現れ、ファイターを撃ち抜いたのだ。

 

 

「やったぞ!レイが来てくれた!」

 

 

ミレニアム・ファルコン号

 

平べったい円形状で上部と下部にキャノン砲が備え付けられた無骨な船。コレリアンYTモデルの貨物船を改造した銀河一速いガラクタだ。今は亡き伝説の密輸業者であると同時に反乱軍の将軍であったハン・ソロの遺産。

 

 

 

その宇宙船はハンの相棒のチューバッカとフォースに目覚めた戦士であるレイに受け継がれ、今また希望の象徴となっていた。

 

 

「何してる!あのクズ鉄を叩き落せ!」

 

 

「全機、向かわせろ。」

 

 

父親の忌まわしい船が突如出現したことにレンは激高した。そんな彼を尻目にハックスは指示を出した。

 

 

駆けつけたファルコンの内部ではアストロメク・ドロイドにウーキー、人間の少女という個性的な者たちが世話しなくしていた。

 

 

「チューイ!奴らを引き付けて。スピーダーから遠ざけましょう。」

 

幼さが残っているが凛とした顔と、頭の後ろで結ったブラウン色の髪が印象的なレイ。

彼女はファルコンの下部にある銃座から通信機を使って提案した。

ファルコンはファイター部隊を引きつけるため、戦場から離脱し、入り組んだ山の方へと消えていった。

二人の活躍によって、戦闘機の脅威は消え去ったが、まだ、ウォーカー部隊とキャノン砲が残っていた。

 

 

「あれね。なんてでかいの。」

 

ローズたちの正面には地面に固定された無骨なキャノン砲が鎮座していた。

 

 

「装甲も分厚い。のど元に喰らわせるしかない。」

 

 

フィンたちがキャノンを目指す途中、キャノンも発射シークエンスに入った。

 

 

「砲口が開いてる。今がチャンスだ!」

 

フィンがそう合図を送るもウォーカーの総攻撃が猛烈に襲いかかる。

この状況でよく持ちこたえたが、兵力の消耗も激しく多勢に無勢。

 

 

「このままじゃ全滅する!全機撤退だ!」

 

 

ポーは撤退を命じた。しかしフィンが食い下がる。

 

 

「俺が突っ込む。ターゲット捕捉。射撃準備完了。」

 

 

「発射間際だ!自殺行為だぞ!戻れフィン!これは命令だ!」

 

 

「フィン間に合わない!引き返して!」

 

 

ポーたちと他のパイロットは基地に向かって撤退するが、フィンとローズはまだ前進を続けていた。

 

熱線がフィンのスピーダーのキャノンを溶かす。彼はここが自分の命の使い所だと思っていた。たとえ自分が死んでも、自分を拐った憎いファースト・オーダーに深手を負わせることが出来るならそれでいい。フィンは「生きては帰れない」そう悟った。

 

 

 

「行け!早く!」

 

ポーは基地手前でスピーダーを乗り捨て、塹壕で兵士たちの避難させていた。

 

 

二人の無事を確認する間もなく、ポーが避難すると、遂にキャノン砲が発射された。

 

防護扉は半壊した。恐らく基地に赴き直接、始末する為にわざと出力を下げたのだろう。

 

スピーダー部隊は辛うじて生き残ったポーと、その他数名以外は全滅した。地上部隊含め、レジスタンスの戦士は数えるほどになってしまい、すでに虫の息だった。

 

 

「ハックス将軍。前進だ。捕虜は要らない。皆殺しだ。」

 

 

ゆっくりと恐怖を味あわせるかのように基地を目指して前進するウォーカー部隊。

絶望はすぐそこまで迫っていた。

 

 

 

 

指令室は静寂に包まれていた。そんな折に通信係の報告が入った。

 

 

「救難信号が複数ヵ所で受信されましたが応答ありません。」

 

 

「悲鳴は聞こえても助けに来ない・・・か。」

 

 

 

一人の上官がそう口にすると、レイアが静かに語り始める。

 

「最後まで戦った。だけど銀河はすべての希望を失った。火花はむなしく消えていく。」

 

生き残った仲間は十数人。おまけに、将軍の口から自軍の死刑宣告をされればもうどうすることも出来ない。

 

 

 

 

 

 

誰もが希望は死んだと思ったその時、洞窟の奥から影が現れる。

目の前に現したその姿はフードを目深に被った紺色の質素な胴着の男だった。

 

 

3POやその他の高官が目を向ける中、レイアは目を見開いた。

 

 

何年会っていなくても不思議な力で通じ合っていた。唯一の血の繋がった家族。

フードを取った男はレイアに近づきフードを取った。座っている彼女をまっすぐ見据える。

彼が年老いたその姿でも確信できた。

 

 

 

 

 

「ルーク・・・。」

 

 

 

 




まだ、fgo要素皆無ですがもうしばらくお付き合いください。色々中途半端な省略したりしてますが、ご容赦願います。文章表現や話の展開、拙い部分沢山ありますが、とりあえず書いて、訂正していくスタンスでいきたいと思います。





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prologue2:対決

早く人理修復編に突入できるよう頑張ります。


「ルーク・・・。」

 

 

かつて銀河に平和をもたらすために戦った仲間であり、兄妹でもある二人は再会を果たした。思うところは双方それぞれにあったがルークにはうしろめたさがあり、ばつが悪そうな困った顔をしていたが、そんな空気を察してかレイアが口を開く。

 

 

「なんて言いたいかわかるわ。髪型を変えたの。」

 

「よく似合ってるよ。」

 

そんな彼女の冗談にルークは思わず苦笑いした。兄妹水入らずというわけではなかったが、二人の空間を邪魔する者はこの場にはいない。

そうして、空気が和んだからかルークは懺悔を始めた。

 

 

「レイア。悪かった。」

 

 

「いいのよ。わかってる。最後には戻ってくれた。嬉しいわ。」

 

彼は彼女にとって困った時には助けてくれる頼りになる兄だった。かつてのようにまた助けてくれる、銀河の希望になってくれる、そう信じてやまなかった。

 

 

「彼と対決をするためにここへ来た・・・。私では救うことはできない。」

 

 

「ずっと望みを持ち続けてきたけれどあの子はあちらに行ってしまった。」

 

 

レイアは息子を信じてきた。確かに邪悪な心も持ち合わせているかもしれない。でも、優しさがあった。人を思いやる心が。だが、こうして現実を突きつけられて妙に納得してしまった。本当は自分がそれをよく知っていると。

落ち込むレイアに彼はこう続ける。

 

 

「それでも…戻れない道はない。」

 

そう言って彼女の手を握り、ソロの形見のダイスを渡す。

最後にルークはレイアの額にキスをして去っていった。この時、彼女は彼の思惑を悟ったが彼を止めることはもうかなわなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャノンに溶かされた防護扉に向かって歩くルークをポーたちは見ていた。たった一人でウォーカーに立ち向かうのか、伝説のジェダイがどう窮地を切り抜けるのか固唾を飲んで見守ることしかできなかった。

 

 

「止まれ!」

 

 

レンは肉眼で基地の中から出てくる人影をとらえた。自分の叔父であり、師匠であり、自分を殺そうとした男。

忘れもしない憎きジェダイを見てこう告げる。

 

 

「ありったけの火力を集中してあの男を倒せ。」

 

 

それを合図にウォーカーが一斉射撃を始める。砲弾の衝撃によって地面が赤く染まる。次々に撃ちこまれる射撃で赤い粉塵が血しぶきのように舞い上がった。

 

 

「もっとだ!もっと!」

 

 

「もう十分でしょう。打ち方やめ!・・・ご満足ですか?」

 

ハックスが皮肉たっぷりに言う。

 

 

「奴にかまわず進みましょう。勝利は目前です。」

 

そう諭した時だった。

 

 

「閣下。」

 

 

操縦手の声掛けで正面に目を向けると傷一つ負っていないルークの姿があった。彼はこちらを見据え、肩の汚れを払うような素振りをした。

 

 

「下に降ろしてくれ。私が良しと言うまで攻撃は控えろ。」

 

 

「最高指導者。誘いに乗っては駄目です。我々の…ぐっ!」

 

 

「直ちに閣下。」

 

 

ハックスのように吹っ飛ばされたくなかったため、操縦手はすぐさまシャトルを降下させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、フィンとローズは辛うじて生きていた。キャノン砲発射直前にローズがフィンに体当たりする形で彼を守ったのだ。ローズは重傷を負ったものの、フィンは軽傷であった。ポーたちとともに一部始終を見守っていた。

 

「カイロ・レンだ。ルークが一人で対決を。」

 

 

「手を貸そう。行こう。」

 

 

「いや、待て待て。」

 

 

逸るフィンをポーが止める。

一方、ルークとレンは夕日を背景に向かい合っていた。

 

 

「俺を許すと言いに来たのか?俺の魂を救いに・・・。」

 

 

「違う。」

 

レンの問いにルークは拒絶の意を示した。

レンが赤い十字のライトセーバーを先に起動し、地面を力強く踏み込み剣先を斜め下に構えた。ルークもそれを追う形で起動させ、やや前傾姿勢になり、彼の父親の形見である青いセイバーを正面に構える。先手を打ったのはレン。ルークに向かって真横に切り込んだ。しかし、セイバーで受け止めることなく、軽くかわされ、続けざまに放った追撃も紙一重でかわされてしまう。

 

 

二人の戦いを見ていたポーは考えていた。

 

 

「彼には考えがあるはず・・・そうか、俺たちが逃げる時間稼ぎだ。」

 

 

「逃げる?一人で軍を相手にしてるんだぞ。俺たちも一緒に」

 

 

「駄目だ。俺たちはファーストオーダーを焼く炎を燃え上がらせるための火花だ。」

 

 

「彼は俺たちが生き伸びるようにああやってるんだ。」

 

 

ポーは自分が教えられたようにフィンに諭した。命を懸けてそれを教えてくれた今は亡きホルドーのように。

 

 

「どこか外へ通じてるはず。ルークはどこから入った?」

 

 

 

「あの・・・。図面にない自然の出口があると思われます。しかしながらこの坑道は迷路のように長く複雑で「静かにしろ。」私の計算では出口の見つかる確率は15428分の「黙れ。」・・・1です。」

 

早口でまくし立てる3POをポーは黙らせ、耳をすませる。

 

 

「何か聞こえないか?」

 

「私のオーディオセンサの波長外気は限られていますので・・・。」

 

「あぁ。もう、わかったよ。」

 

 

ポーと3POの気の抜けたやり取りをしていると、基地の中に居座っていた水晶質の毛を持つキツネに似たこの惑星固有の生物“ヴァルプテックス”が洞窟の中へと一斉に走っていった。

 

「どこへ行くつもりなんだ?」

 

ポーは不思議に思ったが、この星の生物なら何か本能的なものによって出口を見つけ出せるかもしれないと思った。そこに望みを託し、戦士たちに命じた。

 

「ついてこい。」

 

ポーは洞窟に向かっていくが彼に命令された途端、全員がレイアに振り返った。

 

「なぜ私を見るの?彼に続いて。」

 

彼女がそう言うと、全員が彼に続いていった。レイアは彼の成長をしみじみと感じたのであった。

 

 

 

 

 

 

ファルコンではファイターを片付けたレイとチューバッカはレジスタンスとの合流に向かっていた。

 

 

「R2。ビーコンの信号が増したならその辺りにいるはず。生体反応を探して。」

 

レイアから渡されたお互いの場所がわかる追跡用ビーコンを青いカラーのアストロメク・ドロイド、R2が解析し、居場所を割り出す。

そしてレイは山を登るヴァルプテックスの群れを見つけた。

 

 

「見つけた!チューイ、あそこ!」

 

ファルコンは急旋回し、山のふもとに着陸した。出口らしきものを見つけたが、たくさんの丸い岩が道を塞いでいた。おそらく彼らは向こうにいるだろう。レイは目を閉じて手を前に出す。

 

「岩を…浮かす…。」

 

今の自分に出来るかどうか、四の五の言ってる場合ではなかった。やるか、やらないか。仲間の命がかかっている。

レイの心に迷いはなかった。

 

岩は一つ一つが宙に浮かび、出口を切り開いた。

こうしてファルコン号の乗組員はレジスタンスと合流を果たしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

夕日が二人を照らしていた。

 

あれから勝負はつかずにいた。

ルークはライトセイバーを収め、こう告げる。

 

 

「私はお前を見放した。後悔してる。」

 

 

「あぁ、そうだろう!レジスタンスはおしまいだ。戦いも終わる。お前を殺せば最後のジェダイが死ぬことになる!」

 

レンは興奮気味に言う。ルークは落ち着き払ってこう続ける。

 

 

「素晴らしい。今お前が言ったことは全て間違っている。」

 

ルークの煽りとも取れる発言に顔をしかめた。

 

「今日再び、反乱軍が立ち上がる。戦いは始まったばかりだ。」

 

 

 

 

「そして私は最後のジェダイではない。」

 

 

レンは理解した。彼女が…。一度は自分とフォースで心を通わせたレイが自分の前に立ちはだかることを。

 

 

「あの女を殺す。お前も・・・全てを消す。」

 

 

「無駄だ。怒りで倒したところで私はお前から離れない。」

 

 

「お前の父のようにな。」

 

 

レンは激高し、ルークに突進しライトセーバーで切り裂いた。切り裂いたはずだった。振り向くと傷一つないルークの姿があった。まさかと思い、ルークに近づき、剣先で彼の心臓を貫いてみる。しかし、感触がなく、貫通した傷口から青白い光が漏れていた。まるで実態のないホログラムのようだった。

彼はフォースを使って幻覚を投影していたのである。しかし、これはかなり高度な技であり、使えばただではすまないことは、容易に理解できた。

 

「そんな・・・。」

 

レンから驚きの声が漏れる。

 

 

「また会おう。ベン。」

 

 

そう言ってルークの体はは消えていった。

 

 

戦場にはレンの怒りの咆哮がこだました。

 

 

 

 

 

水の惑星アク・トゥー。そこには力を使い果たし、倒れこんだルークの姿があった。

 

 

 

 

 

 

一方、合流を果たした戦士たちがファルコンに次々と乗り込む中、レイははっきりと感じた。ルークの強い思いをフォースを通して感じ取ったのであった。

 

 

 

 




次で終わる予定です。


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prologue3:受け継がれる思い

プロローグはこれでおしまいです。ここが一番書きたかった。


薄れゆく意識の中、自分の目の前に二つの夕陽が見えた。かつて若かりし頃、農場主の叔父と叔母と暮らしていたあの日。自分は辺境の星の農場で一生を終えることが嫌だった。宇宙への憧れは同年代の者たちと同じくらい強かった。

 

 

二つの夕陽を見て黄昏るのが決まりだった。やるせない気持ちがどうにかなるわけではないが、外の世界を感じることのできる唯一のものだった。

 

 

その荘厳で大きな存在の前では自分の無力さをより一層感じさせられもした。

 

 

そんな私が2体のドロイドに出会い、様々な人と出会いジェダイとして成長していった。大切な人の死、別れもあった。

 

倒すべき敵が自分の父親になったが最後には彼を救い、銀河に一度は平和をもたらした。

そのはずだったが、自分の過ちで大切な弟子たちを失った。

 

 

目の前の困難から逃げ、隠居生活を送っていた私を訪ねてきた少女、レイ。

 

頑固なところはグランド・マスターの元を訪れた頃の自分に重なった。

そしてむき出しのフォースの強さはかつての弟子、ベン・ソロを彷彿とさせ、恐ろしくも感じた。

 

 

短い間ではあったが、彼女との交流の中で、失いかけていたものを取り戻すことができた。偉大な師の助言で、なすべきことを見つけた。

 

かつてベン・ソロを失ったように、同じ過ちを繰り返さぬように。

 

次の世代に受け継ぐこと。知識も経験も、そして失敗も。

 

それが自分の役目となった。

 

 

それを果たした今、満ち足りた思いで、かつての夕陽を見ることができた。

 

 

あの子が、自分の後を担ってくれる。そして、フォースのバランスと銀河の平和をきっともたらしてくれる。彼女がベンを救うと信じて疑わない。

今の自分に思い残すことはなく、安らかな気持ちであった。

 

目まぐるしく変化する人生ではあったが、それと同時にかけがえのない守るべき者もたくさんできた。

 

無鉄砲なプリンセス。悪党であり親友、その毛むくじゃらの相棒。陽気なギャンブラー。2体のムードメーカー。同じ隊で宇宙を駆けた心優しきパイロット。様々な人物の顔が浮かんでくる。

 

 

心残りはあったが後悔はなかった。

 

そうして、夕陽を真っ直ぐ見つめて座る彼は静かにフォースと一体化し消えていった。

 

 

こうして、ルーク・スカイウォーカーは逝ったのである。

 

 

 

 

ファルコンはハイパースペースに入っていた。生き残った者は数十人にも満たないが再会を喜んでいる。

 

「あぁカイ。」

 

 

ポーは親友と生きている喜びを分かち合う。

 

 

 

「チューイ。どうなることかと思った。」

 

 

レイアとチューバッカも。

 

 

「友情っていいね。」

 

 

R2と3POも。

 

 

フィンは自分の間違いを正し、その代償として重症を負ったローズを優しく見守っていた。

そんな彼をレイが横目で見ていた時、

 

 

「やぁ。俺はポー。」

 

 

「レイよ。」

 

 

「知ってる。」

 

 

初対面ではあるがお互い噂は耳にしていた。方やエースパイロットに方やフォースの使い手。これからともに戦う仲間になることは間違いない。二人は笑顔で握手を交わした。

 

 

 

仲間たちとの再会を終えると、レイはレイアに話しかけた。

 

 

「ルークが逝ってしまった。感じたんです。でも、苦痛も悲しみもなくただ安らかに。」

 

 

 

「私も感じました。」

 

 

 

「これからどうやって反乱軍を再建するんですか?」

 

 

「準備は整っています。」

 

 

 

多くの犠牲を出したが、外縁部に散らばる仲間もいる。ゼロからのスタートになるだろう。これまで以上に厳しい戦いになるだろう。

 

 

 

戦いは始まったばかりだが、その続きは、そう遠くない未来また別の場所で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はだいぶ短かったですね。次回から人理修復編に入りますが、ストーリーを練らなければいけないので確実に更新速度が遅くなります。
しかも、諸機能を全然使いこなせていない。


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戦いの記憶
第零話:フォース・ゴースト


祝スターウォーズTVドラマ制作決定。
スピンオフの方が面白いとか言ってはいけない(戒め)




気が付くとそこにいた。

 

一面の青。海、いや、空を歩いているような錯覚。天も地も空だった。

 

 

 

~とある場所~

 

 

霊体化の手順はマスターから教わっていたが、如何せん聞いていた話と違う。

このような場所に呼び出されるのは本来の予定にはない。

 

霊体ではなく思念体であるが、テレポートが可能なため、試しに他の場所への移動を試みたが、不可能であった。意図的に阻止されているようにさえ感じる。しかし、辺りに人の気配はない。

そしてもうひとつ気がかりなのは、この場所からはフォースを感じるのだ。それも、異質なものだった。ライトサイドやダークサイドと言った枠組みには収まらない。ましてや、本当にフォース・エネルギーなのかも怪しい。

 

 

今いる場所がフォースの冥界とは考え辛い。確かなのは、命を失った私が真っ先に辿り着いた場所ということは生命は存在しないだろうということだけ。

 

 

どうしたものかと考えていると、突然、自分のいる空間が宇宙空間に変わったのだ。上も下も境は無く、足場も見えない。どこの宙域かもわからない。

 

 

「ふむ…。何が始まるのかな…。」

 

まるで何か試されているようだった。どんな意図があるのかはわからない。だが、自然現象でないのは明らかだ。

これには何かの意思があるのを感じた。

 

そして…

 

 

「これは…。」

 

見たことのある光景だった。一度だけではない。何度も見たことがある。いきなりワープが始まり、あっという間にハイパースペースに入ったのだ。生身ではなく思念体だが、体を超空間に放り出されたことに少し違和感を感じる。とは言え何十年も見ていなかった光景、久々に見る光景。まさか、昔言われた通り本当に放り出されるとは思ってもいなかったが。

 

しかしそれもほんのわずかな出来事だった。ハイパースペースを抜けると目の前に青い惑星が迫った。

決して大きくはない、地表を海が多く占め、多少の雲とまばらな陸地が見える星。

 

記憶の中から見つけ出そうとするが覚えがない。初めて見る星だ。ナブーやキャッシークのように自然があるようだ。人工物も見えるので知的生物が住んでいることが確認できる。

 

目の前にある惑星の観察を一通り終えると、今度は自分が落下するように惑星に急接近を始めた。

 

 

あっという間に大気圏に入り、地表が姿を現した。吹雪が吹き荒れる雪の山。そのくぼみに無機質な輪状の建物が半分だけ雪崩にあったような形で佇んでいた。よく見ると建物の周りには小さな施設のようなものがいくつかあり、輪状の建物を中心にして、通路で繋がっている。周りが雪山の中、建物は一際目立っていた。

 

そして、宙に浮いていた私の身体は静かに地に足をつける。

 

すると突然、天地がひっくり返るように自分のいる空間が歪んだ。

空間にできた渦のうねりが止むと私は通路の真ん中に立っていた。

 

何かの研究施設だろうか。内装は薄い青緑色の清潔そうな通路が自分の目の前に続いていた。どうやら、個室もあるようだ。

 

辺りを調べてみようかと考えていると、突然、爆発音が轟き、建物を揺らす。遅れてけたたましく警報が鳴り出す。

 

私は大勢の人間の悲痛な声を感じ取った。以前の自分ならこのまま行くべきか戸惑っただろうが思念体である今、できることは限られる。直接手助けすることは難しいだろう。出来ることは起きていることを確かめるだけ。

 

私は人々の苦しみを感じる場所へ進んで行った。

 

 

 

━━━

 

辿り着いた場所は爆発に巻き込まれたようなありさまだった。周りは炎に包まれていて生存者も見つからない。

 

さらに進んだ先には黒く染まった惑星の模型を中央に構える大きな空間があった。そこはまさしく地獄絵図だった。人が入ったカプセルが散乱する中、桃色の髪を持つ少女が息絶えようとしていた。

 

彼女は下半身を建物の瓦礫で潰されていた。

一緒にいた赤髪の少女は涙をこらえている。もう助からないということを悟ったのだろう。

 

「先輩…手を握ってくれますか?」

 

「…うん…」

 

 

息絶え絶えに言う少女。

一瞬悲しい表情になるが、笑顔を作りそれに答える赤髪の少女。

 

映像はそこで終わる。

すると突然、空間が捻れる。

 

そして次に映し出されたのは炎に覆われる町。その中で人が戦っていた。

 

無数の骸骨を盾でなぎ倒していく桃色の髪の少女。見覚えがあった。さっき瀕死の状態だった彼女だ。

他にも不思議な力を使う青髪の青年。非戦闘員だと思われる幼さの残った白髪の女性。

 

骸骨の形をした異形の物と戦闘を繰り広げていた。

すると盾の少女に加えて、また見覚えのある人物を見つけた。

瀕死の少女を看取っていた赤髪の彼女。周りの戦士たちは彼女と白髪の女性を守りながら骸骨たちを次々と粉砕していった。

 

自分が何を見せられているのか、いまいちよくわからない。順を追っているなら重傷を負った盾の少女はあの状況から立ち直ったのだろうか。戦士たちの武装も戦い方も初めて目にするものだ。

 

 

 

すると、またもや場面が変わった。

黒い空が広がっている空間。周りは何もない荒れた土地で、さっきの少女たちが同じ方向に目を向けていた。

大きな崖の上に立つ黒い鎧の騎士。金色の髪に凛々しい顔立で禍々しいオーラを放ちながら見下ろしていた。

 

「そこの女。見覚えのある盾を使っているな。」

 

鎧の騎士が言葉を発する。

 

「貴様の力、推し量らせてもらう。」

 

騎士はそう言うと剣を構えた。

 

「先輩、所長。来ます!後ろへ下がって下さい!」

 

盾の少女が赤髪の少女と白髪の女性へ呼びかける。

そして大きく振りかぶり盾を構える。

 

「エクス・・・」

 

騎士は大きく剣を両手で掲げる。剣が黒いオーラを纏い始める。

騎士の身体が小さく見えるくらい刀身がオーラによって大きく膨れ上がった。

 

「カリバーァァァァ!!」

 

剣から衝撃波が放たれる。それは地を切り裂き、盾の少女へ向かっていく。

 

「ハァァァァァ!!」

 

少女は盾を構えているが、果たしてあの衝撃波を抑えることができるのか。騎士の力は強大すぎる。力の差は大きい。

 

衝撃波が少女に襲いかかる寸でのところでまた、あの青い空間に変化した。

 

一体、今までのは何だったのだろうか。あの少女たちはどうなったのか。見せれられた場面もあまりに断片的過ぎた。

 

そう考えていると、頭の中に何かが流れてくるような感覚に襲われた。

 

「なんだ…これは…。」

 

頭の中に次々と入ってくる。地球という星の人類、歴史、文化、そして魔術という不思議な力について。とにかく情報の量が多すぎてきりがない。

 

 

「ふむ…なるほど。」

 

入ってくる知識の量は尋常ではないが、まるで書物を読むかのようにすんなりと頭の中に入っていく。

 

わかったことは魔術という特殊な力が存在すること。さっき戦っていた青い髪の青年が、使っていたのがそれだろう。

 

そしてここからが本題だった。

人理継続保障機関、フィニス・カルデア、2016、 絶滅、英霊、霊子転移、聖杯探索、はじめて聞く単語も多くある。

 

 

だが、ようやく本筋が見えてきた。

さっき戦っていた戦士たちが英霊と呼ばれる存在であること、

非戦闘員だった赤髪の少女と白髪の女性がおそらくカルデアの人間であること、彼らは人類を守るために戦っていたのだろう。

 

2016年より先、人類に未来はない。

 

信じがたい話ではあるが、それを防ぐため、時を越えて歴史を修正する。そして歪みの元である特異点を消し、聖杯を手に入れる。

 

こんな話は銀河系の外れでも耳にしたことはなかったが、話は大体理解した。だが、私にどうしろと言うのか。

 

 

 

「スクッテ…彼らを…救って」

 

頭の中に語りかけてく声が聞こえた。

 

もやがかかっているように聞き取り辛いが、何とか断片的には聞こえた。

 

「存在するはずのない…未知の…脅威がやって来る」

 

ただならぬ事態であることは明らかだ。平和が、生命が脅かされている。下手をすれば星が一つ消えることになる。もしくはそれよりも恐ろしいことになるかもしれない。

 

だがどうする。霊体なったとしても出来ることには限りがある。彼らを導く手もある。しかし、フォースに目覚めた、あの子を見守る役目もある。

 

「あなたの力を借りたい。フォースの思念体である、あなたをサーヴァントにしたい。」

 

「あなたはイレギュラーな存在ではあるけれど、それが今なら可能です…。」

 

 

「あなた自身のコピーを取って座に登録する。サーヴァントになって、カルデアのマスターに力を貸してあげて。」

 

「あなたなら…できる。どちらも…きっと。 」

 

優しい声だった。それでいてはっきり聞こえた。自分を求める人がいるならそれに答えよう。

 

 

その決意に答えるように今度は自分の胸から光の玉が現れた。光はゆっくりと体から離れていき、青の空間を進んでいく。

 

 

「ルーク…また会いましょう。」

 

 

その言葉を最後に景色が切り替わる。

 

 

真っ白い世界。フォースの霊界だ。

 

さっきの青白い光からは自分と同じ力を感じた。それもそうだろう。声の主が言ったようにあの光の玉、いや、私は座に行ったのだろう。

 

 

「こればかりはあちらの自分を当てにするしかないか。」

 

 

しかしさっきの声は何だったのだろう。覚えはないが懐かしい声だった。

 

謎は深まるばかりだが、今やるべきことは霊体になる力を身に付けること、多少時間はかかるだろう。あらゆる空間に干渉する力を持つ霊体になればあの星にも行けるかもしれない。

声の主の言ったことが正しければまた会えるはずだ。

 

今、こちらの私はこちらの来るべき時に備えるしかない。

 

 

あの子(レイ)のことも気がかりだ。

 

 

 

 




ここまでの振り返り

・フォースゴーストを元にサーヴァントとしてのルークが創り出された。
・二人は別々に存在しているが、意識の共有ができる。
・フォースゴーストとしてのルークはレイを見守り、サーヴァントとしてのルークは人理救済に力を貸そうとする。
・二人とも見た目は同じ、エピソード789の晩年の姿です。
・ルークに語りかけた謎の声の主の正体とは…。





ゆりしぃ引退、eir復活、デレマス6th、とイベント盛りだくさんだったため、遅れました。謝りません。話の構成、進行に悩んでいるので、これからもバンサ並みのペースになると思います。


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第一特異点:邪竜百年戦争オルレアン
第一話:決死の召喚


特になし。
人理修復編。はーい、よーいスタート(棒読み)


 

 

chapterⅠ 邪竜百年戦争オルレアン

 

 

ルークスカイウォーカーはその生涯を終えた。

彼の意思はレイに受け継がれた。しかし、彼の物語はまだ終わらない。彼は謎の声の主に導かれ、英霊の座に辿り着いた。

フォースと一体化した彼の意思、すなわち、フォースゴーストからサーヴァントとしてのルークが創り出された。

彼は複製にあらず。分身である。

 

霊体となった彼はフォースの冥界に留まりレイを見守ることに。サーヴァントの力を得た、もう一人のマスター・スカイウォーカーは人類史の危機を知り再び立ち上がる。

そして今、サーヴァントのジェダイは異空間を進みながら、未知の世界へと召喚されようとしていた。

 

 

 

―――――――――­­­

 

 

 

 

私は宇宙のような異空間を進んでいた。しかし星は無く、代わりに周りには無数の幾何学の青白い線がほとばしっていた。

その中を猛スピードで突き進む。

 

 

謎の声の主が言った通りなら、私は召喚されようとしているのだろう。

 

彼女から与えられた知識は、にわかには信じがたいが、全く信憑性がないわけでもない。それに、助けを求められた以上、見過ごすわけにはいかない。

 

 

ただもう一つ気になることがある。

彼女の発言だ。

私にはどちらもできると言っていた。

カルデアのマスターに力を貸すこと、

もう一つはレイを見守ることを指したのか。

名乗っていないのに自分のことを知っていたことをふまえると、生前のこともある程度知っていたはず。

 

 

一体誰なのか、謎は深まるばかりだった。

 

 

だが、また会おうとも言っていた。いずれ会えるならその時に訪ねればいい。今はまだその時ではない。

 

レイのことも、あちらにはもう一人の自分がいるから大丈夫だろう。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

進み続けながら何処まで行くのだろうかと思っていると、明らかに異様な気配を感じた。

 

 

急に空間が歪みだし、自分から離れた場所に亜空間が出来上がる。かなりの大きさだ。

 

「何かが来る・・・。」

 

 

進むことを止めず亜空間から遠ざかっていく。今はカルデアのマスターと合流するのが先決だ。彼らが不利な状況にある以上、余計な時間を取る余裕はない。それにあれは、下手に関わっては良くない気がする。感覚(フォース)がそう告げていた。

 

 

 

 

そして、嫌な予感は的中した。

 

 

 

空間から何かが出て来る。その姿は正しく異形だった。肉の塊、それでいて一本の触手のようでいくつもの不気味な目がついている。それが五体も現れた。

 

 

 

怪物たちには、人間に似ている、片方が歪んだ、不気味な顔が埋め込まれていた。

 

 

 

「この顔…まさか…。」

 

 

 

 

この顔に思いあたる節があったが今はそれどころではない。

 

後ろから執拗に追いかけてくる姿から明確な敵意を感じた。

非常にまずい状況だ。1体ならまだなんとかなるが、この数を倒すのは容易ではないだろう。それぞれから禍々しい邪悪な力を感じる。

何より、ライトセーバーが・・・。

 

 

 

 

 

と思い腰のベルトに手を掛ける。あったのだ。

 

 

何故持っているのかと思ったが、今の自分はサーヴァントであり、与えられた知識によれば、使っていた武器などは宝具として本人に付与されるらしい。それがこれ(ライトセーバー)なのだろう。

 

 

セイバーのスイッチを起動する。起動音とともに緑色の光刃が柄から伸びる。

 

このまま放っておくのも問題ではあるが、今、相手をしたくないのが本音だ。

召喚前なのに倒されては話にならない。そもそもこの異形何処から来たのか、召喚される前に襲われるなどという例は聞いていない。ただのイレギュラーか、それとも何者かが私に差し向けた刺客ということになるのか。

 

そんなことを考えている間にも怪物たちはすぐそこまで迫っていた。内の1体が巨体に似合わないスピードでこちらに近づき、突進してきた。

 

ブウンッ!!

 

移動しながら、怪物をライトセーバーで切りつけ、牽制する。

 

 

 

「これは厄介だな…。」

 

傷ついた箇所がじわじわと再生を始めたのだ。傷は塞がれてゆき、そうしてたちまち元通りとなった。

 

 

このままでは埒が明かない。しかしそうはいっても、これ以上スピードを上げることが出来ないようだ。おまけに怪物たちもかなりの速度で迫ってくる。

 

ここは少しでも距離を離し、召喚を成功させるべきだ。これの相手はそれからだ。

 

あまり好ましい技ではないがやむ終えない。

ライトセーバーを右手に持ち、空いた左手を1体の怪物に向け、指先から電撃を放つ。

一点集中の攻撃ではなく、指先から出る電撃を拡散させることにより全体にダメージが行き渡るようにする。

 

 

「!!!!!!!!!!!!」

 

 

明らかに怯む様子が見られる。再生能力を持っていても痛覚はあるようだ。

 

怪物から距離を離す。これでこれで大丈夫だろう。そう思った時だった。

 

突如、怪物たちは一斉に眼球を増やし始めた。そして今度はその目が光りだす。

 

「焼却式…“〇〇〇”」

 

一瞬の出来事だった。

怪物たちから赤いレーザーが一斉に飛んできた。四方からの攻撃に避けることができない。

 

 

「グッ…!?」

 

 

何とか反応し、とっさにフォースで障壁を作り、致命傷を避けた。

 

 

実態のないフォース・ゴーストには生と死の概念はなく、倒されても蘇るが、召喚がかかっている今は倒される訳にはいかない。

 

 

怪物たちを倒せないことはないが、それには時間を要する。

 

どうするか、考えていた時だった。

 

 

怪物の一体がもうスピードで特攻を仕掛けてきた。そして、怪物の体から光が溢れ出す。

 

巨大なエネルギーいや、魔力が膨張するのを感じる。

 

次に起こることは容易に想像できた。

 

 

私は身の回りに障壁を張ると同時に、回避行動を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな爆発音と衝撃に襲われる。

 

 

 

「うっ…!!」

 

 

 

 

それでも、何とか衝撃を耐えきった。

 

再生能力を持っていても、木っ端微塵になる威力だ。

この怪物どもは、どんな手を使ってでも、召喚を阻止するつもりなのだろう。

その為なら特効も、自爆も、命も惜しまないのはわかった。

 

 

そんな怪物たちから怒りと恐れを感じ取る。私に対する感情だ。そうさせる何かがあるのだろう。

 

 

 

 

自爆した一体を除いて、残り四体の怪物たち。

 

今度は一斉に光り出した。一気に特攻して片付けるつもりだ。

 

 

私がこいつらから逃げ切り、召喚を成功させるのが先か、怪物たちが私を殺すのが先か、賭けるにはリスクがある。追いつかれることはなくとも、爆発の範囲内には充分、私を巻き込めるだろう。

 

 

 

迷うことはない。覚悟を決めた。

 

 

 

召喚は必ず成功させる。そして怪物たちの相手も私がする。

 

 

 

フォースに身を委ねる。私の記憶、私自身をフォースに託す。

 

霊基を元にそれそれを構築する。

 

 

「頼んだぞ…。(ルーク・スカイウォーカー)。」

 

 

私は手の中に光の玉を造り出し、それを遠くへ飛ばした。

 

 

彼ならやってくれる。今の私にはないものを持っているから。きっとやってくれるだろう。

 

 

 

 

××××××××××!!!

 

 

 

 

怪物たちがそれに気づき、光の玉を追いかけようとするが、電撃(フォース・ライトニング)でそれを阻止する。

 

 

 

 

×××××××!!

 

 

 

 

怪物たちの狙いが変わり、輝きながら接近してくる。

 

 

 

 

 

光の玉は遠ざかって行き、見えなくなった。時間は稼いだ。あの速さなら、もう大丈夫だろう。

 

 

彼ならやってくれる。今の私にはないものを持っているから。あとは任せよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「若きジェダイ・マスターよ。フォースと共にあれ。」

 

 

 

 

直後、眩い光と共に大きな爆発が起こった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

光の玉が空間を進む。

 

 

 

 

 

 

その先に別次元への穴が現れる。

 

 

 

 

 

 

迷うことなく、進んでいく光。

 

 

 

 

 

 

穴に近づくにつれて、速度が上がっていく。

 

 

 

 

 

 

吸い込まれるように穴に入ると、ワープに入ったかのようなスピードで勢い良く落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

大地に一本の光の柱が降り注ぐ。

 

 

 

 

 

光が消え、中から人が現れる。

 

 

 

 

ブロンドの髪。黒いローブと衣装に右手につけた手袋(グローブ)

ユーティリティ・ベルト、そしてブーツ。

 

 

 

 

全身黒尽くめな出立ちに、美しい顔立ち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに若きルーク・スカイウォーカーが降り立った。

 

 

 

 

 

 

 




ここまでの振り返り

・老年のルークは、自身の霊基を分離、己を犠牲にして、若き日の自分を召喚させることにした。
・若きルークはエピソード6/ジェダイの帰還のその後、肉体的にも精神的にも全盛期であるマスター・スカイウォーカーの姿で召喚された。
・老年のルークを襲った怪物の正体にも注目。


たまにでいいので、活動報告を是非見て下さい。解説などもやってます。
最新話投稿のお知らせ、詳しい日時など。
また、この小説では書ききれない裏話や解説を載せていきます。


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第二話:リヨンの街

前回までのあらすじ
・老年のスカイウォーカーは若き日の自分に全てを託して、彼を召喚する。
・若きスカイウォーカーがフランスの地についに降り立つ。





ー遡ること数日前ー

 

そこはある城の玉座の間であった。

 

座に佇むのは漆黒の甲冑に身を包み、病的なまでに色白な少女。

 

周りには統一感の無い、寄せ集めた様ないでたちの者たち。

 

各々が見据えるのは一つ。

 

座の前にいる一人の肥えた中年の男。

 

「お願いです助けて下さい何でもしますから。」

 

「いけませんわ、司教様。聖職者である貴方がそんな紙のような信仰では。」

 

少女は司教を嘲笑った。

 

 

「私が聖なる焔で焼かれたならば、お前は地獄の焔でその身を焦がすが良い。」

 

 

そうして男は足元から燃え上がった。

 

 

「ギャァァァァ!!アツイアツイアツイ!!アツイィィィ!!!」

 

 

 

「この世界の裁定者として、審判を下します。主の愛を証明できなかった人類に存在価値はありません。」

 

 

「恐ろしいまでに有罪です。人類は善人であれ悪人であれ平等である。」

 

 

「故ににすべて殺しなさい。ただの一人も逃すことは許されない。」

 

 

「老若男女の区別なく、異教信徒の区別なく、あらゆるものを平等に殺しなさい。」

 

「そして始めるのです。真の百年戦争・・・邪竜百年戦争を。」

 

 

 

ーーー

 

 

 

“僕”を包んでいた眩い光が消えていく。

 

 

辺りを見渡せばそこは草原だった。

 

そして空には光の輪、というよりはブラックホールのようなものがあった。しかし、この惑星が無事なので、違うのだろう。

 

このブラックホールもどきは後回しにしよう。

 

 

たった今“僕”は召喚されたのだ。老年期”の自分を犠牲にして。

 

聖杯の知識、これまでに起こったこと全ても、もちろん把握していた。

 

 

やることは決まっている。カルデアのマスターを探すことだ。

 

 

だがその前に、自身の身の回りを確認してみる。

「自身の宝具であるはずのフォースやライトセーバーが使えませんでした」では話にならない。

 

近くの小池で、自分の姿を写して見てみる。ブロンドの髪、青い目、見慣れた顔があった。

そして黒い衣装、右手にはグローブ。これらのことから、恐らくエンドアの戦いの後の私であることが伺える。腰のユーティリティベルトに手を当てる。そこには自らの手で作り上げたライトセーバーがあった。

 

試しに起動してみると、緑色の光刃が現れた。セーバーには特に問題はない。

 

 

そして近くの小岩に手をかざし、岩を浮かせる。

フォースも使うことができた。

 

フォースとはありとあらゆる万物に流れるエネルギーのことである。

人だけに限らず、岩や木、船など全てのものに宿っている。しかし、全ての生き物が、その力を使えるわけではない。とても神聖な力である。

無論、辺境の惑星、地球にも、フォースは存在しているようだ。

 

 

カルデアのマスターに会うこと。

 

 

そのために、まずは人を探すことから始めよう。周り一面が草原だが、少し離れた所に、嵐に襲われたかのような街が見える。そこから探っていこう。

ここはシラミつぶすに探して行くしかない。

 

そうして僕は廃墟とかした街へ向かった。

 

 

 

ーーー

 

街は・・・と言うよりそこはもう街とは言えなかった。

 

瓦礫の山を進んでいくと、人の形をした異形が多数蠢いていた。

 

 

 

 

 

「コロ…シテ。」

 

「いや・・・人なのか。」

 

 

しかし、見た目は傷んだ死体そのものだ。とてもどうにか出来るとは考えられなかった。

もう手遅れだろう。

 

 

「すまない。」

 

 

私はそう呟いて、セーバーで一人一人の首を刎ねていった。

死んでいるであろう彼らに出来る、これが精一杯の手向けだった。

 

 

私は簡易的ではあるが、火葬に取り掛かった。遺体を一箇所に集めて、手近な木を使い燃やした。

彼らが、少しでも安らぎをへられるようにと。

 

 

 

 

近くで瓦礫の崩れる大きな音がした。

 

 

「新手か…。」

 

 

息を殺し、音の方向へ向かうと、崩れかけた石造の城があった。

おそらくこの中に何かいる。僕は中へ進んだ。

 

 

 

長く薄暗い廊下を進み、広間に着くとそこには、傷だらけの男が倒れていた。

僕は治療の為に近づこうとするが、手には剣が握られており、容赦なくこちらへ切りかかってきた。

 

 

「こんな時に、また…。次から次へと。」

 

 

「待ってくれ。旅のものだ。危害を加えるつもりはない。」

 

 

対話を試みる。フォースを使わずともわかる。恐らく彼は…。

 

 

「嘘が下手なようだな。サーヴァントが旅をしているのか?」

 

 

自分が本能でサーヴァントを感知できるなら、他のサーヴァントができてもおかしくはない。迂闊だった。

マインド・トリックが通じるような相手でないことは明らかだ。ここは正直に話すしかない。

 

 

「そうだ。僕はサーヴァントで旅をしている。カルデアのマスターとやらを探している最中だ。それと盾を使う戦士もだ。」

 

 

彼は僕を見据えていた。

 

 

「僕はルーク・スカイウォーカー。ジェダイの騎士だ。さっき人型の怪物に襲われた。君は彼らにやられたのか?」

 

 

「いや、違う。あの怪物達は、このリヨンの街の人々だった。あれは彼らの遺体を元に造られたもの。私は彼らを守れず、竜の魔女の使役するサーヴァント達に深傷を負わされた。」

 

 

やはり人だったのか。更にそれを使役する者がいたとは。

 

 

「竜の魔女とは?」

 

「このフランスを壊滅まで追い込んだサーヴァントだ。サーヴァントでありながら何人かの強力なサーヴァントを従えて…くっ…。」

 

彼は苦痛に顔を歪めた。傷が痛むのだろう。彼の説明で大方の事情は読めた。

 

 

「教えてくれてありがとう。少し良いかな?」

 

 

僕は彼に近づき、彼の胸に手をかざし、そこから自身のフォースを流し込む。わずかながら、傷が癒えた。

 

 

「どうやらこれが限界みたいだ。あとは待つしかない。」

 

 

「この傷はただの傷ではない。呪いの類いのものだ。聖人のサーヴァントでなければ完全には治らない。この地にいるかどうかも怪しいが。」

 

 

「分かった。それじゃあその聖人とやらを探そう。こっちとしては協力したいんだけど、信用してくれるかい?」

 

 

男はまっすぐ此方を見ながら語る。

 

 

「すまないがルーク・スカイウォーカーという名前は聞いたことがない。怪しさしかない。」

 

 

その通りだ。私が彼でも同じだろう。

 

 

「だが、嘘を言っているようにも見えなかった。それに魔女の手下なら、もうとっくにやられているだろう。騎士というだけあって、君はなかなかの手練れのようだ。」

 

 

男は不敵に笑う。

 

 

「魔女に敵対するサーヴァントは多分まだ、他にもいるはずだ。仲間を一人でも多く集めよう。君の探しているカルデアのマスターとやらも、サーヴァントといるかもしれない。」

 

 

僕は肩を貸し、彼は立ち上がった。

 

 

「そうか、それじゃあよろしく。ところで君の名前は?」

 

 

 

「あぁ。すまない。俺は・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジークフリートだ。」

 

 

 

 

 

 

 

まだ聞きたいことがあったが、挨拶はこれまでのようだと悟った。 

 

 

 

 

 

直後、サーヴァントが近くにいるのを感じ取ったからだ。形容し難い禍々しい殺気。これが意味するのは、敵が来たということだ。

逃げるか、いや、間に合わない。怪我人を背負って逃げ切るのは厳しい。

 

それなら…。

 

 

「ジークフリート。その傷では戦闘はきついだろう。僕に任せて。」

 

 

「本音を言えば戦いたいが、すまない。自分の身だけは守るよう努める。」

 

 

「わかった。幸い、相手は単体のようだ。とりあえずここを出よう。戦いには不向きだ。」

 

 

そうして城を後にし、彼らは先程の街の中心へ向かった。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

彼らは街の中心へ辿り着いた。

 

 

周囲に瓦礫が広がる街の広場。

そこに長い爪、割れた仮面、白い肌の不気味な男が立っていた。

 

 

サーヴァントだ。

 

 

「君は何者だ?出来れば話し合いで解決したい。」

 

 

勿論、彼はそれが可能とは思っていなかった。

 

 

「対話など意味を成しません。今からここは竜の魔女の命により、私の絶対的支配下となる。」

 

男は自身を抱き締めながら、身体を捻る。

 

 

「ここは死者の蘇る地獄の只中。貴方はどうします?」

 

 

仮面の男は楽しそうに、そう尋ねる。

 

 

「街にいた異形の人々は君達の仕業かい?」

 

 

ルークはただ前を見据え、質問に質問で返す。

 

 

「左様です。私、オペラ座の怪人(ファントム・ジ・オペラ)の舞台に相応しい小道具です。」

 

対話は不可能と判断し、

ライトセーバーを起動した。

 

「気は進まないが、君の命を奪う。これ以上、人の命を奪わせない為に。」

 

 

「宜しい。舞台の幕開けです。」

 

 

男は細く尖った爪を武器に向かって来る。

 

ルークは大きく振りかぶり、ライトセーバーをスイングする。

 

 

「なっ…!!」

 

 

緑のセーバーは、ファントムの右手の爪を、五本全て切り落とした。

 

 

「どこか不思議な青年ではあったが、あのような光の剣を使うとは…。聞いたことも見たこともない。」

 

 

ジークフリートは瓦礫に背中を預け、二人の戦いを少し離れた場所から見つめていた。

 

 

 

「もう諦めろ。君の爪じゃ、このセーバーには太刀打ちできない。」

 

 

 

「いいえ。一度挙がった幕は、自分で降ろすもの。それが舞台の上に立つ者の義務です。それに私は魔女によって狂わされた。ここに来て、後戻りはできません。」

 

 

「そんな悲しい舞台、言われなくても僕が終わらせる。」

 

 

ルークは剣先を前に突き出し、突進していく。

ファントムも、犠牲者の死骸で創り上げたオルガンを出現させる。

 

 

「…。」

 

構わず進むルーク。

 

 

地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ)

 

 

ファントムはオルガンから衝撃波を放つ。

 

 

 

 

しかし、ルークの左手から放たれる緑のフォース・ライトニングで相殺される。

 

ルークはファントムに肉迫する。

ファントムも応戦し、残った左手の爪で斬りかかる。

 

 

ルークは身を屈めながら、流れるようにそれを避け、懐に入り込み、

 

 

 

 

そしてファントムの首を刎ねた。

 

 

 

 

 

 

「損な役回りだ…。全く報われない。だが…。務めは果たした。」

 

 

 

石や木材が散らばる地面に落ち、首だけになったファントムが消えかけながら語る。

 

 

 

「私の歌は途絶える。されど、地獄はここから始まる。」

 

 

「龍が来る!悪魔が来る!お前達の見たことのない邪悪な竜が!」

 

 

 

そう吐き捨て、ファントムは粒子と化して消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その直後、大地に凄まじい咆哮が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回の投稿もいつになるか不明です。気長に待っていただければと思います。


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