アマゾン・ストラトス (I S S E I)
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キャラクター紹介 設定解説[ネタバレ注意][修正・追加有り]

世界観

 

[トラロック]が行われてから一夏がアマゾンに成るまでの期間は3か月

 

織斑 一夏

 

第二回モンドグロッソの時、兄の身代わりに(されて)誘拐される。

 

監禁された場所は、野座間製薬のドイツ支部研究所[ノザマカンパニー]

 

一夏は生きる為、アマゾンに成る事を決意する。

 

偶然入った薬品保管庫で、アマゾン細胞が入ったカプセルとアマゾントライバーを発見する。

 

一夏は誘拐犯から奪った拳銃で鍵を壊して細胞とベルトを手にした。

 

そして細胞を飲み、アマゾンへと身体が変化していく。

 

その後、誘拐犯を殺して研究所を後にした。

 

研究所を出た処で、一夏の様子を(防犯カメラをハッキングして)見ていた束が駆け付けた事で再会。

 

そして束に連れられ、束のラボへと迎え入れられた。

 

それ以降、束のラボを拠点にアマゾンとして活動を開始する。

 

人を無差別に襲うアマゾンの他に(女性権利団体) (テロ組織) (密売組織) (悪徳権力者)等の人間を困らせる人間を狩り殺している。

 

特に、女性権利団体には容赦が無い。

 

そして、潰した組織の金は、女性権利団体に奴隷にされていた男達に治療費、生活費として渡して、余った分は束に渡している。

 

そんなある日、束が開発したIS(箒の専用機)に触れた瞬間、IS反応した。

 

それにより、一夏は束からテストパイロットに成る事を提案される。

 

すぐさま意図に気付いた一夏は承諾した。

 

そしてIS学園に転入した一夏。

 

此処からアマゾンとISの闘いの両立が始まる。

 

一夏はこの闘いを成し遂げられるのか?

 

 

アマゾン・Ζ(ジリオン)

 

変身者は[織斑 一夏]

 

パンチ力 35.5t

 

キック力 52.6t

 

身長 175.3cm

 

体重 104.6kg

 

走力 100m 2秒フラット

 

跳躍力 最大 75.8m

 

使用する格闘技

 

空手、合気道、カポエラ、裂蹴拳(れっしゅうけん)截拳道(ジークンドー)、マーシャルアーツ、etc

 

入門書やレクチャーDVD、束が開発したリアル体験シュミレーターを使って習得。

 

 

一夏の専用機

 

[地獄の狩人(ヘル・ハンター)]

 

腕と脚の装甲を強固にし、両腕には隠し武器で3枚のアームカッターを装備。

 

更にブースターは背面の翼、掌、肘、脚の裏に有り、全方向に瞬時加速(イグニッション・ブースト)が可能。

 

単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)

 

[狂神武闘(きょうじんぶとう)]

 

この能力が発動している間、打撃の威力が3倍、スピードが5倍に成る。

 

しかし、SE(シールド・エネルギー)の消耗が激しく、フル稼働は10分が限界。

 

更に能力を使った時のスピードは、普通の人間には対応不可能。

 

[アマゾン]だからこそ乗り熟せる機体である。

 

 

篠ノ之 束

 

IS製作者。

 

一夏とは幼馴染みで、一夏の初恋相手。

 

そして束自身も、一夏を異性といて意識していた。

 

春十の愚行を見て、いても立ってもいられず人参ロケットでドイツに急行。

 

着地地点で一夏と再会。

 

その後、束を追って来た亡国企業(ファントム・タスク)の構成員の女と遭遇。

 

一夏は束を狙う女に激怒し、アマゾン体に成った。

 

その変身を見て驚いている束にアマゾンに成った経緯を説明する。

 

その後、ISを纏った女と交戦。

 

一夏は圧倒的な強さで、女を文字通り瞬殺。

 

女を喰った後、一夏は決別しようと束から離れようとする。

 

しかし束がそれを阻止し、ずっと胸に抱えていた想いを一夏に告げた。

 

でも一夏は、種族の違いを理由に断った。

 

それでも束は引かず種族は関係無いと、一夏の存在を肯定。

 

それに一夏は心を打たれ、一夏も束への想いを証した。

 

それを経て、2人は晴れて恋人同士に成った。

 

その後、一夏の活動に協力して一夏の狩り対象の所在、情報をハッキング、クラッキングを駆使して集めている。

 

そして一夏に狩り対象の場所を教え、一夏を向かわせる流れに成っている。

 

 

そんなある日、一夏にISが反応した事を経て、一夏の専用機を作成。

 

その後、一夏を束のテストパイロットとして一夏をIS学園に入学させる。

 

 

織斑 春十

 

織斑家の長男。

 

趣味はボードゲーム。

 

(チェス) (オセロ) (囲碁) (将棋)

 

特に好きなのがチェス。

 

性格は傲慢且つ事故中心的。

 

努力と言うモノを一切せず、自分の才能だけで何でも熟せると信じて疑わない。

 

それでいて追い抜かされる事を心底嫌っている負けず嫌い。

 

その為、努力家の一夏の邪魔をしたり、一夏の成果を横取りするなどして一夏を蹴落としている。

 

その上、姉の千冬が仕事で家を空けている間に、一夏に暴行して優越感に浸っていた。

 

更には、町に蔓延るヤンキーや不良にお金を払い、一夏をサンドバックにさせるなど、異常としか言えない虐めを繰り返していた。

 

その理由が、[生まれた順でランキングされなければならない]と言う思想の下でだ。

 

その思想(我が儘) 故に、一夏の成長が当人は我慢ならない。

 

それでも努力を怠らない一夏を煩わしく思っていた中、第二回モンドグロッソの日、(偶然)誘拐の標的にされた春十は、一夏を身代わりにして厄介払いする事を思い付く。

 

そして見事に厄介払いする事に成功したかに思えた。

 

しかし、一夏はアマゾンに成って生きていた。

 

一夏の正体を知るのは何時に成るのか。

 



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プロローグ
変化


無性に書きたく成ったので書きました。

本編どうぞ


俺の名前は、織斑一夏

 

俺は今、誘拐されて拘束されている。

 

理由は遡る事3時間前。

 

 

俺は憎たらしい姉と双子の兄に無理矢理ドイツに連れて来られた。

 

理由はこのドイツで行われる、第二回モンドグロッソって言うISの大会にダメ姉が出場してるからだ。

 

IS、正式名称はインフィニット・ストラトス。

 

女にしか動かせねえアーマードスーツの事だ。

 

そのせいで、女尊男卑なんて下らねえ風習が出来ちまった。

 

その原因に成ったのが、白騎士事件って言う出来事だ。

 

ある日、各国の軍事基地が一斉にハッキングされた。

 

そしてその軍事兵器が、一斉に日本に向かって放たれた。

 

ミサイルは勿論、戦闘機に至るまで全てだ。

 

しかし、其処に一機のISを纏った女が現れた。

 

女はたった1人で、放たれた兵器全てを撃墜した。

 

その後、女は忽然と姿を消した。

 

これが白騎士事件の全貌だ。

 

それが引き金と成り、ISの開発が急増。

 

今ではこんな大会が開かれる始末だ。

 

そして姉貴は、その第一回の優勝者だ。

 

それが原因で、俺はかなり白い目で見られた。

 

織斑千冬の弟だから出来て当たり前。

 

出来なければ、弟なのにと誹謗中傷や罵声を受けた。

 

その上クソ兄貴が主犯に成って虐めまで受けた。

 

俺は姉貴に何度も助けを求めた。

 

でも姉貴は、俺のSOSを全て無視した。

 

そして今、俺とクソ兄貴はダメ姉の為の差し入れを買う為に大通りを歩いていた。

 

すると、いきなりスーツを着たがたいの良い3人の男達に囲まれた。

 

男の中の1人が口を開く。

 

スーツの男「織斑春十はどっちだ?」

 

男が質問をした瞬間だった。

 

クソ兄貴が俺の肩に手を置いて、とんでもない事を言った。

 

春十「兄貴は此方です。俺は出来損ないの弟です」

 

一夏「おい!ぐ!?」

 

俺が反論しようとした時、腹に鈍い痛みが走った。

 

意識が朦朧とする中、腕の主を見ると兄貴だった。

 

一夏「クッソ」

 

俺はそう呟いて気絶した。

 

 

そして目を覚ますと、俺は拘束されていた。

 

一夏(あのクソ兄貴め、俺を身代わりにしやがって!!!)

 

俺は心の中でそう叫んだ。

 

俺が目を覚ました事に気付いて、誘拐犯が話し掛けて来た。

 

誘拐犯1「目が覚めたか。どうだ、状況が理解出来るか?」

 

一夏「大方、姉貴の優勝阻止だろ」

 

誘拐犯1「その通りだ。やはり有能な姉にして弟有りだな」

 

誘拐犯が俺の返答に感心した声音でそう言った。

 

一夏「あのさぁ、監視付きで構わねえからトイレに行かせてくれねえか?さっきから我慢してたんだ。ちなみに前後ろ両方」

 

誘拐犯1「チッ仕様がねえな。一々縛り治すの面倒なのによう。まぁ、垂れ流されるよかマシか」

 

こうして、俺は上手い事動けるように成った。

 

俺はトイレに行く道中、誘拐犯に聞いた。

 

一夏「この施設は何なんだ?えらく広いけど」

 

誘拐犯1「俺にも詳しい事は分からねえ。だが表には、ノザマカンパニーと書いてあった」

 

それを聞いて、俺は鳥肌が立った。

 

一夏(じ、冗談だろ!?野座間製薬の子会社かよ!!!やべえ!何とか脱出しねえと、命が危ねえ!!)

 

トイレに到着して、個室に籠って頭を抱えた。

 

一夏(おいおいマジかよ!あの人喰いの化け物を産み出した奴等の子会社とか洒落に成らねえよ。名前は確か、アマゾンって言ったっけ)

 

俺は今までに無いくらい考えた。

 

でも、この場を乗り切る為のアイデアが1つしか思い浮かばなかった。

 

一夏(俺自身も、アマゾンに成るしかねえ。どうせ捨てられた身だ、化け物に成ってでも生き延びてやる)

 

決心を固めた俺は、トイレのタンクの蓋を取ってドアの横に待ち伏せをした。

 

しばらくして、誘拐犯が痺れを切らせて入って来た。

 

誘拐犯1「おい!何時までkぐ!?」

 

誘拐犯が入って来た所で、俺は蓋を降り下ろした。

 

死んだかどうかは分からねえけど、動かなくなった。

 

俺は誘拐犯から銃を奪って、トイレの前に有った薬品保管庫に入った。

 

しばらく中を物色していると、透明なケースに厳重に保管されてる物を見付けた。

 

しかもご丁寧にスポットライトまで着いていた。

 

1つはカプセル、もう1つはバックルに垂れ目の赤い複眼とグリップが付いたベルトだった。

 

一夏「もしかして、これが!良し」

 

バンッ

 

俺は確信して、鍵を銃で破壊した。

 

そしてカプセルとベルトを手に取った。

 

すると通路から、誘拐犯の仲間の声が聞こえて来た。

 

誘拐犯2「大変だ!!!織斑千冬が決勝に出てやがる!!!」

 

誘拐犯3「しかも俺達、まんまと嵌められた!!!俺達が捕まえたのは長男じゃなくて次男の方だ!!」

 

俺はそれを聞いて、不思議と悲しみは無かった。

 

有ったのは、[やっぱりか]って言う感じだった。

 

でも、バレたから確実にこのままじゃ殺される。

 

俺は急いでカプセルの蓋を開けて中身を飲んだ。

 

するとすぐに、身体に激痛が走った。

 

一夏「ぐ!っく、身体が痛え。これが変化って奴か!」

 

苦しみながらも、俺はベルトを腰に巻いた。

 

その時、俺はふとカプセルとベルトが置かれていた台を見た。

 

其処には紙が置かれていた。

 

その紙を見ると、ベルトの使い方が書いて有った。

 

(いつの間にか痛みは消えていた)

 

俺は読み終わった後、説明書通りにしようとした。

 

すると、後ろから声がした。

 

誘拐犯2「動くな。そのまま後ろを向け」

 

言われた通りに向くと、誘拐犯達が俺を囲んでいた。

 

誘拐犯1「舐めた真似しやがって!!!」

 

俺が殴った誘拐犯が殴り掛かって来た。

 

でも、俺はそれを右手で受け止めた。

 

誘拐犯1「な!?貴様!!」

 

激怒する誘拐犯に、俺は言った。

 

一夏「悪りぃけど、俺はもう人間じゃねえ」

 

誘拐犯2「は?何言ってんだこのガキ?」

 

誘拐犯3「頭がイカれたか?」

 

誘拐犯の2人がバカにするような目でそう言った。

 

一夏「なら見せてやるよ。俺の力を」

 

俺はそう言って、左のグリップを前倒しに捻った。

 

ベルト〔ジ・リ・オン〕

 

ベルトの音声が鳴った所で、俺は呟いた。

 

一夏「アマゾン」

 

すると、俺を中心に熱風が発生して誘拐犯達を吹っ飛ばした。

 

誘拐犯1、2、3「うわあぁぁぁぁあああああ!!!」

 

熱風が止んだ時、誘拐犯達は俺の姿を見てかなり驚いていた。

 

誘拐犯1 side

 

誘拐犯1「な、何だアイツの姿は!?」

 

誘拐犯2「それに、アマゾンって何か聞き覚えが有るぞ」

 

誘拐犯3「今はそんな事より、あのガキを殺す事に集中しろ!」

 

誘拐犯1(コイツは殺すとか言ってるけど、今のアイツを殺せるのか?それにしても、あの姿は何だ?顔はまるで蜥蜴じゃねえか。よく見たら、前腕に鋭い返しが着いてやがる)

 

誘拐犯3「撃て!」

 

バンッ

 

バンッ

 

コイツの掛け声に、今銃を持ってる2人がガキ目掛けて撃った。

 

でも、その弾丸をガキはデコピンで弾いちまった。

 

誘拐犯3「あ、有り得ねえ!!だ、弾丸をデコピンで!!」

 

誘拐犯2「思い出した!!!」

 

ッと、いきなり大声を上げた。

 

誘拐犯1「どうしたんだ、いきなり?そんな大声出しやがって」

 

誘拐犯2「お前ら、忘れたのか!?日本に蔓延ってる人喰いの化け物の事を!?」

 

俺が聞くと、コイツはまた大声でそう言った。

 

誘拐犯1、3「ま、まさか!?」

 

それを聞いて俺ともう1人は、思い出して背筋が凍った。

 

その時、ガキが話し掛けて来た。

 

一夏「どうした、俺を殺すんじゃなかったのか?」

 

その問い掛けに、俺は反論した。

 

誘拐犯1「じ、冗談じゃねえ!!人喰いの化け物の相手なんて御免だ!!」

 

俺の叫びを聞いたガキは、冷徹な事を言った。

 

一夏「何だ、気付いたのか。・・・なら、遊びはもう終わりだな。アンタ等は今から俺の食事だ」

 

ガキがそう言った瞬間、一気にダッシュして来た。

 

一夏「おらよっと」

 

誘拐犯2「がはっ!!!」

 

気付いた時には、俺の右隣に居た仲間が殺られた。

 

見ると、腕を貫通して内臓に達していた。

 

誘拐犯1、3「は、速い!!」

 

そしてガキは腕を引き抜くと、心臓が握られていた。

 

その直後、ガキは有り得ねえ行動に出た。

 

一夏「あん」

 

掴み取った心臓を喰いやがった!!!

 

誘拐犯3「うっぷ!」

 

それを見て、いきなり四つん這いに成って嘔吐した。

 

無理もねえ、こんなグロテスクなモン見せられて何も思わねえ方が可笑しいぜ。

 

現に俺も気持ち悪りぃ。

 

すると、ガキは徐に右のグリップに手を掛けた。

 

そして勢い良く引き抜くと、長さ1m位は有る槍に成った。

 

それを逆手に持ち変えて投げて来た。

 

ベルト〔バイオレント・ブレイク〕

 

シュンッ

 

グサッ

 

誘拐犯3「ぐあぁぁぁあああああ!!!」

 

槍は四つん這いに成ってた仲間の背中を貫き、コンクリの床にまで突き刺さった。

 

誘拐犯3「は、はっ」

 

どうやら肺を破られたみたいだな。

 

呼吸が満足に出来てねえ。

 

一夏「悪りぃけどクソ兄貴の身代わりにされたムカつき、アンタで八つ当たりさせて貰うぜ。と言っても、1発で終わるけどなぁ」

 

そう言って、左のグリップを前倒しに捻った。

 

ベルト〔バイオレント・ストライク〕

 

ベルトの音声が鳴ったと同時に、ガキが走って来た。

 

でも俺は、恐怖の余り動けなかった。

 

俺が最後に見たのは、ガキの飛び後ろ蹴りが迫る所だった。




いかがでしたでしょうか?

まえがきでも言いましたが、無性に書きたく成ったので書きました。

更新ペースは遅めに成ります。

次回もお楽しみに


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再会

何か投稿出来ました。

以外とアイデアが浮かんで来て書いてて楽しかったです。

それでは本編どうぞ。


一夏side

 

俺は誘拐犯達を食った後、変身を解いて施設を出た。

 

やっぱりアマゾンに成ったせいか美味く感じた。

 

ちなみにベルトは、誘拐犯の1人が持ってたリュックを拝借してその中に入れた。

 

他の中身は食い物以外捨てた。

 

外は辺り一面木ばっかりだ。

 

どうやら此処は森の中みたいだ。

 

それにしても、アマゾンに成ってから嗅覚が鋭く成った。

 

それはもう、人物の識別が出来るレベルでだ。

 

一夏「さて、これからどうするかな。当たり前だけど、土地勘は無いし。日本に帰るにしたって、アマゾンに成ったって言っても泳ぐのは幾ら何でも無理が有る」

 

俺はそうして暫く考えていると、何かが飛んで来る音が聞こえた。

 

辺りを見回すけど何も無い。

 

一夏「もしかして、五感全部が発達してんのか?」

 

それに気付いた俺は、目を閉じて耳に神経を集中して聞き耳を立てる。

 

一夏「!上か!!」

 

俺が見上げた時、何が落ちて来ていた。

 

俺はすぐにその場から離れて、茂みに身を隠した。

 

スドオオォォン

 

何から地面に落ちて土埃が舞う。

 

土埃が晴れて、其処に有ったのは

 

一夏「に、人参?」

 

何でか知らねえけど、人参形のロケットが落ちて来た。

 

すると人参が半分に割れて、中から人間が出て来た。

 

???「いっくん!!何処、いっくん!!!」

 

その呼び方には覚えが有った。

 

一夏「た、束さん」

 

その人はISの産みの親で有り、現在世界的指名手配中の篠ノ之 束さん。

 

そして余談だけど、俺の初恋の人だ。

 

思わず呟いた時、どうやら聞こえたらしい。

 

束さんが俺の方を向いた。

 

束「いっ、くん?いっくんだよね?」

 

一夏「そうですよ、束さん」

 

束さんの問い掛けに、俺はそう答えた。

 

束「いっくううううぅぅぅぅん!!!」

 

束さんは俺の返答を聞いて、泣きながら飛び付いて来た。

 

俺はそれを抱き止めた。

 

束「うわあぁぁぁあああああ!!!いっくううううん!!!」

 

抱き止めたまま、束さんは泣いた。

 

一夏「お久しぶりです、束さん」

 

俺が挨拶すると、束さんは不機嫌そうに言う。

 

束「二人きりの時は、なんて呼んでって言ったかな?」

 

そうだった。

 

一夏「久しぶり、束姉(たばねえ)」

 

束「久しぶり、いっくん」

 

俺が言い直すと、束姉はまだ涙目では有るけど笑顔でそう言った。

 

お互い挨拶したのも束の間、俺は此処に向かって来る1つの音を聞き取った。

 

一夏「何か来る」

 

束「どうしたの、いっくん?」

 

俺の呟きに、束姉が聞いて来た。

 

一夏「何か、ジェット噴射の音が聞こえる」

 

束「・・・そんな音聞こえないよ」

 

俺が答えると、束姉は耳を澄ました。

 

でも、普通の人間にはまだ聞こえねえよ。

 

正確には分かんねえけど、まだ結構距離が有るだろうし。

 

一夏「(!?風の音が変わった。スピードを上げたか)束姉、隠れよう。何かが此方に向かって来てる」

 

束「うん、分かった」

 

俺は奴がスピードを上げた事に気付いて、急いで束姉に隠れるように言った。

 

でも、もう遅かった。

 

???「見つけましたよ、篠ノ之博士」

 

上から女の声が聞こえて来た。

 

声が聞こえた方に振り向くと、一機のISに乗った女が居た。

 

俺は束姉の前に立って、女に聞いた。

 

一夏「何者だ、アンタ?」

 

俺が聞くと、女は面倒臭そうに答えた。

 

N「私は亡国企業(ファントム・タスク)の構成員、コードネームNよ。さぁ、自己紹介して上げたんだから男はさっさと消えなさい。私の気が変わらない内に」

 

自己紹介の後、女は手で払いながらそう言った。

 

一夏「後ろ向いた時に不意討ちしようとしてる奴の言葉なんか聞けるかよ」

 

女の狙いを俺が言うと、女は笑いながら言う。

 

N「あら、気付いてたのね」

 

それと同時に、Nは着陸した。

 

俺はNに、束姉を狙う理由を聞いた。

 

一夏「束さんを狙う理由は何だ?」

 

N「冥土の土産に教えて上げるわ。彼女にISのコアを作って貰う為よ」

 

Nはそう答えた。

 

俺はさらに、Nに聞いた。

 

一夏「彼女の意思は?」

 

でもNから、有り得ない答えが帰って来た。

 

N「フッ彼女の意思?そんなの知らないわよ、強制するに決まってるじゃない」

 

Nの返答に、俺の中で何かがキレた。

 

一夏「・・ろす」

 

N「ん?何か言ったかしら」

 

一夏「喰い殺す!!!」

 

俺はそう叫んだ。

 

N「フッそんな事、出来る訳が無いでしょ」

 

一夏「ソイツはどうだろうな」

 

Nの否定に、俺はそう言いながらベルトを取り出し着けた。

 

そしてグリップを握り、Nに歩み寄りながら俺は言った。

 

一夏「生憎だが、俺は人間じゃねえんだよ。アマゾン」

 

そう言って、俺はグリップを捻った。

 

ベルト〔ジ・リ・オン〕

 

そして黒い熱風が発生し、俺はアマゾンに成った。

 

N「な!?お、お前は何者なんだ!?」

 

一夏「俺か?俺はアマゾン、アマゾン・ジリオンだ」

 

Nの問い掛けに答えると、束姉が動揺した。

 

束「あ、アマゾンってあの化け物の事だよね?」

 

一夏「そうだよ。この近くに、野坐間製薬の子会社が有る。俺は其処に監禁されてた。誘拐犯の1人から施設の名前を聞いて、鳥肌が立ったよ。でも何の道、俺は捨てられた身だからな。生き延びる為には、この方法しか思い付かなかった。だから俺はアマゾンに成った」

 

俺は束姉に説明した後、Nを睨みながら言った。

 

一夏「さてと、お喋りは此処までだ。アンタは今から、俺の食事だ」

 

俺はそう言ってNに向かって走った。

 

束 side

 

いっくんと再会出来た時は、凄く嬉しかった。

 

私は昔からいっくんが好きだった。

 

最初はLikeだったけど、今は・・LOVE。

 

いっくんが愛おしくて堪らない。

 

でも、いっくんが誘拐されたのを[見た]時は驚いた。

 

しかも、あの屑(春十)がいっくんを身代わりにした時は本気でキレた。

 

私は急いでロケットに乗って迎えに言った。

 

いっくんと再会出来て本当に嬉しかった。

 

再会を喜んでいたら、いっくんの表情が険しく成った。

 

一夏「何か来る」

 

そう言って、辺りを見渡すいっくん。

 

束「どうしたの、いっくん?」

 

私は不審に思っていっくんに聞いた。

 

一夏「何か、ジェット噴射の音が聞こえる」

 

そう言われて、私も耳を澄ました。

 

でも、それらしい音は聞こえない。

 

束「・・・そんなの聞こえないよ」

 

私がそう言った直後、いっくんが焦った表情で言った。

 

一夏「束姉、隠れよう。何かが此処に向かって来る」

 

束(私は何も聞こえないのに、いっくんてそんなに耳良かったっけ?)

 

私はそう思った。

 

でも今は、いっくんに従う事にした。

 

束「うん、分かった」

 

でも後ろから、女が呼び止めて来た。

 

女「見付けましたよ、篠ノ之博士」

 

すると、いっくんが私を庇うように前に立った。

 

一夏「何者だ、アンタ」

 

いっくんに聞かれて、自己紹介をする女。

 

女が着陸した所で、いっくんが目的を聞いた。

 

すると、女はあっさり答えた。

 

N「彼女にISのコアを作って貰う為よ」

 

束(そんなの嫌だ。私の娘達が、人殺しの為に使われるなんてもう懲り懲り!!)

 

すると、いっくんがまた女に聞いた。

 

一夏「彼女の意思は?」

 

いっくんがそう聞くと、女は鼻で笑って答えた。

 

N「フッ彼女の意思?そんなの知らないわよ。強制するに決まってるじゃない」

 

流石に今の女の言葉には頭に来た。

 

でもいっくんが何か呟く。

 

一夏「・・ろす」

 

いっくんの呟きが、女にも聞こえたみたい。

 

女がいっくんに聞いた。

 

N「ん?何か言ったかしら?」

 

するといっくんが女を睨みながら叫んだ。

 

一夏「喰い殺す!!!」

 

それを聞いて、女はまた鼻で笑って言う。

 

N「フッそんな事、出来る訳が無いでしょ」

 

一夏「ソイツはどうだろうな」

 

女は否定したけど、いっくんはそう言いながらリュックから何かを取り出した。

 

良く見ると、それはベルトだった。

 

そしていっくんは、ベルトを着けて女に近付きながら言う。

 

一夏「生憎だが、俺は人間じゃねえんだよ。アマゾン」

 

いっくんが呟いてすぐに、機械的な音声が聞こえた。

 

ベルト〔ジ・リ・オン〕

 

それと同時に、いっくんから黒い熱風が吹いた。

 

そして、いっくんの姿が変わった。

 

それを見て、女は動揺しながらいっくんに聞いた。

 

N「な!?お、お前は何者なんだ?」

 

一夏「俺か?俺はアマゾン、アマゾン・ジリオンだ」

 

私はそれを聞いて、今までに無いくらい驚いた。

 

束(アマゾンって、野坐間製薬が作った人喰いの化け物の呼称だった筈。そう言えばいっくん、姿が変わる前に[アマゾン]って)

 

私は動揺しながらもいっくんに聞いた。

 

束「あ、アマゾンってあの化け物の事だよね?」

 

私の問い掛けに、いっくんは落ち着いた様子で答えてくれた。

 

一夏「そうだよ。この近くに、野坐間製薬の子会社が有る。俺は其処に監禁されてた。誘拐犯の1人から施設の名前を聞いて、鳥肌が立ったよ。でも何の道、俺は捨てられた身だからな。生き延びる為には、この方法しか思い付かなかった。だから俺はアマゾンに成った」

 

一夏は説明を終えると、女の方に向き直った。

 

一夏「お喋りは此処までだ。アンタは今から、俺の食事だ」

 

いっくんはそう言って、女の方に走って行った。

 

その早さは尋常じゃなかった。

 

一瞬で女の懐に入って、お腹にパンチを食らわせた。

 

女「グフッ!!!ぐっ、バカな。此方はISだぞ、何故ただのパンチがこんなに効くんだ?」

 

女は膝を付いてそう言った。

 

束(確かに凄い。絶対防御が有るのに、あんなに苦しそうに。生身だったら死んでるね)

 

少しして、女が立ち上がった。

 

でもその直後、女は動揺した。

 

N「ば、バカな!?たった1発で、SE(シールド・エネルギー)が半分に!!!」

 

束(う、嘘!?)

 

女の言葉を聞いて、私も驚いた。

 

殴っただけで一気にSEが半分に成るなんて、信じられない。

 

一夏「これがアマゾンの力だ。ISなんてオモチャじゃ、幾ら頑張っても勝てねえよ」

 

一夏は女に突き付けるように言う。

 

一夏「悪いが、チェックメイトだ」

 

一夏がそう言った時、女がハンドガンを出していっくんに向けた。

 

N「死ぬのはお前だ!!!」

 

一夏「遅い!」

 

いち早く気付いたいっくんは、ハンドガンを蹴り飛ばした。

 

一夏「宛が外れたな、アマゾンの五感は人間とは桁違いなんだよ。アンタがハンドガンを出す前、粒子の段階から聞こえてた。つまりは、お見通しって訳よ。だからアンタが幾ら早く武器を出しても、予め察知出来るって事だ」

 

N「そ、そんな」

 

いっくんの解説に、女は絶望の表情で項垂れた。

 

一夏「腹が減ったな。アマゾンだからな俺は、だからアンタを喰うぜ。俺を誘拐した奴等も、俺が食い殺した」

 

いっくんは女を見下ろしながらそう言った。

 

それを聞いた女は、恐怖で腰が抜けたのか立てないでいる。

 

それでも逃げようと這いずって距離を取ろうとする。

 

N「い、嫌よ。食べられるなんて冗談じゃないわ!!そんなの止めて!!!」

 

女の命乞いを聞いて、いっくんが女に聞いた。

 

一夏「なら聞くけどよ、お前が散々殺して来た奴等の中で命乞いを1度でも聞き入れた事が有るか?」

 

N「・・・」

 

いっくんの質問に、女は黙った。

 

するといっくんは、女を蹴り飛ばした。

 

ガキイイイィィィンッ

 

N「きゃああああああ!!!」

 

悲鳴を上げながら飛んでいく女。

 

一夏「だと思ったぜ。都合の良い事言ってんじゃねえよ」

 

いっくんの表情は分からないけど、怒ってるのは分かる。

 

そしていっくんは女の方へ歩いて行く。

 

N「し、SEが!!!」

 

女がそう叫んだ。

 

束(まさか、たった2発でSEが無くなるなんて)

 

私がそう思ってると、いっくんが女をISから引きずり出した。

 

一夏「終わりだ」

 

いっくんはそう言って、腕の返しで女の首を裂いた。

 

その時、夥しい血飛沫が飛んだ。

 

そしていっくんは、女を食べた。




いかがでしたでしょうか。

少し瞬殺が過ぎましたかね?

次はもう少し頑張ります。

それでは次回もお楽しみに


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告白

お待たせしました。

原作アマゾンズを見てますが、グロ面白いです。

それでは、本編どうぞ。


一夏side

 

俺はNを食った後、変身を解いて束姉の方を向いた。

 

束「いっくん」

 

何処か心配そうな表情で俺を呼ぶ。

 

一夏「あはは、引いたよね。人から見たら、こんなの恐ろしいだけだよね」

 

俺は振り替えって、森に入ろうとした時だった。

 

束「いっくん待って!!」

 

束姉に抱き付かれた。

 

一夏「どうしたんだよ?こんなに成った俺に、まだ何か有るのか?」

 

俺は敢えて突き放すように言う。

 

俺はアマゾンに成った。

 

衝動は無いにしても、躊躇い無く人を喰える奴が人を愛する資格は無い。

 

でも束姉は腕を離そうとしない。

 

一夏「離せよ。俺はアマゾン、アンタと人間だ。食われたくなかったら離せよ」

 

束「・・・嫌だ」

 

俺は離すように言うけど、束姉はそう言って腕の力を強めた。

 

一夏「何で俺に固執するんだ?俺はアマゾン、化け物に成ったんだぞ」

 

俺が束姉に聞くと、束姉が正面に回り込んでいきなりビンタされた。

 

バチンッ

 

束「そんな事言わないでよ。それに、幾ら離れようとしても絶対に離れないから」

 

そう言って、今度は正面から抱き付いて来た。

 

一夏「何でだよ、俺はアマz」

 

其処まで言った所で、束姉が遮って叫んだ。

 

束「そんなの関係ない!!!」

 

一夏「・・・」

 

束姉の叫びに、俺は唖然とした。

 

関係ない事無いだろ。

 

アマゾンは人を喰うんだぞ。

 

すると束姉から、驚きの言葉が出た。

 

束「どんな存在でも関係ないよ。だって私は、いっくんが大好きだから」

 

一夏「な!?」

 

驚くしか無かった。

 

今に成って両想いだと分かったら、言葉が出ねえ。

 

しかもこの状況で満面の笑みで言われて、Likeだと勘違いするほど俺は鈍くねえ。

 

一夏「良いのかよ、俺なんかで?」

 

束「いっくんじゃなきゃ嫌だ」

 

俺が確認すると、即答で返って来た。

 

一夏「(なら俺も、もう溜め込まなくて良いな)なら俺も言うけど、好きだよ束姉」

 

束「くすん、ひっく」

 

俺が告白すると、束姉が泣き出した。

 

一夏「た、束姉!?」

 

俺が焦ると、束姉が泣きながら言う。

 

束「この状況で上乗せなんて、ズルいよいっくん」

 

一夏「ごめん」

 

俺は謝りながら抱き締め返した。

 

 

暫く抱き合った俺達は、束姉が乗って来たロケットの前まで来た。

 

束「取り合えず、私のラボに行こうよ。今後の事は其処で考えよう」

 

俺の手を引きながら笑顔でそう言う束姉。

 

一夏「分かったけど、この人参で行くのか?」

 

俺の疑問は間違いじゃねえと思う。

 

どう見ても1人用だよな。

 

一夏「これ乗れたとしても、絶対ぎゅうぎゅうだろ」

 

俺がそう言うと、束姉が赤く成りながら言う。

 

束「そしたら、いっくんとくっ付けるね///」

 

一夏「あ、あのなぁ///」

 

俺まで釣られて照れてしまった。

 

そんな俺を見て、束姉が誂って来た。

 

束「うふふ、いっくん照れてるね」

 

一夏「誰のせいだよ誰の///」

 

これが俗に言うリア充って奴かな?

 

一夏([アイツ]はカップル見る度にギャーギャー騒いでたけど、今の俺と束姉を見たら殴り掛かって来そうだな)

 

俺がそう考えてると、束姉が顔を覗き込んで来た。

 

束「どうしたの、いっくん?」

 

一夏「あぁ、日本に居る友達の事を考えてたんだ。アイツ、カップルを見る度に[リア充爆発しろ]とか騒いでるからついな」

 

俺は考えてた事をそのまま答えた。

 

束「そうなんだ。それじゃ今の私達見たらいっくん殴られそうだね」

 

一夏「・・・何で俺と同じ事を思い付く」

 

まさか同じ発想に成るとは思わなかった。

 

束「これが以心伝心かな?」

 

一夏「か、かもしれないな///(こんなの照れずに居られるか!!!///)」

 

俺は内心そう叫んだ。

 

そんなこんなで、俺達はロケットに乗って束姉のラボに向かった。

 

ロケットの中は予想通りぎゅうぎゅうだった。

 

しかも向かい合って乗ったせいで、束姉の胸が当たって落ち着かねえ。

 

俺が顔を背けると、束姉がまた誂って来た。

 

束「また照れてるの、いっくん?それとも、束さんのおっぱいで興奮しちゃった?」

 

一夏「束姉、お願いだからこれ以上は止めてくれ。本気で理性が保たない」

 

俺が本気でお願いすると、束姉が耳元で囁いた。

 

束「もう恋人なんだし、遠慮しなくて良いよ」

 

一夏「責任取れるように成った時は、そうする」

 

俺がそう返すと、束姉は

 

束「いっくんは真面目だね」

 

笑顔でそう言った。

 

 

あれから10分くらい掛かって、漸く束姉のラボに着いた。

 

その間ずっと密着状態で、幸福と理性の板挟みだった。

 

一夏「すー、はぁ、すー、はぁ、すー、はぁ」

 

俺はロケットを降りてから、落ち着く為に深呼吸した。

 

すると知らない匂いが近付いて来た。

 

???「お帰りなさいませ、束様。そして、織斑一夏さん」

 

現れたのは女だった。

 

でも何故か目を閉じていた。

 

一夏「束姉は兎も角、俺の場合はいらっしゃいだろ。それと、君は誰?」

 

クロエ「申し遅れました。私はクロエ・クロニクル、束様の助手です。それと、間違いではありませんよ。束様の想い人なのですから」

 

自己紹介の後、そう言うクロエ。

 

一夏「・・・」

 

クロエの言葉に俺が呆れてると、束姉がクロエに話し掛けた。

 

束「ただいま、くーちゃん!お留守番ご苦労様!」

 

クロエ「いえいえ、お気になさらず。これも私の勤めですから」

 

一夏(束姉の言い方、まるで母親だな)

 

俺は2人の会話を聞いてそう思った。

 

一夏「束姉とクロエってどういう関係だよ?ただの助手って訳じゃねえだろ」

 

束「お!いっくん鋭いね。実はくーちゃんは私の養子なの」

 

俺が尋ねると、束姉はそう答えた。

 

一夏「・・・差し支え無けりゃ、その経緯を教えてくれねえか?無理にとは言わねえけど」

 

束、クロエ「・・・」

 

俺が聞くと、2人の表情が暗く成った。

 

一夏「悪かったな。初対面でこの質問は無神経だった」

 

俺はそう言って話を切ろうとしたけど、クロエが待ったを掛けた。

 

クロエ「いえ、聞いて頂けますか?」

 

一夏「・・・分かった」

 

真剣な表情でそう聞いて来るクロエに、俺は頷いた。

 

でも聞いた話は、胸糞悪いモノだった。

 

特に、クロエの生い立ちには怒りを抑えるのが大変だった。

 

クロエは、試験管ベビー。

 

つまり、人からじゃ無く機械から産まれた存在だ。

 

場所は、ドイツ軍の実験施設。

 

それと、クロエが目を閉じてる理由にも頭に来た。

 

クロエの両目には、センサーのような働きをする機能が植え付けられてる。

 

簡単に言えば、[人体改造]だ。

 

こんな非人道的な事を平気で出来るドイツの奴等に、俺は怒りを通り越して殺意を覚えた。

 

さらに言うなら、クロエは研究者の望む結果が出なかったと言う理由で殺される寸前だったらしい。

 

それを助けたのが束姉だった。

 

そして、クロエを守るために養子にしたらしい。

 

これが、束姉とクロエが一緒に暮らしてる理由とその経緯だ。

 

一夏「・・・」

 

話を聞いた俺は怒りを押さえきれず、体から黒い熱気が出ていた。

 

俺が怒りと葛藤してると、束姉が声を掛けて来た。

 

束「いっくん、落ち着いて。熱気でラボが熔けちゃうよ」

 

一夏「ごめん」

 

俺は謝って、深呼吸して落ち着いた。

 

一夏(束姉には敵わねえな)

 

 

その後、俺もアマゾンに成った事やその経緯を話した。

 

それを聞いて、クロエも憤怒していた。

 

でも俺と束姉で宥めて事無きを得た。

 

それからは、俺と束姉が付き合ってる事を話すとクロエはニヤニヤしていた。

 

頼むからその表情は止めてくれ。

 

それからは3人で食事をして、それぞれ寛いだ。

 

でも、風呂の時に束姉が乱入してきた時は流石にヤバかった。

 

束姉はモデルをしてても可笑しくないくらいのプロポーションだ。

 

服を着ていてもそう思えるのに、裸を見せられたら男としてはかなりヤバイ。

 

危うく[食って]しまいそうに成った。

 

何とか理性を保ったが、俺だって思春期の健全な男子だ。

 

頼むから過激な誘惑は止めてくれ。

 

就寝の際、一緒に寝るのは良い。

 

でも、ネるのはまだ駄目だからな。

 

そんなこんなで、波乱の1日が終わった。




いかがでしたでしょうか?

次回くらいでプロローグは終わりにする予定です。

本編ストーリーからどんな展開にするか、結構悩んでます。

何時一夏がアマゾンだとバラすか、救済はどうしょうか、等々色々悩み所が満載です。

でも、此方も完結目指して頑張ります。

それでは、また次回をお楽しみに。


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起動と再会

予定ではプロローグは終わりでしたが、話が長くなり終われませんでした。

でも次回でプロローグは終わりです。

それと時間が飛びます。

さらに、オリジナルのアマゾン技を出します。

それでは、本編どうぞ。


束 side

 

私は篠ノ之 束。

 

ISを作った天才(天災)だよ。

 

いっくんと恋人に成って2年が過ぎた。

 

いっくんと恋人に成れた事が嬉しくて最初は忘れてたけど、あの屑姉兄(くずきょうだい)どうしてくれようか。

 

いっくんを虐めるは、家事を全部押し付けるは、結果を出しての認めないは、いっくんはお前達の奴隷じゃない!!!

 

それに1番許せないのは、いっくんを身代わりにしたあの(春十)だ。

 

人生で初めてかも知れないね、本気で人に殺意を覚えたのは。

 

でも、ある意味では感謝かな。

 

こうしていっくんと再会できて、恋人に成れたんだから。

 

でも、それとこれとは別の話。

 

必ずいっくんにこれまでの仕打ちも含めて謝らせてやる。

 

 

それにしても、日本に蔓延ってるアマゾン達。

 

ISじゃ力不足なんだよなぁ。

 

精々倒せるのは、専用機2機を使って中級のC、Dランク程度がやっと。

 

上級のA、Bランクはどう足掻いても倒せない。

 

それにアマゾンは、ランクが上で有るほど人形に近くなって格闘戦に特化していく。

 

国も対策は練ってるみたいだけど、なかなか思い付かないのが現状。

 

理由は単純で、アマゾンが強すぎる。

 

 

最下位のEランクでも、リミッターを外した訓練機2機で漸く互角。

 

そんなアマゾンを確実に倒せるのは、同じアマゾンだけ。

 

いっくんはアマゾンが表れる度に、人に害を与えるアマゾンを狩っている。

 

その中にはやっぱりAランクも居た。

 

その時は怪我をして帰って来る時も遭った。

 

でも流石と言うべきだね。

 

アマゾンの回復力は凄い。

 

長くても2日で全快してしまう。

 

それも、一切の後遺症が無い。

 

傷痕は残っちゃうけど。

 

人喰いしなかったら本当に万能細胞だよね。

 

束「それにしても、いっくん何だか憂さ晴らししてるみたい」

 

私はハッキングして、衛星からいっくんの闘いを見ていてそう思った。

 

別の言い方をすれば、八つ当たり。

 

それにいっくんは、女性権利団体のアジトに奇襲を仕掛ける事も有る。

 

これまでに潰したアジトは、アメリカ、アラビア、エジプト、スイス、韓国の5つ。

 

そして、その団員は必ず皆殺し。

 

そして団体が所有していた資金は、奴隷にされていた男達への治療費や生活費として渡し、余った分を私達の生活費にしている。

 

それは良いんだけど

 

束「ねえくーちゃん、いっくんの闘い見てどう思う?」

 

一緒に記録映像を見ていたくーちゃんに、いっくんを見た感想を聞いた。

 

クロエ「そうですね。束様の仰る通り、八つ当たりと言うのが1番しっくり来ますね」

 

くーちゃんも私と同じ感想だった。

 

束「やっぱり、あの屑(春十)に身代わりにされたのがまだ忘れられないのかな?」

 

クロエ「恐らくはそうでしょう。お話を伺いましたが、一夏さんはこれまで酷い扱いと仕打ちを受けて来ました。その上今回の身代わりにされた事が、かなり根強く残っているようです」

 

私はいっくんが可哀想に思えた。

 

アイツ(千冬)が大会で優勝したせいで、いっくんは他人からも白い目で見られるように成った。

 

そもそも、ISを作ったのは宇宙へ行く為であって兵器じゃない。

 

でも、認めてくれなかった奴等を見返す為に軍事基地をハッキングしてミサイルを日本に発射させた。

 

そしてアイツ(千冬)にはミサイルを落としたらすぐ帰るように言ってた。

 

でも、ミサイルを止める為に来た海外の戦闘機がアイツ(千冬)の姿を見てた。

 

それを映像で見てたお偉い達が捕まえるように指示した。

 

(ハッキングで盗聴)

 

でも、ISなら簡単に振り切る事が出来る。

 

なのにアイツ(千冬)は、捕まえに来たのを理由に[全部]落とした。

 

戦闘機に乗ってるパイロットが乗っていたにも拘わらず。

 

それを問い詰めるとアイツ(千冬)

 

千冬「そんなの知った事か、助けてやったのに捕まえに来る恩知らず共に慈悲など無い」

 

全く気にも止めてなかった。

 

それどころか、捕まえに来たからの一点張りで自分を正当化する始末。

 

それが原因で、あの女への信頼は完全に消えた。

 

それ以来、一切の連絡を断った。

 

でも、家族と連絡が出来ないのは凄く寂しい。

 

雰囲気が暗くなっていると、いっくんが部屋に入って来た。

 

一夏「束姉、そろそろ昼飯だぞ」

 

束「え、もうそんな時間?」

 

いっくんの言葉に、そう言いながら時計を見た。

 

束「本当だ!全然見てなかったよ」

 

一夏「夢中に成るのは良いけど、程々にな」

 

束「はーい」

 

いっくんに注意されて、私は素直に返事をした。

 

一夏「クロエ、テーブルに並べるの手伝ってくれ」

 

クロエ「畏まりました。それでは束様、失礼します」

 

いっくんに呼ばれて、くーちゃんはそう言っていっくんと食堂に行った。

 

束「そう言えば箒ちゃん、あと3ヶ月したらIS学園に行くんだっけ。箒ちゃんの専用機作ろうかな」

 

ふと思い出してそう考えた。

 

私の妹なら、人質にして来る可能性も有るしね。

 

束「お昼食べてから作りますか。材料さえ有れば1ヶ月半で出来るし。材料はこの前いっくんが沢山韓国の女性権利団体から持って帰ってきて呉れたし」

 

私はそう言って食堂に向かった。

 

 

一夏 side

 

束姉がISを作り始めて1ヶ月半、どうやら完成したみたいだ。

 

束姉が開発室から出て来た。

 

束「流石私、予定通りの1ヶ月半で完成したよ!」

 

サムズアップしながらそう言う束姉。

 

俺は興味本意で束姉に聞いた。

 

一夏「お疲れ様、束姉。箒のIS見ても良いか?」

 

束「うん、良いよ。ちなみに、その機体の名前は紅椿(あかつばき)。スピードと機動力は、これまでのISの比じゃないよ!」

 

一夏「そりゃ凄えな」

 

束姉の解説を聞きながら、俺は紅椿に触れた。

 

機体に触れた瞬間、頭の中にISの情報が流れ込んで来た。

 

そして、ISが光始めた。

 

束「うそ!?いっくんにISが反応してる!!!」

 

それを見て、束姉が大声を上げた。

 

一夏(は?俺にISが反応してる?)

 

俺は束姉が言ってる事が理解出来なかった。

 

いや、現実逃避していた。

 

束姉には悪いけど、俺は[今のIS]が嫌いだ。

 

俺が周りから蔑まれる原因に成った元凶だ。

 

こんな皮肉が有るか?

 

一夏「た、束姉、どうしよう?」

 

俺は吃りながら束姉に聞いた。

 

束「そうだね。いっくんさえ良ければ、いっくんの専用機も作るけど」

 

顎に手を当ててそう言う束姉。

 

その時、アマゾン出現の警報が鳴った。

 

一夏「話の続きは、アマゾンを始末した後だな」

 

束「そうだね」

 

クロエ「そうですね」

 

俺達はそう言ってモニタールームに向かった。

 

そしてモニタールームに着いて、アマゾンが現れた場所を見て驚愕した。

 

その場所は、[五反田食堂]だった。

 

そこは俺の親友の家でもある。

 

一夏「何で、何で選りに選って此処なんだよ!!!」

 

俺は思わず叫んでしまった。

 

束「どうしたのいっくん、そんなに大声出して?」

 

束姉が不審に思ったのか聞いて来た。

 

一夏「この五反田食堂って店は、俺の親友の家なんだよ!!!」

 

束「ええ!!!」

 

クロエ「ええ!!!」

 

俺の返答に、2人は驚いた。

 

一夏「取り合えず、俺は行く!!!」

 

俺は2人にそう言って五反田食堂に向かった。

 

 

俺はバイクを走らせて、五反田食堂に着いた。

 

その時、中から女の叫び声が響いた。

 

???「お父さああああああん!!!」

 

俺が急いで中に入ると、親友の弾と妹の蘭を庇って親父さんが噛まれていた。

 

一夏「親父さん!!!」

 

弾「一夏!!!」

 

蘭「一夏さん!!!」

 

叫び声に気付いて、弾と蘭が俺の名を言う。

 

一夏「この野郎、離しやがれ!!!」

 

俺はアマゾンの横っ面に蹴りを入れて、親父さんから離した。

 

そして俺は、倒れた親父さんに呼び掛けた。

 

一夏「親父さん!!しっかりしてくれ、親父さん!!!」

 

必死に呼び掛けたけど、反応が無い。

 

俺は手首で脈を見た。

 

だけど、脈は無かった。

 

俺は開いていた親父さんの瞼を閉め、立ち上がりアマゾンを睨み付けた。

 

一夏「お前だけは絶対に赦さねえ」

 

俺はそう言って、アマゾンの頭を掴んで外に出た。

 

外に出た所で、アマゾンを投げ飛ばした。

 

顔を見ると、まるで狼みたいだ。

 

俺は既に着けていたベルトのグリップを握った。

 

すると、弾と蘭が入り口まで出て来た。

 

弾「一夏、一夏なのか!?」

 

蘭「一夏さん!?」

 

2人はそう言って俺に叫ぶ。

 

一夏「待ってろ2人共、仇は俺が獲る」

 

俺は2人にそう言って、グリップを捻った。

 

ベルト〔ジ・リ・オン〕

 

一夏「覚悟しやがれ屑狼・・・アマゾン」

 

そして黒い熱風と共に、俺はアマゾン体に成った。

 

弾「う、嘘だろ?」

 

蘭「一夏さんが、アマゾン?」

 

2人の声が聞こえる。

 

だけど今は、屑狼を殺す事に集中した。

 

狼アマゾン「ぎぎゃああああ!!!」

 

屑狼が叫びながら襲い掛かって来た。

 

俺はそれをすり抜けるように反れながら躱して、合気の要領で顔を掴み道路に頭を叩き付けた。

 

バキッ!!!

 

力を入れ過ぎて、道路に亀裂が入った。

 

痛みで頭を抑えて悶える屑狼。

 

俺はその隙を逃さず、顔にサッカーボールキックを入れた。

 

すると、まるでフリスビーのように回転して10mくらい飛んで行った。

 

一夏「親父さんの痛みと苦しみ、弾と蘭の悲しみ、お前にはじっくり味わって貰うぞ」

 

俺はそう言って屑狼に向かって走った。

 

そして、屑狼が立ち上がった所で腹に拳を入れた。

 

狼アマゾン「ぐぎゃっ!!!」

 

殴った事で腹から出血、さらに吐血してかなりのダメージだ。

 

屑狼はお返しとばかりに、左拳を撃ち込んで来た。

 

俺はそれを避けながら、左腕を交差させて動きを止めた。

 

狼アマゾン「グルルルルルル」

 

一夏「バカが、フン!」

 

屑狼が唸り声を上げて威嚇してきた。

 

それに俺は一言そう言って、腕を引き返しで肩を抉った。

 

狼アマゾン「ぐぎゃあああああああ!!!」

 

抉った瞬間、血飛沫が上がった。

 

さらに痛みで悲鳴を上げながら悶える屑狼。

 

一夏「そろそろ、終わりにするぞ」

 

俺はそう言って、ベルトの左グリップを捻った。

 

ベルト〔バイオレント・スピア〕

 

音声の後、右手を手刀にして弓を引くようにし中腰で構えた。

 

そして、一気に突進して屑狼の胸を貫いた。

 

ズブッ

 

さらに、腕を抜く際に心臓を掴み出した。

 

其処までして、屑狼は倒れた。

 

一夏「気持ち悪いなぁ」

 

俺は一言そう言って、心臓を握り潰した。

 

グシャッ

 

俺が心臓を握り潰すと同時に、屑狼の体がスライムみたいに成り腕輪だけが残った。

 

屑狼が死んだ事を確認して、ベルトを外して変身を解いた。




いかがでしたでしょうか?

今回はISの起動と、五反田兄妹との再会でした。

原作では五反田父は出ていないので、闘う理由として人物だけ出しました。

バイオレント・スピアの構えのイメージは、素手の牙突です。

分からない方はググって下さい。

さて、次回でプロローグは最終回。

その次からは原作に入ります。

それでは、次回もお楽しみに


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友情 転機

お待たせしました。

今回少し長めです。

それでは、本編どうぞ。


一夏 side

 

俺は変身を解いた後、店に入って親父さんの遺体をブルーシートに包んだ。

 

その間、一切の会話が無かった。

 

表情を見る限り、恐怖というより現実を受け入れられないって感じだな。

 

一夏「怖がらねえのか、お前ら」

 

弾、蘭「・・・」

 

俺が2人にそう聞いたけど、2人は黙ったまま答えなかった。

 

一夏「親父さんを亡くした事は、他人の俺には気休めも言えない。だけどな、厳さんと蓮さんが今のお前達を見たらさらに悲しむぞ。親父さんが喰われたなんて知ったら、蓮さんは多分倒れる。そんな中、2人を支えられるのはお前らだ。だから、親父さんの分まで生きろ」

 

俺は2人を自分なりに励ましたつもりだ。

 

弾「お前は何時からそんな重い台詞を言うように成ったんだ?」

 

弾は呆れながらそう聞いて来た。

 

蘭「相変わらず、一夏さんは優しいですね」

 

蘭はまだ涙目だけど、笑顔でそう言った。

 

一夏「最初の質問を繰り返すけど、お前ら怖がらねえのか?」

 

余りにも昔と変わらない話し方をする2人に、俺は最初の質問を2人にまた聞いた。

 

弾「確かに、最初は本当にお前なのかと疑っていた。でも話してる内に、アマゾンに成ってもお前はお前だと分かった。お前は正真正銘、織斑一夏だ」

 

一夏「ありがとな、弾」

 

弾の言葉を聞いて、俺は涙腺が緩んだ。

 

やっぱり親友ってのは、種族が変わっても変わらねえな。

 

蘭「一夏さん、私も最初はお兄と同じでした。でも、一夏さんの励ましを聞いて分かりました。やっぱり一夏さんは変わらず優しい人だと、だからこれからも仲良くして下さい」

 

一夏「ありがとな、蘭」

 

嬉し過ぎてそれしか言えなかった。

 

この2人は、束姉、箒、そしてもう1人の幼馴染みの他に俺と仲良くしてくれた数少ない絆(つながり)だ。

 

弾「何泣いてんだよ。俺達は当たり前の事言っただけだぜ。それに、礼を言いてえのは俺達の方だぜ」

 

蘭「そうですよ、一夏さん」

 

一夏「礼って何だよ?」

 

2人はそう言うが俺は礼を言われる事をした覚えが無い。

 

弾「親父の仇を取ってくれて、ありがとな」

 

蘭「お父さんの仇を取ってくれて、ありがとうございます」

 

2人はハモってそう言った。

 

一夏「確かに、結果的にはそう成ったな。俺も親父さんには良くして貰ったし」

 

2人の意図が分かって、俺はそう返した。

 

弾「話は変わるけど、お前今何処に住んでんだよ?」

 

弾が突然そう聞いて来た。

 

一夏「所在は言えねえけど、俺は今ある人に保護されてるんだ」

 

弾「保護、誰にだよ?」

 

俺がそう答えると、弾が訝しむ表情で聞いて来た。

 

蘭「お兄、余り質問攻めするのは良くないよ。一夏さんにだって言えない事ぐらい有るし」

 

そう言って、蘭が弾の質問を止めた。

 

その時、厳さんと蓮さんが帰って来た。

 

厳「な、何が遭ったんだ!!!」

 

蓮「弾、蘭、貴方達怪我は無い!?」

 

厳さんは状況が分からず、蓮さんは弾達を心配していた。

 

厳「そう言えば、(そら)はどうした?」

 

蓮「確かに、あの人は何処かしら?」

 

弾「・・・」

 

蘭「・・・」

 

2人が親父さんが居ない事に気付いて、そう言った。

 

それを聞いて、弾達は俯いて黙っていた。

 

弾「親父は、アマゾンに喰われた」

 

厳「は?」

 

蓮「え?」

 

弾が親父さんの事を言うと、2人は間の抜けた声を出した。

 

厳「おい弾、余りふざけた事言うと殴るぞ」

 

蓮「そうよ、縁起でもない事言わないでよ」

 

やっぱり信じられない様子で否定的な2人。

 

蘭「嘘でも冗談でもないよ、2人共」

 

厳「・・・」

 

蓮「・・・」

 

一夏(俺、完全に空気だな。ま、気配消してるから仕様が無いけど)

 

五反田一家の会話を眺めながら、俺はそう思った。

 

厳「ほ、本当なのか?空が喰われたって」

 

蓮「貴方達、エイプリルフールにはまだ早いわよ」

 

厳さんは受け入れかけてるけど、蓮さんはまだ現実逃避していた。

 

弾「座敷の所にブルーシートで包んである。でも余り見ない方が良いと思う、喰い千切られててグロいから」

 

弾は後ろを見ながら2人にそう言った。

 

蓮「あ、あなた」 ガクッ

 

ガシッ

 

すると現実を突き付けられた蓮さんは、予想通り気を失った。

 

予想が着いてた俺は、蓮さんの肩を抱くようにして支えた。

 

厳「て、てめえは!!!」

 

すると厳さんは、俺の顔を見て憤怒の形相で俺を睨む。

 

その原因は、第2回モンドグロッソが行われる1ヶ月前の事。

 

俺が五反田家に遊びに行った時の事だった。

 

その時、屑兄貴が何故か無理矢理付いて来た。

 

そして蘭が1人で部屋に居る時に押し入って、蘭をレ〇プしようとした。

 

口を塞がれる前に悲鳴を上げた為、弾と厳さんが駆け付けて事無きを得た。

 

それ以来、屑兄貴は五反田家に出入り禁止に成っている。

 

厳さんが俺の顔を見てキレてるのは、それが理由だ。

 

一夏(やっぱ、双子ってのはこういう時に不便だな)

 

俺がそう思ってると、厳さんが殴り掛かって来た。

 

厳「貴様、どの面下げて此処に居やがるんだ!!!」

 

俺はそれを、左手で受け止めた。

 

ガシッ

 

俺が止めた所で、弾と蘭が厳さんを止めに入った。

 

弾「待て待て爺ちゃん。コイツはあの屑じゃねえ、一夏だ」

 

蘭「そうだよお爺ちゃん。似てるのは分かるけど待って」

 

厳「は、一坊(いちぼう)?」

 

一夏「お久しぶりです、厳さん」

 

厳さんが我に帰った所で、改めて挨拶をした。

 

厳「一坊、お前何時帰って来たんだよ!?」

 

一夏「帰って来た訳じゃないんです。ちょっと、野暮用でね」

 

厳さんの当然の質問に、俺はそう答えた。

 

厳「野暮用って何だよ?」

 

俺の答えに、厳が食い付いて来た。

 

俺は蓮さんを椅子に座らせながら答えた。

 

一夏「・・・アマゾン狩りです」

 

厳「・・・は?」

 

俺がそう答えると、厳さんはまだ間の抜けた声を出した。

 

すると、弾が間に入って厳さんに言った。

 

弾「そう言えばまだ言って無かったな。親父を喰ったアマゾンは死んだぜ」

 

厳「だ、誰が倒してくれたんだ!?」

 

弾の言葉に、厳さんは動揺しながらも嬉しそうな表情で弾に聞いた。

 

一夏(まぁ弾達に知られたし、厳さんに知られても問題は無いか)

 

俺は弾が言おうとしてることを察してそう思った。

 

弾「仇を取ってくれたのは、一夏だよ」

 

厳「おい弾、人間が丸腰でアマゾンに勝てる訳が有るか」

 

厳さんは弾の言葉を信じなかった。

 

だけど、弾の次の言葉に厳さんは度肝を抜かれた。

 

弾「一夏は、アマゾンに成ったんだ」

 

厳「はあ!?」

 

厳さんの反応は間違いじゃない。

 

久しぶりに会った顔馴染みが人喰いの化け物に成ったなんて、そりゃ信じたくないよな。

 

すると、厳さんが俺に聞いて来た。

 

厳「一坊、今の話は本当か?」

 

一夏「本当ですよ、厳さん。俺は今アマゾンです」

 

厳「・・・」

 

俺が答えると、厳さんは黙ってしまった。

 

少しの沈黙を破って、厳さんが口を開いた。

 

厳「一体お前に何が遭ったんだ?」

 

弾「それは俺も気になってた」

 

蘭「私もです」

 

厳の問い掛けに、2人も食い付いて来た。

 

一夏「分かった、順を追って話す」

 

一夏説明中

 

厳「あの、クソガキ!!!」

 

弾「何処まで性根が腐ってやがるんだ!!!」

 

蘭「ひ、酷すぎる!」

 

俺の話を聞いて、厳さんと弾は憤慨し、蘭は涙目に成っていた。

 

一夏「今は別に気にしてねえよ、アイツ等の所に戻る気なんて更々無いしな。それに、皆ともこうして再会出来たんだ。今はそれで良い」

 

俺がそう言うと、厳さんが鼻で笑った。

 

厳「フン、あの鼻っ垂れ小僧が随分と成長したな」

 

と嬉しそうな表情でそう言う厳さん。

 

一夏「そんじゃ、俺はそろそろ帰るぜ。それと次からは、またちょくちょく飯食いに来るよ」

 

俺がそう言うと、厳さん達が見送ってくれた。

 

厳さん「おう、何時でも来な。お前ならサービスしてやるよ」

 

弾「親父の事、マジでありがとな。また来いよ、親友」

 

蘭「一夏さん、またお会い出来て嬉しかったです。またお会い出来る日を楽しみにしています」

 

三者三様言葉を送ってくれた。

 

一夏「それじゃまた、蓮さんにも宜しく伝えて下さい」

 

厳さん「あぁ、伝えとくぜ」

 

厳さんの答えを聞いて、俺はバイクに乗って五反田家を後にした。

 

五反田一家 side

 

(ナレーションnoside)

 

一夏が五反田家を去った後、蓮が目を覚ました。

 

蓮「うぅん、あれ此処は?」

 

厳「お、目が覚めたか」

 

目覚めた蓮に気付いた厳が声を掛けた。

 

蓮「お父さん。私、何で寝てたんだっけ?」

 

まだ寝惚けながらも、状況を確認する蓮。

 

厳「空が死んだと知ったショックで気絶したんだ」

 

蓮「・・・あなた」

 

再度知らされた事実に、蓮は泣き始めた。

 

それを見た弾が、蓮に話し掛けた。

 

弾「お袋、そんなに悪い話ばっかりじゃねえぞ」

 

蓮「どういう事?」

 

弾の言葉に、蓮は涙を拭いながら聞いた。

 

弾「親父の仇を取ってくれた奴が居るんだ」

 

蓮「だ、誰なの!?」

 

弾の吉報を聞いて、蓮は立ち上がりながら聞いた。

 

弾「その前に、一夏の事覚えてるか?」

 

蓮「一夏くん?えぇ、覚えてるわよ。弾と同じ中学の子よね」

 

覚えている事を確認した弾は、蓮に告げた。

 

弾「その一夏なんだよ、親父の仇を取ってくれたのは」

 

蓮「その話、もっと詳しく聞かせて」

 

恩人の正体を知った蓮は、驚いていた時とは打って変わって真剣な表情に成った。

 

弾「わ、分かった」

 

厳、蘭「・・・」

 

蓮の豹変ぶりに、3人は戸惑っていた。

 

そんな中、弾は一夏から聞いた事を蓮に話した。

 

蓮「そう、そんな事が」

 

厳「あっさり受け入れるんだな、お前」

 

蓮のリアクションを見て、厳がそう言った。

 

蓮「恩人の事を疑うなんて失礼よ。それにしても、一夏くんも気の毒ね。実の兄にそんな事されるなんて」

 

弾「あぁ、アイツは何かに付けて一夏を虐めてたしな。で、姉の方も仕事を理由にSOSを無視と来た。マジで最低な姉兄(きょうだい)だ」

 

蘭「お兄の言う通りだね。助けを求めてる人を無視するなんて、人としておかしいよ。況してや弟の助けなら尚更だよ」

 

厳「そうだな。それに、あのクソガキの身代わりにされたってのも腹が立って仕様がねえぜ。弟を自分の替え玉にした挙げ句、のうのうと帰国して来やがって」

 

と、各々が織斑姉兄への怒りを語った。

 

一夏 side

 

俺がラボに戻ると、束姉が慌てて来た。

 

束「いっくん、大変だよ!!!」

 

一夏「どうしたんだよ束姉?」

 

束「とにかく早く来て!!!」

 

俺が聞くと、束姉は俺の手を引がらそう言った。

 

俺は訳が分からないまま、モニタールームに連れて来られた。

 

一夏「どうしたんだよ、いきなり?」

 

束「とにかくこれを見て!!」

 

俺が聞くと、束姉はそう言ってモニターを着けた。

 

其処に写っていたのは、さっき五反田食堂前での闘いだった。

 

俺は束姉に聞いた。

 

一夏「これって束姉が撮ったモノじゃないのか?」

 

でも、束姉は否定した。

 

束「違うよ。これはユー〇ュー〇にアップされた映像だよ」

 

一夏「マジかよ」

 

事実を聞いた俺は、額に手を当てて呟いた。

 

一夏(これで、俺がアマゾンだって事が世界に知れた。顔まで映ってるから、これをもし屑2人が見てたらマズいな。これからは動きにくくなる)

 

俺が今後の事に付いて考えていると、束姉がとんでもない事を言い出した。

 

束「ねぇいっくん、私のテストパイロットに成ってくれない?」

 

 

一夏「は?・・・あ、何か察した」

 

最初は「何を言ってるんだ?」と思った。

 

でも、狩りに行く前に言ってた専用機の件を思い出して察した。

 

一夏「もしかして、IS学園に行けって事か?」

 

束「お!流石いっくん。察しが良いね」

 

まさかと思って確認すると、案の定の答えが返って来た。

 

束「いっくんのスタイルに合わせた専用機を今作ってるから、いっくんはISの基礎を勉強しといてね」

 

束姉が笑顔でISの参考書を渡しながらそう言って来た。

 

一夏「決定事項なんですね分かります」

 

俺は呆れてそう言った。

 

こうして俺は、ISの勉強を束姉とマンツーマンで行った。

 

そして1ヶ月半後、俺はIS学園に入学した。




いよいよ次回から原作です。

いよいよ一夏の快進撃が始まります。

一夏がアマゾンだと知った一夏を知る者のリアクションをお楽しみ下さい。

それでは、次回もお楽しみに


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クラス代表決定戦
望む再会 望まぬ再会


今回から、いよいよ原作です。

ちなみに、タグを変更しました。

[千冬、オリ兄アンチ]から[オリ兄アンチ]に変えました。

それでは、本編どうぞ。



一夏 side

 

俺は今、IS学園の教室に居る。

 

それにしても、俺を動物園のパンダか何かと勘違いしてないか?

 

ハッキリ言って、視線がウザイ。

 

アマゾンは気配察知が鋭敏に成ってるから余計にキツイ。

 

でも、悪意が無いから強く言えない。

 

それにしても、箒と一緒のクラスなのは嬉しい。

 

だけど、まさかクソ兄貴まで一緒だとは思わなかった。

 

見たくもない奴と顔を会わせなきゃ成らねえのは腹立たしい。

 

しかも、替え玉にした張本人なら尚更だ。

 

一夏(しかも入学式の時に教師陣の中にダメ姉まで居やがった。あの傍若無人を体現したような女が教師って、多分だけど「言われた事には「はい」か「yes」で答えろ」とか何とか言いそうだな)

 

俺がそう考えていると、教室の戸が開いて緑髪の女が入って来た。

 

教卓まで移動すると、挨拶を始めた。

 

真耶「皆さん、入学おめでとうございます。私は今日からこのクラスの副担任を勤めます、山田真耶です。これから1年間、宜しくお願いします」

 

生徒全員「・・・」

 

挨拶を終えても、全員返答無し。

 

見かねた俺は、挨拶を返した。

 

一夏「宜しくお願いします」

 

真耶「うぅ、宜しくお願いします」

 

返された事が嬉しかったのか、それとも返事をされなかったのが悲しかったのか半泣きで返事を返す山田先生。

 

一夏(って言うか、挨拶されたら返すのが礼儀だろ。名前が回文なのが珍しいのか知らねえけど、挨拶されたら返せよ)

 

俺がそう思ってると、山田先生が自己紹介を促した。

 

真耶「それでは、廊下側から順に自己紹介をお願いします」

 

順番は回って、俺の番に成った。

 

一夏「俺は織斑一夏。見て分かると思うが、俺は男だ。でも俺はISを動かす事が出来る。それに俺は、或るIS開発者のテストパイロットをしている。でも、性別とか肩書きとか関係無く仲良くしてくれると嬉しい。これから1年間よろしくな」

 

挨拶が終わった瞬間、後ろから気配を感じた。

 

しかも筋肉の音からして、攻撃しようとしてるのが分かった。

 

俺は振り返らずに攻撃を受け止めた。

 

一夏「再会早々ご挨拶だな、織斑先生。いや、ブリュンヒルデ」

 

千冬「今まで何処をほっつき歩いていた?」

 

如何にも保護者みたいな言い方をするダメ姉に、俺は振り返りながら言った。

 

一夏「ドイツに置き去りにしといて、今さら保護者面するのは止めろ。それに仕事を理由に家を蔑ろにして、尚且つ俺のSOSを無視してたんだ。どの面下げて姉面してんだよ」

 

千冬「・・・」

 

俺の文句に、ダメ姉は黙ったままだった。

 

まぁ、理由は分かってるけどな。

 

一夏「奇襲を仕掛けるなら、最低でも殺気を消せよクソ兄貴」

 

千冬、春十「な!?」

 

俺がクソ兄貴の奇襲を指摘すると、2人は驚いた。

 

一夏「相変わらずだな。いや、クソ兄貴に加担してるから質が悪く成ってるな」

 

俺がそう言うと、クソ兄貴がキレ気味に話し掛けて来た。

 

春十「出来損ないの分際で偉そうな口を利いてんじゃねえよ。それにテストパイロットなんて肩書き、お前には不釣り合いだ」

 

一夏「お前の価値観で人を計ってんじゃねえよ。それに、ドイツの一件で俺達の縁は切れてんだ。今さら昔の関係を持ち出してデカイ態度してんじゃねえよ」

 

クソ兄貴の勝手な物言いに、俺は殺気を浴びせながらそう言った。

 

春十「ヘ、へへ。良い目するように成ったな。でもな、お前がそんな目をした所で、お前が俺に劣ってるのは変わらねえよ」

 

クソ兄貴は殺気に少し怯んだけど、持ち前の強がりを出して罵って来た。

 

一夏「何も知らねえ奴は気楽で良いよな」

 

そんなクソ兄貴を見て、俺は呆れながらそう言った。

 

春十「どういう意味だ?まさかとは思うが、お前如きがこの2年間で強く成ったとか言うんじゃねえだろうな?」

 

俺の言葉に、クソ兄貴は気に食わないと言った表情でそう聞いて来た。

 

一夏「生憎だが、その通りだ。俺とお前とじゃ次元が違う。例えて言うなら、蟻1匹VS専用機ISだな」

 

春十「巫山戯るな!!!俺とお前に、そんな差が有るか!!!有るとしたら、お前が蟻側だろうが!!!」

 

俺が力の差を例えると、クソ兄貴は叫んで激怒して殴り掛かって来た。

 

構えからして、コイツもそれなりに鍛えてるみたいだ。

 

だけど

 

一夏(そんなの、アマゾンに成った俺から観たら小手先程度の小技に過ぎない)

 

ガシッ

 

俺はそう思いながら、クソ兄貴の拳を止めた。

 

春十「何!?」

 

一夏「そんな飯事(ままごと)体術なんか通じるかよ」

 

クソ兄貴は、攻撃を止められた事にかなり驚いていた。

 

其処に俺は、挑発の意味も込めて罵った。

 

春十「調子に乗るなよ、俺は姉貴に鍛えられたんだぞ。その俺の体術が、飯事だと」

 

挑発が効いてるみたいだ。

 

かなり頭に血が上ってるな。

 

一夏「恐らくだが、お前が習ったのは自己防衛程度の技術だ。ただの素人に、いきなり殺しの技術を教える訳が無いからな」

 

千冬「!!」

 

春十「殺しの、技術?」

 

俺の推測を聞いてダメ姉は動揺し、クソ兄貴は戸惑っていた。

 

一夏(そういえば忘れてたけど、此処って教室だったな)

 

俺は今更ながら、回りを見てそう思った。

 

教室に居る俺達以外の皆が固まっていた。

 

一夏「お前ら、場所を変えるぞ。此処じゃ話しづらい。山田先生、俺達少し席を外します」

 

真耶「は、はい」

 

俺はダメ姉とクソ兄貴に場所を変えると言って、山田先生にも断りを入れた。

 

そして返事を確認して、俺達は屋上へ向かった。

 

 

千冬 side

 

私は今、春十と一夏と一緒に屋上に来ている。

 

しかし、一夏は変わってしまった。

 

私に執拗な態度であんな物言いをするのが腹立たしかった。

 

だから春十の不意討ちも黙っていた。

 

だが一夏は、春十の殺気を読み取って指摘した。

 

それに春十の攻撃を簡単に止める辺り、かなり強くなっている。

 

しかも、春十の体術の度合いを見破る観察力。

 

信じられない成長スピードだ。

 

千冬「一夏、この2年間に何が遭ったんだ?」

 

私が尋ねると、一夏は面倒臭そうに答えた。

 

一夏「チッ仕様がねえな、教えてやるよ。俺はモンドグロッソの試合開始前に、クソ兄貴に無理矢理連れ出されて買い物に行ったんだ。その道中に、がたいの良い男3人に囲まれてこう聞かれた「織斑春十はどっちだ」ってな。するとクソ兄貴は自分が弟だと言い出した。俺は当然ながら抗議しようとした。だが、声を出した瞬間にクソ兄貴に腹を殴られ気絶させられた。つまり、俺はクソ兄貴の替え玉にされたんだ」

 

千冬「な、何だと!?」

 

私は一夏から聞いた事が信じられなかった。

 

まさか春十が、一夏を替え玉にするなんて考えられなかった。

 

千冬「春十、本当なのか!?」

 

春十「そんな訳あるかよ!」

 

私は春十に確認するが、春十は否定した。

 

一夏「信じる信じないはアンタ次第だ。まぁ俺のSOSを無視し続けたアンタが信じるのは、確実にクソ兄貴の方だろうがな」

 

春十が否定した所で一夏は薄っすらと笑いながらそう言った。

 

すると春十が、一夏に話し掛けた。

 

春十「お前、さっきから姉貴に対して態度がデカくないか?それに、俺とお前の強さに差がって有るって言ってたよな?」

 

気に食わないと言う表情で言う春十に、一夏は当たり前と言う態度で応えた。

 

一夏「言ったぜ、だからなんだよ?また昔みたいに他人に頼んで俺を痛め付けるか?」

 

私は一夏の言葉に引っ掛かるモノか有った。

 

〈他人に頼んで痛め付ける〉

 

千冬(どういう事だ?それに、さっき一夏が言ってたSOSと言うのも引っ掛かる)

 

そう思った私は、一夏に尋ねた。

 

千冬「一夏、痛め付けると言うのはどういう事だ?」

 

その時、私は横目で春十を見た。

 

春十「・・・」

 

春十は、何処か気不味そうな表情をしていた。

 

一夏「俺はアンタが仕事で居ない時、クソ兄貴のサンドバックにされてたんだよ」

 

千冬「な!?」

 

私は一夏の答えに驚愕した。

 

私の驚きを無視して、一夏は続ける。

 

一夏「それだけじゃねえ。学校ではクソ兄貴がヤンキー達に金を渡して、俺をヤンキー達のサンドバックにされてたんだ。その上、家事は俺に全部丸投げと来た。まるで奴隷みたいな生活だったぜ」

 

千冬「・・・」

 

私は言葉が出なかった。

 

私が仕事で家を空けている間に、春十がそんな事をしていた事が信じられない。

 

最後に一夏は、私を睨みながら言った。

 

一夏「そして俺は、アンタに何度も助けを求めようとした。なのにアンタは、仕事を理由にその全てを無視した。そして俺が行方不明に成ったにも関わらず、ドイツ軍に捜索願いを出すだけで自分達はさっさと日本へ帰国。まったく、本当に血が繋がってんのか疑わしく成って来たぜ」

 

まさか此処まで嫌悪されているとは思わなかった。

 

しかし私は、春十が一夏にした仕打ちの理由を問い詰めた。

 

千冬「春十、説明して貰おうか」

 

春十「な、何だよ!?俺よりコイツを信じるのかよ!!!」

 

春十は一夏を指差してそう言った。

 

惚ける春十に、私は疑問に成っていた事を聞いた。

 

千冬「なら聞くが、何故一夏を出来損ないと罵った?」

 

春十「ぐっ!」

 

私の質問に、春十は動揺していた。

 

今の春十のリアクションで、どちらが真実を言っているかは明らかだった。

 

千冬「質問に答えろ。何故一夏にそんな仕打ちをした」

 

さっきの質問を春十にすると、春十は開き直って話始めた。

 

春十「チッ…何で上手く行かねえのかねぇ。折角今まで苦しめて来たのに。あぁそうだよ、全部ソイツの言う通りだ。理由としては、兄より優れた弟が存在するってのが気に食わないからだ。兄弟ってのはな、生まれた順で評価されないと行けねえんだよ。なのに此奴は、俺より優れてた。頭脳、運動の両方でな。だから潰してやろうと思ったんだよ。ちなみに、姉貴も半分は俺に加担してたんだぜ。一夏の話を碌に聞かずにいたアンタも同罪だ」

 

春十は悪びれる様子も無くそう言った。

 

正直、最後は言い返せない。

 

すると、今まで黙っていた一夏が口を開いた。

 

一夏「お前さぁ、絶対に蘭にしようとした事を反省して無いだろ?」

 

一夏の問い掛けに、私は間に入った。

 

千冬「ちょっと待て。春十が蘭に何かしたのか?」

 

すると一夏からとんでもない答えが返って来た。

 

一夏「何をしたかって?このクソ兄貴、蘭をレ〇プしようとしたんだよ」

 

千冬「な、何だと!?」

 

私は春十が仕出かした事に、頭が真っ白に成った。

 

その時、春十が一夏の質問に答えた。

 

春十「反省?何でそんな事をする必要が有る?大体、せっかく俺の女にしてやろうと思ったのに、何で拒まれたのか理解に苦しむ」

 

その言葉に、一夏の雰囲気が変わった。

 

千冬(これは間違いなく、殺気だ)

 

一夏の殺気を感じて、私は足が震えていた。

 

これ程の殺気は感じた事が無い。

 

例えで言うなら、まるで[猛獣]の殺気だ

 

すると、一夏が春十を睨みながら言った。

 

一夏「お前、何処まで腐れば気が済むんだ?俺がその性根を叩き直してやる」

 

一夏はそう言いながら、首や手の間接を鳴らした。




いかがでしたでしょうか?

次回は兄弟喧嘩です。

結果は丸分かりでしょうが。

それでは次回をお楽しみに


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兄(姉)弟喧嘩 代表決め

ようやく出来ました。

お待たせして申し訳ありません。

それでは、本編どうぞ。


一夏 side

 

俺は、クソ兄貴の態度が頭に来ていた。

 

蘭を襲っておいて、反省する処か自分のした事が正しい事かのように言っている。

 

此処まで腐った[人間]を見るのは、[表では]初めてだ。

 

一夏「お前は何処まで腐れば気が済むんだ。俺がその性根を叩き直してやる」

 

俺はそう言いながら、首と手の間接を鳴らす。

 

春十「何を格好付けてんだ。お前ごときが俺に敵う訳ねえだろ」

 

この期に及んで、まだ自分が有利だと思っているバカさ加減に俺は呆れた。

 

一夏「言ったよな、お前と俺には圧倒的な差が有るって」

 

俺が呆れ声で言うと、クソ兄貴が見下すように言う。

 

春十「それは、俺がお前より強いって事だ」

 

此処まで言ってもまだ力の差を分かってないクソ兄貴を、俺は挑発した。

 

一夏「なら掛かって来いよ。実力の差ってヤツを教えてやるから」

 

俺はそう言いながら、指でも来いとゼスチャーで挑発する。

 

春十「弟の分際で付け上がりやがって、弟が兄に勝てるわけがねえんだよ!!!」

 

クソ兄貴はまんまと俺の挑発に乗って、そう吠えながら猛ダッシュして来た。

 

そして間合いに入った所で、クソ兄貴が勢いを載せて右ストレートを放って来た。

 

俺は其処で、クソ兄貴の右側に移動しながら躱す。

 

さらにカウンターでクソ兄貴の右頬に左拳を打ち込んだ。

 

ガキンッ

 

春十「ぐふっ!!!」

 

付け加えると、少し斜め下に角度を付けて殴ったから脳が揺れた筈だ。

 

春十「く、クソ、立てねえ!!」

 

案の定、足が震えてまともに立てないでいる。

 

一夏「当たり前だろう。殴る時に角度を調節して脳を揺らしたんだからな、暫くは立てねえぞ」

 

春十「な、何だと!?」

 

俺の解説に、クソ兄貴は有り得ないという表情で驚いた。

 

一夏「言っとくけどな、今のカウンターはほんの挨拶替わりだ。まだ戦るって言うなら、今度は血が出るぞ」

 

俺は殺気を出しながらクソ兄貴に忠告した。

 

だが、クソ兄貴はさらに虚勢を張る。

 

春十「たかが紛れ当たりを、実力みたいに言うな!!!お前にそんな高等技術が出来る訳がないんだ!!!」

 

クソ兄貴はそう叫びながら、気合いで立ち上がった。

 

一夏「現実逃避も此処まで来ると大した物だな。だったら、その夢を覚まさせてやる」

 

 

俺はそう言った直後、一瞬でクソ兄貴の懐に入った。

 

そして、勢いを載せた右ストレートをクソ兄貴の腹にお見舞いした。

 

一夏「おら!!」

 

春十「がは!!!」

 

俺の速度に反応が遅れ、もろに食らって吹っ飛んだ。

 

一夏(つい力を入れ過ぎたな。昔の恨みが有ったとは言っても、人間に今のはマズかったな。アマゾンが人間に振るって良い力じゃなかった。それに、加速もやり過ぎた。ダメ姉には、多分感付かれたかもな)

 

俺はそう思って、ダメ姉を横目で見た。

 

様子を見ると、ダメ姉は何か考え込んでいた。

 

一夏(やっぱり、何か考えてるな。昔の勘で言うなら・・・恐らく気付いてるな)

 

俺がそう考えてる間も、クソ兄貴は痛さに苦しんでいた。

 

春十「ぐ、くっ」

 

顔を青くして、両手で腹を押さえてのた打ち回っていた。

 

一夏「これで分かっただろ?お前じゃあ俺には勝てない。家でのうのうと堕落していたお前と、極限まで鍛え上げて来た俺とじゃ次元が違うんだよ」

 

するとクソ兄貴はよろよろと立ち上がると、千鳥足で屋上を後にした。

 

春十「クソ、覚えてろよ!」

 

と、定番の捨て台詞を残して。

 

そして、俺は考え込んでるダメ姉に話し掛けた。

 

一夏「何か言いたいなら、はっきり言えよ。ブリュンヒルデさん」

 

俺が称号で呼ぶと、ダメ姉の表情が暗くなった。

 

千冬「その呼び方は止めてくれ。私は、あの時お前を助けられなかった」

 

俺は、ダメ姉の態度にイラついた。

 

散々俺のSOSを無視しといて、今さらそんな態度を取られてもあざとく感じるだけだ。

 

そして俺は、束姉から聞いた[あの事]をダメ姉にぶつけた。

 

一夏「あざとい事するんじゃねえよ。散々人を殺しておいて、今更 何を言ってんだ白騎士さんよ」

 

千冬「ど、どうしてそれを!?」

 

俺の揺さぶりに、ダメ姉は予想通りの驚きを見せた。

 

一夏「その様子だと、俺のプロフィール見てないだろ。俺が誰のテストパイロットなのか?」

 

俺がそう言うと、ダメ姉はタブレットを見た。

 

千冬「な、何だと!?」

 

今日何度目か分からないリアクションをするダメ姉。

 

千冬「お前が、束のテストパイロットだと!?」

 

一夏「あんたなぁ、仮にも教師なら生徒のプロフィールくらい確認しとけよ。あぁ、俺の事なんて欠片も興味無ねえもんなアンタは。だから名前しか見なかったんだな」

 

千冬「・・・」

 

俺の皮肉に、ダメ姉は苦虫を噛んだような表情に成った。

 

一夏(ま、アマゾンに成った俺には人間の考えなんてどうでも良いけどな)

 

俺がそう思ってると、チャイムが鳴った。

 

キーンコーンカーンコーン

 

一夏「(ショート)(ホーム) (ルーム) 終わったな。俺は教室に戻りますよ、織斑先生」

 

俺はそう言って、屋上を後にした。

 

千冬 side

 

一夏と春十の戦いを見て、私は不審に思った。

 

いくら鍛えたと言っても、たったの2年で彼処までの成長を遂げるのはおかしい。

 

最初のカウンターでも、あんな高等技術を咄嗟に出来るのは戦いのプロだけだ。

 

それに、身の熟しもかなりのモノだ。

 

あれは、間違い無く戦い慣れている。

 

しかし、1番驚いたのは一夏の攻撃の時だ。

 

一瞬で春十の懐に入り込んで、勢いを載せた右ストレートを春十に打ち込んだ。

 

私は春十が一撃で沈んだ事よりも、一夏の身体能力に驚いていた。

 

あの動きは流石におかしい。

 

人間の反射神経を超えた動きをするのは異常すぎる。

 

春十が屋上を後にした後、考えていた私に一夏が話し掛けて来た。

 

一夏「何か言いたいならはっきり言えよ。ブリュンヒルデさん」

 

執拗な態度に私は申し訳無い気持ちでいっぱいだった。

 

一夏を失ってから、白騎士事件で自分がした事の罪を自覚した。

 

今さらとは思ったが、私は一夏に謝ろうとした。

 

千冬「その呼び方は止めてくれ。私は、あの時お前を助けられなかった」

 

其処まで言った所で、一夏の眼が鋭くなった。

 

そして、一夏から1番聞きたくなかった言葉が出て来た。

 

一夏「あざとい事するんじゃねえよ。散々人を殺しておいて、今更 何を言ってんだよ白騎士さんよ」

 

何で一夏がその事を知っているのか分からなかった。

 

千冬「ど、どうしてそれを!?」

 

私はそう聞かずには居られなかった。

 

一夏「その様子だと、俺のプロフィールを見てないだろ。俺が、誰のテストパイロットなのか」

 

私の疑問に、一夏はそう言った。

 

一夏に言われて、私はタブレットで一夏のプロフィールを見た。

 

千冬「な、何だと!?お前が、束のテストパイロットだと!?」

 

私が驚いていると、一夏が呆れながら口を開く。

 

一夏「あんたなぁ、仮にも教師なら生徒のプロフィールくらい確認しとけよ。あぁ、俺の事なんて欠片も興味無えもんな。だから名前しか見なかったんだな」

 

一夏の皮肉に、私は言い返す事が出来なかった。

 

昔は仕事を理由に、一夏の呼び掛けを無視し続けてしまった。

 

その手前、一夏がそう思っていても文句を言えない。

 

私は謝りたかったが、今の一夏にどう謝れば良いのか分からなかった。

 

すると、学園のチャイムが鳴った。

 

キーンコーンカーンコーン

 

一夏「SHR 終わったな。俺は教室に戻りますよ、織斑先生」

 

一夏はそう言って、屋上を後にした。

 

箒 side

 

SHRが終わって5分程して、1番に一夏が帰って来た。

 

その数分後、春十、千冬さんの順に帰って来た。

 

千冬「すまない、理事長に呼び出しを受けていて遅くなってしまった」

 

千冬さんは入ってきて、すぐ謝罪の後遅れた理由を説明した。

 

箒(それにしても、アイツ(春十)の右頬が腫れているのは何故だ?どうでも良いが、日頃の行いを考えれば軽い罰だな)

 

私がそう思っていると、次の授業のチャイムが鳴った。

 

キーンコーンカーンコーン

 

すると千冬さんが仕切って話始めた。

 

千冬「この時間からはISの授業なのだが、その前にクラス代表を決めねばならない。推薦、または立候補でも構わないぞ。但し、織斑 弟は理事長からの指示で推薦、立候補の枠から外す事に成っている」

 

推薦しようとしていた女子「ええええええ!!!」

 

千冬さんの説明を聞いて、推薦しようとしていたであろう女子達が一斉に声を上げた。

 

千冬「静かにしろ!!まだ説明は終わっていない!!!」

 

しかしそれも、千冬さんの一喝で収まった。

 

千冬「説明を続けるぞ。理由は、織斑 弟を雇っている開発者に問題が有る」

 

千冬さんが其処まで言った所で、クラスの生徒の殆どが首を傾げた。

 

千冬「その開発者とは、ISの産みの親である篠ノ乃 束だ」

 

知らなかったクラス全員「ええええええええええええ!!!」

 

千冬さんの信じられないような理由を聞いて、クラスの殆どの生徒が驚愕の俺を上げた。

 

箒(私も、プロフィールを見た時は心臓が止まるかと思った。行方不明に成ったと思ったら、姉さんのテストパイロットに成って帰って来るんだからな)

 

千冬「静かにしろと言うのが分からんのか!!!」

 

千冬さんが叫びを止めた直後、1人の生徒が立ち上がって講義した。

 

???「納得が行きませんわ!!!」

 

甲高い声で抗議したのは、イギリスの国家代表候補生であるセシリア・オルコットだった。

 

セシリア「その様な特別視は認められません。大体男ごときが、神聖なIS学園の敷地に足を踏み入れる事 自体が許されません!!!況してや、学園の制服を着て教室に居るなど言語道断ですわ!!!」

 

オルコットは勢い付いて、さらに続ける。

 

セシリア「それに(わたくし)は、ISを学びに来たのです。決してサーカスを見る為に、こんな極東の地へ来た訳ではありませんわ。先程は男を推薦しようとしている方が居たようですが、その様や事はお止めなさい。推薦なら、唯一教官を倒したエリートの私が選ばれるのが必然。それを珍しいからと言う理由で、猿を選ばれては困りますわ。大体、技術も文化もイギリスに劣る日本に居る事自体が私には苦痛で」

 

オルコットは回りの事など気にも止めずに言いたい放題だ。

 

オルコットの勝手な言い分に、クラスの殆どの生徒がオルコットを睨んでいた。

 

すると、一夏がオルコットを止めた。

 

一夏「自惚れも大概にしろよ」

 

たったの一言、一言そう言っただけで教室に寒気が走った。

 

セシリア「な、何ですの?男の分際で、この私に意見しますの!?」

 

一瞬 怯んだがすぐに持ち直して一夏に言い返した。

 

一夏「俺の事はどう思ったり言ったりしようがどうでも良い。だがな、お前の発言はイギリスから日本に対する宣戦布告と捉えられても不思議じゃねえんだぞ」

 

一夏の言葉に、オルコットが反論する。

 

セシリア「わ、私はそんなつもりでは」

 

一夏「そんな言い訳が通る程、お前の立場は軽くねえだろうが。国家代表候補生なら、場所によってはその国の言葉に成るんだよ。そんな事も考えずに感情的に成ってあんな事を言ったお前こそ、学園に居る価値なんか無えよ」

 

一夏の説教とも受け取れる話し方に、オルコットだけでなくクラス全員が黙ってしまった。

 

さらに今度は、一夏がオルコットを問い詰めて行く。

 

一夏「大体、ISの産みの親は何処の国の出身だよ?モンドグロッソ2連覇のブリュンヒルデは何処の国の出身だよ?」

 

セシリア「そ、それは」

 

一夏の気迫に、オルコットはたじろいでいた。

 

そして、一夏はオルコットに止めを刺した。

 

一夏「ハッキリ言っとくけど、お前の発言は先生達もバッチリ聴いてんだ。もしこれをイギリス政府に訴えたら、強制送還、ISの没収、代表候補の座の剥奪、牢屋行きは免れないぜ」

 

セシリア「!?」

 

一夏の止めに、オルコットは顔を青くして怯えた。

 

箒(当たり前だ、あれだけ罵倒したんだ。抗議されても文句は言えないな )

 

だが、オルコットは虚勢を張って一夏に食って掛かる。

 

セシリア「決闘ですわ!!!」

 

と、オルコットは一夏を指差して叫んだ。

 

一夏「売られた喧嘩は買ってやるさ。織斑先生、アリーナは確か1週間後しか使えませんでしたよね」

 

オルコットの挑戦を受けて、一夏は千冬さんにそう聞いた。

 

千冬「あぁ、その通りだ。だが、良いのか?お前のISは束の作ったオリジナルだろ」

 

一夏「売られた喧嘩は買う、それが俺の流儀です」

 

千冬さんの質問に、一夏はそう答えた。

 

余談だが、不覚にも一夏の表情に見惚れてしまった。

 

すると千冬さんは、思い出したように言う。

 

千冬「そう言えば忘れていたが、織斑 兄には政府から専用機が与えられる事に成った」

 

それを聞いて、クラスがざわめいた。

 

女子生徒A「え、この時期に?」

 

女子生徒B「それって凄くない?」

 

等と話す女子達だった。

 

すると、春十が手を上げた。

 

春十「じゃあ俺、立候補します。理由としては、自分が何処まで行けるか知りたい」

 

と、理由を述べた。

 

箒(尤もらしい理由だか、一夏と一騎討ちがしたいだけだな)

 

私がそう思っていると、千冬さんが話を締めた。

 

千冬「分かった。では織斑兄、織斑弟、オルコットの3名で、クラス代表決定戦を行う。各自、当日までに準備をしておけ」

 

こうして、3人に因るトーナメントが決まった。

 

しかし、此処に居る全員が予想もしなかった。

 

織斑一夏と言う男の強さが、何れ程のモノなのかを。




いかがでしたでしょうか?

仕事の疲れと、麻疹やはやり目の流行で外出が出来ずストレスを発散出来ておりません。

その為モチベーションが下がる一方です。(言い訳)

それでも、楽しんで頂ければ嬉しいです。

それでは、次回をお楽しみに。



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部屋割り 部活見学 戦闘

お待たせ致しました。

長らく期間を開けてしまい申し訳ありません。

それでは、本編どうぞ。


一夏 side

 

トーナメントが決まった放課後、俺は教室に居た。

 

何故かと言うと、山田先生に教室で待機するように言われたんだ。

 

そして、夕日がピークに差し掛かった時だった。

 

真耶「お待たせしてごめんなさい、これが織斑君の部屋の鍵です」

 

居残りの理由はこれだ。

 

本当は1週間は通いの筈だったが、日本政府の計らい(命令)で寮に入る事に成ったらしい。

 

だからクソ兄貴も同様に寮暮らしだ。

 

一夏「まさかとは思いますけど、相部屋じゃ有りませんよね」

 

鍵を受け取りながら尋ねると、山田先生は苦笑いしながら答えた。

 

真耶「残念ながら、織斑君だけ相部屋です」

 

一夏「マジか」

 

俺はそう呟きながら、額に手を当てた。

 

一夏「それで、同室の人の名前を教えてくれませんか?」

 

真耶「織斑君の同居人は、篠ノ之さんです」

 

俺は気になって、同居人の名前を聞いた。

 

聞けば、まさかの箒だった。

 

一夏(不幸中の幸いだな。知らない奴だったら気が滅入る所だ)

 

俺がそう思ってると、山田先生が話を続ける。

 

真耶「慣れない生活で大変かも知れませんけど、調整が済み次第それぞれ織斑君も1人部屋にしますから。それまでは我慢して下さいね」

 

一夏「分かりました。それじゃ、俺は寮に行きます」

 

山田先生の気遣いに、俺はそう言って寮に向かった。

 

一夏「1025号室、1025号室、有った此処だ」

 

俺は部屋を探し当てて、確認を取るためにノックをした。

 

コンコン

 

・・・

 

ノックをしたものの、反応が無い。

 

まさかと思って耳に意識を集中すると、シャワーの音が聞こえた。

 

一夏「やっぱりシャワー浴びてたか。まぁ女だから仕方無いよな」

 

俺は箒のシャワーが終わるまで、廊下で待つ事にした。

 

数分後、扉が開く音がしたのを見計らってノックをした。

 

コンコン

 

箒「はい、どちら様ですか?」

 

反応を確認して、俺は名乗った。

 

一夏「箒、俺だ一夏だ」

 

箒「い、一夏!?」

 

俺が名乗った瞬間、箒は取り乱した。

 

一夏(俺が来るのがそんなに予想外かよ)

 

そう思ってると、箒が慌てて待ったを掛けた。

 

箒「す、少し待て!!!」

 

様子からして、多分バスタオルを巻いてるだけなんだろうな。

 

箒の性格上、自室でも全裸ってのは有り得ないからな。

 

数分後、箒の許しが出た。

 

箒「待たせてしまったな、入って良いぞ」

 

そう言いながら、箒が鍵を開けてくれた。

 

一夏「朝はバタバタして話せなかったけど、久し振りだな箒」

 

俺は箒が座る窓側のベットとは反対の、廊下側のベットに腰掛けてそう言った。

 

箒「あぁ、そうだな。もう6年くらいに成るな」

 

なんかモジモジしながらそう答える箒。

 

すると箒が部屋に来た理由を聞いて来た。

 

箒「それで、一夏はどうして此処に来たんだ?」

 

一夏「その理由は、俺もこの部屋の住人だからだ」

 

箒「な、何だと!?」

 

俺が理由を言うと、箒は仰天していた。

 

箒「おい一夏!男女七歳にして同居せず、常識だろう!!!」

 

一夏「何時の時代の常識を言ってるんだよ」

 

そんなやり取りをしてると、扉がノックされた。

 

コンコン

 

臭いを確認すると、山田先生だった。

 

一夏「はーい」

 

でも俺は、知らない振りを返事をした。

 

真耶「山田です、遅くにごめんなさい。織斑君にお届け物です」

 

一夏「分かりました。今開けます」

 

山田先生の言葉に、俺はそう言って扉を開けた。

 

一夏「態々すいません」

 

真耶「いえいえ、これも仕事ですから。これ、織斑君の私服と日用品です」

 

俺が謝ると、山田先生はそう言って持って来た物の説明をしてくれた。

 

山田先生が何で俺の荷物を持って来たかと言うと、それは束姉に頼んでいたからだ。

 

寮に行く途中に、電話で頼んでたんだ。

 

一夏「ありがとうございました。それじゃ、また明日」

 

真耶「はい、また明日」

 

俺はお礼を言った後、お互いに挨拶をして俺は扉を締めた。

 

俺は荷物をベットの側においた後、箒に視線を戻した。

 

一夏「それで、聞きたい事が有るんだろ?答えられる限りなら答えるぜ」

 

箒「お前は読心術でも身に付けたのか?」

 

俺がそう聞くと、箒は呆れながらそう言った。

 

箒「まぁ、そうだな。聞きたいのは、この6年間のお前の近況だな」

 

一夏「分かった。話すぜ、箒が引っ越した後の事を」

 

箒の質問に、俺はそう言って全部話した。

 

アマゾンの事は、束姉に助けられたと脚色して。

 

箒「そうか、アイツはそんな事を。・・・許せない」

 

話を聞いた箒は、かなり憤怒していた。

 

見ていて、殺気すら感じる程にキレていた。

 

一夏「落ち着けよ箒、もう俺はアイツの事なんか気にしちゃいねえよ。それに俺とアイツじゃ、もう力の差が付き過ぎてる。今アイツと手合わせすれば、戦闘不能にするのに1分も掛からないだろうな」

 

俺は箒を落ち着かせた後、そう言った。

 

箒「そうか。しかし一夏、1分は幾ら何でも言い過ぎだろう」

 

箒は疑いの眼差しでそう言う。

 

一夏「そうでもねえよ。屋上に行った時、アイツが喧嘩売って来たから1発でKOしたし」

 

箒「ほ、本当か!?」

 

俺が屋上での事を噛み砕いて言うと、箒は驚きながら聞き返して来た。

 

一夏「あぁ、あのダメ姉も見てたからな」

 

箒「そうか。姉さんに助けられてから、相当努力したのだな。昔はアイツに邪魔されるか、成果を横取りされてばかりだったからな」

 

俺が付け加えると、箒は染染とそう言った。

 

一夏「まぁな。っと、もうこんな時間だ」

 

時計を見るの、21時を回っていた。

 

箒「随分と話し込んでしまったな」

 

箒が呟いた直後、俺の腹が鳴った。

 

ぐ~~~~~

 

箒「ふふっ、何だその音は?」

 

腹の音を聞いて笑う箒。

 

一夏「笑うんじゃねえよ///」

 

それに対して抗議する俺。

 

その後、俺達は購買でおにぎりを買い軽食を取った。

 

軽食の後、俺はシャワーを浴びて寝た。

 

 

[翌日の放課後]

 

俺は部活見学の為、剣道部の道場に向かっていた。

 

箒は一足先に道場に行っている。

 

ちなみに、俺が道場に行く事は箒には知らせていない。

 

道場に到着した俺は、道場の引き戸を開けた。

 

すると、素振りやら準備体操でウォームアップに励む人達が一斉に此方を向いた。

 

すると、一気にざわめき始めた。

 

剣道部A「え、だ、男子!?」

 

剣道部B「マジ!?もしかして入部希望?」

 

等々、口々に言っていると、箒が話し掛けて来た。

 

箒「一夏、どうしたんだ?入部希望か?」

 

一夏「いや、ただの見学だよ。まぁ、お前の様子を見に来たってのも有るけどな」

 

箒「そ、そうか///」

 

俺が来た理由を言うと、箒は相槌を打ちながら赤く成っていた。

 

俺達のやり取りを見ていた部員達は、ニヤニヤしていた。

 

そんなこんなで、部活のミーティングの後に練習が始まった。

 

一夏(やっぱり年季の差がハッキリ分かるな。素振りにも新入りは(箒以外)ぎこちなさが有る)

 

俺は練習を見ていてそう思った。

 

箒は家が[神社]件[剣道場]だからな。

 

子供の頃から習ってたから、上級生にも引けは取らない。

 

流石、中学生大会で優勝しただけは有るな。

 

20分程体を慣らした後、手合わせが始まった。

 

最初は同学年同士での立ち合いに成った。

 

2年、3年の順に行われ、1年は基本に慣れるまで見学だ。

 

でも、例外で箒は立ち合いに参加している。

 

中学生大会の結果は、ニュースや新聞でも取り上げられている。

 

それを、殆どの部員が知ってるみたいだ。

 

待機しようとした箒を2年、3年の部員が箒に参加するように勧めた為、今に至る。

 

そして、まともに箒と張り合えたのは3年だけだった。

 

 

下校時間に成り、俺と箒は一緒に寮へ向かっていた。

 

一夏「海ってさぁ、見てて何でこんなに気持ちが安らぐんだろうな?」

 

箒「まぁ生命の母と言われているからな。それに、夕日が海に反射してとても幻想的だ」

 

俺達は、途中に有る海に向けて設置されているベンチに座ってそんなやり取りをしていた。

 

一夏「それじゃ、そろそろ帰るか」

 

箒「そうだな」

 

そう言って立ち上がった俺達の前に、見知らない男が立っていた。

 

だが俺は、ソイツが「人間じゃない」事にすぐ気付いた。

 

一夏「お前、何しに来た」

 

男「・・・」

 

俺が殺気を叩き付けながら男に聞いた。

 

でも、男は無言で近付いてくる。

 

一夏「それ以上近づくと、問答無用で狩るぞ」

 

俺が殺気を強めて警告した。

 

でも男は、怯む処か好戦的な視線を俺に向ける。

 

男「フフフ、その小娘に借りを返すだけのつもりだったんだがな。まさか、ガキがそんな殺気を出せるとはな。面白い、お前から相手をしてやる」

 

男がそう言った瞬間、蒸気を上げながら姿が変わった。

 

すると、右目に切られた痕が有って潰れていた。

 

見た目はまるでハイエナみたいだ。

 

そんな中、俺はアマゾンの言葉が引っ掛かっていた。

 

一夏(箒に借りを返すってどういう事だ?)

 

俺がそう思ってると、箒が声を荒げてハイエナアマゾンに怒鳴る。

 

箒「貴様!!!まだ生きていたのか!!!」

 

一夏「どうしたんだ箒、アイツに恨みでも有るのか?」

 

俺が訪ねると、箒はまた声を荒げながら言う。

 

箒「大有りだ!!!コイツは、中学時代の私の友達を喰い殺したんだ!!!」

 

一夏「何!?」

 

俺はそれを聞いて驚いた。

 

だがそれと同時に、俺の中で殺意が湧いた。

 

一夏「どうやらお前は、此処で始末しねえといけねえみてねえだな」

 

俺がハイエナアマゾンに殺気を全開にしてそう言った。

 

ハイエナアマゾン「ほう、この姿を見てまだそんな口が叩けるとはな」

 

俺はハイエナアマゾンの言葉を無視して、箒に告げた。

 

一夏「箒、アイツは俺が殺る。お前は待っててくれ」

 

箒「何を言っているんだ一夏!!!あの化け物は、私が斬る!!!」

 

だが箒は、自分が殺ると言って聴かない。

 

一夏「お前も喰われたいのか」

 

頭に血が上っている箒に、俺は少し威圧しながらそう言った。

 

箒「い、一夏」

 

今の威圧で、少し冷静に成ったみたいだな。

 

一夏「安心しろ箒。お前の友達の仇は、俺が獲ってやるから」

 

そう言って、俺はハイエナアマゾンに向かって歩いて行った。

 

ハイエナアマゾン「話は纏まったか?」

 

一夏「・・・あぁ」

 

ハイエナアマゾンの質問に、俺は淡白に返事をした。

 

そして、左手首に有るIS待機状態を腹の前まで持って行った。

 

一夏「展開」

 

一言そう呟いて、俺はアマゾンドライバーを装着した。

 

-回想-

 

IS学園に来る10日前、俺はアマゾンドライバーをIS待機状態に組み込めないか束姉に相談していた。

 

理由としては、サイズもソコソコ有るから嵩張る。

 

それに、相手がベルトを巻いてアマゾン体に成るまで待ってくれる分けないからな。

 

一夏「そんな訳で、何とか成らねえかな?」

 

俺が訪ねると、束姉は楽しそうな表情で答えた。

 

束「大丈夫だよいっくん!この束さんに任せなさい」

 

そう言って、快くOKしれくれた。

 

そして、組み込みは3日で終わった。

 

-回想終わり-

 

一夏「1つ聞くが、箒への借りってなんだよ」

 

ハイエナアマゾン「俺が喰ってる最中に刀で目を切られてしまってな。その借りを返す為に来たんだ」

 

ハイエナアマゾンは箒を睨みながら俺の質問に答えた。

 

一夏「そうか。覚悟しろよ、お前は簡単には殺さねえからな」

 

俺はそう言いながら、左のグリップを握った。

 

一夏「さぁ、始めるぜ。アマゾン」

 

俺はグリップ捻った。

 

ベルト〔ジ・リ・オン〕

 

その音声と同時に、黒い熱風が爆発のように吹いた。

 

そして俺は、アマゾン・ジリオンに成った。

 

箒 side

 

一夏があの怪物と戦うと言った時は正気を疑った。

 

しかし、一夏の威圧的な雰囲気に私は声を掛ける事が出来なかった。

 

そして一夏は、怪物に近付いて行く。

 

一夏「展開」

 

一夏がそう呟いた直後、一夏の腰にベルトが現れた。

 

箒(一夏、お前は一体何をしていたんだ?あんな威圧感、今まで感じた事がない)

 

一夏「さぁ、始めるぜ。アマゾン」

 

ベルト〔ジ・リ・オン〕

 

一夏がそう言ったと同時に、音声が成った。

 

するといきなり衝撃波のような風圧が吹いた。

 

その勢いで私は吹き飛ばされてしまった。

 

箒「きゃあああああ!!!」

 

そして立ち上がりながら見たのは、一夏の腰に現れたベルトを巻いた怪物だった。

 

ハイエナアマゾン「成る程な、お前もアマゾンだったのか。しかしそのベルト、[あの2人]と同じだな。」

 

怪物は何処か納得するような声音でそう言う。

 

箒([あの2人]とは一体誰なんだ?まさか一夏みたいな奴が他にも居るのか!?)

 

怪物の言葉を聞いて、私はそう直感した。

 

一夏「・・・お喋りは此処までだ。俺の幼馴染みの友達を喰ったその罪、お前は嬲り殺してやる」

 

一夏はそう言って、怪物に向かって走った。

 

そして、そのまま一夏は野球の投球のように右パンチを放った。

 

だが、怪物は一夏の右側に移動して避けてしまう。

 

しかし一夏は、殴った勢いを利用して左回し蹴りを怪物の横顔に食らわせた。

 

ハイエナアマゾン「ごふ!!」

 

そしてそのまま怪物は蹴り飛ばされてしまう。

 

ハイエナアマゾン「まさか、右拳から左回し蹴りのコンボとはな」

 

一夏「今のはただの挨拶代わりだ。これからが地獄だぞ」

 

一夏はそう言って、また怪物に向かって走った。

 

今度はさっきと同じ右パンチと見せ掛けてのカウンターで左裏拳を炸裂させた。

 

ハイエナアマゾン「ぐっ!!!くぅ!」

 

攻撃を受けた怪物は、倒れまいと踏み留まる。

 

しかし、一夏はその隙を見逃さず飛び蹴りで追撃した。

 

一夏「おらもう1発!!!」

 

ハイエナアマゾン「何!?ぐわ!!!」

 

踏み留まった瞬間に不意打ちで飛び蹴りを受けた怪物は、3メートルくらい転がって行った。

 

ハイエナアマゾン「チッ思っていた以上に闘い慣れている。お前、何時アマゾンに成った?」

 

起き上がった怪物が、一夏に問い掛けた。

 

一夏「2年前、第二回モンドグロッソの日だ」

 

箒「な!?」

 

私は驚くしかなかった。

 

人間が怪物に変化するなんて、常識では考えられない。

 

しかし今、目の前で起きている事がその常識を否定している。

 

一夏「もう大分暗くなって来た。さっさと鳧を付けるぞ」

 

そう言って一夏は、手を開き怪物に見せて宣告した。

 

一夏「後、5発で終わらせる」

 

箒「幾ら何でも挑発が過ぎるぞ一夏!!!」

 

一夏の挑発に、私はそう言った。

 

ハイエナアマゾン「面白え、本当に俺を5発で倒せるか殺ってみな」

 

怪物は楽しそうに言うと、一夏が走り出した。

 

しかし、さっきとは桁違いに速い。

 

ハイエナアマゾン「速い!ぐふ!!!」

 

怪物は避けられず、顔面に左パンチを食らってしまう。

 

一夏「1」

 

攻撃をした時、一夏が呟いた。

 

箒([1]?まさか、カウントしてるのか!?)

 

宙返りしながら飛ばされる怪物。

 

何とか体勢を立て直して着地した。

 

しかし、殴り飛ばしたと同時に一夏は走り出していた。

 

そして怪物が着地した直後、一夏が鳩尾に右アッパーを入れた。

 

ハイエナアマゾン「ぐは!!くぅぅぅ」

 

一夏「2」

 

鳩尾にもろに入ってしまい、苦しそうに悶える怪物。

 

痛みに耐えながら、怪物は一夏から距離を取ろうと離れようとする。

 

一夏「そらよっと」

 

ハイエナアマゾン「ぐあああああ!!!」

 

一夏「3」

 

怪物は距離を取ろうとしたが、それが仇に成った。

 

3歩下がった処で、一夏は飛び上がり胴回し回転蹴りをお見舞いした。

 

ハイエナアマゾン「お前、たったの2年で、どうしたらそんな技術を身に付けられるんだ?」

 

一夏「教えてやる義理は無えよ」

 

怪物の質問を、一夏はそう言って切り捨てた。

 

ハイエナアマゾン「それもそうだな。それに、ヤられっぱなしじゃ癪だ。此方からも反撃させて貰うぜ」

 

そう言って、怪物が一夏に向かって走った。

 

間合いに入った所で、ハイキックを放つ。

 

しかし、一夏は簡単に避けてしまった。

 

さらに脚が降りた処で、一夏が右腕を怪物の右肩に添える形で当てる。

 

ハイエナアマゾン「くっ!てめえ!!」

 

一夏「貰ったぜ」

 

怪物が一夏を睨むが、一夏はチャンスとばかりにそう呟いた。

 

そして、一夏は腕を力一杯引き抜いた。

 

一夏「4!!!」

 

ハイエナアマゾン「ぐううっ!!!」

 

一夏は腕の返しを引っ掛けて、怪物の肩を抉った。

 

一夏「終わりだ」

 

そう言って、ベルトの左グリップを捻った。

 

ベルト〔バイオレント・ストライク〕

 

音声が鳴ったと同時に、一夏は怪物に向かって走った。

 

間合いに入った所で、飛び後ろ蹴りを放つ。

 

それをもろに頭に受けた怪物は、頭が砕け散ってしまった。

 

そして、怪物は黒いスライムに成って絶命した。

 

箒(一夏、お前に何が遭ったんだ?)




いかがでしたでしょうか?

アマソンズ通の方なら、戦闘の描写が何なのかお分かりでしょう。

お答えはコメントでお願いします。

それではまた次回をお楽しみに。


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説明 思わぬ再会

お待たせしました。

[思わぬ再会]

さて、その再会の相手とは?


一夏 side

 

ハイエナアマゾンを倒した俺は、箒と共に部屋に帰って来た。

 

誰にも聞かせる訳にはいかねえから、購買で弁当を買って部屋に居る。

 

箒「一夏、あれは一体何だ?お前のあの姿、まるで怪物ではないか」

 

箒は当然の疑問を俺に投げ掛ける。

 

一夏「まるでじゃなくて、そうなんだよ。俺はアイツと同じ人喰いの怪物、アマゾンだ」

 

箒「・・・」

 

俺は自分の正体を明かした。

 

でも箒は、何故か不服そうな表情だった。

 

一夏「どうしたんだ、そんな剥れて?」

 

箒「どうしてお前はそんな自分を貶す言い方をするんだ?どんな結果であれ、お前が友達の仇を取ってくれたのは事実だ。だから、そんな言い方をするな」

 

箒は、まるで説得でもするように語り掛けて来る。

 

一夏「箒、お前怖くねえのかよ?お前も見ただろ、俺がアマゾンに変身するのを」

 

箒「だからどうした?」

 

俺はそう言って箒を遠ざけようとした。

 

これ以上、危険な闘いに巻き込みたくないからだ。

 

でも箒から返って来たのはその一言だった。

 

箒「お前がどんな種族であっても、お前は織斑一夏だ。私は種族が違うからと言って、決して他者を差別したりはしない」

 

俺はそれを聞いて、気が楽に成った。

 

一夏「流石は姉妹、考える事は同じだな」

 

箒「姉さんも、私のような事を言ったのか?」

 

俺の呟きに、箒がそう聞いて来た。

 

一夏「あぁ、[種族なんて関係ない。いっくんはいっくんだよ]ってな」

 

箒「そうか、姉さんがそんな事を」

 

俺の答えに、箒は複雑そうな表情でそう言った。

 

一夏「どうしたんだ箒?そんな難しい顔して」

 

箒「いや、此方の事だから気にするな」

 

それ以上の追求はしなかったけど、箒の表情は変わらなかった。

 

箒side

 

一夏から、アマゾンに成った経緯は聞いた。

 

あの一夏の戦いを見れば、相当の努力をしてきた事が分かる。

 

あれほどの身の熟しや、相手を翻弄する格闘技術。

 

箒(アマゾンに成ってからたったの2年で、今の強さに成るのは生半可な努力ではない。それこそ、血の滲むような努力なのだろうな)

 

私が一夏の戦いを見てそう思った。

 

しかし、一夏と話していて気になった事が有った。

 

それは姉さんの事を話していた時だ。

 

何処か一夏の表情が、愛おしんでいるように見える。

 

昔から一夏は姉さんに懐いていた。

 

しかし、今の一夏の表情はまるで異性を意識しているようにも伺える。

 

箒(もしかして、一夏は姉さんが好きなのか?)

 

私はそう考えながら一夏の話に相槌を打っていると、一夏が私の様子に気付いて話し掛けて来た。

 

一夏「どうしたんだ箒?そんな難しい顔してよ」

 

箒「いや、此方の事だから気にするな」

 

私はそう言ってはぐらかした。

 

箒(思い過ごしで済めば良いのだがな。もし一夏が姉さんを好きだったら、私は立ち直れない。本人の前では恥ずかしくて言えないが、私は一夏が好きだ。出来れば、想いを伝えたい)

 

私は一夏の表情を見てからそう考えていた。

 

一夏は昔から女子達に人気が有った。

 

一夏は誰にでも分け隔て無く優しく接していた。

 

それに正義感が強く、特に虐めには嫌悪感さえ抱いていた。(春十の影響)

 

だから好意を抱く者も多かったが、敵も多かった。

 

其処にあの馬鹿者(春十)が追い打ちを掛けていた事を知った。

 

だからこそ、私は一夏を支えたいと思った。

 

箒(明日からは、一夏に積極的にアピールしていくとするか。必ず一夏を振り向かせて見せる)

 

私はそう決意した。

 

そして明日に備えて、入浴の後すぐに床に付いた。

 

一夏 side

 

箒に俺の事を話してから3日が過ぎた。

 

あれから、箒は少し変わった。

 

朝起きたら朝飯を作ったり、トイレ、風呂、部活以外は一緒に居ようとする。

 

一夏(まさかと思うけど、箒に好かれてないか?俺)

 

俺は箒のあからさまな態度に、自惚れかもしらないけどそう思った。

 

そんなことを考えながら1人で帰っていた。

 

箒は部活で居ない。

 

すると、突然女の悲鳴が聞こえた。

 

女「きゃあああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

俺は急いで悲鳴を上げた女の元へ向かった。

 

 

俺が到着すると、ライオンアマゾンと、ソイツに襲われそうに成ってる水色の髪の女の子が居た。

 

俺は全速で走った。

 

一夏「チッ、人間体じゃ間に合わねえ!」

 

そう判断した俺は、ベルトを巻いてグリップを捻った。

 

ベルト〔ジ・リ・オン〕

 

一夏「(絶対助ける)アマゾン!!」

 

俺は叫んでアマゾン成った。

 

一夏「おらあぁぁぁぁああああ!!!」

 

俺は叫びながら、ライオンアマゾンの鼻っ柱に右ストレートを叩き込んだ。

 

ライオンアマゾン「グフッ!!!」

 

殴った勢いで、ライオンアマゾンは後ろに5メートルくらい転がった。

 

俺は襲われていた女の子に話し掛けた。

 

一夏「君、怪我は無いか?」

 

女の子「だ、大丈夫です」

 

まだ放心状態だな。

 

俺はライオンアマゾンを見た。

 

でも、そのアマゾンには見覚えが有った。

 

ソイツの右肩に、抉られたような傷痕が有った。

 

そう、ソイツは1年前仕留め損ねたアマゾンだった。

 

一夏「久しぶりだな猫助。結構な痕が残ってるな」

 

ライオンアマゾン「チッてめえが抉っといてよく言うぜ。完治に半年掛かっちまったよ」

 

お互いに皮肉を言った処で、俺はライオンアマゾンに聞いた。

 

一夏「何で[また]この子を狙うんだ?」

 

ライオンアマゾン「俺は1度狙った獲物は必ず刈る質でな。ソイツもその獲物って訳だ」

 

ライオンアマゾンは女の子を指差しながらそう答えた。

 

一夏「なら、今度こそお前を仕留めてやるぜ」

 

ライオンアマゾン「ケッ殺れるもんなら殺ってみな。返り討ちにして殺るぜ」

 

そしてお互い同時に走った。

 

ライオンアマゾンが先制で引っ掻き攻撃(右)をして来た。

 

俺は裏拳(左)で右手首を殴って弾き飛ばし、カウンターで腹に右ブローを打ち込んだ。

 

ライオンアマゾン「グフッ!!ゴハッ!!!」

 

殴った直後、ライオンアマゾンが吐血した。

 

拳を引っ込めると、ライオンアマゾンは膝を付いた。

 

ライオンアマゾン「何でだ?何で貫かれた訳じゃねえのに・・クッ、こんな内に響くんだ?」

 

ライオンアマゾンは腹を抑えて苦しみながら疑問を口にした。

 

俺はその疑問に答えた。

 

一夏「今打ち込んだ拳は特殊でな。簡単に言うと、殴ったらその衝撃がダイレクトで内に伝わるように成ってんだ。お前の硬い外骨格には打って付けな技だぜ」

 

ライオンアマゾン「クソ、幾ら外を鍛えても無駄って事かよ」

 

俺の回答を聞いて、ライオンアマゾンは嘆いた。

 

一夏「そういう事だ。お前はただ力任せに攻撃するだけ。だが、俺は違う。汎ゆる格闘技を身に付け、お前達(実験体)を刈って来た。その経験が、お前をそんな格好にさせてんだよ」

 

ライオンアマゾン「チッ!!!」

 

俺の解説に、ライオンアマゾンは悔しそうに舌打ちした。

 

一夏「悪いが、遊んでるほど俺も暇じゃねえ。一気に潰すぜ」

 

そう言って俺は、ライオンアマゾンとの距離を一気に詰めた。

 

そして加速を利用して、顎に前蹴り(右)をお見舞いした。

 

一夏「おらあああああ!!!」

 

ライオンアマゾン「ゴフッ!!」

 

さらに舞い上がった処に、前蹴りの際に蹴り上げた足で腹に踵落としの追撃。

 

一夏「そらオマケだ!!」

 

ライオンアマゾン「グゥゥゥゥ!!!ガハッ!!!」

 

最後に着地の時、思いっきり腹を踏み付けた。

 

その衝撃で、肺の空気が出て行った。

 

一夏「そろそろ終いにするぞ」

 

俺はそう言って、左グリップを捻った。

 

ベスト〔バイオレント・スピア〕

 

俺は左手をライオンアマゾンに向け、心臓に照準を合わせた。

 

さらに、右手を弓を引くようにして構えた。

 

一夏「これで終わりだ」

 

そして俺は、ライオンアマゾンの左胸に抜き手を突き立てた。

 

ザシュ

 

一夏「フン!」

 

最後に心臓を握り潰してフィニッシュ。

 

ライオンアマゾンがスライムに成ったのを見届けてから、俺は女の子に近付いた。

 

一夏「確か君は、簪って言ったっけ?1年前にもアイツに襲われたよな。君の姉さんが呼んでたからそう呼んだけど、合ってるか?」

 

簪「うん、合ってるよ。私は更識 簪、あの時は本当にありがとう」

 

簪が礼を言った所で、生徒会長の楯無が慌てた様子で走って来た。

 

連れの2人と一緒に。

 

楯無「簪ちゃん!!!」

 

それに続いて、連れの2人も簪を呼ぶ。

 

でも連れの1人には見覚えが有った。

 

確か、布仏 本音って言ったな。

 

いつもだぼだぼなの制服着てるからすぐに覚えた。

 

本音「かんちゃん!!!」

 

女の子「簪お嬢様!!!」

 

3人は駆け寄ると、すぐに俺を睨んだ。

 

まだ戻ってないから当たり前か。

 

楯無「貴方が私の妹を襲ったの?」

 

と、威圧しながら聞いて来た。

 

一夏「俺はその娘を襲っちゃいねえよ」

 

俺の否定に、簪がフォローを呉れた。

 

簪「そうだよお姉ちゃん。この人は私を助けてくれたんだよ」

 

楯無「そうなの!?」

 

簪「うん」

 

簪のフォローに驚いて聞き返す楯無。

 

そしてそれを肯定する簪。

 

楯無「疑ってごめんなさい。そしてありがとう、妹を助けてくれて」

 

さっきまでの威圧が嘘みたいに笑顔で礼を言う生徒会長。

 

一夏「気にするなよ。俺は取り逃がしたアイツを刈っただけだからな」

 

俺がそう言うと、簪が切り出した。

 

簪「そろそろ変身解いたらどう?」

 

一夏「・・・は?」

 

俺は簪の一言に間抜けな声を上げた。

 

簪side

 

私が何で変身の事を知ってるかって言うと、3日前に織斑(一夏)君が変身して闘う所を偶然見たから。

 

しかも、まるで特撮ヒーローみたいにベルトを巻いて変身した事に、不謹慎だけど興奮した。

 

そして今日、私のピンチに颯爽と駆け付けてくれた彼に、私はときめいた。

 

ライオンの怪物を殴った後、「君、怪我は無いか?」と定番の一言。

 

それは私のヒーロー像その者だった。

 

お姉ちゃん達の誤解を解いた所で、私は切り出した。

 

簪「そろそろ変身解いたらどう?」

 

一夏「・・・は?」

 

少しの間を置いて、織斑君が呆けた声を上げた。

 

一夏「何の事だよ」

 

と言って、織斑君を誤魔化そうとする。

 

簪(やっぱり隠そうとするよね)

 

私はそう思いながら、3日前の事を話した。

 

簪「実は、3日前に貴方が変身する所見ちゃったの」

 

私がそう言うと、織斑はおでこに手を当てて項垂れた。

 

一夏「マジか」

 

織斑君はそう言うと、ベルトを外した。

 

そして、人の姿に戻った。

 

それを見て、お姉ちゃん、本音、虚さんが驚きの余り叫んだ。

 

楯無、本音、虚「えええええええええええええ!!!!!」

 

私も初めて見た時は腰が抜けた。

 

すると、お姉ちゃんが織斑君に話し掛けた。

 

楯無「あ、貴方、確か織斑一夏君だよね?」

 

一夏「えぇ、[元織斑家の末っ子]織斑一夏です」

 

その自己紹介は何故か嫌悪の表情だった。

 

それに、[元]を強調したのも引っ掛かる。

 

簪「何か遺恨でもあるの?」

 

私が尋ねると、表情がさらに怖くなった。

 

一夏「遺恨なんてレベルじゃねえ。修復不可能な溝だ」

 

それを聞いて、お姉ちゃんが切り出した。

 

楯無「良かったら、私達の時みたいに話してくれないかしら。あの時も言ってくれたじゃない、「溜め込むな」って」

 

一夏「・・・分かった、話すぜ。俺がアマゾンに成った経緯と、俺の生い立ちをな」

 

少し考えた後、了承してくれた。

 

でも、織斑君の生い立ちは私達の想像を越えていた。




いかがでしたでしょうか?

早々に更識姉妹、布仏姉妹が総登場。

ちなみに、1発だけ殴った特殊なパンチは[二重の極み]です。

分からない方はググってね。

次回

語られる一夏の生い立ち。

それを聞いた姉妹達は何を思う。

それでは次回もお楽しみに


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箒の想い 試合当日

やっと投稿出来ました。

今月は残業パラダイスで疲れていて気力が持ちませんでした。

でもちまちま書いてました。

御託は此処までにして、それでは本編どうぞ。


一夏 side

 

俺は4人に話した。

 

物心付く前に親に捨てられた事、クソ兄貴からの執拗な虐めを受けていた事、ダメ姉の俺への無関心さ、モンドグロッソの出来事、アマゾンに成った経緯、アマゾンの力をコントロールする為の過酷なトレーニングまで全て。

 

[2年間のテロ狩り]と[白騎士事件]それと[あの事]だけは隠して。

 

流石にテロ狩りまで話す訳にはいかない。

 

下手をしたら捕まってしまうからな。

 

それに、この更識楯無って人は、対暗部用暗部、日本政府公認の対テロ組織だ。(束姉情報)

 

バレる訳にはいかない。

 

楯無、簪、虚、本音「・・・」

 

話を聞いた4人は、信じられないって表情だ。

 

楯無「貴方の生い立ちは分かったわ。織斑先生は、私もIS乗りとして尊敬してたんだけどね。話を聴くと、少しガッカリね」

 

簪「そうだね。私も耳と胸が痛いよ」

 

虚「そうですね。私もここまで酷い話を聴いたのは生まれて初めてです」

 

本音「いっちーが可哀想だよ」

 

四者四様の感想だった。

 

4人の表情は悲し気で、何処と無く怒りも混じってた。

 

すると簪が話し掛けて来た。

 

簪「私とお姉ちゃんみたいに織斑先生と仲直り出来ないの?」

 

敢えて名指しする辺り、クソ兄貴は対象に入ってないみたいだ。

 

一夏「1度切れた絆(かんけい)は、修復困難だ。況してや、1人にしか関心を示さない薄情女とは特にな」

 

楯無、簪、虚、本音「・・・」

 

簪の問いに、俺はそう吐き捨てた。

 

すると、また4人は黙った。

 

俺は雰囲気を変える為に、話を変えた。

 

一夏「それと、俺の事は内緒にしてくれないか?人喰いが近くに居るなんて知れたら、大パニックだからな」

 

楯無「構わないわ。命の恩人の頼みだもの」

 

簪「私も約束する」

 

虚「畏まりました」

 

本音「いいよ。いっちーの頼みなら!」

 

俺の頼みを、4人とも快く了承してくれた。

 

一夏「ありがとう」

 

俺は4人に礼を言った。

 

その後、俺は簪達と別れて自分の部屋に戻った。

 

部屋には既に箒が帰っていた。

 

一夏「ただいま」

 

箒「お帰り。遅かったな一夏」

 

部屋に入ると、箒が尋ねて来た。

 

一夏「帰り道でアマゾンと出会した」

 

箒「そうか、いつも大変だな」

 

箒の問いに答えると、箒は悲し気な表情でそう言った。

 

一夏「俺が選んだ人生(みち)だ、後悔は無い。それにな箒、俺はお前にそんな顔して欲しくないんだ。お前達には笑顔で居て欲しい。いつかまた、箒達4人家族で、あの頃のように」

 

俺は箒の頭を撫でながら言い聞かせた。

 

白騎士事件の後、束さんはISのコア467個を作った後に姿を消した。

 

それが元で、箒達家族は保護対象という名目で日本政府によって離れ離れにされた。

 

小学校の時に引っ越したのもそれが原因だ。

 

両親の行方は今だに分からない。

 

だからこそ、箒には笑ってて欲しい。

 

いつかまた、家族で暮らせる日が来た時の為に。

 

俺が箒にそう言うと、箒は突然抱き付いて来た。

 

一夏「どうしたんだ、箒?」

 

箒「お前と言う奴は、まったく」

 

その声は涙声だけど、嬉しそうにも感じた。

 

俺はそっと箒を抱き締め返した。

 

一夏「落ち着くまでこうしててやるよ」

 

それから30分くらいの間、箒は俺の胸の中で泣いていた。

 

一夏「落ち着いたか?」

 

箒「・・・あぁ」

 

まだ涙声だけど、大分落ち着いたみたいだ。

 

箒「一夏」

 

少し距離を置いて、箒が俺を呼ぶ。

 

一夏「何だ、箒?」

 

箒「私は、一夏が好きだ」

 

一夏「・・・え?」

 

俺は耳を疑った。

 

まさか、恋人の妹から告白されるって有るか?

 

一夏「箒、お前分かってて言ってんのか?俺がどういう存在か忘れたのか」

 

俺は敢えて突き放した。

 

でも、箒は引き下がらなかった。

 

箒「そんなことは百も承知だ。それでも、お前へのこの想いは本物だ。種族が変わろうと、この想いは変わらない。もう一度言う、私は一夏が好きだ」

 

曇りの無い瞳で、俺を見つめて告白する箒。

 

その顔はほんのりと赤く、それでいて真剣な表情。

 

一夏「箒の想いは、男としては嬉しい。だけど、その想いには答えられないんだ」

 

俺は拳を握り締めながら、箒の告白を拒否した。

 

箒「理由を聞かせてくれないか?」

 

箒は暗いトーンで聞いて来た。

 

一夏「お前には酷な話だけど、俺は束さんと付き合ってるんだ」

 

箒「・・・」

 

箒からの返答は無い。

 

表情を確認すると、何故か[やっぱりか]って表情だった。

 

箒「薄々気付いていた。お前が姉さんを語る時の表情は、本当に愛おしんでいるようだった。だから、それなりに覚悟はしていた。だけど、やはり辛いな」

 

そう言って、箒は笑みを浮かべていた。

 

だけど、目元には涙が溜まっていた。

 

一夏「箒、俺もお前の気持ちに薄々気付いてはいた。だけど、相手(束姉)が居るから応える訳にはいかなかった。まぁ、笑っていて欲しいと言いながら、泣かせてしまってる俺が何を言っても説得力は無いだろうがな」

 

箒「フッ確かにそうだな」

 

俺の言葉に、箒は鼻で笑ってそう言った。

 

すると、箒は決心した表情で俺に宣言した。

 

箒「でもな一夏、私は諦めないぞ。必ずお前を振り向かせてやるからな、覚悟しておけ」

 

一夏「・・・」

 

高らかに宣言された俺は、何も言えなかった。

 

どうしてこんな俺なんかに、そんな純粋な想いを向けてくれるのか?

 

本当に疑問だった。

 

でも、今はなんとなくだけど分かる。

 

箒が俺に向けてるのは、好意じゃなくて愛情だ。

 

一夏「なら、振り向かせてみろよ」

 

此処で謝ってしまえば、それは完全な拒絶だ。

 

だからこそ、俺は敢えていつも通りのに接した。

 

一夏「それじゃあ、俺シャワー浴びてくるわ」

 

箒「あぁ」

 

俺がシャワー室扉を閉めきる直前、箒の呟きを、俺は聞き逃さなかった。

 

箒「ありがとう、一夏」

 

一夏(それは俺の台詞だ、箒。こんな俺を想ってくれて、ありがとう)

 

俺は内心そう思いながら扉を閉めた。

 

その後、俺達はいつも通りに過ごした。

 

でも、箒のアプローチが増したのは言うまでもない。

 

 

箒の想いを聞いてから4日。

 

昼飯は必ず箒の作った弁当だ。

 

一夏(まずは胃袋を掴めってか?)

 

俺は内心そう思った。

 

ちなみにおかずは、鶏肉を中心にサラダはノーオイルドレッシングで、栄養のバランスも取っていた。

 

俺がアマゾンだと知ってるから、たんぱく質が豊富な鶏胸肉をチョイスいてくれた。

 

これは凄く嬉しい。

 

一夏「ありがとな箒。毎日弁当作ってくれて、マジで助ける」

 

箒「なに、これくらい大した事はない。それに、い、一夏だからやっているんだ//」

 

俺が礼を言うと、箒は顔を赤くしながらそう言った。

 

一夏「そ、そうか」

 

その言葉に、俺は頬を掻いた。

 

箒 side

 

一夏に想いを告げたが、結果は玉砕。

 

だが、一夏は謝るんじゃなく普段通りに接してくれた。

 

そんな気遣いが、私を更に惹かせる。

 

諦められる訳がない。

 

姉さんには負けられない。

 

だから、私は一夏と出来る限り一緒に居る。

 

そしてトーナメント前日の夜。

 

一夏「ふぅ、シャワーも浴びたし、明日はトーナメントだから寝るか」

 

一夏は一息着いてそう呟いた。

 

其処で私は、意を決して一夏に聞いた。

 

箒「一夏//」

 

一夏「ん?」

 

箒「い、一緒に寝ても良いか?///」

 

一夏「・・・え?」

 

私が尋ねると、一夏は間の抜けた声を出した。

 

箒「その、嫌か?」

 

一夏「いや、嫌って訳じゃないけど」

 

珍しく一夏が狼狽えていた。

 

一夏「な、なら、一緒に寝るか///」

 

こうして私達は同じベットで寝た。

 

その時、一夏に腕枕して貰った時は嬉しすぎてどうにかな成りそうだった。

 

箒「あ、暖かいな。それに、こうしていると安らぐ」

 

私は最初こそ緊張していたが、次第にほぐれて眠くなって来た。

 

一夏「おやすみ、箒」

 

箒「おやすみ、一夏」

 

そのまま私は意識を手放した。

 

 

箒「う、うん」

 

私はカーテンの隙間から射し込める光で目が覚めた。

 

それと同士に、胸に違和感を覚える。

 

一夏「う~ん」

 

一夏の声がして其処を見ると、一夏が私の胸に顔を埋めていた。

 

箒「い、一夏!!!お前は何処に顔を!?」

 

一夏「うん?」

 

私が声を荒げると、一夏が目を覚ました。

 

一夏「ん?うわあああああ!!!」

 

状況を理解して、一夏は驚きながら飛び退いた。

 

その際、慌てた一夏はベットから落ちた。

 

一夏「ちちち、違うんだ!俺は故意にした訳じゃなくて、寝惚けと寝相の所為なんだ!!!そ、その、ごめんなさい!!!」

 

箒「うぅ///」

 

一夏の弁解を聞いていたが、恥ずかしさと名残惜しさで返す言葉が出なかった。

 

一夏「ほ、ホントにごめん」

 

また一夏は謝って来た。

 

箒「も、もう良い、寝惚けていたのはお互い様だ。それに一緒に寝ようと言ったのは私の方だ。だから、そんなに気にするな///」

 

一夏「わ、分かった///」

 

私は顔を背けながらそう言った。

 

その後、一夏を横目で見ると、顔を赤くして背けていた。

 

 

あれから30分程して、私と一夏は登校の準備を済ませて朝食を取っていた。

 

一夏、箒「・・・」

 

やはり今朝の事が頭から離れない。

 

結局、何の会話も無いまま部屋に戻って来た。

 

箒「一夏、まだ今朝の事を気にしてるのか?」

 

一夏「・・・」

 

私の問いに、一夏は答えなかった。

 

箒「沈黙は肯定と取るぞ」

 

一夏「ごめん」

 

私が解釈を口にすると、一夏は謝って来た。

 

 

箒「まったく、そんな状態では今日のトーナメントに勝てないぞ。切り替えろ一夏、闘いで雑念は死を招く事はお前が1番分かってる筈だろう」

 

一夏「フッ、やっぱり敵わないな。束さんにも、そして、箒にも」

 

一夏を諭すと、一夏がそう呟いた。

 

どうやら気持ちが晴れたらしい。

 

箒「頑張るんだぞ、一夏。特に春十は徹底的に撃ち取れ、良いな?」

 

私は一夏にエールを送る。

 

一夏「言われるまでも無いぜ。でも、応援ありがとな。絶対勝つからな、箒」

 

一夏は笑顔でそう答えた。

 

一夏 side

 

俺は箒の応援を貰った後、いつも通り登校した。

 

そしてダメ姉の仕切るSHRの後、俺はトーナメント会場のアリーナに向かう。

 

そしてアリーナの更衣室でISスーツに着替えた。

 

デザインは全身タイツ方。

 

主な理由は体の傷を隠す為だ。

 

普通の人間が俺の傷を見たら、卒倒モノだからな。

 

試合の順番は、

 

1回戦(一夏VSセシリア)

 

2回戦(セシリアVS春十)

 

3回戦(一夏VS春十)

 

最初と最後に試合って、緊張場面ダブルパンチじゃねえか。

 

まぁ、最後は徹底的に殺るけどな。

 

俺は気合いを入れてアリーナのビットに向かった。




今回は此処までです。

少し無理矢理かも知れませんが、ラッキースケベを入れてみました。

そして次回からいよいよトーナメント開催です。

セシリアと春十、どう料理しようかな(ニヤニヤ)

それでは次回もお楽しみに


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1回戦 圧倒的な実力差

長きに渡る執筆期間。

お待たせしてすいませんでしたぁぁぁぁああああ!!!

今月は残業ラッシュで疲れ果てていました(言い訳)

今回は一夏vsセシリアです。

そして今回、ある格闘漫画からある技を一夏が使用します。


一夏 side

 

俺はアリーナのビットで、合図が有るまで待機していた。

 

その間、一緒に来ていた箒と談笑して暇を潰している。

 

すると、山田先生とダメ姉が一緒に入って来た。

 

真耶「よく迷わずに来られましたね!」

 

開口一番に山田先生がそう言った。

 

一夏「えぇ、3日前に下見で来てましたから。係りの人にも事情を話して入れて貰いました」

 

真耶「そうでしたか、一夏君は勤勉ですね」

 

一夏「そりゃどうも」

 

俺と山田先生が話していると、アナウンスが響く。

 

『試合開始1分前です。1回戦出場の選手は、所定の位置に着いて下さい』

 

一夏「出番か。さてと、初陣と行くか」

 

俺はそう言って発射台に向かった。

 

発射台に着いた処で、俺はISを展開した。

 

一夏「来い、地獄の狩人(ヘル・ハンター)

 

展開した俺は、手を開閉して動きを確かめる。

 

一夏「IS戦は転入試験の時以来だから鈍ってないか心配だったけど、どうやら大丈夫みたいだな」

 

俺が具合を確かめてると、箒が話し掛けて来た。

 

箒「い、一夏、お前かなり展開速度が速くないか?」

 

一夏「そうか?他と比べた事無えから分かんねえけど」

 

箒の問いに答えると、山田先生が感心しながら言う。

 

真耶「いえ、篠ノ之さんの言う通りです。展開に1秒掛からないのは本当に凄いと思います」

 

千冬「・・・」

 

山田先生が褒める中、ダメ姉は無言。

 

一夏(ケッ掛ける言葉すら無いってか?教師としてどうなんだよ其処ん所)

 

俺はダメ姉の態度に内心そう思った。

 

一夏「そんじゃ、(自称)エリートの実力を拝見させてもらうか」

 

俺はそう言って、発射台に足をセットした。

 

それと同時にカウントが始まった。

 

〔3、2、1、GO〕

 

合図と同時に、俺は飛び出した。

 

すると、一足先にオルコットが待っていた。

 

セシリア「逃げずに来ましたのね」

 

一夏「生憎、俺の辞書に逃げるって言葉は無いんだよ」

 

俺はセシリアの挑発に挑発で返した。

 

セシリア「チャンスを上げますわ」

 

一夏「チャンス?」

 

勝ち誇った表情でそう言われ、俺は鸚鵡返しをした。

 

セシリア「この試合、私の勝利は確定しています。だから、今此処で土下座すれば、許して上げてもよろしくてよ」

 

一夏(自惚れも此処まで来ると、呆れを通り越して感心するぜ)

 

俺はオルコットの提案(バカさ加減)に呆れた。

 

一夏「御託は良い。さっさと終わらせるぞ、こんな茶番劇」

 

俺がそう言った処で、試合開始のカウントが始まった。

 

『3、2、1』

 

セシリア「そうですか、では『試合開始です』お別れですわ!!!」

 

試合開始の合図と同時に、先制攻撃するセシリア。

 

だけど

 

一夏「ふっ」

 

俺は[敢えて]ギリギリで回避した。

 

セシリア「な、躱した!?まぐれですわ!!素人にレーザーが躱せる訳がありません!!!」

 

俺が躱す事が信じられねえみたいだな。

 

一夏「ならもう1発撃ってみろよ。まぁ、[あんな遅いの]何発撃とうが、結果は同じだけどな」

 

俺は更に挑発して煽った。

 

セシリア「男の分際で、図に乗るのもいい加減になさい!!!」

 

呆気なく挑発に乗ったオルコットは、そう叫びながらレーザーを撃って来た。

 

それを今度は、引き金を引いた瞬間に躱した。

 

一夏「1回目がまぐれなら、2回目は何だろうな」

 

俺はオルコットに不適な笑みを浮かべながらそう聞いた。

 

セシリア「あ、有り得ませんわ!!どうして男ごときに!?こうなったら、お行きなさいビット」

 

そう言って、4機のレーザー砲が飛んで来た。

 

一夏(あれが情報に有った、イギリスのオリジナル兵器のビットか。確か遠隔操作で何処からでもレーザーが撃てる優れ物だよな。使い熟してるとしたら、少し厄介だな。ならビットは、耳で捉えるか)

 

俺はそう決めて、視線をオルコット、耳にも意識を集中した。

 

普通の銃なら火薬の爆発音だけだけど、レーザーは僅かな時間だけどチャージが要る。

 

そのチャージ音さえ聞き逃さなけりゃ、レーザーは食らわねえ。

 

そして俺は、ビットのレーザーを躱していく。

 

一夏(右、後ろ、左斜め後ろ下、右斜め前上、正面、左、上)

 

そうして聞こえた方向を確認しながら全て紙一重で避けて行く。

 

セシリア「そ、そんな!!!何故見てもいないのにそんな正確な回避が出来ますの!?」

 

一夏「残念だがそれは企業秘密だ」

 

オルコットの驚きに俺はそう言った。

 

そして俺は躱してる間、ずっと気になってた事をオルコットに聞いた。

 

一夏「オルコット、お前ビット使い熟せて無いだろ?」

 

セシリア「な、何を根拠にそんな事を!?」

 

うっすらと動揺が見て取れた。

 

其処で俺は決定的な根拠に突き付けた。

 

一夏「じゃあ何で[ビットと一緒に]攻撃して来ないんだ」

 

セシリア「な!?」

 

止めの質問に、オルコットは仰天した。

 

一夏「やっぱりな。お前はあんな大口を叩いておきながら、自分の専用機を満足に使い熟せてもいない。なのに良くあんな事が言えたな」

 

俺は呆れながらオルコットに言った。

 

セシリア「お黙りなさい。男ごときにお説教される謂れは有りませんわ!!!大体、男は女に従っていれば良いのです。それを女に意見するなど烏滸がまs」

 

一夏「もう黙れ」

 

セシリア「!?」ビクッ

 

性懲りも無く女尊男卑を謳うオルコットの言葉を、俺は殺気を出しながら遮った。

 

一夏「お前、自分が何を言ってるか分かってるのか?ただISを扱えるってだけでエリート気取り。剰え、高が代表候補の分際でその態度。選ばれた人 気取りも大概にしろよ。女だから手加減してやろうと思ったけど辞めだ。その腐った根性 叩き治してやる!!」

 

ビュンッ

 

言い終えたと同時に、瞬時加速(イグニッション・ブースト)でオルコットの懐に入った。

 

セシリア「何時の間に!?」

 

一夏「遅い!!」

 

オルコットが接近に気付いたが、時既に遅し。

 

俺は突進の威力を乗せてストレートを放った。

 

一夏「はああああああ!!!」

 

ガアアアァァァァン

 

更に衝突した瞬間、肘のブースターで威力を増加。

 

セシリア「キャアアアアア!!!」

 

それが元で、アリーナの中心に居たオルコットはアリーナのバリアに激突した。

 

ドオオォォォォォン

 

セシリア「カハッ!!」

 

激突した勢いで、肺の空気が全部出たみたいだな。

 

一夏「休んでる暇は無えぞ。折檻はこれからだ」

 

箒side

 

私は今、織斑先生の許可を貰い管制室で観戦している。

 

女尊男卑を謳うオルコットに、一夏は激怒してオルコットをアリーナのバリアに激突させた。

 

箒「一夏、やり過ぎなけらば良いのだがな」

 

私がそう呟くと、山田先生が感心した様子で言う。

 

真耶「それにしても凄いですね。ビットを見ずに躱す事にも驚きましたが、まさか瞬時加速(イグニッション・ブースト)まで使えるなんて」

 

箒「瞬時加速(イグニッション・ブースト)、って何ですか?」

 

私は山田先生が言った単語が耳に止まり、山田先生に尋ねた。

 

真耶「そう言えば、まだ授業では教えてませんでしたね。瞬時加速と言うのは、一種の奇襲攻撃です。ブースターにエネルギーを溜めて一気に放出する事で、通常よりも遥かに速く移動出来る技術です。でも、空気抵抗や圧力の関係で直線的に成ってしまうのが欠点ですね」

 

箒「なるほど」

 

山田先生の分かりやい解説で、大体理解出来た。

 

それにしても、一夏の洞察力には恐れ入る。

 

開始から5分も経っていないと言うのに、オルコットの欠点を見抜くとはな。

 

箒(まぁ、アマゾンとして闘って来た経験の賜物だろうな)

 

そんな一夏に対して、オルコットはギリギリ距離を取りながら一夏に攻撃しているが、やはりビットを見ずに躱している。

 

箒(後で一夏に聞いてみるか。私も、何で見てもいないのに躱せるのか気になる)

 

私はそう考えながら、一夏の戦いを見守った。

 

セシリア side

 

私は勝利を確信していました。

 

しかし、男は信じられない実力者でした。

 

先制攻撃を紙一重で躱し、ビットを見ずに躱し続ける。

 

更には、まだ授業に出ていない瞬時加速(イグニッション・ブースト)まで使えるなんて信じられませんでしたわ。

 

セシリア(何ですのこの男は!?所詮 男なんて、女にペコペコ頭を下げるだけの下等生物でしょ!?ですがこの男は、今まで出会ったどの男とも違う。信念、いえ執念を帯びた眼をしていますわ)

 

一夏「おいおい、考え事とは余裕だな」

 

そう考えていると、背後から声がしました。

 

慌てて振り返ると、男が後ろにいて右足を高々に振り上げていました。

 

セシリア「しまっt」

 

一夏「おら!!」

 

ガキンッ

 

セシリア「キャアアアアア!!!」

 

ズドオオォォォォォン!!!

 

墜落させられて、起き上がりながら上を見ると、彼はもう其処に居なかった。

 

一夏「何処を見てやがる、後ろだ!!」

 

セシリア「な!?」

 

一夏「そら!!」

 

セシリア「カハッ!!」

 

声を掛けられ、振り返ろうとする前に背中を蹴られてしまいました。

 

その瞬間、肺の空気が全部出て行ってしまいました。

 

ドオオオオオォォォン!!!

 

私は為す術も無く、アリーナの壁に叩き付けられてしまいました。

 

しかし、彼の攻撃はまだ終わりませんでした。

 

彼はまた何時の間にか、今度は目の前に居ました。

 

そして彼は、耳を疑ってしまう発言をしました。

 

一夏「これで終わらせる。受けてみな、音速の連撃を」

 

セシリア「お、音速!?」

 

私がそう呟いた直後、私は動けたく成りました。

 

千冬 side

 

ドドドドドドドドドドドドドドド

 

私は眼を疑った。

 

一夏がオルコットを壁際に追い込んだ直後から、響き続ける打撃音。

 

更に、文字通り目にも止まらぬ早さで繰り出される連撃。

 

そしてインカムから聞こえた、[音速の連撃]と言う言葉。

 

千冬「な、何だあの攻撃は!?」

 

私はそう問わずに居られなかった。

 

すると、箒が私の問いに答えた。

 

箒「言葉の通りですよ、織斑先生。一夏が繰り出しているのは、音速の(こぶし)[音速拳(おんそくけん)]です」

 

千冬「はああ!?」

 

真耶「えええ!?」

 

箒の答えに、私だけでなく真耶も驚いた。

 

千冬「つ、つまり織斑は、音の速さであんな連撃を繰り出していると言う事か!?」

 

箒「・・・」コクッ

 

私の解釈に、箒は無言で頷いた。

 

ドドドドドドドビキッドドドドドドドドバキッドドドドド

 

打撃音の中にの亀裂が走るような音や砕けるような音が混じって聞こえる。

 

モニターに視線を戻すと、アリーナの壁に亀裂が出来ていた。

 

千冬「あ、あれではオルコットが死んでしまうぞ!!」

 

だが、私がそう叫んだ直後

 

ドドドドドドドドドドぷしゅうううぅぅぅぅ

 

オルコットのISのSEが切れた。

 

それに伴って、一夏は1歩後ろに下がった。

 

『し、勝者、織斑一夏選手』

 

シーン

 

この惨劇とも言えなくもない光景に、会場は静まり返っていた。

 

そして私は別のモニターに視線を移す。

 

其処には、ある警告が表示されていた。

 

〈ブルー・ティアーズ ダメージレベルC〉

 




いかがでしたでしょうか?

お気付きかと思いますが、[バキ]から(音速拳)を使わせて頂きました。

それではまた次回をお楽しみに


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最終戦 黒 VS 白 [前編]

お久し振りです。

散々待たせた挙げ句に前編・後編別け。

理由としては、1話に詰め込むと恐らく10000文字を越えてしまうからです。

そうなると、何時更新出来るか分からないので前編・後編に別けました。

そんな訳で、遅い更新ですが気長にお待ち下さい。


一夏 side

 

ビットに戻った俺は、箒に正座させられ怒られている。

 

箒「バカ者!!!音速拳なぞ使って、万が一オルコットが死んだらどうするんだ!!!大体お前は昔からそうだ、1度頭に血が上ると回りを見ずに暴走する。それでどれだけ私と姉さんが手を焼いたと思ってるんだ!!!いくら女尊男卑が気に入らないと言っても、限度と言うモノが有るだろ!!」

 

THEマシンガントーク

 

一夏「ごめんなさい」

 

火に油を注ぐような真似は止めておこうと、素直に謝った。

 

 

一夏(「死んでねえから良いじゃねえか」なんて言ったら、確実に竹刀が飛んできそうだしな)

 

そんな中、鶴の一声が掛かる。

 

真耶「まぁまぁ、一夏君も反省してますし、それに次の試合も有りますから、その辺で」

 

山田先生が助けてくれたお陰で、箒はそら以上は言わなかった。

 

ただ、すれ違う瞬間

 

箒「続きは部屋でだ」

 

小声でそう言われた。

 

説教はまだ終わらないらしい。

 

一夏「はぁ、そんじゃあ、オルコットとクソ兄貴の戦いでも見物するか」

 

俺がそう言ってビットを出ようとすると、箒に止められた。

 

箒「何を言っている。次はお前と春十だ」

 

一夏「は?何で?」

 

俺は訳が分からず聞き返した。

 

箒「お前、オルコットのISを壊しておいて白々しいぞ」

 

一夏「・・・は?」

 

俺がリアクションすると、今度は山田先生が説明してくれた。

 

真耶「それがですね、オルコットさんのISのダメージレベルがCまで到達していて、暫く動かせないんです」

 

一夏「・・・マジ、すか?」

 

真耶「はい」

 

俺は山田先生の説明に唖然とした。

 

ダメージレベルCって、1歩間違えたら廃棄処分じゃん。

 

一夏「・・・イギリス政府から抗議来ないかな?」

 

俺は其処が不安に成った。

 

あれだけボコボコにしたんだから、最悪俺のIS寄越せとか要求されそうだな。

 

真耶「恐らくそれは無いと思います」

 

一夏「何故ですか?」

 

真耶「先程オルコットさんに話を聞いてきたのですが」

 

━回想━

 

NOside

 

真耶は一夏のビットに行く前、セシリアのビットを訪れていた。

 

真耶「ブルーティアーズのダメージレベルC。試合中の事とはいえ、これは抗議をしてもおかしくはありませんね」

 

真耶はブルーティアーズの状態を確認し、抗議するか確認した。

 

しかし、セシリアは首を横に降った。

 

セシリア「いえ、抗議は致しません。教室であれだけの暴言を言っておきながら、独り善がりなプライドで決闘なんて申し込んだ挙げ句、[素手]対[銃]で完膚無きまでに打ちのめされたのですから、そんな権利も意思も在りませんわ」

 

と言って、セシリアは更衣室へ向かった。

 

━回想終わり━

 

真耶「と言っていました」

 

一夏「・・・」

 

俺は言葉が出なかった。

 

あの慢心を体現したような女が、負けて改心するなんて信じられなかった。

 

まぁ、鬱陶しくなくなったのは良いけどな。

 

一夏「そんじゃあ、SEのチャージ待ちだな」

 

箒「あぁ、それまでに体を解しておけ。まだ温まってないんだろ?」

 

一夏「そうするぜ」

 

こうして、SEが溜まるまでの間、柔軟やウォームアップをして時間を潰した。

 

 

試合開始1分前、俺は5分前にウォームアップを終えて瞑想していた。

 

それを、箒と山田先生が静かに見守ってくれている。

 

ちなみに、ダメ姉はクソ兄貴のビットに行っている。

 

俺は深呼吸した後、立ち上がってISを展開した。

 

一夏「来い、地獄の狩人」

 

春十 side

 

俺は一夏が試合をしている間に、ファーストフィッティングを終えてビットで待機している。

 

春十(IS戦は転入試験の時以来だな。まぁ、俺なら楽勝で勝てるだろ。一夏とオルコットの試合は見てないけど、どうせ一夏が瞬殺されたんだろうな。先週の屋上では油断したが、今度は叩きのめしてやる。あわよくば、事故に見せ掛けて殺すか?ヒヒヒ)

 

俺がそう考えてると、千冬姉さんが入って来た。

 

春十「何だ、姉さん自らセコンドしてくれんの?」

 

そう言いながら姉さんを見ると、かなり険しい表情で俺を見ている。

 

千冬「いや、お前に辞退を薦めに来た。お前と一夏では、実力が違い過ぎる。このまま試合に出たら、最悪死ぬぞ。一夏は、オルコットにノーダメージで勝利している」

 

春十「・・・う、嘘だよな?」

 

俺は姉さんの言葉に耳を疑った。

 

代表候補生のオルコットが、一夏に1発も当てられずに負けた。

 

それが信じられなかった。

 

春十「姉さん、エイプリルフールはとっくに過ぎたぞ。大体一夏なんかが、オルコットを相手にノーダメージ?有り得ねえだろそんなの!!」

 

俺がそう言うと、姉さんが止めを刺して来た。

 

千冬「更に言うなら、一夏は素手、オルコットは銃だった」

 

春十「・・・」

 

俺はもう言葉が 出なかった。

 

素手vs銃で素手が勝つ。

 

春十(姉さんは誂い好きだけど、こんなふざけた冗談は絶対言わねえ。だとしたら、マジなのか!?)

 

俺は姉さんに視線を送ると、無言で頷いた。

 

春十「ま、マジかよ!?」

 

千冬「あぁ。それでも戦うと言うなら、心して挑め。下手をしたら、殺されるぞ」

 

春十「!!!」ゾクッ

 

俺は姉さんの言葉に、悪寒が走った。

 

それもその筈。

 

姉さんの眼が、本気の眼だったからだ。

 

その言葉を最後に、姉さんはビットを後にした。

 

でも、俺は考え方を変えた。

 

春十「姉さんがあんなに警戒してる一夏を倒せば、俺はやっと姉さんに認めて貰える」

 

俺はそう考えて、ビットの射出口へ向かった。

 

千冬 side

 

私は一夏とオルコットの試合を見て、正直震えた。

 

今の一夏は、並の達人を圧倒的に凌駕している。

 

ビットへの移動中、箒に[音速拳]の原理を聞いた。

 

正拳突きに使用される関節[爪先→足首→膝→股関節→腰→肩→肘→手首]の8箇所を連動ではなく同時に加速させる事で、あの常軌を逸した連撃を可能にするらしい。

 

その為、反射神経や条件反射が追い付かず真面に攻撃を受け続ける事に成る。

 

つまり、捕まったら終わりだ。

 

だから、私は春十に辞退を薦めに行った。

 

下手をすれば、春十が殺されかねないからだ。

 

いくら春十に非が有るとはいえ、兄弟での殺し合いは姉としては見たくない。

 

そう願いつつ、私は管制室に戻った。

 

NOside

 

一夏と春十は、お互いにISを纏って向かい合っていた。

 

春十が提供されたISは、白を基調としたボディーカラー。

 

名前は白式(びゃくしき)

 

右手には既に白式の専用武器[雪片二型]が握られている。

 

一夏(まさか、こんな形で戦り合う事に成るなんてな。ま、借りを返すには丁度良い機会だな)

 

カウントが始まる前、一夏はそう考えていた。

 

すると、春十が地面に降りて一夏に指で降りるように促す。

 

それに従い、一夏も地面に降りた。

 

2人が降りた所で、カウントが始まった。

 

『3、2、1、試合開始です』

 

一夏、春十「・・・」

 

お互いに構えたまま、2人は動かない。

 

一夏はボクシングのファイティングポーズ。

 

春十は雪片を両手の順手で持ち、剣道の構えをしている。

 

その状態で2人供が動こうとしない。

 

[その頃の管制室]

 

真耶「2人供動きませんね」

 

真耶の一言に、千冬が訂正を入れる。

 

千冬「動かないんじゃない、動けないんだ」

 

其処へ更に、箒が付け足す。

 

箒「春十だけが、ですがね」

 

真耶「どういう事ですか?」

 

真耶の疑問に、千冬が答えた。

 

千冬「山田先生も見ていたでしょう、一夏の戦いを。アイツの戦闘力は、最早並の達人では敵わないでしょう」

 

真耶「お、織斑先生が其処まで言うなんて!!」

 

千冬の見解を聞いて、真耶は動揺した。

 

そう話している内に、状況が動いた。

 

 

先に仕掛けたのは春十だった。

 

ブースターで加速しながら、一気に間合いを積めて唐竹で斬り掛かる。

 

だが、一夏は春十の右側にすれ違うようにして躱す。

 

そして回転しながら春十の後頭部を掴んで、地面に顔面を叩き付けた。

 

ゴオオォォン

 

春十「グブ!!!」

 

反応する暇もなく地面に叩き付けられた春十は、顔を抑えながら立ち上がる。

 

春十「チッいきなりカウンターかよ。しかも今の合気じゃねえか!!」

 

一夏「知ってたか。まぁ今のはほんの挨拶だ。さっさと来いよ自称天才くん」

 

春十のリアクションに、一夏は指で来いと挑発しながら煽った。

 

春十「おちょくるのも大概にしやがれ!!!」

 

その挑発に激昂した春十は、右凪ぎに構えて一夏に突進した。

 

だが、幾多の死線を潜って来た一夏にとっては、所詮[ちゃんばら]である。

 

一夏はタイミング良く飛び上がり、春十の横凪ぎを回避した。

 

そして踏み込んだ事で位置が低くなった春十の横顔に、空中右回し蹴りを炸裂させる。

 

一夏「隙有り!!!」

 

春十「グッ!!ぐわぁぁぁああああ!!!」

 

一夏に蹴り飛ばされた春十は、まるでボールのように跳ねながら転がって行く。

 

[それを見ていた更識・布仏姉妹]

 

楯無「凄い身の熟しね。並の努力じゃ、2年で此処までは行かないわ。それに、彼はまだ実力すら出してない気がする」

 

簪「うん、私にもそう見える。ただ攻撃にカウンターしてるだけで、一夏からはまだ1回も仕掛けてないね」

 

虚「そうですね。お嬢様も体術は体得しておりますが、彼処まで洗練された技を見るのは初めてです」

 

本音「う~ん、いっちー頑張ったんだね~」

 

四者四様の感想である。

 

一夏は春十が起き上がる間、ずっと仁王立ちでじっとしている。

 

この時、一夏の戦闘スタイルを知る箒は察した。

 

箒(春十の動きを把握しきるまで動かない気だな)

 

アマゾンと知ってから、箒は一夏のトレーニングを間近で見て来た。

 

その為、箒は一夏のスタイルを把握している。

 

そして、一夏の表情を見て箒は確信した。

 

箒(様子見は此処までだな)

 

一夏 side

 

俺はクソ兄貴の動きを見て呆れた。

 

護身術はまあまあだけど、剣は話に成らない。

 

ただひたすらに突っ込むだけで、まるで[子供を相手にしてるみたい]だと思った。

 

一夏(俺はこんな弱い奴に虐められてきたのか。昔の自分が惨め過ぎる)

 

俺は怒りを通り越して、自分が惨めに成った。

 

そう考えてると、クソ兄貴が起き上がった。

 

春十「てめえ、カウンターするしか能が無えのか!!!」

 

一夏「カウンターされる方が悪いんだよ。大体、今はISを纏ってるけど、生身だったらお前2回死んでるぞ。実戦(殺し合い)にルールも卑怯も無い。試合は読んで字の如くリハーサル、本番(殺し合い)じゃない。そんな甘い考えならISになんか乗るんじゃない」

 

俺はこの2年を経ての経験からの見解を踏まえて、クソ兄貴にそう言った。

 

春十「ふんッ経験者みたいな口振りしやがって。お前がプロなら、俺は神だ。お前ごときが知った風な口を訊くな!!!」

 

当の本人は聞く耳持たず。

 

また唐竹で斬り掛かって来た。

 

一夏「なら見せてやるよ、決定的な差ってヤツを」

 

俺は瞬間加速でクソ兄貴の懐に入り、左手首を右手で掴んだ。

 

春十「な、なに!?」

 

そしてがら空きの腹に鎧通しを使って左アッパーを入れた。

 

ガァァアアン

 

春十「カハッ!!!」

 

衝撃がダイレクトに伝わったせいで、春十は腹を抑えて悶絶する。

 

春十「グッうううぅぅ、あ、ぐうううぅぅぅ」

 

一夏「これで分かったか?今の俺とお前じゃ、[武器]対[素手]でもこうなるんだ。いくら強力な武器や技を使っても、その差は埋まらない。これが、試合(遊び)実戦(死合)の決定的な差だ」

 

俺は今だ悶絶するクソ兄貴に、そう言い放った。

 

春十「・・・るな」

 

すると、クソ兄貴が何か呟いた。

 

一夏「ん?」

 

春十「ふざけるなぁぁぁあああああああ!!!」

 

俺が反応した瞬間、クソ兄貴がそう叫びながら体を起こす。

 

春十「弟の分際で、生意気に説教こいてんじゃねええええ!!!弟はただ命令に従う道具で居ればいいんだ、弁えろ!!!」

 

此処までしてもまだそんな思想を通そうとするクソ兄貴に、俺は怒りが爆発した。

 

一夏「俺の考えが甘かったな。改心なんて、有りもしない事に期待していた俺がバカだったぜ。此処からは、手加減も配慮も無しだ。お前には地獄を見て貰うぞ」

 

俺はそう言って、戦闘態勢に入った。




今回は此処までです。

お盆中には後編を出せたら良いなと思ってます。

(期待はしないで下さい)

これからも、こんなのろま更新ですが気長に楽しんで頂けたら嬉しいです。


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最終戦 黒 VS 白 [後編]

思ってたより早く書けました。

一夏VS春十、いよいよ決着です。


箒 side

 

春十「弟の分際で、生意気に説教こいてんじゃねええええ!!!弟はただ命令に従う道具で居ればいいんだ、弁えろ!!!」

 

一夏の説教を聞いて、春十は一夏に逆上しながら叫んだ。

 

だが、それが地雷だった。

 

一夏「俺の考えが甘かったな。改心なんて、有りもしない事に期待していた俺がバカだったぜ。此処からは手加減も配慮も無しだ。お前には地獄を見て貰うぞ」

 

一夏はそう言って、完全に戦闘態勢に入った。

 

それも、アマゾンと闘う時と同じ表情をしている。

 

画面越しでも感じ取れるこの威圧感。

 

箒(殺すなよ、一夏)

 

私は切にそう願った。

 

千冬 side

 

春十の叫びを聞いてから、一夏の表情が変わった。

 

画面越しだと言うのに、とてつもない威圧感を感じる。

 

千冬(この威圧感、屋上の時の比ではない!!画面越しでこれでは、直接当てられたら私でも耐えられないかもな。一夏、お前に一体何が遭ったんだ?)

 

私は一夏の威圧感にそう考えずに居られなかった。

 

楯無 side

 

私は一夏君から感じる威圧感に震えた。

 

こんなの、任務の現場でも感じた事が無かった。

 

楯無「一夏君、相当の場数を踏んでるわね。こんな威圧感、任務でも感じた事が無いわ」

 

私の言葉に虚ちゃんが答えた。

 

虚「私も同じ意見です。一夏君の闘い方にしても、あれは表の動きではありません。明らかに裏の動きです。此処までの領域に、たったの2年で至るなんて、努力だけでなく才能も有るかも知れませんね」

 

虚ちゃんが此処まで人を褒めるのは珍しい。

 

楯無「でも、余りやり過ぎなければ良いんだけどね。一夏君、殺しちゃダメよ」

 

私は静かにそう呟いた。

 

NOside

 

春十の言葉に、幼い頃からの怨みが爆発した一夏。

 

つまり春十は、パンドラの箱を開けてしまったのだ。

 

怒りに呼応して、一夏の瞳が赤に変色。

 

それは、アマゾン体の時と同じ色だ。

 

一夏「覚悟しろよ、この下種野郎」

 

そう言った瞬間、一夏は瞬時加速を使い、一瞬で春十の間合いに入った。

 

春十「な!さっきより早い!!!」

 

一夏「お前が遅いだけだ、下種が」

 

一夏はそう言って、春十の腹部に二重の極みを打ち込んだ。

 

ガキイイィィン

 

春十「ごはっ!!!」

 

衝撃が内臓に響き渡り、体が耐えきれず吐血した。

 

春十「ごほっ!!ごほっ!!」

 

春十は腹部を抑え、噎せながらその場に膝を付いて踞り吐血し続ける。

 

だがそれで攻撃を止める程、一夏の感情は穏やかではなかった。

 

一夏「たかが吐血で大袈裟なんだよ。そんな事で手加減して貰える程、実戦(殺し合い)は甘くねえんだよ」

 

そう言って、一夏は春十の右肩をサッカーボールキックで蹴り上げた。

 

ガアアアァァァン

 

春十「グッ!!!」

 

その威力に、踞っていた春十の体が跳ね上がり仰向けに倒れる。

 

一夏「どうした、さっきの勢いは何処に行った?俺はお前より弱いんじゃなかったのか?そんなんじゃ一生 俺には勝てねえぞ」

 

一夏は嫌味を言ったのち、春十の右肩の装甲を掴み無理矢理立たせた。

 

一夏「先に言っておくが、SEが無くなるまで試合は終わらないんだ。だから、それまでは一切の容赦も手加減も無しだ。それと、ギブアップなんてさせないから覚悟しろ」

 

その宣言と共に、再び春十の腹部に二重の極みを打ち込んだ。

 

ガキイイィィン

 

春十「グブ!!!ごほっ!!」

 

更に間髪入れず、左フックが右顔面に炸裂した。

 

春十「ごはっ!!!」

 

殴られた春十は、3メートルくらい飛ばされた。

 

そして一夏は、ゆっくりと歩きながら春十に近付いて行く。

 

春十「ごほっ!!ごほっ!!・・この、調子に乗るなああああ!!!」

 

春十は雪片の切っ先を一夏に向けて突進した。

 

だが、一夏は紙一重で回避し、春十の顔面を掴んで後頭部を地面に叩き付けた。

 

ドオオオォォォン

 

春十「ぐううぅぅ!!!」

 

春十は脳震盪を起こし体に力が入らなくなった。

 

[それを見ていた管制室メンバー]

 

箒「な、何だあのカウンターは!?一夏がただ歩いているだけだったのに、いつの間にか春十が倒された!!!」

 

真耶「私にもそう見えました。織斑先生、お分かりになられましたか?」

 

箒と真耶が動転する中、千冬だけが何も言わなかった。

 

いや、言葉が出なかったのだ。

 

千冬「あ、あれは、御殿手(うどんで)だ」

 

箒、真耶「うどんで?」

 

千冬の答えに、2人はハモって聞き返す。

 

千冬「あぁ、古代沖縄に伝わる、琉球王家の長男だけが継承を許される、王家秘伝の武術だ。最大の特長である歩方は天下無敵と言われ、正中線を維持したまま、左右の揺れは一切無い。それ故、打ち込む隙は皆無。敵は無謀な攻撃を強いられてしまう。色々な格闘技を身に付けているのは観ていて分かっていたが、琉球王家の秘伝までとは恐れ入る」

 

箒、真耶「・・・」

 

千冬の解説に、2人は言葉を失った。

 

[同じ頃の更識、布仏姉妹]

 

楯無「まさか、御殿手まで使えるなんて、彼の格闘技術は本当に凄いわね」

 

簪「うん、私もそう思う。でも、何だか今の一夏、凄く恐い」

 

虚「恐らく、幼少の頃からの怨みでしょう。あの様子だと、相当の仕打ちを受けたようですね。そうでなければ、あんなに憤怒の籠った表情には成りませんから」

 

本音「いっちー」

 

楯無は御殿手を使った一夏に感心を示し、それに賛同しながらも、一夏の形相に恐怖心を抱く簪。

 

虚は一夏の形相から、一夏の受けた仕打ちを推測し、それを聞いて心配そうに一夏の名前(あだ名)を呟く本音。

 

 

春十「あ、ああ、グッ!」

 

必死に立ち上がろうとするが、脳震盪を起こしている為、上手く力が入らず這いつく張る事しか出来ていない。

 

それを一夏は、ただ見下ろしているだけ。

 

散々見下して来た弟に見下される。

 

その現状に

 

春十(こんな屈辱、有ってたまるか!!!)

 

と言う心境の春十だが、気持ちとは裏腹に体は言う事を聞かない。

 

身体に蓄積したダメージが、身体の自由を奪っている。

 

それに加えて、二重の極みを2回も打ち込まれた為、内臓にもダメージを受けている。

 

だが機体のSEはまだ残っている為、這いつく張っていても試合は終わらない。

 

一夏「そんな身体でまだ闘う気か?まぁ、死にたかったら掛かって来い」

 

そんな春十を一夏は嘲笑うかのように挑発する。

 

春十「ごほっ!!こ、この野郎!!出来損ないの分際で、この俺に恥をかかせやがって!!!ただで済むと思うなよ!!」

 

一夏「ただで済まないのはお前の方だろう。控えめに言っても、今のお前はボロボロだ。さっさと気絶してりゃ、苦しみも和らいだのにな。フッそれじゃ、そろそろ終わらせるぞ。もう飽きて来た」

 

一夏はそう言って、右手を広げて春十に見せ付けるようにして、親指を曲げて

 

一夏「お前は、4手で詰む」

 

と、春十が好きなボードゲーム、特に好きなチェスを真似て仕留めると宣言した。

 

春十「貴様、俺の好きなチェスを真似しやがって、上等じゃねえか!!!」

 

春十は一夏の挑発に乗り、一夏に右ストレートを放つ。

 

しかし、一夏はそれを左手刀で払い落とし、春十の頭目掛けてハイキックを放つ。

 

それに気付いた春十は、ギリギリ左腕でガードした。

 

だが、一夏の蹴りは凄まじく、そのガードした腕を吹き飛ばした。

 

春十「ぐわあああ!!!」

 

一夏「1」

 

カウントを呟き、春十の体勢が僅かに崩れた処に透かさず右ストレートを打ち込んだ。

 

だが、これもギリギリで春十は両手で受け止めた。

 

一夏「フッ!!」

 

しかし、一夏は腕に更に力を込めてガードごと春十を後方へ突き飛ばしてしまう。

 

春十「うわあああ!!!」

 

一夏「2」

 

突き飛ばされた春十は、何とか根性で倒れる事なく耐える。

 

ビリ、ビリビリ

 

すると、いきなり放電音が聞こえ、春十は聞こえた方を見た。

 

視界に飛び込んで来たのは、最初のハイキックを受け止めた左腕の装甲が砕けている光景だった。

 

春十「ば、バカな!?」

 

春十は信じられないとばかりにそう呟く。

 

それに構わず、一夏はバイオレント・スピアの構えを取る。

 

一夏「3」

 

カウントと同時に、春十へ向かって行く。

 

春十「!クッ!」

 

一夏の接近に気付いた春十は、意を決してカウンターを狙うべく右拳を構えて一夏同様近付いて行く。

 

だが、受けたダメージが酷く、春十は途中で激痛が走ってしまう。

 

その隙を逃さず、一夏は渾身の力を込めて拳を繰り出した。

 

ブースターに因り威力を底上げされ、アリーナの中心から壁に激突した。

 

ドオオオォォォン

 

その直後、エアーが抜ける音が響き渡る。

 

ぷしゅうううぅぅぅん

 

それは、白式のSEが尽きた事を示している。

 

一夏「しまった、1手 早すぎた」

 

一夏がそう呟いた直後、勝敗を報せるアナウンスがアリーナに響き渡った。

 

『し、試合終了。勝者、織斑一夏選手』




今回は此処までです。

少し刃牙ネタを入れてみました。

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千冬の後悔 明かされる一夏の仕事(狩り)

お盆中に投稿出来て良かったです。

また明日から仕事ですからね。

(萎えるわ~)




千冬 side

 

一夏は圧倒的な強さで春十を倒した。

 

だが私は、一夏への疑問が尽きない。

 

誘拐されてから2年間、一夏は束と行動を共にしていた。

 

しかし、たったの2年であの闘い方はおかしい。

 

あれは明らかに試合ではなく、殺しの闘い方だ。

 

私は管制室から直接春十が送られた医務室へ向かった。

 

 

千冬「ドクター、春十の様子は如何ですか?」

 

私はドクターに春十の容態を聞いた。

 

しかしドクターから驚きの答えが帰って来た。

 

ドクター「弟さんの外傷はそれほど大した事はありません。ですが、内臓のダメージが酷いです」

 

千冬「!?な、内臓、ですか?」

 

私は耳を疑った。

 

外傷ではなく、内臓にダメージ。

 

千冬「どのような状態なのですか?」

 

そう聞かずには居られなかった。

 

ドクター「そうですね。例えるなら、内臓に直接攻撃を受けたような感じですね。後一撃受けていたら、彼は死んでいました」

 

千冬「な!?それは本当ですか!?」

 

ドクター「はい。それと、弟さんは全治3ヶ月です」

 

千冬「そうですか、弟をお願いします」

 

私は信じられなかった。

 

後一撃受けたら、春十は死んでいた。

 

春十が一夏にした仕打ちは、決して許される事ではない。

 

だが私は察した。

 

千冬(一夏はあれで抑えたんだ。いや、押さえざるを得なかった。観客が大勢居る前で殺人をする訳にはいかない、と言う事か。恐らく、一夏がその気に成れば、簡単に春十を殺せた)

 

だがそれを察した直後、私は罪悪感に見舞われた。

 

一夏がこう成ったのは、私の責任だ。

 

千冬(私がもっと一夏を気に掛けていれば、こんな事には成らなかった。昔の私は、ただ彼奴等を養う事しか頭に無かった。[親が居ない]せいで、稼げるのは私しか居なかった。だが、それが仇に成った。春十は産まれた順番に拘っていた。[産まれた順に評価されなければならない]その思想が、一夏への虐待に走らせた。そして2年前、春十が一夏を身代わりにした結果、一夏は闘争の化身に成ってしまった。今の私でも、今の一夏に通用するか自体、自分から観ても怪しい。闘いに一切の無駄が無い上、的確に相手を倒せる技の数々。あれは最早、[殺しに特化した技]だ)

 

私は自分の過ちを悔いる事しか出来なかった。

 

一夏を蔑ろにしていた自分。

 

春十の行いに気付こうともしていなかった自分。

 

そして何より、自分の無力さに腹が立った。

 

私は医務室を出た後、壁に寄り掛かり

 

千冬「すまなかった、一夏。すまなかった、束」

 

一夏と束に、届きもしない謝罪をした。

 

こんな時代にしてしまったのは、他ならぬ私だ。

 

あの頃の私は、仕事と学業の両立によるストレスでかなり苛立っていた。

 

白騎士事件は、言ってしまえば八つ当たりだ。

 

そのせいで、束の夢は遠退き[IS=最強兵器]と言う印象を世界に与えてしまった。

 

そしてISが女にしか動かせない事と、白騎士事件が基となり、女尊男卑と言う風習が出来てしまった。

 

千冬「結局、一夏を1番苦しめていたのは、この私だったな。何が世界最強だ、何がブリュンヒルデだ。家族1人守れない、ただの弱い女じゃないか。くっう、うぅ」

 

私はその場に崩れ落ちて涙を流した。

 

自分の情け無さと無力さに、ただ泣く事しか出来なかった。

 

一夏 side

 

ビットに戻ってからが大変だった。

 

何でか箒、楯無さん、簪、虚さん、本音の5人がビットに集まっていた。

 

(山田先生は職員室に呼ばれて居ない)

 

どうやら俺とクソ兄貴の戦いを見て暴走したんじゃないかと不安に成ったらしい。

 

一夏「心配かけて悪かったな。俺は大丈夫だから、そんなに思い詰めた顔すんなよ」

 

箒「まったくだ、お前の暴走癖はどうにか成らないのか?それに、お前途中から眼の色が変わっていたぞ」

 

箒がまだ不安そうに教えてくれた。

 

一夏(マジか、時々成るんだよな)

 

俺は人間体のままでも、アマゾン体の50%の力を引き出せる。

 

そして15%以上を引き出すと、『文字通り』眼の色が変わるらしい。

 

(束姉情報)

 

一夏「加減はしたつもりなんだけどな、怒りで力を引き出し過ぎたみたいだな」

 

俺がそう言うと、楯無さんが聞いてきた。

 

楯無「引き出すって、アマゾンの力の事かしら」

 

楯無さんの問いに、箒が楯無さんに詰め寄る。

 

箒「な!?どうして貴方が一夏の事を知っているんですか!?」

 

怒り気味に問い詰める箒に、楯無さんは変わらない態度で箒の問いに答えた。

 

楯無「私達は1年前に彼に助けられたのよ。それに5日前にも妹を助けてくれたから」

 

箒「そ、そうでしたか。すみません、取り乱しました」

 

箒は説明を聞いて冷静になり、すぐに謝った。

 

一夏「にしても腹減ったな。食堂で蛋白摂取するか」

 

そう言って食堂に向かった。

 

 

食堂に着いて、俺はざっと3人分の料理を注文した。

 

メニュー

 

[牛カツ]

 

[鶏胸肉の甘辛煮]

 

[キャベツ半分千切り]

 

[チキン南蛮]

 

[御飯茶碗大盛り]

 

[味噌汁]

 

ちなみに、その量を見た回りの生徒と、調理師さん達は引いていた。

 

当たり前か、フードファイターでもない限りこの量は普通は食わない。

 

一夏「まぁ、2度見する気持ちは分かるけどな。そんじゃあ、戴きます」

 

【30分後】

 

一夏「御馳走様でした」

 

俺は完食した。

 

何故か食いきった直後、拍手が興った。

 

一夏(此処は大食い会場か)

 

内心そう突っ込んだのは言うまでもない。

 

一夏「さてと、腹も膨れたし教室に戻るとするか」

 

俺がそう言うと、楯無さんが待ったを掛けた。

 

楯無「待って、まだ授業まで時間有るからお話ししない?一夏君の事もそうだけど、箒ちゃんの事もあまり知らないから」

 

それに賛同して、簪、虚さん、本音が言う。

 

簪「うん、私も一夏とお話ししたい」

 

虚「私も、折角ですから親睦を深めたいですね」

 

本音「私も~、いっちーとしののんとお話しした~い」

 

そして、俺達は屋上で談笑した。

 

箒 side

 

一夏と共に昼食を取った後、私達は屋上で話をした。

 

話の内容は至って普通の世間話だった。

 

だが、私はビットに駆け付けた時、彼女達と遭遇した。

 

そして、私は悟った。

 

楯無さんと簪は、一夏に惚れている。

 

こうして話している処を見ていても、楯無さんと簪の顔がほんのりと赤い。

 

助けられたと言っていたが、それが理由なら一夏は2人に取って救世主と言う事に成る。

 

箒(簪に関しては2度目らしいからな。だから尚更好きに成ったと言う事か)

 

私はそう確信した。

 

楯無さんより簪の方が一夏への視線が輝いて見える。

 

すると、楯無さんが話題を変えた。

 

楯無「一夏君、今から真面目な話をするけど良いかな?」

 

楯無さんは、談笑していた時とは打って変わって真剣な表情に成った。

 

一夏「大体の予想は着きますけどね」

 

それに続いて、一夏も真剣な表情でそう言った。

 

楯無「あら、じゃあ言ってみてくれる?」

 

楯無さんにそう言われ、一夏は答えた。

 

しかしその内容に、私は度肝を抜かれた。

 

一夏「各国の女性権利団体アジト壊滅事件、でしょ?」

 

楯無「流石ね」

 

箒「ええ!?」

 

虚「ええ!?」

 

簪「ええ!?」

 

本音「ええ!?」

 

楯無さんが[正解]と書かれた扇子を開きながらそう言った。

 

それを聞いて、私達は驚きの声を上げた。

 

箒「一夏、どう言う事だ!?まさかお前、アマゾンだけでなく人間まで手に掛けているのか!?」

 

私は声を荒げた。

 

一夏「そう言えば、まだ言ってなかったな。その通りだ、俺はアマゾン狩りだけじゃなく、テロ組織、暴力団、立場を振りかざす卑劣な権力者を狩っている。特に、女性権利団体は徹底的にな。当然、命乞いは聞かない。聞く価値も無いからな」

 

そう語る一夏から、アマゾンと戦っている時と同じ重圧を感じる。

 

それに、背筋が寒い。

 

箒(これが殺気か!?生まれて初めて感じた。こんなに恐怖を感じるモノなのか!?)

 

私はふと、簪達を見た。

 

すると、楯無さんは顔を引き攣らせてはいたが、怯えた様子は無い。

 

しかし、簪、虚さん、本音はかなり怯えているように見える。

 

楯無「一夏君、殺気を消してくれるかしら。皆が怯えているわ」

 

一夏「!すみません。奴等の事を考えると、つい」

 

楯無さんに指摘され、一夏は殺気を消した。

 

殺気を消した後、一夏は楯無さんに尋ねた。

 

一夏「それで、俺が犯人だと目星を着けた理由は検討が着きますけど、楯無さんはどうするんですか?対テロ組織の当主として、俺を始末しますか?」

 

楯無「!!!」

 

簪「!!!」

 

虚「!!!」

 

本音「!!!」

 

私は一夏が最後に言った事が理解出来なかった。

 

対テロ組織、まるで映画に出て来そうな単語だ。

 

一夏の言葉を聞いた楯無さん達は、先程とは違い警戒しているような雰囲気に成った。

 

この状況に、私は頭が追い付かない。

 

すると、楯無さんが一夏を威圧しながら問い掛けた。

 

よく見れば、簪、虚、本音も似たような表情をしている。

 

楯無「何で一夏君が、私達の家系の事を知ってるの?」

 

一夏「裏社会で闘い続けていれば、当然の如く耳に入りますよ。それに、俺が誰のテストパイロットかお忘れですか?」

 

楯無「・・・あ!」

 

簪「・・・あ!」

 

虚「・・・あ!」

 

本音「・・・あ!」

 

一夏の答えに、少しの間を置いて4人共が間の抜けた声を上げた。

 

4人共が気付いた処で、一夏が話を戻した。

 

一夏「それで、俺を捕まえるにしろ殺すにしろ、俺もそれなりの抵抗はさせてもらうぜ」

 

一夏はそう言って、ベルトを出した。

 

すると、楯無さんが一夏の疑いを否定した。

 

楯無「そんな事しないわ。寧ろ、此方としても助かってるのよ」

 

一夏「どう言う事ですか?」

 

一夏は訝しんで楯無さんに聞き返した。

 

楯無「貴方が壊滅させた組織の中には、私達でもてこずるモノも有ったわ。でも貴方は、それを意にも介さず全滅させた。だから、ずっとお礼を言いたかったの。ありがとう」

 

満面の笑みでお礼を言う楯無さん。

 

一夏「なら良かった。もし逮捕、抹殺するなんて言われたら闘う羽目に成るかと思いましたよ」

 

そう言って、一夏はベルトを待機状態に戻した。

 

簪「一夏、凄く過酷な環境に居たんだね。じゃないと、あんな殺気は出ないよ」

 

簪が一夏に近寄りながらそう言った。

 

箒(確かに、簪の言う通りだ。過酷な環境、まさに修羅場をな)

 

私は本当そう思った。

 

一夏が纏う雰囲気は、異常だった。

 

あれは、全力の千冬さんより遥かに上だ。

 

すると、授業前の予鈴が鳴った。

 

キーンコーンカーンコーン

 

一夏「予鈴鳴ったな。そろそろ教室に戻りますか」

 

そう言った一夏を筆頭に、それぞれの教室に戻って行った。

 

箒(一夏、お前の隣に立てるのは何時に成るのだろうな。だが、何時か必ず)

 

私は密かにそう決意した。




と言う訳で、懲らしめ完了。

次回位で第一章が終わりです。

(1話か2話位)

鈴ちゃんファンの方はもう暫くお待ち下さい。

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代表決定 近づく再会

1か月ぶりの投稿です。

若干ですが無理矢理感が有るかも知れません。


一夏 side

 

トーナメントが終わったその日の夜。

 

食堂で代表就任パーティーが行われた。

 

1組女子「一夏君、代表就任おめでとう!!!」

 

俺が代表に成ってしまった。

 

理由は分かってる。

 

オルコットのISはダメージレベルC、クソ兄貴は医務室で養生中。

 

結果、消去法で俺に成った。

 

午後の授業が始まった時、ダメ姉から聞かされた。

 

山田先生が職員室に呼ばれたのは、学園長からのお達しが有ったからだ。

 

元々、俺は代表に成る事を禁止されていた。

 

理由は言うまでもなく、束姉のテストパイロットだからだ。

 

IS製作者のテストパイロットなんて、チートだと俺も思う。

 

その上、俺はアマゾンだ。

 

当然だけど、常人の範疇を越えている。

 

教師を含めて、IS学園の人間で箒、楯無さん、簪、虚さん、本音の5人以外は俺がアマゾンなのを知らない。

 

それに俺自身も、面倒だからやるつもりは無かった。

 

だけど、試合でヤり過ぎたせいで今に至る。

 

後で聞いたけど、オルコットはISが修理に1ヶ月、クソ兄貴は全治3ヶ月らしい。

 

何でも、内蔵へのダメージが酷いらしい。

 

一夏(まぁ、二重の極みを2発も打ったから当然か。観客が居たから、半殺しで留めたけど、居なかったら多分殺してたかもな)

 

俺はそう考えた。

 

口では気にしてないと言ってはいるが、やっぱり恨みは有る。

 

幼い頃からの執拗な虐め、極めつけはあの身代わりだ。

 

散々人を痛め付けた挙げ句、確実に殺されると分かってる誘拐の身代わりにされて、恨まない奴は居ない。

 

一夏(箒達には格好付けたけど、恨んでない訳がねえんだよな。俺はアイツに、地獄と言っても過言じゃねえ程の仕打ちを受けて来た。正直、あれでもまだ足りねえくらいだ)

 

俺はそう考えつつ、就任祝いを楽しんでいた。

 

すると、眼鏡を掛けた先輩らしき人が話し掛けてきた。

 

???「こんばんは、新聞部でーす。織斑くんを取材に来たんだけど、良いかな?」

 

一夏「構いませんよ。それと、名前を教えて貰って良いですか?」

 

俺がそう言うと、先輩は名刺を出しながら自己紹介した。

 

薫子「そう言えばまだ名乗ってなかったわね。私は(まゆずみ) 薫子(かおるこ)、2年で新聞部の副部長よ。これが名刺ね」

 

 

俺は差し出された名刺を受け取った。

 

そして、黛先輩のインタビューが始まった。

 

薫子「それでは、取材を始めます。織斑一夏君、代表に成った感想を聞かせて!」

 

一夏「まぁ成り行きで代表に成ってしまったけど、成ったからには全トーナメント勝ちに行きます」

 

1組全員「おおおぉぉぉ!!!」

 

質問に意気込んで答えると、1組の皆が声を上げる。

 

薫子「これは大きく出たわね。それだと生徒会長のたっちゃんも倒すって事だよ?」

 

[たっちゃん]って言うのは多分楯無さんの事だろうな。

 

結構仲が良いんだろうな。

 

一夏「こう見えても、俺ってかなりの喧嘩好きなんですよね。学園に来る前からかなりトレーニングしてますから」

 

俺は右拳を左手で包みながらそう答えた。

 

薫子「それは以外ね、大人しそうな顔してるのに。人は見掛けによらないわね」

 

一夏「(人じゃないけどな)そう思うなら、トーナメントの記録映像を見て下さいよ。そしたら分かりますよ、俺の喧嘩っ早さがね」

 

俺は黛先輩にそう言った。

 

不適な笑み浮かべながら。

 

薫子「そ、そう、なら後で見てみるわ」

 

若干引きながらそう言う黛先輩。

 

表情も引き攣っていた。

 

すると、食堂に楯無さん達生徒会メンバーと簪(本音は最初から居た)がやって来た。

 

楯無「あら、其処まで大きく出られると、私も負けられないわね」

 

一夏「楯無さん」

 

1組全員「生徒会長!!!」

 

薫子「たっちゃん!!」

 

いきなりの楯無さん登場に、俺以外の皆が驚いた。

 

一夏「どうしたんですか?生徒会長が態々来るなんて」

 

楯無「勿論、お祝いに来たのよ。そしたら、かなり面白い事 言ってるんだもの。私に勝つって事は、全学年の中で最強に成るって事よ」

 

かなり好戦的な笑みを浮かべながらそう言う楯無さん。

 

一夏「それを目標にするのも悪くないですね」

 

俺は立ち上がりながらそう返した。

 

楯無「あら、それって宣戦布告?」

 

一夏「解釈はご自由に」

 

すると、黛先輩が仲裁に入った。

 

薫子「ストップ!ストップ!2人共 雰囲気が怖いよ!!」

 

一夏「あ、無意識に闘気 出てた」(汗)

 

楯無「あ、無意識に闘気 出てたわ」(汗)

 

俺と楯無さんは言われてハモりながらそう言った。

 

その後、幾つか質問に答えた後に記念撮影する事になった。

 

最初は俺とオルコットだけだったけど、オルコットは何でか入って来なかった。

 

仕方なく俺だけになったけど、シャッターを押す瞬間に皆(オルコット以外)が入ってきた。

 

薫子「何気に集合写真になったわね。織斑君、ありがとうね」

 

一夏「いえ、大丈夫ですよ」

 

その挨拶を最後に、黛先輩は帰っていった。

 

それから俺は、厨房を借りて軽く10品の料理を作った。

 

箒以外の女子「おおおおぉぉぉぉ!!!」

 

ワゴンで運んでいる料理を見て女子達は驚愕の声を上げた。

 

一夏「まぁ簡単に作ったから味はそれほどでもないと思うけど。まぁ食ってくれ」

 

女子全員「いただきまーす!!!」

 

箒 side

 

一夏がワゴンで運んできた10品の料理に皆が群がっている。

 

悔しいが、一夏の料理の腕はプロ級だ。

 

(扱き使われて身に付いた技術)

 

私も料理はするが、一夏には勝てる気がしない。

 

私はふと見ると、食堂の入り口に千冬さんが立っていた。

 

ここ一週間の千冬さんを見てきたが、千冬さんは後悔しているようだ。

 

しかし、一夏の思いを考えるとあまり口出し出来ない。

 

私は一夏に視線を移すと、一夏は千冬さんを睨んでいた。

 

表情は鬱陶しいと言った感じに見える。

 

箒(どうにか千冬さんとだけは仲直りしてほしいな。あのバカ(春十)は兎も角、千冬さんには悪意は無いんだ。しかし、一夏がアマゾンだと知ったら、千冬さんはどう思うんだ?)

 

私がそう考えていると、一夏が私の隣に座った。

 

一夏「箒、お前が何を考えてるのかは分かる。・・・だけど、1度開いた溝は簡単には埋まらない。それにな、人喰いに成った奴を受け入れる奴はそうそう居ない。だから、このまま黙っててくれ」

 

そう言って一夏はオルコットの所へ行った。

 

私は一夏の言葉に疑問を抱いた。

 

箒(一夏は千冬さんを憎んでいる筈だ、自分を蔑ろにしてきた千冬さんを。此処は「余計な事はするな」の方が一夏の態度に合致する。なのに、今一夏が言ったのは「黙っててくれ」。一体どういう事なんだ?)

 

私の疑問は尽きない。

 

セシリア side

 

(わたくし)はあの試合の後、クラスの皆さんに謝罪しました。

 

内心、政府に抗議されても仕方がない、罰を甘んじて受ける積もりでした。

 

ですが、皆さんに許してくれました。

 

何でも、彼との試合を見て気が晴れたとか。

 

ま、まぁ確かにあの連撃は異常でしたわ。(汗)

 

記録映像を見ましたが、スローで漸く動きを認識出来るレベル。

 

セシリア(格闘技とは奥が深いですわね。それにしても、彼を見ていると胸が高鳴って仕様が無いですわ。それなのに嫌ではないこの感じ。・・・これが恋ですのね)

 

(わたくし)は胸の高鳴りに、そう結論付けました。

 

切っ掛けは恐らく、彼の執念にも似た意思の込もった眼ですわ。

 

(わたくし)は幼い頃、両親を事故で亡くしてしまいました。

 

残された私はオルコット家を継ぎ、今日(こんにち)まで何とか遣り繰りしてきました。

 

その中で、IS適正が有る事が発覚してからと言うもの、世の男達は媚を売る者ばかりで嫌気が差していました。

 

それは(わたくし)の父も同じで、母にぺこぺこ頭を下げて腰の低い態度。

 

(わたくし)は幼いながら父に呆れていました。

 

しかし事故が遭ったあの日、何故母は父と一緒に居たのか?

 

それは今となっては分からない。

 

一夏「オルコット、何で目立ちたがりのお前が撮影に入らなかったんだ?」

 

(わたくし)が考えていると、織斑さんが後ろから話し掛けてきました。

 

セシリア「お、織斑さん!!!いきなり後ろから話し掛けないで下さい!!」

 

(わたくし)は驚きのあまり振り返りながらそう言ってしまいました。

 

一夏「悪い悪い。それで、何で入って来なかったんだ?」

 

織斑さんは謝罪の後に質問を繰り返しました。

 

セシリア「あれだけの暴言を言っておきながら、どんな顔をして入れと言うのですか?」

 

一夏「つまり後ろめたさが抜けないと」

 

織斑さんは(わたくし)の心境を一言で纏めてしまいました。

 

一夏「あのなぁ、もう皆は許してんだぜ。なのにお前がウジウジしてどうすんだよ?お前はあれか、自分が[言われた事]や[された事]をグチグチ引っ張るタイプか?」

 

セシリア「そんな事は有りませんわ!!!」

 

織斑さんの質問に、(わたくし)は思わず声を荒げてしまいました。

 

しかし、織斑さんは態度を崩さず続けます。

 

一夏「なら切り替えろ。もうお前を咎める奴は居ないんだ。限り有る学校生活を楽しめよ!またな、オルコット」

 

織斑さんはそう言って立ち去ろうとしました。

 

セシリア「あ、あの!」

 

一夏「ん?」

 

(わたくし)は慌てて呼び止めました。

 

セシリア「も、もし宜しかったら名前で呼んで頂けませんか?」

 

(わたくし)は無理かもと思いながら、織斑さんにそうお願いしました。

 

一夏「なら俺の事も一夏で構わないぜ、セシリア」

 

セシリア「よ、宜しくお願いしますわ、一夏さん///」

 

結果はまさかのOK!!!

 

しかも、彼の事も名前で呼んで良いと言ってくれました!!!

 

(わたくし)は嬉しさを何とか抑えながら普通を装って返しました。

 

セシリア(一夏さん、(わたくし)は貴方を逃がしませんわ!!!)

 

(わたくし)は内心そう宣言しました。

 

??? side

 

夜の7時頃、アタシはIS学園に到着した。

 

道が渋滞していて、予定より3時間も遅れちゃったわ。

 

係員「はい、これで手続きは終わりました。ようこそ、IS学園へ」

 

言い忘れてたけど、アタシはIS学園に転入してきた。

 

その手続きを済ませて、係員のお姉さんが笑顔で迎えてくれた。

 

???「ありがとうございます。アタシはなん組ですか?」

 

係員「貴女は2組ですね。それにしても今年の1年生は凄いわね。貴方を入れて国家代表候補生が3人よ!それに1組はテストパイロットの男の子も居るし。しかもクラス代表決定戦で、その男の子がまさかの1人勝ちしたって言うし!!私も見たかったわ!!!」

 

アタシの質問に答えた後、興奮しながらそう語る係員さん。

 

???「それで、1組のクラス代表って名前分かりますか?」

 

係員「確か名前が、織斑一夏君だったかしら」

 

アタシは係員さんの答えに心臓が止まるかと思った。

 

???「えええええええええええええ!!!!!!」

 

係員「ど、どうしたの!?そんな大声出して!?」

 

アタシはつい絶叫してしまった。

 

???「ご、ごめんなさい。アタシの幼馴染みと同じ名前だったから。それでその人って、もしかして織斑千冬さんの弟ですか?」

 

係員「何で知ってるの!?」

 

???「(これでハッキリしたわ)その人、アタシの幼馴染みです」

 

アタシはそう言って係員さんに最後の質問をした。

 

???「あの、2組のクラス代表ってもう決まってるんですか?」

 

係員「えぇ、全クラスが決まってるわ。それを聞いてどうするの?」

 

係員さんの疑問に、私は宣言した。

 

???「勿論、代わってもらう為です」

 

そしてアタシは手続きに来た際に貰った部屋の鍵に書かれた番号の部屋に向かった。

 

???「待ってなさいよ、一夏」




???←(もう誰かお分かりですよね)



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クラス対抗戦
もう1人の幼馴染み 苦肉の裏切り


2ヶ月ぶりの更新です。

と言ってもかなりクオリティは低いです。




一夏 side

 

クラス代表に成ってから2週間が過ぎた。

 

クラス代表は、言わば学級委員みたいなモノだ。

 

ISの試合だけじゃなく、教師の雑用もさせられる。

 

山田先生は兎も角、ダメ姉の言う事を聞かないといけないのはマジで腹が立つ。

 

でも、仕事と割り切って熟している。

 

すると本音が話し掛けてきた。

 

本音「ねぇいっち~、2組に転校生が来たの知ってる~?」

 

一夏「いや、知らないな。それにしてもこんな時期に転校って、随分と急だな?」

 

俺は浮かんだ疑問を口にした。

 

もう4月が終わり頃だってのに、転校ってのもいきなりだと思う。

 

セシリア「まぁ、それはそれで良いではありませんか。1年の専用機持ちは私と一夏さん、それに4組の簪さんだけですから。それでも一夏さんには敵わないと思いますが」

 

セシリアが俺をかなり高評価していた。

 

すると、教卓側の入り口から懐かしい声が聞こえた。

 

???「その情報 古いよ」

 

俺を含めたクラス全員がその方向を向いた。

 

鈴「中国の代表候補生、(ファン) 鈴音(リンイン)!今日は宣戦布告に来たって訳!!」

 

決め台詞とばかりに右手で指を指し、左手を腰に置いて、おまけにどや顔のお約束ときた。

 

一夏「鈴、何 格好 着けてんだ?スッゲェ似合わねえぞ!」

 

鈴「な、何言ってるのよぉバカ!!」

 

鈴がそう言った瞬間、アイツが鈴の頭に拳骨を入れた。

 

ゴン

 

鈴「痛ううぅ!!!何すんのy」

 

鈴が抗議しようとしたが、ソイツの顔を見て固まった。

 

千冬「チャイムが聞こえなかったのか?」

 

鈴「ち、千冬さん」(汗)

 

鈴は思わずダメ姉の名前を言う。

 

千冬「学校では織斑先生と呼べ。それより退け、邪魔だ」

 

鈴「は、はい」

 

鈴はすっかりしょげてしまった。

 

一夏「鈴、昼に食堂で話すから待ってろ」

 

鈴「分かったわ、逃げるんじゃないわよ!」

 

鈴はそう言って教室に戻った。

 

一夏「まったく、騒がしいのは相変わらずか」

 

千冬「織斑、懐かしんでないでさっさと座れ」

 

俺が鈴への感想を呟くと、ダメ姉がそう言って座るように促す。

 

一夏「チッはいはい、分かりましたよっと」

 

千冬「・・・」

 

俺はわざと舌打ちをしてから返事をして席に座った。

 

いつもなら此処でタブレットチョップが飛んできそうなんだけど、何故かダメ姉は黙ったままだった。

 

NOside

 

一夏と鈴のやり取りを見ていた箒とセシリアは

 

箒(一夏め、あの女は誰なんだ!?随分と親しそうだったが?まさか、姉さんが居ながら二股か!?)

 

セシリア(一体誰なんですの!?随分と親しい雰囲気でしたけど、まさか一夏さんの恋人ですの!?)

 

そんな思考を巡らせていると、千冬のタブレット制裁(鬼の折檻)が2人の頭に炸裂した。

 

ガンッ

 

ガンッ

 

箒、セシリア「痛!!」

 

千冬「私の授業はそんなに退屈か?」

 

黒い笑顔でそう2人に言った。

 

箒、セシリア「す、すみませんでした」(汗)

 

吃りながら謝る2人。

 

一夏(だから頭をタブレットで殴るのやめろっての。まぁ、上の空だった2人も悪いけどな。でも何時かは止めさせないとな、何時かかち割りそうだからな)

 

一夏は内心そう考えていた。

 

一夏 side

 

午前の授業を終えて、俺、箒、セシリアで食堂に向かった。

 

鈴は一足早く食堂に行ったみたいだ。

 

鈴「遅いわよ一夏!!」

 

食堂に入った直後、鈴がそう叫んだ。

 

一夏「仕様がないだろ、順番なんだから。食券買うから、席取っといてくれ」

 

鈴「分かったわ、早く来なさいよ」

 

箒「・・・」

 

セシリア「・・・」

 

俺は鈴に席取りを頼んで食券を買った。

 

その時、箒とセシリアが俺を睨んでいた。

 

一夏(何か睨まれてるな。箒は分かるが、セシリアは何でだ?・・・まさかな)

 

俺は浮かんだ仮説を消して厨房に食券を渡した。

 

俺は両手にトレイを持って鈴が確保してくれているテーブルに向かった。

 

一夏「待たせたな。列が混んでて時間が掛かった」

 

鈴「行列なら仕方ないわね。って言うか、アンタそれ1人で食べるの?」

 

鈴が納得した直後に俺のトレイに乗った昼飯に突っ込んだ。

 

仕方ないよな、何しろ2枚のトレイに丼ぶりと平皿がそれぞれ1つづつ乗っている。

 

メニュー

 

親子丼

 

掛け蕎麦

 

豚のしょうが焼き

 

牛カツ

 

一夏「まぁな。このくらい食わねえと力 出ねえし」

 

俺は鈴の突っ込みに答えて隣に座った。

 

鈴「それにしても驚いたわ。ニュースではアイツ(春十)の事しか言ってなかったのに、受付で一夏の名前を聞いた時は絶叫しちゃったわよ」

 

一夏「俺の場合は2番目って事になってたからな。それで政府が報道規制したんだろ(実際は束姉が黙らせたんだけどな)」

 

鈴がテンション高めに話だし、俺はそれに普通に答えた。

 

一夏「それにしても久しぶりだよな。中1の時に連れ去られて以来だからな」

 

鈴「まったくよ!無事だったんなら連絡くらいしなさいよ」(怒)

 

一夏「(まずい、地雷 踏んだ)仕方ないだろ、日本じゃ俺は死んだ事になってたんだ。下手に連絡なんか出来ねえだろ」

 

鈴「それは、そうだけど」

 

俺はなんとか言い訳を絞り出した。

 

実際に戸籍上は誘拐後1年で死亡 扱いになった。

 

後から束姉が調べた処、日本政府がダメ姉の秘書に口止めしたらしい。

 

最初こそクソ兄貴が誘拐されたと報告を受けて焦ったが、クソ兄貴が無事だと知って態度を翻した。

 

一夏(アイツらも何時かは狩らないとな)

 

俺がそう考えていると、鈴に肩を叩かれた。

 

鈴「ちょっと一夏、聞いてるの?」

 

バチンッ

 

一夏「悪い、考え事してた」

 

鈴「もう、ちゃんと聞きなさいよ。放課後に模擬戦しない?」

 

鈴がそう聞いてきた瞬間、隣のテーブル席に座っていた箒とセシリアが俺達の所のテーブルを両手で叩きながら問い詰めてきた。

 

バンッ

 

箒「おい一夏!!いい加減ソイツとの関係を教えろ!!!」

 

セシリア「そうですわ!!まさか一夏さん、その方とつつつ、付き合ってますの!?」

 

鈴「い、いや!あ、アタシは///」

 

セシリアの問いに狼狽える鈴。

 

一夏「(まさかと思ってたけど、セシリアもか。箒に鈴といい、俺なんかの何処が良いんだ?)期待に答えられなくて悪いけど、俺と鈴は残念ながらそういう関係じゃない。箒と同じ幼馴染みだ」

 

俺は的外れであって欲しかった仮設が的中した事に内心疑問を抱きながら2人の質問に答えた。

 

箒「なんだ、そうなのか」(ホッ)

 

セシリア「そういう事でしたのね」(ホッ)

 

鈴「・・・」(ムスッ)

 

ホッとする2人とは対照的に、不貞腐れる鈴。

 

一夏「鈴には少し話したと思うけど、篠ノ之 箒。箒はファースト幼馴染みで、鈴はセカンド幼馴染みって処だ」

 

箒「ファースト///」

 

箒は嬉しそうにそう呟いた。

 

どうやら1番目だったのが嬉しいみたいだ。

 

一夏「おじさんとおばさん元気か?」

 

鈴「うん、元気だと思う」

 

俺が鈴の両親について聞くと、鈴の顔色が急に変わった。

 

どうやら聞いたらダメだったみたいだ。

 

一夏「模擬戦に関してはまた今度な。対抗戦まで予定入れちまってるからよ」

 

鈴「何よ、アタシの誘いを断るって言うの!?」

 

一夏「パワハラ上司かお前は。それにお楽しみは後に取っときたいしな。後、俺は箒とセシリアとの訓練が有るんだ。観戦するのは良いけど、乱入は止めてくれよ」

 

鈴「・・・分かったわよ」

 

納得がいかないという表情で渋々頷いた。

 

一夏「悪いな、今度 何か奢るからそれで許せ」

 

鈴「分かったわ、アンタの財布空にしてやるから!!」

 

一夏「お前は俺を餓死させる気か」(汗)

 

鈴「冗談よ」

 

そんな漫才の後、食い終わった俺達は各々の教室に戻った。

 

 

俺は放課後の訓練を終えて、更衣室のベンチで一息着いていた。

 

すると、鈴が温めのスポドリを差し出してきた。

 

鈴「はい、スポドリは温めで良かったわよね」

 

一夏「ありがとな丁度喉がカラカラだったんだ」

 

そう良いながら受け取ってスポドリを煽った。

 

すると、鈴が顔を赤くしながら問い掛けてきた。

 

鈴「い、一夏。中学に入ったばかりの頃に言った事、覚えてる?///」

 

一夏「あぁ、覚えてるよ」

 

俺は一言そう答えた。

 

中学に入って1週間が過ぎた時の事だった。

 

━回想━

 

夕暮れの教室で、俺は鈴に呼び止められた。

 

鈴「一夏、アタシの料理が上手くなったら、毎日アタシの酢豚食べてくれる?///」

 

鈴はモジモジしながらそう言ってきた。

 

一夏「まぁ食わせてくれるのはありがたいな。待ってるぜ、鈴」

 

俺はただ食わせて貰えると思ってそう返した。

 

━回想終わり━

 

当時は恋愛の[れ]の字も分からなかったせいで、鈴に思わせ振りな返事をしてしまった。

 

一夏「あれってお前なりのプロポーズだったんだよな。あの時はただ食わせてくれるだけだと思ってた」

 

鈴「この唐変木・・・って言いたいけど、気付いてるから許してあげるわ」

 

俺が正直に当時の心情を言うと、鈴は最初こそ怒ったような表情をしていた。

 

けど、すぐに笑顔でそう言った。

 

一夏「鈴の気持ちは[男として]は凄く嬉しい」

 

俺がそこまで言った処で

 

鈴「じ、じゃあ///」

 

どうやら[yes]と確信したのか、喜びの表情を浮かべて聞いてきた。

 

一夏「(この表情をドン底に落とさなきゃいけないなんてなぁ。ごめんよ、鈴)期待している処で申し訳ないけど、[男としては]って話だ」

 

鈴「え?」

 

俺が鈴の予想を否定した瞬間、鈴は鳩が豆鉄砲を食らったような顔に成った。

 

一夏「鈴の想いに気付いたのは・・・初恋の人に想いを伝えた後だったんだよ」

 

俺は拳を握り締めながら、鈴に俺の近況を伝えた。

 

あらかた察していた箒と違って、鈴は絶望した表情に成っていく。

 

こんな顔を見るのは(元)人として辛い。

 

それが昔から想ってくれていた幼馴染みなら尚更だ。

 

鈴「・・・」

 

鈴は黙ったまま何も言わなかった。

 

いや、[言葉が出ない]と言った方が良いかもしれない。

 

一夏(多分だけど、鈴は葛藤してるんだろうな。[裏切られた事への怒り][想いが届かなかった事の哀しみ]そんな感情の鬩ぎ合いで、言葉が出ないんだろうな)

 

俺は鈴の心理状態を読み取った。

 

俺は闘い方と同時に、読心術も習得している。

 

闘いにおいて、先読みは重要な技術だ。

 

だが今は、その培った技術が辛い。

 

手に取るように鈴の考えが読めてしまう。

 

鈴「一夏、アタシの前に立って」

 

俺はこの時、鈴が何をしようとしているのかをすぐに察した。

 

一夏「分かった」

 

分かった上で、俺は鈴の前に立った。

 

そして立った瞬間

 

ガキンッ

 

鈴に思いっきり殴られた。

 

しかも右腕にISを部分展開して。

 

普通の[人間]なら首が折れていても可笑しくない。

 

感情的になって力加減を忘れたんだろうな。

 

顔は痛くないけど、心が痛い。

 

鈴「アンタなんて大っ嫌い!!!」

 

俺を殴った鈴は逃げるようにその場から走り去って行った。

 

一夏「ごめんな、鈴。俺は最低だ、思わせ振りな返答しておいて、こんな形で裏切って。でも、血に染まった俺なんかとは付き合わなくて良い。これで良いんだ」

 

俺は言い聞かせるようにそう言った。




はい、今回は此処までです。

幼馴染みを2人も降った一夏。

分かってはいても、一人を選んだ男の定めである。

次回の更新は何時になるやら。

誰か才能を分けてくれ!!!(切実に)


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一夏の苦悩 全力の闘い

謹賀新年

明けましておめでとう御座います。

何とか書けました。

今回オリジナルアマゾンを出します。


一夏 side

 

俺は鈴が出て行った後、俺はベンチに座って佇んでいた。

 

一夏「俺は最低だ。だけど、実際に相手(束姉)がいるから仕方ないんだ。それに俺は・・・」

 

俺は言い掛けて気配に気付いた。

 

一夏「立ち聞きなんて悪趣味だぞ、クソ兄貴」

 

俺はベンチから立ち上がりながら、ドアの向こうに居るクソ兄貴にそう言った。

 

春十「まったく、そんな察知能力はアニメか漫画だけにしてほしいな。それと勘違いするな、俺はリハビリを予て散歩してただけだ」

 

クソ兄貴はドアを開けながらそう言った。

 

一夏「見え見えな嘘を言うな。此処はアリーナの更衣室だぞ、観戦の時も同様に受け付けの手続きがないと入れない事はお前も知ってる筈だぞ。なのに何で此処に居るんだ」

 

春十「・・・チッ、お前は何処ぞの某高校生探偵か?あぁそうだよ、情報収集にお前達の訓練を見てたんだよ。その後に出口へ行こうとしたら、更衣室からお前と鈴の声が聞こえたんだ。しかも聞いてみたら失恋現場に鉢合わせしたって訳だ」

 

クソ兄貴は観念したのか正直に話した。

 

一夏「(嘘は無いな)だからと言って盗み聞きはするな。それと、さっきの事は黙っとけよ。もし鈴を脅すような真似をしたら・・・[本気で]お前を殺すからな」ギロッ

 

春十「!?」ビクッ

 

俺は最後に殺気をぶつけながら脅しを掛けた。

 

一夏「他に用が無いならさっさと病室に戻れ。俺も着替えて帰る」

 

春十「・・・」

 

クソ兄貴は無言で更衣室を出ていった。

 

春十 side

 

何なんだアイツは!?

 

あの雰囲気、アレはかなりヤバイ。

 

春十「あの目、殆ど喧嘩した事が無い俺でも分かる。あれは危ない奴の目だ」

 

俺は一夏が俺を睨んだ時の目に恐怖を感じた。

 

春十「クソッまだ震えが治まらねえ」

 

俺は病室に戻る為に歩いているが、体の震えが治まらない。

 

心の底から恐怖を感じたのは生まれて初めてだ。

 

春十「畜生、俺ともあろう者が一夏ごときに怯えちまうなんて。だけどアイツ、あんなヤバイ目をするなんてなぁ。この2年で何が遭ったんだ?」

 

俺は一夏の豹変にそう思った。

 

千冬 side

 

私は代表決定戦以来ずっと考えていた。

 

一夏にどう償いをすれば良いかを。

 

千冬「一夏、許してくれなくても良い。でも、どう詫びれば良いか?」

 

私は見回りをしながらそう考えていた。

 

海岸に差し掛かった処で、スーツを着た男と鉢合わせした。

 

しかし、此処はモノレールでしか行き来出来ない孤島。

 

なのに此処に知らない男が立っている。

 

それが余りにも不自然だ。

 

千冬「お前は何者だ?此処は一般人が立ち入って良い場所ではないぞ」

 

スーツの男「・・・」

 

忠告したが男からは反応が無かった。

 

千冬「分かっていると思うが、拘束させてもらう」

 

私がそう言って近付いた時だった。

 

スーツの男「人間が俺を拘束するか、出来るものならやってみろ。勿論、命懸けでな」

 

男がそう言った瞬間、凄まじい熱気が男から発せられた。

 

千冬「熱っ!!」

 

余りの熱さに私は怯んでしまう。

 

千冬「な、なに!?」

 

私は再び男を見て驚愕した。

 

スーツの男は、アマゾンだった。

 

???アマゾン「この姿を見て驚いたか?だがそれで見逃す訳が無いがな」

 

アマゾンはそう言ってゆっくりと此方に近付いてきた。

 

一夏 side

 

俺は着替えを終えて帰路に着いていた。

 

何時しか、帰りに海を眺めるのが日課になっていた。

 

一夏(俺は何をやってるんだろうな?[狩りたいモノは狩り、守りたいモノは守る]って決めたのになぁ。なのに俺は、守りたい者を傷付けてばかりだ)

 

俺は自己嫌悪していた。

 

自分の流儀を変えるつもりはない。

 

だけど、やっぱり罪悪感は有る。

 

そんな事を考えながら海沿いを歩いていると、アマゾンがダメ姉にせまっているのを見付けた。

 

一夏「へっ因果応報だな。此処で喰われるのを見物するか。でもあのアマゾン、今までのアマゾンとは違うな。腕がゴリラ、足がチーター、顔が狼、頭に兎の耳。まるで合成獣、名付けるならキメラアマゾンだな」

 

俺はアマゾンを分析してそう名付けた。

 

キメラアマゾン「さて、餌に成る覚悟は出来たか?」

 

千冬「餌になど成ってたまるか!!弟に、一夏に償うまで死んでたまるか!!」

 

キメラアマゾンの問いに、ダメ姉はそう叫んだ。

 

一夏「[償う]ねえ、綺麗事の代名詞だな。なら、[今]の俺を見ても同じ事が言えるか聞いてみるか」ニヤッ

 

俺はそう言って、キメラアマゾンとダメ姉に話し掛けた。

 

一夏「おいおい、夕食にしては時間が早くないか?」

 

千冬「一夏!?」

 

キメラアマゾン「・・・コイツ、人間じゃない」ボソッ

 

俺の登場にダメ姉は驚き、キメラアマゾンは小さく呟いた。

 

千冬「逃げるんだ一夏!!!」

 

キメラアマゾン「逃がさん」

 

ダメ姉が叫んだ瞬間、キメラアマゾンが俺に襲いかかってきた。

 

一夏「遅いな」

 

ガシッ

 

キメラアマゾン「なに!?」

 

千冬「一夏!?」

 

俺がキメラアマゾンの左クローを右手で手首を掴んで止めると、キメラアマゾンとダメ姉は驚いた。

 

一夏「そう言えばアンタ、さっき償うとか言ってたよな?」

 

千冬「聞いていたのか!?」

 

一夏「あぁ、最初は傍観するつもりだったが気が変わった。よっ」

 

キメラアマゾン「うわ!」

 

一夏「そらよ!」

 

キメラアマゾン「かはっ!!」

 

俺はダメ姉にそう言った後、小手返しでキメラアマゾンを投げ転がし、更に蹴り飛ばした。

 

一夏「アンタは考えなかったのか?何でIS初心者の俺が、代表候補生とタメ張れるのか」

 

千冬「束から教わったからだろ?」

 

一夏「普通はそう思うよな。確かに正解だ・・・半分はな」

 

千冬「半分?」

 

俺はダメ姉と問答した後、ベルトを着けた。

 

一夏「もう半分はこれさ・・・アマゾン」

 

俺はベルトの左グリップを捻った。

 

〔ジ・リ・オン〕

 

ボオオオオォォォォン

 

黒い熱風と共に俺はアマゾン体に成った。

 

千冬「い、一夏なのか!?」

 

一夏「そうだ。だが、アンタが償う対象の[人間]の織斑一夏は死んだ。今の俺は[アマゾン]の織斑一夏だ」

 

俺はそう言って、キメラアマゾンに向かって歩いて行った。

 

千冬 side

 

一夏がアマゾンに成っていた。

 

これは生涯で1番のショックだ。

 

一夏を蔑ろにしていた付けが、こんな形で帰ってきてしまった。

 

しかも、出来損ないと蔑まれていた頃に反比例するかのような一夏の強さ。

 

(春十からの解説[脚色を推理変換])

 

千冬(一夏、私はどう償えば良いんだ!?私の誤った考えが一夏を苦しめ、一夏を変える切っ掛けを作ってしまった!)

 

ボフッ

 

自分へのやり場の無い怒りが沸き上がり、思わず砂を殴った。

 

NOside

 

キメラアマゾンと対面する一夏。

 

キメラアマゾン「まさか貴様が噂のアマゾンだったとはな。裏では有名だぞ」

 

一夏「それは光栄だな。それと1つ聞くが、お前は野座間が作ったアマゾンか?」

 

一夏はキメラアマゾンにそう問い掛けた。

 

キメラアマゾン「違う、俺は別の組織に作られた」

 

一夏「俺が思い付く限りじゃ亡国企業しか選択肢が無いんだがな」

 

キメラアマゾンの否定に、一夏はすぐさまが質問をぶつけた。

 

キメラアマゾン「何故いきなりその組織に結び付く?」

 

一夏「簡単な事だ。俺が裏で知られているように、俺も裏を知っている。だから俺が知る限り、野座間と同等かそれ以上の技術を持つのは亡国企業だけだからな」

 

キメラアマゾン「お前をガキと侮っていたが、警戒した方が良さそうだな。その推理力、俺を片手で投げる格闘技術、此処からは本気で行くぞ。[アイツ]からは無傷で捕らえろと言われているが、抵抗するなら手や足の1本はもいでも大丈夫だろう」

 

一夏の推理を聞いて、キメラアマゾンは構えながらそう言った。

 

一夏「成る程な、俺が女性権利団体の奴等を殺し回ってる事を知っているから、俺その物を実験に利用しようって事か」

 

キメラアマゾン「まさか其処まで的中するとは驚いた。本当に侮れないな」

 

更なる一夏の推理に、キメラアマゾンの警戒心が更に強くなる。

 

一夏「おしゃべりは此処までだ。この学園の人達を喰い殺されたら堪ったものじゃねえからな」

 

そう言って、一夏は早歩きでキメラアマゾンに近付いた。

 

間合いに入った瞬間、キメラアマゾンの肩に飛び乗り、首を巻き込んで胡座を組み、左右の足首を掴んで固定した。

 

一夏「これは人間が4000年前から受け継いできた戦闘技術だ」

 

そう言って時計回りに回ろうと体を倒した。

 

キメラアマゾン「まずい!!!」

 

キメラアマゾンは少し倒れた瞬間に技の効果に気付いて側転で技を回避した。

 

一夏「それは折り込み済みだ」

 

それと同時に先読みしていた一夏も足を放してキメラアマゾンと同じように側転で着地し、脇越しに右アッパーを顎に入れた。

 

ガンッ

 

キメラアマゾン「グッ!!」

 

更に左アッパーを鳩尾に入れ、更に右フックでキメラアマゾンを吹き飛ばした。

 

ドオオォォン

 

背中から叩き付けられ怯んだ隙に、一夏がダッシュでキメラアマゾンに近付いていく。

 

だがキメラアマゾンは右手をついて左低空回転蹴りでカウンターを仕掛けた。

 

しかし一夏は急停止してそれを足で止めた。

 

千冬「な、何なんだこの闘いは?」

 

それを見ていた千冬は呆然と立ち尽くしていた。

 

キメラアマゾン「貴様、目だけでなく耳も使っているな」

 

一夏「此処まで闘れば流石に気付くよな、その通りだよ。俺は目と耳で相手の動きを先読みしている。これも経験の為せる技だ」

 

一夏は自慢気にそう言った。

 

一夏「そろそろ本気で殺り合おうぜ、様子見はいい加減に飽きたからな。さっさと俺に出させてくれよ、全力をよう」

 

キメラアマゾン「・・・良いだろう、だが後悔するぞ。俺を本気にさせたんだからな」

 

一夏の挑発にも取れる促しに、キメラアマゾンの範囲気が変わる。

 

一夏「これからが本番だな。アマゾンに成ってから初めて全力を出せそうだな」

 

一夏はそう言って殺気をキメラアマゾンに向けながらファイティングポーズで構えた。

 

キメラアマゾン「ふん、ガキが調子に乗るな」

 

キメラアマゾンも答えるように股を開いて中腰に成り、右を引き手に左を斜め下へ膝に手を翳すようにして構える。

 

お互いに殺気を出しながら間合いのギリギリ外で向かい合って硬直する。

 

千冬「・・・これが、アマゾン同士の闘いか」

 

千冬は既に観察に入っていた。

 

長いようで短い硬直の後、2人同時に突っ込んだ。

 

ガキンッ

 

ガキンッ

 

一夏「グッ!!」

 

キメラアマゾン「グッ!!」

 

互いに頬を殴り付け軽く怯むが、更に拳を打ち合う2人。

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

繰り返される殴り合い守り合い。

 

それが数分間続いた。

 

一夏「ハァ、ハァ、ハァ」

 

キメラアマゾン「ハァ、ハァ、ハァ」

 

肩で息をしながら呼吸を整える2人。

 

一夏「こんな時に不謹慎だが、楽しくて仕様がないぜ。此処まで全力を出せたのはお前が初めてだ」

 

キメラアマゾン「心外だが同意見だ、俺も楽しいぞ」

 

闘いで意気投合する2人。

 

千冬「・・・何処のバトル漫画だこれは?」

 

2人に聞こえないように突っ込む千冬。

 

一夏「だが腹が減ってきたから、そろそろ決着を着けようぜ」

 

キメラアマゾン「そうだな、生き残るのはどっちか1人。俺か、それともお前か」

 

ポキポキ ポキポキ

 

そう言ってキメラアマゾンは両手指の間接を鳴らす。

 

そして一夏は無言でアクセラーグリップを捻った。

 

〔バイオレント・ストライク〕

 

音声が合図かのように、お互いに走りだし間合いを積める。

 

一夏「はああああ!!!」

 

キメラアマゾン「止めだ!!!」

 

一夏は助走を着けたドロップキック、キメラアマゾンはジャンピングストレートパンチをそれぞれ繰り出した。

 

交差の後、少し離れて背中を向けたまま着地した。

 

一夏「グッ」

 

一夏は脱力してバランスを崩すも、膝と手を付いて耐える。

 

キメラアマゾン「ガハッ!!」

 

対してキメラアマゾンは吐血しながら前のめりに倒れた。

 

キメラアマゾン「見事だったぞ、織斑一夏」

 

その言葉を最後にキメラアマゾンは融解してスライムとなり、腕輪だけが残った。

 

一夏「俺も楽しかったぜキメラ。でも出来れば、お前とは繰り返し闘いたかった」

 

一夏もキメラアマゾンに向けてそうそう言うと、ベルトを外してアマゾン体から戻った。




今回は此処までです。

一夏の種族を知ってしまった千冬。

この先に待っているのは和解か、それとも決別か。


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深まる姉弟の溝 対抗戦当日

謝罪の言葉も有りません。

完成度も自身ないです。

こんな愚作でも、暇潰しに慣れたらそれだけで嬉しいです。


千冬 side

 

私は信じられなかった。

 

一夏があのアマゾンに成ってしまった事が受け入れられなかった。

 

千冬「一夏、お前何時アマゾンに成ったんだ!?」

 

一夏「なんだ、職務を忘れるくらい動揺してんのか?・・・こないだ屋上で話しただろ?」

 

一夏は皮肉を言ってからそう返してきた。

 

千冬「あ、あぁ」

 

一夏「あれには一部脚色が有る。俺はアマゾンに成ってから束さんと再会したんだ」

 

一夏は屋上での話を訂正してきた。

 

千冬(なら誘拐犯は・・・まさか!?)

 

私は嫌な予感が頭を過った。

 

だが、聞かずには居られない。

 

千冬「なら、誘拐犯はどうした?」

 

一夏「話の中で察してるくせに聞くな。・・・喰い殺したに決まってんだろ」ギロッ

 

最後の処で一夏は私を睨みながら言った。

 

千冬「・・・ではお前は、人を喰ってるのか?」

 

一夏「へぇ、今の殺気でビビらねえんだな。・・あぁ、喰ってるぜ。ただし、裏の人間だけな」

 

千冬「裏の人間?」

 

私は鸚鵡返しした。

 

一夏「あぁ、女性権利団体、テロリスト、密売組織、悪徳権力者が主だな。束さんに所在を調べてもらい、俺が其処へ行って殺しまくる。それが俺の殺ってる事だ」

 

千冬「何で、何でそんな無慈悲な事が出来るんだ!?」

 

私は一夏が行ってきた事を聞いて、怒り任せに叫んだ。

 

一夏「ブーメランだな。お前も散々白騎士で殺したくせに、よくそんな事が言えるな」

 

だが一夏は動じず皮肉で返してきた。

 

千冬「今はお前の事を言ってるんだ!!何故そんな事が出来る!?お前のしている事は[理不尽]その物だぞ。どんな悪人でも、償う権利をお前は奪っているんだぞ!!!」

 

一夏「・・・だからどうした」

 

千冬「何だと!?」

 

一夏が居直った事で、私は更に怒りを露にし一夏の胸ぐらを掴んだ。

 

一夏「俺が償う権利を奪ってるなら、お前は罪の無い人間の人生を奪ってるだろうが!!大量殺人しといて、説教出来た義理か?俺が殺してるのは表で対処出来てない闇組織だ、表で裁ける悪人は警察に任せてる。お前と違って見境無しじゃねえんだよ」

 

千冬「・・・」

 

一夏の言葉に私は何も言えなくなり、胸ぐらから手を放す。

 

一夏の言う通り、自分が白騎士で大量殺人をしたのは事実だからだ。

 

だが一夏は線引きをしていた。

 

無差別に殺した私は何の反論も出来ない。

 

一夏「話は終わりか?なら腹が減ったから俺は行くぞ」

 

そう行って一夏が私を通りすぎようとした時

 

一夏「――――の事も聞いてるぞ」

 

千冬「な!?」

 

私はそれを聞いて慌てて振り返ったが、一夏はもうかなり離れた処を走っていた。

 

一夏 side

 

俺はイライラしていた。

 

自分の事を棚に上げて説教してくるダメ姉が、今までで一番憎かった。

 

一夏「クソ、せっかく海を眺めて落ち着いてたのに台無しだ!!あのクソ女が、マジでムカつくぜ!!」

 

俺はボヤきながら部屋に向かっていた。

 

一夏「畜生、まだイライラが治まらねえ。暴れてえけどそうも行かねえしなぁ、どうした物か?」

 

悩んでる内に部屋に着いてドアを開けると、箒の他にセシリア、楯無さん、簪、虚さん、本音の皆が部屋に集まっていた。

 

一夏「何で皆が居るんだ?」

 

俺は平静を装って聞いた。

 

箒「一夏を待っていたんだ。一緒に夕食を食べようと思ってな」

 

集まってた理由を箒が答えてくれた。

 

一夏「そうなのか、待たせて悪かったな。でも先にシャワー浴びさせてくれ、汗だくで臭いだろうから」

 

箒「・・・分かった。[ゆっくり]浴びてこい」

 

一夏「・・・悪いな、少し待っててくれ」

 

箒は俺の心情を察してくれたみたいだ。

 

敢えて[ゆっくり]を少し強調して言った。

 

それを聞いて、俺は一言断りを入れて風呂場に入った。

 

一夏(箒は何でもお見通しか・・・いや、束姉もか)

 

俺はそう思いながら、水と微温湯の中間の温度で汗を流した。

 

箒 side

 

帰ってきた一夏を見た時、かなりの怒りを抱いている事にすぐに気付いた。

 

何時も通りに振る舞っていたが、かなり無理をしていた。

 

シャワーを浴びたいと言ったのも、間違いなく頭を冷やす為だろう。

 

箒(フッ全く、弱味を見せないのも相変わらずだな。限界を越えないと言わないから手を焼かされる)

 

私は呆れながらも懐かしくなり、つい笑ってしまった。

 

それに気付いて、楯無さんが話し掛けてきた。

 

楯無「どうしたの箒ちゃん?一夏君がお風呂に入った途端にニヤニヤして」

 

箒「いえ、相変わらずな処が有るなと思いまして」

 

楯無「ムッ幼馴染み特権を使わないでくれるかしら、一夏君を好きなのは箒ちゃんだけじゃないんだから」

 

楯無さんが扇子を開きながら文句を言ってきた。

 

扇子には[不公平]と書かれている。

 

簪「お姉ちゃんの言う通りだよ。箒だけ皆より一夏に近いのはズルい」

 

楯無さんに便乗して簪からもクレームが入ってしまった。

 

セシリア「全くですわ箒さん。私(わたくし)達にも教えて下さいまし」

 

簪に続いてセシリアからも。

 

箒「分かりました。原因は分かりませんが、かなりイライラしていましてね」

 

簪「え?私には怒ってる感じには見えなかったけど」

 

楯無「そうね、気のせいなんじゃないの?」

 

セシリア「・・・それは、お付き合いが長い箒さんだからこそ気付かれたのではなくって?」

 

簪と楯無さんは首を傾げていたが、セシリア悔しそうにしながらも理解していた。

 

箒「まぁそうだな、一夏の事は何となく分かるんだ」

 

楯無「むぅ、箒ちゃんは本当にズルいわ」

 

簪「不公平だよ」

 

セシリア「悔しいですわね、年期の差と言うのは」

 

三者三様の反応だった。

 

箒「こればかりは譲れませんよ。幼馴染みの特権です」

 

楯無「むぅ」プク

 

簪「むぅ」プク

 

セシリア「むぅ」プク

 

虚「クスッ」

 

本音「ハハハ、皆賑やかだね~」

 

私は少し優越感を出しながら自慢気に言う。

 

それを見て3人は剥れてしまった。

 

それを見て微笑む虚さん。

 

楯無「ちょっと虚ちゃん本音ちゃん、なに笑ってるの?」

 

虚「いえ、こうして見るとお嬢様と簪様がケンカしていたのが嘘みたいだと思いまして」

 

本音「本当~昔より明るく成ったよね~」

 

ジト目で虚さんと本当を見ながら訊ねる楯無さん。

 

虚さんは笑みを崩さす答え、本音は何時もの口調ながら感慨深くそう言った。

 

簪「それも全部、一夏のお陰。あの時、一夏の言葉が無かったら今も疎遠のままだったと思う」

 

そうしていると一夏が浴室から出てきた。

 

一夏「はああぁぁ、サッパリした。悪かったな、待たせちまった」

 

箒「いや、此方が勝手に待っていただけたかr!?」

 

私は一夏の謝罪に、気にしないよう言うつもりだったか言いきれなかった。

 

一夏の服装に面食らってしまった。

 

出てきた一夏は、タンクトップと半ズボンだけだったからだ。

 

普段から鍛練を欠かさず続けている一夏の身体は、細身の逆三角形だった。

 

楯無「///」

 

簪「///」

 

セシリア「///」

 

虚「///」

 

本音「わぁ~ムッキムキ~」

 

5人供、一夏の体格に見とれている様だ。(本音だけは照れていないが)

 

箒「おい一夏!!!お前にはデリカシーと言うモノが無いのか!?年頃の女性の前でその格好はなんだ!!!」

 

私は声を荒げて一夏に言った。

 

一夏「あ、悪い。すぐジャージ着るよ」

 

一夏はそう言って、タンスからジャージを出して浴室に入った。

 

箒「全く、相変わらずそういう処が鈍感で困る」

 

私が呆れていると、楯無さんが話し掛けてきた。

 

楯無「ねぇ箒ちゃん、一夏君の身体を見て何とも思わないの?」

 

箒「いえ、正直かなり動揺してます。あんな一夏は初めて見ました」

 

実際、この1ヶ月余り生活してきて一夏のあの格好は初めて見た。

 

何時もお風呂上がりは必ずジャージを着てから出てくる。

 

箒「やっぱり何か遭ったみたいだな。普段の習慣を忘れるなんて、かなりストレスを抱えているみたいだな」

 

私は一夏の様子を見て直感した。

 

鈴 side

 

アタシは、アリーナの射出場で現在進行形で落ち込んでいる。

 

感情的になって一夏を殴っちゃった、しかもISで。

 

でも、次の日に成って一夏の顔に痣が無かったのは不思議に思った。

 

あの時、かなり力任せに殴った筈なのに?

 

それでも殴った事には変わりないから、謝りたかった。

 

でも一夏に何て言って謝れば良いか分からなくて言うに言えなかった。

 

そんなこんなでズルズルと時間だけが過ぎて行って、とうとう対抗戦の日に成っちゃった。

 

鈴「はぁ、選りにも選って初戦で一夏と当たるなんて。運が良いのか悪いのか」

 

対戦表を見て、溜め息しか出ない。

 

まるで仕組まれたみたいな この組み合わせ。

 

気が重いのもあるけど、一夏とセシリアの試合の記録と一夏のプロフィールを見て更に気が重くなった。

 

鈴「何なのよ一夏のあの動きはぁ、あんなのモンドグロッソでも見た事が無いわよ!!!レーザーを見ないで避けるって何よ!?漫画みたいな事しないでよねえ!!!しかも篠ノ之博士のテストパイロットとか訳分かんない!!!」

 

そんな文句を言ってると、プライベート回線に通信が入って来た。

 

鈴「うん?誰かしら」

 

アタシは直ぐに回線に出た。

 

鈴「どちら様?」

 

一夏「俺だ、一夏だ」

 

鈴「一夏!?」

 

アタシは思わず叫んじゃった。

 

いきなり悩みの種から通信が来て本気でビックリした。

 

一夏「鈴、お前の事だから俺を殴った事を気にしてるんだろ?」

 

鈴「ウッ」

 

いきなり図星を突かれて言葉が出ない。

 

一夏「鈴、俺が昔に思わせぶりな返事をしたのが悪いんだ。その上で待たせた挙げ句に付き合えないじゃ、お前の怒りは当然だ。だから気に病むな。お前は、何時もの勝ち気な鈴で居てくれ。じゃないと、俺が調子狂うんだよ」

 

アタシの気持ちを察して慰めてくれる一夏。

 

鈴(全く、鈍感からジゴロに化けないでよね)

 

アタシは一夏の慰めで、心臓が煩くなって顔も熱くなった。

 

鈴「(まったく、ふった女を堕とすの止めなさいよ)アンタねぇ、それって自覚して言ってるの?」

 

一夏「自覚って、何の事だよ?」

 

アタシが一夏に含みながら聞くと、一夏はあっけらかんに返した。

 

鈴(訂正、天然ジゴロだったわ)

 

アタシが呆れ半分にそう思った。

 

すると一夏が、真剣な声音で話してきた。

 

一夏「鈴、お前は代表候補生だ。俺もテストパイロットって役職を持ってる、互いにそれぞれの看板を背負ってんだぞ。切り替えろ鈴。じゃねえと、お前を代表候補生に選んだ中国政府達にも顔向け出来ねえだろ?俺もそうだ、何時までも引きずってたら束さんに申し訳ねえ。だから、お前の全部を俺にぶつけて来い。そして受け止めた上で、俺が勝つ」

 

お説教紛いの後に宣戦布告。

 

コレは多分、一夏なりの激励なのかもしれない。

 

鈴「フッ・・・上等じゃない、覚悟しなさいよ。アンタをコテンパンにしてやるから」

 

一夏「・・・望むところだ、掛かって来い鈴」

 

憎まれ口を叩き合うアタシ達。

 

『試合開始1分前です。1回戦出場の選手は、所定の位置に付いて下さい』

 

アナウンスが流れて、いよいよ試合。

 

一夏「行くか」

 

鈴「えぇ」

 

そしてアタシ達は、アリーナで対面した。




感想やご指摘が御座いましたら、感想欄までお願いします。


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狩人vs龍 降り注ぐ脅威

・・・遅くなってしまい申し訳ありません(汗)

次は早く投稿できれば良いなぁ


NOside

 

一夏と鈴は互いにISを纏い、アリーナ中央で向かい合って合図を待っていた。

 

一夏「・・・」

 

鈴「・・・」

 

沈黙が誘う緊張感。

 

普段であれば活気で賑わう観客席も、緊張感に呑まれ沈黙している。

 

一夏は何の構えもせずノーモーション。

 

鈴は青龍刀を右手に持ち肩に担いでいる。

 

その緊張感の中でも、一夏は鈴の機体を観察していた。

 

一夏(映像と機体のスペックデータ、それらで大体の動きや性能と癖は把握してる。だけど改善されてる事も考慮しないとな、何事も想定しておいて損は無い)

 

一夏はセシリアの時も、鈴と同様に研究していた。

 

映像や機体のスペックデータを参考に、あらゆる想定を考慮していた。

 

そう、一夏は何事に置いても余念が無い。

 

生粋の負けず嫌いなのだ。

 

だからこそ、努力と研究を欠かさない。

 

アマゾンに成ってから拍車が掛かり、今に至る。

 

一夏は、自分を強いと思った事は一度も無い。

 

環境の影響も有るが、性格も相まって自分に厳しい。

 

一夏が鈴を観察する中、その鈴もまた一夏を観察していた。

 

鈴(一夏の機体は、武器を搭載してない超近接型。だけど、セシリアとの試合で見せた機動力。アレが有るからこそ非武装でも立ち回れる。いや、だからこその非武装かしらね)

 

互いに考察する中、カウントが始まった。

 

『3、2、1、試合開始』

 

一夏「フッ」ビュン!!!

 

先制したのは一夏だ。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使い、一瞬で鈴との間合いを詰めた。

 

鈴「速い!!」

 

一夏「オラァ!!」

 

鈴「クッ」

 

一夏は間合いを詰めたと同時に右ストレートを放つが、鈴がそれを咄嗟に回避。

 

鈴(映像データなんて、もう宛にならない!!努力家なのは知ってるけど、コレは調整なんて生易しいレベルじゃない!!映像の一夏とは、もう別人)

 

鈴はこれ以上 無いほど驚いていた。

 

映像の一夏と今の一夏の圧倒的なレベルの違い。

 

短期間での急成長、それが一夏(アマゾン)の最大の武器だ。

 

一夏「今の、よく躱したな。瞬時加速(イグニッション・ブースト)からの奇襲だってのに」

 

鈴「正直、自分で驚いてるわ本当に。って言うか、アンタ何なのよ!?」

 

一夏「何がだよ?」

 

鈴の問い掛けに訝しむ一夏。

 

鈴「何がじゃないわよ!!合図までノーモーションだったのに、いきなり目の前にアンタが居るんだもの。セシリアの時は慎重に動いてたのに、アタシには奇襲って酷くない!?」

 

一夏「鈴、そんな屁理屈は本番じゃただの戯言(ざれごと)だぞ」

 

鈴の文句寄りのマシンガントークに、一夏は冷静に言葉を咎めた。

 

一夏「今は試合だから良いけど、コレが本番だったら」

 

鈴「だったら何なのよ?」

 

言葉を区切った一夏に、鈴がくい気味に問う。

 

それに対して一夏は、低い声で言い放った。

 

一夏「お前、死んでるぞ」

 

鈴「!?」ゾワッ

 

鈴は震え上がった。

 

一夏の言葉と、急激に浴びせられた威圧によって体が硬直した。

 

日常生活で、見られただけで恐怖を感じる事は普通ない。

 

鈴(な、何なのよ!?急に一夏の雰囲気が変わった。昔はあんな怖い顔しなかったのに!?)

 

鈴は一夏の変わり様に困惑した。

 

すると、鈴の後ろから一夏の声が聞こえた。

 

一夏「考え事とは余裕だな」

 

鈴「しまっt」

 

ガアアアアァァァァン!!!!!!

 

鈴「きゃあああああああああ!!!」

 

ドオオオオォォォォン!!!!!!

 

一夏の急激な変化に戸惑った一瞬の(すき)に、鈴の間合いに入った一夏が右ストレートで鈴を殴り飛ばす。

 

鈴「カハッ!!」

 

あまりの威力に、鈴はバリアに激突。

 

激突した衝撃に肺の空気が全て出てしまう。

 

鈴「ケホッ!ケホッ!」

 

一気に酸素を無くした事で、咽てしまう鈴。

 

一夏「鈴 試合の前にも言ったが、全力で来いって言っただろ?様子見なんて甘い事は考えんな。俺に勝ちたかったら、それこそ殺すつもりで掛かって来い」

 

その言葉で、鈴の脳裏にビットでの会話が過る。

 

『お前の全部を俺にぶつけて来い。そして受け止めた上で、俺が勝つ』

 

鈴「そうね、慣れ合ってる場合じゃなかったわね。アンタがマジなんだから、アタシもマジで()らないとね」

 

一夏「ここからは正真正銘 遊びは無しだ。最低でも医務室 行きは覚悟しとけ」

 

闘志を露わにし一夏を見据える鈴。

 

そんな鈴に対し、一夏も闘争心 全開で鈴に警告する。

 

鈴「アイツ(春十)と同じ医務室なんて、死んでも御免だわ」

 

一夏「俺なら冗談 抜きで殺すかもな」

 

鈴「アンタ……結構バイオレンスね(汗)」

 

一夏「あの2人(千冬と春十) 限定だ」

 

 

そんな2人の会話を聞いていた管制室では

 

真耶「凄い気迫ですね、画面越しでも伝わってきます。最後のは……少々 過激でしたけど」(汗)

 

千冬「・・・」

 

真耶が話しかけるも、千冬は無反応である。

 

心ここに有らずと言う言葉が一番 適切だろう。

 

真耶「織斑先生?」

 

千冬「!?ッ……何でしょうか、山田先生?」

 

真耶「どうなさったんですか?心ここに有らずって感じでしたよ。何か遭りましたか?」

 

千冬「いえ、個人的な事なので お気になさらず」

 

心配して尋ねる真耶だったが、千冬は はぐらかして答えようとしない。

 

そんな千冬の様子を見ていた箒とセシリアは

 

箒(おかしい、千冬さんが あんな ふうに なるなんて。公私混同は絶対にしない千冬さんが、仕事中に考え事。よっぽどの事がないと あんな ふうには ならない。おそらく一夏 絡みだろうが、何をしたんだ一夏?)

 

セシリア(織斑先生…どうなさったんでしょう?凄く思い詰めていらっしゃる様ですけど?)

 

長い付き合いの箒は千冬の挙動不審の理由に察しが付いていた。

 

だが流石の箒も、一夏がアマゾンだと自ら暴露していたとまでは予想していなかったが。

 

セシリアも、思い詰めている千冬を心配していた。

 

一夏を深く知る者の中で、鈴とセシリアだけが一夏がアマゾンだと知らない。

 

この先、どうなっていくのか。

 

 

視点は戻りアリーナでは

 

鈴「一夏、スペックデータを見たのよね?」

 

一夏「あぁ、バッチリとな」

 

2人は睨み合いながら会話していた。

 

鈴「なら、分かってるわよね?アタシの武器がコレ(青龍刀)だけじゃないって事」

 

一夏「衝撃砲だろ?その2つの球体、ソレから発射するんだろ?映像で見たぞ」

 

鈴「相変わらず勤勉ね」

 

一夏「負けず嫌いなだけだ。格闘の試合でも、チャンピオンを倒すのがベテラン選手だけとは限らねえからな」

 

鈴「確かにね」

 

一夏「負けたくねえんだよ、誰にもな」

 

いつの間にか、睨み合いながら一転して談笑に変わっていた。

 

鈴「アンタの負けず嫌い、昔より拍車が掛かってるわね」

 

一夏「2年も経てば色々 変わるっての」

 

その言葉を言い終えた直後、一夏と鈴は同時に臨戦態勢に戻った。

 

一夏「行くぞ、鈴」

 

鈴「望むところよ、一夏」

 

一瞬の間を置いて、その言葉は2人同時に発せられた。

 

一夏「決着を着ける」

 

鈴「決着を着ける」

 

っと、意気込んだ瞬間

 

ガシャアアアアァァァァン

 

アリーナのバリアを突き破り、ナニカがアリーナに侵入してきた。

 

立ち込める土煙が晴れ、姿を表した影が3つ。

 

蝙蝠(こうもり)蜻蛉(とんぼ)蜘蛛(くも)を人形にしたカイブツだった。

 

その姿を見た一夏は

 

一夏「管制室!!!大至急観客を避難させて下さい!!!アマゾンが3体 侵入しました!!!」

 

すぐさま通信を繋ぎ、侵入したモノの正体を管制室に伝えた。

 

その直後、観客席の扉が全て開放された。

 

そして警報が鳴り響き、放送が流れた。

 

声の主は真耶でいる。

 

真耶『緊急連絡…緊急連絡、至急 避難して下さい!!第1アリーナ内にアマゾンが侵入しました!!!全アリーナの選手 及び観客席の皆さんは、アリーナ地下のシェルターに避難して下さい!!!』

 

声は荒げているが、言葉は冷静だった。

 

慌てふためきながら逃げ出す日本人生徒達と、教員に事情を聞いて逃げ出す異国人生徒。

 

春十も観客席に来ていたが、教員に肩をかしてもらいながら避難していた。

 

教員の案内が的確だった事もあって、ものの1分たらずで観客席が無人になった。

 

一夏「鈴、お前も早く避難しろ。ここは俺が受け持つ」

 

一夏は鈴を逃がそうとするが、鈴が拒絶した。

 

鈴「なに言ってんのよ!?アンタ正気なの!?アンタを置いて行けるわけないでしょ!!!」

 

一夏「気が狂ってんのはお前の方だ!!!」

 

鈴「い…一夏」ビクッ

 

威嚇するように怒鳴り付ける一夏。

 

その迫力に気圧される鈴。

 

すると蝙蝠アマゾンが翼を広げ一夏達に向かって飛翔した。

 

一夏「クソが!!」

 

ガアアアァァォン

 

蝙蝠アマゾン「キシャアアアアァァァァァ」

 

ズドオオオオォォォォン

 

視野で気付いた一夏はカウンターで蝙蝠アマゾンに右ストレートを放ち、蝙蝠アマゾンを地面に落とした。

 

一夏「……ッチ、仕方ねえな。動き出した以上、もう猶予は()え」

 

そう言って一夏は地面に降り、ISを解除した。

 

鈴「一夏!?アンタ何してんのよ!?」

 

一見すれば、一夏の行為は自殺行為そのモノだ。

 

 

その反応は管制室でも

 

真耶「一夏くん!?何をしてるんですか!?」

 

セシリア「一夏さん!?お逃げ下さい!?」

 

箒「・・・」

 

千冬「・・・」

 

慌てふためく2人と対象的に、無言の箒と千冬。

 

千冬の反応を見た箒は察した。

 

箒「千冬さん、知っているんですね」

 

千冬「織斑先生と呼べ。……それから、確かに知っている。と言うより、目の当たりにしたからな」

 

箒「そうですか」

 

千冬の返答に、箒は全てを悟った。

 

一夏が千冬に正体を明かした事を。

 

だが2人は小声で話していた為、セシリアと真耶には聞こえていなかった。

 

だが、2人も知る事となる。

 

一夏の、今の種族を。

 

 

視点は戻りアリーナでは

 

鈴「一夏アンタ、早くISを展開しなさいよ!!!」

 

慌てて叫ぶ鈴の言葉を無視し、プライベート回線で鈴に話し掛ける一夏。

 

一夏『鈴、お前をふったのには もう1つ理由があるんだ』

 

鈴『そんなの今はどうでもいいわよ!!早くISをt』

 

一夏『良いから聞け鈴。俺がお前を拒否したのは、コレが1番の理由だ』

 

その言葉を最後に回線を切り、ガントレットをベルトに変えた。

 

そしてグリップを握り、前倒しに捻る。

 

〔ジ・リ・オン〕

 

ベルトから発せられた音声の後、一夏は静かに呟いた。

 

一夏「アマゾン」




次回はガチの戦闘となります。

早くタッグトーナメント行きたいです。



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優しさと凶暴性

何かスラスラ書けたので出します。

今回バイオレンス表現 多めです。


NOside

 

一夏「アマゾン」

 

一夏が呟いた瞬間、黒い熱風がアリーナ中に広がる。

 

鈴「あっつ!!」

 

その熱風は高温である為、浴びてしまった鈴は熱痛に襲われた。

 

鈴「いきなり何よ この熱風h…!?」

 

視線が一夏に戻った瞬間、鈴は言葉を失った。

 

一夏だったモノは、蜥蜴(とかげ)の様な頭部に黒のボディカラー!

 

そして頭部…腕部…脚部…胸部…背面に浮き出ている白い骨の様な模様。

 

その容姿を顕要するなら[死神]

 

鈴「い…一夏が、アマゾン!?」

 

鈴は現実を受け止めきれず、思考が停止してしまっていた。

 

 

一方 管制室でも

 

セシリア「何ですの!?一夏さんの あの お姿は!?」

 

真耶「あれじゃ まるで」

 

真耶の言葉を遮り、箒が代弁した。

 

箒「アマゾン…ですか?」

 

代弁を聞いたセシリアと真耶が箒に詰め寄る。

 

セシリア「箒さん、知っている事を全てお教え下さい!!何故 一夏さんがアマゾンに!?」

 

真耶「私からも お願いします篠ノ之さん!?」

 

しかし、取り乱して質問する2人を千冬が一括した。

 

千冬「そんな事は後で幾らでも本人から聞け!!!この緊急事態に、呑気すぎるぞお前達!!!」

 

セシリア「すみません!!!」

 

真耶「すみません!!!」

 

その威圧感は、2人を怯ませるには十分 過ぎた。

 

2人は体を震わせ、その場で硬直してしまった。

 

それ程までに、千冬の威圧が強すぎたのだ。

 

だが、一夏の闘いを目の当たりにしていた箒だけが平気だった。

 

箒(何故 荒れているんだ千冬さんは?確かに注意を反らしたのは頂けなかったが、それにしたって怒り過ぎではないか?)

 

千冬の態度に不信感を抱く箒だった。

 

 

そしてアリーナでは

 

鈴「い…一夏、だよね?」

 

恐る恐る尋ねる鈴。

 

その声は震えていて、精神状態がかなり不安定になっていた。

 

すると一夏は鈴に体ごと視線を向けた。

 

鈴「!?」ビクッ

 

振り向いた拍子に体が跳ねた。

 

一夏「鈴」

 

怯える鈴に、優しい声音で話しかける一夏。

 

鈴「え?」

 

戸惑う鈴に、一夏は囁く様に話す。

 

一夏「俺は俺だ。種族が変わろうが、お前を傷付けた最低 野郎だろうが……俺はお前の幼馴染みだ。それは何が遭っても変わらねえ。俺が守ってやるよ、あの時みたいにな」

 

言い終えた一夏は、アマゾン達に向かって歩いて行く。

 

その足運びは、鈴の時の様な無防備な歩きではない。

 

隙が全くない、臨戦態勢の歩きだった。

 

鈴side

 

アタシは最初こそ、目の前の一夏が知らないダレかだと思った。

 

でも、一夏は相変わらず優しかった。

 

小学校5年で転校した当初…外国人 転校生って事で頻繁に誂われて、イジメも受ける事が遭った。

 

でも、そんなアタシを助けてくれたのが一夏だった。

 

わざと標的を自分に向けさせて、アタシを守ってくれた。

 

その度にボロボロになってたけど、アタシが駆け寄ると いつも笑顔で「大丈夫か?」っと心配してくれた。

 

自分の事よりも他人を優先して、自分を顧みずに助けに行く。

 

そんな事を何度も繰り返されたら、どんな女も惚れるわよ。

 

鈴「一夏……それは流石をズルすぎるわよ///」

 

私は思わず思った事を小さく呟いた。

 

 

NOside

 

鈴を落ち着かせた一夏は、アマゾンを駆逐する為に歩を進める。

 

一夏「さて………最近フラストレーションが溜まりに溜まって仕方ねえんだ。少し発散に協力してくれよ、雑魚ども」

 

首を鳴らしながら言う一夏。

 

その言葉を聞き、蜘蛛アマゾンが走り出す。

 

蜘蛛アマゾン「お前1匹で何が出来る!!!」

 

間合いに入りラリアットを放つ蜘蛛アマゾンだったが

 

一夏「フッ」

 

一夏は蜘蛛アマゾンを嘲笑いながらサイトステップで簡単に避けた。

 

蜘蛛アマゾンの胴体は丸く、直径1m弱の幅がある。

 

その為、必然的に大振り攻撃(テレフォンパンチ)になってしまう。

 

数々の死線を潜ってきた一夏にとって、蜘蛛アマゾンの攻撃は子供のじゃれ合いに等しかった。

 

それ故に かれこれ数十発もの攻撃をしている蜘蛛アマゾンだが、一撃として触れもしない。

 

時々 指で挑発までする程の余裕ぶり。

 

それを見かねて蜻蛉アマゾンが、加勢する為に跳び上がる。

 

蜻蛉アマゾン「何やってんだ あのノロマ」

 

一夏「少しは期待 出来そうだな」

 

蜘蛛アマゾン「はあ!?…何を言っt」

 

一夏の呟いた言葉が理解 出来ず、思わず聞き返そうとした蜘蛛アマゾンだったが

 

一夏「フッ!」

 

ズブッ

 

蜘蛛アマゾン「ゴハッ!!!」

 

聞き返そうと意識が攻撃から反れた一瞬の隙に、一夏の抜手が蜘蛛アマゾンの胸を貫いた。

 

蜻蛉アマゾン「ッチ」

 

蝙蝠アマゾン「間抜けめ」

 

その光景を見た2匹の反応だった。

 

蜻蛉アマゾンが着地した ところで、無造作に貫いた右手を引き抜いた。

 

その手には、蜘蛛アマゾンの心臓が握られていた。

 

一夏「悪いな蜻蛉野郎…少し待ってろ」

 

蜻蛉アマゾン「何だと?」

 

一夏は蜻蛉アマゾンの返しを無視し、蜘蛛アマゾンの心臓に齧り付いた。

 

蜻蛉アマゾン「おいおい、冗談だろ」

 

蝙蝠アマゾン「形振り構わずか」

 

一夏の行動に引き気味の蜻蛉アマゾンと、冷静に見極める蝙蝠アマゾン。

 

一夏の行動を見ていた彼女達は

 

鈴「い…一夏、いくら何でもソレは……うっぷ」

 

鈴はあまりのグロテスクな光景に吐き気を模様してしまう。

 

 

管制室でも

 

真耶「オロロロロロロロロロロ」

 

セシリア「オロロロロロロロロロロ」

 

一夏と距離が有った鈴と違い、カメラの自動アップで まともに見てしまった4人の内2人は撃沈。

 

箒「一夏、タンパク摂取の為とは言え……コレは流石に」

 

千冬「・・・」

 

箒と千冬も、吐きこそしなかったが目線を反ら青ざめている。

 

 

蜘蛛アマゾンの心臓を完食した一夏は、蜻蛉アマゾンに向き直る。

 

一夏「待たせたな」

 

蜻蛉アマゾン「お前だけは殺さねえとな。数々の仲間達が殺されてるからな、アイツにもな」

 

蜻蛉アマゾンは最後に含んだ事を言った。

 

一夏「そんな事は どうでも良い。来いよ、蜻蛉野郎」

 

蜻蛉アマゾン「俺を あんな風船と一緒にするなよ」

 

一夏「楽しみだ」

 

臨戦態勢に入った2人は、間合いを図っていた。

 

だが一夏はステップを踏んでいた。

 

ボクサーの様な軽快なステップ。

 

しかし一夏はガードを上げていない。

 

ガードを上げずにステップを踏んているという不可思議な光景。

 

蜻蛉アマゾン「嘗めてんじゃねえぞ蜥蜴野郎があああ!!!」

 

ガードを上げずにステップを踏んている事で、見下されていると激怒する蜻蛉アマゾン。

 

感情のままに飛び掛かるが、バックステップであっさり回避される。

 

蜻蛉アマゾン「ッチ、このっ!!!」

 

着地した瞬間に背面 蹴りを放つも、サイトステップでまたもや回避された。

 

蜻蛉アマゾン「クッソォ、何で当たらねえんだ!?」

 

その後も幾度となく繰り出される蜻蛉アマゾンの攻撃を、全てステップだけで避け続ける一夏。

 

しびれを切らした蜻蛉アマゾンが、中段 長距離方の右ストレートを放った。

 

たが、それが悪手だった。

 

またもステップで蜻蛉アマゾンの右サイドに移動した一夏だったが、左拳を顎にクリーンヒットさせた。

 

蜻蛉アマゾン「ガッ!?」

その衝撃で脳が揺れ、全身から力が抜けて意識を失う蜻蛉アマゾン。

 

前のめりに倒れた蜻蛉アマゾンを仰向けにさせ、背後に回って首に腕を回す一夏。

 

そして腕を組んで首を締め上げる。

 

所謂 裸締め(チョーク)

 

あまりの苦しさに一夏の腕を掴む蜻蛉アマゾンだが、一夏の腕はびくともしない。

 

それどころか更に絞める力が増していく。

 

蜻蛉アマゾン「グッ……ガッ………ウッ………」

 

次第に抗う力も無くなり、蜻蛉アマゾンは意識を失った。

 

だが一夏は、尚も締めを解こうとしない。

 

一夏「終わりだ」

 

その一言と共に、一気に力を込める一夏。

 

その瞬間

 

ボキッ

 

首の骨が折れる音がアリーナに響いた。

 

さらに止めと ばかりに、頭を無理矢理 捻り上げて頚椎を破壊。

 

蜻蛉アマゾンが絶命した事を確認した一夏は、その場に蜻蛉アマゾンを投げ捨て蝙蝠アマゾンに向かっていく。

 

一夏「さて、メインディッシュだ」

 

一夏は殺気を剥き出しにして蝙蝠アマゾンを見据える。

 

蝙蝠アマゾン「強いな、貴様」

 

一夏「俺を見定める為の当て馬だったんだろ?あの2匹」

 

一夏は、蝙蝠アマゾンが一向に動こうとしない事を不可思議に思っていた。

 

だが、蜻蛉アマゾンと闘っていた辺りから気付いた。

 

蝙蝠アマゾン「随分と思慮が達者だな。あれだけ暴れておきながら、随分と冷静だな」

 

一夏「くだらねえ雑談は終わりだ。楽しみを邪魔した落とし前、お前の死を持って清算してやる」

 

最終決戦が…今…始まる。




次は何時 投稿 出来るかなぁ?(;一_一)


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決着……と思ったら

5000文字 超えちゃいました。

今回ガチギレ一夏くんです。


NOside

 

一夏の闘いを見ていた彼女達は。

 

箒「一夏も一夏で荒れているな。あの日から、イライラが募っているのは分かっていたんだがなぁ。コレは予想 以上だ」

 

千冬「アイツが荒れてるのは……私のせいだ」

 

箒が一夏に驚いている中、千冬が口を開いた。

 

箒「どういう事ですか?」

 

千冬「実は、アマゾンの侵入は今回だけではない」

 

箒の問い掛けに、千冬は説明した。

 

外回り中に、アマゾンに遭遇した事。

 

殺されそうになった時、一夏に救われた事。

 

目の当たりにした一夏の闘い。

 

一夏の裏所業を聞いた事で起こった口論。

 

(白騎士事件の内容は隠して説明)

 

箒「そういう事だったんですね」

 

千冬「あぁ、今 考えれば お門違いだった。知らず知らずとはいえ、春十の行いに加担していた私が説教など出来ん。世界最強が聞いて呆れる」

 

後悔と共に自分を蔑む千冬。

 

箒「一度、一夏と話したらどうですか?立ち会いには私が入ります。私の言う事なら、一夏も聞くと思いますから」

 

千冬「すまないが頼む」

 

箒の提案に、会釈 程度とはいえ千冬が頭を下げた。

 

箒(あの千冬さんが頭を下げた!?コレは、何が何でも一夏と話をさせないとな)

 

千冬の態度に、箒は心中で意気込んだ。

 

セシリアと真耶は途中から気絶中。

 

 

その頃アリーナでは

 

鈴は空中で ずっと一夏の闘いを見ていた。

 

鈴「一夏、アンタは変わったわ。優しさは変わらないけど、殺す事に躊躇いが無い。何が一夏をそう させてるの?」

 

幼馴染みとして、一夏の性格を鈴はある程度は把握していた。

 

だが、一夏の豹変ぶりに戸惑いを隠せないでいた。

 

 

一夏「それで、俺の見極めは終わったか?」

 

蝙蝠アマゾン「いや、まだまだ未知数 過ぎる。お前は、あの2匹を相手に終始 遊んでいただろう?」

 

一夏の闘いが全力ではないと見抜いていた蝙蝠アマゾン。

 

それ故に警戒していたが、対象的に一夏は

 

一夏「バレたかw」

 

一夏は笑い混じりに認めた。

 

あまりのバイオレンスぶりに、見ている者達は

 

鈴「一夏、2年間 何してたの?あんな躊躇も無く殺せるって」(汗)

 

管制室でも

 

千冬「一夏、変わったな。昔は虫も殺せなったのに」

 

箒「十中八九、アイツ(春十)が原因でしょうね。ドイツの身代わり逃亡」

 

各々が、一夏の戦闘力と豹変に戸惑っていた。

 

特に、初めて目の当たりにする鈴は特に戸惑っている。

 

そして、アリーナでは

 

一夏「お前は今回の主犯だからな、あの2匹の様に簡単に死ねると思うなよ」

 

そう宣言し、一夏は構えた。

 

だが、さっきまでと違い腕をかなり上に上げている。

 

肘が肩の高さまで上がっていて、脇腹が がら空きである。

 

すると蝙蝠アマゾンは、僅かに視線を上に向けた。

 

一夏「……!?」

 

その時、一夏は察した。

 

標的が鈴に変わった事を

 

蝙蝠アマゾン「フッ」

 

笑みを浮かべながら翼を広げ飛翔する蝙蝠アマゾンだったが

 

ガシッ

 

蝙蝠アマゾン「なに!?」

 

蝙蝠アマゾンが飛翔する寸前で、一夏は全速力ではダッシュしていた。

 

一夏「オラアアアア!!!」

 

蝙蝠アマゾンの足を掴んだ一夏は、そのまま力任せに蝙蝠アマゾンを地面に叩きつけた。

 

バアアアァァァン

 

普通なら絶対に響いてはいけない音がアリーナに響き渡った。

 

一夏貴様ダケ ハ 絶対ニ 許サン 地獄ノ苦シミ ヲ 与エテ カラ 殺シテヤル

 

痛みに悶える蝙蝠アマゾンを尻目に、怒り心頭で宣告する一夏。

 

仰向けに悶える蝙蝠アマゾンを跨ぐ様に両翼を踏みつけ、蝙蝠アマゾンの両脇を掴む一夏。

 

そして、一気に引っ張り上げ羽を根こそぎ千切り取った。

 

ブチ!ブチ!ブチ!ブチ!ブチ!ブチ!ブチ!ブチ!

 

蝙蝠アマゾン「ギャアアアアアアアア!!!!」

 

その痛みから悲鳴を上げる蝙蝠アマゾン。

 

だが一夏は、悲鳴を他所に蝙蝠アマゾンを地面に再び叩きつけた。

 

鈴「む……酷い」(怖)

 

管制室でも

 

箒「鈴が狙われた事に怒るのは分かるが………今の悲鳴は聞くに耐えない」(-_-|||)

 

千冬「コレは、私でも耐え難いな」(-_-|||)

 

三者三様の反応だった。

 

その頃アリーナでは

 

一夏コレデ 空中ニ 逃ゲラレナクナッタナ

 

そして一夏は、蝙蝠アマゾンが飛翔する前に見せた構えを取る。

 

一夏喜ベ コレカラ オ前ハ 俺ノ 必殺技デ 葬ムラレルンダ

 

その言葉の後、大きく息を吸い吸い込み蝙蝠アマゾンに急接近。

 

そこから始まるのは、セシリア以上の蹂躙だった。

 

一夏side

 

俺ハ コノ クソ コウモリ ヲ 許サナイ

 

選リニモ 選ッテ 鈴 ヲ 狙イヤガッテ(怒)

 

コイツ ダケ ハ 絶対ニ 殺ス

 

一夏ジックリ 味ワエ 無限 ノ 打撃ヲ

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

蝙蝠アマゾン「#$%*!?¥*$%#!#?#%*!!!!!!」

 

俺ガ攻撃ヲ始メテカラ コイツ ハ 声ニナッテネェ悲鳴ヲ上ゲテヤギル

 

一夏ドウダ クソ コウモリ 一瞬の間モ開カナイ コレガ無呼吸連打ダ 反撃ノ間ナンカ与エネェゾ

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

NOside

 

[無呼吸連打]

 

一夏は訓練と実戦の末、30分の無呼吸運動を可能とした。

 

このタイムは、ハダカデバネズミの18分を大きく上回る。

 

無酸素で走ると言われているアスリートだが、それでも呼吸はしている。

 

ボクサーも連打の間、無呼吸で攻撃している。

 

しかし、その攻撃の間に一瞬の呼吸を挟む。

 

だが、その一瞬が最大の隙となり反撃を受ける可能性がある。

 

一夏は、無酸素のまま30分の運動が可能。

 

相手が倒れ骸と化すまで、打撃は一切 止まらない。

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

鈴「な…なんて早い連撃なの!?それに全然 間が開かない」

 

管制室でも

 

箒「一夏、最早 蹂躙と言う表現すら生温いぞ。しかし、日に日に強くなっている(追いつけるのか、私は)」

 

千冬「あぁ、言うなればアレは……殺戮だ。(一夏、こないだとは比べ物にならん)」

 

一夏の無呼吸連打を目の当たりにし、改めてレベルの違いを思い知らされた3人。

 

そして、撃たれ続けて10分が経過した頃

 

蝙蝠アマゾン「……ァ………ァ……」

 

最早 声すら まともに出せない状態になっている。

 

一夏ッチ コノ程度デ終ワリカヨ マダ 殴リ足リネェノニヨォ

 

物足りない態度 全開で落胆する一夏。

 

一夏動ケナイ ナラ トドメダ

 

壁に(もた)れかかる蝙蝠アマゾンを乱暴に掴み、投げ倒して仰向けに寝かせる一夏。

 

そして頭の側まで移動し、その場でジャンプした。

 

その高さは、なんと30m。

 

バリアの天井に手を付き、そのまま押し返して落下速度を上げた。

 

その勢いのまま、蝙蝠アマゾンの頭を踏みつけた。

 

グシャッ!!!

 

足が蝙蝠アマゾンの顔に めり込んだ。

 

その直後、蝙蝠アマゾンはスライム状になり絶命。

 

 

一夏side

 

クソ蝙蝠を殺した後、俺と鈴はダメ姉に呼び出された。

 

そして案内された部屋には、箒…セシリア…山田先生が既に居た。

 

心なしか、セシリアと山田先生の顔が青い。

 

千冬「2人共、空いている椅子に座れ」

 

一夏「…はいはい」

 

鈴「はい」

 

とりあえず言われた通りに座る。

 

俺達が座ったのを見届けてから、ダメ姉も座った。

 

千冬「山田先生…オルコット、気分は?」

 

真耶「なんとか落ち着きました」

 

セシリア「(わたくし)はまだ吐き気が」

 

山田先生は持ち直したみたいだけど、セシリアは口に手を当てて苦しそうにしてる。

 

一夏「セシリア、何で そんなに苦しそうにしてんだよ?」

 

俺の問に、その場が凍り付いた。

 

箒「一夏、あんなグロテスクな事をしておいて その質問は酷いぞ」

 

一夏「え?……あ!」

 

箒の一言で、俺は冷や汗をかいた。

 

一夏「悪い…癖でやっちまった」

 

セシリア「え?」

 

真耶「え?」

 

事情を知らない2人は、俺の[癖]と言う言葉に思考が止まってしまった。

 

箒「一夏、アマゾンを狩る時は何時もあんな事をしてるのか?」

 

一夏「あぁ…俺の闘いは遊びじゃないからな。俺もアマゾンだからタンパク摂取が必要なんだ。だけど、ソレを待ってくれる訳もないからな。相手が複数体 居る時は大体あんな感じだ」

 

俺と箒の会話に、ダメ姉が入ってきた。

 

千冬「ではお前は、あの日から2年間ずっと あんな闘いをしてるのか」

 

一夏「…あぁそうだよ。っていうか、いきなり話に入ってくんな。俺は箒と話してんだ、割って入ってくるんじゃねえよ」

 

千冬「・・・」

 

俺が強い口調であしらうと、ダメ姉は黙った。

 

だけど、今度は山田先生が俺を諌めてきた。

 

真耶「一夏くん…前々から言おうと思っていましたが、織斑先生に対して言葉が乱暴ではないですか?姉弟であってもココは学校です、教師に対して発して良い言葉ではありませんよ。それに今は、貴方の事について話す場です。弁えて下さい」

 

一夏「分かりましたよ。それと言っときますけど、俺は このダメ姉にしか今の態度はしません。あくまでもコイツ限定です」

 

俺はダメ姉を親指で指しながら言う。

 

千冬「ッ……」

 

ダメ姉は黙ったまま歯噛みした。

 

ソコで山田先生が勢い良く立ち上がり激怒した。

 

真耶「貴方は何なんですか!?弟さん なのは聞いていますが、貴方の態度は度が過ぎてます!!!何故 仲違いしているかは知りません。ですが貴方の態度はおかしいです!!!」

 

テーブルに両手を付いて叫ぶ山田先生。

 

俺は、腕を組み敬語を外して言葉を返す。

 

一夏「事情を知らねえんなら黙ってろよ。それとアンタが尊敬するこの女は、栄光と引き換えに俺を捨てたんだ。恨みもするだろ」

 

セシリア「え!?」

 

山田先生の隣で聞いていたセシリアが、口を手で抑えて狼狽えていた。

 

だが、俺の言葉を山田先生が否定した。

 

真耶「先輩はそんな人じゃ ありません!!!先輩は来れない事情が有ったんd」

 

一夏「日本政府に俺の誘拐が隠蔽されたんでしょ?」

 

俺は山田先生が言い終える前に答えを言った。

 

真耶「(ギリッ)分かっているなら そんな言い方は止めて下さい!!!」

 

一夏「・・・」

 

山田先生は歯ぎしりをして怒号を飛ばす。

 

だが俺は、ソレを無言で受け流した。

 

千冬「落ち着いて下さい山田先生、昔の呼び方になってますよ」

 

そう言って山田先生を宥めるダメ姉。

 

一夏(そう言えば、コイツ(ダメ姉)が代表だった時に山田先生が候補生だったんだよな。なるほど、だから先輩 呼びなんだな)

 

俺は山田先生の経歴を思い出し、ダメ姉の呼び方が変わった事に納得した。

 

一夏「それでダメ姉、俺達を呼び出した理由は何だ?」

 

千冬「……それがな、避難したと思っていた観客の中に逃げ遅れた人達が居たんだ」

 

俺が本題を聞くと、苦虫を噛み潰した様な顔で話すダメ姉。

 

真耶「ッ……」

 

山田先生が俺を睨んでるが、俺の知った事じゃない。

 

一夏「あぁ、聞こえてたぜ。VIPルームから あたふた声が」

 

箒「あの闘いの中で よく気を回せたな」

 

俺が気付いていた事に箒が呆れながら言う。

 

一夏「まぁ、蝙蝠 以外は遊びだったからなww」

 

鈴「あのバイオレンスが遊びって」(汗)

 

俺が笑いながら言うと、鈴に引かれた。

 

一夏「それで、なんで逃げ遅れたんだ?」

 

千冬「……それがな、調べた結果ハッキングされた事が分かった」

 

一夏(なるほど、束姉だな。だとすると恐らく)

 

ダメ姉に逃げ遅れた理由を聞いてすぐに納得した。

 

一夏「それで、ハッキングは解除されたのか?」

 

千冬「いや、今だにロックが掛かったままだ」

 

一夏(やっぱりな。今頃あの老害共、震えてるどろうな。栄光の為に切り捨てた俺が、アマゾンになって帰ってきたんだ。まぁ、殺す事に変わりはないがな)ニヤッ

 

俺が老害共に殺意を向けながら殺す方法を考えていると、無意識に笑っていたらしい。

 

箒が話し掛けてきた。

 

箒「一夏、お前 恐ろしい顔になってるぞ」

 

一夏「ッ!あぁ悪い」

 

俺はすぐ正気に戻った。

 

一夏「まぁ、だとすると俺の正体も知ったわけだ。まぁ、俺を抹殺しようとすれば束さんが黙ってないけどな」

 

箒「確かに、昔から姉さんは一夏を溺愛していたからな」

 

俺の言葉に箒が肯定した。

 

一夏「下手をすれば、日本のIS全てが機能停止なんて事にもなりかねない。コアを作れるのは束さんだけだからな、ONもOFFも自由自在だ」

 

千冬「だろうな」

 

真耶「そんな!?」

 

セシリア「製作者と言っても、そこまで」

 

ダメ姉は納得していたけど、山田先生とセシリアは信じてないみたいだ。

 

一夏「いや、あの人ならヤりかねない。この中で言えば、ダメ姉や箒の次に俺は付き合いが長いからな。大体の考えは読める」

 

真耶「・・・」

 

セシリア「・・・」

 

俺の確信を聞いて2人は固まった。

 

一夏「さてと、行くとするか」

 

俺はそう言って立ち上がる。

 

箒「行くって、何処に行くんだ?」

 

俺はその質問に、笑いながら答えた

 

一夏決まってんだろ、ケジメ付けるんだよ

 

俺は昂ぶっていた。

 

俺をゴミの様に捨てた老害共に復讐 出来る。

 

その時だった。

 

コンコン

 

扉がノックされた。

 

千冬「誰だ?」

 

ダメ姉が訪問者に問う。

 

楯無「更識楯無です」

 

訪問者は楯無さんだった。

 

千冬「更識 姉か、入れ」

 

心なしか楯無さんの口調は早口で、焦ってる様に思えた。

 

楯無「失礼します」

 

扉を開けて、楯無さんが入って来た。

 

千冬「どうした、更識 姉?」

 

ダメ姉がが楯無さんに聞いた。

 

楯無さんの知らせは、俺も予想外のモノだった。

 

楯無「日本 側のモノレール受付に、対アマゾン特殊部隊…通称 駆除班が来ています」




次回、駆除班 登場

余談ですけど、バ○ネタが多いですね読み返すと。


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突発対決 一夏VS駆除班 前編

めっちゃ時間かかりました。

だって全然アイデアが出ないんだもん(T_T)


NOside

 

駆除班の襲来。

 

楯無の報せに、その場が凍り付いた。

 

一夏「ッチ…あの老害共、俺を始末する為か?」

 

そんな中一夏は、怒りを露わにしながら そう推理する。

 

だか、楯無が一夏の推理を否定した。

 

楯無「いえ、ソレは無いと思うわ。侵入したアマゾンって言ってたみたいだから、腕輪の反応を辿って来たんでしょうね」

 

一夏「なら良いです。俺も“まだ”、野座間と事を構えるつもりは有りませんから」

 

一夏は肩の力を抜いた。

 

一夏「なら何で本土で立ち往生してるんですか?」

 

一夏は疑問を投げ掛ける。

 

楯無「係員さんが止めてるのよ。解決したから帰って下さいって」

 

「なのに」っと、楯無さんは続けた。

 

楯無「駆除班のリーダーらしき人が入れろって聞かないらしいの」

 

話を聞き終えた一夏はリーダーの名前と情報を語った。

 

一夏「…確かリーダーの名前は志藤(しどう)(まこと)。元 警視庁 特殊部隊 所属で、かなりの やり手らしい」

 

箒「何故そんな事を知っている?」

 

当然の疑問をだろう。

 

面識の無い相手の情報を知っているのだから。

 

一夏「箒は俺の性格 知ってるだろ、敵の情報は集めるさ。それにメンバーはもちろん、戦闘スタイルや駆除班が結成された経緯まで全部な」

 

ついでに…と一夏は続けた。

 

一夏「福田(ふくだ) 耕太(こうた)。前職は志藤と同じで、志藤の部下だった。もう1人は三崎(みざき) 一也(かずや)。コイツは元 詐欺師だ。最後に高井(たかい) (のそみ)駆除班 唯一の女で、父親が空手の師範だった事から接近戦が(おも)な戦法だ」

 

セシリア「そこまでお調べに?」

 

一夏の補足に、セシリアは半ば引きながら聞いた。

 

一夏「まぁ、調べてくれたのは束さんだけどな」

 

箒「相変わらず姉さんは一夏に甘いな」ムスッ

 

一夏と束の関係を唯一 知っている箒は、嫉妬のあまり顔に出ていた。

 

セシリア「箒さん、どうなさいました?何か怒ってらっしゃる様に見えますが?」

 

箒「!ッ…いや、何でもない…気にしないでくれ」

 

セシリア「?」

 

セシリアが箒の表情に気付き問い掛けるが、箒は慌ててはぐらかした。

 

一夏「何ならオレが追い返しましょうか?」

 

一夏の提案に室内が静まり返る。

 

楯無「一夏くん、まさかと思うけどアマゾンで追い返さないでね」

 

一夏「ソコまではしませんよ。あくまでも"ハナシ"で帰らせます」

 

楯無「なんかニュアンスが違う気がするんだけど」(汗)

 

一夏は軽く笑みを浮かべながら、モノレールへ向かった。

 

 

一夏side

 

俺が日本側に()くと、軍服を()た4人が受付の前に居た。

 

一夏「まったく、しつこい連中だな」

 

俺は ぼやきながら、受付に向かった。

 

一夏「取り込み中にすんません」

 

俺が割って入ると、4人が同時に俺を見た。

 

一夏(なるほどね。確かに"それなり"の修羅場は潜ってるみたいだな)

 

すると、三崎が俺を遠ざけるようと俺を押し返そうとする。

 

三崎「だめだよぉ子供がここに来ちゃあ。今ここは危険なんだから、お家に帰りなさい」

 

まるで幼児に話しかけるような物言いに、俺は少しイラッとした。

 

一夏「俺、ここ(IS学園)の生徒なんだけど」

 

親指で学園を指しながら言うと、駆除班 全員の顔が変わった。

 

すると、三崎に変わって志藤が俺に詰め寄ってくる。

 

志藤「学園の生徒なら話が早い。俺達をアマゾンの所に案内しろ」

 

一夏「俺がここに来れてる時点で察してほしいな」

 

俺は頭を描きながら呟く。

 

一夏「コレが何か分かるよなぉ」

 

そう言って、持ってきた腕輪を見せた。

 

志藤「そんなバカな!?」

 

三崎「嘘でしょ!?」

 

福田「ありえない!?」

 

高井「嘘だろ!?」

 

4人ともが驚いてた。

 

4人のリアクションを無視して、俺は言う。

 

一夏「コレを見ても まだ入れろって言うなら、実力行使させてもらうぞ」

 

そう言って、俺は腕輪を投げ捨てた。

 

志藤「少し調子に乗りすぎだ。高井、少し懲らしめてやれ」

 

高井「分かった」

 

指示された高井が前に出て構えた。

 

一夏「あくまでも押し通るんだな」

 

奴らの態度に、俺は臨戦態勢に入った。

 

高井「いっちょまえに構えてんじゃねえええ!!!」

 

ソレが気に食わなかったのか、怒声と共に殴りかかって来た。

 

一夏「おっせぇ」

 

攻撃があまりにも遅かったから、カウンターで正拳中段突きを放った。

 

高井「ゴフッ!!!」

 

勢い余って、少し吹っ飛んだ。

 

志藤「高井!!」

 

福田「高井!!」

 

三崎「のんちゃん!!」

 

ソレを見て3人が駆け寄る。

 

高井「グッ…くうぅ」

 

痛みに苦しんでのたうち回る高井。

 

志藤「お前、今何をした!?」

 

キレながら俺に詰め寄る。

 

一夏「元 警察官のアンタ等なら分かるだろ?剛体術だよ」

 

志藤「なに!?」

 

福田「なに!?」

 

高井「うっ…ウソ…だろ!?」

 

知ってる3人は仰天して

 

三崎「え?…なにそれ?」

 

知らない三崎だけが、困惑していた。

 

俺は解説してやることにした。

 

一夏「剛体術ってのはな、攻撃に必要に関節をヒットの瞬間に全部 固定する技術の事だ。成功すれば、自分の体重をそのまま攻撃に乗せる事ができる。今の攻撃で例えるなら、今の拳に俺の体重がそのまま威力に加算されたって事だ」

 

三崎「達人かよ!?」

 

なんてツッコミを入れられた。




次の投稿は何時になるのかなぁ(~_~;)


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