ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~ (桜花 如月)
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SAO~ソードアート・オンライン~
プロローグ


ついにこの作品にまで手を染めるとは。

よろしくお願いします。


くそ知識、無知、キャラ崩壊、オリジナル設定。
その他色々注意です。


アーガス社内

 

「よし、最終確認終了っと…」

 

「こっちも終わった、悪いね…最終確認まで手伝わせちゃって」

 

「いいですよ、これも『あの人』と『このゲーム』のためですし」

 

パソコンに映っている画面には『SwordArtOnline』の文字が表示されていた。

 

「楽しみなのはわかるけど2週間もここでずっと泊まり込みで働かれると心配するって。これで明日からリリース開始だからさ、君は家に帰ってゆっくり休みなよ」

 

「でも開始してからのチェックは?」

 

「そりゃ、ベテランの俺たちがやるよ」

 

と、会話していると…

 

「……君たち、ご苦労さま」

 

「『茅場』さん!お疲れ様です」

 

「最終確認が終わったみたいだね、少年…いや、『如月』君もお疲れ様、君は家に帰りたまえ。長期間働き詰めだったのだろう?」

 

「そうですけど…茅場さんは大丈夫なんですか?」

 

「私の心配は無用、慣れているからね、如月くんは帰ってくれて構わない。あとは私、そして社員達が管理するよ」

 

「……わかりました!」

 

────────

それから数分後。

 

「あ、如月、帰る前にちょっといいか?」

 

帰ろうとした所をさっきの上司に呼び止められた。

何をしてくるのかと思ったが、上司は俺のポケットに何かを入れてきただけで特に何もしてこなかった、と思いきや。

 

「これって『SwordArtOnline』のソフトじゃないですか!?」

 

「声がでかいわボケ。それは特別製だよ、お前の家に『ナーヴギア』はあるって言ってたろ?働き詰めだったお前に少しでも楽しんでもらえるように『ちょっとしたシステム』付きのアバター入りのソフトだ、家に帰ってゆっくり休んで貰ったあと、起きてすぐ遊べるようにな」

 

ちょっと親切から離れてるよこの上司。

というかこれ企業秘密ってやつじゃないのかな……それに疲れた体を休めるためにゲームして疲れとるとかどこのゲーマーの考えだ。

 

「俺も夕方ぐらいには交代できるからその時にログインするからさ、それまでは見回りついでに楽しんでくれ、1人の管理者として」

 

「…ありがとうございます、できる限り楽しんできます。」

 

結局、返す気になれなかったため、貰って帰ることに。

 

帰ろうとエレベーターに乗ると、ちょうど同じタイミンクで茅場さんが乗ってきた。

 

「『これで理想は叶った』」

 

そう、茅場さんが呟いた理由と意味は理解出来ないまま、俺は家に帰った。

 

 

────────

 

説明が遅れた。

俺は如月 春揮(きさらぎ はるき)

高一で高校を辞め、ほぼニートだった俺はなぜか大手企業である《アーガス》の手伝いをすることに。

 

茅場さん…本名茅場 晶彦(かやば あきひこ)

彼自身、若い頃から天才と言われていて、様々な物を作り出していると聞いたことがある。

世界初のVR技術を用いたゲーム世界に直接入り込むことの出来る《ナーヴギア》を開発し、そして今回同時発売となるVRMMORPG『SwordArtOnline(ソードアート・オンライン)』の開発ディレクターとなった。

アーガス自体には高校卒業後に管理職待遇とやらで迎えられたらしい。

ちなみに取材を嫌っているためマスコミに顔を出すのは珍しいとの噂が。

 

 

この際、ナーヴギアとVRMMOの詳しい詳細は無しだ、俺もそこまで詳しくない。

 

────────

如月家(一人暮らし)

 

誰も待っているはずなど無い家に帰ってきた、2週間ぶりに。

 

飯を簡単に済ませコーヒー片手に自分のパソコンの前に座り、ソードアート・オンライン(通称SAO)の発売前日のネットの様子を少し眺め、毎日数時間寝てたとはいえ疲れきっているためベッドで横になり、寝た。

…が、熟睡など出来なかった。

気になってしまう、自分も開発に手伝ったゲームのソフトを先にもらって、さらに発売前なのにナーヴギアまであるせいで。

 

「……でも3時間は寝たのか俺」

 

時計を見ると深夜2時、ゲーマーとかが言う深夜26時。

身体は疲れきってるくせにショートスリーパーでさらに気になってしまえば眠気なんてどっかいってしまう。

 

『これはゲームであって、遊びではない。』

 

茅場晶彦がマスコミに言ったセリフ、今回のゲームの謳い文句的な何か。

 

そんなセリフを頭の中で思い出しながら俺はナーヴギアにSAOの特別製ソフトを入れる。

 

話によるとサービス前でも一応ログインはできるらしい。(戦闘、レベリングとかは出来ないらしい)

 

そしてナーヴギアを頭に装着した。

 

「『リンクスタート』!」

 

こうして俺はサービス開始前にSAOへログインした。

 

 

そしてこのゲームで、出会い、そして事件が起きるなど、この時の俺、開発陣は予想もしていなかった。

 

 




ナーヴギアとVRMMOの説明省きました。

主人公、如月はちょっとしたことからアーガスへ。
SAOの開発の手伝いをすることに(驚愕)

開発者側がナーヴギア、ソフトを渡しました。許される行為ではないね、本来は。


これからどうなるのか…

次回をお楽しみに!


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第1話:宣告【開始】

【SwordArtOnline】《ログイン》

 

アバター自体は男で、結構若めの、現実で言うとちょうど俺と同じぐらい。名前だけは無記入で容姿だけが作られていた。狙ったな、あの上司。

 

元々、『あるもの』をこのゲームに入れているため、名前もそれなりのものにして俺は《はじまりの街》に降り立った。

 

 

────────

第1層:はじまりの街《転移門広場》

 

「……ある意味不正アクセス完了だ」

 

ウィンドウを開くと上の方に名前が、そしてその横にHPを示すバーが表示されている。(他にステータスとかスキルとかあるけど今は関係ない)

 

名前:《lucifer》

 

本来、読み方は違うけど、プレイヤーネームはルシハ。名前の由来は後に語る。

 

「さてと、やることも無いし見回りするか、一応それが俺のやることだし」

 

何も不具合が起きていないか、それを確認するため俺ははじまりの街の商業区へ向かった。

 

────────

はじまりの街:商業区

 

ゲーム時間は現実と同じ時刻に設定されているため、今はまだ深夜3時(深夜29時)。

とはいえ元からセットされているNPCには関係なく、商業区の店はやっている。まだ話しかけられないけど。

正式サービスが開始された時、武器や消費アイテムなどを買う人で溢れるだろう。そんな心配してなかったけど、開発陣。

 

「ま、回復アイテム買いまくるほど死ぬとダメなわけじゃないんだが」

 

そう呟いてなんかフラグ建てたなとか感じつつ、特にこれと言った不具合もなく、結局なんとなくではじまりの街の見回りを完了してフィールドに移動した。

…あまりにも時間がありすぎて暇なんだが。

 

────────

フィールド:原子の草原

 

まだモンスターもポップしていないため、ただただ平和な野原になってる。

 

現在、サービス前のため行ける範囲も限られているため、奥まで行って何かあるとか探せないのが少し悔しいな、まぁ、サービス前に入ってるから文句言えないけど。

 

サービス開始まで時間がありすぎる、とはいえログアウトするのも勿体ない気がするから……

 

「ゲームの中で寝るか」

 

────────

大きな鐘の音が耳を刺激してきたのが起きる合図になった、そして時間を確認するとなんとサービス開始の時間になっていた。モンスターがポップしてなくて良かった、確実に殺されてたな。

 

「さてと、ポップしたやつから狩って行くか」

 

ウィンドウを開き、武器を取り出した。

その時、ウィンドウのスキルの欄を覗いた時、《administrator authority》と、謎の英語があった、高校をやめた人間の知識だと分からない。

 

不思議に思いつつ武器を片手に。

俺の選んだ武器種は《片手剣》、特に選んだ理由はない。使いやすそうだと思っただけ。

 

「よし、行く……ぶはっ!?」

 

不意打ちを食らった。なんと下手な説明をしてるうちにモンスターの初ポップが起こったらしく、それが俺のすぐ側で、見事にモンスターに体当りされた。

身体は宙を舞い、地面に叩きつけられると思ったらまたまた体当り。

ここまで来るとサンドバッグ……こいつ、俺が製作者側だと知ってやってるのか。

 

と、5、6回体当りされたとこでモンスターが消えた。

 

…簡単に言うと倒された、プレイヤーに。

 

「おい、大丈夫か?」

 

体を起こした時、目の前には青年っぽい感じのプレイヤーが2人。

剣を片手に持ってることから助けてくれたのは1人だけでもう1人は…何しに来たんだ?

 

「おい、兄ちゃんも初心者か?なら、この『キリト』大先生に教えてもらおうぜ!」

 

「先生はやめてくれって」

 

ただ不意を突かれただけで俺は……いや、そんなことはいいか、ここは初心者の振りをして普通のプレイヤーと一緒に戦闘するのもいいか。

 

「…んじゃ、よろしく頼むよ。俺は『ルシハ』、まだ始めたばっかで戦い方がわからなかったからさっきみたいにボコボコにされちゃって」

 

「なるほど。いきなり1人で出るとは、結構度胸あるな。俺は『キリト/kirito』、宜しくな」

 

なんか傷つくけどしょうがない、ここは我慢だ。

 

「おう!俺は『クライン/cline』!初心者どうし、よろしく!」

 

それから数時間、キリト、クラインと一緒にモンスターを狩りまくった。

 

「いやぁ…疲れた」

 

「悪ぃな、俺の私情のために狩りを止めちまって」

 

「いいよ、それよりピザを頼んでるって言ってただろ?」

 

「そう!それじゃ、俺ァログアウト……」

 

すごくワクワクしながらウィンドウを開いたクラインは言葉を失った。

 

「どうしたんだ?」

 

「……無ェ、ログアウトボタンが」

 

「「は?」」

 

そんな不祥事あるわけ……

あった。ログアウトボタンが消えてる。

 

「これァ、ゲーム運営は大変なことになってるだろうな」

 

「今頃ゲーム運営はクレームの嵐だな」

 

……悪かったな。

というかこんなこと起こすような人達じゃないと思うんだけど。

 

『グルゥアァァァ!!』

 

「「「!?」」」

 

慌てている俺たちの真後ろに巨大なモンスター、ドラゴンが現れた。

 

「なんだこいつ…!?」

 

「クライン!ルシハ!戦闘準備だ!」

 

俺はこのモンスターを知ってる。

いや、知ってるどころかこのモンスターは……

 

『グルゥアァァァ!!』

 

ドラゴンの攻撃が当たると思った瞬間。

 

俺の視界は一瞬暗転した。

そして気がついた頃には……

 

俺、キリト、クラインは《はじまりの街》の『転移門広場』にいた。

 

「何が起こったんだ…?」

 

「お、俺のピザ……」

 

周りの騒ぎ様から多分だけど今ログインしたプレイヤー全てがこの広場に強制的に送られたみたいだ。

 

と、周りの騒ぎがさらに大きくなった。

 

『ようこそ。プレイヤーの諸君』

 

空に赤いフードをかぶった何者かが現れた。

 

『私は《茅場晶彦》。このゲームを管理する者だ』

 

……どういう事だ。

 

『君たちは既に、ログアウトボタンが無くなっていることに気がついているだろう。』

 

おい、待てよ……!!

 

『それはバグなどではない、()()だ。このゲーム本来の。』

 

おい……どういうことだって聞いてんだよ…!!

 

『この世界では、死んだら二度と復活できない。そして、死んだら現実でナーヴギアが脳に電磁パルスを脳を破壊する、つまり、現実でも死ぬことになる。』

 

「…電磁パルスで人を殺すことは可能だ。だとは言え……」

 

横で聞いていたキリトは手を震わせながら顔は怒りに満ちていた。

 

『ようこそ。SAO(デスゲーム)へ』

 

この時、俺はエレベーターで茅場が口にした言葉の意味を理解した。




茅場さんのセリフはところどころ適当になってしまっています。すみません。


…色々とすみません。ごめんなさい。

街の詳細などはまとめて書きます。

SAOはログアウトが不可能に。
そして強制的に転移させられた先で告げられた衝撃の発言。

死んだら現実でも死ぬという……

(説明下手、すみません。


────────
ルシハ(lucifer)

Lv:3

武器:ノーマルソード(片手剣初期武器)
スキル:administrator authority(?)



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第2話 予兆【覚醒】

『このゲームをクリアするには1層から100層まで階層全てを制覇しなければならない。100層までたどり着けばSAO(デスゲーム)は終わるのだ。』

 

広場にいる人間の中には『どうせゲームのサプライズ的なやつだろ。』と、余裕を見せるやつ。

『そんなの嫌……』と、絶望に飲まれている人まで。

 

もう一度ログアウトボタンを確認すると、さっき見た時と同じく、ログアウトボタンは消滅している。

と、アイテムストレージを開くと見たことの無いアイテムが…

 

『アイテムストレージに私からプレゼントを入れておいた。それを使った者からこの街を出ることが出来る、せいぜい頑張りたまえ』

 

そう言い残し、茅場は消えていった。

 

ストレージからアイテムを出すと、それは『手鏡』だった。

 

手鏡を出し、鏡を覗くと広場中に光が発生し、しばらくすると…

 

「リアルの顔そっくりだな…」

 

「クライン、前のアバターより老けてるな」

 

「そーゆーおめぇも思ったより若ぇじゃねぇかルシハ」

 

と、クラインをいじっている間、キリトも顔は変わっていたが、けわしい顔のままずっと考え込んでいる様子だった。と、思ったら俺とクラインの手を引きどこかへ行こうとした。

 

その時、人混みの中にフードを被ったまま、こちらを見る少女の姿が見えた。

 

…が、キリトに無理やり引っ張られたせいで見失ってしまった。

 

────────

 

「いきなり走り出してすまん。」

 

俺とクラインが連れてこられたのは街の中でも人通りが1番少ない裏路地。

 

「……2人はこれからどうするんだ?」

 

「キリト、悪ぃな、俺ァリアルの親友を探さねぇと。あいつらもログインしてるはずだし、会う約束もしちまってるから(ピザ逃したし)

 

そう言いながらクラインは裏路地の出口の方に歩いていった。

と、思ったら立ち止まり俺らの方に振り向き……

 

「キリト、ルシハ!……おめぇら、案外可愛い顔してるじゃねぇか」

 

「「お前は老けてるな」」

 

と、俺達が言ったあと、クラインははじまりの街の広場に戻っていった。

 

────────

「…なぁ、お前はどう思う?」

 

「茅場晶彦が、『俺の憧れ』が、なんであんなことをしようと思ったのかはわからない。だけど俺はこのゲームをクリアしようと思う。」

 

そう、キリトは言った。

 

「……俺も信じられねぇよ、茅場が『人を騙す』なんてことをするなんて、でも今やれることはこのゲームで生き抜くことだ」

 

「…絶対生き残る、そしてこのゲームを」

 

「「クリアする」」

 

────────

キリトが先に草原に出たあと、俺は茅場の発言を思い出した。

 

『このゲームで死ぬ、それは現実での死を意味する。』

 

……許さねぇ。

 

俺は怒りとともに原子の草原へ向かった。

 

────────

原子の草原【エリア1】

 

既にいくらかプレイヤーの姿がチラホラしている。

そんな中、ポップしたモンスターを蹴散らしていた。

 

「くそ!くそっ!くそ…っ!!」

 

茅場という偉大な人間に、俺の上司となる人間にこのゲームを無駄にされた、その怒りをモンスターにぶつけていた。

 

『君に、このゲームの制作を手伝ってもらいたい。』

 

そう言われてあの会社の手伝いとして仮入社した。

既に茅場がしてきたことは俺も興味を示していたため、アーガスに入ることに抵抗はなかった。

アーガスに入り、茅場晶彦という大きな存在と関わることも多かった。

キリトと同じように『憧れ』を抱いていた。

 

 

……そんなの無駄だったんだ。

 

と、我に返ると周りは暗い空間になっていた。

 

「……『シークレットスペース』か」

 

特別な条件を果たしたプレイヤーだけが入れるはずの空間。

誰か1人、プレイヤーが入ると消えてしまう。簡単に言うと『早い者勝ち』の空間。

 

この空間は元々、SAOには入っていなかった。

もちろん、デスゲームになってから現れた訳では無い。

 

この空間は『俺が制作した』。

 

ルシハ、という名前にした理由もここで手に入る『特別』なアイテムに関係している。

 

 

「ここに出るモンスターは」

 

『グルゥアァァァ!!』

 

はじまりの街に飛ばされる寸前。俺達を襲おうとしたドラゴン。

それがシークレットスペースのボスモンスターとして設定してあるドラゴンだった。

 

…なぜ、それがあそこで出てきたのかは謎だけど。

 

「……『デス・ガイアアースドラゴン』!!」

 

あのとき出てきたタイミングでは体力ゲージは見れなかったが、相手の体力ゲージは……

 

『黒い赤』

 

「やるしかねぇ!!」

 

俺は剣を抜いた。

 

────────

 

デス・ガイアアースドラゴン

 

Lv:??

HP:10000

 

────────

 

「がはっ!?」

 

ソードスキル『スラント』、『ヴォーパルストライク』を放っても相手のHPはビクともせず、相手の攻撃はこっちに致命傷を与えた。

 

「生きてるだけでも奇跡…か」

 

致命傷を受け、既に立ち上がることさえ俺には無理だった。

元々、この空間には3回まで蘇生できるようになっていたはずだったが、今となればそんな設定も全て無駄になり、死んだらそこで終わり………

 

(せめて……ここで死ぬわけには…!!)

 

「死ぬわけには行かねぇよ!!」

 

その時、俺の体を光が包み込んだ。

そして、俺の脳裏にひとつのスキル名が浮かんできた。

 

限界突破(リミットブレイク)

 

(力が湧いてくる……?なんだ…このスキル……?)

 

ボーッとしてる俺に、ドラゴンがトドメをさそうとした。

 

ダメージになったのはドラゴンの方だ。

 

(……これなら勝てる…!!)

 

俺は剣を持つ右手に力を集中させ、最大のソードスキルを打った。

が、スラントとは違う技を無意識に放った。

 

ソードスキル:【???】

 

それがトドメになり、ドラゴンは消滅し、俺のストレージにアイテムが入った。

 

片手剣:【ゼデュース・ホーリー・ソード】

 

意味は『光を背かせる剣』

 

それを確認したあと、俺は気を失った。

 

残りHP:10

 

────────

目を覚ましたのははじまりの街の宿の中。

 

体力も回復していて、あの時の感覚は消えていた。

 

(……それに、まだこのスキルがなんなのかわかってないし)

 

「…やァ、目が覚めたカ?」

 

布団の横には女の子(?)が立っていた。

 

「……お前が助けてくれたのか?」

 

「いや、オレッちはお前を預かっただけダヨ。ボロボロのお前を助けたのはお前と同じぐらいの女の子ダ。」

 

「……そうか」

 

「ところデ、あんなになるまで何してたんダ?」

 

「……レベリングだよ」

 

「それだけしゃないだろ。おねーサンの目は欺けないぞ」

 

 

……なんだこいつ。

 

…これが俺と『情報屋』を繋げるきっかけになった。




バトル描写苦手なのは治らないのか。


スキル【???】と、【限界突破】が登場。

一体ルシハの身に何が……?

あ、オリジナルスキルです。(ソードスキルもね)

────────
今更ながらルシハ、制作側として何をしたかったのか。


────────
ステータス

ルシハ(lucifer)

Lv:??

武器:ゼデュース・ホーリー・ソード(オリジナル、1本だけの剣)

スキル:限界突破(発動条件不明)

ソードスキル:スラント、ヴォーパルストライク、(???)


ルシハが戦闘した時は出します、あとステータス公表の時




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第3話 アルゴ【情報屋】

「それデ、なんであんなにボロボロだったんダ?」

 

「……どうせ、信用しねぇだろ」

 

…それに、教えたところで俺に得はないし

 

「信用するかしないかはお前の隠してることを明かしてからダ」

 

「どうしても聞きたい、と」

 

「その通りダ」

 

…その前に、こいつは誰なんだろう。それに、俺を助けてくれたっていうやつも気になる。

こいつなら教えても大丈夫……か?

 

「…俺はSAOの制作を手伝った、簡単に言うと『管理者』ってとこだ」

 

「………は?」

 

「βテストだけでなく、αテストまでやったし、1部のクエストの制作までした。」

 

「いやいやいやいやいや、どう信じろと」

 

…ほらな、やっぱりそんな反応するよな。

俺だって言われたら信じないよ、そっち側なら。

 

「それなら証拠をみせロ、そうじゃないと信じられないだろ」

 

証拠になるもの……と、言われて思いつくのは2つほどあるな。

 

俺はウィンドウを開き、スキル欄を表示させた、と一緒に武器を取り出した。

 

「なんだこのスキル?」

 

「俺にもわからないが、ほかの人間にはないだろ?それにこの武器も。」

 

「確かに、こんな剣、聞いたことも見たこともない…」

 

「スキルに関しては俺もわからないけど、この武器に関しては俺が作ったんだ。」

 

それからしばらく、この武器の説明とか色々した。

 

「…なるほど、そこまで言われると信じるしかないか」

 

「そういうお前は何をしてるんだ?」

 

「オレっちは、ちゃんとした名前がアル!オレっちは『アルゴ/Argo』、情報屋をやってる」

 

「俺はルシハ、さっき言った通り、一応製作者だ。」

 

「……製作者ってことはあの男(茅場晶彦)と一緒にいたんだろ?ということはルシハは…」

 

「…俺はあの人と敵対する側だ、確かに、茅場晶彦と一緒に制作に関わってきたが、ログインは別でしたし、むしろこんなことを計画してたなんて分からなかった。ハメられたんだ」

 

「なるほどな…」

 

って、こいつ今、さらっと『情報屋』って言ってなかったか?

 

「アルゴは情報屋をやってるんだろ?」

 

「そうだけど」

 

「俺はエリアのほうに集中してたせいでクエストとモンスターの情報にあまり詳しくないが、これから先の攻略に少しでも役立つ情報をβ()()()()()より教えられる。」

 

「それがどうかしたのか?」

 

「俺がお前に情報を少しずつ流す、代わりにお前は俺になにか……

 

「そういうことならオレっちとパーティを組まないか?」

 

「…は?」

 

「だから、オレっちとルシハのパーティを組むって言ってるんだ、その方が何かと便利だしな。(あと、気になるし)

 

「わかった、アルゴとパーティを組む代わりに、俺がアルゴに情報を少しでも流す、これでいいな?」

 

「あぁ、そういう事だな」

 

こうして、俺とアルゴのパーティが結成した。

 

「ってことで宜しくな『ルー坊』」

 

「……今なんて言った」

 

「だから、ルー坊って」

 

「なんだその呼び方」

 

「呼び捨ては言い難いんだ、いろんな意味で、だからこの呼び方で行かせてもらうゾ」

 

「……わかった、こちらこそよろしく、アルゴ」

 

────────

その日の夜。

 

結局、話をしていたら昼過ぎになって、昼飯を食べたあと、もう一度宿に戻り、既にわかる情報を教えたところで夜になった。

 

「んじゃ、オレっちと一緒に寝るぞ」

 

「ちょっとまて、どういう事だ」

 

「しょうがないだロ、宿は一部屋しか借りれなかったんだから、ほら、開けてあるから寝ろヨ」

 

「あとなんで脱いでるんだよ!?」

 

「誤解を招くだロ…別に夜ぐらい涼しいかっこしたいだけダ。あとジロジロ見るな」

 

アルゴの髪が金髪だと知りつつ。

何故か罪悪感に襲われながらも、俺はその日をアルゴと共にした。

 

そして、次の日、俺たちはレベリングをすることになった。




アルゴさん登場。

ということで少しやってみたかった添い寝(?)イベントてきなやつも取り入れました。アルゴさんで(俺見たことないけど添い寝イベント)

情報屋に情報を送る代わりに何故かパーティを組むことに。

このパーティがこれから先、どんなことをしていくのか……


次回をお楽しみに。

────────
今回はステータス無し。


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第4話 手帳【攻略本】

「アルゴ!スイッチ!」

 

「わかった、任せろ!」

 

次の日、朝から俺たちは草原に出てレベリングをしようとモンスターを倒していた。

 

「……ふぅ、結構やってるがそっちのレベルは?」

 

「オレっちは5ダ、ルー坊はどうなんだ?」

 

「俺は……」

 

かなりのレベル差があるドラゴンを倒したおかげでそれなりのレベルに…

 

「「16!?」」

 

「どういう事だルー坊!?」

 

「多分、この剣を手に入れる時に倒したモンスターのおかげだろうな」

 

「そのモンスターのLvは?」

 

「確か40」

 

「レベルに反してそこまで上がってないんじゃないカ?」

 

「元々、設定してた時点で経験値はしょっぱいようにしてたからな、その代わりに武器が強くなってる」

 

とはいえ10近く上がるとは思ってもなかったな……

と、アルゴが何かをメモしているのに気がついた。

 

「何してるんだ?」

 

「オレっちが情報屋ってこと忘れたわけじゃないだロ、色々と情報をまとめて攻略本として配布してるんだ」

 

「そういや、そうだったな。でも、ドラゴンの情報は意味無いからな」

 

「そうなのか!?」

 

「いや、説明しただろ、シークレットスペースは条件を満たした上で、『先着1名』しか入れないって」

 

説明したはずのことをもう一度説明するとアルゴは悔しがりながらボアを蹴散らした。

そう言えばゲーム開始(俺がドラゴン倒した日)に比べてモンスターのポップがかなり少なくなった気がする……

 

そう言えばキリトが『はじまりの街の周辺はすぐにモンスターのポップがしなくなるだろうから俺は隣の街の方まで行く』って言ってたっけ。

製作者でもそれは触れてなかったな。

 

「オレっちの攻略本、ルー坊にも分けてやるヨ、ただし100コルでな」

 

「金とるならいらねぇよ」

 

「冗談に決まってるだロ、ほら、受け取れって」

 

半分無理矢理で攻略本を渡された。

内容を少し適当に流しつつ読むと、流石情報屋と思う部分まで攻略の方法などが書いてある。

と、最後まで読もうと思ったら…

 

「ルー坊!!」

 

俺の後ろに巨大な影が現れた。

既にその影が攻撃をしようとしていたことを気づいたからよかったものの、いきなりこんな巨大なモンスターが現れるなんて……

 

「アルゴ!このエリアの名前わかるか!?」

 

「ダメだ、エリアの表示すらされない」

 

「……シークレットスペースだ」

 

何が条件でいきなり現れたのかは謎だ、俺はあのドラゴンともう1匹モンスターを制作したが、そのモンスターはここには出てくるはずがない。

ということは、カーディナルのシステムがシークレットスペースを通常のエリアとして自動生成したか、それとも……

あの男(茅場晶彦)』が作ったか……

元々、こっそり作っていたとはいえ茅場晶彦にバレる可能性はあった。

もし、気づいてほかの場所にも作ったとしたら納得が行く…

 

「ルー坊、こいつの名前は《デス・スコルピオン》、Lvは……」

 

「…50」

 

『クシャキシャクシャ!!!!』

 

「攻略方知らないのカ!?」

 

「知ってるも何も俺はこいつを作ってないんだよ!」

 

「……とりあえずやるしかないナ」

 

────────

「くそっ…スイッチ!」

 

「だめダ……歯が立たない…ルー坊、ここから出ることは?」

 

「ここは元々3回死んだら強制的に外に出されて、3回死ぬかボスを倒さない限り出ることが出来ないように設定してるんだよ…」

 

それが、ここで裏目に出るとは…

 

「ルー坊!上だ!」

 

「なっ……?」

 

いつの間にか上からの攻撃が来ていた。

このエリアのボスは……

 

「2匹……!?」

 

「あれは階層ボスのはずじゃないのか……『ザ・ストームグリフィン』!!」

 

ストームグリフィンの上からの攻撃で体力がギリギリまで減った。

 

「ルー坊!大丈夫カ!?」

 

「まだ、1層もクリアしてないのに負けるわけには……!!」

 

と、その時だった。

俺の体にまた、あの感覚が流れてきたのは。

 

──スキル:限界突破(リミットブレイク)

 

「ルー坊!?」

 

スコーピオンの攻撃をいとも簡単に弾き返し、ストームグリフィンの攻撃はものすごいスピードで避けた。

 

「アルゴ!こいつら2匹をまとめてくれ!」

 

「わ、わかっタ!!」

 

アルゴが2匹を引き付けつつまとめてくれている内に俺はスキルの欄の『あの技』を探した。

 

(……あった)

 

「ルー坊!そろそろ限界ダ!」

 

「アルゴ、そのままスイッチ頼む!」

 

「行くぞルー坊!スイッチ!!」

 

2匹の攻撃を弾き、アルゴが後ろに下がる。

それと同時に俺は右手に力を込め、あの技を放つ。

 

─ソードスキル:スターダスト

 

自分の限界のスピードとパワーで放つ11連ソードスキル。

それをまとまった2匹にぶつける……

 

「トドメだァァァ!!!」

 

相手のHPがどんどん減って行き、そして最後まで技を出したと同時に2匹は消滅した。

 

「ルー坊……勝ったんだよな?」

 

「あ、あぁ……なんとか、な」

 

と、俺の方に倒した報酬が入ったが、アイテムと武器欄にはそれらしきものは見つからなかった。

 

「スキルの欄じゃないカ?」

 

と、アルゴに言われ探すと、したの方に

 

『Absolute world amphiaster Sword』

 

と、長い英語のスキルが表示されていた。

 

「アルゴ、この意味わかるか?」

 

「これは多分だけど『絶界の双星剣』だな、結局どんなスキルかも分からないが」

 

絶界の双星剣……確か開発時にそんな名前を聞いた気がする。

アルゴの言う通り、どんなスキルかは分からないけど

 

「そーいやルー坊、Lvはどれくらい上がった?」

 

「……19」

 

「また上がったナ、このまま1層で30ぐらい行くんじゃないか?」

 

「流石にそれはむりだろ。そういうアルゴは?」

 

「オレっちは9ダ」

 

「それでも結構上がったな」

 

「そりゃ、50Lvを2体も倒したらナ」

 

それもそうだが…シークレットスペースの中のモンスターのレベルに反してそこまで経験値が貰えない設定にしたのは俺だが、かと言って俺だけ桁違いにレベルが上がってる気もするんだよな…

もしかしたらまだ判明してない《administrator authority》が関係してるのか……?

 

「それよりルー坊、そろそろ限界だ、帰って休むことにしよう」

 

「だな、流石に俺もこれ以上は勘弁だ」

 

こうして、俺たちははじまりの街へ戻った。

 

────────

はじまりの街【商業区】

 

「君たちに聞いてほしい!我々はこれから、このゲームの攻略を始めようと考えている、そのため、俺と共に攻略をしてくれる人を探している!そして1ヵ月後には隣町、トールバーナにて1層攻略会議を行おうと思う!それに参加してくれる人はレベルを上げるなどして備えてほしい、勇敢な剣士達の参加を待っている!」

 

と、はじまりの街の商業区で買い物をしようと思ったらクエスト受注ボード(後に説明)の前で軽装備の男が何やら演説を。

内容は『パーティ組んで1層ボス倒そう』的な感じ。

それに関連して、隣町にて会議が行われるらしい。

 

「ルー坊、気になるしあいつに話を聞くぞ」

 

「俺のことは初心者って言っといてくれ、Lvはバレないし」

 

────────

「お、君たちは…もしかしてさっきの演説を聞いてくれたのかい?」

 

「そうだが…お前は?」

 

「俺はディアベル、よろしく」

 

「俺はル…

 

「なんやなんや!お前さんら!」

 

と、自己紹介を使用とした瞬間、頭がトゲトゲしたオレンジ髪のチャラい人がこっちに来た。

 

「ディアベルはん言うたな?あんた、気に入ったわ、わいがパーティ組んでやる、そんでそこの『カップル』は既にパーティ組んどるんやろ?」

 

「あぁ、ところであんた誰だ?」

 

「あぁ、自己紹介しとってなかったな、わいはキバオウって、言うんや、覚えとけ」

 

「俺はルシハ、よろしくなトゲトゲ」

 

「誰がトゲトゲや!?わいはキバオウ言うたやろ!」

 

ちょっとふざけて言ってみただけなのにこんなに切れることないだろ……

というか俺らのことカップルって言ってきたし。

 

「ルシハ、もし第1層攻略会議に参加してくれるなら1ヵ月後、トールバーナに来てくれ」

 

「……わかった、行く気になったら行くよ」

 

「わいはキバオウやからな!覚えとけよ!」

 

と、言いながらキバオウとディアベルは去っていった。

 

「アルゴ、俺らそんな関係に見えるか?」

 

「……さ、さぁ?」

 

何照れてるんだアルゴ……

 

結局その後、色んなスキルを試したり、少しレベリングしたりして1ヶ月が経った。

 

この1ヶ月のあいだに何人も死んでいくのを見た。

まだ、1層もクリアしてないのに、茅場晶彦という男の仕業で、何人もの犠牲が出た。

 

そして、第1層攻略を目指すプレイヤー達が攻略会議へ参加した。




1ヵ月飛んだ。

ということでまさかのシークレットスペース登場。またかよ。

そして(OSで出てきた)階層ボスのザ・ストームグリフィン
そして一応オリジナルのデススコルピオン。

手に入れたスキル『絶界の双星剣』。
一体どんなスキルなのか(知る人は知ってる)

そしてルシハのLvの上がる速度は一体何があるのか……

1ヶ月飛んで次回、1層攻略会議!!!

────────
ルシハ

Lv:19
片手剣(ゼデュース・ホーリー・ソード)
スキル:限界突破、絶界の双星剣、(administrator authority)
ソードスキル:スターダスト、スラント、ヴォーパルストライク

────────
アルゴ

ナックル(爪)
Lv:9
ソードスキル:???
スキル:???


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第5話 攻略会議【パーティ】

ディアベルと会って1ヵ月後。

俺とアルゴはそれまでの間に少しだけレベルを上げ、はじまりの街から少し離れた場所にある【トールバーナ】へ到着した。

 

1層:トールバーナ

 

「結構人がいるみたいだが……どこで会議が行われると思う?」

 

「多分あの広場だな、あそこだけやけに人が多いゾ」

 

はじまりの街で言う商業区と転移門広場が合わさったトールバーナの入口を抜け、アルゴが指した広場の方へ歩いていった。

 

「おーい、ルシハ!」

 

「キリト…と誰?」

 

広場の入口にキリトと髪の長い女の子が一緒に立っていた。

 

「あ、こいつはアスナ、俺と一緒にパーティを組むことになった細剣使いだ」

 

「なんでフード取るのよ……あ、よろしくね」

 

「あぁ、俺はルシハ、よろしくなアスナ」

 

「ところでルシハの後ろにいるそいつは?」

 

「オレっちはアルゴ、情報屋をやってる、宜しくなキー坊、それとアーちゃん」

 

「キー坊……?と、とりあえずよろしくなアルゴ」

 

「アーちゃんはやめて欲しい……」

 

と、何気ない会話をしながら俺たち4人は会議が行われる広場に入った。

広場に入る時にくじを引いた、俺とアルゴ、キリトとアスナは全員赤色なんだが。

 

────────

数分後。

ゾロゾロと人が入って来たと思えば広場の中心にあるステージにディアベルが現れた。

 

「みんな、今日は攻略会議に集まってくれてありがとう、君たちパーティの優しさに感謝する!いきなりだがボスまでの迷宮区の情報だ。未だに迷宮区すら入ることもしていない我々だが、この攻略本が……

 

「ちょい待ったんか!」

 

と、ディアベルの言葉を遮り、あのトゲトゲ頭……キバオウが広場の下まで駆け下りてきた。

 

「わいはキバオウ言うもんや!わしは知っとるぞ、この中に『βテスター』がおることは!そんな奴らがここにノコノコと現れるのはいいが、ボス戦でわしら……

 

「発言いいか」

 

「うわっ!?」

 

「ちょっ、アルゴ、飛びついてくるなって……」

 

アルゴの横に座っていたアルゴよりはるかに身長が高い気がする男がいきなり立ち上がり、発言いいか、などと口を挟んだ。

 

それに驚きこの『キバオウが嫌うやつ(βテスター)』のアルゴは俺に飛びついてきた。ちょっと可愛い気もするけど。

 

「なんやそこのデカブツ!」

 

「俺はそんなにでかくない、俺はエギル、そこのトゲトゲしたキバオウとかいうお前。今、ディアベルが持ってる本、簡単に言えば攻略本、それははじまりの街で配っていたのは知ってるだろ?それを書いて配っていたのはβテスターの人間だ。」

 

「それがなんやっていうんや!」

 

「その本のおかげで俺たちはここまで進むことも出来たはずだ、俺からはそれだけだ。続けてくれ。」

 

(中々にいいこと言うじゃん、書いたのアルゴだけど)

 

と、エギルとやらの言葉を聞き少し戸惑ったキバオウは一瞬で立ち直った。

 

「だからってわいはβテスターの言うことなんか宛にせんぞ!どんな攻略が載っていたとしてもな!」

 

「ま、まぁキバオウさん、今は落ち着いて」

 

「……ディアベルはんが言うなら仕方ないわな、覚えとけよ!βテスター!あんたらは信用なんてされてへんぞ!」

 

と、βテスターを敵に回したあと、自分が座っていた席に戻って行った。

 

「えー、気を取り直し、迷宮区の攻略は3組に絞ろうと思う、まず、俺、キバオウさん、入る時に配ったくじの色で黄色を引いた人がAチーム。青色がBチーム、そして赤色のくじがCチーム、この3チームに分かれて迷宮区の攻略を進めてくれ」

 

……まさかこんなところで強運を出すとは、って言うか他にいるのか?

 

「そしてボスの攻略だが……

 

「ルシハ、アルゴ、ちょっと来てくれ」

 

ボスの攻略を聞く前に俺とアルゴはキリトに呼ばれ、広場の外に行くことに。

その時、あの巨漢、エギルも着いてきたのは恐怖だよ、ちょっとした。

 

「なんでボスの攻略を聞かなかったんだ?」

 

「攻略本の内容を話してるだけだからだよ。それで俺たちは赤色を全員が引いたわけだし、しばらくしたら迷宮区に行こうかなって」

 

「それはいい案ダ、だけどルー坊もキー坊もお互いの戦い方をもっとしっかり知ってからの方がいいんじゃないカ?」

 

「それならそこの男二人と女二人でデュエルしたらどうだ?」

 

「「うわぁ!?」」

 

いきなり後ろから現れたエギルに驚きアルゴとキリトは同時に叫んだ。

 

「驚かせるつもりは無かったんだがな、俺も赤を引いたもんだから」

 

「デュエルか……いい考えかもな」

 

「ルシハ、1戦交えようか」

 

「アーちゃん、オレっち達はどうする?」

 

「私もアルゴさんの戦い方を知っておきたい、やりましょう」

 

と、男二人、女二人がうまい具合に意気投合しデュエルすることが決まった。

 

「エギル、お前は?」

 

「俺はパーティを組んだ女の子が別のチームに入って1人になったんだ。別にデュエルはいい」

 

「んじゃ、お互い始めようぜ、デュエルを!」

 

────────

トールバーナ【転移門広場】

 

デュエル:VSキリト

 

「お前の武器…見たことないな、なんかレア武器か?」

 

「その辺に関しては後で話す、あんただってアニールブレードの熟練度かなり行ってるみたいだしな」

 

製作者ということをまだ、キリトには話してない、いや、話さなくていいと思ってる。

だからこそスキルを使わないなんて事はしない。

この1ヶ月のあいだにスキルの発動条件なんかもしっかり調べて今となれば『限界突破』でさえもやり方を知ることが出来た。命懸けでだけど。

 

「はあぁぁぁ!!」

 

「かかってこい!!」

 

キリトのはなったソードスキルを少し喰らいつつガードした。

 

キリトがどれだけソードスキルを放ち、強化を重ねてきたのかは分かる。

とはいえレベルが急速で上がる俺からすればほぼかすり傷適度になってしまう。

 

「こっちからも行かせてもらうぞ!」

 

ソードスキル:スラント

 

は、簡単に防がれ、相手のカウンターを受けた。

向こうもこっちの体力は見えてると思うし、不審に思うというかレベルが高いってわかるとは思う、向こうも高いと思うけど。

 

「キリト、済まないが一気に決めさせてもらう!!!」

 

限界突破を発動させる前に……!!

 

ソードスキル:スターダスト

 

「なっ!?」

 

武器とスキルの熟練度などが重なり、キリトの体力は一気に減った。

とはいえ、ギリギリ体力が残り、時間経過で俺が勝利という結果に。

 

「いやぁ…負けた」

 

「おつかれさん、見てたぞルー坊、圧倒的に勝ったな」

 

「アルゴ、そっちは?」

 

「…瞬殺、された」

 

あのアルゴが瞬殺されるって……どんだけ強いんだアスナってやつは

 

「ルシハさんもやってみます?」

 

「いや、今は遠慮しとくよ、一応お互いの戦い方をしれたわけだし」

 

「Congratulation!最高だったぜ4人とも、これなら迷宮区の攻略も少しは楽になるかもな」

 

「そういや、俺たち以外にCチームはいないのか?」

 

「いないと思うぞ、まず参加人数からしてAチームに殆どの人間が入ってるはずだ」

 

「おい、君たち」

 

「「ディアベル、どうした?」」

 

と、キリトと見事にハモリながらも会議中だったディアベルが俺たちに近づいてきている。

 

「攻略は明日から開始することになった、それだけだ」

 

「…お前がくじを配ってたんだろ?」

 

「……勘がいいね」

 

「エギルと一緒にパーティを組んだって言う女の子は知らないが、俺たち5人を同じチームにしたのは狙ってやったことだな?」

 

「キバオウがうるさくてね、βテスターと一緒にいるのは彼にとって毒だと思って」

 

「ディアベル、お前もβテスターなんだろ?それなのにキバオウと一緒にいていいのか」

 

「ルシハ、君は何者なんだ……そこまで人の心を読むなんて」

 

アルゴが少し驚いた様子を見せ、キリトとアスナは不思議そうに俺の方を見てきた。

 

「…ただ、そんな気がしただけだよ。俺たちは5人でもボス部屋まで行くことが出来るって見て決めたんだろ?なら、その期待に応えるだけだ」

 

「そうか…なら、俺達も負けないように頑張るよ」

 

そう言ってディアベルは街の出口に消えていった。

 

「まぁ、暗い話をしてもつまらないだろ。ここはいっちょ5人で昼でも食いに行こうじゃねぇか、俺が奢るよ」

 

「マジでか!?」

 

「キリト君、なんで食べることに関しては鋭いのよ」

 

「なぁルー坊、ほんとに言わなくて……」

 

「いいんだよ、まだ、言う時じゃない」

 

エギルを先頭にトールバーナにあるラーメン(のような麺類の何か)を専門にやってる店に5人で入った。

 

「明日から攻略なんだ、少しでもスタミナは付けないとな」

 

とのことで大盛りを無理やり食べさせられたりした、まさかSAOでラーメンに近い味を作り出すNPCがいるとは……

 

「この5人でだが、明日、第1層攻略、頑張ろう!」

 

「「「「「おー!!」」」」」

 

こうして、俺たちの第1層攻略が始まった。

 

……そして、あんなことが起こるとはこの時は考えもしなかった。




3500(挨拶)

ということで第1層攻略会議(よりそのあとの方が長い)
あのトゲトゲ頭とつるつる頭来ました(キバオウとエギル)

キリトがダメージを稼げないとか1番の敵かもしれないぞルシハ。

次回から1層迷宮区+ボス戦の始まりです!(なのでタイトルも一定になるかも)


────────
ステータス

ルシハ(ルー坊)

Lv.21
スキル:administrator authority、絶界の双星剣、限界突破
ソードスキル:スラント、スターダスト、ヴォーパルストライク


スキル【限界突破(リミットブレイク)】

体力が一定以下になると自分のステータスが大幅に上がる。(現在判明状態)
ソードスキルの威力が2~最大10倍になる(武器、ソードスキルによる)

ソードスキル:スターダスト
威力:B(スラントがD)
連撃:11
自分のスピードと攻撃力の上昇に応じて威力が変わる。(通常がB)

スキル:絶界の双星剣
内容:不明

アルゴ
Lv.12
スキル:不明
ソードスキル:不明


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第6話 攻略開始【迷宮区Part1】

次の日。

トールバーナ【転移門広場】

 

「さてと、準備もできたし迷宮区に向かうか」

 

「そうだナ、キー坊達も準備いいのカ?」

 

「俺たちはいいぞ」

 

トールバーナにて、俺たちCチームは最終確認をして出発する寸前だった。

 

「ちょっと待ったーーー!!!」

 

「え?」

 

聞いたことの無い声がどこからか聞こえたと思いきや、その声の主であると思われる人が俺にタックルしてきた。

 

「痛……」

 

「あっ、ごめん!つい勢い余って突っ込んじゃった」

 

「だ、大丈夫かルー坊?」

 

「あ、あぁ…なんとかな」

 

見事に全身に体当りされたせいで微妙な痛みはあるけど。

 

「ところで、お前誰だ?」

 

「あ、ごめんね、私はルナ!()()()()()天然なんだ」

 

いや、そこまで聞いてないというか見る限り天然だとわかるというか…

 

「そうか、それでなんで俺たちを止めた?」

 

「……一緒に攻略に参加させて!」

 

「んじゃトゲトゲ頭(キバオウ)かディアベルに言えばいいだろ?」

 

「……あ、そうだった」

 

「ま、いいんじゃないのか?あのキバオウとか言うやつよりは俺たちの方が、あいつに話したら『今更出てきて何言うとるんや』なんて言いそうだし」

 

「キリト君、キバオウさんのことどういう目で見てるのよ」

 

「んー、そういうやつ?」

 

と、キリト達がイチャイチャし出したところで俺たちのことを自己紹介しつつ、ルナをパーティに入れることに。

 

「エギル、お前の言ってた子じゃないのか?」

 

「あいにく、雰囲気も見た目も何もかも違う、会議に参加してただけでパーティが見つからなかったんだろそいつは」

 

「エギルって背高いよねーアルゴさんと比べたらかなりの差が…

 

「オレっちは小さくナイ!そういうルナだって小さいだろ!」

 

「そんなことないよー?」

 

アルゴの背の低さをバカにしながらトールバーナの出口へ先に走っていったルナは段差に引っかかり転んだ。

 

「準備もできたしそろそろ行くか」

 

「だな、キバオウ達より早くボス部屋まで着きたいし」

 

こうして俺たちは迷宮区へ向かった。

 

────────

第1層:迷宮区

 

「おう、お前さんら、逃げずに来たのか、昨日会った時より一人増えてるが、まぁいい。せいぜい生き延びてボス部屋まで来るんやな!」

 

と、入るなり早々キバオウの罵声を浴び、それに威嚇するルナを抑えつつ先に進もうとした。

 

「別れ道……か」

 

「別れ道なんてβの時はなかったはず……」

 

「キー坊、多分だが、βの時の知識は無駄だと思う」

 

「なるほど……」

 

このことをAチームのトゲトゲに話すと『3つに別れとるんや、わいらは3チーム、それぞれ別れて進めばええやろ』などと、罠などはないと思うが……

 

「それじゃ!私たちはこっちに行こ!」

 

「ちょっ、待てよ!」

 

ルナが無理やり進んで行ったせいで俺たちは適当な道に入った。

 

────────

 

「アスナ、スイッチ!!」

 

「はあぁぁぁ!!」

 

「ルー坊!スイッチダ!」

 

「くらえぇぇ!!」

 

俺とアルゴ、キリトとアスナ、エギルとルナはそれぞれ出てきたモンスターを少しずつ倒していき、徐々に奥に進んでいくようにした。

 

「こいつらやけに強くないカ!?」

 

「アルゴ、お前も言ったはずだ、キリト達も気づいたと思うが。デスゲームになったと同時に各層、至る所が茅場によって書き換えられてる、ここに出るモンスターもだ」

 

「ルシハ……お前もβテスターなのか?」

 

()()()()はな」

 

「……?そ、そうか」

 

危ない、キリトに勘づかれ始めてる気がする。

 

「ねぇ、なんか周りの様子が変わったような気がするんだけど……」

 

と、ルナが言った通り、周りの雰囲気が一気に変化した。

 

『ブルゥゥゥ!!』

 

と、俺たちの頭上に巨大なコボルトが、そして周りには小さいコボルト達が俺たちを囲んでいた。

 

「アスナ、やるぞ」

 

「ルー坊、オレっち達も」

 

「キリト君に言われなくても…わかってるわよ!」

 

「エギル!ルナ!お前らも無理しない程度でいいから俺たちの援護を頼む!」

 

「「わかった!」」

 

コボルト達が一斉に攻撃を仕掛けてきたのをルナとエギルが弾き返し、アスナとアルゴがダメージを与え、俺とキリトがトドメを指すことにしたが…

 

「ルー坊!普通のソードスキルじゃダメージが稼げない!」

 

「わかっ……

 

ふと、上を見るとコボルトがハンマーを片手に俺の方へ飛び降りてきていた。

 

「ルシハ!危ないっ!」

 

「なっ……!?」

 

俺はルナに弾き飛ばされコボルトの攻撃を避けた、が、ルナがその攻撃をまともに受けてしまった。

 

「ルナ!」

 

「……大丈夫、回復すればなんとか」

 

「エギル、アスナ、お前はルナを守ってくれ」

 

「……キリト君ときみは?」

 

「「こいつを殺す!!」」

 

────────

キング・コボルト(中ボス)

 

Lv.12

武器:巨大なハンマー

 

────────

 

コボルトのハンマーをなんとか防ぐが……

 

「こいつ…力が強すぎる…」

 

「ルシハ!スイッチ!」

 

キリトの掛け声とともにハンマーをなんとか弾いた…が。

コボルトはすぐに体制を立て直し、キリトに向けてハンマーを振りかざした……

 

「キリト!!」

 

ソードスキルを打とうとしていたキリトは直前でキャンセルし、ハンマーを受け止めた、が。

コボルトはハンマーを何度も振り下ろし、キリトは、押されていた。

 

「くそっ…!」

 

「ルー坊!まともな攻撃は受け止めるより避けた方が………」

 

「……アルゴ、時間を稼いでくれ」

 

「何をする気ダ?」

 

「できるかわからないが、『絶界の双星剣』を発動させる」

 

「ほんとにやるのか?1ヶ月の間で出来なかっただロ?」

 

「……今やらないとダメだろ」

 

「わかった、ルー坊信じるぞ」

 

「アルゴ!あいつの気を逸らしてくれ!」

 

「わかっタ!」

 

アルゴ達が必死に戦ってる間に俺はスキルの欄の《絶界の双星剣》を見つけ出し数秒後に発動するように設定し…

 

「キリト、アルゴ!スイッチ!!」

 

「「わかった!」」

 

キリト達がコボルトのハンマーを弾き、コボルトが立ち直る前に俺はスキルの発動をした。

 

「キリト!その武器こっちに投げてくれ!」

 

「あ、あぁ!」

 

キリトのアニールブレードを左手に持ち、俺はソードスキルを放った。

 

絶界の双星剣:ゼデュース・ホーリー・ソード×アニールブレード

 

ソードスキル:エンド・リボルバー

 

「くらえぇぇ!!」

 

回転をしながら連撃を与えるエンドリボルバーを使い、コボルトの動きを封じつつ、体力を一気に減らした。

 

「まだまだ……っ!!」

 

ソードスキル:ダブルサーキュラー

 

トドメの2連撃でコボルトは体力がつき、消滅した。

それと同時に双星剣の効果は消えてしまった。

 

「ルシハ……さっき…いや、今は聞かないとくよ」

 

「……あぁ、すまないな」

 

「Congratulation!凄かったなルシハ!」

 

「おつかれさん、ルー坊。」

 

「ルシハさん、キリト君よりかっこよかった」

 

「おいおい、嘘だろ!?俺だってコボルトの攻撃を弾いたんだぞ!?」

 

「はいはい、嘘ですよー」

 

と、またまたキリトとアスナがイチャイチャし始めた。

 

「ごめんな、ルナ」

 

「いいよ、私だってまともな戦力にもなれないから、こういうことをすることになっちゃうんだ……」

 

「……絶対これ以上傷つけさせないよ」

 

「えへへ…ありがと」

 

その後、残ったコボルト達を蹴散らし、3つに別れた道の合流点についた。

 

「遅いぞお前さんら!」

 

「キバオウ、Bチームは?」

 

「あぁ、どうも()()()()()()()んや、それよりやっと名前覚えてくれはったんか!」

 

連絡がつかない……?

一応迷宮区の中でもメールはやり取り出来るはず、無理だとしてもフレンドリストで確認はできる、パーティとして登録しているなら。

 

「キバオウ、Bチームの奴らとフレンド登録してないのか?」

 

「しとったはずや、だが何故か()()()()()()()んや、バグやないのか?」

 

SAOのシステム上、フレンドリストに人が表示されなくなる事は……そのプレイヤーの()を意味する。

 

 

そう考えた時点で俺は嫌な予感がした。

キリトも同じ考えだとは思うが…

 

「キリト、お前はここで待っててくれ、俺が行ってくる」

 

「わかった、頼んだぞルシハ」

 

「……あぁ!」

 

こうして俺は、1人でBチームの通ってくるはずのルートを戻ることに。

 

P()K()…か」

 




迷宮区行くまでに700近く使うんだよ俺は。

ということで新キャラが登場。
そしてまさかの分かれ道+中ボス登場。

コボルトのリーダー的存在。攻撃力は馬鹿。

そんな馬鹿な敵にルナがやられ(死んではない)
そしてルシハ、キリト(あとから)アルゴがコボルトを倒すことに。

そして時間を稼いで『絶界の双星剣』を発動。(ただし発動はずっとできる訳では無い)
ソードスキルを見てわかる人もいるかも

────────
ルシハ
Lv.22
武器:片手剣(ゼデュース・ホーリー・ソード)
絶界の双星剣(上+α)

スキル:絶界の双星剣、限界突破、《administrator authority》
ソードスキル(片手剣):スラント、スターダスト、ヴォーパルストライク
双星剣:ダブルサーキュラー、エンドリボルバー

────────
絶界の双星剣

シークレットスペースにてルシハが入手したスキル。
発動条件などはほとんどないが、『片手剣』を2本所持していないと使うことが出来ない。

未だに片手剣の熟練度が少ないルシハは長時間の使用は難しく、スタミナもかなり消費するので連続で使うことも不可能。
ソードスキルも双星剣に合わせて、剣を2本使う。
2本持ったため、攻撃回数も増え、最大で20を超えることもある。

ソードスキル
ダブルサーキュラー
2連撃
威力:B

ソードスキル
エンドリボルバー
回転技
威力:B


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第7話 迷宮区Part2【PK】

第1層:迷宮区【Bチーム攻略ルート】

 

「おーい!誰かいないのか!?」

 

と、Bチームのルートに入ってすぐに声をかけたものの、全くと言って無反応で()()()()()かのような静けさだった。

 

(……まさかほんとにPKを…?いや、だとしても一体誰が……)

 

「お、おい!そこのプレイヤー!助け…っ!」

 

声のするほうを向くと細剣を地面にさした少女の足元に()()()()()()()()()()()が表示されていた。

 

「……また、殺した」

 

「お前……お前がやったのか?」

 

「……………」

 

少々は何も言わずに細剣を抜き、俺の方に向けてきた。

そして俺は全てを悟った。

 

『こいつがBチームを殺した』ことに。

 

「…………殺す!!」

 

(こいつ……細剣の出せる攻撃力じゃない……!!)

 

なんとか弾いているとはいえ、弾く時にも少しこっちが押し負けるほど、それだけこいつは細剣の熟練度を、こいつ自身のレベルも高いはず……

 

ソードスキル:リニアー

 

「させるか!」

 

「……っ!」

 

「話を聞け!!お前は何をした!?」

 

「………邪魔なヤツらを消した。それだけ」

 

HPゲージの上に表示されている名前……

『ハヅキ/hazuki』それがこの少女の名前だろうが…

 

フードをしているためよく見えないが、フードの影から見える目……あの時、はじまりの街でみた女の子と同じ目をしている……ということはこいつが俺を見てきていた…?

 

「……………けて…、私を……」

 

と、何かを言おうとしたその瞬間。

 

『グガァ!!!』

 

「……!?」

 

俺と彼女の間に巨大なコボルトが再び現れた。

コボルトが現れた瞬間を狙って彼女は迷宮区の出口の方へ消えていってしまった。

 

その時、俺のウィンドウに何か着信が来た……が。

 

「ルシハーー!大丈夫ー!?」

 

「ルナ!?」

 

「ルシハが心配できちゃっ……

 

巨大なコボルトはルナをターゲットとして攻撃を、巨大なハンマーで攻略をした。

 

「がは…っ!?」

 

「ルナ!」

 

小柄なルナは迷宮区の壁まで吹き飛ばされ、さらにダメージを負った。

だが、コボルトのターゲットは未だにルナのまま、コボルトはルナの方へ歩き出した

 

 

「こっち向きやがれ!」

 

ソードスキル:スラント

 

だが、ソードスキルを放ってもビクともせず、もはや無反応のままコボルトはルナへハンマーを……

 

 

「やめろっ!!」

 

コボルトの攻撃がルナに当たる前にハンマーを止めようとした、が、ハンマーの速度に追いつかず……

 

そのまま、コボルトは壁にハンマーを叩きつけた。

 

「ルナ!」

 

「……ルシハ…ごめん…ね……」

 

「早く回復結晶を……」

 

「もう……無駄だ……よ」

 

「なんでだよ!まだ間に合うだろ!?」

 

「………守ってもらうはずだったのに……私が弱いから、逆に守っちゃった……かな……」

 

……嘘だ。

……こんなこと。

 

「ルシハ……ほんとに短い間だったけど、楽しかった。役に立てもしない私をパーティに誘ってくれて…ありがと……『最期』にこれを……」

 

そう言い残し、ルナは体力が尽き、そのまま消滅……死亡した。

ルナが最後に俺のストレージに何かを入れた。

それは『月の腕輪(ムーンリング)』という装備アイテム。

特殊効果として『自動回復』が付いている。

 

……あいつは元々、ここで死ぬ気だったんだ。

 

『グガァ!!!』

 

「……許さねぇ……!!よくもルナを……!!」

 

俺は片手に力を込め、いままで放ったことの無いソードスキルを放った。

 

ソードスキル:デビル・フルバースト

 

3連撃全てに最大限の力を込め、相手にぶつける。

だが、コボルトはそれだけでは倒れず、ハンマーを振ろうとした。

それを阻止するためにもう一度ソードスキルを放つ。

 

ソードスキル:デス・スターアライズ

 

12連撃の盲目効果付きの攻撃を打ち、コボルトの動きを止めようとした、が。

そのままコボルトは倒れ、消滅した。

 

「……ルナ」

 

と、ルナの倒れた場所を見ると武器が落ちていた。

 

細剣:【Leaf under Moon】

 

意味は『月下葉の剣』、ルナは細剣使いじゃなかったはずだけど……

多分、何かしらで手に入れたんだと思う。

それをここに置いてくれたってことはいずれ使えってことなんだろうけど……

 

「……最後までバカだな…ルナ…俺だって細剣は使わねぇよ……」

 

その後、しばらく俺は放心状態だったが、キリト達がきて正気に戻った。

 

「ルナがついて行ったんだが……」

 

「キリト、アルゴ……ごめん、ルナは」

 

今まで何があったのかを説明した。

最初の葉月に関しては何も言わなかったが…

 

「ルー坊、今は悔やんでもしょうがナイだロ。今自分が何をするべきか考えろ」

 

「……そう、だな……」

 

その後、キリト達と一緒にボス部屋の前まで戻った。

キバオウ達には『モンスターにやられてしまった』とだけ伝え、ルナのことは話さないことにした。

 

「Bチームがいなくなったのは残念だが、彼らの分まで俺たちで1層を攻略するぞ!」

 

こうして、多くの犠牲を出したまま、俺たちはボス戦へと足を踏み入れた。

 




PKか、PKだ。

と、言うことで!

謎のキャラが出てまさかの結末で終わりつつ
新たにソードスキルを使い、新たなアイテムを手に入れ、
コボルトを1人で倒したルシハ。(順番がバラバラな説明)

次回、ルナの死をあとに、ルシハ達の第1層ボス戦が始まる……!!

────────

ルシハ
Lv.22
スキル:絶界の双星剣、限界突破
ソードスキル:スラント、ヴォーパルストライク、スターダスト、デビル・フルバースト、デス・スターアライズ

所持武器
ゼデュース・ホーリー・ソード(片手剣)
リーフアンダームーン(細剣)

────────
ソードスキル:デス・スターアライズ
13連撃。
威力:A
13連撃全てに攻撃力アップのバフが付き、相手には盲目効果が付く。

ソードスキル:デビル・フルバースト
3連撃
威力:A
3連撃全ての威力が高め。
特殊効果などはないが連続で使うと威力が下がってしまう。

────────
アイテム
細剣:リーフアンダームーン(月下葉の剣)
月下葉の力によりステータスアップが常に付いている。
攻撃力は33と少し高めではあるが、月下葉に闇が触れると攻撃力は66以上になる。
攻撃速度上昇、攻撃力上昇など、ステータスアップとは別で特殊効果を持つことも出来る。

アイテム:月の腕輪(ムーンリング)
自動回復効果付きの装備アイテム。
装備したものには特殊な効果が付く。

────────

え?ソードスキル出しすぎ?

気のせいよ。


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第8話 第1層ボス攻略戦【ビーター】

第1層ボス部屋

 

「アルゴ、このボス戦には取り巻きが出てくる、他のチームに伝えて前線に出るヤツらのサポートとして取り巻きを倒してくれ」

 

「わかっタ、だがルー坊、オレっちだって短剣になって戦いやすくなったんだゾ?」

 

「……その元持ち主みたいに無駄に死なれても困る、それに短剣は斧相手には不利すぎる」

 

俺がボス部屋の前まで戻った時にアルゴが短剣を装備していた、話を聞けばルナが俺を追いかける前にアルゴに自分の短剣を渡したらしい。

 

「ルシハ、アルゴ、ボスのお出ましだぜ」

 

────────

イルファング・ザ・コボルド・ロード

武器:斧、シールド(盾)

────────

 

巨大な雄叫びとともに第1層ボスが現れた。

 

「全員突撃!」

 

「おい!考えて行動しろ!」

 

「そんな事言われてもわいは信じないぞ!」

 

「……くそっ!!」

 

「キリト、俺達も攻撃に回るぞ!」

 

エギルとアルゴに取り巻きを倒すことを任せ、アスナとキリトと一緒にボスに攻撃を仕掛けることに。

斧をAチームのプレイヤーが抑えている隙に俺たち3人が交互に攻撃を繰り出し、ダメージを与える。

…が、βとの違いが現れた、それが『圧倒的守備力』だ。

俺たちの攻撃を何度も当てたとして減るのは4分の1の半分。

 

ソードスキル:スターダスト

 

「これでどうだっ!!」

 

スターダストを当てたが体力はほとんど変わらず、キリト達に後ろに下がってもらい、他のプレイヤーが斧を抑えている間、ずっと攻撃をしているが相手の体力はほとんど変化無し。

 

「ルー坊!他のプレイヤーも一旦下がるんダ!」

 

アルゴがそう叫んだ理由、それは相手の武器が『刀』に変化したからだった。

元々βの時から武器変更はあったが体力が半分減った時、斧から曲刀に変化するだけだったはず。

俺と斧を抑えていたプレイヤーは後ろに下がったが、ディアベルとほか数名は逆に攻撃を仕掛けようとした。

そしてボスの刀、ノダチが振り下ろされた。

攻撃をしようとしたプレイヤー、ディアベル達は全員その餌食になり、体力が一気に持っていかれた。

 

「おいディアベル!!」

 

「君はキリト……だね、回復結晶なんて使わなくていいよ。俺は『相手の行動も見切れなかった』んだ。それに君たちの方がこのゲームの攻略を進めてくれるだろう……俺の分まで…しっかり頑張ってくれ」

 

「…おい!」

 

ディアベルは光となり、消滅した。

 

「……キリト、少し耐えててくれ、試すことがある」

 

「ルシハがそう言うならわかった」

 

何となく後ろに下がりつつ取り巻きを倒し。

スキル欄の「administrator authority(管理者権限)」を選択した。

どんなスキルなのか謎のままだったが、死人を生き返らせる、デスゲームを終了させる、自分はログアウトする、などは使えないみたいだが、俺が思ったことなら殆どを使えるらしい。ただし、使用制限として3回しか使えないため、使いすぎるわけにも行かない。

 

──スキル【パワーバフ】

 

指定した相手に攻撃力アップのバフを最大限まで受けさせる。

こんなことに大切なスキルは使いたくなかったが…

 

「キリト、アスナ!スイッチ!」

 

ソードスキル:デス・スターアライズ

 

「これでどうだ……っ!!」

 

着実にダメージを与えられた、が、残り1ゲージを減らせずに相手の刀が俺にダメージを与え…る前に俺が蹴散らしたおかげで取り巻きがいなくなったアルゴとエギルが抑えてくれた。

 

「全く、ルー坊は無茶するナ!」

 

「トドメは任せたぜ」

 

「キリト、アスナ!」

 

パワーバフが付いたキリト達が交互に攻撃し、キリトの攻撃が相手にトドメをさし、第1層のボスは倒された。

 

ラストアタック:キリト

 

「Congratulation!!」

 

「ルー坊、あんな特別なスキル使ってよかったのカ?」

 

「しょうがないだろ、無理な相手だったんだし」

 

と、ちょっとした反省会をしてる俺たちを遠くから。

 

「ちょい待てや!」

 

と、全くバトルに参加しなかったトゲトゲキバオウが叫びだした。

 

「そっちのラストアタックをキメた黒いやつ!…いや、そっちのよく分からんやつ使ったのも黒髪だが。そんなことはどうでもいいんや!」

 

「何が言いたいんだ?」

 

「なんで…なんでや!!なんでディアベルはんを『見殺し』にしたんや!あんたらCチームの2人は武器が変わることをわかってたくせに止めに入らず、自分たちはぼーっとしとって!それで最後はかっこよくラストアタックだけ持って行って!!チートや!チーターやそんなん!!」

 

「βテスターでチーターだからビーターだ!!」

 

と、Aチームの生き残りがそんなことを口に出した、すると…

 

「そうか、ビーターか……いい名前だ」

 

キリトは床に落ちてた黒い服を着て再びキバオウの方を向き……

 

「そうだ、俺は《ビーター》だ。普通のβテスターと一緒にして欲しくないな、あんな奴らとは違ってβとの違いもわかれば攻略もわかる。お前らみたいに仲間がやられそうになってるのに全く動かず様子を眺めるようなヤツらとは違うんだよ」

 

「キリト君……」

 

「それで、そっちのよく分からん剣持ってるお前はなんなんや!」

 

「……キリトも色々言ってくれたんだ。俺だって言うしかねぇか」

 

─天使になるか、悪魔に成り下がるか。

 

「俺はアーガスの社員の1人、SAOの制作に関わり、今ここにログインしている。そしてさっき使ったのは製作者の中でも一部の人間しか使えない特殊なスキルだ。ビーターのキリトと同じくお前らみたいな雑魚どもとは違って情報もたくさん持ってる、レベルだってお前らとは桁違いなんだよ。それに、今からでも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだよ」

 

「……なんやそれ、なんやそれ!信じないぞ!わいは!」

 

「だろうな、信じないなら信じないでそれで俺は楽できるからいいけどな」

 

俺はそう言い残し、2層に続く階段へと歩いていった。

俺の発言に何も言わず、アルゴ達Cチームは黙ってついてきた。

 

「……ルー坊、あんなこと言っていいのカ?」

 

「その前にキリト達に説明しないとな、俺の本当の正体を」

 

俺は立ち止まり、キリト達にこの世界に入る前までのこと全てを話した。

キリト達が手に入れられないソードスキルやスキルを持ってること、スキルの詳細まで全て話した。

 

「……なんだ、そういう事だったのか」

 

「心配しちゃって損したかも、っておもってるでしょ、キリト君」

 

「そりゃ、俺がキバオウ達に喧嘩売った時に比べれば逆に攻略に威圧をかけた気がするだろ?」

 

「キー坊もアーちゃんもいい人だナ」

 

「キリト、こんな俺でもこれからも何も変わらず関わってくれるのか?」

 

「もちろんだ、俺だってこれからは何を言われるかわからないしな、『ラストアタックを決めたビーター現る』なんて言われるかもしれないし」

 

「そりゃ大変ダ、ルー坊のことはどう扱われるかはわからナイが、これから先、何かしらで関わるかもナ」

 

「ま、それでも俺たちの目標は『SAO』のクリアだ」

 

「そうよね、どんなことがあっても私たちは諦めずに進むわ」

 

その後、2層に入り、エギルが別行動、キリトとアスナがパーティを組んでいるため2人で行動、そして俺とアルゴも情報を集めつつ攻略を進めることに。

 

あの時、俺のウィンドウに来た通知、それは、『あいつ』からのフレンド申請だった。一応登録はしておいたが…

あいつがこれから先、あんなことを起こすなどことときの俺はわからずに攻略を進めていた。

 

 

────────

そして、時は流れ、一年と半年ほど経った頃。

 

その期間にレベルを上げ、新しく服装を変え順調に攻略を進めていた俺は、アルゴと別れ、個別に行動していた。

 

キリト達とは時々あっていて、その時にフレンド登録もした。

 

最近、メールで『圏内で殺人が起きた、それを調べてる、なにか分かったら教えてくれ』と、メールが来たが、20層以上に攻略されたSAOの中で、俺は19層、木々が生い茂る霧がかってる森に足を踏み入れていた。

 

ここに来た理由、それは、『絶界の双星剣』のもうひとつの武器をしっかりと手に入れずに片手剣だけで攻略を進めてきたが、流石にスキルを使わないのももったいないと考え、『自分が作り出した』シークレットスペースの発動条件を満たしてわざわざ上の層から戻ってきた。

 

その条件、それは

《ゼデュースホーリーソード》の熟練度をMAXにする。

 

という、ほかの人からすれば発動不能な条件を設定した。

 

そして俺は今、その発動場所にいる。

 

「……出てこい!『悪魔、サタン』!!」

 

こうして俺の命懸けの戦いが始まった。




一年半飛んだ。(原作通り?)

ボス戦が始まりました。
まさかの防御力高め武器変わるその他色々。

そこに発動したのは『管理者権限』(あの長い英語のヤツ)
発動条件はいつの間にか満たしていた。が、発動出来る回数制限が存在。

そして何とか倒せた第1層ボス。
これにて平和で終了(ディアベルは死んだ)。と思えば、キバオウが絡みに。

キリトが名言放ち悪口いいつつルシハに矢先が向かう、が、簡単に流しつつキバオウ達に喧嘩売って終わり。

時は飛び、ルシハは新たに服装を変え、武器の熟練度をあげ、レベルもそこそこあげて向かった先は『19層』(原作であまり語られてないのでもっと上の層まで進んでいると俺は考えてる)
シークレットスペースにて、ルシハは新たに武器を求める。そして、ルシハの前に強敵が現れる……

────────

ルシハ
Lv.24(第1層時点)
スキル:管理者権限、絶界の双星剣、限界突破
ソードスキル:デス・スターアライズ、デビル・フルバースト、スラント

────────
管理者権限
ルシハのスキル欄にいつの間にか現れた謎のスキル。
使用すると1部の条件以外ならどんなことでも『管理者』の元に使える。
ただし使用制限があり、最大で3回しか使えない。

残り使用回数:2


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第9話 堕天使vs悪魔【part1】

19層【シークレットスペース】

 

新たな装備『ブラックウィングコート』『ブラックウイングブーツ』を装備し、俺はシークレットスペースへ入った。

 

そして今、目の前には俺が設定したMOB『サタン』がいる。

 

────────

サタン

 

Lv.70

武器:デビルライトハンド(悪魔の右腕)

 

────────

 

先制攻撃を仕掛けたのは向こうから、片手に持った巨大な剣(片手剣)を振り、俺に当てようとする。

抑えてから弾けばいい話だが、Lv差もあれば抑えたところで他に誰もいないため時間の無駄になるだけ。

 

ソードスキル:スターダスト

 

隙をつき、ソードスキルを放つが、全くダメージにならなかった。

 

「でかいだけじゃないって事か……!」

 

片手剣の熟練度を上げたといえ、レベル差を埋めるほど攻撃力は出ず、ソードスキルも未だに増えていない。

 

(ソードスキルをいくら打ってもこっちのスタミナが先に尽きるだけだ……とはいえまだ絶界の双星剣を使うのは早い)

 

などと考えているうちに相手の攻撃が俺の死角から飛んできた。

 

「なっ……!?」

 

一気に体力を持っていかれた、が、減った体力が少しづつ回復していた。

ルナがくれた腕輪の効果だった。

 

「こんな所でも助けられるとはな」

────────

 

それからも隙をつき、攻撃を繰り返したが、体力ゲージはほとんど減らずに時間だけが経過していた。

 

さすがは悪魔、と言ったところか、神というべきか……サタンは元々強いってどっかで聞いたしソシャゲなんかでもそこそこ使えるらしいけど。

それをこのゲームに反映したのは間違いだったかもしれないな。

 

相手は剣を振り下ろしたり振り回したりしながら俺の体力を思いっきり削ろうとしてきてるが、ほとんどパターンが一緒だから簡単に避けられるし、隙が多いから攻撃ができない訳では無い。今もし続けてるわけだし。

 

とはいえ攻撃力が足りず、向こうは体力が多いため、なかなか倒すのに苦労する。

 

ソードスキル:デス・スターアライズ

 

「くらえ……っ!!」

 

シークレットスペース自体前から言ってるとおり、3回の死亡制限があるとはいえ一応コンテニューならできたはずだった、ここがデスゲームに変わってしまった以上、それも出来なければ途中で抜けることだって不可能。

だからこそどうやってクリアするか、ということになる。

 

「こうなったら使うしかないか……」

 

どれだけ持つかわからないスキル、『絶界の双星剣』を発動させた。

このまま耐え続けることができるかも分からないため、今できることはこれぐらい……

 

と、スキルを発動させたところで俺は変化に気づいた。

 

──スキル:絶界の双星剣・改

 

「スキルが進化した……?」

 

今までスキルの変化はなかったため、謎の進化に驚いてはいるが、もしこれでサタンにダメージを与えられるなら……

 

 

「……俺は『堕天使』ルシファー!!勝負だ『悪魔』サタン!!」

 

 




……まずい、変な方向に行きかけてる。というか行ってる?


悪魔サタン登場。

だが、その強さは化け物級。
攻撃力も高ければ体力も高い。
だが逃げられない環境にいるため、絶対に勝たなければ……

躊躇っていた絶界の双星剣を発動させるとまさかの進化『改』に。
進化を果たした双星剣の力とは?

────────
ルシハ
Lv.50
スキル:絶界の双星剣・改、限界突破、管理者権限

────────
アイテム(装備)
ブラックウィングコート、ブーツ

(SAOホロウリアリゼーションのキリトの初期防具)


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第10話 堕天使vs悪魔【part2】

絶界の双星剣が進化したおかげでスキル欄に新たなソードスキルがいくらか追加されていた。

絶界の双星剣・改:ゼデュースホーリーソード×アニールブレード

 

ソードスキル:ダブルサーキュラー

 

とりあえず前からあった技を放つだけでもかなり威力が変わったのが放つ側でもわかる。

バフもいくつかついていて、すごい戦いやすくなった。といえ、相手にダメージを与えられるかと聞かれると何も言えなくなるけど。

 

試しにサタンの攻撃を受け止めるとほぼ抵抗ない程にこっちの攻撃力が上がっていた。前の2倍近くには。

 

「一気に決める!!」

 

ソードスキル:エンドリボルバー

 

「まだまだっ!!」

 

ソードスキル:ブレイズスピナー(NEW)

 

バフスキル:スカーレットアグレッション(NEW)

 

ソードスキル:ボルティッシュアサルト(NEW)

 

双星剣のスキル欄に入っていたバフ効果をつけるスキルを使いつつ3つのソードスキルを一気に放つ。

相手の体力は1ゲージだけ減り、残りの3ゲージは削りきれなかった。

とはいえ、あれだけ硬かった相手に一気にダメージを与えられただけ、双星剣の強さは明らかだ、それもまだ限界突破を使っていない状態で。

 

(……これなら、行ける!!)

 

と、ここでサタンは武器を捨ててきた。

 

「どういう事だ……?」

 

と、アイテムに追加された表示が……

 

【アイテム:片手剣・デビルライトハンド】

 

なぜサタンが武器を捨てたのか謎だ、俺が設定した時点では体力がなくなってからのドロップアイテムのはずなのに……

と、考え込んでいると謎のメールが……

 

『差出人:Satan

お主の実力、見せてもらった。我の同士と認めよう、ルシファーよ。悪魔となるか天使のままか、それはお前が決めることだ。この剣はいづれお前を助けることになるであろう、最後に我にお前の全てをぶつけるがいい』

 

「……MOBがメールを、か」

 

サタンに言われた通り俺は剣を装備した。

左手にゼデュースホーリーソードを、右手にデビルライトハンドを装備し、双星剣のソードスキルをサタンにぶつける。

 

「はあァァァァ!!!」

 

ソードスキル:ナイトメアレイン(NEW)

 

8連撃をサタンに叩き込むと体力は残ったまま、サタンは消滅し、そのままシークレットスペースも消滅した。

 

なぜ、サタンに感情が現れ、俺をルシファーと認め、そして剣を渡して倒されることを望んだのかはわからないままだが、やつが最後に言った言葉、それだけは忘れないように、俺は言葉を胸の奥に閉まった。

 

『悪魔となるか、天使となるか。──この剣はお前をいづれ助けてくれる』

 

────────

19層、森の出口に向かう途中、双星剣のスキルを切った直後、キリトとアスナがちょうどイチャイチャしていた。

 

「ルシハ?どうしてここに…」

 

「ちょっとしたアイテムを取りに来たんだ。そういうお二人は?」

 

「私たちはちょうど『圏内事件』の謎を解いて犯人も見つけて帰るところよ」

 

「んじゃ、俺は2人の推理でも聞くかな」

 

「あぁ、そうだな、ルシハにもこの件は話しておいた方がいいだろうし」

 

「それならさっき寄ってきたお店に行きましょ?結局飛び出してきて何も食べれなかったし…」

 

「お、俺が悪かったから悔やみながら相手と1戦交えるのはやめて欲しかった」

 

「いいのよ、ちょっとした事件を解決出来たのだから、その代わりキリトくんの奢りね?」

 

「……やっぱりそうなりますよね」

 

こうして、サタンとの戦いは終わり、キリトたちと一緒に飲食店へ行き(キリトの奢りで)飯を食べながらお互いの話をすることに。

シークレットスペースの条件は知らないけど、それでも誰かが巻き込まれてる可能性もある、ということも話し、双星剣が進化したことなども話した。

 

それと共に向こうからは『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』という、殺人ギルドがどこかに存在することを教えて貰った。

 

────────

その後、キリト達とわかれ、再び一人で行動していると、アルゴとばったり会い、久しぶりのパーティを組みフィールドへ出た帰り道。

 

廃墟となっているエリアに差し掛かり、探索スキルを覚えたアルゴが探索しつつ、先に進むと誰かの話し声が。

 

その声の主は『あの時の女の子』ともう1人だった。




バトルがいきなり終わるのは俺の小説あるある。はい、期待してた方すみません。

サタンが何をしたかったのか謎。
双星剣が改になった途端いきなりソードスキルが増え、さらに強くなったという。

新たな武器も手に入れ、これから先負ける気しない気もするルシハは帰り道、キリト達と会う。
『圏内事件』とやらを終え、帰る途中だったらしい。

『ラフィンコフィン』とは一体…?

そして単独行動にもどり、どこかへ行こうと思っていたその時、アルゴが合流。

フィールド出るとまさかの展開に。

────────

ルシハ
Lv51
スキル:絶界の双星剣・改、限界突破、管理者権限

双星剣ソードスキル:ダブルサーキュラー、エンドリボルバー、ブレイズスピナー、ボルティッシュアサルト
双星剣スキル:スカーレットアグレッション

────────
アイテム:片手剣
デビルライトハンド(悪魔の右腕)

名前だけ聞くともぎ取ったかのような名前。
特殊な効果は特にないが、ゼデュースホーリーソードを持っているだけで攻撃が上がる(倍率は2~4)

────────
スキル:絶界の双星剣・改

スキルを放つまでの時間が短縮され、常時攻撃力上昇のバフがつく。
攻撃回数は変わらないものの、剣を振る速度がバフにより上がるため、ダメージを稼げる。

────────
ソードスキルに関してはいつかまとめて出します(大体攻撃とか同じ感じだから書けないとか言えない)

ちなみにNEWのソードスキル、全てSAOホロウリアリゼーションに入ってる技(NEW以外もそこから取ってきた)オリジナルを除く


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第11話 月下の少女【part1】

 

あの時の少女、ハヅキが話している相手はハヅキより背が少し高く、見るからにハヅキより歳上だとわかる。

 

「ルー坊、行かなくていいのカ?」

 

「アルゴ……今は様子見だ、俺が出たところでどうにかなるもんじゃなさそうだし」

 

話をしてる2人は喧嘩をしているようにも見え、今入っていったところで邪魔になるだけ……

 

「なんでお姉ちゃんはそういうこと言うのさ!」

 

「……あなたが、心配だか──

 

「そんなこと……私は信じない」

 

「…いいわよ、ハヅキがやりたいようにやって。でも、ほんとにハヅキが言う『その人達』が正しいのかは考え直し……

 

と、『お姉ちゃん』と呼ばれたもう1人の方が喋り終わる前にハヅキはソードスキルを発動させた。

話を聞いていたとはいえかなりの距離があるため、すぐに止めに入ることは無理だった。

 

「おい!何やってんだ!!」

 

「「……!?」」

 

アルゴには影で待機してもらい、俺だけがソードスキルを連続で放とうとするハヅキの前に出た。

 

「もう……遅い……」

 

と、呟きハヅキは走り去ろうとした。

それをアルゴが止めようとするが、ソードスキルでアルゴを攻撃しようとしてアルゴが避けた隙にどこかへ行ってしまった。

 

「……大丈夫ですか!?」

 

「あなたは……あの子を知ってるんで…すか?」

 

「………はい」

 

「……もし、あの子にあった時、あの子が間違えたことをしていた時……伝えてください…『誰もあなたを恨んでいない。今まで気づかなくてごめん』……って。『あなたを嫌いだなんて思ってない』って……『ごめんね』って」

 

その言葉を最後に、姉の方は光となり消滅した。

 

「ルー坊………」

 

(ハヅキ……お前はなんでこんなことをするんだ……)

 

俺はそう考えながら、フレンドリストのハヅキを選び、プレゼントを送った。

『どう使うかはお前次第だ』と、メッセージを付けて。

 

「アルゴ、街に帰ろうぜ」

 

「あ、あぁ……大丈夫なのカ?」

 

「……大丈夫だよ」

 

────────

街に戻り、宿を借りて休むことにした、が。

ハヅキがなんであんなことをしたのかを考え込んでしまい、休むどころか逆に疲れる結果に。

 

と、考えてる俺の元にアルゴと共にピンク髪の女の子が来た。

 

「ルー坊、やっぱり考え込んでたカ、そんなお前にオレっちが特別に『鍛冶屋』を連れてきたゾ」

 

「あたしはリズベット、なんで落ち込んでるかは聞かなかったけどせめて剣の状態を整えるぐらいはして欲しいってこの情報屋に言われてね。ってことだから剣貸して!」

 

「見て驚くなよ」

 

俺は最近手に入れた1本と最初からずっと使っていた剣、そしてアニールブレードの3本をリズベットに渡した。

 

「なにこれ!?熟練度がMAXなだけでなく、耐久度1のまま耐えてるし、それもそれなのに攻撃力が高いじゃない!?……アニールブレードは普通以下みたいだけど」

 

「ま、アニールブレードは少ししか使わなかったからな」

 

俺がアニールブレードを持ったのは2層に入ってすぐ、それからは表では双星剣を使わず、レベリングのためにたまに使っていただけなので、アニールブレード自体の強化も熟練度もほとんど初期のまま。

 

「この剣重くない?持つだけですっごく疲れるんだけど」

 

「そうか?」

 

「ルー坊はずっとその剣を使ってたからナ、そこらのプレイヤーとは違うんダ、オレっちが言うことでも無いけど」

 

「とりあえず、耐久度はMAXに戻して、返すわね。それまで『考え事』以外でなにかしてなさいよ」

 

「あぁ、わかった」

 

「ルー坊、今夜も一緒に止まらせてもらうゾ」

 

「………は?」

 

その後、武器を打ち直してもらい、ちょっとした話をした後、『管理者』としての話も教えたらなにかに納得しつつ、リズベットは『自分の店』に帰って行った。

 

「……んで、また脱いでるのか、1層以来か」

 

「だから変な誤解を生むだロ!!……フードあると寝にくいだけダ!」

 

「…はいはい」

 

……ありがとな、アルゴ。それにリズベット。

でも、あいつが何をしてるかを判明させるまでは考えるしかないんだ。

 

────────

翌日、俺とアルゴはキリトに呼ばれた。

 

話を聞くと『解放軍』とやらを作るために会議をするらしい。




終わり方。

アルゴとの添い寝イベントをまたまたやりつつ

廃墟にいたのは第1層のBチームを蹴散らした少女『ハヅキ』と『姉』。
ソードスキルによりボコボコにされた姉から伝言を伝えられたルシハ。

彼女は一体何をしているのか。


そしてリズベットが登場。

気を紛らわせようとしたがルシハは諦めきれない様子

翌日、キリトに呼ばれたルシハとアルゴ。
会議をするらしいが……?




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第12話 解放軍【結成】

あ、今更ですが前の話とかで変更した点がありますので、探してみてください。


リズベットに剣を直してもらった翌日。

俺とアルゴはキリトに指定された転移門広場へと到着した。ここは1層では無いけど。

 

()()()を作るためにお前とアルゴにも来てもらいたい』

 

と、一言メールで終わらせたキリトのせいで、解放軍が何のために作られるのかの説明は全くされなかった。

 

「キー坊が来たみたいだ」

 

と、数日前にあったキリトとまた再会した。

 

「いきなり呼び出してすまないな。俺についてきてくれ」

 

「キー坊、解放軍ってのは何なんだ?」

 

「それはまだ話せない。周りに聞かれると少しまずいんだ」

 

「アルゴ、気になると思うけどノートに書くなよ」

 

「ルー坊……」

 

何気ない話をしながら俺達が到着したのは大きな建物だった。

 

《血盟騎士団ギルド本拠地》

 

と書かれた看板が立っている。

 

「それじゃ、入ろうぜ」

 

「キリトも来たことないのか?」

 

「……俺も『副団長様』に呼ばれたんだ」

 

副団長が誰なのか考えつつ、俺たちはギルドの中に入っていった。

そしてギルドの中にいた人に指示され、入った部屋は大きなテーブルがある、『会議室』のようなものだった。

 

「いらっしゃい、キリト君、それにルシハ君とアルゴさん」

 

「アスナ?」

 

「キー坊、もしかして副団長って…」

 

「そう!我らがアスナ様である!」

 

「ふざけないで、適当な場所に座っていいから」

 

と、キリトが思いっきり空気を崩したところでアスナに指示され、俺たち3人は席に着いた。

 

「ようこそ、血盟騎士団のギルドへ」

 

テーブルの向かい側には全身ほぼ真っ赤の服を着た男が座っていた。

アスナはその横に座り、俺たち3人を順番に見た。

 

「いきなり呼び出してすまなかったね。アスナ君にお願いして『1番強そうな攻略組のメンバー』を呼んでもらったんだ。おっと、私はこのギルドの団長、《ヒースクリフ/Heathcliff》だ」

 

「アスナ、攻略組の中で俺たちを選んだのか?」

 

「そりゃあ、キリト君もルシハ君もアルゴさんも実力は周りと桁違いじゃない」

 

「そうだけど……」

 

「ま、オレっちはアーちゃんがオレっちのことを強いって見てくれて嬉しいけどナ」

 

「……それで、団長様は、なんで俺たち3人を呼んで、『解放軍』を作るんだ?」

 

「解放軍のメンバーは我ら血盟騎士団の兵士たちとアスナ君に任せる。君たちはそれに手を貸してほしいのだ」

 

「あんたは?」

 

「……私は忙しくてね」

 

ま、そりゃ、ギルドの団長様は、忙しいよな。

で、問題は何を解放するのか、なんだが。

 

「《ラフィンコフィン》を壊滅させ、メンバーを改心させようと思ってるのよ、私たち血盟騎士団、そして団長は」

 

「それなら俺たちはいらなくないか?」

 

「アーちゃん以外はあまり戦力にならないカラ、だロ」

 

と、アルゴが鋭いことを。

もちろんその考えは図星だったようだが、理由はあるらしい。

攻略組と解放軍を分けて行動させるらしく、『忙しい』って言うのはそれを意味してたらしい。

アスナと俺たちが抜ける分をどうにかして補うためには血盟騎士団のメンバーの主戦力を攻略組に回すらしい、今回は『74層』の偵察部隊なだけらしいけど。

 

 

「ま、解放軍に参加するのはわかった。それでラフィンコフィンのアジトは掴んでるのか?」

 

「キリト君、そこは既に掴んでいるわ、それで明日にでも突撃しようかと思って急遽君たちを呼んだのよ」

 

「とりあえず目的を再確認させてくれ」

 

解放軍としての目的。

殺さずに改心させて犠牲を出さずにラフィンコフィンのメンバーを解散させる。

解放軍メンバー:血盟騎士団副団長アスナ率いる兵士たち+攻略組最高戦力3人

「……んじゃ、明日またここに来ればいいんだな?」

 

「…えぇ、キリト君もルシハ君も明日までゆっくり休んでね」

 

────────

それから俺たちは血盟騎士団ギルドをあとにし、次の日に備えて準備をすることに。

 

「アルゴ、隙があればヒースクリフを調べてくれ」

 

「ルー坊が言うならしょうがないガ、なんか気になるのカ?」

 

「……ちょっとな」

 

……あの男、何かを隠してるような気がして気になるんだよな。

 

殺人ギルド、ラフィンコフィン。

もし、『あいつ』がいたら俺はどうすれば……?

 

「ま、今は考えなくていいか」

 

次の日、俺たちは血盟騎士団ギルドに行き、解放軍のメンバーとして『ラフィンコフィン』のアジトに向かった。

 

 

そして………




ヒースクリフ来た。アスナ副団長きた。血盟騎士団きた。


ということでまさかの会議する人数でもなく、むしろ会議とはなんぞや状態。

時間が経ち、74層まで進んだ《攻略組》。
偵察部隊なだけだがかなりの戦力を連れていった血盟騎士団。
それとは逆に負ける気満々の解放軍の血盟騎士団。

メンバーにキリト達を入れることでカバー出来るのか?

────────

次回。
《vsラフィンコフィン》

衝撃の事実が明らかになる…!?


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第13話 vsラフィンコフィン【改心】

翌日、血盟騎士団ギルドに来た俺たちはすぐに解放軍と共にラフィンコフィンのアジトに向かった。

その道中でクライン率いる『風林火山』というギルドと遭遇し、クラインの提案で解放軍に風林火山も参加することに。

 

「みんな、着いたわよ!」

 

アジトがあるのはある層の迷宮区の隠し部屋のような空間。血盟騎士団を先頭に入ると……

 

「よく来たなぁ!!ギルドをかき集めて作ったパーティの諸君!」

 

「なっ……!?」

 

ラフィンコフィンの人数は元々少なく、その殆どがPKをするために外に出ていてアジトに残ってる人数は数名ほどと聞いていた、だが、『誰か』が情報を漏らし、ラフィンコフィンのメンバーはほぼ全員がギルドにいる。

人数で見ると30人近く、こっちのメンバーとほぼ同じ人数がラフィンコフィンに入っている。

 

「アルゴ、やるぞ」

 

「もちろん、そのつもりダ」

 

先制を仕掛けたのはラフィンコフィンのメンバー。

血盟騎士団の兵士たちは盾を持ち、ガードをしながら耐え続ける。

俺ら攻略組と風林火山も同じように相手の攻撃は全て防ぎ、時間をかけてでも改心させる。それが今回の目的……だが。

血盟騎士団の兵士を攻撃しようとしている細剣使い、ハヅキの姿を見つけた。

 

(やっぱり…ラフィンコフィンのメンバーだったのか…)

 

「させるかっ!」

 

兵士の前に入り込みソードスキルを放った細剣を弾き、俺はハヅキの前に立った。

 

「……なんでいるの」

 

「さぁな、別に好きでいるわけじゃねぇよ」

 

「なら──

 

「おいおい。解放軍の野郎と何話そうとしてんだ?()()()()()()()が」

 

俺とハヅキの横から声を出してきたのはラフィンコフィンのメンバー。

 

「どういう事だ……!!」

 

「特別に教えてやるよ。そいつはまんまと()()()()PKをする『人殺し』なんだよ」

 

「……!?」

 

「『恨みのある人間、邪魔な人間は殺せばいい、殺せばお前の悩みなんて簡単に解消できる』なんて、見え見えの嘘を着いたらほんとに信じてPKをやり出したんだから、こりゃあ驚きだぜ?」

 

「そんな……」

 

「1層の迷宮区で複数人PKして、最近になりゃ、()()()()でさえ殺して。全部俺らに騙されてたなんて、お前は知らずになぁ!!」

 

その言葉でハヅキは膝をつき、そのまま戦意喪失した。

 

「ダメだよなァ。そんなンじゃ全然ダメだ、もっと絶望しろよ、苦しめよ!自分が行ったこと全て!」

 

「お前……!!」

 

「あァ?なんだ?こいつを庇うつもりか?『人殺し』を繰り返したやつを?へっ、笑わせてくれるねぇ……」

 

「なんでハヅキを騙した…」

 

「そりゃあ兄ちゃん、こいつぁ単純に俺らにはめられただけだぜ?別に理由なんかねぇよ」

 

「……お前らみたいなクズのせいで人の未来を崩すんじゃねぇよ!」

 

ソードスキル:デス・スターアライズ

 

「へぇ、なかなかやるねぇ。だけど、今回はこのぐらいでおわりだ」

 

そういった瞬間、解放軍と戦っていた『一部の』ラフィンコフィンメンバーがどこか消えた。

一応目的である改心も少人数だが出来たらしい。

 

「……ハヅキ」

 

「来ないで!!」

 

「帰るぞ」

 

「……なんで」

 

「お前はもうラフィンコフィンじゃない。行く宛もないなら一緒に行くぞ」

 

「簡単に人に騙されて、何のためらいもなく人を殺して、それでいてお姉ちゃんまで殺して、あなたの仲間にも被害を出そうとした!こんなクズな私に生きる価値なんてないでしょ!あなたについて行っても足でまといになるだけ──

 

「………君のお姉さんから伝言だ」

 

「……!?」

 

「『ハヅキを、私は恨んでなんかいない。気づかなくてごめんね』って」

 

「お姉……ちゃん…」

 

「ハヅキ、人間誰にも、生きる価値なんて存在しない。あったとしても誰も見い出せない。それが価値だ。人間誰にも、運命が存在する。その歯車を壊すのは簡単だ。人間の運命なんか少しの間違えで全て狂う。お前は他人の歯車を狂わした。だからこそ、もう。他人の歯車を崩すんじゃねぇよ。簡単に命を捨てようとするんじゃねぇ。お前がするべきことは殺した人の分まで、お前のお姉さんの分まで精一杯生きて、この世界から脱出することだ」

 

「………ごめん……なさい……ごめんなさい…!!」

 

「死んで自分の運命から、やったことから逃げるな」

 

「……うん…」

 

この後、心に傷を負ったハヅキを背負って迷宮区を抜け、先に出て行ったキリトと風林火山のメンバーとアルゴと合流した。

 

「ルー坊と一緒にいた時に遭遇した、ルー坊がきになってた子だナ」

 

「アルゴよりは年上か」

 

「おいキー坊!余計なこと言うナ!それにオレっちはおねーサンだぞ!」

 

「はいはい」

 

「おいおい、キリトもルシハも随分変わっちまったじゃねぇか」

 

「そりゃ、こっちのセリフだ」

 

「ほかのゲームのギルドのメンバーってことは聞いたけどずっと最前線で戦ってるって聞いた時は驚いたぞ、クライン」

 

「ま、これが男らしいってこ…ぐはぁ!?」

 

と、ふと気づくと背負っていたハヅキがいつの間にか降りて降りた先でクラインがなぜか蹴りを入れられていた。

 

 

「……ごめんなさい!!」

 

「第一声がそれとはナ」

 

「ハヅキ。何があったのかわからないけどさ、一人で抱え込んだままはダメだよ、お前には『仲間』がいるんだ」

 

「………ありがとう」

 

「キー坊、ルー坊、それにクライン」

 

「オレは呼び方ねぇの!?」

 

「それにここにはいないケド、血盟騎士団のアーちゃん。オレっちも。みんなが君の仲間だヨ」

 

「…うん」

 

「さーてと、俺らはそろそろ行くぜルシハ!」

 

「「空気読めよ」」

 

空気を読まなかった風林火山のメンバーが帰った。

 

「それじゃ、俺もそろそろ行かせてもらうよ。ルシハ、その子…ハヅキ、またな」

 

────────

結局、アルゴは最前線の74層の状況を血盟騎士団の攻略組(偵察組)とは別で確認するため俺らと別行動を。

 

「結局さ、あの武器はどうしたんだ?俺があげたプレゼント」

 

「これから先…『自分の道』を行くために使う」

 

「……いい答えだ、けど、無茶するなよ」

 

「うん、ありがとう……ルシハ」

 

「とりあえず部屋取れなかったから同じ部屋でいいな」

 

「……え?」

 

「……ダメ?」

 

その日の夜はなぜかハヅキがアルゴと同じようなことをしつつ同じ部屋で寝た。

 

それから数日はハヅキのために防具を手に入れたり、戦闘したりした。

 

フィールドでハヅキは持っていた武器、それは俺がプレゼントした『月下葉の剣』。ルナが死ぬ前に俺に置いていった細剣だ。

 

────────

ハヅキside

 

「……変なの」

 

横で寝ているルシハの寝顔を覗きながら私はそう呟いた。

それと共に『このゲーム』に入ってきた理由を思い出していた。




ついにツーsideになりますね(ツーsideってなんや)

ラフィンコフィン討伐(殺しはしない)開始。
そこにはルシハの考え通り、ハヅキがいた。

ハヅキはラフィンコフィンのメンバーに騙されて人殺しをしていたという事実が発覚。

ルシハが微妙にかっこいいこと言いつつハヅキは改心(というか心が折れたというか)した。

風林火山(クライン率いる)がなんとなく登場し。
新たにハヅキが仲間になりました。

もちろん(!?)添い寝イベントを入れた。

数日間行動を共にしたハヅキは何を思うのか、そして何を思い出したのか。

次回、回想シーン(絶対苦手なヤツ


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第14話 月下の少女【part2】

私が『SAO』にログインした理由、それは『自由』になりたかったから。

 

そんな、くだらない理由を作ったのは家族だった。

 

中学2年生の後半から、親が「エリート校」に進みなさい。って言うようになっていた。

元々、親は大手企業の課長をやっていて、自分たちが超エリート校を卒業したことを自分たちの子供に押し付けようとしているだけ。

それも、日和(ヒヨリ)お姉ちゃんは普通に進学したのに、()()()進学先を固定された。

 

結局、近くの高校は倍率が高すぎて受験前から無理だとわかって、少し遠くの高校はエリート校だけど男子校。

……と、無理な話を押し付けられていた。

 

それでも親は無理矢理にでも進学させようとエリート校だけを探した。

 

結果的に私は親の意見を全て無視し、高校に行かずにアルバイトすることに。

 

中学の時から友達を作らなかった私はアルバイト先でも全て1人で仕事をこなした。

 

その間も親は普通に進学していた()()()()()お姉ちゃんにだけ構っていた。

 

お姉ちゃんは私に気をつかってくれていたと思うけど、私はそんな『優しさ』に気づかないまま。

 

そんな私はネットでちょっとした記事を見つけてお姉ちゃんと一緒に見ていた。

 

「そーど…あると…おんらいん?」

 

「葉月…それ、ソードアート・オンラインね。artってたしかにアルトって読めないこともないけども」

 

「あ、これアートだっけ……それでなんなのこれ?」

 

「…記事を書いたのはソードアート・オンラインの製作者代表の『如月』って人ね、これ、『VRMMO』ってやつの『フルダイブ型仮想世界』……難しい言葉ばっかり」

 

────

我々、アーガスは「フルダイブ型仮想世界」の実現を可能にさせ、ついにVRMMORPG、ソードアート・オンラインを『ナーヴギア』と共に発売することに決定した。

それに伴い、βテ……

────

 

「お姉ちゃんはやるの?」

 

「葉月がやるならやろうかなーって思ってるけど」

 

「……そう」

 

「……?」

 

お姉ちゃんの答えを冷たく流し、パソコンに視線を戻した。

この時から、何故か私は『お姉ちゃんが私を恨んでいる』『私は不自由だ』と、ありもしない感情を抱くようになっていた。

 

────

私は運良く『βテスト』をやることが出来た。

その時作ったアバターは『身長が低く、体型も普通でそれでいて貧乳』の私とは真逆で『身長は高く、体型は変わらず普通でそこそこ胸がある』と、自分を偽ったアバターを制作し、βテストに参加した。その時に細剣の戦い方を出来るだけマスターした。

 

お姉ちゃんはβテストには応募していなかったらしい。

 

 

それからしばらくして、SAOの正式サービスが開始され、βテストの時と同じアバターを使って狩りをしていた私は『片手剣を使う3人の男達』を横目に街に戻った。

そこで事件は起きた。

 

SAOの開発者、『茅場なんとか』が《デスゲーム》と宣告をした、それと同時に手鏡が手元に現れ、私はアバターを現実と同じ見た目にされた。正直ショックだった。

 

はじまりの街の転移門広場に転移されてきたプレイヤー達も同じように「現実世界の顔だ!」とか叫んだりガッカリしてたりしてた中、多分狩りをしてた時に見た人達と思う3人の男達が路地裏に向かおうとしていた。

その中で1人と目が合った。それが、ルシハ。

 

3人を遠くから見送りつつ、行く宛もない私はフィールドに出た。

 

……その時に、私の運命は悪い方へとずれた。

一年後、ラフィンコフィンのメンバーの一人として解放軍のルシハと私を挟んだ『あの男』に嘘を吹き込まれ、私はPKをするようになっていた。

 

そして、第1層の迷宮区に行って、Bチームに入り、Bチームの人たちを()()()

 

その時点で抵抗が少しあったのに、あの時にルシハと再会したのに、PKをやめず、『邪魔なヤツらを消しただけ』なんて嘘をついてルシハにも攻撃しようとして、「助けて」って言おうとしてもコボルトが間に現れて、そのまま私は逃げ出してしまった。

 

もし、あの時に私もコボルトを倒すのに参加していたら、後でルシハから聞いた『ルナ』って人も死んでなかったのかもしれない。

お姉ちゃんを殺していなかったかもしれないのに……

 

解放軍がアジトにやって来るって情報はラフィンコフィンのメンバーの中で()()()()()()をした男が話してきたりしたけど、その後のショックで今は思い出せない。

 

第1層で、ルシハについて行けば。あの男に騙されてなければ私は道を間違えなかったのかな……

 

────

 

「……どうすればいいの…お姉ちゃん…」

 

私はルシハが寝ている横で静かに呟いた。

 

────

そんな日から数日経ち、静かな草原の景色のいい高台で私はルシハと一緒に昼寝をしていた。

 

 

そんな時、ルシハにアスナからメールが届いた。

 

────

ルシハside

 

「……なるほどな」

 

メールの内容、それは。

 

『74層の偵察は終わったから、近々攻略に行きたいから、明日あたり、また、あのラーメン屋に集合してほしいけど大丈夫?キリト君から聞いたけどルシハ君の新しいパーティメンバーにも来てもらえるかな?』

 

と、なんで俺たちに攻略を頼むのかと思いつつ、ハヅキにも内容を見せ、次の日、俺たちはラーメン屋へ行った。

 

 




ちょっとふざけてみた(葉月が)

ちなみに触れてないですが葉月の目の色は水色で日和の目の色は赤です。誰得

葉月のログインする理由は自由になりたかった。ただそれだけなのに。
ラフィンコフィンのせいで、茅場なんとかのせいで全てが滅茶苦茶に。

そーどあるとおんらいん


ルシハと出会い、少しだけ心に迷いが生じた葉月は第1層の時点で選択を間違えてしまっていた…


そして現在に戻り、ルシハの元にアスナからメールが。

次回、74層へ……?


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第15話 悪魔と月と黒と白の剣舞【ウサギ】

次の日、いきなり集合場所が変更になった。

 

集合場所に決定したのはエギルが経営している店。

なんと、キリトがとある層でS級のレアアイテム、『ラグーラビット』の肉を手に入れたらしく、とりあえずたまたま店によったアスナが、調理するらしい。

 

────

エギルの店

 

「なんでですか!?そんなビーターと一緒に行くことなんて許しま─

 

「だーかーら!!クラディール、今日はもう護衛はいりませんから帰ってください」

 

「……覚えとけよ」

 

エギルの店の入口にたつとともに店の中からアスナともう1人、クラディールと呼ばれた男の叫び声が聞こえた。

そして、店の扉を勢いよく開けてそのままどこかへさっていった。

 

「あ、ルシハ君、来たんだね」

 

「ごめんな、ホントは74層の攻略を始めようと思ったんだが、レベリングをソロでしてたらたまたまラグーラビットに出くわして、シュパッとアイテムにしたんだけどさ、調理か売るかでエギルの店によったらちょうどアスナとさっきのクラディールってやつが来てさ、それでアスナが()()()()()()()()()()()って言ってたから急遽アスナの家におじゃますることになって、とりあえずここを集合場所にしたんだ」

 

「な、なぁ、キリト。俺にもラグーラビットの肉を分けてくれよ」

 

「原稿用紙8枚ぐらいにまとめてやるよ」

 

「嘘だろぉ!?」

 

と、エギルの雄叫びを聞き流しつつ、アスナを先頭にアスナの家へ向かった。

 

「あ、あのっ!」

 

「あ、ごめんね、せっかく来てくれたのにこっちからは説明なしで」

 

「い、いや……」

 

「私は血盟騎士団の副団長をやってる、アスナって言います。ルシハ君、キリト君から君のことは聞いてるよ」

 

「えっ?ルシハから…?」

 

「詳しいことは知らないけど、ハヅキさんだって、悩みは誰かにうち明かした方がいいのよ」

 

「……ありがとう」

 

「あ、着いたわ、ようこそ、私の家へ」

 

────

家に着くなりアスナは私服に着替え、エプロンをかけてラグーラビットの調理を始めた。

 

「……やっぱりお肉と言えば肉じゃが、だけどそれじゃもったいないわよね…肉の旨みが……よし!それならラグーラビットの肉は……

 

と、独り言を呟きながら調理を進めた。

 

数分後。

 

「出来た、けど。あなた達いつまでそんな服装してるのよ、着替えないと食べさせないわよー?」

 

「あ、あぁ…」

 

俺とキリトは同じ部屋で、ハヅキは別室で着替えた。

ハヅキがいつもどんなカッコで寝てるか知ってる俺からすれば別室にしなくても抵抗はない。キリトはあるだろうけど。…慣れって怖いな。

 

と、キリトと俺の私服が見事に同じもので驚きつつテーブルにつくと私服に着替えたハヅキが隣の部屋から出てきた。

 

「私がたまーに着てるやつだけど…似合ってるからいいわね」

 

「……なんで少しぶかぶかしてる…(特に胸のあたり)

 

と、丸聞こえな小声を出しながら少し恥ずかしそうにしてるハヅキもテーブルに座り、アスナが調理した鍋の蓋をテーブルの上で開けると……

香ばしい香りとともに現れたのはシチューだった。

 

「「す、すげぇ!!」」

 

「…美味しそう」

 

「でしょ?これでもシチューって何度も失敗したのよ…こんな事があるとは思わなかったけどシチューまてコンプしておいてよかったわ、どうぞ食べて」

 

「「「いただきます」」」

 

アスナも含め4人同時にシチューを口に運ぶ……

 

「……う、美味い…美味すぎる……!!」

 

「…うん」

 

「流石アスナ様……」

 

「…私の腕もいいけどラグーラビットの肉も美味さに含まれるわよ……」

 

こうしてシチューを最後まで堪能した俺たちは食後、アスナがいれたお茶を飲みながら、アスナが言い出したことについて、話すことに。

 

「『この世界から早く出たいか出たくないか』……簡単に言えば戻りたいか」

 

「話を持ち出したアスナはどうなんだ?」

 

「でも、私は帰りたい、だって、あっちでやり残したこと、いっぱいあるから」

 

「そうだな、俺たちが頑張らなきゃ、サポートしてくれる職人クラスの連中に申し訳が立たないものな」

 

「ハヅキちゃんは?」

 

「……私はどっちでもいいかな」

 

と、キリトとアスナがハヅキに話を振った、が、ハヅキの答えは曖昧なものだった。

 

「つまり、現実に戻るより、この世界の方が行きやすい、ってことか?」

 

「…ルシハの言う通りだよ」

 

「ま、人それぞれだよな、そういうルシハは?」

 

「俺は帰ったところで一人暮らしで、アーガスはどうせ潰れるからどっちでもいいな、俺も」

 

「……アーガス?」

 

「あれ?話してなかったっけ?」

 

「…聞いてない」

 

「んじゃ、2人にも改めて紹介するか」

 

────

俺は高校の途中で茅場に『アーガスに入らないか』っていきなり言われて、それも道の途中でな。

それでアーガスに入ってSAOの制作に参加した。

その時に上司から渡されたソフトでログインしたら周りが使えないスキルが使える特殊アバターだった……最後のはほんとかわからないけど

 

────

「ま、そういう事だ」

 

「それで、管理者権限とやらを使える、と」

 

「まぁな…だが、絶界の双星剣、限界突破はユニークスキルにも分類されないんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「絶界の双星剣はこのゲームに元々、『二刀流』って言うスキルがあって、そのスキルで使えないスキルが使えるのと、随時スピードバフがついてるぐらいの違いがあるだけだ」

 

「二刀流……?」

 

と、キリトが不意にスキル名に反応したけど、周りのふたりは気づかない様子だ。

 

「スキル名で言えば『ナイトメアレイン』、とかな」

 

「スキルって言われても……」

 

「……二刀流を持つ人がいないから」

 

「ま、だろうな、俺も『少し前までは』その人を知らなかったからな」

 

「まぁ、そんな話しても現れるわけじゃないし、キリト君達は今日は遅いけどどうする?」

 

「俺とハヅキは宿に泊まる」

 

「キリト君は?」

 

「俺も宿かな…」

 

と、俺達が発言するとアスナはリビングの奥に行き、数分後、2つの袋を持って出てきた。

 

「これは、寝袋」

 

「アスナ…これで寝てるの?」

 

「ハヅキさんに言われると悲しいんだけど…」

 

「それで、その2つの寝袋でどうしろと?」

 

「実は、ベッドが1つあって、それは2人寝れるスペースで、あとの2人は床で寝てもらうのもあれだと思って買っておいたのが寝袋なんだけど…」

 

「……んじゃ、俺とハヅキが寝袋だな」

 

「ルシハ……簡単に決めないでよ、いいけど」

 

と、時々明るくなるハヅキの性格を少しばかり利用しつつ、俺たちは寝袋で寝ると言ったが…

 

「2人はいいと思うけど……」

 

「それに、キリトとアスナはいつも一緒にいるんでしょ?」

 

「ハヅキさん…これでもキリト君とはほとんどパーティ組んでないのよ、せめて一緒に行動したといえばあの時の圏内事件ぐらい…」

 

「でも、2人は仲良しだし、私はルシハと寝ると安心出来るから…」

 

と、ハヅキが無理矢理にでも寝袋で寝るということで決まり、俺はハヅキの指名で寝袋に。

 

「……結局私服のカッコも脱ぐんだな、アルゴと同じで」

 

「……バカ」

 

アルゴとハヅキが同じように寝るから何故か慣れてしまったこの光景も、慣れって怖いなと思いつつ、ふと、アルゴがどこに行ったのか気になった。

 

(……あいつ、元気に鼠やってんのかな)

 

考え事をしていて、ふと気がつくと橫で寝ているハヅキが寝言を言っていた。

 

「……お姉……ちゃん……」

 

────

 

次の日、キリトとアスナが(いつの間にか)パーティを組んだらしく、これから先はほぼ一緒に活動する約束をして、今は血盟騎士団が進んだ74層の迷宮区に行くために先に出たキリトと、血盟騎士団のギルドに寄ってから来るというアスナが2手に別れたのを知りつつ俺達もキリトの待つ、転移門広場へと足を運んだ。

 

「あ、ルシハ、ハヅキ、おはよう」

 

「アスナはまだなのか?」

 

「あぁ、でももうすぐつくだろ」

 

と、アスナの噂をしていると転移石が光り、そこからアスナが出てきた。

その後につくようにしてクラディールが現れた。

そして、アスナはキリトの後ろに隠れ、小声で

 

「あいつに追われてるのよ…」

 

「アスナ様!何故そのような《ビーター》と共に行動するのですか!『血盟騎士団』の副団長ともなるお方が!さぁ!ギルドに帰りま──

 

と、言いかけたクラディールの前にキリトが手を出し。

 

「悪いな…お前さんとこの副団長は、今日は俺の貸し切りなんだ」

 

「ふざけるな!お前のような雑魚プレイヤーに、アスナ様の護衛が務まるか!?」

 

「あんたよりは、まともに務まるよ」

 

「この私を雑魚だと?……なら、強さを証明してみろよ」

 

「いいぜ、やろう」

 

「……待った!」

 

「「……!?」」

 

クラディールとキリトを止めたのは俺の後ろに隠れたハヅキだった。

ハヅキは既に自分の武器、『月下葉の剣』を片手に持ち、クラディールの前に立った。

 

「キリトとじゃなく、私が戦う」

 

「おい、ハヅキ、これは俺とあいつ…」

 

止めに入ろうとするキリトを俺が止めた。

 

「ハヅキは負けないよ、あいつには、あいつもすこしは人の役に立ちたいと思ってるんだよ」

 

「背の低い女だからって手加減はしねぇぞ?」

 

「……行く」

 

DUEL:vs.クラディール

 

先制を決めに行ったのはクラディールの方だったが、クラディールのソードスキルは全て軽々と避けられ、ハヅキは余裕の表情を見せた。

 

「これならどうだっ!!」

 

「……遅い」

 

スキル:武器破壊

 

クラディールの持つ剣にハヅキの細剣がぶつかった直後、クラディールの剣は上半分から綺麗に割れた。

 

「…勝った」

 

「……隙ありっ!!」

 

ハヅキが後ろを向いた瞬間を狙い、クラディールは武器を持ち替えハヅキに襲いかかる……が、アスナがものすごい速さで間に入り、クラディールの武器を吹き飛ばし、クラディールの方へ向け、言葉を放った。

 

「クラディール、血盟騎士団副団長として命じます本日をもって護衛役を解任。別命があるまでギルド本部で待機。以上」

 

「なん…だと…」

 

副団長の護衛を解任され、かなりのショックを受けた様子のクラディールはそのまま転移して帰っていった。

そして、アスナはハヅキの方を向いて

 

「ごめんなさい、嫌なことに巻き込んじゃって。今のギルドの息苦しさは、ゲーム攻略だけを最優先してメンバーに規律を押しつけた私が原因だと思うし…」

 

「ううん、大丈夫だよ、ありがとうアスナ」

 

「ホントにごめんね、でも、キリト君でもルシハ君でもどっちにしろデュエルには巻き込みたくなかった」

 

「……私だって、みんなを危険な目に合わせたこともある、でも。ルシハに言われたから、『仲間』はいつでもそばにいるって」

 

「……そうだな」

 

「さーてと!気を取り直して第74層、攻略開始だ!」

 

「「「おーー!!」」」

 

こうしてちょっとしたハプニングを超え、俺たちは74層迷宮区へ向かった。

 




4000(挨拶)

ということでアニメの『黒と白の剣舞』の内容全てを書きました。

ウサギも出さないとと思って。

ハヅキの感情見え隠れ。


クラディールはハヅキに蹴散らされ。

そしてついに第74層へ。

ステータスはボス戦後に書きますね。


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第16話 迷宮区【74層】

「結局俺ら4人か」

 

「クラインにも連絡は入れたんだけど、ほかのメンバーと一緒にレベリングに行っててしばらく来れないってよ、ルシハはアルゴに連絡は?」

 

「入れてるけど返信はないな」

 

迷宮区の入口で俺ら4人は他のプレイヤーを待っていたが、全く来る気配がなかった。

 

「ルシハ、そろそろ行かない?」

 

「そうね、私たちだけでもボス部屋まで行きましょ」

 

「そうだな、レベル的にも負けることは無いだろうし」

 

「よし、行くか!」

 

────

 

「ハヅキ、スイッチ!」

 

「わかった……!」

 

入ったはいいものの、道が2つに分かれていて、キリトの提案で元々のパーティで2手に別れることになった。

2手に別れたところで、俺は少し疑問に思ったことがあった。

なぜ、真っ先に情報のため74層に入ったはずのアルゴが迷宮区に入らず、それでいて連絡が取れないのか、と。

アルゴに連絡をするといつもメッセージを見てるかと疑うほどのスピードで返信が返って来ていたからなのか、俺は少し不安を覚えていた。

 

「ルシハ!」

 

「うわっと!?」

 

74層迷宮区の主なモンスター『リザードマン』が、武器を構え俺の方に突っ込んできていた。

 

「くらえっ!」

 

ソードスキル:スターダスト

 

「ルシハ…ぼーっとしてたけど大丈夫?」

 

「あ、あぁ…ちょっとな」

 

『キシャアアァァァ!!』

 

「「……!?」」

 

俺らの目の前に突然、大量のリザードマンが現れた。

 

「……どけ!」

 

双星剣ソードスキル:ナイトメアレイン

 

「ルシハ!?」

 

目の前に現れた大量のリザードマンを双星剣を発動させ、ソードスキルで蹴散らした。

 

「俺なら大丈夫だ」

 

「ならいいけど……」

 

と、話していると再び、大量のリザードマンが目の前に、『降って』きた。

 

「…上か!」

 

降ってきた上を見るとリザードマンが天井に張り付いていた、それも大量に。

 

「そりゃ、減らないわけだ」

 

「やるよ!」

 

ソードスキル:デス・スターアライズ

 

ソードスキル:スタースプラッシュ

 

俺とハヅキのソードスキルは相手の持っている盾に防がれつつ、着実にダメージは与えた。

 

ソードスキル:デビル・フルバースト

 

ソードスキルの特殊効果で盲目効果を与え、相手が見えてないうちにさらに攻撃をしようとした…が。

 

「ルシハ!一気に降ってくるよ!?」

 

「なっ……!?」

 

天井に張り付いていた、全てのリザードマンが一気に降りてきた。

 

「こんな数一気に片付けられるかよ……!」

 

俺たちはリザードマンに囲まれ、完全にピンチに追い込まれた。

 

「しゃがメ!ルー坊、ハーちゃん!」

 

短剣ソードスキル:ライトニングリッパー

 

聞いたことのある声が高速でリザードマンを攻撃し、一瞬のうちにリザードマンはほとんど倒された。

 

「……間に合ったナ」

 

「アルゴ!?今までどこいってたんだよ!」

 

「悪い、ここの情報を集めるためにNPCのクエを受けてたらメール来てることにも気づかなくてな、それで急いでここまで来たんダ」

 

「心配して損したわ」

 

「ハーちゃん……え?ハーちゃん……?」

 

「あ、宜しくなハーちゃん」

 

ずっとハヅキって呼ばれてきてたからなのかハヅキは慣れない呼ばれ方で恥ずかしそうにしてる。

 

「それで、アーちゃんとキー坊は?」

 

「あの二人はもう1つのルートに行ったぞ?」

 

「そうだったのカ、2つあると思ったが、まさかあたりを引くとはナ」

 

「適当に進んできたのか?」

 

「どっちにいるのかなんて勘で選んだけど、こっちに来たら大量のリザードマンに囲まれてるルー坊達を見つけてな、思いっきりソードスキルを放ったんダ」

 

「……お前、そのスキル『短剣ソードスキル最強技』だぞ、今のところ」

 

「もちろん、そんなことは分かってて使ったゾ?」

 

「ルシハ…そろそろ行かないと」

 

「何人見知りしてんだ、お前らしくしろよ」

 

「……うるさい」

 

「んじゃ照れてる?」

 

「照れてない」

 

「……背が低い?」

 

「「低くない!!」」

 

「あ、アルゴまで反応するなよ……」

 

ちょっとふざけつつ、俺たちは先に進んだ。

そして、ボス部屋の前につくと、同じタイミングでキリト達が到着した。

 

「お、アルゴもいたのか」

 

「アルゴさんこんにちは」

 

「そんな改めなくていいヨ」

 

「それじゃ、様子見程度で扉だけは開けてみ……る…」

 

と、扉を少し開けたキリトは言葉を失った。

少ししか開いてない扉を俺とハヅキが開けると、ボス部屋の中心に巨大なボスが座っていた。

 

「なんだあいつの威圧…」

 

「私たちだけじゃ勝てないよ……」

 

「一旦引くのが正しいナ…」

 

こうして俺たちは、ボスの威圧に負け、ボス部屋の前で引くことに。

 




アルゴどこいった……って普通にいるんかい!

ということで。
迷宮区は書くことがあまりないって気づいてしまった作者です、どうも。

リザードマン以外にいた気もするけどそんなの気にしない。


────
ステータスはボス戦後に書きますね。
(その時に参加したキャラの武器も書こうかな、詳しくは書かないかもだけど)


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第17話 蒼眼の悪魔【ボス戦】

 

「それで、とりあえず腹ごしらえ、と?」

 

「そうよ、腹が減ってはなんとやらって言うでしょ?」

 

「ハヅキ、なんでそんなに首を縦に振ってるんだよ」

 

「……振ってない」

 

ホントに感情が見え隠れするよなハヅキは……

と、アスナが取り出したのは手作りのパンだった。

 

「アルゴ、さっきのボスの情報は?」

 

「聞いてるよ、ボスの名前は《The Gream Eyes》通称『蒼眼の悪魔』」

 

「アルゴさん、ルシハ君、今はボスの情報はいいでしょ」

 

「今のうちにでも情報を手に入れとかないと、『また』誰かを失うことになるだろ、俺はそれをしたくないんだよ」

 

「…ルシハ、そんなことは無いよ」

 

「俺は実力不足であいつを失ったんだ。もう、あんな思いはしたくないんだよ」

 

「ま、ルー坊の気持ちもアーちゃんの気持ちもわかるけど、今は何も言わないトク」

 

「おーいおいおいおいおい、お前さんらゆったりしてんなぁ…いや、そういう関係か」

 

と、雑談しているとクライン率いる風林火山が到着した。

それの後ろから軽装備の鎧を着た集団も来た。

急いで片付けてその集団に俺だけが寄っていき、話を聞いた。

 

「我々はこれからボスを倒しに行く、我々についてくるのは構わないが、迷惑にならないようにな!」

 

「そんな少数で行く気だったのか」

 

「そんなこと気にしなくていいだろう、勝てば『犠牲も意味を成す』」

 

そう言い残し、集団は先に進んで行った。

 

「俺達も行くぞ、奴らに任せるわけには行かない」

 

「その前に移動しながらボスの情報ダ」

 

────

The Gream Eyes

Lv.??

 

武器:大剣を両手、片手で使ってくる。

攻撃:大剣でのなぎ払い、ブレス

 

────

「こんなもんだ、NPCがケチでこれしか教えてくれなかった」

 

「それだけあれば十分だよ、それより、あいつらがいたぞ」

 

ボス部屋の前には俺たちを待っていた様子のさっきの集団がたっていた。

 

「我名はコーバッツ!行くぞ!攻略へ!」

 

と、適当なことを言いつつ、コーバッツと名乗った男とその周りにいた集団は一気に進んでいった。

 

「俺らも行くぞ!」

 

「「「「おう!!」」」」

 

────

vs.The Gream Eyes

 

部屋に入るなり、ボスが立ち上がり、片手に大剣を持った。

 

「あいつ…あんな剣を軽々しく持ちやがった!!」

 

「クラインはボス戦に参加するのも久しぶりなんだろうがそんなことに驚いてたら身が持たないぞ」

 

と、話しているうちにコーバッツ軍の1部がボスに突っ込んでいった。

するとボスは大剣を一振りし、軽々しく蹴散らした。

 

「こうなったら……全軍、突撃!」

 

「おい!」

 

「やめろ!」

 

コーバッツは相手の攻撃により、吹き飛ばされた。

俺とキリトが急いで駆け寄るとコーバッツの顔を覆っていた物が破壊され、俺たちに顔が見えるようになった。

 

「うそ……だ…ろ」

 

そして、コーバッツは消滅した。

 

コーバッツ軍の生き残りはコーバッツが死んだのにも関係なく、ボスに突っ込んでいき、簡単に吹き飛ばされ、倒されていく……

 

「「もう……もうやめてぇーー!!!」」

 

「アスナ!」

「ハヅキ!」

 

「くそっ!もうどうにでもなりやがれ!!」

 

「ルー坊!キー坊!あの二人で大剣は抑えられナイ!早く助けに行くぞ!」

 

「「もちろんだ!」」

 

剣を取り出し、攻撃に参加しようとしたその時、アスナがキリトの上に、ハヅキが俺の上に降ってきた。

 

「大丈夫か!?」

 

「うん……なんとか」

 

「アスナ!ハヅキ!お前らは後ろで回復しててくれ!俺達が何とかする!」

 

「…ルシハに言われたからって…私だって、まだ戦える!!」

 

「キリト君!私だって、これ以上誰かが傷ついていくのが嫌なのよ!風林火山のみんなだって戦ってくれてる、一緒に戦うわ」

 

「いいところ悪いケド、そんな話してられないヨ!風林火山だってギリギリだ!ルー坊たち、早く参戦してくれ!」

 

「行くぞ、みんな!」




今回あとがきはなし。
次回にボス戦は続きます!


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第18話 黒の二刀流 光の双星【ボス戦Part2】

「クライン!スイッチ!」

 

「お、おう!頼んだぞ!キリト、ルシハ!」

 

「アルゴたちは俺達が攻撃を受け止めているあいだに攻撃を頼む!」

 

「「「わかった!」」」

 

相手の大剣を俺とキリトで受け止め、アスナ、ハヅキ、アルゴが一気に攻撃をする。

 

が、相手はひるむことなくアスナ達に大剣を振り下ろそうとした。

 

「させるかぁ!!」

 

スキル:絶界の双星剣・改

 

ソードスキル:ダブルサーキュラー

 

2連撃を相手に叩き込み、相手の動きを少しだけ止まらせて、そのうちにキリトがなんとか3人を守ってくれた。

 

「キリト、ちょっとこっち来い!」

 

「……?」

 

ボスを1度相手に任せ、その間に俺とキリトは後ろに下がった。

 

 

「なんだ?話しならあとでも……

 

「何を迷ってるんだよ」

 

「……っ!」

 

「お前は()()()()()を持ってる、それなのになんで使わないんだ?」

 

「……それは──

 

「キリト!今は昔のことなんか考えるな!今いる仲間のことを考えろ!……俺から言えるのはそれだけだ。早く戦闘に戻るぞ」

 

「……わかった」

 

────

 

「アスナ!ハヅキ!大丈夫か!?」

 

「私たちなら大丈夫!」

 

「長時間は持たないゾ、なにか手があるのか?」

 

「キリトと俺があいつに蹴りをつける」

 

「でも……私たちだけでも無理だったのにそんなこと出来るの?」

 

「やるしかないだろ、こいつらを倒すには」

 

アスナ、アルゴ、ハヅキ、クラインにボスの攻撃を止めてもらい、俺はボスに攻撃を与え続けた。

その間にキリトがスキルの欄を探っていた。

 

「さ、流石にもう限界だ……!」

 

「キリト君!」

 

「ルシハ…!!」

 

3人が限界を迎えようとしていたその時。

 

「みんな!スイッチ!」

 

キリトの声とともに3人が相手の大剣を弾いた。

 

────

キリト目線

 

ルシハに言われた言葉、そして、ルシハが迷宮区で放った言葉。

それは俺も、同じことが言えた。

 

月夜の黒猫を全滅させたり、希望を捨てたプレイヤーを見殺しにした。

 

だからこそ、彼女に言われた言葉、ルシハに、ルナに与えられた希望を……

 

「俺は無駄にしない!!」

 

グリームアイズの大剣を片手剣《エリュシデータ》で受け止めているうちに背中にもう1つの片手剣を出現させ、スキルを発動させた。

 

ユニークスキル:二刀流

 

ルシハがアスナの家で言った時は驚いたけど、初期の頃からスキル欄にいたこのスキルを隠していた理由は様々だ。

 

だが、今は……

仲間を守る、そして、このゲームをクリアするために……!!

 

「スターバースト・ストリーム!!」

 

────

ルシハ目線

 

「やっと出したか、『二刀流』」

 

俺と同じく、剣を両手に1本ずつ持つことが出来る《ユニークスキル》。

 

そしてキリトが撃ったソードスキルは二刀流ソードスキルの中でも一二を争う威力を持つソードスキル。

 

「トドメだァ!!」

 

キリトの攻撃により、グリームアイズは消滅し、キリトはその場に倒れ込んだ。

 

「キリト君!」

 

こうして、俺たちは74層をクリアした。

 

数分後

 

「キリト君!」

 

「イタタ…アスナ……良かったよ」

 

「無事でよかったのはキリト君の方だよ!」

 

「…ありがとな、ルシハ」

 

「……俺は何もしてないよ、お前が決めたことだろ」

 

「ルー坊、ハーちゃんもお疲れ様」

 

「アルゴもお疲れ様」

 

「お、ハヅキがアルゴを呼び捨てした、というかアルゴのことを呼んだ」

 

「……うん」

 

「おいおい、それより、キリト!なんだよ今のスキルは」

 

「……言わなきゃダメか?」

 

「ったりめーだろ!」

 

「……『二刀流』、ユニークスキルだよ」

 

「ルシハ?」

 

「…クラインには説明してなかったからな、丁度いいから全部説明するよ」

 

キリト自身から説明してもらいつつ、俺はクラインにも俺の事情を伝え、二刀流のユニークスキルの存在を伝えた。

 

「んだよ、もったいぶらずに使えよ」

 

「ま、本人もあまり言いたくなかったんだロ、いいネタが取れたからネタばらしはするけど」

 

「……は?」

 

「ま、いいだろ」

 

「とりあえず、これでボスは倒せた。これで暫くはゆっくりもできるだろ」

 

「ルシハ、また一緒にいれる」

 

「いつも一緒だろ、何言ってんだ」

 

「……うん」

 

────

それから数日。

エギルのやっている店に俺、キリト、ハヅキ、リズベットが来ていた。

 

「キリト〜、お前さんすげー噂になってるぞ?」

 

「それでなくルシハもね〜というかハヅキちゃんはじめましてね?」

 

「あ、はい」

 

「ハヅキは自己紹介してな」

 

「ちょっ!?」

 

リズベットにハヅキの紹介をさせているあいだに、アルゴの情報を元に誰かが作った新聞を俺とキリトとエギルが見ていた

 

「『黒の二刀流、キリト。光の双星、ルシハ。閃光のアスナ。74層ボスを倒す』って。俺は何もしてねぇぞ」

 

「二刀流と双星剣ってことか……で、ルシハの光ってなんだ?」

 

「さぁ?」

 

「それより、あのクラインってやつもボス戦にいたんだよな?」

 

「アスナ、キリトパーティと俺とハヅキ、風林火山ともう1組いたけど先に死んだ」

 

「そうか……まぁ、Congratulation、お疲れさん」

 

と、噂をすると閃光様がエギルの店にやってきた。

が、その様子はかなり慌てていた。

 

 

「キリト君!ハヅキちゃん!ルシハ君!……大変なことになったの……」

 

「どうしたんだ?75層ボスでも倒されたか?」

 

「それだったら苦労しないわよ、じゃなくて!」

 

キリトの冗談を軽く流しつつ、アスナは顔を険しくした。

 

その様子に気づいて自己紹介を終えたハヅキとリズベットが俺たちに近づいてきた。

 

「……団長が、二刀流と双星剣の存在を知って、『血盟騎士団』に入らないかって…とりあえずギルドまで来て!」

 

と、言うことなのでギルドまで行くと……

 

「アスナくんから話は聞いたね?」

 

「…俺は断りますよ、団長殿。どんな理由でも俺は」

 

「……私も、ルシハと同じく」

 

「なら、こうしようではないか、君たち3人のうち、誰かひとりでも私に勝つことが出来れば、この件はなしだ。だが、負けたら君たち3人、血盟騎士団に入ってもらう」

 

「望むところだ……」

 

 




ボス戦終了!
初めてのキリト目線。

二刀流を出すのにこんなに気を使うかね?

そしてリズベットが出つつ。

血盟騎士団へ……?

次回、ヒースクリフvs攻略組3人!


────
ルシハ
Lv.73
ソードスキルは省略しますね。
スキル:絶界の双星剣改
武器:片手剣《ゼデュースホーリーソード》
双星剣時《ゼデュースホーリーソード×デビルライトハンド》

ソードスキルに関してはしばらくしたらまとめて書きます。それまでお待ちを

────
ハヅキ
Lv.74
武器:細剣《月下葉の剣》

────
キリト
片手剣:《エリュシデータ》
二刀流:《エリュシデータ×ダークリパルサー》

────
アスナの細剣の名前忘れてしまいました。

────

ということで。
(アルゴとクラインは無視)

次回もお楽しみに


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第19話 vs団長【運命】

「と、その前に団長殿、キリトに言いたいことあるんだろ?」

 

「ほう…よく気がついたね」

 

「それで、キリトに言いたいことってのは?」

 

「最近、アスナくんがギルドに来る数が減っていてね…それで今回の74層の件でアスナくんが血盟騎士団をしばらく休むと話をしてきてね。アスナくんを引き抜かれるとこちらも大変でね」

 

「……それで?」

 

「元々君たちを血盟騎士団に入れようと思っていたところでね、そこで君たちにデュエルで話をつけようと思うのだが」

 

「……つまり、俺達が勝てばアスナが血盟騎士団から離れることが出来て、俺達が負ければその話は無しで、俺たち3人は血盟騎士団に入る。と」

 

「簡単に言えばその通りだそして君たちは《二刀流》と《双星剣》を使っていい」

 

「……いいぜ、俺とキリトは賛成だ」

 

「……私もいい」

 

「それでは明日、コロシアムで待っているぞ」

 

────

 

「ちょっと!?なんてこと言ってるのよ!?」

 

「向こうはアスナを引き抜くことを拒否して、こっちは血盟騎士団入団がかかってるだけだろ?」

 

「たしかにキリトくんもルシハくんもスキルは強いけど、団長も《神聖剣》を使ってるから……」

 

「たしかにあのスキルの剣技はつよい、攻防自由のスキルで、防御が馬鹿みたいに高いのは噂になってて聞いてるけど、無理な話でもないだろ?」

 

「団長は体力がイエローゲージに行ったことないって噂もあるのよ!?」

 

「キリトの言ってたように無理な話ではないから、アスナは心配しなくていいよ」

 

「ルシハくんまで……」

 

「それじゃ、また明日な」

 

────

コロシアム:観戦席

 

キリトが1番先にヒースクリフとのバトルになった。

キリトはしょっぱなから二刀流を使ってヒースクリフに攻撃を仕掛けた、が、ヒースクリフは大きな盾、《神聖剣》で防ぎ続け、キリトの攻撃はまともに当たらなかった。

そして、決着は一瞬だった。

 

キリトが盾の隙を狙って攻撃しようとした瞬間、何かが起こり、ヒースクリフの攻撃がキリトより先に繰り出され、キリトの体力がヒースクリフを下回り、時間制限により、キリトが敗北した。

 

「……次は私が行く」

 

「ハヅキ…気をつけろよ」

 

────

ハヅキ目線

 

「君は確か、あの時いた元ラフィンコフィンだったか」

 

「……えぇ」

 

「まぁ、いい、始めようか」

 

「……はあァ!!」

 

私の攻撃は簡単に弾かれた。

そのまま私はヒースクリフの持っていた盾で腹を殴られた。

 

「がはっ……」

 

そしてその一撃で私は敗北した。

 

そのまま私は立ち上がり、観戦席に戻り、ルシハと交代した。

 

「……あとは任せろ、休んでくれ」

 

「…ごめん」

 

私はヒースクリフに全く歯が立たなかったことがショックでしばらく立ち直ることは出来なかった。

 

────

「あのハヅキでさえ簡単に負けるとはな、それだけあんたは強いってことか」

 

「まぁ、そうなるかね。それで、君もやるのだろう?」

 

「当たり前だろ、あんたのその実力、見てみたいしな」

 

「さて、ギャラリーは沢山いるんだ、行こうか」

 

スキル:絶界の双星剣改

 

「はあァァァ!!」

 

ソードスキル:ダブルサーキュラー

 

「……ふっ」

 

ダブルサーキュラーは相手に当たった、はずだったが、ヒースクリフは攻撃を避けていた。

 

「…なっ!?」

 

(時が止まった……?)

 

「くそっ……!!」

 

ソードスキル:エンドリボルバー

 

「そろそろいいだろ」

 

再び、ヒースクリフが時を止めたかのような感覚を発生させ、俺の目の前には盾が……

 

「くそっ!」

 

「ほう、弾くとはな」

 

「負けねぇよ!」

 

ソードスキル:ナイトメアレイン

 

俺がソードスキルをはなった瞬間だった。

一瞬にしてヒースクリフに攻撃が弾かれ、そのまま盾によって俺はダメージを受けた。

 

「負けた……か…」

 

こうして俺は負け、3人が負けたことによって血盟騎士団の入団が決まった。

 

────

アスナの家

 

「…地味なのって言わなかったか?」

 

「それでも地味なの!ハヅキさんには私のとちょっと違った感じのを選んだわ」

 

「ま、しょうがないか」

 

「ねぇ、キリトくん、なんであなたはギルドを、人を避けるの?ベータテスターだから、ユニークスキル使いだからって訳じゃないよね?」

 

「……一年以上前、1度だけギルドに入ったことがあった。俺を入れて6人の少人数ギルド、《月夜の黒猫団》、正直な話、俺のレベルより彼らのレベルは低かった、俺は本当のレベルを隠してギルドに入った。でも、ある日、俺は……」

 

キリトは月夜の黒猫団のギルドで何があったかを話した。

 

(ギルド……か)

 

「……みんなを殺したのは俺だ、ビーターだって隠してなければみんな死なずにすんだ」

 

「キリトくん」

 

「……?」

 

「私は死なないよ、だって、私は、君を守る方だもん」

 

「……ハヅキ、ヒースクリフに負けたことは気にするな、無理だよ、あいつに勝つのは……」

 

そう…今のところは。

 

と、キリトが話を戻した。

 

「それで、明日から血盟騎士団のギルドに行く訳だが…」

 

「今日はまたここに泊まって行って、明日はとりあえずギルドに行きましょ」

 

こうして俺たちは、血盟騎士団に入団した。

 

そして次の日、いきなり事件は起こった。

 

────

「……訓練?」

 

「そうだ、私を含む4人でパーティを組み、迷宮区を突破しようと思う」

 

「ちょっとゴドフリー!キリトくんは私が……

 

「副団長といえ、規律をないがしろにして頂いては困りますな、それに入団する以上、フォワードの指揮を預かるこの私に実力を見せてもらわなければ」

 

「ルシハ、ほんとにキリトとだけで大丈夫?」

 

「二人きりになれたのは俺達も同じだけど、すぐ帰ってくるよ、ここで待っててくれ」

 

こうして俺とキリトは指定された集合場所へ向かった。

 

「お前はクラディール…!!」

 

「どういう事だ」

 

「これからは同じギルドの仲間、ここらで過去の争いは水に流してはどうかと思ってな!」

 

「……先日はご迷惑をおかけしまして…」

 

「……勝手にしとけ、キリト、警戒はしとくぞ」

 

「もちろん」

 

「……これで一件落着、今日の訓練では危機管理能力も見たい、諸君らのアイテムを全て預からせてもらう」

 

「転移結晶もか」

 

こうして俺たち4人は迷宮区があると思われる岩山のフィールドに足を踏み入れた。




おや、不穏な空気が。

メモリーデフラグを遊んだので少し知識を得ました。

血盟騎士団団長殿の強さは計り知れないですね。

ヒースクリフの能力は一体……

と、こんな感じで血盟騎士団に入ってしまったキリトたちはクラディールを入れた訓練へ……

何事もなく終えることが出来るのか…



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第20話 閃光と蒼月【人殺し】

「クラディール、そこの2人、そろそろ休憩しようか」

 

「そうだな…」

 

「ほら、水分を補給しておけ」

 

「ありがとな」

 

(「…ふっ」)

 

クラディールが小さな笑みを浮かべたように見えたが、気にせずに水を飲む……すると…

 

「麻痺毒……!?」

 

「ゴドフリー!この水を用意したのは……」

 

すると、座っていたクラディールが立ち上がり、ゴドフリーに向かって歩き出した。

 

「いいざまだなぁ!!ほら!ほらほらほらほら!!ひぃやっはぁぁォォォァァ!!」

 

「やめ、やめろ!クラディール!お前……ぐあっ!?」

 

クラディールの攻撃でゴドフリーは消滅した。

助けようとしたが俺たち2人とも麻痺毒の効果が残ったまま、動けずにいた。

 

「おいおい、お前らガキ2人のせいで関係ないやつを巻き込んじまったじゃねぇかよォ!!なァ!」

 

「その割には、随分と楽しそうだったな」

 

「お前らも同じように痛い目見せてやるよォ!ほらァ!」

 

ゴドフリーの持っていた剣と、クラディールが持っていた剣で俺とキリトの腹を突き刺した。

 

「がはっ!?」

 

「オラオラオラァ!!どうしたァ?」

 

「……こんなことして、まるで殺人ギルドだな、なんで血盟騎士団を選んだ」

 

「勘が鋭いなぁ、これを見てもわからねぇか?」

 

「なっ……!?笑う棺桶(ラフィンコフィン)!?」

 

「ま、こんなこと知ったところでお前らはもうすぐ死ぬ、ほらほらほらほら!!早く楽になっちまえよォ!!」

 

俺の体力はイエローゾーンを切り、時間が経過するに従い、どんどん減っていく。

 

「くそっ!」

 

「最後の足掻きかぁ?お前らはぁ!3人ともぉ!殺人ギルドに遭遇して殺されてぇ!俺様は生き残る、これでいいんだよォ!!」

 

キリトの体力がレットゾーンに突破したその時だった。

遠くから2つの足音が聞こえた。

 

「「はあァァァ!!」」

 

ソードスキル:スタースプラッシュ

 

「なんだとっ!?」

 

「キリトくん!」

「ルシハ……」

 

その足音の正体はものすごい速度で街からここまで走ってきたアスナとハヅキだった。

 

「……ヒール!」

 

「ルシハ、あとは任せて」

 

「クラディール、何をしていたんですか」

 

「こ、これは違っ……

 

「……黙れ、その口を二度と開くな」

 

ハヅキの蒼い目はさらに蒼さを増し、クラディールにその目を向けていた。

 

「……殺す」

 

「ハヅキさん、私も戦う」

 

アスナとハヅキの細剣ソードスキルがクラディールを襲い、倒せるかと思ったが…

 

「わ、悪かった!俺が悪かったよ!もう二度としない!許してくれ!」

 

「……今回は、ね」

 

と、アスナとハヅキが後ろで見ている俺たちの方へ歩いていこうとしたその時、クラディールは剣を持ち、アスナ達に襲いかかろうとした。

 

「副団長!!甘いぜ!おめェらの考えはよォ!!」

 

ソードスキル:ブルームーンスプラッシュ

 

「なっ……」

 

「ハヅキ!」

 

「……許さない、お前は」

 

「残念だなぁ、お前なんかに負けねぇよ!!」

 

ハヅキの繰り出したソードスキルを弾き返し、ハヅキにクラディールの攻撃が当たるその寸前。

 

「はァァァ!!」

 

ソードスキル:スターバースト・ストリーム

 

「この…人殺し集団が!!」

 

「……お前が言うなよ」

 

「ルシハ……!!」

 

「うわっと!?」

 

キリトが二刀流の最大限のソードスキルをクラディールの目の前で放ち、クラディールは消滅した。

 

そして、キリトはその場に倒れ込み、俺はハヅキが飛びついてきたため、倒れ込んだ。

 

「……ごめん、心配かけて」

 

「ルシハが無事ならいいよ……」

 

「キリトくん……ごめんね…私のせいだよね……」

 

「アスナ……」

 

「ごめんね……私、もう……キリトくんには…会わな…

 

と、アスナが弱音を吐こうとしたその時、キリトはアスナにキスをした。(人の目の前で。)

 

「俺の命は君のものだ、アスナ、だから君のために使う、最後の瞬間まで一緒にいよう」

 

「……わたしも、絶対に君を守る、これから永遠に守り続けるから…」

 

「君は何があろうとも、あの世界に帰してみせる、アスナ……今夜は一緒にいたい…」

 

「……うん」

 

「で、ハヅキ、いつまで(無い)胸を俺に押し付けてくるんだ?」

 

「……バカ」

 

そう言いつつ、ハヅキは俺を強く抱きしめてきた。(無い)胸はともかく。

 

「ルシハは……何があっても私が守るよ……」

 

「…その言葉、そっくりそのまま返させてもらう」

 

「……一緒にいて…」

 

「……わかった」

 

こうして、事件を終え、血盟騎士団のギルドへの脱退をさせてもらい、アスナはしばらく前線から離れることに。

そして同日の夜、アスナとキリトは2人でアスナの家へ、俺とハヅキは俺が頑張って買った家(ホーム)へ。

 

────

「結局脱ぐのな」

 

「……そろそろ殴るよ」

 

「悪かったって、それより、気にしてなかったけど、ハヅキって蒼い目だよな」

 

「……生まれつき、かな」

 

「これだけ危ない目にあっても現実世界には戻らないのか?」

 

「……分からない、この世界が夢なのかなって思うことだってあるし、ルシハと出会ったことも全てなかったことになるって考えることがあって…でも、夢じゃなくて…」

 

「……変なやつだな、帰りたくないのか?」

 

「…帰っても……この世界より苦しいだけ……だから……」

 

「……辛いなら話さなくていいよ、それより、今日はもう寝ようぜ、流石に眠いし」

 

「……うん」

 

「俺達も、アスナ達と同じく、前線から離れて、しばらくはゆっくりしよう、明日は22層にある森と湖に囲まれたエリアにでも行こう」

 

「……ルシハ」

 

「……?」

 

「……なんでもない」

 

「…?そ、そうか」

 

ハヅキは眠りにつくなり俺に抱きついてきた。

ハヅキが言っていた現実でのハヅキの生活がどんなものなのか、気になりはするけど、今は気にしないでおくか……

 

次の日、俺とハヅキは私服で22層の湖エリアに息抜きに行くことに。

 

 




蒼目の悪魔(違う意味で)

ということで、クラディールさんがわなにはめたと思ったらアスナとハヅキがものすごい速度で街から走ってきました。すごい。さすが閃光様。

クラディールを潰したあと、キリアスはイチャイチャし出しました。原作と同じく。

ハヅキの、蒼い目。

いつの間にルシハは家を買いました。それも2人で寝れるサイズのベット付き。

(胸が小さい)ハヅキの現実世界でのせいかつとは。



次回。
ついに《あの子》が出てきます。2話だけです。


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第21話 朝霜の少女【幽霊】

あの事件の直後。

キリトとアスナは血盟騎士団のギルドにてヒースクリフと話し合いをしていた。

 

「事情は了解した。団員たちには私から説明しよう」

 

「それと、私、ルシハくん、ハヅキさん、キリトくんの一時脱団を、申請します」

 

「ふむ、理由は?」

 

「今の血盟騎士団に疑問を感じました。あのような事が二度と起きないようになるまでは私たちは戻りません」

 

「了解した、だが、君たちはすぐに前線に戻ってくることになるだろう」

 

────

それから数日、俺(ルシハ)はいつもなら先に起きるハヅキの寝顔を眺めながらも22層へ出かける準備をしていた。

 

「ふあ……あ、ルシハ…おはよぉ…」

 

「眠いなら寝てていいんだぞ?行くのは昼過ぎにしようと思ってたし」

 

「もうすぐ昼でしょ……」

 

「まぁ、そうなんだが」

 

ハヅキがまだ眠い目を擦りながら部屋から出てきた。

 

「にしてもこんな家よく買えたね?」

 

「……経験値だけじゃなくコルも獲得数が周りとは桁違いだからな、ハヅキとほぼ同じレベルなのは驚きだけど」

 

「私は色々あるからね…」

 

「そんなことよりそろそろ出かけるか、22層」

 

「うん」

 

いい家が買えたとは言え、財布が軽くなったのは隠せない事実、狩りをしないでしばらく過ごす約束をアスナとしたため、金の収入源がなくなった。辛い。

 

────

22層に着き、周りを見渡すと自然の中に大きな湖があった。

転移石から見える限り家がログハウス1軒と船乗りばぐらいか。

 

「早く行こ!」

 

「ちょっ!?」

 

とりあえず誰かいないかとログハウスの方に向かうと、聞き覚えのある声が……

 

「俺たちの関係ってこの世界だけなのかな?」

 

「……怒るよ?」

 

「……たとえここが仮想世界だとしても、私の気持ちは本物……

 

「おーい、お二人さん、いいムードだけどこんな所で何してんだ?」

 

と、声の主2人がイチャイチャしてる所に俺が入る。

 

「うわっ!?」

 

「な、なんだルシハくんか…」

 

「私もいるけど…」

 

「それで、二人ともこんな所で何してるんだ?」

 

「キリトに聞かれるならそっくりそのまま言葉を返すよ」

 

「……実は俺たち」

 

────

「「結婚………!?」」

 

「やっぱり驚く?」

 

「そりゃ、いきなり結婚しましたなんて言われても、驚くしかないだろ?」

 

「アスナとキリトは仲良しだった、だけど結婚までするとは思わなかった」

 

「ちょっ、ハヅキさんまで!?」

 

「ま、まぁ、なんだし、これから湖の周りに行かないか?」

 

「いや、俺たちは俺たちで…お二人さんの邪魔はしたくないからな」

 

「あ、あぁ……」

 

その後、結局キリトたちも着いてきて、湖の周りを歩いたり途中でアスナ特性のパンを食べたりして、1日を満喫し、アスナ達とは別れた。

 

────

ルシハの家

 

「……ルシハ」

 

「どうしたんだ?」

 

「私たちはあんな関係じゃ、ないよね…?」

 

と、帰ってくるなりいきなりハヅキから衝撃の発言が。

 

「アスナ達と…か?まぁそりゃ…あの二人はいつも仲良しで二人でいるからな」

 

「私たちはあんな関係になれないのかな」

 

「……は?」

 

「…あんなふうに好きな人と一緒にいれるのかなって、『大切な人』と隣にいれるのかなって」

 

「……ハヅキ?」

 

「…私はさ、現実では誰の役にも立てず、むしろ迷惑ばっかりかけて、誰かが隣にいてくれる訳でもなくて、逆に人を遠ざけて、いつの間にかこの世界に逃げていて、誰とも関わらずにいたかった、なのに……

 

(……なんで泣きそうになってるんだよ)

 

「大好きな人を、守りたい人を見つけちゃったら!1人ではいられない!……アスナみたいに、キリトみたいに同じ場所で過ごす人が出来たから……」

 

「……何が言いたいのか全くわからん、けど、俺はハヅキのことは一生離さないって決めた。遠ざけようなんてしないよ」

 

「……私は、ルシハが…」

 

「…………」

 

「……大好きだから…」

 

「……あぁ…でも、まさか、『結婚して』なんて言う気じゃないだろうな?」

 

「……へ?」

 

「……言う気だったんだな」

 

「……ダメだよね…そりゃ、いきなりだし…」

 

「俺はどっちでもいい、いや、よろしくな、ハヅキ」

 

「……え?」

 

「だから、こちらこそよろしくって言ってるんだよ、雑な告白しといてお前が戸惑うなよ」

 

「……でも」

 

「現実のことなんか気にしないよ、そんなこと気にしてなんになるって話だろ」

 

「…うん、よろしく、ルシハ!」

 

……こうして、ハヅキの雑な告白と共に俺とハヅキはそういう関係になった。俗に言うリア充とやつだ。(結婚したけど)

 

そして次の日、22層に行くのはやめて、ハヅキの提案で指輪をドロップするモンスターを狩りに、アスナに止められてはいるけど。

 

そのモンスターは驚く程に弱く、簡単にレアな指輪を手に入れた。

 

とは言え、起きたのが昼過ぎのせいであっという間に夜になり眠り、次の日に。

と、何事もなく平和に過ごしているため、攻略など全く気にしてないが、またまた、アルゴはどこへ行ったのか……

 

────

そして次の日、俺とハヅキはキリトたちに呼ばれ、はじまりの街の転移門広場に向かった。

 

「結局そっちも結婚したのか」

 

「ハヅキの告白でな」

 

「……うるさい」

 

「それで、なんで俺らを呼んだんだ?それに、その子は?」

 

「……こいつはユイ、今、こいつのために来てもらったんだ」

 

話によると、俺らが指輪をとった昨日、キリト達が幽霊が出ると噂の森に行くと白い服を着た女の子、ユイが立っていて、そのあと気を失い、今朝、目を覚ましたらしく、話を聞いていると親か兄弟がいるかも、と、言うことで俺たちに探すのを手伝ってもらう。

 

「だが、ここは今確か、あのコーバッツとか言うやつの入ってた軍のメンバーがいるんじゃなかったか?」

 

「とりあえずそれには気をつけてまずは路地裏から行きましょ」

 

ということで、俺達4人で路地裏に入っていった。

 

「ルシハ、ここってプレイヤーどれぐらいいるの?」

 

「軍を含めて生き残りの3割がここにいるから2000ぐらいか」

 

SAO開始から2年が経ち、既に生き残りは6000人、かなり減ってしまったが……

 

「にしても人数が少ないよな」

 

「子供たちを返して!」

 

「「………!!」」

 

路地裏の奥に行くと、軍のメンバーらしき人間と女の人が争っていた。

軍の後ろには子供がいた。

 

「人聞きの悪いことを言わないでほしいな。これも《軍》の大切な任務でね」

 

「市民には納税の義務があるからな」

 

「させるかァ!!」

 

「誰だっ!?」

 

「お前ら、恐怖を味あわせてやるよ」

 

軍のメンバー全員がハヅキ、アスナ、キリト、そして俺の圏内戦闘でのソードスキルの恐怖を味わったらしく、渋々帰っていった。

 

「圏内戦闘は恐怖を埋め込む」

 

「あ、ありがとうございます!すみません」

 

軍に絡まれていた女性と子供は安心して帰っていった。

 

「みんなの……こころが…」

 

「ユイ?」

 

「みんなの心が……」

 

「なにか思い出したのか?」

 

「あたし、ここにはいなかった……1人でずっと、暗いところにいた……う、うあ……うああああ!!」

 

「ユイちゃん!?」

 

ユイと呼ばれる少女はいきなり叫びだし、そのままアスナの元に倒れ込んだ。

 

「なんだよ…今の……」

 

そうキリトが呟いた時にはユイの、表情はさらに暗くなっていた。




ユイちゃん……

そして唐突の告白。
まさかのタイミングよね。告白下手よね。

2組のリア充が完成したところで事態は過酷に。

次回。
ユイの秘密が……!?


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第22話 ユイの心【管理者】

そのあと、ユイの状態が良くなるまで、サーシャという女の人の元で休ませてもらうことに。

 

「ユイちゃんはこの街で暮らしてた女の子ではない?」

 

「はい、私は毎日この街で困っている子を探していましたが、ユイちゃんは見たことがありません」

 

「そうですか……」

 

ユイが元気を取り戻し、サーシャさんに話を聞いていると、誰かが訪ねてきた。

 

「はじめまして、ユリエールと申します」

 

「軍の人だよな?まさかと思うけど、昨日の件で何か?」

 

「いえいえ!むしろお礼をしようかと…」

 

「ちょっと俺外に出てくる」

 

「ルシハ?」

 

ユリエールと名乗った人の横を通りつつ、俺は外に出た。

 

「……ユイ、か…」

 

────

ハヅキ目線

 

ルシハがいきなり外に出ていったのを軽く流し、ユリエールって人は話を続けた。

 

「今日はあなた方にお願いがあってきたんです」

 

話によると、シンカーって人が、攻略会議で見た気がするキバオウって人にハメられ、ハイレベルのダンジョンに置き去りにされて、でも、自分では到底無理。

それで、昨日ボコボコにした軍のメンバーがユリエールに『とてつもなく強いプレイヤーが現れた』と情報を流し、ここまで来た。と。

 

「キリトさん、アスナさん、ハヅキさん、どうか私と一緒に救出に行ってくれませんか」

 

「……でも、私たちがあなたの私情に巻き込まれる」

 

「ハヅキさんの言う通りですよ、力を貸してあげたいですけど、こちらであなたの話の裏付けをしないと…」

 

「無理なお願いなのはわかっています、ですが、彼が今どうなっているのかと考えるともう、おかしくなりそうで…」

 

「その人は悪い人じゃないよ、ママ」

 

「ユイちゃん?そんなこと分かるの?」

 

「うん、うまく言えないけど…わかるよ」

 

「疑って後悔するより信じて後悔しようぜ、行こう、なんとかなるさ」

 

「ありがとうございます……」

 

キリトが無理やり話を終わらせ、出発しようとした。

 

「ユイも行く!」

 

「でも……今から行くところは危ないから…」

 

「パパたちと行きたい!」

 

と、ユイちゃんが駄々をこねてしまい、どうしようかと迷っていると…

 

「いいんじゃないのか?危なくても守ればいいんだから」

 

ルシハがどこかへ行ってから帰ってきて、迷っていた私たちの結論を一気に決めた。

 

「しょうがないか、行こうか」

 

こうして、私たちはユリエールさんに教えてもらい、一層の地下ダンジョンへ向かった。

 

「ここは……」

 

「……キバオウはこのダンジョンを独占しようとしてました、ですが、60層クラスのモンスターばかりが出るようで、ほとんど狩りはしなかったようです」

 

「ユイ、怖くないよ!」

 

「この奥にシンカーさんがいるんですよね?」

 

「えぇ、行きましょう」

 

この時、ルシハの表情がすこし暗かったことに疑問は持っただけで触れなかった。

 

「安全エリアだな、奥に人がいるぞ…」

 

「シンカー!」

 

「ユリエール!来ちゃダメだ!その通路は──

 

その言葉を聞いても止まらずにシンカーさんの元へ走っているユリエールさんの頭上に大きな鎌が振り下ろされた。

 

「危ないっ!」

 

それをキリトがギリギリで受け止め、ユリエールさんは無事だった。

 

「安全エリアに避難してください!ここはキリトくんと私たちに任せて!」

 

アスナがユリエールさん達を避難させているあいだ、キリトと鎌を持った死神は向かい合ったまま。

 

「アスナ!今すぐユイたちを連れて転移結晶で脱出しろ!俺の個体識別スキルでもデータが見えない、強さは90層クラスだ…俺が時間を稼ぐから逃げろ!」

 

「キリトくんも!」

 

「俺はあとから行く!」

 

「ユイちゃんを任せました。私たち4人で何とかします!」

 

「ちょっとユイちゃん!?」

 

アスナ達が戦おうとしたその時、ユリエールさんに任されていたユイちゃんがアスナ達より前へ歩き出した。

 

「おい!危ないぞ!逃げろ!ユイ!」

 

「……大丈夫だよ、パパ、ママ」

 

ユイに向けて鎌が振り下ろされた。

だけど鎌は当たらず謎のバリアによって防がれた。

 

「破壊不能オブジェクト……」

 

そのままユイちゃんは自分の手元に剣を作り出し、死神を真っ二つに切った。

キリトが戦う前から危険だと感じていた相手を一瞬にして蹴散らした。

 

「……ユイ」

 

「パパ、ママ、全部思い出したよ」

 

「今までのこと……?」

 

「はい、全部説明します、キリトさん、アスナさん」

 

「「…………!!」」

 

この後、キリトとアスナはダンジョンの奥に進んでいった。

 

「……やっぱりか」

 

「やっぱりってどういうこと?」

 

「ユイって名前と、カーソルの非表示、その時点で勘づいてはいたが、あいつの本来の名前は──」

 

────

システム管理部屋(微弱)

 

「SAOは、ひとつの巨大なシステム《カーディナル》によって制御されています、メンテナンスを必要としないこのシステムがSAOのバランスを制御しているのです、モンスターやNPCのAI、アイテムや通過の出現バランス、何もかもプログラム群に操作されています……プレイヤーのメンタルケアでさえも」

 

「……《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》試作1号、コードネーム《yui》。それが私です」

 

────

ルシハ目線(安全エリア)

 

「AIといえ、プレイヤーに違和感を与えないようにちょっとしたシステムがユイには着いていた。偽物なんだ、あいつの全部が」

 

「それじゃあキリトたちとあった時の記憶が無いって言うのは?普通ありえないんじゃ……」

 

「それはユイから聞くしかないだろ」

 

「でもなんでルシハはそれを知ってて今こんなところに連れてきたの?」

 

「ここに来ることになったのは予想外だよ、だけど、まさかコントロールルームの擬似がこんな所にあるなんて知らなかったけどな、俺は『管理者権限』を使ってユイの記憶が戻るように設定はしたんだが、こんなところに来て戻るとはな」

 

そう話しているうちに俺達はコントロールルームに入った。

 

「ルシハさん、私の記憶を、私を取り戻してくれてありがとうございます。皆さんに会えたことが何故か嬉しいと思ってしまいます……おかしいですよね…ただのプログラムなのに……」

 

「ユイには本物の知性がインストールされている、だけど……」

 

「……みなさんと一緒にいたいです、が、記憶を取り戻し、皆さんを助けようと思った時に触れた石、GMが緊急アクセスするコンソール、そこからアクセスし、モンスターを消去しました、ですが私はカーディナルに逆らった異物扱いされてもうすぐ消されます」

 

「嘘……ユイちゃん…!!」

 

「ママ…笑って……」

 

「カーディナル、いや、茅場!!お前の思いどおりになると思うなよ……」

 

「どけ、俺がやる」

 

コンソールを使い、ユイを復活させようと思ったキリトをどかし、コンソールからシステムにアクセスを試みた。

 

pass:kisaragi

ID:*****

 

「……結果はこれだけか」

 

「今何をしたんだ?」

 

「俺のαテストのデータからアクセスした、それはユイの心だ」

 

「……ありがとう、ルシハ」

 

────

その後、俺たちは別れ、ユリエールさんとシンカーさんははじまりの街に、俺とハヅキは俺の家へ、キリトとアスナも22層の自宅へ帰った。

 

帰り際、アスナ達にユイの正体を知っていた事を話したが、特に何も言わず、そのままその日を終えた。

 

────

次の日、夕方になり、ヒースクリフから収集がかかり、血盟騎士団のギルドへと行くことに。

 

「……偵察部隊が全滅!?」

 

「…あぁ、5つほどのギルドとそこそこの実力者が行ったのだがね、ボスが出現した瞬間、扉が閉じ、そのまま一瞬のうちに全滅した、私も様子を見に行ったが、既に誰もいなかったよ」

 

「そんなのに勝てるのかよ」

 

「キリトくん、アスナくん、ルシハくん、ハヅキくん、君たちだけでなく、血盟騎士団のほぼ全てのメンバー、ほかのギルドや実力者を総集めし、攻略へ挑もうと思う」

 

「結晶無効化か…そんな所に生半可な気持ちでいったらだめだな」

 

「出発は明日。75層の転移門広場に集合だ、ほかのギルドもいるだろう、皆、それぞれ頑張って攻略をしようではないか」

 

こうして、俺たちは75層の攻略へ行くことになった。

 

「ハヅキ、今度の攻略──

 

「私だって参加するよ、そりゃ、危険なのはわかってる、それはルシハだって同じだしルシハと約束したでしょ?『絶対にこの世界から脱出するって』だから、私もルシハと戦う」

 

「だけど……

 

ハヅキを止めようとする俺の口元にハヅキはキスをしてきた。

 

「……!?」

 

「…一応結婚してるんだからね」

 

「……わかった、お互い頑張ろう」

 

────

 

次の日。

75層転移門広場。

 

「よお!キリト!ルシハ!」

 

「それに、副団長様もいるじゃねぇか!」

 

「エギルにクラインそれにアルゴも、お前らも来てたのか」

 

「来てたとはなんだ?こっちは店を放ったらかしで来たんだぞ?」

 

「それなら報酬はいらないか」

 

「はぁ!?それはねぇぞ!?」

 

「なんの情報も得られなくてな、怪しいけどオレっちも直々に攻略に参加しようかと思って、ルー坊もハーちゃんも元気そうダナ」

 

「おかげさまでな、お前も無事でよかったよ」

 

「……ハーちゃん」

 

「さて、集まってくれたようだな、我々血盟騎士団、そして集まってくれたギルドの諸君、行こう、攻略へ!!」

 

「………行くぞ!」

 

 




フェイタルサイス戦無し!(まさかの)

と、言うことでユイちゃんの記憶を呼び起こしたのは原作と違ってルシハの管理者権限!
残り1回だよ管理者権限……

カーディナルによって消去されたユイ。
そのデータが残した奇跡のアイテム『ユイの心』



初めてのキスシーン。


血盟騎士団、ギルド、そしてルシハ達実力者。
果たして75層のボスに勝つことが出来るのか……!?


死神戦すみませんでした。


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第23話 75層攻略【ボス戦】

75層:ボス部屋

 

「……何もいねぇぞ?」

 

「そんなわけないだろクライン、どこかに……」

 

「クライン!エギル!血盟騎士団下がれ!」

 

俺は作戦により後衛に配置され、エギル達は前衛になり、先にボス部屋の奥に進んでいった。

そしてボスの姿が見えないと思ったが……

 

「上だ!」

 

「なっ……!?」

 

「スカルリーパー……!!」

 

ボス、スカルリーパーは前衛めがけ天井から飛び降りてきた。

血盟騎士団とエギル、クラインはなんとか避けたが、他で参加したギルドのメンバーの一部はスカルリーパーの巨大な鎌の餌食に。

本来、致命傷で済むと思っていた攻撃だったが……

 

「一撃……!?」

 

「嘘だろ……」

 

「うわぁぁぁ!!」

 

「やめ、やめてく……

 

「クソっ!ヒースクリフ!キリト!行くぞ!」

 

俺は双星剣を、キリトは二刀流を、そしてヒースクリフは神聖剣を発動させ、スカルリーパーへ攻撃を始めようとした。

が、スカルリーパーは簡単にそれに気づき、俺たちに攻撃を向けた。

 

「させるかァ!」

 

振り下ろされた巨大な鎌を俺とキリトが止めた。

 

「お前ら!今のうちに攻撃するんだ!」

 

「わかった!行くよ!ハヅキさん、アルゴさん!」

 

「「了解!」」

 

「女子達だけに任せるかよォ!エギル、俺らもやるぞ!」

 

「わかってるって!」

 

血盟騎士団、ハヅキ、クライン、エギル、アルゴが一斉にスカルリーパーに攻撃を仕掛け、体力を減らしている、だがスカルリーパーは怯まずに自分を攻撃している者を蹴散らした。

 

「危ないっ!」

 

ハヅキ達にもその攻撃が当たる、そう思った時、ヒースクリフが攻撃を止め、ハヅキ達は無事だった。

 

「このままじゃ……私たちが全滅する可能性もあるわよ……」

 

「一気に蹴りをつけナイと、向こうが有利にナル……」

 

「血盟騎士団!守りを固めて俺たちを相手の攻撃から守ってくれ!」

 

「ルシハ?何する気だ?」

 

「ハヅキ、キリト、アスナ、アルゴ、エギル、クライン、俺たちであいつを倒すぞ、今出せる全力をぶつけるんだ」

 

「でも、それでも倒せないと思うぞ?俺達が全力でぶつけて相手のゲージは一つだけしか減ってないし」

 

「俺とキリトが入っても残り4ゲージを減らすのは困難だろうな、『本気』でやらない限りは」

 

「……?」

 

「俺もキリトも、言ってしまえばアスナとハヅキもまだ、ソードスキルは最強じゃない、今其れを発動させて、相手に一気にダメージを与える」

 

「……やってみる価値はありそうだな」

 

「ま、ルー坊の言うことだ、信じてみるヨ」

 

「行くぞ!」

 

二刀流(双星剣):ゾディアック・アブソリューター

 

細剣:リィンレイ・フォース

 

短剣:ディグニティ・テンペスター

 

カタナ(クライン):光斬輪舞

 

両手斧(エギル):キャストライト・ファング

 

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

ソードスキルの中でもほぼ最大の力を出せるソードスキルを俺達が放ち、スカルリーパーにぶつけた。

……が、スカルリーパーはギリギリで耐えてしまった。

 

「ルシハ!やるぞ!」

 

「……あぁ!」

 

相手が振り下ろしてきた鎌をエギルたちが受け止めてくれている内に俺とキリトがソードスキルを相手にぶつける。

 

 

ソードスキル:スターバースト・ストリーム

 

ソードスキル:ナイトメアレイン

 

「トドメだァ!!」

 

俺とキリトの攻撃により、スカルリーパーは体力がなくなり、そして消滅した。

俺たちは75層を攻略した……が。

 

「おいエギル……何人やられた?」

 

「……14人、だな」

 

「…こんなペースでほんとにクリアなんかできるのかよ……」

 

と、諦めかけているエギル達を横目にヒースクリフの方をむくと…

 

(体力が……減っていない!?)

 

「まさか……!!」

 

キリトも同じ状況に気づいたらしく、ソードスキル『ヴォーパルストライク』でヒースクリフの首元を狙った、が。

 

「ちょっとキリトくん!?団長に何し……!?」

 

「あれは……」

 

キリトのソードスキルはヒースクリフには当たらず、いや、当たったが……

 

「『不死属性』………!?」

 

「ユイに着いていた『破壊不能オブジェクト』と同じものか……」

 

「……お前、ヒースクリフ……いや、()()()()!!」

 

「フッ。よく気がついたね、いつから勘づいていたのかね?」

 

「デュエルの時だ、あの時、一瞬時が止まったような感覚に襲われた、おかしいと思ったんだが、まさか《ゲームマスター》が血盟騎士団の団長だとはな」

 

「私としたことが、あんなタイミングでシステムを弄ってしまったのがバレたのか、本来なら95層を超えた時点で正体を明かすつもりだったが……まぁいい、だが、私の正体を明かした分、返させてもらおう。私とデュエル、いや、《殺し合い》をしよう、もちろん、不死属性は解除する、もし、君がここで勝てばその時点でこのゲームは終わる、だが、君が負ければ……わかるだろう?」

 

と、ヒースクリフ、いや、茅場晶彦はキリトに条件を持ち出した。

 

「……わかった」

 

「待てよキリト!お前一人で戦う必要は……」

 

キリトの元に行こうとしたその時、体がいきなり動かなくなった。

 

(麻痺毒……!?)

 

「ルシハくん、君が開発側の人間だとわかっている、だが、君が手を出す必要は無いだろう?これは私と彼の戦いだ」

 

「ルシハ、もし、俺に何かあったら、アスナ達を頼む」

 

「キリトくん!ダメだよ!」

 

「クライン、あの時、置いていってすまない」

 

「おいおい!今言うんじゃねぇよ!向こうに帰ったら飯奢れよ!!クソッタレ!」

 

「……エギル、あんたの店の商品って高いよな」

 

「…やめろキリト!俺だけそんな扱いかよ!?」

 

「アルゴ…情報、助かったよ、ありがとう」

 

「……キー坊…」

 

「ハヅキ、ルシハと幸せにな」

 

「…………」

 

「ルシハ…あとは任せた」

 

「キリト!」

 

(くそ……麻痺毒が解除されない……)

 

「やめてキリトくん!」

 

────

キリト目線

 

「茅場、これが最後だ」

 

「いい友情だ」

 

(これは単なるデュエルでも、圏外勝負なんかでもない……このゲームのクリアがかかった『殺し合い』だ…!!)

 

「行くぞ!茅場晶彦!!」




スカルリーパー戦、いや、ほかのボス戦もだけど。
雑に終わった。いや、すみません。

新ソードスキルが大量生産されつつ。
全員(?)が協力して75層をクリアした。

そしてヒースクリフの体力が減っていないことに気づいたキリトは突っ込みに、だが、現れたのは『不死属性』

ヒースクリフの正体はまさかの茅場晶彦。

次回はまさかのキリト目線!!

茅場晶彦と戦うのルシハだと思った?
残念ながら原作通りなのだよ。




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第24話 世界の終焉【ラスボス】

「はァァァ!!」

 

「そんな攻撃で倒せると思うのかね?」

 

(クソっ……!)

 

ヒースクリフに攻撃をし続けて既に5分。

ソードスキルを放っても全て盾によって防がれ、まともにダメージを与えられない。

 

ソードスキル:ダブルサーキュラー

 

「フッ!」

 

二刀流のソードスキルをばらばらの位置にはなったが、ことごとく無効化された。

 

「さすが血盟騎士団団長をやってるだけはあったな…」

 

「それは褒め言葉だと取ろう、だが、君は私には勝てない!」

 

「それはどうかな……!!」

 

ソードスキル:スターバースト・ストリーム

 

(……防がれる…これじゃまだダメなのか……!!)

 

「この盾を超えることなど不可能だよ、君にはね……!!」

 

「キリト!」

 

ふと、後ろからルシハが剣を投げてきた、それはソードスキル《シングルシュート》だが、片手剣を投げれるなんて聞いたことは無かった。

 

「くっ!」

 

ヒースクリフはその剣を弾くのに精一杯で盾を使うのに一瞬だけ隙が出来た。

 

「そこだァ!!」

 

ソードスキル:ダブルサーキュラー

 

ヒースクリフにソードスキルが当たったが、かすり傷程度で防がれた。

 

「麻痺毒を超えて剣を投げてくるとはな、まぁいい、この剣は使わないでおくよ」

 

「まだだ……っ!!」

 

俺は両手に力を込め、スターバースト・ストリームを超えたソードスキルを放つ。

 

ソードスキル:ジ・イクリプス

 

「おらァァァ!!」

 

「……ふっ」

 

ソードスキルを放っている途中、俺の2本の剣は盾により破壊された。

 

──ごめん、アスナ……君だけは生きて──

 

「さらばだ、キリト君──

 

ヒースクリフの剣が俺に当たる寸前──

アスナが目の前に立ち、ヒースクリフの攻撃を代わりに受けた。

 

「…嘘だろ、アスナ……こんなの……」

 

「キリトくん……信じてるよ──

 

アスナはそう言い残し、光の破片となり消えていった─

 

「………あ…アスナ……」

 

「これは驚いた、自力で麻痺から回復する手段はなかったはずだがな……」

 

「ヒースクリフーー!!!」

 

俺は怒りをヒースクリフにぶつけるため、折れた剣をヒースクリフに突き刺そうとした、が、それより早くヒースクリフの剣が俺めがけて……

 

「……ぐっ!」

 

(……これでもう…終わりなのか……)

 

──信じてるよ、キリト君……

 

『キリト、お前は必ず生きろよ!』

 

『Congratulation!最高だなお前さんら!』

 

『ありがとう、キリト……』

 

『おねーサンに任せナ!』

 

(みんな………)

 

『リズベット武具店をよろしく!』

 

『キリトさんは強いですよね、私じゃ叶わないですね』

 

(……まだだ……俺は死ぬわけには行かないんだ……!!

 

 

「うぉぉおおお!!!」

 

────

ルシハ目線

 

一瞬、消えかけたキリトは光となり戻り、ヒースクリフの腹を突き刺した。

 

「キリト……!?」

 

────

キリト目線

 

「これで……いいかい……アスナ…?」

 

────

ルシハ目線

 

ヒースクリフと共にキリトは消え、アナウンスが鳴り響いた。

 

11月7日14時55分、ゲームはクリアされました──

繰り返します──ゲームは──

 

そのアナウンスが消えたと同時に、俺の目の前は真っ白になった。

 

・・・・・・・・・・・・

いつの間にか目を閉じていたが、目を開けると俺は空の上のような空間にいた。

 

「……ここは?」

 

「ルシハ…!!」

 

「ハヅキ……?」

 

「ルシハくん…」

 

「アスナとキリトも……どうしてこんな所に……?」

 

「私たちは死んじゃったけど……」

 

「私がこの空間に呼び寄せたのだよ」

 

「茅場…さん」

 

「如月くん、君に悪いことをしたね……」

 

「今、アインクラッドを崩してるのはなんでだ?」

 

「…君もいた『アーガス本社』地下5階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置でデータの完全消去を行っている、あと10分もすればこの世界は消滅するだろう」

 

「あそこにいた人はどうなったんですか」

 

と、割と人見知りのハヅキが質問すると

 

「心配には及ばない、先程、生き残った全プレイヤー、6147人のログアウトが完了した」

 

「死んだ人達は?」

 

「今まで死んでいった4000人、彼らの意識は戻ってこない。死者が消え去るのはどこの世界でも一緒さ」

 

「そう……ですか……」

 

自分の姉のことがあり、そこを気にしていたハヅキはそのままがっかりした様子で崩れていくアインクラッドを眺めた。

 

「……茅場さん、なんであなたはこんなことをしたんですか?」

 

「……なぜだろうな、私も長い間忘れていたよ。フルダイブ環境システムを知った時、いや、その遥か以前から私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出すことだけを欲して生きてきた、そして私は私の世界の法則をも超えるものを見ることが出来た、この地上から飛び立ってあの城に行きたい、長い間らそれが私の唯一の欲求だった……私はね、キリト君、ルシハ、いや、如月君、まだ信じているのだよ、どこか別の世界には、本当にあの城が存在するのだと……」

 

「あぁ、そうだといいな……」

 

「言い忘れていたよ、キリト君、ルシハ君、アスナ君、ハヅキ君、ゲームクリアおめでとう」

 

「待てよ、茅場さん、あんたはなんであれだけの人数を使ってまで自分の理想を叶えたかったんだ?」

 

「……私は知りたいのだよ、『VRMMO』の行先を、未来を、フルダイブが創り出す新たな可能性をね……アーガスの社員はまだ働いているよ、今はVR以外でだがね、よければ君も顔を出してくれたまえ、さて、そろそろ私は行くよ」

 

「……お別れだな」

 

「お別れじゃないよ、私たちはひとつになって消えていく、だからいつまでも一緒…」

 

「キリト達の名前聞かないとな、フルネーム」

 

「俺は桐ヶ谷…桐ヶ谷和人(きりがやかずと)、多分先月で16」

 

「年下だったのかー……私は結城、結城明日奈(ゆうきあすな)17歳です」

 

「私は桜花 葉月(おうか はづき)、多分18」

 

「そんなフルネームだったんだな、俺は如月春揮、アーガスでSAOPR代表になってるから調べたら出てくるかもな、年は19」

 

「如月………」

 

「どうした?葉月」

 

「……私がSAOを始めるきっかけになった人の名前だったけど…」

 

「それが俺、と」

 

「もうすぐお別れだけど……春揮……明日菜…和人……また、会えるよね……」

 

「あぁ、いつかな」

 

「それじゃ、最後に──

 

葉月は75層に行く前にもやった行為(キス)を最後にしてきた。

そして、俺たちは光の中に包まれていった……

 

『─VRの可能性を知りたいのだよ』

 

茅場の放ったその言葉がどこからか聞こえて来た気がする。

 

────

「…………!」

 

俺は自宅のベッドで目が覚めた

 

「は……はづ……き……」

 

(戻ってきたのか……現実世界に……)




ついにSAO完結(まだ)

ヒースクリフ戦が終わり、デスゲームはクリアされた。

茅場の放った言葉がこれから先、どう関わるのか……

アインクラッドは崩れ、世界は終焉を迎えた。

そして現実に戻ったのであった…

次回『帰還』


ステータスはかなり前に75層終わったらとか言いましたが、
ソードスキルなど全てまとめて書きますので、それまでお待ちください……


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第25話 帰還【VRMMORPG】

あれから2ヶ月。

 

2ヶ月前にキリト(和人)がヒースクリフを倒し、あのデスゲーム【ソードアート・オンライン】はクリアされた。

 

俺は目覚めてすぐ、不思議なぐらいに伸びた髪をSAOの時とほぼ同じ迄に切り、やせ細った体を元に戻すまで、病院でリハビリを受けていた。

リハビリを受けるとともに俺は《総務省SAO事件対策本部》とやらの役人にSAOでの内容を教えている『別の人』とは違い、アーガスでの情報を教え、その代わりに葉月の居場所について調べてもらった。

 

その時に顔出しはしてるが全身ほぼ真っ黒の青年、桐ヶ谷和人、SAOでのキリトと会うことが出来た。

 

「アスナが意識を取り戻してない!?」

 

「あぁ、俺もお前と同じ役人にSAOのことを話す代わりに明日菜の居場所を聞いたんだが、行ってみたけどアスナは意識を取り戻してないんだ。それも同じ状態が300人ものプレイヤーにあるんだ」

 

それが世間では未だ行方不明の『茅場晶彦』の陰謀が継続してるのでは、などと噂をされていた。

 

「和人はSAO事件がまだ終わってないと」

 

「それだけじゃない、厄介な男がいてな」

 

「厄介な男?」

 

────

和人目線

 

2025年1月19日

 

俺はリハビリを続けていて、妹の直葉と剣道の試合ができるぐらいには体力が戻っていた。

 

明日菜の目覚めを信じ、病室を訪れた俺を待っていたのは《須卿伸之》という男だった。

 

「君はアスナと暮らしていたんだって?」

 

「……えぇ」

 

「それなら、僕とは少し複雑な関係になるということかな、僕と明日菜はもうすぐ結婚することになっているからねぇ…」

 

「……そんなこと出来るわけがないだろ」

 

「あぁ、確かに法的な入籍は出来ないからね、書類上は僕が結城家の養子に入ることになるがね……じつのところ、この娘は、昔から僕のことを嫌っていてね親達はそれを知らないがいざ結婚となれば拒絶される可能性もある、だからこの状況は僕にとって非常に都合がいい」

 

「あんた、アスナの昏睡状態を利用する気なのか」

 

「利用?いいや、正当な権利だよ。アーガスからSAOサーバーをの維持を委託されたのが結城彰三氏がCEOを務める総合電子機器メーカー《レクト》だ、僕はレクトのフルダイブ技術研究部門に務めている。つまり明日菜の命はこの僕が維持してると言っていい、なら、僅かばかりの対価を要求したっていいじゃないか?君がゲームの中でこの娘と何を約束したか知らないけどね、今後ここには一切来ないでほしい、式は一週間後、この病室で行う、大安吉日でないのが残念だがね、友引だから君も呼んでやるよ、せいぜい最後の別れを惜しんでくれ、《黒の剣士》」

 

────

 

「レクト……」

 

「よりによってアスナの父親の会社で、アーガスからSAOサーバーの管理を任されたらしいんだ」

 

「……諦めるなよ、好きになった人のことはそんな簡単に諦めちゃダメだろ?」

 

「あぁ、そうだよな……ん?メール……エギルからか!」

 

「あのデカブツ!?」

 

「…ひどい言い方だな」

 

と、いつの間にか面識をしてたエギルから和人に送られてきたメールの内容は

 

《look at this》

 

という題名で写真には鳥籠の中で佇む《妖精姿》のアスナが写っていた

急遽、和人がよく行くというエギルの店に行き、話を聞くと、アスナの写真は

 

ナーヴギアの後継機、《アミュスフィア》対応のVRMMOゲーム、《アルヴヘイム・オンライン》通称ALOの中で撮られたらしい。

 

ALOは慣れると自由に空が飛べるというシステムで、世界樹と呼ばれる場所の上空で写真は撮影された。

 

「キリト、そのゲーム、その須卿って野郎が務めてるレクトの子会社が運営してるらしい」

 

「エギル!このソフト貰うぞ!」

 

「お、おう!」

 

「和人、絶対アスナを救ってこいよ、俺も後で合流するから」

 

「死んでもいいゲームなんでぬるすぎるぜ……」

 

和人の家に上がらせてもらい、キリトがゲームにINするまでいさせてもらうことに。

早速、和人はナーヴギアを手に取った。

 

「もう一度手を貸してもらうぞ……《リンク・スタート》!」

 

こうして和人はキリトとしてALOに、そして俺は現実世界でやるべき事を果たすことに。

 

「頑張れよ、キリト」

 

和人の家を出て、俺は自宅には帰らず、ある場所へ向かった。

 

 

こうして俺らの戦いは再び幕を開けようとしていた。




現実世界帰還!おめでとう!

ということで無事、SAO編が終了。
そして舞台はALO(現実世界)。

春揮は一体何を?
和人はALOでアスナを救うことは出来るのか……!!


ここまで長い間(?)見てくださった皆様。
無知で何も知らずに書き始めたSAO悪魔の剣と光の剣士。
実はとある人との共作だったりしてるんですが。

更新する度に見てくださる方。
バトル描写が下手でソードスキルぶっぱなして相手倒すゴリ押しな作品でしたが。
お気に入り登録してくださった方。

ここまで読んで下さりありがとうございます。
そしてこれから先、また、俺の他の作品もお楽しみに。

ALO(現実世界)編は気づいたら出てるかもです。

新章になりますが、この作品の中で続いていきます。
次の更新をお待ちください!
そしてありがとうございました!







ALO編は今月中に出たらいいなーって思ってるよ


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SAO編 ソードスキル&主要キャラステータスまとめ

諸事情により『無知』『原作とのちょっとした違い』『主人公はやっぱりチート』となっております。
さらにはいつの日か言っていたソードスキルの詳細とやらを書きません、馬鹿ですね俺。
ちなみにソードスキルまとめは最終話でこっそり話した『共作』の方がまとめてくれました。
もし、抜けた部分があったとしても気にしないでください。

あ、見たくない人は見なくても結構になっております。


ソードスキルまとめ。(使用話数、キャラなど)

 

プロローグ、1、3、11,12、14、17,21、22話無し。

 

 

 

・スラント 威力D 片手剣 (使用者:ルシハ) 第3、5、7話

 

 

 

・ウォーパルストライク 片手剣 (使用者:ルシハ) 第3話

 

 

 

・スターダスト 威力B(通常) 11連撃 片手剣 自分のスピードと攻撃力の上昇により威力が変化する。

(使用者:ルシハ) 第4、5、8、9,16話

 

 

・絶界の双星剣:絶界の双星剣改 第6話(スキル名、発動はほかの回でも出ています)

(使用者:ルシハ)

 

 

・ダブルサーキュラー 双星剣、二刀流 (使用者:ルシハ,キリト) 2連撃 第 6,10,18,19、24話

 

 

・エンドリボルバー 双星剣 (使用者:ルシハ)

二連撃 第6.10.19話

 

・リニアー 細剣 (使用者:ハヅキ) 第7話

 

 

 

・デビル・フルバースト 威力A 双星剣 (使用者:ルシハ)

3連撃 連続で使うと威力が下がる。 第7話 【オリジナル】

 

 

 

・デス・スターアライズ 威力A 双星剣 (使用者:ルシハ) 12連撃

攻撃アップのバフがつき、 盲目のデバフ付与の効果がある。 第7、9,13、16話 【オリジナル】

 

 

 

・ブレイズ・スピナー 双星剣 (使用者:ルシハ) 第10話

 

 

 

・ボルティシュアサルト 双星剣 (使用者:ルシハ) 第10話

 

 

 

・ナイトメアレイン 双星剣 (使用者:ルシハ) 第10,15(但し名前だけ),16,19,23話

 

 

 

・スタースプラッシュ 細剣 (使用者:ハヅキ) 第16、20話

 

 

 

・ライニンググリッパー 短剣 (使用者:アルゴ) 第16話

短剣ソードスキル最強技(←この時点では)

 

 

 

・スターバスト・ストリーム 二刀流 (使用者:キリト) 第18、20、23,24話

 

 

 

・ブルームーンスプラッシュ 細剣 (使用者:ハヅキ) 第20話【オリジナル】

 

 

・ゾディアック・アブソリューター 双星剣 (使用者:ルシハ) 第23話

 

 

 

・リィンレイ・ホース 細剣 (使用者:ハヅキとアスナ) 第23話

 

 

 

・ディグニティ・テンぺスター 短剣 (使用者:アルゴ) 第23話

 

・光斬輪舞 カタナ (使用者:クライン) 第23話

 

・キャストライト・ファング 両手斧 (使用者:エギル) 第23話

 

 

・シングルシュート 投剣 (使用者:ルシハ) 第24話(ただしルシハは片手剣を投げた)

 

 

 

・ジ・イクリプス 二刀流 (使用者:キリト) 第24話

 

 

────

各キャラステータス(エギル、クラインは無し)

HPなどの細かい表記もなし

 

ルシハ【lucifer】

 

呼び名(あだ名):光の剣士

 

Lv.95(25話時点)

スキル:絶界の双星剣(後半から改になった)

:限界突破

:管理者権限(administrator authority)

 

武器(片手剣):ゼデュースホーリーソード(意味:光を背く剣)

武器(片手剣):デビルライトハンド(悪魔の右腕)

 

ソードスキルは上をご覧ください。

 

────

 

ハヅキ【hazuki】

 

呼び名(あだ名):無し

 

Lv.95

スキル:蒼月(詳細不明)

武器(細剣):リーフアンダームーン(月下葉の剣)

 

ちなみに走る速度はアスナと同じレベル

ルシハと結婚している(仮想世界にて)

 

────

 

キリト【kirito】

 

呼び名(あだ名):黒の剣士

 

Lv.92

スキル:二刀流(ユニーク)

武器(片手剣):エリュシデータ

武器(二刀流):エリュシデータ×ダークリパルサー

 

SAOをクリアに導いた英雄。

ゲーム内でアスナと結婚した。

────

 

アスナ【asuna】

 

呼び名(あだ名):閃光(のアスナ)

 

Lv.90

スキル:料理(コンプ)

武器(細剣):ランベントライト

 

ギルド【血盟騎士団】の副団長。

街から一瞬で岩山まで行けるスピード持ち。

 

────

アルゴ【Argo】

 

呼び名(あだ名):鼠(ルシハがこっそり言った)、情報屋

Lv.89

武器(曲刀):ムーンストラック(オリジナル)

武器(短剣):ルナストーンダガー(オリジナル)

 

1層攻略前までは曲刀を使っていたが、『あるもの』の死を超え短剣を使うことに。

 

────

スキル

 

限界突破:自分のHPがギリギリまで減ることで発動する。攻撃と移動速度が名前の通り限界を超える。

スターダストやデス・スターアライズなどと組み合わせると威力が馬鹿上がりする(使わずに終わった)

 

管理者権限:ルシハのアカウントに現れた謎のスキル、レベルが上がりやすい理由だと思っていたが違う様子。

管理者権限を使えるのは3回だけで25話現在で残り1回だけ残してSAOがクリアされた。

(発動は第1層ボス戦。22話ユイの心)

 

絶界の双星剣、絶界の双星剣改

キリトのもつ二刀流とは違い、双星剣を発動すると攻撃アップのバフがつく。

使用者はルシハ。

 

 

 




って感じです!はい!

夜中テンションで書きつつ

共作の相手の詳細を言ってないですね。
相手の方は作者のリア友です。相手の方がストーリー、プロットを書いて俺がそれを形にする、といった感じで書こうという話になり、書き始めました。


と、余談はさておき。
SAO編のソードスキルを共作の方がまとめたものを少し書き換えつつまとめ、そして主要キャラのステータスも書きました。

ソードスキルの詳細、スキルの詳細などはあまり触れませんが、ご了承ください。

こう見返すと俺ソードスキル打ちすぎですね。
そしてキリトたちのレベルは調べた限りのものなので原作と違う可能性もあります。

こんな感じでまとめましたが、もしかしたら抜けてる可能性もありますね。


この話を書き終えた時点で次の章、ALO編を書き始めます、ALO編はこんな長いまとめの話は出ないと思いますが、これからもよろしくお願いします。

では、続きは本編で。


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ALO~アルヴヘイム・オンライン~(現実世界)
第26話 再会【新章開始】


キリト(和人)の家から出たのは午後1時過ぎ、天気は快晴。

そんな空の下、俺は東京駅で新幹線の切符を買っていた。

 

切符を持つ俺の手にはひとつのメモが握られている。

 

『長野県長野市の○○地区にある家(住所………)』

 

「さてと、行くか」

 

俺は新幹線に乗り、長野へ向かった。

 

────

1時間後──

 

「着いたぜ長野県…!」

 

長野県長野市にある『長野駅』に到着した俺はとりあえず目的の住所がある地区を駅員に聞いた。

 

「あー。それならぁ…向こうの出口から降りて信号渡った先にあるバス乗り場からバスに乗れば行けるよ」

 

「ありがとうございます」

 

教えて貰ったバス乗り場からバスに乗り、約1時間かけ目的の住所の近くのバス停に到着した。

 

「ここか…?」

 

東京はあまり雪がなかったため全く厚着してこなかったのは間違いな程に雪が大量に積もり、吹雪き、寒い。

温度計とかないから今何度なのかはわからないが、多分氷点下よりしたなんじゃないかな…昼間のくせに。

吹雪いている中、無理やり進んでスマホのナビ機能で出てきた目印の前にたどり着いた。

 

「『桜花』……ここだな」

 

凍えた手を何とか動かし、インターホンを押す。

 

「……どうぞ」

 

「お邪魔します」

 

桜花家の誰か(?)が扉を開け、俺を中に入れてくれた。

中に入ると暖房が効いているのかかなり暖かい。

リビングはそこそこ広く、ソファーの向かい側にテレビも置いてある。普通か。

 

と、リビングの端の方にある階段から音が聞こえ、振り向くと……

 

「…誰だ?」

 

「……なんでここに来たの」

 

階段に立っていたのは髪がものすごく伸びて小さい頃に見た『貞夫』だか『貞子』とかなんとかって名前のやつが目の前にいるのかと思った。

が、貞子(?)が発した言葉により、俺の目の前にいる人間が誰なのかがわかった。

 

「ハヅキ?」

 

「髪が長いからってわからないのは酷いでしょ、というかなんでここに来たの?」

 

「ちょっとした人に聞いてお前の家の住所を聞いたんだよ。2ヶ月たったけどな」

 

「どこから?」

 

「東京、それも都内」

 

「……とりあえず髪縛る」

 

「いや、切れよ。それよりお前の親は?」

 

リビングにあったゴムで髪を縛り始めた葉月にふと、気になることを聞いた。

 

「…両親ならいないよ」

 

「…は?」

 

「2ヶ月前には既に死んでた、死因は『自殺』」

 

「んじゃ、お前は今まで飯とかどうしてたんだよ?」

 

「………親が置いていった色々でなんとか過ごしてきた。けど、髪は切りに行かなかった、いや、行けなかった」

 

ハヅキはそう答えたが、ハヅキの体を見る限りこの2ヶ月間、多分一週間に一度ぐらいでしか飯を食べてなかったんじゃ……

 

「これでいいよね」

 

「……!」

 

ハヅキはいわゆるポニテとやらに髪を縛り、俺の前に立った、その時、窓から入った陽の光がハヅキの蒼目に光を纏わせた。

 

「……やっぱり、この目にはびっくりする?」

 

「SAOで慣れてるっての。それより、お前さ……」

 

「……?」

 

「やっぱり可愛いよな」

 

「……うるさい」

 

「とりあえず飯作るか、材料なんかあるか?」

 

「ご飯ならさっき食べ……ひゃぁ!?」

 

「そんな驚くか?というかお前、まともに飯食べてなかっただろ、この2ヶ月間。嘘ついてもわかるぞその身体なら」

 

「……身長低いのは元々だよ、あと胸がないのは」

 

「そこまで言ってないわ」

 

「とりあえず冷蔵庫の中のもの使わせてもらうぞ」

 

「……バカ」

 

「お前はそこで座ってろよ、とりあえず何か作るから」

 

冷蔵庫の中には数年は食べることが出来るようなものがいくつか入っていた。

 

それを使い、適当に料理をした。

 

「……美味しい」

 

「そりゃ、まともに何も食べてなければな、それも食べたとしてレトルトとかじゃダメだろ。というかお前金は?」

 

「……近所に住む人に助けて貰ってる、多分ルシハもよく知ってる」

 

「俺の名前は春揮。そっちで呼んでくれよハヅキ」

 

「……わかった、春揮、よろしく」

 

「んで、俺もよく知ってるって誰だ?こんな所に知り合いなんていないぞ?」

 

「……明日ぐらいには来るよ」

 

「話を変えるがお前の親、どうしたんだ?」

 

「……半年前、日和お姉ちゃんのナーヴギアが停止した後、すぐに私も死ぬんじゃないかって不安で鬱になって、そのまま精神的に追い詰められて自殺したんだって」

 

「それで、帰ってきて2ヶ月は?」

 

「私がもし、戻ってきた時ように長く持つレトルトを置いてくれて、戻ってきた時に困らないように周りの人に家のことを任せたまま……」

 

「自殺……か」

 

「……でもわかったんだ、私」

 

俺の横に座った葉月は手に涙を落とし、語り始めた。

 

「日和お姉ちゃんに言われたみたいに誰にも恨まれてなんかいないんだって、むしろ誰かに愛されてるんだって。周りの人の温かさがそれを教えてくれた気がする」

 

「……なら、安心だな、ここに住んでても」

 

「…………嫌だ」

 

「なんで?お前はここにいても周りの人が優しくしてくれるだろ?」

 

「…そうだけど、でも、これ以上周りの人に迷惑かけたくないから、私も東京に行く」

 

「行ったところで家は借りるのは難しいぞ?それに金もほかの人なんだろ?」

 

「それは……」

 

俺の言葉で俯いてしまった葉月の頭に手を乗せて撫でながら俺は……

 

「俯くなって、行く宛がないなら俺の家に来ればいいだろ」

 

「でも……」

 

「別に迷惑でもなんでもねぇよ、アルバイトすれば金も稼げるんだし、別に俺の家だから俺の自由だろ?お前と一緒に住むことなんて」

 

「……でも」

 

「その、俺も知ってるって人に話をつければいいだけだ、この家は開ければいい。そのへんは俺がなんとかするし……っておい何す──

 

「…なら、け……結婚しようよ」

 

「キスしてから言うかよ」

 

「うるさい」

 

「葉月、こちらこそ。よろしくな」

 

「軽いよ」

 

「お前には言われたくねぇよ」

 

────

この日、結局帰らずに葉月の家に泊まることに。

そして次の日来るという俺が知ってるかもしれないという人が家を訪ねてきた。

 

「やっほー葉月ちゃ…ん?って誰?もしかして彼氏さん?」

 

「正確には夫、まだ結婚してないけど」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいや!!いや、え?」

 

と、玄関からリビングにいる俺の姿を見て驚いて葉月に質問攻めをした謎の声の主を見ると……

葉月とほぼ変わらない身長(と胸)の女の子が立っていた。

 

それは、俺も1度見たことのある顔だった。

 

「ルナ……!?」

 

 

「……ボクはルナじゃない。ルナの双子の姉、プレイヤー名はソルだ、よろしく、葉月ちゃんの夫さん」




まさかの終わり方。
そして軽々しい結婚と桜花家から離れる決断を……

春揮が向かった先は長野県!
山奥にある桜花家に向かったのだった。

そしてそこでやせ細った葉月と再会。
なんと親がいないという……

金は近所に住む人に助けて貰ってるらしいが、その噂の方はまさかのルナ……!?


と、思いきや双子の姉!?

葉月がどんな関係になっているのか……


結婚早いなー(棒)

────

如月 春揮
19歳
身長:170
誕生日:5/20
住み:東京都内

────

桜花 葉月
18歳
身長:157 (A)
誕生日:8/28
住み:長野県長野市某所


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第27話 SAOから戻った敗北者【勝者】

「……1つ訂正させてもらうがまだ結婚してはないからな、それにここ(現実世界)ではSAOの名前は伏せろよ」

 

「そりゃ失礼。ボクは咲宮 空(さきみや そら)、こう見えて葉月ちゃんと同じく18歳」

 

「そうか、俺は如月春揮。歳は19だ、よろしくな」

 

「とりあえず立ったままは悪いから二人ともリビングで話そうよ」

 

葉月に言われ、俺と空はリビングのソファに座った。

 

「…プレイヤー名って言ったからにはお前もSAOにいたのか」

 

「うん、そのとおり、だから葉月ちゃんの家の管理もさせてもらっていたんだ……敗北者(ルーザー)としてね」

 

「先に聞かせてもらうが、葉月は空と元々の仲なのか?」

 

「いや、知り合ったのは2ヶ月前、たまたまこの家に来ることになった時にね、既に親がいないってことに気がついて金だけ渡して生活させていて、一週間に一度ぐらいはここに顔を出すようにしてたんだ、ちょうど今日が定期日だからね」

 

「金はどこで稼いだんだ?その年で」

 

「君に言われたくはないけど、ボクは『ちょっとした会社の開発に携わっていた』だけだよ」

 

「レクトか」

 

「あの会社ではないよ、まぁ、今は言わなくてもいいと思うよ」

 

「そうか、ならいいよ」

 

「ちょっと二人ともなんでそんなに暗い感じになってるのさ…」

 

「葉月、ごめんな」

 

空と話を進めているうちに少しずつ暗い感じになっていた所を葉月が止めてくれた。

 

「葉月、悪いが、空のことを少しでも知らないと……」

 

「わかった…」

 

葉月は必死に止めてくれたのに俺はそれを受け止めずに空との話に向かい合うことに、葉月は少しガッカリしながら近くにある木の椅子に座った。

 

「それで、もうひとつ聞きたいことがあるんだが、『ルーザー』ってのはどういう事だ?」

 

「…ボクは、SAOから逃げたんだ、妹が積極的に攻略に行こうと言ってくれたのに」

 

────

SAOのサービスが始まってすぐにログインしてソル、ルナとしてSAOを開始した。

ログインしてからしばらくして2人でレベル上げをするために街の外に出たんだ。

夕方までレベル上げをした後、ログアウトしようとしたらデスゲーム宣告がされ、そのままSAOに囚われたんだ。

それからすぐボクは絶望で立ち直れなかった、けど、ルナはそのまま狩りに出かけた。

 

……その時点で彼女とボクに違いが生まれていたんだ。

 

1ヶ月間、攻略に没頭していたルナとは違い、街で商売業だけで生活していたルナはたまにボクに会いに来てくれたりしたけど、ボクは会うことさえ拒否するようになっていた……そして、1層攻略に参加することを喜んで教えてくれた。

 

頑張れと言ったけど……ルナは戻ってこなかった。

もし、あの時、ボクがルナと共に行動すれば。逃げていなければルナは死ななかった。

……敗北者にはならなかったはずだったんだ。

 

────

「それで、敗北者…か」

 

「君はルシハだよね、葉月ちゃんから聞いたよ、攻略組になってSAOをクリアに導いた英雄の1人、つまりは『勝者』だ」

 

俺は一瞬、葉月の方を向いた。

葉月は俺が向いたことに不思議そうに首を傾げた。

 

「…葉月からは聞いてなかったか、俺は、1層攻略の時、ルナと一緒にいたんだ」

 

葉月がハッとした様子で俺を2度見しつつ俺を止めようとしてくれた、けど、伝えないと……

 

「ルナは俺と他にいた4人と一緒にパーティを組んでボス戦に挑もうとした。だが、道中に現れた中ボス的な存在にやられ、そのまま……死んだ。俺がルナを守れなかったんだ」

 

「……そう、だったのか…葉月ちゃんからは葉月ちゃん自体のSAOでの話を聞いたけど、1層で色々やったこととかも聞いた…でも、ルナと離れたボクが悪いんだ、如月くんが気にすることではないよ……ごめんね、勝手なことばっかり言って…」

 

「いや、俺もごめんな、余計に暗い雰囲気にさせたりして、それで、俺らからもひとつ話があるんだが」

 

「……?」

 

「流石にこの辺に1人で住まわせるわけにも行かないし、葉月自身の意見もあってなんだが、この家を離れようと葉月が考えてる、それでこの家のこと、悪いが……」

 

「そういう事ね、家自体はなんとかなるけどその他はそっちで頼むよ、それで如月くんの家はどこにあるの?」

 

「…東京だ」

 

「そりゃ、長旅ご苦労さま、そして葉月ちゃん、いってらっしゃい」

 

「……はい!ありがとう、空」

 

────

葉月が荷物をまとめているうちに俺は空に話しかけられた。

 

「如月くん、君は強いよ、君は…彼女に少しでも勇気を与えてくれたよ」

 

「どういう事だ?」

 

「ルナはね、いや、美月はね、病気を持っていたんだ、それでも彼女はフルダイブなら生きていける、そう思ってSAOを始めたんだ、だけど、1ヶ月経った時点で彼女は生きる希望を失っていたんだ、そんな時に君たちに合ったらしく、そのまま1層攻略に入ってその場で自殺しようと思っていたんだよ、多分、君がルナの行動にそういう感覚を感じたことがあったと思うけど」

 

「……そうだったのか」

 

と、空は俺の手をいきなり掴んできた。

目を見ると涙を浮かべていた。多分葉月が家を出るって話の時点で涙をこらえていたと思う。

 

「…如月くん、あの子を、ルナを少しでも救ってくれてありがとう。そして、葉月ちゃんを守ってあげてね、ボクが…出来なかったように」

 

「泣くなよ、お前も強いよ、あのゲームで生き残った人間だ」

 

そう言うと空は目を擦り涙を拭き、笑顔でこういった

 

「ありがとう、君は優しいね、そうだ、ボクもしばらくしたら東京に行くから、その時もまた会おうよ」

 

「あぁ、その時は葉月と結婚してるかもな」

 

と、その時、階段から降りてきた葉月がちょっと大きめなカバンを背負い、ポニテを揺らしていた。

 

「か、可愛い…女のボクでも結婚したいかも」

 

「バカか、確かに可愛いけど」

 

「……うるさい」

 

その後、家の片付けだけして桜花家を空けることに、そしてこの家をとりあえず空に任せ、俺と葉月は外に出た

 

 

「うわ、寒っ…そうだったわここ真冬やん」

 

「…春揮。マフラー、使って」

 

「ありがと、この辺だとお前の方が分かるな」

 

「はいはい、お二人さん、イチャイチャしないで、いってらっしゃい」

 

「今までありがとう、空、また会おうね」

 

「ちょっ、そんなに笑顔になれるとこっちが恥ずかしくなるわ」

 

「だから、こいつは俺の婚約者だっての」

 

「バカ」

 

と、ふざけてるうちに寒さに少し慣れた気がする、東京育ちだからそれも気のせいかもだけど。

 

「如月くん、次会う時はきっと《君と同じ立場》だ。また会おう」

 

「……わかった、またな、空」

 

「お二人共お幸せにね」

 

こうして俺らは葉月の家を離れ、東京へ向かうことに。

ちょうどバスが来てくれたおかげでなんとかなりつつ駅前に着いたその時だった。

 

「なぁ、聞いたか?ALOに、《光の剣士》って名乗る男がいるらしいぜ」

 

「あぁ、あれだろ?最強無敗の大剣使いなんて呼ばれてる男がいるんだろ?」

 

「そう、それがALOのとあるエリアで挑戦を待ってるらしいんだよ、ちょっとした恐怖だよな、最強の男が森の中でいきなり現れるんだぞ?」

 

「でもあれ、SAOをクリアに導いた男、確か黒の剣士って呼ばれてるやついなかったか?あいつよりは弱いんじゃねぇの?」

 

との会話をすれ違いざまに噂を聞いた。

 

「春揮…今の人たち…」

 

「今は気にしなくていいだろ、それより早く新幹線の切符買って乗るぞ」

 

「うん……」

 

(ALOに光の剣士か…その名前をつけられたのは俺だ。誰が呼ばれてるのか知らないが……いつか勝負してやるよ……)

 

ちなみに市役所に寄って住所なんとかとか色々終わらせた。

 

そしてこの後、新幹線に乗り、東京に着き、葉月の住所やら何やらを終わらせた。

 

「とりあえず多分これでこっちに住むことになるな」

 

「うん、よろしくね、春揮」

 

「……もっと自分を出していいんだぞ」

 

「…え?」

 

葉月の頭に手を乗せて少ししゃがみつつ葉月の顔を見た。

 

「お前の生活に何があったのかわからないけどさ、お前があんまり笑顔になってないような気がするんだよ、いや、言ってしまえばお前は感情が、無いロボットみたいだよ、悪い言い方だけどさ」

 

「……ごめん」

 

「別に言わなくてもいいよ、俺が少し気になっただけだし」

 

「と、とりあえず髪切らせて!」

 

「……あぁ、いいよ」

 

(……言いすぎたか…)

 

一日のうちに色々起きつつ結局家に着いたのは九時過ぎ。

俺はソファで寝て葉月に布団で寝てもらうことに。

 

そして次の日、朝早くから葉月に起こされた。

その時の葉月の目は暗いような気がした。




皆さん、突っ込みたいことあると思うけどそれは言ってはいけないことですよ。つまり黙れってことですね

ルナの姉、ソル(空)とのいろんな会話をしつつ
家を任せて東京へ。

女でも好きになる葉月の可愛さとは。

そして東京に着いた2人。
春揮がまさかのことを口に出した。
葉月が笑顔をあまり見せない理由とは……


ちなみに次回回想ですが他の作品(俺の)と被るシーンがあると思いますが気にしないでください。作者は同じだから

ルーザー(敗北者)
わかる人もいるんじゃないかな。この言葉。

────
咲宮空
18歳
誕生日:???
住み:??
仕事:???

────

咲宮美月(みづき)
16歳(SAO第1層)
誕生日:6/10
住み:??

────
ちなみに2人は同じ場所でログインしましたがルナの死亡時には周りには人はいません(二人暮し)



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第28話 少女の笑顔【理由】

「…朝早くから言うか?」

 

「春揮にも。伝えないと、そう思って」

 

「どんな理由かはなんとなく分かるけどな……」

 

葉月が笑顔を見せない理由…それがどんな理由なのかは少しだけ考えてはいた。

 

「……問題は小学校の頃から」

 

────

生まれつき、私と日和お姉ちゃんはお互い、目の色が親とは違っていた。

お姉ちゃんは赤色、私は透き通るような青色って、医者にも言われたけど、その時の医者の反応は完全に私たちを『別物』のように扱っていた。

 

それでもお姉ちゃんと、私は気にせずに学校に通うようになって、すぐに目のことで色々聞かれた。

聞かれるだけならまだ普通に答えるだけでよかったけど…

 

────

「何かされた、と」

 

「……うん」

 

────

暴力…と言うよりは悪口とか机にいろいろ書かれたり、簡単にいえばいじめだった。

最初の頃は笑えてたけど、家の状況もあってわらうことなんてしなくなっていった。

 

既に小学校前半の時点で私は笑顔を見せないようになってたんだと思う。

 

中学に上がって知らない人も少しいて、目のことで色々言われたけど、それでもそんな私を気にしないで友達と呼んでくれる人がいた…けど、その人は2年生になったと同時に転校しちゃって、結局友達と呼べるような人はほとんどいなくて、笑顔なんてなれなかった。

 

中学2年の後半から親にお姉ちゃんとは違って進学のこととか色々言われるようになって、それから私は『恨まれている』そんな感情さえ抱くようになっていた……

結果的に高校に入らずアルバイトして生活してた、そんな時にお姉ちゃんと一緒にネットを見てた時にSAOのβテストの案内をしてる記事を見つけて、SAOに興味を持った。

 

あの世界なら、自分の自由なように生きていける。

そんな気持ちを抱いた、けど、私は……

 

────

「…笑顔になるどころかむしろ暗い表情になって、いつも笑ってる人たちを見て……」

 

虐殺(ころ)したと」

 

「……うん」

 

「たったそれだけの理由か」

 

俺は今にも泣きそうなショートヘアになった葉月の頭を撫でた。

 

「目のことで色々あったのはわかる。家庭の事情なんかも大変だったのは聞いててわかったよ、だけど、それだけの理由で笑顔をなくすのはどうかと思う」

 

「だって……だって私は…こんな目で生まれてきて。親の血を引き継いでないとまで言われて!SAOに入ったら人を殺して!そんな私に笑顔でいる資格なんて無いでしょ!?」

 

「……あるよ」

 

「……!?」

 

多分、今まで耐えていた感情を全て出したと思う葉月を俺は優しく抱きしめた。

葉月はそれに驚きつつ涙を流していた。

 

「人間、誰にでも権利ってもんは存在してる、生きることだってそうだ。笑顔を見せたら周りが傷つく?そんなの周りの勝手な被害妄想だよ。たしかにSAOで葉月がしたことは許されないかもしれない、だけどな……」

 

「『自由じゃない人間は存在しないんだ、人間は自由だから笑顔でいれる』、自分の理想を押し付ける親、自分の思い通りにいかなければ周りの存在を拒絶する政治家、私利私欲に負けて何も出来ない上の地位のやつら、そんな奴らは結局は自分がよければいいだけのクズだ、いじめをするやつも、それを見て見ぬ振りする奴らも同じだ」

 

「………」

 

「葉月は不自由なんかじゃない、自分の好きなように生きればいい、周りに支配されるような人間じゃないんだからさ、だから………自分を殺すな」

 

「春揮………」

 

「周りの意見だけに流されてるようなやつはただのあやつり人形だ、もちろん笑顔を見せないようにするやつも…言ってしまえばお前も……自分の意見も表に出して、感情全てを表に出すことが出来るやつじゃないヤツらは『自分を殺してる』、本来の自分を見せないんだよ」

 

「……ありがとう…」

 

その後、葉月はしばらく泣き続けた。

 

「…泣き疲れて寝たか……葉月…お前は強いよ」

 

気づいたら寝ていた葉月にタオルを掛け、その寝顔を見ていた。

SAOに入るって心がけた理由が俺の書いたβテストのお知らせだとは思わなかったが……

 

「どんな親も同じように自分の理想だけを子供にぶつけるもんだな」

 

「……はる……き……」

 

────

それから1時間ほど経ち、葉月が目を覚ましたところで時刻は11:20

そこそこいい時間になっていたことには気が付かなかったが……俺には一つだけやらないといけないことが…

 

「春揮、なんで私にここまで色々してくれるの?」

 

と、これから何をしようか迷っている俺に葉月が質問を。

 

「……お前と俺が似てるから、かな」

 

「変なの」

 

「それより、ショートヘア似合うよな、お前」

 

「SAOでもショートヘアだったからね」

 

「それに、可愛いしな」

 

「……それは言わなくて…ひゃぁ!?」

 

「あ、それめっちゃ冷たいヤツ」

 

「早く言ってよ!!」

 

葉月が冷蔵庫を開けて何かを取り出したかと思えば取り出したものは冷蔵庫にあるくせに凍る謎の水。それも触れたらめっちゃ冷たいヤツ。

 

「この飲み物もらうねー」

 

「あ、あぁ……」

 

葉月が取り出したのは飲みかけのプォカリスウェッツ、あれ?なんか名前が違う気もするけどまぁいいか。

飲みかけなのは……ま、いいか、後で言おう。

と、飲み物を一気飲みして満足してる葉月は思い出したかのように俺の方に向いてきた。

 

「長野駅前で聞いた噂、あれ確認しなくていいの?」

 

「確認するも何も俺はALO持ってないし、それに今ALOはキリトが行ってるんだよ」

 

「キリトが?」

 

「あぁ、話してなかったか……と、こんな時間に誰だ?」

 

アスナのことを説明しようとしたらインターホンが鳴った。

扉を開けるとそこにはあのハゲ…エギルが立っていた。俺からしてもでかいなこいつは

 

「よぉ、ルシハ、いや、こっちでは春揮って言ったか?」

 

「……そうだが何の用だ?」

 

「ALOを一つ持ってきたんだが、アスナを救うためにお前にやろうと思ってな」

 

「アスナを救うってどういうこ……ひゃぁ!?」

 

本日二回目の可愛い悲鳴をあげた葉月を見てエギルも少し驚いた様子。

 

「なんだお前、ついに女の子を捕まえ…」

 

「ちげーよ、その辺は後で教えるから、とりあえずALOあるんだろ?ついでにお前、ALO内の噂聞いたか?」

 

「……あぁ、聞いた、というか仮想世界全体のニュースを取り扱うやつに乗ってたぞ、『光の剣士』現る!ってな」

 

エギルが見せてきたタブレットに映っていたニュースに堂々と大文字で書かれた光の剣士。

 

「……本当にいるのか」

 

「確認するんだろ?」

 

「そりゃ、そうに決まってるだろ」

 

「それで、その事はどんな……」

 

エギルがしつこいぐらいに葉月に関して聞いてきた、しょうがなく出来るだけの範囲で説明し、エギルには帰ってもらった。

 

「そういやエギル、さっき『SAOから帰ってきた者限定の学校が始まってる』って言ってたけどこの歳からだと入れないよな、葉月も…入れないな」

 

「それより、ALOのソフト一つだけ……」

 

「買えるか分からないけど買うか」

 

「うん」

 

自宅からナーヴギアを持ってきた葉月のためにも俺はヤマタ電気(あれ?これもなんか名前が違う…ま、いっか)に向かい、ALOを買うことに。

 

SAO事件が起きたせいでフルダイブゲームの人気はジェットコースターの如く下がっていた、そのためALOのソフトは余るレベルで売られていた。

 

「買えたな」

 

「……でも、なんであんなに人気ないんだろ?」

 

「さぁな…そういや、説明しないとな、アスナのこと」

 

ヤマタ電気からの帰り道、アスナがALOに囚われていること、キリトがそれを救いに行ったことを伝えた。

既にキリトがALOに入って(ログアウトはしてると思うけど)3日、そろそろ世界樹とやらに到着するかもしれない。

 

「とりあえずキリトを信じて俺たちは光の剣士の正体を掴むぞ」

 

「…春揮」

 

「……ん?」

 

「…ありがとっ!」

 

俺を呼び止めた葉月が後ろを振り向き、今まで見せたことのなかった笑顔を見せてきた。

 

「……あぁ、俺こそ、ありがとな、葉月」

 

こうして俺らはALOを手に入れ、家に帰った。

 

「さてと、いきなりだが始めるか……」

 

「…うん」

 

SAOのソフトが入ったままのナーヴギアにALOを差し込み、頭に被る。

俺も葉月も同じ部屋でログインした。

 

「「リンクスタート!!」」

 

────

再び、フルダイブを使うことになった。

 

 

 

welcome to ALO




俺の作品ほかの見てくれてる方はどこかで見たことあるんじゃないすか?

そりゃ、そうだろ、同じ作者だからね。

葉月の笑顔を気にしていた春揮が聞いたことによりこんなくらい話が生まれた訳だが
春揮さんが名言っぽいことを放ったよ。

ちなみに春揮に作者の感情を詰め込んだよ、現在の現実世界に対する。

ALOに流れていた光の剣士の噂を確かめるためにALOに行こうと思ったがソフトを持っていない、と思いきやエギルが登場。
そしてALOを持ってきた!奇跡!やったね。

だが葉月も一緒にログインするためにヤマタ電気にALOを。

キリトが頑張っているうちに春揮達は光の剣士の噂を確認するため、ALOに。
そしてナーヴギアに再びお世話になる!

次回!ついにALOに入った春揮達を待つものとは……!?


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第29話 妖精たちの国【ALOログイン】

この先、ALOの知識が全くない人間が書きます、作者が無知ということをご了承ください。


アルヴヘイムオンライン、通称ALO。

様々な種族に別れて生活していると聞いたことがある。

ALOのフィールドの中でも一際目を引く巨大な樹、それが世界樹。その上にたどり着き、妖精王オベイロンに認められた者は《アルン》という種族に転生でき、ALOの特徴の一つでもある飛行の高度限界が無くなると設定されている、が、世界樹を攻略した者は未だに誰もいない。世界樹の攻略、《グランド・クエスト》をクリアするのは不可能とも言われている。

 

────

login:lucifer

 

login:hazuki

 

────

俺と葉月はALOにログインした、その時に種族とやらを設定した。

俺が『スプリガン』、葉月が『ケットシー』。

この種族がどんなものなのか全くわからないが……

 

「ここどこだよ…というかステータス高くね?」

 

キャラの見た目を適当に現実に近い髪型を赤色にしてログインした。

そしてログインして俺らが転送させられたのは森の中、周りを見る限り木々が生い茂っていてどこに行けばいいのかもわからない。

横にいるケットシーの低身長、葉月も周りをキョロキョロしてる。

ステータスを見ると何故かあのゲーム(SAO)クリア時と同じステータスに。

もちろん名前も同じだが……武器だけは別の物に変わっていて、SAOの時と同じものは使えない。

 

「アイテムはあるね……というかスプリガンってチュートリアルの時黒髪だった気がするんだけど…」

 

「猫耳に言われてもなぁ…設定できたものはしょうがないだろ…って、これは……」

 

「……?」

 

スキル:administrator authority

アイテム:ブラックウィングコート、ブラックウィングブーツ、月輪の腕輪

 

「管理者権限……!?」

 

多分俺が1番信じられないスキル名を見つけた。ほかのスキルは全部消えているのに何故かこれだけは残っていた。

 

これは俺の考えだけだが、アーガスからSAOサーバーの管理を任されたのはレクトで、そのレクトがこのゲームを管理しているとすれば、もし、SAOのサーバーとデータを使っているなら俺の『ルシハ』というキャラもSAOサーバーから消されていない、となるはず。

武器は消去されたが、スキルと1部のアイテムだけが残ったのはそれもあると思うが…SAOの時に1回分残したのがこんなところで活躍するかもしれないとはな……

 

「おい!ケットシーとスプリガンがこんなところで何をやっている!」

 

と、ハヅキの猫耳を弄りつつ考え事をしていると周りから赤い服(?)の集団が、というか赤髪なのにスプリガンってよくわかったな、もしかして髪色は関係ないのか?…だとしたらどこで見分けたんだ?

 

「ここはサラマンダー領とシルフ領に隣接している森だ!さっさと失せてもらう!」

 

「……物騒だなぁ、サラダバーだかサラマンダーだか知らないが、俺らはログインしたのがここだっただけだよ」

 

サラマンダーという種族の集団は一斉に襲いかかろうとしてきた。

 

「初戦闘が別種族との喧嘩とはな……」

 

「行くよ、ルシハ!」

 

ルシハ:片手剣

ハヅキ:細剣

 

と、戦闘開始をしたが、サラマンダー達は一斉に何かを唱え始めた、それと同時に唱えたヤツらの周りに何かが浮かび始めた。

そう言えばALOはソードスキルが無い代わりに魔法が主な戦闘方法だと聞いたことがある気が……

 

サラマンダーが詠唱を止めたその瞬間、大量の火の玉が俺らに向かって飛んできた。

 

そしてその後、森の中に爆発音が響き渡った。

 




ALOについにログインしました、が。
前書きに書いたように作者はALOからアニメを見ていません。
(ヒースクリフとの最終戦までしか知らなかったりした)

つまり無知。

────
まさかのSAOのデータでALOにログイン。
SAOの時に使っていた防具(SAOHRのキリトの初期防具)、1層でルナが置いていった腕輪。
そしてまさかの管理者権限!!

それだけが残ったまま赤髪のスプリガンとしてログインしたルシハ
そしてケットシーとしてログインしたハヅキ
(ちなみにハヅキの髪色は青色)

森の中からスタートした2人はいきなりサラダバー(?)の集団に襲われる。

いきなり魔法を打たれた2人は無事なのか……!?

ちなみに時間軸的にはまだキリトは世界樹にはいってません。


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第30話 謎のスキル【蒼月】

 

「やったか」

 

「我々に歯向かうからこうなるのだ、お前達!ヤツらが倒れたか確認するのだ!」

 

「了解です!」

 

爆発によって起こった砂埃が少しずつ薄れていく中を、サラマンダー達はルシハとハヅキが死んだかを確認しようとした。

 

…が、そのサラマンダー達は何者かによって蹴散らされた。

 

「何者……ぐぁぁ!!」

 

薄れかかった砂埃から出てきたのは青髪で目が蒼い少女、ハヅキだった。

すばやさが高めのケットシーだが、ハヅキはそれ以上のスピードでサラマンダーを蹴散らしていく。

 

「……遅い」

 

「な……!?や、やめ……」

 

ハヅキの攻撃がサラマンダーを貫通し、サラマンダー達は消滅、実際はサラマンダー領まで戻されただけ。

 

「おいおい…いくら俺らが手を出せずに魔法を撃たれたからって倒さなくてもいいだろ…このステータスなら死ぬこともないだろうし」

 

「……ふぅ」

 

「とりあえずおつかれさん」

 

────

サラマンダーとの1戦が終わり、少し休憩した後、どこに向かえばいいのかわからないため、とりあえず森を適当に進むことに。

 

「そう言えばさっき…私のスキル欄に残ってたスキルが発動したんだけど」

 

「どんな名前だ?」

 

「えっと……《蒼月》」

 

「SAOの時にもあったのか、ならその時に発動してるんじゃないのか?」

 

「わからない、でもSAOでは発動してないと思う」

 

(そういや双星剣と限界突破だけは無くなったみたいだな……ソードスキルも無いとなると…少し辛いな)

 

スキル欄をいくら見ても残っているのは管理者権限だけ、それも残り1回限りの。

双星剣はしょうがない気もするが限界突破まで消えたと考えると高難度クエを無理に挑まない方が身のためか……

 

「とりあえず森から出るまでは警戒しないとな、さっきのサラマンダー達が言ってた通りだとシルフ領ってやつがあるらしいし」

 

簡単に言ったものの既に30分ぐらい歩いてる気がする。

そういえばこのゲームは空を飛べるって聞いた気が………

 

「空を飛んでいけばすぐにシルフ領を見つけられるよな」

 

「上手く飛べる?」

 

「……やってみるしかないな」

 

それから何度も飛行しようとしたが、中々上手く飛ぶことが出来ずにそのまま地面に真っ逆さま。

そんなことを繰り返してる俺を見て尻尾を振りながら耳を動かして眺めてるハヅキは飛ぶ気がない様子だった。

というより、失敗してる俺を見て笑ってるように見える気もする……

 

それから数十回後、やっと空を飛べるようになった俺はしばらく飛んでからハヅキの元に降りようとした。

ゆっくりとハヅキの元に降りながらシルフ領の位置を見ていると、森の奥の方であの光(ソードスキル)に似た光が発生した。

 

「ハヅキ!お前上手く飛べるか!?」

 

「やってみないと分からないけど…」

 

「ちょっと急がないと行けないかもしれないから俺について来てくれるか?」

 

「どうかしたの?」

 

「ソードスキルの光を見た」

 

ハヅキは俺より簡単に飛ぶことに慣れた。

何故か飛ぶと尻尾を揺らしながら喜ぶから集中出来なかったりした。これがケットシーか。

 

俺とハヅキは急いで光の見えた方に向かった。すると発生したところに誰かが立っている。

俺らは近くに降り、その場に向かうと、誰か…男は俺らに気づき、小さく笑った。

 

「俺に出くわすとはついてねぇなぁ!俺様は《光の剣士》、最強無敗の男、サタン様だァ!!」

 

サタン、そう名乗った男は背中に大剣を背負っていた。長野駅で聞いた噂通りの男だったことに驚きだが……

 

(光の剣士を名乗らせるわけには行かねぇよ!)

 

「ハヅキ、お前は周りを警戒して下がってろ、俺だけでやる」

 

「気をつけてよ……?」

 

「あぁ、もちろんだよ」

 

さっき見た光、あれがもしソードスキルならこいつが何者なのか、そして、なぜソードスキルを打てるのかを確認しないと……

 

「あぁ?お前だけがやんのか、片手剣だァ?へっ、笑わせてくれるな、そんなゴミみたいな武器で俺様に勝てるわけがないだろ」

 

「……さぁな、やってみないとわからないだろ」

 

「死んで後悔すんじゃねぇぞぉ!」

 

お互いが剣を抜いて戦闘態勢になった。

そして、サタンの攻撃が繰り出された…

 

「……やっぱりか」

 

サタンが繰り出した攻撃は大剣を光らせ、何連激かわからないほどの攻撃になった。…ソードスキルだ。

 

「死ねぇ!!」

 

「……管理者権限、データに残ってる全てのスキル、そして武器を俺に…!!」

 

(こんな所で使いたくはなかったが…相手が相手だ……本気で潰す……!!)

 

最後の管理者権限を発動させた俺の背中には2本の剣が着いていた。

 

スキル:真・絶界の双星剣

Lost:管理者権限




ALO編に入ってから書くの下手になったかな。

サラマンダーたちの攻撃でやられたと思われた2人はピンピンしてました。

ハヅキに着いたスキルは一体…?

飛行描写どうすればいいのかな。

ALOの光の剣士、その名もサタン!!

なんとALOに無いはずのソードスキルを放った。

それに対抗するためにルシハは最後の管理者権限を発動……

なんと!スキルと武器を呼び出したではありませんか!

双星剣がさらに進化してALOに。

真・絶界の双星剣


次回、SAOの力を取り戻したルシハ(ルシファー)VSソードスキルを使うことが出来る謎の男サタン

キリト達はまだ出ません。
あとがき長すぎる気がする、もう少し考えて書こうかな


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第31話 本物の光【part1】

「双星剣……!?」

 

「あァ?んだそれ?剣を二本持ったぐらいで俺様に勝てるかぁ!?」

 

サタンが大剣を振り下ろした瞬間に2本の剣を抜き、大剣を弾き飛ばす。

 

「やってみねぇと分からねぇだろ?」

 

真・絶界の双星剣:ゼデュースホーリーソード×デビルライトハンド

 

(ここはソードスキルが使えない世界…相手が何故かソードスキルを使えるのは謎だがこっちはソードスキルに頼らず勝たないといけない…)

 

「オラオラオラァ!!何突っ立ってんだ!」

 

サタンは再びあの光…ソードスキルを発動させ、俺に当ててきた。

SAOの時と同じ速度で放たれる大剣(両手剣)ソードスキルは片手剣や二刀流の速度より遅い、その代わりにバカみたいな攻撃力を持っている。

が、向こうはそんなに長時間、何度もソードスキルを打ってない様子だ、つまりは……

 

「簡単に弾けるってことだ…っ!」

 

「なっ!?」

 

俺にソードスキルが当たる寸前で受け止め、そのまま弾き飛ばした。

ソードスキルを撃てば発生する硬直の隙を狙い、何度も攻撃を叩き込み、一気に決着をつけようとした、が、硬直が解け、サタンの攻撃が俺に当たった。

 

「くそっ……」

 

「残念だったなァ!」

 

(ソードスキルが使えないことがここまで辛いとは…やっぱり俺はソードスキルに頼りすぎてたのか……)

 

ソードスキルに頼らずに勝ちたい、が、相手がALOに無いはずのソードスキルを使ってる時点でこっちが不利なのは確実……

 

「オラァ!くたばりやがれ!」

 

再び大剣を弾き飛ばし、隙を狙って連続で攻撃を繰り出す。

 

(……もっと…!もっと早く…!!)

 

相手の体力が半分を切ったものの、 こっちの方がダメージは多く、同じことを繰り返したところでこっちが先に倒れてしまう。

 

「おいおい、どうした?俺を倒すんじゃねぇのかぁ!?」

 

「あぁ、お前を倒す……」

 

「ならよォ、俺ァいいもん見せてやるよォ!」

 

そう言うとサタンはウィンドウを開き、何かを発動させた、と同時にサタンにオーラのようなものが纏った。

 

「イイねイイね最っ高だねェ!!この血液が逆流するこの感覚!!」

 

「お前……何をしたんだ!?」

 

「特別教えてやるよ、俺が今使ったのはなぁ、電子ドラッグ、簡単に言えば仮想世界の麻薬、ドーピング剤だよ」

 

「そんなこと出来るわけないだろ、どうやってそんなことをしたんだ」

 

「アミュスフィアを改造してやったんだよ、それで、ソードスキルとやらとこの電子ドラッグを使えるようにした、こんなくだらねぇ世界を潰すためになぁ!!」

 

「そんなことをしたらカーディナルに消されるんじゃないのか」

 

「知らねぇよ、今ここにいる時点で消されてねぇんだからよォ、おめェもよく分からねぇ力を使ってんだろぉ?同じってことだよォ!」

 

言葉を切ると同時にサタンは大剣を振り下ろしてきた、今までと同じように弾こうと思ったが……

 

(攻撃が重い……!?)

 

「ほらほらほらほらァ!!決着をつけようぜぇ!この、《光の剣士》様となぁ!!」

 

「……光の剣士…か、そう呼ばれてる以上、ここで引き下がるわけには行かねぇな」

 

電子ドラッグというのが本当に効力があることが分かってしまった以上、こいつはここで止めねぇと他のプレイヤーがALOをまともに出来なくなる。

俺が…こいつを倒す……!!

 

「我が名はルシファー!悪魔サタンを葬る者なり!!」

 

「……そう来なくちゃなぁ!!」




ソードスキルなしでバトル描写ってこんなにも辛いものなのね。

サタンは電子ドラッグ(仮想世界の麻薬)を使いルシハと決着をつける。(ALO内には存在しない)

ソードスキルと電子ドラッグはまさかの改造して作り出したもの……


攻撃力がアップしたサタンにルシハは勝てるのか…?

(ちなみに電子ドラッグ(こんな名前じゃなかったけど)はSAOHRで出てきます、オリジナルじゃないです)



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第32話 本物の光【part2】

「オラオラおらオラオラオラァ!!!」

 

「くっ……」

 

電子ドラッグを使い、攻撃力を上げたサタンの攻撃を受け止めるのに精一杯でこっちから攻撃をするのがむずかしくなっていた。

頼りたくはないソードスキルを使えば少しでもなんとかなるはずだが……

 

「オラオラ!そっちから攻撃してこいよ!」

 

(管理者権限を使った以上、無駄にするわけには行かない…俺は……)

 

「負けるわけには行かねぇよォ!!」

 

スキル:限界突破

 

(この感覚は……)

 

SAOの時に何度も感じた感覚……発動条件は揃ってないが……これは《限界突破》…!!

 

「これならどうだ……っ!!」

 

「まだまだまだまだまだ!!」

 

連撃を叩き込むが全て防がれてしまう。

そしてサタンの攻撃だけが俺に当たってしまった。

 

「がはっ…!?」

 

「おいおい、俺ァソードスキルを放ってねぇぞ?」

 

「それが……電子ドラッグの強さか…」

 

ソードスキルを『ソードスキルとして放たなければ』やつとは違い、カーディナルの監視には引っかからない。とはいえ結局はソードスキルに頼ってしまう……

 

「ルシハ!!」

 

「……!?」

 

どうしようか考えているとハヅキが後ろから叫んで声をかけてきた。

 

「いつもルシハが言ってくれてた……迷わないで自分のやるべきことをやってよ!!」

 

「…………!!」

 

SAOの時、ハヅキが迷いそうになった時に掛けていた声……言葉……

 

「そうだよな……俺が迷ってたらハヅキに言ってたのは他人事になる…」

 

「ん?なんか言われた見てぇだが、何かやってくれんのか?」

 

ソードスキルがスキル欄に無いなら他にできる方法はある。

ソードスキルに頼ってしまうからって、そんなことで迷ってたら意味ないな……

 

「行くぞぉ!!」

 

システム外スキル:ダブルサーキュラー

 

「なっ……!?お前もソードスキルを使えるのか…!?」

 

「お前とは違う、俺は《システム外スキル》だ」

 

「システム外だァ?…まぁ、いい、おめぇは俺には勝てねぇよォ!!」

 

システム外スキルのことを話した途端、サタンは再びウィンドウを開き、発動したままのはずの電子ドラッグをさらに使った。

 

「来るくる来るくる!!来たきたきた!!イイねイイね最っ高だねェ!!……がはっ!?」

 

「お前…既に気づいてはいたが、電子ドラッグってのは自分の体に負担がかかる、本当に現実の麻薬ってことだろ」

 

「それがどうしたァ!!俺には関係ねぇよ!」

 

サタンは怒りを力に変え、大剣を振り下ろした、が、最初に電子ドラッグを使った時よりはるかに力が弱っていた。

 

「お前も何かに頼りすぎた、俺と同じようにな……」

 

「うるせぇ!!黙ってやられろ!!」

 

サタンがソードスキルを放つ、だが、戦闘開始時のソードスキルの威力より下がっているのがわかる。

そして簡単に弾き返し、硬直のタイミングで俺はシステム外スキル(本当はソードスキル)を使った。

 

システム外スキル:ナイトメアレイン

 

連撃が硬直途中のサタンにまともに刺さった。が、まだ体力がイエローゾーンで残っている……

 

「ここだ……!!!」

 

システム外スキル:スキルコネクト

 

「トドメだァ!!」

 

システム外スキル:ダブルサーキュラー

 

ソードスキルを放ったあとの硬直が発生する寸前にもう一度剣を持つ手に力を込める、そしてもう一度ソードスキルを放つ…それが、《スキルコネクト》

 

スキルコネクトのダブルサーキュラーで体にクロス状に切り込んだ、既に体力がほぼないサタンは抵抗出来ずにその場にたっていた。

 

「…なんで…お前なんかに負け……」

 

なぜ、こいつが負けたのか、そんな理由など知らない。だが……

 

「……お前に、光の剣士は似合わない」

 

剣を鞘に収めると同時にサタンは死亡エフェクトと共に消えていった。

 

「……これで双星剣ともお別れだな」

 

「ルシハ!」

 

「ありがとな、ハヅキ…お前の言葉がなかったら負けてたかもしれない」

 

「いつも助けて貰ってるお礼ぐらいはしないとと思ってね、お疲れ様!」

 

戦いが終わったあとなのに容赦なく抱きついてくるハヅキに身を任せつつスキル欄を見ると《真絶界の双星剣》のスキルは消滅していた、のにも関わらず何故か俺の背中には未だに剣が2本背負われたままだった。

 

「どういう事だ?」

 

「永続効果にでもなったんじゃない?」

 

「そうか…な?」

 

「とりあえずログアウトしようよ」

 

「あぁ、でも、どこか近くの街の宿でログアウトした方がいいんじゃないか?」

 

「それなら飛んで行こ!」

 

(このケットシー……可愛すぎる…)

 

こうして、ALOの光の剣士を倒し、俺たちはログアウトするために近くにある街に。

領ならすごく近くにあったもののサラマンダーみたいなことになるのは嫌だったため、街を探してログアウトをした。

 

飛んでいるあいだも俺の背中には2本の剣が残ったままだった。

 

────

現実世界:如月家

 

ログアウトし、気がつくと夕方に。

携帯を確認すると桐ヶ谷和人(キリト)からメールが届いた。

 

『ルシハへ。』

『色々あって遅くなったけど、多分明日には世界樹まで到着出来る。今お前達が何してるかわからないが、もし、来れるなら来てくれ』

 

「……明日は世界樹を目指すか」

 

爆睡してる葉月の横で俺はそう呟いた。




お前に、光の剣士は似合わない

うわぁ……カッコつけ(ゲフンゲフン

なんやかんやあってまさかのソードスキルをシステム外スキルにしてしまうというまさかの発想。

倒した後、何故かスキルは消えたのに剣は2本持てる……


次回、目指せ世界樹……?


ちなみに、
お前に、〇の剣士は似合わない
を放ったのは毎度おなじみSAOHRのキリトです。



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第33話 SAO帰還者【学校】

次の日、朝食を食べて食後のコーヒーを飲んでいる俺は目の前でコーヒーを飲むか飲まないかで迷っている葉月を見て笑っていた。

キリトが世界樹に到着出来ると聞いたから俺達も追いかけようと話をしたのはつい30分ほど前。

 

「コーヒー飲めないなら無理しなくていいんだぞ?」

 

「む、無理してない!」

 

「なら早く飲めって……」

 

と、会話している途中でインターホンが鳴った。

 

「誰だ…?」

 

またエギルか、それか和人……いや、和人にはここを教えてないはず……

少し警戒しながら扉を開けると扉の前には黒髪に少し茶色が混ざったような髪色の女の子が立っていた。

 

「ほんとにここだったのね……」

 

「……どちら様?」

 

「失礼ね!リズベットよ!」

 

リズベット……たしかSAOで俺の剣を持って重いって言って、更には黒の剣士(キリト)が血盟騎士団団長に負けたってニュースになった時にいた気がするあの鍛冶屋のリズベットか……

 

「いや、お前別人だろ」

 

「なぁんですってぇ!?」

 

「いや、落ち着けって…俺が知ってるリズベットはピンク色の髪だったぞ?」

 

「染めたのよ!」

 

「わかったから、お前がリズベットだってのはわかったから。で、なんでここを知ってる?」

 

「あのハ……エギルに聞いたのよ」

 

「お前今エギルのこと……」

 

「そ、そんなことより!エギルから『学校』の話は聞いてるでしょ?」

 

学校、たしかにエギルがここに来た時に言ってた気がする、SAO帰還者だけの特別な学校……

 

「聞いたけどそれがどうかしたのか?」

 

「あなた達も誘わないとと思ってね、わざわざエギルの店まで行って住所を聞いたのよ」

 

「んじゃ、他を当たってくれ、というかお前今日も学校だろ、その服装」

 

「なんでほかを当たらないといけないのよ?」

 

「俺、19だぞ?」

 

「……私は18」

 

「「うわぁ!?」」

 

急に後ろから小さな声が聞こえて思いっきりビックリしたけど葉月だった。

 

「あ、あなたハヅキね?ほんとに小さかったのね!」

 

「リズベットは(色んな意味で)でかい」

 

「それより!とりあえず年齢無視で来てもらうわよ!」

 

「なら着替えぐらいさせろ寝巻きだから」

 

「その服装ならいいわよ!とりあえず来なさい!」

 

「ちょっ!?引っ張るなよ!」

 

俺はリズベットに無理やり掴まれてどこかへ向かった、反射的に葉月の腕を掴んだ。

 

────

リズベットに掴まって10分ほど。

見えてきたのはそこそこ大きめな学校だった。

そこの昇降口にはリズベットと同じ制服の女子や微妙に大人びた男子が沢山いた、寝巻き(ジャージ)姿の俺たちとは全く違う雰囲気だ。

既に開校はしていると聞いたものの、未だに入学してない人もいるはずなのにそこそこの人数がいる。

 

「なんでここに連れてきたんだ?」

 

「そりゃあ、入学するからでしょ?」

 

「そんな簡単に言われてもな、というかそれ前提かよ」

 

人見知りの葉月からすればある意味地獄だぞここ……

 

「しょうがないでしょ?キリトの家に行っても『忙しいから後日な』って簡単に拒否されたのよ!それで、帰還者であるあんたの家に行ったのよ、まさかハヅキもいるとは思わなかったけど」

 

とりあえずしばらくしたら結婚するって話はまだ誰にも伝えてない、いや、空には伝えたっけ。

 

結局、ほぼ無理矢理、校長(理事長)の元に連れていかれ、入学手続きとかなんとかってものを終わらせ、入学することに。

入学と同時に制服をもらい(金は触れないお約束)

それに着替えたところでリズベットに校舎案内をさせられた後、なぜ気づかないのかリズベットは授業ということを忘れ、怒られていた。

 

「………い」

 

「………?」

 

「春揮……怖い」

 

リズベットのやつよりもはるかに小さいサイズの制服を着た葉月が小刻みに震えながら俺に助けを求めてきたが……人見知りを助けることなんて無理だろ…

 

「大丈夫だよ、ここにいる人間は全員、SAOから帰ってきたプレイヤーだ、お前に何かするようなやつはいないよ、多分」

 

「……うん」

 

「ほら、笑顔だって。笑顔でいれば周りも同じようになるよ」

 

「そう…だよね…」

 

結局、学校の教師の人に詳しい説明を聞き、俺らは学食で待機することに。

 

その時に聞いた話だと、部活動などの活動を優先させて、授業はあまりやらないらしい。大丈夫なのかこの学校……

そして校則として『SAOプレイヤーネーム』は使用しないように決まっている。昇降口で使ってたヤツ見たけど。

 

「あ、いたいた、ごめんごめん、授業ってことすっかり忘れてて……」

 

「もう、リズさん!人を連れて来る時点でアレですけど、それだけでなく授業を忘れるなんて」

 

「シリカ、プレイヤーネーム」

 

「そう言うリズさんだって……あ、初めまして!綾野 珪子(あやの けいこ)、SAOの時はシリカって名前でした、よろしくお願いします」

 

「シリカ……?」

 

たしか結構上の層で《ビーストテイマー、シリカ、黒ずくめの男とパーティ──》って聞いたことが…もしかして黒ずくめの男ってキリトの事じゃ……?

 

「あ、あたしは篠崎 里香(しのざき りか)、おなじみリズベットよ、よろしく」

 

いきなり自己紹介が始まった、俺と葉月も自己紹介した。(名前と歳だけ)

アーガスということはまだ言わないでおくことにした。

 

「葉月ちゃん同じぐらいの身長で…(胸も同じぐらいで)、仲間が増えた気がするよ…宜しくね!あ、私はどんな呼び方でもいいか─

 

「……よろしく…シリカ」

 

「「そっち!?」」

 

まさかのプレイヤーネーム呼びに俺と里香はハモリながらツッコミを入れた。

 

「ちなみに綾野、葉月は18だぞ、そう見えて」

 

「えっ……」

 

「小さい……ごめん」

 

「いやいや…えっと…私こそ、ごめんね?」

 

なんか余計な事言った気がして申し訳ないな…でも、綾野と里香なら葉月も気軽に話してるし意外と安心かもしれない。

 

「そう言えばなんでキリトさんは忙しいって答えなんでしょうか?」

 

「そうよねぇ…でも、どうせVRに没頭しすぎてるだけとかかもしれないわね……」

 

と、2人が学食で買ったパンを食べながら話している。

俺と葉月も同じようにパンを買って食べつつ話に参加した。

そしてこのタイミングで俺はキリトとアスナの現状を話した。小声で。

 

「えぇ!?」

 

「それって本当ですか!?」

 

「…言葉を慎みたまえ」

 

「春揮、変な喋り方になってる……(モグモグ)

 

「キリト…いや、和人は今そう言う状況だ」

 

「なら、私たちも行かないと!」

 

勢いよく立ち上がろうとする里香の方を無理やり押し、立てないようにしながら言葉を続けた。

 

「向こうはあいつと俺らに任せとけ、本当は学校に入る予定無ければ今はALOにいるはずだったんだが…」

 

「でも、アスナは私の親友……」

 

「大人数で行ったとして、あいつの手助けが出来るわけでもなんでもないだろ。今は俺達とキリトを信じてくれ」

 

「……絶対に連れて帰ってきてよね!」

 

「分かってるよ」

 

「葉月……さんも気をつけてくださいね?」

 

「……ちゃんでいい」

 

「まだ根に持ってるのかよ」

 

こんなやり取りをしながらも時間を過ごし、夕方になっていた。

次の日は欠席すると伝え、家に帰った。

 

「……学校か…」

 

「葉月……」

 

葉月の過去を知ってる以上、学校には連れていきたくはなかったが…里香と綾野は目のことに関しては何も言わず、明るく接してくれていた、だが、まだまともにクラスに入ってないからわからない……

 

「辛かったら言えよ」

 

「……ありがと」

 

結局、帰ってきてすぐにALOにログインした。現在の時刻は6:00

 

キリトからメールが来ていた。

 

『世界樹に到着した。ちょっと複雑な事情になったから少し時間がかかるけど、明日には攻略を開始しようと思う。』

 

「急いで世界樹近くまで行くか……」

 

────

ログインした先は何故かとある建物の中の寝室のような空間だった。

ログアウトした時はある街の宿だったはず……

 

「ログインしてきたようだな、いきなり手荒くて済まない」

 

「誰だ……見るからにスプリガンでもサラマンダーでもケットシーでも無さそうだが……」

 

「そう身構えるな、ソナタらとはやり合うつもりなどない、申し遅れた、私は《シルフ領主》、サクヤだ」




学校きたね。
実は初登場のシリカ(綾野 珪子)

無理やり連れていかれた時点で葉月にはトラウマが残っている。
そんなトラウマを持った葉月はシリカに優しく(?)され、なんとか無事に過ごせた様子。

キリト達のことを伝え、家に帰り、夕方にもかかわらずログインするとそこはログアウトした時とは違う場所に……

そして混乱している2人の前に現れたのはシルフ領の領主、サクヤ

一体何が起こる……!?


(ちなみにキリト達は現在、『お兄ちゃんなの……!?』のシーンの後、ログアウトして気まずい空気になっています←原作わかる人にしか伝わらないやつ)

ついでに言うとこの次の日(時間的に)がグランドクエストと最終戦だよ。まだ先だけどなこの作品だと


また長くなってしまった。


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第34話 シルフ&ケットシー【同盟】

 

「なんで、シルフ領主が俺らをこんな所に?」

 

「実はな、ここ、シルフ領の横にある森、そこでそなたらがサラマンダーと戦い、その後、謎のスプリガンを倒したのを我々の仲間が目撃したのだ」

 

「……それで?」

 

「ほんとうはそなたらが寝ていた宿で話をすればいいのだが、領主が領から出るのは少々危険なことなのでな、無理に他の者にここまで連れてきて貰ったのだ、すまない、このような手荒い真似をして」

 

「普通にシルフの俺らを見つけたっていう奴が宿で話をすればいいだけだろ?」

 

と、シルフ領主のサクヤにここまで連れてきた理由を聞こうとしていると、サクヤが入ってきた扉が開き、そこからケットシーが顔を出した。

 

「お、()()()()お二人さんが起きたみたいだにゃ〜」

 

「アリシャ、その言い方は無いだろう?」

 

「でも結局はシルフが街の宿で寝てる男女二人をここに連れてきたんだから拉致ったってことになるヨ?」

 

アリシャと呼ばれたケットシーはサクヤとかなり仲が良さそうだ。

 

「あ、説明が遅れた、私はアリシャ。こう見えて《ケットシー領領主》をやってるヨ」

 

「「え……?」」

 

「そっちの青髪のケットシーの領の領主だヨ?」

 

まさかの発言に混乱してる俺らにアリシャはハヅキの方を見てさらに詳しく説明した。

いきなり特徴を言われてびっくりして耳が動いたのは見なかったことにしよう。

 

「というか結局、なんで俺らを拉……連れてきたんだ?あと、領主は領から出るのはあまり良くないんじゃないのか?」

 

「領主が領から出ちゃいけないって言うのはシステム的にではなく《各種族》の喧嘩をさせないためだったり、領主が暗殺とかされないようにするためにゃ〜」

 

そう聞いて何故か安心した気がする、というかアリシャの喋り方って特徴あるし誰かに似てる気がするんだよな……ま、いいか。

 

「それで、だ、そなたらをシルフ領まで()()()来たのは『キリト』と言うスプリガンの男の目的のために我々が援護をしようと思っていてな、あの森で何度も勝負をして勝利したお主らを連れてきたのだ」

 

この人は必要なことを言えないのか……?

多分言いたいことは…

 

キリトがたまたまここに寄って、世界樹に行くってことを話した、その時にサクヤかアリシャに手伝って欲しいと伝えて、シルフとケットシーで同盟を組んで、世界樹攻略の援軍に行こう、と。

それで少し力不足かもしれないから誰かいないかと探していたらちょうど森でサラマンダーを蹴散らした《ケットシー》ハヅキと、謎のスプリガンことサタンを倒した《スプリガン》ルシハ(俺)に協力を求めよう。と。

 

「というかキリト?」

 

「あぁ、黒ずくめの服装のスプリガンだが」

 

「俺らもそいつを追いかけようと思ってたんだが、というか……

 

SAO事件のことは伏せ、俺とキリトが現実世界(リアル)で知り合いということを伝えた。あと俺らの名前(プレイヤーネーム)も。

 

「そうだったのか、とりあえず改めて宜しくな、ルシハとハヅキ」

 

「あぁ、宜しくな、サクヤ、アリシャ」

 

俺らはお互い、握手を交わした。

 

「それで、なんでまだ出発しないんだ?」

 

「それが、我々の装備が揃っていなくてな、キリトが()()()()()を持っていて、それを預けてくれたが…まだしばらくはかかりそうでな」

 

「とりあえず2人は明日、またログインしてく──

 

サクヤがログアウトしてくれと言おうとしたその時だった。

シルフ領の中から爆発音がしたのだった。

そして、様子を見に行くと爆発音がした所にいたのは《サラマンダー》が2人。

 

「『ユージーン』と『カゲムネ』、何をしに我が領に来たのだ」

 

「ここに、俺らの軍を壊滅させた小娘がいるだろう!そいつを潰しに来た」

 

サラマンダーの軍と聞いて浮かんでくるのはシルフ領の横の森でハヅキが謎のスキルを発動させて瞬殺したヤツらだよな……ってことは俺らか。

 

「それに、()()忌々しいスプリガンもいたという話だ」

 

「それで、俺らに何の用だ?」

 

サクヤとアリシャの後ろに立ってた俺とハヅキは前に出て戦闘態勢のまま、2人のサラマンダーを見た。

 

「勝負をしよう、お互い、邪魔はしないで1対1でそこのスプリガンは俺と、そっちのケットシーはカゲムネとな」

 

何を言い出すかと思えば……

こっちは元々戦闘態勢だって分かってるくせに。

 

「勝負は今日の夜8時だ。近くにある広場でやろう」

 

「望むところだ」

 

────

なぜ、サラマンダーの大男、ユージーンと呼ばれたあいつがスプリガンに恨みがあるのかと思えば、数日前、キリトがあいつと訳ありで戦って倒したかららしい。

 

「私のせいでシルフ領に被害を……」

 

「別に気にすることではない、それより、ホントにいいのか?」

 

「あいつがキリトにボコボコにされたのに反省してねぇなら俺がやるしかねぇだろ、それに加えてカゲムネとやらにハヅキなら勝てるだろうしな」

 

「大丈夫かにゃ〜?」

 

「領主の2人は世界樹に行くために装備を揃えてくれ、俺はヤツらを倒す」

 

「わかった、少し不安だが2人に任せよう」

 

「だけど、2人の勝負、見させてもらうヨ〜」

 

こうして俺らは《サラマンダー:将軍》ユージーンと《サラマンダー》カゲムネとの勝負をすることに。

 

────

シルフ領近くの広場

 

俺らが到着すると既にサラマンダーの2人は待っていた。

 

 

「さぁ、始めようではないか、()()()()を」

 

「軍の仇……ここでとらせてもらう!」

 

俺は()()()()()剣を持ち、ユージーンの方へ、少し離れたところでハヅキがカゲムネの方へ。

 

「行くぞ!」




長い間(2日か3日)またせた結果がこれでした。

どうも、2日間休んでいるうちに文章力の低下が見られたりUAが4000超えたり(2018/06/04 12:17現在)して驚いてます。怖いね。

大事な部分が抜けてる気がするけど簡単に言うと。

キリト来た。
世界樹行きたいから手伝ってって言った。
装備整えてから行く。
あ、戦力足りないかも、なら実力が高そうなやつを選ぼう。
ルシハ達を拉致る

ってことですね。ほら、簡単?

シルフ領を破壊して現れたのはサラマンダーの将軍、ユージーンとカゲムネ。

2人はどうなる…!?



アリシャとサクヤの喋り方わかんないから困るわ(本音)


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第35話 神剣と霊槍【到着】

ルシハVSユージーン

 

「我が魔剣グラムの力でお前を沈めてやろう」

 

「かかってこいよ……」

 

夜の暗さの中だが、サクヤの魔法で一定の部分が明るくなっている。

俺は右手に《デビルライトハンド》を持った。

そしてユージーンの攻撃を防ごうとするが、防いだはずの武器をすり抜け、俺は攻撃を受けた。

 

「我が魔剣は特殊効果が着いているのだ、今教えたところでお前に勝ち目などないがな!!」

 

「くそっ…!」

 

防いでも無駄だとわかったところで相手に俺の攻撃はまともに刺さらず、無駄な時間を過ごすだけ。

 

「はあァァ!!」

 

片手剣で出せる速度で連撃を出しても相手の魔剣に勝る攻撃がなかなか出せない。

 

「もっと手応えがあると思ったのだが、つまらぬ。この剣に勝てぬ者は……死ね」

 

「させるか…!!」

 

魔剣の攻撃を防ごうと剣をぶつけた瞬間、デビルライトハンドが粉々に砕けて消滅した。

 

「なっ……!?」

 

「無駄なあがきはしない方が身のためだぞ、トドメだ」

 

俺は抵抗もできずに腹に魔剣の攻撃をくらい、空から落下し始めていた。

 

──それが、ルシファーと名乗る者の強さか

 

(お前は…SAOのサタン……)

 

──我を名乗るプレイヤーを蹴散らしたお前の実力はそんなものなのか

 

(んな事言われてもお前からもらった剣はもう、砕けて消えた……)

 

──だから、諦めるのか?

 

(……負けるわけには行かない)

 

──なら、再び立ち上がれ、我が力を使いし者よ───

 

俺の頭の中に流れてきたサタンの声はそう伝えて消えていった。

 

「行くぞ……《神剣:デュランダル》!!」

 

武器を失った右手に新たな剣が現れ、眩い光を放つ。

そして俺は左手に《ゼデュースホーリーソード》を持った。

 

スキル:限界突破

 

HPもギリギリまで減り、限界突破が発動し、俺は空で飛んで俺のことを笑っているユージーンの元に飛んだ。

 

「はあァァァ!!」

 

「なっ……!?」

 

不意を突かれ、防ぐことが出来ないユージーンに俺はソードスキルと同じ速度で連撃を叩き込んだ。

 

「トドメだァァ!!」

 

「クソォォォ!!」

 

ユージーンはそのまま人魂(?)となった。

 

「ありがとな…サタン」

 

俺は浮いたままのユージーンの人魂(?)を掴み、サクヤの元へ戻った。

 

────

ハヅキVSカゲムネ

 

「軍の仇は取らせてもらうぞ、ケットシーの小娘が」

 

「…………」

 

ルシハがサラマンダーの将軍と戦っている、私がここで負けたらルシハの勝利が無駄になるかもしれない……

軍の方から攻撃を仕掛けてきたって言っても何も聞く耳を持たなかったから……

 

「……殺す」

 

「ほう……細剣で俺と戦うつもりか、せいぜい楽しませてもらうぞ!」

 

まだ少し空を飛ぶのに慣れてないせいで上手く細剣で戦えるか心配だけど……

 

「オラオラっ!」

 

「……ふっ!」

 

「オラオラオラオラ!!」

 

「……!?」

 

カゲムネの攻撃を1度防いだと思った、が、全く止まることなく連続で攻撃を繰り出してきて、私はダメージを受けた。

 

「こんな雑魚に軍は負けてしまったのか……サラマンダーとして残念だなァ!!」

 

「がはっ!?」

 

全く抵抗出来ずに繰り返しダメージを重ねてしまう。

 

「オラオラ!!どうしたァ!?抵抗しろよ!」

 

カゲムネはシルフ領に来た時よりずっと激しい口調になっている。

そんなことを気にする暇なんてないけど………

 

「はあぁ!」

 

《月下葉の剣》の攻撃で少しはダメージを与えられたものの、やっぱり片手剣には勝てない……

 

「トドメだァァ!!」

 

『お兄さん、うるさいよぉー?』

 

「………!?」

 

私の前、カゲムネの目の前に誰かが現れた、けど、その声は少し遠くから聞こえたような気がする。

だけど、その声はカゲムネには聞こえていない様子で、更にはカゲムネには()()()の姿も見えてない様子だ。

 

「な、なぜ空中で攻撃が止められるのだ!?」

 

()()()さん!』

 

「え……?」

 

()()()を使ってくれてありがとう…あと、ルシハと一緒にいてくれてありがとう、私は『ルナ』、あなたに武器を渡すから……使って!』

 

「ルナ……?」

 

ルナってルシハが1層で………

と、考えていると私の目の前にそこそこ大きめな槍が現れた。

 

『それは《霊槍・カムイ》、きっと、あなたを守ってくれる……そして、ルシハを守ってあげて……』

 

そう言ったその瞬間、光となって現れたルナは消えていった。

 

──あなたを守ってくれる

 

「よくわからない力のせいで防がれたが……これでトドメだァァ!!」

 

「………ふっ!」

 

霊槍を回転させ、相手の攻撃を弾く。

細剣とほぼ同じ速度で攻撃ができるだけでなくリーチが長いため、相手の攻撃の届かない範囲からでも攻撃ができる。

 

「……遅い!」

 

スキル:蒼月

 

「なっ……速い…!?」

 

「………これで終わり」

 

「嫌だ・・・嫌だぁぁぁぁっ!!!」

 

必死に抵抗するカゲムネを無視して思いっきり槍を突き刺す、そしてカゲムネは人魂(?)になった。

それを持ち、アリシャがたっている場所に降りた。

 

(ルナ…どうしてこんな出会い方になったのかわからないけど…また、会えるよね……?)

 

 

────

ルシハ目線

 

「蘇生してやってくれ、あと、この辺を明るくしてくれてありがとな」

 

「あの魔法がないと我々も不便なのでな、それより、お見事だ」

 

「…………」

 

俺とユージーンが戦い終わったあと、すぐにハヅキが戻ってきたが、何故か少し暗い様子だった。

と、不思議に思っていると送信者の名前が無いメールが届いた。

 

『ルシハはいい仲間を見つけたね、私からのプレゼントを彼女にあげた、ルシハも、腕輪、大切にしてね』

 

「もしかして……」

 

「そのもしかしてだよ、ルシハ」

 

「ルナが生きてるとでも言いたいのか」

 

「わからない……けど…」

 

ハヅキは自分の身に起きたことを全部話してくれた、新しくA()L()O()()()()()槍を手に入れたこと、それはルナがくれたものだ、と。

正直、信じ難い話だが、リハビリをしていた2ヶ月間、茅場の妻だという人から、『茅場はVRの中で生きている』と聞いたことがある、だがあれはシステム……

 

「ルシハ〜大丈夫かにゃ〜?」

 

「あ、あぁ、大丈夫だよ」

 

「まさかの自体になっちゃったヨ、でも、ルシハもハヅキも新しく武器を手に入れたりしたし(あれ?どうやって手に入れ…)

 

「とりあえず二人とも今夜はシルフ領でログアウトして、明日、世界樹にあさイチで行くとしよう」

 

「あ、サラマンダー2人、蘇生してやってくれよ」

 

この後、ユージーンに俺らに勝負を仕掛けた理由(腹いせと八つ当たりと仇)を聞いて、ちょっと納得した後、2人をサラマンダー領に返し、シルフ領についた時にはリアルタイムで10:00だった。

 

────

現実世界、如月家

 

「ルナ……」

 

「ルシハ……大丈夫?」

 

俺は現実世界に戻ってからもしばらくの間、ハヅキの、言ったことに関して考え込んでいた。

気づいたら寝ていた、それも何故かハヅキに抱きつかれながら。

 

────

次の日、世界樹の前にキリトとシルフ(名前はリーファ)のペアが立っていた。

 

「兄妹で兄妹喧嘩して、今に至る!?」

 

「おいおい、そんなに驚くなよルシハ…でも、ハヅキも一緒だとはな、久しぶり」

 

「その、(色々)でかい人がキリトの妹さん?」

 

「うん、初めまして、キリトく…お兄ちゃんの妹のプレイヤーネームはリーファ、よろしく」

 

「というかお前がメッセージ送ってきた時はシルフ・ケットシー同盟も付いてくるって言ってただろ?どうしたんだ?」

 

「それより、このピクシーってユイか?」

 

キリトの横でふわふわと飛んでるピクシーをつつく、多分見た限りユイだと思う。

 

「や、やめてくださいルシハさん、そのへんは後で話しますから…」

 

横でハヅキがちょっと悔しそうにしているのをまたまた見て見ぬふりをしながら、キリトの質問に答える。

 

「それが、ちょっとしたトラブルのせいで装備の準備が終わらなくてな、それが終わり次第駆け付けるって」

 

久しぶりに再開したキリトのアバターはトゲトゲしている。どこかで見たスーパーヤサイジンだっけ?みたいに。

そして妹と言ったシルフ領でかなり名前が上がっていたリーファはいつの日かのハヅキのように長い髪で、ポニテにしている。

ユイのこのゲームでの役割は《ナビゲーションピクシー》。キリトをここまで連れてきたのもある意味ユイのおかげらしい。

 

シルフケットシー同盟を待っている暇などない、とキリトが言い出すため、キリトは何度目かの《世界樹攻略クエスト》に挑戦することに。

 

挑戦メンバー(同盟無し)

キリト:スプリガン(片手剣)

リーファ:シルフ(片手剣)

ルシハ:スプリガン(片手剣×片手剣)

ハヅキ:ケットシー(槍)

 

「行くぞ、《グランドクエスト》!!」




話が続かないんじゃぁ!

なんと武器変!それも2人とも!

サタン(SAOの何話目かの)が声をかけてくれた。いや、NPCなんだけどさ。
それにより復活し新たな武器と久々の限界突破を使い相手を倒す。
ちなみに特殊効果なんて無いよ。
ハヅキにはまさかのルナ!?
何が起きているのかさっぱりだよね。俺もだよね。

ALOには(俺の知ってる限り)実装されていない武器種、槍を使い、カゲムネを蹴散らした。

世界樹に到着するが、同盟はまだ来れないため、先にルシハ達だけに。


4人で挑む超高難易度クエ、グランドクエストが始まろうとしている……

────
武器には特に効果などはありません(大事な事なので

────
スキル:蒼月
自身の移動速度がMAX(以上)にあがる。
それ以外にも何かしらの効果が……?

────
リーファ(本名は別の機会に)

種族:シルフ
武器種:片手剣

キリトが(ルシハ達もログインした)森にて助けたシルフの(多分)強い少女。
ルシハ達が合流する寸前に武器をかなりの高さから捨てたらしい(アニメの話)

キリトとは兄妹(深い理由は省く)


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第36話 グランド・クエスト【Part1】

世界樹に入ろうとしたその時、シルフ領から少しでも応援を出そうとサクヤが考えたらしく、レコンという少年(リーファと結構仲がいいらしい)が駆けつけた。

 

「る、ルシハさん達の話を聞いて……サクヤさんに許可をもらって応援に来た……よ……」

 

「ちょっとレコン!ヘトヘトじゃん!」

 

「早く行くぞ、こんなことしてる場合じゃない……」

 

俺たちはレコンを加え、5人で世界樹に入っていった。

入るなりキリトは大量にいるガーディアンを避けながら世界樹の上まで登っていく、が、ガーディアンはそんなことを許すわけもなく、キリトに集中的に攻撃しようとした。

 

「キリト!無茶するな!ハヅキ、俺らも行くぞ」

 

「うん……!」

 

リーファとレコンに回復魔法の援護を頼み、俺とハヅキはキリトの周りのガーディアンを倒すことに。

 

「数が多すぎる…これじゃあ絶対にクリア不能のクエストじゃねぇかよ……」

 

「ルシハ!リーファ達が……」

 

ガーディアンとの攻防を繰り返しているうちにリーファ達の方にもガーディアンが攻撃をしようとしていた。

 

「届けぇ!!」

 

俺は世界樹に到着する前に寄った街で買った片手剣を群がるガーディアンに向けて全力で投げた。

 

スキル:投剣

 

流石に武器自体が弱いせいでガーディアンを倒すことが出来なかったが、少しは足止めをできた。

 

と、リーファを置いてレコンが俺らより上に()()()()()を唱えながら上がっていった。

それを必死に止めようとリーファも俺たちと同じ高さまで上がるが…

 

「あれは使うとデスペナルティが着いてしまう《自爆魔法》…レコン……なんで私たちのために自分の身を砕いてまで……馬鹿ね…」

 

俺とリーファの周りにいたガーディアンはほとんど蹴散らされたが、キリトとその近くで戦っているハヅキの周りのガーディアンは未だに残っている。

 

「行くぞ、リーファ!」

「あ、うん!」

 

俺はハヅキの近くに、リーファは遠くからだが魔法で攻撃をしたり回復魔法を使ったりしている。

こっちの攻撃が当たりさえすれば相手は倒すことが出来るものの、向こうはそれを簡単にはさせてくれない。もちろん相手の攻撃も俺らとほぼ同等、もしかしたらそれ以上かもしれない。

そんな中、キリトは攻撃を受ければリーファに回復してもらい、隙を見て自分が攻撃を当てる、ということを繰り返している。

 

「キリト!受け取れ!」

 

俺はゼデュースホーリーソードをキリトの元に投げた、キリトが受け取る前に数体のガーディアンを蹴散らすことにも成功した。

 

「ありがとなルシハ!」

 

左手にも剣を持ったキリトはまるで人が変わったかのように攻撃の速度を上げた、が、ガーディアンはそれを見た直後、俺らを無視してキリトに攻撃を仕掛け始め、キリトの体力は徐々に減っていった。

 

「くそ……こんな所で……」

 

キリトは俺が投げた剣を手放し、俺の元へ落としてきた。リーファの回復魔法で体力はギリギリ耐え続けているものの、いつまで持つかもわからない、更には相手の数が多すぎてキリトを助けることも難しく、成す術がない……

 

キリトの体力が赤まで行ったその時だった。

 

竜騎士(ドラグーン)!ブレス攻撃だヨ!」

 

「シルフ部隊!あの者達の援護と周りにいるガーディアンを蹴散らすのだ!」

 

キリトを取り囲んでいたガーディアン達が一瞬にして消え、キリトの体力はグリーンまで回復した。

 

「またせたネー、ギリギリになっちゃったヨ」

 

「装備を揃えるのに時間をかけすぎてしまってな、だが、キリトとルシハのおかげで普通にかかる時間の倍以上の速さで終わった」

 

サクヤがシルフ領にいた部隊を、アリシャが《ケットシー最大戦力》とも呼ばれている竜騎士(ドラグーン)を引き連れ、世界樹に駆け付けてくれた。

 

「リーファ、お前もよく頑張ってくれた、だが、彼が上に行くまでは……

 

「サクヤ……わかってるよ、シルフ部隊!みんな行くよ!キリトくんの援護を!」

 

「ハヅキもルシハも頑張ってるにゃ〜?竜騎士達も手伝ってキリトを()()()()()まで送るヨ!」

 

「あぁ…!!」

 

「うん……!!」

 

シルフにシールドを貼られ、その間に回復したキリトは再び上昇を始めた。

 

「絶対に諦めない!」




バトル描写ほど苦手なものはこの世にないのかもしれない。
原作だと1話で終わってるせいで描きづらい。うん。

ガーディアンの主な攻撃って突進と投剣ぐらいですよね、あ、ガーディアンのまともな攻撃の描写書いてない(自覚)

お気に入りに追加してくれてる人って優しい人だと思います、書いててわかるけど…

レコンはこれから先出番あるのかな?ないかな?いや。無いな?(レコンファンの方、ごめん)

シルフケットシー同盟到着!

ボコボコにされたキリトは無事に登りきることが出来るのか…!?


あとがき長いし描写下手ですみません。


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第37話 グランド・クエスト【Part2】

シルフ・ケットシー同盟が到着してから数分、キリトの周りのガーディアンをシルフ部隊が止めてくれてはいるものの、未だに世界樹全体の半分ほどまでしか進んでいない。

 

「ハヅキ!俺らもキリトの周りを倒すぞ!」

 

「わかった!」

 

周りから攻撃してくるガーディアンは竜騎士(ドラグーン)とケットシー達が倒してくれているうちに俺とハヅキは近くにいるガーディアン達と、シルフ部隊が倒しきれなかった分を倒しながらキリトが戦っている近くまで行った。

 

「ルシハ…ハヅキもありがとな…」

 

「SAOを共に過ごした仲のためだ、少しぐらいは手伝うに決まってるだろ」

 

「私だってアスナを助けたい……」

 

「あぁ…ありがとう……」

 

ガーディアンの突進攻撃でシルフ部隊の1部が倒された光景を見たり、竜騎士(ドラグーン)にガーディアンが接触したりしている。

キリトを早くアスナの元に送らないといけないのに……

 

竜騎士(ドラグーン)!上に向かってブレス攻撃!」

 

「シルフ部隊も怯まず攻撃を続けよ!キリトの道を開くのだ!」

 

サクヤ(シルフ部隊)とアリシャ(竜騎士)は自分たちの周りにいるガーディアンではなく、俺たちの周りにいるガーディアンを倒すことを優先した。リーファも俺らの近くで戦っていて、かなり驚いた様子だ。

 

「我々が道を開いているうちに!」

 

「早く行くのサー!!」

 

「あいつら……」

 

ガーディアン5、6体が一斉に突進攻撃でキリトを狙う、それを俺とハヅキが抑えた。

 

「キリト、シルフ達の援護を無駄にするわけには行かない……!!」

 

「絶対に……アスナを……!」

 

「お前らまで……」

 

「パパ!今ならガーディアン達の間を通って1番上まで行けます!」

 

突進してきたガーディアン達を倒し、上を見上げるとガーディアン達が通路の端の方に避け、真ん中に道ができている。

 

「お兄ちゃん!これを使って!!」

 

リーファが剣を投げ、キリトがそれを受け取った。

そして再び、《二刀流》になったキリトは剣を上に重ね、1本になるようにして上昇を始めた。

スプリガンの飛行速度はそこまで出ないが、キリトはSAOのステータスを引き継いでいるらしいから、普通に攻撃速度として速度をとっている。

その速度を使いキリトは自分の周りに衝撃波を作り出し、阻止しようとしたガーディアンを倒しながら世界樹の奥に進んでいった。

 

「行ったか……」

 

「ルシハ、帰ろう」

 

「あぁ……」

 

(絶対に負けるなよ……キリト…!!)

 

「シルフ部隊!後退せよ!」

 

竜騎士(ドラグーン)も後退!」

 

キリトが世界樹の上まで行ったことを確認した後、俺らは世界樹から出た。

 

────

世界樹前

 

「サクヤ、本当にありがとな」

 

「礼などいらぬ、むしろルシハ達とキリトにお礼をしなければならない、ユージーンを改心させ、更には金を預けてくれたのだから」

 

「リーファ、おつかれさん」

 

「ルシハさん……ありがとうございます」

 

「さて、我々はシルフ領に帰るとしようか、ルシハとハヅキ、また会おう」

 

「私達も帰るかにゃ〜、お疲れ様だネー」

 

サクヤとアリシャと握手を交わし、それぞれ自分たちの領に帰っていった。

 

「リーファは帰らなくていいのか?」

 

「心配で……」

 

「キリトは、お前の兄さんは強い、絶対に負けない、アスナを助けて戻ってくるよ」

 

「そう……ですよね、ありがとうございました、ルシハさん、また、次は多分リアルで」

 

「あぁ、またな」

 

元気を取り戻した様子で、リーファはそのままシルフ領に飛んでいった。

 

(まともに戦うこともせずにキリトに声かけるだけだったな俺は……)

 

「ルシハ?」

 

「あ、大丈夫だよ、ハヅキ」

 

「私達もどこかでログアウトしよう」

 

「そうだな…」

 

こうして俺たちは世界樹のふもとにある街の宿でログアウトした。

 

────

世界樹【研究区画・個別エリア】キリト目線

 

「パ……パパ!大丈夫ですか!?」

 

「ユイ……?ここは?」

 

「わからないです…マップのデータが存在しません」

 

俺が目を覚ましたのはどこかの施設のような建物の中だった。多分、この近くにはコントロールルームもあると思う。

 

「ユイ、アスナの居場所はわかるか?」

 

「はい……ここから近くです、かなり近いです!」

 

「行くぞ!」

 

「はい!」

 

建物の出口を探し、外に出るとそこには大都市などなく、自然が広がっているだけだった。

 

「大都市なんて嘘じゃないか、許されることじゃないぞ……!!」

 

「それよりパパ!今はママを……」

 

「そうだな……」

 

それからしばらくして、鳥かごに入れられているアスナを見つけた。

 

「アスナ!」

 

「キリトくん!ユイちゃん!」

 

「今すぐそっちに行く!待っててくれ!」

 

アスナの鳥かごを開け、鳥かごの中に入った。

 

「ママー!!」

 

「ユイちゃん……キリトくん……」

 

「ユイ、アスナをログアウトさせることは出来るか?」

 

「今すぐには難しいです…大量のパスワードでロックされていま───

 

「ユイ!?」

 

「パパ……気をつけて…なにか…良くないも──

 

鳥かごが謎の空間に変わり、それと同時にユイが消滅した。

 

そして、いきなり体が重くなり、俺とアスナは地面にうつ伏せになる形になった。

 

「おいおい……小鳥ちゃんのかごの中に害虫がいるじゃないかぁ…」

 

「お前は須郷か……!!」

 

「おい、ここでその呼び名はやめろ。我はオベイロン陛下……そう呼べっ!」

 

 




あっという間。はい。あっという間。

気がついたらUAがめっちゃ伸びてることに気がついて怖いよ。流石SAO。

世界樹攻略があっという間に終わり、ついに世界樹の上の空間へ。
ALOの設定上、グランドクエストを終えると大都市に着き、色々できるというはなしだったはずだが、本当はそんなものは存在していなかった。

ユイが謎の力で接続されただけでなくなんと謎の重力が…

そして現れたのはオベイロン(須卿伸之)

次回、VSオベイロン!!


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第38話 世界の神【オベイロン】

 

俺は重力のせいでまともに動けない体に蹴りを入れられた。

 

「ぐあっ……」

 

「やれやれ、次の大型アップデートで実装するつもりだった重力魔法をこんなところで使ってしまうとは……」

 

そう言いながら須郷は倒れているアスナの手に鎖を付け、アスナを立たさた。

 

「僕が何をしたいのか特別に教えてやろう…フルダイブ機能を使っている人間だけだが、故意にプレイヤーの感情を操作出来るようにしたのだよ、ほぉら……明日奈……」

 

須郷はアスナの胸元の服を破き、アスナの髪の匂いを嗅ぎ始めた。

 

「いやっ……やめて……」

 

「いいねぇ…NPCにはそんな顔はできないよ」

 

「須郷……貴様……!!」

 

アスナは須郷に顔を舐められ、至る所を舐められている……

その間も俺の体は全く動かない。

 

「こうやって、本人が嫌だと思ってもその感情を消して、僕の好みの表情をさせることが出来る、既にあの《デスゲーム》から被験者300人を使ってこの機能を八割型完成させているのだ……あぁ、明日奈……なんて美しい体なんだ……いい香りだァ……」

 

「キリトくん……私はこんなやつには負けないよ」

 

「アスナ…っ!!」

 

俺は手を頑張って伸ばし、須郷を止めようとするが、須郷の使った管理者権限のせいで腕はほとんど動かなかった。抵抗してると須郷に気づかれ、須郷は俺の使ってきた剣を拾い上げ、俺に突き刺した。

 

「ぐあっ……!?」

 

「全く……うるさいなぁ……そんなに騒ぐなよ」

 

「くそ…須郷……!!」

 

「うるさいと言っているだろう、お前は大人しく死ねぇ!」

 

そう言って須郷はウィンドウを開き、何かを操作した。

 

「管理者権限、ペイン・アブソーバーをレベル7に」

 

その瞬間、俺の体に電気が走ったかのような痛みがいきなり襲ってきた。

 

「痛覚を操作したのさ。徐々に下げていたぶってやるよ、まぁ、レベル3を超えたら現実世界にも影響があるらしいがな」

 

「ぐっ……うあぁぁ!!」

 

「おいおい、和人、いや、キリトくんと呼んだ方がいいかね?これが《神》に逆らった罰だ」

 

「くそ………」

 

痛みのせいで徐々に意識が薄れていく。俺を見たあと、須郷は再びアスナの体を触り始めた。

 

「いやっ……やめてっ!」

 

「いいねぇ…イイねイイね最っ高だねェ!」

 

「須郷ーーー!!殺す…絶対に殺す、殺す殺す殺す殺す殺す!!」

 

そのまま、俺の意識は暗転した。

 

────

……ダメだ、やっぱり俺にはなんの実力もない…自分の力を過信しすぎただけだ、二刀流に、ソードスキルに…いや、あのゲームに頼りすぎてたのか…─

 

──諦めるのか、かつて、システムさえ超越した、君が

 

……だってしょうがないだろ、相手はゲームマスター、俺は一般のプレイヤーだぞ

 

──それはあのゲームを、あの時を裏切る発言だな

 

……俺は弱い、システムを超えることだって奇跡のようなものだ…

 

──それが、私を、カーディナルという存在を超えた英雄の発言なのか。

 

お前は………茅場……?

 

──君は私に負けそうになっても諦めなかった、仲間という存在を失いそうになっても、見捨てはしなかったはずだ。

 

───立ちたまえ、『キリトくん』




オベイロンウザイ殴りたい(本音)

ついに世界樹の上にたどり着いたキリトはユイと共にアスナの元に。
だが、管理者権限を使い、謎の空間に飛ばし、重力魔法でキリトの動きを封じたオベイロン(w)

オベイロン(須郷)が色々した。

あ、ペイン・アブソーバーって名前じゃなかったらすみません。

意識が暗転したキリトは意識の中で謎の声に話しかけられる。
なんと声の主は茅場晶彦!?

次回、どうなってしまうのか……


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第39話 王と勇者【オベイロンVSキリト】

 

「うお……うぉぉおおおおお!!」

 

「何!?」

 

俺は痛みを無視し、力を振り絞り立ち上がった。そして背中に刺された剣を抜いた。

 

「妙なバグがあるようだな……」

 

「GMログイン、ID『ヒースクリフ』」

 

「な、なんだそのIDは!」

 

「システムコマンド、管理者権限変更、オベイロンをレベル1に」

 

茅場に託されたGMアカウントを使い、須郷のレベルを1にした。

 

「お前なんかに負けて屈する訳には行かない。どんな状況でもあの男は屈しなかった、そう、茅場晶彦は!」

 

「そ、そうか!そのIDは茅場……あの野郎!死んでもなお、僕の邪魔をするのかぁ!いつもいつも悟ったような顔をしやがって!いつも追いつこうとしたら僕の先を進みやがって……よくも……!!僕は支配者、この世界の神だぞ!」

 

茅場という名前を聞いて須郷はかなり焦った様子だ。

 

「システムコマンド、エクスキャリバーをジェネレート!」

 

須郷はシステムコマンドを使い、ALOの伝説武器(レジェンダリーウェポン)を呼び出そうとするが、なんの反応もない。

 

「システムコマンド!システムコマンドォ!!」

 

「システムコマンド、エクスキャリバーをジェネレート!」

 

と俺が叫ぶと目の前にエクスキャリバーが現れた。

 

「たった一言で伝説級の武器を呼び出すのか……ほらよ」

 

「な、なっ!?」

 

「システムコマンド、ペイン・アブソーバーをレベル0に!」

 

俺は痛覚の感度を最大まで変化させ、床に落ちていた剣を持ち、須郷に向けた。

 

「決着をつけるぞ、何もかもを奪って奪った席で嘲笑う泥棒の王と、鍍金の勇者の最後の勝負だ、須卿伸之!」

 

「僕を……その名で呼ぶ…うわっ!?」

 

須郷はエクスキャリバーで俺を攻撃しようとするが、レベルを1に下げられた須郷の攻撃は全くと言って俺には通用しない。

 

「もうすぐ、終わる、それまで待っていてくれ、アスナ」

 

「うん……」

 

「僕の邪魔をするなぁァァ!!」

 

菅生が切りかかってきた所を避け、頬にかすり傷を与えた。

 

「イッタイ!痛い……」

 

「『痛い』だと?アスナが受けた痛みはこんなもんじゃない!」

 

「この、クソガキがァ!!」

 

まだ抵抗してくる須郷にアスナの痛み、そして俺が受けた痛みを全て与えるため、須郷の腕を切った。

 

「手が、手がァァァ!!」

 

須郷の腕がなくなったため、エクスキャリバーは床に落ち、消滅した。

 

「はあァァ!!」

 

俺は須郷の上半身と下半身を分けて切り飛ばした。

 

「グボォアァァァ!!」

 

そして痛みに悶える須郷の頭を掴み、睨み続けた後、須郷を上に投げ、剣を上に掲げた。

 

「いや、嫌だやめ──

 

須郷は右目から頭を貫通し、オーバーキルで俺が勝利した。

 

「……勝ったよ、アスナ…」

 

「キリトくん……信じてたよ、絶対に来てくれるって」

 

「現実に意識を戻すよ、今、現実世界は夜だと思うけど、すぐに会いに行く」

 

「うん……」

 

アスナをGM権限で現実にログアウトさせた。

 

「……そこにいるんだろ、茅場」

 

──君ならやれると思っていたよ、キリトくん。

 

「春揮から聞いたが、VRの中で生き続けるって聞いたぞ」

 

──妻からだと言っていたな、実際は知り合いなのだが

 

「ま、そのへんは知らないけど、今回は助かった、ありがとな、茅場」

 

──私は茅場晶彦という意識の残像だ、君がこれからどんなことをしていくのかは君次第だ。

 

「そうだな、まぁ、これで一段落……なんだこれ?」

 

俺の目の前に光るアイテムが現れた。

 

──それは私が開発した世界の種子《ザ・シード》、どう使うかは君の自由だ。使わずに記憶を消すもあり、まぁ、自由だ、それは君に託す。

 

「……わかった」

 

──それじゃあ、私はそろそろ行くとしよう。さらばだ、キリトくん。

 

────

その後、世界樹の上の空間に戻され、俺はユイと合流した後、ログアウト出来る安全な場所に行き、俺はログアウトした。

 

────

桐ヶ谷宅

 

「お兄ちゃん、行ってらっしゃい」

 

「あぁ、行ってくるよ」

 

俺は現実世界に戻ったと同時にアスナの寝ている病院に行った。




ついに終わりが近づいてきた!
というかALO編次回、最終回ですよ。

あらびっくり。

世界の種子ザ・シード

これが一体どうなるのか。
そしてアスナの元に行ったキリト……おや、不穏な空気が。

次回、ALO編最終話。


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第40話 世界の種子【新生ALO】

病院:駐車場

 

まだ、季節は1月のため、雪が少し降っている駐車場を走り、俺は病院の駐車場を走っていた。すると、右の頬に痛みが走った。

足元を見ると血がたれていた。

 

「遅いよキリトくん……君を待っているあいだに、風邪をひいたらどうする気かね……」

 

「お前は須郷……!!」

 

車の影からナイフを持った須郷が現れた、そのナイフには微量の血も付着していた。そして、須郷の右目は赤く腫れ上がっていた。俺がALOで指したからだ。

 

「右目がまだ痛みが治らなくてねぇ……そのお返しにお前を殺してやろうと思ってな!!」

 

須郷が振りかざしたナイフを避けたが、見事に足元が滑り、俺はその場で転んだ、その隙を逃さないように須郷は俺の腹に蹴りを入れた。

 

「お前ごとき、ガキのせいで俺の研究は台無しだ。どうしてくれるんだかねぇ……死ね!」

 

腹を蹴られたせいで少し動くのが辛くなっている俺に須郷はナイフを振り下ろした、が、須郷のナイフは俺を外し、地面に直撃した。

 

「あれ……目が……今度こそ当ててやる…」

 

再びナイフを振りかざした須郷の腕をナイフが当たる寸前で止め、ナイフを奪い取る。

 

「な、ナイフを奪われた……」

 

須郷は尻もちを付き、俺を見上げている。

 

「貧弱な武器だ、攻撃力も低ければリーチも短い、だが、お前を殺すには十分だ」

 

「ひ、ひぃい!!」

 

しばらく須郷をボコボコにしてまるで事故ったかのように倒れさせ、俺は病院に入った。

受付で『酔っ払ったのかわからないけど倒れてる人がいた』と伝え、頬の傷の心配がされたけどそれは気にせず、アスナとの面会を許された。

 

病室に入るとベットに座って窓の外の月を見ている長い髪の茶髪のアスナがいた。

 

「キリトくん……終わったんだね……」

 

「あぁ…いま、最後の戦いが終わったんだ……アスナ……」

 

「結城明日奈です、おかえり、キリトくん」

 

「桐ヶ谷…和人です、ただいま、アスナ」

 

アスナとキスをした後、家に帰り、その日は終わった。

 

────

それから4ヶ月程がたった。

時は5/22

俺、春揮はSAO帰還者養成学校(?)の学食で里香と葉月と珪子の3人が(いつの間にか)仲良くなって昼食をとっている様子を見ながら、中庭にてイチャイチャしている和人と復帰した明日奈を見ていた。

 

「全くあの二人………」

 

「ダメですよリズさん、葉月ちゃんと一緒に決めたじゃないですか、あの二人を1ヶ月、自由にさせるって」

 

「そうだけども……あそこまでイチャイチャされるとなんというか簡単に言えば殺意的な何かが湧いてくるのよ……あ、あんた達は今日のオフ会、くるの?」

 

「あぁ、あれか…葉月は行きたそうだし、しょうがないか」

 

「私も行きます!」

 

今日、エギルがやっている店で『1部の』SAO帰還者が集まって飲み会をするという話を聞いた。

この学校の人間と言うよりかはエギルが声をかけられるだけの人間を集める、という話で俺らも招待された。

 

葉月はこの4ヶ月で学校に馴染めた様子で、楽しそうにしている。俺はキリト達と色々研究したりしている。昼の時はこの4人とだが。

 

────

4ヶ月の間に、レクトは解散、須郷は『何故かぼこぼこ』で見つかり逮捕、SAO事件もあり、VRMMORPGは停止の危機に直面していた。

だが、この4ヶ月の間に、キリトが茅場から受け取ったと言っている《ザ・シード》をエギルが分析して結果がわかった。

 

なんと、あれは、《VRMMOを作ることが出来るネットワーク》的なやつだったらしい。難しくて覚えてないけど。

 

ALOに巻き込まれた300人は無事、社会復帰できると言われたらしいが、結局、聞いたとおり、茅場晶彦は行方不明。俺が話を聞いた人は知り合いだったらしい。

 

 

ALOが壊滅の危機に陥った時、ある会社がALOのサーバーを持つと話が出た。その会社は1度解散した(はずの)アーガスだ。俺は学校に入れられたからまともに出来ないが、関係は持っているため()()()()()()()()()()らしい。いつ使うんだ?

 

 

────

「みんなぁー!!SAOクリア……」

 

「「「おめでとぉー!!」」」

 

「和人、この後、アーガスが作り出した……

 

「行くに決まってるだろ?」

 

「アルンの上空で待ち合わせだ」

 

二次会、と称して俺たちSAO帰還者(サバイバー)の一部の人間とリーファはALO、シルフ領上空に集合した。

 

「俺名前もステータスも全て初期化したからさ、みんなに手伝ってもらうよ」

 

「ルシハじゃなくなったんだよね」

 

シードを使ったり、色々としているうちにステータスの初期化をした。

 

ALOの復帰と共に、《コンバート》というシステムなどなど……色々と進歩し始めたフルダイブ機能。

 

俺は《ラギ》、ルシハという名前はSAOだけの存在なんだ。

 

「ハヅキ、そろそろ来るぞ」

 

「……?」

 

ALOに大きな鐘の音が響き渡った。

そして、空に巨大な《城》が現れた。

 

キリトと、これの開発(中身以外)に携わった俺以外は驚いた表情で空を見上げている。

 

クライン、リズベット、シリカ、エギル、そしてアスナとハヅキ。

他にも新生ALOに生まれ変わると情報を手に入れたプレイヤーや、領の人達。

全員が目の前の光景に言葉が出ない様子だ。

 

「浮遊城《アインクラッド》!!」

 

「今度こそ、100層までクリアしよう。俺たちの手で」

 

「初期化したから無理に戦えないが、攻略開始だ」

 

こうして、俺たちの新生ALO、浮遊城アインクラッド攻略が始まった。

 

そして、《ルシハ》という存在はこれで役目を終える。

 

────

 

……To be continued!




最後まで雑かよ。

もう何も喋らない。まとめるの下手すぎるってことぐらいしか言えない。

ということで!旧ALO編が終了!

5月になって
ALOから戻ってきた人達は無事。
茅場晶彦はどっかいった。
ルシハという存在は消えた。(ステータスと名前を変えた)
ラギというプレイヤーになった。
アーガスがふっかつしちゃった。

浮遊城キタ━(゚∀゚)━!

って感じですね。雑。

ちなみにハヅキとラギの武器は初期化されてないよ、チートだね

ここからはあの事件までは平和に終わるよ。
あ、エクストラエディション編はないです。

次回から新生ALOと……

ちなみに次回から数ヶ月前に戻ります。

────
ラギ(旧:ルシハ)
レベル.1
スキル:無し
武器:数話前に記載した通り。


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UA5000突破+SAO+ALO完結記念 名言、面白セリフ集

これは共作をしているあるお方(あとがきにて詳細どうぞ)
が本編中(SAO編)から抜き出してくれた名言や面白いと思ったセリフ、その他をまとめてくれました。おつかれ。




・プロローグ

 

「 働き詰めだったお前に少しでも楽しんでもらえるように『ちょっとしたシステム』付きのアバター入りのソフトだ家に帰ってゆっくり休んで貰ったあと、起きてすぐ遊べるようにな」 by部長

 

 

 

「『これで理想は叶った』」by茅場

 

 

 

『これはゲームであって遊びではない』by茅場

 

 

 

「リンクスタート」by如月

 

 

 

・第一話

 

 

 

「ゲームの中で寝るか」 byルシハ

 

「お、俺のピザ……」 byクライン

 

 

 

・第二話

 

「リアルの顔そっくりだな…」

 

「クライン、前のアバターより老けてるな」

 

「そーゆーおめぇも思ったより若ぇじゃねぇかルシハ」

 

「茅場晶彦が、『俺の憧れ』が、なんであんなことをしようと思ったのかはわからない。だけど俺はこのゲームをクリアしようと思う。」byキリット

 

「……俺も信じられねぇよ、茅場が『人を騙す』なんてことをするなんて、でも今やれることはこのゲームで生き抜くことだ」byルシハ

 

 

 

「絶対生き残るそして、このゲームを」『『クリアする。』』byルシハ後半キリトと一緒に

 

 

 

「……『シークレットスペース』か」byルシハ

 

 

 

 「それだけしゃないだろ。おねーサンの目は欺けないぞ」byアルゴ

 

 

 

第三話

 

「信用するかしないかはお前の隠してることを明かしてからダ」byアルゴ

 

 

 

 

 

「…俺はSAOの制作を手伝った、簡単に言うと『管理者』ってとこだ」byルシハ

 

 

 

「オレっちは、ちゃんとした名前がアル!オレっちは『アルゴ/Argo』、情報屋をやってる」byアルゴ

 

 

 

「だから、オレっちとルシハのパーティを組むって言ってるんだ、その方が何かと便利だしな。(あと、気になるし)」byアルゴ

 

 

 

「ってことで宜しくな『ルー坊』」byアルゴ

 

 

 

「んじゃ、オレっちと一緒に寝るぞ」byアルゴ(←これは迷言

 

 

 

・第四話

 

 

 

「オレっちが情報屋ってこと忘れたわけじゃないだロ、色々と情報をまとめて攻略本として配布してるんだ」byアルゴ

 

 

 

「オレっちの攻略本、ルー坊にも分けてやるヨ、ただし100コルでな」 byアルゴ

 

 

 

「金とるならいらねぇよ」byルシハ

 

 

 

 「……シークレットスペースだ」byルシハ

 

 

 

「知ってるも何も俺はこいつを作ってないんだよ!」byルシハ

 

 

 

「これは多分だけど『絶界の双星剣』だな、結局どんなスキルかも分からないが」byアルゴ

 

 

 

「君たちに聞いてほしい!我々はこれから、このゲームの攻略を始めようと考えている、そのため、俺と共に攻略をしてくれる人を探している!そして1ヵ月後には隣町、トールバーナにて1層攻略会議を行おうと思う!それに参加してくれる人はレベルを上げるなどして備えてほしい、勇敢な剣士達の参加を待っている!」byディアベル

 

 

 

「誰がトゲトゲや!?わいはキバオウ言うたやろ!」byトゲt……間違えたキバオウ

 

 

 

「アルゴ、俺らそんな関係に見えるか?」byルシハ

 

「……さ、さぁ?」byアルゴ

 

 

 

・第五話

 

 

 

「あ、こいつはアスナ、俺と一緒にパーティを組むことになった細剣使いだ」byキリト

 

 

 

「なんでフード取るのよ……あ、よろしくね」byアスナ

 

 

 

「(前略)ルー坊もキー坊もお互いの戦い方をもっとしっかり知ってからの方がいいんじゃないカ?」byアルゴ

 

 

 

「…瞬殺、された」byアルゴ

 

 

 

「……勘がいいね」byディアベル

 

 

 

「(前略)俺たちは5人でもボス部屋まで行くことが出来るって見て決めたんだろ?なら、その期待に応えるだけだ」byルシハ

 

 

 

 

 

「まぁ、暗い話をしてもつまらないだろ。ここはいっちょ5人で昼でも食いに行こうじゃねぇか、俺が奢るよ」byエギル

 

 

 

「キリト君、なんで食べることに関しては鋭いのよ」byアスナ

 

 

 

「この5人でだが、明日、第1層攻略、頑張ろう!」byキリト

 

 

 

・第六話

 

 

 

「あ、ごめんね、私はルナ!()()()()()天然なんだ」byルナ

 

 

 

「オレっちは小さくナイ!そういうルナだって小さいだろ!」byアルゴ

 

 

 

「だな、キバオウ達より早くボス部屋まで着きたいし」byキリト(だったはず)

 

 

 

「キー坊、多分だが、βの時の知識は無駄だと思う」byアルゴ

 

 

 

「それじゃ!私たちはこっちに行こ!」byルナ

 

 

 

「アルゴ、お前も言ったはずだ、キリト達も気づいたと思うが。デスゲームになったと同時に各層、至る所が茅場によって書き換えられてる、ここに出るモンスターもだ」byルシハ

 

 

 

「エギル、アスナ、お前はルナを守ってくれ」byキリト

 

 

 

「……今やらないとダメだろ」byルシハ

 

 

 

「キリト!その武器こっちに投げてくれ!」byルシハ

 

 

 

「おいおい、嘘だろ!?俺だってコボルトの攻撃を弾いたんだぞ!?」byキリト

 

 

 

「……絶対これ以上傷つけさせないよ」byルシハ

 

 

 

「キバオウ、Bチームは?」初めてルシハがキバオウのことを名前で呼ぶシーン

 

 

 

P()K()…か」byルシハ

 

 

 

第七話

 

 

 

「お、おい!そこのプレイヤー!助け…っ!」モブ

 

 

 

「……また、殺した」by葉月

 

 

 

「お前……お前がやったのか?」byルシハ

 

 

 

「………邪魔なヤツらを消した。それだけ」by葉月

 

 

 

「……ルシハ…ごめん…ね……」byルナ

 

 

 

「………守ってもらうはずだったのに……私が弱いから、逆に守っちゃった……かな……」byルナ

 

 

 

「ルシハ……ほんとに短い間だったけど、楽しかった。役に立てもしない私をパーティに誘ってくれて…ありがと……『最期』にこれを……」byルナ

 

 

 

「……許さねぇ……!!よくもルナを……!!」byルシハ

 

 

 

「……最後までバカだな…ルナ…俺だって細剣は使わねぇよ……」byルシハ

 

 

 

 「ルー坊、今は悔やんでもしょうがナイだロ。今自分が何をするべきか考えろ」byアルゴ

 

 

 

第八話

 

 

 

「……キリト、少し耐えててくれ、試すことがある」byルシハ

 

 

 

「全く、ルー坊は無茶するナ!」byアルゴ

 

 

 

「トドメは任せたぜ」byキリトかハゲ

 

 

 

 

 

「しょうがないだろ、無理な相手だったんだし」byルシハ

 

 

 

「俺はアーガスの社員の1人、SAOの制作に関わり、今ここにログインしている。そしてさっき使ったのは製作者の中でも一部の人間しか使えない特殊なスキルだ。ビーターのキリトと同じくお前らみたいな雑魚どもとは違って情報もたくさん持ってる、レベルだって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」byルシハ

 

 

 

「……なんやそれ、なんやそれ!信じないぞ!わいは!」byキバオウ

 

 

 

「だろうな、信じないなら信じないでそれで俺は楽できるからいいけどな」byルシハ

 

 

 

「心配しちゃって損したかも、っておもってるでしょ、キリト君」byアスナ

 

 

 

「そりゃ、俺がキバオウ達に喧嘩売った時に比べれば逆に攻略に威圧をかけた気がするだろ?」byキリト

 

 

 

「ま、それでも俺たちの目標は『SAO』のクリアだ」byキリト

 

 

 

「そうよね、どんなことがあっても私たちは諦めずに進むわ」byアスナ

 

 

 

「……出てこい!『悪魔、サタン』!!」byルシハ

 

 

 

第九話

 

 

 

「こんな所でも助けられるとはな」byルシハ

 

 

 

「スキルが進化した……?」byルシハ

 

 

 

 「……俺は『堕天使』ルシファー!!勝負だ『悪魔』サタン!!」byルシハ

 

 

 

第十話

 

「一気に決める!!」byルシハ

 

 

 

『差出人:Satan

お主の実力、見せてもらった。我の同士と認めよう、ルシファーよ。悪魔となるか天使のままか、それはお前が決めることだ。この剣はいづれお前を助けることになるであろう、最後に我にお前の全てをぶつけるがいい』

 

 

 

『悪魔となるか、天使となるか。──この剣はお前をいづれ助けてくれる』byサタン

 

 

 

ちょっとした事件を解決出来たのだから、その代わりキリトくんの奢りね?」byアスナ

 

 

 

第十一話

 

「アルゴ……今は様子見だ、俺が出たところでどうにかなるもんじゃなさそうだし」byルシハ

 

 

 

「なんでお姉ちゃんはそういうこと言うのさ!」葉月

 

 

 

「そんなこと……私は信じない」by葉月

 

 

 

「…いいわよ、ハヅキがやりたいようにやって。でも、ほんとにハヅキが言う『その人達』が正しいのかは考え直し…… by日和(葉月の姉)

 

 

 

「……もし、あの子にあった時、あの子が間違えたことをしていた時……伝えてください…『誰もあなたを恨んでいない。今まで気づかなくてごめん』……って。『あなたを嫌いだなんて思ってない』って……『ごめんね』って」by日和

 

 

 

「ルー坊、やっぱり考え込んでたカ、そんなお前にオレっちが特別に『鍛冶屋』を連れてきたゾ」byアルゴ

 

 

 

 「あたしはリズベット、なんで落ち込んでるかは聞かなかったけどせめて剣の状態を整えるぐらいはして欲しいってこの情報屋に言われてね。ってことだから剣貸して!」byリズベッド

 

 

 

「なにこれ!?熟練度がMAXなだけでなく、耐久度1のまま耐えてるし、それもそれなのに攻撃力が高いじゃない!?……アニールブレードは普通以下みたいだけど」

byリズベッド

 

 

 

「ルー坊はずっとその剣を使ってたからナ、そこらのプレイヤーとは違うんダ、オレっちが言うことでも無いけど」byアルゴ

 

 

 

「ルー坊、今夜も一緒に止まらせてもらうゾ」byアルゴ

 

 

 

第13話

 

 

 

「キー坊、もしかして副団長って…」byアルゴ

 

 

 

「そう!我らがアスナ様である!」byキリト

 

 

 

「いきなり呼び出してすまなかったね。アスナ君にお願いして『1番強そうな攻略組のメンバー』を呼んでもらったんだ。おっと、私はこのギルドの団長、《ヒースクリフ/Heathcliff》だ」byヒースクリフ

 

 

 

「そりゃあ、キリト君もルシハ君もアルゴさんも実力は周りと桁違いじゃない」byアスナ

 

 

 

 「そうだけど……」

 

 

 

「……私は忙しくてね」byヒースクリフ

 

 

 

「アルゴ、隙があればヒースクリフを調べてくれ」

byルシハ

 

 

 

「ルー坊が言うならしょうがないガ、なんか気になるのカ?」byアルゴ

 

 

 

「よく来たなぁ!!ギルドをかき集めて作ったパーティの諸君!」byラフィンコフィンモブ

 

 

 

 

 

「おいおい。解放軍の野郎と何話そうとしてんだ?()()()()()()()()

 

 

 

「『恨みのある人間、邪魔な人間は殺せばいい、殺せばお前の悩みなんて簡単に解消できる』なんて、見え見えの嘘を着いたらほんとに信じてPKをやり出したんだから、こりゃあ驚きだぜ?」byラフィンコフィンモブ

 

 

 

「ダメだよなァ。そんなンじゃ全然ダメだ、もっと絶望しろよ、苦しめよ!自分が行ったこと全て!」byラフィンコフィンモブ

 

 

 

「……お前らみたいなクズのせいで人の未来を崩すんじゃねぇよ!」byルシハ

 

 

 

「お前はもうラフィンコフィンじゃない。行く宛もないなら一緒に行くぞ」byルシハ

 

 

 

「簡単に人に騙されて、何のためらいもなく人を殺して、それでいてお姉ちゃんまで殺して、あなたの仲間にも被害を出そうとした!こんなクズな私に生きる価値なんてないでしょ!あなたについて行っても足でまといになるだけ── by葉月

 

 

 

 

 

「ハヅキ、人間誰にも、生きる価値なんて存在しない。あったとしても誰も見い出せない。それが価値だ。人間誰にも、運命が存在する。その歯車を壊すのは簡単だ。人間の運命なんか少しの間違えで全て狂う。お前は他人の歯車を狂わした。だからこそ、もう。他人の歯車を崩すんじゃねぇよ。簡単に命を捨てようとするんじゃねぇ。お前がするべきことは殺した人の分まで、お前のお姉さんの分まで精一杯生きて、この世界から脱出することだ」 byルシハ

 

 

 

「………ごめん……なさい……ごめんなさい…!!」by葉月

 

 

 

「死んで自分の運命から、やったことから逃げるな」byルシハ 

 

 

 

「ハヅキ。何があったのかわからないけどさ、一人で抱え込んだままはダメだよ、お前には『仲間』がいるんだ」byルシハ

 

 

 

「これから先…『自分の道』を行くために使う」by葉月

 

 

 

「……いい答えだ、けど、無茶するなよ」byルシハ

 

 

 

・第14話

 

 

 

「そーど…あると…おんらいん?」by葉月

 

 

 

(前略) 『VRMMO』ってやつの『フルダイブ型仮想世界』……難しい言葉ばっかり」by日和

 

 

 

第15話

 

 

 

「原稿用紙8枚ぐらいにまとめてやるよ」byキリト

 

 

 

「(前略)ハヅキさんだって、悩みは誰かにうち明かした方がいいのよ」byアスナ

 

 

 

「出来た、けど。あなた達いつまでそんな服装してるのよ、着替えないと食べさせないわよー?」byアスナ

 

 

 

「……なんで少しぶかぶかしてる…(特に胸のあたり)」by葉月

 

 

 

「流石アスナ様……」byキリト

 

 

 

 

 

「でも、私は帰りたい、だって、あっちでやり残したこと、いっぱいあるから」byアスナ

 

 

 

「……私はどっちでもいいかな」by葉月 

 

 

 

「俺は帰ったところで一人暮らしで、アーガスはどうせ潰れるからどっちでもいいな、俺も」byルシハ

 

 

 

「……んじゃ、俺とハヅキが寝袋だな」byルシハ

 

 

 

「(前略)私はルシハと寝ると安心出来るから…」by葉月

 

 

 

「ハヅキは負けないよ、あいつは、あいつもすこしは人の役に立ちたいと思ってるんだよ」byルシハ

 

 

 

「……私だって、みんなを危険な目に合わせたこともある、でも。ルシハに言われたから、『仲間』はいつでもそばにいるって」by葉月

 

 

 

「さーてと!気を取り直して第74層、攻略開始だ!」

 

 

 

第16話

 

 

 

「そうだな、レベル的にも負けることは無いだろうし」byキリット

 

 

 

「……間に合ったナ」byアルゴ

 

 

 

「ハーちゃん……え?ハーちゃん……?」by葉月

 

 

 

「……お前、そのスキル『短剣ソードスキル最強技』だぞ、今のところ」byルシハ

 

 

 

第17話

 

 

 

「今のうちにでも情報を手に入れとかないと、『また』誰かを失うことになるだろ、俺はそれをしたくないんだよ」byルシハ

 

 

 

「ま、ルー坊の気持ちもアーちゃんの気持ちもわかるけど、今は何も言わないトク」byアルゴ

 

 

 

「そんなこと気にしなくていいだろう、勝てば『犠牲も意味を成す』」byコーバッツ

 

 

 

「あいつ…あんな剣を軽々しく持ちやがった!!」byクライン

 

 

 

「…ルシハに言われたからって…私だって、まだ戦える!!」by葉月

 

 

 

「キリト君!私だって、これ以上誰かが傷ついていくのが嫌なのよ!風林火山のみんなだって戦ってくれてる、一緒に戦うわ」byアスナ

 

 

 

「キリト!今は昔のことなんか考えるな!今いる仲間のことを考えろ!……俺から言えるのはそれだけだ。早く戦闘に戻るぞ」byルシハ

 

 

 

「……団長が、二刀流と双星剣の存在を知って、『血盟騎士団』に入らないかって…とりあえずギルドまで来て!」byアスナ

 

 

 

第19話

 

 

 

「さて、ギャラリーは沢山いるんだ、行こうか」byヒースクリフ

 

 

 

「…地味なのって言わなかったか?」キリト

 

 

 

第20話

 

「……黙れ、その口を二度と開くな」by葉月

 

 

 

「で、ハヅキ、いつまで(無い)胸を俺に押し付けてくるんだ?」byルシハ

 

 

 

 

 

「ルシハは……何があっても私が守るよ……」by葉月

 

 

 

「…その言葉、そっくりそのまま返させてもらう」byルシハ

 

 

 

「……そろそろ殴るよ」by葉月 

 

 

 

「……分からない、この世界が夢なのかなって思うことだってあるし、ルシハと出会ったことも全てなかったことになるって考えることがあって…でも、夢じゃなくて…」by葉月

 

 

 

「…帰っても……この世界より苦しいだけ……だから……」by葉月

 

 

 

「……辛いなら話さなくていいよ、それより、今日はもう寝ようぜ、流石に眠いし」byルシハ

 

 

 

第21話 

 

 

 

「ふあ……あ、ルシハ…おはよぉ…」by葉月

 

 

 

 

 

「……経験値だけじゃなくコルも獲得数が周りとは桁違いだからな、ハヅキとほぼ同じレベルなのは驚きだけど」byルシハ 

 

 

 

「おーい、お二人さん、いいムードだけどこんな所で何してんだ?」byルシハ 

 

 

 

「そりゃ、いきなり結婚しましたなんて言われても、驚くしかないだろ?」byルシハ 

 

 

 

「アスナとキリトは仲良しだった、だけど結婚までするとは思わなかった」by葉月 

 

 

 

「…あんなふうに好きな人と一緒にいれるのかなって、『大切な人』と隣にいれるのかなって」by葉月

 

 

 

 

 

「…私はさ、現実では誰の役にも立てず、むしろ迷惑ばっかりかけて、誰かが隣にいてくれる訳でもなくて、逆に人を遠ざけて、いつの間にかこの世界に逃げていて、誰とも関わらずにいたかった、なのに……

大好きな人を、守りたい人を見つけちゃったら!1人ではいられない!……アスナみたいに、キリトみたいに同じ場所で過ごす人が出来たから……」by葉月

 

 

 

 

 

 

 

「現実のことなんか気にしないよ、そんなこと気にしてなんになるって話だろ」byルシハ

 

 

 

第22話

 

 

 

「お前ら、恐怖を味あわせてやるよ」byルシハ

 

 

 

「圏内戦闘は恐怖を埋め込む」by葉月

 

 

 

「いいんじゃないのか?危なくても守ればいいんだから」byルシハ

 

 

 

「AIといえ、プレイヤーに違和感を与えないようにちょっとしたシステムがユイには着いていた。偽物なんだ、あいつの全部が」byルシハ

 

 

 

「…一応結婚してるんだからね」by葉月

 

 

 

第23話

 

「クライン!エギル!血盟騎士団下がれ!」byルシハ

 

 

 

「ハヅキ、キリト、アスナ、アルゴ、エギル、クライン、俺たちであいつを倒すぞ、今出せる全力をぶつけるんだ」byルシハ

 

 

 

「ま、ルー坊の言うことだ、信じてみるヨ」byアルゴ

 

 

 

「……エギル、あんたの店の商品って高いよな」byキリト(なぜ選んだ)

 

 

 

第24話

 

 

 

「麻痺毒を超えて剣を投げてくるとはな、まぁいい、この剣は使わないでおくよ」byヒースクリフ

 

 

 

「茅場…さん」byルシハ

 

 

 

「如月くん、君に悪いことをしたね……」by茅場

 

 

 

「言い忘れていたよ、キリト君、ルシハ君、アスナ君、ハヅキ君、ゲームクリアおめでとう」by茅場

 

 

 

「俺は桐ヶ谷…桐ヶ谷和人(きりがやかずと)、多分先月で16」

 

 

 

「年下だったのかー……私は結城、結城明日奈(ゆうきあすな)17歳です」

 

 

 

「私は桜花 葉月(おうか はづき)、多分18」

 

 

 

「そんなフルネームだったんだな、俺は如月春揮、アーガスでSAOPR代表になってるから調べたら出てくるかもな、年は19」

 

 

 

 

 

「……私がSAOを始めるきっかけになった人の名前だったけど…」by葉月 

 

 

 

「は……はづ……き……」by如月

 

 

 

最終回

 

 

 

「あのデカブツ!?」by如月

 

 

 

「頑張れよ、キリト」by如月




共作の作者のご紹介。

制作:眠猫の玉手箱(ほぼボツになったプロットや構想、今回の名言集やSAO編終了後のソードスキル集の制作をしてくれた、ありがと)
今回の名言集総合文字数7000越え

作者からの一言『もうやりたくない』

ちなみにハーメルン内で小説書いてます『ポケットモンスター 氷の少女』で検索。読んであげてください。


ちなみに共作をするにあたって、役割は。
俺の垢で投稿(つまり俺が書く)
上に書いたようにプロットや構成を練る+こういった総集編の制作を玉手箱がやってくれました。
────
そんなことは置いといて(おい

皆様。
ついにこの作品も(先週の木曜あたりに)UAが5000を突破しました。
他の方の作品ほど伸びている訳でもないですが、それでも毎日少しでもアクセスしてくれる方がいることに感謝しています。ありがとう。

お気に入りに追加してくださる方も少しずつ増えていき、書くモチベーションが上がり、いつの間にかここまで人気になりました。これでもまだ底辺なわけですけどね(汗)

SAO編投稿時から読んでくださっている方、ALOの途中やこの総集編から見てくださった方も、少しでも興味を持ってくださり、ありがとうございます。

そしてこれから先、まだ続くSAO悪光剣(略)を応援してください。

あ、眠猫の玉手箱。プロットボツ、ゴメンな。

────
数日の休みすみませんでした。
リアルの方で色々忙しかったので休みをもらいました。
これからはほぼ毎日投稿で頑張ろうと思いますので、飽きずに読んでもらえると助かります。

UA5000ありがとうございます!



眠猫の玉手箱さんの作品も読んであげてね。


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新生ALO+GGO~死銃事件、B.o.B~
第41話 新生アーガス【大型アップデート】


ALOの大型アップデートにて、浮遊城アインクラッドが実装される数ヶ月前に時は遡る。

 

2月の後半、朝早くから俺は葉月に起こされた。その理由は、『俺に会いに来た』と言う男が家に訪ねてきたらしい。

 

「よっ、お久」

 

「どなたですか」

 

玄関に立っていたのは見たことのあるような気がする男だった。どこで会ったんだっけ?

 

「お前なぁ……2年ちょっと会わなかっただけでそれはねぇだろ。俺だよ、アーガスの!」

 

「あ、チート入れたSAO渡してきた上司か」

 

「チートは入れてねぇよ?」

 

「は?だって、他の人間より経験値貯まるの早かったりよくわかんないスキルが使えたりしたんだが…あのSAOデータをチートと言わなくてなんて表現すればいいんだよ」

 

と、あの上司は本当にわからない様子を見せてきた。

 

「とりあえず立ち話はあれだし、リビングで話そうぜ」

 

「……家に入りたいだけだろ」

 

「大当たり」

 

────

 

「それで、もう一度聞くけど本当にあのSAOにはチートを入れてないのか?」

 

「まぁ、『管理者権限』を入れたぐらいだよ。流石に永続は無理だったけどな、あ、ありがと」

 

葉月が俺たちの分のコーヒーを出し、渡してくれた。

 

「気が利くね、()()の……どういう関係?」

 

「なんすかその呼び方……こいつとは同居してるちょっとした関係ですよ。それより話を元に戻してください」

 

「へいへい。お前の言ってるスキルってどんなやつだ?」

 

「他のプレイヤーが使えないスキル、それもかなり強い」

 

「それは知らないな…どうしてそんなスキルが使えたのか全く…」

 

「わかった、で、改めて聞かせてもらいますけど、なんで俺の家にこんな早くに来たんですか」

 

「そりゃ、お前、俺ら(アーガス)の噂は聞いてるだろ?」

 

「まぁ…一応は」

 

SAO事件で解散に追い込まれ、絶望的な状況に立たされたアーガスがALOで起こったSAO帰還者(サバイバー)の一部の人間のフルダイブ内の監禁事件。それによりレクトは解散を発表。

 

明日菜を助け出してから、VRMMORPGのほぼすべてが停止を余儀なくされ、管理する者が現れない、そうなった時、世間では失踪したとも言われていたアーガスのメンバーが再集結し、ALOサーバーの管理を預かった。

もちろん世間では賛否両論で、『ALOも同じようにするのか』とも言われていたが、それに動じず、アーガスは近々、ALOの大型アップデートを予定していると聞いた。

 

「そこでだ、あんな思いをしてしまって言うのは図々しいとは思うが、俺ら《新生アーガス》に手を貸してくれないか?」

 

「いいが…俺も葉月もSAO帰還者養成学校(?)に通ってるんだ、まともに手伝うことなんて出来ないぞ?それに今日もこれから行かなきゃだし」

 

 

「そうか…なら、手伝える時にアーガスの会社に来てくれ、いつでも受け入れるから」

 

「了解、暇が出来たら行くよ」

 

「あぁ、宜しくな」

 

何故か握手を交わし、上司様(笑)は家を出て行った。

それを見送った後、制服に着替え、学校に行く準備をした。

 

────

SAO事件から3ヶ月が経った1月、SAOから帰還した者は帰還者(サバイバー)と呼ばれるようになった。

ALO事件に巻き込まれたプレイヤーは2年と3ヶ月という長い期間、現実に戻ってこれなかったが、須郷の実験により体に異変が起こると思われていたものの、特に体に異変はなく、全員がリハビリをすれば社会復帰をできるようになったらしい。

キリトが茅場に渡された世界の種子が何を生み出すのかは未だにわからない。

 

そう言えば、須郷はなんで病院の駐車場でボッコボコにされた状態で発見されたんだ?

 

────

学校の帰り道。

 

「先に帰っててくれ、俺はアーガスに寄ってから帰るから」

 

「うん、わかった」

 

葉月と別れ、俺はアーガスに向かった。




日常会が苦手になったら俺何もかけねぇよ(本音)

ということでプロローグ以来の登場。ゲームして疲れを取るタイプの男、クソ上司登場!

なんとルシハのデータに入れたのは管理者権限のみ。
ほかのスキルは全く関係ないらしい……


ちなみにこの時はまだデータの初期化はしてません。

そして今回から新章!
新生ALO+死銃事件編

ここまでまとめて第3章ってことですね。


あ、新生ALOはオリジナル要素てんこ盛りです。気をつけてね


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第42話 役割【仕事】

そろそろサブタイのネタが無くなってきたな


アーガスは俺の家から30分程で到着出来る。アニメ1話分ぐらいか。

葉月に遅くなるって伝えておいたから大丈夫だとは思うけど多分日を越したらめっちゃ怒られる気がするから仕事するとしても1時間ぐらいだな。

 

「お、制服姿でそれも今日来てくれるとは、流石我がアーガスのSAOPR代表様だな」

 

「その言い方はやめてくれって」

 

会社の前に立ったと同時に入口からまるで待っていたかのようにあの上司が出てきた。ちなみに敬語は使わなくてもいいって言われた。2年前に。

 

「それで、ここに来て俺にやることってあるのか?」

 

「新生ALOとしてのシステムとして色々追加しようと思ってさ。まだ新しくアップデートすると公表したけど主に何をしようとか考えてなくてね☆」

 

「いや、そんな堂々と言わなくてもいいだろ」

 

「とりあえず入って」

 

アーガスの社内に入ると2年前、あの時と変わらない様子で社員のみんなはパソコンを操作している。

俺はSAO(現ALO)管理室の奥にある会議室に連れられた。

 

「みんなとの感動の再開は別に後でいいとして。とりあえずお前は新生ALOにするとしてどんなシステムを作りたい?」

 

「どんなシステム……んじゃ一纏めにするから少し待っててください」

 

俺は上司にそう伝え白紙に色々書き込んだ。字が汚いのは触れてはいけない話。

俺がアーガスの社員だからできることだろうけど、ALOに色々と導入したいと思ってはいた。

 

・武器種【槍】の実装

・管理者権限の廃止(GMアカウントはゲームにログインは出来ない)

・ソードスキルの実装

・オリジナルソードスキルの作成(条件付き)

 

「今はこんなところか」

 

「すげぇなお前…それに魔法が売りのALOにソードスキルを入れるとか……」

 

「一応実装できる範囲で書いた。これに関しては俺も手伝うから」

 

「──いいんじゃないの?ボクもそれは楽しみだよ♪」

 

ふと、気づくと会議室の入口から聞いたことのある声が聞こえた。

 

「お前は…空か」

 

「覚えててくれたんだね。お久しぶり、如月さん」

 

「なんでお前がここに?」

 

()()()()のためのアーガス様の下見ってところかな。ついでに見学がてらボクもちょっとしたシステムを導入したいなーってね」

 

「って、事だが、いいのか先輩」

 

「ま、困ってるし少しならな、というかお前初めて先輩っ───

 

「困ってるんですか?ならボクがいい提案をしましょうか」

 

空がそう言うと紙に何かを書き始めた。

 

「これなんかどうでしょう?」

 

・浮遊城アインクラッドの実装

 

「お前これは……」

 

「空、お前、あの城で何があったのかお前もわかってるはずだろ!?」

 

「だって、面白そうじゃん。()()()()()()()()()()()んだからさ」

 

「仮に実装したとして、SAOの時と同じならALOをやってるSAO帰還者が簡単にクリアするぞ」

 

「そこら辺はボクに任せてよ、それよりもう9時だよ?早く帰らないと葉月ちゃんが怒るんじゃないかな?」

 

「……お前は」

 

「ボクもここの近くに住み始めたから大丈夫」

 

「…先輩、こいつがしばらく開発に手を貸してくれるって言ってる。俺もしばらくは学校に専念するから…俺の考えたやつと、空が考えたやつを実装してくれ」

 

俺は上司にそう伝え、会社をあとにし、家に帰った。

 

(空…あいつ何をする気なんだ……?)

 

アインクラッドを再びVRに作り出す。

あいつがどんな考えでそれを実装する気なのか…

 

「あいつが何もしないように監視するか……」

 

────

それから3ヶ月後、アインクラッドの実装の日にちが決まり、俺はキリトにだけ伝えた。

 

新システムとして、武器種に槍の追加。

ソードスキルの実装(属性付与や魔法と同時に撃つことも出来るように変化した)

そして、システム的に認められた行動を自分のオリジナルのソードスキルに出来るようにした。

 

俺はキリトと相談してSAOの時のステータスを初期化することに。

それと同時に俺は名前を、キリトは見た目を変更した。

元々トゲトゲだったキリトの髪型はユイが座りにくいということでSAOの時に近い髪型に。

そして俺は《ラギ》という名前に。

 

ルシハという存在は、ルシファー、サタンという女神と悪魔は。《光の剣士》はSAOで消える。

 

俺と葉月は無理して武器をそのまま引き継いだ、とは言えゼデュースホーリーソードはSAO初期からずっと使ってきたため消去したけど。

 

────

5月

ALOシルフ領上空。

公表された時間に俺らは空にいた。

あいつが実装を決めた《あの城》が現れた。

 

「みんな行くぞ!」

 

俺たちのアインクラッド攻略が始まる……が、あんなことが起こるなんて……

 

────

 

「よくこそ。ボクの城へ」

 

城を見ている人の中に、怪しげな動きをする者がいた……




怪しげな雰囲気になってきましたよ(wkwk

いきなり現在に戻ったけどそれは置いといて。

内容に関しては触れない。

次回からオリジナルで行くぜ(`・∀・´)

オリジナルということを頭に入れた状態で閲覧よろしくお願いします。

次回、アインクラッドに……


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第43話 新生アインクラッド攻略【Part1】

アインクラッド第1層転移門広場

 

「またこの世界に来たのか俺らは……」

 

「100層をこの目で見るためにな」

 

「でも、攻略法はわかってないんだろ?」

 

と、ノームのエギルとサラマンダーのクラインが話しているのを無視して俺とキリトは()()()()()()()街の外に出た。

もちろんハヅキとアスナはそれにいち早く気がついて俺らを追いかけてきた。

 

「キーリートくん!」

 

「ルシ……ラギ!」

 

「「一人で行こうとしないで!」」

 

キリトにアスナが、俺にハヅキが顔をすごく近くにして注意してきた。

 

「わ、わかったって……と言っても他のみんなは?」

 

「まだ自分の姿に慣れてないのか慌ててたわ、ついでに街で買い物するって約束してたのにキリトくん達が……」

 

「…酷い」

 

「いや、ならついてこなければ良かっただけじゃないの──

 

アスナとハヅキが近くにいたボアを思いっきり蹴散らして笑顔を見せてきた。

 

「何か?(殺意)」

 

「い、いえ。なんでもないです」

 

────

この後、10分ほど4人で狩りをした。

アスナが補助に適したウンディーネのはずなのに率先して攻撃に参加したりハヅキが振り回した槍が俺達に当たりそうになったりしたけど着実にレベルが上がった。

 

あ、忘れてたけど俺もハヅキもアミュスフィアを手に入れた。

 

……何故か俺のレベルが上がりやすいのは変わらないらしい。

 

「ラギ!ちょっとコレ見て……」

 

狩りを終え、はじまりの街に帰る途中、ハヅキが何かを見つけた様子で俺の方に走ってきた。

ハヅキは持ってきたもの、それはさびた片手直剣(片手剣)だった。

 

「なんだこれ……?」

 

「おーい!ラギ、ハヅキ!早く行くぞー!」

 

「わかった、今行く」

 

俺は錆びた黒い剣をアイテムストレージに入れ、キリト立ちの元へ急いだ。

 

その時、一瞬だけ誰かの視線がした気がするけど、視線を感じたところを見た時には誰もいなかった。

 

────

「おい、キリト!ルシ……ラギ!てめぇら俺ら4人を置いてレベリングとはいい度胸じゃねぇか!」

 

「もう夜だしあたしらは落ちるわ」

 

「キリトさん達ずるいです!明日は一緒にやりましょうね!」

 

シリカとリズ、そして、ピッツァ野郎(クライン)がそれぞれ俺たちに愚痴をこぼしながらログアウトしていった。

 

「キリトはどうするんだ?」

 

「いつの間にかスグがいないからログアウトするよ、多分飯を作ってくれたんだと思うし、また明日な」

 

「私も早くログアウトしないとだから…ラギさんまた明日」

 

キリト、アスナの順にログアウトし、残りは俺たちだけになった。

 

「それじゃあ、俺達もログアウトす──

 

『そうはさせないよ』

 

「……!?」

 

謎の声が聞こえたその瞬間。

俺とハヅキはフィールドに立っていた。

 

「ここは……?」

 

『いやぁ……まさか()()()()()でもこのゲームにログインできるとはね……』

 

「誰だ!?」

 

『ボクが誰か知りたいならここから出てみなよ、()()くん』

 

謎の声がそう言うと周りの景色が変わっていった。

 

「ここは……シークレットスペース…!?」

 

『確かに()()()()()()()()()()そんな名前だったね。だけどボクが作り出したものはそんな名前じゃない』

 

目の前に巨大なモンスターが2匹現れた。

 

『ここは、《デスエリア》だ』




あと数話続きます。


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第44話 新生アインクラッドの邪神【攻略Part2】

投稿ペース上げたいな。


 

「デスエリアだと……?」

 

『さぁ、目の前の邪神を倒してみなよ。まぁ、君には無理だろうがね……』

 

謎の声はその発言を最後に聞こえなくなった。

そして目の前の2匹のモンスターが動き出した。

 

「ラギ……何…あれ…?」

 

目の前にいる巨大なモンスターは名前が真っ黒でそれでいて見たことの無い名前表記がされていた。

 

《HNM》

 

「嘘だろ………!?」

 

「こんなの勝てるわけないよ……」

 

────

HNM:邪神ナーガラージャ

レベル:110

 

HNM:邪神デスデビル

レベル:120

 

────

2体は同時に俺らに武器を振り下ろしてきた。

2体の攻撃が地面に当たった直後、地面が砕け、岩が俺たちの元に飛んできた。

何とか剣で弾いたものの、防ぎ続けるだけだと……

 

「どっちにしろ勝てねぇ……!!」

 

どう考えても勝ち目がない相手に俺のこのレベルで挑戦する時点で負ける未来しか見えない……それにこのエリアの表記………

 

《death game》

 

デスゲーム……名前からして嫌な予感しかしない…それにあの声の主が何を考えているのかもわからないが多分……死んだら何かしら俺らの身に起こる可能性もある……という意味でのデスエリアだろう……

 

「ラギ…!どうするの!?」

 

「無闇に逃げても戦っても無理だ……」

 

「それならどうするのさ……!?」

 

ハヅキだけでもこのエリアから出させるしかない……

 

「はあァァ!!」

 

ソードスキル:ヴォーパルストライク

 

「まだまだァ!!」

 

ソードスキル:バーチカルスクエア

 

もちろん低レベルの俺の攻撃は全く効かず、相手はひるむこともせずに俺に攻撃を振りかざした。

ナーガラージャの爪での切り裂き、デスデビルの大鎌の切り裂きが俺に直撃した。

 

「がはっ………」

 

『おいおい、どうしたのさ?それがSAOをクリアに導いた英雄の1人なのか?ボクが用意した最高のステージで死んでもらっては困るよ』

 

「お前は誰だ……死なないように設定してるとはな……」

 

『体力が尽きないけど……このエリアで受けたダメージは()()()()()()()()()から気をつけた方がいいよ、まぁ、君に関しては既に手遅れだろうけどね』

 

「現実に……!?そんなこと出来るのか……」

 

『ボクが用意したエリアだからこそボクだけに設定できた、ペインアブソーバーを3に低下させたこのエリアで君達は現実に影響を及ぼして君達はこの世界では死なずに現実で死ぬ……どうだい、ボクの考えたデスゲームだ、存分に楽しんでくれ』

 

「まて……お前は一体──

 

「空さん………なの!?」

 

『よくわかったね、だが、この世界ではソルだ。間違えないでくれ』

 

そう言った瞬間、動きが止まった邪神の前にプレイヤーが現れた。

 

「やぁ……この世界では初めましてだね」

 

「お前…………」

 

目の前に現れたソルは何故か現実の見た目で左耳に()()()()を付けていた。

 

「このエリアで君達はダメージを受け、現実で……死んでもらう」

 

ソルは笑みを浮かべながらそう呟き、俺らの目の前から消えた………

 

そして目の前にいた2体の邪心が再び動き始めた。




邪神がトラウマだ(SAOHRをやったことある人ならわかる話だと思う

やべぇよ絶対春揮死んでるよ(ペインアブソーバーLv3の影響)

え?なんでペインアブソーバー?
え?色々触れない?
気のせいですよ



次回。
ホロウリアリゼーションで俺が全く手を出せなかった最強の敵、邪神とのバトル……!!




ちなみに俺、ホロウリアリゼーション未だに巫女買ってないです


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第45話 デスゲーム【攻略Part3】

「ラギ!」

 

「くそっ……!!」

 

ソルが消え、再び動き出した2体の邪神が繰り出した攻略をギリギリで避けたが、少しずつ俺の体が重くなっているのがわかるほどに、避ける速度が下がっていた。

さっき食らったダメージで致命的状況になっただけでなく、ソルが言ったことが本当ならば現実の俺も、既に危険な状態かもしれない……

 

(こうなったら………)

 

俺はギリギリで相手の攻撃を避けつつ、アイテムストレージに入れた黒い剣を取り出した。

そして左手に持ったその時、ハヅキを狙わずに俺の方にターゲットを決めた2体は同時に攻撃を繰り出した。

なんとか受け止めたがもちろん低レベルの俺では止めることなどできるはずもなく、壁の方に押されそうになっていた。

ハヅキが何とかしてターゲットを自分に向けようとしていたが、邪神はそれを無視し、攻撃を続けようとした。

 

絶体絶命だと思ったその時。

2体の邪神はいきなり後ろに吹き飛んだ。

 

「ラギ……!剣の錆びが……」

 

「これは………?」

 

《air Break (不壊)》『霊刀 イザナミ』

 

不壊と表記された武器が俺の左手で黒い光を発していた。

 

「ハヅキ!倒せないかもしれないが少しでもダメージを与えるぞ……!!」

 

「うん…!」

 

俺に吹き飛ばされた2体は起き上がり、俺に向かって攻撃をしようとした、振りかざした攻撃を避け、ナーガラージャの腹に向かって左手の剣でソードスキルを放つ。

 

ソードスキル:ヴォーパルストライク

 

その攻撃に全く怯まず、ナーガラージャが攻撃をする寸前、ソードスキルを発動したあとの硬直が起こる寸前に右腕に力を込め、ソードスキルを再び放つ。

 

ソードスキル:バーチカルスクエア

 

少しの間ナーガラージャが怯んだ隙にもう一度ソードスキルを放った。

 

オリジナルソードスキル:デス・スターアライズ

 

ALOで1度だけ発動させたシステム外スキルの《スキルコネクト》で相手に攻撃を叩き込んだ、が。

 

デスデビルを止めてくれていたハヅキが後ろに下がり、俺も同じく下がろうとしたその時、デスデビルの標的(ターゲット)が俺に向き、デスデビルの攻撃が俺を直撃し、俺は横にあった岩に打ち付けられた。そこに追い打ちをかけるようにナーガラージャの爪が俺を突き刺した。

 

「がはっ………」

 

「ラギ!」

 

HPがゼロにならないとしても、現実世界(リアル)の俺の体にダメージが蓄積されていく……多分だが今このまま次に攻撃を受ければ俺は……

 

そう考えているうちにナーガラージャとデスデビルは攻撃をしようとしていた、が、何故か動きが止まり、消滅していった。

それを見た直後、俺は気を失った。

 

────

ハヅキ目線

 

邪神って呼ばれる2体がいきなり消滅して私たちは助かった…けど、ラギは気を失っていた。

 

『助かったね……ハヅキさん』

 

「あなたは……ルナ?」

 

『うん、ちょっとした工夫でデスエリアって言うのを消したの、でも……お姉ちゃんがなんでこんなことをしたのかわからない…もし、また()()()()()()()()()()ら止めてあげて……』

 

「うん、わかった……」

 

『私がはじまりの街に転移させるね、その後、ログアウトして』

 

「うん…ありがとう」

 

ルナがはじまりの街に転移させてくれた後、声は聞こえなくなり、気がついた頃には現実世界に戻っていた。

 

────

葉月目線

 

戻ってきてから既に10分ほどが経過していた、けど、一向に春揮が自分の部屋から出てこない。

はじまりの街で強制ログアウトさせられたと思うから多分戻ってきてるとは思うけど……

 

「春揮……戻ってきてる?春─────

 

春揮の部屋に入るとそこには──

 

アミュスフィアを外し、春揮が床に倒れていて、床には血が流れていた。

 

「春揮!?」

 

春揮は右目と口から血を流していた。




血涙。
吐血。
流血。

わっしょいヽ(´・∀・`)ノ

邪神との決着があっけなく着いた。多分負けの方面で。
え?ルナは何者?
さぁ?

現実世界に戻り春揮の部屋に行くとそこはある意味地獄……

どうなってしまうのか……


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第46話 敗北【銃】

「春揮!春揮!」

 

いくら揺らしても春揮は起きる気配がない……血が付くのは覚悟して春揮の胸に耳を当てると、一応心臓は動いていた。

それだからって安心はできないため、とりあえず救急車を呼んだ、あと和人も(なんでだろ…?)

 

既に夜中になっているのに救急車はすぐに来て春揮は近くにある病院に、救急車の音を聞いてバイクで駆けつけた和人に事情は説明した。

 

「ごめん、焦っててこんな夜中に呼んじゃって…」

 

「いいよ、それより葉月は大丈夫だったんだな」

 

「うん、ALOではほとんどダメージ受けなくて……でも……」

 

「その、ソルって奴が何者なのかは俺も探してみるよ、葉月は明日から学校どうする?こんな状態だけど…」

 

「普通に行くよ、心配だけど……って、ひゃぁ!?」

 

俯いた私の頭をいきなり和人が撫でてきた。

 

「あ、ごめん、スグにやるノリでつい……元気出せよ、春揮はそう簡単に死にはしないだろ」

 

「うん……」

 

少しの間和人と話した後、既に日を越しているけど、春揮の部屋の血を拭いて1人、静かに眠った。

 

────

次の日、私は養成学校の食堂で1人、パンを食べていた。

 

「葉月?」

 

「元気無いですよ、どうかしたんですか?」

 

「ううん、別に……」

 

和人以外には春揮のことは伝えていない、だからどうして暗いのかなんて言えない……

友達もいつの間にか増えたけど、今は話す気にもなれず、1人でいようと思って学校の屋上に行くことにした。

 

(春揮…無事なんだよね……?)

 

「春揮が心配なのか?」

 

「あ、和人……いたんだ」

 

「あぁ、アスナが先生に呼ばれたから今日は昼メシ一人で食べてって言われて一人でいるには丁度いいここで食べて休憩中だ」

 

和人はそう言いながら近くのパイプに座った。

 

「春揮が心配なのはわかるよ、俺だって()()()()()だったし、でも……急ぎすぎて突っ走ると大変だからな」

 

「うん……そう、だよね…」

 

────

結局、その日の放課後、和人と一緒に春揮のいる病院に行って、お見舞いをしたけど、春揮はまだ目を覚ましていなかった。

 

それから1週間、春揮が目を覚ましたけど、身体のダメージはかなりあるらしく、リハビリも兼ねて退院までは時間がかかってしまうらしい。

目を覚ましてくれただけでも良かったし、リハビリすればなんとか復帰出来るって聞いてホッとした。

 

こんな事件が起きて3ヵ月近く経った真夏日。

春揮はリハビリを終えて退院をしたものの、まだ安静にしてないといけないということでしばらくVRは触らないと決めて、和人と一緒にどこかに行ってしまった、とは言えすぐ近くのビルの中なんだけど。

 

「葉月ー!早くしなさいよー!」

 

「だってこの水着大きいから……」

 

「シリカと同じやつでもよかったかしらね?」

 

「なんか負けた気がするから嫌だ」

 

「なら堂々としなさいよー!」

 

────

春揮目線

 

俺が病院に運ばれて意識を取り戻した日、葉月が泣き付いてきた、二度と無茶はしないと約束して3ヵ月近く経った真夏日、近くの市民プールから聞こえる女子達の声を耳にした。

俺と和人は市民プールではなく近くにあるビルの中である男に話をしていた。

 

「そんなことが、それにしても、如月くん。よく無事でいたね」

 

「まぁな、これでもギリギリだったけどな」

 

「まぁ、また何かあった時は連絡するよ」

 

「あぁ、わかった」

 

俺と和人が話をしていたのは仮想課の菊岡という男。

前に俺が葉月の居場所を、和人が明日奈の居場所を聞く時に世話になった男で、SAOのことを話すという条件を課せていたため、今日を使って話した。

 

「そういや、今日は女子を連れてどこに行くんだ?」

 

「葉月はお前といるだろ、俺たちはこれからユイのためにちょっとしたクエに行くためにスグの泳ぎの練習をしてるんだよ」

 

「なるほどな、まぁ、俺はまだVRを使わないからちょうど良かったかもな」

 

「まぁな」

 

────

あんな目にあってしまった以上、しばらくはVRを使わずに現実世界で色々して、と葉月が言ってきたから言われた通り俺はアーガスに行ってデスエリアの消去をしたりリハビリがてら学校に行ったりと色々していた。

とは言えまだ完治したとは言えないらしいから大人しくしている訳だが。

 

この3ヶ月のあいだに和人が空の使っていた機械が何なのかを調べてくれたが何もわからなかった。

 

────

それからさらに数ヶ月。

12月の始まり。

 

俺はやっとVRに復帰し、レベリングをキリト達として今は22層のログハウスにて、休んでいる。

 

「ラギったらレベル上がるの早すぎじゃない?」

 

「リズさんが遅いんじゃないですか?」

 

「それ有り得るな」

 

「そうよね、リズだもんね」

 

「アスナもキリトもシリカも酷いわよ!」

 

「それよりラギ、おめェ大変だったんだろ?ハヅキちゃんも、あんな思いしてよく帰ってくる気になったなぁ…」

 

と、クラインが俺とハヅキの肩を叩きながらそう言った。

 

「確かにそうだけど、このゲームを見捨てたら何かダメな気がしてさ、復帰したんだよ」

 

「わっけわかんねぇ……」

 

「パパ!ママ!そして皆さん、お疲れ様です」

 

今日はレベリングをしつつリズの鍛冶のためのアイテムをとるために狩りをしていた。

思ったより強敵で苦戦したが、数の暴力で勝利し、現在に至る。

 

そして、もうすぐ、()()()()()であんな事件が起こるなどとは誰も想像していなかった。

 

────

ガンゲイル・オンライン(通称GGO)

 

とある場所。

ニュース番組を見ている者達の中にフードを被った男がいた。

 

ニュースに出ている男が笑っている。

フードの男は映し出されたモニターに銃を向けた。

そして男は銃を撃った。

するとモニターに映った男はいきなり苦しみだし、倒れた。

そして銃を撃った男は銃を天井に向け低い声でこう叫んだ。

 

──俺と、この銃の名前は死銃(デスガン)だ。よく覚えておけ。

 

死銃と名乗る男の情報は瞬く間に広がり、現実でも騒がれるようになっていた。




話飛ばした。
無事でした。

エクストラエディションの内容入れないと言ったな。
あれは嘘だ。

一気に半年吹き飛んで12月のある日。
ALOに復帰したラギはレベリングと共にリズの素材集めを手伝うことに。


そしてそれから数日後。
別のVRゲームにて事件が起こる──



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第47話 死銃事件【ガンゲイル・オンライン】

12月14日

俺とキリトは菊岡に呼び出され、東京のとあるカフェに来ていた。

午後からまた、リズの素材集めをしようと思っていたタイミングで呼び出され、キリトは少し呆れていた。

 

「急に呼び出してすまなかったね。どうぞ、座って」

 

「どうも、それでなんでわざわざこんなところに呼び出したんだ?」

 

「いやぁ…ついここのパンケーキが食べたくて」

 

「それだけなら帰らせてもらうが」

 

「いや、君たちにこれを見てもらいたくてね」

 

冗談を言ってふざけていた顔が一瞬で真剣になり、俺たちに端末を渡してきた。

そこにはVRMMO全体のニュースを取り扱うサイトの最新ニュースが載っていた。

 

『謎の男デスガン現る』

 

と、堂々と書かれた記事を見つけた。

 

「数日前、ガンゲイルオンラインというゲームで2人のプレイヤーが突然苦しみ、消滅した。その2人のプレイヤーは現実世界で心臓が止まった状態で見つかった、そしてそのどちらにも当てはまるのがその死銃(デスガン)という謎の男だ」

 

「アミュスフィアは安全なものだ。ゲーム内で死んでも現実で死ぬようなことは絶対に無いはずだ」

 

「もちろん、僕だってそう思っているよ、だがこの男は()()を実現した。それもたった1発の銃弾でね」

 

「それで、俺らにどうしろと?」

 

「君たちにGGOにログインしてもらい、B.o.Bという大会に出て、死銃の正体を掴み、この事件を二度と起こさないようにして欲しいんだ」

 

菊岡はそう言いながら端末を開き、俺らに再び見せてきた。

そこには《第3回B.o.B開催》の記事が出されていた。

 

「ほんとにゲームで人が死ぬなんて信じられないが……」

 

「和人、行ってみようぜ、この後リズ達に合流して素材集めを終えた後にさ」

 

「……わかった菊岡、俺らでGGOにログインする、その代わり()()()()()()()()()()()必ず手を貸してくれよ」

 

「借り、ということだね」

 

菊岡に俺らの分のGGOを渡され、持ち帰り、葉月と共にリズの素材集めを終え、ログアウトする前にハヅキとアスナを連れてキリトと共にALOの誰もいないところに行き、しばらくの間ALOにログインしないことを伝えた。

 

「それじゃあ、キリト君もラギさんもALOをやめちゃうってこと?」

 

「違うよ、ほんの数日だけ、別のゲームにログインしないといけなくてさ、菊岡に頼まれてさ」

 

「ラギ、絶対に無理しないでよ」

 

「分かってる、約束するよ」

 

アスナとハヅキだけにGGOにログインすることを伝え、俺たちはログアウトし現実世界で合流した。

念の為、ということで和人がSAO事件のあとリハビリでお世話になった看護師に頼み、俺らの状態を見てもらうことにして、俺らはその日にGGOにログインした。

 

「「リンクスタート!!」」




何も言わぬ


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第48話 B.o.B予選【GGOログイン】

GGOにログインすると同時にキリトが思いっきり叫んだので横を見ると……黒髪の長髪の女の子が立っていた。が、その子から聞こえる声はキリトそのものだった。

 

「キリ……子?」

 

「おいおい……嘘だろ……」

 

「とりあえず手分けして武器屋見つけようぜ、あ、ナンパはされるなよ」

 

「わかってる、とりあえず武器屋が見つかったらメールで教える」

 

ALOからコンバートでGGOにログインしたからなのか、ステータスに関しては微妙に高い。

とは言え銃の世界なんて全く経験したことがないからどれだけ俺らで戦えるのかが不安だ。

 

と、フラフラしている内に武器屋にたどり着いた。

そしてここで問題に気づいてしまった。なんとGGOにはメール機能がない。

 

「気長に待つか……」

 

待つこと数分、キリ子(キリト)が水色の髪の女の子に連れられ、店に入ってきた。

 

「お、ラギ、先に来てたのか…びっくりしたよ、まさかメール機能が無いなんてな」

 

「その人もコンバート…だっけ?であなたと来た人?(あれ、喋り方変じゃない……?)

 

「あ、えーっと……そうなんですが、いい武器教えてくれませんか?」

 

「いいわよ、着いてきて」

 

多分水色の髪の女の子はキリトが男だとわかっていないと思う。

 

この後キリトが()()()()()()()()ギャンブルに勝ち金を稼いで色々な銃を見たが、結局俺らが選んだのは光剣(こうけん)、それぞれキリトが黒、俺が赤色にして購入した。ついでにハンドガン(?)も。

 

「そう言えばあなたに自己紹介忘れてたわね、私はシノン、よろしく」

 

「俺も忘れてたな、俺はラギ、宜しくな」

 

B.o.Bに参加したいとキリトが伝えてくれていたらしいが、エントリーまで残り10分となり、エントリーするための場所につくのとエントリー時間を合わせてもギリギリになってしまった、が、キリトがバギーを見つけて俺とシノンがそれに乗り、エントリー会場に到着した。

 

「リアルの情報は……入れなくていいか」

 

エントリーを済ませると3人とも《Fブロック》になった。

 

「それじゃあ、もうすぐ開始だから着替えするわよ、キリト…だっけ?付いてきて」

 

「え?い、いや…あの……」

 

シノンがB.o.Bのために着替えをするため更衣室に行こうとしたところでやっとキリトは自分の性別を明かした。その直後キリトはビンタをくらい、着替えてきたシノンに無視されていた。

 

「B.o.Bが始まったら絶対に殺すわよ!」

 

「おぉ、怖い怖い…」

 

「朝田さ……シノン!遅かったじゃないか、その2人は?」

 

「騙されないで、二人とも男よ、その2人にアドバイスしてたら遅れちゃって」

 

「へぇ……君たちがシノンと、ねぇ…」

 

シノンと少し仲良く喋っている男は一瞬、さっきを俺らに放ってきた、が、そんなことを気にしているうちにその男はB.o.B予選のための自動転送で消えた。

 

「それじゃ、予選の決勝で会いましょう」

 

「あぁ、絶対に負けないぞ」

 

キリトも光剣を片手に持った瞬間、自動転送され、俺もそれに続くように自動転送された。

 

────

予選1回戦

 

(まずは敵がどこにいるのかを……)

 

と、周りを確認していると俺の背中の方から赤い線……シノンに教えてもらった予測線(バレットサークル)が現れ、銃声が聞こえた。

 

間一髪で避けたが、やはりほかのプレイヤーと違い、銃を使わないで戦うのは無理がありそうだ。

 

「まぁ、こうやればいい話だが……!」

 

もう一度バレットサークルが表示され、銃弾が飛んできた瞬間に光剣を振った。

ナイスタイミングで銃弾を切り、俺は感覚を掴んだ。

 

(これなら行ける……!)

 

バレットサークルが来た方向に無防備で走り、相手を目で捉えられるほどにまで接近した。

 

「バケモンかよてめぇ!?」

 

と、叫び声が遠くから聞こえるが、そんなのお構い無しにさらに接近し、光剣で《ヴォーパルストライク》を放ち、さらに《バーチカルスクエア》に似た技を使い相手が為す術もないまま死亡の表記がされた。

 

(これがGGOでの剣か……少し軽い気もするがこれならB.o.Bを勝ち上がることも楽勝だな)

 

1度、待機室に自動転送され、シノンと合流してキリトを探したが、キリトは少し青ざめた顔で立ち尽くしていた。

 

「どうしたんだキリト?」

 

「……笑う棺桶(ラフィンコフィン)のメンバー…」

 

「……は?」

 

「死銃はラフィンコフィンの、SAO帰還者(サバイバー)の誰かだ」

 

シノンが説教してキリトが冷静さを少し保てたところで1度、気晴らしとも言えるように予選2回戦が始まり、1回戦と同じように剣技でボコボコにして勝利し、キリトに何があったのかを3回戦の前に聞いた。

 

俺達が来る前に『お前は本物か』と何度も聞いてくる黒フードの男が目の前に現れて、特徴的に死銃だと思ったら去り際に腕に《笑う棺桶》のマークが描かれていたらしい。

そしてさらに『本物ならお前をいずれ殺す』 と言ったらしい。

 

その話を聞いたあと3回戦、グレネードを使いまくる変態と当たったが光剣の柄でグレネードを思いっきり弾いたら見事に爆発せずに投げた相手側に吹き飛び相手は自滅という形で俺の勝ち。

 

そしてB.o.B予選は準決勝まで進んだ。

シノンはそこまで苦労する相手じゃないと、トーナメントの相手を軽く見ていたが、俺らはそんな余裕はなかった。

トーナメント表に載っていた名前は、俺とキリトを驚かせた。

 

予選準決勝

 

kirito(キリト)

VS

ragi(ラギ)

 

「「嘘だろ!?」」

 

どっちかが勝てばどっちかが負けてB.o.B本線には上がれない。

それはもちろん向こうもわかっている様子だが……

 

「手加減は無しだ、俺らはソードスキルに近いものを使える、ALOのデュエルと変わらないだろ」

 

「あぁ、そうだな」

 

実はキリトと新生ALOになって、俺が復帰してから何度か、誰もいないうちに特訓がてらデュエルを良くしていた。

もちろん俺は《スキルコネクト》を使いまくったが途中で……

と、考えているうちに自動転送が始まった。

 

「勝負だキリト!」

 

「あぁ、行くぞ!」

 

こうして俺とキリトのB.o.B予選準決勝が始まった。




あと数話もしないうちにGGO終わります。


あ、今更ながら注意です。
作者は全く銃の知識がZEROなので色々と間違えているかもしれないです。

ついでに本編のGGOはほとんど見てないのでルールとかもほとんど知りません。

え?ならなんで書いたか?

そりゃ、後のためですよ。


GGO編はあと数話で終わりますぜ、すみません短いね。
その短さを形にしたかのようにログインから予選決勝まで吹き飛ばしました。

だって知識ないから書くの怖いから


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第49話 B.o.B予選準決勝【VSキリト】

自動転送された先でいきなりキリトと遭遇した。

 

「早くも見つかったな」

 

「もうちょっと時間かかると思ったけどな」

 

俺もキリトも光剣を構え、同時に切りかかる。

キリトにハンドガンを撃つと俺と同じように弾を切り、怯まずに《ヴォーパルストライク》で突進を決めてきた。

 

「流石だな……だが…っ!」

 

突進して来ているキリトの背中を使い思いっきり空高く飛び、キリトの背中に弾を打ち込み少しでもダメージを稼いだ。

 

「そんなやり方があるなんてな……」

 

「咄嗟に思いついただけだがな…」

 

両者引かずの互角の戦いとやらを繰り返し、お互いの体力が半分を切った。

 

「はあぁ!!」

 

俺がヴォーパルストライクでキリトに近づいたところでキリトはそれを避けようとした、その隙をついて左手に持ったハンドガンでキリトを撃ち、そして一瞬怯んだタイミングを狙い光剣でさらに攻撃を与える。

キリトは後ろに下がったが、全く同様せずに剣を構え始めた。

 

「まるで《ダブルサーキュラー》だな……流石だよラギは」

 

「キリトも遠慮なく本気で来いよ」

 

「言われなくとも分かってるよ……はあァァ!!」

 

キリトは近くの建物の壁に向かっていきなり走り出した。

血迷ったかと思ったがよく考えればALOでもあいつ……

ってまさか!?

 

「食らえ……っ!!」

 

ビルの3階の高さからハンドガンで俺を狙ったと思ったが、少しずれたところに打って俺を惑わし、その隙に光剣で空中からのバーチカルスクエアを使った。

一気に体力を持ってかれたのが1番驚きだがまさか壁を使って攻撃してくるとは予想外だった。

今思えばここ銃の世界だよな……ま、いいのか。

 

────

それからさらに時間が経過しても俺らはいい勝負をしていた。

 

「そろそろ一気に決めようか、ラギ」

 

「B.o.Bの時間もあるからな……」

 

俺らはお互い、剣を構え、最後の一撃を決めに行った。

 

「はあぁぁ!!」

 

「行っけぇぇ!」

 

お互いが繰り出したヴォーパルストライクで俺らの立ち位置が逆になったと同時に一気に決着はついた。

俺らは二人ともダメージは互角だったものの、さっきの壁からの攻撃でバーチカルスクエアを受けてしまったため、俺の方が体力が少なくなっていた。

 

それが勝敗を決め、俺はキリトに負けた。

 

B.o.B予選準決勝

WINNER kirito!

 

────

B.o.B控え室

 

「負けたか……まさかギリギリで負けるとは、流石だキリトだよ」

 

「やっぱソードスキルのぶつかり合いだと気持ちいいよなー、ここ銃の世界だけど」

 

何故か負けたのに控え室に転送された俺はキリトと話していた。

その時にシノンの姿は見えなかった。

 

「それじゃ、俺は現実世界に戻るよ、本線まで価値上がれよ、キリト」

 

「あぁ、絶対に勝ってやる」

 

こうして俺はB.o.Bを終えた。キリトが死銃の正体を明かし、事件が二度と起きないことを願いながら。

 

────

現実世界:病院

 

「あれ?桐ヶ谷ちゃんより早く……あ、もしかしてB.o.Bに負けた?」

 

「えぇ、それも相手はキリトですよ」

 

「そりゃ災難だったね、ま、これで私の仕事も減……それじゃ、アミュスフィアだけ持って帰ってね」

 

「ものすごい短い間、ありがとうございました」

 

和人がお世話になった看護師にお礼を言って俺は病院をあとにした。




はい、GGO終わりです(マジかよ

ということで、書いてるうちになんでシノンは予選決勝でリタイアしたのに本戦に出てるのかと疑問を感じつつGGOで剣と剣の勝負を書きました。

描写苦手も何もGGOだからね(言い訳

ちなみにこれでGGOは『しばらくは』出ません。
そして次回は裏方に回ります。

そしてついに50話!!


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第50話 死銃の正体【VRの進化系】

結局俺はGGOからログアウトした後、そのまま寝てしまい次の日。

和人から《B.o.Bの本戦に行ってくる》とメールが送られてきたのを確認したところで朝早くから俺は総務省の仮想課に向かった。

向かった理由として、菊岡と共に死銃の正体を掴むこと、そして俺があることについて聞きたいから菊岡の話に乗った。

 

「悪いね、朝早くから」

 

「いや、いいですよ、俺も()()()()()()()()()()()()()()ここに来たんですし」

 

「聞きたいことか……移動しながら聞くよ」

 

そう言って菊岡は俺をエレベーターに乗せ、地下駐車場にある車に乗せてくれた。

 

「それで、聞きたいこととは?」

 

「……調べてくれたんだろ、()()()()のこと、そして、VRを超える()()()()()を」

 

「調べたが、まともな情報は得られなかったよ」

 

「出来る限りでいいから教えてくれ、あいつが、空が何を使ったのかを」

 

あの機械、デスエリアに現れた空が左耳に付けていたもの。

 

「桐ヶ谷君に頼まれてね、一応調べたところ、君が見た限りで書いてくれたあの機械は今、『開発段階』の非売品、名前は《オーグマー》だ、開発元は非公開でわからなかったけどね、それに、オーグマーでVRにログイン出来るかもわからなかった」

 

「オーグマーって何だ?」

 

「あれは拡張現実、仮想現実(AR)を実現する今のところの最新技術の塊、と言えるだろう……(今のところはね)

 

「仮想現実……か」

 

俺は菊岡と共に向かった場所で死銃の正体を探った。

 

────

それから数時間後。

新川恭二という男とその他2人のプレイヤーが死銃事件に関与したという事実を掴んで俺と菊岡は手分けして3人の居場所を探り、兄ともう1人は捕まえることが出来たが、もう1人、恭二だけはどこに行ったのかわからなかった。

 

どうすればいいのか迷っていると和人から連絡が入った、と思えば少し不思議な文が送られてきた。

 

『キリトが……助けて……』

 

と、和人がキリトを自分で名乗るのはおかしいと思い思い切って電話をすると、シノンの中の人、『朝田詩乃』が電話に出て状況を知った。

 

そして菊岡を呼び、俺は詩乃の自宅へ向かった。

すると見るからに思いっきり頭を打たれたと思われる新川恭二と慌てている詩乃、そしてピンピンしている和人の姿があった。

 

「よ、春揮……」

 

「心配して損したな、とりあえず新川恭二の身柄はあんたに任せるよ」

 

「わかった、新川は僕に任せてくれ」

 

そう言って新川恭二をかついで詩乃の家を出ていったあと、和人はとりあえず病院に行かせることにした。

 

「朝田詩乃、シノンか、俺は如月春揮、ラギだ、宜しくな」

 

「え、えぇ……」

 

「とりあえず今日はこれで帰るから、明日俺と和人の知り合いを紹介するよ」

 

「……ありがとう」

 

「さぁ、和人、病院から思い切って飛び出したのはいいけど病院に戻るぞ」

 

「へーい」

 

この後、和人が新川にやられたというところを診て貰ったが、特にこれといって異常はなく、そのまま帰宅することに。

 

そして次の日。

オーグマーって何だ?とか考えながら学校の帰り、明日菜達女子4人組(明日菜と佳子と里香と葉月)に捕まりエギルが経営している『ダイシー・カフェ』に向かった。

和人が新しい友達(詩乃)を連れてくるって話をされたらしく、先に待ってようと言うことで制服姿で待つことに。

 

待つこと数分。

和人が詩乃と共にダイシーカフェに入ってきた。

 

「遅いわよキリトー!」

 

「その人が詩乃さん?」

 

「まぁまぁ、みんな紹介するよ、まず、()()()()()()()()の里香」

 

「なんですってぇぇ!?……ってゴフッ!?」

 

和人の適当な紹介に切れて殴りかかったのをVRゲーム顔負けの反射神経で避けた。そして里香は思いっきりこけた。

 

「それで、そっちが()()()()()シリカだ」

 

「ちょっとキリトさん!?紹介の仕方がひど……」

 

「で、ALOでは()()()()()()()()()の明日菜だ」

 

「キリト君?」

 

3人の紹介の仕方が確実に悪意があるけど、詩乃は少し微笑んでいた。その後葉月が自分で自己紹介した。

 

「それでその人が……

 

「B.o.Bを勝ち抜いた()()()()()()()()のシノンこと朝田詩乃だ」

 

「や、やめてよ……」

 

「そういやエギルは?」

 

「料理作ってるわ」

 

そう言えば自己紹介のあいだずっとうるさかったけどなんの音かと思ったらエギルが料理してる音か、いや、どんな料理すればこんな音が…

 

「あの、詩乃さん……」

 

「あたし達と!」

 

「友達になりましょう!」

 

明日菜、佳子、里香の3人が詩乃に近寄っていきなりの友達発言。

それを見ながらも葉月は近くにあった飲み物を飲んでい……って、葉月の飲んでるの……ま、いいか。

 

「シノのんって呼ぶね」

 

「あ、ありがとう、明日菜」

 

気づいたら和人がダイシーカフェの裏口の扉の方で何かを確認していた。

その後いきなり扉を全力で開けて詩乃の方に向いた。

 

「シノン、君はずっとあの事件から逃げていた、だけどな……」

 

和人が開けた扉から親子が出てきた。

 

「母親はシノンが子供の頃、あれが起こった時の郵便局の局員だったらしい、それで、その時にお腹に子供がいた、君は幼い命も守った、君が勇気を振り絞ったから」

 

「おねーちゃん!ありがと!」

 

女の子は詩乃に手紙と自分が書いたと思われる絵を渡し、笑顔を見せた。

 

その後詩乃は泣きだし、そのまま歓迎会をすることに。

 

「春揮~……なんかふわふわする~」

 

「やっぱりお前それ酒じゃねぇか!?」

 

さっき何かを飲んでいたと思ったが葉月は酒を飲んでいた。それも確か一気飲みで…

 

この後、クラインと直葉も呼んで夜遅くまで歓迎会を楽しんだ。

 

────

それから約2週間ほど。

詩乃がALOにアバターをケットシーの弓使いとして作り、ALOでレベル上げをしたりキリトと俺はキリトのための《あるもの》を完璧に仕上げていた。

 

────

12月28日

クリスマスを終え完全に冷えきったその朝。

俺、和人はスグと共に朝食を食べていた。

 

「お兄ちゃん!コレ見て!」

 

スグが見せてきた端末に衝撃の記事が載っていた

 

 

『幻の伝説級武器(レジェンダリーウェポン)聖剣《エクスキャリバー》ついに見つかる!』

 

これが俺たちの激戦の引き金となった。




数話を1話にまとめるバカここに君臨。

ということでGGO編が完結。

菊岡が探し出した機械の正体とは……

アサダサンアサダサンアサダサン


そして2週間ほどが経過し次のストーリに。


次回。
漫画版を自分なりに変化させてオリキャラである春揮達を入れて描くキリトが主人公のストーリー!

キャリバー編!!


ちなみに目線はほとんどキリトです。


あ、50話おめでとう!


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キャリバー編
第51話 聖剣 【地下ダンジョン】


桐ヶ谷家(和人目線)

 

「ねぇお兄ちゃんコレ見て!」

 

GGOで起こった死銃事件から約2週間、俺はスグと共に朝食を食べているとMMOトゥモローを見ていたスグが俺にそれを見せてきた。そこには衝撃の記事が載っていた。

 

────

MMOトゥモロー

最新記事

【ALO】2025 12.28 NEW!

>最強の伝説級武器《聖剣エクスキャリバー》ついに見つかる!

────

 

「な、なにぃ!?」

 

びっくりしすぎて食べていたパンを机に落としたが、あれがついに見つかってしまうとは……

 

「うーん…とうとう見つかっちまったかぁー」

 

「これでも時間かかった方だと思うけどね」

 

「あーあ……これならもう1回挑戦しとけば……」

 

「よく読んでよお兄ちゃん、まだ見つかっただけで入手まではいってないみたいだよ」

 

「なんだよ脅かすなよ…」

 

朝からいきなり物凄いニュースを見せられて勘違いしている俺を見てスグは小さく笑った。まだ入手されていないと知って安心したが、少し疑問が浮かんできた。

 

「でもどうやって見つけたんだ?ヨツンヘイムは飛行不可だしあの高さは飛ばないと見えないだろ?」

 

「それに、()()()()は私かお兄ちゃんが呼ばないと来てくれないからね」

 

───1年程前

アスナを救おうと央都アルンへ向かう途中、俺とスグ(リーファ)は巨大ミミズに呑まれて地下世界ヨツンヘイムに落とされ、そこで人型邪神に攻撃されている象水母(ゾウクラゲ)邪神と出くわした。

リーファが攻撃されている側(象水母)を助けて欲しいと言ってきたので象水母に加勢したところ俺らは勝利し、象水母に懐かれ、リーファが《トンキー》と名ずけたそいつはその後《羽化》し俺とリーファを乗せて飛翔、地上に繋がる天蓋の通路まで運んでくれた。

その時に俺たちは見たんだ、逆ピラミッドのダンジョンの最下部に輝く長剣を……

 

────

「誰かが別の個体の象水母(ゾウクラゲ)を助けてクエストフラグを立てたのかな?」

 

「そういうことになるのか、あんなきも──いや、個性的なヤツを助けようとする物好──じゃない、博愛主義者がスグの他にいたとは……」

 

「キモくないもんかわいいもん!」

 

俺が色々言いかけたところでスグがほっぺたを膨らませた。

 

「…でも、それだと誰かがあのダンジョンを突破して剣を入手するのも時間の問題かもしれないよ、フラグ成立の条件がわかりにくかったから今日まで発見されなかったけどもう一年も経ってるし春揮さんがアーガスでソードスキルの導入をしたからダンジョンの難易度は相対的に下がってるはずだよ」

 

「そうだよなぁ……」

 

俺は飲み物を飲み干し机に置いて立ち上がりスグが洗い物を始めたと同時に考えをまとめた。

 

「スグ、今日暇か?」

 

「部活は休みだよ」

 

「トンキーに乗れる最大人数は7人だよな、ということは俺とスグとアスナ、リズ、シリカ、クライン……あとは……エギルは店があるだろうし、クリスハイト(菊岡)は頼りないし、レコンはシルフ領にいるだろうし……春揮を誘うか…」

 

俺はスマホを取り、春揮に電話をかけた。

 

────

如月家(春揮目線)

 

「春揮ー、電話来てるよ?」

 

「んあ?あぁ、誰からだ?」

 

葉月と共に朝食を食べ終え、MMOトゥモローを見ていたら携帯が鳴った。

誰かと思えば和人からだった。

 

『春揮!MMOトゥモロー見たか?』

 

「あぁ、見たがお前まさか……」

 

『そのまさかだ、今日行こうかなって思ってさ。残り1人なんだけど……』

 

「残り1人で俺か葉月を誘おうってことか、でもちょうど俺らこれから出かけようと思ってたんだが……」

 

ちょうど今日、俺は葉月と一緒に出かけようと考えていて、出かけるまでに時間が空いてるから少しゆったりしてたところに和人から電話がかかってきたんだが……

ちなみに俺と葉月は夕方まで遊園地に行くつもりだ、葉月の提案で。

 

『そうかぁ……どこ行くのかは後で聞くとして、出かけるならしょうがないよな、2人で楽しんでくれ』

 

和人が電話を切ったところで俺は着替えて葉月と共に遊園地へ出かけた。

 

────

桐ヶ谷家(和人目線)

 

「春揮達はダメかぁ……」

 

「それならシノンさんに電話してみたら?」

 

「その手があったか!」

 

その後、シノンに電話したら見事に了承してくれて、他のみんなにも連絡して俺たちは央都アルンにあるリズベット武具店に集合した。




こんな感じで続くよ。

お久しぶりです、2日ほど休みました。

ついに始まったキャリバー編。
少しだけ話の進み具合を遅くしました。今回の章だけになるけど。


キャリバー入手クエ参加メンバーは原作通りのパーティになります。


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第52話 エクスキャリバー獲得クエスト【開始】

央都アルン:リズベット武具店(キリト目線)

 

「クラインさんはもうお正月休みなんですか?」

 

「おう、昨日っからな。働きたくてもこの時期は荷が入って来なくてな、社長のヤロー『ウチはホワイト会社』なんて自慢しやがって……それよりキリの字、今回上手いこと《エクスキャリバー》が取れたら今度は俺のために《霊刀カグツチ》とるの手伝えよ」

 

シリカと話していたクラインが俺の肩に手を乗せてそう話してきた、とはいえ……

 

「あのダンジョンクソ暑いじゃん」

 

「それを言うならヨツンヘイムはクソ寒いじゃねぇか!」

 

クラインが取ろうとしている武器のあるダンジョンはかなり暑い場所にある、それを反論したらクラインは俺に突っかかってきた。

上手い具合にクラインを押さえていると俺たちを止めてくれるようにシノンが発言を。

 

「武器をとってくれるって言うなら私あれ欲しい、《光弓シェキナー》」

 

止めてくれる訳ではなく俺とクラインの会話を聞いて自分も伝説級(レジェンダリー)武器を欲しくなっただけらしい。

 

「キャラ作って2週間でもう伝説級(レジェンダリー)武器をご所望ですか……」

 

GGO事件の後、アスナ達と仲良くなったあとALOに弓使いのケットシーとしてログインしてしばらくレベル上げをして今に至る。

 

「リズが造ってくれた弓もいいんだけど、出来ればもう少し射程が「あのねぇ!!」

 

「この世界の弓ってのはせいぜい槍以上魔法以下の距離で使うものなのよ!100メートル離れたところから狙うなんて()()()しないものなのよ!」

 

「欲を言えばその倍ぐらいは欲しいわね」

 

「実際……ロストボウでGGOの時みたいにシステムアシストなしで長距離射撃を当てまくるからな……」

 

さすがはGGOの上位に入る最強のスナイパー『シノン』様だよな……

と、考えていると武具店の扉が開いた。

 

「ただいまー!」

「お待たせ!」

 

入ってきたのは買い物から帰ってきたリーファとアスナとユイだった。

 

「買い物ついでにちょっと情報収集してきたんですが、あの空中ダンジョンに到着したパーティはまだ存在しないようですパパ」

 

「へぇ…じゃあなんで《エクスキャリバー》のある場所がわかったんだ?」

 

「私たちが発見したトンキーさんのクエストとは別のクエストが見つかったようです。そのクエストの報酬としてNPCが提示したのがエクスキャリバーだったということです」

 

「それが、あまり平和なクエストじゃないのよね、お使い系じゃなくてスローター系、いまヨツンヘイムはPOPの取り合いで殺伐としてるって」

 

ユイ達が手に入れてくれた情報を聞くだけだとかなり穏やかじゃないような気がする。

 

「でも変じゃねぇか?《聖剣エクスキャリバー》ってのはおっそろしい邪神がうじゃうじゃいる空中ダンジョンのいっちゃん奥に封印されてるんだろ?それを提示するってのはよ」

 

「確かにそうだけど、言って見ればわかるだろ」

 

俺がそうクラインに答えると同時にリズが俺たちの武器を持って来た。

 

「お待たせ!みんなの武器フル回復したわよ!」

 

俺達がダンジョンに行くということを話した時に無理に頼んでリズにみんなの武器を修理してもらい、準備を完璧の状態にした。

 

「「「「「「おつかれさま!」」」」」」

 

全員がリズから武器を受け取り、アスナ達が買ってきてくれた回復ポーションをストレージに入れ、少し談笑した後、いい時間になったところで俺がみんなに声をかけた。

 

「みんな!急な呼び出しに答えてくれてありがとう、このお礼はいつか必ず精神的に! それじゃあ……いっちょ頑張ろう!」

 

「「「「「「おー!!!」」」」」」

 

こうして俺たちはヨツンヘイムの地下ダンジョンへ向かった。




セリフ多いな……
うん、しょうがない(立ち直り)

次回、ついにヨツンヘイムへ向かう……!

あとがきは短くします。






追記:なんで原作通りなの?と思う人にちょっと余談
キリト→リーダー
アスナ→魔法での補助
リズ→鍛冶と戦闘
シリカ→後に少しだけ役に立つ
リーファ→トンキーを呼ぶ
クライン→フレイヤさんがアレになったあとにボスに大ダメージを与える+大ジャンプ
シノン→キャリバー取るのに必要
7人パーティ→トンキーに乗れるプレイヤーの最高数


と、いうことでオリキャラは入ってません


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第53話 スリュムの計画【ニブルヘイム】

俺たちはリズベット武具店を出発し、前にトンキーに運んでもらった隠し通路(階段)を使ってヨツンヘイムへと降りていった。

 

「一体何段あるのよこの階段……」

 

「多分アインクラッドの迷宮区タワー1個分ぐらいはあったかな」

 

(「うへぇ…まじかよ…」)

 

クラインが小声で嫌そうな態度をしてきたが、調べた限りだと……

 

「ノーマルなルートでヨツンヘイムに行こうとしたら、まずアルンから東西南北に何キロも離れた階段ダンジョンまで移動してモンスターと戦いながら奥に進んで最後に守護ボスを倒してようやく到着出来るんだぞ?1パーティなら2時間かかる所をここを降りれば5分だぞ!文句を言わずに一段一段感謝の心を込めながら降りるんだぞ諸君!」

 

「別に、あんたが造ったわけじゃないでしょ」

 

「ご指摘ありがとう」

 

アスナ以外の5人が微妙な顔をしている中、シノンが俺が偉そうに話しているところを訂正してきた。

いたずら程度にシノンの尻尾に手を伸ばし、一言付けて思いっきり尻尾を掴んだ。

 

「あっ……アンタ次やったらその鼻に火矢ぶっ混むからね!」

 

(「恐れを知らねぇなぁ」)

 

階段を降りるまで女子達から冷たい目をされ続けた気がする。

 

────

かくして──

凍てつく地下世界《ヨツンヘイム》に到着した俺たちは象水母(ゾウクラゲ)邪神のトンキーの手助けで聖剣の眠るダンジョンを目指して出発した。

 

「お、お兄ちゃん!あれ見て!」

 

その道中、俺達が見たのは30人を越えようとかというレイドパーティーと凶暴な人型邪神が共闘して《トンキー》の同族を襲う驚愕の光景だった。

 

「人型邪神が協力……?どうして戦闘にならないんだ?」

 

「トンキーの友達………」

 

その答えは戸惑う俺たちと泣きそうなリーファの前に現れた謎の巨大美女によって語られた。

 

『私は《湖の女王》ウルズ、我らが眷属(けんぞく)と絆を結びし妖精よ』

 

(眷属………?)

 

『そなたらに私と2人の妹から1つの請願があります。どうかこの国を《霧の巨人族》の攻撃から救ってほしい。かつてこの《ヨツンヘイム》はソナタらの《アルヴヘイム》と同じように世界樹イグドラシルの恩寵を受け美しい水と緑に覆われていました。我々《丘の巨人族》とその眷属たる獣達が穏やかに暮らしていたのです』

 

(トンキーが眷属ってことなのか………?)

 

『ヨツンヘイムのさらに下層には氷の国《ニブルヘイム》が存在します。彼の地を支配する霧の巨人族の王の《スリュム》はある時オオカミに姿を変えてこの国に忍び込み鍛冶の神ヴェルンドが鍛えた《全ての鉄と木を断つ剣》エクスキャリバーを世界の中心たる《ウルズの泉》に投げ入れました』

 

「エクスキャリバーを……!?」

 

『剣は世界樹の最も大切な根を断ち切りヨツンヘイムはからイグドラシルの恩寵は失われました、王スリュムとその配下の《霧の巨人族》はニブルヘイムから大挙して攻め込み《丘の巨人》を捕獲し幽閉し、かつて《ウルズの泉》だった大氷塊に居城《スリュムヘイム》を築きこの地を支配したのです』

 

『私と2人の妹はとある凍った泉の底に逃げ延びましたが最早かつての力はありません。霧の巨人たちはそれに飽き足らずこの地に今も生き延びる我らの眷属を皆殺しにしようとしています……』

 

「トンキー……」

 

『皆殺しにすれば──私の力が完全に消滅し、スリュムヘイムを上層のアルヴヘイムにまで浮き上がらせることが出来るからです』

 

「お、おいっ!ンなことしたらアルンの街がぶっ壊れちまうだろうが!」

 

王スリュムの目的はアルヴヘイムすらも氷雪に閉ざし世界樹イグドラシルの梢まで攻め上がりそこに実るという《黄金の林檎》を手に入れることらしい。

 

『我が眷属をなかなか滅ぼせないことに苛立ったスリュムはついにそなたたち妖精の力すらも利用し始めました。エクスキャリバーを報酬に与えると誘いかけ、眷属を狩り尽くそうとしているのです、しかしスリュムがかの剣を余人に与えることなど有り得ません、スリュムヘイムからエクスキャリバーが失われる時、再びイグドラシルの恩寵はこの地に戻りあの城は溶け落ちてしまうのですから』

 

「じゃ、じゃあ、エクスキャリバーが報酬って言うのは嘘ってこと?そんなクエストありなの?」

 

『恐らく鍛冶の神ヴェルンドがかの剣を鍛えた時槌を1回打ち損じたために投げ捨てた見た目はエクスキャリバーそっくりな《偽剣カリバーン》を与えるつもりでしょう、十分に協力ですが真の力は持たない剣を』

 

「そんなのずるい……それが、王のすることなの?」

 

『その狡さこそがスリュムのもっとも強力な武器なのです、しかし彼は我が眷属を滅ぼすのに焦り、ひとつの過ちをしてしまいました、配下の巨人のほとんどを誘いによって集めた妖精達によって協力させるためスリュムヘイムから地上に降ろしたのです、今の城の護りはかつてないほど薄くなっています』

 

話を聞いているとリーファの手元にとあるアイテム、メダリオンが現れた。

 

『そのメダリオンの石が全て暗黒に染まる時我が眷属はすべて狩り尽くされ我が力も完全に消滅します、妖精達よスリュムヘイムに侵入しエクスキャリバーを《要の台座》より引き抜いてください』

 

そう言ってウルズは消滅した。

 

「やるしかないよお兄ちゃん」

 

「あぁ、それに元々今日集まったのはあの城に殴り込んで《エクスキャリバー》をゲットするためだから護りが薄いって言うなら願ったりだ」

 

「待っててねトンキー、絶対にあなたの国を取り戻してあげるからね」

 

こうして俺たちは地下ダンジョンへ入っていった。




セリフ多いな……やっぱり多いな。

というかウルズ喋りすぎだ。


次回、激戦が始まる予感…!


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第54話 金と黒の猛獣【地下ダンジョン攻略part1】

 

「やばいよお兄ちゃん!金色の方物理耐久が高すぎる」

 

俺たちは地下ダンジョンに入ったと同時に2体のボスモンスターとの戦闘になった。

ミノタウロスのような見た目のモンスターの片方、金色の方は物理耐久が高く、もう片方、黒色の方には物理技が効くが金色が黒を庇うように行動するせいでダメージを与えても体力が回復されてしまう。

 

「衝撃波攻撃二秒前!いち……ゼロ!」

 

金色が衝撃波を放った。

そこまで致命的なダメージにはならなかったため、アスナの回復魔法で体力を回復し、俺たちは立て直した。

 

「キリトくん!今のペースだとあと150秒でMPが切れる!」

 

「くっそ!黒ミノの野郎また回復してやがる!あいつには物理が通るのに金ミノが邪魔でダメージが与えられねぇ!」

 

(金色のミノタウロスは極端な物理耐性、魔法使い(メイジ)が少ない俺たちじゃHPをろくに削れない…その上直撃が避けられたとしても範囲攻撃のダメージは……MPが切れて全滅したらアルンから出直し……)

 

「お兄ちゃん!メダリオンもう7割以上黒くなってる、《死に戻り》してる時間はなさそう」

 

「……わかった」

 

アルンからここまで来るだけでも時間がかかる、それだけでなくもう一度こいつらと勝負しないといけないとなると時間はない………

 

「みんな!こうなったら出来ることは1つ!一か八か金色を《ソードスキル》の集中攻撃で押し切る!」

 

ソードスキル、アーガスが作り出した新生ALOに春揮の提案で導入された。

システムアシストにより通常攻撃よりも遥かに高い攻撃力を発揮する。その上ALOならでは、上級ソードスキルは通常の武器攻撃のような純物理属性ではなく、地水火風闇聖の魔法属性を備えている。

 

故に物理耐久が高い金ミノタウロスにもダメージが通るはずだ……

 

ただし、ソードスキルは技後の硬直時間が長い、そこに金ミノタウロスの斧の範囲攻撃を喰らえば前衛と中衛は全員即死……

 

「うっしゃァ!その一言を待ってたぜキリの字!」

 

体制を立て直した俺以外の6人は全員が俺の提案に乗ってくれた。

 

「シリカ!カウントで《泡》頼む!……二、一……今だ!」

 

シリカの連れている《ピナ》のバブルブレスでミノタウロスの気を引かせたタイミングでシリカ、リーファ、リズ、クラインでソードスキルを金ミノタウロスにダメージを与えた。

が、ミノタウロスのタゲが硬直中のシリカとリズに向き、攻撃をしようとしたところをシノンが弓の連射で止めた。

 

その隙を狙い、俺がミノタウロスに片手剣ソードスキルを放つ。

 

片手剣8連撃ソードスキル:ハウリング・オクターブ

 

属性は物理4割火炎6割、《オリジナルソードスキル》を除けば片手剣ソードスキルのカテゴリでは相当な大技、当然技後の硬直、スキルディレイも長い──

だが、春揮、ラギに教えて貰い2人でデュエルする時に成功し、しばらく練習したこの技で……!!

 

(攻撃中の右手から意識を切り離す、脳からアミュスフィアに出力される命令を一瞬だけ全カットするイメージ、そして次の命令を右手のみに伝える───!!)

 

俺は左手に剣を持ち、ソードスキルを左手で放った。




1週間も空いたのかこの小説……

なのにお気に入り登録してくれてる人は登録解除なんてしなかった。すごいな…


お待たせしました!
忙しくなかったのに何故か書かなかったこの小説(現在主人公不在
やっぱりキャリバー編は書くの一苦労だ。


次回。
キリトが謎の技(既に登場はしてる)を発動!
一体どうなる……!?


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第55話 システム外スキル【地下ダンジョン攻略part2】

 

右手でソードスキルを放った後、左手に意識を集中させ《サベージ・フルクラム》を放つ。

 

ユニークスキルである《二刀流》とは違う。

 

《神聖剣》《不死属性》《オーバーアシスト》《二刀流》といったSAO(ソードアート・オンライン)に存在したイレギュラー、怪しい条件がついたスキルは現在()()()()()システムから削除されている。

 

(サベージ・フルクラムの最終動作からもう一度……今度は左手から右手へ脳の出力を切り替える、許される誤差はコンマ1秒以下!!)

 

「よぉーし!オレたちも行くぞぉ!」

 

クライン、シリカ、リズが硬直が解け、動けるようになったところでソードスキルを再び叩き込んだ。

ダメージを出したがミノタウロスは怯みもせずにクライン達を衝撃波で吹き飛ばした。

ほとんどダメージにならなかったのは幸いだが、しばらくは動けそうにない。

 

そこでリーファとシノンが同時に攻撃をし、相手の注意を引いてくれた。

 

みんなの攻撃で相手のHPがかなり減ったが……

 

(練習でもこれ以上繋げられなかったが……右腕から左腕、切り替えの猶予は一瞬──繋がれ……!)

 

俺は《それ》を成功させ、再び左手でソードスキルを発動させ、連撃をミノタウロスに叩き込んだ。

スキルの途中でミノタウロスが攻撃をしてきたのを避けつつ最後の一撃をぶつけ、ミノタウロスの目の前に俺が倒れ込んだところで相手のHPが……

 

無くならず、ギリギリで止まってしまった。

 

(くそ………!)

 

ミノタウロスの持つ斧が振り下ろされる前にミノタウロスは後衛からものすごい速度で走ってきたアスナの連撃を喰らいHPが尽き、消滅した。

 

「大丈夫?キリトくん」

 

「良く後衛からここまで間に合ったな……お見事」

 

「ありがと」

 

全員が俺の元に来たところで黒ミノタウロスが体力を完全に回復させ、行動をしようとした……

 

「おーし、てめぇ……そこで正座」

 

クラインの謎の威圧で動けなくなったミノタウロスを俺とアスナ以外の5人でボコボコにした。

 

「おらキリ公!おめェさっきのなんだよ!」

 

「言わなきゃダメ……か?」

 

「ったりめーだろ!見たことねぇよアンなの!」

 

「システム外スキルだよ、《スキルコネクト》、俺が初めてやった訳じゃなくてラギが教えてくれたんだよ」

 

(「両手で計16ヒットだった」)

 

(「シノンさん数えてたんだ」)

 

「あ、あれ…なんか私ものすごくデジャブった……」

 

「気のせいだろ……それよりのんびりしてる暇はないよな、リーファ、残り時間はどれぐらいだ?」

 

「今のペースだと1時間はあっても2時間はなさそう……」

 

既にメダリオンはほとんど黒くなってしまっている。

このダンジョンは4層構造、1層を簡単に終え、今ここは2層、ボス戦を終えたとはいえ3層はハイペースで終わらせて4層のボスを倒さないといけない……

 

今頃ヨツンヘイムのフィールドでは《霧の巨人族》のクエストを受けたプレイヤーが動物型邪神の狩りをしている。

残り時間は1時間弱、ラスボスはおそらく《スリュム》当人、30分は使う可能性がある。

そうなったら残りはん30分で3層、4層奥まで行かないと……

 

サクヤやアリシャの同盟に援軍を要請……いや、援軍が到着するための時間が足りない……

この絶望的な状況をこの人数で突破するのは………

 

「なーにあんたらしくない顔してるのよ!当たって《砕け》よ!」

 

「そう……だな、よし!行くか!」

 

俺たちは3層に向かった。




ミノタウロス戦1話で済んだよなこれ。

ま、長くするって決めたから2話にしてるんだけど。


次回。
ド変態クライン様が男を見せる。


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第56話 囚われの女神【地下ダンジョン攻略part3】

 

「……よし、全員HPMP全快したな、そんじゃ3層はサクサクッと片付けよう!」

 

3層のギミックを何とか攻略し、ムカデのようなボスモンスターをソードスキルのゴリ押しで倒し、4層への階段の途中──

 

3層最深部

 

「お願い……私をここから出して……」

 

巨大な鳥籠の中に女性が囚われていた。

それを見たクラインが助けようとして俺よりも前に出ようとしたところをバンダナを掴みクラインを止めた。

 

「罠だ」

「罠よ」

「罠ね」

 

俺に続きシノンとリズが罠だと言ってクラインを止めようとしてくれた。

 

「わ、罠だ…よな?……罠なのか?」

 

「ユイ?」

 

「彼女はNPCです、《女王ウルズ》さんと同じく言語エンジンモジュールに接続しています…ですが一点だけ違いが、この人はHPゲージがイネーブル(有効)です」

 

NPCは普通無効化されている。死んだらクエストがスタック(様々な理由でゲームが進行しなくなる)する。

 

「罠だよ」(アスナ)

「罠ですね」(シリカ)

「罠だと思う」(リーファ)

 

さらに3人に罠だと言われショックを受けたのか俺に「お前だけは信用してくれるよな」と言わんばかりの顔で迫ってきた。

 

「もちろん罠じゃない可能性もあるけどさ、今はトライ&エラーしてる余裕はないんだ、1秒でも早くスリュムのところに辿り着かないとな?」

 

「お、おう……まぁ、そうだよ、な、うん」

 

(NPCはこの世界に生きる住人みたいな感じだし、正直時間に余裕があれば罠にハマるのもありかもな……綺麗な人だし……)

 

俺の考えていることがわかるかのようにアスナとユイが俺の方を冷たい目で見てきた気がする。

 

「お願い……誰か…」

 

NPCを置いて4層へ行こうとしたところをか弱い声をかけられた、のをクラインは聞き逃さず立ち止まってNPCの方を向いていた。

 

「罠だよな、分かってる、でも、罠だとわかっていてもよ、それでも俺ァここでこの人を置いていけねぇんだよ!たとえ……それでクエが失敗したとしてもここで助けるのが俺の生き様、武士道ってやつなんだよォ!」

 

(クラインさんかっけぇ……けどアホだ……)

 

クラインは自分のカタナを取り出し鳥籠を砕いた。

 

「ありがとうございます、妖精の剣士様」

 

「立てるかい?怪我ァねえか?出口までちょっと遠いけど一人で帰るかい姉さん?」

 

「……私は、このまま城から逃げる訳には行かないのです、スリュムに盗まれた一族の宝物を取り戻すため城に忍び込んだのですが3番目の門番に見つかり捕えられてしまいました、宝を取り返さずして戻ることはできません、どうか私を一緒にスリュムの部屋に連れて行ってくれませんか」

 

「お、おいキリの字……」

 

「……わかった、こうなりゃ最後までこの分岐で行くしかないだろ」

 

「ありがとうございます剣士様!」

 

フレイヤという名のMPがかなり高いNPCをパーティに加え、俺たちは先に進むことに。

 

(そう言えば今頃春揮達は何してるんだろ……)

 

「ダンジョンの構造からしてあの階段を降りたらすぐボスの部屋だ、ミノタウロスやムカデよりもさらに強いかもしれないけど、ラストバトル……全開でぶっ飛ばそうぜ!──行くぞ!」

 

『おーーー!!』

 

 

────

 

その頃、春揮と葉月は……

 

「ぐは……」

 

「春揮弱すぎ……」

 

ジェットコースターで精神的なダメージを受けたまま何故か遊園地の中に『フェンシング体験エリア』というものがあり葉月に連敗していた。

 

(今頃キリトはキャリバー手に入れてんのか……な?)

 

「春揮、次、あれ乗ろうよ」

 

「あれジェットコースターじゃねぇか!?」

 

2人だけの時間を満喫していた。

 

────




オリジナリティ出ねぇなぁ……

次回から数話、霧の王スリュムとの勝負が始まる……!


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第57話 VSスリュム【地下ダンジョン攻略part4】

巨大なボス部屋の扉の前にたどり着いた俺たちはアスナとフレイヤの支援魔法のバフでHPが大幅にブーストされ、準備万端になった所で扉を開き、中に入ると大量の宝の山があった。

 

『小虫が飛んでおる……ぶんぶんと煩わしい羽音が聞こえるぞ、どれ、悪さをする前にひとつ潰してくれようか』

 

部屋の奥、巨大な影が光を浴びるとその正体はものすごいデカさのスリュムだった。

 

『ふっふっ……アルヴヘイムの弱虫共がウルズに唆されてこんな所まで潜り込んだか、どうだいと小さき者どもよ、あの女の居場所を教えればこの部屋の黄金を持てるだけくれてやろう』

 

「武士は食わねど高笑いってなァ!俺様がそんな安っぽい誘いにホイホイ引っかかってたまるかよォ!」

 

リズが微妙に物欲しそうな顔をした気がするけど、そこをクラインの武士道精神で断ち切り、スリュムの誘いを断った。

 

『ほう、そこにいるのはフレイヤ殿ではないか、檻から出てきたという事は儂の花嫁となる決心がついたのか?』

 

「花嫁だァァ!?」

 

『そうとも、その娘は我が嫁としてこの城に輿入れしたのだ、だが宴の前に儂の宝物庫を鍵まわろうとしたのでな、仕置に氷の獄へ繋いでおいたのだ』

 

つまりフレイヤは一族の宝物を取り戻すためスリュムの嫁になると偽って城に入り宝を奪還しようとしたが、門番に見つかって捕えられていた。

それが本当だとしたらフレイヤに裏切られることはなさそうだけどわからないことが多い。

 

そもそもフレイヤの《一族》は妖精9種族のどれなのか、そして奪われた宝の詳細……

 

と、考えているとリーファが俺の腕を引っ張ってきた。

 

 

「お兄ちゃん、あたしなんか本で読んだような…スリュムとフレイヤ、盗まれた宝……あれはたし──

 

「誰がお前の妻になど!かくなる上はここにいる剣士様たちと共にお前を倒し奪われた宝を取り戻すまで!」

 

『威勢のいいことを言うのぉ、さすがはその美貌と武勇を9界の果てまで轟かすフレイヤ殿、しかぁし!気高き花ほど手おる時は興深いというもの……小虫を捻り潰した後、念入りに愛でてくれよぅ』

 

スリュムはフレイヤさんの服をビリビリに破いた。

 

「手前ェェェ!!させっかよんなことぉ!!このクライン様がフレイヤさんには指一本触れさせねぇ!」

 

『おうおう、ブンブンと羽音が聞こえるわい、どぉーれ!ヨツンヘイム全土が儂のものになる前祝いにまずは貴様らから平らげてくれようぞ!』

 

スリュムのHPが表示された、が、3ゲージでかなりの長さだ。

 

「くるぞ!ユイの指示をよく聞いて序盤はひたすら回避!」

 

スリュムは右手で巨大な衝撃波のようなものを繰り出して来た。

 

「いきなり大技かよォ!?」

 

「氷ブレスの1種です予備動作(モーション)が大きいので見てから十分避けることが出来ます!」

 

「後衛は範囲攻撃に注意!前衛は散開して脚を攻撃!あれだけデカければ足元は死角!踏まれるなよ!」

 

『小癪な真似をするのう……しかぁし!所詮小虫は小虫!』

 

俺たちの周りに氷でできたドワーフが大量に出現した。

 

『ふふふ…目には目を、小虫には小虫よ!さぁ行けい!』

 

一体一体を倒そうとするとかなり時間がかかってしまう……と、思いきやシノンが12体ものドワーフをヘッドショットで蹴散らした。

 

「シノン、ドワーフは任せていいか?」

 

「……ええ、任せて」

 

「よし、オレたちも足を攻──

 

少し遠くから見た時点でかなりのでかさだったため、嫌な予感はしていたが、近づくと脚しか見えなくなった。

 

「パパ!右足踏みつけ3連続、来ます!」

 

「とにかくどこでもいい!攻撃に気をつけながら叩けるところだけぶっ叩け!」

 

「私も……戦います!」

 

フレイヤの攻撃がスリュムに直撃したところで体力がそこそこ減った。

 

『小虫共め…なかなかどうして足掻きよる、そろそろ王の威厳を脆弱な骨身に染み込ませてくれようぞ!』

 

「まずいよお兄ちゃん、メダリオンの光が3つしか残ってない、多分あと15分ないよ」

 

(……残り15分でこいつを倒すのか…)

 

『では喰らえぃ!霧の巨人の王者の息吹をっ!』

 

スリュムは大きく息を吸い始め、攻撃の準備をし始めた。

 

(ダメだ……どんな防御魔法も間に合わない………!!)

 

「みんな!防御姿───

 

そう俺が言った瞬間、スリュムは吸っていた息を吐き出し、俺らはそれを喰らった。

と同時に俺らの体は凍りついた。

 

 

『砕け散れぇい!』

 

前衛にいる俺を含めた5人はスリュムが放った衝撃波により吹き飛ばされ、大ダメージを受けてしまった。

 

「シリカ!」

 

元から耐久が少ないシリカはピナのガードスキルで何とかギリギリで耐えた。

と共にアスナがダメージの先読みをして全体回復魔法《プリ・キャスト》を使って体力を出来る限り与えてくれた。

 

『猪口才な!今度こそ、この一撃で刺し───』

 

俺たちを攻撃しようとしたスリュムの顔面がいきなり爆発した、と同時に俺たちの前にシノンが飛び出してきた。一瞬だけ俺を見てくれた、シノンが伝えたいことがわかった気がした。

 

「シノン!30秒持ちこたえてくれ!」

 

────

シノン目線

 

スリュムの攻撃を軽く避け、振りかざしてきた腕に乗った。

 

(攻撃は予想より早い、けど巨体にまとわりついて回避に専念すれば……)

 

「シノンさん!」

 

「ユイちゃん!?」

 

どうやってスリュムの攻撃を避けようか考えているとキリトと一緒にいたユイちゃんが私の元に飛んできた。

 

()()達は回復中ですから、私がサポートします!」

 

「パパ……ね、いいえ、なんでもないわ、お願いね」

 

「はい!」

 

空中に飛んだ私を狙いスリュムは巨体からは信じられないほどの連打を打ち込んできた。

 

「おそらく自分より小型の相手に登られた時の対処行動です!狙いは荒いですが連打なので攻撃の予測猶予は《1秒以下》です」

 

1秒以下、そんな速度、あの世界、GGOをずっとやってきた私からすれば()()()()()()、ユイちゃんの指示があれば攻撃は避けられる─

 

「この()()なら中指と薬指のあいだをすり抜けてあいつの顔の前……」

 

「でもっ!それでは氷ブレスの可能性が───

 

「いいのよ、そろそろ30秒、みんなの元へ戻りましょう」

 

顔面に火矢をぶち込み怯んでいる隙にスリュムの体を華麗に使って下に降り、みんなの元へ戻った。

 

「「シノンさんかっけぇー!」」

 

────

キリト目線

 

俺らが回復しているうちにシノンが相手の気を自分に向けてくれたおかげで俺たちは全回復出来た。

 

シノンがこっちに向いたのでグッジョブサインを出した。

 

体制を立て直した俺たちは再びスリュムとの戦闘を開始した。




シノンさんかっけぇ

次回。
あいつが真の力を発揮する……!?


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第58話 フレイヤの真の力【地下ダンジョン攻略part5】

「……よし、みんな、攻撃準備──

 

「剣士様」

 

回復を終え、再びスリュムとの勝負を始めようとしたところでフレイヤが俺に声をかけてきた。

 

「このままではあの男、スリュムを倒すことは叶いません、望みはただ一つ、この部屋のどこかに埋もれているはずのスリュムに盗られた我が一族の宝だけです、あれを取り戻せば私の真の力もまた蘇り、スリュムを退けられます」

 

(フレイヤの真の力……?)

 

話を聞いたと同時に俺の後ろで爆発が起こった。

今の状態のままだと圧倒的に時間が足りないし、むしろ勝てるのかさえもわからない……

 

「わかった、それで宝ってどんなやつだ?」

 

「このぐらいの、黄金の金槌です」

 

「……は?」

 

と、その時………

 

『何処だ、王の面に矢を射た無礼者はァ!……そこかぁ!猫ォォォ!』

 

俺がフレイヤの話を聞いている間も弓を打っていたシノンが、前衛を無視したスリュムの攻撃で吹き飛ばされた。

 

「……キリの字!」

 

「クライン達は先に援護に行ってくれ!俺もすぐに合流する!」

 

「おうとも!こっち向け大髭野郎!!」

 

────

(早く…早く見つけないと全員がダメージを無駄に受けてしまう……だがこの量の宝の山からどうやってたった一つの金槌を見つければいいんだ…?)

 

「ユイ、どこにあるか分かるか?」

 

「ダメですパパ、マップデータにキーアイテム位置の記述がありません、部屋に入った時点でランダム配置されるものだと思われます、フレイヤさんに渡してみないとそれがキーなのかどうかは分かりません」

 

「こうなったら片っ端から探すしかないのか……いや──

 

少し諦めかけたところでラギ(春揮)に聞いたとある話を思い出した。

 

───────

「キリトはもし、大量のゴミの山からお宝を探すとしたらどうする?」

 

「んー、リアルなら手でどかして探すかな、VRの中でなら物によっては剣で飛ばすと思う……けど、どうしていきなりそんなこと聞いてきたんだ?」

 

「いや、いつか使えるかもしれないだろ?お前がGGOで見せた壁走りみたいにVRの中でも飛びっきりずば抜けた実力を」

 

「……どういう事だ?」

 

「………もし、宝の山にある、主要的な宝だけが『電気を通すと光る』とすれば、ALOの雷属性魔法ソードスキルを放てば電気に反応するんじゃないかってな──

 

─────

 

まるで狙ったかのようにドンピシャでそのシチュエーションだよ、ラギが言いたかったことはそういうことか……!!

 

俺はその言葉を信じて片手剣ソードスキル《ライトニング・フォール》を使った。

すると地面に電気が走り、少し遠くの山から小さく光が発せられていた。

 

「これか!?」

 

山を掘り起こして中にある大きな金槌を持ち上げ……ようとしたがかなり重かった。

 

(躊躇ってる時間はない!無理にでもこれをフレイヤさんに………!!)

 

勢い余って全力でフレイヤさんの元に金槌を投げてしまった。

が、フレイヤさんは金槌を軽く掴み、一回転して地面に逆さにして置いた。

 

「……ぎる!」

 

「………?」

 

「みなぎる……漲る!漲るぞぉぉおおお!!」

 

フレイヤさんの服が吹き飛び一瞬ラッキーと思った瞬間、フレイヤさんの体は少しずつ巨大になり、髭が生え………た!?

 

「「オ、おっさんじゃん!!」」

 

俺たちの目の前には巨大なおっさんが現れた。




クラインざまぁ。

あ、つい本音が。

ということで微妙に違うところを入れてみたりしつつ次回、巨大なおっさんVS巨大なおっさん。

この勝負の行方、一体どうなる……!?


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第59話 決着【地下ダンジョン攻略part6】

フレイヤさんがおっさんになったと共にパーティのフレイヤさんの名前が《トール》という名前に変わった。

 

「リーファ、トールって確か……

 

「うん、フレイヤさんの正体は北欧神話に出てくるあの……《雷神・トール》!!」

 

『卑劣な巨人が!我が宝《ミョルニル》を盗んだ報い、今こそ購ってもらうぞ!』

 

『小汚い神め!よくも儂をたかばってくれたな!その髭面切り離してアースガルズに送り返してやろう!』

 

2人の神の金槌と斧のぶつかり合いの衝撃は俺たちのいる場所まで届くほど強く、かなりの強風が起こった。

 

(「フレイヤさん」)

(「おっさん」)

(「フレイヤさん」)

(「おっさん」)

 

「みんな!トールが標的(タゲ)取ってくれている間に全力で攻撃するわよ!」

 

なにか呟いているクラインを横目で見ながらシノンは全員に指示を出してくれた。

 

「よし!全力攻撃!ソードスキルも遠慮なく使ってくれ!行くぞ!まずはヤツの体制から崩す!集中攻撃!」

 

まず俺がスキルコネクトを使いながら連続攻撃を叩き込み、それに続いてシリカがピナのブレス攻撃と一緒に自分の短剣で連撃を叩き込んだ。

少し間を開けたところで後衛だったアスナと前衛のリーファで同時に足に攻撃を入れ、リズがダメージを食らうとかなり痛い足の小指を攻撃した。

 

「いいぞ!そのまま攻め込──

 

みんなで連撃を叩き込んでいる中、1人、スリュムの足元でクラインが突っ立っていた。

 

「……オレは、騙されたとは思っちゃいねぇ、オレが勝手に女神様(フレイヤさん)に惚れただけ、最後まで力を貸すぜ、それが俺の武士道……!!

 

クラインが軽く剣を振るとスリュムの足にかなりのダメージが入った。

 

「今だっ!畳み掛けるぞ!全員攻撃!ぶちかませ!」

 

スリュムの体中に俺たちのソードスキルを出来る限りぶつけ、スリュムにダメージを与えた。

が、スリュムは倒れなかった。

 

『おのれ小虫ども!この狼藉、万死に値する!永遠に氷つ───』

 

攻撃をしようとしたスリュムの顔面をトールがつかみ、そのまま地面に倒れ込んだ。

 

『貴様は我が手で引導を下す!』

 

『雷神の小僧が図に乗りおって!』

 

『地に還るがいい!巨人の王!!』

 

『ほざけえぇぇぇえ!』

 

トールは金槌を持ち、天に掲げたところでスリュムの元に振りかざし、スリュムの顔面を叩いた。

その後、持ち前の電撃でトドメをさし、スリュムはその場で起きなくなった。が。

 

『ふっ……ふっ……ふっ……いまは勝ち誇るがいい!小虫どもよ、だがな、アース神族に気を許すと痛い目を見るぞ、彼奴らこそ真の……しん──』

 

何かを言おうとしたスリュムの顔面を再びトールが叩いた。それと共にスリュムは消滅した。

 

『やれやれ、礼を言うぞ妖精の剣士たちよ、これで余も宝を奪われた恥辱を雪ぐことが出来た、どれ、褒美を与えねばな……《雷槌ミョルニル》正しき戦の時に使うが良い、では、サラバだ………』

 

トールはそのまま消えていった。

 

「……ボス報酬ゲットってことはとりあえずはクリアってことかな?」

 

と、みんなが喜んでいる中、1人だけ後ろで何かをしていた。

 

「……クライン、伝説級(レジェンダリー)武器入手おめでとう」

 

「俺ハンマー系スキル上げてねぇし…」

 

「それならリズに上げれば喜ぶぞ、あーでも溶かしてインゴットにしかねないな……」

 

「ちょっと!?いくら私でもそんなことはしないわよ!」

 

その後、アスナの情報でリズの興味が変わり、やっぱりレジェンダリー武器を溶かそう、などと話をしていると、俺たちのいるエリアが小刻みに震えだし、終いにはかなり大きく揺れ始めた。

 

「動いてる……いや、この城(スリュムヘイム)が浮いてる!?」

 

まだ、俺たちのクエストは終わっていなかった。




次回、ついにキャリバー編ラスト!

少し長めに書けたと思う。多分。

スリュムをボコボコにして雷槌を手に入れた一行、
しかし何故か城は動き始めた……








次回!
キャリバー編最終回!


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第60話 世界樹の再生【地下ダンジョン攻略part last】

「お兄ちゃん!まだクエスト続いてるよ!」

 

「なにィ!?さっき大ヒゲを倒したじゃねぇか!」

 

(そう言えば《湖の女王ウルズ》はスリュムヘイムに侵入して聖剣エクスキャリバーを地下の台座から抜いてくれ、と言っていたな……)

 

「さ、最後の光が点滅してるよ!」

 

もし、メダリオンの光が全て消滅したら眷属達、トンキーは全滅………

 

「パパ!玉座の後ろに下り階段が生成されています!」

 

ユイが発見した階段に俺たちはすぐに向かった。

 

(もし、俺達がこのクエストを失敗したらスリュムヘイム城が央都アルンへ浮上?肝心スリュムを失ったまま…?あるいは何事も無かったかのようにスリュムを復活……いや、細部にこだわるカーディナルシステムがそんな強引な展開を用意するとは思えない…)

 

「あのねお兄ちゃん、私もおぼろげにしか覚えてないんだけど確か本物の北欧神話ではスリュムヘイム城の主はスリュムじゃないの」

 

「え……?ええ!?だって名前……

 

「そうなんだけどね……確か神話ではす……す……

 

「《スィアチ》です、神話ではウルズさんの言っていた黄金の林檎を欲しているのもスリュムではなくスィアチです、ここからはALO内のインフォメーションですがプレイヤーにスローター・クエストを依頼しているのはヨツンヘイム地上フィールド最大の城に配置された《大公スィアチ》というNPCです」

 

スリュムを倒してもスリュムヘイムが央都アルンに到着すれば《大公スィアチ》がアルヴヘイム侵攻を行う──

 

「つまり後釜は最初から用意されていたってことか………」

 

「パパ!5秒後に出口です!」

 

ユイの指示通り、5秒後、見開いた空間に出た。

その奥には台座に刺さった黄金の剣があった。

 

(ついに……ここまで来た……)

 

────

 

──システムコマンド!オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!

 

世界樹の頂上、オベイロン、いや須郷を倒すために、あの時俺は世界最強の剣を作り出した──いや、作り出せてしまった

 

だけど今度は──

 

────

 

「………待たせたな」

 

俺は台座からエクスキャリバーを抜こうとしたが、ビクともしないほどに重く、抜くことは出来ない。

 

「頑張れキリトくん!」

「頑張れ!」

「ファイトー!」

 

「ぬけろぉぉぉ!!」

 

力を込めて抜こうとしたら勢い余って後ろに倒れそうになったところで女子5人が俺を支えてくれた。

 

「……キリ公!なんか変だぜ!剣の台座から……木の根が!」

 

喜びもつかの間、大量の木の根が至る所に伸びてきた。

 

「スリュムヘイムが崩壊します!パパ!早く脱出を!」

 

そう言われ、脱出しようとしたが、階段が木の根によって壊されてしまった。

 

ここから下に飛び折れたとしてもどう考えても死んでしまう、そして見事に俺らの近くに上に登れる木の根が降りてこない。

 

「よーしっ!クライン様のオリンピック級ハイジャンプを見せるっきゃねぇ!」

 

 

クラインのハイジャンプ(1m)はもちろん木の根に届かず、俺たちの元にかなりの勢いで落ちたと同時に4つ角の柱にヒビが入り、逆三角形のこのエリアは落下し始めた。

 

「「「「「「クライン(さん)のバカぁー!!!」」」」」」

 

「この下ってどうなってるの?」

 

「もしかしたらウルズさんの言ってたニブルヘイムに繋がってるかもな」

 

「寒くないといいなぁ…」

 

「いやぁ!すごい寒いと思うよ!」

 

「そう言えばリーファ!スロータークエはどうなってる?」

 

「あ、まだひとつ残ってるよ!間に合ったよお兄ちゃん!」

 

世界樹が本来の力を取り戻し始めた、《湖の女王ウルズ》達と眷属達も力を取り戻して人型邪神に狩られ続けることも無くなるだろう……

だが………

 

(やっぱりダメか……)

 

俺は足元のエクスキャリバーをアイテムストレージに入れようとしたが、エクスキャリバーはまだ、アイテムストレージに入れることは出来ない。

 

……と、どうしようか迷っていると遠くの方から鳴き声が聞こえた。その正体はトンキーだった。

 

「へへ……俺は最初から……助けに来てくれると信じてたぜ……」

 

((((((嘘つけ!!!))))))

 

「みんな!乗ろう!」

 

女子達5人が先にトンキーに飛び乗り、クラインはギリギリでトンキーの触手に捕まった。

そして俺もエクスキャリバーを持ち、飛び乗ろうとするが、聖剣(エクスキャリバー)が重すぎて僅かな距離すら飛ぶことが出来ない。

 

(エクスキャリバーを抱いたま墜落死かそれとも捨てて生き残るか、随分と意地悪な二者択一だ……)

 

「全く!カーディナルってのは!!」」

 

俺はキャリバーを遠くに投げ、トンキーの上に乗った。

 

「また、いつか取りに行こうよ」

 

「あぁ、そうだな、ニブルヘイムのどこかで、きっと待ってくれるさ──

 

「二百メートル…………ぐらいか」

 

(シノン……?あのスペルは《リトリープ・アロー》?まさか……いや、いくらなんでも…矢筈に繋がる糸で起動は安定しないし二百メートルはリズの作った弓の有効射撃の2倍近い距離……)

 

シノンは小さく息をすい、弓を放った。

すると光の糸はエクスキャリバーを捉え、シノンはソレを逃さないように引っ張り、自分の頭上まで持ってきたところで糸が消え、エクスキャリバーはシノンの手元に。

 

「うわ、重……」

 

「「「「「「し、シノンさん、まじかっけぇー!」」」」」」

 

シノンの凄さに思わず全員でシノンを褒めた。

 

「上げるわよ、そんな顔しなくても」

 

「あ、ありがとう」

 

「……その前に一つ約束」

 

「………?」

 

「この剣を抜くたびに、心の中で私のことを思い出してね」

 

シノンは満面の笑みで俺にエクスキャリバーを渡してきた。

女子達の微妙な目線が俺に刺さる。

 

「おうおう!いいよなぁ!モテおと─小指ぃ!?」

 

茶化してきたクラインの小指を思いっきり踏んだ。

 

「ありがとう、見事な射撃だった」

 

「どういたしまして」

 

ウィンクされたと同時に俺は気がついた。『してやられた』と。

 

そして、頭上ではスリュムヘイムが崩壊していた。

 

(消滅間際のスリュムは気になることを言っていた、アース神族こそ真の……

 

「なぁ!すげぇよ見てみろ!グレートポイントが!」

 

「穴のそこから水が………」

 

「そうか、元々ここは湖だったから……」

 

見ていると上から世界樹の根が湖に向かい生え、湖に入り込むと根から芽が生え、スリュムヘイムに自然戻った。そして、トンキーの仲間がたくさん現れ、それにみんなで感動していると、トンキーの横にウルズが現れた。

 

『よくぞ成し遂げてくれました《全ての鉄と木を斬る剣》エクスキャリバーが取り除かれたことにより、イグドラシルから断たれた《霊根》は母の元へ還りました、木の恩寵は再び大地に満ち、ヨツンヘイムはかつての姿を取り戻しました、これも全てあなた達のおかげです』

 

「いや、そんな、スリュムはトールの助けがなかったら到底倒せなかったと思──

 

『かの雷神の力は私も感じました、ですが気をつけなさい、妖精達よ、アース神族は霧の巨人の敵ですが、決してそなたらの敵ではない』

 

「あの…スリュムもそんなことを言ってましたが…それはどういう?」

 

リーファのその質問をはぐらかすかのようにウルズは妹達が話をしたいと言った。

 

『私の名は《ベルザンディ》ありがとう、妖精の戦士達、もう一度緑のヨツンヘイムを見られるなんて夢のようです』

 

『我が名は《スクルド》!礼を言うぜ戦士達!』

 

『私からはその剣を授けましょう、ただし、泉に投げないように』

 

「は、はいっ!しません!」

 

ウルズ、スクルド、ベルザンディが手をかざすと、クエストのクリア報酬が大量にストレージに入った。

 

俺は急いでその中を確認すると《聖剣エクスキャリバー》の名が表示されていたのを確認した。

 

その後、3人の女神は空へ飛び立とうとしたところをクラインがフレイヤさんを諦めてスクルドにメアドを教えて欲しいなどという話をしたところ、スクルドは笑顔をクラインに見せ、手を振って飛び立っていった。

 

「あのさ、この後、エギルの店で打ち上げ兼忘年会でもやらないか?春揮と葉月も呼んでさ」

 

「さんせー!」

 

こうして、俺たちのALOでの戦いは終わった。

 

────

如月家(春揮目線)

 

「春揮、またメール」

 

「んあ?あ、和人からか……『キャリバー入手の打ち上げ兼忘年会やるからダイシーカフェに来てくれ』……はぁ」

 

遊園地で葉月にものすごく振り回された俺は肉体的にも精神的にもボロボロで熟睡していたところで和人からメールが来た。

 

「行かないの?」

 

「……お前は体力底なしかよ…わかった、すぐ向かおう」

 

ものすごく疲れた体を起こし、俺は葉月と共にダイシーカフェに向かった。

 

────

ダイシーカフェ・和人目線

 

ALOから帰ってきた俺はスグと共にダイシーカフェに向かい、パソコンを操作していた。

先に来ていたシノンがそれに興味を持ってきた。

それを説明しているうちにアスナとクライン、シリカとリズ、何故か疲れ気味の顔をしている春揮と逆に元気な葉月が到着した。

 

「それにしても、なんで《エクスキャリバー》なの?」

 

「へ?どうしてって?」

 

(「春揮〜またふわふわするよ……」)

 

(「お前それ酒!?」)

 

「…普通はって言うか他のファンタジー小説やマンガだと大抵《カリバー》でしょ?」

 

「へぇーシノンさんそういうの詳しいんですね」

 

「中学の頃は図書館のヌシだったから、アーサー王伝説の本も何冊か読んだけど訳は《カリバー》だった気がする……」

 

「……それなら元ALO管理のレクトの人の趣味だよ」

 

「そう言えば春揮さんはアーガスに行かなくていいんですか?」

 

「まぁ、あそこは年末も無視して営業しないとALOの管理ができないからな、()()()()()()()()()()()()()()()()()()とかを二度と起こさないようにな、でも俺は一応今は出入り自由なだけで社員ではないから学生として年末は休みなんだ」

 

確実にアーガスのことを頭から離していた様子を見せつつ冷静に話をしてくれた春揮は話を続けた。

 

「元々、伝説内でもいくつか名前があって《カリバーン》以外にも五六種類あるって話だ」

 

「うへぇ、そんなにあるのか…」

 

「春揮も詳しいわね、キャリバーっていろんな意味があって、ひとつの意味は《器の大きい人》、キリトは……」

 

「あれを持つならそれなりの事しないとな」

 

「わ、わかったよ……アルバイトで稼いだし、今日は俺の奢りでいいよ!」

 

────

SAO(ソードアート・オンライン)

ALO(アルヴヘイムオンライン)

GGO(ガンゲイルオンライン)

3世界での経験を通して人の器なるものについて何かを学べたとすればそれは《1人では何も背負えない》ということだ。

どの世界でも俺は挫けそうになりながら多くの人に助けられてどうにか歩き続けてきたに過ぎない、今日の突発的冒険が象徴的だ。

 

だからきっと俺の、いや、みんなの《キャリバー》とは──

仲間全員で手を繋いでいっぱいに輪を作ったその内径を指すんだ。

 

あの黄金の剣は自分一人のためには決して使うまい。

 

────

 

「さぁ!みんなで乾杯しましょ!」

 

(「春揮〜なんでこんなにふわふわするー?」)

 

(「いや、だからお前酒飲んでるんだよ!?」)

 

「さっきやっただろ?今度はなんの乾杯だ?」

 

「ったりめぇだろ?キャリバーにだよ!」

 

「……あぁ、乾杯!」

 

────

ダイシーカフェ前、乾杯後(春揮目線)

 

「やっぱり……か」

 

「どうしたんだ春揮?」

 

「……和人か、いや、ちょっと気になることを探しててな、菊岡から返信を待ってたんだが……」

 

「気になること?」

 

「……いや、今はまだ話さなくていいか、そのうち話す」

 

「………?そうか、わかった」

 

ダイシーカフェに入る俺の片手に持っているスマホには《ALO内MMOトーナメント》の記事と《GGOの新大会開催予定》の2つの記事、そして《オーグマー開発開始、開発者の声》という記事が表示されている。

 

(オーグマー……か)

 

その後、ダイシーカフェでの忘年会は長時間続き、気がついた頃には日を過ぎていた。




ついに完結、キャリバー編!

所々オリジナリティ出しつつクラインの扱いを雑にしつつ。

葉月は酔いつつ
春揮は謎の記事をみたり。


色々すごいね5000文字。

次回からは春揮目線に戻るよ。

そしてついに次回からは……あのキャラが登場!

次回。
《マザーズロザリオ》編!


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マザーズロザリオ編
第61話 絶剣【最強の剣士】


現実世界:某日(春揮目線)

 

年が明け、正月も終わりに近づいたとある日、俺は和人に呼び出され、いつぞやのカフェに向かった。

 

「急に呼び出してすまない、ちょっと気になることがあってな」

 

「気になること?」

 

「あぁ、お前は《絶剣》の噂は聞いたか?」

 

「あれか、何度か耳にしたけど……」

 

絶剣、ALOのとある場所に定時になると現れ、デュエルをして勝つと()()()()()をプレゼントする、という。

だが、その強さに勝つ者は現れず、今も絶剣は『最強の剣士』として名を広めている。

 

「それが、どうしたんだ?」

 

「……もしかしたら、SAO帰還者(サバイバー)なんじゃないかって思ってさ、2人で確かめに行こうかなって」

 

「別にいいけど、多分今、リズとシリカが先にログインしてると思うんだけどあいつらも連れてくか?」

 

「そうだなぁ…どうせ俺たちだけで行ってもあれだし、アスナは少し忙しいらしいからな…そうするか、んじゃこれからALOにログインして絶剣の元へ行ってみよう」

 

こうして、俺たちはALOにログインすることに。

俺は葉月を誘ってアインクラッド内のキリトのログハウスへ向かい、リズ、シリカ、キリトとリーファの4人人と合流し、絶剣が出ると噂の場所に向かった。

 

────

 

「すごい人の量……」

 

「まだ《絶剣》はいないみたいだな……」

 

絶剣が現れると言われている時間の少し前に到着すると、既にかなりのプレイヤーが集まっていた。

 

それから待つこと数分後、周りが騒がしくなったと思えば空から女の子が飛んできた。

 

「また来てくれたんだねみんなー!今日ボクと勝負するのは誰かなー?」

 

空から現れた紫髪の女の子は爽やかな笑顔で対戦相手を探した。

俺たちはまだ出なくていいと思い、手をあげないままでいると、少し長身のシルフの女性(?)が前に出た。

 

 

「おうおうっ!誰もいないなら私がやってやる!大剣使いの妖精さんを舐めてもらったら困るぜ!」

 

「おねー……さん?が最初の相手だね、やろっか」

 

────

試合は一瞬で終わった。

大剣使いの方が弱いのかそれとも絶剣が強いのかはわからなかったがお互いが動いた衝撃で発生した砂埃が消えた時には既に勝利のBGMが流れていた。

 

「こ、この『フカ次郎』を負かすとは……お嬢ちゃん、流石だ──

 

「次、戦いたい人いるー?」

 

フカ次郎と名乗ったシルフを無視して絶剣は次の対戦相手を探した。

キリトと俺とハヅキが出ないなら、とリーファが出た、試合はいいところまで行ったが絶剣の体力がイエローに行く前にリーファは敗北。

シルフの中でも五本指の中に入る程の飛行速度を持つリーファとほぼ互角で飛行をし、ものすごい速度でソードスキルを放った。

 

「あいつ、まだ本気を出してないな」

 

と、試合を見ていたキリトがそう呟いたのを聞いてリズが「ならあたしが本気を出させてやるわ!」と意気込んだが、フカ次郎と名乗ったやつ同様試合は一瞬。

 

「今日はいい試合できる人いないみたいだねー…これじゃあボクの『ソードスキル』を上げることなんて出来ないよ…そうだ、蒼髪のケットシーの人(ハヅキ)と赤髪のスプリガンのお兄さん、ボクとやらない?その後に黒髪の人も!」

 

なんと、俺達が出る前に絶剣は俺たちを指名してきたのだ。

 

「受けて立つ……!!」

 

 

俺たちと絶剣のデュエルが始まった。




つーいに始まりました!
マザーズロザリオ編!

絶剣の噂を聞いた和人と春揮は葉月とリーファとシリカとリズを連れて噂の場所へ。

次回、ハヅキVS絶剣!

気づきました。
葉月の存在感薄いなーって。ヒロインなのにね。


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第62話 蒼月VS絶剣【デュエルPart1】

槍のソードスキル探してたら2日空いた


ラギ目線

 

「ねぇねぇ、お姉さん名前は?」

 

「ハヅキ……だけど?」

 

「特に理由はないよ、言い忘れてた、ボクはユウキ!宜しくね!」

 

「……うん」

 

デュエル開始前にハヅキと絶剣──もといユウキがお互い笑顔で挨拶した。

その後、すぐにデュエル開始の合図が鳴り、お互い武器を持ち、戦闘を開始した。

 

「はあァァ!!」

 

まず最初に行動したのはユウキ。

片手剣ソードスキルの《レイジ・スパイク》を繰り出しハヅキに近寄って攻撃を入れる。

それを見切ったハヅキは素早く上に跳ね、そのソードスキルを避けつつもソードスキルを放つ。

 

槍ソードスキル:ヴァルチャー・スティンガー

 

「うわっ!?」

 

ユウキの上に飛んだハヅキが放った技は頭上から地面に向かって槍で連撃を当て、その衝撃を周囲に拡散するソードスキル。

相手は()()()()死角からの攻撃になるため、避けるのは難しいが、ソードスキルを放った瞬間にも関わらず、ユウキの移動速度はハヅキのソードスキルを目視することの出来るだけのタイミングが生まれる。

それがギリギリでハヅキのソードスキルを避けたユウキは体制を立て直し地面に着地したハヅキに《シャープネイル》を当てた。

 

3連撃だけとはいえ相手の実力は未知の領域、それに加えてハヅキのステータスからすれば攻撃を受ければかなりダメージが入るはずだ。

 

「なかなか……やるね…ユウキ……」

 

「そっちこそ!さっきのは凄かったよ!これならボクも()()を出せるかな」

 

ユウキは再びシャープネイルを放つがハヅキはそれを槍の細さの中で防ぎ、そのままの体制でユウキにタックルし、怯んでいるユウキの隙を狙って槍を回転させた後、至近距離でものすごい速さの一撃を放った。

 

《スパイラル・ゲート》(防御+回転)+《ディガグリント》(ものすごい速さの一撃)

 

「うわっ……お姉さん強いね、でも……!!」

 

ユウキは1歩下がりソードスキル《ヴォーパルストライク》を放つが、槍相手にそのソードスキルはまずい、なぜかと言うと、リーチがかなり長い槍に遠距離から接近すれば近づく前にパリィされてその隙にソードスキルを放たれるから……だが、ユウキは何かを狙っている顔でハヅキに近づいた。

 

「させない……っ!」

 

案の定、近づく前にパリィされ、攻撃の隙を与えてしまった。と思いきや、ユウキは片手に持つ《黒い剣》から紫の光を放ち、11連撃ぐらいをハヅキに直撃させ、ここで時間が来てハヅキは赤ゲージ、ユウキはイエローゲージでデュエルが終わった。

 

「ラギ、あのソードスキル見たことあるか?」

 

「いいや、俺は見たことないな、あんなソードスキルは……そう言えばリズ、絶剣が賭けている《ある物》ってなんなんだ?」

 

「それは「今のオリジナルソードスキルだよ!赤髪のスプリガンさん!」

 

ふと気がつくと後ろにハヅキと共にユウキが立っていた。

 

「オリジナルソードスキル?」

 

「そう、ボクの作り出したオリジナルソードスキル、技名は教えないけどねっ!さぁ!赤髪のスプリガンさん!ボクとデュエルしようよ!」

 

俺はハヅキの「お姉さんって呼ばれてた」という小声とキリト、シリカ、リズ、リーファの応援を聞きつつユウキに引っ張られ、デュエルフィールドに連れてこられた。

 

「さぁ、戦おっか」

 




槍のソードスキル、今回調べたのアクセルソード(AW VS SAO)の槍のソードスキルなんだよね。なんでホロリアから出さなかったんだろ。


ということで冒頭に述べた通り、槍のソードスキル探してたら2日空きました。
いや、サボってたわけじゃないんです。ほんとです。



ユウキキタ━(゚∀゚)━!

ユウキの喋り方を練習しないといけないな、と思いつつもハヅキとのデュエルは《オリジナルソードスキル》の、一撃で終了。

そして次回はラギがユウキと戦う!

ちなみに武器種は……分かるよね?


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第63話 ラギVSユウキ【デュエルPart2】

なぜか周りの歓声とフカ次郎とか言うやつの叫び声が大きくなり、デュエル開始前の俺とユウキには微妙な緊張感が広がりつつ、ユウキは冷静な顔をしていた。

 

「そう言えばお兄さん、名前は?」

 

「俺はラギ、よろしくな、ユウキ」

 

「うん!よろしくね、ラギ!さて、始めよ!」

 

まずは様子見、ということで俺は右手に《霊刀:イザナミ》を持ち、神剣デュランダルは()()()()()()()デュエルを開始。

 

まずはユウキが《ヴォーパルストライク》で俺に接近してきた、ところを俺は逃さすに避けたと同時に《スネークバイト》を放ち、ユウキに先制を取った。

 

「お兄さん見た目以上に動き早いね!?」

 

「そりゃ、どうも……」

 

「それなら一気に本気で行かせてもらうよ!」

 

そう言うとユウキは先程とは全く違う速度で移動し、俺の後ろに回り込み《ホリゾンタル・スクエア》を放ってきた、だけだと思えばさらに《バーチカル・スクエア》でダメージを稼いできた。

 

「今のは効いた……なら、俺も少し、本気で行かせてもらうぜ、絶剣!」

 

「速っ!?」

 

俺はユウキに負けないぐらいの速度でユウキに接近し、8連撃、《ハウリング・オクターブ》を放った、と同時に左手に《神剣:デュランダル》を持ち、左手で《オリジナルソードスキル:スター・レイン(6連撃)》を放った。

 

「「「スキルコネクト!?」」」

 

「お、お前ら静かにしろよ!?」

 

シリカ達女子3人組が()()()このスキルを知って……あ、キリトか。

そう言えばキャリバーを取る時にミノタウロスをソードスキルのゴリ押しで倒したって言ってたってことはその時か……

 

「お兄さん不思議な技使うね…強い!……けど諦めないよぉー!」

 

ユウキは再びあの《オリジナルソードスキル》を放ち、俺はそれをまともに喰らってしまった。

 

「ぐっ………」

 

「えっへへ〜、ボクも強いでしょ?」

 

「甘く見られちゃ困るぜ………」

 

(この短期間、()()()に教えて貰ったこの技を………使う!)

 

俺はGGO事件から1週間、そしてキャリバーをキリト達がとってから数週間、実はハヅキにも内緒でとある人にお願いしてあるソードスキルを教えて貰った。まぁ、技の発動の仕方とか種類とかは真似出来なかったけど…

 

「そっちから仕掛けてこないなら、こっちから行くよー!おりゃああ!」

 

「……ここだ!」

 

俺は右手でで5連撃、左手で5連撃を空中で放ち、そして放った連撃を飛ぶ斬撃として2倍にして多段攻撃を放つ。

教えて貰った人はA()L()O()()()()()で技自体に色々と違いはある。

あの人は2連撃を加えた直後、空中から無数の剣を出現させ、それを相手に向けて放つ。

俺の場合は5連撃を空中で飛ぶ斬撃に変化させてそれを相手に向けて飛ばす。

 

「うわぁー!?なにこれぇー!?」

 

技名は《スターダスト・レイン》、教えて貰ったってことを隠せばオリジナルソードスキルになるが、元々教えてくれた人が使っていたのは《サウザンド・レイン》という技。

練習中はボコボコにされまくったけど俺なりにあの人の技に近づけたと思う。多分。

 

「良くもやったなぁ……!!」

 

「おっと危ない……ごめん、決めさせてもらうぜ!」

 

「ふえ!?」

 

俺はさらにもう一度《スターダスト・レイン》を発動させ、ユウキに放った。

正直なところこれはあれだ、チート的な技だ、相手に近寄らせないし連撃が飛んでくるし……ま、いっか。

 

そんなこんなで完全に後半は俺のいじめ行為でデュエルは終了。

 

────

「も〜!酷いよ!」

 

「悪かったって、つい本気でやっちゃったよ」

 

「……………」

 

「キリト?」

 

「あっ、いや、なんでもない」

 

珍しくぼーっとしてるキリトは見るからに考え事をしていた。

 

「さて、黒髪のスプリガンさん、やろっか!」

 

「………あぁ、やろうか」

 

キリトとユウキのデュエルが始まった。

 

────

数週間前。

 

俺は暇つぶしにモンスター狩りにフィールドへ出ていたその時だった。

赤髪の()()2()()()()()女の子があの技を使っていた。

名前は《レイン》、ALOには存在しない《多刀流》という謎のスキル使いだった。

 

けど、これはまたいつか、別の機会にでも話そう。

 

────




はい!

なんかすごいことになったな!
ラギはいきなりスキルコネクトでぶっ飛ばすし
なんかよくわかんない技を出すし!?


サウザンドレイン、そしてレインというキャラ、わかる人には分かる。
というかこれ読んでる人全員わかるんじゃね?
あの子がどう関わるのか、それはまたのお楽しみ……

ちなみに今から言っておきますけど、俺はアリシゼーションは書きません。ご了承ください。今更ですけどね。


次回!
キリトVSユウキ!


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第64話 キリトVSユウキ【デュエルPart3】

「さてと、始めるか」

 

「うんっ!」

 

キリトはキャリバーではなく元々使っている剣を抜き、戦闘態勢になった。

 

デュエルの開始の合図と同時に2人が動き出し、先ほどまでの勝負とは違いソードスキルを放たずに普通の攻撃をお互いが放った。

 

「これが絶剣の実力ってことか……」

 

「お兄さん強いね…!」

 

ユウキはキリトに向かって《バーチカル・スクエア》を使ったが、キリトはそれを避けて逆に《ハウリング・オクターブ》で反撃をした。が、ユウキはものすごい速さで立ち直り、ソードスキルを全て防ぎ、そのままキリトを後ろに飛ばした。

 

(そういやあいつなんでスキルコネクト使わないんだ……?)

 

吹き飛ばされたキリトはそのままユウキの元に走って剣を振り下ろした。

もちろんユウキはそれを防ぎ、2人はそのまま攻防の体制のまましばらくの間止まっている。

と、思いきやキリトはユウキに何かを話しかけたと同時に後ろに下がった。

 

「……お兄さん、面白いね」

 

ユウキがそう言うとキリトの元にものすごい速さで近づき、そのまま《ホリゾンタル・スクエア》を放ってキリトにダメージを与えたと思えばさらに《オリジナルソードスキル》で追い討ちをしてそのままデュエル終了の合図が鳴った。

 

「………強いな、絶剣」

 

「お兄さんも強かったよ、でもボクの探してる人じゃないかな……それじゃ、また挑戦してね!」

 

そう言うとユウキは空へ飛んでいった。

 

 

「それじゃ、あたし達も帰りましょうか」

「そうですね」

「お兄ちゃん達はどうする?」

 

「……いや、もう少しだけここにいさせてくれ、後で合流するから」

 

「ハヅキは先に帰っ……

 

「ラギが帰らないなら私も帰らないよ」

 

「……わかった」

 

先にリーファとリズとシリカは帰り、俺とハヅキとキリトはこの場に残った。

 

「おーい!そこの3人!」

 

「「「……?」」」

 

キリトが俺たちになにか話そうとしたところでさっきユウキにボコボコにされた『フカ次郎』と名乗るシルフが俺たちに声をかけてきた。

 

「とりあえずその黒いやつ!まずはお前とデュエルだ!」

 

フカ次郎はまず、キリトにデュエルを申し込んだ。

 

「わかった、やろう」

 

キリトは否定せずにさっきユウキとデュエルした位置に立った。

 

────

デュエル

キリトVSフカ次郎

 

「おらァい!」

 

先制はフカ次郎の大剣のソードスキル、だがキリトは避けてそのまま《バーチカル・スクエア》でフカ次郎にダメージを与えた。

が、キリトはスキルコネクトを使わずにそのまま後ろに下がった。

 

「強……なんだよそれ!?」

 

フカ次郎はキリトの身のこなしに驚いたのかかなりの動揺を見せながらももう一度ソードスキルを放った。

 

「おっと危ない……それっ!」

 

フカ次郎のソードスキルを避けながら《ハウリング・オクターブ》をフカ次郎に放った、と思えばキリトはまさかの片手でスキルコネクトを使い、《ホリゾンタル・スクエア》でさらにダメージを与えたところで時間が終了した。

 

────

「絶剣と言いお前といい強すぎるだろ……次はそこのケットシー!」

 

「……わかった」

 

キリトにボコボコにされたのにフカ次郎は次にハヅキとのデュエルを開始した。




バトル描写苦手だから早く終わらせたい、のにフカ次郎がデュエルをやり始めたよ。


キリトとユウキのデュエルが終わりました。はい。

次回、VSフカ次郎!


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第65話 VSフカ次郎【デュエルPart4】

ハヅキはフカ次郎の立つ手前に移動して槍を取り出してフカ次郎に向けた。

 

「さて、始め……うわっ!?」

 

「遅い……っ!」

 

「ちょっ、ずるくないか!?」

 

開始の合図と同時にハヅキは槍のソードスキルでフカ次郎を襲った。

フカ次郎は不意を突かれたせいで見事に全てを喰らって大ダメージを受けてしまった。

 

(手加減なしだなハヅキ……ま、あいつらしいって言ったらあいつらしいか……)

 

それからの試合は一瞬だった。

フカ次郎の攻撃は全く当たることもなくハヅキのソードスキルがフカ次郎を全て直撃してそのまま時間制限の前に勝負がついてしまった。

 

「容赦ないなハヅキ……ラギもあいつとやるんだろ?」

 

「そりゃ、やるしかねぇだろ、それよりお前さっき何を話してたんだ?」

 

「後で話すよ、それよりあいつ、お前のこと呼んでるぞ」

 

「……さて、やるか」

 

ハヅキの立っていたところに俺が立ち、剣を構えたと同時に試合開始の合図が鳴った。

 

「さっきの恨みお前に返してやるぜぇー!」

 

「おっと……大剣のソードスキルは危ないな……」

 

開始と同時にソードスキルを放ってきたフカ次郎の攻撃をバックステップで避けてソードスキルが終わるまでその場で待っていた。

 

「お前ー!ふざけてんのかー!?」

 

「おー怖い怖い」

 

「本気でかかってこーい!」

 

「ホントにいいのか?」

 

「このフカ次郎様を舐めてもらったら困るぜ!」

 

大剣を思いっきり振り回してるやつに本気だす訳にはいけないと思うんだが……

 

「隙ありっ!」

 

「おっと危ない……わかった、やってやるよ」

 

甘く見ていたフカ次郎のソードスキルはまさかの大剣内でもかなり高めの威力を持つ上位スキル。

まともに受ければさっきのハヅキの試合みたいになる可能性も出てくる。

なら、それなりの力を出してやろうじゃねぇか……!

 

「もういっちょ!」

 

「はぁ………」

 

右手に持った霊刀でソードスキルを抑えたところで左手に神剣を持って《ハウリング・オクターブ》でフカ次郎を攻撃した。

そしてそのままのノリで《ホリゾンタル・スクエア》を放ったところで俺は空中一回転で後ろに下がった。

 

「本気出しすぎだろー!」

 

「なら本気出せとか言うなよ……」

 

「こうなったら腹いせじゃい!」

 

再びフカ次郎は上位スキルを使って俺に突進してきた、とはいえ何度も同じことをしてくれば見切ることなんて簡単。

見事に見切って攻撃を避けたところで空中に飛んだ俺は《スターダスト・レイン》をフカ次郎の頭上で放った。

 

そしてデュエルは終了。

 

「3人とも強すぎないか!?」

 

「んー、俺達が特別強い訳でもないと思うけど?」

 

「キリトとラギは強いと思う」

 

「ハヅキもな」

 

「お前さんたち気に入った!また会おうぜ!」

 

「あ、あぁ……」

 

この後フカ次郎がどっかに去っていった。

 

────

 

「さてと、俺達もアルンに戻るとするか」

 

「待てよキリト、今教えてくれ、ユウキに何を話したんだ?」

 

「……?」

 

アルンへ戻るために羽を出したキリトの腕を掴んで止め、ユウキのことに関して聞くとハヅキは俺の後ろで不思議そうな顔をしながら俺の方を見てきた。

 

「ハヅキにも話すことになるのか、まぁいいか……あいつは、ユウキは……」

 

──この世界の住人だ。




さて、バトル描写なんてクソ喰らえ。

ということでハヅキとラギのフカ次郎とのデュエルを書いたところでやっとバトル描写から解放されましたとさ。


そして最後のキリトのセリフ。
それは一体何を意味しているのか……!?


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第66話 VR世界の住人【閃光VS絶剣】

 

「この世界の住人……?どういう事だ?」

 

「俺の勝手な考えだけど、絶剣……ユウキはこの世界で長時間ログインをしているんだと思う。その理由が何なのかはわからない、だがあの強さを見ればわかると思う、そして、多分絶剣はしばらくの時間、現実世界に戻ってない………これ以上人のプライベートを探るのは辞めるとするか、とりあえず俺達も帰ろうぜ」

 

ユウキという存在が何を隠しているのか、キリトは俺たちと自分がデュエルした時に感じ取ったらしい。

だが、ユウキが本当に何者なのか、それだけは未だにわからない……

 

そんなことを考えながら俺たちは央都アルンへ戻り、ログアウトをした。

 

────

それから数日が経ち、とある日、俺はアーガスに呼ばれ、葉月を連れて行くことになった。

 

────

キリト目線

その頃、俺、キリトは央都アルンのリズベット武具店の椅子で寝ていた。

 

「何故かしらね、こいつを見てると眠くなるのは……」

「ほんとですよね……もしかしてこれがスプリガン特有の睡眠を誘う魔法…そんなことないですかね」

「キリト君なら有り得そう……」

 

という話し声がうっすらと聞こえたので起きるとリズ、シリカ、リーファ、そしてアスナが俺の方を見て眠そうな顔をしていた。

 

「あ、キリト君起きた」

 

「起きちゃ悪いか……それより、シリカ、宿題はどうなんだ?」

 

「うっ……キリトさんのせいで眠くてほとんど終わってないです」

 

「俺のせいかよ!?」

 

「そうだアスナ、絶剣の噂聞いた?」

 

リズがアスナに絶剣の話を聞いた。

 

「……ゼッケン?」

 

「違う違う、絶対の『絶』にソードの『剣』で絶剣、そう呼ばれてるプレイヤーがいるのよ」

 

「へぇ……それで、その絶剣って人がどうしたの?」

 

「実はね、とある場所に特定の時間になると現れて、デュエルをしてるのよ、それで、勝者には『オリジナルソードスキル』を上げる、って約束をしてるのよ……(あれ?誰か勝ってたような…)」

 

「ソードスキルを…リズ達は挑戦したの?」

 

「ここにいる4人は全員挑戦したわ、あと今は来てないラギとハヅキもね」

 

「それでどうだったの?」

 

「私たち3人はボロ負け、ハヅキは惜しくも負け、ラギは勝ったけど何故かソードスキルを貰わなかった、で、キリトも負けたのよ」

 

「ラギさんが勝てたけどキリト君が負けたの……あ、もしかして」

 

アスナが何かを感じたのか俺の方を冷たい目で見てきた、その目を見れば何を言いたいのかわかる事だ。

 

「いやいやいや、本気でした、ほんっとに本気だった!……後半までは」

 

「ほんとかなー?」

 

リズのせいで見事にいけない雰囲気になってしまった所でその元凶(リズ)がアスナに挑戦を促すとなんの躊躇いもなく絶剣のいる所へ。

 

「そう言えば、シノンさんとラギさん達はどうしたんですか?」

 

「シノのんは帰省中でログインできないって聞いたよ」

 

「ラギ達はどうしたのか分からないな、朝の時点で俺たちがログインするって話をした訳でもないしな」

 

「もうすぐ着くわよー!」

 

話しているうちに俺たちは再びデュエルをする広場まで到着した。

 

到着した時点で既に絶剣はデュエルをしている途中で、俺達が来たことには多分気づいていない様子。

 

デュエルを終えたとともに俺たちがいることに気がついた絶剣は俺たちの元へ走ってきた。

 

「また来たんだね、お兄さん、それで今回は……そこのウンディーネのお姉さんだね?」

 

「う、うん、よろしく」

 

お互い自己紹介をして剣を構えた。

 

────

デュエルは割とすぐに決着がついた。

最初は攻防が続いていたが、アスナが放った一発目のソードスキル5連全てをものすごい速さで止めた絶剣が《オリジナルソードスキル》で一気に決めに行ったところでデュエルは終了。

 

「お姉さん気に入った!やっとビビっとくる人を見つけたよ、ちょっとついてきて欲しい所があるんだ!ほら、行こうよ!」

 

絶剣はものすごいテンションでアスナの腕を掴んでどこかへ行こうとしてしまった。

 

「あ、キリトくん!あとで連絡するねー!」

 

そう言ってアスナは絶剣とともにどこかへ───

 

それから1時間ほど経過してアスナからメッセージが飛んできた。

話によるとギルド『スリーピングナイツ』のメンバーが6人で、ボス戦攻略をしばらくの間手伝ってくれる人が現れるまでオリジナルソードスキルを賭けにしてデュエルで頼れる強い人を探していたらしく、アスナがその役割に丁度いいと考えスリーピングナイツのホームへ連れて行った。

 

それでしばらくの間はスリーピングナイツのメンバーとしてボス戦攻略や素材集め、などなどをするという事になった。

という内容がメッセージとして届いた。

 

この後俺たちはログアウトした。

 

────

同日、同時刻

春揮目線

 

俺は葉月とともにアーガスに来ていた。

 

「プリヴィエート、あなたが如月春揮さんでいいのよね?」

 

待合室の入口から入ってきたのは銀髪の女の子だった。

 

「はじめまして。私は『七色』、プレイヤーネーム自体は『セブン』よ、どっちで呼んでも構わないわ、よろしく」




デュエル描写全カット!( 。∀ ゚)

ということでアスナさんさよなら、出番は……27層とリアルぐらいかな、この後は。

アーガスに呼ばれた春揮の目の前に現れたのはあの七色さん!

なぜ、春揮が呼ばれたのか、それは次回!


────
遅れて申し訳ない。
色々してたら書く暇がなくなってた。ごめん。


P.S.
アクセルワールドVSソードアート・オンライン
買いました。


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第67話 特大プロジェクト【VR最新ゲーム開発】

「いきなりでごめんね、私もすぐに取り掛かる必要も無いと思ったんだけど、とりあえずは今のところSAOのデータを管理してるアーガスに頼んだら、割と簡単に了承してくれて」

 

「セブンさん、何の話かさっぱりなんだけど」

 

「あ、ごめん!全く話もしないで自分だけで話しちゃって、私がやろうとしてるのはSA:O(ソードアート・オリジン)というゲームの開発よ」

 

セブンは机にノートを出し、俺らに見えるように少しだけページを開いた。

そこに書いてあったのは『デスゲームじゃないSAOの作成』という目標のように思える計画表。

 

「そこに書いてあるようにSAOサーバーを使って《SA:O》を作りたいの、それで現在SAOのデータを管理してるここに来たのよ」

 

と、言われてもなぜアーガスが1番わかってるはずなのに……今、SAOのデータは…

 

「……え!?」

 

「とある会社に預けることになったんだ、何故か、な」

 

「えー……それじゃあはるばるここまで来たの意味無いのかな…」

 

「とりあえずどんなゲームにしたいかだけでも決めて、クエストの内容とかだけでも決めてみようぜ、SAOサーバーがない以上はやれることはそれぐらいだしな、あと、プログラムを組むぐらいなら少しできるし、今は別サーバーにしてβテストを行うって手もある」

 

「……そこまで言うならやるしかないわね、いいえ、やりましょう!」

 

葉月の自己紹介をしつつ俺たちは力を合わせて色々と計画を決めた。

 

「そう言えば、『はるばるここまで来た』ってどういう事だ?」

 

「私今、外国に住んでるのよ、向こうにもVRの管理会社はあるけど、こっちに来ないとSAOデータを使っての開発ができなくて、それではるばる来て、アーガスに許可もらって入ったら『如月ってやつが色々やってくれる』って言われて、呼んでもらったのよ」

 

多分あの上司だろ、とか考えつつも俺は何故か似たような雰囲気の女の子を見たことがあるような気がした。

 

「お前、姉とかいるか?」

 

「い、いきなり個人情報を聞いてくるね、いるよ、お姉ちゃんが、プレイヤーネームは『レイン』」

 

「………!?」

 

「春揮どうしたの?」

 

レイン、俺に《スターダスト・レイン》を、正確には《サウザンド・レイン》を教えてくれた師匠、と同じ名前、どうりでセブンの顔をどこかで見たと思ったのか……

 

「レインさんは俺の師匠みたいな存在だ、ALOでお世話になった」

 

「お姉ちゃんと!?」

 

「……?」

 

葉月だけが理解出来てない様子で首を傾げたので俺がとりあえずの形で少しだけレインさんのことを説明した。

小声で何か言われた気もするけど。

 

 

「ビックリしたけど、それなら話は早いかな、後でお姉ちゃんもここに来ると思うし、とりあえずは計画をしっかりと立てましょう」

 

「あぁ、お前の《SA:O》制作計画、俺達も協力して絶対に運営できるようにしよう」

 

こうして俺たちのSA:O(ソードアート・オリジン)の制作が始まった。

 

────

時は流れ2月の後半、アーガスでの制作は1時中断し、俺はALOで《スリーピングナイツ》のこれからの動きのため、キリトの作戦に参加することにした。

 

──アインクラッド27層のボス攻略、今までスリーピングナイツが受けた妨害からしてまた同じように妨害するやつがいる、俺はそいつらの大型パーティに紛れ込んで27層のボス部屋前でスリーピングナイツの妨害を妨害する、多分30人以上はいる大型パーティだから、後からお前らも来てくれ。

 

と、言われた俺とハヅキ、そして後から合流のクラインの3人でスリーピングナイツのボス攻略の手伝いをすることに。




時が飛ぶのは俺の得意分野。

ということでまさかのセブン、色々とありながらも計画を進める!

SAOサーバーは一体どこへ……?

(ゲームとアニメの世界観は別なんて気にしたらホロリアの装備来てねぇよ)

時が流れ時期は2月の後半
27層攻略をする予定のスリーピングナイツ。
それを妨害するヤツらを妨害する計画のキリトは先に妨害するヤツらに同行して先に行き、ラギはあとからついて行く。


次回、キリト目線、あの名言が炸裂!

あ、先週、UA9000<(^o^)>アッザザザザス!


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第68話 伝わらないこと【通行止め】

キリト目線

 

「へぇ…俺たちに協力してくれるんか」

 

「あぁ、少しの間だけだけどな」

 

俺はアスナに伝えられたことを確認するためにとあるギルドが結成した大型パーティに参加し、レベリングや素材集めを少しだけ手伝って信頼を得たところで27層に先に仲間を送ったという情報を聞き、残った30人前後のパーティとともに挟み撃ちをする、などといった計画に参加。

それをラギとハヅキ、ラギ達と合流のクラインにメッセージを送り、俺は27層のボス部屋前に行くことに。

 

────

アスナ目線

 

「どうしてもそこ、通してくれないの?」

 

「そりゃ、当たり前だろ?」

 

私たち《スリーピングナイツ》は今、27層攻略をしようとボス部屋前に行くと今までスリーピングナイツのみんながボスに負けたあとすぐに攻略をしたプレイヤーと見られる人達が待ち構えていた。

 

「……アスナ」

 

「ユウキ……?」

 

「ぶつからなきゃわからない事だってあるよ、例えば……自分がどれだけ本気なのか、とかね」

 

ユウキは私の方を向いて笑顔を見せたあと、再び待ち伏せをしていたプレイヤー達の方に向き直った

 

「この人達だって、本気で戦う、その覚悟でここに来たはずだよ、そうでしょ?」

 

「お、おう……」

 

「それじゃあ……戦おっか」

 

ユウキは先制で《ホリゾンタル・スクエア》を大型の男に放った。

 

「不意打ちなんてズリぃぞ!」

 

「お兄さん達だって、ここで待ち伏せしたりボスの攻略を奪ったりしてるでしょ、今更ズルいなんて言われても他人事じゃないはずだよね」

 

「く、くそぉ……」

 

「ごめんねアスナ、僕の短期に巻き込んじゃって」

 

「ううん、私なら大丈夫、みんな、この層は無理かもしれないけど、次の層は攻略しよう!」

 

全員のやる気を最大限に出したところで後衛が何かに気がついた。

今私たちが戦ってる人達と同じと思われるパーティが後ろ、通路の方から走ってきた。

 

────

キリト目線

27層ボス部屋前通路

 

「ちっ、しぶとい奴らだな」

 

俺の参加した大型パーティからアスナ達、スリーピングナイツの姿が確認出来たタイミングで俺は列から抜けて通路の壁(10mぐらい)を走ってパーティの目の前まで飛んで地面に剣を刺してちょっとだけ威嚇した。

 

後ろから少しざわめきが聞こえるのは多分スリーピングナイツの後衛のプレイヤー達。

 

「悪いな、ここは通行止めだ」

 

俺がそう言ったことでアスナとユウキが俺の存在に気がついた様子が伺える。

 

「おいおい、黒ずくめ(ブラッキー)先生よォ、何をしたいのかはわからないけどよ、この人数を相手にするのは無理じゃね?」

 

「さぁな、やったことないからな」

 

「そりゃそうだ、メイジ隊、焼いてやれ」

 

メイジ隊が放った七個の魔法が俺の方に飛んできた。




通行止めだ

うわぁ、カッコつ(ゲフンゲフン


ということで原作だと結構話が終わりに近づいてきてるということに気がつきました。

が、まだまだ終わらないぜ!



次回、メイジ隊の魔法がキリトに襲いかかる……!?


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第69話 魔法破壊【黒ずくめの剣士】

タイトルのネタが浮かばない


「…………ふっ」

 

俺は地面に刺した剣を抜き、飛んできた7つの魔法をソードスキル《デッドリー・シンズ》を使い破壊した。

 

「うっそぉ……」

 

「これだから……」

 

システム外スキル《魔法破壊(スペルブラスト)

本来、ソードスキルで魔法を破壊するのは不可能、とリーファに教えられたが、あのゲーム、《GGO》でやった銃弾を切るという行為をしたため、俺には魔法を切ることさえできるように。

 

「ふぅ……どんな高速魔法も対物ライフルの弾よりは遅いな」

 

「バケモンかよ……いや!防御隊!楯を構えろ!」

 

「………アスナ!3分間時間を稼ぐ!その隙にアスナ達はボス部屋へ!」

 

「で、でも!キリト君だけじゃ………」

 

「《スターダスト・レイン》!!」

 

アスナが俺のことを心配してくれたようだが、俺だって1人で30人は骨が折れる。

 

「アスナ!俺達もいるから安心しろ!見えないと思うけどな!」

 

ラギは一瞬だけ上に見えたから姿を確認出来たが、ハヅキも槍のソードスキルで相手を蹴散らしている様子が見える。

 

アスナ達はそれを見て安心したのか先に来ていたグループを軽く蹴散らした後、ボス部屋へ向かった。

 

「……さて、これ以上やるか?」

 

「く、くそ……」

 

俺は腰が抜けたパーティのリーダーにキャリバーを向けて少し低いトーンで喋った。

 

「これ以上やるって言うなら俺達ももっと本気でやらせてもらうけど、どうする?」

 

「わかった!もうしねぇ!だから許してくれ……」

 

こうして大型パーティは帰って行き、俺達もアスナ達を信じて先に帰った。

その後、ログアウトして春揮だけを近くのカフェに呼んだ。

 

「どうしたんだ、いきなり」

 

「素性は調べたくなかったんだが、絶剣、ユウキの居場所がわかった。とある病院、そこにある《メディキュボイド》という医療用VRを使ってる場所だって菊岡を通して聞いてな、俺たちはそこに行こうとは思はないが、何かあった時に行けるようにしようかな、ってな」

 

「メディキュボイド……か」

 

「話はこれだけなんだが……お前さ、2週間後の週末に行われる《MMOトーナメント》に参加しないか?良ければ、絶剣も呼んで」

 

「またお前と当たる可能性あるよな、それを考えると参加したくないけど……やるしかないか」

 

と、話をしているとアスナから電話が来た。

 

『どうしようキリト君……ユウキが……』

 

とりあえずカフェに来てもらい、話を聞いた。

 

話によると27層のボスを倒した後、すぐに1層の黒鉄宮へ向かい、自分たちの名前が刻まれていることを確認し、記念に写真を撮った直後、ユウキは涙を流しながらログアウトした。

 

「それは俺たちにもどうにも出来ないな……しばらく様子を見てみようよ、学校もあるわけだし」

 

「……うん、そうだよね」

 

────

それから1週間が経過した。

学校の屋上、春揮と葉月も珍しく俺と一緒に飯を食べているとアスナが不安そうな顔をしながら俺たちの元へやってきた。

 

「絶剣とは二度と合わない方がいい、そう言われたんだろ?」

 

「……うん」

 

俺は数日前、スリーピングナイツの《シウネー》さんのリアルから連絡をもらい、少しだけ話を聞いた。

とはいえアスナには伝えていない。

 

「それでも……それでもユウキに会いたい!」

 

「和人、あれ、渡してやれよ」

 

「春揮……あぁ、そうだな、アスナ、これを」

 

俺はアスナに少し雑な手書きの地図を渡した。

 

「……ここに、絶剣がいると思われる。詳しい話は向こうの医師に伝えてくれ、俺が話はつけてある」

 

「……うん、ありがとう、キリト君、春揮さん」

 

アスナはこの日のうちにメディキュボイドを使っている唯一の病院に向かった。

 

────

春揮目線

 

その次の日。

ユウキとアスナに頼まれてキリトは前にユイに使用した現実とVRをリンクしたカメラみたいなやつを使ってユウキを授業に参加させることに。

 

授業を終え、放課後、アスナとユウキはどこかへ行った。

 

そしてさらに翌日。

アスナがカメラを置いてどこかに行ったところでユウキが俺に話しかけてきた。

 

「ねぇラギ!今週末さ、ALOで行われる種族無制限のトーナメントに参加しない?そっちのチームのメンバーもみんな呼んでさ!」

 

「楽しそうだね、春揮、参加しないの?」

 

「「うわぁ!?」」

 

2人だけになってたと思えばいつの間にか後ろに葉月が立っていた。

……これでも付き合ってるって怖いよな、俺。

 

「そんなに驚かなくてもいいでしょ……それより、参加するの?」

 

「みんなの予定聞いてみてだよな、少し前に記事を読んだ時はかなりの人数でも参加可能って書いてあったし、和人に聞いてみてだな」

 

「やったァ!それじゃあ、今週末だけでも先生に許可もらうね!」

 

この後、里香と珪子、和人と明日奈に話をしたところ、普通に参加の考えで了承を得た。

その後、直葉から俺に直接連絡が来て直葉も参加。

風林火山のメンバー全員、エギル、スリーピングナイツ、そして各領主の参加も確認。

これでも大人数に感じるが、この人数だけでなく、さらに一般のプレイヤーも参加すると考えると大型なトーナメントになると言うことはわかる。

 

────

週末。

ALO内特設コロシアム会場

 

ラギ目線

 

『さぁ、始まりました!司会は私!ユイがお送りします!』

 

「「「「ユイ(ちゃん)!?」」」」

 

何故か一般参加のトーナメントのはずなのに司会はユイ。

 

そんなことも気にしてる暇もなく、俺が入ったAブロックの1回戦、いきなり俺の試合だ。

 

Aブロック1回戦

 

ラギVSリーファ

 

いきなりの試合はまさかのリーファとの試合だった。




凄く長い話だと思うけど俺が書くと短い話。

どんな高速魔法も対物ライフルの弾よりは遅いな
また、カッコつけたよ2話連続かよ

現実世界で色々やったあと。
舞台はトーナメント!

いきなりの試合はリーファ!

ちなみに開始前までは対戦相手どころかトーナメント表を見ることも出来ない、って設定です。


P.S.
トーナメント大会、本当は(小説内の)2月の後半になる前に入れようと考えてたのに忘れてこのタイミングになった、とか言えない


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第70話 神速のシルフ【トーナメントPart1】

1回戦、いきなりの試合はリーファ。

俺たち以外もまさかすぎて驚いているけど、1番驚いてるのはリーファだとわかった。

 

「まさかすぎるよ…いきなりラギさんとって」

 

「一般プレイヤーもいるのにな、まぁ、負けても恨みっこなしだ」

 

俺は最初から本気で行くわけには行かないので普通に片手に剣を構えた。

リーファも同じく片手剣を構え、試合開始の合図が流れた。

 

開始したと同時にリーファは詠唱を開始、そして魔法を俺に向けて放ってきた。

 

「くっ………」

 

「たあぁぁぁ!!」

 

リーファは俺が魔法を受けて怯んでいる隙を狙って《ヴォーパルストライク》を放ちダメージを与えてきた。

そこにさらにダメージを増やすために詠唱を唱え、俺に再び風属性の魔法を放ってきた。

 

「………ここだ!」

 

俺はタイミングを見てリーファの放った魔法に《スラント》を放った。

普通なら出来ない芸当だが、キリトに聞いた話だと銃弾を切ることが出来たからこそできる《魔法破壊(スペルブラスト)》というシステム外スキルらしい。

 

「魔法はダメってことなの!?……なら、素早さで勝負するだけ!」

 

リーファは目に見えないレベルの速さで移動を開始。

流石に捉えることが出来ず、そのままリーファのソードスキルが俺に当たるだけの一方的な試合になり始めた。

 

(………さすがシルフ領で『神速のシルフ』なんて呼ばれてるだけのことはある…だが)

 

俺は感覚を研ぎ澄まし、周りの音を遮断してたった一つの気配を探った。

 

「………そこかァ!!」

 

気配を感じた方向に素早く《ハウリング・オクターブ》を放つと、リーファに見事に直撃した。

 

「嘘…!?あの速さを見切ったってこと!?」

 

「隙あり……ッ!」

 

自分のスピードを捉えられてソードスキルを打たれた事に驚いて止まっているリーファに容赦なくソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》と《バーチカル・スクエア》を連続で喰らわしたところで時間が終了。

 

────

「ラギさんなんで私の居場所がわかったんですか!?」

 

「《超感覚》、キリトに教わったシステム外スキルだよ」

 

試合が終わり、観客席へ移動した俺らは、次の試合、1回戦第2試合の対戦相手を見ていた。

 

第2試合

シノンVSクライン

 

「あれ?シノンいつの間に参加してたんだ?」

 

「キリト君が呼び忘れのを私が確認して、シノのんを呼んだのよ、でもまさかあの二人がデュエルすることになるなんてね」

 

この試合、どちらかが勝てばどちらかが俺と試合することになる。

シノンは予測不能なところから射撃してくる可能性がある、クラインに関しては別にそこまで警戒する必要がある訳でもない。

 

とはいえどちらかがここで敗退、ということに。

 

────

シノン目線

 

「負けないわよ、クライン」

 

「おうっ!俺だってまだ戦ってもいない風林火山のメンバーのためにもここで勝ってやるぜ!」

 

(相手が近距離攻撃が得意だということはわかってる、でも油断はしない……!!)

 

試合開始の合図が流れた。




また魔法破壊かよ

ということでキリトに色々と教わりすぎた結果が今回の試合を作り出したのだ。

まさかコネクトなしで戦うとはね。

そして第2試合、まさかのクラインVSシノン!

一般プレイヤーはどこで出るんや


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第71話 氷の狙撃手【トーナメントPart2】

試合開始の合図が流れたと同時にクラインは火属性を付与したソードスキルを放った。

 

「危ない………」

 

「うおっ!?避けられたァ!?」

 

クラインは完全に当てる気で使ったらしくものすごい動揺を見せる、その隙を逃さずに弓を連射した。

 

(……いくらなんでも対人戦を弓でやるのは辛いわね、銃に慣れすぎたかしら)

 

クライン、いや、対人戦を弓では未だにまともな試合をしていない。

もちろんモンスターにはたくさん打ってるけど対人戦となると相手は私の弓を見切って避ける、その辺を考えるだけでも弓がどれだけ不利なのかが分かる。

 

つい3ヶ月前までは《GGO(ガンゲイル・オンライン)》で《狙撃手(スナイパー)》をやっていたせいで銃の癖も出てしまう。

向こうのゲームで出会った長髪の光剣使いのあいつ……キリトと出会ってなければ今私はここにいなかったかもしれない。

もちろんあいつに弓で、銃ですら勝てる気がしない、いや、勝てない。

あいつは『予測線を予測する』という謎の芸当を見せて銃を避けるし、光剣で銃弾は切るし、弓に関してもさっきラギが使った《魔法破壊(スペルブラスト)》と同じように簡単に切られてしまう。

 

(あんなやつに比べればクラインは優しいほうか……)

 

「うおっ!?危ねっ!?」

 

「空を飛ぶのがありならこっちのもんよ、クライン、あなたも本気で来なさいよ……っ!」

 

「望むところだぜ……女性に手を出すのは武士道を反するがそれは相手の時はべ──グヘッ!?

 

「あんたねぇ……その言い方だと私は女として見られてないみたいじゃない…!!」

 

クラインの足元に大量の火矢を放つ、もちろん相手はサラマンダー、火属性はむしろ回復するぐらいの耐性持ち、とはいえ《弓》としてのダメージを与えることが出来れば……

 

「毒…!?」

 

「ユイちゃん、特殊ダメージはありよね?」

 

『それを打ってから言われるとなんとも言えないですが、今回はありですよ!あ、でも火傷は私が痛いので無しです』

 

ユイちゃんの判定ではとりあえず毒はいい、だけど火傷は無し、と言っても火矢を打ったりサラマンダーの火属性攻撃で火傷する可能性もある──ま、そんなこと気にしなくていいわね

 

「毒回復したぁー!ヨッシャア!くらえぇ!!」

 

「…ふっ」

 

「あふん」

 

狙った訳では無いヘッドショットを決めてクラインが地面に倒れたところで試合終了の合図。

 

勝ったのは嬉しい、と言っても次はラギ、どんな技を使ってくるのかも未知数な相手………

 

────

ラギ目線

 

1回戦第2試合はほぼ一方的にしか見えない試合でシノンの勝利。

 

そしてその後、第3試合はフカ次郎と一般プレイヤーの試合。

……は、もちろん一般プレイ……いや、フカ次郎の勝利。

 

そして第4試合

 

ハヅキVSユージーン

 

「…………!」

 

「ほう……あの時のケットシーか」

 

ハヅキの対戦相手は《サラマンダー領》領主のユージーン。

 

(あいつ槍持ってないぞ……?)

 

ハヅキは槍を持たずにユージーンの方に向いた。

と、同時に俺のストレージに何かが入った。

 

そして、試合開始の合図が流れる───




たくさん試合する気がするから今回は描写ほぼ無し!

はい、ごめん


ほぼ一方的にしか見えない試合が終わり、シノンが勝利。

そして次は何故か参加しているフカ次郎の勝利。

そしてそして次はハヅキとユージーンの試合!

持ち前の槍を持たずに試合に挑むハヅキは一体何を考えている……?


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第72話 紅き蒼月【トーナメントPart3】

ハヅキ目線

 

多分ラギには気づかれてる、私が槍を持ってないことを。

なら、どうやって戦うか、それは簡単な話………

 

「ケットシーだとしても容赦はしないぞ!」

 

「………そこだ!」

 

ユージーンが思いっきり《魔剣:グラム》を振りかざした隙に背中に回り込んでアスナに負けない速度で攻撃を《短剣》で入れる。

 

「ぬおあぁぁぁ!?」

 

「まだ……っ!」

 

短剣のソードスキルなんてまったく取得してない、もちろん短剣を使ったの自体今回が初。

それでいて相手がかなりの実力者だとすると短剣が不利なのは分かってる、でも……

 

「隙ありぃ!!」

 

「私だって………強くならなきゃいけない……ッ!」

 

ラギが言うからにはシステム外スキルの《蒼月》を発動させ相手にはわからない速度で攻撃をし続ける。

 

「……ここで…っ!」

 

私は武器を《細剣:月下葉の剣》に持ち替えてソードスキル《スタースプラッシュ》を放った。

 

「そんな技ごときで倒せると思っ───

 

「まだまだ…………ッ!」

 

細剣の連撃でユージーンの動きを封じたところで試合終了の合図が鳴って試合は終わった。

 

(まだ……まだ弱い……)

 

SAOの時も、ALOの時も、新生ALOになって空さんにハメられて邪神と戦った時も、ずっと私はラギに助けられてる、どんな時だってラギに頼って、自分は何も出来ない、強くなんかない……

もっと強くならないとずっと守ってもらうだけになる……私はそれが嫌だ……嫌だから強くなりたい……でも───

 

「ハヅキ?どうしたんだ?」

 

「………ううん、なんでもない」

 

ラギは私の先を行く存在、私はラギに追いつくことも出来ない……

 

────

ラギ目線

 

(……バレバレだよ、ハヅキ)

 

試合開始直後からハヅキの表情が何かを考えてる表情になったのがわかった、もちろん何を考えているのかも大体わかる。

あいつがいつの間にか短剣を手に入れた理由はまったく分からないが、多分………

 

「ルナ、お前、どこかで見てるんだろ、ハヅキに短剣を渡たのもお前だろ……」

 

俺は空を見上げながらそう呟いた。

 

────

Aブロックの1回戦が終わったところで少しの時間の休憩を挟むことに。

 

「ラギ………?」

 

「さっきの試合、俺が言うもんじゃないけどお前らしくない試合だったと思う、なんというか雑というか……()()()()()()()()()()()()()()()()()ような試合だった、お前がどんな気持ちなのかはわかってる、でも、お前は弱くなんかない、前にも言ったかもしれないけど、お前は俺に頼ってなんかいない、俺を守ることなんて気にしなくていいんだよ、自分の身を守るだけでいいんだよ、俺との試合の時は絶対に本気で来い」

 

「………ラギは強いよ…ほんとに……」

 

ハヅキは泣きそうになりながらも尻尾をぴょこぴょこさせた。

 

「次の試合が始まる、ほら、行くぞ」

 

(お前は強い、その強さを自分の弱さで隠すな……葉月)

 

────

Bブロック

1回戦第1試合

リズVSシリカ

 

またまた俺たちのチームの方の2人が対戦するはめに、試合結果はリズの勝利。

 

「よっしゃあ!シリカに勝ったァ!」

 

「リズさん酷いですよ……」

 

「とりあえずお疲れ様、二人とも」

 

「キリトに言われるとはねぇ……」

 

と、話しているうちに次の試合、第2試合が発表された。

 

「な……ッ!?」

 

Bブロック

1回戦第2試合

 

キリトVSレイン

 

「レイン……?」

 

レインさんがいつの間にか参加していることにさえ気が付かなかったけど、まさか対戦相手がキリトになるとは……

 

「ラギ、あれがセブンの?」

 

「あぁ、あの《レプラコーン》がALOの歌姫とも呼ばれているセブンの姉……レインさんだ」

 

コロシアムの中央に2本の剣を持った赤髪のレプラコーンが立っている。

 

そこにキリトが走って近づき、キリトが何かをレインさんと話したところで剣を抜き、戦闘を開始。

 

────

キリト目線

 

「はじめまして、かな?私はレイン、よろしくねキリト……くん?」

 

「あぁ、宜しくな、レイン」

 

(あいつもスキルコネクトを使えるのか……?いや、様子を見てみるか)




はーい!雑!

ハヅキの心境が見え隠れしつつもまさかの短剣での試合!

ユージーンはなんのために来たんだろうね


お説教のあとのBブロック1回戦、シリカとリズの試合はリズの勝利で終わり。

そして第2試合、キリトの対戦相手はまさかのレイン!?





P.S.

こんな試合の描写が続くかもです、それはサーセン


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第73話 黒剣VS歌姫【トーナメントPart4】

お互いが剣を2本持つという多分準決勝かそこら辺でラギと対戦するまでないと思ってたことが目の前で起こるとは思わなかった。

 

「ユイ、制限時間は切ってくれ」

 

『はい、分かりましたパパ!』

 

「パパ……?あれってナビゲーションピクシーじゃないの?」

 

「あぁ、色々あってな、後で教えるよ、それより始めようぜ」

 

ユイが制限時間を消して試合開始の合図を流した。

 

「はあァァ!」

 

俺は《ヴォーパルストライク》で接近を試みる、が、当たり前と言ってもいいほどに避けられた。

 

「キリト君は片手で攻撃するんだね」

 

「…………?」

 

(片手で……?)

 

「次は私の番だよ〜!」

 

俺はギリギリで避けたが、今レインが使ったのは《ダブルサーキュラー》だ、だが二刀流スキルは存在しないはず………

 

「えっへへ〜、強いでしょ私、でもね、ラギ君も()()()()だよ」

 

「ラギも………?」

 

レインの言ってる意味を俺なりに考えれば二刀流スキルを使える……?いや、そんなはずないよな…?

 

「なんて話してるうちに攻撃して見たり、なんてねっ!」

 

「くっ………」

 

レインはまたまた二刀流スキルを使った、今のは《エンドリボルバー》、何とか防げたものの使ってた側だからこそわかるがあれを受ければかなりのダメージを一気に喰らってしまう………

 

「キリトくんも本気出してよ、私だって()()本気じゃないし、ね?」

 

「これ以上の本気があるのか……わかった、俺も本気でやらせてもらう……!」

 

俺は出来るだけ接近するために《ヴォーパルストライク》を放ち、近づいたところで《ホリゾンタル・スクエア》をレインに当てた。

 

「ここで………っ!」

 

隙を逃さずに右手に力を伝えて《ハウリング・オクターブ》を使い、さらにダメージを与えた。

 

「そう来なくっちゃね……それっ…!!」

 

(あれは……《ナイトメアレイン》……!?)

 

8連撃というかなりの大技を放ったあとのせいで硬直も大きい、その隙を見事に狙われた、次にレインが使ったのはSAOでラギが使った二刀流スキル未実装のはずのこの世界では《オリジナル》に当たるソードスキル《ナイトメアレイン》、まさかレインが使ってくるとは…

 

「これでほぼ互角だね、キリト君、ちなみに今のスキル、ラギ君に私のソードスキルを教える代わりに教えて貰ったんだ、強いでしょ?」

 

「……あぁ、ALO内では最強レベルだな」

 

「えへへ、ありがとキリト君、あっ、でもなんか観客席の方からすごい威圧を感じるんだけど……」

 

観客席の方を見ると試合を終えて観客になった女子陣がものすごく冷たい目をしてきた。

 

「………まじか」

 

「キリト君モテモテだね〜……ま、それはそうとして早く続きをやろっか」

 

「………だな」

 

女子陣の冷たい目を浴びながらも俺たちは試合を続けた。




はい!さすがにこの2人は1話で終わらせたくなかったので次回に続くよ!


レインさんの二刀流以外は認められないよね(知ってる人しかわからない話)

ちなみに今更ながら
ナイトメアレインは一応オリジナルソードスキルという扱いです、俺の知る限りあれが実装されてるのSAOHRだけだから、ね

次回、キリトVSレインの試合に決着がつく……!


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第74話 黒妖精【トーナメントPart5】

続けるとはいえ相手は二刀流、普通に戦っていても体力の消費はこっちの方が多い……

だからといってこっちは二刀流スキルを使うことは出来ない……

 

「あれ?どうしたのキリト君?」

 

「……いや、続けようぜ」

 

(迷っていても勝てるわけじゃない、隙を見つけて攻撃するだけだ……っ!)

 

レインが放ってきた《エンドリボルバー》を当たる寸前で避けながら《ハウリングオクターブ》、《バーチカルスクエア》、《ホリゾンタルスクエア》を一気に放った。

 

「危ない、全部もろに受けたらやられてたね」

 

「さすが、しぶといな……」

 

「それじゃあ、そろそろ本気を見せちゃうよー!」

 

そう言うとレインは一気に近づいてきて2連撃を俺に当ててきた。

2連撃だけか、と、思いきやレインの背後から無数の剣が俺めがけて飛んできた。

何とかして防ごうとしたが、剣が飛んできているあいだにもレインが普通に攻撃をしてくるせいで防ぐことは出来ず、そのまま俺はレインの攻撃全てを受けてしまった。

 

「これが私のオリジナルソードスキル、《サウザンド・レイン》!ちなみにラギ君も似たようなスキルを持ってるよ」

 

「あぁ、使ってたな、似たようなスキル……今のは結構効いたぜ」

 

「今のを全部受けたのに倒れないとは……流石だね、キリト君」

 

ステータス自体が高いからなんとかなったとはいえ普通のプレイヤーがこれを受けたらかなりのダメージになるはずだ……むしろ倒れるかもしれない。

ラギも同じようなスキルを絶剣とのデュエルの時やスリーピングナイツを援護する時に使っていた。

 

(今回は一筋縄では行かないか……)

 

「これならどうだっ!」

 

「うわっと!?」

 

ヴォーパルストライクで近づこうとするがやはり避けられてしまう。

俺の片手剣ソードスキルで出来るスキルコネクトの種類が少ないという弱点もあるが相手は二刀流スキル持ち、こっちの動きはほぼ同じ動きしかしてない。

ソードスキルを変える手段も多分無意味なはず……

だからといって諦めたら試合終了、ってどこかで聞いた気がするし、今まで不利な相手でも勝ってきた……

 

なら、ここでも同じように勝ってやる……!!

 

「はあァァァ!!」

 

俺はヴォーパルストライクでレインに接近した。

 

「何度やったって無駄だよ?」

 

レインは俺を避けて後ろに回り込んでソードスキルを放とうとする、モーションを見る限り、さっきのオリジナルソードスキルだ。

このままだと普通に受けて完全に敗北する、だからこそだ……

 

(あの剣は見切れない訳じゃない……つまりは…)

 

「え……!?」

 

俺はレインが放った無数の剣を出来る限りの速度で弾き、ダメージを無くし、放ったあとの硬直で動けなくなっているレインに2種類のスクエアとハウリングオクターブの3つのソードスキルをスキルコネクトで放った。

 

「まさか、あれをはじかれるとは思わなかったな……次でトドメかな?」

 

「お互い、体力は赤だもんな」

 

俺もレインも残っている体力はあと一撃で倒れる体力しか残っていない。

つまり、この次のソードスキルで決着がつく……!!

 

 

「「はあァァァ!!」」

 

この一撃で地面に倒れたのはレインだった。

あと1ミリぐらいの所でギリギリ体力が残り、俺はレインに勝った。

 

「……さすが、キリト君強いね…負けちゃったかぁ……でも、楽しかったよ」

 

「あぁ、俺も楽しかったよ、ありがとな、レイン」

 

試合終了の合図とともに握手をして俺たちの試合は終わった。

 

「そう言えばレイン、なんで二刀流を使ってたんだ?」

 

「どうしてと言われても……企業秘密…かな?ちなみに私は『二刀流』じゃなくて『多刀流』だよ」

 

企業秘密ということで簡単に流されてしまったが、レインが一体何者なのかはほとんど分からなかった。

なんて考えてる暇はなさそうだ、観客席の方からものすごい威圧感を感じる、全部女子陣からだ。

 

このあと、俺は女子陣(特にアスナ)に色々言われた。

 

「そう言えば聞いたか?スリーピングナイツのメンバーは赤髪のやつとユウキだけらしいぞ」

 

「ん?そうなのか……って、第3試合は風林火山のメンバーとその赤髪のやつか」

 

「……二人とも名前覚えてあげなよ」

 

俺とラギは2人でトーナメント表と参加者の情報を確認しながらも、第3試合の結果を見ていた。

勝者は風林火山メンバー……ではなくスリーピングナイツの赤髪のやつ(名前なんだっけ…)

 

だが、そいつは勝利を飾ったと思えば棄権して第3試合はほとんどなかったようなものに。

 

そして第4試合。

誰が戦うのかと思っているとケットシー領領主のアリシャ、シルフ領主サクヤの試合。

は、決着を付けないまま二人とも棄権して試合終了。

Bブロックは残り決勝だけとなった。

 

そして次、Cブロック。

 

第1試合

 

アスナVSフィリア

 

(フィリア……?一般プレイヤーか…?)

 

そのプレイヤーはコロシアムの中央に立っていた。

見た目は黒髪のショート、武器は何を使うかわからないが、見る限りかなり強そうだ。

 

「よろしくね、お姉さん」




試合バッサリカットスタイル始動。

レインとの試合は俺の描写不足でかなり微妙な表現に。
レインが勝つと思いきやさすが原作の主人公、チートや

第3試合と第4試合はほぼ不戦。
Bブロックは残すところ決勝だけ!

そしてCブロック。

これまたゲームキャラ登場(未プレイ)
アスナの相手はフィリア!

実力が全くわからない相手にアスナはどう戦うのか!?

あ、次回もまたまた描写雑だから気をつけてね(今更



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第75話 トレジャーハンター【トーナメントPart6】

アスナ目線

 

(知らない人だけど……手加減するわけには行かないわね…!)

 

「お姉さん、そんなに固くならないでよ、私はフィリア、ALOでトレジャーハンターをやってる、よろしくね!」

 

「う、うん……私はアスナ、よろしくね、フィリアちゃん」

 

挨拶を交わしたところで試合開始の合図が鳴った。

フィリアちゃんはいきなり近づいてきて右手に持っている短剣をそこそこの速度で振ってきた。

それをギリギリで弾いて連続て突きを放つ……けど、フィリアちゃんはその突き全てを短剣で防いで隙の出来た私めがけてソードスキル抜きの連続攻撃を当ててきた。

 

一般プレイヤーと甘く見ていたけどこの人はかなりの実力者だとわかった。

 

「お姉さん…アスナ、私は手加減無しで行くよ?」

 

「えぇ、わかってる、私だって手加減しないわ!」

 

私はフィリアちゃんに近づいて《スタースプラッシュ》を撃った。

最初の方は当たっていたものの、ソードスキルの終わりの方からは短剣で防がれてしまった。

 

「ふぅ……アスナの細剣スキル早いね!あと少し遅れたらまともに受けちゃうところだったよ」

 

(まさか短剣で防がれるとは……でも、負けない…!!)

 

「はあぁぁ!!」

 

「うわぁ!?」

 

ソードスキル、《シューティングスター》をフィリアちゃんに当てた所で試合終了の合図が鳴って、決着がついた。

 

「あれ?もう終わっちゃったのかー、ま、面白かったしいいや!ありがとね!アスナ!」

 

「こちらこそありがとう、フィリアちゃん」

 

仲良くなったところで席に戻った。

 

────

ラギ目線

 

Cブロック第1試合はアスナの勝利で終わった。

 

そして第2試合は風林火山の1人と一般プレイヤーの試合、は風林火山側が勝ち次のアスナとの試合が決定。

第3試合はエギルと一般プレイヤー。

初心者キラーと噂が流れつつもエギルの圧勝。

そして第4試合、これまた風林火山の1人と一般プレイヤーの試合、はまたまた風林火山のメンバーの勝ち。

 

そして次の試合、Dブロックのトーナメントが決定。

 

第1試合

ユウキVS無名選手

 

そして第2試合から先は一般プレイヤー達の試合となった。

 

────

第1試合、ユウキと勝負するのはフードを深くかぶりながらもケットシーならではの尻尾をぴょこぴょこと出してるプレイヤー。

見る限りはどこかで見覚えのある姿な気はするけど………

 

「ラギ君、久しぶり」

 

あのプレイヤーのことを考えていると、観客席の後ろの方から俺を呼ぶ声が。

 

「あ、レインさん、それと……フィリア…さん?」

 

「私もフィリアも呼び捨てでいいよ?」

 

「いや、一応師匠……」

 

「いいよ、師匠()()()だけだから、今からは呼び捨てで!ついでに敬語もなし!」

 

「わかった、で、2人はどんな関係?」

 

「私とフィリアは友達なの、まぁ、現実ではあったことないからVR内だけなんだけどね」

 

「そういうこと、よろしくね、ラギ」

 

と、言うことで俺はフィリアと仲良くなった。

ハヅキが少し遠くから俺の方を冷たい目で見てきているような気がするけど。

 

「おーい!そこで女子とイチャイチャしてるふたりー!もう試合始まってるわよ!」

 

リズが言ったように、既に試合は始まっていた。




まだこんな感じの試合運びが続きます。


某青い鳥で宣伝した効果強いな、お気に入りとUA少し増えた。ありがと。

アスナ目線、多分残すところ1回。
どれだけ出番がないかわかるキャラだね。

まだ実は全ブロック1回戦だったりする。長いね。


Cブロックバッサリカットして最終ブロックのDブロック、1試合目はユウキと謎のプレイヤーの試合。


────
P.S.
SAOロストソング
SAOホロウフラグメント

このふたつは未プレイ


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第76話 猫妖精の鉤爪【トーナメントPart7】

ラギ目線

 

試合開始直後から見始めたが、かなり白熱する試合が始まっていた。

 

ユウキはデュエルの時と同じくあの剣を使って、飛行可能という条件をまんべんなく使っている。

それに対して相手、フードを深く被ったケットシーは実装されてあまり時間が経っていない特殊武器種の《(クロウ)》を使っている。

 

────

爪(クロウ)

 

2025年12/24日のALOアップデート(アインクラッド20層から30層解放)と共に追加された超近距離攻撃武器。

 

────

「ニャハハ!おねーサン強いナ!」

 

「そういう猫妖精さんも強いね!」

 

と、遠くからだけど少しだけ聞こえた二人の会話。

を聞く限りやっぱりあの猫妖精、どこかで会ったような気がする、思い出せないけど……

 

(クロウ)は近接ながらも当てれば必ずかなりのダメージになる優れもの、そう設定したのはあのクソ上司。

 

近距離攻撃しか出来ないのが弱点で、近くに迫って攻撃を防がれてしまえばほぼ勝ち目はゼロ、多分短剣よりも使いにくい武器種になる。

だがあのフード猫妖精はその使いにくさを知っている様子でものすごい軽い動きでユウキを翻弄している。

 

「「あいつ、かなりの実力者に見えるな……」」

 

「キリト君、また戦いたい人見つけたとか言うつもりでしょ」

 

「ラギも戦いたいって思ってる?」

 

俺とキリトが同時にそう呟くと、お互い隣にいたアスナとハヅキに微妙な顔をされた。

 

「でも、あのユウキとほぼ互角で戦ってるってことは()()()()似てるな」

 

キリトの言う『似てる』がどういう意味なのかはハヅキとアスナには分からなかったみたいだが、そうだとしてあんなやつどこにいたんだ……?

 

「マザーズ・ロザリオ!!」

 

「ギニャハァァー!!?」

 

ユウキのオリジナルソードスキルを受けて謎の声を発したところで試合終了の合図が鳴った。

 

決着は一瞬だったといえ、あのフード猫はユウキと互角の試合をしていた。

その証拠として、ユウキの体力はイエローの半分ほどまで減っていた。

 

と、試合感染を楽しんでいると、俺にメッセージが飛んできた。

 

『コロシアムの入口で待つ』

 

1目見れば確実に脅迫状か果たし状か何かにしか見えないが、差出人が不明の当たり、俺のフレンドではないのは確かだ。

 

────

コロシアム入口

 

「……そこでマテ」

 

「そこかぁ!」

 

「おー、危ナイ」

 

入口の柱から現れたあの猫妖精の攻撃を受け止めてはじき飛ばし、2本の剣を構えた。

が、後ろに飛ばされた反動で猫妖精の被っていたフードが脱げ、とある人物が姿を現した。

 

「久しぶりダナ、ルー坊」

 

「……アルゴ…!?」

 

「ニャハハ、そう、アルゴだ」

 

────

アルゴ

 

SAO初期、俺が一緒にパーティを組んで攻略に参加していた《情報屋》。

SAO当時の武器は曲刀と短剣。

俺、ハヅキ、アスナ、キリト、エギル以外で『ルナ』の存在を知るプレイヤーでもある。

 

────

あの時の見た目とあまり変わらないものの、猫耳が生えて尻尾が付いてるだけでここまで変わるとは……

 

「というかALOにログインしてたんだな?」

 

「いや、ここにログインし始めたのは最近だゾ?本当はもっと前からログインしたかったんだがナ、こっちは財布が軽くてなかなか買えなくて、ログイン出来たのは年が明けてからダ」

 

「それにしては(クロウ)の扱い上手かったな」

 

「ケットシーだからこそだロ、爪がある種族だから使いやすかったんじゃナイか?」

 

と、話しているうちに4ブロックが終わったあとの休憩の時間も終わり、会場が騒がしくなり始めた。

 

「それじゃ、俺はそろそろ戻るけど、お前はどうするんだ?」

 

「オレっちはこのまま帰るゾ、情報を集めタイ」

 

「わかった、それじゃ、また会えたらな」

 

こうして俺はアルゴを見送って、そのままコロシアムの試合エリアに足を踏み入れた。

 

次の試合、Aブロック第2回戦(準決勝)第1試合。

対戦相手はシノン。

 

「今までどこいってたのよ?」

 

「さぁな、それより、始めようぜ……!!」

 

俺はストレージに入っていた、《あの武器》を取り出した。




アルゴキタ━(゜∀゜)━!

ということで第23話……(かな?)
から50ちょいをかけて登場。

使っている武器は爪(クロウ)。

注意:アルゴがALOにログインするのはゲームだけ(だと思う)

ちなみに爪を使うのはアクセルソード


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第77話 紅き悪魔【トーナメントPart8】

俺が取り出した武器、それはハヅキの使っている《霊槍・カムイ》。

 

なんの目的でハヅキが俺のストレージにこれを送ってきたのかはわからないが、使うなら今、このタイミングしかない……

 

「勝負だ!シノン!」

 

「えぇ……!」

 

俺は槍を構え、シノンに向けた。

槍を持ったとはいえ、俺は槍のソードスキルを全く取得していない。

 

(だが槍は片手剣よりも弓に有利だ……あとはどうやって向こうの体力を減らすか……)

 

───お前は私だ

 

(………!?)

 

一瞬聞こえた謎の声に驚いた隙を狙われ、一気に弓を撃ち込まれ、体力が大幅に減った。

 

「いつもより動きが鈍いんじゃないかしら?」

 

「槍に慣れてなくてな……」

 

1度、体制を立て直しシノンの放った弓を槍の回転ではじき飛ばし、こっちから攻撃を仕掛けようとしたその瞬間──

 

──なぜ抗う

 

(またこの声か……)

 

その声は耳にではなく、頭に、もっと簡単に言えばアミュスフィアに直接声を掛けてくる。

 

──我の力をお前に─

 

その声が聞こえたと同時に、俺の意識は暗転した。

 

────

ハヅキ目線

 

槍を持ったのが初めてだとしてもラギの動きがおかしい、そう思っていたらラギの動きが少しの間止まった。

 

「おいハヅキ、ラギの様子がおかしくないか?」

 

キリトも言ってるように立ち止まったラギの様子がさっきまでとは違う。

その違いはすぐにわかった。

 

顔を上げたラギの目の色は紫色になり、怪しい光を放ってシノンの方を見ていた。

 

「ラギ……?」

 

ラギが顔を上げて紫色の目を見せた瞬間、私の槍を構えた、そしてその瞬間──

 

ラギは目に見えない早さで槍を投げ、シノンはそれを良けれずに一撃で体力が無くなって試合が終了した。

 

試合が終了した直後、ラギはその場に倒れ、一応結果はラギの勝利に。

ラギは体力が回復したシノンに観客席まで運ばれ、目が覚めるまでは休ませておくことに。

 

「シノン、大丈夫か?」

 

「いきなり槍を投げられたのは驚きよ、でも、一瞬止まったあとのラギは様子がおかしかった。まるでなにかに取り憑かれたみたいだったわ」

 

「取り憑かれた……か、それより、次はハヅキだけど……」

 

「………うん、行ってくる」

 

ラギとシノンの試合が終わり、次の試合が始まろうとしていた。

次の試合はいつの日かのシルフのフカ次郎と私の試合。

 

ラギがいつ起きるかわからないけどここで負ければラギと試合は出来ない。

ここで負けるわけには行かない…!!

 

「さっきのは凄かったねぇ…?やぁ、お久しぶり、猫妖精さん」

 

「………うるさい」

 

「おぉ、怖いねぇ……でも、今回は負けないよ」

 

こうして、フカ次郎との試合が始まった。




やべぇよ深夜テンション。
ここまで試合が雑になるとは……

ラギの体に異変が起こり、シノンはまさかの一撃で終わった。


ラギの体に一体何が起こったのか…!?


そして次回はハヅキとフカ次郎の試合!


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第78話 大剣使いの妖精【トーナメントPart9】

試合開始の合図が鳴ったと同時にフカ次郎の大剣からソードスキルが放たれた。

なんの問題もなく避けたけど、ソードスキルは地面にぶつかり、その威力で砂埃を起こした。

 

「にゃ……目が……」

 

砂埃程度なら大丈夫だと思っていたけど、ケットシー(猫)のちょっとした弱点が目に砂が入ることなんて全く考えてなかった。

 

「隙ありぃ!」

 

「くっ………」

 

目に入った砂を取っている隙に大剣ソードスキルを当てられてしまった。

 

「うぅ………」

 

「もしかして砂が目に入った?そりゃ傑作だねえ!」

 

(こうなったら………何も見ずに勝ってやる……!!)

 

砂を取っている間に時間が終わる可能性もある、ダメージを受け続けてしまう可能性だってある……なら、感覚だけで攻撃するだけ……!!

 

「はあぁぁ!!」

 

「強行手段と来たか……でも、大剣使いの妖精さんを舐めてもらっちゃ困るぜぇ!」

 

「がっ……!?」

 

とりあえず短剣を振って攻撃を当てようとしたけど、当たらず、そのまま隙を取られて大剣で吹き飛ばされ、地面に倒れ込んでしまった。

 

(このままだと負ける………ラギと戦う前に……弱いまま……誰にも勝てない……?)

 

『起き上がれなくなってしまった……ようですけど……』

 

(違う………私は………負け……ない……)

 

「まだ……負けるわけには行かない……!!」

 

「うわっと!?」

 

体力ギリギリの状態で何とか力を振り絞って立ち上がり、少しだけ回復した視覚でフカ次郎の方を向き、短剣を構えた。

 

システム外スキル:蒼月

 

「おぉ…タフだねぇ……」

 

「………遅い!」

 

────

キリト目線

 

フカ次郎とかいうプレイヤーの攻撃で吹き飛ばされ、倒れ込んだハヅキは立ち上がり、短剣を構えた。

様子は変わらないものの、ハヅキの目の蒼色はさらに蒼さを増し、素早く動く度に目から閃光が走っている。

 

「心配なんだろうな……ラギのことが……」

 

────

ハヅキ目線

 

「速すぎじゃないか!?」

 

「………負けない!!」

 

フカ次郎の攻撃を素早く避けて短剣の連撃を叩き込んでダメージを稼いだ。

もし、次に私が一撃でも喰らったら負けてしまう、それだけギリギリの体力しか残っていない。

だからこそこの謎のスキルでスピードをあげて攻撃を避ける……

 

「そこだァ!」

 

(………いま…っ!)

 

システム外スキル:超感覚

 

「当てたはずじゃ……ウハァ!?」

 

一瞬、フカ次郎の気配を感じとり、大剣の攻撃を避けた。

そして避けたと同時にフカ次郎の後ろに回り込んで短剣の攻撃を連続で入れたところで試合終了の合図が鳴った。

 

結果は……ギリギリで私の勝ち。

 

「よかっ………た…」

 

さすがに疲れてその場に倒れ込んだ私は数分後、入れ替えでやってきたキリトに起こされて観客席で休憩することに。

 

その後に付いてくるようにフカ次郎も観客席に戻ってきたところで次の試合の相手が表示された。

 

Bブロック決勝戦

 

キリトVSリズベット

 

結果は見えていたけどキリトの圧勝。

その後、先にCブロック、Dブロック準決勝と決勝の試合も終わり、キリトとアスナとユウキが全体ブロックの準決勝に進出した。

 

「ここは………?」

 

残すAブロックの決勝を行うためにラギが起きるのを待っていたタイミングでラギが目を覚ました。

 

「ラギ……起きた?」

 

「あぁ…心配かけてごめんな……そうだ、槍は返すよ」

 

「次、私たちの試合、Aブロックの決勝だよ」

 

「……ここで勝った方が全体ブロックの準決勝…か、まだ微妙に回復しきってないけど、やるか、ハヅキ!」

 

「………うん!」




お、おう……

一瞬猫が見えた気がするハヅキの試合。

ラギに対する気持ちがハヅキの限界を突破し見事勝利。

そして書くつもりだった(ここ重要)キリトとリズの試合を見事にカットして安定(?)のCブロックとDブロックバッサリカット!

目覚めたラギとの試合(Aブロック決勝)

どうなるのか……!?


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第79話 紅VS蒼【トーナメントPart10】

ハヅキ目線

 

お互いが場所に立ち、試合開始の合図とともにラギがヴォーパルストライクで接近してきた。

 

「させない……っ!」

 

「それはどうかな…っ!」

 

ラギは接近と同時に左手の剣を《投剣》で投げてきた。

 

「さっきの試合は何が起こったかわからない、だが俺はお前との試合だけは本気でやらせてもらうぞ……」

 

「それはこっちだって同じだよ!」

 

ラギが投げた剣を取らせないようにしようと思ったけど、さすがにラギもそれはさせてくれず、そのまま剣を拾って再び2本の剣を構えた。

 

「「はあぁぁ!」」

 

私とラギのソードスキルがぶつかり合って衝撃波を生み出し、互角の勝負をし始めたところでラギの動きが止まった。

 

「やめ……ろ!今……は──

 

「ラギ……?」

 

「ハヅキ!今すぐ下がれ!目の色が変わってる!」

 

観客席から試合を見ていたキリトが真っ先にラギの変化に気がついて私に注意してくれた。

ラギの目の色は紫色に変化して、剣からは変なオーラみたいなものが出ていた。

 

「『この体は最高だ……だが、まだ抗うのか、この者は』」

 

「…ラギ!」

 

「『小娘、残念だがこいつは我のものだ、ラギという存在はもういない、この体、お前に使ってやろう!』」

 

「ラギ………絶対に助ける…!!」

 

「『さぁ、楽しもうではないか……この体を!』」

 

(許せない……なんでラギに取り憑いたのかはわからないけど……絶対に助ける!!負けない……)

 

────

キリト目線

 

(あれはやばいかもな……)

 

ラギから出てるオーラみたいなものがなんなのかは分からないけど、見るからにヤバそうな感じがする……

 

「キリト君、もしかしてハヅキあの子が危ないって思ってる?」

 

「レイン……そりゃ、危ないって思うだろ?」

 

「でも、今私たちは手を出せない、でしょ?なら、あの子を信じてみるしかないよ」

 

俺たちはただ、取り憑かれたラギとそれを相手するハヅキを見ることしか出来ない。

 

────

ハヅキ目線

 

(まずい………)

 

「……ユイ!」

 

『は、はい!?』

 

「……制限時間も飛行も全てなくして」

 

『そ、それではハヅキさんが危な──』

 

「……いいから!」

 

『は、はい……ルールを変更します』

 

制限時間でラギとの試合が終わったとしても、今のラギの状態は戻らない、ラギを助けることが出来ない……

 

(もう、助けられるだけなのは……守れないのは嫌だ……!!)

 

「ラギーー!!」

 

(絶対………助け──

 

「……負けねぇ、負けられねぇよな」

 

「……!?」

 

取り憑かれている時の暗い声とは違う、いつもの聞きなれた優しい声が私の目の前で聞こえた。

 

「何泣いてんだよ、俺は負けねぇよ、ハヅキ」

 

「………ラギ…!!」

 

「さて、俺たちの試合の続き、しようぜ」

 

顔を上げてラギの方を見ると、ラギの目は紅(あか)色に光っていた。

 

「今度こそ、本気でやろうぜ」

 

「……うん!」

 

こうして、試合の続きを開始した。




深夜明けテンション。

謎の力が発動した……と思えば早くも復活!

紅き目の剣士が誕生……

次回、ラギとハヅキの試合に決着がつく……!


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第80話 紅の妖精VS蒼の妖精【トーナメントPart11】

ラギ目線

 

ハヅキとソードスキルをぶつけ合った瞬間にあの声が聞こえて再び意識を失って、俺は気を失いかけた。

だが、その声とは別に()()()()()と、ハヅキの声が聞こえて我を取り戻した。

 

「はあぁぁァ!」

 

「最初から本気ってことか……」

 

ハヅキは再開と同時に蒼月を使い、俺に接近を測ってきた。

 

「ラギには本気でやらないと……ね」

 

「そりゃ、俺も本気で行かないとダメだな…!」

 

「………!?」

 

本当はキリトとの試合までは使いたくなかったが…ハヅキが本気で行くって言うなら少しだけでもやらせてもらう……!!

制作内で()()()()使えるようにした特殊スキル、《時限二刀流》。

名前の通り時間制限が設けられていて時間は1分から3分の間、その時間の間だけは《二刀流スキル》が使える。

 

「ハヅキ、お前も本気で来いよ」

 

「……もちろん」

 

そのまま試合は続き、二刀流相手でもハヅキは槍を使いこなして互角に試合は続いた。

 

結局、試合はかなりの時間かかり、途中でハヅキがリタイアをしたことで試合が終了し、俺の勝利に。

その後、レインさんやキリトに心配されたが何ともないと答えつつ、俺のアバターの目の色が紅色になったことに気がついたところで一応の休憩時間になった。

 

────

コロシアム入口

 

「ほんとに大丈夫なの?ラギ君……」

 

「レインさん……大丈夫ですよ、一応は」

 

「それならいいけど……それより、ハヅキちゃんとの試合、二刀流使っちゃったね」

 

「あいつの本気の気持ちを受け止めるには必要だったんですよ、まぁ、それでも次の試合でも本気でやろうとは思ってますけど、ね」

この大会が始まってからハヅキの表情が暗く、何かを抱えているような感じがしていた。

それが1回戦のハヅキの行った試合を見てハヅキが何を抱えているのかを少しだけ感じ取ることが出来た。

そして、さっきの試合でハヅキが本当に俺のことを守ろうと考えていたことも分かった。

 

「でも、なんでラギ君の身に異変が起こったのかが分からないんだけど……七色に調べておくように言っておこうか?」

 

「……いや、セブンさんには言わないでください、今あの人はオリジンの制作で忙しいですから」

 

「わかった、でも、気をつけてね?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「それじゃ、準決勝頑張ってね!」

 

 

────

 

「………ルナ」

 

『流石にバレちゃった…かな?』

 

レインさんが先に中に戻って行ったのを確認したところで俺は近くの柱に隠れていた光の存在に気がついていた。

 

「あの時、謎の力に飲まれた俺に話しかけてくれたのはお前だろ」

 

『ずっと、君を見ているんだよ』

 

「……いつから?」

 

『SAO、第6層から、だよ』

 

「まぁ今は再会に喜ぶ時じゃないよな…また後で話そう、ルナ」

 

『うん、また会おうね……』

 

ルナに別れを告げた俺はコロシアムの中に戻っていった。

 

 

「お、戻ってきたな、ラギ」

 

「あぁ、待たせたな、キリト」

 

「「行くぞ!」」

 

準決勝、キリトと俺の試合が始まった。




2話にしなくて良かったやん

これが徹夜テンション。

まさかのスキルを使ったラギはといい試合をするハヅキの強さ……もしかしたら今までは手加減だったんじゃないかな、と思いますね。(語彙力)

そしてもうすぐ終わるこの大会。


え?ルナがいた?そんな馬鹿な……ホンマや


次回、ラギVSキリト!!


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第81話 時限双流VS剣技連携【トーナメントPart12】

お互いが2本の剣を抜いて構えたところで試合開始の合図が鳴った。

 

今回、俺とキリトの試合は時間制限は設けてやることに。

 

「GGOの時の敗北、ここで返させてもらうぞ」

 

「そりゃお前……あれは仕方ないだろ」

 

「まぁな…だが、行くぞ!」

 

「あぁ……もちろん」

 

お互いがヴォーパルストライクで接近し、《スキルコネクト》で俺がスラント、キリトがレイジスパイクを放ち、お互いのソードスキルがぶつかり合った。

 

「なかなかやるな……」

 

「そりゃどうも……!!」

 

ソードスキルを放つも、見事に同じタイミングでぶつかり合うせいでどっちもノーダメージで試合時間は残り半分になってしまった。

 

「そろそろ本気で行かせてもらうぞキリト……!!」

 

「あぁ、受けて立つぜ」

 

特殊スキル:時限二刀流

 

残り時間は5分、さっきのハヅキとの試合で使ったせいで少しだけ時間が短くなってるから猶予は3分、逆によく回復したと思えるけど、3分を過ぎたタイミングで効果は切れる。

 

「それがさっき使ってた二刀流か……レインが言ってたのはこれのことか」

 

「そうだ、これが俺なりの二刀流だ……行くぞ!」

 

二刀流ソードスキルでキリトに接近をし、スキルコネクトで《エンドリボルバー》を放ち一気にダメージを与える。

だがキリトはそれに怯まずにすぐに体制を立て直して2種類のスクエアで反撃をしてくる。

お互いモロに攻撃を受けたこともあって一気に体力は半分まで減った。

 

(二刀流スキルは残り30秒……最後に決めるしかない…)

 

ソードスキル:ダブルサーキュラー

 

「ここだ……っ!」

 

「なっ……!?」

 

俺はキリトにできるだけ接近し、二刀流最大のスキルをスキルコネクトで放つ………

 

ソードスキル:ジ・イクリプス

 

SAO時代のシステム上は存在するはずのなかった21連撃ソードスキル、俺はそれをSAOで1度だけこのスキルを使った本人に向けて使う。

だが、ジ・イクリプスの連撃は途中から防がれ、ダメージを与えられたのは10連撃程度、キリトの体力はまだギリギリ残っている。

二刀流スキルの使用時間が過ぎ、ソードスキルの硬直時間が残っている隙にキリトの剣技連携(スキルコネクト)の連続攻撃を受けてしまう。

 

反撃をしようと剣を振りかざした瞬間、試合終了の合図が鳴り響いた。

 

結果はキリトの勝利で終わった。

 

────

 

「また負けたか……にしてもまさか二刀流スキルを防ぐなんて思わなかったぞ?」

 

「とっさの判断だよ、俺もあれを受けたら負けると思ったし」

 

観客席で女子陣に色々と言われつつ、次の試合、アスナとユウキの対決が始まった。

 

途中までは良かったものの、後半になってユウキの攻撃がアスナを上回り、結果はユウキの勝利。

 

そして決勝戦、キリトとユウキの試合はこれまでの試合の中でも1番白熱した試合をした。

 

キリトのスキルコネクトが4連続で決まり、ユウキが《オリジナルソードスキル》の連撃でそれを反撃し、さらにユウキが一気に連撃を叩き込んでキリトが攻撃をしようとしたところで試合は終了。

ギリギリのところでキリトの体力がレッド、ユウキの体力がレッドになる寸前のイエローでユウキが勝利。

 

そして、この大会はユウキの勝利で幕を閉じた。




とことん雑、それも最後までカットとかすげぇよ俺

ということでついに大会が終わりました!ユウキ!おめでとう!(まだ3月の始まりぐらい)

次回は対戦もない平和な回になります。(ラギが戦闘しないって意味で)




もうすぐ、あの時がくる


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第82話 旅路の果て【旅行と攻略】

春揮目線

あの大会から1週間が経ち、3月も半ばを迎えた頃。

アーガスで七色さん(セブン)と一緒に《SA:O(ソードアート・オリジン)》の計画を進めていると、和人からメールが届いた。

 

メールの内容は『スリーピングナイツと俺たちのメンバーで一緒にアインクラッド第28層を攻略しようと思ってるんだが、春揮達も来てくれないか?』というもの。

 

「うーん……葉月はどうし──

 

「開発に回る」

 

と、言うことで今回の攻略はパスすることに。

 

「にしてもやっぱりSAOのサーバーがないとαテストも出来ないから開発に手間がかかるわね……」

 

「大丈夫?手こずってるみたいだけど」

 

「ひぁ!?」

 

俺達が開発に少しだけ苦労していると部屋の扉から見た事のある人が入ってきた。

 

「レインさん……?」

 

「お姉ちゃん!?」

 

「やっほー、前にラギ君に教えて貰ったのを忘れててね、ちょうど近くに来たから寄ってみたんだ」

 

と、レインさんが入ってきた後にさらに扉が開き、中にもう1人背の低めな女の子が入ってきた。

 

「あ、入ってきていいよ、紹介するね、この人は……神崎エルザちゃん、たまたま居合わせたから中に入れてもらったの」

 

────

神崎エルザ

結構前からシンガーソングライター(?)としてライブをやって、CDも発売している人気の人……と聞いたことがある。

 

────

「別に付いて来る気は無かったんだけど…私外で待ってるから」

 

「あらら……ま、少し顔出しに来ただけだし…七色もラギ君もハヅキちゃんも開発に参加してるとは聞いたけど、頑張ってるみたいでよかった、また会おうね」

 

レインさんは神崎エルザを追いかけてすぐに出て行ってしまった。

 

そしてこの『神崎エルザ』がこれから先、あんなことで関わるなんてこの時の俺たちは考えてもいなかった。

 

「……それより、早く開発を再開しよう」

 

その後、俺たちは夕方まで開発をし、ALOの第22層のキリト達のログハウスへ向かい、攻略を祝うパーティに参加した。

 

────

それからの2週間、ユウキはキリトの開発した現実世界とリンクしたカメラで現実世界の様子を見ることが出来るため、授業に積極的に参加したり明日奈達女子陣と一緒にいろんな所へ旅行をして楽しんだりと、毎日を満喫していた。

 

────

3月末、日曜日

 

『オーグマーの開発急ぐ!5月には完成か』『GGO内大会、SJ開催、優勝者はLM』という記事を俺は見ながら、コーヒーを飲んでいた俺とカフェオレを飲んでいる葉月の、元に明日奈から電話がかかってきた。

 

『もしもし、春揮さん!ユウキが……』




ユウキーーー!!

神崎エルザがこっそり出つつもレインのリアルが出つつ、こんな平和な回が続くはずもなく、ついにユウキにあの日がやってきてしまう………

次回、マザーズ・ロザリオ編最終回……!!


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第83話 マザーズ・ロザリオ【絶えることのない剣】

明日奈からかかってきた電話の内容。

ユウキの様態が悪化して、一時心肺停止になった所で明日奈に電話がかかってきて、ユウキのいる病院へ行くと、ユウキは再び心臓が動き出し、何とかなったものの、()()()()とユウキが言った後、明日奈にALOへ来てほしいと言われた。

という電話で、和人たちも既にALOにログインはしているらしく、俺と葉月と合流したところでユウキの待つALOの孤島へ向かおう、という話にしたらしい。

 

「葉月、行くぞ」

 

「うん……」

 

────

ラギ目線

 

ALOにログインして俺たちはすぐに央都アルンのリズベット武具店に向かった。

 

「俺達も行くぞ」

 

「いや、待ってくれ」

 

今すぐユウキの元へ向かおうとするキリトを止めた。

 

「できる限りの種族を集めてあの場に向かわせる、あれだけ最強の剣士は二度と現れない、最期を見届けるのは全種族でやるべきだ」

 

「ラギ……わかった、みんなで手分けして各領主に話をつけに行くぞ!」

 

(人の死は残酷なもんだよ……どんな時だって……な)

 

────

スプリガンを除く8種族に話をつけ、全員が揃ったところで孤島に来てくれ、と伝え俺たちは再び合流して9人で向かった。

 

(キリト、リズ、シリカ、エギル、クライン、リーファ、シノン、ラギ、ハヅキ)

 

────

アスナ目線

 

ユウキとの約束の地へ降り立った私は目の前で立つユウキの後ろ姿を静かに見ていた。

 

「あ、アスナ…来てくれたんだね」

 

「ユウキ………」

 

「待っててね……今、渡したいものを用意するから」

 

そう言うとユウキは片手に剣を持って目の前にある木に向けて《オリジナルソードスキル》を放った。

と、同時に紙のようなものを手に取ってユウキはその場に倒れた。

 

「なんでだろう……痛くも、苦しくもないのに……そうだ、アスナ、これ……」

 

「これは……?」

 

「片手11連撃オリジナルソードスキル、技名は《マザーズ・ロザリオ》、きっといつか、アスナを助けてくれるよ」

 

ユウキからオリジナルソードスキルを受け取ったと同時にスリーピングナイツのみんながユウキを囲むように座った。

 

「なんだよ……お別れは…しないって言ったじゃん……」

 

「お別れじゃねぇ!喝入れに来たんだ」

 

「う、うぅ……」

 

「ダメですよ……泣かないって……約束……」

 

「ユウキ、すぐに行くから待ってろよ」

 

「ダメだよ…すぐに来るなんて……」

 

全員がユウキの手を握り、再びユウキを囲むように座ると、見覚えのある9人が飛んできた。

 

────

ラギ目線

 

「あそこか……」

 

孤島に生えた大きな木の根元に先に行ったスリーピングナイツと、アスナ、そしてユウキがいた。

 

「君たちまで……なんで……来てくれたのさ…」

 

「俺たちだけじゃない、見てみろ」

 

俺以外の8人がそれぞれユウキの手を握ってスリーピングナイツの後ろを囲むように座り、俺がユウキの手を握ったとともに空を指さすと、各種族の領主と領のプレイヤー達が一斉に飛んできていた。

 

「妖精さんたちがいっぱい…でも、なんで?」

 

「お前は嫌がると思ったけど、俺たちだけで見送ることの出来る人間じゃない、お前はこの世界で二度と現れることの無い最強の剣士だ」

 

「なんでだろ……涙が……悲しいわけじゃないのに…ボク、ずっと考えてたんだ、生きてる意味ってなんなのか、たくさんの薬や機会を無駄遣いしたボクが生きている理由……でも、アスナやキリト、ラギ達と出会えてわかった気がするんだ……」

 

「アスナ、あとは任せた」

 

「うん」

 

俺はキリト達が座っている場所まで戻り、ハヅキの横に座り、ユウキの方を向いた。

 

「ユウキ……あなたの剣は絶えることは無い、いつまでも、この世界に残っているよ」

 

「ありがと……アスナ……ボク、嬉しいよ…こんなにたくさんの人に見送られて、大好きな人の腕の中で旅を終えられる……」

 

「…………!ユウキ!ユウ……キ……」

 

アスナの手を優しく握ったユウキはそのまま旅立った。

紺野木綿季、プレイヤーネーム《ユウキ》、不治の病に掛かり病院生活がずっと続いていた。

彼女は永遠に語り継がれる伝説の剣士となった。

 

今もまだ、木の根元には絶剣が刺さっている。




もう何も言わねぇよ…
もう、何も言わねぇよ……

ついに、ユウキが旅立った。

────
ということでマザーズ・ロザリオ編が終了です。
次回から……お楽しみに!


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ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイルオンライン編
第84話 スクワッドジャム【SJ】


絶剣、ユウキが無くなって2日、3月31日(平日)の夕方。

俺とハヅキは何故か立ち入りを普通に許可されたシルフ領の甘味処で涼んでいた。

そして俺の片手はMMOトゥモローの記事が載っている掲示板を操作していた。

俺は操作する手を止め、とある記事を見続けていた。

 

 

ふぁにふぉれ(何それ)……スクイッドジャム?」

 

「いや、それイカのジャムな、これは《スクワッドジャム》、GGOの新しい大会だよ、今回はセカンドだけど」

 

「セカンドってことは前にふぁーすとがやったって事?」

 

「お前の英語の棒読み何とかならないのか……あぁ、2月1日に第1回スクワッドジャムが開催されたらしい」

 

────

スクワッドジャム、通称《SJ》

 

B.o.Bを見たどこかのガンマニアだか小説家だかが《ザスカー》に頼んで開催させたらしい。

ルールは箱庭系エリアにいくつかのチームがバラバラに配置され、最後まで生き残ったチームが優勝、と、B.o.Bとは少し違ったルール。

────

 

と言っても俺はまともな武器を持ってないから後で買わないといけないしハヅキもログインするとなるとそれなりの武器を持たせないと……

 

「話は聞かせてもらったぜそこの妖精さんたち!」

 

「うわっと!?」

 

俺達がGGOの話をしているのを聞いたのかなんなのか分からないが、俺達が座ってる席のテーブルに見事な空中一回転を決めて着地した……あのフカ次郎が。

 

「汚い、邪魔、どいて」

 

「おま、それは───

 

俺が止めるのは見事に手遅れで、フカ次郎はハヅキの開発した槍の持ち手で殴るという特殊なスキルで吹き飛ばされた、吹き飛ばされた先にテーブルがなくてよかったと思いつつも暴れかけてるハヅキを取り押さえた。

 

それから5分、ハヅキが冷静さを取り戻し、フカ次郎は立ち直ったところでなんで俺たちの元に来たのかを聞いた。

 

「お前さんたちが『GGO』の、『SJ』の話をしてただろ?それでちょっくらいいタイミングだったんでな」

 

「いや、訳が分からないんだが」

 

「まぁまぁ、人の話は最後まで聞きなさいや、実は……

 

ものすごく長い説明だったので簡単に説明する。

まず、フカ次郎のリアルの友達が前回、第1回SJの優勝者で、今回は参加する気はなかったけどちょっとした理由で参加するはめになって、仲間を探してるんだけど宛になる人も全くいなくて、唯一フカ次郎を見つけて頼んで、1度作戦会議して戦闘してみたらそこそこ良くて、でもまだ何か足りないからいい仲間いないか、と探している途中で暑くなったから甘味処で休もうと思ったら俺とハヅキがGGOの話をしてたから回転しなから机に乗っかった、ということらしい。あれ、簡単ってなんだっけ?

 

「と、言うことで参加してくれ!妖精諸君!」

 

「ハヅキはどうする?」

 

「ラギだけに参加させるわけには行かない、私も出るよ」

 

「それじゃ、とりあえず明日、GGOのリスポーン地点で集合な!」

 

こうして、俺たちのSJ参加が決まった。




SAOオルタナティブ、ガンゲイルオンライン編の開始だ!

ちなみに柄殴り(槍のやつ)は名称不明です(決めてない)

ハヅキの英語の読み方はそこそこ惜しいけど絶望的




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第85話 銃の世界、再び【大爆発コラ】

タイトルネタ切れなう


この後、俺がフカ次郎に「予選はどうなんだ?」と聞くと「あの大会は予選は無い」と、軽く返されつつ、フカ次郎の奢りでパフェを食べたところで俺たちは別れてそのままログアウトした。

 

────

如月家

 

ログアウトした時点で既に日は暮れていて夕飯を食べて葉月は先に寝て、俺はパソコンで『GGO大会』で検索をし、SJの詳細を調べようとした。

だが、検索結果はまさかのものだった。

 

Go〇gle先生で調べると、B.o.B第3大会の決勝、死銃との死闘を繰り広げた少女2人(のち、1人は男)が抱き合っていきなり爆発する(多分グレネード)という動画のコラが物凄く大量に出てきたのだ、こういうやつ作るやつは暇人なのか?

 

と、気を取り直して『SJ第1大会』で調べると大会の1部1部を切り取った録画がサイトに上げられていた。

そこに一緒に貼られていた記事を見た限り、この動画内でものすごい速度で動くピンクのやつが優勝者のレン、そして、一緒にパーティを組んだのは『M』という男プレイヤー、この2人の謎のチームワークで物凄く女に見えないやつ率いるアマゾネス集団とやらとの激戦を制したらしい。

 

(そういやフカ次郎がレンって名前言ってた気が…気のせいか)

 

 

と、記事を見ていると一つだけ気になることが、前回、第3回B.o.Bで()()()退()()()()()()()と優勝者の名もない少女剣士が光剣(またの名をフォトンソード)を使ったことでその後、今年に入ってから少しずつ使用者が増えた、とのこと。(ただし、第1回SJには使用者はいなかったらしい)

 

というか予選敗退したらこんな扱いかよ、これ書いたやつどこのどいつだよ…ん?『ダイン』?確かシノンが言ってたような……気のせいか。

 

SJのルールを再確認した後、俺は一つだけ忘れられない記事を見つけ出した。

 

『東京都、○○区、刃物と拳銃を持った男が4人家族の親2人を殺害、犯人はその場で血を流し倒れているのが確認され、子供2人、うち1人は病院へ搬送、もう1人は保護』

 

(………もういいか)

 

俺は記事を閉じてそのままパソコンの電源を消して寝ることに。

 

────

最近、懐かしい夢を見る、それは楽しくて、そして……苦しい、そんな夢を。

なんでこんなタイミングで思い出したのか、忘れていたはずの記憶が夢になって蘇った。

 

──でも、今話すことじゃないな、またいつか、話す時に話そう。

 

────

次の日、朝早くから目が覚めてしまいやることが無いと思いつつコーヒーを飲んで食パンを食べ、俺は今更のことに気がついた。

 

フカ次郎には今日と伝えられたが、よく考えたら今日は平日……

 

「……しょうがない、学校に休むって言っとくか……ズル休みだけど」

 

適当にアーガスで開発するのが忙しいという理由をつけて休みにして俺はまだ起きない葉月の寝顔を見つつ起こさないで先にGGOへとALOからのコンバートでログインする。(昨日のうちにアイテムは預けた。)

 

一応、葉月の枕元にコンバートの方法は書いてある、全部日本語で。

 

「リンクスタート…!!」

 

こうして俺は、再び銃の世界に降り立った。




東京都内の殺人事件は不謹慎か、ごめん。



次回、ついに『奴』が登場!


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第86話 巨大地下都市跡【弱点】

SBCグロッケン

 

「さてと、どうしたものか……」

 

GGOにログインしたのはいいものの、待ち合わせ時間まではまだ2時間もある。

 

(暇だし、久々に来たからなれるためにフィールドに行くか…)

 

────

SBCグロッケン近くのフィールド

 

「おらっ……!!」

 

最近増えたと言われている光剣を使って敵を蹴散らした。

今考えれば光剣だけならなれる必要ない気がするけど……ま、2時間もあるし金稼ぎにもなるか。

 

光剣で周りの雑魚モンスターを蹴散らしていると、遠くに見えたはずの廃墟のような建物がすぐ目の前まで近づいていた。

よく見るとその街の中を6人ぐらいのプレイヤーが走っている。

 

「対人戦はしないようにしてるけど、あの中に何かあるかもだし近づいてみるか…」

 

街に入ってしばらく歩くと、街の中心と思われる場所まで到着、と、気を抜いていたらいきなり地面が抜け、俺はそのまま真っ逆さまに落ちていった。

俗に言う罠と言うやつだろう。

────

流石に落下ダメージはあるらしく、体力が半分まで減少しているのを確認し、回復アイテムを使い、体力を回復させたところで、俺は周りを確認した。

 

「これは……?」

 

廃墟と化した街の地下には巨大地下都市が広がっていた、もちろん廃墟だけど。

 

『シンニュウシャ、ハッケン』

 

地下都市を歩いていると、目の前に巨大なロボットが現れ、俺を侵入者として扱い、いきなりレーザーを放ってきた。

 

「危なっかしいな……」

 

(「なにか聞こえたぞ!」)

 

遠くの方から何か聞こえた気がするけど、今はそんなこと気にしてる暇もなさそうだ。

 

「やってやろうじゃねぇか、SJの前の肩慣らし程度にさせてもらうぞ!」

 

俺は光剣を構え、敵の攻撃を避けつつ接近を試みた。

だが、ここは銃の世界、近接なんてさせてくれるはずもなく、巨大ロボットはすぐに俺の方に照準を合わせ、レーザーやらミサイルやらを放って、俺は近づくことも出来ない。

 

さらに問題なのはこのロボットの攻撃パターンはランダムでいつ、どんな行動をしてくるか分からない、そして、見る限り、あいつの体はかなり硬めの鉄で出来ているはず、そう簡単に攻撃は通らない。

 

巨大ロボットはいきなり腕を振り下ろし、地面に腕をぶつけた。

その攻撃で隙が出来たところでロボットの腕の上を走って顔の方に接近した。

 

(これなら行ける……!!)

 

硬いとわかってはいるが、出来るだけやってみるしかない。

 

スキル:バーチカル・スクエア

 

少しだけ傷を付けられたものの、ほとんどダメージにはならない。

そして、この攻撃でロボットに喧嘩を売ったのかわからないが、俺はいきなり空中に放り出された。

 

(まずい……!!)

 

俺の予想は的中、ロボットは俺めがけて腕を振り、俺は避けることも出来ずにそのままさっきまで立ってた場所まで吹き飛ばされた。

 

「がはっ………」

 

瓦礫で動けなくなった俺にあのロボットはレーザーを放とうとしてきた。

が、ロボットは足元で発生した爆発と頭の方に発生した爆発で動きを止めた。

 

「大丈夫か、お前」

 

「あぁ、なんとかな……お前らは?」

 

「私たちは《SHINC》、そして私はそのリーダーだ、宜しくな、とりあえずはあのデカブツを共に倒そう」

 

「……了解」




ねぇ、ピンクの方だと思った?
残念、ボスでした。


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第87話 屈強な女戦士【ピンクの悪魔】

戦いを再開する前に話を聞いたところ、SHINCは6人で、今回()()()()()()()()()に話を聞いて『対戦車ライフル』とやらを手に入れるために情報を得たこの周辺を探していたら、音が聞こえてよく見たら大きな穴ができていて、ここに降りてきたら俺が吹き飛ばされていた、ということ。

ちなみにSHINCの皆さんは自称《屈強な女戦士》らしい。

 

「私のことは《ボス》とでも呼んでくれ、お前は?」

 

「俺はラギだ、とりあえずお前ら、あの硬い身体、剥せるか?」

 

「やってはみるが、どうしてだ?」

 

「俺が光剣(こいつ)で攻撃するにはあの硬い身体から弱点を探し出さないといけないんだよ」

 

「光剣か……わかった、他のみんなに伝達する、隙が出来たら一気に決めてくれ」

 

自分をボスと呼んだごつい女プレイヤーはその場で通信機器のような何かを使って他の仲間に伝え、そのまま前線へ走って行った。

 

(ボス以外の5人の攻撃が頭に集中し出した……ということは奴の装甲が剥がれた瞬間に奴が振り下ろした腕から頭まで上ってもう一度決めれば………)

 

だが、流石にそう簡単には行かず、ロボットはSHINCのメンバーめがけ、肩から発砲を始めた。

 

(あいつどんだけ攻撃手段持ってるんだよ……!!何とかして奴らの元に急がないと……)

 

「私たちのことは気にするな!こんなやつの攻撃、ラインが見えれば簡単な話!ラギは一瞬の隙も逃さずに攻撃してくれ!」

 

と、少し遠くからボスが俺に指示を。

指示をしている間にもボスとその他5名は顔めがけて何度も銃を放っている。

 

 

それから数分、ボスとは違って顔が狐っぽいSHINCのメンバーのひとりがロボットが振り下ろした腕に乗り、顔まで接近して何かを置いてそのまま飛び降りた。

その後、その狐顔の人はほかのメンバーに受け止められ、体力の消費はほとんどなく済んだ、そしてロボットの顔の部分はいきなり爆発した。

 

「今だ!ラギ!」

 

ボスの指示と同時に動き出し、SHINCが気を引いてくれているうちに腕から顔まで接近し、狐顔の人が置いたグレネードの爆発で剥がれた装甲に攻撃を叩き込んだ。

 

スキル:ホリゾンタル・スクエア

 

(まだ……もっと…!!)

 

スキル:ハウリング・オクターブ

 

ソードスキル自体は存在しないものの、それに似た攻撃をすることは可能。

それを光剣で使い、連撃を与える。

 

「倒した……か」

 

俺は地面に降り、SHINCのメンバーも6人全員が揃った。

 

「それで、報酬はどうするんだ?」

 

「ラストアタックはラギが決めた、持っていけ」

 

「……いや、俺は銃はまともに使えないし、お前らにやるよ、その《凄腕スナイパー》とやらに教えて貰ったんだろ?この対戦車ライフルとかいうやつ」

 

「いいのか?」

 

「あぁ、その代わり他は貰うぞ」

 

あのロボットは大型ボス的な扱いのモンスターで、対戦車ライフル以外にもいくつか銃を手に入れることも出来るらしいが、今回はそれはお目にかかれなかった。

この後、俺とSHINCは別れ、俺はSBCグロッケンへと戻った。

 

「ラギ!」

 

リスポーン地点に戻ると、青髪のショートヘアの少女とピンクの服装のダブルチビと遭遇した。




屈強な女戦士SHINC登場。

ほんと銃の世界で光剣だけだと書きづらいわ


ダブルチビとの遭遇、これだけで考えるといじめにも思えるよな、片方は知ってるキャラだし。


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第88話 蒼と紅とピンク【参加理由】

リスポーン地点に立っていたのは、見事コンバートを成功させたハヅキのアバターとどこかで見た気がするピンクのアバター。

 

「初めまして、私、レンっていいます、一応確認するけど、ハヅキのパートナーでいいんだよね?」

 

「あぁ、よろしくな、レン」

 

と、挨拶を交わすとハヅキが俺の袖を引っ張ってきた。

 

「また一人で行って……今まで何してたの?」

 

「ちょっと狩りに出掛けてたんだよ、()()()()のGGOに慣れるためにもな、それよりお前こそよくコンバートしてこれたな」

 

「あれで分からない方がおかしいでしょ」

 

────

現実世界:葉月目線

 

『和人に聞け』

と書かれた何か裏を感じる紙が枕元に置かれ、春揮は先にGGOにログインしてしまっている。

学校だとわかっていつつも春揮の電話で和人に連絡し、『コンバートの仕方教えて』と伝えると、わかりやすく教えてくれた。

 

────

仮想世界:ラギ目線

 

「あれでわからなかったらすごいよな」

 

「ラギ、さっき『久しぶり』って言ってたけどハヅキもラギもGGOにログインした事あるの?」

 

「いや、ハヅキは今回が初めて、その辺のことも詳しく説明するか」

 

「その前に、フカ次郎は?」

 

「遅れてくるみたいだよ、アイス食べすぎてお腹痛いって」

 

「ま、とりあえずは俺たちの詳しい紹介をしないとな」

 

────

フカ次郎と同じようにALOからのコンバートでGGOに来た。

GGOには去年の12月に、とある用事でログインして、それ以降はログインをしなかった。

で、フカ次郎とはとある行事みたいなとこで出会って、最近になってまた再開したと思えば今回の話になった。

 

と、ざっくりとした説明を。

────

SAO帰還者ということは隠して自己紹介を終わらせた。

 

「そうなんだね、ごめんね、今回の話に無理やり乗っかってもらって……」

 

「いや、俺達も少しだけ気になってたし、チームで参加できるならそれはそれでいいからな」

 

「それなら良かった、とりあえず!今回、()()()()()()()()()のに手伝ってくれてありがとう!」

 

と、レンはよく分からないことを……

 

「「…………?」」

 

「………え?」

 

俺達が困惑したことにより、レンも困惑し、俺たちのあいだに少しの沈黙が生まれた。

 

「もしかして、フカから何も聞いてない?」

 

「「うん」」

 

「………ほんとに?」

 

「「うん」」

 

と、リスポーン地点に立って話をしていると、噂をしていたからなのか俺達が召喚したみたいなタイミングでこれまたチビのアバターがログインしてきた。

 

「ふふふ……英雄は遅れてやってくるものなのさっ!待たせたね、君たちぃ!それにしてもこのピンクのウサギめ!………ん?なんでラギとハヅキから殺気が───

 

「「少し話を聞こうか、フカ次郎?」」

 

こうして俺たちは集合した。




皆さんおまたせレンちゃん登場。
オルタナティブの中でみんなが大好きレンちゃんですよ。
え?Mさんの方が好き?そんなやついねぇだろ(いそう)

ちなみに今回の章は共作のあの人のプロットの元、作成しています。


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第89話 現実の死【ピトフーイ】

SBCグロッケン:酒場

 

ログインしてきたフカ次郎に詳しい話を聞くために、俺とハヅキ、そしてレンはフカ次郎と共に近くにある酒場へ。

 

「2人ともごめん!」

 

酒場に入り、色々と注文(フカ次郎が)したところで、レンはものすごい勢いで頭を下げ、俺たちに謝ってきた。

 

「いや、確かに驚いたよ、()()()()なんて聞いたら、とりあえずどういう事か説明してくれ」

 

「その前に!フカもハヅキとラギに謝って!」

 

「す、すみません」

 

────

 

事の発端は2月の中盤、レンのリアルの元にSJ1で一緒に戦った『M』というプレイヤーのリアルが来て、こんな話をしたらしい。

 

──今度やるSJ2で人が死ぬ。

 

流石に信じられないと思い、詳しく話を聞くと、『ピトフーイ』というプレイヤーは4()()()()()()()()()がきっかけで吹っ切れてしまい、色々あって去年、その出来事に関係する話を聞き、再び狂い、『ゲームの中で死ぬ』『ゲームの中で人を殺す』という馬鹿げた目標を立て、GGOを始めた。

それからしばらくし、今年の2月、SJ1が開催されたが、ピトフーイはリアルが忙しく、参加が出来ず、今回、SJ2に参加しよう……と、言うことに。

だが、本題はここから。

 

『SJの大会中にピトフーイが死ねば、リアルでもピトフーイは自殺しようと考えている、もちろん僕もだ』

 

最後の方になにか聞こえた気はするけど、ゲームで死んだ人がリアルで死ぬ、そんなことが有り得るのか、そう思っていたら壁ドンされて他人への愛を告白されたりしつつ、レンは参加しようと考え、フカ次郎のリアルに連絡し、参加をする事に。

 

「………リアルで死ぬ、か」

 

SAO帰還者(サバイバー)からすれば2年間聞き続けた言葉、俺からすれば去年の12月、このGGOでも同じ言葉を聞いた。

もし、ピトフーイがSAO帰還者になれなかったプレイヤーだとしたら……?

 

(いや、さすがにそれは無いか)

 

「と、とりあえずこんな感じで私たちは参加することになったんだけど……協力してくれる?」

 

「俺もハヅキも、リアルで人が死ぬなんてことはさせたくないんだ、一緒にやるに決まってるだろ、というか今から参加ってできるのか?」

 

「ギリギリできるみたいだから、とりあえず人数を4人でプレイヤー名を登録だけしとくよ」

 

すっかり忘れていたSJ2への参加を終わらせ、とりあえず注文したものを食べながらルールを再確認した。

 

────

SJ2(セカンドスクワッドジャム)

 

B.o.Bとは違い、全30チーム全員が10メートルの正方形型フィールド内でバトルロイヤル形式で戦い、最後まで残ったチームが優勝。

この試合の録画と中継はGGO内、モニターが用意されている場所で中継される。

武器の制限は無し。

10分ごとに各自に配布された端末にてフィールド内のチームの現在地が判明する(チームリーダーのみ)サテライトスキャンが行われる

SJの新ルールとしてスキャン時に表示した各チームのマーカーをタップすると、そのチームの名前がわかる。

 

────

その他にも、細かいルールなどはあるが、後で確認することに。

 

「………とりあえず銃買いに行くか、ハヅキ」

 

「あ、そっか」

 

レン達も付いてきて俺たちは俺が前に行った方のショップへ向かった。




日笠さんの素が見えるピトフーイ(アニメ見た人しか伝わらないやつ)

お久しぶりです、原作読んでたらこんなに日にちが開きました、あと、アクセルソード遊びすぎた。


これからは少しゆっくり書こうかなと思います、はい。


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第90話 SJ開催【銃装備】

ガンショップ

 

「お兄さん、SJに出るんなら、この服、どうよ?」

 

「コート・オブ・ノクターン……?」

 

値段的にはそんなに悪いものでもないけど…流石にこの服装は目立つ気がする、レンとかフカ次郎の服装を見る限り……って、なんでここの人は俺がSJに参加するって気づいたんだ?

 

「買わないんかい?それともなんでSJに参加するってわかったか、そう思ってる?」

 

「買いますよ、それで、なんで俺が参加するってわかったんだ?」

 

「お前さん、前回ここに来た後、B.o.Bに出てただろ?だから今回ももうすぐ行われるSJに参加するんじゃないのか、って思ってな、とりあえずまいどあり!」

 

結局、SJ用に装備《コート・オブ・ノクターン》を購入。

俺が装備を買っているうちに銃を見ていたハヅキ達女子組が俺の元に戻ってきた。

 

「決まったのか?」

 

「うん、これにした」

 

ハヅキが選んだ銃、それは『M24』という武器。

 

────

M24

 

武器種:銃(狙撃銃)

 

主にアメリカ軍などで使用されている。

詳しくはwikiへ

────

 

「お前それ、狙撃銃だぞ?」

 

「シノンに聞いたから大丈夫」

 

ALOでフカ次郎に誘われた後、たまたまログインしてきたシノンに何か話を聞いていたと思ったら、まさか狙撃銃の使い方を聞いたとは……

とはいえずっと『ヘカートII』でこのゲームを遊んでた人の感覚と、このゲーム自体初めての初心者の感覚はかなり違うと思うんだが……

 

「とりあえず試し打ちに行こうぜお二人さ……「ラギはどうすんの?武器ないみたいだけど」

 

レンに言われて気づいたけど、確かにまともな銃は持っていない、それに光剣もあのロボットのせいでかなりボロくなった。

 

(……買っとくか)

 

俺は新たに《光剣:カゲミツG4》と《サブウェポン:FN ファイブセブン》、そして念の為に《サブマシンガン:Vz61》を購入。

 

────

カゲミツG4

 

今現在GGO内にある光剣の中では一世代前に当たる武器。

最新型は持ち手の上下に剣を出せるらしい。

ちなみにキリトもこれを持っている

────

FN ファイブセブン

 

弾薬にP90と同じ5.7x28mm弾を使用する。この弾薬は小銃用の弾薬をそのまま短くしたような形状で、高い初速で発射されるため貫通力が高く、SS190弾では100mほどの距離があってもボディアーマー(NIJ規格レベルIIIA以下のもの)を貫通するとされる。(wiki推奨)

 

キリトもまたまたこれを持っている。

────

Vz61

 

サブマシンガンの中でも最小クラスの銃。その見た目から「スコーピオン」の愛称を持つ。レンがP90と出会う前に使用している。(GGOオルタナティブ公式ツイート)

────

 

その後、俺たちのコンビネーション力を試すためにフィールドへ。

1時間ほどやった後、ちょっとだけ作戦会議をしたところでお互いログアウトをした。

 

 

 

それから3日が経ち、4月4日、土曜日。

 

参加者たちが集まる空間に先に到着し、装備を着替えた俺とハヅキ(ハヅキはそこら辺に売ってた装備を買った)は、ギリギリで到着したレン達と共にチーム《PM4》のメンバーと顔合わせをし、そのまま転送された。

 

「残り5分だよ、みんな、準備はいい?」

 

「このフカ次郎様を舐めてもらっ「うん、出来てる」

 

それぞれが自分のメイン武器を持ち、しっかりと準備したところで、開催の合図が……

 

『セカンドスクワッドジャム、スタート!!』




武器紹介に格差が生まれた。
分からないものはwikiを見てね、俺もそこから取ってきたし。

ちなみにラギの装備(コード・オブ・ノクターン)はゲーム『SAOFB』のキリトの服装らしいよ。

またパクリか!


サブウェポンと光剣も、キリトと同じやつ

ハヅキはまさかの狙撃銃!


ついに開催したSJ

LFは果たして勝つことが出来るのか……!?


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第91話 荒廃した街の戦い【SJpart1】

フィールド:街

 

開始の合図と同時に俺達は街の中に転送された。

転送されて数分後、隠れながら街の様子を確認することになり、俺たち4人は全員で周りの様子を見ることに。

 

 

「とりあえずスキャンされるまでは大人しくしてよう、フカ、足元には気をつけてね」

 

「ん?それはどうしてだね、レン」

 

「開始数分でも罠が置かれる可能性があるから、フカなら引っかかりそうだし」

 

「もうすぐスキャンだろ、気長に話してる場合じゃないんじゃないのか、俺達がどこにいるのかもまだ分からないんだし」

 

と、話しているうちに俺たちのデバイスでスキャンが開始された。

スキャンの結果、俺たちはマップの左上、そして俺たちの近くには3チームのアイコンが表示されていた(うち一つは少し遠く、2つはかなり近く)

 

「嘘……ピトさんのチーム、かなり遠く……」

 

「ラギ、近くに敵が来た」

 

PM4が俺たちと真逆、マップ右下にいることが分かり、少しがっかりしているレンを見ながら、ハヅキだけが敵の接近に気が付き、俺の服の袖を引っ張り小声で教えてくれた。

 

「とりあえず近くの建物に身を隠そう、ラギとハヅキ、任せるのはダメだと思うけど、周りを警戒してくれる?」

 

「「了解」」

 

レンの指示で俺とハヅキが周辺の様子を確認しながら近くにあった建物に移動しようとした……が

先に向かったレン達の方から爆発音がして微かにフカ次郎の悲鳴が聞こえた。

 

音のした方に向かうとフカ次郎の両足が吹き飛んだ状態で建物の中にレンに運ばれていた。

 

「ごめーん!うぅ…ごめーん!」

 

「いいから!とりあえず回復して!」

 

話を聞いた限り、俺達が周りを見ているうちに建物に隠れようとしたところ、道中にあった罠にフカ次郎が引っかかり、爆発で足が吹き飛んだ、らしい。

 

「ラギ、レン、敵がこっちに来る」

 

「ハヅキ、耳良すぎない?」

 

(ケットシーの影響……んなわけないか)

 

その後、レンと共に近くに来たチームを倒そうとしたが、またまたハヅキが敵の接近に気づいた。

 

「レン、1人でこっち、任せられるか?」

 

「やる……いや、やってやる!ラギとハヅキはこっちに向かってきたチームをやりに行って!私はここをなんとかする!」

 

「ラギ、行こう」

 

と、向かおうとしたその時、そこそこ近くから発砲音が聞こえた。

 

(どこからだ…………)

 

俺は右手に光剣を持ち、意識を集中させ…

 

「そこか」

 

飛んできた銃弾を思いっきり切り飛ばした。

 

「「銃弾を斬った!?」」

 

「ん?お前らに話してなかったか、というかハヅキはALOでも同じ技を見たはずだけど……それより、早く向かうか」

 

1チームをレンに任せ、俺たちはハヅキが聞いた音の方へ向かった。

────

街の入口付近

 

「ねぇ……ハナコォ……私たち、こんなとこに来てどうするのさ?」

 

「うるさいわよシロウ!バイクを拾ったんだし、スキャンで出た《LF》を倒すチャンスじゃない!」

 

ハヅキが感じ取った音はバイクの音で、6人チームが銃を構え立っていた。

多分遠くに見えた《YM》というチームだろう。

 

建物の影に俺たちは隠れて《YM》が近くに来るのを待って、6人チームにも関わらず、俺は《YM》目の前へ姿を出した。

 

「な、なんですかお前は!?」

 

「我ら《ヤマダファミリー》に何の用だ!」

 

「こ、こいつアレじゃね!?《LF》の近くにいたチームのひとつじゃね!?」

 

(6人同時に喋るなよ………殺るか)

 

「こ、こっちに来るでごんす!」

 

「で、でもこっちは6に───

 

慌ててチームワークを崩した《YM(ヤマ)》の1人はハヅキのヘッドショットで即死。

 

「どこから撃た──

 

『ラギ!待避して!』

 

グロッケンでフカ次郎が勝った通信用アイテム(4人全員分)からハヅキが俺に向けて通信をしてきた。

『待避』のその意味はすぐに判明。

 

ハヅキが遠くから撃った内の1人が腰につけていたグレネードの1つに運悪く命中してしまい、それが起爆した。

 

《YM》のメンバー全員は見事に爆発に巻き込まれ、俺はギリギリで避けたものの、体力が3割ほど減ってしまった。

 

『ラギ!そっちからかなり大きな音したけど大丈夫!?』

 

「レンか…こっちはなんとかな、そっちはどんな感じだ?」

 

『今、フカの手助けもあってなんとか1チームは倒した!今から駅の付近に潜伏してるチームを殺りに行く!』

 

「わかった、俺達も後で合流する」

 

────

レン目線(ラギ達が別チームの方に向かった直後)

 

「やってやる!」




レン目線開始。


ヤマダファミリー略してYM、ヤマ

1チームが軽々しく消し飛んだけど、さぁ、これからどうなるか……

ちなみに次回は原作通りのLFと駅前の戦いです、俺なりのアレンジ付きで。


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第92話 神速の兎【SJpart2】

ラギ達が別のチームを倒しに行った後、私は罠を掛けたチームを奇襲をかけながら倒すことに。

 

「速すぎるだろ………!?」

 

「3人目……っ!」

 

6人中3人目をPちゃん(P90)で撃ち殺し、残り3人が私の近くに来たところでさらに1人を撃ち殺した。

 

「てめぇ……よくm───ピギャア!?」

 

「あ、ごめん!」

 

────

観客席:観客達

 

噂のピンクの悪魔こと第1回SJ優勝者のレンが一瞬のうちに4人を倒したと思ったら残り2人のうちの1人の股の下を通るだけで攻撃をしなかった。

なぜ、攻撃をしなかったのか……と、思ったら、股の下を通られた男はムンクの叫びのような顔をして男のシンボルを抑えていた。

 

「う、うわぁ……レンちゃんえげつねぇ…」

 

「お、俺……なんか股間がめっちゃ痛くなった気がする」

 

「黙れや」

 

────

レン目線

 

「残り1人……っと!?」

 

残り1人を攻撃しようとしたけど、既に私の目の前には銃口が向けられていた。

 

「悪いな嬢ちゃん、ここで仕留めさせてもら───

 

もうダメだ、そう思った瞬間、目の前の男の頭上には『dead』の表示がされて、よく見るとフカのグレネード銃(?)の弾が転がっていた。

 

「フカ!」

 

「ふっ……私は受けた借りは返さないと気が済まない女なのさっ!」

 

「はいはい………ん?爆発……ラギ達の方だ」

 

そして、ラギ達に連絡をして先に駅前のチームを奇襲することに。

 

────

観客席:観客達

 

「あのグレネードの子、足吹き飛んでんのにスゲーな……」

 

「やっぱり()()レンちゃんとグレネード少女だな!」

 

「2人ともお前のじゃねぇだろ」

 

────

レン目線:駅前

 

フカの足が治ったあと、2回目のスキャンで判明した相手チームの居場所が駅前から動いてないことを確認し、上から攻撃を仕掛けることに。

 

「フカ、私が建物の上から線路の上にいる相手の状態を確認する、フカは周りを警戒しながら私の指示通りにグレネードを撃って」

 

『りょーかい』

 

「とりあえず1発撃って」

 

『へーい(ポンッ』

 

フカの撃ったグレネードで6人中1人が死亡の表示がされた。

どこから撃たれたのかわからない相手チームは上は全く見ずに周りの警戒を始めた。

 

「よし、1人倒した!」

 

「レン、どいて」

 

相手の様子を確認しているうちに私の後ろにハヅキが立っていた。

今私たちがいる建物は少しだけ壁が周りの建物に比べて高いため、背の低い私とハヅキは立ったとしても向こうからは見えない。

 

「って、ラギは?」

 

「フカ次郎の方に行った、とりあえず、レンはフカ次郎に指示出して、私はここから……撃つ」

 

「うん、わかった」

 

────

ラギ目線

 

(あれは本気だな、ハヅキ……)

 

「なんでお前さんはこっちに来たんだ?」

 

「お前が誰かに襲われたとしたら守るやつがいないだろ、俺は周りを警戒するだけだ、駅の方のチームはお前に任せる」

 

「そんで、あのおチビちゃんはレンの方から狙撃、ねぇ……ほんとお前さんたち何もんよ」

 

「なんだよその口調……俺たちは普通のプレイヤーだよ、()()()()()()な」

 

「へぇ……」

 

────

レン目線

 

「……そこか」

 

「見えたの?」

 

「うん、なんとなく、わかるだけだけどね」

 

フカのグレネードとハヅキの狙撃で駅前のチームは全滅し、街の中、周辺は私たち、『LF』だけになった。




そろそろ書かないと、その気持ちが原作を読む力を上回る。

本当は今回、原作読みながら書こうと思ったんだけどね、そんなこともせずに書いてしまったよ、てへぺろ。

ちなみにハヅキさん、なにかに目覚めました。
それが何かということは少し後で、ね。


次回から数話、アニメでも色々と起こった『ドーム』での話。

また数日開きそう


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第93話 ドームでの戦い【SJpart3】

ラギ目線

 

街の中のチームを全滅させた俺たちは次のスキャンが始まる前に出来るだけ街から移動する計画を立て、移動を開始して数分、街から少し離れたところでスキャンが開始。

 

「「まさか………っ!」」

 

スキャンしたあとの異変に気づいた俺とレンはその異変の理由に同時に気が付いた。

 

「7チーム全てが《PM4》を倒すために結託したんだ……どうしよう、このままじゃピトさんが…」

 

「待てよレン、ここから行こうとしてもかなり時間がかかる、それに、道中にもいくつかチームが残ってる、先にそっちを潰しに行かないとダメだ、特に、3チームが密集してるすぐそこのドームとかな」

 

マップを見る限り、PM4の方に向かった7チームの結託グループ、それとはかけはなれた位置にいる1チーム、ドームの近くに合わせて5チーム、そして俺たちLF、残りチーム数がかなり少なくなってはいるものの、もし、PM4が結託グループに負けたとすれば俺たちだけで戦うのはかなり無難な話。

だからこそ近くのチームから潰しに行った方が確実にPM4を狙える。

 

「ドーム……わかった、とりあえず急いで向かうよ!」

 

────

SHINC目線

 

ラギが会った6人組アマゾネス集団、SHINCもSJ2へ参加していた。

もちろん、7チームの結託にもすぐに気が付き、呆れた声を出していた。

 

「どう思います?ボス」

 

「呆れた、たった7チームで倒せるとも思えない、数でゴリ押し、どうすればそんな考えに至るんだろうな」

 

「やっぱり、そうだよねぇ……あ、LFの少し遠くに《MMTM》がいる」

 

「よし、私たちはそっちを狙うぞ」

 

────

KKHC

 

「……ほんと、なんで男ってこうも勝負したがるのさ」

 

「まぁ……しょうがないんじゃない?」

 

帽子をかぶった緑髪の少女《シャーリー》とおなじく帽子をかぶった黒髪に少し青が混ざった珍しい髪の少女《アキ》は結託した7チームに参加すればよかったと騒いでいる自分のチームメンバーの男4人を横目に、双眼鏡で周りの警戒をしていた。

 

「ごめんね、アキ、初めて会ってから間もないのにこんなところに参加させて」

 

「いいよ、私は、それより、この辺は敵がいないけどどうするの?」

 

「そこの男達次第」

 

────

ラギ目線:ドーム付近

 

「うわっぷ!?」

 

少し急ぎ足で走っていると、レンが思いっきり転んで地面に仰向けに倒れた。

 

「レン、慌てすぎ」

 

「あはは…ごめん」

 

「ラギ、私が偵察してくる、後でついてきて」

 

「ハヅキ?」

 

止める暇もなくハヅキはドームの中の様子を確認しに行ってしまった。

────

ハヅキ目線

 

(………やっぱり)

 

ラギ達より早くドームに向かった私は、自分の体の変化に気がついた。

 

(早く走れるのはアバターのせいなのか分からないけど、もしかしたら《蒼月》がGGOにも来てる……?それに、さっき、わかるはずのない人の気配に気がついた……

 

──俺は、GGOで意識を集中させて人の気配に気がついた

 

「キリトの言ってた事はこういうこと……?」

 

ドームの中、入口付近に敵が居ないことを確認して、私は後ろから来たラギ達に合流。

 

────

ラギ目線

 

(多分、あいつも《超感覚》を習得したんだな……ま、それより今はこの状況だが)

 

先に行ったハヅキと合流し、ハヅキがシステム外スキルを習得したことに感づきながら俺達はドームの中に背を低くしながら入った。

 

「銃声が聞こえる………ラギ、もしかしたら」

 

「ハヅキも気づいたか、多分、3チームが……」

 

「「結託してる……!!」」




ハヅキのキャラを目立たせるにはスキルを習得させるしかない、ということでハヅキは《超感覚》を習得。

7チームの結託、そして各地の動き。

アマゾネス集団もといSHINCと、全く話に関係しないはずの予定だったKKHC(シャーリーのチーム)の会話。
え?アキなんてキャラいなかった?当たり前やん。




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第94話 ピンク作戦【SJpart4】

なぜ、俺達がドームの中にいる集団の結託に気がついたのか、それは簡単なこと。

少し聞いただけでは気づくはずもないが、《超感覚》(本来は《聴音》)のスキルで気配を感じとった限り、ものすごく近くで多人数が銃を撃ち合っていることが判明。

ただただエイム力が低すぎる雑魚プレイヤーならまだしも、それならドームでかくれんぼ、なんてことはしないはずだ。

 

 

 

「銃声が鳴り止まない……?」

 

「よーやくわかった、つまり、やり合ってるふりをして私たちが近づいたところを集団リンチしよう、ってことか」

 

レンとフカ次郎の2人も状況に気がついたらしく、ドーム内の草むらを進む足を止めた。

そしてここでレンが作戦を立てた。

本来、対ピトフーイ用に作り出した()()()()()をここで使い、3チーム全てを全滅させよう、と、容赦ない考えを俺たちに伝えた。

 

「それじゃ、私とフカ、ラギとハヅキでそれぞれ別れて倒そう」

 

「わかった」

 

 

────

「ちょ……なんでおんぶなのさ」

 

「このピンクの煙の中、適当に歩き回るだけじゃ敵に見つかるだろ、いくら超感覚があったとしても、連射が難しいお前の銃じゃ、不利すぎる、少し移動したら俺が光剣の光で位置を伝える、それまでは待ってろ」

 

「………わかった」

 

レンの秘策、それは『グレネードの中にピンクの煙幕を入れてそれを撃って拡散させて敵を翻弄させる』というもの、少し間違えはあるかもだが。

そして別れた俺たちの考えはこうだ。

 

まず、超感覚(聴音)で足音や銃声、声を聞き分け、レン達と敵の居場所を把握、とりあえず判明した敵の位置の近くまで移動し、少しの間だけハヅキと別行動をし、俺が光剣で《ホリゾンタル・スクエア》と同じ動きをして、光の四角を作る、一応、敵の位置を把握しているハヅキが、その光を見たところで俺はハヅキの銃の弾をギリギリで避けて相手に当てる。

と、文字だけで見ればかなり苦労するもの、だが、レン達の《バレットライン》での位置把握とほぼ同じようなもの、と考えれば多分、楽になると思う。

 

「ハヅキ、敵の位置がわかったとしても無理に撃つなよ」

 

「……了解」

 

とりあえず把握を開始し、近くにいる少し大きめな足音の近くへハヅキをおんぶして向かうと………

 

「このピンクの煙、そして仲間たちがどんどん消えていくこの速度、そしてそしてスキャンで出てきたLF……あのSJ優勝者のピンクの少し胸あるAカップロリっ子だよな!そういや、今回は緑のグレネーダーロリっ子もいるよな…あれ、ロリっ子ってなんだっけ……」

 

と、見るからに怪しいハゲのおっさんが上の空で何かをブツブツと喋っていた(聞こえてるけど)

 

「はっ!そういえば、今回のSJ2からは死んでから10分間、死体が残る、それもハラスメントコードも表示されない、さらに観戦カメラも来ない……ということは俺があの二人を殺せば体のあちこちを触ったりあんなことやこんなことをしたり、ちょっ(自己規制

 

黙って聞いていると、このハゲのおっさんはただただロリコンで、変態なだけだった。

 

(Vz61使ってやるか、こいつに……)

 

ほぼ使い慣れてないVz61を使い、変態を撃ち殺そうとしたが、運良く外れて変態は俺たちに気がついた。

 

「ん?お!ロリっ子!……あ、でも男付きか…それに、俺は絶壁はダメなんだよな、少しでもあるぐらいが、あのピンクの兎ちゃんみたいに、あ、でもでも、絶壁でもあの二人を襲う前の前座ぐらいに───

 

この後、1人の男が行方不明になったとか、なってないとか。

 

「絶壁………」

 

「そう落ち込むなよ、ハヅキ」

 

「ロリ………」

 

(ダメだ、これ……)

 

『おーい、お前さんたち、聞こえとるかい?』

 

「ん?フカ次郎?」

 

『今、コヒー……もといレンが大量殺人してるから、多分ほぼ全員やっつけたと思う、とりあえずこっちに合流してくれ』

 

変態1人を潰しているあいだに俺たちの役目は終了していたらしい。

 

 

 

 

「いやぁ……レンの恐ろしさは世界レベルだねぇ」

 

「やめてよフカ……それよりどうしよう……マガジンがほとんど無くなっちゃった…」

 

(………そこにいるのは分かってるんだけどな)

 

フカ次郎達の()()()()2()()()()大量虐殺の話を聞きつつ、いつの間にか積み重なっている死体の上に気配を感じて俺は光剣を向けていた。

 

「なぁ、レン、この死体の山、腹いせ程度に切り刻んでもいいか?この中で何も出来なかったし…」

 

(性別は女……息を殺してるようだが微妙にバレてるんだよな…)

 

「いいんじゃないかな、光剣は減るものじゃないからね」

 

「んじゃ、遠慮なく……」

 

 

「やめんかぁーい!!」

 

死体の上で死体に紛れ込んでいた謎のプレイヤーが恐怖を感じたのか、姿を現した。




あと5話でSJ終わります(最悪な話)

100話でオルタナティブ編を完結させたいな、とか馬鹿みたいなことを考えています馬鹿です。

────
突然だけどここで詳しいスキル詳細(ただし、この作品内でのスキル扱いなので原作との違いは気にするな)

超感覚(システム外スキル)
原作だとキリトが死銃の攻撃を避けるのに使用。
今作では敵の位置把握と何をしてくるかを確認するためにラギがALO、マザーズロザリオ編から使用。
ちなみに敵の位置把握やどのプレイヤーなのかを知るスキルは《聴音》スキル。
キリトが全てをひっくるめて超感覚と呼んでいるせいでラギ達は聴音の存在を知らない。

────
光剣スキル

本来存在しないスキル(俗に言うシステム外スキル)
SAOやALOでのソードスキルの感覚を使い、SSと同じような動きをする(スクエア系は放ったあとに光の四角ができる)

────
次回、一気に話が進みます。
そしてあいつが………?


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第95話 戦況の変化【SJpart5】

起き上がったプレイヤーは宝塚にいそうな男っぽい見た目で、警戒しながら俺の方を見ている。

 

「おっ、死んだフリ作戦………ラギはよく気づいたね」

 

「まさか14人目がいたとは……」

 

「バレちゃあしょうがない、降参、はい降参する!」

 

黒服い服装の女性プレイヤーはそう言いながらレン達の方に向けて土下座をした、と同時に俺の目にはこのプレイヤーの腰についているポーチ……レンと同じ形のマガジン入れが見えた。

が、レンはそれに気づかずにP90をプレイヤーに向けた。

 

「無駄に弾を使いたくないから降参して」

 

「わかった!でもその前に、君たち可愛いよね、そこの黒っぽい目立つ服着てる人(ラギ)以外の3人、良かったら俺と話しない?」

 

「なにーこいつ、すごく面白い、レン、私がグレネードでぶっ飛ばしていい?」

 

「待てよお前ら、この変たi……じゃなくて黒づくめのプレイヤー、腰にP90と同じマガジンを持ってる」

 

残りマガジン数が少ないと言っていたレンが気づかないままこのプレイヤーが殺されたらこの先かなり不利になるかもしれない、そう思い俺は銃を撃とうとしたレンとフカ次郎を止め、マガジン入れのことを話した。

 

「黒づくめって、あんたに言われたくないわ、って言うかよく気がついたね?」

 

「土下座した時に見えた」

 

「うわ、ちゃんと見てるんだね……右手動かして取り出すから少し待って──痛っ!?」

 

マガジンを取り出そうとして右手を腰に動かし、取り出したのは拳銃……だが、それはレンのP90に吹き飛ばされた。

動きだけで見ればかなり早く銃を抜いたが、先に銃を構えたレンの方が撃つ速度が勝ち、女プレイヤーの手からは俺と同じ武器、《FN・ファイブセブン》が落ちた。

 

「ああもう!そこまでするなら殺せよ!ふんっ!」

 

「その前に、ポーチの中身出して!」

 

「わかった……ほら、P90と同じ弾、P90使いじゃないけどね、でも同───

 

「マガジンを出せいっ!今ありったけあるマガジンをだせい!」

 

レンの言いたいことはこうだ。

今の戦闘で大量の弾を使ってしまったところにちょうどこのプレイヤー(多分レン達は男だと思ってる)の持ってるP90でも使えるマガジンを奪い取って使う、ということ。

フカ次郎も同じく理解したようで、なるほど、と頷いていた。

そしてレンはストレージにあるであろうマガジンの存在に気づき、全てのマガジンを要求。

 

「君たち可愛いのに容赦ないね……それに、そっちの黒服の後ろにいるちびちゃんもなんでこっちに銃口向けてるのさ…でも、無理やり奪ったら──

 

「「「言いたいことはそれだけ(か)?」」」

 

フカ次郎を除く俺含めた3人が同時に同じことを口にして銃をプレイヤーに向けた。(レンは無表情で)

 

「うわ怖……特にそこの男、さすがに笑顔でファイブセブンを構えないでくれないか?わかったからさ、それに、大会が終われば俺の元に戻ってくるし…でも、その前にお礼のひとつぐらいしてくれないかな?………キスしてよ、ほっぺたでいいからさ、ピンクちゃんだけでいいから」

 

(このゲームには変態が多いな……ま、こいつは女だけど)

 

この後、レンは約束を守り、このプレイヤーの頬にキスをした。

 

「やったァ!やっぱり女の子のキスはいいわね!」

 

「「…………ほえ?」」

 

いきなり女口調になったことに謎の驚きで変な声が出たレンとフカ次郎は首を傾げた。

 

「そりゃ驚くよね、女だよ、俺。宝塚っぽい見た目のせいで間違えられけど、俺はクラレンス、よろしく…というかなんでそこの2人は驚かないのさ?」

 

(俺は超感覚でなんとなく感じ取っただけなんだけど……ハヅキはどうなんだろ)

 

「仲良くできそうな気がした…だけ」

 

と、ハヅキは謎の答えを出した。

よく考えて見ればハヅキが仲良くしてるのはだいたい女の子、男で仲良くしてるのは俺とSAO帰還者の1部、あとアーガスの上司………

 

「なるほどね…ま、仲良くしようよ、そうだ!今度、そこの男も含めてみんなでお茶会しようよ、こう見えて博愛主───そこの緑の!あと黒男!伏せろ!」

 

話をしている途中、クラレンスというプレイヤーはレンを思いっきり吹き飛ばし、地面に倒れさせ裏切ったのかと思い銃を向けた瞬間、彼女が見せた形相から何かを感じ取り、フカ次郎は言われた通りに体制を低くした。

 

「クラレンス……!?」

 

レン達より少し離れたところにいた俺とハヅキはなぜそんなことを言ったのか理解出来なかったが、クラレンスの状態を見て把握した。

 

「優勝………しろよ」

 

そう言い残し、クラレンスは死んでいった。

そしてその直後、俺の体にいくつかのバレットラインが表示された。

 

(まずい……光剣を出す隙が……)

 

敵の位置を把握したはずだったのに、光剣を出す暇もなく、バレットラインが俺を狙った。

そして遠くから発砲音が聞こえたその直後、持っていた銃を地面に落とし、俺を押し倒して庇う、ハヅキの姿が目に映った。

 

「おい、ハヅキ!そこをどけよ!」

 

「………やっと、守れた」

 

ハヅキはそう言い残し、そのまま俺の上に倒れ込み、【Dead(死亡)】表示を出した。

 

(何が『守れた』だよ……)

 

俺は匍匐前進をしながらハヅキの残した《M24》を拾い、立ち上がってレン達の元に移動した。

 

「ラギ!ハヅキは………」

 

「俺を庇って死んだ……とりあえず、ここから移動するぞ」

 

「待って!あの人にもらったマガジンが……」

 

「レン!そんなことしてる暇無いだろ!今は逃げることを優先──って、ラギ?光剣を両手に持ってどったの?頭狂った?」

 

レンを抑えようとしているフカ次郎は光剣を構えた俺の様子に疑問を持ち、質問を送ってくる。

もちろん、この世界にはソードスキルも、スキルコネクトも存在しない。

……だが、銃弾を切ることならできる。

 

「レン!早くマガジンを仕舞え!俺がお前らを………仲間を守る!」

 

(もう、守ってもらうだけの人間じゃねぇんだ………)

 

─お兄ちゃん。

 

(こいつらを守らなければ人が死ぬ………)

 

発砲音とともに俺は二刀流になった光剣を交互に動かし、全ての銃弾を切り裂き、レン達がマガジンを回収したタイミングを見て早く走れないフカ次郎を背負いながら移動をし始めた。

と同時に相手チーム、MMTMから発砲音が止まった。

────

それから数分、俺たちの元にアマゾネス集団、SHINCの6人が近づいてきた。

 

「逃がしてしまったか……それより、ラギ、お前が出てたとはな、それもまさかレン達と一緒とは」

 

「知り合ってたの?」

 

「……まぁな、だが、ボス、俺は1人でこいつらと一緒に参加したわけじゃないんだよ……そこのチビアバター、それがここ、LFのメンバーの一人だ」

 

この後、色々と話した後、フカ次郎へ挨拶をした後……

 

「それじゃあ、本気の勝負と行こうか」

 

「ごめん、ボス、それにみんな……今、それはできない」

 

「はぁ?なんでさ……」

 

「ボスだかエヴァだか分からないけど、皆さん、今、私たちはピトフーイを倒さないといけないのよそうしないと、リアルでピトフーイが死ぬって」

 

と、フカ次郎が見事に全てを話し、ボスを説得したところで俺らは作戦会議を始めた。

 

「なぁ、ボス、前に、《対戦車ライフル》を獲る時、()()()()()()って言ってたよな?それってもしかして……シノンってプレイヤーじゃないのか?」

 

「ん?あぁ、そうだがシノンさんのこと、知ってるのか」

 

「……知ってるというか仲良しというか…」

 

「んー?シノンって確か、ALOでものすごい弓使いのケットだよな、あの人がボスさん達に今回の秘策とヤラを教えたのか?」

 

「実は、その人以外にもう1人、《アキ》って女スナイパーにも話を聞いて、同じく地下ダンジョンで《ヘカートII》って言うシノンさんと同じ《対物ライフル》を手に入れたらしくて、色々あって手に入れたんだ」

 

「アキ……?そいつはどんなやつなんだ?」

 

「リアルの方を言わなければ、黒に少し青が混ざった感じの髪色で、今、ラギが背負ってる《M24》を持ってるって言ってたな、それで地下のボスモンスターを倒してレアアイテムを手に入れたらしい」

 

「………そうか、そんなやつもいるんだな」

 

(アキ………か)

 

「おーい、ラギさんや、どったの?」

 

「いや、少し昔のことを思い出しただけだ、気にしなくていいよ、それより、そろそろ行こうぜ」

 

「うん、みんな……絶対に勝とう!」

 

こうして俺たちは、『とある作戦』を立てて共闘を開始し、いつの間にか移動しているPM4を倒しに行った。

────

ドームで対戦が始まる数分前…

 

PM4目線

 

「共闘ねぇ………面白いわね」

 

SJ2最大の大量虐殺が始まろうとしていた……




3000文字。

話を詰め込んだらハヅキが死んだよ……ハヅキ……
クラレンスさん、ほぼ出番なし。

M24を手に入れたとはいえ他の武器同様使うタイミングない、はずだよね。
KKHCのメンバーであるアキの武器が2つ判明。
おい、そこのお前、使い回しとかいうな

そして、ラギの反応が変化……アキと知り合いの様子が…?


次回。
書く気なんてないはずだったPM4のピトフーイ達の大量虐殺が始まる!


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第96話 10分間の虐殺【SJpart6】

全体マップ、左下の岩山フィールドでほぼ動かずに暇をしていた前回優勝者を含むチーム、《PM4》はスキャンと同時に謎の興奮を覚えていた。

 

「ピト、暇があるなら端末を出してみてみろ、面白いものが見えるぞ」

 

「ん?……あら?この辺、7チームもあるじゃない、まさか、私たちを数で押し切ろうとでも言いたいのかしら?」

 

「どうだろうな……だが、お前の敵ではない、だろ?」

 

「さぁ?やってみないとね…」

 

スキャンが開始され、端末に表示されたのは岩山フィールドの麓で7チームが結託した様子。

そして、ピトフーイが映し出したのはドームの近くにいる《LF》だった。

 

(レンちゃんと緑っ子の横にいた黒服の男……とその横にいたちびっ子、どこかで見た覚えがあるのよね…確か………)

 

「おいピト、敵のお出ましだ、どうする」

 

「そりゃあ…………殺すわよ」

 

「……わかった、なら、お前に任せる」

 

「あら?いいのかしら?」

 

「暴れ足りないんだろ?なら、思う存分やってもらう」

 

その指示と同時に、ピトフーイこと、魔王は動き出した。

手始めに偵察がてら登ってきた3人を蹴り飛ばし死亡表示をさせ、それを見ていた後から来た数人を蹴散らした。

 

────

観客席

 

その様子を見ていた観客達は圧倒され、少しドン引きしていた。

 

「なんだあの腕力………」

 

「あんなの勝てるのかよ……」

 

「レンちゃん達でも無理じゃね?」

 

「で、でも!俺はレンちゃ──

 

「あんたは黙ってろ」

 

────

 

「や、やめてくれぇぇ!!」

 

「あ、ちょっ!リタイアなんてしないで!……つまらないわね……しょうがない、他のやつをボコボコにするしかないわね」

 

(殺し足りないわねぇ…!もっと……たのしませてくれないとぉ!!)

 

「………ピト、向こう側からまだ、沢山来るぞ」

 

「そっちね!わかったわ!」

 

 

 

それから数分後、ほぼ全滅させたところで残りをピト以外の5人で片付けたところで次のスキャン、つまり、既に10分が経過……逆に言えば10分間で7チームが全滅した。

その後、PM4の標的はシャーリーとアキがいる《KKHC》となった。

 

 

────

KKHC:アキ目線

 

「あんたたちと共闘?」

 

「あぁ、どうかな?」

 

スキャンの後、すぐに私たちの元に《PM4》という前回優勝者を含んだチームがやってきた。

本当はシャーリーと私以外の4人の男に話を任せようと思ったものの、向こう側の人間、ピトフーイという女にすぐにバレて私とシャーリーも話に参加することに。

 

「それで、共闘したとこで、私たちになんの利益が?」

 

「そりゃ、優勝は譲るからさ、あんた達みたいな最強と言ってもいいチームと組めば──

 

「「…………!?」」

 

「……嫌だね、私、そういうの断るわよ?めんどくさいし……共闘なんてつまらないこと、する訳ないじゃない、あんた達はここで死ぬのよ」

 

「みんな!」

 

(……やっぱり…)

 

「シャーリー……私たちだけでも逃げるよ」

 

「………わかった」

 

共闘なんてダメなんだ、仲間なんて信じちゃいけない……

 

────

PM4目線

 

「あら?あの緑髪と青黒の子……ま、どうせ逃げるだけ、ほっとくわよ、とりあえず次は……レンちゃん達、潰しに行こうかしらね」

 

PM4の次の目標、それはレン達のLFだった………が。

 

移動中、見晴らしのいい草原へ出たところでアマゾネス集団、《SHINC》が全員で突撃を開始してきた、と同時にピトフーイは右目を撃ち抜かれた。

 

「ピトフーイ!」

 

「あはは……死ぬよォ!今、死ぬよォ!!………最高…」

 

撃たれたことによる『喜び』により、テンションが上がり、そのままピトフーイは体力をギリギリで残して気絶、その間にもSHINCとPM4の戦闘が始まっていた………




どんどん進むSJ2

10分間の虐殺が早くも終わり、そしてKKHCが半壊。

アマゾネス集団が何故か特攻してきたと思えばどこからともなくピトフーイが撃ち抜かれた。

そしてMとアマゾネス集団の激戦(?)が始まろうとしていた……


ピトフーイの右目を撃ったプレイヤーとは……?

次回、さらに話が大きく進む……!


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第97話 魔王復活【SJpart7】

KKHC:アキ目線

 

(殺す……殺す殺す殺す!!)

 

「あいつは……あんなやつは害虫だ………アキ、M24貸して」

 

「わかった、私たちでアイツらを……」

 

「「駆逐する……!!」」

 

私は地下ダンジョンで手に入れた《ヘカートII》を、シャーリーは私が元々使っていた《M24》を使い見晴らしのいい草原で、唯一草木が生い茂る場所から仲間を殺したあいつ…ピトフーイを狙った。

 

「……死ねぇ!」

 

シャーリーと私の放った銃弾はPM4のメンバーの1人とピトフーイの右目を撃ち抜いた。

 

「やっ………誰!?」

 

「お見事、すごい射撃術だな」

 

撃ち抜いた事を喜ぼうとしたその時、私とシャーリーの横に、黒服の赤髪の赤目の男が片手に光剣(フォトンソード)を持って立っていた。

 

「そこを動くな……すぐに撃ち殺す」

 

「……やってみろよ、アキ」

 

(こいつなんで私のことを……!?)

 

「アキ!どいて!私が殺る!」

 

シャーリーが放った1発は男を確実に命中させたはずだった。

だけど、男は発砲と同時に剣を構え、それを振った、そして………銃弾を()()()

 

「………久しぶりだな、アキ………悪いが、今はここで負けてもらう」

 

(………!?)

 

今、この男は確実に()()()()と言った………

 

「待って!お兄ちゃ───

 

そう、言いかけた瞬間、私たちは後ろから、いつの間にか現れたピンクのちびに撃ち殺された。

 

────

LF:ラギ目線

 

「…………やっぱり、あいつだったか」

 

「ラギ!確実に撃たれたと思ったけど大丈夫?」

 

「あぁ、俺は大丈夫、とりあえず……SHINCのみんなの作戦が生かせたようだし、俺達も俺たちで1チーム、削れたな」

 

SHINCの作戦………それは、俺と一緒地下ダンジョンで手に入れた《対戦車ライフル》を使い、PM4のMの名前のMという男が前回大会で使用した盾を潰す、それだけを目的として、盾を潰したところを俺たちで畳み掛ける………

 

だが、畳み掛ける暇もなく今さっき、ピトフーイをこの2人……《アキ》と《シャーリー》が倒せはしなかったものの体力を確実に減らした。

 

────

それから数分、SHINCの作戦がギリギリで成功し、行こうと思ったらすぐにPM4は近くにあったログハウスへ逃走。

俺達も追いかけようと思ったところであの、ハヅキを撃ち殺した《MMTM》というチームがよく分からない車を使ってログハウスの近くへ接近、そして中に侵入を開始した。

 

「………レン、俺先にログハウスに入る、そしたら」

 

 

 

「……本気なの!?」

 

『そんなことしたらお前さんも……』

 

俺の作戦を聞いてレンと少し遠くにいるフカ次郎が止めようとしてくれた、だけど……

 

SHINCのみんなが頑張って作ってくれたこの機会を無駄にする訳にも行かない、それに……ここで俺が何かをしない限り戦況が変わる可能性も低い……

 

レン達を置いて俺はログハウスの死角からログハウスの入口まで接近し、扉を光剣2本(二刀流)で切り刻み、中に侵入。

 

 

「なっ!お前は………」

 

中に入るなりすぐにMMTMのメンバーに銃を向けられ、ピンチになった……が、今こんなところで争う必要は無い。

 

「待てお前ら、今ここで争ったとこで無駄になるだけだ、ほんとにやりたいって言うなら俺に首を落とされるかPM4に殺されるか、だ、ハヅキを殺したことは許さねぇが…それは今は関係ない、とりあえずPM4を倒すのに協力してくれ」

 

MMTMを説得し、先に行って2階の扉の前で待ち伏せをしてもらうことにしようとした……その時だった。

待ち伏せしている部屋の中から聞き覚えのある……俺が今、手に持っているものと似た音が聞こえ、そして……

 

「なっ!?グアァァ!?」

 

「なんだあれぇ!?」

 

MMTMのメンバー2人を巻き込みながら扉を《斬る》赤い光……光剣の光が煙の中、輝きながら現れた。

 

「………お・ま・た・せ♪」




光剣使いの魔王、ピトフーイ、瞬殺からの復活。

アキとラギが顔合わせ……ますます怪しい二人の関係……
そしてSHINCの扱いが雑になりながらも作戦が終了…



次回、光剣VS光剣!?


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第98話 決死の作戦【SJpart8】

KKHCの2人が目を撃ち抜いて気絶していたピトフーイはそこまで時間が経っていないはずなのにまるで何も無かったかのように完全に復活し、扉の前にいたMMTMを全滅させた。

 

「最っ高ね!……ん?そこにいるアンタは確かレンちゃん達と一緒にいた黒服の男じゃない……まさか、私を1人で倒しに来たのかしら?」

 

「……ま、そんなとこだ…倒せなくても、足止めぐらいにはなるからな……!!」

 

俺は両手に持った光剣をピトフーイに向けて構え、先制攻撃を仕掛けた。

 

────

SJ参加者:酒場

ハヅキ目線

 

参加者が敗北した時に転送される酒場の一角、何故か入ってきた未参加者のプレイヤー(観客)がモニターに映し出されたログハウス内の様子を見て予想を立てている。

 

「……ありゃ、すごい試合になるな」

 

「あれは、実力的にも、ピトフーイが勝つか」

 

「…だな、あっちの、2本持ちのやつは勝てるかわからないよな、先制したのに押されてるし」

 

「どっちが勝つか賭けようぜ!」

 

「……うるさい!!」

 

(………?)

 

さすがに頭にきたから叫ぼうと思った瞬間、私の後ろから青黒の髪のプレイヤーが叫んだ。

 

「ん?なんだ嬢ちゃん……って、KKHCのメンバーの子やん、なんであんたが別チームの、男の応援をするんだ?」

 

「………黙れ」

 

「うお怖……」

 

────

ラギ目線

 

(くそ………片手だけだと思ったが…まさか前後に光剣を出すことが出来るとは………)

 

先制攻撃を仕掛けたもののピトフーイの腕力がかなり強く、防ぎながらの攻撃が出来ず、押され気味になってしまっている。

 

「あら?さっきまでの威勢……どうしたのかしら?」

 

「まだ、この世界になれてなくてな………」

 

(一瞬の隙さえ狙えれば………)

 

ピトフーイに致命傷だけでも与えられる方法、それをログハウスに入る前、光剣以外を使って出来ると考えた。

 

「オラァ!!」

 

「うわっと!」

 

一か八か、左手に持ったB.o.Bの時に買った光剣をピトフーイ目掛けて投げたが、さすがに見切られてそのまま俺の光剣は床に落ちてピトフーイに拾われてしまった。

 

「これ、私へのハンデ?プレゼント?ま、いいわ、これであんたを殺してあげるわ…!!」

 

「剣の1本ぐらいくれてやるよ」

 

「へぇ……あんたの武器、これしかないんじゃないの?私に使わせていいのかしら?」

 

「それはどうか……なっ!」

 

俺は直ぐに《M24》を取り出してピトフーイの足元に銃弾を放った。

 

「危ないわね!」

 

いきなりの発砲でさすがに驚いたのかピトフーイは直ぐに反撃をしてこなかった、が、光剣で防御の姿勢をとって俺の攻撃を防ごうとしている。

 

(そろそろか………)

 

自分の目線、左上の自チームの体力ゲージ、フカ次郎だけ少し体力が減っているが、レンはほぼ無傷のまま、どこかで待機している。

 

そして、時刻は13:10ぐらい。

 

(……あとは任せたぞ、レン)

 

「何する気……ってそれは……!!」

 

「この距離ならノーダメージは無理だろ…!!」

 

俺は腰に付けていたグレネードのひとつを起爆させてピトフーイに近づいた。

 

そして、そのままログハウスのほぼ全てを吹き飛ばし、俺はSJから脱落、ピトフーイとその近くにいたもう1人の仲間は奇跡的に生き残った。

 

────

それから数分後

レン目線

 

「そのままぶつかれぇ!」

 

LFとPM4の最終戦が始まっていた………




まさかの自爆。


そしていきなり次回は最終戦、それも直ぐに湖(?)のバトル。



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第99話 SJ2最終戦【SJpart9】

13:15分:酒場

ラギ目線

 

「………なんで、お前がハヅキと一緒に居るんだ」

 

「んあ?あ……ダメ?」

 

転送された先、参加者達が送られる酒場の角、よくわからない飲み物を飲みながら話しているハヅキとアキの2人がいた。

 

「……ま、いいか、余計なことは言ってないだろうな?」

 

「まぁね……それじゃ、私はお先に失礼するよ、またね、ハヅキさん」

 

「あ、うん……」

 

少し遠くから俺たちの様子を見てきたシャーリーというプレイヤーの元に行き、そのままアキは酒場を後にして外に出て行った。

 

「ハヅキ、あいつと何を話してたんだ?」

 

「………?何も話してないよ?」

 

「それならいいが……それより、レン達は……」

 

モニターには、湖のような場所でレンとピトフーイがやり合っている映像が流れていた。

 

────

レン目線

 

「3位なら、ピトさんに上げますよ」

 

「いらないわ、私は優勝しか、それに、この世界で死ねば、現実で死ぬぐらいに本気で命をかけてる……だから優勝したい、って感じかしらね?」

 

「遊びであるゲームに命を賭ける……あの、《ソードアート・オンライン》みたいにですか?それって……

 

「それって?」

 

「すっごくバカげてますよね!あんな伝説級のクソゲーを遊ばなくて良かったぁ!」

 

「……レンちゃん……!!」

 

ほぼふざけ半分であのゲームのことを馬鹿にして、ピトさんに動揺を作って隙を狙いナイフで足と首を攻撃した。

 

 

 

それから2、3分が経過し、ハンヴィーで追いかけっこをしていたフカとMさんが私たちの元に来た、けど、フカは手を縛られてさらに口をガムテープみたいな何かで塞がれていた。

 

「ちょっと、その手に持ってる銃貸して、そこのちっこいお仲間ちゃんを……」

 

ピトさんはフカの方に銃を向けてそのまま2発放った。

さすがに見たくないと思って目を閉じてたから開けると……撃たれたのはフカではなくMさんだった。

 

「そいつは、緑っ子がハンヴィーで近づいてるのに気が付いてたのよ、それと、アマゾネス集団をわざと全滅させたり、私とあの、光剣使いの男がやりあってる時にこっそり見てたくせに手出しせずにグレネードが爆発してから私を助けに来たり、ね」

 

──今まで1度でも、誰かを愛したことがあるか?自分の命を全て捧げてもいいと思える、そんな相手と愛し合ったことがあるか?

 

(Mさん…………)

 

「さてと、最後に言い残すことは?」

 

「……愛してる」

 

「知ってる、でも、ゲームに愛は持ち込み禁止」

 

そう言ってピトさんは最後にもう1発、今度は頭に銃弾を当てた。

 

そのままMさんは死亡表示がされた。

 

 

 

 

それからさらに2分ほど

 

私はナイフで攻撃を出来ると思い近づいたところでピトさんに手を掴まれてほぼ抵抗できない状態になってしまった。

 

「レンちゃん捕まえた……さーてと、ここでトドメを指しちゃおうかしらね?」

 

「………フカ!」

 

ラギがいつの間にか渡してくれたナイフをフカに渡したのがここで生かせた。

 

「へへっ………」

 

「この……これならどうよ!」

 

フカにピトさんを襲わせようと思ったけど、ピトさんもそう簡単にはやらせてくれず、私をフカの方に向けて盾として自分を守ろうとしてきた。

 

「フカ!切れ蹴れ!」

 

「おうよっ!」

 

フカに伝えたこと、それは……

 

「手を切っ──ぐあぁ!?」

 

抑えられている両手を切って、そのまま私を蹴れ、ということ。

 

「うがあっ!」

 

ピトさんの元まで飛んだ私はそのままの勢いでピトさんの首に噛み付いた。

 

「……まさか、ここまでやるとはね……私、このまま死ぬんだ」

 

「死にませんよ、ピトさんは死なない、Mさんのリアルに全て聞きました、ピトさんはえすSJ2で負けたら、リアルで死ぬ気だって、でも……そんなことさせない」

 

「あのバカ……そうだ、前の約束、リアル出会うってこと、守ってあげるよ……」

 

そのままピトさんは死亡表示が出てPM4は全滅した。

その直後、私とフカは後ろからチーム《T-S》という生き残りに撃ち殺され、優勝は逃した。

 

────

酒場:ラギ目線

 

7万発の銃弾が飛び交ったSJ2はどこからともなく現れた謎のチームが優勝を奪い終了。

 

その後、俺達LFは合流し、リアルのメアドを教えて貰ってそのままログアウトした。

 

「SAOのこと、話さなくていいの?」

 

「どーせ、しばらくしたらまた会うし、その時にでも話せばいいだろ」

 

────

現実世界に戻った後、いきなり6人組の女子にカフェに連れていかれたり菊岡が何かしらの研究を開始したりと色々とあった。

 

そして、SJ2から約2週間後の日曜日、Mのリアルに呼ばれ、都内の某空港でとりあえず待ち合わせをするとレンのリアル……香蓮からメールが来て、俺と葉月は一緒に空港まで足を運んだ。

すると、待ち合わせとなった目印のある場所に背の高めな女子ひとりと、赤ふちメガネの女子が楽しそうに話していた。

 

「あ、あなたが春揮さんで、そっちが葉月さん、だね?」

 

「おお、リアルでもちっこいのか」

 

「……うるさい」

 

「お前らが香蓮と美優か……よろしくな、それで、Mさんとやらのリアルとの待ち合わせ場所は?」

 

この後、俺たち4人は空港から近くのビルの近くに移動した。




あっという間。

すごくあっという間。


さて、次回でついにSJもといSAOオルタナティブ編が終わるんですよ、早いねぇ…



篠原美優と小比類巻香蓮、自己紹介は移動中にした、ってことにしといてね。


P.S.

SAOロストソング買いました


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第100話 拍手【SJpartLAST】

都内某所、ビル近くの駐車場

 

春揮目線

 

香蓮が指定された場所には黒い高級そうな車が1台、そしてその中に傍から見れば怪しげな男が乗って、俺たちの方を見ている。

俺はその男の横、助手席に乗り、女子3人は俺の後ろに香蓮、男の後ろに美優、その間に葉月が乗った。

 

「あなた方とは初めましてですね、僕は《阿僧祇豪志(あそうぎごうし)》、PM4のMです」

 

「俺は春揮、あんたとは大会の開始寸前に少しだけ顔合わせしただけだな、あのゲーム内ではラギだ、それで、女子二人の間にいるちっこいのが葉月、プレイヤーネームも同じハヅキだ」

 

「それで私があんたにガムテで捕まったフカ次郎、もとい篠原美優、よろしくねぇ、お兄さん」

 

香蓮以外は初対面、ということでそれぞれ(葉月は俺が)自己紹介をして()()()へ出発。

 

その道中、ちょうど高速道路に入り始めた頃、豪志さんがピトフーイの中の人との出会い(ストーカーとドM的反応の話)を語り始めたところで俺はとある質問をした。

 

「どんな出会いなのかはわかった、ところで1つ聞きたいんだが、ピトフーイの中の人間はなんでGGOに、VRに入ろうと思ったんだ?」

 

「香蓮さんから聞いてないんですか、彼女は4年ほど前、2022年、11月6日……」

 

「「まさか……!?」」

 

豪志さんから出た日にち、それを聞いた俺と葉月は同時に驚きの声を上げた。

その日にちは俺と葉月、全《SAO生還者》にとっては忘れることの出来ない日………

 

「……SAO正式サービス開始日、か、それでその日にピトフーイのリアルは何があったんだ?」

 

 

 

詳しく聞いたところ、ピトフーイのリアルはSAOのβテストに参加した、が、どうしても外せない事情が正式サービス開始日と重なり、SAOへの参加が出来なかった。

 

「ピトは死ぬことの憧れを昔から持っていて、SAOがデスゲームへと化したあの日、怒り狂い、暴れに暴れまくった後、僕も巻き込まれつつ、色々なVRゲームを遊びまくりました。そしてあの日から2年、SAO帰還者と呼ばれる人達が口に出した《プレイヤーキラー》をするギルドの存在を知り、そして彼女は『自分も同じように人を殺せた』『正義の名の元に人を殺すことが出来た』と悔やみ始めました、それと同時に『ゲームで死ぬことが出来──

 

「待てよ、豪志さん、それ以上は言わなくていい………」

 

「そうですか、分かりました……それより、春揮さん、ですか、僕の話を聞いてもかなり冷静ですね」

 

冷静……そう言われれば間違いだ、豪志さんが話した《PKギルド》の1つに長期間参加していた人間がこの空間にいる、それだけじゃなく《SAO》という存在を『人殺し』と『自殺』のために使おうとしている人間の存在を聞いた、後ろを見た限り葉月は俺の方を見て少し慌ててるし……

 

「……豪志さん、香蓮、美優、お前らに話すことがある」

 

さすがの葉月も俺が何を言うのかわかったみたいで止めようとしてくれているけど……

 

「…豪志さんが言った《PKをするギルド》、その中に葉月がしばらくの間、参加してた」

 

「春揮……!!」

 

「……それともうひとつ、俺はSAOの開発会社《アーガス》の仮社員、そして俺と葉月は《SAO帰還者》だ」

 

 

 

数分の沈黙が車の中に走った後、1番最初に口を開いたのは香蓮だった。

 

「話が入ってこないんだけど…葉月がその……」

 

「でも、仲良くしてるってことは何かしらの事情があったんやないん?じゃなけりゃここにはおらんやろう?」

 

「……………」

 

「誤解を生む前に言っとくけど葉月は望んでギルドに入ったわけじゃない、これ以上は言えないけどな」

 

「葉月さん……ごめんなさい」

 

この後、葉月は自分でSAO時代、俺はアーガスで何をしてきたのかを話し、そのまま現在まで(SAO帰還後数ヶ月の話)を話したところで目的地である都内にある少し大きめなライブハウスに到着した。

 

「葉月、さっきはごめんな」

 

「いつか話さないといけないから、大丈夫……それよりここって…」

 

ピトフーイのリアルがいる場所、ライブハウスの前の看板には『神崎エルザLIVE』と書かれた看板が置かれていた。

 

(神崎エルザ……やっぱりか……)

 

「どうしたの春揮?早く入ろうよ」

 

「あ、あぁ……」

 

あんな話をしたあとなのに妙にテンションが高い気がする葉月に引っ張られて俺はライブハウスに入った。

そこでは既に神崎エルザのライブが行われていて横にいる女子二人は目を輝かせながら何かを話し、葉月は静かに聞いている。

 

 

その10分ほど後、豪志さんについて行った先、神崎エルザの楽屋へ招待され、入った。

中にはテンションの高いおばさんと神崎エルザの二人がいた。

 

()()()()だな、神崎エルザさん」

 

「……君は確か…アーガスにいた……」

 

「如月春揮、それが俺の名前だ、神崎エルザ……いや、ピトフーイ」

 

「やっぱり君も気がついてたんだね、そういえばそっちのおチビちゃんもアーガスにいたね……まさかSJに参加してくるとは……で、香蓮ちゃんはなんで拍手してるの?」

 

香蓮はピトフーイのリアルが神崎エルザということを知ってたのか知らなかったのかはわからないけど、いきなり拍手をしだして神崎エルザへ称賛の声を上げた。

その後、香蓮と神崎エルザが色々と話した後、神崎エルザは再び俺の近くにやってきた。

 

「何か言いたげな顔だけど、どうしたのかな?」

 

「よく気がついたな……最後に一つだけ聞かせてくれ、なんで《VR》で死を求めるんだ」

 

俺が放ったこの一言で楽屋の中に居る全員が俺と神崎エルザの方に顔を向けた。

 

「死を求める……かぁ…どうしてだろ───

 

「……ひとつだけ言う、 VRは死ぬために作られたもんじゃない、あの世界は人を殺すために生まれたものじゃない」

 

「春揮……」

 

「……それだけだ、じゃあな」

 

 

この後、ライブハウスを後にし、俺たちは豪志さんに送ってもらい、それぞれ帰ることに。

 

 

────

如月家

 

「春揮……アーガスからメール」

 

「……『企業秘密としてしばらくの間出勤しなくていいよ!多分6月の初めぐらいまでかな?ダスヴィダーニャ〜!』って、アーガスと言うより七色さんだよなこれ……」

 

ダスヴィダーニャ、確かロシアだかイタリアだかの言葉で『さよなら』とかそういう意味だったはず。

というか企業秘密ってなんだ?

 

「しばらくの間暇だな……葉月はどうする?」

 

「そろそろ学校行こうと思うけど……」

 

「そういや、ここ数週間行ってなかったな……行くか」

 

次の日、俺たちは学校へ行くことにした。

 

────

その日の夜。

俺はまた、同じ夢にうなされていた。

 

「………またこの夢か…」

 

それは俺がSAO時代、しばらくの間入っていた、弱小ギルドで起こった事の記憶だ。

 

 

 

 

彼女たちとの出会いは《第6層》に入ってすぐの頃だった。




SJ編完結。


話がまとまらなくてすごい雑になった気がするのは気のせいじゃないよ。
葉月の立ち直りが早かったりその他色々とあったり、こっそり登場した神崎エルザさんとの会話が短かったり色々とあるけど完結!

そしてついに100話!!

次回から数話、過去回、オリジナルストーリーとなります。

更新が少し止まります、ごめんなさい。


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SAO・夕立の霧雨編
第101話 悪夢【夕立の霧雨】


実は今日は葉月の誕生日


 

ここ最近、懐かしい夢を見る。

なんで今更こんな夢を見るのかわからない、忘れていたはずの《SAO》での思い出……

 

『夕立の霧雨』というギルドと過ごした思い出を──

 

────

4月20日(月曜日)

 

「春揮、そろそろ起きて」

 

「ん……?」

 

懐かしい夢から覚め、目を開けると俺の横に制服姿の葉月が立って俺を起こしてくれていた。

 

「おはよ、葉月……そういや、学校に行くって話だったな……まだ少し時間あるけど」

 

「おはよう春揮、それより……すごくうなされてたけど大丈夫?それに春揮、泣いてる」

 

葉月に言われ、目に触れると俺は何故か泣いていた。

 

「そんなにうなされてたのか俺……」

 

「うん……『シズク』とかなんとか言ってたよ」

 

「シズク……か」

 

涙流してるってことは今の俺からすればあの夢は悪夢ってことになるのか……

 

「春揮、シズクって誰なの?」

 

「学校の休み時間にでも話すよ」

 

布団から起きあがり、リビングに掛けてある制服に着替え始めつつテレビをつけると少し気になる話がニュースで流れていた。

 

『オーグマー、ついに販売開始』

 

数日前に発売を開始した《オーグマー》という機械、新生ALO開始日に空が俺たちをハメたときにつけていたが、本当に発売されるとは……

 

「そろそろ行くか」

 

着替えを終えてニュースを見ていたらいい時間になったため、俺と葉月は学校へ向かった。

 

 

────

SAO帰還者学校

 

学校に着いた俺と葉月はいきなり先生に呼ばれ職員室へ連れていかれた。

 

いくらなんでも休みすぎたことを怒られるのかと思ったら俺と葉月にとある箱が渡された。

職員室を後にして教室に入った俺達はその箱を開けた、すると箱の中には数日前に発売された《オーグマー》と《オーディナル・スケール》を起動するための機会のセットが入っていた。

 

どうしてこれを配られたのかと思いすぐ近くの席に座っている和人に聞いた。

 

「春揮達も含めたSAO帰還者、学校に通ってる全員にオーグマーが配布された、なんでなのかは全くわからないけどな」

 

学校の生徒全員に『無料』で配布されたらしく、久しぶりに来た俺たちにも配布された…という事だ。

とはいえ校内での使用は禁止されているため、どんな機能があるのかなんて全くわからない。

 

 

(後でセブンさんに解析頼んでみるか……)

 

────

昼休み:中庭

 

授業だったりサークル活動(和人と同じやつ)をした後、昼飯を食べようと俺と葉月は学校の中庭に移動した。

 

「春揮、今朝の話……」

 

「あぁ……話すか」

 

 

シズクというプレイヤー、《夕立の霧雨》というギルドとの出会いはSAO5層攻略後、6層に入った直後、キリト達と別れたタイミングで話しかけてきたのがきっかけだ。




お久しぶりです、今日は設定上、葉月の誕生日です。
この日を狙ったわけじゃないけどいい日だから更新しようと思い更新しました。
ここで一言

東京も夏休み終わるよねそろそろ(やめろ)



今回から新章です、久しぶりに書いたから今までより違和感あるかもだけど許してね

OS編とSJ編の間の話です、余談です、『オリジナルストーリー』です。

第5層のボスとか6層の色々あるけどオリジナルになります、気をつけてね。


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第102話 偶然の出会い【第6層part1】

1層攻略から1ヶ月と2週間ほど経過した頃

SAO第5層ボス部屋(ルシハ目線)

 

──Congratulation!!

 

第5層の階層ボスを倒した俺、キリト、アスナ、風林火山のメンバー、その他攻略率先組は1人の犠牲も出さずにボスを攻略したことを喜びながら次の階層へと足を運んでいた。

 

「お疲れ様、アスナ、ルシハ」

 

「あぁ、お疲れさん」

 

階層を移動して第6層へと足を踏み入れた俺達はすぐに転移石のアクティベートを終わらせた。

 

「よし、アクティベート完了、他の層にも行けるようになった」

 

「それじゃ、俺達は先に進む前に一旦はじまりの街に行こうと思うけど……ルシハはどうする?」

 

「俺は先の様子を見てから行こうと思う……見た限りここは……」

 

俺はマップを開き第6層の名前を確認した。

 

《空中庭園:イルグラム》

 

周りを見渡すと普通に大きなフィールドと思えるが、第5層までは初期位置からでも見えた《迷宮区塔》が目視では確認が出来ない、それだけでなく空は快晴、名前からすればここは1つの浮島(空)の上にいるはず……

 

「ここの探索は今はルシハに任せる、俺達も後で合流する」

 

「わかった、また後でな」

 

6層へと入った俺達はキリトとアスナははじまりの街へ、俺は探索を進めることにし、他のプレイヤー達もそれぞれに行動を始めた。

 

────

それから数分後、見晴らしの良い場所に出た俺はこのエリアの全体を確認した。

 

(このエリアには迷宮区塔が無いのか……?ここから見える限りだとここは雲の上、庭園って名前にぴったりなフィールド、だけど島自体は4個……そしてこの島にはモンスターが小さい青スライムだけ……か)

 

モンスターの種類を確認したりどこまで進めるのかを確認したりした俺はとりあえずクエストを受けに行こうと思い転移石のある場所に戻ろう……と思ったその時。

 

「……そこにいるのはわかってるぞ」

 

戻ろうとしたところでキリトに教えてもらった《索敵スキル》に誰かの気配が割と近くで反応し、反応した方向にあった木に向かい《デビルライトハンド》を構えた。

 

「そんなに怖い顔しないでよ、というかよく気がついたね?」

 

「そりゃ、3人も固まって同じ場所に隠れればバレるでしょ」

 

「隠密スキルも使ってないからねぇ…あ、ごめんね」

 

木の後ろから出てきたのは3人のプレイヤー、1人は小柄なショートヘアの女の子、そして残り2人のうちの1人は背中に片手剣を背負った男、もう1人は2人とは違い図体のでかい盾を持った男。

 

「いきなりごめんね、私は《シズク(shizuku)》!」

 

「ホント、いきなり過ぎるだろ……あ、()は《ライム(Lime)》」

 

「こんなに体でかいから強いと思われるけど実は臆病、俺は《ゴウ(gou)》」

 

木から出てきた順に自己紹介を始めた3人と同じく俺も自己紹介をして何故俺を尾行したのかを聞いた。

 

「……つまり、俺に《夕立の霧雨》ってギルドに入って欲しい、と、それでキリト達と別れた瞬間に話しかけようと思ったらものすごい速度で移動されてやっと追いついて様子を見てたら俺の索敵スキルにみつかった……と」

 

「うん!」

 

「……で、そのギルドのメンバーってのは?」

 

「私たち3人だけ」

 

「……は?」

 

「その辺に関してはシズクじゃなく俺から説明する」

 

いきなりギルドに入って欲しいと言われてメンバー誰なのかと思えばここにいるシズク、ライム、ゴウの3人だけ……

追加でライムの話を聞いた限りこの3人はリアルで仲良し3人組で、SAOβテストに3人で受かったからナーヴギアの発売と同時にSAOを買って正式サービスに3人でログイン、そして見事に茅場晶彦の性でこのゲームに囚われてしまった、けど諦めたくないからボス攻略に積極的に参加しようと2層攻略が終わった頃に決めて3層から参加を開始、だけどほとんど戦力外で終わってしまい、探索もほとんど出来ないからそろそろ誰かに手伝ってもらいたい、と考え始めながら第5層攻略に参加していい人を見つけてその人に頼もうと思ったら俺を見つけてライムは止めたけど無視してストーカー行為をして今に至る……と、SAOの規則的にはリアルの話は禁止のはずだけど

 

「こんな理由なんだが、手伝ってくれないかな」

 

「俺は構わない……けど」

 

「………けど?」

 

俺はひとつだけ、迷いがあった。

1か月前、俺は目の前で1人のプレイヤーを見殺しにした、その経験もあるせいでキリト達や一緒にパーティを組んだアルゴ(現在はどこにいるか不明)以外とはほとんど組むということは避けてきた、もし、もう一度誰かを失うなんてことにはなりたくないからだ……けど

 

 

「わかった、お前ら《夕立の霧雨》に力を貸すよ、これからよろしくな」

 

「「「やったぁーー!!」」」

 

1層の時から持ってた悩みを断ち切り俺はギルド《夕立の霧雨》へと加入した。




シズク
性別:female
Lv.28
武器:片手剣

ギルド、夕立の霧雨リーダー

────
ライム
Lv.29
性別:female
武器:片手剣

ギルド内1番の戦力(ルシハを除く)
────
ゴウ
Lv.28
性別:male
武器:片手斧、盾

2人を守ってくれる優しい防御役、ビビり

────
ルシハ(仮加入)
Lv.36
性別:male
武器:片手剣、双星剣(スキル)

主人公


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第103話 数の暴力【第6層part2】

第6層

 

「ゴウ!周りの状況を見て敵の攻撃を防いでくれ!」

 

「おっ、おう!」

 

ギルドへの加入をした俺はとりあえず全員の戦い方を確認するために俺を先頭に6層の奥へ進むことにした……が

 

「いやぁぁ!!ルシハー!助けてぇー!!?」

 

最前線ということもあってなのか周りにはほとんどプレイヤーも見かけない、だけならまだしも6層のモンスターは一体を攻撃すれば周りのモンスターも攻撃したプレイヤーに向かって来る、ソロプレイヤーにとっては嫌がらせだとしか思えない。

 

「はあァァァ!!」

 

ソードスキル:ホリゾンタル・スクエア

 

シズクとライムの周りに群がった大量の青スライムを蹴散らし俺達は一度、転移石のある場所まで戻った。

 

 

 

────

数分後

第6層:転移石前

 

「いやぁ……ダメだね」

 

「まったく…あのスライム、攻撃した瞬間に大量に湧き出て対処できないから驚いた、それにしてもルシハ、片手剣ソードスキルだけでよくあそこまで倒せたよね」

 

俺がアスナに予備としてもらっていたパンとキリトから受け取った秘密の調味料(多分バター)を3人に渡して休憩兼反省会をしていた。

 

「最前線に突っ込むのも無理があったかもな、俺もまさかスライムが集まってくるとは思わなかったし初見なんだからしょうがないよ」

 

まだ3人には伝えてないけどβテストや‪α‬の時とは第1層以外はほぼ全て変化しているせいで攻略を簡単に出来るほど甘くない設定にもされている……

 

「ルシハはほんとに強いよね〜……そう言えば、ルシハって面白い名前だよね」

 

「確かに、ルシハ……ルシファー……?」

 

「どうしてルシハって名前にしたんだ?」

 

どうやって攻略するかを考えようとしたところでいきなり名前の由来を3人(特にシズク)に聞かれた。

とはいえ特にこれと言った名前の意味は無い、ただ単にかなり昔、リアルで神話系の話を聞いた時のルシファーとやらに憧れて名前をつけただけなんだけど……

 

「そんな理由なのか……俺はてっきり闇堕ちでもするのかと」

 

なんとなく口にしたらライムには聞かれたらしく闇堕ちするとか言われたけどたしかにルシファーってそんな扱いなのか、いや、どんな扱いだ……?

 

「ルシファーって俺的には()かな、ルシハも光を与えてくれると信じてるよ」

 

「ライム……?」

 

「何話してるのー?もう一回6層の攻略行こうよ!」

 

「「いや、待てよ」」

 

一瞬、ライムが暗い表情をしたと思ったその時、名前の由来を知ったシズクが俺たちの間に入って先に進もうとした、のを同じタイミングで俺とライムがツッコミを入れた。

 

「なんでダメなのさ…」

 

「いや、ダメとは言ってないだろ、とりあえずは俺達の戦い方をしっかりと知らないとだめだろ」

 

「ライムの言う通りだ、今のままだとさっきと同じように大量のスライムに襲われるだ───「3人とも!こっちに来てくれ!」

 

どうやって進むかを考えていると周りを見ていたゴウが俺たちを呼んだ。

呼んだ方向は俺達が一度行って戻ってきた方向……マップ的には先に進むための道なんだが……

 

「ルシハ、あれ………」

 

シズクが指さした方向には……

 

「嫌だァー!!死にたくな──

「なんでこんなにいるんだ──

 

さっき俺達が襲われたヤツらと同じ青スライムの集団がプレイヤーを襲ってそのまま襲われたプレイヤーはHPが切れて消滅した。

それだけなら無謀に突き進んだことが悪い、と思われるがそれだけではない……

 

「ライム!シズク!ゴウ!今すぐあのスライムを片付けるぞ!」

 

「「「わかった!!」」」

 

(戦闘のコンビネーションがまだわかりきってないのにまさか………)

 

奥の方のフィールドには青スライムが大量に発生していた。




人数多いと書きずらいよね、うん。

第6層を攻略しようと先に進んだ夕立の霧雨、だが大量のスライムに襲われ後退することに。

余談を挟みしばらくしたあと進むか進まないか考えているとなんとフィールドに大量のスライムが湧き出した……


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第104話 最前線の死闘【第6層part3】

「ルシハ!スイッチ!」

 

「わかった!」

 

ソードスキル:ホリゾンタル・スクエア

 

突然湧き出した大量の青スライム達を少しずつ減らしながら俺達はそれぞれの戦い方をしっかりと確認し、《スイッチ》を確実にできるようになり、さらにスライムを蹴散らすことに成功した。

と、喜んでいる暇なんて与えないと言わんばかりにスライム達がさらに湧き出して俺たちの元へと近づいてきた。

 

「これじゃあキリがないよ!どうしよう、ルシハ」

 

「ここまで大量に湧き出してるんだ、多分だけどこいつらを生み出してる何かがあるはずだ、それを探し出すまでは出来る限り倒して先に進む」

 

(って言ったがここまで数が多いとさすがに4人で進むのは難しいよな……)

 

俺は3人よりも先にスライムの元に突っ込み、スライムを倒しつつ()()()3()()にメッセージを送った。

 

「ゴウは2人をできるだけ守ってくれ、ライムとシズクも無理をしないでスライムを倒してくれ」

 

「わかった、だけどルシハだけに任せるわけにはいかないだろ、俺も、シズクもゴウもほかのプレイヤーには適わないけど前線で戦えるだけの戦力はある」

 

「………無理だけはしないでくれよ、ライム」

 

「もちろん、でもそれはこっちからも言えることだ」

 

────

それから数分後……

 

「ルシハ!」

 

3人より少し先を進んでいた俺は倒し損ねたスライムに気づかず、3人がスライムの集団に囲まれて身動きが取れない状況になってしまった。

それだけなら俺がソードスキルで倒せばいいものの、後ろに戻ろうとしたところで俺と3人の間にさらにスライムが現れ、3人の元へ行くことが出来なくなってしまった。

もし、ここが普通の地上エリアならともかくここは浮島、スライム達を避けて3人を助けようとして、もし弾き飛ばされたりでもしたらそのまま浮島から飛び出して落下、そして死亡……なんてこともあり得る。

それを考えれば無理して突っ込みたくはない……が、身動きが出来ない3人を早く助けないと3人が危ない……

 

(こうなったら使うしかないか……)

 

「ルー坊!それとそこの3人!助けに来たゾ!」

 

あのスキルを使おうか迷っていると俺達が進んできた方向からものすごい速度で走って来て俺の名前を呼んだ今までどこにいたのか全くわからなかったあいつ……《情報屋》アルゴが3人を囲むスライムを蹴散らした。

 

3人の無事が確認できたところで俺は自分の近くにいたスライム達を倒して3人とアルゴの元に移動した。

 

────

体力が黄色ゲージまで減った3人は回復をしながらアルゴの自己紹介を聞いたり自分たちが自己紹介したりした。

 

「それにしてもアルゴ、今までどこいってたんだ?第5層入って直ぐにどっか行ってそのまま全く姿も見なかったけど」

 

「ルー坊達、攻略を急ぐプレイヤー達とは違って情報を売ったりしててナ、メール来てたことには気がついてたガ、中々都合が合わなくて、今になって合流、ってことダナ、ちなみに、オレっちだけがここに来たわけじゃナイ、もう少ししたら追いかけてくると思うゾ、それまでオレっち達はこの異常発生の原因を倒しに行く」

 

「原因が分かってるのか?」

 

「オネーサンは情報屋だゾ?甘く見られたら困るナ、《夕立の霧雨》なんてギルドはまだ聞いてなかったけど……とりあえず原因がいるであろう場所まで移動するゾ」

 

今までいなかった分、アルゴが何かしらの情報を持ってきたと信じて俺たち4人はアルゴについて行った、その間にライムが質問を……

 

「ルシハとアルゴさんはどんな関係なんだ?情報屋とプレイヤーが一緒に行動してるってなかなか聞かない話だけど……」

 

「まぁ、確かに情報屋とプレイヤーがパーティ組むって聞かない話だよな、俺とアルゴの場合はちょっとした条件付きでパーティを組んでるんだ、ほとんどソロ行動だけどな」

 

アルゴと俺の関係に関して色々と話しているとアルゴが立ち止まり、とあるものを指さした。

 

「これは………転移石か?」

 

「そう、ルー坊なら気が付いてると思うケド、第6層は浮島エリアになっていて初期位置からだと迷宮区塔が目指できナイ、これから先に進むにはこの転移石を使うらしいんだヨ」

 

転移石、と言っても各層をつなぐやつとは違う種類で、簡単に説明するならワープ装置だ。

 

「それよりアルゴ、メッセージ送ってからすぐに来たよな」

 

「ルー坊の頼みだからな、それより夕立の霧雨の3人は先に進むカ?」

 

「もちろん、ルシハだけを行かせるわけにはいかない」

 

「私も賛成!」

 

「防御役は1人ぐらい必要だろ?」

 

「いい意気込みダ、ルー坊はいい仲間を持ったナ」

 

「まぁな、それよりみんな、一応戦闘態勢は整えてくれ、この先はまだ未知数だ、行こう」

 

全員の準備が整ったところで俺たち5人は転移石に触れた。

 

────

第6層《空中庭園:遺跡エリア》

 

眩い光とともに転移させられた先に広がっていたのは狭い通路が何本も伸びた空中に浮かぶ遺跡。

その道中には転移前と同じように青スライムが大量に湧いていた。

 

「ルー坊、あれが大量発生の元凶だヨ」

 

アルゴが指さした先、少し遠くにある遺跡の中心に次の層へ行くための転移石が見えた。

そしてそれを守るように転移石の前に今までのとは比べ物にならないデカさのスライムが青スライムを生み出していた。

 

「転移石の前に居るってことは、あれは階層ボスなのか?」

 

「で、でも、各層には塔があって、その中に階層ボスがいるんじゃないっけ?」

 

ライムの言う通り、次の層への移動手段である転移石の前にあのスライムがいる、つまりはあいつがこの層のボス、ということになるはずだが……

シズクの言った通り各層は迷宮区塔が存在して、それを登って行った先でボス部屋へと到着する、そしてその中にボスがいるはずだ。

 

「ルー坊もわかってナイってことは、やっぱりβテストとは違うんだナ、この層は迷宮区塔は存在しない、その代わりにこの遺跡が迷宮区なんダヨ」

 

「……つまり、俺たち夕立の霧雨とアルゴだけでこの迷宮区を突破するのか」

 

「「それは違う(わ)」」

 

「やっと来たのカ、結構遅かったナ、キー坊にアーちゃん」

 

後ろから声をかけられて全員が振り向くとそこには1層に戻ってあと、さっき俺がメッセージを送った2人……キリトとアスナが立っていた。

 

「ここは迷宮区なんだろ、話は聞いた、ここで提案なんだがルシハとそこの小ギルド、俺とアスナとアルゴの2手に別れてボスの元まで行こうぜ、その方がそっちのギルドメンバーはいいだろ」

 

「その前に自己紹介でしょ」

 

夕立の霧雨のメンバーとキリアスがそれぞれ自己紹介を終えた後、キリトの提案を3人が呑んだことでこのエリアを2手に別れて攻略することに。

 

「ルシハは仲良しな人が多いね」

 

「ライム?急にどうしたんだ?」

 

「……いや、なんでもないよ、それより早く行こう」

 

ライムがまた気になることを口にした気がしたけどそのままのノリでライムに押し切られてしまい先に進むことに。

 

────

そしてそれから数分後。

 

「一通り確認は終了したな、そっちも終わったみたいだし……どうする」

 

「俺達はボスに挑もうと思う、無理に突っ込むわけじゃないけど」

 

「夕立の霧雨のメンバーもみんな了承してくれたんダロ、オレっち達もそのまま挑む気ダ」

 

ボスは青スライムの親玉、こいつを倒せば次の層、7層まで行ける。

 

「よし、みんな、このまま挑もう、そして………絶対に勝とう!」

 

こうして俺達は7人で第6層ボス攻略を開始した。




アルゴキタ━(゜∀゜)━!
キリアスキタ━(゜∀゜)━!

ホロフラ進めたらわかったけどホリゾンタルスクエアって熟練度かなり上ないとダメなんだね、ま、ルシハは6層で使ってるけど

次回、第6層ボス戦!


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第105話 VSブルーインパクト【第6層partLAST】

「ゴウ、スイッチ頼む!」

 

「お、おう!任せろ!」

 

第6層階層ボス、巨大青スライムこと《ブルーインパクト》との戦闘を始めた俺達はパーティ唯一の盾役のゴウに相手の攻撃を防いでもらった。

 

────

第6層階層ボス

ブルーインパクト

Lv.25

 

のしかかり、なぎはらい攻撃を中心とした範囲技を使用。

攻撃力がスライムのくせに高い

体力が減ったあとの攻撃には要注意

 

────

アルゴが俺たちと合流する前にNPCから聞いてきたボスの攻略情報通り、ブルーインパクトは飛び上がってプレイヤーにのしかかろうとする

ゴウがギリギリで防いでくれてるが、盾の耐久力から考えれば防げる回数には制限がある……

 

「ルー坊、前線に出てる3人が危なくなったら……」

 

「アルゴも同じ考えか、あまり人前で使いたくはないけどな……あの3人だけは死なさせない」

 

シズク:ソードスキル:スラント

ライム:ソードスキル:ホリゾンタル

 

「「はあぁぁ!!」」

 

アスナ:ソードスキル:スティンガー

キリト:ソードスキル:レイジスパイク

 

「ルシハ、アルゴ!」

 

「「あぁ!」」

 

ルシハ:ソードスキル:ホリゾンタルスクエア

 

アルゴ:ソードスキル:ラウンド・アクセル

 

(これでもまだ倒しきれないか……)

 

ゴウがなんとか防いでくれてる間に6人のソードスキルを一気にぶつけたはず、だがボスはビクともしない様子でゴウに攻撃を続けている。

 

「ゴウ!一旦下がれ!」

 

(相手の攻撃力と体力が圧倒的に多いのは分かるがここまで耐久力が高いとさすがに辛いのか……)

 

「シズク、ライム、お前らはスライムの気を引いてくれ」

 

「「了解!」」

 

2人に任せるのは無理をさせることと変わらない、だが気を引いてくれてる間にあのスキルを……

と思ったその時だった。

 

「ぐあっ!?」

 

「これは………!」

 

2人が近づき、ボスの気を引かせようと攻撃をした瞬間、ボスから謎の煙……毒ガスが吹き出し2人とその近くにいたゴウ、キリトとアスナが巻き込まれた。

 

(体力を一気に減らしたからわからなかったがまさか、体力を一定値まで減らすと攻撃が変わるタイプのボスか……)

 

「アルゴ!みんなの回復を頼む!」

 

「ルー坊、アレに攻撃を当てると毒を食らうゾ」

 

「わかってる、だからこそ一瞬で決める」

 

あの時、自分が動かなかったせいであいつを……ルナを守れなかった、だからこそ決めたんだ……

 

(もう二度と、パーティメンバーを殺させはしない!!)

 

スキル:絶界の双星剣

 

1層以降、ほとんど使わないで攻略をしてきた、だけど今は誰かを守るために使う。

 

「くらえぇぇ!!」

 

ソードスキル:ナイトメアレイン

 

攻撃をあてた瞬間、ボスから毒ガスが噴射された、がそんなことで怯んでいたら後ろの全員を助けることが出来ない……

 

「ルー坊!下がレ!」

 

ソードスキルの連撃を撃ち終わったその時、ボスから毒ガスとは別のガスが噴出された。

 

(これは……麻痺毒……!?)

 

「こんなことで……負けるか……!!」

 

俺は麻痺の異常状態を完璧に無視し、両手に持った剣に力を込めた。

 

ソードスキル:シグナスオンスロート

 

その一撃がトドメになりボスはポリゴンの欠片となり消滅した。

それと同時にさすがに力尽きて俺はその場に倒れ込んだ。

 

──Congratulation!!

 

「ルシハー!!」

 

「やめっ……」

 

毒が回復したシズクは倒れてる俺にお構い無しに抱きついてきた。

 

「やめなよシズク、ルシハは無理してでも戦ってくれたんだ、少しぐらい休ませてあげようよ、それにシズクだってボロボロだろ?」

 

「えー……」

 

ボスが終わったあと、俺は回復を、キリトとアスナは次の層のアクティベート、アルゴはボス討伐の情報を下の層に売りに行った。

 

第6層

階層転移門前

 

「それよりルシハ、そのスキルはなんなんだ?」

 

「これは……《システム外スキル》、とでも言っとくよ、隠しとくつもりは無かったんだけど」

 

「でも凄いよねルシハ、いきなり剣を2本持ったと思ったら16連撃も撃って、それだけじゃなく麻痺を抜けてさらに2連撃だもんね」

 

「……まぁな、それより1度、はじまりの街に戻ろう、ゴウの盾とか色々と買わないといけないからな、先に行っててくれ、俺も直ぐに追いかける」

 

双星剣に関して適当に説明した後、俺は少し気になることがあるため先に夕立の霧雨の3人を街に帰ってもらった。

その時、ライムの表情が少し暗かった気がした、

 

────

(やっぱり……でも無理なのか)

 

ボスのいた場所から少し移動した所に《GMコンソール》が設置されていた。

本来はどこにあるかなんてわからないはずのコンソールが何故かこの場所に設置されているのかは不明だ。

 

コンソールをαテストの時のデータでログインして色々と探ろうとしたものの《ルミナスリング》という謎のアイテムが出現しただけでそれ以外にはなんの変化も無かった。

ルミナスリングを手にした瞬間、誰かに見られてるような感覚を感じた。

 

その後、使用制限なのかコンソールはその場から消滅してしまった。

 

────

第1層《はじまりの街》

 

ルミナスリングをストレージに入れ、1層に戻った俺は3人と合流し、街の中にある(アルゴと泊ったことがある)小さな宿を借りて反省会的なやつをしたあとそれぞれの部屋に行きそのまま寝た。

 

────

次の日の朝早く、前日の疲れがあるくせに特技ショートスリーパーのせいでほぼ寝付けなかった俺はライムの部屋の扉が空いていることに気がつき、ライムが宿にいないとわかってライムを探しに出かけた。

 

────

はじまりの街:路地裏

 

「せいっ……!はあぁ!!」

 

宿から1番近い人気のない路地から探そうと思って歩いているとライムの声が聞こえて何をしてるのかと思い覗いてみるとライムは片手剣を振っていた。




バトル描写は俺には無理だ。

6層\(^o^)/

青スライムことブルーインパクトはどこかのSAOゲームの中に出てくるモンスターの名前らしい、よくわからないけど。


双星剣を使いボコボコにしたね、そしてコンソールが何故かあるね、ルミナスリングとかいうよくわからないやつを手に入れた……

そしてはじまりの街にもどりアルゴと泊まったことのある宿に行き休んだ

次の日、路地裏でライムは一体何を…?


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第106話 強さ【劣等感】

路地裏

 

ライムが片手剣を振り、ソードスキルのような何かを練習している様子が確認出来る、一回一回剣を振り終わったあとのライムの表情はどこか暗く見える。

と、隠れてライムの様子を確認していると俺の入ってきた方とは真逆の方から見るからに怪しい3人組がライムの方へ向かってきた。

 

「坊主、お前1人で何してたんだ?」

 

「あんたら、誰?俺になんの用」

 

「なんの用かって?そりゃ、お前には()()が見えねぇのか?」

 

3人の中のリーダーと思われる大男は自分の頭の上に指をさした。

その先にあったのは《殺人》をしたプレイヤーに表示される《オレンジ》マーカーだった。

 

「あんたら、殺人ギルドか何かなの?」

 

「その通りよ、坊主、1人で居るなら俺らの腹いせにでもさせてくれよ、こちとら()()()()()()()()()()()にデュエルで負けて腹が立ってんだ、《完全決着》型デュエルで勝負しようぜ?」

 

「断ったら?」

 

「ここでお前を殺せないからな、3人で圏外に連れてって痛みつけてやるよ、死ぬまでな」

 

「デュエルって言っても3対1だけど」

 

「ンなもん関係ねぇだろ!おめぇは俺らの腹いせのために死ぬんだからよ!」

 

完全決着デュエル……HPがゼロになるまでデュエルが終わらない、それだけならともかくこのデスゲーム内でそれが行われるとただ単に人を殺すためだけに使用するデュエルになっている。

蒼眼のチビだか何だかよくわからないけどそんなやつに負けてそれの腹いせを他人にぶつけるなんて……それも3対1の不利な状況で行うのか……!

 

(そんなことさせねぇ!)

 

ライムがデュエル開始のボタンを押そうとしたところで俺はライムの背後から飛び出してライムを吹き飛ばしながら3人の男の前へ出た。

 

「ルシハ……どうしてここに!?」

 

「ちょっと寄り道してたらお前が剣を振ってたのを見ててな、そこでこいつらが()()()()()()()()()から思いっきり飛び出したんだ、悪いな吹き飛ばして」

 

「おいおい坊主、てめぇ1人で俺ら3人に挑もうってのか?」

 

「なぁめんなァよォ?おれぇらぁはァ!あのかの有名な───ぐっはぁ!?」

 

とりあえず剣を抜き変な喋り方をする男一人を《スラント》で吹き飛ばし相手に威嚇という名の先制攻撃を仕掛けた

 

「おうおう、いい度胸してんな!」

 

スラントごときで吹き飛ばされたとはいえここは圏内、普通なら無傷で済む、もちろん今も相手は無傷で吹き飛ばされている。

 

「たった一人倒したぐらいでいい気になってんじゃねぇぞ小僧!」

 

「ったく……たった一人のプレイヤーを集団でいじめようとしたくせに、今度は1人のプレイヤーに負けて慌ててるのか」

 

「んだとてめぇ……これでも喰らいやがれ!」

 

男は俺の挑発に乗って攻撃してくる、と思いきや取り出したものは『煙幕』のようなもの。

それを男が地面に向かって投げつけた瞬間、そのアイテムから煙が噴出し相手の姿は見えなくなった。

 

 

 

それから数分して煙が消えたと思えば男達3人はどこかへ消えていた。

 

「大丈夫か、ライム」

 

「………ごめん」

 

「なんで謝るんだよ、別に、こんなの日常茶飯事だから俺は気にしてない、それよりなんでこんな朝早くからこんな所でソードスキルの練習なんてしてたんだ?」

 

「ここで話すのもなんだし、とりあえずどこか休める場所…カフェにでも行こうよ、そこで話す」

 

こうして俺はライムと共に近くにあるカフェに行った。

 

────

はじまりの街:カフェ・ドルチェ

 

「それで、なんでソードスキルの練習をしてたか、だよね」

 

席に座ると同時にライムは話を始めた。

 

「俺はさ、今のあのギルド……《夕立の霧雨》の中では戦力的には1番かもしれないんだけどさ、ルシハの戦闘を見てたら思ったんだ、『こんな強さじゃ前線に立てない』って、それでルシハが使ったあのソードスキル……《ホリゾンタルスクエア》を使えるようになりたいって思って朝早くからソードスキルの練習ばっかりしてた、まぁ…なんの進展もないけどね」

 

「なんでお前はそこまで強くなりたいって思うんだ」

 

「………強さ、か」

 

ライムは自分の頼んだコーヒーのカップを見てしばらく黙ってしまった。

 

「俺が男だったら強さを求めてたんだろーな………」

 

「………はい?」

 

「言ってなかったな、俺、こう見えて女の子だよ、れっきとした高校生の」

 

「……もしかして、女ってことを隠すために強くなろうとしてた、とかじゃないよな」

 

「俺さ、リアルでもこんな見た目だからずっといじられ続けてて、元々『私』って言ってたんだけど、それも『俺』って言うようになって、シズクとゴウだけが俺の事をしっかりとした女の子って認めてくれて、一緒にいるようになってしばらくしてこのゲームが発売されて、VRなら別の自分を作ることが出来る、そう思ったらデスゲームとかいう訳分からないやつになって、リアルの姿に戻されて、周りからは男みたいだ、とか馬鹿にされるようになって、たまーにあんな感じでよくわかんないゴロツキとかに絡まれて、それからだよ、前線に3人で行こうと考え出したのは………それで、2人に無理はさせたくないからって自分の実力をどんどん上げようと思っ───

 

話しているうちに少し、ライムは目に涙を浮かばせているのがわかった。

 

「……そこまででいいよ。言いたいことはわかった、だけどライム、無理しすぎて前線に出て死んだやつもいるんだ、無理して前線に来て、ボス戦前に死んだプレイヤーを俺は知ってる……俺は夕立の霧雨に入ったのはお前らを死なせたくないからなんだよ、俺が目の前で失ったプレイヤーにそっくりだったから……な」

 

俺はライムをちょっと無理やり抱き寄せて今の発言をした、ライムは安心した様子でしばらくの間泣き続けた。

 

「ルシハ、ありがとう」

 

「男っぽくしててもいいけど、ちゃんと女の子らしくもしろよ」

 

「わかってる」

 

この後、フレンド登録をして本当に女としてSAOに登録しているんだ、とか思いつつ俺とライムはシズク達が待っていると思う宿へと戻った………が

 

「シズク達がいない……!?」

 

宿に戻ると宿は何者かに荒らされた様子で、シズクとゴウの姿はどこにもなかった。

ライムがシズクの寝ていた部屋からとあるアイテム……記録結晶を見つけ出した、それを再生すると……

 

 

『第7層、新緑の樹海にてお前らを待つ、もし来なければ2人のプレイヤーの命が無くなるだろう』

 

と、低めの男の声が録音されていた。




まじかー、ライム女だったのかー(棒)

明かされる簡単な説明
そしてシズクたちが何者かに連れ去られてしまった……!?


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第107話 孤独の勇気【VS殺人ギルド】

「まさか……あいつら俺らの泊まってた宿を先に確認してたのか」

 

シズク達が連れ去られ、記録結晶に残されていた声の主が言っていた場所……未だに未踏の地の第7層にある(と思う)新緑の樹海とやらへと俺とライムは向かっていた。

誰が連れ去ったのかは何となくわかる気がするが、ライムを襲ったあの3人組、ライムから聞いた『絡んでくるやつ』の1つで『殺人ギルド』とやらの一員がライムが宿から出たのを先に見かけて何かあった場合宿にいるシズクとゴウを連れ去り人質に取る……という計画だろう

 

「このエリアのどこかか……」

 

────

第7層《死者の森:ダークフォレスト》

 

転移をし、第7層へ入って名前を見た時点で何となく察しはしていたけどまさか7層全体が森になっているとは…それも名前物騒だし…

 

「ルシハ、あのモンスター……」

 

「人、いや、ゾンビ……?」

 

森の中を進んでいるとどう見ても人間じゃない動きをした人間のようなモンスターが五、六体まとまって動いていた。

 

「ライム、直ぐに片付けるぞ」

 

「いや、ルシハは先に行ってくれ、俺がこいつらを倒す」

 

「でも……」

 

「少しは任せてくれ、俺だって任せてばっかは嫌なんだよ」

 

「……それならお前がシズク達を助けろ、俺がこいつらを倒したら追いかける」

 

ライムが見せた表情は『助けたい』という気持ちそのものだ、あの時、ルナが俺に見せた顔と同じだからこそわかる…

 

「分かった、俺は先に行く……ルシハ、ありがと」

 

「今はやめろよ、行ってこい」

 

話しているうちに何故か少しゾンビの数が増えた気がする、流石の俺もこの数を1人は難しいかもしれないがライムに先に行かせるためにも無理してでも俺は1人で倒す。

 

────

ライム目線

 

(アイツらはどこにいるんだ……シズク達に何もしてなければいいけど…)

 

ルシハに2人の救出を任されたんだ、いち早く見つけて助けないと……

ずっと独りだった俺を助けてくれた2人を、弱い俺を守ってくれる『光』を……今度は俺が守る……

 

「よぉ、坊主、あの強いにぃちゃんはいねぇのかねぇ?」

 

「お前はあの時の……シズク達はどこだ!?」

 

「まぁ、そう焦るなよ、この先にいるぜ、もちろん生かしてる、無傷でな」

 

「今すぐ2人を返せ!」

 

「そう血相を変えるなよ兄ちゃんよぉ、この状況がわからねぇわけじゃねぇだろ?」

 

男が指を鳴らすとタイミングよく暗かった森の周りに光が刺し今いるところが森の中の開けた空間だと分かった、と同時に今自分がピンチだとわかった。

 

「独りで来たのは勇敢かもしれねぇけどな、俺が1人でお前を待つわけねぇだろ?今頃お前と一緒に来た強い方も仲間にやられてるだろうな」

 

「知ったことかぁ!」

 

ソードスキル:ヴォーパルストライク

 

「おっと危ねぇな、おらよ!」

 

周りの状況を確認したところで俺は男の言ってたことを無視して無理やりソードスキルで男を攻撃しようとした、が見切られ避けられて俺はそのまま男の足蹴りで元いた場所まで吹き飛ばされた。

 

「おっとすまねぇ、間違って蹴り飛ばしちまった、小柄にはちと辛いか?ま、どっちみちお前はここで殺されるし痛みなんて気にしなくていいのか」

 

「う、うるせぇ……」

 

「ん?まだやるか?」

 

「2人を……助ける……お前を…殺す!」

 

「ったく、まだやられ足りねぇのか?いいぜ、お前ら、相手してやれ!」

 

たった一撃でフラフラの状態になり、なんとか立ち上がったところで男は周りのプレイヤー達に指示を出した、と同時に男達は俺目がけて攻撃をしようとソードスキルのモーションを開始した

 

「ま、無理に突っ込んだのが馬鹿なんだよ、死んでその無駄なことをしたってこと、後悔しな」

 

(くそ……なんで……俺は……)

 

「諦めてんじゃねぇ、ライム!」

 

双星剣ソードスキル:エンドリボルバー

 

「なんでてめぇ、無傷なんだ!?」

 

「無傷も何も、既にあの場にお前の仲間が潜んでたのはわかってた、それにゾンビ達よりあんたらの方が弱いしな、前線を突っ走る人間を相手にしたことを後悔しろよ、殺人ギルド」

 

6層のボス戦で使った《システム外スキル》を使って両手に剣を持ったルシハが周りのプレイヤーをソードスキルで吹き飛ばし俺とあの男の間に立った。

 

「ルシハ……ごめん…」

 

「まだ終わってねぇよ、相手は殺人ギルド、殺すか殺されるかの最悪な戦いはここからだ……お前があいつを倒せ、俺は周りの雑魚どもを止めておく」

 

「でも……」

 

「2人を助けたいんだろ!今やらなかったら後で後悔するぞ!」

 

男の方に剣を向けながら俺の方を向いてきたルシハの目は真剣で、それでいて少し怒りを感じている様子……

 

「わかった……俺がこいつを……殺す!」

 

「だそうだ、文句ねぇだろ」

 

「へっ、いいだろう、俺様が1人で坊主とやり合うんだろ?しょーがねぇな、受けてやるぜ」

 

この後、俺と男は森の奥の方へ、ルシハは今いた場所で大人数のプレイヤー達を1人で相手することに

 

────

「坊主、覚悟決めたか?」

 

「………あぁ、いいよ、やろう」

 

(殺し合いを…!)

 

と、俺と男が剣を構えた瞬間だった、森の中がいきなり騒がしくなり、来た道の方、殺人ギルドのプレイヤー達の叫び声が聞こえた。

 

「坊主、今は殺人ギルドとかなんとか言ってる場合じゃねぇかもな、さっきの強いにぃちゃんのいる方から悲鳴みてーなの聞こえてる、それに変にやべーやつの気配がする気がするんだ、先に行かせてもらうぜ、これは檻の鍵だ、あんたの仲間は奥にいる、先に助けて後で来てくれ、こう見えて俺は殺人なんかしてるけど仲間思いでな…ごめんな坊主」

 

男は鍵を渡してくれてそのまま道を戻っていった、と入れ替わりでルシハが走ってきた

 

「ライム!話は聞いた、早く2人を助けてお前は街に戻れ!」

 

「向こうで何が起きたんだ?」

 

「……いいから戻れ、お前らでなんとかなる相手じゃない」

 

「……分かった、シズクたちと街に戻るよ」

 

────

ルシハ目線

 

ライムの元に行く少し前、殺人ギルドのプレイヤー達の一部を壊滅させた所で俺は異変に気がついた。

 

(周りにゾンビが現れた…?いや、まさか……)

 

俺が倒した数名のプレイヤーが起き上がり、味方であるプレイヤー達を襲い始めた、()()()()()として。

 

────

現在

 

ライムが2人を助けて転移結晶を使ったのを確認したところで俺はゾンビが大量発生してしまった場所へと戻りゾンビを倒し始めた。

 

(埒が明かない……まさか倒したプレイヤーがそのままのステータスと武器でゾンビするとは……)

 

既に、俺の周りにはゾンビが増え始めていた。




戦わないんかーい!

そして実は5層攻略すぐに6層攻略してるんだよね、馬鹿かな?

第7層にて殺人ギルド達が色々あってまさかの戦わずにいきなりゾンビが発生
このままだと7層攻略とかそういう問題以前の話になるぞ……?

次回、いったいどうなる…!?


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第108話 殺伐とした森【死者】

ゾンビ達が増えたせいで周りのプレイヤーに被害が行くと思ったが階層が解放されてからかなり経つというのに()()プレイヤーの姿を見ない。

元々このエリアに2手に別れる道があったのも幸いだがいくらなんでも人数が少ない気がする……

 

(まさか……このゾンビの中に元プレイヤー…いや、考えるのは辞めだ、とりあえず今の状況を打破しないと……)

 

ソードスキル:エンドリボルバー

 

(減らない……か、このままずっと戦っても減らない気がするな……)

 

と、俺はとあるアイテムの存在を思い出した。

6層で手に入れた《ルミナスリング》だ、使える気は全くしないけど……

 

───任せて

 

ストレージから取り出して装備した瞬間、どこからか謎の声が一瞬だけ聞こえた、が何も起きなかった。

 

(なんだったんだ今の……って、あれ?)

 

「おい、何してんだ兄ちゃん」

 

「お前はライムを襲った……それより、ゾンビの様子おかしくないか?」

 

「ん?たしかに動き止まってるな、んじゃ今がチャンスじゃねぇか?」

 

あの声が聞こえた瞬間からゾンビの動きが止まった。

 

「ルシハー!」

 

7層の入口方面から聞き覚えのある声……シズクたちの声が聞こえた、と思いそっちの方を向いたその時だった……

 

ゾンビ達の姿が何故か一般プレイヤーに戻ったと思ったらあの男とプレイヤーに近いゾンビ達が消え、俺とシズクだけがいる《謎の空間》が現れた。

 

(この感覚……最近全く音沙汰なかったから気にしてなかったがなんで今来るんだよ……それもゾンビ達がどうなったか確認する前に、シズクを巻き込んで……)

 

「ね、ねぇルシハ…何ここ?」

 

1層以降ほとんど現れなかったせいで気を抜いていたが、よく良く考えれば俺が作り出した《最悪のエリア》だ、今となれば出現方法なんて無いに等しい……そう、《シークレットスペース》だ。

 

「シズク、お前は下がってろ」

 

「わ、私だけじゃないんだけど……」

 

「……は?」

 

シズクが指さした方には倒れてるシズクぐらいの小さい女の子が倒れていた。

 

(なんでこんな所に……?)

 

「ルシハ!それだけじゃないよ、あれ……」

 

「なっ………!?」

 

目の前には巨大な剣のような武器を片手に持った巨大なオークのようなモンスターが2体立っている。

その威圧は1層で戦ったデカブツ共とは比べ物にならないほど、言ってしまえば50層レベルだろう。

 

「シズク!そこの女の子を守ってくれ!」

 

「う、うん!」

 

一体だけならまだしも今回は2体、そして今回巻き込まれたのは謎の少女とシズクの2人……

守りながら戦うとしても2体だと俺でも防ぎ切れるかはわからない……

 

(余計なことに巻き込まれたな……)

 

俺は2体のオークの攻撃を避けて二本の剣を抜いた。




圧倒的謎展開

ゾンビ達がなにか起きて姿が戻ったかと思えばいきなり現れたシークレットスペース、それによりシズクが巻き込まれ、そして謎の少女が巻き込まれた。

次回、完全に不利な相手にルシハ達はどうなる……?


────
わかりにくくなった人、あなたは間違えじゃない、それは正解だ、ごめんなさい


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第109話 完全不利の戦い【死闘】

「はあぁぁ!!」

 

スキル:絶界の双星剣

ソードスキル:エンドリボルバー

 

2匹のオークのうちの片方に双星剣のソードスキルを放ったが、もう1匹がそれを防ぎ俺を地面へとたたき落とした。

 

「ルシハ!」

 

「シズク!お前はそっちの子に攻撃が行かないようにしてくれ!こいつらは俺が倒──

 

シズクに指示を出し、攻撃をしようとした瞬間に俺はオークの同時攻撃をまともに受けてしまった。

 

(くそ……油断したか……)

 

体力は何とか残ったものの、連続で受ければ流石の俺も死ぬ……

シズクが受けてしまえば確実に……

 

「そんなことさせねぇ……!」

 

俺は再び剣を構え、オークの攻撃を避けてソードスキルを1匹の攻撃が当たらないように片方のオークにめがけて放った。

 

ソードスキル:ナイトメアレイン

 

本気の連撃を入れたもののオークの体力はほぼ減っていない。

それだけじゃなく、もう片方のオークがシズク達に気がついたようで、武器を振りかざそうとしていた。

 

(まずい、間に合わない………!!)

 

シズク達と気がついたら距離が離れてしまっているせいで俺の最大速度でもギリギリ間に合わない。

 

オークの攻撃がシズク達にあたる……と思ったその時、シズク達の周りに謎のバリアが張られてオークの攻撃はシズク達に当たらなかった。

 

(今のは………今はそんなこと気にしてる暇はないか…シズク達が無事なら俺ももっと本気で行かせてもらう!)

 

バリアがどれだけ耐えてくれるかはわからない、だがずっと張られているのならそこまで気にせずに戦える、もっと言えば管理者権限を使えばいいんだが…

 

「当たって砕けてやろうじゃねぇか……!」

 

ソードスキル:インフェルノ・レイド

 

「まだまだ……!!」

 

(二刀流スキルの)ナイトメアレインの1つ下の威力を持つソードスキルを放ち、オークの攻撃を避けてもう一度ソードスキルを放った。

 

ソードスキル:エンドリボルバー

 

(これでもまだ半分も減らないのか…これを2体相手はさすがに辛すぎる………)

 

出来るだけ強力なソードスキルを放ったものの50層レベルの敵にはかすり傷程度のダメージになってしまう、周りよりレベルが高い俺でも流石の2体相手は骨が折れる。

 

(それでも負ける訳には行かねぇ……!!)

 

「これでもくらえぇ!!」

 

スキル:投剣

 

俺は思い切って左手に持っていた《ゼデュースホーリーソード》をオークの目に向かって投げ飛ばした。

投げた剣はオークの目に直撃し、オークの左目が見えなくなった。

 

(よし、これで少しは攻撃が当たらなくなったはず……あとは剣を取り返すだけだ…)

 

オークが目が潰されたせいで武器をでたらめに振り出したのを確認し、隙を狙って体に登って剣を目から抜いた、と思いきや俺はそのままオークの攻撃で地面へと叩き落とされた。

 

一気にダメージをくらい()()()()()()()()()体力が減ってしまった、と同時に俺はスキルを発動した。

 

スキル:限界突破

 

(久しぶりに発動したな…ここからが本番ってとこか)

 

立ち上がって剣を構えた俺はオークに再びソードスキルを放った。

 

────

シズク目線

 

 

地面に落ちたルシハはいきなり体が光出しものすごい速さで目を潰したオークを攻撃し始めた。

のを見ていると私の横で気を失っていた女の子が目を覚ました。

 

「う……ここ……は?」

 

「大丈夫?」

 

大丈夫かって聞いてもどう見ても大丈夫な状態じゃないと思うけど…この変なエリアにいきなり現れたんだし、目の前にはでかいモンスター2匹いるし……

 

「わ、私も……戦う……」

 

「ちょっと!?」

 

女の子はそのまま何故か張られたバリアから出てオークの元に歩いていってしまった。

 

────

ルシハ目線

 

限界突破のスキルで移動と攻撃の速度が上がったことでオークに連撃を叩き込み続けてる俺の後ろからさっき倒れていた女の子が歩いてきた。

 

「お、おいお前、なんでバリアから出てきてるんだ?」

 

「私が殺す」

 

「………!?」

 

女の子が取り出した武器はSAOではほとんど使ってる人を見ない《槍》。

女の子はそれを構え、2匹のオークに向けて振りかざした。

 

その瞬間、2匹のオークは一瞬にして消滅した。

そして、シークレットスペースは消滅し、元の景色に戻った

────

それからしばらくして俺達は7層の安全な場所まで移動した。

 

「お前は一体何者だ?」

 

「……わからない」

 

(NPCじゃないな…NPCは戦えないように設定してあるし、ということは普通のプレイヤー……)

 

「それじゃ、一つだけ聞くが、お前はここがどこかわかるか?」

 

「わからない………」

 

「名前は?」

 

SAOということがわかっていない、ということだからウィンドウの出し方を教えて名前を確認した。

 

プレイヤーネームはユミと言うらしい、レベルとか至るところが文字化けしてるのが気になるけど…

 

(SAOに参加したプレイヤーじゃない……?ならどうやってこの世界に来たんだ……?)

 

「シズク、ユミを連れて夕立の霧雨のメンバーと合流して夕立の霧雨にユミをしばらく加入させよう」

 

「もちろん、そのつもりだよ」

 

「……??」

 

「詳しい話は後でする、とりあえず一緒に来てくれ」

 

この後、自己紹介をしたり色々と説明をしたり聞いたりした。

それで分かったことは『SAOにログインするまえ(シークレットスペースで起きる前)の記憶が無い』『槍を使った記憶もない』ということだ。

 

「そう言えばライムは水色、ユミちゃんはオッドアイだよね目の色」

 

「俺は別にいいだろ」

 

「とりあえずしばらくユミは夕立の霧雨に入ることになる、それと俺たちはしばらくレベル上げに専念しよう」

 

「あれ?そう言えばゴウは?」

 

「ゴウなら買い物に行ってる、帰ってきた時にアイテムなかったら大変だーとか言いながら出てった」

 

また誰かに連れ去られなければいいけど……

と、思いつつゴウの帰りを待って俺達はこれからどうやってレベル上げするか、など色々と話した。

 

そして話し合いの結果、俺とライム、シズクとゴウとユミの3人で別れてレベル上げをすることに決まった。




新キャラ現る

謎の少女は謎の強さを持っていたが何故か記憶が無く、それでいてSAOというゲームの存在を知らない……!?

オークとの激戦は一瞬で終わった。

次回、レベル上げをする一行にとある試練が現れる……!?


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第110話 SS適合テスト【謎のエリア】

第4層

ルシハ、ライムside

ルシハ目線

 

2手に別れた俺たちはそれぞれ各層にてレベル上げをすることにして俺達は第4層へと足を運んだ。

しばらく転移石付近のモンスターを倒し、先に進んでいると周りの景色に変化が起こり始めた。

 

「ルシハ、なんか変な感じがする」

 

「奇遇だな、俺もそんな気はする……戻る──

 

転移された訳では無いはずだが、前に来た時と4層の雰囲気が変わりすぎている……もっと言えば()()()()()()()()()()()

そして危ないと思い、来た道を戻ろうとしたが後ろは断崖絶壁になっていた。

 

「ルシハ、メッセージは飛ばせるけどどうする?」

 

「いや、あいつらにメッセージ飛ばしたところで無理だと思う、俺らもここにどうやってきたのかわからないし」

 

マップを表示したがマップは《error》の表示がされて見ることが出来ない。

 

(このエリアの名前は『holl__rea』……文字化けしてて読めないな……)

 

「ルシハ!ぼーっとしてる暇はないみたいだ」

 

「あぁ、そうみたいだな……」

 

これからどうするかを考える暇もなく、俺達の目の前に巨大な骨型モンスターが現れた。

 

────

The skull reader

 

Lv.30

────

 

その頃……

第5層に向かったシズク達は……

 

「いやぁぁぁ!?なんでこうなるのぉ!?」

 

「それはこっちのセリフだよ、シズク!」

 

「あ、あの……どうすれば…」

 

こちらもルシハ達と同じように謎のエリアへと迷い込み、大量のモンスター達に追われていた。

 

「ユミちゃんだけに任せる訳には行かないよ!あ、でもゴウに任せれば……」

 

「なんで俺に任せようとしてるのさ!?でも、女子2人に手出しはさせない!」

 

盾スキル:シールドバニッシュ

 

「ゴウ!相手が怯んだから今のうちに逃げよう!」

 

────

樹海エリア

シズク目線

 

モンスター達を振り切った私たちは森の中に身を潜めて休憩をすることにした。

 

「はぁ……はぁ……やっと振り切った……2人とも、大丈夫?」

 

「俺は何とか……って、ユミさんは?」

 

「あれ?私の後ろにいたはず……ん?」

 

無我夢中で走ってたから気が付かなかったけどユミちゃんがいつの間にか姿を消していた。

 

「ユミちゃんまさかモンスターに……助けに行かないと!」

 

「いや、行かなくてもいいと思う……モンスターの悲鳴が遠くから聞こえる」

 

「確かに……でもユミちゃんなのかな…?」

 

それから数分、大人しく待つことにした私たちの元に片手に槍を持ったユミちゃんが戻ってきた。

 

「え?何をしたか覚えてない…?」

 

「はい……気がついたら片手に槍を持ってて…」

 

「ともかく、ユミさんが無事でよかったよ、とりあえずどこかに出口とかあるかもだから、探してみようよ」

 

「さんせー……って、あれ何?」

 

「……モンスター…ですね」

 

ユミちゃんが戻ってきた方向、正確には私たちが来た方向から巨大な岩のようなモンスターがゆっくりと近づいてくるのが確認できた。

 

────

rock storm goremu

 

Lv.28

────

絶壁エリア

ルシハ目線

 

──ソードスキル(SS)適合テスト

 

(なんだこれ……?)

 

ボスモンスターのようなやつが現れたと同時に俺とライムの元に謎のメッセージが送られてきた。




わかる人にはわかるエリア、ホロなんとか降臨

迷い込んだ5人はそれぞれのグループでモンスターと遭遇……
そして突然現れた謎のメッセージ、この意味とは一体……?


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第111話 守りたい気持ち【新ソードスキル】

ルシハ目線

 

SS適合テスト、それが一体何なのかわからないしこれといった変化は俺には無い、ソードスキルが関係しているのはわかるが……

 

「ルシハ、スイッチ!」

 

「あぁ!任せろ!」

 

片手剣SS:ホリゾンタル・スクエア

 

「ライム、今だ!」

 

「はあぁぁ!!」

 

片手剣SS(ライム):ホリゾンタル

 

SS(ソードスキル)適合テストを完全に無視して俺とライムは今まで成功しなかった連携を成功させてスカルリーダーにダメージを与えた。

見たことの無いエリアだからモンスターレベルがバカ高いと思ったが、現在の俺のレベルより低いから安心はできる、と言っても手加減なんてしたら負けるかもだが…

 

「ルシハ!後ろだ!」

 

「しまっ──」

 

気づかないうちにスカルリーダーが俺の後ろに回り込みそのまま後ろからの攻撃を俺はまともに受けてしまった。

 

(こいつ、体力が半分切った瞬間に動きが変わった……設定したシステム上、その動きをするのは51から上のはず……)

 

「ルシハ!俺が敵を引きつける、その隙に回復してくれ!」

 

「わかった……」

 

────

ライム目線

 

(ルシハが隙を突かれるって事は中々に強い相手なのか…ルシハが回復してる間、俺がルシハを守る……!!)

 

「はあぁぁ!!」

 

片手剣SS:ホリゾンタル

 

『キシャャアァ!!』

 

(まずい……!)

 

ソードスキルが当たらず、俺はそのまま骨の尻尾に腹を殴られて後ろまで吹き飛ばされてしまった。

 

「がはっ……!?」

 

「ライム!大丈夫か…?」

 

「ルシハ………あいつは俺にやらせてくれ」

 

「……は?」

 

(ここでルシハに任せたら俺は強くなれない……せっかく出逢えた仲間を失いたくはない………)

 

体力が半分減ったが、何とか立ち上がり剣を持ちスカルリーダーの方に剣を構えた。

ルシハはわかってくれたようで、剣をしまって俺の後ろで待機してくれた。

 

(絶対に……こいつを………)

 

「倒す!」

 

スカルリーダーの攻撃を素早く避けてソードスキルを放とうとしたその時──

 

《適合テスト、完了》

という文字がウィンドウに表示され、2つのソードスキルがスキルの欄に追加された。

 

《OSS》

 

スカルリーダーの攻撃を弾き飛ばして隙を作り、その隙にソードスキルを放った。

 

片手剣OSS:ライトニングラッシュ

 

4連撃と数少ない攻撃だけ、と思いきや5連撃目で剣に電気を纏って切りつける、というソードスキルを俺は使えるようになった。

そしてもう1つのソードスキルはどうやって放つのか全くわからないため、とりあえず敵の攻撃を地面を思いっきり蹴って空中一回転を決めながら避けて地面に剣を刺した……すると何か(ソードスキル)が発動したらしく、剣を刺したところから敵に向かって電気が走った。

 

片手剣SS:ライトニングフォール

 

────

ルシハ目線

 

(まさかボツ技がSS適合テストとやらで獲得できるとはな……)

 

SAOには通常、属性攻撃が存在しない。

それを決めたにあたって何個かのソードスキルがボツ入りになった。

そのうちの2つが今、ライムが使った《ライトニングラッシュ》と《ライトニングフォール》だ。

 

ボスはそのままライムの攻撃でHPが切れてそのまま消えた。

 

「か……勝った……のか?」

 

「あぁ、お疲れさん……ソードスキル獲得おめでとう」

 

「あ、あぁ……」

 

「とりあえず、ここにいても埒が明かないし、そっちの()()()()()()に行くか」

 

「その前に休ませて」

 

こうして俺達(というかライム)は新たなソードスキルを習得しボスを倒して出口を探すことにした。

 

────

ルシハ達がスカルリーダーを倒した頃、シズク達は‥‥

 

「どうするのさあれ!?」

 

「やるしかないだろ、シズクと俺とユミさんで‥」

 

巨大な岩のようなモンスターに追い込まれていた‥




思いは強くなる。

新ソードスキル(うち一つはエクスカリバー編にて登場)をライムが獲得。

守りたいという思いが生み出した技‥‥

次回はシズクたちの戦い‥‥!!


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第112話 弱い自分【リーダーの素質】

ルシハとライムがスカルリーダーを倒す少し前……

シズク目線

 

ユミちゃんがモンスターを蹴散らして戻ってきた直後、いきなりユミちゃんが戻ってきた方向から石型のモンスター……ゴーレムが私たちの方に向かってきた。

 

「動きはゆっくりみたいだけど、どうするシズク?」

 

「ルシハもライムもいないけど……結局倒さないと周りを探索するのも不便だし、私たちでやろう!……って、ユミちゃんは!?」

 

遠くから近づいてきてるゴーレムを倒すと決めて意気込もうとしたら戻ってきて近くにいたはずのユミちゃんが既にゴーレムの方に走っていた。

 

「ゴウ!ユミちゃんを追いかけるよ!」

 

「分かった!」

 

────

ユミちゃんを追いかけてゴーレムの近くに接近した私達は圧倒的な大きさのゴーレムを目の当たりにした。

遠くから見ただけだから大きさは気にしてなかったけど、近づいて分かったのは見ただけでも私の5倍ぐらいはある……ということ。

 

(こんな相手に勝てるのかな……でも、ユミちゃんが既に戦ってるしゴウもユミちゃんと一緒に………迷ってる暇はない……私が戦うって言っちゃったんだしやるしかない……!!)

 

────

そして現在……

 

3人ともゴーレムの攻撃で体力が半分減らされ、回復のために戻って回復を完了したらいつの間にか私達はゴーレムに追い詰められていた。

 

(ゴウは武器持ってるって言ってもソードスキル使えないしユミちゃんはソードスキルの使い方わかってない……こうなったら私がやるしか…)

 

と、思って剣を構えたその時……

 

ゴーレムはいきなり立ち止まり、どうしたのかと思ったら自分の体の岩を周りに飛ばし始めて私たちが隠れていた木が無くなって身を隠す術が無くなった。

 

「気づかれちゃった……って、ユミちゃん!一人で行かないで!?」

 

「シズク!俺達も行こう!」

 

体を分散させたから少し小さくなったゴーレムに向かってユミちゃんが()()()()()()()()()槍で攻撃をしている。

 

(なんで二人共怖くないのさ……?)

 

「シズク!早く攻撃してくれ!」

 

「……わかった」

 

私は剣を構えてゴーレムに攻撃を仕掛けようとした、けど……

まるで見切ったかのようにゴーレムは私の方に向いて腕を振ってきて私はその攻撃をもろに受けて後ろに吹き飛ばされてたまたま残った1本の木にぶつかった。

 

「シズク!」

 

「……っ!」

 

2人が私の心配をしてくれたその瞬間に隙を着いたようにゴーレムは2人に目掛けて腕を振り、2人もそのまま吹き飛ばされた。

 

(2人が………私のせいだ……)

 

ユミちゃんは寸前で槍で防いだみたいで体力はそこまで減ってないけどゴウは防ぐのが間に合わないまま体力がレッドまで減った……

ゴーレムが私たちを見逃す訳もなく狙ったかのようにゴウの方にゴーレムは歩き始めた。

 

(まずい………また……私のせいでゴウが……誰かが傷つく……の?)

 

──お前のせいで

 

──お前がいなければ

 

(違う………違うよ………)

 

ずっと苦しい思いをしてきた私を助けてくれた今現在の《夕立の霧雨》のライムとゴウは私をギルドリーダーにしてくれた…けど、こんな私にギルドのリーダーになる資格なんてない………

 

(だけど…………)

 

「だからこそ私はゴウ達を助けたい……!!」

 

気力を振り絞って立ち上がり片手剣を構えてゴーレムに向けて走り出してソードスキルを放とうとした、けど…

既にゴーレムは倒れてるゴウの前に立って腕を上げて攻撃をしようとしているところだった。

 

「やめて………間に合っ──

 

ゴーレムが腕を振り下ろしたその瞬間、ゴウに当たる寸前のところでゴーレムの動きが止まり、そのまま消滅した。

 

「……全く、怖いなら無理するなよ」

 

「なんとか間に合った……ルシハ早すぎるよ……」

 

「ライムも俺に追いつくってすごいと思うぞ?」

 

ゴーレムの動きが止まったのはどこに行ったのかわからなかったライムとルシハのソードスキルを受けたからだった。

 

「ごめん………」

 

2人の姿を確認したところで私は気を失った。

 

────

ルシハ目線

 

「……なるほど」

 

「って言うかいつの間にライムはルシハにカミングアウトしたんだ?」

 

「ゴウ達が連れ去られてる時」

 

「あ、あの時か」

 

場所を変えて俺とライムが飛ばされたエリアに移動した俺達はシズクが起きるのをユミに任せてゴウとライムにシズクに何があったかを聞いていた(ルール違反)

 

簡単に説明するとシズクのリアルはSAOが始まる数年前に仲良く遊んでいた友達がいきなり自殺をした事で『お前のせいで』などといった言葉をぶつけられたりその他にも悪口を言われるようになって精神的にダメージを受けた。

それから色々あって今の3人のグループが出来てSAOを始めた。

その時に3人の中でリーダーの素質とやらがあるということでシズクが《夕立の霧雨》のリーダーとして選ばれた。

 

『大切な友達を死なせた』という思い出(後に原因は別だとわかる)があるせいでもし、自分の判断で死なせることになったら……という思いがずっとあったらしくて今になってその思いが強くなってしまった……

 

と、ちょっと俺なりの解釈付きになるがまとめるとこんな感じか……

 

 

「それでさっき『ごめん』って言ってたのか……」

 

(守る守られる云々の前にここから出ないとまともに話も出来ないかもな……早く出口を探したいけどここの4人を置いてくのは流石に……いや、逆か……)

 

「ライム、ゴウ、お前ら、モンスターがここには湧かないからしばらくここで待っててくれないか?」

 

「どこか行くのか?」

 

「どこかにアインクラッドに戻る方法があると思うんだ、それを探しに行く、そこでユミと俺の2人で周りを探す」

 

「む、無理するなよルシハ?」

 

「無理しないと攻略なんて参加してねぇよ、シズクに説明は任せた……ユミ!」

 

「は、はい?」

 

ユミに色々と説明したあと剣をストレージから出して出発の準備を整えた。

 

「ライム、シズクはこんな状態だしゴウは防御面に回るしかない、だからお前が2人を守ってくれよ」

 

「……わかった、けどそれは女子に任せるもんじゃないでしょ?」

 

「まぁな……それじゃ、出口が見つかったら戻ってくる」

 

周りの安全を確認したあと俺とユミはそのまま周りの捜索へと出発し、ライムたち《夕立の霧雨》3人はその場に待機することにした。

 

────

移動中

 

「記憶喪失なんだよな、お前」

 

「あ、はい……」

 

(ユミがいきなりこの世界…というかアインクラッドに現れた理由は謎だけど多分考えられることはひとつ……ユミは……)

 

───《多重アバター》だ。




長いな雑いな、あ、それが俺か

色々とありましたがあとがき長いとなんか違和感あるから簡潔に話す

夕立の霧雨はある意味の問題児の集まりかな

次回、ユミの正体が明らかに……なる?


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第113話 もうひとりの自分【多重アバター】

「お前はなんでこの世界(SAO)に来たのか覚えてないんだよな?」

 

「はい、それがどうかしたんですか?」

 

「……それじゃあ、ひとつ聞くが、お前の周りにSAOを遊んでいたプレイヤーはいるか?」

 

「……覚えてないです」

 

ユミは俺の質問に首を横に振りわからないと否定した。

なんで記憶障害が起こったのかも判明させないと俺の考えは正解か間違いかもわからない。

もし、ユミの周り、言ってしまえば家族とか知り合いがSAOをプレイしていたとすれば可能性は低いが俺の推測で合ってるはずだが……

 

「ユミ、お前は《ナーヴギア》を知ってるか?」

 

「どこかで聞いたことがある程度──

 

と、ユミはナーヴギアに関して話そうとして言葉を詰まらせた。

そして……

 

「少し思い出しました……私にはお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんがそれを使ってて……」

 

ユミの話をまとめるとこうだ。

SAOβテスト開始時からユミの兄がナーヴギアを使ってVRを遊んでいた。

そしてSAOの正式サービスが始まり今から1ヶ月ほど前、1層攻略から時間が浅かった頃に兄のナーヴギアの電源が落ちて……と、今ユミが思い出したのはここまで、これだけだとどうしてユミがSAOに入ったのかはわからない。

 

だが、ユミが戦闘時、何をしたかを覚えてない原因が一つだけわかる。

ユミは()()使()()()()()()()()()()()使()()()SAOへとログインしてきた。

もちろん兄のデータは消えているため普通ならログインすると初期垢を作ることになる、それ以前に茅場晶彦が話した限りでは外部からのログインは不可能のはずだ…が、ここに問題がある。

 

話は逸れるが俺がアーガスでナーヴギアに内蔵するシステムの開発を2人のバカップル上司と共に作っていた。

その時にバカップル2人が『何かしら起きた時ように緊急時にログインできるシステム作ろうぜ』と馬鹿みたいなことを言い出してそれを採用、普通ならそのシステムは《緊急時》に使われるはずのシステムだが、何かの間違いでそのシステムが今回、ユミがログインしてしまった理由の一つだ。

 

ログインしてきただけでも問題だが、もう1つは《別人みたいになる》という事だ。

これも言ってしまえば簡単なこと、《兄のアバター》がナーヴギア自体に保存され、それを上書きする形でユミのアバターが制作、そしてログインした。

その時に上書きされた《兄のアバター》がこれまた何かの間違いでユミのアバターに《人格》として現れる。

 

その証拠にユミのアイテムストレージには《コウキ》というプレイヤーのストレージ名になっている。

 

(というかユミのステータス全く見なかったけど高かったような気が………)

 

「あ、あの……その、お兄ちゃんの人格とかなんとかってどういうことなんですか……?」

 

「あ、あぁ……それに関しては後で説明するよ」

 

アバターの上書きに関してもまたまたバカップル上司が作り出した謎システムだ……が、制作時は《前のアバターの人格》が新規アバターに移るなんてことはなかったはず……いや、稀にアバターに異変は起きてたか……

 

2つ以上のアバターがナーヴギアに入ることを《多重アバター》と呼んでいたけど開発終了前には既にその名前は聞かなくなった、というより忘れ去られていた。

 

(ユミは戦闘時に《コウキ》というプレイヤーもとい兄の性格が表に出る……か)

 

「とりあえずお前が戦闘時に色々と起こる原因は何となくわかったし、そろそろ行くか」

 

「その前にひとついいですか……?ルシハさんはなんでそこまでしてくれるんですか?」

 

「なんで……か、困ってる人を助けたいってのが本音だけど俺はアーガスの仮社員として、開発に携わったからさ、そういうシステム関係は気になってな……絶対にお前がこの世界に来た原因を探す、そして早くアインクラッドに戻ってお前らをこのゲームから解放する」

 

「………ありがとう」

 

「……ん?驚かないのか?」

 

「うん、なんとなくだけどわかってたから」

 

「もしかしてだけど、ライムが女の子ってこともわかってた?」

 

「うん」

 

「……ま、そこは気にしなくていいか…さてと、とりあえずはあの洞窟を目指すか」

 

この後、俺の方から色々と説明しながら俺達は近くに見えた洞窟の中に入っていった。




なんだこれ

さてと、オリジナル用語多重アバターが登場しました、はい、なんですかそれ

ちなみにバカップル上司は本編で何度か出てるアレとは違います、ただのバカップルです。

────
ユミ
Lv.??(文字化けにより隠れた)
アイテム:槍、回復結晶などなど(全てコウキのもの)
スキル:無限の幻影茨(詳細不明)
特徴:オッドアイ、記憶障害


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第114話 第1の試練【竜の巣窟】

「スイッチ!」

 

「はあぁぁ!!」

 

洞窟に入ってすぐ、ユミがまるで別人になったかのように周りを警戒し始めた、それに続き俺も索敵スキルを使ってみると入口から少し先に大量のドラゴン型のモンスターがうろついていた。

気付かれずに先に進む訳には行かないため、俺とユミ(コウキの人格)で協力してドラゴン型のモンスターを片っ端から倒すことに。

 

(荒っぽい性格かと思ったけど戦い方自体はしっかりしてるな……ユミは自覚ないだろうけど)

 

戦闘時、というか敵の気配を察した時にいきなり兄の荒い人格が表に出て槍を振り回す、良く考えれば危ないことではあるが、俺だけじゃどうにも出来ないからもう少しだけ様子を見ようと思う……

 

「ルシハ、あれ」

 

「ん……?」

 

ユミなのかコウキなのかわからない声のトーンと落ち着いた様子で指さした先には俺達が蹴散らしたドラゴンの親玉と思われるそこそこでかい竜が俺らの方を見ていた。

 

「それと、ここに看板が」

 

「なになに……?『竜に成敗を与え、希望の光を取り戻せ』?」

 

(どういうことだ……?)

 

「そう言えばさっき、この洞窟の上に()()()()()()()()()()みたいなものがありましたけど……」

 

「つまり、あの竜を倒してその機械とやらの光を復活させて何かをするってことなのか…長くなりそうだな」

 

(これがここからの脱出の手がかりになってればいいが……)

 

「ルシハ、来るよ!」

 

「まだ気づかれる範囲じゃな──そういうことか……!!」

 

ドラゴンはいきなり叫び出した、何も起きないと油断していると入口の方、そしてボスであろうデカブツの方から小型ドラゴン達が湧き出した。

 

「手っ取り早く蹴散らすしかないのか……行くぞ!」

 

俺とユミは武器を構えてドラゴンとの戦闘を開始した。

 

────

アブソリュート・α(未完系)

 

Lv.40

タイプ:竜

攻撃方法:爪、炎、風

 

────

取り巻き

スモルドラゴン

Lv.30

────

(ボスにしてはレベルが低めな気がする……いや、油断したら危ないな、それにαってのも気になるけど……一気に決めさせてもら───

 

俺は双星剣を使い、一気にダメージをボスに与えようと思った、が、何故か《ナイトメアレイン》と《インフェルノレイド》系列の上位ソードスキルが使えない。

使えるのは《ダブルサーキュラー》《エンドリボルバー》の2つと俺が未開放の1部のソードスキルだ。

 

(こうなったら片手剣で戦うしかないか……)

 

俺はしょうがなく《ゼデュースホーリーソード》を右手に持った。

双星剣スキルとは違い、俺が取得したソードスキルに関しては全て使えるようになっている。

なんで使えないのかはわからないけど今はそれを考えてる暇なんてない……

 

「ユミ!スイッチ!」

 

「あ、うん!」

 

ユミに相手の隙を作ってもらい相手にソードスキルを放った。

 

片手剣SS:ホリゾンタル・スクエア

 

4連撃をドラゴンに与えたが、ドラゴンの体力は4分の1しか減らず、そのまま俺はドラゴンの連続の爪攻撃に押されてしまった。

 

(こいつ…レベルが高いってのもあるだろうけどアインクラッドにいたモンスターとは確実に強さが違う………)

 

「ユミ!しばらく敵を引き付けてくれ!」

 

「わ、分かった!」

 

(成功するかはわからない、だけど成功させないといけない……)

 

それから数分、ユミがドラゴンの攻撃を防ぎながら体力を減らしてくれている間に俺はとあるスキルを使った。

 

「ユミ!しゃがめ!」

 

「え……ひゃ!ひゃぁ!?」

 

俺は思いっきり剣(デビルライトハンド)をドラゴンにめがけて投げた。

ユミの頭をスレスレで通り過ぎて俺の剣はドラゴンの心臓部辺りに直撃し、ドラゴンは即死扱いとともに消滅した。

俺が使ったのは《投剣スキル》だ。

 

 

(倒したのはいいけどなんでスキルが使えなかったんだ……?)

 

「ルシハ!」

 

「そーいやさっきはゴメンな、それでどうしたんだ?」

 

「あれはびっくりした……じゃなくて!今回ルシハと戦った時の記憶が残ってる」

 

「最初の方は兄の方が出てきてた気もするけどもしかしたらお前の持ってる《無限の幻影茨》とかいうよくわかんないスキルが関係してるかもな……わからないけど」

 

(だとしてもなんで発動しなかったのかだよな……)

 

「とりあえず外行こうよ、ルシハ!」

 

「お前なんか元気になった?」

 

「………さぁ?」

 

(まぁ、いっか……それよりこのエリアに入ってから色々とわからないことが起きてるな……)

 

双星剣の1部スキルの使用制限、ユミの多重アバター、1部ステータスとアイテムの文字化けなどなど……

 

「とりあえず外に出てほかの場所も見に行くか」

 

「うん、そうだ──

 

と、俺らが外に出ようとしたその時、出口に落石が発生し出口が塞がれていきなり地面が揺れだして洞窟が崩れ始めた。

 

『グギュルリュル!!』

 

どこからか何かの鳴き声がした気がしたが今はそれどころじゃない………!

 

「ユミ!」

 

洞窟はそのまま崩壊した。




ほらそこ不謹慎とか言わない図星だけど


何故かソードスキルが発動しなかったり
ユミが兄の性格を出さなかったりと色々起きつつドラゴンを剣を投げて倒した。
そして外に出ようと思ったその時、謎の揺れとともに洞窟は崩壊……

ルシハたちの運命はいかに…!?


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第115話 光を指すもの【脱出】

「ここは………?」

 

岩の下でもなく外でもない暗闇の中に俺は倒れていた、と言うよりは俺の周りにドーム型に岩が落下してきたと言った方がいいのか…なんて奇跡だ。

そんなことよりユミはどこに………

 

「ひゃう!?」

 

「……?」

 

暗すぎるせいで何も見えないからとりあえず手探りで何かないかと探そうと思って手を動かした途端、何かに触ったらしく、そのままユミの悲鳴が聞こえた。

 

「どうしたんだユミ?」

 

「……あ、あの…胸触ってます」

 

「なんかごめん」

 

「とりあえず手を離してください!」

 

多分無事でよかったとか今声をかけても無理だ…というか今のは不可抗力な気がする……(触れる胸が無いとは言えない)

 

「無いとか思ってないですよね」

 

「いやいやいやいや、そんなこと思ってないって、それよりここからどうやってでるか考えないと……」

 

「はぐらかさないでくださいっ!」

 

「まぁ、落ち着けって」

 

「………わかりました」

 

何とかユミを落ち着かせたけどここから出る方法を考えないと……

ソードスキルで岩を破壊してでるっててもあるけどどこか1箇所でも崩した瞬間ほかの岩が崩れてくると思う、とはいえそれ以外の方法が考えられないんだが……

 

「ルシハ、何か聞こえるけど……」

 

ユミが言ってる通り岩の外からなにかが聞こえる気がする、と言うよりは近づいてきてる気がする

 

(もしかして………)

 

俺の考えは見事に当たった、洞窟が崩れる前に聞こえた謎の鳴き声、あの正体が今、こっちに近づいてきている、というかもうすぐそばにいる……

と、考えていると俺たちの頭上の岩が吹き飛ばされて外の光が暗闇を照らした。

 

「よくわからないけど出るぞ!捕まれ」

 

2mは確実にあると思う出口までユミを掴んで思いっきり飛んでギリギリで出口に掴まり俺らはそのまま外へ出た。

 

と同時にユミは何かに吹き飛ばされた。

 

「ユミ!」

 

(体力は尽きなかったとはいえさすがに立ち上がるのも辛いはず……回復結晶もそこまで持ってないけどユミに使うしかないか……)

 

などと考えていると俺の後ろ、崩れた洞窟の上にさっき戦ったドラゴンよりも小さいドラゴンが1匹だけ現れた。

 

「回復結晶を使わせてくれる暇はないか…こうなったら……受け取れ!ユミ!」

 

ドラゴンが俺に攻撃をしてくる前にユミが使うための回復結晶を少し遠くのユミ目掛けて投げた。

 

「さぁ、勝負だ」

 

小さいドラゴンとはいえユミがあそこまで吹き飛ばされたということはそれなりの攻撃力はあるはずだ、そうなると俺も気を抜いて戦えるわけじゃない……双星剣スキルもまともに使えないし……

 

───

《NM》センチネル・ドラゴネス

Lv.60

───

「はあァァ!!」

 

双星剣ソードスキル:エンドリボルバー

 

ドラゴンの攻撃を避けつつ隙をついてソードスキルを叩き込んだ、が相手の体力はまともに減らずにそのままカウンターと言わんばかりの攻撃を受けてしまった。

《NM》という見慣れない名前も気になるけどいくらなんでも強すぎる気がする……けど

 

(ユミが倒れてる今、俺がこいつを倒さないといけない……!!)

 

と思ったその時だった、ドラゴンはいきなり飛び始めてどこかへと行こうとした

そしてドラゴンが向かった方はシズクたちに待機させてる方、向こうは崖だから行く場所はシズク達のいるあそこだけ……

 

「させるかぁ!」

 

シズク達がこいつと戦うのは無理がある、というか完全に不利だ。

そんなことはさせたくない、と思いドラゴン目掛けて剣を投げた、が飛距離的な問題でドラゴンまで俺の剣は届かなかった。

 

(くそ……このままじゃアイツらが……)

 

「ユミ、お前の槍借りるぞ………」

 

迷ってる暇も他に投げれる武器もない、そこで近くにいたユミの槍をドラゴンに投げることにした。

 

(この重さなら行ける……!)

 

ドラゴンの飛行高度が少し下がったタイミングを狙い槍を構えて投げる準備をして助走と勢いを付けてその勢いでドラゴン目掛けて《投剣スキル》で槍を投げた。

ドラゴンが下降を始めると同時に槍がドラゴンに突き刺さりドラゴンはそのまま下へ落下、位置的にシズク達がいるところだ。

 

俺は急いでユミを背負ってシズク達の元へと走って行った。

 

───

数分後

 

シズク達《夕立の霧雨》待機場所

 

俺がその場に行くと既にドラゴンは消滅していた。

 

「ルシハ、さっきのドラゴンは脱出の鍵かなにかだったのか?」

 

「いや、何体かいるボスを倒さないと1歩も脱出に進まないと思う、というかお前らが倒したのか?」

 

「いや、俺達は何もしてない、あれを殺ったのはシズク」

 

この後、色々と情報交換をしたりした後、俺達はこれからどうするかを話し合ったあと、とりあえずまた何かないかを探そうと思ったその時だった。

 

俺だけに謎の声が聞こえていきなり周りの景色が見覚えのある景色になった。

 

──ルシハ達はここにきちゃダメだよ

 

どこかで聞いたことのある声だった、懐かしい声だ……

 

────

「ルシハ!ここって……」

 

「アインクラッドの《はじまりの街》……?戻ってきたのか…?」

 

「なんでなのか分からないけどとりあえず良かった……」

 

「疲れたよ……今日はもう休もう」

 

俺達は宿へ移動してこの日は休むことに。

結局、あのエリアから戻ったのはこの後もわからないままだった。

 

───

第1層:宿【ルシハの部屋】

 

(ソードスキルが元に戻ってるか……ほんと、なんだったんだろ、あのエリアは)

 

と、ベットに寝ながら考えているとドアがノックされてシズクが入ってきた。

 

「どうしたんだ?」

 

「………怖いから一緒に寝てほしい」

 

そう言いながらシズクは俺の布団に入ってきた。




終わり方よ、雑よ
おいルシハ、セクハラは良くないぞ

ドラゴンをまたまた武器を投げて殺して
終わったと思ったらいきなりエリア脱出!
どんなエリアだったかも何もわからずにそのままはじまりの街へと戻った一行

そしてシズクが部屋に入ってきた……?

次回から数話、戦闘はほとんどない話です


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第116話 溢れ出る気持ち【添い寝:シズク】

「どうしたんだよ、怖いって、変な夢でも見たか?」

 

「うん……そんな感じかな」

 

今までのような明るい声で話すシズクとは違って、今のシズクは何かに怯えるように声が震えていた。

部屋に入ってきた時に少し見せた笑顔も俺から見れば、いや、多分ライムとかに見せても同じように見えるはず。

 

「シズク…辛いなら全部話してくれよ」

 

「あはは、ルシハにはバレちゃってたのかな?」

 

「まぁな、ここに帰ってきてから今ここに入ってくるまでシズクが辛そうな顔をしてるのは分かってたよ」

 

「……そう、だよね…」

 

「とりあえず話してくれよ、何か少しでも力になれると思うし」

 

シズクは俺の布団に入ってきてそのまま俺の方を向いて話し出した。

 

「私さ、現実世界でいじめられてたんだ、ゴウたちに聞いたと思うけど……」

 

「確かに聞いたよ」

 

「それでさ、自分に自信がなくなって、『自分』ってなんなのかって、いる意味なんてあるのかなって、よく分からないけど人を殺したって言われてる私が生きる意味なんてあるのかなって……ずっと、悩んでた」

 

シズクは泣くのを堪えながら色々と話を進めた。

自分は人殺し、ということをずっと抱えて生きてることを……

 

「それから私は友達と言えるものを作らなかった……作れなかった。怖くて……でも、そんな時にゴウとライムが私の事情を受け入れてくれて仲良くしてくて、ずっと一緒にいるような仲になったんだ」

 

確かライムもそんなこと言ってた気がするけど……なんか食い違いがある気が……ま、いっか

 

「このゲームが発売されるって聞いて、私達は全員でβテストまで遊ぶようになったんだけど、私はまだ昔のことを忘れられなくて………誰かを失うんじゃないかって、殺してしまうんじゃないかって、私のせいで誰か──

 

「辛いならそれ以上は話さなくていいよ、お前の気持ちはよくわかった、よくわかるよ、俺も」

 

今にも泣きそうなシズクを近くに抱き寄せた。

こんな時にどんな声をかければいいのかもわからないしどうすればいいのか分からないけど、シズクの辛さ、気持ちは俺もわかる。

 

「ルシハ……暖かい……」

 

「シズク、お前は俺が守る……俺が生きてる間はパーティメンバーを殺させはしない、死なせる訳には行かないんだ、もう二度と、な……」

 

「……うん」

 

その後、シズクは俺に抱きついたまま安心したように寝た。

 

(誰かを守る……か……)

 

 

 

 

そして次の日

 

ゴウ、ライム、ユミに留守番と買い物を任せて俺とシズクはシズクの提案により第1層の草原で特訓気分でクエストをこなしていた。

 

「やあぁぁ!!」

 

シズク:片手剣SS:バーチカル

 

「よし、これであとは……()()()()()()()()()()()()()()……大丈夫かよこれ…」

 

「大丈夫でしょ、一応第1層のクエストだし!」

 

(戦闘に関してはシズクに任せつつあるけどスライム相手に大丈夫か……?)

 

「いやぁー!!?ルシハー!助けてー!?」

 

「どうしたシズク!って遠!?」

 

少し考え事をしているといつの間にか遠くの方に行っていたシズクが俺に助けを求めてきた。

その理由は遠くからでもわかったけど……

 

「なにこれネバネバして動けない……って装備が!?ルシハ!見ないで助けて!」

 

「んな無茶言うなよ……とりあえず体制低くしてろ!」

 

「無理無理無理!これ以上体制低くしたらもっと装備とかされる!というかもう溶かされてる!?とりあえず早──ひゃあ!?」

 

嫌な予感はしてたもののまさか見事に的中するとは思わなかった、開発時にバカップルっぽい上司が作り出した《装備を溶かしてくるモンスター》がこんな所に実装されてるとは……

 

 

「シズク!今助ける!」

 

 

結局、スライム達は俺が近づいたことでシズクからターゲットを変えて俺に襲いかかってくるようになった、ことをチャンスと見てそのままスライムを蹴散らした。

 

 

 

「うぅ……」

 

「ごめんな、俺がもっと早く気がついてたら…」

 

スライムを倒したことでクエストがクリアになったことを確認した帰り道、さすがにそのままのカッコで帰る訳には行かない、ということで俺が予備で持っていた装備をシズクに装備させた。

 

「……裸見たよね」

 

「見てない見てない!」

 

「絶対見たよね…?」

 

「見てない!絶壁なんて見てない!」

 

「やっぱり見たんだね!?」

 

「そこは反応しちゃいけないだろ……とりあえず街に戻るぞ」

 

「……バカ」

 

この後、シズクが俺と出かけた先であったことをライム達に伝えて俺が冷たい目をされたり、買い物で手に入れた色々なものを確認したりとお互いの話を終えて俺達は宿で眠りにつくことに。

 

 

(シズク、元気出てくれてよかったな…長く続くかはわからないけど……)

 

「ルシハ、入るぞー?」

 

考え事をしつつ寝ようと思っていたその時、俺の部屋のドアを開けて寝間着姿のライムが入ってきた。




なんとも言えない

そしてまさかのスライム事件発生
シズクの服が溶かされた。あら大変

そして1度の添い寝で終わらないハーレム主人公ルシハ

次の添い寝はライム!
さて、どれぐらい添い寝が続くかね。


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第117話 女子として【添い寝:ライム】

前日に引き続き俺の部屋に人が入ってきた。

 

「それで、どうしたんだ?」

 

「俺も一緒に寝ようかと思ってさ」

 

俺と一緒に寝る、と言う割には何か話すことがあるように見える。

それも、シズクと同様に暗い話……か?

 

「それじゃ、横失礼するよ」

 

と、ライムは俺の答えを聞かずにそのまま布団の中に入って俺の方に向いてきた。

 

「こーやって近くで見るとルシハって案外大人っぽいんだね」

 

「なんだよいきなり……」

 

「俺だってこう見えて女なんだぞ?たまには男の顔を近くで見たっていいだろ?……なんてね」

 

そんなに大きくない布団だからライムの顔が近くにある、のをいいことにライムは俺をからかうような発言をした。

 

「お前が言うと冗談なのかわからなくなるな…それで、本当の用はなんだ?」

 

「なんでルシハにはバレるんだろうな……んじゃ、教えるか……実はさ…」

 

 

 

 

 

「……なるほど」

 

「『いざと言う時は殺せ』があいつからの伝言」

 

「別に今言わなくてもいいと思うんだけど、まさかそんなことがあったとはな」

 

ライムから聞いたこと、それは今の俺には理解はできなかった、が、後でどういう事なのかは()()から伝えられた。

 

「んじゃ、ルシハが隠してることを聞こうか」

 

「………は?」

 

「ルシハはなんで『誰かを守る』ってずっと言うんだ?シズクや俺みたいに過去に何かあったわけじゃないだろ?」

 

「……俺だって、隠したいものはあるよ」

 

ライムやシズク達と同じように、俺にだって忘れたい思い出はある、思い出したくないことはあるんだ………

 

「こっちばっか聞いてもらうのも悪いし、話してくれよ、ルシハ」

 

「……俺は────

 

 

 

 

「…そんなことがあったのか…」

 

「それとは別に第1層の攻略の時、迷宮区で1人のプレイヤーを見殺しにしたんだ」

 

「ルシハ……それ以上は話さなくていいよ、辛いだろ……」

 

俺が今、どんな顔をしてるかわからない、だけど多分、ライムの反応からして怖がってると思う……

 

「ルシハも辛い思いしてるんだな…大丈夫だよ、俺──私がルシハを守ってみせる」

 

「………っ!!」

 

ライムは俺を抱きしめてそのまま母親のように頭を撫でてきた。

 

「母親代わりとは行かないけどさ、ルシハをいつでも見守る、見守り続けるよ」

 

「ライム………ありがとう……!!」

 

この後、しばらく俺はライムに抱かれたまま泣き続けた。

 

そして、気がついたらライムも俺も寝ていた。

 

 

 

 

 

次の日。

朝早く起きた俺とライムは何事も無かったかのようにほかのメンバーを起こした。

そして、これから何をしようか、と考えているとユミが

 

 

「昨日買い物の時に噂で聞いた話ですけど、第1層の奥地に秘密の草原っていう場所があってそこに秘密の温泉があるらしいです」

 

という話をして、それに全員の意見が一致して俺達はその場所に向かうことになった。

 

 

 

第1層奥地:《秘密の草原》

 

「「「おぉー!!」」」

 

「あまりはしゃぐなよ、誰かいるかもだし」

 

「それならルシハが見てきて!」

 

「へいへい………」

 

はしゃいでる女子3人を差し押さえつつ俺はシズクに言われて先に風呂の中を見に行くことに。

 

その後、誰もいないことを確認した俺はその事を女子達に伝えると女子達が先に風呂に入ることに決まった。

 

 

「ルシハ達は見張ってて、誰かこられても困るから、あと覗かないでね!?」

 

「わかったよ、楽しんでこい」

 

それから数分後………

 

「いやぁぁぁ!?」

 

風呂の中からシズクの叫び声が聞こえた。

とはいえ覗くなと言われてるから入れないんだが……

 

 

「どうしたシズク!?」

 

「ルシハ!ゴウ!助けて!」

 

と、かなりピンチの様子のため、躊躇せずに俺はそのまま温泉の入口から入った、が

シズク達はなんの変化もなく普通に風呂に入っていた。

 

「……は?」

 

「やっぱり、どんな時でも助けてくれるんだね」

 

状況などを説明しよう。

ライムの提案で何かに襲われてるかのような叫び声を出したら俺が助けに来るかを確かめたらしい。

もちろん入ったところで何も無いが……

 

 

結果的に俺は覗きをしただけ、ということになる……?

 

 

 

 

 

夕立の霧雨とこんな日々が続いて1ヶ月後。

俺達夕立の霧雨とキリト、アスナ、クライン、そして後の血盟騎士団のメンバーは第10層のボス部屋前に集合していた。




時飛んだよ、やべーよ

え?ユミの添い寝?
どこいったんだろ?


今回の話、色々と気になる点を残しましたね、あら不思議

ルシハに隠された秘密とは……


次回、時は流れ1ヶ月後、第10層のボス攻略が始まる…!!


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第118話 第10層【ボス戦Part1】

第10層ボス部屋前

ルシハ目線

 

夕立の霧雨と出会って1ヶ月、前半は前線に立っていた俺たちは第7層から第9層までのボス戦には参加せずに特訓などをしていた。

特訓をしつつ俺は時々、4人と別行動をしてアルゴと共にクエストなどを終わらせたりして最近は第10層ボスの情報を得たりもした。

 

「みんな、行くぞ!」

 

未来の血盟騎士団のメンバーの一人、確か名前は《ノーチラス》、その男が少し引き気味ながらも全員に声をかけてボス戦の開始を合図した。

 

そして俺たち攻略組はボス部屋の中に入った。

 

 

ボス部屋の真ん中に鎧兜のようなものを着たサムライのようなモンスターが座っていた。

俺達が近づいたことに気がつきボスであるこのモンスターは武器を構えた。

 

 

────

第10層ボス

カガチ・ザ・サムライロード(Kagachi the Samurai Lord)

 

武器:カタナ

体力が減ると特殊攻撃を行う

────

今回ボス戦に参加したのは15人ほど。

それぞれ役割を持つとすればアタッカーが7割ほどを占める。

クライン、キリト、アスナ、俺と夕立の霧雨、そして後の血盟騎士団のメンバー達。

血盟騎士団のほとんどが今回はタンクとして盾を持ってきている。

 

「防御役はボスの攻撃を防いで様子を見るんだ!その間にアタッカーはいっせいに攻撃するぞ!」

 

「ゴウ、お前も前に出て攻撃を防いでくれ」

 

いつの間にかリーダーになっていたキリトが全員に指示を出したのを聞いて俺もゴウに指示を出した。

 

サムライロードの攻撃は片手に持ったカタナを振り回して攻撃するのが通常。

稀に使う強攻撃は威力が高めだから気をつけないとやられるかもしれない。

 

「キリト!アスナ!クライン!行くぞ!」

 

「わかった!」

 

「シズク達もあとからでいいから攻撃してくれ」

 

「うん!」

 

盾持ちがボスの攻撃を防いでいるうちにアタッカーの俺達がボスに向けてソードスキルを放った。

 

キリト:バーチカル

 

アスナ:リニアー

 

シズク:ホリゾンタル

 

「ライム!やるぞ!」

 

「あれを!?」

 

1ヶ月間、メンバーの1人と一日特訓、ということをよくやるようになってライムとの特訓の時に練習した連携をここで決める。

 

ライム:ライトニング・ラッシュ

 

「ルシハ!」

 

「あぁ……!!」

 

ルシハ:デス・スターアライズ

 

ライムのソードスキルが放ち終わる前に俺のソードスキルを加えて放つ事により相手へのダメージ量を格段に上げる連携技《ホロウ:シンクロナイザー》を決めた。

そこに隙を作らずにノーチラス達がさらにダメージを与えた。

 

「よし、これで体力は半分まで減らせた……!!」

 

ボスのHPは50%を切った、と同時にボスの動きが変化した。

ボスは右手に持つカタナとは別に左手に武器のような何かを持った。

と共にそれを構えて防御役のプレイヤー達に向けて放った。

 

「させない!」

 

攻撃には参加しなかったユミが相手の特殊攻撃を弾き返した。

が、ボスはまるでそれは予測済み、言わんばかりのように再び右手に持っているカタナを構え、誰もいないところに十字にカタナを振った。

 

「……お前ら!下が──

 

俺の予感は的中した。

ボスが十字にカタナを振ったのは次の攻撃、斬撃を飛ばすものだった。

俺たちの場所までそれは届かなかったものの前衛で盾役をしていたプレイヤー達はかなりのダメージを負い、盾は簡単に破壊されてしまった。

 

(あれがこいつの切り札か……次にまた使われる前に倒さないと……)

 

「ノーチラスとクラインはタンクの回復を、残ってる奴らは全員、こいつを倒すぞ!!」




これだからバトル描写は苦手なんや

さぁ、ノーチラスとかいう未来のクソ野郎登場。

ボス戦開始、そしてフルボッコ


《ホロウ:シンクロナイザー》はいわゆる連携技です。


追記:UA2万突破しました!ありがとうございます!


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第119話 第10層【ボス戦Part2】

ボス戦に参加している15人ほどのプレイヤーのうち、約3割がボスの攻撃によって戦闘復帰に時間がかかる状態になってしまった。

そしてボスの攻撃を防ぐプレイヤーが居なくなったせいでアタッカーだった未来の血盟騎士団のメンバーが剣で攻撃を防ぐことになり、今現在の俺たちのアタッカーは夕立の霧雨(-ゴウ)とキリトとアスナの6人だけ、という壊滅的状況になっている。

 

「はあぁぁぁ!!」

 

キリトとアスナが他のメンバーが攻撃を防いでいる間にボスにソードスキルを放ってダメージを与えた。

 

「ルシハ!もう一度アレをやるぞ!」

 

「了解……!!」

 

ライム:ライトニング・ラッシュ

 

「ここだ……!!」

 

ライムのソードスキルの4連撃が終わり、相手に電気が走った瞬間に俺がソードスキルを加えて攻撃しようとした───が、ボスは電気を全く気にせずにソードスキルを放とうとした俺の目の前でカタナを十字を描くように振りそのまま俺は飛んできた十字の斬撃をもろに受けてしまった。

 

 

「ぐあっ!?」

 

「ルシハ!」

 

幸い、俺のいた方向には俺以外のプレイヤーはいなかったとはいえ、さすがにもろに受けたせいで体力がイエロー(レッド寸前)まで減らされてしまった。

 

(あの一撃で俺がここまで減らされるってことはシズク達がくらったらまずい……)

 

俺は立ち上がって手放した剣をもう一度持って構えた。

 

「ルシハ!無茶するな!俺達が何とかする!」

 

キリトが体力がギリギリな俺を見て止めてくれてるけど……

 

「断る!」

 

「ルシハ………」

 

「俺がパーティを組んでる間は誰も死なせはしない……もう二度と誰かを目の前で失うのは嫌だ!」

 

俺はボスに向かって走っていって片手剣ソードスキルを放った。

 

片手剣SS:ファントム・ダイブ

 

どれだけの威力があるかわからないソードスキルを放ち、反撃をしようとしたボスの攻撃を防いでライムに指示を出した。

 

「ライム!」

 

「あぁ……!!」

 

ライム:片手剣OSS:ライトニング・フォール

 

「シズク、ユミ!」

 

ライムは《ホロウ:シンクロナイザー》をしつつ後ろで準備していた2人に攻撃の合図を送った。

 

シズク:片手剣SS:ホリゾンタル

 

ユミ:槍SS:ディメンション・スタンピード

 

1ヶ月の間に特訓を重ねてシズクはソードスキルの強化、ユミは槍での戦い方とソードスキルの確認などをしていた。

それがこんな所で《連携技》として使えるとは……

 

「「「ルシハ!」」」

 

(あいつらには悪いが俺が決めさせてもらう………!!)

 

ボスの動きが俺たちの連撃に追いつかずに止まった瞬間を狙って俺はそのままソードスキルをボスに叩き込んだ。

 

ルシハ:片手剣SS:デススター・アライズ

 

この一撃でボスの体力はゼロになりそのまま光となって消滅し、ボス戦勝利のBGMが流れ始めた。

 

ラストアタックを取ってしまったことに少し罪悪感を感じつつ俺は次の層へと夕立の霧雨のメンバー達とともに進んで行った。

 

その時、ノーチラスが怪しげな表情をしていたが、この時は全く気にしていなかった。

 

────

転移石のアクティベートを済ませた俺達はそのまま第1層に借りた宿へと帰って反省会的なアレをやった後、それぞれの部屋で寝た。

 

 

 

 

夜中:宿前

 

全員が寝たのを確認した俺は装備を整えて外へ出た。

 

 

(お前らをこれ以上巻き込む訳には行かない……じゃあな)

 

夕立の霧雨のメンバーを置いて俺は第11層へと向かった。




衝撃のボス撃破

ユミの使ったソードスキルに関してはこの後に投稿される番外編を見てくれい

1ヶ月間の間に夕立の霧雨のメンバーはかなりの強化をした様子……


そしてボス撃破後、その日の夜、ルシハは1人、第11層へと向かう……


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番外編という名のサブストーリー的な何か

ネタバレを含みますので、この投稿より前の話を読んでない方はそっちを先に読んでね


第117話後半:秘密の草原奥地の温泉

女子組目線

 

ルシハとゴウに見張りを任せて女子3人組は温泉へと入った。

 

「はぁ〜……気持ちいい……そういやライム、しっかりと女子アバターだね」

 

「シズク、それどういう意味……それよりほんと、温泉なんて久しぶりだよね」

 

「私も温泉はすごく久しぶりな気がします」

 

SAOには存在しないはずの温泉で日々の疲れを取りつつ久しぶりという感覚を感じた3人はとある話題について話し出した。

 

「そうだ!少ししたらルシハが1人で行動したいって言ってたからさ、その間に私達もルシハが困らないようにゴウも含めて特訓しようよ!」

 

「そうだね、さすがにルシハに戦闘を任せすぎるのもだめだし、私達も強くならないとね」

 

「私もソードスキルを使いたいです」

 

「よし!頑張ろー!」

 

こうして数分、自分のタイプの男はどんな人か、など、女子トークを続けた3人はルシハの話をしているうちにとあることを思いついた。

 

「そうだ!ルシハ達に少しだけ確認しよ!」

 

「確認?」

 

「そう!私が『助けて!』って叫んだらルシハはこんな状況でも助けにきてくれるのかなーってさ」

 

「タオル巻いてるしやってみようか」

 

こうして、117話に続く……

 

 

 

 

────

第1層:原子の草原

 

温泉に入ってから数日後、ルシハがどこかに行ってしまったあと、シズクたち夕立の霧雨は草原でソードスキルの特訓をしようとしていた……が、ライムは別の用事で他の階層へ、ゴウは1人買い物をする、ということでシズクとユミの2人だけになってしまった。

 

「2人ともひどいよね……せっかく特訓しようと思ったのに……」

 

「ま、まぁ……」

 

一応リーダーであるシズクは2人が勝手に行動したことに対してのちょっとした腹いせを近くのモンスターに、ユミはその様子を見て何となく近くのモンスターを突き刺していた。

 

「と、とりあえず!私たちだけでもスキルの練習しよ!」

 

「そうですね、ライムさんはいつの間にかソードスキルを獲得してましたし……私もそろそろソードスキルをしっかり使えるようにしたいです」

 

「よし!そうと来たら練習しよう!」

 

「はい!」

 

それから数分後………

 

「いやぁぁぁぁ!?なんでぇぇ!?」

 

シズクは大量の猪型モンスター《ボア》の多種類に追いかけられていた。

 

「シズクさん……今助けます!」

 

槍ソードスキル:ディメンション・スタンピード

 

シズクを助けようとしたユミが片手に持った槍が光を放ち始めたその瞬間に言葉で表せないほどの連撃をユミは放ち、ボアの大軍が殲滅された。

 

「い、いまのは……?」

 

「凄いよユミちゃん!ソードスキル使えたんだよ!」

 

「や、やった……」

 

この後、2人でソードスキルをしっかり使えるようにしている途中、クエストの用事で寄ったルシハとアルゴがそのソードスキルがどんなものなのかを確認すると……

 

「こいつは………《槍ソードスキル最強》だ……」

 

「槍使いすら珍しいの二、それがソードスキル内最高技とハ……」

 

と、小声で何か言いながらルシハはアルゴと共にその場を去って行った。

 

そしてそれから1ヶ月、ルシハがたまに戻ってきたところでシズク達のワンツーマン特訓をした。




ということで今回は2本立て(?)

雑だけど番外編。


ちなみにユミのソードスキル「ディメンション・スタンピード」は
ホロウ・フラグメントの槍スキルの最後のやつ


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第120話 悪魔と殺人鬼【レッドプレイヤー】

第11層《墓地》

 

夕立の霧雨を置いて第11層に到着した俺は一刻も早く攻略を進めようとフィールドを走っていた。

途中、攻撃を仕掛けてきたモンスターを軽くなぎ払いつつ俺は第11層の奥まで進んでところで何者かの気配を感じた。

 

「そこに隠れてるのはわかってる、出てこい!」

 

「ほぅ……俺様の気配に気がつくとはなぁ…すげぇなおめぇ……」

 

俺の目の前に現れたのはフードを深く被り、片手に中華包丁みたいな武器を持った声の低い()()()プレイヤーだった。

 

「おめぇが後一歩でも出た瞬間に切り刻んでやろうと思ったんだがなぁ…見切られちゃァしょうがねぇよなぁ」

 

「お前、ここを通り過ぎるプレイヤーを片っ端から襲ってたのか」

 

「ご名答、俺はそういうのをやるのが楽しみなんでね」

 

「殺人鬼が……!!」

 

「まぁそう熱くなるな、おめぇの相手は……こいつだしな」

 

そう言った瞬間、フードを被ったプレイヤーはさらに奥へと進んで行った、と同時にモンスターがポップした。

そのモンスターは記憶に新しい《第10層ボスモンスター》のサムライロード……いや、サムライソウルだ。

 

(死者の魂ってとこか……)

 

クエストかフィールドボスのどっちかだとは思うがまさかこんな所で遭遇するとは思ってなかった。

が、ボス戦の時とは違い俺は《絶界の双星剣》を使うことが出来る。

 

「思う存分戦ってやる……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

双星剣を使ったからなのかわからないが、相手の強さは明らかにボス戦の時より弱体化していた。

 

「これで……トドメだ!」

 

双星剣のソードスキル《ナイトメアレイン》を使い、サムライソウルを倒した俺はそのまま奥へと進もうとした、その時だった。

 

「おーいルシハー!」

 

第11層の転移石のある方角から聞き慣れた声が俺を呼んだ。

シズクを先頭とした夕立の霧雨のメンバー達が周りのモンスター達を倒しつつ俺の方へと向かってきていた。

 

「よかった、ルシハがどこに行ったのかわからなくて探し──

 

シズクが俺に近づこうとしたその時、夕立の霧雨を囲むようにさっきのモンスター、サムライソウルが三体も出現した。

 

(あのバカ………!!)

 

俺は《エンドリボルバー》を使いサムライソウルの集団を夕立の霧雨から離してそのまま奥へ逃げた。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……助かったよ、ルシハ」

 

「なんでついてきたんだ」

 

「そりゃ、ルシハが心ぱ──

 

「もうお前らは強くなったんだ、俺の力を必要としなくてもそれなりに戦える、もう俺が教えることだって何も無いだろ」

 

「ルシハ………?」

 

昼間のボス戦の時点で決めていたことだった、どうやって口に出そうか迷っていたが……

今ならそれが出来る………

 

 

「もう俺と関わらないでくれ、二度と俺に近づくな、《夕立の霧雨》はお前ら4人で活動する、それだけだ」

 

「待ってよルシハ!」

 

4人を無視して先に進もうとする俺の腕を掴んでシズクが俺を止めてきた……が、俺はそれを無理やり振りほどいた。

 

「もうお前らは俺に頼る必要は無いだろ!!」

 

「ルシハ……だって………」

 

泣きそうになるシズクを見た俺はライムに言われたとあることを思い出した

 

────いざと言う時は俺を殺してくれ

 

それが今、ここで出来るこいつらとの別れる方法か……

 

俺はウィンドウを操作して使っていない片手剣を取り出して右手に持ち、4人と距離を離して剣を構えた。

 

「じゃあな……お前ら……!!」

 

俺は構えた剣を《投剣》のモーションに動かして剣を投げた。

投げた剣はシズクにかすった後、そのままゴウを貫き、ゴウはそのままHPが無くなって消滅した。

 

と、同時に俺は転移結晶をシズク達に向けて投げた。

 

その時、シズクが何かを言っているように見えた………が、その時の俺には理解できなかった。

 

 

この後、第11層の奥へ進んだが、あのレッドプレイヤーはどこかに消えた。

その後わかったことだが、あのレッドプレイヤーは《ラフィンコフィン》の《PoH》という男だった。

 

第11層以降、前線で夕立の霧雨と会うことはなく、そのままSAOがクリアに導かれた。

 

 

────

現在(101話回想前)

昼休み:春揮、葉月side

 

「そんなことがあったんだ………」

 

「まぁな……まさかこのことを今更夢に見ると俺も思ってなかった」

 

葉月は興味津々に俺の話を聞いていた(途中、オーグマーを触ってた気もする)

 

「……そうだ、葉月、このあとさ、ちょっと寄り道して帰るんだけどお前もついてくるか?」

 

「もちろん、春揮が行くならついてくよ」

 

放課後、俺と葉月はとある場所へ向かった。

その様子を同じ学校の制服を着た3人が見ているなんて俺にはわからなかった。




夕立の霧雨編、完結です( ᐢ˙꒳˙ᐢ )ヤッフイ
え?雑?
知らぬ

予定より早く終わったけど夕立の霧雨編だけ異様に伸びないしいいよね

次回から
《編》という形では新しく始まるけどまだ始まるまで少し時間がかかる‥‥

ソードアート・オンライン
オーディナル・スケール編、次回からスタート(数話は関係ないかもしれないけど)


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OS:オーディナル・スケール 序章
第121話 大切な人【兄妹】


東京都内:如月家付近

 

葉月を連れて俺が来たのは俺の家の近くにある少し小さな墓地だ。

 

「こんな所になんで来たの?」

 

「ちょっと早いかもだけど墓参りぐらいはしないとだからな…っと、先客か」

 

この墓地に来た理由は墓参りだが、その目的の墓の前に既に1人、黒髪の1部に青が混ざった髪色の女子が立っていた。

 

「誰かと思ったら……久しぶりだな、()()

 

「久しぶりって言っても2週間ぐらい前にVRの中で会ったでしょ…まぁ、こっちだと久しぶりになるのかな」

 

「あの……2人はどういう関係なの?」

 

「ごめんごめん、私は如月 千秋(きさらぎ ちあき)()()()()()の妹」

 

「え………?」

 

葉月が驚いた理由は2つあると思う、1つは千秋が俺の妹(俺に妹がいた)ということ、そしてもうひとつは………

 

「やっぱり驚くよね……私、右目が失明しててね」

 

葉月に顔が見えない角度で立ってた千秋が葉月の方に向いた時に葉月が確認したこと……千秋の右目に眼帯がついてることだ。

 

「昔、まだお兄ちゃんと一緒に住んでた時にちょっとした事件に巻き込まれちゃって、その時に……ね」

 

────

10年とちょっと前

 

両親と一緒に郵便局に郵便物を頼みに行こうとした時にそれは起こった。

時刻は昼間、ちょうど昼時を過ぎた頃、俺たち家族が順番待ちをしていると黒ずくめの男が入ってきて受付の人間に銃を突きつけた。

 

「今すぐに金目のものを全て出せ!さもなくば死人が出るぞ」

 

俗に言う強盗に郵便局が襲われた、が、無駄に勇敢に立ち上がった両親は郵便局の人たちを庇ってそれが犯人の怒りを買って犯人は両親を射殺。

 

「お母さん………?」

 

「お父さん……?」

 

「んあ?ガキ連れだったのかぁ…まぁ、いい、ついでに殺しとくか」

 

そのまま犯人は銃を俺に向けて発砲した、その時、俺はショックと恐怖でその場を動けずそのまま撃ち殺される覚悟をしていた、が、発砲が郵便局内に響き、俺はいつの間にか横に倒されていた、そして、俺の立ってた所には千秋がうつ伏せで倒れていた。

声をかけようと思ったその時、倒れてる千秋から血が流れ出してきた。

 

「千秋!千秋……!?」

 

千秋の返事はなく、血が流れ続けている。

郵便局の人間は警察に電話したりしていたり、他のお客さんの避難をさせたりしていた。

 

恐る恐る千秋の体を仰向けにした……そして、俺はその時に千秋が撃たれた場所を確認した。

千秋は完全に右目を撃ち抜かれていた。

 

 

「ちくしょう……周りの人間は逃げてんのに……まぁ、いい、もう1人のガキをここでし───

 

「ふざけるな………!!」

 

この時、俺が何をしたのかはしばらくわからなかった、が、後で聞いた話によると俺は犯人に突っ込んで銃を奪い犯人を撃ち殺したらしい。

 

その後、俺と千秋は駆けつけた救急車で運ばれて千秋は入院、俺は郵便局の人と一緒に警察に事情を聞かれた。

その後、人を殺した、殺されたということで精神的に病んだ俺は中学に入るまで病院の一角、精神科で『入院』という形になった。

 

その間、千秋は入院生活を続け、中学後半にてやっと学校に行けるようになったものの、千秋の要望で東京、恵比寿辺りに住んでいる祖父母の家の近くの中学へと入学(形は転校)

俺は元々住んでいた家(今の家)に祖父母の知り合いという人と一緒に高校生になるまで住むことになった。

 

────

「なるほど………」

 

「あ、そろそろ私行かなきゃ…お兄ちゃん、今日の夜、GGOにログインしてきて!」

 

話してる途中にも関わらず、千秋は近くに停めてあった自転車に乗って帰って行った。

 

(GGOに……か)

 

「そう言えば、千秋さんって、SJの『アキ』ってプレイヤーだよね?」

 

「あぁ、それより両親に挨拶しとかねぇとな」

 

葉月も一緒に墓参りを終わらせて帰ろうとしたところでいつの間に追加していたかわからない千秋のメアドから一通のメールが届いた。

 

────

お兄ちゃん

SAO、お疲れ様

おかえり

────

口で言えばいいのに、と思いつつそのメールを閉じて俺達も帰ろう、そう思ったその時。

 

 

 

千秋からまたまたメールが……

 

────

お兄ちゃん!

近くの公園で待ってる人いるよ

────

 

葉月もつれて言われた通り、近くの公園に行くと、そこには俺らと同じ制服を着た()()()()()()()()をした男子っぽい女子とショートヘアの女の子(片方はオッドアイ)2人が楽しく話していた。




郵便局の人たち何やっとんねん

新キャラ(前もいた)
如月千秋
登場!

なんと千秋、右目に眼帯を付けていた……(厨二病じゃねぇよ殴るぞ)

色々とあった春揮の過去、深く触れられなかったけど

そしてメールに送られてきた《SAOお疲れ様》という意味深な文字、そして公園に行くと……!?




────
如月春揮
20歳(今現在の話からあと数週間で21)
髪色:実は少し赤色が混ざっている

高校中退
アーガス社員(クエスト、システム管理担当)
SAO帰還者学校生徒

現実、仮想世界両方で人を殺したことを心のどこかで悔やんでいる

────
如月千秋
19歳
誕生日:9/22
髪色:黒髪に青色が少し混ざった不思議な髪色
目の色は普通に黒

高卒
今現在は一人暮らしをしている
どこから来たのかわからない金で暮らしている(春揮は気がついてる)
SJ2 4位

過去にあった事件にて右目が失明、病院生活を長くしていたため実は葉月より人見知りらしい


────
桜花 葉月
19歳

まさかの中卒
バイトで稼いだ金でSAOを購入
SAO帰還者学校生徒
歳の割には低い身長とない胸を気にしている
蒼い目を気にしている


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第122話 心を許せる親友【別れの理由】

東京都内、某所公園

 

「やっと来てくれた、ルシハ……じゃなくて春揮!」

 

「なんでお前らがいるんだ……」

 

千秋の言っていた『待っている』人達というのはここにいる3人……SAO時代の《夕立の霧雨》の3人だ。

 

「なんでってそりゃ、SAOクリアしたお祝いかな?」

 

「そういう話じゃねぇよ……俺は、お前らの大切な仲間を簡単に殺したんだぞ」

 

「今更、責めようなんて思ってない、正直、私たちがゴウの苦しみに気が付かなかったのが悪いし……それより、春揮の後ろにいる人は?」

 

「とりあえず自己紹介しないとですね」

 

いきなり喋り出したユミに話を止められてお互いの自己紹介をした。

シズクの本名は《雨宮 雫(あめみや しずく)》、ライムの本名は《西宮 来夢(にしのみや くるみ)》、ユミの本名は《一宮 美結(いちのみや みゆ)》。

よく考えると夕立の霧雨のメンバーは名前に宮が着いている。

 

「………それで、色々と聞きたいことがあるんだが」

 

「どーぞ!なんでも聞いてね!」

 

「なんで俺の名前を知ってる?」

 

「春揮の妹、千秋さんと最近知り合って、名前とか色々聞いたんだ、来夢は本名以外知ってたらしいけど…それで、少し前に春揮がSAO帰還者学校(同じ学校)にいるって分かったの」

 

なんで千秋が公園で待ってる人がいると知ってるのかと思えばこの3人と知り合っていたということか…

 

「それじゃあもうひとつ、なんで俺があんなことをしたのにそれでも俺を探そうと思ったんだ?」

 

「逆に聞かせてくれ、春揮は……いや、ルシハはなんであのタイミングで俺たちを突き放した」

 

「……お前らをあれ以上危険な目に遭わせたくなかったんだよ」

 

 

 

最初にあった時からずっと思っていた、()()失うことになるかもしれない、と。

1ヶ月の間にメンバーが死にかけることは何度もあった、それも全て俺のせいで。

そんな時、ゴウがライムに伝えた言葉を思い出した。

あの時、ゴウを殺せば夕立の霧雨から嫌われ、二度と関わらなくなると思った、だからゴウを殺して転移結晶を投げた。

ゴウからの伝言……『盾役の俺は死ぬのは怖くない、もし、ルシハがこのギルドを抜ける時、シズク達は反対するかもしれない、そんな時は()()として俺を使ってくれ、それが俺の盾役としての、何も出来ない臆病者の出来ることだ』と。

ライムから聞いた話だとゴウはちょっとした病気を持っていて、発病こそしないもののいつかいきなり死ぬかもしれない、それで臆病者になってしまったらしく、俺達が出会った頃には既にその病気の病状がVRに現れ始めていたらしい。

そこでゴウが選んだ道、それが俺が夕立の霧雨を離すために、嫌われて二度と会わないようにするために()として使ってもらうこと。

 

「……なんで俺を許すんだ」

 

「友達だから、かな……あと、私も来夢も美結ちゃんも全員、春揮が────

 

 

 

 

 

 

「友達……か」

 

いつの間にか美結と葉月が二人っきりで何か話してるけどそれはさておき

あんなことをした俺を()()として許してくれた雫は何気なく俺にすごいことを言ってきた。

と、気にしてなかったが雫達の左耳にオーグマーが着いている

 

「お前らもオーグマー付けてるのか……」

 

「これ凄いからね!えーあーる、だっけ?とりあえず色々できるんだよ!」

 

「《拡張現実(AR)》ね、()達はたまーに遊んでるよ」

 

「そーそーそれそれ!とりあえず凄いからやってみてね!………あ、私たちそろそろ行こうかな、また学校で話しかけるね!」

 

「分かった、じゃあ、またな」

 

こうして雫たち3人は帰って行った。

この後、葉月が「美結はB」とよくわからないこと言ってた気がする。

 

───私達は春揮のこと、大好きだよ

 

(雫が言ったこと、もしかしたらSAOで別れる時にも………まさか、な)

 

「春揮、早くGGOにログインしないと」

 

「あぁ、そう言えばそうだったな」

 

色々と考え込んだまま、俺と葉月は家に帰り、GGOへとログインした。

 

 

────

帰り道:夕立の霧雨

雫目線

 

「ねぇ!来夢!春揮って、千秋さんにそっくりだったよね!」

 

「確かに」

 

「結局、話すこと話せなかったですね……私もですし」

 

「それなら今度さ、春揮と話せるタイミング見つけて色々と話そうよ!もちろん、1人ずつ!」

 

 

 

────

GGO

首都グロッケン

 

「お!おーい!ラギー!」

 

「ん?フカ次郎か、どうしたんだ?」

 

「ふっふっふっ、聞いて驚け!なんと私とコヒーは、SJ3に参加するのだよ!………そーいうお前さん達は久しぶりに顔だしてどったの?」

 

「私達はちょっとした待ち合わせ、もうすぐ来ると思うけど」

 

「なーるほど、そんじゃ、私達はちょっくら特訓行くんで、ばいならー」

 

GGOにログインした瞬間、フカ次郎に声をかけられ、いきなりフカ次郎はその場を去っていった。

フカ次郎を例えるなら嵐かなにかか………?

 

「何ぼーっとしてるの?」

 

どこに行けばいいか迷っているとアキ(千秋)が俺たちの前に立っていた。

 

「お前を探してたんだよ…それで、わざわざこの世界に呼んで何をするんだ?」

 

「……お兄ちゃん!私とデュエルして!」

 

こうしていきなり、俺と千秋の兄妹喧嘩(デュエル)が始まった。




現実世界にて夕立の霧雨登場!

またまた色々と気になることを残したまま帰って行ったね、美結はどこから来たんだろうね

ちなみに葉月が春揮の婚約者(まだそこまではいってないけど)だということは言ってない

そしていきなり始まる兄妹のデュエル!?

────
雨宮 雫
プレイヤーネーム:シズク
所属ギルド:夕立の霧雨

誕生日:9/12
18歳

SAOにて夕立の霧雨のリーダーをやっている
SAO帰還者学校生徒
ちょっと天然
────
西宮 来夢
プレイヤーネーム:ライム
所属ギルド:夕立の霧雨

誕生日:12/8
18歳

水色の目に水色の髪、男っぽい見た目で男と間違われることが多く、自分はそれをトラウマにしている
ちなみに服装はだいたいフード付きを着る
現実世界に戻ってからは一人称を『私』に変えた。
SAO帰還者学校生徒
生徒の中では『イケメン』と言われてるらしい

────
一宮 美結
プレイヤーネーム:ユミ
誕生日:10/4
19歳(周りは知らない)

SAO開始後にSAOに何故かログインした帰還者
SAO帰還者学校生徒
兄の人格がいつの間にか消えたり、ソードスキルが上位技だったりと色々と不思議なアバターを使っていた
ルシハと離れた直後に記憶を取り戻したものの、春揮には伝えられていない
ちなみにB


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第123話 兄妹喧嘩【Part1】

GGO内:荒野フィールド

ラギ目線

 

アキに突然、デュエルしろと言われ、俺達はグロッケンから移動をして近くにある荒野フィールドに来ていた。

デュエル……と言ってもGGOにはしっかりとしたデュエルの機能がないため、俺達が今からやるのはある意味PKだ。

 

「ハヅキは遠くから見ててくれ」

 

「うん、わかった」

 

流れ弾が当たらない場所まで移動したハヅキは自分の銃、M24を構えた。

アキが考えていた試合開始の合図……ハヅキのM24の発砲音が鳴り響いた。

 

 

 

 

試合開始と同時に光剣を光らせて遠くにいるアキの場所まで移動を始めた。

さすがに向こうも隠れてるだけじゃなく、走ってくる俺の姿が見えているはずだ、と言うよりは俺の姿を目視していつ撃つかのタイミングを見計らっているはず。

 

(そろそろ撃ってきそうだな……)

 

俺は立ち止まり、意識を集中させた。

タダでさえ広い荒野に範囲こそ決めたもののお互いのスタート位置はかなり遠い、その距離を走って埋めるだけでもそこそこ時間はかかる。

その距離感を向こうはシノンの武器(ヘカートII)ハヅキの武器(M24)を使って遠距離からの狙撃を確実に決めてくるはず、それに俺が対抗するには………

 

周りの様々な気配を感じ取り、全ての音を聞き、相手の攻撃を見切る……!!

 

 

 

俺は近くに来た1つの気配を感じ取りその気配が俺に当たる前に光剣を振った。

 

(久しぶりだなこの感覚……と言っても2週間ぐらいか…)

 

今頃アキがどんな反応してるかも気になるがまだ結構遠い場所にいる、その距離を埋めないと俺の攻撃は全く通らない。

この世界の特徴として《銃》が主なメインウェポン、1部のマニアックな奴らだけが《光剣》を使う、もちろん、この世界では圧倒的に銃を使うやつが有利だ、対モンスターでも対人でも、どんな時もだ。

光剣の攻撃範囲は狭すぎるせいで接近するまでに銃に撃ち抜かれることもある。

 

色々と比べてもこの世界では銃の方が完全に有利だ。

 

(あとすこしであいつのいる所だな……)

 

《聴音》と《超感覚》を使いアキのいる所をほぼ完全に見つけ出して接近を図る。

 

(この距離なら《ファイブセブン》でも届くか……いや、まだ遠すぎるか)

 

アキとの距離は五百メートルほど、向こうがヘカートIIを撃ったら俺の反応速度次第で即座に撃ち殺される距離まで接近した。

近づいてる間も銃弾が俺目がけて何度も飛んできてたがほぼ全て届かない気がする《M24》の弾だった、だからこそヘカートIIの弾の速さは()()()()でしか分かっていない。

 

(ここから一気に接近するか……)

 

撃ってこない隙を狙ってさらにアキへの接近をしようとしたその時、撃ってこないと思ったアキが1発、銃弾を撃った。

見切れないわけではなかったため、光剣で切ったと思ったその時、俺はとあることに気がつき……

 

1発の銃弾が俺の腕に命中した。

 

 

────

何が起きたのかわからない人達に説明しよう。

光剣で切ったと思った弾は《ヘカートII》の弾、だがラギが聞こえた銃声は《M24》のもの。

つまり、アキは弾の速度が少し違う2つの銃を同時に撃ち、ラギはヘカートIIの弾だけしか切らずに少し遅れてきたM24の弾に撃ち抜かれた、ということ。

────

首都グロッケン:カフェ

 

「まさか、お前に負けるなんてなぁ…そういや、兄妹喧嘩ってした事ないよな」

 

「10年ぐらいしか一緒に住んでなかったってのもあるけど……お兄ちゃんも流石だよ、あそこまで近づくなんて」

 

「ラギは油断して負けたよね」

 

「それは言わないでくれ……そうだ、アキ、お前ALOやってるか?」

 

「うん、かなり前からやってるけど………」

 

「んじゃ、全くやらなかった兄妹喧嘩の代わりに次はALOでデュエルしようぜ」

 

「わかった、すぐログインするね」

 

こうして俺とハヅキとアキはそのままALOへとログインして兄妹喧嘩という名のデュエルを開始することに。




さて、またまたハヅキの影が薄くなって来ました。

セリフほとんど入れない感じの書き方でした。


注:作者は銃の知識は無いです


次回、結果が何となくわかってしまうALOでのデュエル!


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第124話 兄妹喧嘩【Part2】

ALO:大きな木のある孤島

 

3ヶ月ほど前、絶剣ことユウキと初めて出会い、デュエルをした場所に俺とハヅキ、そしてALOアバターのアキが到着した。

 

「ここなら思う存分戦えるな」

 

央都アルンから飛んでくる途中、実装した覚えのない空中エリアが遠くに見えた気もしたけどそれは気にせずに俺達は一番戦いやすい場所へと行くことを決め、今ここにいる。

 

「それよりお前、その種族って確か‥‥‥」

 

「ん?あ、この種族?《歌妖精プーカ》だよ」

 

「珍しい種族選んでるな、確かプーカって戦闘には向いてなかったはずだよな?」

 

「確かに、プーカって戦闘してるイメージ全然ないしパーティに入れると後衛で支援するのが普通だからね、でも、甘く見ないでね?」

 

「まぁ、お前だもんな‥‥‥さてと、そろそろ始めるか」

 

時刻はリアルで既に夜になっている、さすがにそろそろ始めないとどれぐらい時間がかかるかもわかったもんじゃない‥‥‥ということでハヅキに時間設定を任せて俺達は配置に着いた。

俺は右手に《霊刀イザナミ》を持ち、アキも同じく片手剣を持ってお互い武器を構え、試合開始の合図が鳴った。

 

「はあぁぁ!!」

 

開始の合図と同時にアキへと攻撃を仕掛けた俺はソードスキルを使わないで連撃を当てようとした、がアキも流石にそんな隙を与えてくれる訳もなく、俺の攻撃は防がれ、そのまま剣は弾かれ、俺はアキの攻撃を一気にくらってしまった。

 

「なかなかやるな………」

 

「お兄ちゃんこそ、でもまだまだ行くよ!」

 

「あぁ……!!」

 

それから2分ほどが経過し、互角の試合が続いていると思ったその時、ソードスキルを全く使わなかったアキがひとつのソードスキルを隙ができた俺に向けて放ってきた。

 

(このソードスキルは………そういうことか……!!)

 

アキは星のような形を描くように剣を振り、5連撃で星の形を作り、最後に作り出した星の形の中に向けて突くような攻撃を出した。

 

「今のはなかなか効いたな…お前、今のソードスキル………《オリジナルソードスキル》だろ」

 

「やっぱり簡単にバレちゃうよね、その通り、私のオリジナルソードスキル《スターライト・パレード》だよ」

 

5連撃……最後の突きを含めて6連撃のソードスキル、オリジナルにしては数は少ないものの普通、戦闘には向いてないプーカが使えば威力は未知数……

 

「そうじゃなきゃな…!!」

 

オリジナルソードスキルを使ってきた以上、ホントに手を抜いて戦うのは完全なる舐めプになる、というか負ける……なら俺も本気で行かせてもらう……!!

 

「そっちから来ないならこっちから行かせてもらうよ!」

 

アキが俺に向けて再びあのソードスキルを放とうと構えた。

俺はその動きをしっかりと見切り、攻撃を避けてアキの背後にまわった。

 

「はァァァ!」

 

俺はソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》をアキの背中に放った。

その攻撃を受けたと同時に動けるようになったアキはすかさず俺の方に向き直し、俺に攻撃を当てようとしてきた。

俺はそれを空中一回転をして避けてそのまま左手に持った《神剣:デュランダル》を地面にさしてソードスキル《ライトニング・フォール》をアキに当てた。

 

(ライム……お前の技、使わせてもらったぞ…)

 

アキは俺が使った攻撃を受け止めきれずにそのまま異常状態《麻痺》になり、動けなくなった。

まだHPが微妙に向こうの方が残っているのを確認し、俺は右手でとあるソードスキルを放った。

 

 

 

 

SJ2から2週間の間、帰還者学校から帰宅した後、ALOで葉月と一緒にソードスキルの練習をしていた。

()()()()()オリジナルソードスキルを───

 

 

「これでトドメだ………!!」

 

右手の剣に力を込め、練習したモーションへと移動する。

《ライトニング・ラッシュ》と同じように4連撃を相手にくらわした瞬間に左手で《ホリゾンタル・スクエア》を放ち、《デススター・アライズ》を右手で放ち、最後に《シグナスオンスロート》を放つ1()()()()()()()()()をアキに使った。

 

《スキルコネクト》とは違い、連撃を繋げる度に攻撃の威力と速度が上がり、相手の動く隙をなくして体力を一気に減らす。

それがこのオリジナルソードスキル、《スキル・イクスプロード》だ。(繋げられる技は固定)

 

 

この一撃でアキの体力は残りわずかとなり、そのまま制限時間が来て試合は俺の勝利で終わった。

 

 

 

 

「お兄ちゃん強すぎるよ」

 

「そういうお前だって、俺に秘策まで使わせるぐらい強いだろ……と、もうこんな時間か、アキ、明日にでも()()()の家に来いよ」

 

「ん?俺『たち』?」

 

「あ、言ってなかったな、俺とハヅキは────

 

全く伝えてなかったことをアキに伝えたあと、俺達はそれぞれログアウトした。

 

 

────

次の日:如月家

 

「朝から来るかよ普通……」

 

「いーじゃん別に、私だって学校あるから今のうちに来ないと時間なくなるからさ、それよりお兄ちゃん聞いた?」

 

「入ってきて早々なんだ?」

 

「今、あの噂の《オーグマー》の《オーディナル・スケール》にSAO、ソードアート・オンラインのボスモンスターみたいなやつが出てくるって噂……」

 

確かに聞いたことはある、発売されてから一週間以上経った今、オーディナル・スケールに旧SAOボスモンスターがボスとして出現する、という噂を。

にわかには信じられない噂ではあるが…

 

「ま、そんなのデタラメかなにかだろ、それより早く行かなくていいのか」

 

「あ、もうこんな時間!それじゃ、お兄ちゃん、葉月さんに宜しく言っといてね!」

 

「あぁ、またな」

 

こうして千秋は自分の通う学校へと向かっていった。

 

(オーディナル・スケール…か、警戒はしとかないとな……)

 

俺は朝早くに来た千秋に起こされたのもあり目が覚めていたということで携帯を取り、とある人へ連絡をして《解析》を頼んだ。

 

 

────

それから2日後

2026年4/23日

 

東京都内某所ショッピングモール内カフェ

 

和人と明日菜含むSAOで仲良くなったメンバーがカフェに集まっていた。




色々と謎


ということで皆さんプリヴィエート(?)

多忙が終わり、暇になったので再開!

アキのオリジナルソードスキルに感してわかりにくいと思うけど

片手剣ソードスキルのスクエアシリーズみたいな感じ、と思ったらわかるかな?

とりあえずあんな感じで星型を描くのよ






次回からついに……

オーディナル・スケール編、本格始動!


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OS:オーディナル・スケール 本編
第125話 オーグマー【拡張現実】


2022年末

 

21世紀に入り技術が進歩した日本が2015年を超えた頃から作り出した《VR》という新技術、それを【アーガス】という会社の《茅場晶彦》という男がさらに進歩をさせて《ナーヴギア》という機械を作りだし、フルダイブという機能を使い、五感全てを使う《VRMMORPG》を実現させた。

 

……が、茅場晶彦はソードアート・オンライン、通称SAOの正式サービス開始日、第1層にて約1万人を超えるプレイヤーに()()()()()()()()()()()()という絶望のデスゲームを宣言した。

 

 

二度と終わることの無い絶望、そう思われていたSAOは《黒の剣士》、《閃光》、《光の剣士》、《ギルド、風林火山》らの活躍により1部のプレイヤーが2年の時を経てSAOというゲームから開放された。

 

そんな長い絶望から2年、絶えることの無いVRの人気の中、とある機械が発売された。

 

拡張現実、通称AR

オーグマーという特殊な機械が作り出す現実世界の仮想世界。

その人気は発売から数日で莫大な人気を出し、今ではVRを超えるまでになっている。

 

 

────────

カフェの一角に座った俺、葉月、和人、明日菜、里香、珪子の6人はカフェに設定されているオーグマー内のゲームを遊んでいた(俺と和人は見てるだけ)

 

「やった!ゲームクリアです!」

 

「シリカちゃん凄いね!」

 

「これで景品のケーキが無料で食べられるのね」

 

ゲームクリアのBGMが流れて女子達4人組は景品のケーキを待ち望んでいた。

ARが発売されてから一週間と数日、周りの人間はほぼ全員が左耳にオーグマーを付けている。

俺と和人は4人が遊んでいるゲームの結果を見るためだけにつけているんだが………

 

「「お前らちょっとゲームし過ぎじゃないか?」」

 

俺と和人は同時に同じことを口に出した。

ケーキを待っている4人は俺達が言うとは思わなかったらしく、いつも以上に楽しそうに笑っている。

 

「あんた達に言われるとねぇ」

 

「あ、ケーキ来たよ、食べよ!」

 

オーグマー、ARにはゲームをクリアすると各店舗でそれ相応のクリア報酬などが貰える。

俺達がたまに通うこのカフェもそのシステムが導入されていて4人はその報酬になっているケーキを無料で入手した。

それだけならスマホでも似たようなものがあったが、ARはそれだけではなく個人の好みまで判別してケーキの種類を決めてくれるらしいが…

 

「オーグマーはカロリーも計算してるらしいぞー」

 

気の抜けた声で和人がケーキを楽しそうに食べている里香に注意をした。

 

と、食べている途中の里香は何かを見たらしくその場で停止、その後ものすごい勢いでケーキを食べ終えた里香は席から立ち上がってカフェから出ていってしまった。

残された俺達は会計を済ませたあと先に出ていった里香を追いかけた。

 

 

「そういえば春揮、お前いつの間にバイクの免許取ったんだ?」

 

「あぁ、あれはちょうど2週間前に今後のためを考えて免許を取りに行ってな」

 

ちょうど2週間前、SJ2から数日後、学校を一日だけ休んで家から少し離れたところにある場所で免許を取りに行った。

葉月は学校に行ったけど。

 

 

「そういえばキリトさんと春揮さん達はオーグマーを渡された時に箱に入ってたチケット……()()のライブ、行きますか?」

 

ユナ、確かARのアイドルとかいうやつだ。

オーグマーと一緒に入っていたのはそのユナとやらのライブのチケットだ。

今となればなぜユナのライブのチケット、オーグマー自体が学校から配布されたのか不思議だ。

 

「俺は別にいいかな、オーグマーは確かに面白い機械だと思うけど俺はやっぱ、VRの方がいいかな」

 

「俺も同意見だ、と言うよりはこの機械にはあまり触れたくないし……」

 

和人が反対するのはVRの方が楽しいとかそういう意見だろうけど俺は《この機械(オーグマー)》にいい思い出がない。

もちろん俺もVRの方が楽しいという意味も含めてARとは関わりたくはない。

 

 

「まさか、戻りたい、なんて言うわけじゃないわよね?あのゲーム……SAOに」

 

「SAOと言えば春揮さん達はこんな噂聞きました?『オーディナル・スケールにSAOのボスモンスターが出てくる』って噂」

 

微妙に気まずい雰囲気になっていた所に珪子(シリカ)が数日前に千秋に聞いた事とおなじ話をしてきた。

確かに、この数日間もずっとその噂ばっかり聞いているけど………

 

「それも、時間もランダムで発表も開始数分前って噂なんですよ!」

 

「時間がわからないなら移動手段がない私達は無理かしらね…そうだ、キリトくん」

 

移動手段がない女子3人(葉月は俺と一緒に動ける)は和人に信頼の眼差し的なやつを向けて誰が和人のバイクで行くかをジャンケンで決めた。

結局明日菜が和人と一緒に次のボスモンスター出現のタイミングを待つことに。

 

 

 

一時帰宅後、同日

午後6:40

東京都内某所

 

和人と明日菜のペアと合流した俺と葉月は10分前に発表されたボス出現の場所に到着していた。

数分前に発表されたというのに人の集まりが多く、それだけARの影響もでかいということだろう。

クライン率いる風林火山のメンバーも俺たちと合流したあと、ボス出現の1分前まで雑談をして全員が右手にとある機械を持った。

 

「《オーディナル・スケール》、起動!」




如月春揮のSJ2から2週間の間の出来事。

学校
バイクの免許
ALOで新技練習
アーガスで機密事項




ついに、オーディナル・スケール本編開始!


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第126話 旧アインクラッドボス【初バトル】

東京都内:オーディナル・スケール

 

周りの景色が一変し、オーグマーを付けたプレイヤー達の装備がオーディナル・スケール用の装備へと変化し、それぞれ手に持っていたアイテムが武器へ変化した。

 

キリト:ヒロイック・プロミス《約束された英雄》

アスナ:カーレッジ《勇気》

ルシハ:インテンション・クロス《交差する意思》

ハヅキ:インテンション・コネクト《繋がる意思》

 

オーグマーを初めて装備した時にキャラのイメチェン的なあれが始まった時に名前を何故かルシハに設定された(ハヅキに)

アスナ以外は全員片手剣の武器を持つことに決めた。

 

「あれがボス……か」

 

オーディナル・スケールのために区切られた範囲のちょうど真ん中辺りに大型のボス……アインクラッド階層ボスが現れた。

 

「あいつは………!!」

 

「あぁ、あれは旧アインクラッド10層のボス……《カガチ・ザ・サムライロード》だ」

 

第10層……あの時の俺たちの実力は区切りのいい数字の階層のボスにはかなり苦労していた。

それでいてこのサムライロードに関しては次の層以降も突然現れてプレイヤーを襲っていた。

俺が第11層に行った時、夕立の霧雨が襲われたように……

 

 

「ルシハ!ぼーっとしてる暇ないぞ、一気に畳み掛けるぞ!」

 

「分かった、ハヅキ、片手剣だけど大丈夫なのか?」

 

「運動神経だけはいいから大丈夫、それに最近は片手剣も使ってたから」

 

ALOで俺()()のオリジナルソードスキルを練習している間、ハヅキは俺と同じように片手剣を装備していた。

その成果がこんな形で出るとは……

 

「うらぁ!」

 

クライン率いる風林火山がボスに先制攻撃を与えてボスの注意を引いていた。

と、そこに俺達が攻撃の参加をしようとしたその時、ボス戦の残り時間が8分ちょうどを切ったと同時にボスの後ろの方にある橋の上に一人の少女が現れた。

 

「うおぉ!ユナちゃんのライブだぜぇ!」

 

「なんだそれ……?」

 

「ったく、ルシハてめぇ、ほんとに何も知らねぇんだな?」

 

全く知らない訳じゃないが確かARアイドルであるユナがオーディナル・スケールのバトル中に現れるとそのバトル中は特殊効果が着くとかつかないとか……

 

と、考えているうちにキリトがボスに向けて勢い強く剣で攻撃をしようとした……が、足元に段差があるとは知らずにそのままその段差にひっかかりキリトはボスの目の前で転んだ。

ボスの攻撃をギリギリで避けたキリトはボスから距離を取った。

 

「ったく、ARは動きにくいな……それよりルシハは戦わなくていいのか?」

 

「様子見だ、あのボスの動きは今の俺らに防げるかわからないしな…」

 

「ルシハ!そっち行ったよ!」

 

(ARにはソードスキルもなければシステムアシストや移動速度上昇系のバフも着いていない、つまりこの世界で勝つ方法は………)

 

サムライロードが俺目がけて走ってきて目の前まで近づいてきたところで持っていたカタナを構えて俺に攻撃を当てようとカタナを振りかざした。

俺はギリギリで避けてボスの背中に回り込み後ろから片手剣で攻撃をした、と言っても相手は階層のボスと同じ強さ、ソードスキルのゴリ押しがない今では怯むことさえしない。

 

 

ボスが怯むことなく俺の方に振り向いたと同時に風林火山のタンク達がボスの攻撃を防ぎ、他プレイヤーと一緒に俺達がボスに攻撃を仕掛けた。

 

と、攻撃をしている間に1部プレイヤーがボスの特殊攻撃によりオーディナル・スケール内の体力が尽きた。

 

「お前らも気をつけろよ!ルシハとキリトはお互い女子達がいるんだ、体力が尽きたらペナルティあるだからよ、守ってやれよ?」

 

「わかってるよ、それよりボスは何を……」

 

ボスが1度、出現した場所まで戻った。

そこで動きが止まりチャンスが生まれた。

そのチャンスを逃さないように俺の近くにいた猫かトラかわからない生物のアバターになっているプレイヤーがロケットランチャー的なやつをボスに向けて発射した。

その弾はボスに簡単に避けられてボスの後ろで歌っているユナ目がけて飛んで行った。

 

それと同時に俺の横から黒装備の男がそのロケットランチャーの弾の方へ走り出してユナにあたる寸前で弾き返してボスにその弾を命中させた。

 

「なんだあいつ………?」

 

「弾を跳ね返してボスに当てたぞ……?」

 

「ルシハ……あの人……」

 

ハヅキが何かに気がついたらしいが多分俺と同じ考えだ。

多分あのプレイヤーは…………

 

《RANK:2》

【Eiji】




バトル描写?
そんなもの捨ててきた


ということで始まりましたオーディナル・スケール第一戦、サムライロード

武器の名前はGoogleパイセンに聞いた(ルシハとハヅキは自作)

あの男、エイジがついに登場……


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第127話 SAO帰還者の初陣【2位の男】

「特殊攻撃と強力な攻撃が来るぞ!タンクは俺についてこい!」

 

ボスに弾を跳ね返して当てたあの黒いプレイヤー、エイジという男はボスが怯んでいる間に周りのタンクをしているプレイヤーに指示を出して攻撃を防がせた。

それだけなら普通にできるもののSAOの時にサムライロードが使った十字攻撃を軽い身のこなしで避けてボスに追撃を与えた。

 

(あの男、どこかで似たようなやつを見た気が……いや、今は気にしなくていいか)

 

軽い身のこなしをしてたかどうかは分からないがあの男はどこかで俺とあっているはずだ。

と、考えているとボスが俺達の方に接近してきた。

接近してきたボスに後ろにいた風林火山とハヅキがボスに攻撃をした。

 

「よしキリト、俺達も行くぞ」

 

「あぁ……」

 

続いて俺とキリトとアスナもボスに攻撃をしようとしたその時……

 

「スイッチ」

 

と、エイジという男の横を通った時にエイジが耳元で囁くように呟いた。

立ち止まって問いかけをしようかとも思ったが、俺はそのままボスに攻撃をした。

 

 

 

 

結局、その攻撃を終えたあとのアスナの一撃でボスは体力が尽き、そのままボス戦は終了。

 

「おめでとう!今日のVIPはあなた」

 

バトルを終えて武器をしまったアスナの元にユナが降りてきてアスナの頬にキスをしてそのままどこかへ去って行った。

 

────

オーディナル・スケール終了後

会場近くの広場

 

(あいつ……確実に()()()()と言っていた……)

 

「ルシハ、どうしたんだぼーっとして」

 

「いや、ちょっと考え事だよ」

 

クラインに呼ばれて考えるのをやめたがあのエイジという男、ボスの攻撃を分かっていたしスイッチって言ってたってことはSAO帰還者………?

 

「ま、考えすぎんなよ、俺らはこれで帰るわ、じゃあな」

 

クラインに何故か頭を叩かれつつ風林火山のメンバーはそれぞれ帰っていった。

その後少しだけ話をして和人と明日菜も帰ったところで俺達も自宅へと帰った。

 

 

────

如月家

 

「春揮、明日の朝に1度、長野に帰ろうと思ってるんだけどいい?」

 

「ん?別にいいけど1人で帰れるか?」

 

「そこは大丈夫だよ、2、3日向こうで過ごそうと思う」

 

「わかった、一人で行くなら気をつけろよ」

 

こうして俺は帰省する葉月に金を渡した。

葉月は次の日の朝、俺が東京駅まで送って長野へ向かう新幹線で帰っていった。

 

「さてと、GPSは付けといたし一応大丈夫だな」

 

俺はそのまま携帯を開いて電話をしたあとアーガスへと向かった。

 

────

アーガス社内

 

「だぁーかーらー!もう少しはこっちにいてもいいでしょー!?」

 

アーガスに入るなりいきなり七色さんの叫び声が聞こえた。

その叫び声の発生した所に行くと七色さんが設計図みたいな何かを開いてパソコンを触りながら何かをしていた。

 

「あ、あの……」

 

「なに!?あなたも文句あるの!?……って、なんだ春揮くんか……」

 

「あさイチから叫んでどうしたんです?」

 

「あ、聞いてたのね…私、外国に住んでるって言ったでしょ?それで向こうで研究してる仲間の1人に早く帰ってこいって言われてね、ここ最近ずっと連絡してくるのよ」

 

七色(さん)は外国で幼いながら研究を色々してるとは聞いたけど研究仲間がいるとは

それもそれに呼び戻されそうになってるってことはもしかしてこの人はその仲間にここに来ることは言ってない……?

七色が悪い気もするけどほぼ毎日連絡をしてくるってことは相当やばいやつかもしれない。

そんな奴に直接会う方法、それは……

 

「その人、ALOやってます?」

 

「やってるけど……何する気?」

 

「ちょっとその仲間とやらに会ってみたいからさ、その人に今からALOにログインするように言ってくれ」

 

俺はその場でアミュスフィアを取り出してコンセントに接続、七色さんはその様子を見ながら仲間に連絡をした。

 

 

────

ALO:央都アルン

ラギ目線

 

俺はALOにログインして集合場所に決めたアルンの中心にある噴水の前でウィンドウを触っていた。

 

「お待たせ、ハルキくん?……いや、ラギ君だったかしら」

 

「七色さん……いや、セブンか……で、そっちのウンディーネがセブンのお仲間の──

 

「セブンのことを気安く呼び捨てするな!私は《スメラギ》、お前が噂のアーガス社員か」

 

「あぁ、俺はラギだ、よろしくな」

 

初対面とはいえ俺の目の前にいるこの男、スメラギとやらは圧倒的な威圧感を放っている。

それとは真逆にセブンは《歌妖精》を種族にしてパーティの活力をあげる役目、アキとは違うわけだ。

 

「それで、わざわざこのような所に私を呼んでなんのつもりだ?」

 

「俺と、デュエルしようぜ」




エイジエイジエイジエイジエイジ

チートチートチート………



意味深なあれこれしてましたが初陣が終わりました。

そしてその次はまさかの葉月が帰省、春揮は葉月について行かずにそのままアーガスへ

ALOにてスメラギという男にデュエルを申し込んだラギ、スメラギとラギ……似てるね



────
ラギ(ALO改良版)
Lv.90
武器:神剣デュランダル×霊刀イザナミ
スキルコネクト、時限二刀流を得意とする絶剣に勝ってしまったチートみたいなやつ
GGOと行き来するためストレージはほとんど空(ハヅキと共通)
────

ちなみにスメラギはゲームキャラ


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第128話 最強の刀使い【VSスメラギ】

スメラギはデュエルの申請を呆気なく了承して央都アルンの近くの浮島へと飛んで行った。

 

「あなたねぇ…スメラギ君はあの《ユージーン将軍》を簡単に倒すほどの実力者よ?そんな彼とデュエルする必要は───

 

「あいつも日本人だろ、日本人なら日本人らしく実力で勝負するだけだ、それにセブンの研究があと少しで終わるって言うのにその研究に必要な《SAOデータ》はこっちにある、あいつに勝ってセブンが日本にいても大丈夫だってことを教える」

 

「それじゃ、一つだけ警告しとくわ、スメラギ君はウンディーネだけど刀使い、それもちょっとした普通の人とは違う力を持ってるわ」

 

「そっか、そいつは楽しみだな」

 

俺はセブンの警告を軽く聞き流してスメラギのいる場所まで移動した。

 

 

 

 

「やっと来たか、さぁ、始めるぞ《赤のスプリガン》!!」

 

スメラギは刀を俺の方に向けた。

俺もそれに合わせて2本の剣を構えた。

ルールは完全決着、プレイヤーのHPが全てなくなった時点で決着がつくタイプのデュエルだ。

 

試合開始の合図がなったと同時に俺とスメラギは宇宙へ浮遊して剣を合わせた。

 

(こいつ……腕力と攻撃に全振りしてるって感じか……!)

 

ALOには何種類か、プレイヤーに振れるステータスがある。

そのうちの一つが腕力、腕力が高ければ高いほどそれなりの武器を持つことが出来る。

スメラギと剣を交えた今の一瞬でわかったがスメラギは腕力にステータスを振っている。

 

「はあぁぁ!」

 

「効かぬっ!」

 

俺はスメラギに連撃を入れようとしたが簡単に防がれてしまう。

防がれるどころかそのまま俺の攻撃は弾かれてスメラギの攻撃が俺を直撃した。

たった一撃だったからいいもののダメージは普通のプレイヤーとは比べ物にならない。

 

「なかなかやるな……」

 

「その程度かお前は!」

 

スメラギは俺に隙を与えないように連撃をさらに加えようとしてきた。

ギリギリで防いだ、と思ったが俺は近くの浮島の岩山まで吹き飛ばされていた。

 

(今のは一体………)

 

体力が一気に半分まで減っているということはそれなりの攻撃が俺に直撃したはずだがスメラギの攻撃は俺には普通に見えたはず………

 

「どうした、その程度か」

 

「いいや、俺だってまだまだ本気じゃねぇよ…!!」

 

スメラギがどんな技を放ったのか分かるまでは下手に近づくことは出来ないがこれはデュエル……

 

「はあぁぁ!」

 

俺は体制を立て直してスメラギの元へ《ヴォーパルストライク》を使い接近、その時だった。

スメラギの刀が光り、ソードスキルをはなとうとしていたのを確認した。

そしてそのソードスキルの正体がわかった。

スメラギの左腕が巨大になり、俺目掛けてその腕が振られようとしていた。

 

「喰らえ!我がソードスキル……《テュールの隻椀》を!」




強敵現る

ロストソングで5回(俺が)負けたスメラギ君
アクセルソードで影薄すぎるスメラギ君
リアリゼーションにはいないスメラギ君

そんな彼が俺の作品にて登場

ラギが押されているというまさかの状況……
果たしてラギは勝てるのか……?


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第129話 最強VS最強【VSスメラギPart2】

当たった、スメラギは、いや、多分ほかの誰でも思うはずの至近距離でスメラギは聞いたことの無いソードスキル……オリジナルソードスキルを俺に向けて放った。

だが俺は持ち前の移動速度でスメラギの攻撃をギリギリ避けた。

 

「危なかった……それがお前のオリジナルソードスキル、テュールの隻椀か」

 

「その通り、だがよく避けることが出来たな…しかし、次は無いぞ!」

 

スメラギの言う通りあれをまともに受ければ俺の体力は一気に尽きるはずだ。

つまり、あいつの攻撃を受けずに倒す、あの技で一気に決めるしかない。

 

「はあぁぁ!」

 

俺はスメラギに再び接近してソードスキルを放とうとした、がスメラギはこの行動を見逃さずにさっきのオリジナルソードスキルのモーションを開始した。

そしてそのままスメラギはソードスキル、《テュールの隻椀》を俺に放った。

 

(………今だ!)

 

俺は振りかざされたスメラギの左腕……巨大な腕を寸前で避けて俺はスメラギの背後に周り、ソードスキルを放とうとした……が、スメラギはそのまま俺の方へ振り向いて自分の腕を俺に直撃させた。

 

「くそ……そう簡単にダメージを与えさせてくれないか……」

 

「まだまだやれるだろう、スプリガン」

 

「……もちろん」

 

このままこんな所で諦めたらセブンの研究を中途半端で止めてしまう。

それだけじゃなく俺にもプライドのひとつはある、だからこそ絶対に……

 

「お前には負けねぇ!」

 

俺はスメラギに一気に接近した。

スメラギはそのスピードに一瞬だけ戸惑った様子を見せたが直ぐに反撃の体制を取って目の前の俺に向けて刀を振り下ろそうとした。

俺はその攻撃を避けてそのまま空中戦特有のホバリング(?)でスメラギの頭上へ行きソードスキル《スターダスト・レイン》を放った。

 

「なかなかやるな……だが!」

 

斬撃を食らったスメラギは直ぐに体制を立て直して再び俺と同じ高さまで浮上、そしてそのまま俺に攻撃を当てようと3連撃をしてきた、が俺はそれを全て避けてそのまま《ホリゾンタル・スクエア》をスメラギに当てた。

 

そのままの勢いで後ろに向いた俺に見て多分スメラギは「隙あり」とか思っているだろう、だが今の攻撃は()()()()()()()()()攻撃だ。

俺はスメラギの方に向くと同時に左手でソードスキル《ハウリング・オクターブ》を放った。

スメラギが負けじと俺に攻撃を当てようとしてきたが難なくそれを避けてそのまま俺は右手で《サベージ・フルクラム》を放った。

 

 

 

「バカな……私がこんなやつに負けるはずが……!負けるはずがない……!!」

 

スメラギは最後のあがきとも言えるオリジナルソードスキルを放った。

だがその攻撃は最初に撃ってきた時より確実に弱体化している。

俺はこの攻撃を避けてそのままスメラギに向けて《スキル・イクスプロード》を放った。

 

 

「バカな……私が……負けるは───

 

スメラギはそのままHPが尽きて消滅した。

 

 

 

 

 

央都アルン:中心広場

 

「全く二人とも白熱し過ぎだよ!」

 

「「すみません」」

 

「…でも、あのスメラギ君に勝つ人がいるなんてね」

 

「いい勝負だった、スメラギ」

 

「ふん、別に私はお前を認めた訳じゃない。またいつか、次はもっと本気で行くぞ………ラギ」

 

「あぁ、それはこっちも同じだ、またやろうぜ、スメラギ」

 

こうして俺とスメラギのデュエルは終わり、セブンはスメラギに話をつけて完成するまではアーガスで仕事をすることに決まった。

 

 

 

 

────

アーガス社内

 

戻ってきた俺は元々頼んでいた解析の結果を聞いていた。

 

「それじゃ、オーグマーには初代機、ナーヴギアの性能が《AR》という違い以外はほとんど同じように組み込まれているのか」

 

「そう、その一部のうちの1つに《フルダイブ》機能を出来るようになるシステムも入ってる、とはいえロックされてて通常では出来ないようになってるけどね」

 

セブンに俺が別個で買っていたオーグマーの解析を頼んでいた。

それと同時に俺が持っていたナーヴギアの解析も頼んでいたがここまでわかるってさすが天才……

 

「とりあえず春揮君、あなたも気をつけてね、なんのためのフルダイブかわからないけど」

 

「わかってるよ、この機械には警戒してる」

 

(葉月は今何してるんだろ……まぁ、もうすぐ夕方になるし連絡は来ると思うが…)

 

「そう言えばセブン、《SA:O(オリジン)》の開発はどんな感じなんだ?」

 

「殆どはできたけど残りはSAOデータが無いとなんとも言えないかな…まぁ、もうすぐ出来ると思うから安心してね」

 

「そっか、それならいいけど……俺はそろそろ帰るよ、また見に来るからよろしくな、セブン」

 

「うん、ダスヴィダーニャ、春揮君」

 

こうして俺は自宅に帰った。

 

────

如月家

 

(葉月から連絡来ないな……何も無ければいいけど)

 

家に帰った俺は夕方になっても連絡が来ない葉月のことを心配していた。

そんな時にタイミングよく和人からALOでみんな集まって色々話したいから来てくれ、というメールが届いた。

 

「ま、葉月の事だし携帯の使い方わからないとかだよな…さてと、ログインするか」

 

俺は再びALOへとログインした。




倒し方はロストソングのキリトのやり方。


スメラギ戦が終わりました、苦戦してる様子がわからない


オーグマーの機能を解析した危ない子、セブン


葉月の安否がわからない…?

そして空気読まないALOでの話し合い。


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第130話 VRの過疎化【ARの活発化】

アインクラッド第22層:ログハウス

ラギ目線

 

和人(キリト)に呼ばれた俺はキリト達のログハウスへと到着した。

ログハウスの中にはキャリバーを獲る時に集まったらしい7人とエギルが既に到着していた。

 

「待たせたみたいだな、それでキリト、話ってなんだ?」

 

「それよりお前、ハヅキはどうしたんだ?」

 

「あいつは実家に帰ったよ」

 

「「「1人で帰らせたの?(んですか!?)」」」

 

アスナとシリカとリズが言い方は違うものの俺に同じツッコミを入れてきた。

俺だって1人で帰らせたくて帰らせた訳でもないんだが……

 

「ま、あいつなら大丈夫だと思うよ、オーグマーは家に置いてったし何かあったらALOにログインするよう言ったから」

 

「それならいいが……」

 

さすがに俺も全く心配してないわけじゃない、向こうの葉月の実家の近くには空の家がある、あいつがこっちに引っ越してきてるなら一安心はできるがもし……と、考えると心配だ。

 

「んにしても昨日は疲れたなぁ……そうだろ?キリト」

 

「確かに、ARの使いにくさがわかったな」

 

「それはキリト君の運動不足でしょ、そう言えば昨日、ユナって子に───

 

「「ユナのライブ見たんですか!?」」

 

ユナの話を始めた途端にアスナの話に食いついたシリカとリーファを横目に俺は残ったメンバーに昨日の詳しい話をした。

オーディナル・スケールのボスが旧アインクラッドの階層ボスだということ、そして風林火山とキリアス、そして俺とハヅキを除いてはほぼ全員がそれをアインクラッドのボスだとは気づいていなかったこと。

 

「そんなことがあったなんて、私もバイトがなかったら参加できるんだけど……」

 

「俺は店があるからな…まぁ、俺はまともに参加出来ねぇな」

 

「私も移動手段があればねぇ……」

 

「そんな困ってるお嬢様方に我々風林火山が無償で送迎するぜ」

 

「それなら歩いていく方がマシね」

 

「そりゃねぇぜぇシノンさんよォ……」

 

シノンのクラインに対するちょっとしたイタズラを眺めながらキリトはユイと何かを話していた。

クラインがうるさくて聞こえなかったが流星群がどうとか言っていた。

と、何を話しているのか盗み聞きしようとしたらリーファが突然俺たちに質問を……

 

「そういえば皆さんはユナのライブのチケット持ってるんですよね!」

 

「いいよなぁ…SAO帰還者学校の生徒はよォ……ユナちゃんのチケット手に入るんだから」

 

「あ、それなら俺もオーグマー買った時の抽選でペアチケット当たったが」

 

「私も同じく」

 

「「ホント(です)か!?」」

 

帰還者学校に通う人はプレゼントされたオーグマーの中にチケットが入っていたが、別の学校に通うリーファ(直葉)と学校という概念から開放されたクラインはユナのファンだがチケットはオーグマー購入時の抽選か既に終了した通常の購入しかない。

俺も七色に解析してもらうために買ったものの当たりはしなかった。

抽選ですら当たらなかったリーファ達にはエギルとシノンは救世主的ななにかだろう。

 

「あ、でも私ライブの日は部活の合宿で参加出来ない………」

 

「よっしゃあ!チケット貰ったぜぇ!」

 

騒がしくなった2人を無視して俺はALO内ニュースを見ていた。

 

【ALO、次回イベント延期】

 

(やっぱりみんなARをやりまくってるのか……)

 

「ラギ、俺達はそろそろ帰るぞ?」

 

「あ、そうか……わかった」

 

何がしたかったのかわからないまま俺達はそれぞれログアウトした。

 

 

────

それから5日ほど

 

葉月が帰ってくるはずの日、連絡が全く無く、GPSだけが長野で動いている状況を見ていた。

俺は昨日、明日菜と風林火山がSAO第11層ボスへの参加をするという話を聞いていたが明日菜の言う限りでは風林火山はボス戦開始前に1人だけ連絡が取れなくて来るまではボス戦は明日菜だけに参加させる、ということになったが結局ボス戦にすらクラインは姿を見せずにそのまま風林火山のメンバー全員と連絡が取れなくなってしまったらしい。

風林火山も心配だが連絡が取れないのは葉月も同じ………

 

と、嫌な予感を感じていた俺の電話が鳴り、葉月かと思って電話に出ると電話をしてきたのは千秋だった。

千秋は慌てた様子で今自分のいる場所……長野からの電話ということを俺に伝えてさらに一言、衝撃の言葉を伝えた。

 

 

「お兄ちゃん!!葉月さんが………」

 

 

───交通事故に……

 

俺は直ぐに着替えて家を飛び出してバイクで長野へ向かった。




何したかったんだろ最初

あのハゲ、チケット持ってやがる……



話は飛んで数日後。
葉月の連絡を待っていた春揮は衝撃の事実を知る……


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第131話 死神の笑み【少女の旅】

2026年 4/23

長野県 長野駅前

 

「やっと着いた………」

 

1人で新幹線に乗るってことがなかったせいでたった1時間がものすごく長く感じた。

それもよりによって隣に座った人は身長高い女の人だった……

 

「葉月さーん?」

 

「ひゃい!?」

 

誰かにいきなり肩を叩かれてびっくりして振り向くと千秋さんが私の後ろに立ってた。

 

「そんなに驚かなくてもいいでしょ…それより葉月さんはどうしてここに?」

 

「私は里帰り……かな、そういう千秋さんは?」

 

「私は旅行、これから長野以外にもいろんなとこに行こうと思ってるんだけど、どこに行けばいいのかわからないからとりあえずこの周辺でいいところ教えてくれる?」

 

「それなら私の家より少し奥に行ったところにあるキャンプ場とかスキー場とかある場所とかどうかな…って言っても私はほとんど行ってないけど……」

 

中学卒業後にアルバイトのために街中には降りてきたけどそこまで街中を歩くってことはしなかった。

もちろん自分の住んでる地域の周りはあんまり分からない、コンビニもないしこれといった観光地は無いことぐらいしか。

 

「そこ行く前に葉月さんと買い物したいんだけどいいかな、お金は私が出すからさ」

 

「え、ちょ───

 

私は千秋さんに手を引っ張られたまま駅前の黄色か赤か緑か分からない名前の建物の中へ入っていった。

 

「葉月さんに似合いそうなのは………これかな」

 

「眼鏡とサングラス………なんで?」

 

建物の中には何種類かの店があった。

その中の一つ……眼鏡屋に私は連れてこられて似合う眼鏡を探されていた。

 

「んー、なんでって言われても……葉月さんが女の子だから、かな?あ、もしかして眼鏡の度を気にしてる?それなら大丈夫だよ、これは伊達眼鏡だから」

 

「い、いやそういう訳じゃ……」

 

結局、眼鏡は買わないでそのまま次の店へ。

洋服屋で色々と試着して少し気に入った服だけを購入してバッグに入れた。

そのまま駅前の昭和亭(?)で昼飯を食べた。

 

「千秋さんは辛くないの?」

 

「………いきなりだね、葉月さん」

 

私は千秋さんが買い物の途中、時々見せた暗い表情を気にしていた。

周りの人達の目を気にしている様子もあったから心配して声をかけたけど…

 

「今は大丈夫だよ、まだしっかり話してないけど葉月さんにはいつかしっかりと話す、だから今は気にしないで」

 

「………うん」

 

この後、千秋さんは私の家の方に向かうバスで『とがくれ』とかいう地域に向かった。

私はそれにはついて行かずにそのまま街中で色々と探すことにして信号を待っていた。

 

 

 

 

その時だった。

 

「これを忘れちゃダメでしょ」

 

聞き覚えのある声が私の後ろから聞こえて振り向こうとしたら左耳に機械をつけられた。

その機械はオーグマーだった。

 

「もしかして───

 

「じゃあね、君の人生はここで終わりだ」

 

私はその声の主に突き飛ばされて車が沢山走っている道路に飛び出てしまった。

 

そしてそのまま何かにぶつかった衝撃を受けて私は気を失った。

その時、薄れていく意識の中、光の玉のようなものが空に飛んで行った気がした。

 

 

────

思い出せない………

忘れるはずのないことを……

 

 

 

 

 

私は数日後、病院で目が覚めた。




単なる殺人事件だよねここまで来ると


葉月は何を思い出せないのか…

事態は最悪な方へ進んでいる………!?


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第132話 SAOの記憶【事故の原因】

2026年 4/28

長野県某病院

 

新幹線で来るという考えすら頭になかった俺は長距離をバイクで速度違反すれすれのスピードで長野県の千秋に教えてもらった病院まで到着して病院の人に葉月の状態を聞いた。

 

「そういうことか……」

 

葉月は数日前に駅前にの交差点で道路に飛び出してそのまま通った車に……と、葉月なら考えにくいことだが……

 

「あ、お兄ちゃん…!!」

 

葉月が入院している病室の前には千秋が座って俺を待っていた。

 

「お兄ちゃん、葉月さんなら昨日やっと目を覚まして今は回復を待ってるよ」

 

「そうか……それより千秋、お前はなんでここに居るんだ?」

 

「ちょうど1人で旅行に行こうと思ってその旅のはじめに長野に来たら葉月さんと会ってさ、しばらく一緒に行動してたんだけど途中で別れてその後に………」

 

千秋の声は俺の質問を答えると同時に震えていた。

多分、葉月が事故にあったのが自分のせいだと思ってるんだと思う。

 

「お前は何も悪くないよ、とりあえず葉月と話してくる、お前は待っててくれ」

 

千秋を慰めて俺は葉月の病室に入った。

 

 

「……あ、春揮……」

 

「葉月、無事でよかったよ」

 

「ごめんね、わざわざ長野まで来てくれて……」

 

いつも以上に元気が無い葉月の声はさっきの千秋以上に震えていた。

気のせいだと思うが葉月の蒼い目が少し暗く感じる気がする。

 

「……何があったのか、教えてくれるか?」

 

「……うん」

 

葉月は今の現状で思い出せるだけのことを話してくれた。

駅前で千秋と離れて数分後、どこかに行こうと思って信号を渡ろうと待っていると後ろから声をかけられて左耳に機械……オーグマーを付けられたと同時にその声の主に背中を押されてそのまま道路へ飛び出した。

そしてそのまま走ってきた車に衝突した………ということを。

 

「……そいつのことはわかるか?」

 

「多分……空さんだと思う」

 

(やっぱりあいつがやったのか………)

 

空……SAO帰還者で親を失った葉月に色々と手伝っていたボクっ娘で……ルナの双子の姉だ。

なんであいつが葉月の居場所を知っていてさらには葉月にオーグマーを付けたのかはわからないが…

 

「ねぇ、春揮……私たちがSAOで初めて会ったのっていつだっけ……」

 

考え事をしていると葉月が俺の手を握りながら質問をしてきた。

 

「何言ってんだ葉月……初めて会ったのは第1層、しっかりと話したのはかなり先だけどな」

 

「……そう、だよね」

 

俺が葉月の質問に答えると葉月は俺の手を握る手にさらに力を入れた。

 

「どうしたんだよ葉月、お前らしくないけど……」

 

「ごめん………春揮……」

 

「お前まさか……SAOの記憶が無いのか…!?」

 

事故が原因だとは思えないが葉月のこの反応からして多分葉月はSAOの記憶が無くなっている、というより薄れている……

 

「春揮と一緒にSAOで攻略してたことを全く思い出せない……どうしよう……春揮……」

 

「……とりあえずさっき医者にお前が退院しても一応大丈夫って聞いたしとりあえず俺たちの家に帰るぞ、話はそれからだ」

 

「……うん」

 

何が原因なのかわからないがもし、オーグマーが原因だとしたら…空が何かを企んでいるとしたらまずいことになる。

 

 

「千秋、お前は旅行を楽しんで来い」

 

「でも………」

 

「葉月なら大丈夫だから、お前はお前で楽しめ」

 

千秋を無理に心配させる訳には行かない、ということで俺は無茶なことは承知の上で千秋の旅行を続行させることにした。

俺は一応しっかりと立てる葉月を支えながら病院で色々と終えて危険を感じつつ葉月をバイクに乗せてそのまま東京へ帰った。

 

 

帰る道中も葉月は俺に「ごめん」とか「許して」ということをずっと口にしていた。

 

 

 

────

家に帰った翌日の夜……

シリカとリズが珍しく参加できるということで俺達はオーディナル・スケールのボス戦へと参加することに。

葉月は家で留守番させた。

ちなみにまだ葉月のことはキリトにしか言ってない。

というかキリトが今回は来ていない。

 

「よぉーし!ボス戦やってやるわよぉ!」

 

リズの無駄な意気込みと同時にボスが姿を現した。




葉月、まさかの記憶が……!?

ここまで来ると何を信じればいいんだろうね……


退院早すぎるね、気にするな


ということで次回から更に事態は悪化する……?

ちなみに今現在のオーディナル・スケール参加組は
シリカ、リズ、アスナ、ルシハの4人(原作通り…?)


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第133話 年季のあるパーティプレイ【OS第二戦】

ボスが姿を現して俺達が装備をしっかりと構えたところで戦闘開始。

どこかの貝類のような大きな殻を背負ったボス、こいつも確かSAOの階層のボスとして設定されていたはず、名前は確か……

 

「何ぼーっとしてるのよルシハ!ラストアタック貰うまでがオーディナル・スケールよ!」

 

「なんだよその帰るまで遠足みたいな言い方……それより懐かしいパーティだなお前ら……(シリカはどうか知らないけど)」

 

「確かに言われてみればSAOの時に仲良くなった仲間だから4年以上前からのパーティになるかな」

 

と、話しているうちにボスがリズ目掛けて突進をしてきた。

キャラ作りの時に自分に合った武器をセットしたらしいリズは左手に装備した盾でボスの攻撃を防いでそのまま弾き飛ばした。

そこにすかさずアスナとシリカがボスへ攻撃をして俺にも攻撃するようにリズがうるさく指示を出てきたからとりあえずボスへ攻撃……と思いきやボスの甲羅に剣が当たってしまい俺の攻撃は全く的に通用しなかった。

 

「痛った!?」

 

「なーにやってんのよルシハー!」

 

「仕方ねぇだろ……お前らと違ってARはまともにやってないんだから」

 

と、話しているとサムライロードと戦った時にいた猫かトラかわからないアバターを作ってミサイルを使うプレイヤーがアスナ達の元にやってきて「守ってやるぜ」などと発言して仲間と思われるプレイヤー達に指示を出してボスの注意を引き付けた。

 

(守る……か……)

 

今思えばなんで千秋がたまたまとはいえ長野へと葉月と同じ時刻に到着したのか。

何も調べないまま長野県へ旅行などしたのか……

そしてまるで狙ったかのようなタイミングで、千秋と葉月が別行動を始めた直後に、バス停の近くの交差点で空が葉月があの場にいることを知って葉月を道路に突き飛ばして事故を起こさせたのか……

 

そしてもうひとつの問題がある、空が葉月に付けたオーグマー、()()()()()()()()()()()()()()ということ……

 

まさか千秋…………

 

 

 

「ルシハー!そっち行ったわよー!」

 

 

「うわっ!?危な………」

 

確実に遠くにいたリズ達が戦っていたあのカニ型モンスターがいつの間にか俺の方へ向かってきていた。

攻撃を寸前で避けてボスの甲羅がない所へ攻撃を入れて後ろへ下がった。

下がって体制を立て直す時に建物の柱の影にエイジと同じ色の装備が見えた。

 

(まさかあれは……)

 

近づいて確認しようとしたその時、何かを察知したかのようにボスが再び俺の方へと攻撃を仕掛けてきた。

 

「くそ……邪魔するんじゃねぇ!」

 

ボスの力が思った以上に強かったため、防ぐのが精一杯になってしまう。

どうしようか考えていると柱の影からエイジが出てきてシリカの近くへ歩いていった。

 

嫌な予感がしたものの俺はボスの攻撃を防ぐので精一杯、リズ達が到着するのにも少し遠い……

 

 

と、再び迷っているその時だった。

残り時間が3分を切ったと同時にボスの出現演出が再び発生した。

エフェクトの中から出てきたのは……シリカのSAO、ALOでのテイムモンスター、《ピナ》だった。

 

「ピナ!まさか助けに来てくれ───

 

シリカの考えは甘かった。

シリカが近づいたその瞬間、ボスが一気に巨大化してボスクラスの大きさと威圧感になった。

 

「逃げろシリカ!」

 

俺はとっさにシリカに下がるように叫んでいた。

────

同場所、同時刻

???目線

 

「パパ!あれは91層に予定されていた《ドルゼル・ザ・カオスドレイク》です!」

 

「くそ……人が邪魔で通れない……シリカ…リズ…アスナ……ルシハ、待ってろ……!!」

 

1人の黒き英雄がバトル会場へと到着していた。




このあとがきに需要などあるのだろうか。



あ、つい最近、誤字訂正をしてくれた方がいました、ありがとうございます、気づかなかった。
お気に入りも100突破してから少しずつ伸びてるし人気出てきたのかなーって思ってる、長いから飽きられてないか心配。

オーディナル・スケールも中盤、シリカ達に危険が訪れる中、遅れてあの男が登場……!?


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第134話 死の恐怖【英雄の劣化】

オーディナル・スケール

ルシハ目線

 

「ルシハー!」

 

シリカが危ない、そう思っていた俺はボスの攻撃がいきなり止まったと同時に聞きなれた声を聞いた。

ボスが怯んでいるうちに体制を建て直した俺はオーディナル・スケールを起動したキリトが目の前にいることを改めて確認した。

 

「次はアスナ達だ……」

来ないとか言っていたキリトはやる気を出したかのように剣を構えて倒れているシリカの元へ行こうとした………が

 

「シリカ!!」

 

シリカはボスの攻撃が来る前に立ち上がって後ろに下がろうとした、が後ろにあの男……エイジが立っていてシリカはエイジにぶつかってそのままシリカはエイジにボスの目の前まで突き飛ばされた。

 

「あの野郎……シリカ!今すぐ逃げろ!」

 

あのボスは多分SAO第91層に設定されていたカオスドレイクとかいうドラゴン、あんなやつの攻撃を受けたら……

 

「シリカちゃん!」

 

シリカがカオスドレイクの攻撃を避けれずにそのままやられる……と、思ったその時、シリカを庇うようにアスナがシリカの上になってボスの攻撃をまともに受けてしまった。

 

「「アスナ!!」」

 

アスナはその場に手折れ、アスナの左耳から光の玉のようなものが空に飛んで行ったような気がした。

 

「おやおや、興ざめですね……《黒の剣士》」

 

「「お前………!!」」

 

シリカをわざと突き飛ばしてボスの攻撃を受けさせようとしたエイジに俺とキリトが同時に怒りの眼差しを向けた。

キリトはエイジに向けて攻撃をしようとしたがエイジの圧倒的な力の前に手を出すことすら出来ずにそのまま停止してしまった。

 

「VRの中じゃ英雄とやらも劣化して約立たず、ということか……ARとVRの違いを、お前達の弱さを思い知れ」

 

カオスドレイクの攻撃が再び俺たちに来ようとした瞬間に時間が切れてそのままボスは消滅、守るとか言ってたトラみたいなアバターの男は去っていったエイジを追いかけて行った。

 

「アスナ!アスナ!!」

 

アスナの意識が戻ったところで俺達はオーディナル・スケールを終えてそのままそれぞれの家へ帰って行った。

 

(……多分アスナもSAOの記憶が………)

 

俺は葉月が寝ていることを確認した後、ALOへとログインした。

 

 

アインクラッド22層 ログハウス

 

案の定、と言ってもいいと思うがキリトとアスナがログインしていた。

普段なら入らずに去っていくところだが今回はそうもいかない、そのため俺はアスナに許可をもらってログハウスの中に入れてもらった。

 

 

「キリトくん……ラギさん……どうしよう……」

 

「……アスナも、か…」

 

アスナの話を聞く限りアスナはカオスドレイクの攻撃を受けた瞬間にSAOの時と同じような感覚を感じ、そしてそのまま何かが抜けるように気を失った。

 

……そして、SAOの記憶が思い出せない。

 

「……アスナ、しばらく……ユナのライブまではオーディナル・スケールではなくここで会おう」

 

「うん、わかった」

 

この後、俺はキリトと一緒にベランダへと出た。

 

「ラギ、お前はこれからどうする?」

 

「俺はあのエイジとかいう男と()()1()()を探す、オーディナル・スケールの危険性を調べつつ、ボスを倒しながらアイツらを探して葉月とアスナの記憶を返してもらう」

 

「俺も同感だ、ラギ……明日からしばらくオーディナル・スケールの攻略だな」

 

俺たち2人はオーディナル・スケールのボス戦を二人でやることを決め、そのままログアウトした。

 

 

────

それから数日間、初日はシノンと一緒に3人で、2日目からはボスの出現が1箇所だけではなく東京都内の各地に現れるようになったことを知った俺と和人の2人で手分けしてボス戦を終えた。

 

5月始め:東京都内、オーディナル・スケール後

 

「やぁやぁ、春揮君、お久しぶりだね」

 

「お前………葉月の記憶を返せ」

 

ボス戦を終えて帰ろうとした俺はオーディナル・スケールの装備を着た空と遭遇していた。

 

「それは出来ない、それに今ボクは忙しくてね……返して欲しいなら数日後にあるユナのライブへ来てもらうよ、そこで葉月ちゃんの記憶を返してあげるよ」

 

そう言って空は人混みの中へ消えて行った。

 

 

 

 

帰り道、和人と合流した俺は和人も同じようにエイジに明日菜の記憶をユナのライブで返す、と言われたらしい。

その後、クラインが同じようにエイジの被害に遭っていたことが分かった。

 

 

その次の日、オーディナル・スケール開発者である重村という教授の講義に俺は参加、和人は明日菜の状態を確認するために病院へ。

 

「で、あるからしてARはVRとは違った素晴らしさを誇っている訳だが、質問はあるかね?」

 

ARとVRの違いはよくわかった、だがこの男は何かを隠しているはず……

 

「ひとつだけ質問させてくれ、ARには脳のスキャン機能があるはずだが、それは前世代機、ナーヴギアのような危険性があると思うがそれはどう思ってるんですか」

 

「面白い質問だ、だが答えは【NO】だ」

 

簡単に流されたあと俺は重村教授の部屋へ呼ばれた。

その時、どこかで見た気がする機械や大量のおもちゃなどが置かれていたのを見た。

 

「それで君は菊岡君のお願いを使ってまで私に何を聞きたかったのかね、まぁ、答えはNoだがな」

 

結局、これといった話は聞けずに俺はそのまま帰ることになってしまった。

 

教授の部屋から出ようとしたその時、教授の机の上にある写真立ての写真に移る少女が妙に気になって外に出て菊岡に詳細を聞いてみることに。

 

「……重村教授には娘さんがいる、君もよく知ってるいるS()A()O()()()()だ。だがSAO開始してしばらくして娘さんはSAOの中で命を落とした、僕のわかることはこれぐらいだ、役に立てなくて済まない……あと、まだ確証はないけどSAOのデータの1部は重村教授が持ってると思うよ」

 

「分かった、あんたはライブ当日、重村教授がどこにいるかを探し出してくれ」

 

 

 

 

 

それから数日後、ユナのライブの開始の少し前。

先に会場に入ったSAO帰還者メンバーと詩乃を見送った俺は和人より早く指定された場所へ移動した。

 

その道中、俺は聞き覚えのある声に呼び止められた。

 

 

「千秋……お前、なんのつもりだ」

 

「お兄ちゃんには悪いけど、ここは通さない、空さんの計画の邪魔はさせない」

 

病院で別れたあと、連絡を取ってなかったとはいえまさか千秋が……

 

「お前が葉月の居場所を空に教えて事故を起こさせたんだろ」

 

「ご名答、だけどそれも失敗……だから今度は空さんの代わりに私がお兄ちゃんの記憶を取る……!!」

 

「………俺は空に用があるんだ、お前に邪魔される暇はねぇ…だがどうしてもそこを通させないって言うならここで倒す」

 

千秋が何を考えて空の計画とやらに参加したのかはわからない。

もちろん、理由も無しに相手に利用されるはずもない。

……だからこそ、千秋の気持ちを受け止める、それだけだ。

 

 

「「オーディナル・スケール、起動!」」




所々OS本編からカットしたけど気にするな(おい)

実はオーディナル・スケール編あと10話ぐらいかな?


空に呼び出されてライブ当日、勝負かと思いきや出てきたのは千秋……!?
何を企んでいるのかわからない相手との、実の妹との勝負………どうなる!?


ライブ会場内の話も和人目線も書くぜ


P.S.この話の初更新から所々変更してるぜ


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第135話 過ぎたあとの後悔【VS千秋】

オーディナル・スケール

ルシハ目線

 

「はあぁぁ!」

 

屋外、ということもあって周りに障害物など何も無い。

それが俺たちの勝負をどう左右するかわからないが今はそんなことは気にしてる暇は無い。

 

「なんでお前は……葉月に手を出した……っ!」

 

軽々しく防いでくる千秋の隙を作るように俺は剣の攻撃を止めずに千秋に質問を投げかけた。

 

「そんなの……お兄ちゃんには関係……ない…っ!」

 

「関係あるから聞いてるんだよ……!!」

 

俺も千秋もお互い攻防を繰り返すだけでダメージにはならず、更に向こうは俺の質問に答える気は全くない様子。

病院で見たあの表情、俺の受け取り方が間違っていたのか俺が鈍感なのかわからない、だがもしあの表情が()()だとすれば……?

 

「せやぁぁぁぁぁ!!」

 

「くっ………」

 

千秋の会心の一撃的な攻撃を受けて俺はそのまま後ろに下がった。

今の一撃を受けてわかること、それは……

 

──千秋は本気で俺を倒しに来ている

 

(お前がその気なら受けてやるよ千秋……!!)

 

「はあァァ!!」

 

俺の一撃は千秋の右肩をかすめた。

この一撃で怯んだ千秋に隙を与えずに俺は千秋を押し倒して首元に件を突きつけた。

 

「答えろ、お前は空と何をしていた」

 

「何も………してない……」

 

「嘘つくんじゃねぇ、お前は空に何を言われてあいつの言うことを聞いたんだ」

 

「私は───

 

「何も答えないなら喉元の剣をそのまま下に下げる」

 

俺は千秋にどんな目をしているのかわからない、だけど分かることは今の俺は千秋に『恐怖』を与えていると思う。

 

「お兄ちゃんが……10年近く一緒に暮らしてた私の()()()()お兄ちゃんが……どこの誰かもわからない一人の女の子と付き合って、向こう(SAO)では結婚してるってことが許せなくて……妹である私とは違う接し方をしてたことが……悔しくて……」

 

「……お前は()だ、俺の大切な()()だ」

 

「……お兄ちゃんには分からないよ、私の気持ちなんて、ずっと会いたいと思ってた私の気持ちなんてわからないよ」

 

「お前だって何も分かってねぇよ、俺と葉月が2年間も死への恐怖を背負って生きてきたことを、2年間……いや、10年以上も()()()()()辛さなんてお前にはわからないだろ」

 

今回の事件のきっかけになるであろうルナ、夕立の霧雨のみんな、アルゴにも危険な目に合わせたことがある。

葉月の姉も俺があと一歩早ければ死なずに間に合っていたかもしれない、俺はその1歩が踏み出せなかった。

千秋が空に手を貸したのが嫉妬だったとすればそれは俺にも責任はある、10年以上会わなかったのは俺の方だから……

 

「お兄ちゃん……ごめん……なさい……!!」

 

「詳しい話は後で聞く、お前が空に利用される理由も後で全て聞く、だから今は忘れて俺に協力してくれ」

 

「うん………」

 

「とりあえずお前はドームの中に行ってくれ、葉月にはしっかりと謝っとけよ………まだ許したわけじゃねぇからな」

 

俺は千秋を起こしてしっかりと喝を入れてライブ会場の中へと行くように指示をした。

 

 

 

 

そして俺は空に支持された場所へ移動した。

 

 

「やぁやぁ、春揮さん、待ってたよ、遅かったね」

 

「……うるせぇよ、よくも千秋を利用しやがったな」

 

「さぁ、なんの事だか……まぁ、時間も惜しいし始めようか、《光の剣士》」

 

「……もちろんそのつもりだ、敗北者(ルーザー)!!」

 

 

「「オーディナル・スケール起動!」」

 

────

春揮が空と遭遇した頃

地下駐車場

和人目線

 

 

「……よく逃げずに来ましたね、《黒の剣士》」

 

「そういうお前は《ノーチラス》だな、血盟騎士団で1度しかボス戦に参加しなかった臆病者」

 

「よく僕みたいなやつのことを知ってますね、まぁいい、始めよう」

 

「「オーディナル・スケール、起動!」」




ヤンデレかな?
ヤンデレだね

春揮のつらさは千秋には届かない
千秋の辛さは春揮に届かない



次回、春揮VS空!!


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第136話 交差する思い【VS空】

オーディナル・スケールでのバトルが始まって数分。

俺は空の圧倒的なスピードに押し負けて一方的な試合になっていた。

 

「それがSAOをクリアに導いたプレイヤーの力か……!!」

 

「まだまだこんなもんじゃねぇよ……お前こそ、それがオーディナル・スケール3位の実力か?」

 

このまま押し負ける訳には行かない、何としても葉月の記憶を返してもらう……だからこそ押されてる子の状況を打破しなければ……

 

と、考えていると空は人間の出せるスピードと身体能力を遥かに超えて俺に接近してきた。

空が体制を低くしていたため空の装備の首の所にどこかで見た機械が着いているのを確認し、接近してきた空の攻撃をギリギリで防いだ。

 

(あれは確か………)

 

考える暇もなく空がさらに攻撃をしてきた。

剣を振るまでの速度も俺より早く俺の攻撃を避ける時の動きの速さも確実に俺より上だ。

 

「光の剣士……お前達のような人間だけがSAOの中でスポットを浴びていた、ボクみたいなやつには誰も見向きもしない、死んで行ったプレイヤーなんて誰も気にしない……お前らのせいで………っ!」

 

空は俺に剣を振り攻撃を当てようとしてきた。

その動きは速く、そして何かを感じるような重みのある剣だった。

その剣の攻撃で俺の持っていた剣は手から離れ、遠くに落ちてしまった。

 

 

空が言いたいことは俺だってわかる、だとしても……

 

 

「それで千秋に、葉月に手を出していいわけじゃねぇだろ!」

 

武器を失った俺は空の攻撃を避けつつ空との話を続けた。

 

「千秋?あの人はボクの口車に乗せられてまんまと騙された可哀想な人だったっけ?『葉月ちゃんを潰せばお兄ちゃんは君の物だ』なんて言葉に騙され───

 

「ふざけんじゃねぇ……お前……!!」

 

千秋はSAOの頃の葉月と同様、騙されて自分の身近のものを殺そうとした。

2度も同じような手口を使うやつと対峙するとは思ってなかった。

 

「ふざけるな?何がですかねぇ?()()()()()()()()じゃないか」

 

空は俺が1番許せないやつだ、もちろん()()()()()()()()()()()()()だから許せない。

あいつの首についているあの機械は………

 

「機械に頼ってんじゃねぇよ!」

 

俺は空の攻撃を避けて首元にある機械に手を伸ばしてその機械を首から引き剥がした。

多分空の首についてたあの機械は重村教授が作り出したであろう自分の強さを高める機械……

 

「くそ……良くもやってくれたな……!!」

 

「……自分の弱さを誰かに押し付けて強いように見せるようなやつに俺は負けねぇ!」

 

俺は落ちている剣を拾ってそのまま空の隙を作り一撃を入れた。

そしてそのまま空はその場に倒れ込んだ。

 

 

「さぁ、早く葉月の記憶を返せ!」

 

「………もう無駄だよ、春揮さん、もう、始まったんだから」

 

空がそう言うと会場内から歓声と悲鳴、そして何科が暴れているような音がした。

 

「まさかお前……!!」

 

俺は空のオーグマーを耳から取りそのまま持ってきていたバッグに入れてそのまま会場の中へ入った。




理不尽な野郎だ、空

圧倒的な語彙力不足
圧倒的なバトル描写不足

次回、こんな感じのままエイジと黒の剣士のバトル!


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第137話 繋ぐ意志【VSエイジ】

春揮が空とバトルを始めたと同時刻。

俺、和人はエイジに呼ばれた会場の地下にある駐車場に到着した。

 

「待ってましたよ、黒の剣士」

 

エイジは柱に寄りかかって本を読んでいたが俺の姿を確認したと同時に本を読むのをやめてその本を下に置き、俺に声をかけてきた。

 

「そういうお前は《ノーチラス》だな」

 

「よく知ってますね、僕のことなんかを」

 

よく知っている訳では無い、明日菜や春揮がちょっとした情報を持っていてそれを俺が聞いただけだ。

ボス戦に1度しか参加しなかったと聞くが……

 

「……そうやって閃光だけでは飽き足らず、ユナも誑かすんですね」

 

「何………!?」

 

「……まぁ、いい、始めようか」

 

エイジはなにか気になることを言った気がするがそのままエイジが言葉を止めてバトル開始を促してきた。

俺は腕につけていた重りを外してオーディナル・スケールの機械を手に持った。

 

「「オーディナル・スケール起動!」」

 

 

 

 

「はあぁぁ!!」

 

「ふっ………」

 

俺とエイジの剣は同時にぶつかって火花を散らした。

俺はそのまま後ろに下がりエイジと同時に走り出して駐車場の中を駆け回った。

 

「なかなかやりますね……黒の剣士!」

 

「オーディナル・スケール第2位ってのはこんなもんか、大したことないな!」

 

「言ってくれる……っ!」

 

柱越しに会話をしながら走っていたエイジは俺の方に向かって剣を構えて飛びかかってきた。

すかさずそれを避けた俺の真横で柱にクロスを描いて攻撃をしたエイジが柱を壊したせいで発生した砂埃に隠れた。

 

「お前達攻略組とは僕達は違う!ユナ1人も守れなかった……!!」

 

「ユナとSAOで一緒にいたのか!?」

 

「あぁ、一緒にいたさ、死ぬその瞬間までな!……自分を恨んだよ、大事な人が危険な目に遭ってるというのに足がすくんで……動けないんだからなぁ!」

 

砂埃の中から攻撃をしてくるエイジの強力な一撃が俺の《ヒロイックプロミス》を弾き飛ばした。

 

「お前ら《攻略組》は違う!ユナや僕達のようなプレイヤーのように周りに見向きもされない影の存在とは違っているんだ!」

 

俺はエイジの攻撃をスレスレで避けつつ背中にとある機械を見つけた。

春揮が似たような機械をOS開発者の部屋で見つけたと言っていたがまさか……

 

「SAOなんてクソゲーの記憶、消したっていいじゃないか!」」

 

俺はエイジの攻撃を避けて背中に付いている機械を手に掴んでそのまま引きちぎった。

 

「お前の強さの秘密はこれかァァ!!」

 

エイジは少しの間動きを止めた。

その隙に俺はヒロイックプロミスを拾って構えてエイジに最後の一撃を与えた。

 

「俺は自分の弱さを否定するやつ、弱さを力だけで隠そうとするようなやつに負けない!!………さぁ、明日菜の記憶を返せ!」

 

「ふっ……もう遅い……」

 

「なに………!?」

 

「ここにはSAO帰還者が集められている、ここでオーグマーのスキャンを一斉に行えば……」

 

俺は嫌な予感がして上の会場へと走った。




エイジ、死す


ということでOS編2つ目に大きな戦いが終わりついにストーリーは終盤へ差しかかる!

次回、会場内で一体何が……!?


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第138話 死の可能性【スキャン開始】

会場正面玄関

春揮目線

 

「高出力スキャンでSAO帰還者全員の記憶を奪う!?」

 

「……あぁ、お前も少しは知ってると思うがオーグマーはVR機種と同じように脳のスキャンを行う、そのスキャンを脳の1部分に集中させればその部分の脳が破壊されて()()()()()ということになる」

 

明日菜の記憶が無くなった後、絶剣の件で世話になった医者に明日菜の脳の状態を見てもらったと和人に聞いた。

その時に俺が今話したことと同じようなことを聞いたはずだ。

 

「確かにそれは聞いたし菊岡にも色々と調べてもらってるが…」

 

「問題はそこじゃないんだよ、脳のスキャンを今、人数が密集してる、それが一番の問題だ」

 

セブンが調べてくれた時に発覚した1番の危険、それが今、1番危険視しないと行けない点だ。

オーグマーで脳のスキャンを行うとVR以上に脳への負担がかかる。

そして脳のスキャンはオーグマー同士で共鳴を起こしてスキャンを必要以上に行ってしまう。

必要以上に行えば脳への負担はさらに拡大して最悪の場合死んでしまう。

 

もし、スキャンが開始されればそのまま会場内のプレイヤーのほぼ全てが死ぬかもしれない。

 

「そんなこと絶対にさせない、春揮、入るぞ!」

 

和人が会場の扉を開けた。

 

……中には地獄のような状況が広がっていた。

 

 

 

──春揮立ちが到着する少し前。

 

 

会場内:葉月目線

 

ユナのライブが最高潮を迎えて周りの人の歓声がさらに上がった。

周りを見ても春揮と和人の姿がまだないことを気にしているとユナの曲が終わり、そのままユナは満足そうな顔をしていた。

そのままユナは暗転と同時に消え、ライブ会場は静かになった……と、思ったその時だった。

 

私とアスナ以外のプレイヤーのオーグマーから黄色い光の玉が浮き出た。

それと同時に会場内に巨大なボスが大量に現れ始めた。

 

「何これ………」

 

「どうなってんだこりゃ………」

 

突然の状況に困っていると1番通路側に座ってた私の横にボスの出現エフェクトが発生して()()()()()()()()()()青い獣のボスが現れた。

 

「ちょっとアスナ達!」

 

避けようと思っても足が震えて動けない、アスナも同じ状況でボスの攻撃を避けることが出来ない……

 

もうダメだ、そう思ったその時──

 

 

「アスナ!」

「葉月!!」

 

キリトとルシハがボスの攻撃を受け止めてボスを弾き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

会場内:春揮(ルシハ)目線

 

「なんとか間に合ったな……」

 

「リズ!エギル!こいつを倒すぞ!」

 

 

ギリギリで間に合った俺達は目の前の階層ボスをエギルたちに協力してもらい倒した。

だが会場内のプレイヤーは無理だとわかっている勝負に挑んでボスにやられていた。

 

どうすればいいのか、そう考えていると俺たち目がけて《フェイタルサイス》が攻撃をしようとしてきた……が、フェイタルサイスの攻撃は何かに防がれた。

 

『みんな聞いて!』

 

俺たちの前に白い服を着た少女……ユナとルナが現れてフェイタルサイスの攻撃を防いだ。

声をかけてきたのはユナの方だ。

 

『私のお父さんとルナのお姉さんは高出力スキャンでみんなの脳から私たちの記憶を取ろうとしてる、でももしこんな所でやったら記憶がなくなるどころかみんな死んでしまう!』

 

「なら、俺達はどうすればいい!?」

 

『キリトを連れてったあそこ……SAO第百層のボスモンスターを倒してスキャンの機能を停止させて!』

 

いつの間にキリトがユナと接触してたのかは別として今、この状況でSAOにログインする方法は……1つしかない。

 

「みんなオーディナル・スケールをやめるんだ!、オーグマーを外してくれ!このままだとみんな死ぬぞ!」

 

和人は無理だとわかっていながらボスと戦っているプレイヤーに呼びかけをした、がもちろん結果はわかっていた通り誰も和人の声に見向きもしなかった。

 

『無駄よ、この日のためにオーディナル・スケールでボス戦をしてたから』

 

「ならどうすればいいんだ!?」

 

『オーグマーでフルダイブ機能を使って、SAO100層に行って、今オーグマーのフルダイブ機能をアンロックするから!』

 

「オーグマーにフルダイブ機能が!?」

 

『オーグマーはナーヴギアの機能限定版でしかない!だから早く!』

 

「……わかった」

 

ユナとルナが攻撃を防いでいる間に和人が席に座ってフルダイブの準備をしようとした、もちろんシリカやリズ、エギルとシノンもボス戦に協力するということになりダイブする準備を整えていた。

 

「アスナ、必ず戻ってくる、それまで待っててくれ」

 

「……うん」

 

和人達がログインをしたのを確認した俺は葉月と明日菜を守ってくれることをユナとルナに任せて明日菜と一緒にいるユイにちょっとした手伝いをしてもらうことにしてとある場所へ移動した。

 

「ここならいいか……」

 

『どうしたんですか春揮さん……?』

 

「話した通りだ、とりあえず一旦ログインしてから話す」

 

俺は会場の端、ボスに見つからないと思う場所でバッグに入れた《アミュスフィア》を取り出して頭につけてそのままログインした。




あのシーンを表現するのって辛いよねぇ…

次回、第100層に行ったキリト達はまたのちの話。
何故かアミュスフィアを持ってきた春揮、明日菜からユイを借りて(?)ログインする……
(ちなみに次回からの話はスマホアプリのSAOで語られてた裏ストーリー的なやつ)


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第139話 VRの戦士【ALO編】

VR:謎の空間

 

「なんだここ……?」

 

アミュスフィアを使ってログインした俺は謎の空間へとログインした。

マップ情報もないこの空間はいったい………

 

『春揮さん!……いや、ラギさん、ここは簡単に説明するとVRの管理区のようなエリアです』

 

「まさかユイがやったのか…?」

 

『ラギさんがログインする時にラギさんのアミュスフィアのログイン先を少し変更させてもらったんです』

 

「とりあえずここなら俺らの考えも実行できるんだな」

 

『はい、とりあえずALOにログインします!』

 

ユイが再び設定を弄って俺は管理区からALOへとログインした。

その間にユイは何故かアミュスフィアを持って行っていた直葉の元に接続して事情を説明して合宿中にもかかわらずにALOにログインしてもらった。

 

 

 

央都アルン

 

「ラギさん!ユイちゃんから聞きました……けど、どうやってそのSAO第100層に行くんですか?」

 

「それはユイがやってくれる、とりあえずALOの実力者たちを集めて央都に来てくれ」

 

「わかりました!とりあえず私が集められる範囲で集めてみます!」

 

俺はリーファにALOのプレイヤーを集めるのを任せてユイに頼んでGGOへとログインさせてもらった。

 

 

 

 

ALO:リーファ目線

 

「ねぇ!そこのシルフさん!今さっきまでここにいたのってラギってプレイヤーだよね!?」

 

「そ、そうだけど……」

 

私、リーファはラギさんがどこかに行った後、サクヤ達を呼ぼうと行動を開始しようとしてとあるプレイヤーに呼び止められた。

 

「やっぱり!()()()()()()特徴掴んで良かった……ね!ライム!」

 

「そんなこと言って……誰なのかも知らない人に突然話しかけない方がいいよ、シズク」

 

「それもリアルの名前まで言ってしまって……」

 

声のする方に向くと3人の女子プレイヤーが私の方を見ていた。

1人はラギさんのリアルの名前……春揮さんのことを言ってたけどこの人たちは一体…

 

「あ、ごめんなさい!私はシズク!ギルド《夕立の霧雨》のギルドマスター!」

 

()はライム、同じく夕立の霧雨のメンバー」

 

「私はユミ、よろしくお願いします」

 

「えっと……私はリーファ、よろしく?」

 

女子3人……夕立の霧雨という聞いたことないギルド名に所属してる3人の自己紹介を聞いたあと、それぞれラギさんとの関係を教えてくれた。

この人たちなら、と思って事情を説明すると否定せずに了承してくれた。

 

その後、私は各地を飛びまわってシルフ、ケットシー、サラマンダーの各領主にお願いして参加してもらうことに。

その道中、何故かログインしていたクラインさんにもお願いした。

7人ほど集めてラギさんに報告しようとしたその時、アスナさんやお兄ちゃんがお世話になった《スリーピングナイツ》の2人が駆け付けてくれた。

 

ラギさんに連絡してALOから管理区と言われる空間にALOメンバーが入るとラギさんが向かったGGOのメンバーが揃っていた。




さて、スマホアプリ《ソードアート・オンラインコードレジスタ》のOS編の期間限定イベントのストーリーを俺なりに作り替えてみたぜ

まだラスボス戦到着までに時間がかかるかもね


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第140話 VRの戦士【GGO編】

GGO:首都グロッケン

 

「おーいラギー?こんな短期間に何やっとんのー?」

 

「なんだ、フカ次郎とレン……お前らにも少し手伝ってもらいたいんだがいいか?」

 

ログインするなり俺はグロッケンにいたレンとフカ次郎に事情を説明した。

ちょっと疑いの顔をされた気がしたがレンが了承してくれてとりあえずGGOの仲間は2人見つけた。

 

『ラギさん、この近くにラギさんのフレンドと似た、一致したIDのプレイヤーがいます』

 

「俺のフレンドってことはALOのか……?ということは……」

 

俺はレンとフカ次郎を待機させてユイの案内の元、そのIDを追いかけた。

俺が動いたことに気がついたのかそのIDは俺に追いつかれないように移動を開始した。

 

『ラギさん!あのプレイヤーに追いつけません……!!』

 

「向こうが早いならこっちもすばやさで勝負だ」

 

首都内は入り組んでてわかりにくいがあのプレイヤーは1つ、間違いに気づいてないはずだ。

 

この狭い路地を抜ければ……

 

「「捕まえたァ!」」

 

首都内で逃げていたプレイヤーをうまい具合に誘導して首都の中心部に当たるレン達の待機場所に出るようにした。

そして先にレンたちに指示を出してプレイヤーを捕まえた。

 

 

「さてと、時間使ってる暇はねぇんだよ…とりあえず話は聞かないが手伝ってもらうぞ……アキ」

 

「……分かった、その前に私の方でも集めた仲間を呼ぶから待ってて」

 

千秋がいつの間にGGOへログインしたのかわからないし仲間を集めようとしてることを知ってるのかわからないが改心はしてくれたはず。

それを信じて待っていると数人のプレイヤーが走ってきた。

シノンが組んでいたらしいダインとかいう男とその仲間達だ。

 

「よし、とりあえず事情は説明したから行くぞお前ら!」

 

ユイに頼んで再び管理区へと転送された。

その後、俺はALOのアバターに変えてリーファから連絡があってリーファが集めたALOのプレイヤーを管理区へと転送した。

 

 

「ラギー!」

 

「シズク……?それにライムとユミも…お前、ALOやってたのか?」

 

「少し前からね、とりあえず話は聞いたよ、行くなら早く行こう」

 

(シズク達も変わったな……と言うかクラインとスリーピングナイツもいるのか……)

 

『ラギさん!管理区の奥にプレイヤーのデータの反応があります!これは……シノンさんです!』

 

「多分俺達が管理区に潜り込んだってことがオーグマー開発側にバレてVR内のシノンのアバターデータを操ってるんだな……ユイ、他にデータは無いか?」

 

『SAOの皆さんのデータがあります!』

 

「よし、それをアイテム化してくれ、その間に俺はこの偽シノンを倒す!」

 

 

 

ALOとGGOメンバーに下がってもらって俺はシノンと一騎打ちをしようとした、がデータはシノンの物、一筋縄では行かずに負けそうになった……が、それをアキがカバーしてくれてなんとかシノンのアバターに勝利した。

 

『ラギさん、今戦ってる皆さんのデータを集めました!それに加えて今ラギさんが倒したシノンさんのデータもまとめてアイテム化しました』

 

「分かった………みんな、俺たちのために集まってくれてありがとう、このお礼はいつか必ず精神的に……!俺が先にあいつらの元へ行く、その後一斉にユイの転送で各地に散らばってくれ、やるぞ、VRプレイヤーの力を見せる!」

 

こうして俺達は今戦ってるキリト達の元へ転送された。




ユージーン、アリシャ、サクヤ、スリーピングナイツの2人、クライン、リーファ、シズク(シルフ)、ライム(スプリガン)、ユミ(ウンディーネ)
ダイン率いるチーム、レン、フカ次郎、アキ
ラギ

援軍の強さよ


次回はキリト達のバトルが描かれる!


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第141話 アインクラッド100層【紅玉宮】

SAO第100層

 

「ここがアインクラッド第100層紅玉宮……!!」

 

「まさか2年も経ってここを見ることになるとはな……」

 

紅玉宮の上から降りてきた俺らはボス部屋に入って真横にいる巨大なボスを確認した。

その直後、ボスの攻撃がエギルに向かい、エギルは空中から部屋の端の柱に叩きつけられた。

 

「エギル!」

 

「これがSAO本来のラスボスか……っ!」

 

「やめろォ!」

 

エギルはギリギリで防いだとはいえあのまま攻撃されたら防ぎ切れるはずがない、そう思い俺がボスに攻撃をしようとしたがバリアのような何かに防がれてそのままボスの攻撃で吹き飛ばされてしまった。

 

(これが……SAOラスボスの強さか……)

 

シリカとリズも俺と同じく攻撃をしようとしたがバリアに弾かれてそのまま壁に吹き飛ばされてしまった。

そこに追い打ちをかけるようにボスが俺らに向かって来た……が、シノンがそれを阻止するように銃をボスに撃ってボスの動きを止めた。

その直後ボスはシノンに向けてレーザーのようなもので攻撃をしてシノンはその爆風で飛ばされた。

 

「オラァ!!」

 

エギルがボスの隙を見てバリアを割ろうと攻撃をした。

ボスは直ぐにエギルに攻撃を向けたがエギルは再びギリギリで防いだ。

 

「スイッチ!!」

 

エギルがボスの攻撃を防いでくれているうちに俺がボスに攻撃を加えた。

それにさらに追撃をするようにシリカとリズが攻撃をしてボスのバリアを破壊した。

 

 

これで攻撃が入る、そう思ったがボスは自分の周りに巨大な木を生やしてその木から落ちた雫で俺らが与えたダメージを全て回復した。

 

「くそっ…」

「こんなの……勝てっこないわよ…」

 

絶望的な状況に置かれた俺らにボスの攻撃が向かって───

 

 

 

 

 

ユナのライブ会場

葉月目線

 

和人達がログインして、春揮がどこかに行ってから既に超時間が経過している。

周りのプレイヤー達の悲鳴や叫び声が聞きたくないほどに響いていた。

それを聞いて明日菜は頭を抑えて震えて苦しそうにしている……

 

『ごめんね、アスナさん……それにハヅキさん……あなた達の記憶をスキャンしたのはSAOで死んだ私を蘇らせるためなの』

 

「「………!?」」

 

『ユナちゃんや私を蘇らせるためにここにいるSAO帰還者全員にボスに殺される恐怖を与えて高出力スキャンをしようとしている、それが実行されたら脳のダメージが計り知れない……最悪の場合死を招いてしまう……』

 

「そんな……」

 

明日菜はルナの言葉を聞いてキリトのオーグマーを耳から離そうとした。

私はそれを止めた。

 

「明日菜……和人からオーグマーを外せば助けられる人も助けられないよ」

 

「葉月さん………確かにそう……だね」

 

明日菜は私の言葉で何かに気がついたらしく、ユナとルナに言葉を投げかけた。

 

「2人とも、SAOで命を落としたのは圏外に出たから、クリアを目指したから……だから、私も戦う」

 

『……わかったわ、ハヅキさんもだよね?』

 

「うん」

 

『葉月さん!お姉ちゃんを……この世界を助けて!!』

 

「「リンクスタート!」」

 

 

 

 

その頃……

 

地下駐車場

 

「……負けてしまった、ボクは」

 

「まだチャンスはあるはず……まだ───

 

空とエイジが駐車場で再び動こうとしていた……が

突如現れたボスによってスキャンをされてしまった。

 

 

 

 

 

────

キリト目線

 

ボスの攻撃をギリギリで避けた俺とシリカ、そしてシノンは再び攻撃をしようとしていた。

が、ボスの攻撃がシノンのいる場所目がけて飛んでいき、それを止めようとしたシリカが地面から浮き上がった岩と上から降ってきた岩に挟まれて絶体絶命な状況になってしまった。

俺がそれを止めようとしたが俺はボスの手に掴まれそのまま壁に叩きつけられてしまった。

 

「くそっ……!!」

 

ボスの攻撃で身動きが取れなくなったエギルとリズの声が聞こえるがそのままボスの攻撃が俺に向かってダメだ、と思ったその時だった。

 

ボスの頭上から何かが降ってきてそのままボスに直撃した。

ボスはその攻撃でその場に倒れた。

 

「アスナ!ハヅキ!」

 

「「みんな、遅くなってごめん!」」

 

「大丈夫なのか?」

 

「うん……!」

 

「私も戦う、戦えるよキリト君!」

 

ハヅキとアスナが到着して戦力が上がったが肝心のルシハがいない、と、ハヅキと俺が思っていたその時、起き上がったボスにシノンが銃で遠距離攻撃をし始めた。

それに参加しようとハヅキが片手剣でボスに向かって行ったがそのままボスの持った剣に弾き飛ばされてしまった。

 

…が、ハヅキは壁に当たらずに()()()()()()()()()()()()()()()()に受け止められた。

 

それと同時に何連撃かわからないほどのソードスキルがボスにダメージを与えた。

 

「待たせたなお前ら!」

 

ボスの少し前に赤髪のスプリガンの姿をしたルシハ……いや、ラギが飛んでいた。




ラスボス戦前半終了

速すぎるかね?
いや、こんなもんでしょ

オーディナル・スケール本編とさほど変わりないがそこは気にすると負けだね

遅れて登場したハヅキが吹き飛ばされたらピンクのチッコいやつが受け止めて
さらにボスに連撃が加えられた

さぁ、一方的な試合の始まりだ!


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第142話 歴代の戦士【決着】

俺らの方に振り向いたラギの目はALOで見た以上に紅く光っていた。

そしてALOでラギが持っていた武器とは違う武器を装備していた。

 

「いいぞお前ら!一斉に来い!」

 

ラギは俺らの方にか声をかけた。

その時だった、俺らの後ろから風、火、水の魔法攻撃が一斉に飛んできた。

 

「お兄ちゃん(キリト)お待たせー!」

 

『パパ!ママ!みなさんを連れてきました!』

 

魔法が飛んできた方を見るとリーファとユイ、そしてALOで世話になったプレイヤー達が飛んできた。

 

「よーし!VRじゃ無敵だぜぇ!」

 

「「「ラギのためにも本気で行く!」」」

 

「面白そうだな!」

 

「遊びじゃないぞ!」

 

クラインとスリーピングナイツのメンバーの一人、そしてラギのことを呼んでいた3人が連続で攻撃してボスに一気にダメージを与え、リーファやサクヤ達が魔法で攻撃をした。

 

それだけではなくシノンのいる所からさっきハヅキを助けたピンクの服を着た女の子とグレネードっぽい銃を持った女の子、そしてB.o.Bで絡まれた記憶のあるダインとかいう男のチームメンバーが一斉に銃を撃った。

 

「ALO、GGO組はそのまま攻撃を続けろ!……お前ら!これを受け取れ!」

 

ラギは戦ってくれてるみんなに指示を出した後、俺らに何かのアイテムのようなものを投げてきた。

 

それが俺の手に触れたその時だった。

俺、アスナ、エギル、リズ、シリカ、ハヅキの装備がSAOになった。

それだけでなくシノンの装備がGGOのものに変わった。

 

「このSAOサーバーに残ってたお前らのデータをロードしたんだ、シノンのはおまけだ」

 

「……よし、みんなやろう!」

 

俺の指示でALOとGGOメンバーの動きも代わりシノンは高いところから1度下に降りてきてボスに攻撃をした。

 

ボスの攻撃がシノンにあたる前に俺とアスナがソードスキルを放ってボスの動きを止めた。

 

その間にクライン、リーファ、そしてユージーンが攻撃をしたがすぐにクラインとユージーンはボスに吹き飛ばされた。

 

その後一度クラインと合流してさっきラギのことを呼んでいた3人が保護魔法で俺とアスナとクラインを敵の攻撃から防いでくれた。

 

防がれたのを見たボスはGGO組を空に打ち上げてそのままレーザーのようなもので攻撃をした。

 

そのままボスは再び回復をしようとしたがラギがそれを投剣で防ぎボスの回復を防いだ。

 

その隙を見て俺とアスナ、そしてハヅキがボスに一気に攻撃を与えようとボスに接近。

ボスの木の根のような攻撃をシノンやリーファが破壊してくれたが一つだけ破壊しきれず残った。

それを俺とハヅキが防ぎその後にボスの剣を俺が防いだ。

 

「スイッチ!!」

 

俺の声と同時にアスナが空中からボスにソードスキルを放とうとした。

その時だった、アスナの右側……レイピアを持つ手から紫の光……絶剣の姿が薄く見えた。

 

「はあァァァァ!《マザーズ・ロザリオ》!!」

 

ボスにALOで絶剣に受け取ったOSS、マザーズ・ロザリオをアスナは放った。

 

「ハヅキ!これを受け取れ!」

 

「わかった……って重…」

 

ラギはハヅキに2本の剣を投げてそのままボスに向けてソードスキルを放った。

 

「せやァァァァ!」

 

ソードスキル:ナイトメアレイン

 

「行け!ハヅキ!」

 

「うん………!!」

 

OSS:スキルイクスプロード

 

ラギが攻撃した後、ハヅキが見たことの無いソードスキルをALOでラギが持っていた武器で放った。

 

「「「キリト(くん)!!」」」

 

ラギとハヅキ、そしてアスナが俺を呼んだ。

ラギがボスの攻撃を防いでくれている間に俺はボスに向けてソードスキルを放った。

 

ソードスキル:スターバースト・ストリーム

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

久しぶりに放つソードスキルの感覚を感じながら俺はボスに連撃を与えた。

 

「はあァァァァ!」

 

そして俺が放った最後の一撃でボスの体力は尽きてそのまま消滅した。

 

「やった……のか……?」

 

ALOとGGOのプレイヤーが歓声を上げる中、空から聞き覚えのある声が聞こえた。

 

『おめでとう、キリト君、だが君にはまだやらなければいけないことがある』

 

「あぁ、わかってるよ、茅場晶彦……!!」

 

こうして俺らの意識は現実に戻った。



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第143話 AR最強の男【事件の後】

現実世界:和人(キリト)目線

 

SAOの姿のまま、簡単に言えばデータの姿のまま俺は100層で茅場から受け取った《無垢の剣》を使いやられそうになっていたユナとルナを助けてユナにアイコンタクトを送った。

 

ユナがステージに立って歌い始めたことにより諦めていたSAO帰還者達の気力が上がりボスに一斉に攻撃を始めた。

俺はその様子を見てそのまま無垢の剣を振って周りのボスモンスターたちを蹴散らした。

それと同時に俺のOS内のランキングは1位になっていた。

 

その後、全てのボスモンスターを倒し終えてSAOの俺は消えて席に座っていた俺達が目を覚ました。

 

 

 

 

『みんな、お父さんを止めてくれてありがとう……これで私は消えてしまう』

 

「なんでだ……?」

 

『私のこの姿はSAO100層のボスのデータを元にされてる、元データを倒したら私は消えることになる』

 

「そうか……」

 

『アスナさん、あなたにこれを返すわ、SAOの記憶、これがあれば思い出せるはず』

 

そう言い残してアスナのオーグマーに光の玉のような何かを入れてユナは消えていった。

 

その間、俺たちと少し離れたところで春揮達が話していた。

 

 

 

 

春揮目線

 

ALOとGGOのメンバーそれぞれのゲームに送った俺はログアウトして葉月と合流してルナの元へ行き、話をしていた。

 

『お姉ちゃんを止めてくれてありがと、春揮、葉月さん』

 

「ルナ………」

 

『そんな悲しそうな顔しないで、私はいつでも春揮達のそばにいるよ』

 

「そばにいるってどういうことだ……?」

 

『その辺は時間が無いから話せない……けど、必ずまた会えるよ………そうだ、葉月さんにこれを返さないとね、お姉ちゃんが奪ったSAOでの記憶を』

 

ルナは葉月のオーグマーに光の玉を入れてそのまま消えていった。

 

 

 

 

あの事件から1週間ほどが経過した頃

エギルの店、ダイシーカフェに和人と明日菜以外のメンバーが集まっていた。

 

「やっぱりVRの方が楽しいよなぁ…」

 

「前にALOであった時は『ARは女の子と出会いがある』とかいって楽しんでたじゃない」

 

「それはそれ、これはこれって話よ!俺はやっぱりVRの方がいいぜ……それより、キリトとアスナはいねぇのか?」

 

「お兄ちゃん達ならどこか行くって夕方には家から出ていきましたよ」

 

AR、オーディナル・スケールで発生した事件は開発関係者の発表により()()()()()という形で幕を閉じた。

その事件で開発代表の男、重村教授は行方がわからなくなったと聞いた。

あの事件が終わったあと、直ぐにALOやGGOはプレイヤーの数が増えてイベントの開催などで賑わった。

そんな中、ALOに()()()()()()()()()()()()()()()()という謎のエリアが噂された。

そして俺は重村教授が持っていたSAOのデータを菊岡から受け取りアーガスで七色に受け渡しをした。

 

そんな中、和人達は少し前から計画していた流星を見に行く、という約束のためどこかへ行った。

 

「春揮、なにぼーっとしてるの?みんなで乾杯するんだけど」

 

「わかったよ」

 

ARで、オーディナル・スケールで俺は何かを改めて知ることが出来た気がする。

それがなんなのか、何を意味するのかはわからないけどきっと、いつか役に立つはずだ。

 

「みんなのVRに……ARに…乾杯!」

 

 

 

 

 

 

 

こんな楽しい日が続けばいい、この時の俺はそう思っていた。

 

「逃げろ!葉月!!」

 

「春揮………!?」

 

平和、それが終わったのはダイシーカフェにみんなが集まったあの日から1週間ほど経過した頃だった。




いきなり危ない空気

オーディナル・スケール編がついに完結、そして次回からアリシ……とは行かない!?

ルナの発言の意味とは、そしてラストのシーンは一体何なのか……

次回、新章スタート!!


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ホロウ・リアリゼーション編 序章
第144話 英雄の最期【裏切りの真相】


ダイシーカフェでみんなが集まって1週間ほど経過した頃。

6/28

ダイシーカフェ

 

たまたまダイシーカフェにいた俺らはあとから入ってきた詩乃に和人との待ち合わせ、ということを聞きそのまま俺らは和人が来るのを待って話に参加した。

 

 

和人が来た後すぐに明日菜も来て話は盛り上がっていた。

話の内容は《第5回B.o.B》に参加して欲しい、という話だった。

前日にGGOでSAOメンバーとシノンが1つのチームと対戦したらしくその時に出て欲しい、という話をしていたらしい。

 

 

半年後の話をしてもしょうがない、ということで明日菜が1つの話題を持ち出した。

それが、()()()()()()()()()()()()()の事だった。

聞いたところによると人口フラクトライトだとかAIだとか色々難しいアルバイトらしいが和人はそのバイトでやっていたことは何も覚えていないらしい。

オーグマーのような危険性は無いらしいが中々に怪しい仕事を和人はしている。

 

「本当に安全なのかわからないだろそれ……確かに聞いたところだけだとオーグマーみたいに記憶を奪うわけじゃなく《抜き取る》形ではあるんだろうけど」

 

「春揮も受けてくれれば良かったのにな……まぁ、アーガスが忙しいとかあるんだろうけど」

 

菊岡からの頼みは俺にも届いていた。

とはいえSAOのデータが戻ってきた今は《SA:O》の最終確認をするのに忙しくてバイトに関しては完全に無視していた。

よりによって菊岡からの頼みとなると危ない雰囲気が漂っていたのも無視した理由の一つだ。

 

「そうだエギル、店で話し合って悪かったな、それじゃ、またいつか来るよ」

 

「もう帰るのか和人……?」

 

「話すべきことは話したからな」

 

色々考え事しているうちに和人と詩乃と明日菜は帰る用意をしてそのまま帰って行った。

未だにコーヒーを飲むのに躊躇している葉月を横目に俺は七色から届いたメールを見ていた。

 

───

春揮くん

プリヴィエート

いきなりのメールごめんね

春揮くんがやってくれたシステム設定で残り2日ぐらいで完成するわ

完成と言ってもβテストだけどね

とりあえず、βテストへの招待するわね

 

 

 

P.S.まだしばらく日本に残ることになったわ

────

 

3日前に俺がアーガスで仮完成した《SA:O》のαテストを行い色々発見したミスを訂正したのが見事に完成を早めたらしくそれを伝えるためのメールが届いた。

 

「俺達も帰るか、葉月」

 

「うん」

 

エギルに礼を言ったあと、傘を持ってそのまま家へ向かった。

 

「へぇ……それじゃ、少ししたらその……《オリジン》とか言うのを始めるんだね?」

 

「まぁ、何も問題がなければいいが……」

 

と、葉月に《SA:O》の完成を伝えていると道の前から誰かが近づいてきた。

 

「なぁなぁそこのおにぃさぁん?ちょっと道案内してくれねぇかぁ?」

 

「………お前、誰だ」

 

「忘れちゃ困るぜぇ?英雄さんよォ?」

 

「…………!?」

 

俺の後ろに立っていた葉月が一瞬で顔色を変えた。

そして俺はその様子を見て目の前に居る男の正体をやっと思い出した。

 

「お前………ラフィンコフィンの……!!」

 

SAOの頃、葉月を騙してラフィンコフィンへと勧誘し、実の姉を殺させた男……あの時は逃げられたがまさかこんな所に居るなんて……

 

「やっと思い出してくれたかぁ?そこの小娘を騙したのは俺だってのによォ…?それに、あんたの()だとか言うやつも最近俺にまんまと騙されやがってなぁ……」

 

「「…………!?」」

 

「お前らはバカだよなぁ…騙されてよぉ?」

 

「お前…………!!」

 

「まぁ、お前らはここで死ぬんだけどなぁ!?」

 

そう言って男は右手に見たことの無い武器を取り出した。

 

「この武器はなぁ!あの、《黒の剣士》の元にも同じやつを持ったやつが行ったぜぇ?」

 

「和人の方にも……だと?」

 

「あぁ、そうさ、今頃死んでるだろうなぁ……お前も同じ目にあってもらうんだよォ!」

 

男は右手に持った武器を構えて俺に当てようとしてきた。

即座に避けることも出来ずにその武器が当たる寸前に葉月を後ろに突き飛ばし持っていた傘で男の足を狙って突き刺して葉月に向けて叫んだ。

 

「逃げろ葉月!!」

 

「春揮……!?」

 

俺はそのまま武器が心臓部に当たりそのままその場に倒れた。

男は俺が突き刺した傘の当たりどころが悪かったらしくその場から動く様子はなかった。

 

「春揮!は…き!は───

 

俺はそのまま気を失った。

 

 

 

 

 

 

春揮が倒される少し前……

 

「お兄さん、ちょっと道を教えて欲しいんだけど…」

 

「お前、ダイシーカフェの前をうろついていたな、なんのつもりだ」

 

俺、和人は明日菜と帰る途中に変な男と遭遇していた。

 

「やっぱり黒の剣士様には分かっちゃうのかァ……俺は《ジョニーブラック》、こういえば分かるかぁ?」

 

「ジョニー……ブラック!?」

 

ジョニーブラック、ラフィンコフィンのメンバーの一人で死銃……赤目のザザと共に行動していた男だ。

 

「まぁ、SAO(向こう)じゃマスク被ってたからわからなかっただろうけどなぁ………」

 

俺は思わずSAOの癖で剣を抜こうとした、がここは仮想世界でも拡張現実でもなく剣はなかった。

 

「クックック……なぁいよォ!剣なぁいよォ!」

 

「お前だって……この世界には毒武器なんて……」

 

「………あるよォ!毒あるよォ!」

 

(あれは………死銃!?)

 

ジョニーブラックが取り出したのは死銃……新川恭二がシノンや俺に使おうとしていた毒を体に流し込む武器だ。

あれを受けたら体に毒が周りそのまま……

 

「剣がねぇと英雄様もひ弱なガキだなぁ!!くたばれぇ!」

 

ジョニーブラックが俺にその武器を刺そうとしてきた。

俺はジョニーブラックの足に傘を刺し、俺は毒武器を刺された。

 

そしてそのままその場にジョニーブラックと俺は倒れた。

 

 

 

 

 

 

数時間後

葉月目線

 

明日菜から和人も病院に運ばれた、という情報は聞いたけど春揮はそことは違う場所へ運ばれていた。

そこは世界で唯一《医療用VRマシン:メディキュボイド》を導入している病院だった。

 

「プリヴィエート、葉月、あなたとはお久しぶりになるかしらね…春揮くんはここで意識だけをVRに入れて治療することになったの、だからここに運んでもらったから……とりあえずALOにはログインしてるわ」

 

「………………」

 

七色が私の元に来て説明してくれたけど私はそれを無視してその場から離れた。

 

 

 

 

 

「葉月さん……とりあえずみんなに話をしとかないと……」

 

私、七色は『虹架』、『琴音』、『霧雨達』、『鼠の人』という名前のメール相手にメールを届けた。

 

「きっと、目が覚めるはずよ、春揮くん」

 

私は葉月さんを探しに行った。




騙し騙され色々大変なことになってるね

ないよォ!


なんと和人だけでなく春揮にも魔の手が……
果たして春揮は大丈夫なのか………
メディキュボイドで何とかなるものなら大丈夫か
葉月は何を思うのか……

そして七色が送ったメールの相手は一体………


次回から(実際は今回から)
ソードアート・オンライン《ホロウ・リアリゼーション》編

スタート!




アリシゼーション編は

途中からやりますぜ


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第145話 失う恐怖【守る意味】

病院外:入口付近ベンチ

葉月目線

 

───逃げろ!葉月!!

 

あの時、春揮が私に向かって叫んだ一言。

これがずっと頭の中で響いてる。

あの時……私が動いていれば───

 

「葉月さん!!」

 

「………?」

 

名前を呼ばれて顔を上げると目の前にオレンジ色の髪の女の人が立っていた。

 

「ぼーっとしてたけど大丈夫?……って言っても今の状況じゃ無理があるよね………あ、私は琴音、向こう(ALO)ではフィリアって名前で髪色も違うからわからなかったかな…?」

 

フィリアって確かALOのトーナメントの時にいた人……でもなんでここに……?

 

「とりあえず悩みがあるなら聞くよ?」

 

「………何も無い」

 

「そんな事ないでしょ?」

 

「辛く………無い……」

 

あと一歩でも動いていれば、少しでも手を伸ばしていれば…春揮があんなことにならなかった……

私のせいで……私の………

 

「葉月さん、辛くないならそんな悲しい顔はしないでしょ、それに……()()()()ように見えるよ」

 

「琴音さんと……同じ?」

 

「辛いことは抱え込まない方がいい、誰かに話した方がいいよ」

 

『それに、ハーちゃんは笑顔の方が可愛いカラな』

 

「!?」

 

突然、私が耳につけていたオーグマーからどこかで聞いた声が聞こえてきた。

……って、なんでオーグマーから?

 

『ハーちゃん、悩み抱えてそうな時は笑う事なんてなかったヨナ、SAOの時はずっと暗かった……今みたいにナ』

 

「アルゴ……?」

 

『やっと思い出したのカ、なんでオーグマーに話しかけてるかはこっち(ALO)に来たら教えるゾ、とりあえず……そこのトレジャーハンターに悩みを打ち明けナ』

 

オーグマーから聞こえたアルゴの声はこの一言の後からは聞こえなくなった。

それと同時に琴音さんが私の横に座ってきた。

 

「……さっきの情報屋さんに言われたように、悩みを打ち明けた方がいいと思うよ?」

 

「…………うん」

 

私は琴音さんに全てを打ち明けた。

守ってもらってばかりだということ、自分は守れなかったこと、そして……誰かを失う恐怖を。

 

「葉月さん、多分春揮くんも同じように誰かを失いたくなくて葉月さんを庇ったんだと思うよ」

 

「でも…………」

 

『黙って聞いてれば……そんな悲しい顔でそんな事を思ってたのか…』

 

「春揮………?」

 

再び、オーグマーから声が聞こえた。

それもアルゴではなく春揮……ALOだと思うからラギの。

 

『約束したはずなんだけどな……お前のことを必ず守るって』

 

「そう……だけど……」

 

『他人に言いたくないなら今からALOに来い、そして直接俺にお前の気持ちを伝えろ』

 

「………わかった」

 

『アミュスフィアならさっき持ってたバッグの中に入ってる、多分隣の病室でログイン出来る、待ってるからな』

 

春揮に言われて私は病院の中に入って春揮が持ってたバッグの中のアミュスフィアを取り出して隣の病室でログインした。




春揮がやられたのと病院での話は同日です(だからバッグ持ってる)

フィリアもとい琴音登場(ホロフラ昨日クリアした)
ホロリアを久しぶりに開いたけどやっぱりアルゴ可愛いわ
アルゴはやっぱりヒロインだな

オーグマーから声が聞こえる大事件
それもアルゴとラギ



次回、気持ちを伝えるために………?


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第146話 伝えたい思い【本気の戦い】

ALO:央都アルン

ラギ目線

 

「……とりあえず悩みがあるなら話してくれ」

 

「ラギ………」

 

ハヅキにALOにログインするように指示をした俺は集合場所に決めたアルンでアルゴと共にハヅキと合流した。

大体葉月が抱えてる悩みなんてわかっているんだが…

 

「私は………」

 

「やっぱり聞くのは後でいい、その様子じゃ話せそうにないし……向こうにある浮島……《ヴォークリンデ》でデュエルするぞ」

 

「デュエル………?」

 

俺はハヅキがSAO初期のような暗さで俺の方を見てきていたのを気にしてハヅキにデュエルを申し込んだ。

今の状況でハヅキが俺に気持ちを打ち明けてくれるような気がしない。

だからこそデュエルで………(こいつ)でハヅキの気持ちを受け止める。

 

「アルゴ、お前はここで待っててくれ」

 

「はいヨ、待ってるからナ」

 

アルゴにアルンで待っててもらって俺とハヅキはアルンの近くにある()()()()()()の《浮遊草原ヴォークリンデ》へと移動した。

 

 

 

「さぁ来い……ハヅキ…!!」

 

俺は片手に剣を構え、ハヅキは最近ALOで使うようになった片手剣を構えた。

ハヅキは慣れない動きをしながら俺の方にソードスキルを放ってきた。

 

ソードスキル:スラント

 

「私は………ラギを……春揮を守りたい…っ!」

 

「それが……お前の気持ちか……」

 

俺は葉月のソードスキルを軽く避けてそのままハヅキの背後にまわった。

 

「悪いけどなハヅキ……俺は誰かに守られるのは嫌なんだよ…昔みたいに自分に危害が加わらないことが一番嫌なんだ、結果的にお前に辛い思いをさせてるかもしれないけどな……」

 

「春揮………」

 

「お前が守られるだけなのは嫌だと言うように俺だって誰かに守られるのは嫌だ、怖いんだよ、傷付くのが、だから俺はお前を守った…………お前の姉を俺が救えなかった代わりに……な」

 

「…………!?」

 

SAOの時に何度も目の前で起きたこと、それが誰かを危険な目に合わせることだった。

夕立の霧雨やアルゴ、ルナや葉月の姉、キリトやアスナにも危険な目に遭わせてしまった。

SAOで葉月の姉に言われたこと……『葉月を守って欲しい』俺はその言葉をずっと考えて、実行していた。

 

「葉月………強さは誰かを守ることが出来るわけじゃない、誰かを救うことが出来るやつは強いわけじゃない……俺みたいなやつもいるしな」

 

「春揮……………」

 

「泣くなよ……まだ、デュエルは終わってないぞ」

 

葉月の気持ちはわかった、そして葉月は俺の気持ちをわかってくれたはず。

なら後することは1つ……

 

「俺達の初デュエルだ、本気でやろうぜ」

 

「うん……絶対に負けない…!!」

 

 

 

 

 

 

葉月目線

 

春揮が言ってくれた言葉でやっと分かった。

だからこそ私は春揮のそばにいたい……

 

(ありがとう………春揮…!!)

 

私は再び剣を構えた。




浮遊島ヴォークリンデ
あら、どこかで聞いたことある名前


辛い時は泣けばいい、現実はそう簡単じゃねぇけどな
深刻な話ほど俺の作品は早く終わる
葉月の気持ちは晴れたと思うけどどうだろうね

そういえばこれを書いてる今、(2018/11/07 14:57:08)の二分前に原作のSAOがクリアされた
おめでと?




次回
実は作品内だと初のラギVSハヅキ


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第147話 断ち切った想い【最高の笑顔】

ラギ目線

 

「はあぁぁぁ!」

「せやあぁぁ!」

 

俺とハヅキは再び剣を構えて勝負を開始してから数分間、ほぼ互角の勝負を続けていた。

SAOで出会ってから1度も手合わせしたことがなかったが葉月は俺とほぼ変わらない実力を持っている、それも不慣れなはずの片手剣で俺と互角……

 

(SAOの時にデュエルしてたらどうなってたんだ……)

 

葉月に片手剣での戦い方を教えたのは俺だけど多分この強さは俺は関係無しに葉月自身の実力のはず。

つまり葉月のこの実力は俺に守ってもらわないための、そして俺を守るために自分が作り出した強さ…

 

 

「まったく……この世界だけじゃ無駄だろ…」

 

「やっと伝わったのかな………?」

 

「まぁな………」

 

葉月が俺に気持ちを言葉で、そして(こいつ)で教えてくれたんだ、だからこそ俺も本気で答える、このデュエルで………!!

 

 

 

 

 

 

 

その頃……

央都アルン上空

 

「やってるわね」

 

「お、セブン、やっと来たのカ」

 

私、七色はセブンとしてALOにログインしてアルゴと合流して2人のデュエルを遠くから見ていた。

 

「あの二人……仲良いのか悪いのか分からないわね…」

 

「きっと、仲はいいと思うゾ、あの二人は……ルー坊とハーちゃんは」

 

「そうよね、それに、ハヅキちゃんは悩みを打ち明けたみたいだし……2人ともあんなに楽しそうにしてる」

 

「最高の笑顔……だナ」

 

二人ともさっきまで殺伐とした雰囲気を出てたはずなのにいつの間にか楽しそうにデュエルをしてる。

でも、ラギは……いや、春揮くんは今の自分の状況をわかった上で葉月ちゃんの気持ちを受け止めてデュエルをしてる………

 

(無理し過ぎないように言った方が良かったかな……)

 

 

 

ラギ目線

 

「はあぁぁぁ!」

 

ハヅキの攻撃を受けつつ俺はハヅキに片手剣ソードスキルを放とうとしていた。

……が、一瞬だけ俺の体に痛みが走って動きが止まった。

 

(限界……か………)

 

ハヅキを待っている間にも少しだけ感じた痛みだが多分俺の現実世界(向こう)の体に仮想世界(こっち)の俺が影響を与えて負荷をかけすぎた可能性がある。

意識だけをメディキュボイドに送ってログインしてる俺は現実世界の体に影響を与えやすい、それも原因の一つだと思う。

 

(ハヅキとのデュエルを終えるまでは倒れる訳には行かねぇ………!!)

 

「ハヅキ!!()()で決めるぞ!」

 

「……わかった!」

 

俺とハヅキは同時にウィンドウを開いて背中に二本目の剣を出した。

その時だった。

アルンのある方向から1人のプレイヤー……セブンが飛んできて俺とハヅキの間に入って来た。

 

「ラギくん!あなた一体何をしようとしてるかわかってるの!?これ以上大技を放ったらあなたの現実の体に───

 

 

「そんなことはわかってるんだよ!……だけど、これは俺とハヅキの()()の勝負だ……終わるまで邪魔はしないでくれ」

 

「ラギ………」

 

「……わかったわ、でも、無茶をし過ぎないでよ、本当に……あなたの体への影響は計り知れない」

 

そう言い残してセブンはその場から去っていった。

 

「ラギ……今のホントなの…?」

 

「早くやろうぜ、次の一撃で俺達の勝負を決める」

 

「……うん」

 

俺とハヅキは2本目の剣を抜いて構えた。

 

この勝負で俺の体への影響は確かに大きいかもしれない……だとしても俺はハヅキとのこの勝負を全力で楽しむ、ハヅキも同じ気持ちのはずだ。

 

 

「行くぞ……ハヅキ!!」

 

「………うん!」

 

俺達は同時にソードスキルを放った。

 

「はあぁぁぁ!」

 

「せやあぁぁ!」

 

ソードスキル:スキル・イクスプロード

 

 

 

 

 

 

 

結局、お互い赤ゲージで残りその場に倒れた。

 

「……ハヅキ…?」

 

倒れてる俺にハヅキが何故か抱きついてきた。

抱きついてきたハヅキはそのまま何も言わずに泣いてしまった。

 

「なんだよいきなり……」

 

「だって……ラギ……無理してまで私とデュエルを……」

 

「お前とやるんだ、無茶してでもやるに決まってるだろ……」

 

「ありがと………」

 

そのまましばらくの間俺達はこの場から動かなかった。

 

 

この後、アルンに戻って俺はセブンに怒られつつハヅキのオーグマーの説明をした。

 

ハヅキのオーグマーは長野で事故にあった時に1部が損傷して使えなくなっていたため、七色にお願いして修理をしてもらう時に念の為、ということで俺のVRデータからハヅキのオーグマーに連絡をすることができる機能をつけてもらった。

ということを話した。

 

 

「しばらくは会えない……?」

 

「会えはするけど数日後にはハヅキは《SA:O》の攻略を開始する、そっちに参加するとALOにはコンバートも出来ないからさ、俺の体の調子が少しでも良くならないと別ゲームには行けないようになってるからしばらく会えないんだ」

 

「……わかった」

 

「それまでは俺とセブンが呼んだメンバーとアルゴと一緒に仲良くしてろよ」

 

「……うん!」

 

「その代わり約束する、必ずお前達がピンチになった時は必ず助けに行く」

 

 

 

この後、ハヅキはログアウトした。

 

「さてと……『システムコマンド:ID《Lucifer》』をログイン」

 

(しばらくの間……か)

 

俺はそのままとある場所へと移動した。

 

 

 

 

 

 

現実世界

葉月目線

 

ログアウトした私の真横に全く知らない男性が二人いた。

 

 

 

「ちょ待っ……なんで殴るの!?」

 

私は反射的に手を出していた。

 

「誰………」

 

「まぁまぁ、そんな怖い顔しないで、その小さ……痛い痛いなんで首締めるのちょっと待ってマジで」

 

「木田先輩が悪いんですよ、ごめんねいきなり、この人は気にしないで、あと首締めるのやめてあげて………とりあえず自己紹介しないとね、僕とこの人は《如月春揮》と同じアーガス社員、如月より先輩になるけど」

 

 

「春揮と同じ……?」

 

「君のことは聞いてるよ、葉月ちゃ…痛い痛いなんで首締めるのまたですかやめ……」

 

「さっき、七色って人から色々聞いてね……まぁ、如月が一応無事だってわかったから僕達は帰るよ、この変態が君になにかする前にね」

 

変な2人組が特に何も話さずに春揮の様子だけ確認してそのまま去っていった。

 

(誰だったんだろ……ま、いいや)

 

「桜花ちゃん見つけタックルー!」

 

「ちょっ………」

 

私は聞いたことのある声を聞いたと同時にさっきまで寝てたベッドに倒された。




見つけタックル



殺伐としたデュエルってSAOですか
あ、そうですか


体に影響を与えるってヤバイね

SA:Oの攻略へ進む葉月『達』を置いて春揮は一体何を……?


そして現実世界に戻ると現れる怪しいふたり
あの二人は
もうすぐ公開される(かもしれない)
少し前に話した
共作の
眠猫の玉手箱
という方のSAO作品のオリキャラです、向こうの人がいつ書くのか楽しみ



ちなみに首締められた方は性同一性障害とかいう設定持ちです、(本当は)男です、中身はかわいい女の子(笑)


見つけタックルしたのは一体誰だろうね?


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第148話 少女達の涙【悔しさと安心感】

「もう遅いしここ病院なんだから少しぐらい静かにしなよ雫……それに、見つけタックルって何さ」

 

「あ、そっか……葉月ちゃんを見つけたからつい思いっきりタックルしちゃった」

 

私をベッドに押し倒したのは春揮がSAOで知り合った雫とその隣に来夢(くるみ)がいた。

よく考えたら既に時間は9時を過ぎているのにこの2人は病院に来た。

 

「春揮がここに入院したって七色さんから連絡があって慌てて来夢に連絡してとりあえず2人で来たんだけど……って、葉月ちゃん?なんで抱きついてくるの…?」

 

「雫……来夢………春揮は…無事、だよ…」

 

私は気づいたら雫に抱きついて泣いていた。

雫と来夢も春揮のことが心配でこんな時間に来てくれた、そう思ったら直ぐに涙が出てきた。

 

「……まぁ、無事ならよかったよ」

 

「うん………」

 

 

 

しばらくして心を落ち着かせた私は雫達に春揮がどうしてこうなったかを説明した。

私が話してる間、2人は私を責めることは全くせず、私の話を聞いてくれた。

 

「そんな事があったのか……それで、ここの病院でメディキュボイドを使って春揮がALOにログインしてる、って事か……」

 

「それも数時間前に………」

 

2人は私が話したことで全部を知って暗くなりかけたその時、扉が開いて七色さんと琴音さんが入ってきた。

 

「あなた達少しぐらい静かにしなさいよ……廊下に聞こえてきたわよ」

 

「ま、まぁいいんじゃないかな?それより七色さんが教えてくれた《参加者》ってほぼ全員ここに集まったの?」

 

「そうね、《夕立の霧雨》と葉月さん、そして琴音、あとはお姉ちゃんとアルゴがあとから参加って形になるかな」

 

参加者、七色さんは私と雫と来夢を見てそう言った。

なんの事だろう、と思ったけど多分ALOで春揮が言ってたSA:O(オリジン)のβテストの七色さんからの招待者の事だと思う。

 

「SA:O自体のβテスト開始日は明後日だから一応……最悪な感じの顔合わせになるけど私が招待したのはここにいる4人とさっき話したあとから参加の2人だけど……春揮くんも誰かを誘ったって聞いたのよね」

 

(そういえば千秋さんどうしてるんだろ……SAO第100層の時に見た気がするけど……)

 

「とりあえず私達は帰るね!……さ、行こ、来夢!!」

 

「あ、うん……それじゃあ、葉月さん、βテスト開始日にまた」

 

そう言って雫と来夢は病室の外へ出て行った。

それを見たあと七色さんは話すことがある、と言い残して私が使ったベッドでALOへログインして行った。

琴音さんは私より先に病室から出ていってそのまま帰って行った。

 

「春揮……戻ってくるのを待ってるよ……」

 

私は春揮の左手に《プレゼント》を付けてそのまま病院の人にお礼をして春揮のバッグを持って外へ出た。

外に出た私は病院の近くにある公園で来夢と雫、琴音さんが何かをしているのを見つけた。

木の影からこっそり見る感じになったけど多分来夢と雫が泣いてると思う……

 

(みんな同じ気持ち……なんだよね……)

 

私はそのまま見て見ぬふりをして自宅へと帰った。

 

 

 

 

来夢目線

 

(ダメだな私………絶対に泣かないって決めたのに……)

 

「来夢………辛いなら泣いていいよ…?」

 

「2人共、病院に来た時に凄い泣きそうだったのによく耐えたよ」

 

「雫……琴音……私さ、悔しいよ…いつも助けられてたのに、私は何も出来ずに……ただ黙って見てるしか出来なくて、結局こんな形で再会するし……やっと見つけた気を許せる仲間の1人を、失いかけてさ……()()()()()()()()()()を守れなかったんだから………」

 

「………そう、だよね」

 

私は悔しかった、葉月さんが1番悔しいことはわかってる、だけど………

夕立の霧雨としてルシハと初めて出会ったあの時、最新層の実力を遥かに超えたルシハに追いつこうと無理したせいでシズク、そしてゴウを危ない目に遭わせ、結局私はルシハに助けてもらっただけ、その後もルシハには迷惑をかけ続けてしまった。

それをずっと悔やんでいた。

そして今も、私達は何も出来ずに………

 

 

「……ねぇ、来夢」

 

「………?」

 

「辛い時は泣いていいんだよ、……今回は守れなかったけどさ、次、《SA:O》を攻略する時に私たちで葉月ちゃんを守ってさ、春揮が安心してログインしてこれるような環境を作ろ!」

 

「………もちろん」

 

私は雫と琴音と決意を決め、そのままそれぞれの家へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

こんな出来事があった2日後。

私、桜花葉月はSA:O(ソードアート・オリジン)へとログインした。

 

「リンク……スタート!」




ついにソードアート・オリジン編本格始動!

少女達のそれぞれの思いを胸に新たなゲームへと……


次回はちょっとした番外編になります。
あと、オリジン編は時々休みをもらいます、気長に待っててくれるとありがたいです


と言っても少しは毎日投稿する予定です


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番外編:1 出会い

来夢目線

今は1月の後半、時刻は9時を過ぎた頃。

私、来夢(くるみ)は日曜日という休みの時間をゆっくり過ごそうと思っていた、けど、雫からの電話によりそれはあっという間に崩された。

 

「ん………もしもs──

 

『来夢!いきなりだけど新しいゲームやらない!?』

 

「ちょいまち……」

 

電話に出た瞬間に雫から物凄い誘いを受けた。

心を落ち着かせて話を聞くと今やってる()()()V()R()M()M()O()R()P()G()の中で私が知らない間に知り合ったプレイヤーに『ファンタジー系の世界がモデルのゲームがある』と言われたらしい。

何故昨日言わないんだ、なんて言う気も無くそのまま話を聞いていると《アルヴヘイムオンライン》通称ALOというゲームらしい。

 

『ね!ずっと和風だったし美結ちゃんも誘ってやろ!』

 

「まぁいいけど……そのゲーム高いんじゃない」

 

『あ………』

 

「やっぱ何も考えずに買おうと計画してたのか……とりあえず私が買うから後で金は貰うよ」

 

『はーい……』

 

雫や美結には内緒でとあるゲームを始めた私はリアルマネーに換金出来る機能でいくらか金を入手した。

それを使って今回、3人分のALOを買うことになった。(後日、返してもらった)

 

 

別ゲームでアミュスフィアを使ってたため、そのままのノリでALOをアミュスフィアに入れて私はログインした。

 

プレイヤーネーム:ライム

種族:スプリガン

 

 

「……同じ場所に出るって聞いたんだけどな?」

 

スプリガンとしてログインした私は事前に聞いた《央都アルン》にログインするという情報を信じていた、けど実際はよくわからない場所に私はいる。

 

前にやってた《アスカ・エンパイア》とかいうゲームからコンバート、という形でログインしたからか?

 

 

とりあえず周りを見渡そうと思ったけど周りはよくわからない岩山に囲まれていて様子を伺えない。

というかチュートリアルとやらを聞いてその通りにやってるのに何故か空を飛べない。

 

(参ったな……どうするんだよこれ……)

 

唯一行けそうな通路と言うと目の前にある洞窟、どう考えても嫌な予感しかしないけど今行ける道はここだけだ。言ってしまえば詰んだ。

 

迷っていても仕方ない、そう思い、そのまま私は洞窟の中に進んで行った。

 

 

試練の巣窟

 

「せやぁ…!」

 

洞窟に入った私は初心者には確実に向いてない強さのモンスター達に囲まれていた。

アスカエンパイアで上げたレベルと実力がALOに引き継がれたのはいいけど、ここに湧くモンスター達は今の私より強いし動きも繊細……言ってしまえば遥かに上の存在だ。

なら戦うなという奴がいそうだから言っておこう、この洞窟、もといダンジョンはその1フロアのモンスターを倒さない限り次には進めない。

戻っても無駄だし進むしかない、という事だ。

 

 

 

「せやあぁぁ!」

 

ALOに最近導入されたと噂のソードスキルを放ち周りのモンスターを吹き飛ばした。

その一撃が何かの間違いでクリティカルヒットしたらしくモンスターはそのまま消滅した。

そしてさっき述べたようにこのフロアのモンスターを片付けたから先に進めるようになった。

 

 

試練の巣窟:F2

 

「いやぁぁ!?」

 

「はあぁぁぁ!」

 

次のフロアに行ってすぐに黒髪の多分同じスプリガンの女の子が下にいたモンスターと同類のモンスターに襲われていた。

攻撃が当たる寸前にモンスターと女の子の間に入ってモンスターの攻撃を弾いてそのまま後ろへ飛ばした。

 

「君は絶対……私が守る……!!」

 

「でも………」

 

女の子の話を聞いてる暇は無い、余裕も無い。

今私の中にあるもの、それは()()()()()()()ただそれだけだ。

私が現実世界でしっかりとした女の子として生きるようになったきっかけを作ってくれた()のように、誰かを守る、それだけだ。

 

「わ、私も戦うよ、さすがにあれは1人じゃ無理だよ……」

 

吹き飛ばした時はわからなかったが今私の目の前にいるのは巨大なオークのようなモンスター、ファンタジーとは何かを問いたくなるようなごつい奴だ。

 

「かかってこい豚野郎!」

 

私は再び剣を構えた。

隣にいる子も同じように剣……短剣を構えて戦闘態勢を取った。

 

戦闘開始、そう思ったその時だった。

大きなモンスターの攻撃は既に私に命中して私はダンジョンの壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

「がは……っ!?」

 

「お姉さん!大丈夫!?」

 

大丈夫、と言いたいけどかなりやばい状況、言ってしまえば立ち上がることさえ困難な程に辛い。

一気にダメージを受けてしまった私を心配してくれている女の人の後ろにモンスターが近づき、そのまま攻撃をしようとしている。

 

(こんな所で……誰一人救えないのは……嫌だ……!!)

 

「させるかあぁぁぁ!!」

 

私は右手に1気に力を込めてそのままモンスターの方に行き、モンスターに目がけて剣を振った。

 

OSS:ロスト・メモリー

 

「トドメだァァァ!!」

 

何連撃かもわからない攻撃をモンスターに食らわしてそのままモンスターを倒した。

 

「………やった……?」

 

「君、無理させちゃってごめんね……私はフィリア、トレジャーハンターをやってるスプリガン、君は?」

 

「……ライム、種族はスプリガン」

 

お互いに自己紹介をした後にわかったことがある。

フィリアは私が助けなくてもそこそこの実力者だということ、そしてこの洞窟はレプラコーンという種族の領域内にある高難易度エリアらしい。

さらに私が放ったソードスキルは《オリジナルソードスキル》という扱いを受けるらしい。

 

このあと結局フィリアと話をしながら央都アルンへと戻りシズク達と合流した。

 

「私はシズク!種族はシルフ!」

「わ、私はユミ、種族はウンディーネです」

 

「へぇ、この2人がライムの言ってたギルドのメンバー……そうだ、3人だけじゃ心許ないと思うし私もそのギルド、夕立の霧雨に入れてよ!」

 

「「「………え?」」」

 

こうして、なんの躊躇いもなくトレジャーハンター、フィリアが私たちのギルドへと加入した。

 

 

 

その日の夕方、ALOでパーティプレイを楽しんでいた私達はそのまま解散した。

その後私はフィリアのリアル、琴音さんに呼ばれて琴音の家に行くことになった。

 

 

「お、お邪魔します…?」

 

「いいよそんな、気を改めなくても……あ、お茶持ってくるね」

 

気を改めなくていい、と言ってくれた琴音さんもどこか照れてる様子が伺える気が……ま、いいか

 

 

「リアルでは初めまして、私のことは琴音って呼んでね」

 

「私は来夢、よろしく琴音……さん」

 

「さん付けとかいいよ、琴音で、私は来夢って呼ぶからさ」

 

「うん、わかった」

 

夜遅くなるまでの間、私と琴音はお互いのことを色々と話した。

琴音も実はSAO帰還者で私たちと同じように帰還者学校に通っていること、そしてALOはSAOから帰ってきてしばらくして始めたことなどなど……

逆に私も色々と話した。

守りたくても守れなかった者の話、SAOでの話、その他にも色々と話した。

結局この日は家から着替えを持ってきてそのまま琴音の家に泊まらせてもらうことになった。

 

 

それから暫くは私達は一緒に行動し、ALOで攻略やレベリングをするようになった。

そんな日々が続いたとある日、四月後半。

ALOで攻略を進める私たちの元にとある人がやってきた。

 

 

 

そしてこれが、春揮と最悪の再会を、そして、葉月さんと共にオリジンの攻略を始めるきっかけを作った出会いだった。




番外編の方が内容濃い

ALOを始めたきっかけを雑に書いて
フィリアさんがなぜ夕立の霧雨と知り合ったのか(ここまで見てない人にとってはネタバレ)を書きました。
次回はその続き的な話です。




────
アスカ・エンパイア

小説、SAOのオルタナティブシリーズのひとつ
SAOオルタナティブ クローバーズリグレットの舞台(ユウキとスリーピングナイツのメンバーが遊んだらしい)


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ソードアート・オリジン参加組 ALOステータスなど【ネタバレ有】

オリジン始まる前に、オリジン前の番外編の間に書きます。
誕生日など細かいものは記載してないキャラ(オリキャラのみ)書きます。
特徴などは本編中に触れてますので探してみてね(おい)
まだ前回の番外編その他もろもろ見てない方は先にそちらを見てください。


桜花(如月)葉月

ALOプレイヤーネーム:ハヅキ

種族:ケットシー

武器:槍、片手剣、細剣

種族熟練度(Lv):90

 

SAOをクリアしてからALOにログインするまでの機関が2ヶ月程度という驚異的速さ

……の割にはLvは少し低めだったりする。

自身が言うからには速さは負けない、らしい

ケットシーにピッタリと言ってもいいほどに蒼い髪、そして自信が気にしているはずの蒼い目をアバターにしている。

(一応今回の章は主人公、のはず)

ちなみにSJ2終了後に春揮と共にオリジナルソードスキル、《スキルイクスプロード》を共通で作成。

────

【ギルド:夕立の霧雨】

西宮来夢(プレイヤーネーム:ライム)

種族:スプリガン

武器:片手剣

種族熟練度(Lv):60

 

 

SAOや現実世界と変わらず水色髪のスプリガン(目も水色)

別ゲームからコンバートしてきたため初期ステータスはそこそこ高め。

 

────

雨宮雫(プレイヤーネーム:シズク)

種族:シルフ

武器:片手剣

種族熟練度(Lv):58

 

シルフのイメージカラーのような黄緑色の髪に黒い目をしている(ライムは最初誰かわからなかったらしい)

ライム同様別ゲームからコンバートしたためステータスは高め、のはずだったが少し低い。

────

一宮美結(プレイヤーネーム:ユミ)

種族:ウンディーネ

武器:杖(小さめ)or両手剣

種族熟練度(Lv):30

 

目の色はこれまたSAO同様オッドアイだが髪色は黒にしている(3人とも顔つきだけは現実と同じ)

リアルでの事情が忙しく、あまり別ゲームに参加できなかったためLvはかなり低くステータスは低め(ただし両手剣)

ちなみに現実の事情が忙しいせいでオリジンには誘われなかった様子(理由は次回の番外編2にて判明)

 

 

────

 

琴音(プレイヤーネーム:フィリア)

種族:スプリガン

武器:短剣

種族熟練度(Lv):88

得意技:トレジャーハント

 

ゲーム、SAOHFオリジナルキャラクター

向こうからの設定はトレジャーハンターとSAO帰還者、そしてALOをプレイしていること以外はほとんど持ってきてない(by作者)

SAOではオレンジ髪

ALOでは黒髪に変化

オレンジプレイヤーだとかSAOでキリトと出会ったとかはこの世界線には存在しません(だって76から先ないもん)

 

ただしALO編(マザロザ)の途中で原作組と顔合わせはしてる

夕立の霧雨に加入して共に行動している。

 

────

プレイヤーネーム:アルゴ

種族:ケットシー

武器:爪、曲刀

種族熟練度(Lv):50

 

SAO原作小説ではまともに出番のなかった情報屋アルゴ。

俺の方だと忘れ去られた設定付きでSAOにて手助けをしてくれた。

マザロザ編の途中で再登場を果たす(フィリアはそこで初登場)

 

────

虹架(プレイヤーネーム:レイン)

種族:レプラコーン

武器:二刀流(実際は多刀流)

種族熟練度(Lv):88

 

ゲーム、SAOLSにて初登場、その後休みを貰うことなく別作品にも登場(フィリアもだけど)

こちらはフィリアより設定は優遇されている、はず。

ALO(マザロザ編序盤)にて春揮にオリジナルソードスキル《サウザンドレイン》を教えようとするがALOには二刀流が存在しないため、スキルコネクト型の春揮のオリジナルソードスキルが完成。

マザロザ編にてキリトとやり合うがギリギリで負けてしまう、そしてそこから出番がなくなr……

 

 

────

如月春揮(プレイヤーネーム:ラギ)

種族:スプリガン

武器:片手剣×片手剣

種族熟練度(Lv):92

 

何故か絶剣に勝利したある意味チートのアーガス社員

キリト同様《剣技連携》(スキルコネクト)を使用する。

SAOにて逃したラフィンコフィンメンバーに通り魔されて毒を体に打ち込まれてしまった。

そのため今は現実世界に意識はなく、メディキュボイドを使ってALOへとログインし続けている。

ALOで暴れると現実の体に影響があるためはしゃぐことは不可能。

 

そのため、コンバートが出来ないオリジンのβテスト参加には時間がかかる。




これ関係ないと思うそこのあなた。
一応これが今回の章のメインキャラです。
ちなみに武器種に関しては記載した物を使います。

ユミがハブられた?気のせいですよ


ゲームオリジナルキャラ達がどれだけ活躍するか、そして葉月達こっちのオリジナルキャラはどんな戦いをするのか。

楽しみですね(プレッシャー)

雑なところあるけどこんな感じです。


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番外編2 意外な誘い

四月後半

央都アルン:宿屋

ライム目線

 

ユミが事情があって来れなかったため3人で狩りをしていた私達は夕方になったためアルンにある宿屋に入っていた。

 

「いい感じにレベル上げできてきたかな」

 

「ライムは魔法使わないで突っ込むから私たち以上にレベル上がるの早いよね」

 

「そういうシズクもライムと同じペースでレベルアップしてるよ?……というかさすがリアルでも友達なだけあってコミュニケーションをとるのは私以上だね」

 

宿屋に入ってログアウトする前に今日の反省会をしていた私たちはそれぞれの良い点を話していた。

そんな私たちの元にとあるプレイヤーがやってきた。

 

「ここでいいのかしら………あ、いきなり押し掛けてごめんね、私はセブン、詳しい話はしっかり話すわ」

 

セブンと名乗る女の子は私たちのいる宿屋に入って話をしてきた。

話によると《SA:O》というゲームのβテストへの招待をしに来たらしい。

なんで私たちに招待をしに来たのか、という疑問は直ぐに解けた。

 

つい数日前に春揮と再会し、話をした時に私たちの電話番号を教えたこと、その電話番号を春揮がこの人に教えてそこで唯一電話に出た美結(ユミ)に電話をしてALOのアバターの特徴をこの人が聞き出して私たちを特定……

 

よく考えたら恐ろしいことされてる気がする。

 

 

結局春揮に私たちがALOをやってることは伝えてないしこのセブンって人も教えてないらしい、代わりに春揮のALOアバターの特徴だけは教えてもらった。

 

「とりあえず私のメールアドレス教えておくから何かあったらここにお願い、私もオリジンの完成が近づいたり緊急の時に連絡するから」

 

重要なことだけまとめて話して私のメアドを聞いてセブンという人はそのまま去っていった。

このあとリアルに戻った私の元に一通のメールが届いた。

そしてここで私はあのセブンという人がものすごい人だということに気がついた。

 

 

 

本編(ユナのライブ当日)

 

そんなことがあってからしばらくの時間が経ち、フィリアが参加できない代わりにユミが久しぶりにALOにログインしたとある日。

世間はオーグマーだとかユナとかいうアイドルのライブだとかで盛り上がっている間、帰還者学校から配布されたチケットを別の人にあげて私達はALOを遊んでいた。

 

シズクに言われて3人で防御系の魔法を取得して暇つぶしにオリジンの話を少しして街に戻ってきた私達はアルンの街中に金髪ポニテの女の子とセブンから聞いた通りの特徴を持ったプレイヤー(と小さい妖精みたいな子)が話しているのを見た。

私たちが話しかけようとする前に小さい妖精(多分ナビゲーションピクシーとか言うやつ)を連れたプレイヤーはどこかに消えてしまった。

 

この後、金髪ポニテの人に話を聞くとそのプレイヤーが春揮だということが分かり、そのまま私達は春揮がこの人に頼んだことに参加した。(OS編最終戦)

 

 

 

 

 

こんなことが起こり、私達はフィリアと出会い、セブン……七色さんや春揮の誘いを受け、オリジンへとログインすることになった。

 

 

必ず助ける、その気持ちを持って私は剣を持つ。

きっと、私の想いは届かない、でも……笑顔を見せる。

 

 

「リンクスタート!」




番外編2は薄い


夕立の霧雨メンバー達のSAOクリア後の話を描いた今回。
そして次回から本格的に本編スタートです。

(帰還者学校のチケットは親戚に与えた)


一応葉月が主人公ですぜ


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第149話 新たなスタート【SA:O開始】

ソードアート・オリジン、通称《SA:O》

 

初期スポーン地点《はじまりの街/転移門広場》

SAOデータのロード開始──完了

アバターデータ改良───完了

 

 

プレイヤー──ハヅキ《ログイン》

 

 

 

 

「ここは……」

 

いくつかのよく分からないアナウンスのようなものが聞こえなくなったと同時に私の目の前には見た事のある大きな広場が現れた。

周りにはまだほとんどプレイヤーはログインして来ていない、とはいえ《べーた》てすと開始時間から少し時間が経過しているため、0人とは言えない数がログインはしている

 

 

どこかで見たことあるこの広場はSAOの時、第1層の転移門がある広場、黒鉄宮や商店通りに繋がるSAOプレイヤー達の中心的な街の広場。

 

 

 

そう言えば七色が春揮に《SAOのデータを使って完成させることが出来た》と言っていた。

それってどういうこと………?

 

 

『もしもーし、ハヅキさん?』

 

「あ、七色……さん」

 

『呼び捨てでもいいわよ、それよりこのゲームの詳しい説明をしてなかったわね、このゲームは私が考えていたことを実現させた世界……《デスゲームじゃないSAO》をできるだけ表現した新たなゲーム、それが《ソードアート・オリジン》、そしてそこ、初期スポーン地点はSAO第1層にあるって聞いた《はじまりの街》を元に私が作り変えた新しい中心地、正直な話、街以外はSAOを元には()()()()使ってないわ…それで、もうひとつ、あなたが今使ってるそのアバターはSAOを元に作ってある、というか私が作ったアバターよ、服はSAOの時に近い装備にしてあるわ』

 

と、七色(さん)は長々と説明してくれた。

簡単に言うと街と私たち《呼ばれた組》のアバター以外は1から作り直した。ということらしい。

 

 

『それじゃ、また何かハプニングがあったら私の方から連絡するわ、そっちからも何か起きたら連絡頂戴、ダスヴィダーニャ』

 

そう言って七色はそのまま通信を切った。

 

 

(やっぱり胸無い………)

 

SAOと同じ体のアバターということでちょっとショックを受けていた私は広場の周りの様子を見回した。

見回しているとログインしてきた人が増えて人混みができているのを確認できた。

 

私はその中に周りの人の中では確実に高級そうな服装をした女の子……見た限りNPCが私の方を見ているのを見つけ、その子がいる方に向かった。

 

誰なのか、そう聞こうとしたけどその子は人混みが移動すると同時にどこかに消えてしまった。

 

 

(今の子、私を見てた……?でもどこに……)

 

周りを見てもさっきの子はどこにもいなく、見失ってしまった。

 

 

その直後、転移門広場に響くように大きく鐘の音が鳴り響いた。

それが呼び起こしたように私の目の前に1つのウィンドウが出現した。

 

 

《come back to the Ain clad》

 

出現したウィンドウには英語でなにかが書かれていた。

 

 

 

 

 

 

転移門広場で出会った女の子のNPC、ウィンドウに書かれていた文字があんなことを引き起こすことになるとは今の私にはわからなかった。

 

 

そしてこれから、私たちの出会いと冒険が始まろうとしていた。




始まり方雑かな、うん、雑だよね

ついにログインしたオリジン
その先に待っていたのは見た事のある大きな広場
そしてアバターもどこかで見たことがある気がするSAOのアバターに新たに装備をつけている。

多分オリジンの設定のまま書いてるはず、なにか抜けてそうだけど


そして鐘の音が鳴り響いてから謎の少女と目を合わせた気もするけど気のせい

come back to the Ain clad

この意味とは一体……?





お気に入り登録数が140突破してました(2018/11/19 16:30頃現在)
こんな作品ですが末長くよろしくお願いします


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第150話 広大な大地【アイングラウンド】

転移門広場から移動しようとした私は聞き覚えのある声に呼び止められた。

後ろを振り向くとフードを深く被った人とオレンジ色の髪の2人が立っていた。

 

「琴音……じゃなくてフィリアとアルゴ?」

 

「良かった、気付いてもらえて…と言っても私のアバターは現実世界とそんなに変化ないんだけどね」

 

「オレっちだって現実世界と変わらないゾ、ソレよりお得な話しがあるンだ、聞くカ?」

 

アルゴが言うお得な情報というものなら多分いい話だと思う、そう考えて私は頷いた。

 

「実はさっき、フィリアと一緒に転移門を使って街の外のフィールドに出たンだ、そこでオレっち達は凄いのを見つけた、それが……遠くまで広がる広大な大地ダ」

 

「それだけじゃなくて、フィールド内には周りのモンスターとは比べ物にならない大きさとレベルのモンスターがいたの……さすがに挑戦まではしなかったし少し先までしか見なかったんだけどね」

 

広大な大地、それに高レベルのモンスター、序盤から凄いものを聞いた気がする。

でも、防具のステータスが高い以外は全て初期値、レベルも1だから無謀な挑戦は出来ない

 

というかアルゴとフィリアは私より早く来てた?

 

 

「そう言えば七色からこんな話を聞いたゾ、『この世界はSAOのある意味《Re:スタート》したもの、()()()()()()()()SAO……この世界の名は《アイングラウンド》』」

 

私もそれは聞いた、と思ったけどアルゴが聞いたことは七色が私に話したこととは少し違っていた。

このゲームの世界の名前は七色は私には言わなかった。

 

(アイングラウンド………)

 

「とりあえずこんな所で話してるのもなんだし、向こうの《商店通り》の方にある《宿屋》に行こうよ、ハヅキさんとアルゴ」

 

「フィリア、私は呼び捨てでいいよ」

 

「う、うんわかった、それじゃ行こう、ハヅキ」

 

私達3人は転移門広場から繋がる商店通りにある宿屋へと移動した。

 

 

 

 

商店通り:宿屋

 

「あ、やっときた!」

 

「シズク、嘘はダメでしょ、私達だってついさっきここに着いたばっかなんだし」

 

宿屋に入ると宿屋のカフェスペースに多分《male》装備を付けてるライムとすごいテンションが高いシズクの2人が座っていた。

よく見るとライムとシズクの首には色違いのマフラーが巻かれている。

 

「2人とも来てたなら言ってよ、と言っても私がアルゴと一緒に行動したのが悪いけど…」

 

「フィリアは気にしないで!私たちもいつログインするか伝えてなかったからさ」

 

シズクとライム達《夕立の霧雨》とフィリアの関係はつい最近聞いた。

確かにフィリアが別行動してたけど別に気にしてなかった。

 

「これであとはレインさんだけかな?」

 

「そうだナ、でも、レインは多分忙しいから来るのは少しあとになると思うゾ」

 

「それじゃ、一応これで全員ってこと?」

 

シズク、ライム、アルゴ、フィリア、そして私の5人、七色から特別に招待を受けた私たちはまだ到着してないレインさんを除いて全員揃った。

 

「みんな……このゲーム、全力で楽しもう!」

 

「「「「おー!!」」」」

 

こうして私たちのオリジン攻略が開始した。

 

 

 

同日──

時刻15:30

商店通り 宿屋カフェスペース

 

「よ、ハーちゃん」

 

「アルゴ?」

 

カフェで克服したコーヒーを飲んで休んでいた私は解散してどこかに行ったはずのアルゴに声をかけられていた。




あれ、何故か書き方に違和感
戦闘が無いからなのかハヅキだからなのかわからないけどなにか違和感


そんな違和感を残して次回から攻略……ではなくちょっとしたサブストーリー的なあれを描きます

多分オリジン編は攻略の合間に次回のような話が入ると思う



そういえばこの回で第150話になりました


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第151話 街の探索【情報屋】

「珍しいなハーちゃんがコーヒー飲んでるなんテ」

 

「こっちなら少しぐらい飲めると思って……それよりアルゴはどうしたの?」

 

「今からこの街の探索をしようと思ってナ、一度ここに寄って誰かいたら一緒に行動しようってことにシタ、そしたらちょうどハーちゃんがいたンだ」

 

「ちょうど私も暇してたし行こう」

 

こうして私はアルゴの誘いで一緒にこの街の探索をすることにした。

 

 

 

商店通り:武器、防具販売店

 

「やっぱりまだまともな武器は売ってないナ……」

 

宿屋を出て直ぐにある()()N()P()C()がやっている武器と防具を売る店で販売されている武器を見た。

攻略がまだされていないと言うことと、《SA:O(オリジン)》のべーたテスト開始から数時間しか経ってないということもあって武器も防具も今装備しているものよりも圧倒的に低い。

 

「ここには収穫無しだナ……とりあえず次行くカ」

 

「うん、そうだね」

 

 

商店通り:鍛冶屋、飲食エリア(カフェ)

 

「ん?ハーちゃん、何買ってるンだ?」

 

武具売り場の近くにある橋を渡って向かい側に移動した私達は橋の先にある鍛冶屋の店頭販売みたいなやつで私はとあるものを購入した。

 

「それは……メガネ?」

 

「うん……度は入ってないけど買いたくて」

 

()()()()()、とか?」

 

「………!!」

 

私がいつも付けてないメガネを買ったのはちょっとした理由だった。

それをアルゴは見事に見抜いてきた。

 

「まぁ、深くは聞かないトク、とりあえず今は他のところを回るゾ」

 

「……うん」

 

私は買ったメガネを付けて先に行ったアルゴを追いかけた。

 

 

 

湖畔公園

 

「商店通りの横はこんな感じになってたのカ、なかなか広い公園だナ」

 

商店通りを出た先は大きい公園だった。

全体的に緑が多い公園でまだ攻略に行ってないプレイヤーやNPCが至る所を歩いて景色を見ている。

 

と、周りの景色を見ているとアルゴ目掛けて小さな何科が走ってきた。

それはアルゴのお腹にタックルする形でジャンプをした。

 

 

「な、ナンだ?……って、は、ハーちゃん!こいつを早く離してくれぇ!?」

 

「この子……子犬?」

 

アルゴにタックルしたのはほんとに小さい子犬だった。

首輪がついているってことは飼い犬……?

 

 

「は、ハーちゃん!早く!早くこいつを離してくれ!!」

 

「アルゴ……もしかして犬苦手?」

 

「そ、その通りダ!だ、だから早……舐めるなぁ!?」

 

どこから来たのかわからない子犬はアルゴの足にしがみついてそのまま足を舐めた。

アルゴは子犬を引き剥がそうとして躊躇うということを何度も繰り返していた。

 

「あ、ごめん!アルゴさん!」

 

子犬の来た方向からシズクが走ってきた。

 

「その子はこの街で受けられるクエストで、『理由があって飼えなくなった子犬を育てて欲しい』っていうことで受けたんだけどその子、《ワン吉》がはしゃいで走り回っててそれでアルゴさんの足にしがみついちゃった」

 

「い、いいからこの子を離してくれ!!」

 

結局シズクがワン吉の名前を呼んだことでワン吉はシズクの元に戻ってアルゴは一安心。

 

「あ、ハヅキちゃんメガネ付けてる……ま、それはまた後で話聞くね!それじゃ、私はワン吉と遊んでくる!」

 

こうしてシズクはワン吉を連れて公園の奥に行った。

 

 

「はぁ……全く、酷い目にあったゾ」

 

「それじゃ、次の場所で最後にしよ」

 

 

 

 

展望台:カフェスペース

 

「ここの高台の景色は最高だったナ、さっきの疲れが取れた気がスル」

 

「アルゴって、犬苦手だったんだね」

 

「そ、それは言わなくていいダロ!」

 

街の中で最後のエリアとなる展望台にあるカフェスペースで私とアルゴは《ミラクルスペシャルレモンティー》という飲み物を飲みながら話をしていた。

 

「そうだ、ハーちゃん、街の探索に付き合ってくれてありがとナ、特にお礼とかは出来ないケド、楽しかった」

 

「うん、私も楽しかった」

 

「これからは攻略メインになるかもだけド、またこんなふうにゆったりしようナ」

 

 

 

こうしてべーたテスト初日は終わった。

そして次の日、ログインした私は細剣を装備して街の外に出た。

 

そこで私はとある出会いをした。




ホロウリアリゼーション内1番存在感があるキャラ、ワン吉


今回は終始平和でしたね
次回はそうはいかない見たいです

多分ホロリアやったことある人なら街の配置と今回の回った順番わかると思う(ホロリアの商店通りとほぼ同じように書いた)


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第152話 謎めいた少女【紅の多刀剣士】

リューストリア大草原:フォーニアス侵蝕丘陵

 

転移門広場から転移した私は広大なフィールドの1つ、【リューストリア大草原】の第1エリアでレベリング兼細剣での戦い方を思い出していた。

 

「はぁぁぁ!」

 

レベルが1ということもあるから奥に進みすぎたらそこら辺のMOBにさえ苦戦する、攻略の為にも今のうちにレベリングをしないと……

 

 

「せやぁぁ!」

 

1人でレベリングをして数分、私は少し先に周りのモンスターとは比べ物にならない大きさのモンスターを見つけた。

そしてそのモンスターの目の前に私と同じぐらいの背の女の子……昨日、転移門広場で少しだけ見かけたあの子が立っていた。

 

(あの子………危ない……!!)

 

モンスターが女の子の存在に気づきそのまま攻撃をしようとしていた。

 

「せやあぁぁ!!」

 

私は物凄いスピードで走ってボスの攻撃を細剣で弾き飛ばして女の子を守った。

 

(大丈夫とか声をかけてる暇はない……よね……)

 

攻撃を防いだのはいいけど目の前にいるこの大きなモンスターは見た目も強さも周りのモンスターより圧倒的に高い。

 

(でも、後ろの子を守るために……戦う!)

 

 

────

NM(ネームドモンスター):dead boa

Lv.14

────

 

私の現在のレベルが3、相手とは10以上の差がある。

その差を埋めて後ろにいるNPCの女の子を守りながら戦うとさすがに辛い……

だとしても諦める訳には行かない……!!

 

そう思った矢先、モンスターの標的(タゲ)は私に向き、私にモンスターの攻撃が直撃、そのまま私はNPCの女の子より後ろに吹き飛ばされた。

 

 

(想像以上に強い………でも……!)

 

「私が……あなたを守ってみせる…!!」

 

 

モンスターの攻撃で一気に体力が減った私はなんとか立ち上がってモンスターの攻撃を防ごうとした。

ここがデスゲームじゃないから私は死なない、だとしても今私の後ろにいるこの子(NPC)はどうなるか分からない……だからこそ今ここで守る……!

 

 

「せやあぁぁぁ!!」

 

私が攻撃をしようと動き始めるより速く、モンスターの攻撃が私に直撃───

したはずだった、けどモンスターは後ろに吹き飛ばされていた。

 

 

「危なかったね、あとは私に任せて」

 

街に戻る転移石がある方からどこかで聞いた気がする女の人の声が聞こえた。

 

「れ、レイン……さん?」

 

「呼び捨てでいいよ、って前にも誰かに言ったっけ?…まぁ、そんなことはどうでもいいよね、今はこのモンスターを…私が倒す!」

 

レインはそう言った直後、モンスターに2連撃をいれて後ろに下がった。

その瞬間、モンスターの周りに大量の剣が出現してモンスターめがけて飛んでそのままモンスターの体力を一気に減らした。

 

 

そしてレインのこの一撃でモンスターは消滅、私のレベルは5になった。

 

 

 

この後、NPCの女の子に声をかけようと思ったけどいつの間にかあの子はどこかに行ってしまっていた。

 

 

 

 

はじまりの街:宿屋

 

「そっか、ハヅキちゃんにはまだ春揮君からも説明無かったのかー…私のソードスキルは《多刀流》、この世界ではどうなるかと思ったけどまさか《エクストラスキル》無しに二刀流ができるなんて思わなかったよ」

 

レインは自分の戦闘スタイルを教えてくれた。

でも、通常この世界では二刀流を発動するには春揮がSAOで使っていた《絶界の双星剣》というエクストラスキルが必要、のはずだけどレインだけは何故かそれ無しに二刀流スキルが使える。

 

「とりあえず、1日遅れたけどこれからよろしくね!ハヅキちゃん!」

 

「………うん」

 

こうして私たちのパーティーにレインが加わった。

そしてここであのNPCが何者だったのかという疑問を抱いた。

 

(またいつか同じように現れる……かな)

 

 

 

 

レインがパーティーに加わり、あとからログインしてきたみんなに伝えて全員が挨拶を終え、レベリングやクエストの達成に解散した後。

 

「ハヅキ、いきなりで悪いんだけど私とデュエルしない?」

 

「ライム……?」

 

珍しく1人のライムがまたまたカフェでコーヒーを飲んでMMOニュースを買ったメガネで雰囲気を作りながら見ていた私に声をかけてきた。

そしてその内容はライムとの初デュエルだった。




レインさん、ちわッス

プレイアブルとして使った記憶が無いとか言わないとくけどレインさん強いよねゲームでも


謎のNPC……一体何が…?

ちなみにその事を話したのはレインだけだったりする



そして次回はライムとのデュエル(日常回的な)


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第153話 お互いの剣術【初デュエル】

リューストリア第1エリア

 

「この辺ならモンスターも湧いてないし周りに迷惑はかからないかな」

 

デュエルしよう、と声をかけられてそれを了承した私はライムがデュエル場所に考えたフィールドにライムと一緒に移動した。

見渡す限りモンスターの姿は確認できない、というかなんでわざわざフィールドまで出てきたんだろ?

 

「なんでフィールドまで出てきたのかって思ってる?」

 

「……うん」

 

「あの街の中でデュエルってできない仕様になってるんだよ、なんでなのかはわからないけど……まぁ、そういう事だからフィールドに出てきたんだ」

 

七色からほとんどのシステムは教えてもらったけどまさか街中でデュエルができない仕様になってるなんて……

 

 

「ま、話してても意味ないし初めよっか、私たちのデュエル」

 

そう言いながらライムは背中に背負っている片手剣を抜いて構えた。

それに合わせるように私も細剣を構えた。

 

「ソードスキルは無し、いいね」

 

「……うん」

 

ライムは多分、ゲームが始まった直後でソードスキルがほとんど解放できてないことはわかってるはず。

ということはライムがデュエルを申し込んできたのは私たちのお互いの剣術を確かめるため……

初めてのデュエルだしお互いの実力はそんなに理解していない、多分春揮も初めてあった人とパーティを組むなら同じようにデュエルをするはず。

 

 

「行くよ、ハヅキ……!!」

 

ライムは少し離れた位置から地面を蹴って私に剣を振ってきた。

私はそれを避けて細剣でライムに攻撃をしようとした、けどライムはそれを空中一回転をしながら後ろに下がって避けた。

 

(あの避け方は確か春揮もやってた気が……)

 

地面を思いっきり蹴って後ろに空中一回転しながら下がって着地と同時に地面に剣を刺して電気を放つソードスキル、《ライトニングフォール》、そんな名前だった気がする。

SA:Oにはオリジナルソードスキルを作ることが出来るシステムはないし属性付与型ソードスキルも存在しない。

それにべーたテストでサービス開始から2日目ということもあるからほとんどのプレイヤーがソードスキルを解放出来てない。

だからライムの動きは回避をするために行ったこと、となるけど、ライトニングフォールの動きは相手の攻撃を避けて隙をついて攻撃するソードスキルだからあながち間違ってない。

 

(春揮から教わったことなら私だってある……!!)

 

ライムが続けて攻撃をしたり避けたりを繰り返して数分間攻防を続けている。

ライムが春揮から何かを教わったなら私だってその技術をライムにぶつける…!

 

 

「はぁぁぁ!」

 

(ここだ……っ!)

 

ライムが私に向けて横から剣を振って攻撃をしようとしてきた。

それが当たる寸前に体制を低くして剣を避けてそのまま後ろに素早く回り込んでそのまま背後から細剣の攻撃を当てる、春揮から教えてもらった私なりの戦い方だ。

 

春揮曰く、背の低さと瞬発力を生かした攻撃方法、らしい。

 

「せやぁぁ!」

 

ライムの背中に攻撃をしようとしたその時、遠くから聞き覚えのある声が近づいてきて私は攻撃を止めた。

 

「あ、やっぱりこんな所にいた!」

 

声の正体は昨日クエストを受けたって言っていた《ワン吉》を連れたシズクだった。

 

「……デュエルの途中だったんだけど、そっちもクエストの途中みたいだし」

 

「それは遠くから見ててわかったよー、でも、2人には早く伝えないとと思って」

 

「どうかしたの?シズク?」

 

「ワン吉と散歩してる時に気がついたんだけど、あの商店通りにある()()N()P()C()がやってる武具店、あそこにある商品のレアリティが1段階アップしたの!」

 

昨日、見て回った時には初期装備より弱い武器しか売ってなかった商店通りの店、そこに新しく武器が追加されたということをシズクは私たちに伝えてくれた、けどなにか違和感が……

 

 

「2人とも!早く街に帰るよ!」

 

「どうしたんだハヅキ!?」

 

「そ、そんなに新しい武器が欲しいの?」

 

「違う……ちょっと嫌な予感がする……」

 

フィールドから街に戻る転移石があるところまで移動する間に私はその違和感を伝えた。

ライムも気にしてなかったらしいけど多分……いや、確実に……

 

 

「「NPCが違う人?」」

 

「うん……私が昨日見た時はNPCは女性だった、だけどシズクは男性NPCって言った……とりあえずその真相を確かめる」

 

街に転移した私は商店通りに直ぐに向かった。

シズクとライムは他にログインしてるパーティメンバーを探しに行った。

 

(考えたくはないけどまさか………)

 

───NPCが死んだ……?




ホロリア編の発端になる大事件、勃発!?
ソードスキル無しの剣術だけのデュエル、お互い春揮に教わった技術を用いた戦いをしてお互いの戦い方を確認………した直後、シズクが走ってきて伝えたことに違和感を覚えたハヅキ
違和感の正体はNPCの性別が違っている……!?

嫌な予感がしたハヅキ、果たしてどうなる……?


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第154話 NPCの存在【黒鉄宮】

商店通り:武具店

 

「いらっしゃいませー」

 

シズクが言っていた通り、昨日まで女性NPCがやっていた武具店は何事も無かったかのように男性NPCが店を開いている。

たまたま女性NPCが店を離れた、という考えもあったけどそんなことはありえないと思う。

 

ということはやっぱり………

 

 

「──ちゃん!」

 

考え込んでいると後ろから肩を叩いて私のことを呼ぶ声が聞こえた。

その声の主はアルゴだった。

 

「やっと気づいたカ、まぁ、考え込む理由はわかってるケド……」

 

「シズク達から話を聞いたの?」

 

「イヤ、オレっちは個人で情報を掴んだんだ、と言ってもそれを信じようとするプレイヤーは少ナイ」

 

「………アルゴが知ってることを話して」

 

武具店の前から移動して宿屋の私の部屋へと移動してアルゴが手に入れた情報を聞いた。

そこで分かったこと、それは

 

・クエストNPCの一部がたった一日で変化した

・武具店NPCと見られる女性NPCが外に連れ出されていた

・この《SA:O》では非戦闘状態であるNPCへの攻撃を行うと《ブルーカーソル》になり、戦闘可能なNPCや非アクティブモンスターから常に狙われ続けるほか、街や村の入り口にいる衛兵NPCにも攻撃される。

さらにこの《ブルーカーソル》プレイヤーを攻撃したプレイヤーにはペナルティは科せられない。

・武具店NPCには《外に連れ出すクエスト》が用意されていた

 

 

「そんなことがたった2日で……」

 

「原因がなんなのかわからないケド、実はオレっちとフィリアで少しだけフィールドを進めていたんダ、その道中にもNPCがい───」

 

「私、ちょっと行きたい場所があるから行ってくる!」

 

「ハーちゃん、悪いことは言わナイ、黒鉄宮には行かない方がイイ」

 

アルゴは私が黒鉄宮に向かおうと思っていたことを簡単に見透かしてきた。

いくらNPCでもこの世界のリスポーン地点である黒鉄宮に戻ってこれるはず、そう思っていた……けど

 

 

「オレっちもそう思ってた、だけど現実はそう甘くはなかった………死んだNPCは()()()()()()()()()()()()()()()ンだ」

 

「そんなの………信じない……!!」

 

私はアルゴの言葉を無視してそのまま黒鉄宮に向かった。

 

 

 

転移門広場:黒鉄宮入口

 

黒鉄宮、それは本来のSAOでプレイヤーが《死に戻り》するために作られた場所……のはずだった。

だけどSAOサービス開始日、茅場晶彦がデスゲーム宣言、ゲームオーバーは現実の死、ということを伝え、死んで行ったプレイヤーは黒鉄宮から戻ってくることは無かった。

 

私が今頭につけているこの形見のメガネの持ち主も、黒鉄宮から戻ってくることは……無かった。

 

(NPCが死んで、生き返らないなんてこと……信じたくない……)

 

どうして武具店のNPCが何者かによって殺されたのか、そんなことを考えていると私の背中に誰かがぶつかった。

 

「あ、ごめんなさ──って……」

 

「すみません、ぼーっとしてまし……た?」

 

私の後ろには数分前にフィールドで助けようとしたあのNPCの女の子だった。




よく考えたら原作と時系列バラバラ
まぁ、それも二次創作のいい所



さて、シリアス回になったはずですが何か変だね
NPCが変更し、死んだという可能性がでてきた
それをハヅキは信用していない………
そこで死に戻り場所の黒鉄宮に行くと背後から少女が……


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第155話 無名の少女【謎のNPC】

黒鉄宮

 

(なんでこんな所にNPCが………)

 

「どうかしましたか?」

 

私が黙って見女の子のNPCを見ていると女の子は質問をしてきた。

こんな時に春揮がいてくれれば………

 

 

 

なんてことを考えても春揮はまだこっちの世界には来てくれない。

だから今、私が出来ることを考えるだけ

 

「あの、どこか行きたいところってある?」

 

「行きたいところですか……?」

 

私が考えたやり方、それはNPCのクエストの発生方法を試すことだった。

街を歩き回ってるNPCは行きたいところに連れていく、というクエスト……と聞いた

けど、この女の子にそれを聞いても反応はしてくれたけどクエストは発生しなかった。

 

(違うってこと……?なら……)

 

「何か欲しいものってある?」

 

「欲しいものですか……はい、あります」

 

「それなら行こうよ、私と」

 

「はい、ついて行きます」

 

女の子のクエストが発生して女の子が私のパーティになった。

けど、名前が体力ゲージの上に表示されていなかった。

 

(名前が……無い?)

 

通常、NPCでもパーティを組むと体力ゲージの上にそのNPCの名前が表示されるはず、なのにこの女の子は名前が表示されていない。

 

(とりあえず、クリアしてみよう)

 

こうして私は女の子のNPCを連れてフィールドに出た。

 

 

 

この後、何体かモンスターを倒してクエストの目的のNPCが欲しいもの……木の実を取ってクエストを終えた。

そのままフィールドから街に戻って報酬を貰った、けどこのNPCの女の子からもらえる報酬はたったの一コルだけだった。

 

 

私がフィールドに出てる間にNPCが失踪した、という話も聞かなかったから女の子のNPCと別れて宿屋に向かった。

 

 

 

宿屋

 

 

「お、やっと帰ってきたカ、ハーちゃん」

 

「あ、アルゴ、ちょうど良かった」

 

 

宿屋に行くとアルゴが待っててくれた。

ちょうどいいと思ってアルゴに女の子のNPCのことを話した。

 

 

「名前が無くてクエストの報酬はほぼ無いに等しいカ………それに街を徘徊してた……不思議なやつもいたもんダナ」

 

「アルゴはどう思う?」

 

「ハーちゃんが言った通りNPCは決められた場所を徘徊する、ケド、オレっちもその子を見かけた時は公園の方を歩いてた……多分だけどその子はNPCの中でも少し特別な可能性があるナ」

 

「特別………?」

 

「名前もなくてクエストはまるで未設定、そしてハーちゃんが見た時とオレっちが見たときでいる場所が違う、こうなったらある意味特別だナ」

 

特別、そう聞くと少しすごい気がする、けど名前が無いと少し寂しい気がする……なら

 

「………《プレミア》」

 

「……何がダ?」

 

「あのNPCの名前、あの子とかその子とか呼ぶのは可愛そうだし名前が無いならつけてあげたくて」

 

「オレっち達のパーティリーダーはハーちゃんだからナ、オレっちはそれでいいゾ」

 

とっさに思いついた《プレミア》というあの女の子のNPCの名前。

アルゴは否定せずにその名前を了承してくれた。

 

 

「まぁ、次に会えるのがいつになるのかわからないケド、次に会えた時はプレミアって呼んであげヨウ……さてと、NPCが消えるなんて事件も気になるけどオレっち達はとりあえずフィールドの攻略を明日からしよう」

 

「…うん」

 

次の日から私たちのパーティのフィールド攻略が開始した。

 

 

 

時間で切上げて街に戻ってまた攻略、というやり方でサービス開始から4日目……

 

 

リューストリア大草原【ラカイシェスク渓谷】

 

 

私とアルゴとフィリアでパーティを組んでレベリングと攻略をしているとマップ的にはほぼ中盤という所で《NM》モンスターに遭遇した。

 

「今はシズクやライム、レイン達もいない、私たちだけで戦うよ、アルゴ!フィリア!」

 

「「了解!」」

 

NM:マーダーディゾルバー

Lv.19




時間的には次回は今回の2日後


なんかハヅキだと描きにくいのは何故だろうか


謎のNPC、もといプレミア
原作より圧倒的に早いけど気にしない気にしない



ちなみに
時間で切上げて街に戻ってまた攻略、という方法、伝わりにくいかもしれませんが


例:ハヅキとライムとシズク→ライムとシズクが用事があるため街に戻る
ハヅキはまだ攻略したいから他に行ってくれそうな人を探す
ハヅキとアルゴとフィリアでパーティを組む
フィールドに出る


と言った感じです


ちなみに次回の話、ライム、シズク、レインはリアルの事情でログインすらしてません

プレミアの話は全員にした

ハヅキたちのレベルは平均19です


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第156話 NMモンスター攻略【3人の連携】

私は細剣を、アルゴは曲刀、フィリアは短剣を構えてモンスターに連続で攻撃を始めた。

避けられる攻撃は避けて避けきれない攻撃は防げる人が防いでその間に他の2人が攻撃、という戦闘スタイルで《NM》モンスターの体力を少しずつ減らした。

 

「よし……連携行くゾ!」

 

アルゴが曲刀の2つ目に使えるようになるソードスキルをモンスターに当てて相手を怯ませた。

その隙を狙ってフィリアが短剣のソードスキル……《ラビット・バイト》をモンスターに当てた。

 

「ハヅキ!決めて!」

 

「うん……!!」

 

2人が作ってくれた隙に私が細剣ソードスキル《デルタアタック》を使った。

《NM》モンスターの体力ゲージが一つ減って残りはあと1ゲージになった。

 

(よし、これなら………)

 

「ハーちゃん!フィリア!スイッチ行くゾ!」

 

「うん……!!」

 

アルゴがモンスターの攻撃を防いでそのまま弾き飛ばして隙が出来たところで私とフィリアの同時攻撃をモンスターにくらわした。

 

(まだ倒れない……けど……!!)

 

「アルゴ!フィリア!もう一度連携行こう!」

 

「「おう(わかった)!」」

 

さっきの連携と同じようにアルゴが攻撃をしてそこにフィリアが追撃を加えた。

 

(今なら使える……!!)

 

「行け!ハーちゃん!」

 

「今がチャンスだよ!」

 

2人の声を聞いたと同時に右手に力を込める。

そしてそのままモンスター目掛けて細剣を振る。

 

「行っけぇぇ!」

 

ソードスキル:スタースプラッシュ

 

この戦いの途中でちょうど熟練度が上がり、使えるようになったソードスキル、《スタースプラッシュ》でモンスターに攻撃をした。

連携の追加ダメージもあってモンスターはそのまま体力が尽きて消滅した。

それと同時に私のレベルは20に上がった。

 

 

 

「よし、ここのエリアの転移石のアクティベートが終わった、帰るとするカ」

 

「うん、連携したから疲れたよ」

 

転移石から街に戻った私達はそれぞれアイテムの売却、装備を整えたりするために別れた。

街に戻ってメガネを頭に装備した私は新しい装備が売ってないかを確認するために男性NPCがやっている武具店に向かった。

 

(あれって確か………)

 

私が見つけたもの、それはSAOの時、初めてあった時から春揮……ルシハが装備していた《ブラックウィングコート》と《ブラックウィングブーツ》だった。

私は全く躊躇いもせずにその装備を購入した。

 

(着ないけど……春揮が来たらプレゼントにしよ)

 

財布が空になったことを悲しみながらアイテムの整理を商店通りの噴水に座りながらしていると私の方に誰かが近づいてくる音がした。

 

慌てて顔を上げるとそこには……

 

「お久しぶり、ハヅキさん」

 

「千秋さん……?」

 

GGOの時の見た目とほぼ変わらない千秋さんが立っていた。




今回のバトル描写は自信ある、だってまともに戦ってないから(おい



今回平和だったな、いや、平和すぎたな


男性NPCからブラックウィング シリーズを購入
そして財布が空になったことを悲しんでいるとまさかの千秋が近づいてきた。
果たして千秋は何をしに来たのか…?


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第157話 妬み【優しさの後悔】

宿屋:ハヅキの部屋

 

ログインしてきた千秋さんが話したいことがあるらしいから私は宿屋にある自分の部屋に向かった。

部屋にある椅子に私が座ったと同時に千秋さんはいきなり頭を下げてきた。

 

「ハヅキさん、ごめんなさい!」

 

「え……?」

 

「私はあなたをなんの躊躇いもなく殺そうとした、空って言う人に協力して殺そうとした」

 

「…………」

 

確かに今考えれば千秋さんがたまたま長野にいて空さんが私のいる場所を確実に理解していた。

春揮からも少し話は聞いてたけど………

 

「お兄ちゃんからこのゲームの招待状を貰ったけど私はあなたに謝るためにログインした、許してくれなんて言わないし許してくれるなんて思ってないけど……って、ハヅキさん……?」

 

「千秋さん、今はもう自分を責めないで」

 

私は無意識に千秋さんに抱きついていた。

多分春揮もこの状況なら同じようにしているはず、というか私もこうされた。

 

「やめてよハヅキさん……私はあなたを殺そうとしたんだよ?」

 

「今はこうして生きてるから千秋さんを責めることはしないよ、それに千秋さんが騙されたのは空さんとは違う()()()()、千秋さんは許されるよ」

 

「とある男……?」

 

「……話すから、その前に千秋さんがなんで私を殺そうとするのに協力したの?」

 

この後、千秋さんが落ち着いたところで千秋さんがなんで協力したのかを聞いた。

理由は私に対する妬み、それを抱いていたところにまるで狙ったかのように春揮を数日前に襲ったあの男……《ラフィンコフィン》の1人がSAOの頃の私のように千秋さんを騙して『妬んでいるなら殺せばいい』という気持ちを抱くようになって私を殺そうとした、けど空さんと出会って2人で協力して殺す……ということになってそれを行動に移したらしい。

 

 

 

 

「お兄ちゃんが………!?」

 

「何も聞いてなかったの?」

 

逆に私は千秋さんを騙し、春揮を襲った男のことを話した。

千秋さんも知っていると思ったけど春揮が今入院してることは伝えられてなかったらしい。

 

 

「ハヅキさん……やっぱり私、このゲームにログインするのはやめるよ」

 

「………待って」

 

ログアウトボタンを押そうとした千秋さんの腕をつかみログアウトボタンを押させないようにした。

 

「ハヅキさん……許してくれるのは嬉しいけど私は()()()だよ、ハヅキさんとハヅキさんの仲間達と一緒に攻略なんて出来るようなことは出来ないよ」

 

「そんなことは無いよ」

 

「ハヅキさんは優しすぎるよ!……お兄ちゃんに似たのかな……」

 

千秋さんは私が掴んだ腕を振りほどいてそのままログアウトボタンを押してログアウトしてしまった。

私はそれを追いかけるようにログアウトして千秋さんに伝えた春揮が入院してる病院へ向かった。

 

 

 

 

 

 

病院:入口

 

入口の前にあるベンチに千秋さんが座っていた。

千秋さんは私が近づいてきたことに気がついて立ち上がって私の方に向かってきた。

 

「葉月さん、あのゲームのログインはしばらく考えてからにする……私を許してくれてありがとう」

 

そう言ってそのまま千秋さんは病院から帰って行った。

 

 

(春揮が何か言ったのかな……?)

 

私は病院の中に入って春揮の病室の前に立った。

 

『あーあー……聞こえてるかー?』

 

「うん、大丈夫」

 

私が付けてきたオーグマーからALOにログインしてる春揮の声が聞こえてきた。

入院してから数日経つけどほぼ毎日来れてる訳じゃなく今日は久しぶりになる。

 

「さっき千秋さんが……」

 

『あぁ、話は聞いたよ、俺があいつに話せることは全部話したはずだ……あとはあいつが俺の言葉をどう受け止めるかになる』

 

春揮は怒ってるわけでもなく悲しんでる訳でもない声のトーンで話してくれた。

 

『そう言えばそっちはどうだ?攻略、進んでるのか?』

 

「第1エリアが半分終わったよ」

 

『そっか……残り1週間と2日、それまでにお前が決めた目標を達成するなら早めに進めろよ』

 

「うん……そう言えば───

 

 

2日ぶりに春揮と話すため、色々と話すことがあって病院の人から止められるまでずっと話をしていた。

 

 

 

家に帰って寝て次の日

 

βテスト五日目

 

攻略を1人で進めようと思った私は宿屋でシズクとライムに呼び止められた。

 

「一人で行こうとはずるいこと考えるなー……なんてね、私たちと行こうよ」

 

「ライムがなんかカッコイイ!」

 

「なんだよそれ」

 

 

こうして私はシズクとライムの3人でリューストリア大草原の後半の攻略をすることになった。




投稿して気がついたけどあとがき書いてなかったのね俺

あ、どうも投稿してから6時間ほどあとの作者です


千秋さん、複雑な心境だな
春揮はほんとに何を言ったんだろうね?


次回は夕立の霧雨のふたりと攻略!



P.S.
UAが3万行きました!ありがとうございます!
こんな作品でも少しずつ読まれてるんだなーって実感が湧きます
これからも末永くよろしくお願いします!


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第158話 大きい小動物【寝顔】

リューストリア大草原:中盤

 

「スイッチお願い!」

 

「「了解!」」

 

シズクがモンスターの攻撃を抑えてくれているうちに私とライムの2人でモンスターにソードスキルを当てた。

 

「2人とも!連携行くよ!」

 

私が声をかけた瞬間に2人がモンスターの隙をついて攻撃を連続で当ててモンスターにダメージを増やした。

 

(やっぱりあの二人……幼なじみってこともあって連携がすごい……)

 

「今だハヅキ!決めてくれ!」

 

「ハヅキちゃん!」

 

「うん………はあぁぁ!」

 

ソードスキル:デルタアタック

 

2人の完璧な連携で出来た相手の隙を狙ってそのまま私のソードスキルを当てた。

倒した、そう思ったその直後、体力が尽きたモンスターから謎の粉が大量に噴出されて私はそれを吸ってしまった。

 

体になんの変化もないと安心してシズクたちの元に行こうとしたその時、私の視界が揺れてそのまま意識が暗転した。

 

 

「ハヅキ!ハ──

 

ライムの私を呼ぶ声が途中で途切れた。

 

 

 

商店通り:宿屋

ライム目線

 

モンスターが噴出した謎の粉をくらって意識を失ったハヅキは何度揺さぶっても起きなかったため、仕方なく攻略を切り上げてハヅキをおんぶしてそのまま商店通りの宿屋に向かった。

 

向かっている間もずっとハヅキは目を覚まさなかった。

 

 

「ねぇ、ライム…なんでハヅキちゃんがいきなり倒れたかわかる?」

 

「まぁ、どう考えてもあのモンスターが出した粉……もとい粒子みたいなやつが原因だよ、多分あのモンスターが付与したのは《睡眠》効果なんじゃないかな」

 

(多分というか今のハヅキを見てるとそれしかない気が……)

 

布団に寝かしたハヅキは気を失っているとは言い難い顔をしていた。

まるで小動物のように小さくなって幸せそうな笑顔をしている、それも小声で何か言ってる。

 

「なんかハヅキちゃんすごく可愛いね?」

 

「お、女の私でも惚れそう……」

 

見れば見るほど可愛すぎて天使なのかと思ってしまう。

春揮には悪いけどこの小動物は私たちが貰いたい、それぐらい可愛い。

 

「ん……ライム……」

 

ふと、ハヅキが私の名前を呼んだ。

と、思った直後、私はハヅキに腕を引っ張られてハヅキのいる布団に倒れた。

倒れた衝撃でハヅキが起きてくれた、けどハヅキの様子が何か変だった。

 

「ライムぅ……」

 

「ハヅキ……?」

 

私はハヅキに抱きつかれ、名前を呼ばれた。

けどハヅキの私を呼ぶ声は戦闘時や街に居る時と違ってとろけたような声をしていた。

そして少し目を開けたハヅキの目も同じように普通の時とは違ってとろけたような目をしていた。

 

「私は……ライム達といっしょに攻略する~~」

 

(絶対何かおかしい……!)

 

ハヅキに抱きつかれてる私は身動きをとることも難しいと思って布団の外でこっちを見ていたシズクにハヅキの状態異常を調べてもらった。

けど結局ハヅキは異常状態にはなっていなかった。

なんでこうなっているのかと思ってさっき倒したモンスターの情報をシズクが調べるとあのモンスターは《酒酔い》というデバフを食らわせ……

 

ってことはハヅキは異常状態で倒れた訳じゃなく《酒酔い》、もとい酒と同じ成分を含んだ粉を吸ったせいで酒に酔った、ということ。

そして今のハヅキはその酔いの勢いで私を襲ってきている。

 

「ハヅキ!目を覚ませ!?」

 

「ライムー?私は平常運転〜……」

 

(なんでこのゲームに酒に酔うとかそういう感覚があるんだ………シズクも助けに入れる状況じゃないしこうなったらハヅキの酔いが覚めるまで待つしか……)

 

 

 

 

1時間後、酔ったハヅキに色々と危ないことをされそうになってそれを耐えてハヅキの酔いが覚めた頃。

 

「……ごめん」

 

「まさか酒酔いなんて感覚があるなんて……というかハヅキが酒に弱いのはわかった」

 

目を覚ましたハヅキは何があったのか全く覚えてなかったらしく(覚えてなくてよかった)とりあえず謝ってくれた。

 

「ふ、2人とも、この後私たち3人で街の中でゆっくりしよ?お互いの話も少しした方がいいし」

 

「うん……」

 

「賛成、それじゃ行こう」

 

気まずい雰囲気になっていた私とハヅキの空気を変えるかのようにシズクが街の中で休憩をしようと言ってきた。

それに賛成して私達は街の中を色々と見ることにした。




男性の皆さん必見、俺なりの女子のイチャイチャを書きました、垢BANされない程度に

これでこの話消されたらR18なんてかけたもんじゃないっすね





それはさておき
ホロリアかホロフラで酒に酔ったシリカの話がありました、あんな感じをイメージしました。




戦闘だと思った?平和すぎる話でしたとさ
次回も平和、だったらいいね


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第159話 思いの品【お揃いの2人】

湖畔公園:噴水前のベンチ

 

「ここら辺でいいかな、景色もいいし」

 

「うん!ちょうど3人座れるよ!」

 

酔いから覚めた私はライムの提案で街の中を歩いて回っていた。

最終的にどこか休める場所を探すという目的になって湖畔公園の噴水のベンチで休憩することに

 

「そういえば2人はいつもマフラー付けてるよね?」

 

「あ、これ?」

 

べーたテストのサービス開始からずっと攻略の時もシズクとライムはマフラーを身につけている。

前から気になってたけど聞くタイミングが取れなかったから今更になった。

 

 

「特に意味は無い……って言うのは嘘になるかな」

 

「それってどういうこと……?」

 

「このゲームの前、ALOを始めるより前にやってたゲームで《ジョブ》、ALOで言う種族みたいなものがあるんだけどそのゲームで皆同じジョブを選んだら今つけてる色とおなじマフラーを装備したんだ」

 

「それを気に入っちゃってそのままこっちでも装備することにした……というのが普通の理由…だけど本当は違うんだ」

 

シズク達が前に遊んでいたゲーム、黒づくめの服装をした誰かさんに和風のゲームがあるって言われた気がするけどそのゲームのことかな?

というか別に理由が……?

 

 

「あまり他言はしたくないんだけどハヅキになら言えるかな、このマフラーはSAOの時に《夕立の霧雨》として活動していた時に一緒にいた1人のプレイヤーがSAOゲーム開始の前の年にリアルでプレゼントしてくれたものでもあるんだ」

 

「その人はもう居ないんだけどね…」

 

春揮からSAOの頃の夕立の霧雨のことは聞いた。

その時に春揮がSAO内で別れるために1人を殺したってことを聞いた。

その人のこと……だよね……?

 

「今は形見でもあり別ゲームで装備してた時の愛着ってやつで装備してる」

 

「そうなんだ……2人はその人がいなくなって辛い…?」

 

私は昨日、千秋さんにやったように2人に抱きついて言葉をかけた。

2人は1瞬驚いたけどそのまま私に言葉を返してくれた。

 

 

「辛い、と言えばそうかもしれない……けど、今はこうやって仲間もいるし形見もある、と言ってもどこかで無茶してるかもしれないけどね」

 

「私も同じ気持ちだよ、ライムみたいに精神的にも実力的にも弱いけど…今は新しい仲間もいるし……辛くは──

 

 

今にも泣きそうなシズクと見た限り泣くのを我慢してるライムの頭を優しく撫でた。

春揮が毒に侵されたあの日も2人は同じようにどこか辛そうにしていた。

春揮みたいにだれでも元気づけられるほどの声がけはできない、だけど同じような気持ちを持ってる人のことは私がいちばんわかる。

 

 

「2人とも、辛いなら泣いていいよ…私が言えるようなことじゃないけど」

 

「ハヅキ………」

 

「は、は、ハヅキちゃ……ん……」

 

しばらくの間、2人は泣いた。

その後、2人とも気持ちを落ち着かせて次は逆に私のメガネのことを聞いてきた。

 

私のメガネも2人と同じように形見ということを話したところでいきなりシズクが用事を忘れてたと言ってログアウトしてしまった。

ライムはなんでいきなりログアウトしたのか聞きに行くために同じくログアウトした。

 

(2人とも大変なんだよね……)

 

私も疲れたためそのままログアウトした。

 

 

 

 

 

 

次の日(SAOべーたテスト六日目)

 

珍しく《SA:O》に全員が集合、という時に私は春揮に呼ばれてALOにログインすることに。

別に大したようじゃなかったけどその間にリューストリア大草原のエリアボスを私以外の《招待組》の5人が倒したらしい。

 

そしてそのまま次のエリア、《オルドローブ大森林》の攻略を進めたらしい。

 

(エリアボスをたった5人で倒し……じゃなくてなんでこういう時に1日ずっとALOにいたんだろ……私…)

 

私は次の日、ログインしていたフィリアと2人で大森林の前半エリアの攻略を開始した。




こんなのしか書けないから伸びないのかな


って思いながら書きました
日常回すら苦手だったら何も書けないことが判明。今の俺ですわ


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第160話 新たな仲間【AIキラー】

βテスト7日目

《オルドローブ大森林》

 

フィリアと合流してフィールドに出た私は開放されたばかりの新エリアのモンスターを少しずつ倒しながら奥へと進んでいた。

 

「ちょっとハヅキ、急ぎたい気持ちはわかるけどいくらなんでも進みすぎだよ!」

 

なんの躊躇いもなく突き進む私を後ろでモンスターを倒しながらフィリアが声をかけて止めてくれようとしている。

けど、私は一刻も早く攻略を進めたい、『βテスト中に全エリアのクリア』を春揮と約束したから。

 

 

残りは1週間、ずっとこうやっているけど帰還者学校にもそろそろ行かないと怒られそうだから猶予はそんなに無い。

春揮がβテスト中に戻ってこれるかもしれない、それまでに最終エリアまでは進めたいと思ってる。

だからこそ今はこの《オルドローブ大森林》の奥まで一気に攻略をしたい。

 

 

「待ってハヅキ、あれって……」

 

「あれは………」

 

 

立ち止まったフィリアが私を呼び止めて指をさした。

そこに居たのは数人の男プレイヤー、そしてその男プレイヤー達が囲んでいるのは私が《プレミア》と名付けた女の子のNPCだった。

 

男プレイヤー達はプレミアを逃げられないようにしてそのまま剣を振りかざしてプレミアに攻撃をした。

もちろん、プレミアはNPCでこのゲーム(SA:O)では自分から率先して攻撃をするように設定されていない。

 

そして《SA:O》では1部のNPCに攻撃をするとプレイヤーのカーソルは青色に変わる。

 

 

(なんて考えてる場合じゃない……今はプレミアを助けないと……!!)

 

フィリアも同じ考えをしたらしく、私と同じタイミングで男プレイヤー達の元に走って2回目の男プレイヤー達の攻撃を防いだ。

 

 

「な、なんだテメェら!」

「そんな約立たずで使えないNPCごときを守ろうとしてんのか?」

 

 

3人いる中の2人が同時になにか喋った気がするけどそんなことはどうでもいい。

今、この3人のプレイヤーはNPCを攻撃して青色のカーソル、《ブルー》になった。

 

「この子は私たちの《仲間》……傷つけさせる訳には行かない」

 

 

 

「仲間だぁ?そんな1コルしかくれねぇやつが仲間?NPCが?笑わ───

 

私はプレミアのことを攻撃して私たちのことを馬鹿にしてきた1人をソードスキル《リニアー》で吹き飛ばした。

 

 

「てめぇ、女だからって俺らは手加減しねぇぞ?」

「俺らに喧嘩売ったこと、後悔させてやるぜ」

 

1人は大剣を、もう1人は斧を構えて私とフィリアに同時に攻撃を仕掛けてきた。

私とフィリアはなんの問題もなく攻撃を避けた。

 

「フィリア、プレミアを守ってて、私がこの2人を倒す」

 

「分かった、でも手加減はしてあげてよ?」

 

「……出来るだけ」

 

 

フィリアが後ろで立ってるプレミアのところまで行ったことを確認して直ぐに私は細剣を構え直して二人の男に向けた。

 

 

さすがに前線まで来るだけの実力はある、とも思えないほど攻撃は遅く、さらにソードスキルも大剣と斧の初期のソードスキルしか使ってこない。

 

(これなら簡単に………)

 

私は細剣を持つ手に力を込めて一気にソードスキルを放った。

 

 

ソードスキル:スタースプラッシュ

 

「ぐぬぅぅぁぁあああ!?」

 

「うはあぁぁ!?」

 

二人の男は最初に《リニアー》で吹き飛ばした男のところまで吹き飛びそのままその場に倒れた。

その直後、近くにいた《NMモンスター》が3人の男達の元に………

 

 

 

と、いうところでフィリアが使った転移結晶で私達は街に戻った。

 

あのプレイヤー達がどうなったのか気になるけど……今はそんなことはどうでもいい。

 

 

「私の名前……《プレミア》というのが私の名前ですか…?」

 

「うん、そして私が《ハヅキ》、よろしくね、プレミア」

 

「私は《フィリア》、他の仲間も紹介するよ、プレミアちゃん」

 

「ハヅキにフィリア……私の《仲間》………はい、よろしく、です」

 

この後、ちょうど宿屋にいたシズクとライム、そして情報集めから帰ってきたアルゴに紹介をしてプレミアが新たに私たちのパーティに加わった。

 

 

 

宿屋:カフェスペース

 

「よ、ハーちゃん」

 

みんなにプレミアのことを紹介した後、私はいつものようにコーヒーを飲んでいた。

そこにこれまたいつものようにアルゴが話しかけてきた。

 

「アルゴ、どうしたの?」

 

「ハーちゃんがアクティベートした大森林の中盤エリアに行ってみたんだガ、不思議な大樹みたいなやつがあってナ、さっきプレミアにクエストないカと聞いてみたら大森林の奥に行きたいって言ってたんダ、だから一緒に行ってみないカ?」

 

「大樹………わかった、プレミアを誘って行ってみよう」

 

「ついでにボスがいそうなエリアも探そうカ」

 

「……うん、それでアルゴ、聞きたいことがあるんだけど…」

 

 

 

私はアルゴにちょっとした質問をした。

1つは『死んだNPCは二度と生き返らない』こと。

1つは『NPCを好き好んで殺そうとするプレイヤー』のこと。

 

 

「ハーちゃんもやっぱり気になってたカ、もちろんオレっちもそれに関しては調べてはいるけどどっちもセットで情報が来るンだ、『NPCを殺したけど戻ってこなかった』なんて言うやつもいた、まぁ、そのプレイヤーはブルーになってて二度とオリジンができないような状態に陥ったガ…………ブルーになることを恐れずにNPCを殺そうとするやつも減るどころか増えてるらしい」

 

「それじゃあ、プレミアもまだ危ない…って、今プレミアはどこに行ったの?」

 

「あぁ、それならシズク達がどこかに連れていったゾ、安心シロ、外には行ってない」

 

「なら良か──

 

「ただいま!」

 

安心の声を出そうとしたら後ろから声が聞こえた。

声の主は今噂をしていたシズクとライム、そしてプレミアだった。

どこに行ってたのかと聞くとプレミアのためになにか使える武器を買いに行っていたらしく、プレミアの腰には細剣が装備されていた。

 

「ちょうど良かった、今からオレっちとハーちゃんでプレミアと一緒に出かける所だったンダ」

 

「私と、ですか?……まだ色々とわからないので沢山知りたいです、つまり一緒に行く…?」

 

「うん、それじゃ行ってくるね、シズク、ライム」

 

「「行ってらっしゃーい」」

 

 

 

こうして私とアルゴの2人で大森林の奥にある大樹にプレミアとともに向かった。




お久しぶりですね、マジで


スランプってやつですね、それです、はい

まぁ、数日前にはスランプ抜けてたんですけどSAO最新巻読んでたらこんなに遅くなりました、てへぺろ
逆に言えば最新巻読んだから書く気になったのかもしれない、あのラストのおかげで


そんなこんなで久しぶりに書いた
実はオリジン編でこの作品やめようと思ってたけど色々と悩んでいるうちに1つの結論に至りました
まぁ、この話はまた別の機会に

次回、多分ゲームの時系列とバラバラだけど仲間になったプレミアと共に謎の大樹に向かう二人……果たして何が起きる……!?


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第161話 神聖な大樹【祈り】

大森林奥

 

「プレミア!スイッチ!」

 

「……?」

 

大樹のある場所まで移動している途中、フィールドを徘徊している少し高レベルのモンスターに見つかり戦闘をアルゴとプレミアと私の3人で開始、直後にアルゴが敵の攻撃を弾いてプレミアにスイッチの指示を出したけどプレミアはスイッチがわからないのか行動をしなかった。

 

 

「ハーちゃん!プレミアの代わりに頼むゾ!」

 

「うん、わかった……!!」

 

ぼーっとしてるプレミアの代わりに私が少し後ろに下がったアルゴの前に出てソードスキル《リニアー》を使ってモンスターに攻撃をした。

 

(今の感じだとプレミアとの連携も難しいかな……)

 

「ハーちゃん!とりあえず倒すゾ!」

 

「わかった!」

 

結局、プレミアはたまに攻撃するような戦略でモンスターを倒して本来の目的地だった大森林の奥にある大樹へと到着した。

到着してすぐにプレミアが大樹を見上げて少しだけ何かを感じたような表情をしてそのまま私たちの方を向いてきた。

 

 

「ハヅキ、アルゴ……少しだけ待ってください」

 

「オレっち達はいつでも待つケド……どうするんダ?」

 

「私もよく分からない……です」

 

そう言ったプレミアは再び大樹の方を向いてそのまま手を合わせて祈りを捧げ始めた。

 

 

それからしばらく沈黙が続き何も起きない、そう思ったその時、大樹とプレミアが同時に同じ光を発した。

 

「ハーちゃん、これって……」

 

「アイテム……?」

 

ぼーっとしているうちに私の前にいつの間にかアイテム獲得のウィンドウが表示されていた。

そこに表示されていたのは《アイテム:祈りの聖石》という見たことの無い1つのアイテムだった。

 

「プレミアと関係してる気がするナ」

 

「私と関係してるのでしょうか?」

 

「「うわぁ!?」」

 

いつの間にか祈りを終えたプレミアが私たちの前にいて私たちの会話を聞いて質問をしてきた。

 

「よくわからないけど、プレミアが祈りを捧げてこのアイテムが出現したからナ、少なくとも関係性はあるヨナ」

 

アルゴの言う通りプレミアが祈りを捧げたらこのアイテム《祈りの聖石》が出現した、ということは………

と、言っているとプレミアが私の袖を少し引っ張って来た。

 

「お腹が空きました……つまり、何か食べたい」

 

「プレミアもNPCとはいえ何かを食べたいって気持ちはあるんだナ、とりあえず1度街に戻ってボス部屋探しはそれからにするカ」

 

「うん、私も休みたいから戻ろう」

 

プレミアの頼みを終えて1つのアイテムを手に入れた私達は1度街に戻ることにした。

この後、プレミアと一緒に街の中にあるカフェで食べ物を食べてプレミアのお腹を満たした。

 

 

 

 

そしてその後、アルゴが情報集めのために1度別れているうちにプレミアに剣術と戦い方を教えるためにフィールドに出て細剣の立ち回り方を一通り教えた。

 

「今日はありがとうございました、勉強になりました」

 

「うん、役に立ててよかったよ」

 

「これからもよろしくお願いします、つまり、また一緒に攻略したいです」

 

また街に戻った私は情報集めを終えたアルゴと合流してボス部屋を探しに行くことになった。

 

「まさか、プレミアに剣術とかを教えたとはナ、それにその後にプレミアはシズク達とフィールドに出たとは……プレミアも大変だナ」

 

「うん、でもプレミア、少し楽しそうだった」

 

「まるでハーちゃんダナ」

 

「そう?」

 

「あぁ、SAOでルー坊と会った時のハーちゃん見たいだったナ……そう言えばルー坊で思い出したケド、ハーちゃん達って《SAO帰還者学校》に通ってるカ?」

 

「うん、そうだけどどうしたの?」

 

「いや、気にしないでクレ、とりあえずあそこがボス部屋だナ」

 

アルゴが気になる話をしているうちに大森林の最深部に到着した。

 

「それじゃあ、1度戻ってみんなを集めるとするカ」

 

「わかった、シズク達にもメールを送っておくね」

 

この後、ログインしていた仲間とたまたま鉢合わせたプレイヤーたちと一緒にボス攻略を開始した。




ボス戦を書くか書かないか迷ってる(今話の一言)

久しぶりに顔出したと思ったらまた更新止まったと思ったらいきなり出ますどうも俺です。
オリジン編って割と書きにくいなって思いました、どうも俺です。


それでも描き始めたのだから続けます、終わったあとも続けますし
次回がボス戦になるかならないかは次の更新をする俺次第です、書けって話だけどね?

次回の更新がどれだけ遅くなるかは俺にもわからないげ次の更新まで気長にお待ちください、お願いします。


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クリスマス特別編

今回の話の時系列はキャリバー編の少し前に戻ります。


これは世間がクリスマスというイベントで騒がしくなっている去年の12月25日、キリト達がキャリバー獲得クエに行く三日前の話………

 

「それじゃあ、行ってくるね」

 

「あぁ、行ってらっしゃい、気をつけてな」

 

朝から葉月が少し軽めの荷物を持って俺に挨拶をして家の扉を開いて出かけて行った。

数日前に俺のスマホに『葉月さんに教えたいことがあるからクリスマスの日に東京駅に来るように伝えてください』というメールが来ていた、それを伝えた結果葉月は1度ALOにログインしてアスナと何かの約束をして今に至る。

 

「ふわぁ〜……ん?メール?」

 

昨日は何故か珍しく嫌な夢を見てしまいあまり眠れなかったため、1人の空間で大きくあくびをした直後、タイミングを図ったかのように俺のスマホにメールが届いた。

 

1つは明日菜からの今日の葉月に関するメール、もう1つは和人(キリト)からのメールだった。

 

──クラインがクリスマス限定のクエストを受けたらしいから一緒に行ってくれないか?俺以外にはシノンぐらいしか誘う相手………

 

文面だけ見ると行きたくないが、和人とシノンとクラインだけでクリアできる難易度かわからないし限定という言葉が気になる、ということで躊躇うことなく了承をした。

 

「よし、行くか」

 

俺は限定クエストに挑戦する前に装備を整えるため、指定された時間より少し早めにALOへとログインした。

 

 

 

ALO:リズベット武具店

 

ALOにログインした俺はたまたまログインしていたリズベットに武器の整備をしてもらった。

リズベットも限定のクエストに誘おうとしたがリズベットは指定された時間の少し前にリアルの用事でログアウトしないといけないらしいから今回は断念。

 

その後、同じ目的で来たキリトも俺と同じように武器の整備をしてもらったあとリズベットを誘ったがもちろん拒否。

さらに合流したシノンも武器の整備を頼み、そのまま指定された時間までリズベット武具店で雑談をした。

 

 

数十分後

 

指定された場所、央都アルンの中央広場に行くとクラインが1人寂しく待っていた。

 

「おっせーぞお前ら!」

 

「指定された場所、時間は会ってるだろ?」

 

「オラァ、数十分前には来てたんだぞ?今回のクエストは楽しみだから早めに来ちまってな」

 

クラインの衝撃の一言で俺たち3人はそのまま停止、まさか、クラインも俺らと同じタイミングでログインしていたとは……

 

「そーいやお前ら、アスナとハヅキはどうしたんだ?」

 

「「ちょっと用事」」

 

誰からも何も伝えられてなかったクラインに俺とキリトは同時に同じ言葉を放った。

クラインは何か浮かない顔をしていた気がするけどシノンに指摘されて本来の目的をしっかりと再確認した。

 

クエストの内容はモンスターの影響で特殊ステージに変化してしまったシルフ領とサラマンダー領の境界の森で特殊ステージに変化させたモンスターと変化した影響で凶暴化したモンスターの撃破。

これだけなら簡単と思うがそうでもなく、エリア1つを変化させるだけのことはあり、ステータスは中々に高く設定されている。

そのため、無茶してクエストに挑もうとするプレイヤーがいなくてまだ報酬も不明でクリア者もいないらしい。

 

「怪しいけど挑戦してみるか…」

 

「どうせクラインは女の子目当てだろうけど」

 

クエストの詳細を確認して独り言を漏らした俺の横でケットシーになって間もないシノンが耳を揺らしながらクラインに向けて厳しい言葉を投げた。

 

「し、シノンさんよぉ…いくら俺でも限定のクエストが気になるっての」

 

「ほんとかしらね……それでキリト、あんたはどうするの?」

 

「俺も報酬が気になるから挑戦してみるけど、高難易度ってことは相当……」

 

「まぁ、やってみないと分からないだろ」

 

挑戦するか迷っているキリトの肩を少し強めに叩いてキリトに喝を入れた。

その直後、キリトの胸ポケットから今更ながらナビゲーションピクシーのユイが現れてクエストの解析を始めた。

 

ユイの解析によるとこのクエストは正真正銘現在のALOではかなり高難易度に位置付けされているらしい、限定のくせに。

ステータスまでは把握出来ないらしいが生半可な気持ちで行くと負ける可能性があるということは確実。

 

 

「そんなもんは当たって砕いて砕けるだけだぜ!」

 

()()()()クラインらしいこと言うわね」

 

「ほんと、クラインらしいな……とりあえずクエストの場所まで行くか」

 

 

ALO:シルフ・サラマンダー領境界の森(限定エリア化)

 

「一気に畳み掛けるぞ!」

 

「シノンは援護頼む!クラインとラギは一気に仕掛けるぞ!」

 

「「了解!」」

 

限定エリア化した森に到着した直後、クエストボスではないものの、クエストに表記されていた『凶暴化したモンスター』が大量に襲ってきた。

倒せない強さではないため連携攻撃で一気に攻めて何とか倒すことが出来たが、ボスがこれ以上に強いとなるとかなり厄介かもしれない。

 

 

 

 

 

数分後

 

「これがこの限定のボスか……っ!」

 

「キリの字にはいい思い出ねぇな……」

 

森の中を進むと周りにいたモンスターより遥かにでかいサンタのようなモンスターが静かに俺たちの方を見ていた。

キリトとクラインが反応したのは少し前に聞いたことがある、SAO時代、クリスマスの日に特別クエストとして死者が蘇生できる特別アイテムをドロップする限定モンスターがイベントとして現れたらしい、それから先は今は触れないが………

 

 

「キリト、クライン!今は考えるな!」

 

「わかった……やるぞ!みんな!」

 

キリトとクラインは体勢を立て直してボスに攻撃を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

数十分後……

 

 

《Congratulation!!》

 

「勝った……か」

 

「報酬は……クラインの所か」

 

結局、俺達が一気に減らしたあと、クラインの一撃でボスを倒してラストアタックはクラインに入った。

 

 

「えっとなになに………激レア装備……サンタコスチュームだぁ!?」

 

クエストクリア報酬はクリスマスクエスト限定装備、サンタコスチュームだったらしい。

 

「全く……苦労した結果がこれか……」

 

「クラインらしいオチね」

 

「畜生………もっといいもんかと思ったのに…」

 

 

 

 

こうして、高難易度と言われたクリスマス限定のクエストは少し締まらないオチで終わった。

周りを見ると特殊ステージに変化してしまった森は元の姿を取り戻していた。

どうやら、1度きりの本当の意味で特別なクエストだったらしい……

 

 

 

 

 

 

如月家:キッチン

 

中々の激戦だったため披露した俺らはあの後すぐに解散してログアウトした。

その直後、いつの間にか帰ってきていた葉月が俺に渡したい物があると言ってきたためキッチンへ行くとそこには……

 

 

「チョコレートケーキ……?」

 

「明日菜にケーキの作り方教えて貰ったんだ、上手くできてるかはわからないけど……食べて?」

 

「ん、それじゃあ、遠慮なく………」

 

キッチンに置いてあったケーキの1切れ(残りは冷蔵庫にいた)を食べた。

 

「ん………ん!?」

 

「ど、どう?」

 

「美味い……美味すぎる」

 

「ほんと?」

 

「食べてみろよ、冗談なしに美味いぞ!」

 

「それじゃ、いただきます」

 

「どうだ?」

 

「うん………うん!美味しい……!!」

 

 

甘過ぎず渋過ぎないちょうどいい味に調整されたチョコレートが口の中に広がる。

明日菜に教えて貰った作り方を葉月がアレンジしたらしいけどこれはすごく上手い、その一言しか言えないけどとりあえず美味い。

 

「ありがとな葉月、最高のクリスマスだよ」

 

「うん……!喜んでくれてよかった」

 

残ったチョコレートケーキも2人でたべてこの日、クリスマスは途中振り回された気もするけど最高の一日になった。

そう言えば明日菜もキリトにケーキを作ったらしい。

 

 

 

「こんな日が続けばいいのにな………」

 

疲れ果てて寝てしまった葉月の横で俺はそう呟いた。




なんとか間に合った!

ギリギリだけどメリクリ!

SAOだけでなくクリスマス特別の小説も投稿したからよかったら見てください


前書きにも書いたけどこれは現在進行中のオリジン編から半年ほど前の話になります


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第162話 偽り【聖石の真相】

βテスト7日目:夕方

 

ハヅキ目線

 

 

 

ボス戦を終えて街に戻ってきた私はシズクと一緒に商店通りに向かっていた。

 

 

 

「おいお前!俺らの仲間によくも……!」

 

 

 

「あぁ?俺は何もしてねぇだろ」

 

 

 

「お前が俺らの仲間の1人を大剣で倒してるのを見たんだよ!」

 

 

 

商店通りに入ってすぐの所で2人の男プレイヤーが何かを言い争っていた。

 

2人のプレイヤーの周りには言い争いが気になるのかたくさんのプレイヤーが集まってきていた。

 

 

 

「ハヅキちゃん、あの人たち……」

 

 

 

「アレは赤髪の方が悪いナ」

 

 

 

「ひゃあ!?」

 

「ふぇ!?」

 

 

 

言い争っている2人の方を見ているといつの間にか後ろにアルゴが立っていた。

 

 

 

「2人共驚き過ぎだゾ」

 

 

 

「ごめん、それであの二人は何があったの?」

 

 

 

「オレっちが聞いた限りではあの赤髪の方がもう1人の方のパーティプレイヤーに攻撃をしたんだ、そしてそのままそのプレイヤーは……」

 

 

 

「でも、それなら復活出来るんじゃないの?」

 

 

 

「それが、そのプレイヤーは()()()()()()()だったらしくて、街に戻ってきたところで街にいるNPCに攻撃されてゲームプレイどころじゃなくなったらしいンだ」

 

 

 

今の話だけを聞いたらやられた側のプレイヤーがNPCを攻撃したことが原因だけど、それだとしてもなんの理由もなく攻撃するのは許せない……

 

 

 

「ちょっとハーちゃん、どこ行くんだ?」

 

 

 

「今のプレイヤーに話をしてくる」

 

 

 

いつの間にか言い争いが終わっていてどこかに行った赤髪のプレイヤーを探しに私は街の奥の方に進んで行った。

 

 

 

 

 

展望台:カフェ前

 

 

 

「あ?なんだお前」

 

 

 

「さっきの人のパーティメンバーをなんで攻撃したの?」

 

 

 

「そんなことお前みたいなやつには関係ねぇだろ」

 

 

 

展望台にあるカフェの前にいた赤髪のプレイヤーを呼び止めて話を聞いた。

 

 

 

「ブルーカーソルだからって攻撃する必要は無いと思うけど」

 

 

 

「ちっ………」

 

 

 

赤髪のプレイヤーは私が放った一言で何かに反応したのか私の近くに寄ってきた。

 

そのままウィンドウを開いて何かを操作したかと思ったらそのまま背中に大剣を出して私に攻撃をしてきた。

 

後ろに下がって攻撃を避けようとしたけど思った以上に大剣の攻撃範囲が長くて私は大剣が直撃してそのまま後ろにあった噴水に吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

「てめぇみたいなやつが偉そうにしてんじゃねぇよ、お前みたいなやつには()()()()()()()()()()()んだよ、英雄気取りの雑魚が」

 

 

 

「…………」

 

 

 

赤髪のプレイヤーは私にそういった後どこかに行った。

 

それと入れ替わりのように私に誰かが近づいてきた。

 

 

 

「大丈夫か、ハーちゃん………」

 

 

 

「うん……ダメージはないから」

 

 

 

噴水に入って濡れた装備のまま噴水から出て来てくれたアルゴに事情を説明した。

 

それの代わりにアルゴが私に赤髪のプレイヤーの正体を教えてくれた。

 

 

 

「あいつは《ジェネシス》っていうプレイヤーネームで、さっきのパーティ以外にもいくつかのブルーカーソルプレイヤーを片っ端から倒してるらしい、それだけじゃなく、NMモンスターなんかのドロップアイテムを奪ったり、色々とルール違反をしてるンだ」

 

 

 

「そう……なんだ」

 

 

 

「それだけでもアレだケド、あいつは黒い装備に黒い大剣、やってる事が黒いから《黒の剣士》なんて呼ばれてるらしい」

 

 

 

「黒の……剣士って……」

 

 

 

「あぁ、SAOやALOでのキー坊の2つ名ダナ」

 

 

 

「…………」

 

 

 

「ハーちゃん、とりあえず宿で今日は休もう」

 

 

 

アルゴに言われたとおり、私は宿屋に向かった。

 

 

 

(ジェネシス……黒の剣士……)

 

 

 

宿屋に向かった私は装備を解除してそのまま布団に倒れて考え事をした。

 

 

 

──誰も守ることは出来ねぇんだぞ

 

 

 

「どうすればいいんだろ……私」

 

 

 

私はウィンドウを操作した後、そのままログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハヅキ達がジェネシスと遭遇した頃……

 

 

 

ライム目線

 

 

 

フィリア、ライム、プレミアの3人はアルゴに頼まれてとある場所に来ていた……

 

 

 

「ここがアルゴに頼まれた場所……だよね?」

 

 

 

「そこに洞窟があります、気になります……つまり、行きたいです」

 

 

 

大樹を見上げている私とフィリアの背中をつついてきたプレミアはハヅキたちの話には聞かなかった洞窟の方に指をさしてきた。

 

 

 

「わかった、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洞窟内

 

 

 

「ここは……?」

 

 

 

洞窟に入った私たちを待っていたのは明るく光る鉱石のようなもので出来た通路だった。

 

その先には教会のようなものがあった。

 

 

 

「みて、ライム、ここに何か書いてあるよ」

 

 

 

「《女神より授かりし力の省庁である6つの聖石、そのひとつをここに祀る》……?」

 

 

 

「聖石って、アルゴ達が手に入れたって言ってたやつだよね?」

 

 

 

ハヅキが持っていた聖石というやつがここに祀られている、と言ってもどこにも見当たらないんだけど……

 

 

 

と、考えているとプレミアがいきなり祈りを捧げ始め、その直後、プレミアと教会のようなものが光出した。

 

 

 

それからしばらくしてプレミアの手元にアイテムが出現した。

 

 

 

アイテム:《煌めきの聖石》

 

 

 

「これが聖石……」

 

 

 

「残り4つなのかな……?」

 

 

 

「とりあえず帰ってアルゴ達に報告するか」

 

 

 

6つあると書いてある聖石の1つを手に入れた私達は街に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?ハヅキからメッセージ……」

 

 

 

しばらくはみんなだけで攻略して

 

わがままだけど、ごめん

 

 

 

「どうしたんだ……?」

 

 

 

ハヅキから届いたメッセージの真相を確かめるため、シズクと一緒にログアウトしてALOへと向かった。




おいっす

年末前の2話更新のひとつです。


こんなペースで投稿したせいで目指していたオリジン編年内終了が達成できなかった
来年は頑張るぞい


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第163話 迷いの居場所【折れた気持ち】

ALO:央都アルン

 

「そういう事か……それで、俺の元に来た、と」

 

「……うん」

 

《SA:O》からログアウトした私はALOにログインして春揮(ラギ)の元に相談をしに向かった。

 

「《SA:O》開始前も同じようにお前は俺の元に来たよな」

 

「そう……だったね……」

 

「俺が悩みを勝負で受けるのもいいんだけど、それじゃあ前と変わらないからな…それに回復しかけてる状態の今、体に負担かけたくないからな………」

 

「ごめん……やっぱり一人で考え──

 

「待てよ」

 

ログアウトしようとした私の腕をラギじゃない誰かが掴んで止めてきた。

私を呼び止めた人の方をむくと《SA:O》と同じくマフラーをしたALO姿のライムだった。

私の腕を掴むライムの表情は少し暗く、そして真剣そのものだった。

 

「なんだ、ライム達も俺に会いに来たのか?」

 

「それも間違いじゃないけど、目的はハヅキだよ」

 

「私……?」

 

「それじゃ、行こうか、シズクはラギと待ってて」

 

「分かった!」

 

シズクもいたんだ、と考える暇もなく私はライムに手を引かれてどこかに連れていかれた。

 

 

 

ラギ目線

 

「あいつ……相当ショックだったんだな」

 

「んー?」

 

「まぁ、ライムに任せるか……あとお前は俺に寄り添うのやめてくれ」

 

「えー……」

 

シズクに抱きつかれながら俺は俺に相談してきていたハヅキの辛そうな表情を思い出していた。

 

 

 

 

新生アインクラッド:第1層【原子の草原】

 

「この辺なら存分に戦えるな」

 

「なんでこんな所で……?」

 

ライムに連れられてきたのはアインクラッドの第1層の草原だった。

 

「気持ちをぶつけるとか無しに本気でハヅキとやり合いたくなったから広いとこに来た」

 

「なんで………」

 

「………?」

 

「なんで私なんかと勝負しようと思うのさ………」

 

「…………なんだ、そんな事か」

 

やる気にならない私の言葉を聞いた途端、ライムは剣を抜いて私に攻撃をしようとしてきた。

反射的にそれを避けて私も剣を構えた。

 

「ログアウト前にアルゴから聞いたけど、ジェネシスっていうプレイヤーに色々と言われたんだろ?そんなことだけで一々落ち込むのか」

 

「……ライムには分からないでしょ」

 

「たった一言で心が折れるやつとは違うかな、たしかに」

 

「私の想いなんてライムにはわからない……!!」

 

私は思い切り地面を蹴って片手に持った細剣に力を込めてソードスキルを放った。

 

 

 

 

ライム目線

 

(()()を相手するのはなれないなー……まぁ、向こうがその気ならやるしかないか)

 

抵抗と同時にソードスキルを放ってきたハヅキの細剣をタイミングを見て弾き飛ばしてそのまま自分の持つ片手直剣に力を込めた。

 

 

ソードスキル:ロスト・メモリー

 

ソードスキルが直撃したハヅキは少しと奥まで吹き飛んだ。

 

「ねぇ、ハヅキ、なんでハヅキがそうやって()()()()()ことばかり気にしてるのかわからない、だけどさ………」

 

攻撃を食らって少し戸惑っているハヅキを躊躇い無く抱き寄せてそのまま頭を撫でた。

 

「誰かを失う辛さはよく分かる、私も同じだから……それでも、その辛さに負けてしまえば誰かを守ることも、失うことさえも無い……失ってしまったら悲しい、だからといってそこで心が折れてしまえば次に守れるかもしれない人すら守ることはなくなる」

 

「ライム……」

 

「何度も心が折れてるらしいけどさ、折れたならもう一度直せばいい、弱くても誰かを守れる力はあるよ」

 

「………うん、ありがとう、ライム」

 

「なんて、こんなこと言ってもハヅキはまた、心折れそうだけど」

 

「…そう、かも……」

 

「そこは心折れないように心がけなよ……まぁ、また心折れそうになったなら私たちがいる、信頼してくれよ」

 

ハヅキの(無い)胸を堪能した後、ラギと合流した私はハヅキとラギを残して解散した。

 

「ハヅキちゃんに何を話したの?」

 

「さぁ、なんだろうね?」

 

「えー、教えてよー」

 

シズクにはハヅキと話したことを教えないままログアウトした。

 

 

結局、ハヅキは次の日はログインしてこなかったけど、《招待組》に事情を伝えると全員了承してくれた。

 

 

 

 

ALO

ハヅキ目線

 

「ラギ……もう少し一緒にいさせて」

 

「しょうがないな……明日はオリジンにログインしろよ」

 

 

 

 

 

SA:O

アルゴ目線

 

ハーちゃんがログインして来ない理由を聞いたオレっちは今、ピンチに陥っていた。




一応形上は今年最後の更新です

1年間お疲れ様でした

更新ペース来年はあげて
早めに次の章に進めて
別の作品にも手をつけるようにしたいです

目指せ1月オリジン編完結……!


年明け早々に特別編を投稿します、また特別編です。

皆さん、とりあえず良いお年を(まだ早いかな?)


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大晦日・年越し特別編

2025年12/31日

ALO

シルフ領:主街区【スイルベーン】

 

年末にも関わらずやることが無い俺とハヅキは入ることが許可されていたシルフ領の街にあるカフェでやること(クエスト)を探していた。

 

「もぐもぐ……るぁふぃ(ラギ)、これ……どう?」

 

「食べながら見せてくるなって……それでこれは?」

 

カフェで販売されていた割と美味しいハンバーグを食べながらクエストを見つけたハヅキに注意をしながら見せてくれたウィンドウを覗いた。

 

「超強力モンスターの討伐……?」

 

「うん……面白そうでしょ?」

 

「数日前にそこそこ強力なモンスターを数人で倒したばっかなんだけど……報酬は?」

 

数日前、クリスマスの日にクライン(実際はキリト)に誘われて高難易度と呼ばれるクエストに参加して実力者4人でも苦労するモンスターを倒した。

あれからそこまで日にちが経過していないためあまり乗り気にはなれないけど………

 

「《細刀:アラミタマ》……って、細剣か?」

 

「うん、そう見たい……それでこれなんだけど」

 

ハヅキはクエストの報酬の詳細を見せてくれた。

よく見たら細刀とやらは伝説級武器(レジェンダリーウェポン)だ。

あまり高難易度に反応しなさそうなハヅキが何故今回だけ反応したのか理解した。

 

まさか、年末に発生したクエストが《伝説級武器》を報酬にしているとは……

 

 

「わかった、そこに行こう」

 

「うん!」

 

俺とハヅキはクエスト発生場所の新生アインクラッド第5層にある洞窟の奥へと向かった。

 

新生アインクラッド第5層

 

「これが報酬に見あったボスモンスターか……」

 

「ラギ!避けて!」

 

想像してた以上に強いボスモンスターが現れたのは洞窟の最奥、途中に現れたモンスターはほぼ全てハヅキに蹴散らされていたため強さは不明だったが、ボスモンスターがここまで強いとは……

 

「ハヅキ、残り1ゲージまで減らせば俺の《スキルコネクト》を使える、それまでは普通のソードスキルで押し切るぞ」

 

「うん……!!」

 

俺はボスの攻撃を片手に持った《霊刀:イザナミ》で防いでそのままはじき飛ばした。

 

その隙にハヅキが細剣のソードスキルを放ち、そのまま俺も体制を直して片手剣ソードスキルを放った。

 

(このままだと俺らが押し切られる……残り半分を決めるにはこれしかない…)

 

ハヅキがボスの動きを止めてくれた瞬間を狙って俺は片手に力を込めてソードスキルを放つ。

 

(自分の思いを、力を込める……!!)

 

片手剣OSS:ユナイテッド・クロウ

 

「はあぁぁぁ!」

 

今までは練習でしか使ってなかった俺のオリジナルソードスキルをボスモンスターに隙を与えずに叩き込む。

残り1ゲージまで減ったボスの体力にハヅキがさらに細剣のソードスキルを叩き込み、イエローゲージまで減らした。

 

「ラギ!!お願い!」

 

「あぁ……!!」

 

俺は背中に背負っていた片手剣を抜いて左手に持ち、そのまま右手に力を込めてソードスキル、《ホリゾンタル・スクエア》を放ち、そのまま左手で《バーチカル・スクエア》を放ってさらに右手で《ユナイテッド・クロウ》を叩き込んだ。

 

ボスは体力が尽きて消滅、そのままクエストクリアのBGMが流れ、俺のウィンドウ(ハヅキと共通にしてるためハヅキのウィンドウでもある)にクエストクリア報酬の1つ、細刀:アラミタマの入手を確認した。

 

「重い……」

 

「ケットシーには辛い重さだなこれ……俺も辛いぞこれ」

 

「ま、まぁ、これから何とか持てるようにするよ」

 

その後、細刀の強さを確認した後、年越しは現実世界でということで現実世界、ダイシーカフェでいつものメンバーと合流して年越しを過した。

 

 

現実世界:ダイシーカフェ

 

「今年もみんなお疲れ様、来年もよろしく!」

 

「キリトがそんなことを言うと違和感あるわねぇ……」

 

「まぁ、年末ですし、お兄ちゃんが誘ってくれたから出来るんですから、たまにはいいんじゃないですかね?」

 

キャリバー獲得の時も似たようなことがあった気がするけど、今回の年越しのこの集まりは和人が計画し、ユイと明日菜にそれを伝えてダイシーカフェを貸切にしてもらい、集めたらしい。

そのため、和人が1年の締めの挨拶をした途端に里香が和人にちょっかいを出すような一言を言った。

 

「来年は平和で過ごせるといいな……」

 

ボス攻略が疲れたのか、途中で飲んでた飲み物のせいなのか分からないけど俺に寄りかかって寝ている葉月の隣で小さく呟いた。

 

「春揮、もうすぐ年越しだから葉月を起こしてくれ」

 

「了解」

 

寝てる葉月の頭を少し優しく撫でて葉月を起こした。

 

「それじゃ、改めて………あけましておめでとう!!」

 

こうして俺らは新しい年を迎えた。




ハッピーニューイヤー!

今年1年もよろしくお願いします(来年の抱負はこの一つ前の投稿見てね)

P.S.
時間ギリギリに書いたのでところどころ適当になってる可能性があります、そのため、途中で書き直しに来ます



【追記:2019/01/01 03:05】

片手剣OSS:《ユナイテッド・クロウ》
ラギの片手直剣オリジナルソードスキル
想い(イメージ)の強さを具現化した7連撃の剣技

細刀:アラミタマ(伝説級武器)
大晦日限定高難易度クエスト報酬
伝説級武器の名に恥じないステータスを持つ


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第164話 ワン吉とシズク【Part1】

《SA:O》

8日目

 

オレっち、《アルゴ》は今、最悪の状態を迎えていた。

 

「やめろって言ってるダロ!?」

 

 

数分前

 

ログインしてきたオレっちが攻略をしに行こうと思って転移門前に行くと小さい動物を抱えたシズクが歩いていた。

 

「あ、アルゴ!ちょうど良かった、ワン吉と一緒に街の中散歩しようと思ってさ」

 

「なんでオレっちにそれを頼もうと思うんだヨ!?」

 

シズクが連れていたのはワン吉と呼ばれるとあるクエストで育てることになった子犬、オレっちの苦手な小動物ダ。

よりによってなんで犬が苦手なオレっちを散歩に参加させるのかを聞くと他のメンバー、ハーちゃんは色々あって今日はログインしてこない。

ライムはプレミア、フィリアと一緒に新しいエリアの攻略に、レインはリアルが忙しくてログイン出来ないということで唯一残ってたのがオレっちだったらしい。

 

「待ち伏せしてたわけじゃないし…ワン吉も私だけじゃ可哀想だからさ、お願い?」

 

「はぁ……しょうがないナ」

 

後でライムに怒りをぶつけよう、そう決めてシズクとワン吉の散歩に付き合うことにしタ。

 

 

 

 

そして現在

湖畔公園:噴水前

 

転移門前を一通り歩いた後、1番散歩コースとして最適な公園の噴水前で1度、休憩がてらクエスト内容の再確認をすることにした。

 

「何でオレっちに寄せるんダ!」

 

「いいじゃん別に〜」

 

「良くナイ!」

 

シズクが受けたクエストの内容を見せてもらおうと思った直後、ワン吉がオレっちとシズクの間に入って来た。

近すぎるからシズクの方に寄せようと思ったが、何かの間違いでクエストが失敗になるのはシズクに悪い……ということで諦めて今は我慢することにした。

 

「それで、クエスト内容が……」

 

 

────

クエストNPCが事情があって飼おうと思っていた子犬が飼えなくなってしまったため、代わりに子犬を()()()()()()育てて欲しい。

────

 

ざっくりとしたクエスト内容、シズクがどう思うかはわからないケド、多分このクエストのクリア方法は……

 

「シズク、あまり言いたくないケド、このクエストは………」

 

「んー?」

 

クエストの内容の最後の《愛情を込める》ということ、その意味は普通に育てるだけではナイ、きっと、このクエストのラストは今、ワン吉と仲良くしてるシズクに伝えるのは辛い……ケド、伝えないと…

 

「最終的にワン吉とはお別れすることにナル」

 

「え……?」

 

オレっちから発せられた言葉を聞いた瞬間にワン吉と戯れていたシズクの動きが止まった。

 

「何言ってるのさアルゴ……いくら犬が苦手だからってそんなこと言わなくてもいいじゃん……」

 

「違う、オレっちだって──

 

「私は信じないよ!ワン吉と()()お別れするなんて信じない……!!」

 

シズクはオレっちの言葉を遮った後、ワン吉を抱いて商店通りの方に走り去ってしまった。

 

「シズク……オレっちだって言いたくて言ってるわけじゃないんダヨ……」

 

走り去っていくシズクの悲しそうな顔、あれが何を意味しているのかオレっちにはわからない、だけど多分シズクは過去に似たようななにかがあった……?

 

「なんて、考えても無駄……か」

 

オレっちはしばらくの間、クエストの内容に関して深く考え込んだ。

 

 

30分程後……

 

結局、最初に思ったクエストのラストで考えが落ち着き、どうしようか考えていると誰かが走ってくる音が聞こえた。

 

「アルゴ…助けて……!!」

 

声の主はシズクだった。

どう考えても普通のトーンではないシズクが衝撃の一言を放った。

 

「ワン吉が……どこかに行っちゃった……」




皆さんあけましておめでとう(時すでにお寿司)

見たいアニメ見たりほかの作品に手を出そうとして躊躇ったりしていたらこんなに遅くなりました。
前回の投稿年始ですよ、かれこれ3週間経ちました

そんな中存在を忘れてない人も少しはいたと思いますがお待たせしました、書く気が復活しました早く描きおえないとね

つい最近リアルも暇になったのでこれからはほかの作品含め更新ペース戻していきます



あ、ガンゲイルオンラインにも手を出したのでよかったらどうぞ


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第165話 ワン吉とシズク【Part2】

転移門広場

 

シズクの話によるとオレっちの所から去った後、商店通りの裏手にある雑貨屋でたまたま売っていた首輪をワン吉に装備した途端、シズクの手から離れてそのままどこかに行ってしまったらしい。

 

「それで、町中探したあとオレっちに助けを求めた、と」

 

「うん……それと、さっき取り乱しちゃったこと謝ろうと思って……」

 

「それはいいヨ、オレっちがシズクの過去にあったことを知らないのにいきなり言っちゃったんだからナ」

 

「それは後で話すね……とりあえず、ワン吉を探さないと」

 

冷静を取り戻したシズクはオレっちと一緒に大森林エリアから捜索を始めた。

移動中に攻略に出かけてるライム達にも協力を促した。

その時に【それは分かった、私たちで探してみるよ───後で話したいことがある】という返信が来ていた。

 

大森林エリア:祈りの大樹付近

 

大森林エリアの入口からかなり進んでプレミアが聖石を手に入れた大樹の近くまで行くとシズクが何かを見つけた。

 

「あれって……」

 

木に何科が引っかかっていたのをシズクが精一杯背を伸ばしてギリギリでとると手に持っていたのは赤い首輪だった。

首輪を見つけてオレっちの方に来ようとしているシズクの後ろ、木の上から複数のモンスターが降りてきた。

 

「シズク!後ろダ!」

 

「え……?」

 

モンスターの気配に気が付かなかったシズクはそのままモンスターに攻撃をされた───

 

と思いきやモンスターたちの元にシズクの姿はなかった。

 

「シズク!どこダ!?」

 

「私は大丈夫……ワン吉が助けてくれたから……!!」

 

いつの間にかシズクはオレっちの後ろで一回り以上大きくなったワン吉に乗っていた。

 

「ワン吉……行くよ!」

 

シズクがワン吉に指示を出した途端、ワン吉はさっき降りてきたモンスター達に向かって突進をしてモンスター達を蹴散らした。

 

 

数分後

ライムにワン吉が見つかったことを伝えた後、モンスターが出ないところまで移動した。

 

「ワン吉……大丈夫……?」

 

移動を終えてシズクを降ろした直後、ワン吉はその場に力なく倒れてしまった。

よく見るとワン吉は至る所に傷を負っている、多分シズクを助けた時にシズクを庇うようにモンスターの前に現れて攻撃を受けてしまったと考えられる。

そのままシズクに心配をさせないために無理してモンスターたちを蹴散らして今、力尽きてしまった……

 

「シズク、ワン吉は……」

 

「わかってたよ、元々……でも、せめて野生に返してあげたい」

 

「もちろん、オレっちだってシズクを悲しませたくはないからナ、傷を癒してあげる間に色々とワン吉に関して教えてクレ」

 

「うん……」

 

ワン吉の治療を開始すると同時にシズクは過去を話し始めた。

 

シズクは小さい時、6年ほど前に子犬を拾って家で親に反対されながらも自分の力で育てることを決めて飼うことになった。

その時にシズクが子犬に付けた名前、それがワン吉だったらしい。

ワン吉と一緒に過ごして1年ほどが経過した寒い日、ワン吉が急に起きなくなり、親と一緒に病院に連れて行くとワン吉は飼い始めた頃からずっと病気を抱えていて1年間生きていただけでも奇跡、と言われるまでに病状は最悪だった。

 

病気が発覚して数日後、ワン吉は……

 

 

 

 

「そんなことがあったのカ……」

 

「うん……」

 

「……よし、治療完了」

 

傷を直した後、ワン吉は立ち上がり、シズクの顔を舐めた。

 

「ワン吉……こんなに大きくなっちゃうと街の中じゃ飼えないよ……だから……」

 

シズクは泣きそうなのを堪えて最後の一言を放った。

 

「ワン吉、さよなら」

 

シズクは精一杯の笑顔を見せた。

ワン吉はシズクの気持ちがわかったのか、再びシズクの顔を舐めた後、そのまま森の中に進んで行った。

 

「ワン吉……また、会おうね……」

 

「シズク、泣きたいなら泣いていいんだゾ」

 

「うん……ごめん…アルゴ……」

 

 

 

 

それから数分後、街に戻ったオレっちは泣いていたことが嘘のように明るくなったシズクと一緒にメールで呼び出された宿屋に向かった。

 

 

 

宿屋:カフェスペース

 

「急に呼び出してごめん」

 

「いいや、オレっちだって急にメールでワン吉の捜索なんて頼んだしお互い様ダヨ」

 

宿屋にはライムとフィリア、そしてプレミアがいた。

 

「アルゴに話したいことがあってさ、それが……」

 

 

 




ワン吉‥‥お前のことは明日までは忘れない

俺なりにアレンジしたワン吉クエスト、あれはホロリアやった人なら絶対感動すると思う



攻略に向かったライム達、一体何をアルゴに伝えたいのか…?


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第166話 怪しい雲行き【違法プレイヤー】

アルゴ達がワン吉のクエストを進めるより少し前──

ジュエルピーク湖沼群:入口

 

少しでも早くボス部屋を探そうと思い攻略に出た私、《ライム》は一緒に来たプレミアとフィリアが見つけたとあるプレイヤー達の様子を伺っていた。

 

(あれは……NPCを囮にNMモンスター狩りをしてる……)

 

私たちより先に攻略に来ていたプレイヤー達はクエストNPCと思われる女性を囮にしてNM級のモンスターに攻撃をしていた。

もちろん、NPCは体力が既に半分以下になっている。

 

「あの人たち、止めに行くよ、ライム」

 

「りょーかい」

 

先に武器を持ってNPCを囮にしてるプレイヤー達を止めようとフィリアが動こうとして私に指示を出してきた。

私も続いて攻撃しようと考えて片手剣を構えてプレイヤー達を止めに入った。

 

「んだよお前ら、NMモンスターの報酬を横取りする気か?」

 

「そうはさせねぇぜ?なんたって俺らは秘技があるからな……!!」

 

二人の男プレイヤーはNMモンスターへの攻撃をやめてウィンドウを操作し始めた。

その隙にフィリアがNMモンスターにやられかけていたNPCを助けてプレミアと一緒にいるように指示をしていると……

 

「ぐっ……ぐあぁぁぁぁ!?」

 

ウィンドウを操作した2人が同時に苦しみだし、そのままどこかへ消えてしまった。

 

「ライム……今のって……」

 

「アルゴ達に伝えよう……とりあえずNPCを街に戻して攻略再開しよう」

 

 

 

 

 

 

 

────

現在:宿屋

 

アルゴ目線

 

「そんなことがあったのカ……それで、それ以外にもなにかあるんダロ?」

 

「あぁ、これを見て欲しい」

 

ライムは1つのメモのようなものを取り出した。

 

「なになに……『二人の巫女、神殿に6つの聖石を捧げ、祈りを上げた時、世界は新たに創造されるだろう』……?」

 

「2人の巫女……前にオレっちが見つけた洞窟に書いてあった壁画には巫女、祈り、聖石、そんなワードしか書いてなかったケド、ここで真相に近づいた……カ」

 

少し前、ハーちゃん達と一緒にプレミアの行きたいと言った場所に行った時、近くにあった洞窟で気になるものを見つけていた。

その時に書いてあった壁画の内容がさらに判明したところで問題は……

 

「プレミアが巫女だということは何となくわかるケド、もう1人いるとなると話は変わるゾ……」

 

「これをプレミアが無意識に入った洞窟で見つけた、それと3つ目の聖石もセットで」

 

無意識という言葉に気が引かれるケド、ここでそれは言わないトク。

ライムが取り出したメモには6つの聖石、と書かれている。

つまり、まだ残り3つを見つけないとこの謎は解けない……

そう言えば今2つはハーちゃんのストレージに───

 

「あと一つ、みんなに言いたいことがある」

 

聖石に関して考え始めた途端にライムが再び口を開いて少し真剣なトーンで一言放った。

 

「私たちがボス部屋に着いた時点であの、ハヅキとアルゴが遭遇したジェネシスとか言う奴、あいつがボスを倒していた」

 

「でも、次のエリアの解放がされてナイ、そういう事だよナ?」

 

ジェネシスというあの《黒の剣士》がボスを倒した、でも何故次のエリアが解放されてないのか?

オレっちが考えられることは2つ程ある……

 

「それに関しては俺から話す」

 

またまた考えを遮られた、またライムか、そう思ったケド今回は何か声的にも雰囲気的にも違う。

多分、今ここにいるメンバーは全員が驚きを隠せてないダろう、オレっちの後ろから聞こえた声の主、それは……

 

「ルー坊……」

 

「あぁ、正解だ、アルゴ」

 

黒髪にSAO時代に着ていた装備に似てる黒い服装、相変わらずな赤い目に背中に2本の剣を背負ったオレっちの相棒が宿屋の入口でハーちゃんと共に立っていた。




あいつがついに……?

何の説明も無いんじゃない、説明できるようなキャラがパーティに不在なだけだ。
奇声を上げて消えるプレイヤー、そしてNPCを囮に……

さらに聖石とプレミアの関係性、6つの聖石と巫女、祈り

何が起きようとしているのだろうか……?


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第167話 システム【グランドクエスト】

《SA:O》

βテスト:8日目

現実世界 7/7日 夕方

商店通り【宿屋】

アルゴ目線

 

「春揮…もう体は──

 

「その辺も含めて色々とお前らに説明する、とりあえず座ってくれ」

 

ルー坊はテンパっているシズクの言葉を遮ってハーちゃんと一緒に近くにあったテーブルに座った。

 

「とりあえずお前らにこの世界で今、起ころうとしてることと、既に起きてることを説明する」

 

ルー坊はそう言いながらオレっちとフィリアが座っているテーブルにハーちゃんと一緒に座ってウィンドウを全員に見えるように表示した。

 

「今、《SA:O》をプレイしてるアミュスフィアの大多数に大規模なラグが生じている、その原因は2つあるんだ」

 

「安心安全のアミュスフィアでなんでラグなんて起きるの?」

 

「原因の一つは多分お前らも遭遇したはずのVRドラッグ使用プレイヤー、通称《トランスプレイヤー》、そいつらの数が増えてアイツらがドラッグで体だけでなくアミュスフィア自体にも負担をかけ続けた結果、関係の無いアミュスフィアにラグが生じるようになったんだ」

 

「ドラッグ使用者って……昼間遭遇したヤツらだよね?」

 

ライムとフィリアが昼間に今の最新エリアの序盤に遭遇した突然苦しみ出したプレイヤー、それがルー坊の言う《トランスプレイヤー》ということにナル。

 

「そしてもう1つの原因がこの世界、いや、VR世界全てに関連する話になる」

 

「それってどういうことダ?」

 

「さっきお前らが話してたそこのNPC、プレミアを連れて行った時に発生するプレミア関連のクエスト、それは《グランドクエスト》なんだ」

 

確かに、プレミアを連れて行った時に限って特殊なクエストが発生した。

そしてついさっきそのクエストのラストが見えてきたところだ。

 

「でも、なんでそのクエストがアミュスフィアに影響を与えてるんダ?」

 

「問題はこのクエストが本来、βテストには実装されていないことなんだよ」

 

「じゃあ、なんでそのクエストが起動してるの?」

 

「このクエストが発生したのは開発段階で正式サービス時に実装するために用意しておいた《浮遊城》の生成、そのシステムの逆、《アインクラッド崩壊モジュール》が強制的に行われようとしている……だがアインクラッドはまだ未実装、お前らならどうする」

 

「無理やりアインクラッドを作ることの出来るシステムを起動する……」

 

「そう、この世界には1つの言い伝えが設定されている、それが──

 

──2人の巫女、6つの聖石、そして祈りの神殿へと祈りを捧げる。

──そうすれば大地が2つに割れ、災いが訪れるだろう。

──人々はそれを《大地切断》と呼ぶ。

 

「つまり、その《大地切断》を起こして……」

 

「アインクラッドを作り出し、そして《崩壊モジュール》ってやつを起動させる」

 

ルー坊は静かに頷いてウィンドウの表示を消した。

 

「一つだけ行っておくが、俺たち開発、《アーガス》は七色と俺、そして俺の信用出来る一部の人間にだけこのことは伝えてある……お前ら《招待組》は外部に伝えないようにしてくれ、一般のβテストプレイヤーはサプライズだと思っても……他のプレイヤーからすればアインクラッドの再生、さらにフィールドの1部崩壊なんてことを外部に知られればせっかくここまで進歩してきたVRも全ての研究が停滞することになる」

 

「わかった、オレっちたち以外には誰も伝えないようにするヨ」

 

「クエストのラストは今の最新エリアの次をクリアした後に現れるβテスト最終エリアの奥にある《祈りの神殿》、そこに2人の巫女と聖石を持っていけばクエストが発生する、もしも()()1()()()()()()()()()()()()()()()()が大地切断の話をどこかで嗅ぎ付けたら必ず引き止めてくれ」

 

ルー坊はそう言いながら再びウィンドウを操作してアイテムストレージから3つのアイテムを取り出した。

 

「お前らが多分困ってるだろうから持ってきたが、それがこのエリアの()()()()()()()部屋に行くためのアイテムだ……俺はまだ少し体の状態が良くないからログアウトさせてもらうが最終エリアまでには再ログインする」

 

「ルー坊、色々と教えてくれてありが──

「「待って……!!」」

 

オレっちがルー坊に感謝を伝えようとしたその時、ルー坊の隣に座っていたハーちゃんとオレっちの後ろに立って話を聞いてたライムが同時に声を上げた。

 

「……なんだ?」

 

「春揮だと思ってたけど……春揮じゃないよね」

 

「……ったく、勘の鋭いやつが多いね、このパーティ」

 

ルー坊、だと思ってた誰かは椅子から立ち上がり全員を見渡せる位置に立った。

 

「俺は……いや、僕は《白澤》、如月に頼まれてちょっと君たちにこのゲームのシステムを代わりに伝えに来たんだよ」

 

「なんで、春揮じゃないの?」

 

「葉月ちゃん、だっけ?君には悪いけど如月は今、《アンダーワールド》という世界を守る英雄様としてお呼ばれしてね、《SA:O》には数日間ログインできないと思う」

 

「でも、私は確かにさっきまでALOで春揮と一緒にいて、ログアウトも一緒に──

 

白澤、と名乗ったプレイヤーはハーちゃんの言葉を遮って説明を続けた。

 

「あんな体の状態でログアウトなんてしてみなよ、それに《SA:O》はβテストでまだメディキュボイドには対応してないんだってさ……如月が何を考えてるのかは僕にもわからないけど、先輩の僕にシステムの説明を丸投げするぐらいに今、あいつなりに大変なことに巻き込まれてるんだと思う」

 

「それなら私もその、あんだーわーるどって世界にログインすれば」

 

「そりゃ無理だろうね、多分もう、ALOにはいないから」

 

ハーちゃんが言ったようになんでルー坊はオレっち達も誘わなかったのか、そう思ったケド、《SA:O》開始前にルー坊はこう言っていた。

 

──俺がなにかに巻き込まれてもお前らはその世界を守ってくれ。

 

ルー坊はこうなることを理解した上の発言だったのか……?

 

 

 

 

後で話を聞いた限り、2日ほど前に異変に気がついたALOログイン中のルー坊がちょうどログインしていた《開発関連》で先輩後輩の関係の白澤にシステムの全てを説明して七色に最終的な結論を貰った後、次にログインできるチャンスを使ってハーちゃんにもバレないように特別なアカウントでログインしたらしい。

 

 

「あ、君たちに1つ伝言」

 

「…?」

 

「『必ずもどる、待っててくれ』」

 

オレっち達はその伝言を見て少し安心した後、次の日の作戦会議をしてこの日はログアウトした。

 

 

現実世界:7/7 20:00

病院:春揮の病室

 

「春揮……待ってるよ……」

 

私はベットに横たわっている春揮の左手を優しく握った。

 

「如月はきっと帰ってくる、こんなやつでもSAOをクリアに導いたんだからな」

 

いつの間にか後ろにどこかで見覚えのある男の人が立っていた。

 

「改めて僕は《白澤 直木》、アーガスの開発責任者の1人だ、騙すようなことしてごめんね、葉月ちゃん」

 

「大丈夫……」

 

「如月が心配なのはわかるよ、僕だってこいつがアーガスに入ってきた時は大変だったからね…でも、こいつは馬鹿みたいに無理なことするけど、その逆に無理なことを絶対に諦めない、それが如月春揮だ」

 

「………うん」

 

「絶対、何も無かったような顔して戻って来るよ、それまでは如月の帰りを待とう」

 

「……ありがとう、ございます…」

 

この後、白澤さん(?)に自宅に送って貰ってこの日は寝た。




なんか凄い日にち空いてる気がする、気のせいかな


さて、春揮じゃない春揮が登場しました
共作でお世話になった方のオリキャラでした。


大地切断云々がわかりにくいと思った方、それな

春揮は影武者(?)を使って別の用事、《アンダーワールド》に向かった。


次回はALOです。


あ、みんなお待たせ


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第168話 戦争の幕開け【アンダーワールド】

ALO:浮遊草原ヴォークリンデ

現実世界:7/7 10:00

ラギ(春揮)目線

 

「なるほど……」

 

昨日からログアウトせずに俺と一緒にいる《猫妖精(ケットシー)》ハヅキの寝顔を見ながら俺は突然届いたメッセージを見て一言を呟いていた。

差出人は珍しく《鍛冶妖精(レプラコーン)》のリズベット……だけでなくハヅキと同じ種族のシリカの2人から同じ内容のメッセージが届いた。

 

─詳しい説明は後でする(ので)アルンの大広場に来て(ください)

 

こんな体調の俺に何の用だ?と思ったその時……

外部と繋げてあるメッセージボックスにメールが届いた。

 

────

説明を書いてる暇はないっス、でももし君が動ける状態なら《アンダーワールド》へ向かって欲しい。

あの世界を……この世界を救うために、無茶だとは思ってるっすけど、よろしくっす

 

比嘉タケル

────

 

メッセージの送り主は《比嘉タケル》という男、確か数週間前に俺に《ラース》という所から手伝いをして欲しいという内容でメッセージを送ってきた気がする(アーガスで忙しかったから無視したけど)

メッセージの内容通りならアンダーワールドに何かが起きたらしいが、あの世界にログインする方法は無いはず……

 

「ん……春揮……?」

 

隣でゴソゴソした(メッセージを見ていたから)俺の横で目を擦りながら起き上がって俺の名前を呼んだ。

 

「おはよう、ハヅキ……悪いが先にログアウトして、《SA:O》で待っててくれ」

 

「ふぁ……わかった、待ってるね」

 

ハヅキは眠そうな声で返事をしてそのままログアウトボタンを押した。

昨日、ALOにログインしてきたハヅキが心を落ち着かせた後、オリジンの現状を全て聞いてアルゴ達に伝えないといけないことを知らせることに決めた。

そのため、俺もログアウトしてオリジンにログインしたいところだが……十日前にALOにログインする時に七色に

 

「別ゲームへのログインは現実の意識がない状態じゃ無理よ」

 

と言われてしまったため、俺はログアウトしても昏睡状態のまま、ログインは不可能だ。

ちなみにALOへのログインはギリギリ残っていた意識を無理やり繋いでログインを試みた。

 

「ハヅキには悪いが……あの人に頼むか」

 

俺は現実世界との連絡機能を使って今1番頼れる人に連絡をした。

その人は俺がSAO開発時に世話になった《白澤》という男、たしか先輩だったはず。

 

「…と、言うことで頼みます」

 

『まぁ、めんどくさいけどお前がそういうことに巻き込まれるのはいつもの事だからな…ラーメン食ったら行くわ』

 

最低限のことだけ伝えて残りは七色から聞いてもらうようにしてもらってオリジン組に現状を伝えるように頼んだ。

そして最後に「必ず戻って来る」と伝言を伝えて通話を切った。

 

 

「よし、行くか……」

 

俺はそのままとある場所に向かった。

 

 

 

────

ALO:央都アルン

現実世界 12:00

リズベット目線

 

アインクラッドのキリト達のログハウスでユイちゃんに頼まれた事を実行するため、手分けしてフレンドたちにメッセージを送ってから数十分、集まってくれたメンバー(3000人強)全員に私たちが聞いた話全てを話した。

もちろん、誰も信じようとはしてくれないし帰ろうとしてる人もいる。

それは私達も信じ難い話、だけど……

 

「アンダーワールドの住民は……私たちがVRをプレイした記憶、人間そのものなのよ!」

 

どれだけ力強く説得をしても誰も聞く耳を持ってくれない、もうダメかと思ったその時………

 

「その話、少し疑深いが乗ってみようではないか」

 

「そうだネ、この人達が嘘を伝えるためにこんなに人を集めるようなことはしないからネ」

 

大人数の中で唯一、賛成の声を上げたのはシルフ領主のサクヤ、そしてそれに続いて声を上げたケットシー領主のアリシャの2人だった。

 

「それに、話の本筋であるキリトがここ十日ほどログインしていないというのも気に──

 

「信用してくれないやつは抜けてくれて構わないぞ」

 

サクヤが確かに、と思うことを口にしている途中にいきなり空中から声が聞こえた。

その声の主は私たちの前に降りて来て剣を地面に刺した。

 

「俺達は本気で話をしてる、お前らがどう受け取るかは知らないが、今回の件はこれから先、このVR世界にも影響を及ぼすことになる」

 

目の前に降りて来て話をしたのは現実世界で昏睡状態になっているけどALOにはログインしていた《ラギ》だった。

 

「遅れてすまん、少しだけ野暮用を済ませてきた」

 

「それはいいけど、アンタの他の仲間は?」

 

「あいつらは今回の件には巻き込みたくない、だから今回は俺だけで行く」

 

ラギの目は何かを考えている様子──キリトがいつも本気を出す時に見せる目に似ている。

 

「お前らに大変なことを任せるかもしれないけど、頼む」

 

ラギは唐突に3000人の方に向いて頭を下げた。

 

「この世界を……アンダーワールドの住人を救うために俺たちに力を貸してくれ!」

 

ラギがいきなり頭を下げてまでお願いをしたからなのか、3000人から否定の声は聞こえてこない。

 

 

「……行くぞ、アンダーワールドに」

 

ラギは地面に刺した剣を抜いてそれをしまって一言を呟いて全員が《コンバート》の準備をした。

それから数分後、全員で同時にコンバートを行った。




ついに……アンダーワールド編が始まる……!?

と、言いたいところですが数話だけオリジン編に戻ります。
もう少し、待っててください。


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第169話 新たな力【謎のスキル】

《SA:O》

9日目:昼

商店通り:宿屋

ハヅキ目線

 

ボス戦を終えた私達は宿屋で休憩をしていた。

春揮の見た目をした白澤さんに教えて貰ったボス部屋の場所に行って渡されたアイテムを使うとボスが現れた。

アルゴ、ライム、シズク、フィリア、プレミア、そして私の6人で何とか倒して街に戻ってきた。

 

 

「んな事があるわけねぇだろ!」

 

ぼーっとしていると宿屋の入口に見覚えのある大男、ジェネシスがライムと何かを言い争っていた。

 

「お前らも見たと思うが俺はボスを倒したんだぞ、それなのになんのヒントも出ないってのはおかしいだろ」

 

「確かに、ヒントは無かった」

 

「テメェらがどんな手を使ったかは知らねぇが、次は俺が攻略してやる」

 

ジェネシスはそう言って一瞬だけ私と私の後ろにいるプレミアの方を見てそのまま宿屋の外に出て行った。

 

 

 

 

「なんだったんだ……」

 

ライムはそう呟くと私と同じテーブルに座ってコーヒーを注文した。

 

「ねぇハヅキ、もしさっきのジェネシスって男がプレミアの特別な力に気がついて、もう1人の巫女を探し出したとしたら……」

 

「それって………クエストを進める可能性がある…?」

 

「もしもの話だけどね、一応、これからは警戒だけはした方がいいと思う」

 

ライムはそう言うとウィンドウを少し操作した後、シズクと一緒にレベリングに出かけて行った。

それに乗じてアルゴは情報収集、プレミアは散歩に出て行った。

 

「ハヅキちゃん、良かったら私と一緒に攻略行こう?」

 

「……うん、ちょっと槍を試したいし行こう」

 

こうして私とフィリアの2人で新エリア《クルドシージ砂漠》の攻略に向かった。

 

 

 

 

 

 

その頃……

 

商店通り:湖畔公園連絡通路

 

路地裏とも言える公園に向かう薄暗い通路でプレミアはジェネシスと遭遇していた。

そしてジェネシスはプレミアの役割に勘づいていた。

 

(こいつはいつもあの蒼目のやつと一緒にいるな、もしこいつがクエストとかの起動源になるとすれば………)

 

 

 

 

 

 

《クルドシージ砂漠》

入口付近

ハヅキ目線

 

「フィリア、スイッチ!」

 

細剣に比べてリーチが長い槍の特徴を活かして少し遠くから相手の攻撃を弾いてフィリアに攻撃のタイミングを与える。

そしてフィリアが攻撃をした後に私も連続して攻撃を加えてモンスターを倒して熟練度を少しずつ上げていく。

 

「ハヅキ、これなんだろ?」

 

「えっと……《暗殺剣》…?」

 

フィリアが見せてくれたスキル獲得の欄にはまだ獲得は出来ないけど見たことの無いスキルが表示されていた。

名前は《暗殺剣》、確か春揮が《エクストラスキル》を何個か用意してあるって言ってたけど………

 

「ハヅキ、進めるところまで進んだらアルゴに聞いてみよっか」

 

「うん、そうだね」

 

このまま私達は夕方まで熟練度を兼ねて攻略を進めた。

そしてその間に私の槍スキル欄に《無限の幻影茨》というスキルが追加されていた。

 

 

 

 

商店通り:武具店前

 

街に戻るとプレミアが散歩をしていた。

声をかけたけど、今までのプレミアと反応が違って無言でそのままどこかに行ってしまった。

まるで、()()1()()のプレミアのような雰囲気だった。

 

「あ、アルゴ!」

 

プレミアの様子に関して考えているとフィリアがアルゴを見つけてそのまま駆け寄って私とフィリアの見たことないスキルのことについて聞いた。

 

「それは、見たことないナ、多分今のところは2人だけが解放できてるスキルダ」

 

「エクストラスキルってこと?」

 

「多分そうだろうナ、それよりお二人さんにお知らせだ」

 

アルゴはそう言うとウィンドウを操作して1つのアイテム……プレミアのクエストに必要な《聖石》の4つ目だった。

 

「ハーちゃん達が攻略に出ていった後、シズク達が1度戻ってきてプレミアを連れていったらしいんダ、その時に聖石を入手したらしい」

 

「つまり、残り2つ……」

 

聖石のことに関しても少し気になることはあるけど、アルゴに一応プレミアの様子が変だったことに関して話したけど、アルゴは違和感を感じなかったらしい。

 

 

結局、暗いプレミアの正体はわからないままこの日はログアウトすることになった。




なんかよく見たら1週間1話更新続いてるっぽい
お久しぶりです、ネタ切れとか言わないで

この作品のリメイク版のネタを考えていたら前回から1週間経ちました
そう、リメイク版です


次回は早めに投稿したい


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第170話 泥酔少女【悪影響デバフ】

《SA:O》

10日目:朝

リューストリア大草原

 

前日にとあることを知った私は朝早くからログインして槍の熟練度を上げるために草原エリアへと向かった。

その途中でシズクとライムの2人と合流して一緒に向かうことにした。

 

 

 

「ハヅキちゃん、スイッチお願い!」

 

「わかった……!」

 

SA:O(オリジン)の第1エリアということもあって倒しやすくてレベリングにちょうどいいNMモンスターの討伐を始めてすぐにシズクが見たことない大剣を構えて私にスイッチをするように指示してきた。

モンスターの攻撃が当たる寸前に槍を両手で持って持ち手の部分で防いでそのまま勢いで相手を後ろに押し返した。

 

「シズク、スイッチ!」

 

「うん!」

 

私が声をかけると同時にシズクは私の前に出てモンスターの腹部に3連撃程のソードスキルを放った。

その攻撃がトドメになってNMモンスターはそのまま地面に倒れたあとエフェクトと共に消滅した。

 

 

「……よし、次行こっか」

 

「その前に休憩しよー」

 

朝早いということもあって1回の先頭で少し疲労が溜まった私達はシズクの提案で近くの岩場で休憩することにした。

 

 

「ん?なんだあのモンスター?」

 

ふと気がつくと私たちの岩場のすぐ側にキノコのようなモンスターが大量に近寄ってきていた。

あのモンスターどこかで……と、思ったその時──

 

私たちの周りに現れたモンスターからこれまた見覚えのある粉のようなものが噴出された。

私とシズクはそれを吸ってしまい、そのまま意識が暗転してしまった。

 

 

 

 

 

商店通り:宿屋(ライムの部屋)

ライム目線

 

「……はぁ」

 

私は自分の部屋で布団に寝ている女の子二人を見ながら深くため息をついた。

別に、この2人に対してのため息では無い、前にも同じ目にあった自分の危機感に対して呆れて出たため息だ。

 

2人が浴びたのは前にハヅキが受けた《酔い》の効果をプレイヤーに付与するデバフ効果のある花粉……のようなものだ。

その場に倒れた2人を何とかして近くの転移石まで運んでさらにここまで連れてくる間、全く起きる気配がなかったためかなりの苦労になってしまったのは黙っておこう。

 

「にしても、よく寝てるなぁ……」

 

私のベッドで横になっている2人は同じような体制で幸せそうに寝ている。

それを見てここまで運んできた疲れは少し取れたような気がする。

 

「ん……ライム……」

 

「あ、シズク、起きた…っておい!?」

 

寝ぼけた声を出しながらシズクが起きた……と思いきや急に私の手を引っ張って2人の間に私は倒れ込んでしまった。

 

「ちょっ、シズク……どこ触っ……て」

 

「えへへ~、なんかふわふわする〜」

 

「いや、そういう話じゃないって、とりあえずそこ触らな……いで」

 

この直後、ハヅキも起きて私は……いや、思い出したくない。

 

 

 

商店通り:湖畔公園

ライム目線

 

あれから小一時間が経過して酔いが覚めた私達は湖畔公園に売っている肉まんを買って食べているとハヅキが動きを止めて話を始めた。

 

「2人に先に話すけど……昨日、春揮の病院に行ったんだ」

 

「うんうん……ふぉれで(それで)?」

 

「春揮はもう戻って来てるみたいなんだけど、ALOからログアウトして今は意識が戻るのを待つらしいんだ」

 

春揮は三日前、アンダーワールドとやらの救援に向かってそれから音沙汰も無いと思ったけどまさかそういう事だったとは……

 

「一応、体の方は回復してきてるみたいだから、数日もしないうちにこっちに来れるらしいよ」

 

「なら安心だね、春揮が戻ってきた時に《大地切断》って言うのが起きないように私たちでプレミアを守ろう」

 

こうして私達は少し元気を出して攻略やクエストを再開することにした。

 

 

 

 

リューストリア大草原:謎のエリア

ハヅキ目線

 

熟練度上げを再び始めた私はP()K()をする《もう1人の巫女》と遭遇した。

 

 

 

 

 

 

 

2026 7/7

《アンダーワールド》

ALO増援組

ラギ目線

 

「ぜってぇにお前らだけは俺が……倒す!」

 

俺は()()に力を込めて目の前にいる敵に剣を向けた。




少しずつ、歯車は進み、そして狂う……
10話ほど前に書いた気がするハヅキ泥酔回の続編が登場
今回は前よりも際どく、そしてシズクも被害にあいましたとさ

春揮は既に戻ってきているようだが意識をALOから遮断、戻るまではオリジンにもログイン出来ないらしい……

熟練度上げを再開したハヅキは攻略の《鍵》と遭遇……は少し先の話(話数的な意味)

そして次回、ついに《アンダーワールド戦争編》が始まる……!!


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アンダーワールド戦争編
第171話 アンダーワールドの救世主


現実世界2026 7/7

暗黒界(アンダーワールド)

創世神ステイシア/アスナ目線

 

アンダーワールド、菊岡さんや比嘉さん達が海上にある《ラース》という施設で開発を進めていた新たな仮想世界、私はそこにログインした。

たった一人、この世界で戦い続けている1人の少年……キリト君を助けるために

 

スペシャルアカウント、創世神ステイシアとしてこの世界に降りた私はしばらくの間、戦い続けた、だけど私の力だけではこの世界外から来たアメリカプレイヤー達には叶わず、精神喪失状態で車椅子に乗っているキリトくん、そしてキリト君とこの世界で師弟関係にある少女と共にボロボロの遺跡の中に追い詰められてしまった。

 

「これでお前も、その黒服の男も全員皆殺しだ!」

 

赤い鎧の集団(アメリカ勢)の1人が剣を構えて私たちの方に向けてそう言うとその周りにいたプレイヤー達が詠唱を始めた。

その詠唱は私も聞いたことがあった、ALOのプレイヤー達がよく使う攻撃魔法と同じ詠唱だ。

 

「キリト君を連れて2人だけでも逃げて!」

 

「そんなことは出来ません!アスナ様もキリト先輩と一緒に逃げないと……」

 

そんな一瞬のやり取りのうちに向こうの詠唱が終わって様々な属性の魔法や矢が私たち目がけて飛んでくる。

 

 

下がれ──

 

ふと、耳元でそう囁かれて私は瞬間的に1歩だけ後ろに下がった。

すると私の目の前、魔法が飛んできている方に1人、見覚えのある装備に身を包んだプレイヤーが剣を右手に持って立っていた。

 

 

 

 

 

 

数分前

ALO増援組

アンダーワールド:暗黒界

ラギ目線

 

アンダーワールドにALOからコンバートをした俺とALOの軍勢はコンバート完了直後に各地に散らばってコンバート前にユイに教えられたアメリカからのプレイヤーを止めるために行動を始めた。

そんな中、俺とSAO組(リズ、シリカ、クライン、エギル)は全員で近くにあった遺跡のような建物に向かって進んでいた。

 

「道を開けろ……邪魔だ──!!」

 

片手剣SS:ヴォーパルストライク

 

向かっている間も俺たちに攻撃を仕掛けてきた赤鎧のプレイヤー(アメリカ勢)を蹴散らして先に進む道を開こうとしたが数が圧倒的に多く直ぐに道を塞がれてしまう。

 

「ラギ!ここはあたし達に任せてあんただけでもあの遺跡に行って!」

 

「でもお前らは……」

 

「これぐらいなら私たちだけでも大丈夫です!アスナさんがいるかもしれないのでラギさんは先に行ってください!」

 

リズとシリカは立ち止まった俺に向かってそう言ってきた。

俺はこの場を4人に任せて遺跡の中に入っていった。

 

 

遺跡の中はアメリカ軍勢の雄叫びと魔法の詠唱の声が反響していた。

ALOから来たプレイヤーだからこそALOの魔法詠唱をしている、ということは今の詠唱は誰かを狙って……?

 

「あそこか……!!」

 

詠唱が終わる前に詠唱を行っていたプレイヤー達を見つけることが出来た。

詠唱をしていたプレイヤーの前にはスペシャルアカウントでログインしたアスナと2人の少女が車椅子に乗った1人を庇うように立っている。

見た限り止めようと動こうとしているが外の軍勢にここまで追い詰められて体力的にも辛い状態の様子だ。

 

「今だ──打てぇい!」

 

アメリカのプレイヤーとは思えないほどにペラッペラな日本語を放った一人の男プレイヤーの指示と同時に周りの詠唱が完了し、アスナ達目がけて魔法を放った。

 

 

「下がれ、アスナ──」

 

俺は自分でも驚くぐらいの速度で動きアスナ達とアメリカ勢の間に入りアスナに向かってそう呟いて直ぐに剣を抜きソードスキルを放たれた魔法に向けて使う。

 

片手剣SS:スキル・イクスプロード

 

10発の魔法全てを今までスキルコネクトを使って放ってきたSSを無理やり使い()()()

アスナは何度か見てきたからかあまり驚いていないがその後ろにいる2人の少女やアメリカ側はざわついている。

 

「ら、ラギさん……?」

 

「悪い、感動の再会とやらはあとだ」

 

アスナ達を安全な場所に連れていきたいがそんな暇はない、アメリカ勢の中にいる()()()()をどうにかしないと……

 

「よぉ、ひっさしぶりだなぁ……つってもおめぇとあった事ねぇか」

 

「お前、ラフィンコフィンの《PoH》だな、キリトを狙って何する気だ」

 

 

 

「───それを知る必要は無いでしょ、君はここで死ぬんだから」

 

俺が立っている位置とアスナ達の間、俺の背後から突然声がした。

攻撃はなんとか防ぐことが出来たが声の主は多分………

 

(アスナ、悪いがPoHはお前に任せる……)

 

俺は後ろにいる声の主を追いかけて遺跡のさらに奥の方に向かって行った。

その時、アスナと車椅子に乗っているキリトに一言を呟いて行った。

 

俺と入れ替わりでSAO組がアスナの元に来たのは今の俺は気が付かなかった。

 

 

 

遺跡奥

ラギ目線

 

「そろそろいいだろ、お前」

 

「そうですね、そろそろあなたを殺すいいタイミングですかね」

 

俺と目の前にいる()()()は同時に剣を構えた。

 

「行くぞ、空……!!」




はい、《魔法破壊》来ました

お久しぶりすぎです、干からびてました。
SAOアリシ(アニメ)もついに次回前半最終回になりますが
俺はその先の話の割と終盤

早く書こうと思ったらこんなに日が空いた、怖い

*ちなみにサボっていた訳ではありません、決してサボったとかじゃない


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第172話 英雄VS敗北者

アンダーワールド

ダークテリトリー中心地点

遺跡(廃墟)

 

「その名前はここでは辞めて欲しいですね、如月さん」

 

「お前にもその名前を呼ばれたくはねぇよ」

 

被っていたフードを取った空はさっき俺を狙った短剣を再び構えて俺の発言に答えた。

俺もそれと同時に片手に《神剣デュランダル》を構えながら空の言葉を返した。

 

「一つだけ聞かせろ、お前はなんでこんなことを続けるんだ」

 

「そんなの、あなたに復讐するために決まってるじゃないですか」

 

「……そうか」

 

オーディナル・スケール事件で戦った後、姿を見なくなった空だがまさか改心もせずに俺への復讐とやらのためにアンダーワールドで殺人ギルド《ラフィンコフィン》の生き残りであるPoHと手を組んでいるとは……

 

「もうお前と話すことは無い、ここで倒させてもらう」

 

「ボクを倒す……ねぇ」

 

 

空は俺の言葉を聞いた後、構えた剣から光を放ちながら俺の方に一直線に向かってきた。

俺はそれを軽く避けつつ同じように剣を持つ手に力を込めてソードスキルを放つ。

 

片手剣SS:スラント

 

様子見を兼ねて1番弱いソードスキルを放ってみたが予想通り空は《ヴォーパルストライク》の反動をほぼ無視して俺の攻撃を弾いて隙をついて連撃を入れてきた。

 

そしてこの時俺は少し変な感覚を感じていた。

 

 

「どうですかこの世界の()()は!」

 

「そういう事か……っ!」

 

連撃を入れてきたあとも休むことなく攻撃を続けている空が発した『痛み』という言葉、それはその名の通りこの世界はALOやほかのVR世界とは違い、現実世界同様の痛みだ。

 

「直ぐに楽にしてあげますよ……如月春揮…!!」

 

「それはこっちのセリフだ」

 

お互い、ダメージを受ければそれだけの痛みが体に来る、俺の今の体の状態からすればあまりダメージは喰らいたくないということになる。

 

「せやあぁぁ!!」

 

空:SS:ホリゾンタル

 

考えている間にも空はソードスキルを放ち俺にダメージを与えようとして来ている、俺はそれを回避して隙を狙っていたが──

 

俺の目の前にいたはずの空はいつの間にか俺の後ろにまわっていた。

 

「そこだぁ!」

 

防ぐ暇もない速度で空は俺の右腕に剣を突き刺してそのまま切り裂いた。

 

「くっ………」

 

空は俺の落ちた右腕から《デュランダル》を取ってそのままそれを左手に持った。

 

「これで完全にあなたの負けだ、抵抗せずに大人しくボクに殺されてくれ」

 

「断る」

 

「……なら、避けてみろ!」

 

右腕を切られた痛みをなんとか堪えながら俺は俺の剣を拾って二刀流になった空の連撃をギリギリで避けた。

 

(くそ……避けてるだけじゃ何も出来ない……)

 

「隙あり……っ!」

 

一瞬だけ動きを止めたのを空は見逃さず、俺に連撃を叩き込んだ後、左手に持った《デュランダル》で俺を突き刺した。

 

 

「かはっ……」

 

俺はデュランダルが刺さったままその場に倒れてしまった。

 

HPゲージこそ右腕を切られた時から一気に減って既にレッド寸前、それも尽きるのは時間の問題だ。

 

「無様ですね、ボクを倒すなんて言ってたくせに、これでトドメです」

 

「く……そ……」

 

もうダメだ、そう思ったその時──

お守り兼装備として使っていた《ルミナスリング》が光りだして空の攻撃は途中で止まった。

それと同時に俺の体力がイエローゲージまで回復し、体からデュランダルが抜かれた。

 

『さぁ、立って、ルシハ』

 

「その……声は………」

 

空の攻撃を止めていたのはオーディナル・スケール事件以降、消えてしまったと思っていたルナだった。

 

「なんでボクの邪魔をするんだ……!!お前を殺したのはそいつだろ!」

 

『違うよお姉ちゃん、何度もそういったはずでしょ』

 

「ルナを見殺しにしたのはそいつだろ!」

 

『もういいよ、何度言ってもわからないならそのままで……ルシハ、私の全てを使ってあなたに力を与える』

 

「……お前はどうなるんだ」

 

ルナの言った()()という言葉、それは多分──

 

『じゃあね、ルシハ……さよなら』

 

「おい……!?」

 

ルナは光となって消滅した。

それと同時にルミナスリングもエフェクトとともに消滅してしまった。

 

「…………」

 

「全く、邪魔が入るなんて……まぁ、これで邪魔者も消えたわけだしもう1回君の剣で君自体を突き刺してあげるよ」

 

ルナが消滅したという事実を受け入れられないまま戦意喪失している俺の横に落ちているデュランダルを拾い空は再び俺にデュランダルを刺そうとしてきた。

 

───諦めるでない、お主はまだ戦える

 

当たる、そう思った寸前に俺は誰かの声が聞こえて左手に無意識に1本の黒い剣を持っていた。

 

「なっ……!?」

 

無意識に空の攻撃を弾き、空の手からデュランダルを弾き飛ばして俺は立ち上がった。

 

「まだ……お前に負けてねぇ」

 

黒い剣……《霊刀イザナミ》を地面に刺して俺は1つの単語を口にした。

 

「《エンハンス・アーマメント》!!」




ユージオのロスが辛すぎたのも原因

どうも、どんな話だったか忘れてる人、俺だ

あまりにも期間が開きすぎて何したいのかわからなくなってきた

いや、ネタがねぇとかそういうわけじゃねぇのよ?
決してそういう訳ではありません、はい

ルナはルミナスリングと共に消えました。

次回は早くなる

って前回も言ったな


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第173話 武装完全支配術

数ヶ月前───

東京都内:アーガス社内会議室

 

「武器の記憶?」

 

「ええ、あなたのこれの場合は設定、となるけどね」

 

俺はALOから送った《霊刀イザナミ》の武器データを見ながらセブンの解析の結果を聞いていた。

 

「設定、ねぇ……」

 

「どんな記憶が武器に宿っているのかとかはあまりわからないけど、もしかしたらいつか使える時が来るかもだからこれだけは覚えておきなさい」

 

セブンは机の上にメモ用紙のようなものを置いて俺に見せてきた。そこに書いてあった文字、それこそが───

 

 

現在:アンダーワールド

 

武装完全支配術(エンハンスアーマメント)!!」

 

霊刀を地面にさしてそう叫んだ直後、霊刀は黒から赤い剣になり、赤黒い炎を纏った。

 

「へぇ、奇妙な技を使いますね」

 

「まぁな……行くぞ、空!」

 

俺はそれを地面から抜いて空の方に向けて構えた。

構えた霊刀には赤黒い炎が消えることなく纏っている。

そう言えば《イザナミ》という女神の神話を聞いたことがあるような……

 

「その剣に纏っている炎、所詮見た目だけでしょう?」

 

「なら、受けてみるか?」

 

俺は剣を構えている左手に力を込めて空に接近しながらソードスキルを放つ。

 

片手剣SS:ホリゾンタル

 

「その程度のソードスキ──なっ……!?」

 

空が驚いた理由、それは俺が放った《ホリゾンタル》は普通の軌道を描きつつその軌道に炎を放っていたからだ。

簡単に避けられると思っていた空は驚いた拍子にバランスを崩しそのまま炎を纏った《ホリゾンタル》を直撃した。

 

「ぐあっ──」

 

空は攻撃を受けた腹に《霊刀》から放たれた炎を受けてそのまま倒れた。

俺はそのまま倒れた空の近くに行って剣を空に向けて構えた。

 

「これでもまだやる気か、空」

 

「……言ったはずでしょう、ボクはあなたには負けない、と」

 

空はそう言ったその瞬間、謎の光とともに小規模な爆発を起こした。

 

「──くそっ!?」

 

気を抜いていた俺は爆発の寸前に空が俺の持っている霊刀に向けて何かを投げたらしく、そのまま霊刀を手放してしまった。

 

「甘く見ましたね、あなたが秘技を隠してるようにボクにだって最終兵器はありますよ」

 

「お前……まさか……!」

 

砂埃が消えて空の姿が見えるようになったその時、俺は変化した空の姿を見て嫌な予感をしていた。

 

「どうですか、この《スペシャルアカウント:サタン》は」

 

空の言う《サタン》というのは俺が菊岡から念のために受けとった《STL》の中に入れているアンダーワールドで特殊な権限を持つアカウントだ。

だがそれは──

 

「お前アーガスで何をした!?」

 

「さぁ?今からボクに倒されるあなたには関係ないでしょう?」

 

「許さねぇ……!!」

 

サタンのSTLが置いてあるのはアーガスの一室、普段は俺やセブンぐらいしか入ることさえ出来ないようにしたはずだが、空は何かしらの手段を使ってSTLが置いてあるアーガスへ侵入してその部屋に入ったという事だ。

よりによってあの部屋の管理者となっている俺は昏睡状態、セブンは俺の体の状態を見るために病院にずっといる。

アーガスの社員の一部には空の存在を伝えているはず…

ALOなら現実にいるセブンへと直接連絡が取れるがここはその機能も使えなくなってアーガスの状態を確認する方法が1つしかない。

 

「なにボーッとしてるんです?」

 

「さあな……」

 

俺は手放してしまった霊刀を拾おうと動いたその瞬間、空の手から光が放たれて俺を貫いた。

 

「かはっ──」

 

「その剣をあなたに持たせなければあなたに勝ち目はない、そうでしょう?」

 

「………」

 

空は霊刀を拾った。

その瞬間、赤い霊刀はさらに濃い赤色になり、そのまま──

 

「なっ──」

 

「残念だが、お前にはその霊刀も、そのアカウントも使いこなすことは出来ねぇよ」

 

「なぜ立てる!?ボクの技は──」

 

「悪いがお前が放った技は《光》だ、お前が持った霊刀は偽物だ」

 

俺が拾おうとした霊刀は空が何かしらを使ってスペシャルアカウントを使いこなした時用に用意していた偽物、空がスペシャルアカウントになる寸前に持っておいて正解だった。

偶然空が《サタン》の特殊攻撃の1つ、妨害魔法を使ってくれたからあえて倒されたように見せて空に拾わせることが出来た。

そして、本物は弾き飛ばされる前に天井に投げておいた。

偽霊刀が起こした爆発によって天井に刺さっていた本物が俺の手元に落ちてきた。

 

「アーガス社員や千秋、招待組のみんなにお前は危害を加えた、それだけは許さねぇ」

 

俺は()()()聞こえた声を思い出して《武装完全支配術》と同様に炎を纏った霊刀を地面に突き刺した。

 

「リリース・リコレクション!!」

 

そう叫んだ直後、俺の周りと俺の右半身が炎に包まれた。




あー遅い、遅すぎる

まぁ、武装完全支配術が出たら、ねぇ?
ラギの秘策は
アリシゼーション、ユージオ対ベルクーリ戦を思い出してくれればわかりやすいと思います
ここから一気に投稿したい、早く終わらせるために


P.S.平成で終わらなかった


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第174話 記憶解放術

あの時──

空に負けてしまう、そう思った時聞こえた声はあの後も少しずつ声をかけてきていた。

 

──お主はまだ負けてはおらぬ、仲間がいるじゃろ?

 

そうだ、俺には仲間がいる、だけど今ここにはいない

 

──お主の持つ剣にはまだ力がある、それを使うのはお主じゃ

 

そんなこと言われたって俺にはそれは使いこなせないだろ?

 

──お主は1人で戦ってきた訳では無い、今消えてしまった者も、お主を今も思っている大切な人達だって一緒に戦っておる

 

何が言いたいんだ?

 

──お主には()()()()()()がある、お主は《創造》出来るのじゃよ

 

それがこの武器の()()()()()とやらを出せるのか?

 

──もちろん、お主の力でその武器の《記憶》を解放してやるのじゃ

 

結局、お前は誰だ…?

 

──わしはカーディナル、この世界の()()()管理者じゃ

 

 

 

カーディナル、そういった声の主は《武装完全支配術》を超える術がつかえる、そう言っていた。

そして俺はそれと同時にとあることを思い出していた。

 

 

 

---

数ヶ月前

東京都内:アーガス社内

 

「ねぇ、春揮君は《イザナミの伝説》を知ってるかしら?」

 

「そりゃ、伝説系統を読み漁ってましたから、それでそれがどうかしたんですか?」

 

「前に話したあなたの持つ霊刀、イザナミの設て……いいえ、記憶とやらがもしもイザナミの伝説に関係してるとしたら、って思ってね」

 

確か、イザナミの伝説はこうだ。

兄であるイザナギという神と交わり様々な神を産んだ。

その時に火の神である《カグツチ》を産んだ時にイザナミは()()()()()()を負ってしまい命を落としてしまった。

(中略)

何やかんやあって黄泉の国とやらで追いかけてきたイザナギを追い払いイザナミは黄泉の国の支配者となった。

 

 

思い当たるところでは強力な術として使える伝説はない。

 

「まぁ、もしもイザナミの伝説を元に記憶が武器に宿っているのならこれを」

 

こうして俺はもう1枚、同じように文字が書かれた紙を貰った。

その紙に書いてあった文字、それこそが──

 

 

---

アンダーワールド

 

記憶解放術(リリースリコレクション)!!」

 

そう叫んだ直後、俺の体の半分が赤黒い炎に包まれた。

そしてそれと同時に炎に包まれた右肩から右腕が再生した。

 

(これがイザナミの持つ全ての《記憶》、迦具土神を産みやけどを負った時の苦しみとやけどの原因の《黒炎》……!!)

 

「さぁ、決着をつけようぜ、空」

 

「どんな技を使おうがあなたはボクには勝てませ──いつの間に─!?」

 

「遅い──!!」

 

俺は空が強気になって挑発をしているのを無視して接近して空の左手に持たれている《デュランダル》を奪い取った。

 

「────穿て、迦具土神」

 

「な───」

 

奪い取ったと同時に左手に持っている《イザナミ》を空の左手に刺して一言呟いた。

その直後、剣が刺さっているところから黒炎が上がり空はあっという間に炎に包まれた。

 

「こ、こんなもの………お前ごときに負ける訳には──」

 

「お前はSAO開始時、デスゲームと化したあの世界で生きることを、先に進むために道を切り開くことを諦めた。その結果、第一層に引きこもって商売をするだけの生活になりそうになった、その時にお前は大切な妹から差し出された救いの手を『自分は弱い』そう思って救いの手を拾わなかった、そして結局お前の妹、ルナ……美月はSAO第一層迷宮区で命を落とし、帰らぬ者となってしまった」

 

「………あぁ、そうだよ」

 

俺は空に刺した剣を抜いて術を解いて言葉を続けた。

 

「お前がSAO第一層で何もしていない間、多くのプレイヤーが傷つき、多くのプレイヤーが命を落とし、多くのプレイヤーが悲しみ、辛い思いをした」

 

「…それがどうしたのさ」

 

「お前は《お前が救えば死ななかったかもしれない》1人の命を見捨てたんだよ……俺みたいにな」

 

あの時、俺があと一歩、それだけ動けていれば──

 

「あなたが動いていれば美月は死ななかったでしょう!?」

 

「お前………!!」

 

少しは反省してくれたと思ったがさすがに無理だったようだ。

こうなったら改心させる前に──

 

「SAO第一層で引きこもってた《負け組》には何も言われたくねぇよ、自分の弱さを隠すために誰かを傷つけるようなやつに何かを言われる意味はねぇ…ここでくたばれ、雑魚が」

 

俺は再生した右腕に持った《英雄剣デュランダル》を空の方に構えてそのまま力を込めてソードスキルを放つ準備をした。

 

──お主たちの世界で言う《ソードスキル》とやらはこちらの世界では《想像力》で全てを作り出すことが出来る。

 

葉月やセブン、招待組のみんなが俺を待っている。

だからこそこんなやつに足止めをくらっている訳には行かない。

 

「これでトドメだ、敗北者(ルーザー)!!」

 

片手剣10連撃OSS:ユナイタル・クロウ

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「くそ………負けるか──!!」

 

「悪いがお前にはここで眠ってもらう──穿て、迦具土神」

 

「やめ───」

 

ソードスキルを打ち終えると同時に空に剣を突き刺して俺は再び術を唱えた。

すると空は剣が刺さった場所から炎に包まれてその場に倒れ込んだ。

 

「やった……のか」

 

俺はその場に倒れた空を見たあと剣をしまって遺跡の出口側に向かった。

気づいた時には《記憶解放術》も解けていた。

 

 

 

アンダーワールド

廃墟と化した遺跡:入口

 

「おぉ?楽しもうぜぇ、黒の剣士」

 

「お前と楽しむなんて嫌だけどな……」

 

俺が遺跡入口に戻るとそこにはフードの男(PoH)がどこか懐かしい黒い服装に身を包んで片手にこれまたどこか懐かしい黒い剣を持った数分前まで車椅子に座っていた少年に足止めをされていた。

キリトの後ろにはALOから来たいつものメンバーがボロボロの状態でキリトの方を見ていた。

 

「よ、春揮、来てくれたんだな…って言ってもお前もボロボロか」

 

「お前こそ、この世界で無茶し過ぎだよ……俺はもうこの世界にはいれないがあとは頼んだぞ、キリト」

 

「あぁ、任せとけ」

 

この戦いの決着を見る前に俺はセブンに付けられた《無茶しないようにする装置》(通称:遮断機)の基準値を超えてしまったらしく、ALOへと戻った直後にログアウトしてしまった。

結局、意識がもどるまではVRには入れなくなった。

 

──葉月、今はまだお前の元には行けない、もう少し、待っててくれ

 

 

数日後

 

「あー……うん、聞こえるし大丈夫」

 

「まさかアーガスに侵入されてたとは……それより、ラギっち、早く入らないと」

 

「あ、あぁ、行ってくるよ、《SA:O》に」

 

 

―――

現実時間 7/10

ソードアート・オリジンβテスト10日目

 

「おい、そいつをよこせ」

 

「断る……!!」

 

私、葉月はジェネシスと《もう1人の巫女》に遭遇していた




終わりたかった
祝、ソードアート・オンライン悪剣投稿から1周年

それまでに終わるという野望は儚く散った。
まぁ、こんな作品書いてるけど受験生ですし、今年(書いてなかった理由それではないのだが)

こんな感じで進めば遅くもなるよ、しょうがない

さて、説明、ナニソレオイシイノ?
記憶解放術の説明に関してはどうせ俺なんかより詳しい人はいるよ、うん

何あれ一年間ありがとう、そしてこれからもよろしく


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ホロウ・リアリゼーション編 終章
第175話 2人の巫女


現実時間7/10

SA:Oβテスト10日目

リューストリア大草原:???

 

私、ハヅキは昼間に色々とハプニングを起こした後、一人でレベリングと槍の熟練度上げのためにSA:O(オリジン)の第1エリアのモンスターを狩っていた。

奥に進み始めたその時、森の奥の方で悲鳴に近い叫び声と同時に何かが消滅した音が聞こえた。

その音がしたところに向かうとそこには───

 

「…………」

 

プレミアに瓜二つの少女……いや、もう1人の巫女がNPCを右手に持った細剣で殺していた。

もう1人の巫女は私に気がついたのか私の方に無言で向いてきた。

なんでここにもう1人の巫女が、そう思っていたその時、もう1人の巫女がたっている所に近い木の影から見覚えのある赤髪の黒服の男が出てきた。

 

「どうだ、躾がなってんだろ?」

 

「ジェネシス……!!」

 

2日ほど前、エリアボスの件で宿屋に来て以来どこに行ったのかと思えば、もう1人の巫女を……?

 

「なんで、NPCを襲ったの?」

 

「こいつのクエストを進めるために必要な石ってやつをあいつが持ってたんだよ、だから襲わせた、こいつにな」

 

「……なら、このクエストの結末も知ってるの?」

 

ジェネシスの言うもう1人の巫女のクエスト(正確にはプレミアともう1人の巫女のクエスト)、βテストでは発動させる予定のないはずだった大地切断(グランドクエスト)、それがクリアされれば………

 

「世界が新しくなる、って話だろ?」

 

「あなたはこのクエストを進める気なの?」

 

「あぁ、もちろん進めるに決まってるだろ?」

 

「そんなこと───

 

私の質問に対してのジェネシスの回答に反論しようとしたその時、私とジェネシス、そしてもう1人の巫女は3人とも元いたエリアとは別の場所に飛ばされた。

 

「何が……?」

 

突然の事で言葉には出来なかったけど前に春揮が「1部のクエストは進むとエリアが変化する」って言ってた気がする。

ジェネシスが聖石を手に入れたことでクエストが進んだとしたら……?

 

「テメェら、あの石は何個持ってんだ?」

 

「……4個」

 

「俺らは2個、そして巫女って役割のNPC(モブ)が揃った、ってことは残りは祈りの神殿ってやつに2人連れてけばいいんだろ?ってことでお前らのとこのモブをよこせ」

 

「断る……!」

 

もし、ここでジェネシスにプレミアと4つの聖石を渡したら次のエリアにある祈りの神殿で2人の巫女の祈りを起こすはず、そんなことさせたら《SA:O》は存続不能レベルの災害が起きてしまう。

 

「ちっ、どうせそういうと思った、そいつをぶっ倒して石を奪え」

 

「……はい」

 

ジェネシスが指示するともう1人の巫女が細剣を私の方に向けて構えて攻撃をしてきた。

プレミアと模擬戦をした時のことを思い出してさすがに槍で戦うには辛いと思って直ぐに片手剣に持ち替えて攻撃を不正だ。

 

(相手はNPC、攻撃はできない……)

 

この世界のシステム上、NPCに攻撃をすればブルーカーソルになる、それだけは避けないと……

 

「あなたは……こんなことをしていいの……!?」

 

「……っ!」

 

私が声をかけたことで一瞬、もう1人の巫女に動揺が見えた、これならジェネシスの言うことを聞かせる前に───

そう思っていたその時、私は横から来た両手剣の攻撃をまともに受けて吹き飛ばされた。

 

「ったく、テメェらだけじゃねぇってことを忘れんなよ、おい、そいつにトドメをさせ」

 

「………」

 

「早く殺れって言ってんだよ!」

 

何かを考えているのか動きが止まったもう1人の巫女をジェネシスは蹴り飛ばした。

 

「私は………っ!」

 

迷いを払ったのか険しい表情で剣を構えて私の方に向かって走って攻撃をしようと剣を振りかざした。

 

(このままじゃ……)

 

片手剣を構える暇もなくもう1人の巫女の攻撃が当たる、そう思ったその時──

 

「絶技、サウザンド・レイン!!」

 

「なっ───」

 

「え……?」

 

私が来た方から無数の剣のようなものが飛んできてジェネシスともう1人の巫女に当たるギリギリを通り抜けた。

そしてそれと同時に私の前、もう1人の巫女の攻撃を弾く音がした。

 

「お待たせ、ハヅキちゃん」

 

私の前に現れたのは赤がメインのメイド服の様な装備に2本の剣を持った女の子──レインだった。

 

「春揮くんと約束した、ハヅキちゃんは私が守る」

 

「ちっ、まあどうせ次のエリアに行かねぇと行けねぇんだ」

 

レインが剣を構え直すとジェネシスは諦めたのか武器をしまった。

 

「青眼の方、次のエリアの奥にある神殿にお前の方のモブを連れて1人でこい、そこで決着をつけてやるよ」

 

ジェネシスはそういうともう1人の巫女と一緒にどこかに行ってしまった。

 

「あ、ありがとう、レイン」

 

「うん、無事でよかったよ」

 

ちょっとしたハプニングを終えた私と助けに来てくれたレインの2人でお互いの活動報告をしながら街に帰った。

 

「今までリアルが忙しかったけど残り4日はこっちにログイン出来ると思うよ、だから改めてよろしくね、ハヅキちゃん」

 

「うん、よろしく、レイン」

 

色々と起こったこの日はログアウトして次の日、《招待組》が全員集まってボス攻略をすることにした。




やっぱり早く投稿しないやん
ブックオフなのに本ねぇーじゃん

はい、話の時系列わからなくなりかけてるけど入れないと行けない話、もう1人の巫女との遭遇
ちなみに時間的には【泥酔少女】の回と同日です

ちなみにレインさんはスキル無しに二刀流です、さすが


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第176話 女子会

現実時間7月11日

SA:O

βテスト 11日目

 

「ハーちゃん、レイン、フィリア、プレミア!」

 

アルゴがシズクとライムと一緒にエリアボスの攻撃を受け止めているうちに私を含めた4人で一気にボスに攻撃を叩き込む。

 

ハヅキ:片手直剣SS《バーチカル・スクエア》

レイン:二刀流OSS《サウザンド・レイン》

フィリア:短剣SS《ダブルアクセル》

プレミア:細剣SS《シューティングスター》

 

HPがレッドまで減っていたボスは私たちの4連攻撃で体力が尽きてそのまま消滅、私たちの上に【Congratulation】の文字が表示されてそれぞれストレージに報酬が入った。

その後私達はそれぞれ手分けしてアルゴ率いる夕立の霧雨は攻略したという情報を各地に伝えに行き、私とレイン、プレミアは次のエリアの転移門解放(アクティベート)をやりに行った。

 

 

 

《オルトラム城砦》

 

「よし、アクティベート完了」

 

「ありがとう、レイン、着いてきてもらって」

 

「ハヅキちゃんについて来たのは無理に先に進ませないためだよ」

 

レインはそう言いながらウィンドウを操作している。

確かにレインがいなかったら無理してでも先に進もうと考えていた、まさか読まれていたとは思わなかったけど……

 

「色々話したいけどそれは街に戻ったらにしよ?」

 

「あ、私今日はこれでログアウトする」

 

「んー、なら私もこれでログアウトしちゃおうかな」

 

聞きたいことがあったけどセブンに呼ばれていることを思い出した私はレインにログアウトすることを伝えた、するとレインもログアウトすると言ってきた。

この後、街に戻った私とレインはそれぞれログアウトをした。

 

 

 

《SA:O》内

宿屋:夕立の霧雨共同寝室

 

「あれ?ハヅキちゃんログアウトしちゃった」

 

「まぁ、しょうがないよ」

 

情報を各地に伝え終えたシズクとライムはついでの買い出しに行ったアルゴとフィリアの帰りを待ちながらフレンドリストを覗いていた。

 

「春揮……戻ってくるのかな…」

 

フレンドリストを見ていた手を止めてとあるフレンドのプロフィールを表示したシズクは小さな声でそう呟いた。

 

「まだ、気持ちは変わらない?」

 

「うん……無理だってわかってるけど、諦められないよ……」

 

「その気持ちはわかるよ、でも……」

 

ライムは自分の好きな人を思い、泣きそうになっている幼なじみの頭を優しく撫でながら言葉を続けた。

 

「春揮が選んだのはハヅキ、私達は選ばれなかった……だからこそ、私達はあの二人を守って、応援するしかないよ」

 

「うん………」

 

「それに、約束しただろ?春揮が戻ってくるまではハヅキを守って、笑顔で春揮を迎えるって」

 

「うん、そうだよね……」

 

2人はそれぞれ、お互いの気持ちを持ちながら、再び覚悟を決めた。

それを、扉の向こうから聞いている影があった。

そして、シズクのフレンドリストに1つの通知が来たが、シズクは気が付かなかった

 

PN:《haruki》

login

 

 

 

 

 

現実世界

7月11日

午後8時半

 

「ふわぁ……」

 

葉月は眠い目を擦りながらあくびをした。

普段ならまだ大丈夫なはずだが今日は何故かいつもに比べて眠気が強い、なんて考えていると……

 

「しっかりしなさいよ、いつ春揮が戻ってくるのかわからないんだから」

 

「ご、ごめん……」

 

リズベットが割と強めに葉月の背中を叩き、眠気を少し吹き飛ばして喝を入れた。

今、葉月がいるのは巨漢……エギルが経営している《ダイシーカフェ》、急遽呼ばれて行ってみるとそこにはセブン、リズベット、シリカ、直葉、シノン、そして私の6人がこの空間を貸切っていた。

 

「ところで、明日奈はなんで居ないの?」

 

「アスナはあのバカ(キリト)と一緒に向こう(アンダーワールド)に残ったわ、いつ戻ってくるのかはわからない」

 

「それより葉月、あなたこの状況で『なんでここに呼んだの?』とはならないのかしら」

 

「あ、うん……なんとなくだけどわかった気がするから」

 

多分、リズベットが計画したんだと思うけど、(エギルを除いて)女子だけで集まってパーティでもやろう、とかそんな感じだと思っていた。

実際、その通りだった。

 

お互い、状況報告とかしながらエギル(と厨房にいる誰か)が用意してくれた料理を食べてごく普通の、平和な時間を過ごした。

 

結局、解散になったのは11時頃だった。

 

 

 

次の日、少し遅れて昼頃にオリジンにログインした私はプレミアを連れて新エリアであり、神殿のある《オルトラム城砦》の攻略を進めることにした。




タイトル詐欺じゃないもん、内容薄いのが悪いんだもん

あ、俺のせいか


無駄に女子しか出てこない回だったからある意味女子回

次回はそうはいかないようですよ……?


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第177話 黒の剣士:ジェネシス

現実時間7月12日午前11時頃

《SA:O》

βテスト12日目

 

オルトラム城砦:神殿周辺

 

「プレミア、下がって!」

 

「分かりました、スイッチです!」

 

ログインした私は街にいたプレミアを誘って2()()()()()新エリア、《オルトラム城砦》の攻略を開始した。

エリアに入った直後、私達は4体のゴーレム型モンスターに囲まれて戦闘になった。

突然の事で武器を装備できなかった私を庇いながらプレミアが時間を稼いでくれたおかげで装備できた私は直ぐにプレミアに指示を出して攻撃を叩き込んだ。

 

「……よし」

 

「大丈夫でしたか?」

 

「うん、プレミアのおかげで助かったよ、ありがとう」

 

「はい、それより……」

 

感謝を返してきたプレミアはそのまま城砦、神殿の入口を向いてしばらく沈黙を続けた後、直ぐに言葉を続けた。

 

「ここに、私と同じ《役目》を持っている《巫女》がいるんですよね」

 

「うん、ジェネシスと一緒に奥にある神殿で待ってるはずだよ」

 

一昨日、街に戻った私とレインはジェネシスに言われたことを含めてプレミアがどんな役割なのかをプレミアに説明した。

それで何かプレミア自身に変化があるかと思ったけど何事もなく「分かりました、そういうことなら」と一言だけ放って一緒に行く約束をした。

そして今日、招待組のほとんどがログインできないと聞いたため、プレミアと一緒にこのエリアの攻略と共にジェネシスと決着をつけることにした。

 

「とりあえず攻略を進めよ、プレミア」

 

「はい、私も頑張ります」

 

セブンにこっそり聞いた話とは違って何故か入口には封印のようなものが施されていた。

それを解除するために必要なアイテムを神殿の周りにあるエリアに居た4体のボスを倒すらしい……けど

 

「プレミア、下がって!」

 

「………っ!」

 

2体目のボスが1体目のエリアに現れてしまって2人だけで倒すのは難しくなった。

何とかしてプレミアだけでも助けないと───

 

「ハヅキちゃん、避けて!」

 

「え……?」

 

反射的に避けたその瞬間、両手剣を持ったプレイヤーが1体目を、片手剣を持ったプレイヤーが2体目に攻撃を入れた。

 

「シズク、ライム……なんでここに…?」

 

ログインしてこないはずの2人がボスの攻撃を受け止めていた。

 

「たまたま、って言ったら嘘になるけど……とにかく2人は奥に向かって」

 

「私達だけじゃないよ、他のメンバーも他2体を倒しに行った」

 

どこでここの封印の解き方を知ったのかとか色々と聞きたいことはあるけど……シズクの言う通り私はここで足止めされる訳には行かない

 

「私達はここの封印とやらを解いたら街に戻るように他のみんなにも伝えてある、だからハヅキは気にせず向かって」

 

「うん、分かった、このお礼はいつか精神的に──!」

 

私は2体のボスを2人に任せてプレミアを連れて入口に戻った。

移動してるうちにボスが倒されたらしく、入口は入れるようになっていた。

 

「行くよ、プレミア」

 

「はい、シズクたちの為にも……」

 

私はフレンドリストを開いてみんなに感謝しつつ周りのモンスターを倒して神殿の奥へと進んで行った。

そして───

 

小一時間ほど経ってついに私達は神殿の最深部と思われる場所に到達した。

そこには思った通り、ジェネシスともう1人の巫女が待っていた。

 

「やっと来てくれたか、まぁ、来なかったらお前の仲間をぶっ倒して石を奪うだけだが……」

 

「やっぱり、大地切断を起こすつもり?」

 

「そういっただろ?テメェに話すこともねぇよ、とにかく……石をよこせ」

 

「断る……!!」

 

私はプレミアに下がるようにハンドサインを出して片手剣を構えた。

ジェネシスも同様にもう1人の巫女に下がるように指示を出して両手剣を構えた。

 

(ここで負ければ大地切断が起こってしまう……そんなことは絶対にさせない、負けない……!!)

 

「何ぼーっとしてんだ、オラァ!」

 

「なっ……?」

 

思った以上にジェネシスの攻撃が早く、私はプレミアのところまで吹き飛ばされてしまった。

 

「ちっ、もっと手応えのあるやつだと思ったんだがな……まぁ、これでトドメってことだ」

 

「プレミア、下がっ───

 

「お前も下がってろ」

 

プレミアだけでも助けようとしたその時、私は誰かに背中を押されてそのままプレミアと一緒に地面に倒れた。

倒れてすぐ体制を立て直した私の視界に入ってきたのは──

 

「見たことねぇやつだが……てめぇは誰だ?」

 

「俺は英雄でもなければ勇者でもない───」

 

見慣れた装備に身を包んだそのプレイヤーは聞きなれた声でジェネシスの質問に答え、そしてこう言った

 

「光の剣士、ハルキ……お前を倒す者だ」




ついにやつが……

戦闘なんてかける自信ない

ということでこうなったけどついに次回はジェネシス戦


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第178話 光の剣士:ハルキ

SA:Oβテスト12日目

祈りの神殿前

ハヅキ目線

 

「ハルキ……」

 

「遅くなってすまん、積もる話は後だ」

 

私達を助けてくれたハルキは一瞬だけ私の方を見て一言だけ呟いて直ぐに目の前のジェネシスの方を向いた。

 

「光の剣士ダァ?仲間のピンチに駆けつけてヒーローのつもりか?」

 

「言っただろ、俺は英雄でもなんでもねぇよ………!!」

 

ハルキはジェネシスの発言を返しながら剣を構え直した。

剣を構えたハルキはどこか懐かしい……SAOと同じ姿に見えた。

 

 

ハルキ目線

 

「さぁ、始めようぜ、《黒の剣士》」

 

「言ってくれるじゃねぇか……オラァ!」

 

ジェネシスは簡単に俺の挑発に乗り手に持った大剣を振りかざして俺に攻撃をしてきた。

ソードスキルでもなければ相手もまだ本気を出していない攻撃だからこそ簡単に防げた……が、病み上がりの上リハビリ途中で無理に入ってきた俺からすればそこそこ重い攻撃に感じる。

 

「ハヅキ、お前はプレミアと一緒に下がってろ」

 

「う、うん……」

 

今の状況だとハヅキ達をかばいながらジェネシスの攻撃を防ぐだけでもそこそこ大変だ、だからこそハヅキには下がってもらう、そして──

 

「ここだ……っ!」

 

俺はジェネシスの連撃を途中で避けて攻撃を仕掛けた。

ジェネシスはすぐに体勢を立て直して両手剣SSを放ち、俺はそれをもろに受けてしまった。

 

(さすがに即死ではないか……とはいえ何度も受ける訳には行かない)

 

「オラァ!さっさとくたばりやがれ!」

 

「くっ………」

 

ジェネシスはSSを打った後にもかかわらず直ぐに追撃をして来た、俺はギリギリで受け止めてジェネシスの攻撃を弾き返して距離を取った。

そしてこのタイミングでハヅキ以外の招待組から聞いた話の真相を確かめるためにジェネシスに質問をした。

 

「お前のその強さについて……わかったことがある」

 

「あぁ?」

 

「お前の強さはこのゲーム内の最前線プレイヤーを超えていると思う、正直な話、普通にプレイしてるだけじゃここまでたどり着けないだろうな」

 

「なんだ?俺が普通のプレイヤーじゃねえって言いてぇのか?」

 

「あぁ、お前も()()()()だろ?」

 

「はぁ!?てめぇみたいな凡人が俺と同じことをしてるわけがねぇだろ!」

 

果たして、ジェネシスは何に対して《同じこと》、と言っているのか……

それをバレないように少しずつ聞き出していく。

 

「俺も、《あの味》を1度知ってしまったからこそ、今もやめられない、カーディナルが目を光らせていないシステムの穴をついてまでやってしまう」

 

「てめぇも俺と同じように()()()()()()()()()()()()()のか?」

 

「……………」

 

「答えろ!てめぇは何をした!?」

 

「ジェネシス、お前は一体何を話してるんだ?俺が話してるのは《VRの経験量》だ、VR世界に入ってしまえばたちまちその世界に魅了され、最前線で戦える強さを身につけようと永遠に遊べる、徹夜してもカーディナルには怒られないし飯を抜いてでもやってしまう、俺はそんなことに関してお前も同じやつだと感じてたんだが……」

 

 

ジェネシスの発言で確信が着いた、つまりジェネシスは───

 

「お前、アミュスフィアを改造なんてしてるのか」

 

「てめぇ………!!」

 

「………聞いたか、セブン」

 

『ええ、バッチリ聞こえてたわよ』

 

俺は外部との連絡用に接続してあった通信機能に話しかけて現実世界でとある事情の後始末をしながら待機しているセブンを呼んだ。

 

「なっ、てめぇ誰と話してんだ!?」

 

「こいつはセブン……このゲームの開発をした1人…七色博士、そういった方がわかるか?」

 

『あなたのやっていることは全部聞かせてもらったわよ、そんなことやって許されるわけないでしょう?』

 

「……なら、俺を倒してこの世界の崩壊を止めてみろよ、英雄気取りの剣士」

 

「セブン、こいつの始末も後で頼む」

 

『わかったわ、私は先にあっちを片付けとく』

 

セブンに向こう(現実世界)を任せて俺はやる気になったジェネシスを倒すことを決めて再びジェネシスに向けて剣を構えた。

 

「そう来ないとなぁ………」

 

ジェネシスはウィンドウを操作した、その直後、一瞬だけ苦しんだ後、直ぐに《NM》と同じようなオーラを放ちながら大剣を構えた。

 

「てめぇも本気で来やがれ!手加減なしで叩き潰してやるよ!」

 

「………わかった、お前がその気ならやってやるよ」

 

俺は全意識を《想像力》に変えてとある日の自分の姿をイメージした、そして俺は見た目こそ変化はないが武器にとある力が宿り、目は赤色に変化した。

 

「さぁ、始めようぜ──!」




ハルキ(SA:O用アバター)
Lv50
片手直剣:《心意強化》アニールブレード

アンダーワールドでの戦闘を経て想像力(心意)を使うことができるようになった、そのため武器が強化することが出来る。
ただし病み上がりで万全ではないため無理はできない
見た目はSAOベースだが、黒髪に黒目とちょっとした変化はある(心意を使うと目が赤く変化する)


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第179話 光vs黒

アンダーワールドで覚えた《想像力》を剣に集中させることで俺の持ってるアニールブレードは強化された。

 

「オラァ!オラオラオラァ!」

 

そしてジェネシスはVRドラッグを使い自身のステータス全てを大幅に上昇させたため、膨大な攻撃力を得た。

 

「それがテメェの実力か、光の剣士様よォ!」

 

「悪いな……まだ慣れてなくてな……!!」

 

ジェネシスがVRドラッグの影響で攻撃速度も上がっているせいで少しずつ俺の方が押されているのはわかっている、何としてでも隙を作って攻撃をしないとこっちが不利になる……

だからこそあいつの攻撃をどうにかして止めないと──

 

「オラァ!くたばれ!」

 

「……そこだっ!」

 

ジェネシスが上から振り下ろしてきた所をギリギリで避けて直ぐに接近し、そのまま俺の連撃を叩き込む、そしてさらにソードスキルを放つ。

 

「んなもん効かねぇよ!」

 

「くっ………!」

 

何とか隙をついて攻撃を出来たが、ソードスキルを至近距離で放った為、硬直が発生し、そこにジェネシスの攻撃を入れられてしまった。

俺は後ろに吹き飛ばされ、ジェネシスはすぐに体勢を立て直した。

 

「やるじゃねぇか……なら、もっといいもん見せてやるよ」

 

そう言うとジェネシスはウィンドウを再び操作してさっきと同様にVRドラッグを加えて使った。

 

「これでてめぇを………ぐっ!?」

 

「さすがに…お前の体もドラッグには耐えられないだろ」

 

「んな事たァねぇ!てめぇをぶっ殺すまでは俺は負けねぇ!俺はこの世界を作り替えてやるよ!」

 

一瞬、苦しんだジェネシスはすぐに立ち上がり、大剣を構えた。

本来のアミュスフィアならこの時点で強制ログアウトが発生しているはずだが、ジェネシスはアミュスフィアを改造し、その機能さえ無くした可能性がある。

つまり、倒すしか先に進む方法はない───

 

 

「オラァ!」

 

「ドラッグ使用者なんかに負けてたまるかよ!」

 

俺は何も考えずに特攻してきたジェネシスを避けて背後に回ってソードスキルを放とうとした、だがジェネシスは俺よりも早く後ろに振り返り、そのまま俺を吹き飛ばした。

 

(これがドラッグ使用者の攻撃か……何度もうければ俺の体が危ない……)

 

「てめぇみたいなやつはここでくたばっちまえよ!オラァ!」

 

「負けるかぁ!」

 

なんとか体勢を立て直した俺にジェネシスが乱暴かつ正確な攻撃を上から入れてきた。

俺は剣を横に持ってその攻撃を受け止めて最後の一撃をバク宙しながら避けて地面に着地した直後、剣を構え直してジェネシスに向けて走って接近を試みた。

もちろん、ジェネシスもそれを見逃さずに大剣を突き刺そうとしてきたが、俺はそれをギリギリで受け止めてそのままジェネシスの大剣を弾き、クロスを描くように2連撃を叩き込んでさらに縦に攻撃を加えた。

そのままジェネシスに攻撃の隙を与えず、バックステップした俺は最後の一撃をジェネシスに向けて放った。

 

「これで………トドメだァ!」

 

SS:ホリゾンタルスクエア

 

「なんで………お前なんかに……」

 

「お前に……黒の剣士は似合わない」

 

最後の一撃でHPが尽きたジェネシスの質問に対してそう答えた俺が鞘に剣を収めた直後、ジェネシスはポリゴンの欠片となって消滅した。

 

それと同時に俺は緊張が解けたようにその場に仰向けに倒れた。

この時、俺の目は黒色に戻り、アニールブレードの強化も解けていた。

 

「春揮…!」

 

「喜ぶのはまだ早いぞ……やつがどこかに消えた……」

 

ジェネシスとの戦闘中は目指できる場所にいたはずのもう1人の巫女がいつの間にかいなくなっていた。

 

「ハヅキ、奥に祈りの神殿がある、そこに行くぞ」

 

「う、うん……プレミア、行こう」

 

俺達は先に進んだと思われるもう1人の巫女を追いかけるため、先に進んだ。




お前に、黒の剣士は似合わない───

ということで数日前にSAOHRforNintendo Switchを購入したバカが通ります

ついにHR編も終盤、ジェネシスが討伐され、どこかに行ったもう1人の巫女
先に進む3人は果たしてもう1人の巫女を探し出し、止めることが出来るのだろうか……?


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第180話 世界の崩壊、少女の願い

SA:Oクローズドβテスト12日目

オルトラム城砦:神殿への通路

ハルキ目線

 

「ハヅキ、プレミア!スイッチ!」

 

「うん…!」

 

ジェネシスと戦っているうちにどこかに行ったもう1人の巫女を追いかけるため奥に進んだ俺達は通路を塞ぐように歩いているNMモンスターを3人で討伐しようとしていた。

 

───

NM:スカルキング

Lv.38

───

 

「俺がこいつを引きつける、そのうちにお前らで攻撃してくれ!」

 

「分かった!」

 

俺は投剣スキルを骨型NMモンスターに向かって使い、タゲを俺に向かせて攻撃を全て受止めそのまま弾き飛ばした。

 

「お前らの攻撃で倒せる、やれ!」

 

「はぁぁぁ!」

 

ハヅキ&プレミア:細剣SS シューティングスター

 

2人のSSで倒した……と思ったがギリギリ体力が残り、NMモンスターはハヅキ達の方にタゲを向けて攻撃をしようとした。

俺はモンスターの攻撃が振り下ろされる前にハヅキたちの前に立って攻撃を止め、弾いて直ぐにSSを放ちトドメを刺した。

 

「まさか残ったとは……大丈夫か?」

 

「うん、それよりここって……」

 

「あぁ、いつの間にか奥に進んでたみたいだな」

 

俺達は気が付かないうちに奥に進んだらしく、最奥だと思う部屋の手前に立っていた。

そしてさらに奥には祈りを捧げる祭壇のようなものの前にもう1人の巫女が立ってこちらを見てきている。

 

「やっと来たんですか、人間」

 

もう1人の巫女の元まで近づいたところで黙っていたもう1人の巫女は口を開き俺たちにそう言った。

こいつから感じられるのはNPCの言動ではない、そんな感じが───

 

「なぜジェネシスは大地切断を起こそうとしたんだ、何を企んでたんだ」

 

「……あの方は何も持たない私を連れ出し、戦う術を、この世界で生きる術を教えてくれた、そして私を《ティア》と名付け、存在する意味を教えてくれた」

 

ティアは俺の質問とは別にジェネシスに関しての話を始めた。

招待組や他のプレイヤーの情報だとジェネシスはNPCのことを《モブ》と呼んでいたはずだ、だが何故この子だけは名前を……?

 

「だけど人間達は彼を否定した、彼のやっている事()()を、たった今あなた達も」

 

「それは……」

 

確かに、ジェネシスのやっている事は聞いてきただけでは悪事を働くプレイヤー、だがそれだけならこの子に戦闘の仕方なんて教えるはずがない。

 

「私は初めて私を受け入れてくれた彼を失った、また、私は1人……」

 

ティアの表情は少しずつ険しくなり、そして───

 

「あの人の言っていた通り、人は恨むべきもの、人の存在が私たちを悪くする、人の存在がこの世界を醜くする………私たちを拒絶する世界なんて必要ない、私たちを拒絶する人々なんて必要ない!」

 

「「それは違う!」」

 

ティアの人に対する否定的な発言を聞いた俺はそれに反発するように言葉を発した、ハヅキも同じ考えだったらしく俺と同時に言葉を発した。

 

「あなた達にはわからない、さぁ、もう1人の私、一緒に祈りを……それが何も出来ない私たちにできる唯一の役目なのだから」

 

「(P)私は……世界の崩壊は望みません」

 

プレミアが俺の前に出てティアの誘いを断った。

 

「(T)なぜ?人々がいることでこの世界が醜くなるなら消してしまった方がいい」

 

「(P)あなたや私の都合でこの世界の人を消してしまう訳には行きません、それに私はみんなが持ってる《可能性》を守りたい」

 

「(T)なぜ人間を守らなければならない!ジェネシスや私を拒絶した人間達を!人がこの世界に来なければこんな思いはしなかったのに……!誰も私を受け入れてくれなかった!」

 

「(P)受け入れてくれる人だっている、お互いが分かり合えたかもしれないのにその可能性を彼は消すことを選んだ!」

 

「(T)拒絶するだけの存在と分かり合えるはずがない!私はただこの世界で一緒にいたいだけだったのに!」

 

ティアはそういった後、祭壇に登り、俺たちの方を向き一言放った。

 

「(T)あなたがやらないなら私だけでもこの世界を崩壊に導いてみせる」

 

「待て……っ!」

 

俺は祭壇の階段を登って剣を取り出し祈りを始めたティアに向けて攻撃をしようとした、だが俺の攻撃は謎のバリアのようなもの……《破壊不能オブジェクト》によって防がれ、俺は階段の下まで吹き飛ばされた。

 

「こんな世界……消えてしまえばいいんだっ!」

 

「やめろ……ティア!」

 

俺の声は既にティアには届かず、ティアは祈りを再開した、するとハヅキのストレージから4つの聖石が、残り2つはティアのポケットからティアの周りに円を描くように現れ、ティアの髪は白に変わり、そのままティアはどこかに消え……いや、転移した。

ティアが転移したと同時に地震が起こった。

 

『ハ……君!……え……』

 

「セブン!すまない……大地切断が起きた」

 

『やっと聞こえた……けど手遅れみたいね……とりあえずそこから出て上空を確認してみなさい、そ……』

 

何かを言い終える前に地震の影響か開発途中の機能だからかわからないが通信が途中で途切れてしまった。

俺がセブンと話している間にハヅキが転移結晶を用意してくれたらしく俺達はそのままはじまりの街に転移した。

 

 

はじまりの街:転移門広場

 

「なんで……あれって……」

 

街に戻った俺たちの目に入った景色、それは──

 

「浮遊城アインクラッド……」

 

セブンが本サービス開始と同時に開始する予定だったグランドクエスト、そのクリア後に登場させる予定だった《浮遊城アインクラッド》が1人欠けた状態の祈りによって創造させられてしまった。

 

「ハルキ、ハヅキちゃん、プレミアちゃん、とりあえず宿屋に来て!」

 

転移門から転移してきた声の主、シズクは俺たちにそう言って直ぐに商店通りの方に向かって走っていった。

俺達もあとを続くように宿屋に向かった。

 

 

 

商店通り:宿屋(カフェスペース)

 

宿屋には俺が無理言ってログインしてもらった招待組のみんなが待っていた。

 

「お前ら……ごめんな」

 

「謝ることは無いよ、ハルキ達は頑張って戦ったんでしょ、話したいことはあるけど状況をまとめようよ」

 

「あぁ……とりあえずこっちから説明する」

 

俺は神殿内で何が起こったのか、ティアとジェネシスが何を考えていたのかを全て説明した。

 

「人に拒絶……か」

 

「それでシズク達が確認したのはどうだった?」

 

「………酷い有様だった」

 

俺の質問を受けたシズクは急に暗い表情になりウィンドウを開いて俺とハヅキに見える位置に移動させた。

そして、そのウィンドウに映っていたのは……

 

「シズクと手分けして撮ってきたアインクラッドが創造された場所の周辺、元々はNPCの集落がいくつかあったけど……」

 

巨大な穴の周りに散乱した瓦礫や半壊した家のようなもの、所々に武器のような物が落ちているように見える。

そしてNPCの集落ということはその場にいたNPCは──

 

「俺が止めていれば……」

 

アインクラッド創生に行われた場所にあった集落は3つほど、全て合わせれば30前後のNPCがアインクラッド創生に巻き込まれたと考えるべきだ。

 

「ハルキのせいじゃないよ……?」

 

「……お前ら、とりあえず今日はもういい時間だからログアウトしてアインクラッド攻略は明日からやるぞ」

 

「分かった、だけどハルキ、自分を責めないでね」

 

「あぁ、そのつもりだ」

 

既に現実時間はいい時間になっているのを確認し、招待組全員にログアウトするように言ったあと、ライムが俺の心配をしてくれたのを軽く答えてそれに安心したのかフィリア達と一緒にログアウトしていった。

 

「ハヅキ、先にログアウトして俺の病室で待っててくれ」

 

「……うん、わかった」

 

ハヅキも有無を言わずにそのままログアウトした後、残った俺は向かいに座っているプレミアを誘ってフィールドのとある場所に移動した。

 

 

 

 

リューストリア大草原:見晴らしの良い高台

 

「……ここなら誰も来ないか」

 

誰かに話を聞かれる可能性を考えてプレミアと一緒に移動した俺はプレミアにとある質問をした。

 

「プレミア、お前は何をしたい?」

 

「私は……み───私はやりたいことなどはありません」

 

何かを言おうとした()()はクエストNPCとしての()()()()()()をした。

だがそれは彼女の本心ではない、彼女には普通のNPCとは違うものがある、だからこそ本心を聞く。

 

「お前の本心を教えてくれ、何か、叶えたいことがあるだろ?」

 

「私は……わた…し……は…」

 

プレミアは俺の質問に戸惑ったのか、言葉に詰まって俯いた後、しばらくして本心を言葉にした。

 

「私はあなた達と一緒にいたい、みんなと一緒にいたい…っ!」

 

このプレミアの本心の叫びと共にクエストNPCとしてのクエストマーカーは消滅した。

 

「俺が、俺と招待組のみんながお前と一緒にいる、お前のやりたいことを叶えさせるよ」

 

「ありがとうございます……ハルキ」

 

「あぁ、どういたしまして」

 

この時、1人のNPCは1人の少女として生まれ変わったのだった。

そして街に戻った俺は待たせてるハヅキのためにログアウトをした。

 

 

 

現実世界:病院

 

春揮目線

 

「……なんで上に乗ってるんだ?」

 

「遅いからつい……」

 

現実に意識を戻した俺のちょうど腹のあたりに葉月がまたがるように乗っていた。




ティアと名づけられたNPC、彼女とジェネシスの思いは春揮達、他プレイヤーには届かず、ついには争いを引き起こしてしまった。
そしてその結果、最悪の事態を引き起こしてしまった。
果たして春揮達、そしてプレミアはティアを止めることが出来るのだろうか?


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第181話 決戦前夜

現実世界:病院

 

現実に意識を戻した俺は上に乗っていた葉月に降りてもらい、看護師に許可をもらってリハビリ途中の体をなんとか動かして屋上に移動した。

 

「うぅ……恥ずかしい…」

 

俺だけになら見られていいと降りる前に言っていた葉月は屋上についてから自分が何をしていたのかを改めて確認し、ちょっとした後悔に襲われていた。

 

「ったく、待ってろとは言ったけど上に乗ってろとは言ってないだろ、それもスカートで、看護師さんも苦笑いしてたぞ……」

 

「言わないで……それより、何してたの?」

 

「確認したいことがあったから残った、それじゃダメか?」

 

「言って、じゃないと……」

 

葉月は言葉を詰まらせた後、俯いて小さく呟いた。

 

「また何も言わずに無茶するから……遠くに行っちゃうから……」

 

「葉月……分かった、何してたか説明するよ」

 

俺は俯いたままの葉月の頭を少し撫でたあと、招待組がログアウトした後何をしていたかを全て説明した。

 

「よかった……またどこか行っちゃうのかと思った……」

 

「アンダーワールドの件は悪いと思ってるよ、これからはお前に何も言わずにどこかに行くなんてしないよ、約束する」

 

「うん……」

 

葉月は安心したのかそのまま俺に抱きついてきた。

抱きついてくる時に一瞬見えた葉月の顔は泣いているような気がした。

 

「明日、アインクラッドを攻略してティアを止める、そしたら──」

 

俺は葉月に抱きつかれたまま、明日やる事とそれが終わったあとの話をした。

 

「続きをしよう」

 

アンダーワールドから戻ってきた後、意識が戻った俺は直ぐに左手に付けられていた()()()()()に気がつき、それが誰が付けたのかも直ぐにわかった。

俺は抱きつくのをやめた葉月の左手薬指に()()と同じものを付けた。

 

「春揮……うん、絶対ティアを止めよう」

 

こうして俺達は決意を決めた。

この後、葉月はそのまま帰って俺は病室に戻った。

 

 

病室

春揮目線

 

「遠くに行っちゃう……か」

 

病室に戻った俺は葉月が言ったことを口に出した後、誰もいない病室で1人、気持ちを呟いていた。

 

「誰も守れないのはお前だけじゃないんだ、遠くに行く怖さを知ってるのはお前だけじゃない……」

 

俺は病室の布団に仰向けになりながら昔起こった色々なことを思い出していた。

 

「俺が強くならないとあいつを守れない……って言いたいの?」

 

(嫌な)思い出に浸っていると、俺の病室内にいつの間にか帰ったはずの葉月が立っていた。

 

「春揮、さっき苦しそうだった、だから看護師さんに許可もらって戻ってきた」

 

「苦しくなんてないよ、それはお前の───」

 

「違うでしょ?」

 

起き上がりながら葉月の言葉を否定しようとしたが、それは葉月によって遮られ、俺は布団に押し倒された。

 

「看護師さんに聞いたけど、一応退院可能らしいよ……ってのは別の話だけど春揮、無理しないでよ」

 

「俺は……」

 

「私がなにか相談する時も、OS事件の時もずっと春揮はどこか苦しそうだった、なのに私には何も話してくれない」

 

俺を押し倒した葉月は怒っていた。

SAO以来、葉月と一緒にいて初めて俺に見せた表情だ。

 

「辛いなら抱え込まずに話して、そう言ったのは春揮でしょ、だから春揮も辛いなら話して」

 

「……俺はお前と違って誰も守れない、お前以上に誰かを失う辛さを知ってる、お前より俺は弱いんだよ」

 

「それは違うよ」

 

「何が違うんだよ……!俺の辛さなんてお前にはわからないだろ!?」

 

「うん、春揮の辛さは私にはわからない、だけど──」

 

葉月は俺を押し倒すのをやめてそのまま立ち上がって言葉を続けた。

 

「私は春揮に守って貰ったからここにいる、誰も守れないわけじゃないよ」

 

「…………」

 

「それに、招待組のみんなだって春揮に助けて貰ったって話してた、春揮と出会ってなければ私達はこういう関係にはなってなかったよ」

 

立ち上がった葉月は起き上がった俺に再び抱きついてきた。

 

「誰かを失う辛さなんて皆同じように感じてる、シズク達も、明日奈だってそう言ってた、辛いのは1人だけじゃないんだよ……?」

 

「……そうか」

 

「春揮、これだけは約束して、辛くなった時、私も春揮も抱え込まないで話すって」

 

「……分かった、約束するよ」

 

「よかった、それじゃ私はこれでほんとに帰るね……あ、春揮」

 

怒っていた表情が少し明るくなったと思いきや葉月は病室の扉の前まで移動し、帰ると言い出したと思いきや俺の名前を呼んだ。

そして葉月は振り向いてこう言った──

 

「大好きだよ」

 

「……このタイミングで言うかよ」

 

「明日には退院出来るらしいから、ティアを助けたらまたここに来るね」

 

「あぁ、また明日、な」

 

葉月はそのまま自宅に帰った。

1人残った俺はそれを確認した後、病室の布団に仰向けに倒れて葉月の言葉、そして表情を思い返していた。

 

「……守らないといけない、あいつは俺が」

 

既に夜遅くになっていたため、覚悟を決めた俺はそのまま明日のために睡眠をとった。

 

 

 

 

次の日

SA:Oβテスト13日目

 

「お前達に渡すものがある」

 

アインクラッド攻略のために宿屋に集まった招待組メンバーにとあるものを渡した。




悪剣稀に見る駄作が生まれた気がする、というか生まれた

春揮の感情って表に出したことほとんど無いけどどこで出そうか迷った結果ここに入れて駄作になったよ


認めよう、これは駄作



次回からはまともになります、こんな話は今回だけですよ、多分


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第182話 EXスキル

SA:Oβテスト13日目

はじまりの街:宿屋カフェスペース

ハルキ目線

 

「渡したいものって?」

 

「それぞれスキル画面を開いてくれ」

 

宿屋に集合した招待組に俺から1人ずつとあるものを送った、とは言っても既にハヅキとフィリアは持っているみたいだが……

 

「何これ【《EXスキル》:冥界剣】?」

 

「私は【《EXスキル》:玲瓏の癒やし手】?」

 

俺がみんなに送ったのはそれぞれの上位EXスキル(熟練度解放済み)だ。

本来、《アタッカー》、《タンク》、《バファー》、《ヒーラー》の4種類しかないが、特定の条件を満たすことで上位スキルを解放し、使えるようになる。

 

ハヅキ:無限の幻影茨(槍上位)

シズク:冥界剣・封牙の守護士(両手剣上位)

ライム&プレミア:玲瓏の癒やし手(本来片手棍上位)

フィリア:深界の暗殺剣(短剣上位)

アルゴ:残響の闘争者(曲刀上位)

 

「ハルキとレインは?」

 

「俺はSAO時代のユニーク……絶界の双星剣を使いたいところだが、体が持たないかもしれないから()()()()()()の熟練度を極限まで上げた」

 

「私はハヅキちゃんも知っての通り多刀流、エクストラスキルなしで双星剣スキルを使えるから今回はみんなのバファーにまわるね」

 

俺は全員が宿屋に集合する前にとあるスキルをスキル欄に追加し、俺の次に到着したレインにはバファースキルの熟練度を最大まで解放した。

 

「よし、準備は完了だな」

 

「マテ、ルー坊……行くのはいいケド、この人数で攻略するのカ?」

 

「俺を試してるつもりか、アルゴ?ここに居るのは《SAO帰還者》、どんな困難も超えてきたメンバーだぞ」

 

「そうだナ、オレっち達なら大丈夫ダナ」

 

アルゴは何故聞いてきたのか分からないが、俺の返答を聞いて安心したのかそのまま後ろに下がった。

俺は全員の顔を1度見回してから出発の合図を出した。

 

「みんな、アインクラッドを攻略して必ずティアを助けるぞ!」

 

「もちろん!」

「モンスターの情報は任せナ」

「うん!」

 

「プレミア、お前の願い、必ず叶えるよ」

 

「はい、ティアを助けてみんなと一緒になります」

 

こうして俺達は未完成のアインクラッドに向かった。

 

 

アインクラッドに向かう道中

 

「お前ら、先に行け!」

 

「私達も後から行く!」

 

アルゴの情報通り、アインクラッドに向かうにはフィールドに現れた転移石を使う必要があるが、そこに行く道中にNMモンスターが2体ほど行く手を阻んできた……が、俺とハヅキがその2体の動きを止めているうちに他のみんなを先に進ませた。

 

NM:スカルボア

Lv.43

 

NM:キングコボルト

Lv.46

 

「ハヅキ、2体を引き付けてくれ」

 

「うん、わかった」

 

俺はハヅキが2体を引き付けているうちに《隠し技》の準備を始めた。

その間にハヅキは槍上位スキルで動きを封じながら攻撃をしている。

 

無限の幻影茨SS:ライン・ストライカー

 

「はあぁぁ!」

 

「ハヅキ、今だ、スイッチ!」

 

ハヅキが1連撃のSSで敵の動きを封じたと同時に後ろに下がってもらい、俺が準備したSSを叩き込んだ。

 

 

 

 

 

その頃

先に進んだ招待組:転移石前

ライム目線

 

「あれ、SSの光……?」

 

先に進んだ私達は難なくアインクラッドに行くことが出来る転移石前に到着し、アクティベートを完了した。

そして先に進もうとしたところで後ろを気にしていたシズクが私たちの来た方向から()()()()()()()()()光を確認し、私に伝えてきた。

 

(ハルキの言ってた隠し技ってやつか……?)

 

どこかで見たことのある気がする光はそのまま消えた、それと同時に私たち5人は先にアインクラッドへと転移した。

 

 

 

 

アインクラッド内:未完経路

 

「強い……!!」

 

「シズク、下がってバフを……くっ!」

 

先に入った私達は直ぐにNMモンスターに遭遇し、苦戦を強いられることになってしまった。




どれも駄作説出てきたぞ、おい

さぁ、HRの醍醐味の一つ、多すぎるエクストラスキルも全員にプレゼント
一応言っておきますがハルキは管理者権限を持たないアバターです


アインクラッド攻略のために先に進んだ招待組、道中にいたモンスターを2人で足止めしているうちにアインクラッドに乗り込む5人、その後ろに見えた紫色の十字のような光とは……?

そしてアインクラッドに乗り込んだがそこで待っていたのはNMモンスター、5人は苦戦することになってしまう、果たして先に進むことが出来るのだろうか……?


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第183話 決意

アインクラッド未完成路:第一層

ライム目線

 

転移してアインクラッド内に入った私達は先に進もうとしたところでアルゴに呼び止められた。

 

「ライム、シズク、待テ!」

 

「え……?」

 

立ち止まった瞬間、目の前の地面が突然崩れてそのまま落下して行った。

 

「あ、危なかった……ありがとうアルゴ」

 

「寸前に気がついてよかったナ、先に急ぐのはわかるケド、周りは見ないと危ないゾ……ルー坊の言ってた通り未完成だから所々崩れやすい、気をつけて行くゾ」

 

「うん、わかった……みんな、行くよ!」

 

アルゴの警告を聞いて危機感を持った私とライムは体制を整えて再び先に進むことにした。

 

 

未完成路第一層 中盤

 

「シズク、下がれ!」

 

「うん、わかった……!」

 

順調に先に進んだ私達は道をほぼ全て塞いでいたゴーレムのようなNMモンスターと戦闘を始めた。

動き自体は体が大きいから遅いけど、体を回転させて腕を振り回し、360度全体を攻撃してくるため、なかなかに戦いにくい。

そしてゴーレムにしっかりとしたダメージが入るのは足と体の間にある宝石のような部分だけらしい。

 

「このまま防御だけでやりすごせるような相手じゃない、レインはバフを続けて、他のみんなでタイミングを見て一気に行く!」

 

「了解!」

 

全員で陣形を取ってシズクと私でゴーレムの攻撃を防ぎ、残りの3人で一斉にゴーレムの弱点の宝石を攻撃した。

だけど、ゴーレムの体力はほとんど減らなかった。

 

「くっ……シズク、下がっ──」

 

3人が攻撃を終えて後ろに下がったその瞬間、ゴーレムは今までより早く腕を回し、攻撃をしてきた。

私はギリギリで防いだけど、シズクに注意を向けている間にガードの隙をつかれてガードが間に合わなかったシズクと共に後ろに弾き飛ばされた。

 

「大丈夫かお前ら!」

 

吹き飛ばされ、壁にぶつかる、そう思ったところで誰かに受け止められ、そのままアルゴ達の元に運ばれた。

私を抱えたのは後から行くと言ったハルキ、シズクを抱えたのはそれについて行ったハヅキだった。

 

「他のメンバーと連携を取れ、俺はお前らに()を作る、あとは任せる」

 

ハルキはそう言うと右手に持った剣を構え、()()()()を放ち、そのままゴーレムに連撃を与えた。

 

「行け、『俺を守る』と覚悟を決めたお前らの力を見せろ!」

 

ハルキ:絶技SS《???》

 

ハルキのSSによって動きが止まったゴーレムに私達のソードスキルを一斉に決めた。

 

ライム:片手剣SS:デッドリー・シンズ

シズク:冥界剣SS:ディープ・オブ・アビス

プレミア:細剣SS:デルタ・アタック

フィリア:深界の暗殺剣SS:フィニッシュ・ディス・ネクロイド

アルゴ:曲刀SS:レギオン・デストロイヤー

 

「約束したんだ……だからこそもっと……っ!」

 

「私たちで決める……!行くよ、《夕立の霧雨》!」

 

夕立の霧雨連携奥義:ホロウ・フラグメント

 

「行っけぇぇ!」

 

10連撃を遥かに超える私、シズク、フィリアの連携攻撃で体力の残っていたNMモンスターは体力が全損し、そのまま消滅した。

 

「やった……けど…」

 

「まだ第一層、これより上はさっきのやつより遥かに強さが増してるはずだ、俺とハヅキは()()()()()()()あえて助け舟は出さない、レインもバフをメインで使うから5人で戦ってくれ」

 

「ルー坊、オレっち達がもし、ピンチになったら?」

 

「打つ手が無くならない限りはNM相手には手を出さない、このゲームのモンスターは《倒せない》相手じゃないんだ───お前ら!後ろに下がれ!」

 

上の階層を見ながら冷静に話していたハルキは急に剣を構え、そのまま私たちに下がるように指示を出してきた、その時だった───

 

上から急にドラゴンのようなモンスターと蛇のようなモンスターが崩れた岩や木片などとともに降ってきた。

 

「まさかこんな早く更なる崩壊が起こるとは……お前ら、この2体は本来、上にある残り2層に配置されてるNMモンスター、ドラゴンが最上層を守る守護者みたいな役割を持つ……さっきの約束は撤回だ、お前らは蛇の方を頼む、俺とハヅキとアルゴはこのドラゴンを倒す」

 

更なる崩壊、そう呟いたハルキは私たちに指示を出し、そのままハヅキとアルゴと一緒にドラゴンを引連れてどこかに向かっていった。

 

「上の層からって……ほんとに私たちで倒せ──」

 

「シズク、約束したでしょ、ハルキが戻って来るまでに私たちで強くなるって、ハヅキや他のみんなを守るって……だからこそハルキやハヅキがいなくても私たちでやるよ!レイン、バフが終わったら……」

 

「もちろん、私も攻撃に参加するよ、プレミアちゃんもいるからね」

 

「はい、私たちの力を合わせれば勝てます」

 

私達は再び剣を構え、目の前のモンスターとの戦闘を開始した。

 

 

 

その頃、最上層守護NMモンスターを連れて先に進んで行ったハルキ達は……

 

「ルー坊、無茶するなってどの口が言ってるんダ!?」

 

「悪いがそんなこと言ってる場合じゃねぇよ!アイツらにこれを任せる訳には行かないだろ!」

 

「絶対に勝つ……!!」

 

ドラゴン型のモンスターの猛攻に耐えながら文句を言うアルゴを抑えつつハルキとハヅキはソードスキルを放っていた。

 

ハルキ:片手剣SS:ノヴァ・アセンション

ハヅキ:無限の幻影茨SS:ライン・ストライカー

 

招待組の中ではステータスの高いハヅキとハルキの攻撃は、ゲージを少し削る程のダメージを与えることしか出来なかった。

 

「想像以上に強いな……ハヅキ、アルゴ、攻撃を防いでくれ!」

 

「今にも限界を迎えるゾ!なにかするなら早くやるんダ!」

 

「ハルキ……早く……っ!」

 

本来、体が耐えるかの心配をして使いたくなかったが、ここまで相手が強いとなるとそんなことを言ってる場合じゃない、ならやるしか……

 

「システムコール!オブジェクトID:《K》、神霊刀イザナミをジェネレート!」

 

俺はそう叫んだ、そうすると俺の右手にとある1本の剣が握られていた。

 

「これで一気に決める!」

 

 

 

 

 

 

それから数分後──

夕立の霧雨率いる招待組は……

 

「はあぁぁ!」

 

「行っけぇぇ!」

 

蛇型モンスターの猛攻を耐え凌ぎ、自分たちの連携技、そしてレインの秘奥義を使い、着実にダメージを与えていた。

 

「ライム、上から……」

 

「まだ何か……って、何あれ…?」

 

フィリアに呼び止められ、言われた通り上を見ると上から()()()のようなものに包まれた瓦礫がいくつか落下してきた。

そしてその瓦礫の1部が蛇型モンスターの上に落ち、その衝撃で蛇型モンスターがいる場所が崩れ、そのまま蛇型モンスターは落下して行った。

 

「上ってことはハルキ君達かな……?」

 

「とりあえず、上に行ってみよう」

 

こうして偶然(?)NMモンスターを倒した私達はハルキたちを追いかけるために上の層に向かった。

 

 

アインクラッド未完成路第二層

ライム目線

 

「はぁ……はぁ……」

 

次の層に着いた私たちの視界に入ってきたのは黒い炎に包まれた瓦礫の山、そして炎は壁や床、ましてやハルキ自身の右半身を包んでいた。

 

「……さすがに、無理があったか」

 

「ハルキ、何をしたの!?」

 

膝をついて倒れているハルキの元にシズクが走り寄ると炎は消え、ハルキが支えにしていた剣は見覚えのある剣に姿を戻した。

 

「いや、ちょっとした《秘奥義》だよ……この世界で使えるかは賭けだったけどな」

 

「無茶するなって行ったんだけどナ、ルー坊がそれを聞くわけないダロ……何が起きたのかはオレっち達からは言わない」

 

その全ての現象を目の前で見たらしいアルゴは少し辛そうな表情でそう言うと立ち上がって回復ポーションをハヅキとハルキに渡していた。

 

 

「現実にも影響が出るかもしれないからな……使えても残り1回、何か起きたとき用の秘奥義として残しとく」

 

回復ポーションを飲み切ったハルキは立ち上がりそう言うと剣をしまい、いきなり私とシズクの頭を撫でてきた。

 

「ひゃ?いきなり何するのさ……?」

 

「まだ迷惑かけるからな、その前に謝っとく……さぁ、上の層には雑魚しかいない、このまま一気に最上層に行くぞ」

 

ハルキは「気を取り直して」みたいな感じで私たちに先に進む指示を出した。

私達は装備を整えて再び先に進み始めた。

 

 

 

そして───

ハルキの言う通り何事もなく最上層まで到着した。

 

「この先にティアがいるんですね」

 

「プレミア、お前は戦闘には参加するな、ティアと話し合う、それがお前のやることだ」

 

「分かりました、ティアに思いを届けます」

 

「……よし、みんな、どんなことが起きるかはわからないが、ティアと決着をつける」

 

プレミアと何かを話したハルキは私たちの方を向いて指揮を取り、合図をした。

 

「行くぞ、招待組!」

 

そしてハルキは合図とともに最上層にある転移石に触れた。




崩れかけのエリアで戦うって中々の恐怖だよね、高層ビルの透明な床が割れるみたいな感じ、ほら怖い

ついに次回、ティアとの再会……だが、ことはそう上手くは運ばない様子

果たしてハルキ達はティアの気持ちを変えることが出来るのだろうか?


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第184話 希望

アインクラッド未完成最上層

エリア:??

 

「……何故あなた達、ここに来たんですか」

 

「あなたを止めに来たんです、ティア」

 

「私を止めに?ハッ、今更何を言いに来たのか……少しだけなら聞いてあげます」

 

転移した先、謎のエリア内にいたティアの質問に対して返答したのはプレミアだった。

そしてそのプレミアの返答に対して挑発的な発言を少しした後、ティアはプレミアの説得を聞く気になった。

 

 

「あなたが思っているほど、人間はひどいものでは無いです、私の後ろにいる彼らのような──」

 

「だからなんだと言うのですか、私に関わった人はジェネシスのような優しさは持っていなかった、それだけの事です」

 

「それは1部だけです!そのような人達は──」

 

「あなたと話しても無駄です、後ろにいる人達だっていつ私たちを裏切るかなんてわからない……消してしまえばいいんです」

 

プレミアの説得を全く受け入れず、そのままティアは何かを始めようとした。

俺はそれにいち早く勘づいてプレミアを後ろに下がらせた。

 

「もし、私に勝てば少しは人間を信じることにします」

 

「プレミア、下がれ!」

 

プレミアが下がった瞬間、ティアの姿が変化し、それにより衝撃波が発生した。

 

(姿が変わっただけでこの勢い……これはまずいな……)

 

俺はプレミアをアルゴに任せ、アルゴとプレミア以外の招待組で一気に攻撃を仕掛けた……が

変化したティア……《プレイオリジンミディアム》の周りに6つの宝石のようなものがバリアを貼り、本体であるティアに攻撃ができない。

 

「お前ら、下がってろ……こんな石ごときに使いたくはないが」

 

「ハルキ、また───」

 

「システムコール!神霊刀イザナミをジェネレート!」

 

俺は未完成路第二層で使った手法を使い、再び剣を召喚した。

そして俺はそれを1度、床に刺した。

 

「リリース・リコレクション!」

 

俺はアンダーワールドで使った技、《記憶解放術》がこの世界でも使えると少し前に知ったため、それを実践した。

だが、アンダーワールドの時とは違い、何故かこの世界では範囲が広すぎて体にも影響が大きく出てしまう。

だからこそあまり使いたくないが俺だけならともかく、後ろには仲間がいる、割るべきバリアを破壊したらあとはこいつらに………

 

「一気に決める……!!」

 

記憶解放術:絶技SS:マザーズ・ロザリオ

 

「はあぁぁ!」

 

俺はこの世界での何度目かの絶技《マザーズ・ロザリオ》を放った。

1部の宝石はそれで壊れたが、まだいくつか残っている。

 

「お前ら、あとは任せた────穿て、迦具土神!」

 

残っている石に剣を刺し、そう叫んだ直後、石は黒炎に包まれ、そのまま消滅した。

それと同時にバリアが消滅し、ティアを守るものは無くなった。

 

そして俺はその場に倒れ込んでしまった。

 

 

「……やるよみんな!アルゴはハルキをお願い」

 

「りょーかい、無茶するなってどの口が言ってるんダ、ってさっきも言ったカ」

 

「………悪い」

 

アルゴに何度目かの注意を受けたのを一言で返し、招待組の勝負を眺めた。

 

 

ハヅキ目線

 

「ティア……私たちの気持ちを……!」

 

「受取れぇ!」

 

私とシズク、そしてライム、フィリア、レインの5人の連撃はほとんど無効化され、ダメージにはならなかった。

 

「うそ……どうすれば……」

 

『何をしても私には攻撃は届かない、ここであなた達は何も出来ずに消えていく』

 

「「そんなことさせない(ねぇ)!」」

 

姿が変わってから初めて言葉を発したティアに対しての否定を私とハルキが同時に放った。

 

「ティア、お前はわからないだろうが……これが仲間の力だ───!」

 

ハルキはティアに対してそう言うと同時に立ち上がり、剣を私たちの方に向けて構えると私たちに大量のバフ効果が掛かった。

 

ハルキ:ユニークスキル:限界突破(リミットブレイク)

バフ効果:攻撃、体力、移動速度、攻撃速度大幅上昇

 

「行け、お前ら、俺たちの力を見せるぞ!」

 

ハルキは構えた剣をティアに向けて投げて一気に接近した。

 

「俺から話がある、ティア……少しは人間を許してくれ」

 

『何故そんなことをしなければならないのですか、私をこんな目に遭わせたのはあなた達人間です』

 

「あぁ、そうだな、お前らNPCに酷いことをしたのは俺たち人間だ、だがお前は何故ジェネシスには従ったんだ?」

 

『………っ!』

 

 

 

ハルキ目線

 

俺の発言でティアは反発をやめ、少し同様をみせた。

昨日、ジェネシスと戦った後、現実に戻りハヅキにジェネシスとティアはどんな関係だったかを少し聞いた。

神殿でティアが話した通りジェネシスだけはティアを認めてくれたと言っていた、だが何故ティアはジェネシスに俺たちと同じように()()を持たなかったのか……

 

「お前は、本当は人間を信用しているんじゃないのか?」

 

『うるさい……!何度も言ったはず、私を、ジェネシスを認めなかったあなた達が悪い──!』

 

「それがお前の答えか……喰らえ!」

 

俺は後ろに下がり合図をした。

合図とともに後ろにいた俺以外の招待組全員が一斉に各武器種のいちばん弱いSSを放った。

 

「俺達はお前を馬鹿にしない、お前達NPCを認めている……もし、お前が認められないならそれでもいい、それでも──」

 

俺は武器をしまい、姿を元に戻した(というか戻った)ティアの近くに行って言葉を続けた。

 

「この世界はお前達を傷つけるために作られたものでは無い、お前らは俺らとおなじ()()()()()()()()()なんだよ、忌み嫌ったり傷つけたりはしな───」

 

「あなたに何がわかると言うの!?」

 

ティアは俺の言葉を遮り、手に持った細剣で俺を突き刺してきた。

俺は一気に体力が減ったがその場から下がるという決断は無かった。

 

「……!?なぜ、抵抗をしな──」

 

「慣れてるからな、こういうのは……お前がだけ俺を傷つけてもお前の受けた傷は治らない……そうだろ?」

 

「……これが、あなたの出会った人間ですか、もう1人の私」

 

ティアは俺に刺した細剣を抜いてそれをしまった後、プレミアの方を向いて質問を投げかけた。

その言葉には怒りや恨みのような感情は無いように受け取れた。

 

「はい、そしてこれが私の()()です」

 

「……あなた達を許した訳では無いです、ですがこの世界を消すのは辞めます」

 

「おい、どこ行くんだ?」

 

「私はいつまでもこの世界を見守り続ける、そしてもし、私たちのようなNPCを傷つける人がいた時はまた、あなた達の前に現れる」

 

ティアはそう言うとどこかに消えてしまった。

それと同時に俺は一気に力が抜けてその場に立ち尽くしていた。

 

「これで良かった……のか?」

 

「ハルキ……!!」

 

「みんな……お疲れ様」

 

その場にたっていた俺にハヅキとシズクが急に抱き着いてきた、それに続いて何故かプレミアも俺に抱きついてきた。

ライムやアルゴはどこか呆れた顔で俺を見ているが、その顔からは安心した表情も読み取れる。

 

「さぁ、街に帰ろう」

 

「その前にちょっと行きたいところあるからそこに行こ!みんな着いてきて!」

 

激闘を制し、街に帰ろうと提案を出したところでシズクが提案を出してきた。

そしてそれに賛成した俺達はリューストリア大草原のエリアから少し外れた場所にある湖のようなところに到着した。

 

「せっかくみんな揃ったんだから、記念写真、撮ろ?」

 

戦闘用の装備から私服に近い装備に変更したシズクは俺に向けて明るい笑顔を見せながらそう言った。

俺達も装備を街用に変更し、湖をバックに写真を撮った。

 

「ハルキ、言いたいことがあります」

 

写真を撮った後、それぞれ街に戻ろうとしたところで俺はプレミアに呼び止められて一言、こう言われた。

 

「ティアの事、ありがとうございます……また、これからもよろしく、です」

 

「あぁ、こちらこそありがとう、プレミア」

 

プレミアの感謝に答えた後、先に行ったハヅキたちに追いついて街に戻った俺達はその後、それぞれ用事があるということでそのまま個々にログアウトした。

 

(そういえば夕立の霧雨が何か言いたそうだったけど……また後でいいか)

 

昨日、無理に呼び出した時にシズクが「明日話したいことが!」と言ってたのをシズクがログアウトした後に思い出した俺は明日また詳しい話を聞こう、と考えてそのままログアウトした。

 

 

 

現実世界:病院

春揮目線

 

「まぁ……本当はもう少しリハビリに専念してもらいたいけど、どうせあなたのことだから聞かないでしょ?だからいいわ、彼女さんの元に帰ってあげなさい」

 

現実に戻った直後、俺は看護師さんに呼ばれ、診断室で退院の宣告を受けた。

こうして俺は晴れて(?)退院することが出来た。

 

 

 

そして退院した俺は自宅に戻った。

扉を開け、中に入ると何も変わらない、というか前より少し綺麗になった気がする室内でさっきまで激闘を繰り広げたとは思えないほど気の抜けた姿の葉月が立っていた。

 

「おかえり、春揮」

 

「……あぁ、ただいま、葉月」

 

葉月は俺の姿を確認すると直ぐに俺の元に走ってきてそのまま抱き着いてきた。

俺は思ったより強く抱きしめてきた葉月の頭を撫でた。

 

「これで、一件落着……約束しただろ?」

 

「あ、そっか……えへへ、改めると恥ずかしいね」

 

「……葉月、改めて言わせてくれ」

 

俺は(いろんな意味で)一回り小さい葉月の左手を両手で握り、葉月の顔を改めて見て言葉を放った。

 

 

「結婚しよう」

 

「………はい」

 

こうして俺達は仮想世界の仮結婚から2年の月日を経て、改めて結ばれた。

そして、数日後、早めの挙式をした。

 

 

 

 

(NPCと人間、加速していく仮想世界、まだまだ進歩する、そして新たな戦いが生まれる……だけど俺には仲間がいる、失う訳には行かない大切な存在が)

 

「春揮、みんなで写真撮るよー!」

 

「あぁ、今行くよ」

 

ウェディングドレス姿の小動物、もとい葉月に呼ばれた俺はアルゴとレインを除く招待組のみんなに囲まれて写真を撮った。

 

 

「春揮、葉月ちゃん!おめでとう!」

 

「みんな、ありがとう……これからもよろしくな」

 

 

 

 

 

SAOというVRMMORPGから始まった俺たちの戦い、それは様々な出会いを引き起こした。

それがどんなに辛くても俺達は乗り越えてきた。

そして、それはこれから先も変わらず続いていく。

数年後、数十年後もずっと、俺たちの関係は変わらない───




ティア戦って殴ってたら終わった感じがするから内容覚えてない……

と、言うことで雑ですがSAO悪剣、一応完結、ということになりました。
本来、オリジン開始前に式を挙げようと計画をしていた所、SAO時代に葉月を騙し、ラフコフに勧誘した男に春揮が襲われてしまい、さらにベータ版テスト中に事件発生
こ事が落ち着いたところでやっとゴールイン


こんな終わり方ですが
最後まで応援してくださった方、長きに渡りありがとうございます。
また、これからもよろしくお願いします
少し時間を開けてになりますが
キャラの制作秘話、その他色々をまとめて投稿します


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