もしルルーシュが現実の日本にいたら (右翼と左翼は自演仲間です)
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ルルーシュ召喚

 俺は田中正晴(たなかまさはる)。主に歩行困難な高齢者向けの義足や靴を製作しているベンチャー企業の社長である。と言っても社員は俺1人で売り上げは芳しくなく、主に実家の農業と林業の手伝いで生活費を稼いでいる。

 この生活を続ける中で俺は日に日に不安を増していた。農協が種子の値段を上げている。そして近所のスーパーが中国や東南アジアの安い農作物を売りに出している。日本の農作物だとしても、大企業タケナカックスのような広い土地に遺伝子組み換え種を植え農薬をばら撒くことで人件費を抑えつつ虫害も抑える、というような安い商品が売れている。このままでは競争に負けて農業で稼げなくなるかもしれない。実際売り上げは年々落ちている。人口減や高齢化も売り上げ減の原因かもしれないが、それ以上に競争力で負けていると感じている。今は安全性や新鮮さを売りにして買ってもらっているが、それがどこまで通じるか。テレビでは東北産の放射能を気にするなと言っている。養殖や農薬や遺伝子組み換えも安全基準を満たしているから気にするなと言っている。ふつうの人々はテレビに流されるだろう。俺が農薬の危険性を訴えても「お前は誰だよ偉そうに」「素人が医者や化学者より正しいのか」と返されるのがオチだろう。大学教授の名前には勝てない。

 ベンチャー企業の方も感触がよくない。俺が特許を取って売り出した義足は1年ほどでそこそこ有名になったのだが、いよいよ大量生産かという段階で大企業が似たような商品を作り、それも特許が通ってしまった。だから「こちらの特許があるからライセンス料を払え」と言い辛い。義足の細かい技術ではこちらが勝っているが、消費者はオンボロなベンチャー企業よりも大企業の商品を評価するだろう。マーケティング戦略、商品を美しく見せる能力が違いすぎる。実際ネットの口コミでは俺の商品にほぼ評価がなく大企業の商品にたくさんの好評価とレビューがついている。

 能力に自信があるならベンチャーをやめて大企業に入れば、と言ってくる友人もいるが、俺は株式会社が嫌いなんだ。なぜ資本家などという自分の技術がない連中に俺の成果を貢がなければならないのか。しかも東草のように役員や投資家が散々儲けておきながら会社は借金だらけで倒産寸前の企業が5割くらいだと聞く。5割という情報に信憑性はないが俺にとっては資本家という連中も同じくらい信憑性がないから、やはり大企業では働きたくない。

 それに俺は人の役に立つ仕事がしたいのだ。ベンチャーで義足を作ったのも高齢社会の日本で歩けない老人の無念を晴らしてあげたいと思ったからだ。金目当てではない。だから大企業が俺の技術を盗んでもそこまで怒らなかった。

 しかしなんだこの日本は。投資家、政治家とは何なのだ。能力がない癖に日本の税金を吸い取るばかりでなく日本に多額の借金を負わせて外国に持ち出し、その金で自分達だけ豪遊する。郵便貯金や年金は勝手に使って消えた年金などと言う。車の大量生産や都市開発で自然を壊し海を汚し原発事故でも自然破壊など気にせずまだまだ原発を増やそうとしている。

 投資家や政治家は何故か一般人であるタケナカックスの社長を国家戦略特区の代表委員に据えて「農薬で害虫駆除」「ワクチンでウィルス撲滅」「放射線でガン治療」などと言っているが、日本の害虫、ウィルス、ガンとはまさに投資家と政治家なのではないだろうか。あげく政治家は国会で経済問題を棚上げにし戦争するぞ憲法変えるぞと言っている。メディアも同じく経済問題は扱わない。そしてネットでは政治家の犬らしき連中が「経済は上手く行っている」「戦争やれ」などとほざいている。経済が上手く行ってるなら戦争はいらないだろう。むしろネットで経済に対する不安が議論される度に、戦争を煽って経済問題を隠しているように感じる。いやそうなのだろう。本当にどうしようもない畜生である。

 

 このような鬱屈とした思いをかかえて過ごしていた所、俺は不意に不思議な力を手に入れてしまった。マンガ・アニメのキャラを自由にこの現実に召喚また返還できるというものだ。

 本当に何の前触れもなく、朝目覚めたらできるようになっていたのだ。俺はそれはもうはっちゃけた。エッチな女の子を探して召喚し、にゃんにゃんする毎日。しかし女にかまけて生活が疎かになってはならない。むしろこの能力を生かし安定した快適な生活を手に入れるべきだろう。

 まずは能力の詳細を明らかにするべきだ。そう思い、俺は色んなキャラを召喚して調べた。

 言語は設定があれば設定に従うがなければ日本語。服や小道具は持ち込めるが大きすぎると不可能。超能力や非現実的な怪力は使えなくなる。非現実的な科学知識の再現も不可能。呪いは消えるが怪我は消えない。超能力や呪いで若い体を再現している老人は若い体で召喚される。その後の老いの速度は不明。死者が五体満足なゾンビ状態で動いている場合は正常な肉体で召喚される。人間に擬態した妖怪等は人間の体で召喚され、その後現実世界では妖怪の体に戻れない。

 キャラの姿や記憶は俺が引き出した年代に準拠する。召喚できるキャラの数はおそらく無制限だが、一作品に限る。しかしキャラを召喚した瞬間にそのマンガ・アニメは現実から消えるので、多くのキャラを出す場合は同時に出さなければならない。またアニメ・マンガは完全に消えるわけではなく名前や顔が少し変わった物が代わりに置かれ、人々の記憶も代わりの作品に置き換わるが、俺の記憶のみ消える以前の作品も残る。召喚したキャラを元の世界に戻そうと俺が念じれば戻るが、その時は全キャラが物語の世界に戻り、マンガ・アニメの名前も元通りになる。一度マンガ・アニメに戻したキャラをもう一度召喚する場合は前回の召喚の記憶を引き継がせることもできるし消すこともできる。ただしこのキャラは召喚された記憶を持ったまま元のアニメとは違う平行世界で生活しているらしく、この生活は原作を再現していないため原作のページを指定して召還するようなことはできない。

 

 以上から俺は作戦を練った。俺の生活の質を上げつつ政治に対する鬱憤を晴らしてくれるキャラ。かわいい女の子がいればなおよい。というわけで俺の好きなコードギアスからルルーシュと女の子達を召還することにした。

 思い浮かべるのは行政特区日本の会場。誤って日本人を皆殺しにしろとギアスをかけてしまったルルーシュ。それを嫌がるも従ってしまうユーフェミア。兄の帰りを待つナナリー。忍者兼メイドの咲世子。ルルーシュの記憶を無くしたシャーリー。実はルルーシュが好きなミレイ。ルルーシュの唯一の友リヴァル。ゼロに忠誠を誓うカレン。ここまではルルーシュを喜ばせ懐柔するために必要なキャラ。スザクはいらない。次にルルーシュは嫌がるが俺が楽しむために欲しいキャラ。ゼロの妻を自称するカグヤ。やさしい理系女子セシル。長身だけどかわいいモニカ。胸が大きいレイラ。

 

 以上12人。それぞれのキャラを光が包み込むようにイメージする。そして同じ光を、俺の目の前に出し、世界を繋げる。

 

「さあ、来い!」

 

 フッと一瞬で移動する。さあ来たぞ。かわいこちゃんとルルーシュが。

 

「なんだこの光? ユフィ! いや、その前にここはどこだ!」

「日本人を殺さないと……。えっ? ダ、ダメ! 私はなんてことを」

 

 ルルーシュはユーフェミアを見つけた後、あたりを見回している。ユーフェミアはギアスが解けて自分の矛盾に焦ったか、しゃがみ込む。

 

「何が起こったのです!」

「カグヤ様!」

「ゼロ!」

 

 カレンはゼロの護衛。咲世子はカグヤの護衛に急ぐ。

 

「え? お兄様? いえ、これは変声機の音」

「ナナちゃん!」

「会長!」

 

 ミレイはナナリーの護衛。リヴァルはミレイの護衛。

 

「えっ、私どうして? どうして忘れてたの?」

「えっ? う、うわああああああ!」

「アーニャ! っと、ユーフェミア様!」

「ええっと、これはどういう現象?」

 

 記憶を取り戻したシャーリーとアーニャ。アーニャは記憶の差が膨大過ぎたからか、頭を抱えて叫ぶ。モニカはアーニャにまず気付いたが、ユーフェミアを見つけてそちらの護衛に。セシルも控えめにユーフェミアの傍へ歩く。

 

「私は、一体……」

 

 俺は最後に残ったレイラにそっと近づいていく。何となく。おっぱいデカいなこいつ。

 ここは父親の所有するみかん畑。昼間で近くには誰もいない。ルルーシュ達はゼロ陣営、ナナリー陣営、ユーフェミア陣営、俺とレイラ、1人倒れたアーニャに別れ、互いに互いを警戒する。

 

「ゼロ、どうします? 何が起こったか分かりますか?」

「ゼロ、これは神根島の」

「似ているな」

「ユーフェミア様、何が起こったのでしょうか」

「分かりません。しかし以前、似たような経験があります」

「そうなのですか?」

 

 ゼロの仮面を被ったルルーシュ、カレン、ユーフェミアは瞬間移動の経験があるため、それと重ねる。よって他の者よりは冷静だ。

 と、ここでナナリー陣営に変化が。

 

「あれ? 目が……」

 

 ナナリーの大きな目がぱっちり開いたのだ。ギアスの呪いは解けているので自然とこうなる。

 

「ユフィ姉様!」

「姉様だと? 誰だ貴様」

「ナナリー! 目が開いたのですね!」

「ユーフェミア様?」

 

 ユーフェミアが目の開いたナナリーに気付き、笑顔で駆け寄る。護衛のモニカも後を追う。ルルーシュもビクンとしてナナリーの方を見たが、踏みとどまった。ゼロの仮面をつけているからね。

 こうしてナナリー陣営にユーフェミア陣営も加わった。そろそろいいだろう。

 

「聞いてくれ。実は君達をここに呼んだのは俺なんだ。プリーズリッスン、サムワンコールユーヒアー、ザッツミー」

 

 ゼロ陣営及びナナリーは日本語が分かるが、他は分からないだろうから慣れない英語を話す。彼等にとってはブリタニア語だろうけど。

 

「ゼロ。俺はブリタニア語が苦手なんだ。日本語で話すから通訳してくれ」

「その前に俺の質問に答えろ。貴様は誰だ!」

 

 ルルーシュがゼロ仮面の片目をカシャッと開けて言う。しかしギアスにはかからない。もっとも、その方が話が早いからかかったフリをして話すが。

 

「俺は田中正晴。主に歩行困難な高齢者向けの義足や靴を製作しているベンチャー企業の社長だ。と言っても社員は俺1人で売り上げが芳しくないため、主に実家の農業と林業の手伝いで生活費を稼いでいる」

「お前が私達をここに呼んだと言ったな。どういう意味だ」

「お前達を一瞬にしてここへ移動させた。俺にはそういう能力がある」

「何故私達を移動させた」

「俺には目的がある。その目的に協力してもらうため、お前達が必要だった」

「その目的はなんだ」

 

 おもしろいように話が進むな。やはりギアスにかかったフリをしてよかった。

 

「俺は自身の生活に不満を持っている。技術は金にならず、農業は追い詰められ、政治には期待できない。この状況を打破するためにはこの国、いや世界ごと変える必要があるのかもしれない。それをできる頭脳がお前にはある」

「……私個人の頭脳か? では他の者達は何故呼んだ?」

「ユーフェミア、ナナリー、ミレイ、カレン、リヴァル、咲世子はお前の日常に必要だからだ」

 

 ここでルルーシュがしまったというような顔をする。自分の正体につながる話だからだろう。

 

「他は個人的な趣味だな」

「お前は先ほど、技術と農業の話をしたな? 日本はそんな悠長なことを言ってられる場所ではないだろう。もしやここは日本以外の場所か?」

「厳密には、お前の住んでいた日本ではない。ここは別世界の日本。平行世界の日本と考えてもらいたい」

「なんだと!?」

 

 驚くルルーシュ。カレンやカグヤは話半分で疑っている感じだが、ルルーシュにとっては俺はギアスで操られているはずなので真実味が増すことになる。

 

「おいゼロ! 日本語で話をするな! こちらにも分かるようにブリタニア語を使え!」

 

 モニカがブリタニア語で叫ぶ。怒って早口なので聞き取りづらい。

 

「あっ、私が通訳しますね。抜けがあるかもしれませんが。ゼロ、少し時間をください。彼女たちにも分かるように通訳しますから」

「いいだろう」

「そちらの、田中さんも、いいですか?」

「構わない。むしろ是非してもらいたい。ゼロは通訳してくれなさそうだしな」

「なっ、貴様!」

 

 と、ゼロが驚いている。俺がナナリーと会話したのがそんなに不満か? ……いや、俺がギアスにかかってないと気付いたのか? ルルーシュのギアスには特有の記憶の欠陥が出るため、もしギアスにかかっていたら、ゼロは通訳してくれなさそうだしな、などとは言えないだろうから。

 

「ゼロ、俺の目的に協力してくれなどと急な頼みで申し訳ない。しかしお前は俺に貸しがあるはずだ」

 

 ここで先手を取ってみる。

 

「貸しだと?」

「ああ。ユーフェミアは非常に危うかった。俺は悲劇を未然に防いだ」

「き、貴様! どこまで!」

「俺はお前の視点でお前の世界を見ることができた。そういう能力なんだ」

「なんだとっ」

「ゼロ! 拘束しますか!」

 

 ゼロが不利と感じたか、カレンがルルーシュを庇うように前に出る。

 

「待てカレン。貴様は私に貸しを作っていると言ったな。では私がその貸しを返したとしよう。その後に私達はどうなる?」

「好きにすればいい。望むなら元の世界に戻そう」

「信用ならんな」

「ならば監視をつけるといい。俺が裏切ればいつでも殺せるように」

「お前の力があれば、監視などいつでも移動させられるのではないか?」

「正直に言えばそうだ。つまり俺を拘束する方法はないな」

 

 完全自立型の機械で拘束することはできるが、それもたぶん誰かを召還すればすぐさま壊せる。マンガ世界には身長50mとかもいるしな。

 

「ふん、どうだかな。ひとまず話は分かった。いくつかの確約が得られるならば取引に応じてやってもいい」

「そうか。よろしく頼む」

「まだ受けると決まったわけではないぞ。この世界の情報をより多く得てからだ。その間、こちらの者達、いや、そちらのユーフェミア皇女殿下達含めて誰一人傷つけることは許さん」

「いいだろう。そもそもそんな気はない。たとえお前が取引を拒否したとしてもな」

「どうだかな」

「とりあえず俺の部屋に来てもらおう。パソコンで好きなだけ検索してくれ」

「いいだろう」

 

 俺はナナリーの方を見る。ナナリーは翻訳した英語をユーフェミア等に話している。話し終わった所、こちらを見る。

 

「通訳は終わりました。ユフィ姉……、ユーフェミア様はゼロに任せると言っています」

「そうか」

「あの、どうしてゼロが、私やミレイさん達のことを気にかけてるんです?」

「……ゼロ本人に聞いてくれ。きみになら話すだろう。いや、ユーフェミアに聞いてもいいぞ」

「待て!」

 

 と、ここでルルーシュから待ったが。

 

「ナナリーには後で私から言う。場所を用意しておけ」

「いいだろう。ただし、ユーフェミアが先に喋ってしまうかもしれんがな」



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ユーフェミアのギアス破り

「ゼロ、あの者を信用するのですか? 早く帰らなければ行政特区に集まった日本人達に危険が」

 

 カグヤがゼロに言う。

 

「そうですね。できるだけ早く戻り、現地の混乱を鎮めるべきでしょう。おい、田中と言ったか」

「ああ。なんだ?」

「行政特区の成功は先ほど言った俺がお前に協力する条件の1つだ。俺とカグヤ様だけでも今すぐ現地に戻してくれ。……ユーフェミア殿下も、いるべきだろうな」

 

 ルルーシュは濁すような言い方をする。カグヤ達の手前ユーフェミアを無視できないが、ギアスの問題があるからな。

 

「ユーフェミアの呪いはこの世界では解ける。しかし元の世界に戻った途端、再発する可能性が高い。よって戻すことは勧めない」

「ぐっ」

「ゼロ? 呪いとは何のことです?」

「何と言いますか、トラウマのような物です。発作的に発動してしまう。それは行政特区日本を確実に破壊するものです。いえ、それ以上の悲劇が」

「トラウマ? よく分かりませんが、ゼロがそう言うのなら」

「俺の能力はお前達を一度にここに呼び出すが、次に返すときは全員が同時に帰ってしまう。よってユーフェミアも一旦そちらの世界に戻る。しかしすぐさまこちらに戻す。呪いが全てを破壊する前にな」

「……すぐさま戻さずに、10秒くれ。呪いの状態を確かめたい。それと、元の世界に戻す時は、どこに戻るんだ? 移動前と同じ場所か?」

「ああ、同じ場所だ」

「少し変えられないのか?」

「少しだけなら変えられる。5mくらいかな? いや、待て。全員をゼロがいた場所に動かすこともできそうだ。全員じゃなくて何人かだけでもいい。同様にナナリー、モニカ、レイラ、その他の誰かがいた場所に動かすこともできる。レイラはEUの軍人で先ほどまでEUにいた。ナナリー及びモニカがいた場所は言うまでもないだろう」

 

 全員を元の場所に戻そうと意識すれば、それぞれに必要な座標が何となく頭に浮かぶ。その座標を認識できれば別の人だろうと移動させられるって感じだな。

 

「そうか。ならば俺とユーフェミアとカレンをアッシュフォード学園に移してくれ。アッシュフォード学園なら、30秒は平気だろう。近くに日本人がいないだろうからな。30秒してからユーフェミアと俺をもう一度ここに呼んでくれ。いや待て。俺が合図をしたら戻してくれ。合図は襟首をこうひっかくようなポーズだ」

 

 ルルーシュはきざったらしいポーズをする。

 

「それはできない。一度ここに召喚したら、俺はその世界の住人と視界を共有することができなくなる」

「何?」

 

 世界がアニメの内容と変わるため視点も何もない、というのが正しいが。

 

「ちっ。まあいいだろう。では30秒後にもう一度召喚してくれ。それともう1つ。ナイト・オブ・トゥエルブ及びナイト・オブ・シックスは……。EUにでも送ってくれ。皇帝に報告されては厄介なことになるし、暴れられても面倒だ。できればあいつらの通信機を壊しておきたいが、EUであれば通信は届かんだろうからまあいいか。それで、残った女のことを、俺は知らないのだが」

 

 ルルーシュは仮面越しにセシルを見る。

 

「彼女はセシル。ブリタニアの技術者だ。ランスロットを作った特派の人間で普段はアッシュフォード学園の近くにいる。気性は穏やかで日本人への偏見もない。スザクに勉強を教えているくらいだしな」

「ほう。そうか。ならばアッシュフォード学園に送ってくれ」

「分かった」

 

 ルルーシュは少し思案する。

 

「……ところでお前はその能力を何度でも使えるのか? お前がこちらに来ることはできるか?」

「何度でも使える。そちらの世界へは行けるかもしれんが、それをやるとこの世界に帰って来れなくなると感じているからやりたくない」

「そうか。……先にこいつの能力でシャルルを」

「すまないが、お前の世界の人間は、もうここにいる12人しか召喚できない。抱きつくように密接した場合は別だが」

 

 もうアニメを見て座標を指定できないからな。ここにいる12人はパスが繋がってるらしく何度でも呼び出せるが。

 

「何? そういうことは先に言え!」

「すまないな」

「ちっ。いや、これでよかったのかもしれんな。あいつは私自らの手で屠るべきだ」

 

 ルルーシュは少し思案する。

 

「よし。では私からは以上だ。カグヤ様は何かありますか?」

「聞きたいことは山ほどありますが、今はゼロに任せます」

「ありがとうございます。そちらは?」

 

 ルルーシュはナナリーの方を見る。ナナリーはまだ通訳の途中。そして今、終わった。

 モニカが怒ってEUではなくブリタニアに戻せと言っている。そりゃそうだ。ユーフェミアはゼロに任せるとしか言わない。そのことにモニカはさらに怒る。何故敵を信用するのかと。アッシュフォード学園の面々は怒りはしないが困ったなあという感じだ。

 ナナリーはこちらを見る。

 

「ユーフェミア様は、ゼロに任せると言っています。ところで、あの、私のお兄様がご無事かお聞きしたいのですが」

「きみの兄は無事だ」

「そ、そうですか。ありがとうございます」

 

 以上。ということで動いてもらおう。

 

「では元の世界に返すぞ。3、2、1」

 

 モニカとアーニャをレイラの下へ。ルルーシュとセシルとカレンをナナリーの下へ。他は弄らずに返す。

 そして30秒。ルルーシュとユーフェミアを戻す。

 

「いや、ダメ。殺したくないのに。でも殺したい。……また私は、こんなことを。呪い、ということでしょうか」

「やはりダメだったか。しかし最初よりも抵抗できていた」

 

 やはり元の世界に戻るとユーフェミアにかかっていたギアスが再発するようだ。しかし抵抗できる時間は伸びたらしい。何度も召喚と返還を繰り返せばもっと伸びるかもしれないな。

 

「ルルーシュ、私、どうなってしまったのでしょう」

「先ほど話したのを覚えているか? 俺が命じれば君の意志に関係なく従ってしまうという。ユフィにはそういう呪いがかかっているんだ」

「ルルーシュが命じたの? その、日本人を……」

「ああ。日本人を皆殺しにしろと」

「わざとでないことは分かっていますけど、どうしてそんな命令に?」

「口を滑らしたのは確かだ。しかし、俺は呪いをかけるつもりはなかった。俺の意志に反して呪いが発動してしまったんだ」

「そうですか」

 

 沈むルルーシュとユーフェミア。しかしルルーシュはキリと顔を上げる。

 

「しかし、落ち込んでいる暇はない。ユフィがいなければブリタニア軍が暴れ出し武器を持たない日本人が虐殺される可能性もある」

「そんな……」

「俺だけ式典に戻り、特区は成立したと発表しておく。ユフィは疲れから倒れたことにしよう。セシルを通してコーネリアに伝えれば、幾分疑われにくくなるだろう。スザクはユフィの騎士でセシルは特派の人間だからな。時間稼ぎにしかならんだろうが、その間にユフィにはギアスに対する抵抗を高めてもらう。何とかコーネリアを騙し通せるくらいには」

「大丈夫かしら。お姉様は私が倒れたなんて知ったら」

「頑張って説得してくれ。おそらく君にしかできないことだ」

「私に、しか……。そうですね。やってみます」

 

 ルルーシュは俺の方を見る。

 

「ミレイに事情を説明し、ユフィは学園の地下にある隠し部屋でギアスに抗う訓練を受けてもらう。訓練方法は、とりあえず召喚と返還を繰り返してみてくれ。そしてユフィの反応を見ながら召喚までの時間を延ばしてもらう。と言ってもユフィの記憶は曖昧になるだろうから、ミレイに時間の計測を手伝ってもらう。では俺達を再びアッシュフォード学園に戻してくれ。次にユフィを召喚するのは30秒後。俺を召喚するのは、4時間後にしてくれ。ぴったり4時間だぞ」

「分かった。しかしお前に伝えるべきことがある」

「なんだ?」

「V.V.という男がC.C.とお前とナナリーを狙っている。V.V.はギアス能力者を多数従えており、現在特区日本の近くにいるはずだが、いずれアッシュフォード学園にも行くだろう。安全のためにナナリーはここに呼ぶべきと考えるが」

「そういうことは先に言え!」

 

 叫ぶルルーシュ。しばし固まった後、何やら考える。

 

「その情報、確かなんだろうな?」

「ああ。これはお前の世界の住人と視点が繋がっている時に確認した情報だ」

「V.V.に従う人間のギアス能力は分かるか?」

「1人なら。自分の周囲最大1キロくらいまでにいる人間の体感時間を止める能力者だ。しかし体感時間を止める間は自身の心臓も止まってしまうため、長時間の使用はできない。現在14歳くらいで栗色の髪の毛の男」

「くっ。たった1人でその厄介さか。ならばナナリーはここに預ける。アッシュフォード学園が危険ならユフィを訓練する場所も変えるべきか。……カレンの実家にするか? 確かシュタットフェルトはユーロブリタニアの貴族。コーネリアも迂闊に手を出せんはずだ。何よりカレンがハーフであり近接戦闘に優れるというのが訓練にちょうどいい。よし。一旦学園に戻り、カレンとミレイにその旨を伝えてくる。シャーリー達も移動させるべきか? どうなんだV.V.というやつは。目的のためには人質も使うか?」

「ああ。間違いなく拷問され人質にされる」

「そうか。ならば生徒会メンバーだけでも移動させるべきだな。必要となれば、彼等にも俺達の事情を知らせよう」

「いっそEUに動かすか? レイラの家ならばこれくらいの人数簡単だ」

「レイラという女は信用できるのか?」

「ああ。それに信用できないならギアスをかければいいし」

「……確かにEUに安全な拠点があれば便利だが、リスクが大きすぎる。レイラがブリタニアに俺たちを売るリスクが」

「俺を信じろ、と言ってもうさんくさいだろうからな。今から行って確かめてこい。ナナリーもそちらに送る」

「おい待て!」

 

 ルルーシュの返事を待たず、ルルーシュとユーフェミアをレイラの近くへ移動させる。さらにはナナリー、ミレイ、リヴァル、シャーリー、カレンを召還する。

 

「きゃっ」

「またかよ」

 

 シャーリーやリヴァルは尻餅をつくが、カレンは軽く着地してこちらを睨む。

 

「どういうこと? ゼロが日本に戻るんじゃなかったの? ゼロはどこ?」

 

 しかし返答はせずにレイラの元へ送る。

 さて、ルルーシュはレイラを上手く説得できるだろうか。モニカは暴れてないだろうか。

 3分くらい待ち、ルルーシュ、ナナリー、ユーフェミアをこちらに呼ぶ。

 

「日本人を殺、しちゃ、ダメ!」

「ちっ。好き勝手してくれる」

「きゃっ」

 

 ユーフェミアがまだ抵抗している感じだった。いきなり3分も待てるようになったのか?

 

「どうだったゼロ。ユーフェミアの様子は」

「何とか抵抗している感じだった。カレンのことをブリタニア人だと思い込むことでギアスに抗っている感じだったがな。それよりも! どういうつもりだ! いきなりEUに送るなど! それもラウンズの目の前に!」

 

 この反応は、モニカが何かしたのか? アーニャはまだ動けないだろうし。

 

「モニカが何かやったか?」

「ああ、蹴り飛ばされた。咄嗟に止めろとギアスを使ってしまった。というより勝手にかかった。俺のギアスは常時使用状態になっているみたいだ」

 

 そう言えばルルーシュの仮面が一部壊れて、左目の近くが見えている。そこから若干だが素の声も聞こえる。

 

「あ、あの、お兄様なのですか?」

 

 そしてナナリーがルルーシュに尋ねる。目元と声でバレたのだろう。

 ルルーシュは「はあ」とため息をつき、観念したように仮面を外す。

 

「そうだよ。俺がゼロだ。ナナリー」

「お兄様! で、でも、ゼロはクロヴィスお兄様を! あの、冗談なのですよね? ゼロのフリをしていたとか」

「違う。俺がゼロだったんだ」

「そんな……」

 

 ナナリーはショックを受けたようだ。ルルーシュも泣きそうな顔になっている。ルルーシュはナナリーに拒絶されることが何よりも辛いはずだ。

 ルルーシュは不意に拳をギュッと握る。

 

「ナナリー、今は時間がないんだ」

「分かっています。行政特区のことですよね。ユフィ姉様は、こんな状態ですし」

「ああ。俺だけでも現場で指揮を執らなければ」

 

 ルルーシュはユーフェミアの方を見る。

 

「ユフィ、EUでギアス……、君にかかった呪いの名はギアスと言うんだが、それに打ち勝つ訓練をしてくれ。ギアスを攻略し次第、俺の元へ来て欲しい」

「はい。残念ですが、今の状態では表に顔を出すことはできませんね」

「ユフィ姉様は知っていたのですか? お兄様がゼロだって」

「ええ。ごめんねナナリー。黙っていて」

「もう。酷いです。お兄様もお姉様も」

 

 ナナリーは目に涙を浮かべながら顔を逸らした。そのことに辛そうな表情になるルルーシュとユーフェミア。

 

「ルルーシュ。新しい仮面を手に入れるために学園に戻すぞ。その場合、セシルの近くに瞬間移動することになるが」

「構わん。それと、カレンを日本に呼んでくれ。もしもの時は紅蓮の力が必要になる。もう1つ。EUにいるラウンズをお前の力で無力化してもらいたい。ここに呼んでもいい。少なくともナナリーに手が届く範囲には来させるな」

「いいだろう。ただし俺1人では手に余るため咲世子を借りるぞ」

「咲世子さん? 何故だ?」

「白兵戦のプロだからだよ」

「バカな……」

 

 そうしてルルーシュをセシルの下へ、ナナリーとユーフェミアをレイラの下へ送る。

 そしてすぐさまカレンをここに呼んでからルルーシュの下へ送る。

 さらにはアーニャ、モニカ、咲世子をここへ呼ぶ。

 

「ゼ、ゼロ。ん? また移動か! 貴様!」

「ううっ。頭が、痛い」

「またこの光」

 

 モニカが俺の方へ突っ込んできた。アーニャはまだ苦しそう。咲世子は警戒しながらこちらを見ている。

 モニカは俺の近くで飛び上がり、太ももを見せながら俺の顔を蹴り上げようとする。しかし足が届かない。

 

「ぐっ、体が……」

 

 蹴りは豪快に空振り。着地も失敗。尻餅をつく。

 

「ふっふっふ」

 

 この世界では、非現実的な怪力やスピードが使えない。より厳密に言うと、筋力は見た目の筋肉量に縛られる。手足の細いアニメキャラは運動能力がすごく落ちるのだ。

 

「くそっ! 何をした!」

「ふっふっふ。クランプのキャラは細すぎるということ」

 

 モニカは再び立ち上がり、ハイキック。女性としてはキレのある動きだが、現実的でしかない。一般農民の俺でも腕に力を入れれば受け止められるし、タックルで倒せる。

 

「ぐっ、このっ! 離せ!」

 

 俺はモニカを押し倒し、絞め技をかけようとする。が、これは難しいな。体が恐ろしく柔らかい。アニメの絵が赤ちゃん肌みたいにプニプニだから筋肉もめちゃくちゃ柔らかいのかな。

 しかし、この場には咲世子がいる。

 

「咲世子さん。この方を縄か何かで縛ってくれませんか? 事情は説明しますから」

「それはゼロの指示ですか?」

「はい。ゼロは無力化を指示しました」

「分かりました。とりあえず従っておきます」

「あそこの枝に縄を巻いてます。もしものために持ってきていたやつです」

 

 咲世子は俺の指示に従い、縄でモニカを縛った。

 ひとまずモニカの問題はこれでいいだろう。これからはユーフェミアの訓練だ。

 

「咲世子さんはゼロの下へ送ります。ラウンズを無力化した旨、ゼロに伝えてください」

「はい」

 

 モニカとアーニャは、一瞬EUに送ってまたこっちに呼ぼう。ユーフェミア、ナナリーと一緒に。ルルーシュは仲介役をミレイにしたいらしいけど、俺はブリタニア語がしんどいからな。日本語を話せるナナリーの方がありがたい。

 

「日本人を、好きになります! ですから、殺、殺、殺したくありません! よ、よし。何とか正気を保てました。若干記憶が飛んでますけど」

 

 おお、ユーフェミアが何か変な抗い方してる。でもさっきよりかなり安定してるぞ。この分なら案外早くギアスに勝てるかもね。ユーフェミアはアニメでもそこそこ抗ってたしこういう精神力が強いのかな。それとも愛するルルーシュやスザクが関わっているから早いのかな。ナナリーもルルーシュを止めたいとかそういう気持ちで父親のギアスを破ったしね。

 

「ナナリー。ユーフェミアはどれくらい耐えられた?」

「ずっとこんな調子でした。苦しそうに体を震わせていましたが、日本人を殺そうと動いたことはなかったです」

「そうか。よくなってるな」

 

 ユーフェミアも耐えられてうれしそう。ただし額に汗びっちょりで肩で息をしているが。

 

「はあ、はあ、はあ。もう一度、お願いします」

 

 ユーフェミアは苦しそうにこちらを見て言う。

 

「少し休憩しよう。疲労で倒れては訓練どころではない」

「いえ、大丈夫です。いけます」

「そうか。まあみかんでも食え」

「私はこんな所で立ち止まるわけにはいかないのです。私がいなくなったと知った兵達がどんな行動に出るか」

 

 いい気合だ。危ういが、この気力が出ているうちにたくさん練習させた方がいいかもな。

 

「では、もう一度EUに戻そう。5分頑張ってみろ」

「はい!」

 

 そして俺はユーフェミア達をEUに戻す。5分後、再び召喚する。

 

「す、す、好きだから、殺さない! 殺していいはずがない! はあ、はあ、はあ」

「ナナリー。どうだった?」

「先ほどよりもさらに安定していたと思います。2分くらいは私と会話もできました。言葉が途切れることもありましたけど」

「ほう。すごいな、ユーフェミアは」

「はい」

「ところでナナリーは大丈夫なのか? 目は」

「はい。元の世界に戻ると少し怖くなりますけど、開けることはできます。体が目の開け方を覚えている感じです」

「へー」

 

 しかしアーニャはまだ苦しそうなんだよなあ。マニアンヌが何かやってるのかもしれないな。

 そうしてこのようにユーフェミアの召喚を繰り返すこと15回。時間にして4時間。ようやくユーフェミアは元の世界でもふつうに話せるようになった。日本人を目の前にした状況や集中力を失った状態ではどうなるか分からないが、とりあえずコーネリアの目の前には出せる。

 ルルーシュと約束した時間でもあるし、一度ルルーシュを呼んで成果を報告しよう。



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V.V.捕獲

 アッシュフォード学園に戻ったルルーシュは、クラブハウスにある自室でゼロ仮面のスペアを手に取りながら、C.C.へ連絡を取っていた。

 

「無事か。ルルーシュ」

「ああ。だが想定外の事態が起こった」

「何があった? 急にお前の反応が消えていたが。今もこの近くにはいないな?」

「俺は学園にいる」

「学園だと?」

「ああ。俺、ナナリー、ユフィ、ミレイ、シャーリー、カレン、リヴァル、咲世子、それにカグヤとラウンズの2人、あと2人の女が謎のみかん畑に瞬間移動させられていた。それから数度瞬間移動させられ、先ほど学園に移動した。おそらく一人の男の仕業だ。神根島の瞬間移動に近かったが、ギアス関係者だと思うか?」

「私は知らないが、その可能性はあるな」

「知らないか。まあ期待していなかったさ。あいつは俺やお前とは別次元の存在に見えた」

「何だと?」

「何度でも瞬間移動できるらしい。EUのような距離でも一瞬だ。それに他人の視界を覗けるらしい。これらは既存のギアス能力を超えているように感じる。加えて、謎のみかん畑は次元の異なる場所にあるらしく、俺のギアスが使えなくなり、ユーフェミアやシャーリーにかかったギアスも消えていた」

「ほう」

 

 C.C.は興味ありげな反応をする。ルルーシュは少し不思議に感じた。しかし今はそれを問いただす余裕がない。

 

「だが、謎の男は表面上俺に協力的だった。今すぐ俺の邪魔をすることはないと思う。よって行政特区を先に片付ける」

「信用できるのか? その男は」

「はっきり言って信用できないが、対策を練るには情報が少なすぎる。下手に警戒して刺激しない方がいい。今はな」

「そうか。今、学園にいると言ったな。私が迎えに行くか?」

「ああ。頼む。来たついでにカレンも拾ってくれ。それに行政特区に関してだが、当初の俺を撃たせる計画は白紙撤回だ。ユーフェミアには別のギアスがかかってしまった」

「ふん、坊やが何か失敗したか?」

「というより、勝手にギアスが発動してしまったんだ。俺の意志とは関係なく」

「何!?」

「C.C.、貴様知っていたな。いずれ俺のギアスがこうなるということを」

 

 ルルーシュは珍しくC.C.に対して強い怒りをぶつける。C.C.は何も答えない。しかし聡明なルルーシュにとってここでの沈黙は肯定と同じだった。

 

「ふん、俺も分かっていたさ。ギアスがただ便利な能力ではないということくらい」

 

 マオのことがあるからな、と頭の中で付け加える。

 

「もう1つ。V.V.を知っているか?」

「何!? どこで知った。その名前を」

「知っているのだな。V.V.が俺とナナリー、それにお前を狙って行政特区に来ているらしい。本当だと思うか?」

「……ああ、近くにいる。さあ、私は答えたぞ。どこで知ったか言え。V.V.のことを」

「それも謎の男が言ったことだ。お前の反応を考えると、事実の可能性が高いのかもしれないな」

「うーむ。V.V.まで知っていたのか。気になるな、その男」

「魔女でも興味はあるんだな」

「ふざけたことを言うな。こんな時に」

 

 ルルーシュはその後V.V.の人柄や従えているギアス能力者についてC.C.に質問する。C.C.の返答は謎の男の発言とほぼ一致していた。以上からV.V.がナナリーや自分を狙っていると想定し、作戦を作り直すことになった。

 ユーフェミアが頑張ってギアスを解こうとしている。ルルーシュの心情としてユーフェミアの願いを叶えてやりたくはある。しかしV.V.が特区破壊を狙っている以上、穏便な終息は期待できない。何よりギアス能力者をここで始末しなければ、必ず厄介な壁として立ちはだかる。よって当初の予定通り、特区失敗を基点とした戦闘への流れを作り、その中でV.V.とギアス能力者を仕留めることにする。

 

 ルルーシュはC.C.の操るガウェインに乗り、行政特区の会場に戻ってくる。会場ではブリタニア軍が慌しく動き始めていた。一部ガウェインに銃口を向け、静止を促すナイトメアもある。しかしルルーシュは脅迫を無視して再び会場の上空まで来た。

 

「会場の諸君、ユーフェミア殿下は先程何者かの襲撃を受けた。私は事前に察知し、無事逃げ切れたが、ユーフェミア殿下は行方不明だ。会場周辺のブリタニア軍が浮き足立っているのはそのためだ。本日の特区は破綻または延期になるだろう。日本人の皆は黒の騎士団の誘導に従い、会場を出てもらいたい」

 

 その声に日本人たちが逃げ始める。ブリタニア兵は逆に逃がさんとして出口を塞いでいく。

 

「ゼロ! お前がユーフェミア様を攫ったのだろう!」

「こいつらを逃がすな! 人質だ!」

 

 ゼロの演説はまだ続く。

 

「襲撃者の侵入を許したのはブリタニア軍であり、内通者が存在する可能性が高い。よって今後、襲撃者の捜索は黒の騎士団が行う。ブリタニア軍は、私の指示に従って動くように。ユーフェミア殿下の身が大切ならば」

 

 その言葉にブリタニア兵はさらに怒る。

 

「ゼロ! やはり貴様がユーフェミア様を人質に!」

「脅しが通じると思うなよ! ここには何万もの人質がいるのだぞ!」

 

 その間にも押し寄せる日本人が会場の外へ逃げようとする。堪えきれず、ブリタニア兵の1人が日本人の足元を撃つ。それが契機になったか、日本人達は一斉に悲鳴を上げて、蜘蛛の子を散らすように駆け出す。

 

「おいバカ! 撃つな!」

 

 この場の兵を仕切るダールトンが叫ぶが、悲鳴に隠され届かない。いや、届いていても、日本人憎しで撃っている者がいる。逃がさないよう足元を狙ったものもあるが、殺す意図を持った銃撃もあった。銃声と悲鳴が木霊し、血塗れた日本人が次々と倒れていく。

 

「裏切ったな。ブリタニア軍め」

 

 ルルーシュはこの場に黒の騎士団を呼んだ。

 

 ダールトンの説得とスザク及び黒の騎士団の参戦でブリタニア軍の虐殺は止まった。しかし日本人には100を超える犠牲者が出ており行政特区日本の失敗は誰の目にも明らかだった。

 

 ゼロはダールトンにコーネリアと共同での襲撃犯捜索を提案した。ミーティングは三時間半後に予定。ダールトンはスザクにこの場に残りユーフェミア捜索をするよう命じ、自身はコーネリアに指示を仰ぐため政庁に戻った。

 ミーティングの時刻が来る前に、ルルーシュは田中の能力で田中の世界へ移動した。

 

「ここは……?」

「俺の部屋だ」

 

 そういう田中の付近にはユーフェミアとナナリーとセシルもいた。

 

「貴様、ナナリーを巻き込む気か?」

 

 ルルーシュが田中を睨む。

 

「お兄様、EUに行ったメンバーで日本語が話せるのは私だけでした。それにユフィ姉様の相手なら私が一番ふさわしいと思います」

「ナナリー、しかし」

「ルルーシュ! ナナリーが手伝ってくれたおかげで、会話なら問題なくできるようになりました! 褒めてあげてください! 立派な妹です!」

「えっ。あ、ああ。すごいじゃないかナナリー。それに、ユフィも。まさかこんなに早く打ち勝てるなんて」

 

 ルルーシュはユーフェミアの気迫に押され、田中への追求を止めた。

 

「っと、そうか。ユフィがそこまで回復しているなら、ビデオはいらないかもな」

「ビデオ?」

「ああ。実はV.V.を罠にかけるためにユフィに手伝ってもらおうと思っていたのだが」

「V.V.?」

 

 ルルーシュは簡単にV.V.について説明する。自分やナナリーを狙っている敵であり、ルルーシュや田中と同じような超能力が使えると。またルルーシュのギアスについてV.V.にバレているとも。田中はコードの能力を加えて教える。不死性とトラウマを呼び出し気絶させる能力。それにルルーシュのギアスを暴走させるために何かやった可能性についても。

 

「コード。恐ろしい力ですね」

「ああ。だが、対策を練る時間はあまりない。もうすぐコーネリアとゼロの会談が始まる。会談内容は誘拐されたユフィの捜査協力についてだ」

「ええっ? 私ですか? どうして誘拐されたことに?」

「その方が都合がよかったからだ」

「まあ、ルルーシュが言うのなら」

「俺の予想が正しければ、今頃V.V.はコーネリアの下へ行き俺のギアスについて説明しているはずだ。会談に行くなら俺の目を見ないようにしろ、とかな。オレンジの真相などそれっぽい証拠を見せて。コーネリアはある程度V.V.を信じるだろう。そして俺を生け捕りにし、ユフィの居場所を聞こうとする」

「でも私、別に誘拐されてませんからね」

「ああ。だからこの作戦はユフィがキーになる。無事であることをコーネリアに伝え、逆にV.V.を襲撃犯に仕立てあげる。ここでユフィのビデオ映像を使うつもりだったが、ふつうに会話できるならその方がいい。コーネリアを上手く説得してくれ。後はタイミングだ。V.V.は自身が超能力者であるのみならず他にも超能力者を従えているらしいからな。コーネリアでも生身では分が悪い。ナイトメアに騎乗した状態で、できるだけ早く、V.V.に攻撃するように仕向けるのがベストだ」

「なるほど。しかしルルーシュ、もう少し柔らかい言い方をしませんか? コーネリアお姉様はあなたにとってもお姉様なのですから」

「ふん、無理だな。あいつはブリタニアに染まった女だ」

「もう!」

 

 ルルーシュの予想通り、V.V.はコーネリアの下にいた。ヴィレッタ、バトレー、ジェレミア、スザク等の実例を見せ、ゼロが人の心を操るギアスという能力を持っていると説明した。その力でクロヴィスを殺し、ユーフェミアを誘拐したとも。またゼロの正体はルルーシュであるとも明かした。コーネリアは半信半疑だったが、一応ギアス対策にサーモグラフィや携帯カメラを利用した仮面を用意し、部下と共に被った。V.V.は用事があると言ってどこかへ出かけた。コーネリアはV.V.のことも怪しいと考えており、ダールトンと親衛隊に尾行させた。

 

 会談前、コーネリアとその部下はナイトメアに騎乗し行政特区の会場を目指していた。不意にランスロットがコーネリアに近づいてきた。

 

「止まれ、枢木スザク。何のようだ? もしや己の主も発見できぬままのこのこと現われたわけではあるまいな」

「ユーフェミア殿下を保護しました」

「何?」

 

 コーネリアとその部下はランスロットの後ろをついていく。そこには特派のコンテナ車があった。車の傍で、ユーフェミアがコーネリアに手を振っている。

 

「ユフィ。無事だったか」

「はい。お姉様」

 

 コーネリアはナイトメアから降りると、走って駆け寄り、抱きつく。

 

「馬鹿者が。どこで何をしていた」

「それなのですが、お姉様。V.V.という者に会いませんでしたか?」

「会った。会ったが、まさか」

「襲撃犯とはV.V.のことです。私は彼から逃げ、この特派に隠れていました」

「何? 詳しく聞かせろ」

 

 ユーフェミアはV.V.が超能力を使い、スザクを気絶させ、自分にも何らかのダメージを与えようとしたと説明した。その後、ユーフェミアはゼロに助けられ会場を脱出し、特派まで連れて行かれた。今まで無事であることを黙っていたのは、コーネリア以外のブリタニア兵が信用できなかったから。

 

「そうか。そんなことが……。しかし、ゼロは信用できるのか?」

「はい」

 

 ユーフェミアは満面の笑みで答える。コーネリアは拳骨を入れる。

 

「痛いです」

「バカが。テロリストを信用してどうする」

「で、でも、ゼロは……」

 

 ユーフェミアはゼロがルルーシュだと言っていいのかどうか悩む。

 

「もしや、ルルーシュだとでも?」

「えっ……」

 

 コーネリアは山勘でV.V.から聞いたことを言ってみたのだが、ユーフェミアの反応を見るに、当たっているらしい。コーネリアは頭を抱え、ため息をつく。

 

「何ということだ。ルルーシュがクロヴィスを。それに、ユフィは知っていたのだな。だからゼロを信用して特区などと」

「すみません。いたっ」

 

 コーネリアはもう一度ユーフェミアに拳骨を放った。

 

「お姉様。V.V.の狙いも、実はルルーシュとナナリーで」

「ナナリーも生きているのか?」

「はい」

「そうか。やつめ、用事とはナナリーを殺すことか?」

「えっ。V.V.は今、どこに!?」

「安心しろ。ダールトンに後をつけさせている」

「あの、V.V.は、恐ろしい超能力を使います! 早く助けに行かないと!」

「ふっ、ダールトンはお前に心配されるような男ではない。しかし、話は聞こう。超能力は厄介だ」

 

 コーネリアはユーフェミアと共に特派のコンテナ車に入る。コーネリアは入ってすぐ驚くことになった。巨大なテレビスクリーンにゼロの姿があったからだ。

 

「久しぶりだな、コーネリア」

 

 偉そうに言うゼロ。コーネリアは一睨みしてから、ため息をつく。

 

「お前がルルーシュだったとはな」

「何?」

 

 ユーフェミアはテレビから視線を逸らす。ルルーシュはそれで情報源を察した。

 

「チッ。私の正体などどうでもいい。今重要なのは襲撃者への対応だ」

「ルルーシュ、私はユフィとは違う。無罪とはいかんぞ」

「言ったはずだ。どうでもいいと。何故ならルルーシュは死んだ人間だからだ」

「わけの分からんことを」

「それで、どうする? V.V.の捕獲に協力するのかしないのか」

「お前の協力などいらん。ナナリーのためにどうしてもというのなら、考えてやらんでもないが」

「何?」

「ユフィ、超能力の内容を教えてくれ。愚弟の相手をしている暇はない」

「ユフィ、作戦変更だ。頭の固い騎士気取りでは超能力に対応できん」

 

 ルルーシュとコーネリア。プライドの高い2人は互いに譲らず。ユーフェミアを利用しこの場を有利に進めようとする。当てにされたユーフェミアは災難だ。彼女にとっては2人が協力してV.V.を捕まえることが一番。ここは情報の少ないコーネリアに先に話しかけることにする。

 

「お姉様、V.V.の超能力は、スザクを気絶させた精神系の技と、不死身の体があるそうです。他にも部下に超能力者がいて、自身の周囲1キロくらいの時間を止められる人もいるとか。ただし止まるのは人間や動物の思考だけで、機械は動き続けるそうです。また、時間停止中は心臓が止まるという弱点があり、長時間の使用はできないとか」

「……不死身に時間停止か。頭が痛くなるな。この世の物とは思えん」

「やはり頭の固い姉上には無理か。おい、コーネリア。V.V.の向かう先は検討がついている。黒の騎士団で対応するから邪魔だけはするなよ」

「愚弟には荷が重いということが分かったよ。だが、ダールトンと私と親衛隊がいれば十分だ。ユフィ、ナナリーはどこに?」

「学園の友人と、安全な場所へ移動しています。ただ、V.V.は学園に向かっているため、ナナリーのダミーを潜りこませているそうです」

「ふん、味な真似を」

「学園の詳細はこちらに」

 

 と、セシルがパソコンを手にやってきた。アッシュフォード学園の詳細な図面が3Dで見れる。

 

「お前は特派の」

「はい。セシル・クルーミーと申します」

 

 コーネリアはダールトンへ確認を取る。確かにV.V.を乗せた車はアッシュフォード学園の方向へ向かっているようだ。

 

「確認は取れた。こちらからダールトンに応援を送ろう」

「ありがとうございます。お姉様」

「ただし、私はこのままゼロの元へ行き、捕獲する!」

「そんな! どうして!」

 

 コーネリアをやっと説得できたと思ったのに、まだルルーシュと和解してくれなかった。どころか戦闘。ユーフェミアは真っ暗な気持ちになる。

 

「いや、それでいい」

「えっ」

 

 しかし、当のルルーシュは肯定した。

 

「俺とコーネリアが戦わなければV.V.が怪しむ。異能力者は可能な限り油断させ、能力を使う間もなく仕留めるべきだ。ただし、この後の展開を考えると、余計な消耗をするべきではない」

「この後の展開などないさ。ルルーシュ、お前は私が討ち取るからな」

「そんな……」

「一騎打ちでどうだ。コーネリア」

「いいだろう。受けて立つ」

「お姉様! ルルーシュ! どうして!」

 

 叫ぶユーフェミア。コーネリアは楽しげに口端を上げていた。

 

 コーネリアが特区会場に着いた時、一騎のナイトメアが堂々と佇んでいた。それはルルーシュの愛機ガウェインではなく藤堂の乗る月下だった。

 

「ルルーシュ、貴様というやつは」

「いざ、尋常に勝負」

 

 その頃、ルルーシュは特派のコンテナにいた。ルルーシュはセシル、ロイドと共にナイトメアの自動操縦プログラムを作成しながら、黒の騎士団とユーフェミアに指示を出している。

 

「P3遅いぞ、早くしろ。ユーフェミア、N1はポイント変更だ。M16に動かせ」

「は、はい。スザク、広場ではなく裏門で待ち伏せお願いします。ダールトン将軍は時限式流体サクラダイトの設置を急いでください」

 

 ルルーシュは黒の騎士団とユーフェミアに、ユーフェミアはスザクとダールトンに指示を出す。ダールトンはゼロの存在に気付いているが、現在は利害が一致しているのでユーフェミアに従うという形で作戦に協力していた。スザクは単純にユーフェミアに従っていた。

 

「ロイド、これはなんだ?」

「どうせなら三次元駆動も自動化させようかなあなんて」

「ほう。ならば引き殺せるようにしておけ」

「そういうつもりで作ったんじゃないんだけどなあ」

 

 どれほどプログラムを弄ってもナイトメアで人を捉える精度には限界がある。しかし銃撃よりは直接ぶつかる方が命中率は高いだろう。

 

 さて、今回は学園の中でも見通しのよい広場にナナリーの偽者(咲世子)を置き、近くにナイトメアに乗ったカレンを忍ばせ、逃げ道と想定されるルートに自動操縦ナイトメア、ダールトン、スザク、黒の騎士団を配置するという布陣を取った。ルルーシュの指示はそうだった。しかし田中はV.V.がナナリーの偽者に感づく可能性に気付いた。ナナリーにはC.C.因子が植え込まれており、コード保有者には別のコード保有者やギアス能力者が近くにいることを感じる能力があるからだ。よってV.V.にナナリーの存在を認識させるために、ルルーシュに内緒で広場にナナリー本人を忍ばせていた。ただし変装させて。なお、学園は放課後だが部活動を行っている生徒もおり、広場にもいくらか人影がある。彼等の身は非常に危険だが、V.V.を油断させるため避難させることはできなかった。

 

「ルルーシュはコーネリアとの一騎打ちを避けたのか。ま、あいつは嘘つきだしね。想定内さ。でも、嘘つきには罰を与えるよ」

 

 V.V.はコーネリアが藤堂と一騎打ちしているという報告を受けた。スザクがユーフェミアを奪還したとの報告も受けており、少し怪しく思ったが、おそらくユーフェミアにギアスをかけて暗殺か何かを狙ったのだろうと予測した。いずれにせよコーネリアがルルーシュに敵対しているので問題ない。ダールトンが監視に来ていることにも気付いているが特には問題視していない。

 

「ふふふ。感じるよ、ナナリー。そこにいるね」

 

 そうこうしている内にV.V.は車で学園に入る。守衛が静止を促すが、教団のギアス能力者が守衛を気絶させる。V.V.は車を降り、教団の部下と共に堂々と広場へ歩いていく。人数は11。

 

「何あれ? コスプレ?」

「なんか怖いな。相手しないでおこう」

 

 生徒達はV.V.一向に気付くが、異様な雰囲気を恐れて離れていく。

 そしてとうとう、V.V.が車椅子に乗ったナナリーに気付く。ナナリーは目を閉じたままパンを千切って猫にあげていた。

 

「健気だね、ナナリー。でも君の兄がいけないんだよ。やれ」

 

 V.V.の命で教団員がナナリーに襲い掛かる。目が見えず動けないはずのナナリーは、恐ろしく素早い動きで教団員に向けて何かを投げつけた。

 

「何?」

「ぐあっ」

 

 声を上げ、3人の教団メンバーが倒れる。ナナリーのはずの女はさらに煙玉を地面に投げつける。あまりにも手際がよく、暗殺者として訓練されたはずのギアス教団員も対応できなかった。

 気付くとV.V.の額にも何かが刺さっていた。脳が揺れ、不死身のV.V.も倒れてしまう。倒れながら額に刺さった何かを抜く。東洋の暗殺者が使う武器だった。

 

「あいつを殺せ! 偽者だ!」

 

 V.V.が言うや否や、教団員の1人を中心として赤いサークルが伸びる。そのサークル内部に入った人間は誰もが動きを止めてしまう。いや、サークルを出した当人とV.V.は動けていたが。

 彼は銃を取り出し、煙玉で見えづらい中ナナリーの偽者を探す。そして見つけた。しかし彼が銃を撃つ前にナナリーの偽者は光に包まれて消えてしまった。

 

 田中の能力である。田中はルルーシュの指示でミレイの瞬間移動を繰り返していた。ミレイはギアスの範囲に入らないように特派のコンテナから監視カメラで現地を見て、それを田中に報告していた。田中は約1秒毎に召喚と変換を繰り返し、煙玉の報告をミレイから受けた後、ミレイを返還し咲世子とナナリーを田中の世界に呼んだのだった。

 

「……はっ。これが、時間停止というやつでしょうか。恐ろしい力ですね」

「咲世子さんもすごい動きでした。私驚いちゃいましたよ。今度教えていただけませんか」

「ナナリー様がそうおっしゃるのでしたら」

 

 その頃、V.V.達はルルーシュの用意した罠と対峙していた。

 まずカレンのガニメデの攻撃で2人が死んだ。教団員は能力でガニメデの動きを封じ、V.V.と共に逃げ始める。逃げる間に無人ナイトメアが現れる。教団員は能力で同じように動きを止めようとしたが、無人であるため止まらず(厳密には自動操縦プラス遠隔操作。ルルーシュが遠隔操作もしている)、銃撃と踏まれたことにより3人が死んだ。残った3人で車に辿り着き、門を出たのだが、そこで地面が大爆発を起こした。車は爆発に巻き込まれ、運転手は即死でV.V.も大怪我を負う。もう一台の車に乗っていた教団員は血まみれのV.V.を担ぎ、車に乗せようとする。しかしその車もどこからか銃撃を受け、爆発した。教団員は爆発に巻き込まれ、動けなくなった。



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