魔法少女リリカルなのはvividー青年の物語・・・・・の後の物語 (Rainーのち大洪水)
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一話

お初です!自分は読み専だったのですが書きたくなって、投稿してしまいました!稚作ですがよろしくおねがいしますm(__)m


 

 

 

ーミッドチルダ首都「クラナガン」中央区住宅街地区

 

現在時刻=AM9時30分

 

マンションやアパート、一般住宅等が建ち並ぶなか、周りの家と比べれば少し小さい平屋、その一室に家主はいた、黒いパジャマ上下を身に包む青年「カズマ=ツユクサ」は、目をつむっていたが、やがて顔を天井に向けたまま口を開いた

 

カズマ「・・・・・・・・・ぷっぷすぅ・・・・・それミッ〇ーちゃうわ〇ェリーだしwww」

 

・・・・・この男は「カズマ=ツユクサ」2年程前にここクラナガンに住み始めた18歳の青年であり一応主人公である、クラナガンでは比較的珍しい部類である、黒髮、黒目で、基本的にはそこらへんにいる一般男性と同じである。あ、顔は御都合主義というやつで、中の上ぐらいで☆

 

カズマ「・・・・さ・・・・くしゃ・・・・のリアルフェイスは・・・・・・〇〇〇フェイ・・・ずzzzzz」

 

決めた、この主人公(糞)後で舞台裏でぼっこにしてやるぅあ(フラグ

 

そんな寝てるカズマに近づく人物が一人、その人物はカズマが眠っている事を確認するとため息を短くはき、声をかける

 

?「おーい、カズマ、起きろもう9時半だぞ、バイト遅刻すんぞ?つかすんな起きろ」

カズマ「彼の名はクライ=ハールヴ、野郎、36歳既婚者、我が家の近くにある喫茶店「ビーナス」の店主、性格はムカつくがものっそマトモ、しかし顔は性格にステータス全振りしたのか、ランダムで強面に生まれた模様、以前捨てられた猫を見たときの切ない顔をしたときがあったが、その顔をみた婦人Aさんが断末魔の叫びを上げて倒れるという事件が起きた・・・・俺も・・・・見たか・・・・たずぅzzzzz」

クライ「見たかったじゃねぇよおぉ!!え?なに?起きてた上に人のプロフィールべらべら喋った挙げ句黒歴史までばらして(誰にとは言わない)なにまた寝ようとしてんの寝るな起きろぉぉおおお!!」

 

・・・・・クライの怒声で起きたのか、カズマはゆっくりと目を開けゆっくりとクライを見て・・・・みるみる顔を青くしていって・・・・

 

クライ「やっと起きたか・・・状況察したら着替えて飯くってーーーー」

カズマ「ーーーーキャアアァアアアア!襲われるうぅぅぅぅぅ!」

クライ「ちょっと待ってえぇぇぇぇ!?!?!?」

 

ーーーーーー

 

カズマ「・・・・・風邪?」

クライ「昨日言ったろ、流行り風邪で寝込んじゃったみたいだから代わりに出てくれって、お前も同意したじゃねぇか」

カズマ「あー、悪い忘れてた」

 

何とかお互いに落ち着き、今日休みだったはずの自分がなぜ?と聞くとバイトのウェイターの子が風邪で寝込んでしまったため、自分に白羽の矢がたったらしい・・・

 

カズマ「とりあえずすぐ向かいますわ」

 

その言葉にクライは「近くとは言え気を付けて来いよ」とひとこと良い出ていった。

 

カズマ「・・・・・ここに来て2年か」

 

「あの」事件が終わってすぐ、発展しているこの世界の事をきき、すぐ移住した。

 

カズマ「・・・・・よし行くか・・・っとそっか今日は「来る」日だったな、今日は鍋にするか」

 

今の彼にもう帰るべき故郷はない、何故なら

 

カズマ「行ってきます」

 

玄関に飾ってある写真たてに声をかけて出ていくカズマ、その写真には、カズマと思わしき10歳程の笑顔の少年と二人の女性と男性が微笑んで少年を挟んでいた

 

ーーーー何故なら故郷ははすでに消されているから




感想、指摘、誤字等がございましたらよろしくおねがいしますm(__)m


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2話

うぅむ、文字打っているときは感覚的に3000くらいなのに、実際は1000弱・・・・投稿ムズカシィ(´・ω・`)


 

 

喫茶店「ビーナス」はカズマの家から、徒歩で5分程でつく、住宅街の中と言っても、それなりに広い土地を買ったようで駐車場も車を10台程停められる、店も中々に外見は落ち着いている、白で壁を塗装してあり屋根は肌色に赤を多少足した色合いだ、例えるなら〇グナリアぐらいな感じがちょうど良いと思う。

 

 

カズマ「お疲れ様でーす」

クライ「きたか」

カズマ「お疲れ様でしたぁ」

クライ「帰るな」

カズマ「離してください」

クライ「嫌だ」

カズマ「店長呼びますよ!?」

クライ「わたしだ」

カズマ「管理局呼びますよ!?」

クライ「やめろください」

カズマ「じゃあ時給1000円上げてください」

クライ「なんだこいつ」

 

とまぁいつも通りの挨拶をしてタイムカードをおし、ウェイターの制服に着替える

 

カズマ「店長、今日は全員合わせて5人か?今日は週末だから多分人多いぞ?」

クライ「大丈夫だ、午後から後一人来るから」

カズマ「きつくなったら店長泣きながら表立っててよ、それだけで客避けになるから」

クライ「やんないよ!?客避けじゃ意味ないからね!?寄せないと駄目だからね!?」

「店長、前に笑顔で注文とりに行ったらまじでこの店バックに暴力団いるって噂になったからねー」

クライ「その話はやめろ嫁に散々怒られたんだからな」

 

そのやりとりに皆笑いつつ本日もビーナスは開店した

 

ーーーーーー

 

ーーAM11時50分

 

カズマ「カルボナーラとカルボナーラ2乗が一つずつっすね」

「やだもう、そんな食べたらおばさん太っちゃうわよ!」

カズマ「大丈夫っすよ、奥さんまだまだ若いんだから、こないだ旦那さん来て「嫁に手ぇ出すなよ?」っていってカルボナーラ食べてったんすから」

「全くあの人は・・・」

カズマ「愛されてますね」

「うふふ・・・・」

 

和気あいあいと客とコミュニケーションを図っているカズマを見てクライが呟く

 

クライ「何であんな普段は真面目の要素を虚空空間に置いてきた感じのやつなのに接客となるとああなるんだ?」

「確か店長が連れてきたんですよね?すごいですよね、今じゃ、ウェイター兼厨房兼用心棒兼相談所ですもんね」

「うちに来てまだ半年なのに・・・・一体どんな人生あるって来たらああなれるのかしら?」

クライ「・・・・・・・・・・・・・」

 

ーあんたが諦めたら、誰がこの店守るんだ?

 

 

クライ「・・・・・・・本当・・・」

 

ーほら客またしてんだろ?行ってやんな、嫁さんと一緒にな

 

クライ「・・・・・にな」

 

ーーーーーーーー

 

カズマ「・・・・ふぅ、ミリー婆さんお会計でぇす!」

「はぁい!」

「カズマ君、また今度遊びに来てね、孫も喜ぶから・・・」

カズマ「あぁ、婆さんも帰りに気を付けなよ?良かったら送るか?」

 

席をたちにこやかにカズマを誘う近所のおばあさん、頷きながらも気遣い回送を提案するが笑顔のまま首を横に振り会計を済ませて出ていった。

 

カズマ「・・・・段々増えてきたかな?」

 

ーカランカランッ♪

 

店の入り口が開けられる、お客さんのようだ

 

カズマ「いらっしゃいませ!・・・・」

「こ、こんにちは・・・・?」

 

そこにいたのは、白のワンピースにオレンジ色の長い髪を腰まで伸ばしている女性

 

 

ティアナ・ランスター執務官がいた

 

カズマ「ど、どうしたんすか?ティアナさんそんな綺麗に着飾って・・・」

ティアナ「き、綺麗って・・・・」

カズマ「あ、すんません只の世辞でででででででで!?」

ティアナ「かの大王様はでが3つよ?怒られるわよ?」

カズマ「すでに大王じゃない大魔王に怒られてルヴゥゥゥウ!?」

 

最初は本人の容姿も相まって店内が静まる程、皆見惚れていたが、カズマとのやりとりで笑いが戻ってきた

 

カズマ「でも珍しいですな、ティアナさんか非番にこの店に来るなんて」

ティアナ「いや・・・・・まぁ・・・・ね」

カズマ「彼氏さんとかですか?」

ティアナ「ち、違うわよ!?」

カズマ「・・・・・?まぁとりあえず座ってください、カウンターですか?テーブルが良いですか」

 

カウンターと答えたティアナをカウンターに案内したあと、注文をとり奥に入っていく

 

カズマ「・・・・・・・・・・・・」

 

Trrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr・・・・・

 

そしておもむろにケータイを取りだし、どこかに電話をかける

 

カズマ「・・・・あ、もしもし俺っす「隊長殿」」

<どうしたんだい>

カズマ「・・・・・・・ティアナ嬢に・・・・・男の影あり・・・」

 

ーガタッ‼

 

電話の向こうでなにがが倒れる音がしていた向こうの動揺が伝わってくる

 

<なん・・・・・だと>

カズマ「今うちの店に来てるんだがとんでもねぇぐらいにおしゃれです、ヤバいっす、キャ〇〇ーが、進化もせずにそらとぶぐらいにヤバいっす」

<・・・・・緊急事態だ、管理局から・・・・・・天使が消える>

カズマ「・・・・・・今すぐ‼今すぐに包囲網を展開してください‼手遅れになっちまう」

<事は一刻を争う!すぐに内密に迅速に・・・・>

カズマ「おねがいします!「ティアナ様新鋭隊」の名にかけて!」

 

クライ「・・・・・・・じゃねぇだろうがあぁぁぁぁあ!!」

カズマ「ぶぅるうああああああああ!!!!!!」

 

そこへ顔が鬼を越え鬼神とかした店長がカズマの顔にドロップをかました。

良い具合に吹き飛んで行くカズマ

 

店長「おぃごらあぁ、ガズマァ、仕事サボって嬢ちゃんのストーカー共謀してるたぁ・・・・・どういう了見だごらぁぁ!」

カズマ「店長ぉ!?(裏声)そ、その顔が・・・・そのもはや爆発三太郎よりヤバイ顔に・・・・・」

店長「だぁれが火げヅラだぁごらぁあああああ!」

カズマ「そっちいいぃぃぃぃぃぃやああああああああ!?」

 

 

昇☆天

 




因みに僕はティアナが好きです!誤字、指摘等がございましたらよろしくおねがいします!


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3話

続きです!\(^^)


 

 

PM5時半頃

 

店長「あ、そだカズマ」

カズマ「へいボス、どうしたんですかい?・・・・・店の外に停まっているあのワゴン・・・・バラしますかい?」

店長「バラさねぇよ!いつまで2話の最後引きずってんだよ!」

カズマ「何をおっしゃるんですかボス‼俺ら二人組めば、この住宅街、ものの一週間もありゃ、即落とせますぜ!」

クライ「規模がちっちぇんだよ!?」

 

ここビーナスは基本6時上がりだ、店を閉めて明日の準備をして店を出る、途中まで店長と一緒なので一緒に歩く

 

クライ「しかし、あの執務官の嬢ちゃんもなんだかんだお前と長いよな?ミットチルダに来たときからの付き合いなんだろう?」

カズマ「あぁ、確かあん時は俺が取り調べ受けてたんだっけな」

クライ「ふぁ!?」

 

とんでもないことをぶっこんだカズマにクライが驚愕の表情を見せた。

 

クライ「え?なに?まじで?」

カズマ「まぁ、あの人のおかげで誤認逮捕ってなったからな、そんときはそれっきりだと思ったんだがな」

 

 

カズマ「本当に、俺みたいなやつに何で構うかな」

 

 

ふと呟いたカズマの表情は歓喜やら疑問やら悲観やら、様々な感情を混ぜたような笑みを浮かべていたような

 

クライ「・・・・そりゃ、お前・・・・」

「おぃごらあババア!どこ見て歩いてんだごらあ!」

カズマ「・・・・・」

クライ「お、おぃ・・・・・」

 

突如聞こえた不穏な怒鳴り声に即座にカズマはその場を動き出していた

 

クライ「いっちった・・・・・ったく、そりゃお前ーーーー」

 

 

ーーーーーお前さんだからじゃないか?

呆れつつも嬉しそうな表情を浮かべて後を追いかけた

 

 

ーーー尚、そのあと学校から帰ってきた住宅街の子供がその表情を見て泣き叫びながら逃げると言った事件が起きて、その事が近所から学校へといき、しばらく住宅街に生活安全課の局員が厳戒態勢で巡回していたことは・・・・何も言うまい。

 

 

ーーーーーーー

 

「ごめんねぇ・・・・ホントにごめんねぇ」

「ごめんねぇ・・・で済んだら局員なんざいらねぇんだよおい!あーらら、こりゃ折れてるわぁ、どうしてくれるんだよ!?謝罪じゃすまねぇぞごらああ!」

 

怒鳴り声の発生源へと向かうとそこには土下座をしながら震えて謝るミリー婆さんと3人組の柄の悪い男が怒鳴り散らしていた。

 

「ホントに・・・・ごめんねぇ・・・・」

「同じ言葉しかいえねぇのかよ!?認知ですかぁ!?ギャハハハ!」

「ったく老害が、未来を生きる若者の邪魔をしてんじゃねぇよ!」

 

カズマ「お婆ちゃん!」

「・・・・・・・・あ?」

 

すぐさま駆け寄りミリー婆さんに声をかける

 

「おいなんだよてめぇ・・・」

 

カズマはその男を無視して更に口を開いた。

 

カズマ「安静にしてなきゃダメでしょ!ーーーーーー

 

 

ーーーーお腹の赤ちゃんに何かあったら悲しむのはお婆ちゃんでしょ!」

 

「ええええええええええええええ!?!?」

「ええええええええええええええ!?!?」

「ええええええええええええええ!?!?」

「ええええええええええええええ!?・・・・あがっ!!」

「って何でババアまで驚いてんだぁあ!?」

 

カズマ「お、お婆ちゃんの顎が外れたあぁ!?」

「いや、お前のせいだろ!?」

「と、とりあえず、病院‼いや産婦人科?ど、どうすりゃいいんだぁあ!」

カズマ「あ、病院で、赤ちゃん嘘なんで」

「だと思ったわあぁぁぁ!」

「カズマ君、大丈夫だよ、顎なら戻したから」

カズマ「あ、マジ?なら良かった・・・・」

 

すると柄の悪い男が顔を真っ赤にして、叫びだした

 

「ふっざけんな!!馬鹿にしやがって!」

「お、おい・・・」

「も、もういいだろ?産婦人科呼ばなくて良かったし・・・」

「「そっちぃ!?」」

 

騒いでる不良(?)達を無視してミリー婆さんを背負ってそのまま歩いていくカズマ、先程叫んだ男がカズマの肩を掴もうと走って追いかけていく

 

カズマ「・・・・・・・・・・」

「おい、待てっつってんだよテメーーーー」

 

ーーー刹那

 

カズマ「止まれ」

 

ーーー風が吹いた

 

カズマ「それ以上近づけば」

 

ーーー男の目線の僅か上で停まっている、靴の裏

 

カズマ「ーーー次は、ねえぞ?」

 

男は白目を向いて倒れる、その顎には「何かが掠めた跡」

カズマが男達に向ける目は、どこまでも冷たく・・・・・

 

カズマ「二度とこの町をうろつくな」

 

どこまでも激情に染まっていた

 

口をあんぐりと開けて、只唖然としている残った男達に、カズマは顔をしかめ再度口を開いた

 

カズマ「・・・・今を最後まで必死に生きているこの人「達」の邪魔してんじゃねぇよ」

「は、はい!」

「す、すいましんでしたぁ!このバカにも、老人は大切にと教えておきます!あと子供も女性も」

 

カズマはしばらく彼らを見つめた後何も言わずに背を向け去っていった

 

 

 

 

クライ「お疲れ様」

カズマ「クライさんが出ていけば、一発だったと思うんですけど・・・・って何ニヤニヤしてるんですか、怖いっす」

クライ「お前なぁ・・・・ま、仮に俺が出てったとしても同じようにはできなかったさ、お前のように、「教えてやる」のは無理だよ」

カズマ「・・・・・・・・・・・・」

 

その言葉に、カズマは顔を僅かにしかめ顔を逸らした、その様子を見て、クライとミリー婆さんは笑いあった

 

 

ーーーーーーー

 

 

カズマ宅前、あの後婆さんを届け、クライと別れたカズマは、急いで家へと走った

 

ーーーむくれてるんだろうなぁ・・・・・

 

諦めにも似た笑いを浮かべ自宅前へと目を向ける

 

?「・・・・あ!やっと帰ってきたぁ!」

カズマ「あー、ちょっと世界救ってた・・・・あぁ、もう悪かったよジーク」

 

玄関前で体育座りをしていた、全身黒ジャージにフードで顔を隠した人物が立ち上がり口元をへの字に曲げ訴えてきた

 

カズマ「ってかお前はそのフードとれ、まじでいつか通報されかなねん」

 

そういいつつ、そのフードをはがす、そこから現れたのは綺麗な黒髪のツインテールが3倍アイスクリーム並みのボリュームで腰まで降りていった、彼女「ジークリンデ・エレミア」が慌てたようにフードを戻す

 

ジーク「わ、わあぁ!な、なにするんやぁ!」

カズマ「いや、だから通報されかなねんって」

ジーク「で、でもあんま目立ちとうないし・・・」

カズマ「・・・・・・・」

 

そんなジークをジト目で睨み付けたあと、すうっと息を吸って口を開いた

 

カズマ「みっなさぁああん!ここにぃい!「あの」ジークリn「わあぁぁぁわあぁぁぁわあぁぁぁ!?」」

 

すぐさまカズマの口を塞ぎカズマから家の鍵を奪い、ドアを開けて放り込んだ

 

カズマ「ぐぼおぉぉぉおおお!?」

ジーク「あ、ごめん」

 

あっけらかんとしたジークの声が爆笑が響き渡る住宅街に消えていった・・・・

 

 

ーーーーーーー

 

 

その頃ーーー

 

ティアナ「・・・・・・・・・・」

 

ーーーあ、世辞っていうのは本当嘘ですよ?まじで綺麗っつーか、かわいいっつーか・・・・・ちょっと上手く言えなくてすんません(´・ω・`)

 

ーーーべ、別に気にしてないわよ・・・・で、でも冗談でも世辞なんて、着飾った女性に失礼な事言ったんだから・・・・・・・・・大通りにあるアイス、今度奢りなさいよ・・・・

 

ティアナ「・・・・・・ふふふ、ふふふふ・・・・よし(小声ガッツポーズ)」

クロスミラージュ『・・・・・・・・・・・』




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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4話

調子に乗って4話目です!ブラックブレットのOP「brack bullet」を聞きながら投稿です!


ーPM8時、カズマ宅

 

ジーク「いただきまぁす!」

カズマ「いただきます」

 

時間も遅かったので、買い置きしていた「独り暮らしの味方、お手軽鍋セット」を使った、この時を思えば歯を食い縛る思いで買ったかいがあったの・・・・かもしれない、しかしやつは・・・・あの複雑な表情を浮かべて「あ、あぁ!ネタ的な奴ですか!」と行ってきたレジうちのやつ、あいつだけは許せん!思わず「そ、そうなんですよぉ!罰ゲームてきなぁ?みたいな!・・・・は、ははは

・・・」ってかえしちゃったじゃん!

 

ジーク「?どしたん?カズマ、ブツブツ行って・・・・なんかヤバイで?」

カズマ「出会って30秒弱で投げ飛ばしてきたやつに言われたくない」

ジーク「ってかどしたんその頭、饅頭製造されとるやん」

カズマ「造ったのお前だがな」

ジーク「カズマ、さっきから食べとらんやん」

カズマ「お前が鍋のなかで千手観音やってるからとる隙がないんだよぉぉお!」

 

・・・・最近、食いしん坊と家主のヒエラルキーが変動し始めているもよう

 

ジーク「そうだ、カズマ、ヴィクターが最近来ないって愚痴言ってたで?」

カズマ「リアが?・・・そういや2カ月ぐらいあってないな・・・」

 

ジークが言う「ヴィクター」とは、今からはるか昔、「聖王時代」と呼ばれる戦乱時代があった、当時は武道や様々な流派を極めた「王」が存在し、ヴィクター・『ヴィクトーリア・ダールグリュン』は「雷帝」の子孫だ

 

カズマ「リアか・・・・・あいつ、出会う度に電撃向けてくるからな・・・・」

ジーク「そりゃ、行く感覚が1ヶ月感覚だったらむくれるわ・・・・」

カズマ「そんなもんか?」

ジーク「女の子はそんなもんなん」

 

偉そうに胸をはって、鼻息をふくジークをみて

 

カズマ「ちょwww年中野宿で鍛練尽くしの娘が女の子とかwww」

ジーク「ガイスト」

カズマ「ちょま」

 

とりあえず(鍋死守、これ絶対)ジークを何とか抑えて必死に謝り倒す情けない家主がそこにいた

 

ーーーーーーー

 

ジーク「度々思うんやけど、カズマって本当に人間なん?」

カズマ「なんだ、藪から棒が出てきたから叩きおったみたいに」

ジーク「何でやねん」

ジーク「いや、ほらカズマって魔力無しやん?魔力無しでさっきみたいにウチのガイストとか「抑える」ってあり得ないと思うんよ?」

カズマ「いや、案外そうでもないさ」

 

何でもないようにそういって続ける

 

カズマ「確かに魔法、または附与した魔闘術とかは、強力だ、早いし、かすっただけでも俺たちにとっては致命傷だ、おまけに魔法なんて遠距離攻撃も可能だからな」

カズマ「だが、魔力がなくても鍛えられる、そりゃあ魔導師に比べれば、伸びも悪い、なら動体視力、五感を鍛えればいい、極論だが、魔法だってなんだって当たらなければいい」

 

ジークは苦笑し「メチャクチャやなぁ・・・」と言った

 

カズマ「それに俺はお前のそれを「知ってるからな」」

 

さすがに「味わった」とは言うまい

 

ジーク「ほぇー、カズマって結構考えてるんやね」

カズマ「まて、今のは聞き捨てならん!訂正しろ!」

ジーク「日頃の行いやぁ」

カズマ「この、脳筋!食い倒れ!暴食王!」

ジーク「ほっほほ!きかんなぁ」

カズマ「バトルマニア、パット疑惑ぅ!」

ジーク「今なんつった」

 

イィィィィアアアアアア!!

 

 

ーーーーー

 

ジーク「・・・・カズマと出会ってもう半年なんやね」

カズマ「ここに住みはじめてすぐだったからな、確かあん時はまじで餓死してるのかもって焦った」

ジーク「ほんまにスコップ持ってきたときは忘れん」

カズマ「・・・・・ま、まぁでも良かったじゃねぇか!そのあとご飯食わしてやったし!」

ジーク「エリ〇〇ス10円フーセンガム」はご飯に入るんか」

カズマ「・・・・・・・なんか・・・ごめん」

ジーク「・・・・カズマ」

 

虚しくなって仰向けで寝ていたら、ふと優しい声音でジークが喋りかけてきた、思わずそちらにむくと、目の前にジークの顔があった

 

カズマ「お、おぃ・・・・?」

ジーク「ウチと出会ってくれて・・・・ありがとな?」

 

・・・・・・・・・・・・・

 

ジーク「カズマのおかげで、ウチ少しかもしれん、でも、前に進めた」

 

・・・・・・・・・・・・・

 

ジーク「エレミアの事とか、ウチの力とか、・・・・ミカ姉の事とか」

 

・・・・・・・・・・・・

 

ジーク「多分、ウチは御先祖様の記憶は継がれてないから何も分からんけど・・・ウチも魂もカズマと出会って嬉しかったんや・・・・だから、ありがとう」

 

・・・・・・・・・・

 

カズマ「・・・・・馬鹿野郎」

 

ーーーーもう二度と会うことはないかもしれない、でも

 

ーーーー姫様とクラウスとクロとクロのおばあさんと、皆と・・・・僕と会ってくれてありがとう

 

カズマ「・・・・そりゃこっちのセリフだ」

 

くすっと笑う声がした

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

半年前

 

カズマ「この住宅街、同じ景色過ぎて全く方向が分からん、どこだここ、クライさんはどこ「ビーナス」はどぉこだあぁあああ!」

 

グギュルヴヴオォォォ・・・・

 

カズマ「はぅ!?お、おれじゃないよぉ?(裏声)・・・・・ん?」

 

ふと、視線を前に向けると、貰った家の写真と同じ形の家を見た、何度も写真と見比べ

 

カズマ「あ、あったあぁぁぁぁああ!!」

 

目尻に涙を浮かべ自宅となる家へと向かおうとしたとき

 

ーーーーむぎゅ

 

?「ぶぎゅう!」

カズマ「・・・・・・・・ん?」

 

変な感触を足に感じると同時に、聞こえる女の子の声、足元を見ると

 

?「・・・・・・きゅぅ」

 

全身黒ジャージフード装備の女の子(?)が倒れていた

 

カズマ「や、や、や・・・・・」

カズマ「(やっちまったあああぁぁぁあ!!」

カズマ「(俺?え?俺なの?いや違うよね俺じゃないよね?だって踏んだだけだよ?踏みつけたんじゃない踏んじゃったんだ、そ、そうだよありえない、元々死んでいた?)それだ!」

カズマ「(いや待てよ?さっき践んじゃった(重要)時変な声聞こえたよな?・・・・じゃあやっぱり・・・・・いやいやいやいやいやいや、落ち着け考えろ思考を止めるな)」

 

ーーーーーっ!

 

カズマ「(そうだ、埋めよう)」

 

この時のカズマの暴走を止める者は残念ながらいなかった

 

幸い(?)家の中にスコップがあり、急いで、遺体(!?)を庭に運び辺りを確認して掘り始める

 

この時は埋める場所はどうとか、脈があるかどうとかはそういった思考は存在しなかった

 

?「・・・・なぁ?」

カズマ「ふぇ?」

?「そろそろ突っ込んでええかなぁ」

カズマ「・・・・・どうぞ」

 

 

 

?「・・・・・・何で自宅の庭に埋めるんやあぁぁ!?」

カズマ「いやそっちぃ!?ぶべらぁ!」

 

それは凄まじいアッパーかっとだったと、後に語り継がれたそうな

 

 

ーーーーー

 

ジーク「・・・・・・」

カズマ「すいません・・・・でした」

ジーク「はぁ・・・・まぁウチもお腹すいて倒れて動かなかったし喋らなかったしなぁ・・・・まぁ、お互い様か」

カズマ「・・・・・悪かった・・・・次からは裏山に捨てる」

ジーク「まだ続いてたの!?」

 

庭の真ん中で仁王立ちするジークに土下座するカズマ

 

一つの真理がそこにあった

 

カズマ「・・・・(何かあったな・・・前にも)」

 

ーーーーり、リッド・・・・お前、ニューハーフだったのかぁ!KA〇〇ちゃんだったのか!?

 

ーーーーなんでだあぁああああ!?って〇〇BAちゃんてだれだあぁあ!

 

カズマ「・・・・確か、あん時はブローだったけな」

ジーク「ん、あん時はミドルパンチ(顔面やで)?」

カズマ「ーーーーーーえ?」

エレミア「あれ?」

 

その時、柔らかい風が吹いた、その風は優しいながらも、彼女のフードをしっかりと持ち上げた、中にどうやってしまってるのか、綺麗な黒髪がふわりと落ちた

 

ーーーーもしかしたら、僕の子孫に会うかもしれない、もしこの力の事で行き詰まっていたら、1ミリでもいい、後押ししてあげて?

 

カズマ「・・・・はじめまして、カズマ=ツユクサだ」

ジーク「ジークリンデ・エレミアや、よろし

くな」

 

 

ーーーー

 

カズマ「出会ってくれてありがとう」




少々無理やりすぎたかな?誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします


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5話

ジークの口調、あんなんだったかな?

5話目です!どうぞ\(^^)今回は銀魂ED「グロリアスデイズ」をききながら投稿です


ーーーAM10:28(頃)・喫茶店「ビーナス」

 

カズマ「あざっしたぁ!」

 

今日も、客を捌いているカズマ、今は落ち着いてるのか、店内にも客が1人か2人しかいない。それを見計らってかクライが声をかけた

 

クライ「あ、カズマ、少し休憩してこい」

カズマ「よっす!」

クライ「こないだみたいに、ドン〇〇行ったら・・・・・」

カズマ「わ、分かってますよ、TUTA〇〇で我慢しておきます」

クライ「そういう問題じゃないよね?距離云々の問題じゃないよね?てか寧ろTUTA〇〇の方が遠いよね?あ、どうせ行くなら24時間借りてきて?」

カズマ「うっすうっす」

 

「・・・・・・・・・何これ」

 

呆然と立ち尽くす新人バイトの肩を叩き静かに首を横に振る先輩バイトがいた

 

 

ーーーーーー

 

休憩から戻ると、ティアナさんが執務官の制服姿で、カウンター席に座っていた

 

カズマ「いらっしゃいませ、こんにちわ」

ティアナ「こんにちわ、カズマ」

 

辺りを確認して客足が落ち着いてるのを確認してから、クライに話かける

 

カズマ「何の話してたんすか?」

クライ「あぁ、何でも最近この辺りに傷害事件が多発しているらしくてな・・・」

カズマ「・・・・・・へぇ」

ティアナ「って、言ってもまだ被害届けとかは出されてないから事件出はないんだけどね、何だか相手も無差別出はないの」

 

カズマの雰囲気が一瞬冷たくなったのを感じたのか、ティアナが言葉を被せる

 

カズマ「無差別じゃない?・・・・成人男性・・・・いや、格闘家とかそういうのか?」

ティアナ「お見事ね・・・・」

クライ「街頭試合持ち込んで、許可とっての結果だから、向こう被害届けを出さないんだろうな」

ティアナ「それで、店長さんとカズマには気を付けるようお昼ご飯ついでに言いにきたの」

カズマ「 ・・・・・何か、特徴とかあるんですか?」

ティアナ「・・・・ごめんなさい、一応事件までにはなってないから民間人にはまだ公開出来ないの、でもその人、必ず出会い頭に名乗りをあげていくそうよ」

 

 

ーーーー「覇王」ーーーー

 

カズマ「・・・・・・・・・」

クライ「「覇王」?ガキの頃に習った記憶があるな、・・・・確かーーーーー」

カズマ「ーーーークラウス・イングヴァルト、シュトゥラの王様だ、ベルカ時代のな」

ティアナ「あら?詳しいわね」

カズマ「知り合いに王族の子孫がいてな」

 

 

 

ティアナ「え?」

クライ「は?」

カズマ「そいつから聞いた」

 

 

ティアナ「え?」

クライ「どうやったら王族と知り合うんだよ」

カズマ「伝手」

クライ「あぁ、何か納得」

ティアナ「そうですね」

カズマ「・・・・・何だよ」

 

ジト目で見るカズマに肩をすくめる二人、ま、いっか、っといって再度口を開く

 

カズマ「まぁ、って言っても俺やクライさんはプロの格闘家っていう訳でもないしな、狙われることはないから大丈夫っすよ、一応気を付けて置きますが

クライ「・・・・・いや、お前・・・・いや何でもない」

カズマ「?・・・・まぁいいや、ティアナさん時間大丈夫っすか?」

 

ふと見た時計は「12:52」を指していた、ティアナさんが青褪めるまで後

 

ティアナ「・・・・・・・」 one

 

クライ「行ってきな、代金は・・・・・付けとくよ」 two

 

ティアナ「すいません!行ってきます!」 ジャン〇!

クライ「zzzzzzzzzz」

カズマ「zzzzzzzzzz」

「ちょ!?カズマ、店長!何寝てるんだよ!?起きろよぉぉ!」

 

 

 

カズマ「・・・・・・・」

 

 

ーーーーカズマ、模擬戦しよう

 

ーーーーカズマ、食後の運動にひとっ走り(模擬戦)しないか?

 

ーーーーカズマ、この前線を乗り越えたら、僕と模擬戦してくれないか!?

 

カズマ「ぅぐぅぅぅぅぅぅう!!」

「!?」

店長「!?・・・・・・・・・・・(ガクっ」

「え?店長?今力尽きた?店長?店長!てぇぇんちょぉぉぉぉぉ!」

 

カズマ「(・・・・・まぁ、今更か)」

 

 

ーーーーごめん・・・ごめんよ・・・オリヴィエ・・・僕が弱いばかりに、僕のせいで・・・・

 

カズマ「(記憶の継承内容によってだが・・・・「覇王」を名乗ってまで腕試しするってことは・・・・ったくあの馬鹿は・・・子孫になんつー悔恨残してんだ)」

クライ「・・・・・無理はすんな、何かあって悲しむ人間がいることは絶対に忘れんな」

 

 

・・・・・・・

 

カズマ、クライ「「zzzzzzzzzz」」

 

「・・・あ、いらっしゃいませぇ!」

 

カズマは突っ伏している態勢から口元が弛みそうになるのを押さえて、ボソッと「うるせ」といった。

 

 

ーーーーーー

 

 

PM8:37、住宅街中

 

カズマ「・・・・・・」

 

カズマは人通りが全くない道路の上にたっていた、あのあと早退させてもらい、付近にそう言った経験がある人がいないか調べたのだ、本当犯罪なのだがやむを得ない、万が一そうなったらしょっぴかれる腹つもりである

 

いたのだ、ストライクアーツ有段者が住んでいる家族が、「ノーヴェ・ナカジマ」が住むナカジマ家である

 

カズマ「・・・・・・・」

 

ーーーーー早く来てええええええ\(^^)/

 

カズマ絶賛怪しまれ中でございます

 

張り込んで15分、時間が時間だから残業帰り等のお父さんが怪しんでいるのである

 

カズマ「(出没時間、今ぐらいって言ったじゃん!大体こういうのって現地に10分前には集合しましょうって言うじゃん)」(言いません

 

あっ、まって!?電話持って「どうしよう」って顔しないで!?そのまま帰って家族サービスしてくださぁい!

 

カズマ「(そだ!怪しい人じゃないって分かってもらえればいいんだ!簡単な事じゃないか!)」

 

思い立ったが吉日、即その戸惑ってるお父さん(推測)の前までいき、びっくりして構えているお父さん(確定!)に向かって

 

カズマ「す、すいません」

「な、何か?」

 

 

 

 

 

カズマ「NTRってどう思いますか?」

 

 

 

 

 

・・・・・じゃねえぇだろぅがよおおおお!

なぁにを言ってるんだ俺はぁあああああ!まるで俺が寝とり好きみたいじゃねぇかあぁ!

 

「・・・・・・・・」

 

ほら見ろ!お父さんもうつむいちゃったよぉ!爆発通りこして核爆発寸前だよぉ!

 

「・・・・俺は・・・・俺はぁ・・・・」

カズマ「あ・・・・・あの」

「俺はぁ!!

 

 

 

 

 

ネトラレ系お父さんだぁあああああ!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・!?

 

「女ってのはやっぱり顔何だよ!何だよ、何なんだよ!アリィのクソビ〇〇がぁ!こんなにも頑張ってるじゃないかぁ!色んな思い出作ったじゃないかぁ!エレナが生まれて互いに泣いて喜んだじゃないかぁ!何で「私、駄目な男が好きなの!」なんて言うんだぁ・・・・もう・・・・何も信じられないよ・・・信じたいけど、裏切られるのが怖いよぉ・・・う、うう・・・・」

カズマ「・・・・・・・・」

 

・・・・・と、と、とんでもねぇ墓穴掘っちまったあぁぁあああああああ!?

 

「うぅ・・・・・うわあぁぁぁ・・・・・・」

カズマ「(ごめんなさぁい!何かもう、手遅れかも知れないけどごめんなさぁい!)」

「トシオさん!」

「っ!・・・・・ミリアさん・・・・」

 

ぐしゃぐしゃになった顔をあげるトシオさん(仮)その視線の先には、ミリー婆さんの孫、ミリアさんがいた、金色に光るショートの髪に吸い込まれそうな深い青い瞳を潤ませて

 

「トシオさん!あなたが・・あなたがそれを言っちゃいけないわ!あなたが誰も信じなかったら

 

 

エレナちゃんは・・・・あなたの世界でただ一人の子は誰を信じて育てばいいの!?」

「!?!?」

「どんなに辛い時、どんなに寂しい時、どんなに苦しい時、そんな時にトシオさんが笑顔で包んであげなきゃ、駄目でしょ・・・だってあなたは、世界でたった一人のエレナちゃんのパパ何だから・・・」

 

 

「そうだ!女房に逃げられた!?そんな事、現実から、娘から逃げる口実じゃねぇか!」

「トシオぉ!お前は嫁がいなきゃ娘を愛せないのかよ!っけ見損なったぜ、お前がそこまでふねけだったとわな!」

「・・・・違う!エレナは俺の娘だ!他の誰でもない娘何だ!」

カズマ「ーーーーなら、それが答えじゃねぇか」

「!?」

 

ドウシヨ、コレ

 

ご近所さん達のお父さん達の追加攻撃がはじまった

こんな言葉があります、「待ってダメなら諦めろ」

 

カズマ「俺には子供も家族もいねぇ、けど・・・・・温もりならわかる、今のあんたの言葉そこには嫁への未練とか憎しみとかそんなもんなかった、只の子供を溺愛する親バカの叫びだ・・・・・それに、あんたにはまだいるじゃねぇか?」

 

そう言ってミリアさんの方を見る、トシオさんがそちらを見ると

 

「・・・・・・・・・」

 

涙を流して、美しく、優しい笑みを浮かべて、トシオさんをまっすぐに見る・・・・・恋する女がいた

 

「・・・・・・まだ、妻への未練たらたらだ、もしかしたら君に妻を重ね合わせるかもしれないよ?」

「・・・・・・百も承知です、分かってますから、貴方は一途だって・・・・だから、待ちます、向き合って、くれるんでしょ?」

「・・・・・・・・・あぁ」

 

 

二人は手を繋ぎ、歩き出そうとして

 

 

ーーーアタシが知ってんのは!一生懸命生きてるだけの普通の子供達だ!!

 

カズマ「!?(・・・・・・この緊迫した声音!やっと・・・)」

「な、何だ?怒鳴り声?」

「喧嘩か?・・・・」

 

穏やかじゃない声音に、その場の雰囲気が張りつめたものへと変わっていく

 

カズマ「トシオさん交番に電話を、終わったら娘さんの元へ帰ってやってください」

「し、しかし・・・・」

カズマ「さっき言われたでしょ?世界でたった一人のパパって、早く帰ってあげないと泣き出しちゃいますよ?だから早く帰って謝って、抱きしめてあげてください、ミリアさんと一緒にね」

「カズマ君・・・・」

 

言うだけ言って、その場から声がした方へ走る

 

カズマ「・・・・・・(やっときてくれたあぁぁ!よかったあぁぁぁ!あのままあの場所にいたらマッカン吐いてたわぁ、いやまぁ自業自得だけど・・・・・・)」

 

ま、終わり良ければ全て良しってね☆(^^(殴




すいません!次こそは、次こそは真面目にやります!次回はあの子と勝負です!因みに辻褄あわせの設定でミリー婆さんの孫は二人いて、ミリアさん(28)と、もう一人カズマより3個したの男の子がいます!誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!

クロンSEEDさん、鍔なし刀さん、ゲゲゲさん、流離う旅人さん、レクトOOさん、お気に入り登録ありがとうございます‼

これからも頑張ります!



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6話

ヤタガラスさん、ヒゲタルマさん、ウォーグさん、ガロットさん、岬サナさん、ボイさん、シン0801さん、お気に入り登録ありがとうございます!これからも頑張ります!

では第6話です!


鳴り声がしたところはここからはそう遠くはなかった

何ヵ所か路地を曲がった所で、件の「覇王」とノーヴェ・ナカジマは向かいあっていた

 

?「・・・強さを知りたいんです」

ノーヴェ「はっ!馬鹿馬鹿しい」

 

何も写さないような、無表情の中に、焦燥と懇願を入り混ぜたような声音に、赤髪の女性、ノーヴェ・ナカジマは呆れたように吐き捨て

 

カズマ「こらー、そこの少女と少・・・・女?こんな夜中に何をしてるんですかー」

ノーヴェ、?「「!?」」

 

接近と膝蹴りによる強襲を仕掛けようとして、出鼻をくじかれた

 

カズマ「・・・・・」

ノーヴェ「・・・・・あんたは?見たところ一般人みたいだが、

ってか、さっきムカつく事言わなかったか?」

?「・・・・2年前の格闘技大会、優勝したカズマ=ツユクサですね?」

カズマ「・・・・・・・(なにそれ?)」

 

全く身に覚えがない事を言われて、内心疑問が浮かぶが、何か上手くターゲットを自分に変えられそうなので、黙っておく

 

ノーヴェ「・・・・・・・(二年前?私らがまだ更生施設に入れられていた時期・・・・だな)」

カズマ「・・・・少・・・・女?悪いがここは俺に預けてくれんか?」

ノーヴェ「いや・・・・つーかまた言ったな?普通にお姉さんでよくない?ねぇ」

 

ノーヴェさんがこちらをじとっとみてくるが、無視する

 

カズマ「(・・・・・このお姉さんは適度にいじるとしよう)」

?「私としてはどちらでも構わないのですが・・・・では、武装と防護服をお願いします」

カズマ「ない」

 

 

?「・・・・え?」

ノーヴェ「はぃ!?・・・・誰だが知らないが馬鹿な事はやめろ、ケガじゃすまない、安全がある程度約束されてる大会とはまだ違う」

 

警告をするかのような、厳しい声音を放つ

 

カズマ「本気だよ、遊びのつもりもない、只のお節介と説教さ」

ノーヴェ「?・・・・何を・・・」

?「私は強さを知りたいだけなんです、証明したいだけなんです、犯罪者になりたいわけではありません」

 

冷淡な声音の中に焦燥と苛つきを感じる、邪魔をしてる、とでも思われているのだろう

 

カズマ「・・・・「覇王流」は最強と証明したいと言っておきながら、立ち塞がった相手が凡人と分かれば、矛を引く、ずいぶんと偉いもんじゃないか

 

ーーー本当に王か?」

?「っ・・・・・挑発ですか?残念ですがーー」

カズマ「それとも、お姫様一人連れ戻せない弱さを優越感と下に見ることで、慰めているのか?」

ノーヴェ「お、おぃあんた・・・・」

 

覇王は、下を俯いて小刻みに震えている

 

?「あなたに・・・・何が分かるんですか・・・」

カズマ「・・・・何もわかんねぇよ、只分かるのは・・・

 

 

 

 

お前が、自分の弱さを認めずに、「奴」の悲願とかほざいてそれを言い訳にして、自分が誰なのかもわからず、その力を振り回してるガキにしか見えないってこった」

 

ーーーーーブワァッ!

 

瞬間、魔力放出によって起こった風が向かってきた。

 

?「・・・・ぅ・・・・ぃ」

 

ノーヴェ「お、おい!もう止めろ、煽るな!それ以上ーーー」

カズマ「 ーーー黙れ!同情でしか近寄れないんじゃ意味がねぇんだよ!「お前はお前だ」「周りを頼れ」「抱え込むな」そんな言葉じゃ、こいつは勘違いしたままだ!自分を見つけられねぇんだよ!」

 

その凄まじい気迫と覇気にノーヴェは口を開けなかった、全身にプレッシャーが重くのしかかる

 

ノーヴェ「!?(ま、まじでコイツなにもんだ!?)」

 

カズマ「安心しろよ、知り合いの執務官さんに話は通してある、今まで溜まってる不安も、プライドも鬱憤も何もかも!この凡人にぶつけろよ・・・・それが」

 

 

ーーーーあいつらを見捨てて、自分だけ帰ってきた、せめてもの俺のアフターケアだ

 

自分は何様だと、嫌悪しながらも目の前の「覇王(バカ)」から目を離さない、真っ直ぐ見つめる

 

?「うぅるさああああああいぃ!!! 」

 

魔力により強化した足と無駄のない動きで、6メートルはあった距離を一歩で詰めた、そのまま流れるような動作で蹴りをカズマの顔にーーーー

 

ダンッ!

 

?「・・・・・カッ・・・・ハッ・・・・・?」

 

当たる次の瞬間、覇王が感じたのは、空ぶった感触でも肉を打つ感触でもなく

 

ーーー「投げ倒された」事による、背中への衝撃と自分を無感動な目で只見下ろす、カズマだった

 

?「・・・・・・・ッ!」

 

仰向けの状態から頭の両脇の地面に手のひらをつけ、支点にし足で蹴りあげるようにして、カズマを牽制しつつそのまま起き上がる

 

カズマ「・・・・・」

 

カズマはそれをしっかりと弾き、半歩ほど下がり範囲からでる

 

?「・・・・・っく!はあぁぁああ!」

 

今度は大振りではなく、小回りの効く範囲での攻撃で、カズマを攻めていく

 

ー何としても、目の前の敵に一撃を決める!それだけのために

 

?「・・・・・・(あれ?・・・・こんな事・・・前にも・・・)」

 

正拳突きを上に弾かれ、左手による平手も、首を逸らされかわされる、すぐさま膝蹴りを放つが身を捻りかわされ同時に足払いで倒される!

 

カズマ「・・・・こんなもんかよ、お前が「奴」のために頑張った証は・・・・全部ぶつけろっていったろが!」

カズマ「奴が何を思って悔恨の情をその技をお前についだかは分からない・・・・でも、そんな自分のわがままを子孫であるお前に押し付けるほど、腐ってる奴じゃないんだよ!それはお前がいちばん知ってる筈だ!」

?「ッ・・・・何を、言ってるんですか・・・」

カズマ「お前は一体誰なんだ!」

?「・・・・・・・・・・」

 

ーーー?side

 

・・・・考えた事がなかった。

私は、彼の代わりを成し遂げなきゃいけないとずっと思っていた

 

私は、ずっと守りたい人を守れずに悔しさと悲しさで死ぬまで葛藤し続けた彼だけを見ていた・・・・でも・・・・

 

ーーークラウス!見てください!城下町のパン屋のお婆さんがくれたんですよ♪

 

ーーーもぉ!クラウスも「ーーー」も模擬戦ばっかして、王様たるもの勉強もしなきゃ駄目ですよ!

 

ーーー見てください‼「ーーー」が作ってくれたこの義手、凄く合うんです!「ーーー」風に言うなら「マジぱねぇ」です!

 

今まで見て来なかった優しい記憶、そのどれもが

 

ーーーー彼は、幸せそうに笑っていた。

 

ーーーーーーーー

 

?「・・・・行きます!」

 

彼へと目を向ける、何やら人を煽るようなゲスい笑顔を浮かべてムカつくけど、とりあえずこの人に一発見舞うとして

 

?「「女の子」に酷い言葉を吐きかけた罪、償って頂きます」

 

いきなり現れて、自分を語られて、いきなり説教まがいな事をいって、何がしたいのか全く分からない

 

・・・・・でも、どこかでは分かっていたのかもしれない、自分では彼にはなれない

 

彼が私にしてほしかった事が分からなくなってしまった、最強を証明して欲しいのかどうなって欲しいのか

 

?「(でも、しょうがないですよね、まだ「子供」なのだから)」

 

だから、周りを、自分を見てみようと思います

 

ーーーまずは、白目を剥いて笑みを浮かべてこっちを見ている彼に、私「と」クラウスの一撃を食らわせる事から始めましょう

 

「ーーー覇王(私は!)

 

 

ーーー断空拳!(アインハルト・ストラトスです!)」

 

ーーーー目の前の彼が、微笑んだ気がした・・・白目で




・・・・・すいません!完全に自己満足ならぬ自己解釈です!こんなの覇王ッ子じゃねぇ!っていうかたもいるかもしれませんが、すいません!自己満足小説なんで許してくださいm(__)m

誤字、指摘等ございましたらよろしくお願いします!


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7話

第7話です!


アインハルト「ーーー覇王!(私は!)

 

ーーー断空拳!!(アインハルト・ストラトスです!)」

 

彼女の拳が今までと段違いな迫力を持って、カズマへと迫る

 

カズマ「・・・・・(ここで弾くのって、空気的にどうなんだろ、・・・・ったく)ーーーーっ破っ!」

 

小憎らしいほど真っ直ぐな目をしてやがるよ

 

カズマの右腕がかききえるような早さで迎え打つ、「気(エクシード)」を循環させ、瞬時に強化した拳は彼女の拳へとあたり、互いに弾きあった

 

アインハルト「えぇ!?」

カズマ「っそい!」

 

身を捻り後ろ回し蹴りを瞬時に放ち、アインハルトの脇腹を捕らえ、吹き飛ばした!

 

地面を転がりながらも、受け身をとり、何とか立ち上がる・・・・が「ついでに打っていた」右腕の頭部への一撃が効いたのかそのままへたりこんでしまった。

 

 

アインハルト「・・・・・私の完敗です」

カズマ「・・・・・・・」

アインハルト「貴方が言った事、まだ分かりません、でも今までの私を否定もしません・・・・どんなに迷っていても、醜い部分がたくさんあっても、全て受け入れます。」

カズマ「・・・・・・そうかい」

 

まだ迷っているけども、どうやら迷った原因を自分なりに見てはいる、アインハルトの目をみてカズマはそう悟った

 

カズマ「・・・・・このあと、どうしますかね?」

 

そうノーヴェさんに聞くと、肩をすくめて頬をポリポリかきながら口を開いた

 

ノーヴェ「あー・・・何か、色々ありすぎて頭がおいつかないんだが・・・交番、行くか」

 

ノーヴェさんが言った言葉に、俺は頷き、アインハルトは「はい」と言って従った。

 

ーーーーーーーPM9:20「湾岸第六警防署」

 

その後、俺はもともと、許可をとっていて、話を回してもらったおかげで、注意ですんだ、アインハルトも、被害届が提出されていないのと学生であるため、厳重注意ですんだらしい。

 

今は、お叱りを受けているアインハルトを待って、ノーヴェさんと待ち合い室で待っていた

 

カズマ「すんませんでした、怒鳴ったりして」

 

俺のいきなりの謝罪に目をパチクリさせたノーヴェだったが、ふっと笑って口を開いた。

 

ノーヴェ「いやいいさ、結果的にもあたし的にも・・・・あんたの言葉聞いたら思ったんだ。そりゃあたしは自分がいった、「あいつらは今を頑張って生きてる普通の子供」その言葉には偽りもなにもない、でもさ、あんたが煽って怒るあいつを見て、あいつも今を頑張って生きてるんだなって思った・・・・危うくあたしはあいつ自身を否定するところだったんだ」

カズマ「・・・・・カズマ=ツユクサです」

ノーヴェ「ノーヴェ・ナカジマだ、あんたのケンカ凄かったぜ」

 

カズマはその言葉に肩をすくめて答えた。

 

カズマ「・・・・・あいつ、どうするんですか?」

ノーヴェ「・・・・」

 

ーーーーー私は、未だに自分が分かりません、でも私は「アインハルト・ストラトス」だって言うのは胸を張って・・・・言えると思います。

 

ノーヴェ「・・・・・チビ達に合わせてみようと思う」

カズマ「チビ達?」

 

ノーヴェさんは「あぁ」と言って、続ける

 

ノーヴェ「あたしの教え子達さ・・・がんばり屋ででもすぐ調子のって、でも誰かのために笑い、泣き、怒る事のできるいいやつらだ」

 

目を細め、優しい口調で呟いた

 

カズマ「さて、じゃ、俺は帰りますね?・・・・・・あ」

ノーヴェ「え?スルー?やめてくんない?あたし今良いこと言ったんだと思うんだけど・・・・どした」

 

ふと底冷えするような視線をかんじ、そちらを見る

 

ーーーー青筋をビッキビキに浮かべ、窓ガラスに顔を張り付け、充血した目でこちらを見ているクライさんがいた。

 

カズマ「うわああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

ノーヴェ「ど、どうしたぁ!?一体なにぎゃああああああああああああああ!!!!!!」

アインハルト「お待たせしました・・・・・?どうしたんですか?ふた・・・・・・(バタン」

「うるさいですよ!何を騒いできゃぁああああああああああああ!!!!!!!」

 

クライ「え?どうしたんだ?おいお前ら!、カズマアァァア!」

ティアナ「・・・・・・何かしまらないわね」

 

ーーーーーーー

 

カズマ「・・・・何で、クライさんがいるんだよ」

ティアナ「一応貴方未成年だからね、保護者がわりにきてもらったのよ」

カズマ「・・・・・あぁ・・・・まぁ、迷惑かけてすいませんでした」

 

頭を下げる俺の頭を軽く人なでして「どうだった」と目で聞いてくるクライさん

 

カズマ「・・・・・まぁ、後はあいつ次第ですかね?」

クライ「・・・・そうかい、お疲れさん」

カズマ「・・・・・うす」

 

照れくさそうに顔を背ける俺をみて微笑みあう、クライさんとティアナさん

 

ノーヴェ「それにしてもカズマと知り合いだったとはな、驚いたぜ」

ティアナ「私もまさかノーヴェがいるなんて思わなかったわ」

 

苦笑してノーヴェさんを見るティアナさん、ノーヴェさんは頬を染めつつ「別に」と言った

その様子を見て嬉しそうに微笑んだティアナはアインハルトへ体を向け自己紹介をした

 

 

ティアナ「初めまして、私はティアナ・ランスター、執務官やってます」

アインハルト「は、初めまして、アインハルト・ストラトス・ハイディ・G・S・イングヴァルトです」

 

カズマ「・・・・」

緊張してるのか、少しどもっている様子を見せるアインハルト

・・・・ああして見ると、本当に只の女の子なんだがな

 

ノーヴェ「あ、カズマ、ちょっとお願いがあるんだがいいか?」

カズマ「・・・・・?」

 

 

カズマ「え?俺もその子達に?」

ノーヴェ「あぁ、勝手な推測だが、大会目指すあいつらにもいいクスリになると思ってな、アインハルトもカズマも」

カズマ「別にいいですよ?」

 

ノーヴェさんは驚いた風にこちらを見ていいのかと聞いてきた。

 

カズマ「その日はバイトも休みだし、それに・・・・」

 

視線をノーヴェさんの後ろを見た

 

アインハルト「・・・・・・」

カズマ「・・・・暇をもて余してしまうなと思ってたんで 」

ノーヴェ「ありがとうな、よろしく頼むぜ」」

 

こうして、1日は過ぎたのであった




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☆ティアナとのデート『前』


本編の前にちょこっとティアナとのデート回挟みます!
前編、後編です。


ーーAM8:30「カズマ宅」

 

カズマ「・・・・・・・」

ティアナ「やっぱり寝てる・・・・鍵も空いてるし無用心なんだから」

 

今日は休日であり、前に約束したデートの日を晴天を持って迎えたのだが、我らが主人公カズマ=ツユクサは爆睡しているのである

 

ティアナ「ねぇ・・・カズマ、起きて」

カズマ「・・・・・ん・・・・・」

 

ちなみに作者はティアナが好きであり、この描写をしているときも、歯を食い縛りながら執筆しています

 

カズマ「・・・おはよぉ・・・・ございます」

 

昨日は寝るのが遅かったのか、とりあえず体は起きたが半分寝ているのか、半目だった

 

ティアナ「(うわぁ、カズマの眠り眼・・・・何かかわいい)」

カズマ「・・・・すいま・・せん、ちゅうもんは・・・なんでしたっけ・・・・?」

ティアナ「ーーーーー!?」

 

ーーーえぇぇ!えぇぇ!もしかして、寝ぼけてるぅ!?

 

?「っ!・・・・・・」

 

ーーー何や!?・・・・だ、誰なんあの美人!?

 

ティアナ「じゃ、じゃあ!後ろから抱き締めて・・・・なんて・・・・・」

カズマ「ちゅうもんうけたまわりましたぁ・・・・」

ティアナ「ーーーーーえ?」

 

そう言うや否や、カズマは立ち上がり、ゆっくりとティアナの後ろへと座りこむ。

 

ティアナ「え?え?え?・・・・」

 

ーーーなにここ?夢?夢ならいいかなえへへぇ、いけるところまで・・・・

 

?「っ!(これはアカン、プランisonoや!)」

 

すぐさま、「物置」から脱出、靴を履かずに庭に突入、背面跳びの容量で高さ3メートルの壁をかるが・・・・る、焦っていたためそんなはずもなく、片足を引っ掛けてバランスを崩す、背中から地面にダイブした

 

?「ぐっふぉお!?」

 

女の子が出してわいけない声を出してしまう謎の少女、ジーク

 

ジーク「ごっほぉ!い、いかんこんな事してる場合じゃ!?」

 

壁の模様に沿って細かく空いている穴を覗き見ると

 

ーーーーカズマが後ろから優しく美女を抱き締めてる瞬間だった

 

ティアナ「(ふあぁああああああ!)」

ジーク「させんで!」

 

ジークはその場で、呼吸を大きく吸う

そして・・・・・・・・

 

ジーク「い、い〇のぉ~(小声)や、や野球しようぜぇ~(小声)」

カズマ「っ!?中〇君!?」

ティアナ「え!?か、カズマ!?」

 

小声でも広いとったカズマは目をカッと広げ、パジャマ姿のまま、表へと出た

 

ーーガチャン!

 

カズマ「中〇君!・・・・い、いない・・・そんな、確かに・・・」

ジーク「カズマ?どないしたん?」

カズマ「ん?ジークか、おはよう、いま中〇君を見なかったか?」

ジーク「いんや、誰もいなかったで?どうかしたんか?」

カズマ「・・・・いや、何でも無いんだ」

ジーク「・・・・?じゃ、じゃあうちもう行くわ」

 

カズマはおうと答え、とぼとぼと家に入っていった。

 

 

 

ジーク「ふぅ、何とかなったな・・・しかしまさかカズマにあんな美人の知り合いがいるなんて・・・・聞いとらんで」

 

ジークは動揺はしたものの、ティアナが恋人関係出はないことを見抜いていた、確かに二人の距離は近かった、しかしカズマは寝ぼけていたし、美人の方が要求をするときかなりテンパっていたからだ、恋人同士なら多少恥じらいつつも堂々とイチャコラするだろう

 

ジーク「・・・・(でも、さっきデートっていっとったなぁ・・・・)

 

・・・・羨ましいわ

 

ジーク「(うちもそこまで積極性があったらな・・・)」

 

後は問題ないと結論付けジークは去っていった。

 

カズマ「すいません!今日でした、言い訳ですが、昨日寝るの遅かったです!まじでぇ!すいませんでしたぁ・・・・・・でなんでそんな艶々してるんですか?」

ティアナ「いい夢を見たからよ?」

カズマ「・・・・はぁ・・・・」

 

 

ーーーークラナガン中央区、大通り

 

カズマ「やっぱり平日となると、人通りも少なくて落ち着けますね」

ティアナ「普段は仕事か土日ぐらいしかこれないから、何だが新鮮ね」

カズマ「・・・・・それで、あの、出来れば腕解いて貰っても「ダメ」・・・・です・・・・よね」

 

カズマとティアナは今横に並んで歩いている、ティアナがカズマの腕に自分の腕絡めて

 

真っ赤なカズマの顔をみて、ティアナも自分の顔が赤くなるのを自覚していた

 

ティアナ「カズマは・・・・いや?」

カズマ「・・・・嫌だったら解いてますよ」

 

・・・・・・・・・・・・

 

「カズマ=ツユクサ・・・・まさか貴様が裏切り者だったとはな・・・・同士の不始末はまた同士の責任」

「うらやま・・・・じゃなくて許せん!」

「・・・・隊長、仕事サボってていいんですか?こればれたらギンガさんに「また」ふるもっこですよ俺ら」

 

「ティアナ様親衛隊」のメンバーである部下が隊長である、男にいうと、とたんに隊長は冷や汗を流し始めた、他の隊員も同様に冷や汗を流している

 

「男たるもの、退けぬ時があるのだ」

「・・・・・(ったってなぁ・・・・)」

 

視線の先にいる件の二人を見る・・・・照れているのかそっぽを向いているカズマと、幸せそうに笑顔を浮かべるティアナ

 

「(・・・・・親衛隊は確かティアナ執務官の幸せを見守り、何かがあったら場合によっては武力介入も視野にいれるだったが・・・・明らかに邪魔してるの俺達だよなぁ・・・・何より)」

「ママ~あの男の人達何してるの?」

「駄目よ、みちゃ」

「気持ちわるいね~!」

「そうねぇ、おっきなゴミね!」

・・・・・・・・・・・・・・

 

「(・・・・・・し、しにてぇ・・・・)」

 

第一いくら闇討ちを企てようと無駄であることに代わりはないのである

 

ーーーーだってバレてるし、さっきからカズマと目があってるし・・・・・

 

「よぉしお前ら早速行動開始だ!早速先回りして、アイスを買い占めるぞ!(小声」

 

ーーーーこうして、親衛隊の尾行が始まった

 




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☆ティアナとのデート『後』

思ったより時間かかっちゃいました!すいませんm(__)mでは続きどうぞ!


カズマ「(・・・ったく、あの人らもあの人らだが)」

 

チラっと自分のすぐとなりを見る、自分との距離を0にしているティアナさんは満足そうに笑っている・・・・どうでもいいけど、距離を0にするって・・・・なんかそこはかとなく厭らしい響きがしない?え?しない?・・・・・そう(´・ω・`)

 

 

ズマ「(この人も、何で俺なんだか、・・・・まぁ、俺なんかでこんな笑顔になってくれてるんだがら最後までしないとな、デート・・・・そのためには・・・)」

カズマ「ティアナさん、あっちから回っていきましょ?近いんですよ」

ティアナ「ちょ・・・」

 

少しばかし強引かもしれないが、ティアナさんの手を掴んで、大通りから、路地に入っていく

 

ーーーーそして、クライさんに出会った

 

カズマ「!? 」

ティアナ「! ?」

 

いや、何でだよ!?ってか・・・・

 

クライ「よっ、カズマ」

カズマ「・・・・・こんな所でなにしてんすか?つーか店は」

 

なるべく動揺を見せないように聞くとクライさんはニッコリ笑って言った

 

クライ「お前らのデートが気になりすぎて休みにした」

カズマ「はぁ!?んな勝手な・・・」

クライ「・・・・さすがに急に休むのは不味かったから、ミリー婆さんに店頼んできた」

カズマ「いや!なにしてんの本当に、あの人、孫娘が結婚してから、何かいつ死んでも良いわって雰囲気だしてんだからね?なにやらしてんのホント、ってか他のバイトは?奥さんは!?あの人オーナーでしょ!?」

 

クライさんは自分の後ろを親指で差し、不敵に笑い(この時ティアナさんが小さく「ヒィッ!」と怯えていた)

 

 

ーーー皆来てるよ

 

と言った。

 

カズマ「・・・・・・あ、そう」

 

この時の俺の目は史上最高に死んでいたと思う。

 

カズマ「(・・・・・・・あり?)」

カズマ「そういえば、何でクライさん知ってるんだ?今日の事」

 

そう、クライさんはデートの事は知ってはいるが、その日程の事は知らない筈なのだ。ティアナさんがわざわざ教えるとも考えられないし

 

クライ「ん?あぁ、お前んとこのジークちゃんが教えてくれたんだよ。「じゃ・・・・応援してあげてな」って」

カズマ「・・・・・・・・」

 

お ま え か い!

 

クライ「ま、何だせっかくのデート、邪魔して悪かったな、詫びと言っちゃ何だが、お前らをつけまわしてる奴ら黙らせといてやるよ」

 

クライさんが俺達の後ろを睨み付けながら言う

 

「ヒィィ!?なな何だあの男!?こっちを見てるぞ!」

「馬鹿!お前、あの人はカズマんとこの店長だぞ!そんくらい把握しとけ!」

「はぁ!?店長!?あれは組長って顔だろ!?店の長なんて可愛いもんじゃねぇだろ絶対」

「なにビビってんだ!こっちは警察だぞ?下手な事はできんさ」

 

クライ「仕事サボってストーカー行為してるお巡りさんって・・・どう思います?」

「「「「ぎゃああああああああああ!?!?!?」」」」

 

気付けば目の前にいた、クライさんが本日最高の笑みで、親衛隊員を見ていた、目の前に現れた悪刹羅鬼に絶叫をあげ、気絶してしまった。・・・・・と同時に反対側から動き出したクライさんの奥さん、アリス・ハーヴェイを見て

 

カズマ「ティアナさん、走りますよ」

ティアナ「え?でも・・・」

カズマ「クライさんの犠牲を無駄にしちゃいけない」

 

震えるバイト達に「後は任せた」と言ったがいいえがおで「無☆理」と言われたので「じゃあミリー婆さん助けてやれよ」と言ったら、嬉々として走り去っていった・・・・何がしたかったんだ・・・・

 

 

クライ「ったく、治安を守る管理局員が情けないぞ?」

アリス「あなた?」

クライ「ん?どうし・・・た・・・・」

アリス「やりすぎじゃないかしら」

クライ「いや、だってこいつら」

アリス「やりすぎじゃないかしら」

 

冷や汗をかきはじめるクライ、妻であるアリスはニコニコと笑っている、自分には勿体無いほどの美人が笑みを浮かべていて、年甲斐もなくドキドキしてしまった・・・ときめきではなく、戦慄の、だが・・・優しい目で満面の笑み、「女神」と言われても疑問はない・・・・・優しい目が全く笑ってない目じゃなければ

 

クライ「あ、アリス?」

アリス「この間読んだ雑誌にね?いい対話方法が乗っていたの「OHANASI」って言ってね」

 

 

ーーーーー

カズマ「ここまでくれば・・・・」

ティアナ「はぁ・・・・はぁ・・・・」

 

路地をジグザグに走りつつ、方角を確認しさらに走る、これを繰り返して、ようやく落ち着ける場所へとついた、どうやら公園のようで、ティアナさんにベンチにすわってもらう。

 

カズマ「すいません、せっかくの休日に・・・」

ティアナ「ううん、気にしないで、確かにまだどこにもいけてないけど、あたしは「カズマと一緒の休日」を楽しみにしてたんだから全然気にしてない、カズマが謝る必要はないわよ」

 

め、女神だ・・・・・・・・女神が降臨なさった・・・

 

カズマ「そう言ってくれると助かります・・・・」

ティアナ「それでよろしい」

 

腕を組んでうんうんと頷くティアナさんに、思わず笑ってしまい、ティアナさんも「なによ」と言いながらも笑っていた。

 

ティアナ「・・・・カズマとあってもう2年か・・・最初あったときの事覚えてる?」

カズマ「確か、強盗犯グループが銀行を占拠していた時ですよね?」

ティアナ「あの時はびっくりしたわよ?トイレから出てきたあなたが強盗犯グループのリーダーと爆笑しながら出てくるんですもの」

カズマ「何かあの男の好きなアニメが俺とあってたらしくて、中に戻って、グループと管理局員が対峙しているとこ見た瞬間にあの男「あ、やべ」って言ってましたからね」

 

その後動揺しているグループ全員が隙をつかれ取り押さえられたんだっけか・・・・俺も一緒に

 

カズマ「あの時はまじ助かりました」

ティアナ「いや、鼻に指突っ込みながら取り調べの人の話流しまくってたあなたが言っても・・・・涙めになってこっちを見てた取り調べの人を助けた気分だったわ」

 

そのあとも、あの時は、と思い出話に花を咲かせていく二人

 

 

カズマ「・・・・よし、そろそろ行きましょ、ここまで来てアイスも何も買わずに帰るなんてあり得ませんからね」

ティアナ「・・・・うん」

 

「あっれぇー、カズマやないかぁ」

 

カズマ「・・・・・・・・・・・・」

ティアナ「カズマ、知り合い?」

 

急に声をかけられ、そちらを見ると、ブランコに乗って遊んでいるジークがいた、キィ・・・とブランコの軋む音がやけに虚しく響いた・・・・

 

ジーク「あっれぇ?もしかしてデートだったぁ?いややわぁ言ってくれれば声かけなかったのにィ!彼女さん?もごめんなぁ?邪魔するきはなかったんよ」

 

たちのりして超笑顔でこちらを見てくるジーク、しかし目は全く笑っておらず、勢い余って何回転かしたのか、上の鎖を支える箇所に3本ほど鎖が巻きついた後があった。

 

ジーク「(油断しとった!めっちゃ仲いいやん!?)」

 

問題ないと言いつつも、ハラハラしていたジークはこっそり様子を見ていた。あらかじめ今回の件をクライに連絡してまで

 

カズマ「・・・・ジーク、何がしたいんだよお前、何でそんな拗ねてんだよ・・・」

 

今はティアナとのデート中であり、声をかけずにその場を去ろうと考えていたカズマ、しかしジークから焦りと不安が見え、心の中で謝罪しながらジークに近寄る

 

ジーク「・・・・うち、別に・・・・」

ティアナ「・・・・ジークちゃんでいいかな?」

 

ティアナさんがジークに話しかける、ジークはなんと言えばいいのか、先ほどまでの勢いがなく、今度はカズマに嫌われたらどうしようと「ありもしない」不安に駆られてしまったのである

 

ティアナ「カズマ、少し話したいから、飲み物買ってきて貰えないかしら?」

カズマ「・・・・分かりました、ジークは何がいい?」

ジーク「マッカン」

ティアナ「!?」

カズマ「いつものね、了解」

ティアナ「!?」

 

 

ーーーーーーーー

 

ジーク「・・・・・・」

ティアナ「貴女も、カズマが好きなんだね」

ジーク「・・・・・うん、好きや、大好き」

ティアナ「ごめんね、は言わないわよ?・・・・私もカズマが好きだからね」

 

ジークは知ってる、と言う風に弱々しい目でティアナを見た

 

ジーク「うち、大通りでの二人見て、二人共本当に楽しそうで、本物の恋人みたいに見えて、それで不安で・・・カズマ取られちゃうって思って、さっきみたいに飽きられて・・・・急にこわなって・・・・」

ティアナ「うん、でもカズマはそんな事じゃ嫌いにならないしむしろ、自分なんか、嫌われて当然って思ってるからね」

ジーク「・・・・そうやね、そのくせ人が困ってたら絶対首突っ込むし、迷惑がろうともお構いなしやし」

ティアナ「こっちが怒っていたら、泣いていたら、笑ってたら、一緒に怒って、泣いて、笑ってくれる・・・」

 

二人「気付いたら好きになってたんだ(や)」

 

ジーク「お姉さん、ごめんなさい、邪魔しちゃって・・・でも、今度はウチがデートに誘うわ」

ティアナ「ティアナ・ランスターよ、負けないからね?」

ジーク「ジークリンデ・エレミアや!ティア姉」

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

ティアナ「ティ、ティア姉?」

ジーク「うん、親しくなりたいと思った年上の女の人には「姉」つけるんや」

ティアナ「・・・・・・いい、凄くいい!私もジークって呼ぶわね!」

ジーク「うん!」

 

ーーーーー

カズマ「・・・・・・・・・」

「やはりこうなるか、・・・親衛隊隊長として同士として、カズマ、お前を成敗せん!」

 

 

 

カズマ「・・・・・・・え?何が?」

「え?」

カズマ「・・・・あの、隊長さんには悪いけど、俺メンバーでもなんでもないぞ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「え?」

 

飲み物を買って戻っている最中でバカに見つかった

 

本当にメンバーでも何でもない、実はこの人、俺がティアナさんと会う前に取り調べで俺とあっているのだ

 

まぁ、その時のことで彼は助けてくれた(?)ティアナさんの事を神聖視しており。俺はその語りに共感できるところは頷き、微妙なところはだんまりを決めていただけなのである、え?こないだ(2話)の?いやぁ、俺はただ単に、あの時は本気で彼氏が出来たのかと思って、あそこらへんってこないだ(3話)みたいに変なバカ多いから、絡まれないように奴らのテンションにあわせて・・・・

 

ま、せっかくの登場のとこ悪いが

 

?「・・・・・センパイ?何してるんですか?」

「・・・・・・・・え?ぎ、ぎ」

 

退場願おう

 

?「仕事サボって・・・・・何してるんですか?カズマ君に絡んで」

「ギンガアアアアアアア!?」

 

最終兵器の手によって

 

ギンガ「・・・ごめんねカズマ君このバカさっさと連れて帰るから」

カズマ「あ、お気になさらず♪」

 

尻に敷かれるがいい

 

「・・・カズマ、この世ってのは上手く行くときと行かない割合が顕著だよな」

カズマ「あぁ、でもそれはその人によって決まるもんさ、上手く行くのも、行かないのも・・・・だから

 

ーーーー逝ってらっしゃい」

 

「嫌だあぁぁぁああ!?訓練室は嫌だあぁ!俺はばりっばりの文官気質なんだよぉ!貧弱ぅなんだよぉ!な、なぁギンガ」

ギンガ「ふんす!」

「さまぁっ・・・・・・」

 

・・・・・・・・い、一発・・・・

 

白目を剥いた自身の「彼氏」を担ぎ、困ったような笑顔で「ごめんね」といって長い青紫の髪を翻して去っていった。

 

・・・・・・尻に・・・・・敷かれろよ

 

敬礼をして見送る俺を誰が責められようか

 

ーーーーーー

 

 

戻ってくると、ティアナさんはブランコに座っており、ジークはいなかった。

 

ティアナ「おかえり」

カズマ「機嫌良さそうですね」

ティアナ「そうね、あんな可愛い子がいたの黙っていたなんて許さないわ」

 

・・・・・どんだけ仲良くなってんだ

 

取り敢えず、買ってきた飲み物を渡して一休憩する

 

カズマ「・・・・今度こそ行きますか」

ティアナ「えぇ 、お腹空いちゃった」

カズマ「奢りますよ、場所の提供はお願いします」

ティアナ「・・・・そこはエスコートしてほしいな?」

カズマ「初めてのデートなんですから、無理言わんといてくだい」

 

ティアナ「だ、大丈夫、私もその・・・・初めてだから」

 

顔を真っ赤に染め俯くティアナさん、何か気まずくなってしまい二人同時にあるきだした。

 

手を繋いだまま




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8話

第8話です!

お気に入り登録、及び評価投票ありがとうございます!本日は銀魂OP「桃源郷エイリアン」を聞きながらの投稿です!


喫茶店「ビーナス」AM9:30

 

クライ「・・・・・・・・・」

カズマ「気をしっかり持てよ店長、いくら悩んだってその鬼顔は治らないんだから」

クライ「ちげえよ!」

カズマ「気をしっかり持てよ店長、いくら嘆いたって、あの日は帰ってこないんだから」

クライ「あの日ってどの日だよ!?俺がガキの頃好きな子に告白したら、翌日に転校した話か!?」

 

店長意気消沈中、こないだの一件でこってり絞られたらしい

 

カズマ「・・・・俺としては何でミリー婆さんが普通に注文取ってるのか気になるんだが」

店長「目覚めた、以上」

カズマ「納得」

 

クライ「・・・・好奇心が身を滅ぼすとはこの事だな、今月小遣い無しって言われた」

カズマ「面白がって言い触らして、ミリー婆さんに店番任して、全員連れてきたのが悪い」

クライ「・・・・・何も言えねぇ」

 

因みに、あのあとギンガさんから「更正完了」との連絡を頂き、隊長さんからは「この世の地獄を見てきた」との報告がきた、後親衛隊全員に強化訓練プログラムが実施されたらしい、へいわだなまる

 

クライ「そういや、今日かノーヴェの嬢ちゃんが言ってた子達と会うってのは」

カズマ「実際は立会人みたいなものだけどな」

 

アインハルトって何か口数少なそうだし、今日は学校が終わってから、アインハルトは俺と合流して、学校付近にある喫茶店で件の子達と待ち合わせだ。

 

カズマ「・・・・聖王のクローンね」

 

ーあの子は、ある事件に利用するために作られた、人造生命なんだ、アインハルトにも見てほしいんだ、未来も過去も考えず、今を楽しんで全力で生きてる子供たちを。それで変わって欲しいとかそういうのじゃなくて、人の生き方は一つだけじゃないってさ

 

カズマ「・・・・(・・・・・聖王)」

 

 

 

ーカズマ、行かせてください、後悔したくないんです。皆を・・・・守らせて

 

・・・女々しいな、両親の事はすぐ割り切ったってのに

後悔はしてない、後悔するぐらいなら「あの時」、四肢欠損させてでも連れ帰ってる

 

カズマ「・・・・(しかし、ここ最近こういった場面多いな、そのうちクロにも合いそうだな)」

「お、カズマ君頑張ってるな?」

「こんにちは、店長さん、カズマ君」

カズマ「あ、トシオさんミリアさんちわっす」

「ミリア、孫はまだかい?」

「おばあちゃん!まだ早いよ!」

 

最近常連になりつつある、ミリアさんが「夫」のトシオさんを連れて入ってきた。

 

「おばあちゃんがお世話になってます店長さん、カズマ君」

クライ「いや、助かってるよ本当に・・・」

 

敢えて何も言うまい。

 

ーーーーーー

 

午後4時頃になり、店のドアが開き、鈴がなった

 

カズマ「いらっしーーーアインハルトか、学校終わったのか?」

 

ST・ヒルデ魔法学園の制服を身に包み、アインハルトが入ってきた

 

クライ「学校お疲れさん、紅茶飲むか?」

アインハルト「え?あ・・・・あの、お、お願いします・・・」

 

クライさんの顔を見るなり、若干顔をひきつらせたアインハルト、よほどあの時のクライさんの形相が印象的だったとみえる、その反応がショックだったのか(´・ω・`)みたいな顔をするクライさん

 

アインハルト「あ、あのすいませ」

カズマ「いいんだよ、いつもの事さ・・・第一そんなことでいちいちびびってたら、そのうちショック死すんぞ」

アインハルト「・・・・そこまでですか・・・」

 

交番でのクライさんを思い出したのか、顔をひきつらせるアインハルト

 

カズマ「あぁ、こないだなんて局員を笑顔で気絶させたんだかんな?」

クライ「その話はやめて!?」

 

 

アインハルト「今日はよろしくお願いします」

カズマ「ま、気楽にな」

 

席に座り無言になってしまったアインハルト、時折聞きたいことがあるのか、チラチラとこちらを見てくる

 

カズマ「(・・・・まぁ、あの時は、「それっぽい」事を言いまくったかんな・・・)」

 

多分思い出してる、いや、思い出すだけの余裕が出てきたのか・・・・

 

クライ「ほらよ、地球で「ダージリン」っていう茶葉らしい」

アインハルト「あ、ありがとうございます・・・」

 

出された紅茶を静かに飲み、軽く目を見開いた

 

アインハルト「おいしい・・・」

カズマ「だろ?」

クライ「なんでお前が偉そうにしてるんだよ・・・・」

アインハルト「・・・とても優しい味がします。」

クライ「そう言って貰えると嬉しいな」

 

そのあと、紅茶を飲んですぐさま店を出た

 

アインハルト「あ、お代・・・」

カズマ「あの人の奢りだ気にすんな。あの人、あんな見た目でもそこら辺ちゃんとしてるからな、金取るんだったら伝票も一緒に出してるよ」

アインハルト「・・・・・そう、ですか」

 

少し二人であるいていると、アインハルトが口を開いた

 

アインハルト「今までずっと同じ記憶しか見てませんでした、でもあの日以降、よく城内にいるときの記憶が色濃く出てくるんです。」

カズマ「・・・・・・」

アインハルト「そのなかには、貴方も居ました、今と同じ姿で」

カズマ「・・・・クラウスは幸せだったか?」

アインハルト「・・・えぇ、毎日、身分も関係なく、オリヴィエとリッドと・・・・・そして貴方と」

 

 

 

アインハルト「歩きながらでいいので教えて貰えませんか?・・・・貴方は何者なんですか?」

カズマ「・・・・あいつらの友達さ」

 

アインハルト「・・・・」

カズマ「そうむくれんなよ、いずれ話すさ、ただ、今ではない」

アインハルト「わわっ!」

 

少し強めにアインハルトの頭を撫でてやる

 

カズマ「・・・・クラウスは立派だった、最後まではみていてあげられたかったが、後悔をしながらも、二度と同じ悲劇を繰り返さないように、強さと心を養った・・・・でもお前が強さを求めたように、まだ後悔が残っていたんだろうな・・・・」

アインハルト「私が言うのもあれですが、違います」

 

俺は思わずアインハルトを見る

 

アインハルト「彼は、貴方の「剣」と「ゆりかご」に誓ってました。

 

「二人は、英雄だ、その生きざまを僕は知っている、今度は二人が守ったものを、僕が守る」

 

そう言ってました」

 

 

・・・・口元に微かに優しい笑みを浮かべながら、アインハルトはいった

 

カズマ「・・・・・ったく、記憶力がいいお嬢様だこって」

 

ーーークラウス、もう大丈夫だ、お前の子孫はちゃんとお前を引き継いでるよ、でもまだ迷路のスタート地点にどっしりと立ってるだけだ、もしかしたらまた迷ってしまうかもしれない、でも。

 

カズマ「・・・・・・ふっ」

アインハルト「わ!?か、髪が・・」

 

ーーー今のこいつなら一緒に歩いてくれる奴らが支えてくれる、だから、大丈夫だ

 

・・・・あの脳筋が笑った気がした。

 

 

 

ーーーー

 

待ち合わせの場所に行くと、既にあつまって・・・・・多くね?

 

カズマ「(なんでこんな集まってんの?ひーふーみー・・・ひゃっほぉい、わらしべ長者・・・っじゃねーよ!)」

 

件の女の子を含め10人以上いる。・・・・ティアナさんもいるよ・・・・

 

カズマ「アインハルトすまん、ちょっと待ってろ」

アインハルト「?どこに?・・・・」

カズマ「・・・・きまってんだろ」

 

 

 

・・・・・驚安殿堂、〇〇キーさ!!

 

 

ーーーーー

 

ノーヴェ「やかましくて悪ぃな」

 

今日は、カズマとアインハルトをウチのチビどもに合わせる日だ、ティアナも気になっていたらしく、休みを調整して、姉貴(スバル)を連れてきた、後はチンク姉だけを呼んだ筈なのだが・・・・双子とディードにウェンディがどこからか湧いてきた、そこにチビ共、リオ・ウェズリー、コロナ・ティミル、高町ヴィヴィオがやって来た。

 

ヴィヴィオ「で、紹介してくれる人達って?」

 

気になるのかキョロキョロしながらしながら聞いてくるヴィヴィオ

 

ノーヴェ「1人はお前の学校の中等科の一年生だ、流派は・・・まぁ、旧ベルカ式の古流武術だな」

 

ヴィヴィオは知らなかったといった感じで「へー!」っていった

 

ノーヴェ「あとあれだ、お前と同じ虹彩異色」

ヴィヴィオ「ほんとー!?」

 

自分と同じ特徴がある人と、関わりが持てるのがうれしいのか、声が弾んでいる。異色眼事態が稀有な為、浮く事がない訳じゃなかったから余計にこの子も嬉しいのだろう

 

ヴィヴィオ「ね、ね!もう1人は?同い年位の人?」

ノーヴェ「いや、悪い、そっちの方はあまり知らないんだ、年は18で、べらぼうに強い」

ヴィヴィオ「へー!流派は!?」

ノーヴェ「・・・・・・・」

 

し、知らねえぇ・・・・やべぇきいときゃ良かった・・・・、思わず、ティアナを見る、目が合うなり苦笑して助け船を出してくれた。

 

ティアナ「まぁ、ヴィヴィオ座ったら?」

スバル「そーそー」

 

はっとなって赤面しながらそそくさと座るヴィヴィオ

 

そこへーーーー

 

?「ようこそ!夢の国ディ〇〇ーランドへ!今日君たちを案内するのは、僕ミッ〇〇マウスと、こちら!」

アインハルト「あ、ああああアインハルトです・・・ノーヴェさん皆さん、お待たせしましゅた・・・・はぅ」

 

 

 

 

 

?「ハハッ☆」

 

・・・・・ナニコレ?




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9話

お気に入り登録ありがとうございます!こんな駄作ですが頑張って行きます!

では9話です!


皆さんを夢の国に案内してやろうと思って、ド〇〇ーで売ってたミッ〇ーの着ぐるみを即買って、周りから視線を集めて嫌がるアインハルトの手をひっぱって登場しました。カズマ=ツユクサです。

 

・・・・・・沈黙が痛いとです涙

 

皆一応に唖然としてるなか、パイナップル頭の赤髪の女性が目をキラキラさせていた。

 

ウェンディ「こ、これがコスプレってやつっすか!初めてみたっす!」

カズマ「ハハッ!コスプレ何かじゃないよ?今日は僕たち以外にも一緒に遊んでくれる友達を連れてきたのさ(アインハルト、一緒に頼むぞ)せーの!」

アインハルト「は?え、せ、せぇの!」

 

二人「グー〇〇(さ、定〇ぅ!)」

 

・・・・・・・!?

 

ーーヴヴ~・・・・!バウッバウッ!

 

吠えられてしまったが。そんなこと気にしている暇が無くなった。

 

カズマ「ちょっ待て、なんで定〇しってんだお前」

アインハルト「見ているからですが?」

カズマ「いや、でもさ、俺ミッ〇ーだよ?普通にドナ〇〇かグー〇〇だろうが」

アインハルト「噛みました」

カズマ「違うわざとだ」

アインハルト「かみまみた」

カズマ「わざとじゃない!?ってちょっとまて、お前、何か崩壊してんぞ、キャラとか」

 

キャラとか!大事なこ(ry

 

ノーヴェ「いや、違うだろ!?」

 

さすがノーヴェさん!こんなグダグダな雰囲気でもぶれない精神、惚れました!

 

ノーヴェ「あたし的には、国民的猫型ロボットで出てきて欲しかった」

 

一行前のセリフを返して下さい

 

ヴィヴィオ「・・・・・っぷ!」

ティアナ「あっはははははは!」

スバル「お、面白いひと連れてきたね・・・っぷふっ」

 

ティアナさんを初めとした皆が笑ってくれた、何とか場の雰囲気は和んだ。アインハルトの肩をポンポンっとたたいた、被り物をとり、自己紹介を改めてする。

 

カズマ「カズマ=ツユクサです。中央区第三地区、湾岸住宅街で喫茶店のバイトをやってます、流派は特に無い我流です。」

 

と説明すると、アインハルトとノーヴェさんが「は?」と思わずと言った形で言った・・・なんだよ

 

ティアナ「カズマのそれは我流っていうより・・・「ツユクサ流」・・・?もう動き自体が一つの完成形になってるものね」

カズマ「・・・・あの、恥ずかしいんで、やめて貰えます?弟子とか取る気ないんで・・・てかっ・・・・いや・・・・なんでもないです」

スバル「ティア知り合いだったの!?」

 

・・・・流石に、「戦闘の積み重ねによってなった一つの完成形」っていう自己紹介はやめておいた。変な空気になりそうだし

 

俺の自己紹介が終わったのを見計らって、アインハルトが一歩前に出た。

 

アインハルト「アインハルト・ストラトス・ハイディ・G・S・イングァルトです。流派はベルカ古流武術「カイザーアーツ(覇王流)」で修行中です」

 

いい終わると、拍手がなった、向こう側から金髪の虹彩異色の子が立ち上がる。・・・・あれ?俺の時拍手なった?え?・・・あ、あぁ、ならいいんだよ

 

ヴィヴィオ「ミッド式の、ストライクアーツをやってます!高町ヴィヴィオです!」

カズマ「よろしくな」

 

・・・・安心した。クローンだから、記憶とか継承されていたとかされてないとかそういう話じゃなく。この子はなんと言うか・・・・

 

カズマ「・・・・・(確かにアインハルトに会わせて正解かもな、この子達を)」

 

ノーヴェさんを見ると、頷いてきた

 

リオ「リオ・ウェズリーです!同じくストライクアーツやってます!」

 

続いて元気ですかぁ!?っていう言葉を体現したような子、リオが紹介した。

 

コロナ「同じく、コロナ・ティミルです。ストライクアーツやってます」

 

続いて、物凄く礼儀正しい子が紹介した。挨拶の仕方が優雅で良家の娘かなっと思う。

 

アインハルト「・・・・よろしくお願いします」

 

口元に微かな笑顔を浮かべアインハルトはそう言った。

 

 

 

ーーーーーー

 

アインハルト「(・・・・・・・元気な子達ですね)」

 

あの後、ノーヴェさんの提案で区民センターで場所を予約してると言うので、一同全員で向かってます・・・・・カズマさんの首から下がミッ〇ーなので物凄い視線を集めてたので、途中から紙に「これはミッ〇ーではありませんベッ〇ーです」と書いて背中に張り付けましたが、意味があまりないうえに、意味不明でした

 

アインハルト「・・・・・・」

 

ーーーよろしくお願いします!

 

そう言って私の手を握ったヴィヴィオさんは、顔立ちも手の大きさも太さも、ほとんど「あの人(オリヴィエ)」とは似てない・・・・でも。

 

ーーークラウス、この子可愛いですね!

 

・・・・クラウス、オリヴィエ、貴方たちが守ったものはこうして今の私とこの子を引き合わせてくれています。

 

ノーヴェ「・・・・・どうだ?」

アインハルト「・・・・とても、優しく、真っ直ぐな目をしています。とても良い子達ですね」

 

そう言うとノーヴェさんは嬉しそうに笑ってくれました、・・・・本当に良い人ばっかりですねこの人といい、カズマさんといい

 

アインハルト「・・・でも私もあの子達みたいになるのは難しいです。・・・・この間も言いましたが、私は今までの私を否定する気はないです、言ってくれたんですあのときカズマさんが」

 

ーーーお前は優しい子なんだな、自分の事じゃないのに、本当に自分の事のように考えて、悩んで・・・・今回はそれがいきすぎただけなんだろうな、ま、勝手な推測だが

 

アインハルト「・・・だから、私は私の中にいる彼と、私で見つけます、自分が何をしたいのか、何になりたいのか」

ノーヴェ「・・・・・本当に、あいつに会わせて、カズマが来てくれて良かったと思うよ」

 

そう言ってノーヴェさんは笑った

 

こうしているうちに一行は区民センターに着いたのだった




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10話

すいません!m(__)m寝ぼけて執筆途中の物を投稿してしまいました、本当にすいません!

では、第10話です


第三区民館

 

ノーヴェさんが受付をして、いくつかの注意点を聞かされ、トレーニングルームへ案内される、貸しきりなだけあって広く感じる。

 

ノーヴェ「・・・さて、じゃあ誰からやりたい?・・・・ってヴィヴィオはやる気満々だな」

ヴィヴィオ「当然!」

 

清々しいほどの笑顔で答えるヴィヴィオに苦笑するノーヴェさん・・・・ま、ここは

 

カズマ「アインハルト、君に決めた」

アインハルト「カズマさん、私は貴方の電気ネズミ的ポジションですか?」

カズマ「何を自惚れてるんだ?どっちかっつったら〇モリ的ポジションだろ」

アインハルト「やだ男前・・・」

ノーヴェ「何コントやってんだよ・・・・」

 

ティアナさんに、わき腹をどつかれた、解せぬ

 

・・・・しかし

 

カズマ「アインハルトは急に人が変わったように崩壊起こしてんな」

ティアナ「・・・十中八九、カズマの影響だと思うけどね」

 

・・・まぁ、あいつ自信に余裕ができたってのが一番大きいな・・・・こないだまで行き急いで余裕がなかった分、もしかしたら化けるかもしれない

 

スバル「ねぇ、ティアっていつからカズマ君と知り合ったの?」

ティアナ「何よ急に・・・」

スバル「何か、二人の距離が・・・何か六課時代のあたし達より近いような・・・・少なくとも、一週間前とか一ヶ月とかじゃないよね?」

 

二人で話していたら、ティアナさんの相方のスバルさんに声をかけられた。

 

カズマ「鋭いですね、脳筋そうに見えて」

スバル「酷くない!?」

カズマ「いえ、ギンガさんからそう聞いてたんで」

スバル「ギン姉!?」

 

顔を真っ赤にして怒っているスバルさん・・・・そう言うところが、とは言わない

 

スバル「ギン姉はいつまでも私を子供扱いするんだから・・・・」

カズマ「・・・・ギンガさんが「中々姉離れしてくれないって言ってましたよ?」

スバル「ギンねぇぇぇ!」

 

両手で顔を覆って嘆くスバルさん、ティアナさんとノーヴェさんの呆れた視線が突き刺さる。

 

ウェンディ「あ、でも私も気になるっす!いつから知り合い何すか?」

 

気付けば、着替えに言ってる二人以外の視線がこちらに向いている、モン〇〇ーボールがあったらアインハルトを戻したい。

 

 

カズマ「2年前っすかね、こっちに来てすぐっす」

チンク「む?ミッド出身じゃないのか?」

カズマ「えぇ、俺は「タナリス」って言うところの出身です」

 

「第25管理外世界タナリス」、自然文化レベルB、文化レベルC、魔法文化レベル「E」の自然に囲まれた世界「だった」

 

チンク「って言うとカズマは魔力がないのか?」

カズマ「はい、っていうかあの世界の血を純粋に受け継いでる人は魔力が無いんですよ」

ティアナ「確か魔力を持った人との子供はその魔力を受け継ぐのよね?」

カズマ「はい、影響を受けやすいみだいで」

 

ティアナさんが「大丈夫?」と言った視線を寄越したので大丈夫と返した

 

ディエチ「勉強になるね」

ノーヴェ「そう言った場合で魔導師が生まれたりするんだな?」

チンク「そう言えば、ギンガとも知り合いなのか?」

カズマ「あの人は彼氏さん経由で知り合いました」

 

そう言うと、皆あぁっと言った感じで、納得した。

 

カズマ「そう言えば、皆さんナカジマ姓ですけど姉妹なんですか?」

 

そう言うと小学生組を覗いて皆、複雑そうな笑顔になりノーヴェさんが口を開いた。

 

ノーヴェ「すまん、自己紹介の時に言うべきだったんだがな・・・・ウチラ姉貴とギンガ以外「養子」何だ」

チンク「ついでに言うと、人間ではない」

 

彼女らは、4年前に起きた大規模なテロ事件、犯罪者側が作り出した。戦闘用機械人間、「戦闘機人」だそうだ、今の彼女達の父親「ゲンヤ・ナカジマ」によって更生の余地がある、彼女らは引き取られたらしい。

 

ノーヴェ「チンク姉、悪い、本当なら知り合ったあたしが言うべきなのに」

チンク「なに、気にするな」

カズマ「戦闘機人か、道理で」

 

・・・・・・・

 

ノーヴェ「・・・・・道理でって何が」

カズマ「いや、何か動作を見てて違和感感じたんで、気になってたんですが、機械なら納得です。特に意味はないですよ?不快にしたらすみません」

 

謝ると、慌てたように遮るノーヴェさん

 

ノーヴェ「い、良いって!別に怒ってる訳じゃないから、・・・なんつーかもっと驚くのかなって」

カズマ「話聞いてたら、警戒も何も必要ないかなって思ったので」

 

カズマ「第一、俺は貴女方になにもされてませんから」

ウェンディ「い、いや、まぁ確かにそうっすけど・・・」

カズマ「それにちびっこ二人は気にしてないのに俺があーだこーだいったってどうしようもないですし」

リオ「ノーヴェ先生達はノーヴェ先生達だよ?」

コロナ「師匠達は、機械なんかじゃない、心を持った人間です」

 

少しポカーンとする皆、スバル(復活済)さん嬉しそうに、ティアナさんは優しく微笑んでいた。

 

カズマ「まず、俺は自分で見たもの以外は信じない事にしてるんで、俺こそ無神経な質問すいませんでした」

 

元はと言えばこの空気を作り出したのは俺だ。内容が内容だし、自己紹介で言えるような内容ではない

 

ノーヴェ「いや、大丈夫だ・・・寧ろありがとうな・・・本当に今日来てもらって良かったよーーーーと、来たな?」

 

更衣室から出てきた二人を見てノーヴェさんがこれで終わりとばかりに締めた。

 

チンク「・・・ありがとう、お前やコロナやリオに出会えて本当に良かった」

ウェンディ「皆マジ良い人っす!私は感激っす!・・・・ありがとう」

ディエチ「今度ナカジマ家に3人共ご招待だ、ヴィヴィオもアインハルトも、ね?」

ディード「カズマ兄様と読んでよろしいですか?」

オットー「今度聖王教会に要らしてください、おもてなしさせていただきます」

 

姉妹達にお礼を言われむず痒くなる

 

スバル「・・・・ティアがカズマ君と仲が良い理由が少しは分かったかな?」

ティアナ「ふふん、でしょ?」

 

 

何で貴女が偉そう何ですか・・・・あー何だ、顔が熱い、変な事口走るもんじゃないよ本当

 

ヴィヴィオ「よろしくお願いします!」

アインハルト「こちらこそよろしくお願いします」

 

 

 

二人とも足下にそれぞれ丸いのと三角形の魔方陣が展開される。

 

ートン、トン、トン、トン

 

ヴィヴィオがステップを踏み始めた。

 

カズマ「(自分のリズムを作ってるのか)」

ノーヴェ「んじゃスパーリングを始める、1ラウンド4分な、射砲、拘束は無しの格闘技オンリーな」

 

 

レディー・ゴー!の合図と共にヴィヴィオがアインハルトの懐に潜り込み、下からの打ち上げを放った

 

アインハルト「っ」

 

しっかりとガードしたアインハルトにヴィヴィオが次々に攻撃を放っていく。

 

正拳、右フック、アッパー、果てまでは蹴りまで放つもアインハルトにことごとく避け、弾く

 

ティアナ「ヴィヴィオも凄いけど、アインハルトも余裕で交わしてる」

カズマ「・・・(あいつ、笑ってやがる・・・)」

 

ヴィヴィオは最初から笑っていたが、アインハルトは無意識なのか、口元に微かに笑みを浮かべてる

 

ヴィヴィオ「はぁあ!」

 

試合一番の正拳突きは、アインハルトをとらえるまえに、アインハルトが逆に懐に入り、右手による手のひらが当たヴィヴィオを吹き飛ばした。

 

幸い、ディードとオットーが受け止められていた、すぐさま顔を笑顔にして、凄いと言った。

 

ノーヴェ「どうする?まだ続けるか?」

ヴィヴィオ「どうぞ、アインハルトさん」

 

アインハルトは、そう言われた後、迷うことなく俺の方へ向き

 

アインハルト「カズマさん、来ないだのリベンジをさせてください」

 

その目に闘志の炎を宿し。そう言った

 

カズマ「・・・・了解」

 

下半身ミッ〇ーで戦っても良いですか?めんどくさくて




誤字、指摘等ございましたら!よろしくお願いします!


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11話

お待たせしました!第11話です!



お気に入り登録感謝です頑張ります!


さすがに頭装備無しのミッ〇ーS装備でその後もは怒られそうなので、脱いで私服装備(初期)に変える。

 

ヴィヴィオ「リベンジって?」

ノーヴェ「まぁ・・・・いろいろあってな」

ヴィヴィオ「?」

 

トレーニングルームの中央によってアインハルトと向かいあう。

 

カズマ「よしやるか」

アインハルト「お願いします」

 

足下に三角形の魔方陣(古代ベルカ式というらしい、カズマ、おぼえた)を展開し、身体強化を図るアインハルト

 

ウェンディ「ちょ!?大丈夫なんすか!?カズマって魔力がない一般人なんっすよね!?いくら強いっていっても・・・・」

ノーヴェ「あー、大丈夫だ、正直あいつを一般人って枠にいれて良いのか・・・」

ティアナ「大丈夫よ、正直SLBですら、弾きそうだもん」

チンク「それは・・・・なんと言うか規格外というか、人間か?」

 

外野が好き勝手言い過ぎてる、ってかSLBってなに?S(しゃんと)L(ラリってる)B(バカスマ)って意味?そりゃ弾くどころか消し炭(メンタル)にされるわ、良かった俺人間だよ、ってかカスマって・・・

 

スティール!

 

わ、できませんので、ご勘弁を!

 

ノーヴェ「んじゃさっき通りで射砲なしと格闘オンリー・・・あーバインドはありでいいや」

 

ノーヴェさんのトンでも発言にビックリした様子の皆(ティアナさん以外)、バインドってあれだよな、亀甲縛り的な・・・

 

アインハルト「違います!あ、いや違くないけど違います!」

カズマ「まて、何で考える事が分かった」

アインハルト「カイザーアーツの中にある読心術です」

カイザ「覇王流便利すぎる」

 

ノーヴェ「あぁ!もう!始めるぞ?レディー・・・・」

 

アインハルト「・・・・・・」

カズマ「・・・・・」

 

ノーヴェ「ーーーーファイト!」

 

開始と同時に周囲に違和感を察知

 

カズマ「よっと!」

 

表れた、光(魔力光)の輪を前蹴りで破壊、眼前まで迫っていたアインハルトに向けて、前蹴りで上がった足を身を捻り降り下ろす

 

アインハルト「なっ!?ーーーーっくぅ・・・!」

 

かろうじて両方の腕をクロスして防がれた。が、降り下ろした足に体重をかけ支点にし、もう片方の足で、アインハルトの防御を蹴り崩し、その反動で浮いた体を捻り着地し、3メートル程距離をあける。

 

アインハルト「・・・・っ何が・・・・」

ヴィヴィオ「い、今バインドを素手で・・・魔法もなしに・・・」

カズマ「やっぱりビリビリすんな・・・・ほら、こい」

アインハルト「っ!まだまだ!」

 

不適に笑って挑発、アインハルトは足に溜めた魔力を爆発させ、一気にトップスピードに入り、カズマの懐に潜り込もうとして

 

ーーー次には、カズマの不敵な笑みを浮かべた表情を見上げていた

 

アインハルト「ーーー貴女は一体どれだけの高みにいるんですか?・・・」

カズマ「高みになんかいねぇよ、精々がハンバーガー4個分くらいだ」

 

真面目に答える気のないような回答を聞き、アインハルトは呆れるでも怒る出もなく、笑った

 

アインハルト「・・・・完敗です」

カズマ「・・・まだまだ伸びるよ、お前も、あの子達も」

 

拳を交えれば、何て根性論を語るつもりはないが、でもこいつらの目や表情をを見れば分かる。

 

ーーーこの子達はどこまでもまっすぐ何だって、いつだって本気なんだって

 

カズマ「・・・ま、どうする?続きやるか?」

アインハルト「・・・いえ、大丈夫です、あの子達がウズウズしているので」

 

顔を動かしたアインハルトの視線の先を見ると、目をキラキラさせてソワソワしている小学生達がいた

 

カズマ「おーい!次は誰だー!今日はとことんやったるわ」

 

次は私!と争いあってる女の子達、あれ?ハーレムじゃね?

 

アインハルト「気持ち悪いです。」

カズマ「俺の心のプライバシーがない件」

 

因みに「キモい」ではなく「気持ち悪い」と言われる方がきついです(作者談

 

アインハルト「その作者も気持ち悪いですね?」

カズマ「誰かぁ!こいつを舞台裏に連れてってぇ!?」

 

この作品が終わんぞ!?

 

ーーーーー

 

3人娘「「「ありがとうございましたぁ!」」」

ノーヴェ「悪いな、こんな時間まで」

カズマ「いえ、何気に楽しかったし、むしろ誘ってくれてありがとうございます」

 

時刻はPM6:30

辺りは薄暗くなっており、子供達はティアナさん達大人組が送っていくことになった。

 

ヴィヴィオ「アインハルトさんもカズマさんも凄く強かったね!」

リオ「私何回転ばされたか覚えてないや・・・」

コロナ「私も・・・」

 

ヴィヴィオ達は今日の感想もとい反省会をしている、反省会の中に何回も「転んだ」という言葉がでる反省会は反省会と言うのだろうか・・・って俺も反省会って言葉を(ry

 

ノーヴェ「カズマはあたしが送ってくから」

カズマ「いや、俺は・・・」

ノーヴェ「まぁ、それは建前で、今後お前に世話になるかもだからな、一応、家をな・・・・」

カズマ「・・・・ま、バイトに支障が出ない程度でお願いしますよ」

 

遠回しの了承に、苦笑するノーヴェさん

 

アインハルト「それでは皆さん、また明日」

ヴィヴィオ「はい!また学校で!今度は魔法ありのガチンコ勝負しましょう!」

リオ「あたしの秘策はまだ出来てないからまた今度かな・・・」

コロナ「私も今ルーちゃんと一緒に作ってるから・・・いいなぁヴィヴィオ」

 

仲がよろしくていいな・・・・別に初対面仲間な筈なのに仲間外れにされてる、とかじゃないからね?考えて見ろよ、小学生中学年3人と中学生1人が和気あいあいと話し込んでる所へ18歳の男が「俺も混ぜてよぉ☆」っていって突入している光景を、案件確定だよ?

 

ヴィヴィオ「カズマさんも、また今度お願いします!」

カズマ「信じていたよ!お前が女神か!?」

ヴィヴィオ「ふぇ!?」

アインハルト「キモいです」

 

この子俺に辛辣すぎない?

 

カズマ「・・・また今度な」

アインハルト「・・・・はい、また今度」

 

ーーーーー

 

ノーヴェ「ってあたしらの家の近くだったのかよ!?」

 

俺んちがある住宅街をノーヴェさんと歩いてる。流石に区画が違うとはいえ、同じ住宅街に住んでることが以外だったみたいだ。

 

カズマ「・・・今日は本当にありがとうございました、良いものを見せてもらいました」

ノーヴェ「・・・・まぁ、あいつらも頑張ってるからな」

 

ポリポリと頬をかきながら、照れくさそうにしているノーヴェさん、自分の事のように喜んでいるのがわかる

 

ノーヴェ「そういえば聞こうと思ってたんだけどさ、初めてあった時に、アインハルトの断空拳を弾いてたろ?・・・・あれどうやったんだ?」

カズマ「あれは「気」を弾く箇所に集中させて、一時的に強化したんです、「あるやつ」から教えてもらって、俺は「エクシード」と呼んでいますが」

ノーヴェ「気?それって生体エネルギーみたいな?」

カズマ「はい、生きてる人皆が持ってるものです、でも普段は誰も認知していないもので、見つけるにも時間がかかりました」

 

俺も習得したのは本当に偶然だったからな・・・

 

ノーヴェ「だからあのとき・・・こう、ぞわっていうか、ビリビリしたっていうか・・・」

カズマ「・・・・」

ノーヴェ「後一つ聞いて良いか?」

カズマ「はい」

 

ノーヴェさんは、少し躊躇したような様子を見せたが意を決したのか口を開いた。

 

 

 

ノーヴェ「カズマは、古代ベルカ時代の人の子孫・・・・とかなのか?」

カズマ「・・・・あーまぁ、確かにあのとき、それっぽいことさんざん喚いてましたからね・・・あのときのノーヴェさんの空気間といったらぶふぅ!」

 

ノーヴェさんは拳を構えながら笑顔でいった。

 

ノーヴェ「殴るぞ?」

 

・・・・言葉のキャッチボールを誰か教えてあげてくれませんかね?俺が先に消されるか!

 

ノーヴェ「・・・で、どうなんだ?言いづらいなら無理には・・・・」

カズマ「いえ・・・・そうですね、簡単に言えば

 

 

ーーーータイムスリップしました」

 

 

ノーヴェ「は?」




誤字、指摘等がございましたら宜しくお願いします!

後前話が読みづらいとおもったので、少し手直しします!


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12話

お気に入り登録感謝です!

しかし・・・やってしまいました。原作をよみかえしていたんですが・・・・ジークさんミカヤさんのこと「ミカさん」いうてるやーん(絶望)

・・・・でわ・・・・だい12話です・・・


PM7:10「カズマ宅」

 

少し込み入った話しになりそうなので、中に入ってもらった。

 

ノーヴェ「なんか、悪いな?」

 

物珍しいのか、辺りを見渡しながら言うノーヴェさん

 

カズマ「いえ、気にしないでください」

ノーヴェ「・・・・じゃあ、本題だが・・・タイムスリップって本当か?」

カズマ「まぁ・・・証明できるものも無いですから、無理はないですけどね」

 

実際俺がノーヴェさんの立場なら、迷いなく一週間はいじり倒す。

 

カズマ「・・・ミッドに来て1年過ぎた頃ですかね?当時は喫茶店のバイトじゃなくて、デパートとかの警備員やってたんですけど」

ノーヴェ「へぇ、意外だな、もっとフランクな仕事やってるのかと思ってた。」

カズマ「まぁ自己証m・・・・色々あったんですよ」

 

少しとおい目をしているとノーヴェさんは「そ、そうか・・・」といって、退いてくれた。

 

カズマ「・・・で、仕事終わってアパートに帰ってドアを開けた瞬間

 

 

ーーーー空中に身を投げ出されてて」

ノーヴェ「いやいやいや!?最初っからクライマックスだなおい!」

 

いやぁ、あん時は焦ったな、「雲の数数えたら寝れるかな」ってマジで考えたからな・・・

 

カズマ「・・・・本当に信じがたい話かもしませんが、あっちで約1年過ごしました、色んな人がいて、色んな考えがあって、色んな出会いがあって、・・・・色んな別れがあった、あいつらの先祖達とはその時にあったんです」

ノーヴェ「・・・・そう、か・・・信じるよ、まだあったばっかだけど、なんかお前は信じられる。」

 

・・・・なんで、皆揃って俺みたいなのを持ち上げるかな

 

ノーヴェ「どんな人柄だったんだ?王達は」

カズマ「脳筋」

ノーヴェ「・・・・・・へ?」

 

カズマ「当時は・・・まぁぶっちゃけ今もそうなんですが、魔力が重視される世界ばっかなんで、俺のバトルスタイルが奴等の目に止まって・・・・目をつけられて・・・」

ノーヴェ「お、おい・・・?」

 

・・・・・・

 

カズマ「城にいればクラウスに絡まれ、一言目には「模擬戦」二言目に「模擬戦!」更には「模☆擬☆戦」・・・かといって断ると捨てられた犬見たいに見てくるから、気持ち悪さで精神を削られ、リッドは何気に常識人だったから・・・と思ってたらクラウスと模擬戦ばっかしてたらむくれて乱入してくるし、オリヴィエ、こいつがじゃじゃ馬だった、あの肖像画みたいなおしとやかで威厳ある「王」ってキャラじゃないし、「模擬戦ばっかりしてないで勉強もしなさい!」みたいなこといって、次の瞬間には「では、闘(や)りますか

?」って?馬鹿じゃねぇの?言葉の意味を調べてきなさい、闘は「や」という読み方はしません。たまにクロの所に逃げ込んで癒してもらったっけな・・・あ、クロっていうのは「クロゼルグ」っていう魔女(ウィッチ)の娘のことでね?イタズラ好きですが俺の事を兄見たいになついてくれて・・・・っとに可愛くて・・・あ、あとリーヴィアの所によくお茶しに行ってたな・・・あいつ変人だけどまともだったし・・・・あとは・・・・ーーーー」

ノーヴェ「!?(目のハイライトが・・・・消えてやがる!?)」

 

虚空を見上げ「あの時間が、意外と休まる時間だったな・・・・ははっ、あはは☆」とぶつぶつ笑いながら呟く様は不気味の一言ではすまなかった、しかし、途中で言葉を切ったカズマはその顔に、優しげな笑みを浮かべて

 

カズマ「・・・・でも、 脳筋とか無しにしてもどうしょうもないほどに良い奴等でした」

ノーヴェ「・・・・そうか」

 

短い言葉だが、あいつらとの思い出を表すならこれ以上ない言葉だ。

 

カズマ「・・・・勝手な押し付けだが、あんな時代を手を取り合って生きてきたからこそ「あいつら」にはまっすぐ生きてほしい、「奴等の血が流れている」事を、枷にして欲しくないんです」

ノーヴェ「・・・・すごいな、カズマはさ、すげぇよ」

カズマ「何ですか・・・急に」

 

ノーヴェ「カズマはさ、周りを、なにより自分を信じた方が良い、お前が思ってるより周りはお前の事を見てるぜ?あいつらがお前になついてた?事だってお前がただ強いだけじゃない、お前の「まっすぐに生きている姿」に憧れを感じたんだ、あ、否定なんかすんなよ?人を見る目はあるつもりだかんな」

 

・・・・・・・・・・・・

 

カズマ「・・・・一言余計なん「だよ」」

ノーヴェ「お、敬語が抜けたな?・・・これであたしもカズマのダチに馴れたかな?」

カズマ「・・・・ったく、ティアナさんといい、あんたといい何者だよ俺は攻略度ランクで言えば、したから二番目なんだけどな・・・」

ノーヴェ「いや、低くね?」

 

・・・・親友が1人出来ました。

 

?「・・・・・・・・・」

 

ーーーーー

 

ノーヴェさんが、「今度また誘わせて貰うよ」と言って帰っていったあと。俺は居間のドアの方を見て」

 

カズマ「・・・今まで黙ってて悪かったな、だからそんなに怒んな

 

ーーーージーク」

ジーク「・・・・・・・」

 

途中からジークの視線には気づいていた、むしろ家ノ前にしばらくいたのにも気付いてた。

 

ジーク「・・・・なぁ、カズマは・・・うちやヴィクターが頼りない?」

カズマ「・・・・」

ジーク「カズマに出会って、ウチはほんとに変わった、ヴィクターだってきっと・・・・最初は何でこんなに構ってくれるんだろ?って思ったしうちらのご先祖様の事も知ってた、・・・流石にタイムスリップは予想外やったけど・・・」

 

「違う」「そんなことない」とっさに浮かんだ言葉は口には出なかった、言い訳にしか聞こえないからだ。・・・でも

 

カズマ「・・・やだったんだ、お前らに頼ったら・・・「お前らを通してみているあいつら」に頼ってしまってるんじゃないか、お前らを「ジークリンデ・エレミア」と「ヴィクトーリア・ダールグリュン」としてじゃなくて「ヴィルフレット・エレミア」と「リーヴィア・ダールグリュン」として見てしまってるんじゃないか、それが嫌だったんだ」

 

ノーヴェさんとの話ですこし感傷的になっているのか、「本音」をさらけ出してしまっている。

 

ジーク「カズマ」

 

カズマ「っ!」

 

名前を呼ばれ、とっさに顔を反らそうとしたが、頭を捕まれジークと向き合わされる

 

カズマ「じ、ジー「カズマ」」

 

ジークは笑っていた、優しく、悲しく、しかしもう離さないと主張するような笑みで

 

 

 

ジーク「カズマが私たちを見失っても・・・・私たちはここにいるからな?」

ジーク「しょうがないやん、だって私たちのご先祖様と親友やったんやろ?なら勘違いする事ぐらいあるやん」

カズマ「・・・・・そんなもんか?」

ジーク「そんなもんそんなもん」

 

得意顔で言うジークになんだそりゃ・・・と突っ込む

 

ーーーお前が思ってるより周りはお前の事を見てるぜ?

 

本当だったよノーヴェさん、やっぱりアンタもこいつらもすげえわ

 

ジーク「あ、でも「お前らを通して~」の下りで少し傷ついたわ、今度どっか出掛けてくれたら許すよ?」

カズマ「・・・何回でも言ってやるから下りっていうのはやめてください」

 

・・・ありがとう




勢い付けすぎたかな?グダクダなってそうで怖い

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!

因みに「リーヴィア・ダールグリュン」は完全な作者の妄想によって生まれた先祖様ですm(__)m


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13話

お気に入り登録感謝です!

では第13話です!


カズマ宅AM6:00

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

おはようございます皆さん、唐突ですが私、カズマ=ツユクサは

 

ーーーーーありがとう

 

カズマ「いいいいいいいいいえああああああああああ!」

 

絶賛黒歴史を振り替えっています。やったね☆黒歴史がまた増えたね☆

 

ーーーーーありがとう

 

カズマ「ううおおぉぉぉぉ!!」

 

もうやだ!死にたい!ジークの顔見れない!そだ死のう今死のう!すぐ死のーーーー

 

ーーーーーありがとう

 

カズマ「しっつけぇんだよおぉぉぉ!」

 

何で「ありがとう」しか流れないんだよぉ!?ほかにあるでしょ!?ほら他に何か・・・

 

ーーーーー〇ケモン!ゲットだぜぇ!

 

何でだよ!?言ってねぇよ!んなこと一言も!

 

ーーーーー〇ケモン?ゲットしたん?

 

形式の問題じゃねぇんだよ!現在進行形か疑問形とかの問題じゃねぇんだよ!

 

ーーーーじゃあ何がいいんだよ(作者

 

カズマ「お前かよおぉぉぉ!?」

 

騒ぐこと数分、叫び声をあげることで、心労的ストレスを軽減し、息を荒くはいて、吸うをすこし繰り返す。

 

カズマ「ふぅ、なんとか・・・・」

クライ「よぉ!珍しく朝はやーーーー」

 

 

カズマ「俺の背後にたぁつなあぁぁぁぁ!」

クライ「いなぁあああああああ!?」

 

背後にたったクライさんに向けて、目の前にあったコップを手首のスナップを利かせ投げた、この時の効果音が「ひゆっ!」ではなく、「ぶおぉん!」なのがみそである。クライさんは、悲鳴をあげつつ横に身を投げかわした。

 

ーーずがああああゎん!!

 

かわされたコップは誰にも受け止められる事もなく壁をくだいた。

 

クライ「うおおおおい!?今の只のコップだよなぁ!?つーか何すんだいきなりぃ!」

カズマ「あ、クライさんおはようさん」

クライ「うんおはようっじゃねええよ!?何でプラスチックコップを投げたらああなるんだよ!」

 

クライさんが指差す方向を見ると壁を破壊しめりこんでいる、プラスチックコップ(225円税込み)があった。

 

クライ「ってか何でコップそのまんま何だよ!?お前んちのコップなんなんだよ!」

カズマ「待て!側に何か刻まれてるぞ!」

クライ「は?何を・・・」

 

 

ーーーハンニンハクライ・ハーヴェ

 

 

 

クライ「何でだあぁぁぁぁぁ!?」

カズマ「モシモシ、時空管理局刑事課ですか?今ごうと」

クライ「まてまてまてぇい!何勝手なでっち上げしてんだ

こらぁっ!」

 

 

 

クライ「朝からさんざんだ・・・」

カズマ「気をしっかり持てよ、・・・ってか何でうちにきたんだ?今日シフトでも無いだろうに」

クライ「あれ?言ってなかったか?」

 

クライさんはキョトンとした顔で

 

 

ーー明後日からノーヴェ嬢ちゃんの知り合いの所で訓練合宿するんだろ?その買い出しだよ。

 

・・・・・

 

 

ナニソレ?

 

ーーーーーーーー

 

ノーヴェ『あ、悪い!昨日言ったと思ってた。』

カズマ「そんな「あ、コンソメ買ってきて」見たいなのりで・・・・」

ノーヴェ『まぁまぁ、メンバーは3人娘とアインハルト

あと、あたしとヴィヴィオのお母さんとお前んとこの店長姉貴とティアナだ』

カズマ「・・・・・」

 

ノーヴェさんは『今の無言は肯定ととるぞ?』といった事をいい

 

ノーヴェ『・・・カズマ、お前何かあったか?、声が・・・若干柔らかいな』

カズマ「・・・・・その話はもう、やめてくれ・・・』

ノーヴェ『?』

 

何でわかんだよ・・・

 

カズマ「何か持ってた方がいいものとかありますか?」

ノーヴェ『・・・・あーじゃあ動きやすい服はあった方がいいな、ちょっと「運動」するから・・・』

 

・・・・全くその運動に一般的な響を感じませんでした。

 

その後一言二言話して連絡を切る。

 

カズマ「クライさんは向こうで料理の手伝いだっけ?」

クライ「んぉ?あぁ聞いた限りじゃ、結構な人数来るって聞いたからな、アリスにも聞いたんだが「カズマ君と貴方の付き合いでしょ?店は大丈夫だから言ってきなさいな」だとさ」

カズマ「ほーん」

 

気何か使わんで良いのにな。

 

大通り前でたち止まりクライさんにきく

 

カズマ「そういや宿泊先ってどこ?」

クライ「確か・・・・無人世界「カルナージ」ってところだな」

カズマ「カルナージ?」

 

ーー私の事はルールーってよんで♪貴方の事は「お兄ちゃん」って呼ぶから

 

初めてできた妹分を思い出す。そういや、もう3か月は言ってなかったか・・・

 

クライ「行ったことあるのか?」

カズマ「あぁ、文字通り自然豊かないい世界だ、きっと気に入るよ、さ、行こうぜ早く、クライさんにメッチャクチャ似合う服があるんだよ、それきればあまりの神聖さに人の通り道がーー」

クライ「ねぇ、それって本当に一般的な服だよね?あまりの神聖さじゃなくて、あまりの恐ろしさに、じゃないよね?」

カズマ「・・・・・・・」

クライ「こっちみろや」

 

二人で談笑しながら、大通りを歩いていったその様子は、歳の近い親子と言うより、歳の離れた親友同士だった。

 

ーーーーーーー

 

無人世界「カルナージ」

 

一年を通して温暖な大自然に恵まれた世界に 建物があった

 

「ホテル・アルピーノ」

 

そこに住んでいる、二人の親子が管理している宿泊施設だ

 

メガーヌ「ルーテシア~!さっきノーヴェさんから連絡があって二人追加だって~」

 

ほんわかとした印象の女性、「メガーヌ・アルピーノ」がなにやら屋上で叫んでいる、自身の娘「ルーテシア・アルピーノ」に声をかける

 

ルーテシア「追加?誰かしら・・・双子・・・は教会のお仕事が忙しいし・・・チンク達は仕事とかでこれないって言ってたし・・・」

メガーヌ「喫茶店ビーナス」っていうところのクライ・ハーヴェイさんって方と

 

ーーーカズマさんだって~」

ルーテシア「お兄ちゃんが!?」

メガーヌ「あらあら」

 

びっくりしつつ、目を輝かせている娘にふふっと笑うメガーヌ

 

ーーーー訓練合宿まで後2日




ルーテシアとの出会いやクライさんとの出会いを合宿編で明らかにしていきたいと思います。

誤字、指摘等がございましたら、よろしくお願いします!


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14話

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では第14話です!


ーー中央区第三区民センタートレーニングルーム

 

ジーク「しっ!」

 

右から迫ってきた拳を受け流し、左後ろに通過させ、受け流しに使った腕を返し、手刀を繰り出す。ジークはそれを顔をずらしかわす

 

ジーク「!?ーーーっく!」

 

しかしかわした筈の手刀はまるでかわされることを分かっていたとでも言うように、顔をずらすと同時に軌道を変えジークの首を狙う・・・が何とか防ぐ

 

ジーク「今度は逃がさへん!」

 

防いだ手刀を掌、二の腕の順で掴み瞬時に懐に入る。カズマの体を腰に乗せ一本背負いの構えを取る

 

カズマ「っ甘いわぁ!」

 

ジークがカズマを持ち上げ、そのまま技を決めようとした瞬間、カズマが地面を強く蹴り、ジークの技に身を任せる、ジークの力+カズマの蹴りがあわさりカズマがジークの頭を逆さまの視界で見えた位置で強く勢いがましたカズマの腕をジークが抱えきれず離してしまった。

 

ジーク「なっ!?」

 

少し動揺するも、我をすぐさま取り戻し空中に浮いているカズマを追いかけようとして

 

カズマ「よっ!」

 

空中で身を捻り、サマーソルトの要領で縦回転による蹴りがジークを襲う

 

ジーク「なんの!」

 

蹴りをかわし走ろうと再度足に力を込め、視界のカズマがこちらを向いている体制で着地するのを見た瞬間

 

ーーーーー目の前にこちらを鋭く見据えるカズマの顔があり

 

ジーク「っ・・・・・」

 

ーーーーー自身の首の真横にカズマの足の存在を確認した。

 

ジーク「ーーーーっはぁ・・・・参りました」

 

深く溜め息を吐き、もはやスパークリングというより稽古と化している試合に終わりを告げた。

 

ーーーーーーーー

 

ジーク「それ反則やない?カズマ、ただでさえ人間離れしているのに、その「エスクード」やっけ?それ使ったら全く見えへんで?」

カズマ「俺は車か、「エクシード」な・・・それ言うんだったらお前も「鉄腕」解放すればいいじゃねぇか」

ジーク「カズマ相手やと私も死に物狂いやし、多分区民センターと付近100メートル消し飛ぶで?」

カズマ「・・・・・それもそうだな」

 

俺は時折ジークにこうやって模擬戦を頼まれている。「エレミア」の戦闘技術を高めそれを次代へ引き継ぐ、と言っていた。

 

俺達は、模擬戦を終え休憩ルームで寛いでいる、今はフードを被っていなく素顔をさらしている

 

ジーク「なぁ、それって一体誰に教わったん?前にミットにはない技術って言ってたし・・・・」

カズマ「あぁ・・・」

 

ーーーー急に申し訳ない、俺と闘って来れないか?

 

ーーーーあんたは強い、この大陸最強とさえ言われた「風の剣聖」にすら届いている。

 

あの服に喪した漆黒の彼は今は何しているだろうか、行き急いでいて、しかしどうして一つの未来を見据えて生きている冷酷無比でしかし、優しさをしっかりとなくしていない彼は今・・・・

 

ジーク「カズマ?」

カズマ「っ・・・・悪いちょっとそいつのことを思い出していた」

ジーク「・・・・カズマ少し優しい顔してた、でも悲しい顔もしてた」

カズマ「・・・・・・そうか・・・・

 

 

ーーーそいつは「レイン」って言ってな、恐ろしいくらいに強さを求める奴だった。」

ジーク「カズマにそこまで言わせる何て・・・・そのレインさんて人も相当やね」

 

至極真面目な顔でそう言うジーク、お前はどういう目で俺を見てるんだ

 

カズマ「でも会うのは・・・難しいかな?」

ジーク「・・・・もしかして病気とか?」

 

申し訳無さそうにしているジークにゆっくり首をふって否定する

 

カズマ「・・・「違う世界」の人間なんだ」

ジーク「あーそれは難しいね・・・・」

 

ジークが勘違いしている事は分かっていたが、訂正するような事は言わなかった。多分誰でもそう思う。

 

 

ーーーーーまさか「違う次元世界」と「異世界」は全く違うもの、だなんてな。

 

ジーク「ま、気を落とさなくたってきっと会えるんやないか?」

カズマ「(何か騙してるみたいで複雑だが・・・・)ま、そうだな」

 

ーーーーーーー

 

ジーク「ほぇ?旅行?」

カズマ「あぁ、明日から4日間行ってくる。でその間なんだが、よければ俺の家を自由に使ってていいよって話だが・・・・・」

ジーク「いいん!?」

カズマ「お、おぉ・・・」

 

間髪入れずに答えるジークに驚きながらも頷く。

 

ジーク「え、えへへ・・・・そっかぁ・・・・えへへ・・・」

 

上を向いてトリップしているジークの顔がなんか見ていられなくなり、顔を背ける

 

カズマ「後、帰ってきたらリアの所に行こうと思うんだが・・・正直気まずいから一緒に来てくれんか」

ジーク「・・・・正直、自業自得やない?」

 

流石に呆れた様子を見せるジーク、無理か・・・・

 

ジーク「むくれてはいるけど、怒ってはいないから大丈夫やで?」

カズマ「・・・・・そう、だな・・・よし行ってみてビリって来たら帰ってくる。そしたらジーク、仲介してくれ」

ジーク「後ろ向きすぎる!?」

 

 

カズマ「あとは買い出しか・・・」

ジーク「へ?」

カズマ「家にあまり食材なくてな、買い出し、ジークの好きなものとかあるだろ?あ、因みにジャンクフードの類いはだめな、リアに丸焦げにされる」

ジーク「そ・・・・そう(それってデート!?・・・)」

カズマ「ジーク?」

ジーク「ふぇ?あ、あぁうん!行く行く!行きたい!」

カズマ「おし!じゃあ行くか」

 

 

ーーーーー

 

カズマ「ここから近くだと・・・・・ド〇〇ーの食材売り場の方が近いな・・・・あれ?ジーク、お前フードいいのか?」

 

すぐ横に幸せそうな顔でホワホワしているジークにそう言う、いつもは隠している、ツインテールを惜し気もなく出している。

 

ジーク「・・・・・・・・あ」

 

その「あ」にはどれ程の思いがかけられていたのだろう、それを聞くことはないだろうが、ジークがフードをかけようと急いで手を後ろに回そうとしたその時

 

「ね、ねぇ?あれチャンピオンじゃない!?」

「うぉ!・・・ま、マジだ」

 

ジーク「・・・・・・・・・(ダラダラダラ」

カズマ「あぁ、これは・・・・・」

 

 

「インターミドル、チャンピオンのジークリンデ・エレミア選手がここにいるぞおぉぉぉぉ!!!!」

ジーク「カズマ」

カズマ「やだ」

ジーク「空気を読んで!?」

 

カズマ「・・・・確かにキツいわ」

 

ジークの悲鳴が街中に響く中、横に並んで走るジークを見ながらカズマは嘆息した。

 

ーーーーー

 

カズマ「・・・・・・・ま、しゃあないか、流石に今日は疲れたしな・・・・」

ジーク「zzzzz・・・・」

 

無事に買い出しを終えた俺達は一旦別れ、ジークは荷物を取りに、俺は改めて明日の準備とアリスさんにジークの晩飯の世話を頼みにいった。

 

その後、ジークが家に来てご飯を食べて。

 

家にいる間の注意点等を教え、クライさん宅に挨拶しに行って帰ってきたら時間も夜の8:30になっていた。流石に疲労もピークに達していたのか。すぐに寝てしまった。

 

カズマ「・・・・・・・」

 

ジークの寝顔を見ていると

 

ジーク「・・・・か・・・ずま・・・」

 

俺の名前を呟き微笑むジーク。

・・・・自惚れじゃなければ、ジークも・・・・ティアナさんも俺に好意を持ってくれている。

 

カズマ「・・・・・(まだ、時間がかかる、答えを出すには・・・)」

 

我ながら情けない、と自分に辟易としてジークに顔を向ける。

 

カズマ「・・・・・・」

ジーク「ふふ・・・・それヅラだったん?・・・・つるぴか・・・やん」

カズマ「・・・・・」

 

俺も二人が好きだ、ちょっとした仕草等にドキッとしたりして、いつもふざけた事をぬかしてしまう。・・・でも、分からない(恋愛)的なものなのか(友情)とかとは、また違うものというのはわかるんだが・・・・

 

俺がその答えを出すには、経験が全く無かった

 

カズマ「・・・・・お休み、ジーク」

 

 

 

ジーク「かずまぁ~、すきぃ~・・・・」

カズマ「・・・・・・」

 

ずっと耳元で、囁かれて全く寝れなかった俺がいた

 

別の所で寝るとかは、全く考えてませんでした(馬鹿




「クロスオーバー」タグを入れた方がいいですかね?一応レインを出すのは「インターミドル編」だけにしようと考えてはいるんですが。よろしければ意見等を頂けると嬉しいです!

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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15話

お待たせしました15話です!


「ミットチルダ首都次元港ターミナル前」AM8時前

 

サラリーマン、家族、友達連中、一人、独り、様々な人が違う次元世界を目的地として行き交うこの次元港・・・その巨大な建物を前に、俺とクライさんはと言うと。

 

カズマ「・・・・点呼を取りたいと思いまーす(棒」

クライ「はーい(テンション↓」

カズマ「じゃあ・・・・・いぃぃぃちぃ!(ヤケクソ」

クライ「・・・・・・に(悲壮」

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

カズマ「声が小さいぞ!じゃあもいっかい!いぃぃぃちぃ!」

クライ「・・・・・・に・・・・・・(絶望」

カズマ「・・・・・・・」

クライ「・・・・・なぁ」

カズマ「ごめん」

クライ「・・・・・・・・」

カズマ「・・・・・俺達、まるで「遠足が楽しみすぎて、早く来すぎたみたいな感じ」だな」

クライ「・・・・・そりゃたまげた・・・・」

 

かれこれ、6時間前からスタンバッテました。

 

カズマ「すっかり失念してた・・・・向こうとは標準時差が7時間ぐらい離れてるんだわ・・・・」

クライ「・・・・しゃあ、ねえよ・・・・俺だって何時待ち合わせとか聞いときゃ良かった」

カズマ「かといって、聞くのも負けた気分だし・・・待とう・・・・」

クライ「・・・・・」

 

「ねぇ、君達次元港前で一体なーーーーー」

 

悲壮に満ち溢れているカズマとクライを不審に思った人が通報したのか、警備員の男性がきた。しかしタイミングが悪かったと思う。俯いていた顔をあげて二人の顔は・・・・

 

カズマ「ーーー待ってるだけなんですけど!?かれこれ勝手に6時間並んで勝手に落ち込んでるだけなんですけど!?どうかしましたかぁ?」

クライ「どうよぉクズだろぉ?自己嫌悪とかして周りに迷惑かけてぇ!クズでしょぉ!でもしょうがないよねぇクズなんだもの!!」

 

 

カズマ「クズは俺だぁ!なぁにが「行ったことある」ぅだ!「きっと気に入る」ぅだ!、あぁ!2話前に戻りたい!俺をぼろ雑巾にしたぁいい!!!」

クライ「おい気にすんなよ?男だろ?男だろうが?あれ男ってなんだっけ?」

 

二人の顔は青筋が浮かび上がり、目は血走っていて、ニタリと笑みをうかべ警備員をしたから見上げる二人。

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!ご、ごめんなさいぃぃぃ!」

 

怯えきる警備員に、カズマは申し訳無さそうに顔を変えないまま再度口を開いた。

 

カズマ「あんたも大変だな・・・・こんな面倒臭いやつらに絡まれるなんて・・・・この際だ!何もかも吐き出してしまえ」

「で、でも仕事が・・・」

クライ「その仕事だって誰のおかげで出来るんだ?」

「・・・・社長がやとって」

クライ「ちげぇ!それは一つの過程だ!お前が仕事出来るのは、お前の体があるおかげだろうが!逃げ道を作れ!ストレスを抱えるな!」

「おれ・・・おれぇ・・・」

カズマ「誰だって悩み、不満を抱える、やっちゃ行けないのは、誰にも話さず、叫ばず溜め込む事だ、ここは悩める者同士傷の舐めあいと行こうじゃないか」

 

顔はそのままに、優しく語りかけてくるカズマとクライに警備員は・・・・

 

「ありがとう・・・・ありがとう!」

 

・・・・地獄絵図を更に彩るだけだった。周囲の視線を集めながらカズマとクライの「八つ当たり」が始まった

 

 

ーーーーー

 

 

PM0:30、同所

 

?「スバル~!ティアナ~!」

?「こんにちは、スバルは久しぶり、かな?」

スバル「そうですね~、2ヵ月ぶり・・・・ですね!」

 

ターミナル前の駐車場で時刻を確認しながら話している、スバルとティアナ。

そんな二人に話しかける二人の女性、しかしどちらも二人と面識があるのか、どちらとの雰囲気はかなり穏やかだった。

 

ティアナ「あれ?なのはさん、フェイトさん?ヴィヴィオ達は?」

なのは「あはは・・・皆寝ちゃって、さっき起こしたからもう来ると思うよ?」

 

苦笑しながらえみを浮かべる女性、「高町ヴィヴィオ」の義母である「高町なのは」と同じく義母の「フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン」である。二人ともかなりの美人であり、なのはを「向日葵」のような可愛らしさとするなら、フェイトは「三日月」のような儚く綺麗さを持っている。現に付近にいる男たちの視線が彼女らに釘付けである。

 

 

・・・・・んでもって、未婚である。

 

なのは「・・・・・・・・・・」

フェイト「・・・・・・・・・」

 

・・・・・・・・・あの・・・・・すいませんでした。

 

なのは「レイジングハート、マルチオートロックシステムを、あとエクシードドライブ」

フェイト「バルディッシュ、行くよ?」

 

レイジングハート『・・・・・・ターゲット、捕捉しました、座標固定、オートバインドを出します」

 

ふぁ!?何か締め付けられるような感覚!?か、体が動か・・・・

 

バルディッシュ『・・・・同じく、座標固定』

 

なのは「哀れな作者に」

フェイト「魂の救済を」

ティアナ「ちょ!?なにしてるんーーー」

スバル「う、うわわわーーー」

 

レイジングハート、バルディッシュ『『次元空間への干渉を確認、次元超越魔法撃てます』』

 

ちょ・・・・・まっ

 

ーーーその後、愚かな作者が死に体で見つかったと言う

 

 

 

ーーーーーー

 

なのは「にゃはは、ごめんね?なんかああしなくちゃって・・・・」

フェイト「うぅ、恥ずかしいよぉ・・・」

ヴィヴィオ「もう・・・!」

アインハルト「凄い収束砲でした・・・!」

リオ「ヴィヴィオのママ達って綺麗で凄いね!」

 

なお、二人はリオの言葉で機嫌を直した模様(満身創痍

 

コロナ「師匠とカズマさん達は?」

ティアナ「ノーヴェはカズマとクライさんを向かいにいってから・・・・っていってたんだけど、連絡忘れてた!って慌てて向かったみたいだけど・・・・大丈夫かしら?」

ヴィヴィオ「ティアナさんはその店長さんとあったことあるんですよね!どんな人何ですか?」

 

その問いにティアナは、少し悩み

 

ティアナ「・・・・・覚悟はしておいた方がいいと思うわよ?」

リオ「え?」

ヴィヴィオ「か、覚悟って?」

 

なのは「カズマ君か・・・スバル、どんな子なの?」

スバル「カズマ君ですか?私も一回しかあってないですけど面白いくていい人ですよ?」

フェイト「(あー、ヴィヴィオ凄く強い人って言ってたもんな・・・・、気になるんだろうな)」

 

バトルマニアと言うよりは、空戦魔導師戦技教導官として血が騒ぐんだろうと当たりをつけたフェイトは親友の姿に苦笑した。

 

なのは「とりあえず移動しよっか」

 

なのはの一言に皆が頷き、集合場所となる次元港ターミナル前へと移動を開始した

 

ーーーーーーー

 

スバル「あ、ノーヴェ!・・・・・ノーヴェ?」

 

一同が来ると「いつもより」高い人群の中、ある一点を見ているかのようにたっているノーヴェを見かけたため、スバルが声をかけにいくが、どこか遠い目をしているノーヴェに疑問の声がでる、再度口を開こうとして

 

ーーーー私の不満は!彼氏が付き合ってもいない女の子と楽しそうに一緒に帰ったりするのが!不安で不満です!

 

突如として鳴り響いた女性の叫び声に、スバルどころか皆固まった。

 

『・・・・・・・・・・』

 

ゆっくりと声がしたほうを見る。

 

群衆の中、奥に少し空いているスペースがあり、そこには件のカズマと、恐ろしい容姿の男性と、女性の言葉に泣きながらしきりに頷いている・・・・・

 

警備員がいた。

 

ティアナ「何でよ!?」

スバル「いや、そんなこと言ったって・・・」

 

急展開すぎる場面についていけず、唖然とした表情で見る合宿メンバー

 

ーーーーーー

 

カズマ「・・・・俺は恋人とかいたことないから分からないけどさ、不満や不安は声に出して、そのままにしてすれ違ってたらダメなんだ、きっかけなんて何でもいいんだよ、「今日晴れてるね」とか「明日学校だよぉ」でも、だって言ったもん勝ちだもの・・・大丈夫、君の彼も傷つけたくないっていう気持ちはここにいる皆が証明してくれる

 

ーーーだから勇気を出して!ほら行ってきな!」

 

俺の言葉に女性は目に涙を溜めながらもしっかりと前を向き、頷いて、周りに応援されながら出ていった

 

「次は俺の不満を聞いてくれ!」

「クライのアニキ!うちの組の話を聞いてくれ!」

「カズマさん好き!付き合って!」

ティアナ「はぁ!?」

 

ん?ティアナさんの声が・・・・ははは、ないないどーせ!俺なんか・・・

 

クライ「お、おい!カズマ」

カズマ「どうしたクライさん」

「な、何かこっちに・・・・!」

 

・・・・・・・ん?

 

ティアナ「ーーーーなぁにやってんのよおぉぉぉぉお!!!」

「警備員なめてんじゃないわよおぉぉぉぉお!!!」

 

カズマ「どぅるぅわああああ!」

「せ、せんぱああああああああ!?」

クライ「・・・・ま、こうなるとは分かってたけどね」

 

こうして一同はようやく合流したのであった。

 




やっぱりオリキャラ同士を絡ませるのって楽ですね!グダグタ感は別として(・・;)

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16話

16話です!


次元港内「旅券売場案内」

 

次元港全般のシステムとしては、「地球」の「空港」と言うシステムに類似しているらしいが、その手続きの手順は非常に簡単であるため。代表として、フェイトさん(教えてもらった)が買いに行っているらしい。

 

残された俺達はと言うと。

 

アインハルト「カズマさん、貴方はバカなんですか?ばk・・・・・・・バカなんですか?」

カズマ「まて、何で言い直した。」

アインハルト「それ以外に今のカズマさんを表す言葉がないと思いまして」

 

ぐぅ

 

カズマ「悪かったよ、あとよろしくなアインハルト」

 

もはや癖に近い動作でアインハルトの頭を撫でる。

 

アインハルト「・・・・・(やっぱり・・・・落ち着く)」

リオ「あぁ!アインハルトさんずるい!カズマさん私も!」

カズマ「お?いいぞ?」

 

何かアインハルトの頭って撫でやすいんだよな、つい撫でてしまうが、大丈夫だろうか?そう思いつつ、アインハルトの頭を撫でてると、リオが寄ってきた。リオにも頼まれ頭を撫でてやる。

 

リオ「にゃ~・・・・・」

 

気持ち良さそうで何よりである。

 

ティアナ「ーーあ、はいティアナ・ランスター執務官です。仕事中すいません、あの・・・ロリコンって性犯罪しゃ」

カズマ「まってえぇぇぇぇ!?!?」

 

とんでもない電話をしていたティアナにストップをかける。

 

カズマ「ティアナさん!そんなことしちゃ!行けない!」

ティアナ「へぇ?やるっての?権力を持っているこの私と・・・やるっての?」

クライ「やべぇ、カズマが振り回されてる・・・・こんな日が拝めるとは・・・・合宿、万歳」

 

そのじゃれあいを見ている。クライは感動していた。

 

なのは「クライさん保護者代表として、よろしくお願いします」

クライ「いや、逆にこっちが世話になる・・・・まぁさっきみたいな事にはそうそうならないから安心してくれ」

 

クライさんがそういうと、ノーヴェさんが申し訳無さそうに前に出てきた。

 

ノーヴェ「クライさん、カズマ悪い、あたしがちゃんと待ち合わせとか連絡しておけば・・・」

カズマ「ノーヴェさんが謝る事じゃねぇさ。俺が勝手に突っ走っちまった結果だ、後悔はしてない」

ティアナ「後悔ぐらいはしなさいよ!?」

 

いつものやり取りをしているとフェイトさんが戻ってきた。

 

フェイト「皆、後12分後の便で出るから今のうちに済ませることは済ましておいてね?」

カズマ「せんせい、トロデ王の城にイバラの鞭を忘れました。取りに行ってきていいですか?」

フェイト「せ、先生!?え、えーと、時間までに来れれば・・・」

 

その言葉を聞いた俺は、すぐさま「〇ーラ!」と叫び、効果音を口ずさむ

 

トゥーン、トゥーン、トゥーn

 

ティアナ「させるか!」

カズマ「おごぉ!」

コロナ「あぁ!カズマさんが白目を・・・」

 

流れる動作でヘッドロックを仕掛けてきたティアナの技で一瞬意識が飛んだ

 

ティアナ「しょうもないボケかましてないで、ほら行くわよ!」

カズマ「待って!ちょ、はずいから自分で行けますから!」

アインハルト「・・・・・・・・・」

 

カズマの手を掴み顔を赤らめながら引っ張って行くティアナ、そしてそれを見るアインハルトはどこか

 

 

ーーー大好きな兄を取られて拗ねている妹に見えた。

 

クライ「アインハルトの嬢ちゃん」

アインハルト「・・・クライさん」

クライ「早く行かねぇと、兄貴分の隣席奪われちゃうぜ?」

 

アインハルトはその言葉に戸惑いを見せたが、すぐに頭を振りペコリと頭を下げ、二人の後を追いかけていった。

 

スバル「ティア積極的だなぁ・・・」

ヴィヴィオ「やっぱり!?そういうことですかスバルさん!?」

 

スバルの呟いた言葉に、瞬く間に吸い寄せられた目を輝かせるヴィヴィオとそわそわしつつしっかりと話を聞かんと耳を澄ませているコロナとリオ

 

なのは「・・・・・フェイトちゃん!頑張ろう!」

フェイト「・・・・・・うん、そうだね(言えない・・・最近仲が良い男の人がいるなんて・・・・)」

 

ノーヴェ「・・・・・今回の合宿、大丈夫かな」

 

その様子をみて、激しく不安になるノーヴェ

 

ーーーーー艦内。

 

次元の狭間を抜けていく、と行っても、別に船酔い見たいな事にはならない、船事態が動くような感じがしないのだ。

 

カズマ「・・・・・・何でこうなる」

ティアナ「・・・・zzzzz」

アインハルト「zzzzz・・・」

 

後方の席に座っているカズマは、両隣を見る、ティアナとアインハルトが眠ってしまいながら。頭をカズマの肩にティアナが、アインハルトは席のひじ掛けを乗り出してカズマの腹部にダイブしている。

 

カズマ「・・・・・(まさかねぇ・・・・)」

 

ーーーーーに、兄さん・・・!よ、よよろしければ、一緒に座っても構いませんか!

 

突然アインハルトが出してきた提案、顔を真っ赤にして懇願する姿に心打たれたのかは知らないが。何故か断れなかった。

 

カズマ「・・・・ゆっくり休め」

 

そう言ってアインハルトの頭を撫でる。・・・心なしか、口元が笑っている気がした。

 

ーーーーーーー無人世界「カルナージ」

 

目的世界に着いた俺達は、今度は目的地へと足を進める。

距離はあんまなく・・・・ん?建物が見えてきて女の子が見える、紫色の髪を腰まで伸ばしているルールー・・・ルーテシア・アルピーノその人だ

 

 

カズマ「ルールーか?」

ノーヴェ「まさかお嬢まで知ってるなんてな」

 

あんまり驚いた様子を見せないノーヴェ、どこか疲れている気がする。

 

カズマ「・・・・悪いな、向こうについたらクライさんにお茶を貰うと良いよ」

ノーヴェ「他力本願かよ」

 

クスッと笑うノーヴェを尻目に前を見る

 

ルーテシア「お兄ちゃん!」

カズマ「っと、久しぶりだな、ルールー」

 

近くまで来ていたルーテシアが、ヴィヴィオ達の挨拶をそのままするーし、飛び付いてきた。

 

アインハルト「なっ!」

 

 

ルーテシア「お兄ちゃん久しぶり!」

カズマ「っと、・・・悪いな最近来れなくてな」

ルーテシア「ううん、大丈夫よ、ヴィヴィオ達もごめんね?無視したりして」_

ヴィヴィオ「ううん気にしないで?カズマさんと知り合いだったんだ」

ルーテシア「うん、ちょっとね・・・」

 

懐かしそうに目をほそめ笑う。

 

ルーテシア「じゃあ改めて!ヴィヴィオ、コロナ!久しぶり!」

ヴィヴィオ「うん!」

コロナ「久しぶり!」

 

ルーテシア「リオは直接会うのは初めてだね!」

リオ「今までモニター越しだったもんね!」

ルーテシア「うん、モニターで見るより可愛いね!」

 

リオは「本当?」と照れくさそうに言った

 

カズマ「(アインハルトも上手く馴染めそうだな)」

 

その様子を見て少し胸を撫で下ろす。

 

 

ルーテシア「あなたがヴィヴィオの言っていた?」

アインハルト「はい、はじめまして、アインハルト・ストラトス・G・S・イングヴァルト

 

カズマさんの「妹分」です。」

 

ルーテシア「・・・・・・・・・・」

アインハルト「・・・・・・・・・」

ルーテシア「よろしくね!アインハルト!」

アインハルト「はい!ルーテシアさん!」

 

えぇ、何この空気・・・・




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17話

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では続きです!


ホテル・アルピーノ「ロッジ前」

 

なのは「こんにちは!」

フェイト「お世話になりまぁす!」

 

まず、保護者代表として、ルールーと親であるメガーヌさんになのはさんとフェイトさんが、挨拶する。

 

クライ「今日は私も呼んで下さって、ありがとうございます。クライ・ハーヴェイです。四日間よろしくお願いします。」

メガーヌ「どうも、ホテルのオーナーのメガーヌ・アルピーノです、貴方の事はカズマ君から聞いてるわ」

カズマ「ちょ!?メガーヌさん・・・・」

クライ「そ、そうですか・・・・あ、あの、どのように?」

 

クライが気になるかのようにメガーヌの事を聞く。

 

メガーヌ「そうね・・・・

 

ーーーー顔は果てしなく恐ろしいけど、底無しのお人好し

の、只の親友

 

・・・・って言ってたわ。」

 

クライ「そう・・・・ですか・・・」

 

少し呆然としたクライだったが、ちらっとカズマを見た、皆も笑顔でカズマを見る。

 

カズマ「・・・・・・」

 

カズマは「むぐぐっ」と言った感じで、顔をしかめていたが、やがて皆から少し離れ、緑生い茂る山に向かって

 

 

カズマ「アリスさぁああん!!旦那さんがぁ!他の奥さん見て鼻の穴伸ばしきってましたぁ!!!」

 

と叫びだした。

 

クライ「何やってるんだあいつは・・・」

 

呆れた様子のクライに苦笑いを浮かべた皆

 

PP♪

 

唐突にクライの端末がなったクライが「ん?」と反応し端末を開く

 

ーーーやっぱり胸?胸が良いのね!?そこら辺帰ったら話し合いましょう

 

 

From・アリスーーー

 

クライ「はあああ!?」

『!?』

 

何で!?どうして!?と困惑するクライ、しかしカズマはお構い無しに叫ぶ

 

カズマ「クライさんが店で「俺は!ジャンプ派なんだよおぉぉぉ!」と叫んでいました!」

 

ーーーージャンプは駄目って言ったでしょ!?これはサンデー派の私に対する宣戦布告ですね?分かりました・・・・・戦争です。

 

From・アリスーーー

 

カズマ「クライさんが昨日道端で転んでいましたぁ!」

 

 

ーーーーあれほど、足元に気を付けなさいと言ったでしょ!

 

 

From・アリスーーー

 

『オカン!?』

クライ「待ってカズマ!ちょっと待ってぇぇぇ!?」

 

叫びながら走って行くカズマを追いかけて行くクライ

 

アインハルト「ヴィヴィオさん、合宿楽しくなりそうですね」

ヴィヴィオ「はい!最初は怖いなぁって思ってたクライさんも凄くいい人だし、来てもらって本当に良かったです!」

ティアナ「まぁ・・・退屈することはないわ」

コロナ「あ、ルールー!後でカズマさんと会ったときの事とか聞かせてよ!」

リオ「あたしも気になるー!」

ルーテシア「いいよー!」

スバル「あれ?エリオとキャロは?」

メガーヌ「ふふ、二人には今頼み事をしてて・・・もう少しで帰ってくると思うわ」

 

そこでメガーヌは手を叩いて、皆に言う

 

メガーヌ「さて、エリオ君もキャロちゃんも、カズマ君もクライさんももうじきに帰ってくると思うから。とりあえず今後の日程を確認しまーす!」

子供組『はーい!(は、はい・・・)』

 

メガーヌ「お昼前に、まず大人組の皆はトレーニングでしょ?子供たちはどこに遊びに行く?」

 

その問いにノーヴェが答える。

 

ノーヴェ「やっぱりまずは川遊びかなって、お嬢も来るだろ?」

ルーテシア「う、うん!」

 

どこかそわそわした感じのルーテシアに?を浮かべるノーヴェ

 

ルーテシア「あ、あのお兄ちゃんは・・・?」

アインハルト「っ!」

ティアナ「あ、カズマは訓練組よ?」

 

間髪いれずに行ってきたティアナに軽くブーイングがでる。

 

リオ「えぇ!カズマさんに「水斬り」見せてあげられると思ったのにぃ!」

ヴィヴィオ「ティアナさんずるい!」

 

子供組のブーイングを涼しい顔で受け流すティアナに「お、大人気ない」と苦笑するスバル。

 

少しガッカリした様子のアインハルトにルーテシアを見た、なのはが軽く助け船をだす。

 

なのは「あはは・・・ティアナ?カズマ君は一般人だし、訓練はしなくても良いんだし、本人にもちゃんと聞いてみないと・・・・ね?」

ティアナ「な、なのはさん・・・・」

フェイト「うん、ヴィヴィオ達が言うほどの実力も気になるけど、やっぱり本人優先しないとね?」

 

フェイトの援護射撃に「フェイトさんまでぇ」と口を尖らせるティアナ、逆に表情が明るくなっていくアインハルトとルーテシア

 

ティアナ「・・・・分かりました」

なのは「・・・・そういえば、カズマ君達遅くない?一体どこまーーーー」

 

 

?「く、くそぉ!追い付かれる!」

クライ「頑張れ二人とも!追い付かれたら昼飯かっさらわれるぞ!?」

?「ぜぇ・・・ぜぇ・・・何で3分も後にスタートしたのに、薪持った状態ですぐに追い付いてくるの・・・!」

 

 

カズマ「はぁはっはっはっはぁ!ほれほれ捕まっちゃうぞ?お兄さんが捕まえちゃうぞ?」

 

近くの茂みから必死な形相のクライと赤髪の少年と、若干疲労困憊になりぎみのピンク色の髪の小柄な少女が走りながら出てきて。その後から悪どい顔をしたカズマが出てきた。

 

鉢合わせした彼らは時が止まったかのように固まる。

 

カズマ「あーあ、賭けには負けたか!」

 

そこまで悔しがっていないカズマに

 

?「やったよクライさん僕ら逃げ切ったよ!」

クライ「思いっきり遊ばれてたけどな・・・・」

?「もう・・・・限界・・・」

 

諸手を挙げて喜ぶ二人に今にもくたばりそうな少女一人

 

フェイト「え、エリオ!?キャロにクライさんも!」

なのは「一体どうしたの?」

エリオ「あ、皆さんこんにちは、久しぶりです!・・・でえーとこれには・・・」

クライ「いや、俺が説明するわ」

 

ーーーーー10分程前

 

ーーーーーーー

 

カズマ「あースッキリした」

クライ「俺はぼろぼろだがな」

カズマ「誰にやられたんだ?言ってみろ敵とってやる」

クライ「お前だからね?しれっと言ってるけどカズマ、お前だからね?」

 

あの後カズマを追いかけた訳だが、森に入ってしまってな、とりあえず戻るかってなったんだ。その時に

 

?「あ・・・・・こ、こんにちは?」

 

エリオとキャロに会ったんだ

 

エリオ「じゃああなた達がノーヴェの言ってた・・・」

キャロ「カズマさんとクライさんですね?」

クライ「あぁ、よろしくな・・・しかし怖がらないな二人は、大抵の人は俺の顔を見るとびびるんだが・・・」

 

その言葉に二人は苦笑いし

 

エリオ「何て言うか、確かに顔は怖いけど、目が優しいって言うか・・・」

キャロ「とても見た目どうりには見えなかったんです」

 

いやぁ、感動したね、もうなんだ、世界が滅んでも良いって思ったよマジで。

 

カズマ「まぁ、初期設定で性格にステータス全振りしてるぐらいだからな」

クライ「やめなさい」

 

一言多いんだよこいつは

 

カズマ「二人は今から戻るのか・・・ってうん?もしかしてその小さい竜・・・「アルザスの飛竜」か?」

キャロ「あ!分かるんですか?フリードリヒって言うんですよ?フリードって呼んでます」

 

・・・・こいつって妙なところで詳しいよな

 

カズマ「そうか、よろしくなフリード」

 

カズマがそう言って撫でると「きゅ!」と目を細めるフリード

 

エリオ「はい、バーベキュー用の薪もそれなりに集まったんで」

カズマ「ほぅ・・・・バーベキュー、とな」

クライ「(あ、やな予感)」

 

この時に止めとけばよかったよ・・・ま、無理なんだけど

 

カズマ「なぁただ戻るのも味気ない、「おいかけっこ」しないか?」

エリオ「面白そうですね!いいですよ!」

カズマ「よし!ルールは簡単だ、俺が鬼をやる、3分立ったら「全力」で追いかけるから、誰か一人でも捕まったら・・・・逃げる側の肉を俺が貰う!」

クライ「それは・・・・」

キャロ「エグいです・・・」

 

・・・・今こいつ何て言った?

 

エリオ「面白いですね!受けてたちます!」

キャロ「エリオ君も・・・・もう」

クライ「・・・・・」

カズマ「よぉし、ハンデに薪を持ってやる、因みに俺が負けたら俺が買ってきた「ドリームシュークリーム」3箱全部やるよ」

キャロ「やりましょう!」

クライ「・・・・・・・・」

 

ーーーーじゃあ、始めようか?

 

俺は悪魔の声を聞いた気がした。

 

ーーーー

 

エリオ「そろそろ、3分ですね」

キャロ「絶対勝ちましょぅ!シュークリームの為に!」

クライ「・・・・ま、もう少しで皆のところだし・・・」

 

・・・・175、176、178

 

クライ「さすがのカズマも・・・・」

 

179・・・・・180

 

・・・・・・・

 

クライ「速度あげんぞ?身体強化でも何でもいい!」

エリオ「え?」

キャロ「く、クライさん!?」

クライ「っちくしょ!あのやろう全力ってマジだったのかよ!」

エリオ「え「・・・・ぇぇぇ」・・・・」

 

俺の言葉に困惑顔をするエリオが何かを聞いてこようと思ったのか口を開こうとして「後方」から聞こえた声に、俺も、キャロもゆっくり振り返る・・・・自分等から約200メートル先

 

カズマ「まぁちぃやがれえぇぇぇ!!!」

 

鬼がいた。

 

3人『うわあああぁぁぁぁぁあ!?!?』

 

ーーーーーー

 

クライ「っていう事の顛末だ」

ティアナ「楽しそうね、・・・・ね、ねぇキャロ?ど、ドリームシュークリーム一杯あるし少しちょうーー」

キャロ「ーー駄目です!これは私とエリオ君とクライさんの戦利品なんだから」

 

・・・因みにドリームシュークリームとは、中央区大通りにある有名菓子店の限定商品で週2日しか販売してないのである、しかも不定期

 

そんなぁと項垂れるティアナに、3人を羨ましそうにみる皆

 

ーーーーこうして合宿メンバーが揃ったのであった。




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします


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18話

続きです!どぞ!


カズマ「え?子供達と遊ぶか、大人組とトレーニングどっちがいいかって?」

 

あの後、少女陣の必死の懇願によりシュークリームをまた買ってくることになった俺はフェイトさんにそう持ちかけられた。

 

フェイト「うん、君の事はヴィヴィオやノーヴェから聞いていたからトレーニングをしてみてほしいっていうのはあるんだけど・・・・」

 

子供陣をちらっとみるフェイトさん、皆きらきらとした顔でこちらを見ている。

 

カズマ「あぁ・・・・じゃあ申し訳ないんですけど、今回は遊びに回させてもらいます」

フェイト「うん、分かった」

 

やったあぁぁぁ!と喜ぶ子供陣・・・と小さいウサギ、デバイスだろうか、朝から気になってはいたが。

 

ティアナ「・・・・ま、仕方ないわねカズマ、ちゃんと休んで羽伸ばしなさいよ?」

カズマ「分かってますよティアナさん」

 

少しむくれていたティアナさんだが喜んでいる子供達を見たのか、微笑んで言ってきた。

 

なのは「ーーーじゃあ、運動着に着替えてアスレチック前に集合にしよう!」

『はいっ!』

 

なのはさんの言葉にきちんとした返事を返す、ティアナさん、エリオ、キャロ、スバルさん、フェイトさん

 

ノーヴェ「こっちも水着に着替えてロッジ裏に集合だ!」

『はぁーい!』

アインハルト「水着!?」

カズマ「あー水着がないから、私服のままでいいか?ノーヴェさん」

クライ「・・・・・」

 

ノーヴェさんに仕方ないなと了承を貰った俺を複雑そうな目で見るクライさん・・・・あんたが気にすることじゃないよ

 

「背中」に感じる視線に頭の中でそう返し、替えの服を取りに行く。

 

ーーー

 

ティアナ「全く、おっちょこちょいなんだから・・・」

 

少し呆れたように笑うティアナの嬢ちゃんに苦笑いする面々。

 

クライ「・・・・カズマは水着を用意してたよ」

なのは「え?」

ティアナ「じゃあ何で忘れた何て・・・・」

 

俺の言葉に怪訝な様子を見せる大人組に苦笑いをし言う。

 

クライ「・・・・あいつさ、背中に傷があるんだ、しかも事故とかじゃまず付かない「刀傷」と「銃痕」が」

 

空気が重くなったことに少し申し訳なく思いながら、カズマの事を知って欲しく更に口を開く。

 

クライ「ティアナの嬢ちゃんはカズマが旅をしてたって知ってるだろ?ミットチルダに来る前は」

ティアナ「・・・・はい」

クライ「俺も少ししか聞いてないからあまり分からないが、相等きつい旅だったらしくてな、本人は「そんなでもない」ってわらってたんだが・・・あ、でも勘違いはするなよ?あいつはただ心配をかけたくないからあんたらに話さないだけで決して、心を開いていない訳じゃないからな?」

ティアナ「・・・・えぇ、分かってますよ、ありがとうございます。カズマの事を教えてくれて」

 

フェイト「カズマも不器用なんだね、歩み寄ろうとしたけど、諦めちゃったみたいな感じかな?」

エリオ「ちょっとしか、話してませんがとても明るくて楽しい人だなって印象を感じてました・・・・・」

 

クライ「そう見てもらえるように、あいつも努力してるからな」

キャロ「強いんですね」

 

ふわりと笑うキャロにうなずき。

 

クライ「あぁ、俺の自慢の親友だ、第一只の一般人の俺を助けるために暴力団一つ壊滅させたバカだぞ?弱いわけあるか」

『えぇ!?』

 

まぁ、そりゃびっくりするわな、普通じゃ考えられないからな

 

なのは「にゃはは・・・とんでもない人連れて来ちゃったね」

スバル「はい、でも良かったですよ!来てくれて、ね、ティアナ?」

ティアナ「・・・・・うん」

 

微笑みながら言うティアナに皆も笑う。

 

なのは「よし!カズマ君のちょっとした話も聞けたし!お昼まで時間もあまりないから、早く始めようか!」

『はいっ!』

 

さっきより力強い返事を残して、ホテルに入っていく皆

 

メガーヌ「ふふっ、友達思いなんですね」

クライ「・・・本当、俺には勿体ないくらいですよ・・・さて!バーベキューの準備しましょう、皆腹すかせて帰ってきますよ?」

メガーヌ「ふふっ♪はい」

 

 

ーーーーーーーその頃

 

 

ーーーホテル裏から1kmほど、森を抜けていくと、そこそこ大きく浅い川があり、遊ぶにはうってつけだ。

 

そこで俺は

 

クリス『・・・・・・』

カズマ「・・・・・・」

 

件のウサギと見つめあっていた。ちょっとばかし訳があって、水着を持って来ていたのに持ってこなかったと嘘をついてしまった俺は、罪悪感をまぎらわせるため、皆が着替えてる間にウサギを拉致し、先に川に来ていた

 

カズマ「なぁ、松村・・・俺最悪だよな・・・」

クリス『?』

 

こてんと首を傾げるクリス。

 

カズマ「ま・・・言い訳にしかならないが、私服で遊ぶし許してもらおぅ・・・許してくれるかな?」

クリス『・・・つ!』ピッ!

 

大丈夫!気にしないで!と表すかのように、肩をパシパシと叩いてくる。

 

カズマ「・・・・なぁ松村・・・俺のペットにならないか?」

クリス『!?』

 

とんでもない事をぶちかましてきたカズマに凍りついたように固まるクリス

 

ノーヴェ「なぁにをやっとんじゃあああ!」

カズマ「最近こんな展開おおおおおお!?」

 

そこへ事の顛末を見ていたノーヴェが背後から飛び蹴りをかます。

 

カズマ「俺は悪くない!俺の心に違和感なくするりと溶け込むように入ってきた松村が悪い!」

クリス『!?・・・っ!?』ピッ!ピッ!(わい何もしとらん!?)

ノーヴェ「誰だよ松村って!そいつはクリス!ヴィヴィオの専用デバイスだよ!」

クリス『!・・・・・!』(そうそう!)

 

俺はその言葉にニヤリと口の口角をあげ

 

カズマ「その言葉、クリス〇村の背中を見ても・・・・言えますかな?」

ノーヴェ「クリス〇村じゃねぇよ!可愛いとこ全くねえじゃねぇかよ!「クリス」しかあってねぇじゃねえか!?・・・・?背中?」

 

突っ込みを入れたまま怪訝な表情でクリスの後ろにまわるノーヴェ、そこには・・・・

 

 

ーーーー『三年三組、カズマ=ツユクサ』と水性マジックで書かれてあった。

 

ノーヴェ「いや何で!?」

カズマ「わかったか!これでクリス〇村の所有権は俺のーーー」

ノーヴェ「んなわけあるかい!」

 

 

即効で水性マジックを消されました。

 

ヴィヴィオ「あ、あはは・・・・」

 

 

その光景を見たヴィヴィオたちは苦笑していた。

 

ノーヴェ「ったく・・・・」

カズマ「ま、冗談はここまでにして・・・」

ノーヴェ「冗談じゃなかったら沈めてるところだ」

 

(´・ω・)ソコマデオコラナクテモ・・・←カズマ

(`・ω・)/ピッ!(自業自得じゃ!)←クリス

 

ヴィヴィオ「エヘヘ!どうですか?あたしたちの水着!」

リオ「お待たせしました!」

コロナ「男の人に見られるのって何か恥ずかしいね?」

 

・・・・・・・

 

カズマ「・・・・・・似合ってるじゃねぇか」

ヴィヴィオ「?カズマさん?」

 

何故か若干ヴィヴィオ達からピントを外すカズマ、その反応にノーヴェは「ティン♪」ときた。

 

ノーヴェ「よいしょっと」

カズマ「!?(こ、こいつ、わざとらしい・・・・)」

ノーヴェ「あまりこういった機会はないからな、男性からの貴重な意見を聞かせてもらおうかな?」

 

ノーヴェは羽織っていた上着を脱ぎ水着姿になる。

 

ノーヴェ「さあ?どうかな?「ちゃんと」見て教えて欲しいもんだな?」

カズマ「・・・・・・・・」

 

ーーーーーこと、カズマ=ツユクサは産まれてから女性の肢体をちゃんと見るのは、母親を覗いてリットが初めてであり、しかもその時は一瞬だったため。今回のようなケースはカズマからすれば地獄にも近い羞恥ものだった。

 

ヴィヴィオ「あたしたちもちゃんと見てもらってない!」

 

気付けば、前に子供とは言え、何気に露出がある水着を着る女の子達

 

後ろに、普通に発育がいい女性が一人。

 

・・・・・カズマは

 

カズマ「・・・・・・・・・・」

ノーヴェ「おいカズマ?・・・・・あちゃ、からかいすぎた」

コロナ「き、気絶してます・・・・」

 

・・・・白目を剥いていた。

 

アインハルト「お待たせしました皆さん」

ルーテシア「あはは、ごめんごめん、ちょっとてこずっちゃた・・・・あれ?お兄ちゃんどうしたの?」

 

このあと気絶したカズマの面倒を見ると言った二人の妹分が、最終的に二人で見ることに落ち着いたそうな




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19話

第19話ですどぞ(^^)/


カズマ「・・・・・・知らない天井だ」

アインハルト「知らない天井も何も青空ですが」

カズマ「世界はいつだって俺に厳しい」

ルーテシア「メンタル弱っ!?」

 

起きてそうそうのこの扱い・・・そうだ、旅に出よう(混乱

 

カズマ「悪いな、二人とも面倒見てくれて・・・・・」

アインハルト「それはもう・・・」

ルーテシア「私たち妹ですから!ね!アインハルト」

アインハルト「はい」

 

笑顔で頷く二人、あれこいつらこんな仲良かったっけ?

 

ルーテシア「それはそうと、お兄ちゃん、どう?」

アインハルト「私達の水着・・・その、似合いますか?」

 

水着はもう勘弁・・・と言いたいが・・・

 

カズマ「あぁ似合ってるよ」

 

妹分のこの笑顔が見れるんなら・・・我慢しよう

 

カズマ「皆は遊んでるのか・・・っし!遊ぶか!」

ルーテシア「大丈夫?」

 

起き上がった俺に、心配そうに聞いてくるルーテシアと同じくアインハルト

 

カズマ「せっかく遊びに来たんだ、遊ばなきゃそんだろ?」

 

そう言って、遊んでる彼女達に向けて特効を仕掛けるため、力強く蹴りをぶつけるため、水面に足を向ける。

 

カズマ「(・・・・せっかくだからな・・・久々にやるか)」

 

「戦い」の記憶の中にある、水中戦でよく使っていた技、水の中では、抵抗があり繰り出す攻撃が全て威力が半減する。

 

カズマ「(構えは簡単、如何にして「真っ直ぐ」繰り出すか。)」

 

足のつけね、腕のつけね、刀の剣筋、動作を繰り出す最初の部分の元はこれらである・・・と俺は思っている。その箇所から真っ直ぐになるように調整しーーー

 

カズマ「小娘共ォ!さっきはよくもやってくれたなぁ!」

 

ーーーありったけの笑顔で、足を刀の斬り上げのように放った。

 

ヴィヴィオ「きゃーー♪」

リオ「すごっ!?あっちの岸から向こう側まで!」

コロナ「映画みたい!」

 

良かった、子供らも喜んでくれてるみたいだ。

 

放った蹴りはまるで川を切断したかのように、反対側まで一瞬道ができた。

 

ノーヴェ「お前、「水斬り」も出来んのかよ・・・」

アインハルト「兄さん、私にも教えてくださいさっきの技、いい練習になりそうです」

カズマ「悪いアインハルト、ちょっとこの技は説明しづらい、多分俺よりーーー」

 

ヴィヴィオ達に視線を向ける、皆さっきの俺の「水断ち」を見たのか、同じことをしていた。

 

カズマ「多分あのこらの方が分かりやすく教えてくれると思う、ちょっと「勝手」が違うからな」

アインハルト「そうで・・・すか」

ヴィヴィオ「アインハルトさん!皆で水斬りしてカズマさんを驚かせてやりましょ!」

 

少し落ち込むアインハルトを気遣ったのかヴィヴィオが誘いに来てくれた。「渋々ながら」も、着いていく。

 

カズマ「・・・・・・」

 

向こうに着いていったアインハルトを見つつ

 

カズマ「・・・・さぁてぇ・・・ノオォヴェちゃんよぉ・・」

ノーヴェ「・・・・(よし、逃げよう!)」

 

 

諸悪の根源(ノーヴェさん)を成敗するために

 

カズマ「さっきはよくもってまてごるあぁぁぁぁ!!」

ノーヴェ「むぅりいぃぃぃぃ!?」

 

ーーーー

 

アインハルト「・・・・・・」

ヴィヴィオ「アインハルトさん?」

 

ヴィヴィオさんの言葉にはっとなりそちらを見ると皆「私」を心配そうに見ていた。

 

アインハルト「・・・・いえ・・・何も」

 

・・・・思えば、この子達とは成り行きで友達になったとは言え、この子達にどこか「兄さん」の影を求めていたのかもしれない。

 

兄さんのお陰で、私はわたしとクラウスを受け入れてみようと思えた。

 

兄さんのお陰で、少しだけど笑顔が出せるようになった。

 

兄さんのお陰で、人との繋がりの大事さがわかり始めた気がした。

 

・・・・兄さんのお陰で、この子達と友達になれた・・・私はともかく、この子達の真っ直ぐ綺麗な、目を見ていると私を良く思ってくれているのが分かる

 

アインハルト「(・・・・これが、友達・・・なんでしょうか?)」

 

思えば、友達になるために必要な事が分からない

 

ルーテシア「アインハルト」

アインハルト「っ・・・・ルーテシアさん・・・」

 

気付けば、ルーテシアさんがすぐそばにいた。

 

ルーテシア「・・・・何になるにしても、必要なのは「勇気」だよ?」

 

全てを見透かしているような言葉に、私は目を見張った。

 

・・・・・学校でいつも声をかけてくれるこの子達

 

・・・・・ヴィヴィオさんはいつも元気で皆を笑顔にしてくれるような子

 

・・・・リオさんは、一番のやんちゃで、でも皆に見てるだけで元気を分けてくれる子

 

・・・・コロナさんは、とても初等科とは思えない落ち着きぶりを持っていて、でも笑顔が可愛くて、皆に諭して上げられる子

 

・・・・・簡単な事だった、簡単な事なのに私は「兄さんのお陰で」っていう言葉に甘えて成り行きだけの関係で過ごそうとした。

 

ヴィヴィオ「ご、ごめんなさいアインハルトさん!私・・・」

アインハルト「ーーーー」

 

あぁ、悲しませてしまったどうしたら笑ってくれるんだろうか・・・ちゃんと友達になれていない私じゃ・・・

 

アインハルト「ヴィヴィオさん」

ヴィヴィオ「っ!」

 

なら、友達にちゃんとなればいい、少なくとも

 

ーーーー私はこの子達とは友達になりたい。少ない時間だけどそう思った。

 

アインハルト「ーーーー笑ってください」

 

あなた達には笑顔が似合ってるから・・・・

 

ヴィヴィオ「ふぇ」

アインハルト「ヴィヴィオさん達ががそんな顔をしたら・・・「友達」の私がとても悲しいですだから・・・・

 

ーーーー笑ってください」

 

ヴィヴィオ「ーーーっ!」

アインハルト「ちょっ!?ヴィヴィオさんなんで泣いてってリオさんにコロナさんまで!?」

リオ「うぇ・・・だ、だって・・・」

コロナ「かってに・・・・止まらない」

アインハルト「えぇ!?ど、どうすれば・・・ルーテシアさんどうすれーーーってなんで笑ってるんですか!?」

ルーテシア「ふふっ、慌ててるアインハルトが何かおかしくって・・・ふふっ!」

 

 

3人『ふえぇぇぇぇぇん!!』

ルーテシア「あーはっははははは!」

アインハルト「何かまずい絵面になってますよ!?ち、ちょ・・・・・・にいさぁん!ノーヴェさぁん!早く戻ってきてぇ!?」

 

ーーーーー

 

ノーヴェ「・・・・・・・・・やっぱりカズマってすげぇな」

カズマ「何がだ、言っとくがあれはアインハルトが自分で踏み出したんだ。・・・・その結果あの子達が受け入れただけさ」

 

その様子を近くの木陰から伺っていた俺とたんこぶを作ったノーヴェさんが見ているとノーヴェさんが優しい目で見てきた。

 

カズマ「・・・・・」

ノーヴェ「ま、そういうことにしといてやるよ」

カズマ「・・・・・あれ、止めた方がいいかも、中学生が小学生いじめてる絵面にしか見えん。」

ノーヴェ「・・・・・・・・そうだな」

 

このあとめっちゃくちゃ子共組に水をかけられた。




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20話

お気に入り登録感謝です!


読者の皆様のお陰で、UA10000越えました!ありがとうございます!こんな駄作ですが、完結までがんばります!本当に感謝です!

では続きです!


ノーヴェ「そろそろお昼の時間だな・・・・おーいお前ら!そろそろ上がるぞぉ!」

カズマ「まってくれぶぶぅ!・・・っはぁ!せめてこーーいたい!?鼻に入っ、ヤメロー!このガキ共に一あばばぶぁ!・・・・・もう・・・ゆるちて・・・」

ノーヴェ「あー、お前らやめてやれ、そいつ折れるぞ、心が」

 

俺は・・・水中戦がだいっきらいだ(涙

 

そのあと皆あがって、着替えてロッジに戻ることになった。

 

カズマ「・・・・・・・」

 

前で「楽しく」話している妹分を見る。

 

アインハルト「う、腕が動きません・・・」

リオ「あ、あはは・・・私も・・・」

コロナ「でもアインハルトさんすごいです、初めてなのにもう5メートル以上も進みましたよ!」

 

カズマ「・・・・・」

ヴィヴィオ「カズマさん」

カズマ「どした?言っとくけどさっきのは負けた内にはいらーーー」

ヴィヴィオ「ありがとうございます!」

 

・・・・

 

カズマ「こっちこそありがとうな」

ヴィヴィオ「わわっ!」

 

バカ妹を受け入れてくれて、その言葉を飲み込みヴィヴィオの頭を撫でる。

 

ヴィヴィオ「・・・・私最初嬉しかったんです。年上で、凄く強くて、同じ異色眼で、同じベルカの王様の関係者のアインハルトさんが友達になってくれて・・・」

カズマ「そっか・・・」

ヴィヴィオ「・・・・でも、学校で、練習で過ごしていく内に「私達」を見てないって思って。最初はまだ心を開いてくれてないのかな?とか振り向かせたい!とか思ってたんですけど・・・今日アインハルトをカズマさんのもとから離した時、悲しそうな顔してて・・・・どうすればいいかも分からなくなっちゃって・・・・でもアインハルトから歩み寄ってくれたんです。笑ってくださいって行ってくれたんです。」

 

この子もまた悩んでいた。それが兄として・・・例え仮初めの兄だとしても、アインハルトの為に悩んでくれたことが嬉しかった。

 

カズマ「あいつの事、ノーヴェさんから聞いてるか?」

ヴィヴィオ「はい、古代ベルカ時代のシュトゥラ、初代王様、クラウス陛下直属の子孫で覇王流の継承者っていうのは」

カズマ「あいつは「あのバカ」の悔恨の情に同情して、覇王流は最強だって証明するために行動しちまうような、バカで真っ直ぐで

ーーーー優しい子だ、ありがとうヴィヴィオ、アインハルトと友達になってくれて・・・」

ヴィヴィオ「・・・・・・・・何か、アインハルトさんが兄さんって呼ぶ理由がわかった気がします。」

 

こちらを見上げるヴィヴィオは満面の笑みだった

 

カズマ「ふふんそうだろ?この兄として必要な優しさ、包容力ーーー」

ヴィヴィオ「それは・・・・ちょっと・・・」

カズマ「あ、はい・・・・」

ノーヴェ「ぶふぅ!」

 

・・・・・子供ってのは素直でよろしいね(不信

 

アインハルト「ーーー駄目ですよ?ヴィヴィオさん?これ以上妹が増えたら私がかまっ・・・・・兄さんが変態になってしまうじゃないですか」

ヴィヴィオ「うひゃぁ!」

 

いつの間にか俺とヴィヴィオの真ん前にいたアインハルト

 

カズマ「ねぇ?言い直してないよね?むしろ悪化してない

?」

アインハルト「だから私とルーテシアさんで定員オーバーです。兄さんは渡しません」

ヴィヴィオ「むぅぅ!」

 

ルーテシア「アインハルト、すっかり明るくなったね?変態お兄ちゃん♪」

カズマ「なんで融合させたの?変態にお兄ちゃん付け足したら中和されると思った?ざぁんねん!逆効果でした☆」

ルーテシア「・・・・」

カズマ「・・・・・」

 

でした☆

 

ーーーーロッジ

 

ロッジに備えてある大きなテーブルには、バーベキューコンロが設置されており。大人組の人達も戻ってきていた。

 

なのは「あ、おかえり~!」

 

俺たちの姿を確認したなのはさんが笑顔で言ってきた。

 

スバル「(チラッ)皆遊んできた?」

ルーテシア「うん!バッチリ♪」

フェイト「(チラッ)体冷えるといけないから暖かいスープ作ったからね、あ、カズマ君も、スープ」

カズマ「・・・・・ども(・・・・・ん?)」

 

大人組 の様子が何かおかしいな・・・

 

エリオ「か、カズマさん!午後からの訓練、参加してくださいよ!」

キャロ「あ、私それ言おうと思ってたのに!」

ティアナ「・・・・・・はぁ」

 

・・・・・クライさんだな?

 

カズマ「・・・」

 

・・・・・本当にお節介な人だよ。

 

カズマ「エリオ、訓練ってどういう事やるんだ?教えてくれよ」

エリオ「っ良いですよ!ご飯食べたら軽く食後の運動がてらランニングでもしながら教えますよ!」

カズマ「おう」

 

エリオと喋るカズマをみてティアナはほっと胸を撫で下ろした。

 

ティアナ「(逆にカズマに気を遣わせちゃってルじゃない・・・・でも)」

 

「わかっていながら」乗ってくれると言うことは、きっとそうなんだろう

 

ティアナ「・・・カズマ」

カズマ「ん?」

ティアナ「信用してくれてありがとう」

 

・・・・もっとカズマの事を知りたい。そう強く思うティアナ

 

ティアナ「(ジークにも負けてられないしね)」

 

今はこの場にいない恋敵を思い出しながら。ティアナは改めて「何の事ですが?」と顔を赤く染めながらそっぽをむくカズマを見て笑った。

 

ーーーー以後食事風景

 

メガーヌ「おまちどうさまぁ♪」

クライ「いっぱい食えよぉ!」

リオ「おお!」

ヴィヴィオ「沢山ある!」

 

運ばれてきた材料に目を輝かせる子供達を微笑ましそうにみる大人達

 

ノーヴェ「そろそろかな・・・」

カズマ「あ、焼けてる」ヒョイ

 

ノーヴェ「・・・・・・・」

カズマ「・・・・・・・」

ノーヴェ「豚トロ・・・・・」

カズマ「(パク)・・・・・・」

ノーヴェ「・・・・・・・」

カズマ「・・・・・・・・」

クリス「!・・・・!・・・・!」アセアセ

ノーヴェ「カズマ・・・・・何だ?あたしに喧嘩をうってんのか?」

カズマ「ふぇ?ふぁにふぁあ?(えぇ?なにがぁあ?)」

 

 

ノーヴェ「上等だごらあ!戦闘機人の食欲なめんなごらぁ!」

カズマ「あんごらぁ!上等だぁ?こっちの台詞だごるぅ゛あ!」

 

メガーヌ「・・・・・・二人とも?行儀よく・・・・ね?」

二人「イエスマム」

 

 

終われ(懇願




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21話

お気に入り登録感謝です!

カズマとの出会い編は、お風呂シーンが終わってからにしようと思ってます(勿論あのこも出ます)

では続きです!


食事を終えた俺達は役割分担で片付けをしていた。俺とアインハルトとヴィヴィオは皿洗いをしている。

 

和気あいあいと話していたら、ヴィヴィオが突然尋ねてきた。

 

ヴィヴィオ「そういえば、アインハルトさんとカズマさんって、どうやって知り合ったんですか?」

カズマ「ん?そりゃこいつがとおりm」

アインハルト「ーーー私がクラナガンの「路地裏番長」をしていた時兄さんが通って、通行料金を要求したら。「俺を倒せたらいくらでも払ってやるよ、その代わり負けたら・・・・げっへっへ!」と言ってきて。喧嘩になって・・・今に至ります」

カズマ「ちょっとこっちこい」

 

アインハルトがいきなりぶっこんで来たので、引っ張って少しヴィヴィオから離れる。

 

アインハルト「何をするんですか兄さん(小声」

カズマ「何をするんですかじゃねぇよ・・・え?何?「路地裏番長」?何とんでも設定つくってんの?(小声」

アインハルト「ヴィヴィオさんにはまだ通り魔の件を言ってなくて・・・(小声」

カズマ「それでもだろうが!?お前それ収集つく設定何だろうな!?ってかさりげなく俺を変態みたいな言い方するんじゃない!何だよ「げっへっへ」って誰だよ(小声」

 

アインハルトはそこで一旦考える仕草をして、はっ!と言った顔になり。

 

アインハルト「すいません!せめて「負けたら俺の専属妹になれ!(興奮)」にすればまだ兄さんの変態度も下がったかもしれません(小声」

カズマ「お前この状況楽しんでるだろ!?(小声」

 

ってか何だ(興奮)って!俺が妹萌えのヤバイやつみたいに言うな。

 

アインハルト「違うんですか?(小声」

カズマ「違うわ!!ってか心を読むな(小声」

アインハルト「これは覇王流に伝わる読心術で・・・・(小声」

カズマ「聞いてねぇよ!その下りは前にやったわ!」

 

誰か・・・・この子を出会った頃の真面目なアインハルトに・・・・

 

アインハルト「残念手遅れです」

カズマ「うん知ってる」

アインハルト「それと兄さん」

カズマ「何だよ・・・・」

 

もう何言われようが気にしねぇよ・・・・

 

アインハルト「台詞に(小声)を付け忘れてます。私達・・・・どうしましょう」

カズマ「・・・・・・あ」

 

セリフの後半が焦っているアインハルト、ふとヴィヴィオを見ると、口元を抑えて俯き震えている。

 

カズマ「そりゃ・・・・どうしようもないな」

ヴィヴィオ「・・・・・・ぷふ!」

2人『おや?』

 

ヴィヴィオ「あっははははははぁ!!」

2人『!?』

 

急に大声で笑い出すヴィヴィオにビックリする俺達。

 

ヴィヴィオ「ひー!ひー!・・・・ぶふっははははははぁ!!」

 

一旦落ち着こうとしたのだが。失敗したみたいで、腹を抱える始末・・・・え?どゆこと?

 

アインハルト「ヴぃ、ヴィヴィオさん?」

ヴィヴィオ「ふー、ふー・・・・す、すいませんカズマさん、アインハルトさん」

 

そこで深呼吸をし落ち着こうとするヴィヴィオ

 

ヴィヴィオ「実はアインハルトさんの事、ノーヴェから聞いてたんです。・・・・でも本人である二人から聞きたくて・・・」

カズマ「・・・・・何だ・・・・そういうこと」

アインハルト「ヴィヴィオさん・・・・」

 

俺達の若干責めるような視線に、ヴィヴィオは目尻の涙を指で拭いながら、すいませんと言った

 

ヴィヴィオ「・・・・それで、聞かせてくれますか?二人の出会いを」

アインハルト「・・・・兄さん」

 

アインハルトが困ったようにこちらを見てくる、まだ怖いのだろう・・・ったく。

 

カズマ「食器拭きも終わったし、エリオと訓練始まるまで走り込んでくるわ」

アインハルト「に、兄さん!?」

カズマ「・・・・アインハルト、初めてできた友達何だろ?

 

ーーーー信じてやりな」

 

 

驚いた表情を見せるアインハルト。

 

カズマ「きっと、その子は笑いも呆れも怒りもしない、「お前の話」を喜んで聞いてくれるさ」

アインハルト「ーーーーあっ・・・・・・」

 

ヴィヴィオはこちらを見て頷いたが少し不満そうな顔をしていた。・・・・俺の事を話すのは時間があるときに話したいな、多分長くなるだろうから。

 

カズマ「・・・・・」

 

後ろから、「ヴィヴィオさん、皆さんにも聞いて欲しいので、今日の夜でも良いですか?」「っはい!♪」というやり取りが聞こえてきた。

 

カズマ「・・・・ちゃんと人に話したいと思ったのは・・・しって欲しいと思ったのは初めてだな・・・あいつらもそう思ってくれてんのかな?」

 

思わず漏れた声に驚く。自分が変わってきてる事に戸惑いや疑惑等の感情が自然に出てくるが。

 

カズマ「・・・もしそうなら・・・嬉しいな」

ルーテシア「何が?」

カズマ「ルールー「盗み聞き」は良くないぞ?」

 

エリオと待ち合わせの場所のアスレチックエリアに向かっている最中に後ろからルールーに話しかけられる。

 

実はこの子、ヴィヴィオとの下りから隠れていたのだ

 

ルーテシア「ごめんなさい・・・でもアインハルトの事が気になったの・・・それにお兄ちゃんの事ももっと知りたい。だって人の優しさを教えてくれたのは皆だけど・・・・

 

ーーーー他人の温もりを教えてくれたのはお兄ちゃんだもん・・・」

カズマ「・・・・・ったく、教えてほしければ言ってくれ、少なくとも俺はお前の事をもう他人とは思ってないよ」

ルーテシア「・・・・・うん!」

 

後ろから抱きついてくる・・・ってやめろ!頬擦りするな!恥ずかしい!

 

カズマ「ほら、訓練始まるまで皆と遊ぶんだろ?行ってきな」

ルーテシア「はぁい!」

 

「お兄ちゃん成分補充完了!」と素早く俺から離れ、走り去っていくルールー

 

・・・・本当に放っておけない妹達だよ。

 

?「・・・・・・・・」

カズマ「ん?ガリューか、久し振り挨拶が遅れて悪かったな」

 

立ち並ぶ木々の一本に背中を預ける黒い全身鎧のような体に目と思わしき部分が四つも着いている奴がこちらを見ていた。ガリューという名で、ルーテシアの召喚獣である。

 

ガリューは「気にするな」という風に肩をすくめ「久し振り」と言いたげに片手を挙げた。相変わらずクールな奴だよ

 

カズマ「ルールーに寂しい思いさせたかな・・・」

ガリュー「・・・・・・!」

 

「しょうがない、でもこっちにいる間は構ってやってくれ」と言いたげにこちらに顎をしゃくってくる。

 

カズマ「任された、そだ、今からエリオと走り込みがてら軽く試合をしようと思うんだが来るか?」

ガリュー「!」

 

ガリューは即座に腕を回したりして、体の調子を確認してる。「待ってました!」と言わんばかりだ。

 

その動作に軽く笑い、エリオの元へとガリューと共に向かった。




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22話

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では!続きです!


ーーーアスレチックエリア

 

カズマ「へぇ・・・・結構本格的だな・・・」

エリオ「はい、今年は更に頑張って追加してたみたいですよ?」

 

建物に垂れ下がってる紐や建物の間に繋がっているロープ、道がなく、大きい岩が積み重なっており、その頂上に次への道が続いているものもある

 

エリオ「前にも来たことがあるんですか?」

カズマ「あぁ、半年より2、3ヶ月ぐらい前にルールーと知り合ってな、誘われて来たときにガリューとも知り合った」

 

エリオは「そうだったんだ・・・」と呟き。

 

エリオ「そうだ、何かやってみますか?」

カズマ「・・・・じゃあ・・・あれか?」

 

俺が指差したのは立ち並ぶ建造物

、市街地ゾーンだ、救助や災害時の建物への突入を想定してか、ロープが垂らされてたり、建物をよじ登るためのデコボコなどがある。

 

エリオ「市街地ゾーンですか、カズマさん早速お手並み拝見ですね!」

カズマ「・・・っし」

 

軽く気合いを入れ、ビルに囲まれている場所の中心に立つ

どうやらロープを使った訓練をすると思っていたのか。疑問符を浮かべたエリオが声をかけてきた

 

エリオ「あれ?ロープはこっちーーー」

カズマ「ーーーはっ!」

 

ぐっと足を折り曲げ、目の前の建造物の「中腹辺り」に向けて跳んだ。

 

エリオ「・・・・・・へ?」

ガリュー「・・・・・」

 

「あいつを「一般人」と思ってた時点で間違いだ」と首を振りながらエリオの肩をポンポンと叩くガリュー。そんなやり取りを横目に建造物の壁に片足の爪先が付き、体がビルに対して水平になった所で、壁を蹴る。

 

カズマ「ほっ!ほっ!」

 

5歩ほど上に進んだ所で宙返りの容量で、背後の建造物に向けて移動する。

 

カズマ「っらぁっ!」

 

足が壁に付いたのを感じた瞬間、ビルの壁を「横に走り出す」ビルの角まで走ったとき、横のビルに向かって再度跳ぶ。

 

今度はすぐさま壁を蹴り、反対側のビルの更に上へと移る、それを何度か繰り返し、屋上部分に着地した。

 

カズマ「・・・っとまあこんな感じだ・・・・どしたエリオ?」

エリオ「・・・・・・・・・」

 

放心しているエリオに?を浮かべるカズマ、そんな二人を見て、やれやれとガリューは首を横に何度か振った。

 

ーーーーー

 

エリオ「す、すごいですよ!何ですかあの動き!?カッコいいです!」

カズマ「・・・・まぁ、自然と出来るようになった」

 

降りると、エリオが目をきらきらさせながら迫ってきた。

 

カズマ「・・・ま、俺も訓練に混ぜて貰うからな、動き方ぐらいは見といて欲しかった」

エリオ「いやいや!?僕らでも無理ですよ!?」

カズマ「体の動きが良くても、「戦闘」で発揮できないと意味が無いからな・・・・」

 

そう言って体の調子を確認する。走り込みやさっきの跳躍運動のお陰でだいぶ「暖まった」

 

エリオ「ーーー本当にいいんですか?」

 

俺がエリオに申し込んだ試合の内容。

 

 

ーーー「魔導師」としてのエリオと試合をさせてくれ。

 

カズマ「別に怪我してもかまわないさ、そんときは転んだっていって無理矢理休むさ」

エリオ「いや、そういう問題じゃ・・・・」

 

エリオは渋い顔をしていたが、先程の動き、それと「鬼ごっこ」の時に見せたあの速さを見ていたためか、確かに気になっていた。

 

ーーーあれほどの動きをしてみせた。この人は、戦いの時でもどんな動きを見せてくれるんだろうか。

 

エリオは「バレたら怒られるだろうな・・・」と軽く笑い。

 

エリオ「ストラーダ、行くよ」

ストラーダ『よろしいのですか?』

エリオ「ーーーうん、僕も「男の子」だからね」

ガリュー「・・・・・・」スッ・・・

 

ガリューはエリオの言葉をきくやいなや速攻で敬礼をした。無駄のないきれいな敬礼だった。

 

エリオ「・・・・ストラーダ、何だろうガリューの敬礼を見てると無性に腹が立つんだけど」

ストラーダ『まるで死地へと赴く恋人を見送る女性のような哀愁を漂わせています』

エリオ「何でそんな言い回しをしたの?ねぇ?」

カズマ「そりゃガリューが♀だからだろ?」

エリオ「嘘ぉ!?」

カズマ「う・そ♪」

 

・・・・そこまであんぐり口を開けなくても。

 

エリオ「・・・よし!ストラーダ!」

ストラーダ『set up』

 

そう機械音声が響いた瞬間、エリオが光に一瞬包まれ、止んだ時には。

 

機械の槍を構え、赤の上下の服に、白いジャケットみたいな服を纏いこちらを鋭く見据えるエリオがいた

 

カズマ「・・・・無茶を聞いてくれてありがとな」

 

そう言って。足下にたまたま落ちていた、木の棒切れを拾う、うん刀身50cmって言ったところか?軽すぎるが太さも丁度いいが所詮即席の「剣」だ

 

 

ーーーーーもって「50合」だな

 

エリオ「棒?・・・・いや、構えが・・・カズマさんは徒手空拳の使いって聞いてたんですが・・・」

カズマ「「最近」は専らそうだな、でも本来は「こっち」さ」

 

そう言いつつ、「刀」を下段に構える。

 

カズマ「カズマ=ツユクサ」

エリオ「エリオ・モンディアル」

カズマ「いざ、尋常にーーー」

エリオ「ーーー勝負!」

 

ーーーーーーーーーー

 

エリオ「ストラーダ!」

ストラーダ『ソニック』

 

開始と同時に高速魔法でカズマの背後に回ろうとするエリオ、無防備に前だけを向いているカズマの脇を抜き去ろうとして

 

エリオ「!?(僕の動きを!?)」

 

目があった、さっきまでの穏やかな目ではなく、鋭く刺すような目で

 

ーーーーゾッ

 

エリオ「っ!?」

カズマ「お?」

 

エリオはすぐさま背後に回り込むのを中断しそのまま抜き去った。

 

エリオ「ーーーーっはぁ・・・はぁ・・・」

 

開始まだ十秒とたっていないのに、極度のやり取りについつい息があれる。

 

・・・・カズマはいつの間にか、「刀」を振り抜いていた。

 

ーーーーはら

 

エリオ「なっ!?」

 

自分の目の前で風に流されていく3本の赤い糸、否エリオの髪の毛

 

エリオ「(さっきの攻防で?・・・)」

 

ゾクゾクっと体が震えるのをエリオは感じとっていた。

それを武者震いと自覚すると同時にエリオは

 

エリオ「でええい!」

 

鋭い突きを放っていた、カズマはその刺突に対し冷静に、刃先のしたの平の部分からからみあげるように「刀」を合わせ

 

エリオ「っくぅ!?」

カズマ「しっ!」

 

上に打ち上げ、ついでに軽さのアドバンテージか、すぐさま上げた「刀」を手元に戻し

 

ーーー閃

 

目に見えない一撃をエリオに喰らわせた。

 

エリオ「うわぁ!?」

 

とても棒切れとは思えない衝撃がエリオを襲い、4メートルほど吹き飛ばす。

 

エリオ「っ!」

 

身を捻り、地面に片手をつき跳びはね、体勢を整える

 

エリオ「っはぁ!」

カズマ「はぁっ!」

 

ーーー暇もなく、目前に迫っていた「刀」に咄嗟に槍を繰り出す。

 

ーーーカンっカンっ!

 

エリオ「(何だ!?違和感が・・・弾かれると言うより「流され返されてる」!?)」

 

計2合、どれも力を込めた一撃だったが、棒切れは全く折れる気配が見えない。

 

エリオ「・・・っなら!」

 

エリオは再び、高速魔法を発動、先程のように接近するためではなく。回りのビル群を使い縦横無尽に錯乱させる算段である。

 

エリオ「っはあ!」

 

ビルを斬りつけ、地面を砕き、音や土煙等で更に惑わそうとする。

 

ーーーーしかし

 

カズマ「駄目だそんなんじゃ、錯乱作戦は良くできていたが、「仕掛ける側のすぐそばで音が出てる」ようじゃ、敵に今ここにいます。って言っているようなもんだ」

エリオ「ーーーえ?」

 

目の前にカズマが「現れた」さっきまでいた場所からエリオのところまで軽く15メートルはある。

 

エリオ「(まさか!あそこから一瞬で!?)」

カズマ「考え事をしている場合じゃないぜ?」

 

ふと、胸ぐらを捕まれる感覚。一瞬の浮遊感の後

 

高度6メートルほどの高さから地面に叩きつけられた

 

エリオ「ーーーっ!?はぁっ!」

 

一瞬意識がとび、取り戻した時には

 

カズマ「・・・・・・」

 

首もとに添えられている「刀」先程と同じ油断もせず、慢心したような顔もせず。ただ鋭い視線向けるカズマ

 

ーーー勝敗が決まっていた。

 

エリオ「・・・・参りました」

 

 




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23話

すいません!遅れましたm(__)m

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エリオ「・・・・カズマさんって良く人間かどうか疑われませんか?」

カズマ「・・・・試合終わってからの第一声がそれかい」

エリオ「・・・(否定はしないんだ)」

 

あの後、エリオを少し休ませて。(その間ガリューと軽く組み手をしていた)

 

エリオ「そういえば何で急に僕と試合を?いや、僕としてはいい経験でしたが・・・」

カズマ「あぁ、ノーヴェさんから聞いたんだが、明日から皆集まってのチーム戦って言ってたろ?魔法ありの、

 

ーーー俺魔導師と戦ったことないからな・・・言い方は悪いがエリオで軽く予行練習って思ったんだ。」

エリオ「そうだったんですか・・・」

 

軽く驚くエリオだが、それならと納得する。

 

エリオ「どうしたらカズマさんみたいに強くなれるんですか?」

 

年頃の少年の純粋な羨望と疑問に思わず笑みがでる。

 

カズマ「エリオは俺に圧倒されたって思ってるかもしれないが・・・少しでも「イレギュラー」があったら俺が負けてたかもしれないんだぜ?」

エリオ「え?」

 

確かに、エリオには「まだまだ」負けないし、負ける気もない

 

だが、エリオには「魔法」がある、バインドだったり、「強い障害魔法」・・・例えで言えば「重力魔法」

 

ーーーーまぁこれは「こちらの世界」ではまだ見たことないが。

 

エリオが戦闘において「駆け引き」にたけていたら

 

他にも、高速魔法の使い方がもっと小回りを効かせるようなものだったら。

 

「もしかしたら」があったかもしれない

 

ーーーー

 

カズマ「(それでも負ける気はないが)」

カズマ「エリオは攻め方が素直なんだ、それは良いことだし「騎士」としては好ましい在り方だ。」

エリオ「・・・・・・」

カズマ「でも、読まれやすくもある欠点だ」

 

「あぅ」とばつが悪そうな顔をするエリオに肩をぽんと叩くガリュー 、あ、振り払った

 

エリオ「・・・・カズマさんって不思議ですね、初めてあった僕にもこうやってアドバイスしてくれる」

カズマ「・・・・俺はただ「後悔」したくないだけだよ、自己満足に過ぎない」

 

ーーーもう関わった奴が知らないところで死ぬのは勘弁だ

からな、自分の身は自分で守ってほしい

 

そんな吐き気を催すような自分勝手な思い、エゴ

 

・・・・でも

 

カズマ「(この世界の人は切り捨ててくれないんだよな)」

 

この優しい世界に来て思い始めた。結局「ソレ」をどう受け止めるのは、そいつ本人だ。そう思っているからこそ、今の俺がいる、受け入れてくれるから受け入れる。

 

エリオ「それでもです」

 

エリオはそれだけ言って笑った

 

エリオ「でも次こそは勝ちます!」

カズマ「じゃあ負けたらキャロに告れな?」

エリオ「えぇ!?」

 

本当に優しいやつらだよ、むしろバカと言ってもいいぐらいだ。

 

カズマ「冗談だよ」

エリオ「ほっ・・・」

カズマ「ガリューに告れな?」

エリオ「ふぁ!?」

ガリュー「・・・・・・・・・(ポッ」

エリオ「やめてぇ!?ガリューも何頬を赤く染めてるのさ!? 」

 

カズマ「・・・ったく ・・・」

 

その様子を見て苦笑いをこぼす。

ふと、時計を見るとなのはさんたちが此方にくる時間だ。

 

カズマ「エリオ、また次だな!」

エリオ「はい!」

 

 

ーーーー

 

なのはさん達がきて。スターズ(スバルさん、ティアナさん、なのはさん)の模擬戦が始まった。

 

どうやら俺とエリオの試合はサーチャーで見られていたらしく、「怪我したらどうすんの!(エリオが)」とティアナさんにどつかれ・・・・、「怪我なんかしてましぇーん!」と言ったらさらにどつかれ・・・理不尽だ

 

スバル「クラスター来るよ!ティア!」

 

戦闘服に身を包んだなのはさん周囲には魔力の玉が複数浮遊しており、魔力によってか紫電を走らせている。

 

ティアナ「オーライ!コンビネーションカウンター行くわよ!」

 

空中に何かが敷かれており、平然とその上に立っている・・・・あれは・・・固有魔法みたいな物なのか?

 

ティアナ「シュート!」

 

繰り出されていく魔力弾、一つ一つコントロールしているのか、不規則な動きをしている。

 

それをティアナさんが手に持つ双銃で打ち落とし、弾幕を減らしつつ防御力かつ突進力に長けているスバルさんが最低限避けながら突っ込む。

 

ドオォン!

 

とスバルさんの拳となのはさんのシールドがぶつかり合う。

 

スバル「マッハキャリバー!」

マッハキャリバー『ディバイン バスター』

 

至近距離からの砲撃、しかしなのはさんのシールドに僅かにヒビが入っただけで

 

ーーータイムアウト

 

ブザーがなり模擬戦は終了した。

 

リオ「すっごぉい!」

アインハルト「これが魔導師・・・」

 

少し離れた位置から感嘆の声が聞こえた。子供達も見ていたみたいだ。

 

エリオ「どうですか?」

カズマ「ティアナさんとスバルさんのコンビも凄いが、なのはさんが段違いに凄いな、シールドが固いししかも「二重張り」と来た。

 

ーーーーこりゃ木刀もってくりゃ良かったな」

 

エリオ「・・・そもそも二重張りすら分からなかったです・・・木刀って?」

カズマ「?あぁ、ミットチルダに来る頃から持ってた「護身用」(・・・)の武器だ木刀の割にはかなり固いんだぜ?」

 

カズマ「明日が楽しみだ」

 

ーーーーー

 

なのは「スバルとティアナはウォールアクトやるんだっけ?」

ティアナ「はい、エリオとフェイトさんと一緒に」

なのは「確かカズマ君も入るんだよね・・・どうしよっか・・・」

 

そう言いつつも、なのはの脳内には先程のカズマとエリオの試合の光景が写っていた

 

なのは「・・・・・・」

 

本当に強い、「魔力0」ではなく総合的に見て強い・・・・何よりも・・・

 

なのは「・・・あの眼」

 

始終エリオを睨み付けていた、あの眼は「本物の死線」を潜り抜けてきた、そんな眼だった。

 

なのは「カズマ君」

カズマ「はい?」

なのは「回避に自信ある?」

 

ーーーーーーーーー

 

カズマ「・・・・回避、ね」

 

本来なら、なのはさんとキャロでウォールアクト(要は壁登り)をしている組に魔法攻撃をして、それを迎撃しつつ・・・っていう方針らしいのだが、これはキャロさん一人でやることになった。

 

ティアナ「ま、頑張んなさいよ!」

カズマ「まぁ・・・教導官とのマンツーマンですからね・・・気合入れますよ」

エリオ「カズマさん頑張ってください!僕ら応援します!」

キャロ「うぅ・・・私だけだからって余裕こいてぇ・・・・」

 

足下にある鉄筋が眼にはいる、先程エリオがビルを斬ったときに出てきたものだろう。

 

カズマ「・・・武器ゲット」

なのは「じゃあ始めよっか、ルールは簡単!5分間私の

魔力弾から逃げ切ったら勝ち、打ち落としてもいいよ?」

カズマ「よし!じゃぁーーーー」

 

アインハルト「兄さん!」

ルーテシア「お兄ちゃん!」

 

2人「頑張って(下さい)!!」

 

カズマ「恥ずかしいからやめてくれ・・・」

なのは「・・・ははは、誰も私を応援しないんだ・・・ははは、じゃあ始めよっか(迫真」

 

 




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24話

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では続きをどぞ!


アスレチックエリア「住宅街」

 

「街中に凶悪次元犯罪者が逃げ込んだ」、それにどう対応するか、どう行動するか、何を優先するか、という対魔導師訓練場として造られたエリア。市街地エリアと違い、一般住宅が建ち並ぶ光景はカズマが住む住宅街とどこか似ていた・・・・まぁ

 

なのは「じゃあアクセルシューター追加行くよぉ!」

カズマ「はぁ!?20秒前に5個追加したばかりじゃないですか!?」

 

もはやこの二人には関係ないのだが。

 

後ろから迫ってくる桃色の魔力弾から逃げながら、後ろにいるなのはさんに怒鳴る。

 

なのは「当たらない君が悪い!」

カズマ「なんだあの人」

 

曲がり角を曲がる際、「出てきた魔力弾」を一振りで二個消し飛ばす。

 

カズマ「(とんでもないな、本当に「30」個の魔力弾を操りきってやがる)」

 

何となのはさんは、「散らばして」俺を追尾させている、「並列思考(マルチタスク)」ってか。

 

カズマ「よっ!」

 

すぐ脇の生垣に跳び移り、そのまま屋根に跳び上がる。

 

なのは「そこ!」

 

なのはさんがすかさず、愛機「レイジングハート」を振るうと。俺を追いかけてきた13個のうち、4つスピードをあげ、空中にいる俺を狙う。

 

カズマ「っ!」

 

真っ正面の一つを鉄筋で打ち払い。身を捻り右側に来たのを横に一閃し消し飛ばす。左側から来たのを

 

カズマ「そい!」

 

鉄筋を屋根上に突き刺し、片手で鉄筋を掴んだまま、鉄筋に身を引き寄せてかわし、刺さった鉄筋を引き抜き、前方に転がり最後の一つをかわす。

 

なのは「なに今の動き!?カズマ君本当に一般人!?」

カズマ「なに今の攻め!?これって本当に訓練!?」

なのは「教導だって常に全力全開だよ!」

カズマ「あんたの場合は「鬼畜全開」だわ!」

 

そんなやりとりをしつつ、一回撒くため、「あっちこっちから感じる視線の一つ」を確認し散らばった屋根瓦の破片を「ソレ」に向かって蹴り飛ばす。

 

ーーーーそして、下ろす足に力をこめ、地面に振り下ろし、一瞬力をため、跳んだ。

 

なのは「消えた!?ーーーレイジングハート!」

レイジングハート『追尾サーチャー確認ーーー確認なし、又、サーチャー「3」番の反応ロスト』

なのは「はい!?」

 

珍しく聞こえるなのはさんの驚愕の声、俺は空中に浮かぶ電子モニターをチラッと見る。

 

ーーーー残り2分18秒

 

そうきるされていた。

 

カズマ「・・・・(気づくまで10秒弱・・・だな)」

 

足下の石ころを4つほど拾う。

 

カズマ「エリオ、錯乱作戦ってのを見せてやる」

 

そう言って、右腕を振りかぶった。

ーーーーーーー

 

 

なのは「・・・(多分隠れたのは、壊されたサーチャーが監視してた区画・・・、なら砲撃で炙りだす!)」

 

もはや、訓練と言う行いを忘れているこの方、目が爛々と輝いております。

 

なのは「よし、レイジングハート!ーーーー」

レイジング『マスター!』

なのは「っ!?シールド!」

 

レイジングハートからの警告、刹那背後からの接敵警報、確認する暇もなく、シールドを2枚重ねはった

 

ガガガ!

 

螺旋回転しながらシールドを攻め立てるソレはーーー

 

なのは「ーーーっ!(石ころ!?)」

 

先程カズマが拾った石ころだった

 

なのは「(なんで!反対側から「ズガアアアアン!」

 

状況を把握しようと高速回転させた頭で思考するも聞こえた破壊音で中断させられた

 

なのは「!今度は第5区画!?何が・・・いったい・・・「ピシッ」!?っく・・・リリース!」

 

一枚目がヒビ入ったことでこのままでは不味いと判断したなのははすぐさま解除、と同時に後方に飛ぶ

 

なのは「・・・・(そうか、この錯乱作戦は・・・)」

なのは「・・・・なら次はそこ!ディバイイン!

 

ーーーーバスタアァ!」

 

カズマの作戦を把握し、そこから行動を予測

 

自らの十八番を第3区画に放った。

 

ドゴオォォォ!

 

消し飛ばされていく住宅街、すぐさま第二砲撃をチャージ、杖の先をカズマがいると思われる場所に向ける

 

視線の先「50メートル」程の位置に土煙から人影が跳び出すのが見えた。

 

なのは「(かわされた!)レイジングハート!第二射行くよ!」

レイジングハート『ディバインバスター』

 

チャージを短縮しタイムラグ皆無で打ち出された桃色の砲撃は、真っ直ぐ「抜刀」の構えをしているカズマに向かっていきーーー

 

カズマ「ハアアアアア!!」

 

ーーー途中から半分に割かれ始めた

 

なのは「ええええ!?」

 

ーーーーーー

 

カズマ「ハアアアアア!」

 

眼前に迫りくる、人一人容易く飲み込むであろう桃色レーザーを抜刀による勢いと「気」を流し込み迎え撃つ。

 

カズマ「(・・・・頭も相当キレるときた・・・それにこの砲撃・・・・)」

 

ーーーー重い!

 

鉄筋はすでにネジ曲がり、何とか押し戻している状態である。

 

カズマ「・・・・まじか、まだ出してら・・・こうなるんだったら開始直後に潰しに突っ込むんだった・・・」

 

カズマ「っ!!らぁ!」

 

鉄筋を棄て、道路を踏み込みなのはさんに向けて突き進む。

 

なのは「!しまっ(被弾場所に気をとられ過ぎた!)」

カズマ「チェックメイーーーー」

 

直後背後に悪寒を感じ、その場で宙返りをする

 

カズマ「(っ忘れてた!)」

 

通りすぎたのは魔力弾、アクセルシューターだった!

 

カズマ「(・・・・あー)」

 

電子モニターには「残り0分03秒」と書かれていた。

 

ーーーーーーーー

 

なのは「くぅやしいぃぃぃ!」

カズマ「・・・・・ってか、これ「回避訓練」ですよね?」

なのは「ん?回避してたでしょ?」

カズマ「いやぁ・・・マジで何言ってるんですか?これはどっちかと言うと。教導官「の」殲滅訓練ですよね?ジェノサイドですよね?」

なのは「ちょっと何いってるか・・・・分からないな☆(テヘペロ)」

カズマ「もうやだこの人・・・」

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

・・・・気持ちいい程に静かだな・・・

 

ティアナ「いや、なのはさんを追い詰めておいてそこまで余裕があるあんたが可笑しいのよ・・・」

 

静まりきった空気の中、ティアナさんが苦笑いしながら切り出した。

 

カズマ「・・・・・そうかな・・・」

ティアナ「そうよ・・・でもまぁ・・・・かっこよかーーー」

スバル「えーでもティア、カズマ君が屋根上で魔力弾かわした時、顔真っ赤にしてたーーー」

ティアナ「スバル顔真っ青じゃない?大丈夫?休憩しないとね?ね?するわね?するわよね?しなさいよ、ついでにOHANASIしましょ?」

 

顔を赤く染めながら言葉を紡ごうとしたティアナさんの台詞をぶったぎって、ニヤニヤしながら言ったスバルさん

 

・・・・「イタタタタタタタ!?」と悲鳴を上げるスバルさんの頭を掴み引きずっていくティアナさん、ふと目が合い口元が動かした

 

ーーーーかっこよかったわよ?ーーー

 

カズマ「そりゃどうも・・・」

 

顔が熱いのを自覚しながら俺はそうかえした。

 

カズマ「・・・・で、他の皆はいつまでに一時停止してんだよ?電源切るぞ?」

ノーヴェ「・・・・まぁ、なんつーか・・・カズマだかんな」

カズマ「なんだそりゃ」

 

遠い目をしているノーヴェさんに苦笑が出る。

 

アインハルト「兄さん、お疲れさまです」

カズマ「あぁ・・・さんざんな目にあった・・・」

アインハルト「・・・とてもかっこよかったです」

 

どこか誇らしげにふわりと笑うアインハルト

 

ルーテシア「なぁに見つめあってるのぉ?アインハルトずるいわよ?」

 

そう言いながら後ろから抱きついてくるルールー

 

ルーテシア「お疲れさまお兄ちゃん!」

カズマ「・・・・おぅ!・・・・でどうしたんだ子供組(+エリオ)は」

 

さっきからずっと震えている。

 

アインハルト「それはですねーーー」

 

直後ヴィヴィオ達の叫びがアスレチックエリアに広がった




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25話

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お風呂の話を今回でまとめたかったのですが、駄作者がまとめる能力がないため、まとめきれませんでした(´・ω・`)

と、とりあえず続きです( ゚∀゚)つ


アスレチックエリア「PM6:30」

 

 

なのは「じゃあ午後の訓練はここまで!」

 

夕日も沈みかけ、月が薄く見えている時間帯、元機動六課の訓練をなのはさんの一言で終えた。

 

4人『お疲れさまでしたー!』

カズマ「はいお疲れさん!明日も気張っていくぞ?今日と同じ時間帯でここに集合、明日からは「市街地に潜む鬼」編だ、次週もヨロシクな?」

なのは「なんでカズマ君がしきってるのかな!?しかも何か慣れてるし!」

フェイト「途中からドラマの次回予告っぽくなってるし・・・

 

俺もあのあと子供組に絡まれて大変だった。

途中から、ルールー以外のメンバー全員、ここを離れて近くの森へと入っていったみたいだ。

 

カズマ「・・・(ま、十中八九組手とかトレーニングだろうけど・・・)」

 

ーーーー

 

そのあと、子供組を迎えにいって(なのはさんとフェイトさんは残って練習の仕上げと言っていた)皆を拾いホテルへ戻ることになった。

 

ティアナ「やっぱりずっとやってたのね?」

アインハルト「すいません・・・その皆さんの訓練見てたらウズウズしてきちゃって・・・」

コロナ「あはは・・・あたしもです・・」

 

どこか恥ずかしそうに言う二人にヴィヴィオとリオはウンウンと頷いていた。

 

ノーヴェ「アインハルト、ストライクアーツ式のミット打ちもなかなか面白いだろ?」

アインハルト「はい、カイザーアーツとはまた違った感覚で、なかなか良い練習になりました」

ヴィヴィオ「カズマさんはどんな感じでした?」

 

子供組が思い思いに感想を言っていると、ヴィヴィオが俺に聞いてきた。

 

カズマ「俺か?普通に救助訓練やって・・・・」

ノーヴェ「屋上からあたし抱えて飛び降りたと思ったら、ビルの壁走って降りといて?」

カズマ「後は敵側と管理局側に別れて、物資(ダミー)の護送任務を想定しての工房訓練かな?」

ノーヴェ「敵側になのはさんとフェイトさんとカズマがいて、一瞬で終わったあげくまたあたしを抱えて飛び出したあれか・・・」

 

恥ずかしくなったのか、悔しそうに顔を赤く染めるノーヴェさん、いや救助要請者とか、人質も必要かと思って。・・・・

 

ルーテシア「あたしがあそこでパーを出してれば・・・」

ノーヴェ「まてお嬢、何でそこであたしを見る?」

 

ティアナ「あんなの勝てっこないわよ・・・」

スバル「「エース・オブ・エース」級が3人・・・は、ははは・・・よく30秒持ったな・・・」

 

遠い目をして二人で笑い合うティアナさんとスバルさん・・・

 

リオ「でもカズマさんすごかったね!ヴィヴィオのお母さんとの訓練!最後のあれよく避けましたね!」

ヴィヴィオ「背中に目がついている見たいでした!」

カズマ「・・・あれは本能に身を委ねただけさ、皆もたまにあるだろ?体が勝手に動くってこと」

 

「確かに・・・」と頷き合うみんな

 

カズマ「どっちみち一日目がやっと終わったぁ!」

 

体を伸ばしなからいうカズマに笑う皆

 

ルーテシア「おっと?お兄ちゃん、楽しみはこれからだよ?

 

ーーーホテルアルピーノ名物天然温泉大浴場が待ってます!」

カズマ「掘ったのか!?源泉を!?」

ルーテシア「掘り当ててやりました!」

カズマ「よくやった!ルールー!」

 

万能な妹だよ、兄の威厳(笑)から兄の威厳(滅)になっちゃうよ、って消えちゃうのかよ。

 

ルーテシア「えへへ・・・」

 

思わず頭を撫でると嬉しそうに目を細めるルーテシア

 

アインハルト「・・・・・・・・・」

ティアナ「・・・・・・・・」

ヴィヴィオ「ひ!?アインハルトさん!?目が!目が光ってない!歯ぎしり凄いよ!?」

スバル「て、ティアナ?相手は子供だから、ね?歯ぎしり抑えて・・・どうどうどう・・・」

ティアナ「あ?」

スバル「すいませんっしたぁ!」

 

悔しさと羨ましさのあまり、歯ぎしりを鳴らせるアインハルトとティアナ、すぐさま相棒と友達が抑えにかかるがあまりの怖さに涙目になる模様。

 

エリオ「あ!カズマさん僕が背中流しますよ!」

カズマ「まじ?じゃあエリオの髪洗ってやるよ」

 

笑顔で約束し合う男たちに更に、負の感情を大きくするティアナとアインハルト

 

ルーテシア「あ♪因みに11時以降はーーー

 

ーーーー混浴タイムだからね♪ちゃんと混浴ようの水着もあるから!お兄ちゃん!一緒に入ろうよ!」

アインハルト、ティアナ「なっ!?」

 

驚愕に目を見開く二人

 

カズマ「いいよ・・・ん?どしたアインハルト、ティアナさん!・・・良かったら一緒に入る?・・・なんちーーー」

アインハルト「是非!」

ティアナ「勿論よ!」

 

その様子を苦笑を浮かべながら見ているエリキャロと目を輝かせ「キャー!」と騒いでる三人娘

 

カズマはまさか混浴で入るとは思ってなかったのか、少し気恥ずかしそうな顔をしながら「分かった」と言った。

 

ーーーーこうしてホテルアルピーノへと足を進めて行く一行だった。

 

ーーーホテルアルピーノ「フロント」

 

ルーテシア「たっだいまぁ♪」

メガーヌ「あら♪お帰りなさい」

 

フロントにつくと、この時間に帰ってくるのが分かっていたのか、メガーヌさんが待っていた。

 

メガーヌ「皆もお帰りなさい♪」

『ただいま!』

カズマ「た、ただいま・・・」

 

皆に合わせて大声で返そうとするが、失敗するはずい。

 

クライ「お、帰ってきたか、おかえりさん」

カズマ「・・・・・・」

ヴィヴィオ「ただいまクライさん!」

エリオ「あ、晩御飯の準備ですか?手伝います!」

クライ「はは!ありがとよ、でもせめて訓練で汚れた体を洗ってきな」

 

エリオは「あ・・・」といって自分の体を見回した。

 

カズマ「・・・・・・」

 

ーーー母さんただいま!父さんは?

 

ーーー分かった!じゃあとっこうしてくる!父さん覚悟ぉ!

 

カズマ「・・・・(誰かが待っている場所へ帰ってくるのって・・・・・「やっぱり」いいな)」

 

皆が笑ってるなか、俺も笑った。

 

クライ「・・・カズマ?どうかしたか?変だぞ、顔が」

カズマ「クライさんも相変わらず怖いな、顔が」

クライ「しょうがないじゃねぇか!生まれつきなんだよ!」

カズマ「安心しろ、どれだけ人の差が生まれても還るべき場所は皆ひとつさ」

クライ「一緒に還るか?土に」

カズマ「土じゃない、カズマだ」

クライ「意味わかんねぇよ!?」

 

俺とクライさんのやり取りに皆もまた笑う。・・・何かいいなこういうの・・・

 

カズマ「(・・・・・そういや、そろそろだな「墓参り」)」

 

ーーー報告しなくちゃいけない事がいっぱい増えたよ、父さん母さん

 

笑いに包まれる皆を見て口元を緩めながらそう思った。

 

カズマ「?(奥に誰かいるのか?)」

 

ふと感じた気配。クライさんに聞こうとして。

 

クライ「っ!さ!カズマ、エリオ!野郎同士で風呂入ろうぜ!」

エリオ「はい!」

カズマ「・・・・ま、いっか」

 

何かはぐらかされた感じだが、サプライズ的な何かだろう、それにクライさんとメガーヌさんなら安心だ。

 

ーーーー

 

ティアナ「・・・・・・」

 

クライさんに連れていかれたカズマを見る私にキャロが声をかけた。

 

キャロ「ティアナさん、どうしたんですか?」

ティアナ「え?・・・ううん何でもないわ、私たちも入りに行きましょ?ルーテシア案内お願いしていい?」

 

ルーテシアは「あったしに任せなさぁい!」と言って何処から出したのか、旅行ツアー等でガイドさんが持っている白い旗を取りだし皆を先導した。元気に振る舞ってる彼女だけど、チラチラと男湯(があると思われる方向)に目を向けている。アインハルトもヴィヴィオ達と楽しそうにはなしているが、やはり先程のカズマの「表情」を気にしているみたいだ。

 

ティアナ「・・・(やっぱり気になるんだ・・)」

 

何故か対抗心が生まれるが反対に嬉しさも湧いてくる。

 

ティアナ「・・・お酒飲んで混浴入ろうかしら?」

アインハルト「ナニをする気ですか!?ティアナさんは!? 」

ティアナ「え?・・・・・あ、ああ!ち、ちちちがうわよ!ちょっと勢いを付けないとってーーー」

アインハルト「勢い!?に、兄さんの純血が・・・」

ルーテシア「・・・・・不味いわね?いくら兄さんが恋愛経験のない奥手な人だとしてもこの人のボディに迫られたら・・・」

ティアナ「だあああ!どうすればこのブラコンどもに理解してもらえるのかしら!スバエモーン!何とかしなさいよ!」

スバル「・・・・顔を真っ赤にして否定しても・・・ねぇ?」

 

無条件でにやけているスバルみぞおちにてぃあなちゃんパンチを打ち込んだあたしを誰が攻められようか。

 

・・・カズマ、私は貴方の事がもっと知りたい。このブラコン達も、子供達も、「あの子」も、きっと貴方に関わった人皆そう思ってる。

 

ティアナ「・・・・・・(カズマ、待ってるから)」

 

ヴィヴィオ「こ、これはもしかして「大人」の会話をしてるのでは・・・!?」

コロナ「はわわ・・・」

リオ「何か・・・聞きたいけど、聞いちゃいけないような・・・・」

ルーテシア「ごにょごにょごにょごにょ・・・・・・」

 

三人娘『はわわわわわ!?///////』

 

ノーヴェ「何をやっとるんだ・・・・」

スバル「うごぉぉぉぉぉ・・・・」

 

待ってるから、今すぐ助けて(涙)




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26話

では続きです!


ホテルアルピーノ「1F外天然温泉露天風呂大浴場」

 

あのあとクライさんに案内された。俺たちはすぐに脱衣場で服を脱ぎ、腰にタオルを巻く。おっと、タオルの中身は見せられないぜ(殴

 

エリオ「・・・・・・・・」

カズマ「ん?どしたエリオ?てっきりクライさんから聞いていて驚かないかと思ってたんだが・・・」

 

俺の背中をみて凍りついたように固まっているエリオに話しかける。

 

クライ「・・・・・・」

エリオ「え、えーと!た、確かにそうなんですが・・・・そ、その・・・想像以上立ったと言いますか・・・」

 

心なしか青ざめているエリオに安心させるため、頭を撫でてやる。

 

エリオ「カズマさん・・・」

カズマ「気にすんな・・・っていっても難しいかもな」

 

苦笑するカズマ、その背中には

 

ーーー右肩から左脇腹下までバッサリ斬られた跡と、背中の部分に4発クライの銃痕があった。

 

エリオ「・・・・・痛かった・・・・ですか?」

カズマ「そりゃ痛かったさ、本当に死ぬかと思った」

 

ーーー助けた子供に撃たれ、その親に斬られた・・・とは流石に言えなかった。

 

カズマ「これは戒め・・・なんだろうな、当時の考えなしに助けて自己満足に浸っていた俺の」

クライ「そりゃ・・・・お前・・・」

カズマ「分かってるさ、こんなもの残しても何もならない、結局それすらも自己満足にすら見えてくる。」

エリオ「・・・・・」

 

ーーーーでも、それでも

 

カズマ「俺は欲しかったんだよ自分だって、こんな傷をおってまで誰かを助けられた。救うことができる人間だって証明がさ・・・なんだ、泣くなよエリオ・・・」

エリオ「・・・・泣いてません、昼間飲みすぎたジュースが水分と糖分で分解して、水だけが出てきてるんです。」

カズマ「どういうことだってばよ」

 

エリオが泣いていた事に軽く動揺しつつ、苦笑いする

 

クライ「・・・悪いなカズマ」

カズマ「いいよ別に・・・最近ある人に言われたんだ「お前が思ってるより周りはお前の事を見てる 」って」

クライ「・・・・そうだ、俺の親友だからな、そりゃ見るさ」

カズマ「気持ち悪っ!?」

クライ「ぶっとばすぞ!?」

 

エリオはそのやり取りに笑った

 

エリオ「クライさんとカズマさんの事もっと聞かせてくれませんか?」

カズマ「おうとも!風呂に浸かりながらクライの珍事件、武勇伝、伝説話を紐解こうじゃないか!」

クライ「・・・・まぁいっか、でもカズマ、それ全部事の発端お前だからな?」

カズマ「・・・・細かいことは湯船に沈めとけ」

クライ「沈めねぇよ!?」

 

笑いながら大浴場に入っていく二人を追って、隣に並ぶエリオ

 

エリオ「(・・・・この人達と出合えてほんとに良かった)」

 

自分に兄がいたらこんな感じなんだろうかてカズマとクライを見てエリオはまた微笑んだ。

 

ーーーーー

 

カズマ「でさ、たまたま通りかかったクライさんが「あ?」ってコンビニ強盗してた奴に言ったんだよ、そしたらそいつ「ぴゃぎいぃぃぃ!?」っていって逃げ出したんだぜ?」

クライ「まて、それは違う、コンビニ強盗にいきあってめんどくさそうな顔していたお前がたまたま通りかかった俺を見て「撃つぞ!」って怒鳴ってるそいつを無視して店の外まで出てきて俺を中に引きずり込んだんだろうが」

カズマ「・・・・でさぁ!」

クライ「露骨な話題転換やめれ」

エリオ「そんなことがあったんですか・・・なんというか二人とも凄いですね!」

 

大浴場に浸かりながら話し込んでる3人、基本的にカズマとクライが話しているが、時折エリオも自分の事を話している。

 

エリオ「お二人はどんな出会いだったんですか?」

クライ「・・・ちょっとカズマに聞かれんのは恥ずかしいから、風呂でて飯食ったら話すか・・・・ん、カズマ?おーい!なにしてんだ?そんなところで突っ立って」

 

ふと隣に親友が居ないことに気付いたクライは辺りを見渡すと温泉がある枠から二つほどはなれている端っこの温泉でたっていた。

 

クライ「カズマぁ?なに・・・・して・・・・」

 

クライはその温泉の説明欄を見て固まっ・・・いな、凍りついた。

 

ーーーー焼酎風呂(比率6(水):4(酒)冷えた体を醒ますのに最適です。20越えてない方は我慢してね(はぁと)

 

ホテルアルピーノ管理人、メガーヌ・アルピーノーーー

 

クライ「(め・・・め・・・)」

 

頭によぎる悪夢

 

ーーーねぇ?どうしてワンちゃんっておしっこするとき片足あげるの?

 

ーーーねぇねぇ!アリス「ママ」ぁ、お昼寝しよっ♪

 

この男、カズマ=ツユクサは酒が入りすぎるとーーー

 

クライ「(メガーヌさんんんんん!?)」

 

ーーー幼児化(精神が)する程、お酒に弱かった

 

エリオ「カズマさん?どうしたんでーーー」

カズマ「あ!えりおお兄ちゃん!」

エリオ「」

 

固まったエリオが「ぎぎぎ」とクライさんの方に顔を向ける

 

クライ「・・・エリオ、30分だ、どういうわけか30分ああなると気絶する・・・耐えるぞ?・・・皆の為に、あいつの社会的秩序を守るために」

エリオ「・・・・はいっ!」

 

容赦なきカズマの蹂躙が、今始まった

 

クライ「・・・・(・・・・ん?)」

 

視界の端、位置的に女湯の方から水しぶきと人影が吹き飛ぶのを捉えながら。

 

エリオ「うわああぁああ!」

カズマ「おすもうさんごっこ?よぉし!僕つよいぞぉ♪」

クライ「エリオオオオオオォォォ!!!」

 

そんなこと気にする余裕など彼らにはなかったが・・・

 

ーーーー

 

一方ーーー

 

スバル「もー!駄目だよセイン、こういうイタズラは!」

 

女湯の風呂の外にあるタイルの上で水着を着た水色の髪の毛の女性が正座していて、どういうわけかノーヴェとスバル、ティアナが説教していた。

 

女性ーーセインは 今回の合宿に差し入れとして野菜を運んできてくれた「聖王協会」の修道騎士見習いで、本来なら、運んだのち、すぐ帰る訳だったのだが・・・皆にサプライズアタックを仕掛けて、「皆も私もハッピッピー」な気分で帰るつもりだったらしい。

 

しかしそのいたずらかちょっと不味かったのか、締めに活発だけど実はシャイガールなリオの技によって吹き飛ばされてエンドロールが流れる始末である。

 

ルーテシア「私が営業妨害で訴えたら捕まるしね」

セイン「うぐっ!」

ノーヴェ「まったく、こんなのがあたしより年上かと思うと、涙が出てくるわ」

セイン「う・・・ぐぐ・・・」

 

もと仲間からめえげつないコメントをもらうセインの精神は・・・

 

セイン「なんだよ~!ちょっと皆を(ついでにあたしも)楽しませようと思っただけじゃんかよぉ~‼」

 

最初から最後までクライマックスだった

 

ぽかーんとしている皆をよそに彼女の懺悔(と名ばかりの言い訳)が苛烈を極める。

 

セイン「ケガとかしないようにちゃんと気を付けてたっつーの!これでも聖王協会のシスター(見習い)だぞ~!」

セイン「お前ら楽しそうなのにあたしだけ差し入れ渡したらすぐ帰るとか切なすぎるじゃんかよぉ~!」

 

そしてピッとスバル達を指差し、涙目ながらも無実を訴えかけるように口を開いた

 

セイン「自慢じゃねーがあたしはお前らほど精神的に大人じゃーないんだからな!?」

ノーヴェ「ぷげら」

セイン「うわああああぁあ!!」

 

断罪☆

 

ーーー

 

セイン「そのごめんな?ちょっと調子に乗りすぎた」

リオ「あたしこそごめんなさい!思い切りやっちゃって・・・・」

 

リオに謝り、それを許すリオ、何だかんだで素直なセインに皆微笑む

 

ーーー場の空気がほんわかになりかけ

 

カズマ『もーおわりぃ?じゃあじゃあ!こんどは鬼ごっこしよ♪僕が鬼やるから、ふたりはにげてね!あ、おんせんからにげちゃだめだぞぉ!?じゃあ行くよ?ーーーすたーと☆』

二人『10秒どこ行ったぁあ!?』

 

・・・・・・・・・・・・

 

『・・・・・・・・・』

 

突然聞こえた聞きなれた声と聞きなれた声があげた悲鳴にその場の皆が思わずそちらーーー男湯を見る。

 

ノーヴェ「何があったんだ?」

 

ノーヴェの疑問に答える人は居なかった。

 

 




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邂逅ーークライ編(前編)

では、過去話です!


・・・ほんとに大変だった。何とか奴を浴場から出さずに収める事ができた。

 

クライ「エリオ・・・大丈夫か?」

エリオ「・・・まだ体のあちこちが痛いです、なのはさんの訓練と同等レベルです・・・」

 

・・・そりゃ・・・そっか

 

ーーー

 

カズマ「えい!」

エリオ「ぐわあぁぁあ!」

クライ「エリオオオオオオォォォ!」

 

相撲で吹き飛ばされて

 

カズマ「すたーと☆」

二人『10秒どこ行ったぁ!?』

エリオ「ってはやっ!?ちょうわああああぁあ!?」

クライ「エリオオオオオオォォォ!」

 

鬼ごっこでタッチのつもりか子供だからか加減を知らずそのまま浴槽へダイブして

 

カズマ「叩いて守ってジャンケンポン!」グー

エリオ「しまっ!?」チョキ

カズマ「えい!」

エリオ「うわああぁああ!」

クライ「エリオオオオオオォォォ!?」

 

ーーーー

 

エリオ「ぼ、僕達ほんとに・・・・生きて帰ってこれたんですね・・・」

クライ「あぁ!自由をつかみとったんだ!俺たちは!」

エリオ「よっしゃあああ!」

クライ「自由だああああ!」

 

・・・・・・・・

 

あのあと気絶したカズマをソファーで寝かせて(無造作に)

迫り来る質問全てを悉く回避しセインの嬢ちゃんと俺で作った晩ごはんを作り。食べ終えて、今日の残り時間を思い思いに過ごしている。

 

エントランスホールにあるテーブルに座り、エリオと相対する。

 

クライ「・・・で、俺とアイツの出会いだっけか?」

エリオ「はい!」

 

まったくこんな話でも目を輝かせやがって・・・

 

ルーテシア「あれ?クライさん、エリオ、何してるの?」

ヴィヴィオ「もしかしてクライさんたちも出会い話の会ですか?」

クライ「あぁ、アイツ意外とシャイだからな、多分待ってたらいつになるか分からん」

 

そう言うと、ルーテシアの嬢ちゃん達は色めきたち

 

アインハルト「あ、あのよろしければ私達もご一緒してもよろしいでしょうか?聞きたいです・・・」

クライ「あぁいいよ、代わりに聞かせてくれよ嬢ちゃん達とアイツとの出会いを」

コロナ「やた♪」

 

わいわいと席につく嬢ちゃん達。

 

・・・・じゃあ始めますか

 

ーーーーーーー

 

俺とアリス・・・あぁ、奥さんな?学生時代からの付き合いでな、告白してOK貰って、27の頃に結婚して、しばらく会社員をやっていたんだが、あ、営業は無理だからもっぱら電話対応とか事務関係の仕事だ。

 

・・・でまぁ、順風満帆だったんだが妻との時間がないのが気がかりでな。

 

そんなとき、俺の両親が経営してた喫茶店で・・・あぁそうだアインハルトの嬢ちゃん、喫茶店ビーナスだ。

 

やってみないかって言われて、34の頃に会社辞めて退職金貰ってそれ資金にして喫茶店経営始めたんだ、最初は大変だったんだぜ?衛生が、とか、食材とかコーヒーや茶葉の取り寄せとか、何よりこの顔だからな・・・

 

でも、もともと知ってる顔が集まる住宅街だったから意外と普通に回るようになったんだ。

 

今からちょうど、7ヶ月ぐらい前かな?

 

ーーーー

 

クライ「婦女誘拐事件?」

「はい、何か最近女性に性的暴行をしてる集団がいるらしくて・・・ニュースにもなってましたよ?アリスさんも気を付けてた方がいいですよ?」

アリス「こんなオバサンこの人ぐらいしか相手にしてくれないから大丈夫よ?」

二人『いやいやいやいやいや!?』

 

何をいってんだ!冗談抜きで35には見えないぞ!20代と言われても信じるわ!

 

クライ「・・・・でも、危ないな、アリス本当に気を付けてくれよ?」

アリス「はいはい♪」

 

本当に不安で仕方なかった。

 

そんなある日、買い出しに行って店に帰ってくると、中から話し声が聞こえてきた

 

「・・・・なぁ奥さん、諦めなって言ってるだろ?あんたさえついてきてくれれば、この店には何もしないって、俺らもひでぇことしたくないからさ!正直言うとお偉いさんに目をつけられた時点で詰んでるんだって」

「あぁ、あの人は弱者にほんとに容赦ないからな、ま、ちょっと俺らに「遊ばせてくれたら 」ちゃんと口添えするからさ!な?慰謝料がわりにたんまり金が入るんだし・・・旦那も喜ぶんじゃないか?」

 

・・・そんなげすな会話を聞いて俺はいてもたってもいられずドアを蹴破り入った。

 

クライ「てめぇらぁ!!なにしてんだごらぁ!」

「ひぃ!?な、なんだコイツ!?何処の組だぁ!?」

 

そんな情けない声を無視して、アリスの元へと駆け寄る

 

アリス「あ・・・あなた・・・」

 

アリスは体中震わせていた、涙もとめどなくあふれ、絶望に身を震わせる始末・・・

 

そこで気付いた、近くには怯えてへたりこむ女の子のバイト、殴られまくったのか顔がひどいことになってる、俺達に事件を教えてくれた男のバイト

 

クライ「・・・・・・なんだ・・・・これ」

 

客も一人もいない、一番来る時間帯のお昼なのに

 

クライ「なんだよ・・・・なんだよこれ!」

 

思わず怒鳴ってしまう。

 

「っ・・・・今回は失礼する・・・・だが、奥さん分かってるよな?」

アリス「っ・・・・・」

クライ「黙れ・・・・・」

「ーーーーどうすればこの店も、バイトも旦那も護れるか、なぁ?そうだろ奥さーーー」

クライ「黙れっていってんだろうがぁぁあ!」

 

構わず、男の顔面を殴り飛ばす。

 

「ぶぶぅ!!」

 

ガッシャァンと大きい音をたてて、吹き飛びテーブルごと倒れる男。

 

「ーーーっつぅ・・・・てめぇ!」

「おい!」

「・・・・・ッチ・・・・覚えてろよてめぇら・・・」

 

憎々しげに睨む男達が去っていったのを確認すると、思わず腰から力が抜け、へたりこむ、フゥ・・・フゥと息があれ、震える。

 

アリス「あ・・・た、あなた!あなたぁ!!うわああぁぁぁん!!」

 

そんな俺へと抱きつき、何かが決壊したかのように泣き出したアリスに俺はただただ落ち着かせる為に、頭を撫でるしかなかった

 

ーーーー

 

気が動転して、上手くしゃべれない妻の代わりに女の子が事の顛末を教えてくれた。

 

ーー時空管理局上層部のお偉いさんが、妻に目をつけ、お抱えの誘拐集団に命じ、住居やここの住所まで調べをつけやって来たらしい。

 

婦女誘拐事件はかなり根強く闇がまとわりついていた

 

クライ「・・・・・くそが・・・・・」

 

ーー断れば、近隣住民や近しい人果てまでは親にまで危害を加えるかもしれない。

 

クライ「なんで・・・なんでなんだよ・・・・」

 

ーー失敗すると俺達が危ない、助けると思って諦めて欲しい

 

クライ「なんでだあああああああ!!」

 

四方八方塞がりな俺は叫ぶしかなかった。管理局に助けを求める手段がなかった。

 

ーーーー

 

その後、店はしばらく休みにした、泣いて謝る男のバイトにも、震えている女の子にもバイト代に迷惑量も上乗せして渡した。彼らも黙って帰るしかなかった。

 

アリス「・・・私、行くわ」

クライ「!?何を・・・なにいってんだよ?アリス・・・?そんなこと言うなよ、言わないでくれよ!」

アリス「だって!このままじゃめちゃくちゃになっちゃう・・・・めちゃくちゃにされちゃう・・・私、そんなの・・・・無理、耐えられない!」

クライ「大丈夫だから!そんなこと起きない!起こさせないから!だから・・・だから離れるなんて言わないでくれ・・・店なんかどうでもいい!周りになにされようと構わない!アリスが居てくれれば・・・・それでいいんだよぉ・・・」

 

また泣き出したアリスの声を聞いて、俺は何がなんでも・・・・この騒ぎを終わらせる、そう決意した。

 

ーーーー

 

翌日、喫茶店の中が、外見がめちゃくちゃにされていた。

 

クライ「・・・・・・・・・・」

アリス「・・・・・・・・・・」

 

ただ立ち尽くしてる俺達に

 

「やだ・・・暴力団だって・・・あの店がそうだったなんて・・・行きつけだったのに・・・・」

「何も、資金を盗んで逃げてきて、それ関係のトラブルらしいわよ?・・・あんな怖い人達が町中にいたら気が気じゃないわ・・・

 

ーーー出てってくれないかしら」

 

ーーーーーー

 

アリス「あなた!」

クライ「っ!・・・・・わがっでる・・・」

 

怒鳴り込みに行きそうだった俺を止めてくれた妻に俺は口をギリッと食い縛り耐える事しかできなかった。

 

しばらくそんなことが続いたある日。

 

アリス「・・・・・・・・・・」

 

ガタンっ!

 

電話に出ていた。アリスが震えながら、固定電話の受話器を落とした

 

クライ「どうしたアリス!なに・・・が・・・」

 

アリスはただ震えながら、呆然と言った。

 

ーーーお父さんが・・・・病院に搬送されたって・・・意識不明だって・・・

 

・・・時が止まった感覚に陥った。

 

ーーーー翌日、妻が家に居なかった。




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邂逅ーークライ編(後編)

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では続きをどぞ!


俺はいてもたってもいられず町中を探し回った。

何度も最愛の妻の名前を叫びながら、走り回り転んでも構わず、叫び、走り続けた。

 

「クラナガン中央区市街地」PM6:40

 

クライ「ど・・・・・こ・・・だ・・・りす」

 

限界だった、あちこち擦り傷だらけで、声も枯れはて、叫び続けたせいか頭もぼーとしていた。

 

俺が路地裏に続く道を横切ろうとしたときだ。

 

クライ「ーーーーっう!?」

 

何かに引っ張られ、なすすべもなく路地裏に引きずりこまれた、直後頬に走る、強烈な痛みと衝撃に耐えきれなく建物の壁へぶつかった。

 

クライ「がっ!・・・・」

「よぉ、数日振りだ・・・なぁ!」

 

どがっと腹にめり込む足、加減をしてないのかミシリと嫌な音が聞こえた。

 

クライ「っぅ・・・・あ・・・」

「おいおい!満身創痍じゃねぇか!そんなんで奥さん探せんのかよ!」

 

笑いながらそういう男達、一人じゃなく、3人いた。

 

クライ「!アリスを・・・アリスをどこにやったぁ・・・」

「っ・・・うっぜぇ!」

クライ「ぐ・・・・あ・・・・」

「・・・お前の奥さんなら、今頃ーーー

 

ーーーお偉いさんに可愛がって貰ってるんじゃねぇか?」

クライ「ーー!っがあ・・・」

 

殺したいと思った。でも何より・・・

 

「は!なんだコイツ!泣いてやがんぞ!男の癖になっさけねぇなぁ!」

「ほんとだ、はっはぁ!こりゃいいや!ヤクザ顔の男のきったねぇ泣きっ面!」

 

ーーー妻がひどい目にあっても、何も出来ない俺、死にたいって思った。

 

「写メとぉろっと!」

「あ、俺も俺も!」

 

ーーー護るって決めたのに・・・

 

クライ「(どうして・・・この体は・・・動いてくれないんだ)」

 

カシャカシャと音が響くなか、俺はやつらを睨もうとして

 

ーーー自販機が目の前の男達を一掃する光景を見た。

 

クライ「ーーーーは?」

?「おー!いい写メゲット!暴力団組員による、善良な一般市民を虐げてる写真、ティアナさんなら、いくらで買ってくれるかな?」

 

別の男の声がした、そちらを向くと、一人の男がたっていた。

 

クライ「(・・・・黒髪?)」

 

珍しい、と場違いな事を思った。

 

黒髪、黒目、上下とも黒で真っ黒クロスケだった・・・そんな彼は不敵な笑みを浮かべて

 

ーーーーその目は酷く冷たいものだった

 

?「おい、あんた大丈夫か?待ってろ今すぐ救急ーーーー」

クライ「おれの・・・・事はいい・・・逃げろ、あんたがなにものかしらな・・・いが、コイツらにめぇ・・・つけられた・・・ら」

 

救ってくれた彼には申し訳なかったが、巻き込みたくなくてそう言った。

 

?「・・・・んのアホ!」

クライ「いっ!?」

 

ゴチンと頭に鈍痛が走った。呆然としていると彼は怒鳴った。

 

?「なんだその顔は!?一度奥さんが手元から離れたくらいで!諦めたような顔しやがって!」

クライ「ーーあん、たに"何がわがる!?」

?「知らねぇよ!?だけどあんたが離さないように、奥さんを護るっていったあんたの目は決意に満ち溢れていた!どれだけ周りから罵られようとも、どれだけ意地悪されても・・・どれだけ自分が泣きたくても、あんたは必死に奥さんを元気付けた!なんでそんなあんたがこんな結末を迎えなくちゃならない!ふざけんな!」

 

それはめちゃくちゃな叫びだった、こっちの都合も全く考えない、自分本意の雄叫び・・・でも

 

クライ「なんで・・・なんでアイツがごんな目、に・・・」

 

ーーー私幸せ!あなたと一緒にいるこの喫茶店、大好き!

 

ーーーこの「ビーナス(女神様)」がきっと私達にずっと一緒にいなさいって言ってくれたのよ!

 

クライ「なんで・・・なん・・・で」

?「・・・・・・・・・なぁ

 

 

ーーーあんたが諦めたら、誰がこの店守るんだ?」

クライ「・・・・」

?「悪いとは思ったが、大分前から依頼であんたの店を見張ってた・・・いい店じゃないか、あんたがいて、奥さんがいて、バイトの男の人と軽く漫才して、バイトの女の子が突っ込んで・・・笑うお客さんがいて・・・素敵な店じゃないか・・だから諦めるなんて言うなよ・・・」

クライ「あ、あぁ・・・・」

 

この日、俺は生まれてはじめて初対面の男の前で大声で泣いた、叫んで喉が痛くても、止まってくれなかった

 

ーーーー月が綺麗に輝いていた。

 

ーーーーそれからその男、カズマ=ツユクサは伸びている組員の男を叩き起こし「尋問」して、アリスがいる場所を聞き出し「何故か」待機していた管理局警邏隊の人に話を通し、その車で

 

時空管理局陸軍軍曹「バエガ・サルコ」の自宅屋敷へと足を向いた。

 

屋敷の前で止まった局の車に門番らしき男二人緊張が走る

 

「あ、あのどうなさいましたか?」

「はい、少しばっかり軍曹殿とお話したいことが・・・」

「すいません、主は今立て込んでおりまして・・・後日改めて・・・と主に言われております」

カズマ「・・・・まどろっこしいのは無しにしようや、こちとらわざわざ証拠掴むのに嫌な物見せつけられて、逮捕状が出るまでずっと待機してたんだ、局員でもない只の一般人なのに・・・」

「か、カズマ落ち着いて!いくら本局に話が行ってるからって一般人のお前が危害とか加えたら・・・」

 

カズマはその言葉にむすっとした顔をしてそっぽを向く

 

局員はホッと胸を撫で下ろして、前へ向きなおそうとして

 

カズマ「ってんな分けねぇだろうがあぁぁあ!!」

 

手に持っている石ころを手にして霞むような速さで振り切った。直後

 

ーーがんっ!!

 

「は?」

「は?」

「は?」

クライ「(えええええ!?)

 

投げた石は見事に屋敷の煙突部分を破壊した。

 

「え、ちょっなにし・・・・あぁもう!ティアナさんに怒られても知らないからな!

 

ーーー全員突入!?」

 

すると不思議な事か、辺りの茂みからどんどん局員が出ていく。

 

「わわ!なんでこんなに!」

カズマ「ほら行くぞあんた」

 

呆然としている俺を担ぎ上げ恐ろしいスピード出入口へ走っていく。

 

クライ「お、お・・いドアがしまってーーー」

カズマ「しらん!

 

ーーーこっんばんはぁ!」

 

そう言ってカズマは閉じられたドアを吹き飛ばした!

 

「な、なんだあのガキぃ!?って局員!?なんで・・・」

クライ「・・妻を返して貰うぞ」

 

カズマがまたも不敵に笑った

 

ーーーー

 

「寝室前 」

 

クライ「カズマ・・・た、いじょうぶ、後は一人で歩ける・・・」

カズマ「・・・・・・あいよ」

 

ここまでにいた、奴の部下はカズマが伸ばしてくれた。・・・・後は俺がやらなきゃ。

 

精一杯力を込めて、ドアを蹴破る

 

ズガァン!

 

勢い良く開かれたドアは中にいる人物を驚かせた。

 

「なんじゃ!騒々しい・・・誰だお前は」

 

中にはベットの上で膝だちになる醜く太った男と

 

アリス「・・・・あな・・・・た?」

 

衣服を無惨に破かれ、下着が露出し、体のあちこち、顔にまではたかれた後がありこちらを目に涙を溜めて呆然と見ている最愛の女性がいた。

 

「ほう?あれだけ周りを荒らされようともここにたどりついたか?・・・・・・で?お前に何ができる?力も権力も今となっては信頼もないお前に何ができる!おい!この雑魚を摘まみ出せ!」

『おい!この雑魚を摘まみ出せ!』

 

 

「・・・・・・は?」

カズマ「・・・なんだこのきったねぇ声?加工音声か?」

「・・・・・なんじゃ、貴様は!」

 

カズマと軍曹のやり取りなど全く聞こえてこなかった、ただアリスだけを見つめて。

 

クライ「・・・・迎えに来た、今日はシチューがいいな」

アリス「ーーーーっ!」

 

アリスの目から涙が零れた。

 

ーーーーー

 

「おのれおのれおのれぇ!あの新米執務官めぇ邪魔しおってぇ!最初から襲わせて屈服させとけば良かったわ!」

クライ「この野郎!!」

「ほぐぅ!?」

 

相手が誰だろうが関係ない、いざとなったら周りに土下座して回ってやる、と言う気持ちでソイツをぶん殴った。

 

「・・・・・・」

クライ「・・・・本当なら殺してやりたいが、ここまでお膳立てしてくれたカズマに免じて許してやる。」

「・・・・・・」

 

軍曹は気絶していた。

 

クライ「・・・・さ、帰ろ」

アリス「あ・・・わわ、私のせいであなたにひどいケガを・・・」

クライ「全く泣き虫だな・・・・気にすんな、愛する女を守ろうとした男の勲章だ」

カズマ「良くいうぜ・・・」

 

後ろをみると、カズマが腕を組んでこちらに苦笑を浮かべていた。

 

クライ「うるさい、終わりよければ全てよし、だろ?」

アリス「あ、あのひとは・・・」

 

見知らぬ男に怯えているのか、裾を掴む手に力が入る。

 

カズマ「・・・・クライさんの奥さん俺はただのあんた達夫婦と喫茶店ビーナスのファンだよ、憧れた人が大変な目にあったら何としてでも、助けたい、それだけさ・・・クライさん、(ボソッ 明日から喫茶店再開って触れ回っておいた、意外と皆喜んでたぜ?店の修繕費もほとんど出してくれたんだ・・・・客待たせてんだろ?早くいってやんな、嫁さんと一緒にな」

クライ「・・・・・・ありがとう」

 

カズマは何も言わず気絶した軍曹を引きずって寝室からでていった。

 

クライ「・・・・・・」

アリス「あな「アリス」」

クライ「帰ろう」

 

そう言って俺はアリスの口にキスを落とした。

 

アリス「・・・・・はい」

 

・・・・・やはり俺の嫁は可愛い

 

 




ちなみに軍曹様はその後半殺し状態で回収されました。
とりあえずクライ編はこれで終わりです!次回からはルールー編です!こちらは原作キャラなだけに御都合主義が大分あるかと思いますが、読んでくれると幸いです。

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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邂逅ーールーテシア編(前編)

はい!御都合主義ワールドが通りますよ~

・・・・

はい!続きです!今回も(前編)(後編)があります!


クライ「ーーーーとまあ、後はちょくちょく交流があって・・・・な」

 

クライの語りが終わり、「な?つまらない話だろ?」と聞こうとして。

 

ヴィヴィオ「う・・・ぅぐ・・・・」

リオ「そんなごどがあっだなんてぇぇぇ!」

コロナ「ふぇぇぇ・・・」

アインハルト「泣ける話・・・スンッ・・・ですね・・・・」

ルーテシア「どうじよう・・・あだしごれからおに"いぢゃんとの話をするのに"いぃぃぃ!」

 

クライ「(えええええぇぇぇ!?)」

 

号泣している女の子に驚愕の表情を浮かべる。

 

クライ「(泣くような話か!?俺としては「情けないキャハハハハ」みたいな展開を望んでたんだか・・・・エリオお前は分かってくれるよな?この堕落した男の笑い話を・・・・)」

 

この男も中々ずれているようである。

 

エリオ「まざか、そんなごとがあったなんてえぇ・・・」

 

顔面鼻水と涙で汚したイケメンがそこにいた。

 

クライ「(お前もかよおぉぉぉ!?)」

スバル「うぅ・・・良かったねアリスさん・・・」

キャロ「はいぃ・・・・お幸せにぃ・・・グライざあぁぁぁん!」

 

・・・・・・・・!?

 

クライ「いつの間に!?え?いつから?」

ティアナ「最初からですよ、クライさん、みずくさいじゃないですか、あたし達を呼ばないなんて・・・・」

クライ「ほっ、ティアナの嬢ちゃんは普通みたいだな・・・、って事はノーヴェの嬢ちゃんも・・・」

ティアナ「あ、ノーヴェならあっちの隅で男泣きしてるわよ」

クライ「・・・・あ、そう」

 

俺が可笑しいのかと自分を疑う、クライ

残念ながらそうであることに疑いはしながらも気づけない模様である。

 

ーーーー

 

しばらくして、皆落ち着いたのを確認してルーテシアが喋り出す。

 

ルーテシア「・・・・ねぇ?明日にしない?ちょっとあの話の後は・・・・」

アインハルト「ルーテシアさん腹をくくりましょ!」

ヴィヴィオ「私も気になる!」

 

他の皆も気になるのかルーテシアに向かって「私も」と連呼している。

 

ルーテシア「・・・・ティアナさぁん」

ティアナ「ごめんあたしも気になる!」

 

頼みの綱のティアナは両手を合わせてウィンクして詫びる。

 

クライ「諦めな」

ルーテシア「今度ビーナスに言ってクライさんの根も葉もない話アリスさんに吹き込みます!」

クライ「なんで俺だけぇ!?」

 

ーーーーーーーー

 

じゃ、じゃあ言うわね?あ、あれは今かr

 

ーーーーーーーー

 

ルーテシア「ムリムリムリムリ!絶対無理!クライさんに申し訳無さすぎる!」

 

即座に切り上がるルーテシアに皆からブーイングが響きわたる。

 

ヴィヴィオ「ルールー!」

ルーテシア「私の話なんてあれよ?クライさんと比べたら〇〇アカの拳の女の子と火ゲヅラが女装した姿で可愛さアピールで勝負するもんよ!?」

アインハルト「ルーテシアさん!

 

ーーー私的には拳よりイヤホンの方がすきです」

ルーテシア「そういう問題!?」

 

駄目だこの子達、早くなんとかしないと・・・

 

そう切実に思うルーテシアだが、皆のこちらを見る(ノーヴェだけ柱の影から見ている)視線に耐えきれず

 

ルーテシア「分かった!分かったから!」

 

ーーーーーー

 

あれは、そうねクライさんの話からちょうど一ヶ月後くらいかな?

 

私達は更生施設でプログラム過程を終えて今の生活を送ってるけど、猶予期間・・・まぁ、執行猶予期間みたいなものね、最低6年、年に一回は本局の更生施設に定期講習を受けに行かなきゃ駄目なんだ。

 

私はその時間が嫌いだった。

 

「関係者」との会話、及び接するのも駄目って言われたからね。ママは「被害者」だったから、無かったし。本当の独りの時間が私は嫌いだった。

 

ルーテシア「・・・・・」

 

周りから感じる視線に体が竦み上がる。最近は明るく振る舞えてきたけど「全くの赤の他人」が相手だと全然駄目だった

 

ルーテシア「 ・・・・・・・」

 

ーーーなぁあのこって

 

ルーテシア「っ!」

 

ーーーあぁ、「あの事件」の加害者の子だろ?

 

周りの好奇の憎悪の驚愕の視線が、何より

 

『・・・・・・・・・』

 

私が歩くと感じるその場所の冷たい雰囲気に、幻聴だと思いたい声が、本物だと私に突きつける。

 

ルーテシア「・・・・(・・・・楽しい事を考えないと)」

 

来年の合宿は誰が来るのかな?今年は楽しかったな、エリキャロは何か進展あったかな?八神家の人達も楽しんでってくれて嬉しいな、アギトにもう一度会いたいな・・・そしたら

 

「皆」との思いで、繋がりがあれば楽しい気持ちになれた。

 

・・・・でも

 

ーーーおい、今笑ってなかったか?

 

・・・・でも

 

ーーーやばくない?何か企んでるんじゃ

 

ルーテシア「・・・・・・・」

 

周りの声が空気が視線が・・・心が

 

ルーテシア「・・・・・(あぁ

 

 

 

 

ーーーーやっぱり私はどこまで言っても次元犯罪者なんだ)」

 

・・・定期講習を受けた後は「一般社会に馴染む為」という名目で一週間はこの地獄に耐えなきゃならない。

 

ルーテシア「(早くマンションに戻って待とう)」

 

自分が待っていれば、「皆」がいる幸せな生活に戻れるから、そして他人の皆も安心して暮らせる・・・そう思うから。

 

私は覇気のない無感動な目のままマンションに戻ろうとして・・・

 

ルーテシア「きゃ!?」

?「わぁ(裏声)!?」

 

誰かとぶつかってしまった。

 

ルーテシア「あ・・・・・(早く、早く謝らなきゃ・・・!)」

 

前にもあった、女の人でぶつかってしまった私を確認すると申し訳ない表情から一転、憎悪に顔を歪め、ヒステリック気味に声をあらげ罵り、「犯罪者が!」と吐き捨てさっていった 。身も凍る思いだった。

 

ルーテシア「(何で震えてるの?はやく、はやく!)」

 

恐怖で口が動かない、俯いた顔をあげられない

 

?「ーーー大丈夫かい?ははっ♪ケガは無さそうだね!(裏声」

ルーテシア「・・・・・・・・〇〇キー?」

 

何故か目の前にはこちらを罵るどころか心配する〇〇キーマウスだった。

 

ルーテシア「ーーっ!だ、大丈夫です!こ、こちらこそーー」

「あ、いたぁ〇〇キー!待てー!」

 

〇〇キーの後ろからこっちに走ってくる6人程の子供

 

?「し、しつこい・・・」

 

〇〇キーね中の人の本音が聞こえて、あまりのアンバランスな声に思わず笑ってしまった。

 

?「・・・・・」

ルーテシア「あ、ごめんなさい・・・」

 

じっと見つめてくる〇〇キーに声が震える。

 

?「君?時間はあるかい(裏声」

ルーテシア「え?・・・・あ、は、はい・・・」

 

思わず答えてしまった声に〇〇キーは満足気味に頷いて

ーーー私を担いだ!

 

ルーテシア「へ?」

?「〇〇〇ニーランドへごしょうたぁい!(裏声」

 

そう言うや否や、ものすごい速さで走りだし

 

ルーテシア「うわわわわ!?」

?「よぉっ(裏声」

 

行きなりビルの壁に向かってジャンプし、壁を蹴って反対側のビルの屋上にむかってジャンプをした。

 

ルーテシア「」

 

ポカーンとする私に〇〇キーは下でこちらを同じくポカーンと見上げている人々に向かって

 

 

 

 

 

?「はっは!見ろ!人がごみのようだ!」

 

〇〇キーの姿であるまじき台詞を投下した。

 

ルーテシア「・・・・・ぷふ!ぷあっはっはっは!何で〇〇キーなのに〇スカなのよ!」

 

思わず大笑いして突っ込んでしまう。いつもならすぐに引っ込めるそれを今は引っ込める事ができなかった

 

・・・・今ならわかるけど、やっぱり私は人との関わりが欲しかったのかもしれない。

 

?「・・・・ったく、ようやく笑いやがったな?」

ルーテシア「え・・・・」

 

恐らく男の人の声に思わずびっくりする。

 

もしかして私の為に?

 

柄にもなくそう答えてしまった。

 

ーーーー

 

その後、ビルの上を跳び跳ねて私が借りているマンションの近くの公園に飛び降りた〇〇キーは一呼吸おいて被り物をとった

 

ルーテシア「黒髪・・・・」

?「ん?まぁそうかこの辺じゃ珍しいよな黒髪って」

 

そうあっけらかんという彼

 

ーーーこれが私とお兄ちゃんの初邂逅だった。

 

 




誤字、指摘等ございましたらよろしくお願いします!


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邂逅ーールーテシア編(後編)

では続きです( ゚∀゚)つ


それから私はその人、カズマ=ツユクサさんと色んな事を話した。

 

とてもユニークな人でさっきの〇〇キーの被り物も〇ンキーで買ったもので「王様に成りたかった( ´∀`)」って言ってた。

 

・・・・・王様、ジャングルジムに干されてるけど

 

後ミットチルダには1年と約半年前に来たらしい。自己紹介しても、全く反応をしめさなかった!

 

カズマ「え?何?今一人暮らしなの?」

ルーテシア「は、はい、ーー単身赴任で遠くにいってるお母さんとの二人暮らしだから。実質一人暮らしですね」

 

・・・・嘘をついた、初めての他人の知り合いに離れて欲しくない。そんな思いでその日初めて嘘をついたんだ

 

それは、多分この人だから、だと思う。初めて見た彼が他の人達と違って優しい人、とかでも面白い人でもなく

 

 

不思議な人 ・・・だと思ったからだと思う。

 

カズマ「・・・・よし!今俺働いてないから暇だし・・・飯とかうちに食べにこいよ!」

 

ととんでも発言をした。

 

ルーテシア「え?・・・ええ!?悪いですよ!」

カズマ「安心してください、うちには俺一人だけです。」

ルーテシア「逆に恐いわ!」

カズマ「無職なのに?」

ルーテシア「仕事してください!」

カズマ「・・・・(来月から働くから)頑張る」

ルーテシア「今の溜めは何ですか!?」

カズマ「・・・・ふ、旅に出よっかな(悲壮)」

ルーテシア「心もろっ!?

 

 

カズマさんとのやりとりが本当に楽しくて、気づけば

 

ルーテシア「・・・ふ・・・・ふふ」

カズマ「・・・・・くくっ・・・・・」

 

大声を出すことは無かったけど、ずっとカズマさんと「一緒」に笑っていたその時間は。

 

ーーーとても幸せだった。

 

ルーテシア「・・・あ、でもおうち・・・一応そこのマンションです」

 

そう言って公園の入り口の真っ正面にある「レインボーマンション」という名前がついた建物を指さした。

 

カズマ「ほん?面白い縁だな」

ルーテシア「ふえ?」

カズマ「俺もそこの一番したの端っこ」

ルーテシア「本当に!?」

 

夢みたいって思った!初めてあった他人の男の人とここまで仲良くなって!その上住むマンションも一緒だなんて!

 

ルーテシア「私は一回のまんなからへんなんです!」

カズマ「じゃあ、お母さんが帰ってくるまで飯とか寛ぐ時とかにきな ・・・・まぁ別に無理はしなくて良いけどさ。」

ルーテシア「・・・・じゃあ、お世話になります。」

 

・・・そのあと、近所の子供達が遊びにきてカズマさんに引っ付いた、結構な人気者らしく、子供達に笑われながら「無職」と連呼されていた。

 

カズマ「まてこらガキどもぉ・・・俺は無職じゃねぇ!

 

ーーー勝利を約束された無職だぁ!」

ルーテシア「意味が分からないですよ!?」

カズマ「つっかまえて(ズタボロにして)喰ってやるぅ!(ミンチにしてなぁ)」

ルーテシア「大人気ない!?」

「わぁ鬼ごっこだぁ!鬼さんは無職と恋人さんだぁ!」

ルーテシア「なぁ!?」

 

子供の無邪気な発言に羞恥で顔が熱くなる

 

カズマ「残念でしたぁ!こいつは恋人でも何でもありません!」

ルーテシア「・・・・・・・・」

 

友達にはまだなれないみーーー

 

カズマ「こいつは俺の妹分さ」

 

・・・・え?

 

カズマ「ん?どうしたルーテシア!ほら!自己紹介!」

 

・・・・・・・・・

 

ルーテシア「・・・・・あ・・・・・」

カズマ「!?」

 

涙が頬を伝った、何でかは分からないでもその涙は決して悲しい涙では無かった。

 

カズマ「え?何で?泣いてんの?え・・・・・ええ?俺のせい?

まって!待って!ルーテシアちゃんどうしたんですかぁ?ーーーんごぉ!?」

「女の子を泣かすなぁ!」

「皆、やっちゃぇえ♪」

カズマ「ってめぇら・・・・・・人の〇〇〇〇を何だと・・」

ルーテシア「・・・わ、わ

 

 

ーー私は!ルーテシア・アルピーノ!14歳のかわいこちゃんでカズマさんの妹分です!」

 

カズマさんと子供達が優しく笑った気がした。

 

さっきと同じ「嬉し涙」がまた頬を伝った。

 

 

・・・・・だから私はこの時忘れていたし、全く気付いてなかった。

 

ーーーどこまでいったって私は犯罪者でそんなレッテルの人に向ける視線はどこまでも冷たいんだって。

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

ーーーPM08:00

 

ルーテシア「ふ、ふふふ!」

 

今日は本当に楽しかったな、子供達も「また明日」だって!

 

前回はずっとこの部屋で、独りでずっと、ぼぅっとしていた、でも今回は独りじゃない!その事実が私を歓喜させた。

 

・・・・でもやっぱり

 

『~~~~!』

『~~~~!』

ルーテシア「怒鳴り声?」

 

・・・・心のどこかでは分かっていたんだ

 

ルーテシア「・・・・・?(ガチャっ」

 

 

「だから絶対にあの犯罪者を子供達に近寄らせないで!」

「あなたはあのこが誰だか知らないの!?」

 

 

ルーテシア「・・・・・・あ・・・・・」

 

カズマ「だからなんなんっすか犯罪者とか、バンクーバーとか」

「バンクーバーじゃないわよ!犯罪者よ」

 

ルーテシア「あぁ・・・・」

 

 

 

 

「あの子、4年前の世界規模のテロ犯罪の加害者よ?」

 

ルーテシア「ーーーー!」

 

気付けばその場から逃げるように走りだした。

 

 

ーーーー犯罪者はしあわせになれないって!僅かに目を見開いたカズマがそう言ってるような気がして。

 

人の気配が全くしない路地裏まで走ると・・・

 

ルーテシア「・・・・ふっ・・・ぅぐっ」

 

ーーじゃあ飯とかうちに食べにこいよ!

 

ルーテシア「ご・・・なさぁ・・・」

 

ーー俺の妹分だ!

 

ルーテシア「嘘づいで・・・・ごめんなざぁぃぃぃぃ!」

 

・・・・・もう近寄らないから、安心してください、一日だけでも・・・短い時間だけど・・・

 

ーーーー一緒に居てくれて、笑ってくれて、ありがとう私の一日だけの〇〇〇〇〇ーーー

 

その日から、私はまた元の生活に戻

 

カズマ「ーーーあほか」

 

ごちん!と頭に衝撃がきて、次に鈍痛が襲ってきた。

 

ルーテシア「あいたぁ!?」

カズマ「・・・・」

ルーテシア「あ・・・・そ、その・・・・」

カズマ「・・・・」

 

こちらを見るカズマさんの目は、何処までも無感動だった

思わずビクリと体が震えてしまう。

 

カズマさんはその様子をみてパチクリしたかと思うと大きく溜め息を吐き。

 

ーーー私を抱きしめて頭を撫でてくれた。

 

ルーテシア「か・・・ずま・・・さ・・・」

カズマ「ルーテシア、まず謝る事は?」

 

初めて聞く。優しい声音に心が、冷えてしまった心が温かくなるのを感じた。

 

ルーテシア「嘘を・・・ついて、ごめんなさ・・・い」

カズマ「よろしい」

 

その一言で全て許されたような気がして。

 

ルーテシア「ごめんなさい・・・」

カズマ「もう、いいよ・・・・

 

 

お前は俺の妹なんだから、許すのは当たり前だろ?」

 

ーーー

 

ルーテシア「ごめ・・・んなさい、ごめんなさい!ごめんなさい!うわああああああああああん!!!」

 

カズマさんは「もういいって」と苦笑してひたすら私を抱きしめて頭を撫で続けてくれた。

 

ーーーー

 

その後、泣きつかれて眠ってしまい。次の日の朝起きた頃には全てが丸く収まっていた。

 

は?って思うかもしれないけど本当に収まっていたんだ

 

私が寝ている間にどうやって入手したのか、私の「時空管理局嘱託魔導師、兼、技術開発部服主任」と言う肩書きの「システム開発、および開発施設」のデータを持ってここら一帯の住宅街を一件一件回りきって、大まかな造りも発想も全部ルーテシア・アルピーノによる社会的貢献と触れ回ってくれたのだ、私は一般住宅でも役に立てたらいいなと造っていた事も手伝って掌を返すように私の存在は認められていった

 

おかげで、一週間の間に沢山友達ができたし、カズマさんと一緒に生活できた。・・・さすがにお風呂は入ってくれなかったけど、一緒に寝てくれて嬉しかった。

 

・・・でも一週間は早くて・・・

 

別れの時間はすぐだった。

 

ーーー

 

ミットチルダ首都次元港ターミナル前

 

カズマ「・・・いいのか?皆に来てもらわなくて」

ルーテシア「うん!大丈夫、皆には手書きだけど連絡先渡しといたし、後でホテルに誘うっていったから!」

カズマ「「ホテル・アルピーノ」だっけか?」

ルーテシア「うん!カズマさんも誘うから絶対に来てね!」

カズマ「・・・・あぁ、行くよ絶対に」

 

ルーテシア「カズマさん・・・一つお願いがあるんだけどいい?」

カズマ「どした?」

 

・・・・カズマさんは妹って言ってくれたけど本物にはなれない・・・ううん本物にならなくてもいいんだ、だって誰がなんと言おうと私たちは「兄妹」なんだから、偽物とか本物とか関係ない・・・・と思う。

 

・・・でも、形にはしていいかな

 

ルーテシア「・・・・・・」

 

すぅ・・・、心を落ち着かせて「勇気」を持って

 

ルーテシア「私の事はルールーって呼んで?貴方の事は「お兄ちゃん」って呼ぶから♪」

 

・・・・結果は今の通りです!以上

 

ーーーーーーーーー

 




とりま、邂逅話はこれにて終了です!次回からは本編に戻ります・・・・・カズマ、赤組と青組・・・・どっちにしよ(´・ω・`)

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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27話

お気に入り登録感謝です!

後・・・敢えて言いますがこの作品のメインヒロインはティアナとジークです、くりかえ(ry

では続きです( ゚∀゚)つ


ルーテシア「はいおしまい!もう打ち止め!終了!あー!恥ずかしかったぁ!」

 

語り終わると、どこかなげやりに(顔真っ赤)そう言うルーテシア・・・・しかし返事がなく、疑問に思いそちらを見ると

 

ノーヴェ「お嬢に・・・そんな悩みがあったなんて・・・・」

ヴィヴィオ「ごめんね?ルールー・・・」

ルーテシア「」

 

ルーテシア「(・・・・・・・な、なに?)」

 

ティアナ「同じ局員なのに・・・だからあのとき「ルーテシア・アルピーノの書類をくれ」って・・・代わりに御飯食べよ?って・・・・気付かない上に欲望に走るあたしって・・・」

スバル「・・・・私達には分からなかったのに、カズマ君は分かったって・・・・」

 

ルーテシア「(あぁ・・・・これは・・・・・)」

 

クライ「よくやったカズマ(本人には言わないが)!偉い!(絶対に言わないが)」

エリオ「・・・・・・」

キャロ「同い年・・・なのに」

アインハルト「・・・兄さん・・・」

 

その瞬間ルーテシアに雷が落ちた(気がした)

 

 

ルーテシア「(やってしまったあああああ!?)」

ルーテシア「(思い出話ってこんなんだっけ?もっとほら!

「へぇー!そんなことがあったんだ!キャッキャッ」みたいな感じじゃなかったっけぇぇ!?) 」

 

最早お通夜状態だった

 

リオ「良かったね・・・ルールー・・ぐす」

コロナ「うん、カズマさんナイスだよ・・・」

 

・・・・・・

 

ルーテシア「(まぁ、お兄ちゃんの優しさが伝わっただけよしとしましょうか)」

カズマ「・・・・なに?このシュールな光景・・・」

ルーテシア「あ!お兄ちゃん♪お風呂はいろ♪」

 

目が覚めたのか、少し寝ぼけ眼になってるカズマを見つけたルーテシアはこっそりとカズマをラチった。後の事は?

 

ルーテシア「(私しーらない♪)」

 

だそうです。

 

・・・・・

 

ホテル・アルピーノ1F外天然露天風呂大浴場「混浴」

 

カズマ「(あー、しかし本当に何があった?・・・・・駄目だ男湯から記憶が全くない・・・・しかもさっきの光景・・・)」

 

何で皆泣いていたんだ?何があった?

 

カズマ「・・・・まさか俺か!?何かしたのか!?」

 

ーーーー

 

カズマ『やぁ☆皆!カズマ=ツユクサだよ!表人格が寝たから裏人格がやって来たよ☆』

 

皆『うわああああああああああん!』

 

ーーーー

 

うん、ないな、てかキモいな(`・ω・)

 

カズマ「じゃあ・・・・」

 

ーーーー

 

カズマ『我に光りあれぇ!』

 

皆『うわああああああああああん!』

 

ーーーー

 

ないな、てか二重人格から離れて・・・・

 

カズマ「記憶がないってことは・・・寝ぼけて・・・?」

 

ーーーー

 

カズマ『う・・・んぅ』

アインハルト『兄さん!起きたんですか!』

カズマ『・・・・・・・!(ピッ』サムズアップ

皆『うわああああああああああん!』

 

ーーーー

 

カズマ「なんでだああ!?」

 

どっちみち俺嫌われてる見たいじゃないか!?

 

ルーテシア「・・・・・・・・何してるの?」

 

少し冷ややかなルールーの声が聞こえ、そちらを向き

ーーーー全力で首を反らした

 

ギグッ!

 

カズマ「あ゛ぁだだだだだだだだ!?」

ルーテシア「お兄ちゃん!?」

 

ーーー

 

カズマ「いててて・・・・」

ルーテシア「なにやってるのよお兄ちゃん・・・」

 

痛みが収まり、改めて湯船に浸かる。

 

カズマ「・・・・・」

ルーテシア「?お兄ちゃんどうしたの?ずっと上見て、何もないよ?あるのは虚無感と脱力感と喪失感だけ」

カズマ「俺は一体何を失ったんだ・・・」

 

・・・・

 

カズマ「ただ単に目のやり場に困るんだよ」

ルーテシア「あれ?お兄ちゃん川の時普通にしてなかったっけ?」

カズマ「そうなんだよな・・・多分あのときはアインハルトの事を考えてたからか?・・・」

 

じゃなきゃ、あのとき起きて、10秒程でまた夢の中へと全力疾走してたろうからな。

 

ルーテシア「・・・・むぅ、お兄ちゃんがアインハルトの事ばかり・・・」

カズマ「・・・・・・・・・っはあぁ・・・・」

 

そうだ、顔だけ見てればいいんだ、体さえ見なければ何て事は・・・・

 

ルーテシア「ねぇ、お兄ちゃんってば」

カズマ「ひゅい!?」

 

やだもう!この甘えん坊行動が早すぎる!せめて心の準備を!いくら実でも義理でもないにしても妹だからね?あ、肌柔らかい・・・じゃねぇぇよ!変態か!?

 

ーーー違うの?

 

違うわ!つかてめっ!駄作者!久々に見たと思ったら

 

ルーテシア「えへへ、久しぶりだなぁ、こんな風に甘えるのも・・・・

 

ーーーさっきね、皆にお兄ちゃんと出会ったときの事をお話してたんだ」

カズマ「・・・・そっか・・にしたってあのお通夜モードはないだろ・・・」

 

ルールーは俺の体に寄り添いながら嬉しそうに笑った。

 

ルーテシア「お兄ちゃん、クライさんの時も頑張ったんだね」

カズマ「何だ、その話も聞いてたのか・・・あの話はあんま子供には聞いてほしくなかっ・・・まぁ大丈夫か」

 

「あのあと」の事は誰も知らないはずだから・・・まぁティアナさんは気づいてるかもだが

 

ルーテシア「ーーーーお兄ちゃん」

カズマ「わぷ・・・・・・な・・・にを?」

 

横にいたルールーが立ち上がり、俺の頭を抱き抱えるように抱きしめた、あのときみたいに

 

ルーテシア「私はお兄ちゃんの妹だから・・・結ばれる事はできないけど

 

ーーーそばにいることは出来るから、アインハルトも一緒に・・・・ね?」

 

ルールーが浴場の入口を見る。

 

アインハルト「・・・・兄さん」

 

恥ずかしそうな顔のもう一人の妹がいた。

 

カズマ「・・・・・・・」

カズマ「思出話はいいのか?」

アインハルト「はい・・・お恥ずかしながらあの状況では切り出せませんでした。」

ルーテシア「・・・・じゃあ、私の時は?」

 

意地悪そうにそういうルールーにアインハルトは「うっ・・」とばつが悪そうな顔をして「すみません」と正直に謝った。

 

ルールー「いいんだよアインハルト、でもアインハルトのお話も思出話も後でちゃんと教えてね?」

 

・・・・頼むから、抱きしめたまま喋るのは止めてくれ・・・

 

ルーテシア「えへへ・・・お兄ちゃん?ちゃんと謝った妹にご褒美は?」

カズマ「・・・・・・・・」

 

俺は再び溜め息を吐き、両手を広げ安心させるように笑いかける。

 

カズマ「おいでアインハルト」

アインハルト「!は、はい!」

 

嬉しそうに笑い、近くに寄ってくるアインハルトは

 

ーーーそのままルールーの反対側から俺を抱きしめた。

 

カズマ「・・・・・(ま、今さらだな)」

アインハルト「兄さん・・・・私もルーテシアさんと同じです。いつまでも近くにいます。・・・・ただ、兄さんの隣に立てなくなるまでは甘えさせてくださいね?」

 

・・・・どこか切なさを含んだアインハルトの声音に。

 

カズマ「・・・・あぁ、勿論だ。なんたって俺はお兄ちゃんだからな・・・・ただひとついいか?」

2人『・・・・?』

 

俺は鼻から登り上がる「ソレ」を自覚しながら。

 

カズマ「お前らの・・・お兄ちゃんは

 

 

 

 

 

 

 

もう、限界です」

アインハルト「に、兄さん!?は、鼻から血が!?」

ルーテシア「・・・・「びにゅうさいこー」ってこらぁ!お兄ちゃんどういう意味?「微」か「美」どっちよぉ!」

アインハルト「いやいやルーテシアさん!とりあえず介抱しましょ!?兄さん?にいさあぁぁん!?」

 

妹達の声を聞きながら気を失ったカズマ、本当に優しい妹達を持ったと、どこか誇らしげな彼は鼻血を出しながらであるが幸せそうな笑みだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

カルナージ 「ホテルアルピーノ付近、遊歩道」

 

すっかり辺りも暗く染まり、月の光と遊歩道の電灯により中々綺麗な景色を彩るなか、なのはとフェイトは明日のチーム戦の組み合わせ表を見ていた。

 

フェイト「これが明日の組み合わせ?」

なのは「うん ノーヴェが作ってくれたの・・・・かなり考え込んだみたい」

フェイト「ぷふぅ!?こ、これは・・・あく・・っ!いを感じるね・・・ふふ!」

なのは「ちょっとフェイトちゃーーーぶふぅ!・・・だめだよ・・・そん・・・なーーーー」

 

二人『ーーーーあっはははははははっ! 』

 

二人が見ていた組み合わせ表、そこには

 

 

 

赤組 青組

ガードウィング

フェイト エリオ

リオ

 

フルバック

キャロ ルーテシア

 

センターガード

ティアナ なのは

 

ウィング バック

コロナ

 

フロントアタッカー

ノーヴェ スバル

アインハルト ヴィヴィオ

 

ヒール

カズマ

 

と記してあった。

 

そして二人が爆笑した理由、それは

 

 

ーー皆の顔写真が普通にたいし

 

カズマだけ白目に中指をたてている画像だったからだった




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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28話

ふぁ!?評価の色が黄色に!?思わず二度見してしまいました!評価感謝です!こんな駄作ですがどうかお付き合いください!

お気に入り登録感謝です!

続きをどぞ!


ホテルアルピーノ「裏庭」AM5:00

 

カズマ「はっ・・・・はっ・・・・・はっ!」

 

決して朝から興奮している訳ではないこの男、カズマは朝から「木刀」で素振りをしていた。

 

何と旅館に訓練用に木刀、他に木製の槍、鎚、刺突剣(レイピア)、戦斧まであった。

 

何でも管理局の武装隊も贔屓にしているこのホテルは軽い素振りや訓練の為に常備しているとのこと・・・基本は魔法訓練等が基本なため、あまり使われないが。ルーテシア曰く「お兄ちゃんの家にあった木刀程の「逸品」は無かったが、無骨で癖もなく使いやすいとの評判らしい。

 

カズマ「・・・・ふぅ・・・やっぱりこっちの方が馴染むな」

 

借りた木刀を眺めながらカズマはそう呟いた。

 

普段は寝ているカズマまだが、今日のような「戦い」がある日には遅くても朝の4時には起きていて素振りをしていた。

 

カズマ「・・・・これじゃあいつらの事を脳筋とかバトルマニアとか言えないな」

 

苦笑を浮かべたカズマは再び「スイッチ」を切り替えーーーエリオやなのはとの模擬戦の時のような空気ーー眼前にそびえ立つ木を睨んだ。

 

カズマ「(・・・・・構えは自然体、相手に気取られないよう利き脚を僅かに引き、腰を落としすぎないように低くし)」

 

それは「居合」の構え、カズマの場合「自分から攻め混む」スタイルの為本来カウンターを意味する「居合」はカズマの手によってーー

 

カズマ「ーーっは!」

 

10メートルあった距離を瞬く間に残り「1メートル」にするその過程

 

10・9・8・7・6・5・4・・・・・・まだ早い

 

3・・・腰に構える木刀を握る力を強め

 

2・・・神速の抜刀で抜き

 

1・・・斬り付ける!

 

一瞬の静寂の後ーーー

 

スパアァァン!と木の中腹辺りに20cm程の深さで刀傷が刻まれた。

 

ーーー「特攻居合」、彼の友人の「女剣士」がそうよんでいた。

 

カズマ「・・・・・・ふぅ・・・・あ~」

 

やってしまったとばかりに頭をかきながら気まずそうに木を見る20cmという浅いようで深い傷を刻んだ木はもし強風が吹いた場合折れるかもしれない。

 

カズマ「自然破壊で訴えられるのかな・・・・」

 

とりあえず瞬間接着剤をびっしりつけておいた(ちょ

 

何はともあれ

 

 

ーー「ヒール(敵役)」準備万端です

 

ーーーーーー

AM6:20

 

ホテル前に戻ると、ジョギングしていたのか若干汗をかいたティアナさんと合流した。

 

ティアナ「・・・あ、カズマ・・・朝早いね」

カズマ「おはようございます。昨日はどうしたんですか?」

ティアナ「・・・ちょっと軽い自己嫌悪にね、でも大丈夫よ、魔法少女ティアナちゃんは復活したわ!」

カズマ「・・・・」

ティアナ「何かしら?」

カズマ「い、いやあ~!今日も素晴らしい魔法少女日和ですね!なごむわぁ!」

ティアナ「もぐわよ?」

カズマ「!?」

 

今日もいい日であります!

 

ティアナ「・・・・ルーテシアから聞いたわ」

カズマ「・・・・すいません・・・その関係者は会うのも駄目だと聞いてたんで・・・」

ティアナ「・・・・・次からはちゃんと言うこと!・・・約束よ?守ってね?「ヒール」さん」

カズマ「・・・・・はいさ」

 

ティアナさんは怒ったような声から一転、ウィンクしてからかうようにいって俺と並んでホテルへ朝食を食べにいった。

 

カズマ「(・・・・・勿論っすよティアナさん)」

 

そんな俺の役割「ヒール」は

 

ーーーチーム戦で戦っているメンバーの中から一組を選び

5分毎にランダムで送り込まれ、送り込まれた所のメンバーは「一時休戦」とし「ヒール」と闘わなければならない。

 

要するに

 

ーーーライバルと戦ってたら悪の組織が出てきたから平和の為に手を組み、悪を倒しちゃおうぜ?・・・・・という王道展開の被害者のような役割である(涙)

 

(なお、ライフポイント(DSAA公式試合用タグで管理)は普通に削られます。そしてフルバックのところには来ません)

 

ーーーーー

 

朝食を食べて、チーム戦までの時間を皆思い思いに過ごし(何故か皆に優しい目でみられ(´・ω・`)なのはさんとフェイトさんに至っては出会い頭に「ぶふぉ!?」と吹かれた・・・・(`・ω・:)

 

クライ「28282828282828282828」

カズマ「・・・・・・・・・・」ズビシ

クライ「あああああ!?目がぁ目がぁああ!?」

 

ふー(クールダウン

 

ーーーー

 

アスレチックエリア「市街地エリア」大広場

 

なのは「はい全員揃ったね」

フェイト「じゃあ、試合プロデューサーのノーヴェさんから説明をお願いします!」

ノーヴェ「あ、あたしですか?」

 

戸惑ったように困惑するノーヴェにカズマが話しかける

 

カズマ「今回のイベントを考えたのはノーヴェさんだ・・・・士気向上は任せたぜ?」

ノーヴェ「士気向上って・・・ハードルあげんなよ・・・」

 

そういいカズマを見ると、げすい笑みを浮かべていた。

 

ノーヴェ「ちょ!カズマ!わざとかぁ!?」

カズマ「クククククククククク・・・・・」

ノーヴェ「逆にそこまで「ヒール」しなくても・・・・」

 

・・・・なんか気を遣われた(^q^)

 

皆が笑うなか、咳払いをするノーヴェさん

 

ノーヴェさんはさっきのやり取りで少し緊張がとれたようで、話を聞く体制になった皆に向けて口を開く。

 

ノーヴェ「ルールは昨日伝えた通り、赤組と青組6人ずつのチームに分かれたフィールドマッチです」

 

そこで一旦止めて再度口を開く。

 

ノーヴェ「・・・・ここまでは前回と同じですが、今回は人数が多い為、カズマに「ヒール」をやってもらいます。簡単に説明をすると、戦っている組のところにランダムで、カズマが転送されます。立ち位置敵に悪役なので戦っている組は協力して応戦しましょう」

 

ノーヴェさんの説明に皆の顔に戦意が更に灯っていく

 

ノーヴェ「ライフポイントは今回もDSAA公式試合用タグで管理します。あとヒールとの戦闘中にもライフは軽減しますので、注意してください」

ノーヴェ「後は皆さん怪我のないよう正々堂々頑張りましょう」

 

ノーヴェさんの説明に皆が「はーい!」と返す。

 

すぐさま、赤組、青組に分かれる

 

フェイト「じゃあ赤組元気に行くよ!」

なのは「青組も

 

せぇの!」

 

『セートッ!!!アープッ!!!』

 

なのはさんの掛け声に皆の声がその場に響き、凄まじい光に包まれた。

 

カズマ「・・・・・・・・・」

 

俺には何もないが、切り替えをする

 

ーーーここは戦場だ、誇りも、尊厳も、正義も、悪もない

 

ーーー故に見いだせ、そんな場所で自分がするべき事を!

 

ーーー「守る為」に眼前に立ち塞がる敵を打ち倒す!

 

カズマ「・・・・・でる」

 

チーム戦が始まった。




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29話

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では続きをどうぞ!


・・・・

 

バリアジャケットに着替えた皆は少しの時間で作戦タイムをしている間俺は・・・

 

カズマ「な・・・・な・・・・」

 

わなわなと震える体、頭のなかに何度も「!?」マークが通りすぎる。

 

いや!?は?どゆこと?え?

 

混乱する俺のライフポイントが表示されてるドッグタグには

 

ーーー「500」

 

そう記されていた。

 

カズマ「ナァンジャコリャアアアアアア!?!?」

 

アー

 

アー

 

・・・・

 

どうやら俺の役割の価値は〇ョッカー並みだそうです。

 

皆が驚くなか、モニターが現れそこにはメガーヌさんとクライさん、フリードとガリュー(棒所持)と銅羅があった

 

クライ『なぁ、メガーヌさん・・・まさか』

メガーヌ『ソレでは皆さん元気に・・・・』

クライ『ちょーーー』

メガーヌ『試合開始ぃ♪』

 

ージャアアアアアアアアン!!

 

クライ『ぐおおおおお!?』

 

・・・・バタッ、プツンッ

 

・・・・・・・・・・・

 

スバル「ウィングロードッ!」

ノーヴェ「エアライナーッ!」

カズマ「(え?スルー?クライさんスルーなの?)」

 

皆の順応能力に戦慄している間に

 

ーーーースバルさんとノーヴェさんの魔法が足場を作り上げた。

 

ーーーーあ~

 

カズマ「しゃあないか・・・決められたものは・・・だったら・・・・」

 

ヴィヴィオ「行くよ!リオ!」

リオ「オッケー!ヴィヴィオ!」

アインハルト「コロナさん!リオさんの相手をお願いします!」

コロナ「了解です!」

 

 

フェイト「(エリオとの一対一なんて久しぶりだなぁ、油断したら落とされちゃうかも・・・何より今回はカズマもいるんだし・・・)」

エリオ「行くよストラーダ!今日こそフェイトさんを落とす!」

ストラーダ『落とすって堕とす違いじゃないですよね?』

エリオ「ストラーダ!?」

 

 

ルーテシア「さて、フルバックとしてどっちがチームをしっかり支えられるか」

キャロ「負けないんだから!」

ルーテシア「あ、でも勝ったら誉めてくれるけど負けたら慰めてくれるのかな?お兄ちゃん」

キャロ「・・・・・・負けないんだから!」

 

 

ティアナ「(なのはさんに大きいのを撃たれたら一瞬で全滅の可能性がある何よりーーー)」

なのは「(ティアナの徹甲狙撃弾は私のより速いし固い!撃たせたら味方も私も危ない・・・それにーーー)」

ティアナ、なのは『(不確定要素(カズマ)が危険過ぎる)』

 

 

スバル「ノーヴェ!」

ノーヴェ「あん?」

スバル「もしカズマ君がこっちきたらどっちが先にやられるか勝負だね!」

ノーヴェ「何でそんな後ろ向きなんだよ!?」

 

ーー『転送を開始します。』

 

カズマ「ーーーー俺も本気で、倒す」

 

試合・・・開始っ!

 

ーーーー

 

カズマ「っと・・・」

 

一瞬で景色がかわり、どこかのビルの屋上に降りた。

 

カズマ「・・・・ここは・・・・」

 

辺りを確認しながら手に持っている木刀をしたから斬りあげる。「黄色」の魔力弾が消し飛ばされた。

 

カズマ「・・・よぉ、お二人さん」

エリオ「・・・まさか最初からこっちに来るなんて・・・」

フェイト「(感知してあらかじめ撃っておいたのにあんな冷静に・・・本気で行かないとね・・・)エリオ・・・行くよ!」

エリオ「はい!」

 

ーーー

 

俺は足場を駆け抜け、エリオとの距離を詰めて

 

ガキン!

 

上からのフェイトさんの剣撃を弾き返す

 

エリオ「っ!(速い・・・・!)」

フェイト「嘘っ!?」

カズマ「しっ!」

 

すぐさまその場から離れ横に流れる足場を踏み台に跳ね上がり上に流れる足場に体が逆さまな状態で足をつけ、曲げ、フェイトさんの頭上に突貫した

 

フェイト「っ!バルディッシュ!」

バルディッシュ『ラウンドシールド』

 

何とか速度を目で追えていたフェイトさんは大きめのシールドを展開・・・しかし

 

カズマ「はぁ!」

 

ーーー閃ーーー

 

霞むような速さで振るわれた一撃は

 

ギャリイィィィ!

 

フェイト「!?(お・・・・・もっ・・・!)」

 

ピシッ・・・パキイイィ・・・

 

フェイト「なっ!?」

エリオ「フェイトさん!」

 

すぐさま破壊された、すかさずエリオがフェイトとカズマの間に入ろうとするが・・・

 

ガシッ!

 

エリオ「え!?ーーうわあぁぁぁぁ!!」

 

横から現れたらエリオの腕をつかみあげ、思いっきり背後のビルへと投げ飛ばした!

 

ーーーと同時に後ろに振り返るついでに放ったカズマの回し蹴りがフェイトの脇腹へと吸い込まれた。

 

フェイト「っぅああ!」

 

吹っ飛ばされたフェイト、何とか受け身をとるが少しよろめいた。

 

フェイト「LIFE2800→2000」

エリオ「LIFE2800→1900」

 

エリオ「っ!くぅ・・・(強い!これが・・・・)」

フェイト「・・・・(これが・・・・)」

二人「(カズマさん(カズマ)の本気!)」

カズマ「・・・・・・・・」

 

黙って二人を見るカズマの目は、刀のように鋭く、銃弾のように尖っていた。

 

フェイト「ーーっ〈エリオ!高速魔法を!錯乱します!〉」

エリオ「<了解>ーーーストラーダ!」

フェイト「バルディッシュ!」

ストラーダ『ソニック』

バルディッシュ『フラッシュ』

 

高速魔法でカズマの周りを二人で飛び回る。

 

フェイト「・・・(さっきから目があってる・・・この速さに着いてきてる」

 

しばらく立っていたカズマだったが、すぐさま「特攻居合」の構えを取り

 

ーーなんと、フェイトの進行方向を先読みし、一瞬で現れた

 

フェイト!?」

 

がぎぃいん!

 

すぐさまバルディッシュで横凪ぎに払おうとするもも腕を振るう前にカズマの木刀がフェイトのバルディッシュを弾き飛ばした!

 

フェイト「しまった!」

カズマ「まず・・・・一人目!」

 

追撃を仕掛けようと踏み込むカズマしかし珍しく忘れていた

 

 

エリオ「やめろおぉぉぉ!」

 

これは一対一出はなくニ対一であることを。

 

高速で背後から迫ったエリオは、かわされると分かっていながら、フェイトを逃がす為突きを放った。

 

カズマ「っ!」

 

しかしカズマももうフェイトを追撃するため足を踏み込んだカズマはーー無理矢理横に跳ぼうとして気付いた

 

カズマ「・・・・はぁ!」

 

振り返り無理な体勢から、木刀がしたから斬りあげる!

 

ガギィ!

 

エリオ「はあああああ!」

カズマ「っ・・・・・」

カズマ「・・・・・(やるじゃねえか)

 

 

カズマ「LIFE500→400」

 

カズマ「・・・・」

フェイト「ファイアぁ!」

カズマ「っ!」

 

目の前のエリオを蹴り飛ばし、すぐさまこちらに向かってきた。魔力弾を消し飛ばし

 

フェイト「ーーー真 ソニックフォーム」

 

カズマ「!」

フェイト「次はーーー」

カズマ「!(スピードが上がった?)」

 

ガギィン!

 

光剣を防ぐ。

 

フェイト「今度はこっちの番!」

カズマ「すんませんもう「慣れました」」

 

足と腕に「エクシード」を循環させ

 

カズマ「はぁ!」

フェイト「なぁ!?」

 

ガン!

 

そんな音がなりバルディッシュを弾きあげる!そして振り返り「目の前にいるエリオ」を確認もせずに斬りつけ吹き飛ばす。そして

 

フェイト「はぁ!?(この子後ろに目でもついてるの!?」

 

その場で宙返りをして、背後から斬りつけてきたフェイトの腹部に降りた直後蹴りを放った。

 

フェイト「ぐっ!(この子急に動きが・・・)」

ーーーはやくなってる!?

 

フェイト「LIFE2000→1500」

エリオ「LIFE1900→1300」

 

カズマ「行きます!」

フェイト「!」

エリオ「っく・・・」

『5分経過したので強制転移します。』

カズマ「は?あ・・・・・ちょ?」

 

突如聞こえた声にカズマが慌てるも、次の瞬間には消えていた

 

 

フェイト「・・・・・・・・・・」

エリオ「・・・・・・・・・・」

 

 

残された二人は何とも言えない空気になった。




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30話

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では続きです!


フェイト「・・・・ふぅ」

エリオ「何とか五分耐えきったみたいですね・・」

フェイト「うん、とてつもなかったな・・」

 

ーーーそれに最後の動き・・・全く目で追えなかった。

 

エリオ「・・・あれで魔力がないって言うから驚きです。」

フェイト「・・・・・」

 

確かにと思った。

彼との戦いに夢中で頭から抜けていたけど、それはつまりいままでの攻防、動作全てが彼の持ち前の身体能力となる

 

・・・それに・・・

 

フェイト「(あの眼・・・)」

 

始終こちらを見据えていたあの眼、本物の死線を潜り抜けてきた「戦士」の眼

 

しかも一回や二回じゃない。

 

ーーーまるで数年前からそんな人生を歩んできたような眼

 

フェイト「(・・・・でも、大丈夫・・・かな?)」

 

何となくそう思う。殺気も殺意もまるで感じなかった、むしろ反撃する私達に関心するそぶりさえ見せた。

 

何かに囚われてる訳でもなく、焦っている訳でもない

 

ただ今を生きて未来に向かって走ってる元気な男の子に見えた。

 

フェイト「(どんな人生を歩んできたんだろ?)」

 

一回お話してみたいなと思った。

 

エリオ「・・・・えっとフェイトさんどうします?僕らライフ半分ぐらいになっちゃいましたけど・・・」

フェイト「・・・・折角だし続けよっか♪」

エリオ「はい!」

 

今は息子とのじゃれあいに力を向けよう。

 

ーーーー

 

カズマ「っと・・・・次は?・・・」

『・・・・・・・・・』

カズマ「・・・・・こんにちわ?』

『・・・・・・・・・』ペコリ

 

次に転移された場所は、ビルの屋上とかではなくアスファルトの上。そして目の前に・・・巨大なゴーレム

 

コロナ「あぁ!?カズマさん!?」

リオ「嘘っ!次は私達!?」

 

背後からリオの声にゴーレム側からコロナの声・・・あ、肩にいる

 

カズマ「お二人さん、いきなりだが準備はいいかい?」

コロナ「え、ええとよろしくお願いします!」

リオ「私もオッケーです!」

 

・・・コロナはともかくリオ、お前は何でそう足をだす!アインハルトみたいに大人(笑)になってるし!フェイトさんの時もそうだが何だ!?露出が流行ってるのか!?お色気作戦か?

 

カズマ「(残念だが、俺も学習するのだよ!昨日の混浴でさんざんルールーとアインハルトの水着姿を見たからな!耐性はついた!)・・・くっくくくくくくく・・・・」

コロナ「な、なんかカズマさんから尋常じゃないプレッシャーが・・」

リオ「大丈夫!いざとなったら私が下着見せて一発だよ!」

 

 

 

ぱ、パンツだと!?

 

カズマ「へ、へへ!ば、ばーろー!そんなんで倒れるかよ!俺には妹達の加護がついてるんだ!」

リオ「じゃあ私達が勝ったらカズマさんの事お兄ちゃんって呼ぶね!」

カズマ「やれるもんなら・・・・・やってみな?」

 

今の溜めはあれだよ?雰囲気をだすためだよ?決してパンツがパンツでパンツがどうのって訳じゃないよ?見たことないから見たいって思った訳じゃないよ?本当だよ?

 

 

本当だよ?

 

カズマ「(ま、あちらさんやるき満々だし・・・)

 

ーーーー行くぞ?」

 

ーーーー

 

カズマ「行くぞ?」

 

カズマさんがそう言うと、私の体の何かが脳に訴えかける

 

逃げろ、今の私達じゃ、絶対に勝てない。

 

リオ「(そんなの分かってるよ)」

 

でも、昨日のヴィヴィオのお母さんとの訓練を見てずっと思ってた。

 

ビリビリと何かを感じ取っている体を無理矢理押さえる。

 

リオ「コロナ・・・・行くよ!」

 

コロナもカズマさんの「闘気」にあてられ体を震わせているけど、問題はない!コロナも私も一緒だ、格上のカズマさんと闘いたい、どこまで通用するか試したい!そう思った。

 

ーーーねぇ、カズマさん?勝ったらお兄ちゃんって呼ぶね

ってあの言葉、意外と本気なんだからね?

 

リオ「・・・・・「春光拳」の使い手、リオ・ウェズリー!」

コロナ「ゴーレム創成主(クリエイター)コロナ・ティミル!」

 

二人『手合わせお願いします!』

 

 

カズマ「・・・・・こい!」

 

そう返してくれたカズマさんの眼は私達を「好敵手」として見てくれていた。

 

ーーーー

 

コロナ「「ゴライアス」!」

リオ「炎龍!雷龍!」

 

コロナはゴーレム(ゴライアスと言うらしい)リオは自身の周りに炎で型どった龍と雷で型どった龍が現れる。

 

カズマ「(・・・熱いな、10メートルは離れてるんだが・・・てなると雷龍も当たったらきついか?・・いくら防御支援魔法をかけてもらってるとは言え。しかもオート(自動持続発動型)魔法・・・コロナも戦闘に使うって事は造り上げるのに時間はあまりかからない可能性がある。・・・でも・・・)」

 

負ける気は、ない!

 

カズマ「ーーーはっ!」

 

ゴライアスの足元に瞬時に潜り込み片足を斬り飛ばす!

 

コロナ「えぇ!?それ木刀ですか!?」

カズマ「できなくはないぜ」

 

そう言いながら、背後の何もない空間を木刀の腹で薙ぐ。

 

リオ「炎龍!ってええええ!?」

 

リオが炎龍をこちらに向かわせようとしたが、俺が筋力任せに薙いだ木刀が起こした風に誘導され俺の2メートル横に墜落した

 

コロナ「リオ!ーーーゴライアスパージブラスト!

 

 

 

 

ーーーーロケットパーンチ!」

カズマ「は?」

 

一瞬呆けている間にゴライアスの腕間接部分から火が吹き、外れてこちらに向かってきた

 

なんか・・・・・意外でした。

 

カズマ「っとぉ!」

コロナ「そんな!?ズルい」

カズマ「ズルくはないだろぅ!?」

 

すぐさま意識を集中させて、向かってきた巨大な腕を切り捨てる

 

スパァン・・・

 

リオ「お~!見事な断面図!」

コロナ「感心してる場合じゃないよね!?」

リオ「あはは、ごめんごめん!じゃあ

 

 

ーーー雷神装!」

 

バリバリッとリオの体に雷が「まとわれ」ているのが分かった・・・・まさか、身体機能の活性化をしてんのか?

 

リオ「ーーーーっは!」

カズマ「格闘技なら拳で返す!」

 

距離を詰めてきたリオの腕に合わせて、右手を添えそのまま逸らした。続いて空いたリオの胸ぐらを掴みーー

 

リオ「へ?」

カズマ「言ってらっしゃいませえぇぇぇ!」

 

ゴライアスに乗ったコロナに向かって、投げ飛ばす!

 

リオ「うひゃあああああああ!?」

コロナ「へ!?リオ!?ーーキャアアアアア!?」

 

勢いよくとんだリオはコロナを巻き込み、ビルに突っ込んだ

 

リオ「LIFE2800→1300」

コロナ「LIFE2500→1300」

 

カズマ「ついでに!」

 

指示がなく動かないゴライアスの腕に飛び移り腕にエクシードを回し、腕を掴み若干前方に体重をかけて飛び降りる。

 

リオ「いてて・・・あ、コロナごめん!大丈夫!?」

コロナ「う、うん大丈夫・・・あれカズマさーーー!?ゴライアス薙ぎ払って!」

 

俺がゴライアスの腕を掴み何かをしようとしているのが分かったのか、急いで指示を出すが

 

カズマ「遅い」

 

そう短く言って掴んでない方の手で、ポケットの中から「石ころ」を取りだし、ぐいっとゴライアスの腕を引っ張り

体勢を崩したゴライアスの後ろに下がっている左足に石ころを投げた。

 

どおおん!

 

そのまま倒れたゴライアスに乗り、木刀でコアをーー

 

カズマ「!?(コアがない?)っ!デバイスの核か!」

コロナ「立ち上がってゴライアス!」

 

ズズズ!と大きな音を立てて起き上がるゴライアスから後方に下がる。

 

リオ「雷龍!」

 

下がった地点を狙ってか、雷龍を放つリオ・・・・狙いは満点だが・・・

 

カズマ「甘い!」

 

ーーー居合術 「瞬(またたき)」

 

神速の抜刀が雷龍を切り裂いたのち吹き飛ばされた

 

リオ「ええ!?」

コロナ「凄い・・・・」

カズマ「さて・・・続きと行こうーーー」

 

『五分経過したので強制転移します。』

 

カズマ「ふぁ!?ああーも!お前らすごかーーー」

 

もう!空気を読みなさいよ!・・・・・パンツ・・・見たかったな(殴

 

ーーーーー

 

リオ「・・・・言っちゃったね」

コロナ「うん、凄く強かった・・・」

 

呆然と立ち尽くす二人、しかしその顔は・・・

 

ーーーーお前らすごかったぞ!

 

コロナ「続きやろっか♪」

リオ「ーーーーうん!負けないよ~!」

コロナ「私だって!」

 

ーーー照れ臭そうに、しかし嬉しそうに笑っていた




・・・カズマ君が最近変態への階段を登り始めてる気がする
・・・・まぁ、作者のせいですが☆

ご、誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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31話

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今回は少し短いですm(__)m

では続きです。


なのは「(・・・・正直五分での時限転送にしといてよかったな、もし長かったら多分・・・ううん「確実に」どっちのメンバーも倒されてた。)」

 

戦況を見て、そう解をだすなのは。

 

なのは「(今私が動いたら確実にティアナも動く)」

 

右側から攻めてくる魔力弾を自身の魔力弾で相殺する。

 

なのは「・・・・カズマ君に挑むんなら2人以上4人が理想かな」

 

レイジングハート『マスター、ヴィヴィオがアインハルトさんに下されました、こちらに向かって来てます』

なのは「・・・・そう、頑張ったねヴィヴィオ」

 

モニターを開き娘を労る

 

ヴィヴィオ『アインハルトさん強い!まま頑張って!」

なのは「まっかせなさぁい!」

レイジングハート『マスター弾幕に集中してください』

なのは「・・・・ふぁい」

 

ーーーーー

 

ヴィヴィオ「はぁっ!」

アインハルト「甘いです!」

 

ヴィヴィオが魔法を使ったクロスレンジからフェイントを混ぜつつミドルレンジに持ち込んできた

 

アインハルト「はぁ!」

 

私が放った拳をヴィヴィオさんはかわしつつしゃがみこみ足払いを仕掛けてきた

 

それを飛んでかわし

 

ーーーヴィヴィオさんが笑うのを見た

 

アインハルト「!(しまった、本命は!)」

 

ヴィヴィオさんがこちらへと跳び跳ねてくる。その腕に魔力をチャージして。

 

ヴィヴィオ「アクセルスマッシュ!」

 

加速の名を持つ拳が素早く私を捉えようとする

 

アインハルト「くっ!(体勢がわるい!防御しても崩される!空破断?断空拳?間に合わない!・・・・・他に・・・・・

ーーーーーーあ」

 

ーーークラウス、お前投げ技とか使わないのか?

 

ーーー投げ技は覇王流にはないからな・・・確かに便利だと思うけどね。

 

ーーーまぁお前次第だが、お前の技に投げ技付けて「オリジナル」の技作ってもいいんじゃないか?

 

ーーーんー例えば?

 

ーーーー

 

アインハルト「(確か・・・あれは)」

ヴィヴィオ「え!?」

 

相手の胸元を掴み、肩から相手に潜り込み

 

アインハルト「(私はまだ足先からの練り上げはできない・・・でもこの技には「腕」の方が好都合!)」

ヴィヴィオ「わわわ!」

 

肩から腕先に螺旋のように力を捻り

アインハルト「覇王流

 

 

ーーー飛断(ひだん)」

 

自分の力、体重、勢いを練り上げた力と共に

 

ーーーな?中々いいもんだろ?

 

アインハルト「投げ下ろす!」

ヴィヴィオ「うわああ!」

 

ズガアアアアアン!

 

ヴィヴィオ「LIFE2000→400」

 

アインハルト「(兄さん、クラウス、お二人が作った技、使わせて頂きます)」

 

 

ドクンと、初めての技が通用したことに動悸が高まる

 

アインハルト「・・・・・・」

 

ヴィヴィオさん・・・強かった、前に戦った時より遥かに・・・

 

アインハルト「LIFE1100」

 

その時、ティアナさんから連絡が入る。

 

ティアナ「ナイスよアインハルト!今のダメージなら確実に下げられるわ!その間に行って!相手チームの中枢!司令塔なのはさんの元へ!』

アインハルト「ーーーはい!」

 

カズマ『頑張れよ!』

 

兄さんが応援してくれてる気がした。

 

アインハルト「はい!兄さん!私頑張ります!」

ティアナ『アインハルト!?そっち逆ぅ!?』

アインハルト「てへ☆」

ティアナ『』

 

てへ☆

 

ーーーーーーー

 

なのは「チーム各員に通告、今から応戦の為!援護射撃を中止します!相手の援護射撃、フルバックの支援魔法及び行動阻害魔法に注意して!」

皆『はい!』

なのは「後はカズマ君に気を付けて!厳しいと思ったら撤退も考えてください!」

皆『はいぃ!!』

 

なのは「・・・・・・」

 

命を大事にもいいけど、頑張ってね?唯一の救いが五分設定と「LIFE400」何だから

 

アインハルト「ヴィヴィオさんのお母様!一槍よろしくお願いします!」

なのは「私でよければ喜んで!」

 

ーーーー

 

ノーヴェ「何だ!?今の!投げ技!?」

スバル「凄い威力だね!」

 

確かに凄かった、相手の懐に入り流れるように持ち上げタイムラグ0の投げ、しかも只の投げじゃなかった

 

ノーヴェ「覇王流?」

 

確かに特殊な技法だった・・・何より昨日のカズマとなのはさんの模擬戦を少しリスペクトしていたせいか、ヴィヴィオもアインハルトの動きが何時もより良かった。

 

ノーヴェ「・・・・(まぁ、真似しようとしてる相手を間違ってる感は否めないが)」

 

思わず苦笑する、強さを求めるその姿勢が微笑ましい。

 

スバル「って言うかノーヴェ!」

ノーヴェ「なんだよ!」

 

スバル「ーーー私との勝負から逃げてどこにいくつもり!?」

ノーヴェ「ああん!?」

 

そんな私は逃走中です・・・とまぁ冗談はここまでにして!

 

ノーヴェ「後衛攻めに決まってんだろ!今なら弱りきったヴィヴィオとお嬢纏めて潰せるしなぁ!けけけけけけ!」

スバル「ノーヴェがいつになく悪どい!?」

 

ほっとけ!

 

ノーヴェ「突進力と加速なら姉貴に負けねぇ

 

 

ーーーそれにカズマも少し前にリオとコロナの所に言ったみたいだしな!」

スバル「・・・・・・そういえば五分たつね?」

ノーヴェ「・・・・・・・・・・あ」

 

すると逃げるあたしと追いかけるスバルの前に

 

転移陣(と言う名の破滅の呪文に見えた)が現れた。

 

スバル「あー・・・・・よし頑張ろっか!」

ノーヴェ「・・・ったく、足引っ張んなよ?」

スバル「そっちこそ!」

 

・・・・って事でぇ!

 

2人『先手必勝!』

スバル「マッハキャリバー!』

ノーヴェ「ジェット!」

マッハキャリバー『キャリバーショット』

ジェットエッジ『リボルバースパイク』

 

カズマ!覚悟!

 

そんなあたしたちの奇襲は

 

カズマ「よぉ・・・・ノーヴェさんよぉ・・・」

ノーヴェ「は?」

 

通用せず、まるで金縛りにあったかのようにびくともしない

 

カズマはまるでわかっていたかのようにあたしたちの蹴撃を両手で掴んで止めていた。

 

カズマ「スバルさんもご挨拶ですねぇ・・・」

スバル「あわわわわ・・・・・」

 

カズマ「習わなかったか?

 

 

バトルは視線が噛み合った瞬間ってりかけいおとこが言ってたろぅがあああああ!!」

ノーヴェ「いやそれ初代ポ〇〇ンだかわああああああ!?」

スバル「うわああぁ!?」

 

最後まで突っ込ませて貰えず、凄い力で投げ飛ばされた。

 

カズマ「けっ!パンツ見損なったじゃねえか!」

 

へ、変態だ!?




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いいたします!


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32話

お気に入り登録感謝です

では続きです!


ルーテシア「あはは・・・ものの見事に大暴れしてるねお兄ちゃん・・・」

 

カズマがスバルとノーヴェを投げている所を見て、苦笑を浮かべるルーテシア

 

ヴィヴィオ「う~いいなぁ!皆カズマさんと戦えてぇ!速く私も戦いたい!」

 

ヴィヴィオ「LIFE400→1500(+1100)」

 

ルーテシア「うーん、もうちょっと待ってね?多分お兄ちゃん「その気に」なったら瞬殺されかねないから・・・それに他のところでも動き始めた見たい・・(正直お兄ちゃんがかなり厄介・・・ヴィヴィオが戻ったら相手チームと一緒にお兄ちゃんと戦って貰う?・・・いや、それはだめ「作戦」の為には人数は多いに越したことはない・・・・」

 

モニターのなのはに目を向けるルーテシア

 

画面にはアインハルトの攻撃を耐えつつ観察しているなのはが移っていた。

 

ルーテシア「・・・・もう少し耐えて、皆」

 

ーーー

 

セイン「嘘ぉ!覇王っ子がなのはさんを攻めてる!」

 

戦況全てが写されているモニターを見て、少し前にきたセインが興奮している

 

メガーヌ「ほんとね~!」

クライ「しかし皆凄いなぁ、まだ10代がほとんどだっつうのに」

セイン「すごいっつったらクライさんとこのカズマだよな!2対1だっつうのにほぼノーダメージでむしろ皆のライフ半分以上削ってるからな!」

メガーヌ「・・・・確かにすごい、いやすごすぎね、あの年で

もう動きが一級品だわ」

 

クライは何だか照れ臭くなり、頭をかく、親友が褒められるのが自分の事のように嬉しい。

 

そのようすを二人は優しい笑みでみる。

 

クライ「しかしおかしいなぁ、カズマその気になれば多分メンバーのほとんどが瞬殺されるぞ?」

セイン「え?なにそれ気になる!」

クライ「なんつーか、あいつの攻撃には余裕がありすぎるんだ・・・なんか楽しんでるって言うか・・・」

 

メガーヌ「・・・・・・・」

 

ーーーお兄ちゃんが来るって本当!?

 

ーーーいっぱい甘えるんだ!

 

ーーーお兄ちゃんとの模擬戦楽しみ♪

 

メガーヌ「(ふふ♪本当にいいお兄ちゃんね♪)」

 

メガーヌはモニターを見て微笑んだ

 

ーーー

 

カズマ「しっ!」

 

スバル「っ!」

ノーヴェ「させねぇ!」

 

スバルさんとの距離を詰め正拳突きを放つ。それを止めようと視界の端から迫ってくるノーヴェさん、飛び蹴りを放ってきた。

 

握った拳を解き、振るった手をそのまま体と一緒に沈め地面にその掌を押し付け、その反動を利用し体を足から起こし所謂片手逆立ちをノーヴェさんに背を向けてる状態でやる

 

ノーヴェ「なっ!?」

 

上がっている足と足の間にノーヴェさんの飛び蹴りを通しーーー入った瞬間絡めとり

 

ノーヴェ「うわあぁぁあ!」

 

ーーーノーヴェさんの飛んできた勢いも利用して地面に降り下ろす。

 

ノーヴェ「LIFE1900→1000」

 

スバル「ノーヴェ!ーーーえ?」

 

俺はブリッジの体勢から足で地面を蹴り回転しながらスバルさんに肉薄した。

 

スバル「うおおお!」

 

スバルさんもそれに反応して、すかさず拳を放ってくる

 

カズマ「ーーーーー」

スバル「ーーえ!?消え」

ノーヴェ「うえだあぁぁぁあ!」

カズマ「・・・はっ!」

 

がっ!

 

寸での所で間に合ったシールドだったが俺の蹴りに耐えきれずすぐに壊された。スバルさんに俺の回し蹴りが炸裂した。

 

スバル「きゃああああああああ!」

 

 

スバル「LIFE2000→800

 

カズマ「ーーーーは?」

スバル「っく・・・・ん?カズマ君どうしたの?呆けて」

 

ちょ!それは不味い!ヤバいスバルさんを直視できない!

 

ノーヴェ「ーーナイスだ姉貴!そのままカズマに「見せつけろ!」

スバル「だから何を・・・」

カズマ「ノーヴェさんアンタ!まさかこれを狙って・・・・!」

ノーヴェ「だと言ったら?」

カズマ「ちっくしょおおおお!?」

 

無理だ流石に耐性がない、あちょ!スバルさんこっち見ないで!あ!怪訝な顔して回り込まないで!「見えちゃう」見えちゃうからぁ!

 

ノーヴェ「リボルバーナックル!」

カズマ「っぶな!ちょ!ずるいぞ!」

ノーヴェ「うるせぇ!勝ったもん勝ちだこらぁ!」

 

ノーヴェのラッシュをかわしながら距離を取る

 

スバル「だから何があああああ!?」

カズマ「だあぁぁぁぁ!前を隠せええええ!?」

スバル「へ?

 

ーーーきゃああああああああ!?」

 

見えてはいけないもの、それは

 

ーー吹き飛ばした際破けてしまったバリアジャケットが守っていた胸部だった

 

すぐさま腕で隠し、蹲るスバルさん

 

ルーテシア『お兄ちゃん!?そんなに見たいなら私に言ってくれれば・・・・!』

アインハルト『兄さん!やっぱり胸ですか!お胸様がいいんですか!私なら今は大人ですから兄さんの欲求を聞けますよ!?』

ティアナ『・・・・・・スバル、貴女・・・・』

スバル「私ぃ!?」

 

・・・・・何でこんなことに(白目)

 

カズマ「だあぁぁぁぁ!アンタらは自分の事に集中してろ!」

 

アインハルトはそんな余裕ないだろうが!

 

 

なのは「ストライク・スターズ!」

 

声がする方をみるとアインハルトがなのはさんの砲撃に飲み込まれる所だった。

 

カズマ「あ~言わんこっちゃない」

 

・・・・つーかどうすんだよこの空気、俺正直このままなに食わぬ顔で戦闘行為する自信ないよ?

 

ノーヴェ「つーか、何であたんねーんだよ!?」

カズマ「一発でも喰らったら終わりなんだよ!」

 

この人もぶれねえぇな!

 

カズマ「あ~分かった分かったから!」

 

ーーーーーん?

 

空気が変わった?

 

スバル「ーーーげ?ティア!?」

 

スバルさんが見上げた先

 

赤組陣地の一番高いビル、その頂上にティアナさんがいた、周囲に魔力弾を無数に展開されていた。

 

ティアナ「アインハルトよくやったわ!」

 

ティアナさんが不敵に笑い

 

ティアナ「おかげでチャージと布陣も完了!

 

 

ーーーこれが赤組勝利の篝火(かがりび)」

 

カズマ「(・・・・・まるで・・・)」

 

ーーーしかし面白い具合に誰にも会わないな。

 

ーーーいや、おかしい、村の人達の話だと大規模な盗賊・・・・・・っちやられたな、良かったよ、オリヴィエを連れてこなくて。

 

ーーー盗賊!っく!魔導師もいるのか!?

 

カズマ「(あん時は弓矢と魔法による集中豪雨・・・いやしかしティアナさんもえぐいな・・・あの数)」

 

まるで小隊一つ潰す為に作ったみたいだ。

 

ティアナ「

 

ーーークロスファイア・フルバースト!」

 

魔力弾の雨が俺達に降りそそぐ

 

傷けばノーヴェさんは後退しておりバリアジャケットを修復したスバルも何とか復帰し顔を赤くしながらこっちを見ないよう離れていった。

 

・・・そして誰もいなくなった(その場に)

 

カズマ「・・・・」

『敵反応ロストしたため、時間の延長、及び五分経過の為リセット

 

ーー計10分、このタグの所持者の方は敵を索敵(サーチ)速やかに見付け、戦闘行動を再開してください

 

カズマ「・・・・実質自由見たいなもんか」

 

こちらに向かってきた魔力弾を3つ程順番に切り飛ばす。

 

カズマ「(?そこまで強い弾幕じゃない・・・・あぁ、なるほど、使うことが重要なのか ・・・ブレイカー(集束砲撃)の為の布石・・・多分なのはさんもそれに乗っかってくる・・・かも)」

 

ビルの壁を駆け巡りながら、

 

弾幕を避けていく。やみあがる頃には状況が代わりはじめてーーー

 

ルーテシア「お兄ちゃん!?」

リオ「このタイミングで!?」

キャロ「ふぅ・・・・」

コロナ「ロケッ・・・・あう、最高のタイミングだったのにいぃ・・・」

カズマ「あ~何か悪かったな・・・でもま」

 

4対1

 

カズマ「・・・中々面白い展開だ」

 

さて!ルールーも十分楽しんだろ」

 

すっと木刀を構える

 

『っ!』

 

カズマ「ーーーこのチーム戦

 

ーー終わらせる」




誤字、指摘等がありましたらよろしくお願いします。


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33話

でわつづきです!

NーNーNさん誤字報告ありがとございます!




カズマ「・・・・・」

 

「多人数対一」そんな不利な状況下でまずすること

 

相手の戦力の把握

 

相手の士気の確認

 

相手の呼吸のリズムの乱れの有無

 

カズマ「うらっ!」

 

足下のビルを思いっきり踏み抜く下に支柱が無いことを「確認」して。

 

そして意表を常に突くこと

 

 

4人『!?』

 

ズガアアアアアアン!!

 

直後ビルの屋上部分が破壊され、発生した埃を隠れ蓑に飛び降り、崩れたコンクリート破片を足場に空中を駆ける

 

左方向20メートル位置にルーテシア、少し離れてリオ

 

右方向15メートル位置にキャロ、更に10メートル奥にコロナ

 

カズマ「・・・・・・」

 

埃が広がる範囲を出る直前、足場にしていた破片をゴライアスの胸元に蹴り飛ばす。

 

コロナ「え!?」

キャロ「っ!コロナ!」

 

俺の蹴り飛ばした破片は、ゴライアスの胸元に狙った通り吸い込まれ直撃

 

ゴライアスは体勢をよろめかせた

 

コロナ「うわわ!?」

ルーテシア「皆気を引き締めて!「来る」わよ!リオ!コロナを援護!キャロは私とお兄ちゃんを捕縛!」

リオ「雷龍!」

 

返事をしない代わりにすぐさま雷龍を操りこちらに向かわせて

 

ルーテシア「チェーンバインド」

キャロ「アルケミックチェーン!」

 

キャロとルーテシアが鎖を飛ばしてくる

 

カズマ「ーー居合術「瞬」」

 

神速の抜刀とそれによって起きる衝撃派で迫り来る鎖と雷龍を纏めて斬り飛ばした。

 

直後コロナに向かって走り出す。

 

20以上メートル会った距離を一気に「1」にした。

 

コロナ「ーーーえ?」

 

1メートル前にいるぽかんとした顔のコロナに一瞬笑みが浮かぶもすぐ顔を引き締めて

 

カズマ「ーー特攻居合「弐月」」

 

まるで三日月ねような軌道の斬り上げ・・からの反対側からの斬り下ろし。

 

コロナ「きゃああああああああ!」

 

ゴライアスの胸元に二本の三日月が刻まれ、倒壊しコロナも衝撃派によって吹き飛ばされた。

 

コロナ「・・・・・・」

 

コロナ「LIFE1300→0(戦闘不能)」

 

カズマ「ーーー」

リオ「え!?はい!?」

 

次いでリオに肉薄、上段からの降り下ろしが迫る。

 

リオ「くぅ!」

 

衝撃に備え即座に腕を構えるリオ

 

カズマ「(いい判断・・・だが)」

リオ「(防御を避けて!?)」

 

相手が目の前にいるときは「全体」を見なきゃダメだ

 

リオが腕を構えた瞬間に一瞬木刀を引き防御から離しそのまま下ろし、突きを放った。

 

リオ「っゔ・・・ああ!」

 

そのまま足場の上を転がっていくリオ

 

リオ「LIFE1500→0」

 

一瞬リオを見送り、そのまま持っていた木刀を地面に投げ、地面を砕きまた土埃を立ち上げる

 

キャロ「!?また!」

ルーテシア「キャロ!上よ!クラウソラス!」

アスクレピオス『ファイア』

キャロ「シュート!」

 

いち早く察知した上で貫通性を持つ魔力弾を放ってきた、キャロも同様だ、おまけにさっきの鎖も向けてきた。

 

ルーテシア「ーーソニック」

 

ルールーの姿が光となって凄まじい速さでこちらに向かってくる。

 

ルーテシア「(足止めしている間にキャロとなのはさん達のところにまで撤退!皆でお兄ちゃんと対峙するのが理想!)」

カズマ「(ーーーーーって考えかなルールー)」

 

でもな?

 

カズマ「(この手の戦況はいやと言う程味わってるんでな!)」

 

ポケットから石ころを取りだしルールーが放った魔力弾が近づいてきたのを確認して投石

 

ーーー形を維持できなくなった魔力弾が魔力による小爆発を起こした。

 

投げた瞬間に身を捻り、体をビル側に向ける、直後の爆風で少し押されビルに向かっていく。

 

ビルの壁を蹴り、キャロの背後に着地。キャロが振り向く前に首の後ろを素早く手刀でとんと叩く。

 

キャロ「あ・・・・・」

 

キャロ「LIFE2200→2000(気絶により戦闘不能)」

 

ルーテシア「っ!・・・・はぁ・・・もう!お兄ちゃん強すぎ!」

カズマ「ったりまえだ、お前らのお兄ちゃんだぞ?良いとこ見せないとな!」

ルーテシア「もう・・・・

 

ーー一手お願いします。」

カズマ「勿論」

 

ルールーは照れくさそうに口を尖らせた、次には気を引き締めた顔になり「勝負」を仕掛けてきた

 

兄として受けないわけにはいかないしな

 

ルーテシア「アスクレピオス!」

アスクレピオス『ソニック』

 

高速魔法でその場から動き出すと同時に、周りに魔力弾が現れた、しかし浮遊しているだけで動く気配はない。

 

カズマ「・・・・これは」

 

ルーテシア「ファイア!」

カズマ「なんの!」

 

すぐ背後に回り込んできたルールーの魔力弾を斬り飛ばす。

 

ーーゾクッ

 

突如感じる悪寒に従い、その場から離れ

 

ーークラウソラス

 

ルーテシア「ーーshall we dance?(踊ってくださいません?)my brother(お兄様)?」

 

思わず顔がひきつる。この「誘発弾」は多分ーー

 

ーー使用者の魔法に反応して、魔力スフィアを放つ。勿論一発ではなく誘発弾に込められている魔力を使いきるまで

 

案の定!

 

ルーテシア「Let's Party!(さぁ!パーティーの始まりよ!)」

カズマ「テンションたっけえなおい!?」

 

ーーfriendlyfire(集中放火)

 

予想は当たっていた。

 

ヒュヒュヒュヒュヒュンッ!

 

総勢18発ものスフィアがこちらに四方八方から迫ってきた。

 

カズマ「ちぃ!」

 

ーー我が妹ながら恐ろしいよ!

 

眼前の魔力弾を斬り捨て、できた僅かな隙間から抜け出て誘発弾を一つついでに斬り飛ばした。

 

ーー第二射

 

17発もの魔力弾が発射された!

 

カズマ「っちーーーー」

 

どおおおおおん!

 

ーーーーー

 

ルーテシア「・・・・・・・・」

 

大爆発を起こした場所を注視しているルーテシア

 

ーーーー

 

ルーテシア「ーーはぁ・・・たまには花を持たせてよお兄ちゃん・・・」

カズマ「やだ」

ルーテシア「でもまぁ・・・」

 

カズマ「LIFE400→150」

 

ルーテシアの後ろには首に木刀を添えているカズマ、その肩に2つの焦げあとがついていた。

 

ルーテシア「ーー降参します」

カズマ「おう・・・頑張ったなルールー、それに皆も」

ルーテシア「えへへ♪」

 

頭を撫でられて喜ぶルーテシア、その表情は悔しさも悲しさも怒りもなく

 

ルーテシア「「楽しかったよ」お兄ちゃん!」

 

愛する兄を敬う妹だった。

ルーテシア「自主降参により脱落」

ーーーー

 

カズマ「お?やってんな」

 

気配と戦闘音を辿って来てみると

 

ヴィヴィオとスバルさんに挟み撃ちされているノーヴェがいた。

 

ヴィヴィオ「あ!カズマさん」

カズマ「よ!」

ノーヴェ「このタイミングでかよ!?」

スバル「あ、カズマ君、その・・・」

 

ヴィヴィオがいち早く気付き手を降ってくる、ノーヴェさんが顔をひきつらせ、スバルさんは顔を逸らしてしまう。

 

カズマ「あ~・・スバルさんごめんなさい、本当に、ごめんなさいわざとじゃないのは本当なんで」

スバル「・・・ふふ、いいよ!私もいつまでもごめんね?」

カズマ「・・・・感謝します。ーーーさて!やるか!」

ヴィヴィオ「私からお願いします!」

 

ヴィヴィオはそう言うと拳を構えた。

 

ノーヴェ「あ~ヴィヴィオ言っとくけどもし挑むんならインターミドルチャンピオン「ジークリンデ・エレミア」選手に挑むぐらいで行けよ!」

ヴィヴィオ「おす!」

 

こうしてVSヴィヴィオ

が始まった。




ルールー強化しちゃいましたかな?

誤字指摘等がありましたらよろしくお願いします!


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34話

NーNーNさん誤字報告ありがとうございます!
気をつけて見直しもしてるんですが如何せん(´・ω・`)

お気に入り登録感謝です!

では続きです!


セイン「お嬢すごいな!?あれだけの魔力操作と高速魔法を同時に!」

メガーヌ「なんたって私の自慢の娘ですから♪・・・でもあの

「誘発弾」自体は自動発射だから難しくないの、ただ使用者の魔法を関知するプロセスを作らなきゃいけない、それを18個も出すって言うのはかなりの手間なのよ?」

クライ「頑張ったんだな」

 

微笑ましそうにそう言うクライに笑みを浮かべるメガーヌ

 

メガーヌ「・・・本当にね」

 

ーーママ!私ミッドチルダでお兄ちゃんが出来たの!

 

ーー凄く強い・・・今度お兄ちゃんに一泡吹かしてやるんだから!

 

メガーヌ「・・・強くなったわね」

 

カズマに撫でられて幸せな顔を浮かべている我が娘の顔を見てメガーヌはそう呟いた。

 

ーーー

 

ヴィヴィオ「はっ!」

 

こちらに詰め寄りながら鋭い拳を放ってくるヴィヴィオ、それをかわしながらもたまに反撃をする

 

カズマ「しっ!」

 

霞むような速さで蹴りを放つーーーが

 

ガッ!

 

ヴィヴィオ「っ~~~(全く助走がないのに重いし速い一撃でも喰らったらダウンは免れない!)」

 

ヴィヴィオ「LIFE2100→1900」

 

カズマ「・・・・(恐れ入る、全く恐れないし迷いがない・・・何よりこの反射神経と相手の目を真っ直ぐ見る目・・・リオやコロナアインハルトとこの子・・・ノーヴェさんも鼻高々だなこりゃ・・・でも)」

 

ーーーインターミドル(大会)じゃ一歩足りないぞ

 

カズマ「・・・(まず)」

ヴィヴィオ「!(隙を見せた!)」

 

ヴィヴィオが上段から拳を降り下ろし、一歩下がり避ける

 

ヴィヴィオ「ジェットステップーーーアクセルスマッシュ!」

 

下がると同じタイミングで素早い動きで魔力を溜めた拳でアッパーを放ってくる。

 

ーーーパシッ!

 

ヴィヴィオ「い゛!?(防がれた!?タイミングは完璧な・・・・・罠!?)」

ノーヴェ「っくるぞヴィヴィオ!」

スバル「ノーヴェ、一応ヴィヴィオ敵なんだけど・・・」

カズマ「ーーーーー」

 

ヴィヴィオは予想外の状況に弱い、それと

 

火力が足りない!

 

カズマの右足が文字通りかききえる。狙いはわきばーーー

 

カズマ「ーーーっ!」

 

ばっとなのはさん達がいる方に顔を向ける

 

ヴィヴィオ「あっ・・・・・・」

 

呆然と自分の脇腹のすぐ横に「現れた右足」を見ているヴィヴィオ、俺は「遅かったか・・・」と顔を手で覆う

 

スバル「あ、やば」

ノーヴェ「SLBだ/(^o^)\」

カズマ「あれがそうなの!?」

 

なんだS(しゃんと)L(ラリってる)B(バカスマ)じゃなかったんだ、良かった・・・

 

カズマ「あー流石にあれは難しいなこの木刀じゃ」

ノーヴェ「できんのかい!?てかこの木刀じゃってなに!?」

カズマ「どうどうどう」

ノーヴェ「」

スバル「ノーヴェ!落ち着いて!今は回避優先・・・あれ?そっかノーヴェは今敵なんだよね!ノーヴェ荒れ狂って!我を失って!理性を殺してぇ!?」

ヴィヴィオ「スバルさんんんん!?」

 

 

ティアナ「(やってくれるわね・・・正直フェイトさんとノーヴェじゃ分が悪い・・・・ここしかない)」

 

足下に巨大な魔方陣を展開するティアナ

 

なのは「(やっぱり収束に入った!)」

 

対抗するようにブラスタービットを数機展開し周囲の魔力を収束し始めるなのは

 

ティアナ「赤組生存者一同!」

なのは「青組生存者一同!」

 

ーーーーモードマルチレイド!

ーーーーシフト『ファントムストライク』

 

2人『ちょー逃げてえ!!』

 

ーーーースターライト!!

 

カズマ「は?」

ノーヴェ「あ?」

スバル「っ!ヴィヴィオ!」

ヴィヴィオ「あ?」

スバル「あぁ!ヴィヴィオがノーヴェの悪影響を!」

ノーヴェ「なにぃ!?」

カズマ「ちょっ!ばかども!んなことしてる場合じゃ!」

 

 

 

なのは・フェイト『ブレイカアアアアアアアアア!!』

 

 

フェイト「え、えリオ・・・恥ずかしい・・」

エリオ「ふ、フェイトさん・・・だ、ダメだ僕にはキャロが」

ストラーダ『本当に?実はさっきの衣服を破く斬撃は・・・・

 

ーーーわざとじゃないんですか?』

エリオ「ーーーー!?」

フェイト「ストラーダ!?」

エリオ「ち、違う!だってフェイトさんは母親で!それに僕には・・・」

ストラーダ『ならなんで素直にならない!』

フェイト「」

ストラーダ『キャロは意外と競争率高いんですよ・・・あの子のことをそこまで想うんなら。・・・行ってあげなさい』

エリオ「うん・・・うん!ありがとうストラーダ!行ってくる!」

 

そう言うと、エリオはストラーダを地面に置き走り出す!

 

エリオ「あはは・・・(何て眩しい光なんだ・・・待っててキャロ!今行くよ!)」

フェイト「エリオぉ!前!前!」

エリオ「あはは「・・・・・ォオオオオオ!!!!」」

 

ーーーーードゴオオオオオオオオオオ!!!

 

フェイト 「エリオォオオオオキャアアアアア!?」

バルデイッシュ『・・・・・・oh』

 

ーーーー

 

セイン「あっはははははははは!な、なんだよノーヴェ達!なんで漫才なんかやってんだよ!ひー、いひー!」

クライ「く・・・くく・・・カズマの慌てた顔・・くっく・・・」

メガーヌ「あらあら・・・・っぷくく・・・」

 

ーーーー

 

カズマ「(これなんて最終戦争・・・・・?)」

 

収束砲撃同士のぶつかり合いにより辺りが滅ぼされていく様を見て呟く。

 

あの後、すぐさま近くの一番高いビルに登り、屋上から思いっきり飛び上がった。

 

何とかギリギリ回避に成功し地面に落下していく

 

カズマ「っと」

 

ビルの壁に木刀を突き刺し「ガガガ」と削りながら減速して落ちていく。途中で引き抜き壁を走っていく。

 

やがて降りた俺は辺りを見た。

 

カズマ「・・・・・ここまで壊して修復するって言うんだから・・・やっぱり魔法って「ぱしゅ!」・・・凄いなぁ・・・ティアナさん」

ティアナ「まさか・・・・本当に生き残る何て・・・」

 

喋ってる途中でヒビがはえまくった木刀で迫った魔力弾丸を斬る。

 

バキッ

 

カズマ「あ~やっぱり持たなかったか・・・」

ティアナ「そりゃあんだけ暴れてりゃ・・・・ね?」

 

何で無傷なのよ・・・とジト目で見てくるティアナさん・・・いやだから掠りでもしたら終わりなんだって・・・

 

カズマ「生き残りも「二人」いるみたいですからね」

ティアナ「は?ーーこの速度、スバル?」

 

ヴィヴィオ「残念ヴィヴィオでした!」

カズマ「・・・あーそういやスバルさん庇ってましたね」

ティアナ「・・・あと一人はアインハルトか・・・」

ヴィヴィオ「カズマさん!さっきのリベンジです!」

アインハルト「兄さん!」

 

そこへたどり着いたアインハルト。3人と俺が対峙する。

・・・・・・あ、今「ティン」ときたぞ?

 

 

カズマ「・・・くくく、漸く役者が揃ったか」

ヴィヴィオ・ティアナ『へ?』

アインハルト「考え直して下さい兄さん、貴方は・・・貴方はそんな人ではありません‼」

ヴィヴィオ・ティアナ『!?』

 

何を驚いてるんだか、今の俺は「ヒール(悪役)」だぜ?折角の噛ませなんだ、俺らだけじゃなくて皆も楽しまないとな!

 

ティアナ「・・・・ふふ・・・・

 

ーーーアインハルトの言う通りよ!それは貴方が・・・沢山の人を救った貴方が分かってるでしょ!?」

カズマ「・・・残念だが、あれはあいつらのデータが必要だからしたこと!情などない!」

ヴィヴィオ「え?・・・え?」

 

ーーーヴィ ヴィ オ お れ あ く や く

 

口パクでヴィヴィオにそう伝える。ーーーうん、気づいたな!

 

アインハルト「なら!どうしてあのとき貴方は!

 

ーーー私と一緒の未来を歩みたいと言ったのですか!?」

カズマ「は、はぁはっは!そ、そんなのお前を利用したに決まってるじゃないですかぁ!」

 

ーーーーなーにを言っとるんだこいつはああああ!?




すいません!次回でチーム戦をおわりにしますのでもう少しこの茶番にお付き合い下さい!

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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35話

誤字報告ありがとうございます!NーNーNさん!

お気に入り登録感謝です!

では続きどうぞ!


モニターを見ているボロボロのノーヴェが言った

 

ノーヴェ「おい、何か始まったぞ」

スバル「そうだねぇ・・・」

 

モニターの向こうではカズマとヴィヴィオ達が向かい合い、何やら言い争っている。

 

ノーヴェ「なんか・・・始まっちゃったぞ?」

スバル「そう・・・だねぇ」

 

この時のスバルはどこか違う所を見ていたかのような、そんな遠い顔をしていた。

 

ーーー

 

カズマ「俺はお前を利用しただけだ!お前にそんな情など!ない!」

アインハルト「そ、そんな・・・兄さん・・・」

 

ああー!やめてぇ!これ演劇だよね?それ演技だよね!?何でそんなガチな顔してんのぉ!?大丈夫だよぉ?お兄ちゃん妹の事嫌いにならないからね!?

 

ティアナ「あ、貴方はそれでいいの!?本当に・・・・・・本当にそれでいいの!?」

 

分かる分かるよ?でも台詞が浮かばないからって台詞の使い回しはよくないよ?あぁもうそんな目でみないで!

 

カズマ「いいも何も!何故俺にかかわる!?もうあの夜にお前らとは決別したはずだ!」

ティアナ「でも!そんなの!悲しいじゃない!寂しいじゃない!」

 

お?いい感じだなティアナさん!

ここから戦う方向に誘導するか・・・

 

カズマ「・・・・そも「兄さん!」・・・・なんだ?」

アインハルト「私の事はどうだっていい!でも・・・でも!

 

 

 

ーーーーこの子の事はどうするんですの!?」

ヴィヴィオ「ぱぱ~おいてかないで~(棒」

 

・・・・・・・・・・・

 

カズマ「・・・・・俺には・・・関係ない・・・」

ティアナ「・・・・・・・」

 

二人『(こ、こいつら・・・・・)』

 

ーーーとんでもない爆弾投げてきやがったああぁ!?

 

二人は思わず見つめあいアイコンタクトで作戦会議を開く

 

ーーどうすんのよ!アインハルトどうしてもカズマと結ばれたいってんでこんちくしょう!

ーーヴィヴィオが予想以上に下手過ぎた!なんだこれ収集つくんだよな!?

ーーなんとかしなさいよ!発案貴方でしょうが!

 

カズマ「・・・お前らはこんな下らない事をするためにここまで来たのか・・・っは!がっかりだよ!確かに前は仲良かったかもな・・・・・でも、もう関係ない!」

アインハルト「っ!」

 

がっ!

 

無理矢理戦闘に流れを持っていこうと、闘気を放ち、アインハルトの前へ踊り込みアッパーを放つそれをつかみふさがれる。

 

ヴィヴィオ「ままをいじめないで~(棒」

 

そう言った直後ジェットステップですぐ脇まで迫り!

 

ヴィヴィオ「ディバイィン バスタアアアア(棒」

カズマ「ぶふぅ!?」

 

な、なんでこいつは必殺技まで演技に影響されてんだよぉ!?

 

カズマ「っぶな!?」

アインハルト「私は兄さんを愛しています!兄さんは本当にそれでいいん断空拳」

 

え?今のダジャレ?

 

カズマ「っ!いいもなにも!俺は最初から俺だ!俺の野望の為にしか生きず他はどうでもいい!そんな屑野郎なんだよ!」

 

アインハルトの拳を右に逸らし、カウンターをはなーーーーとうとして引っ込めた。

 

カズマ「・・・・く、ティアナ・・・邪魔をするなぁ」

ティアナ「(呼び捨て・・・)いい・・・」

カズマ「へ?」

ティアナ「・・・じゃなかった・・・いくらでも邪魔をするわ・・・貴方がいくら私達を拒絶しようとも・・・私たちは貴方を連れ戻す!」

 

・・・え?何いまの恍惚の表情・・・

 

カズマ「・・・何で・・・そこまで・・・」

アインハルト「私が貴方の妻だから空破断」

ティアナ「分かっていたわよおおお!」

 

いい感じに入ってきたなアインハルト・・・

落ち着いて!ティアナさん!ほら深呼吸

 

ティアナ「すー、ふぅー・・・」

 

直後いきなり怒鳴って頭が興奮状態になっていたのか深呼吸をさせてクールダウンをはかったら

 

ティアナ「あ」

 

立ちくらみでも起こしたのか、尻餅をついてしまった

 

ティアナ「LIFE110→0」

 

何でだああああああ!?

 

ティアナ「・・・・後は・・・・任せたわ、アインハルト・・・ヴィ、ヴィオ・・・(ガクッ)」

カズマ「(じゃねーよ!?)」

 

え?まじかティアナさん!?この現状をほっぽり出して?

 

ティアナ「・・・・・」ピッ

 

何サムズアップしてんだあの人は

 

アインハルト「・・・・任せて・・・下さい・・・」

ヴィヴィオ「てぃ・・・あなさん・・・」

アインハルト「ヴィヴィオ!?貴方呪いが・・・」

 

呪い!?

 

ヴィヴィオ「・・・・やっぱり、ティアナさんが最後の鍵だったんだ・・・大丈夫だよティアナさん、私とアインハルトママがティアナさんの分まで

 

ーーーアインハルトママの新しい子供の分まで頑張るから!」

 

・・・・じゃねえよぉ!?何今更新しい設定突っ込んでんの?

 

カズマ「呪いがなんだ!」

 

ヴィヴィオ「っ!?」

 

カズマ「お前らの事なんてしらない!知りたくもない!だから!」

アインハルト「っ!」

 

カズマ「もう俺の前に現れるな!このまま・・・最低な俺で終わらせてくれよ」

 

あーもー!?やってやらぁ!こうなったら最後まで付き合ってやるぅ!!

 

するとヴィヴィオが前に出てきて右拳を挙げた。

 

ヴィヴィオ「ーーそんなの嫌です。確かに貴方は皆を裏切った最低な人です」

アインハルト「ーーですが、同時に私の夫です。他を探してもいない、優しくて、たまにちょっと弱いとこがあって、そんなーー」

ヴィヴィオ「ーー私達の世界でたった一人の」

 

アインハルトがヴィヴィオの左隣に並び左拳をあげ

 

2人「ーーー「お兄(さん)ちゃん」です」

 

笑いながら言った。

ま、満点だ!・・・・悪を滅ぼすのではなく、手を差しのべる・・・目指せハッピーエンドストーリー!途中までは酷かったが・・・こいつら最高だ!・・・・・・・ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃん?

 

アインハルト「ヴィヴィオさん・・・・貴方・・・」

ヴィヴィオ「だってだって!ルールーとアインハルトさんだけズルいじゃないですか!?私も欲しいです!お兄ちゃん!」

アインハルト「いくらヴィヴィオさんでもそれだけは許せません!」

 

すぐさまヴィヴィオから距離を取り。

拳を構えるアインハルト・・・・

 

ヴィヴィオ「絶対にお兄ちゃんゲットするんだから」

 

・・・・・・なにコレ?

 

カズマ「お、おいお前ら?ーーーーーあ」

 

「カッ」と何かが足にひっかかる音

俺の混乱した頭じゃ、対処等思い浮かばずその場で普通に転んだ。

 

カズマ「LIFE150→0」

 

3人『あ』

『使用のタグの巻き込み自爆スイッチが入りました。使用者の周囲30メートル圏内にいるenemyを対象にバインドを発動します』

2人『あ』

『カウントダウンを開始します。10ーーー0』

 

カウント意味無くない?

 

 

こうして俺達のチーム戦の「午前の部」は終わった。

 

 

ーーー赤組・・・行動不能1名 撃墜5名

青組 ・・・行動不能1名 撃墜5名

ヒール・・・撃墜1名

 

ーーー試合時間20分16秒、全員戦闘不能につき引き分け




なんじゃこりゃ(´・ω・`)

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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36話

では続きです!


ーーー

 

なのは「そ・・それで・・ぶふ!・・・お、おほんそれでは!お疲れさーーー」

ルーテシア「ーーー「それでいいん断空拳」」

なのは「ぶふぅわあっははははははは!?」

 

試合が終わり、午前の部の労りの言葉の音頭をなのはさんが取ろうとしたが。どこか堪えてる様子で、そこにルールーが更にニトロをぶちこみました。なのはさんが全力崩壊したことを切っ掛けに皆(エリオ意外)が笑い出しました。

 

セイン「「お、おい・・・あ」」

皆『あっははははははは!!』

ノーヴェ「「ぱぱ~おいてかないで~(棒」」

皆『ひゃっはははははは!!』

 

皆の仲に俺は・・・いや、演劇(笑)をした俺達はいない・・・分かるだろ?分かってくれよ!

 

カズマ「・・・・皆・・・・なんかゴメン」

ティアナ「大丈夫よ・・・・気にしてなんかないわ・・・」

アインハルト「そうですよ・・・気にする事なんて・・・クラウス、ごめんなさい・・・私古代より由緒正しいイングヴァルト家に・・・・ダジャレを食い込みました」

ヴィヴィオ「皆大丈夫ですよ・・・私なんか途中でコツつかんだのはいいけど・・・それまで・・・・・うぅ・・・」

 

ーーー市街地エリアの外にある山岳エリアから滅亡市街地と化した廃街を4人体育座りで眺めてました。

 

下から声が聞こえる。

 

ノーヴェ「みんなぁそろそろ降りてこいよぉ!」

 

そろそろ休憩入ろうと声をかけるノーヴェだが・・・

 

カズマ「降りて何するんですか?皆で囲むんですか?」

ヴィヴィオ「囲んで何するんですか?苛めるんですか苛めるんですね?そうですか?」

ティアナ「私達のどーでもいい話なら聞かせるわよ?本当にどーでもいい話だけどね?」

アインハルト「今なら「カイザーアーツ川柳会談」まで開けちゃいますよ・・・へへ、へへへ・・・」

 

クライ「あー、ありゃ完全にぐれてるな、目が据わってる」

 

苦笑い気味の皆

 

リオ「で、でも面白かったよね!?」

コロナ「う、うん!ちょっとベタかも知れないけど面白かった!特に最後の二人がバインドで縛られた時のカズマさんのぶふぅ!?」

ノーヴェ「おいいぃ!?余計傷口広げてんだろうが!?」

 

吹き出すコロナに3人の雰囲気が重くなる、大人組は苦笑いするしかなく、頼みのルーテシアも・・・

 

ルーテシア「・・・・・私もあっちに行きたかった・・・ヴィヴィオちょっと近すぎ」

 

ノーヴェ「どないせっちゅうねん」

 

そう言うしかなかった。

 

ティアナ「・・・・ねぇ?カズマ」

カズマ「・・・・奇遇だなティアナさん」

ヴィヴィオ「・・・・私も今話しかけようとしてました、「お兄ちゃん」に」

アインハルト「・・・・妹が増えるのは誠に遺憾てすが・・・仕方ないでしょう

 

 

ーーー私達が考えるのは多分同じ」

 

カズマ達は同時に立ち上がり、眼下にいる皆を睨み付ける

 

カズマ「皆さぁん!自業自得なのに勝手に落ち込んですいませんっしたぁ!・・・でもあそこまで笑うことはないと思いまぁす!」

エリオ「・・・・・(駄目だ、フェイトさんと一騎打ちしてた時から記憶がない・・・何があったんだ・・・)」

ノーヴェ「 ・・・・まぁ、その、うちらも「そこでぇ!」」

 

カズマは声を張り上げ、次いでティアナがまるで選手宣誓の如く手をあげ

 

ティアナ「迷惑は承知の上ですが!次の陸戦試合、私達となのはさんたちで執り行っても良いでしょうか!?」

 

 

 

 

演技組意外『えええええええええ!?』

 

ヴィヴィオ「絶対に負けないんだから!」

アインハルト「私とヴィヴィオさんの(まだ納得してないけど)アーツシスターズと兄さん!ティアナさんのコンビなら負けはありません!」

 

 

 

なのは「・・・・面白そうだね、うん!やろうか!」

フェイト「なのは!?」

 

了承するなのはに驚くフェイト、他の皆も驚いてる中ルーテシアが言った。

 

ルーテシア「多分向こうの精一杯の反抗なんだよ」

セイン「お嬢?」

ルーテシア「皆分かってるんだ、迷惑をかけてるって、あのまま向こうがぐれたままだったら多分だけど空気が少し悪くなったかもしれないからね。だからこその妥協案・・・それに私達も笑いすぎたから、向こうの提案は飲んだ方がいいよ?」

 

ルーテシアの言葉に皆はポカンとしてメガーヌはカズマの前に言っていた言葉を思い出した。

 

ーー何であそこで横やりを入れたかって?そりゃお互いの為ですよ。あの場で喧嘩してて他の局員の邪魔になるくらいだったらさっさとチーム戦なり何なりして、奴等の場を作ってやらないと、お互いの空気も悪くなりますし。

 

メガーヌ「・・・・ふふ♪」

 

メガーヌはルーテシアの言葉に同意してる皆を見て笑った。

クライ「なんかカズマを見てるみたいだな・・・」

メガーヌ「さすがは兄妹ってとこね」

クライ「ですね」

 

快活に笑うクライにメガーヌもまた笑った

 

なのは「よぉし!なら1時間休憩入れて作戦タイム!2時間後には訓練場も修復されてるから、そしたら開始!」

皆「はい!」

 

今度は全員の返事が帰ってきた。

 

ーーーーーーーー

 

PM8:30 ホテルアルピーノエントランスホール

 

無事3連戦を終え皆が思い思いに過ごしてるなか、カズマとティアナ、スバルとノーヴェはソファーに座り話し合っていた

 

ノーヴェ「あー、今回のチーム戦は楽しかった!サンキュなカズマ」

スバル「うん皆も喜んでたし!自慢できるよ来てくれてありがと!」

カズマ「・・・・あー、ありがとうございます?・・・ま、それは別として、すいません一回目の後、変にふてくされて面倒だったでしょ?ティアナさんもすいません」

 

突然謝ったカズマに3人は目をパチクリさせて優しく笑った

 

ティアナ「バカね・・・それ含めてのお礼に決まってるでしょ?楽しかったのよ、子供達も、なのはさんやフェイトさん、観戦してたメガーヌさん達・・・ここにいるノーヴェやスバル、私だって・・・だから・・・

 

ーーー本当にありがとう」

 

カズマは一瞬唖然とした顔をするとこちらを笑顔で見ているティアナの顔が恥ずかしくなり顔を背ける。

 

カズマ「・・・・・うす」

ティアナ「?・・・・・何よ二人とも」

ノーヴェ「べっつにぃ?」

スバル「ね~?」

 

 

ティアナ「・・・・・話があるなら聞こうじゃない・・・・そうね?今から訓練場で的になってもらいながらゆっくり」

 

羞恥から顔を赤く染めているティアナ、果てしなく可愛いが(作者贔屓)、二人には何に見えたのだろうか?

 

ノーヴェ「お、おおおちゅちゅけ!話せばわかる!」ガッ

スバル「てててててててーーー」ガッ

ティアナ「あんたはどこの野〇一家よ・・・・今ね追尾型のファントムブレイザーの練習をしててね・・・逝くわよ・・・ね?」

二人『』

 

何故か団子の兄弟の歌を口ずさみながら引きずられていく二人、ティアナの「おやすみ」がノーヴェとスバルに対して言っているようにしか聞こえないカズマだった

 

ーーーー宿泊部屋「チルドルーム」

 

一方、ルーテシア含む子供組はと言うと・・・

 

リオ「う、腕があがらな・・・い」

コロナ「起きれない~・・・・」

 

体中生まれた小鹿のような状態の二人に、何故かーー

 

ヴィヴィオ「駄目だなー二人は~」

 

どこかどや顔しつつ普通なヴィヴィオと苦笑を浮かべるアインハルトがいた。

 

ルーテシア「二人は意外と大丈夫なのね?」

 

ルーテシアがそう聞くとヴィヴィオが嬉しそうに

 

ヴィヴィオ「「お兄ちゃん」が長く戦う秘訣を教えてくれたんだ!しかも10歳の身体にも負担がかからないような!」

 

と満面の笑みで言った。

 

アインハルト「・・・・く、兄さんに手取り足取りフレンドリー・・・うらやましい・・・」

ルーテシア「・・・・それは・・・・うらやましいわね」

 

邪気のない笑みに噛みつくに噛みつけない二人がプルプルと体を震わせる。

 

リオ「いいなぁ!私もお兄ちゃん欲しいなぁ!いいなぁ!」

コロナ「うん・・・・何か羨ましい・・・」

 

ーーーーー

 

アインハルト「・・・・(なんだったんだろ?あの時の高揚は)」

 

ーーー覇王流 飛断

 

アインハルト「(楽しい・・・と思ったの?ヴィヴィオさんと戦ってる時・・・)」

ヴィヴィオ「アインハルトさん!あの技凄かったです!」

 

ドクン

 

アインハルト「凄かった?・・・」

ルーテシア「確かにね・・・・ねぇアインハルトチーム戦・・・どうだった?」

アインハルト「チーム戦・・・」

 

私の彼との・・・・カイザーアーツ

他の皆さんにも・・・・

 

スバル『すごっ!?私も打撃力には自信あるけど・・・すごいよ!』

エリオ『たはは・・・良いの一発貰っちゃったな・・強いねアインハルト』

 

ドクン

 

フェイト『すごい動体視力と技術だね・・・一杯努力したんだね』

 

負けてしまったけど頑張って応戦したフェイトさん

 

なのは『アインハルトちゃんみたいな凄い子がヴィヴィオの友達になってくれて私も嬉しいな♪』

 

そう言ってくれたなのはさん

 

ノーヴェ『・・・・驚いたよ、まさかここまで伸ばしてくるなんて・・・本当に驚いた」

 

本当に驚いてみせたノーヴェさん

 

ドクン・・・ドクン

 

いつか兄さんに言った「何をしたいのか」その言葉がうかんでくる。まだ少ししかたっていないけど・・・全く分からなかった、過去を思い浮かべても、皆さんと一緒にいても、一緒にトレーニングをしてても

 

ドクン・・・・ドクン・・・

 

リオ「うん!私の「絶招炎雷炮」を真っ向から崩してきたからね!びっくりしたよ!あでで・・・」

コロナ「あはは・・・私のゴライアスも簡単に倒されちゃうし・・・アインハルトさん凄いなぁ・・・」

 

笑いながら驚いているリオさんと尊敬の眼でみてくれるコロナさん

 

・・・・皆・・・「私を褒めてるの」?

ルーテシアさんとヴィヴィオさんを見る・・・笑ってくれた

 

 

ーーー勿論私達もだよ?

 

言葉にはしてないのにそう聞こえた気がして・・・

 

アインハルト「ーーー」

ルーテシア「何か今回の合宿は皆泣いてばっかりねぇ・・」

 

苦笑するルーテシアさんに困惑する皆さん

 

記憶の中のクラウスと・・・「兄さん」が

 

カズマ『んお?・・・・「やってみたら」いいんじゃないか?」

クラウス『自分の妹だろうに・・・頑張って来なさい

 

ーーーあ、カズマそれはそうとこのあと模擬戦でも』

カズマ『断る』

クラウス『(´・ω・`)』

 

そう言っている気がした。

 

アインハルト「(・・・・・・兄さん、私やりたいことができました)」

 

ここにいる皆さんと、教えてくれたノーヴェ「コーチ」・・・そして兄さんと

 

ーーー格闘技がしたいです。

 

私の様子を見て微笑んだルーテシアさんが

 

ルーテシア「ねぇ?アインハルト、ヴィヴィオ達と私も出るんだけど・・・・

 

 

ーーD(ディメンション)S(スポーツ)A(アクティビティ)A(アソシエイション)公式魔法戦競技会「インターミドル・チャンピオンシップ・・・興味ある?」

 

ドクン!と一番鼓動が高鳴った気がした。




とりあえず曖昧だったハルニャンの格闘技への意欲を無理矢理向上させました(暴論

次回で原作3巻の内容が終わります。(その次からはジーク
をちゃんと出していきます。)

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!

追伸・この話は書きませんでしたが、機会があったらチーム戦(2戦目、3戦目)の話も番外編として書かせていただきたいと思ってますので、その時はよろしくお願いします!


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37話

ちょっと無理矢理ですが、合宿編終了です!

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では続きです!


アインハルト「インターミドル・・・ですか?」

ルーテシア「えぇ、参加資格は10歳から19歳まで、個人計測ライフポイントを使用して限りなく実戦に近いスタイルで行われる魔法戦競技」

 

喋りながら電子モニターを呼び出すルーテシア

 

そこには歓声が鳴り響く広大な会場、そこに立ち並ぶのは皆闘志を目に宿す同年代の少女又は歳上の女性ばかり

 

ヴィヴィオ「少し前までは男女共同だったらしいんだけど、やっぱり年頃の男女が取っ組み合いをするのは危ない

って運営委員会が決めたんだよね?」

 

ヴィヴィオがそう聞くとルーテシアは頷き

 

ルーテシア「そうなのよね・・・・実は言うとね?私今年のインターミドルお兄ちゃんも誘おうって思ってるの」

リオ「・・・・ん?どういう・・・」

 

発言の意味が分からないと言わんばかりの皆の視線にルーテシアは不敵な笑顔を浮かべる。

 

アインハルト「インターミドルは男女別と言うことなんですよね?それに兄さんは魔力そのものがーー」

ルーテシア「ーーーそこよ」

 

ルーテシアの発言に皆が?を浮かべる。

 

ルーテシア「ーー実はね、男性競技者は勿論駄目だけど、「魔力が最低基準値を満たしてない」一般人が参加できる制度が結構前からできてるの」

 

最低基準ーーーようは最低限の魔法が使える魔力量の事である。

 

そして、もうひとつモニターを展開する。

 

ルーテシアが説明するために口を開こうとして

 

メガーヌ「ーーたしか、「一般人競技者選考会」だったかしら?」

ルーテシア「あ、ママ!」

なのは「私とーーー」

カズマ「入って大丈夫か?」

 

ドリンクを持ったメガーヌとなのは、入り口の影から伺うような声、カズマがいた

 

ヴィヴィオ「なのはママにお兄ちゃんまで!?どうぞどうぞ!入って」

 

ヴィヴィオがそう言うと苦笑するカズマが入ってきた、風呂に入ってきたのか浴衣姿だ

 

カズマ「まだ慣れないなヴィヴィオに兄と呼ばれるのは・・・」

ヴィヴィオ「あ、あの・・・無理なら・・・」

カズマ「アホタレ」

 

そう言ってデコピンをかますカズマ

 

ヴィヴィオ「あぅ!?」

 

額を押さえ地味に痛かったのか涙目でカズマを見るヴィヴィオの頭を撫でる。

 

ヴィヴィオ「あ・・・・えへへ、気持ちいいです・・・」

カズマ「・・・・俺なんかの妹でいいんなら構わないよ、寧ろ慕ってくれてありがとな?」

ヴィヴィオ「!ありがとうお兄ちゃん!」

 

そう言って笑顔を向けるヴィヴィオ、悔しそうな顔をしていたルーテシアとアインハルトだったが、嬉しそうな笑顔を浮かべるヴィヴィオを見て、しょうがないなと言った感じの笑みを浮かべた。

 

リオ「・・・・・・・・」

カズマ「・・・・リオも来るか?」

 

つまらなそうな顔のリオ、しかしチーム戦での「勝ったらお兄ちゃん呼び」発言をしているため黙ってヴィヴィオが「兄」に撫でられる所を見るしかなかった。

 

リオ「・・・でも・・・」

カズマ「・・・・たく」

 

カズマは煮え切らないリオを抱っこし肩車をした。

 

リオ「わああ!?」

カズマ「ぶ!?」

 

驚くリオとその様子を微笑ましくみる皆・・・・と頭部に感じる太股のパジャマ越しの感触に思わず鼻を抑える変態(カズマ)

 

リオはその様子をパチクリと目を見開きながらも、やがて笑顔になり喜んだ。

 

ルーテシア「全くお兄ちゃんときたら・・・」

メガーヌ「モテモテなお兄ちゃんね」

なのは「ヴィヴィオのお兄ちゃんなら私の子供ってことになるのかな♪」

アインハルト「まぁ・・・兄さんの良いところでもありますね。」

 

部屋の中の空気がとんでもない事になってきたと思ったカズマはティッシュで鼻を押さえながら口を開いた。

 

カズマ「そういやなんか面白そうな話してたな?」

メガーヌ「カズマ君興味あるの?」

カズマ「・・・・まぁ、確かに自分の力がどこまでって言うのは気になりますね・・・それに」

 

カズマ「妹達期待する目見たら・・・ね」

 

そう苦笑するカズマに喜ぶ子供達

 

リオ「頑張ろお兄ちゃん!」

カズマ「そうだな」

 

ちらりと皆と喜ぶアインハルトを見て、目を見て微笑んだ

 

カズマ「・・・・(見つかったんだな)」

 

なのは「あ、 そう言えば参加資格の方は・・・・」

メガーヌ「年齢と健康面は問題なくオッケーよね?」

 

再確認とばかりに、なのはが言った言葉に続けてメガーヌさんが続く。

 

カズマ「ま、ノーヴェさんなら問題はないんじゃないか?」

ヴィヴィオ「はい!コーチとセカンドは全員分引き受けてくれるそうです!」

 

カズマの確認にヴィヴィオが嬉しそうに答える

 

メガーヌ「あともうひとつ・・・これは変わってないわよね?

 

ーーー「安全の為、class3以上のデバイスを装備すること」

 

 

アインハルト「・・・・デバイス、持ってないです」

カズマ「俺は良いのか?」

ルーテシア「確か一般の人は安全面を考慮して、運営委員会の取り決めで防御支援を施す事を義務付けられてるわ・・・まぁ、今までその選考会の試験を通った人がいないから何とも言えないけど・・・」

メガーヌ「カズマ君なら問題ないわよ♪ただ単に一人一人能力チェックをしていくだけだから」

 

・・・・となると、アインハルトのデバイスか・・・リアかジーク辺り頼るか?と知り合いの真正古代ベルカ人間を思い浮かべるカズマ

 

ルーテシア「ーーーふっふっふ・・・私の人脈甘く見てもらっちゃ、困りますねー?」

 

不敵な笑みを浮かべるルーテシアに皆の視線が集まる

 

ルーテシア「私の一番古い親友とその保護者さんってば次元世界にその名も高い

 

ーーーバリッバリに真正古代ベルカな大家族!」

 

カズマとアインハルト、リオ以外は知ってるのか笑顔だ

 

カズマ「・・・・うちの妹まじパネェ・・・てかリオそろそろ離れろ」

リオ「・・・・だめ?」

カズマ「そろそろ寝る時間だからな」

 

そう言うと「う~」と唸りながらするすると降りていくリオ

 

ルーテシア「あ、アインハルトのデバイスの事ならその家族「八神一家長」八神司令に話を通して奥から大丈夫よ」

アインハルト「・・・・ありがとう・・・ございます」

 

どこか、震えているルーテシアとアインハルト、「む~」と言ってるヴィヴィオ

 

・・・・・平和だ

 

ーーーーーー

 

翌日、食堂

 

クライ「おはよう・・・」

ティアナ「クライさんおはようございます」

 

カズマがまだついていない食堂に入ってきたクライ、少し眠そうだ

 

なのは「眠そうですね?」

カズマ「ああ・・・昨日カズマとゲームしててな・・・ノーヴェの嬢ちゃんとスバルの嬢ちゃんは?・・・なんか白くなってるが」

ティアナ「・・・・・どうしたの?二人とも」

ノーヴェ「オッスオラノーヴェ!キョウモスンゲーイイヒダナァ!オラワックワクスッゾ!」

スバル「てててててててて!」

皆『!?』

 

明らかに異常な様子の二人にみんな

 

『(何があったの?』

 

と思わざるを得なかった。

 

アインハルト「あの・・・・兄さんは?」

クライ「あれ?そういや居ないなぁ、朝起きたらいなかったからてっきり・・・・」

カズマ「う~す」

クライ「あ、来た」

 

少し疲れた様子のカズマが来た。

 

リオ「どこか行ってたの?」

カズマ「あーそんなとこだ」

 

ーーーーーーーーーー

 

カズマ「・・・・・・・・・」

 

朝食が終わり午前中は休みと言うことで、

皆休んでいる。

 

そんななか俺は一人アスレチックの山岳エリアに来ていた。

 

昨日の戦闘跡は跡形もなく消されており、綺麗な市街地となっている

 

カズマ「・・・・・」

 

実は朝3時頃には起きていた。予感でも、悪夢とかでも、呼ばれた、とかでもない確かな確信を持って、外へ出ていた。

 

ーーーーーー

 

カズマ「・・・・(ここらなら大丈夫か)」

 

周囲の気配を探りながら、一日目に来た川へと足を運んだ俺は

 

カズマ「・・・・・もういいですよ」

 

誰もいない空間で声をあげた。返事はーーー

 

?『・・・・ごきげんよう、カズマ』

カズマ「・・・「霧の里」・・・以来ですかね?」

?『そう・・・ね、あの時はレインが世話になったわ・・・』

カズマ「・・・元気そうで何よりです「シェルファ」さん」

 

突然すぅっと現れた白い服に透き通った純白の肌、綺麗な金色の髪に青い瞳

 

「異世界の魔人 」シェルファがふっと微笑んだ。

 

ーーーーーー

 

カズマ「・・・・・・やっぱり「あの剣」だよなぁ・・・」

 

彼がとある遺跡で手に入れたと言う、曰く付きの魔力付与(エンチャント)された剣 ーーー魔剣「傾国の剣」

 

カズマ「・・・・大会に出るのか・・・・」

 

ーー彼もあなたが出るなら楽しみにしてるはずだわ?私はレイン一筋だけど、応援しといてあげる

 

そう言って消えた彼女は転移でミッドチルダに戻ったんだろ・・・彼のいるところ

 

ーー聖王協会に

 

カズマ「・・・・楽しみだ」

 

ーーーーインターミドルチャンピオンシップ

 

俺は空を見上げそう呟いた。

 

ーーーーーーー

 

ホテルアルピーノまで戻ってくると丁度ヴィヴィオとノーヴェさんが話ながら歩いていた。

 

カズマ「よっす、今から自主トレか?」

ノーヴェ「あぁ、カズマもやるか?」

ヴィヴィオ「・・・・・・」ワクワク

カズマ「・・・いいぜ、昨日で少し感覚を取り戻してきたとこだ!いくぞヴィヴィオ!」

ヴィヴィオ「オッス!」

 

こうして残る二日、カルナージで過ごしていく。大人達と訓練したり、させられたり。子供達に怪談話をして泣かしてノーヴェさんと一緒に追っかけられたり、子供達とトレーニングしたり、エリオに居合いを教えてくれと頼まれたり。大人陣の晩酌に付き合おうとしたら、クライさんとエリオに泣きながら止められたり(←何で?

 

ノーヴェ「ってカズマ!そっちホテル!?」

カズマ「やっべばれた!?逃げんぞヴィヴィオ!」

ヴィヴィオ「うん!お兄ちゃん♪」

ノーヴェ「スマ〇ラは夜寝る前2時間だからな~!?」

 

ーーーこうして訓練合宿は過ぎていったーーー

 

 

 

 




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38話

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では続きです!


4日目の朝

 

メガーヌ「じゃあ皆」

ルーテシア「ご滞在ありがとうございました!」

 

ホテルロビーの前で見送ってくれるメガーヌさんつルールーにクライさんが保護者代表として返してくれた

 

クライ「こちらこそ!」

 

そう言って後ろに控える俺達に視線を寄越すクライさん、分かってるっての・・・・

 

カズマ「(たまーに子供あつ「ありがとうございましたぁ!!」ぁ!」

 

・・・・・・・・・・え?

 

エリオ「・・・・・へ?」

ノーヴェ「・・・・・・・(にやり」

カズマ「・・・・・・・せーのを言おうよ・・・・・」

 

皆が笑うなか、前へでて二人に改めて挨拶する

 

カズマ「楽しかったです、また来ます

 

ーールールーまたインターミドルの時な?今度はうちの喫茶店に来いよ?」

ルーテシア「うん!お兄ちゃん!絶対行くね!選考会頑張ってね!」

カズマ「おう!」

 

こうして、俺達はホテルアルピーノを去った。

 

ーーーーー

 

ミッドチルダ中央区首都次元港

 

なのは「ミッドチルダ到着~♪」

ティアナ「あれ?カズマは?」

 

ミッドチルダ行きの便から降りてターミナルに戻ってきた面々、しかしそのなかにカズマの姿がなかった。

 

クライ「カズマなら留守番任してる「ジーク」ちゃんって子に連絡しにいってるよ?」

ティアナ「ジーク?」

スバル「ティアナ知ってるの?」

ティアナ「えぇ・・・・あ、そう言えばあの子もインターミドルの選手だったわね?」

 

デートの時にあった綺麗な黒髪のツインテールの可愛らしい彼女を思い出しながら言った。

 

ノーヴェ「・・・・・(ジーク?・・・・選手?)」

ヴィヴィオ「そうなんですか!?どんな人ですか?」

ティアナ「カズマに聞いた方が早いわよ?」

 

そう言うや否や、早速カズマを探しに行く3人、アインハルトは「み、皆さん!走ったら駄目です!」と顔を赤く染めながら走っていく。

 

ティアナ「・・・・・・(いいな・・・何か通い妻みたい・・・)」

ノーヴェ「・・・・・な、なぁ?ティアナ・・・」

ティアナ「ん?どうしたの?そんな子供がプール中にSLB撃ち込まれたような顔して・・・」

ノーヴェ「どんな例えだぁ!?・・・・じゃなくて、その「ジーク」さんとやらの本名とかって分かるか?」

 

震える顔を無理矢理抑え、ティアナにそう聞くノーヴェ

 

ティアナ「あぁ、知ってるわよ?彼女の名前は

 

 

ーーーーージークリンデ・エレミア」

ノーヴェ「・・・・・・・・・」

 

ま、まじでかああああああああ!?

 

そう心の中で叫ぶだけに収めた彼女は称賛にあたいするだろう

 

ーーーーー

俺は、休憩スペースで端末に電子モニターを映し出しジークと連絡を取っていた。

 

 

カズマ「大丈夫だったか?」

ジーク『問題ないわ!寧ろカズマがいる方が問題あるわ!』

カズマ「どういう意味ぃ!?」

 

俺の突っ込みにカラカラと笑う彼女ジーク

 

ジーク『・・・大丈夫やで?アリスさんもよく家に来てくれたし、近所の人も優しいし』

カズマ「・・・・・そっか、あ、そだジーク」

ジーク「ん~?」

 

何かポッ〇ーのような物を食べているジーク、飲み込む瞬間に言ってやる。

 

カズマ「俺さぁ!

 

 

ーーーインターミドル出るわ!」

ジーク「ーー!?っほ!えほ!えほ!!」

 

電話中に飲み食いはいけまてん☆

 

ジーク『気持ち悪いで?』

カズマ「!?」

ジーク『うせやん』

カズマ「・・・・・ほっ(心読まれたのかと・・・)」

ジーク『って言うのが嘘と言うのが嘘や』

カズマ「なんだお前」

 

ジークは咳払いをしたあと目を真剣なものにして聞いてきた。

 

ジーク『・・・・で本当なん?でるの』

カズマ「なんでも、インターミドルチャンピオンシップ女子部門に一般人が参加する方々があるらしくてな』

ジーク『うん、うちも知ってる・・・でも聞いた話やけど相当キツイって聞いたで?能力チェック言うても専用のアトラクションをやるんや、ついでに大衆の前で戦っても大丈夫なのかメディカルチェックもするって話やって』

 

ふむ・・・・つまりは「魔力持ち」と渡り合えるだけの身体能力と胆力が最低限必用・・・って話か。

 

カズマ「(確かにキツイかもな・・・ってか通させる気がないんじゃ・・・)」

ジーク『・・・・あんま言いたくないんやけどカズマは確実に通る・・・でも私的にはでてほしくない・・・かな?』

カズマ「・・・・・・・何かあった「んだな」・・・」

ジーク『ヴィクターからの話なんやけど』

 

ジークの声音が暗くなるのが分かる・・・・それだけで想像するに容易かった。

 

カズマ「いい、大丈夫だ・・・心配サンキューな?」

ジーク『・・・・ありがと・・・やっぱり出るんやね?』

カズマ「あぁ・・・約束だかんな」

ジーク『・・・・そっか!じゃあうちも気引き締めんとな・・何せカズマが出るんやから!』

カズマ「・・・はは、なんだそれ・・・ジーク足元掬われないようにな?」

 

なんせ、前回はしらんが、今回はーーーー

 

後ろから叫びながら走ってくる。妹分達とコロナを見る。

 

カズマ「あいつも出るみたいだしな?」

ジーク『あいつ?』

カズマ「前に言ったろ?エクシードを教えてくれた奴

 

 

レインが」

 

ーーー中々楽しくなりそうだ

 

「ああ!」と手をポンッと叩くジークに苦笑し背中にリオ、右腕にヴィヴィオが張り付き画面に映るジークの顔が凍り付くのを視界の端に・・・・

 

俺は(現実逃避するかのように)窓の外を見た。

 

ーーーーーー

 

聖王教会「教会本部」ーー訓練所

 

周りの教会騎士の面々が見守るなか、中央で剣を持ち舞っている人影が2つ・・・・いや、1つ

 

中々に素早い剣技で翻弄するかの様に立ち回る・・・・が

立っている男は「鞘」をダランと下げあくまでも自然体で立っていた。

 

一見ただ立っているように見えるが、その目は相手ーーー教会シスター見習い「シャンテ・アピニオン」の動きを確実に捉えていた。

 

シャンテ「ーーー(駄目だ全然翻弄できてない!何処からせめても斬り殺されるイメージしかわかない!なら・・・)」

 

ーーーやっぱり迷彩幻術(ミラージュハイド)による奇襲しかない!

 

「彼」の周りを動き回りながら分身幻術(オプティックハイド)を迷彩幻術で隠しながら配置していく

 

?「ーーーー」

 

刹那、男の姿がぶれた

 

シャンテ「!?」

 

残像を残し見失った姿を探すシャンテ、周りからもどよめきが出てくる

 

シャンテ「一体どーーーー」

 

ピトっと首筋に添えられた鞘、「全て」の分身を消し去り、シャンテ(本体)の首筋に鞘を突き付けた彼の瞳は

 

「身体全体同様」黒かった。

 

シャンテ「あー!無理!勝てない!ちょっとは手加減しなさいよ!

 

ーーーーレイン!」

 

レインと呼ばれた男・・・と呼ぶには少し幼かった、しかし彼の纏う空気、鋭い目、雰囲気が実年齢16歳以上に見せていた。

 

レイン「お前に手加減しても勝てるようになったらな」

シャンテ「なにをぉ!」

 

そんなやり取りを見ていた修道騎士団の面々が笑い出す。

 

レイン「そもそも、前の修練でその技は俺に聞かなかったはずだが?」

シャンテ「そもそも何でわかんのよ!」

レイン「少し感覚をこらせば分かる、気配でも分かるしな」

シャンテ「意味わかんないわよ!?」

 

シャンテの絶叫が訓練所に響き渡った。

 

物語を終えた青年

  (カズマ)

 

ーーそして

 

雨の日に生まれた戦士

 (レイン)

 

二人が交わる日は・・・近い




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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39話

評価、お気に入り登録感謝です!

あとすいません遅れて!多分今後の更新速度が遅れると思います!一日一話は投稿するよう頑張りますが、どうかよろしくお願いしますm(__)m

では続きです!


ジーク『か、カズマ?その子達・・・・なんなん?』

 

わなわなと声を震わせながら、俺に聞いてくるジーク

 

カズマ「あ~、妹分とその友達」

 

頭を掻きながらいう俺にジークは「あ、アカン・・・」と言い出し

 

リオ「お兄ちゃん?この人がジー・・・・・クさん?」

カズマ「あぁ・・・・おいジーク・・・一体ーーー」

ジーク『か、カズマがロリコンになってもうたー!?』

カズマ「何でだああああ!?」

 

とんでもないことを口走るジーク、止めたいがモニター越しのため何もできない俺

 

ジーク『局?病院?だったら精神科?小児科?ああでも!年齢的に精神科か・・・カズ』

・・・・・・・・・

 

無言で通話を切った俺にアインハルトが聞いてくる

 

アインハルト「に、兄さん?」

カズマ「ん?どうした」

アインハルト「い、いえ、何でも・・・」

 

今の女性は「エレミア」なのか、聞こうとしたアインハルトだったが、カズマの笑顔を見て何も言えなくなった。

 

カズマ「あ~、悪い変なところ見せた、今話してた奴がジークだ」

コロナ「か、カズマさん・・・・もしかしてジークさんって、「インターミドルチャンピオン」のジークリンデ・エレミア選手の事じゃないですよね?」

カズマ「やっぱりあいつ有名だな・・・あぁ、そうだよそのチャンピオン様だ」

 

3人の驚愕の声がターミナル内に響いた。

 

ーーーーー

 

アインハルト「兄さん、やっぱりチャンピオンは・・・」

カズマ「あぁ、そうだよ、ヴィルフレッド・エレミアの・・・・「黒のエレミア」の子孫だ・・・・複雑か?」

 

前をヴィヴィオ達がきゃいのきゃいのしながら歩いている様を苦笑しながらアインハルトの質問に耳を向ける

 

アインハルト「いえ・・・今思えば。あの時リッドが姿を消したのは、オリヴィエの思いが変わらぬ事を知ってしまったからだと思うんです。」

カズマ「・・・・・ああ、オリヴィエの意志は固かった・・・」

アインハルト「・・・・・兄さん」

 

悪いなアインハルト、その事を話すとしたらちょっと役者が足りない、どうせなら皆に聞いてほしい、あいつらの生きざまを、歴史の書物じゃ語れない物語を

 

アインハルト「・・・分かってますよ・・・」

カズマ「サンキューな」

アインハルト「物わかりのいい妹はナデナデを所望します」

 

・・・ヘイヘイ

 

ヴィヴィオ「ねぇお兄ちゃん!私たちもチャンピオンに会いたい!」

カズマ「ん?本人に聞いてみないことには何も言えないが」

コロナ「聞いてくれるんですか!?」

カズマ「折角だからな」

 

喜び合う子供達を見て笑いながらノーヴェさん達と合流する。

 

カズマ「皆悪いな、待たせて」

ノーヴェ「カズマ・・・お前の人脈どうなってんだよ・・・何でチャンピオンに家の留守番任せてるんだよ・・・」

カズマ「いや、俺からすれば何で司令なんてど偉い人と知り合いになれるんだよ・・・」

 

昨日、言っていた。「八神司令」本当に司令だった

 

ーー八神はやて特別捜査統括司令官

 

ノーヴェ「・・・・いや、まあそうか」

カズマ「・・・そういや、「チームナカジマ」これからどう鍛えるんだ?」

 

 

ノーヴェコーチ率いる、コーチとセコンド(ナカジマ家の方)そしてこいつらだ、名前はヴィヴィオとリオ、コロナで考えてたいたらしい。

 

ノーヴェ「っく、まだ慣れない・・・」

スバル「あはは、すっかりコーチだね?」

ノーヴェ「・・・まぁ恥ずかしながら」

ティアナ「カズマは違うの?」

 

その質問に皆俺を見る、だぁも!目を輝かせるな・・・ったく

 

カズマ「あぁ、俺は単独で動くさ」

リオ「そんなぁ!」

ヴィヴィオ「入ってくださいよぉ!」

コロナ「ふ、二人とも・・・・」

アインハルト「分かりました」

二人『アインハルトさんまで!?』

 

・・・・・・・お前ら、コーチいるの忘れてないか?

 

ノーヴェ「お前ら、カズマは正直あたしなんかが付いたら多分鈍る「我流」だから余計にな。」

 

ノーヴェさんそこまでは・・・

 

クライ「なぁーーー」

カズマ「クライさんはもっと駄目だな」

カズマ「俺に構わず、喫茶店に出なよ、俺は「大丈夫」だから」

クライ「・・・・・・」

 

・・・・・悪いなクライさん、でも決めた事だから・・・

 

ーーー女性部門と男性部門に分かれた原因・・・運営委員会の取り決めによって決められた規則じゃない、憶測だが

 

 

実際に起きたんだ・・・・多分男性競技者の手によって、その「何かが」。

 

現に、確かに一年前もインターミドルの時期は大いに賑わった・・・が

 

ーーーそれは女性部門のインターミドルチャンピオンシップだけだった。

 

・・・・つまり、一般とはいえ、男性競技者として出る俺達への風当たりは・・・・少々厳しいものがある・・・・だろうな

 

クライ「ったく、何辛気臭い顔してやがる、気味が悪い」

カズマ「・・・・」

クライ「お前が何考えてるかはわかんねぇ、つかお前自体が謎すぎる」

カズマ「・・・・なんだそりゃ」

 

あまりの物言いに呆れてしまう。

・・・・が確かにそうだ。

 

カズマ「・・・・クライさん・・・チャック開いてる」

クライ「嘘ぉ!?」

 

急いでズボンを確認するクライさんに思わず笑ってしまう。

 

クライ「・・・け、やっとましな顔になったな!」

カズマ「・・・いつの日か、笑顔で歩いていた所を見た子供に通報されたレベルのクライさんには勝てないよ」

クライ「・・・・・そこまで言うか!?・・・・ぷ!」

カズマ「・・・・・ククッ」

 

迷うことなんてない、いつも通り、大胆に、ふざけ、皆を巻き込む、それだけだ

 

ヴィヴィオ「・・・・どうしたの?お兄ちゃん」

 

おっと、心配をかけてしまったようだ

 

カズマ「何でもないよ、そういや結局どうなったんだ?訓練の方は」

ノーヴェ「あぁ、基礎トレは今まで以上にしっかりやる、その上で3人娘はそれぞれの得意スタイル、強いてはそれぞれの特技を伸ばしてもらおうと思ってる」

カズマ「つーと?

 

ーーーコロナは創成魔法の精度向上で

 

ーーーリオは春光拳と炎龍雷龍・・・この場合は資質変換魔法の徹底強化・・・か?

 

ーーーヴィヴィオは返し技(カウンター)と動体視力、後、筋力・・・・いや、得意科目であるカウンターに絞った方がいいんだな?」

 

 

・・・・・・なんだよ?この沈黙

 

ノーヴェ「い、いや・・・なんつぅか、ちゃんと見てるんだなって思ってな・・・」

カズマ「・・・・俺もノーヴェさんと同じって事さ」

 

この子達に後悔して「負けて」欲しくない、それだけさ、厳しい言い方だが、ジークやリア、ミカヤ、果てはレイン相手・・・・まぁ予選で当たればの話だが、他のトップファイター相手じゃあ、いまのままじゃ勝ち目はないだろ・・・実戦ではなく大会試合だからな・・・・

 

カズマ「・・・・ヴィヴィオ、リオ、コロナ、アインハルト・・・・もしかしたらこの大会でお前らは苦しむかもしれない、悔しくて涙が出るかもしれない、理不尽を見るかもしれない、嫌な目に合うかもしれない・・・・でも、それでも格闘技を続けたいって思うんなら・・・・最後まで信じろ

 

ーーーー友を

 

ーーーー仲間を

 

ーーーー師を

 

ーーーーそして自分を、関わってくれた皆を・・・最後まで信じろ」

 

ティアナさんとスバルさん、それにクライさんは呆然とするこいつらを優しく見守り

 

ノーヴェさんは驚きつつも真っ直ぐこいつらを見据え

 

俺は、厳しくも試すようにこいつらを見据える

 

4人はそれに飲まれながらも、しっかりと『オス!』と返してくれた

 

ノーヴェ「ーーーよし!そうと決まれば明日から特訓開始だ!お前らの専属コーチは明日からつく!アインハルトはあたしが口出ししてもお前の型作りの足を引っ張るだけだと思う・・・だからお前にはスパーリング相手を探してきてしごいてきてもらうーーーいいな!?」

 

それは確認の言葉そして、「やるからには確実にお前らを強くする」と言うノーヴェさんの強い意志

 

ノーヴェ「インターミドルまで後2ヶ月、チームナカジマ!やるぞぉ!」

皆『おー!!』

 

人目も憚らず決心を更に固くした彼女らはひどく輝いて見えた。

 

ーーーインターミドルチャンピオンシップ開催まで、後2ヶ月

 

ーーーー一方「聖王教会、中庭(フラワーガーデン)

 

シャンテ「お前ら~元気に育てよ?」

 

鼻唄を歌いながら中庭にずらりと並ぶ花壇に水をあげるシャンテと

 

セイン「しっかしお前もよくやるね?シャンテ・・・また挑んだんだって?」

シャンテ「なにさ?」

セイン「なにさって・・・お前な・・・」

 

呆れ顔のセインにシャンテは膨れっ面から急に沈んだ顔をした

 

シャンテ「・・・・ここに来てから「3週間」・・・・元の「次元世界」の情報だって全く見つからない・・・普通さ寂しくなるものでしょ?」

セイン「・・・・まぁ・・・・な」

 

3週間前に突如「怪我だらけ」で現れた彼、レインは全くもって謎が多かった、安静期間(約二週間)もものの2日目で治し「感謝する、だがこれいじょう迷惑はかけたくないから出ていく」と言った時は必死で説得した。

 

シャンテ「・・・・本当、どこから来たんだろーな?「ミュールゲニア」なんて、聞いたことないし・・・」

セイン「今も調査中だけど・・・さっぱりだって?・・・まぁ・・・いい奴なのはたしかだが・・・」

シャンテ「ホーンと不思議な奴!レインも・・・

 

ーーーあの「青白く光る剣」も」

 

シャンテは腕を組ながら吐き捨てるように言った・・・その後サボりと勘違いしたシスターシャッハとリアル鬼ごっこを広げたのはお約束。

 

 

ーーーーー聖王教会下街「ブレヒト通り」

 

レイン「・・・・・」

 

黒づくめの少年、レインは珍しく手ぶらで街を散策していた、顔立ちが凛々しく整い、無表情だが街中をどこか優しく見つめている彼は、結構目立っていた

 

「あ!レインだ~!?」

「今日は休みなの?」

 

街を駆け回っていた子供が彼を見つけて、顔を輝かせて走り寄ってくる

 

レイン「あぁ、騎士カリムに「ゆっくり休んでください」言われちゃってな、ここに来た」

「そうなんだ!」

「遊ぼーよ!」

 

訓練中や普段の彼とは全く違う穏やかな笑みを浮かべ子供達に接する彼・・・・彼の本当の姿なのかもしれない。

 

「おーい!レイン!」

 

雑貨屋の主人が彼に声をかける、すると彼は基本スタイルの無表情or仏頂面に戻り。

 

レイン「何だ」

 

とふてぶてしく言った。

 

・・・・・・多分。

 

その時、ブレヒト通りの奥から一台の車がもの凄いスピードで走ってきた

 

「レース?」

「はやいはやい!!」

 

目をキラキラ輝かせる子供達、しかしーー

 

「危ない!?」

「避けてぇ!」

 

周りからは悲鳴が上がった、この時運転手は飲酒と居眠りの泥酔状態であり、アクセルなどベタ踏み状態であった子供達も事の危険に気づいたのか悲鳴をあげるがもうすぐ前まで来ていた

 

ーーーーそして暴走車はそのまま子供達とレインを巻き込ーーーー

 

レイン「「我が銘に応えよ」」

 

ーーーもうとして、子供達とレインの姿がぶれて消えた。

 

「わあぁ!・・・・・あれ?」

「レイン・・・・?」

レイン「・・・・・・・・・・」

 

レインと脇に抱えられた呆然とする二人が立っている場所は暴走車の後ろ、暴走車がそのまま走り去ろうとして

 

ーーーー運転席側と後部座席側がおさらばした。

 

『!?』

 

その場にいる皆が驚いているなか。

 

レイン「・・・・(カリムに怒られるな)」

 

と、面倒くさそうな顔をしているレインの手には「ヴヴヴウウウン」と無数の羽虫が羽ばたく様な音をたてる

 

ーーーーー青白く光る大きめの剣「傾国の剣」が握られていた




今回みたく、レインsideもちょくちょくはさみたいと思います

誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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40話

すいません!遅れました

後短いですm(__)m

お気に入り登録感謝です。


PM2:40「カズマ宅」

 

カズマが自宅に帰っているその頃、留守番しているジークは、カズマの布団に寝そべり、誰かと連絡していた

 

?『そう・・・・カズマがインターミドルに・・・』

ジーク「うん・・・うちとしてはカズマが変な目で見られるのは嫌なんやけどね・・・「約束だからな」って・・・」

 

ジークの口調はどこか誇らしげながらも、どこか陰があった

 

?『まったく・・・周りの人も大事だけど自分も大事にねって言ったのに・・・本当にあの男は』

 

困ったように、眉をしかめつつどこか優しげな眼差しでかたる「女性」は通話相手のジークを見ていた。

 

ジーク「・・・・どうしたらええんやろ?」

?『なにもしなくても、彼は気にしないわよ・・・寧ろ白目を浮かべてどや顔する未来まで見えるわ』

ジーク「ぷっ・・・確かに想像できるわ・・・ま、カズマなら気にしなくても大丈夫やね、それどころか何とかするんやないか?

 

ーーー私達の時みたいに」

 

クスッと嬉しそうに微笑んだ女性は「そうね」と呟いた。

 

ジーク「ありがとな、明日にでもカズマがそっち行くから、説教してあげてな?

 

 

ーーーーヴィクター」

ヴィクター『ふん!当然よ、暫く顔を見せないと思ったら違う女侍らせていたですって!?しかも子供!?ロリコンか!』

 

白いワンピースにウェーブがかかった金色の髪を腰まで伸ばし、ライトグリーンの綺麗な瞳をカッと開いた女性ーー

 

 

ーーヴィクトーリア・ダールグリュン次期当主その人が「まったくもう!」とばかりに声をあらげた。

 

ヴィクター「ジークと言う子がいながらも・・・」

ジーク「い、いや・・・まだそこまではごにょごにょ・・・そ、それに「妹分」って言うてたし・・・」

ヴィクター『甘いわ!ジーク!まるで10年の末やっと結ばれた夫婦の如く甘いわ!』

ジーク「!?」

 

ーーーーーー

 

ーーーベルカ領

 

首都クラナガンから北に進むと広大な土地がある、クラナガンには遠く及ばないが、それでも広い

 

遥か昔戦乱を迎えた戦場は今やその爪痕も無く、住民も歴代からの貴族や言い伝えや、風習を大事にする、少数民族のみとなってしまった。

 

生い茂る森の中、「雷帝 リーフィア・ダールグリュン在城後」

 

ーーヴィクトーリア・ダールグリュン邸がそこに鎮座していた。

 

ヴィクター「えぇ・・分かったわ貴女も身体に気を付けなさいね」

ジーク『うん!ありがとな!』

 

そう言って切れる通話

ヴィクター「・・・・・カズマ」

 

先程まで快活だった彼女の顔が一瞬悲壮な物に変わったような気がした。

 

エドガー「お嬢様、紅茶と菓子折をお持ちしました。

ヴィクター「ありがとう、エドガー」

 

一瞬の2回のノックの後`執事服に身を包んだ子供の頃からの専属付き人のエドガーが入ってきた。

 

エドガー「カズマからですか?」

ヴィクター「いえ、ジークからよ・・・今旅行から帰ってきてて・・・インターミドルの一般人競技者選考会を受けるらしいわ」

エドガー「・・・・お嬢様」

 

エドガーが気遣う様な視線を向けようとして手でせいした「大丈夫」そう伝えるために

 

ヴィクター「・・・あれからまだ半年しかたってないんですのね?」

エドガー「そうですね、私も初めて会ったときはビックリしました。

 

ーーーまさか、上空から悲鳴をあげながらお嬢様に突っ込んでくるなんて」

ヴィクター「その話はよしなさい・・・」

 

恥ずかしいのかどこか、顔が赤いヴィクター

 

ヴィクター「・・・・・」

 

ーーー誰も気にしちゃいないんじゃないか?寧ろ誇るべきだと思うがね?あんたのその力はあんたの物だろ?

 

ーーーん?何でそこまで強いんだって?・・・・まぁ、そりゃ皆おんなじだよ、 誰にも負けたくない

 

ヴィクター「・・・最低限カズマをバックアップします。エドガー「あの事件」から運営委員会の動き、加害者の事について調べて来なさい」

エドガー「御意のままに」

 

ヴィクターは快晴な空を見上げた

 

ーーーーー

 

カズマ「たっだいまぁ」

 

あの後解散した俺は真っ直ぐ帰路についた。クライさんと別れドアを開ける。

 

ジーク「あ、おかえりロリコン」

カズマ「帰ってきての一声がそれかい!?」

ジーク「・・・四日間ありがとな?・・・でも・・・だれもいない家は・・・・寂しいね」

 

力無く笑うジーク、気付けば頭を撫でていた。

 

ジーク「あ・・・・・」

カズマ「・・・悪い、最近変な癖ついてる」

ジーク「・・・さっきの妹分?」

カズマ「まぁ・・・な」

 

ジークはそっか!と言って離そうとした俺の手を掴んだ。

・・・・あの・・・恥ずかしいからやめて・・・

 

ジーク「いやや・・・4日分頭撫でて・・・」

 

そう言ってこちらに身を寄せるジーク

 

カズマ「(やあめぇてえぇぇぇぇ!?)」

 

え?何急にどうしたのジークちゃん?君はそんな女の子らしい女の子じゃない!

 

ジーク「・・・・・・・」

カズマ「はぁ・・・・あいよ」

 

こんな俺にでも寂しさを感じてくれたんなら、不謹慎かも

だけど素直にうれしい。

 

ーーーありがとなジーク

 

その言葉は口から出ることはなかったが、変わりに頭を撫でていた。

 

ーーーーーーーー

 

ジーク「手続き?」

カズマ「あぁ、選考会の事でな。」

ジーク「じゃあ今から行く?ちょうど行こうと思って」

カズマ「助かる」

 

 

ジーク「ところでカズマ」

カズマ「何だ」

ジーク「あの壁に埋まってるコップって一体・・・・」

カズマ「何も言うな・・・・・・何も・・・・言うな」

ジーク「・・・・・・・うん」

 

こうして俺達(ジークはジャージとフードで変装完了)は市街地中央市役所へと出掛けた。




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41話

では続きです!


クラナガン中央区大3市役所

 

インターミドルの参加申し込みも一般競技者選考会も地域課て窓口を受けていて、手続き自体はすぐすんだ。

 

「今年も多いわね・・・・」

カズマ「・・・毎年どのくらいなんですか?」

 

若干気の毒そうに呟く職員に尋ねると、困ったように笑いながら話してくれた

 

「毎年50名以上の一般希望者がいるのよ・・・残念な事に誰も通った事はないけどね」

カズマ「へぇ・・・・」

「全く・・・何で一般人を競技者にって考えたんだか・・・」

 

ため息を吐きながら説明してくれた職員は「貴方も頑張ってね」とだけ言って見送ってくれた。

 

ーーーーー

 

ジーク「大丈夫やった?」

カズマ「特に何もないな、一般人の選考会は・・・何々?」

 

貰った封筒に入っていた書類に目を通す。

 

ーー一般人競技者選考会日時はインターミドル選考会の一日前、会場も例年と同じくインターミドルチャンピオンシップ会場。

 

ーーー当日の試験内容は「実力判定」「健康チェック」「体力測定」「身体能力測定」の順番で執り行います。

 

実力・・・当本部の方で用意させて頂くインターミドル出場経験ありの元選手を制限時間内に「倒すこと」(転倒などは含まない)

 

健康チェック・・・視力、聴力諸々の診断

 

体力測定・・・一時間以内のマラソン(30Km)完走

 

身体能力測定・・・マラソンコースゴール地点のアスレチック広場での障害物パレード

 

尚、ドーピング等の行為は即失格と見なします、こちらで身体能力向上の補助魔法を施行させて頂きます。応募者の皆さまもスポーツマンシップに乗っ取って当日は頑張ってください。

 

ーーーインターミドルチャンピオンシップ運営委員会本部

 

 

 

ジーク「な・・・・なんやこれ」

カズマ「まぁ、道理っちゃ道理・・・だな、確かに魔力持ちなら可能「かもしれない」内容だ」

ジーク「こ、こんなん・・・ムチャクチャや!」

 

呆れている俺と声を荒げるジーク・・・・こりゃノーヴェさんたちには言えんな・・・

 

カズマ「落ち着け、ほらあそこに犬がいるだろ?よく見てみろ」

 

視線の先にいる柴犬のワンコを指差す、自然とそちらを向くジーク

 

カズマ「あれがだんだん号泣会見のあの方に見えてくる・・・みろ、あの円らな瞳を、こまめに吐き出す吐息を・・・見えてきたろ?・・・・」

ジーク「・・・・・・・・・」

カズマ「泣き出す直前のあの顔さ」

ジーク「!」

 

衝撃的な顔をしたジークとことこと犬がいるところまで歩いていき・・・・

 

泣き崩れた

 

カズマ「・・・・・えぇぇぇ・・・」

ジーク「私だってねぇ!こないでもCはあるんやでぇ!?分かりますかヴィクター!Cはあるんよぉおおお!」

 

何の話だよ・・・・

 

違うことに目を向けさせ、怒りを忘れて貰おう大作戦がどうやらジークの何かのコンプレックスを刺激してしまったようだ。

 

突然泣き崩れるジャージ人間に周りが唖然とする。

 

ジーク「皆おっぱいありすぎやろがあああああ!おおおおぅぅぅ!わああああああああ!」

 

犬じゃなくてジークが号泣会見を開いてしまったようだ(他人事

 

カズマ「(・・・しかしスポーツマンシップに乗っ取って・・・ねぇ、普通に観客も来るみたいだし、完全な「見せ物」じゃねぇか)」

 

そんなに男女混合が気にくわないのか

 

カズマ「気に入らんな・・・・」

 

彼等だって本気なんだ、私怨だか、過去に何かあったかはしらん、大人の偏見に子供らを巻き込まないで欲しいもんだ(←18歳

 

カズマ「あージーク落ち着け、お前公共の場で痴女発言連発で補導されんぞ」

 

このあと「誰のせいやねん!」とやたらめったらに怒られた。サーセン

 

ーーーーー

その後ジークは本番に向けて特訓漬けと言っており、暫くはうちに来れないと言っていた。

 

クライ「・・・しかしとんでもない内容だな、確かに嬢ちゃん連中には言えんな、直談判しにいかねん」

カズマ「・・・クライさんは知ってるのか?どうして今の制度になったかを」

クライ「まぁ・・・それなりにニュースにもなったからな、「男性競技者による、女性競技者への過度な接触によるセクハラ行為」とだけしか報道しなかったがな、後は取材も家の人からもNGだし「カランコロン♪」いらっしゃい・・・・・その本人も出ていったのか消息不明・・・だったかな?」

 

現在、喫茶店「閉店前」

 

失礼と分かりながらも、お邪魔させて貰った次第であります。

 

 

カズマ「・・・・そう・・・か」

クライ「しかし意味が分からん試験内容だな、選考会だってのに落とされるし、この実力判定ってのがますます分からん」

カズマ「そうか?内容だけ見れば意外と俺好みだぞ?シンプルで分かりやすい。」

 

 

ーーー今年も多いわね

 

ふと市役所の職員の言った言葉が引っ掛かる。

 

・・・つまり毎年こんな内容だっつうのに、一般応募者が多いってのが腑に落ちない。

 

 

「おや?カズマ君かい?どうしたんだいそんな怖い顔して」

カズマ「・・・いや何でもないよ!」

 

厨房で皿洗い無双をしていたミリー婆さんが声をかけてきた。

 

カズマ「クライさん、あれは?」

クライ「目覚めた、以上」

カズマ「把握」

カズマ「てか、クライさん家は?」

クライ「あほ、流石に返ったわ・・・帰ったんだが置き手紙が置いてあって高校時代の友達と飯食ってくるってさ。」

 

・・・・・・・せつねぇ

 

クライ「折角だから俺らも飯、食いに行くか?」

カズマ「・・・・あー、悪いちょっと出掛けなきゃ行けないとこがあるんだ、今度クライさん家に邪魔するよ」

 

クライさんは残念そうにしていたが、頷いて分かったと言ってくれた。

 

ーーーーーー

 

クライ「じゃあ、明後日からシフトいれちゃっていいんだな?」

カズマ「あぁ、頼む・・・・じゃあお疲れさんです!」

 

そう言って店から出る。

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

ーー「男性競技者による女性競技者への過度な接触によるセクハラ行為」とだけしか・・・

 

自宅を通りすぎ、そのまま人気が無いところへ足を進める。

直後後ろから伝わる困惑の気配、俺は静かにため息を吐いた。

 

ーーーーーー

 

ここ第3地区湾岸住宅街は大雑把に4当分に別れていて、その中央にそこそこな広さの公園がある。面倒だがそこまで行き誰もいない事を確認してから。

 

カズマ「・・・下手な尾行するより、正面から来た方がいいんじゃないか?」

「!?」

 

え?気づかれていないと思ってたのか?

 

「何だ「バイト代」目当ての奴かと思ってたが、中々面白いじゃないか、俺の尾行に気付くなんて」

 

・・・・俺がジークと市役所から出てくるとこからついてきたことがバレバレでしたが。だって・・・

 

物影から出てきた男、黒の上下に黒いニット帽、手袋、サングラス、おまけにマスクまで黒いと見た。

 

カズマ「・・・・・(よく補導されなかったな)」

 

何でそれを昼間にやろうとしたんだ。・・・・・ん?今こいつ・・・・・

 

「しかし初めてか?だいたい毎年同じ顔ぶれ何だが・・・ま、いいや、なぁおいあんたーーーー」

 

・・・・どうやら、早速向こうから仕掛けてくれたらしい。

 

奴との距離を一瞬で0にして肩を掴んで反対にまわし、二の腕をつかみあげ、押し倒した。ついでに両足も踏みつけるように足をのせる。

 

「いだだだだだだだだだ!?な、何がぁ?」

カズマ「俺ぇ分からない事一杯あるんでぇ!教えてくださいよぉ!

 

 

ーーー・・・インターミドルチャンピオンシップ大会運営委員会さん」

 

ごくりと息を飲む音が聞こえた。




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42話

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では続きです。


 

 

カズマ「で?で?で?」

「もう何もないし、俺も只の雇われ何だってば!な?もういいだろ?だ、だからさ!」

 

あの後、「お話し」をした俺達は今!

 

「ねぇ、このあとどこ行く?」ガヤガヤ

「ままぁ!ドリームシュークリームは!」ザワザワ

「今日は・・・風が騒がしいな・・・」ガヤガヤ

 

「この格好で放り出すのはやめてえぇぇぇ!」

 

上半身裸でパン1で縛られてる男と俺は・・・

 

ーー中央区大通り・・・沿いにある公共トイレでスタンバってます。

 

カズマ「・・・何いってんだ?てめぇらも同じことをずっとしてたんだろうが・・・」

「ひっ!?」

 

ついつい漏れてしまった殺気に当てられてか気絶してしまった。

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

ーー委員会は余興試しとして、格闘技経験のある一般人を舞台に立たせた、最初はなかったんだが・・・・ほら書類見たろ?あの元経験者の・・・・あれは無かったんだ、勝てるはずが無いからな。いくら「全員で挑むのも可」でもな。

 

ーーまぁ、バイト代・・・まぁバイト代だな?ちゃんと「最後の途中まで行けたら」支払われるって聞いたな・・・

 

ーー俺もよく知らないんだが、セクハラ事件も結局男女混合が気にくわないって考えが強かった大会運営委員会本部の人らが一枚かんでるって言うからな・・・・

 

カズマ「久しぶり、エド」

 

俺はせめてもの情けで洋式トイレ室にぶちこんで、服も返す。しっかりと「お話し」したんだ・・・大丈夫だろ?

 

そこで公共トイレの外に向けて声をかけた。

 

・・・少しして出てきたのは執事服をまとった、友人だった

 

エドガー「久しぶりだな、カズマ」

カズマ「ん、悪かった顔出さなくて」

エドガー「本当だよ、何回屋敷の電機回路がやられかけたか・・・」

カズマ「すまん、本当すまん」

 

遠い目をするエドにとりあえず謝っとく。

 

エドガー「しかし、驚いたな・・・まさかこうも簡単につれるなんて・・・」

カズマ「とりあえずエド、家に来い、屋敷の方は大丈夫か?」

 

ここは少し目立つからな・・

 

_エドガー「ああ、大丈夫だ」

 

エド、因みにお前も目立ってるからな・・

 

ーーーーー

 

カズマ「粗茶だが」

エドガー「すまないな・・・・ところでそこの壁に埋まってるコップは・・・」

カズマ「何もいうな・・・」

エドガー「あ、あぁ・・・」

 

ってことで、自宅に戻ってきました。どうやらリアの方でも動いてくれているらしく、バックアップしてくれると言ってくれた。

 

エドガー「・・・成る程・・・ね、余興、か」

カズマ「あぁ、奴らどうやら経験者を金払うから余興として出てくれと「脅しつけていたらしい」」

 

一人一人の進路は分からんが、中にはその道に進むものもいたろうに口には出してないが・・・

 

勝手な推測だが、「格闘家の世界とも強い繋がりを持ってる我々の要求をのまなかったら・・」みたいな感じだろ

 

エドガー「・・・・僕も少し前に動いたばかりだが・・・事件の加害者・・・今は鬱を患って精神病院に長期入院してるらしい」

カズマ「・・・・・」

エドガー「・・・・どうするんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

カズマ「どうにも?」

 

 

エドガー「・・・・・・・」

カズマ「確かに簡単さ、証拠集めてあいつら叩き出すのは・・・でもさ

 

ーーーそれじゃつまらんだろ?」

 

この日の為に頑張って来た選手の皆、楽しみにしている人ら、それはインターミドルあってのものだ。

 

カズマ「何より気にくわないんだよ、どう足掻いたって一般人は魔導師や魔法戦技競技者には勝てないって固定観念そのものが・・・・少なくとも俺は勝てるぞ?」

 

端から聞いたら魔法戦技競技者や魔導師を低くみている発言、しかし・・・

 

エドガー「(やっぱり)」

 

その目は真剣そのもの、慢心も油断も見下しもなく、「相手を叩き潰す」ただそれだけの意思を固く持っていた。

 

カズマ「俺がそれを教えてやる・・・・何より」

 

思い浮かぶのは、ここ最近知り合った女の子達、皆自分と戦うのを楽しみにしていた、俺も同じだ。

 

カズマ「あいつらの期待に応える為に出場を決めたが・・・俺にも理由が出来たからな・・・」

エドガー「(この男は面白い)」

カズマ「・・・・・何だよ、ニヤニヤしやがって・・・」

エドガー「カズマは面白いなって」

カズマ「どこがだ・・・あ、バックアップはよろしく、変な妨害受けたら流石に面倒だ」

エドガー「・・・・もとよりそのつもりさ、僕も、お嬢様も」

 

即答で返ってきた返事に目をパチクリさせながらも、すぐ「そうかい」と顔を逸らしすカズマに微笑んだ。

 

「ちょ、ちょっとカズマくんと誰あのイケメン!?」

「ちょっと近くない?ねぇ近くないない?きゃー!」

「どっちが攻め?ねぇねぇどっちが攻め?」

「馬鹿!カズマくんに決まってるでしょ!不敵な笑みを浮かべて不安がるイケメン君を押し倒して・・・・」

 

『ブッハァ!キマシタワぁ!』

 

・・・・・・・・・

 

カズマ「・・・・・・・」

エドガー「・・・・・・・(ぽっ」

カズマ「!?」ゾワワッ

 

ーーーーーー

 

翌日、ダールグリュン邸前

 

カズマ「・・・・・はぁ・・・・」

 

あの後、解散することで腐った世界からの脱出に成功した、俺は翌日タクシーを拾いその足でダールグリュン邸の近くで降ろして貰った。

 

カズマ「・・・・よし!もとより雷撃の一発や二発は覚悟の上だ・・・・逝くか!(誤字にあらず)」

 

正門前まで足を運びインターホンを押そうと指を伸ばす。

 

『カズマ=ツユクサカクニン、タイショウノセンメツヲカイシシマス』

 

押す直後そんな機械音声と共にアラート音が鳴る。

 

カズマ「ふぁ!?」

 

すぐさま、正門の上に幾つもの魔方陣が出現する。

 

カズマ「え?なに?マジで?」

 

体を縛り付けようとしてきたバインドを素手で破壊し、後方に跳ぶ。

 

直後轟音。

 

先程までいた、場所には「バリ・・・・バリ・・・」と紫電を迸らせている。深さ30cm程のクレーターが出来ていた。

 

カズマ「・・・・・は」

 

はあああああああ!?と言う叫びと轟音の連続がダールグリュン邸の前に鳴り響いた。

 

ーーー5分後

 

ヴィクター「あら?久しぶりねカズマ・・・元気そうで何よりだわ」

カズマ「元気も元気ですとも・・・お前のその腹黒さに涙が出るほどな

 

ーーーーリア」

 

一面丸焦げになりながら無傷のカズマに屋敷から歩いてきたヴィクトーリアはカズマのその不敵な笑みをみて嬉しそうに微笑んだ。




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43話

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ーーダールグリュン邸「客室間」

 

ヴィクター「エドガーやジークから聞いたわ、貴方もインターミドルに出場するのね?」

カズマ「あぁ」

 

そう短く答えるカズマにヴィクター「そう・・・」と小さく返した。

 

カズマ「・・・エドガーから聞いたと思うが、俺は今回の件変に騒ぐ気はない」

ヴィクター「聞いてるわ、「気にくわない」・・・貴方らしいわね、確かに私達競技者にとってインターミドルはまさに夢の舞台、全世界から集まってくるの」

 

ヴィクターは感慨深そうに続けた。

 

ヴィクター「それは今も同じ。確かに他の競技大会もあるけどインターミドルは色んな方と合わせてくれた思い入れのある大会・・・だからインターミドルを否定せず、真っ向から立ち向かってくれてありがとう。」

カズマ「よしてくれ、礼を言われるような事はなんにもしてない・・・自分勝手なエゴで舞台に上がろうとしてる野郎にそういうのはやめとけ」

 

敢えて礼を受け取らず、突き放すような物言いをするカズマに苦笑するヴィクター。

 

ヴィクター「そうね・・・・貴方とはライバルになる訳だし、余計な気遣いは寧ろ失礼ね」

カズマ「そういうこった」

 

あっけらかんと答えるカズマにヴィクターは不敵に笑う。

 

ヴィクター「・・・私の目標はジークでもあるけど、貴方でもあるのよ?・・・途中で負けるなんて許さないんだから」

カズマ「そりゃこっちのセリフだよ」

 

与えてくるプレッシャーのような闘気に苦笑を返すカズマ。

その後二人は少しの間話していた。カズマの最近の事、ヴィクターの事、あのときは楽しかったとか、在り来たりな話をしていた

 

ヴィクター「あ、そう言えばカズマ」

カズマ「ん?」

ヴィクター「貴方タイムスリップしたんですってね?ジークから聞いたわ。」

カズマ「ぶふぅ!?」

 

思わず吹き出すカズマに「汚いわね」とジト目ながらも楽しそうなヴィクター、どうやらわざとみたいだ。

 

カズマ「っけほ・・・ったくリア・・・」

ヴィクター「・・・それを聞いてやっと納得したわ、貴方と初めてか会ったとき、何処かであったかのような感覚が偉く引っ掛かってたの・・・私も少しとはいえ、「雷帝」の血を引いているわ。」

 

むせつつ、ヴィクターをジト目で見るカズマだが、そんなカズマを優しく見守るヴィクター

 

ヴィクター「分かってるわ、貴方が先祖とあの時代を少しでも過ごした・・・だからって子孫の私とも仲良くしてくれた訳じゃないのも」

カズマ「・・・・・そうかい」

 

ヴィクターはアインハルトのように記憶をしっかりと受け継いでいるわけではなく、僅かな記憶それも、「雷帝」の技関連の記憶だけを受け継いでいる。

 

ヴィクター「貴方が言ってくれたわね?

 

ーーあんたが祖先になる必要はない、だって本人じゃないからな、逆に言えば誰もあんたになることはできない、それって個性を持つことができる俺達人間の特権だろ?

 

って、最初は何この人・・・って思ったのよ?」

カズマ「実際言われたからな」

 

遠い目をして言うカズマにクスッと笑うヴィクター。

 

カズマ「あー、少し落ち着いたらリアにも、ジークにも、

聞いて欲しい。あいつらの生きざまとかな」

ヴィクター「・・・・そう、分かった楽しみにしてる」

 

その後、エドガーから貰った紅茶と菓子を頂き。お開きとなった。

 

ヴィクター「・・・今日は手合わせはしてくれないのね」

カズマ「悪い今日は用事があってな・・・」

 

いつもならダールグリュン邸に足を運び帰る前にカズマがヴィクターと鍛練をしてから帰るのだが、用事があると断るカズマ

 

ヴィクター「そう・・・」

カズマ「埋め合わせはする、悪いな」

 

どこか物足りなさそうなヴィクターに少し申し訳なさそうに言うカズマ。

 

ヴィクター「・・・・分かったわ、考えておくわ」

エドガー「カズマも気を付けて」

 

そう言う二人に手を振りながら小走りで去っていくカズマ。見送るとヴィクターはふっと笑った。

 

ヴィクター「相変わらずねカズマも」

エドガー「お嬢様はカズマのファンですからねぇ」

 

そう眩しいものを見るような目をして言うヴィクターにどこかからかうように言うエドガー。

 

ヴィクター「・・・・・・・」

 

ヴィクターは無言でおもむろにエドガーの服の裾を掴み

 

エドガー「あばばばばばばばばばば!?」

 

自身の魔力変換資質「雷電」を流し込んだ。白目をむき倒れ混むエドガーに若干頬を染めたヴィクターがジト目で見下ろし、プイッと顔を逸らし屋敷に戻っていった。

 

静けさが戻った正門玄関前にエドガーが一人取り残された。

 

ーーーー

 

ダールグリュン邸より更に北部、森に囲まれた道を迷いなくまっすぐ進むカズマ

 

今からいく場所は、特に何でもない森の一角、生い茂る森の中に小さいが円形の空間がある。

 

カズマ「・・・・・・・」

 

そこにたどり着くと、中央部分に二本の剣が「寄り添うように」刺さっていた。カズマはその場所に歩み寄りその場でゆっくり膝間づき、せの「墓」に対して優しく口を開いた。

 

カズマ「一年振りかな、父さん、母さん・・・今年は色んな事があった。今回も勝手には勝手に喋って帰ってくね?」

 

・・・・・・・・

 

ーーーーーーー

 

一方聖王教会

 

レイン「・・・・・・」

 

ディード「あ、レインさんおはようございます」

オットー「おはようございます」

 

朝の鍛練を終え一人廊下をあるっていたレイン、するとシスター見習いのディードと秘書見習いのオットーが軽く身支度していた、二人ともレインに気付き挨拶をしてくる。

 

レイン「おはよう、二人とも出かけるのか?」

 

軽い身支度をしてるのが分かる。

 

ディード「えぇ、インターミドルに向けて特訓なさるお嬢様方のコーチをするために姉妹の所に打ち合わせに行ってきます」

レイン「・・・そうか」

 

素直に関心するレイン

 

オットー「レインさんもインターミドルに出るんですよね?頑張ってください」

レイン「・・・もう知ってるのか」

ディード「シャンテが昨日触れ回ってました」

レイン「・・・・・・・」

 

軽く頭を抑えるレインに苦笑を浮かべる二人

 

ディード「あ、でもカズマさんも出るって言ってましたね・・強敵ばっかです・・」

レイン「ーーーーーー」

オットー「あ、カズマさんって言うのはーー」

レイン「ーーカズマ=ツユクサの事か?」

 

そう言ったレインに二人は驚いた反応を示した。

 

ディード「知ってるんですか?」

レイン「・・・・あぁ

 

ーー旅仲間だ」

 

少し微笑んでそう言うレイン、滅多に見せない表情に唖然とする二人。その後レインは片手をあげ去っていった。

 

オットー「はっ!?驚きすぎて・・・でも今回のインターミドルは荒れるね・・・レインさんにカズマさん・・超強敵ばかりだ」

ディード「・・・・・・・」

オットー「ディード?」

ディード「!?な、なに!?」

 

飛び上がるような反応を見せたディード、その顔は若干赤く染まっていた。

 




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44話

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聖王教会、執務室

 

レイン「・・・・それで?オットーがコーチとやらの打ち合わせで出かけて、引き継いだ奴が体長を崩したから、今日一日だけで良いから秘書代理をして欲しいと・・・・」

 

ディード達と別れてすぐ教会騎士経由で「騎士カリムが呼んでたぞ?」と聞き。何事かと思っていたらこれである。

 

目の前にいる金髪の女性「カリム・グラシア」が頷く・・・どこか必至な様子で

 

カリム「お願いします、レイン・・・・あの、本当にお願いします」

レイン「・・・戻って素振りしてる」

カリム「待ってくださいぃ!仕事が溜まっちゃってるんですぅ!オットーがいないときつかったんです!ちょっと余裕ぶって「たまには羽伸ばしてきなさい♪」とか言うんじゃありませんでした!」

レイン「離せ」

 

レインにすがり付くかのようにすり寄ってくるカリム・・・これでも聖王教会本部の最高権力者なのだが・・・・

 

レイン「仕事をしていなかったお前が悪い、あと離せ」

カリム「しょうがないんですよ!最近レインの出身次元世界について一部の探索班も出したんですから!」

レイン「・・・・む・・・・」

 

さすがに自分を出さると強い顔ができないレイン。

少し考える素振りをしていたが、軽く溜め息をひとつ

 

レイン「・・・・第一、他の騎士連中はどうした?無人ではないだろうに」

カリム「・・・女性陣は護衛向きではないですし、男性達はどこか視線がいやらしいし・・・シャッハは違う教会に支援しに行ってるし、セインとシャンテはサボりか、この教会内にいないですし」

レイン「・・・・「こっちの」世界の秘書は何をしてるんだ・・・」

 

どこかジト目になりながらレインがそう言う。

 

レイン「・・・・・分かった、事務仕事は無理だが、護衛とかだったら問題ない。」

カリム「本当ですか!?助かります!」

 

笑顔で喜んでくれるカリムを見て、思わずレインも困ったように笑ってしまった。

 

ーーーー

 

護衛と言っても何の事ない、違う地方の支部の教会へと足を運び。始終相手と話すカリムの脇に立っていればいいのだ。

 

レイン「・・・・・・騎士カリム、そろそろお時間です。」

カリム「分かりました。では続きはまた今度よろしくお願いします」

「いえいえ!わざわざお越しくださってありがとうございます!」

 

年下であろうカリムに抵抗なく頭を何度も下げ、感謝を表している男性をみて素直に関心した。

 

レイン「・・・・・・・・」

 

思わず、元いた世界の貴族を思い出した。

 

レイン「・・・・っ」

カリム「・・・・レイン?どうかしたんですか?」

 

少し「嫌な」事を思い出しているレイン、カリムに話しかけられる頃には、既に聖王教会本部に戻っている途中だった、どうやら先程の謁見が最後だったらしい。

 

レイン「すまない、迂闊だった」

カリム「・・・・・ねぇ、レイン?」

 

どこか不安げに表情を浮かべるカリム。

 

レイン「・・・・」

カリム「・・・レインは早く元の世界に帰りたいと思うのかしら。」

 

そう言ってこちらを向くカリムはまるで弟をみるかのような困った笑顔で。

 

レイン「・・・元々強さを求めるだけの旅だ、焦る必要はないと思ってる・・・それに戦いたい奴が現れた所だ。」

カリム「・・・そう・・・

 

 

ーーー貴方がここに現れて、もう3週間ね?」

レイン「・・・」

 

おもいでばなしをするかの様に話し出したカリム。

 

カリム「・・・・皆も貴方の事を認めている・・・貴方さえ良かったら・・・ずっと皆とここに・・」

レイン「悪いが、それはできない」

 

はっきりと断言するレインに予想はしていたのか

 

レイン「・・・そもそも、何で俺なんぞの為にそこまでいえる?」

カリム「そうね・・・最初は皆貴方の事を警戒していたようだけど・・・私はそうでもなかったの、可笑しいでしょ?最高責任者 なのに・・・」

レイン「・・・・・あんたもあいつに似ているな」

カリム「あいつ?」

 

レインはあぁと呟き、車の窓を見た。

 

カリム「・・・・レインの世界の事、もっと聞かせてください」

 

レインはガシガシと頭をかいて・・・「教会に帰るまでな」とぶっきらぼうに言った。

 

ーーーーーー

 

ベルカ領地、北方エリア「無銘塚(カズマ命名)」

 

カズマ「・・・・まぁ、こんな所・・・かな?」

 

二振りの寄り添う剣のすぐ脇で、あぐらをかいているカズマ、軽く1時間は話していただろうか?

 

カズマ「・・・楽しかった、母さん、父さん・・・・また来るわ」

 

そう微笑み、振り返らずに帰そうっていった。

 

カズマ「・・・・ん?」

 

ふとスボンに振動を感じ、携帯端末を開くとノーヴェさんからだった。

 

カズマ「・・・・今から区民センターに集合?・・・」

 

現在時刻を確認すると丁度12:30少し昼を過ぎたみたいだ。

 

カズマ「・・・・了解っと」

 

とりあえず参加の方針を示す。

 

カズマ「今度レインに顔見せにでも行こうかな、あ・・・聖王教会への行き方わからねぇや・・・」

 

そう呟きながら来た道を戻っていく。

 

ーーーー

 

カズマ「!?・・・・・驚かさないで下さいよ」

 

 

ふと感じた気配

カズマがそう言うと、聞こえてくる女性の笑い声

 

シェルファ『ふふ・・ごめんなさいね?ついつい』

カズマ「・・・・どうしたんですか?」

シェルファ『どうにも?ただ単に様子を見に来ただけよ』

カズマ「・・・レインはどうですか?」

 

ふと上を見ると、小枝にシェルファさんが座っていた。

レインについて聞くと。興奮したように声を弾ませ。

 

シェルファ『勿☆論!今現在聖王教会で無双してるわ!』

カズマ「相変わらずだな・・・」

 

 

カズマ「・・・・魔人って皆シェルファさんみたいな人達なんですか?」

シェルファ『・・・いや、魔人って言うのは自意識と上昇志向だけは高い連中の集まりでね、魔界では常に蹴落としあいよ、むしろ私はかなりの温厚派よ?』

 

ふとした疑問が浮かび尋ねると予想以上の返しが・・

 

カズマ「・・・・・・」

シェルファ『あら?もうそろそろ時間ね、そろそろ帰るわ』

カズマ「何か・・・不躾な質問すいませんでした」

 

少し、気まずげなカズマにシェルファは首を横にふり、気するなといわばんばかりに笑った

 

 

 




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45話

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ーーー2週間後

 

今日はビーナスが休みな為、朝から素振りをしているカズマ

 

カズマ「・・・・意外と時間がたつのが早いな・・」

 

そう呟くカズマ、バイトがある日は夜、走り込み、素振り、シャドーファイト(空想模擬戦)を

 

休みの日は、ジークやヴィクターとの軽いスパーリングやヴィヴィオ達と練習したり。

 

カズマ「ふっ !ふっ! ふっ!・・・・・そういやアインハルトは今日デバイスを取りに行くって言ってたな」

 

素振りを終わらせ、余り乱れていない息を整えながらふと、妹分がノーヴェさんとチンクさん同伴で八神さん家に取りに行く事を思い出したカズマ。

 

カズマ「(・・・・・まぁ、恐らく情報と外装はシュトゥラがモチーフになるかもってノーヴェさんが言っていたから・・・雪原豹(ねこちゃん)にしそうだな、八神司令とやらの人と成りを聞く限り。)」

 

曰く、歩くロストロギア

 

曰く、最後の「夜天」の主

 

曰く、おっぱい星人

 

曰く、お茶目似非関西人(関西人ってなんだ)

 

前半がちょっとただ事じゃないように感じるが、残り二つで帳消しになる。

 

カズマ「・・・俺も行けば良かったかな?」

 

「夜天」・・・・「前あったとき」は違う名前の書物だったが・・・

間違えるはずもない、「あいつら」の名前を

 

カズマ「(そもそも、記憶がリセットされてい(rrr!」

カズマ「ん?」

 

その時、携帯端末に電話が来た。相手は・・・・

 

カズマ「ヴィヴィオ?・・・・ーーーーもしもし?ようはないな?切るぞ~?」

ヴィヴィオ『わああ!?待って!何も言ってないよお兄ちゃん!?』

カズマ「お掛けになった電話番号は・・ア゙、ん゙ん゙!・・・・・・・・お掛けになっーーー」

ヴィヴィオ『言い直しちゃってるよ!?通話中の表記出てるのに、ごまかせてないよお兄ちゃん!?』

 

ちゃんと突っ込んでくれるヴィヴィオに涙、このまま真っ直ぐ育って欲しい。

 

 

ーーー

 

カズマ「聖王教会?」

ヴィヴィオ『うん!会わしたい子がいるんだ!』

 

聞くところによると「イクス」と言う友達が眠ってしまったままだと言う・・・

 

カズマ「(2年前・・・火災事件?・・・俺が来る前か?)」

ヴィヴィオ『お兄ちゃん?』

カズマ「あ、悪い考え事してた」

 

そう返すと、いくらか心配するような声音で「大丈夫?」と聞いてくる。

 

カズマ「あぁ、大丈夫だそれに折角ヴィヴィオが紹介してくれるんだからな、勿論行くさ」

ヴィヴィオ『ありがとうお兄ちゃん!』

カズマ「それに俺も用があったからな・・・」

ヴィヴィオ『お兄ちゃんも?』

カズマ「あぁ、ちょっと会いたいやつがな・・・」

 

?を電話の向こうで浮かべているヴィヴィオに苦笑を浮かべながら。

 

ーーー手に「自分の」木刀を持ち、目に闘志を宿した。

 

ーーーー数分前。

 

リオとコロナと別れて聖王教会に向かう為、駅に向かう、インターミドルに出る事、その為に皆と一緒に頑張ってる事、・・・・あとお兄ちゃんが出来たことをイクスに報告するため

 

ヴィヴィオ「・・・ふふふっ」

 

思わずにやけてしまう、成り行きかもしれない、でも「慕ってくれてありがとう」って言ってくれた、パパはいないけど、二人もママがいて、お兄ちゃんもできて・・・

 

ヴィヴィオ「・・・・(嬉しいな・・・)」

 

撫でてくれた頭を思わず触ってしまう、最近の癖に成りつつある仕草に苦笑すると共に嬉しさが込み上げてくる。

 

ヴィヴィオ「(あれ?そう言えばまだ紹介してなかったかな・・・イクスの事)」

 

・・・今日は喫茶店のバイトは休みだった筈・・・

 

ヴィヴィオ「(・・・・迷惑かな?折角のおやすみだし・・・でも・・・)」

 

紹介したい、友達を、お兄ちゃんを・・・

 

ヴィヴィオ「・・・クリス、大丈夫かな?」

クリス「!・・・!」( *・ω・)ノピッ

ヴィヴィオ「よおし!」

 

クリスも大丈夫って言ってるし!

 

ーーー

 

そして俺はヴィヴィオと合流し

 

カズマ「やって来ました、聖王教会本部前、城下町ぃ!」

ヴィヴィオ「いえぇい!」

 

と町中でテンション高くハイタッチしていた。

 

カズマ「何気にここ来るの初めてだな」

ヴィヴィオ「そうなんだ!この町はね?そこのパン屋さんが・・・・」

カズマ「おいおい、紹介してくれるんだろ?早く行かないと時間がもったいない、帰りにでも教えてくれ」

 

ヴィヴィオは「は~い」と言って、俺の手を掴んで走り出した。だから恥ずかしいっての・・・

 

ヴィヴィオ「そう言えば何で木刀持ってきたの?」

カズマ「ん?ちょっと手合わせを頼もうと思ってな。」

ヴィヴィオ「手合わせ・・・?あ!もしかしてこないだセインが送ってきたメールにあった「真っ黒な奴」の事?」

カズマ「ククっ・・・確かに真っ黒だな・・・うん、あってるよ」

 

ヴィヴィオと話ながらあるっていると、遠目にでかく見えた建物が目の前にあり更にその存在感を主張した。

 

カズマ「でっけぇ・・・・」

ヴィヴィオ「ふふっ・・・・あっ!」

 

ぼうっと見上げる俺をみて笑っていたヴィヴィオだったが、ある一点を見て、走り去ってしまった。

 

ヴィヴィオが行く先には燈色の髪の修道服を来ている女の子がいる。

 

少し話したと思ったら、双剣を呼び出して臨戦体制に入り、ヴィヴィオもそれにならう。

 

カズマ「・・・・なんでそうなった・・・ん?」

 

分身か?

 

ヴィヴィオの後ろに普通に回り込んでる気配が感じた。姿を見れないってことは、姿消しの魔法だろう

 

カズマ「・・・・・・・・っーーーー」

 

ヴィヴィオ達を見ていると、感じた、奴の気配をこっちに近づいてきてる。

 

気づけば、2人は軽く打ち合っていた。

 

カズマ「・・・・ってか防御支援すげえな、刃面普通に殴ってるし」

 

ーーー

 

右上から迫る剣を防御して、反対側から迫る剣を下から打ち上げた。

 

シャンテ「っ!」

 

すぐ距離をとるシャンテ、おしい!回し蹴り決めたかった!

 

ヴィヴィオ「ーーージェットステップ」

シャンテ「!?」

 

だから反射神経にものを言わせ、高速歩方で距離を詰め正拳を放つ

 

シャンテ「ーーー(動きが違う!?いや根本は変わってない・・・・取り入れた?誰のを?)」

 

剣に弾かれ、もう片方の剣が下から迫る。

 

ヴィヴィオ「(普通ならかわす・・・でも

 

 

ーーーーお兄ちゃんなら!)」

 

右足を軸に前に進みながら回転し下から迫る剣の腹を背中で滑るように逸らす。シャンテの唖然とした顔が見えた。

 

そのまま首筋に手刀をーーー

 

カズマ「はいストップ」

 

決めようとして、お兄ちゃんにとめられた

 

シャンテ「へ!?誰?いつの間に!?」

 

確かに全然気づかなかった。

 

カズマ「お前は出会って1分の修道女を気絶させる気か」

ヴィヴィオ「あ、あう・・・」

シャンテ「え?陛下知り合い?」

ヴィヴィオ「あ、ごめんね?この人はカズマ=ツユクサさん!その・・・私の義理だけどお兄ちゃんだよ?」

 

シャンテはなるほどと頷いた。

 

ーーーーー

 

行きなりだからビックリした、てかヴィヴィオいつの間にあんな・・・

 

そう考えながら木刀を腰から抜く

 

シャンテ「セインから聞いてるよ?あり得ないぐらい強い奴だって」

カズマ「照れ臭いな」

シャンテ「なんかムカつくわね・・・・その煽り顔、ま!あいつも似たようなものだけどね!」

ヴィヴィオ「あいつ?」

 

僅かに腰をおとし、構える。

 

ーーあちらさんも同じようだ。

 

シャンテ「多分今日は宿舎にいるはずーーーあ!おぉい!レイ」

 

刹那、俺達は同時に踏み込み距離を0にして

 

レイン「ーーーーふっ!」

カズマ「ーーーーはぁ!」

 

奴は大上段、俺は下からの切り上げがぶつかった

 

キイイイィン・・・・・・・

 

シャンテ「」

ヴィヴィオ「」

 

ポカーンとする二人を横目に

 

レイン「しばらくだな・・・カズマ」

カズマ「こっちのセリフだよ・・・・レイン」

 

俺達は不敵に笑った。




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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46話

因みに作者はサウンドステージXを知りません!そのためイクスの説明などがおざなりや滅茶苦茶なぶぶんがあるやもしれませんがお許しくださいm(__)m

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遅れましたが続きです!


シャンテ「うわぁ・・・まじでレインと打ち合ってる・・・」

ヴィヴィオ「おぉ・・・・・」

 

シャンテは驚愕と呆れ、ヴィヴィオは興奮した様子で二人の攻防を見ている。

 

シャンテ「・・・てかなんでいきなりこうなったの?・・・」

 

そう呟きながら、2人を見る。

 

 

ーーーーー

 

 

カズマ「お前、いつこっちに来たんだ?」

レイン「・・・1ヶ月と半分だ」

カズマ「へ・・・え!ぇ・・・割と前からだな、「その剣の力で」来たのか?」

 

剣を上に弾き、同時の死角からの膝蹴りを受け流す。

 

レイン「まだ確証は無いんだが恐らく・・・俺も無意識だったうえ、気付いたらこちらの世界にいたからな」

 

何でも無いように言うレインに苦笑するカズマ

 

カズマが素早く突きを放つ、レインはその切っ先から滑り込ませるように鞘を沿わせ。

 

レイン「っ」

 

直後、「脇」からの斬撃を身を捻りかわしバックステップで距離を取る。

 

カズマ「っし!」

 

バックステップで下がると「同時に」踏み込みレインに詰め寄る・・・・が

 

カズマ「っ!」

レイン「はっ!」

 

レインがそれを読んでいたかのように、逆にこちらに鞘を突く状態で突貫してきた。

 

カズマ「よっ!」

 

それを木刀で弾きあげーーーー

 

ーーー上がった所を左手で掴み。

 

レイン「っ!?」

 

一瞬の動揺を突き、反対側を向きつつ引き寄せ、腰を支点に投げ飛ばす。

 

レインは空中で身を捻り体勢を整え着地、再び突っ込もうとして。

 

カズマ「ストップ」

 

手のひらをレインに向け広げ「待った」をかけるカズマに、一瞬不満そうな顔をしたが。周りを見て大人しく鞘を腰に下げた。

 

ーーーー周りに少なくはない人だかりが出来ていた。

 

レイン「・・・・・・シャンテ」

シャンテ「あたしぃ!?いや違うからね?いい子のシャンテは只、見てただけだからね!?」

 

どれだけ信用がないのか、レインに咎めるような目で見られるシャンテは必死に無実を主張する。

 

カズマ「・・・まぁ元気そうで何よりだ、インターミドル出るんだってな、「あの人」に聞いた」

レイン「・・・・そうか、お前も出るのか?」

カズマ「まぁなーーー」

 

と、そこで何やらウズウズしている様子のヴィヴィオを見つけ、苦笑しながら背中をおし、前に出す。

 

カズマ「レイン紹介するよ」

ヴィヴィオ「高町ヴィヴィオ、10歳です!ストライクアーツをやってます!」

 

カズマの視線を受けて、若干緊張した声音で自己紹介をするヴィヴィオ

 

レイン「・・・・レイン、よろしくね」

ヴィヴィオ「ふぇ?」

 

すると、先程までの雰囲気は何処へ言ったのか、柔らかな雰囲気へと変わったレインが微笑んだ。口調もどこか柔らかい

 

レイン「どうかした?」

ヴィヴィオ「い、いえ!よ、よろしくお願いします!」

 

若干レインに頬を赤く染めつつちゃんと返事を返すヴィヴィオを微笑ましく感じながら、シャンテに聞いた。

 

カズマ「そういや、さっきは何でヴィヴィオと打ち合ってたんだ?」

シャンテ「いや~、まぁ、ちょっと気になったというか~」

 

明らかに誤魔化そうとしているシャンテ、チラチラと見てしまっている視線の先には、レインと話している。ヴィヴィオがいた。

 

カズマ「ーーー大丈夫、あの子は分かってるさ、その上で皆と励みたいと思ってるんだよ。」

シャンテ「・・・・・そっか・・・じゃああたしがしようとした事って余計なーーー」

カズマ「あいつの事を心配してくれてありがとう」

 

遮られたシャンテは一瞬目をパチクリさせたが、照れ臭そうに「別に・・・」と言った。

 

シャンテ「でもお兄さんも凄いね、本気じゃないとはいえ、あそこまで打ち合うなんて」

カズマ「・・・・まぁ、伊達に一緒にいた訳じゃないからな」

 

にこやかにヴィヴィオと話すレインを見て、どこかつまらなそうなシャンテを見て「相変わらずだな」と苦笑する。

 

シャンテ「ん?そういやイクスの所に行くんでしょ?陛下ぁ!案内するから行こっか!」

ヴィヴィオ「あ、うん!行こうお兄ちゃん!レインさん、またぁ!」

 

にこやかに手を振るレインにカズマも軽く手を降り(無表情に戻り頷き返してきた)レインを見送り、シャンテに続いた。

 

ーーーー

 

聖王教会本部「療養室」

 

案内されついた部屋、中にはヴィヴィオと同年代の少女が寝ていた。

 

カズマ「・・・・・」

 

ーーーこの子が、あの「ガレア王国」の「冥府の炎王」

 

カズマ「初めまして、イクス」

 

ーーーイクスヴェリア陛下

 

カズマ「・・・・(とても「そう」だとは思えないな)」

 

「あの時代」かなり恐れられていたガレア王国、とても残忍で残虐な女王が居られる、又は国民を「媒介」に兵隊を作り上げる死の国とか・・・

 

ヴィヴィオ「イクス、さっきシャンテが教えてくれたんだよ?「武器」も無しじゃこてんぱんに負けちゃうって・・・・多分そういう意味だと思う。」

 

ヴィヴィオのバックから出てきたクリス〇村が心配そうにヴィヴィオを見ている。

 

ヴィヴィオ「でもね?私は格闘戦技が好きだし、ノーヴェが教えてくれるストライクアーツで強くなりたいんだ。」

カズマ「・・・・・・」

 

ヴィヴィオは何かを強く訴えるような目で俺を訴えた。

 

ヴィヴィオ「皆と一緒に歩む格闘技が好き・・・・でもそれだけじゃ駄目なんだよね?強くなるには・・・必要な何かがあるんだよね?お兄ちゃん、クリス」

カズマ「・・・・そうさな、でもお前らなら意外とすぐ見つかるかもな」

クリス『・・・・・・』ウンウン

カズマ「ほら、クリス〇村も頷いてる。」

クリス『!?』

 

俺とクリスの悪ふざけ(多分俺だけ)にヴィヴィオは吹き出し、笑った。

 

カズマ「・・・ヴィヴィオ、次元港で言ったこと覚えてるか?」

ヴィヴィオ「勿論!」

カズマ「根性論になるかもだが、いかなる時も決して「皆を忘れんな?」それが力になりもするーーーってまぁ、お前なら大丈夫か」

 

ヴィヴィオの頭を撫でながらそういう。

 

ヴィヴィオ「えへへ・・・やっぱりこれ好き」

カズマ「・・・」

ヴィヴィオ「きゃーっ!」

 

照れ臭いので、頭を撫で回してやった。

 

ーーーー

 

もう少しイクスの様子を見ていくとヴィヴィオに告げて、外で待っていた(会話を聞いていた為、少し気まずそうな)シャンテとともに先に行ってもらった。

 

・・・ったく、信用されすぎだろ・・・・ってまぁ、サーチャーぐらいはあるか。

 

空間から感じる「視線」を無視して、イクスに話しかける。

 

カズマ「・・・・・あんたはどんな思いであの世界を過ごしたんだ?」

 

ーーー2年前のマリンパークの火災事件でスバルさんがイクスゆ助けてくれて!そのあと友達になったんだけど

 

カズマ「・・・俺もあの時代を少しだが過ごした・・・今でもそうだが・・・何が正解で何が間違いだなんて分からなかった・・・そんな余裕なかった」

 

ーーー約1000年間眠ってたから全身の、身体機能系統や魔力核(リンカーコア)にかなりの衰えが出ていて、次はいつ眠りから覚めるかなんて分からないって言ってるんだ。

 

カズマ「・・・・やっぱりあんたも時代に失望して自ら眠りについたのか?・・・」

 

返事がないと分かっていながらも、話しかけてしまう

 

カズマ「・・・悪い、また今度くる、何だ、あれだあんた意外と可愛い顔じゃないか

 

ーーー目ぇ、覚めるといいな」

 

携帯端末に「ミカヤ」と名前が表記されているのを尻目に、「んじゃ」と手を振り、療養室をあとにした。




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47話

気付けば通算UAが30000に・・・こんな稚作を読んで頂き読者の皆様には感謝しかありません!ありがとうございます!

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では続きです。


ヴィヴィオ「じゃあねぇ!シャンテ!レインさん!騎士団の皆さん!」

 

そのあと、ヴィヴィオと合流して聖王教会を後にする。

 

シャンテ「陛下ぁ!頑張ってね!」

ヴィヴィオ「うん!シャンテも「頑張ってね」!」

 

シャンテのビックリした顔を最後に教会本部の正門が閉じられた。

 

カズマ「何かあったのか?」

ヴィヴィオ「多分だけど、シャンテ教会の為にインターミドルに出るんだよ、シャンテは教会の皆が好きだからね」

カズマ「・・・・・そっか」

ヴィヴィオ「あ!さっき言ってたパン屋さん!もうしまっちゃうよ!?」

 

そう言って店に走っていくヴィヴィオを追いかけていくカズマ。

 

カズマ「すいませーん!」

ヴィヴィオ「あんパン二つくださーい!」

〇〇子「〇〇ムおじさーん!あんパン二つですってぇ!」

〇ャ〇「わかったよ〇〇子」

カズマ「!?」

ヴィヴィオ「!?」

 

何故かあんパンのヒーローの顔を刻んだパンが出された。

俺も、常連?の筈のヴィヴィオも複雑な顔で食べていた。

 

ーーーーー

 

ーー翌日ーー

 

クライ「へぇ、聖王教会か・・・言ったこと無いんだよな、どんなとこだった?」

 

ケーキに盛り付けをしているクライさんが珈琲豆を挽いている俺に聞いてきた。

 

カズマ「すごかったぞ?最高責任者が出てきて「明日ミッド滅ぶわ」って言ってきたからな」

クライ「嘘!?」

カズマ「うそ」

クライ「嘘ぉ・・・・・・」

 

シャレか?あんまおもしくないぞ?

 

カズマ「シャレか?あんまおもしくないぞ?」

クライ「どっちも聞こえてんだよ!?心の声も、お前の声も!」

カズマ「あらやだ」

クライ「なにこいつ」

 

時間が過ぎ、店内の掃除をしていると「カランコロン」と鈴がなり、来店を知らせた。

 

カズマ「はい、いらっしゃいませ・・・ティアナさん?」

 

入ってきたのは執務官の制服を身に包んだティアナさん

 

ティアナ「オッス、頑張ってる?」

カズマ「まぁ、無理しない範囲で」

 

無難にそう答えると、ティアナさんは満足そうに頷きカウンター席に座った。

 

ティアナ「セインから聞いたわよ?あんたの知り合いもインターミドル出るんですってね?」

カズマ「情報早いな・・・」

クライ「お疲れ様、ティアナの嬢ちゃん」

 

裏方の仕事と仕込み等が終わったのか、クライさんがホールに出てきた。

 

ティアナ「お疲れ様です、今日は大分ゆっくりなんですね?」

カズマ「そういや確かに、いつもならこの時間お客がいるのにな。」

 

その時、またも「カランコロン」と鈴がなり、客を迎える。

 

カズマ「ジーク?」

 

黒いジャージ上下に黒いフード姿の少女が店に入ってくる、店内に俺、クライさん、ティアナさん、バイトの女の子しかいないのを確認すると、安心したかのように息を吐き、フードを取った。

 

ティアナ「久しぶりねジーク、元気にしてた?」

ジーク「ティア姉!久しぶり!店長さんも久しぶりです。」

 

ティアナさんの元に駆け寄ったジークはクライさんにも挨拶した。

 

ジーク「カズマも一昨日ぶり・・・やったかな?」

カズマ「正確には49時間22秒前だよ」

ジーク「細かくない?」

カズマ「適当だからな」

ジーク「おま」

 

ーーーー

 

ティアナ「そう言えばジークはどうしてここに?」

ジーク「あぁ、そうやカズマに用があって来たんや」

カズマ「俺にか?何だスパーリングか?」

ジーク「いや、ヴィクターから伝言や」

 

リアが?伝言ってえと・・・インターミドル関係?

 

ジーク「一般人競技者選考会の第一試験、相手が分かった

 

ーー最高戦績都市本戦2位リリーア・キャンベル選手。

去年が最後のインターミドル見たいやったけど、ミカ姉とヴィクター倒した広域殲滅型の純魔導師や、近戦格闘も得意なオールラウンダーやって

 

ーーー別名「壊し屋リリー」」

カズマ「広域殲滅型・・・ね、凄いなそれで2位か」

ティアナ「とんでもないわね・・・・」

 

その場に沈黙が降りる。ジークも黙ってしまっている。

 

ジーク「それに、うちも何回か戦ったことあるんやけど、あの人は・・・なんというか楽しんでるんや」

クライ「?それが一体・・・」

ジーク「・・・・相手を徹底的に潰す事を」

 

今度こそ沈黙が落ちた

 

カズマ「おう、分かった情報サンキュー」

クライ「ま、そんくらいならカズマでも問題ないだろ?」

ティアナ「ま、そうね」

ジーク「こんな反応なんやろうなって分かってたけどな」

 

苦笑すりジーク空気が緩む。カズマは全くといっていいほど気にして等いなかった

 

カズマ「相手が誰だろうと知ったことか、俺の戦術上町中でも森林でも障害物ありの試合でもない、平らなリングでの試合だろ?

 

ーーーなら早い話、近づいて斬る、それだけだよ」

 

カズマの発言に皆苦笑をこぼす

 

ジーク「カズマの場合本当にそれだけやからな・・・」

クライ「ま、頑張れとだけ言っておくよ」

ティアナ「・・・普通は逆の反応なんだけどね」

カズマ「・・・・・・何だよ」

 

全く負の感情を見せない皆の雰囲気に、ジト目で見るカズマ・・・しかし不敵な笑みに変わる

 

カズマ「当たり前だ、やるからには本気だ向こうが破壊を楽しむ奴なら俺は混乱を撒き散らしてやる」

 

そんな傲岸不遜な物言いに皆笑った

 

ーーーーー

 

翌日、午前中でバイトを上がった俺は

 

アインハルト「♪」

カズマ「なぁ、アインハルト流石に「道場」も近いし離れんか?」

アインハルト「嫌です♪」

 

上機嫌で腕を組んでくるアインハルトと共に友人が師範代を努める「抜刀術天瞳流 第4道場」へと向かっていた。

 

何でも、ノーヴェさんが「あいつ」と友達らしく、「斬撃対策」を身につけてこいとの指令が下ったらしく「丁度良く」俺も呼び出しがあったので、アインハルトと合流して向かっていた。

 

アインハルト「でも驚きました。兄さんが道場の師範代と仲が良かったなんて」

カズマ「まぁな、しかしまぁ頑張れよ?アインハルトあいつは強いぞ?」

 

何せ、剣の腕ならレインですら苦戦するだろうからな。

 

アインハルト「・・・でも決めましたから、格闘技を・・・「私」の覇王流を皆に見てもらうって・・・だから強敵が相手でもめげません・・・そうクラウスに誓ったから」

カズマ「そっか」

 

妹の小さな、しかし確実に成長している姿に俺は微笑んだ。

 

アインハルト「♪」

カズマ「・・・なぁ「嫌です♪」・・・・何も言ってないんだが・・・」

 

・・・まぁ、ここ最近構えてなかったからな・・・

 

仕方ないといった感じでアインハルトの頭を撫でてやり、先日のあいつ

 

ーーミカヤ・シェベルからの連絡を思い出す。

 

ーーカズマ、ジークから聞いたよ?インターミドルにでるんだってね?良かったら今度道場にくるといい、模擬戦をしよう。

 

お前もかと全力で思った。

 

ーーーーーー

 

ミッドチルダ南部地域は所々、自然に恵まれている地域が多い

 

木々に囲まれた道場へと続く階段を登っていき、とうとう件の道場が視界に入った。

 

アインハルト「ここが・・・・」

カズマ「あぁ、天瞳流居合い抜刀術を教えている「第4道場」だ」

アインハルト「立派な道場ですね・・・」

カズマ「・・・少しの間来なかったが「変わってないな」・・・アインハルト、少し離れてろ」

 

アインハルトは驚いていたが、俺の闘気に気づいたのか、少し離れ「見物」に挺した。

 

カズマ「・・・・・」

 

浅い呼吸を整え、腰に差してあった木刀を抜き

 

ーーー正門の扉を蹴破った。直後

 

「はぁっ!」

「覚悟ぉ!」

 

両脇から門下生と思わしき男女が持っている竹刀でうちかかってきた

 

アインハルト「兄さん!?」

 

まず男が放ってきた上段からの斬撃に合わせ、掴み取り引っ張る

 

「わわっ!?」

「なっ!?」

 

パシィンと反対から攻めてきた女の振るう竹刀に引っ張った竹刀をぶつける。

 

カズマ「殺気が駄々もれ、出直してこい」

「いでっ!?」

「きゃっ!?」

 

即座にでこぴんを放ち、二人を気絶させた。

 

ポカーンとするアインハルトを横目に次々に現れる門下生を倒していく。

 

カズマ「どうした?俺はまだ獲物すら抜いてないぞ!」

?「・・・・・・・っ」

 

本殿の前で、刀の入った長い鞘を持った黒髪の女性が動いた。

 

素早く、此方へ距離を詰めて

 

ーー即座に居合いの型に入った。

 

?「天瞳流抜刀術居合い!

 

ーーー水月ーーー」

 

直後「神速」の一閃が横凪ぎで襲ってくる。

 

カズマ「っしょ!」

 

それをしっかり弾き、上へと弾き返す。

 

足払いを仕掛けるも、読んでいたかのように頭上へと跳びあがる、上へと弾かれた勢いすら利用して

 

?「ーーー二連!」

カズマ「ーーはっ!」

 

上空からの鋭い振り下ろしに、木刀の斬り上げが迎え撃った。

 

?「っくぅ・・・相変わらずでたらめな木刀だ!「晴嵐」だって研いだばかりだと言うのに・・・」

 

鍔競り合いを拒否してか、すぐさま距離を取る女性。

 

カズマ「いや、門下生に人襲わせておいて何堂々としてんだよ・・・・ミカヤ」

ミカヤ「なに、しばらく顔を見せなかった薄情な友人にサプライズを、ね?」

 

 

俺の友人であり、アインハルトのスパーリング相手でもあるミカヤ・シェベルはそっと不敵な笑みを浮かべた。




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48話

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では続きです!


ミカヤ「しかし本当に久しぶりだね、4ヶ月ぶり・・・かな?」

カズマ「悪かったよ」

 

大して悪びれもせずにいうカズマにクスッと笑うミカヤ

 

あのあと、気絶させた門下生を介抱して客間に通して貰った。

 

アインハルト「あの・・・初めましてミカヤ選手、ノーヴェコーチからのご紹介で参上しましたアインハルト・ストラトスです。」

ミカヤ「あぁ、ごめんね?友人との再開に舞い上がってたみたいだ、練習相手にご指名頂いたミカヤ・シェベルだ、よろしく頼むよ?」

 

照れ臭そうに笑いながら詫びるミカヤにアインハルトは微笑んで「気にしてないですよ」と言った。

 

ミカヤ 「急な質問だけど、接近戦型と私達剣士、一見どちらが有利に見えるかな?」

アインハルト「・・・・やはり剣士・・・でしょうか、獲物によるリーチの差もありますし。ミカヤ選手の「晴嵐」のような居合刀のような物を振り回されたら近づくのも困難と思います。」

ミカヤ「ふむ・・・正解はどちらでもない、と言ったら?」

 

ミカヤの質問にアインハルトは少しばかり考え込む、それを勝ち気な笑みで見守るミカヤ

 

アインハルト「・・・やはり手数の数でしょうか?獲物のリーチにもよりますが、ミカヤ選手のような長物では、接近戦型に張り付かれたら厄介でしょうから・・・・あの、何を・・・」

 

質問の意図が分からず小首を傾げるアインハルト・・・・と

 

?『ニャア・・・』

 

同じく?を浮かべながら首をかしげる・・・猫?

 

ミカヤ「おや、可愛い猫だねそれが君の・・・・?」

アインハルト「はい、マスコットネームはティオ

 

ーー正式名称は「アスティオン(小さな英雄)」・・・私の相棒です」

 

誇らしげに言うアインハルトに嬉しそうに鳴くティオ

ミカヤは微笑ましく笑い、続けて言った。

 

ミカヤ「質問の意図だったね?私は今の流派を仕上げる為、天瞳流の欠点を克服を目指してる。・・・そのためには君ら接近戦型の力も必要だ・・君は斬撃対策、私は接近戦型相手に手を出させないで倒す」

アインハルト「なるほど・・つまりは貴方は自分の流派の為、強いて言えば自身の為、そして私は(兄さんと私の関係を断つ)斬撃の怖さを味わって来いとノーヴェコーチから言われてます。」

ミカヤ「・・・・・今変な間が」

 

果てしなく不安になるミカヤ、そして改めてノーヴェが言ったことの意味(を勝手にねじ曲げ)に戦慄いているアインハルト・・・・の後ろで

 

カズマ「ティーオ」

ティオ『な~あ』

カズマ「ティ~オ?」

ティオ『な~あ?』

カズマ「俺の家族にーー」

ティオ『フー!!』

「師範代、お茶をお持ちーーーーってああ!?カズマさんがまっちろくなってる!?」

 

カズマがなんかやってた。

 

ーーー

 

「聖王教会近郊外」

 

ノーヴェ「悪い遅れた!」

ヴィヴィオ「ノーヴェ!それにオットーにディードも!」

オットー「お疲れ様です、陛下、お嬢様方」

ディード「楽しそうにお話ししていましたが、何かあったんですか?」

 

今日から「秘密特訓」の始まり、アインハルトを除いたチームナカジマメンバーはコーチであるノーヴェが来ると、会話を止め挨拶をした。

 

リオ「おはようございます!実は私とコロナ、昨日ハリー選手にあったんです!」

ノーヴェ「ほぉ!我流スタイルのハリー・トライベッカ選手にか」

コロナ「はい!それでその時言ってたんです。

 

ーーんな大層なもんじゃねぇよオレァ、今のオレは「あの人」のお蔭でここまでこれたと思ってっからな!

 

ーーって!」

ノーヴェ「あの人?我流なのにコーチとかいたってことか?」

 

意外そうな顔をするノーヴェにヴィヴィオが口を開く

 

ヴィヴィオ「でも名前も分からないって言ってたんだよね?」

リオ「うん!」

コロナ「それにプレッシャーも貰っちゃったし・・・頑張らないと!」

 

戦意溢れる教え子達に微笑むノーヴェ、しかしすぐさま表情を引き締めて

 

ノーヴェ「それじゃ今日から特訓開始だ」

3人『はい!』

ノーヴェ「チームとはいえ選手としてはお前らもライバル同士だからな特訓は個別にやる

 

ーーそのためにリオ、コロナの二人には専属コーチを呼んできた。」

 

そう言うと、オットーとディードが一礼しオットーがコロナ、ディードがリオの前にたった

 

オットー「コロナお嬢様には僭越ながらこの僕が」

コロナ「ありがとうございます!」

ディード「リオお嬢様には私が」

リオ「よろしくお願いします!」

 

二つのコンビが完成したのを見届けたノーヴェはひとつ頷き、ヴィヴィオに向き直った。

 

ノーヴェ「で、お前はあたしだ」

ヴィヴィオ「はい!」

 

ヴィヴィオの元気のいい返事にノーヴェは満足そうに頷き、3人娘を見渡して言った。

 

ノーヴェ「基礎トレと合同練習は今までどおりあたしがーーーー」

 

ーーーだあああああん!!!!

 

改めてインターミドルに向けてのトレーニングの進め方を説明しようとして

 

それを遮るかのように、森の奥の方から何かが落ちたような轟音が響いた。

 

ノーヴェ「な、何だぁ!?」

コロナ「崩落?」

 

思わず皆そちらに向いて様子を見る、変な緊張がその場に走る・・・双子を除いて。

 

オットー「ノーヴェ姉様、大丈夫です。彼の自主鍛練ですよ」

ノーヴェ「彼?」

ヴィヴィオ「もしかしてレインさんですか!?」

ディード「そういえば陛下はレインさんとは会っていたんですね」

 

ヴィヴィオに集まる視線ヴィヴィオは少し興奮したようすで話した。

 

ヴィヴィオ「うん!昨日お兄ちゃんと聖王教会に行ったときにあったんだ、お兄ちゃんと戦友なんだって!凄く強いんだよ!」

ノーヴェ「カズマの?」

リオ「いいなぁお兄ちゃんと一緒だなんて!」

 

羨ましそうなリオにえっへんと返すヴィヴィオ

 

ディード「・・・折角ですから見に行きませんか?特訓に参考になると思いますし。」

オットー「いいね、きっとノーヴェ姉様達もみて損はないと思いますよ?」

 

ノーヴェに集まる期待の視線

 

ノーヴェ「・・・・・ったくしゃあねえか・・・」

 

ノーヴェはひとつため息をだし、喜ぶ皆を見て一人苦笑いをこぼした。

 

ノーヴェ「っておまえら!レインさんとやらには迷惑かからないようにだかんな?」

3人娘『はぁい!』

 

ーーーー

 

場所は戻って、道場

 

 

ミカヤ「ーーーしっ!」

アインハルト「・・・っ!」

 

ミカヤの「晴嵐」による横凪ぎがアインハルトへ迫る、「何処か重そうな動き」で何とか一閃を上にそらし、一歩踏み込む

 

ミカヤ「っ!(とんでもないな・・・この子、「腕輪」を装備して行動阻害と一緒な状態だと言うのに・・・本気でないにしろ、私の刀を受け流してる・・・)」

 

「魔力負荷バンド」ノーヴェが知り合いの管理局技術開発担当者の人に頼み込んで作って貰ったものであり、着けた人の「魔力核(リンカーコア)」に直接干渉し制限をかける

 

アインハルト「(キツイ・・・かなりキツイ・・・身体能力負荷とはまた違う魔力負荷・・・なら・・・)」

ティオ『ニャッ!』

アインハルト「お願いします!」

 

ーー制御をティオに任せ、私は攻防に徹します!

 

アインハルト「覇王流の受け流し技法をお見せします

 

ーー断ノ構(ことわりの構え)」

ミカヤ「面白い!見せてみてくれ!」

 

バックステップし居合の構えを取り、即距離を詰め

 

ミカヤ「天瞳流抜刀居合ーー水月!」

 

手の甲を突きだし、残りの手をそれに沿わせるように構えているアインハルトに向け凶刃を放ち

 

ミカヤ「ーーー!?(軽い・・・・・っ)」

 

手の甲で「乗せた」瞬間掬い上げるように上に「放り投げる」

 

ミカヤ「! ?(添えた手を・・)」

 

大きく体勢が崩れたミカヤの腹部目掛け

 

アインハルト「ーーー追断拳!」

 

威力を大きく持たないものの、素早く放たれた派生した拳は

 

ミカヤ「はっ!」

 

パシッと残った腕で掴み取り

 

アインハルト「!?」

 

視界が一瞬で反転した。

 

背中に衝撃を覚えつつ、起き上がろうとして

 

ーーー首に刀を添えられた。

 

ミカヤ「・・・・驚いたよ、負荷があるといえ少し見くびっていたかもしれない、同じ競技者として失礼だった

 

ーーーこれからは、インターミドル最高戦績都市本戦3位、天瞳流師範代として相手する・・・参る」

 

強者のオーラがアインハルトに襲いかかった




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします。


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49話

また遅れてしまいました!すいません!

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聖王教会郊外、「森林区」

 

森の中を進んでいき、抜けると崖が見えてきた。

 

ノーヴェ「一体どんな人なんだ?」

 

子供達がきゃいのきゃいの話してるのを後ろから見ていたノーヴェが、隣を歩いているオットーに話しかけた。

 

オットー「・・・とても強い・・・としか言えないですね。・・・実は1ヶ月少し前に、満身創痍の姿で「出現」した所を聖王教会で保護したんです」

ノーヴェ「・・・満身創痍って・・・訳あり・・・みたいだな・・・しかも出現って・・・」

 

言い回しに引っ掛かりを覚えたのか、眉をしかめるノーヴェ

 

オットー「えぇ

 

ーーー彼は次元漂流者です。」

ノーヴェ「・・・・元いた世界は?」

 

幾分か重くなった空気に渋面になったノーヴェが聞いた。

 

ディード「ーーー分からないんです」

 

そこにディードが加わった。

 

ノーヴェ「分からない?それって・・・」

ディード「「ミュールゲニア」彼はそこから来たと言っていました。」

ノーヴェ「ミュール・・・ゲニア」

オットー「ーーー着きました」

 

オットーが呟いたのを聞いたノーヴェははっとなり、オットーが指し示した場所を見ると、そこには

 

そびえたつ大きな崖・・・よく見ると、何かにキレイに斬られたのか、形がでこぼこしていた

 

崖の下に佇む一人の少年がいた。

 

ーーー勝てない。

 

ノーヴェは少年を見てまずそう思った。

 

リオ「あの人が?」

ディード「はい、基本鍛練をしてるか、手伝いとして騎士団と警邏等をしてもらっています。」

 

茂みに隠れながらその様子を見ている皆

 

コロナ「あの剣・・・光ってる?それに変な音が・・」

ディード「・・・魔剣・・・と言ってました。デバイスではない魔力をチャージした物らしいです。」

 

少年ーーレインが持っている「傾国の剣」が鮮やかな青いオーラを纏い、無数の羽虫が羽ばたくかのように「ぶうぅぅぅぅぅん」と音をたてている

 

ノーヴェ「一体何を・・・」

 

レイン「ーーーふっ!」

 

鋭い呼気と共に剣を崖の上目掛けて横凪ぎに振るった。

 

オットーとディードを除く皆が?を浮かべていると・・・

 

スガアアアアアアアアアン!!

 

けたたましい程の破壊音と共に、崖の上部が切り取られた。

 

『・・・・・・は?』

 

疲れたように笑うオットーとどこか得意気なディード

崩れた岩石の塊が無数レインに降り注ぐ。

 

ヴィヴィオ「っ危ない!?」

ディード「心配はありませんよお嬢様方」

 

思わず出ようとするヴィヴィオ達とノーヴェを軽く制するディード。オットーも頷くだけだった。

 

コロナ「でも岩があんなにーー」

 

ーーーヒュンっ!

 

無数の風切り音が聞こえ瞬きし終えた時降り注いだ岩が全てレインの頭上数メートル程上で真っ二つになった。

 

小さくなった岩をレインは無駄のない剣さばきで弾き最小限の動きで避けていく。

 

まるで舞っているかのような動きに皆が思わず見いった。

 

レイン「・・・・何の用だ」

 

一息つき剣を鞘に収めたレインが隠れているノーヴェ達の方を向き声をかけた。

 

ノーヴェ「!?(この距離で気付いたのか!?軽く30メートルはあるぞ!?)」

 

ぽかんとしているノーヴェ達をよそにオットーとディードが立ち上がりレインに近寄る。

 

ディード「お疲れ様です、すいません鍛練の邪魔をしたようで・・・」

 

申し訳なさそうに言うディードにレインは少しばつが悪そうな顔をして「気にするな」と言った。それに頬を緩めるディードとオットー

 

レイン「・・・昨日ぶりだな、ヴィヴィオ」

ヴィヴィオ「は、はい!昨日ぶりです!レインさん!」

 

薄く笑い、ヴィヴィオに声をかけるレイン、先程の余韻があるのか緊張した様子で返すヴィヴィオに思わず苦笑する。

 

ノーヴェ「いきなりすまないな、修行中邪魔をしたみたいで、あたしはノーヴェ・ナカジマ、んでこいつらが・・・」

リオ「リオ・ウェズリーです!よろしくお願いします!」

コロナ「初めましてコロナ・ティミルです!」

レイン「・・・・・初めまして、レインだ」

 

目をキラキラさせながら言う子供達に、レインは微笑んで名乗った。

 

ーーーー

 

その後、レインは少しヴィヴィオ達と話した後、騎士団の手伝いとして城下町に向かっていった。

 

ノーヴェ「(・・・・なんか、本格的にとんでもない奴と関わっちまったな・・・しかもカズマの知り合いおまけにインターミドルにも出ようと思ってるときた・・・)」

ヴィヴィオ「「見えない斬撃」凄かったね!」

コロナ「うん、あんな武器もあるんだな・・・本当に次元世界は広いや」

リオ「でもどうやって定着させたままにしてるんだろ・・・デバイスじゃない質量武器なのに・・・」

 

前で先程の彼について話し合ってる小さな選手達を見る。

 

ノーヴェ「(こりゃ本当にうかうかしてらんないな)」

 

トップファイター(上位選手)に他のルーキー達、果てやカズマとレインも出る可能性が大だ。

 

ノーヴェ「(しかし・・・)」

ディード「ノーヴェ姉様?聞いているんですか?レインは意外とシャイらしくて、以前シスター見習い全員でレインとお茶会を開こうとしたんですが、少し顔を紅くされて逃げるように去っていったんです・・・・可愛かった」

 

ノーヴェ「(何でこの子こんなテンション高いの!?)・・・・そうか(チラッ」

オットー「っ(フィッ)どうですか?お嬢様方何か参考になりましたか?」

 

末っ子おおおおお!?

 

ノーヴェ「(野郎・・・・見捨てやがった)」

ディード「聞いてますか!?ノーヴェ姉様!」

ノーヴェ「あい」

ディード「それでですね・・・」

ノーヴェ「あい・・・・」

 

勘弁してください・・・・

 

ーーーー

 

あの後、アインハルトは・・・

 

アインハルト「あの、何で外に・・・?」

 

ミカヤにこてんぱんにされ、腕や頬などに湿布を貼っているアインハルトが、何故か道場内ではなく、外の訓練場に出ることに疑問を覚え門下生に問いかける。

 

「あの二人は、カズマさんはともかく、師範代はやり過ぎちゃうのよ」

アインハルト「ミカヤさん ・・・」

 

ーーー焦った・・・危うく危ないのを貰いそうになった

 

アインハルト「・・・・・」

 

思わず上をみて口元が緩める

 

ミカヤの腕を見ると、軽く包帯かまかれていた。

 

ミカヤ「こい、カズマ」

カズマ「・・・・・・・・」

「それでは!

 

試合開始っ!」

 

刹那、カズマが残像を残しミカヤの頭上にいた。

 

ミカヤ「なっ!?くっ」

 

体を寒気が襲い、反射的にカズマがいる頭上に向けて「放ってしまった」

 

ミカヤ「しまっ・・・・」

 

ミカヤが目に捉えていたのは、居合の構えをとる!カズマ、ミカヤの振るった刀がカズマに触れそうに

 

ーーーなる前に、ミカヤが前方に大きく転がり。直後

 

カズマによって放たれた「居合術 瞬」の衝撃波が地面に叩き付けられた。ミカヤは冷や汗をタラリと流すと共にゾクゾクっと体全体が震え上がる感覚に見舞われた

 

ーーー歓喜に

 

ミカヤ「全くそんなもの女子の私に放つなんて・・・君はとんだドSだな」

カズマ「・・・いや、刀なで回してニマニマしてる奴に言われたかないんだが」

ミカヤ「いくぞぉ!」

カズマ「頼むから話を聞いてください」

 

その後、道場からはミカヤの笑い声とカズマの救援の悲鳴が夜遅くまで響き渡り、近所の住民が止めに入るまで続いたという。




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします。


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50話

お待たせしました!50話です!誤字報告感謝です!

お気に入りが200越えていた事に「おー」と言う言葉を連発している駄作者です!なんだ・・・あれだ・・・

ありがとうございまっす( ´∀`)

基本プロットなしのその場で考えて方針なのでここまで続いた事を皆さんに感謝しています!

ちゃんと完結させますので今後もよろしくお願いします!


インターミドルまで、あと一月まで差し掛かった頃。ジークに練習試合を頼まれて、ミッドチルダ北部の平原地帯へと俺とジーク、リア、エドガーが来ていた。

 

カズマ「俺、思うんだよ」

ヴィクター「二十四式!「神突」」

 

背後にいたリアが、高速魔法で槍斧の切っ先を此方に向けたまま、攻めてくる

 

カズマ「ポケ〇ンってさ基本1対1でしょ?・・・」

ヴィクター「!?・・・っくぅ!」

 

振り向かずに、切っ先を手で逸らし、滑らせ柄の部分で掴んだ。

 

ヴィクター「ーーー四式「瞬光」!」

 

即座に光弾を放つも、「放つと同時」に首を逸らし、かわす

 

ヴィクター「(相変わらず馬鹿げた反射神経ね!)

 

 

ーーージィイイク!」

 

逆に柄を掴んだカズマの腕を抱え込むようにし「味方を呼ぶ」

 

カズマ「!」

 

背後から凄まじい速度で腕に魔力を凝縮した一撃をカズマに喰らわそうとするジーク

 

ジーク「ーーーガイスト・ナーゲル(孅撃)」

 

それは「前までは」制御不能の自己の防衛本能により起こる、かくし球(起爆剤)・・・しかし、どこか辛そうな顔をしているのと、目に理性が残っている事で。

 

ーー不完全ながらも、「エレミアの真髄」の制御には成功している現れだった。

 

思わず口角があがる・・・が

 

カズマ「(それはちょっと食らったらキッツイからな・・・許せリア)」

ヴィクター「きゃっ!?」

ジーク「!?」

 

ジークに気をとられているリアに足払いをかけ体制を崩した所を掴んでる腕を両手でもちジークに向けて

 

カズマ「何時の間にかダブルバトルシステムが追加したんだコノヤロー!」

ヴィクター「きゃああああぶっ!?」

ジーク「ちょ!?ヴィクタへぶぅ!?」

 

投げ飛ばした。

 

二人仲良く6、7メートル程転がっていく。

 

ヴィクター「くっ・・・うかつーーー」

ジーク「っは!カズマはーーー」

 

転がっていく二人を追い抜き、木刀を二人の頭に添える

 

カズマ「はいお疲れ」

 

ーーー本日連勝3回目、今日もいい天気でございます!

 

ーーー

 

エドガー「皆様、昼食のお時間です」

カズマ「エドガーもお疲れ」

エドガー「悪いなカズマ、お二人が」

 

苦笑をこぼしつつ、詫びるエドガーに「気にすんな」とばかりに首を横に降る。

 

因みにお嬢様方は反省会みたいなモノを開いている。

 

カズマ「・・・」

エドガー「・・・・カズマ?どうかしたか?」

 

少し「考え事」をしていたら、エドガーに心配させちまった、それにたいし首を横に数回振る

 

カズマ「おーい!お昼ご飯ですよぉ!」

2人『あ、はーい!』

 

ーーーー

 

カズマ「ん?なんだ、マラソン消えたのか?」

ヴィクター「えぇ、流石に意味不明でしたのでダールグリュン家と伝を使い、直談判しましたの。それにインターミドル大会は様々な所から援助等貰っていますし。しぶしぶでしたが頷きましたわ。」

 

現在、木陰を見つけお昼中

 

皆の食べるペースも落ち着いてきた頃、リアがそうきりだしてきた。

 

ジーク「でも何でそこまで共同を嫌うんや?皆が皆「そう」とは限らんやろ?」

カズマ「・・・そう・・・かもな、でもな?ジーク、例え他の皆がそう思っていたとしても

 

ーーートップがそう言ったら、そうなっちゃうんだ。」

ヴィクター「・・・・カズマ?」

 

・・・皆ご飯も食べ終わってきてるし、大丈夫かな?

 

カズマ「・・・男性選手・・・鬱病になって入院してた人にあってきたんだ。」

ヴィクター「・・・・・・・・・」

エドガー「(そうか、だからさっき・・・・)」

 

納得顔をしていたエドガー、悪いな、それとは「別件」なんだ。

 

カズマ「廃人だよ、躁鬱(そううつ)だったみたいですぐ気が触れるみたいで家でも暴れてたみたいだ、なまじ男性競技者なだけあって家族でも手が付けられなくて入院させたみたいだ。

病院では、暴れだす度に警備員に押さえ付けられて鎮静剤を打たれて、んで朝晩に強い精神安定剤で薬漬けの生活だ・・・・」

 

『・・・・・・・・・・・・・・』

 

・・・凍り付くっていうのは本当にこういうことを言うんだろうな

 

ジーク「ご家族とあってきたんか?」

カズマ「あぁ、あって

 

ーー怒鳴り散らしてきた。」

ヴィクター「え?」

 

・・・怒鳴り散らしてやったさそりゃ。「でも、この子の自業自得ですから」何て失望の目を虚ろな目で天井を見上げている自分の息子に向けて、「昔は悪さばっかしていて」「いつも喧嘩ばっかりで相手の子に怪我させて」とか聞いてもない事をベラベラと・・・

 

カズマ「何で信じてあげねえんだって、綺麗事言って逃げてきた」

 

・・・・・・・誰も声を発する事ができなかった。

 

カズマ「・・・・だから決めた、俺はあの真実を守りきったバカ息子の為に絶対見せてやる、お前達が立つべき場所はリングの上なんだって」

ヴィクター「・・・・そうね、同情したって、感情移入したって、何したって今までの選手に何かできるわけじゃないものね」

 

そうだ、これは勝手な俺の自己満足だ、もしかしたら不快に思われるかもしれない、余計塞ぎ混む奴もいるかもしれない、そもそも見てくれないかもしれない。

 

ジーク「そうや、だってうちらは神様でも何様でもない

 

ーーー只のいち選手なんやから」

 

・・・ジークに言いたいこと言われた。

 

カズマ「ま、そういうこった、奴らだって分かってる筈だ、心が病もうが、腐ろうが、廃になろうが、自分にとって格闘技ってなんだろってな」

エドガー「・・・・私達が調べあげるまでもありませんでしたね・・・」

 

どこか苦笑いのエドガーに首を横に振る

 

カズマ「何いってんだ、対戦相手教えてくれたり、入院の事教えてくれたり、直談判しにいってくれたりそれだけで充分過ぎるわ」

エドガー「カズマ・・・・」

ヴィクター「そうよエドガー、この男に引け目を感じる必要性何て皆無だわ」

ジーク「そうそう、カズマに遠慮なんていらんって!」

カズマ「・・・・今気付いた、お前ら俺の事嫌いだろ?」

 

俺の言葉に3人とも笑いやがった。解せぬ

 

ーーーー

 

ジーク「・・・・・・」

 

カズマはよく「俺が勝手に」とか「自己満足」とか言ってるけど、うちは・・・・ううん、ヴィクターだって、エドガーだって、店長さんだって、ティア姉だって・・・・カズマと関わってきた皆だってそんなこと思ってないんよ、絶対

 

ヴィクター「カズマ、私独自に編み出した雷帝式体術・・・効果が知りたいのでちょっとじっけ・・・・少し試させてもらってもいいですか?」

カズマ「まて、今何か言ったろ?実験台って言おうとしたろ?」

ヴィクター「・・・・・てへへ☆」

カズマ「キャラ崩壊乙」

エドガー「落ち着いて下さい、お嬢様気が触れてしまわれたのですか!?」

ヴィクター「百式ーーーー」

カズマ「アディオス☆」

エドガー「ちょ!カズマおまっ「神雷!」ギィアアアアアアアアアアア!」

 

うちはいつもカズマの人の笑いを誘うようなあの笑顔に助けられてきた。

 

この力(エレミアの真髄)も

 

ーーー自分を怖がるなよ、言っとくがお前の力「なんか」よりやばい力なんざ他にも湧いて出るほどあるんだからな!

・・・・・それでも怖いってんならどんなもんか見せてみろよ、ぶつけてみろ。お前のその恐怖心全否定してやらぁ

 

・・・ミカ姉の時も

 

ーーーよし!そんなに気にしてんなら謝りに行くぞ!ほれ準備してこい、あん?合わす顔がない?しるか!・・・第一お前がそこまで気に病む程の相手がそんなんでお前の事を嫌うか!

 

ヴィクターとちゃんと話すようになったのだって、この力をちゃんと「皆と同じ」自分の力だって思う事ができたのだって・・・・・・・

 

人をちゃんと好きになることが出来たのだって皆みんな

 

ジーク「・・・君が背中を押してくれたからや」

カズマ「だあぁ!しつこいぞリアア!?」

ジーク「ちょっ!?カズマこっちこんといて!?」

カズマ「旅は道連れじゃぁ!」

ヴィクター「カズマは?」

カズマ「最低じゃぁ!ーーーってなに言わすんじゃぁ!?」

 

ちょっとヤンチャな所もあるけどな

 

カズマに担がれながら役得か背後の鬼(ヴィクター)をみて地獄かを迷うジークであった。

 

 

ーーーー聖王教会本部「騎士団隊舎」AM1:00

 

ひとりひとりに宛がわれた部屋、保護されてるとは言え、仕事も手伝い「荒事」が起きる前に対処しているレインにも部屋は当然宛がわれていた。

 

レインは基本横にはならない。壁によりかかって寝るか、鍛練するか、目をつむり休むかどれかだ・・・「横になって」

意識を落とすと見てしまう、何度も同じ夢を

 

ーーー人生で一番大切な恋人が、無力で何もできない自分の前で刺し殺される光景。

 

ーーーそして彼女が必死に叫んだ「逃げて」、その言葉を聞き茫然自失になり最後は自警団の親父に助けられるところまで。

 

たまにレインは自ら横になる、忘れないために、再度誓うために。

 

ーー彼女を死なせた俺が、安穏の道を歩めると思うな

 

ーー二度とあんな思いはゴメンだ

 

ーー強く、この世の誰よりも何よりも強く

 

自分は許されるべきでも「あの子」と同じ場所に行くことが許されるべきでもない

 

そう思っているから、確信してしまっているから気付かない

 

ーー少なくとも、そうであって言い訳がないと思ってくれている人達がいるのに気付かない。

 

レイン「・・・・・ご・・・め、ん

 

 

ーーーフィーネ」

カリム「・・・・・・・・・・・・・・」

 

ただ魘されるレインをカリム・グラシアはただ悲しげに見ているしか出来なかった。




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51話

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続きでっす!


ーーー最近夢を見る、良く分からない夢だ。

 

気付くと俺はそこにいる、「そこ」と言っても明確な場所ではない・・・・・辺り一面真っ暗なのだから。

 

自分が喋っているのかも、腕が、脚が動いてるのかも、そもそも本当に体はあるのかも分からない

 

カズマ「・・・・・・はぁ、またか・・・」

『ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・』

 

そして空間全体に響き渡る「少女」の泣き声・・・・そして謝罪いや、懺悔にも聞こえる。

 

『ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・』

カズマ「・・・一体誰なんだ?」

 

聞こえてくる言葉は同じでも、伝わってくる感情は毎回違う

 

悔恨、悲哀、歓喜、切望、期待

 

カズマ「・・・・もう一度聞くぞ?誰なんだ?」

 

「いつも」ならこの問いの後、暫くしてからまだ懺悔の言葉が繰り返されるのだが・・

 

『ごめんなさい・・・〇〇〇」

カズマ「ーーーーーー ク」

 

今までどこかエコーが重なりあったような声が最後の瞬間はっきり聞こえた。「その声」に反応する前に

 

カズマ「・・・・・ロ?・・・」

 

目が覚めた。

 

カズマ「・・・・まさか、クロなのか?」

 

ーー夢なのに、夢じゃない気がした。

 

ーーーー

 

クライ「やべぇ、選考会まで後1週間・・・な、何か緊張してきた・・・・」

カズマ「何でクライさんが緊張してんだよ」

 

喫茶店「ビーナス」にて、緊張に震えまるで組織が壊滅する寸前の組長みたいな顔になっていた。

 

クライ「だってお前っダチが大衆の面前にさらされるんだぞ!ドキドキすんだろ!?」

「いや、店長やめてください、さっきからお客さんが店の外で震えてみてるんで」

クライ「いつそれがお客さんだと錯覚していた?」

「!?」

カズマ「いや、店長としてその発言はどうなんだ!?」

 

後開催まで1週間を切り、街中もどこか浮わついている雰囲気になってるなか、やはりというかこの人達も変わらずだった。

 

アリス「頑張ってね!カズマ君!選考会通ったら軽く打ち上げしましょ!」

カズマ「ありがとうございます」

 

今日はアリスさんも出勤していた。

 

カズマ「皆観戦にくるのか?」

クライ「俺とアリスは行けるが・・・・お前らは本当にいいのか?」

 

そういいバイト仲間に声をかけるが二人とも笑って断った

 

「俺らは喫茶店の中でお客さんと一緒に見るから大丈夫っすよ、店長とオーナーはしっかり見てきてくださいね!」

「カズマ君も頑張ってね!」

カズマ「・・・・・と言いつつ、店の中でイチャコラする二人なのでした」

「ち、違うって!」

「そそそんなこと、す、するわけないじゃない!?仕事中なんだし!」

 

必死に否定する二人を微笑ましく思う。

 

クライ「カズマ」

カズマ「ん?」

 

クライさんに呼ばれそちらを向くと

 

クライ「・・・・お前最近寝れてるのか?」

カズマ「・・・そんなこーーーいや、すまん実はあんまり寝れてない・・・な」

 

真剣な顔で言い当てられ誤魔化そうとして、素直に吐いた

 

クライ「・・・そっか、じゃあ帰れ、選考会も近いんだそんなんじゃ撒き散らせる混乱も撒き散らせんだろ?」

 

いきなりの発言に思わず目を見開いた。

 

カズマ「・・・・いや、それは不味いだろ・・・」

クライ「・・・・お前は最近頑張りすぎだろくに寝てないだろうが」

 

・・・こうなった時のこの人は頑固だからな。

 

アリス「なんならおばさんが「あの時」みたいに添い寝してあげましょうか?」

 

そう笑顔で言うアリスさんの片手には、お酒が握られていた。

 

カズマ「?あのとーーー」

クライ「あ、あっははぁ!だっめじゃないかぁあ!?アリス、カズマはまだ未成年なんだじょじょ!?」

「そ、そっすよ!そもそもお酒って良くないんすよ!?あはっあはははは!?」

 

聞こうとしたら、分かりやすいほど乱れきった二人に遮られた。

 

クライ「とりあえずお前は帰れ!

 

ーーーちゃんと「休ませて」貰えよ!?」

 

とりあえず必死な様子のクライさんに頷くしかなく家に帰るしかなかった。

 

アリス「もう・・・冗談なのに」

クライ「(目が冗談じゃなかった!?)」

 

ーーーーー

カズマ「・・・・ん?ティアナさん?」

 

欠伸を噛みながら自宅前まで戻ってくると、玄関前にティアナさんがたっていた。

 

ティアナ「どう?調子は・・・・余り良く、なさそうね。」

カズマ「・・・・ティアナさんこそ仕事は・・・?」

 

そう言うとティアナさんは「休みよ」と言った。確かに制服ではなく、私服姿だ。

 

カズマ「とりあえず、上がってください」

ティアナ「は、はい・・・」

 

あー、クライさんまじか・・・「休ませて貰えよ」ってこういう事か・・・・え?逆効果じゃね?ある意味休める気がしないんだけど・・・・

 

ーーーー

 

ティアナ「何か久しぶりね、カズマの家に上がるの」

カズマ「あー、確かにそうっすね、軽く2ヶ月以上はたちますね・・・」

 

部屋のあちこちを見回るティアナさんに気まずい家主

 

ティアナ「クライさんに頼まれたんだ、「最近カズマが眠れてないみたいだから世話してやってくれ」ってね」

カズマ「・・・・たく、あの人も大丈夫だってのに・・・」

 

愚痴を呟く俺にティアナさんはふわりと笑った

 

ティアナ「心配なのよ、貴方の事が目の下の隈目立ってるよ?・・・・どうしたの?」

カズマ「・・・・・別に何もないですよ」

ティアナ「・・・・・・そう」

 

目尻を若干下げ、どこか悲しげなティアナさんに小さいが・・・確かに胸が痛んだ。

 

カズマ「・・・・ティアナさんごめん」

ティアナ「・・・・カズマ?」

 

気付けば、ティアナさんに座りながら頭を下げていた。

何でか今の表情を見てこうしなければならないと直感した。

 

カズマ「・・・まだ確証がないから言えない・・・だから待って欲しいです。ちゃんと話します。

 

ーーーだから待っていてください」

 

ティアナさんは少しポカンとした表情を浮かべていたが、ふわりと微笑み頷いた。

 

ーーーー

 

カズマ「・・・で、何でこうなるんですか・・・」

ティアナ「何よ?何か不満?」

 

場所は自室の布団にオーバーダイブ中、別に過去とか、知らない人に移り変わる訳じゃ無いんだからね!・・・すみませんこんらん状態です。

 

ティアナ「大丈夫よ、頼まれた以上ちゃんとお世話してあげるから」

カズマ「まって?何で今したなめずりしたの?ちょっと?これ健全な小説ですからね?」

ティアナ「大丈夫よ、書いてる人の裁量次第でどうとでもなるわ」

 

おーい、駄作者何とかしろ、いいの?「青年の物語」が「性年の物語」になっちゃうよ?てかこの人連れてっておねがぁい

 

カズマ「ーーってぃ、ティアナさん!?」

 

頭に乗せられたティアナさんの手の感触に動揺をあらわにしてしまう。

 

ティアナ「・・・私は貴方がこれまでどんな重いものを背負ってるのか分からない・・・・でも・・・でも・・・」

ティアナ「お願いだから無茶はしないで」

カズマ「ーーーーー」

 

必死に、懇願するティアナさんに俺は即答を返せなかった

 

カズマ「・・・すいません、もしかしたら無茶はするかもです」

 

ひとつひとつ、言葉を選びながら言う。無駄な事をとか言うやつがいるかもしれない、でも

 

ーーー約束もしたし、決意もした。

 

ティアナ「・・・・・」

カズマ「もし、俺が無茶しようとしたら怒ってください」

ティアナ「・・・・ふふ、了解よ・・・私力作の砲撃を喰らわしちゃうんだから」

カズマ「止めて下さい。」

 

・・・・・・アザっすティアナさん

 

ーーーーー

 

カリム「・・・・はぁ・・・・」

シャッハ「・・・最近溜め息が多いですね?どうかしたんですか?」

 

場所は聖王教会本部、執務室

 

今日はそれほど仕事もなく、暇なのか溜め息をつくカリム・・・しかしその顔は何処か暗かった。シスターシャッハが心配の声をかけ

 

カリム「・・・・いえ、何でもないわ」

 

無理に作った笑顔は何処か痛々しく、何でもないようにはとても見えなかった。

 

カリム「ーーーーっ・・・」

 

ふと窓から見えた中庭、そこにはレインが木陰にすわり本を読んでいた。

 

カリム「・・・・・・・レイン」

シャッハ「彼、すごいですよね何処かも分からない場所にいるのに、ここにきてすぐ順応してますし、今ではミッドチルダの情勢を知りたいっていってずっと本を読んでいます。仕事も手伝ってくれて助かってるし・・・シャンテにも見習って欲しいですね」

カリム「・・・・・」

 

ーー何で貴方はいつも辛そうな顔をしているんですか?

 

カリム「・・・・」

 

思い出すのは、いつか彼の部屋に入った時魘されているレインはいつもの堂々とした雰囲気はなく、自分を「必死に」責めていた

 

カリム「(・・・・「フィーネ」って言う子が関係してるの?)」

 

そう考えると胸が締め付けられる感覚に陥った。

 

カリム「・・・・(あぁ、そうなんだ・・・)」

 

体調が優れない時

 

ーー大丈夫か?アンタ

 

私が何か言う前にお姫さまだっこをし、休憩室に運びこむレイン。

 

仕事が多すぎてついつい泣きついてしまった時

 

ーーしらん、アンタのしごーー引っ付くな離れろ・・・はぁ、分かった言っとくがろくな事できないからな?

 

何だかんだで付き合ってくれる大人びたレイン

 

町中で迷子の女の子が泣いていた時

 

ーー僕はレインどうしたの?

 

すぐ話しかけ、今度はレインから離れたくないと泣き出した子供に狼狽えるレイン

 

優しいレイン、カッコいいレイン、・・・・いつも辛そうな、悲しそうな顔のレイン

 

カリム「私は・・・・」

シャッハ「騎士カリム?どうしーーー」

カリム「・・・・?シャッハ」

 

急に黙り混んでしまったシャッハ、心配になり声をかけようとして。

 

シャッハ(?)「・・・・「人間」、彼は諦めなさい」

カリム「ーーーえ」

 

まるで人が変わったかのように口調や雰囲気が・・・そのうえ声までが変わっているシャッハにカリムは固まった。

 

カリム「あ、貴方は・・・・誰?」

シャッハ(?)「・・・・本当は名乗るどころか話すのも億劫なんだけども・・・・貴方には彼を助けて貰った恩があるからね」

 

優雅にソファーに座り「あら?良い生地のソファーね」と呑気にのたまうシャッハの姿をした誰かに戦慄を覚えた

 

カリム「(意識洗脳(ブレイン)!?そんな魔法反応は・・・」

シャッハ(?)「あぁ、無駄よ?貴方達の言う関知魔法じゃ私の「術」は解析できないわ。」

カリム「もう一度言います・・・・誰?」

 

そう問いかけると彼女は微笑み。此方を「澄んだ青い目」で見据え

 

シャッハ(?)「初めましてね?「外側の住人」

 

ーーー今はシェルファと名乗っておこうかしら」




後少しで選考会に入ります!

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52話

難産だった・・・・

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では続きです!


カリム「ーーー「外側の住人」?・・・・貴方は一体・・・(・・・・念話が使えない!?)」

シェルファ「・・・・無駄よ、この世界からこの部屋を切り取ったんだものこの部屋はもう「私の世界よ」・・・」

 

シェルファの言葉にカリムは愕然とした。

 

カリム「・・・・・禁術(閉鎖結界)・・・・」

シェルファ「へぇ・・・こちらにもあるにはあるのね?」

 

念話どころか魔力も使えない状態に嫌な汗が背中を走る。

 

カリム「・・・目的は何?」

シェルファ「・・・・何も、強いて言えば彼に恋慕を抱くのはやめなさいと忠告・・・ね」

カリム「っ・・・何故ですか?」

 

先程気付いた事を言い当てられ思わず顔をしかめるカリムをシェルファは馬鹿を見るような目で見てきた・・・しかし顔はシャッハなのでいらっとくる。

 

シェルファ「・・・普段の貴女を見てれば馬鹿でも気づくと思うけど・・・あぁ貴女は馬鹿なのね?」

カリム「そこまで言いますか!?これでも教会本部の最高責任者ですよ!?」

シェルファ「怒鳴るな・・・全くあのヴァンパイアどもと言い、何でこうも・・・話がそれちゃったじゃない」

 

頭が痛そうに頭を押さえるシェルファ

 

カリム「・・・・(ヴァンパイア?)」

シェルファ「分かるわよ、貴女の気持ちも私も同じだもの・・・だからこそよ・・・

 

ーーー彼はそろそろ「元の世界」に帰すわ」

カリム「・・・帰す・・・?まさかレインは貴女が・・・」

シェルファ「いいえ、あの時ばかりは運命のイタズラみたいな物よ

 

ーーー本来この「未来視(ビジョン)」には映ってないのよ」

 

話の内容がぶっ飛びすぎて、カリムは頭が痛くなってきた。

 

カリム「・・・どうしてその未来視にレインが出てくるんですか」

シェルファ「・・・彼はいずれ世界の命運をさゆうする程の存在になるわ・・・この世界は優しすぎる、彼の覚悟を揺るがしてしまうほどに、私はその度に苦しむレインをみたくないの

・・・今はレインに教えてやれる人(カズマ)もそばにいないしね」

カリム「・・・・貴女もレインが好きなのですね」

 

直後、微笑むカリムに物凄い重圧(プレッシャー)がかかってきた。・・・しかし

 

シェルファ「・・・・・貴女自分の立場分かってる?私の意思ひとつで貴女死ぬわよ?」

カリム「いいえ、貴女は私を殺せませんよ・・・だって貴女もレインが好きなんですから。」

 

汗をかきながらもシェルファの目を真っ直ぐ見返すカリム

 

シェルファ「・・・・・ッチ」

 

引いたのはシェルファだった。

 

カリム「大丈夫ですか?お顔が優れないようですが・・・」

シェルファ「・・・お前・・・・」

カリム「カリムです、カリム・グラシア」

 

まだ力が半分も戻っていない状態で使ったからか、表情は無表情そのものだが、心なしか顔色がすぐれない

 

それを言い当てられたか、思わず睨むもそう返されポカンとするシェルファ

 

カリム「貴女が何物かは知りません・・・名前ぐらい呼びなさい」

シェルファ「・・・・・「カリム」、貴女生意気ね」

 

呆れたようにそう言うシェルファにカリムはにっこり笑った。

 

ーーー

 

カリム「・・・・異世界?」

シェルファ「ええ、例えていうなら・・・この世界含め貴女たちの言う「管理下に置かれた世界」と「管理まで及んでない世界」全てを引っくるめて一つの絵本としましょう。ノンフィクションでもフィクションでもどっちでもいいわ」

シェルファ「その絵本にフィクション満載の絵本が登場します・・・・」

 

そこでカリムを見るシェルファ「ここまで説明すれば分かるでしょ?」とばかりの目付きだ

 

カリム「・・・つまりレインは絵本の中の絵本に出てくる人物って言うたち位置・・・」

シェルファ「そういうこと、彼がこっちに来たとき「裂け目」が無かったかしら」

カリム「ありました、空気中に閉じかけていましたが・・・」

シェルファ「あれは彼の「傾国の剣」が世界と世界の間にある次元の壁を一瞬切り裂いた物よ」

 

カリムはその言葉に固まった、つまりレインは常に高ランクのロストロギアを所持しているようなもの

 

カリム「・・・つまりレインは何時でも帰れた?だとしたらなんでーーーあ」

シェルファ「・・・彼の旅がどういうものか知ってるでしょ?

闘いたい存在がこの世界に要るからよ・・・レインと同じ天才が」

 

その事実に何処か寂しさを覚えてしまうカリム

 

シェルファ「・・・・貴女も聞いたでしょ?彼の想い人の名を

・・・・」

カリム「フィーネ・・・でもあの様子からだと・・・」

シェルファ「・・・えぇ、賊に目の前で殺されてる

 

 

ーーーそして彼は彼女を殺したのは自分だと結論ずけたの」

カリム「なっ!?・・・・いえ、彼なら・・・」

シェルファ「・・・知りたい?彼の行動の起源を、理念を

 

彼女への想いを」

 

いつの間にか目が紅く染まっておりその瞳孔も縦に裂けているみたいに広まっていた。

 

カリム「・・・・・綺麗・・・・・」

シェルファ「は?・・・・・っ」

カリム「シェルファさん?」

 

急にそっぽを向いてしまったシェルファ、心なしか顔が紅くなっている。

 

シェルファ「っ!いいからどっちなの!?」

カリム「し、知りたいです!」

 

シェルファはその言葉にふんっと鼻を鳴らし立ち上がりカリムに近づき肩に手をおいた。

 

カリム「なにをーーー」

 

直後、見たこともない巨大な魔方陣が部屋に広がる。

 

シェルファ「ーー行くわよ?」

 

その言葉を聞いた瞬間カリムの意識はブラックアウトした。

 

ーーーーー

 

カリム「ーーーーここは・・・村?」

シェルファ「そうミュールゲニア大陸最北端の辺境、ノーグの村よ?」

 

気付けばカリムとシェルファは小さな村の前に立っていた

 

カリム「・・・それが貴女本来の姿なのね?」

 

横には絶世の美女が立っていた、流れる絹糸のような綺麗な金髪、白い肌にモデルのようにすらりとした体型をしていて同性の自分ですら見惚れてしまうほどだ。

 

そして

 

カリム「天使様?」

シェルファ「っいいから!出てくるわよ」

 

「白く」綺麗な翼が生えていた。

 

カリム「出てくる・・・・「バタン!」」

 

立ち並ぶ木造の家の一つの扉が開き綺麗な花を持った一人の少年が出てきた。

 

カリム「・・・・レイン」

レイン『行ってきます!』

 

そう元気に笑顔で走っていくレイン、カリムは軽く感動を覚えた。

 

カリム「・・・・可愛い・・・」

シェルファ「・・・ほら行くわよ」

 

うっとりとするカリムにうっとおしそうな表情のシェルファが先に行く。

 

ほわほわしていたカリムだったが、「待って!?」と慌てて追いかけていく。

 

レインを追いかけていく事10分程家が見えなくなり森しか見渡せない風景が続き。

 

ーーー民家に着いた。

 

カリム「・・・・なんでこんな外れに・・・」

シェルファ「辺境の村だから、余所者を受け入れない雰囲気があったの、二人の孫娘と老婆は仕方なく外れの方に家を建てるしかなかった」

カリム「そんな・・・」

 

思わずくちもとを押さえるカリムに呆れたシェルファ

 

シェルファ「・・・これは何処でも同じよ」

カリム「え?」

 

 

フィーネ『レイン!来てくれたの!?』

レイン『フィーネ

 

ーーー14歳の誕生日おめでとう』

 

民家の扉が開き可愛らしい黒髪の長い女の子が出てきた。

 

カリム「・・・あれがフィーネ・・・」

シェルファ「彼の恋人よ」

カリム「!?」

 

レインはとてもフィーネとお婆さんに好かれていて、雨が降りそうだからと泊めてくれていた。

 

二人きりで楽しげに話す様子はとても微笑ましく、初々しく、「この二人はいずれ結ばれるだろう」と容易に想像できた。

 

フィーネ『明日は雪になるかしら・・・』

レイン『せっかくの誕生日なのに・・・』

 

窓から見上げ、残念そうに呟くレイン

 

レイン『残念な天気だーーー』

フィーネ『あらそう?

 

私は雨の日も好きよ?』

 

シェルファ「・・・・・・・・」

カリム「・・・あれは・・・・」

 

ふと視線を外したさき、木の幹の上に立ち並ぶ3人組の穏やかじゃない雰囲気を纏った男たちがレイン達がいる民家をニヤニヤと見ていた。

 

ーーー賊に殺されてる

 

先程のシェルファの言葉を想いだし。ゾッとした

 

それでも時は進み、レインとフィーネが仲良く寝静まった頃

 

ガシャン!

 

ーーお・・・・ご・・・・・

ーーしけ・・・なぁ・・・

 

レイン『なんだ?』

フィーネ『話し声・・・?』

 

怪しむレインと目を擦りながら呟くフィーネ、気になった二人は居間に近づいていく。

 

カリム「っだめ!?」

シェルファ「無駄よ、これは過去を稔写したもの、私達はただ見ていることしかできないわ」

 

シェルファの言葉の通り二人はカリムの言葉に反応せずに進んでしまう。

 

ーーーそして

 

『ったくついてねぇなぁ!』

レイン『あ・・・・』

フィーネ『え・・・・』

 

居間に入る扉を少しあけ中を覗くと

 

椅子にどかっと座り酒を飲みながら足下に倒れている「老婆」を見下しながら喚いている男、その両となりに手下らしき男がいた

 

『逃げ隠れた森で運良く民家を見つけたと思ったら・・・

 

ーー金目のものなんざ一つもねぇ!』

 

カリム「・・・ひ・・・・どい・・・」

 

部屋の中は荒れに荒らされていて

 

『おいババァ!酒くらいねーのかよ!おい!』

 

足下に倒れた老婆ね頭を遠慮なしに蹴り飛ばし怒鳴り付ける「盗賊」

 

『あ?もう死んだか?』

 

返事がない老婆に笑いをこぼす盗賊達

 

フィーネ『あ・・・・あぁ・・・』

 

レインが止める前に

 

フィーネ『おばあちゃん!!』

 

飛び出していくフィーネしかし盗賊の一人に捕まってしまった。

 

『次は俺にやらせろよ』

レイン『フィーネ!』

フィーネ『ひっ・・・』

 

首もとに添えられた凶器に悲鳴をこぼしてしまう。

 

レイン『ちくしょう!フィーネを離せ!』

『こっちはえらく威勢がいいな』

 

楽しそうにそう言う盗賊に行く手を阻まれ抵抗するレイン、カリムは目をつむりたくなり、自分が知りたいと願ったのだから「最後」までみると決め目を逸らさずに見続けた。

 

シェルファ「・・・・・・・」

 

レイン「離せ!離せよ「トンッ」!」

 

そう叫ぶレインに凶刃が刺さった。次いで悲鳴

内臓を傷つけられたのか口元には血が流れていた。フィーネがレインの名を叫ぶ

 

フィーネ『レイン!』

レイン『ーーあ、う・・あぁ・・・ゴホっ・・・』

 

一瞬の隙をつきフィーネは拘束を外しレインの元へ走る。

 

フィーネ『レイン!』

レイン『・・・・フィ・・・・』

 

這いつくばった体勢でなんとか顔をあげるレイン、しかし

現実はどこまでも残酷で、弱者は強者に膝をつくしかないこの世界はどこまでもーーー

 

レイン『・・・・ネ・・・・』

 

再び捕らわれ組伏せられ次々に突き立てられ入っていくナイフ

 

ーーー二人に非常だった。

 

フィーネ『レイン・・・て・・・「ザシュッ」げて・・・・』

レイン『フィーネ、今・・たすけーーー』

 

痛むからだを無理矢理動かしフィーネに近づくレイン・・・しかしフィーネが求めたのは

 

フィーネ『・・・・てーーー逃げて!!』

 

最愛の人(レイン)の無事だった。

 

シェルファ「・・・・その頃になって、ようやく村に盗賊団の手配書が回って、すぐさま村の自警団が駆けつけたの」

 

場面は変わりレインの自宅でレインは看病されていた。

 

カリム「・・・運が・・・悪かっ『違う』・・・・え?」

 

溢れる涙を押さえようとせずカリムが言った言葉にまるで遮るかのようにレインが言った。

 

レイン『俺が弱かったんだ』

カリム「ーーーーっ」

 

そしてレインの目には壁に立て掛けられた一振りの剣が映っていた。

 

レイン『・・・親父

 

 

ーーー俺に剣を教えてくれないか』

 

ーー雨がどこまでも強く振っていた。

 

ーーーーーーーーー

 

カリム「・・・・・・・・・」

シェルファ「・・・・分かったかしら」

 

気付けばシェルファはシャッハの姿に戻っていて、カリムは蹲りただ泣いていた。

 

カリム「・・・・・もう・・・・レインは止まれないのですね」

シェルファ「・・・・・えぇ」

 

 

カリム「・・・ですが、例え叶わなくてもレインの事を私は想い続けます。」

 

シェルファは驚きの表情を浮かべ、呆れたように笑った

 

シェルファ「好きになさい、頑固者」

カリム「はいっ!」

 

ーーーこうして様々な動きを見せていくなか

 

インターミドル前哨戦「一般競技者選考会」まで後1日となった。




今回はクロスオーバーらしいこと出来たかな?

もし、回想シーンが気になる方がいらっしゃいましたら漫画「レイン2」を見て下さい!

誤字、指摘などございましたらよろしくお願いします!


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53話

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では続きです!


カズマ「なんで・・・だよ」

クライ「・・・・・・」

「しゃあないだろ・・・こうなっちまったもんは」

 

場所はクライさん宅夜の7時リビングにて俺、クライさん、バイトの先輩、ノーヴェさんがテーブルを囲んで何かをしていた。

 

ノーヴェ「なっちまったもんはどうにも変えられん・・・酷だが諦めろカズマ」

カズマ「いやだ!諦められるかよ・・・見捨てられるかよ・・・ここまできて・・・」

クライ「カズマ仕方ないさ・・・これも運命ってやつなのさ」

 

ただひたすら嘆く俺に諭すように肩に手を置くクライさん

しかし俺の顔は一向に晴れることはなかった。

 

カズマ「・・・・どうして、どうしてだ

 

 

 

 

ーーーなんで道端で転んで取引用の資金をパーにしたんだよ!結婚までして後はゴールするだけなんだぞ!?会社と社会と家族からの信用も地の底、人生も地の底、俺のモチベーションも地の底だああああ!」

「カズマ、速く進めて、次は俺のターンだから・・・・あとお前人生ゲーム合わないよwww」

 

カズマ=ツユクサ、どうやら人生ゲームは向いてないそうです。グスン

 

ーーーー

 

アリス「さぁ皆さん、明日はカズマ君、明後日はチームナカジマの皆の出陣だから軽いけどお祝いよ」

カズマ「おぉ・・・・七面鳥なんて生で初めて見た」

「おっしゃ!食うぞぉ」

 

明日は俺の選考会という事でアリスさんが食事にご招待してくれた。丁度ノーヴェさんとバイトの先輩が喫茶店にいたのでついでではあるが誘ったのだ。

 

ノーヴェ「すいませんアリスさん・・・関係無いのにあたしまで・・・」

アリス「そんなこと無いわよぉ、ノーヴェちゃん達やノーヴェちゃんの家族も今となっては常連さんなんだもの!」

クライ「そうだぜ?ノーヴェの嬢ちゃん遠慮なんて逆に失礼ってもんだぜ?」

 

皆にいわれ戸惑うも最後は微笑んで礼を言ったノーヴェさん

 

クライ「カズマはもう準備大丈夫なのか?」

カズマ「?ふぁあ、ぶぁんふんふぁ(あぁ、万全だ)」

クライ「食べ物を飲み込んでから喋れよ・・・」

カズマ「っち、こまけぇな」

クライ「お前は息子か」

カズマ「違う逆だ」

クライ「親父ってか、ははは!

 

 

絶対やだ」

 

おうふ(´・ω・`)

クライさんにマジ顔で否定された俺はノーヴェさんに逃げた。

 

カズマ「ノーヴェさん」

ノーヴェ「こっちみんな」

カズマ「しどい!?」

 

ーーー

 

カズマ「じゃ、ご馳走さまでした、お休みなさい」

ノーヴェ「お邪魔しました。」

 

食べ終わり、片付けをしたあと俺とノーヴェさんは帰路についた、先輩はどうやらクライさんと呑むらしい。

 

クライ「カズマ、明日頑張れよ!見に行くからな?」

カズマ「あいよ」

アリス「二人とも、気を付けて帰ってね!」

ノーヴェ「はい、お休みなさい」

 

そう言ってクライさん宅を後にした。

 

ノーヴェ「期待されまくりだな」

カズマ「・・・・ま、恥はかかないよう頑張るさ」

ノーヴェ「素直じゃないな・・・カズマ

 

 

ちょっと付き合ってくれないか」

 

そう言ってノーヴェさんは公園がある方に指差した

 

カズマ「・・・・・あいよ」

ノーヴェ「悪いな、少し話したくてな」

 

ーーーー

 

ノーヴェ「・・・・カズマあいつらどこまで行けると思う?」

カズマ「・・・実際どこまで強くなったかなんて俺は把握してないからな・・・どうかしたのか?」

 

市民公園に入りベンチに座る。

ノーヴェさんは少し沈黙を溜めたあとそう切り出した。

 

ノーヴェ「あたしの目から見ても、あいつらは強くなった・・・コーチとしての贔屓を無しにしてもだトップファイター相手でも勝てちまうかもしれない・・・・でも

 

ーーーお前がいるし聖王教会であったレインもいる」

カズマ「・・・・・・・」

ノーヴェ「こんなこと言うのはおかしいと思う・・・・でもあいつらがお前らに勝てる未来が全く見えないんだ、もしお前らと当たって・・・負けて、落ち込んだら・・・どうすればいい?」

 

今までのあいつらの頑張りを見てるから、知ってるから、否定したくないからノーヴェさんは苦しんでるんだろ、明日選考会にでる俺に言う、その意味をこの人が知らないわけがない

 

ーーーーでもさ

 

カズマ「・・・あほかあんたは」

ノーヴェ「っ!あたしはーー」

カズマ「俺は、空港であいつらにかけた言葉、ノーヴェさんにもかけたつもりだぞ?」

ノーヴェ「・・・・・「信じろ」・・・」

 

何だよ、覚えてるじゃあないか

 

カズマ「そうだよ・・・コーチを信じて、そして強くなったんだろ?そのためのあいつらの努力はあんたが知ってるはずだ・・・」

ノーヴェ「・・・・・」

カズマ「しっかりしろよ大将、引っ張る奴らがちゃんとしてないと、あいつらは誰を見てついていけばいいんだよ」

 

ノーヴェさんは下を向いたまま考えているのか黙ってしまっていた。

 

カズマ「・・・・・悪いあんたの気持ちを考えずに言っちまった」

ノーヴェ「あぁ!いや、そう言うわけじゃないんだ・・・・お前の考えを聞かせてくれ・・・恥ずかしい話し今回みたいなのは初めてだからな、頼ってしまうようだが・・・」

 

・・・・この人も悩んだんだろう、相当・・同時にそこまで大切に思っている事が分かる。だから分からないあいつらの為を想って、突き放すべきなのか、寄り添うべきなのか・・・

 

カズマ「・・・・あくまで俺の持論だが

 

 

ーーー何もしなくていい、だけど見守ってやったらどうだ」

ノーヴェ「・・・・見守る・・・・か」

カズマ「あぁ・・・落ち込むだけなら言葉は必要かも知れない・・・でもあの子らは前を見据えていける子達だ、例え負けてもそれは「次の為の敗北」だよ」

ノーヴェ「・・・・・そっか・・・・・それこそ信じなきゃ、だな」

 

・・・でも、さ

 

一ヶ月以上前のヴィヴィオとシャンテの打ち合い、アインハルトとミカヤの練習を思い出す。

 

カズマ「・・・・インターミドルが楽しみだ」

 

一人「よし!」と連呼しているノーヴェさんと夜空を見上げ不敵に微笑んでいる俺・・・・良かった通報されなくて・・・

 

ーーーーーー

一般人競技者選考会当日AM6:30

 

 

ーーーーーそして!ついに!←布団ダイバー

 

カズマ「選考会だこの野郎!」←上半身だけ起こしコロンビア

ルーテシア「どうしたの?お兄ちゃん?」

カズマ「ある意味待ちに待った選考会だからな、意味もなく張り切ってる」

ルーテシア「もう・・・・・頑張ってねお兄ちゃん♪」

カズマ「当たり前だろ?ルー・・・・・るぅうううううう!?」

 

俺の横で紫のパジャマ姿のルールーが横たわっていた。

 

カズマ「なんで!?どうやって入ったんだ!?いやそもそも気付かなかったのか!?」

ルーテシア「あ、心配しないで?私がアリスさんに頼んで強烈な睡眠薬を時間差で効くような奴をお願いしたの、鍵はクライさんに合鍵貰っちゃった♪」

 

あーそっかぁ♪・・・・じゃねえぇぇえええだろうがああああ!何してくれてんだあの腐れ夫婦!道理で珍しいと思ったよ・・・・

 

ルーテシア「・・・ごめんなさい、ビックリさせちゃって・・・」

カズマ「・・・・次からはちゃんと言ってくれ、ちゃんとおもてなししたいから」

ルーテシア「っ!うん!」

 

ーーーーーー

 

カズマ「ん?シャンテとセインさんとレインと来たのか」

ルーテシア「うん!凄かったよ!私達に居眠りで突っ込んできた車を剣で真っ二つ・・・だけど事情聴取で連れていかれちゃった・・・大丈夫かしら、本人は明日の選考会には間に合うっていってたけど・・・・」

 

・・・なにやってんだあの馬鹿・・・

 

カズマ「ま、大丈夫だろーーーそろそろ行くか、ルールーは?」

ルールー「ちょっと眠いかも・・・」

カズマ「そっか・・・ゆっくり休んでなルールー」

 

そう言うとルールーは「うん!」と言って寝室の方に走っていった。

 

「冷蔵庫の中にあるやつなら食ってもいいから」と書き置きを残し家を出る。ーーーっと

 

カズマ「悪い悪い、忘れるところだった

 

ーー「刃鐘」」

 

愛用している木刀を袋に入れ肩に担いだ。

 

ーーーー出発だ!




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インターミドル選考会「選手宣誓」

やっと始まりました!

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ーー第27回 インターミドルチャンピオンシップ

ミッドチルダ地区選考会兼一般人競技者選考会会場

 

現在時刻は午前の9時、開始はあと1時間後・・・ちらほらとだが出場選手と思わしき男性もちらほらいる。

 

皆やる気に満ちていた、話しによればこの選考会も常連ばかりと聞いた。

 

ーーーまだ諦めていないのだろう。魔力持ちには勝てないかもだが「もしかしたら」その可能性に期待して努力をしているんだろう。

 

カズマ「・・・・なんだ、まだ諦めてないじゃ・・・・」

 

「ーーおし!今回のバイト代は結構貰えるぞ!」

「って言ったって初っぱなっからあの「壊し屋」何だろ?不可能じゃね?」

 

カズマ「・・・・・・は?」

 

思考が停止したかのように固まるカズマ

 

「ばっかお前あくまでもこれは建て前上エキシビション(前哨戦)マッチだぞ?見せなきゃ意味無いだろうに」

「それもそっか!」

 

・・・・そっか・・・

 

「てか他の奴らも馬鹿だよ・・・どうせクリアできる訳なんて無いのによ・・・美味しい話と思うがな・・・」

「それな、第一委員会本部に弱味掴まれてる時点でどうせ選手としての社会的生命なんて死んでるようなもんだろうし」

「どーせ無意味なんだよ、どーせな 」

 

ーーーこいつらは諦めてしまったのか。

 

「お?あんた新顔だな?」

カズマ「あぁ、ということはあんたもか?」

「あぁ、ま、この場だけの付き合いだろうけどよろしくな」

カズマ「・・・・・・・あぁ」

 

俺に話しかけてきた男性は「頑張ろうぜ」と言って肩をポンポンとたたき会場に入っていった。

 

やはり彼の目も疲れたような、嘆いているような目をしていた。

 

ーーーそれほどまでに魔導士と一般人の間には差があるのかーー

 

カズマ「ーーー上等」

 

気づけば口元に笑みを作り、俺も会場に入っていった。

 

会場内は観客も満員・・・・までは及ばないが、それでも半分以上は埋まっていた。

 

映像で見たときは、円形のリングが3つか4つ程あったが今は中央に大きめのリングが置かれている

 

カズマ「・・・確か「予選と本選」に使われていた・・・ん?きたか」

レイン「・・・・・あぁ」

 

気配を感じ振り返るとどこかげっそりしている様子のレインが立っていた。

 

カズマ「敢えて言おう、お前は馬鹿か」

レイン「む・・・仕方がないだろう、突っ込んできた向こうに非があると思うが・・・」

カズマ「郷に従ってくれよ・・・」

 

全く悪びれた様子のないレインに思わず頭を押さえる。

 

レイン「カズマ」

カズマ「帰るんだろ?・・・・そうさな今から2週間後ぐらいにか?」

レイン「・・・・あぁ、よく分からないんだが帰った方が良い気がしてな」

 

・・・向こうで何かあったんだろうな・・・

 

レイン「・・・・多分この大会お前とは戦えない・・・だから」

カズマ「・・・・帰る日の正午に聖王教会の入り口に集合・・・それでいいな?」

レイン「っ礼を言う」

カズマ「ま、そんなことよりこの選考会を楽しもうぜ」

 

話していると

 

『只今より、第27回インターミドルチャンピオンシップ、一般人競技者選考会を始めます。選手の皆さんはリングの中央に集まってください。』

 

しん・・・と会場が静まり、俺達がリングの中央に集まるとアナウンスが続く。

 

『では、一般代表として選手宣誓する方、よろしくお願いします』

 

「は・・・・?」

「な、なんでいきなり?」

「今まで運営委員会がーーー」

 

カズマ「はぁい!俺っす!ゼッケンNo.「9999D」っす!よろしくお願いしまぁす!」

 

もう仕掛けてくんのかよ!インターミドル自体にも響くんじゃないか?

 

「お、おいあんた・・・?」

 

先程話しかけてきた男性が声をかけてきた。

 

レイン「・・・・狼狽えるな、これは選考会であり要するにアピールする場面でもあるんだろ?一人の動揺が他の選手や観客にも伝わる、選手なら分かるだろ」

カズマ「そういうこった」

 

中央に設置されたマイクを手に取り選手を辺りを見渡す。

 

観客席を見渡すと・・・いた、クライさんにアリスさん、隣にミカヤとノーヴェさん率いるチームナカジマ・・・と知らない女の子と犬耳?が生えた男性がいた・・・・知り合い?

 

少し離れた所にジーク「フード着装済」、ヴィクターがいた

様々な視線が自分に突き刺さるなか

 

口を開いた。

 

カズマ「ゼッケンNo.「9999D(ダメージ)」のカズマ=ツユクサです、別にこの「D(ダメージ)」は趣味とかではありませんので、ただ単に人生ゲームで負った借金額とかじゃありませんので」

 

・・・・静まる会場に小さいが、誰かが吹き出す声がした。

 

カズマ「てなわけで言わせて頂きます!一般人なめんなあぁぁぁぁ!」

 

選手宣誓としては余りにも不釣り合いな発言、あげく不快に思われる可能性のある発言

 

カズマ「一般人だって勝てる、それを証明してやりまっさ!」

 

でも俺が言いたいだけだから、自分勝手に言うだけだ、言えない奴らに拒否される謂れはない。

 

小さい拍手が聞こえてきた 。

 

クライ「良く言ったぁ!」

ヴィクター「私達も楽しみにしてますわ!」

ヴィヴィオ「あはは、お兄ちゃん度胸あるね・・・」

リオ「私じゃさすがに無理かも・・・・」

コロナ「っていうかさっきヴィクトーリア選手が叫んでなかった!?」

ノーヴェ「クライさん勘弁!目立ち過ぎですって!」

アインハルト「兄さあああん!愛してます!私と一緒に覇王道を歩みましょお!」

ミカヤ「流石私の愛(刀)を受けきった男だ!後で(模擬戦)励もう!」

?「!?」

?「・・・・お前の所はなかなか濃い面子だな・・・」

ノーヴェ「ミカヤちゃん!?アインハルトぉ!?頼むから自重してぇ!」

 

 

・・・・・・・・他にも。

 

「がんばれぇ!カズマの兄ちゃん!」

「応援してるからねぇ!」

 

近所の子供連中やその親御さんたち

 

ジーク「カズマァ!頑張れぇ!」

 

顔を真っ赤にしたジーク、皆の声援に俺は拳を上げることで応える。

 

周りの観客も戸惑いながらも釣られてかやんわりと拍手を始めた。

 

『っカズマ選手、選手宣誓に相応しくない言葉遣いは・・・・え?・・・・は?・・・

 

ーーー個性的な宣誓をありがとう御座います、では10分後に始めて行きますのでよろしくお願いします・・・・』

 

カズマ「・・・・・・」

レイン「お前らしいな」

カズマ「・・・フォローサンキュ」

レイン「あぁ」

 

レインと一緒に得物を取りにロッカールームに向かう。

 

レイン「そう言えば、お前「刀」はどうした?」

カズマ「溶かした」

レイン「・・・・」

カズマ「この世界に物騒な光り物は必要ないよ」

 

レインは暫く無言だったが穏やかな表情で「そうだな」と言った。

 

ーーーー

 

ここはベルカ領地のどこか、鬱蒼と茂る森の中に彼女の家があった

 

全体的に妖しい雰囲気があり、中からは「ゲゲっ」などと言った人の言葉とは思えない声が聞こえてくるしまつ。

 

中も何かの薬剤を入れた試験管等があり、水晶の放つ光によって余計怪しく見える。

 

彼女は水晶を見つめていた。

 

?「・・・・か・・・・ずま?」

 

ガタッ!パリィン!

 

『ゲゲ?』

?「・・・・大丈夫」

 

少女の声は悲壮感にまみれていて大丈夫とは冗談でも言えなかった。

 

?「・・・・カズマ・・・

 

 

ーーごめんなさい」

 

カズマの夢に出てくる少女の声と瓜二つな少女は

クロ・・・本名「クロゼルグ」の子孫。

 

ーーーファビア・クロゼルグだった




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インターミドル選考会「なめんな!」

では続きです!


インターミドルチャンピオンシップ会場 関係者以外立ち入り禁止区域 「インターミドルチャンピオンシップ運営委員会本部室」

 

広い部屋のなか、広いデスクに座っている女性が先程の宣誓をみて静かに声を荒げていた。

 

「・・・・はっ!忌々しい・・・男に・・・一般人になにができるのよ・・・リリーナ選手、宜しく頼みましたよ?」

 

そう言って正面にたつ女性に声をかける。

 

紫色に桃色を混ぜたような髪をウェーブにし腰まで伸ばした女性ーーリリーナ・キャンベルがつまらなそうに笑った。

 

リリーナ「・・・正直気乗りしないんですけどぉ?只の雑魚を「ぶっ壊して」も楽しくないしぃ・・・でもま、やりますよお給料も貰っていますし?・・・威勢が良いのが居るだけでもまだましですからね」

「えぇ、「壊し屋」の蹂躙劇を楽しみにしています、働き次第ではプライムマッチでハリー選手とエリス選手どちらかの試合に貴女をねじ込んで上げます」

リリーナ「ほんとですかぁ!約束ですよぉ!?」

 

そう言って鼻歌を歌いながら去っていくリリーナ・・・を見送った部長は静かに笑った。

 

ーーーコンコン

 

「運営委員長、先程の青年についての書類です」

「どうぞ」

「失礼します」

 

リリーナと入れ違いに書記担当の女性が入ってきた。

 

「・・・・どうしたのですか?」

「・・・・とりあえず、これを」

 

心なし・・・思いっきり表情がひきつっている書記の女性を怪しむ部長。とりあえず書類に目を通す。

 

「な・・・・何よこれ・・・・」

 

読んで数十秒、思わずと言った形で立ち上がった。その表情は驚愕一色

 

「・・・・凄いの来ちゃいましたね・・・」

「・・・何なのよ彼は!本当に一般人!?」

 

デスクに散乱した書類に書かれているカズマのデータ、そこには

 

カズマ=ツユクサ

 

年齢 18歳

所属 中央区第三地区、湾岸住宅街喫茶店「ビーナス」バイト勤務

スタイル 我流

スキル 徒手空拳及び剣術(色々)

インターミドル初参加

 

過去の戦績

2年前のクラナガン中央公共競技場にて行われた「年齢層無差別格闘技大会~魔力あるない?関係ねぇ!最強を謳う者は集え」に飛び入り参加し優勝、以後行方をくらませていた

 

試合内容(1R4分形式)

 

第一試合 1R 0:07 K.O勝ち

 

第二試合 1R 0:11 K.O勝ち

 

第三試合 1R 0:09 K.O勝ち

 

第四試合 相手選手が棄権により不戦勝

 

準決勝試合 1R 0:13 K.O勝ち

 

決勝戦試合 1R 0:18K.O勝ち

 

いずれも一発決着によるもの。

 

そう書かれていた。

 

ーーーーーー

『さて皆さまぁ、お待たせしました!第一試験を始めます!勇気ある男達に立ち塞がるのは

 

前回インターミドルチャンピオンシップ、都市本選2位入賞、実家がバリッバリの軍人家族!リリーナ・キャンベル選手だぁ!』

 

レフェリーの男性がそう叫ぶと、向こうの入り口からいかにも頭がハッピーそうな女性がリングに入ってきた。

 

ーーー刹那

 

ワアアアアアアアアアアアア!!!!

 

会場が鳴いた。

 

カズマ「すんげぇ歓声だなおい・・・・しかし」

レイン「確かに魔力量は多いが・・・」

2人『強者じゃない』

 

他の選手が歓声に尻込みしてるのを横目に率直な意見を言った。

 

レイン「・・・・どうせならこの国一番の使い手とか期待していたのだがな・・・」

カズマ「それはお前だけだ戦闘狂」

『・・・・・・・』

「ちょ、ちょっと!お前ら怖くねぇのか!?ってかなんで防御支援を施して貰わなかった!?いくらDSAAのルールに乗っ取っていて、クラッシュエミュレートが発生しないとはいえ、紙装甲だろそれじゃ!?」

 

その絶叫にも近い叱責に俺達は顔を見合せ・・・

 

カズマ「食らう前に終わらせればいいんだろ?」

レイン「・・・当たらなければ良いだけだ」

 

俺達の持論にその選手は時が止まったかのように凍りついた。

 

リリーナ「貴女たちぃ?何無視しているのかしら?壊すわよ?」

カズマ「・・・クライさん?何言ってるんだ

 

とり会えず手振っとこ、流石に口元が見えん」

レイン「・・・あの恐ろしい形相の男か?「よそ見するな」と言ってるぞ?」

 

ーーーー

 

クライ「カァズゥマクゥゥウウン!?何で手ぇ振ったの!?」

アリス「あらあら♪」

ヴィヴィオ「リリーナ選手・・・顔が般若みたいに」

ノーヴェ「なんつー余裕・・・・」

 

ーーーー

 

リリーナ「ふ、ふ・・・ふふふふ!馬鹿にしやがってぇ!遊ぼうとか思ってたけどもういい!お前ら破壊けってぇーい!

 

ーーーメツェライ!」

 

武器である杖型デバイスを構え臨戦体勢をとる相手

 

その様子に周りも盛り上がっていく。

 

「ひっ・・・なんだよそれエキジビションじゃないのかよ!」

『さぁ!会場のボルテージも上がりに上がりまくったところで始めましょぉ!規定ライフはお互いに12000ライフポイント、迫り来る破壊の嵐に選手宣誓の伏せん回収なるか!?カズマ選手!さぁ!いよいよもって

 

 

ーーーーーカンッ!

 

試合開始のゴングがなりましたぁ!』

 

リリーナ「スターダスト!」

 

足元に円形のミッドチルダ式の魔方陣を展開するリリーナ

すると上空30メートル程に無数の魔力弾が出現した。

 

リリーナ「ーーー広域殲滅型魔法なんてもったいないぜぇ!じゃあな能無しども・・・

 

ーーーーシューティング!」

 

リリーナの声と共に上空に浮かんだ魔力弾が全て落ちてきた。

 

カズマ「レイン、突っ込め」

レイン「ーーーー」

カズマ「さぁって、公の場での初出陣だ!張り切っていこうぜ?刃鐘

 

ーーーー居合術」

 

悲鳴をあげ、後ずさるやつ、固唾をのみ魔法が落ちてくるのをただみてるやつ・・・・どっかの抱え込んでる馬鹿に、全員に見せてやる・・・

 

横でレインの気配が遠退いたのを確認した俺はエクシードを木刀に流し込み、振るった

 

カズマ「居合術(一般人)

 

ーーー絶ち斬り(なめんなあああああ!)」

 

瞬速で振るった木刀から「放たれた気刃4」発は

 

ーーー総勢60個の魔力弾を一気に掻き消した。

 

『・・・・・・・・・・へ?』

 

リリーナ「きゃああああああああ!?」

 

悲鳴が上がりそちらを向くと神速の刃(鞘入り)が目に見えない速さを連続で叩き混んでるレインがいた。

 

リリーナ・キャンベル

 

LIFE 12000→10500

 

10500→8000

8000→6100

 

6100→4000

 

4000→1700

 

レイン「はぁっ!」

 

トドメに烈圧の呼気て共にエクシード全開で叩き込んだ。

 

ーーーズガアアアアアアアン!

 

リリーナの体は吹き飛び、場外の壁に叩きこまれた。

 

リリーナ「っかは!」

 

リリーナ・キャンベル

 

ダメージ13500

 

LIFE0

 

カズマ「お疲れ」

レイン「・・・・ああ」

 

恐ろしい程に静まった会場の中俺達はハイタッチした。




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インターミドル選考会「試合が終わって」

キャラが裁ききれない・・・

では続きです。


ヴィヴィオ「きれい・・・」

 

カズマが放った「居合術 絶ち斬り(たちきり)」により放たれた衝撃波がリリーナの魔力弾を全て掻き消した、それにより魔力の残滉と思わしき。紫色に光る粒子が辺り一面に降り注ぐ。

 

ノーヴェ「ほんとだな・・・リオ?コロナ?アインハルト・・・・あと「ミウラ」も、大丈夫か?そっちに逝くな?帰って来れなくなるぞ?」

コロナ「ノーヴェさん!?」

リオ「お兄ちゃんかっこいい・・・あ、光の先におじいちゃんが見える・・・」

 

リオが眩しい物をみるかのように魔力の残滉へとてを伸ばしていた。

 

コロナ「リオのおじいちゃんってまだ生きてるよね!?」

アインハルト「コロナさん今すぐ兄さんとポジションチェンジを、早くしないと兄と妹のらぶしちゅなのに!コーローナーさぁん!」

コロナ「ミミミミウウラさささんん!たたたすすけててててて!」

 

両肩を掴まれ必死な表情で懇願しながら肩を揺すりまくるアインハルトにまるで扇風機に話しかけた時みたいな震え声でヴィヴィオの隣にいる、同じルーキー「ミウラ・リナルディ」は顔を上気させポカーンとその光景を見ていた。

 

コロナ「ちちょ!?ミ「コーローナーさーんー!」ノーヴェコーチー!助けてぇ!?」

ノーヴェ「・・・・・・・・」

コロナ「「え?何か言った?」みたいな顔はやめてぇ!?」

 

クライ「綺麗だなアリス・・・」

アリス「えぇ・・・・ほんとにキレイ」

クライ「プロポーズしたときの事を思い出すな・・・アリス、改めて俺と結ばれてくれてありがとう・・・・あと・・なんだ?臭い台詞かもしれないが

 

ーーーーお前の方が綺麗だよ」

アリス「っ!・・・・あ・・・な・・・た・・・」

コロナ「気持ちは分かりますけど周囲を見渡してください!唖然としながら胸焼けに苦しんでますよ!?」

ヴィヴィオ「コロナ!」

コロナ「ヴィヴィオ・・・良かったヴィヴィオはまと」

 

ヴィヴィオはあたふたしまくってるコロナに向けて晴れやかな笑顔を浮かべ親指をたてた。

 

ヴィヴィオ「ーーーfight!(頑張れ!)」

コロナ「お前もかよおおおおお!」

ミカヤ「皆、落ち着いてくれコロナちゃんが困っているだろ?」

コロナ「み、みがやざぁぁぁん!」

ミカヤ「ところでコロナちゃん本格的に天瞳流にカズマとの子供を跡取りに欲しいのだが・・・NTRってどう思う?」

コロナ「・・・・・みっかや~ん・・・・」

 

騒いでいるヴィヴィオ達を横目に犬耳?を生やした男性・・・「夜天の書」元守護騎士プログラム守護獣ザフィーラがカズマをじっと見据えていた。

 

ノーヴェ「・・・・・(カズマ、お前まさか・・・)」

 

その様子を見ていたノーヴェは顔をひきつらせながらカズマを見た。

 

ーーーーー

 

ジーク「カズマ・・・・かっこいい・・・・ティア姉にも見せたかった・・・」

ヴィクター「・・・・確かその方は貴女の恋敵よね?」

ジーク「うん、美人で素敵な女性や・・・でも・・・うちはティア姉も好きなんや」

ヴィクター「・・・・泣いても知らないわよ?」

 

ーーしかしと先程のカズマとレインを思い出す。

 

ヴィクター「(カズマのあの一振り、全く見えなかった・・・それにあの黒い服の少年・・・あの子がレイン・・・上等ですわ!)」

ジーク「(カズマ、レインさん・・・うちの「エレミアの真髄」・・・見せたるわ!)」

 

二人のトップファイターはさらに戦意を高ぶらせ。

 

ヴィクター「それにしても・・・・」

 

ーーー

 

ノーヴェ「それにしても・・・」

 

ーーー

 

いまだに静かな会場を見渡して二人の友人は同時に苦笑し同時にーー

 

2人『これどうするんだ(ですの)?』

 

そう言った。

 

ーーーー

 

カズマ「・・・・どうする?これ」

レイン「・・・・・・はぁ

 

ーーーこの世界の常識は知らん!だが魔力は使ってないぞ!すなわちルール違反もしていない、とっとと話を進めんか!」

 

静まる会場の中レインの叱責が飛ぶ。決してそこまで大きくないはずなのに、何故かその声は会場全体に響いた。

 

瞬間ざわめきやらどよめきやらで騒がしくなる観客席、差はあれど、その目は興奮に染まっていた。

 

『やっちまったよ・・・・本当に倒しちゃったよ・・・・っ!一般人競技者選考会一次試験!リリーナ選手の敗北により!

 

ーーー一般人競技者候補!通過ぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

ーーーーワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

会場が爆発した。

 

「うそ・・・・だろ?本当に?まじでか?一般人が・・・魔法競技者に勝った・・・?」

「みたいだな・・・なんか一生分の驚愕を覚えた感じだ・・・でもさ・・・」

「ああ・・・」

 

座り込んだままの競技者がビリビリと歓声に震えるなか堂々とたつ二人の男を見た

 

『俺達・・・なにもしていない・・・』

 

最初から諦めていた自分達と初参加といえ周りの目に全く臆さずに立ち向かった二人

 

『こ、興奮のせいで呂律が回らなくなる前に次の課目の案内です!一般人競技者候補の選手達は30分の休憩を挟み、此方で手配したバスでアスレチックパークへ向かって貰います。健康診断はバスの中で行います』

 

覚めやらぬ興奮に包まれた会場の中、一時の休息となった。

 

ーーー会場内、廊下

 

カズマ「ん?」

 

レインと二人で歩いていると反対側の観客席に繋がる階段からコロナがあり得ない速さで走ってきた。

 

カズマ「ど、どうしーーー」

 

コロナは俯いたまま、俺の腹に向け突っ込んできた。さすがに予想外でもろに喰らった俺

 

カズマ「ほぐぅ!?」

コロナ「何してくれてるんですか貴方はやるならやるで一言何故言わないんですか先輩でしょ人生の先輩でしょ自分がやることの結果ぐらい予想できないんですかヴィヴィオは助けてくれないし、ノーヴェさんは助けてくれないし周りはポンコツだし私が一体どれだけな目にあったか・・・わかってるんですかあああああ!?」

 

ミシミシと腕に力を込めたのか骨が悲鳴をあげる

 

カズマ「はいいいいいい!?タンマタンマタンマタンマ!?」

レイン「ほぉ・・・局所に魔力を集め強化しているのか」

ノーヴェ「あー、カズマ悪い手遅れだった」

 

面倒くさそうな顔をしながらノーヴェさんが後から続き、ヴィヴィオ達があちゃーと言った感じでノーヴェさんの後ろからきた。

 

カズマ「いや、謝罪とかいいから助けて?おねがぁい、この子涙目で訴えてるけど、やってる事がエグいからね?〇イ先生並みの抱擁かましてるからね?」

 

ーーー

 

カズマ「ひどい目にあった・・・・」

コロナ「カズマさんごめんなさい・・・八つ当たりなんかして・・・」

 

何とか解放してもらい、痛みの余韻をひきづってるとコロナがしゅんとして謝ってきた。

 

カズマ「ん?・・・あぁ、気にすんな」

コロナ「・・・・・・」

 

代わりに頭を撫でてやると大人しくなったのか、俯いた。

 

リオ「お兄ちゃんもレインさんもかっこ良かったよ!」

アインハルト「一瞬でしたからね・・・」

ノーヴェ「お前ら、この二人と当たる可能性だってあんだからな?気を張れよ?」

 

チームナカジマの皆に言い聞かせるようにノーヴェがそう言った。

 

カズマ「お前らとの試合も楽しみにしてるんだからな?お互いそれまでに負けないようにな」

レイン「・・・ところでカズマ、お前妹がいたのか?」

ヴィヴィオ「はい!実妹ではありませんが兄と慕ってます!」

 

レインはそれを聞きカズマに視線を寄越した。

 

カズマ「・・・んだよ」

レイン「いや、何でもない」

 

睨み合う二人に皆が苦笑するなか、そこにミウラとザフィーラが追い付いた。

 

ミウラ「み、皆さん速いですよ・・・あ、さっきの・・・」

ザフィーラ「いきなりですまない、この子達とは知己の関係で八神ザフィーラと言う・・・ミウラ」

 

ザフィーラが自己紹介をしミウラの背中を軽く叩く。

 

ミウラ「ひ、ひゃい!え、ええっと」

カズマ「はい深呼吸」

ミウラ「は、はいーーすぅ」

カズマ「俺はカズマ=ツユクサ、んでこっちはレインだよろしくな」

ミウラ「ぶふぅ!?」

 

深呼吸しと瞬間に自己紹介をすると驚いたのか吹き出した。

 

ノーヴェ「・・・カズマ、お前いい性格してんな・・・」

ミウラ「はぁー、はぁー・・・すいません、少しは落ち着きました、ありがとうございます」

レイン「・・・カズマはこういうやつだ」

ノーヴェ「・・・・・・・・・」

 

 

ミウラ「改めまして、八神道場に通っているミウラ・リナルディです、こっちは相棒のスターセイバーでストライクアーツをやってます!よろしくお願いします!」

カズマ「よろしくな」

レイン「・・・よろしく」

ミウラ「はい!」

 

自己紹介も終わったところでザフィーラがカズマに話しかけた

 

ザフィーラ「・・・・カズマ、突然ですまないが・・・俺達どこかで会わなかったか?」

カズマ「・・・いいや、悪いがあんたとは初対面だな」

ザフィーラ「・・・・そうか」

 

少し納得行かなそうな顔をしたもののすぐ引き下がった。

 

ミカヤ「しかしあんな事も出来るのだな」

レイン「・・・あんたは?」

ミカヤ「失礼、天瞳流抜刀居合を教える役を務めているミカヤ・シェベルだ、よろしく頼むレイン君」

 

レインは差し出された手を掴むか一瞬迷ったがミカヤの目をみてその手を取った。

 

ーーーー

 

運営委員会本部室

 

「・・・・・・」

 

先程から会場を見渡せる窓から一歩も離れない運営委員長の女性、その表情は焦りに満ちていた。

 

「このままじゃ・・・また、また女が「虐げられる」・・・どうすれば・・・」

 

ーーーカズマ選手はダールグリュン家からかなり支持をされているみたいですね。

 

ーーーそれにあの黒服の少年、レイン選手も聖王教会本部の主戦力という扱いみたいです。

 

「なんで・・・」

 

ーー何で、会場の皆は受け入れているの!?

 

女性の激昂の呻きが室内に響いた。




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インターミドル選考会「ちょっとした真実といざアスレチックへ!」

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では続きです!


一方ジーク達は

 

ヴィクター「さて、私達も一声かけに行きましょうか?」

ジーク「そうやね」

 

次々に移動を開始する観客達同様ヴィクター達も動き出そうとしたが・・・

 

エドガー「お嬢様・・・ご報告が」

 

そんな二人の前に若干複雑そうな顔をしたエドガーが現れた。

 

ジーク「エドガー・・・?」

ヴィクター「・・・場所を移しましょうか」

 

ーーーー

インターミドルチャンピオンシップ会場第2駐車場

 

 

3人はダールグリュン家御用達の車へと足を運んだ。

 

エドガー「お飲み物です」

ジーク「おおきにエドガー」

ヴィクター「ありがとう」

エドガー「私の愛が籠っています」

ジーク「!?」

ヴィクター「消し炭にしますわよ?」

2人『!?』

 

そんなやり取りをしつつ、エドガーは(びくつきながら)語りだした。

 

 

現在の運営委員会本部長は幼少の頃事故で父親を亡くしました。当時一般人女性の働き口が機械化に伴い減少がちでした。

 

そのせいか母の手一つでは生活が辛い時期が長かったみたいです。

 

幼い頃は同年代の男の子によくからかわれていたみたいで、そのせいか友達と呼べる者は皆無、母親がその現状を重くみたのか、再婚を決意し友人の紹介で会った男と交際、後に同棲を始めました。

 

ですがその男酒癖が悪いらしく、気に入らないことがあれば乱暴をし、ひどいときは娘にも手を挙げていたとか

 

ーー女は黙って言うこと聞いていろ

 

乱暴する度に男がそう口癖のように言ってたみたいで

 

実家と友人の謝罪と娘の涙に離婚を決意したのですが、度重なる暴言、暴力、周りの奇異の視線により、体も心もボロボロの母親は精神病を患いました。

 

ーーー今も入院しているみたいです、なんの因果か6年前のセクハラにより逮捕され。鬱を患い入院している男性競技者の病院に

 

彼女の要望により保護施設に入所した彼女は「女性は強くなくちゃダメ」と言うのは信条を自己暗示によって思い込んでいて。

 

凄い強者への執念と共に格闘技を独学で学び始めました、才能があった彼女は大会に好成績を納める程に強くなりました、しかし彼女は大会の成績より見過ごせないことがあったみたいです。

 

それは男女混合、男性選手が女性選手を下す場面をいやという程に毛嫌いしていて、彼女は二十歳を迎えると共に格闘家を引退、インターミドルチャンピオンシップ運営スタッフ兼格闘技を教えるコーチとして身を固めました。

 

6年前、23と言う異例の速さで運営委員会本部長として就任した彼女はその年のインターミドル出場者、しかも当時人気の男性選手の事を徹底的に洗いだし、過去に喫煙、飲酒、暴力行為をしていたことをネタに脅し、セクハラ事件が起きました。

 

 

エドガー「以上がことの顛末です」

ヴィクター「・・・・そう・・・悪いけどそんなの只の独り善がりだわ」

 

複雑そうな表情のヴィクターが吐き捨てるように言った。

 

ジーク「この事カズマは?」

エドガー「話していませんが、おおよその見当はついていると思われます。先程の戦闘中運営委員会本部室を気にしている様子があったので」

ヴィクター「・・・・そう・・・」

 

エドガーの言葉にヴィクターはやはりと呟いた。

 

つまり彼は分かった上で挑発的な宣誓をしたり、リリーナ選手を二人係とはいえ見せつけるような瞬殺劇を披露したということになる。

 

ジーク「どんだけ先読みしとるんや・・・・」

ヴィクター「・・・・そろそろ時間ね、エドガー出発して頂戴」

エドガー「分かりました」

 

唖然としたようなジークにヴィクターは苦笑をこぼしエドガーに指示を飛ばした。

 

ーーー貴方は関わる人を救おうとしてしまうのね

 

一見危うく見えてしまうその歪んだ正義感、質が悪いのはカズマがそれを自覚していることだ、「ジークの件」でそれは嫌というほど分かっている。

 

正義感が強い人の厄介なところそれは

 

ーー自分を大切にしないところ

 

ヴィクター「(それでも何故か安心して見てしまうのが、さらに厄介なのよね・・・)」

 

溜め息を吐き捨てジークを見る、丁度自分と同じ顔をしていた。

 

ーーーーー

 

カズマ「は?辞退する?」

「あぁ、もう既に大会本部には了承を貰ってきた」

 

バスに乗ろうとした時に話しかけられた。

 

話しかけてきた連中は、俺とレイン以外の一般人競技者候補の連中だった

 

「どっちにしろ次の課目で確実に俺達は落ちる、でもさ、あんた達の姿に・・・なんつーか、恥ずかしくなったんだ今更だけどさ」

「負けるって、どうせ無理って決めつけてなんの努力もせずに・・・・本来俺達が立つべき場所・・・今の俺達の原点をさ、歓声を浴びてるあんた達を見てそう思ったんだよ・・・・・そりゃ次の課目にでて、あんたらの腰巾着とかおまけとか思われるのが恥ずかしい・・・って言うのはあるけどよ」

「それでもあんたらをみてそう思ったのは本当だ」

 

俺は口元が緩むのが分かり

 

カズマ「はっ、殊勝なこって」

 

ついついそう憎まれ口を叩いてしまった。

だけど連中は一つも顔色を変えずに晴れやかな顔だった。

 

カズマ「・・・・次は頑張ればいいんじゃね?んじゃな」

 

そう早口にいい、バスに乗り込みすぐさま閉める。

 

レイン「・・・・真っ直ぐな目をしていたな」

カズマ「・・・ああ」

レイン「・・・・

 

 

ーーー俺もああいう目をしていた時期があった・・・のか?」

 

既に乗り込んでいたレインが腕を組みそう言った。

 

カズマ「馬鹿か、お前もあいつらも同じだ、「種類」が違うだけだ変わりなどしないよ

 

ーーー真っ直ぐないい目だ」

レイン「っ・・・・・」

 

黙り混んでしまったレインに不敵に笑って反対側にすわった。そこへ

 

?「はぁい!皆揃いましたね?・・・・あら?」

 

そこへバスの奥に設けた診断所スペースのカーテンを開き白衣を纏った薄い金髪の女性が出てきた。

 

カズマ「(やはりこの気配はあんただったが・・・守護騎士・・・湖の騎士 シャマル・・・いや「八神 シャマル」と言った方が良いのか?)・・・・・ども」

シャマル「・・・・・貴方何処かであったことない?」

 

・・・さっきのザフィーラと同じように返した。

 

ーーーーー

 

アスレチックパークはインターミドルチャンピオンシップ会場から4、5Km程離れている場所にある

 

カズマ「初めて来るが・・・やっぱりでけぇな・・・・」

レイン「あの会場もそうだが・・・この世界の造作技術には目を見張るものがあるな」

 

レインが柄にもなく「ほー」と見上げていた

 

カズマ「・・・入るか」

 

レインはコクンと頷き、俺達は入っていった。

 

アスレチックパークに近づくと審判の制服らしき物を来た男性がいた。

 

「インターミドルチャンピオンシップ、一般人競技者選考会のNo.「9999D」とNo.「038」の方で間違いないですか?」

カズマ「はい」

レイン「あぁ・・・・素朴な疑問だが何故その番号なんだ」

カズマ「知らん」

レイン「・・・・・・そうか」

 

レインと俺は、3つある内の正面玄関を開け、その先にある扉を開けば転位魔法で「迷宮」の何処かに飛ばすらしい

 

ーーーそう、どうやら今回は迷宮アスレチックらしい

 

レイン「・・・かなりの仕掛けをしているな」

カズマ「・・・みたいだ」

 

何処か期待しているかのような雰囲気のレインに苦笑をこぼし、一番右側の正面玄関へと足を運ぶ。

 

レインはそれを見て真ん中の正面玄関へと足を運んだ。

 

カズマ「一番左は危ないな」

レイン「危ないかどうかはわからんが、厄介な気配がする」

カズマ「ま、行きますか」

レイン「・・・お前に限ってはないと思うが、下手を踏むなよ?」

 

ある意味信頼に似た発言に不敵に笑い、足を進めた。

 

カズマ「ーーーじゃあゴール地点でまた会おう」

レイン「ああ」

 

中に入り真っ直ぐ進み、扉を開けて

 

ーーーー辺りが壁で囲まれた部屋に着いた。

 

カズマ「・・・・・ふぅん・・・・?」

 

少し集中して、腰の刃鐘を取り出す・・・と同時に右側の壁を斬り裂いた。

 

居合術「瞬」により斬り裂いた事によって着いた真ん中の裂け目に衝撃波が炸裂

 

ズガアアアアン!

 

崩れた壁の奥に一本道が現れた

 

カズマ「よっと」

 

その場からステップで横に移動する。直後壁を壊したときの土煙に紛れて何かが先程いた場所を通った

 

カズマ「ゴム弾?・・・・っと」

 

次弾が来たので前斜めに踏み込みつつ、瓦礫を蹴り飛ばす

 

ーーーバヂヂ・・・

 

何かが壊れたような機械音が聞こえ・・・「ピピッ」っと音が微かに聞こえた。

 

カズマ「っ!ちぃっ!」

 

即座に一本道に入り、全力で続く道に跳んだ

 

ダァァアアアアアアアン!!!

 

直後爆発した。

 

カズマ「・・・・・おいおい・・・・どんだけ恨みもってんだよ「運営委員長」さんはよ・・・」

 

何とか回避した俺は刃鐘を握りしめた。




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インターミドル選考会「アスレチックパークその1」

遅れました!お気に入り登録感謝です!

では続きです!


ルーテシア「遅くなった!どう!?お兄ちゃんは!」

 

アスレチックパークの脇に建築されている巨大シアタールームが観客席に改築されており、そこに迷宮アスレチックの映像が映し出されている。

 

先程ついたルーテシア、セイン、シャンテが中に入ってきてヴィヴィオ達を見つけた。

 

ヴィヴィオ「今始まったばっかだよ!ここ空いてるから!」

シャンテ「ありがと~陛下ぁ!」

 

混雑の為走ってきたのか疲労困憊状態のシャンテがヴィヴィオの隣に座った。

 

ノーヴェ「遅かったなお嬢、何かあったのか?」

ルーテシア「いやぁ、ちょっとお兄ちゃんの布団で寝過ぎちゃって・・・」

アインハルト「なっ!?」

リオ「いいなぁルールー!」

コロナ「ま、まぁまぁ取り敢えずアスレチックに集中しようよ・・・」

 

さりげない爆弾を投下したルーテシアに羨むリオとヴィヴィオ・・・・と唖然とした表情でルーテシアを見続けるアインハルト、ルーテシアはそのようすをみて

 

鼻で笑った。

 

アインハルト「きいいいいいいい!」

ノーヴェ「!?どした!?」

 

瞳孔を開き咆哮を繰り出すアインハルト、その頬にはこれでもかと悔し涙を流していた。

 

セイン「どれどれ、うちのエースはーーーーは?」

 

セインはモニターを見て固まった。

 

モニターには凄まじい早さで進みつつトラップを丁寧にひとつひとつ破壊しているレインとカズマの姿があった。

 

周りの観客もかなり静かで実況担当のアナウンスもさっきから「素晴らしい」しか言っていない。

 

クライは呆れ笑い。

 

アリスとミウラは目を輝かせ。

 

ミカヤはどうやら結果が分かりきっているといって、計画をたてに道場に帰ったらしい。

 

ザフィーラも気になることがあると言って、ノーヴェに引率を任せて帰った

 

シャンテ「・・・・あの人たち本当に人間?」

 

シャンテの独白が静かな観客席に響いた。

 

ーーーー

 

カズマ「はっ!」

 

連射されるゴム弾を弾いたりかわしながら進み通り抜き様に破壊する。

 

カズマ「っ(上!)」

 

感覚と音を頼りに前に飛び込みつつ、空中で振り返り、振り返りざまに刃鐘を一閃。

 

ーーシュパンッ!

 

タイミングを見計らったのか天井の壁が開き落ちてきた鉄球を横に切断する。

 

カズマ「よっ!」

 

勢いで一回転し前に向く状態に戻し着地と同時に前転。

 

ーーー直後着地場所に光の輪が現れた。

 

カズマ「ッバインド・・・」

 

しかし気にせずに疾走する。

 

カズマ「・・・・「コア」はこの上・・・その前に妙な仕掛けがあるな・・・」

 

ーーーこりゃいい修行になる!

 

即座に考えた事に呆れ笑いしつつ持っていたボールペンで下から生えた鉄の刺に「ざまあ」と書く。

 

カズマ「・・・「ダァ・・・ン・・・」あっちもやってるな・・・」

 

ーーーー

 

レイン「ふっ!」

 

青白く輝く傾国の剣で前の行き止まりに「見せかけた」壁を破壊しその先に現れた通路を駆ける。

 

レイン「っ!このくらいで止まると思うな!」

 

3メートル先に横の壁から鉄柱が飛び出して来たのをしゃがんでスライディングで通りすぎ、そのまま出した足を軸に膝を曲げ空中に跳ねた

 

その瞬間鉄柱が先程いた場所を突き刺した。

 

しかしレインは安心するまもなく、横に一閃し「出てきた」鉄柱を切断、切り離された残骸を蹴り飛ばし反対の壁に体を捻り足をつけ、そのまま走り出す。

 

気配を頼りに鉄柱が出てくる地点を探し、出る前に傾国の剣で破壊していく。

 

そのまま走り、前方10メートル先の左の壁に遠隔攻撃「見えない斬撃」を放ち、トップスピードに入る、すぐさま10を0に縮め、壊した場所に現れた回避スペースに飛び込む。

 

ごおぉぉぉおおおお!

 

ーーー次の瞬間、砲撃魔法が通り過ぎた。

 

レイン「・・・・魔法によるトラップが出始めたな・・・」

 

そう呟き、魔剣に力を送り込む

 

レイン「ーーーーっはぁ!」

 

回避スペースから飛び出し、「槍」に形状を変化させた傾国の剣を砲撃魔法の発動源に向け投げた

 

槍は螺旋回転しつつ、砲撃をスピードを落とさずに突き進み、轟音と共に魔方陣と周りの武装トラップを破壊した。

 

レイン「ーー我が銘に応えよ」

 

そしてレインは傾国の剣を手元に戻し駆け出した。

 

ーーー

場面は戻って。

 

コア保管室前、再現ルーム

 

カズマ「おいおいおい・・・・マジか」

 

コアがある部屋の前にあるだだっ広いへやに入った途端、急に木人形が現れた。

 

ーー忘れはしない構えをとって

 

『対象者の記憶及び戦闘「記録」から再現可能なデータを選出・・・エラー、探知レベルを3からMAXの5まで上昇・・・選出・・・エネミーネーム・・「オリ☆*6Beゲブレ244@v」・・・エラー現在名・・・不明、以降個体名称「666」命名

 

ーーー戦闘行為を始めます』

 

カズマ「っ!?」

 

悪寒に任せ、即座に刃鐘の剣腹を自身の腹の前に持っていき。

 

距離を瞬く間に0にした「彼女」の正拳突きを受け止めた。

 

ガン!

 

そんな打撃音と共に距離を0にしていた「彼女」は追撃の為手をかざした。

 

カズマ「っ!」

 

バックステップを中断し逆に前に転がる。

 

虹色の砲撃魔法が俺の頭上を通り過ぎた。

 

カズマ「はぁ!」

 

彼女の懐に潜り込み突きを放とうとするも、まるで読まれていたかのように膝を曲げ、突き立てていた。

すぐさま中断、後ろに下がろうとして。

 

カズマ「しまっっ・・・!(筋肉の動きを読んで・・・)」

 

同時に踏み込んでいた彼女の上段蹴りが襲ってきた。

バシッと即座に受け流すも。

 

カズマ「んの馬鹿姫ーーーーーあ」

 

受け流した筈なのに痺れが残る腕に思わず愚痴めいて言った言葉に、自分で言った言葉なのに

 

ーーカズマ!あれほど無茶はいけませんって言ったのに!

 

ーー馬鹿姫って何ですか!?馬鹿って!

 

 

 

ーーさようなら!カズマ!

 

カズマ「ーーごふっ!?」

 

隙を作ってしまいそこを突かれ重い一撃を貰うーー何とか飛び後ずさり衝撃を軽減するも、それでも意識が一瞬ブラックアウトしかけた。

 

吹き飛ばされすぐさま起き上がろうとして目下に水が落ちたような後があった

 

カズマ「っきたな・・・」

 

口元を拭こうとして

 

カズマ「・・・・・・・・・」

 

自分が泣いている事に気付いた。再会できた喜びではなくただ単に

 

二度と見ることはない彼女ーーオリヴィエ・ゼーゲブレヒトーーの笑顔を・・・最後の笑顔を思い出したからだ。

 

カズマ「・・・・・・違う、違うよ・・・いい加減自覚しろよ・・・」

 

刃鐘を持つ手に力を込める。

 

カズマ「いくらテメェ自身が覚えてても・・・これだけは変わりようがない事実だろ」

 

目の前まで迫った木人形を

 

カズマ「・・・・あの馬鹿が死んじまったことに変わりはねぇんだろが、馬鹿野郎」

 

木人形を細切れに切り刻んだ。

 

俺は何も言わずに・・・言えずにコアが設置されている部屋に向かった。

 

ーーーシアタールーム

 

ヴィヴィオ「今の・・・・・て?」

アインハルト「・・・・・兄さん」

 

モニター映りか距離感のせいか、カズマの表情はあまり分からなかったが。でも

 

何かを耐えるような顔だったと思う。

 

 

セイン「虹色の魔力光!?何で陛下と同じーールールー?

 

驚愕を顕にするセインの横でルーテシアはかなり真剣な表情をしていた。

 

ルーテシア「・・・・やっぱりそうだったんだ・・・」

シャンテ「ルールー?」

ルーテシア「(・・・アインハルトはしってるみたいね・・・記憶が蘇って来たのか・・・)どちにせよお兄ちゃんがあんな表情をするなんて妹の私が許さないんだから!」

シャンテ「え?つったって本物じゃ「あ?」ひいぃ!?

 

クライ「・・・・・・・」

アリス「カズマく「大丈夫」」

 

心配そうな妻を安心させようと頭を撫で、先程のカズマを思い出した。

 

まるで何かを悔いてるような、そんな顔だった。

 

クライ「・・・・・・・」

 

歓声がわく会場でモニターに映るカズマはどこまでも「造られた笑顔」だった。

 

 

 




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インターミドル選考会「アスレチックその2」

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ルーテシア「・・・・お兄ちゃん」

 

静かに歩くお兄ちゃんの姿をみて心が締め付けられる。周りの皆をみると困惑していた、そうだよね

 

ーーーなんせ再現プログラムによって構築されたデータの魔力光がヴィヴィオと同じ・・・つまり聖王「オリヴィエ・ゼーゲブレヒト」陛下そのものだったんだから

 

ルーテシア「・・・・(お兄ちゃんは「陛下」が・・・いや、「皆」大切だったんだね)」

 

前の合宿の時、アインハルトが来てくれたから、アインハルトの先祖様「クラウス・G・S・イングヴァルト陛下」の回顧録のレプリカをだした、そのあと読み直したり、別のベルカ戦乱時代の書物を引っ張り出したりしてみた。

 

改竄されていたのだ、恐らくだけど

 

その年に誰かによって、こういう事が起きた、という部分も一年間の間ではあるけど、何ヵ所か当事者を「若者」って言う表記とかでぼかしている部分があった。

 

気になっていた所に昨日お兄ちゃんの家に忍び込んだ時

強制的に眠っている(マジメンゴ)筈のお兄ちゃんが魘されていた。

 

ーーーオリ・・・ヴィエ・・・

 

その瞬間まさかと思った。結論を出すのが早すぎるかもしれない、確証もないし・・・でも現代に置いて歴史的偉人であるオリヴィエ陛下と同じ名前をつけるなんて家庭、まずない。

 

そして先程の木人形の聖王家ならではの虹色の魔力光、そこから解をだすのは早かった。

 

ルーテシア「・・・・(お兄ちゃんは今も大事にしてる、だから苦しんでるんだよね)・・・お兄ちゃん、頑張れ」

 

ーーーー

 

コア保管室、今までの迷宮のような石の壁ではなく電力等が走る機械仕掛けの部屋についた。

 

カズマ「ーーーったく、皆に心配かけちまうな・・・今は「こっち」の問題だ」

 

ようやく張り付けた仮面を外せた。近いうちに向き合うから「待ってろ」バカヤロー。

 

誰に宣言してるんだか分からない発言に溜め息を吐きつつ、コアを見た。

 

ひし形の大きなコアは、静かに空中に佇みゆっくり回っている。

 

カズマ「・・・・「要塞」かよ」

 

魔力を持たなくとも感じる事はできる。部屋全体を視ると、あちらこちらに武装型トラップがあちらこちらにあり、コア自体にも薄い膜が張ってあり、さらに魔法準備の気配までかんじる。

 

カズマ「・・・んじゃま先に始めてるぜ?」

 

そういい残し刃鐘を構えた。

 

ーーーー

 

『カズマ選手!再現ルームを突破し最後の砦コア保管室へ入りました!早い!迷宮がまるで意味をなしていません!』

 

シャンテ「レイン遅いぞー!」

セイン「別に競ってないからな?」

 

アナウンスが響きシャンテが不満そうに言う。

 

セインは宥めつつ昨日出発するときカリムに言われた事を思い返していた。

 

ーーーー

 

セイン『帰る方法が見つかった!?』

カリム『えぇ、「関係者」も2週間後程に帰すと言ってました』

セイン『関係者?』

 

カリムは苦笑をこぼし「あちらからコンタクトを取ってきたの」と言った。

 

カリム『・・・・シャンテやディードには言わないであげて?帰りづらくなっちゃうから』

 

そういうカリムは寂しそうな笑みを浮かべていた。

 

セイン『なんでさ?・・・いやまぁ、あいつらレインに惹かれてるのは分かってるけどさ・・・

 

騎士カリムはいいのかよ?』

 

カリムが密かにレインに惹かれているのは周知の事実だった。

 

カリム『・・・・私では「無理」なの・・・

 

 

ーーー彼はもう止まってくれない・・・来るところまで来てるのよ』

 

ーーーー

 

セイン「(あれは一体・・・)」

クライ「しかしレインの坊主も凄いな・・・あのカズマにひけを取ってないぞ・・・」

シャンテ「あったり前だよ!このシャンテさんですら未だに一発も攻撃当ててないからね!」

ヴィヴィオ「笑顔で言うと清々しいね・・・・」

 

そんな会話を聞きつつレインが映るモニターを見ると、丁度

 

ーーー体長が7メートル程ある鉄のドラゴンと対峙していた。

 

ノーヴェ「ど、ドラゴン!?でかっ!」

ミウラ「初めてみました・・・!」

セイン「・・・カズマといいレインといいマジで何者なんだよ・・・」

 

「この」世界では伝説上の生き物とされている生物の最上位種の出現に周囲が騒然とするなか、呆れたような、驚きすぎて変な笑いが出たセインだった。

 

ーーー

 

レイン「ここは・・・」

 

カズマが入った再現ルームとは違う、別口の再現ルームに入ったレイン、カズマの方は「人間限定」とするならば・・・

 

『対照者の記憶、または戦闘記録から再現可能なデータを選出エラー、全次元世界に該当しませんでした、再度出身世界の情報に干渉・・・エラー、エラー、エラー、スキャンを再会・・・エラー・・・スキャン成功

 

次元「外」世界 ミュagtニア

 

魔法文化レベルA

 

文化レベルC

 

自然文化レベルA

 

データを保存しまガガギガギギギ・・・・エラー、保存失敗の為、このまま再現可能なデータをスキャン・・・成功

 

個体名称「リトルドラコン(小型竜)」

 

安全の為周囲の結界を強度を上げます

 

ーーーーサモン(召還)を開始します。」

 

「動物限定」だった

 

レイン「リトルドラゴンか・・・どうせなら「伝説の古龍」とやらと一戦してみたがったが・・・戦ったことはないが」

 

ーーゴアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

鉄のリトルドラゴンが召還陣より現れ、咆哮をあげた、あまりの声量にビリビリと室内が震える。

 

常人ならば目があった瞬間逃げ出すか、腰を抜かすか、悲鳴をあげるか、泣き叫ぶかしたかもしれない・・・しかし

 

レイン「・・・・残念だが・・・俺にはその手の脅しは効かない」

 

やせ我慢でも強がりでもなく、ましてや強敵にたいしての気の高ぶりでもない、無感動な目がリトルドラゴン(鉄)を貫く。

 

レイン「俺を倒せるなら倒して見せろ!」

 

傲慢と取れる台詞を叫び疾走する。

 

「あの日」以降、恐怖を感じないーー感じる神経が焼ききれてしまったレインだが、相手は曲がりなりにも龍種(しかも鉄)その上魔法も使わない今一撃でも食らうのは冗談抜きで命に関わる。

 

横凪ぎにしなる尻尾を跳んでかわす。

 

ーーー大丈夫だ、こいつの攻撃は何一つ俺には届かない。

 

そう「事実を再確認しつつ」傾国の剣を振りかぶり

 

レイン「はぁっ!」

 

尻尾を切断した。

 

次いで悲鳴をあげるリトルドラゴン、その口の中に炎が集まるのを肌でかんじる。

 

ーーブワオォア!

 

凄まじいブレスが地面を焦がしていく。が、レインは既に跳躍、天井に足をつけ同時に膝を深く曲げリトルドラゴンの脳天めがけ傾国の剣の切っ先を突きだし突貫した。

 

戦闘パターンしかデータをダウンロードしていないリトルドラゴンに反応出来る筈もなく、頭から腹下まで突き抜けた。

 

レイン「はぁ!」

 

同時に振り返り様に「十字」に一閃、二閃

 

中の動力源ごと切り裂き、ぱちんと鞘に収める。

 

光の粒子と共に消えていくリトルドラゴンを見ずにカズマがいるコア保管室へと駆けた。

 

ーーー

 

コロナ「凄い!」

ヴィヴィオ「あんな簡単に・・・」

アインハルト「只の突きではなかった・・・ですね、ちゃんと弱点を見定めて仕掛けています・・・きっと小さい頃からずっと剣を握っていたんですね・・・」

 

その会話に話をしていたノーヴェとセインが入った。

 

ノーヴェ「それなんだがな?何でも剣を手に取ってまだ一年と少しらしい」

 

またも固まるアインハルト達に苦笑するノーヴェとセイン

 

ルーテシア「・・・でも見たこと無いわね、その「魔剣」って言う魔道具、聞けば不可視の遠隔攻撃に主のもとに帰ってくる転移機能までもっているなんて・・・ん?シャンテ?どしたの?」

 

反応がないのがあやしかったのか席をたち前に回り込み、そっと元の席に戻った。

 

ルーテシア「(シャンテはレズビアンだと思ってたんだけどな)」

まるで乙女のように頬を染めるシャンテがそこにいた。面白かったので何枚か写真を撮りつつ、さりげなくディスるルーテシアだった。

 

ーーー

 

ジーク「ほぇー、ドラゴンなんて初めて見たわぁ・・・・」

ヴィクター「文献に乗ってるアルザスの飛竜の成龍と同じ大きさね・・・彼の世界の龍・・・なのかしら」

 

同じくポカンとしていたジークとヴィクター

 

ジーク「・・・カズマは大丈夫そうやね・・・辛そうな顔してたのに・・・・」

ヴィクター「・・・それがカズマの長所なのかもね・・・そして

 

ーーいつまでも抱え込んでしまう短所でもあるわ」

 

そう呟いたヴィクターとジークはモニターを見上げた。

 

そこには四方八方から迫るゴム弾と魔力弾、バインドを器用にかわし、コアを守る結界を斬りつけるカズマと合流したレインがいた。




次回で選考会編が終わりです

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一般競技者選考会終幕、その時・・・

遅くなりましたぁあああ!

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カン!カカンッ!

 

カズマ「っ!」

 

頭と胸を狙い撃ち出されたゴム弾を弾く。刃鐘を振りきった所を狙われ魔力弾が迫ってくる。

 

カズマ「数が多いなっ」

 

振りきった刃鐘を上にそのまま放り投げ、魔力弾5発を地面すれすれに伏せ、やり過ごす。

が、かわした筈の魔力弾はまるで巻き戻しするかのように返ってきた。

 

カズマ「ご丁寧に追尾弾かよ!」

 

身構えると同時に横から迫るゴム弾が脇腹に掠めた。

 

カズマ「っ・・・・」

 

腹を「庇いつつ」落ちてきた刃鐘を掴むと同時に背後の魔力弾を凪ぎ払う。

 

直後バインドがカズマの動きを止めようと周囲に現れた。

 

カズマ「はっ!」

 

それを前蹴りで破壊しつつ、木刀をコアに向けて投擲

いくら地力が強いといっても身体強化もしていないカズマの力では軽くコアを守る結界にヒビをいれるぐらいだった。いやまぁ、それだけでも充分おかしいのだが。

 

 

カズマ「チッ!」

 

その結果に眉をしかめつつ半歩下がってゴム弾をかわす。

 

カズマ「(これ本当にアスレチックかよ!?」

 

明らかに競技の範疇を越えている現状に思わず悪態をついてしまう。

 

とにかく木刀を回収しなければ

 

そう思ったカズマは、エクシードを張り巡らし駆け出そうとしたが

 

カズマ「・・・・(駄目だエクシードを使いすぎたか・・・うまく集中できん・・・・そうなると)」

 

部屋中を駆け回り近づこうにも設置されたバインドを避けつつ更にゴム弾、魔力弾、高速砲撃を避けるのは面倒くさい。

 

カズマ「・・・なら拳でいくしかないか?・・・ーーー・・・・必要なかったか・・・」

 

突如感じた気配に微笑みをこぼして後ろに下がる。

 

レイン「はぁ!」

 

背後からカズマを飛び越えてきたレインはコアめがけて「見えない斬撃」を出力大で放った。

 

バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂィ!

 

斬撃と結界がぶつかり合う。短い拮抗の末ヒビを広げるだけで終わった。

 

レイン「・・・足りないか

 

ーーーーなら」

 

そう呟き疾走、右から来た砲撃を縦に切り裂き、ゴム弾が剣を振り上げた状態になった瞬間のレインへ襲いかかる。

それをカズマが掴みとる。

 

カズマ「っと」

レイン「っ!ちゃんと防げた」

カズマ「いいから!はよ行けぇ!木刀無いから火力不足なんだよ!」

 

レインは情けないぞと言いたげな顔をして残像を引き摺り、再び疾走、コアまで辿り着くと同時に大上段に傾国の剣を構え、一切無駄の無い一刀の下

 

パキイィィィイン!

 

結界を破壊した。

 

カズマ「・・・おつかれさん」

レイン「あの結界がこのトラップの制御機能だったみたいだな」

 

結界を壊した瞬間、辺りのトラップがパタリと止まった。

 

 

コアが剥き出しで輝いている。後はコアに触ってアスレチックパークは終了だ。

 

カズマ「・・・・

 

ーーー気付くといいがな」

レイン「?」

 

首を傾げるレインに何でもないと誤魔化して

 

ーーーポケットの中に入っているマジックペンを握りしめ、コアに触れた。

 

ーーーーーシアタールーム

 

『さて皆さん!私達の予想を悉くぶち壊し、かつ偉業と言うべきインターミドル始まって以来初の一般人の選手の参加が決定しました !』

 

興奮が冷めやらぬ空気の中アナウンスの男性が声を張り上げた。

 

『では!そんなお二人の登場です!』

 

そんな言葉と同時にシアタールームの巨大モニターの真下の広間に転移の魔方陣が現れ、カズマとレインが現れた。

 

『初出場で初のインターミドル参加者入りを果たしたのは!ゼッケンNo.9999D(ダメージ)、カズマ=ツユクサ選手とNo.038レイン選手だあああ!』

カズマ「いや、だからダメージじゃないからね?何で瀕死状態で紹介みたいなことされてんの?」

レイン「・・・・強ち間違いじゃ無いだろうに・・・・」

 

そう呟いたレインはカズマの腹部に目を向けた。

 

ーーーー

 

ノーヴェ「あいつら帰ってきたみたいだ。・・・・どうした?」

 

ノーヴェが声を駆けるとルーテシア、アインハルトとクライ夫婦以外、他の皆は未だに戸惑ったような、驚いているような、そんな顔をしていた。

 

ノーヴェ「・・・・まぁ、そうだわな」

ルーテシア「ノーヴェも知ってたんだね?クライさん達も・・・?」

クライ「ん?あぁ違う違う、カズマにかんしては例え核爆発が起きても、落ち着いてコーヒーを挽いてるって心に決めてるから」

 

そうあっけらかんと言う二人に苦笑するノーヴェとルーテシア

 

ノーヴェ「アインハルトも大丈夫か?」

アインハルト「・・・・はい、でも兄さんが心配です・・・あんな辛そうな顔してました・・・」

ノーヴェ「・・・・ーーよし!お前ら!とりあえずだ、予選が大体落ち着いたらあたしのツテに頼んで場所を設ける!その時にさっきの事を話して貰えばいい!だから今はあいつを讃えてやれ」

 

アインハルトの悲しげな表情を見てか、ノーヴェは子供達にそう言った。

 

ヴィヴィオ「そ・・・うだよね」

コロナ「・・・あんなに頑張ったのにこんな空気で迎えたらカズマさんがかわいそうだもんね!」

リオ「うん・・・」

 

何とか気を持ち直すヴィヴィオ達、それに・・・・

 

ミウラ「・・・・・・・・」

 

3人娘に賛同しながらも、ミウラはどこか「負」の情を抱えているような顔をしていた。

 

?「すいませんすこしいいかしら?」

?「その話し合い、うちらも行ってええですか?」

 

そこへ話しかけられたノーヴェ達はそちらを向き驚愕の表情を浮かべてた

 

ヴィヴィオ「あ、あなた達は!?」

コロナ「インターミドル都市本選3位入賞者、「雷帝」ヴィクトーリアダールグリュン選手!?」

 

突然の大物に皆驚く。

 

シャンテ「(・・・こいつが私の予選ブロックにいる・・・)」

ヴィクター「・・・シャンテ・アピニオン選手ね?・・・お互い頑張りましょう」

シャンテ「え、あ、どぅも・・・・」

セイン「シャンテ凄いじゃん!トップファイターに名前しられてるなんて!」

 

見た感じ高飛車な印象(偏見)故、全く持って眼中に無いだろうと思っていたので(物凄い偏見)、律儀にも握手を求めてきたヴィクターに戸惑いながらも握手を返した。

 

ノーヴェ「・・・そちらの人は・・・」

?「あ、すいません・・・知らない方と話すときはどうしても・・・

 

 

ーーー初めまして、ジークリンデ・エレミアです」

 

フードを取り顔を出したジークに待たしても固まったノーヴェ達は数秒後に絶叫を上げた。周りが騒ぎ出したため、場所を一行は移した。

 

ーーーー

 

『では一般人競技者代表として、カズマ選手!一言お願いします!』

カズマ「・・・・・・」

 

周りが静まり、こちらに集中する視線に不敵に笑い「じゃあ・・・」と言った。

 

「ある」方向をしっかり見て。

 

カズマ「ーーー試合は最後まで見やがれ」

 

叫ぶわけでもないのに、何故か周りに響き渡った。

 

次いで沸き起こる拍手の嵐にこりゃたまらんと言いたげな表情を浮かべ、ステージから去るカズマにどこかおかしそうに笑ったレインが静かにその後を追った。

 

『これにて一般人競技者選考会を終了します!お二人の参加ブロックは明日の選考会の後発表しますのでよろしくお願いします!』

 

ーーーーー

 

インターミドルチャンピオンシップ大会運営委員会本部室

 

運営委員長の女性が一人机に突っ伏しぶつぶつ頭を抱えながら呟いていた。

 

「何でなの?もう良いじゃない・・・男達はどうしてこうまでして女性の上にのしあがろうとするの?・・・やめてよ・・・もうたくさんよ・・・」

 

悲壮にまみれた言葉をはき続ける女性

 

選考会が終わり明日に向けての最終準備が行われるなか、女性は体が鉛のように重く動けなかった。

 

「もう苦しんだわよ・・・十分すぎるくらい・・」

 

ーーーきゃあぁ!

 

「本当に苦しんで・・・」

 

ーーーパパ!やめてぇ!ママが死んじゃう!

ーーーっるせぇなっ!

ーーーぅぐあ!?

 

「・・・・ここまで来たのに・・・・」

 

選手になって、勝ち上がって、男にも勝って、大会運営に回って「勝って笑う」男を見て、排除して・・・

 

『試合は最後まで見やがれ』

 

先程のセリフ、明らかにこっちを見ていた、錯覚でも何でもなくこの運営委員会本部室を見ていた。

 

「・・・・男が下す場面の何を見ろってのよ!」

「い、委員長?」

「っ・・・何でもないわ、どうぞはいって?」

 

外から聞こえた声にそう返すと、迷宮アスレチックの後処理係りの人が入ってきた

 

「先程トラップの制御コアを回収したんですけど・・・これ」

「?何を・・・」

 

係員が回収してきたコアを見る。

 

「・・・・・・・」

 

そこにはこう書かれていた。

 

ーーーー楽しかった。

 

「・・・・・・ふん・・・・」

 

気にくわないとばかりに、そのコアを持って女性を止める声にも耳を貸さず部屋を出ていった。

 

「・・・・(試合は最後まで見やがれ・・・ね・・・)」

 

ーーーーー一方そのころ

 

ミッドチルダ南部「エルセア第9地区」

 

一般学校が他の地区よりも多く建っているこのエルセア地区はその分学生寮も多い

 

そのうちの一つの寮の一室

 

?「リーダー!はやくっ!早くっす!」

 

金髪のマスクをした不良チックな少女、ルカが学校(の補習)から帰ってきて急かしながらテレビに向かう。

 

?「あー、分かったから落ち着けって」

?「選考会は明日じゃなかったっけ?」

?「いや、確か一般人競技者選考会だったかな?ほら魔力が少ない人達の・・・」

 

眼鏡を掛けたリンダに黒髪を伸ばしたミア

 

そしてインターミドルチャンピオンシップ都市本選5位入賞者ハリー・トライベッカが気だるそうにルカに続いた。

 

・・・彼女らも同じく補習(ミアは付き添いだが)組だ

 

ハリー「大体それってあれだろ?やる気がない奴等がだらだらやってる・・・なんか端からやる気がなくて見ても面白くないんだよな・・・」

ルカ「今年はすごいみたいっすよ?見にいってる友達から連絡が来て、「なんかヤバイ!いやマジやっばいわ!鳥肌まじヤバくなりまくりんぐだわ!っべー!まじっべーわ!」って言ってて」

リンダ「・・・・テンション凄いな・・・・」

 

苦笑する三人、付いたテレビに目を向ける

 

ハリー「え?」

『カズマ選手次々と武装トラップをかわし、破壊していくぅ!』

ミア「うわ・・・凄いな・・・うん、確かにその友達の反応は正しいは」

 

思わず釘付けになる四人・・・しかしハリーだけはどこか違う、呆然とした表情を浮かべていた。

 

ハリー「お、お師匠・・・・」

ルカ「ん?何か言いましたかリーダー?」

ハリー「い、いや何でもない!すげぇな!これで純粋な身体能力かよ!?」

 

ーーーな、何が起きたんだぁ!?カズマ=ツユクサ選手試合開始7秒「文字通り」秒殺だぁ!!

 

ハリー「・・・・見つけた・・・」

 

ハリーはそう呟き映像を食い入るに見つめた。

 

ーーーかくいう、カズマとハリーは会ったことはないのだが・・・・

 

カズマの知らないところで砲撃番長(バスターヘッド)が一つの邂逅を果たしていた。

 

ーーーーー

 

ファビア「・・・・・話し合い?」

『ゲッゲッ!』

 

水晶で会場を遠視していたファビアは、カズマではなくノーヴェ達とジーク達が合流し話し合いをしているのを見ていた。

 

ファビア「エレミア、ダールグリュン、オリヴィエ、イングヴァルト・・・・カズマ・・・「過去」を精算するなら・・・参加必須・・・・・・カズマ・・・」

 

最後にカズマを呼んだファビアがはそっと不格好な枯れた花の冠に触れた。




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54話

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カズマ「・・・・レインはこのあとどうすんだ?」

レイン「明日の選考会が終わるまではこっちにいるから、とりあえずこの街を散策しようと思う。」

 

会場を出てレインにそう聞くと、街を散策すると言って歩を進めた。

 

カズマ「じゃあな」

レイン「・・・お前もな」

 

 

そう言って去っていく黒衣の少年を見送り俺はアインハルト達と合流すべく気配がする方へ足を向けようと歩きだす。

 

カズマ「っ・・・・てて・・・・こりゃレインに治癒魔法でもかけて貰えばよかったか?」

 

木人形に貰った一撃、そうとう重く服を捲ると軽く・・・というよりかなり青紫色に変色していた。

 

カズマ「・・・ま、「こんぐらい」なら問題ないだろ、臓器を傷付けた訳でもないし骨が折れたわけでもないしな「おい!いたか?」・・・・ん?」

 

ふと聞こえた声に反応してそちらを向くとカメラやマイクを構えた集団が走り回っていた。

 

カズマ「んげっ・・・」

「っくそ!全くのノーマークだった!「あの二年前の大会優勝者」が出てるだなんて!・・・しかももう一人はそれに匹敵する強さ・・・」

 

・・・そういや最初あったときのアインハルトも言ってたな。

 

駄目だ思い出せん

 

カズマ「・・・しかし、流石に気づいているだろうな・・・ったくあの木人形め、あそこまで再現せんでもいいだろうに・・・」

アインハルト「あ!兄さん!」

 

そこへアインハルトが俺を探していたのか駆け寄ってきた。

 

アインハルト「お疲れ様です兄さん、怪我は大丈夫ですか?」

 

心配そうに言いながら身体中をペタペタ触ってくるアインハルト、ちょっ、くすぐったいから・・・

 

アインハルト「兄さんの匂い・・・久しぶり・・・・」

カズマ「ん?」

 

少しそのままにしていたらアインハルトが顔を擦り付けてきた。・・・・今なんつった?

 

カズマ「と、とりあえずここだとあれだから皆が居るところにーーー」

アインハルト「すぅ、はぁ・・・・若干汗が染み込んだ兄さんの匂い・・・すぅ・・・・・あぁ・・・最っ高・・・」

 

アインハルトちゃんんんん!?

 

妹の突然の奇行に言葉に出さず突っ込んだ俺を誉めてほしい、わりとマジで。

 

「あ!いた!」

カズマ「あぁもう、休ませてくれぇ!」

アインハルト「いいえ兄さん、まだまだこれからですよ?

 

・・・・ふひ!」

 

頼むから小一時間程こいつをだまらせてぇええ!?

 

ーーーー

 

どうやら、ヴィクター達と合流したそうで今は近くのカフェテラスに集まっているらしい

 

カズマ「でアインハルトが迎えに来てくれたのか、ありがとな」

アインハルト「いえ、勿論です兄を求めない妹がどこに居ますでしょうか!」

 

目に強い意思を見せるアインハルトには・・・何も言わない。

 

アインハルト「(本当はブラコン戦隊ブラコンジャーの皆さんとチャンピオンがじゃんけんしているあいだにぬけだしてきた・・・とは言えませんね・・・何より)・・・兄さん、あの・・・」

カズマ「・・・大丈夫だ・・・とは言えないな、あんな顔を晒したんだ」

アインハルト「・・・・・・・・」

 

気遣ってくれるその心遣いが素直に嬉しい。

 

カズマ「ノーヴェさんから聞いたのか?俺がタイムスリップしたこと」

 

カフェテラスまでの道中、横を歩いているアインハルトにそう尋ねた。

 

アインハルト「やはり・・・・・いえ、それは聞いていません。ですがノーヴェコーチが話し合いの場を設けると言ってました。」

 

・・・・たく、そこまでしてもらっても大した話できねぇぞ

 

カズマ「・・・ま、心配してくれてありがとうな」

アインハルト「っはい!」

 

アインハルトの満面の笑みは・・・やはりアイツとは似てもにつかなかった。

 

ーーーー

 

ジーク「あ!カズマお疲れ様ぁ!」

カズマ「おう、皆も応援サンキュな」

 

カフェテラスに着くとノーヴェさんやジークをはじめとした皆が座って待っていた。

 

ヴィヴィオ「アインハルトさんずるい!」

リオ「腕までくんで・・・・」

 

即座に抱きついてきたヴィヴィオとリオ、ルールーはそれを見て口元をひくつかせているが、どこか勝ち誇ったような顔をしていた。

 

ジーク「・・・・・・・・」

ヴィクター「ジーク?落ち着きなさいあの子達は妹達よ?そう言ったのは貴女でしょ?」

ジーク「・・・・・・・っち」

ヴィクター「!?」

 

ジークは何やらジトーとした目を此方に向け、それをリアが宥めていた。オカンか

 

ヴィクター「ああん?」

カズマ「!?」

 

何故ばれた!?なんだ古代ベルカの記憶、体質継承者は揃いも揃って読心術が使えるのか!?流行りなのか!?

 

カズマ「ってかお前ら離れろ!俺汗臭いんだからマジで!」

コロナ「・・・・あ、でも何か落ち着く匂いがします・・・・」

リオ「でしょー!」

 

そう言って頬擦りしてくる子供達を何とか引き剥がしクライさんに声をかけられた。

 

クライ「お疲れ様、本当にやっちまったな」

カズマ「言葉の割りには全然驚いてないぞ?」

クライ「・・・本当にお疲れさん」

 

優しげな表情を浮かべられそう言われた俺は何故だか無性にむず痒くなり。「おぅ」と目を逸らした。

 

ノーヴェ「カズマ、悪いんだか・・・」

 

頃合いを見計らってかノーヴェさんが申し訳なさそうに言った。

 

カズマ「アインハルトから聞いてるよ、俺が踏み出さないばかりに・・・悪かった、その話し合いの件、喜んで了承させてもらう」

ノーヴェ「あ!い、いや!謝らないでくれ!」

カズマ「じゃあノーヴェさんも謝る必要はないよな?」

ノーヴェ「っ・・・・はぁ・・・たく、お前ってやつは」

 

ノーヴェさんは呆れたように笑った。

 

カズマ「シャンテとセインさんも久しぶりだな」

シャンテ「一ヶ月ぶりだね、お兄さんもお疲れ様・・・あの・・・アイツは?」

カズマ「レインなら街を散策すると言って中央区市街地辺りにいると思うが・・・」

 

それを聞くや否や頭を抱えだす二人。

 

 

カズマ「まぁ、あいつなら大丈夫だろ?」

シャンテ「あいつ今日の朝まで取り調べでホテルのばしょさ、知らないんだ・・・」

カズマ「・・・・・・・」

シャンテ「目を逸らさないでよ・・・・」

 

すまん、俺には何にもできん

 

セイン「みんな、あたしたちはそろそろ戻るよ、カズマ今日はお疲れさん」

ヴィヴィオ「じゃあねセイン!シャンテ!ルールー!明日はお互い頑張ろうね!」

ルーテシア「えぇ、皆も頑張ってね、お兄ちゃんもじゃあね!また今度行くから」

カズマ「あぁ」

 

立ち上がって皆に挨拶して去っていったルールー達を見送る

 

カズマ「俺も明日は観に行くからな?頑張れ」

ヴィヴィオ「うん!」

リオ「ちゃんと観てよね!絶対エリートクラス目指してやるんだから!」

コロナ「まずはスーパーノービスクラスにならないとね」

 

正規参加者の地区選考会はまず軽い模擬戦を行い、どちらかがダウンしたらそこで終了、それに伴い選考結果でスーパーノービスクラスからのスタートとなれば予選で一度勝てばエリートクラスへと上がる事ができる。

 

・・・・・ってノーヴェさんが言ってた。

 

アインハルト「・・・兄さん、私達は強くなったと思います。」

カズマ「みたいだな、ノーヴェさんがべた褒めしてた」

ノーヴェ「か、カズマ!」

 

チームメンバーから嬉しそうな視線を受けたノーヴェさんは恥ずかしそうに叫んだ。

 

ノーヴェ「お、お前ら絶対油断なんかするなよ!?確かに強くはなった!ビックリするぐらいにな!

 

ーーーでもこの場にいるのはトップファイターの中でも更に上位にいる人たちだ、それだけは絶対に覚えとけ」

4人『オス!』

ヴィクター「皆さん期待してますわ」

ジーク「ハルにゃんにコロちゃんはうちと同じ予選ブロックやからねーーー

 

 

そこでジークは不敵な笑みを浮かべて言い放つ。

 

 

ーーー元チャンピオンとして負けるわけにはいかないな」

 

ジークが生み出すプレッシャーにアインハルトとコロナは目を見開くも、少し汗を流しジークを見返していた。

 

ヴィヴィオ「私はミカヤさんとミウラさんと、だね!」

ミウラ「ぼ、僕も!?」

ノーヴェ「あぁ、旦那から聞いてるよ、「八神道場門下生一の実力者」だって」

ミウラ「師匠達が・・・・」

 

ミウラは少し呆然としていたが、まだ不安はもっているものの力強く頷いた。

 

リオ「私のブロックにはハリー選手!倒しますよ!」

ヴィクター「ふふ・・・あのポンコツ不良娘は強いですわよ?」

リオ「ドンとこいです!」

 

・・・本当に強くなったな、2ヶ月前とは大違いだ。不安なんか持っちゃいない。慢心でも、傲慢でもない、「相手を倒す」それだけでここまで来たんだ。

 

カズマ「ノーヴェさん達はこれから最終チェックに?」

ノーヴェ「あぁ、各々のスタイルの仕上げ段階だ。ベストコンディションで出陣させなきゃ、コイツらの頑張った結果を存分に示せないからな」

 

ノーヴェさんはそう自身を持って答えた。

 

カズマ「ミウラ・・・・だったな?」

ミウラ「は、はい!ミウラ・リナルディでしゅ!あぅ・・・」

カズマ「なんでそんなに緊張してんだよ・・・」

 

思わず苦笑してしまう。

 

クライ「そりゃなぁ、あんな動き見せられたらそうなんだろ・・」

カズマ「クライさんとアリスさんは普通じゃねぇか」

クライ「俺は端からカズマを常人として見てないからな、こんぐらい普通だ」

 

誉めてんの?けなしてんの?

 

カズマ「ミウラ、不安か?」

ミウラ「・・・・・はい、正直不安です。皆さん自信一杯ですし・・・カズマさんやレインさん、それにチャンピオンやヴィクトーリア選手、トップファイターの皆さんが今後の相手だと思うと・・・勝てる気が全くしません」

 

ミウラはそう自分を嘲笑してるかのように言った。でも・・・「死んじゃいない」

 

ミウラ「でも!さっきノーヴェさんに言ってもらった言葉を聞いて思い出したんです、師匠達の言葉を何をやってもダメダメな僕を誉めてくれて、練習もいっぱいしてくれて、ストライクアーツの楽しさを分からせてくれて・・・だからインターミドルで師匠達に見せたいんです。

 

ーーー貴方達の弟子はこんなに成長したよって」

 

そう強く訴えてきた。・・・大丈夫そうだな、ヴィヴィオ達の友達が浮かない顔をしてたからついつい声をかけたが、余計なおせっかいだったみたいだ。

 

カズマ「お前と当たるのも楽しみだ」

ミウラ「いえいえいえ!?そんな僕なんか・・・」

 

・・・・度量に難ありだけど

 

 

アリス「・・・・・・・」

ヴィヴィオ「アリスさんそれ何のカタログ?」

 

そんな俺達のやり取りを横にアリスさんはさっきから何やら電子カタログを見ていた。

 

アリス「あぁ・・・・これよ?」

ノーヴェ「お酒?」

アリス「えぇ、最初はカズマ君が選考会通ってからにしようと思ったんだけど、皆も頑張ってるんだし今度お話しするんでしょ?それにと思ってね」

ヴィクター「良いですわね、わたくし達もお酒は飲めませんが、お茶の準備くらいは手伝おうかしら・・・」

 

・・・酒か、飲んだ事がないから気になるんだよな、未成年だからかもだが、でもいつも駄目と言ってくるクライさん

 

クライ「だ、駄目だろ?未成年いるんだしさ!」

ジーク 「店長さん?どうしたんそんな体内の水分全てを出したような顔して」

クライ「ジークの嬢ちゃん!?それ俺死んでるからね!?あぁもうアリス行くぞ!

 

ーーー俺達も何か菓子折りでも買ってくからじゃあな!」

 

これ以上酒を買う空気を嫌ってか、アリスさんの手を掴み去っていくクライさん。

 

カズマ「じゃあな!クライさん!」

クライ「ああ!お疲れカズマ!」

 

ーーーーー

 

カズマ「じゃ、行くわ皆も頑張ってな!」

 

皆が頷く中俺は歩き出そうとして。

 

ジーク「あ、うちも行くわ、ヴィクターうち帰るからまた明日な?」

 

ジークが慌てて立ち上がる。

 

ヴィクター「えぇ、ジークも明日は寝坊しないようにね?カズマも本当にお疲れ様」

カズマ「・・・・あぁ」

 

珍しく労れてかついつい素っ気なく返してしまった。

 

ジーク「皆も明日は頑張ってな?」

カズマ「じゃな」

アインハルト「チャンピオン」

 

唐突にアインハルトがジークを呼び止める。

 

ジーク「ほぇ?」

アインハルト「今日、貴女と話せて本当に良かった。

 

 

ーーーありがとうございます。」

ジーク「・・・・・・・・・・うん」

 

アインハルトにならい慌ててお礼を言うヴィヴィオ達にジークは手を振り、今度こそ俺達は帰路についた。

 

ーーーーー

 

ジーク「・・・・カズマ、ウチ残念やわ」

カズマ「何が?」

 

住宅街入口付近を歩いていると、ジークがおもむろにそう切り出した。

 

ジーク「不謹慎やけど、御先祖様の記憶がないことが・・・さっきなハルにゃんにお礼言われた時、クラウス陛下の顔が頭に写ったんや・・・笑顔だった・・・きっと友達やったんやな」

カズマ「・・・・あぁ、本当に仲が良かったよ」

 

それを聞いたジークはフワリと微笑んだ。

 

ジーク「・・・・ところでカズマ?お腹の痣見せて?」

カズマ「・・・・・・・」

 

微笑んだなんて嘘だ、目が全く笑ってないじゃないか。




誤字、脱字、指摘などありましたらよろしくお願いします。


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55話

ちょっと読みにくいかなと思い会話文と会話文の間に空白を作りました。

お気に入り登録感謝です!

では続きです!


 

ーーーカズマ宅リビング

 

間取りにして一番広いリビングの中央に置いてあるテーブルの上に置いてある箱

 

戸惑っている様子の黒髪の男性に同じく黒髪の美少女が詰め寄るように近づく。

 

美少女の手には、白い布、そして液体の雫のようなものが収まっていた。

 

真剣な眼差しでただ戸惑っている男性を真っ直ぐ見つめる美少女「お、おい」と声をかけるも、美少女は「ええから」とだけ返し男性の服が脱がされる。

 

「ある部分」をみて息を飲む美少女、男性は若干の恥ずかしさから顔を逸らす。男性ーーー(当たり前だが)カズマはこちらを頬を赤く染めている美少女ーーー(当たり前だが)ジークに意を決したように語りかける。

 

カズマ「・・・・俺も男だ、腹は括るさ・・・

 

 

ーーーこいよ、ジーク」

 

ジークは目を見開き、暫しの沈黙の末

 

ジーク「ーーーー行くで?」

 

意を決しそう言いその細くも綺麗な手を伸ばしていく、カズマの鍛えられた体に触れるために。

 

そしてーーー触れた。

 

ピトっ・・・ぬるっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ「いててててててて!?」

 

ジーク「もう!こんななるまでほおっとくからや!自業自得やで!」

 

エレミア秘蔵の消毒液を付けた手をカズマの腹の痣の部位に痛みに呻くカズマを無視して、まんべんなく塗り付け、布で巻いていく。

 

テーブルに置かれていた箱は救急箱だったぁ・・・・

 

 

ーーーーーーー

 

カズマ「しかしお前、何だ「ハルにゃん」とか「コロちゃん」とか・・・・」

 

ジーク「えぇ?かわいない?ヴィヴィオちゃんは「ヴィヴィちゃん」リオちゃんは「体育娘」」

 

カズマ「まて、それはおかしい」

 

 

何だ?いじめか?八重歯か?八重歯がいけないのか!?いいじゃん八重歯!おれ好きーーー

 

思い出される記憶

 

ーーーほらほら!どんどん行くわよカズマ(異界の戦士)!レイン(知られざる天才剣士)!

 

ーーーこの私をも一瞬でも戦慄させた貴方達の才能を見せてみなさい!

 

 

カズマ「ーーーーーー」

 

ジーク「!?カズマどうしたん!?なんか凄い震えとるで!?カズマ?カズマ!」

 

 

ーーーっは!?しまった、八重歯でいらんこと思い出した・・・・・リオめ恐るべし!

 

カズマ「わ、悪い、ちょっとな・・・」

 

ジーク「・・・・・?まぁいいわーーーその傷・・・・」

 

カズマ「・・・あぁ、失念してた・・・これは「旅」をしていた時に起きた傷だ、お前が気にする必要はーーー」

 

 

ジークは俺の背中の刀傷にそっと撫でるように触れた。

・・・震えているのが分かる。怯えでも怒りでもない、ましてや嫌悪でもない、触れた手から伝わってきたのは

 

ーー悲哀

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

ジーク「・・・・カズマの事やからまた無茶して傷付いたのは分かるよ?」

 

カズマ「おいおい、お前らの前で大したケガなんて「嘘や」

ーーーーっ」

 

ジークは目に涙を溜めていた。

 

ジーク「分かるよ、付き合いは短いかもしれん・・・でも一日一日を大事に過ごしてきたから分かる

 

ーーーカズマがうちらを助けると同じように、その都度カズマもケガしてるんわ・・・分かるよ・・・」

 

 

ーー初めてジークの「エレミアの真髄」と向かい合った時、片腕を使い物にならなくした。

 

ーーヴィクターが「怒った」時の喧嘩で神経機能が若干麻痺し物を噛んだりしたとき、力があまり入らなくなった。

 

 

ジーク「・・・」

 

カズマ「・・・・悪かった、でもそんくらいお前らの背中を押したかった事は・・・分かって欲しい」

 

例えそれが「戦友」に頼まれた事だとしても、それだけは分かって欲しい。

 

ジーク「・・・・はぁ、カズマはやっぱり頑固やね、うんいいよ?許したげる」

 

そう言ってジークは俺の頭を撫でてきた。

 

カズマ「おい・・・」

 

ジーク「恥ずかしいなら、今後無茶はあんまりしないこと、大丈夫って分かってても結構ヒヤヒヤするんやからな?」

 

困ったように笑う彼女に顔が熱くなるのを自覚しながらぶっきらぼうに分かったと言う

 

少しほんわかした雰囲気になろうとした時

 

カズマ「ーーーー」

 

ジーク「うわわ!?」

 

目の前にいるジークの腕を引っ張り自身に寄せると同時に近くにあった木刀を「手繰り寄せ」図上に向ける

 

ジーク「か、かじゅまぁ!?」

 

カズマ「・・・・こいつは・・・?」

 

『げっげ・・・・』

 

ジークが何か言ってるが無視して「そいつ」を見た、リビングの天井の隅で怯えたように縮こまっている黒いマスコットみたいな生物

 

ーーー使役悪魔

 

「あいつ」がよく驚かせる為に使っていた魔法だ。

 

ジーク「・・・・・・・」

 

カズマ「何か持って・・・手紙?」

 

コクコクと頷いたそいつは恐る恐る近づいてきた。だから木刀を床に置き、掌をむけクイクイっと指先を曲げおいでとジェスチャーする。

 

『ーーーー♪』

 

すぐさま近寄ってきて顔に抱きつくって

 

カズマ「息できん!息できんからあ!鼻!鼻を塞ぐなぁ!?ジーク!?助けてーーーっておいいいいいいい!?」

 

 

ジークは顔を真っ赤にして気絶していた。うお、目を渦巻き状態になってる人初めてみた!?

 

カズマ「しぃぬううううううううう!?」

 

 

ーーーー

 

『ゲェ・・・ゲェ・・・!』

 

カズマ「あー悪かったよ、だから泣くなって」

 

物理的にどかして、頭部にたんこぶを作り泣いている悪魔、見た目は可愛く見えなくもないので、罪悪感が湧かないことも・・・いや、むり、何回こいつらに振り回されたか・・・

 

悪魔の頭を撫でつつ渡してきた手紙に目を通す

 

カズマ「・・・・クロ・・・やっぱり「お前」なのか?」

 

手紙に書いてあった内容それは

 

ーーー突然の手紙、ごめんなさい。

 

今度の話し合いに私も参加してもいいでしょうか?

 

貴方が何故あんな事に巻き込まれたのか、その真実を

 

私の口から語らせてください。

 

あと、選考会通過おめでとう、カズマそしてごめんなさい

 

ーーークロゼルグーーー

 

といった内容だった。

 

カズマ「・・・真実・・・・?」

 

『ゲッ♪』

 

カズマ「ん?おぉ、悪かったな、持ってきてくれてありがとう「遠慮すんな」って言っておいてくれ。

 

悪魔ははしゃぎながらパッと消えた。

 

端末に手を伸ばし、ノーヴェさんにかける

 

カズマ「あ、悪いノーヴェさん急で悪いんだけど

 

ーーー話し合いに一人追加で」

 

そう微笑みながら言った。

 

ジーク「・・・・・・・きゅう」

 

カズマ「・・・・どうしよ」

 

なんともいえない空気がカズマを襲った。

 

ーーーーーー

 

翌日、地区選考会当日

 

インターミドルチャンピオンシップミッドチルダ地区選考会第一会場

 

カズマ「お?間に合ったか」

 

会場ないに入り、客席に空いている箇所を見つけそこに座る。

 

すると周りの観客が静かに騒ぎ出した。

 

「あ、あの!昨日の選考会かっこ良かったです!予選頑張ってください!」

 

カズマ「え?あ、あぁ、応援どうも頑張るから楽しんでくれよな?」

 

「は、はい!」

 

話しかけてきた少女にそう返すと、元気にそう返してくれて微笑ましい。

 

「いいなぁ、俺も話しかけて見ようかな・・・」

 

?「あ、いたいた!」

 

周りがひそひそと話していてなんとも言えないこそばしさを感じていると、声をかけられた。そちらを向くと案の定ジークだった、ジークは隣に座る

 

カズマ「ん?今日は変装はしなくていいのか?」

 

いつも被っているフードを今日は装着していなく、素顔をさらしていた・・・・何故か顔を逸らし頑なにこちらを見ようともしないが。(←昨日の事を無自覚とは言え覚えていなかった

 

ジーク「・・・うん、これから戦うんやからこれくらいで恥ずかしがってたら駄目やなと思って」

 

カズマ「ふーん・・・っと参加セレモニーが始まるみたいだな」

 

広大なリングを見ると、かなりの人数が整列し始める。アナウンスがながれ周りがシンっと静まった。

 

『それでは昨年度都市本選ベスト10選手、エルス・タスミン選手に第一会場に集まった選手に激励の挨拶をお願いしたいと思います。』

 

中央に設置された台に上がりマイクを調整するジャージ姿の少女が口を開いた。

 

エルス「エルス・タスミンです、年に一度のインターミドル、皆さん練習の成果を十分に出して全力で試合に望んでいきましょう

 

ーーーそして、昨日の一般人競技者選考会で見事に通った「カズマ=ツユクサ」選手、「レイン選手」この両名に負けないように私も頑張ります!皆も全力でがんばりましょう!」

 

ーーえい、えい!

 

『おーーーーーー!!!!!』

 

カズマ「・・・・・・」

 

ジーク「ふふ、カズマ人気者やね?」

 

カズマ「・・・・俺ならもっと開会の言葉を焚き付けるものにする、例えば「奮え!おのれの獣を!お前らは〇〇〇〇だ、〇〇〇〇は〇〇〇〇らしく本能に従って戦えこの〇〇〇〇どもが!」みたいーーー」

 

ジーク「ふんす!」

 

直後ジークの肘がカズマの頭に直撃した。周囲が歓声を上げるなか、カズマのうめき声とジークの怒声が歓声の中に消えていった・・・




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56話

お待たせしました!

せめて一日一回更新!と言った手前すみませんがどうしても物語の構成を考えるのに時間がかかってしまいます、そのため早く更新できたり、できなかったりが多いかもしれませんので不定期タグを付けることにしました。

すいませんm(__)m

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では続きです!


参加選手の選手宣誓による掛け声の余韻が残る会場の中、様子を見ていたノーヴェの元にザフィーラが来た。

 

ザフィーラ「ノーヴェ、昨日はミウラを任せて悪かったな」

 

ノーヴェ「気にすんなよ旦那、ミウラもうちのチビ共と仲良くやってたし結果オーライさ」

 

無表情な顔に若干の申し訳なさを滲ませたザフィーラがノーヴェに詫びを入れつつ、低頭する。

 

それをノーヴェは苦笑を返し顔をあげてくれるよう施した。ザフィーラはそれに感謝の意を返しつつどこか真剣味を帯びた声音でノーヴェに尋ねる。

 

ザフィーラ「・・・ノーヴェ、カズマは来てるか?」

 

ノーヴェ「多分観客席の方に来てると思うぞ?どうかしたのか旦那?」

 

ザフィーラ「あぁ・・・いや、今話すことではないな・・・

 

話し合いの時は我々守護騎士も参加させて貰う」

 

ノーヴェが頷き了承した時ヴィヴィオとミウラが駆け寄ってきた。

 

選考会は予選ブロック毎に別れて行うため、今アインハルト達はそれぞれのセコンド担当の人と移動している。

 

ヴィヴィオ「あ!ザフィーラ久しぶり!」

 

ニッコニコーと笑いかけるヴィヴィオ

 

その笑顔は親しい者と言うよりは何処かペットに向けるような物だった。頷き返すザフィーラにひきつった笑みを向けるノーヴェ

 

ザフィーラ「久しぶりだな、ミウラと仲良くしてやってくれ」

 

微笑みながら言うザフィーラに「勿論!」と返すヴィヴィオ

 

ミウラ「ヴィヴィオさん!クリスにもう一度触らせてください!」

 

ヴィヴィオ「いいですよ♪」

 

ミウラがクリスを抱きしめ、二人できゃいのきゃいのと騒いでいる様子を見て、ノーヴェとザフィーラは苦笑をこぼす。

 

ザフィーラ「しかしミウラが珍しく落ち着いていてな、ノーヴェ昨日何かあったのか?いつもなら今頃ロボットダンスを始めているんだが・・・・」

 

そう不思議そうに言うザフィーラに笑みをこぼし昨日の事を話そうと口を開き

 

ノーヴェ「・・・・・」

 

ーーこのインターミドルで師匠達に見せたいんです。

 

ノーヴェ「さぁな」

 

ザフィーラ「?」

 

どこか嬉しそうに言うノーヴェにザフィーラは頭に疑問符を浮かべた。

 

ノーヴェ「うちのチビ共はさ、最初は憧れだけでインターミドルへの参加を望んだんだ」

 

(観客席を見ながら)はしゃぐリオ、若干そわそわ(観客席を見ながら)してるが表面上はクールに決めているアインハルト、そんなアインハルトを苦笑して見つつ強い意思を持った眼差しを周りに向けるコロナ、そして目の前ではしゃぎ回るヴィヴィオを見ながら言う。

 

ノーヴェ「でもさ、皆と関わっていく内に・・・「あいつ」と関わっていく内に変わっていった、きっかけは些細な事かもしれない・・・それでも

 

ーーー強くなったよ、本当にうちの「選手」は」

 

そう眩しい物をみるかの様に目を細めて言うノーヴェ

 

ーーカズマ、皆を見てやってくれ

 

そう願うノーヴェはアナウンスに呼ばれたヴィヴィオを見送った。

 

ーーーー

 

カズマ「ジーク・・・・・」

 

ジーク「なんや?」

 

頭にたんこぶを作ったカズマがようやく痛みが引いたのか恨めしげな視線をジークに送るも、何でもないような返事を返され黙ってしまった。

 

まぁ、こんな公共の場で〇〇〇〇とか言っちゃう辺り完璧なる自業自得だが・・・つまるところ「ざまぁ☆」である。

 

カズマ「WRYYYYYYYY!」

 

ジーク「!?いきなりどしたん!?ちょ、やめてぇ!周りがドン引きしとるからやめてぇ!?カズマをさっきまで憧れの目を向けてた子達がまるでこの世の終わりを見たかのような目をしてるからやめてぇぇぇぇぇ!?」

 

何かの電波を受信したのか、白目を向き叫ぶカズマに周囲がドン引きし距離を取るなか子共達は絶望を顔に映していた。

 

ヴィクター「何をしているの貴方達は・・・・」

 

そこへ呆れた様子のヴィクターが近づいてきた。

 

ジーク「あ、ヴィクター!カズマ何とかして!」

 

あってそうそうジークに懇願されるヴィクターは状況を察し溜め息をひとつこぼしカズマの耳元へ口を近づけーーーー

 

ヴィクター「カズマって面白い趣味してるわね?寝室のタンスの二重張りにしてる壁の間にいれてるーーーーむぐっ!」

 

カズマ「やぁ!リア!今日もいい天気だね!あはははっ!」

 

そう囁いた瞬間カズマに口を手で塞がれ、ヴィクターの顔が触れるすれすれまで顔を近づける

 

カズマ「なんだ?何が目的だ?どうしてこんなことする?(小声)」

 

物凄く必死だった。目を血ばらせヴィクターを睨むカズマはどこまでも必死だった。例えそれが18の本で女性の露出に耐性を付けるためのものであっても必死だった。

 

ヴィクター「・・・カズマ・・・その、近いわ」

 

若干頬を赤く染めたヴィクターがそうカズマに訴える、カズマも今の状態に気付き「わ、悪い・・・」と言いながらヴィクターから離れた。

 

カズマ「・・・・・・」

 

ジーク「すけべ」

 

カズマ「!?」

 

ーーーーーー

 

カズマ「・・・・・・」

 

ジーク「ほぇ~ヴィヴィちゃん強いな・・」

 

ヴィヴィオが相手選手のスタッフ(棒状の武器)による凪ぎ払いを相手の懐に入り込むように跳んでかわし、そのまま体を逆さまにしたまま、蹴り技を相手に叩き込むように決めた様子を見てジークが感嘆の声をあげた。

 

一方隣のリングのミウラも始終落ち着いた様子で、相手の攻撃をさばきながら強烈なブローを相手の腹に叩き込む

 

カズマ「・・・・・・」

 

ヴィクター「どこかカズマのスタイルにヴィヴィは似てますわね・・・ミウラもあの年齢で大したものだわ」

 

相手選手にお辞儀をして喜びあう二人。

 

他のリングで戦っているリオも巧く相手の「弱点」を突き昏倒させて、コロナも相手を上手く自分の間合いに誘い込み対称している。

 

カズマ「・・・・皆ちゃんと自分の良さを把握してるな・・・」

 

ヴィヴィオは動体視力と目の良さを、コロナは自分の冷静さと叩き込む場所の正確さ、リオは持ち前の運動神経と春光拳をそしてーーー

 

ジーク「あ、ハルにゃん」

 

ヴィクター「覇王の力の一端、見せてもらいますわ」

 

ゼッケンNo.「935」を着けたアインハルトが鋭い眼差しでリングに入ってきた。傍らにはセコンドにはティオを抱いているディエチさんが控えている。

 

カズマ「・・・(あいつ、絶対に雄だ)」

 

以前ミカヤの同情で酷くフラれた事を思い出して渋面の表情を作るカズマ。

 

しかし妹分の選考会を見なければと思い再び視線をリングに向ける。

 

『Dリング スタンバイ・セット

 

 

レディー』

 

スピアを構える相手の女性にスッと掌を相手に向けるアインハルト、足元に力が溜まっているのが遠目でも分かる。

 

カズマ「(こりゃ相手には悪いが・・・)」

 

『ゴー!』

 

瞬間、アインハルトの姿が相手の頭上に現れた。相手は急に居なくなったアインハルトにとまどい辺りをキョロキョロしている。

 

周りが騒然としているなかアインハルトは身を捻り回し蹴りを相手の後頭部に放った。

 

カズマ「(アインハルトの勝ちだ)」

 

『・・・・・っは!でぃ、Dリング選考終了!勝者ゼッケン935!』

 

激しい歓声が辺りから響く

 

ヴィクター「・・・・高速魔法とは違う・・・今のは覇王流・・・?」

 

カズマ「・・・・「無拍子」・・・」

 

ジーク「!?それって・・・・」

 

カズマ「あぁ、あいつは初動から相手選手の頭上までの移動結果までの「過程を無視」したんだ」

 

目の前で行われた高等技術に固唾を飲む二人、カズマは自身の口角がつり上がるのを感じていた。

 

ハリー「おー!?見たかよ今の動き!すげぇなおい今年の新顔連中は!」

 

リンダ「リーダー・・・寝坊したのを誤魔化さないでくださいよ・・・いや、確かに凄かったけど・・・」

 

そこへ元気な声が聞こえてそちらに目を向けると、赤髪をポニーテールにした女の子と手下らしき少女が3人こちらへと進んできた。

 

ハリー「だろ!?アホのエルスが生意気に選手宣誓なんぞするって聞いたから笑ってやろうと思ってたら寝坊するから最悪って思ってたけど・・・すげぇ選考試合も見れたからよしとするか!」

 

ヴィクター「ぽんこつ不良娘?」

 

どこか不機嫌なヴィクターがそう呟く、向こうもこっちに気付きヴィクターに声をかけようと口を開き

 

カズマと目があって固まった。

 

ルカ「あ!?昨日の選考会のカズマさん!昨日の選考会テレビで見たっす!」

 

カズマ「ああ、これはどうも・・・赤髪の子どうしたんだ?」

 

ミア「リーダー?どうかしたんですか?」

 

口をポカーンと開けて固まる少女に戸惑ったような声をかける黒髪の少女、赤髪の少女はハッと正気を戻してカズマの前まで詰めより。

 

ハリー「お、お師匠!初めまして!ハリー・トライベッカっす!」

 

そう緊張した様子でカズマに握手を求めた。

 

ヴィクター「(・・・・・・お師匠?)」

 

ジーク「(・・・・・どゆこと?)」

 

カズマ「(いや、知らんて、初対面だわ)」

 

カズマはアイコンタクトで軽く二人と会話しつつとりあえず「あ、はい」と言って握手を返す

 

ギリギリ・・・・・

 

刹那凄まじい力で手を握ってきた。

 

カズマ「(いたたたたたたた!?何で!?何かした!?初対面だよね?ね!?何でそんな目で睨んでるの!?ねぇ!?)」

 

手の感覚が無くなったと錯覚するほどの剛力で握るハリーはカズマを射殺さんとばかりに目力を強めてカズマを睨み付けていた。

 

いきなりの展開に唖然とする周囲

 

カズマ「(間違いない、この子俺を張り倒す気満々だ!?)」

 

ハリー「(流石だ・・・オレの本気に表情一つ変えやしない!くぅ・・・流石お師匠!!)」

 

純度100%の勘違いと尊敬の念がぶつかり合うなか。ヴィクターが立ち上がりハリーに文句を言う。

 

ヴィクター「このぽんこつ不良娘!初対面の人間に何をしてるんですの!?というか私の事は無視!?」

 

ハリー「ああん!?こちとら(一方的な)再開を楽しんでるんだよ!邪魔すんなへんてこお嬢様!」

 

ヴィクター「何ですってぇ!?」

 

カズマ「(・・・・・頼むから俺を挟んで争うな・・・)」

 

何処か疲れたような、諦めたような表情のカズマにカズマとハリーの繋がれた手を見て面白くなさそうなジーク、いがみ合うハリーとヴィクターにあたふたしているハリーの妹分達・・・

 

一つの真理(カオス)がそこにあった。

 

しかしそこへーーーー

 

ジャラララ!

 

ハリー「!」

 

ヴィクター「!?」

 

カズマ「ーーーは?」

 

突如背後から現れた光る鎖に体を拘束される3人

 

カズマ「(え?俺も?)」

 

円形の魔方陣を展開しそこからチェーンバインドを出している選手宣誓をしていた、エルス・タスミンがご立腹とばかりに表情を強張らせていた。

 

エルス「なんですか、都市本選常連のトップファイターがリング外で喧嘩なんて!」

 

カズマ「あ、「えいえいおー」の・・・」

 

エルス「カズマ選手!?なんですかその頭の緩い通り名みたいな物はってーーー

 

ーーーああ!チャンピオンまで!?」

 

カズマが言ったことに思わず突っ込み、しかもその隣に座っているジークを見つけ、思わず叫ぶエルス。

 

周りがまた騒ぎだしたのを察したカズマとジークは溜め息を同時に吐き、苦笑した。




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57話

お待たせしました!

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では続きです。


インターミドルチャンピオンシップ地区選考会「第二会場」

 

カズマが会場で騒動の渦中となっているその頃、第二会場ではルーテシア、シャンテの選考会が行われていた。

 

ミカヤ「しかし今年は初参加選手が粒ぞろいだね」

 

順調に進んでいく選考会を眺めていたミカヤがそう呟いた。

 

その視線の先には二振りの双剣を相手選手に振るうシャンテと隣のリングで果敢に攻めてくる相手選手の拳を全て受け流し、拳を打ち込むルーテシアがいた。

 

ウェンディ「ミカヤちゃんから見てもやっぱりそーすか?」

 

隣に座っているウェンディがその反応に食いつく。

 

間に座っているセインもポップコーンを食べながら視線をミカヤに移す。

 

ミカヤ「チームナカジマの皆も「末恐ろしい」と思っものだけど・・・・」

 

ルーテシアとシャンテを見て「こりゃ強敵だ」と苦笑する。

でもミカヤも負けるわけにはいかない、と己を叱咤する。

 

ミカヤ「・・・・(今年はジークとも戦いたいし・・・何よりカズマがでる、それに彼もいることだしね)」

 

ウェンディの隣で腕を組みリングをただ見つめるレインに目を向け心の中で呟く

 

急に現れた青白く輝く剣を使うレイン、カズマに引けを取らない程の実力者。

 

そしてカズマと親しい中にある。

 

ミカヤ「・・・・・・」

 

昨日の選考会を思い出す。「あの」壊し屋を無防備とは言え、ものの数秒でライフを0にした恐ろしい剣技

 

同じ剣を使う者として、ミカヤは彼とも戦いたいと思っていた。

 

セイン「どうよレイン、シャンテは?」

 

レイン「・・・まだ隙が多い、慢心は捨てたみたいだがな」

 

セイン「ありゃりゃ、手厳しいなおい」

 

如何にも「私不機嫌です」と言わんばかりの仏頂面のレインの辛辣なコメントに苦笑するセイン。

 

友人のノーヴェから聞いた話では彼は「次元漂流者」らしく、出身世界では「戦士」として日々を送っていたらしい。

 

他次元世界を含む平和な世の中、その事実に驚愕すると共に、その「戦士」とやらが偉く不穏な響きを感じる。

 

この場にいるミカヤ達は知らないことだが、レインは元の世界では「最高クラス(アドバンスドナイン)」の傭兵で、常日頃から命をすり減らす毎日を送っている。

 

強敵を求めてるだけの彼としてはそういった肩書きはどうでもいいのだが。

 

ミカヤ「そう言えばレイン君はカズマと友人なんだよね?一体どう言った経緯で?」

 

レイン「・・・経緯とかそんな綺麗なもんじゃないさ

 

ーー目があって勝負を挑んだ、それからだな・・・まぁ向こうはどう思っているか知らんが」

 

あっけらかんと言ったレインにミカヤ達は何とも言えない表情を浮かべた。

 

ウェンディ「そんな・・・ポ〇モンバトルじゃないんスから・・・」

 

セイン「改めて思うけどレインの出身世界ってどんな所なんだよ・・・」

 

レイン「・・・多分こればかりは説明しても分からないと思う、この世界は「広すぎーーーーー」

 

渋面を作り説明に苦しむかのようなレインの発言はレイン本人により遮られ、それに先程以上にリングを食い入るように見つめた。

 

その様子に?を浮かべたミカヤ達はレインの視線を辿り

 

ーーーリング上に金髪の美少女が白いドレス姿で立っているのをみた。

 

セイン「うわ・・・凄い美少女・・・おやぁ?もしかして見とれてるのかい?レインは」

 

ーーーー違う。

 

セインのからかいに一切応じず、リングを見ているレインを、呑気に体を伸ばしている美少女選手を見てミカヤはそう思った。

 

レイン「・・・・・」

 

『Bリングスタンバイセット』

 

アナウンスが流れて、相手選手のセコンドが離れ相対する、金髪美少女を見た目通りの華奢な女の子だと思っているのか。嘗めた様子でシュッシュと拳をふるい挑発す

 

『レディー、ゴー!』

 

とん・・・・

 

瞬間気絶して倒れる相手の選手、その背後には先程まで所定の位置にいた金髪美少女が手刀をすっと戻す動作をしていた。

 

あまりの急展開に周りの時が止まったかの様に静まった。

 

ミカヤ「・・・・レイン君、今の見えたかい?」

 

レイン「・・・・すれ違い様に首筋に一撃・・・」

 

ミカヤは冷や汗が伝うのを自覚しつつ、レインにそう聞いた。

 

ーーーー

 

シェルファ「・・・・・ふふふ」

 

静まった会場の中、金髪美少女・・・・シェルファは「一時的」とは言え「用意」してくれた「人形」の体に満足したかの様に笑う。

 

シェルファ「本当にこの世界の技術には関心するわね・・・」

 

体の調子を確認しながらカリムとの会話を思い出す。

 

ーーーー

 

シェルファ「受肉?」

 

聖王教会本部執務室、またしてもシャッハの体を乗っ取ったシェルファがソファー足を組みながらそう聞く。

 

カリム「・・・シェルファさん、毎回思うんですけど頑なにシャッハの体を乗っ取りますね・・・もしかして「その続きを言ったらこの建物ごと貴女を消し炭にするわよ」・・・・はい」

 

シェルファ「それで?受肉って?・・・・仮にも信仰している団体のトップが使う言葉にしてはアレに感じるのだけれど」

 

「仮にも、じゃありません!」と怒鳴るカリムに「あー」と言いながら耳を塞ぐシェルファ

 

溜め息を吐きつつ、続きを話すカリム。

 

カリム「受肉と言っても、依り代となる肉体にではなく、人形にです。」

 

シェルファ「人形?・・・いえ、確かにこの世界の技術なら・・・・でも、何で急に?」

 

カリム「・・・余計なお世話かもしれませんが、帰るまでの間にこの世界の事を覚えていて欲しくて。

 

ーーー聖王教会の力でインターミドルへの飛び入り参加させときました♪」

 

シェルファ「・・・・・・それは教会組織のトップとしてどうなの?」

 

呆れたようなシェルファの呟きにカリムは笑顔を崩さない。

 

シェルファ「・・・・でもそうね、レインと戯れる事ができるのならその提案、呑ませて貰おうかしら?」

 

カリム「私も行きたいです!」

 

なお、カリムは仕事が溜まっているので現在も軽く執務室に軟禁状態である。

ーーーーー

 

シェルファ「・・・・いつまで静まってるのかしら?」

 

苛だったような声音でシェルファがそう呟き、慌てたような声音でアナウンスが選考終了を言い渡した。

 

わああああああああああ!

 

次いで、会場内に響く歓声にほぉっと関心するシェルファ、ミュールゲニアでは絶対にない光景だからだ。

 

シェルファ「・・・・・っ!」

 

そんな中、観客の中から見知った・・・否、愛しい気を察知した!すぐさまその気の発生源のもとへ

 

レインの胸元目掛けて30メートルはあるであろう距離を一っ飛びで0にする

 

レイン「やはり・・・シェルファ、なのか?」

 

シェルファ「えぇ!そうよ!私よ、シェルファよ!?貴女とこうして触れあいたかった!レイン!」

 

驚きつつもしっかりと受け止めるレインにシェルファは嬉しそうに笑った。

 

ミカヤとウェンディ含む全員が歓声から驚愕の声にシフトチェンジするなか、セインは恐る恐るシャンテを見て顔を手で覆い「あちゃ・・・」と言った。

 

ルーテシアはカズマでこういった現象は馴れているのか、冷静に分析をしている、シャンテはその隣で口をあんぐりと開け、レインとレインに抱き付いている美少女を見ていた。

 

ーーー

 

どうも、場所は戻って第一会場です・・・・・・?わたしは何を言っているんでしょう・・・・

 

 

まぁともあれ私たちは各々の選考試合が終わり、残る選考結果待ちのため、ヴィヴィオさん、リオさん、コロナさん、ミウラさんと共に今日の手応えや反省点等を踏まえて雑談をしていました。

 

ヴィヴィオ「それにしてもアインハルトさん!」

 

アインハルト「なんざんしょ?ヴィヴィちゃま」

 

ヴィヴィオ「誰!?・・・・はいつもの事だからいいや・・・・それよりさっきの瞬間移動みたいな歩方って何ですか!?」

 

酷くないですか?

 

ヴィヴィオさんの質問に他の皆さんも食いついたのか、「あ、私も気になってた!」と言った様子でずずいっと寄ってきました。

 

・・・・何か円陣を組んでる感じです。

まぁ聞かれたからにはお教えしましょぅ(どやぁ・・・

 

アインハルト「あれは「無拍子」と言います・・・まぁ、「本式」とは違った歪んだものですが」

 

あれは本来、武術や武道に置いて初動から入り過程に入りそして結果に至るまでの動作のリズムを感じさせない事です

 

助走や、拳を振りかぶったりせずに自重とわざと体勢をずらした事による位置エネルギーだけを使って放つものですが。私の場合それを魔力で補いました

 

ただ連発は控えた方がいいですね、一瞬で放出と爆破をほぼ同時に行っているので調整も難しいですし、下手すれば足の神経等に傷がつきます。

 

コロナ「凄い・・・・」

 

アインハルト「私からすればコロナさんも十分凄いですよ、正確かつ無駄がないゴーレム創成に加えて、最近はクリエイトしながらでも迫る敵を想定してるのは凄いと思います。」

 

全く、何を謙遜しているんだか!

 

コロナさんは嬉しいのか恥ずかしいのか俯いてしまった。

 

凄く・・・・かわいいーーーっは!?

 

アインハルト「(これは罠だっ)!」

 

ミウラ「アインハルトさん?」

 

アインハルトこれは駄目よ?自分を制しなさいアインハルト!私には兄さんがいる!目を覚ましなさい!

 

エルス「っああ!?チャンピオンまで!?」

 

そんな時、選考会のセレモニーで選手宣誓をしていたエルス選手の声が観客席から聞こえました。

 

ーーーふ、甘いですね 兄さん道を極めたこの私に意識を乱すような愚行はーーー

 

ヴィヴィオさんが私の横で声が聞こえた方向を指差し声をあげました。

 

ヴィヴィオ「あ!お兄ちゃんが縛られてる!?」

 

リオ「ハリー選手にヴィクターさんまで・・・」

 

アインハルト「兄さん大丈夫ですか!?

 

ーーー空破だ」

 

4人『いやいやいやいやいやいやいやいや!?』

 

視線をそちらに向けるとエルス選手に縛られたヴィクトーリア選手とハリー選手、そして兄さんがいました、助け出そうと空破断を放とうとしたのですが・・・

 

ええぃ!HA☆NA☆SE

 

ーーーーーー

 

何をやってんだあいつら・・・・

 

カズマ「はぁ・・・」

 

とりあえず、鎖から伝わる魔力の弱いところを手刀でたたっきる。

 

エルス「ええ!?」

 

ハリー「流石だ・・・本当に魔力も無しに・・・」

 

エルス「ええ!?」

 

ハリーとヴィクターは興が冷めたとばかりにバインドを引きちぎる、その様子を見たエルス選手が更に驚く・・・この子は苦労してそうなタイプだな・・・

 

『只今より全選考試合が終了しましたので、選考結果をセコンド又は選手が持っている登録端末に転送します。予選開始は一週間後、皆さんご健闘をお祈りします。』

 

パチパチパチパチパチ!

 

ハリーとエルス選手が何かを言い合ってる中、流れたアナウンスが選考会終了のお知らせを放送し直後会場から拍手が響き渡る。

 

『そして、昨日行われた一般人競技者選考会の通過者であるカズマ選手及びレイン選手の参加ブロックですが・・・

 

 

ーーーカズマ選手は第一会場の予選1組

ーーーレイン選手は第一会場の予選4組

 

のエリートクラスからのスタートになりますのでよろしくお願いします。連絡網は以上になります。お疲れ様でした。』

 

こうして予選が始まった。




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58話ーーそれぞれの思い

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では続きです!


 

ヴィヴィオ達の地区選考会が終わり、俺とレインの予選組分けが発表され

 

リアとジーク、えいえいおー(エルス)とハリーと別れ、対戦表を確認してからヴィヴィオ達と会場前で合流する。

 

会場前に赴くとノーヴェさんが端末を持って何やらヴィヴィオ達に説明していて、吉報だったのか喜んでいるようだ。

 

カズマ「お疲れ様」

 

アインハルト「お疲れ様です兄さん」

 

リオ「私達みんなスーパーノービスクラスからのスタートだよ!」

 

ヴィヴィオ「ちゃんと見ててくれた?」

 

ヴィヴィオの言葉に「ああ」と返す。コロナが幾らか緊張した面持ちで声をかけてきた。

 

コロナ「カズマさん、よろしくお願いします」

 

カズマ「コロナがエリートクラスに上がってそのまま勝ち進めば3回戦で俺と当たるんだったな」

 

先程拝見してきた対戦表を思い出しながら確認する。

アインハルトも4回戦でジークと闘う事になってる。

 

レインの方も初戦は相手は都市本選の出場経験有りの選手と闘うみたいだ・・・・しかし予選6組にいたやつ・・・まさか、な

 

ヴィヴィオも勝ち進めばミウラと闘うような展開になるが・・・ミウラも初戦からミカヤだからな・・・

 

幾ら守護騎士がコーチやっているからって、キツいかもな

 

コロナ「カズマさん?」

 

カズマ「ん、悪い考え事してた」

 

どうやら今からヴィヴィオの家でなのはさんとフェイトさんによるお祝いをやるらしく、是非俺にも来てほしいと。 誘いは嬉しいんだけどな・・・

 

カズマ「ごめんな、元々予定があって行けないんだ」

 

ヴィヴィオ「そんなぁ!」

 

ノーヴェ「カズマにも付き合いってもんがあるんだよ、諦めろ」

 

ブーブー言いまくる妹分達に不満そうなコロナを宥めるノーヴェさんに感謝の意を伝えつつ、「なのはさんとフェイトさんにも謝っといてくれ」と伝言を頼みその場を去っていく。

 

ーーーーー

 

ミッドチルダ首都クラナガン精神病院「隔離病棟」

 

中央区でも、外れの方に建っているこの病院は「隔離」と名称されてる分廃人患者、又は重症患者等が入っている。

 

「あ、カズマさん!」

 

カズマ「どうも・・・・あの、「様子」はどうっすか?・・・・」

 

タクシーから降りた俺は真っ直ぐ病棟の受付窓口に向かう。

 

受付の人が挨拶をくれ、カズマも挨拶を返し「2人」の様子を聞く。

 

「あ、はい!なんとですね?レントさんの方はちゃんと今日受け答えしたんですよ!?それにイオさんは朝娘さんの事を気にしてました・・・すぐ泣き出しちゃいましたが・・」

 

カズマ「そうですか・・・・」

 

「レントさんも本当に良かった・・・御家族の方が全く来なくなって・・・代わりにカズマさんが来てくれて・・・あ、早速案内しますね!」

 

そう言われ歩きだす受付の人に着いていく。

 

ガシャァン!!

 

カズマ「!、・・・・・・・・」

 

「・・・・彼等も不安なんです、理性なんてほぼなくても・・・自分達に未来はないって・・・そう結論ずけてるんです」

 

何かが割れる音が響き、そちらを向く

 

そこには笑いながら廊下を駆け回り、手にした棒切れのような物を振り回している男性、男性が職員に怒られている様を見ながら受付の人が悲しそうにそう言った。

 

カズマ「・・・・他人事かもしれませんが、せめて同じ一般社会の一員として扱ってあげてください」

 

笑顔で「はい!当たり前です!」と返してくれた受付の人に着いていき、病室まで連れていって貰う

 

受付の人が仕事場を離れて良いのか?と思わなくもないが精神病棟はそう言うのばかりだ、基本家族及び身内、友人関係の面会は禁止、曰く本人に悪影響を与えてしまうかもしれないからだ。

 

俺は使えるコネを使い自己責任で面会を元々関係のない他人と言うことも手伝ってとくべつ許可してもらった。

 

「じゃあカズマさん、面会時間は1時間ですので!

 

ーーあ!予選頑張ってくださいね!見てますから!」

 

カズマ「どうもです・・・これレントさんとイオさんに見せてあげてください」

 

そう言ってポケットから出したのは数千円分のテレビカード

 

困惑する受付の人に説明する。

 

カズマ「・・・これで二人にインターミドルの様子を見せてあげてください・・・意味の無いことだとは思いますが・・・

お願いします」

 

せめて魂だけでも感じとってほしい。

 

レントさんには「今の」インターミドルを

 

・・・イオさんには「娘」が支えてきたインターミドルを

 

了承してくれた受付の人に感謝しつつ、俺はレントさんの部屋を開けた。

 

「あ!カズマ!」

 

幼児のような声音でレントさんのベットから離れてカズマによる妙齢の女性・・・その実年齢は50を越えたばかりだ。

 

自分とあまり変わらない身長のイオさんに笑顔で返す。

 

カズマ「こんにちは、駄目じゃないか自分の部屋を出たら」

 

コツンと弱くこつきながらちっちゃい子を叱るように言う俺にシュンとするイオさん

 

幼児退行、過去の精神的ショックやトラウマが原因で年齢相当の意思疏通や受け答えができなくなってしまい、更に記憶障害まで患う、まだそこまでではないが更に酷くなってしまうとワードサラダと呼ばれる、支離滅裂な事を言うようになる

 

ーーーー彼女はその症状間近だった。

 

カズマ「何をしていたんだ?」

 

「んっとね!写真!」

 

そう言ってアルバムの様な物を此方に差し出す。

 

カズマ「あー、見ちゃったのか」

 

そう言って開くとそのなかには試合中だったり、インタビューを受けている物だけだが、共通して一人の女性が映っていた。

 

「この人だぁれ?」

 

ーーー君の娘だ!

 

カズマ「・・・・・・」

 

って言いたい、でも何が影響するか分からない以上下手を打てない

 

イオさんにあったのは本当に偶然だった。病棟ないを泣きじゃくりながら歩いている所を見つけ、名前を知ったときは驚いたさ、だってインターミドルチャンピオンシップ大会の運営委員会のトップの母親だったんだから

 

レントさんは「相変わらず」だった。虚ろな目でただ虚空を見つめている・・・・いや、実はこの写真の女性を呼んでいるのかもしれない・・・元々ファンってアルバムに書いてあったからな・・・

 

カズマ「レントさん、見ててくれよ?」

 

「・・・・・?」

 

レントさんの体を撫でるように触れ、そう言う俺にイオさんは?を浮かべる。

 

カズマ「さて、後30分くらいあるな・・・イオさんの事を聞かせてくれよ」

 

ーーーーーーー

 

面会時間をしっかり使い、別れを惜しむイオさんに苦笑を返しつつ別れた。

 

カズマ「ここに通いだして早一月・・・・イオさんも悪化する一途を辿り、レントさんも植物人間一歩手前・・・・

 

 

どうしようもできない・・・んだな」

 

力があっても何もできないんじゃ意味がない

 

カズマ「・・・(ボソ 変わらないじゃんか・・・」

 

本当に変わらない、「あいつ」を止める事が出来る力はあったはずなのに・・・「あいつ」の叫びに負けたままだ。

 

カズマ「・・・・・ーーーっそういやイオさん言ってたな・・・「最近仲良くしてくれるおねぇちゃんが来てくれる」って」

 

軽く顔を手で覆いながらそう言う、目の前の「女性」からは驚愕の気配

 

カズマ「・・・・奇遇っすね、「大会運営委員長」さん」

 

「・・・・貴方は、カズマ=ツユクサ選手・・・」

 

何で・・・とこぼす彼女に苦笑を溢し場所の移動を提案した。

 

彼女は渋々と言った表情だが、了承した。

 

ーーーー

 

近くの公園まで行き、自販機で買った飲み物を先にベンチに座らせて待ってもらっていた彼女に渡す。

 

「・・・・・・・」

 

カズマ「すいませんね、時間取っちゃって」

 

「・・・・・・何で・・・・貴方がここに?御家族の方が?」

 

カズマ「・・・・俺とすれば何であんたが面会に来れるのかが分からないが・・・」

 

どこか得意気な彼女は、この精神病棟の経費支援を大きく勝っていると言っていた。

 

「・・・・遺憾だけど、母が世話になってるわね」

 

カズマ「・・・・あんた、隣の患者が誰か知ってるのか?」

 

「・・・・レント・キサラギでしょ?6年前インターミドル総合準優勝者にして

 

ーーー私が脅し陥れセクハラ選手として汚名を着せられた選手でしょ?」

 

分かってるわよ・・・と俯き言う彼女にやはりと想った。

 

カズマ「・・・・」

 

「・・・・私ね?最初ざまあみろって思ったの、男の癖に調子のってるからって、貴方たちもそう・・・

 

でも皆は貴方達を受け入れた、拍手喝采まで起こして」

 

カズマ「そうでもないさ、現にあのとき少なくとも100人以上は嫌悪の視線を向けていた」

 

俺の言葉に彼女は怪しげな目を向け言葉の真意を伺ってきた。

 

カズマ「別に皮肉でも何でもないさ、いずれはこうなったのかもしれない、男女間でのトラブルはあんたが行動に移すまでもなく起きていたかもしれない」

 

彼女の視線はますます険しくなるばかりだ。

 

カズマ「・・・でも中には純粋に格闘技を楽しんでる人もいることを・・・何よりその舞台にあんたが立っていた事を忘れないでくれ・・・・じゃあ、時間取らせて悪かったな」

 

そう口早にいって退散するため歩きだす。

 

「最後に・・・・貴方がそこまでする理由って・・・・なに?」

 

俺は振り返らずに「約束」とだけ言ってその場を去った。

 

ーーーーーー

 

ミッドチルダ南部湾岸区

 

八神家のそばにある浜辺にてミウラとザフィーラ、そしてシャマル

 

ーーーそして夜天の書の元守護騎士「鉄槌の騎士ヴィータ」と「蒼天の書」管理人格のリインフォースツヴァイがミウラの対戦相手について話し合っていた。

 

シャマル「ミウラちゃんのスーパーノービス戦はゼッケン399の子・・・」

 

リイン「これはまぁ・・・そんなに問題ないとして」

 

ミウラ「はい!頑張ります!」

 

ヴィータ「?・・・・まぁいいことだが妙に落ち着いてるな、お前何かあったのか?」

 

関心したような、疑問をミウラにぶつけるヴィータ、ザフィーラは同意したように頷いた。

 

ミウラ「い、いえ・・・その今でも緊張してはいるんですが・・・

 

ーーーでも、僕は師匠達に教えてもらった技術と僕の覚悟をもってインターミドルを楽しむだけですから・・・例え誰が相手でも・・・負ける気は毛頭ありません」

 

ミウラのその目をみた八神一家は驚いたように目を見張り、やがてふっと微笑んだ。

 

ヴィータ「よおっし!その意気だ!・・・・って言いたいが例えミカヤ選手に勝てたとしても、問題は次のレインってやつだよな・・・」

 

ザフィーラ「・・・・あの少年・・・かなりできるぞ」

 

リイン「そうですね・・・今までの経歴が一切謎の上、昨日のあの強さですからね・・・どんな戦術でくるのかさっぱりです」

 

ミウラは師匠達にそこまで言わせるレインに戦慄したような表情を浮かべるも、決して引きはしなかった。

 

ヴィータはその様子を見て不敵に笑い飛ばし「まぁ・・」と言って続けた。

 

ヴィータ「先のことよりまずは次の相手だ、せっかくのスーパーノービススタートも初戦で負けちゃしょうがねぇ

 

ーーー試合に向けてあたしとシグナムが今まで以上に相手をしてやる、ガッツリ鍛えてくぞ!」

 

ミウラ「はい!よろしくお願いします!」

 

ーーー

 

先に歩いて稽古場まで向かうリインとミウラを見ながらヴィータが呟いた。

 

ヴィータ「なぁ、ザフィーラ

 

ーーーそのカズマってやつはどんな容姿なんだ?」

 

ザフィーラ「あぁ、黒髪に黒目、顔は・・・まぁ普通より上といった感じだな・・・

 

しかし雰囲気は凡庸のそれではない・・・聞けばなのはの本気ではないにしろ勝つ一歩手前まで追い詰めたらしいからな、しかも鉄筋一本で」

 

ザフィーラの言葉にヴィータとシャマルは愕然とした。

しかし、とヴィータは答える。

 

ヴィータ「・・・「奴」ならあり得るな」

 

シャマル「っ、やっぱり・・・」

 

ヴィータ「あぁ・・・あたしは最近先代の・・・さらに先代の主の元にいたときの事を夢見る事があってな・・・多分・・・ザフィーラのいうとおりなら」

 

ーーーかなり昔にあたしらソイツとあってる

 

多分とつけたが、昨日の中継に映っていたカズマを見る限り確実と言っていいとヴィータは確信していた。

 

ーーーー

 

聖王教会本部執務室

 

カリム「はぁ・・・やっと終わった・・・」

 

デスクの上に処理済みの書類を散らばして突っ伏すカリム傍らにはレインがトントンと書類を整理している

 

カリム「レインもわざわざ手伝ってくれなくても・・・明日試合なんでしょ?」

 

レイン「今日は眠らずに素振りを予定していたから時間に関しては心配ない・・・・それにあんたには短い間とは言え世話になってるからな」

 

何でもないように言うレインにありがとうと返すカリム

 

カリム「・・・彼女は?」

 

レイン「体の調子を確かめると言って、違う次元世界に転移した」

 

転移魔法も使った形跡を感じさせない規格外さに相変わらずね、と返した。

 

レイン「・・・あんたは気づいていたのか」

 

カリム「正確には教えてもらった・・・って感じだけどね・・・ねぇレイン、この世界はどうだったかしら?

 

苦痛だった?

 

つまらなかった?

 

うっとおしかった?

 

この優しい世界は・・・貴方に・・・」

 

まるで否定しないでとばかりに言う彼女にレインは僅かばかり顔を伏せ。口を開いた

 

レイン「俺は・・・この世界にいていいような人間なんかじゃ・・・」

 

世界の否定でも聖王教会の否定でも誰の否定でもなく自分の否定から始まったレインをカリムは顔を両手で挟み真っ正面に向けるよう力を込めた。

 

レインは戸惑いながらも振りほどけるそれを振り払おうとはしなかった。

 

カリム「貴方は・・・・そんなに自分がキライ?」

 

レイン「ーーーーっ」

 

カリムは忘れないだろう、今まで表情を滅多に変えなかったレインの「傷付いた」ような顔を

 

胸がズキッと痛むのを無視してカリムは怒ったように続けた

 

カリム「ダメです、そんな顔をしても・・・貴方は自分の事を嫌いかもしれない・・・でも私は・・・「私達」は貴方の事が好きなんですよ?

 

・・・自分を否定することは私達が好きな貴方を否定すると言うことを忘れないで・・・お願いだから」

 

懇願するように上目遣いで言うカリムにレインは言葉を詰まらせるように狼狽した。

 

カリム「・・・・ごめんなさい、試合前に変なことを言ったわね・・・お休みなさいレイン、試合頑張ってね!」

 

言葉を返せないレインにカリムは微笑みそっと部屋を去った。

 

各々が様々な思いを胸に一週間は簡単に過ぎていく。

 

そして予選試合が始まった。




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60話ーーミカヤ対ミウラ①

大変お待たせしました!やっと原作改変?のタグを働かせる事が出来たと思います!

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では続きです!


クライ「っはー!!すんげぇ観客だなおい!」

 

カズマ「確かに凄いな・・・」

 

大会予選当日、俺の第一試合は午後からのため今はクライさんと共に観客席に座っている。

 

クライ「しかし良かったのか?嬢ちゃん達のSNS(スーパーノービス戦)見に行かなくて」

 

ヴィヴィオ達のSNSは午前9時からの為、そろそろエリー

トクラスの会場に姿を見せる頃だと思う。

 

カズマ「問題ないさ、あいつらなら

 

ーーー来た」

 

クライ「あ、本当だ」

 

エリートクラスの試合会場の観客席に上がる階段から、ヴィヴィオ達が踊り込んできた。

 

あの元気さを見る限り首尾よく試合には勝ったらしい。

 

ミウラを見かけないところを見ると、試合に備えて控え室にいるんだろ。

 

ーーーーで

 

カズマ「何でお前はここにいるんだ、試合は?このあとすぐだろ?」

 

クライ「うお!?ミカヤの嬢ちゃん!?」

 

ミカヤ「やぁ!」

 

後ろにずっといたミカヤに声をかけると「気付かれちったてへぺろ☆」的なペコちゃん的な顔を返してきた。

 

ミカヤ「試合かい?大丈夫さちゃんと間に合うようにいくよ、何せ君やレイン君との試合も楽しみだけど・・・あの子も相当やるみたいだから」

 

そうリングを睨み付けながら言うミカヤ、クライさんもその迫力に息を呑んだ。

 

クライ「てかそもそも何でここにいるんだ?セコンドとかとミーティングがあるんじゃないのか?」

 

ミカヤ「いや、一概にセコンドというのはサポーターと同じだが、ヴィヴィオちゃん達みたいにコーチがセコンドをしているケースもあるし、ジークみたいにセコンドなしで出ている人たちもいる、中にはただ形だけのセコンドもいたりするけどね」

 

したり顔で説明するミカヤに納得顔のクライさん、俺?勿論知ってるよ?あれだろ?コンクリ破損の補修に使うあれでしょ?いやー手作業だと中々大変何だよね・・・・・・ってそれセメントやないかーい!

 

 

 

 

 

何だよ二人とも、その目は

 

ミカヤ「まぁ、二人の所にいる理由だけどね?・・・っと言うかカズマに・・・かな?」

 

おい、無視すんな

 

そうジト目を意識して二人を見つめるとクライさんは半笑いミカヤは不敵に笑った・・・がすぐに引っ込めてしまった。

 

ミカヤ「ミウラ・リナルディ、彼女は強敵だよ、カズマ達の選考会であった時その身のこなしでそう予感がしたんだ、ヴィヴィオちゃん達もスパーリングをしたとき凄いなと思ったけど、彼女もまた強者の風格を持っていた・・・」

 

そう言うミカヤはどこか不安な顔をしていた

 

ミカヤ「不安・・・何だろうね、恥ずかしい話だけど自分が戦いたい相手を見ることで決意をしにきたのかもしれないね・・・・とそろそろ時間だ、私はいくよ」

 

礼を言って立ち上がるミカヤ・・・・らしくねぇな

 

カズマ「ミカヤ、下んない事言ってないで試合に集中してろ・・・・」

 

クライ「・・・・・・・・」

 

ミカヤはキョトンとした表情で、此方に目を向けた。

 

カズマ「俺らも応援してるから・・・まぁ頑張れ」

 

ミカヤ「・・・・ふふ、無責任な事を言うね、こんな美少女が不安がっているというのに冷たいな君は・・・

 

 

ありがとう」

 

そう言って微かに笑ったミカヤはセコンドの(探し回っていたのか涙目)の門下生の子達と選手控え室へと向かっていった。

 

クライ「いいのか?ミカヤの嬢ちゃんばかり応援して」

 

からかうようなクライさんの視線に俺はヴィヴィオ達が座っているだろう客席にチラッと顔を向け、烈火の将が座っている場所にそのまま視線をスライドする。

 

カズマ「あんだけミウラを応援してる奴等がいるんだ

 

 

 

二人くらい応援してる奴が増えても良いだろ?」

 

次第にクライさんがニヤニヤし始めたので目をバルスしておいた俺は悪くない(暴論

 

ーーーーー

 

ミウラ「すぅ・・・・ふぅ・・・・」

 

選手控え室A側にてミウラは深呼吸をしていた。

 

SNS(スーパーノービス戦)は落ち着いて出来たのに、と必死に体を落ち着かせるミウラ。

 

ヴィータ「ミウラ、無理に落ち着かせる必要は・・」

 

ミウラ「いえ!無理をしてでも最高のコンディションで臨まないと駄目なんです。それでミカヤさんに勝てる程あの人は甘くない・・・それに・・・」

 

急に黙りこんだミウラに?を浮かべるヴィータとザフィーラ

 

ヴィヴィオ達から贈られてきた応援メッセージを見てミウラは微笑んで言った

 

ミウラ「このストライクアーツを・・・僕の世界を作ってくれた師匠達に皆に見せたいんです

 

ーーーだから」

 

ーーーー

 

ミカヤ「ふふ、ナカジマちゃんは可愛い弟子をもったものだな」

 

選手控え室Bで精神統一を図っていたミカヤは端末に送られてきたヴィヴィオ達の応援メッセージと画像を見てそうこぼす。

 

その身には、「天瞳流嵐鎧」と呼ばれる武装を身に付け腰には二本の自分の愛刀「晴嵐」を携えている。

 

ミカヤ「ここまで煽られたんだ・・・」

 

ーーー俺らも応援してるから・・・まぁ頑張れ

 

ミカヤ「頑張るさ・・・

 

ーーーだから」

 

二人『勝つ!/勝ちます!』

 

ーーーーー

 

『皆様お待たせしました』

 

興奮が浸透している会場の中、アナウンスがそう告げる

更にざわついていく会場

 

『予選4組、エリートクラス一回戦選手入場です』

 

その言葉に続いて、リングに繋がる両サイドの入り口からミカヤとミウラが入ってきた。

 

突如鳴り響く歓声

 

『レッドコーナーからはインターミドル7回出場、うち5回が都市本選出場!

 

ーー天瞳流抜刀居合師範代、ミカヤ・シェベル!』

 

『ブルーコーナー!こちらは初参戦のフレッシュルーキー!

 

ーーストライクアーツ「八神家」流、ミウラ・リナルディ!』

 

自然体で立ち並ぶ二人に会場のボルテージが上がっていく。

 

『DSAAインターミドル地区予選!次の試合は予選4組、第一試合!、ベテランとルーキー、経歴、体格、使用戦技、あらゆる要素が対照的なこの二人!』

 

『この試合、はたしてどんな結果となるのでしょうか?』

 

ーーーー

 

クライ「やべぇ、知り合い同士が対決する場面って何でこんな緊張するんだ・・・」

 

カズマ「俺はクライさんが緊迫の表情を浮かべて、しかも周りが軽い恐慌状態に陥っているのを見て、いつ警備員に取り押さえられるかと思うと寿命が縮む思いだよ」

 

クライ「え!マジで!?あ!お気になさらずほんっとすいません!」

 

周囲に謝り出すクライさんに苦笑を浮かべていると、見知った気配が近づいてきた。

 

ティアナ「ここにいたのねカズマ」

 

カズマ「ティアナさん休み取れたんですね」

 

ティアナが俺の隣に腰を下ろす

 

ティアナ「まぁね・・・しかし凄い観客の数ね・・・迷っちゃったわ」

 

カズマ「お疲れっす」

 

・・・・てか、近くない?いやまぁ別に良いんだけど・・・役得だし

 

ティアナ「や、役得って・・・」

 

・・・・声に出てた?

 

ティアナ「カズマの試合は?」

 

カズマ「さっき終わったばかりですよ?無論勝ちました」

 

そう言うとティアナさんはクロスミラージュを使い、試合成績を確認し始めた。

 

どこかガッカリしている雰囲気のティアナさんに思わず笑みがこぼれる。

 

ティアナ「「カズマ=ツユクサ(予選1組)

 

一回戦 1R 0分28秒

 

累計被ダメージ 0

 

FB(フィニッシュブロー) 特攻居合 「弐月」」・・・あいっ変わらずね・・・何か清々しくなるほどだわ。」

 

クライ「凄かったぜ?相手に反撃させる暇もなく・・・って言うか残像を引きずる速さって頭おかしいよな?」

 

ティアナ「そうですね、カズマ、貴方はおかしいわ」

 

「おかしい」と連呼する二人・・・あんたら何しにきたんだよ

 

『一回戦は4分4ラウンド、規定ライフは12000ポイント!さぁ、そんな4組第一試合のゴングが今ーーー

 

 

ーーカンッ

 

 

ーーー鳴りました!』

 

ーーー

 

ゴングがなると同時にミウラは駆け出す。

 

ミウラ「(この人の攻撃を全部避けきるなんてどうせ無理なんだ!少なくとも今の僕じゃ!

 

ーーーなら!)」

 

ミカヤ「(ただ闇雲に走っている・・・のではないな、それに彼女の駆け出した時の足跡を見る限り・・・彼の本領は・・・」

 

ーーー天瞳流抜刀居合ーー月輪

 

警戒心を最大に居合の構えをとり自らの領域を作り出すミカヤ

 

ミウラが領域に入り込んだ瞬間ミウラが晴嵐を神速で横に薙いだ。

 

ーーーと同時にミウラは跳躍、ミカヤの一閃をかわし背後におりたつと同時に。

 

ミウラ「(かわせる攻撃はかわして!かわせない攻撃は!)」

 

ミカヤ「(・・・あの位置から一度の跳躍で・・・この子は生粋のハードヒッターだな?なにより刃物を持った相手の間合いの取り方・・・こりゃ手強い)天瞳流抜刀居合「逆月(さかつき)」

 

振りきった刀をそのまま鞘に治め逆の手で収めた刀を再度抜き放ち逆回りの横凪ぎを放った

 

ミウラ「(剣)脚で受け流す!)」

 

ミウラはその一撃を、前蹴りで弾いた!

 

ミウラ「っく!おもっ・・・」

 

 

ミウラ・リナルディ

 

ライフ12000→11500

 

驚愕を浮かべるミカヤにミウラはその薄く細い刀から出ているとは思えない斬撃の重さに顔をしかめつつも更に一歩踏み込み拳を振り抜いた

 

ミウラ「ハンマーシュラーク!」

 

鋭く重い拳はまるで「誘いこまれる」ようにミカヤの腹部に決まーーー

 

ミカヤ「ーーーー」

 

パシイィィィィン!

 

ーーらずにミカヤの掌によって塞がれた。

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE12000→10800

 

クラッシュエミュレート(右手首軽度捻挫)

 

ミカヤ「っ・・・(ご丁寧に拳まで重い・・・拳でこれだ蹴りはあまり喰らえないな)はっ!」

 

ミウラ「っ!?」

 

防いだ手でミウラの拳を掴み自身を右側に踊り込みつつ掴んだ拳を投げ捨てるように左側に受け流した。それにより勢いもついていた事も手伝いまえのめりになるミウラ、その背後に向けて

 

ミカヤ「天瞳流抜刀居合 「水月」!」

 

ミウラ「っうあ!」

 

ズダアアアアアアアン!

 

ミカヤの斬撃が襲った。

 

吹き飛ばされるも、受け身を取り体勢を直すミウラ。

 

ミウラ・リナルディ

 

LIFE

11500→8000

 

クラッシュエミュレート(背部裂傷)

 

ミウラ「はぁっはぁっ・・・っく(強い!)」

 

『す、凄まじい試合です!試合開始直後から高レベルの駆け引き!』

 

ミカヤ「あの体勢から無理矢理前に跳躍して私の技の威力を和らげたのか・・・」

 

 

ーーー

 

ヴィヴィオ「ミウラさん凄い・・・!」

 

ノーヴェ「まさかここまでなんて・・・」

 

その光景に釘付けになる5人とディエチ

 

ノーヴェ「ミカヤちゃんも凄いな、前見たときより更に技に磨きがかかってる」

 

その瞬間僅かにミカヤがよろめいた

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

10800→9500

 

リオ「え!?何でミカヤさんが・・・」

 

ノーヴェ「さっきミウラが咄嗟に放った裏拳が頭に直撃してたからな」

 

コロナ「全然気づかなかった・・・」

 

アナウンス通りの高レベルな攻防に目を見張る4人にノーヴェもまた真剣な顔をリングに向けた。

 

ーーー

 

ミカヤ「こいミウラちゃん!」

 

ミウラ「はい!行かせて頂きます!」

 

8メートルはある距離を一足で詰め、蹴りによる蹴打がミカヤを襲い、またミカヤも応戦する

 

ガギィィン

 

ミウラ「はぁ!」

 

刀と蹴打が弾きあいミカヤがミウラの脚を上に弾きあげる、が直後ミカヤがその場から一歩引き下がり同時に

 

ミウラ「ハンマードロップ!」

 

どがああん!

 

ミウラの弾かれた脚が、勢いを付けて降りおろされた、軽く出来たクレーターに思わず固く息を呑むミカヤ

 

しかし動揺を抑え仕掛け始めた。

 

ミカヤ「しっ!」

 

踵を降り下ろした直後の僅かな硬直を狙い横凪ぎに一閃を繰り出すミカヤ

 

ミウラ「っくーーー」

 

ーーいいか?ミウラもし隙を疲れてそこを突かれたら動揺を相手に知られちゃ行けない、私達が教えた事を最大限活用して冷静に対処するんだ

 

思わず苦悶の表情を浮かべるミウラだったが、彼女の師の一人である女性剣士の言葉を思いだす

 

ミウラ「(脚が直ぐに動かなくても!)」

 

ミカヤ「っ(表情に動揺がーーー)なにっ!?」

 

眼前まで迫ったソレをミウラは両腕の拳で「挟めた」

 

ミウラ「(拳が!頭がある!)ヘッドスパイク!」

 

目の前で行われた白羽取りに流石のミカヤも一瞬固まり、ミウラもそんな隙を見逃す程、「歴戦」の騎士にしごかれてはいなかった。

 

ミウラの頭突きがミカヤに炸裂した。

 

ミカヤ「がっ!?」

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

9500→6800

クラッシュエミュレート(軽度脳震盪)

 

脳内が揺らされた事により体が更に鈍るミカヤ

 

ミウラ「うおおおおおお!」

 

そこへミウラの渾身のブローが入る!

 

がっ!

 

ミカヤ「ぐぅ!?」

 

ミウラ「なっ!?」

 

ミカヤ・シェベル

LIFE6800→4200

 

思考が上手く定まらない状態でも、完全ではないが拳の威力を殺し、尚且つその腕をミカヤは掴まえていた

 

ミカヤ「(カズマに感謝だな、強打撃の恐ろしさと欠点を身をもって教えてくれてなければ、さっきのラッシュが続いて負けていた・・・それにーーー)」

 

ミウラ「はぁ!」

 

すぐさまミウラから放たれた前蹴りを空いている手で押さえ、下に降り下ろす

 

ミウラ「うわっ!?」

 

体勢が頭から沈む形のミウラから掴んだ手を放しミウラの肩に乗っかるように跳び上がり肩を踏み台がわりにして宙へと上がる

 

ミウラ「ゾワ)っヤバイ!?」

 

地面に伏したミウラはすぐさま起き上がり上へ視線を向けた。

 

そこには既に抜刀居合の構えをとっているミカヤがいて

 

ミカヤ「天瞳流抜刀居合

 

ーー霞」

 

神速の太刀筋が上から降り注ぐのをミウラは何とか防御をとるも

 

ギギギィィン・・・・

 

ミウラ「くっ!?うぅーーー」

 

ミカヤ「はああああああ!」

 

防御を烈迫の叫びと共に切り崩し吹き飛ばした!

 

ミウラ「うわああああああ!?」

 

ズダアアアアアアアン!!!

 

先程より凄まじい轟音が会場に鳴り響いた。

 

ミウラ・リナルディ

 

LIFE

8000→1500

 

クラッシュエミュレート(右腕部、左腕部骨折)

 

カーン!とそこで第一ラウンド終了のゴングが鳴った。

 

『こ、ここで第一ラウンド終了!両者とも一歩も引かない凄まじい攻撃の応酬でした!』

 

幾分か緊張した様子のアナウンスが鳴り響く

 

ーーーー

 

クライ「・・・・強いな」

 

ティアナ「えぇ、でも二人ともなんか楽しそう」

 

リングからセコンドの元へ歩いていく二人の微かな笑みを見たティアナがそう呟く。

 

カズマ「・・・・ありゃ何か隠してるな」

 

カズマが呟いた言葉に二人の顔がカズマに向かう。

 

ティアナ「隠してる?」

 

カズマ「はい、多分次ラウンドから出すんじゃないですかね?ミウラも

 

 

ーーーミカヤも」

 

うっすらと笑みを浮かべるカズマはリングから目を逸らさなかった。




誤字、脱字、指摘等ありましたらよろしくお願いします!


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61話ーーミウラ対ミカヤ②極剣対抜剣

お待たせしました!

では続きです!


ヴィータ「大丈夫か?ミウラ、最後でかいの貰っちまったが・・・」

 

2ラウンドまでのハーフタイム、椅子に座り小休憩をとっているミウラに心配そうに声をかけるヴィータ

 

スターセイバーの回復補助により回復はしたが、骨折レベルのクラッシュエミュレートを直すためか、LIFEの全回復までは届かなかった。

 

しかしミウラは先程の攻防に尻込みするわけでもなく、強気な笑みで返してきた。

 

ミウラ「大丈夫です、でもやっぱり「抜かず」に勝ちに行けるほどトップファイターは甘くはなかった・・・

 

ーーー次のラウンド「使います」」

 

二人はミウラの決意にも似た表情を見て若干の驚きの表情を浮かべるヴィータとザフィーラ

 

ザフィーラ「(・・・・いつの間に・・・・この子は・・・)」

 

その目は戦士の目、如何なる苦境にも引かず立ち向かうとする目だった。

 

ヴィータ「・・・ったく!生意気にんな目ぇしやがって・・・

 

ーーー無茶苦茶な戦いしたらスパルタ半日コースだかんな!?」

 

ミウラ「ハンマー怖いハンマー怖いハンマー怖いハンマー怖いハンマー怖いハンマー怖い」

 

その言葉を聞いた瞬間、サーと顔の血の気が引いていくミウラはトラウマを思い出したのか。うわ言のようにハンマー怖いと連呼する

 

その姿に二人は笑い再びリングに戻るミウラを見送った。

 

ミウラ・リナルディ

 

LIFE

1500→10200

 

クラッシュエミュレート全回復

 

ーーー

 

ミカヤ「・・・・・・・・」

 

「大丈夫ですか師範代?」

 

一方ミカヤサイドでは、回復を終えたミカヤに門下生の子が、心配するようにそう言った。

 

ミカヤ「やはり彼女は強いな・・・ルーキーだからって油断はしていない・・・彼女の強さが私の予想を上回ったんだ」

 

ミカヤの独白に門下生は緊張したようすで頷いた。

 

しかし、とミカヤは先程までの不安が無くなっている事に現金だな、と苦笑をこぼす

 

別に勝てない相手だ、とか勝てる相手だ等と決めた訳ではない、そう言うのはいらない

 

ミカヤ「・・・やっぱり、強敵と戦うのは楽しいな」

 

「師範代・・・」

 

ミカヤ「・・・すまない、私はこれから「天瞳流師範代」としてではなくただ一人の「ミカヤ・シェベル」として戦う、「力」で勝てないなら

 

ーーー「力」で相対しよう」

 

天瞳流道場の師範代としての言葉は、いくら門下生でも見過ごせない発言、何故なら居合は「力」ではなく「返す」太刀なのだから

 

しかし尊敬するミカヤの言葉を聞いた二人の門下生は、戸惑う事も、嘆くことも、怒る事も無く、笑顔で頷いた。

 

ミカヤ「・・・・っ」

 

ふと視線を感じそちらを見ると、此方を見るジーク、ハリー達、更に少し離れた所にカズマにクライ、カズマのすぐとなりにいつかノーヴェから聞かせて貰ったティアナがいた。

 

ーーー全く、こっちは勝つか負けるかの瀬戸際なのに君は美女とイチャイチャするとは・・・

 

ーーー応援するから

 

ミカヤ「・・・・全く、君は罪な男だよ」

 

呆れた様に笑い、次には「剣士」の表情のミカヤがそこにいた

 

ミカヤ「(使わせて頂くよ?カズマ

 

ーーー君の技を)」

 

この時、セコンドの門下生はミカヤから底知れない「何か」を感じとったとか。

 

ーーー

 

ハリー「ミカ姉去年より更に強くなってないか?いやまぁ、去年より強いのは当然だけど・・・あのチビッ子もすげぇ」

 

ジーク「ミウラはミカ姉の斬撃にちゃんと反応して対処しとるし、ミカ姉もミウラの攻撃をちゃんと受け流してる・・・これはうちらもうかうかしてられんわ」

 

ハリーの驚いたような声音にジークは真剣な表情で二人の強さを分析しながら返す。

 

リンダ、ルカ、ミアの3人は試合に釘付けでポカンとしていた。

 

ハリー「てかジーク、お前いつの間にミカ姉と仲直りしてたんだよ?少し前まで「ミカ姉に合わす顔がないわ・・・」って落ち込んでたじゃねえか」

 

ジーク「・・・・うん、まぁ、色々あったんよ・・・ほんとに」

 

ジークの感慨深そうな微笑みにハリーは少なからず驚いたような反応をした。

 

去年ミカヤの腕をクラッシュエミュレートを越えるダメージで砕いた時の偉く傷付いた表情を思い出す。かなり抱え込んでいたように感じたが・・・

 

そこでハリーは一週間前の選考会の時、カズマと一緒にいた所を思い出した。

 

ただ、その時の印象は友人のそれとは全く違う何かだが

 

ハリー「・・・・・ほほぅ?」

 

ジーク「ど、どしたん番長?」

 

ニヤケ顔のハリーが困惑顔のジークに質問責めを開始した。

 

ーーーー

 

『さて先程の余韻がまだ残っていますか果たしてこの第2ラウンド、どのような展開になっていくのか!?

 

それではーーー

 

カンッ!

 

ーーー第2ラウンド、開始!』

 

再びリングに戻る二人にアナウンスが再開のゴングを鳴らした。

 

が二人は直ぐに動かずにゆっくりと構えをとる。

 

ミウラ「 ・・・ミカヤさん、僕は本当に不器用で、口下手でドジで、人見知りでおっちょこちょいで・・・何をやってもダメな子だったんです。」

 

ミカヤ「・・・・・・・」

 

急に独白を始めたミウラ、しかしミカヤはじっと聞き入るだけで何も返さない・・・否、返せない、覚悟を決めた小さな戦士に返せる訳がない。

 

ミウラ「ーーーでも、ある人達に差し出して貰った手が、師匠や格闘技との出会いが僕を変えて・・・いや

 

ーーー僕「が」変わるきっかけになったんです、僕の世界が一気に変わったんです。この大会は僕の新たな一歩を踏み出す場所であり、そして」

 

瞬間、ミウラの脚の装甲に変化が起きる、ガキィンと装甲の繋ぎ目部分が開き臼桃色の光、魔力光がその部分へ「集まりだし」その真下には近代ベルカの魔方陣がでかでかと輝いていた

 

 

ミウラは口元に大きな笑みを浮かべ、声高々に言った

 

 

ミウラ「僕をここまで支えてくれた師匠達に感謝を伝える場所なんです!だから勝ちます!勝って!僕は次に進みます!」

 

ーーー抜剣

 

ミカヤ「・・・脚に魔力が集束しているのか・・・それが・・・

集束系魔法(ブレイカー)が君の切り札なんだね・・・・ありがとうこんな最高の試合を・・・だから

 

ーーー「剣士」らしく、それに応じよう」

 

ぶわぁ!!!

 

ミウラ「!?(風!?・・・・いや、まさか・・・これは・・・)」

 

直後ミウラに風と錯覚するような・・・以前、師匠から送られてきた物と似ているモノがミウラに叩き込まれる。

 

ミカヤ「・・・まだ「奴」程扱えるようにはなっていないし、何より凄く疲れるから使いたくなかったよ・・・でもそんなのは傲慢だった・・・本気の相手に対して侮辱しているような

モノだ・・・だから・・・私は」

 

ミウラ「(ーー只の闘気!?)」

 

ミカヤは鋭刃のような鋭い目でミウラを睨み付ける。

 

ミカヤ「君を倒す!」

 

ーーーー

 

なのは「・・・・・何?この感じ・・・」

 

フェイト「ミウラの元に集まっていく魔力・・・とは違うかんじだね」

 

試合の様子を見ていたなのはとフェイトが思わず息を止めてしまう

 

?「遅れてもうた!ミウラは!?」

 

そこへ観客席の上から2人の女性が降りてきた。茶髪の女性とシャマルはなのは達を見つけると二人に駆け寄った。

 

なのは「シャマル!

 

ーーはやてちゃん!」

 

茶髪の女性ー「八神 はやて」その人はミウラの事が気になるのかすぐさまリングに目を向ける。

 

フェイト「今、「開放」した所だよ」

 

はやて「そっか・・・相手の人そんな強いんやな・・・」

 

はやては座らず立ったままリンダ上を見つめていた。

 

ーーーー

 

ミウラ「(何はともあれ!抜剣もまだ長くは持たない!それは向こうも同じはず!)抜剣ーーーー」

 

ミカヤ「(本当に私は現金な女だ、先程まで泣き言を垂れていた自分を切り刻みたい気分だ、カズマに頼んで調教してもらうか?喜んで・・・・いや、逆に大量出血で死ぬな、カズマが・・・・・・とまぁ)」

 

一瞬で距離を詰めたミウラの集束蹴撃がミカヤを襲う。

 

ミカヤ「(ーーー今は楽しもう!この瞬間を!)」

 

ミウラ「ーーー飛燕!」

 

チャージした剛撃をミカヤは

 

ミカヤ「おおお!!」

 

ぎゃりいいぃぃぃい!

 

真っ向から迎え撃った!

 

ミウラ「!?(さっきより遥かに重い!?)」

 

ミカヤ「凄まじい速度だ!・・・去年の私なら力負けしてねじ伏せられていた!

 

ーーしかし、今年の私はその手の攻撃を嫌という程慣らされている!」

 

ミウラ「ーーー(「押し負ける」!?)っは!」

 

ミウラは残った脚で跳び、晴嵐の刃を踏み台に宙返りしながらミカヤの背後に回った

 

ミカヤ「器用だな・・・」

 

ミカヤは腕に循環させていた「エクシード」を今度は脚に回し、ぐっと膝を曲げたと思うと

 

ーーーその場から残像を残して

 

ミウラ「なっ!?」

 

ーーー二刀を構えた状態でミウラの背後に現れた

 

ミカヤ「二刀流抜刀居合

 

「双月」」

 

ミウラ「!抜剣・「砕牙」!」

 

オーバーヘッドの要領でミカヤに放つ

 

ガギィィィィィィ!

 

一瞬の拮抗の後、ミカヤの二刀がミウラを吹き飛ばす

 

ミウラ「っぐぅ!?」

 

ミウラ・リナルディ

 

LIFE

10200→7200

 

ミウラ「ーーー!?」

 

6、7メートル吹き飛ばされたミウラは更にそこから飛び退き距離を離す、着地と同時にミカヤに視線を戻すとミカヤは「天瞳流抜刀居合」とは違う「居合の構え」をしていた

 

ミウラ「(こんなに離れているのに・・・何でこんなにも

 

体がざわつくんだ!?)」

 

必死に第六感が警告を訴える、「ヤバイのがくる」と

 

ミウラ「だから何だ・・・こんなに楽しい瞬間に何を怖じ気付いているんだ・・・・「ミウラさぁん!」っ!」

 

己を叱咤し今打てる最高の一撃を打つため構えをとるミウラに声がかかる、その声は観客席からで、ついこの間知り合ったばかりで、でも凄く仲良くしてくれる女の子達

 

「ミウラぁまっけんなぁああ!」

 

「頑張れぇ!」

 

次いで聞こえる「仲間達」の声、そして師匠達やはやてやシャマル達の見守る眼差し、観客達の声援

 

ミウラ「ーーー皆がここまで押してくれたんだ

 

ーースターセイバー「次のラウンド」は無い、次の一撃に賭けるよ」

 

スターセイバー『了解です!』

 

大きく右足を下げる、いまの自分が放てる最大限の技を放つ為に

 

ミカヤ「君を最高のライバルとして

 

ーーー「女剣士」ミカヤ・シェベル参る!」

 

ーー構えは自然体、相手に気取られないよう利き脚を僅かに引き、腰を落としすぎないように低くし・・・

 

自分の「憧れ」の存在がしていた事を頭で思い出し、覚えている体をその通りに動かす。

 

ーーー

 

ヴィヴィオ「!?ミカヤさんのあの構え!?」

 

アインハルト「はい、間違いないです

 

ーーー兄さんと同じ構え!」

 

ミカヤの構えを見ていたヴィヴィオ達が驚愕に包まれる。

 

ノーヴェ「・・・こりゃいくら集束攻撃でも生半可な攻撃じゃ斬り伏せられるぞ・・・・」

 

ーー

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

クライ「あ、あれカズマと同じ構えじゃ・・・」

 

ティアナ「えぇ、しかも魔力ありきのそれだから破壊力はカズマのそれを上回るわ・・・とんでもない威力なるわよ・・・・」

 

とんでもない奴が産まれちまったもんだ・・・

 

二人がざわつくのを横目にカズマはそう思った。

 

ーーー

 

ミウラ「抜剣ーーー」

 

ミカヤ「「特攻居合」ーーー」

 

ミカヤが10以上はある距離を一瞬で「1」にする。

 

ミウラの魔力が膨大に注がれた蹴撃がそれを迎え撃つ!

 

ミカヤ「ーーー弐月!」

 

ミウラ「ーーー星煌刃!」

 

極限まで極められた刃と星の刃が交差した。

 

ミウラ「はああああああああああ!」

 

ミカヤ「うおおおおおおおおおお!」

 

ピシィ!とミカヤの晴嵐が、そしてミウラの脚の装甲がヒビが走った。

 

ミウラ「(耐えて!スターセイバー!)」

 

ミカヤ「(耐えろ!晴嵐!)」

 

暫くの拮抗、先に負けたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーースターセイバーだった

 

ぱきぃぃん!

 

ミウラ「あ・・・・・」

 

ミカヤ「斬!」

 

降り下ろしの三日月がミウラに刻まれた!

 

ドゴオオオオオオオオン!

 

場外まで吹き飛ばされ壁を破壊して叩き付けられたミウラ

 

ミウラ・リナルディ

 

ダメージ31500

 

LIFE

 

 

カンカンカンッと試合終了のゴングが静まり返った会場内に響いた。




誤字、脱字、指摘等がありましたらよろしくお願いします!


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62話ーー涙とお礼

お気に入り登録感謝です!

UAが50000突破しました!読者の皆様本当に毎度読んで頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いします!

50000突破した記念と言う訳では無いですが、番外編的な話を書きたいと思うのですが、皆さんは何か書いてほしいものとかありますか?よろしければ感想の方に書いて下さい

では続きです。


『試合終了おおお!、予選4組第一試合、2ラウンドの激闘の末、勝利を掴んだのは!

 

天瞳流抜刀居合術師範代、ミカヤ・シェベルだあああああ!』

 

体が動かない、痛みじゃなく、敗北の虚しさで

 

僕の今出せる最高は・・・届かないって鳴り響くゴングの音が歓声が嫌でも理解させてくる、脳が結論を出してしまう。

 

ーーーあぁ、やっぱり負けちゃった、そう現実と僕の体が教えてくれる。

 

こちらに駆け寄ってくるヴィータ師匠とザフィーラ師匠、二人とも顔に必死な顔を浮かべてる。

 

ミウラ「(あぁ・・・ダメだなぁ僕、あんなに心配かけちゃって・・・)」

 

脱力感が体を襲って、ぼーっと空を見上げたままの僕、周りが騒がしいけど全く頭に入ってこない、ヴィヴィオさんと戦ってみたかった。師匠達に警戒させる程の実力を持つレインさんとも戦ってみたかった。他にも戦ってみたい人が山ほどいた。

 

ーーーでも、それも出来ない、僕のインターミドルは・・・夢の舞台は・・・

 

ミウラ「(終わっちゃったんだ・・・)」

 

そう実感すると共に悔しさが滲み出てくる。頑張ったのに、この日の為に努力したのに、皆応援してくれたのに!師匠達に成長した姿を見せるって!

 

ミウラ「そう・・・誓ったのに・・・」

 

視界がボヤける・・・何かが頬を伝う

 

皆ごめんなさい、期待に応えられずに

 

ヴィータ「ミウラ!お前すげぇじゃねーか!」

 

ザフィーラ「・・・今までで最高の出来だ・・

 

ーーーよくやったな、ミウラ」

 

ミウラ「ーーーーーふぇ?・・・・」

 

師匠達は僕に駆け寄ってきて、怒られるかと思いきやヴィータ師匠は満面の笑みで、ザフィーラ師匠は普段の無表情に微かだけどとても嬉しそうな、そんな優しい笑みを浮かべていた

 

ミウラ「な、何で?・・・・僕、負けて、あれだけ師匠達にカッコつけて・・・皆にもーーー」

 

ーーーワアアアアアアアアアアアアア!

 

次いで歓声が聞こえてきた、ミカヤさん(勝者)を讃えるーーー

 

ーーーミウラ選手凄かったぞー!

 

ーーーカッコよかった!

 

ーーーお疲れ様ぁ!

 

ミウラ「え・・・・・・・」

 

呆然とする僕にヴィータ師匠が僕の頭をコツンと弱く叩いた。

 

ヴィータ「あたしらの弟子がこんな声援を浴びてるんだ、喜びはしても、怒ったりなんかするか!」

 

ザフィーラ師匠が倒れ込んでる僕の傍らに方膝をつき、語りかける。

 

ザフィーラ「ミウラ、周りを見てみろ」

 

黙って周囲を見渡すと、ミカヤさんを讃えていた歓声は僕へのお疲れ様コールへと変わっていた

 

『ミウラ選手、成績は予選第一試合敗北となりましたが、試合内容は都市本選3位と高い実績を持つミカヤ選手を追い込む程の大健闘!全国レベルの選手として注目を集めるでしょう!』

 

そんなアナウンスの声に更に沸き上がる歓声と拍手、ヴィヴィオさん達もこちらに笑顔でサムズアップしている

 

同じ八神道場の仲間達は涙を我慢しながらも喜び、シグナム師匠は目があった僕に微笑み頷いた。

 

ヴィヴィオさんのお母さんのなのはさんともう一人の母親と言っていたフェイトさんは拍手をしていてくれて。

 

クライさんは何かを叫びながら拍手をしていて、知り合いだと思うオレンジ色の髪の美人さんも興奮したかのように拍手をしていて

 

カズマさんは、薄く笑って僕に向かってパクパクと口を動かした。何て言ったのかは分からないし口の動き何か読めないけど何でだろう・・・

 

ーーーやるじゃないか

 

そう言っている気がした。

 

ザフィーラ「お前の決意、努力、結果はこの会場の観客

 

ーー何より俺達が認めている、胸を張れミウラ」

 

ミウラ「・・・あ・・・・・・・」

 

はやて「ミウラ」

 

いつの間にかリングに来ていたのか、はやてさんが僕の目の前まで歩いてきた。シャマルさんも潤んだ目で僕を見守っている。

 

僕が何かを言う前にはやてさんは僕を優しく抱き締めて頭を撫でてくれた。

 

はやて「カッコよかったで?頑張ったな」

 

 

ーーーーーー

 

ミウラ「ありが・・す・・・」

 

ヴィータ「おいおい!聞こえねぇぞ?あたしらの弟子なら腹から声出せ!腹から!」

 

 

 

 

 

 

ミウラ「あ"りがどうござう"ぃまずぅ!!!!」

 

 

鼻水や涙でぐちゃぐちゃな僕の顔を師匠達は優しく見守ってくれた。

 

ーーー

 

ミカヤ「ミウラちゃん」

 

「自力」で歩けない私は門下生の子に肩を貸してもらい八神司令達が集まっている元へ進み、泣いているミウラちゃんに声をかけた

 

ミウラちゃんが私に気付き慌てて涙を拭こうとする前に頭を下げた。

 

ミウラ「み、ミカヤさん!?」

 

慌てるミウラちゃんに微笑み、その場で正座をする。

 

ミウラ「あ、あの!何をーーー」

 

ミカヤ「天瞳流抜刀居合術第4道場師範代、そして「剣士」ミカヤ・シェベルとして君に礼を言いたい。

 

とても良い試合だった、ありがとうございました」

 

地面に震える片手を何とか置き、もう片手を乗せて再度頭を下げる。

 

勝者が敗者に何の嫌味か!と思われるかもしれない、でも不安を消し飛ばし、心の底から楽しいと思える瞬間をくれた「抜剣の使い手」のこの子に礼を言いたかった。

 

ミウラ「そ、そんな!頭を上げて下さい!」

 

ミカヤ「そんなに慌てる事はない、ミウラちゃんは寧ろふんぞり返って「せやろ?もうちっとあがめい、キヒヒ」と不敵に笑うくらいが丁度良いんだ。」

 

ミウラ「ミカヤさん!?」

 

ヴィータ「見た目とのギャップがすげぇや・・・」

 

ミカヤ「・・・実際に私もいっぱいいっぱいだったんですよ?体が悲鳴を上げているし、見ての通りこうして肩を貸してもらわなければ歩くことすらままならない」

 

あの瞬間、ミウラちゃんのスターセイバーが後10秒、いや、5秒持ちこたえていたら負けていたのは私だった

 

私は剣腹から砕けてしまった晴嵐を納めている鞘に目を移しつつ、ミウラちゃんを見た。

 

ミカヤ「本当に素晴らしい弟子をお持ちだ」

 

ヴィータ「・・・・・・・・サンキュ」

 

はやて「せやろせやろ!八神道場の超新星やで?ミカヤん♪」

 

『ミカヤん!?』

 

八神司令が久しぶりとばかりに話し掛けてきて、皆が驚いている、全くこの人もサプライズ好きというか・・・

 

「かんさいじん」とやらは皆こうなのかな?

 

ミカヤ「まぁ、その話は追々・・・ミウラちゃん、君はこれからどうしたい?勝者の私が言うのは変かもしれないが・・・

 

 

ーーー諦めるかい?

 

ーーーそれとも、「踏み出すかい」?

 

私としては・・・・いや、この先は君の師匠達にお願いしよう、最後に一言言わせてくれ」

 

ーーー私はもう一度君と戦いたい、君はどうかな?

 

突然の問いに狼狽するミウラちゃん、でもその目は一つの・・・ミウラちゃんの答えを出していた。

 

ミウラちゃんの返答に私が、皆が微笑んだ。

 

ーーーーーー

 

クライ「残念だなミウラの嬢ちゃん・・・」

 

ティアナ「・・・一年努力して結果が出る分、呆気なく終わっちゃうのね・・・何か、切ない・・・」

 

しんみりとしたクライさんとティアナさんがそう言う。

 

確かにそうかもしれない、ミカヤやリア、ジークにしたって負けた相手はインターミドルの為に頑張った一年をそこで終わってしまう。いくら「意味がある敗北」「成長の為の敗北」「次に繋がる敗北」、それが分かっているとしてもその事実は変わらない。

 

リング場からそそくさと退場するミカヤとミウラ達、どうやらアナウンスに急かされたようだ

 

声は聞こえなかったが、口の動きで聞き取れたミウラがミカヤを見据えて言った言葉

 

ーーー僕は、またこのリングに必ず戻ります。そして貴女に勝ちます!

 

・・・・例え、終わってしまったって事実は変わらなくても、そこでその人の物語が終わる訳じゃない。次がある。言い訳したって良いじゃないか

 

カズマ「・・・本人がその事実とちゃんと向き合っていれば、そいつの「戦い」は続く、言い訳は言い訳じゃなくなる」

 

思わず呟いた言葉に二人は一瞬ポカンとしたが微笑んで頷いてくれた。

 

クライ「ヴィヴィオの嬢ちゃん達はミウラの嬢ちゃんに一声かけに行くみたいだがカズマは?」

 

カズマ「・・・・俺は行けないよ、ミウラを応援してなかった俺にあいつに何か言葉をかける資格はない」

 

そういった瞬間二人に溜め息を吐かれた。

 

クライ「・・・・ま、そう言う事にしといてやるか」

 

ティアナ「そうですね」

 

笑いあう二人にむっとなるが、多分「励ましたいけど、どう言葉をかければいいか分からない」って言う事がばれてそうなので無言で返した。

 

カズマ「・・・・クライさん、ミウラに「お疲れさん」って言っておいてくれ」

 

会場内の廊下に繋がる道に消えていく黒い影を視界に納めながら俺は席をたった。

 

ティアナ「?どうしたの?」

 

カズマ「・・・ちょっと野暮用ですね」

 

クライさんは「行ってら」と言って試合の余韻を楽しみたいのか、リングを眺めていた。ティアナは一瞬怪訝な顔をしていたが少しの沈黙の後「分かった」とだけ言い、手を振ってくれた。

 

・・・因みに野暮用と言うのは、さっきからミカヤから届く「私を調教してください」って言うメールの事じゃない

 

 

 

 

 

断じてメールの事じゃない。

 

ーーーー

 

ハリー「・・・・・っはあああ!・・・・緊張したぁ・・・・」

 

ミア「ミカヤさんも凄かったけど、あの初参加のミウラって子も凄かいな!」

 

何かから開放されたようなハリー達とハリーの質問責めから開放されたジーク

 

ハリー「まぁ、あの抜剣娘には悪いがミカ姉が勝ってくれて良かったぜ」

 

本当にそう思っているハリーはひとまずと安心した。

 

ハリー「・・・・でも、ミカ姉が2ラウンドから空気が変わったけど一体・・・

 

どことなくお師匠に似ていたような・・・」

 

そう呟くハリーの言葉を聞いていたジークは思い出したとばかりにハリーに聞いた。

 

ジーク「そう言えば番長は何でカズマの事を「お師匠」って呼んどるん?」

 

リンダ「あ、それあたしらも気になるっす!どうしてですかリーダー」

 

ハリー「・・・・・・・・まぁ、いいじゃねぇか・・・・」

 

余程言いたくないのか、ばつが悪そうに顔をそらすハリーにブーイングの嵐が殺到した。

 

ーーーーー

 

ノーヴェ「・・・ミカヤちゃんが勝ったか・・・」

 

リングから去るミウラ達を見送った、ヴィヴィオ達は深く溜め息を吐いた。

 

アインハルト「・・・・複雑ですね、スパーリングでお世話になったミカヤ選手が勝ったのは嬉しい、嬉しい筈なんですけど・・・・」

 

ヴィヴィオ「はい・・・」

 

コロナ「ノーヴェ師匠、ミウラさんにどんな言葉をかけたら良いですか?」

 

4人がどこかすがるような視線をノーヴェに向ける。何を話していたかは分からない、でも先程のやり取りを見る限りミカヤもミウラもお互いに認めあっている、そんな空気を出していた。

 

どんな慰めの言葉もいらなくても大丈夫だろう・・・・っと分かっていても気になってしまう4人。

 

ノーヴェとディエチは顔を見合わせ、呆れたようなどこか微笑ましいそんな顔をしていた。

 

ノーヴェ「心配なのは分かる!でもミウラばかりを気にしている余裕はないぞ!」

 

ディエチ「負けちゃったミウラの分も頑張らないとね」

 

リオ「私達まで負けたら、意味ないですもんね!」

 

コロナ「・・・・・・・」

 

リオの言葉に皆が頷く中、コロナだけは浮かない顔をしていた。

 

ディエチ「あ、ノーヴェ!次の試合は?」

 

ノーヴェ「っと、確認わすれたっと・・・・次の試合は

 

 

ーーーーエリー選手対レイン選手」




誤字、脱字、指摘等がありましたらよろしくお願いします!


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63話ーー揺れる剣士

遅くなりました!

番外編を考えながら作っていたので時間がかかりました(ただ単に難産だっただけ)

故にグダグダな部分があっても許してくださいm(__)m

お気に入り感謝です!

では続きです!


 

選手控え室に備えられている椅子に座り、歓声が響き渡る会場を思い出す。

 

そしてその歓声を浴びている二人の選手の表情、力の優劣がハッキリしたにも関わらず、二人の顔には陰が一切ない、「あの世界」にもこれ程の規模には遠く及ばないが力試しの大会イベントは存在する。

 

しかし、この世界のそれとは何もかもが違う。

 

ああやって、お互いを尊重しあい、認めあう事はあり得なかった

 

ましてや、優勝したとしても金銭がてにはいる訳でもない、名声を得るわけでもない

 

「精々」が少し有名になる程

 

強さだけを求め「手を汚しすぎた」俺には

 

レイン「やはりこの世界は眩しすぎるよ、フィーネ」

 

昨日カリムから言われた事を思い出す。

いつもなら「関係ない」と済ませる事ができたこの口は何故か何も語らなかった

 

ーーーー語れなかった。

 

レイン「っ・・・・・」

 

この世界に長居しなければ良かった。

 

ーーー嘘だ

 

早くミュールゲニアに戻り強者を探す旅に戻らなくては

 

ーーー・・嘘だ

 

退屈な世界だった

 

ーーー・・・・・嘘だ

 

レイン「・・・・・・・」

 

少しでも気を抜けば思い出してしまう聖王教会の人達、武装隊の連中はこんな無愛想なガキに良くしてくれた、いつもやかましいシャンテは表情ゆたかでいつも突っかかってきた。双子姉妹のオットーはいつも穏やかな顔で飲み物を持ってきてくれて、ディードはそれをふんだくり笑顔で俺にくれる、シャッハは凄い真面目な人なのに事あるごとに勝負を仕掛けてきて・・・・

 

カリムは・・・あの人は「フィーネ」とは声も顔も性格も全然似てないのに、優しく見守ったような眼差しがフィーネと被る・・・

 

レイン「・・・・・・・」

 

また、「逃げてるのか」・・・・

 

カズマ「良いんじゃないか?」

 

ーーー突如背後から聞こえた全てを見透かしたような声に、思わず傾国の剣を鞘に納めた状態で背後に薙いだ。

 

手応えは・・・・無かった。

 

カズマ「おいいいいいいいいい!?」

 

レイン「・・・・・・・っち」

 

カズマ「ねぇ、何で舌打ちをしたの?」

 

いつの間にか背後に立っていたカズマが三角目にしながらこちらを睨んでいた。

 

ーーーー

 

カズマ「・・・・で?次の試合にでるお前が何してるんだよ」

 

レイン「・・・・・・・・」

 

カズマ「・・・・別にいいじゃねえか、たまには「忘れたって」」

 

直後控え室内に濃密な殺気が散らばった、レインを見ると珍しく激情に駆られたレインが此方を睨み付けていた。

 

レイン「・・・・知った風な口をきくな」

 

カズマ「・・・・」

 

レインの口からでた明確な拒絶、こいつは恋人の事になると何故か感情を顕にする。まぁ良いことって言えば良いことなんだが・・・

 

カズマ「分かるさ、この世界に触れて・・・この優しい世界に触れてお前が迷っている事ぐらい、一年しかお前とは付き合いがないがただ過ごしていた訳じゃないぞ?」

 

ーーーこいつは「行きすぎ」なんだよな

 

レイン「・・・・・・・」

 

カズマ「恋人の事を忘れない・・・大事な事だし俺もお前がそう良い奴だから友達でいたいって思ってる。」

 

誰が喜ぶ?友達が常時「辛そうな顔」でいるのを

 

確かにこいつは手を汚しすぎてる、実際に何回も見たからな

 

でもさ・・・

 

カズマ「この世界には・・・「お前の恋人」には関係ないだろ?恋人が喜ぶか?自分の死を鎖に苦しんでるお前を見て」

 

ここにくる途中レインと相手選手の試合に期待して興奮してる人達が大勢いた。

 

レイン「・・・・・・・」

 

カズマ「誰よりも強く、この世のどんな存在よりも強く、何者にも屈しない強靭な心を

 

ーーー前にそう言ってたよな

 

・・・・強さを求めるのに「休息」をしない戦士が、どんなに強くなったって本当に強くなるなんてできるわけないだろ?」

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

レイン「・・・・忘れられるわけないだろ?恋人を・・・フィーネを死なせてしまった・・・あの瞬間、「戦わなくちゃいけなかった」のに刺されたくらいでピーピー言っていたせいでフィーネは死んだんだ・・・

 

ーーー忘れられる?

 

そんな事出来ない・・・」

 

カズマ「・・・・ハッキリ言うぞ?

 

ーーーお前が誰よりも恋人を侮辱してるんだよ」

 

ガタッと大きな音をたてて、傾国の剣を抜き放ち俺の首に添えた。

 

 

・・・・この控え室に誰もいなくて良かったよ・・・

 

此方を射殺さんとばかりに睨み、殺気を叩き付けるレインしかしその奥は揺らいでいて・・・

 

カズマ「大事「なん」だろ?だったら恋人を「枷」にするような事を止めるこった」

 

レイン「俺・・・・は・・・・」

 

カズマ「「逃げて」って「生きて」ってことなんじゃないのかよ・・・実際にあったことすらない俺が何をほざくって思うかもしれない・・・

 

でもお前がそこまで大事にする娘なんだろ?ならそうに決まってる」

 

何も強くなる必要は無い、何て事は言わない・・・

 

カズマ「お前はお前のために強くなってくれ・・・友人からの願いだ、俺としてはこのイベントを楽しんで「息抜き」してほしいと思ってる。

 

ーーーそれにおまえは恋人を「忘れないんだろ」?」

 

 

暫くの沈黙の後、レインは恨めしそうな顔をこちらに向け、傾国の剣をスッとひき鞘に納めた。

 

レイン「・・・・・本当に勝手な事を言う」

 

カズマ「知ってるだろ?

 

 

ーーー俺は自分勝手なんだ」

 

殺気はとうに治まっていた。

 

ーーーーーーー

 

『リングの修繕が終わりましたので、予選4組、次の試合に出る両選手は準備をしてください。』

 

カズマ「む?どうやら邪魔のようだから俺は行くぞ」

 

アナウンスを聞いたカズマはレインに「頑張れよ」とだけ言って観客席に戻ろうと足を動かした。

 

レイン「・・・・・カズマ」

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

レイン「・・・・お前が何を思って説教をしたのかは分からないし、未だにお前の言葉に納得も理解もできてない・・・簡単には変えられない」

 

レインはカズマの反対側を向いていてどんな表情をしているかは分からない。

 

カズマ「・・・・・」

 

レイン「・・・・ただ、お前の言葉は覚えとく」

 

そう言って「選手入場口」に歩き出したレインを見たカズマは溜め息を吐き「そうかい」と言って、口を緩ませ観客席につながる連絡通路を歩き出した。

 

カズマ「ーーーーそうだレイーーーーー」

 

そこでレインに言いたいことがあったのか、振り向いたカズマは見た

 

歩いているレインのすぐ横で一緒に歩いている白いワンピース姿の黒髪の女の子を

 

カズマ「ーーーーー」

 

女の子が此方を向き口を開いて何かを言っている、思わず耳を傾けてしまうが声が出せないのか、口の動きのみになってしまったが

 

ーーーありがとう

 

満面の笑みで確実にそう言っていた。

 

カズマ「・・・・・・」

 

カズマは「気にすんな」と口パクで伝え、静かに微笑み歩き出した。

 

ーーーーーー

 

シェルファ「・・・・・・・」

 

カズマ「・・・・・・・やっぱりシェルファさんだったのか・・・」

 

今日は色んな事が起きるな・・・

 

そう思いながら、「しっかり両腕、両足」が付いている上機嫌なシェルファさんを見た。

 

シェルファ「「恋敵」が体を用意してくれてね、中々調子がいいわ、やはりこの世界はミュールゲニアより遥かに技術が進歩してるのね」

 

カズマ「・・・・試合は?」

 

第二会場で試合真っ最中の筈だが・・・・

 

シェルファ「あぁ・・・私「自ら」相手にしなくても良いような相手だから分身残して転移してきちゃった」

 

キャハっていう感じで笑みを浮かべる彼女は「ただ・・・」と言って不敵な笑みを浮かべた。

 

シェルファ「来週の予選第3試合であたる貴方の友人は中々面白そうね・・・

 

ーーーヴィクトーリア・ダールグリュンって言ったかしら?」

 

カズマは口元がひきつるのを感じながらヴィクターの無事を祈った。

 

シェルファは不敵に笑っていたがすぐさま笑みを消して

 

ーー低頭した

 

カズマ「!?シェルファさん何して・・・・」

 

シェルファ「・・・黙って受け取りなさい、ただ勘違いしないように別に私は貴方を「従うべき存在」と認識した訳ではないわ彼の・・・・レインを慕うもののとしてよ」

 

シェルファは「先程のやり取り」を思い出していた。

 

絶対に自分を許さず、「あの子」を死なせたと言う重責を抱え込み自分を殺し続けたレイン

 

しかし、その壁は目の前の魔力も持たない只の青年によって壊され・・・・るとまでには遠く及ばないが、それでも自分が愛する黒衣の剣士に響いた事が嬉しかった。

 

カズマ「・・・・・シェルファさん、あいつをよろしくお願いします」

 

その問いにシェルファは笑って頷いた。

 

ーーーーーー

 

クライ「遅かったな?何してたんだ?」

 

観客席に戻るとクライさんとティアナさん・・・・と何故かミカヤが俺の座っていた場所に座っていた

 

カズマ「・・・・何でミカヤがここにいるんだ?」

 

ティアナ「何かカズマに用があるって・・・」

 

カズマ「俺に?」

 

頷くティアナさんに?を浮かべているとミカヤが悲しげな目で俺を見てきた

 

ミカヤ「うぅ・・・・「御主人様」何故メールに何も返事をくれないのですか?・・・・放置ですか?弱音を吐いといて、あれだけ楽しそうにしていた私への罰ですか?「どっちか分からんからとにかく放置プレイ」ですか?」

 

 

 

 

 

 

!?

 

 

 

 

 

悲しげな目から一転、涙目で上目遣いでこちらを見上げるミカヤ

 

クライさんもティアナさんもポカーンとしていた。

 

カズマ「と、とりあえず席に座りたいんだが・・・あとバリアジャケット解け・・・」

 

嫌な予感が頭を駆け巡る中、何とかその言葉を絞り出した

 

ミカヤは涙目+上目遣いに荒い息遣いを足して

 

ーーーあろうことか席をたち、そのしたに這いつくばった。

 

 

 

 

 

!?!?

 

いきなりの展開に呆けるどころか、唖然とする俺とティアナさん、クライさんと周りの観客達

 

ミカヤ「はやく言ってくれれば御主人様の椅子ぐらいすぐ務めるのに・・・・」

 

カズマ「務めなくていいからね!?なにこれ?罰ゲーム!?俺の罰ゲームなの!?」

 

そこではっとなって端末をとりだし来ていたメールを確認する。

 

受信メール

 

2475件ーーー

 

カズマ「うわああああああああああ!?」

 

何これ?こっわぁ!こっわぁ!?

 

ミカヤ「御主人様?早く踏んでください!」

 

これ調教じゃなくね?もう済みじゃね!?

 

ティアナ「か、カズマ・・・・あんた・・・・」

 

カズマ「まってぇ!?ティアナさんこれは違うんだって何で俺浮気現場を目撃された奴みたいな反応してんのおれ!?」

 

ティアナさんの悲しげな目が俺を貫く

 

ミカヤ「ーーーさて、と良い感じにほぐれたし、試合もそろそろ始まる、見よっか」

 

そう言って普通に立ち上がり、席に座るミカヤ

 

ーーーえぇ・・・・・

 

ミカヤ「(ふむ・・・中々に恥ずかしいが出来ないことではないな・・・カズマの可愛い顔もみれるし)」

 

ーーーーー

 

『皆様お待たせしました、リング及び場外の修繕が完了しましたので引き続き予選4組の試合を始めます!

 

 

ーーーレッドコーナーからはインターミドル4回出場経験を持ち都市本選出場経験を持つ「魔弾」の異名の持ち主

 

 

アウトレンジシューター「エリー・スタウト」選手!』

 

ワアアアアアアアアア!

 

セコンドを連れた一人の少女が気を引き締めた表情で出てきて反対側のブルーコーナー側の入場口を睨んでいる

 

「大丈夫、いくら強いって言ったって「魔法戦の経験がない一般人」貴方の魔弾の嵐にさらせばすぐ決着はつくわ」

 

「はい!」

 

セコンドの女性からのアドバイスに選手も強気で頷く

 

『ブルーコーナーからは、先の予選1組で圧倒的な実力を見せたカズマ選手同様、一般人競技者選考会で舞台に上がったレイン選手だあああ!』

 

ワアアアアアアアアア!

 

ブルーコーナーの選手入場口から出てきたレインに先程のエリー同様に沸く会場。

 

レインの表情は俯いていて分からないが・・・どこかあしどりが軽い様子だった。

 

『格闘技関係の経歴はありませんが、何とレイン選手聖王教会にて武装部隊の先鋭隊員として頑張っているようです

 

そして!先日の選考会で顕になったドラゴンとの戦闘経験!並みの魔導士ではまず壊すことが不可能レベルの強度を持つ結界を破壊して見せました!』

 

会場内がざわつくのを感じながらエリー選手の顔がひきつって行くのを本人は自覚した。

 

レイン「よろしく」

 

「は、はい!」

 

レインは小さいが「笑って」相手に握手を求めた。

 

その端正な顔立ちと「まるで少年のような」笑みを向けられたエリー選手の顔が僅かに赤く染まったのを?を浮かべたレインは離れて行く

 

レイン「・・・・・フィーネ・・・・俺は・・・・」

 

ーーー恋人の枷にするようなーーー

 

『戦士(ソルジャー)対アウトレンジシューター、真逆のスタイルの両選手さて!どのような試合になるのでしょう!

 

試合のゴングが今!

 

ーーーカンッ!

 

鳴りました!』

 

「っ!」

 

直後エリー選手の周囲に展開される魔力弾その数5発、しかしこの選手の真骨頂はーーー

 

発射された5発、そして即座に生成される5発の弾丸

 

ーー数ではなく、自分が制御できる数の魔力弾を放っては作り接近戦(ミドルレンジ)を許さない事だった

 

5発の弾丸より間を置かずに5発ずつ迫る弾丸の方が驚異だろう

 

レイン「はっ!」

 

頭部を狙ってきた弾丸を抜き放った傾国の剣が逆袈裟斬りで弾く。

 

魔力同士がぶつかり辺りに残光が飛び散る。

 

次いで肩を狙う弾丸を身を捻りかわし、次の弾丸を降り下ろしで弾く

 

その場で後ろに宙返りしながら残り二発の弾丸を弾いた。

 

驚愕で固まったエリー選手を見てレインは

 

レイン「どうした?」

 

そう不敵に笑った。




誤字、脱字、指摘等がありましたらよろしくお願いします!


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64話ーーミカヤとカズマ

すいません!前話投稿の際予約投稿になっていたのを忘れてしまい。

同じ話が複数投稿される形となってしまいました。すいませんでした!

あと番外編ですが今月末までにあげます。お題は「お酒」です。

お気に入り登録感謝です

では続きです!


試合は圧倒的だった、レインが相手の魔力弾を弾いてかわしながら突き進み、近づいたら速度を上げて背後に回り込み怒涛の斬撃ラッシュ

 

第1ラウンドを無傷で1分以内での勝利だった。

 

ただ、終わった直後呆然と座り込むエリー選手に微笑みお辞儀をしたのは驚いたが

 

歓声が鳴り響く中で泣き出してしまったエリー選手あたふたしまくるレインを見ながらミカヤが口を開く。

 

ミカヤ「ーーーやはり都市本選への一番の障害の壁は彼とヴィヴィオちゃんか・・・・」

 

思わずティアナさんが此方にずずいって身を寄せて聞いてきた。

 

ティアナ「ヴィヴィオの事を警戒してるの?ミカヤ選手(小声」

 

カズマ「まぁ、そうですね見ての通りミカヤは「基本」抜刀居合型のスタイル何で、小回りが利いて、尚且つダメージ優先ではなく速度優先のスタイル、その上カウンターも狙ってくるから刀の長さ故にヴィヴィオにはっつかれたら厳しいかもですね(小声」

 

俺の説明に「ほへー」と親しい子供がトップファイターに警戒されるほどの実力を持っていることに興奮と驚きの声をだすティアナさん

 

なんだその返答かわいいなおい

 

クライ「あのーお二人さん、イチャイチャしているところ悪いんだけど・・・・」

 

カズマ「なっ!?ち、ちゃうわ!そ、そんなイチャイチャしてへんわ!?」

 

クライ「キャラぶれてんぞ?」

 

恐る恐るティアナさんを見ると、顔真っ赤にして俯いて何かを呟いていた。

 

ティアナ「ザオラルザオラルザオラルザオラルザオラルザオラルザオラルザオラルザオラル・・・・・」

 

復活の呪文!?

 

ミカヤ「あぁ・・・そうだカズマ、君は私服姿で縛られる私と袴姿で縛られる私とどっちがいい?

 

・・・でも試合で喰らう痛みには慣れているんだが、そういった「プレイ」での「パシン」とか「たら・・・」とかは恐くてね・・・・良ければなるべくソフトなプレイを・・・」

 

まだ続いてるの!?お前もぶれねぇな!?・・・・・・いや、まぁ、ね?興味ないって事は無いんだよ?

 

本当だよ?少し、ほんのすこぉしだけどね?

 

でもさ、仮に「縛(や)る」場合ってさちょっと上級じゃん?え違う?

 

 

 

 

嘘でしょ(戦慄)

 

カズマ「・・・まだ気が早いんじゃないか?次の試合もあるんだろ?」

 

ミカヤ「勿論油断等しないさ、「君との稽古」でそれは散々分かっているからね」

 

ま、こいつがそう言うんなら大丈夫だろ

 

ティアナ「そう言えばカズマとミカヤ選手って何時から知り合いなの?」

 

クライ「あ!それ気になるな俺も」

 

復活したティアナさんが思い出したと言わんばかりにそう言った、クライさんも同調する

 

ミカヤが顎に手を添えながら軽く思い出すように目を閉じた。

 

カズマ「・・・・・・・」

 

ミカヤ「・・・丁度今から9ヶ月と一週間・・・かな?・・・うんそうだね、私が去年のインターミドルの都市本選でジークに負けて意気消沈していたばかりのころだね・・・・

 

たしかあの時・・・・」

 

ーーー!?

 

あれ!?こいつと出会った時って確か!?

 

カズマ「ちょ、まて!ミカーーー」

 

「あの醜態」を思い出した俺はミカヤを阻止しようと待ったをかけるも、懐かしそうな笑みを浮かべて興味津々の様子のティアナさんとクライさんに言った

 

ミカヤ「ふとした拍子に転んでしまってね、当時腕を壊して包帯を巻いていた私は上手くバランスを取れずに倒れてしまってね

 

まぁ、そのなんだ?上と下の下着が丸見えになるほどはだけてしまったんだ、で、そこを通りかかったカズマに見られてしまい悲鳴をあげようとしたらカズマ、まさか鼻血を噴射して反対方向に吹き飛んだんだ」

 

ティアナ、クライ『ぶふぉおお!?』

 

こ、こいつらぁ・・・・・

 

体を震わせ恨めしげに睨み付ける俺をミカヤ(元凶))は嬉しそうに見ていた

 

カズマ「(・・・・ま、俺もこいつとの付き合いがこうも長くなるとは思わなかったが)」

 

てかいつまで笑ってんだよ(# ゜Д゜)

 

 

ーーーー

 

ミカヤ「ふふ・・・」

 

その様子を笑ってみていたミカヤはふとカズマと出会った・・・・というよりは遭遇?した時の事を思い出した。

 

ミカヤ「(まさか、あれからも付き合いが続くとは思っても見なかったな・・・)」

 

ーーーー

 

去年6月某日

 

クラナガン南部市街地にて、袴姿のミカヤ・シェベルがぼーとした表情で路地を歩いていた。

 

門下生の子達に「息抜きしてください!」と閉め出されたためだ。

 

出てきたは良いものの何の娯楽があるのかも分からないし、ましてや腕も医師から「なるべく自然治癒に任せた方がいい、体が変な癖を覚えずにすむ」と言われているため、何もしようがない為ただ散歩と称した何かを淡々と行う

 

ミカヤ「・・・・・・・」

 

ーーー一方的だった。

 

途中までは自分で言うのもなんだが、あの「次元世界女子最強」ジークリンデ・エレミアーージークーーにひけをとらないいい勝負をしていたと思う

 

でもあの時、最高のタイミングで放った「天瞳流抜刀居合ーー水月」が最高の当たりを喰らわした時、あのこの「スイッチ」が入れ替わった時

 

一方的な蹂躙が始まった。

 

ーーー五体の人体破壊エミュレートに続き、腹部の臓器損傷エミュレート極めつけに左腕のエミュレートを越えての骨折

 

怖いとかは無かった、格闘技では無くとも剣の道を進む自分にとって怪我は付属品みたいな物と思っている。

 

ーーー何も出来なかった。

 

此方が目で終えないレベルのスピード、「イレイザー」級の攻撃、無惨に砕けた愛刀(晴嵐)そして、悔しげにジークを睨み、膝まずくしかなかった自分

 

ミカヤ「・・・・・・ふぅ・・・・喉が乾いたな」

 

正直に言えば、辛かった。後遺症とか変な癖をとか、どうでもいいから腕を治して未熟な腕を最強(ジーク)に届かせる為の鍛練をしていたかった。

 

どこか歯痒い思いの中、ちゃんと前を向いて歩いてなかったせいか躓いて転んでしまった。

 

ミカヤ「ーーーっ!」

 

前のめりに転んでしまい、治療中の腕が地面に向かっていくのに気付き冷や汗がぶわっと全身にかくのを自覚しながら、必死に左腕を庇って反転して倒れこんだ。

 

ミカヤ「いてて・・・・ははは、何してるんだろ私・・・・」

 

こんな姿を門下生の皆に見られたらまた心配をかけてしまう、そう思い痛むからだを無視して起き上がろうと顔を上げる。

 

?「・・・・・・・・・」

 

すると通りかかったのか同い年ぐらいの男性がポカンとした表情で此方を見ていた。

 

ミカヤ「?どうかしまーーーー」

 

聞こうとして気付いた、ミカヤの袴がさっきの転倒でおかしな転び方をしてしまったのが原因なのか、胸部ははだけていて、下も帯がほどけてしまったのか、下着が丸見えだった。

 

時が止まったかのように、固まる二人

 

ミカヤは徐々に自身の顔に熱が溜まっていくのを感じた、次いで羞恥心が天高く舞い上がってくる。

 

ミカヤ「ーーーきゃあa」

 

カズマ「ぶぶうぅぅぅぅうううう!?」

 

悲鳴をあげようとして、目の前の青年が白目を剥き、鼻から血を吹き出しながら後ろに吹き飛んでいき

 

カズマ「ごっぱあぁああ!?」

 

ミカヤ「ええええええええ!?」

 

道路を飛び越え反対側の建造物の壁に突っ込んだ。

 

すぐさま身なりを整え、青年の元へ駆け寄る。

 

ミカヤ「だ、大丈夫ですか!?」

 

声をかけ安否を確認するミカヤ、青年はピクピクと痙攣をお越しながら口を開こうとしていた。

 

?「・・・・あ・・・ぅ・・・・」

 

ミカヤ「喋っちゃ駄目です!今すぐ救急車をーーー」

 

?「・・・・く・・・らいさん、はかますが・・・たに、くろは・・・

 

 

ーーーせいぎごほおおおお!?」

 

思わずみぞおちに左腕で止めを刺してしまったミカヤを誰が責められようか?(←

 

そして「くらいさん」って誰?と思ったのだった。

 

ーーーー

 

ミカヤ「(あれから半年以上か・・・・・)」

 

目の前でギャーギャー騒ぐ3人を見る。

 

本当にカズマには救われた。言い過ぎかもしれないけどカズマがいたから私は「わたしを」取り戻せたと思っている。

 

天瞳流抜刀居合の師範代として一つの道場を任される責任、トップファイター選手として周りの期待に応えなきゃ「いけない」と思い込んでしまい抱え込んだプレッシャー

 

一度「リセット」できた時に確認できた「強くなりたい」と言う初心

 

ーーーまぁ、偏見かもしれないが強さを求める人が欲しいものって歓声とか期待じゃなくて、ただ単に「強さ」なんじゃないのか?

 

ミカヤ「カズマ」

 

カズマ「なんだ、諸悪の根源」

 

ジト目で睨んでくるその瞳が「愛しい」

 

・・・でもこの鈍感男は既に気になる異性が要るようだ。

 

前々から分かっていたけど、いざ自覚すると悲しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミカヤ「貴方を愛しています」

 

まぁ、私には関係ないが。

 

クライさんはその強面に「お?」と面白そうな物を見つけたと言わんばかりに顔を変形させて

 

ティアナさんは「!?」と驚愕と焦燥の表情を浮かべて

 

カズマ「・・・・・・・・・」

 

カズマは、時が止まったかのように固まっていた。

 

悪いねティアナさん、ジーク・・・私はこう見えて欲張りなんだ。

 

離れた席にいるジークが何かを感じ取ったかのように辺りを見渡しているのが目に映った。

 

ーーーー

 

アインハルト「む!?敵襲!?兄さんの身(貞操)が危ない!」

 

ピキーンと何故か頭の黒いリボンだけが逆立つアインハルトに選手入場口に向かったヴィヴィオ意外のメンバーがギョッ!とアインハルトを見る。

 

ノーヴェ「てかそのリボン何なんだよ!?なんでリボンだけがたってるんだよ!センサーか!?妖怪センサーなのか!?」

 

リオ「む・・・・お兄ちゃんがイチャイチャしてる気配がする」

 

どうやら妖怪センサーではなくブラコンセンサーな模様。

 

ディエチ「ふふ、カズマはモテモテなんだね?・・・あれ?オットー、ディードは?」

 

オットー「ディードならレインに労りの言葉をかけにいってますよ?ディエチ姉様」

 

ノーヴェ「のほほんと会話してないで、こいつらとめるの手伝ってぇ!?」

 

微笑みあうディエチとオットーのすぐ脇でアインハルトを羽交い締めしてバインドでリオをがんじがらめにしているノーヴェが悲鳴をあげた。

 

アインハルト「これしきの苦難!私の覇王の力の前では無力に等しい!」

 

ノーヴェ「その台詞は試合中に言ってぇ!?」

 

リオ「お兄ちゃんの背中と肩、首裏はこの私の固定ポジションだよ!アインハルトさんにもルールーにもヴィヴィオにも渡さないんだから!

 

だからノーヴェ師匠放して!?お兄ちゃんの元へ行けない!」

 

ノーヴェ「お前が行くのは控え室ぅ!てかお前らそろそろ試合近いだろうが!?」

 

コロナ「・・・・・・」

 

ノーヴェが絶叫を上げるなか、ディエチと話していたオットーはコロナが何処か浮かない顔をしているのに気付いた

 

オットー「・・・・・(コロナお嬢様?)」

 

ーーーー

 

ヴィヴィオ「はぁっ!」

 

ヴィヴィオの放った拳が相手に防がれる。

 

「っこのお!」

 

カウンターを放とうとしてくる相手選手、しかし「作った」隙に相手が気づくはずもなく。

 

ヴィヴィオ「(カウンターは!)」

 

目前まで迫った拳に対して地面に伏せてかわす。

 

かわすと同時に右手を支点に逆立ちをして相手の首に巻き付けるヴィヴィオ

 

ヴィヴィオ「(私の専売特許だよ!)」

 

「え!?」

 

自由になっている左手で相手選手の右足に手刀をかます。

 

「うわぁ!?」

 

右足が地面から離れ、軽くパニックになった相手選手に巻き付けた足を地面に降り下ろした。

 

ヴィヴィオ「ロック・ダウン(拘束の打ち下ろし)!」

 

「あぐぅあ!?」

 

エリン・ロロルド

 

LIFE

10100→5700

クラッシュエミュレート

両肩脱臼

 

 

地面に当たる直前で足を放して投げ下ろす状態にし、打ち付けられた相手選手は軽くバウンドした。

 

支点にした右手で跳ね起きるヴィヴィオ、その左腕は既に打ち出す準備を完了していた。

 

ヴィヴィオ「拳閃必中!

 

ーーアクセルスマッシュ!ブーストドライブ!」

 

瞬間、相手選手に視認させない速さの拳が相手選手に突き刺さり瞬間魔力の逆方向への放出により威力が底上げされる。

 

「きゃああああああああ!?」

 

強化された拳が相手選手を場外まで吹き飛ばした。

 

エリン・ロロルド

 

LIFE

5700→0

 

ダメージ

10600

 

『し、試合終了ぉ!ヴィヴィオ選手カウンターアタックからの強打技派生のラッシュで1ラウンドK.O!勝利を掴みました!』

 

試合終了のゴングが鳴り響き、次いで歓声が鳴り響く。

 

ヴィヴィオ「やった!」

 

ウェンディ「いやー、なんか本当に強くなったすね・・・ま!お疲れさまっす!」

 

ヴィヴィオ「ありがとうね!お兄ちゃん見ててくれ・・・

 

ああああああ!?お兄ちゃんイチャイチャしてるぅ!!」

 

その後ヴィヴィオがカズマの座っている席に殴り込みに行き、ヴィヴィオの機嫌とりをするはめになるのは

 

ざまぁ☆

 

ヴィヴィオ「むぅぅぅぅう!」




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65話ーーティアナの思い

お待たせしました!

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では続きです!


ヴィヴィオ「お兄ちゃんちゃんと見てた!?ミカヤさんとイチャイチャしてたでしょ!?」

 

カズマ「ち、ちゃんとみてたお・・・・」

 

ヴィヴィオ「じゃあ!私のFB「フィニッシュブロー」は何!?」

 

カズマ「・・・・・・メテオ「隕石」ストライク「衝突」?」

 

ヴィヴィオ「何その物騒な名前!?やっぱり見てなかったんだ!」

 

ボーとしながら目の前で起きている一方的な兄妹喧嘩を眺める。

 

ヴィヴィオはよっぽどご機嫌ななめなのか「激おこプンプン丸だよ!」と言わんばかりにカズマに詰め寄っている。

 

カズマは謝り倒しながらもどこか上の空だった。

 

ティアナ「・・・・・・・」

 

突然のミカヤ選手の告白に思考が上手く定まらない。

 

初めてみた、カズマの「あんな」表情。

 

嬉しいけど、否定しなきゃ「いけない」、そして

 

ーーーー俺なんかが

 

そんな色んな感情が入り交じったような表情だった・・・・もしかしているのかな・・・・好きな人・・・

 

精神統一せねば、と次の第二試合にむけて昼食を兼ねて選手控え室に行ったミカヤ選手がそんなカズマの顔を見て言った言葉を思い出す。

 

ーーーすまないカズマ、君を混乱させたいわけではないんだ、ただ覚えていておいて欲しい、今回ばかりは嘘偽りない私の気持ちだと。

 

その言葉はカズマ、というより私「達」に向けられているように感じた。

 

ティアナ「・・・・・(何だろう、この不安な気持ち・・・)」

 

先程までのコントを見ていてそれが冗談だって済ませられたらどれだけ良かったか

 

ティアナ「・・・・(でも、無理だよ 、だってあの時のミカヤ選手の顔、私やジークと同じだもん・・・・)」

 

毎日見てる自宅の鏡に映ってる彼の事を考えているときの私の顔と

 

焦っちゃうなぁ・・・仕事上会えないことの方が多いし、反対にジークやミカヤ選手はカズマといつでも会えるのよね・・・

 

素直に羨ましい、ああやって自分の想いを打ち明けられるなんて、私は自覚してから1年以上経っているのにできてない

 

恥ずかしいとか、そんなんじゃない「怖い」、ただ単純に

 

断られたら怖い

 

そのあとの事を考えるのが怖い

 

もし、違う子が好きだからと言われたら怖い

 

関係が壊れてしまうのが怖い

 

怖い、怖いよカズマ・・・

 

クライ「ティアナの嬢ちゃん」

 

ティアナ「クライさん・・・」

 

クライ「焦ることはねぇよ、言い方は悪いがカズマは優柔不断な所あるし、恋愛もしたことないし何気に超奥手だしムカムカしてしまう事もあるかもしれん」

 

考え込んでしまう私にクライさんが見かねたのか話しかけてくれた。

 

クライ「あいつは気付いてるんだよ、ミカヤの嬢ちゃんはちと予想外だったかもしれんが、少なくともティアナの嬢ちゃんとジークの嬢ちゃんの気持ちは、でもさあいつの性格分かるだろ?」

 

ティアナ「・・・自分の事は二の次」

 

「俺は自分勝手」なんて言いながら、関わる人一人一人の事を真剣に考えて、救ってしまう。

 

私も・・・そんなカズマだから惹かれたんだ。

 

最初は憧れだけだった。相手が何だろうと気にせず救おうとした人達全員を救ってしまうその姿に

 

でも、優しいとことか、面倒見がいいとかとか、初なとことか、ボケたりするところとか、欲しい時に欲しい言葉をくれるとことか

 

そういう所を見て、感じて、好きになって・・・

 

ティアナ「・・・支えたいって思ったんです。」

 

クライさんにそう呟きつつ、何気なくリングを見る、今から第二回戦のようだ。

 

ヴィヴィオ「じゃあ頭撫でて下さい!」

 

カズマ「・・・・・・」

 

ヴィヴィオ「えへへ・・・・」

 

・・・・全く、この男は・・・

 

そんなのほほんとした場面見せられたら悩んでるこっちがバカバカしいわ・・

 

てかヴィヴィオが羨ましい・・・

 

クライ「痛ましくはあるけど、ああやって周りを不安がらせないように振る舞うあいつはすげぇと思う。

 

・・・ほんと、俺には過ぎた友人だ」

 

嬉しそうな、「寂しそう」な笑みを浮かべるクライさん

 

クライ「ただ、気にくわないのが抱え込んだまま誰にも相談せずに一人で何でも片付けようとしちまうとこなんだよな・・・」

 

あ、それ分かるわ

 

カズマって頑なに話そうとしないのよね、「待ってて」って言われて、本当に解決するまで何も言ってこないし・・・あれのせいで「信用されてない !?」って何回塞ぎこんだと・・・・・・

 

『只今より、予選第二回戦を始めたいと思います、次の出場選手は直ちに準備をしてください』

 

私が内心でクライさんに同意しているとアナウンスがながれた。

 

カズマがハッとなり、いそいそと立ち上がる。

 

カズマ「次俺だ、行ってくるわ」

 

どこか動揺した様子のカズマ、流石にオコなヴィヴィオも気付いたのか心配した様子でカズマを見上げている

 

カズマはその視線に気付いたのか不敵に笑ってヴィヴィオの頭を撫でている。

 

ティアナ「あ、か、かずーーー」

 

カズマは私が口を開いたのを察したかのように気まずそうな顔をして此方を向いた。

 

クライさんの先程の言葉を思い出す。

 

自然と顔に熱が集まるけど無視して今、カズマに伝えたいことを伝える。

 

ティアナ「試合頑張って!」

 

・・・本当は伝えたいことは山程ある、でも今はこれでいい

 

カズマは私の応援に何かを感じ取ったのか瞠目したあと、ふわりと笑って「はい」と行って今度こそその場を去って行った。

 

ティアナ「・・・・・・・・」

 

やっぱり好きだなぁ・・・

 

ーーーー

 

はい!皆の主人公カズマ=ツユクサだよぉ!

 

はいそこの作者ぁ!主人公の後に(虚)とか書こうとするの止めてね?

 

ん!ん"ん"!

 

っとまぁ・・・何ですかなぁ・・・凄いパニックになってるよ・・・まさかミカヤが・・・

 

正直どうすれば良いのか分からない、今まで友人で居てくれたミカヤにどう返し、どう接すれば良いのか・・・・分からない

 

そう思ってたらヴィヴィオに心配されてしまった。

 

情けない、不敵に笑って頭を撫でて安心して貰うも、内心では 様々な感情が交差している。

 

何よりティアナさんの目の前で告白してきた事が困惑に繋がっている

 

何故か申し訳なさで息が詰まる思いだ。

 

ティアナ「あ、か、かずーー」

 

リングに向かおうとしたときにティアナさんに呼び止められる、反射的に逃げ出したくなってしまうがそちらへ体を向ける。

 

ティアナさんは動揺した様子を見せつつ、はっきり俺の目を見て口を開いた。

 

ティアナ「試合頑張って!」

 

それだけの短い応援、でも、都合が良すぎるかもしれない、都合の良いように解釈したかもしれない

 

でも、何故か俺には「待ってるから」そう聞こえた。

 

それだけでゆっくり考えて、答えをだして欲しい、そう言ってくれているように聞こえた。

 

カズマ「・・・・・・」

 

自然と笑みが浮かび「はい」と答えた。

 

ーーーーー

 

『お待たせしました!只今より予選1組、第二試合を開始します!

 

ブルーコーナーからは珍しいスタイル、剣と槍、果ては銃まで使いこなす遠近万能型のマルチスタイル、初参加とはいえ大会での活躍を期待されている選手

 

カリーナ・ククル選手!』

 

アナウンスの紹介で、ブルーコーナー入口から、金髪ロングの女性が自信に溢れた表情で参上した。

 

人気があるのか、歓声が凄い

 

『続きましてはレッドコーナーからはまだ一戦しかしてないとはいえ、圧倒的な実力を見せた木刀使い!

 

他にも徒手空拳をも使いこなすとデータがありますが!

この試合はどうするのか!

 

カズマ=ツユクサ選手!』

 

刃鐘を腰にぶら下げたカズマがリングに上がると、歓声がたちまち鳴り響く。

 

カズマが相手選手にあいさつすると、相手選手もどこか緊張した様子で低頭を返してきた。

 

「あ、あの!今日はよろしくお願いします!」

 

カズマ「こちらこそ」

 

差し出してきた手を握り返す。

 

『試合前に握手を交わす両選手!会場内から拍手が飛び交います!』

 

30秒後・・・・・

 

 

「・・・・・・・・・////」

 

カズマ「・・・・・・・・・(あれ?長くね?)・・・あの、そろそーーー」

 

「本物だぁ・・・「あの」カズマさんの本物の手だぁ・・・えひひ・・・」

 

!?

 

いつまでも握ってくる相手選手、固まってしまったカズマが握手の続行を拒まない(固まってしまい離せない)様を見て気をよくしたのかにぎにぎしてくるしまつ

 

『あれ?長くね?・・・か、カズマ選手?カリーナ選手?あの、良ければ試合を開始したいのですが・・・・』

 

「あは、くんくん・・・はぁ・・・」

 

『カリーナ選手ぅぅぅぅう!?ち、ちょっ・・・カズマ選・・・固まってる・・・』

 

「すいまっせん!ほんとすいまっせん!この子カズマ選手の大ファンでして・・・ほんと勘弁してください!」

 

驚愕した様子のアナウンスとざわつく観客席にセコンドと思わしき男性がリングに上がってきて謝りながらも、相手選手の頭をひっぱだいた

 

「いた!?な、何するんですか!?今、至高の瞬間を楽しんでいると言うのに・・・」

 

「ばっきゃろう!?頼むから試合してくれ!」

 

ガー!と怒るセコンドの男性に、相手選手はブーブー言いながらもカズマから手を離す。

 

『ほ・・・・で、では気を取り直して!ーーーー』

 

カズマ「・・・・・・やべぇ、こんなに手をにぎにぎされたの初めてだ・・・・ヴィヴィオ達とはまた違う柔らかさ・・・・」

 

『カズマ選手ぅぅぅぅう!?』

 

安心した様子のアナウンス、選手紹介を続けようとしてカズマの呟いた一言に叫んでしまった。

 

カズマ「あ、いいっすよ!続けて!」

 

『・・・・・・えー、では超近距離型(カズマ)対遠近万能型(カリーナ)!どのような試合運びとなるのでしょうか!』

 

流石はプロ、見事に何も無かったかねように振る舞う声はきっと次元断層が起きても変化しないであろう堂々としたものだった!

 

例えアナウンス室で複雑な顔でリングを映すモニターを眺めながら放送していたとしても、立派だった!

 

更に言えば、カズマが相手選手(美少女)に手をにぎにぎしてもらっている時点で血涙と歯軋りが酷くなりながらも放送していた!流石だ!

 

『では試合のゴングが今!

 

ーーーーーカンッ!

 

鳴りました!』

 

「行きますカズマさん!

 

モード「ガンシューター」」

 

手に持っていたペンダントが光り、一瞬で機関銃みたいな武装が電子変換された

 

その銃口をカズマへ向ける相手選手、未だ構えつつも動かないカズマに引き金をひこうとして

 

「っ!?「ランサー」!」

 

即座に機関銃をパルチザンへと電子変換して、真正面にガードをするように構える。

 

ーーーがきぃぃぃぃぃぃい!

 

間一髪で目の前に現れたカズマの刃鐘のうち下ろしを防ぐ事に成功ーーー

 

「っ!(おっ・・・・もっ・・・!魔力で身体強化(ブースト)もしてるのに!?)っくぅ・・・」

 

したものの、とても魔力なしでは考えられないような剛力に冷や汗が流れた。

 

カズマ「・・・・流シ斬り」

 

「え!?」

 

カズマは力を一瞬ぬく

 

押し返そうと力を込めていた相手選手がカズマがいる方へ倒れこむ

 

カズマはその場で倒れこむ相手選手の背後に回り込むかのようにターンをして、押し返された瞬間にその勢いに流されるかのように上へと振り上げていた刃鐘を背後に叩き込んだ。

 

バシィ!

 

「っうぐっ・・・・」

 

カリーナ・ククル

 

LIFE

12000→10200

 

クラッシュエミュレート

背部打撲

 

一撃を貰った相手選手は喰らった瞬間に前に飛び込みダメージを軽減させると共に「避けた」、直後その空間を神速の二撃目が薙いだ。

 

カズマ「・・・・っ!」

 

「はぁ!はぁ!(危なかった!「捕まった」ら負けるとこーーーー

 

かわした相手選手、しかし横に薙いだ剣筋は途中で習性を無視したように軌道を薙ぎから突きに変わった。

 

「なぁ!?(切り替えが早すぎる!)っく!」

 

突きの軌道を読み取りパルチザンの穂先で剣先を逸らそうと木刀に沿わせ

 

カズマ「ーーーー」

 

「ええ!?」

 

ーーーて弾こうとして、逆に絡めとるようにして弾かれた。

 

そして眼前から残像を残し姿を消すカズマ

 

あわてて、周囲を探そうとして

 

悪寒を感じ、本能に任せて背後にパルチザンを薙いだ。

 

キイィィィィン!

 

甲高い金属音が響き渡る

 

カズマの剛力に身体強化をした腕力でぶつけーー弾きあった。

 

カズマ「しっ!」

 

しかしカズマは弾かれた反動を利用して一回転して、後ろ回し蹴りを脇腹に放った。

 

ミシッ!と骨が軋む音と共に吹き飛んだ

 

「ーーーガァッ!!」

 

カリーナ・ククル

 

LIFE

10200→5100

 

クラッシュエミュレート

あばら骨、3、4番骨折

 

『カズマ選手!ここで回し蹴り!強烈な一撃が入りました!』

 

「ーーーく、うぅ・・・」

 

カズマ「(そうだよな、今は試合に意識を向けよう、相手にも失礼だしな)」

 

呻きながらも立ち上がった相手選手の目を見つつ、肩に貰ってしまった一撃の跡を見て笑った。

 

カズマ=ツユクサ

 

LIFE

12000→10600

 

『おっと!カズマ選手にダメージが!?(ボソッ え?何があったの?』

 

カズマ「・・・特効居合術ーーー」

 

「・・・・カズマさん、私貴方と戦えて・・・憧れの貴方と戦えて、嬉しいです

 

モード「クレイモア」」

 

擬似痛覚で骨折に近い痛みを感じている筈なのに、電子変換で機関銃パルチザンから大剣へと変える相手選手

 

カリーナ・ククルは幸せそうに笑みを深め、大剣を構えた。

 

カズマ「ーーー剣閃(いただき)」

 

横に一閃、ただそれだけの技なのに、反応して見せた相手選手の大剣を一瞬で「8」から「1」にしたカズマの刀が破壊して、「エクシード」を附与した一撃が相手選手へと見舞われた。

 

ズガアァァァァァァン!

 

「あっ・・・・・」

 

リングの中央から場外の壁に叩きつけられる相手選手

 

カリーナ・ククル

 

LIFE

5100 →0

 

ダメージ24000

 

試合終了のゴングが会場内に響きわたった。

 

カズマ=ツユクサ(予選1組)

 

1R 1分20秒

 

累計被ダメージ1400

 

FB 特効居合術「剣閃(いただき)」

 




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66話ーー一方その頃

やっと投稿できました、遅れてすいませんm(__)m

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では続きです!


インターミドルチャンピオン大会運営本部室

 

デスクに備えられているテレビに映っている試合を見ていた運営委員長は一言も言わず、無表情のままただモニターを見ていた。

 

「・・・・・・・・」

 

『試合終了おおおお!カズマ選手!強烈な一撃を叩き込み決着を着けました!

 

試合終了のゴングが鳴り響きます!

 

カズマ選手、カリーナ選手に握手を交わします!笑顔で讃え合う二人に惜しみ無い拍手を!』

 

興奮した様子のアナウンスと画面から聞こえてくる拍手や歓声を聞き流しつつ委員長は嘆くように呟いた。

 

「・・・・しっかし、理不尽な程の強さね・・・なんなのよ・・・」

 

ーー何よりその舞台にあんたが立っていた事を忘れないでくれ

 

ーー試合は最後まで見ろ!

 

「・・・笑ってる・・・」

 

リングに立つ男女、かつて・・・いや今でも忌避している光景に立つカズマとカリーナは、両方笑っていた、まるで「楽しかった」と言わんばかりに

 

自分の時はどうだった?

 

思い浮かべるまだ運営委員長が現役「トップファイター」だった頃、完膚なきまでに叩きのめした相手選手(男)は自分をどんな目で見ていた?自分は見下していた。それだけははっきり覚えている。

 

分からない

 

試合が終わってそうそう「逃げだした」自分には分からない。

 

「・・・・・・・」

 

今更になって気になりだした運営委員長は電子モニターを呼び出し、「過去」の試合を探し始めた。

 

ーーーー

 

インターミドルチャンピオンシップ第二予選会場「シャワールーム」

 

選手が汗を流すために設けられたシャワールームで本日第一試合目(シード戦)を無事終えたヴィクターは産まれたままの姿で温水を浴びていた。

 

・・・大事な事なのでもう一度言おう

 

ーーーナイスバディなヴィクターが一糸纏わぬ姿でその裸体を濡らしていた。

 

エドガー『いやさっきと一言一句ちがくね!?ただ卑猥度が上がっただけじゃね!?』

 

ヴィクター「!?ち、ちょっとエドガー何をしてるの!?」

 

目の前に電子モニターが現れ、通信状態となった画面に上を向き咆哮をあげるエドガーが映った。

 

エドガー『す、すいまっせん!ちょっと変なでんぱを受信してしまい・・・あ、それはそうと第一予選会場で動きがありました』

 

変な電波・・・・・・・?と首を傾げるヴィクター

 

この世には知らない方が幸せな事があるんだよ by作者

 

エドガー『いやだから貴方が変な事を執筆するからでしょうがあああ!?』

 

・・・・とりあえずエドガーは知らず知らずの内にストレスを抱えているんだな、と完結させたヴィクターは黙ってエドガーに続きを施した。

 

エドガー『・・・オホン、ミカヤお嬢様とカズマ、どちらも順調に勝ち進んでいるようです。』

 

そう言って、試合のデータを表示するエドガー

 

画面にはミカヤとカズマ、他にもヴィヴィオ達のデータが並べられだている。カズマの試合データを見て呆れ笑いにも似た苦笑を浮かべるヴィクター、しかしミカヤ達のデータを見て幾らか表情を引き締める。

 

ヴィクター「やはり今回のインターミドルは一筋縄じゃいかないようね・・・」

 

彼女が見つめる画面には・・・

 

予選1組第二回戦

 

コロナ・ティミル

 

1R2分21秒

 

累計被ダメージ2500

 

FB ロックカノン(ゴーレム操作チャージ型砲撃)

 

 

 

アインハルト・ハイディ・イングヴァルト

 

1R 0分 42秒

 

累計被ダメージ 800

 

FB 覇王流 「断空拳 弐撃」

 

 

 

予選4組第二回戦

 

高町ヴィヴィオ

 

1R 0分50秒

 

累計被ダメージ 1100

 

FB エクシードスパイク(強化蹴撃)

 

 

 

ミカヤ・シェベル

 

1R 0分30秒

 

累計被ダメージ 0

 

FB 天瞳流抜刀居合術 「霞」

 

予選5組第二回戦

 

リオ・ウェズリー

 

1R 0分 57秒

 

累計被ダメージ 3000

 

FB 伍連炎砲 (多段砲撃)

 

エドガー『ミカヤお嬢様もミウラ嬢との試合で追い込まれましたが。最後は打ち勝ったようです』

 

ヴィクター「そう・・・ミウラとも戦ってみたかったけれど・・・仕方ないわね・・・私も負けてられないわ」

 

僅かに緊張を孕んだ表情でヴィクターは通話を切り次のーー来週の第3試合の相手のデータを出した。

 

ヴィクター「心してかからないと・・・・」

 

降りかかるシャワーの温水を頭を振って振り払い、睨み付けるようにそれを見た。

 

 

予選6組第二回戦

 

シェルファ・アイラス=サンクワール

 

1R 0分10秒

 

累計被ダメージ 0

 

FB 電光刹火(ライトニングブレイド)

 

ヴィクター「・・・見たこともない魔法・・・彼女は一体・・・」

 

一瞬で終わらせてしまった試合に会場は唖然とした空気に・・・会場だけじゃなく全選手も唖然としていた。それはヴィクターも例外ではなかった。

 

デバイスの術式演算補助も使用している気配もなく、それらしき「詠唱も無かった」

 

・・・でも

 

ヴィクター「・・・負けるわけにはいかない」

 

覚悟を決めた表情でヴィクターはシャワールームを出た。

 

ヴィクター「・・・・(大丈夫かしら?シャンテ選手・・・)」

 

ハイドを使った戦術を発揮する間もなく一瞬で終わってしまったシャンテ・アピニオンを案じながら。

 

 

 

 

 

ーーーインターミドルチャンピオンシップ第二予選会場内「医務室」

 

清潔感溢れる医務室内にてセコンドであるセインとシスターシャッハに見守られながらシャンテは塞ぎ混んでいた。

 

セイン「・・・・・・」

 

シャンテ「・・・・・・」

 

かける言葉が見つからず困惑した表情で見合う二人に申し訳ないと思いながらもシャンテは言葉おろか、体すら動かす気力が湧かなかった。

 

シャンテ「(一瞬だった・・・・私シスターシャッハにも・・・レインにもあれだけ鍛えて貰って・・・強くなれたと思ったのに・・・)」

 

相手はレインの「恋人」と自称する女である自分ですら見惚れる程の美少女だった。

 

剣すら持てないであろう細腕、蹴りをいれたら折れそうな腰、「箱入り娘」と第一印象でそう思った程だった。

 

何でか悲しくて、虚しくて、悔しくてレインは違うと言っていたが、照れていて・・・

 

試合開始前、シェルファとなのった美少女から言われた。「彼の事は忘れなさい、貴女の「為」でもあるのよ」と

 

最初は可愛いからって調子に乗っている、とかふざけんな!とか思ったし、口にした。

 

でもいざゴングが鳴ってみれば見たこともない魔法陣が一瞬で投影されて、雷で型どった剣が無数こっちに放たれた。

 

単発魔法だと言うのに早くそして広範囲のそれを避けることは出来ずに、一瞬で12000あったLIFEを0にされ気を失ってしまった。

 

シャンテ「(恩・・・少しでもいいから返したかったな・・・)」

 

元々孤児だったシャンテはぐれにグレていて、毎日意味も理由もなく城下町で暴れまわっていた。

 

そんな腐った自分を拾ってくれたのは、セコンドのシスターシャッハだった。

 

肉体言語でOHANASIしたシャッハは聖王教会でシャンテを引き取り、色んな人達と合わせてくれて又、色んな人達に出会った。

 

カリムにディード、オットーにセイン、ヴィヴィオ達に、アルピーノ親子・・・・そしてレイン

 

最初は凄い無愛想な奴とシャンテは思った。全く笑わず会話もどこかあまり続けないようにしていたしシャンテも最初は次元漂流者と言うことで不安なのかもしれない、そう思って黙って見ていた。本当に不思議だと思う、今では好意を抱くまでになっているのだから。

 

ともあれ、シャンテはそんなシャッハに尊敬と感謝の念を抱いていて何かできないかと思い、インターミドルにでて活躍して有名になってきた信者を増やそうと思った。

 

シャンテ「・・・・シスターシャッハ」

 

シャッハ「・・・・どうしました?」

 

弱々しくか細い声を出すシャンテにシャッハは優しい声音で聞き返した。

 

シャンテ「・・・負けちゃった・・・アンタに学んだこの双剣で一杯勝って・・・私の師匠は凄いんだって、聖王教会は凄いんだってアピールしたかったのに・・・

 

ーーーあはは・・・負けちゃったよぉ・・・」

 

セイン「っ!馬鹿シャンテ!泣くなよ!アピールしたかった?十分してるよ!第一予選でお前の試合を見た観客の人達から問い合わせが殺到してるってよ!だから泣くな!」

 

セインが怒ったようにシャンテへと身を乗り出して言う

 

シャッハも普段は絶対に流さない「涙」、そして打ち明けない本音を漏らす程「成したかった」シャンテに優しく微笑み、シャンテの頭を撫でる。

 

シャッハ「・・・・ありがとうシャンテ、私はその気持ちだけで凄く嬉しいです、だから自分を許してあげて下さい

 

ーーー大好きな「家族」が泣いている姿を見るのは、悲しいですので」

 

こう見えて私、泣き虫なんですよ?と僅かに目を潤ませて笑みを浮かべて言うシャッハに瞠目したシャンテは今度こそ大声をあげて泣いた。

 

ーーー

 

シェルファ「・・・・・ふん」

 

その様子を医務室の外から聞いていたシェルファは鼻を鳴らして踵を返そうとして

 

カリム「入らないんですか?医務室」

 

カリムに話しかけられた。

 

シェルファ「・・・・さすがにあの空気に入っていける程空気が読めないわけではないわ、それにあの娘に「労り」の言葉をかけるのを皮肉に取られても癪よ」

 

不遜な物言いにカリムは苦笑を溢した。

 

シェルファ「・・・・あの娘、気を失う最後まで抗おうとしてたわ、レインが「目をかける」のも分からなくもない」

 

そう言ってそのまま去っていき、フッと消えたシェルファにカリムは嬉しそうな笑みを浮かべて医務室内に入っていった。

 

ーーーー

 

ベルカ領地、ファビア宅

 

ファビア(?)「ふぅ・・・・」

 

水晶にインターミドル予選第一会場の試合を見ていたファビアが軽く息を吐き、どこか安心した様子で映っているカズマをみた。

 

その顔には「カズマなら当たり前」と分かっている絶対的な信頼が伺って見えた。

 

そこへ、深層世界に「交代」をして中に入っている「本体」の意識が

 

ーーーファビア・クロゼルグの意識が本体に入っている「魔女 クロゼルグ」へと話しかける。

 

ファビア『・・・・良かったの?カズマに一声かけに行かなくて』

 

クロゼルグ「・・・いいのよ」

 

心配そうに言う子孫(ファビア)に微笑んで返して首を横に振るう。

 

クロゼルグ「私は本来、とうに滅されなければいけない身・・・でも、「あのときの私はまだ思い出してなかった」・・・・だから、カズマに伝える事をこの口で伝える為に生き恥をさらしてでも

 

ーーカズマと同じ時代に生を宿した子孫(貴女)の体に私をいれた。」

 

ファビア『・・・・そう・・・』

 

少し寂しそうに響くファビアの声にクロゼルグは安心させるように笑い、口を開く。

 

クロゼルグ「安心なさいな、「全てが」終わったら私は還るべき場所にいくから、だからもう少しだけ付き合って?」

 

どこかすがるような物言いのクロゼルグにファビアは悲しい感情を覚えるも「いつまでも、いいよ?」そう返しつつ、クロゼルグの意識を迎え入れた事によって「甦った」記憶に思いを馳せた。

 

ファビア『・・・・(大丈夫だよ?クロゼルグ・・・カズマは許してくれる、謝って、理由もちゃんと言えば・・・)』

 

そう諭してあげられたら、すでにそうしている

 

ふと深層世界から部屋に飾ってある「枯れたまま保存」してある花冠をみて、また悲しく笑みを浮かべた。

 

 

ーーー自分を許せる訳がない、カズマは、記憶に映る優しく、とても強い、エレミアの初恋相手で、クラウスの生涯のライバルで・・・オリヴィエの親友であり、唯一の「理解者」であり・・・・・クロゼルグの兄貴分だったカズマは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー他ならぬ魔女クロゼルグに間接的とは言え心を壊されかけたのだから。

 

だから自分(ファビア)は自分(クロゼルグ)を許せない、本人が入ったからかよくよく鮮明になった記憶にクロゼルグの流れてくる感情。

 

ファビア『・・・・カズマ、まだ会ったことも話したことも無いけどお願いします

 

私のご先祖様を許して』

 

ーーーーー

 

試合は順調に消化されていき、今日の予選は終わりを迎えた

 

クライさんは嫁に報告してくると言ってそそくさと帰っていった。

 

ティアナさんはどこか名残惜しそうにしていたが、明日から5日間の出張任務があるらしく明日に備えて街中にへて向かっていった。

 

残る俺たちはと言うと・・・

 

ノーヴェ「・・・・・・・・カズマおつかれ」

 

カズマ「お、おう」

 

精根尽きたかのように真っ白くなっているノーヴェが至近距離から俺を見上げていた

 

ノーヴェ「・・・・・・・カズマおつかれ」

 

ノーヴェ「・・・・・・・カズマおつかれ」

 

ノーヴェ「・・・・・・・カズマおつかれ」

 

カズマ「ヒィ・・・・」

 

ノーヴェさんがバグってる!?

 

カズマ「・・・・ところでリオ?何で首に抱き付いてるのか「やだ」・・・・・・・・」

 

リオ「・・・・・・やだ」

 

・・・・・・・・・黙って脇を見ると腕に抱き付いて頬擦りするアインハルトがいた。

 

ヴィヴィオは逆の腕に抱き付いている腕にコアラよろしく足と腕を絡ませていた。

 

コロナ「カズマさん少しそのままにしてあげて下さい、皆寂しかったみたいで・・・・」

 

コロナが苦笑をしながら言ってきて、ノーヴェをゆっくり見上げる。

 

俺もそれにならい燃え尽きた様子のノーヴェを見る。

 

なるほど、分からん

 

ノーヴェ「・・・・・・カズマおつかれ」

 

カズマ「あんたはどこのNPCだあああああ!?」

 




誤字、脱字 、指摘等ありましら、よろしくお願います


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67話ーー葛藤と邂逅

すいません!更新遅れました!

言い訳としては、仕事が忙しく執筆が中々できませんでしたm(__)m

ほんとすいません

では続きです。


ノーヴェ「よし、落ち着いた」

 

カズマ「おかえり、そして妹達を何とかしてくれ」

 

ノーヴェ「・・・・・お前らよく頑張ったな、色々あって言いそびれたが次の対戦組分けが決まった。」

 

4人『はい!』

 

カズマ「・・・・・・・・・・・・」

 

壊れたノーヴェさんが帰ってきて、体中に引っ付いた妹達を退けて貰おうとするがノーヴェさんまさかの無視ですか?本当に?そろそろ周りの視線が怖いんですが?

 

おいやめろ、その「ザマァwww」みたいな顔をすぐやめろ

 

あとミウラ、何でそんな唖然としたような目で俺を見るの?

 

アインハルト「兄さん、私はなでなでを所望します」

 

リオ「あ!ずるい!私は顎なで!」

 

アインハルト「!?なん・・・・だと・・・」

 

二人のコントみたいなやり取りで誰かの霊圧がきえた模様

 

そして周囲から(ヴィヴィオ達と同年代の男の子)寄せられる殺気のこもった視線

 

ジーク「・・・・・・・・カズマ、何デレデレしとるん?」

 

辟易としていると、じっとりとした声音で後ろから声をかけてくるジークとハリー達。

 

ハリーは「流石お師匠!ジークのみならずチビッ子達までたらしこんでらぁ!」と若干興奮したように鼻息を荒くしていた。

 

帰っていいですか?

 

あとハリーちゃん?人聞っていうのは、「さすが」ってつければ喜ぶ訳じゃないんだよ?

 

ジーク「・・・・はぁ、まぁお疲れさん皆、かっこ良かったで?」

 

ヴィヴィオ「え、えへへ・・・」

 

リオ「チャンピオンに誉められちゃった・・・」

 

ジークの労りと称賛の言葉に満更でもない顔をするヴィヴィオと、アインハルトは一瞬ムッとしていた、多分「何余裕噛ましとんじゃ?あんごらぁ」みたいな事を思ってるんだろうな・・・

 

アインハルト「チャンピオン、嫉妬は見苦しいですよ?それにイチャイチャしちゃいけませんか?兄妹なのに?」

 

全然違うこと思ってた(^q^)

 

あぁぁぁ!チャンピオン!相手年下だから!耐えてぇ!?関係無いけど確かにお前らの先祖何故かよくいがみ合ってたけどさ!耐えてぇ!?あと兄妹だからイチャイチャしていいわけでもありません!

 

ジーク「・・・・カズマァ!ハルにゃんが虐めるぅ!」

 

チャンピオオオオオオオオン!?負けちゃ駄目だよ!?って抱き付くなぁ!恥ずかしいから!皆本当に見てるからぁ!

 

ミウラ「す、凄い・・・」

 

何がぁぁ!?そんな「ご、ごくり・・・」みたいなノリで言うなよ!

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

皆が騒がしい中、ノーヴェさんに断りを入れてその場から去っていくコロナと、それを追っていくオットーの姿が見えた。

 

ーーーー

 

クラナガン中央区公共遊園広場

 

一般的な公園とは違い、小さいがアトラクションがあることと、インターミドル予選会場と同じ程に土地が大きいこの広場に設置されているランニングコースをコロナは走っていた。

 

コロナ「・・・・・・・」

 

ーーー妹達の期待する目をみたらな・・・

 

緩いカーブをノーブレーキでふくらはぎ部分に負担が無いよう脚を大きく広げて走っていく。

 

カズマやノーヴェ、専属コーチのオットーに教えて貰った走り方のお蔭でまだ余裕がある体力に対しコロナの顔はどこか陰があった。

 

ハイペースを40分程持続させた所で近くのベンチに腰かける。

 

乱れた息を整えつつ、何処か集中できていない自身に自然と溜め息がでた。

 

・・・最初は本当に嬉しくて、あれだけの強さをもったカズマがどれだけ大暴れしてくれるのかが楽しみなだけだった。

 

コロナ「・・・・私、最低だな・・・」

 

所が最近になって「強くなってる」そう自覚すればするほど感じてしまう拒絶の心

 

ーーーもっと試合をしたい。

 

ーーー終わりたくない

 

ーーー勝てるはずがない。

 

多分コロナだけが感じている劣等感、そして諦めの感情。

最初あれだけ喜び、楽しみにしていたのにいざ試合相手になったらもう先には進めないと決め付け、諦めてしまっていた。

 

コロナ「ひゃっ!?」

 

思考の海に浸っていたコロナの首筋に冷たい何かがふれて跳び跳ねるように立ち上がったコロナが振り返ると

 

スポーツ飲料が入ったペットボトルを持った

 

オットー「お疲れ様です、コロナお嬢様」

 

コロナの専属コーチのオットーが笑って立っていた。

 

ーーーー

 

コロナ「・・・・」

 

オットー「・・・・・・・」

 

合流してから5分程たつが、いっこうに始まらない会話と、どんどん発言しにくくなっていく空気にオットーは

 

オットー「(会話しろよ僕っ!?何だよ5分前!笑ってたじゃん!「お疲れ様です!」って言ったじゃん!何で会話続けないんだよ!?)」

 

ポーカーフェイスは完璧なものの、心の内側はその顔に滴る対して暑くないのに湧き水のように流れてくる汗が物語っていた。

 

コロナ「・・・・ねぇ、オットー?」

 

沈黙に耐えかねたのか恐る恐ると言った感じで声を出すコロナに(精神的に)瀕死寸前だったオットーは

 

オットー「っーーーーーー」

 

 

今にも崩れ落ちてしまいそうな程に脆く儚い笑みを浮かべているコロナの顔を見てすぐさま返せなかった。

 

オットー「・・・・何でしょうか、コロナお嬢様」

 

しかし、ざわつく心を落ち着かせてそう聞き返す。コロナは一瞬口ごもるが意を決したかのようにその小さな口を開いた。

 

コロナ「私ね皆に感謝してるんだ

 

ヴィヴィオがストライクアーツに誘ってくれて

 

ノーヴェさんが訓練についていけなくて辛かった時、「成功した時の喜び」を教えてくれて

 

リオの明るさと元気のお蔭でもっと頑張らなきゃって思ったし

 

アインハルトさんは私達の先輩として私達が追う背中になってくれて

 

ルールーは積極的に私のデバイスを一緒に作ってくれた

 

・・・・カズマさんは私の魔法を見て「凄かった!」って誉めてくれたんだ。

 

でも・・・・でも・・・・こんな所で負けたくない、終わりたくないよ、もっと皆と一緒に試合をしていたい、もっと皆と一緒に先が見たい、ジークさん達とも戦ってみたい!」

 

一息に内心を打ち明けたコロナはふっと寂しそうな笑みを浮かべ

 

 

 

コロナ「・・・・オットー私、カズマさんに勝てるのかな・・・」

 

オットー「・・・・・・・・・・コロナお嬢様はどう思われますか?」

 

コロナは弱々しく笑い「解答になってないよ・・・」と言った

 

オットー「・・・・・・・確かにカズマさんは超強敵です・・・・コロナお嬢様でも厳しいかと思います。」

 

コロナ「っ・・・・そう・・・だよね・・・」

 

分かっていながらも実際に知人に、それも専属コーチに言われて落ち込むコロナにオットーは胸が締め付けられる感覚に眉をしかめた。

 

オットー「・・・・コロナお嬢様はカズマさんが言ったことを覚えてますか?」

 

カズマさん?と疑問苻を浮かべるコロナ

 

オットーは「はい」と言って真っ直ぐコロナを見つめる。

 

オットー「僕は直接聞いたわけでは無いので分かりませんカズマさんがどう思ってそう言ったのか・・・ですが、「こういう事を」言ってるんだと思います。」

 

オットーが何を言っているのかイマイチ解っていなかったコロナはどういうこと?といった感じでオットーを見つめる。

 

オットーは「これ」ばかりは自分が気付かせる事ではないと思い「試合まで後一週間、ゆっくり考えてください」そう言ってゆっくりベンチを立ち、コロナを見ずに去っていった。

 

コロナ「・・・・・分からないよ・・・・カズマさん・・・」

 

青空を仰ぎながらボソッと呟いた声は誰にも届かず風に流されるように消えていった。

 

ーーーー

 

オットー「・・・・・・・・・・・」

 

遊園広場入口に来たオットーは悔しげな表情であるって来た道を振り返った。

 

オットー「・・・・コロナお嬢様

 

 

ーーー信じてますから。」

 

短い期間かもしれない、初対面ではあったけども「曰くつき」の自分に普通に接してくれて、強くなりたいと厳しい自分の特訓にも弱音等一切吐かなかった優しい競技者(ファイター)を

 

自分の姉から聞いた「何もしない、でも見守ってやれ」と言う言葉を思い出す。

 

こんなにも歯痒いものなのか

 

オットー「・・・・・貴方なら、ちゃんと「見つけられます」」

 

そう言って前を向き直り

 

 

ーーーカズマに頭を下げた。

 

カズマ「・・・・・・・分かってるよ、あの子の事はオットーさんも「見てきたんだろ」?」

 

思わず頭を上げたオットーに笑いかける

 

カズマ「なぁんだ、心配して損した

 

 

ーーーオットーさんがいるなら問題はないな」

 

オットー「・・・・・・当たり前です。来週の試合油断していたらコロナお嬢様の「秘策」が足元掬いますよ?」

 

不敵な笑みを浮かべカズマを見据えるオットー

 

カズマ「油断なんかしないよ、油断していない相手に油断なんかするもんか」

 

そう言って去っていくカズマを見送るオットー

 

オットー「・・・やっぱり強敵だよ、コロナお嬢様」

 

ーーーーー

 

カズマ「・・・・・送信っと・・・」

 

自宅にその足を向けながら携帯端末で「誰か」に「メッセージ」を送ったカズマは遊園広場へと向かう前の事を思い出していた。

 

カズマ「・・・・しっかし、出会いってのはどう転ぶのか分からんな・・・・」

 

 

そうこぼし手に持った「招待状」を見た。

 

ーーーーーーー

 

ノーヴェ「はいはい、お前ら、あとチャンピオンも・・・ついでにハリー選手も、周りが本当に凄いことになってきたから」

 

カオスな状況になってきたのを感じ取ったのかストップをかけるノーヴェさん。

 

カズマ「・・・・」

 

こ、この女ぁ・・・

 

ノーヴェさんが助けてさえくれればこんなことにはならなかったってのーーー

 

ノーヴェ「ーーーん?」

 

カズマ「なんでもないでしゅ」

 

あ、噛んじゃったてへ☆

 

・・・・なんだよノーヴェさん。

 

ノーヴェ「はぁ・・・ったく、そろそろ・・・・あっ

 

 

 

ーーーー来た」

 

そう言って予選会場入口を見るノーヴェさんに皆がそちらを見ると。

 

はやて「お、いたいたミウラ!、それにノーヴェ達も!」

 

茶髪の女性が守護騎士全員と、子ども達大勢を引き連れて出てきた。

 

はやて「お!ヴィヴィオもいるんやな?」

 

ヴィヴィオ「はい!はやてさん久しぶりです!」

 

はやてて名乗る女性のもとへ駆け寄るヴィヴィオははやてさんに挨拶をした。

 

はやて「うん、折角やし軽く自己紹介でもしよっか」

 

そう笑みを浮かべ佇まいを軽く直し此方を見た

 

はやて「初めまして皆

 

ーーー八神 はやてぇ言います。」

 

横を見ると、ジークやハリー達がビックリしていた。

 

そんなに凄い人なのか?・・・・まぁ、司令って言われてるくらいだからな・・・

 

カズマ「(・・・・この人が「最後の夜天の書の主」か・・・)」

 

はやてさんをSPの如く守るように周りにいる4人に目をむける。丁度はやてさんの両隣に佇む二人の少女と女性がこちらを見ていた。

 

テレパシーでも使っているのか目元に若干の変化が会話のリズムで起きていた。

 

ハリー「ジーク、八神司令ってお前と同じしゃべり方じゃ・・・・同郷の人?」

 

ジーク「うーん・・・うちミッド出身やけど確か八神司令って地球出身やったような・・・なんか繋がりかなんかあるんかな・・・・」

 

ーーー作者もそこだけは謎なんや

 

おっと変な電波が流れたが無視だ

 

ーーーちょwww

 

はやて「・・・カズマ=ツユクサ君やね?ノーヴェから「話」は聞いとるよ?」

 

カズマ「・・・・どうも」

 

はやてさんが求めてきた握手に応えつつそう返す。

 

はやて「折角話し合いに参加するメンパーもほぼ揃ってることやし

 

ーーーはい、これ」

 

そう言って一枚のカードを渡してくるはやて

 

カズマ「・・・・・ホテル「ノスタルジア」・・・」

 

はやてさんは他の皆にも渡していく

 

ハリー「え?あ、あの良くわかんないっすけど・・・・いいんですか?」

 

はやて「ええよ?皆も興味ない?

 

 

ーーー戦乱ベルカ時代の話」

 

そう言うはやてさんは笑顔で此方を見ながら言った。

 

そういやノーヴェさんから話は聞いたって言ってたっけな。俺は黙って頷いた

 

はやてさんは満足そうに頷きミウラの元へ行き話を始めた。

 

ノーヴェ「カズマ悪い、場所提供にははやてさんがうってつけだったから話しちまった・・・」

 

カズマ「いや、感謝してますよ・・・どちらにしろ話すんだ、だったらそれなりに場は必要ですもんね」

 

申し訳なさそうに言うノーヴェさんにそう答えるといくらか気がはれたのか安心したような顔をしていた。

 

ヴィータ「・・・・いきなりすまねぇ、八神ヴィータだ」

 

と、そこへ鉄槌の騎士ヴィータがよってきた。

 

カズマ「・・・初めまして、で良いのかな?」

 

ヴィータ「まぁ・・・そうだな、「この時代」で会うのは初めてだからな」

 

・・・「この時代」?記憶があるってのか?確か闇の書は「役目」を終えると「戦闘データ」意外は引き継ぎ対象から離れてリセットされると聞いたような・・・

 

ヴィータ「あぁ、なんつーかまだあたしだけかもなんだけどさ、夢で良く見るんだ前の主とか、その時の暮らし・・・とかさ」

 

カズマ「・・・・そういう事もあるんだな・・・・今の主はどう・・・・って

 

 

ーーー聞くまでもないか」

 

ミウラと八神道場の子ども達て笑って話しているはやてさんをみてそれ以上の言葉を飲み込む。ヴィータも誇らしげな顔で「あぁ」と言った

 

ノーヴェ「何か凄い話を聞いてる気が・・・」

 

ヴィータ「あたしもまだ良くは思い出してねぇけどこいつとは1ヶ月交流があったんだ」

 

へぇ・・・と興味深そうに言うノーヴェさん

 

シグナム「貴殿の試合、見せて貰った」

 

烈火の将シグナムが此方に歩いてきてそう言った。

 

カズマ「・・・・・・」

 

思わず顔がひきつるのを自覚しながら、自然とシグナムから一歩下がった俺は悪くない、なんせこいつは

 

ノーヴェ「?カズマ?」

 

ヴィータ「まぁ、しゃあねえよシグナムは暇があればカズマの所にカチコミに行ってたからな」

 

不思議がるノーヴェさんに苦笑いを返すヴィータ、ノーヴェは理由を聞き顔をひきつらせた。

 

シグナム「よければこのあと時間があるか?」

 

カズマ「どうしよう、ナンパされてる筈なのに悪寒が止まらん」

 

ヴィータ「・・・・・・・・」

 

ーーーカズマ!ヤるぞ!

 

ーーーチェンジで

 

ーーー!?

 

ヴィータ「・・・・本当に「あの」カズマなんだな・・・」

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

こいつらとの別れは呆気なかった事を覚えてる、鮮明に今でも

 

だって

 

ーーーーーー

 

カズマ「別れの次の日には元の世界に帰ったからな・・・」

 

そして自分の無力さをいやでもと味わった日の前日だから余計覚えてる。

 

カズマ「ーーーーノスタルジア(追憶)か・・・・」

 

自宅への帰り道を歩きながら招待状を見ながら呟いた。

 

ーーホテル・ノスタルジア

 

八神様御一行(人数無制限)

 

パーティールーム(定員100名)

 

開演時刻 19時30分

 

開始日時はインターミドル予選第3、4試合後

 

 




誤字、脱字、指摘等がありましたらよろしくお願いします。


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68話ーー信じる気持ち

お待たせしました!

ここからどんどん展開を進めて行きたいと思います!

自分が書きたいカズマIN古代ベルカ時代編まであと少し!頑張って行きますのでこれからもよろしくお願いします!

お気に入り登録感謝です!

では続きです!


ーー中央区市街地 第3スポーツセンター

 

オットーに悩みを打ち明け、更に悩む事になったコロナは祝日を利用して、「一人」練習に打ち込んでいた。

 

本来なら今日はインターミドル大会のシード枠に入っている選手によるプライムマッチで、そこにハリー・トライベッカとエルス・タスミンによる試合が行われているのだが、ヴィヴィオ達に無理を言って練習をしていた。

 

何処か心配の色を見せていたヴィヴィオ達に「感謝」しつつ、目の前のサンドバックに拳を放つ。

 

ダァン!

 

最初の頃はポスッと音をたててうんともすんとも言わなかったサンドバックが軽い轟音と共に揺れた。

 

コロナ「(1・2・1・2・1・2・・・・)はぁ!」

 

ダアアアン!

 

リズムよく拳を放っていくコロナ、フィニッシュとばかりに重心を低く、腰を僅かに捻り最小限の拳を打ち出した。

 

重い打撃音とともにぐわんぐわん揺れ、繋がれている鎖が軋む音を聞きながら「ふう・・・」と息を吐き一息ついた。

 

周りが「おぉ・・・」と関心の声を出すなか、コロナはベンチに座り「予選第1、2試合後に贈られてきたメール」を眺める。

 

差出人は「カズマ=ツユクサ」と書かれていた。

 

コロナ「・・・・・・よし!」

 

受け付けに退出の報告をして、着替えてスポーツセンターを出る、次の目的地は公共魔法練習用の公園

 

一人で向かうコロナの表情は以前と違い、何処か気合が入っていた。

 

コロナ「・・・・・」

 

━━━楽しみにしてる

 

たったそれだけの文面、あのタイミングでのメール、きっとカズマは気付いていたのだろう、コロナが理不尽に苦しんでることに「頑張れ」とか「無理をするな」とかそういう労りの内容じゃないことがまるで自分を信じてるといってくれている、そう思えた。

 

コロナ「・・・・皆、信じてくれてるんだ」

 

師匠のノーヴェやコーチのオットー、ライバルであり仲間であり、友であるヴィヴィオ達・・・・そしてカズマ。

 

以前空港でカズマが皆に言った「信じろ」

 

嫌なめにあっても、理不尽にあっても、皆を信じろ

 

コロナ「・・・・こういうことだよね?オットー」

 

あの男性にも見えてしまう、専属コーチのどこか悔しげな空気を思いだし、不謹慎と思いながらも嬉しく思う。

 

コロナ「・・・・簡単な事なんだ」

 

自分は競技者だ、上を目指したいし、称賛もされたい・・・でも大事なことがまだあった

 

試合を楽しむ、自分が闘ってきた相手選手を思い出す、前までの自分と同じかおをしていたか?悔しそうにしてはいたが皆がみな自分と闘った事を楽しんでいた、応援してくれたし、次は負けないと言ってくれた。

 

コロナ「・・・ブランゼル」

 

ブランゼル『はい』

 

コロナ「・・・・・カズマさんに絶対に勝とう、私と貴方とノーヴェ師匠とオットーの集大成

 

 

ーーー創造格闘技(クリエイトアーツ)で」

 

ブランゼルはコア部分をチカチカ点滅させて『勿論です!』と声高々に言った。

 

コロナ「━━━━?」

 

その時、一件のメッセージが入った

 

コロナ「Fromチームナカジマ━━━ヴィヴィオ達だ・・・」

 

コロナはメッセージBOXを開け、中身を見て・・・閉じた。

 

コロナ「・・・・・言われなくても」

 

微笑んで呟いたコロナは公園へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━コロナ(さん)、頑張れ!

 

 

ーーーーーーーー

 

カズマ「はぁぁぁ・・・今日もまた凄い数だな・・・」

 

祝日に開催されたインターミドルチャンピオンシッププライムマッチ

 

祝日が手伝ってか、仕事や学校が休みな人達もきているのか以前よりも多かった、会場外にスペースが設けられており幾つものベンチがあり、さらにそれと相対するように会場の外壁に巨大モニターが設置されていた。

 

入れなかった人の為の措置らしい、完全予約制ではないので早い者勝ちなのだ。

 

とまぁ、能書き語るのはここまでに

 

カズマ「ルールー、流石に離しておくれ?」

 

ルーテシア「や!」

 

シャンテ「ルルっちは本当にお兄さんの事が好きだよなー?」

 

やはり、起きたら真横にルールーが寝ていて「会えなかった分今のうちにお兄ちゃん成文補充!」と朝から離れてくれないのだ。

 

でもこうして嘘偽りない好意を直球で言ってくれる事に悪い気はしない、それどころか素直に嬉しい。

 

カズマ「お前も大変だったな」

 

シャンテ「本当だよぉ、気付けば目の前に雷の剣が殺到してるんだもん!」

 

カズマ「あ━━、まぁ御愁傷様?」

 

シャンテはそれを聞き瞠目しマジマジと俺を見た。

 

?を浮かべる俺にシャンテは口を開いた。

 

シャンテ「お兄さんって慰めないよね、でも何故か励まされた感覚になるから不思議」

 

カズマ「・・・もう必要ないみたいだからな」

 

シャンテ「それ、レインにも言われた。「吹っ切れているシャンテなら慰めより労りの言葉で充分だ」って」

 

ルーテシア「レインさんとお兄ちゃんってどことなく似ているよね?」

 

顔ではなく、雰囲気を察知したのかルールーがそう言うとシャンテも「分かる」って言った。

 

・・・・まぁ黒髪だしな

 

・・・・でもイケメンだしな

 

・・・・クールだしな・・・

 

・・・・魔法使えるしな

 

はぁ・・・・

 

シャンテ「な、何でどんよりしてるの?」

 

変に突っ込まないでください

 

ルーテシア「あ・・・ちょっと待ってて?」

 

何かを見つけたのかとてとてと歩いていくルールー、その方向先にはキョロキョロと辺りを見渡してどこかまよっている様子の夫婦と思わしき男女がいた。

 

シャンテ「ルルっち?」

 

カズマ「・・・・・・・」

 

ルールーは近くまで行き、立ち止まったかと思うと深呼吸をした。

 

ルーテシア「どうかされましたか?」

 

「え?あ・・・・・」

 

男性の方が先に反応して、次いで女性が振り返り怪訝な顔をした。

 

シャンテがムッと顔をしかめるが、手で制し止める。

 

シャンテ「・・・・」

 

カズマ「心配してくれてありがとう

 

━━━でも「もう」大丈夫だ」

 

そう言ってルールーに顔を向けた。

 

 

ーーーーーーー

 

「え?あ・・・・」

 

やっぱり赤の他人は恐いな・・・でも知ってる、大好きな人が教えてくれた。

 

「知らない人でも自分から行けば大抵は怖くない」って。

 

「勇気を持って」って。

 

ルーテシア「何かお困りに見えたので声をかけたんですけど・・・・どうかしましたか?」

 

「え・・・あ、あぁ・・・娘がインターミドル初参加で直接会って一声かけたくて・・・でも一般の人が控え室とか行って良いのかな?って・・・」

 

「ちょっと・・・」

 

思わず応えた男性に奥さんと思わしき女性が非難の声をだした、男性も戸惑っているようだ。

 

ルーテシア「あぁ、それなら大丈夫ですよ?一般解放はしてはいませんが関係者と証明出来るものがあれば、登録選手のデバイスから位置を割り出して係員の方に案内して貰えますので」

 

そう言うと、夫婦そろってポカンとした表情でマジマジと私を見た。

 

・・・・分からなかったかな?

 

ルーテシア「あの・・・・分かりづらかったですか?」

 

「あ、いや!大丈夫・・・です」

 

「あ、あの・・・ありがとう、変な顔をしてごめんなさいね?」

 

警戒心は消えたわけでは無いけど、何処か「助かった」という表情でお礼を何度か言いながら会場の案内受け付けに入っていった。

 

瞬間、緊張が解けたのか少しばかりへたりこんでしまった。

 

シャンテ「大丈夫?ルルっち」

 

近くに歩いてきたシャンテが気遣うように声をかけ、私は「ありがとう」と言って立ち上がる

 

ふと頭に手が乗せられる感触

 

━━━大好きな手

 

カズマ「頑張ったなルールー」

 

ルール「━━━━うん!」

 

 

ーーーーーーーー

 

観客席で空いている場所を探しているとチームナカジマ一行が既に座っていた。

 

アインハルト「兄さん、おはようございます」

 

カズマ「おはよ、皆速いな」

 

ヴィヴィオ「ルールーもシャンテもおはよ!」

 

ヴィヴィオ達に挨拶を返すシャンテ達を横目に席に着く。

 

ノーヴェ「まぁ、トップファイター同士の試合だからな、こいつらも楽しみであたしんちの玄関前で朝っぱらから起きろコールだったよ・・・・」

 

どこか疲れた様子のノーヴェさん

 

おいやめろ、ブイサインをするなお前ら。

 

ノーヴェ「・・・・なぁカズマ、コロナは━━」

 

カズマ「大丈夫だろ」

 

速答した俺に唖然とした表情を作るノーヴェさん、やがて呆れたような、疲れたような、頼もしいような、そんな顔をした。

 

ノーヴェ「・・・・たく、お前ってやつは」

 

カズマ「・・・・・・」

 

ノーヴェ「・・・・サンキュ」

 

ノーヴェさんの感謝の声に気にすんなと言って、隣に座っているアインハルトやリオ、ヴィヴィオ達を見る。

 

カズマ「確かリオはこの試合で勝った方と試合何だよな?」

 

リオ「うん!

 

━━━どっちが相手でも、絶対に勝つよ?コーチやディード、カズマさんに鍛えてもらった私「だけ」の春光拳で」

 

そう言ったリオからあふれでる闘気にアインハルトとヴィヴィオ、そしてルールーは一瞬固まったが真剣な表情になり「私達も忘れないでね?」と勝ち気な笑みを浮かべて言った。

 

ヴィヴィオ「勿論コロナもね!」

 

まて、何故それを対戦相手を前にして言う。妹よ

 

なぁ何か言ってやってくれノーヴェさ・・・・アンタもか

 

青春みたいな事をしているヴィヴィオ達にウンウンと頷くノーヴェさん俺は何も言えずにシャンテにドンマイと慰められた、ぐすん

 

リオ「そう言えばハリー選手だけど、お兄ちゃんの事を「お師匠」って呼ぶけどどうしてなんだろ?」

 

カズマ「・・・・・・それな、多分2年前の一般参加可能な大会が原因かもしれない」

 

やっと思い出した。ある意味ミッドチルダに来て初めてのイベント行事だったのに何で忘れてたんだろ?

 

ノーヴェ「そう言えばアインハルトが初めて私とカズマとあった時言ってたよな?「大会の優勝者」って」

 

ノーヴェさんがそう言うとアインハルトは気まずげに笑いつつ「それはですね?」と続けた。

 

アインハルト「私も過去の新聞記事を何気なく見て知ってただけでどういう大会だったのかは分かりません」

 

ヴィヴィオ達は目をキラキラさせて俺を見ていた。

 

カズマ「まぁ、調べても分からんだろうな、俺が大会の運営委員会に頼み込んでたからそこから色々根回ししてもらって情報が回らないようにしたんだ」

 

だって面倒だしな。

 

そう続けた俺に皆は苦笑をこぼした。

 

カズマ「あ、でもインターミドルみたいに何でもありではないぞ?」

 

格闘技オンリーだったしな。

 

ノーヴェ「ま、まぁ流石のカズマでもいきなりそれはな・・・因みに参加資格は?」

 

カズマ「ない、魔力があろうが無かろうが関係ない大会だったからな?」

 

今度こそノーヴェさんが口元の端をひきつらせた。

 

アインハルト「ではその大会を当時のハリー選手が見ていた?」

 

カズマ「恐らくな」

 

そう言ってリング上を見る 、丁度アナウンスが流れ始まる

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

シード選手控え室

 

ハリー「・・・・・うし!行くか!」

 

ミア「リーダー頑張って下さい!」

 

座っていた席から立ち上がったハリーに妹分のミア、リンダ、ルカが声をかける。

 

ハリーは「おう」と応え顔をしかめた。

 

ハリー「・・・・本当はデコメガネなんざ1RKOしてやろうと思っていたんだがな・・・」

 

ルカ「り、リーダー?」

 

ルカが戸惑っているかのような声音で言った。

 

弱気な発言と取られたのかハリーはムッとして言い返した

 

ハリー「バッキャロー、誰も負けるたぁ言ってねぇだろ!

 

確かに奴のバインドも魔法も拳も防御力もあたしの砲撃の前じゃあんまし意味がねぇ、伊達にバスター(砲撃)番長(ヘッド)を名乗っちゃいねえさ」

 

自身の拳に握られているデバイス「レッドホーク」を見つめる

 

ハリー「だけどあのデコは━━━エルスは頭がいい、容量もいいし、ペース配分ってのが良くできる、去年だって危なかったしな

 

変な意地はって出し惜しみしてたら今回だって危ねぇ

 

━━━何より手抜きは相手に失礼だって学んだからな」

 

ハリーが思い出すのはあの連続快勝撃を引き起こした黒髪の男性

 

相手がどれだけ舐めていようと、怯えていようと、決して手を抜かなかった。真っ直ぐ相手を見て、自身の全力で叩き潰しに行ったその背中に自分が砲撃番長たる由縁を見いだした。

 

━━━いかなる時も全力(砲撃)で全開(力)で最高の一撃(ベスト)を、自信を持って

 

ルカ「リーダー・・・・」

 

ハリー「ははっ、何を弱気な!って失望したか?」

 

リンダ「それこそあり得ないっすよ!」

 

いつも自分の傲岸不遜な振る舞いに憧れ着いてきてくれていた妹分達が怒ったように声を張り上げた。

 

ミア「リーダーがそこまで思慮深いなんて・・・・舎弟として嬉しいです!」

 

ルカ「リーダーがしっかり考えてる・・・・」

 

リンダ「どこまでも着いていきます!」

 

ハリー「お前ら馬鹿にしてんだろ!?」

 

全くと言って、しかしハリーは口元に笑みを浮かべ

 

 

 

 

ハリー「お前ら行くぞぉ!カチコミじゃあ!」

 

3人『WRYYYYYYYY!』

 

そう気合が入った声を出した。

 

・・・・・掛け声はともかくとして

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

『さぁいよいよ始まります!プライムマッチ第1試合

 

 

━━━ブルーコーナーからは昨年度都市本選8位「結界魔導師 」エルス・タスミン!』

 

選手入場口から学校の制服に身を包んだエルスが入場してきた、後ろから二人の女子生徒がセコンドとして着いてくる。

 

学校では生徒会長をしているらしく、きっちりと制服を着こなしていた。

 

会場内が観客達の歓声で盛り上がる。

 

『そしてレッドコーナー!昨年度都市本選5位!ハリー・トライベッカ!!』

 

瞬間、先ほどまでの歓声以上の大歓声が会場内を震わせた。

 

バリアジャケットである特攻服を見に包み、頭部にさらしを巻いているハリーがリングに上がった。

 

ミア達も似たような特攻服を着て後に続く。

 

『背中に書かれた誓いの異世界語はたった四文字!

 

 

━━━「一撃必倒」!

 

今年も冴えるか必倒の射砲撃!』

 

そこでアナウンスは一旦とめ、興奮を殺すように静かに続けた。

 

『ハリー選手はどうやら、2年前の予選決勝と都市本選の間に各地で行われた格闘技大会の一つ「年齢層無差別格闘技大会~魔力あるない?関係ねぇ!最強を謳う者は集え」でぶっちぎりで全試合秒殺KOで優勝した選手に憧れて自ら砲撃番長を名乗る事を決意したみたいです!』

 

その情報に周りの観客達がざわめき出す。中には知っている人もいるのかワクワクと同じ観客席を見渡していた。

 

『━━━そして!つい先日!その選手が判明しました!

 

その選手の名は!カズマ=ツユクサだああああ!』

 

周りのどよめきが酷くなっていく。

 

それもそうかもしれない、小さい大会故に観客だって観客席全体のぐらいしか埋まってなかったのだから。

 

ハリー「ってことだ!悪いがお師匠が見てる前で負けてらんねぇからな

 

━━━全力でお前を潰すぜ!」

 

エルス「っ!おうともやらいでか!それはこっちのセリフです!」

 

両選手はお互いを強敵と認めあい拳を構え━━

 

『それではプライムマッチ第1試合

 

 

━━カンッ!

 

 

開始のゴングが鳴り響きました!』

 

ぶつかり合いが始まった。




誤字、脱字、指摘、又はリクエスト等があればよろしくお願いします!


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69話ーー番長と会長

お待たせしました!

今回は少し短いです!

お気に入り感謝です!

では続きです!


ハリー「いくぜぇ!」

 

試合開始のゴングと共に、ハリーはエルスへと特攻を仕掛けた。

 

エルス「速い!?(踏み込みから足を出す瞬間に軽い魔力の小爆発を起こしてブーストしてるのですか!?)」

 

瞬く間にエルスの眼前に躍り込んだハリーはストレートを放つ

 

エルスは「これだから感覚派の「天才」」は苦手なんです!」と心の中で愚痴りつつも、見切り左手を添えて受け流す。

 

ハリー「まだまだぁ!」

 

エルス「っ!」

 

エルスの左手を一瞬でも封じたハリーは瞬時にエルスの周囲に魔力弾を形成した

 

エルス「━━━リフレクト!」

 

しかしエルスは魔力を感じ取った瞬間に反射付与魔法を「ブラックジャスティス」に構築させて自身へとかけた。

 

魔力弾はエルスへ着弾せずに全て「ハリーに返ってきた」

 

ハリー「い゙!?」

 

思わず後退しようとしたハリーだが

 

ガシッ!

 

ハリー「っ━━━んのデコぉ!?」

 

エルスが受け流した左手でハリーのストレートに使った右腕をがっしり掴んでいた。

 

ダダダダアアアン!!!

 

ハリー「ぐぅっ!」

 

ハリー・トライベッカ

 

LIFE

15000→12200

 

魔力弾に吹き飛ばされたハリーは空中で身を捻り何とか着地に成功する━━━が

 

エルス「次はこちらの番です!

 

アレスティングネット展開

 

常時テレポート(転移魔法)展開!」

 

エルスの後ろに魔方陣が現れ自動拘束効果を持つ鎖が計6 本ほど出現した。

 

ハリーは伸びてきた鎖一本に「敢えて」腕に絡ませて。再度走り出す。

 

エルス「?何を━━━」

 

ハリー「逆にお前が巻かれろ!」

 

エルスの周りを走るハリー、そしてそのあとを追尾する鎖がまるでエルスを囲むように伸びていく。

 

エルス「(抜け出せない!?)っく!アレスティングネット解除「おらああ!」━━━」

 

焦ったのか鎖を消したエルス、そこを狙ったのかハリーは右手に魔力を収束させて

 

ハリー「━━━ガンフレイム!」

 

人一人を軽々飲み込む大きさの砲撃を放った。

 

エルス「っ(転移で、だめ!間に合わない!)パニッシャー!」

 

鎖を目の前に集め威力を軽減させるも、鎖は一瞬で砕けちり、エルスを飲み込んだ。

 

━━━ゴオオオオオォ!!

 

エルス「キャアアアアアアアア!?」

 

エルス・タスミン

 

LIFE

15000→10200

 

クラッシュエミュレート

右腕部経度火傷

 

エルス「ぐっ・・・相変わらずの馬鹿威力ですね・・・」

 

━━━ですが、甘いです!

 

ハリー「!?(後ろから!?)」

 

砲撃に吹き飛ばされつつもエルスは転移魔法と拘束魔法のコンボでハリーの後ろから鎖を出現させて捉えた。

 

ハリー「!(かってぇ!)━━だったら!」

 

周囲に魔力弾を展開し自身ごと拘束を壊そうとするハリー、しかしその隙をエルスは見逃さない。

 

ジャララララァ!

 

ガッ!

 

ハリー「っ!?鎖で!・・・・」

 

背後にもう一つ魔方陣が現れ、そこから出てきた鎖がまるで「鞭」みたいにハリーを叩いた。

 

ハリー「づぅ!」

 

ハリー・トライベッカ

 

LIFE

12200→9300

 

クラッシュエミュレート

背部中度打撲

 

『試合開始そうそう知恵(エルス)と力(ハリー)のぶつかり合い!両者とも退かず、恐れず向かい合います。』

 

アナウンスが興奮した様子で実況をして周りが盛り上がっていく。

 

ハリーは力も技も才能もある、素直な性格も幸いして思いきりがいい

 

━━━故に攻撃の動作が読まれやすくなってしまう欠点があった。

 

そのせいか、彼女の試合は被ダメージが毎回多くなってしまう。

 

しかし何故そんな彼女が都市本選出場、しかも5位という優秀な成績を納められるのか。

 

ハリー「━━はぁ!」

 

フレイムバレット

 

ハリー「シュートぉ!!」

 

前のめりになりつつ拘束魔法で身動きが止められていてろくに動けないはずのハリーは、それでも少ない魔力弾の制御を行いエルスを狙う。

 

エルス「!?あんな体勢から!?っぐ!」

 

エルス・タスミン

 

LIFE

10200→8900

 

エルス「(しまった!?拘束がゆるんで━━)な!?」

 

目の前には、「負傷状態」の右手を構えるハリー、あの一瞬で自身の魔力弾で自身ごと拘束鎖を破壊したことに驚愕を覚えるエルス

 

エルス「(無理!?防御が間に合わない!)」

 

エルス「がっ!?」

 

ハリーの右ストレートが綺麗にエルスの腹部に決まった。

 

エルス・タスミン

 

LIFE

9800→5200

 

━━━それはハリーの異常なまでのタフさと根性、そして学習能力だ。

 

ハリー・トライベッカ

 

LIFE

9300→7500

 

クラッシュエミュレート

右腕部軽度火傷

 

エルス「(まさか!この短い時間で私のアレスティングネットの拘束耐久度を把握したって言うんですか!?)」

 

ハリー「やっぱりオメェつええわ、でも・・・

 

━━━俺だって敗けらんねぇんだ!!

 

━━━いつでも近くにいてくれていた今も応援してくれてる奴らの為にも!

 

━━━自分が敗けて泣かない為にも!

 

━━━リベンジをする為にも!

 

 

 

━━━見てほしい人がいるから!」

 

━━ガシッ!

 

ハリーは叩き込んだ腹部にいれた右手をそのまま上へと掬い上げるかのように打ち上げた。

 

ハリーの頭より少し上の位置まで浮き上がったエルス

 

苦悶の表情を浮かべながらも、エルスはハリーの周囲に転移魔法をつくり、追撃させないために何本ものパニッシャーを放つ

 

ハリー「そいつはもう「見た」、乗っかってやるよ!「エルス・タスミン」お前の土台に!

 

 

━━━レッドホーク!」

 

ハリーは手札を一つ切った

 

まるで生き物のようにうねりをあげ、周りの鎖を『喰い殺して』いくレッドホーク。

 

高熱を纏うチェーンがハリーを守るように周りに漂った。

 

エルス「(!新兵器!?それにこの熱量・・・・!)」

 

エルスは直感で不味い!と思い、自身をパニッシャーに拘束させてハリーと反対方向にひきづらせて距離を取った。

 

ーーーーーーーー

 

ヴィヴィオ「━━━━まるでシグナムさんの連結刃みたい」

 

カズマ「確かに、ただ厄介なのは本人の「意識」でどこまでも伸びる事だな」

 

試合を眺めていたヴィヴィオが呟き、カズマがそれに同意する。

 

ノーヴェ「シグナムの姐さん「あれ」を見たことあるのか?」

 

カズマ「あぁ、柔軟性を持ってて「斬り難かった」、ハリーのあのチェーンは属性付与もあるし、自分の思った通りに動く・・・・

 

でも突破口がない訳じゃないんだ、エルス選手がそれに気づくことが出来れば状況は変わるだろうがな」

 

「アレ破ったの!?」と言うノーヴェの驚愕の声を聞きつつ、カズマはリング場を眺めた

 

カズマ「(見てほしい人がいるから・・・か)」

 

うぬぼれじゃなければそれは自分の事だろう。

 

カズマ「・・・・・(リオ、強敵出現だな)」

 

ーーーーーーーーーー

 

エルス「くぅ!」

 

ハリー「どうしたぁ!?こんなもんかぁ!」

 

迫り来る赤熱チェーンを何とか避け、弾きいなす事は出来ても、同時に攻撃をしてくるハリーまで対処するのは流石にキツい。

 

エルス「(今はまだいなせる・・・でもそれじゃ意味がないし、さっきから掠る回数が増えてきてる・・・・このままじゃ・・・・)」

 

改めてハリーを見やるエルス、こっちは苦悶の表情をしていると言うのに。相手は楽しそうに試合をしている。

 

エルス「(全く羨ましいですよ、此方だって楽しみたいのに負ける事ばかり考えてしまう)」

 

最初はただ煩わしいだけだった。

 

「2年前」初めてあった時も、試合をしている時も、勝ったときも大して実力も無かったのに気合いだけは一人前で

 

エルス「(でも・・・・私が羨ましがっているだけでした。

 

ハリー選手のどこでも笑っていられる快活さも、砲撃の威力も、真っ直ぐさも、皆を惹き付けるカリスマ性も。)」

 

手に持っている手錠がたのナックラーでレッドホークのチェーンを弾き、「すぐさま返ってきた所を」身を捻りかわす。

 

エルス「(私は確かに名誉ある「学校生徒会長」の役職を全うし、生徒にも先生にも期待も信頼もされていますが

 

 

━━━「大好き」な格闘技ではあまり期待されなかった。

 

でも・・・・でも!)」

 

ダッ!

 

ハリー「うお!?」

 

エルス「だから私は期待されなくても!見てほしい!派手さもなく、あまり威力もなく、地味かもしれない!でも

 

━━━私は格闘技が大好きなんです!」

 

エルスはハリーの懐に潜り込むように特攻を仕掛ける。

 

ハリー「(ッチィ!近すぎて狙いが上手くさだまんねぇ!)」

 

ハリーは手に「チャージしていた」魔力をエルスにぶつけようと拳を構えた。

 

エルスはそこでスライディングの要領でハリーの股下を潜り抜けると同時に足払いをかけた。

 

ハリー「!?」

 

エルス「ジャスティス・ストライク!」

 

いつの間にか手を覆いつくす程の鎖を絡めた拳に魔力を収束し体勢を崩したハリーの腹部に放った。

 

ハリー「ゔああああ!?」

 

ハリー・トライベッカ

 

LIFE

7500→3000

 

派手に吹き飛ばされたハリー、場外に出そうになり何とか足で踏ん張り持ちこたえた。

 

ジャララララァ!

 

そこへ、今までのより一回り太い鎖がハリーのからだ中に行き渡る。

 

ハリー「んだこれ・・・・」

 

エルス「はぁ・・・はぁ・・・先程までの拘束鎖とは違って強度もあり、短いですが軽いスタン効果まで与えます。

 

エルスの言う通り、思ったように動かない体に軽く舌打ちをする。

 

ハリー「っ引っ張られて━━━」

 

エルス「はぁ!」

 

エルスの方へと引き寄せられるハリー、エルスは両手を鎖でがっちがちに固め、ハリーの脳天目掛けてうち下ろす!

 

ハリー「(やべぇ!?)」

 

エルス「「先輩頑張って!」っ!

 

━━━一撃必裁、ジャスティスブレイク!」

 

エルスの気迫、覚悟、覇気に一瞬呑まれたハリー

 

正義の必槌がうち下ろされる瞬間

 

ハリー「━━━━」

 

 

エルスの背後、観客席、沢山立ち並ぶ観客の中でこちらを真剣な様子で見つめるカズマの姿を見た。

 

 

 

━━━俺・・・・・は・・・・

 

ミア「リーダー!」

 

ルカ「根性ぅぅ!」

 

リンダ「負けるなリーダー!」

 

スローモーションに映る光景の中で、はっきり聞こえた妹分達の叫び。

 

━━━俺はっ!

 

ハリー「ふんっ!」

 

バキィイイイイン!

 

エルス「なぁ!?」

 

頭突きで応戦、一瞬の拮抗の末エルスの手に纏っていた鎖を破壊した。

 

ハリー「4連!バーストバレット!」

 

エルスが動揺で固まっているその隙だらけな体にハリーの多段魔力付与打撃が襲った。

 

エルス・タスミン

 

LIFE

5200→3450

 

エルス「━━━っく(そんな!?まだスタン効果は切れていないはず!何で動いて!?)」

 

ハリー「はぁ・・・はぁ・・・っくぅぅ」

 

ハリー・トライベッカ

 

LIFE

3000→400

 

クラッシュエミュレート

脳震盪(意識、視界混濁(

 

 

ハリーはエルスを吹き飛ばした場所から動いておらず、目は虚でふらふらしていた。

 

呆然とするエルスにハリーは口を開いた。

 

ハリー「っどー・・・したぁ?

 

まだまだこっからだぞ・・・来いよ・・・・」

 

本来なら試合を止められてもおかしくはないハリーの様子に今度はエルスが呑まれた。

 

エルス「っはああ!」

 

エルスが拳を構え、ハリーへと迫る。

 

ハリー「・・・・(あぁ・・・・・駄目だ、頭がぼーってしやがる、体がろくに動かせない・・・ちくしょー、いい拳もって・・・んじゃねーか)」

 

━━━でも、いい顔していたやがる

 

ボウッと炎熱が自身の両手を包み込む。

 

ハリー「だが・・・・・」

 

レッドホークを操っている間に溜め込んだ魔力を解放、正真正銘全力全開

 

エルス「!?」

 

 

 

 

ハリー「勝つのは、俺だあああああああああああ!!!」

 

ガンブレイズ・エクステンドフルバースト

 

ハリーの「二つ」の極炎砲がエルスを迎え撃った。

 




誤字、脱字、指摘、アドバイス等がありましたらよろしくお願いします!


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70話ーー番長の生まれた日

お待たせしました。

お気に入り登録感謝です。

上手く出来ているかかなり不安ですが読んでいただければ幸いです!

では続きです!


━━━━あれは2年前、俺がまだ「アタシ」で、秒殺KOされたミカヤ・シェベル━━ミカ姉━━さんにリベンジしたいと魂を燃やしていた時

 

俺がまだ「砲撃番長」と呼ばれる前━━

 

ミカ姉が既に都市本選進出が決定していて、アタシの予選ブロックが決勝戦、相手はエルス・タスミンだった。

 

結果は惨敗、エルスの計算された戦略、総合的な戦闘力じアタシが上だったのに、ばか正直に突っ込むアタシをエルスはまんまとはめていった。

 

こうして決勝に進むことが出来なかったアタシは、ルカ達に「暫くほっといてくれ」と言ってしまい。試合に敗けた喪失感とルカ達に対する罪悪感から逃げるように引きこもったり、学校をサボって街をブラブラしていた。

 

ーーーーーー

 

ハリー「・・・・・はぁ、アタシ最低だな」

 

情けなくて仕方ない、心配してくれたあいつらに冷たい態度とって

 

ハリー「ミカ姉と闘いたかったな・・・・」

 

斬撃対策もバッチリだったのに━━━っ、ほら、気を抜くと視界がボヤけてくる。

 

強い砲撃や、派手な攻撃がアタシの売りだったのに・・・何がいけないんだ・・・何が足りないんだ。

 

ハリー「・・・・ほんとにあいつらに見せらんねえな、こんな酷い面」

 

デパートに備え付けられている、商品展示用のガラスに映っているアタシの顔、酷い顔だった

 

━━━ここんところマトモに寝てなかったからな・・・

 

酷い隈が刻み込まれた顔をみてそう内心ごちる。

 

「こないだのハリー選手とエルス選手の試合、凄かったな!エルス選手「が」」

 

っ・・・・・

 

「ハリー選手の特攻は見てて気持ちがいいんだけどなぁ・・・・なんてーか、「技」がないよなぁ」

 

少し離れた所で他の通行人が談笑していた。

 

その内容はまるで「お前の試合はつまらん」と言ってるように感じ取れて・・・・その時アタシは・・・

 

「あれじゃ無駄が多すぎだしなぁ」

 

ハリー「━━━━━」

 

簡単に逃げ出した。

 

どれだけ走っただろうか、気付けば中央区でもあんまし行かないような所まで来ていた。

 

ハリー「やばっ、迷ったなこりゃ・・・

 

━━━━ははっ、なにやってんだろアタシ」

 

らしくない、ミカ姉に負けた時だって何くそ!って勢いで立ち直って修業したって言うのに。

 

早く帰らないと、そう思い案内板辺りを探そうと顔をあげたとき。

 

少し小さいがコロシアム的な建物が目の前に立っていた。建物の周囲には「年齢層無差別格闘技大会~魔力あるない?関係ねぇ!最強を謳う者は集え」とデカデカとかかれている旗が立っていた。

 

このころ予選から都市本選迄の空き時間にミッドチルダ全域に置いてさまざまな規模の大会が行われていると聞いたことがあった。

 

ハリー「・・・・・・・・」

 

気付けば会場内に入っていた。

 

会場内の観客席は全く埋まっておらず、インターミドル大会時の3分の1にも満たなかった。

 

ハリー「・・・・・・・・」

 

━━━そう言えば男性競技者の出る大会って初めてだな

 

思い返せば男性競技者が出る大会の話を聞いたことがなかった。数年前は混合だったのをテレビ越しだけど見たことがあるんだけどな・・・・

 

「そういやこの大会で出るんだろ?あの

 

━━━ルーフェン道場の新しい師範代」

 

ハリー「(ルーフェン?それってあの「春光拳」の?)」

 

「らしいぜ?まぁゲスト出演らしくて大会優勝者とのベストマッチで出てくるってパンフに書いてあったわ」

 

少し興味が出てきた。

 

少しすると、開会式が始まったのかリング場内にぞろぞろと人が入ってきた。

 

一人一人見るがやっぱり分からない人ばかりだ。

 

「おいおい、あの少年腹押さえて震えてるぞ、大丈夫か?」

 

「おーい!まだ始まってないぞぉ!そんなんで大丈夫かぁ!?」

 

ヤジがとんで、周りの客に少々失笑が広がる。

 

出場選手も含み笑いをして、その少年を見ていた。

 

少年はミッドチルダでは少々珍しい部類に入る黒髪で多分アタシより1、2こほど年齢が上だった。

 

ハリー「あれ・・・・・?」

 

周りにあれだけ言われても、あんな目で見られても。

その少年は震えたままだった。

 

でも何だろう、緊張で震えてるというより、腹が痛くて震えてると言うより。

 

ハリー「(腹が減ってて震えてる?━━いや、まさか・・・・)」

 

いやだってよく見たら苦悶の表情とかじゃなくて目が血走ってるし、涎垂れてるし、スポドリ飲んでる人殺しそうな目で見てるし。

 

だとしたら、もしそうだとしたら・・・

 

━━━すんごい根性と胆力だな

 

『えー、それでは本大会を始めたいと思います。今回特別ゲストで来てくださった

 

 

━━━リンナ・タンドラさんから一言お願いします!』

 

周りから期待の雰囲気が高まる。

 

リングの中央に一人の女性が出てきた。ルーフェン道上の拳法着を着た褐色肌の人が歩いてきてる姿はなんと言うか「無駄が」なく、隙が無かった。

 

リンナ・タンドラ『━━━春光拳師範代をやっているリンナ・タンドラです。今日はじー・・・・「拳仙」レン・タンドラの代理で来ていますが、プログラムと変わらず本大会の優勝者と闘わせて頂きます

 

━━━皆さん試合を頑張って「グギュゴゴゴオォォォォォ」

・・・・・・』

 

リンナ師範代の激励の言葉の最中にまるで地響きのような音が聞こえてきた。

 

━━━グギュルゥオオオオオオ・・・

 

ハリー「・・・・・・・・ぷっ!」

 

周りが唖然とするなか、音の発生源を確認したアタシは笑ってしまった。やはりあの少年からだった。

 

「ふざけるなぁ!」とか「飯ぐらい食ってこいやぁ!」等とヤジが飛ぶなか、少年は、声高らかに叫んだ

 

?「あー、気にしなくていいんで続けてください!これ一族に伝わる呼吸法なんで!」

 

━━━━どんな呼吸法だぁ!

 

会場内の突っ込みがシンクロするなかアタシはリンナ師範代が何やら鋭い目でその少年を見ていたのに気付いた。

 

・・・・まぁ、そりゃ怒る気持ちは分かるがな・・・

 

リンナ『━━━頑張って下さい!』

 

・・・・・まばらな拍手が飛び交うなかこうして「年齢層無差別格闘技大会~魔力あるない?関係ねぇ!最強を謳う者は集え」が始まったのだった。

 

━━━━

 

一試合目、初戦から件の少年だった、名前は「カズマ=ツユクサ」

 

アタシと同じ我流と書いてあった。

 

「おいおい、あのガキの相手、たしか春光拳道場の門下生の有段者じゃなかったっけか?」

 

「こりゃ決まったな」

 

━━━違う。

 

何が違うのかは分からない、でも試合の時間になって再び出てきたカズマ選手を見た瞬間。

 

「何かが」体中に駆け回る感覚を覚えた。

 

相手も何かを感じたのか、雰囲気をより真剣なやものに切り換え、低頭してから拳を構えた。

 

カズマ選手も同じく低頭してから自然体なまま構えないでそのまま立っていた。

 

『試合・・・・開始!』

 

カンッ!とゴングが鳴った。

 

瞬間カズマ選手の姿がかき消え、瞬く間に相手の目の前に現れた。

 

「なぁ!?」

 

相手の驚愕の声が響く

 

思わずと相手が拳を突きだしたのをカズマ選手は読んでいたかのように突きだす「瞬間」前足を軸に身を捻り体を半回転、その勢いで裏回し蹴りを放った。

 

ダアアアアアアアン!

 

まるでホームランで打たれた野球ボールの如く場外の壁まで吹き飛ばされた相手選手

 

規程LIFEの10000は0へとなっていた。

 

静寂が場を包んだ。誰もが口をあんぐりと開けている、当たり前だカズマ選手は「魔力なし」、相手選手は「魔力あり」なのだから。

 

まぁ、かくいうアタシもが開いた口が閉じないんだけど。

 

審判ですら仕事を忘れてしまっている状態だ。

 

━━━━こうしてカズマ選手の秒殺快進撃が始まった。

ある時は飛び蹴り一発、更にある時は相手のラッシュを悉くかわし、顔を掴んで叩きつけ。

 

最初はバカにしていた観客達も今やお祭り状態

 

順調に勝ち進めて行ったカズマ選手だけど態度は変わっておらず、どんな相手にも必ず低頭してから自然体に構える。

 

凄いと思った、あれだけの胆力を持ってちゃんとミカ姉みたいな余裕と礼儀を持っていて

 

圧倒的な強さもそうだけど、周りの心を掴んだのはそういう所があるのかもしれない。

 

そして決勝戦も同じく秒殺、相手はこの大会を連続優勝している人だった。

 

高速歩行を魔力とデバイスの演算補助により発動した相手、カズマ選手はそれに対して肘鉄一発のカウンターで沈めた。

 

会場内が爆発的に沸くなか、ベストマッチ戦であるリンナ師範代との試合は少し休憩を挟んでから行われるらしい

 

アタシは待ち遠しかった、早く次の試合が見たいって・・・

 

ハリー「あ・・・・・」

 

アタシは今なんて思った?見たいって、早くあの人の試合が見たいって・・・・

 

ハリー「・・・・・・そっか・・・・」

 

アタシは「こういう」試合が出来てなかったから皆に「飽きられていた」のかも知れない。

 

ハリー「(皆にも、相手にも「魅せる技」・・・・)」

 

教えてくれたアンタを敬意を持って呼ぼう

 

━━━お師匠と

 

最後のベストマッチ、参考にさせて貰うぜ?

 

 

 

ベストマッチ、お師匠とリンナ師範代は少し話をしたかと思うと試合を始めた。

 

もの凄い試合だった、というよりリンナ師範代の防戦一方の試合だった。

 

お師匠のラッシュは速く、鋭く正直目で追えなかった。

 

一発一発相当な力で振るっているのか土煙が舞っているし防戦一方なリンナ師範代も冷や汗をかいていた。

 

何とか防いでいたリンナ師範代だったが、やがてまるで「どう防ぐのか分かっているかのように」攻撃のタイミングをずらしたり、フェイントを仕掛けたりし始めたお師匠に対応しきれずに負けてしまった。

 

カズマ「俺は!腹が減ったんじゃああああああ!」

 

思わず吹いてしまった。

 

試合後の一言を求められてお師匠はこう答えた。

 

━━━Q、カズマ選手は何を信条に格闘技を?

 

━━━A、いかなる時も全力で全開で最高の一撃を、自信を持って

 

 

━━━━━━━━━

 

賞金を現金でもらったカズマ選手は何故か泣きついていたリンナ師範代から逃げるかのようにそそくさと去っていった。

 

興奮冷めやらぬ会場から出た「俺」は、寮に帰らずジムに向かった。

 

━━━いかなる時も全力(砲撃)で全開(力)で最高の一撃(ベスト)を、自信を持って

 

その言葉を頭の中で反芻させながら。

 

ーーーーーーーーーー

 

ズガアアアアアアアアアアアアン!

 

けたたましいほどの轟音と破壊音、会場内が騒然とするなか、対戦相手のエルスは・・・・

 

エルス「・・・・・・・・・・」

 

エルス・タスミン

 

LIFE

3450→0

 

ダメージ

22500

 

ハリー「いよぉっしゃああああああ!」

 

右手を上に思いっきりあげて叫ぶ。

 

次いで会場内が爆発したかのように拍手喝采が起きた。

ワアアアアアアアアアア!

 

『激闘の末、巨大な砲撃の海がエルス選手を飲み込んだっ!1R3分58秒となっていますがまるで3Rほど続いたような感覚を覚えました。

 

そして勝者が右手を挙げて叫んだ!その名は

 

━━━ハリー・トライベッカ選手だああああ! 』

 

ハリー「・・・・・・・」

 

クラッシュエミュレートを解除していなかったせいか、脳震盪の疑似再現によるふらつきがハリーを襲い倒れそうになった。

 

ハリー「あ・・・・・・・」

 

しかし何者かがハリーを支え倒れる事がなかった

 

ハリー「お前ら・・・・」

 

ルカ「お疲れさまっすヘッド」

 

ミア「しっかり届きましたよ?ヘッドの叫び」

 

リンダ「もう痺れまくりっすよ!」

 

ハリーは自分以上に喜んでる妹分達にハリーはパチパチとしたのち呆れた様に笑い「ばかやろう・・・・」と言い「ありがとよ」と言った。

 

『ハリー選手!学校の友人達に支えられて勝利の笑みを浮かべました!』

 

ミア「いや!私達はリーダーの子ぶ━━」

 

リーダー「ちげえよ!こいつらは最高の友で最高の子分であり

 

 

━━━━最高の仲間だ!」

 

ハリーは満面の笑みを浮かべてそう言った。

 

 

 

ーーーーーーー

 

カズマ「・・・・・・・・・」

 

ノーヴェ「リオの相手はハリー選手で決まったか・・・リオ大丈夫か?」

 

ノーヴェさんがリオに声をかけているのを横目に俺はハリー達を見ていた。

 

カズマ「・・・・・・最高の仲間・・・・・」

 

しかし頭をふって「それ」を追い払う。

 

違う事を思っていては相手(コロナ)に失礼だ

 

アインハルト「兄さん」

 

カズマ「?どうした、アインハルト」

 

アインハルトは少し周りを気にしているかのような素振りを見せて俺の耳元に顔を寄せ、一言行ってすぐ離した。

 

アインハルトは困ったような、自分が情けないような顔をして笑っていた。

 

カズマ「━━━━あぁ、兄貴に任せておけ」

 

━━━━コロナさんをお願いします。

 

チームナカジマの仲間として唯一の先輩として、コロナが気になっていたのだろう

 

ヴィヴィオ達も同じだが、同じチームだからこそ、同じ競技者だからこそ踏み込んではいけない事があるのをこの子達は理解している

 

そして俺はあの子の対戦相手だ。でもな、お前ら

 

━━━チームの中で一番自分を理解しているのはコロナなんだぜ?

 

カズマ「さぁてっと!俺は明日に備えて帰りますかね!」

 

本当はハリー達に声をかけようと思ったが・・・

 

ハリー「だあ!?お前ら!寄るな触るな近づくなぁ!分かった!充分お前らの思いは伝わったから!」

 

今は止めとくか。

 

ルーテシア「あ!じゃあ今日「も」お兄ちゃんの家に泊まりに行っていい?」

 

ヴィヴィオ、アインハルト『!?』

 

ヴィヴィオ「(「も」!?「も」ってなに!?ルールーそんな頻繁に泊まってるの!?)」

 

カズマ「・・・・いや、ルールー気付けば布団の中にいるからな?泊まりに来てるっていうより、不法侵入だからね?」

 

いや、マジで朝起きたらすぐ脇にルールーが下着姿で寝てるんだもんビックリだわ

 

・・・・・今朝メガーヌさんから寝てる俺とブイサインしているルールーの画像が送られてきてメッセージが「あら」って言う言葉を5000文字くらい打ってくるんだから

 

アインハルト「ルーテシアさん、明日は兄さんの試合であるがゆえ、軽率な行動は遠慮して頂きたい」

 

ルーテシア「硬い!?態度が硬くて距離を感じるよ!?」

 

アインハルト「見てください、リオさんを

 

━━━気絶してるじゃないですか?」

 

リオを見ると顔を真っ赤にして目を回していた。

 

カズマ「まて、兄と妹の絵図で何を想像した」

 

ヴィヴィオ「何って・・・・・・っぽ」

 

シャンテ「・・・・・・皆進んでるね」

 

ノーヴェ「いや、こいつらがませているだけだ心配するな」

 

おい、保護者兼コーチ

 

俺はノーヴェさんをジト目で見ながら、ふと運営委員会委員長の事を思い出した。

 

カズマ「・・・・・・・・・・・」

 

━━━━━そろそろ動き出すかもな。




誤字、脱字、指摘、リクエスト等がございましたらよろしくお願いします!


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71話ーーカズマ対コロナ①

お待たせしました!

お気に入り登録感謝です。

では続きです!


━━━インターミドルチャンピオンシップ大会予選、第3、4回戦

 

この日の早朝、聖王教会本部の建物の玄関口でレインはセインとシャッハ、そしてカリムに見送られていた。

 

いずれもレインが今日ミュールゲニアへ帰ることを知っているメンバーで、ディードやオットーはリオとコロナの専属コーチのため、ノーヴェ改めナカジマ家に外泊している。

 

シェルファは少し離れている場所で待っている。別れが辛いとかそう言うのでは無く、ただ面倒なだけだった。

 

ただ、さっさと先に行く割りには、カリムに何かを伝えるかのように、些細な変化だが視線を向けていた。

 

カリム「━━━貴方とシェルファさんの事はインターミドル大会の本部の方に言伝てをしておきました。

 

━━━レインさんはミカヤ選手かヴィヴィオ、シェルファさんはヴィクトーリア選手との試合をエキシビジョン(公演)マッチ(試合)として認めて下さるそうです。」

 

レイン「そうか」

 

相変わらず無表情で答えたレインにその場にいる3人は苦笑いしていた。

 

セイン「ったくよぉ!短かったかもだけど最後ぐらい笑━━━」

 

シャッハ「セイン!レインは別れを惜しんで何時も通りに過ごそうとしている━━━」

 

シャッハ「・・・・・・・・・」

 

レインは3人から目を離さずに笑っていた。レイン自身も分からない、「向こう」でやっていたように低頭で済ませば良かったのに何故か表情が緩む。

 

分からないがこれだけは言わねばあるまい。

 

 

そう思いレインは穏やかな表情のまま口を開いた。

 

レイン「今まで世話になった・・・・ありがとう」

 

セイン「っ、でっでもさ!まだ試合はしてくんだろ!?最後まで応援してくよ!」

 

照れ臭そうに笑ったセインがレインにそう言う。

 

シャッハ「でも、シャンテやディードには言わなくていいのですか?レインが試合をする以上途中リタイアは嫌でもバレると思うのですけど」

 

レイン「それなら大丈夫だ、プライムマッチとやらがあった日に言っておいた」

 

まるで「洗濯物なら干しといたよ」とでも言うように言うレインにぎょっとする2人

 

まぁ、実際は結構な騒ぎになったのだが。

 

カリム「レイン、また会えますか?」

 

俯いていて表情が見えないカリムにレインは変わらずに答えた。

 

レイン「分からない、会えるかもしれないし会えないかもしれないし、現に俺は此方の次元世界にくる方法を知らない。あの時は偶然だったからな

 

 

━━━でも」

 

 

落ち込む様子のカリムにレインは一旦閉じた口を再度開く。

 

レイン「俺はまた会えたらいいとは思う」

 

カリム「・・・・・駄目です、思うじゃなくて必ず来てください

上司命令です。」

 

目に若干の涙を溜めたカリムがレインを見る。

 

その様子に苦笑を浮かべるセインにシャッハ、レインに至っては「上司もなにもアンタに仕えた記憶はないぞ」とどこかじとっとした目でカリムに訴えかける。

 

レイン「・・・・・はぁ、分かったよ」

 

初めて砕けた話し方をするレインに固まった3人にレインは溜め息を軽くついた。

 

レイン「━━━行くよ、「例え忘れても」必ず━━」

 

シェルファ「・・・・・・・・」

 

反射的に口元に手をやるレイン

 

━━俺は何を?この人達の事を、約束を忘れるなんて・・・

 

カリム「・・・・・・・・レイン?」

 

何処か動揺した様子のレインに心配の声をかけるカリム、レインは頭をふり「大丈夫」と言った。

 

カリム「・・・・・・「最後」の戦い、武運を」

 

何処か含みのある言い方をしたカリムに疑問符を浮かべるシャッハとセインを横目にレインはゆっくり頷いた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

同時刻、カズマ宅

 

カズマ「でさぁ!妹達の好意は嬉しいんだがさぁ!ぶっこむことが多すぎるんだよぉ!?」

 

ファビア「・・・・そう、なんだ・・・・・」

 

まだ辺りが明るくなり始めた頃、軽い走り込みを終え一息着いていると時間帯、何故かカズマは自宅の前に立っていたクロゼルグに似た少女を流れるような動作で自宅へと招き入れお茶を出してリビングにて愚痴を言っていた。

 

ぶっちゃけ犯罪案件であるがまぁ

 

ファビア「大変だったね・・・・・」

 

カズマ「ありがとう・・・ありがとう・・・」

 

本人達は全く気にしてないから良いだろ。

 

どうやらファビアは今日行われる話し合いに参加の意をカズマに伝えたはいいが、場所も時間も「遠巻き」にしか聞いておらず、招待状等の郵送さえされておらず、カズマもノーヴェに確かに一人追加とは言ったものの、名前しかわからず他の情報なんて分からなかった。

 

ファビア「急にごめんなさい・・・・」

 

カズマ「いや、会えて良かったと思ってるよ。」

 

ファビア「え?」

 

カズマは座ったままファビアの頭に手を置き。真剣な目でファビアの目を見て言った

 

カズマ「俺は「アイツとの約束」を破っちまったんだ。

 

恨まれても仕方ないって思ってる。」

 

何故か呆然としているファビアを余所にカズマは悲しそうに微笑んでファビアの頭を撫でる。

 

カズマ「・・・・結局「森」は半分焼けちまったし「バカ姫」だって連れ戻せ無かったんだ。その癖俺はホイホイこの時代に帰って来ちまった「違う・・・」?」

 

遮ったファビアにカズマは怪訝な顔をするもファビアは・・・・いや、クロゼルグは口を開いた。

 

クロゼルグ「違う・・・カズマは何も・・・何も悪くなんかない!」

 

雰囲気が・・・いや、それだけでなく、まるっきり「入れ替わったような」気の変化にカズマの顔が驚愕の表情に変わった。

 

━━何・・・で・・・?さっきまでは・・・血が濃く継いでるから?人格汚染レベルまでに記憶に侵されて二重人格?・・・いやそれはない、いくら何でもクロの気を間違える筈が・・・・・・

 

そこで一つの解答に辿り着いたカズマ、普通はあり得ないそんな解答

 

でもそんなあり得ない経験をしてきたカズマにとってその解答は無視できる物じゃなかった。

 

カズマ「・・・・・く・・・・・ろ?」

 

クロ「・・・・・・久しぶり・・・・カズマ」

 

そんなカズマの顔を見て、歓喜、罪悪感、寂しさ、そんな感情を顔に笑みに変えて返すクロ

 

ファビア『・・・・・・・・・』

 

深層心裏の世界でその光景を見ていたファビアは静かに祈るように目を瞑った。

 

ーーーー

 

カズマ「元気だったか?お前今何処に暮らしてるんだ?ちゃんと飯食ってるか?ちゃんと風呂入ってるか?寝る前に歯磨きしてるか?」

 

クロ「え?あ・・・あのぉ・・・?」

 

カズマ「大丈夫か?学校とか、虐めにあったりしてないか?・・・・・どうしたクロ?」

 

クロ「どうしたのは此方の台詞だよぉ!?」

 

最早暫く離ればなれで数年暮らしていた娘の元へ駆け込んだ父親のようなリアクションをとるカズマ。

 

心中複雑なクロは何も言えず、ただなされるがままだった。

 

ファビア『・・・・(まぁ、クラウスの子孫達に比べたら大人しい子が恋しいのが分かるけど・・・)』

 

何処か苦笑にも似たような顔をしたファビアがカズマに声をかけた。

 

ファビア『カズマ・・・・そろそろ御先祖を虐めるのは止めてあげて?』

 

言ったあとに気付く、普通の一般人には「この場所」からの声は聞き取ることが不可能だと。

 

深層心裏の世界とは、正真正銘その人個人の世界だ、勝手は全く違うけど閉鎖結界と似たようなものだ。

 

ファビア『・・・・・「ん?この感じはファビアか?」・・・・え?』

 

カズマ「・・・・やっぱり一つの身体に二つの魂があるんだな

 

ファビア『・・・・・そっか、一度クロゼルグの意志がカズマさんと「融合」してるから、軽いパイプみたいなのが私とカズマさんの間にできてるんだ』

 

クロ「・・・・ねぇカズマ、・・・・その・・・・」

 

ファビアが一人納得しているのを?を浮かべているカズマに気まずそうに話し掛けるクロ

 

カズマ「・・・・・・」

 

クロは言うか言わないか迷っているかのように口をモゴモゴしていた。可愛らしいようすだが、顔には焦燥の色が強く「早く言え!」と自分に言い聞かせているような感じだった。

 

カズマ「・・・・ごめんなクロ、それにファビア今日此れから大会があるんだ。

 

大事な試合でもあるんだ、そっちに集中したいんだだからさ━━━」

 

そこで切り玄関へと繋がるドアに視線を向けるカズマ、クロも?を浮かべつつカズマに倣いそちらを向くと

 

クライ「━━━・・・・・・」

 

「この情況マジなんなん」と顔に現したクライがドアを開けた状態で固まっていた。

 

改めて間近で見て凍り付くクロ(とファビア)

 

カズマ「この人と、この人の奥さんと一緒に待っててくれないか?」

 

クライ「え?はぇ?・・・・・・ど、どぅも・・・」

 

クロ、(ファビア)「『・・・・・・・・ピイイイイイイイイイイ!!??』」

 

朝の早い時間帯に住宅街に少女の甲高い悲鳴が響きそこに「あ、やっぱり?」といった開き直ったような声が混じったそうな。

 

ーーーーーーーー

 

インターミドルチャンピオンシップ大会予選会場

 

連絡通路にてベンチに座り試合開始時間まで待っているカズマ、その表情は集中・・・・とは言い難くクロの一件を気にしているように見えた。

 

クロがこうして会いに来てくれた事は嬉しい・・・だけど

 

カズマ「・・・・・(あの手紙と夢に関係・・・有るんだろうな)」

 

ひたすらクロが謝罪の言葉をかけてきたあの夢、そして

 

━━━何故貴方があんなことに巻き込まれたのか━━━

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

ミカヤ「・・・・・・・・」

 

カズマ「・・・・何してんの?」

 

気付けばミカヤがずっと俺の隣に座っていて、しかも俺の腕を抱き寄せていた。

 

ミカヤは暫くこちらを見つめキョトン、としたあと

 

頬を染め、恥じらうように俯いた。

 

カズマ「いや何でだよ!?」

 

ミカヤ「いや、そんな白昼堂々と「ナニ」してるだなんて・・・・」

 

カズマ「黙れ発情剣士」

 

ミカヤはそう言われてムッとするわけでもなく、何かアクションをするでも無く、腕を組んだまま此方を見つめていた。

 

ミカヤ「・・・・カズマ、君がどう悩んでいようと現状は変わらない、悩んでる時点で変わらないんだよ、そしてまた、君と闘いたがってるコロナちゃんの勢いも変わらないよ?真っ直ぐ君の前に立ち塞がるだろう

 

━━━君はそんな中途半端な状態で彼女に立ち向かえるのかい?」

 

・・・・・・・・・・

 

ミカヤ「君がこの大会に関わらず全てにどう立ち向かってきたか、それは忘れないで欲しい」

 

ミカヤはそう言うと立ち上がり此方を見て微笑んだ。

 

ミカヤ「・・・・カズマが教えてくれた事だ

 

君はいつも通りにすべての事柄に全力で立ち向かってたほうが格好いいよ」

 

・・・・はぁ

 

俺は無言で立ち上がりミカヤの前までいき、軽くデコピンをした。

 

ミカヤは「むっ?」と言って此方を見ていた。

 

カズマ「・・・・・・・サンキュ、何か晴れたよ」

 

少し気恥ずかしくなってきたので。控え室に向けて足を進めながら手をあげた。

 

ーーーーーーー

 

ミカヤ「・・・・・全く、なれないことはするもんじゃないな」

 

カズマにデコピンされた所を優しく触りつつ「私も君も」と言って微笑んでカズマを見送った。

 

ーーーーーーー

 

 

『さてさて!お待たせしました!インターミドルチャンピオンシップ大会予選第3回戦を初めて行きたいと思います!

 

最初の試合から目が話せません!

 

レッドコーナー!カズマ=ツユクサ選手の入場です!』

 

会場が声援に包まれるなか、刃鐘を腰に差したカズマが静かな足取りで入場した。

 

『未だ実力が未知数であるカズマ選手!しかし今回の相手は一筋縄では行かない!

 

ブルーコーナー!名門魔法学園St・ヒルデ学園に通っている初等科でありながらゴーレムマイスター!

 

これまでの試合全て「肉弾戦や魔法戦」をしつつ同時にゴーレム創成をしていると言う驚異のマルチタスク(並列思考)のスタイルでプロ顔負けのテクニカルな試合を展開している

 

コロナ・ティミル選手だああ!』

 

緊張もしていないリラックスした様子でリングにノーヴェやオットーを伴って歓声に包まれながら入場した。

 

『お二人は同門ではありませんがチームナカジマに師事したことがあるときいています!お互いの事が分かっている二人の勝負、どちらが制するのでしょうか!』

 

アナウンスの発言を気にせずにコロナは此方を見ている。

 

コロナ「カズマさん

 

━━━よろしくお願いします!」

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

コロナ「今は何もいいません、ですがこの試合が終わったら言いたいことがあります」

 

カズマ「・・・・・・ああ」

 

ブランゼルを起動して短剣方のデバイスを構えるコロナに刃鐘をいつでも抜けるように構え若干腰を降ろすカズマ。

 

カズマ「・・・・・・・・」

 

コロナ「・・・・・・・・」

 

『さぁ!両者睨み会った所で予選1組第3試合のゴングが

 

━━━カンっ!

 

━━鳴りました!』

 

━━━瞬間、会場がざわついた

 

ゴングが鳴った瞬間カズマがコロナの背後に腰を深くしてコロナを睨んでいた。

 

━━しかし

 

コロナ「━━━━━━━」

 

カズマ「・・・・・・・」

 

カズマが放った一撃、コロナは前ではなくカズマを見ていた。

 

コロナ「っロックシールド!」

 

焦ったようなそんな声で足元の地面から盾を作った。

 

カズマ「(見えていた?いや流石にいくら何でも「見切る」のはまだ・・・・・)」

 

カズマが放った斬撃が岩の盾を難なく切り裂き、返しの太刀で切りつけようとしたとき。

 

コロナ「魔力同調(シンクロ)!ロックニードル!」

 

「網」として散布していた自身の魔力を操り自分の周囲8メートル圏内に岩の棘が次々に創成されていく。

 

カズマ「(・・・なるほど、探知機がわりに自分の魔力を辺りに散らしておいたのか)」

 

しかし気にせずコロナに対して返しの太刀を放とうとする。

 

コロナ「!?(怯まない!?)」

 

堪らずバックステップで距離をおくも間に合わず右腕部に切りつけられた。

 

コロナ「っく・・・・」

 

コロナ・ティミル

 

LIFE

15000→13900

 

コロナ「━━発射!」

 

周囲に作られた岩の針が凄まじい早さでカズマに迫っていく。

 

カズマ「━━━━━━━」

 

ダアアアアアアアアン!

 

カズマを中心に爆音が広がる。

 

コロナ「・・・・・━━━そこっ!」

 

いつの間にか拳の形を型どった岩をブランゼルを持っている方の拳に装着していたコロナが自身の右方向に放った。

 

カズマ「はっ!」

 

バキイイインと音を立てて破壊される岩の拳、カズマが連撃を放とうとした瞬間。

 

コロナ「━━━クリエイト」

 

破壊された岩の破片が針状に創り直された」

 

カズマ「!?」

 

その場からすぐさま離れたカズマがいた場所に針が刺さった。

 

コロナ「はああ!」

 

距離を取ることを読んでいたコロナが魔力による身体強化でカズマとの距離を詰め正拳突きを放つ。

 

しかしカズマに当たる瞬間まるで幻だったかのように消えた。

 

コロナ「!?(あの体勢から!?━━━━後ろ!)」

 

感知に引っ掛かった方へすぐさま裏拳を放つもしゃがみこみかわされ、逆に足払いをかけられる。

 

コロナ「っ!」

 

すぐさま壁を創成して体勢を持ち直してその場から離れた。

 

コロナ「━━━創成開始」

 

創った壁が綺麗に斬られて真っ二つになるのを見届けながらコロナはクリエイションに入った。

 

カズマ「━━━特攻居合」

 

その様子を見ながらカズマは油断なく構えをとった




クロの口調が分からん・・・

誤字、脱字、指摘、リクエスト等がありましたらよろしくお願いします。


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72話ーーカズマ対コロナ②

お待たせしました!

お気に入り登録感謝です!

では続きです!

結構やっちまった感が強いですが読んで頂ければ幸いです!


  

コロナ「創成開始(クリエイション)!」

 

カズマ「特攻居合━━━」

 

コロナの足元にミッド式の巨大な魔方陣が出現する。

 

コロナ「(「一」からの創成ならカズマさん相手じゃどう考えても間に合わない、でも!

 

「一」からが駄目なら「最初から十」から創成すればいい!)」

 

会場全体がギョッ!とした。何故ならコロナの前「と後ろ」

に巨人が立っていた。創成した形跡は見当たらず。

 

━━━気付けば二体の巨人(ゴライアス)が創成されていた

 

『な、何が起きたんだぁ!?まるで出現したかのように!それも二体の巨人を創成(クリエイト)したぁ!

 

これが創成主コロナ・ティミルの実力かぁ!?』

 

カズマ「(・・・・マジで覚えやがった・・・・すげぇな・・・しかも「二体」

 

━━━━受けてたつ!)剣閃(いただき)!」

 

修業期間中に教えた事を確実に覚えたコロナの真剣さと強くなりたい!という意思に不敵な笑みで返し

 

一瞬でゴライアスを通り抜け、マスターであるコロナに叩きこも━━━

 

カズマ「っ!?」

 

 

━━━うとして即座に抜きかけていた刃鐘を戻し、その場で宙返りをして、空中で身を捻り視界が反転するなか「自分の真下を通過した何かに」蹴りを放った。

 

ダアァン

 

軽い轟音と共に「何か」━━ゴライアスの腕━━が肘からもげて地面に落ちる

 

カズマ「(反応が段違いに早くなってやがる、大分「魔力を溜めてやがったな」?)」

 

コロナ「はぁっ!」

 

カズマの着地地点まで駆けてきたコロナが肘打ちを放ってきた。

 

それを地面についた片足だけで半歩回転するようにしてかわし、回転の勢いで浮いている足で回し蹴りを放つ

 

ガアン!

 

しかし後ろのゴライアスが両腕でコロナを守るようにカズマとコロナの間に割り込んだ

 

罅が入った腕を一瞬だけ見て背後からのゴライアスのパンチを跳んでかわし腕の横に着地する。

 

━━━と同時に腕をガッシリ掴み肩にのせ

 

カズマ「っらあああああああ!!!」

 

エクシードを腕と両脚に循環させ強化して背負い投げをかました。

 

ただ投げるだけでなく、コロナ達を巻き込むように。

 

あっさり投げられたゴライアスにコロナは驚愕を覚えつつも動揺せずに

 

コロナ「「ウダイオス」リリース」

 

投げられたゴライアスを唯の岩に還した。

 

カズマ「━━━」

 

カズマは目を見開くも岩の残骸を乗り越え、コロナをゴライアスの腕ごと斬り飛ばした。

 

コロナ「っくぅ!?」

 

反応出来ずに切り裂かれたゴライアスの腕ごと吹き飛んだコロナは落下地点に砂でクッションを作り落下した。

 

コロナ・ティミル

LIFE

13900→9000

 

コロナ「っ(速すぎる!・・・でも!)

 

━━━ウダイオス再創成(リクリエイト)!」

 

刹那背後に何かが蠢く気配、カズマは第六感を働かせて

刃鐘を体の右側に添わせる。

 

ドオオオオオン!!

 

━━━ギガントナックル

 

瞬間カズマは何かに吹き飛ばされた。

 

カズマ=ツユクサ

 

LIFE

15000→10300

 

クラッシュエミュレート

右半身軽度打撲

 

カズマ「マジかい」

 

受け身を取り先程まで立っていた場所を見るカズマ、そこには

 

━━━「さっき岩に還った」巨人がそこに立っていた。

 

コロナ「攻撃の巨人ウダイオス、防御の巨人ゴライアス!二重創成(デュアルクリエイト)

 

カズマさんの意見、取り込まさせて頂きました!」

 

満面の笑みを浮かべたコロナがそう告げた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ヴィヴィオ「コロナ凄い!お兄ちゃんを押してる!」

 

観戦をしていたヴィヴィオが思わず席を立ち興奮したように言った。

 

アインハルトの保護者兼セコンドのチンクが感嘆の息を吐く

 

チンク「巧いな、最初は創成魔法で時間を稼ぎつつブランゼルに巨人創成の演算処理を任せて、巨人創成にかかる時間を短縮したんだな」

 

アインハルト「しかも二体同時に・・・・ですか」

 

チンクの解説にアインハルトは真剣にコロナとカズマを見ている。

 

チンク「しかしカズマも凄い、コロナ含め実質3対1という条件なのに遅れを全く見せない」

 

リオ「うぅ!どっちを応援すればいいのか分からない!」

 

ウェンディ「いやそこはチームメイトを応援するっすよ!?」

 

頭を抱えて呻くリオにウェンディの突っ込みが会場内に消えていった・・・

 

ーーーーー

 

コロナ「・・・・・(とまぁ、強がっては見たもののカズマさん全然隙がないし前半から飛ばしすぎたかな?

 

流石に魔力を使いすぎた)」

 

魔力過多使用による一時的な倦怠感を隠しつつ、油断なくカズマを見るコロナ

 

カズマは軽度とは言え右半身に鈍痛を覚えている筈なのに全く気にしてないような顔をして

 

カズマ「シッ!」

 

コロナ「━━━━━━」

 

気が付いた頃にはウダイオスの両腕両脚を切断していた。余りの早さに一瞬思考が固まる。

 

コロナ「(今・・・・何が起きたの?)」

 

ノーヴェ「固まるなぁ!次が来るぞぉ!」

 

ノーヴェの叱責にハッとなったコロナは再びウダイオスを再創成しゴライアスに自身を守らせた。

 

背後に回り込んだカズマがゴライアスを斬りつける、ゴライアスに「3」本程の剣跡が走った。

 

コロナは刃鐘を振りきったカズマの僅かな隙を突き、右腕に巨人の腕を纏わせて、伸ばした

 

カズマ「流シ」

 

それを見極めたカズマは受け流した後跳ね上げるようにして攻撃をかわす。

 

コロナ「(駄目!読まれてる!)」

 

カズマ「特攻居合」

 

カズマが受け流した直後僅かに腰を落とす、特攻居合の構えた。

 

コロナ「ゴライアスリリース!

 

━━━受け止めて!」

 

ガラガラと音を立てて崩れた岩がコロナの前に凝縮した。

 

カズマ「弐月」

 

瞬間に二振りの三日月が凝縮した岩の壁に炸裂した。衝撃波と斬撃の重さにビキビキッと嫌な音を軋む壁に維持しようと制御するコロナ。

 

コロナ「(不味い!再創成の速度が凄く下がってる!)」

 

すると壁の向こう側から衝撃がパタリと止んだ。

 

防ぐことに成功したと一瞬安心してしまったコロナは一瞬だけ体の力を抜いた。

 

カズマ「━━━剣閃参撃」

 

コロナ「え?」

 

岩の壁に3つの線が走り、文字通り3分割した。

 

次いで衝撃波がコロナを襲う。

 

コロナ「キャアアアアア!?」

 

吹き飛ばされつつウダイオスを見るコロナ、しかしウダイオスも上半身と下半身が離れた状態で倒れていた。

 

コロナ・ティミル

 

LIFE

9000→2600

 

クラッシュエミュレート

全身軽度打撲

 

何回も地面を叩きつけられて、リングアウトしてしまうコロナ。

 

『コロナ選手リングアウトオォ!神速の一刀がコロナ選手を壁ごと吹き飛ばしたぁ!

 

ダメージは甚大!倒れ伏すコロナ選手を唯じっと見つめるカズマ選手その目に映す物は一体?

 

カウントを開始します!15━━」

 

カウントが始まる会場の中、セコンドであるノーヴェが思わず身を乗り出した。

 

ノーヴェ「ッコロナ・・・・!」

 

その様子を見ていたノーヴェが歯噛みする。確かにコロナは強くなった。冷静さや知性を活かしそれは劇的に、しかし実力に差がありすぎた。

 

そう分かっていてもノーヴェはタオルをコロナに投げるような事はしなかった。

 

試合が始まる前コロナに言われたのだ。

 

 

━━今回の試合、多分無茶を一杯しちゃいます、でもできれば何も言わないで下さい。

 

・・・・分かってますこれは競技者である前に私のワガママだってことは

 

カズマさんは絶対に加減はしません。そう言うのは嫌いな人ですから。もしかしたら怪我もしてしまうかもしれません。

 

でも!これが私の「私への」ケジメなんです!後で一杯怒られるのも覚悟しています!ノーヴェ師匠・・・どうか・・・

 

ノーヴェ「・・・・(口を挟めるわけ無いだろうが!あんな顔されたら!)」

 

オットー「コロナお嬢様?」

 

ふと横から聞こえてきたオットーの疑問の声に俯いていたノーヴェが顔を上げる。

 

そこにはゆっくりではあるが、しっかりと立ち上がりリングに入っていくコロナがいた、痛みが効いているのか顔をしかめつつも

 

━━だが、しっかり笑っていた。今この瞬間が楽しいとでも言うように。

 

ノーヴェ「・・・・・・」

 

オットー「あれがコロナお嬢様が見つけた答えなんですね・・・」

 

ノーヴェ「あぁ、ほんと私にゃ出来すぎた弟子だよ」

 

誇らしい笑みを浮かべたノーヴェにオットーは同意して、静かながら「大丈夫です!」と言ってリングに戻っていくコロナを見送った。

 

 

コロナ「ただいま戻りました!」

 

カズマ「おかえりさん、じゃあ再会すっか!」

 

コロナ「はい!」

 

まるで休日に仲良く遊んでいる兄妹のような会話をする二人、しかしどちらもその目に闘志を宿していた。

 

コロナ「(ゴーレム達に込めた魔力も段々尽きかけてる、カズマさんの動きを止めるにはやっぱり巨人は大きすぎたかな・・・全くせっかくオットー達と仕上げた創成格闘技、カズマさんすぐ弱点見つけちゃうんだから)」

 

そう内心ぷんぷんするコロナだが、カズマの気持ち悪いレベルの動きに反応できるゴーレムなど、並大抵な魔導師や競技者じゃまず太刀打ちなど出来ない。下手すればジークですら危ないレベルだ。

 

コロナの理想はウダイオスと「自分自身」で相手を牽制しつつ、ゴライアスの「ロケットパンチ」や「ロックカノン」等でフィニッシュなのだが、相手が悪すぎた。

 

コロナ「(・・・・楽しいな、勝つための作戦を練るのって)」

 

高速思考でカズマに勝つための作戦をシュミレーション込みで考えるもすぐさま破られ、また違う作戦を考える

 

━━━━まぁ

 

『試合再会です!』

 

アナウンスが流れ、試合再会のゴングが鳴り響く。

 

カズマ「ん?巨人(ジャイアント)はもう良いのか?」

 

コロナ「えへへ、アレは切り札って言えば切り札なんですけど、カズマさん相手だと燃費が悪すぎちゃいます!」

 

内心だけでなく実際にもぷんぷんと擬音が付きそうな感じで怒っているコロナ

 

カズマ「ふふん」

 

得意気な顔のカズマにコロナは楽しそうに笑い拳を構えた。表情を引き締めてカズマを睨み付ける。

 

コロナ「じゃあ、始めましょっか」

 

カズマ「・・・・・・あぁ」

 

そう言って同じく拳を構えるカズマ、相手が拳なら自分もとばかりに刃鐘を足元に深く突き刺した。

 

カズマ「━━━じゃあ行くぞ?」

 

コロナ「っく!」

 

一瞬で距離を詰めたカズマのアッパーを間一髪で防ぐ。

 

コロナ「(やっぱり重いな・・・)」

 

すぐさま距離を取り、追撃をかわし痺れる腕を見ながらそう思う。

 

コロナ・ティミル

 

LIFE

2600→2300

 

コロナ「・・・・・(カズマさんは凄いな、一番得意な刀術を相手が拳ならって自分も同じ土台に乗っちゃうんだもん、圧倒的に私の不利な試合でも対等に勝負してくれる

 

そんな強くてかっこいいカズマさんだから、全てを出し尽くしたい)」

 

いつの間にか立ち位置が入れ替わっていたのか、コロナの真正面にはカズマと

 

━━━コロナを強く見守るノーヴェと、優しく見守るオットーがいた。

 

ノーヴェが頷き、オットーが親指を立てるのが見えた

 

コロナ「(ありがとう・・・・)カズマさん、行きます」

 

カズマは何も言わずに、拳を突きだした。

 

コロナ「(さっきの創成解除で魔力が戻ってきてるっていっても、二重創成と同じ「この技」もかなり魔力を使う。

 

残り1分弱・・・・「持たせて」みせる。)

 

━━━ブランゼル、行くよ」

 

ブランゼル『はい、どこまでも!』

 

ブランゼルの頼もしい言葉に、待ってくれてるカズマの優しさに口元に笑みを浮かべたコロナはそれを発動した。

 

その場から消えたコロナにカズマはピクッと眉を動かし

背後に裏拳を放つ。

 

バシィイイイン!

 

背後に現れたコロナが放った「アクセルスマッシュ」とカズマの裏拳が弾きあった。

 

カズマ「今のは・・・・」

 

━━俺の動き?

 

ーーーーーーーー

 

ヴィヴィオ「今のって・・・・」

 

ジーク「━━━身体自動操作やね」

 

リオ「ジークさん・・・」

 

おはよ、と行ってアインハルトの隣に座るジークはリング場を見ながら再び口を開く。

 

ジーク「要領はコロちゃんがやっとるゴーレム操作と同じ、「設定した技や魔法」をオートコントロールで体で再現しとるんや」

 

アインハルト「・・・・・オリヴィエが似たような武装を着けていました。オートコントロール、つまり自分の意思ではない外部からの操作です。確かに設定をすれば魔力さえあればヴィヴィオさんのお母様見たいな凄い砲撃を撃つことも可能です。」

 

ジークの説明にアインハルトが続く

 

身体自動操作(ネフィリムフィスト)の凄さに皆が唖然とする。

 

チンク「しかし、外部からと言うと・・・」

 

ジーク「えぇ、体の限界を超えても解除しない限り、本人に痛みがあっても体を酷使され続けます。」

 

ヴィヴィオ達の顔が青ざめるのを横目にジークはカズマを見た。

 

ジーク「・・・・・・・(カズマ?)」

 

無表情でたっているカズマ、しかしジークにはその後ろ姿が泣いているように、悔いているよう、怒りを覚えているにように見えた。

 

アインハルト「・・・・・ですが、これがコロナさんが考えて手に入れた力、答えなんですね

 

━━━なら応援しないとですね」

 

そう笑ってアインハルトは言った。ヴィヴィオ達も余り無理はしてほしくないと思っても気持ちは痛いほど分かるため、リオとアインハルトと一緒に立ち上がる。

 

3人『頑張って(下さい)!コロナァ(さん)!』

 

ジークは微笑ましく3人を見つつ先程アインハルトが言っていた言葉を思い出した。

 

━━オリヴィエも似たような武装を

 

ジーク「(カズマ、君は今ここにいるんやで

 

━━━気付いて)」

 

ジークは手をぎゅっとして祈った。

 

ーーーーーーー

 

━━大丈夫ですよ・・・まだ、行けます・・・

 

もう止めてくれ!そんな怪我で・・・・

 

━━カズマこそ、右腕変色してるじゃないですか・・・

 

気付けよバカ姫!こんななってまでお前を引きずり帰る奴(バカ達)がいるんだよ!だから帰ろう!

 

━━「・・・・・━━━』

 

 

 

 

カズマ「コロナ、お前・・・・」

 

コロナ「っ・・・・まだまだ行きますよ!」

 

カズマの速度を模倣したコロナ、しかし魔力を持たないカズマが出すスピードは無駄のない動き、呼吸、脚運び、さまざまな要素が固まって出来ている動き

 

その動作を魔力による外部操作だけで模倣すると慣れない速度に体が悲鳴を上げるに決まっている

 

コロナ「・・・・これが私のカズマさんに唯一勝てる技です。「ちょっと」負担が大きいですけど、まだまだ行けますよ!」

 

カズマ「・・・・」

 

ギリッと閉じた口の中で歯軋りをするカズマ

 

カズマ「(分かってる、コロナや「あいつ」が何かを求めた

から今のあいつ「ら」が居るって言うのは

 

否定こそしなければその覚悟をむしろ応援しなきゃいかない)」

 

 

カズマはコロナ目掛けて走り、ストレートを放つ

 

コロナ「ネフィリムフィスト

 

━━「断空拳」」

 

当たるかと思われた瞬間、アインハルトの技が炸裂した。完璧なタイミングのカウンターしかし

 

カズマ=ツユクサ

 

LIFE

10200→8000

 

クラッシュエミュレート

左手首捻挫

 

コロナ「嘘っ!?(タイミングは完璧なはず!)」

 

クリーンヒットしたにも関わらず。ピンピンしている様子だった。

 

コロナ「違う・・・まさかかわしたの!?あのカウンターを!?━━━━っづあ!」

 

自身の能力と不釣り合いに強力な技を激痛に呻くコロナ、カズマはそれを見て静かに拳を構えた。




因みにウダイオスに関しては特に意味はありません!ゴライアスと名前似てない?と思い使いました。

誤字、脱字、指摘、リクエスト等がありましたらよろしくお願いします!


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73話ーーカズマ対コロナ③ 全力で!

お待たせしました!

お気に入り登録感謝です!

難産だった・・・・そしてやり過ぎた感が・・・

では続きです!


試合は横着状態へと突入した。

 

コロナがカズマの素早さとアインハルトやミウラといった強打選手の技を模倣した技の連撃で果敢に攻め立てる。

 

カズマはそれを片っ端から防ぎ、受け流し、時に反撃する。

 

カズマ「・・・・・・・・・」

 

技を発動する度に顔をしかめ、涙を堪えるような顔をするコロナに対しカズマはひたすら無表情を「なんとか保っていた」

 

コロナ「はぁっはあっはぁっ!━━━カズマさんごめんなさい、無理をさせちゃって」

 

ミウラの「ハンマーシュラーク」を繰り出して、防いだカズマの反撃を警戒してすぐさま距離を取ったコロナが本当に申し訳なさそうにそう言った。

 

カズマ「・・・・何を」

 

コロナ「分かってます、ノーヴェ師匠やオットーにも散々注意されたし、でも認めてくれたんです。「あたしらはお前らのコーチだけど、同時に一種のファンであるんだ、ファンなら応援するっきゃ無いだろうが」って

 

勝手な自惚れだけど、カズマさんも私の事を認めてくれてるから止めてって言えないんですよね?

 

否定してしまえば、このネフィリムフィストだけでなく私の事も否定しちゃうから・・・・」

 

コロナはそう何かを訴えるかのように言った。

 

カズマは自分が情けなくなった。

 

アインハルトや、ジーク、ヴィクター達にあれだけ好き勝手言っておいて、自分は未だに過去に苛み後悔し、選考会の時出てきたオリヴィエの人形に簡単に揺るがされて

 

━━それは仕方ないんじゃないか?かなり仲が良かったんだし。「見殺し」にしちまったんだ。クラウスやリーヴィアには別れの挨拶すらできなかったんだし。

 

自分を責め立てる自分と自分を庇う自分。カズマはそこでコロナを見た。

 

コロナ「・・・・・・・・」

 

何も言わずにこちらを見つめていた。ただ何処か心配の色が見える。

 

情けない、自分の事で大切な人達に心配をかけている。

 

『どうしたのか!?二人とも棒立ちになってしまったぁ!何か会話をしているようですが・・・しかしここで1R終了!ハーフタイムに移ります。』

 

そこでアナウンスが1R終了のゴングを鳴らした。コロナは此方を一瞬見た後、ノーヴェ達の方に戻っていった。

 

カズマ「・・・・・・・・・」

 

ーーーー

 

ノーヴェ「・・・・・コロナ、あいつは?」

 

セコ魔力の時はそこでセコンド側に戻り椅子に座らせて貰ったコロナはノーヴェの質問にリングから動かずに上を見上げているカズマを見た。

 

コロナ「大丈夫です・・・・大丈夫、あの人なら絶対に」

 

ブランゼルに魔力回復補助機能を発動させて。魔力を回復していく。

 

オットー「凄いですね・・・まさか魔力回復機能まで備わっているなんて・・・でもお嬢様・・・

 

━━━━その足」

 

オットーの言葉にノーヴェが眉をしかめ、コロナの両足をみた。ネフィリムフィストによる体の限界を越えての戦闘、馴れない高速戦闘についていかない体にコロナのあしはバリアジャケットにより隠れてはいるものの所々破けた箇所から青紫に変色していた。クラッシュエミュレートを抜けてしまったのだ。

 

ノーヴェ「・・・・・本当なら問答無用で棄権させるんだが・・・お前は拒むんだろ?」

 

コロナ「・・・・すいません」

 

ノーヴェ「・・・・この試合が終わったらシャマルさんとこに放り込むかんな?説教はその後だ。」

 

だからお前の全てをあいつに叩き込んでやれ。

 

そう言ったノーヴェにコロナは感謝を込めて「はい!」と返した。

 

ノーヴェ「・・・・・・・・」

 

気丈に返すコロナに笑みを返し、ノーヴェは今もリング場に立っているカズマを見た。その様子は何処か葛藤しているように見えた。

 

コロナ・ティミル

 

LIFE

2600→11500

両足首捻挫回復

ーーーーーーー

 

カズマ「・・・・・・・ふぅ」

 

俺は一息つき、体の調子を確認していく・・・うん、問題ないな。

 

未だにコロナの苦痛に歪む顔が頭から離れない。でもあいつは笑っていたんだ。この試合が楽しいって笑っていたんだ。

 

まだ整理はついていない、でもそれは今することじゃないコロナが葛藤してようやく出した答えを否定するのも、今に「過去」を映すのも今は止めよう。

 

カズマ「・・・・・・」

 

どうせ今日向き合うんだ一人葛藤したってどうにもならないし

 

━━━━バキィ!

 

突然響いた何かを殴るような音、シン・・・と静まり帰る観客席に苦笑しつつ

 

カズマ「っうし!」

 

口の端から流れ出る血を拭きつつ俺は観客席の一角を見た。

 

ヴィヴィオ達はポカンとしていて、アインハルトに至ってはウェンディさんのパイナップル頭を何故かロングに直してるし、あ、悲鳴があがった。

 

ジークや近くにいるミカヤはぐっと拳を握り頷いてるし、少し離れた所にはミウラやヴィータ達と言った面々がこっちを見ていた。

 

カズマ「・・・・・・・」

 

レインは観客席の一番上の椅子に座っておりじっと此方を見ている。「何してやがる」といわんばかりに顔をしかめていた。

 

━━人の事を言えんだろ。

 

どこか澄ました顔のレインにうるせー、心の中で返し第2Rの開始のアナウンスが流れた

 

『か、カズマ選手?』

 

カズマ「あ、歯抜けた」

 

『!?』

 

カズマ「後で瞬間接着剤でくっ付けとこ」

 

『!?』

 

ぺっと吐いた歯をみやり、不敵に笑う。

 

リングに上がってきたコロナが苦笑してるのが見える。

 

コロナ「もう大丈夫ですか?」

 

カズマ「・・・・あぁ、サンキューな準備万端だ」

 

そう言って拳を構え闘気を放つ。

 

カズマ「こいよコロナ、お前の全部受け止めてやんよ!」

 

そう感謝を込めて言った。

 

ーーーーーーー

 

カンッ!っと第2ラウンド開始のゴングが鳴り響くと同時にコロナはネフィリムフィストで自身を操作しカズマの背後に回り込んだ。

 

コロナ「マイストアーツ!」

 

同時にコントロールを「解除」して、自身の拳を岩で巨大化させた。

 

カズマ「(器用なもんだな・・・だけどなコロナ)」

 

コロナ「スパイラルフィンガー!」

 

岩の拳がギュルルと回天してカズマへと迫る、カズマはそれを

 

カズマ「どれだけ早くなろうと、どれだけ拳を放とうとも、「まだ」俺を越える事は出来ないぞ」

 

コロナ「!?(嘘っ!?素手で!?)」

 

カズマは高速回転する拳に両手で触れた瞬間「合わせる」ように手を回して動きを止めた。

 

コロナが岩をリリースする前にカズマがその手を引き、同時に自身も走り出す。

 

足音も聞こえずコロナの目の前に現れたカズマは既に飛び蹴りを放っていた。そして━━━

 

コロナ「転移(テレポーテーション)ボソッ」

 

カズマ「!?」

 

鋭い足刀がコロナを「打ち砕いた」、ガラガラと崩れるコロナを型どっていた岩

 

コロナ「ネフィリムフィスト「クリエイション」」

 

カズマはその場をすぐさま離れ、創成「されていた」ウダイオスの剛拳から逃れた。

 

カズマ「━━━っとに「器用」だな!」

 

 

 

オットーはその光景を見てただ驚いていた。

 

オットー「一体何が・・・・・ノーヴェ姉様?」

 

ノーヴェ「あいつこの試合で覚えたのか?魔法と魔法を併用じゃなく息を吸うかのように使い「分ける」

 

━━ラビットスイッチ(高速切り替え)」

 

コロナはまずネフィリムフィストでカズマの動きを模倣、解除するまでの間、攻撃魔闘技「マイストアーツ」の演算処理を終えて発動、エルスの「転移(テレポーテーション)」を離れた場所に発動して攻撃をかわし、その後ネフィリムフィストで「クリエイション」を自分の創成魔法を「終えた状態」を模倣

 

この技法「高速切り替え」使えればかなり闘いの幅が広がる、しかし身体自動操作以上に競技者は使おうとはしない

 

単純に魔力の制御、コントロールが難し過ぎるのだ。

 

コロナは元々高難度であるクリエイションの初歩とは言え「物体操作」を趣味としていた、基盤は出来ていたのである。

 

ノーヴェ「いけえぇぇぇぇ!コロナアアアアア!」

 

 

 

コロナ「コメットブラスト!」

 

岩の弾丸が無数浮かび上がりカズマを狙う。

 

迫り来る弾丸をかわすカズマ、ウダイオスがその隙を狙い拳を放つ。

 

カズマはそちらを見ずに、背に回した手で気配だけでタイミングを計り、ウダイオスの拳に手を沿えた瞬間振り替えるように体を回し受け流した。

 

コロナ「っ!」

 

カズマ「はぁ!」

 

ウダイオスの頭部に向けて跳躍、勢いが乗った拳でウダイオスの頭部を粉砕した。

 

コロナ「(死角がない・・・)」

 

しかし、とコロナがカズマから視界を外す。10メートル程離れた場所にカズマの愛刀「刃鐘」が突き刺さっていた。

 

コロナ「あれだけ離れていれば」

 

コロナは気を取り直して再びウダイオスを再創成、腕がギュルルと回転し始める。

 

カズマ「!」

 

━━パージブラスト!

 

コロナ「ドリルクラッシャーパンチ!」

 

回転が最速になった瞬間、回転した拳がカズマに向かって飛んできた。

 

まだ空中で体勢を直したばかりのカズマ、コロナは勿論、ノーヴェやオットー、観客(ジーク、ミカヤ、ハリー、アインハルト以外)の誰もが当たると思った。

 

カズマ「━━━来い」

 

しかし誰もが決定的瞬間だったため忘れていた。カズマがどれほど規格外なのかを

 

カズマ「居合術」

 

コロナ「━━━━え?」

 

誰もが見た、刺さったままの刃鐘が「勝手に動き」カズマの手に向かって飛んでいく様を。

 

カズマは空中でパンチを迎え撃つかのように刃鐘を腰に構え

 

カズマ「止メ斬り」

 

勢いがが付いたウダイオスのロケットパンチを自身に引き寄せるように受け流し斬りあげた。

 

カズマ「っ・・・」

 

カズマ=ツユクサ

 

LIFE

8000→5200

 

斬りあげの威力に根負けした岩の拳が最初の高速回転とは、一転ゆっくり上に打ち上がっていく。

 

カズマはその岩の拳を掴み、引っ張り上に乗る

 

━━特攻居合の構えをした状態で。

 

コロナ「あ・・・・・・・・」

 

カズマ「特攻居合

 

━━円月」

 

岩を足場にまるで最初からいなかったかのように消え失せたカズマ、コロナが何かアクションを起こす前に

 

━満月のような軌道がコロナへと走った。

 

コロナ「キャアアアアアアアア!?」

 

ズダアアアアアアン!

 

凄まじい音を立てて吹き飛ぶコロナ

 

何とか咄嗟の防御でダメージを減らすも

 

コロナ・ティミル

 

LIFE

11500→350

 

クラッシュエミュレート

腹部、右肩、左肩裂傷。

中度脳震盪

視界混濁

軽度意識混濁

 

ダメージは甚大だった。

 

『な、何が起こったぁ!?カズマ選手離れた位置にある刃鐘を何と引き寄せたぁ!魔力反応のサーチャーからは何の反応もありません!これは一体・・・・・』

 

コロナ「・・・・・・・・・・・・・」

 

『ああっと!コロナ選手!起き上がった!しかしLIFEは危険域!第2ラウンド残り、2分26秒を過ぎました。』

 

全身震わせながらも立ち上がるコロナ倒れた時に頭もぶつけたのかどこかフラフラしていた。

 

レフェリーがコロナを見て安否を確認するため近づく。

 

オットー「立ち上がって下さい!コロナお嬢様!まだ試合は終わっていません!カズマさんもコロナお嬢様もまだたっていますよ!

 

━━━まだ負けてません!」

 

ノーヴェ「見せてやれぇ!お前が見つけた「コロナ・ティミル」を!」

 

 

オットーの激励に周りも触発されたのか、一斉にコロナへ声援を送る。

 

そのなかにはヴィヴィオ達チームメイトや八神道場の皆、ミカヤ、ハリー一行もいた。

 

コロナ「・・・・み・・・んな」

 

 

カズマ「何か俺悪者みたいだな」

 

コロナ「カズマ、さん・・・」

 

苦笑するカズマを見るコロナ、カズマは笑みを消して刃鐘を構えてコロナを睨み付けた。

 

カズマ「これが最後の一撃だ、行けるか?コロナ」

 

コロナ「・・・・当たり前です、勝つのは私ですから!」

 

カズマ「はっ

 

━━━━上等!」

 

そう吐き捨てたカズマは居合の構えをとり、浅い呼吸を繰返し、刃鐘の刀身にエクシードを流す。

 

コロナもカズマから放たれる闘気に当てられてか唇をきゅっと結び、ブランゼルをカズマに向けて突き出すかのように構えた。

 

カズマ「コロナ、やっぱり凄いよお前は」

 

コロナ「━━━」

 

━━お前らすごかったぞ!

 

合宿のチーム戦の時かけてもらった誉め言葉。

 

「お前ら」が「お前」に変わっただけなのに、こんなにも嬉しいのは何でだろう、コロナは緩みそうになる口元を無理矢理への字にかえて。足元にミッド式の魔方陣を展開。

 

コロナの右肩辺りに巨人の拳が現れた。

 

コロナ「マイストアーツ

 

━━ヴァンガードシフト」

 

そして左肩辺りにも巨人の拳が現れた

 

コロナ「正真正銘魔力全消費、残りMP0、一切合切全力全開です!

 

ゴーレム創成主コロナ・ティミル!」

 

カズマ「元「旅人」カズマ=ツユクサ!」

 

二人『行きます/参る!』

 

二人はそう言い放ち、カズマは更に集中を高め、コロナは目を瞑り、魔法式展開へと集中した。

 

コロナの周りに魔力が「集まっていく」のを肌で感じたカズマは鋭い眼差しをそのままにニヤリと笑った。

 

ーーーーーーーー

 

ヴィヴィオ「集束魔法!?コロナいつの間に・・・・」

 

ウェンディ「ど、どんどん魔力が高まってるッス・・・」

 

地響きが聞こえて来そうな程に高まっている魔力の密度にヴィヴィオはおろかミカヤやジークですら息を飲んだ。

 

正確に言えばコロナは集束魔法を使える訳ではない。まず魔導師としてのタイプや一度に多量の魔力を集束して維持できる体質ではないのでコロナには不向きなはずなのだが

 

ミカヤ「あれは身体自動操作の応用だね、それに魔力をわざわざ維持する必要が無いからね、確かに溜めて放つ「だけ」なら、魔力コントロールに長けているコロナちゃんなら出来ない芸当ではないな・・・」

 

関心した様子でリング場を見るヴィヴィオ達に笑みを浮かべ次いでカズマを見るミカヤとジーク

 

ジーク「・・・・・この感じ、カズマの選考会でリリーナ選手の時使ったあの技やな?」

 

ミカヤ「あぁ、「絶ち斬り」・・・だったかな?

 

━━あれも威力が未知数だ」

 

以前カズマが見せた斬撃を飛ばすと言うふざけた芸当をしでかしたカズマ、あの時はリリーナの弾幕と相殺したように見えていたが実際は違う。

 

カズマの斬撃が弾幕を「打ち消し」

 

━━━あまつさえ、上空にあった小さい雲を半分に裂いていたのだ。

 

ほとんどの観客は気付いていなかったものの、ミカヤやジーク、ヴィクターは気付いていた。

 

ミカヤ「ジーク、君はコロナちゃんを応援するといい、私は応援する人がいなさすぎて軽くアウェー感がでてるカズマを支える内気な美少女幼馴染ポジションとして応援しよう」

 

ジーク「ちょ!そんなずるいやんミカ姉!うちもカズマを・・・・ああ!でもそしたらコロちゃんが・・・・」

 

純粋に葛藤し始めるジークが素で目を「><」にするミカヤが「これが裏表ない純粋系ヒロインの力のか・・・」と戦慄した

 

 

ーーーーーー

 

ミウラ「凄い・・・魔力があんなに」

 

ヴィータ「なのは並みの魔力制御だな・・・」

 

自身も集束魔法を扱う身として、今から放たれるコロナの魔法を呆然と見た。

 

ヴィータ「・・・・確かにコロナ程の魔力制御ができる奴であれば、「このインターミドル会場」は最適だな、参加者競技者全員の魔力の残りカスが残ってるからな」

 

ミウラはそれを聞いて、やはり負けてしまった事が悔しく思った。

 

ミウラ「・・・・・」

 

悔しいだけで住んでいる負の感情にミウラは改めて気持ちよく負かしてくれたミカヤに感謝した。

 

でも

 

ミウラ「・・・・いつか僕も皆さんと」

 

ーーーーーーーー

 

『リング内の基準値魔力オーバー、リング外周防護フィールドの強度を「デンジャラス」レベルに強化します、セコンドおよびレフェリーは、両コーナー入り口付近の専用結界内までの避難、待機をお願いします』

 

デンジャラスレベル、それこそエースオブエース高町なのはが放つ必殺砲撃「スターライトブレイカー」レベルの威力

に使うような防御システムだ。

 

会場内がざわつくのを聞きながらコロナはそれを放った。

 

コロナ「ストーン・エッジ・ブレイズ!」

 

瞬間コロナの足元から高さ10メートル以上はある岩の柱がカズマに向けてどんどん生えていく。

 

そして生えた岩柱は全てカズマに向かっていく、一つ一つが砲撃魔法並みの太さがあり迫ってくるそれは圧巻だった。

 

カズマ「居合術

 

━━━絶ち斬り」

 

カズマはそれを見ても一切動じず、己の必殺級の「一つ」を繰り出した。

 

飛ばされた斬撃は岩郡とぶつかり合った。

 

コロナ「っ!?」

 

次々と岩柱を切断して恐ろしい速さでコロナの元へ進んでいく斬撃、しかし徐々に勢いは衰えていった。

 

コロナ「っ・・・・もう・・・少し・・・・」

 

放出できる魔力が尽きようとしているのを自覚しながらコロナはカズマを見た。

 

 

━━━カズマは降りきった姿勢から再び納刀次いで抜刀の姿勢に入っていた。

 

コロナ「(居合術の二連━━━━)」

 

カズマ「━━━特攻居合

 

弐月」

 

再び斬撃を飛ばして来るのかと身構えるコロナ、しかしカズマがとった特攻居合の構えに驚愕を覚えると共に

 

━━━やっぱり格好いいな

 

まだ生えて向かっていく岩郡があるにも関わらず全く関係ないかのようにコロナの1メートル前に出現したカズマを見てそう思った。

 

直後リング場に轟音鳴り響いた。




尚、コロナが放ったストーン・エッジ・ブレイズ(適当)のイメージとしては

ヒロアカ2期の雄英体育祭の轟対デクの時に轟がラストアタック時に使った氷柱・・・を少し本数が減らしたバージョンみたいな感じでおなしゃすm(__)m

・・・・コロナ強くしすぎたかな・・・

誤字、脱字、指摘、リクエスト等がございましたらよろしくお願いします。


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74話

皆さんお久しぶりです!Rainーのち大洪水です!

やっとこさ復活できました。もし待っていただけたら幸いの極みです!

とりま投稿させて頂きます。




リング場内を土煙が舞い、状況が分からない誰もが固唾を飲んで見守るなか、どんどん土煙が晴れていく。

 

『な・・・んじゃこりゃ・・・』

 

唖然とした、ひきつったようなアナウンスが流れる。

 

そしてそれは観客達も一緒だった。

 

誰もが目を剥きそれを見た。

 

リングの端の方でコロナを抱き抱えてしゃがんでいるカズマ・・・・ではなく。

 

「これは・・・一体・・・・」

 

誰かが呆然と呟いた。カズマとコロナがいる反対側のリング半分。

 

━━━━岩郡によって蹂躙され破壊されつくしたリングとリング半分を埋めつくした岩柱だった。

 

ノーヴェ「・・・・・コロナ・・・・やり過ぎ」

 

顔をひきつらせたノーヴェが唖然とした様子のオットーの隣で呟いた。

 

コロナ・ティミル

 

LIFE

 

 

ーーーーー

 

コロナ「あはは・・・・やっぱり強いよカズマさん」

 

カズマ「後ろを見ろ、俺の返答を代弁する惨状が広がってるぞ」

 

冷や汗を流したカズマが口元をひきつらせて親指で後ろを指す。

 

コロナ「・・・・カズマさん、人から借りて、自分自身の力じゃない「力」で戦う私は・・・・強かったですか?

 

卑怯でしたか?

 

滑稽でしたか?

 

私は━━━」

 

カズマ「・・・・・勝った俺が言っても皮肉にしか聞こえないだろうが・・・お前は強いよ。戦った俺が、お前と戦ってきた選手が、一緒に戦っているあいつらが」

 

そこでカズマは一旦ノーヴェ達を見た。

 

複雑そうな、悔しそうな、もどかしいような顔をしていてオットーなんか悔し涙まで流している。

 

だけど見守っていた。

 

よく頑張ったと顔がそう語っていた。

 

カズマの視線を追ってノーヴェ達を見るコロナ、カズマは視線をノーヴェ達に向けたまま微笑んで口を再度開いた。

 

カズマ「お前の師匠達が証明してくれる、お前の努力を

 

コロナの実力は間違いなく「コロナ・ティミル」の実力だって」

 

コロナ「・・・・・・・・ありがとうございます・・・・参りました」

 

カズマを見上げながらコロナは目を瞑りそう呟いた。

 

『っ!激闘の末この闘いを制したのは

 

━━━カズマ=ツユクサだあああああああああ!』

 

━━━わああああああああああああああ!!!!!

 

一瞬の静寂の後、会場がカズマを讃える歓声とコロナを労る歓声によって爆発したかのように沸いた。

 

『本当に凄い戦いでした!インターミドルチャンピオンシップの歴史に刻まれること間違いなしでしょう!』

 

カズマ「・・・・そういや試合が終わったら言いたい事があるって言ってたけど・・・」

 

コロナ「え?あ、ああ・・・それは・・・・」

 

動けない体を器用にもじもじさせながら言い澱むコロナ「ん?」と返すカズマ、今更になって羞恥心が芽生え始めたらしい

 

空気を読んで近くで止まってくれている救護班のスタッフとノーヴェ達を横目にコロナはあわあわとしはじめた。

 

コロナ「・・・・・・・・・」

 

カズマ「言いづらいなら後でも・・・」

 

コロナ「それは嫌です!どうしても今伝えたくて・・・意地っ張りな私に折り合いを付けたくて━━━」

 

慌てたように言葉を続けるコロナにカズマはゆっくり頭を撫でてやった。

 

小さい子どもとかが眠かったり泣いていたり怒っていたりしたときにいつもやっている癖で、ここ数年はそんな機会が無かったのだがカズマを慕ってくれる妹分達にしているせいか条件反射レベルでやってしまうのだ。

 

最早たらしの領域であ━━━

 

カズマ「ふん!」

 

━━━あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!

 

コロナ「か、カズマさん?」

 

いきなり空間を殴り付けたカズマに目を白黒させるコロナ、しかも本当に何かを殴ったような気配があるから混乱を加速させた。

 

イテェ・・・ヤロウマジデナグリヤガッタ・・・(by作者

 

カズマ「・・・・いや何でもねぇ、どうだ?少しは落ち着いたか?」

 

コロナ「え?・・・・・あはは、本当だ落ち着いてる」

 

何処か照れくさそうに身を捩るコロナ、でも決心がついたのか━━何処か不安そうにしてはいるけど━━今度はゴニョゴニョと口ごもることなく、上目遣いで自分の「欲求」を言った。

 

コロナ「えっと・・・・その・・・・

 

━━━カズマお兄ちゃんって呼んでも良い・・・ですか?」

 

カズマは目をパチパチとさせてから微笑んで「こんな俺でいいなら喜んで」と言った。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

中央区第三地区湾岸住宅街「喫茶店ビーナス」

 

クライ「お!カズマが勝ったか!」

 

厨房から店内に備えられているテレビを見ていたクライがそう言った。オーダーを取り厨房に戻ってきたアネッサが興奮した様子でクライにはなしかけた。

 

アネッサ「店長!凄い闘いでしたね!あのコロナちゃんがここまで強かったなんて!」

 

クライ「本当にな、まさかコロナの嬢ちゃんがあそこまでやるとわな・・・・てかリングめちゃくちゃじゃねえか・・・・」

 

ユウマ「店長ぉ!ファビアちゃんがチーズケーキお代わりだってぇ!」

 

そこへ店内からユウマから声がかかった。「またか・・・」とげんなりした様子のクライが店内の一番奥のテーブル席を覗き見た、そこには・・・・

 

ファビア「・・・・・・・・・・・・(じ━━━━━)」

 

朝会った時の黒いローブ姿のファビアではなく、純白のワンピースを着て麦わら帽子を被った、もの欲しそうに厨房から目を逸らさないファビア・クロゼルグがいた。

 

周りの客(主に女性客)が「可愛い」と連呼しながら写真をとったり拝み倒してツーショットを要求され

 

照れながらも「それは・・・・駄目・・・」と返すファビア、しかし何処か満更ではないファビアの様子に客(主に紳士の男性の皆さん)が仕切りに「500円でスマイル」と言うふざけたメニューを作ったユウマに拝み倒している。

 

 

微笑ましい(?)光景にクライはきっと微笑んでいただろう。

 

━━━ファビアの前に積み重ねられた山ほどのデザートようの皿を見なければ。

 

アリス「まぁまぁ、食べ盛りなのねファビアちゃん」

 

クライ「食べ盛りって範疇越えてないかな!?」

 

アリス「あら?私が小さい頃はあれ以上ペロリと食べたわよ?暴食のアリスってお父さん達に毎日拝み倒されてたわ」

 

クライ「多分ってか確実にもう勘弁してくれって土下座されてんじゃねぇか!?」

 

その様子を何処か眩しい物を見るような目で見ていたファビア。

 

最初会った時の黒いローブはアリス、アネッサ率いる女性陣に等価交換の法則により純白のワンピースが錬成されたのだ。

 

嘘です。すいませんただ着替えさせられただけです。

 

尚、黒ローブはスタッフが正しく活用させて頂きました┏(┏^q^)┓

 

ミリー「はい一丁あがったよー!」

 

クライ「はっや!?オーダー入ってからまだ30秒しかたってないよ!?ミリー婆さん!」

 

厨房の奥の方から焼き上げたチーズケーキを持ってきたミリー婆さんがやって来た。なぜか割烹着を来ている

 

ミリー婆さんはクライに「コツ☆」っと茶目っ気たっぷりに微笑んでウィンクをしてコーヒー牛乳(雪〇)のパックを片手に店内に入っていった。クライが(老婆のウィンクに)呆然と固まり持っていた皿を落として割る音を聞きながらファビアが座っているテーブルについた。

 

ミリー「・・・・カズマ君が気になるのかい?」

 

ファビアの向かい側にゆっくり座るミリー婆さん、ファビアはミリー婆さんに低頭しつつも口を開いた。

 

ファビア「・・・・お婆さんも気になるの?」

 

ミリー「・・・・そうね・・・あの子は会ったときからどこか無茶ばかりする子だったから・・・ファビアちゃんはカズマ君のお友達?」

 

ファビア「・・・・そんな所」

 

一瞬迷ったような顔をして言うファビアにミリー婆さんは微笑んで頭を撫でた。

 

ミリー「仲良くしてあげてね?

 

何より繋がりを大事にする子だから・・・」

 

ファビア「・・・・・(クロゼルグ?)」

 

ふと、「中」にいる自分の先祖から伝わってきた感情の揺れに反応するファビア。

 

クロはその呼び掛けに反応せずに無言でミリー婆さんを見上げていた。

 

ーーーーー

 

クロ『・・・・・・・・・』

 

━━━━カズマさん、この子と仲良くしてあげてね?寂しがりやだから・・・

 

クロ『・・・・ババさま・・・・』

 

今でも覚えている、シュトュウラへの他国の襲撃で魔女の森に火をつけられそうになった時のカズマ

 

一緒に過ごした時間や、今日再会したときのように優しく穏やかな表情ではなく。

 

 

 

 

━━━━てめえら全員地獄に叩き落としてやるよ

 

 

とても冷たい、しかし激情渦巻く表情をしたカズマを

 

祖母を「救って欲しくて連れてきた」、カズマのおかげで魔女の森も半分の損失で済み、祖母も助かった、助けてくれた

 

でも・・・・・

 

━━━━ははは・・・「結局」この様か・・・

 

誰か俺を殺してくれ

 

 

クロ『っ・・・・・』

 

代わりにカズマの心を壊してしまった。

 

クロ『(・・・・カズマは気にしてないって言ってくれたけど・・・・やっぱり無理だよ・・・・)』

 

クロは目を瞑り、枯れた花冠をそっと撫でた。

 




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いしますm(__)m


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75話

この話と次話でたまったプロットは終わりですm(__)m

全然執筆していなくてすいませんm(__)m

でわ75話です!


インターミドルチャンピオンシップ予選第一会場

医務室

 

薬品の匂いが薄く漂い真っ白な部屋が何処か別空間を感じさせる中で

 

アインハルト「いいですかコロナさん、兄さんの妹を名乗るに当たって注意事項があります」

 

コロナ「注意・・・・・事項?」

 

ノーヴェの宣言通り医務室に直行した(させられた)コロナ

 

ネフィリムフィストの過剰使用の代償で痛めた足に包帯を巻いた状態で備え付けベットに腰を掛けて目の前にいる仁王立ちしたアインハルト、リオ、ヴィヴィオに緊張した面持ちで問い返す。

 

コロナの問いに「ええ」と頷いたアインハルトは指をピッと立てた。

 

アインハルト「兄さんの右の二の腕はシスターズ次女である私の固定ポジション、ヴィヴィオさんは背中、リオさんは首回り・・・・長女であるルーテシアさんはうらやまヴぉっほぉん!・・・・けしからぬ事に添い寝ポジションを定着させつつありますが・・・・それ以外の場所でお願いします」

 

ヴィヴィオ「え!?何それアインハルトさん!そんな話聞いてないよ!?」

 

アインハルトのとんでも発言にヴィヴィオが喰ってかかり、リオも「お兄ちゃんは皆のお兄ちゃんだぉ(# ゜Д゜)」とヤジを飛ばす。

 

アインハルト「しゃらあぁぁぁっぷっ!いいですか!?兄さんとのイチャイチャを確立させたいなら!奪い合いが発生するのが必須!しかしそれでは兄さんのストレスと疲労がバイキ〇ト!・・・・するとどうなるか分かりますよね?」

 

凄まじい迫力で言うアインハルトにその場にいる全員が固唾を飲む

 

コロナ「どう・・・・・なるんですか?」

 

顔に汗を浮かばせたコロナが顔を強張らせアインハルトに尋ねる

 

アインハルトは何かを想像したのかこの世の終わりと示しているかのような青ざめた表情で口を開いた。

 

アインハルト「・・・・毎度醜い争いを繰り返す私達に愛想を尽かし、それどころか他人レベルの距離を取られてしまうかもしれません・・・・」

 

ヴィヴィオ「━━━━━」

 

リオ「━━━━━」

 

それを聞いた2人は同じく青ざめた表情で唖然とした。

 

因みにその様子を見ていたオットーは苦笑いをし、ノーヴェは片手で顔を覆って「カズマ・・・ゴメン、私にはこいつらは止められん・・・・」と呟きシャマルはどこか含みのある笑みを浮かべてその様子を見ていた。

 

かくいうコロナはと言うと

 

コロナ「なら私はお腹に抱きつくポジで、あ!あとお腹に頭をグリグリするオプション付きで」

 

イイ笑顔で即答していた。

 

3人『・・・・・・・・・』

 

凍りつくチームナカジマ3人を前にノーヴェはなるべくその光景を視界に入れないようにしてオットーに尋ねた。

 

ノーヴェ「・・・・当のカズマ本人はどこに行ったんだ?」

 

オットー「・・・・・さぁ?」

 

シャマル「・・・・・ここ、臨時とは言え病室よ?」ニッコニコー

ーーーーーー

 

インターミドルチャンピオンシップ予選第一会場の外、建物付近に造られている公園の広場

 

 

━━━ではなく、ちょっとした森林エリアの中に俺とレインはいた。

 

カズマ「しかしまぁ、今日で最後なんだろ?聖王教会の人達とか挨拶したん?」

 

レイン「・・・・問題ない、朝方一応声はかけた。

 

 

・・・それにカ・・・・、あの人には結構迷惑を「かけてる」しな・・・」

 

何処か含みがあるような言い回しをするレインに疑問苻が頭上に浮かぶのを自覚しながらも、俺は軽い動作で手に持っている石を目隠ししているレイン目掛けて投げた。

 

頭部目掛けて投げた石をレインはまるで見えているかのように頭を逸らしてかわす

 

・・・・別にいじめの現場とかじゃないよ?

 

レインと一緒に旅していた頃はこういう「修行」はしょっちゅうだった。

 

レイン「もう少し早く投げてくれ、できれば投げる感覚も一定ではなく不規則に」

 

カズマ「りょ」

 

そう言いつつ用意した石を1秒から3秒の感覚で投げ続ける。

 

これも所謂「気」を探る鍛練の一貫だ。

 

よく言うだろ?この世の全て、万物には大なり小なり魂が宿ると。

 

例えば今投げた石、多分こう言ってるだろう。

 

 

━━まぁたかわされてやんの!けひひ!ちったぁ当たるように投げてみろってんだ!っへ!

 

・・・・・・うぜっ☆

 

今度はレインの肩の上目掛けて投げる。

 

当たらないと分かっているのか今度は全く動かずかわす。続けてもう1つを後ろで木に当て跳ね返らせた石に当て、背後から迫る形にした。

 

カンッ!

 

レイン「っ!」

 

カズマ「まだまだ行くドン!」

 

レイン「コンティニューだどん」

 

カズマ「!?」

 

レイン「冗談だ」

 

ギリギリかわしたレイン目掛けて更に石を投げ続けた。

 

~~~~~~

 

レイン「・・・お前がこの世界に帰ってからどんな経験をしてきたかは分からない」

 

正拳突きを左手で叩き落とし、流れるような動作で肘鉄をくりだす。

 

レインは反対の手で受けとめながら衝撃に顔をしかめつつめ口を開いた。

 

カズマ「何だ急に」

 

レイン「カズマのあんな顔は初めてみたからな」

 

カズマ「・・・・」

 

右足の鋭い前蹴りを膝で防ぎ頭突きをかます。

 

レイン「っ」

 

超至近距離の間合いを嫌ってか3メートル程飛び退くレインを見つつ口を開く。

 

カズマ「━━━「2回」大切な人を救えなかった、一度めは無力が故に、二度めはそれだけの力があったにも関わらず「あのバカ」の覚悟を決めた笑顔に負けちまった。」

 

レイン「・・・・・・」

 

カズマ「お前のこういう会話で驚く表情って久々に見たな」

 

からかうように言う俺にレインは幾らか狼狽したような声を出した。

 

ったく、お前が気に病む事じゃ無いだろうに。

 

レイン「・・・・・お前から自分の話をするのは初めてだからな。

 

・・・・けど、俺との手合わせとは別だ、だから

 

早く戻れ」

 

俺を真っ直ぐ睨むように鋭い視線をぶつけ、そう言って側の木に立て掛けてあった傾国の剣を腰に装着してその場から離れ始める。

 

レイン「次の試合、あのミカヤっていう剣士とヴィヴィオだからな、試合は見ておきたい。

 

お前も見てないと拗ねられるんじゃないか色男」

 

最後にそう不敵に笑い会場の方へ向かって行った。

 

カズマ「・・・・・・・」

 

何だかんだ優しい奴だよな

 

内心そう思いつつ口には出さず会場に戻った。

 

 

ーーーーー

 

「リングの修復には後どれくらいかかるかしら?」

 

「そうですね、損傷が酷いって言っても、魔法が記録している形に直してくれるだけなので、修復工程が数分程長引くだけの誤差かと。」

 

スタッフからの報告に運営委員長は「なら進行はいつも通りでお願い」と返し退出させた。

 

「・・・・・・・」

 

先程のカズマとコロナの試合、どちらもひけをとらない素晴らしい試合だった。

 

運営委員長が一瞬でも「あの場にいたい」と思ってしまうほどに。

 

「また」笑いあいたい、男も女も関係なく。

 

「・・・・何て、都合が良すぎるわね」

 

そう自嘲の笑みを浮かべて言う委員長、今まで、今だって男は苦手、でもカズマ、レイン、今まで張り合ってきた人達

 

そして委員長自身、自身の力をもって全力でぶつかり合って、悔しい思いも悲しい思いもして時には怒り狂って

 

━━━全部引っくるめて最後には笑っていた。

 

未成年時にタバコを吸っていた事や、暴力沙汰を起こしていた事を脅しネタに彼に迫った時、怒る訳でもなく、悲痛に呻く訳でもなく、まるで全てを受け入れんばかりに頷いていた彼はどんな気分だったのだろう。

 

当時彼は人気者だった、恐らくだが試合中の過度な肌への干渉をしても、普通の女の子だったら喜んでいたかもしれないくらいには

 

勿論その時は委員長の息がかかった選手を当てた。

 

その後は分からないけども、ある日委員長は自分の母に会うため隔離施設の精神病棟に行ったとき寝たきりになった彼に遭遇した。

 

初めて自覚した自分の行い、しかし引っ込みがつかなくなって

 

清々しい筈なのに、晴れない気持ちのまま今まで過ごしてきた。

 

「・・・もう届かないかもしれないけど叶うなら

 

 

━━━謝りたい、例え罵られても、受け入れて貰えなくても」

 

 

 

そう言って彼女は

 

 

 

自首する決意をした。

 




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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76話

お気に入り登録感謝です!

76話をどうぞ!


シェルファ「・・・・・・・」

 

「おねぇちゃんだぁれ?」

 

その頃シェルファは第二予選会場ではなく精神疾患を患っている人達が入る隔離病棟へと足を向けていた。

 

病院内の今目の前にいる妙齢の女性と、側で植物人間になりかけている男性、イオとレント意外は眠らせた。下手に騒がれると面倒だからだ

 

シェルファ「・・・・・平和な世界だからこそ小さき闇か・・・・

 

何はともあれ「借り」は返すわよ、カズマ」

 

「?」

 

シェルファ「これは夢よ人間、起きたら「元」に戻るだけの只の夢

 

さぁ起きなさい、後はあなたたち次第だけどね

 

 

━━━ディスペル(浄化)」

 

掌がポゥっと光り、イオと寝ているレントに触れる。

 

「・・・・・あぁ・・・・・ぅあ」

 

シェルファ「・・・そんなに警戒しないで、事情は知らないし興味も無いけども私の友人が言っていたわ

 

━━━「もう大丈夫」と」

 

それを聞いたレントは虚ろな目をゆっくりとシェルファに向けようとして

 

眠りについた。

 

同じく倒れたイオを横目にシェルファは

 

━━━姿を消した。

 

ーーーーーーー

 

カズマ「ヴィヴィオ」

 

ヴィヴィオ「お兄ちゃん!何処に行ってたの?」

 

出場選手控え室に行くとヴィヴィオが抱きつきながらカズマに聞いた

 

何故か真っ正面からではなく背後に回って抱きついてきたヴィヴィオに?を浮かべながらも「ちょっとな」と答えてセコンドであるノーヴェとウェンディに視線を移す。

 

ノーヴェ「ゴメン」

 

カズマ「何で?」

 

視線があった瞬間に低頭して謝罪をしてくるノーヴェにまたも?を浮かべるカズマ、ウェンディは苦笑いだ。

 

ヴィヴィオ「ん~!お兄ちゃん成分補給完了!」

 

ウェンディ「さっきまで「お兄ちゃん・・・」って元気無かったけどこれで大丈夫そうっすね!」

 

顔を真っ赤にして笑うヴィヴィオが微笑ましいのか自然と穏やかになりつつある空気に出場選手を呼び掛けるアナウンスが流れた。

 

『大変お待たせしました。リングの修復作業が終りましたので予選4組第三試合をまもなく開始します。出場選手はリングへお願いします。繰り返します━━━』

 

ノーヴェ「時間だな、行けるか?ヴィヴィオ」

 

ノーヴェの質問にヴィヴィオは勝ち気な笑みで「行けるよ!」とかえした。

 

ヴィヴィオ「お兄ちゃん!」

 

カズマ「ん、行ってこい」

 

ヴィヴィオとカズマは拳をコツンとお互いに合わせた。

 

ノーヴェ「ウェンディ、ヴィヴィオ連れて先に行っててくれ」

 

ウェンディは頷くとヴィヴィオを連れてリングに向かって行った。

 

カズマとノーヴェだけが残った空間の中、僅かに気まずそうにノーヴェが口を開いた

 

ノーヴェ「悪いなカズマ、ミカヤちゃんの応援もしなきゃいけないのに・・・」

 

カズマ「いんや、最初はどっちも応援する気だったんだが、向こうから「ヴィヴィオちゃんを応援してやってくれ」っていう連絡が来てな、まぁ埋め合わせは後でって返してこっちに来た次第だ」

 

━━まぁ、告白された手前顔を会わせづらいって言う情けない理由もあるんだがな

 

内心だけで呟きノーヴェに苦笑してみせる

 

ノーヴェ「贔屓目とか無しに聞きたい

 

━━ヴィヴィオの勝率は?」

 

カズマ「・・・・」

 

ノーヴェ「あの子達は、私の教えもちゃんと聞いてくれて、カズマも手伝ってくれて本当に強くなった、実力だけじゃない心もだ」

 

ノーヴェはそう笑いながら言って、笑みを消して俯いた。

 

ノーヴェ「だから・・・あれだけ頑張ったコロナがカズマに負けた時、分かっていた筈なのに悲しかったし悔しかった。・・・・私でさえこれだコロナはもっと激情が渦巻いてると思━━あだっ!?」

 

拳をぎゅっと握りしめ震えながら言うノーヴェにカズマは容赦ないデコピンをかました。

 

鈍い音をたてて赤く染まった額をさすりながら涙目で非難の視線を送る彼女にカズマは僅かばかり顔をしかめさせていた。

 

カズマ「ノーヴェさん、それはいくらなんでもあいつらを馬鹿にしてるぞ」

 

ノーヴェ「っ、私は!」

 

カズマ「俺はあの子らに言った筈だ、嫌な目に合うかもしれない、理不尽な目に合うかもしれないと、あの子らはそれでも力強く頷いたぞ、それはノーヴェさんも聞いていた筈だ」

 

カズマは少し口調を和らげて続けた。

 

カズマ「・・・あの子らにはちゃんと伝わってるよ、「勝たせてやりたい」っていう気持ちも、「お前らの頑張りに応えてやりたい」っていう思いも、

 

━━━どんと構えてりゃいいんじゃないか?「これがチームナカジマの最高の門下生だ」って送り出してやりゃいい」

 

ノーヴェはそれを聞いて目を見張り、フッと困ったように笑い頷いた

 

ノーヴェ「・・・・・サンキュ」

 

カズマ「おぅ、行ってこい大将」

 

ノーヴェは黙って頷きスタスタとリングに向けて歩き始めた。

 

カズマ「・・・・強いな、皆」

 

━━━クソガキの頃の俺とは大違いだ。

 

カズマ「・・・ま、今も変わらずクソガキか」

 

自嘲するように言って、静かに拳をぎゅっと握りしめ、不意にあさっての方向に顔を向けた。

 

カズマ「・・・・・とりあえずは、一旦落ち着くな」

 

会場の外から僅かに騒がしい気配を察知してカズマは胸を撫で下ろした。

 

同時にカズマの携帯端末に連絡が来た。

 

差出人はティアナ・ランスター

 

━━━内容は会場周囲で不審な男を十数名捕まえた

 

PS・あなたエスパーか何か?

 

という内容だった。

 

カズマ「何でだってばよ」

 

苦笑したカズマの呟きが控え室内に浸透していった。

 

ーーーーーー

 

ミカヤ「・・・・・・」

 

「師範代、時間です」

 

ミカヤ「ん、ありがとう」

 

ブルーコーナー側の出場選手控え室、目を瞑り集中していたミカヤに門下生が声をかける。

 

笑みを浮かべて礼を言いつつ、バリアジャケット「嵐鎧」を身に包み、「晴嵐」を腰にさす。

 

「全くカズマさんと来たら!いくら師範代が断ったからって本当にあっちに行くなんて!」

 

プリプリしながら怒る女の子の門下生に苦笑を浮かべながらもう一人の門下生が口を開いた。

 

「相手はヴィヴィオちゃん何ですよね・・・」

 

ミカヤ「あぁ、カウンターと彼女の「眼」には気を付けなくてはな、それにカズマが剣士対策はバッチリ仕込んでるだろうね」

 

天瞳流道場でノーヴェの頼みでチームナカジマメンバー全員の面倒を見たミカヤ

 

そのなかでも、ヴィヴィオが一番格闘家としての資質は劣っていた。

 

体質的な問題、それだけだが格闘家としてはかなり影響してくるハンデ

 

━━━なのに、ヴィヴィオはアインハルトの次にミカヤに食いついていた。

 

桁外れの動体視力に、凄まじい反射神経、それに火力不足も魔法によって解消しつつある。

 

ミカヤ「全く、最近の小中学生は本当にいい動きをする」

 

━━━楽しいよ、本当に

 

そう締めくくり、静かにミカヤは立った。

 

ミカヤ「ふふ、カズマはごはんでも奢ってくれるのかな?」

 

ーーーーーー

 

ティアナ「しかし、よくもまぁ、たった一人を拐うのにこんなにも集まったわね・・・」

 

インターミドル予選会場の外、備品倉庫内でバインドに拘束され、中央に集められた男達を見て呆れたようにティアナは呟いた。

 

「ランスター執務官、これって休日出勤手当て、出るんですかね?」

 

ティアナ「・・・本来警ら隊の領分だし、無断出勤だし出ないんじゃないかしら?カズマに埋め合わせでもしてもらおうかしら?」

 

ティアナのジト目での呟きに補佐官の男性が苦笑いを浮かべた。

 

「くそっ!いきなりバインドかましやがって!

 

何もしていない一般人を拘束して良いのかよ!?管理局様よぉ!」

 

拘束されている男達のうち一人が怒鳴り散らすように言う。

 

ティアナ「何もしていないじゃなくて、「まだ」何もしていない、でしょ?

 

━━━こんなものまで所持して、言い逃れがあるのかしら?」

 

そう言ってティアナは男がポケットにいれていた物をすっと抜き取った。

 

補佐官が頭痛を押さえるかのように軽くコメカミを揉みほぐしながら溜め息を吐いた。

 

「質量兵器としては危険度はまだ低いけど、それでも一般人が簡単に、それも人数分集められるのはおかしいはなしですよね?

 

そのスタンガン」

 

補佐官の発言にぐうの音も出ないのか黙り混む男達。

 

すると男達のうち若い男が懇願するように叫ぶ。

 

「お願いします!局員さん!俺達は別に捕まっても構わないんだ!どんな処罰にも文句は言わない!だから俺達にあの女を「裁かせて」くれ!

 

俺達は皆格闘家だったんだ。

 

8年前、レントさんがセクハラで捕まったって報道があったけど絶対有り得ない!あの女が!運営委員長が嵌めたんだよ!しかも風評被害は俺達まで格闘家としての道も潰したんだ!

 

今でも小さい大会はやってるけど肩身が狭い、現役の奴等が可哀想すぎるだろ!?

 

こんなのいくらなんでも酷すぎる!」

 

目一杯に涙を溜めながらも叫ぶ男に周りの男達は俯いた。

 

流石に何か感じるところがあったのか補佐官が困ったような顔をティアナに向けた。

 

ティアナ「・・・・どれだけ御託を並べようとも、思いをぶちまけようとも、それが誰かを陥れていい理由にも裁く理由にもならないし、許されないわ

それに一度根付いた話は直ぐには消えることは絶対ない、それが人間だから」

 

諭すように中腰になりそう言うティアナにとうとう最後の一人ががくりと項垂れた。

 

ティアナ「・・・・私の友人がね、今日この大会に出てるの、しかも男性よ」

 

「・・・・・もしかして、カズマ=ツユクサですか?」

 

復讐しか考えていなかった彼らでもその存在は知っていた。

 

それもそうだ、突然現れ不敵な選手宣誓を放った男

 

魔力がない一般競技者候補にも関わらず、昨年のトップファイターを文字どおり瞬殺を成し遂げた男

 

ティアナ「始めはね、知り合いの子供達との約束で大会に参加したの、勿論今の男性競技者の周囲からの評価が悪いって言うのも分かっていた筈よ

 

多分選考会の時とか彼の事をいい目で見ていない人は山ほどいたと思う、そんな彼が何で今もあそこに立ち続けられるかわかる?」

 

そう質問するティアナに男達は固唾を飲んだ。

 

ティアナ「「皆」の為よ」

 

ティアナはそう男達を真っ直ぐ見据えてそう言った。

 

ティアナ「子供達との約束、友人との約束

 

━━━それから貴方達男性競技者と今の運営委員長の為にね」

 

驚愕と怪訝の視線を浴びながら、ティアナは笑みを浮かべた。

 

 




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77話ーー集まる者達

少し短いです!すいませんm(__)m

お気に入り感謝です!

でわ続きです!


拍手喝采が轟く予選会場、そこへ二人の女性がわたわたと足を走らせていた。

 

息を若干乱しつつも栗色の髪をサイドポニーに纏めている方の女性が5秒おきに「ヴィヴィオの試合がハァハァ・・・・始まるハァハァ」と同じ台詞を呟きながら走り、綺麗な金色の髪を腰まで伸ばした同い年の女性が「大丈夫だよハァハァ・・・大丈夫だよハァハァ」とやはり息を若干乱しつつも宥めている。

 

言わずもがなヴィヴィオの母親である高町なのはとフェイト・T・ハラオウンである。

 

なのはの寝坊により、渋滞に巻き込まれ、フェイトの忘れ物により一旦帰り再び渋滞に巻き込まれるという苦行をこなした彼女らは、インターミドル予選会場の臨時駐車場として開放されている予選会場から3㎞も離れた場所から身体強化の術式を施しながら走るはめになった。

 

すれ違う男性一般人が顔を上気させて、汗により何か透けて見えちゃっている二人の美人に「おうふ」と前屈みになる中、二人の進行方向にどこか困ったような素振りを見せている人を見つけた。

 

なのは「ハァハァ・・・どうかハァハァ・・・したハァハァ・・・しましたかハァハァ?」

 

痩せこけた男性をのせた車椅子をおろおろしながらも押している妙齢の女性がそんな幽鬼にも似たなのはを見てビクゥっと肩を震わせるが、自分達を気遣って声を掛けてくれたのだなと判断すると。申し訳なさそうに悩みを話した

 

「あの・・・インターミドルの予選会場に行きたくて・・・」

 

フェイト「え?」

 

そこで二人は改めて女性と車椅子の男性の姿を確認した。二人ともパジャマにも似た服を着ていて。その表情は不安に染まっている。

 

道が分からないと言うより

 

━━━ここがどこだか分からないと言った感じだ。

 

服装もパジャマと言うより入院患者が着ていそうな服だった。

 

何か、と言うか確実に訳ありな様子になのはとフェイトの顔が僅かに曇る。

 

なのは「あの・・・・失礼ですがここまではどうやって?」

 

家から出てきた、と言うのなら迷うのも分かるが交通機関等を利用したと言うなら話がおかしくなってしまう。

 

タクシー等は目的地へと向かってくれるし、この渋滞で利用を断念したとしても運転手が教えてくれる。

 

電車等の場合は詳しい地図の載った掲示板が要所要所付近に配置してある。

 

そして失礼ではあるが二人の様子からとても金銭を所持しているとは考えにくい。

 

「あ、あの・・・どう説明したら良いのか・・・」

 

どこか疑うような視線を向ける二人に女性は口ごもってしまう。

 

娘の試合も大事だけど・・・物凄おぉぉぉく大事だけど、局員として事件の可能性がある以上見過ごせない二人はとりあえず保護しようと決め本局の「生活安全課」と「保安課」に連絡をとろうとして。

 

「━━━イオ・・さん、俺が話します」

 

まるで暫く声を出して無かったような弱々しく掠れたような声になのはとフェイトは息を呑んだ。

 

「だ、だめですよレントさん!私に任せて貴方は休んで」

 

気遣うような叱責を贈るイオと呼ばれた女性にレントと呼ばれた男性は軽く苦笑し、しかし首を軽く横に振って口を開いた。

 

なのは「(レント・・・・?何処かで前に聞いたような)」

 

「局員さん、俺達が、何故ここにいるの、かは

 

━━━━分かりません」

 

一気に喋って咳ごむのを気にしてなのか、言葉を区切りながら話すレント。

 

フェイトが若干困惑したかのように返す。

 

フェイト「え?でもさっき予選会場にって・・・」

 

「すいま、せん、言葉がたらなか、ったですね、俺達はクラナガン郊外に建っている、隔離病棟から、多分、転移で、送られてきました━━ヴェホ!ッケホ!ゲホ!」

 

急にしゃべったせいか噎せてしまうレントにイオが慌てて背中をさすりなのはが駆け寄った。

 

フェイト「(多分送られてきた?「気付けばここにいた」って事?いくら次元世界を超越する規模ではないにしても転移魔法なんて強力な魔法、管理局で観測出来ないわけが・・・)」

 

レントの話からすると、事情は今は話せないがついさっきまで眠りきりになっていたレントと何かしらの精神疾患を患わせていたイオは突然、何事もなかったかのように治ったという。

 

呆然としていたが何故か「インターミドル予選会場」に行かなくては、と共通して頭に浮かび病棟で自分達意外の人達が眠っている事に困惑しながらもレントを車椅子に乗せて入口を探しだし出ようとしたときこの場所から少し離れた茂みに出たと言う。

 

フェイト「集団催眠に設置型転移魔法に・・・得体の知れない回復魔法・・・」

 

「・・・・よろしければ、俺達を、予選会場まで送ってくれませんか?貴方達の事は見たことがあります。有名な局員さんですよね?」

 

レントの提案に二人はどうしたものかと困ったように顔を見合わせた。レントとイオの素性や事情はともかく経緯はとても無視できるものではなかった。

 

「・・・あの、お願いします、どうしても私達はあそこに行かなければならいんです」

 

しかし二人の意思の強さ、怪しい様子は在るものの悪意や害意、敵意等といった感情が見受けられないところからなのはとフェイトは自分達が一時的に保護、後に然るべき保護機関に身柄を明け渡すと言う条件を元に同行することにした。

 

なのは「そう言えばどうしてインターミドルに?誰か応援する人でも?」

 

「えぇ、と言っても選手じゃ無いんですけどね?」

 

?を浮かべるなのはとフェイトにイオは苦笑を浮かべ言葉を濁す。

 

フェイト「ってなのは!試合!試合!」

 

なのは「ふぇ?」

 

慌ててなのはの肩を揺らし公共器物である時計を指差す。

 

ゆっくりと時計を見上げるなのは、そしてレントとイオ

 

現在時刻はAM11:04

 

なのは「レイジングハート、ヴィヴィオの試合って何時からだっけ?」

 

レイジングハート『マスター、11時10分開始予定です

 

 

 

 

━━あと失礼ではありますがマスター、「ヤバイ、間に合わない」と言った理由から意味不明な叫び声はやめた方が言いかと、イタいですかなり』

 

なのは「にゃあ━━━━!?」

 

思わず叫びそうになるなのはだが、自分の相棒からの鋭い指摘にギクリとなると同時に最近ドライな相棒に涙目になる。

 

フェイト「な、なのは大丈夫だよ!なのはがどんなにイタい叫び声をあげても私はずっともだよ?」

 

「フェイトさんそれ以上は駄目よ、ほら凄く遠い目をしてるわ」

 

フェイト「あぁ!なのは!?」

 

レントはその光景を見ながら、引き止めた自分達と複雑な事情のせいだと分かっていながらも思ってしまった。

 

━━━早く、行きません?

 

とりあえずは会場へ行けそうだと胸を撫で下ろしながら、フェイトが更になのはを無意識に追い詰めているのを横目に空を見上げた、まるでその視線の先に見据える「誰か」へと思いを馳せるように

 

イオも二人の様子におかしそうに微笑みながらもその目はレントと同じく二人の人物に思いを馳せていた。

 

イオは自分が弱いばかりに強くなってしまった愛娘に謝罪を

 

レントはどこか歪みがあるが、強い意思を感じさせる引き込まれそうな綺麗な瞳の女性に

 

そして

 

━━あの青年に合わなければ、あってお礼をしなければ

 

決して自分達を見損なわず、幻滅せず、気持ち悪がず、短い期間ではあるけども、味方になってくれたあの安心させてくれるようなニヒルな笑みを浮かべて向かい合ってくれた青年を

 

レイジングハート『あ、因みにヴィヴィオの試合ですが、コロナ様とカズマ様による大暴れが原因で7分くらいの遅れが出ているようですよ?』

 

なのは「コロナちゃあああん!カズマくうぅぅうん!ありがとおおおお!」

 

フェイト「ちょ、なのは!ばっ、やめっ、恥ずかしいから!皆見てるから! 」

 

━━━思いを馳せながらもなのはが叫んだ言葉に「んん?」と首を傾げながら。

 

こうしてなんやかんやありながらもインターミドル予選会場に到着、「えっ、ちょっ」と戸惑う!レントとイオを客席付近着のエレベーターに放り込み、ハヒハヒ言いながら清々しい笑顔で階段を昇りきるのと同時に。

 

 

ヴィヴィオ『アクセル!』

 

ミカヤ『天瞳流━━』

 

リングの中央にて居合の構えをとるミカヤとヴィヴィオが視界に入った

 

そして。

 

なのは「良かった!間に合っ━━━」

 

フェイト「ヴィヴィ━━━」

 

早速応援の言葉を贈ろうとした二人の視界からヴィヴィオの姿が一瞬ぶれた

 

ミカヤの目の前まで残像を引きづりつつ移動をしたヴィヴィオは正拳を構えていた。

 

ヴィヴィオ『━━ジェットスマッシュ!』

 

ミカヤ『水月!』

 

高速の拳と神速の居合斬りがぶつかり合った。

 

なのは「━━━━たぁ?」

 

フェイト「━━━おぉ?」

 

目を点にした二人の気の抜けたような声が歓声響き渡る会場に消えていった。




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78話━━ミカヤ対ヴィヴィオ

すいません!リアルの事情のせいで遅れてしまいました!

お気に入り感謝です!

誤字報告感謝です!



ヴィヴィオ「っ!(やっぱり防がれた!)」

 

ジェットステップによる高速歩行で距離を詰めて、その勢いのまま「アクセルスマッシュ」の魔力による速度ブーストをした「アクセルジェットスマッシュ」で初撃を当てつつ、このミドルレンジの間合いの主導権を手に入れる算段だったけど・・・・やっぱりそうはうまく行かないよね!

 

『試合開始して直ぐにヴィヴィオ選手特攻!しかしミカヤ選手これを冷静に対処!』

 

お兄ちゃんに仕込んで貰った、ミカヤ選手のような受け身基本の剣士対策、初撃を防がれわしたけど!居合刀のような長物の武器は基本その長さ故小回りが効いた立ち回りは難しいため、ミドルレンジを苦手とする

 

ヴィヴィオ「(だったら間合いの利はまだこっちにあるはず!)」

 

ミカヤ「━━二連」

 

弾き合った直後の硬直も辞さず身を回転させ、その勢いのまま再び「水月」を放った。

 

ヴィヴィオ「っ!?」

 

スパーリングの時とは全く違う動きに一瞬固まるも、何とか伏せてかわし、同時に後ろに跳んで大袈裟に回避する

 

先のミウラとの試合の時に見せたカズマの「特攻居合」、もしかしたら他にも使えるのかもしれない、と思ったゆえの回避

 

ミカヤは追撃せず、またも居合の型に入った。

 

ヴィヴィオ「っ(あんな連続技、スパーリングの時には一度もっ!)」

 

突然の事態に呑まれつつも、何とか拳を構えミカヤを見据える。

 

ヴィヴィオ「っなら!」

 

そう叫ぶとヴィヴィオの足下に、虹色の魔方陣が出現して、すぐさま虹色の魔力球が複数現れた。

 

ミカヤ「中距離攻撃・・・」

 

ミカヤは目を細め、居合の構えを解いた。

 

ヴィヴィオ「(━━━?何で・・・・)ソニックシューター!フルファイア!」

 

ミカヤの行動に疑問を覚えつつ、しかし隙を見逃せなかったヴィヴィオは「アクセルジェットスマッシュ」と同じ要領で速度、威力を強化した魔力球がその名の通り凄まじい速さでミカヤへ向かおうとして。

 

━━━ゴオッ!

 

全身を威圧するような「ナニカ」がミカヤがいる方向から吹き荒れたように感じた。

 

ヴィヴィオ「(この感覚、お兄ちゃんと同じ━━━━」

 

まるで夜叉が目の前にいるかのような恐怖にも似た感覚にヴィヴィオの体が一瞬硬直する。

 

 

 

 

 

ノーヴェ「下がれえぇぇぇぇぇぇえ!!!!」

 

 

 

同時に背後からノーヴェの絶叫にも似た叱責、ヴィヴィオは「え?」と呟く

 

魔力球がミカヤに向けて放たれていく。

 

 

 

 

 

━━━正確にはミカヤが「いた場所」に、だが。

 

 

刹那、ヴィヴィオのクリスによるオート障壁が背後に展開された。

 

ヴィヴィオ「!?クリス!?」

 

相棒の突拍子もない行動にヴィヴィオが一体何をと言った感じで振り向こうとして。

 

ギャリイィィィィィィイ!!

 

そんな刃が鳴る音と激しい衝撃がヴィヴィオに襲いかかった。

 

ヴィヴィオ「っくううぅぅぅ!」

 

━━━━━

 

ウェンディ「な、なんすかあの速さ・・・・」

 

一部始終を視界に納めていたウェンディが呆然とした顔をしながらそう呟いた。

 

ミカヤがしたことは単純明快、ただヴィヴィオの背後に回り込んだだけ

 

ただその速度がカズマ並みに異常な速さだっただけ。

 

ノーヴェ「(天瞳流剣士のスタイルは基本間合いを支配する受けの型、前まであんな動きはしてなかった・・・

 

いや、しなかった、のか? )」

 

明らかに魔法による身体強化の範疇を越えている動きを見て、恐らくカズマが前に使っていた「エクシード」であると予測される。

 

前のミウラ戦でも確かさっきと同じ動きをしていたとノーヴェは思い出す。

 

だとすれば・・・・

 

ノーヴェ「━━━━」

 

そこまで考えて、ノーヴェはヴィヴィオの顔を見た

 

予測していた以外の動き、予想以上の火力、並外れた機動力を前にしても彼女は、ヴィヴィオは

 

ウェンディ「ノーヴェ姉、やっぱヴィヴィオはすごいっすね」

 

ノーヴェ「・・・・・・」

 

圧倒的な実力者であるミカヤを前に笑っていた。口は語らずとも、目の輝きが、興奮したような息づかいが、今にも襲い掛かりたいと震わせる体が

 

ノーヴェ「・・・・あぁ、私の自慢の愛弟子であり門下生で

 

 

━━━私の親友の妹分だからな」

 

実況のアナウンスがヴィヴィオの笑顔を見て驚愕の叫びを上げるなかノーヴェは眩しいものをみるかのように目を細めた。

 

 

高町 ヴィヴィオ

 

LIFE

15000→14100

 

ーーーーーー

 

ヴィヴィオ「(すごい!すごい!本当に見えなかった!)」

 

クリスのオートガードが発動してなかったら、開始早々致命的なダメージを受けていただろう事態を障壁越しに伝わった衝撃から容易に想像できた。

 

下手したら一発KOもあり得ただろう、それほどに強烈な一撃だった。

 

そう理解していながらヴィヴィオは興奮を押さえきれなかった。

 

ミカヤは強敵だ。そこはスパーリングとは言え実際に手合わせをしたヴィヴィオは承知の上、寧ろ「絶対に勝つ!」と意気込んでいた。

 

ヴィヴィオ「今度は!」

 

━━━轟ッ!

 

だからこそ、予想以上の実力を前にして更に「自分「達」の力がどこまで通用するか」と意欲を燃やす。

 

ヴィヴィオ「(頑張ろうね!クリス!)━━━ディバイン」

 

クリス『っ!』ピッ

 

何とかミカヤの斬撃を凌ぎきり、同時に攻撃後のミカヤの硬直の瞬間を狙いバインドを出現させて捕捉。

 

ミカヤ「っ!?」

 

ヴィヴィオ「バスター!」

 

即時展開、即時発射されたなのは直伝の砲撃魔法「ディバインバスター(オハナシシヨウカ)」威力はチャージをカットしたためか本来の物より7割りがた落ちるが

 

ヴィヴィオ「(ミカヤさんを一瞬でも足止め出来れば充分!)」

 

━━━ここでアクセルスマッシュを決めて更に主導権を握━━━

 

このあとの展開を内心で計画しながら右腕に魔力をチャージした直後

 

ミカヤ「はぁ!」

 

バインドに拘束されたミカヤがバインドを破壊してディバインバスターを即座に裂いた。

 

二方に別れた光線がミカヤを避けて背後の地面を抉った。

 

ヴィヴィオ「っえぇ!?」

 

ミカヤ「全く!君との試合は気が全く抜けないよ!」

 

そう笑みを浮かべながら言うミカヤはヴィヴィオへと詰めより、鋭い正拳突きを繰り出す。

 

ヴィヴィオ「っく!(体術!?)」

 

その一撃を平手で受け流しお返しとばかりにアクセルスマッシュを放つ。

 

ミカヤ「っ」

 

顔目掛けて放たれたそれをミカヤは首をそらしてかわした。

 

追撃しようと右足を蹴りあげようとして

 

━━━ミカヤが居合刀を持ってないことに気付いた。

 

ヴィヴィオ「(いつの間に!?)」

 

嫌な予感を感じて距離を取ろうと足に力を入れて飛び退こうとしてグンッと左腕が引き戻される

 

ヴィヴィオ「なっ!?」

 

ミカヤ「━━━━捕まえたよ」

 

不敵な笑みを浮かべそう言い放つミカヤ、右手はさっき受け流しに使った左腕を捕まれており、左手には先程までなかった「晴嵐」を握りしめていた。

 

ミカヤ「天瞳流抜刀居合━━霞」

 

ばっ!と掴んでいた手を離し、態勢を崩すヴィヴィオ目掛け神速の刃を振りかざした。

 

 

 

ガギイィ!

 

 

何か「壁」をきりつけたような音がリング場に響いた。

 

 

ーーーーーー

 

アインハルト「・・・・・強いですね、ミカヤさん」

 

リオ「はい・・・スパーリングの時とは動きが全く違います・・・」

 

試合を観ていたアインハルトが真剣な顔でそう言って、リオもそれに同意した。

 

それほどまでにミカヤは巧い動きをしていた。

 

先程の体術での攻防に入る瞬間に投げた「晴嵐」の落下地点へヴィヴィオを誘導、観客席側からなら見えたが至近距離にいるヴィヴィオには気付かない、否、気づく余裕もないだろう。

 

ディエチ「でもヴィヴィオも負けてないよ」

 

リオ「ヴィヴィオには「アレ」がありますからね!「アレ」の効果は私やアインハルトさん、お兄ちゃんが立証済みですから!防御魔法を一箇所に集中する事で防御強度を引き上げる

 

 

━━━セイクリッド・ディフェンダーが!」

 

 

 

ーーーー

 

ミカヤ「・・・・・まさか本当に一ヶ月やそこらで完成させて、しかも実戦投入可能レベルにまで仕上げて来るとはね、君達には驚かされてばかりだよ。」

 

ヴィヴィオ「・・・・勝ちに来てますから!」

 

ヴィヴィオの右肩目掛けて振り落とされた刃はその刃と肩の間に出現した薄く、しかし浅くない濃い虹色の魔力障壁がしっかりと阻んでいた。

 

   プロテクション 

一転集中型防御魔法、確かにその防御力は目を見張る物があった。

 

本気でないにしろ、「管理局の白い悪魔」「固定砲台」の異名をもつ母、高町なのはの十八番「ディバインバスター」ですらヴィヴィオに傷付ける事無く防がれたと言う。

 

しかし、そんな強力な魔法でも、やはりというか弱点、及び欠点は存在する。

 

セイクリッドディフェンダーは発動したい箇所「だけ」に防御魔法を施す、故に他の部分が一切守られていないと言う弱点を晒すことになってしまう。

 

ミカヤ「なら見せて頂こう!」

 

そう言いつつ、ミカヤは再び晴嵐をしならせ追撃を試みる。

 

━━━同時に反対側からはしらせながら。

 

ミカヤ「(━━━これならどうかな!?)」

 

一点集中ならば、他の箇所を攻められ、勝つ超至近距離のせいで逆に防げないならどう捌く!

 

そう思いながらミカヤは左右同時に攻撃を仕掛けた。

 

ミカヤ「っ!?」

 

 

━━━━そして防がれた、それも二発とも「交互」に

 

ニヤリと笑うヴィヴィオにミカヤはツゥ・・・と背筋に冷たいものが走ったのを自覚した。

 

ヴィヴィオは晴嵐と鞘の両方を掴み、グイッと引き寄せる

 

ミカヤ「っく!」

 

ヴィヴィオ「はあぁ!」

 

突然の事に一瞬硬直してしまったせいで踏ん張りが付かず引き寄せられてしまう。

 

そしてヴィヴィオの姿が視界から消えた。

 

ミカヤ「っどこに━━━」

 

 

違う、即座に気付いた、何故ならヴィヴィオは目の前にいたから

 

変身魔法を解いて。

 

ヴィヴィオ「アクセルスマッシュ!」

 

ミカヤ「ッガっ!」

 

そしてミカヤの腹部に鋭く速い一撃が入った。

 

 

ミカヤ・シュベル

 

LIFE

15000→11500

 

『鋭いのが一髪入りましたぁ!ヴィヴィオ選手!ミカヤ選手を翻弄しました!』

 

 

ミカヤ「っ!」

 

即座に飛び退き距離を開けるミカヤ

 

ミカヤ「っ(速度重視の「嵐凱」にしたのは失敗だったな・・・

 

それにしてもさっきの防御、あの一瞬で二発とも止められる何て、しかもちゃんと受け止めて体も少し引いて衝撃を和らげている上、反対側からの攻撃からも少しだが距離を稼いでいる。

 

こりゃ手強いな・・・・」

 

そう思いつつ自然と口角が僅かに上がり、晴嵐を持つ手に力が入った。

 

試合時間は「1R:1分57秒」と表示されていた・・・・・

 

 

 

ーーーーーー

 

カズマ「やっば!もう始まってる!」

 

階段を二つ飛ばしで走っていくカズマ、あれからティアナと少し連絡をとり、状況整理をしていたら気づけば試合開始時間を過ぎていた。

 

カズマ「・・・・ティアナさんむくれてたな・・・」

 

「私も試合見たかったんだけど(ジト目)」と訴えかけてきた。マジで罪悪感が半端ないのだが、そればかりは仕方無いと割り切る。今回の事をなるべく大事、それもマスコミ沙汰などにはなるべくしたくないのだ、するにしてもそれは「両者の隔たり」が無くなった時である。

 

それに「信頼」も「信用」もできる局員がティアナだけだったから仕方がない

 

ないったらない!

 

そうこうしてる間に観客席がズラリと並ぶ通路にでる。

 

カズマ「っと、座るところ座るところ・・・」

 

そう言って辺りを見渡すカズマ

 

フェイト「あぁ、ヴィヴィオが刃物持った人とあんなに・・・」

 

なのは「うん、フェイトちゃん、今良いところだから黙ろうか?」

 

フェイト「私親友なのに・・・」

 

砕け散るフェイトを無表情で試合を観察しているなのはがいた。

 

 

カズマ「こんにち━━━━━━━━え?」

 

 

苦笑いを溢し話しかけようとして傍らに佇む人が視界に入り、そんな思考はぶっ飛んだ。

 

何で?どうして?あり得ない、そんな言葉ばかりがカズマの頭に響いてくる。

 

声が渇ききっているかのように小さい呻き声のような声がでるだけ。

 

 

すると向こうも気が付いたのか、此方に顔を向け、目を大きく見開いた。

 

女性は口元を両の手で塞ぎ、a車椅子に乗った男性は同じく目を見張るも、すぐさま嬉しそうに微笑みコクリと会釈した。

 

 

 

 

 

カズマ「━━━━━レントさん、イオ・・・・・さん・・・・」

 

呆然と呟いた言葉が会場内にとけていった




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79話

サブタイが思い付かない今日この頃(涙

お気に入り感謝です!

では続きです。


歓声沸き立つ会場、耳を塞いでも意味が無さそうな音量がそこら中に響き渡る中

 

俺は周りの音が一切聞こえてこない感覚に陥っていた。

 

思考が定まらない、整理できない、その原因は言わずもがな目の前の二人だった。

 

しっかりと此方を見ている二人、言わずもがな「社会復帰は絶望的」と言われた精神疾患、廃人が入れさせられる隔離病棟に入っていた二人だ。

 

実際にあって同情しなかったと言ったら嘘だ、助けたいって独り善がりな気持ちになった。

 

・・・・でも、何も出来なかった、出来ずにただただ、悪化の一途を辿るのをただ見てることしか出来なかった。

 

 

 

俺には何の力もないから。

 

 

「・・・・・初めまして、かな?カズマさん」

 

「・・・・あっちでは随分お世話になりました、カズマさん」

 

 

その二人が正常な状態で目の前にいる。その事実が余計に言葉を詰まらせた。

 

なのは「・・・・・カズマ君?」

 

フェイト「・・・・・・」

 

なのはさんとフェイトさんも俺の存在に気付いたのか、レントさん達と俺を交互に見てくる。

 

安堵、心配、驚愕、混乱、様々な感情に苛まれて口を開くことも出来ず、レントさん達の言葉に返事すら返せない事が、今度は自分に対して煩わしい思いがわいてくる。

 

でも・・・・

 

カズマ「・・・・・った」

 

どうしてこんなところに!?体は大丈夫ですか!?言いたい事はそれこそ山ほどあった。

 

カズマ「・・・・・・か・・・った」

 

けれども、俺は考えた言葉より先に違う言葉を口にしていた。

 

 

 

 

 

 

カズマ「━━━━良かった」

 

ただ単に「助けられない人が」助かった事に対する言葉、治って良かった、これから大変な人生が待ってるだろうがともかく

 

カズマ「本当に、良かった」

 

俺は頬を伝う何かを自覚しながらも、関係ないと言わんばかりにそう言った。

 

 

ーーーーーー

 

なのは「カズマ君・・・・・」

 

愛娘が「お兄ちゃん」と慕う青年が溜まった感情を吐露するように「良かった」と呟き続ける。

 

カズマはいつも堂々としていた。知っていることはあまりにも少ないけども、「あぁ、この子ならヴィヴィオを任せても全然問題ないなぁ」と思わせられる何かを持っている青年だと、以前の強化合宿の時に感じた。

 

でも余りにも自分は彼を知らなすぎたのかもしれない。

 

なのは「(そうだよね、カズマ君だって人なんだよね)」

 

皆に慕われる姿、場を盛り上げられる姿、時にカオスに引きずりこむ姿、 たった数日だけどいつも中心にいたカズマを自然と「何でも出来ちゃう子」と思い込んでいて、何があっても悠々と受け入れちゃう「すごい子」なんだと、なのはもフェイトも・・・・一部を除いた皆がそう思っていた

 

確かにそれは合っているのかもしれない。

 

フェイト「っ・・・・・」

 

  フェイト

隣で親友が息を飲み込み目を見張っていた。それほどまでに私達は彼を知らなかった。

 

 

 

━━━カズマは泣いていた。

 

事情は知らないけども、「良かった」と安堵するカズマ、しかしそのなかに僅かながら「罪悪感」や「後悔」、「自己嫌悪」が入っているのがなのはにもフェイトにも分かった。

 

ぐしぐしと乱雑に目元を拭き。困惑するイオとレントに向かって優しい笑顔を見せて「はい、こんにちは、そして初めまして」と言った。

 

なのは「・・・・・・・」

 

 

当然だがカズマは、どこまでも人だった。

 

フェイト「カズマは強いね、皆が慕う気持ちも凄く分かる」

 

 

親友が呟いた一言になのはは自然と頷いていた。

 

カズマ「━━まぁ、話したいことも聞きたいこともあるけど今は試合を観ませんか?」

 

 

カズマはそう言ってリングに目を向ける。

 

なのはも「あっ」と言っていそいそとリングに目を戻す。

 

 

カズマ「━━━親友と妹分が今、戦ってるんです」

 

 

ーーーーー

 

ミカヤが動く、先程とは全く違う攻撃優先の攻めの立ち回り。先のセイクリッドディフェンダー、確かに厄介だが要はヴィヴィオの反応速度を越えれば良いだけの事

 

そう当たりを付けて、居合刀特有の間合いの広さを利用して動き続け四方八方から斬撃を叩き付ける。

 

ミカヤ「(そうは上手くいかないな)」

 

内心苦笑し、今も構えて此方を見ている再び変身身体強化を施したヴィヴィオ、そして姿は見えないがセイクリッド・ハートを見据える。

 

このヴィヴィオとクリスがまぁ手強い。

 

ヴィヴィオはミカヤの動きに振り回されつつもちゃんと反応して「セイクリッドディフェンダー」で防いでいるし、クリスはヴィヴィオが反応できない攻撃を障壁で防ぐ。

 

そしてミカヤの僅かな隙をついてカウンターを返してくるのだ。

 

ミカヤ「(若干の倦怠感が出始めてる、流石に飛ばしすぎたかな?

 

 

━━━しかしヴィヴィオちゃんもそろそろ魔力がキツいと思う」

 

セイクリッドディフェンダー、確かに無敵と言っても過言ではない強力な防御魔法だ。

 

 

━━━だからこそ、「魔法」だからこそ欠点が生じる

 

セイクリッドディフェンダー、その正体は防御魔法、当然魔力は消費される。部分展開だから消費される魔力は微々たるものと思うかもしれない、だがそれは大きな勘違いだ。

 

ミカヤ「(部分展開だからこそ、一転集中型だからこそ結構な魔力を消費する。何せ私の斬撃をかわすのではなく防いでるのだから)」

             強打者

ミカヤはミウラのようなハードヒッターではないが、重心の乗せ方、踏み込みの動作、呼吸、振り抜く速度、振り切る速度、晴嵐の切れ味を生かしきる事で常に最高最速の一撃を産み出してきた。

 

それに未完全とはいえ、カズマから教わった「エクシード」最初はてんでダメだったが、それでもカズマ指導の元、「少し」なら見に纏い身体能力の底上げに成功した。

 

 

 

━━━故に全力のミカヤの一撃は一発が、砲撃魔法を越える一撃と成っている

 

それを無傷で済ませられる強度の障壁を展開しているのだ、それも何十回も

 

相当の魔力を使っているだろう。

 

そしてその推測は━━━

 

 

 

ガッ!

 

ヴィヴィオ「っくぅ!?」

 

当たっていた。

 

ヴィヴィオの張った障壁がミカヤの斬撃を通してしまった。

 

高町 ヴィヴィオ

 

LIFE

14100→8200

 

 

ヴィヴィオ「っ何で・・・・━━━っ!」

 

視界の端で晴嵐の刃が一瞬煌めいたのを確認したヴィヴィオは本能に身を任せ、バックステップでそれをかわす。

 

死角からの奇襲をやり過ごしたヴィヴィオはそのままさらに後退しようと足にちからを入れ

 

ヴィヴィオ「!?」

 

 

━━━後ろに下がると同時にミカヤも同時にヴィヴィオへ距離を詰めていた。

 

ヴィヴィオ「(━━動きが読まれて・・・・かわせない!?)」

 

ミカヤ「っシ━━━」

 

呼び動作を感じさせない程の抜刀でヴィヴィオに一太刀させようとして

 

 

『ここで1R終了です!』

 

1R終了のゴングが鳴り響いた。

 

ミカヤは、静かに一礼して自身のセコンドの元へ歩いていった

 

ヴィヴィオ「・・・・・」

 

最後の一太刀、あれはかわせなかった・・・

 

ヴィヴィオは背中に張り付いた嫌な汗を自覚しながらも、ミカヤが去っていた方向をじっと見ていた。

 

ヴィヴィオ「・・・・・・」

 

だらんと下げていた両手の拳を握りしめながら。

 

 

ーーーーー

 

ミカヤ「・・・・・・・」

 

「し、師範代?大丈夫ですか?汗が尋常じゃ━━━」

 

ゆっくりとした足取りで静かに戻ってきたミカヤに安堵の息を吐く門下生

 

試合は一見するとミカヤの優勢であり、実際にそれは間違っていなかった。

 

 

━━━しかし

 

ミカヤは用意された椅子に近づくなり、ドカッと乱暴に座り、パイプ椅子の脚が僅かに軋む、ギョッと目を見開く門下生等など気にしてないようにスポーツドリンクの蓋を開けて一気に煽る

 

ミカヤ「ング・・・・ング・・・・」

 

一気に大量の水分を含んだからか、飲み口の端からいくらか溢れて、ミカヤのBJの胴着へと首を伝って落ちる

 

どこか妖艶な姿に男子の門下生が生唾を呑み込んだ。

 

「ご、ごくり・・・・」

 

「死ね」

 

「!?」

 

同じく門下生(女子)が間髪入れずに言った辛辣な言葉にビックリする門下生を横目に一気にスポーツドリンクを飲みきったミカヤが思いっきり息を吹き返した。

 

ミカヤ「っぷは・・・・・・」

 

甲斐甲斐しく汗を拭ってくれた門下生に「ありがとう」と述べてミカヤは楽しそうに破顔した。

 

ミカヤ「いやぁ!ヴィヴィオちゃん強いなぁ・・・この状態の私にあそこまでついてくるとは・・・本当に恐れ入った、お陰様で疲労困憊だ」

 

背もたれに身を完全に任せて休むミカヤの姿に門下生はキョトンとして、苦笑いを浮かべた。

 

「というか師範代!何ですかあの動き!前のミウラ選手の時もそうでしたけどいつあんな凄まじい動きを・・・・」

 

ミカヤ「うーん・・・・まだ企業秘密かな?それにこの技術は確かに人間の「可能性」を広げるけど、扱いなれてない身では手痛い「しっぺ返し」がくる」

 

「それが、今の師範代の「休みなしで2週間ぶっ通しで仕事したオッサン」みたいな格好なんですね?」

 

 

そんな細かい例えをぶっ混んだ男子門下生にミウラと女子門下生から殺気が籠った視線をぶつけられる。

 

「ヒィッ!?」と尻餅をつき涙目になる男子門下生にミカヤが俗にいう「口元笑って、目笑わず」の状態でゆっくりと立ち上がる。

 

ミカヤ「・・・・ふふ、そうか私は嬉しいよ、そうやって「稽古もって厳しくしてちょんまげとったら只のハゲ」アピールしてくれるなんてね・・・・

 

 

期待に応えなくてはな」

 

この瞬間、男子門下生の全身筋肉痛フルコースが決まったテーマは「限界を越えろ!」で決まりだろう。

 

「師範代、私も天瞳流の技のじっけん・・・実験体が欲しかったんです」

 

全く言い直していない門下生とミカヤが握手している光景は男子門下生を

 

「・・・・・・・・」

 

 

白目気絶系男子に仕立てあげた。

 

 

ミカヤ「(・・・・ヴィヴィオちゃんはあれでしっかり学習するタイプだ

 

 

━━━恐らく第2Rはキツいだろうなぁ)」

 

 

ーーーーーー

 

ノーヴェ「セイクリッドディフェンダーを過信し過ぎだ馬鹿」

 

ヴィヴィオ「うぅ、返す言葉もございません・・・・」

 

ノーヴェ達の元へ戻ってきたヴィヴィオに対しての第一声にヴィヴィオはしゅんとなり、ウェンディは苦笑いだ。

 

ノーヴェ「・・・・まぁ、コロナ同様説教は後だ、反省会含めてな

 

━━━━で?どうだった?」

 

困ったような、怒ったような、そんな顔をしていたノーヴェが纏う雰囲気を真剣なそれに変わったことにウェンディは自然と息を飲む。

 

しかしヴィヴィオは全く動じず言葉を返した。

 

ヴィヴィオ「うん、速いし、重いし、巧い、コンタクトモード込みのクリスのパックアップが無かったら、最初の段階で5発目にはヤバイの貰ったと思う」

 

無言で続きを促すノーヴェにヴィヴィオは続けた。

 

ヴィヴィオ「でも、最後の踏み込みからの一太刀、あれを除いたら動き自体はすこしづつだけど精細さにごく僅かに欠けてきていたし、速さも絶対に見切れないほどでは無かった」

 

ノーヴェ「よし満点」

 

ウェンディ「へ?」

 

難しい顔を崩して柔らかい表情を作るノーヴェにヴィヴィオは頷く。

 

ノーヴェ「いいか?お前が観察して感じ取った事に間違いはない、確かにあのミカヤちゃんの技術は凄まじい、遠目に見てもあたしらじゃ目で追い付くのが精一杯だった。」

 

ウェンディ「え?私は見えなかった━━━ぐふぇ!?」

 

ノーヴェの言った言葉に異を唱えようとしたウェンディが「黙ってろ」という意思がたっぷり詰まったノーヴェの肘鉄に膝をついた。

 

「オーバーなやっちゃな」と言わんばかりにあきれ顔を見せるノーヴェに「ひどいっす」と涙目で訴えるが無視される。

 

ノーヴェ「前のミウラ戦で見た通り、ミカヤちゃんがあれを使うと程度の差はあれど疲労感が著しい、多分扱い慣れてないからだ━━」

 

ノーヴェ、ヴィヴィオ『だから、次ラウンドからは使用を控えてくる』

 

二人同時に同じ言葉を言い終えた、ヴィヴィオは笑みを浮かべ、ノーヴェは頷いた。

 

ポカンとしているウェンディを他所にノーヴェが続ける。

 

ノーヴェ「でも、要所で使ってくると思う・・・・弱いところをついてけばクロスレンジに分があるお前に有利だ」

 

ヴィヴィオ「オス!」

 

 

そう力強く応え、リングに戻っていくヴィヴィオを見送るノーヴェ。

 

 

━━━しかし突破口を見いだしたにも関わらずその顔は難しいままだった。

 

ウェンディ「ノーヴェ姉?」

 

ノーヴェ「・・・・」

 

 

 

━━━━━ミカヤちゃんの恐い所はその居合術もあの速さもそうだけど本当に恐いのは

 

ノーヴェ「気を付けろ」

 

 

 

 

 

「先読み」だ




誤字、指摘などがございましたらよろしくお願いします。


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80話ーー挫けない心

すいません、最近ゲーセンの洗濯機回したりして執筆してませんでしたm(__)m

いやぁ楽しいですね


で、では最新話です(震え声


ハリー「先読み?それって確か相手の動きの数歩先を予測するっていう?」

 

ミーティングルームにてハリー一行とジークはヴィヴィオとミカヤの試合をモニター越しに観戦しており、ミカヤの動きとそれを捌き、時に反撃の姿勢すら見せるヴィヴィオの動体視力と度胸に舌を巻いていた。

 

1Rの終わり直前で見せたミカヤの未来予知にも似た動きを見て固まるハリー達を横目にジークが言った「先読みや」という言葉にハリーが反応した。

 

ジーク「そうや、相手の動きのリズムと呼吸のリズム、癖・・・果ては「筋肉の動き」まで察知する事で完成する武人の最大の武器や」

 

ミカ「つまり、この短時間でヴィヴィオの癖や動きとかのリズムを把握したってことですか!?」

 

ジーク「いや、話聞くと少しの間やけどチームナカジマの面々はミカ姉の道場の所にスパーリングで手解きしてもらってた見たいやから、多分癖とかは分かってたんやないかな?」

 

つまりミカヤはたった4分の間でヴィヴィオの癖以外の要素を掴んだと言うことになる。

 

ジーク「でもヴィヴィちゃんも負けとらん・・・あの動体視力や反応速度もそうやけどあの変身魔法解除して動揺誘ったときはウチぞっとしたわ」

 

ハリー「確かにな、あいつ本当に小学生かよ」

 

眉根を寄せてしみじみ言うハリーに周りはウンウンと頷く。

 

ジーク「あれは完全にカズマの仕込みやな、それに技の練度とか正確さ、ヴィヴィちゃんの良いところをよく伸ばしとる、本人が努力したのもあるけどいい師匠に巡り会えたんやな」

 

そう言ってまじまじとモニターを見つめるジークの視界の端にミーティングルームの入口から入ってくる黒い影を視界に捉え、思わず意識をそちらに向けた。

 

ジーク「あれは・・・・」

 

ハリー「ジーク?」

 

 

 

ーーーーー

 

レイン「・・・・・・・」

 

ジーク「レイン・・・・さんでええかな?」

 

 

連結しているソファーの一角に座りじっとモニターを見つめる黒い影━━━レインに話しかけたジーク

 

一瞬ピクッと肩を震わせたレインがジークに視線を移す

 

整った容姿に黒曜石を思わせるような澄んだ綺麗な瞳の奥に底知れない何かを感じてジークは「イケメンさんやな」と感心すると同時に「カズマとどこか似とるな」とぼけっと見ていた。

 

レイン「何か用か?」

 

ジークを一瞬見てその目に何かしらの反応を見せたレインは腕を組んだ体勢を崩して聞いてきた。

 

その造作が妙にはまっていて、そして何故かレインに「合わない」と思ってしまったジークは苦笑してしまった。

 

?を浮かべてジークから目を離さないレインにジークは慌てて口を開いた。

 

ジーク「ゴメンゴメン!ウチジークリンデ・エレミア言います。カズマの友達なんやけど・・・」

 

そこで言葉を止めてしまったジークは気まずくなってしまった。だからなんだ?と返されたら逆ギレしようと意味不明な事を考えつつ、コミュ症な自分を呪いレインの返しを待つ

 

レイン「・・・・あんたがカズマの言ってた」

 

意外にもレインはジークを知っていたらしい。しかもその情報源が自分の思い人であることを知ってジークは勢い付く。

 

ジーク「・・・・因みにカズマは何て?」

 

レイン「・・・確か、「万年腹ペコ女」「飯を千手観音の動きで片っぱし奪っていく女」「コミュ症」「インターミドルチャンピオン━━━」

ジーク「カズマアアアアアアアアアアア!?」

 

次々とレインの口から出てくる。ジークへの悪口(しかし事実)を聞いたジークは叫び声を上げて中断させた。

 

レインはそのようすを見て目をパチクリとさせたあと少し口端を吊り上げて続けた。

 

レイン「「その癖、お節介で思いやりができる女」・・・・と言ってたな」

 

すぐさま顔を真っ赤にして手で顔を覆い隠し床に蹲るジークをレインは何処か優しげな表情で見ていた。

 

ジーク「・・・・君、良い性格しとるなぁ」

 

じっとりとした目で睨み付けるジークだが、レインは涼しい顔で受け流す。

 

ジーク「・・・・どう?この世界は、君自分の世界に帰るんやろ?」

 

理由は聞かんけどと言ってレインを見つめるジーク、レインはつい最近同じ言葉言われたなと思いつつ、やはり口ごもってしまう。

 

不本意ながらカズマに少し悟されてしまった彼だが、やはり事故評価が著しく低いのとこの優しい世界と違い常に死が隣り合わせの世界で生きてきた自分がなどと考えてしまう。

 

ジーク「・・・・君は素直な人なんやね、カズマとはおお違いや」

 

レイン「・・・・・・」

 

ジーク「でも君はそれで楽しいか?」

 

 

レインはジークのその言葉に固まってしまった。

 

自分は強さを求める戦士だ、そこに娯楽も何もない

 

 

ジーク「カズマから少し聞いただけやけど、強さを求めるのは誰だって同じや、ウチもそうや・・確かに君とウチの求める強さは違うかもしれん

 

余計なお世話かもしれん、でも肩の力抜くぐらいならええんちゃう?」

 

レイン「━━━━」

 

レインはその言葉を聞いて目を見開きやがて嘆息したように肩を竦める。

 

 

━━強さを求めるのに「休息」をしない戦士が、どんなに強くなったって本当に強くなるなんてできるわけないだろ?

 

レイン「本当に・・・・」

 

本当にこの世界は

 

レイン「自分勝手だ」

 

居心地が良すぎる。

               

苦笑するジークに、元いた世界のある暴虐王が君臨してい

た小国の反乱軍《レジスタンス》に属していた戦友とカズマが被った

 

レイン「・・・・」

 

黙り混んでしまったが、先程と比べていくらか緩んだ顔つきを見てジークは嬉しそうにハリー達の元へ帰っていった。

 

レイン「・・・・(辛いときでも笑え、どんな状況でも笑っていたらお前の勝ちだろ・・・・か)」

 

モニターを見つめながらそう内心呟くレイン

 

モニターには再びヴィヴィオとミカヤが拳と刀をぶつけ合っていた。

 

その瞳に爛々と輝きを乗せて。

 

 

 

ーーーーー

 

『さて始まりました第2R!1Rでは二人の全力投球がぶつかり合っていましたが今回はどうなる!』

 

ヴィヴィオ「「ジェットステップ!」」

 

ピュアファイター

純格闘選手のヴィヴィオとしては先程とやることは変わらないし変えられない

 

開始のゴングと同時にすぐさまミカヤとの距離を詰めて正拳突きを放つ。

 

ミカヤ「フッ!」

 

しかし分かっていたかのようにミカヤは把握した間合いギリギリの所で晴嵐を抜き放つ。

 

「ヒュン」と空気を斬る音を響かせながらヴィヴィオの突きだした右手に晴嵐が迫る。

 

ヴィヴィオ「━━━アクセルスマッシュ!」

 

ミカヤ「!?」

 

ビタァッと晴嵐の間合いに入る一歩手前で突きだした正拳を止めるヴィヴィオ、ミカヤの晴嵐が標的を失い空を斬った、いつでも放てるように構えていた左拳に魔力を付与して突きだす。

 

振り切った体勢で防御が間に合わないと瞬時に理解したミカヤはそのまま振り切った勢いを使い回転し少しでも衝撃を和らげようと腰に差した鞘の部分で受ける。

 

ミカヤ「━━っつ!(しくった!)」

 

しかし支えあってのそれなら上手く防げたかもしれないが結局ミカヤは腰部に左拳のアクセルスマッシュの衝撃を鞘の固さをプラスして受けてしまった。

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

15000→10500

 

クラッシュエミュレート

 

腰部強打(軽度の運動阻害)

 

 

体勢を崩すミカヤにヴィヴィオは追撃の手を緩めない、反撃の一振りを身を屈めて前のめりにそのまま前転し、両の手で跳ねて両足を持ち上げミカヤの顔面目掛けて蹴りあげる。

 

ミカヤ「っ器用だな!」

 

ヴィヴィオの運動神経と俊敏性に舌を巻きながら、首を反らすことで何とか回避したミカヤ、ヴィヴィオは「これかわすの!?」と驚きながら一旦距離をとった。

 

『開始そうそう壮絶なクロスレンジの応酬!ヴィヴィオ選手1Rのお返しとばかりに手痛い一撃を与━━━━』

 

実況の声が言い終わる前にミカヤはヴィヴィオの下がった位置の背後をとっていた。

 

ヴィヴィオ「っ!?」

 

すぐそばからビリビリと感じる闘気に当てられてかヴィヴィオは反射的にそちらに裏拳を放つ

 

 

 

━━ガンッ!

 

まるで固いものを殴ったような音と同時に音がした場所から手を伝ってくる鈍痛にヴィヴィオは顔を思いっきりしかめた。

 

 

高町ヴィヴィオ

 

LIFE

15000→13200

 

 

ヴィヴィオ「~~~~~っつ!」

 

涙目になりながらもヴィヴィオはその原因をしっかり目に写していた。

 

ヴィヴィオの視線の先には深々と地面に突き刺さっている

 

 

━━━晴嵐があった。

 

ヴィヴィオの全身に悪寒が走る。脳内が警告音で埋め尽くされるのを幻聴しながらヴィヴィオは急いでしゃがもうとして

 

 

ダンッ!

 

ヴィヴィオ「っぅあああ!?」

 

ズダアアアアン!

 

突き刺した晴嵐の柄を握り締め、そのまま晴嵐を中心に宙を一回転し、遠心力のついたミカヤの飛び蹴りがヴィヴィオを襲った。

 

悲鳴をあげつつリング場外に吹っ飛ばされたヴィヴィオはそのまま地面を数回程バウンドし止まった

 

静まりかえった場内でミカヤは油断なく再び腰に構えた。

 

ミカヤ「当たりが思ったより浅かった・・・・あの瞬間魔力を足元で爆発させて威力を殺したのか・・・・」

 

ヴィヴィオがミカヤの死角からの奇襲に気付いて、3秒と無かったあの瞬間に、である。

 

ミカヤ「だがやはり、無理矢理過ぎたみたいだね」

 

未だ倒れてから動かないヴィヴィオの痛々しく青あざになっている右足を見て呟いた。

 

 

高町ヴィヴィオ

 

LIFE

13200→7300

 

クラッシュエミュレート

右足首捻挫

 

ーーーーーー

 

『ヴィヴィオ選手起き上がれない!、カウントが無情にも始まります!』

 

なのは「ヴィヴィオ・・・・・!」

 

手摺を掴むなのはの手が震えている。

 

フェイトは涙目で慌てていた。

 

カズマもその様子をじっと真剣な表情で見ている、先程まで二人の動きを凄いと評し談笑していたレントもイオもだ

 

カズマ「・・・・・ヴィヴィオ・・・・」

 

分かっていても、辛そうに顔を歪ませて尚、立ち上がろうとしているヴィヴィオを見て今すぐにでも駆けつけてやりたい、安心させて「頑張ったな」と励ましてやりたい。

 

なのはもフェイトも、面識すらないレントやイオですらその表情が物語っていた。

 

カズマ「・・・(でも)」

 

リオ「ヴィヴィオぉ!がぁんばれぇ!」

 

アインハルト「ヴィヴィオさん!」

 

コロナ「ヴィヴィオ!」

 

━━━でも、お前のなかではまだ頑張ってないんだよな?

 

ヴィヴィオの苦しげな、しかしまだ折れないどころかますます燃えている瞳がそう思わせた。

 

なら自分がやることも変わらない、なのはさんとフェイトさんと目が合い頷きあう。

 

ヴィヴィオが望む限り、何度でも背中を押してやろう。

         戦場

あいつは、今一人でリングに挑んでいる妹分は

 

なのは「ヴィヴィオ!立って!」

 

フェイト「頑張れ!ヴィヴィオ!」

 

 

 

 

カズマ「負けんな!ヴィヴィオ!頑張れぇ!」

 

       ファイター

━━━━一人の 戦士 なのだから。

 

 

 

ヴィヴィオ「━━━━っぁあああああああああああ!」




誤字、指摘等がありましたらよろしくお願いいたします!


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81話ーーミカヤ対ヴィヴィオ②異変

お気に入りありがとうございます!

でわ、続きです!


━━私は恵まれている。

 

そう自覚し始めたのは割りと最近

 

優しいママに優しく育てられて、格闘技に憧れてそれをキッカケにノーヴェに稽古をつけてもらい、リオやコロナと親友になって、アインハルトさんみたいな格好良い先輩と仲良くなって、管理局の人達にも、元機動六課の人達にも、ルールー達も良くしてくれて。

 

幸せの連続だったし、これからも続いていくんだなぁ、と確信していたりする。

 

でも、それでも「証明」出来ていない

 

ヴィヴィオ「━━━っうぅ・・・」

 

右足首が凄く痛い、ミカヤさんの飛び蹴りをかわそうとしてアインハルトさんの擬似無拍子を真似しようとしたけど上手く制御できていなかったみたい。

 

ノーヴェ「ヴィヴィオ!」

 

ウェンディ「ヴィヴィオ!」

 

セコンド側からノーヴェとウェンディの心配そうな声が聞こえる

 

「また」心配かけている。

 

ヴィヴィオ「(駄目・・・だよぉ、まだ・・・「私は大丈夫だよ、一人で立って歩いていける」って証明できてない・・・)」

 

強くなった、心も、体も、そう思っていた。

 

でも、この足だって少し我慢すれば立てる、立って魔法で回復すればまたあのリングに向かっていける。

 

その筈なのに・・・

 

カウントがやけにゆっくり聞こえる。

 

皆の声が聞こえる。やっぱり皆心配そうな声音だ。

 

私はもっと幼い頃から皆に迷惑をかけて、心配をかけてばっかだった。

 

聖王オリヴィエのクローンとして生まれ、ただ「核」として生きて「死ぬ」運命だった私に、なのはママ、フェイトママを初めとして皆優しくしてくれた。よく泣いていた私は迷惑をかけてばっかりだったし、拐われた時だって本当に心配をかけたと思う。

 

痛くて怖くて泣きじゃくる私を見たなのはの顔は今でも覚えている。

 

助けてくれて、自分の足でなのはママの元へ辿り着き抱き締めてもらった時、私は「あぁ、この人にこんな顔をさせたくない」って思った。

 

もうあの時の私じゃない、皆は「子供は迷惑をかけてなんぼ」ってよく言うけど。もう嫌なんだ

 

大切な人達が悲痛に顔を歪めているところなんて

 

ヴィヴィオ「ぐ、う、うぅっ」

 

まだ、まだだよ

 

まだ私は「頑張っていない」、この大会で証明するって決めたんだ

 

 

 

━━━━もう大丈夫だよ、皆待たなくても私は一人で立ち上がれるし、皆を追いかけるんじゃなくて、肩を並べて歩いて行けるって。

 

だから、心配をしないで、

 

ヴィヴィオ「━━━━」

 

そう思って顔を上げた私はこっちを見ているお兄ちゃんと目があった、近くになのはママ、フェイトママもいる。

 

カズマ=ツユクサさん、とても強くて、とても優しくて、とても不思議な人で、いつも見ていてくれた人

 

流れやその場のノリでお兄ちゃんになった人だけど、とても嬉しかったのを今でも覚えている。

 

お兄ちゃんは優しかったけど、いつも必要以上に距離は取っていた・・・・と思う

 

やっぱり他人だから?って結構思ったりもした。

 

ヴィヴィオ「(・・・・そうなんだね、お兄ちゃんはいつでも私達を見守ってくれたんだね、「いつでも、いつまでも立ち上がれるように」)」

 

お兄ちゃんはまるで私を試しているかのように強い意思を持った目で私を見ていた。

 

ヴィヴィオ「(・・・私はまだ頑張っていない、だったら・・・

 

 

 

━━━もっともっと頑張らなきゃ!)」

 

その時

 

リオ「ヴィヴィオ!がぁんばれぇ!」

 

アインハルト「ヴィヴィオさん!」

 

コロナ「ヴィヴィオ!」

 

チームナカジマの皆が

 

なのは「ヴィヴィオ!立って!」

 

大切なママが

 

フェイト「ヴィヴィオ!」

 

大切なママの親友のママが

 

 

 

 

 

カズマ「負けんな!ヴィヴィオ!頑張れ!」

 

大切で大好きなお兄ちゃんが私を応援してくれた。

 

背中を押してくれた。

 

 

ヴィヴィオ「(なら!なら立たなきゃ駄目!痛くても辛くても立たなきゃ!私は「不屈のエース」の娘!だったら!)

 

 

 

━━━━っぁあああああああああああ!」

 

 

立たなきゃ、駄目だ!

 

その時、何故か知らないのに「凄く馴染み深い」可憐な女の人が頭のなかで私に微笑みかけている気がした。

 

 

 

                  

その人は私と同じ金色の髪で、私と同じ紅《ロート》と翠《グリューン》だった。

 

ーーーーー

 

『ヴィヴィオ選手立ちました!手痛い一撃を受けていたが大丈夫か?』

 

ヴィヴィオがすこしぎこちない足取りでリングに戻った。

 

その表情は若干俯いていて分からない。

 

ヴィヴィオ「クリス、無理させちゃうけど、行くよ?」

 

姿は見えないけど中で『ピッ!(誰の相棒だと思ってんの!?)』と怒っているのを感じたヴィヴィオが口元を緩めた

 

レフェリーに「大丈夫?」と聞かれ、ヴィヴィオは「はい」と静かに頷いた。

 

ヴィヴィオ「クリス、お願い」

 

そう言うやいなや、虹色の淡い光がヴィヴィオの体を包み癒していく。

 

高町ヴィヴィオ

 

クラッシュエミュレート回復

 

 

『ヴィヴィオ選手、クラッシュエミュレートを回復しての復帰です!』

 

ナレーションの言葉に会場が再び歓声を上げる。

 

ヴィヴィオ「ミカヤさん」

 

顔を上げたヴィヴィオが静かに、しかししっかりとミカヤの目を捉えて口を開く

 

ミカヤは「まるで嵐の前の静けさだな」と何処か他人事のように感じながら「なんだい?」と返した。

 

ヴィヴィオ「ありがとうございます」

 

 

━━━カンッ!

 

礼を言い終えると同時に腰を低くして構える。そして試合再開のゴングが鳴り響くと同時に足をぐっと静め

 

ヴィヴィオ「ミカヤさんが強いおかげで私は、また頑張れます」

 

まるで向日葵のような暖かい笑みを浮かべて、そう言った。

 

 

同時にヴィヴィオの姿がかききえ、代わりに足下が小爆発を起こしたかのように土煙を巻き上げていた。

 

ミカヤ「━━━っふ!」

 

まるでそこにいるのが分かっているかのように右方向に晴嵐を薙ぐミカヤ

 

ヴィヴィオはそれをすり抜けるようにかわし、両手で晴嵐の刃を上から掴む。

 

ミカヤ「っむ!」

 

思わず力を入れて引き抜こうとして、ヴィヴィオはあっさりその手を離した。

 

体勢を崩すミカヤにヴィヴィオは右足を振りかぶる。

 

ヴィヴィオ「リボルバースパイク!」

 

後ろに傾いた体勢のまま、ミカヤは鋭い蹴りを左斜め後ろに受け流し、更にその手で掴もうとする。

 

何故かヴィヴィオはミカヤのその動作が手に取るように分かった。

 

ヴィヴィオ「(何でだろう、今頭が凄くクリアな気分)」

 

異様な程体が軽く感じるヴィヴィオはまるで「自分じゃない」感覚に不安を感じるどころか、何故かしっくり来ていた。

 

捕まれそうなミカヤの手から、ヴィヴィオの足がまるで意思を持っているかのように下へ降り、そのままミカヤに足払いをかけた。

 

ミカヤ「!?っく!」

 

驚愕に表情を歪めつつもミカヤは、すかさずバックステップでヴィヴィオから距離を取る

 

ミカヤ「━━━」

 

一歩下がった所で悪寒を感じたミカヤはその場で宙返りをしつつ、抜刀した。

 

ミカヤ「天瞳流抜刀居合

 

━━霞」

 

神速の居合い切りを、先程まで立っていた場所に拳を振り抜いた状態で静止して「ミカヤを見上げている」ヴィヴィオに放つ。

 

ミカヤ「(しっかりと目で追ってきている!?動きが急に!)」

 

いったい何が、と考える暇もないまま、神速の居合いはヴィヴィオに向かっていき。

 

ヴィヴィオ「━━ジェットステップ」

 

再びその場から姿を消した。

 

あまりの速さにミカヤは一瞬本当に姿を見失った。

 

ミカヤ「なっ!?」

 

地面が「タタン!」と静かに素早く、ヴィヴィオが立っていた場所、そして宙返りをしている最中のミカヤのやや後方で音がなった。

 

 

次いで背後から感じる、気配と「ブオン!」と空気を薙ぐ音

 

ミカヤは今度こそ背筋に嫌な汗を書いたのを自覚した。直ぐ様身を捻り頭上から迫りくる何かに備えて腕をクロスし、更に魔力を使い身体強化で防御力を上げようとして。

 

ヴィヴィオ「━━ハルバート」

 

斧を思わせる強烈な踵落としがミカヤに炸裂した。

 

ミシィっと一瞬防いだ両手が軋みを上げた、そして

 

ミカヤ「っぐぅ!━━━っああ!?」

 

一瞬の溜めの後、ミカヤを空中から叩き落とした。

 

凄まじい轟音がリングに鳴り響き、今度はさっきと別の意味で静寂が広がった。

 

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

10500→4200

 

 

ーーーー

 

ウェンディ「ヴィヴィオ凄いっす!あの鬼強いミカヤ選手相手に圧倒っすよ!?」

 

ウェンディが興奮しているのか、早口で一気に捲し立てる。

 

ノーヴェも唖然とその光景を見ていた。それほどまでに先程までのヴィヴィオとの差が凄すぎる動きだった。

 

ノーヴェ「ヴィヴィオ?」

 

だからこそ感じる違和感、だからこそ分かりやすい矛盾

 

確かにヴィヴィオは強くなった、それはノーヴェが一番分かってるし、感じている。だって一番近くで見てきたから。

 

今のヴィヴィオならアインハルトに勝てなくともかなり追い詰めることも可能だろう。

 

・・・でも

 

 

━━━あそこまで強かったか?

 

そう感じてしまう程に今の一瞬の攻防の駆け引き、完成されていた動き、魔力の扱い、どれもがずば抜けていた。

 

その証明とは言わないが踵落としをくらい叩きつけられそうになり、すんでの所で両手で受け身をとり衝撃を受け流したミカヤが、警戒しながらも何が起きたのか分からないと困惑の表情を浮かべている。

 

 

 

あんな動き、夜天の騎士達でも・・・それこそ、カズマか書物でしか知らないがベルカ戦乱時の「王」でもなきゃ━━━

 

 

 

そこまで考えてノーヴェの思考が停止した。それほどまでに「あり得ない推測」をしてしまったのだ。

 

しかしノーヴェはその推測を鼻で笑い飛ばすこと等出来なかった。出来るわけがなかった、「それ」を考えてしまえばしまうほど辻褄も合ってしまい、納得さえ出来てしまったからだ。しかもだめ押しとばかりにノーヴェはそのあり得ない体験をしている親友を知っている。

 

ノーヴェ「・・・・・・」

 

落ち着かない思考と不安な気持ちを抱えたままノーヴェはヴィヴィオを見た。

 

 

━━━━━

 

ミカヤ「驚いたな・・・ここに来てまさかの覚醒みたいな展開が起きるなんて」

 

 

腕を擦りながら苦笑するミカヤ

 

何故かは分からないが急激すぎるパワーアップをしてしまったらしい、と納得してしまったらしい

 

ヴィヴィオ「まだまだ!」

 

10メートルはあった距離をまるで無かったかのように詰めたヴィヴィオは流れるように肘鉄を放つ

 

ミカヤ「ふっ!」

 

それを半歩片足を引き、体を傾ける事でかわし、同時に膝を曲げて体勢を低くして、晴嵐を引き抜き、その柄でヴィヴィオの顎を突き上げようと持ち上げた。

 

━━━が

 

 

ぱしんっ!

 

ミカヤ「っ嘘!っだろ!」

 

ヴィヴィオは肘鉄を放った方の胸元にある掌でその柄を受け止めていた。

 

思わず悪態をついたミカヤだが、混乱せずにエクシードを循環させて直ぐ様ヴィヴィオの背後に回り込む。

 

ミカヤ「はぁ!」

 

ヴィヴィオ「アクセルスマッシュ!」

 

横凪ぎの一振りをヴィヴィオはまるで背中に目でもついてるのかと言うような動きで振り返り様に「見ずに」正確に晴嵐の刃に拳を当ててきた。

 

━━━更に

 

ヴィヴィオ「トリプル!」

 

放った右腕の魔力の維持したまま引き抜き、再びミカヤの顎先に向けて放ち、同時に魔力を付与した左腕を右腕の下に隠すように腹部目掛けて放つ。

 

ミカヤ「っえぐいね!」

 

ヴィヴィオの攻撃にそう返し、器用にも晴嵐のリーチを生かし顔から腹部を一度に守るミカヤ

 

ガギィ!と音をたてて拳と晴嵐が拮抗する。

 

ミカヤ「っ!(重い!)」

 

持久戦は悪手と考えさせる程の重い拳にミカヤは慌てず受け流すように一旦身を引き潜り込むように身を伏せ上に流した。

 

ヴィヴィオ「!?」

 

ミカヤ「先程のお返しだ!」

 

そう言って振り上げた晴嵐をその勢いに乗せて放り投げ、一瞬そちらに気を取られたヴィヴィオ目掛けての頭部目掛けて掌を突き出す

 

ヴィヴィオ「分かってました!」

 

そう言うと同時にミカヤが掌を突き出すのとほぼ同じタイミングでミカヤに向け自ら距離を詰めた。

 

ほぼゼロ距離の掌低をかわして。

 

ミカヤ「━━━━っな!?」

 

しまった、と思った時には遅く、その腹部にはヴィヴィオの飛び膝蹴りが深々と突き刺さりミカヤを吹き飛ばした。

 

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

4200→800

 

 

ミカヤを吹き飛ばしたヴィヴィオはその目をキラキラさせながら、「まるで後ろに立っている誰か」に話しかけるように口を開いた。

 

ヴィヴィオ「やった!見ましたか!?クラウス!カズm・・・・・

 

 

 

 

━━━━あれ?」

 

 

リングの外でゆっくりと立ち上がるミカヤをよそに困惑に満ちたヴィヴィオの呟きが会場の歓声に掻き消されていった。




誤字、指摘などがありましたらよろしくお願いいたします!


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82話ーー同調

今回は少し短いですm(__)m

お気に入り感謝です!

では続きです!


ミカヤ「っ・・・・今のは効いた・・」

 

ヴィヴィオの飛び膝蹴りによって場外へ吹き飛ばされたミカヤがゆっくり起き上がり鈍痛に顔をしかめつつリングに足を運ぼうとしてリングに目を向ける。

 

ミカヤ「?」

 

しかし吹き飛ばした張本人であるヴィヴィオを見て怪訝な表情を造る、様子が変だと思ったからだ。

 

口元を押さえて困惑仕切っているヴィヴィオ、「何が起きたの?」と狼狽えているのが遠目に分かった。

 

先程と若干の「違和感」、言うなれば今のヴィヴィオは「普通にヴィヴィオだった」

 

ミカヤ「・・・・(確かにさっきのヴィヴィオちゃんは凄まじかった、いや凄まじすぎた)」

 

確かにヴィヴィオは強い、思わず苦戦を強いられると感じた程に。冷静になってきたミカヤはそう思考を巡らす

 

でも、それでも自分にはまだ数歩ほど及ばない、それは戦闘中にも感じていた。

 

しかし今の彼女の動きは・・・・

 

ミカヤ「・・・・・今は試合中だったな」

 

『ミカヤ選手復帰!しかしLIFEは危険域《レッドゾーン》起死回生なるか!?』

 

ミカヤ「LIFE800か・・・」

 

ちょっと雲行きが怪しくなってきたな。

 

そう思いつつもミカヤはその目でヴィヴィオをしっかりと見ていた

 

ミカヤ「・・・どうしたんだい?ヴィヴィオちゃん」

 

ミカヤが話し掛けると ヴィヴィオはびくっと反応して困惑した顔でミカヤを見てきた。

 

ヴィヴィオ「ミカヤさん・・・何だか今の私が違う私になってるみたいな感じがして・・・でも私この感覚怖くないんです、不思議と「元からそうだったみたいに」受け入れているんです。

 

私本来の実力ではまだミカヤさんには勝てないはずなのに・・・それが怖くて・・・」

 

ミカヤ「ふぅむ・・・別に良いんじゃないかな?」

 

ヴィヴィオ「え・・・・」

 

ミカヤ「それに先程までの君も異常なくらい強かったぞ、君達は本当に小学生か?ずっとこの試合が始まってから私は本気だったぞ」

 

呆然と此方を見ているヴィヴィオに向けてミカヤは誰かさんのように不敵に笑って。

 

ノーヴェに視線を送りながら口を開いた

 

ミカヤ「君はまだ私を倒してない、まだ試合は続いてるんだ、ちょっと強くなったからって何も問題ないよ?

 

 

 

 

だから全力でこい」

 

━━━ナカジマちゃん、試合後のアフターケアは君の仕事だよ?

━━━勿論分かってるさ

 

 

ーーーー

 

『全力でこい」

 

ヴィヴィオの心臓が波打つ、さっき感じていた心の中から馴染むような感覚も成りを潜め代わりに「今すぐ闘いたい」とばかりに目が爛々と輝き出す。

 

その言葉を聞いた瞬間、ヴィヴィオは何故かその言葉をどこかで聞いたような感覚になり、同時にそれは「違う自分」が聞いたものだと自然と納得した。

 

今でも自分の中にいる「何がが」その存在を強くなっているからだ。

 

ヴィヴィオ「(「貴女」は・・・・私なの?」

 

その瞬間ヴィヴィオの脳内に一つの光景が強く、鮮明に、まるで自分がそこにいるかのように映った。

 

急な変化にヴィヴィオは驚いたりせずに冷静に「こんなときもあったなぁ」と懐かしんでいる違う自分の感情を感じていた。

 

まるで今の時代では考えられない、聖王教会よりもお城っぽい建物、その麓にある円形の開けた場所から鉄と鉄をぶつけているような金属音が聞こえた。

 

『ひゃぁっははははは!まだまだ訓練は終わってないぜぇ!』

 

ヴィヴィオ「━━━━━━━え?」

 

そちらに向かうと、聞き覚えがある━━寧ろさっき聞いたばかりの声がその場所に響いた。

 

『カズマ・・・ちょっと休ませてくれ・・・』

 

『誰だよぉ!強いやつと戦えば強くなれるからカズマ連れて来ようぜ!って言ったヤツぅ!』

 

『『『お前だろうが!?』』』

 

一人その場に立っている青年の前にまるで使い捨てのぼろ雑巾の如く20人ほど積み上げられていた。

 

カズマ『甘い、甘いよ!まるでコーヒ微糖に水を1リットル程詰め込んだように甘い!買い物に着いていけば板チョコぐらい買ってくれるだろうって考えを持っている中高生並みに甘いぞぉ!』

 

『言ってることはよく分からないが絶対に馬鹿にしてるよね?』

 

カズマ『ん?よ ね つ げ ん し?』

 

『うあああああああ!』

 

カズマは見たことはない服を着ていた、分かりやすく言うなら「村人の服」だろう。でも他の次元世界は分からないがミッドではまず見ない服装だ。

 

他の人達もまるで騎士みたいな格好をしている

 

ヴィヴィオ「(何でお兄ちゃんが)」

 

ヴィヴィオがその光景に軽く混乱していると

 

?『お?今日はカズマも訓練に参加してるんだね?』

 

そんな爽やかな声に期待を混ぜた、一人の威厳ある男性が現れた。碧銀の髪を整えた美青年が隣に一人の女性を引き連れて訓練場へと歩いてきた。

 

ヴィヴィオ「(あれ?あの人たちどこかで・・・)」

 

そして何故か美青年を見ると感じる切なさ、悲しさ、カズマを見ると感じる寂しさにますますヴィヴィオの混乱は深まるばかり。

 

?『もぅ!カズマは少し加減を覚えるべきです!』

 

カズマ『え?何で俺が責められてるの?俺は一般人の筈なんだが?』

 

?『何で一般人が「シュトゥラ」の騎士20人をそんな綺麗に積み上げられるんですか!?

 

二人のやり取りに周囲は笑い出す。どこにいても変わらないカズマにヴィヴィオも思わず笑ってしまった。

 

ヴィヴィオ「(━━━ん?シュトゥラ?あぁ・・・・シュトゥラ!?)」

 

つまりこの二人は・・・・

 

カズマ『いいじゃねぇか!?そんな一般人がいても!

 

━━━オリヴィエ!

 

ってかお前は俺を庇わんのか!?見てるだけで嘲笑いやがって!

 

━━━クラウス!』

 

クラウス『いや、嘲笑ってはいないんだけど』

 

 

 

『覇王』クラウス・ハイディ・イングヴァルト

 

『聖王』オリヴィエ・ゼーゲブレヒト

 

いずれも歴史の教科書に乗るほどの偉人だったのだ。

 

声なき悲鳴を上げているヴィヴィオを余所に、オリヴィエはいつの間にかファイティングポーズを取っていて。

 

カズマもげんなりしつつも、それに付き合い自然体に構える。

 

カズマ『おい馬鹿姫』

 

オリヴィエ『誰が馬鹿姫ですか!?』

 

 

 

 

カズマ『全力でこい』

 

ヴィヴィオ「あれ?」

 

そんな不敵に笑ったカズマの一言を聞き終えるのと同時に

また景色は変わっていて。

 

ヴィヴィオ「━━ここは・・・」

 

そこはヴィヴィオにとって関係がありすぎる場所だった、機械質な広い部屋、何もない部屋だが唯一、奥に存在する一つの玉座。

 

━━━━聖王のゆりかご

 

大切な人を手にかけてしまう所だった場所。そして自分が「高町ヴィヴィオ」として生まれた場所。

 

そして・・・・・

 

オリヴィエ『ここで私の人生が終わりました』

 

ヴィヴィオ「!」

 

気付けば先程まで誰も座っていなかった玉座にオリヴィエが座っていた。その目に悲壮・嘆き、切なさ、寂しさの感情を乗せて。

 

━━━オリヴィエが「聖王」と呼ばれるきっかけになった場所。

 

オリヴィエ『でも私だって人です。もっと皆と一緒に居たかったし、例え子を身籠れない体でもクラウスと添い遂げたかった。リッドにもまだ教えて欲しいことが沢山あった

 

カズマとも沢山ばか騒ぎがしたかった』

 

気付けばヴィヴィオは涙を流していた。まるで頑なに泣こうとしないオリヴィエの代わりをするように。

 

オリヴィエ『・・・・何で貴女が泣くんですか?』

 

そんなヴィヴィオを見てオリヴィエは微笑みつつも困ったように眉を八の字に若干曲げた。

 

言葉を返すことができず、流れ出る涙を押さえようと必死なヴィヴィオをオリヴィエは優しげに見つめ、ヴィヴィオの近くまできてそっと抱きしめた。

 

ヴィヴィオ「陛・・・下?」

 

オリヴィエ『そう呼ばないで?貴女は私の妹みたいな存在なのですから、それとごめんなさい、貴女の闘いを邪魔してしまって。貴女の想いの強さに惹かれてしまったの、それにカズマの顔を見てたらフォローしたくなって』

 

ヴィヴィオは言葉の意味がよくわからず鼻を啜りながら「フォロー?」と聞き返した。

 

オリヴィエ『えぇ「皆と一緒に居られなくとも、私は寂しくなかった」、と

 

例え距離が空いていようとも私と彼らは同じ時代の、それも同じ世界に住んでいるのですから、寂しくなりようが無いんです、不器用ではありますがあの場にいるカズマと、貴女の先輩であるクラウスの子孫とリッドの子孫に』

 

そう伝えたかったんです、と締めくくろうとしたオリヴィエの手をヴィヴィオの両手が包み込む。

 

ヴィヴィオ「だったらちゃんと伝えなくちゃ!言葉が駄目なら、行動で!分かるまで何度でも!私付き合いますから!」

 

そう言いながらヴィヴィオはオリヴィエの手を引っ張ってどこかに行こうとする。

 

オリヴィエ「ヴィヴィオ・・・」

 

ヴィヴィオは立ち止まり、振り返ってオリヴィエに抱き付いた。変身魔法が溶けてしまっているので腰の辺りに抱きついている形になったが。

 

困惑しているオリヴィエに向けヴィヴィオは笑顔を見せる。

 

ヴィヴィオ「私の証明なんてどうせいつでも出来るからいいんです、皆が背中を押してくれたから、立ち上がる事が出来たから、いいんです

 

だから!「行くぜ!」」

 

オリヴィエは目をパチクリさせて、軽く噴き出した。

 

ヴィヴィオ「オリヴィエ?」

 

オリヴィエ「ふふ、カズマの真似ですか?ちょっと似ていますね?」

 

ムッとジト目を向けるヴィヴィオだがオリヴィエから言われた似てる発言に照れた。

 

オリヴィエはその様子を眺めていたが、目をつむり決心を決めたかの様に目を開けた。

 

オリヴィエ「えぇ、行きましょう」

 

 

オリヴィエの言葉を最後に、ヴィヴィオの意識は元いた場所に戻ってきた。

 

急いで周りを見ると、先程から様子が変わっていない「あっち」で数十分たった感覚だが時間は全然たっていなかったみたいだ。

 

「えーと、試合再開して大丈夫かな?」

 

気遣わしげにレフェリーの男性が聞いてきてヴィヴィオはこくんと頷く。

 

ミカヤ「大丈夫・・・みたいだ・・・ね?」

 

いつの間にか困惑から立ち直っているヴィヴィオに安心したのもつかの間、纏っている雰囲気が違いすぎる事に戸惑いを覚える。

 

ミカヤ「・・・・」

 

━━━━騎士

 

佇まいは全く変わらないし何が変わった訳でもない、いや変わったのだろう、あの「数秒間」という僅かな硬直で。

 

ヴィヴィオは一瞬2箇所程違うところを見て、口元を綻ばせミカヤに向き直った。

 

ミカヤ「・・・・・」

 

ヴィヴィオ「行きますよ!━━━はい!ヴィヴィオ!」

 

 

 

ん?

 

 




キリが良いところ(?)で!

う~ん、進みがイマイチ・・・

誤字、指摘などがございましたらよろしくお願いいたします!


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83話 ミカヤ対ヴィヴィオ《?》ーー届け

今回もやり過ぎた感・・・そしてグタグタかも・・・

お気に入り感謝ですm(__)m

では続きです!


『試合再開のゴングが鳴りました!第2R残り時間は2分弱、LIFEが絶望的なミカヤ選手耐えきるか!?』

 

ヴィヴィオに「何か」が起きて、それは観客席の方にも伝わっていた。

 

まるで騎士の様な雰囲気をさらし出すヴィヴィオに観客達は動揺と興奮をない交ぜにしたようなざわめきを洩らす。

 

それはチームナカジマでも例外でなかった。

 

リオ「な、何かヴィヴィオ・・・変わった?いや・・・ヴィヴィオ自身は変わってないんだけど・・・・」

 

リオがヴィヴィオの様子を見て軽く混乱しているが、それは周囲も同じコロナやディエチまでもが何が起きているの?と混乱している。それほどまでにヴィヴィオの纏う雰囲気が変わっていた。

 

リオ「ね、ねぇアインハ━━」

 

━━ルトさん、とアインハルトの方へ顔を向けて呼び掛けようとしたリオは固まってしまった。

 

その様子に周囲も気付き、アインハルトへ視線を向けて唖然とした。

 

アインハルト「そ・・・・んな・・・・」

 

大きく見開いた目に涙を溜め、口元を両手で覆いまるであり得ないモノを見るような目でヴィヴィオを見ていた。

 

ディエチ「アインハルト?ヴィヴィオは一体・・・・」

 

冷静になったディエチがアインハルトに聞くとアインハルトは視線をヴィヴィオに固定したまま口元を戦慄かせながらボソリと思わず溢した。

 

 

 

━━━━オリヴィエ、と

 

 

ーーーー

 

フェイト「ヴィヴィオ?」

 

フェイトがリングに佇むヴィヴィオに向けて口を開いた。

 

いきなりすぎて思考が纏まらない。

 

皆の激励でヴィヴィオが立ち上がり、次にはあり得ない強さでミカヤを圧倒し、何かに不安を抱えたような表情をして、そしてまるでシグナム達夜天の守護騎士を彷彿させるような雰囲気を纏っている。

 

そして感じる違和感。

 

確かにあそこに立っているのはフェイトとなのはの娘だ、自信に溢れた笑顔

 

しかしその笑顔には今まで感じたことのない圧力、又は威圧感。

 

なのは「ヴィヴィオ・・・・なの?」

 

まるで何者かがヴィヴィオに成り済ましているかのような印象を抱いてなのはは不安な表情を浮かべる。

 

「不安ですか?」

 

なのは「イオさん」

 

気付けば隣に立っていたイオが柔らかい表情でなのはとフェイトを伺っている。

 

イオ「急に雰囲気とか変わっちゃったりすると、戸惑ったりします。私の娘もかなり変わってしまいましたから。」

 

どこか憂いを帯びたような表情で語る「母」の姿になのはもフェイトも思わず釘付けになる。

 

「でも、変わらないものなんですね・・・」

 

しみじみと語られるその言葉はまるで自分に言い聞かせているようだった。

 

「自分の子供が何かを成し遂げる為に立っているなら、信じてそれを見守るのと、そっと背中を押すのが親である私達のするべき事ですよ?

 

 

━━━私はもう遅いかも知れないけど、なのはさんとフェイトさんはまだまだヴィヴィオちゃんを見守る事ができるんです、なら信じましょう?

 

他ならぬ自分の子供を。」

 

その言葉を聞いたなのはとフェイトは静かに「はい」と声を揃えて応えた。

 

カズマ「・・・・・・・」

 

そのやり取りを聞きながらも、カズマは今はハッキリと認識できるヴィヴィオの中にいる「もう一人の気配」を捉えていて、平静をを装いながらも驚愕で一杯だった。

 

何故「あいつ」がこの時代にいる?先祖帰り?いやそんなものではない。

 

他にも様々な疑問が溢れかえっているが。それでもオリヴィエが「ヴィヴィオの体を借りてでも」あの場所に立っているというのがヴィヴィオには悪いがカズマは嬉しく思った。それが再開への喜びなのか分からないが。

 

 

カズマ「・・・・・」

 

 

━━━カズマ、行かせてください、後悔したくないんです。皆を・・・・守らせて

 

 

「カズマさん、大丈夫ですか?」

 

カズマ「レントさん・・」

 

「酷い顔してましたよ?」

 

気遣うような声音のレント、平静を装っていたつもりでも顔に出ていたらしい。

 

「詳しい事情は知らないし聞きませんけど、あの子の雰囲気が変わったことなら何も心配しなくてもいいと思いますよ?」

 

車椅子に座り痩せこけた顔をしていて、どちらかと言うとレントの方が身体的にも精神的にもきついはずなのに安心させるように言うレントにカズマは尊敬すら覚えた。

 

レント「根拠はないんですけど、「彼女」もそうでしたから」

 

リング場の闘いを見ながらレントはそう呟いた。

 

レント「昔から気配りが出来て、誰にも優しくて、甘えたがりの彼女は何かを為し遂げたくて、その為に自分を殺しました。その姿は痛々しくもありましたが、何故か誇らしくもあったんです。

 

今のヴィヴィオちゃんはそんな彼女と似ているんですよ」

 

レントの言う彼女が誰の事なのか、察したカズマはあえて言及せずレントの言うことを噛みしめて再びリングへと目を向けた。

 

 

今はヴィヴィオの体を借りているあいつがミカヤへラッシュをかけている最中だ。

 

カズマ「(誇らしく・・・・か)」

 

━━━さてミカヤ、「シュトゥラの姫騎士」とまで呼ばれたやつ相手にどう立ち向かう?

 

あっさりと思考を入れ替えたカズマは楽しげに笑みを浮かべた。

 

 

 

 

カズマ「あ、レントさん、今更ですけど敬語要らないですからね?俺年下だし。」

 

「あ?マジ?っべー、助かるわぁ!」

 

カズマ「!?」

 

「はっは、冗談ですよ?」

 

カズマ「!?!?」

 

 

ーーーーー

 

背後へと回り込んだヴィヴィオ《オリヴィエ》の拳がミカヤの後頭部を狙う。

 

ミカヤ「っ!」

 

首を捻りミカヤは難なくかわすが、まるで待ってました!と言わんばかりに首を捻った先に見える光景に脚の甲みたいな物が視界に移った。

 

ミカヤ「っく!」

 

咄嗟ではありながらもヴィヴィオ《オリヴィエ》の蹴りを受け流そうと、手を沿わせようとして。

 

ヴィヴィオ「はぁ!」

 

さわる寸前で、ヴィヴィオの足がその手をすり抜けるようにしてかわし、ミカヤの顔めがけて軌道を変えてきた。

 

ミカヤ「っ!?」

 

咄嗟にバックステップで距離をとりかわす。

 

 

ミカヤ「(動きだけじゃなく技まで鋭くなってるな・・・)」

 

交わしたはずなのに髪の毛数本ほど持っていかれた現状に顔をしかめるミカヤ

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「凄い!今のかわすなんて!「この時代」の剣士は優秀なんですね!?」

 

ヴィヴィオ「オリヴィエ!?混乱を招くような発言は今は抑えて!?いやまぁ、ミカヤさんは確かに凄いけど今は抑えて!?」

 

目をキラキラさせてそうヴィヴィオが叫んだと思ったら。急に血相を変えて慌てて注意するように振る舞うヴィヴィオにミカヤは混乱を覚える。

 

まるで一人芝居をしているヴィヴィオだが、その様子は本当に「誰か」と会話をしているように見えた。

 

ミカヤ「(いや、会話をしているんだろうな、全く私も逞しくなったものだな)」

 

エクシードに触れてみてからと言うもの、ミカヤは少しばかり「気」というものに敏感になっていた。

 

強大な力の持ち主の存在をヴィヴィオから感じるのだ

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「ごめんなさいヴィヴィオ、つい楽しくて、そしてミカヤ・・・でいいんですよね?」

 

ミカヤ「いえ、私の名前は神埼ねーちんです」

 

ヴィヴィオ「ミカヤさん!?誰ですかそれ!?」

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「そうですか、では神埼ねーちん、再開へと参りましょう」

 

ニコっと笑って再びミカヤとの距離を瞬時に縮め、ミカヤの顎めがけ回し蹴りを放つ。

 

ミカヤは晴嵐で受け流すように受け止めて

 

 

 

ミカヤ「ええ、聖王陛下」

 

そう返し、空いていた左手の掌抵をお返しとばかりに叩き込んだ。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》は驚きながらも直ぐ後退り衝撃を和らげた。

 

 

高町ヴィヴィオ

 

LIFE

7300→4500

 

ズザザと派手に引きずって後退するヴィヴィオ《オリヴィエ》、地面を引きずって発生した土煙がヴィヴィオの体を隠す。

 

ミカヤ「(目眩まし!)」

 

只で転ばないヴィヴィオ《オリヴィエ》に内心舌をまくミカヤ

 

そんなミカヤに影がさした。

 

ミカヤ「上」

 

ミカヤはそう呟くと同時に晴嵐を薙いだ。

 

 

 

 

━━━ヴィヴィオ《オリヴィエ》が放ったバリアジャケットの影に潜んで、右腕に魔力を溜めているヴィヴィオ《オリヴィエ》がいる「左」に向けて。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「なっ!?」

 

ヴィヴィオ「!?」

 

息を呑む二つの気配にミカヤはやりづらいな、と苦笑しつつも容赦なく「天瞳流抜刀居合 水月」を放った。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「━━はぁ!」

 

ミカヤ「んな!?」

 

虚を突かれながらも、溜めた魔力を乱すことなく打ち返してくるヴィヴィオ《オリヴィエ》に驚愕を覚えるミカヤ。

 

━━━エクシードスマッシュ!

 

ギャリイィ!と音を立てる晴嵐とヴィヴィオ《オリヴィエ》の拳。

 

腕に若干の痺れを感じたミカヤだが、臆することなく振り抜く

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

800→500

 

ミカヤ「っ!」

 

振り抜いた晴嵐の下から凄まじい速さでミカヤ目掛けてくる反対側の拳をミカヤはその場で半歩ずれて一回転、エクシードスマッシュの二発目をかわすと同時に回転した勢いで振り抜いた晴嵐を降りおろした。

   ふた

ミカヤ「弍斬り」

 

そのなの通りシンプルな二回の斬撃だがこの技の特徴は

一撃目はブラフ、本命は

 

キンッ!

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「っ(軽い?)」

 

ヴィヴィオ「(ダメ!オリヴィエ「離れて━━━」

 

簡単に防げたその一撃にヴィヴィオ《オリヴィエ》は軽く困惑するも、反撃をしようと前に一歩踏み出そうとして。

ミカヤが此方に若干腰を低くした状態で踏み込んでいるのが分かった。

 

 

次いで防げた晴嵐に「チャキッ」と力が籠るのが分かった。

 

そしてヴィヴィオの警告虚しくそれが放たれた。

 

 

 

 

ミカヤ「居合術 「瞬」」

 

視認不可能な速さでヴィヴィオ《オリヴィエ》の右から左へと振り抜かれた晴嵐、そして

 

ゴオオッ!!

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「━━━っく!」

 

ヴィヴィオ「オリヴィエ!?」

 

すぐさま発生した衝撃波によって、体をリングの端へと吹き飛ばされるヴィヴィオ《オリヴィエ》にヴィヴィオが叫んだ。

 

高町ヴィヴィオ

 

LIFE

4500→1600

 

空中で身を捻って、まるで軽業師のように1、2回程空中を縦に回転し器用にも着地するヴィヴィオ《オリヴィエ》にミカヤは苦笑を浮かべた。

 

ミカヤ「さっきので完全に隙を突いたし決まったと思ったんですが・・・」

 

そう言ってヴィヴィオの胴体を見るミカヤ、その豊満な胸元には虹色に輝くセイクリッドディフェンダーが身を守っていた。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「あいたた・・・ふむ、やりますね神埼ねーちん」

 

ミカヤ「あなたこそ、陛下」

 

そう笑いあう二人、しかもちゃっかりオリヴィエの存在まで気付いているミカヤにヴィヴィオは取り敢えず笑った。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「貴女とは、体が絶好調の時に戦いたかったですね」

 

ミカヤ「いやいや、本来の貴女の実力にはまだ及びません」

 

ミカヤはそう言うがヴィヴィオはミカヤもヴィヴィオの体ではあるがオリヴィエと遜色ない実力を見せていた。

 

先程のカズマの十八番である「居合術「瞬」」も完成度はかなり高かった。

 

しかしオリヴィエの戦闘スタイルとヴィヴィオの戦闘スタイルは一緒であっても体質的には真逆なのだ。

 

それに変身身体強化である「大人モード」でも、成人を迎えているオリヴィエとまだ10歳のヴィヴィオの体では圧倒的にポテンシャルが違うのだ。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「さて、そろそろ終わりにしましょうか、私<ヴィヴィオ>の魔力も神埼ねーちんの魔力とエクシードもそろそろ切れるでしょうし」

 

ヴィヴィオ「あ、うんそうだね、ミカヤさん!また試合してくださいね!」

 

ミカヤ「あぁ・・・・うん、もう大丈夫そうだね、私もまた君と陛下と勝負がしたいな」

 

そう言い合って、ミカヤは腰を僅かに落とし「特攻居合」の構えをして。

 

 

 

                  鎧  よ 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「━━━━リュストゥング」

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》は「シュトゥラの姫騎士」と呼ばれていた頃の戦闘服である騎士甲冑を身につける、その腰にはクリスが粋な計らいをしたのか、一振りの剣が鞘に収まっていた。

 

ヴィヴィオ「わぁ・・・・」

 

自分が着ている姿なのに何故か様になっているヴィヴィオ《オリヴィエ》の姿にヴィヴィオは感嘆の溜め息を洩らした。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「(あの構え・・・)、クリス、すいません補助をお願いします」

 

主人でもないのに即答で「ピッ(了解)」と返してくれるクリスに微笑むヴィヴィオ《オリヴィエ》

シャッと、腰にさした剣を抜き、頭の横に構える。

 

まだ2R(8分)あるが、両者の間にはそんな事一切関係無かった。

 

お互いを尊敬し、尊重し、一撃を放ちあう。

 

まるで騎士の一騎打ちのような雰囲気をミカヤとヴィヴィオ《オリヴィエ》は醸し出していた。

 

ミカヤ「━━━特攻居合」

 

オリヴィエ「(まるで脳筋みたいな考えですが、届きましたか?二度と会えない別れをしてしまい。悲しませてしまったけど。

 

 

 

 

 

ミカヤ「━━━弐月!」

 

 

 

 

 

 

 

━━私は凄く嬉しかったです。誇らしかったです)

 

ゲーテン(祈りの)」

 

ミカヤが一メートル目の前に出現して、オリヴィエが過去に見た「最強」の片鱗が猛威を奮う。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「シュヴェールト(つるぎ)」

 

 

━━だって私は貴方達のような最高の友人を救うことが出来たのですから。

 

 

 

直後轟音が鳴り響いた。

 

 

 




誤字、指摘等がございましたらよろしくお願いします!


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84話ーーー再会と要求

お久しぶりです!

すいません筆が中々進まなくて!

お気に入り感謝です!

では続きです!


轟音とも捉えられる金属音が会場内に響き渡る中、会場内は静けさが支配し観客の皆が息を呑んで試合の行く末を見守っている。

 

ゴクリっとあちらこちらから聞こえてくる中、辛うじてリオが声を出した。

 

リオ「ど・・・どうなったの?」

 

しかし、周りは誰一人答えることなく、土煙に覆われているリング場を見つめ続けていた。

 

ただ一人カズマだけがホッと一息ついて「お疲れさん」と労りの言葉を溢した。

 

ーーー

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

 

500→50

 

クラッシュエミュレート

 

右腕部衝撃による一時的麻痺

 

ミカヤ「一体どうなった・・・手応えはあまり感じなかったが・・」

 

辛うじて残ったLIFEを見てほっとしたがまだ相手の状態が分からない為、左手で右側の腰に晴嵐をつけ直し再度構える。

 

土煙がやがて薄れていき、完全に晴れると。

 

 

 

 

ヴィヴィオ「う、動けなぃ・・・・」

 

 

うつ伏せになり、ピクピクと体をひくつかせつつも動けずにいる変身魔法が解けた状態のヴィヴィオがいた。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「やはりゲーテンシュヴェールト<祈りのつるぎ>はまだヴィヴィオの身体には無理がありましたか・・・」

 

ヴィヴィオ「うぅ・・・客観的な意見は良いからこの状態を何とかしてよオリヴィエぇ・・・」

 

ふむ・・と小難しいような顔をしてそう宣うオリヴィエに困ったような顔つきになったヴィヴィオが訴えるも

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「ごめんなさいヴィヴィオ、それは無理です」

 

綺麗な笑顔を浮かべたオリヴィエにヴィヴィオの「そんなぁ・・・」と力ない悲鳴が虚しくリング場に消えていった。

 

ミカヤ「━━ップ!ッアッハハハハ!」

 

そんな姉妹のようなやり取りにミカヤは何だか可笑しくなって笑ってしまった。

 

ヴィヴィオ「ミカヤさぁん!笑わないでくださいよぉ!」

 

涙目になって抗議するヴィヴィオ

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「それにしても神埼ねーちん!さっきの構えはカズマの剣術と同じものですよね!?」

 

しかし瞬く間にヴィヴィオの体をオリヴィエが主導権を握ってしまいミカヤの「居合術」について興奮しているかのようにミカヤへうつ伏せのまま言い募る。

 

ミカヤは驚いたように口を開いた。予想だにしなかった人物の名が出てきたためだ。

 

・・・まぁ、それはそうとして

 

ヴィヴィオ「すいませえぇぇん!カウントお願いしまあぁす!!」

 

ミカヤ「あ」

 

あまりに会場内が静かだったのと、ヴィヴィオとヴィヴィオ《オリヴィエ》との気の抜けたやり取りに今が試合中だったのを思い出したミカヤが苦笑する。

 

『ふぁ?あ、ん?ん?・・・・・・・・・!?

 

あーヴィヴィオ選手起き上がれない!指先一本動かせない状態の中、無情にもカウントが入ります!20、19━━━』

 

カズマ「ぶぁっははははははは!!」

 

『カズマ選手笑わないでください』

 

カズマ「アッハイ」

 

ヴィヴィオの清々しい程のカウント催促と仕事を思い出した阿呆みたいな声を出したアナウンスの男性(32歳独身彼女募集中←ここ重要)が気を取り直してカウントを始めるがつぼったカズマが周囲の視線など気にしてないかのように馬鹿笑いして、アナウンスで叱られていた。なのはやフェイトがギョッとしているのが遠目でも分かった。

 

ミカヤ「し、締まらないな・・・」

 

口元をひくつかせて苦笑いを浮かべるミカヤ

 

しかしカズマのおかげか緊迫感漂う会場内の空気がいくらか緩和されているのを感じて狙ってやったのだと気づいて「さすが」と感心する。

 

ミカヤ「(・・・・・いや、半々か)」

 

余程つぼったのか反対方向を向いてプルプル震えている姿を見て、再び苦笑した。

 

カウントが15、14・・・と減っていく中、ミカヤはヴィヴィオのLIFEを見ていた。

 

高町ヴィヴィオ

 

LIFE

1600

 

全く減っていないLIFEを見て、ミカヤは察した。

 

 

━━━私の特攻居合を完璧に防いだのか。「二撃共」

 

ミカヤ「(・・・単純に技術で防ぎきったっていうのか・・・これが聖王)」

 

ベルカ戦乱時代、武道の頂点を爆走していたオリヴィエの実力の一端を垣間見たミカヤだった。

 

ミカヤ「・・・・(さっきの陛下の口振りからするとカズマとは知己、それもそれなりに親しい間柄・・・・)」

 

そこから導き出される「解」に色々矛盾点が生じるが「まぁ、カズマだからな」と簡単に済ませてしまう辺り、ミカヤもかなり染まっているのだろう。

 

ミカヤ「(それにしても静かだな?)」

 

先程から一言も発していない静かなヴィヴィオ、又はオリヴィエに?を浮かべつつ顔を伺ったミカヤは固まった。

 

ヴィヴィオの目から涙が静かに頬を濡らしていたからだ。

 

先程の様子と真逆な様子に息を飲むミカヤ

 

ヴィヴィオ「歓喜?・・・オリヴィエどうかしたの?」

 

涙を浮かべつつキョトンとした表情で自身に問い掛けるヴィヴィオを見る限り、涙を流しているのはオリヴィエで間違いないみたいだ。

 

ヴィヴィオ「━━━本当に貴方は変わりませんね、カズマ」

 

静かに紡がれた言葉が何故か胸に響く。

 

再会を喜ぶ声にしては、まるで様々な感情が無理矢理詰めたような、そんな何処か重々しい声だった。

 

ミカヤ「陛下、貴方は━━━」

 

『━━━0!!ヴィヴィオ選手試合続行不可能な為、リタイア!よってこの激戦を制したのは

 

 

━━━ミカヤ・シェベル選手だぁ!』

 

ワアアアアアアアア!

 

声をかけようとしたミカヤをアナウンスの大声がかきけし、次いで決まった勝敗に観客が盛り上がった。

 

『何なんだ!?今年のルーキーは!?ヴィヴィオ選手、先のコロナ選手、ミウラ選手負けはしましたが歴代インターミドルでも、中々拝めないハイレベルな試合を繰り広げてくれやがって!ありがとうございます!』

 

ヴィヴィオ「いや私の場合はオリヴィエが・・・」

 

ミカヤ「いや、君は強かったそこは私が保証しよう」

 

そう言いながら微妙な顔をしている未だうつ伏せのヴィヴィオの元へと晴嵐を杖代わりにしながら近づいていくミカヤ。

 

ミカヤ「ミウラちゃんとの試合でなるべくエクシードは抑えるべきと学習した筈だったんだけどね・・・」

 

ミカヤの背後から門下生、ヴィヴィオの背後からノーヴェとウェンディが走り寄って来るのを見ながらミカヤはうつ伏せのまま見上げてくるヴィヴィオの目を見て続けた。

 

ミカヤ「私をここまで追い詰めたのは君だ、S・T学園初等部4年生である高町ヴィヴィオちゃんだ、自信を持って」

 

ヴィヴィオはその言葉を聞いて、一瞬何かを耐えるような顔をして片手で顔を覆ったまま、コクンと頷いた。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「・・・・・・・・」

 

ヴィヴィオの中でその光景を見ていた。オリヴィエは何かを言うわけでもなく、カズマと再会できた喜びと、自分のクローンとして生まれてしまったヴィヴィオが優しい人達に囲まれて生きてきた事に対する安心感と「すぐさま」訪れる別れに対する理不尽、そして

 

 

オリヴィエ『・・・私も・・・・早く「貴方」の元へ』

 

 

━━━━安堵

 

それらを無理矢理詰め込んだような、そんな儚げな微笑みを浮かべるのみだった。

 

 

『そして試合に勝ったミカヤ選手、次試合でエキシビジョンマッチ!

 

 

━━━相手はレイン選手です!』

 

ミカヤが深く頷きその目に闘志を灯していく、周囲の観客もざわめきとどよめきで溢れ返っていた。

 

仕方ないかもしれない。

 

レインとシェルファが正式に大会側に認められたのは何せ今日なのだから。

 

ヴィヴィオ「・・・・・」

 

ヴィヴィオもうつ伏せになりながら拍手をしていたが、意識は別の方に向いていた。

 

 

━━━クラウス・・・・・さようなら

 

ゲーテンシュヴェールト(祈りのつるぎ)を放つ瞬間頭に流れ込んできたオリヴィエの記憶と胸が張り裂けそうな悲しみを感じオリヴィエに問い掛けるも当の本人は儚げな笑みを浮かべるのみ

 

ヴィヴィオ「・・・・・・・」

 

流れ込んできた記憶の中のオリヴィエの表情は初めて会ったときにも浮かべていた儚げな笑みでも、優しい太陽のような笑みでもなく涙を溢し、鼻水を啜り、口を大きく開けて大声を上げてこれでもかと泣いている姿だった。

 

 

 

ーーーーーー

 

ヴィヴィオ「あいたたたたた・・・ごめんねノーヴェ、おんぶしてもらっちゃって」

 

ノーヴェ「いんや気にすんな、って言いたいけどお前ら今回張り切りすぎだ」

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「全くその通りです!淑女たる者常に優雅に振る舞わなくては!ですよ!」

 

ヴィヴィオ「ベルカのてっぺん捕った人に言われたくない件について」

 

苦笑いを浮かべたノーヴェの言葉に便乗したオリヴィエの言葉にじっとりとした目で返すヴィヴィオ

 

その様子をノーヴェは黙って聞いて観客席に繋がる通路前を歩いていた。

 

ウェンディは先に観客席に戻っていった。

 

今はノーヴェとヴィヴィオしか(・・・)いない

 

ノーヴェ「なぁヴィヴィオ」

 

ヴィヴィオ「あ、ごめんノーヴェ!これには訳が、決して痛い子とかそんなんじゃ━━━」

 

ノーヴェ「伝えられたか?」

 

 

・・・・・・・

 

ヴィヴィオ「良く、分からないや」

 

力なく笑うヴィヴィオ、でも何かを吹っ切ったような、闇に光が差し込んだようなそんな明るい声を出していたのを聞いてノーヴェは「そっか」と呟いて口元を緩めた。

 

ヴィヴィオ「・・・なんかノーヴェ、お兄ちゃんに似てきたね?」

 

ノーヴェ「・・・・ん~まぁカズマに対して憧憬のようなものを抱いてるのは否めない」

 

難しい顔をしながらも穏やかな声音でそう答えたノーヴェにヴィヴィオはノーヴェと同じ「そっか」と答え二人顔を見合わせて笑った。

 

ノーヴェ「・・・ところでさ聖王陛下」

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「はい?━━」

 

ヴィヴィオ「ぶふぉ!ッゴホ!ゴホッ!」

 

いきなりオリヴィエに問い掛けるノーヴェに普通に受け答えするオリヴィエ、直後激しく咳ごむヴィヴィオにノーヴェは「やっぱり・・・」と疲れたように苦笑いをする。

 

ノーヴェ「いやぁ、本当に雰囲気が変わるんだなビックリだ」

 

対してあまり驚いた様子のないノーヴェにヴィヴィオの頭が軽く混乱していく。

 

ヴィヴィオ「い、いつから?」

      ウェンディ

ノーヴェ「うちのアホは、始終スッス言ってたから気づいてなかったけどな、ハーフタイムの時さ、お前の様子っていうか雰囲気が誰かがとりついたレベルですげぇ変わってたからさ

 

それにお前とミカヤちゃんの会話がばっちり聞こえてたからな、ミカヤちゃんが言ってた「陛下」っていう単語と、お前が誰のクローンかっていうのを考えたら分かるさ」

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「・・・・私の遺骨を触媒にしたのですよね?ゆりかごの中は清潔が保たれていましたし、ゆりかごと「繋がった」事で私の体は朽ちても骨はしっかり残っていたのではないですか?遺骨ならDNAも大量に摂取できますし」

 

「クローン」という単語に不快感を感じたのか語尾を僅かに強めて返すオリヴィエにノーヴェは慌てたように手を振り違うと示した。

 

クローンと言うのは覆しようがない事実だが。辛い運命を乗り切り真っ直ぐ生きているヴィヴィオにたいしてそういう認識は全くない。あくまで事実上だけを述べただけなのだ。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「ふふ、冗談です」

 

全く笑えないノーヴェは疲れたかのようにため息をはき「聖王ジョークパネェ」と呟いた。

 

カズマ「お、いたいた」

 

そこへカズマがやってきた。

 

なのはとフェイトは建て前じょうレントとイオの保護お呼び監視の為、カズマが赴いたのだ。

 

なのは『ヴィヴィオの事、お願いね?お兄ちゃん』

 

口調は穏やかなもののその目付きは現場に居合わせた時や教導を施している時のような鋭い眼光だった。

 

ヴィヴィオ「お兄ちゃん・・・・」

 

ノーヴェ「・・・あぁぁあ重かった!カズマ代わってくれよ!」

 

カズマ「ん?はいよ」

 

わざとらしく疲れたような声を出すノーヴェにそう言ってノーヴェ達に背を向け片膝を折ってしゃがみおんぶ受け入れ体勢になったカズマに生暖かい視線を送るノーヴェはその背中にヴィヴィオを乗せようとして

 

ヴィヴィオ「お、お兄ちゃん!あれ!アレがいい!」

 

顔を赤く染めて羞恥と興奮をあわせ持った声で待ったをかけた。

 

ノーヴェ「あれ?」

 

カズマ「あれ?(埋め込み型テレビ)」

 

ヴィヴィオ「違うよ!?何でデパートとかで物をせがんでる子供に対するちょっと嫌そうな母親みたいな表情なの!?」

 

カズマ「何でそんな細かいことを知っているのか気になる件について」

 

 

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「━━━━━あっははははは!」

 

空気を読んで黙っていたオリヴィエだったが思わず笑ってしまった。普段なら絶対に見られない(体はヴィヴィオだが)王族の大爆笑にノーヴェとヴィヴィオは口をポカンとあけた。反対にカズマは優しげな目で見ている。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「っはははは!・・・ふー!ふー!・・・・・・・・ふぅ・・・っははははははははは!」

 

もはや超爆笑である。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「か、カズマ・・・・ふっ・・・・あんまりヴィヴィオをいじめちゃ駄目ですよ?」

 

カズマ「あ~、何だあれだ、気恥ずかしいだけだからそんなつもりは無かったぞ?オリヴィエ」

 

あっさりとヴィヴィオの中にいるオリヴィエに親しげに返すカズマにノーヴェは「やっぱりか・・・」と呟いていた。

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「カズマは前からそう言うところありましたからね、良くそれで━━━」

 

ヴィヴィオ「ん~!ん~!」

 

急に穏やかだった顔のヴィヴィオが何かを訴えるようなそんな声を出した。会話を始めたカズマとオリヴィエに自分の要求が流されかけているのを危惧したようだ。

 

カズマ「わ、悪かったって!

 

 

━━━おいで」

 

そう言って今度はノーヴェ達の正面に向き直り両手を上げてそう優しく言った

 

すっかり状況に慣れたノーヴェが優しい顔付きでヴィヴィオをカズマに渡す。

 

左手で背中を支え、右手で両足の膝裏を支える所謂お姫様だっこだ。

 

カズマの腕のなかでヴィヴィオは嬉しそうに微笑んだ。

 

カズマ「あー、それと試合お疲れ様、かっこよかったぞ?」

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「カズマ!ヴィヴィオは私のために体を貸してくれたんです!何かご褒美をあげてもいいんじゃ無いでしょうか!」

 

何でそれをお前が言うんだ・・・と疲れたように思うカズマ、しかしこの親友(オリヴィエ)に試合を預けるまでしたヴィヴィオにご褒美か・・・と思考を巡らす

 

ノーヴェ「お姫様だっこでのご褒美っつったらアレだろ」

 

ヴィヴィオ《オリヴィエ》「はい、接吻ですよね」

 

ヴィヴィオ「せ、せせせせせ!?」

 

カズマ「・・・・・・・・ヴィヴィオがいいなら頑張るが、口は無しだからな 」

 

興奮したように言うノーヴェとオリヴィエ、そして顔を真っ赤に染めたヴィヴィオを見てため息を吐きつつカズマはそう言うのであった




優しい世界

誤字、脱字、指摘などありましたらよろしくお願いします!


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85話ーーー親子

すいません、かなり間が空いてしまいました。言い訳としては、最近スマホにしたんですがハーメルンの認証パスワード等を忘れてしまい、遅れてしまった次第です( ノ;_ _)ノ

こんな駄作と駄作者ですが

今後もよろしくお願いします


コロナ「あ、帰ってきた」

 

次の試合が始まり賑わいを見せる会場で、観客席に続く階段から笑いを堪えたようなノーヴェが出てきたのを見つけたコロナ、その場にいるリオ達や合流して談笑していたなのは達もそちらに目を向ける、特になのはとフェイトは愛娘を早く労いたくて、今にも特攻しそうな雰囲

気だ。

 

次いでカズマが何やら恥ずかしそうな顔をして姿を現した。

 

その様子に疑問苻を浮かべた皆がカズマに抱き抱えられているヴィヴィオに気付くがそこは、頑張ったヴィヴィオに対する報酬だと妹ズは嫉妬を覚えるが、そこは目をつむった。

 

問題は

 

ヴィヴィオ「~~~~~~」

 

━━━今にも沸騰して熱暴走を起こしそうな程に顔を真っ赤にしているヴィヴィオ、こちらに気付きもせず自らを抱えているカズマの顔を潤んだ目付きと切なげな吐息を洩らして見上げているのだった。

 

しかも何気にカズマの首に両腕を回しカズマの胸元辺りに顔をスリスリしているのがポイントだ、つまり(作者が)何を言いたいかというと

 

―――控えめに言って可愛い(興奮)

 

 

アインハルト「黙ってください〇〇しますよ?」

 

 

―――おほ★

 

 

恥ずかしそうなカズマと少々危ない顔をしているヴィヴィオだけを見るとまるで、事後のようn━━

 

アインハルト「ちょっ!?まっ!?ちょちょちょ!?ふぁあああ!?」

 

リオ「ねぇ、あの顔はヤバイって!あれオトサレタ顔だって!じゃあなに

 

━━ヤッt」

 

コロナ「えええええええええええええええ!?!?」

 

突如大声を上げた、妹ズにギョッとする周囲、試合中にはた迷惑な連中である。

 

しかし、そんな状況すら今の彼女達には関係なかった。

 

なのは「ヴィヴィオがまさか・・・・でも、カズマ君が相手なら・・・・でも・・・・」

 

フェイト「わああああ!?ストップストップ!!ノーヴェが違うって!勘違いだから、レイジングハートをしまって!?BJを解いてぇ!?」

 

ノーヴェ「くくく・・・・やっぱりカオスになるよな」

 

ディエチ「もう、人が悪いよノーヴェ」

 

ノーヴェ「悪い悪い、まさかここまで反応してくれるなんて思わなくてな」

 

そう言って、観客席にヴィヴィオを下ろそうとしてヴィヴィオが駄々をこねてお姫様だっこを継続しろと訴えて、

アインハルト達が、ならば自分もと、カズマに群がる光景をみてディエチとノーヴェは顔を思わず綻ばした。

 

ノーヴェ「・・・・・・・・」

 

―――私は「時」がくるまでヴィヴィオの中にいます。元々私は過去の亡霊、居てはならざる者です。

 

「時」と言っていたのを思いだし、その「意味」を理解して

 

ちょっと切なく笑った。

 

カズマ「ったくお前ら落ち着けっての!んなもん後でいくらでもやってやるから!ただ露出は控えてくれ絶対だぞ」

 

顔を喜色に染めていくアインハルト達をやれやれと見つめるカズマと、微笑ましそうに見ているなのはとフェイトと━━━

 

 

ノーヴェ「ん?あっちの女の人と車椅子に乗ってる人は?」

 

ディエチ「レントさんとイオさんだって、なのはさん達が保護してるって言ってた。」

 

ノーヴェ「保護?・・・・」

 

怪訝な表情を浮かべるノーヴェだが、二人がカズマに向ける優しい笑みを見て「ああ、大丈夫か」と結論づけた。

 

何処かの病院服みたいな服装と男性の痩せこけた顔を見ると、何やら複雑な事情があると思わされるが、カズマが関与してると分かるとほっと胸を撫で下ろした。

 

ヴィヴィオ「・・・お兄ちゃんありがとう、もう大丈夫だよ」

 

未だに「ねぇレイジングハート?撃っていい?一回!一回撃ったら許せる気がするの!」『ちょっと親バカ過ぎて引きました、出会った頃の9歳のマスター(真)に戻って出直してきて下さい』「レイハ!?」等とコント紛いな会話をしている自分の母親の姿を見て苦笑いを浮かべながら、カズマに下ろしてくれるよう頼んだ。

 

カズマ「━━━あぁ、行ってこい」

 

カズマはそう言うとヴィヴィオをそっと足を地につかせて降ろす。

 

そのようすに気づきアインハルト達やノーヴェ、イオ達、そしてなのはとフェイトがヴィヴィオに注目する。

 

そっとカズマが支える手を離すと、途端にヴィヴィオがゆらりと体勢を僅かに崩す。

 

フェイトが思わず「ヴィヴィオ!」と叫びかけるがヴィヴィオの真っ直ぐフェイト達へと向ける強い意思を持った眼光にでかかった言葉を飲み込む。

 

そんなヴィヴィオを見てなのはは一つの光景が今の状況に重なった。

 

なのは「・・・・・・」

 

━━━━何時の間にこの子は

 

それはかのミッドチルダと言う次元世界を大いに騒がせたテロ事件「JS事件」最後、助けることに成功した娘がボロホロの体でなのはを拒みつつ弱々しく歩をすすめる娘の姿だった

 

ゆっくりであるがあの時と違って力強くそれでもって優しい足取りで歩を進めるヴィヴィオ

 

なのは「・・・(そう言えばヴィヴィオ、身長伸びたなぁ)」

 

ヴィヴィオ「なのはママ、フェイトママ」

 

なのは「(声も大分ハキハキとするようになったし)」

 

フェイト「・・・・」

 

気づけばヴィヴィオはなのはとフェイトの前まで来ていて二人を見上げていた。

 

なのは「(髪だって伸びたし、ちゃんと目を見て話すようにもなった)」

 

フェイト『―――ふふ、ヴィヴィオの目、なのはにそっくりだね?』

 

親友がこちらに念話を送ってくる。

 

 

――ヴィヴィオが私達の養子に正式に決まって、4年間、なるべく自立出来るように厳しくも優しくも育てて来たつもりでわいた

 

でも、やっぱり何処か出会った頃のヴィヴィオの面影を見ていたのかもしれない

 

チラッとヴィヴィオの「お兄ちゃん」を見る。

 

微笑ましくヴィヴィオを見ていたそのお兄ちゃんはこちらの視線に気付き目が合い

 

黙ってこくんと頷いた

 

なのは「(全く···ほんとに18歳?)」

 

その仕草にちょっとの呆れと関心を抱きつつ、なのはは膝をつかずヴィヴィオを見下ろした。

 

真剣な表情で此方を見据えるヴィヴィオは顔を困ったような笑みに変えて「いやぁ」とでも言うように後頭部を掻きながら

 

 

 

ヴィヴィオ「試合、負けちった」

 

 

なんの気負いもなくそう言ったのだった。

 

自慢の娘がここまで目覚ましい成長を見せてくれたのだ、そんな娘に母親として掛ける言葉は慰みの言葉ではなく

 

 

なのは「―――お疲れ様」

 

労りの言葉だった。

 

 

 

~~~~~~

 

 

なのは「あ"あ"あぁぁぁあ!!もう可愛いよぉ!!食べていい?食べて良いよねぇ!?」

 

フェイト「ハァハァハァハァ」

 

ヴィヴィオ「んにゃあああああ!?」

 

・・・・親バカ此処に極まり、だな

 

そんな親子なやり取り(ドン引き)をみながら、携帯端末を耳に宛てる

 

カズマ「もしもし?あ、ギンガさん?仕事中すいません、え?あぁ元気ですはい、そちらも元気そうで」

 

 

ノーヴェ「カズマ?」

 

ノーヴェさんが訝しげな顔で此方を見てくるが気にせず晴れやかな声で告げ――

 

カズマ「目の前で二人組のロリ趣味の〇〇ビアンが少女に絡んでます、おうえ――」

 

ノーヴェ「カズマあぁぁぁあああ!?」

 

あ、取られた(涙

 

そして電源切られた(怒

 

ノーヴェ「それはあかん、カズマ、やっちゃあかんわ」

 

カズマ「だってノーヴェさん、みろよあれ、顎クイやってんぞ、てぇ出すよあれ」

 

そう言って顎でくいっとそちらに向けてあげる

 

・・・いや、みてよノーヴェさん

 

視線の先ではなのはさんがヴィヴィオの顎を人差し指を軽く曲げ下から持ち上げるようにしていて、フェイトさんはひたすらはあはあ言ってる。

 

・・・いやまぁ、親子のスキンシップって言うのは分かってるから冗談でやったけども、端から見たらヤバイな、アインハルト達なんかはわあわ言ってるし。

 

カズマ「まぁ」

 

再び親子3人の方を見る。

 

相変わらずヤバイ光景だがよく見ると3人共恥ずかしそうにしながらも幸せそうに笑いあっていた。

 

今「試合中ですよ」と指摘すればなのはさん辺りがSLBでもぶっぱして証拠隠滅にかかりそうな勢いだ。

 

伝わったみたいだな

 

カズマ「・・・」

 

なのは「カズマ君」

 

「少しばかり」考え事をしていた俺になのはさんが優しく声をかけてくるので下を向いていた顔をそちらに向けて

 

 

 

なのは「ほら、お兄ちゃんもおいで」

 

全く冗談ではない、慈愛のこもった声音を微笑みをもって発した。

 

 

―――ほらカズマ、もうすぐ晩御飯よ、早く降りておいで

 

カズマ「っ」

 

なのはさんと誰かが重なりあう前に俺は通路へ繋がる階段を降りていた

 

なのは「あちゃ、照れちゃったかぁ」

 

ノーヴェ「・・・・カズマ?・・」

 

 

~~~~~

 

まるで、逃げるように走り去った俺は人気がない通路にて壁に寄りかかり肩をがっくりと落としていた。

 

いや、俺まじなにやってんの?馬鹿なの?構ってちゃんかなんかなの?あんなタイミングであんな離れ方したら

みんなに気をつかわせちゃうだろうが・・・

 

カズマ「・・・俺はマザコンかっつぅの」

 

まぁ、後で謝るとして

 

オリヴィエ『人はみな、マザコンであり、またファザコンでもありますよ?カズマ』

 

何で俺の中にちゃっかりはいってんの?

 

カズマ「何だ、この引きこもり姫」

 

オリヴィエ『心の声の方がオブラート!?』

 

マジで何で?

 

 

オリヴィエ『皆さんカズマが照れてる余り逃げたと思ってるみたいですよ?』

 

カズマ「おぉ、そいつは良かったよ」

 

・・・・で、何で?

 

 

 

~~~~~

 

ヴィヴィオ「もぅ、なのはママやりすぎ!」

 

なのは「にゃはは・・まさか照れちゃうとは・・」

 

ヴィヴィオに叱られたなのはがやっちゃったとばかりに罰が悪そうに笑う

 

しかし何処か残念そうにしていることから、わりと「カズマin高町家」は満更でもないのだろう

 

アインハルト「兄さんにまさかあんな一面が・・・」

 

リオ「お兄ちゃん可愛かった・・・」

 

コロナ「まぁ、実現したらあの胸器によってここらいったい事件現場になっちゃうんだけどね・・・」

 

ディエチ「そんなにすごいの!?」

 

 

 

 

 

 

ノーヴェ「(ほんとにそうなのか?)」

 

そんなやり取りを聞いていたノーヴェはカズマが去っていく時、偶然みてしまった顔を思い出した

 

ノーヴェ「・・・・(アイツ、どんだけ抱え込んでやがる、何で」

 

カズマが見せた顔は今にも

 

ノーヴェ「(―――何でそんな不安そうな、迷子のような顔をしてんだよ)」

 

 

 

泣きそうだったから

 

 

悶々と思考の海に潜りかかっているノーヴェのジェットが何かを受信したのか点滅していた

 

来たのは対戦表、第一会場5組はリオ・ウェズリーとハリー・トライベッカ、そして第二会場6組はヴィクトーリア・ダールグリュンと

 

 

 

 

シェルファ・アイラス・サンクワール

 

そうかかれていた。




親子丼って美味しいですよね、ですが作者はカツ丼(ry


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番外編
番外編 「OSAKE」


すいません!本当にすいません7月末までにあげるとか言いながらこんなにも遅れてしまいました。

ほんっとすいません!

これからもよろしくお願いいたします!

お気に入り登録感謝です!

では番外編(過去話?)です!


ミッドチルダ首都クラナガン中央区某大型デパート。

 

もう少しで開催すると言うお話会の為のお菓子やデザート等を買い込んでいるハーヴェイ夫婦

 

周囲にギョッとされながらも全く気にせずに二人は幸せそうに笑っていた。

 

最初自宅に輸送されてきた「ホテル・ノスタルジア」への招待状を確認してホテルなら持ち込みは駄目じゃないかと落胆したが一応問い合わせしたところホテル側の監査が通れば持ち込みは可とされていた。

 

1Fのショッピングフロアにてノーヴェから送られてきたメッセージに記載されていた当日の参加者人数から必要な量より若干多めに買い物籠に詰めていく。

 

アリス「ふふ!何だか「あの時」を思い出すわね?」

 

クライ「あの時?」

 

クライの返答にアリスは「ええ!」と嬉しそうに続けた。

 

アリス「ほら!私達の9年目の結婚記念日ヴィーナスの皆と山へピクニックに言ったじゃない!」

 

今年が始まってすぐの頃、寒い時期ではあったがハーヴェイ夫婦とカズマを初めとしたバイトメンバーで軽い打ち上げを行ったのだ。

 

クライ「・・・・・・」

 

ガシャアアア!

 

思わずカートを手放してしまいコントロールを失ったカートはそのままお菓子の商品が陳列している棚へと突っ込んでいった。

 

丁度その場に居合わせた幼い少年が幼いゆえの正義感に眉をキッ!としかめクライの前へと立ちはだかった!

 

アリス「あ、ちょ、ぼくーーーー」

 

気付いたアリスが少年を呼び止めようとしていたが既に遅く

 

少年「ーーーオジサン!そんなことしちゃーーー」

 

そう注意しようとして、金縛りでもあったかのように固まってしまった。いや、固まったと言うには語弊が生じる、この場合は全身がこきざみに震えていた

 

少年「あ・・・・あ・・・・」

 

クライ「・・・ぼおおおおくうぅぅぅぅあ、駄目じゃないかあぁぁ、急に出てきて・・・・もし何かあったらどうするんだああああああ?」

 

目が血走り青筋がビキビキにたっていて冷や汗をダラダラ流しているクライが少年を見下ろしていた。どこか必死な形相のクライがへたりこんでしまった少年にはどう映ったのだろうか少なくとも

 

ーーーた、タカシ!謝りなさい早く(小声

 

ーーーけ、警備員さんこっちでーーってちょっとお!?何で死んだふりしてるの警備員さん!?

 

ーーーパパー!ごわいよおぉぉぉ!?

 

ーーーだ、大丈夫!いざとなったら俺がまもごわいよおぉぉぉ!?

 

周りは軽い地獄絵図と化していた。しかしクライはそれどころじゃなかった彼には周囲を気にする余裕がなかった、因みに正義感勝る少年はたった今へたりこんだまま足元に軽く池を作ったがクライは気づいていなかった。

 

クライ「今年の・・・・1月18日・・・・・」

 

忘れもしない、年に一度の結婚記念日という大切な日であり

 

クライ「ーーーーあ、アリスぅ?その手に持ってるのは?」

 

気付けば妻が笑顔で持っている黒いビン、そのラベルには「大吟醸」と書かれている。

 

アリス「ーーー何って、うふふふふふふ♪」

 

ーーー忘れもしない地獄と化した日でもあったのだから。

 

所で皆さんは合宿編でカズマが露天風呂で日本酒を薄めて作られた風呂に入った時の事を覚えているだろうか?

 

そう、クライとエリオが挑み勇んだあの惨劇だ。

 

あの時はエリオの負傷とクライの声が若干枯れると言う結果に落ち着いたが初めて幼児化してしまった時はそりゃ大変だったらしい

 

今回の番外編(メタァ)はその時の話にスポットライトを当てて行こうと思う。

 

ーーーあれは今年が始まったばかりの寒い時期だった。

 

 

 

 

 

最初は例年通り自宅で晩酌をしながらゆっくり凄そうと決めていたクライとアリス。しかしどこから聞き付けたのかカズマが皆で祝おうとバイトメンバーを誘い、茶菓子と「お飲物」と「おつまみ」を揃えてクライ達に誘いをかけた、(なお、買い出しメンパーにカズマは居なかった、カズマは場所の摘出に精を出していた)

 

クライ「な、何か悪いな・・・」

 

「なにいってんすか店長!いつも毎年いつもこの日が休みだから何かあるのかなぁって思ったら、結婚記念日だなんて!」

 

「そうですよ!水臭いじゃないですか!私達いつもお世話になってるんですからお祝いさせてくださいよ!」

 

ヴィーナス開店して以来からの古株アルバイトの男性(ユーマ 20歳)と女子高生アルバイト(アネッサ 18歳)が道中クライにそう言い、他のアルバイトもうんうんと頷いている。

 

アリス「皆・・・ありがとう」

 

クライ「その・・・さんきゅうな?」

 

皆の優しさに涙ぐむアリスとクライ、ほんわかとしたムードのまま一行はーーー

 

「鬼さん泣かないで!」

 

「きっと良いことあるよ鬼さん!」

 

クライ「・・・・・・・・・・うん・・・・」

 

近所の子ども達によってムードは(クライだけ)悲壮な物になった。

 

ユーマ「そういやカズマは場所取りしてるんだよな?」

 

アネッサ「うん、結構人気がある場所って言ってたから、先に場所取り行くって」

 

クライ「カズマ・・・・」

 

クライ達を祝おうと積極的なカズマに微笑むクライ、警備員の仕事やめて喫茶店で働いてくれと言って本当に良かったと思うクライ

 

ちょっと向こうの警備会社と揉めたが本当に良かったと思う。

 

クライ一行が目指しているクラナガン北部のキャンプ場は気候が穏やかの為、夏でも冬でも年中そこそこ快適に過ごせるため、とても人気がある

 

条件としては、無人世界「カルナージ」と同じレベルかもしれない

 

一行はバスに乗り、キャンプ場がある山の麓へと来た。

 

「カズマさん大丈夫かな?」

 

ユーマ「大丈夫だろ?張りきって深夜1時には家でたって連絡来たし」

 

クライ「1時!?」

 

余りの早起きにビックリするクライ、普段起きるのが遅めのカズマが早起きするなんて、と逆に不安になるクライ。

 

クライ「ってか1時ってバスないだろ?どうやって・・・・」

 

ーーーまぁ、想像着くけど・・・

 

アネッサ「確かに・・・でも2時には場所取り完了って連絡来たんでしょ?」

 

「は!?・・・・毎度思うけどあの人不思議っすよね・・・でも大抵の事は何か「まぁ、あの人なら」って思っちゃうんすよね?」

 

「・・・・案外走って行ったりして・・・」

 

ユーマ「まっさかぁ!

 

・・・・・・・・・」

 

新人アルバイトの一言に黙り混んでしまうアルバイトの皆に苦笑するクライとアリス

 

クライ「(あいつ前にクラナガン南部で財布忘れて走って40分で帰ってきたからな・・・流石にくたばってたけど・・・あれ?単純計算しなくてもあいつ車より遥かに速いんじゃ・・・)」

 

改めてカズマのデタラメさに戦々恐々とするクライ

 

*大体往復で120㎞はあります。

 

ユーマ「キャンプ場にとうちゃーっく!」

 

そして一行はキャンプ場についた

 

人工的に平面にならされた地面には人工芝生が敷かれており昼寝などするときに快適だろうと思わされる

 

所々円形に人工芝生が敷かれていない場所があり、看板に「BBQスペース」と書かれており道具貸し出しも入り口付近に簡易テントがあり、中に専用道具が充実していた。

 

面積もかなりの広さを有しておりそこらの学校の校庭より倍近くの広さがある、ちゃんと敷地外には行かないよう杭が並べて打たれており小さい子が間違ってすり抜けないように金網を並べてあった。

 

よく見ると入り口に看板がたっていて「BBQエリア」「釣りエリア」「キャンプエリア」「ピクニックエリア」等と軽い案内板があった。

 

アリス「カズマ君は?」

 

肝心の場所取りのカズマが見当たらなく、代わりに他の団体等がちらほら目に映る

 

ユーマ「ピクニックエリアは奥みたいなんでそこにいるかと思いますよ?」

 

クライ「あさ早いからあいつ寝てるんじゃないか?」

 

持参したレジャーシートの上で寝そべるカズマが容易に想像できて皆の顔に苦笑が浮かぶ。

 

ユーマ「まぁ、行ってみましょ?」

 

ーーーーーー

 

奥に進むと一面人工芝生が敷かれており、冬なため枯れている木しかないがどこか風情があり気温も若干肌寒い、という程だった

 

余りの景色の良さに感嘆の声をあげるクライ一行

 

ピクニックエリアの外周は軽く崖になっており山を軽く見渡せるような高さだった。

 

アリス「すごいわ!お花見とかに最適じゃない!」

 

アネッサ「あ!やっぱりそう思います?綺麗ですよね!」

 

「彼氏と来たら最高かも・・・欲しいな・・・彼氏、カズマさんに頼もうかな・・・」

 

ユーマ「カズマは無理だろ・・・あの執務官さんと黒髪美少女が御執心みたいだし」

 

ユーマの言葉に皆「あぁ・・・」と同意する

 

クライはヴィーナスの常連客となったオレンジ髪の美女と黒髪ツインテール美少女を思い浮かべた。

 

確かに美人だし、一途だし、仕事も偉い立場だし、完璧美女だし、もう一人は可愛いし、訛りが可愛いし、乙女だし可愛いし・・・あれ?後半可愛いしか言ってなくね?

 

本当にカズマが羨ましいとおもーーー

 

アリス「ーーーー貴方?」

 

クライ「!?ご、ごめんなしゃい・・・」

 

妻と来ているのに、いくら恋愛感情がないためとは言え違う女性の事を考えてしまったクライ、これでもかとアリスに冷たい視線がクライへと突き刺さっていた。

 

クライはたまらん!とばかりに辺りを見渡し目的の人物が一番奥にレジャーシートの上でしゃがみこんでいるのを見つけた。

 

クライ「おお~い!カズーーーー」

 

カズマ「バウ!バウワウ!」

 

『きゃん!きゃんきゃん!』

 

カズマ「バウッ!ヴヴヴヴヴ・・・・・・・・」

 

『く~ん、く~ん・・・・』

 

カズマ「バウッ!バウッ』

 

『く~ん、く~ん、へっへっへっへ!』

 

カズマ「・・・・・・・し、しょうがないなぁ・・・・ち、ちょっとだけだーーーーーー」

 

『!きゃん!く~ん』

 

一行『・・・・・・・・・・・・・』

 

しゃがみこんでいるカズマは何やら子犬とお喋りをしていた、どうやら食い物をねだられていたみたいでカズマが粘ったが折れたみたいだ、子犬も嬉しいのかカズマの膝辺りに頭を擦り付けていた。

 

 

 

 

そして目があった。

 

一行『・・・・・・・・・・・・・』

 

カズマ「・・・・・・・・・・・」

 

『く~ん・・・・・』

 

固まる一行とカズマ、よく見ると冷や汗がダラダラと流れている。

 

クライ「・・・・・とりあえず、何かあげたら?」

 

カズマ「ーーーーいけ!キリングマシーン!奴等を喰い殺せぇ!?全てを無かったことにするんだぁ!」

 

カズマは子犬にクライ達を襲うよう命令し始めた。

 

瞬間よだれを垂らしながら、口を大きく開けてクライ達の元へ走っていくキリングマシーン(カズマ命名)

 

あまりの気迫にクライ達も思わず身構える、見た目は可愛くて従順でも牙を剥けば野獣と変貌を遂げる獣の姿に「これならいける!」と思わずガッツポーズをするカズマ、因みに何が行けるのかは作者にもカズマにも分かりません。

 

クライ「てか、なんつぅ物騒な名前子犬につけてんだぁあ!?」

 

カズマ「うるせぇ!ちっくしょー!こうなったら全員もふもふで悶え死ねぇ!」

 

ユーマ「なにその贅沢な死に方」

 

カズマ「てかどこにいった!?キリングマシーン!?」

 

会話をしている間、まったく子犬の叫び声が聞こえてこない事に疑問を覚えたカズマが三角目を作りながら辺りを見渡す。

 

アネッサ「きゃああ!アリスさぁん!この子凄くもふもふしてる!」

 

アリス「ほんと!可愛いわねぇ・・・」

 

「野良なのかなぁ、首輪はしていないみたいだけど・・・」

 

そこには子犬に虜にされて撫で回している女性神の姿があった。

 

カズマ「キリングマシィイイイイイイイイン!?」

 

クライ「・・・・・どうでもいいけど、そのネーミングセンスはどうなんだ?」

 

カズマの嘆きの声が辺りに響いたのであった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

カズマ「・・・・・・まぁ、色々あったけど・・・・始めますか」

 

メンバーも揃ったので(成り行きで子犬も参加)レジャーシートに弁当やお菓子、「お飲物」を揃えたカズマ達はそれぞれジュース等を手に取り立ち上がった。

 

カズマ「音頭は?ユーマさんやる?」

 

ユーマ「いやいや、言い出しっぺはカズマ何だからカズマがやるのが自然だろ」

 

クライ「え!そうなの!?」

 

思わずカズマを見るクライ、カズマはそっぽを向き「ま、まぁ・・・」と言っていた。

 

カズマはまだ短い付き合いであるものの、何かと良くしてくれるハーヴェイ夫妻に何かしてやりたいと思い、きっかけを探すために近所の知り合い等に聞き回っていた時に偶然ミリー婆さんに結婚記念日の事を教えて貰ったのだ。

 

聞いてそく行動に移したカズマに皆が暖かい目で見る、落ち着きがなくなったカズマがやけくそと言わんばかりに声を上げた。

 

カズマ「あぁもう!はじめっぞ!

 

ーーーでは、店長クライさんとオーナーアリスさんの9年目の結婚記念日を祝して!

 

ーーー乾杯!」

 

こうして結婚記念日を祝してのピクニックが始まったのだった。

 

ーーー

 

アリス「あら?これお酒?」

 

最初は皆で食べたり飲んだりで騒いでいたが段々と落ち着いてきたのか

 

皆思い思いに過ごし始めた。

 

そんな中、アリスとクライが飲み物を貰おうと飲料系の物を置いてある組立式のテーブルに近づいた時、アリスが「マッコリ」と書かれたお酒を手に取った。

 

クライ「見たことない酒だな・・・そっか、ユーマはもう成人してるんだもんな」

 

ユーマ「へへ!おかげさまで・・・ここに置いてある奴はビールもそうですが、全部「地球原産」の物なんですよ?」

 

クライ「ほお!地球の・・・」

 

ユーマは黙ってコップ3つ用意して注いだ。

 

アリス「ありがとう、ユーマ君・・・あれ?カズマ君は?」

 

コップを受け取ったアリスが礼を言いながらふと気になったのか辺りを見渡しながら言った

 

クライ「あぁ、カズマならそこの木の根本で寝てるよ、流石に疲れたんだろ、お?これ飲みやすいな・・・・」

 

ユーマ「でしょ?実はこのお酒の原材料に米がはいってるんですよ?」

 

クライ「へぇ!地球は面白いこと考えるんだな?」

 

全くです!とクライ達が満足してくれた様子にご満悦のユーマ、すると周りから皆がなんだなんだと集まってきた。

 

アネッサ「あ、お酒・・・だから車で来なかったのね?」

 

ユーマ「あぁ・・・・・そうだ」

 

ユーマはそう言って「良いこと思い付いた」とばかりに口角を上げた。皆が?を浮かべるなかコップに半分くらい注いだお酒を寝ているカズマの元に持っていき近くに置いた。

 

「ちょ!いいんすか!?カズマさん未成年ですよ?」

 

クライ「いや、男ならカズマくらいの時は少しは飲むもんだ、それにどういう反応を見せるか気になるしな」

 

*偏見です。お酒・タバコは二十歳を迎えてからね!

 

どこか興味津々のクライに「もう・・・」と困ったように笑うアリス

 

アネッサ「でも流石に匂いとかで気づくんじゃない?」

 

クライ「いや、カズマって起きてすぐ飲み物を飲む習慣って言うか癖があるみたいなんだ、こないだイタズラでハチミツたっぷり入ったコップを側に置いたら寝ぼけながら飲んでたからな。「どろどろしてる・・・・ま、いっか」って言ってた。」

 

「それチョー見たいっす」

 

因みに昼休憩の時のクライの賄い飯にふりかけがわりに練乳をかけられるという事件が一週間程続いたと言う。犯人は・・・想像に任せます。

 

カズマ「・・・・・・・寝た・・・・」

 

そうして話しているとカズマがむくむくと起き出したのでアネッサが「しっ!」と言って静かにさせた。何気に乗り気である。

 

カズマは若干寝ぼけ眼で辺りを見渡すと、おもむろに側に置いてあった泡盛(同じく米を使った蒸留酒)が入ったコップを一気に飲み干した。

 

固唾を飲んで見守る一行と子犬

 

カズマは一瞬ビクンと体を反応させた後、俯いてしまった。

 

クライ「お、おい?カズマ?」

 

動かないカズマに流石に心配になったのかクライが声をかける

 

カズマ「ふわあぁ!お昼ねいっぱいしたぁ!」

 

ーーーいつもと全く違う、まるで幼子のような声音を出して体を伸ばしているカズマに皆一斉に凍りついた。

 

クライ「・・・・・・・・は?」

 

カズマ「あぁ!みんなであつまってなにしてるの?」

 

ぼくもまぜてぇ☆と言った豹変したカズマがゆっくりとした足取りでクライ達に近寄ってきた。

 

一行は唖然とした表情でカズマを見つめつつ、心の中で同時に叫んだ。

 

一行『幼児化あぁぁあ!?』

 

ユーマ「え?は?うそ?マジで?たった一杯で!?」

 

カズマ「どーしたの?ユーマおにいちゃん」

 

混乱しているユーマに自身の唇に人差し指をつけたカズマが?を浮かべながら聞いてくる、瞬間ユーマの背中がゾゾゾとなった

 

「か、カズマさん落ち着いて!こ、これ水飲んで!」

 

カズマ「アルバイトAおにいちゃんがおちつきなよぉ!」

 

「誰がアルバイトAじゃごらぁ!?」

 

きゃー♪アルバイトAが怒ったぁ♪と何が楽しいのか素晴らしい程の笑顔で喜んでいるカズマ

 

クライ「・・・・・・あ、アリスどうしーーー」

 

混乱のあまりまともな判断がつかなくなったクライがアリスに助けを求めようとして

 

アリス「何か可愛いわね・・・作った感じが全くない・・・うん、幼児化カズマ君アリね!」

 

クライ「いやねぇよ!?」

 

アネッサ「カズマ君!あっちの木に虫さんいたよ?」

 

クライ「アネッサ!?順応早いなおい!」

 

ユーマ「・・・・・・・・・」

 

クライ「ユーマぁ!?気持ちは分かる!分かるよ!?でもこんな状況で俺を置いて固まらないでぇ!?」

 

瞬くもまともに機能しなくなり始めた周りにクライがツッコミを入れていくも追い付かず息が軽くあがるしまつ。

 

クライ「・・・・まぁ、ある意味新鮮っちゃ新鮮だな」

 

開き直ったクライは子犬を撫でて癒されつつ時間がたてば終わるだろうと楽観してカズマを見守った。

 

カズマ「おーい!むしさぁん!おねんねしてるのぉ!?」

 

「冬眠しちゃってるのかな?残念だねカズマ君」

 

カズマ「むぅぅう!」

 

クライ「・・・・ま、あれもあれでストレスが溜まっている証拠なんだろうな」

 

段々と落ち着いてきたのかリラックスした表情でカズマを見るクライ

 

段々と感覚が麻痺し始めたのか微笑ましそうにカズマ達を見ている。

 

クライ「カズマぁ!虫も疲れてるんだ、休ませーーー」

 

カズマ「えい♪」

 

 

ーーーズダアアアアアアアアアアン!

 

おもむろにカズマがライダーキックの要領で木に蹴りをかました。瞬間鳴り響く轟音

 

近くにいた女子高生アルバイト含め、アリスとアネッサ以外のメンバー全員が再び凍りついた。

 

アネッサ「わぁ!?カズマ君すごい!太い木が歪んじゃったよ!?」

 

カズマ「えっへん!」

 

アリス「でもねんねしてる虫さん達が可哀想だからやめようね?」

 

カズマは「はーい!」と、言って笑った。

 

クライ、ユーマ『いやいやいやいやいやいや!?』

 

やっぱり駄目だ!と言わんばかりにカズマの前に現れたクライとユーマ、きょとんとしているカズマに聞いてみる

 

クライ「か、カズマ?今何歳だっけ?」

 

カズマ「んーとね・・・・5歳!ーーーあ!」

 

すぐさま離れて言ってしまうカズマ、クライは悟った。

 

ーーー確かに5歳相当のしゃべり方に話のきかなさだ・・・!

つまりはとんでもない暴れん坊が生まれた事になる。

 

クライとユーマ、そしてアルバイトAは頷きあい、何とかカズマを押さえようと決意する。その表情はまるで戦争にいく男の面構えで勇ましかった。

 

カズマ「ねぇ?どうしてワンちゃんっておしっこするとき片足あげるの?」

 

気付けば放尿している子犬を見ながら不思議そうにしていて

 

ーーーそのまねをしようとズボンを脱ごうとしていた

 

クライ「ちょおおおおおおお!?」

 

ユーマ「おち!おちつけ!?」

 

アリス「あらあら♪好奇心旺盛なのね♪」

 

クライ「アリスゥウウウウ!?何でお前そんな当たり前のように受け入れてるの!?」

 

アルバイトA「そんなこと言ってる場合じゃ!ちょカズマさんやめーーー」

 

アルバイトAがカズマを止めようと肩に掴みかかり

 

カズマ「や!」

 

盛大に投げ飛ばされた。

 

アルバイトA「のわああああああああ!?」

 

クライ「アルバイトAェェエエエエ!?」

 

無様に転がっていったアルバイトAはやがてとまり「気付けばアルバイトAって名前になっていた件について」と呟き堕ちた。

 

女性陣は気付けばビールを飲んで(アリスに飲まされた)ほろ酔い気分になっているのかこの惨状を見てもケラケラ笑っていた。

 

ユーマ「つかどんなバカ力だよおい !?」

 

クライ「ユーマ!他のお客さんらが来る前になんとかするぞ・・・・俺らもカズマも危ない、色んな意味で」

 

ユーマ「あーちくしょお!やってやらぁ!」

 

・・・そのあとは本当に大変だった、後ろから近づいても後ろに目があるのか投げ飛ばされるし「てんちょおおおおお!?」

 

笑わせて動きを止めようと、にらめっこしても何故か投げ飛ばされるし「てんちょおおおおお!」

 

挙げ句の果てにとちくるったクライが「カズマと同じことをすれば」と言ってズボンを脱ごうとしてアリスに投げ飛ばされるし「オーナアアァァアアア!?」

 

悪戦苦闘の末、30分が経過した頃にカズマが眠そうになってきた事に安心感を覚えてクライ達は横になった。

 

アリス「アネッサちゃんもアルバイトBちゃんも弱いわねぇ・・・カズマ君どうしたの?眠いの?」

 

ユーマから剥ぎ取った毛皮コートを抱き締めながら、眠そうな目でアリスの元へきたカズマにアリスがそう聞くとカズマは眠そうにしながらもにっこり笑って「アリスママぁ、お昼ねしよっ♪」と言った

 

アリスは嬉しそうにレジャーシートの空いているスペースに横になりカズマを横に寝かせた。軽く頭を撫でてあげると気持ちよかったのかすぐ寝てしまった。

 

ーーー本当に元気な「子ども」ね

 

あどけないカズマの寝顔をみてアリスはカズマの頭を撫で続けた。

 

カズマ「・・・・クライさん、アリスさん、結婚おめでとう」

 

アリス「ーーー・・・・ふふ、おやすみなさい♪」

 

ーーーーー今回のピクニックで得た教訓

 

・お酒は二十歳を絶対に越えてから。

 

・飲んじゃだめな人はやっぱり飲むな!

 

 

 

ーーーーーー

 

 

クライ「駄目だアリス」

 

アリス「ええ!私幼児カズマくんに会いたい!」

 

クライ「駄目ったら駄目!」

 

その場の惨状を全く気にしないままレジへ言い合いをしながら去っていく二人。

 

よいこの皆はお酒は二十歳を越えてからね?




誤字、脱字、指摘などありましたらよろしくお願いいたします!


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