やはり俺がサイボーグ戦士なのはまちがっている。 (世間で言うジョージさん)
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第1話 初めての高校生活

西暦20××年…

世界は科学の発展と共に豊かになっていた。空を飛び、海を潜り、地を駆ける。人工の島、人工の動物、自然環境さえも人工的に創られてしまう。宇宙にも侵出するほどに人は栄華を極めていった。

 

 

だが民衆の大半は知らないだろう。現在公表されている最新技術など、氷山の一角に過ぎないのだということを。

 

 

 

 

 

これは、そんな世界に生きる少年の物語である。

 

 

 

 

 

 

俺の名前は比企谷八幡。総武高校2年生だ。高校入学初日に事故に遭い、そこから色々とあって一年間は過ぎていった。学校にまともに来れるようになったのは2年生になってからだ。ちなみに眼は腐っていない。事故の直後に改善されたからだ。

 

 

そんな俺は現在、担任の平塚先生に呼び出しを喰らっている。

 

 

 

 

「比企谷…君が呼び出された理由は何故だかわかるかね?」

 

 

「もしかして例の作文のことでしょうか?もしそうでしたら俺にはそれ以上のことを書くことは出来ないんですが…」

 

 

 

 

平塚先生に出されたお題は、

『高校生活を振り返って』だった。

そこには俺の1年生時代の思い出をしっかりと書いたはずなんだが。何が問題だったのだろう?

平塚先生はこめかみに青筋をピクピクと立てている。おこ?おこなの?

そしてゆっくりと俺の感想文を読み上げた。

 

 

 

『高校生活を振り返って』

 

『去年の入学式初日に事故に遭った俺は違法なサイボーグ手術でその一命を取り止めました。だが俺に違法な改造手術をした組織は悪の組織だと知ってしまった。組織の名はブラックゴーストというらしい。世界を狂わせるその組織を壊滅させることにした俺は、ギルモア博士と仲間と共にブラックゴーストと闘い、見事組織を壊滅させることに成功しました。博士や仲間達は、それぞれの生活に帰っていきました。そして俺も…

 

 

比企谷八幡』

 

 

「…良い話じゃないですか。これのどこが駄目なんですか?」

 

 

 

 

本当に一年間はあっという間であり、長かったような気がする。このような感想文では書ききれないことが沢山あった。…もしかして詳細を書いてないから問題なのか?

 

 

 

「比企谷…君は嘗めているのか?誰がこんなSF小説を書けと言った?」

 

 

「先生、この長さなら小説ではなくSS扱いでは?」

 

 

 

一瞬、物凄い剣幕になった平塚先生は握り拳をワナワナとさせた後に、ハァと溜め息を一つ。どうやら納得したようだ。

俺の必然の一言によって解決。

Q.E.D。証明終了だ。

 

 

 

 

「…もういい。判った。残念だが君にはペナルティが課せられる。黙って着いてきたまえ」

 

 

 

 

平塚先生はそう言うと、こちらに着いてこいというジェスチャーを送ってくる。渋々それに付き合いながら歩くこと少々。特別棟と呼ばれる場所に連れてこられた。何かの教室前につくけど名前がない。もしかして空き教室の美化清掃でもやらされるのだろうか?

 

 

 

 

「着いたぞ。入りたまへ」

 

 

 

 

ガラガラという音が鳴り響く。

教室に入ると、そこには美少女と形容しても遜色のない女の子が椅子に座っていた。彼女のことは知っている。名前は雪ノ下雪乃。学校内でも優秀な国際教養科に所属し、その中でも一番の才女としてその名を轟かせているからだ。

彼女は少しこちらをジッと見つめると、読んでいた本をゆっくりと閉じて話しかけてきた。

 

 

 

 

「平塚先生。教室に入るときはノックをお願いしますといつも言っているのですが?」

 

 

「あぁ、すまない。いつもノックをしても返事が無かったものだからつい…な?」

 

 

「それはいつも先生が返事をする前に開けるからです。…で、そちらのヌボーっとした方は誰ですか?」

 

 

 

 

彼女が話を振ることで二人のやりとりが終わり、俺の紹介へと話をシフトした。それにしても、俺ってそんなにヌボーっとしているのか?マジで?まぁ平和に馴染んできた証左として受け取っておこう。

そう思うとなんだか明るい気分になってきた。俺たちの取り戻した平和を噛みしめる…少しテンションが上がった俺は元気に挨拶をすることにした。

 

 

 

「初めまして!俺の名は、比企谷八幡です。ここには平塚先生に連れられて来たんだ」

 

 

「そう…私はここの部長をしている、雪ノ下雪乃よ」

 

 

 

 

雪ノ下と俺の自己紹介が終わると、嬉しそうに平塚先生が声をかけてきた。あとは若い者でごゆっくり…とか考えてそうだな。不穏な殺気を感じたので、チラリと平塚先生を見ると握り拳を作っていた。え、なに?考えが読まれている?もしかしてエスパーなの?

平塚先生は殺気を解除すると、いい笑顔を雪ノ下に向けた。

 

 

 

 

「お互いに挨拶は済んだようだな。それでは早速だが雪ノ下に一つ頼みたい事がある」

 

 

「…なんでしょうか?」

 

 

「彼をここの部活に…奉仕部に入部させてほしい。そして彼の性根を叩き直してほしいんだ。出来るな?」

 

 

 

 

雪ノ下は少し考える素振りを見せると、二つ返事で引き受けていた。えぇ~マジか…

 

 

 

 

「その依頼、確かに受けました。彼の入部を受理します」

 

 

 

 

 

 

どうやら俺のちゃんとした高校生活は波乱のスタートとなりそうだ。

 

 

 

 




また他作品の続きを書かずに作ってしまった!
異世界ものばかり見てたのですが、影響されずに投稿。
続きはできれば1週間以内かな?



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第2話 加速装置

今回も短め。
話はゆっくり展開をモットーに。





 

 

一連の話の流れで奉仕部へと入部が決まってしまった。

平塚先生はいい先生だが、強引なところがある。俺のことを思ってしたことだろうとは思う。だが俺も一端の高校生だ。ある程度の分別もついていれば、意思や主張もある。平塚先生がやっていることは半ば強制だ。嫌がる生徒を『よかれ』の魔法で強引に自分の思い通りに事を進める。こんなのはブラックゴーストとやっていることは同じではないか?雪ノ下も立場上断れなかったのではないだろうか?

 

そうなってくると、何も出来ない者はただ黙って状況を享受してしまう…あるいはせざるをえなくなってしまっている。ここは自分の意志を示すべきだ。

 

 

 

 

 

断らなければいけない…

 

 

 

 

 

 

脳裏にあの1年間の闘いの記憶が浮かんでくる。

 

 

人は誰でも一歩前に進むのは難しいものだ。

障害にぶち当たったなら、そこから前に進むのは本当に難しいことだ。普通に生きていてもどこかで必ず分岐点に出くわすものだ。それがまさしく今なのだろう。ここが俺にとってのターニングポイント。

さぁ…断ろう。

言い出しにくい空気を裂いて断るんだ。

俺は大声をあげて叫んだ。

 

 

 

 

「あとは勇気だけだっ!」

 

 

 

 

教室の静まり返った空間に俺の声が響き渡る。俺はポカーンとしている二人に向けて言い放つ。

 

 

 

 

「今回の件はお断りさせてもらいますね。色々と忙しい身なので。それでは失礼します。」

 

 

 

 

言いたいことをハッキリと伝えた。伝えれた。意思は意志となり、二人にしっかりと断りをいれることが出来た。

あとは先生と雪ノ下が呆けている隙に教室から脱出するだけだ。

そう…これが俺の奥の手…!

 

 

 

『加速装置っ!』

 

 

 

その瞬間から周りの景色がスローになる。周りが遅くなっているのではない。俺が速くなっているのだ。某魔法少女のディレイ的な魔法ではない。奥歯にあるスイッチを噛むと発動する装置で、機体制御知能の知覚・思考・運動速度をモード切替によって高速化することができる機構である。それが俺に与えられたサイボーグとしての『力』だ。ちなみに仲間のサイボーグ戦士達にもそれぞれの『力』がある。いつか機会があればお目にかかれるかもしれない。まぁそんな機会は無いに越したことはないんだけどね。

 

素早く開いた窓から飛び出す。周囲を見渡し追跡が無いのを確認した俺は意気揚々と家路についた。

 

 

「小町、博士、みんな。今から帰るからな。なんだか疲れたけど、今日も平和だったよ」

 

 

 

独り言をボソッと呟いてからまだ上履きだったのに気付いたのだった。

 

 

 

 




勢いで書いた感。
続きは書きながら考えてマス☆


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第3話 新しい仲間

感想きてたので自粛ついでに更新。
ほったらかし作品多すぎて泣ける…



 

 

翌日、学校に行くと平塚先生に呼び出しを喰らった。放課後に職員室へと来るようにと言われてしまった。やはり少し強引すぎたか?

入部の経緯も強引だったのだから仕方ないだろう。ここはお互い様ということでお茶を濁そうと思い、放課後に職員室へと向かった。

職員室へと入るとプリプリと怒った平塚先生がこちらに気付くと、手招きをしながらこちらを睨んでいた。

 

 

 

「お呼びになりましたか?何か御用でしょうか?」

 

 

「君はいきなり帰っておいて謝罪や弁解もないのか?」

 

 

「失礼だとは思いましたが、悪いとは思っていません。俺にはやることがあるんです」

 

 

 

そこで少し遠い目をしながら外の景色に目をやりながら、過去の思い出に浸ってみた。そういえば学生の身分は俺だけだったなぁと考えながら、他の仲間のことを思い出していた。機会があれば小町にも会わせてやりたいけど、みんな海外にいるから難しいだろうな。連絡はすぐにとれるけど。

 

 

 

「…とにかく、もう一度着いてきたまへ。今度は勝手にいなくなるんじゃないぞ?」

 

 

 

平塚先生は念を押してから俺と一緒に特別棟の教室へと向かう。教室に着くとまたもやノックせずにガラガラと扉を開けて入っていった。アンタ昨日怒られたばっかりなのにやるなぁ。と感心していたらやっぱり文句を言われていた。文句を言った雪ノ下はこちらを見て、俺にも毒を吐いていた。

 

 

 

「あら、昨日の…ぬぼーっとした人ね。やっぱり入部しに来たのかしら?」

 

 

「いや、平塚先生に無理矢理連れて来られただけだ。俺に入部の意思は無いぞ」

 

 

 

平塚先生は俺の背中をバシッと叩くと、ニカッと笑って俺に小声で耳打ちしてきた。

 

 

 

 

「実はな、比企谷。雪ノ下には友達がいないんだ。そして君にもいない。高校生活をするのにそんな寂しいことはないだろう?君を見込んで頼みがある。どうか入部して雪ノ下と仲良くなってもらえないだろうか?」

 

 

「失礼なことを言われた気がしましたが、なるほど…そういうことですか」

 

 

 

 

そういうことなら話は変わってくる。俺の矯正が目的だと思ったが違うらしい。雪ノ下を取り巻く環境の改善の一助になるのならば力を貸そうじゃないか。その第一歩として友達になってほしいと頼まれたのだ。人と人を繋ぐことは、仲間との絆とは大事なものだ。俺は過去の経験からそれを知ったのだ。そうと決まれば行動するべきだな。

 

 

 

「あの、平塚先生?本人の前でコソコソ内緒話をされるのは非常に不快になるので止めていただけませんか?」

 

 

 

雪ノ下はツンデレのツンを凝縮したような目線をこちらに送ってくる。何か寒気を感じさせる視線だ。まさか…こいつもサイボーグなのだろうか?

まぁそんなことは無いので、雪ノ下にまずは歩み寄ることにしよう。

 

 

 

 

「俺の名前は比企谷八幡。同じ学年だから気軽に接してほしい。俺は君の仲間になりたいんだ」

 

 

「…は?仲間…?いったいこの男は何を言ってるのかしら?平塚先生、何を吹き込んだのですか?」

 

 

 

 

平塚先生は何やら満足そうな顔をしながらウンウンと頷いていた。熱い展開になってきたとでも思っているのだろうか?強引に俺と雪ノ下の手をとると、まるで友情だと言わんばかりに握手させる。ちゃっかり自分も手を上に乗せて解けないようにしている。

 

 

はぁ~女の子の手って小さいなぁ。平塚先生の手も小さい。二人とも柔らかくてスベスベでいつまでも触っていたくなる…

そんな俺の表情を読んだのか、雪ノ下が声を荒げていた。

 

 

 

「いつまで握っているの!離しなさい!性犯罪者!」

 

 

「まぁまぁ雪ノ下、落ち着きたまえ。今日から比企谷はお前の仲間だ。仲間は素晴らしいものだ。熱い想い、堅い絆、誰かに背中を任せられる…そういうものなのだよ」

 

 

「そんな強引に!平塚先生!……けど仲間…か。私に仲間が…フフッ…」

 

 

 

 

雪ノ下は最初こそちょっと抵抗を見せたが、意外とチョロかった。ボッチを拗らせるとこうなるのかと思った。俺も別の未来があったならこうなっていたかもしれない。

 

 

 

「平塚先生、比企谷くん。あなた方の熱意を受け入れて、私の『仲間』の比企谷くんを奉仕部へと歓迎します。私が部長だけれど、『仲間』だから気軽に接してもらえると嬉しいわ」

 

 

「あぁ、これから俺達は仲間だ。よろしくな、雪ノ下!」

 

 

 

 

こうして俺は雪ノ下を仲間にして、新しい学校生活を送ることになった。奉仕部という部活動だ。

雪ノ下が奉仕部の活動内容を説明してくれるそうなので、軽く説明を受けてみた。

 

 

 

 

「……というわけで、魚をとるのではなく、魚の釣り方を教えるというようなサポートをするのが主な活動になるわ。何か質問はあるかしら?」

 

 

「いいや、特にないな。過去の実績とかあるのなら教えてほしいのだが」

 

 

「それなら資料があるからそれを見ましょう。活動内容はファイリングしているから。これなんだけれど…」

 

 

 

 

その日は二人で過去の部活動の内容をあれこれ聞いたり話したりしながら有意義に過ごせた。今日で雪ノ下との距離感も近付いたように思う。気が付いたら平塚先生は帰っていた。まだ仕事が残ってるから職員室に戻ったらしい。

 

 

活動記録の件で、雪ノ下に紙媒体から電子媒体に記録を移したほうが良いと言うと、許可を貰えたから俺の自宅でパソコンに記録させてくることになった。仕上がったら連絡するということで連絡先を聞こうとしたら、雪ノ下は「仲間だものね。そう、仲間は連絡先を交換するものよ」とブツブツと呟いていた。

 

 

それから帰宅時間となり俺達は下校した。帰る方向は途中まで一緒らしいのだが、女の子の一人歩きは危険だ。自宅のマンション前まで送って行くと雪ノ下は照れながら「送ってくれてありがとう。『仲間』だものね」と言って帰っていった。

 

 

 

今日は新しい仲間ができた。家に帰って小町とギルモア博士に早速報告だ!

 

 

 

 



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