『三好in○○シリーズ』 (零戦)
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第一話
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟く。
「旗艦ペルガモン……撃沈されました……」
宇宙暦796年(帝国暦487年)2月、アスターテ星域。第六艦隊第三分遣艦隊旗艦キリシマの艦橋でオペレーターはそう小さく告げた。
「ムーアめ、無視してこれか……」
「マサカズ、脱出経路は既に策定済みだ」
第三分遣艦隊司令官のミヨシ・マサカズ少将の言葉に同参謀のジャン・ロベール・ラップ少佐はそう答えた。
「直ちに残存艦艇を併合、敵艦隊から離れて現宙域を離脱し第二艦隊と合流する」
マサカズはそう指示を出す。
(クソッタレ、結局は同じか。何のために俺が此処にいるのやら……)
マサカズはそう思うが、少なくとも今の時点ではラップが生存している。そう思う事にしたマサカズである。
(それにしても……死んだと思ったら今度ぁ銀英伝の世界とは……いやはや神様は俺に何をさせたいのかねぇ)
確かにマサカズはあの時に美鈴に看取られて息を引き取った。しかし、目覚めてみれば今度は銀英伝の世界に転生していたのだ。しかも同盟側の人間としてだ。
(やるなら原作ブレイクだろ。特にヤン生存フラグをよ!!)
マサカズは銀英伝の歴史を思い返しつつヤンとの接触を図ったりする。ちなみにヤンとは二期上の先輩でありスパルタニアンで敵機や敵艦を撃破しつつエル・ファシルでも活躍したりする。(現時点で敵機350機 戦艦15 巡航艦20を沈めてるチートをしてる)
そして何故か転生していた長谷川清(ハセガワ・キヨシの名前になっている)にトリューニヒトと仲良くなり、ロボス元帥の娘にはシャーリーがいてロボス元帥と仲良くなりついでに病みアムロ……フォークをある程度修正する羽目になっているのである。
「敵艦隊接近!!」
「数は!?」
「凡そ3000隻、分遣艦隊程です」
「どうするマサカズ?」
「……併合した艦艇の数と敵主力艦隊の位置は?」
ラップの問いにマサカズはオペレーターに問う。
「現在までに併合した艦艇は2872隻です。敵主力艦隊は既に交戦宙域から遠ざかっています」
「遠ざかっている?(命令違反か……?)」
「ほぼ同数の艦隊だが……やるか?」
ラップはマサカズに問う。
「……よし、最初は魚鱗の陣形だ。全艦戦闘用意!!」
残存艦艇は魚鱗の陣形に移行する。対して突入してくる帝国軍――フォーゲル少将はただ単に突撃を命令していた。
「突撃だ!! 反乱軍は既に死に体だ、怖れるに足らん!!」
フォーゲルの考えは確かに間違ってはいなかった。既に艦隊は壊滅状態であるからに目前にいる艦艇群は直ぐに逃走するだろう。そう判断していたのだ。
(これ以上金髪の儒子に武勲を立てさせてたまるか)
しかし、そうは問屋が降ろさないのである。
「敵艦隊、徐々に前面から崩壊していきます!!」
「よし、後一息だ!!」
フォーゲルの目からも敵同盟艦隊は前面から崩壊していくように見えた。だが……。
「何とか出来たな」
マサカズは安堵の息を吐いた。艦隊は魚鱗から鶴翼の陣形に移行していた。ただで移行するのではなくわざと破れるようにしてまでである。しかも前面にいた艦艇は無人にして自動操縦に切り換えさせている。
「撃ェ!!」
「しまった!?」
フォーゲルは己の失策を悟った。フォーゲル艦隊は三方向から砲撃されていた。奇しくもあのダゴン星域の殲滅と同じくである。
「全艦反転だ!!」
フォーゲルは更に失策を重ねてしまう。今の時点で反転しては同盟艦隊の思う壺である。
「敵の失策だな」
マサカズは失策した司令官の部下に同情しつつも砲撃の手を緩める事はなく、空いていた一宙域に脱出しようとしていた艦艇にはビームやミサイルが叩きつけられたのである。
程なくしてフォーゲル艦隊全滅の報がラインハルト・フォン・ローエングラムの元に届けられたのであった。
「フフ、同盟軍にも中々やる奴がいるようだなキルヒアイス」
「はい。フォーゲル艦隊を全滅させた艦隊はどうされますか?」
「放っておけ。今は目前の第二艦隊に取り掛かる」
「はっ」
斯くしてアスターテでの死亡フラグを回避したマサカズである。その後、マサカズは第四艦隊の残存艦艇と合流しつつ半壊した第二艦隊とも合流して惑星ハイネセンに帰還するのであった。
「敗軍の将だな」
マサカズは宇宙センターで呟く。第六艦隊は残存艦艇3579隻であるがそれでも原作に比べたら幾分かマシな方ではある。だが帰ってこない者達がいるのも事実である。そしてマサカズとヤンは統合本部長のシトレ元帥に呼ばれた。
「責任を取って退役出来るかもなヤン」
「そうであると嬉しいですねミヨシ先輩」
そう話す二人だが現実は違った。
「自分を第二艦隊提督でヤンを新設の第十三艦隊提督……ですか?」
「そうだ」
マサカズの言葉にシトレ元帥は頷いた。
「ミヨシ少将は中将に昇進、第二艦隊提督だな。ヤンは第四、第六艦隊の残存艦艇6800隻で第十三艦隊だ。半個艦隊だがな」
シトレ元帥はそれぞれに書類を渡す。
「今回の会戦で二個艦隊の提督が戦死している。それで君らが選ばれたわけだ」
「……まさかとは思いますがヨっさん……トリューニヒト委員長の?」
「いやそれはない」
飲み友の一人であるヨブ・トリューニヒト国防委員長の差し金かと思ったマサカズだがそうではないらしい。
「ロボス元帥だ」
(ラっさーん!!)
宇宙艦隊を率いるラザール・ロボス元帥の方だったのはマサカズも見抜けなかった。
「それとヤンにはイゼルローン要塞を攻略してもらう」
「あの難攻不落のイゼルローン要塞ですか……」
(お、遂にか)
頭をかくヤンにマサカズは期待の眼差しをする。
「兎に角、やれるだけやってみてくれ」
そう言われるヤンであった。その後、マサカズは第二艦隊代理旗艦イセに乗艦する。
(やれやれ、パトロクロス……ミカサは修理と大規模改装で暫くは使えずか。まぁそうなるな……)
第二艦隊は半壊ではあるものの、艦艇は約7500隻であった。
(シトレ元帥は独立警備部隊を加えると言っていたな。まぁそれが無難だがそうなるとヤンの第十三艦隊はどうするんだ?)
原作ではイゼルローン要塞攻略後に第二艦隊も加える筈であった。
(ま、シトレ元帥が何とかするだろ。俺の当面は艦隊の再編と訓練だしな)
事務処理をしていたマサカズだがそこへ来客が来た。
「ヤッホー貴方!!」
「シャーリー!?」
今は転生してシャーリー・ロボスになっているシャーリーであった。ちなみに軍に入っている。
「一体どうしたんだ?」
「フフ、こういう事だよ」
シャーリーは一枚の辞令書を見せた。
「シャーリー・ロボス中尉を第二艦隊提督の副官と任ずるゥ!?」
「ついでにキヨシも分遣艦隊司令官だしね」
「何ィ!?」
「参謀長はパン屋の二代目だよ」
「はァ!?」
驚くばかりのマサカズである。
「お前……まさか……」
「参謀長に関しては父さんにお願いしたよ。副官は私も驚いたけど」
(ラっさんめ、俺に全部押し付けたな……)
マサカズの脳裏には笑うロボス元帥が浮かぶのである。
「はぁ、まぁ宜しく頼むよシャーリー」
「勿論だよ」
(あぁ、久しぶりのシャーリーの胸ェ……)
そう言って抱き付くシャーリーの胸の感触を味わうマサカズであった。
後に同盟の歴史には同盟を救った三英傑の一人にマサカズの名が記載されるのであった。
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第二話
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「いや、辺境の星域を継いでもなぁ……」
帝国歴480年、銀河帝国の辺境でフェザーンの隣にあるアイゼンヘルツ・アイゼンフート・エックハルト星域にて一人の青年が伯爵と三つの星域を継いだ。
男の名前はミヨシ・フォン・マサカズである。年齢は25であるがそれほどの貴族ではない。ルドルフ大帝の時代から年々伯爵の階級であるからだ。
(しかし、死んだと思ったら今度は銀英伝の世界か……。しかも転生先が門閥貴族ときたもんだ)
マサカズは書斎でコーヒーを飲みながらそう思う。本当は紅茶にブランデーをタップリと入れたいが嫁に怒られるのでやめている。
(別に同盟に亡命しても良いけど……後々めんどくさくなりそうだわな)
マサカズ自身は帝国軍軍人としても参加しているので亡命しても肩身が狭いと思ったのだ。ちなみに階級は中将であるが実力でのしあがっている。
(となるとだ……門閥貴族ながらラインハルトを密かに支援すればいいわけだな。まぁヒルダみたいにすればいいかもな)
そう画策するマサカズである。しかし、ラインハルトが果たしてマサカズを味方にするかは別である。
(この家系、ルドルフの時からの家系だしなぁ……)
伯爵でルドルフ大帝時から~というので何かしたのかと思えば、一度ルドルフの暗殺未遂の危機を救ったからであった。白人思想のルドルフにしては珍しい事であったが余程気に入ったのか伯爵の爵位を授けるくらいである。
だが、その後は平凡でありマサカズの代まで伯爵であった。辺境の星域ではあるが三つの星域を所有している事もあってそこまで権力闘争を好む事はなかったのである。
また、鉱物資源を保有する惑星や小惑星もあったのでフェザーンに鉱物の売買をしたりして儲けを出していたのである程度の資産や減税をしたり民からの評価は上だった。
(辺境だからブラウンシュヴァイクやリッテンハイムは絡んで来ないし……これは本格的にラインハルトに取り入れて後は……)
「貴方」
「ん?」
そこへ書斎に一人の女性が入ってきた。
「夕食が出来たわ」
「分かった、今行くよユーカ」
そう、まさかの夕夏(ユーカ)である。二人には赤い糸の厚さが1メートル以上はあるのかもしれないぐらいの結び付きである。また、愛人としてタチアナとシャーリーもちゃっかりいるのである。
それはさておき、ミヨシ家は幸せであった。今のところはである。
帝国歴482年、アイゼンヘルツ星域に一人の逆亡命者をマサカズは引き入れた。
「ようこそヘルマン・フォン・リューネブルク准将。我がミヨシ家は貴殿を歓迎する」
「……よく逆亡命者を受け入れる気になったな?」
リューネブルクは無愛想にコーヒーを飲みながらそう答える。
「貴殿があのままオーディーンにいれば何れは食い殺されるよ。その前に……」
「恩を着せたつもりかは知らんが俺はそんな事は思わんぞ」
「それを決めるのは貴殿次第だな。まぁ素直に言えばうちの私兵軍の陸戦隊を鍛えてもらいたいのもあるがな。……うちの嫁が強すぎてな……」
「最後の言葉は聞き捨てならんな。女に負ける程俺は柔じゃない」
(だといいが……前世より強くなってるんだが……)
何をどうしたらああ強くなるのかと思うマサカズである。なお、ユーカとは僅か三合で敗北した模様。
「……あれは化け物の類いだ」
ボロボロにやられたリューネブルクのコメントである。ミヨシ家の陸戦隊はリューネブルクの加入で飛躍的に精強となるのであった。
そして帝国歴487年、遂に原作が開始されるアスターテの会戦が発生。両軍の被害は原作通りである。
(遂に始まったか……さて、何とかラインハルトの陣営に食い込まないとな……)
マサカズは個人的にはキルヒアイスとパイプが繋がっていた。全くの偶然ではあるがキルヒアイスに「貴殿の主君は何かと急ぎな性格がある。まずはゆっくりと物事を見極めていくのが良いよ」とアドバイスをしていた。
ラインハルトの性格を見抜いたマサカズにキルヒアイスも同感であり私的な文のやり取りをしている程であった。しかし、このやり取りも「ドライアイスの剣」、「正論だけを彫り込んだ永久凍土上の石版」等で有名のパウル・フォン・オーベルシュタインがラインハルトの陣営に加わると無くなっていくのである。
「閣下、このミヨシ伯爵はあまり信用なさらぬが宜しいかと」
「ほぅ、キルヒアイスは貴族にしては中々の名君であると言っているが?」
「裏では門閥貴族やフェザーンとの繋がりが見受けられます。資産はブラウンシュヴァイクやリッテンハイムに比べれば下ではありますが他の辺境の領主と比べれば量は遥かにあります」
「ふむ、キルヒアイスの目を掻い潜るとはな……。分かった、門閥貴族どもと対決の際には切り捨てよう」
「御意」
帝国歴488年、リップシュタット戦役が勃発。マサカズはラインハルトの陣営に味方を表明したがラインハルトから拒否と門閥貴族として賊軍と表するの文書が回答してきた。
「………やりやがったなあの義眼野郎ォ!!」
マサカズは怒りに満ちて書類を破り捨てた。それをユーカ達が心配そうに見守る。
「……大丈夫だ。こうなる事も予想はしていた、確率は10%程だったがな」
「今更ブラウンシュヴァイクに尻尾を振るか?」
それを見ていたリューネブルクは問うがマサカズはまさかと首を横に振った。
「アホどもには付き合ってはいられんよ……戦うしかないだろうな」
マサカズは三つの星域の有人惑星の首長達にラインハルト側に味方するように通信を送った。だが首長達は拒否した。
『我々が今こうしていられるのもミヨシ家のおかげです』
『最期まで御供します!!』
『金髪なんぞにミヨシ家は負けませんぞ!!』
三つの星域、3000万人はミヨシ家に味方を表明するのである。
「……馬鹿野郎……(歴代のミヨシ家当主のおかげだなぁ)」
マサカズはそう感謝するのである。そして貴族連合軍ともラインハルト軍とも一線を敷いて独立を表明するのである。それを聞いたラインハルトは愉快そうに笑った。
「クックック……アホ貴族どもめ。勝手に自分で首を絞めてくれる」
ラインハルトはミヨシ家討伐にケンプ中将、ミュラー中将の30000隻を派遣した。辺境警備(アムリッツァ方面)にはシュタインメッツ少将の艦隊もあったが同盟軍への警戒のため動く事はなかった。
「貴族の艦隊など他愛ないわ」
そう豪語するケンプ中将であった。両艦隊はエックハルト星域から侵攻した。しかし、待ち構えていたのは両艦隊を上回る大艦隊であった。
「敵艦隊、凡そ65000隻あまりです!!」
「何だと!?」
「そんな馬鹿な!?」
二人は驚きのあまり何度も確認させたが答えは同じであった。そうしているうちに敵艦隊――ミヨシ艦隊が砲撃を開始したのである。
「一点集中砲火!! 敵艦隊の中央を狙え!!」
ミヨシ艦隊は中央に一点集中砲火を行い、穴を空ける。
「そのまま紡錘陣形に移行!! 中央突破を図るぞ!!」
ミヨシ艦隊が紡錘陣形に移行するとケンプは焦った。
「如何!! 後退だ、後退をするんだ!!」
『ケンプ中将、自分が殿を務めます!!』
「死に急ぐなよミュラー!!」
両艦隊は後退を開始するが紡錘陣形のミヨシ艦隊は突撃、両艦隊を壊滅させるのである。
ケンプ艦隊旗艦ヨーツンハイムも被弾して沈没しようとしていた。
「閣下、退艦を……」
「俺はいい。見ろ……」
ケンプは脇腹から滲み出る血を参謀長のフーセネガー少将に言う。
「ミュラーに伝えてくれ、生き延びてくれと……」
ケンプはそう言って息を引き取ったのである。その後、ヨーツンハイムは沈没しミュラーも重傷を負ってしまうのであった。
「何とかなったな……(見掛けは張りぼて艦隊だしな)」
マサカズは旗艦ミカサにて安堵の息を吐いた。マサカズが言う張りぼて艦隊とはそのままの意味である。
つまり有人艦艇は約7000隻程で残りは全て無人艦艇だったのだ。マサカズが家督を継いだ時からバレないように少量ずつ建造させ小惑星帯等に隠匿していたのである。ちなみに総数は105000隻程である。また、帝国軍が捕獲した同盟軍艦艇もコッソリとリヒテンラーデ侯から購入(リヒテンラーデもウハウハだった)して数は揃えている。
(問題はいつまで隠し通せるかだな)
無人艦艇が大半なのでバレた時の対処も考えないといけない。
(メルカッツ提督やファーレンハイト提督も此方に来るか打診してみるか。こんな事になるならもうちょい提督を確保しておけば良かったな……)
なお、ミヨシ艦隊には長谷川清(ハセガワ・キヨシ)やシュムーデ提督等がいたりする。
(なるようにしかないか……)
そう思うマサカズであった。なお、ケンプ中将が戦死した事でラインハルトは更にルーレンことルッツとワーレンを送り込むがマサカズの指揮によってルッツが戦死、ワーレンが片腕切断の重傷を負う羽目になり予想以上の戦闘。更にサビーネ・フォン・リッテンハイムの亡命等が起こったりしてマサカズが予想していた以上の戦乱になるのであった。
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第三話(蒼海の世紀)
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
あの時―――
江戸時代末期(幕末)の慶応三年十一月十五日夜、近江屋にて歴史に残る事件が発生する。「ドスン」と一階で妙な物音がした。
「ほたえな!!」
坂本龍馬はそう叫ぶ。しかし、その叫びは龍馬自らの居場所を示してしまった。妙な物音は元力士の山田藤吉が後ろから刺客に一太刀で斬られて倒れた音であった。
刺客達は二階に駆け上がり、襖を勢いよく開けた。襖の先には刺客達の標的であった坂本龍馬と中岡慎太郎が談笑していた。
「―――!?」
刺客は坂本の額に斬りつけた。しかしその傷は浅く致命傷にはならなかった。
「こなくそぉ!!」
別の刺客が坂本に更なる傷を負わせようと斬りつくようとする。坂本は咄嗟に右手を懐に入れ込んだ。
「さ、坂本ォ!!」
刺客の刀の切っ先が坂本に迫った瞬間、中岡は思わず叫ぶのであった。
あの瞬間―――
襲撃があって数時間後の夜明け前、一人の海援隊士が急報を受けて近江屋に駆け込んできた。海援隊士――陸奥陽之助は階段で転びながらも駆け上がり襖を開けた。
「さ、坂本さん!!」
そしてその光景を見てへなへなと腰が抜けたように膝から床につけた。
「ちゃちゃ。いやぁたまるかたまるか」
襖を開けた先の部屋には童から額の傷の手当てを受けていた坂本龍馬が陸奥の様子を見ながら笑っていた。右手には高杉晋作から譲り受けたS&Wモデル2アーミー33口径6連発を持っていた。
「間違えて撃ち殺すとこじゃったきに陸奥!!」
「坂本さん、よくぞ御無事で!!」
「ちゃちゃ。高杉君のくれたこいつにまた助けられたぜよ」
坂本は「寺田屋で落とさなくてよかったぜよ」と笑って陸奥にS&Wモデル2アーミー33口径6連発を見せる。坂本の隣にいた中岡慎太郎は溜め息を吐いた。
「しかし坂本、先刻は君が斬られたかと肝が冷えたぞ」
坂本は襲撃時、懐に仕込んでいたS&Wモデル2アーミー33口径6連発で刺客の刀の切っ先の軌道を咄嗟に変えた。刺客はそのまま態勢を崩して倒れ、中岡が倒れた刺客に止めを刺した。
出鼻を挫かれた刺客達だったが、更に坂本に斬り掛かろうとした。しかし坂本はS&Wモデル2アーミー33口径6連発を刺客に向けて放ち一人に重傷を負わせた。そこで刺客達は暗殺失敗を悟り、逃げていくのであった。
中岡は直ぐに助けを呼び、事なきを得たのである。
「いやさ中岡……わしゃあまだ死ねんきに」
坂本は部屋に射し込んでくる朝日に視線を向けた。
「……世界の海を見るまでは!!」
そしてこの男の暗殺未遂事件より――物語は始まる――
1905年5月27日、対馬沖。戦艦三笠を旗艦とする日本海軍が誇る聨合艦隊はロシア帝国海軍第二太平洋艦隊のバルチック艦隊と交戦していた。
「三笠被弾!!」
「東郷どん!?」
「後続艦に信号、『ワレニツヅケ』!!」
バルチック艦隊の放った一発の砲弾が三笠艦橋付近を直撃し三笠は一時操艦不能になったのだ。そして三笠の艦橋では多数の人間が倒れていた。
「と、東郷長官!!」
破片により右目が抉られて負傷した海援隊少尉才谷美紀は東郷長官に駆け寄ろうとした。
「配置に付けェ!!」
駆け寄ろうとした美紀を東郷が叫ぶ。その隣では右頬から大量出血している三好将和が制帽をかぶり直し、長谷川清(無傷)が距離を測定していた。
「三好少尉……長谷川少尉……」
「心配するな才谷、三笠は死なんよ」
ニカッと笑う将和。
「こちとら『三回目の日本海海戦』をしてんだ!! 舐めるんじゃねーぞバルチック艦隊!!」
「そうだそうだ!!」
「三笠!! お前は何のために生まれてきた!? 敵と戦うためだろう!! 戦わずして沈むのは俺が許さん!! 三笠!! お前は、お前は栄光ある戦艦なんだ!!」
そう言って将和が長谷川に振り返る。
「清、距離は!?」
「6400!! 『あの時』と同じ距離だ!!」
「長官」
「うむ、砲撃始めェ!!」
その瞬間、美紀は東郷と将和の間を駆け寄り後ろから二人を支えた。どうしてかは分からない、でも二人の後ろ姿に何かを感じた美紀は咄嗟にそうしたのだ。
「距離6400、右舷6インチ砲試し撃ちぃ方始めェ!!」
三好が伝声管に向かって叫ぶ。副砲の15.2サンチ砲が照準を合わせる。
「準備良し!!」
「用ぉ意……撃ェ!!」
右舷の15.2サンチ砲七門が一斉に射撃を開始する。試射一射目、七つの砲弾は目標のクニャージ・スヴォーロフを飛び越えて海面で炸裂した。
「何だあの砲弾は!?」
海面を見ていたロシア海軍士官はそう叫ぶ。日本海軍は徹甲弾ではなく榴弾を使用していた。更に二射目はクニャージ・スヴォーロフの手前の海面が炸裂する。
「距離6200!!」
「距離6200に修正!! 主砲12インチ砲撃ちぃ方始めェ!!」
三射目からは主砲の30.5サンチ砲も射撃を開始する。そして数秒の時を越えて三笠が放った砲弾はクニャージ・スヴォーロフの前部煙突に命中して前部煙突を吹き飛ばした。
「よく見ておけよ才谷!! これが艦隊決戦だ!!」
「はいッ!!」
「顔が気になるか?」
「いえ、大丈夫です!!」
「ハッハッハ、気にするな。お前は美人だ、貰い手が無いなら俺が貰ってやる」
「……ふぇッ!?」
「艦隊決戦中に口説いてんじゃねーぞ!!」
聨合艦隊の反撃が始まった。
そして将和は再び激動の時代を歩み出す。
「お主が美紀が惚れた男のぅ…… 幾つもの体験をしとるの」
「貴方程ではないですよ坂本翁」
維新に導いた者と会談をする将和。
「この国は牢屋だ」
「なら海へ来い少年」
将和と出会う原作主人公。
「飛行機に乗るの?」
「あぁ、欧州でな」
「貴方ぁ? その子は誰?」
「貴女こそ誰ですか?」
「あの人の嫁よ」
「あわわわわわ……」
「修羅場だな、長谷川ワクワクしてきたぞ」
欧州にて出会う嫁との喧嘩?
「過去はどうする事も出来ない、だが変えられるのは未来だけだ」
そして彼等は己の使命に赴くのである。
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第四話(紺碧の艦隊)
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「死んだはずだったのになぁ……」
「それは俺もだ将和」
1905年(明冶38年)5月28日、対馬沖。日本海軍聨合艦隊はロシア帝国海軍第二太平洋艦隊のバルチック艦隊との戦闘に史実通りの勝利を収めてその帰還途中だった。
「今回は俺とお前と東郷長官しか生き残っていないな……」
「あぁ……しかも元号は明治じゃなくて冶の方だ」
「……あっ(察し)」
「どうした?」
「……山本五十六が日進にいたな?」
「確かにいたな。それがどうした?」
「怪我の具合を調べてくれ」
「あ、あぁ……」
そして戻る最中までに結果が来た。
「山本……今は高野だな。負傷は胸だけだな、指は吹き飛んでいないぞ」
「……これかぁ……」
長谷川の報告に将和は盛大に溜め息を吐いた。
「どうした?」
「いや……(こらぁ、ゲーリングを急いで回収せんとなぁ……)」
そう思う将和であった。その後、東郷は元より宮様や伊藤博文等前回にてお世話になった者達も記憶は早めにあった事が判明、少しだけ前回と内容が違っていたりするがそれは些細な事である。
「ふむ……兵器の技術進歩が格段に向上する世界……か」
宮様は将和から日本酒を注いでもらい一飲みする。
「……となると我々の計画も早まるな」
「と言いますと?」
「前回より短機関銃や航空機は早期に入手したり工作機械の購入、設備投資をする予定だったのだが……これではな。陛下にも相談してみよう」
なお、陛下も直ぐに了承し皇室財産を削減したりして第一次世界大戦までに航空機や工作機械の充実を図ったりするのである。
「それと撃墜王は予定だから」
「ア,ハイ。最初から全力を出します」
撃墜数が伸びるなと思う将和であった。そして第一次世界大戦が勃発し将和は前回と同じく派遣され夕夏と再会する。
「あ・な・た♪」
(逃げられない運命ですね、分かります)
将和は夕夏に抱き着かれながらそう思う。第一次世界大戦は大体前回と同じ通りだが将和の撃墜数は前回より伸びた。ちなみにゲーリングも前回の記憶持ちだった事が判明、ギリギリまで祖国で活動を続けて無理であるなら日本に亡命するとの事であった。
「とりあえずは前回と同様だな」
「えぇ。ですが前回よりドイツから技術者を大量に招致をしなければ……」
「工業力を上げんとな……。ところで皇女殿下はどうしたかね?」
「記憶が在りました。押し掛け女房になって自宅にいますがね」
宮様の言葉に将和はそう報告をするのであった。前回と同じく行動をしている将和達だが高野もそれに気付いていた。
(三好将和……前世にはいなかった軍人だ……)
高野は前世の記憶を持つ同志を数人交えて料亭で会談をしていた。
「三好少将の人気は凄まじいものですな」
「うむ……」
「やはり前世の記憶を持つ人物なのでは……?」
「いや、此処は後世世界だ。もしかしたら最初からの人物かもしれない。慎重に進めよう」
「新型機関については些か報告があります」
「目処が付きそうなのかね?」
「はい、新型機関……ガスタービン製造の転生者を発見し此方で保護しています」
「それは僥倖だな」
高野達の活動も少しずつ大きくなってきており将和もそれに気付いていた。
「そうか……多聞は高杉になっているのか」
「はい、何の因果関係かは分かりませんが……」
将和は高杉英作中佐と料亭で飲んでいた。
(そうなると坂元や川崎の爺さんも此方の記憶側もしれない……というわけか。やれやれ神様は面倒な事をするもんだな)
「隊長?」
「ん、あぁ済まん済まん。それと俺は隊長じゃないぞ」
「何を言いますか、隊長は隊長ですよ」
「カッカッカ、多聞らしいな。まぁ今日はゆっくり食べろ」
「ありがとうございます」
その後も将和達と高野達の対立等はなく互いに日本の向上を図るものだと思いそれとなく監視はしていた。しかし、高野の暗殺未遂事件が発生し高野が大高と接触をすると状況が一変するのである。
「えっ? 私の事件に三好中将が絡んでいると?」
「断定したわけではありません。ですが憲兵隊の同志によりますと現場付近に別の海軍軍人を目撃したと……」
「むぅ……」
「我々青風会も陸軍内に別の同志がいると踏んでいます。しかもその首班らしき人物が南条中将なのです」
「何と……」
大高の言葉に高野は目を見開く。
「白ではあると思いますがお気をつけを……」
「……分かりました」
その後、高野と将和は決戦思想に対立する。
「空母を主力にした航空決戦だ!!」
「いや潜水艦を主力にした潜水艦決戦思想だ!!」
「時代は航空機の時代になりつつある。そのためには航空隊の整備が必然」
「成る程、確かにそれは必要だろう。だが一度消耗戦になれば一番の損耗になる」
「だからと言って潜水艦決戦思想は無いだろう。まだ日本潜水艦の技術は低いものだぞ。しかも5000トン級を四に7000トン級一の建造を一気にだぞ」
「だからこそである」
平行線にしかならない会話が多々ある。それでも本格的な抗争まではいかず一定の理解は示しつつあった。なお、陸軍はチハ(三好)の生産に夢中である。それでも将和達は三好日本が建造した河内型や雲龍型を就役させ対米戦に備えた。
歴史の流れもほぼ同じではあるが東条こと南条が総理に、廣田が外務大臣の違いがあるくらいだった。
その中で高野は大高と二人きりで神楽坂の小さな料亭にいた。
「……いよいよですな」
「はい」
二人は最早将和らと和解や合流すら無理だと判断していた。両者の仲を高杉らが何とか仲介したりしていたが焼け石に水である。
「より良い負けをするために」
「はい」
そして将和らも料亭で飲んでいた。
「では発生した瞬間に」
「それが良かろう」
将和の言葉に宮様は頷く。そして照和16年12月1日、大高中将の青風会の部隊二万名が帝都を強襲し瞬く間に中枢部を占拠したのである。
(原作通り……か)
しかし、将和はそれよりも前に単冠湾で停泊していた空母加賀の艦橋にて厳田中佐らに拳銃を突きつけられながらそう思う。
「閣下には残念ですが拘束します」
「そうか」
将和達は拘束され将和は密かに択捉島から移送され自宅軟禁となるのである。そして将和の後任には高杉中将が就任するが最初、高杉中将は拒否していた。
「ふざけるな!! 三好大将を裏切っておいて俺を後任だと!? 大概にしろ!!」
飛龍を訪れた厳田中佐を殴り倒して追い返す高杉だったが将和から「お前しかいない」の手紙を渡されやむ無く承諾するのである。
12月15日、将和は高野と海軍省にて対面していた。
「三好大将はこのまま予備役とさせていただきます」
軍令部総長に就任した高野は坦々と述べる。既に宮様らも予備役にさせられていた。他にも予備役ではなかった長谷川や小沢達も高野に辞表を叩きつけて予備役になっていた。
「……そうか。では後は任せるよ山本五十六」
「ッ!?」
将和はそう言って立ちあがり部屋を出るが高野は驚愕の表情をしたままであった。そして将和らは小さな料亭で会談をしていた。
「上手くいきましたな」
「あぁ」
既に幾分か飲んでいるのか将和達の頬はうっすらと赤くなっていた。
「やれる事はやった。後は高野や大高達がやるだろう」
将和達は以前に高野らとの衝突は最終的に避ける事で合意し自分達は表舞台から去ろうとしたのである。それが12月1日のクーデターである。
将和達はこれを利用したのだ。結果として何も知らない高野や大高達は将和達の排除に成功するのである。
「三好君はこれからどうするかね?」
「資産は大量に在りますし暫くはのんびりしますよ」
将和はそう言う。
「ま、高野達の手腕に期待しましょう」
将和は日本酒を飲みながらそう言う。彼等は表舞台から確かに退いた。だが歴史の神様はどう思うのかはまだ分からないのであった。
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第五話(大帝国)
場合によっては三好in大帝国が一番書けそう
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「いやだからってエロゲーの世界は無いだろエロゲーの世界は」
「どうしましたか司令?」
「いや、何でもない」
将和は副官に言う。統一宇宙歴939年1月、日本帝国海軍は主力の第一、第二艦隊、旧式の第四艦隊の三個艦隊を以て中帝国の北京星域に侵攻していた。
特に第一、第二艦隊は新型艦艇で編成されており従来の艦艇より打撃力はあった。しかし、将和は第一艦隊は第二艦隊の裏切りにより全滅し第四艦隊しか生還しない事を知っていた。
(樋口が裏切ったら速攻第四艦隊に逃げ込も)
将和は第一艦隊の第八戦隊司令官を務めており第二艦隊のすぐ傍にいた。
「し、司令!! 第二艦隊の砲身が此方に向いています!!」
「やはり裏切ったか樋口!! 旗艦日向に第二艦隊の裏切りを打電!! 直ちに第二艦隊を砲撃!!」
「み、味方を砲撃ですか!?」
「第二艦隊はもう敵だ!!」
その瞬間、第八戦隊旗艦妙高が揺れた。将和らは床に叩きつけられる。
「クソッタレ!! 機関最大、砲撃しつつ第四艦隊に逃げ込め!!」
妙高、那智、足柄、羽黒で編成された第八戦隊は被弾しながらも第二艦隊にレーザー砲を叩き込み中帝国艦隊と交戦していた第四艦隊に逃げ込む事に成功した。また、将和の打電を受信した第一艦隊残存艦艇もチラホラと逃げ込んでいたが旗艦日向は前倉長官と共に爆沈したのである。
「態勢を建て直しました」
「よし、第一艦隊残存艦艇に連絡しろ。敵討ちをしたい奴は八戦隊と共に第二艦隊へ斬り込むぞ」
将和の打電に巡洋艦三、駆逐艦八が参戦し第一艦隊残存艦艇は樋口中将の第二艦隊へ突撃を開始した。
「こいつは良いぞ!! どっちを向いても敵ばかりだ!! 兎に角撃ちまくれェ!!」
残存艦艇は兎に角もあらゆるところに撃ちまくった。彼等をそうするまでの理由は第二艦隊の裏切りというのである。
第二艦隊への突撃は最終的に第二艦隊旗艦佐渡が轟沈した事で終了した。第二艦隊の艦艇は日本の第四艦隊に降伏するか中帝国艦隊に駆け込むかであった。
「終わった……か」
将和は提督席にゆっくりと座る。
「残存艦艇は第四艦隊に合流、東郷提督の指示に従う」
第四艦隊提督の東郷は中帝国への侵攻を中止を下命、残存艦艇は日本星域に帰還するのであった。
その後、日本海軍は再建に追われていた。第四艦隊提督の東郷は中将から大将へ昇進し海軍長官に就任、海軍の全てを率いる事になる。
「戦艦9、巡洋艦11、駆逐艦21、補助艦艇14の喪失か……」
将和は海軍省にて満州海戦の戦闘詳報を見ていた。その表情は苦虫を潰したかのようである。
「そして今の海軍に残っているのは戦艦8、巡洋艦22、駆逐艦28、補助艦艇22だが大半は旧式の40年式艦艇か」
「そのためにも先輩にも働いてもらいますよ」
東郷はコーヒーを飲む将和にそう言う。将和と東郷は将和の方が二期上だが原作を知る将和は東郷とよく飲みに行ったりしており秋山とかも知り合いだった。
「先輩、先輩には中将に昇進と同時に第一艦隊提督に就任してもらいます」
「おいおい、山本の爺さんを現役に復活させたのにか?」
「爺さんは第二艦隊提督ですよ」
「とことんこき使わす気だな」
「日本の滅亡の危機なものでね。使える物は何でも使いますよ」
東郷はそう言ってコーヒーを飲む。
「ま、構わんけどな」
そして将和は中将に昇進すると共に第一艦隊提督に就任、戦艦8、巡洋艦8、駆逐艦10隻を率いる事になる。将和は新たに就役した戦艦長門の作戦室に招かれた。他の提督達との顔合わせも意味を兼ねている。
「よぉ、三好の坊じゃねぇか」
「山本中将、お久しぶりです」
「かてぇな、ゆっくりしとけや」
「それもそうですな。しかし、体力の方は大丈夫ですか?」
「へっ、若いもんに心配される程じゃねぇや」
「駄目ですよ山本さん」
酒に手を伸ばそうとしていた山本中将、そこへ看護師の女性が声をかけた。
「ひとみちゃんかい」
「もう、駄目ですよ。あまり飲み過ぎは駄目ですからね」
「山本中将も敵いませんね」
「かもしれねぇな」
豪快に笑う山本中将であった。そして東郷が秋山を伴って入ってきた。
「海軍長官の東郷だ。当面は中帝国との戦いだが……まぁそう悲観する事はない。俺の他にも三好中将がいるからな」
「そう持ち上げんでいいぞ東郷」
「事実を言ったまでですよ先輩」
将和の言葉に東郷はそう返すが木刀を持った将官がフンと荒げる。
「何かあるのか田中?」
「俺からしてみたらそうは見えねぇけどな」
「ハッハッハ、何れ分かるさ」
第三艦隊提督の田中頼三少将に東郷はそう言う。
「毎度東郷の旦那、三好の旦那」
「やぁ圭子さん」
新たに輸送艦隊提督に就任した南雲圭子少将が二人に声をかける。
「輸送に関しては任せな」
「あぁ頼むよ南雲少将」
南雲の言葉に将和はそう返す。
「さっきも言ったがそう悲観する事はない。どーんと構えていればいいんだ。どーんとな」
東郷は改めて全員に言うのであった。
「まずは中帝国の北京星域の攻略が第一目標だ。心して掛かってくれ」
そして東郷と将和を中心にした新生日本海軍は作戦を開始するのである。
「敵艦隊接近します!!」
「ソビエト製とガメリカ製の艦艇か。構わん、砲撃せよ!!」
新生日本海軍はあっという間に北京、南京モン星域まで攻略し中帝国艦隊を支えていた二人の女性提督も捕虜にして提督に登用する。
(ソビエト製とガメリカ製の艦艇も捕獲してるし平賀博士も研究してるしな……ガメリカの開戦までに何とか揃うかもしれんな……)
中帝国の星域を全て攻略して日本帝国は長きに渡る中帝国との戦争に終止符を打った。しかしガメリカはそれを許さなかった。
「日米安全保障条約だと? ふざけるな!!」
「これは属国になれと言っているものです帝」
「御決断を……」
「……この条約は結べません」
「三好先輩、開戦です」
そして日本海軍による奇襲攻撃。
「ワープゲートから日本艦隊が出現!! 一個艦隊以上はいます!!」
「クソッタレ!! 情報局の馬鹿どもめ、ガセネタを掴まらされたか!!」
突然の奇襲攻撃でマイクロネシアとマニラ2000星域に駐屯していたガメリカ艦隊は潰滅した。更に空母を主力にした小澤少将の第一航空艦隊がハワイ星域に侵入してハワイ星域の軍施設を攻撃し潰滅的損害を与える事に成功した。
またマレーの虎は密かに侵入したデーニッツ少将のUボート艦隊が出撃してきたエイリス東洋艦隊を潰滅に成功する。
(何とかベトナム、マレーの虎、四国、マイクロネシア、マニラ2000、ラバウルまでは攻略出来た。後は空母を揃えてハワイ星域に攻めこんで持久戦だな)
そう思う将和だが戦況はそう簡単に思い通りにはならなかった。
「福原、愛国獅子団の人員が行方不明らしいがまさか……」
「恐らく平良少将は蜂起します。ですが私はもう縁を切ったので何処で蜂起するかまでは……」
「……東郷に注意は促すか」
そして日本帝国内での内乱が勃発する。
「チィ、まさかのマニラ2000か。最初に摘発した人員は囮か」
「マニラ2000、ラバウルが愛国獅子団に占領されたので日本星域との航路が絶たれました」
「正しく前門の何とやらか……そいつは素敵だ、面白くなってきた」
何とか愛国獅子団を撃滅する事に成功した日本帝国だが、ガメリカはあるとんでもない兵器を完成させていた。
「coreか……(一番ヤバイ√ェ……)」
一番の難敵に頭を悩ます将和である。しかし、まだ終わりですらなかったのはまだ将和も知らないのである。
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第六話(ヤマト)
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
無限に拡がる大宇宙。静寂と光に満ちた世界……生まれてくる星もあれば死んでいく星もある。
太陽系第三惑星地球、地球は正に死に絶えようとしていた。
西暦2199年、地球は異星国家ガミラスと数年以上の星間戦争をしていたが圧倒的な軍事力を持つガミラスに国連宇宙軍の諸外国艦隊は尽く潰滅し残るは日本宇宙軍の宇宙艦隊が地球を支えている状態だった。しかもガミラスは拠点の冥王星から遊星爆弾を発射して地球地上のあらゆる都市を破壊し放射能汚染により人類は地下都市へ追いやられていた。
しかし、人類は最後まで希望を諦めなかった。
「三好司令官、間もなく作戦宙域です」
「ん。全員宇宙服着用せよ」
国連宇宙軍最後とも言える二個艦隊は冥王星にあると言われるガミラスの遊星爆弾発射基地を破壊するために遥々の遠征をしてきた。
(全く……メ号作戦か、まさかまた転生して今度は2199の世界とはなぁ……)
第三戦隊旗艦八雲の艦橋で宇宙服に着替えた三好将和准将はコッソリと溜め息を吐いた。かつて、将和は仲間と共に日本をあの歴史から救って英雄となった。最期の時、夕夏と共に息を引き取ったが目を覚めれば遥かな時を流れていた。
それが『宇宙戦艦ヤマト』の世界に引き継がれていたのである。それから将和は原作をどうするか悩んだが結局は日本宇宙軍へ入隊し一人でも原作から救おうと判断したのである。なお、旧作かリメイクかはまだハッキリとはしていない。
この世界の日本は将和が残した三好家によって大幅な軍事力が上方修正されていた。
金剛型宇宙戦艦18隻
村雨型宇宙巡洋艦42隻
磯風型突撃宇宙駆逐艦96隻
鳳翔型宇宙母艦12隻
原作に比べると遥かに軍事力が上な日本だったがそれでもガミラスの軍事力が上だった。将和は母艦パイロットからガミラス戦役を体験をした。
幸いにも航空機はガミラス機との性能はどっこいどっこいなので国連宇宙軍は多くのエースパイロットを産み出した。将和もその一人であり通算250機以上のガミラス機を撃墜している。だが、艦隊運用も経験がある将和の指揮を上層部が興味を示してパイロットから戦隊司令官をする羽目になっている。
「先遣艦雪風より発光信号!! 冥王星宙域に敵ガミラス艦隊は居らず!!」
「ち、読まれたか」
通信士からの報告に将和は舌打ちをする。しかし、通信士から新たな報告が来た。
「第一航空艦隊旗艦祥鳳より緊急電!! 『我、ガミラス艦隊ト遭遇セリ』!!」
「しまった!? 裏を掛かれたか!!」
第一艦隊の後方に展開していた第一航空艦隊はガミラス艦隊の奇襲攻撃を受けた。折しも第一艦隊を支援するために第一航空艦隊に所属し残存する空母祥鳳と瑞鳳はコスモファルコン隊を発艦させている最中だったのだ。
「迎撃!!」
第一航空艦隊司令長官の井上中将はそう叫ぶもガミラス艦隊から放たれたビーム弾は祥鳳の艦体を無数にも穴を開けさせ一瞬の間を置かせてから爆発四散したのである。
空母2、巡洋艦4、駆逐艦8しかいない第一航空艦隊は瞬く間に全滅した。
そして第二艦隊の全滅を悲しむ暇もなく第一艦隊はガミラス艦隊との戦闘に突入する事になる。
両艦隊は同航戦を展開する。霧島以下の主砲がガミラス艦隊に向けるが八雲以下の三戦隊は無砲身の光線砲ではなく連装の大型レールガンを搭載していた。
「準備良し!!」
「砲撃始めェ!!」
三戦隊の四隻が次々とレールガンの砲撃を開始、四隻に狙われたクリピテラ級航宙駆逐艦三隻とケルカピア級航宙高速巡洋艦一隻に多数の三式融合弾が装甲を貫通、一瞬の間と共に大爆発を起こして撃沈した。
「今だ!! 核ミサイルを乱射せよ!!」
改装によって搭載された後部ミサイル発射管から次々と核ミサイルが発射されてガミラス艦隊の中央に着弾、直撃した艦は味方艦艇を巻き込んで轟沈していく。
「周りは敵だらけだ!! 兎に角撃てば敵に当たるぞ!!」
将和はそう激を飛ばす。しかし、ガミラス艦隊の数は多かった。
「阿武隈、島風と衝突し轟沈!!」
「鞍馬、戦列から離れる!!」
「駆逐艦満潮、大潮航行不能!!」
「磯風がやられた!?」
(クソッタレ、原作より数は多いから少しは時間を稼げると思ったが……)
将和の家系は軍、政治の者が多くいた。実際に将和の父親である三好正信は日本宇宙軍の宇宙聨合艦隊司令長官であり第三戦隊の改装も正信がいた事でやれた事である。
(実体弾への改装が遅れなければ全艦艇に改装出来たものを……)
原作を知る将和にしてみれば光線砲はガミラスに効かないのは明白でありまだ望みがある実体弾に改装するのがベストだった。しかし、遊星爆弾の攻撃を受けている地球にそれだけの余力は無かったのだ。
「全艦最大戦速!! 之字運動しつつ砲弾を叩き込め!!」
三戦隊は出せるだけの速度でガミラス艦隊からの砲撃を回避しつつレールガンで叩き込む。その時、通信士が叫んだ。
「太陽系外から高速で接近中の船籍不明艦が間もなく宙域を通過します!!」
「何!?(やっと来たかサーシア……)」
将和は驚きつつも内心はそう思った。サーシアが乗るイスカンダルの宇宙船はそのまま高速で宙域を駆け抜けて火星方面へと行ったのである。
「霧島より電文!! 『作戦ヲ終了、撤退スル』です!!」
「残存艦艇は直ちに回頭せよ!! 回頭180度!!」
三戦隊や生き残りの艦艇は回頭して被弾した霧島の後方に付いた。ガミラス艦隊も撤退する第一艦隊に追撃しようとはしなかった。
「霧島の他には巡洋艦四ハイに駆逐艦五ハイか……」
「三好司令官、駆逐艦雪風がガミラス艦隊に突入します!!」
「何!?」
艦隊の後方にいた駆逐艦雪風は回頭命令に従わずそのままガミラス艦隊へ突入を開始していた。
「古代!?」
駆逐艦雪風は黒煙を噴きながら第一艦隊のレーダーからロストするのであった。第一艦隊は傷つきながらも火星で観測班の古代と島を回収して地球に帰還するのである。
「これで原作も始まるか……」
数日後、将和は宇宙艦隊司令部に呼ばれた。
「何だ親父?」
「おぅ来たか。まぁ座れ」
聨合艦隊司令長官の正信に私的な事で呼ばれていたのだ。
「イズモ計画の話は知っているな?」
「あぁ、そうだが?」
「実はイズモ計画は破棄されて新たにヤマト計画に変更された」
「イスカンダルからの使者は本物というわけか」
「そこでお前に頼みがある……宇宙戦艦ヤマトの艦長をしてみないか?」
「ッ……」
正信の言葉に将和は眉を動かす。
「沖田の病状は思ったより酷くてな……やるか?」
「………」
将和は司令部を退出するとそのままマリアナ諸島のサイパン島に向かった。サイパン島の沖合いには大和が沈んでいたのだ。
「………」
サイパン秘密地下工場に将和は足を踏み入れ目の前には大和がヤマトへ改装中だった。将和は無言で大和に近寄り、艦体に手を触れる。
(大和……いよいよお前は飛び立つんだな。俺も本当はお前と行きたい。けど、俺は行けない)
将和は右拳を力強く握り締める。
(俺は……俺の大和はあのサイパン沖で終わったんだ。今更お前に乗ったら、大和に残った宇垣達の最期を汚してしまう……俺は……俺は……)
静かに涙を流す将和。
(済まない大和……赦してくれ……)
そしてヤマトは原作通りに地球を発進、将和は月軌道にてヤマトを見送ったのである。それから将和は再び正信に呼ばれた。
「新型戦艦の艦長に就任しろ」
「……ヤマト艦長を断ったあれでか?」
「それもあるが今回の戦艦はお前の名前にとっても特別でな」
「?」
「三笠……と言えば分かるだろ?」
「ッ」
『三笠』それは将和にとっても忘れられない言葉である。
「波動コアは火星に不時着したイスカンダル船のが回収に成功してな」
「けど資材がよく残っていたな」
「……三笠、長門、加賀、出雲の資材を流用した」
「!?」
正信の言葉に将和は驚愕した。あの四艦は記念艦として余生を過ごしていた。しかし……。
「彼女らも手伝ってもらった。それで聞きたい、艦長を引き受けるか?」
「………………………分かった、引き受ける」
正信の言葉に将和は頷くのであった。そして将和は体験する。原作以上の大戦争を。
「抜錨ォ!! 三笠発進!!」
「左舷戦闘ォ!! 砲雷撃戦用意!!」
「我等の前に勇者無し!! 我等の後に勇者無しだ!!」
ガミラス戦役が終わればと思えば次は白色彗星戦役。
「第十一番惑星から緊急電!!」
「彗星なんぞ波動砲で一捻りだ!!」
ヤマトに同行する三笠。
「そうだろ? シファル・サーベラー?」
「ッ!?」
「私は屈辱を忘れん男だ」
「貴方は何者なの三好将和?」
「三好将和、貴方はこの世界とは異なる者ですね」
始まるは地球の攻防。
「陸戦隊を都市帝国に突入させる!!」
「ヤマト、生きていたら……生きていたら……」
「土方さァァァァァァァァん!!」
そして歴史は動き出す。
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第七話(ヤマト×リリなの)
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
西暦2205年、銀河系中心部の宇宙で大きな異変が生じた。異次元断層から別の銀河が現れ、核恒星系付近で銀河系同士の衝突が起こり多くの星々が消滅したのである。
その謎を探るべく地球防衛軍の指令を受けた宇宙戦艦ヤマトは宇宙災害の調査と友好国である「ガルマン・ガミラス帝国」の本星へと赴くのである。しかし、ガルマン・ガミラス帝国の本星は壊滅しヤマトも正体不明の艦隊からの攻撃を受け一時期は行方不明だったが自動航法装置にて無事に地球へ帰還したのである。
ヤマトからの報告にあった水惑星「アクエリアス」が地球へ接近してきた。地球連邦は直ちに土星や木星に建設していたスペースコロニー等に地球市民を一時的に移住する事を決定。
避難船団の護衛には勿論地球防衛軍の宇宙艦隊が護衛している。
だか地球市民の避難船団にアクエリアスによって母星を失ったディンギル帝国の宇宙艦隊が地球市民を地球に封殺すべく襲い掛かるのであった。
「藤堂長官、冥王星からの通信途絶しました!!」
防衛軍司令部にてオペレーターが藤堂平九郎長官に報告をする。
「海王星の監視衛星が土星宙域に向かう敵艦隊を捉えています!!」
「……土星宙域にいる避難船団には外惑星艦隊が付いているがそれでも非常に危険だ。直ちに全艦隊を土星宙域に集結せよ!!」
「はっ!!」
直ちに地球艦隊は土星宙域に向かう。その土星宙域では避難船団を守るべく地球防衛軍外惑星艦隊の三個艦隊が奮戦していた。
「砲撃だ!! 何としても敵の水雷艇を叩け!!」
外惑星艦隊第二艦隊提督のパエッタ中将は旗艦パトロクロスの艦橋にてそう吠えていた。戦闘開始から一時間、避難船団は粗方地球方面への退避に成功していた。これも第一艦隊からの指示によるおかげだった。
(やはりガミラス戦役からの英雄は凄まじい……)
そう思うパエッタ中将だが不意にオペレーターが叫んだ。
「直撃、来ます!!」
「何!?」
ディンギル艦隊から放たれたガトリングレーザー砲がパトロクロスの艦橋付近を掠めていった。パエッタはその衝撃で床に倒れた。
「ぐぉッ!?」
「提督!?」
副官が慌ててパエッタを抱き抱える。
「だ、第一艦隊旗艦伊勢に通信を……」
「はい。伊勢に通信!!」
一瞬の間を置いてメインパネルに30代程の将官が映り出す。
『パエッタ中将!?』
「み、三好中将……私は重傷だ……第二艦隊の指揮権を貴方に渡す」
『自分にですか?』
「そうだ……ガミラス戦役からの英雄の手腕を見せて……うぅ……」
パエッタはそこまで言って意識を失うのであった。
「よろしい、兎に角第二艦隊の指揮権は俺が引き継ぐ」
外惑星艦隊第一艦隊旗艦伊勢の艦長席で外惑星艦隊司令長官の三好将和中将はそう宣言して艦長席に座り込む。
「今は敵にハイパー放射ミサイルを撃たせない事が優先だ。航空支援も忘れるな」
将和はそう指示を出す。
(全く……リメイク作品と思いきや旧作の世界だとはな……)
将和は転生者である。かつて日本を救った者だが死んで気づけば時は遥か未来のヤマトの世界である。勿論、将和は地球防衛軍に入隊し幾つかの死亡フラグを乗り越えて今は再建途中の外惑星艦隊司令長官兼第一艦隊提督を勤めている。
そしてディンギル艦隊との攻防真っ最中である。
「もう少しだ、もう少し粘れば精鋭の内惑星艦隊がやってくるぞ!!」
内惑星艦隊六個艦隊は西暦2205年に採用されたばかりの艦艇で編成された艦隊である。ちなみに内惑星艦隊は西暦2200年、白色彗星戦役時に活躍した艦艇が大半であった。
「敵艦隊後方から重力震多数確認!!」
「何!?」
重力震が多数、つまり敵艦隊の増援が現れた事を意味していたのだ。
「敵水雷艇母艦多数接近!!」
「……最早此処までか。後退する、ワープ準備急げェ!!」
三個艦隊はワープ準備に移行するがディンギル艦隊はそれを見逃す筈もなく三個艦隊に襲い掛かる。
「巡洋艦クインシー撃沈!!」
「構うな!! このままワープだ!!」
「更に巡洋艦ポートランド撃沈!!」
ハイパー放射ミサイルが巡洋艦ポートランドの側面を食い破りポートランドが爆発する。しかしワープ準備をしていた事でその膨大な量の波動エネルギーが三個艦隊に飛び散りやがては三個艦隊が光に包まれたのであった。
「ウワアァァァァァァァァァァァ!?」
そして残ったのはディンギル艦隊だけであった。多少は混乱したディンギル艦隊だがやがて内惑星艦隊が到着する報を受けて統制が回復、内惑星艦隊へハイパー放射ミサイルの乱打をするのである。
その後、地球防衛軍は外惑星艦隊の全滅と判断、戦闘詳報にも「最後は全滅するも外惑星艦隊は斯く戦えり」と記したのである。
しかし外惑星艦隊は全滅していなかったのである。
「長官、長官」
「む……」
副官に起こされた将和は目を開ける。気づけば艦長席に突っ伏していた。
「生きて……いる……?」
「どうやらそのようです」
将和はゆっくりと起き上がる。そして前方の宇宙を見るがいつも見ていた宇宙とは異なっていた。
「なんだこの宇宙は……」
「分かりません……」
将和らは皆を起こして周囲の状況を確認する。
「第一、第二、第五艦隊は健在です」
「第五艦隊提督のビュコック中将より通信です」
「メインパネルに切り替えろ」
『やぁ三好中将、生きていたようじゃな』
「どうやらまだ死神には嫌われているようです」
将和はメインパネルに映る第五艦隊提督のビュコック中将と話をする。
『儂もつい気が付いたばかりじゃて。どうするか困ったものじゃな』
「とりあえず周囲を探索しましょう」
『それが良いな』
そして三個艦隊は周囲を探索する。そして第一艦隊は前方宙域に何かをレーダーが捉えた。
「メインパネルに切り替えろ」
「これは……」
見れば一隻の戦闘艦艇が炎上しながら敗走していた。それを追うのはあのディンギル艦隊である。数は凡そ20隻あまり。
「空母加賀に連絡!! 直ちに攻撃隊を出してディンギル艦隊を撃破、炎上艦艇を保護せよ!!」
将和はそう指示を出しつつある事を思う。
(あの艦艇……何処かで見た気が……)
そう思いつつも攻撃隊はディンギル艦隊を攻撃し敗走させる事に成功した。しかし、炎上していた艦艇は動力部を停止させて漂流を始めた。
「駆逐艦を横付けして救助だ」
「分かりました」
救助された艦艇の乗員が面会を求めてきたので将和は艦長室で会うが入ってきた女性に唖然としたのである。
「この度は誠にありがとうございます。時空管理局本局の総務統括官リンディ・ハラオウンです」
「……地球防衛軍外惑星艦隊司令長官の三好将和中将です(リリなのの世界かァァァァァァ!!)」
表面上はにこやかに接する将和だが内では絶叫していた。
(リリなのの世界にディンギル艦隊もいるし……あっ、これ盛大な死亡フラグになりそう……)
そう思う将和であった。そして時空管理局と外惑星艦隊の三個艦隊は侵攻してくるディンギル艦隊に対し手を結び抵抗をするのである。
「本日付で旗艦伊勢乗員となりました機動六課です」
「……いや陸戦は最後の最後だろ」
八神らの機動六課乗り込みに頭を抱える将和。
「ですから貴方方の艦艇では到底ディンギル艦隊に抵抗は……」
「何を馬鹿な!! 必殺の信念があればこそだ、それにアルカンシェルを大量に撃ち込めば都市衛星なんぞ木端微塵だ!!」
「馬鹿じゃねーの」
そして始まるディンギル艦隊の侵攻。
「さぁ機動六課よ!! 特と見ろ、これが宇宙戦争だ!!」
「ハイパー放射ミサイルを発射する前に叩け!!」
「人があっという間に散っていくの……」
「目を逸らすな八神はやて!! 指揮官という選んだ道を逸らすな!!」
「うぅ!?」
「距離四万二千宇宙キロ!!」
「撃てェ!!」
水惑星アクエリアス。
『行きなさい、此処に貴方方が求める物はありません……』
(うるせぇ……)
都市衛星ウルクへの突入。
「都市衛星に突っ込むぞ!! 何かに掴まっとけ!!」
「はいッ!!」
「……何で俺を抱き締める八神……」
「魔法か、魔法を使えても人を殺めるのは許せぬか。笑止」
「ぼん!?」
「はやてお姉ちゃん……ぼく、地球で偉い事をしたんだよね……?」
「ぼん!? しっかりしぃ!! ……これが人のやる事なんか!! 父親がやる事なんか!! 答えるんやルガール大総統!!」
ミッドチルダに迫るアクエリアス。
「私が残るよ長官」
「ビュコック中将!?」
「儂はもう短い命じゃしな、儂はもう満足じゃよ……」
「発射ァ!!」
「リオ・グランデが……」
残された者と歩み出す者。
「さて、新たな出発だな」
「せやな。あ、機動六課はまだ伊勢付やからな」
「私もいますよ」
「ア,ハイ」
歴史は語るのである。
パエッタとビュコックは名前が浮かばなかったから拝借しました
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第八話(さらばヤマトのその後妄想)
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏……あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ……貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
無限に拡がる大宇宙。静寂と光に満ちた世界……生まれてくる星もあれば死んでいく星もある。
『私はこの日を待っていたのです。反物質である私の身体が役に立つでしょう。さぁ行きましょう』
テレサの導きと共にヤマトは動きだし、そしてガトランティス帝国のズォーダーが座乗する超巨大戦艦へ体当たり、ヤマトは永遠の旅に出るのであった。
「……終わった……」
地球連邦軍第13艦隊司令官の三好将和准将は巡洋艦妙高でヤマトの最期を目撃して艦長席に項垂れるように座る。
(結局、この結末は変えれなかったか……これからどうなる事やら……)
将和は溜め息を吐く。将和がこのヤマトの世界に転生してから既に32年という年月が経っていた。
ヤマトの世界という事に喜びつつもガミラス戦役を必死に生き抜いたが……実はヤマト2への移行ではなくさらばヤマトだと気付いた時はどう生き残るか悩みに悩んだ程である。
「せめて艦隊が全滅せずに壊滅状態に持っていくのがベストか……」
悩んだ末の将和の決断だった。その後、再建した地球防衛艦隊で将和は第13艦隊司令官へ就任した。
第13艦隊は巡洋艦4、駆逐艦8の艦隊ではあるが戦艦はまだ無かった。そこで将和は思い付く。
「そうだ、廃艦のヤマトを旗艦にしたらもしかしたら2への道が開けるかもしれない……」
将和はそう思い、藤堂長官等に便宜を計らいヤマトを旗艦にする事を交渉した。更に真田等とは知り合いだった事もありヤマトを廃艦から改装にすると話をしていた。
そして漸くヤマトを旗艦にする事が承認され意気揚々とした将和だが副官と科学局の技術者の大山からの報告に唖然とした。
「古代達がヤマトに乗艦して脱走!? 馬鹿な、真田はどうしたんだ!?」
「真田も古代に押されて行ったよ。改装も主砲の射程距離の延長しか出来なかったしよ」
大山の言葉に将和は古代の対応に落胆したのである。
(くそ、古代とも話をしておけば良かったか……)
そう思うが既に時遅しである。そして白色彗星の接近である。第13艦隊も勿論参戦しバルゼーの機動艦隊との戦闘を乗り気っての白色彗星への拡散波動砲である。
「反転するな!! 彗星の側面に沿って突っ走れェ!!」
将和は旗艦妙高の艦橋で叫ぶ、幾らかの兵器は破損したが生き残った。
結果として将和はその賭けに勝ち、第13艦隊は全艦無事に離脱した。しかし、防衛艦隊旗艦『アンドロメダ』を筆頭に防衛艦隊は彗星に呑み込まれ防衛艦隊は壊滅したのである。
その後、将和は生き残った唯一の艦隊司令官として残存艦艇を掌握しヤマトと共に彗星帝国と対決したが結果は先の通りである。
「……ヤマトの残存乗組員を収容次第地球に帰還する」
将和は救命艇に移乗した島達を乗せて地球に帰還するのであった。
「ご迷惑をかけました」
「もう良いのか新見?」
「はい」
二ヶ月後、横須賀宇宙港の一室にある第13艦隊司令部に出頭した第13艦隊技術参謀の新見薫三佐は多少疲れた表情をしながらもそう答えた。
恋人、師の死には幾らか堪えた模様だったが何とか乗り切ったようではある。
「それと藤堂長官から出頭命令が来ています」
「分かった」
将和は直ちに防衛軍司令部に出頭した。将和を待っていた藤堂長官と近藤参謀長(ゲーム版設定)は幾分かの疲れた表情をしているがそれでも将和を出迎えた。
「わざわざ済まないな三好准将」
「いえ、それで御用とは?」
「白色彗星戦役から二ヶ月が経った。深手を負った地球だが今は少しずつ立ち直りつつある」
白色彗星戦役後、大統領は即刻辞任を表明し首相が臨時の大統領に就任して事態を治めていた。
「確かに」
「我が地球艦隊も九割半の壊滅だがな」
白色彗星戦役後に残っていたのは巡洋艦9、パトロール艦17、駆逐艦41、護衛艦62の艦艇であり戦艦は文字通り全滅している。
「漸く補充は出来る」
「就役したので?」
「一先ずは日本で建造していた主力戦艦の『扶桑』『山城』『伊勢』『日向』が先日就役した。更に宙母の『鳳翔』『龍驤』もだ。乗組員は宇宙戦士訓練学校を出たばかりの卒業生が大半ではあるが……」
「それは仕方ないでしょう」
「その四隻を主力に第一艦隊を復活、その司令官に君を任命する三好『宙将』」
近藤参謀長の言葉に全てを察した将和は深い溜め息を吐いた。
「そこまで決まっているならわざわざ自分を呼ばなくても良いものを……」
「贖罪の意味も込めている。君がヤマトの事で色々動いていたのは私も知っているからね」
「そうですか」
「艦隊司令部としては第二次防衛計画を急がせてはいるが人手不足ではある」
戦役後、防衛軍は直ちに宇宙艦隊の再建を急がせていた。第一次防衛計画は上記の戦艦×4、巡洋艦×16を筆頭であり第二次防衛計画は戦艦×18、巡洋艦×24、宇宙母艦(宙母)×12を筆頭になっていた。
今のところ資材はあるので艦艇の建造は出来るが問題はその動かす人材の不足であった。
「だが向こうは待ってはくれない」
「冥王星に白色彗星の残存艦艇が占拠して以降、タイタン等の防衛線に時折攻撃を仕掛けてくる」
2では戦死するバルゼーだが何か生き残っていた事で白色彗星艦隊を掌握して冥王星を占拠して通商破壊作戦をしていたりする。
将和の第13艦隊も幾度か出撃して撃退はしているものの、それでも大戦艦×5、空母×4を主力にまだ残っているのだ。
「……早期に叩けと?」
「作戦は君に任せる。山南宙将はまだ訓練学校にいてもらわないと困る」
土方宙将の後を継いで宇宙戦士訓練学校の校長をしている山南宙将に艦隊へ戻ってきてほしいものだったが訓練学校の方が優先である。
「……分かりました、何とかやりましょう」
面倒な事になったものだ、と将和はそう思いつつ自身の艦隊司令部へ戻るのである。
(はぁ……当面は冥王星の白色彗星艦隊か……暗黒星団はどうなる事やら……)
椅子に座りコーヒーを飲みつつそう思う将和。
(待てよ……暗黒星団との戦闘はデスラーがガミラス星を訪れたからだよな……ならデスラーが死んでる今なら暗黒星団がガミラシウムを採掘しても文句は言われんか……あり? これだと暗黒星団との戦闘はならないフラグ?)
将和の表情は段々と変わっていく。
(暗黒星団との戦闘は無し→スカルダートが地球に目を付けない可能性。銀河系の中心部とかにいるボラー連邦→ヤマトがレパルスらと会わないし場合によっては地球に来ない可能性。アクエリアス→これは絶対に来る……ちょっとは楽になるよな? な?)
そう思いたい将和だった。そして将和は旧ヤマト乗組員達を使い防衛艦隊の再建を目指すのである。
「山本三佐は航空隊を任せる」
「……分かりました」
(大丈夫かなぁ……)
重傷で一人だけ航空隊で生き残った山本玲三佐は虚ろな目をしつつ将和に敬礼をする。
「伊勢の機関は任せてください」
「おぅ」
同じく重傷から復帰した伊勢機関長の山崎二佐は胸を張ってそう答える。
「本作戦を『イゼルローン』とする」
開始される白色彗星残存艦艇との艦隊決戦。
「山南宙将、後はお任せします」
「うむ。だが君はまだ働いてもらう」
「デスヨネー」
防衛艦隊旗艦で戦略指揮戦艦アンドロメダ改級『春藍』が就役した事で『伊勢』は防衛艦隊旗艦から外されて第二艦隊へ配備、将和も二番艦(主砲を三連装にした工期短縮型)を旗艦にして第二艦隊司令官に就任。
「ちなみに二番艦の艦名は?」
「『三笠』だ」
将和にとってかつての乗艦した艦の名を受け継ぎ、将和と共に往く。
「冥王星の通信、途絶しました!!」
「(来たなディンギル……)トチロー、ハイパー放射ミサイルの防御装置は?」
「完成してるけどテストはしてないぞ」
「そんな暇あるか!!」
戦闘準備させつつ将和は大山にそう言う。
「どうしてこうなったのかねぇ……」
艦長席でそう愚痴る将和だった。
「ところでよトチロー、新見と山本と一緒に寝ちまったんだがどうしたらいい?」
「年貢の納め時だな」
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m
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第九話(三好inガルパン)
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟く。
「何でTSしてるんですかねぇ……」
「何か言ったか和夏?」
「何もないぞ里子ちゃんや」
「私の事はエルヴィンと呼べと言っているだろう」
20××年、将和こと三好和夏はTSして県立大洗女子学園に入学して今は入学式の最中である。
(はぁ……まさかガルパンの世界に転生するとは……しかもTSしてるし息子は消えて娘になっているし……)
和夏はそんな事を思いつつ学園長の言葉を半場無視していた。
(エルヴィンが同級生という事は西住らとも同級生か……原作一年前だなぁ……)
入学式が終わり、教室で教師からの話も無視しつつ和夏は思案する。
(うーん……戦車道部作るか)
将和は悩んだ末にそう決断した。
(もしかしたら文科省も戦車道大会に出ていたら廃校の話も出てこんとは思うし……それに原作組も初めから戦車道部があればやりやすいだろう。後、俺も戦車乗ってやりたいし)
そう思う和夏は直ぐに行動を開始した。
「戦車道部?」
「あぁ、里子もやろうよ」
「エルヴィンだ。しかしカエサル達と忍道を履修すると……」
「掛け持ちも可」
「うーん……」
「戦車にドイツ戦車があれば里子に乗せてやる」
「乗った!!」
エルヴィンを通じて和夏は歴女チームを確保した。更に和夏は生徒会に新部活を申請した。
「戦車道部ねぇ……部費を出せる余裕は無いし同好会ならいいよ」
生徒会の角谷は和夏に告げると和夏も頷いた。
「それで構わないわ」
「戦車のレストア?」
「良いね、面白そうだ」
「レストアした戦車に乗ってもいいぞ」
「OK」
自動車部も確保して大洗戦車同好会が発足した。発足と同時に和夏は駐車場にある三式中戦車『チヌ』と倉庫にある四号戦車と長砲身、M3リー中戦車、38t、三突を確保してレストアに充てた。
「やっぱりバイトしか無いよなぁ……」
戦車のガソリン代等予算が無いので和夏は必然的にバイトをしてバイト代をそれに宛てる事にする。また、それを知ったエルヴィン達も少しだが出してくれた。
「戦車道大会に出たいな……」
「面白そうぜよ」
「何れは部に昇格して部費も手に入るかも……」
「やりましょうよ和夏殿!!」
あれよあれよと戦車道大会に出る事が決まる。ちなみに秋山は最初は物陰に隠れていたが和夏に見つかってそれ以降は同好会入りをしている。
また、ねこにゃーこと猫田達ネトゲチームもいたりする。
「……やるのはいいけど人数がギリギリね」
「一車両に最低三人はいないと……」
「出るのは決定なのか……」
「狙うは優勝!!」
「お、燃えるねぇ!!」
斯くして大洗戦車道同好会は第62回戦車道全国高校生大会に出場するのであった。
「大洗女子学園ね……」
「どうしたのエリカさん?」
「戦車道同好会が大会に参加するなんてとんだ茶番劇ね」
「そ、そうかな……?」
「そうよ」
大会の組み合わせに訪れていた西住みほと逸見エリカはそう話す。
「ま、どうでもいい事ね」
そう吐き捨てるエリカだった。そして和夏達の一回戦はというと……。
「BC自由学園かー」
「どんな高校なんだ?」
「まぁ医科にもおフランス!! という高校だな」
「使用する戦車もルノーFTとS35の混合だな(ARL44いなくて助かった……)」
内心、そう思う和夏だった。それは兎も角、大会は始まるのであった。
「戦車前進!!」
人数が13人しかいない同好会は結局、三人・四人での運用となった。
四号(和夏・秋山・おりょう)
三式(ネトゲチーム)
三突(カエサル・エルヴィン・左衛門佐)
M3(自動車部)
『それでどう動く和夏?』
「ここはアルデンヌといこうじゃないか」
『……心得た!!』
和夏の言葉に察したエルヴィンは喜ぶ。
「単独行動は禁ずる。三突は四号、三式とリーで行動。左右から迂回し敵を発見次第通報、付かず離れずを維持してもう片方の来援まで待機せよ!!」
『了解!!』
斯くして試合が始まる。
『和夏!! 見つけたぞ!!』
「よーし、先の命令通りな」
『任せろ!!』
合流して叩く、ww1辺りの戦車だったルノーFTを蹂躙し敵フラッグ車を撃破するのであった。
『大洗女子学園の勝利!!』
(……何とか勝てたか……)
和夏は溜め息を吐いた。
(さて、何処まで行けるかな……)
しかし、和夏の予想を裏腹に二回戦のアンツィオ高校にまでも勝利した。次は聖グロリアーナだった。
「たった四両の戦車で此処まで来れた事は評価に値しますわ。ですが貴女達は此処までの事」
「はいはい、さっさとやるわよ」
「……いい気にならない事ね」
ダージリンはそう言ってチャーチルに向かう。
「チャーチルを見つけたら重点的に狙え。目標は前面だ」
「和夏殿って以外と根に持つタイプですか?」
「紅茶飲みながらああ言われたらムカつくわ。それに紅茶はブランデー入りのが好きよ」
「……今の発言は危ないぜよ」
なお、チャーチルは集中砲撃されて撃破される。聖グロリアーナにも勝つがそんなある日、和夏は生徒会に呼ばれた。
「次の試合、棄権するから」
「……何故ですか?」
「有無は言わさないよ。棄権は大洗女子学園で決定済みだよ。既に大会本部にも通達している」
「ふざけるなァ!!」
角谷の言葉に和夏は吠える。しかし、角谷は有無を言わさず退出を命じ更に和夏を同好会から追放までさせたのである。
「三好和夏は同好会から追放、同好会は部に昇格させる」
「待ってください、和夏が何をしたんですか?」
「君達から集めた資金を流用して自身の私腹に入れていたんだよ」
そう言われてはエルヴィン達も何も言えなかった。和夏への接触も禁止を言い渡された。
「……私は何をしたかったのかな……」
和夏は自宅でそう呟く。和夏自身、何れは西住みほに譲るつもりだった。しかし、これは何だ?
「……もうどうでもいいや」
和夏はそう呟いたのであった。そして生徒会等の思惑が全て判明するのはプラウダ戦の時だったのは誰も知らない。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m
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第十話(三好in戦極姫)
今年もよろしくお願いします
戦極姫3の三好長慶は俺の嫁
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「人生、何が起きるかは死んでからでも分からんのだな……」
将和はそう思う。時は戦国時代、つまり将和は今度は戦国時代に来ていたのだ。
(記憶は五歳時からでしかも場所は阿波国ときたもんだ……)
将和がいる屋敷の場所は阿波国三好郡芝生ーー阿波国で三好郡と言えば日本史、特に戦国時代が好きな者がいれば直ぐにピンと分かるだろう。
(拾われたのがまさか三好元長とはな……)
将和の記憶であれば五歳時の時は孤児だったらしく、偶然にも通り掛かった三好元長が拾ったという事である。
名前も三好将和であり元長の養子ではあるが庶子の長男という形であった。
(問題は……)
そう思っていた将和だがドタバタと二人の男女が将和の元に走ってきた。
「兄貴!! 今日こそ兄貴から一本取るからな!!」
「申し訳ありません兄様、又四郎が……」
「分かった分かった、相手になるぞ又四郎。大丈夫だ孫次郎」
将和は二人にそう言う。孫次郎と又四郎、この二人は後に三好長慶と十河一存になる人物であるが一つ問題があった。
孫次郎と呼ばれたのは明らかに女性だからだったのだ。しかも将和はその女性をかつて明治の世へタイムスリップする前から知っていた。
(戦極姫3に出てくる三好長慶まんまじゃねーか)
姿こそ幼いがかつて平成の世にて将和が熱中していたゲームのキャラであった。
(又四郎も面影がゲームの一存に似ている……て事は此処は過去の日本ではなく戦極姫3の日本だな……)
そう分析する将和である。将和自身も何故自身がまた転生したのかは考えてはいるがまだ答えは出ていない。
(全く……神様は俺に休息を与えてはくれんのかね……)
将和はそう思いながら一存の槍捌きをかわすのであった。その後、大物崩れ等順調だった元長が運命が変わった。
木沢長政の飯盛山城を攻囲していたが10万の本願寺門徒の参戦で状況は一変、本願寺門徒に蹴散らされ逃げ込んだ顕本寺を取り囲まれ元長は足利義維を逃がすのに精一杯だった。主君から見限られた上に、勝ち戦を大敗北に貶められた元長は自害して果てた。その自害の様とは、自身の腹をかっ捌いただけで終わらず、腹から取り出した臓物を天井に投げつけるという壮絶さであったという。
「何!? 義父が……」
「はっ、無念の一言であります……」
阿波にて将和は元長の悲報を聞いた。
(このままでは三好家は瓦解する……)
原作までの三好家道筋は分からない。だが容易でないのは確かである。将和は直ぐに元長の弟である三好康長の元を訪れて三好家当主就任を要請した。
「叔父上、義父殿亡き今は叔父上が当主となり三好家を支えるべきかと……」
「いや……儂にはそんな役目は無理だろう。これまで通り三好家の一門衆として支える」
「し、しかしでは当主には誰が……」
「御主がやれば良かろう」
康長の言葉に将和は目を見開いた。
「お待ちください叔父上。私は確かに三好家の者ではありますが出自については御存知の筈……」
「確かに出自は知っておる。だが御主の才は広く知られておる。今の三好家を支えるのは御主しかいない」
前世の知識もあった事で色々と政に参加しているおかげもあり阿波国にて将和の名は広く知られていた。しかし、それでも将和は当主就任は固辞した。
「叔父上、私には当主の座は務まりますまい。だが孫次郎ならばどうですか?」
「孫次郎か……だが孫次郎はまだ幼い」
「なので孫次郎が元服するまで私が当主代行として三好家を支えまする」
「成る程」
将和の言葉に康長は納得の表情をした。これにより将和は三好家当主代行に就任した。当初は家臣達も将和の事を毛嫌いをしていたが将和は細川家と一向一揆の和睦を促したり、細川家との和睦を拒否した一向衆を蹴散らして摂津越水城を奪回したりしてそのような声は直ぐに消えたのである。
また、その後も細川と睨み合いをしつつも将軍義晴の命令で京の治安維持をしたりして三好家当主代行の仕事を果たしたのである。
そして孫次郎は元服して名を利長とした。後の三好長慶となる二歩前の事である。
「これでようやく肩の荷が降りる」
元服の孫次郎を見つつホッと安堵の息を吐く将和だったがそれもつかの間であり何と利長、当主は将和がなるべきと言い出したのである。
「待て待て待て、どうしてそうなる」
「兄様は上手く遣り捌いていた。貴族の顔見知りも少ないしそれなら兄様が継いだ方が……」
「いやいや、お前が当主であるべきなんだよ。大丈夫だ、俺が支えるから」
将和は康長らと共に説得して何とか利長が当主になるのである。利長の心配を他所に三好家の勢力範囲は更に増していく。又四郎は十河氏の養子となり十河一存と名を変えて三好家一門衆の一員となり四国の三好家拡大を支えるのである。
この頃、三好家は史実と異なり阿波・讃岐・更には伊予を抑えていた。そして利長と将和は細川晴元の要請で四国から畿内に上陸して晴元の配下となり晴元を支援していく。
「兄様、細川は元は父の仇です。それを……」
「焦るな利長、焦りは禁物だ。今は雌伏の時だ」
利長に将和はそう言うのであった。その後、畠山や足利義晴らとの抗争を経て三好政長父子追討を契機として遂に晴元に反旗を翻したのであった。
「利長は晴元なんぞ気にするな。今は政長父子に専念してを滅ぼせ」
「無論だ」
「一存と長逸は利長の側で補佐だ」
「承知したぜ兄貴」
「承知致しました」
弟一存と三好長逸が頷く。更に将和は新たに任官した松永久秀と岩成友通に視線を向ける。
「久秀と友通は俺と共に」
「畏まりましたわ」
「分かりました~」
久秀は口元を扇子で隠し友通はにこやかに答えた。そして三好家は動く、利長らは政長を討ち政勝を降伏せしめて将和らは京の入口である山崎に布陣して細川を迎え撃つ構えをしたが晴元は足利義晴・義輝父子らを連れて近江国坂本へ逃げたのであった。
(政勝は降伏……少々早いけどまぁ三好三人衆になる器だから此方で鍛え直したら大丈夫だろ……問題は六角だが……)
そう思いつつ将和は久秀に視線を向ける。
「久秀、お前は信貴山城に入り大和の筒井を抑えろ。筒井を捕らえるなりしたら大和はくれてやる」
「フフフ、感謝しますわ将和様」
久秀はニヤリと笑い将和に頭を下げるのであった。そして将和は部屋に一人籠り思案する。
(これで三好家はとりあえずの磐石は得た……が油断すれば直ぐに史実と同じ運命になる。それだけは避けたい)
将和はそう思いつつ記憶のある日本地図を描く。
(四国……後は土佐だけを抑える。畿内……本願寺と上手く連携しつつ堺と大和、京を抑える。中国地方はまだ大内義隆がいるし手を出せんしまぁ播磨に備前くらいか。九州は島津と同盟をして大友と龍造寺を倒さないとなぁ……)
西は脳内で整理する。
(んで以て尾張のノブノブだ。尾張を統一したらしいから桶狭間までのフラグは近いな……それまでに紀伊を通して伊勢に介入すれば……問題は虎と龍が当分死にそうに無いという事だな……案外北条と同盟を結ぶのも手だな)
そう思う将和である。斯くして将和の思いは他所に物語は始まるのである。
「播磨を取り中国地方の足掛かりとする」
「将和はん、あんたは何をする気や?」
「何だと思う顕如?」
再び畿内で騒乱が幕を開ける。
「三好将和を討て!!」
「そいつは素敵だ義輝。面白くなってきたぞ!!」
「長慶に助けてもらった命……此処で使うわ!!」
新しい時代の幕開けとも言える桶狭間の戦い。
「首は捨て置け!! 狙うは今川義元の首ただ一つ!! うつけの信長に続けェ!!」
『ウオォォォォォォォォォ!!』
「今川義元、尾張桶狭間にて討死しました!!」
「……来たか」
そして将和と信長は関ヶ原で激突をする。
「三好将和の天下とは何ぞや!?」
「『富国強兵』『日ノ本の統一』也!!」
「共に来い信長。お前が目指す天下は俺が知っている」
西の動乱。
「大友が耳川で大敗北!!」
「三好家とは縁が切らないようにしないとねぇ。そうだ、義弘ちゃんを三好将和のお嫁さんにしましょうか」
「( 'ω')ファッ!?」
ついでに将和の取り合いも勃発。
「将和の嫁は私だろう」
「黙れ信長、武に長けた妾がなるべきじゃのぅ。なぁ将和よ?」
「わ、私はどうせ胸も皆に比べたら小さいし……」
「正室は私だろ兄様?」
「」逃げた
どうなるかは全て作者次第である。
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三好inサクラ大戦
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「……太正12年?」
気付けば将和は大正……ではなく太正12年の日本にいた。そう、太正12年である。
「……でも俺には関係ないよな……」
将和は新聞を読みながらお茶を啜る。新聞の見出しには帝国歌劇団に関する事が書かれていた。将和はとりあえずは前世で行っていた事をしていた、宮様らも特には言わなかったので多分帝国歌劇団の事は知らない。そう思っていた。
大帝国劇場の支配人である米田一基中将が将和の自宅を訊ねてくるまでは……。
「いやぁ急に済まないねぇ三好大佐」
「いえ……それで何用でしょうか?」
「……三好大佐、これから話す事は全て事実の話だ」
そして米田中将は語り出す。日本政府直属の秘密防衛組織である帝国華撃団、帝国陸軍対降魔部隊、本部は銀座にある大帝国劇場で支部は浅草花やしきや北海道等々……。
「それで……自分に何をしろと?」
「……お前さんの事はある程度は調べさせてもらった……タチアナ皇女……三好夕夏の事とかをな」
(夕夏の事まで……流石は米田中将……いや藤枝中尉の情報能力か……)
「それでな、極秘で分かった事がある……三好夕夏に莫大な量の霊力がある事が分かった」
(ーーー!?)
米田中将の言葉に将和の脳が一気に活性化しサクラ大戦に知識を関する事を脳裏に叩き出す。
(やめろ……やめろ……)
「勿論、君にも多量の霊力を保有している事を俺も掌握している。そこで帝国歌劇団としては……」
(やめろ……やめろ……)
「三好大佐と三好夕夏を九人目の隊員として迎えたい」
その瞬間、将和は思いっきり机を叩いた。そして将和は思いっきり叫んだ。
「ふざけるなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
その叫びは別室にいた夕夏やタチアナは元より屋敷の外で警備していた陸戦隊の隊員にも聞こえていた。
「よりによって……よりによって夕夏に霊力だと!? ふざけているのか!!」
「……ふざけてはいないぜ、確かに三好夕夏にも霊力はある。俺はその力を使ってほしいと思うってわけだ」
「その答えが帝国華撃団か!!」
将和は米田中将が屋敷に来た時点で薄々感づいていた。即ち、自分にも霊力があるのではないか? ならばその力を日本のために使うべきだと思っていた。しかし、夕夏にも霊力があれば話は別である。
(夕夏を……夕夏をあんなところにやれるか!!)
あんなところーー即ち帝国華撃団であり、大神一郎の元にやるのは言語道断であった。原作を多少なりとも知っている将和にしてみれば13股の男の元にやれば……である。
まぁ将和も現時点では夕夏とタチアナの2股している野郎でもあるが……話を戻す。そんな裏事情を知っている将和は反対であった。
だが米田もそれだけではいそうですかと諦めるわけにはいかない。
「三好大佐……これは国家の存亡をかけた危機でもあるんだ……帝国軍人であるなら聞き分けろや」
「帝国軍人である前に自分と夕夏は夫婦だ。そんなところにやるわけにはいかない」
「……三好夕夏の事、バレても良いのかい?」
「やってみな、そうしたら俺は帝国歌劇団を爆撃してやる」
二人の互いに睨み合う、しかしそれを破る者がいた。
「勝手に動くのは協定違反ではないのかな?」
「宮様……」
現れたのは宮様であった。
「これは宮様。ですが自分は帝国歌劇団の司令長官でもあります。帝都を守るのであればそれは義務では?」
「だからと言って陸海軍が結んだ協定を強引に破るのは如何とは思うがね? それに三好大佐に関する事は帝国歌劇団が権限を持つ事は出来ない」
「ほぅ……」
「御上からの勅命だ」
「……ッ……」
そう言って宮様は米田中将に勅命の紙を突き出した。それを見た米田中将は肩を竦めた。
「成る程……御上の勅命であるならば仕方ありません。……今は諦めましょう、それでは」
そう言って米田中将は部屋を退出するのである。
「済まない三好大佐、米田中将が屋敷に向かっていると聞いて慌てて飛び出してきたのだが……全てを知ってしまったようだね」
「はっ……(いやまぁサクラ大戦に関する事は知ってるけど……)」
一息ついた後、将和は夕夏とタチアナを呼んで宮様から話を聞いていた。
「帝国歌劇団の創設は日本陸海軍は元より経済界等も資金を投資している。しかし、実態としては米田中将らの陸軍が多くを掌握している。それに関しては海軍も特には反対をしていない、歌劇団は陸を主に戦闘しているから陸が掌握するのは当然の事だ。しかし……人事権限を大いに利用して海軍から多くの人材を引き抜いている」
「大神少尉も元は海軍の尉官ですからね……」
「大神少尉の件で陸海は協定を結んでいたのだよ、強引な引き抜きは禁止するとね。だが結果はこれだ。クソッタレが……」
宮様はそう言って舌打ちをする。
「今回の件で海軍は完全にキレたよ。折角八八艦隊を偽装してまで資金を帝国歌劇団に提供したと言うのにこの様じゃあね」
「では……?」
「陸軍がそうするなら海軍もそうする。つまり海軍も歌劇団……華撃団を創設する」
「……もしかして隊長は……?」
「君しかいない」
「まぁ……そうなりますよね、霊力があるって言われましたし……てか海軍に霊子甲冑はあるので?」
「あるにはあるがまだ試作段階でな。何せ三菱と元独・ノイギーア社員達との共同開発だからな」
「あらぁ、それはどんなのか気になるわね」
そこへ口を挟んだのが夕夏だった。
「ゆ、夕夏?」
「貴方、私は嬉しいのよ。欧州での戦いで貴方は空へ向かい私は地上で貴方の帰りを待つ……そんな日々は嫌だった。私だって何かの力があれば貴方の横に立ち共に戦いたかったもの」
「夕夏……」
「だからね、私も参加するわ。これは譲れないわよ」
「………」
「ちなみに私も霊力とやらがあれば参加するわよ」
「おいおいタチアナ……」
「爆撃から助けてもらったお礼……まだ返してないからね」
「ハッハッハ、いや三好大佐のところは面白いものだな」
ニヤリと笑うタチアナである。なお、宮様は笑っていた。兎も角として海軍も海軍で独自の華撃団を創設する事になる。
「これが独自の霊子甲冑……か」
「名付けて三式人型機動霊機『紫電』だ!!」
将和の前には濃緑色に染められた霊子甲冑ーー三式人型機動霊機『紫電』である。
「それと華撃団の名前って……」
「考えてくれ三好大佐」
「えぇ……(困惑)」
そして判明する帝国歌劇団とは異なる敵。
「たかが江戸幕府復活を目論む程度の敵の話ではない。我々の敵は日本を滅ぼそうとしている怨念達だ」
「クキキキキキ……承平天慶の乱以来だぞ、この面白い戦は!!」
「朕を讃岐に流した怨み……晴らしてもらおうぞ!!」
「梅の花……そうだ、我はもう一度あの庭で梅の花の香りを……」
将和と夕夏、タチアナ達は出撃する。
「皇国華撃団出撃!!」
彼彼女達は日本のために戦うのである。
あえて帝国華撃団ではなく別の華撃団にする事で大神らと接触するのは防いでみた。
そのために米田中将が悪役になっちまったのはほんと申し訳ない
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三好inFGO
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟く。
将和は何処かにいた。ただ、真っ白な世界。だが将和の目の前に誰かがいる。でも見えなくて分からない、気配は複数はいる、それも大勢だ。そう将和は思うが将和は何となく目の前にいるのは誰かが分かった気がした。
『三の世を好きに生きし者よ。今一度、その力を両の手で使い将を率い和を以て藤の花に協力せよ』
「………八百万の神々に問おう。それは俺への命令か? それとも貴女方神々の願いか?」
『否、否。命でもなく願いでもなし。運命であり己の使命であり親友の頼みであり英霊達の願いであり船乗りの思いである』
「……了承した船乗りの友よ。我は今一度今生の世に神霊として甦り日ノ本の民を、そして日ノ本を救済する」
『……願わくば幸ある道へ』
「構わない。俺が望んだ道である」
「イヤイヤァ!!こんな事で死にたくない!私は、私はまだやりたことが沢山あるのよ!」
「所長!!」
「駄目です先輩!!」
A.D.2004、炎上汚染都市である冬木にて事態は大幅に終息へ迎えようとしていた。しかし、レフ教授の裏切りの発覚に加え所長であるオルガマリー自身が既に死亡していて、自身は残留思念に過ぎない事に発狂。カルデアスに引き込まれたオルガマリーを立香は助けようとするがマシュに抑えられた。今、立香も行けば立香自身も助からないのは明白だった。
「ァァァァァァァァァァ!?」
オルガマリーはカルデアスからの吸収に叫ぶ、ただ叫ぶ。そして心から願う。
「私は、私はまだ生きたい!! 誰か……助けて……」
「誰でも……誰でも良いから所長を助けてくれェ!!」
オルガマリーの悲痛な叫びに立香は叫ぶ。気に食わない所長かもしれないが目の前で消えてしまうのはよっぽど嫌だ。
そしてそれを聞き入れた者がいた。
『良かろう、お前は生きろ』
『!?』
その声を全員が聞いた瞬間、オルガマリーは何者から手を引かれてカルデアスから離れる事が出来た。
「……何者だ?」
レフはオルガマリーを助けた白い制服の者に問う。だが白い制服ーー第一種正装ーーを着た将和はニヤリと笑う。
「なに、ただの野良神霊だ」
オルガマリーを地面に置いた将和は刀をゆっくりと抜く。
『宝具 ???』
「なっーーー」
レフはその一斬を以て消滅した。
「……ま、こんなところか」
そして将和は呆然としているオルガマリーに視線を向けた。
「今生の世は死人だろうが、今のお前は生きている。その生をよく噛み締めろ」
そして将和は英霊……ではなく神霊として「人理継続保障機関・カルデア」で『クラス セイヴァー』として厄介な事になるのであるが将和はだらけるにだらけた。
「あ、あのセイヴァーさん。今度の特異点を……」
「あ、パスで。なぁに、俺がいなくてもやれるやれる!!」
「ア,ハイ」
一応マスター(契約はしてないがとりあえずマスターとしている)である立香……ぐだ男の要求も拒否してPCでネット三昧を送るのである。しかも黒ひげことエドワード・ティーチやノッブこと織田信長等も加わり基本は遊んでいた。
しかも遊んでいる事で他のサーヴァントから大いに顰蹙を買っていたりする。なお、他のサーヴァントでもエミヤや英雄王等からは一定の評価はあったりする。
「普段を見ていると間抜けに見えるだろう。だがあの雑種はそうではない。内に秘めた想いはある」
「普段がなぁ……それを直したら女性達も評価を変えてくれると思うぞ。後、セイバーとのあれをバラすのはやめろ(迫真)」
「よく飲みに行きますけど俺はまだ飲めないですし……でもセイヴァーが深酒をしたら面白い話をしてくれますよ」
等々であった。まぁなんやかんやでとりあえずは上手くやれていた将和だったがそれをぶち壊す集団が現れた。
『侵入者!侵入者!』
カルデア全体に緊急警報のアラームが鳴る。そんな中でも将和は黒髭達とネトゲをしていた。
『侵入者だってよ』
「結界を敷いてるから問題ねーわ」
将和はそう言いながらも戦車で敵戦車を撃破する。
『お、クリア』
「次だ次」
その時、ドシンという音がする。揺れた、地震とかではなく人工的な揺れだ。
『近いな』
「仕方ない、ゴミ掃除しながら見てくる」
『おう』
将和はそう言って一旦PCを切って部屋の外に出る。扉を開けるとそこは噴煙だらけであった。
将和は誰かが戦っている方向に歩くが何故か銃弾の音が聞こえる。
(何で此処で銃撃なんだ?)
そうしているとドカドカと前の方から武装した兵士らが現れた。しかもナチスとソ連の軍服である。
「サーヴァントだ!! 殺せ!!」
兵士達はMP40やPPsh-41で銃撃するが将和はそれを避けてグロック17で片付けた。
「ナチスとソ連の軍服……?」
服装に不審に思うがとりあえずはぐだ男の元に行く事にした。
(何か嫌な予感すっからなぁ……)
「先輩!?」
「ぅ……」
突然、カルデアに現れた謎の武装集団はぐだ男を昏倒させ拉致しようとしていた。シールダーのクラスであるマシュはぐだ男を助けようにも他の武装兵に阻まれていた。それは他のサーヴァント達も同様である。
「何なんだこの集団は……」
「マスターに危害を加えるなら敵です」
エミヤの言葉にジャンヌはそう言う。そうしているうちに二人の男がサーヴァント達の前に立つ。
「カルデアに住ましサーヴァント達よ。マスターを返してほしくば奴を呼べ」
「奴……?」
「知らぬとは言わさん。そうミヨシマサカズを呼べ!!」
男の言葉にエミヤ達は首を傾げた。
「……ミヨシマサカズって誰だ?」
「さぁ……? アストルフォは?」
「いや……僕もさっぱり……」
サーヴァント達は首を傾げるが二人の男はサーヴァント達の反応に笑った。
「クカカカ……クカカカカカカカカカ!! 面白い、面白いぞ!! 奴は今度こそ安寧の日々を手に入れたと見える!!」
男の言葉に他の武装兵達も笑い出す。しかし、そこへ壁を突き破る者がいた。
「お邪魔ーっと」
「貴方はセイヴァー……」
ジャンヌや女性サーヴァント達は顔を歪める。特にジャンヌ・オルタなど養豚場の豚を見るかの目をしていたがいつもの事なので将和は気にしない気にしない。目の前に現れたのは基本ニートであまり仕事をしないセイヴァーこと将和だからである。
「全く……懐かしい硝煙の匂いがすると思えばナチとアカか……」
「セイヴァー……?」
セイヴァーの言い方にジャンヌ達は疑問を覚えた。セイヴァーはこいつらを知っている……?
「セイヴァー、こいつらを知っているのか?」
「あぁ……懐かしいものだな」
「クカカカ……クカカカカカカカカカ!! おぉ懐かしいなミヨシマサカズよ!!」
「貴様の事……忘れぬ日はなかった!!」
「いや、俺は男にストーカーをされるのは趣味じゃねぇな」
「フン、この顔を見てもかね?」
そう言って二人の男がマスクを外す。それを見たセイヴァー……将和は意外そうな表情をした。
「ほぅ……残留思念体にまでなって俺を殺そうとするかちょび髭に髭親父」
「クカカカ……我らは貴様を殺す一心を以てソロモン王に頼み甦った……」
「そう、魔神柱としてな!!」
「フン、死んどけ死んどけ。貴様らが甦る理由はない」
「クカカカ……果たしていつまでそう言えるものかな」
そして他の武装兵達は消えていく。
「ミヨシマサカズよ、マスターを返してほしくば我らの元に来るが良い。因縁のスターリングラードでな」
「また会おうかアトミラール・ミヨシ……」
そう言って消えるのであった。
「……チッ厄介な事になったな。おいロマニ、特異点は?」
「それよりも貴方は何なんですか!?セイヴァーのはずですよね?ミヨシマサカズって一体……」
「黙れ小娘」
ジャンヌの返しに将和はそう答えた。サーヴァント達は将和のあまりの変わりように思考が追い付いていない。
「ククク……それが本来の貴様か?」
「まぁそんなところだ」
英雄王は楽しそうに笑うが将和は倒した武装兵が落としたMP40等を拾って弾を確認しつつ弾倉に入れて装填し歩き出す。
「晩飯までには戻るぁ」
「ちょっと!!」
「ロマニ、特異点は1942のスターリングラードだな?」
「あ、あぁ。確かにあいつらの行き先を探知したらA.D.1942のスターリングラードだよ」
「ならレイシフト頼むわ」
「あ、あの皆で乗り込めば……」
「悪いがいらん」
マシュの言葉に将和はそうピシャリと告げる。
「な、何よその言い方!?」
「言葉を濁すよりハッキリと伝えた方が良いだろ。お前らが思ってるような戦いじゃないからだ」
「ふむ、私は同行しても構わんだろう?」
「エミヤも無理だ。あの年代は全てを経験した者にしか分からない」
「あの年代……まさかセイヴァー、君は……」
「ほんじゃまか行ってくらぁ……」
そして将和はレイシフトを行い1942のスターリングラードへ赴くのであった。
後書き
ストーリー的に1.5部に当たる。なお、特異点としてはA.D.1942のスターリングラード・A.D.1945のベルリン・更にエクストラステージとしてA.D.1945のマリアナ諸島がある。
将和のクラスはセイヴァー『救世主』
まぁ所謂日本の救世主だからセイヴァーという安易に浮かんだだけ。
なお、ヒロインについてはある程度は決まってるが内緒
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三好inFGO改
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟く。
将和は何処かにいた。ただ、真っ白な世界。だが将和の目の前に誰かがいる。でも見えなくて分からない、気配は複数はいる、それも大勢だ。そう将和は思うが将和は何となく目の前にいるのは誰かが分かった気がした。
『三の世を好きに生きし者よ。今一度、その力を両の手で使い将を率い和を以て藤の花に協力せよ』
「………八百万の神々に問おう。それは俺への命令か? それとも貴女方神々の願いか?」
『否、否。命でもなく願いでもなし。運命であり己の使命であり親友の頼みであり英霊達の願いであり船乗りの思いである』
「……了承した船乗りの友よ。我は今一度今生の世に神霊として甦り日ノ本の民を、そして日ノ本を救済する」
『……願わくば幸ある道へ』
「構わない。俺が望んだ道である」
「イヤイヤァ!!こんな事で死にたくない!私は、私はまだやりたことが沢山あるのよ!」
「所長!!」
「駄目です先輩!!」
A.D.2004、炎上汚染都市である冬木にて事態は大幅に終息へ迎えようとしていた。しかし、レフ教授の裏切りの発覚に加え所長であるオルガマリー自身が既に死亡していて、自身は残留思念に過ぎない事に発狂。カルデアスに引き込まれたオルガマリーを立香は助けようとするがマシュに抑えられた。今、立香も行けば立香自身も助からないのは明白だった。
「ァァァァァァァァァァ!?」
オルガマリーはカルデアスからの吸収に叫ぶ、ただ叫ぶ。そして彼女は心から願う。
「私は、私はまだ生きたい!! 誰か……助けて……」
「誰でも……誰でも良いから所長を助けてくれェ!!」
オルガマリーの悲痛な叫びに立香は叫ぶ。気に食わない所長かもしれないが目の前で消えてしまうのはよっぽど嫌だ。
そしてそれを聞き入れた者がいた。
『良かろう、お前は生きろ』
『!?』
その声を全員が聞いた瞬間、オルガマリーは突然現れた何者から手を引かれてカルデアスから離れる事が出来た。
「……何者だ?」
レフはオルガマリーを助けた白い制服の者に問う。だが白い制服ーー第一種正装ーーを着た将和はニヤリと笑う。
「なに、ただの野良神霊だ」
オルガマリーを地面に置いた将和は刀をゆっくりと抜く。
『宝具 ???』
「なっーーー」
レフはその一斬を以て消滅した。
「……ま、こんなところか」
そして将和は呆然としているオルガマリーに視線を向けた。
「今生の世は死人だろうが、今のお前は生きている。その生をよく噛み締めろ」
そして将和は英霊……ではなく神霊として「人理継続保障機関・カルデア」で『クラス セイヴァー』として厄介な事になるのであるが……あまりの人手不足に将和は頭を抱えた。
「おい、何でこんなにいないんだ?」
「その……レフ教授の爆弾が各所に仕掛けられて……」
「成る程。各所に爆弾を仕掛けて職員も殺傷か……テロ紛いをするなら一番の効率だな」
ロマニの言葉に将和は頷く。
「分かった、まずは書類処理から始めようか」
「セイヴァー……?」
「俺は裏方に回ろう。それが良いだろう、なに神霊だから寝なくても済むし72時間以上働けますかだな」
「こういった作業をやった事が?」
「こう見えても軍政もしていたからな。一国の首脳だったしな」
「セイヴァー、貴方って何者……?」
「文字通りセイヴァー『救世主』だな。それと、あいつらにこの現状を伝えるな」
「どうしてなのさ?」
「あいつらが知る必要はない。いつも苦労するのは大人の役目だ」
「……それもそうだね。ところで所長をどうやって現世に戻すのかい?」
「社を建てといた。職員は元より皆が毎日拝め、そしたらこのカルデアの土地神として復活するよう手配しておいた」
「手配……?」
「あぁ手配だ」
ロマニの言葉に将和はニヤリと笑う。
「後、泥は俺が全て被ろう。裏方に回ったとか言わなくていい」
「……君はキリギリスになるつもりかい?」
「全員が働き蟻は無理だからな。構わんさ」
「……済まない……」
「良いって事さ」
そして将和が裏方で作業する日々が続く。
「あ、あのセイヴァーさん。今度の特異点を一緒に……」
「あ、パスで。なぁに、俺がいなくてもやれるやれる!!」
「ア,ハイ」
一応マスター(契約はしてないがとりあえずマスターとしている)である立香……ぐだ男の要求も拒否して表向きはPCでネット三昧を送る……という設定である。しかも黒ひげことエドワード・ティーチやノッブこと織田信長等も加わり三人で裏方の作業をする事になる。
「フヒヒヒ、拙者こういうのは(PC操作)得意でござる」
「まさか未来でもこういうのに追われるのは思わなかったのぅ……」
「政経験者がいるのは楽で良いよな」
なお、表向きは遊んでいる設定なのでそれを知らない他のサーヴァントから大いに顰蹙を買っていたりする。なお、他のサーヴァントでもエミヤや英雄王等からは一定の評価はあったりする。
「普段を見ていると間抜けに見えるだろう。だがあの雑種はそうではない。内に秘めた想いはある」
「普段がなぁ……それを直したら女性達も評価を変えてくれると思うぞ。後、セイバーとのあれをバラすのはやめろ(迫真)」
「よく飲みに行きますけど俺はまだ飲めないですし……でもセイヴァーが深酒をしたら面白い話をしてくれますよ」
「ちょっとジャンヌ・オルタ、何で此処にいるのよ?」
「フン、あいつに夜食を持って行く事に理由があるのかしら?」
「ぬぎぎぎぎぎ……」
「フン」
等々であった。まぁなんやかんやでとりあえずは上手くやれていた将和だったがそれをぶち壊す集団が現れた。
『侵入者!侵入者!』
カルデア全体に緊急警報のアラームが鳴る。そんな中でも将和は黒髭達と裏方作業をしていた。
「侵入者だってよ」
「結界を敷いてるから問題ねーわ」
将和はそう言いながらも書類処理を行う。
「終わったから送信でござる」
「次だ次」
その時、ドシンという音がする。揺れた、地震とかではなく人工的な揺れだ。
「ふむ、近いのぅ」
「仕方ない、ゴミ掃除しながら見てくる」
「おう」
将和はそう言って一旦書類を置いて部屋の外に出る。扉を開けるとそこは噴煙だらけであった。
将和は誰かが戦っている方向に歩くが何故か銃弾の音が聞こえる。
(何で此処で銃撃なんだ?)
そうしているとドカドカと前の方から武装した兵士らが現れた。しかも何故かナチスとソ連の軍服である。
「サーヴァントだ!! 殺せ!!」
兵士達はMP40やPPsh-41で銃撃するが将和はそれを避けてグロック17で片付けた。
「ナチスとソ連の軍服……?」
服装に不審に思うがとりあえずはぐだ男の元に行く事にした。
(何か嫌な予感すんなぁ……)
「先輩!?」
「ぅ……」
突然、カルデアに現れた謎の武装集団はぐだ男を昏倒させ拉致しようとしていた。シールダーのクラスであるマシュはぐだ男を助けようにも他の武装兵に阻まれていた。それは他のサーヴァント達も同様である。
「何なんだこの集団は……」
「マスターに危害を加えるなら敵です」
エミヤの言葉にジャンヌはそう言う。そうしているうちに二人の男がサーヴァント達の前に立つ。
「カルデアに住ましサーヴァント達よ。マスターを返してほしくば奴を呼べ」
「奴……?」
「知らぬとは言わさん。そうミヨシマサカズを呼べ!!」
男の言葉にエミヤ達は首を傾げた。
「……ミヨシマサカズって誰だ?」
「さぁ……? アストルフォは?」
「いや……僕もさっぱり……」
サーヴァント達は首を傾げるが二人の男はサーヴァント達の反応に笑った。
「クカカカ……クカカカカカカカカカ!! 面白い、面白いぞ!! 奴は今度こそ安寧の日々を手に入れたと見える!!」
男の言葉に他の武装兵達も笑い出す。しかし、そこへ壁を突き破る者がいた。
「お邪魔ーっと」
「貴方はセイヴァー……」
ジャンヌや女性サーヴァント達は顔を歪めるが、いつもの事なので将和は気にしない気にしない。目の前に現れたのは基本ニートであまり仕事をしないセイヴァーこと将和だからである。
「全く……懐かしい硝煙の匂いがすると思えばナチとアカか……」
「セイヴァー……?」
セイヴァーの言い方にジャンヌ達は疑問を覚えた。セイヴァーはこいつらを知っている……?
「セイヴァー、こいつらを知っているのか?」
「あぁ……懐かしいものだな」
「クカカカ……クカカカカカカカカカ!! おぉ懐かしいなミヨシマサカズよ!!」
「貴様の事……忘れぬ日はなかった!!」
「いや、俺は男にストーカーをされるのは趣味じゃねぇな」
「フン、この顔を見てもかね?」
そう言って二人の男がマスクを外す。それを見たセイヴァー……将和は意外そうな表情をした。
「ほぅ……残留思念体にまでなって俺を殺そうとするか……ちょび髭に髭親父」
「クカカカ……我らは貴様を殺す一心を以てソロモン王に頼み甦った……」
「そう、魔神柱としてな!!」
「フン、死んどけ死んどけ。貴様らが甦る理由はない」
「クカカカ……果たしていつまでそう言えるものかな」
そして他の武装兵達は消えていく。
「ミヨシマサカズよ、マスターを返してほしくば我らの元に来るが良い。因縁のスターリングラードでな」
「また会おうかアトミラール・ミヨシ……」
そう言って消えるのであった。
「……チッ厄介な事になったな。おいロマニ、特異点は?」
「それよりも貴方は何なんですか!?セイヴァーのはずですよね?ミヨシマサカズって一体……」
「黙れ小娘」
ジャンヌの返しに将和はそう答えた。サーヴァント達は将和のあまりの変わりように思考が追い付いていない。
「ククク……それが本来の貴様か?」
「まぁそんなところだ」
英雄王は楽しそうに笑うが将和は倒した武装兵が落としたMP40等を拾って弾を確認しつつ弾倉に入れて装填し歩き出す。
「晩飯までには戻るぁ」
「ちょっと!!」
「ロマニ、特異点は1942のスターリングラードだな?」
「あ、あぁ。確かにあいつらの行き先を探知したらA.D.1942のスターリングラードだよ」
「ならレイシフト頼むわ」
「あ、あの皆で乗り込めば……」
「悪いがいらん」
マシュの言葉に将和はそうピシャリと告げる。
「な、何ですかその言い方!?」
「言葉を濁すよりハッキリと伝えた方が良いだろ。お前らが思ってるような戦いじゃないからだ」
「ふむ、私は同行しても構わんだろう?」
「エミヤも無理だ。近代戦を理解していると思うが……あの年代は全てを経験した者にしか分からない」
「あの年代……まさかセイヴァー、君は……」
「ほんじゃまか行ってくらぁ……」
そして将和はレイシフトを行い1942のスターリングラードへ赴くのであった。
そして将和は途中まで一人で数千の相手をするのである。
「戦車を盗むって……映画とかで有りそうだな」
「あら、面白いじゃない」
「負傷したら手当てはします。とりあえず切断しますけど」
「……何でお前らいるんですかねぇ……」
「……ところでセイヴァーがいない間の政務はどうする?」
「もうこうなったら全員にバラすのが早いわ!! てかワシも遊びたいし是非もないよね!!」
「あんたは遊びたいだけが本音でしょ……」
「だってワシ信長だし!!」
後書き
ストーリー的に1.5部に当たる。なお、特異点としてはA.D.1942のスターリングラード・A.D.1945のベルリン・更にエクストラステージとしてA.D.1945のマリアナ諸島がある。
将和のクラスはセイヴァー『救世主』
まぁ所謂日本の救世主だからセイヴァーという安易に浮かんだだけ。
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三好in紺碧の艦隊2
「開戦から連戦連勝の日本軍……良い事ではないですかな」
照和18年、日本の首都である東京。その麹町のとある料亭で将和は宮様達と久しぶりに出会い、宴会をしていた。
「まぁその間にリーガン艦隊との戦闘で空母『赤城』の喪失はありましたがそれでも高杉艦隊は正規空母7隻を維持していますな」
「うむ」
「『赤城』喪失は真に申し訳ありません」
「仕方ない。戦争とは紙一重なものだ」
謝る高杉に将和はそう言う。
「そう言えば試作した艦戦はどうなりました?」
高杉は航空機会社『烈華』の社長に転職した小沢に問うが小沢は首を横に振った。
「泰山航空に取られたよ。一番の出来だと思ったがね」
小沢が創設した航空機会社は泰山航空の台頭で倒産・縮小した三菱や中島、川西等の技術者達が集まって出来た会社である。技術者達の中には堀越や太田稔、菊原静男、土井武夫等の名前を連ねている。
「『陣風』……『電征』に負けたか。俺が試験パイロットをしたせいかな……」
テストパイロットとして参加していた将和がポリポリと頭をかく。大量生産を目的としていた『陣風』は速度680キロ、13.2ミリ機銃二丁(機首)30ミリ機銃二丁(主翼)を搭載し主翼下にはロケット弾をも搭載出来るようにしていた。
だが、それでも海軍が選んだのは『電征』であった。
「次は恐らくクリスマス島攻撃になると思います」
「おいおい、機密をあまりばらすなよ」
「ふん、構いません」
紺碧会と確執はある高杉だが優秀であるが故にまだ艦隊司令官を担えている。(というよりも高杉並の司令官枠が紺碧会側にいないというのもあった)
「無理はするなよ高杉?」
「無論です」
そして高杉はクリスマス島攻撃に向かう事になる。
「小沢、局戦の開発もしといてくれ」
「まさか……一年前の状況が起きる可能性があると?」
「アメリカというよりドイツになるかもしれんぞ?」
「ドイツ……ですがゲーリングは我が社のパイロットですし……」
記憶があるゲーリングは開戦前に日本に亡命していた。これ以上、ドイツを何とかするのは諦めて家族と共に小沢の会社にいるのである。
「兎に角、開発はしてくれ」
「分かりました」
そして舞台は高杉艦隊に移動する。
「機雷です!!」
「速度減速!! 取舵いっぱぁーい!!」
B-17から投下された機雷群を避けるため旗艦『因幡』以下の艦艇が回避運動をする。
「『利根』、触雷!!」
後方にいた航空巡洋艦『利根』は機雷の回避が間に合わず、艦尾に命中し速度を落としていた。
「右舷から敵爆撃機!?」
「新三八弾射撃開始!!」
「駄目です、俯角が最大仰角のまま照準不能!! 間に合いません!!」
「………」
「長官!!」
「取舵いっぱぁーい!! 最大戦速!!」
「取舵いっぱぁーい!! 最大戦速!!」
「三番砲塔は右舷直角へ旋回、待機!! 一、二番砲塔は左舷へ直角旋回!!」
『因幡』の41サンチ三連装砲が高杉の指示の元、旋回待機をする。
「敵機来ます!!」
接近してきたB-32はロケット弾攻撃を展開する。数機は『因幡』を通過するが高杉は見逃さなかった。
「三番、撃ェ!!」
「一、二番、撃ェ!!」
新三八弾は故障なくその威力を発揮、襲撃してきたB-32は全て叩き落とされたのである。そして後方退避していた『加賀』らも襲われていた。
「食わしゃあしねぇぞ!!」
今まさに『加賀』を攻撃しようとしていたB-32に戦闘機パイロットのまま在籍している将弘の電征が体当たりした。(なお、将弘は脱出している)
「撃ちまくれェ!!」
秋月型防空駆逐艦の対空射撃により襲撃してきたB-32は全機撃墜したのである。
(『加賀』を喪失していたら……三好隊長に殺されていたな)
報告を受けた高杉は深い安堵の息を吐くのであった。だが、戦争はまだ続くのである。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m
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三好in恋姫
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「折り入って頼みがあります」
「……どっかで見た顔触れだなぁ……」
死んだと思った。だが、気付いたらそこは何もない真っ白い空間であり将和は浮いていた。いや、地面の感触はあったので浮いてはいないと思う。その将和の目の前には四人の男達がいた。二人は着物を着ていたが残る二人は半裸に近かった。というかパンツ一丁のがいる。
「……恋姫の人物だよな?」
「あらぁん。よく判ったわねぇ」
「若◯と秋◯がいるからな」
「それ以上はいけない」(戒め
とりあえず話を変えようとする将和である。
「それで外史の調律者がしがない俺に何用かな?」
「……おい、本当にこいつに託すのか?」
青年が眼鏡の青年に問う。その口調はイラついているようである。
「えぇ本当ですとも。それが上の願いであり要望ですから」
「……チッ……」
「何を言ってるんだ緑◯に子◯」
「色々とやめろそれは」
将和のネタに青年が口を挟むが将和は気にしない。
「では本題に入りますよ?」
「まぁ……嫌な予感しかしないけどな」
「……日出づる国を滅の危機から救いし者三好将和。国は違えど今また、一つの国を滅の危機から救いし天を手にしてほしい」
「………」
(めちゃくちゃ嫌な顔をしてますねぇ……)
将和の表情を見た眼鏡の青年ーー于吉は冷や汗をかきながらも崩れた眼鏡をクイッとあげる。
「名声……名誉……欲は飽きたと?」
「……勘違いしては困るな」
于吉の問いに将和は表情を変える。その表情は先程までの嫌な表情ではなく歴戦の猛者の顔をしていた。
「俺は欲を欲するために、あの戦いを、あの悲劇を、あの国を変えたわけではない。全ては日出づる国のためだ」
「その結果が貴方の人生を縛った結果だとしても?」
「それが八百万の神々からの使命と俺は考える」
(……成る程。上がこの者を欲しがるわけだ)
それを言い切る将和に于吉は内心、上が何故三好将和を欲するのかを分かった気がする。
(だが……この者はあの人達の守護がある。上の思い通りには到底ならないな……)
欲しがる者の後ろに誰がいるのか、それを見た于吉は苦笑する。
「それは失礼。ですが……」
「言いたい事は分かるぞ于吉。どうせ俺が赴くのは分かりきっている」
言葉を続けようとした于吉だが将和はそれを遮った。
「分かりきっているなら何故……」
「分かりきっているからこそ、嫌だとは言いたいぞ。俺だって一人の人間だぞ」
于吉の言葉に将和はそう答えた。そうだ、将和とて一人の人間であるのだ。
「嫌味の一つくらい言わせろっての」
「貴様……」
青年が右拳を握りしめるがそれを抑えたのは若本ーーではなく自称踊り子の貂蝉である。
「やめておきなさぁい左慈ちゃん」
「くっ……」
貂蝉の言葉に青年ーー左慈は拳を収めた。
「それで? 俺はどうしたらいい?」
「話が早くて助かるぞ」
「……我々を知っているという事である程度は分かると思いますが……とある外史の一つに行き、そこで天下を治めて頂きたい」
「……とある外史……ね」
「えぇ……北郷一刀が魏√での世界ですがね」
「消える√やん。てことは赤壁で史実通りに勝てと?」
「赤壁でも構いませんし反董卓でも構いませんよ?」
「準備期間というのも考えろい」
于吉の挑戦的な発言に将和はそう交わすのであった。
「後程、協力者を送っておきましょう」
「さよけ(長谷川だったらどうしよう……)」
そして于吉から旅費等の資金を貰うと将和は恋姫の世界へ向かう。降り立った場所は揚州の建業の郊外であった。将和は孫呉に仕官する気だった。率直にしたら孫呉に仕官して赤壁までに順当に出世したら良いやという認識だったが……それは初端から挫かれる事になる。
「( 'ω')ファッ!? 仕官を認めない……?」
「はい、張昭様は「素性がハッキリせぬ者を認めるわけにはいかぬ」と……」
遣いからの報告に将和は唖然とした。
(おいおい……孫呉は人手不足じゃなかったのかよ?)
将和はそう思うが流石に素性が分からぬ者を容易に雇うわけにはいかなかった。初端からその出鼻を挫かれた将和だが何処かの国への仕官を諦めるわけにはいかなかった。
(確か荊州の南陽に袁術がいたな……そっちに行ってみるか)
そう判断した将和は荷物を纏めて荊州の南陽郡に向かうのであった。なお、袁術の方も当初は素性が分からぬと仕官を断られたが役人の懐に饅頭(意味深)を送って後日採用された。その後、将和は前世の知識等を活用して袁術家でのしあがっていく。
将和が一気に袁術家の重臣としてのしあがれたのは武官である紀霊の汚職を一掃した時だろう。紀霊は長年に渡り私腹を肥やし続けていたが将和の摘発により失脚、首が飛ばされたのでその後釜として将和が抜擢されたのである。
堕落していた袁術と張勲に将和からのどぎつい活が入ったのは言うまでもない。
「ピィィィィィィ!? な、七乃、三好は妾の家臣ではないのかや!?」
「アハハハハハ……また三好さんに怒られる……怒られる……怒られる……」
「七乃ォ!?」
二人を鍛えつつ南陽郡の発展に貢献しつつの将和に新たな協力者が現れる。
「お久しぶりです……貴方」
「美鈴……」
協力者はかつて将和と夕夏の死の間際まで見届けてくれた最愛の一人であった。なお、服装は某門番とほぼ同じである。
更に迎えるは黄巾の乱である。
「カッカッカ。張昭にしては珍しく失敗したもんだな!!」
「……ぬぅ……」
将和を孫呉に迎え入れようとした孫堅だが将和がそれを断り、理由を言った時の孫堅の笑いと張昭は頭を抱えるのである。
そして……。
「将和よ、妾は決めたぞ」
「美羽……」
「麗羽の横暴には我慢出来ん……董卓……月が暴政をしているなど以ての他。妾は月に付くのじゃ!!」
歴史とは異なり、董卓側に袁術が付く。
「例え同じ袁家の血筋だろうと容赦はしませんわ!!」
「袁術が董卓側に付くなんて絶対に有り得ない……まさか俺と同じ人がいるのか?」
反董卓連合軍と二つ関を巡って激突が行われた。
「討って出る。華雄は俺と共に、張遼は関を守備してくれ」
「はァ!? マジかあんた!?」
「マジだとも。なに、袁紹に挨拶をしてくるだけだ」
そして将和と華雄は袁紹の陣に向けて真っ直ぐに突撃する。他の曹操や孫堅等の陣に目もくれずにである。
「突撃ィィィィィィ!! 被害を恐れるな!!」
「ヒッ!? いや、来ないでェェェ!!」
「あの陣形は鋒矢の陣形!? 馬鹿な、あの陣形は島津家が使用していた筈……まさか!?」
曹操の陣営の中で驚愕する北郷を他所に将和の部隊は袁紹軍を壊滅的打撃を与える事に成功するが関を放棄して最後の関である汜水関に後退して『その時』が来るまで防戦を展開する。
「伝令!! 伝令!!」
それが来たのは力押しに来た袁紹軍が汜水関の門扉を押し破った時である。
「天子様からの中止命令!! 双方共に矛を収めよ!!」
「それと今日を以て漢は一度滅ぶ。野望がある各諸将はそれぞれの国に帰り国を立ち上げよ。争え、競え、飲み込め。それが漢王朝の帝たる朕の最後の命令である」
国を滅ぼす決断をした少女の最後の願い。各諸将は己の野望に帝の命令に従い国を立ち上げる。
そして荊州を統一した袁術も国を立ち上げるのである。
「国名は『仲』じゃ!! 皆と共に仲良く暮らす国を作るのじゃ!!」
晴々しく宣言をする袁術に将和は子を見るような表情で微笑むのである。急報が届いたのはそんな時である。
「孫呉の軍勢が江夏に侵攻!!」
「一先ずの決着を付けようか孫堅」
江夏で激突する仲と呉の軍勢。
「楔を打ち込め!!」
「カッカッカ!! 面白い、面白い戦になってきたなぁ三好将和!!」
「まだまだ甘いな孫堅」
「仲、これ程……いや、全ては三好将和か」
孫呉を降した仲。そして決戦の場所は因縁の場所とも言える赤壁。
「秋山参謀……貴方の戦術を借ります」
「三好将和!? 三好将和だって!!」
「一刀、知っているの?」
「知っているも何も、彼は英雄だ!! 俺の祖国をかつて亡国の道から救った英雄だよ英雄!! ハッキリと言って三好将和の能力は正直、華琳よりは上だ。項羽や劉邦の能力が合わさった能力だ」
「……ならば尚更燃えてきたわ一刀。私は三好将和に勝って魏を天下に知らしめる!!」
「水戦の初めにはまず敵旗艦を叩く。全艦突撃!! 狙うは曹操の旗艦ただ一隻のみ!!」
魏との戦いをも勝利した将和、だが真の敵は北からやってきたのだ。
「五湖の軍勢、凡そ百万!!」
「……北郷!! 捨て奸は任せろ。お前は三国の武将による釣り野伏せをやれ!!」
「三好さん!?」
「将和、行ってはならんのじゃ!! 言うたではないか、妾の政を見ると!!」
「将和さん!?」
「美羽……七乃……生きろ」
「私は行きますよ貴方」
「美鈴……」
「置いて行かれるのはあれだけで十分です」
「……フッ、なら往こうか。聞け三好隊!! 此処が俺達の死に場所だ!! 友のため、家族のため、愛する人のため俺達は此処で死ぬぞ!!」
『オオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』
斯くして物語は紡ぎだす。一筋の未来のために………。
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三好inガルパン2
「大洗が廃校って……」
「そのままの意味だよ」
プラウダ戦、教会に立て籠ったみほ達は角谷からの言葉に目を見開く。
「文科省からの接触があったのは去年、戦車同好会として大会に出ている時だった」
「……ちょっと待て……まさか……」
「……文科省からの要求だった。大会を棄権をしなければ学校をその時点で廃校と決定すると……」
「そんな……」
「私達はそれを受け入れた。大会は棄権、当時隊長として率いていた三好和夏を偽りの罪を着せて追放させた。そうでもしないと廃校となるからね」
「わ……私は……」
「エルヴィン殿!?」
角谷の言葉にエルヴィンは膝から崩れ落ちたのを優花里が慌てて支えた。
「なら勝ちましょう」
「西住ちゃん……」
「勝ってその三好さんに謝りましょう」
「……間に合うかな?」
「間に合いますよ!!」
そして彼女達は勝つために死中に活を見出だすために動き出す。
そんで和夏はと言えば……。
「クソ、此方セイバー。ヒットした」
『となると残りはアーチャーしかいないのか』
『だがな……別に全員倒しても構わんのだろう?』
『フラグ回収乙』
アーチャーもヒットしてそこで試合は終わった。
「いやー、流石に四人だと負けるな」
「仕方ない」
「一応ボク達は女の子だからね」
「杉山がボクっ子かぁ……」
学園艦から離れて和夏は日本の横浜でサバゲーをしていた。
「この後はどうする?」
「アキバでオタク巡り」
「異議なーし」
「うむ」
和夏に付き添う女性達は迷彩服を脱ぎながらそう言い合う。なお、彼女達は長谷川、東條、杉山、牟田口がTSしたものであり今は長谷川清海、東條英美、杉山初音、牟田口蓮となって第二の人生を歩んでいた。しかも大洗女子学園に在籍している。
「そういや戦車道、プラウダにも勝ったみたいね」
アキバで四式チトの模型を購入しようとして財布の中身とにらめっこをしている初音がふとそう呟いた。
「……まぁ原作通りかな」
対して和夏は零戦54型の模型を見てそう返した。その様子に清海達は溜め息を吐いた。
「もう許してあげたら?」
「話を聞く限りじゃ昨年の棄権も文科省の命令だったらしいじゃないの」
昨年の棄権は文科省からの命令だった。その出所は生徒会であり、生徒会もマスコミに公表して文科省は連日に渡りマスコミや関係者等から批判を食らいまくって窮地に立たれていた。なお、生徒会やエルヴィン達から謝罪のため和夏の寮に訪れたりしたが和夏は居留守をしたり面会拒絶の札を扉に貼ったりして一切会おうとしなかった。
「許すとかの問題じゃない。人としての問題ね」
生徒会は生徒に昨年の棄権理由を全て話し、和夏は同情の視線が送られ、それまでの手のひら返しに会おうとしない要因にもなっていた。
「女のイジメは男より酷いとは聞いていたけど、本当の事ね」
『………』
和夏の言葉に清海達は何も言えなかった。三人も和夏と同じ時期に記憶が戻っていれば……と何度悔やんだ事だろう。
「さて、これを買ってくるわ」
和夏は先ほどの零戦54型と量産型四式チトの模型を手に持ち、レジに向かう。だがレジには見知った者がいた。
「あら、和夏さんではありませんか」
「……何でいるの?」
「あら、私が模型を購入しようとしてはいけませんの?」
「いや、そうじゃないけど……」
和夏の前にいたのは聖グロのダージリンだった。なお、手にはセンチュリオンの模型を持っていた。
「お暇かしら?」
「アキバでオタク巡りをしている最中なので」
「この近くに英国風の喫茶店が新しく出来たので行きましょう」
「いや、人の話聞けよ」
ダージリンの言葉にそう言い返す和夏であるが清海達が割り込んでくる。
「まぁまぁ」
「話すだけと言ってるんだし」
「そうそう」
「あ、ちょ……」
結局は押しきられてしまい喫茶店に入り込む和夏達である。
「……やっぱりブランデーが無いと駄目ね」
「貴女……侮辱してません?」
「紅茶を飲む時はそうしているから」
和夏の一部の発言にダージリンは冷や汗をかきつつも紅茶を一口飲み先に切り出した。
「戦車道には戻らないのかしら?」
「今更戻ったって何もありはしないわ。今の主は西住だしね」
「……そう」
「何か言いたげね?」
「なら、貴女は逃げたままでいいのかしら?」
ダージリンは挑戦的に告げる。だが和夏は冷徹に返した。
「私の役割は終わった。ただそれだけの事よ」
「ッ……貴女は……」
「私は所詮、踏み台にしかなれない。それだけの事」
和夏はそう言って立ち上がる。
「心配してくれるのは嬉しいわ、紅茶ありがとうね」
「ッ……馬鹿……」
和夏はダージリンに笑うとダージリンは頬を染めて視線をそらす。その様子に長谷川達は溜め息を吐いた。
(女を落とす技術だけはTSしても変わりないなぁ……)
(おぉキマシキマシ)
(此処にキマシタワーを作ろう)
四人はそう思いながらダージリンの奢りであるケーキを頬張るのである。その後、決勝戦はテレビ放送もされ大洗は無事に勝利するのである。
(ま、勝ったのは予定通りかな)
テレビを見ながら和夏はコーヒーを飲む。そう、まだ大洗は全ては終わってはいなかったのである。
「廃校撤回は口約束だから無効……まぁあの役人ならそう主張するでしょうね」
宛がわれた木造宿舎の部屋で和夏はそう呟く。エキジビションマッチの後、急遽文科省主導の移動作業に追われていたが漸くの一息がつけれたところである。なお、部屋は五人部屋であり長谷川達が同居人であった。
「あ、そうだ。今度土浦駐屯地に行こうよ」
「土浦駐屯地?」
不意に蓮が言い出した。
「うん。うちのお父さんからの連絡でチトの修復作業が終わったみたいなんだよね」
「なぬ、チトとな!?」
蓮の言葉に初音が反応する。やはり元陸軍であるからであろう。
「行こう!! 是非とも行こう!!」
「落ち着け落ち着け……」
和夏の眼前まで迫る初音に和夏も冷や汗をかきながら頷くのであった。なお、数日後には土浦駐屯地に赴いて修復したチトを思う存分見学するのである。そして五人が戻ると宿舎の入り口にはダージリンがいた。
「……今度は何?」
「……秋の日の ヴィオロンの ためいきの ひたぶるに 身にしみて うら悲し北の地にて 飲み交わすべし」
「………」
「貴女の来訪を待っているわ……皆でね」
ダージリンはそう言って去るのである。残されたのは和夏と長谷川達であるが和夏は無言で宿舎に入り、それを長谷川達が見送るのである。
(クソッタレ……私はどうしたい……?)
部屋に入りベッドに寝転がる和夏は瞼を閉じて思う。
(私の役割は終わった筈なのに……なのに、どうして……)
和夏の脳裏にはエルヴィン達と一緒に戦車道をする光景しかなかった。
(どうしてこんなに悲しいんだよ……)
ツゥと閉じる和夏の瞼から涙が溢れていた。そこへ長谷川達が部屋に入ってくる。
「和夏……準備は出来ている」
「お前ら……」
「こんな事もあろうかと思ってとある戦車を借りるようにしておいたからな」
「和夏、お前のしたい行動をしろ。私達は全力でお前を支援するよ」
「……ありがとう……」
和夏の腹は決まった。涙を袖で拭き取り長谷川達を見渡す。
「あいつらの試合に参加する。前進準備!!」
「ヨッシャー!! 直ぐに燃料満タンにしてきてやる!!」
「弾薬の積み込むは終わっているから後はそれだけだな」
「試合服の準備だ準備!!」
斯くして和夏達は動き出す。そして数日後の試合会場、大洗のために次々と各校の戦車達が集まる。
『増援は私達全部で21両だって言ったでしょう? 貴女のところは5両よ』
ダージリンが知波単学園の隊長である西にそう説明しみほの元へ赴く。
「お待たせしたわねみほさん」
「ダージリンさん……」
「でも30対29よ、後の1両はどうする気よ?」
まほの側にいたエリカがダージリンに問うがダージリンは微笑んだ。
「大丈夫よ。後1両は必ず来るわ」
「……あれ、この音……」
草原の彼方からエンジン音が聞こえてくる。そして徐々にエンジン音の他にも音楽が聞こえてきた。
「こ、この音楽はまさか……」
大きくなる音楽、その音楽の意味が分かった優花里は顔を喜びの表情に変える。砂煙と共に現れたのは1両の旧日本陸軍の戦車だった。三式中戦車のような野砲を搭載した戦車砲ではなく純粋な長砲身の戦車砲であった。
そしてその戦車のキューポラにはかつてみほがプラウダ戦の時に見せた軍神立ちをし腕を組んでいた。
「き、旧日本陸軍の四式中戦車『チト』です!! しかもこの音楽は『抜刀隊』ですよ!!」
「お、落ち着いて優花里さん……」
興奮する優花里を宥めつつ、みほは軍神立ちをする女性ーー和夏に視線を移す。『チト』はみほの手前で止まり、和夏が降りてきてみほの前で正体する。
「元大洗戦車道同好会隊長三好和夏及び希望者四名、現戦車道部に未練は無いが友のため助けに来た」
「……ありがとうございます三好「和夏でいいよ」……はい和夏さん」
「和夏!?」
そこへエルヴィンが駆け寄る。
「和夏……あの、私……」
「……気にしないで」
「えっ……?」
「正直、まだ私にも生徒会には含む物はあるわ。でも今は何も気にしない事にしているから」
「……分かった。ありがとう和夏」
「いいわよエルヴィン」
「遅いですわよ和夏さん?」
「スピーカーを取り付けるのに苦労したからね」
「音楽での登場はやってみたかった!!」
なお、主犯は牟田口のようである。
「相手は強敵ですわ。お願いしますわ」
「あらダージリン、別に全車を倒しても構わんのでしょう?」
「おい馬鹿やめろ」
ニヤリと笑う和夏に後ろで長谷川がツッコミを入れる。
そして三好和夏にとっての最後の戦車道が始まるのであった。
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三好inジパング前編
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「敵ィィィ直上ォォォォォォ!! 急降下ァァァァァァァァ!!」
その声を聞いた瞬間、叫んだ。
「とぉーりかぁーじ!!」
『取舵20!!』
次に気付けば将和はあの懐かしい『加賀』の艦橋にいた。上空には1000ポンド爆弾を腹に抱えたSBDドーントレスが9機、急降下していた。『加賀』は左に回頭しつつ対空射撃を浴びせる。そのおかげで急降下していた先頭のSBDは対空射撃で粉砕した。
更に2機撃墜するもそこまでだった。撃墜を免れた他の機は次々と投下した。それでも『加賀』は回避性能を発揮、『加賀』はSBD9機の急降下爆撃の回避に成功した。
しかしその他艦艇は回避出来なかった。
「『赤城』被弾!!」
「続いて『蒼龍』も被弾!!」
将和の周囲に展開していた空母『赤城』『蒼龍』が被弾して炎上していた。格納庫や飛行甲板には第二次攻撃隊を発艦寸前だった事もあり二空母は誘爆を繰り返して炎上だった。
(クソッタレ……)
悔しがる将和だがそこへ声をかけたのは一人の通信参謀だった。
「三好長官、二空母の救助をしつつ敵機動部隊への第二次攻撃隊を発艦すべきです」
「草加……」
将和は驚愕した。そこにいた通信参謀は『ジパング』で『みらい』の角松達と死闘を繰り広げる事になる草加拓海がいたのである。将和が驚愕したので草加も少々驚いていたがそれを見た将和は直ぐに我に返る。
「済まん。二空母の救助活動をしつつ第二次攻撃隊の発艦を始めろ」
「ハッ!!」
そして取り掛かる草加達を他所に将和は考える。
(まさか……『ジパング』の歴史と俺が歩んだ歴史が融合したのか……?)
草加が此処(MI作戦)にいるのは原作でも同じだった。そう考えるのが妥当だろう。ならばと……将和は口を開いた。
「草加参謀」
「はっ」
「君は後方にいる『大和』の堀長官の元に向かい現時点での戦況を報告せよ」
「分かりました。直ちに『薩摩』の水上機で向かいます」
草加は将和に敬礼をし艦橋を後にするのであった。 その後、MI作戦は米機動部隊の空母『エンタープライズ』『ワスプ』『ヨークタウン』の撃沈に成功し攻略目標のミッドウェー島の占領にも成功する。これにより将和が掲げていたミッドウェー海戦の大敗を乗り切る事が出来たのである。
そして未帰還機の中には『薩摩』の水上機も含まれており草加参謀は戦死と断定された。
(『ジパング』の話は言うべきではないな……)
話せば宮様達も余計に混乱すると判断したのだ。
「だが念には念を押してソロモン方面の警戒は必要がいるな」
「うむ。八艦隊の三川には注意を促しておくか」
斯くして8月7日、米軍はソロモン諸島のガダルカナル島に上陸をする。日本軍もラバウル・ブイン基地から発進した第25航空戦隊と第26航空戦隊の零戦隊と一式陸攻が全力攻撃を展開、更に三川中将の第八艦隊が8日夜半にガダルカナル島泊地へ突入を開始、警戒部隊を全て壊滅させ揚陸させていた武器弾薬糧食を艦砲射撃によって灰塵化させる事に成功する。
その様子を一隻の軍艦が目撃していた。
「艦長、これは明らかに我々の歴史と異なります」
「うむ……」
『ゆきなみ』型イージス護衛艦三番艦『みらい』のCICで艦長の梅津と砲雷長の菊池はそう話す。
「やはり草加が話していた三好将和……これが何らかの事情を知っていると見ていた方がいいかもしれません」
「うむ……そろそろ向こうと接触して会見を行うしかないだろう」
梅津はそう言って立ち上がる。
「角松二佐らを収容後、離脱する。それと草加を呼んでくれ」
「分かりました」
8月13日、遂に『みらい』側は動いた。そしてGFでも騒ぎが起きていた。
「戦死した草加参謀が生きていた?」
「しかも相手は海上自衛隊という謎の組織……」
「分からん……全く持って分からん……」
参謀達はそう話す中、将和と堀は二人だけで面会をしていた。
「三好長官、貴方の未来の軍隊ですか?」
「一応はな。だがあの艦名は分からん」
漫画の世界とは言えず、将和はそうボカした。15日、トラック諸島に停泊していた『大和』上空を海鳥が飛来し『大和』の水上機後部甲板に着陸した。着陸した海鳥を将和と堀が出迎える。
「三好長官、お久しぶりです」
「久しぶりだな草加。生きていて何よりだよ」
そして草加の口から語られる『みらい』の話。
「三好長官、全権を委任します」
「分かった。俺が行こう」
「頼みます」
斯くして将和は草加と共に『みらい』へ乗艦する。
「『みらい』艦長の梅津です」
「副長の角松です」
「砲雷長の菊池です」
「第一航空艦隊司令長官の三好将和です」
三人に出迎えられた将和は一先ずの握手をして艦長室で会談が始まった。
「ふむ……成る程成る程。草加参謀から聞いていたがアメリカに負けた未来日本からやってきた……というわけですな」
「はい。我々もまだ信じきれてはいませんでしたが……何の因果か、或いは何かがあってこの世界に来ました」
(原作通りでワロスワロス……)
将和は頷きつつも頭を抱える。そして将和は一つの答えを導き出していた。
(せめて敵対ではなく中立での港で軟禁だろうなぁ……)
昔の自分ならいざ知らず、巻き込まれた形である海自にはこの世界に骨を埋める覚悟が無いのは分かっていた。
それが未来の日本人の考えでありGHQが生み出した教育の賜物かもしれない。
「……梅津艦長、私個人の見解を述べても宜しいか?」
「……どうぞ」
許可を貰った将和は備えられたコップの水を一口付けてから口を開いた。
「私個人としては……貴方方には中立を表明してもらい内地の港で待機してもらいたいですな」
「それは……」
「草加参謀から聞いています。貴方方の成り立ち等もね……だからこそ無駄な死を増やしたくはない」
(日本側にもそちら側にも……な)
みらいと日本が衝突すれば多大な損害が出るのは目に見えていた。確かにGF全部隊を『みらい』に投入すれば勝てるだろう。
だが喪失艦艇を考えれば将和は考えたくもなかった。
(場合によっては機動部隊は全滅する……それだけは避けなくてはな……)
『みらい』には空母を一撃で轟沈が可能なハープーンミサイルやトマホークミサイルを搭載しているしその保有数は将和でさえ分からなかった。
(此方が下手に出れば……向こうは態度も軟化するし堀らと協力して草加や滝の暴挙を抑えれば……)
MI後、将和はGF司令部に滝がいる事を確認し暴挙に出ないようしていた。
「……私個人での判断をしかねます。一先ずは乗員全員と相談してからで構いませんか?」
「構いません」
斯くして現時点で日本軍と『みらい』との衝突は避けられたのである。
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三好in東方
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
『色は匂へど散りぬるを』
気付いた時、将和は電車に乗っていた。その電車は将和もよく知る電車だった。
「これは……103系じゃないか」
将和が最初にいた平成の時代でも関西(奈良線等)でまだまだ活躍している車両だった。
『我が世誰そ常ならむ』
「ふむ、103系であの世に送られるのも悪くはないかな……」
「残念だけど……貴方が行くのはあの世じゃないわ」
将和の正面にいたのは一人の女性だった。
「貴女は……」
「残念だけど……この姿は八雲紫ではあるけれど私は八雲紫ではないわ」
女性ーー八雲紫はフフッと笑う。
「仮の姿……というわけか」
「その通り」
そして電車は走る。
『有為の奥山今日越えて』
「貴方にやってほしい事がある」
「……内容次第かな?」
「なに、簡単な事よ」
徐々に八雲紫の姿がぶれていく。
『浅き夢見じ酔ひもせず』
「私が作った幻想郷を守ってほしい」
その言葉と共に将和の意識は闇の中へと落ちていった。次に気付いた時、将和は布団の中で横になっていた。
「此処は……」
「あら、気付いたのね」
将和に声をかけたのは巫女だった。その巫女は将和がかつてPCや同人誌から見ていた人物にそっくりだった。
「君は……」
「私は博麗の巫女。と言ってもそろそろ巫女の役目は終わるんだけどね」
手や脚等、肌が見えている部分は傷だらけの巫女は苦笑しながらそう答えるのである。
そして博麗の巫女は語り出す。
「此処は幻想郷……妖怪が妖怪であるための最後の楽園……」
「その結界は此処、博麗神社の巫女が代々行ってきた……けど。その固有結界の力も薄くなってこの幻想郷自体も危うくなってきたのよ」
「成る程な……」
「そう。だからこそ日ノ本の守護神の力が必要……」
現れたるは妖怪の賢者、八雲紫であり八雲紫の口から語られるは幻想郷の現状である。
「だから貴方を此処に呼び寄せた」
「君がかな?」
「いいえ……幻想郷がよ」
そして崩壊から防ぐために将和は幻想郷に協力をするのである。
「妖怪が異変を起こす……それは構わないわ。だけど、妖怪を恐れる人間も異変を解決出来る力……ルールが必要……」
「そのためのスペルカード……」
「その通りよ」
将和は動き出す。幻想郷が何故自分を呼び寄せたのか……。
「一面の向日葵畑……か……」
「あら、人間が太陽の畑に来るなんて……私を退治しに来たのかしら……?」
「ゆう……か……」
「あら、私を名前呼ばわりなんて……万死に値するわね!!」
そして太陽の畑で将和は幻想郷最強とも言える花の妖怪とどつき合いを始めるのである。
「これよ……これよ!! この血と血を流す拳……そしてェ!!」
「取り敢えずはさ……俺と結婚してくれ!!」
そんなこんなの物語……なのかもしれない……?
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三好inジパング中編
『みらい』は横須賀に投錨していた。無論、民間人等からは見えない位置でありその地域も海軍関係者も限られた者しか入れない特別地域に指定されており、土日の上陸は認められていた。(その地域内のみ)
海軍ーー元より将和はなるべく下手に出て『みらい』の暴発をしないようにしていたのだ。
だが将和も再び戦いの海に行かなければならない事態が発生する。
米軍がソロモン諸島のガダルカナル島に上陸したのである。ガダルカナル島にいた設営隊と守備隊である海軍陸戦隊一個大隊は上陸される恐れもあった事から史実のように物資を置き去りにする事もなくジャングルの中へと後退したのである。
(やはり史実通りに占領されたか……)
史実を教訓に先にブカやブイン、レカタに基地を設営していたのでラバウル航空隊の零戦隊の一部は進出はしていたのでこれらの零戦隊が先にガダルカナル島上空に進入して制空権の確保に努める事に成功、またラバウルに停泊していた三川中将の第八艦隊(巡洋艦六、一個水雷戦隊)は夜間にガダルカナル島泊地に突入して砲雷撃戦を展開し三個警戒部隊を壊滅させ輸送船団も全滅させる事に成功したのである。
「俺達の歴史と違っているな……」
「あぁ……それも三好長官が何らかの形で関わっている」
『みらい』の艦長室で梅津や角松達はそう話していた。
「だが洋介、確証は無いぞ?」
「それは分かっている。だが、歴史が変わっている部分には必ず三好将和の名前が存在するのは確かだ」
「………」
角松達がそう話す中、梅津は顎を撫でる。怪しい、確かに三好将和は怪しい存在だった。
(だが下手に動けば……やられるのは此方かもしれない)
乗員の命を預かっているからこそ故に梅津は慎重に慎重を重ねていたのだ。だが『みらい』に接触をしてきたのはまた別の人物だった。
「何? 山本五十六が?」
「はぁ、数日後のアポをと……」
梅津は考える。流れが変わってきたのかもしれないと。
「……分かった。面会しよう」
そしてこの面会は後に『みらい』の乗員を二つに裂ける出来事だったのである。
「三好長官、貴方は一体何者だ?」
(流石は角松二佐。いきなり弩直球で来た、梅津艦長なら世間話から入っていたと思うが……)
『みらい』に乗艦し艦橋に入室し梅津艦長と挨拶を交わした上で隣にいた角松二佐が踏み込んできた。恐らく、全乗員にも聞こえるよう艦橋にスピーカーは大にしているだろう。将和の隣にいる草加はただ角松らのやり取りを見ていた。
草加自身もある程度は分かっているのだろう。いや、分かっている上でこそ草加は将和の口から知りたかったのだ。
「この世界の歴史が変わる毎に貴方の名前が記載されている……日本海海戦、第一次世界大戦、ロマノフ家、ワシントン軍縮、ロンドン軍縮、日中戦争、そして太平洋……全て貴方の名前があった」
「それに明治天皇を始め各官僚ーー伊藤博文や山縣有朋等からも信頼されていたのは把握している」
「………………(よく調べたものだな……いや、協力者は山本か)」
山本が『みらい』に接触したのは将和側も掴んでいた。彼が何をしたのかは細部不明であるがその数日後に『みらい』からの将和への会談要請だったのだ。
「三好長官、貴方は……」
「よくぞ此処まで調べたな」
将和は角松らに拍手をする。
「正解した御褒美だ。確かに俺は君たちと同じく、21世紀の日本から逆行してきた『未来の日本人』だ」
『…………………』
将和の告白に艦橋は元より聞いていた『みらい』乗員達は息を飲む。隣にいる草加はうっすらと笑みを浮かべてさえいる。
「……何の因果かは分からない。平成と呼ばれた日本で俺はただの大学生だった。しかし、一瞬の隙に俺は明治の世に、明治大帝の前にタイムスリップをしていた。明治大帝が俺の話を信じてくれた事で日本の歴史は変わり、俺はその責任を取るため日本の歴史を塗り変えていく事にした。『日本が最良の道を目指す』が為にだ」
「……三好長官、貴方に歴史を変える権利は無い」
「権利? そのような是非を問われるとしたら八百万の神々に問われるくらいだろう。別に問題が無ければ俺が取る行動を批難する謂れは無い筈だが?」
将和の言葉に角松は反論出来なかった。だが菊池が口を開く。
「だが三好長官、そのせいでタイムパラドックスが発生し未来が変わり、本来死ぬはずであった人間が生き、死ななくても良い人間が死ぬことになったとしても、構わないと言うのか? 下手すれば貴方自身、急に存在が消えてしまうかもしれないんだぞ?」
「歴史は一つではない」
「ッ……」
「『平行世界』……聞いた事はあるだろう?」
「幾つもの世界が同時平行にあるが少しは変わっている……まぁ簡単にはこんな感じだろ?」
「その通り。俺はタイムスリップした時点で平行世界の日本に逆行したのだと認識した。菊池が言う存在が消える事はなかったからな」
尾栗の問いに将和はそう答える。そして角松が最後とも思える問いをした。
「未来のことを黙って、この世界のことはこの世界の人達に任せて静かに暮らして言っても良かったんじゃないのか?」
「……それもあった」
「なら!!」
「だが俺は日本人だ。国土がB-29によって火の海に包まれて焦土化し多くの日本人が息絶えていくのを見過ごす程、俺はお人好しじゃない!!」
『ッ!?』
将和の答えに一同は息を飲む。
「確かに異なる未来になるだろう。平成の21世紀の日本では無くなるかもしれない。だが、あの『悲劇』を回避を出来るならその回避したおかげで良い未来が出来るなら俺は進んでその道を選択する。悪魔にでも鬼でもなろう。俺の身体で俺の行動で、俺の意思で救える命があるなら俺はそうしたいと願う一人の人間だ」
『……………』
将和の独白が終わり、場を沈黙が支配する。乗員達も揺れる思いはあった。葛藤していた。どうすればいい、どうすれば目の前(三好将和)の存在を受け入れられる? 『消せばいい』のか? どうせコイツはこの世界には元からいなかった存在だ。
そうだ、もしかしたらコイツを『消せば』俺達は『みらい』は『帰れるかもしれない』……?
誰かが動く。その行動を見て今まで黙っていた草加が叫んだ。
「やめろ!!」
その声に咄嗟に将和は伏せようとした瞬間、ドンと鳴り響く一発の銃声があった。
『ッ!?』
将和の右脇腹から流れ出る血、即ち撃たれて出血したのだ。下手人は未だ14年式拳銃を将和に向けてブルブルと身体を震わせるーー立花二尉だった。
「立花!?」
「……三好将和は権利は無いと言っていた……ならば僕が……僕がコイツを撃つ行動の権利を止める必要は無いですよね……?」
叫ぶ角松に立花は涙に流しながらそう告げゆっくりと膝から床についた。
「僕は……僕は……」
「三好長官!?」
ブツブツと言う立花を余所に菊池は将和に駆け寄るが将和はそれを制した。
「弾は抜けてる……が、幾分かの肉は削がれたがな」
そう言いながら将和は部屋を出ようとするが振り返り梅津艦長に視線を向ける。
「梅津艦長」
「……はっ」
「この場での事は内密にしておくし咎められないようにする……が、燃料及び諸々の積み込みが終われば『みらい』には出てもらう。このままでは『みらい』が此処で朽ち果てるかもしれんからな」
「それは……しかし宜しいので? 我々は引き金を引いてしまいました」
「この日本は受け入れは出来んだろう君達は? 我々は成すべき事は最後までやるが君達がそれを阻止しようとするのであれば掛かってこい、相手になってやる」
痛みに耐えながらもニヤリと笑う将和である。
「角松二佐」
「………」
「君達の思う行動を取れ。それが我々を邪魔するのであればするがいい。我々は全力で答える」
そう言って将和は草加と共に『みらい』から退艦するのである。その足で将和は直ぐに横須賀の軍病院に搬送された。その途中、将和は草加に問い掛ける。
「草加少佐」
「はっ」
「立花二尉が撃った拳銃……君が『用意』したのであろう?」
「……気付いておられましたか」
「我々は軍服は供与させたが兵器までは供与していないからな……それでどう行動を取る?」
「……私が思うジパング……私のはまだまだだったのかもしれません。ですので……長官の思いを支えたいと思います」
その表情は覚悟を決めた顔であった。その様子に将和は苦笑しながらも告げる。
「『みらい』の資料室は見ているな?」
「無論です」
「『マンハッタン計画』これを日本でやれるか思案し実行しろ」
「………………」
将和の言葉に草加は目を見開いた。彼自身も資料室での結果から『原爆』これを作るしかないと判断していたのだ。
「資金と場所については……まぁ宮様と相談して出してやる。計画を見積もれ」
将和の言葉に草加は無言で頷くのである。斯くしてそれぞれの思想を持つ者達は動き出した。
ソロモン作戦ーーソロモンキャンペーンは日本軍の勝利に終わった。
堀聨合艦隊司令長官は戦局を一気に打開するため可能な限りの基地航空戦力及び空母機動部隊と水上部隊の投入を決定。
ラバウルに展開した第24航空戦隊とブインに展開した第25航空戦隊による大規模航空攻撃と大湊鎮守府長官から第二機動艦隊司令長官に『復帰した』山本五十六大将と第三機動艦隊司令長官の山口多聞中将、第二艦隊司令長官の近藤大将の水上、機動艦隊がガダルカナル島を攻撃したのである。
山本五十六の現役復帰は本人たっての希望だった。彼が将和の病室に訪れたのは将和が撃たれてから二日後の事であった。
「三好長官、申し訳なかった……」
開口一番、彼は将和に頭を下げた。山本の事は以前から知ってはいたがいきなりの謝罪ーーしかも土下座は将和自身も思ってもみなかったのだ。
「山本……頭を下げていては話も出来んよ」
「あぁ……」
「『みらい』……それを見たかったのだろう?」
「あぁ……草加の言葉に俺は自身の運命を見たかった……そして知ったよ、俺は本来なら来年の4月18日、ソロモン諸島のブーゲンヴィル島上空で戦死する」
「それでどうする? 俺を殺して堀の代わりにGFの指揮を取るか?」
「馬鹿を言え……GF長官は堀にやらせるのが適任だ。だが俺はやりたい事がある」
「やりたい事?」
「頼む……俺を現役復帰させてほしい。最前線の指揮官でも構わない、俺は俺自身の運命に抗いたいッ!!」
「………………」
将和は山本の眼を見た。その眼は汚れも無くただ輝いていた。やがて将和はゆっくりとベッドから起き上がり備えられていた机に紙を置き何かを書く。書き終えると山本と向き合う。
「山本五十六の意思……確かに伝わった。これを堀に届けてくれ」
「これは……」
「お前の機動艦隊司令長官願い届けだ。流石に俺の一航艦はやれんが……小沢の二航艦なら大丈夫だろう。山口は三航艦司令長官の予定だからな」
「三好……ッ!?」
「頼むぞ山本……?」
「あぁ……あァッ!!」
将和の言葉に山本は涙を流すのである。そのようなやり取りがあり山本は現場復帰が可能となったのである。なお、二航艦から異動となった小沢は療養する将和の代理として一航艦司令長官に就任するのである。そしてソロモン作戦に勝利した日本軍はニッケル等の鉱石資源があるニューカレドニア、そのニューカレドニア攻略の拠点とするニューヘブリデス諸島を相次いで攻略し占領、鉱石資源を獲得したのである。
占領に沸き立ち提灯行列を成す日本国民を余所に陰から観ていたのがいた。元海軍大臣の米内光政であった。
(あれから山本とは疎遠になったが……山本が唯一残してくれた手掛かり……『みらい』)
山本は米内にも『みらい』の事は話していた。そのため米内は『みらい』に接触しようとしていたのだ。
(あの草加とか言う少佐の言葉を聞くのもあれだが……乗るしかないか)
元海軍大臣も動き始める。戦争の終わりを求めて、自身の影響力復活も求めて……。
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三好inジパング後編1
昭和18年5月、横須賀鎮守府聨合艦隊司令部。そこには堀GF長官を初め多数の艦隊司令長官や軍令部の将官達が次期作戦についての会議をしていた。
「空母を伴った米艦隊は昨年の12月に壊滅しました。しかし、彼等は『イントレピッド』級正規空母を就役させつつあります」
「我が方の『雲龍』型みたいなものかね?」
「搭載数が絶対数違います。奴等は軽く100機搭載可能です」
「むぅ……それは厄介だな」
「ですが奴等はまだ出てきません」
「理由はあるのかね滝中佐?」
将官らに説明をしていた第三機動艦隊滝中佐は第一軍令部課長の福留中将に問われる。
「米艦隊の母艦パイロットはまだ錬成途中です。所謂50航戦と同じです」
「成る程……」
「それでインド洋を攻めるのかね?」
「理由は合わんが?」
「インドを攻撃する事でチャーチルをつつく事が可能となります。チャーチルがルーズベルトに我々を太平洋に集中させるよう促せばルーズベルトはマリアナに出来上がってヒヨコばかりの新規艦隊を出してくるでしょう」
「まぁ……政治的事情に突っ込むのは海軍の伝統に反するからとやかくは言わないが……」
難色を示す福留である。
「それで艦隊は?」
「はっ。私としては予てより以前から申し上げていた全機動艦隊の投入です」
滝はそう言って将官達に資料を配布する。
「三好大将の第一機動艦隊、山本大将の第二航空艦隊、山口中将の第三機動艦隊。これに『みらい』の索敵能力を加えたならば、目標であるダッカ、チッタゴン、セイロン島各基地の完全なる無力化は可能です」
「しかしな滝参謀……」
「は……?」
声を挙げたのは福留中将だった。
「空母が攻めて来ないにしてもだ。事実米海軍は動いておる。護衛空母やらが我々が放棄したマーシャル、ギルバート諸島で航空輸送を活発化させている。聨合艦隊本拠地(マリアナ)も安泰だと言う証拠になるまい」
確かに護衛空母が航空輸送をマーシャル、ギルバート諸島に行っていたのは事実である。
「それに三個機動艦隊が出払っているうちに連合軍の反攻作戦が発動されたならば、我が日本海軍は戦わずして敗北する事になる。パラオ基地やサイパンに何かがあればそこにいる草加『中佐』のように三好長官を守れず負傷させたその事以上の責任を問われる事になるぞ?」
脅しとも言える言葉に滝は怖じ気づく事はなかったが福留中将は気にせず発言を続ける。
「ましてやそのインド洋作戦、米海軍との決戦にあらず。援蒋ルートを断つという陸軍支援作戦に過ぎん。そんな作戦に機動艦隊全てを動員する事は軍令部としては容認出来ない。従ってインド洋作戦の動員兵力を軍令部案ながら検討してきた」
そう言って福留中将は資料を配布させる。
「第三機動艦隊の第八航空戦隊『飯盛』『信貴』第50航空戦隊『鳳翔』『龍鳳』加えて『龍驤』護衛は同方面担当の南西方面艦隊の六戦隊『青葉』『衣笠』『古鷹』『加古』軽巡『香椎』『球磨』第十六戦隊、それに海上護衛総隊からの第一護衛艦隊。以上を提案する」
その軍令部案に滝は反論した。
「問題有り!! 海上護衛総隊の第一護衛艦隊は旧式の駆逐艦及び海防艦で編成され主任務は対潜警戒である!! しかも主力たる正規空母も僅か二隻のみ、他は養成部隊の航空戦隊!! そもそも英印軍基地を同時攻撃するには艦船が全く足らない!! この陣容では戦えません!! 我々が言っている通り敵機動部隊が来寇せずこの作戦が不首尾に終わった場合、その責任は貴方が負いますよ第一軍令部課長?」
「私はあくまで利に敵った事を申したまでだ。長官、ご決断を」
滝の反論に物ともしない福留は堀に問い掛けるが堀は苦笑していた。
「福留君……何か誤解していないかい? 我々はこの作戦をやるつもりでいるのだよ?」
「なーーーッ!? 何を言われるのですか長官!? 三個機動艦隊の動員などただの博打ですぞ!!」
「博打かどうかを決めるのは君じゃない。それにこの会議にも君がどうしてもと言ってきたから参加させたまでだ。それにこれ以上荒立てるなら退席してもらうが?」
「ぐっ……ぐっ………」
堀の言葉に福留は顔を歪め、滝を睨みながら席を立ち退出するのである。
「やれやれ、頭だけ良くてはどうにもならんな」
「その通りですな」
将和が肩を竦めながら言うと堀も同意見として苦笑する。
「だが軍令部にも一応顔は立てておく必要はある」
「だろうな。さしあたって、山本の二機艦は内地に置く必要があるだろう……何せ『みらい』との戦闘で七航戦の航空戦力は半減しているからな」
昨年のニューカレドニア攻略作戦時、第二機動艦隊は横須賀から出港し行方を眩ませていた『みらい』から攻略妨害を受けていた。山本は『阿蘇』『蔵王』の母艦飛行隊を『みらい』攻撃に向かわせたが出撃した86機が帰還したのは19機だった。『みらい』は自艦防衛のためとして対空戦闘を開始、艦爆・艦攻隊は壊滅的打撃を与えられ攻撃隊はほぼ壊滅したのである。
それでも『みらい』が止められたのは一個機動艦隊だけであり、残り二個機動艦隊は悠々とニューカレドニア攻略を敢行したのである。
なお、『みらい』は艦爆1機が艦橋付近に体当たりした事で衝突の揺れで梅津艦長が負傷、その他10数名の死傷者を出したのである。その後、草加の誘導でトラックまで来たが菊池の反乱により角松ら5名が『みらい』から下艦し内地に向かったのである。
「分かりました、二機艦は休養とします」
「ん。恐らくマリアナでは忙しくなるからな」
斯くしてインド洋作戦ーーYZ作戦は開始される。参加艦隊は三好大将の第一機動艦隊、山口中将の第三機動艦隊である。両機動艦隊は『みらい』のECMの援護の元でセイロン島のコロンボ、トリンコマリ基地を二波に分けて空襲を敢行したのである。
両機動艦隊の艦載機は全て新型機と改良型機で編成されていた。艦戦に関しては零戦の改良型と新鋭艦上戦闘機『陣風』、艦爆は彗星二二型(史実三三型相当)、艦攻は天山である。(なお、空母『加賀』の一個中隊は試製流星に編成)両基地は瞬く間に壊滅的打撃を受けたのであった。
両基地を叩いた二個機動艦隊のうちの三好大将の第一機動艦隊はボンベイ・アラビア方面へ、山口中将の第三機動艦隊はベンガル湾へ進出した。第一機動艦隊のボンベイ空襲は未帰還2機だけで済み作戦は成功。またベンガル湾方面ではチッタゴン、カルカッタの両基地に『みらい』がECMを展開するも妨害を読んでいた英印軍は攻撃隊を第三機動艦隊に派遣する。なお、入れ替わりに来た第三機動艦隊の第一次攻撃隊(各120機)は攻撃に成功し両基地もセイロン島と同じく壊滅的打撃を受けるのである。
なお、第三機動艦隊は英印軍の攻撃を受けるも新鋭艦上戦闘機『陣風』の活躍により英印軍攻撃隊は残らず全滅した。それでも空母『龍驤』に投下し外れた1000ポンド爆弾が遅発信管を作動させた事で舵を損傷、航行不能にさせたくらいである。
また、この攻撃隊には英軍の新鋭戦闘機であるスピットファイアが同行していたが『陣風』の空戦に敗北し撃墜されたのを記載しておく。
「おのれジャップめ……インド政庁の間抜けどもが……私からティータイムのアッサムを取り上げるのかね?」
夜半でも関わらず、インドからの報告を受けた英連邦首相のチャーチルは怒りを部屋の物にぶつけて一先ずの怒りを収めると外で待機していた秘書を呼ぶ。入ってきた秘書は部屋の惨状に天を仰ぎそうになるもそれは抑えた。
「この情報……国内にも他国にも実状が広まらぬように手を打ちたまえ。ただし……ワシントンのルーズベルトは確実に目にするようにな……」
チャーチルの言葉に秘書は直ぐに取り掛かるのである。そしてインド洋から帰還途中の空母『加賀』の作戦室には将和と草加がいた。
「聨合艦隊主力はマリアナ方面に温存は出来た」
「はい。それに『みらい』まで無傷なのは勝利と言っていいでしょう。そしてこれで……」
「あぁ。米海軍はマリアナに向かって動くだろう……来年度だな」
「今年度……ではなくですか?」
「下準備のマーシャル・ギルバート両諸島を攻略するだろう……我が海軍の601空を筆頭に両諸島を訓練爆撃場所にしたから破壊され尽くしているだろう」
「その回復も直ぐにでしょう」
「だろうな……サイパン、グアムはどんな状況だ?」
「岡村中佐率いる陸海連合設営旅団が両島の要塞化を急がせています」
マリアナ決戦に向けて将和は岡村中佐を指揮官にした陸海合同での設営隊を立ち上げた。無論、陸海の設営隊を大規模に動員するので旅団規模にまで膨れ上がった。主要な物もモッコとツルハシを筆頭に小松製作所のブルドーザー等の建設機械を大量に投入しており、将和が思案するマリアナ決戦(サイパン・グアムの要塞化及びヤップ島の滑走路拡大、飛行場の拡張。硫黄島飛行場の拡張及び要塞化)は着々と進んでいたのである。
「引き続き頼む。それと『G計画』については?」
「はっ。現在、南京にて製造途中であります」
「ん。ところで方法については?」
「一応の思案でありますが……」
草加はそう言って一冊の計画書を見せる。将和はパラパラと読んでいたが、ライターを取り出して計画書を燃やす。
「駄目だな」
「やはり『大和』を沈めるのは駄目ですか?」
「違う。『大和』が沈むのはいつか軍艦に来る運命(さだめ)だ。その時は俺もやむを得ないと思う。だが『大和』を乗っ取ってGを上陸船団を巻き添えにするのは倫理に反する」
「……………」
「草加、俺は戦後まで見据えての行動をしている。お前達の同志を集めて『大和』を乗っ取るのは断じて許さん」
(これが将としての器か……)
草加は将和から感じる覇気に圧倒されようとしていた。
「俺はそうまでしてお前達を反逆者にさせたくはない」
「……………」
将和の言葉に草加は気付けば頭を下げていたのであった。
「やはり三好大将の力は大きい上に強い……」
同じくインド洋から帰還途中の『みらい』のCICで艦長である菊池はそう呟く。それ程まで将和は影響力を持っておりその力は底知れなかったのだ。
(やはり此方側についておくのが正解だったか)
菊池は草加の誘いに乗ったとはいえ、覚悟を決めて角松らを裏切り『みらい』を掌握したのだ。
(洋介……どうやって『みらい』に帰るかは知らないが私はそう簡単には動かんぞ……)
そう思う菊池だった(なお、原作同様に心を動かされる模様)
そして事態を急変させるのは一発の銃弾と銃声だった。
「貴方………ッ!?」
「夕夏ァァァァァァァァァァァァァァッ!?」
将和は目の前が真っ赤になったのである。
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三好inジパング後編2
昭和19年1月、正規空母8隻、軽空母8隻、護衛空母42隻を主力としたスプルーアンス大将の第五艦隊はマーシャル・ギルバート諸島に侵攻し両諸島を占領した。
「遂に……か」
連合機動艦隊司令長官に就任した将和は新たに旗艦『大和』の長官室で滝から報告を受ける。連合機動艦隊とは第一・第二艦隊と第一、第二、第三機動艦隊を集約させた機動艦隊だった。主力となる数個艦隊を纏めるのに軍令部等は難色を示したがインド洋は昨年昭和18年のYZ作戦で破壊され尽くされ、残存東洋艦隊もマダガスカル島からスエズ方面まで撤退する有り様だったので太平洋に集約する事が出来たのだ。
「これが最後の作戦会議になるかもしれん。皆、思い残す事無いよう議論してくれ」
将和は各将官らを前にそう告げる。各将官は以下の通りである。
連合機動艦隊司令長官
三好将和大将
同参謀長 宇垣纏中将
同首席参謀 滝中佐
同参謀 草加拓海少佐
第一艦隊司令長官
三好将和大将兼任
第二艦隊司令長官
南雲忠一中将
第一機動艦隊司令長官
山本五十六大将
第二機動艦隊司令長官
大西滝治郎中将
第三機動艦隊
山口多聞中将
第一航空艦隊司令長官
小沢治三郎中将
「三好……空母の運用は全て俺が掌握するという認識で良いのか?」
「良いぞ山本。下駄は預ける」
「……済まん、ならば思いっきり暴れよう」
将和の言葉に山本はニヤリと笑う。
「それで敵機動艦隊の総数は分かるのか?」
「草加」
「はっ、説明します」
将和に促された草加は将官らに説明をする。
「むぅ……奴等が両諸島に無駄弾を浪費してくれるのは良いが……昨年のインド洋作戦は何だったのだ?」
草加の報告に第二艦隊司令長官の南雲はそう問う。
「インド洋作戦はチャーチルに危機感を与え陣容が整わないうちに米艦隊を誘い出すのが作戦目的じゃなかったのか? それがこれ程の艦隊とは……」
「それは違うぞ南雲」
暗に草加らを批判する南雲に制したのは将和だった。
「桁外れの生産力を誇る大国との戦争において長引く程、彼我の差は開く一方だ……『これ程』ではない。今だから『これだけ』の戦力で済んだのだよ」
「むぅ……成る程……」
将和の主張に南雲も納得の表情を見せる。そして将和は小沢に視線を向ける。
「基地航空の方はどうか?」
「司令部はヤップ島に移動完了しました。ヤップ、サイパン、グアム等にも各部隊の配備は完了しています」
サイパン島 航空戦力
海軍
零戦54型×270機
紫電改×270機
九九式艦爆×90機
彗星二二型×120機
天山×90機
一式陸攻×270機
銀河×90機
彩雲×20機
計1220機
陸軍
隼×300機
疾風×180機
呑龍×180機
飛龍×120機
計780機
グアム島 航空戦力
海軍
零戦54型×180機
紫電改×180機
九九式艦爆×90機
彗星二二型×120機
天山×90機
一式陸攻×120機
銀河×90機
彩雲×20機
計1130機
陸軍
隼×300機
疾風×180機
呑龍×180機
飛龍×120機
計780機
ヤップ島 航空戦力
零戦54型×360機
一式陸攻×420機
銀河×270機
飛龍×90機
彩雲×50機
計1190機
またサイパン島には第43師団を主力に三個師団、二個独立旅団、一個戦車連隊が布陣しグアム島には二個師団、二個独立旅団、一個戦車連隊が布陣していた。更に両島は要塞化が成されており、実際に第五艦隊が両島を空襲したが損害は軽微であった。また、敵攻撃隊に対し大損害を与える程であった。
「分かった。恐らくはこれが最後の決戦となるだろう。全員、出し惜しみはするなよ?」
『ハッ!!』
そして全員ーー将和と草加以外が退出すると将和は口を開いた。
「それで草加、どうだ?」
「……芳しくない……というのが点でしょう。南京での原爆開発は完全に頓挫しましたので……」
淡々と草加はそう告げる。密かに南京で開発されていた原爆は梅津の死亡と引き換えに開発場所のポルトガル船が海軍航空隊の爆撃で撃沈された事で海の藻屑と化したのだ。海軍航空隊にポルトガル船撃沈依頼を出したのは米内だった。梅津は最終手段として米内を通して海軍航空隊に爆撃してもらい船を撃沈する事を企図していたのだ。
結果として、倉田博士等は生き残ったがそれでも重傷であり開発は完全に頓挫したのを意味するのである。なお、将和は原爆開発が開発に頓挫したのを受けて資金提供を止め兵器開発に力を注ぐわけである。
「そうか……なら乙案といこうか」
「乙案……と言いましても……」
「まぁ真正面からの艦隊決戦だからな。そしてその艦隊決戦中に出てくるであろう『みらい』を全力で沈める。轟沈させる、尽く破壊し尽くす」
「………………」
「不満かね?」
「いえ……御家族を狙われてはそうなると思います」
将和の問いに草加はそう答えた。今年の正月、将和は久しぶりに自宅で正月を迎えていた。細やかながらの正月料理に口を付けようとした瞬間、横にいた夕夏が将和を押し倒したのだ。そして響き渡る一発の銃声、夕夏の左脇腹を掠めるように一発が部屋に入り込み夕夏の左脇腹から鮮血が溢れ出る。
「貴方………ッ!?」
「夕夏ァァァァァァァァァァァァッ!?」
それを見てタチアナとシャーリーが急いで部屋のカーテンを閉める。その間にも夕夏は自力で起き上がり自身で止血をする。
「こんなの……欧州に比べたら屁でもないわ……」
「夕夏……」
ニヤリと笑う夕夏に将和も深い息を吐くしかなかったのである。なお、狙撃位置から逃げたのは五人組の男であり一人は将和もよく知る角松二佐だったとの事である。
「あの糞戯けども……赦さん………!!」
なお、『みらい』でも三好家襲撃の報を草加経由から菊池は角松の行動を罵倒した。
「洋介の大馬鹿野郎ォ!!」
菊池は将和とは個人的にも数度接触しており将和自身の人柄や人となりは分かっていた。
「三好将和の目指す未来は相容れぬが人を救いたい気持ちは同じだ」
菊池はそう判断しているからこその帝国海軍へ協力していたのだ。それがこの襲撃で全ては水の泡となってしまった。それ以降、菊池は一人で『みらい』を降りたのである。全ては角松を説得出来なかった自身の釈明と将和への謝罪を込めてである。
それは兎も角、日米の艦隊はマリアナ沖で激突を開始したのである。
「草加、『みらい』に『大和』への『G』を伝えているか?」
「恐らくは伝わっています。そして彼等は収容所から脱走しているので十中八九、『大和』に来るでしょう」
「ん」
草加の言葉に将和は頷くのである。6月6日、米第五艦隊はサイパン及びグアム島を空襲した。しかし、米攻撃隊を待ち受けていたのは両島500機以上は展開していた陸海の戦闘機だった。
米攻撃隊は殆どの被害を与えられぬまま壊滅した。生存機から報告を受けたスプルーアンスは再度出すか思案する。
「断固出すべきです。我々の目標はマリアナ諸島の攻略となります」
「その通りです。ジャップもこの攻撃で死んだ筈です。もう一息でしょう」
上陸部隊司令官のターナー中将と空母部隊司令官のミッチャー中将はそう主張する。他の参謀達もそう主張していたがただ一人、それに異議を唱える者がいた。
「攻撃するには構いません。ですがこの状態で出しては被害が増すばかりではないですか?」
「何だとカーネル?」
ワシントンから異動してきたばかりの参謀ーーハリー・カーネル少佐はそう問う。
「我々はソロモン、ニューカレドニアと次々と要所を取られました。取られるのは仕方ありません、奪い返せば良いだけです。しかしそれに対し我々は彼等に出血をさせたでしょうか?」
「奴等はミッドウェーで空母二隻も失ったじゃないか」
「確かに失いました。ですが失ったのは旧式の『アカギ』と『ソーリュー』です。彼等の最新鋭の『ショーカク』型は失っていません」
カーネルの言葉に参謀の一人は口をつぐんでしまう。
「そして疑問に残るのは彼等の急な撤退です。彼等が撤退をするならニューカレドニア等も撤退すべきですがまだ撤退していません」
「どうかな? たまたま撤退の順番がマーシャルとギルバート諸島なだけかもしれない」
「現時点では彼等からしてみたらハワイへの喉元を突き付けるには最適な諸島ですよ?」
「それは……」
「それにです。我々はソロモン以後、彼等の艦隊にダメージを与えましたか?」
「いや……」
「逆に我々は『ワスプ』や『ホーネット』等多数失い、新鋭戦艦『ノースカロライナ』等多くの艦艇が大破しました。ですが彼等は両諸島等で抵抗を示しましたか? 血を流したでしょうか? それでも彼等が敗走したと断言出来ますか?」
「同じ事だ!! ジャップは力尽きたから戦いを避けマリアナに籠ったのだ!!」
「南方地帯と日本を結ぶ輸送路は健在です。我々の潜水艦が彼等の輸送船団に襲い掛かろうとした結果……87隻も未帰還ですよ? 彼等はまだ枯渇はしていない」
「……………」
「皆さんにももっと理解出来るようボクシングに例えましょうか。経験もトレーニングも豊富な小柄なハードパンチャーを想像して下さい。彼はまだ第5Rだというのに自らのコーナーに下がり足を止めた。それだけでスタミナ切れだと思いますか?」
「い、いや……」
「ならば考える事は何ですか? ………………打ち合う覚悟で待ち構えている」
『………………』
カーネル少佐の言葉に参謀達は黙り込んでしまった。
「我々は対した苦闘を経験せず足早に此処までやってきた。だが……此処からトーキョーまでの道は近くて……………遠いのです」
「そして我々の敵は……あのアドミラル・トーゴーの弟子とも言える……アドミラル・ミヨシなのですよ」
カーネルはそう告げるのであった。だがそれでも米第五艦隊は止まる事はなく再度サイパンを攻撃するのであるが結果は前回と同じだった。
その頃、将和の第一艦隊はグアム島沖を航行していた。
「南雲の二艦隊は?」
「予定通りと思います」
「ん。後は山本のから祭りの花火を上げてもらうだけだ」
だが、第一艦隊は米偵察機に発見されてしまう。
「戦艦を主力にした艦隊だと?」
「恐らくは囮にしその間に機動部隊を側面からでは……?」
「だが奴等の艦隊にも空母は確認している。出すべきだ」
「………………出そう。サイパンへの第二次攻撃は敵艦隊に変更する。装備はそのままだ、時間が無い。奴等の主力艦隊を徹底的に叩く!!」
空母から攻撃隊が発艦していくのを見守る一機の偵察機がいた。彩雲である。彩雲の機長は攻撃隊が一艦隊の方向に向かっていくのを確認しながら機銃手兼無線手に電鍵を叩かせたのである。
「山本長官!! 見つけました、サイパンよりの方位163度、距離89海里、経路340度です!!」
参謀からの報告に山本第一機動艦隊司令長官はニヤリと笑った。
「全機発艦!! 始めェ!!」
そしてサイパン、グアム島からも攻撃隊は離陸するのである。その様子を『みらい』のCICから角松達は見ていた。
「これ程の大海戦を見るのは二度目だな」
「あぁ……ミッドウェーを思い出す……」
そう言う角松を横目に尾栗は何物も言えぬ不安感に襲われていた。
(洋介……分かっているとはいえお前がやらかした暗殺未遂事件、案外しぶといぞ)
乗組員達も動いてはいるが角松達がやらかした事件ーー三好家暗殺未遂事件の報道は『みらい』側も掌握していた。無論、角松達にも言い分はある。
「戦争の早期終結を図るにはその指揮官である一人ーー三好将和を暗殺すればその可能性も有り得なくはない」
角松の後ろには米内の影響力もあった。豊田横須賀鎮守府長官の支援を受けつつ角松らは武器を入手しあの日、撃ったのは角松本人だった。
「俺なりのケジメだ」
後に角松はそう語るがやられた側は堪ったものではない。犯人ーー角松一行と報告を聞いた将和は大激怒した。
「だからと言って家族を撃つなど赦さねぇよ……あいつらは反逆者だ。容赦なくやれ」
味方を表明した菊池ら一行は反逆者から排除した将和だが菊池らが角松に情報を送っているのは原作を見れば知っていた。
「最後の最後で米内を討て。ついでに菊池らも殺せ、確実に殺せ」
(恐ろしい人だ……)
傍らにいる草加はそう思うが家族を撃たれたら誰でも思う事だった。その時点で草加も角松らと共闘する意思は諦めた。いや消失したと言っていい。
(所詮、未来の日本人もその程度のもの……角松二佐、貴方には失望しました……)
斯くしてマリアナ沖の大決戦は続けられるのである。
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三好inジパング後編3
「山本長官の第一機動艦隊より入電!! 敵残存上陸船団がサイパン島沖合から撤退を開始しました!!」
「……そっちは勝ったか」
第一艦隊旗艦『大和』の艦橋で将和はニヤリと笑う。『大和』もリー中将の米戦艦部隊との交戦で大破していた。だが大破という代償は米戦艦部隊は全滅であった。
「ならば……そろそろ此方も勝たせてもらうか」
『大和』は機関を停止していた。大破もそうだが後部の水上機甲板からの多数の侵入者が来ていたからだ。
「長官、敵のオートジャイロは我が方の陣風が撃墜したとの事です」
「ん」
参謀からの報告に将和は頷く。『大和』の上空を絶えず飛行していたオートジャイローーSH-60Kは陣風6機に追い立てられ撃墜された。無論、パイロット達は戦死である。
「長官!? 侵入者が……」
陸戦装備ーー100式機関短銃やベ式機関短銃等を手に持つ水兵が将和に告げ、予めMP28を持っていた将和は弾倉を装着し薬室に弾丸を装填するが参謀長の宇垣に預ける。
「持っとけ」
「はっ……しかし長官……」
「心配するな」
そして侵入者である角松達が入ってきたのであった。
「三好将和ゥ!!」
89式小銃を将和に向けて叫ぶ角松に将和はニヤリと笑うのであった。
「貴方、貴方。そろそろ起きないと遅れるわよ」
「ん……」
東京『都』麹町、夕夏に起こされた将和がゆっくりと布団から起き上がり身支度をする。
時は1957年(昭和32年)の冬に入ろうとしていた時季だった。
朝食を終えた将和は海軍省から回されていた車に乗り込み海軍省に向かう。海軍省の入口で将和を出迎えたのは草加大佐だった。
「おぅ草加、欧州の武官生活はどうだった?」
「懐かしい友に再会する事が出来ました」
「そいつは良かった」
そして草加を伴い将和は自身の仕事部屋である『海軍大臣室』に入室した。
「大分……海軍省も涼しくなったようです」
「あぁ……米内が消え……宮様らも亡くなられたからな……」
1944年(昭和19年)10月2日、ハワイ・オアフ島に於いて日本とアメリカーー連合国との講和会議が開かれ日本、米英仏の各国全権大使らにより和平条約が締結された。日本からの全権大使は廣田総理でありその海軍代表の随伴員として将和も出席していたのである。
この和平条約締結により日本は三国同盟の破棄をドイツに通告、宣戦布告までは至らなかったがイタリア王国に続き枢軸国を脱し連合国に加わると表明するのである。なお、その直後にルーズベルトが病死し交渉していた日米交渉は副大統領のウォーレスが担う事になる。
ウォーレスは開戦前にハル国務長官が提示したハル・ノートを修正した『ウォーレス・ノート』を新たに提示した。
即ち、第二項の1、5、7、9を廃止したものであり、廣田首相は『ウォーレス・ノート』を受け入れる事にしたのである。
無論、陸軍の一部は反発したが陛下らの強権発動もあり闇に葬られる事になる。
同年12月から日本陸海軍は占領地域からの撤退を開始し翌年5月ーードイツが降伏する月まで順次撤退を完了させたのである。
しかし1945年8月8日、ソ連が日ソ中立条約を破棄し満州及び千島列島、樺太に侵攻を開始。日本軍はこれを迎撃、幸い満州にいた民間人は5月まで撤退した事もあり民間人の犠牲は無いが満州国は史実通り崩壊した。
なお、満州から撤退こそしたがその他の地域ーー北樺太の再奪取、カムチャッカ半島の攻略に日本軍は成功。後の日ソ和平条約では満州ーカムチャッカ半島を交換という形で幕を切らしたのである。
その後、1951年に米ソの代理戦争とも言える朝鮮戦争が勃発し日本軍も米国を支援しつつソ連のウラジオストク艦隊を全滅させたりするのであった。
朝鮮戦争終了後、米ソにより東西冷戦構造が作られる中で日本軍は近代化及びその一部縮小を実施し新たに結成された環太平洋条約機構に参加し自由主義陣営の一翼を担うに欠かせない存在となっている。
「如月、入ります」
「ん」
後から如月少佐も入室し議題は本題に移った。
「『みらい』艦長は梅津だったな?」
「はい」
「本来であれば彼は昭和26年に生まれる事になる」
将和は引き出しから茶封筒を取り出し中身を二人に見せる。
「密かに憲兵等を利用して調査したが……彼は昭和26年1月に兵庫県西宮市で海産物商店の三男として生きているのだ」
『ーーーッ』
将和の言葉に二人は息を飲む。
「今は市立小学校の一年生であり大阪タイガースのファンだ。この梅津三郎が……『みらい』の梅津艦長であるかは俺も知らん。誰にも分からない……だが同じ生年月日、同じ両親から生まれた三郎という少年がいる。この事実だけは二人にも知ってもらいたかった」
「それは……つまり……」
そこへ草加が口を開いた。
「おっと、その答えはまだ先だ」
「………」
「草加、お前に特命を命じる」
「………」
「『みらい』乗員の足取りを追え。その意味は……分かるだろう?」
「……私が引き金……とあの『資料室』を知る者であるからと……」
「その通りだ」
『みらい』のパラオ繋留時、将和は草加と滝に命じて『資料室』にある全ての本の写本を命じていた。つまり、『資料室』にある本は日本にとって利益がある物だからこそである。その写本した資料を守るために『米内は病死』し『菊池と桃井は沖縄行きの飛行機ごと消息不明』になるのである。なお、乗員は全員軍人でありその意味はさてさて……。
「さて、これから青山霊園に行くが……来るかね?」
「お供します」
場所は青山霊園に移る。三人は青山霊園にあるひっそりとした場所にいた。そこには碑銘等も記載されていない墓石がそこにはあった。それでも手入れはされており管理人の丁寧さはあった。
その墓石に将和は花を添える。
「……この墓石は……」
「『みらい』の墓だ、乗員241名の墓だ。角松らも含まれている」
「あの時は……必死でした……」
草加はそう呟く。あの時ーー角松らが艦橋に突入した時、将和が真正面から角松らを出迎えた。
「やぁ角松二佐。そしてさようなら」
「なッ!?」
角松達は真正面にいる将和ばかりに目を取られていた。その横にーー艦橋入口の横にいた陸戦装備をした水兵らに気付かず、まず角松が撃たれ次いで柳、米倉らが撃たれ相次いで床に倒れた。杉本らは下がろうとしたが後ろから追ってきた水兵らの銃剣によって倒れたのである。
「惨めかな角松二佐?」
「……ゴボッ……みぃ…よ………じぃ……」
薄れようとしていく角松の眼を見ながら将和はにこやかに笑う。右手にはM1911が握られ角松の頭に突きつけていた。
「君がいけないのだよ……俺の家族を……夕夏を殺そうとしたからな」
そう言って引き金を引こうとしたがそれをする前に角松は息絶えたのである。そして『みらい』も逃走を始めていたが『出雲』が放った46サンチ砲弾が後部ヘリ甲板に不発弾として突き抜けた。それでも沈みはしなかったがその一瞬の注意を内に向けてしまった。
接近していた駆逐艦『雪風』が放った12.7サンチ砲弾が『みらい』の艦橋でに命中、徹甲弾ではなく寺内艦長の判断による榴弾だった。
炎上する『みらい』に更に『長波』が肉薄し残っていた最後の酸素魚雷四本を発射、三本が『みらい』左舷に命中、『みらい』は四つに折れて瞬く間にマリアナの海に消えていったのである。
「家族に手を掛けたのは許さないが……一人の日本人として、海軍軍人として彼等が残した航跡は此処で余生を過ごしてもらうものだ」
将和はそう言うのであった。そして幾分かの時は流れる。
200✕年、かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
200✕年6月、横須賀基地で日本海軍が建造した『雪波』型イージス巡洋艦四隻が環太平洋合同訓練のため出港しようとしていた。その見物人らの中に老いた草加と如月がいた。
「『未来』の乗員が来たぞ!!」
見物人からの声に二人はその先に視線を向けた。行進してくる乗員達は紛れもなく『みらい』の乗員達だったからだ。
(梅津艦長……角松二佐……)
先頭の梅津艦長、更に続いて角松、尾栗、菊池らが続き、草加と如月らがよく知る人物達が次々と『未来』に乗艦していく。
ふと、草加はスーツの右ポケットを知らぬうちにまさぐっていた。そして目当ての物を取り出す。
「………」
取り出したのはかつて『みらい』から盗んだ平成12年鋳造の100円硬貨であった。
「大佐?」
「……お前も帰ってきたのだな」
『総員、帽振れェ!!』
梅津艦長の号令で『未来』乗員達は帽振れをする中、草加と如月は敬礼で見送ったのである。そして二人は『未来』が水平線に消えるまでその場にいた。
不意に草加は先程の100円硬貨を握りしめて100円硬貨を海に向かって投げたのである。
「………」
その様子を如月は黙って見ていた。
「……私のジパングはまだ終わってはいない。此処からが始まりなのだよ」
振り返った草加は如月に笑みを浮かべるのである。
その日、出港した艦艇は一隻の脱落も無く定刻にハワイ真珠湾へ入港した。
これで三好inジパングは幕を降ります。クラーク、出番少なく終わってワロスワロス
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三好inFGO 2
俺は悪くぬぇ(何
時には昔の話をしよう。
かつて、その世界に住む一人の日本人が姿を消した。神隠しと言えば判るだろう。その日本人は時を遡って何の因果は知らずに明治の日本に転移してしまった。日本人は時を越えた理由を自分で見出だし、日本を、世界を変える選択した。
変えた因果がどうなろうか日本人ーー青年は知ったこっちゃなかった。
『過去はどうする事も出来ない。けど、変えられるのは未来だけだ』
青年が進む理念はそこにあった。そして青年は成長するにつれ英雄の道へと歩み出した。歴史を変えた代償か? それとも変えた結果がそうなったか。無論、変えた代償は彼に重くのし掛かった。
真珠湾……セイロン島……珊瑚海……ミッドウェー……ソロモン……トラック……そして最終局面のマリアナ沖。
彼は戦った。戦いに戦い、そして打ち勝ったのである。
「……誰の話をしているんですか?」
「ククク……誰だと思うかね?」
捕らわれた立香は意外にも縛られているとかではなく部屋の出入りは自由だった。
立香がいたのは地下壕だった。しかもただの地下壕ではなく、かつてアドルフ・ヒトラーが死ぬ寸前まで使用していた総統地下壕そのものだった。
立香は残留思念体で甦ったアドルフ・ヒトラーと会食をしていた。
「………」
「ククク……どうやら薄々とは気付いてはいるだろう? だが自分の口から聞きたくはないと……」
「……あの人が……セイヴァーがいつか語ってくれると思っています」
「ククク……それは否(ナイン)だな。アトミラール・ミヨシは聞かれない限りは自身から語る事は無い」
ヒトラーはニヤリも笑いながら食後のケーキを食していた。
「……何故ですか?」
「簡単な事だ」
立香の問いにヒトラーは一旦フォークを置いてナプキンで口元を拭う。
「奴は自身を英雄と思ってないからだ」
「英雄と思っていない……?」
「そう。それが奴の強さであり弱さでもある」
ヒトラーはそう言ってコーヒーを啜る。その時、部屋にSSが一人入ってきた。伝令なのだろう、その伝令はヒトラーに一枚の紙を渡した。
「今の世界を生きる君にはあまり見たことは無いだろう。電報というヤツだよ」
「はぁ、聞いた事はありますけど……」
そう言う立香を他所にヒトラーは電報を読むと笑い出した。
「ククク、こいつは傑作だ」
「……まさかセイヴァーが負けたと!?」
驚愕する立香にヒトラーは制した。
「案ずる事はあるまい、アトミラール・ミヨシは勝った。スターリンはボロボロに負けて消え去った」
ニヤリと笑うヒトラー。
「やはり……やはりアトミラール・ミヨシだな。奴は人の可能性を見出だす力があるのかもしれないな」
「……セイヴァーをどうするのですか?」
「ククク、どうもしないさ。むしろ私は引導を渡してもらいたい側だからね」
立香の言葉にヒトラーはニヤリと笑うのである。そして話題の将和はというと……。
「ケッ、ぐだ男はいなかったか……」
「先輩……」
将和の言葉に後から増援で来たマシュはぐだ男を心配する。
「てかほぼ全戦力で来てるし……」
「アハハハ……皆さん、待ってるだけだと尚に合わなかったみたいで……」
タバコに火を付け吹かす将和にマシュは申し訳なさそうに言う。そこへジャンヌ・オルタがヅカヅカと来た。
「ちょっとあんた。タバコなんて吸うんじゃないわよ」
「戦場でしか吸わんっての……」
「健康というモノがあるでしょ!!」
「死んでんのに健康とか無いっての……」
将和はボヤキながらもタバコを雪に付けて消す。そこへ来たのはネロである。
「マサカズ!! 次は何処に行くのだ?」
「えっ、ついてくんの……?」
『いやぁ多分一人で行くのは難しいよセイヴァー』
そこへ将和に通信を入れたのはロマニだった。
「止めとけってロマニ。どうせラスボスは何となく浮かんでんだからやめた方がいいって」
「ラスボスとやらを知ってるならいいのでは?」
ナイチンゲールの言葉にマシュ達は頷く……が振り返った将和の顔を見て固まった。
「お前ら……自分の頭の上に太陽を複数落とされてもか?」
『……………』
何も知らないマシュ達は将和の表情に何も言えなかった。だがその意味を理解したのはエミヤだった。
「待てセイヴァー。もし、もしだ。君は……君はまさか……」
「……惜しいが違うなエミヤ。俺はただ変えたかった……時を、歴史を……そして人を……」
『……………』
「だが人は……『日本』は俺から大切なモノを奪い俺は姿を消した。それでも信じたかった、故郷を『日本』を……それが俺が生きた証であり生きる意味であり俺が存在する理由だからだ」
将和はそう言ってロマニに通信を入れる。
「ロマニ、さっさと送れ」
『送るにしても何処にだい?』
「……A.D.1945.4月だ。場所はドイツの首都ベルリンだ。そこにぐだ男はいるだろうな」
そして将和はレイシフトを行いA.D.1945.4月のドイツ、ベルリンに向かうのである。なお、待ち受けていたのはドイツ国防軍とナチス親衛隊である。
「敵軍は広範囲で陣を突破しております。南部ではツォッセンを占領しシュタースドルフに進軍しております。北部ではフローナウとパンコーの郊外で行動しており東部ではリヒテンベルグ・マールスドルフ・カルルスホルストの線まで到達しました」
「シュタイナーの師団が来れば平穏を取り戻すだろう」
「……総統……シュタイナーは……」
「シュタイナーの師団は日本軍の第二師団と戦闘中であり来る事が出来ません。シュタイナーは攻撃を実行していません」
「……五人だけ残れ。カルデアのマスター、カイテル、ヨードル、クレープス、アンポンタン」
(そこは空耳!?)
「命令した筈だ!! 今度こそシュタイナーに攻撃しろとな!! その命令を背くとは今度こそけしからん!! その結果がこれだ!! 陸軍も嘘つきだ、皆嘘をつく。SSもだ!!」
「将軍共はドイツ人のクズだ!! 恥さらしだ!!」
(畜生めェ!!キタ━(゚∀゚)━!!)
「今回こそやるべきだった!! 将校の大粛清を!! スターリンのように!!」
そして将和が率いる日本軍は総統官邸周辺に攻撃を加える。
「既に二万人近い若い将兵が防衛線で倒れています」
「若者の使命だろう」
「今すぐフェーゲラインを連れてこい!! フェーゲライン、フェーゲライン、フェーゲライン!!」
駆けつける虎を迎え撃つは四式チト。
「弾種、徹甲!!」
「今度は撃ち抜けよなぁ……」
「難しそうよね……」
(だから何でいるんだよコイツら……)
「カルデアのマスターよ、どうやら私は此処までのようだ。だが君はまだ見届けねばならない。アトミラール・ミヨシの行く末をな……」
「総統!?」
「さようなら(アウフウィダゼン)人類の希望。人を学べ、さすれば君が求める何かは見つかる」
ぐだ男は欧州の覇者と別れをし新たに新大陸のプレジデントの元に行く羽目になる。
「何が目的だアドルフ・ヒトラー……?」
「求めるはプライド。ドイツとして、ドイツ国民として、ドイツ軍人として、ドイツの指導者としてのプライドなり!!」
「その意気、承った。全力で相手してやる」
「マインフューラー……何故、あの時にそれを目指してはくれなかったのかな?」
「黙れゲーリング!! 貴様に何が分かる!!」
「分かりたくもないねぇ……少なくともボクはまだ正気さ」
終わりを迎えるベルリンの世界。
「ボクは此処までだ。だから後は頼むよマサカズ」
「あぁ……また会えて嬉しかったぞヘルマン」
「今度は空戦の勝負をね」
「楽しみにしているよ」
「良い人生を……」
ドイツの撃墜王に別れを告げ、将和は再びレイシフトをする。
『セイヴァー、次は何処にレイシフトを?』
「……俺の記憶からだ。A.D.1945.4月、マリアナ沖に『奴』はいる」
「クハハハハハハハハハハハ!! そうだ、そうだ、マリアナ沖に来ればいい!! そこに私はいるぞアドミラル・ミヨシ!!」
「何故貴方はそこまでセイヴァーに……」
「何故!? 何故だと!! アイツが彼処に、あの場所に、あの時、あの年代にいたこそが曲解となっているからだ!! 奴を消して今度こそ我がステイツが全世界を支配する時がステイツの勝利なのだ!!」
「それがどうしたルーズベルト!! 俺は全力を尽くした結果があの戦争の結果だ!! 戦争を始めた後悔はあるが悔いは無い!! そうしなければ日本のために、愛する人のために、俺を信じてくれた皆のために俺は此処に存在する意味がある!!」
そしてカルデアのマスターを救出するがために集まったサーヴァントの頭上には1機の爆撃機が飛来する。
「あれは……まさか!?」
「クハハハハハハハハハハハ!! サーヴァントもろとも消えてしまえェェェェェェェェェ!!」
カルデアのマスターは問いかける。
「セイヴァー……いえ、三好将和。貴方は何を望む?」
「さぁて……何だと思うかな?」
最終決戦はマリアナ沖海戦。戦いの火蓋は切られたのである。
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ちなみに将和の宝具の内一つはイスカンダルの『王の軍勢』とよく似ている。
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三好in銀英伝(同盟改)
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
宇宙歴796年/帝国歴487年2月頃、イゼルローン回廊同盟側入口の近傍に位置するアスターテ星域において、ゴールデンバウム朝銀河帝国軍と自由惑星同盟軍との戦闘が行われようとしていた。
「どうでしたミヨシ先輩?」
「やはり駄目だ。ムーア中将は余程ダゴン星域の繰り返しをしたいようだ」
「フン、余程ムーア中将はアスターテで彼の世に行きたいようですな」
「おいおいアンドリュー……」
第六艦隊第三分艦隊司令官であるミヨシ・マサカズ少将の返答に第三分艦隊参謀のアンドリュー・フォーク准将はムーア中将を罵倒し参謀のジャン・ロベール・ラップ少佐は肩を竦めながら溜め息を吐いた。
(恐らくはパストーレの四艦隊が先にやられると思う……そして次にこの六艦隊だが……原作だと右後背から強襲してくる筈……)
マサカズはそう思いながらも艦隊布陣図を操作する。
(第三分艦隊は六艦隊の左翼に布陣している……逃げれる時間は十分にある)
「ミヨシ司令官、こうなれば我々が独断で何とかするしかありません」
「ん。参謀長はどう考える?」
「最優先でパエッタ中将の第二艦隊と合流すべきです」
フォークの答えにマサカズは満足げに頷く。フォークの考えは原作のヤンと同じ事だったからだ。
「正解だ参謀長、だが軍法会議に掛けられるヘマをしてはならない」
「行うのは前提なんですねミヨシ先輩……」
「当たり前だ。無駄に命を散らしたくないからな。死ぬのは畳の上での老衰と俺は決めている」
「では……」
「ん。敵は恐らく第四艦隊から先に片付けて我々第六艦隊を攻撃するだろう。索敵レーダーから目を離すなと厳命しておけ」
「分かりました」
そして彼等ーー帝国艦隊はやってきた。
「これはどういうことだ、敵はいったい何を考えている!? なんたることだ、敵の指揮官は用兵を知らん、こんな戦い方があるか!? 先頭集団、迎撃せよ!! 全艦総力戦用意!!」
第四艦隊提督のパストーレ中将は喚きながらも己の責務を果たそうと迎撃を行うが全ては後手に回っていた。第四艦隊は戦闘開始から僅か四時間で壊滅状態となり敗走するのである。
パストーレ中将はそれでも尚粘ろうとしていたが、旗艦『レオニダス』艦橋へ飛び込んできた中性子ビーム弾がトドメを刺した。
パストーレ中将以下、磁力靴を作動させていなかった者はビーム弾で破壊された割れ目から吸い出されてしまったのである。自動修復装置は作動していたが、修復する前にパストーレ中将らは宇宙空間へ吸い出されたのである。主を失った『レオニダス』は会戦が終わるまで戦場を彷徨うのであった。
パストーレ中将の第四艦隊を撃破したラインハルトの帝国艦隊はそのまま第六艦隊へ向かうのである。
「第四艦隊が……壊滅したとの情報です……」
「なら次はこの第六艦隊だな」
通信兵からの報告にマサカズはそう呟く。そして帝国艦隊は第六艦隊の右後背に姿を現したのである。
「敵艦隊です!? 右後背からです!?」
「機関最大!! 時計回りに進軍して敵艦隊後方に躍り出るぞ!!」
「命令違反ですなぁ」
「構うものか、勝てば官軍だ」
無論、第三分艦隊の命令違反にムーア中将が激怒したのは言うまでもない。
「あの野郎ォ!? 直ちに全艦回頭だ!!」
なお、それでも第三分艦隊は命令を無視して時計回りに進軍する。それを見たラインハルトは感心していた。
「ほぅ……敵にも戦術を理解する者はいるらしいな」
「如何なさいますか?」
「回頭する艦を叩く」
傍らに控えるキルヒアイスの言葉にラインハルトはそう答える。斯くして帝国艦隊は回頭しようとする第六艦隊を攻撃、その艦艇を悉く撃破していくのである。なお、降伏勧告を拒否したムーア中将の旗艦『ペルガモン』は原作と同じく撃沈されるのである。
第六艦隊旗艦が撃沈された事で残存艦艇は遁走を開始する。無論、ラインハルトもそれを逃す事はなく追撃をさせる。
だが、追撃してきたラインハルトの艦隊に立ち向かったのは先に離脱しながらも態勢を建て直したマサカズの第三分艦隊だった。第三分艦隊は先にスパルタニアンを出して制空権を握る方針だった。
「遠距離砲撃をしつつ遁走する味方艦艇の支援を行う。全艦砲撃始めェ!!」
マサカズの発令と共に第三分艦隊は砲撃を開始する。統制が取れた砲撃にラインハルトは追撃を停止させる事にした。
「無駄な戦闘はやめさせよう。奴等はまだ生きている」
「そのように……」
しかし、分艦隊司令官であるエルラッハ少将は追撃停止に反論する。
「馬鹿な!? 叛乱軍等全滅に滾るわ!!」
エルラッハ少将は自らの分艦隊約3000隻を率いて進撃、追撃を行ったのである。追撃するエルラッハ少将にラインハルトは無視をした。しかし、その追撃もマサカズは予想していた。
「よし、後退しつつ砲撃。いいか、回頭なんぞするなよ」
「了解!!」
エルラッハ少将の分艦隊とラインハルトの艦隊が完全に距離が離れた瞬間、マサカズは叫んだ。
「今だ!! 全艦、敵先頭艦艇に一点集中砲火を浴びせろ!!」
分艦隊が一斉射撃をし敵先頭艦艇ーーエルラッハ少将の旗艦に叩き込んだのである。
「な、何故だァーッ!?」
エルラッハ少将は己に何が起きたのか理解出来ないまま中性子ビームの光に消えたのである。マサカズの分艦隊はそのままエルラッハ少将の分艦隊を砲撃、指揮官を失い混乱している残存艦艇は攻撃により瞬く間に壊滅するのであった。
エルラッハ分艦隊の壊滅は直ぐにラインハルトの元に届いた。
「何? エルラッハの分艦隊が?」
「はい、生き残りの艦艇からの連絡です」
「……フッ、同盟軍め。ヤン・ウェンリーの他にも楽しませてくれる者がどうやらいるようだな」
ラインハルトの艦隊は現在、パエッタ中将の第二艦隊と交戦中であり両艦隊はいつしか円を組んだ戦闘を展開していたのである。
「如何なさいますか?」
「……………」
副官でもあるジークフリード・キルヒアイスの言葉にラインハルトは幾分か悩んだがやがては口を開いた。
「全艦撤退する。所定の行動はやれたであろう」
同盟軍の三個艦隊のうち二個艦隊を壊滅的打撃を与え、一個艦隊を半壊させたのだ。その武勲は計り知れなかった。
「分かりました。全艦撤退させます」
そしてラインハルトはヤンに勇戦を讃える電文を送り撤退するのであった。
「シトレの親父が呼んでるだって?」
「えぇ。直ぐに統合作戦本部にと」
アスターテ会戦から数日後、ハイネセンに帰還した残存第六艦隊は軌道上にあるハイネセン宇宙軍事基地にて修理をしていた。結局、第六艦隊はマサカズの分艦隊の他にも生き残ったのは合わせて4365隻だった。第四艦隊は3294隻が生き残り第二艦隊は8536隻だった。
「何だろうな?」
「さぁて……な」
ラップの言葉にマサカズは首を傾げつつも統合作戦本部に向かうのである。
「よく来てくれたミヨシ少将」
マサカズを出迎えたのは統合作戦本部長のシトレ元帥本人だった。
「君を含めた第六艦隊の者達が無事に帰れたのは喜ばしい事だ」
「いえ、ムーア中将達は戦死なさいましたので……」
「うむ……」
そう言ってシトレ元帥は椅子から立ち上がる。
「第四、第六艦隊は解体する。その残存艦艇は糾合して新たに第十三艦隊とする」
「再編すると……?」
「あぁ。その艦隊司令官にはヤン少将についてもらう」
「成る程。成るべくしてなった人事ですな」
「そして第二艦隊だ。パエッタ中将が本会戦で負傷療養に入った……その後釜の司令官として君を任命する」
「自分が……ですか?」
「不服かね? これでもアスターテで敵の分艦隊を壊滅させているのは聞いている」
「光栄ですね」
「その手腕を買っての事だよミヨシ少将」
「……分かりました、最善を尽くします。それと旗艦なんですが~~という事です」
「ふむ、成る程。分かった、直ぐに工廠に問い合わせてみよう」
斯くしてマサカズは第二艦隊提督を拝命するのである。そして初陣は第十三艦隊と共同してのイゼルローン要塞の攻略である。
「まさかミヨシ先輩とやる事になるとは……」
「主はお前だ。俺は補佐に回るから思う存分やれ」
「取り敢えずは御茶にしません?」
「ならブランデーをタップリ入れようか」
「そいつは嬉しい事です」
両艦隊の作戦会議でマサカズとヤンはそう話し合う。その様子に第二艦隊参謀長のフォーク准将と第十三艦隊参謀長ムライ准将は溜め息を吐いた。
「お互い……苦労しますな」
「困ったものだ……」
それを横目で見ていたのは後方主任参謀のアレックス・キャゼルヌ少将であった。
「というよりお前さんら、副官はいないのか?」
「あぁキャゼルヌ先輩。どうもまだ決まっていなくて……むしろ先輩が選んでくれませんか?」
「仕方ないなぁ……ミヨシは?」
「あぁ、もう決まっていますよ。多分そろそろ来ますので」
『来る?』
「マッサカズー!!」
そう言って部屋の扉を開けて入ってきたのは一人の女性尉官だった。
「お、いたいた。シャーロット・ロボス大尉、只今着任しました!! そしてそのまま抱きつくぞォー!!」
「お、おいシャーリー!?」
そのままゴロニャンとイチャイチャする二人に周り(第十三艦隊の面々とキャゼルヌ)は唖然とするがフォーク准将は深い溜め息を吐いた。
「ロボス大尉、そろそろ離れては如何か?」
「おりょ? そいつは失礼したわ」
ヒョイッとマサカズから離れてシャーロット・ロボス大尉は改めて自己紹介をする。
「では改めて……本日付を持ちまして第二艦隊提督副官を拝命しましたシャーロット・ロボス大尉です」
「というわけなんで自分の副官は大丈夫ですよキャゼルヌ先輩」
「分かった分かった。ならヤンだけだな」
「ところで……ロボス大尉、ロボスというネームは……」
「えぇ。宇宙艦隊司令長官のロボス元帥が私の父です」
「……もしや、今回のミヨシ少将の艦隊提督就任って……」
「いえ、父は何も関与してません。むしろ関与したのは副官就任をシトレ元帥に頼んだくらいなので」
怪しむムライにシャーリーはそう告げる。告げられたムライも釈然とはしない表情だったがそれでも頷いた。
「申し訳ありません、ミヨシ少将の実力は我々も認知していますが……つい……」
「いえ、仕方ない事ですよ」
謝罪するムライにマサカズは苦笑する。
「それでイゼルローン要塞攻略の話に戻るが……当てはあるのだろうヤン?」
「勿論です先輩。というより主力は彼等になりますので」
なお、イゼルローン要塞に関しては原作と同じく『薔薇の騎士連隊』が投入され奪取に成功するのである。
(問題はこれからだよなぁ……)
マサカズは帰還する第二艦隊旗艦『D-78』の長官室でベッドに寝ながらそう思う。なお、隣にはシャーリーが爆睡しており両者とも裸である。
(まぁ原作と違うのはフォークが綺麗で此方側にいる事だし……ヨっさんと相談してみるか)
「ヌフフフ……マサカズぅ……」
「……はいはい」
寝言を言いながらマサカズに抱きつき体温を感じて笑みを浮かべるシャーリーにマサカズは苦笑しながらも頭を撫でるのである。
数日後、第二艦隊と第十三艦隊は首都惑星『ハイネセン』に帰還する。その夜、マサカズは私服で変装しながらもとある居酒屋を訪れていた。
「やぁ此処だよマっちゃん」
「やぁヨっさん」
二人は握手をし取り敢えず酒を頼み腹にアルコールを入れる。
「カァーッ!! やっぱこれだよ。仕事で飲む酒も良いがこうやって下で飲む酒も美味いものだよ」
「そういう事だなヨっさん」
幾分か飲んでいた二人だが不意にイゼルローン要塞の話を切り出したのはマサカズからだった。
「……同盟がイゼルローン要塞を占領した事で漸く民生にも力が入れる……そうは思わないかヨっさん?」
「……分かっている……分かっているさマっちゃん……だが他の議員……特にサンフォード議長は自分が座る椅子に熱心だからな」
「イゼルローン要塞が占領された事で支持率はアップしませんかね?」
「アップはしたさ……多少な。だが奴等、来年にある選挙で頭は一杯だ」
ヨっさんーー国防委員長のヨブ・トリューニヒトは溜め息を吐きながらも残りのビールを飲み干し、店員にもう一杯頼む。
「やはりか……」
「イゼルローンで10年は粘れば民生も回復する……議長はその気持ちらしいがウェンザー議員がな……」
「あのクソババアか」
トリューニヒトの言葉にマサカズは顔を歪める。
「取り敢えず此方は裏から手を回すようにしてみる。マっちゃんも軍部の方は頼むよ?」
「努力はするが限りがあるからな」
マサカズはそう呟くが意外にも軍部も腐っているのは確かなのである。
「取り敢えずは死なないでくれよマっちゃん?」
「無論だよヨっちゃん。俺はまだ死ぬ気は無いさ」
マサカズはトリューニヒトにニヤリと笑いそう言うのであった。なお、これからどうなるかはマサカズも予知出来ない程であるのは言うまでもなかったのであった。
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三好in東方改
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「大丈夫です、暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
『日出づる国を亡国から救いし者よ』
「よして下さい。俺はそんな大層な者じゃない」
何も無い真っ白な空間、そこに将和は浮かんでいた。
「此処は地獄で? まさか天国ですかな?」
『いや、その狭間である』
「ほぅ狭間ね……国を動かし人を殺してきた者にしては相応しいか、それとも地獄行きを待つところですかな」
『……そなたにはもう一度現世に行ってもらう』
「……………」
何者かは分からない言葉に将和は眉を潜める。
「フム、八百万の神々はしがない自分に何をさせようと?」
『ただの戯れ也』
(やっぱ神様かー)
何となくはそう思っていた。何せ言う言葉からそう怪しかったし……。
「その戯れで何をしようと?」
『……人と妖の共存共栄』
「………」
その言葉に将和は無言で通す。
『無理と思われるか?』
「人と異形……過去にもそのような御伽話はあったでしょう。狐、狸、鬼……どれもが人に退治されてきた。そして異形がいなくなれば人は同じ人を病で貶す。無理とではなく難しいの一言でしょう」
『だがそれでも我はすがりたい』
「……………」
その言葉に将和は考える。
(さてさてどうしたものか……)
『そなたさえ協力してくれたら我はそなたの味方になろう』
「(それでも諦めたくはない……か)聞きます。貴方は何者で? 神ですか?」
『否。龍である』
何かの気配はする。だが出てこない。それでも将和は聞く。
「問います。貴方は何をしたい?」
『先程答えた』
「成る程。嘘偽り無く」
『如何にも』
「……承りました。しがない大層な者ではありませんが龍の願い、引き受けましょう」
『……忝ない』
気配が頭を下げたように思えた。
『そなたは今、死んではいるがそなたが行った働きによって現人神となっている』
「……それはまた……」
将和は溜め息を吐いた。信仰とまでは思ってなかったが国民からの人気はかつてあったのは自身も知ってはいるがまさか現人神とは……。
「神社でも祀られました?」
『めちゃくちゃ祀られている』
その言葉に将和は頭を抱えた。やめろと言っていたのにやりやがったのかよ……。
「まぁ……過ぎた事は仕方ないです。それで自分はどのようにしろと?」
『人と妖怪の調整役を兼ねてもらいたい』
「調整役ね……」
『一先ずそなたを送る。場所は但馬国二方郡諸寄村也』
「そこ作者の田舎ェ……」
『ぶっちゃけいいのが思いつかなかった』
「ア,ハイ」
取り敢えず考えないようにした将和である。
『では送るが……そなたにも色々な協力者は送る。安心せよ』
(協力者がヤバかったら安心出来ねぇです)
将和はそう思いながらも急速な眠気に襲われ瞼を閉じるのであった。
「ん……」
波の音が聞こえ目を覚ますとそこは海岸だった。
「海……か……」
「んぅ……」
不意に隣で声がした。視線を向けてみたら夕夏が寝ていた。そう、将和が愛しても愛してもやまない三好夕夏だった。
寝ている夕夏の髪を撫でる。それに反応して夕夏の目がパッチリと開いたのである。
「……あの世かしらね……」
「あの世とはこれまた失礼だな」
「だってまた若い頃の貴方を見れてるのよ? あの世と思うわよ」
「残念ながらまた現世だよ。実はな……」
将和はそう言って夕夏に説明をする。説明を受けた夕夏はニンマリと笑う。
「じゃあ暫くは二人で新婚生活が出来るわね♪」
「おいおい……」
「あら、人生は楽しまないと損するわよ」
ウインクをする夕夏に将和は溜め息を吐いたがその表情は何処と無く嬉しそうだった。
「……そうするか。さて、まずは村人を探さないとなぁ……」
「そうねぇ。後は寝床ね、今夜は寝かさないわよ?」
「……それ、本来は俺が言う台詞なんだけどなぁ……」
二人はそう言いながら海岸を歩くのであった。
それから数年の時が流れた但馬国二方郡諸寄村、諸寄村は入り江がある漁村であり海岸を中心にした村の形成であったがその浜坂村方面の山の中腹程に将和と夕夏が住む神社があった。その神社は二人が来る前は廃社になっていたが将和が手直しを施し改装した事で神社となっていた。今では諸寄村を守る諸寄神社と呼ばれたりしている。
当初、海岸からやってきた二人を怪しんだ村人達だったが気さくな将和や美人の夕夏の夫婦だった事もあり直ぐに村人達の輪に入って宴会をする程だった。
また、村に妖怪が来た時は現人神になっていた将和が退治した事で将和の株が上昇し今の神社に住む要因にもなっていた。その噂は近隣の村々も聞き付け将和に妖怪退治を依頼する程であった。
(というより妖怪っていたんだなぁ……)
畑を耕しながら将和はそう思う。なお、農耕機具に関しては初っぱなから備中鍬や千歯扱き等を生産して投入させている程であり諸寄村を中心に使用されていた。また、神社と村に結界を敷いているのでおいそれと妖怪も近寄る事は出来なかった。
「貴方ぁ。お昼にしましょう」
そこへ夕夏が両腕に竹で編んだ籠に昼食を入れて持ってきた。
「よっしゃ、なら昼にするか」
時は正暦元年(990年)、京では藤原道隆が摂政・関白を歴任している頃だったが但馬国二方郡諸寄村は今日も村人達は楽しく農作業に勤しむのであった。
この後、夕夏は村の子ども達を鬼から守るために獅子奮迅をして死にその遺体は向日葵畑に埋葬。
翌年の夏に向日葵畑から夕夏の記憶を持つ風見幽香が誕生し将和とまた暮らし始めるとかそういう展開があったりなかったりする。
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三好inウルトラマンシリーズ
ティガは原点です。(ガゾートの話は神作と思うんだよ)
「これが……これが日本が望んだ事だったのだろう? これのために一人の命が喪われた……日本のためにと思っていた行動は全て無に還った……後はもう好きにしろ。俺は好きにした。君らも好きにしろ」
将和はそう言って足早と記者会見を終えて去った。後ろから聞こえる「総理」「総理」という言葉に耳を傾ける事はなく総理官邸に戻り大臣達に内閣総辞職を告げ公邸に戻って夕夏達に一言だけ告げた。
「田舎で暮らそうか」
「そうね……晴耕雨読の生活もしてみたいと思っていたから良いかしらねぇ」
将和の言葉に夕夏は笑みを浮かべシャーリー達も頷く。そして三日後には先に夕夏達が決定した関西地方の田舎に引っ越すのである。なお、将和は残務処理をしてからなので一月後であったが。
その間にも陛下や大勲位、他の閣僚達は将和に慰留を求めたが将和は首を縦に振る事はなかった。
「あれから三年……か……」
将和は関西地方のとある田舎の海岸付近の山の麓に居を構えていた。なお、当初は都会から一族と付近の住人達から思われていた将和達だが夕夏が薙刀でクマを退治した事で住人達からは絶大な評価を得ており将和達の事は口外しない事で一致している程であった。
銃やペンから鍬に持ち替えた将和だが農業等にも興味があったので特に問題はなくむしろ土地を購入して田畑の整備をしていたりする。
「明日は山に行かないかしら?」
「山? またクマ退治でもするのか?」
「やぁねぇ。ここら辺のクマは刈り取ったでしょ」
(齢70にもなる婆さんがどうやってクマを刈り取るんだよ……)
「何か言ったかしら貴方?」
「いえ何も……」
鋭い夕夏の視線に将和はそう答えるのが精一杯である。
「ほら、そろそろマツタケの季節じゃない? マツタケを将弘達に送ろうかなと思ってね」
「あぁ……そういやその季節だな」
季節の背景はそういう季節なのだ。(おい
「ま、構わんよ」
そう言って将和はテレビを付ける。映像はニュースを言いつつも『怪獣』の話をしていた。
「今日は神戸の方に怪獣が出たのね……」
(どう見ても……あれはセブンとキングジョーだよな……)
映像では怪獣ーーキングジョーと戦うウルトラセブンが映っていた。
『このように神戸港に現れた怪獣キングジョーはウルトラセブンとウルトラ警備隊により退治されました』
『いやぁ流石はセブンです』
ニュースキャスター達はそう言い合う。
(まぁ俺には関係ない事か)
将和はそう思いながら味噌汁を啜るのである。翌日、将和と夕夏達はマツタケ狩りに山に入っていた。
「あまり無茶するなよぉ」
「分かってるわよ」
将和はそう言いながらも一人でマツタケを採取していく。そして山の中腹に謎のピラミッドを見つけたのである。
「これは……」
将和は謎のピラミッドに唖然としていた。それはかつて平成の時代の時に自身が小さき頃に見ていた特撮ドラマとソックリだったのだ。
「このピラミッドは……まさか!?」
将和はピラミッドの入口を探して中に入る。そして長い廊下を走り抜けるとそこは光に溢れていた。
「こいつは……」
光の先には一体の石化した巨人が佇んでいた。そしてその石化した巨人に将和は見覚えがあったのだ。
「……ティガにソックリだ……」
『ウルトラマンティガ』それは平成ウルトラマンシリーズの第一作目であり作者が小さき頃に熱中しダントツに好きなウルトラマンであった。(2番目はセブン。それ以外は無し。てかあるわけないだろぉ)
将和は巨人に歩み寄り、足元ではあるが巨人に触れる。冷たい感触はあるが確かにそこには巨人はいたのである。
そして僅かに響く音。地面が揺れていたのだ。
「まさか……ッ!?」
将和は来た道を戻りピラミッド入口に戻る。麓には怪獣がいた。
「あれは……『ゴルザ』!?」
それはティガ第一話に登場した超古代怪獣『ゴルザ』であった。『ゴルザ』は田畑を荒らしながらも将和の山に向かいつつあった。良かった点としては田舎であり人家が非常に少なかった事だろう。
「貴方!?」
「夕夏、シャーリー達も……」
そこへ怪獣の叫び声を聞き付けた夕夏やシャーリー達が駆けつける。
「まさか怪獣が出るなんてな。早く逃げよう」
「夕夏達は早く逃げろ。俺は……やる事がある」
将和はそう言ってピラミッドに視線を向ける。
「こんなところにピラミッド……? あ、将和!?」
「ちょっと貴方!?」
駆け出してピラミッドに入った将和に夕夏達も追いかけるのである。そして夕夏達も石化した巨人を目撃する。
「こ、こいつは……」
「ウルトラマン……? いえ、でも違うわね」
驚く夕夏やシャーリーを尻目に将和は巨人に再度歩み寄り手を触れる。
「お前が何故此処にいるのかは俺にも分からない……けど、今は俺に手を貸してほしい」
そして巨人は光に包まれやがては将和の右手に小さく収まりーーあのスパークレンスになる。
「……行くのね」
全てを察した夕夏に将和は頷く。
「……行ってくる……」
将和はそう言って右手にスパークレンスを構えて真上にあげてスイッチを押す。そして将和は光に包まれ夕夏達が上を見上げた時、光の巨人ーーウルトラマンはいたのである。
「ティヤッ!!」
ウルトラマンは下にいる夕夏達を巻き込まないようゆっくり移動してから『ゴルザ』と向き合う。ウルトラマンに気付いた『ゴルザ』は雄叫びをあげて向かってくるがーーウルトラマンは容赦なく攻撃をする。
「シャァッ!!」
右手を少し溜めてから振り下ろすように投げて八つ裂き光輪を出しそのまま『ゴルザ』の首を斬り落としたのである。首を落とされた『ゴルザ』は血飛沫をあげながらゆっくりと倒れたのである。
それを見届けたウルトラマンは光になりそのまま人の姿にーー将和の姿に戻るのである。
『貴方!!』
元の姿に戻った将和に夕夏達は駆け寄り抱き締める。
「ハハ……今度はウルトラマンになっちまったよ……」
「……良いじゃない。貴重な体験よ」
「そう言えるのは夕夏の良いところだよなぁ……」
「それもそうかもな」
将和はそう答えスパークレンスを見る。スパークレンスが消えないという事はまだ役割があるという事なのだろう。
(今度はウルトラマンにしか出来ない俺の仕事という事か……となると……トラウマとかの回避か?)
ウルトラマンシリーズでトラウマといえばやはりウルトラマンレオであろう。だが本当にそうなるかは分からない。
(まぁ……なるようになるか)
そう思う将和であった。そして時は幾分か流れた。
「外宇宙から高速で円盤がこのステーションに……えっ?」
「どうした!?」
「え、円盤が火星軌道上で停止。更なる反応が……」
(何だ、何が起きている……)
『MAC』アジアステーションで隊長のモロボシ・ダンは突然の出来事に唖然としていた。そして火星軌道上では……。
「シャァッ!!」
再度ウルトラマンに変身した将和は円盤ーー円盤生物の怪獣である『シルバーブルーメ』と対峙していた。速攻で八つ裂き光輪を出して『シルバーブルーメ』の触手を全て斬り落とす。
「キエェェェェェェッ!?」
叫び声が悲鳴なのか分からないがそれでも将和は攻撃の手を緩める事なく八つ裂き光輪で『シルバーブルーメ』を斬り刻んでいき最後はあの必殺技を出す。
「フンッ!! ハァァァァァァァァァァァァッ!! ジェアッ!!」
両腕を前に突き出し交差させてから大きく横に広げてエネルギーを溜めた後、ウルトラセブンと同じワイドショットと同じL字に構えて放つゼペリオン光線を放ち『シルバーブルーメ』を撃破するのである。
「あ、円盤が撃破されました。ウルトラマンレオ……? でもレオじゃない……」
「……そうか……(何が起きている……?)」
そう思うモロボシ・ダンであったが何が起きたか分からずそのままウルトラマンレオは終わり、時は近未来となる。
「ドキュメントMACによればこの謎のウルトラマンは一度だけしか現れていないそうです」
「そのウルトラマンを探すウルトラマンレオ……か」
「だがそのウルトラマンがいなければ当時の防衛チームは全滅していた可能性が非常に高い……か」
「ミライ、光の国にはそんな奴いなかったのか?」
「……残念ですがその人はいなかったです……」
リュウの言葉にメビウスーーミライは首を横に振ってそう言う。そしてそのウルトラマンが現れたのはーー無かった。
(いやまぁ……今更俺が出ても意味は無い……と思っていたけど、これはある意味の予想外だなおい……)
エンペラ星人にメビウスとゾフィーに負けたのを遠めから見る将和である。
「人は皆、自分自身の力で光になれるんだ。そうだろう?」
将和はスパークレンスを取り出す。将和の問いに答えるようにスパークレンスは光る。
「ならば最後の戦いと往こうか!! 俺には守るものがある…たくさんの仲間が……そして、何よりも大切な人が!!」
そう言って将和はスパークレンスをマドカ・ダイゴと同じ変身ポーズをする。
『何ィ!?』
突如現れた謎の光と共にウルトラマンが現れる。
「あれは……」
「確か謎のウルトラマン……」
地上にいたトリヤマ補佐官とミサキ総監代行がそう話す。
『貴方は……』
『そうか、君がセブンが言っていたウルトラマンか……』
『……………』
メビウスとゾフィーの言葉に将和は視線を向けるも直ぐにエンペラ星人に視線を向ける。
「ティヤッ!!」
斯くして将和の最後の戦いが始まるのであった。
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三好inウマ娘(ボツ ウマ娘)
ちなみにトレーナー版もあったりします
「この馬、破傷風なんじゃないか? 調べてみたら?」
1951年6月7日、たまたま訪れたトキノミノルの見学で海軍元帥大将の将和はそう厩務員らに告げたが厩務員は特に問題が無かったので気にする事はなかった。
しかし、トキノミノルは破傷風で6月20日に死去してしまい厩務員達は将和の指摘に従っておけば……と悔やんだ。
それから数十年の時が流れて……。
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「なーんで今度はウマ娘なんかしてるんだろ俺……」
昭和から令和の時代、将和は何故か再び転生をして気付けばウマ娘になっていた。しかも将和自身はそんなにウマ娘については知らない。大体は昔の馬なら知ってはいるが……。
「まぁ艦これやストパンのアニメもあったからそのうち馬を擬人化するのは想定済みだったけど……容姿がこれはマズイだろ?」
将和の容姿は何故か艦これに登場する駆逐艦『長波』にそっくりだった。その容姿でウマ耳に尻尾である。
「ただ……問題は生活資金だよなぁ……」
将和は現在、築50年は過ぎてるだろうアパートの一室を借りて生活していた。気付けばであり将和もそれ以前はどのような生活を送っていたかは不明だが貧乏なのは間違いないだろう。だが、資金についてはある程度分かっていた。
「これ……前の世界で言う競馬だもんなぁ」
どうやら以前の生活としてレース……非公式で行われる闇のレースで生活費を稼いでいた模様である。それらの類いの書類が多く部屋に乱雑しており恐らくは常連なのだろう。
「ほぅ……一着は100万、二着50万、三着20万、それ以下は5万ずつねぇ……だが稼ぐにしてもこの身体がどうなっているかだよな」
転生を繰り返すとある程度の事には馴れて対処してしまう将和であった。なお、近くの河川敷で軽く走り込むと短距離からマイル程のそこそこの力はあるようであった。
「あれか? 容姿が駆逐艦だからそこまでの走り(航続距離)が無いというところか?」
まぁそれでも走れる事には問題なかったのでネットで出走登録をして数日後の夜中に指定された競馬場で出走が行われるのである。
『一番、ホタルノヒカリ。二番、ロリコンヤロウ。三番、クチクカンナガナミ。四番、ショタダイスキ。五番………』
「さーて……どこまでやれるかなっと」
ゲートが開かれると同時に将和は走り出すのであった。なお、登録名はクチクカンナガナミである。
「うーん、何とか三着20万で滑り込めたか」
途中中盤辺りまでは将和も一位をキープしていたが最後の第四コーナーを曲がる辺りで失速してしまい何とかそれでも三着に滑り込んだのである。
「………うーん……(これは練習しながら一位を目指して貯金していくしかないわな)」
取り敢えず、行きは終電で来たので駆け足でアパートに帰る将和であった。
「取り敢えずは今週は三着を狙いつつ来週以降は二着とか目指すか。後は他の地方にもこういったレースがあるかだな……と思ったがこの食費はマズイ。非常にマズイ」
将和はテーブルに置かれた大量の食事を見ながらそう思う。人としての食事かと思ったら予想以上に腹が空くのだ。となると食費の計上は将和が予想している以上になる。
「……これは賞金額を調べて他のレースも探さないとな……」
将和はそう呟きながらネットを立ち上げて調べるのである。
「エアグルーヴ、厄介な事になったよ」
「厄介……とは会長?」
「非公式のレースは知っているだろう?」
「えぇ……まぁ……」
トレセン学園の生徒会室で会長のシンボリルドルフは副会長でもあるエアグルーヴと話していた。
「学園長も非公式のレースについては由々しき事とは理解しているらしいが……」
「その非公式のレースが何かあったので?」
「……此処半年、その非公式のレースを総ナメしているウマ娘がいるらしい」
ルドルフはそう言って机に数枚の写真を置いた。
「登録名は『クチクカンナガナミ』。果たして本名かどうかも不明だ」
「成る程」
「しかも額も額だ……推定では7000万を獲得しているとの情報だ」
「な、7000万!?」
ルドルフの言葉にエアグルーヴが驚愕の表情を浮かべる。
「そ、そんな大金もなんですか!?」
「確実性は無いが……学園長が入手した情報ではそうなっている」
「……では会長、我々は如何にするべきですか?」
「……学園長もそれを考慮してな……特命が我々に降った」
「特命……?」
「あぁそうだ」
そしてルドルフから語られる言葉にエアグルーヴは再度驚愕するのである。
「さーて、今日も頑張りますか」
将和は今日も非公式のレースに参加していた。出走準備をしているところ後ろから複数の気配を感じた。
「君が……クチクカンナガナミだね?」
「……だったら何です?」
「私はトレセン学園の会長シンボリルドルフだ。君が参加している非公式のレースについてだ。率直に言おう、参加するのはやめてもらいたい」
「御断りします」
ルドルフの言葉に将和は即答で返答して出走の出口に向かう。だがルドルフはそれを遮る。
「待ってほしい。君がレースに参加する度に巨額の資金が動いているのだ」
そんな事はない、ルドルフは咄嗟に嘘をついたが将和はジッとルドルフを見据える。
「それは俺には関係ない事だ。俺はレースに出て賞金を取る。ただそれだけだ」
「…………ッ………」
何か見透かされているような感触を覚えるルドルフである。そして将和は頭を抱えていた。
(トレセン学園が接触してくるの早かったな……こうなると何処か身を隠さないとアカンなぁ……)
既に移動する事を思案していたりする将和である。なお、レース後にアパートに帰るとそのまま荷物を纏めて姿を眩ます将和であった。
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三好inウマ娘(トレーナー)
「この馬、破傷風なんじゃないか? 調べてみたら?」
1951年6月7日、たまたま訪れたトキノミノルの見学で海軍元帥大将の将和はそう厩務員らに告げたが厩務員は特に問題が無かったので気にする事はなかった。
しかし、トキノミノルは破傷風で6月20日に死去してしまい厩務員達は将和の指摘に従っておけば……と悔やんだ。
それから数十年の時が流れて……。
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「なーんで今度はトレーナーをしているんだろうなぁ……」
昭和から令和の時代、将和は何故か再び転生をして気付けばウマ娘をサポートするトレーナーの試験に合格しているところから気付く事になる。しかも将和自身はそんなにウマ娘については知らない。大体は昔の馬なら知ってはいるが……。
「まぁ艦これやストパンのアニメもあったからそのうち馬を擬人化するのは想定済みだったけど……容姿がこれはマズイだろ?」
ウマ娘にも勝負服というのもあるが場合によっては男を刺激する服もあったりする。
「まぁ何とかなるかな……」
今までは艦隊を指揮していた事から何とかなるだろと思っていたりする将和であるが流石に現実は厳しかった。
「うーん、あっという間にスカウトされていったな……」
色々ターフ等で将和は練習を行ったりするウマ娘達を見ていたがどうもピンと来ない。来ないというより将和は個々ではなく全体を見てしまう傾向があった。これはやはり軍を、艦隊を率いていた事もあり個々が伸びるのではなく全を伸ばす必要があったからでありその先入観を捨てきれなかったのだ。
「うーん……」
どうするか悩むが結局、将和はその年はスカウトしなかった。スカウトしない代わりにターフを時間がある限り訪れてウマ娘の練習等を見学してどういった教育をしたら良いか勉強したのである。
だが、周りからはそうは思われてはおらずむしろサボっていると思われ告げ口をされ学園長である秋川やよいの耳にも届いたので将和は呼び出されたのである。
(嫌な予感するなぁ……)
将和はそう思いながらも懐にある封筒を確認しながら理事長室に入る。
「質問!! 他のトレーナーから貴方はトレーナーの業務であるスカウトと育成を怠っていると聞いた。それは真実か?」
「……ッ………」
やよいが将和に質問する中で、秘書である駿川たづなは将和を見て驚愕の表情をしていた。だが将和はそれに気付く事なくやよいと会話をしていた。
「理事長。自分は今年度にトレーナーになったばかりです。いきなりスカウトをしてもし、それが失敗に繋がればウマ娘達の将来に関わるでしょう。その為、自分は今年度はウマ娘の練習及びそれに携わるトレーナーの指導方法をターフ等で勉強しようと思い実際にしていましたが……それがトレーナーの沽券に関わるようでしたら構いません、トレーナーの職を返上します」
「……ッ……」
将和は理由を説明しながらもトレーナーの権威に関わるなら辞めると辞職願を提出したのである。だが将和の説明にやよいは頷いた。
「理解ッ!! 貴方が辞職する理由にはならない。報告してきたトレーナー達には私が直に説明して誤解を解こう。それで良いかな?」
「……分かりました。向こうのトレーナー達が納得するのであれば構いません」
「ウム。それでは……たづな?」
「……ハッ、す、スミマセン」
呆然としていたたづなに思わずやよいが声をかけ、漸く気付いたたづなである。取り敢えずの話はそこで終わり将和が退出し廊下を歩いていると後ろから走ってくるのがいた。たづなだった。
「あ、あのッ!?」
「はい?」
「……『トキノミノル』この言葉に覚えはありませんか?」
「『トキノミノル』ですか? 十数年前に15戦15勝して引退したウマ娘ですね」
「いえ、違います。馬の『トキノミノル』です」
「ッ」
たづなはそう言って自身が被っていた緑の帽子を取る。その頭にはーーウマ娘と同じくウマ耳がピコピコと動いていた。
「その耳は……」
「あの時……貴方は破傷風だと指摘して下さったのに私は亡くなり……そうしたらこの世界に生を受け、今度こそはと思い怪我と健康に気を付けながら……」
たづなーートキノミノルは将和に会えたら絶対に報告しようと思っていたのだろう。涙を流しながら将和に告げる。
「あの時は……ありがとうございました。あの指摘があったからこそ、私はこの世界にウマ娘としての生を受け走れたのだと思います」
「……そうか……あの時にか……」
確かあの時は記憶にあったからそう指摘したまでだったんだがなぁと思う将和だが口には出さなかった。
「なに。トキノミノル、君自身が満足した走りをしたのなら俺も満足だよ」
「……ありがとうございます」
将和の言葉にトキノミノルーーたづなは再度涙を流して頭を下げるのであった。なお、将和のトレーナー業務についてはたづなも支援するとの事であり翌年から将和はスカウトをする事にしたのである。
「さーて……取り敢えずはあのウマ娘から声をかけるかな……」
そう言って将和は葦毛のウマ娘に声をかけるのであった。そして将和は再び歴史を作り出すのである。
『オグリキャップ先頭か!? オグリキャップ先頭か!? 200を切った!? オグリキャップ先頭!!』
『ライアン!!』
オグリキャップ先頭!! オグリキャップ先頭!! そして、そして……』
『ライアン!!』
『来た来た!? ライアン来た!! ライアン来た!! しかし、オグリ先頭!! オグリ先頭! ! ライアン来た!! ライアン来た!! オグリ先頭!? オグリ1着!! オグリ1着!! オグリ1着!! オグリ1着! ! 右手(左手)を上げたオグリキャップ!! オグリ1着!! オグリ1着!!』
『さぁ大外から、大外から、やはりキングヘイロー跳んできた、キングヘイロー跳んできた!! キングヘイローか!? キングヘイローが撫で切ったッ!! キングヘイローッ! キングヘイローが纏めて撫で切ったッ!!』
『バブルをかわした!! バブルをかわした!! エアグルーヴか!! エアグルーヴか!? 内からバブル!! 内からバブル!! 内からバブル!! バブルか!! エアか!? バブルか!? エアか!? エアグルーヴー!!』
『3馬身から4馬身!! 今日はそれほど差をつけなくても大丈夫です!! ナリタブライアンだ!! ナリタブライアン!! ナリタブライアン!! 4冠達成!! 強い!! 強い!! 強い!! ブライアンやはり強い!! 古馬の壁、見事打ち砕きました!!』
『タイキシャトル強い!! タイキシャトル文句なし!! タイキシャトル文句なし!! 圧勝ー!!』
『皇帝と若武者の対決になった!! 第4コーナー回った!! ルドルフ出た!? ルドルフ先頭だ!!』
『先頭はダイワスカーレットだ!! ダイワスカーレット先頭だ!! 勝ったのは13番ダイワスカーレット!!』
『先頭はここでゴールドシップだ!! さぁゴールドシップ全速前進! ! 三好将和トレーナー、ゴーサインを出した!!』
『さぁ大外から、大外から来ました来ました。トキノミノルです、トキノミノルが速度を上げて突撃してくる!! ゴルシを抜かして一気に三番手のナリタブライアンも抜かした!! ルドルフだ、ルドルフとの一騎討ちだ!! 並ばない並ばない!! ルドルフも一気に抜かしてゴール!! トキノミノルの復活です!! トキノミノルが我々の元に帰って来ました!!』
斯くして幕は開けたのであった。
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三好inマジンガーZ
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「Dr.ヘル!! Dr.ヘルは何処か!!」
エーゲ海のバードス島、そこには世界征服を企むDr.ヘルの一味のアジトがあった。その廊下をDr.ヘルの部下であるあしゅら男爵が急ぎ足でDr.ヘルの部屋に向かっていた。
「Dr.ヘル!!」
Dr.ヘルの部屋をバンと勢いよく開け中で新たな機械獣を開発していたDr.ヘルはあしゅら男爵に視線を向ける。
「……そのような声を出して何事かあしゅらよ……?」
「おぉ、Dr.ヘル。実は新たなる作戦を思案しご報告に参りましてございます」
「ほぅ……新たなる作戦とな……? 失敗続きの貴様に何があると?」
「ッ」
Dr.ヘルの視線にあしゅら男爵は一瞬、身体をビクリとさせるも片膝をつく。
「失敗続きなのは私も如何なる弁明もありませぬ……しかし、我々は根本から誤っていたのではないかと思いました」
「ほぅ、根本か……それは何かね?」
「我々は幾度ともなく光子力研究所を攻めました後一歩のところで敗北しました。ですが、研究所を支えるのがあります」
「研究所を支える……?」
「……三好光子力研究所です」
「……やはり三好正盛博士のところか!!」
あしゅら男爵の言葉にDr.ヘルは開発していた機械獣の部品を握り潰す。Dr.ヘルの機械獣軍団は幾度ととなく日本を襲撃していたがそれを悉く撃破していたのが光子力研究所の兜甲児が操縦するマジンガーZだった。
そしてそのマジンガーZを支援するのが三好光子力研究所だった。
「ではあしゅらよ……光子力研究所を襲うのではなく三好光子力研究所を襲えと……?」
「御意にございます。三好光子力研究所を破壊すれば光子力研究所は堀を埋められたも同然です」
「ムム……それで、その策とは……?」
「はい。策はーーー」
そしてあしゅら男爵から作戦の説明がなされるのであった。
「全く……まさかマジンガーZの世界とは……」
関西地方のとある山奥にある三好光子力研究所、その外ではプロトタイプマジンガーを操縦する三好将和があった。
将和は何時も通りに気付けばマジンガーの世界にある三好家に生を受けていた。そして光子力の研究者である祖父三好正盛の手伝いでプロトタイプマジンガーを操縦していた。なお、操縦の腕はピカ一だったりする。
これまでに機械獣軍団が日本に攻めてきた時に兜甲児のマジンガーZと共に戦ってきた。
『将和ー!! 早くジェットスクランダーの実験を始めるのじゃよー!!』
無線から祖父の三好正盛が喚く声が聞こえる。その声に溜め息を吐きながらも操縦桿を引く。
「へいへい……今やるよ爺ちゃん。ジェットスクランダー!!」
プロトタイプマジンガーを走らせながらジェットスクランダーを呼ぶ。山の中腹からカタパルトで発射されたジェットスクランダーが旋回しながらプロトタイプマジンガーの後方から迫る。
「スクランダークロォォォォォス!!」
走ってたプロトタイプマジンガーはジャンプして上空に飛び上がる。後方で待機していたジェットスクランダーがプロトタイプマジンガーから発信される電波に沿ってプロトタイプマジンガーの背中に装着するのである。
『オォォォォ!! プロトタイプマジンガーでも成功じゃ!!』
「クッ……やるのは俺だけど……衝撃と速度は速ぇな……」
何とか飛行にも成功するプロトタイプマジンガーであった。そしてその日の夕方、将和は研究所で寝泊まりをするのだが非常警報が鳴った。
「な、何だ、どうした爺ちゃん!?」
「侵入者じゃよ!? Dr.ヘルめ、搦め手で攻めて来よったわい!!」
職員と慌ただしく動く正盛が将和にそう叫ぶ。
(まさかあしゅら男爵が直接鉄仮面軍団を率いてきたのか?)
将和も拳銃を握り締めて廊下を走り出す。至るところに職員達の惨殺された死体がちらほらとあり吐きそうになるのを堪えながらも駆ける。そして三人の影を見つける。
「お、お前らは!?」
「……発見。発見」
「三好将和を発見」
「三好将和を倒す」
三人の目つきの鋭い金髪ツインテールの上からボンッキュッボンの美女はそう言って硬軟に変幻自在な鋭い切れ味を持つ鋼鉄製の金髪を駆使して将和を襲うのである。
「まさかのガミアQかよ!? 漫画版とカイザーと真しか知らねぇよ!?」
将和は攻撃してくる金髪を避けつつ拳銃を撃つがガミアQの固い装甲に阻まれて銃弾は貫通しない。
『将和!! 何とか時間を稼ぐのじゃ!!』
「爺ちゃん、稼ぐったって何をすんの!?」
『良いから早く!?』
「~~~ッ、えぇいままよ!!」
「三好将和逃走」
「逃走、逃走」
「殺す、殺す」
小型無線機から流れる正盛の言葉に将和は走り出す。その後ろを三人のガミアQが追いかけてくる。金髪が襲ってくるが将和は何とか避けつつ逃げる。
「まだか爺ちゃん!!」
『もうちょい……もうちょい……良し、スイッチオン!!』
そして研究所が青白く光り出して研究所を覆う。時間的には10秒程であったが光りが収まると三人のガミアQはピクピクと身体を痙攣させて倒れていた。
「これは……?」
『何とか間に合ったか……今やったのは電磁波攻撃じゃよ』
「電磁波攻撃?(EMP攻撃みたいなもんか……)」
正盛の説明に将和はそう思う。
『取り敢えずはその三人は回収するぞい』
「へいへい……」
動かない三人のガミアQを正盛の元に運ぶ将和であった。そして将和の実験の日々はまだまだ続くのであったが兜甲児がDr.ヘルの機械獣軍団と全面衝突をすればする程、将和がいる三好光子力研究所にも機械獣軍団が襲い掛かってくるのである。
「クソッタレ!! 光子力ビィィィィィム!!」
三好光子力研究所に迫る機械獣『バジルF7』を光子力ビームで破壊する将和。だが機械獣はまだ多数いた。
「フハハハハハハ!! これだけの機械獣軍団がいれば三好光子力研究所も一捻りだ!!」
「うるさいぞあしゅら男爵!! いやお義父さんにお義母さん!!」
「えぇい黙れ黙れ!! 私は認めんぞ!!」
「幾ら我が娘ガミアとの結婚は認めはしない!!」
プンスカと怒るあしゅら男爵。あの後、正盛はガミアQを此方側の味方にしようと改修して将和の護衛にしたのは良いが次いでとばかりに生殖機能まで付けるに及び仕舞いには将和を娶るようインプットされた三人のガミアの夜這いに負けた将和であった。
なお、三人のガミアはそれぞれ『ミア』『アミ』『ミカ』と名付けられている。
「お父様」
「お母様」
「私達は幸せになります」
『オォォォォノレェェェェェェ!! 三好将和ゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!』
「……てか、原因は爺ちゃんじゃねぇか!?」
何故か血涙を流すあしゅら男爵を他所に将和はそう思いながらも機械獣『グレイダーF3』にブレストファイヤーをぶちかますのであった。
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三好inポケモン
無印と金銀無印は最高。ハッキリとわかんだね
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「ヨッシ、今度は勝った。勝ったで」
「どうしたのマサカズ?」
「何もないで母さん」
台所で夕食の準備をする母親の言葉にミヨシマサカズはそう答えた。ジョウト地方のコガネシティ近郊、近所には育て屋の老夫婦が住んでいる。そんなところにマサカズの実家がある。
(まさかポケモンの世界……しかも無印と金銀の世界とか……マジで最高しかねぇわな……)
「ピカピ?」
そんな事を考えているとマサカズのポケモンであるピカチュウ(あだ名はピカ)が遊ぼうよと言うようにマサカズの頭に乗って尻尾を振る。
「あぁゴメンゴメンピカ」
「チャ~」
マサカズはピカチュウを抱き抱えて頭を撫でるとピカチュウはくすぐったいのか嬉しそうに頭を振る。
「さぁご飯出来たわよ」
「あいよー」
そして夕食を取るマサカズと母親であった。
「てか、コイツがいる時点で気付けば良かったな」
「何か言ったマサカズ?」
「何もないでアカネ」
コガネシティのコガネジムでマサカズはいつものようにアカネとバトルしていた。なお、マサカズの勝利である。
(まぁミルタンクのトラウマがあるから……それで思い出したにも近いわな……)
原作の金銀にてチコリータを選んだ者達なら分かるだろう。最初のキキョウシティはひこうタイプ、ヒワダタウンはむしタイプ。その苦行を乗り越えて漸くノーマルタイプのコガネシティなのにミルタンクでトラウマが発生するのだ。
『メロメロ』→『ころがる』→『メロメロ』→『ころがる』
これの連続コンボによりベイリーフだった作者は発狂した。てか頭抱えた。クリアしたのは何とかワンリキーを育てたからでありチコリータ派は苦労するのだ。いや、ほんとに。
「それよりもマサカズ、あんた次の就職どうするん?」
「ん? あぁ……スーパーのが閉店したからなぁ」
マサカズはスーパーでの店員だったが店長が店を閉める事で解雇となっていた。
「……あ、あんなマサカズ? まだ就職決まってないんなら……ウチのジムでも……」
ゴニョゴニョと顔を赤らめるアカネだがマサカズは気付いていない。そしてマサカズはある事を口に出す。
「トレーナーだからジムに挑戦しようかなって」
「………ハァ!? ジムに挑戦ってアンタまさか……」
「あぁ。ジョウトとカントーのバッジ16個を揃えようかなって。貯金は余裕あるから多少は……「嫌や!? マサカズと離れんの嫌や!!」おいおい……」
マサカズがそこまで言うとアカネが泣き出したのである。
「嫌やー!! マサカズはウチといるんやー!!」
「あ~あ……アカネちゃん泣かせちゃった……」
「勝手に泣き出すコイツが悪いんすよ……」
傍にいたミニスカートのアスカが肩を竦める。号泣するアカネが中々泣き止まないのはいつも通りであった。結局、暫くしてから漸く泣き止んだアカネだが、何故か決意した表情をしていた。
(あ、スッゲー嫌な予感……)
「決めたでウチ!! マサカズが行くならウチも行くで!!」
「却下」
「即答すんな!?」
「即答するわんなもん!! お前も行ったらジムはどないすんねん!!」
「ジムならウチのオカンに任せたらええわ。オカン、最近太ったらしいからダイエットでジムリーダーしたらええねん」
「そういうもんやなくて……てかラジオどうすんのや?」
実はアカネ、コガネラジオにも週一で出演している程であるがマサカズの言葉にアカネはニヤリと笑う。
「そんなもん休止や休止!! ラジオとマサカズのどっちが大切やねん!!」
「ア,ハイ」
完全に八方塞がりのマサカズであり結局はアカネの旅の同行を許可するのである。なお、それを聞いたマサカズの母親はというと……。
「アカネちゃんならマサカズの手綱を引いてくれるから大丈夫でしょ」
「せやろ!! 流石マサカズのおかあはんやで!!」
「むしろウチのアカネが迷惑やのにな」
「何か言ったかオカン?」
「なーも言うとらんで」
上手くない口笛を吹いて視線を合わせないアカネの母親であった。それはさておき、マサカズとアカネはコガネシティから旅立つ事になる。ちなみに二人とも自転車での移動である。
また36ばんどうろの交差点ではウソッキーが道を塞いでいる事はなかった。これは既にマサカズが捕まえて家のポケモンにしていたからである。
「取り敢えずは何処に行くんや? キキョウシティからなん?」
「あーせやな。ハヤトをしばかんとな」
「ハヤト、可哀想やな」
「ツクシも速攻でやらんとな」
「マサカズに慈悲ってもんないん?」
「あったら毎回アカネを泣かしてないやろ」
「……それもそうやなって納得させんなや!!」
「納得したんはお前やろ!!」
(夫婦喧嘩だなぁ……)
ギャーギャーと騒ぐ二人に付近にいたやまおとこはそう思うのであった。
そして二人は順調にジムを攻略していって最後のジムがあるフスベジムの門を叩いてバトルをしたが……ジムリーダーのイブキはバッジを渡す事を拒否したのである。
「貴様のようなトレーナーにこのライジングバッジを渡す事はない!!」
「いや、ちょっ……バトル勝ったんですが……?」
「ドラゴンタイプの弱点であるこおりタイプしか出さずにバトル等言語道断だ!!」
「ちょっとイブキはん!! 幾ら何でもそれはアカンやろ!! ジムリーダーがトレーナーにバッジを渡すんはトレーナーとしての素質があるからやろ!!」
「だからこそだ!! 貴様のような卑怯で恥さらしなトレーナーにはライジングバッジは絶対に渡さん!!」
「……行こうかアカネ」
「ちょっとマサカズ!?」
「向こうには向こうの意思がある。それをそう思っているなら従うよ。ならばこそ……」
マサカズはそう言ってレギュラーバッジ以外を取り出してイブキに叩きつける。
「これは返す。ジョウト地方がそうなら俺は別のところに行くさ」
「マサカズ!?」
フスベジムを後にしたマサカズとアカネ。そしてたまたまその試合を見ていたのはイブキの兄弟子であるワタルだった。
「勝負は時の運とも言う……ドラゴン使いを目指す我等ならタイプの相性等初めから分かっていた事だ!! イブキ、それを君は分からずに一人のトレーナーを恥さらしと罵る。俺は君こそが恥さらしだと思うぞ!!」
「わ、ワタル兄様……」
過ちに気付いたイブキは直ぐに追い掛けるも二人は既にフスベシティを後にして45ばんどうろを自転車で駆け降りてワカバタウンに向かう途中だった。
「わ、私は……」
イブキには後悔の念しか残らなかった。
「この後はどうすんのや?」
「アサギシティからアクア号に乗るかな。コガネのリニアはまだ回復せんからな」
「それもそうやな」
二人はアサギシティに向かい高速船『アクア』号でカントー地方に向かうが……カントー地方はロケット団の武装蜂起でその全土が荒れていたのである。
「ロケット団!?」
「このまま突っ切るでアカネ!!」
二人はロケット団に占領されたクチバシティを切り抜けてタマムシシティに移動するもタマムシシティもロケット団に占領されていた。
「私が……私がちゃんとしていればタマムシは……」
「なら今からだ」
「エッ……?」
「今からタマムシシティを取り返す。それこそが最初の一歩だ」
マサカズはアカネとタマムシジムリーダーのエリカと共にタマムシシティ解放に戦い、ロケットゲームコーナーに乗り込む。
「ほぅ……トキワの森のピカチュウか……」
「何でそれを……」
「分かる……分かるとも。私にもかつてピカチュウを所有していたからな」
アジトのボスの部屋にてロケット団ボスサカキと対峙をするのである。
「フフフ……タマムシは明け渡してやろう……どうせ、資金は稼いだからな。貴様への褒美だ」
「サカキ!!」
「また会おう……マサカズ」
タマムシシティを解放する事に成功するマサカズ一行。次にはヤマブキシティの解放に乗り出すが何故かエリカも一行に同行していた。
「エリカ、タマムシは守らなくても大丈夫なのか?」
「タマムシは自警団の皆様がいるので大丈夫ですわ。それにヤマブキシティはかなりの堅固でしょう。一人でも味方が多くいれば良い……そうではありませんか?」
「……フッ、ビビってまた泣くなよ?」
「な、泣きませんわ!!」
(アカン!? ライバル増えたやんけ!?)
笑うマサカズとエリカに頭を抱えるアカネである。そしてヤマブキシティでは格闘道場の地下に監禁されていたヤマブキジムリーダーのナツメを救い出す。
「……貴方が来るのを待っていたわ。貴方がこの世界に転生した時からね……」
「……そうか、超能力か……」
「えぇ……でも超能力を以てしてもロケット団には勝てなかったわ」
「なら今から勝てば良い」
「エッ……?」
(あ、この流れ……)
(またかい……)
マサカズの言葉にアカネとエリカはあっ(察し)であるがそれを尻目にマサカズはナツメを励ますのである。そんな事はさておき、マサカズら一行はロケット団が占領するシルフカンパニーに突撃する。
「ククク……やはり来たかマサカズ」
「来てしまったぜサカキ……このままポリ公のお縄に頂戴してもらいたいけど、どうせバトルするんだ。このままやろうぜ」
「やはり面白い奴だな……マサカズ!!」
そしてマサカズとサカキの二度目の対決が始まるのであったが途中でマサカズ側の増援も有り不利と悟ったサカキは逃げ出す。
『ちょっとマサカズ、ラジオがおかしいのよ』
「は? ラジオが……ってまさか!?」
コガネシティのラジオはカントー地方でも電波が入るので聞けていた。だがラジオから流れるのは……ジョウト地方でのロケット団蜂起だった。
『我々はー……ロケット団……ジョウト地方で……蜂起した……サカキ様ー? ……聞いていますかー?……』
「やりやがったなサカキめ!!」
「マサカズさん、此処は一旦ジョウトに戻って下さい」
「けどエリカ……」
「そうよ。カントーも大事だけどジョウトも大事のは承知済みよ。今は此処で凌ぐから早くジョウトに」
「でも戻る手段の『アクア』号は奴らが押さえて……」
「リニアを使うのよ」
「リニアを……?」
そして変則的な裏技でヤマブキシティからコガネシティに戻ったマサカズとアカネはそのままコガネラジオに突撃する。
「ゴォラァ!! 局長を放さんかい!!」
「やだねったらやだねー!!」
「待て、アカネ。その局長は偽者だ!!」
「何やて!?」
「何で分かるんだよ!?」
コガネラジオの半分を取り返したマサカズとアカネはそのままコガネデパートの地下に捕らわれた局長を地下廊下から救出して脱出するがロケット団の追撃があり此処までかと思っていた時、そこに増援が来た。
「『りゅうのいぶき』ッ!!」
「お前は……」
「……今の私は貴様の面前に現れてもいいか分からない……けど、私はジムリーダーとしてジョウトに住む人間として貴様に助太刀する!!」
フスベシティジムリーダーのイブキはそう決意を表してマサカズ達を逃すのであった。そしてコガネラジオに再突撃して最上階にいたロケット団幹部を倒すのである。
「これは御礼じゃよ」
「これは……」
「『にじいろのはね』『ぎんいろのはね』を素材に開発された『GSボール』じゃ」
(これはまさか……セレビィイベント!?)
局長から渡された『GSボール』を見ながらそう思い直ぐにマサカズはウバメの森に向かう。そしてウバメの森はざわめいていた。
「な、何や今日のウバメの森はエライ怖いなぁ……」
「そらそうやろ。何せ……」
マサカズとアカネはウバメの森にある祠に到着するとマサカズは『GSボール』を取り出して祠に置く。そして祠が光だした。
「これは……」
「…………………」
祠が開かれ中からはときわたりポケモンのセレビィが現れたのである。だがそこへサカキが来たのである。
「おぉ……セレビィ……ッ!!」
「サカキ!?」
「やはり貴様がカギだったか……」
「まさかセレビィをッ!?」
「そのまさかよ。私はセレビィを手に入れ、私の過去の過ちを正す!!」
「馬鹿野郎!! だからと言っててめぇにセレビィを渡すわけにはいかんっての!!」
そしてマサカズとサカキの最後の戦いが始まるのであった。
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三好in山本五十子の決断(再リメイク)
活報で言ってたフォークロア氏と同じく将和一人と兵器類のみの転移ver。
やべ、ちょっと文章劣化してるよ……。
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「……死んだ筈なのにどーしてまた……『加賀』の艦橋にいるんかねぇ……」
将和は横須賀で記念艦になっている筈の正規空母『加賀』の防空指揮所にいた。『加賀』の周囲には護衛巡洋艦に改装され大戦を生き抜いた乙巡『五十鈴』や海防艦、一号型輸送艦等が錨を降ろして停泊していた。総勢12隻の艦隊は将和も記憶に間違いが無ければ横須賀にある吾妻島に停泊しているだろう。艦隊の周囲には10数艇の内火艇等が取り囲んでいるのが見える。
「………どうなんのねこれ………?」
そう呟く将和であった。その後、三八式歩兵銃等で武装して乗り込んで女性水兵らに拘束されるのである。
「成る程。貴方が空母の防空指揮所にいたという事ね」
「えぇまぁ……」
将和は歩兵銃を突きつけられながら旗艦『長門』に乗艦し案内された長官室には将官一人、佐官一人がいた。
「あの空母の名前は?」
「『加賀』だ。巡洋艦は『五十鈴』で海防艦は分からんが艦種から見て『鵜来』型に丙型、丁型海防艦だろう」
「あら、それはご丁寧にありがとう。じゃあ貴方は?」
「三好将和。最後の階級は元帥海軍大将だ」
「その年齢で元帥? 面白い冗談だね」
質問をする将官の隣に控えていた褐色の肌をした佐官が皮肉そうに言うが将和は肩を竦める。
「冗談ならどれだけ良かったか……どうやら若返っているみたいだ。死んだ時はヨボヨボの爺だったんだけどな」
「フフ、ユーモアなセンスのある言葉ね」
「そいつはどうも」
苦笑する将官に将和も笑みを浮かべる。
「……どうやら幽霊の類いでは無さそうね」
「ですが長官。この男、『ラ・メール症状』に掛かっては……」
「そのようね」
「『ラ・メール症状』? 何だそれ?」
「知らないのかい? 『ラ・メール症状』というのは……」
そう言って褐色佐官の女性は将和に症状を説明する。
『ヒトが海に近付く、潮風を吸い込む、海水に触れるなどした場合に起きるこの世界特有の症状。三半規管が正常に働かなくなって平衡感覚が失われ、目眩、耳鳴り、頭痛、吐き気などで身体をコントロールできなくなる。
とりわけ男性の場合症状が深刻で、5分で内耳内リンパが破裂。無理に泳ごうとした者は溺死し、海辺や船上にいる場合でも心室細動、激しい嘔吐による脱水症状や呼吸困難などで死に至ることがある。一方の女性は三半規管が比較的強く、症状に苦しめられても死ぬことは無い。勿論、薬によって症状を抑える研究は古代から盛んに行われていて、西洋医学が発達する以前であっても、男性が昏睡状態であれば死なずに海を渡れるようにはなっていた。しかし昏睡状態で運ばれるだけで航海の担い手になれないことに変わりは無く、必然的にこの世界では、漁業、交易、植民など、海上の役務に従事できるのは女性に限られた。さらに未成年の少女に限っては、海に接しても三半規管に全く影響を受けない者が一定の割合で存在し、この少女達が後述する海軍乙女となる。人類の文明の発展に不可欠な航海、海での男の生殺与奪権が女性に握られたことで、この世界では早い時期から軍人や政治家など指導的な地位に女性が就いていたものと思われる』
大まかな説明はこのようであった。
(あ~、どっかで聞いた事ある症状と思ってたら転移する前になろうで見てたSSだなこりゃ……)
話を聞いていた将和はパズルのピースが填まって納得した。
(ま、暫くは拘束だなこりゃ……)
将和はそう思いながら出されたお茶を啜るのである。そして将和が別室に連れて行かれ軟禁後、将官ーー聯合艦隊司令長官海軍大将米内光姫は先月に参謀長に就任したばかりの小沢智里大佐から報告を受ける。
「それで……格納庫には御宝が眠っていたと?」
「はい。どれもこれも今の葦原の機体を凌駕すると思われます」
米内と小沢は将和と話をしている時から部下に命じて12隻の艦艇を調査させていた。
「それにあの三好とやらが言っていた海防艦……対潜聴音機類も我々が保有している九三式水中聴音機よりも高性能という調査結果もあります」
「あら、それなら我が海軍にも欲しいわねぇ……」
思わずそう呟く米内である。
「ねぇ智里ちゃん……あの男……どう思う?」
「……まだ断定的ではありませんが……少なくとも敵では無いと思います」
「そうだねぇ……ま、まだ取り調べは続くしそこで分かればいいかな」
そう言う米内であった。なお、取り調べで二人は葦原の将来を聞かされてしまう。
「伴天連歴1945年に敗戦!?」
「広島と長崎に新型爆弾投下!?」
「日本……葦原は焼け野原になるのは間違いない……だが俺や『加賀』達がいるッ」
驚く二人を他所に将和はニヤリと笑う。
「今の国力でなら勝てはしないが……負けもしないぞ」
そして将和は行動を開始する。最初の相手は当時総理大臣であった弘田弘毅に陸軍大臣の寺内久一であった。
「葦原が滅びると!?」
「左様です。ですが、この兵器類らがあれば……どうです?」
「ムムムッ」
寺内には三好世界のチハや隼らを見せて納得させた。いや、無理矢理に近いだろう。だが、寺内も実物があれば話は別である。
「この兵器類を増産するためにも国内の工業力を向上させる必要がありますよ寺内大臣」
「……だからこそ工業機械の大量購入……か」
「えぇその通りです。そして今ならまだ間に合います」
「ムムムッ」
(このオッサン、その台詞しか無いんか?)
内心、そう思う将和であった。それはさておき、政府及び陸軍の思考を変えた将和は身内である海軍に照準を構える。
「『一号艦』計画を破棄せよと仰るのですの!?」
「破棄ではない。修正だよ嶋野」
『一号艦』計画を強硬に進めようとする嶋野らを前に将和はそう言う。
「というよりも貴方、何様のつもりですの!? 貴方は我が葦原海軍に召集をした筈ですわ!!」
「お前は馬鹿か? そもそも俺は召集に応じたわけでもないし我が日本海軍と協力体制……そういう結んだだろう」
「一人しかいない日本海軍なんてどうでもいいですわ!!」
「誰がどうでもいいだとこのクソッタレアマァァァァァァァァァァァァァッ!!」
「ヒッ!?」
(あーあ……三好中将のブチギレ案件を押したよ嶋野さん……)
(嶋野ちゃん……)
(こーりゃ知ーらないっと……)
上から小澤、山本、宇垣の三人は内心で深い溜め息を吐く。そもそも協力体制というやり取りは御上の勅命だったのだ。それを嶋野が踏みにじったわけである。
結局、将和はこの日の戦果として『一号艦』計画の修正と嶋野のパンツ代金をもぎ取るわけであった。
そして伴天連歴1941年12月8日、将和は何とか間に合わせた第一航空艦隊を率いてヴィンランド海軍太平洋艦隊が停泊する真珠湾を攻撃するのであった。
「さーてと……歴史が始まるわけだな……」
「どうなるかだね……」
「心配ありませんわ。三好長官とならやれますわ!!」
『(逆に何でお前は副官の立場で此処にいるんだよ)』
意気込む嶋野に将和や小澤らは内心でツッコミを入れるのであった。斯くして葦原海軍は歴史を刻む事を始めたのである。
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三好inロックマンエグゼ
でもSwitchはまだ買ってないのよ(来月の給料で買う)
でもSTREAMのOP曲は購入した
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「しかし……今度はロックマンエグゼの世界とはなぁ……」
将和は自室でパソコンを操作していた。操作していたのは自分が持っているPETのアップグレードをするためであった。切っ掛けは父である三好正信がオフィシャルネットバトラーのニホン国本部副部長であるからだ。
正信の父、三好正成博士はインターネットワークの基礎を築いた光正博士と友人であり正信も光祐一郎博士と顔馴染みであった。
そして光祐一郎博士が光熱斗用にメモリー拡張ソフトを開発していた。その試作品が今、将和のPETにアップグレードとして行われているのである。
『アップグレード完了しました。最適化開始まで二時間後です。最適化完了は翌朝0600になります』
「ん、分かった」
汎用ナビの報告に将和は頷きPETをパソコンのカートリッジに設置する。どうせ今日はやる事は無いのだ。
「……あ、宿題しないとな……。まさか転生しても宿題の運命には逃れられないとはな……」
今の将和は中学一年であり秋原町の秋原中学に通っていたのだ。なので宿題という運命は逃れられなかったのだ。
「さーて、宿題して寝るかな」
その日は宿題をしてから寝る将和であった。そして翌日………。
『長官』
「ん……」
『長官、起きて。朝だよ』
「んぅ………」
将和は誰かに起こされる声で目が覚めた。ベッドに置いている目覚まし時計を見れば時刻は0605を指していた。
「……まだ二度寝ができる……グゥ……」
『ちょ、寝ちゃ駄目だよ長官!?』
「んが!?」
『ちょ、大丈夫長官!?』
「いててて………長官?」
再度の声に将和は飛び起きてそのまま地面に倒れるが痛みに耐えて起き上がる。
呼ばれた名称は将和にとっては懐かしい響きであった。そして声の音源ーーPETを見るとそこには昨日はいたはずの汎用ナビが居らず、代わりにいたのはブラウン色の髪を赤紐で結い、ポニーテールで纏めており、服装は和服をベースにした軽装で、白地の上着から見える通り、黒いインナーを着ている。下駄の鼻緒は赤色であった。
そして何と言ってもその姿は将和がかつて平成の日本から過去に転移する前にゲームで見た姿だったのだ。
「……伊勢……?」
『そうだよ長官。このような姿で会えるとは思わなかったけどね』
PETにいる伊勢はタハハハと笑う。まぁ将和自身も驚くしかなかった。何せ拡張ソフトをインストールをして最適化をしたらまさかの艦これの伊勢であり将和を知っていたのだ。
「どういう事だ?」
『うーん、私も分からないかな。私はあの時、予備艦になった以後は記憶が無くて気付いたのがさっきだったから……』
申し訳なさそうにする伊勢であったが将和は首を横に振る。
「気にする事はないぞ伊勢。俺はまた伊勢と会えて嬉しいぞ」
『……ありがとう長官』
将和の言葉に伊勢は笑みを浮かべるのである。取り敢えずは朝食後、将和は学校に向かい昼休みにインターネットエリアにプラグインする事にした。
『基本的にどうするの長官?』
「取り敢えずはウイルスバスティングだな。ウイルスを退治してカネを稼ぐかな」
以前も汎用ナビでウイルスバスティングをしていたがやはり伊勢の実力は将和も知りたいのだ。
「行くぞ。プラグイン!! 伊勢.EXE、トランスミッション!!」
将和は有線ケーブルを視聴覚室にあった差し込み口に挿入する。
「………くぅ~ッ。まさかこの台詞が言えるたぁ……生きてて良かったぜ」
『アハハハッ』
感動する将和に伊勢も苦笑するしかない。それはさておき、インターネットエリアを捜索するとウイルスは何処かしこにも点在はしている。
『メットォ』
「お、メットール発見。やるぞ伊勢」
『うん。任せて長官!!』
そして伊勢は多数のメットールに向かって駆け出して腰に据えていた日本刀を抜く。
『ハアァァァァァァ!!』
『メットォ!?』
『メットォ!?』
伊勢が一振してメットール達を撃破していく。
「良いぞ伊勢。『エリアスチール』スロットイン!!」
『ヨイショォォォォォ!!』
『エリアスチール』をスロットインして更に踏み込んでメットールを撃破する伊勢であった。
「300ゼニーか。まぁメットール相手だしそんなところか」
『フフッどう長官? 伊勢の活躍、見てくれた?』
「勿論だぞ伊勢」
将和の言葉に笑みを浮かべる伊勢であった。
『ちなみに主砲も連続射撃可能だよ長官』
「お、マジか。弾幕射撃でもやれそうだな」
そんな事を話しながら昼休みを過ごす将和と伊勢であった。それから数ヶ月後、将和は父正信と共にクリームランド王国のパーティーに出席していた。
「何で俺も……」
「そうぼやくな将和。貴様も市民ネットバトラーなんだから警護くらいは参加せぃ」
将和は皿に肉やスパゲッティを入れながらぼやくが横にいた正信に文句を言われる。
「と言ってもなぁ………ん?」
将和が端っこの方に視線を向けるとコソコソと私服に着替えて何処かへ行こうとしているクリームランド王国の王女がいた。
「……はぁ。親父、適当に誤魔化しといてくれ」
「フォッフォッフォ。任せておけ」
将和の言葉に正信は笑い、クリームランド王国の首脳陣のところに向かうのである。それを尻目に将和は王女の後を追い掛け何とか捕まえるのである。
「………ッ……」
「あ、別に連れ戻そうとかじゃないんで」
「……えっ?」
「まぁうちの親父が時間を稼いでいるんで用事を済ませてもらえたらですが?」
「………………………」
将和の言葉にクリームランド王国の王女ーープリンセス・プライドは幾分か悩んだ末に口を開いた。
「その……観光を……」
「ん?」
「その……観光をしたいのです」
「………伊勢、この近くに観光名所になりそうな飯屋はある?」
『探してみるね長官』
これが将和とプリンセス・プライドとの出会いであった。
「最近、WWW関連の事件が多いな……」
『秋原町での連続発火事件だよね長官。近所もやられたみたいだしね』
「まぁ原作がそろそろ始まる証拠だわな」
学校帰り、将和は自転車を漕ぎながら伊勢と話していた。帰る途中で秋原小学校の付近を通るがたまにローラースケートで登校する熱斗を見かけるのでそろそろと判断している。
『長官は原作とやらに介入するの?』
「いやぁ……それがさ……」
『??』
「俺……ロックマンのゲームは『5』の両方と『6』のグレイガしかやってなくてさ……最初の方は漫画とアニメくらいしか知らねぇんだよ」
『…………………えぇ…………』
タハハハと笑う将和に伊勢はどう返していいか分からなかったのである。
「ま、まぁ何とかなるやろ」
そう取り繕う将和であったが水道局事件に巻き込まれるのである。
「確か水道局事件って……マズイ!?」
将和は水道局事件で熱斗のやらかしを思い出し慌てて水道局に向かい汚染された水を流そうとしていた熱斗を見つけて取り敢えずは殴って止めたのである。
「殴って済まないな。一先ずは流れは止めれた……」
「うぅん。此方こそごめんなさい」
「良いよ。それにアクアプログラムも奪われずに済んだから」
将和もついでとばかりにWWW幹部の色綾まどいが盗もうとしていたアクアプログラムを死守に成功したのでホッとする。そして此処から本格的に原作に巻き込まれる将和であった。
「この世界をデリート(消去)する!!」
「そいつはちと困るわな。やるぞ伊勢」
『主砲でぶっ飛ばしてやるよ長官』
「待って、スラーの残骸データを取り込んだん?」
『何か取り込めたから……』
「怖っ。てかアニメ展開も居り混ざってあるの……?」
「マサカズ、それよりも映画を見に行きましょう」
「ちょっと、今日は私の筈よッ」
何故かアニメオリキャラのスラーの残骸データを取り込んで強化した伊勢に驚愕しつつも将和の後ろで将和とのデートを決めるプリンセス・プライドと色綾まどいである。
「コピーロボットか……」
「そっ。だから私も長官と同じ世界に来れるしデートも出来るってわけ。それに……長官との子も……」
「色々ヤバくないビヨンダード……?」
「将兄、将兄は色々と諦めた方がいいかもな」
「それはそれで酷いぞ熱斗」
プラグイン!! 伊勢.EXE、トランスミッション!!
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三好in種 前編
かつて、日本を破滅から救った三好将和。その将和もとうとう老いには勝てず、妻夕夏と共に永眠した。
「夕夏、あの世でもよろしく頼むよ」
「任されたわ貴方」
「暫くしたら私もそちらに行きますよ」
息を引き取った二人に美鈴は涙を流しながらそう呟くのであった。
「まさかこの世界とは……」
「はぁ……はぁ……た、助かったのか……?」
「まだ顔を出すなよアズラエル理事さんよ。どうも奴さんらが狙ってるのはアンタだよ」
デトロイトにある高層ビルのパーティー会場だった場所。そう、だった場所だ。先程まではだ。何故なら数分前にパーティー会場が爆発して瞬く間に廃墟と化したのだ。そしてテーブルを盾にして将和はFNブローニング・ハイパワーの弾倉を装着して薬室に9ミリパラベラム弾を装填する。パーティー会場の入口には複数人の男達がいたがどうも救助隊ではない。
口々に「アズラエルを探せ!!」「ナチュラルなんぞクソ食らえだ!!」とアズラエルを殺す言動を言っていたのだ。
「救助隊は要請したが……阻まれてそうだな」
「まさか……コーディネーターの奴等が……ッ」
「さて、そのナチュラルにも敵を多く作ってたような気するが?(ひぃ、ふぅ、みぃ……6人か)」
段々と近づいてくる男達の隙を突いて将和は起き上がり一番近い奴にハイパワーを構えて照準する。
「なーーーッ」
「悪いな……やられる覚悟はあるだろ?」
そして将和は引き金を引いたのである。
C.E.70年2月11日、地球連合がプラントに対して宣戦布告し月面基地のプトレマイオス基地から地球連合軍の宇宙艦隊が出撃した。この際、モビルアーマー母艦『ルーズベルト』に、とあるブルーコスモス派将校の独断で極秘に1発の核弾頭ミサイルが持ち込まれた。
そして同年2月14日、ザフトは地球軍プトレマイオス基地艦隊及び艦載モビルアーマー「メビウス」部隊の攻撃をモビルスーツ部隊によって迎撃し、これらを殲滅する。しかし、『ルーズベルト』に1発持ち込まれていた核ミサイルを搭載して発艦した「メビウス」は攻撃行動に成功し、これがユニウスセブンに命中した。
これにより、パトリック・ザラ国防委員長の妻レノアを含む24万3721名の人々が犠牲となり、ザラ委員長を筆頭とするコーディネイター強硬派の敵意と憎悪は頂点に達し、オペレーション・ウロボロスに代表される報復攻撃を招いたのである。
そんな中での2月16日、東アジアにある日本国に一人の地球連合士官が日本宇宙軍を訪れる。
「此処がフジヤマ……」
サングラスをかけた士官は部屋に案内された従兵に礼を言ってソファに座る。数分後にノックがされ扉が開けられると一人の日本宇宙軍士官が入ってきた。
「待たせて済まない。丁度『隼』での訓練をしていたところだったものでな」
「いえ、此方こそ急で申し訳ありません」
そう言って地球連合士官ーー女性ーーは敬礼をする。
「地球連合軍第八艦隊所属ナタル・バジルール少尉、本日付を以て日本宇宙軍観戦武官として赴任しました」
「ん。日本宇宙軍第一特殊師団第334機動大隊隊長の三好将和少佐だ。そちらの言い方だとマサカズ・ミヨシだな」
「ハッ。宜しくお願いします」
「まぁそんな固くならなくていい。今日はゆっくり休んでくれ。明日からはまぁうちの大隊のMSを見学してもらう」
「ありがとうございます」
そう言ってナタルが退出すると将和は溜め息を吐いた。
「ムルタの野郎……よりにもナタル・バジルールを観戦武官として出してくるとは……」
将和は数日前に来たムルタ・アズラエルからの私的テレビ電話の内容を思い出す。
『そういえばマサカズ』
「ん、どした?」
『地球連合の方でもMSの開発が決まってね。それでナチュラルで唯一無二と言っていい日本に技術者と観戦武官を派遣する事になったよ』
「そうなのか?」
『序でに言えば君のところに行くように調整はしといたよ』
「オイオイ……せめて綺麗なお姉ちゃんで頼むよ」
『仕方ないねぇ……』
「確かに俺は綺麗なお姉ちゃんと言ったが……何で原作キャラなんかなぁ……」
そう溜め息を吐く将和であった。そして地球連合とプラントの戦争は遂に地球本土の戦いとなる。プラントは2月18日に南アメリカへの侵攻、2月22日の世界樹攻防戦、3月8日の第一次ビクトリア攻防戦を経て3月15日に『オペレーション・ウロボロス』が可決され4月1日に発動された。後に言われる地球圏で発生したエネルギー危機を指す名称となる『エイプリル・フール・クライシス』であった。
このニュートロンジャマーの散布に日本も含まれていた。日本はプラントに宣戦布告はしておらず中立であったものの日本の強大な軍事力がプラントに向けられるのも時間の問題とパトリック・ザラ等は踏んでいたので日本にも奇襲同様で散布される事になったのである。
しかし、日本は2日前の3月30日にそれを読んでいた。
「成る程の。プラントは余程ワシらを怒らせたいようじゃの」
日本の上空にザフトの艦隊が航行してくるのを察知した日本国総理の三好正信は決断した。
「プラントに宣戦布告をする。ニュートロンジャマーの散布を防ぐのじゃッ」
直ちに四個軍は動員が発動された。そして4月1日のニュートロンジャマーの散布に宇宙軍は9個艦隊でザフトの艦隊を出迎えたのである。
「何で日本の奴等がこんなにいるんだよ!!」
『知るか!! 早く散布するんだ!!』
ザフトの艦隊、MS等からニュートロンジャマーが日本の地表に向けて散布される。だが地上には日本宇宙軍のMSである3個特殊師団を筆頭に日本軍が待ち構えていたのである。
「ニュートロンジャマーの散布、来ます!!」
「コメンス、撃ェ!!」
「PAC5、発射ァ!!」
海上では日本海軍のイージスミサイル巡洋艦群から地上では日本空軍のペトリオットミサイル等が次々と発射されて日本国内でのニュートロンジャマー散布を阻止しようとする。その中でも将和の第334機動大隊も地上でニュートロンジャマーを迎撃していた。
「クッ、弾切れだ」
先程まで撃っていた75ミリ高エネルギービームライフルはビーム切れとなったので新しいビーム弾倉に交換して大気圏を突入してくるニュートロンジャマーに照準する。
「全機、何としても撃ち落とせ!! このままじゃ核の冬が来るぞ!!」
『了解!!』
なお、この迎撃で日本に落とされたニュートロンジャマーは10数個が迎撃出来ずに散布されてしまったがそれ以外は迎撃に成功したのである。特に将和の第334機動大隊は将和だけでも138個も迎撃し大隊でも389個も迎撃したのである。
「これが日本軍のMSの運用ですか……」
「まぁな」
ナタルはニュートロンジャマーの散布で直撃を受けた建物を見ていた。建物の瓦礫をMSが動かして退かしていた。
「災害であれば使えるモノは何でも使う。日本はそういうところだな。要は臨機応変かな」
「成る程……」
将和の言葉にナタルは頷く。軍事用と目されがちのMSも運用を変えてみたら何でも使えるのだ。ちなみに将和もニュートロンジャマー散布を大量に阻止したので二階級昇進は決まっていた。(昇進のやり方はヤン・ウェンリーと同じ)
また、日本も他の国と同様にニュートロンジャマーの影響で原発が使用不能となったが日本で数基のニュートロンジャマーを捕獲に成功しており後々にニュートロンジャマーキャンセラーというシステムを日本科学技術研究所の愉快な研究者達が開発するのである。
なし崩し的にプラントに宣戦布告をした日本だが、日本も狙われる理由はあった。日本にもマスドライバーが存在したのだ。しかも種子島と台湾に一基ずつあったから余計に太刀が悪い。ザフトがこの2基を破壊しようとするのは当然であり実際、ザフトは軌道上での三回の海戦(種子島上空海戦等)や海中からのMS隊を発進させてのそれぞれ三回の攻略作戦が発動されるがどれも全て敗北、しまいには全滅する程であった。
「コイツで最後ォォォォォ!!」
種子島の防衛に第334機動大隊も参戦して将和も指揮官自ら戦場に出ていた。今も最後のザフトのMSであるジンを対艦刀で真っ二つにして撃破したのである。
「はぁ……他の敵は?」
『何とか撤退したようだな』
「もう来んな……」
僚機の清が乗る『隼』が近づく。他の機も近づくがどれもこれも満身創痍である。
「取り敢えずは帰ろうか」
『早くバジルールちゃんのたわけが聞きたいからか?』
「よーし、そこを動くなよ清。対艦刀で真っ二つにしてやるからな」
『冗談だっての!!』
将和の『隼』が対艦刀を構えて逃げる清の『隼』であった。なお、プラントーーザフトはこの攻略作戦を機に日本への手出しをあまりしなくなる。当たり前だ、万全の状態で行ったら大損害で帰還してくるのだ。しかも宇宙艦隊も一国の国ながら9個艦隊も保有しており戦力差は歴然であったのだ。
その為プラントはより地球連合軍と対峙するのである。そしてデトロイトにあるアズラエル財閥のムルタ・アズラエルはバジルールや他の技術者ーーマリュー・ラミアス等ーー等からの情報にホコホコ顔であった。
「流石は日本だ。これ程までのMSを作っていたとは……」
報告書を見ながらアズラエルはそう呟く。日本を侮るなと父親から常々言われていたが……これ程までのMSを作って実戦配備していたのは予想外だった。
「これもマサカズのおかげかもしれないな……」
あの暗殺未遂の時、マサカズは増援が来るまで一人でアズラエルを守り通した。恩義を感じたアズラエルはそれ以後は何かと将和とつるむようになったりする。将和も将和でアズラエルの事は嫌いな部類ではなかった事もあり(ジブリールやクルーゼは別)父親の正信の許可を貰って軍事交流やデータを渡したりしていた。
「だからこそ……マサカズとは良い関係を続けたいモノだな……」
そう思うアズラエルであった。そして一方の将和はというと……。
「え~と……バジルール少尉?」
「……ナタルと呼んで下さい……そう言ったではありませんか」
エンデュミオン・クレーターの戦いから宇宙母艦『鳳翔』に帰還したら出会い頭に抱きつかれた将和である。なお、顔真っ赤なナタルである。
(フラグは……フラグ何処で建っていたんだ……)
「死なないで下さい……」
(………ふぅ……)
クルーゼと戦っていたという報告を戦闘中に聞いていたナタルは気が気でなかった。そして将和が帰還した事でこれまで溜めていた思いが溢れ出すのである。なお、ナタルの問いに将和は抱き締めてキスで返すのであった。ちなみにそれを目撃した清は直ぐに写真に納めて機動大隊のパイロット達に配るのであった。
「テメェ清!!」
「ハーハッハッハッハッハ!!」
釘バットで清を倒そうとする将和と逃げる清である。なお、この直ぐ後に数人増えるとは知らない二人であった。
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三好in種 中編1
ようつべで久しぶりに種のOPを見たけどやはり魔乳だよなと
「フハハハハハ!! 遂に宇宙金属を発見したぞ!!」
日本科学技術研究所でそう叫ぶのは科学技術の分野では世界的な権威者であったDr.ヘルである。本来、Dr.ヘルは二足歩行を主にした機動兵器の開発を母国で担当していたがコーディネーターやMSの出現でプライドをめちゃくちゃにされ母国を逃げて友人であるジュウゾウ・カブト博士の紹介もあってこの研究所に来たのだ。そして日本宇宙軍が主になって探査していた土星探査にて衛星タイタンとエンケラドゥスにて未知の金属を発見したという報告が来た。その探査隊も土星からの通信は届かなかったので漸く月周辺に到着した時に通信を入れたのであるが……。
「これで懸念していた新型MSのエンジン部分の開発も進みますなDr.ヘル」
「いやいや、貴方方のシズマドライブの開発も進むでしょうフォーグラー博士」
「……まぁた博士達が暴走してるねぇ……」
同じ職員のフォーグラーやシズマ博士達がDr.ヘルを褒め、ヘルもフォーグラーらに言う。和気あいあいと仲良く話し合う博士達を他所に第765実験団第334中隊のパイロットであるジュリ・ウー・ニェン特務少尉は遠巻きに見ながらそう呟く。
「ま、私も人の事は言えないかもね……」
ジュリは元々は日本国の人間ではなくオーブの人間だった。更に掘り下げるとオーブのモルゲンレーテ社のパイロットであり日本に来ていたのはモルゲンレーテと日本の川崎が共同で開発したMSの試作を動かすためであった。しかし、その共同開発は日本にも内密にしていた事でありしかも川崎を通して多くのMSに関連する技術がオーブに流れていた。
「流したと言ってもオーブも元は同じ日本人ではないか」
公安等が証拠を掴んで川崎を調査、関連する社員を逮捕した時にそう言われたが公安や軍関係者らからすればふざけんなこのクソ野郎である。
「構築戦争の時に真っ先に日本から逃げ出したゴミメディアと左の連中の子孫じゃないか」
「よくそんな事が言えたもんだな」
「やはりハニートラップでしょうな」
ジュリも逮捕されたが全くそこまでの関与はしていなかったので情状酌量の上で釈放はされたがオーブに帰れるかは微妙だった。何せ自身が逮捕された事はオーブにも伝わっているし、もしかしたら自身もオーブに戻れば内密に……。とそこまで考えてしまい帰るに帰れなかった。どうしようかと途方に暮れていた時に手を差し伸べたのが将和だった。
「変人しかいない実験団だが……まぁ匿ってもらえるさ」
差し伸べてくれた将和にジュリは精一杯の恩返しをしようと決断し実験団のパイロットで働く事にしたのである……が、アキバに行って腐の海に呑まれてしまったのだ。
(取り敢えずはマサカズ×アズラエルの続きを描かないと……フヒヒヒ、楽しいわぁ……)
腐のオーラを全力全開で出しまくるジュリであった。そして将和はというと……。
「機動部隊の司令官ですと……?」
「要は独立任務部隊だな」
日本宇宙軍宇宙艦隊司令長官の高橋大将は将和にそう言う。場所は宇宙艦隊が停泊する旗艦『扶桑』の作戦室であった。将和は渡されたタブレットを操作して中身を見る。
「第13独立部隊……」
「その独立部隊に最新鋭の『加賀』級航空戦艦を配備する」
「『加賀』級を?」
『加賀』級航空戦艦とはMSの搭載運用も視野に入れている航空戦艦であった。MS母艦であれば『鳳翔』級で事足りるが航空戦艦にしたのだ。無論、この『加賀』級は大西洋連邦が開発中の『アークエンジェル』級のデータが基礎ベースとなっている。
「と言ってもまだ『加賀』級は完成してない。だから当面は『鳳翔』を旗艦にした部隊だな」
「成る程」
「それと地球連合軍からの要請で技術士官を独立部隊に派遣したいとの事だ」
「技術士官ですか?」
「あぁ。MSの運用を我が国がしているからそれを見学したいとの事だ」
「はぁ、それは構いませんが……」
「分かった。先方にはそう伝えておこう」
そして作戦室を出た将和はん?と思う。
「技術士官……いや……まさかなぁ……」
そう首を捻る将和であった。しかしその予感は当たるのである。C.E.70年6月6日、日本宇宙軍で艦隊ではなく独立部隊としての任務部隊が発足。名称は第13独立部隊であり司令官には三好将和准将(昇進)が就任した。
第13独立部隊
司令官 三好将和准将
旗艦『鳳翔』
第13機動戦隊
『鳳翔』『龍驤』
【隼×16機ずつ搭載】
第13戦隊
『浪花』『高砂』『吉野』『和泉』
第13宙雷戦隊
『五十鈴』
第13駆逐隊
『若竹』『早苗』『若竹』『早蕨』
第32駆逐隊
『朝顔』『刈萱』『芙蓉』『秋風』
そして高橋長官から言われていた技術士官も『鳳翔』に乗り込んだのである。
「地球連合軍技術士官のマリュー・ラミアス中尉です。よろしくお願いします」
「………第13独立部隊司令官の三好将和だ。一先ず今日はゆっくりしなさい。明日からは忙しいだろうからな」
「はっ、ご配慮ありがとうございます」
そう言ってラミアス中尉が艦長室を退出すると将和は深い溜め息を吐いた。
「ムルタの野郎ォ………ッ」
取り敢えず文句の一つや二つでも言おうとタブレットに手を伸ばした将和だがタブレットからのメールの差出人を見て首を傾げた。
「珍しい奴からの連絡だな……」
そして将和がテレビ電話をすると相手が画面に出る。すると将和を見てホッとした表情をする。
『久しぶりだね将和……』
「ユウナ……大分痩せこけてないか?」
『あぁ……首長の事でね……』
「また何かあったのか?」
『……連合に依頼されたMSの件、5機は作るがオーブ用の機体を優先して作らせようとしたんだ……』
「……それは何とも……」
『自国防衛は分かる。けど、連合との契約があるのに優先するべきは自国と思っているからな……分からないまでもないけど、契約は契約なんだ。信用を失えば取引はされないんだ』
「まぁ確かにな」
『取り敢えずは何とか契約通りにしてもらう事にしてるが……あのクソ理論者……何をしでかすか分からないよ……』
「草(オーブを滅ぼす……とはユウナの前では言えないな)」
画面で溜め息を吐くユウナに将和は内心で留めるのである。
「まぁ落ち着いたら此方の温泉にでも入りに来いよ」
『そうするよ……その時はアズさんとも飲もうかな』
「お、いいなそれ。アズさんにも言っておくよ」
なお、将和とユウナ、それにアズラエルは飲み友でもありお忍びで日本に来た時は下町の居酒屋で飲み明かす程であった。
「それと……無謀な事はすんなよ?」
『無論だよ。それに母さんは日本に行かしてあるから心配は無用だ』
「そういう事じゃ……まぁほんとに無理すんなよ」
『あぁ』
そう言ってテレビ電話を終える将和だが、画面が消えたテレビを見つつ将和はポツリと呟く。
「ほんとに無理すんなよ……?」
C.E.71年1月15日、ザフトはマスドライバー施設がある高雄宇宙港への攻撃を開始する。しかし、軌道上には第13独立部隊が展開していた。
「ほぅ……ミヨシ・マサカズがいるか」
高雄宇宙港攻撃部隊に配属されていたラウ・ル・クルーゼは将和が出てきた事を感じ取る。それは将和でもあった。
「この気配……変態仮面か!?」
そして将和はクルーゼが乗るシグーを見つけると一騎討ちに入るのである。
「サッサと帰れや変態仮面!!」
『誰が変態仮面だ!!』
「タキシード仮面みてぇな仮面付けてる奴ぁ変態に決まってると古事記にも書いてあるだろうが!!」
『何と、古事記にも記載されてるのか……』
「そこは驚くんかい!!」
そんなMS同士の戦いをする中で第13独立部隊も高雄宇宙港へ降下しようとするザフト軍の宇宙艦隊と交戦している。
「取舵!! 右砲戦、主砲用意!!」
『鳳翔』の艦橋で指揮を取るのは『鳳翔』副長となったナタル・バジルール大尉であった。バジルールは正式に日本宇宙軍への特別任官となり『鳳翔』副長に就任したのだ。そしてその指揮は将和も認める程のモノであった。
「準備宜し!!」
「撃ェ!!」
第13独立部隊が砲撃を開始する。ニュートロンジャマーが稼働しているので戦場は有視界接近戦闘になっているが日本は関係ない。日本宇宙軍は地球連合軍と比べて照準器等は光学・熱源索敵等のセンサーを採用、使用しておりザフト軍と同等に戦えるようになっていた。ちなみに日本軍が使用する双眼鏡は約6500km~約7000kmまでの測定・観測等が可能だった。これも愉快な科学者達を揃える日本科学技術研究所のおかげでもあったりする。
それはさておき、そのおかげで日本軍は最大射程距離からの砲撃も可能としており、第13独立部隊から放たれたビーム弾は高雄攻略部隊に全弾命中する程であった。
「続いて時雨弾、撃ェ!!」
第13独立部隊の各艦からミサイルが発射され高雄攻略部隊に向かう。だがミサイルは攻略部隊手前で次々と爆発、その破片が次々と攻略部隊に降り注ぐ。
「二番砲塔被弾!! 射撃不能!!」
「Bブロックから酸素流出!!」
「隔壁閉鎖、急げ!!」
「クソッ……相変わらず日本の兵器はでたらめだ……」
『ナスカ』級の艦長は被害報告を聞きながらそう呟く。日本軍はニュートロンジャマーの影響でミサイル等精密誘導兵器がほぼ使用不能にも関わらずミサイルを使用していた。但しミサイルでも1940年代と同等で無誘導型のミサイルでありしかも中身は成形炸薬弾でミサイルの三式弾とも言えた。ちなみにこれを開発したのも日本科学技術研究所でありシロー・真田博士であった。
「このまま砲撃を続行!! ザフトを押し返す!!」
バジルールが艦橋で叫ぶ中、将和も格納庫で叫んでいた。
「ラミアス大尉、予備の弾パックを出せ!! 此処で変態仮面のトドメを刺す!!」
「駄目です、弾パックはさっきハゼカワ大尉の『ハヤブサ』に使いました!! ビームライフルの弾倉が二つしかありません!!」
「それだけで十分だ!!」
「ですが司令の『ハヤブサ』はダメージが大きすぎます!! 機体を予備に変えるので待って下さい!!」
「待てるか!! 直ぐに出る!!」
「死ぬ気ですかやめて下さい!!」
「何!?」
「技術者としてダメージが大きい機体に司令を乗せるわけにはいきません!!」
ラミアス大尉の怒号に将和は目を丸くする。ラミアスも技術者としての誇りはあった。だからこその怒号でありそれを聞いた将和はフッと微笑んだ。その表情にラミアスはドキッとする。
「ッ」
「よし、なら任せるぞラミアス大尉ッ」
「は、はい!!」
そして将和は機体を新しく変えて出撃するのである。なお、クルーゼとの決着は付かずザフト軍も上陸用の輸送艦が撃沈された事で撤退した。これ以降、高雄港を巡る戦闘は数回も続くのである。
「司令……先程は生意気な事を言って……」
「構わん。ラミアスは俺を生かすために具申してくれた事だ。むしろ俺はラミアスに感謝しているよ。ありがとう」
「ッ。は、はい」
「………………………………」
将和の言葉にラミアスは嬉しそうに言うがその様子を陰からバジルールが見ているのである。そして1月18日、ラミアスとバジルールに辞令が来た。
「新造戦艦の技術長と副長の就任ですか?」
「あぁ。地球連合軍が二人の力量を買っての事だ。なお、バジルールは出向という形になるが、要は二人の力量でアラスカまで新造戦艦を航行してほしいって事だな」
無論、これは将和も一枚噛んでいた。原作が後一週間で始まるのだから二人をヘリオポリスに向かわせる必要があったからだ。
「まぁ新造戦艦の移送後は再び此方になるよう手配はしておくから心配するな」
「「……………」」
将和の言葉に二人とも安心したような表情を見せ『鳳翔』を退艦するのである。そして1月24日、日本の軌道上に展開していた第13独立部隊に宇宙艦隊司令部から入るのである。
「何ですと、ザフトがヘリオポリスを強襲すると?」
『どうやら連合が開発していたMSの情報が漏れていたようでな。ザフトのやり方をすればコロニーはやられるだろう。そこで民間人救助のために一番近い君の部隊を派遣する』
「それは分かりましたが、交代の部隊は来るのですか?」
『あぁ。2個艦隊が既に向かっている。第13独立部隊はそのままヘリオポリスに向かってくれ』
「分かりました。第13独立部隊は直ちにヘリオポリスに向かいます」
斯くして第13独立部隊も後を追う形でヘリオポリスへ急行するのである。そして1月25日、地球連合が秘密裏に開発していたG兵器を奪取するためザフトのクルーゼ隊がオーブの資源コロニーである『ヘリオポリス』を襲撃したのである。
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三好in恋姫(リメイク)
三好将和
死後、相変わらずの作者の意図により20代後半の姿で恋姫世界の荊州ーー南陽郡に降り立つ。衣食住対策で最初は孫呉に任官しようとしたが出自を張昭に怪しまれ任官が出来なかった。
その為南陽郡に戻って袁術に任官し武・政両方に携わる事となりあっという間に頭角を現す。汚職をしていた紀霊の反乱を鎮圧し筆頭将軍となり初めての顔合わせで我が儘お嬢様に育っていた袁術とそれを増長させ甘やかしていた張勲を殴り倒して矯正する羽目になる。また、袁術の更正後は何故か前世の総理としての経験を生かして帝王学を教える事になる。
その後は荊州を袁家で纏めるために十常侍にカネを貢いで侵攻を黙認してもらい賊討伐という名目で南郡、江夏郡へ侵攻を開始して荊州南四郡を治めていた劉表と対決する。ついでに揚州方面からも実力でのしあがって孫堅が江夏郡へ侵攻を開始する。将和は孫堅と共に黄祖を討ち取るも黄祖の配下による逆襲で逃げ場を失い二人で川へ飛び込み脱出するも孫堅は石の破片が頭部に喰らいその衝撃で記憶喪失してしまう。孫堅を戦死にする事で原作を進めつつ袁家の独立をしようと思い付いた将和は孫堅戦死を孫呉に伝えたりして記憶喪失の孫堅は荊州で保護するのであった。
なお、荊州侵攻は主力の袁術軍によってほぼ成功するのである。ちなみに種馬の北郷はよりによって蜀側である。
荊州を完全に袁家の掌握下に成功すると孫家の独立をさせようと四人(七乃と周瑜に張昭)で準備していたが反董卓連合の加入のために一時棚上げとなる。反董卓連合では袁術軍主力となって呂布らと交戦、華雄を捕虜にし更には張遼らとの交渉で董卓らを逃がす算段をしていたが義勇軍の劉備らの偶然に偶然を生んだ突入によって董卓と賈駆を先に保護されてしまい将和の計算が狂ってしまう。
反董卓連合後、一時棚上げしていた孫家独立準備のために建業に来た将和だが曹操の魔の手から逃げてきた劉備らが建業にて厄介になっていたのを現地に到着してから知り、原作を知る将和は急いで劉備らを追い出そうとしたがはわわわとあわわわ両軍師に唆された孫権が将和を不意打ちに襲い将和自身は重傷を負う。
結果、劉備らの支援によって孫呉の反乱が起こり重傷の将和は建業から脱出して荊州に戻り『孫呉反乱』を袁術に伝え傷が癒えた後に再度軍を率いて孫呉と激突。
何とか孫呉を降伏(記憶を取り戻した孫堅の説得もあった)させたが、孫権に埋伏の毒を仕込ませた劉備らは脱出して蜀に逃げ込むというファインプレー(しかも変装して荊州経由で移動しその道中で袁術の配下であった黄忠らを組み込んで蜀行きを醸す)をそれを聞いた将和も思わず爆笑する程であった。
そんなこんなで揚州と荊州、更に交州を保有した事で魏と対等な国力となり赤壁の地で決戦、互いに引き分けかと思いきや蜀に逃げ込んだ劉備らが両陣を攻撃するという暴挙に出て魏と仲は打撃を受けて後退する。
その後、将和は美羽らと話し合い『仲』を解散させ大陸から脱出する者達と一緒に日本に向かう事となるのである。(よーするにこれ以上、蜀の傲慢さに付き合いきれなくなったから)
将和の設定
服装 第三種軍装
武器 日本刀×二本(三笠と加賀の鉄から製造された日本刀)
女性関係 複数(エロゲーだから仕方ないね)
張勲(七乃)
袁術の側近中の側近。紀霊等の反袁術派から主君を守るため二人で馬鹿を演じていたが将和が任官してきた事で一変。汚職し反乱した紀霊を討ち取り馬鹿を演じていた袁術と自身を張り倒して一喝する将和に惚れてしまい、以後は袁術の世話係をしつつ軍師の一人として袁家を取り仕切り将和に首ったけになり『仲』解散後は将和と共に日本に向かう事になる。
ちなみに将和の初相手でもあったりするし桜華と麗羽、炎蓮と共に四人同時に妊娠したりする。
袁術(美羽)
南陽郡を治める袁家の娘。袁紹とは従姉妹であり苦手である。当初はぶっちゃけ馬鹿であったが紀霊の反乱後に馬鹿さにキレた将和の尻叩き100回にガチ泣きをしガチトラウマとなるが将和の帝王学により頭角を現し君主として自覚をする。反董卓連合後、孫呉の反乱に嘆きつつも大軍を用いて反乱を鎮める。魏との赤壁の決戦後、『仲』の解散を宣言し将和と共に日本に向かう事になる。
孫堅(炎蓮)→記憶喪失後は王平
元は孫呉の王とも言える強者であり揚州で実力でのしあがってきた。夫はいたが三女の小蓮を宿した後に病死している。その後は女手一つで三人の娘を育てきた。その後江夏郡へ侵攻を開始する。途中で南陽から進軍してきた将和の軍勢と共には孫堅と共に黄祖を討ち取るも黄祖の配下による逆襲で逃げ場を失い二人で川へ飛び込み脱出するも孫堅は石の破片が頭部に喰らいその衝撃で記憶喪失してしまう。
その後は将和の機転により荊州にて保護する事になる。当初は七乃らと美羽の身の回りの世話をしていたが賊が美羽の部屋に侵入した時に剣を振るい賊を討ち果たす。
この時に記憶が戻るも自身は既に死人であるとして将和から王平の名を貰い将和の側近として軍の主力となる。なお、将和とは剣の錬成は元より政等も一緒にしていたのでそのうちに意気投合して一夜を共にしそのまま将和に首ったけになる。
また、孫権による将和が重傷を負った時は取り乱しはしたがその後孫呉の激突で黄蓋や程普等を剣一つで負かして捕縛する手腕を見せ衰えはしていない事を証明する。
その後、美羽の『仲』解散後に雪蓮の『孫呉』の解散にも立ち会い将和と共に日本に向かう事になる。七乃、桜華、蓮羽と共に四人同時妊娠したりする。
趙雲(星)
元は程昱達と旅をしていた。その途中で南陽に立ち寄り路銀集めのために客将として袁術のところに訪れてそのまま将和の鶴の一声により採用された。その後は将和の下にいたが将和との勝負にコテンパンに負かされてしまい自信を喪失したが将和の一喝により気力を取り戻し以後、将和に忠誠を誓う事になる。なお、程昱達も揺れていたが曹操への気持ちが上回りそのために将和は離脱許可をし星を護衛の為に派遣させたりする。将和に首ったけでメンマの開発に熱心。
『仲』の解散後に将和と共に日本に向かう事になる。
太史慈(梨晏)
元は気儘に旅をしていたが路銀が尽きたので趙雲らより前に客将として袁家入りした。軍の指揮、政等将和も頷くくらいの逸材であり七乃が何度か任官入りを要請していたが太史慈は親友らを裏切れないとして断っていたが将和との勝負で負け任官を表明したが将和から「未練タラタラな表情をしているヤツに戦場は駆け抜け出来んしそういうヤツは死ぬから帰れ」と告げ太史慈を揚州に向かわせたが太史慈は友との友情を捨て将和の配下になる事を選ぶ。その後、再度勝負して将和を負かすのである。なお、将和に首ったけとなる。『仲』の解散後に将和と共に日本に向かう事になる。
程普(粋怜)
黄蓋(祭)と並び、孫呉の両翼と称される猛将だが好きなモノは酒と博打。将和と会ったのも博打屋で路銀を全部摺って借金となった時に将和が立て替えたのが縁でそれからはよく飲みに行く仲になる。孫呉反乱の時は孫権を諫めるも上層部(劉備らが組み込まれていた)取り合ってはくれず仕方なしに呂蒙・魯粛らと共に『仲』に駆け込んで孫権や孫策ら奪還を行う。その後、雪蓮を加えた酒宴で将和を二人して喰おうとしたのがきっかけで将和と関係は続き以降は首ったけとなる。『仲』の解散後に将和と共に日本に向かう事になる。
孫策(雪蓮)
孫堅亡き(ほんとは生きてる)後に孫呉を継いだ当主。当初は将和を邪険にしていたが冥琳から孫呉独立の話を聞いては将和に耳を貸す事にした。反董卓連合で呂布の攻撃に死にかけたが駆けつけた将和が助けた事で何かが芽生える。孫呉反乱では冥琳と共に軟禁されていたが思春と明命が助けた事で孫呉独立は棚上げとし袁術の下で勢力拡大を目指す事になる。というのは建前で将和とイチャイチャしたいのが本音でありよく将和の部屋に夜戦を仕掛けて返り討ちされる。『仲』の解散後は『孫呉』の解散も行い、将和と共に日本に向かう事になる。
周瑜(冥琳)
呉の筆頭軍師。常に冷静さを失わず、大局的な視点からの判断をする。孫呉が袁術に身を寄せて直ぐの時期に将和と七乃に張昭と共に呼ばれて孫呉独立の話を聞かされ以後は将和と内密な協力体勢をしていく。反董卓連合後、徐州から逃げてきた劉備らの受け入れに反対したが孫権を説得出来ずに劉備らを受け入れる事になる。孫呉反乱時は雪蓮と共々に軟禁され病を悪化させてしまう。救助後に吐血した事で病が発覚しそれからは身体が弱っていくもたまたま南陽を訪れた将和の友人であるゴッドヴェイドーの達人の治療により回復する。回復祝いで雪蓮と共に三人で飲んでいたら雪蓮の暴走により三人で一夜を共に同じ寝台で三人共裸で朝を迎える事になる。以後は雪蓮に付き添われて将和の部屋に行ったりして首ったけになる。『仲』の解散後は『孫呉』の解散も行い、将和と共に日本に向かう事になる。
黄蓋(祭)
程普(粋怜)と並び、孫呉の両翼と称される猛将であり武術全般に精通するが、特に弓の扱いに長けている。
昼間から豪快に酒を飲み、堂々と職務をサボってみせるかと思えば、他人を唸らせるほどの料理の腕もあるなど、武人としてだけではなく、女としての部分でも皆から一目置かれている。将和とは市井の飲み屋で知り合い以降は飲みに行く仲になる。
孫呉反乱時は身動きが取れずに孫権の配下となり部隊を動かすも最後は孫権を止めるべく裏切って『仲』に駆け込み孫策ら奪還を行う。
その後、陸遜らとの酒宴で将和を押し倒した事がきっかけで陸遜らとヤるがその後も関係は続き以降は首ったけとなる。『仲』の解散後に将和と共に日本に向かう事になる。
陸遜(隠)
周瑜(冥琳)を補佐する、孫呉軍師の二番手。のんびりした性格、のんびりした口調で、かなりドジも多く本を読めば発情する程。将和が作成した野戦戦術本を読んだらアへってしまいには書物庫に来た将和を押し倒して夜戦してからは将和との関係が続き以降は首ったけとなる。『仲』の解散後は『孫呉』の解散も立ち会い、将和と共に日本に向かう事になる。
魯粛(包)
原作では孫呉側だが、たまたま南陽を視察した際の争いに巻き込まれその時に将和に助けられ以後は将和の軍師となる。図太い神経であり袁術や七乃らのメンバーの中にもグイグイ食い込んでいく程で尚且つ上昇志向がとても強く、ことあるごとに自分自身を推挙する。その反面失言が多く、その度に将和に窘められるが全く改善しないので将和を悩ます要因でもある。その為、一回将和がぶちギレた時に何故か感じているのがバレMに調教されてしまい以降は首ったけになる。(何してんの?)『仲』の解散後に将和と共に日本に向かう事になる。
呂蒙(亞莎)
元は一兵卒だったが、周瑜(冥琳)に見出されて孫呉軍師格となる。将和とも戦術を練ったりして仲良くなる。孫呉反乱時は人質(雪蓮と冥琳)の事もあり孫権に従うが密かに将和と連絡を取り隙を見て雪蓮らを救助する。反乱後は袁術に従いそのうち将和と一夜を共にし以後は首ったけとなる。
孫権(蓮華)→孫登
孫呉の次世代の当主(予定)であり当初は袁術側の将和を邪険にしていた。その後、将和と数度会う事で緩和されつつあった……しかしはわわとあわわの両軍師の言葉巧みに騙されて孫呉独立の為に反乱を起こし不意討ちで将和に重傷を負わせるが最終的には捕らわれる。孫呉戦後は雪蓮の許可を得て将和のケツ穴牝奴隷(孫堅からの提案)兼孫呉当主としての在り方を見学するために将和の傍にいる事になる。当初は騙された事もあり仕方なく付き添いをしていたが将和の当主としての在り方を見せられてからは評価を改め将和を慕うようになり、以降は将和に首ったけとなる。
なお、孫呉反乱後は斬首で死亡したという事にして一族の孫登という事に名を変える。『仲』の解散後は『孫呉』の解散も立ち会い、将和と共に日本に向かう事になる。
甘寧(思春)
チリーンと鈴が鳴れば首に刃が突きつけられている程の忍び側の者。孫呉のツンデレ代表でもあり孫権命代表でもある。
元々は湖賊であったが将和と孫権の合同討伐で将和に敗れ最終的には孫権に降伏する心中複雑な思春期でもある(ヤマダクンザブトンゼンブトリナサイ)孫呉反乱の時は孫権には従いつつも将和と連絡を取り隙を見て雪蓮と冥琳を救助する。反乱後は袁術に降伏し孫権の助命が認められると諜報として活躍する。酔っ払った孫権と将和の部屋に乱入後は将和との関係が続き首ったけとなる。(ツンツンデレツンデレツンツン)『仲』の解散後は『孫呉』の解散も立ち会い、将和と共に日本に向かう事になる。
華雄(桜華)
作者の嫁一号にして以降の作者の恋姫シリーズには必ず登場しヒロインとなる猛者中の猛者でもある(真顔)
登場は反董卓連合時であり将和との一騎討ちに負けて捕虜にされる。捕虜後は張遼との交渉にも参加して董卓の身の虜囚をやっていたが劉備らによって全てを引っくり返され怒った本人は劉備討つべしの為に袁術軍の門を叩く。将和の配下後は将和からの鍛練や戦術・戦略的の指南を仰ぎ将和に心酔していき最終的には祭達に押されて将和と夜戦をして以降は首ったけとなる。『仲』の解散後に将和と共に日本に向かう事になる。
ちなみに七乃、麗羽、炎蓮と共に同時に将和の子を妊娠する。
孫尚香(小蓮)
YESロリータNoタッチ
周泰(明命)
お猫様命
袁紹(麗羽)
作者の恋姫嫁三号。反董卓連合を作った馬鹿であり覚醒した袁術からも馬鹿にされている。官度の戦い後は顔良と文醜らと放浪の旅をしていたが発展する袁術のところに厄介になるが散財する袁紹にブチギレた将和が袁紹の右頬に右ストレートを放って序でにとばかりに顔をボコボコにしてプライドを、ズタズタに引き裂いて仕舞いには露出補正も掛けた将和専用の奴隷にした(記憶が復活した炎蓮の提案)のがきっかけとなり将和の専用メイド兼用ともなる。『仲』の解散後に将和と共に日本に向かう事になる。七乃、桜華、炎蓮と共に四人同時妊娠したりする。
顔良と文醜
元は袁紹の武将。袁術の配下後は二人で戦線を支えたり何かと役立つ(主君が悪い)
二人はレズ
脳内BGMは『時の河』『あさきゆめみし』『燎火のフォルトゥナ』
孫伯符、最後の大号令は未だに啼くレベル。
御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m
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三好in恋姫改(天の御使い量産√)
・量産型北郷一刀シリーズ
・北郷一刀=蜀・東郷一斗=魏・南郷一翔=呉
・最終的には将和の陣営は大陸を離脱する。大陸は史実と同じく魏呉蜀の三か国陣営に分かれる。
・将和の陣営は独立国『陽』
・主に将和が助ける行動+成り行きでヒロインを連れてくる(何
将和の陣営
三好将和
死後、左慈や于吉達世界の監視からの要請で恋姫の世界ではあるが血と血の世界(つまりは三国志)にバーターがある程度振られた恋姫世界に降りて生活をしてほしいとの事により20代後半の姿で恋姫世界の荊州ーー南陽郡に降り立つ。衣食住対策で最初は孫呉に任官しようとしたが出自を張昭に怪しまれ任官が出来なかった。
その為南陽郡に戻って袁術に任官し武・政両方に携わる事となりあっという間に頭角を現す。汚職をしていた紀霊の反乱を鎮圧し筆頭将軍となり初めての顔合わせで我が儘お嬢様に育っていた袁術とそれを増長させ甘やかしていた張勲を殴り倒して矯正する羽目になる。また、袁術の更正後は何故か前世の総理としての経験を生かして帝王学を教える事になる。
その後は荊州を袁家で纏めるために十常侍にカネを貢いで侵攻を黙認してもらい賊討伐という名目で南郡、江夏郡へ侵攻を開始して荊州南四郡を治めていた劉表と対決する。ついでに揚州方面からも実力でのしあがって孫堅が江夏郡へ侵攻を開始する。将和は孫堅と共に黄祖を討ち取るも黄祖の配下による逆襲で逃げ場を失い二人で川へ飛び込み脱出するも孫堅は石の破片が頭部に喰らいその衝撃で記憶喪失してしまう。孫堅を戦死にする事で原作を進めつつ袁家の独立をしようと思い付いた将和は孫堅戦死を孫呉に伝えたりして記憶喪失の孫堅は荊州で保護するのであった。
なお、荊州侵攻は主力の袁術軍によってほぼ成功するのである。そして孫家独立の為に動いていたが黄巾賊の乱が発生し一旦は棚上げしようとした。しかし、孫呉にも天の御使いーー南郷一翔が合流しておりしかも変な悪知恵を付けていたのも将和の計画を狂わす要因となっていた。
黄巾賊の討伐をしていた日、孫呉が急に独立を宣言をしそのまま南陽を占領し美羽を捕らえ民衆の前で斬首した事が切っ掛けで南陽の民衆達からの投石や反乱により孫呉はそのまま退却、事態を聞いた将和と七乃が軍を引き返して混乱する南陽の治安を回復させ回復後は七乃の推挙もあり南陽での三好家を創設した。
反董卓連合では汜水関の戦いで華雄を一騎討ちの末に捕縛、更に救援に訪れた呂布と一騎討ちをし、袁紹等のからの増援で呂布が引き揚げた事で引き分けとなる。
続いての虎牢関の戦いで再度呂布と一騎討ちをしている最中に義勇軍の関羽と張飛、涼州から参戦していた馬騰軍の馬超、曹操軍の夏侯惇等が増援に来たが、キレた将和(武人との一騎討ちに横から入るんじゃねぇよこのクソッタレどもがァ!!と叫んだ)の一喝で手出しは出来なかったが呂布が空腹で倒れた事で捕縛する事に成功する。(序でに陳宮も)
その後、洛陽で董卓らを保護しようとしたが一足先に劉備の義勇軍が保護していた。反董卓連合後は劉表の荊州を攻めて攻略する。荊州を攻略した事で孫呉が難癖付けてくるが将和は返答として「掛かってこい、相手になってやる」と返した事で荊州を巡る戦いが勃発する。この間に官渡の戦いに破れて流浪の旅をしていた袁紹達を引き入れ保護する。
その頃に徐州から逃げてきた劉備一行が保護を求めてきたが将和は拒否して素直に蜀に行かせる。この時、北郷一刀が将和に蜀入りを協力してほしいと頼み込んできたがこれも拒否して蜀を追い出す。(その過程で星と紫苑をも引き抜こうとした北郷を殴っている)
孫呉と決戦している時に曹操の魏が横から側面攻撃してきたがやり返した程。孫呉との戦いでは孫策を討ち、序でに南郷をも討ち取るが孫呉の首脳陣が逃げ切り、蜀に向かう。
最終的には魏と赤壁で決戦中に蜀が乱入してきた事にブチ切れ、魏と休戦して蜀を追い返す。
赤壁後、将和は愛する人達と相談をして国を解散する事を決断。希望者を募り300隻の船団で長江を下り大陸伝いで日本に向かうのである。
張勳(真名 七乃)
袁術の側近中の側近。紀霊等の反袁術派から主君を守るため二人で馬鹿を演じていたが将和が任官してきた事で一変。汚職し反乱した紀霊を討ち取り馬鹿を演じていた袁術と自身を張り倒して一喝する将和に惚れてしまい、以後は袁術の世話係をしつつ軍師の一人として袁家を取り仕切る。黄巾賊の討伐を将和と出陣した時に孫呉が内乱を展開して南陽を一時占領され美羽を斬首された事で精神が崩壊してしまう。それでも将和の懸命な看護により気力を取り戻し孫呉憎しに憎悪を向ける。孫策を討ち孫呉を占領しても心は晴れなかったがその直後に将和の子を妊娠している事が発覚。美羽の為にも新しい命を未来に託すために奮闘する。なお、生まれた子は女の子であり真名は将和も絶対に付けようと思っていた『美羽』である。
その後は将和と共に大陸を脱出して日本に向かうのである。
孫堅(真名 炎蓮)
元は孫呉の王とも言える強者であり揚州で実力でのしあがってきた。夫はいたが三女の小蓮を宿した後に病死している。その後は女手一つで三人の娘を育てきた。その後江夏郡へ侵攻を開始する。途中で南陽から進軍してきた将和の軍勢と共には孫堅と共に黄祖を討ち取るも黄祖の配下による逆襲で逃げ場を失い二人で川へ飛び込み脱出するも孫堅は石の破片が頭部に喰らいその衝撃で記憶喪失してしまう。
その後は将和の機転により荊州にて保護する事になる。当初は七乃らと美羽の身の回りの世話をしていたが賊が美羽の部屋に侵入した時に剣を振るい賊を討ち果たす。
この時に記憶が戻るも自身は既に死人であるとして将和から王双の名を貰い将和の側近として軍の主力となる。なお、将和とは剣の錬成は元より政等も一緒にしていたのでそのうちに意気投合して一夜を共にしそのまま将和に首ったけになる。
孫呉が独立の反乱を起こし南陽を占領、美羽を斬首すると炎蓮は孫呉への訣別を宣言する。
以後は将和の配下として活躍し、将和と共に大陸を脱出して日本に向かうのである。(その途中で妊娠が発覚したりする)
袁術(美羽)
南陽郡を治める袁家の娘。袁紹とは従姉妹であり苦手である。当初はぶっちゃけ馬鹿であったが紀霊の反乱後に馬鹿さにキレた将和の尻叩き100回にガチ泣きをしガチトラウマとなるが将和の帝王学により頭角を現し君主として自覚をするが、黄巾賊の討伐中に孫呉が反乱して南陽を防衛していたが多勢に無勢。住民の命を助け自身が南陽を出る事で降伏した。しかし、約束は反古され刑場に引っ立てられ斬首される。なお、美羽が斬首された事で南陽の民は孫呉に対して蜂起して孫呉を追い返し美羽の首を奪還する事に成功する。
その後、美羽の首と身体は糸で縫われて埋葬されるのである。
袁紹(真名 麗羽)
元は冀州牧でありその兵力は度しがたいモノであった。しかし官渡の戦いで曹操に破れて以降は文醜と顔良と共に放浪の旅をして南陽入りをする。南陽入りの当初は贅沢三昧をしていたがそれにキレた将和が本気で袁紹をしばいた事により更正(一部M化した)し本格的に三好軍の武将となる。将和のお手つきになるのも直ぐであり将和と共に大陸を脱出し日本に向かう。
陸遜(真名 穏)
揚州出身。仕官先を求めて南陽をふらついた時に戸籍の書物を持って視察していた将和と出会し書物を求めて袁家に取り敢えずは仮の任官する。袁家が所有していた書物に基本的に興奮している歩く書庫係でもある。将和の知識(所謂天の書物)にも興奮する模様である。のんびりした性格、のんびりした口調で、かなりドジも多く本を読めば結果として発情する程。将和が作成した野戦戦術本を読んだらアへってしまいには書物庫に来た将和を押し倒して夜戦してからは将和との関係が続き以降は首ったけとなる。
袁家では七乃を軍師とし魯粛と共に副軍師格として軍、政を運営する。その後は将和と共に大陸を脱出し日本に向かう。
ちなみに孫家に任官する気ではいたが美羽を斬首された事で孫家への任官を取り止め孫家への戦略もえげつなさを増すようになる。
魯粛(真名 包)
元は徐州出身だったが南陽が栄えてきたのを耳にして袁家に任官する。大胆な戦略を持ち図太い神経であり袁術や七乃らのメンバーの中にもグイグイ食い込んでいく程で尚且つ上昇志向がとても強く、ことあるごとに自分自身を推挙する。その反面失言が多く、その度に将和に窘められるが全く改善しないので将和を悩ます要因でもある。その為、一回将和がぶちギレた時に何故か感じているのがバレMに調教されてしまい以降は首ったけになる。(何してんの?)
南陽防衛の時は前線で指示をしていたのを黄蓋に矢を入られ負傷、それが元で美羽が降伏する要因の一つとなったので孫呉には容赦しない。その後は将和と共に大陸を脱出し日本に向かう。
黄忠(真名 紫苑)
元は荊州の劉表の配下とし長沙郡太守であったが将和と孫堅の荊州攻略に防衛で参戦。得意の弓にて防戦していたが敢えなく陥落し長沙の民の助命を条件に降伏、そのまま捕虜になる。捕虜後は美羽や将和の説得もあり娘の璃々共々袁家入りし弓隊を率いる。将和と交流を重ねる事で将和への信頼が増していき最終的には将和と関係を持つ。その後は将和達と共々大陸を脱出し日本に向かう。(その道中で妊娠が発覚)
皇甫嵩→張郃(真名 楼杏)
元は官軍の将軍。黄巾賊の討伐中に将和の軍勢と合流して共に討伐したりして関係を深める。黄巾賊の討伐後は政治の舞台から穏便に下がろうとしていたが十常侍の超忠らが董卓対策として置く必要があったので結局は洛陽に身を置く事になる。何進達が十常侍の策略で洛陽を追い出されると軍を纏めるがその隙を突いて董卓の軍勢が洛陽に攻め入り十常侍らを捕縛、後に斬首するが皇甫嵩自身は盧植と共にこれ幸いとばかりに洛陽から脱出し逃走。将和を頼って袁家入りする。皇甫嵩が生きているのを防ぐために名を『張郃』と変える。生真面目な性格な故に恋愛には奥手に近かったが酔った拍子に将和と関係を持つ事になる。
その後は将和達共々大陸を脱出して日本に向かう。
盧植(真名 風鈴)
元は官軍の将軍。皇甫嵩と共に黄巾賊の討伐中に将和の軍勢と合流して共に黄巾賊を討伐したりして関係を深める。黄巾賊の乱後は政治の舞台から穏便に下がろうとしていたが十常侍派閥の宦官左豊が前線視察の際に賄賂の要求をしたが断った事で軍権を取り上げられ囚人として洛陽に移送されかけるが将和の取り成しによって移送される事なく代わりに乱が終わるまで袁家の武将として仕える事になる。その為将和には恩義を感じており乱が終息後は改めて袁家入りする事になる。文武両方のサポートが出来るので将和や七乃からは非常に感謝され、宴会後に将和と関係を持つ事になる。
劉備一行が蜀入りをする際に穏便に終わってほしいと願っていたものの、北郷が星と紫苑、更に風鈴に対し劉備の軍勢入りを促されたが明確に拒否し一戦交えようとまでする劉備の配下に激しく絶望し劉備との関係を断つ事になる。
その後は将和達共々大陸を脱出し日本に向かう。
趙雲(真名 星)
元は程昱達と旅をしていた。その途中で南陽に立ち寄り路銀集めのために客将として袁術のところに訪れてそのまま将和の鶴の一声により採用された。その後は将和の下にいたが将和との勝負にコテンパンに負かされてしまい自信を喪失したが将和の一喝により気力を取り戻し以後、将和に忠誠を誓う事になる。なお、程昱達も揺れていたが曹操への気持ちが上回りそのために将和は離脱許可をし星を護衛の為に派遣させたりする。将和に首ったけでメンマの開発に熱心。劉備一行らが蜀入りするために南陽を通過した際に北郷から紫苑、風鈴と共に劉備入りを促されたが拒否して将和に激しくキスをして誰のモノかを見せる程であった。
その後は将和と共に日本に向かう事になる。
呂布(真名 恋)
元は董卓軍配下の武将であり黄巾賊の討伐にも参加していた。その折りに将和と出会い親交を深める。反董卓連合では汜水関の後詰めとして参戦。その時は将和と一騎討ちをし袁紹らの増援に撤退し引き分けとなる。続く虎牢関の戦いで再度将和と一騎討ちをし再び劉備らの増援が来るも将和の激怒により一騎討ちを再び行いつつも一瞬の油断で将和に倒されそのまま捕縛される。反董卓連合後、各地の勢力から呂布の処刑が求められるも美羽が明確に拒否しその恩義に報いるために袁家の武将となる。一騎討ちをした将和を絶大な信頼をしておりふとした切っ掛けで関係を持つ。
将和達共々大陸を脱出し日本に向かう。
陳宮(真名 音々音)
恋の軍師とし黄巾賊の討伐に参戦。その道中、将和の軍勢と合流し親交を深める。その時に将和を「とと様」と呼ぶようになる。反董卓連合時には将和に洛陽の状況を報せたのは陳宮であり恋に袁家入りを進めたのも陳宮であった。南陽防衛戦ではたまたま体調を崩して療養していたがそれでも包の負傷後退後は軍師として降伏まで支える。孫家との和睦交渉で美羽らを含む南陽の民の助命を引き出せたのに反古にされ美羽が斬首されると南陽の民と共に蜂起し晒し首だった美羽の首を取り戻し将和らの軍勢が帰還するまで防戦する。美羽を守れなかった事を悔やみ続け、精神が低下するも恋や将和の支えもあり復活。その後は恋の部隊の軍師として活躍。その後は将和達共々大陸を脱出し日本に向かう。
華雄(真名 猫)
元は董卓軍の武将。黄巾賊の討伐にも参加しその道中で将和の軍勢に合流。将和の腕を見込んでよく一騎討ちするが負ける。反董卓連合では汜水関の戦いでは守将とし参戦。関羽等の挑発にはどうでも良く鼻で笑っていたが将和が出てきたら「今度こそ将和を討つ!」と叫んで参戦。将和と30合近く一騎討ちをするもエルボーを顔に喰らって失神しそのまま捕縛される。反董卓連合後は将和に勝つため袁家入りする。将和と鍛練する事で腕は向上し遂には魏との戦いでは夏侯惇と引き分けに持ち込んだりする程の猛将となる。なお、その過程で将和と関係を持ち、将和達共々大陸を脱出し日本に向かう途中で妊娠が発覚し日本で三つ子を産んだりする。
ーー男の武将ーー
王平(真名 狼)
元は漢中方面の出だが武芸の旅に出て南陽に来たところを将和に見出だされ将和に仕える。史実と同じく文字は10字程度しか書けなかったが『三好将和』だけは絶対に覚えている程将和を信頼している。将和達の大陸脱出にも付き添い、追撃してきた呂蒙の軍勢を蹴散らす程であった。
鄧芝(真名 楼嶺)
元は荊州の出。荊州攻略時に将和に仕え、将和に見出だされ外交官として活躍する。口癖は『黙れ小童』であり将和達の大陸脱出にも同行する。
廖化(真名 泠牙)
元は荊州の出で黄巾賊に身を移していたが黄巾賊を討伐する将和の武芸に惚れ込み、将和に降伏し将和の配下となる。将和達の大陸脱出にも同行し王平と共に追撃してきた張遼の部隊を蹴散らす程であった。
その他 袁術家及び三好家配下武将・文官
袁渙(文官)
李豊(武将)→南陽防戦中に太史慈に討ち取られる。
楽就(武将)→南陽防戦中に黄蓋に討ち取られる。
楊弘(文官)
粱鋼(武将)→南陽防戦中に甘寧に討ち取られる。
各陣営に量産型北郷がいてヘイト稼いだらこんな感じかなと思いつつ。
美羽の斬首が必要かどうかは考えた自身も分からないが、原作だと怯える美羽と七乃を見て追い出したしこの美羽は更正して南陽の君主であろうとしているし民の評価も高い。南陽を統治するなら美羽を斬首した方がいいと判断した孫策達のミスかなと。
北郷?一発殴らせているから大丈夫だ(何が?)
恋姫書くとしたらこれを下地にするか、このままやるかかな。
御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m
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