魔王の幼馴染 (鬼怒藍落)
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いらっしゃい混沌寺
ぱーとわん


再び蒼空の魔導書さんからリクエスト!なのはとフェイトを尼にして寺勤めさせてみた。レイハさんも居ます。この話も本編とは関係ありません。


 此処は混沌寺! ただのカオスが広がる面白時空。

 なぜか赤い空! 青い雲!落書きのような景色!

 そんな場所にに三人の尼が務めていた。その三人はみんなご存じレイハさん。なのはさん。フェイトさんである。居間ではレイハさんがお経を唱えていた。

 

「仏説・摩訶般若波羅蜜多心経観自在菩薩・行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄。舎利子。色不異空、空不異色、色即……是空、空即是色?ここから先なんでしたっけ?まあいいですぽくぽく忘れたーなむなむ」

 

 適当である。レイハさんはいつもと変わらない。

 しかしここでは一番偉い尼さんである。

 

「こんにちは皆さん。初めましての方もこんにちは。レイジングハートこと怜戒尼(れいかいに)です。レイハでもいいですよ此処は混沌寺いわゆるギャグ時空です。どうぞ遊びに来てください。ごはん美味しいですよ?」

 

 この娘はご飯のことしか言っていない。まあしかたないねレイハさんだもの。レイハさんはそのままお経を続ける。そこにバタバタと二人分の足音が聞えてくる。

 

「レイハさん廊下の雑巾がけ三十往復終わったの!」

「終わったよレイハさんでも疲れたな」

 

 二人はなのはこと菜戒尼(さいかいに)フェイトこと運戒尼(うんかいに)。記憶を失いここで記憶を取り戻すための修行をしている。レイハさんのおもちゃ、ゲフンゲフン、尼である。

 

「なら二人共次は雑草を片づけてきてください。その間、私は昼寝をしていますので頑張ってください」

 

「はいなの!」

 

 なのは特に疑問を持たず元気よく返事をしたが

 

「菜戒尼少しは疑問に思おうよ。私達雑用しかしてないよ?」

 

「大丈夫!運戒尼ちゃん。きっと何か考えがあるんだよレイハさんが私達に意味もなくやらせるわけないよ!」

 

「え?そんなのありませ、ありますよほらあれとかそれとかほら沢山あります」

 

「ほらあるらしいよ」

 

「私は何もないと思うなー菜戒尼」

 

 菜戒尼は純粋だというより人を疑わないようだ。運戒尼はそれを聞いて頭を痛めている様子だ。二人はそのまま草むしりを始める。暫く経って運戒尼が戻って来る。

 

「レイハさん疲れたよそれに庭が広すぎるよー」

 

「問題ないです。ほらあの黒い戦斧で一掃すればいいですよー」

 

”マスター私の事忘れていますよねーこのバルデッシュを!酷いですよー!”

 

 戦斧悔しそうな声を出して運戒尼に言った。そのまま光だし金髪のポニーテールの少女が現れる。

 

「こんにちは戦戒尼(せんかいに)凄いテンションですね!」

 

「こっちは辛いんですよ!てか戦戒尼って誰ですか!?」

 

「貴方の事ですよ!戦戒尼、今日からここで尼をやりましょう。私が決めました!」

 

「拒否権は……ありますか?」

 

「あるわけないですよ。私がルールだ!」

 

「そんなー」

 

 戦戒尼は目に涙を浮かべその場に座り込む。その横でどや顔でポーズを決めるレイハさん。

 やはりカオスである。

 戦戒尼を何とか慰めようとして、頭を撫でている。

 

「えっと大丈夫ですか?」

 

「やっぱりマスターは天使ですよー!うちのマスターマジ天使。FMTフェイトちゃんマジ天使!」

 

「やべぇ私レベルでキャラが濃いぞ!!私の立場が……そうだここでディバっちゃえばキャラが濃くなる気がします。宇宙的電波を拾いました! 行きますよディバインバス」

 

「やめてください。マスター早く止めて!ここ一帯が消し炭になります」

 

「そうなの!?戦戒尼なら止めなきゃ!」

 

「マスターも戦戒尼って呼ぶんですね……もういいです」

 

 バルデッシュこと戦戒尼はもう諦めたようだ。その方が賢明だろう。こ

 の空間は真面目なキャラこそ倒れていく。ゆるふわカオス空間多分きっとめいびー。 そんなことは置いておいて……次は尼たちのお昼の生活を見てみましょう。今日は皆で寺に修行に来る客から金をむしりと……活を入れるお仕事だ。

 

「かーつ!カーツ!活なの!」

 

 なのはは楽しそうに肩に活を入れる。その横でフェイトは真面目に活を入れる

 

「活!……活!」

 

 そしてレイハさんはマイクを持ち歌っている。

 

「みんなのアイドルレイちゃんのライブにようこそ!今日は来てくれたみんなに私が一斉に活を入れてあげましょう。体は警策で出来ている。以下省略、無限の警策!ふははは!無限の警策を喰らうがいい!ライブ歌うとは言っていない」

 

 レイハさんの後ろに数多の警策が現れて一斉に客に向かう。一人に約十発の警策は当たっている。そして客が次々と倒れこの場所に残ったのはレイハさんだけだった。

 なのはさんもフェイトさんも後頭部に一撃を受け倒れている。バルデッシュに至っては体中に警策を喰らって気絶している。

 

「私大勝利!ブイ!」

 

「負けちゃったんね運戒尼ちゃん」

 

「これに勝ち負けとかあるのかな菜戒尼?」

 

「知らないの」

 

 今日の菜戒尼達の一日はこれで終わり。またいらして下さいねー




「次回予告です!次回はなんとあの蝋燭のっぽが現れるぞ。期待しててください!レイハさんより~」


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ぱーとつーなの

蝋燭のっぽ出る。


 

 今日も今日とて混沌寺! 赤い空に青い雲! 落書きみたいな景色そんな混沌空間で菜戒尼、高町なのはは掃除をしていた。

 箒を巧みに使い落ち葉を掃除する……すると菜戒尼が何かを見つけたようだ。

 

「あれ何か落ちてるの?何だろう?」

 

 意外それは人間! 白い髪の人間が鴉に啄まれ倒れていた。

 菜戒尼は何していいのか分からない。どうすればいいのか? そんな事よりお腹すいたな……菜戒尼もこの空間に染まってしまったようだ……もう手遅れだ。

 そんな菜戒尼は、なんか楽しそうだからという理由で箒で白髪の男を突いている。

 白髪の男は反応した。

 

「やめろや!」

 

「喋ったの!えっと大丈夫ですか」

 

「そう聞くなら助けろ!」

 

「何すればいいですか?」

 

 菜戒尼は頭に?を浮かべ白髪の男を突き続ける。

 男は抵抗しようとするが力が尽きているみたいで指一本すら動かせない。

 男は最低限口で抵抗を続ける。

 

「やめっやめろー!」

 

「うるさいですよ菜戒尼。誰かいるんですか?」

 

 その声を聞いた白髪の男は、レイハさんに助けを求める。

 

「誰か知らんがこいつを止めろ!」

「今マスターにこいつって言いましたねレイハさん怒っちゃいましたよ!」

 

 レイハさんは白髪の男を蹴り上げて、空中に飛ばす。

 そして空を飛び。

 

「我が奥義!はーおーしょーこーきゃくを喰らえ!」

 

 空中でレイハさんは、三回転程して蹴りを喰らわせて、白髪男を地面に叩きつけた。

 

「グハぁ!」

 

「悪は去った!」

 

「餓鬼……それは……反則だろ」

 

 最後にそう言って白髪の男は力尽きた。

 やはり突っ込み役が居ないと収拾がつかない。

 そこに大天使フェイトさんこと運戒尼が現れる。

 

「二人共ごはん出来たよ。って大丈夫ですか!?菜戒尼この人を運ぶよ!」

 

「はーい!運戒尼ちゃん」

 

 菜戒尼はそう言われ足の方を持って運戒尼は頭を掴み連れて行く。寺の中に入り運戒尼は白髪の男を看病する。

 やっぱりこの空間での天使は運戒尼だね。看病して暫く経つと男は起きあがる。

 

「どわっはっ!俺生きてないけど生きてる!」

 

「何言っているんですかこの蝋燭のっぽは」

 

「誰が蝋燭のっぽじゃ餓鬼!」

 

「五月蠅いですねこれで止めを刺しますよ!」

 

「止めだぁ何するっていうんだ? おいその杭と金槌何処から出した! やめろ俺に近づくな!」

 

「死ねや吸血鬼!」

 

 レイハさんは白髪に男に杭を持ち飛びかかった。

 

「やめなさい!」

 

 その時戦戒尼の声が聞こえ電撃が飛んでくる。それはまっすぐにレイハさんに飛んで行き直撃する。

 

「あー!シビッレル。痛い痛い。ちょふざけすぎましたこれ止めて下さい!」

 

「あははー面白い私もやる」

 

「待ってマスターあなたもこの空間に染まっていますよね。染めたの私ですけど悔いはない!  あっそろそろ電撃止めてください痛いです」

 

「もうやりませんね怜戒尼」

 

「やりませんから! 反省しますから! 止めてー」

 

 電撃が止まりレイハさんは崩れ落ちる。

 白髪の男もうヴィルでいいや。ヴィルはどうしていいのか分からずに茫然としている。

 

「えっと何だこれ?」

 

「分からないの?」

 

「分かんない」

 

 ヴィル、菜戒尼、運戒尼の順に言った。

 怜戒尼は落ち着いたのか何処からかお茶を取り出し飲んでいた。

 

「酷いですねバル子じゃなくて戦戒尼。この美少女ボデーに傷ついたらどうするんですか?」

 

「誰がバル子ですか。知りませんよそんなの」

 

「知らないって何ですか、ほら私美少女でしょ。傷ついたら天が泣きますよ」

 

「うざいです」

 

「うざいって誰がですか!?」

 

 デバイス二人は楽しそうだ。

 その横で運戒尼とヴィルが話していた。

 

「おい餓鬼、俺は聖杯の中に居たんがどうしてここにいるんだ?」

 

「聖杯? 知りませんが此処は混沌寺ですよ。怜戒尼曰くここはギャグ時空らしいですよ」

 

「ギャグ時空って何だよ? それと後ろの餓鬼は何してるんだ?」

 

「よいしょよいしょ、持てきたの怜戒尼」

 

「ありがとうございます。菜戒尼」

 

「何ですかそれ?妙にでかいですけど」

 

 戦戒尼はこれが何か分からないようだ。漫画読まないからこうなるんだよバル子。

 

「誰がバル子ですか!」

 

 五月蠅いバル子。

 なのはが持ってきたのは紫外線照射装置。有名な漫画ジョジョの奇妙な冒険の二部に登場するアイテムだ。

 簡単に説明すると吸血鬼に浴びせる相手は死ぬ。以上説明終了。本編再開。タワシさんの説明コーナーでした。

 

「というわけで喰らえ蝋燭のっぽ!」

 

「やめろそれ焦げるだけじゃ済まねぇ!やめろー!!!」

 

「やめなさい!」

 

「ふっ見切ったもう喰らわないです」

 

「フォトンランサー」

 

「それ反則です!あばばばばば!」

 

「反省してなさい怜戒尼」

 

「あはは面白いなー」

 

「菜戒尼ここに来た時より変わったね」

 

 運戒尼は呆れているようだ。

 

「大丈夫だよ運戒尼ちゃん有名な言葉があるよ考えるな感じろ!って言葉が」

 

「今の状況と全く関係ないよ」

 

 この二人は仲がいいですね。微笑ましいです。そしてレイハさんは電撃を喰らい終わったのかまたお茶を飲み始めて言った。

 

「ふう、話が進まないので先に進みましょうか」

 

「その原因は貴方ですよね?」

 

「そこ……五月蠅いです」

 

「てかよ、俺は本当に何でここにいるんだ? 確か戒に倒されて、聖杯の中にクラウディアと居た筈なんだが?」

 

「黙ってください! dies本編では不遇なのに、何でここの貴方ははリア充してるんですか! すべてのヴィルに謝ってください」

 

「そう言われても自分に謝るってなんか変だな。つか俺がリア充だと確かに聖杯の中にはクラウディアも居るし戦い放題だしリア充だなかはは」

 

 ヴィルは全く似合ってない笑顔で言った。

 皆忘れているかもしれないが、戒の黒聖杯の能力は死者の魂を貯蔵する事が出来るのでヴィルの魂とヴィルが今まで吸った魂も貯蔵された。

 だけどヴィルの意識は残っており聖杯の中で他の魂と戦っている事も多い。

 要するにラインハルトの兵隊と同じである。

 本編では説明し忘れていたが……泥の兵隊には魂が込められていて、その者の生前に性能が強化されて、戒に使役される。

 以上第二回タワシさンの説明コーナーでした。え? 第二回が速い気にするな。

 

「うざいですね。惚気ならよそでやってください。ほら迎えが来ましたよ」

 

「ヴィルヘルム聖杯に帰りますよ」

 

「分かったかクラウディア帰るのはどうするんだ」

 

「あそれなら心配しないでい。というわけで穴に落ちてくさい」

 

「どういうわけだぁ!」

 

 ヴィルの叫びも虚しく、穴にクラウディアと一緒に消えていった。 

 哀れヴィルへルムクラウディアとお幸せに。今日の混沌寺はここまでまたいらして下さいねー




次回は別の番外編を書きますタイトルは黒聖杯の中の死者達の日常です。
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番外編
たとえばこんな楽屋裏なの


蒼空の魔導書さんのリクエスト。もしも魔王の幼馴染がドラマでその楽屋裏。本編とはなんも関係ありません。キャラ崩壊注意!


 

 なのはを汚そうとした屑を殺さなければ、僕の刹那を壊そうとした屑を何よりも早く。僕は屑に向けて酷く低い声で言い放つ。

 

「僕は屑だけど。そんな僕でも自分以上の屑は殺せる。レティシア君に血を捧げよう」

 

 その瞬間、レティシアの姿が掻き消えて僕の腕にギロチンが落下する。

 

(いいわよ戒。私に血を魂を捧げなさい)

 

 紡ぐは願いの唄、僕の創造。願いを形にして具現化した技。今ここで二人で歌おう、己の渇望を。

 

日は古より変わらず星と競い

 

 

定められた道を雷鳴のごとく疾走する

 

 

そして速く 何より速く

 

 

永劫の円環を駆け抜けよう

 

 

光となって破壊しろ

 

 

その一撃で腐敗させろ

 

 

そは誰も知らず  届かぬ  至高の創造

 

 

我が渇望こそが原初の荘厳

 

 

創造

 

美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)

 

 

「これから君は理解できないだろう。僕に近づくもの全て一つ残らず腐り落ち、死に絶えろ」

 

 僕は刃で屑の首を刎ねる。

 

 

「カット。オーケーだ戒君。今日もありがとね」

 

「士郎さんお疲れさまです。ほらレティシアも挨拶して」

 

「分かったよお兄ちゃん。士郎さんお疲れさまでした」

 

「偉いねちゃんと挨拶出来て、それなのにうちの娘は」

 

 そう士郎さんが言うとなのはがここに歩いてきた。

 

「何?父さん撮影終わったら私、戒と帰るんだけど。早くしてくんない」

 

「せめてスタッフの人に感謝くらいしてくれよなのは」

 

「うるさい父さん、どうでもいいでしょ」

 

 なのはは監督の言うことを聞こうとせずに、僕に近づいてきた。そして僕の手を取って言ってきた。

 

「戒行くよ……早く帰ろう」

 

「ちょっとなのは、引っ張らないで……レティシアが転んじゃう」

 

「待ってなのはお姉ちゃん早いよ」

 

「気にしなくていいでしょ、それよりあの子達が来るまでに帰ろう」

 

 なのはが帰ろうとするとここに声が響いてくる。それはどんどん近づいてきて僕の方に突撃してきた。

 

「かーいー私が来たわよ!アリサバニングス参上!」

 

 声の主はアリサだ。アリサはいつもどおり元気いっぱいだ。

 元気すぎるのも困りものだが、アリサの来訪になのはは疲れたような顔をしている。

 

「来ちゃったよ……アリサが……」

 

 レティシアは律儀に返事を返す。

 

「こんにちはアリサお姉ちゃん」

 

「こんにちはレティシア!今日も元気してる?私は元気よ!」

 

「私は元気ですよアリサお姉ちゃん!」

 

 その答えを聞いたアリサは頷き元気は良い事よと言っている。

 本番ではいつもツンデレキャラを演じているが……裏では熱血漢も顔負けの元気さだ。 それに付き合わされる僕の身もなってほしいけど……何か後ろにねっとりとした感触が……いや違う。

 誰かが後ろに張り付いている。

 もう予想は着いているんだけど、気付きたくなかったなー。

 

「えっとすずかさん張り付かないで」

 

「まあ酷いですわ戒様、私は貴方の事を思っていますのに」

 

「だからっていつも気が付いたら僕の後ろに居るのは……やめてくれませんか?」

 

「無理です! そんなの耐えられませんわ!」

 

 即答しないでほしかった。

 この性格が、いつも本番でおとなしい性格になるのは素直に凄いんだけど……元もおとなしければなー。

 そんな考えをしていると、いつの間にか僕は縛られていた。

 恐ろしく速い技だ僕でも見逃しちゃうね。

 そんな冗談言っている場合ではない。これやばくない? 

 僕は縄で縛られたまま連れて行かれそうになる。

 

「ちょ、ちょとすずかさん!何処へ連れていくんですか!?」

 

「もちろん戒様を監禁するだけですよ?」

 

 そんな、当たり前のように言わないでくれよ……それ異常だから。

 あはは、愛が重いよ。というか僕は監禁されんの? やばくね。

 ちょと、レティシアー。兄を助けてくれー。

 僕の心の声が聞こえたのかレティシアが近づいてきてすずかに言った。

 

「すずかお姉ちゃん?何してるの?」

 

「レティシアさんですか……今から戒様を監禁しようと思いまして……そうだ。貴方もやりますか?」

 

「いいよーやるー」

 

 レティシアさん。ちょと兄さん何を言っているか分からないな?

 二人で何処へ連れていくのでしょうか? てかよく僕の事を持てるねすずかさん普通持てないと思いますよ?

 

「すずかー何やってんのー!」

 

「アリサさん今から戒様を監禁しますので、邪魔しないでくださいまし」

 

「邪魔しないよ!頑張ってね!」

 

「はい有難うございます」

 

 違和感あるよね! 疑問を持ってくれない?

 監禁って言ったよね? どう考えても物騒な言葉だよね?

 最後の希望のなのはさんは? 寝てらっしゃる……眠ってるよあの子、余程疲れてたんだねお休み。

 

「ふぅ。誰か助けてー」

 

 この混沌とした空間に誰かが近づいてきた。

 

「あら貴方達、何してるの?」

 

「アルフさん!助けてください!」

 

 この現場に現れたのはアルフさん。アルフさんはフェイト側にいつも居る優しいお姉さんだ。

 アルフさんが居るってことはフェイトも?

 

「戒君、大丈夫?今縄ほどくね」

 

「そうはさせませんわ」

 

「やめなさい」

 

 アルフさんがすずかにチョップを噛ます。

 すずかはそのまま、地面に叩き落とされた。

 

「何するんですか!?」

 

「こっちの台詞よ。貴方いつも戒君を縛って、いつも言っているけど好きなら正面から行きなさい」

 

「言われたとおり正面から行きましたよ?」

 

 それが監禁なの? すずかはやはりずれている。「それにしてもフェイトは天使だ優しいし料理できるし役を演じる時もあまりいつもと変わらないし」

 

「戒、恥ずかしいよ」

 

「え?声に出てた?」

 

「うん出てたよ」

 

 マジかすっごく恥ずかしいんだけど。フェイトに天使っていたの聞かれた? うん穴に入ろう。もう僕はそこから出ないよ!

 

「フェイト探さないでください」

 

「何処行くの?」

 

「穴を掘るだけだよ安心して」

 

「頑張ってね、戒君」

 

 そんな事をしていると、高町監督がこちらにやってきて僕達に言った。

 

「そろそれシュピーネさんシーン撮影するから。みんな静かにしてね」

 

「はい監督」

 

「了解しましたわ。ささあちらに行きましょう戒様」

 

「えーお兄ちゃん帰ろうよ」

 

 さてそろそろ帰るか、なのはも起こさないとな。なのはに近づき揺さぶる。一分ほど揺らしているとなのはが起きてきた。

 

「おはよう戒」

 

「帰るよなのは」

 

「分かった」

 

 明日も撮影だ今日も早く寝なきゃな。

 

 

 

 




蒼空の魔導書さんこんな感じでいいんですかね。自分なりにCD聞きながら書いたんですが。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。


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幼少期
第一話


息抜き!


 

僕は生まれた時から、世界が退屈で色あせていた。初めて感じるものも、素晴らしい景色も、全てが腐って見えた。親は毎日喧嘩して、父は酒を飲み漁る屑だった。そんな父の血を流す僕も屑だろう。

でも母は優しかった。屑な僕にも文字を教えてくれた本を買ってくれた。今日も喧嘩の声がする。悲鳴が聞こえる。何かあったらしい、居間に向かう。すると母親が倒れていた。紅い海が出来ている。屑が凶器を持って、ここに向かってくる。僕は死ぬのか? それもいいかもしれない。そんな時、声が聞こえた。

 

(私に血を、血、血、血が欲しい。ギロチンと聖杯に血を捧げよ)

(何だろうか?今死ぬ僕に関係ないだろう)

(捧げよ捧げよ今すぐに)

 

 そしてm僕の意識は暗くなる。見えた光景は、体から生える黒き処刑の刃と、変色する自分の体。

 

 

 

 男は焦っていた。先程まで簡単に殺せる筈だった自分の子供の姿が、化け物に変わったからだ。肌は黒くなり体から刃が生えている。

 そんな中で化け物は唄う。

 

「血、血、血、血が欲しい、ギロチンに注ごう飲み物を、ギロチンの渇きを癒すため」

 

 耳に透き通る程の綺麗な唄だった。

 それがまた恐怖を駆り立てる。思えばこの子、戒は不気味だった。何をしても泣かない、怒らない、感情というものが欠如していた。

 それが腹立たしくて何度も暴力を振ったのだ。何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も……それでも戒は泣かなかった。

 それどころか戒は自分を屑を見るような目で見つめて何も言わなかったのだ。

 それなのに自分の嫁は戒を庇う。こんなにも不気味なのに、だから殴った。俺は悪くないんだ。気が付いたら嫁を刺していた。もう終わりだ。

 だから戒を殺して死ぬつもりだった。なのに……なんだこれは? 何だこの化け物は、酷く恐ろしい。殺さなければ……こんな化け物が世に出る前に。

 

「死ね! 死んでくれ!」

 

 男は包丁を戒の体に刺したはずだった――――そう刺したはずだ。

 キンッと鉄の折れる音が聞こえる。戒に生えている刃に阻まれ折れてしまった。さっきの一撃を攻撃と認識したのか……戒は男に近づく。

 戒の体からは黒い液体が流れ始める。それが地に滴る度に地面が溶ける。

 男は何もできないと察し、子供の様にて悲鳴を上げる。

 

「来るな来るな来るな来るな!」

 

 男は刃のない包丁を振り回して玄関に逃げだす。この場から逃げ出したい。これは悪い夢だ。朝起きたら酒を飲もう。男は玄関に辿り着く。鍵を開け外に出ようとしたら。女の声が聞こえた。

 

「何処へ行くの?私の戒を傷つけたのは貴方でしょう?生かして返すわけないじゃない」

 

「え?何で?」

 

男の腹を処刑の刃が貫く。肉を抉り、内臓を潰す、血が噴き出す噴水の様にそれは刃を紅く染め。刃からドクンッと音が響き血が飲まれていく。戒の後ろに白い髪の少女が見える。少女は不快そうに言い放つ。

 

 

「やっぱり屑の血は不味いわね、母の方も飲みましょうかしら?」

 

「化……物」

 

「貴方に言われたくないわね。でもね、止めぐらいは刺してあげるわ」

 

 少女は戒を使い、男の首を刎ねた。首からは血が噴き出しその全ては刃に吸収される。男から白いものが出て戒はそれを掴み齧り付いた。小女はやはり不快そうな顔で言う。

 

「やっぱ不味いわ、行きましょう戒」

 

 少女に戒にそう言いって。居間に戒を連れていく。戒の体からは腐敗毒が流れ地面を腐らせる。家は溶けながらも嫌な臭い漂わせる。母の目の前に着き、戒は刃を振るい。魂を貪った。それで戒は疲れたの倒れてしまった。

 肌は戻り、体から生える刃も無くなる。

 そして夜が明ける。

 

 

 

 僕は見知ら部屋のベッドの上で目を覚ます。

 白い部屋だ。

 近くには物だけがあり、誰もいない。

 

「此処は?それより僕は何で生きているんだ?」

 

 僕はなぜ生きているんだ? そんな疑問が僕の中で生まれる。

 僕はあの屑に殺されたはずだ。傷がない? 何故だ? 包丁で刺されたら、傷ぐらいあるはずだろう。

 何故なんだ?

 一先ずベッドから降りて部屋から出てみる。部屋の外には二人の大人が居た。

 

「起きたのか!?」

「自分が誰か分かるか!?」

 

 二人の大人は 僕に駆けより慌てては話しかけてきた。何故この大人たちは慌てているのだろう?一先ず自分の疑問を解決しよう。

 

「えっと、此処は何処ですか?」

 

「此処は海鳴警察署だ。それより自分の名前を言ってみてくれ!」

 

「藤井戒、四歳」

 

 僕は自分の名前を答える。警察は記録通りだと言ってことの顛末を話してくれた。

 親が二人とも首が刎ねられていた事を、家が腐っていた事を。そして自分だけ服のしたの傷以外なにもなかったのだと。

 僕が容疑者から外れたのは、母が日記を付けていたかららしい。

 この日から暫く経った。自分を引き取ってくれる施設を見つけるまでここに泊めてくれるそうだ。

 

 僕はやることがないので母が買ってくれた本を公園で読んでいた。昨日からブランコに一人の少女が居た。僕は気にしないで、隣のブランコで本を読む。夕陽が出てきて、帰ろうとすると少女が話しかけてきた。

 

「えっと何読んでるの?」

「これかい小説だよ」

 

 自分でも、何故この少女に、この本の事を教えたか分からない、いつも邪魔してくる子供の様に無視すればいいのに、少女は興味深々と言った様子で聞いてきた。

 

 

「面白いの?」

 

「うんそうだね」

 

「読ませてよ」

 

「読めるのかい?難しいよ」

 

少女はそれを聞いて悩んだが得意げに言った。

 

「大丈夫なの、お母さんに漢字?って奴も習ったの」

 

「なら読むかい」

 

「なの!」

 

 少女は本を受け取る。数秒後、少女の頭から煙が出たように見えた。少女僕に聞いてきた。

 

 

「なのーこれなんて読むの?」

 

「鈴蘭だよ」

 

「鈴蘭?ありがとうなの」

 

この後僕は少女に漢字教えながら。夕陽が沈むまで話していた。

 

 

「もう帰らなきゃ、怒られちゃうの」

 

「なら僕も帰るね」

 

「私は高町なのは、また明日も遊べるかな?」

 

「いいよ僕は藤井戒、いつも此処で本を読んでいるから」

 

 

 僕はそのまま警察署に帰る。今日あった事を警察に話すと、それは友達っていうんだよと。教えてくれた。

 

「友達か、明日も会えるかな?」

 

 

 




基本一週間ペースです。


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第二話

 僕はなのはと出会ってから毎日、公園に行きなのはと遊んでいる。

 余り本を読む時間はないが……なのはと居る時は世界が少し色が付く。

 何でだろうか? そんなことを考えていると、なのはに呼ばれた。

 

「戒君、鬼ごっこしよう」

 

「いいよ、僕が鬼やるね」

 

 鬼ごっこをやるらしい。

 なのはは、あまり運動が得意ではないから、いつも僕が鬼をやっている。今日も日が暮れるまで遊ぶ。今日もなのはは日が暮れると家に帰る。

 それを見送ってから、僕は警察署に帰る。明日はなのはと何をしよう? 楽しみだな。警察署に帰る。ここも腐っては見えない。色はないが、心が落ち着く。

 

「戒君ごはん出来たわよ」

 

「ありがとうございます。今行きますね」

 

 警察の人は優しい、こんな屑な僕にでも優しくしてくれる。

 この警察署には住み込みで働いている人がいる。文香という名前だ。十九歳と若い。

 今日も文香と一緒にご飯を食べてなのはの話をする。文香さんはそれを楽しそうに聞いてくれる。明日は何を話そう? 

 部屋に戻り、ベッドに潜る。

 その日は……夢を見た。

 夕日が見える砂浜で白髪の少女が歌っている。

 綺麗な歌声だ。初めて綺麗と感じた歌に、僕は心が引かれて無意識に近づいてしまう。

 

「血、血、血、血が欲しい

 

ギロチンに注ごう飲み物をギロチンの渇きを癒すために

 

欲しいのは血、血、血」

 

 それは恐ろしい歌だった。ギロチン、フランスの処刑器具。正義の柱とも呼ばれている。それを表す歌……それだけではなかった。少女の手には杯が握られていた。

 それを持ち歌っている。僕はここから離れるために動くと砂浜に足音が響く。

 それで少女は僕に気が付いたらしい。

 

「やっと来てくれたのね戒、私はレティシア。よろしくお願いね」

 

「君は一体誰なんだ?」

 

 僕は素直な疑問を口にした。レティシアは少しむっとした。

 

「戒、レティシアって言ってるでしょ。私は貴方とずっと一緒に居たわよ、それも生まれた時からね」

 

 僕は確信している。

 それだけではないと、この少女は危険だと……だから僕は、少し質問を変えてみた。

 

「君は何なんだ?」

 

「やっぱり分かるのね戒、私はギロチンであり黒の聖杯、正式名称だと何だったかしら?」

 

 レティシアは頭を捻り、考え込む。数秒が経ち。レティシアは、思い出したのか意気揚々と語ってきた。

 

歌姫(ディーヴァ)正義の柱(ボワ・ジュスティス)闇の黒聖杯(ドゥンケルシュバルツケルヒ)よ」

 

 「歌姫・正義の柱と闇の黒聖杯?それは何なんだ」

 

 僕は今日聞いてばかりだな……自分でもそう思う。

 そんなこと考えているなんて、案外僕も余裕だな……。

 

「この二つはね! 私を首を刎ねた物と、私に生まれた時から宿っていた聖杯なの!」

 

 首を刎ねられた。恐ろしいはずなのに嬉しそうにそう語る。

 そんなレティシアに僕は更に恐怖する。

 そんな事はつゆしらずに、レティシアは話し続ける。

 

「この聖杯の中にはね、皆が居るの。皆も歌ってよ」

 

 ”皆“レティシアがそう言うと……聖杯から黒い泥が溢れ出す。

 それは人の形を作り出し。合唱を始める。

 

『血、血、血、血が欲しい

 

ギロチンに注ごう飲み物をギロチンの渇きを癒すために

 

欲しいのは血、血、血』

 

 ギロチンを表す歌。それの大合唱。

 レティシアも合わせるように歌う。

 それは歌劇のようだった。

 それを聞いている内に気が付いたら、僕は砂浜でギロチンに固定されていた。

 黒き泥の民衆のを見下ろす高さに居る僕は。

 歌を聞き続ける。

 

『血、血、血、血が欲しい!

 

ギロチンに注ごう飲み物をギロチンの渇きを癒すために

 

欲しいのは血、血、血!』

 

 僕は上を見上げる。そこには黒き処刑の刃があった。何千、何万、という人間の血を吸い続けた刃は、紐で固定されていて紐を切ったら僕の首を刎ねるだろう。レ

 ティシアが歌いながら台に上がってきた。そして僕に語り掛ける。

 

「戒、私は貴方の事を何でも知ってるのよ。だから私の事も知ってほしいの。だからね貴方も刎ねられましょう」

 

 レティシアは斧を手に取り紐を切った。

 ギロチンの歌が大きくなる。勢いよく落ちてくるのは処刑の刃。

 僕は死ぬのか? もっとなのはと居たかったな。

 それを思いながら僕の首は飛んでく。

 

 

 僕はそこで目が覚めた。ここは警察署だ。

 文香さんが僕を揺さぶっている。僕は首を触る。

 首は繋がっている良かった生きている……突然の行動に文香は疑問を浮かべたが、すぐに心配そう訪ねてきた。

 

「大丈夫!戒君すごく魘されていたけど」

 

「文香さん、大丈夫です。ちょっと怖い夢を見ただけです」

 

「どんなの内容だったの?もしかしてあの日の事でも夢に見たの?」

 

「違います……ギロチンに首を刎ねれる夢をみました。文香さんどっちが夢ですか?」

 

 僕はどっちが夢かまだ理解できない。これが夢で、首を刎ねれた方が現実かもしれない、そんな考えが頭を過る。

 

「深呼吸して。大丈夫こっちが現実だよ」

 

「そう……ですね、そろそろ時間です。なのはの所に行ってきますね」

 

「大丈夫? そんな調子で……無理しなくていいんだよ」

 

 文香さんは自分を気遣ってくれた。

 だけどなのはとの約束があるから行かなければ。

 文香さんにそう伝えて僕は公園に向かう。

 よかった、なのはが居た。

 体調は悪いけどそれを隠して僕はなのはと遊ぶ。

 だけどぼろを出していまいなのはに体調が悪いことを気付かれてしまった。

 

「戒君。休むの」

 

「なんでだいなのは?」

「無理してるの、だから休むの!」

 

「大丈夫だって」

 

「駄目なの!」

 

 なのはにそう言われて、僕は休むことにした。

 休む場所がないので、木にもたれかかる。

 休み始めた僕の隣になのはが座る。

 

「お休みなの、戒君」

 

 なのはの方に倒れ、そのまま意識がなくなる。

 

 

 視界が赤い、夕陽が見える。

 どうやら僕は寝てしまったらしい。

 上を見上げると、なのはの顔があった。

 なのはは、僕が起きたのを確認すると挨拶をしてくる。

 

「おはようなの戒君」

 

「おはようなのは。僕はどのぐらい寝てたんだい?」

 

「分かんないの」

 

 なのはは、笑顔でそう言った。その顔に僕は照れてしまう。

 僕はなのはの膝から頭をどけて謝る。

 

「なのはごめん疲れたよね? 明日はなのはが寝ていいよ」

「それならお願いするの」

 

 そうやり取りを交わし、今日は帰ることになった。

 なのはを見送って、僕も警察署に帰る。警察署に帰ると文香さんが申し訳なさそうに言ってきた。

 

「戒君。引き取り手が見つかったの」

 

 



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第三話

息抜きのつもりが、こんなに読まれるとは予想外なんですが。


「戒君。引き取り手が見つかったの」

 

 引き取り手が見つかった……文香さんは申し訳なさそうに言った。

 僕は今どんな顔をしているのだろう。不満そうな顔だろうか? でもこれは仕方ない元々そう決まっていた。文香さんに心配かけないように、何とか声を出す。

 

「そうですか……しょうがないですね……だってそういう約束ですし」

 

 もうなのはと会えないのかな? そんな考えが頭を駆け巡る。

 文香さんとも、もうご飯を食べれないのか。

 文香さんは朝、起きられるのかな? 自分の事よりも二人の事が思い浮かぶ。そんな僕の様子を察したのか、文香さんは慰めてくれた。

 

「大丈夫、海鳴市内だから、なのはちゃんとも遊べるわ。今は夏だからね」

 

「そうですか……でも」

 

 なのはと遊べる。その言葉を聞いて喜んだが……文香さんとも会えなくなる。文香さんは母と同じで、屑な僕にも優しくしてくるそんな人だった。

 まだ一緒に居たかった。そんな考えも察したのか。

 

「此処にいつでも来ていいよ」

 

 文香さんは笑顔でそう言った。僕はそこまで言われて何か言えるわけでもないので。素直に返事を返した。文香さんは今日は豪華な食事にするぞなどと言って。出前で寿司を頼んでくれた。

 数十分後、寿司が到着した。

 

「きたね戒君。今日は私のおごりだよ。沢山食べてね」

 

「ありがとうございます。文香さん」

 

 文香さんと一緒に寿司を食べる。やっぱり二人で食べる食事は美味しい。よく見ると大トロもあった。かなり高かっただろう。

 

「文香さんが食べてください」

 

「戒君が食べてよ、言ったでしょ、沢山食べてって。私はいいから」

 

「それなら、いただきますね」

 

 美味しかった。一回だけ母と寿司屋に行った時のようだった。今日はもう寝よう。夢を見た昨日とは違う夢だ。此処は何処だろう?見渡すと分かった。処刑場だ。民衆が居て。幾つものギロチンが並んでいる。真ん中には異質な黒いギロチンがある。その後ろには舞台があり、歌姫がいて、ギロチンの歌を歌っている、全てのギロチンに人が固定されている。処刑執行人が整列していて、各々ギロチンの横に配置された。しかし黒いギロチンに配置された処刑人はギロチンの横に行くと。喚きだした。

 

「嫌だ。なんで俺がこのギロチンなんだ!誰か誰か代わってくれ!」

 

そんな処刑人の声は無視されて速くやれという雰囲気が漂う。処刑人の男は一振りの剣を取り出す。

 

「こんな物を使うぐらいなら!」

 

男はそう叫び、自分の首に剣を突き刺した。男の死に顔は恐怖などなく死ねてよかったという顔をしていた。男の死体は片づけられたが、黒いギロチンを使う処刑人は居ない。皆このギロチンを恐れているからだ。そんな時一人の女性がうずくまった。陣痛のようだ。女性は一緒に居た。男に頼み込む。

 

「あなたお願い」

「分かったよ、誰か!妻が出産しそうだ。僕が処刑する。だから妻を助けてくれ!」

 

その言葉に歓声が上がる。このままでは処刑が終わらなかったからだ。男は処刑台に上り斧を持つ。民衆はギロチンの歌を歌いだす。

 

 

『血、血、血、血が欲しい

 

ギロチンに注ごう飲み物をギロチンの渇きを癒すために

 

欲しいのは血、血、血』

 

 

歌が終わり斧を振り下ろす。紐が斬られ処刑の刃が罪人の首を刎ねる。そのタイミングで妻の出産が終わったようだ。赤子の泣き声が辺りに響く。場面が変わる。妻と夫は家に帰り、生まれた我が子を抱く。この赤ん坊は自分たちの子供だと確信する。母親に似た顔だち、父に似た目の色。しかし一つだけ違うところがあった。雪の様な白い髪が少し生えている。そして首にはギロチンで斬ったような跡の痣がある。

 

「なんだろうこの夢は?あの子供はレティシアに似ているきがする」

 

夢が加速する。赤ん坊は少女になった。腰まで伸びる。長い雪の様な髪、宝石のみたいな蒼い瞳に綺麗な歌声。少女はすぐに噂になった。物語から出てきた歌姫の様な少女。レティシアの歌を聴くために遥々遠くからやって来る人もいた。少女の為の舞台が開演されることになり。それを観る為に集まる人々。舞台が始まり少女は歌い始めた。それはギロチンの歌だった。恐ろしいはずなのに、耳に残る歌声。それを聴いた一人の客が苦しみ始める。その客を見守る他の観客。遂に苦しんでいた客が、叫び声をあげ首が飛んだ。それは次々と伝染していく。観客は逃げるが、一人、また一人と首が飛ぶ。これは阿鼻叫喚の地獄のような光景だ。それを見ても僕は何も感じなかった。殺戮は終り、レティシアの前に黒い聖杯が現れる。死体から青い物が飛び出し、それは全て聖杯に注がれる。血も同じように注がれ。この場には死体だけが残った。そんな中でもレティシアは歌っている。

 

「血、血、血、血が欲しい

 

ギロチンに注ごう飲み物をギロチンの渇きを癒すために

 

欲しいのは血、血、血」

 

レティシアはその後、死の歌姫として処刑されることになった。しかしレティシアに触った人や歌を聴いた人の首は飛び。聖杯に魂と血は注がれる。最終的にレティシアは鎖に繋がれ。黒きギロチンで処刑されることになった。死の歌姫の最後を見る為に其処には色々な人々が集まった。処刑される直前にレティシアは嬉しそうに。

 

「私の居場所は、此処だったのね」

 

レティシアの首が刎ねられる。僕はその言葉に不思議と涙を流す。レティシアの体からは黒き聖杯が現れ、聖杯からは泥が溢れ出した。泥は人々を飲み込み。魂を奪っていく。僕もそれに飲まれ、夢から覚める。

 

 

いつもの部屋だ。首を触る。昨日は気付かなかったが、首にレティシアと同じ痣があった。鏡を見ると涙が流れていた。今日は文香さんは出かけたらしい。なのはの所に行こう。

 

 

 




一日に三話投稿は疲れた。基本一週間ペースって言いましたが、毎日か二日ペースにしますね


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第四話

本日四本目!なのは視点の一話と二話


どうも皆、高町なのは四歳です。皆って誰だろ?まあいっか。私には友達が出来たの。それは藤井戒君。戒君は凄いの。難しい本ばかり読んで、私に文字を教えてくれるの。今日は私と戒君の出会いを話すの。あれはね、夏休みになって、暇だったから公園に行ったの。だけどあまり人は居なくて、でも男の子が本を読んでいたの。話しかけようとしたけど、本を読んでいて、話しかけずらかったの、だからブランコで遊んでのその日は帰ったの。家にかえるとお母さんが迎えてくれたの。

 

「なのは友達は出来たの?」

「まだなの、でも気になる子を見つけたの」

 

私はその子の事をお母さんに話したの。ベンチで本を読んでたことを。でも話せなかったことは残念だったことを。そうするとお母さんは教えてくれた。

 

「それならね、なのは。話しかけて、本を一緒に読みたいって、言ってみるのよ」

「分かったのお母さん。試してみるね」

 

明日はそれを試してみよう。でも読めるかな?お母さんが簡単な漢字って奴を教えてくれた。明日の事を楽しみにして。今日は寝たの。朝起きて皆とご飯食べて、公園に向かうの。男の子は居なかったけど。少し待てば来る気がするから、ブランコで遊ぶ。気が付いたら男の子が隣に居たの。何時から居たんだろう?男の子はやはり難しい本を読んでいる。日が暮れて男の子が帰ろうとする。何か声を掛けないと。

 

「えっと何読んでるの?」

「これかい?小説だよ」

 

男の子は優しい声で答えてくれた。えっと次はなんて言おうか?そうだ。ずっと読んでるけど面白いかな?

 

「面白いの?」

「うんそうだよ」

 

速く答えてくれた。そんなに面白いのかな?読ませてもらおう。

 

「読ませてよ」

「難しいよ」

 

男の子は私を心配している様だ。でも大丈夫。昨日習ったんだ。

 

「大丈夫なの、昨日お母さんに漢字?って奴も習ったの」

 

男の子はそれならいいかなといった様子で、

 

「なら読むかい」

「なの!」

 

私は元気よく返事をする。なんて書いているんだろう。ひらがなは読めるけど。漢字が読めない。少し考えるが全く読めない。どうしよう笑われちゃう。でも男の子はそんな事しないと思う。素直に聞いてみよう。

 

「なのーこれなんて読むの?」

「鈴蘭だよ」

「鈴蘭?ありがとうなの」

 

男の子はその後、分からない漢字の事を、教えてくれた。夕陽が暮れるまで、話していた。そろそろ帰らなきゃ、お母さんとお父さんに怒られちゃう。

 

「もう帰らなきゃ、怒られちゃうの」

「なら僕も帰るね」

 

男の子も帰るらしい。そういえば名前を教えてなかったな。ついでに明日も遊べるか聞こう。

 

「私は高町なのは。また明日も遊べるかな?」

 

男の子も名前を言ってくれるかな?そう考えていると男の子は名前を教えてくれる。

 

「いいよ。僕は藤井戒。いつも此処で本を読んでいるから」

 

藤井戒君と言うらしい。戒君と呼ぼう。戒君は明日も来るらしい。明日が楽しみだな。家に帰る。お母さんに全部話した。お兄ちゃんも、お姉ちゃんも笑顔で聞いてくれた。

 

「なのは、それなら早く寝ないとな。明日も遊ぶんだろ」

「そうだったの。お休みなさい皆」

 

お父さんは今日も仕事なの。明日会ったら戒君の事は話すの。この日から毎日戒君と遊んでいると。ある日戒君の様子が変だったの。ふらふらしていて首にも変な痣があったの。戒君は大丈夫だというけど休ませないと。

 

「戒君。休むの」

「なんでだい、なのは?」

 

戒君は誤魔化そうとする。こうゆう時の戒君は頑固だから強めに言わなくちゃ。

 

「無理してるの。だから休むの!」

「大丈夫だって」

 

それでも戒君は休もうとしない。だからもっと強く言うの。

 

「駄目なの!」

 

戒君は渋々と言った様子で木にもたれかかる。少し経ち、戒君が私の方に倒れてきた。膝にのせてあげる。余程疲れて居たんだろう。

 

「お休みなの、戒君」

 

戒君の寝顔はいつもの様子と違い。年相応だった。なんか可愛いな頭を撫でてみる女の子みたいにさらさらしていた。羨ましいな。何だろう私も眠くなってきたな。私も寝よう。私は木にもたれかかる。目を閉じて、寝始める。

 

起きると戒君はまだ寝ていた。あんまり膝も痛くないな。戒君の顔を眺めていると戒君は起き上がった。周りを見渡してから私の方をみている。

 

「おはようなの戒君」

「おはようなのは。僕はどのぐらい寝てたんだい?」

 

戒君はそう聞いてきた。私も寝ていたので分からないから答えた。

 

「分からないの」

 

少し戒君の顔が赤い気がするの。戒君は私の膝から頭をどけてから。謝ってきた。

 

「なのはごめん、疲れたよね、明日はなのはが寝ていいよ」

 

私は十分寝たけど。戒君の膝の寝心地も気になるので、言葉に甘える事にした。

 

「それならお願いするの」

 

今日はそうして家に帰る。家に帰ると珍しくお父さんが居て私に話しかけてきた。

 

「なのは。今度子供を引き取る事にした。家族が増えるぞ」

 

家族が増えるらしいどんな子だろうか?お父さんにそれを聞くとお父さんは答えてくれた。

 

「藤井戒っていう子だ」

「戒君!?」

「知ってるのかい?なのは」

 

此処で戒君の名前を聞くとは予想外だ。お父さんにこの事を話すと。

 

「そうなのかそんな偶然もあるんだな」

「それにしても戒君は知っているのかな?」

 

戒君と家族かこれからも毎日遊べる楽しみだな

 

 

 

 




書き貯めているようにに見えますよね、だけどこれ今日全部書いているんですよ


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第五話

私は戒君が家族になるって聞いて楽しみで仕方なかった。戒君はまだ知らないかもしれないからサプライズにしよう。公園で戒君を待つ事にした。暫くして戒君がやって来る。私はブランコから降りて戒君に歩み寄る。戒君の顔は少し曇っていた。

 

 

警察署から出かけるが、やはり世界に色はない。色のない世界を本を持ち歩く。暫く歩き、公園に着いた。なのはがいつものブランコで遊んでいる。なのはは僕に気付くと笑顔で近づいてきた。僕も笑顔を返せただろうか?はのはが心配そうな顔で僕を見てくる。

 

「戒君何かあったの?」

「大丈夫だよなのは。何もない」

 

僕は何とかして誤魔化そうとする。たぶん誤魔化せたけど、なのははまだ僕の事を疑ってるようだ。

 

「それならいいけど、何かあったら言ってなの」

「分かったよ、それで今日は何をするんだい?」

 

今日は何で遊ぶんだろうか?もう遊べなくなるかもしれないから、いっぱい遊びたいな。なのはとその後、体が動かなくなるほど走り回り、なのはが読めない漢字を教え、少し英語も教えた。もう日が暮れていた。もっと居たいが、なのはにも都合がある。帰らなくと文香さんも待ってるかもしれないし、引き取りにきた人も来るかもしれない。

 

「なのはそろそろ僕は帰るね」

「分かったの戒君。また明日遊ぼうね!」

 

 

また明日か。もう来れないかもしれないのに。引き取る人は屑じゃなければいいな。また殴られるのかもしれない。前の父曰く僕は不気味らしいから。なのはには心配されないように、速く答えを返さなければ。

 

「また明日ねなのは」

「戒君ばいばい」

「なのはもまたね」

 

僕はそのまま来た道を戻り、警察署に着いた。車もある文香さんも居るな。警察署に入り挨拶をする。文香さんも返事を返してくれて。あと一時間で来るらしいからそれまで寝た方がいいと言ってくれた。僕も疲れているので寝る事にする。

 

 

 

戒君は椅子に座り寝始める。余程なのはちゃんと遊んだんだろう。そんな時、戒君から白い物が出てきて。それは人の形を作る。白い髪の少女だ。少女は私に話しかけてくる。

 

「久しぶりね文香。何年ぶりかしら?」

「忘れたわよレティシア。前に貴方を燃やした時でしょう」

 

白い髪の小女、レティシアは燃やしたと言ったのに平気な顔で思い出したようで笑顔のまま私に話しかけるる

 

「そうだったわね、あれは酷くないかしら。私は聖杯に魂を注いでいただけなのに」

「よく言うわよ、ドイツの街を一つ壊滅させておいて。あの泥を消すために、私は本気出したのよ」

 

レティシアとはドイツで出会った。軍人だったころに。私の年齢?殺すわよそれ置いておいて、レティシアはつまらなそうに、いや寧ろ感謝しているように。

 

「それで私の事、宿主ごと燃やしたからね。でも感謝しているわよ。そのお蔭戒に出会えたから」

 

レティシアはとても嬉しそうにそう言った。やっぱりレティシアは危険だ。初めて会った時は、別の少女に宿っていた。ドイツの少女に。その少女は遠くから腐敗の矢を放つ能力だった。何とか勝ったが、レティシアに邪魔されて逃げられた。次にであった時は少女が暴走して。町を腐敗の泥で包んだ時だ。私の炎で全てを焼き尽くし、何とか事なきを得たが、その泥を燃やした時に、無駄に魂を吸収してしまって、今死ね無くなっているが、かれこれ百年程になる。その後私は追放され今此処にいるが、まさか身近にレティシアを宿した子供が居た時は驚いたが。

 

「それにしても何で戒君にそんな執着してるの?」

「だって戒は優しのよ私を拒絶しないし、私の事で泣いてくれるのよ好きになるにきまってるじゃない、ま宿った時から好きだったんだけどね」

「戒君になんかやらせたら、また燃やすわよ貴方だけを」

 

そう私は百年間で炎の扱いがうまくなった。レティシアだけを燃やすこともできるだろう。でも戒君は燃やせないあの子には何の罪も無いからだ。父に虐待されたり、レティシアを宿した被害者だ。私は子供を助ける為に軍人になった。だから戒君を助けたい。そのためには戒君には親が要る。警察になる前にやってた傭兵で知り合った高町士郎に助けを求めたら。預かってくれるらしい。

 

 

「もうすぐ高町士郎が来るから戻ってくれない?」

「いいわよ、でもその士郎ってのはどんな奴なの?」

「いい人よ」

「ならいいんだけど」

 

レティシアは戒君の中に戻る。数分が経ち、戒君が起きる。目をこすりながら私に挨拶してくる。

 

「おはようございます文香さん」

「おはよう戒君、良く寝れた?」

 

戒君は時計をみてから、私に聞いていた

 

「はい。でもどのぐらい寝ていましたか?」

「十分程度よ」

「そうですかそろそろ来るんですか?」

「たぶんそろそろね」

 

 

僕は目を覚ました。十分ほど寝ていたらしい。そろそろ僕を引き取る人が来るらしい。どんな人なんだろうか?怖いけど優しい人だったらいいな。数分が経って車が前に止まる。優しそうな男の人と女の人だ警察署の中に入ってきて文香さんと会話をしている。それが終わったのか僕の方を向いてきて。

 

「初めまして、僕は高町士郎、こっちは高町桃子ほら挨拶して」

「よろしくね、戒君」

 

 

優しそうな二人だ士郎さんと桃子さんというらしい。この二人が僕を引き取るのかな?僕は挨拶をする。

 

「よろしお願いします。士郎さん、桃子さん」

「よろしくね戒君。早速だけど君の事を引き取るんだ。言い方を変えるなら、僕達と家族になってくれないか?」

 

この二人は優しいだろう要らない心配だったな。でも屑な僕が、こんないい人たちと一緒に居ていいのだろうか、二人は返事を待っている。聞いてみよう。

 

「良いんですか?」

「何がだい?」

「屑の血を流す、屑な僕が貴方達なんかと家族になっても」

 

二人はそれを聞いて二人は笑い出した。そして士郎さんは笑顔で僕に言った。

 

「君のどこが屑何だい?なのはから聞いているよ。君は優しいよ、なのはに文字を教えてくれたり、遊んでくれるだろう。なのはは君の事をとても嬉しそうに話してくれたんだよ」

「なのはを知ってるんですか!?」

「知ってるよ僕はなのはの父親だからね」

 

なんと。二人はなのはの親だったらしい。ならなおさら屑な僕が一緒に居てはいけないだろう。なのはの幸せを奪ってしまう。

 

「ならもっと駄目です。なのはの幸せを僕は奪いたくない」

「大丈夫なのはも君が家族になるときいて凄くよろこんでいたからね」

 

僕なんかが幸せになれるのだろうか?なっていいのだろうか?二人もこう言っている僕は

 

「よろしくお願いします高町さん」

「高町さんってお父さんでいいんだよ」

「お父さん?」

 

こんな言われてのは初めてだ。何だろう涙が出てきてしまう。あれ可笑しいな?泣いた事なんてないのに。止まらないや。士郎さん達はいきなり泣いた僕をみてオロオロしている。僕は今まで溜めこんだものを吐き出してしまう。

 

「お父さんって言いたかった。殴られたくなかった。一緒に遊びたかった。お母さんとお父さんが仲良くしてて、ほしかった。でも僕が壊した。僕は気味が悪いから!そのせいで二人は壊れてしまった。僕は屑だ、生まれたくなかった!僕は幸せが怖い」

 

そう言って僕は泣き続ける。桃子さんが僕を抱きしめ、そして。

 

「大丈夫よ。生きてていいのよ。生まれてちゃダメな子供なんていないの。貴方は幸せになっていいだから今は泣きなさい」

 

そんな優しい言葉を駆けてくれた。僕は一層泣き出してしまい。それは数十分間続いた。自分でも今まで溜めたものを全ては話すっきりした。泣き止み桃子さん達にに謝る。

 

「ごめんなさい桃子さん、士郎さん。泣いてしまって」

「いいんだよ僕も本音を聞けて良かったから」

「私もよこれから家族になるんだもの、家族はそういう事一緒に解決していくものよ」

 

二人はそう言って、手を出してくれる。世界が色づく。今まで感じていたものが、変わっていく気がする。僕は二人の手を取り。精一杯の笑顔で言った

 

「これからよろしくお願いします。お父さん、お母さん」

「よろしくね戒君」

「帰ろうか当たらしい家に」

「はい」

 

僕は元気よく返事をして、車に乗り込んだ。

 

 



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第六話

本日二度目!


車はに乗り士郎さん達の家に向かう。車から見る海の景色は綺麗だいつも見ていたはずなのに、いつもと違って見える。車は見慣れない家に着いた。此処がそうなのだろう?

 

「着いたわよ」

「着いたよ」

 

士郎さんと、桃子さんは、そう言って車から降ろしてくれる。思ったより大きいなダイニングがあり、其処に机も並んでいる。何かお店でもやっているのかな?近くに道場もある。そう考えているうちに家の中に入る。暗いな、電気は何処だろう。そう電気を探そうとすると。

 

パッァーン!パッァーン!パッァーン!

 

音が響き電気がつく。いきなり明るくなり、目が慣れないが周りを見ると、なのはと中学生ぐらいの男女が居る。その手にはクッラカーの残骸がある。僕が驚いていると、士郎さんはなのは達の前に行き言った。

 

「ようこそ!高町家に」

 

続けてなのはが近づいてきて抱き着いてくる。

 

「ようこそなの、戒君!」

「なのは。いきなりびっくりしたよ」

「えへへー、成功なの」

 

なのはは笑いながら、いたずらが成功した時の子供の様に、僕に抱き着いたまま、ピースサインをしてくる。それが嬉しくて僕も笑ってしまう。そんな時後ろから殺気を感じた。

 

「何時まで人の妹と抱き合ってるんだ?」

「恭ちゃん、いまは落ち着いて」

「美由紀、あの子がなのはに抱きついているのが悪い」

「なのはから、抱きついたの見たでしょう」

 

男の人は恭也というらしく、女の人は美由紀といらしい。恭也さんはなぜか不機嫌の様だ。美由紀さんはそれをなだめている。なのはから離れ士郎さんに聞く。

 

「これは何ですか?」

「君の歓迎会だ。今日は君が家族になった記念日だ。桃子が沢山料理を作ってくれた。存分に食べてくれ」

 

こんな事されたのは初めてだ。嬉しくてまた涙が出てくる。そしたら、なのはが心配そうに僕を見てくる。恭也さん達も同様に。

 

「恭ちゃん、戒君泣いちゃったよ。どうしよう?」

「嫌だったのか?」

「如何したの戒君?何で泣いているの?」

「ごめんなのは。とても嬉しくて」

 

本当に今日は嬉しいことばかりで、僕は幸せだ。本当に僕なんかがいいのだろうか……、いや今は下向きにならずにいよう。いろんなサラダやケーキや肉がある。かなり高かっただろう。

 

「さあ皆、食べよう」

「そうだわ食べましょう」

 

士郎さん達が席に着き、僕は、なのはの隣に案内される。士郎さんが仕切る。箸を持って、宣言する。

 

「いただきます」

『いただきます!」

 

食事を開始する。暖かい、文香さんと食べる食事とは違う感じがする。美味しい。食べていると恭也さんが聞いてきた。

 

「それで戒、なのはの事はどう思っている」

 

なのはの事?そういえば僕はなのはの事どう思っているんだろう?世界に始めて色をくれた人で、初めての友達。一緒に居て楽しい子。そして、とても純粋な女の子。

 

「なのはの事ですか?僕の初めての友達で、とても大切な子」

「なの!?」

 

そう僕は言った。なのはが変な声を上げ、顔が赤くなっている。どうしてだろうか?熱でもあるのかな。僕はなのはに近づいてなのは額を合わせる。熱はないようだが、更に顔が赤くなっている。大丈夫かな?

 

「大丈夫?なのは、顔が赤いけど」

「戒君のせいだよー」

 

僕のせい?何でだろう。そんな時、恭也さんが咳払いをしてから僕に言った。

 

「戒、離れてやれ。このままじゃ終われない」

「分かりました。分からないけどごめんねなのは」

「少し落ち着いたの。戒君、さっきのは私以外にやったらダメなの」

「分かったよ」

 

よく風邪をひいた時にお母さんがやってくれたんだが、何故だろう?まあいい食事も終わり。寝る時間になった今日はまだ部屋が片づけ終わって無いらしいから、なのはの部屋で寝ることになった。ベッドに二人で入り寝ようとすると、なのはが話しかけてきた。

 

「戒君、今日から本当によろしくなの」

「僕こそよろしくね、なのは」

 

そう言って僕たちは寝始めた。この日から夏が終わるまで毎日のようになのはと遊んだ。何かを士郎さん達に返したくて道場で習うことにした。小太刀二刀御神流と言うらしい。筋が良いらしく、すぐに技の練習に入った。なのはと遊んだあとは道場で木刀を振る。僕の筋力は普通の子供よりあるらしく。木刀も簡単に持つことが出来た。

朝起きて、木刀を振り、なのはと遊んで、稽古をする。これが僕の日常となっていた。こんな日常がずっと続けばいいのに。時間が止まってもいい。この過ぎる時が終わらなければいいのに。

 

「時よ止まれか、僕は何言ってるんだろう?」

「如何したの戒君?遊びに行こう」

 

なのはに聞かれてた。速く公園に行こう。今日は何して遊ぼうか。

 

 

家に帰って木刀を振っていると、恭也さん道場にやって来た。木刀と小さい木刀を持っている。そして僕に頼んでくる。

 

「戒、今のお前の実力を見たい」

「いいですよ恭也さん」

「兄でいいと言ってるだろう」

 

すこし前から恭也は僕にそう言ってくれた。でも僕には恭也さんの方がしっくりくる。少し違和感があるのだ。

 

「ごめんなさい、まだ慣れなくて」

「徐々に鳴らしていけ」

「はい」

 

僕は木刀を構え、恭也さんも木刀を構える。全く隙がない。でも撃ち込まなと始まらない。息を吐き宣言する。

 

「ふー、行きます」

「来い、戒」

 

僕は恭也さんに向かって床を蹴り、迫る。恭也さんはそれを、横に少しずれ避ける。簡単に避けられてしまった。次は如何しよう?僕は木刀を横に構え一閃を噛ます。恭也さんは予想していた力より強かったようで少しよろめく。その隙を逃すまいと、僕は高速の突きを放つ。恭也さんはそれを持っていた小さい木刀で折った。

 

「このぐらいでいいだろう。戒、少し疲れただろう」

「はい、惜しかったんですけど」

「確かにな。前よりはよかったぞ」

 

 

その言葉は恭也さんに認めれた気がして、とても嬉しかった。恭也さんと一緒に家に帰る。もう食事が用意されていて、みんなで食べた。やっぱりみんなで食べるのはいいな。部屋に戻り今日の事日記に書き今日は寝た。

 

 

 




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第七話

今日も道場で素振りをする。朝四時からずっと振っていて、もう三時間になる。もう体力が限界だ。家の方から声が聞こえる

 

「戒君。ごはん出来たわよ」

「今行きますね、桃子さん」

 

道着を着替え、家に戻る。なのは達は既に席に座っていて、トーストが人数分用意されている。いい感じに焦げ目が付いている。士郎さんはもう仕事に行っている。食事の挨拶をして、トーストを食べ始める。バターを塗り、齧りつくとサクサクと音がして、とてもおいしい。食事が終わり翠屋の手伝いので椅子を並べる。今は夏休みだから人が沢山来る。あと一時間で開店だ。テーブルと椅子を並べ終わったら、桃子さんがケーキを焼いている。その間に使われたボールや料理器具を洗う。あと十分で開店だ。看板を出しテーブルの上に紙と食器を置く。既に外には客が並んでいる。外に出て入り口にある、CLOSEの看板をひっくり返してOPENの文字が書いてある方を表にする。翠屋の開店だ。客が入ってきて各々席に座り始めた。エプロンを羽織り注文を受ける。今日はいつもより客が多いな。

 

「戒君いつも偉いね」

「ありがとうございます」

 

よく来てくれる女の人が、褒めてくれた。嬉しいな僕は高町家の役に立っていると実感できる。十二時ごろまで手伝いをして休憩する。士郎さん達が僕の母が買ってくれた本や、今までは母が溜めていた本を、高町家に移して、いろんな本を読める様になっていた。その後僕が、翠屋で読める様にすればいいと提案したら、その案は採用された。休憩が終わり、手伝いに戻る。一時頃まで翠屋の手伝いをして、桃子さんが、もう終わっていいよと言ったから、なのはを呼びに行く。

 

「なのは、手伝いが終わったから、行こう」

「良いよ戒君」

 

なのはと公園に着き、どっちが高くブランコをこげるか勝負する事になった。僕はわざと負け、なのはのブランコをゆっくりと押す。日が暮れて帰ろうとすると、なのはが叫び声を上げた。

 

「戒君逃げて!」

 

ゴンッ!と音が響き僕の意識が落ちる。なのはが僕に駆け寄ろうとする。そんななのはを見知らに男がなのはに近づいてきた。僕はなのはに危険を伝えようとしたが。

 

(なのは逃げて!)

 

声が出ない、もう限界で頭が痛い、そうして僕の意識は落ちた。

 

 

戒君と帰ろうとすると、知らない男の人が、鉄の棒を持って戒君にかづいてきた。私は嫌な予感がして、戒君に声を掛ける。

 

「戒君逃げて!」

 

それはもう遅く、戒君の頭が殴られる。戒君が倒れ私は戒君に駆け寄ろうとする。戒君が私に何かを言おうとする。しかし戒君の声は出ず、何を言っている分からなかった。戒君の下に走り。起こそうとしようとしたら後ろから誰かに捕まった。

 

「誰なの、離して!」

「思ったより楽な仕事だったな」

「だな。子供二人捕まえるだけだからな」

「まあお嬢さん、今は寝とけや」

 

男の人がそう言って。何かを取り出し私に嗅がせてくる。私の意識は、そこでなくなった。

 

 

男達は戒達を車に乗せどこかに向かう。静寂が場を包み、この場所に残ったのは、戒が持っていた本だけだった。残されたブランコがまだ揺れている。

 

 

 

桃子たちは、不安で仕方なかった。いつも二人が帰って来る時間の筈なのに、もう二時間も遅れている。恭也と美由紀も心配で探しに行っていた。更に三十分ご恭也達が帰ってきた。戒がいつも持っている本を持って。

 

「恭也、なのは達は!?」

「母さん、居なかった。公園に本だけが落ちていた」

「美由紀どう!?」

「お母さん居なかった」

 

桃子達が焦っていると、ドアが開き、士郎が駆け込んでくる。桃子達を見ると急いで確認を取る。

 

「桃子、皆は無事か!」

「貴方!戒君となのはが!」

 

桃子は今にでも泣き出しそうな様子で言った。士郎は舌打ちし、携帯を取り出し、何処かに電話をする。

 

「おい!なのは達は無事だろうな!」

 

電話からは声が聞こえる。余裕そうな声だ。その声はとても愉快そうだ。

 

「高町士郎、これで信じたいか?お前の子供は預かった。さっき言った場所の通りだ。速く来ないと、二人を殺すぞ」

「今から行く、待っていろ!」

「あなた何があったの!?」

 

桃子は士郎に慌てて、聞いてくる。士郎はそれに刀と小太刀を用意しながら言った。

 

「なのは達が攫われた。助けに行く!恭也も来てくれ」

「父さん二人足りるのか?」

「無理だ。僕達だけじゃ足りない、文香さんにも助けを求めた。すぐ来るだろう」

「文香さんは強いのか?」

 

恭也の文香に対する印象は、何故警察をやっているのか分からない程、弱そうな女性。それに尽きた。無理もない文香自身自分の実力を隠しているからだ。余程の達人でなければ気付かないほどに。士郎は準備し終えると。

 

「大丈夫だ。文香さんは強い」

「ほんとなのか?」

「僕が保証する」

 

呼び鈴が鳴る。文香だ。士郎達は外に出て、文香と合流する。文香は軍服を着ていて、長く赤い紅蓮の様な髪を後ろに結っている。恭也は文香の発する闘気に、反射的に構えてしまう。

 

「今すぐ行くわよ。戒君達を助けに」

「分かっている。速く行こう」

 

三人は車に乗り込み、戒達が捕まっている場所に向かう。

 

 

 

僕は目を覚ます。此処は何処だろうか?見慣れない場所だ。周りには腕が一本ない男と、その部下と思われる男たちが居た。男は僕を見ると話しかけてきた。

 

「やっと目が覚めたか坊主」

「此処は何処だ!」

「そう慌てるな坊主此処は俺の屋敷だよ」

 

男はそう言って部屋に明かりをつける。僕の横には、なのはが気を失い倒れていた。僕はなのはに、急いで声を掛ける。数回ほど声を掛け、なのはは起きた。

 

「戒君無事!?」

「なのはこそ無事かい!?」

「私は大丈夫だよ戒君。それより此処は?」

 

なのははこの歳なのに賢い、誘拐された事にも気付いただろう。男が僕達を見て愉快そうに笑った。

 

「お嬢さん此処は俺の屋敷だよ」

「なんで私達を攫ったの?」

「高町士郎への復讐だよ。彼奴のせいで俺は腕と全てを失った。お前たちを使い、俺は復讐をはたす!」

 

男はそう言って右腕を抑える。その顔には憎悪が浮かんでいた。男は何か思いついたようだ。

 

「余興だ。お前達この子供たちで遊んでいいぞ」

「良いんですか!?ボス」

「いいぞ。高町士郎が来るまで、暇だからな」

「ありがとうございます!」

 

男達が僕達に近づいてくる。男達はこれから出来る事を思い浮かべ、不気味な顔で笑っている。一人の男が僕に訪ねてきた。この男は男達の中で、一番背が高い。

 

「おい坊主。俺に女を殴る趣味は無い、お前が十分間、俺たちのサンドバックになるなら、何もしないでやろう。気絶したら、この話はなしだ。いいか?」

 

 

男は気怠そうに僕に提案してきた。答えなんて決まっている。僕は男に言った。

 

「そんなの決まっている!僕を好きにしろ。なのはには手を出すな!」

「あーかっこいいね。じゃ、お前達好きにしろ」

 

背の高い男はそう言って奥に行く。次の瞬間僕は腹を思いっきり蹴られる。続けざまに二発三発と。僕は嘔吐してしまった。僕を蹴った男は不快そうな顔で言った。

 

「汚いな、謝れや!」

 

一層強く僕の腹を蹴る。痛い。とても痛い。なのはが大声で僕の名を呼ぶ。

 

「戒君!」

「心配……しないで……なのは僕は……大丈夫だから」

「余裕そうじゃねえか!」

 

男は僕の言葉を聞いて、不機嫌になったらしく、さらに強く僕を蹴り上げる。他の男達も参加してきた。男達に蹴られ、殴られなど血を吐いた。そのたびに更に攻撃の威力は増す。こんなに暴力を振るわれたのは、お父さん以来だな。でもよかった標的が僕で、こんな痛いの僕だけが受ければいい。だからなのは泣かないでくれ。

 

「戒君!戒君!」

 

なのはが縄から出ようと踠く、それが一人の男の癇に障ったのか。なのはに殴掛かる。僕は限界の体で何とか声を出す。

 

「おい……約束が……違うぞ……なのはには……手を……出すな!」

「おお怖い怖い、まあでも約束だしな。お前で発散さえてもらうぜ」

 

男はそう言って、僕の腕を本来曲がらない方向に、勢いよく曲げる。痛い、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、腕が折られる。悲鳴なんて上げれなかった。意識が落ちそうになる。駄目だ気絶したらなのはが!

そう考えていると、一人の男がなのはに言った。

 

「俺、前から幼女を犯してみたかったんだ。いいかな?」

「戒君助けて!」

「いいなぁ、この悲鳴」

 

なのはが汚されてしまう。そんなの認めない。力が欲しい。この状況を打破出来る力が!そんな時だった。レティシアの声が聞こえる。

 

(戒もっと渇望しなさい。もっと強く願って!)

 

僕が毒を受ければいい、なのはは大切だ。なのはに降りかかる全ての悪意は僕が受け止める!だから力をくれレティシア!

 

(ならこれを飲みなさい、聖杯の泥を)

 

僕の前に聖杯が現れる。僕はそれに溜まっている。泥を飲み干した。瞬間、僕の中に、破壊衝動が溢れてくる。

壊せ、呪え、犯せ、潰せ、絶やせ、滅ぼせ、奪え、消せ、殺せ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ。頭が壊れそうだ。

それだけではなかった。次に溢れていたのは恐怖そのものだった。死にたくないとゆう泥に飲まれた人々の声だ。だが僕はそんなことを、気にしている場合ではない。力をよこせ。

 

(よく打ち勝ったわね、さすが私の戒よ、さあ歌って)

 

不思議と頭に唄が溢れてくる。僕はそれを歌いだす。

 

血の道と 血の道と 其の血の道 返し畏み給おう

 

 

禍災に悩むこの病毒を この加持にて今吹き払う呪いの神風

 

橘の 小戸の禊を始めにて 今も清むる吾が身なりけり

 

 

千早振る 神の御末の吾ならば 祈りしことの叶わぬは無し

 

 

創造

 

許許太久(ここだくの)禍穢(わざわい)速佐須良比給千座置座(めしてはやさすらいたまえちくらのおきくら)

 

 

 




遂に戒君の創造出せた。


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第八話

矛盾者さんいつも誤字報告ありがとうございます。


血の道と 血の道と 其の血の道 返し畏み給おう

 

 

禍災に悩むこの病毒を この加持にて今吹き払う呪いの神風

 

橘の 小戸の禊を始めにて 今も清むる吾が身なりけり

 

 

千早振る 神の御末の吾ならば 祈りしことの叶わぬは無し

 

 

ーー創造ーー

 

許許太久(ここだくの)禍穢(わざわい)速佐須良比給千座置座(めしてはやさすらいたまえちくらのおきくら)

 

 

その唄を歌い終わると、僕の肌が黒く変色する。僕を縛っていた縄が、嫌な臭い放ち腐敗し始めた。いや、僕達を縛り付けていた、柱ごと腐り落ちる。その反動でなのはが倒れ、気絶する。こっちの方がよかったな、だってこれから起こる事は見られたくないから。なのはを腐敗毒の壁で囲む、これなら大丈夫だろう。さあ屑共を殺そうか。

 

「僕は屑だ。僕のせいで、なのはが汚されそうになった。だけど、僕以上の屑を殺すことはできる。一人残らず死に絶えろ」

 

僕は、なのはの近くにいた屑に、処刑の刃を腕から生やし、斬りかかる。屑は刃で斬られた事により。肉が斬られ、骨が砕かれそこから腐りだす。屑は絶叫を上げようとしたが、そんな暇を与えないように、首を掴んで腐敗させる。

 

「黙れよ、なのはが起きるだろう」

「かひゅ──っ?!」

 

屑は喉が腐敗され、腐り落ちたことで、喉から空気が漏れ変な声を上げる。僕はそれが不快で、屑を壁に叩きつけ、一層強く腐敗させる。腐敗は壁まで進み、壁の一部が全て腐る。その光景を見ていた片腕の男が叫びながら言った。

 

「なんだこの化け物は!お前ら殺せ!俺にこの化け物を近づかせるな!」

 

その男の言葉で、放心していた周りの男達が動き出し、最初に僕を蹴った男が、蹴り掛かる。僕はそれを避けずに受ける。男は本気で蹴ったらしくこれで勝ったと確信している様な顔だ。無意味だ。男の余裕そうな顔が変わっていき、悲痛な表情を浮かべる。そして絶叫する。

 

「あがぁぁぁ!俺の足が!」

 

男の足が腐敗するそれは全身に広がり、男は死んだ。その死体は肉がほぼ腐り落ち骨が見えている。腐敗臭を放っており、誰も此処に近づこうとしない。僕は一人ずつ確実に殺していく。大の男達が逃げまどう。だが、逃がさない。聖杯の泥が体から溢れる。なのはは腐敗毒の壁で、守られているから無事だが、それ以外は全てが泥に沈む。肉が腐り、骨すら溶けて、聖杯の泥の一部と為り、魂が僕に満ちてゆく。この場に残るのは片腕の男ただ一人となった。

 

「化け物が、ふざけるな!高町士郎を殺すだけで、復讐が果たせたのに、お前のせいで!」

「知らないな。君達が僕達を攫ったのが、いけないんだろ」

「ただの子供だったはずだろ!」

 

うるさいな、この屑は速く殺そう。刃を振り下ろし屑を殺す。終わった。なのはを連れて帰らないと……っ、やばい意識が保てない。このままじゃ暴走する。せめてなのはを安全な場所に、しかしそれは遅く、其処で僕の意識は闇に飲まれる。

 

 

士郎達は急いでいた。速く二人を助けに行かないといけない。車を走らせ、男が言っていた屋敷に向かう。屋敷に着き車から飛び出す。屋敷には扉があり、それは鉄で出来ている。刀で斬ろうとしたが、切れる硬さではなかった。其処で文香が、一振りの歪な刀を取り出した。それは炎を纏っていて、鉄の扉を熔解させる。屋敷の敷地に入る。何か様子がおかしい、人が居なく酷い腐敗臭が漂っている。文香はそこで慌ただしい様子で。

 

「まさか、戒君が」

「文香さん、戒君がどうしたんだ!?」

「高町士郎、恭也君、危険よ。準備して」

 

焦った様子でそう云う文香の言葉に、二人は武器を構える。緊迫した空気が漂い屋敷に入る。屋敷の所々が腐敗しており、酷い匂いだ。一番腐敗が酷い部屋が見え中に入ると、腕から黒い刃を生やした肌が黒い戒がなのはの前にいた。周りには腐敗した死体が転がっている。一目でこの状況を作ったのは、戒だと分かる。文香は希望を持って戒に話かける。

 

「戒君!意識はある!?」

 

返事はない。文香達に気付いた戒は、そのまま文香に斬りかかる。文香はそれを紙一重で躱す。文香はそのまま悪態を付き、言った。

 

「やっぱり駄目みたいね。恭也君、高町士郎、戒君を止めて」

「分かった」

「了解した。文香さん」

 

士郎達は持ってきた武器で応戦する。戒は本能のみで二人の剣を捌く。二人の実力を、数回の攻防で察したのか口を開く。此処で説明するが、戒にはもう二つ渇望がある。自分では自覚していないが、その渇望は、美しきこの刹那の中で僕が毒を被ればいいと、時間が止まればいい。この二つだ。この二つの内のもう一つの創造が発現した。その力は時の加速と停滞。戒は歌う。その詠唱を、

 

日は古より変わらず星と競い

 

 

定められた道を雷鳴のごとく疾走する

 

 

そして速く 何より速く

 

 

永劫の円環を駆け抜けよう

 

 

光となって破壊しろ

 

 

その一撃で腐敗させろ

 

 

そは誰も知らず  届かぬ  至高の創造

 

 

我が渇望こそが原初の荘厳

 

 

創造

 

美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)

 

 

その唄が終わると戒の体が加速する。さっきまでは反応出来たはずなのに、戒が自分達でもぎりぎり反応できる速度になった。士郎は御神流の奥義の歩法、神速を使い、なんとか戒と渡り合う。その間に文香は、なのはを助けようとしたが、戒が真っ先にそれに反応して、士郎を放置しなのはの方に走る。それに文香は何とか反応して防御する。しかし腕が斬られそこから腐敗を始める。文香はその腐敗した自分の腕を焼くことで事なきを得る。

 

「このままじゃ埒が明かないわね。私も使うしかないか」

 

文香はそう言って歪な刀を横に構える。そして詠唱を始める。

 

かれその神避りたまひし伊耶那美は

 

 

出雲の国と伯伎の国 その堺なる比婆の山に葬めまつりき

 

 

ここに伊耶那岐

 

 

御佩せる十拳剣を抜きて

 

 

その子迦具土の頚を斬りたまひき

 

 

創造

 

 

爾天神之命(ここにあまつかみのみこと)以布斗麻邇爾ト(もちてふとまににうらへて)相而詔之(のりたまひつらく)

 

文香の体が炎になるこの技の渇望は、かつての願いを燃やし続けたい。能力は思いを薪として、体を炎にする。その炎は思いの丈によって変わる。今の文香の思いは戒を助ける。これは今までの思いの中でも上位だ。最高峰に今の文香の炎は燃えている。

 

「行くわよ、戒君!」

「な……の……は」

 

戒はそう叫びながらも、文香に突撃する。刃で首を刎ねようとするが、攻撃は当たらない。炎を斬れないからだ。何回やっても攻撃は当たらない。戒は諦め士郎の方に行こうとするが、文香が言った。

 

「今は私に集中しなさい」

 

そう言って文香は戒の腹に一閃を入れる。腹を斬られ血が溢れ出す。血を流しすぎたのか、戒は気絶しその場に倒れる。文香は戒に駆け寄り起きないことを確認すると、士郎達に言った。

 

「終わったわよ」

「よかった。だけど戒君は大丈夫なのか!?」

「心配ないわ、あの程度ならもう治っているわよ」

 

そう言われ、士郎は戒の方を見る。戒の腹の傷は、もう完全に塞がっていた。それに一先ず士郎は安心する。恭也は文香に質問があった。戒と文香の事だ。

 

「文香さん。戒と貴方の力は何なんだ?」

「明日教えるわよ。今日はもう、戒君たちを家に帰しましょう」

「そうだな、帰るぞ恭也」

「分かった。父さん」

 

三人は戒となのはを車に乗せ家に帰った。

 

 



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第九話

本日三度目!そいて説明回


三人は戒となのはを連れて、高町家に戻る。玄関には桃子が待っており、士郎の車を見ると駆け寄ってきた。そして泣きそうな顔で士郎に二人の無事を確認する。

 

「あなた!二人は無事!?」

「大丈夫だよ、二人は生きてる」

「よかった。二人は無事なのね」

 

その桃子の一言には、色々と込められていた。余程二人の事を心配してたんだろう。溜まっていたものが無くなり、寝始めてしまった。士郎は桃子を抑え、寝室に連れて行った。暫く経ち、リビングには、士郎、恭也、文香、気を失っている戒の四人が居る。文香が戒の事説明するらしい。それには戒も必要だからと、起きるのを待っていた。なのはは既に自分の部屋で寝かせてる。急に戒が起き上がり声を上げる。

 

「なのはは無事か!?」

 

 

 

なのはを助けなきゃ。邪魔するものは、殺さなきゃ。破壊して、引き裂いて、踏みつけて、腐らせて。そう思考すると、周りが明るくなった。此処は何処だろう。なのはは!?

 

「なのはは無事か!?」

 

僕は周りを見渡すと、周りには士郎さん達が居た。それによく見為れたリビング。高町家だ。士郎さんになのはのことを聞く。

 

「士郎さんなのはは?」

「無事だ。戒君がなのはを守ってくれたから」

 

その言葉で僕は救われた。そうか僕はなのはを守れたのか、良かったな。ところで何故、文香さんが居るんだろう?聞いてみよう。

 

「文香さん、何でここに居るんですか?」

「戒君、今から説明するわ」

 

文香さんはそう僕に言った。何かあるのだろうか?僕がそれを待っていると、恭也さんが僕に話かける。

 

「戒、何か覚えているか?」

 

なにか思い出した。僕は人を殺したんだ。吐き気がこみ上げてくる。気持ちを悪い。肉を裂く感覚や、骨を断ち切る感覚が、今も残っている。腐敗させ、魂を全て喰らった。聖杯に泥が溜まっているのが分かる。僕は気持ち悪くなり、吐いてしまった。それで士郎さん達は、心配そうにしている。そんな中文香さんが言った。

 

「大丈夫よ戒君。私もそれを経験したから。殺したのよね、あそこに居た全ての人間を」

「僕はなのはを守るためだからって、人を殺した。でも何も感じない、それが気持ち悪い、やっぱり僕は何処まで行っても、屑だ。生きてはいけない」

 

そうだ僕は人を殺したはずなのに、何も感じなかった。感じた事と言えば人を殺した時、気持ち悪いと思うだけで、それ以外は何も感じない。やっぱり僕は腐っている。そんな下向きな考えをしていると。

 

「戒君。あの人たちは、遅かれ早かれ私達が殺していたから」

 

文香さんはそう慰めてくれる。だけど納得いかない。人を殺して平気な屑な僕が生きているのは駄目だから。そして何故僕にこんな力があるんだろう?

 

「文香さん、速く説明してくれ戒の力は何なのかを……」

「分かったわよ恭也君。まず、戒君に宿っているものは聖遺物というものよ」

「聖遺物?キリストのとかか?」

「違うわ恭也君。聖遺物とは聖人の遺物の事だけ。私が言うのは、人々から膨大な想念を浴び意志と力を得た器物。分かりやすく言うと日本では付喪神に近いわね。その想念は種別を問わなくて、信仰心や怨念、恐怖心等といった形のないものでも、力を得れば聖遺物と呼べる物になりえるの。此処までいいかしら?」

 

そんなこと言われても、僕には理解できない。文香さんは続ける。

 

「通常、聖遺物を得るには聖遺物を取り込むか、自分で作るしかない。例えば何千人か殺した爆弾や武器とかは、聖遺物になりやすいわね。それか歴史に残り、畏怖された物とか、日本だと人魚の死体とか、神社に祭られている神具とかね」

 

それなら僕にはなんで宿ったのだろうか?僕は取り込んだ事もないし。ましてや作るなんてできない。それを文香さんに聞くと、答えてくれる。

 

「稀にだけど、例外はもちろんあるわ。その一族が代々祭ってきたものとかは、その一族しか使えないし。でも戒君のは違うの、聖遺物の中で一番異質な物。闇の黒聖杯は、不定期に現れる。何処かの時代の全く関係ない人に、そして宿主が死ぬとまた別の誰かに移る」

 

文香さんはそう言ったが僕に宿っているものはもう一つあった。それを伝えなければ。

 

「文香さん。僕にはもう一つあります。歌姫・正義の柱っていうのが」

「なんですって!?そんな聖遺物聞いたことないわよ!」

「文香、貴方話が長いのよ。ここからは私が説明するわね」

 

士郎さんと恭也さんは急に現れたレティシアを見て構える。レティシアの声が聞こえる。何時の間にか僕の隣に座っていた。士郎さんと恭也さんは、急に現れたレティシアを見て構える。レティシアは僕の方を見て、笑いかける。

 

「こんばんは戒。外で会うのは初めてね。士郎達も初めまして。いつも戒をありがとうね」

 

レティシアは礼儀良く二人に挨拶をした。それに二人は警戒を解く、そのままレティシアは説明を始めた。

 

「何処から言えばいいかしら?そうだわ。まず文香、一つ勘違いしているわよ。私の事を聖杯だと思っている様だけど、私はギロチンよ。黒聖杯は元々私に宿っていた物」

「どういう事かしら?」

 

文香さんはそう少し怒気を放ちながら、レティシアに言った。レティシアは文香に分かりやすく説明する。

 

「黒聖杯はね、元々魂を貯蔵し願いを叶えるもの。それを私が歪ませた。普通の聖遺物の使徒は短命でしょ。でも黒聖杯は違う、溜めた魂でほぼ不死になれる。少し違うわね。黒聖杯を宿すと十八歳ぐらいで成長が止まるのよ。そして、貯蔵した魂の本来生きれる筈だった時を消費する。それがこれの原理」

「なら何で私は百年以上生きているの?」

「それはただあなたが聖杯の泥を飲んだけよ」

 

此処まで言いていた恭也さんが口を開く。頭の中で一先ず整理がついたが、一つ分からない事があるらしい。

 

「聞くが、聖遺物の使徒とは何だ?」

「聖遺物を取り込んだ人間。基本的に短命で、渇望によっていろんな能力を使えるの。後は殺した人間の魂を取り込み、より強く為る。殺し方で言えば、精神を壊すか、ロケットランチャーぐらいの火力を叩き込めばいい。まあ基本的に普通の人間じゃ殺せないわね。稀にいる魔導士ってのなら勝てると思うけど。使徒は魔力に少し弱いから、まあ基本的は使徒同氏が殺し合う方が多いわね。まあ戒は違うけど」

「戒は使徒じゃないのか?」

「使徒よ。それもとびっきり強力な。戒は私のお蔭でほぼ不死だし。それに戒ぐらいになると戦車ぐらいの火力は必要だと思うわ」

 

レティシアはそう言った。恭也さんは整理すると言ってまた考え始めた。その話を聞いていた文香さんは、戒の渇望を問いただす。

 

「レティシア戒君の渇望は何なの?」

「戒の渇望?とても綺麗よ」

 

レティシアは嬉しそうに、僕の渇望を言った。

 

「本当に綺麗な願いよ。それに二つもあるの。大切な人に降りかかる全ての悪意は僕が受け止めると、美しき刹那の中で僕が毒を被ればいい。この二つ。とても綺麗な自己犠牲の渇望でしょう」

「その形があれなの?」

「そう、素敵でしょう」

 

文香さんは驚きながらもそう言った。レティシアは綺麗な笑顔でそう言った。レティシアはそのまま、

 

「戒はね、本当に素敵なの。私を受け入れてくれた。私を完璧に使ってくれる。それだけじゃなくて、今まで宿ってきた、どんな人間よりも強く綺麗な渇望。本当に戒に巡り合えてよかったわ」

「受け入れた?どういう事なのレティシア?」

「簡単よ。戒はね聖杯泥をすべて受け入れたの。それは私の事を受け入れたと同じでしょう」

 

レティシアは当たり前のように言った。僕でも分かる。レティシアは歪んでいる。だけど不思議と怖い気はしない。レティシアの記憶を見たからだろう。文香さんは炎を出し、レティシアを威嚇する。

 

「レティシア。あなたはやっぱり今此処で燃やした方がいいわね」

「やめた方がいいわよ。私は今、同調率が戒と完全に一致しているから、私を殺すと戒も死ぬわよ」

 

文香は舌打ちをして炎を消す。僕はどうしていいかわからずに放心していた。そんな僕に文香さんは優しく微笑み、声を掛けてくれた。

 

「今日はもう寝なさい。疲れたでしょう」

「そうですね文香さん。さすがに疲れました」

 

僕はその言葉に甘え寝る事にした。

 

 

 

戒が部屋に戻り、この場所には士郎達が残った。ずっと黙っていた士郎が口を開く。その表情は強張っている。

 

「レティシアさん。君は僕達家族に危害を加えるのか?」

「ありえないわね。貴方達のお蔭で戒は今此処に居て、綺麗な渇望を見せてくれた。そんな恩人を殺すわけないじゃない」

「それならいいんだ」

 

士郎はその言葉で安心したようで表情が柔らかくなり、いつもの優しそうな顔でレティシアに提案する。

 

「戒君と居るなら君も家族だ。今日から此処に住まないか?」

「良いわね。それはいいわね!よろしくお願いするわ!戒と一緒だー。やったー!」

 

レティシアは性格が変わったような感じで、子供の様に燥いでいる。それに文香は目を丸くする。こんなレティシア見たことないからだ。

 

「何なのこのレティシア?私知らないんだけど」

 

そんな声も聞こえず、レティシアは楽しそうに戒との未来を想像している。

 

「戒とブランコ乗ったりして遊びたいなー。一緒に歌うのもいいかしら?夢が膨らむわ!」

 

 

レティシアは暴走している。余程戒と何かやりたかったらしい。その光景見ている文香は馬鹿らしくなったらしく、笑っている。士郎と恭也は微笑ましい顔を浮かべ、レティシアを見ている。

 

「は!今なら戒と一緒に寝れるのでは?……早速実行しましょう」

 

レティシアはそう思いつき戒の部屋に向かう。

 

 

 

 




レティシアのキャラ崩壊


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無印編
第十話


日常回。シリアスは多分今回無い筈。そうだレティシアの見た目はヴェンデッタ似です。


僕は目が覚める。何か手にさらさらとした感触が ……。あれ?おかしいな。誰の髪だろうか?僕が混乱していると、隣から声がする。

 

「戒、起きたの?遅かったわね」

「おはようレティシア。聞きたいんだけど」

「何かしら?」

「何で僕の部屋にいるんだい?」

 

僕は一人で寝たはずだ。レティシアは笑顔で答える。

 

「戒のいる場所が私の居場所よ」

 

うん、それはいいんだ。だけど気になることがある。何でレティシアは服を着ていないんだ?

 

「ねえレティシアさん」

「なあに戒?」

「何で服を着ていないんだい?」

「それはね、暑いからよ」

 

そっかー。暑いのなら仕方ないなー。なわけないよ!何で?暑くても普通服は着るよね!?僕がおかしいの?そう僕が心な中で慌てていると、レティシアが笑顔で僕の肩に手を置いて。

 

「大丈夫よ戒。私の見た目は今、四歳ぐらいなの。何にも問題は無いわ」

「問題あるよ!」

 

僕がそう叫ぶと、隣の部屋からなのは声がする。どうやら僕の声で起きたようだ

 

「戒君さっきからうるさいの。何かあったの?」

「大丈夫だよなのは。って速く服を着てよレティシア!」

 

レティシアは仁王立ちしてどや顔で得意げに言った。

 

「ふふ、大丈夫よ戒。服はいつものしか持っていないから」

「なら着てよ!」

「めんどくさいわ」

 

レティシアは誇らしげに言った。僕はもう限界だ。誰か助けてくれ。でも最後に言わせて欲しい。

 

「誇らしそうに言わないでよ!レティシア!」

「戒君さっきからどうした……の?」

 

なのはが僕の部屋にやって来る。そしてこの部屋の中を見渡し、レティシアに気付く。そして顔を真っ赤にして僕に近づいて。拳を振りかぶり、一言。

 

「戒君の馬鹿ー!」

「なんで僕!?」

 

その僕の一言は届かずに、僕はなのはに殴られてしまう。痛かった。四歳児の力じゃないよ絶対に。僕はその反動でレティシアの方に倒れてしまう。

 

「戒、貴方から来てくれるのは嬉しいわね」

 

今言うのもなんだが、僕の精神は聖杯の泥のせいで成長してる。だからと言ってもなんだが、こういうのは恥ずかしい。急いでレティシアから離れるがそれは遅く。なのはにまた殴られる。

 

「なのは何で!?」

「戒君が悪いの!」

「僕悪くないよね!」

 

たぶん誰がみてもこの状況は、絶対に僕は悪くないって言ってくれると思う。そのままなのはは僕に聞いてくる。なのはの後ろには修羅が見える気がした。今のなのはは怖い。

 

「戒君、その子は誰なの!?」

「レティシアです」

「何でここにいるの!」

「知りません……。本当に知りません」

 

なのはが怖いよ、誰か助けて。それにレティシアは気付いたのか、なのはに近づいて笑いかける。

 

「初めましてなのはさん。私はレティシアよろしくね」

 

その挨拶は、お手本と言っていいほどの綺麗な挨拶だ、だが台無しだ。だって服着ていないから。全裸だから。なのはは、挨拶を返さなきゃといった考えになり、レティシアに返事を返す。

 

「初めましてなの。私は高町なのはよろしく、って違うの。何で服を着ていないの!?」

 

なのはは返事を返したが、すぐにレティシアが服を着ていないことを思い出したようだ。

 

「それはね、暑いからよ」

「それはおかしいの!私の部屋に来て。服貸すの」

「そう。ならお願いするわ」

 

あはは、こんな簡単なことだったんだ。なのはありがとう。レティシアはそのまま、なのはと一緒に部屋に行った。疲れた。本当に疲れた。そういえば昨日寝ていると聖杯の泥の中の人と話した気がした。なんだったっけ、確か…。

 

「ねえ戒君。私の娘を頼むわ」

「僕の娘を頼むよ」

 

こんな事を言われた気がする。あの二人はレティシアの親だったのだろうか?いや多分そうだろう。女の人の方はレティシアに似ていたし、男の人の方はレティシアに目が似ていた。そう言われなくても僕は、レティシアの事も守るんだ。レティシアは良くも悪くも純粋だ。花にたとえるなら、白い薔薇だろうか?そんなことを考えているのは、ある種の現実逃避だろうか?僕の目の前には、なのはがさっきまで着ていた服を着たレティシアが居た。

 

「戒?どうかしら?」

「似合っているんじゃないか?」

「もう、ちゃんと言ってよ」

「うん似合っているよ」

 

後ろでなのはが僕を威嚇している。レティシアに服を取られたらしい。さっきまでとは違う服を着ている。でもレティシアにそう言わないと嫌な予感がするからそう言ったが、なのはの機嫌を悪くしてしまったらしい。なにか話さないと。

 

「なのは、その服似合っているね」

「うるさいの」

 

効果なかったらしい。どうしようか?そんな時だった。部屋に足音が近づいてくる。足音の主は部屋の扉を開ける、桃子さんだ。桃子さんは僕達を見ると少し怒った様子で言ってきた。

 

「三人ともご飯冷めるわよ、さっきから呼んでいるのに」

「ごめんなさい桃子さん」

「ごめんなの、お母さん。でもこの子は誰なの?」

 

なのははずっと気になっていたことを聞いた。桃子さんは優しくなのはに教える。

 

「このこはレティシア・ヴェンデッタちゃん。今日からこの子も家族よ」

「そうだったの?でも何で戒君と寝てたの?」

「それは、戒が居る場所が私の居場所だからよ」

 

 

レティシアは先程と同じセリフをなのはに言った。なのははそれにさらに不機嫌そうになる。僕がオロオロしていると、桃子さんがなのはの頬を引っ張り。

 

「それならなのは。今日は戒君と寝ればいいじゃない」

「それもそうなの。ありがとうなの、お母さん」

 

なのははそれだけで機嫌が直ったらしい。何がそんなに嬉しいのだろうか?僕には分からない。そんなこんなあって、僕達はリビングに行き食事を取った。食事中に美由紀さんがレティシアを人形みたいってびっくりしていた。その他に、レティシアとなのはに挟まれて、気まずくなったりしたが。これが僕の日常、それにレティシアも加わった。僕はこれを守りたい、そのためには何でもしよう。確か士郎さんの仕事は戦闘関連だ。それを手伝わせて貰おう、それが手っ取り早い。僕は強くなりたい。全てを守りたいなんて言わない。ただ僕は大切なものだけを守りたい、そんな考えをする僕はやっぱり屑なのかな?

 

 

 




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第十一話

本当に、いつも有難うございます矛盾者さん!


とある廃工場から一人の男が逃げていた。その男の腕は腐敗しきって骨と化している。男の顔は恐怖に歪み、罵声を吐いている。それは恐怖からくるのか、それともこんな状況に対しての怒りかも知れない。

 

「ふざけるな!あんな化け物聞いていないぞ!」

 

男はそう言って、何があったのかを思い出す。男は元々ある依頼を受けた傭兵団の一員だった。今回の依頼は、月村すずかという少女を攫うだけで一億円、そんな依頼だった。簡単だ、そう皆が思った。だが依頼主は傭兵団の全員でやるようにと、団長に頼み込んでいた。男以外の何人かの団員は余裕だなと笑ったり、こんな楽な仕事で一億とか笑えるな、などと言った奴もいた。でも男は嫌な予感がした。この依頼は絶対おかしいと、だから休もうとしたが、団長が俺を宥めた。

 

「大丈夫だ。これが終わったら、みんなで旅行に行こうか」

 

いつも迷惑かけている団長に、そこまで言われては断れない。渋々行く事にした。それが間違いだった。作戦を練りあとは実行するだけ。そんな時だった。拠点にしていた廃工場の扉が開いた。見張りの仲間か?そう思ったが全く違う。少年と大人が入ってきた。団長が紳士的な態度で追い払おうとした。

 

「こんなところに何の用ですか?ここは何もない廃工場ですよ。私達は取り壊すための下見に来ているものです。見張りが居た筈ですが、どうして入ってきたのですか?」

 

団長のその言葉に大人の男の方が、少年に言った。

 

「戒君ビンゴだ。殲滅するぞ」

「了解です。士郎さん」

 

二人は何を言っているのだろうか?そう男が考えると団長の体が二つにずれ、血を噴き出し絶命した。大人の男の手には刀が握られていた。団員はあまりの事に混乱する。それだけではなかった。子供の方から泥が溢れ、団長を飲み込んだ。もう理解できない、何が起こっているんだ。一人の団員が我に返り銃を乱射する。殺した。そう傭兵団は確信した……。そう、殺した筈だった。銃弾は全て子供の方に吸い込まれ、全てが腐り落ちた。理解できない。弾いた。躱した。この二つなら少しは理解できただろう。だが腐る。銃弾が腐敗して地面に落ちるなんて、理解できるわけがない。そのまま少年は口を開く。

 

創造

 

美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)

 

 

 

外国語だ。意味が分からない。次の瞬間、少年に変化が起こる。服に隠れていない腕や足が黒く変色する。体から黒い刃が生えている。その姿は完全に、化け物だった。傭兵団はみんな恐怖し銃を乱射する。しかし化け物に当たると全てが腐り落ちる。その腐りボロボロになった銃弾は地面に落ち、そこからも腐敗が広がる。攻撃が無意味だと悟った団員は一人また一人と逃げ出した。そこで少年が喋り出す。

 

「逃がさないよ」

 

少年からまた泥が溢れ出す。それは人の形を形成していき、その手には様々な武器を持っている。そして少年が腕を振り上げ人型達に指示を出す。

 

「行ってくれ皆。虐殺しろ」

 

逃げまどう団員を殺す人型。殺された団員は泥に戻った人型に吸収される。悲鳴を上げ逃げる団員。銃を持ち抵抗する団員。呪詛を吐く団員。此処は阿鼻叫喚の地獄だ。虐殺は終わり静寂が包む。

男は生き残っていた。仲間の死体を被り、虐殺をやり過ごした。だが腐敗している死体に触れたことにより、腕が腐敗したが、それでも生きようと逃げ出す。それが男の記憶だ。車が見える。乗ってきた車だ。よかった、これで逃げ切れる。男がそう思った時に激痛が走る。バランスを崩し前に倒れる。おかしい、立てない。それどころか、足の感覚が無い。体を見てみると下半身が地面に立っていた。自分の体は今ここにあるのに。そこで漸く自分の体が両断されたことが理解できた。何で生きている?そんなことを考えていると、少年の声が聞こえる。酷く淡々とした声だ。

 

「士郎さん、終わりました。この人が最後です」

「よくやった戒君。家に帰ろうか」

 

そう大人が言うと子供の機嫌がよくなったか笑顔で言う。

 

「明日は学校ですからね。早く寝ないと」

 

男はまだ生き居ていた。このままでは死ねない。何故ここがばれたのかぐらいは聞かなければ死ぬに死ねない。

 

「なんで……場所が……分かった?」

「まだ生きてたのか、簡単だよ。君たちの依頼主が吐いてくれた」

 

男は憤怒に染まる騙されたのかと。しかし少年は答えてくれる。

 

「貴方達は騙されていません。ノエルさんの情報収集能力が高すぎるのが理由です。依頼主はもう殺しましたし」

「何で……お前……みたいな……化け物が」

 

男はこの不条理を嘆かずには居られなかった。仲間が塵の様に殺された。それもあんな簡単に、これが終わればみんなで旅行だったはずなのに。こんな化け物のせいで!少年の顔から表情が消える。

 

「何でって、すずかは僕の友達で日常の一部だ。それを守るのは当然だ。それを壊そうとするお前達は僕の敵だ」

「この……化け物が!」

「好きに云ってくれて構わない。僕は屑だ。どうしようもなく、腐っている。だからなのは達が綺麗に生きていく為に僕が汚れを被ればいい。もう聞いてないか」

 

男はすでに絶命していた。もう動かないだろう。戒と士郎は、ここまで来るのに使った車に乗り込み、依頼人が居る月村家に向かった。

 

◇◇◇

 

 

僕と士郎さんは月村家に依頼を達成したことを伝えに行く。思えば僕が高町家に来たのは四年前くらいか?いまは小学三年生だし。その後は色々あったな。高町家での一年過ごして初めての誕生日で、恭也さん恋人の忍さんとその妹のすずかが攫われて、助けたり。それから士郎さんと仕事するようになったり。小学校に入った。まあ沢山あった。僕は強くなっているだろうか?これなら、なのは達も守れるのかな?車が月村家に着いた。ノエルさんに迎えられて。屋敷に入る。士郎さんは忍さんと話があるらしい。僕はノエルさんと部屋で士郎さんを待つ。ノエルさんが近い、なにか用だろうか?

 

「ノエルさん近いです」

「すいません戒さん。いつもの見せてください」

 

いつものとは聖遺物の事だ。なぜか一度見せた時から気に入ったようで、度々見せる様になっていた。

 

「なんで見たいんですか?」

「かっこいいからです」

 

仕方ない。こうなったら離れないから見せるしかないか。

 

形成

 

歌姫・正義の柱

 

 

僕の腕から処刑の刃が生えてくる。ノエルさんは刃を触り感心している。

 

「気分が高揚します」

「あはは、良かったですね」

「はい、満足しました」

 

ノエルさんは満足したようで僕から離れる。僕は刃をしまう。部屋で士郎さんを待っていると部屋の扉が開き、士郎さんがやって来る。

 

「戒君、話が終わった。帰ろうか」

「はい士郎さん、帰りましょう」

 

僕達は高町に車で帰った。僕は途中で疲れて寝てしまったらしい。いつの間にか家に着いた居た。もう十一時だ。寝なきゃな、明日から三年生になるから。

 




次回から原作に入ります。感想、評価、お気に入り登録お願いします。


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第十二話

すみません原作開始は多分次の話です。


鳥の声が聞こえ、朝の陽ざしが部屋に射し、僕は目覚まし時計の音で目を覚まし背伸びをする。目の前に見えるのは陶器のように白い肌、雪みたいな白色の髪。綺麗だな。そんなことを考え、僕はベッドから出る。さてと服を着替えようか。服を着替える。それにしてもいい朝だ。今日は問題なく外で始業式が行われるだろう。さて現実逃避はここまでにしようか。僕はベッドから布団を剥がす。そこに居たのはレティシアだ。レティシアは当然のように服を着ていない。僕はレティシアを揺すり起こそうとする。

 

「レティシア!何でいつも僕のベッドで寝てるの!?とゆうかいつ入って来るの!?僕、昨日確認したよ!」

「戒うるさいわよ」

「君のせいだよ!」

 

レティシアは目を擦りながら起き上がる。まだ眠いようだ。長い髪が今だベッドに垂れており、その姿は人形のように見え、そこだけが別の世界みたいだ。おっと、そんな解説をしている暇などない。そろそろなのはが目を覚ます。それまでにレティシアに服を着せないといけない。それには、なのはの部屋を通らなければならない。なのはが目を覚ますのは1時間以上ある。それまでに僕がレティシアの部屋まで移動し服を取りにいかないと。何て簡単なんだ。この時は、いつも6時に設定してある過去の自分に感謝した。勝った。そう確信し、部屋から出ようとすると、

 

「戒君?」

 

なのはの声がする……。あれ、おかしいな?あと時間は1時間以上あるはずなのに。ギギギ、そんな擬音が付くほどに、僕はゆっくりと首を動かすと、後ろには悪戯が成功した様な顔で、僕を見て笑っているレティシアが居た。まさか……、僕は改めて目覚ましと携帯の時間を確認する。時間が明らかにずれている。携帯の時計を見ると時間は七時だ。もう一度確認してみる。やっぱり七時だ。目覚まし時計は六時なのに。

 

「……レティシアさん?」

「なあに戒?」

「何故、時計がずれているのでしょうか?」

「それはね、私がずらしたからよ」

 

犯人はやはりレティシアらしい。

 

「レティシアさん……。なんでそんな事したのかな?」

「それはね、戒と長い時間寝たかったからよ」

 

レティシアはそう笑顔で言った。何だそんな理由か、仕方ない。僕は心の中で降参し、なのはの方を向き笑顔を浮かべる。なのはもそれを返してくれる。なのはのはとても笑顔だ。それが逆に怖い。さわやかな朝の光の中、明るい声が響く。

 

「戒君、説明してなの」

「言い訳していい?」

 

僕は言い逃れる為に言葉を探す。空気が重くなった気がする。気のせいだと信じたい。

 

「戒君、私が優しく言っているうちに説明して」

 

何かないか藤井戒、頭を使え、思考しろ。此処から逃げるんだ。何とか出た言葉は、

 

「なのは、始業式」

「説明して」

 

僕は無力だ。レティシアに助けを求めるが、既にレティシアは居なくドアが閉められていた。もう駄目だ運命を受け入れよう。

 

「えっとなのはさん」

「何、戒君?」

「許して……ください」

「にゃはは、ごめんね」

 

なのはが拳を振り上げる。終わった。この先の未来を僕は予想する。防御なんて間に合わない。なのはの拳はなにか光の様なものを纏っていた。なのはさん、その光は何でしょうか?そんな考えは遅くなのはの拳が腹に入る。とても痛い。かなり硬いはずの僕の体に何故痛みが……。こんなの絶対おかしいよ。僕は痛む体でなんとか立ち上がり、言葉を漏らす。

 

「なのは……その拳は……僕以外に……使わないでく……れ」

 

僕はそう言って腹を抑える。本当に痛い。僕は何か悪かっただろうか。誰か教えてくれ。なのはが時計をみる。時間がやばい事に気付いたらしい。

 

「戒君、始業式まであと三十分しかないの!」

「それさっき僕が言ったよね」

「急ぐの!」

 

なのはは僕の手を引きリビングに向かった。リビングに着くと、既に士郎さん達は食事を済ませていた。僕達の分は何処だろう?テーブルを見ると僕達の席にトーストが置いてある。席に座り食べようとすると、レティシアが呟いた。

 

「あら戒、遅かったわね」

「君が原因だよ!レティシア」

「悪かったわよ。でもね、早く食べないと遅刻するわよ」

 

そう言えばそうだ。早く食べないと!僕は急いでトーストを食べ始める。なのはは既に食べ終わっていた。はやくない?もうランドセルを背負っており靴を履いている。レティシアは黒い服に黒いランドセル、やはりレティシアは黒が似合う。僕はトーストを食べ終えランドセルを背負い、なのは達と玄関を出る。

 

「士郎さん、桃子さん、行ってきます」

「士郎、桃子、行ってくるわ」

「お父さん、お母さん、行ってくるの」

 

僕達は各々挨拶をして、学校に向かい走る。僕は本気で走ろうとしたが、なのは達を置いて行くのはまずいし、後が怖いからやめておく。桜が咲く道を走り学校に辿りつく。なのは達は息が切れており、息が荒い。速く走りすぎたか?

 

「戒、速いわよ」

「二人が急げっていったんじゃないか」

「限度って物があるわよ。なのはが完全に疲れているわよ」

 

僕はそう言われなのはの方を向くと、しゃがんでいる。

 

「ごめん、なのは。急ぎすぎた」

 

なのはは疲れているようで完全に肩で息をしている。速く走りすぎた。

 

「大丈夫なの……戒……君」

「なのは、大丈夫なの?」

 

僕がなのはに水筒に入っている水を飲ませる。だいぶ楽になったのか、なのははいつもの元気な様子で笑い掛けてくる。

 

「ありがとうなの、戒君」

「いいよ、僕が悪いから」

 

そんな会話をして校門から入る。校庭に入ると先生から紙を受け取り新しいクラスを確認する。またなのはとレティシアと同じクラスだ。もう少しよく見てみるとアリサとすずかも同じクラスのようだ。そんなことを確認していると、後ろから声が掛けられる。

 

「戒、ちょっと戒!」

「戒君おはよう」

 

アリサとすずかだ。すずかはいつもの様子だがアリサは不機嫌そうだ。どうしたのだろう?

 

「戒、遅いわよ。いつも一番早く来る優等生がどうしたのかしら?」

「アリサ、なんでそんなに不機嫌なんだい?」

「別に普通よ!」

 

絶対不機嫌だよね!僕は心の中で叫んだ。誰が見ても今のアリサは不機嫌だろう。僕にはどうすることもできない。そんな僕の後ろで、なのはとすずかが話している。二人はとても楽しそうだ。そんなことより助けてくれ。

 

「すずかちゃん。なんでアリサちゃんは不機嫌なの?」

「アリサちゃんは戒君となのはちゃんを朝一番早く来て待ってたからね。遅かったから機嫌悪いんだよ」

「そうなの?でもこれは戒君が悪いの」

「戒君が何かしたの?」

 

すずかはその話が気になってなのはに聞いた。なのはは思い出し、少し怒りながらすずかに説明した。すずかはそれを聞いて苦笑している。なのは、すずか、レティシアでもいい!助けてくれ!レティシアが僕の意図に気付いてくれて、アリサに近づく。

 

「アリサ、戒を怒らないでくれないかしら?」

「何よレティシア、貴方には関係ないでしょ」

「関係あるわよ。戒が遅れた理由も私と一緒に寝てた事が悪いんだし」

 

レティシアは火に油を注いだ。レティシアそれは駄目だよ、だってアリサの顔がどんどん真っ赤になってるもん。あ、腕を振り上げた。朝と同じか。ふっ、もう駄目だ。拳が目の前に迫る。僕は懇願する。

 

「優しくしてくれ」

「戒の馬鹿ー!」

 

少し僕より背の低いアリサは拳の場所は丁度腹の位置だ。ゴンッ!そんな音が響き僕は後ろに倒れてしまう。アリサはそっぽを向いてさらに不機嫌になった。この後は何事も無く始業式が行われた。

 

 



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第十三話

今日も僕は目覚ましの音で目を覚ます。相変わらず僕のベッドにはレティシアが寝ている。流石に毎朝、潜り込まれたら慣れるよ。僕はいつものようにレティシアを寝かせたまま、朝の支度をする。今日は僕が食事当番だからね。僕は野菜を刻み盛り付け、サラダを作る。士郎さん用にコーヒーも入れておく。コーヒーの入れ方は桃子さんに習ったので完璧に出来たはずだ。良い香りがする。今は6時40分。もうすぐみんなが起きてくる。次のものを作らないと。後はベーコンを縦に裂き、それをフライパンに並べて真ん中に黄身を落とす。二分半程焼いて、半熟ベーコンエッグの完成だ。それを7人分用意してから席に座り皆を待つ。一番先に起きてきたのは、なのはだ。いつもより早いな、何かあったのだろうか?それはともかく、おはようって言わないと。

 

「おはようなのは。今日は早いね」

「おはようなの戒君」

 

 

私は高町なのは。私立聖祥大附属小学校の平凡な小学三年生8歳なの。お父さんがいて、お母さんとお兄ちゃん、お姉ちゃん、それに居候の戒君とレティシアちゃんが居るの。普通の家族よりちょっと多い7人家族だけど、私はそれ以外は何処にでもいる女の子。今日も携帯電話のアラームで目を覚ましたの。でも今朝は変な夢を見たの。暗い森の中で、不気味な黒い影と戦う男の子の夢。助けようとしたんだけど、私はただ見てるだけで。男の子はやられそうになって、そしてそこで別の場所に移ったの。金髪の女の子と戦う戒君。どんどん押されていき、それを見守る私。その私は見慣れない杖を持っていて。其処で目が覚めたの。私は不思議に思いながらも、服を着替える。いい匂いが下の部屋からする。そうだ今日は戒君が食事当番だ。メニューは何だろう?楽しみだな。私は髪を横にまとめた。下に降りると、すでに戒君が座っていてテーブルには食事が並んでいる。とてもおいしそうだ。戒君が私に挨拶をしてくる。

 

「おはようなのは。今日は早いね」

「おはようなの戒君」

 

戒君の隣に座りお母さんたちを待つ。戒君と何を話そう?会話が見つからない。えっと……。えっと、そうだ昨日アリサちゃんとあった事を話そう。戒君に声を掛けようとすると、お母さんがやって来る。むー話せなっかったの。

 

「戒君ありがとね」

「どういたしまして桃子さん。僕も高町家の一員ですからね。手伝わないと」

「偉いわね、戒君」

 

そんなやり取りを戒君とお母さんが交わしている。私が先にやりたかったのに。続いてはレティシちゃんだ。レティシアちゃんはとても綺麗だ。白い肌に雪みたいな髪、態度はお嬢様の様で物語の歌姫みたいで私は羨ましい。それだけじゃない。いつも戒君と一緒に居るの。なんかそれがもやもやして嫌な気分になる気がするの。レティシアちゃんは良い子なのに、私は……。

 

「なのは食べないの?」

 

戒君の顔が目の前にある。あわわ。何で!?戒君が自分の手を私の額に当ててくる。そして私の事を心配してくれる。

 

「なのは大丈夫?さっきから食べてないけど、熱でもあるのかい?」

 

私は咄嗟なことで、椅子と一緒に倒れそうになる。が、戒君が手を伸ばしてくれる。その手を掴んだがもう遅く、戒君と一緒に倒れててしまう。戒君が近い。待って。凄い近い、恥ずかしい。顔なんてもう目の前だ。少しでも動いたらくっついちゃう。そんな時、私の中に閃光が走る。顔を動かせば、前にお母さんたちがやっていた、キスが出来るかもしれない。戒君はかっこいいし、優しいし。こないだも上級生に告白されていた。私も悪い気はしないけど戒君がどう思うか分からない。私は頭が混乱してきた。そんなことを考えていると、私の上から戒君が既に退いていた。

 

「なのは、痛くないかい?上に乗っちゃたけど」

 

戒君は私のせいで倒れちゃったのに、私の事を心配してくれた。私は何考えていたんだろう?戒君は真面目なのに。そんな私をレティシアちゃんがくすくす笑っている。今の私は笑われても仕方ない。

 

「大丈夫なの戒君。怪我はないし、手を伸ばしてくれてありがとうなの」

「それならいいけど。そろそろ学校行くよ」

「分かったの戒君」

 

私は朝ご飯を食べて、戒君とレティシアちゃんと家を出る。

 

 

 

僕はなのは達と通学路を歩く。やっぱり、なのはの様子がおかしい。朝もぼーっとしていることおも多いし。心配だな。レティシアにこの事を話してみるとレティシアは少し微笑みながら言った。

 

「戒、女の子には色々あるのよ」

「そうなのかな?」

「そうよ」

 

そうなのか、僕には分からないな。でもレティシアが言うならそうなのだろう。僕達は学校に着いた。朝の教室は騒がしい。席に座り授業に必要な物の準備をしていると、アリサが話しかけてきた。

 

「戒、今日のテストは私が勝つわよ」

 

今日の英語のテストの事らしい。アリサとはよく色々なテストで勝負を吹っ掛けられる。いつも僅差で僕が勝ち越しているんだけど。

 

「あはは。まあ僕も頑張るよ」

「いつもそう言って、今日こそ私勝つからね」

 

そのままアリサはなのは達と話に行ってしまった。なのはの事を聞くの忘れたな、聞けばよかった。その後は何事も無くテストも終わり、社会科の授業になった。その授業の最後に先生が「将来は何になりたいですか?」と言ってきた。僕は将来何になりたいのだろう?今の士郎さんの手伝いでもいいし、月村家からもオファーが来ている。それとも世界を見て僕みたいな子を助けたりもしたい。

 

授業が終わり、昼休みになった。アリサ達と昼ご飯の時に、今日に授業について話し合う。アリサ達は何になりたいんだろう?それを聞いてみるとアリサが答える。

 

「私は両親が会社経営しているからね、その後を継ぐ為に勉強するのよ」

 

アリサは既に決めている様だ。次にすずかに聞いてみると。すずかは嬉しそうに語る。

 

「私は機械が好きだから、工業系に進みたいと思ってるよ」

 

すずかも決めているらしい。僕はまだ決まってないな。そんな事を考えていると、アリサが聞いてくる。

 

「そう言う戒達こそどうなのよ?」

「僕かい?僕は自分みたいな境遇の子を助けたいし、忍さんからも、月村家で働かないかと言われいるし、そんなとこかな?」

 

アリサはその答えに意外そうにしている。大方僕はなにも考えていないと思っていたのだろう

 

「ちゃんと考えいるのね意外だわ。レティシアは?」

「私?私はずっと戒と居るだけよ」

 

レティシアはそんな事を当たり前の様に言った。恥ずかしいな僕の顔は赤くなっているだろう。そんな僕を見てレティシアは微笑んでいる。アリサとすずかはそれを聞いて、苦笑いをしている。

 

「戒が何になるか分からないのに?」

「私は戒が好きだから、戒と居れば幸せなの」

「そこんとこどうなの戒?」

 

話を振られる。僕はアリサにすぐに返事を返す。

 

「僕もレティシアは好きだよ。それにレティシアは僕から余り離れないからね、仕方ないよ」

「ほら戒もそう言っているしね」

「戒、私達の事はどう思っているの?」

 

そう聞かれる。僕はレティシアの事もそうだが、皆の事も友達として好きだし、なのはに至っては家族だ。嫌いなわけがない。それをそのまま伝える。

 

「僕はアリサもなのはもすずかも好きだよ、三人ともとても大切な友達だ」

 

それを聞いたアリサ達の顔が赤い。やっぱり皆熱でもあるのだろうか?アリサが顔に赤い状態で言う。

 

「そっそう、そうなのね。友達としてか、やっぱりそうよね。……私は異性としてだけど……」

 

最後の方は小さくてよく聞こえなかったな、なんて言ったのだろう?

 

「アリサ最後なんて言ったんだい」

「何でもないわよ!」

「それならいいけど」

 

なのは達は顔の赤ままうつむいている。そして学校も終わりなのは達と帰る。なのはは塾があるから途中で別れる。なのはが帰って来るまでに、シュークリームを作れるようになりたいな。

 

 

 

 

私は結局アリサちゃん達に将来の事を話せなかった。戒君もレティシアちゃんも将来の事を考えているんだ。それに戒君は私が好きって。思い出したら顔が赤くなる。そんな時ふと今朝の夢を思い出す。何か声が聞こえる。その声のする方に私が歩きついた先には小動物が倒れていた。怪我をしている助けないと。




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第十四話

今回はあのお方が登するぞ。ヒントは蜘蛛


私は小動物を担ぎ、獣医に向かって走る。転びそうになったがなんとか持ち直し獣医に着いた。獣医の人に事情を話し小動物を預け塾に行く。大丈夫かな?私は小動物の事で頭がいっぱいになり、塾の授業があまり頭に入ってこなかった。塾が終わり家に帰る。おかしいな?戒君とレティシアちゃんが居ない。もう帰っているはずなのに。戒君のシュークリーム楽しみにしていたのに、何でだろう?

 

◇◇◇

 

僕はなのはと別れレティシアと家に向かう。その途中で何か嫌な予感がした。近くに何かが居る。僕はそう確信した。レティシアもそれに気づいている様子だ。そんな時、高速で何かが近づいてきた。それは僕達の前に現れる。金髪の少女だ。少女は体から血を流している。どう見ても何かあった事は明らかだ。少女は僕達を見ると敵意を向けてくる。その敵意は常人では耐えられないだろう。僕はどうしていいかわからずにいると、少女は急にふらつき倒れてしまう、血を流しすぎているようだ。今すぐ止血しないと命に関わるだろう。僕は少女を助けるために急いで近づく。

 

「大丈夫!?」

「来な……いで」

「そんなこと言っている場合じゃないよ。早く治療しないと」

 

少女はそれでも敵意を向けてくる。少女の目は敵意よりも恐怖を含んでいる。いや、昔の僕の目に似ている。全てが腐って見えて色が無い。そんな世界しか見れない昔の僕に。この少女はなのはの出会う前の僕だ。絶対に助けないと。僕は貯蔵されている魂を使い少女を治す。闇の黒聖杯は元々魂を貯蔵し所有者の願いを叶えるもの。少女の傷を治すぐらい一人分の魂もいらないだろう。僕は黒聖杯を形成する。

 

形成

 

闇の黒聖杯(ドゥンケルシュバルツケルヒ)

 

 

聖杯が僕の前に現れ、其処から泥が溢れ出す。その泥は魂一人分だ。それを僕は飲み干した。瞬間的に、この魂の後悔や懺悔に恐怖が伝わって来る。もう慣れた。僕はこれの何百倍の魂を一度飲み干している。この程度なら全く堪えない。僕はそのまま少女を治す。僕が触ると、少女の傷が凄まじい速度で治っていく。少女はそれを驚いた様子で見ている。少女は手を開いたり傷があったところを触ったりしている。傷はもう存在しない。少女は立ち上がり僕に訪ねてくる。

 

「何で助けたの?」

「君が昔の僕に似ていたから」

「よく分からない、何で?」

 

少女は首をかしげている。まあ分からないよね。何でだろうか、なんだか笑えてきた。

 

「アハハ、何でだろう?」

「分からないの?」

「うん。僕も分からない」

「ふふ、面白いね」

 

少女もつられて笑ってしまったようだ。二人で笑っているとレティシアが咳ばらいをしてから少女に言う。

 

「ねえ貴方、何かから逃げていたんじゃないかしら?」

「そうだったジュエルシードが!貴方達は逃げて!!!!」

 

少女がそういうと、少女の後ろの茂みから何かが飛び出してくる。巨大な虫だ。それだけではない蜘蛛の下半身、人間を生やした上半身、その姿は完全にキメラだった。少女はこれから逃げていたと僕は理解する。少女は機械で出来た戦斧の様なものを取出して。キメラの方に構える。キメラが縄を出し少女に攻撃をする。少女はそれを避けながら戦斧から雷を飛ばす。暫くそんな攻防が続きキメラが口を開く。

 

「これはこれはお嬢さん。さっきから私ことシュピーネに攻撃してきて、何の用でございますかぁ?」

「貴方がジュエルシードを取り込んだのが悪いんでしょう」

「ジュエルシード?さっきの宝石の事ですか?あれはですねぇ、取り込ませていただきましたよ。あれを取り込んでから力が溢れて溢れて、今まで形成すらできなかった私でも形成が使える様になっちゃいましたよ。見せてあげましょう……新生シュピーネの形成を!」

 

形成?あれは聖遺物の使徒だ。改めて見てみると理解できる。形成はまずい。少女では相手にならないだろう。そんな事を僕が考えていると、シュピーネが高らかに宣言する。

 

「行きますよぉ!!」

 

形成(イェツラー)

 

我に勝利を与えたまえ(ジークハイル・ヴィクトーリア)

 

シュピーネの下半身から縄が溢れ出す。縄とゆうよりワイヤーだ。顕在化する。シュピーネの聖遺物はきっとワルシャワの絞殺縄。縄に関係する聖遺物はこのぐらいだろう。ワルシャワの絞殺縄、それは数限りの無い捕虜を縊り殺した処刑器具。レティシアと聖遺物になりそうな処刑器具を調べている時に知った。首を括る、ある意味レティシアと似ているだろう。僕は少女とシュピーネの間に立つ。

 

「おやあなたは誰ですか?今から私はこのお嬢さんとワルツを踊るのですが」

「危ないよ逃げて!」

 

シュピーネがそう言い。少女は僕に逃げてという。そして僕はレティシアに合図を送る。

 

「レティシア!」

「分かっているわよ」

 

形成

 

歌姫・正義の柱

 

瞬間レティシアの姿が消え、僕の腕にギロチンが落下する。右腕に墜ちたギロチンは藤井戒が最も扱いやすい形に姿を変える。剥き身の刃は黒く、赤い線が脈動し血を求めている。長大でありながら一切の無駄は無く対象を殺すことに特化している。これは藤井戒の願いを形にしたもの。日常を守るための力。今は少女を守る為にこの力を振るおう。

 

「血、血、血、血が欲しい」

 

そして響くのは血のリフレインギロチンの下で生まれた純粋で最悪の少女を表した歌。レティシアが唄うそれに続け僕も唄う。

 

「ギロチンに注ごう飲み物を」

 

最後はデュエット。二人で血のリフレインを唄う。一文を唄う度に僕の体がより強固になる。

 

『ギロチンの渇きを癒すため』

 

痛むは首に残された斬首痕、これを形成する度に首を刎ねられた痛みがよみがえる。だが今は少女を助ける、それだけだ。シュピーネが口を開く。

 

「おや貴方も使徒でしたか、これは良いですねぇ、私は貴方を殺してまた強く為れる!」

「どうかな?僕は強いよ」

 

シュピーネが鉄線を放ってくる。僕はそれを躱す。今は様子見だ。どんな能力か分からないから最初は避けていた方がいいだろう。一撃掠る。肉が抉られるが、今は無視だ。暫く避け続けある程度能力は理解できた。弱いな、活動だけで倒せたかもしれない。再び鉄線を放つ。僕はそれを全て切り裂く。瞬間シュピーネが悲鳴を上げる。

 

「—―—ひっ、ぎゃ、ぐがぁァッ」

 

聖遺物と使徒は一心同体。聖遺物が破壊されればその使い手も砕け散る。もうシュピーネは再起不能だろう。決着は着いた。僕はシュピーネに近づき首を刎ねて、そのまま泥でシュピーネを取り込んだ。取り込む時に変な違和感があった。僕は泥からその異物を取り出す。宝石だ。僕がそれを取ると、少女が僕に近づき言ってきた。

 

「その宝石を渡して」

「これは君のなのか?」

「違うけど、お母さんにそれが必要だから」

 

僕は特に必要ないので少女に上げる事にした。

 

「なら上げるよ」

「いいの?」

「僕はいらないから」

「何から何までありがとう。でも傷はいいの?」

 

傷?そういえばさっき肉が抉られたんだった。やばい……血を流しすぎている。意識を保てない。

 

「大丈夫!?」

 

そう言う少女の声を最後に僕の意識は途絶える。

 

 

 




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第十五話

今回は短め。この話は書きたかった。


朝だ。それもとても穏やかな。僕はどうしたんだろう?確か昨日少女を助けて。それで?そうだ倒れたんだった。それにしても此処は何処だろう?ベッドの上だ。夢を見ていた。またレティシアの夢だ。僕はまた泣いていただろう。あの夢は定期的に見てしまう。レティシアは祝福され生まれてきた。ギロチンの下で死の歌姫として、それは悲劇なのだろうか?僕には分からない。それがあったからこそ僕は今此処にいる。そんなことより今日は土曜だ。なのはにシュークリームに作る約束していた。あれ?この部屋見覚えがないぞ。一旦起き上がろう。何か体に柔らかい物が当たっている。

 

「……ん」

 

おかしい。なんだろう、これは、僕が寝ているベッドに金髪の少女が横たわっている。

しかも少女はとても幸せそうに、むにゃむにゃと寝息を立てていらっしゃる。

 

「これは夢だ」

 

そうか、僕は疲れているんだな。昨日は久しぶりに形成を使ったし、腹の肉も抉られた。うん、疲れているんだ。きっとそうだ。

 

「…………あれ?」

 

この少女、下着しか着けていない?あれ寝間着ぐらいは普通着るよね!?僕は飛び起きそうになったその時に、少女が目を覚ました。見つめ合うこと数秒間、大きな赤い瞳がきょとんとした様子で僕の顔を覗き込む。そして少女は口を開く。

 

「おはよう、傷は大丈夫?」

「………おはよう」

「いい天気だね」

 

うん、そうだね、今日はとてもいい天気だ。少女の幻覚……もうそんなボケをしても仕方ない。もうこれ紛れもない現実だ。

 

「……誰だい?」

「私?私はフェイトだよ」

 

フェイトっていうんだこの少女は。一先ず今の状況について聞こうか。

 

「何で僕の隣で寝てるの?」

「看病したから?」

 

そんな疑問形で言われても僕が困るんだけど。僕はフェイトに何で一緒に寝てるとか、此処は何処とか聞きたくて。

 

「変な顔」

「まあそうだね」

「ちょと寒いな」

 

抱き着かないでください。色々当たるんですよ。君なのはと同じぐらいだよね、それにしても発育良すぎない?

 

「暖かいね」

「…………」

「暖かいね、戒の体」

 

何で僕の名前を知っているんですかこの子は?

 

「何で僕の名前を知っているんでしょうか?」

「レティシアが教えてくれたよ」

 

そっかーレティシアなら仕方ないなー、てゆうか多分この状況レティシアが原因だよね!

 

「近づいて」

「駄目だって!」

「むーなんで?」

 

いや当たるんですって。だから動かないでください。そんな時声が聞こえた。

 

「うるさいなーフェイト。カップ麺でも作って食べてよ」

 

誰だ?とてつもなく嫌な予感がする。此処から逃げなければいけない。僕の第六感がそう言っている。

 

「フェイト」

「ん?」

「お願いだ。今すぐ離してくれ」

「離す?」

「そうゆっくり音を立てないようにおとなしく」

「おとなしく?」

 

フェイトは僕に言うことを繰り返し言う。

 

「そうだ。今から頼む」

「どうして?」

「いいから、このままじゃ僕の命が危ない」

「何で?」

 

こんな事している暇はない。だけどフェイトの力が強い。

 

「うまく説明できないけど、危ないだ」

「分かんない?」

「もうおしまいだ」

 

何だろうもう駄目だ。僕は死ぬかもしれない

 

「だから!うるさいなー!」

 

なんてことだ声の主が目を覚ましてしまった。

 

「――—―ふぇあ」

 

凄いなこんな奇声初めて聞いたよ。僕の奇声コレクションに新たに加わったよ。

 

「お、お、お、お、おっおい」

 

今この女性の目の映っている光景。学生服を着て硬直している僕とそれに抱きついている下着姿のフェイト、言い逃れなんてできないよね。

 

「お前誰だーーーーー!!!」

 

 

 

 

 




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第十六話

急いで書いたから、誤字がいつもより酷いかもしれない


時間は少し戻り、なのはの場面。

 

 

私は戒君達を待っていた。戒君達はどう考えても遅い。それに今日のフェレットも気になる。夕飯の時間になっても戒君達は帰ってこなかったの。心配だ。お父さんは今日帰れない。仕事が忙しいそうだ。お兄ちゃんが戒君達を探しに行ったけど、一向に帰ってこない。こうゆう時こそ友達に頼ろう。まずはアリサちゃんなの。アリサちゃんなら何とかしてくれるかもしれない。私はアリサちゃんに電話をする。

 

「アリサちゃん夜遅くにごめんなの」

「なのはこんな時間に電話してくるなんてなんかあったの?」

 

アリサちゃんは電話の向こうからも分かるほどに心配している。

 

「うんそれが戒君達がが帰ってこなくて……」

「嘘!待って、それ大変じゃない!」

「今兄ちゃんが探しに行っているんだけど」

「分かったわ、私の方でも探してみるわ」

 

次はすずかちゃんだ。その時に私に声が聞こえた。

 

”お願い……助けて!”

 

私はその声を聞いて、本能的に助けなければいけないと悟り、家を飛び出した。この声がする方は今日預けたフェレットが居る場所だ。私は夜の道を走る。暫く走り、槙原動物病院に着いた。入り口から入ろうとすると、不思議な音が聞こえる。その瞬間周囲の風景から色と音が消えてしまう。私は咄嗟の事に驚こうとしたが、直ぐに轟音を出しながら走っている夢で見た黒い影、それから逃げるフェレット。私はフェレットの方に走りフェレットを抱え上げ走り出す。私がフェレットを抱え走っていると、フェレットが話しかけてきた。

 

「来てくれたの……?」

「フェレットが喋ってる!!??」

 

今日一番の驚きだ。動物が喋るなんてこれは夢なの?そうだ夢だ。だって今日は戒君がシュークリーム作って待ってくれているはずだったし。

 

「ねえ大丈夫?」

 

夢じゃない。このフェレットは明らかに喋っている。私は頬を引っ張って確かめてみる。痛い、やっぱり夢じゃない。私はもう諦めて、フェレットに話を聞くことにした。

 

「何があったの?」

「話を聞いてくれるの?」

「今は時間がないから手短に頼むの」

「うんありがとう!」

 

そしてフェレット改めユーノ君は、ある探し物の為に此処とは違う世界から来たらしい。ユーノ君の世界には魔法っていう力があって、手伝ってくれる人を探していたらしい。その魔法を使う素質が私にはあるらしいの。ユーノ君は私の方を見て頼み込んできた。

 

「お願い、迷惑なのは分かっているけど。なのは力を貸してほしいんだ!」

 

その一言でユーノ君が、どれほど必死なのか分かってしまった。私は今の状況はわ私も危ないし。あんな不気味な影を放置してたら。何が起こるか分からない。これを何とかするには、今この場にいる私だけだ。私の方こそ頼まないと。

 

「ユーノ君私の方こそお願いするの」

「本当かい、なのは!」

 

そうユーノ君が言うと、黒い影が目の前に現れる。その反動で私は地面に尻もちをつく。

 

「なのは!」

「大丈夫なのユーノ君」

 

危機的状況の中ユーノ君が何かを投げてきた。それは真紅色の宝石だった。とても綺麗な宝石を投げて何をしたいんだろうユーノ君は。

 

「なのは今から僕が言うことを復唱して」

「よくわかんないけど分かったの」

 

ユーノ君が何かを唱えだす。私はそれを間違えないように復唱する。

 

「我、使命を受けし者なり。

 契約の下、その力を解き放て、風は空に、星は天に。

 そして、不屈の心はこの胸に。

 この手に魔法を。

 レイジングハート、セット・アップ!」

「stand by ready.

 set up.」

 

”よろしくお願いします。貴方が新しいマスターですか?”

 

もう杖が喋っても何も驚かないよ。今の詠唱にあったレイジングハートってこの子の事なのかな?

 

「えっと貴方がレイジングハートでいいのかな?」

”はいそうですマスター”

「私は何するればいいの?」

”杖の形と戦闘服を思い浮かべてください”

 

杖の形、どういう事かな?私はそこで夢で見た私の姿を思い出した。あれは予知夢だったのかな?そんなことを考えていると私が桃色の光に包まれて。姿が変わる夢の姿に変わり杖も夢そのままだ。添いて影が私に突撃してくる。私はレイジングハートを前に掲げる。するとピンク色の防壁が出て私を守る。私はそのまま杖で影を殴り、破壊した。しかし影はその場で再生を始める。

 

「なのは、その影はジュエルシードから生まれた。思念体だ封印しなきゃまた再生する!呪文を使うんだ!」

 

そんな事言われても、呪文なんて分からないよ。レイジングハート分かる?

 

”ジュエルシード封印でいいかと、正直なところ長い呪文ってめんどくさいです”

「わかった。ジュエルシード封印!」

 

そう言うと黒い影が消えて蒼い宝石になる。終わったみたいだ。私は服を戻し、ユーノ君を担ぎ家に帰る。家に帰るとお母さんが玄関の前で怒った様子で待っていた。

 

「なのは!どこ行ってたの!」

「お母さん?」

「なのは心配したじゃない、戒君も帰ってこないし、なのはまでいなくなったら私は……」

 

お母さんは泣きそうになっている。どんな言い訳をしようか、何かないレイジングハート?

 

”マスター、ユーノの事を言えばいいじゃないですか?”

 

そうだね私はお母さんに、ユーノ君の事を嘘を交えて説明した。

 

「そうなの、この子の事が心配だったのね。今日は許すけど、次からは私に言ってからね」

「はいなのお母さん」

 

 

その後はお兄ちゃんが帰ってきたけど、戒君達は見つからなかったらしい。私は眠れなかった。ユーノ君が慰めてくれたが、私は落ち込んだままだ。戒君大丈夫かな?

 

 

 




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第十七話

この物語のシリアスは基本戒だけだーー!!


背景高町家へ、僕は今、命の危険にあっています。何がいけなかったんでしょうか。昨日、気を失ったことですか?それとも、今日もっと早く起きればよかったんでしょうか?今そんな僕の目の前にはオレンジ色の髪をした悪魔が居ます。誰か切実に助けてください。

 

「おい!聞いているのかよ!?」

「あっはい」

「お前フェイトに何かしたか!?」

「してないです」

 

一つ言いたい、僕は何も悪くないよね。だって僕被害者だもん。レティシア助けてくれ。

 

(戒、頑張って)

「君が原因だよねレティシア!」

「話を聞けよ!」

「ごめんなさい」

 

目の前に女性は相当怒っている様だ。その女性の後ろには修羅が見える。これ僕本当に死ぬんじゃないか?そんな時にフェイトが女性に言った。

 

「アルフ、戒は悪くないよ。私を助けてくれたし」

「本当なのかいフェイト?」

「うん。本当だよアルフ。戒が腕から刃を生やして、蜘蛛っぽい人をズバーってやって、私を助けてくれたんだ」

 

フェイトの説明でアルフと呼ばれた女性は何とか落ち着いたようだ。助かった。でも、フェイトの一言ですぐに落ち着くんだ。ちょっと意外だな。

 

「この話は信じる。だがな、何でフェイトと寝てたんだ?」

「それは僕にも分からない」

「フェイト何でだ?」

 

フェイトは頭を捻り考え始める。暫くしてフェイトが口を開いた。

 

「えっとねアルフ。戒が気絶して、レティシアが出てきて一緒に治療したの。それであそこじゃ危なかったから、此処に連れてきたの。それでね、治療中に戒の記憶が流れ込んできて全部見たら、疲れて寝ちゃったんだよ」

 

えっと、今フェイトはなんて言いましたか?僕の記憶を見た。え?マジですか。やばい、僕の記憶って結構危ないと思うんだけど。大丈夫なのかな?フェイトは僕の方に微笑んで言った。

 

 

「大丈夫だよ戒。私は君の記憶を見ても問題なかったから」

「君、本当になのはと同い年?」

「うん。なのはに会った事は無いけど、同い年の八歳だよ」

「僕はそう思えないけど」

 

本当に八歳なのだろうか?だってこんなにしっかりしているし、この二人を見る限り二人暮らしだろうし。てゆうか何で二人で暮らしているんだろう?

 

「フェイト、何で二人で暮らしているの?」

「分かるの?話していいのかな?ねえアルフ」

「いいんじゃないかフェイト。この戒って奴は力があるらしいし、現地の協力者は必要だ。丁度いいと思うぞ」

「そうだね。じゃあ戒、話すね」

 

フェイトは話してくれた。フェイトは別世界の魔法がある世界から来たらしい。それでフェイトのお母さんのプレシアさんがこの世界に散らばったジュエルシード、昨日の宝石を探しているそうだ。それで場所が分かりにくいから現地の協力者を探せと言われたがいい人が居なくて、昨日のシュピーネに声を掛けたら丁度ジュエルシードを持っていて、戦闘になり、僕に助けられた。そんな感じだ。

 

「分かった。二人だけにそんな事させるわけにはいかないからね。僕も手伝うよ」

「ありがとう戒。それじゃあお母さんに話すからちょっと待ってね」

 

フェイトがそういうと場所が変わり何処かの庭園らしき場所に着く。其処には灰色の髪の女性が居た。女性はフェイトを見ると近づいてきて、優しく話しかけた。

 

「フェイト、もう戻ってきたの。早いわね。昨日探しに行ったばかりなのに、ジュエルシードはどのぐらい集まったの?」

「お母さん、2個集まったよ。それに協力者も出来たから、お母さんに伝えに来たの」

 

そうフェイトが言うと、プレシアさんが僕の方を向いてきた。どうやら観察している様だ。そして観察が終わったのか僕に言い放った。

 

「名前はなんて言うの?」

「藤井戒です」

「すごいわね魔法文明が無いこの世界で、魔力Aランクに会えるなんて」

 

そう言われても魔法の事なんて知らないし凄いなんて分からない。それに魔法は使えなくても別にレティシアが居る。そんなこと考えていたらプレシアさんが言った。

 

「貴方それだけじゃないわね、聖遺物を持っているでしょう」

 

プレシアさんは聖遺物の事を知っているらしい。僕の知らない聖遺物の事を聞けるかもしれない。

 

「分かるんですか?」

「分かるわよ私は元々研究者よ。一度だけ聖遺物の研究を任せられてね、ある程度の使徒なら判別がつくわよ」

「そうですか僕以外の使徒にあった事ありますか?」

「三回ほどね」

 

三回もあるんだ。それならレティシアの事も知っているかもしれない。

 

「ねえ貴方の聖遺物はどんな物?」

 

レティシア説明してもいい?

 

(いいわよ、別に困る事無いしね)

 

「僕のは二つあります。歌姫・正義の柱と闇の黒聖杯です」

「闇の黒聖杯ですって!?」

 

プレシアさんは目の色を変え僕の体に掴みかっかってきた。腕が食い込む勢いだ。痛い。フェイトも咄嗟の行動に驚いている。僕が喋る間もなくプレシアさんは言った。

 

「それは本当なの!?」

「本当ですが、どうしたんですか!?」

「ねえちょっと来て頂戴!」

 

僕はそう手を引かれ、何処かに連れられて行く。庭園を抜け地下に着いた。其処には何かの液体に浸かっている。フェイトに似ている少女が居た。どう考えても死んでいる。この子の前に連れてきてどうするんだろう。僕はその先を予想する。思考し、辿りついた答えは一つだ。プレシアさんは僕が考えていると話しかけてきた。

 

「ねえ貴方、この子アリシアを、生き返らせる事は出来るかしら?」

 

予想道理だ。僕の黒聖杯は出来るだろう。人を殺すのは簡単だ。首を刎ね、腐敗させ、腹を裂き、切り刻む。思いつくだけでこれだけある。だけど生き返らせる何てほぼ不可能だ。まず魂が此処にあるのか分からない。魂が無ければ蘇生なんて無理だ。そして魂は足りるのか?

 

「出来ますよ」

「本当!?」

「けど」

「けど……なに?」

 

プレシアさんは答えを待っている。僕は辛い真実を伝える。

 

「魂があればできますけど、残っているか分からりません。この子は何年前に死んだんですか」

「十年以上前よ、出来ないの?」

「分かりません」

 

さっきから誰かにぺしぺしと叩かれている。こんな空気なのにレティシアだろうか、レティシア今はやめてくれ。

 

(私じゃないわよ)

 

え?じゃあ誰?

 

「さっきから無視しないでよー」

 

僕の後ろには、今目の前にるアリシアと完全に見た目が一致している少女が居る。あるぇおかしいな、やっぱり僕は疲れているんだ。だってこれこそ幻覚だよね。もうこのボケはいいや。この子はアリシアの霊体だろう。ねえレティシア、この子が居れば蘇生は可能だよね。

 

(戒、出来るわよ)

 

「ねえプレシアさん、今僕の隣にアリシア居るんですが……見えますか?」

「嘘を言わないでよ、見えないわよ」

「ねえレティシアさん、この子他の人には見えないの?」

 

(見えないわよ、戒と私以外にはね)

 

マジですかー、僕にしか見えないんだー。辛いよ、最近なんか胃がすごく痛いな、何でだろう?僕は過労死キャラじゃないんだけどね。

 

「ねーねーお兄ちゃん、私生き返れるのー」

「出来るらしいよ。まあ任せてよ」

 

形成(イェツラー)

 

闇の黒聖杯(ドゥンケルシュバルツケルヒ)

 

 

 




プレシアさんは良い人、異論は認める。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。


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第十八話

今回はドシリアスだ!


私は自分がクローンだと知っている。自分の姉のアリシアの。厳密には同一人物だがクローンだし。そのせいで母さんは私の事をアリシアとして扱う事がある。その度に世界から色消えていく。私はフェイトなのに、でも言えない。言ったら母さんが壊れてしまいそうで、母さんはアリシアという存在に依存している。だからアリシアと呼ばれた時はアリシアを演じる。私を偽って。その度にアリシアが妬ましい。私より愛されて。でも母さんは、私の事も見ていてくれていることも理解はしている。だからもっと辛くなる。私は屑だ。生きてはいけない。母さんの願いは叶えてあげたい。でもアリシアが生き返ったらどうなるか考えてる度に、死んだままでいいのにと考えてしまう。でも、もしも本当に、アリシアが生き返ったら私はどうなるのだろうか……

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

形成(イェツラー)

 

闇の黒聖杯(ドゥンケルシュバルツケルヒ)

 

 

願いの丈によって必要な魂の数も変わって来る。そして人を一人生き返らせるとなれば、五百人分の魂は必要だろう。幸い闇の黒聖杯は、何百万という人間の魂を貯蔵してある。普通に足りている。僕は泥を飲み込もうとした時にあることに気付いた。これでフェイトの事を助けられるのか?そして、どうしてフェイトはあんな目をしているのかを聞かなければ。プレシアさんは優しいと思う。何でフェイトがあの目になったかが本当に分からない。

 

「ねえプレシアさん一つ聞きます。フェイトの事をどう思ってますか?」

「フェイトの事?大切な家族よ」

「でも本当にフェイトの事を見ていますか?」

「どういう事かしら?」

 

プレシアさんは少し不機嫌になった。僕は続ける。

 

「フェイトの目は昔の僕の目と一緒です。世界の色を感じない。あらゆる物が腐って見える。そんな昔の僕の目です。どうしてそんなことになっているんですか?普通はあんな目にならないと思います」

「私の前ではそんな目じゃないわよ」

「偽っているんでしょう。あの目は人に見られないほうがいい」

 

本当にあの目は腐っている。目が死んでいるという表現があるが、死ではない。あの目は腐っているんだ。世界が色あせ、何も感じない。そんな目は子供のフェイトがしてはいけない。プレシアさんはじっと何かを考えているようだ。暫く経った。何か心当たりがあるらしい。

 

「たまに、フェイトとアリシアが分からなくなるの。でもその度にフェイトがアリシアを演じてくれて……。最低だってわかっているわ。でもそれで本当にアリシアが居るみたいに感じて、話し込んじゃって……。その時間だけアリシアが居ない現実を忘れられる」

「辛いと思います。多分ですが演じる度にフェイトは世界から色が消えていったんでしょう」

「それが本当なら私は…私は母親失格よ」

 

プレシアさんは懺悔するように言った、それに僕は何を言っていいのかわからない

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

私はジュエルシードを探していた時に戒に出会った。戒の事は最初は拒絶し敵意を向けた。だけど臆さずに戒は私を治してくれた。戒は、私を守ってくれた。腹のの肉を抉られてまで。簡単だけどそれで私は惚れた。優しくしてもらったのがお母さんたち以外で初めてだからだと思う。でも本当に惚れたのはこの後だった。

戒を治していたら。記憶が流れ込んできた。戒の今まで生きた人生を全て見た。生まれて二歳でお父さんに殴られていた。お母さんには優しくしてもらっていたけど。三歳で日本語を覚えていた。そして私と同じ目になった。戒の見る景色を私は追体験していた。色が消え何もない世界を。四歳になり戒のお母さんが殺された。戒も殺されそうになって助けようとしたが触ることができなかった。そこで場面が変わる。戒がなのはと友達になったり。レティシアを受け入れたり。友達が増えていったり。

その裏で戒はずっと戦っていた。友達が綺麗に生きれるように。自分の好きな刹那を守れるように。戒の刹那とは私から見たらとても綺麗だった。自分の周りの人が僕が見れる限りない時間の中でずっと幸せに生きていて欲しい。そのためなら毒を被り、呪いすら僕が全て受けきろう。使える力をすべて使おう。そんな願いが綺麗だった。羨ましかった。その生き方に私は惚れてしまった。そんな戒もアリシア優先になるのかな?嫌だなそんなの。

今はこの庭園で私は一人だ。寂しいなアルフも連れてくればよかった。お母さんまだかな、戒も遅いな。何しているんだろう?

 

「まだかな?」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

「ねえ貴方、私はフェイトとやり直す事が出来るかしら?」

「分かりませんよだってそれが出来るのは貴方だけですから」

「そうよね」

 

話が長くなったな、そろそろ蘇生を開始しよう。僕は聖杯を持って願いながら泥を飲み込む。今までと比べられない程の不の感情が溢れてくる。それだけではない聖杯が明らかに成長している。泥を飲み感じるのが感情だけではない、死者の記憶すら流れてくる。頭が壊れそうになるほどの記憶の渦。自分が誰か分からなくなる。僕は誰だ?何で生きている?分からない。理解したくない。コワい、イタイ、クルシイ、そんな感情が僕の中で渦巻いている。誰かの声が聞こえる。

 

(戒、落ち着きなさい。貴方は藤井戒、私の主よ)

 

藤井戒?そうだ僕は藤井戒だ。生きている大丈夫だ。早くアリシアを助けないと僕は聖杯に願う。アリシアの蘇生を。願った瞬間に光が溢れアリシアの霊体が僕の隣から消え、アリシアの体が光だした。息を振り返したらしく液体の中でごぼごぼと息を吐いている。プレシアさんは急いでアリシアを出して、抱きしめた。

 

「アリシア!アリシア私が分かる!?」

「うん分かるよ、ママ」

「よかった!本当によかった!」

 

二人はとても嬉しそうだ。僕は邪魔にならないように、こっそり此処から離れ、フェイトの所に向かう。

 

 

 




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第十九話

今回は少し長め


僕は来た道を戻りフェイトを呼びに行く、道は複雑で何度か迷いそうになったが、何とかフィイトが待っている場所に着いた。フェイトは庭園の中にあるブランコに座っていて、僕はあの日なのはと出会ったことを思い出した。なのはもこんな感じでブランコに居たな。そんなことを考えていると。フェイトが僕に気付き、近づいてきた。

 

「戒、遅かったけど何してたの?お母さんは?」

「フェイト、ちょっと来てくれ」

 

今はフェイトをプレシアさんと合わせないといけない。それが僕のできる事だ。僕はフェイトを救いたい自分の様に腐ってほしくない。フェイトは頭に?を浮かべている。僕は説明が長くなるから

 

「どうしたの戒?」

「あとで説明する」

 

僕はフェイトを抱えて走る。フェイトは急に抱えられ驚いている様だ。心なしか顔が赤い気がする。まあ気にしないでいよう。

 

「かっ戒、ちょっ何して……恥ずかしいよ」

 

フェイトが何か言っている様だが、今はフェイトをプレシアさんの所に連れて行かないと。僕は更にスピードを上げ地下に向かう。周りの景色どんどん変わっていく。地下に着き、プレシアさんとアリシアさんの前に行きフェイトを降ろす。プレシアさんはフィイトを見るなり泣きながら言った。

 

「フェイト、アリシアがアリシアが!」

「お母さん?お姉ちゃん?」

 

フェイトは二人を見ると表情を無くし放心している。そのまま少しつ経つと、僕に近づいて服を掴んできた。

 

「戒……戒」

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

私は戒に抱えられ顔が熱くなるのが分かる。恥ずかしいな。こんな事されたのは初めてだ。私は戒に連れられ、アリシアが寝ている部屋に着いた。そこには母さんが泣きながら眠っている筈のアリシアを抱きしめていた。アリシアは生き返ったばかりなのか立てずずっと浸かっていた培養液で体は濡れている。お母さんが私にとても嬉しそうに話しかけてきた。

 

「フェイト、アリシアがアリシアが!」

「お母さん?お姉ちゃん?」

 

アリシアが生き返った。それは理解できた。だが何故だ?ジュエルシードはまだ集まっていない。一つ心当たりがある。闇の黒聖杯だ。あれならアリシアを生き返れせる事も出来るだろう。だけどあれを使う度に、戒は聖杯に蝕まれ精神が狂っていく。それに生き返らせるのに使う魂は百以上の魂が必要だろう。そんなのその何百年分の記憶を一人で受けたんだろう。急激に蝕まれた筈なの何で無事なのだろうか。一番辛いのは戒なのに、なのに何で平気な顔をしているんだろう。私は涙を堪えながら戒の服を掴み名前を呼ぶ。

 

「戒……戒!」

 

戒は何していいのか分からないような顔で私を宥めてくる。

 

「フェイト?」

「戒……戒!」

「泣きそうだよどうしたの?」

 

私は涙がこらえきれなかった。辛すぎるからだ。そんな普通の顔をしないでよ!知っているんだよ。無理しているって弱音を吐かないように自分を偽っているって、何度も死にそうになっているのに、今も倒れそうなことも、全部全部知っている。だから貴方のことを知っている私にだけは言って欲しいんだ。

 

「戒、私にだけでいいから頼ってほしいよ」

「フェイト、泣かないでよ。僕は大丈夫だからさ」

「またそうやって、なんで自分で背負い込もうとするの!?」

「ちょとフェイト、今は僕の事はいいからプレシアさんの方を見てあげて。待って服伸びる」

 

私は戒の事で完全に忘れていた。お母さんもどうしていいのかわからずこちらを見て言いにくそうな顔で

 

「えっとねフェイト、いい雰囲気を邪魔して悪いんだけど私から話があるの」

「何お母さん?」

「フェイト、謝って済む話じゃないんだけど、本当にごめんなさい!」

「いきなりどうしたのお母さん」

 

私はお母さんが何で謝っているのかが分からなかった。本当にいきなりだな、横に居るアリシアも困惑している。

 

「フェイト私は母親失格よ。貴方をフェイトとし扱わず、貴方にアリシアを投影していた。こんな親、最低よね」

 

お母さんもあれは自覚していたらしい。否、気付いていたと見るべきかお母さんはアリシアを演じる私に甘えていたのだろう。演じている状態の私に話しかける。お母さんはとても嬉しそうだったからだ。それが今とどう関係あるんだろう?そう考えていると、アリシアがなんとか立ち上がりお母さんから離れ、私に近づいてきた。何か用だろうか?

 

「フェイト、初めまして貴方のお姉ちゃんだよ。あれ初めましてなのかな?いつもフェイトの部屋に霊体で遊びに行っているしどうなんだろ?」

 

どうやらこの姉は自分の部屋に、霊体でよく遊びに来ていたらしい。全く気付かなかった。でも私も体にはよく合いに来ていたからどうなんだろう?

 

「フェイトさっきお兄ちゃんに私には話てよって言っていたけど。フェイトにも言えるんだよ」

「どういう事?」

「フィイトも言っていいんだよ。溜め込んでいるもの全部私達に言ってよ」

 

アリシアはそんなことを身勝手に言う。私がが悩んでいるのは貴方が原因なのに私は溢れる感情を制御しきれなかった。

 

「ふざけないでよお姉ちゃん!私は貴方のせいで悩んでるだよ。お母さんには間違えられるし、何で私が生まれてのかも知っているよ。貴方のクローン!貴方から生まれた。貴方に分かる?お母さんが記憶を消してくれたたけど、それは失敗して貴方の記憶が少しあるんだよ!私は自分が分からない!こんな気持ちになるなら生きてたくない!!」

 

私は溜めん込んでいたものを吐き出した。まだそれは続く。アリシアはまさか、こんなことを言われるとは思っていなかっただろう。

 

「私は人間じゃない!何でお母さんも私を作ったの!?殺してよこんな人間じゃない化け物を!私は化け物だ。人とは違う。この感情も作り物だこんなもの要らない!……もう嫌だよぉ死にたいよ」

「フェイト…………」

 

お母さんはそう言って床に座り込んで放心している

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「私は人間じゃない!何でお母さんも私を作ったの!?殺してよこんな人間じゃない化け物を!私は化け物だ。人とは違う。この感情も作り物だこんなもの要らない!……もう嫌だよぉ死にたいよ」

「フェイト…………」

 

フェイトは感情を溢れさせ涙を流している。プレシアさんは床に座り込み放心しているフェイトがこんな状態だと気づいていなかったらしい。僕はフェイトに近寄っていく。そしてフェイトお前に立ち頭を撫で。

 

「フェイト泣かないでくれ」

「ふぇ戒?」

「一つ聞くけど君のどこが化け物なんだい?」

「だって、だって私はクローンなんだよ!」

 

フェイトは泣きながら僕に訴える自分は化け物だと人間じゃないものなんだと。そう言われても僕の答えは決まっている。

 

「フェイト君は人間だよ。涙を流す。笑うことができる。そんなこと機械や化け物じゃ出来ないだろう。それにフェイトには心があるそれが何よりの証拠だよ」

「でも!でも!」

「それでも自分が化け物だというのなら僕が君を人間にする。一緒にいろんなことをしようよ」

 

僕はそう心から思ったことを言う。フェイトは少し泣き止みながら掠れ声で。

 

「戒、私は化け物だよ」

「それが?」

「クローンなんだよ」

「どうでもいい」

「アリシアの偽物なんだよ」

「君はフェイトだよ」

 

フェイトは泣き止み僕に聞いてきた。

 

「戒、私は生きていいのかな?」

「それは誰かが決める事じゃないよ」

 

僕はそう言った。生きてはいけない人間なんていない。でも僕は人を殺しすぎたからそんな言葉を言う資格がないけど。今はフェイトに生きてほしいからそんな言葉を使わせてくれ。フェイトはその言葉で吹っ切れたのか僕に笑いかける。

 

「戒、ありがとう。私は生きるよだから戒、色んなこと教えてね」

「僕が言ったからね。これは約束だ」

「うん約束だよ!」

 

フェイトが笑顔になったことでプレシアさんとアリシアも立ち上がる。そして暗い顔でアリシアが近づいてきてフェイトに言った。

 

「フェイトごめんね。私のせいで悩んでいたなんて知らなかったよ」

「もういいよお姉ちゃん、私は私だから。それに戒が色んなことを教えてくれるらしいからね」

 

改め聞くと僕結構恥ずかしいこと言ったな。ちょっと顔が熱い。プレシアさんがフェイト駆け寄り泣きそうになりながら。

 

「フェイトごめんなさい。貴方が悩んでいるなんて知らなかったもっと早く気付けばよかったに」

「お母さん大丈夫だよもう悩みなんてないから」

 

そう言うフェイトはとても笑顔だった。そうえばそろそろ帰らないと、なのは達心配しているだろうな。

 

 

 




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第二十話

なのは視点。そして!最後のヒロイン登場!あるゲームから出張してきたぜ!


戒君達が帰って来ないまま朝になった。二人が居なくて皆暗い顔をしている。ユーノ君の事で空気を戻そうと私は決意して話題を持ち出した。

 

「えっとお姉ちゃん、お兄ちゃん、フェレットを拾ったんだよ」

「そうなのか可愛いな、そうだろ美由紀」

「そうだね恭ちゃん」

 

何とか空気は少し和んだようだ。ありがとうなのはユーノ君

 

(なのはところで戒とレティシアって誰なんだい?)

 

”それは私も気になりますね誰なんですかマスター?”

 

えっとねユーノ君、レイジングハート、二人は三年前から一緒に暮らしている家族だよ。戒君は優しいし強いんだよあの歳でお兄ちゃんに勝つんだよ。レティシアちゃんはとても綺麗で物語の歌姫みたいなの。

 

 

”二人の事が好きなのですかマスター”

 

 

大好きだよ。ずっとじゃないけど一緒だったからね。本当に何処にいるんだろう?私はそう二人と念話を終えて。家を出た。昨日ユーノ君に聞いたジュエルシードを戒君達を探すついでに探そう。私はユーノ君と海鳴市を探索する。アリサちゃんの家に向かって戒君が見つかったのか聞きに行くかないといけないから。私はアリサちゃんの家の呼び鈴を鳴らす。

 

「どなたですか?」

「えっと高町なのはです」

「なのは様ですか、アリサ様がお持ちです。案内しますね」

 

私はメイドさんに案内されてアリサちゃんの部屋に着いた。アリサちゃんの部屋はとても豪華だ。アリサちゃんの横に執事の鮫島さんも居る。アリサちゃんは言いずらそうな顔で私に言ってきた。

 

「なのは戒が最後に居た場所が分かったわ」

「どこなのそれは?」

「監視カメラの映像を再生するわね」

 

アリサちゃんが私にパソコンを見せてくる。その画面に映っていたのは金髪の女の子と蜘蛛の様な化け物と戦う戒君の姿だった。そのそばにレティシアちゃんの姿もあったが、戒君が何かを唱えると姿が消えた。その瞬間に戒君が腕から刃を生やしていた。理解できない。ユーノ君、戒君のあの力は魔法なの?

 

(違う。僕もそう思ったけど、あれには術式が存在していない)

 

そしてレティシアちゃんは何者なの?

 

(あの子はこの世界のロストギアかもしれない)

 

あの力の事はお父さんたちは知っているのかな。映像は続く、戒君の腹が抉られた。その事実に私は目を背ける。少し経ち、戒君が蜘蛛の化け物を倒してから腹から血を流し続けて倒れた。その後、戒君の体からレティシアちゃんが出てきて金髪の女の子と何かを話してから金髪の女の子が戒君を連れて行って何処かに飛んで行ってしまった。そこで映像は途切れた。ユーノ君あの子は魔法使いだよね。

 

(うん。あの子は魔法を使っていた。なんでこの世界に魔法使いがいるんだろう?)

 

念話をしているとアリサちゃんが話しかけてきた。急に黙り込んで不思議に思っている様だ。

 

「ねえなのは?戒のあの力は何?」

「私も知らないよ」

 

私にも理解できない。戒君が力が何なのか。戒君はそんな事話してくれなかった。

 

「もう一つ聞くわあの少女は何?何で空を飛んでいるの?」

「それならわかるよ」

「本当!?」

 

ユーノ君、魔法の事言ってもいいかな?アリサちゃんに頼めば早くジュエルシードも集まるかもしれないから。

 

(いいよ。この子は力を借りればジュエルシードが速く見つかるかもしれないし、ジュエルシードがあればその戒君の居場所を探すように願えばいい)

 

そうだね。私はアリサちゃんに昨日の事を話した。アリサちゃんはとても驚いていたが。レイジングハートを見せるとと信じてくれた。

 

「そんな事があったのね、一先ず信じるわ。じゃあ戒はその魔法使いに攫われたのね。鮫島今からあの金髪の子を探してちょうだい」

「御意にアリサお嬢様」

 

鮫島さんはそう言って姿を消した。この後はアリサちゃんにジュエルシードの事を聞いてみたけど特に見たことも無いらしいかった。

 

「なのは」

「なに?」

「魔法の事を早く言ってくれて良かったわ、なのはは一人で抱え込みそうだったからね」

 

そう言われてみたらそうかもしれない。私そういうことあるし戒君もそうだから似たのかな?そう考えているとユーノ君が何かに気付いたようだ。

 

(なのは、ジュエルシードの反応が!)

 

それなら速く行かないといけない。私アリサちゃんにジュエルシードの反応があった事を伝えると。

 

「なのはそれなら送るわ。私も何があるか見たいからね」

「いいのかな?どうユーノ君?」

 

(なのはが守ればいいよ)

 

「いいってアリサちゃん」

 

アリサちゃんは私のその答えに不思議そうに聞いていた。

 

「ねえなのは?さっきから誰と話しているの?」

「ユーノ君だよ」

「そのフェレット?」

「うん、ユーノ君は喋れるんだよ」

 

アリサちゃんは少し不満そうな顔で私に言ってきた。

 

「私には聞こえないけど」

「魔力が無いと聞こえないみたい」

「そうなのね」

 

アリサちゃんが残念そうにしている。私は慰めようとしたてユーノ君に何とかできないか聞いてみた。

 

(文字を書けけばいいけど、この世界の文字が分からない)

 

それなら私が書くよ。それならいいでしょユーノ君。ユーノ君はそれならいいのかなといった感じで首を縦に振った。アリサちゃんはそれを聞いて機嫌がよくなった様だ。私達はジュエルシードの反応があった神社に向かう。神社には嫌な風が吹いており奥に人が倒れている。私達は近づき、アリサちゃんが急いでその人に近づき声を掛けた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

返事は無い気絶している様だアリサちゃんが電話でメイドの人に連絡したその時、風が吹き始め黒い影が現れた。それ犬の姿をしていて私達を威嚇している。

 

「ユーノ君昨日の奴じゃないよ」

(恐らく現地の生物を取り込んだんだろうこのままだと被害が大きくなる。早く封印しよう」

「分かったの。レイジングハートセットアップ!」

「stand by ready.set up.」

 

私の姿が変わり昨日の姿になる。その瞬間犬が私に突撃してきた。私はシールドを展開しそれを防ぐ。でも次に何をすればいいのか分からない。レイジングハート分かる?。

 

”マスター私に魔力を流して攻撃してください”

 

私は言われたにレイジングハートに魔力を流し、レイジングハートを振る。するとレイジングハートから光が溢れ犬を包み込んだ光が収まるとそこには倒れている犬が居る。

 

「終わったねレイジングハート」

 

”マスター封印し忘れています”

 

「にゃはは、ごめんね忘れてた。ジュエルシード封印!」

 

犬が光に包まれ中からジュエルシードが出てくる。ジュエルシードがレイジングハートの中に納まり犬が普通の伊子犬に戻る。終わったねレイジングハート。

 

”そうですねマスター”

 

レイジングハートを解除して私は普通の服に戻る。その瞬間に茂みから昨日の黒い影が現れる。それはアリサちゃんに突撃していった。今からセットアップしても間に合わあない。私は限界を超え走る。

 

「アリサちゃん!」

「なのは!」

 

その爪がアリサちゃんを切り裂こうとしたとき、風の刃が影を襲った。

 

「え?なに?」

「私生きてる?」

 

階段から足音が聞こえる。その主はこちらに近づいてきた。その近づいてきた人物は、腰まで長い黒髪に軍服、右目を隠す眼帯そんな異質な姿をした少女だった。

 

「無事かお前ら?危ない所だったな」

 

アリサちゃんが少女にお礼を言う

 

「助けれくれてありがとうございます。貴方は誰ですか?」

「私か?私がチトセだ」

 

チトセさんというらしい。とても大人びている何歳ぐらいだろうか?

 

「まあいい、私は人を探しているだけだからな。お前ら処刑人(ディミオス)を知らないか?」

「処刑人?そんな物騒な人知らないわ」

「まあいい茶髪のお前は知らないか?」

「知らないの」

 

少女はそれを聞いて少々不機嫌そうになり私に言った。

 

「同い年ぐらいだ。そう緊張するな」

「同い年なの!?」

「本当なの!?」

 

アリサちゃんも私もそのチトセさんの言葉に驚く。まさか同い年だとは分からなかった。

 

「その反応はもう慣れた。無駄足だったか?聞いておこうお前達名はなんという?」

「アリサバニングスよ」

 

アリサちゃんは同い年だと知って話し方を戻したみたいだ。次は私の番だね。

 

「高町なのはです」

 

チトセさんがそれを聞いて急に笑い出した。それはとても愉快そうに。

 

「ふはははははは!お前がなのはか。良いぞこれで探し人も見つかる。感謝するぞなのは」

「ど、どういたしまして」

 

急に笑い出してどうしたのかな?チトセさんはそのまま去って行った。変な人だったな

 

”そうですねマスター”

 

「嵐の様な人だったわねなのは」

「そうだねアリサちゃん」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

私は上機嫌で階段を下っていく。まさかこんな簡単にあいつの手がかりが見つかるとは、今日はいい日だな。それにしてもあいつがなのはか、偶然というのもあるものだな。思えばあの日々は最高だった。戦場しか知らなかった私をあいつは女にした。一時期だけだが同じ傭兵部隊に雇われ、夏の間ずっと一所に居たからな。ああ愛しいぞ処刑人。お前には負け越しているからな、次こそ私が勝つぞお前に勝つための力も手に入れた。あぁ欲しいようあいつの全てが。二年前からお前の全ては私の物と決まっている。私は口を三日月の様にして嗤う。

 

「ふはははははは!待ってろ処刑人いや。藤井戒!」

 

そう嗤う私は風を纏っていた。

 

 

 

 




チトセさんの口調これ合ってるのかな。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。


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第二十一話

久しぶりの二日連続投稿だ!


何か嫌な予感がする。気のせいだと信じたい。今思い出すのは違う気がするけどチトセは元気でやってるかな?あの時は急に帰ってちゃったから挨拶もまだだったし。でも少し苦手なんだよね、事あるごとに勝負しかけて来るからいつも何とか勝てているけど日に日に強く為っていたからね。まあ一緒に居た期間は二か月程度だけど戦女神(アストレア)かチトセはそう呼ばれてたな。まあ僕は処刑人(ディミオス)とか呼ばれたな。そろそろ帰らなきゃ、なのは達は心配しているだろうし。今、プレシアさん達は話し合ってる。何とか話が付いたらしい。

 

「戒、ありがとねお母さん達と仲直り出来たよ」

「ありがとねお兄ちゃん。フェイトの本音が聞けて良かったよ」

「本当に感謝するわ戒君。まあ今アルフが居ないのは寂しいし」

 

三人は完全に仲直りでいたようだ。三人が仲直り出来て本当によかった。これでフェイトはもう問題ないだろう。

 

「フェイトそろそろ僕は帰らないといけない。なのは達も心配するだろうし」

「そうだね戒。送るね」

「そうだわ戒君。貴方にデバイスをあげるわ」

「いいの?お母さん?」

 

フェイトはプレシアさんに本当にいいのかと聞いている。プレシアさんは笑顔でフェイトに言った。

 

「良いのよフェイト。アリシアが帰ってきたからね」

 

そう言ってプレシアさんは僕に銃を渡してきた。

 

「その銃型デバイスの名前は、アンナシュライバー、インテリジェントデバイスよ。名前呼んでみて」

「了解しました。アンナでいいのかな?」

 

”うーんおはようますた?でいいのかな?”

 

「うん今日から僕が君のマスターでいいのかな?」

 

”うんいいよー、まいすた登録するね名前は?”

 

名前を言ってなかったな教えないと。

 

「藤井戒だよ」

 

”ヤヴォール。まいすた登録するねー”

 

「これからよろしくねアンナ」

 

”よろしくー。そうだまいすたの中に居るのは聖遺物だよね”

 

流石プレシアさんが造ったものだすぐにレティシアに気付いたらしい。するとレティシアがアンナに話しかけた。

 

(よろしくねアンナ私はレティシアよ)

 

”よろしくー私はアンナだよ喋る聖遺物なんて聞いた来ないなー”

 

(私は特別なのよ)

 

 

レティシアは誇らしげに言った。それにアンナは拍手音を鳴らし、レティシアを褒めている二人の仲は上々みたいだ。よかったな。プレシアさんがアンナの説明をする。

 

「アンナはね銃の姿と人の姿と狼の姿があるわ。試しにやってみてちょうだい」

「分かりました。アンナやってみて」

 

”ヤヴォール。まいすた任せてよ!”

 

アンナがそう言うと銃が光だす。宙に浮いた。次の瞬間、銃から僕より背の高いワンピースを着た女性が現れ、僕に跳び付いてきた。僕は驚き横に避ける。女性はそのまま頭を床にぶつけた。

 

「ふぎゅー!まいすた避けないでよー」

「ごめんアンナ、つい」

「許すよーますた」

 

プレシアさんはこれを微笑ましそうに見ている。次にプレシアさんは別の姿にしてみてくれと言った。

 

「アンナお願い」

「ヤヴォール。次行くよー」

 

アンナの姿がまた変わり純白の毛皮の狼に為る。凄くフカフカしてそうだ。アリサだったらすぐに撫でるだろう。

 

”まいすた。どう?どう?綺麗でしょー!”

 

「そうだね、撫でてもいい?」

 

”いいよー!”

 

すごく綺麗な毛並みだもっと撫でてみたい。

 

”うー気持ちいいよ。まいすたもっと撫でてー!”

 

可愛い奴め。僕はそのままアンナを撫で続ける。五分ほど撫で続けていたらしい。アンナはとても幸せそうだ。フェイトも撫でたそうにしている。僕はフェイトに代わろうとするとアンナが。

 

”えーもっと撫でてよー”

 

フィイトが撫でてからね。

 

”分かったよますた”

 

良い子だねアンナ

 

”褒められたーやったー!”

 

フェイトも堪能したのか幸せそうな顔おして言葉を漏らす。

 

「アルフみたいな毛並みだ。凄いフカフカしてる」

 

幸せそうで何よりだアリシアもいつの間にか撫でていた。プレシアさんが最後の説明をする。

 

「アンナは元々魔力変換資質凍結の研究の一環で作ったデバイスだから、貴方と相性がいいはずよ」

「魔力変換資質って何ですか」

「魔力変換資質っていうのは、通常魔法は属性に変換するには一工程踏まないといけないけど魔力変換資質を持っている魔導士はその工程を踏まずにできるのよ。貴方はその中でも珍しい凍結ね」

 

プレシアさんは分かりやすく説明してくれた。僕にはそんな力もあるらしい使いこなせるようになればもっと強くなれる。アンナこれからよろしくね。

 

”うんよろしくまいすた!”

 

フェイトがそうアンナと念話していると話しかけてくる。

 

「じゃあ戒、帰ろうか」

「うん、そうだねフェイト」

 

僕はフェイトの転移魔法でフェイトの今住んでいる部屋に戻ってきた。フィイトの使い魔アルフが迎えてくれた。

 

「フェイト、なんかすごいすっきりした顔しているけどいいことでもあったのかい?」

「うんお母さんとお姉ちゃんと仲直り出来アたんだよ!」

「それは良かったじゃないかい、フェイト」

「うんそうだねアルフ!」

 

僕は邪魔にならないように空気に溶け込む。少し溶け込んでいたらフェイトが話かけてくる。

 

「戒、ここから送るね」

「ありがとうフェイト。よろしく頼むね」

「うん任せて」

 

その後は何事も無く海鳴市に着いた。フェイトとは町に着いたら別れる。

 

「戒、いつでも遊びに来てね」

 




アンナちゃんヒロインみたい。気のせいだよね。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。あと活動報告にお気に入り100突破記念の話をリクエストシチュエーションを募集します。気軽にコメントしてください。


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第二十二話

遅れてすみません流出の詠唱考えていたら時間が


二日ぶりの海鳴市だ。流石に遅く帰りすぎたかな?絶対みんな心配しているな。二日ぶりの街を歩いていると何か懐かしいな。そうだレティシアそろそろ出といて驚かれるれるから。

 

(分かっているわよ戒。すぐ出るわ)

 

レティシアが僕の隣に具現化する。服装はいつもの黒い服だ。そんな時僕に念話が届く

 

”まいすた私も姿出していい?”

 

良いよただし狼でお願い。いきなり僕が女の子連れて行ったらみんなびっくりするだろうし。

 

”ヤヴォール。まいすた分かったよ”

 

アンナが光だし狼の姿に変わる。僕の隣に佇んでいて乗りかかって来る。ちょっとアンナ落ち着いて。

 

”外走りたいよ。お願いまいすた”

 

分かったよアンナ。家に帰ったらね。あんな一つ聞きたいんだけどいいかな?

 

”いいよ、まいすた”

 

プレシアさんに使い魔っていないの?フェイトにもいるけどプレシアさんにもいると思ったんだけど。

 

”いるよーでも、リニス凄く天然で、フェイトが泣いていた時も、時の庭園の掃除してたから、全く来る気配無かったし。ムッターもそれは諦めるというか、ムッターもムッタ―でたまに抜けている所もあるから忘れていたと思うし”

 

何だろうそのリニスさんが哀れに思えてきた。なんかの本で読んだけどペットと飼い主は似るって書いてあったけど、使い魔も主に似るのかな?

 

「くしゅん。誰か私の事噂しているんですかね?そんなことより、お掃除、お掃除、楽しいなー!なんか今日は良い事ありそうですし」

 

なんか電波を拾ったような?それよりムッターて確か母って意味だっけ?合ってるアンナ?僕はアンナに念話を返す。

 

”合ってよまいすた”

 

良かったこれで間違っていたら恥ずかしいからね。二日ぶりの海鳴市は特に変わっていない。まあ二日で変わったら驚くけど。いつもの道を通り高町家に向かう。もう夕方だ。なのはにシュークリーム作るの忘れてたし怒られるかな?高町家に着いてインターホンを押そうとしたら、後ろからドッサッと音がした。何だろうか?

 

「戒君!」

「戒!」

 

なのはとアリサの声がする。その二人の声は少し震えている、どうしたのだろう。よく見ると涙を目に溜めている。

 

「戒君、良かった生きてた!」

「戒生きててよかった!」

「僕は生きているけど、どうしたの?なのは、アリサ」

『だってお腹怪我したでしょ!』

 

二人は同時に言ってきた。何で知っているのだろうか?見られて無いはずだけど。今思いだしたがあの付近にはアリサの家の監視カメラがあったな。大方アリサに見せてもらったんだろう。もしかして二人に僕の力の事ばれた?これはかなりまずいぞ。今までばれなかったのに、二人の事だ話すまで返してくれないだろう。

 

(戒、どうするの逃げられないわよ)

 

どうしようかレティシア。アンナ何かいい案ない?

 

”まいすた殲滅する?”

 

物騒なことしなくていい。二人は大事な友達だ。傷つける事は許さない。

 

”わかったよまいすた”

 

でも本当にどうしようか、言い逃れできる気がしないもうおとなしく話そう行かな?忍さんは知っているしすずかに至っては前に助けた時に見られているし。

 

「戒、急に黙っていてどうしたの」

「戒君大丈夫?」

「ごめんボーとしてた」

「しっかりしてよね!」

 

アリサはそう言うが何かとても嬉しそうだ。

 

「アリサなんか機嫌がいいようだけど、どうしたの?」

「何でもないわよ!……ただこのやり取りができて嬉しいというか、戒の馬鹿」

 

怒らせていしまったようだ。最後の方は早口で聞こえなかったな、だけど罵倒されたことは分かる。たまに理由もなくアリサはこうなるな、僕が悪いのだろうか?

 

「そうだ戒君、後で聞きたい事があるの」

「うんもう予想がつくけどちゃんと話すよ」

「あとその犬?の事も話してね」

 

今更だがアンナの事になのは達は気付いたようだ。。

 

「犬?戒、それシベリアオオカミじゃない!」

「アンナの事も後で話すよ」

「分かったの」

 

なのはがそう言いうと、なのはの肩に居るフェレットから、声が聞こえてきた。

 

(なのは、この子魔力がある)

 

”マスター、戒はデバイスを持っています”

 

(え?なんで戒君が?)

 

なんでなのはが魔力のこと知っているの?僕も最近知ったけど、なのはが魔法のこと知るなんて機会なんてあるはずがない。ならばあのフェレットか?僕はフェレットに念話を送る。ねえ聞こえる?

 

(何で念話が使えるんだ?)

 

アンナに教えてもらった。先に言うけど、アンナは僕のデバイスだ。一つ聞く、君がなのはに魔法の事を教えたのか?返答次第では君、無事では済まさないよ。

 

(それについては本当に謝るよ。元々僕がジュエルシードを見つけちゃって無くなったからそれを探す手伝いを)

 

君があれを見つけたのか?僕の友達が二つ持っている。あれは危険だろう、そんなものになのはを巻き込んだのか?

 

(僕が悪いのは分かっている。だけど、なのはしか頼れる人が居なくて)

 

確かになのはならそういうのをほっとけない性格だけど、だからってそんな危険な事に首を突っ込むなんて見過ごすことはできない僕はフェレットにあることを決意して言う。ジュエルシード探し僕も同行させてもらう。なのはが怪我をしないように僕が守ろう。

 

(君の力はカメラで見たから大丈夫だけど、いいのかい?)

 

構わない。元々僕はなのは達を守るために強くなったのだから。そうフェレットと念話を終えようとすると横から声がかかる。

 

「戒君聞いている?」

「ごめん早く入ろう」

「私もいいかしら?」

 

四人と二匹で高町家に入る。家に入ると何か暗い雰囲気があるな大丈夫だろうか?

 

「ただいまお母さん」

「こんにちは桃子さん」

 

桃子さんがその声を聞き、暗い声で返事を返してきた。

 

「……お帰りなのは。こんにちはアリサちゃん」

「そうだお母さん戒君達が見つかったの!」

「本当!」

 

そう言って桃子さんがこちらに走ってきた。そして僕達を見ると。目頭に涙を浮かべ、僕達を抱きしめてきた。

 

「いきなり何するんですか、桃子さん?」

「何よ桃子、驚いたじゃない」

「良かった二人が無事で本当に良かった!」

「何で泣いているんですか?桃子さん」

 

僕は何故桃子さんが泣いているのか分からなかった。レティシアも困惑している様だ。何か言わないと。僕は困惑する頭で考える。すると桃子さんは泣きじゃくった。

 

「怖かった!二人が居なくなるんじゃないかって!夜に探しに行っても何処にも居なくて。士郎さんには全く連絡が付かないし、本当に帰ってきてくれて良かった!」

 

桃子さんは泣き続ける。僕達は心の中で会話をする。レティシア、これ凄く心配させちゃったよね?

 

(そうね。まさかこんなに心配するとは思ってなかったわ)

 

どうしようか?

 

(謝りましょう)

 

そうだねレティシア。

 

「ごめんなさい桃子さん。心配かけて」

「ごめんなさい桃子。私、二日も帰って来なくて」

 

桃子さんは少し泣き止み、僕達に言う。

 

「良いのよ二人が無事だったから。それだけで私は嬉しいから」

 

本当にこの人には頭が上がらないよ。僕は改めてそう思った。

 

「アリサちゃん今日は泊まっていきなさい。もう遅いからね」

「こちらこそよろしくお願いします家には連絡しておきますね」

「戒君その犬は?」

 

桃子さんはアンナに気付いたようだ。

 

「拾ったんですよ」

「可愛いわねうちで飼おうかしら?士郎さんにも聞いてみましょう」

 

アンナ良かったね家に居ていいってよ

 

”やったー!まいすたと一緒だー!”

 

僕達はそのまま夕飯を食べ風呂に入る。僕が風呂に入っている時にアンナが乱入してきたけど。それ以外あ特になかった。今日は僕以外は一緒に寝ている。これならレティシアも縛の部屋に来ないはず。今日は安心して寝れるな。明日は士郎さんも帰って来るし、士郎さんが監督のチーム翠屋JFCの試合もある。早く寝てしまおう。

 

 




次回はチトセさん回だ!楽しみにしててください。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。それにまだまだリクエストは募集していますので、どんどん応募してください


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第二十三話

私はチトセ朧アマツは、アマツという傭兵一族に生まれた。幼少期から地獄のような鍛錬の日々。何度も血反吐を吐いた。しかし私は天才という奴らしく、やったことはすべて覚えた。私はアマツの一族の技全てを五歳で極めたと言ってもいい。そして部下を持つようになった。この時点で私の年齢は五歳。アマツの部下は、最初は私みたいな小娘に指揮されるのを反対する者も多かった、当たり前だ。何度も任務をこなしてきた兵達が使えているとはいえ、ぽっと出の小娘に従うわけがないだろう。だから私は力を示し従わせた。一人ずつは面倒くさいから全員を一斉に相手をして、それから私達は歴代最強のアマツ部隊とまで呼ばれるようになり、数々の任務をこなしてきた。そんな時にある任務を受けた。最近噂になっている処刑人という奴と共同で、ある組織壊滅させろという任務だ。久々の大任務で皆、緊張していた。任務まであと一か月それぞれ鍛錬をこなし、処刑人と合流する日になった。

 

「皆の者!今日は協力者、処刑人との顔合わせだ無礼の無い様にしろよ!」

『了解チトセ隊長!』

 

そして飛行機が私の基地に到着した。皆処刑人とまで呼ばれている人物がどのような人物か気になっている。飛行機の扉が開き中から出てきたのは一人の少年だった。

 

「子供だと?」

「子供ですね隊長」

 

気迫も、力強さも感じない子供だった。どうしてこの場に居るのか不思議なほどに。だけど私の感が警告しているこの子供はただ者ではないと。少年が私に近づき挨拶をしてきた。

 

「初めまして傭兵部隊ライブラのアマツ隊長。僕は藤井戒。これから二か月間よろしくお願いします」

「礼儀正しいな。私は、チトセ朧アマツ。まあ今回の任務よろしく頼むぞ」

 

礼儀作法は出来るみたいだ。そこは好感が持てる。だが本当に強いのか?試してみよう。

 

「なあ処刑人、一つテストだ私の部下と戦ってみろ。これから組む相手の技量ぐらい知りたい」

「分かった。僕は何の武器を使えばいい?」

「好きなのでいいぞ」

 

そう私が言うと処刑人が取り出したのは二振りのナイフだった何処から出したのかもわからない。何の変哲もないナイフだった。これで戦うのか?

 

「それでいいのか?ないなら私の武器を貸すが」

「構わないこれで十分だ」

「ならいい、マルコ試してやれ!」

 

そう私はマルコという部下に命じた。こいつは私の部下の中で三番目に強い。処刑人の力を見るには丁度いいだろう。マルコは処刑人の前に行き話しかけた。

 

「おい餓鬼、その装備で俺を倒すつもりか?舐めているのなら帰れ。今すぐにな」

「問題ないです。このぐらいでいい」

「ならいいが、弱音を吐くなよ」

「了解しました」

 

処刑人はそう言ってナイフを構えた。瞬間、雰囲気が変わる。先程までとても普通だった子供が、私に匹敵するほどの存在感に変わった。認識を改めよう。この子供は私と同じ、戦場に生きる化け物だ。

マルコは普段からこの雰囲気に慣れているため、怯まずに処刑人に仕掛ける事が出来た。マルコは武器としてナイフを持っている。そのナイフは刃を潰している訓練用だ。訓練用と言っても、重く、殴れば打撲するが。マルコのナイフを処刑人は持っているナイフで逸らし。マルコの手に向けて蹴りを放つ。それに反応できないマルコではない。ナイフを持ち変え防御する。処刑人はそれを持っていたかのように、マルコの下に潜り込み顎に向けてないナイフの持ち手の部分で殴る。マルコはその一撃でふらつき始める。その隙を逃す処刑人ではない足を払い体勢を崩させ、倒れた所にナイフを目の前にまでやり。

 

「僕の勝ちですね」

 

そう宣言した。私は今笑みを浮かべているだろう。こいつは全く本気を出していないな。面白い私も疼いてきたぞ、こいつと戦ってみたいと本能が叫んでいる。でけど今戦うのは時間がないそして気になることもある。

 

「おい藤井戒なぜおまえは処刑人と呼ばれているんだ?」

「たぶんこの武器が由来だよ」

「武器だと何処にある?」

 

何処にも武器は無い、何処にあるんだ?そう考えていると。処刑人が何かを唱える。

 

形成

 

歌姫・正義の

 

その瞬間処刑人の腕から黒い刃が生えてきた。その刃はとても恐ろしかった。生物として恐怖を感じる。冷や汗流れる。何だこれは?何だこれは?見たことないぞ。私はこの武器を見るだけで首を差し出したくなる。私はその衝動を抑えなんとか声を出す。

 

「なんだ……それは?」

「これかい僕の武器だよ」

 

よく見て理解出来た。この武器は生き物の首を刎ねる事に特化している。まさしく処刑人が使うような武器だろう。私は初めて恐怖した。こんなの生まれて初めてだ。

 

「もうしまっていいぞ」

「分かったよ」

 

戒の雰囲気が先程の弱い子供に戻る。この時は驚いたなすぐに雰囲気が変わったから。この後は私の部下達と戒が挨拶し。部屋が足りなかったから戒は私の部屋で過ごすことになった。それから任務まで二週間の間色々あった。戒に溜まっていた洗濯物を洗われたり。食事を改善されたり。いや私の食事は悪くないはずだったんだがレーションだけしか食ってなかったが。それを一から治されたり、風呂の時間が被ってなぜか一緒に入ったり。今ではいい思い出だが。その間何度か手合わせしたが、ほぼが引き分けか私の負けだった。初めての模擬戦では、人生で初めて負けた。今まで私には父ですら勝てなかったのに初めて負けたんだ。私はその時から心が奪われたのかもしれない。いや、多分そうだな。話を戻そう。その後任務開始の時期になった。部下も戒も準備は出来ている。戒は私と共同で敵の本拠地を攻め。部下たちはその間に他の拠点を潰す作戦だ。

 

「行くぞ戒。私達の力を見せてやろう」

「了解アマツ隊長」

「チトセでいいと言っているだろう」

「ごめんチトセまだ慣れなくて」

 

それでもチトセと呼ぶこいつは良い奴だこの任務が終わったら何か褒美をやろう。私は最後に戒に忠告するこれはいつも部下にも言っていることだ。

 

「戒、死んだら私が殺すぞ」

「それは怖いね、死ね無くなっよ」

「そう返すことができるなら余裕があるだろう」

 

私達がそう今から任務が無いような感じで会話を交わし敵の基地に潜入した。見張りの男の一人が私達に気付く。

 

「誰だお前た」

 

男はそれ以上喋ることはできなかった。当然だろう首の無い人間に喋る事などできないから。男の残骸は糸が切れた人形の様に倒れ首から血が溢れているそれに気づいた他の見張りが息を飲む。戒の武器を見たからだ。渡井sでさえ恐怖した武器ただの見張りが見たら迷わず首を差し出すだろう。一人だ戒の元に銃を捨て歩いてきたが、仲間のだった者も死体を見て正気に返る。

 

「俺は何をし」

 

男はそう言ったが最後戒に首を刎ねられる。私は戒に後れを取らぬように銃弾の雨を避け見張り達を切り刻んでいく。それは舞のように次々死んでいく見張り達は逃げ出す奴もいたが私達はそれを逃がさない。五分程殺し続け此処一帯は死体の山だけが存在する死の空間と化した。そして死体の全ては戒の出す泥に飲み込まれる。私は戒から泥の事も聞いている。だから恐怖する必要もない。死体が全て消え。私達は巨大な建物の中に入る。その前に戒に言うことがあった。

 

「戒、此処からは狭い武器を変えろ」

「分かったよレティシア休んでて」

「それと創造というのが見たい。ここで使ってみてくれ」

「良いその代わり僕に近づかないでね」

 

血の道と 血の道と 其の血の道 返し畏み給おう

 

 

禍災に悩むこの病毒を この加持にて今吹き払う呪いの神風

 

橘の 小戸の禊を始めにて 今も清むる吾が身なりけり

 

 

千早振る 神の御末の吾ならば 祈りしことの叶わぬは無し

 

 

創造

 

許許太久(ここだくの)禍穢(わざわい)速佐須良比給千座置座(めしてはやさすらいたまえちくらのおきくら)

 

戒の体が黒く変色する。これが創造か面白いな忠告された事を聞き近づかないようにする。戒の手には二振りの黒いナイフが握られている。

 

「では行くぞ!」

「了解!」

 

本拠地を二人で走る。どこかで聞いたデートみたいだな。敵を発見した瞬間に私は蛇腹剣を伸ばし体を二つに裂く。戒はトは此処で別れ。別行動だ私は奥に進んで行く進む間に殺した人数は少なかったな白い部屋に着いた。

 

「何もないぞ戻るか」

 

入ったはずの部屋のドアが無くなっていた。そしてこの部屋に煙がまかれる。睡眠ガスだ。

 

「罠か!まずい」

 

私は出口を探したが出口が見つからなく。ガスが周り私の意識が途絶えた。

 

 

 




次回に続く。感想や評価お気に入り登録お願いします。


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第二十四話

今回はあのキャラの登場だ!ヒントは吸血鬼


私はとても暗く広い場所で目を覚ました。周りには人の気配がする。何処だ此処は?明かりがつく。この場所ははコロシアムのみたいだ。何で私は此処にいるだ?最後の記憶は睡眠ガスを吸った事だ。そうか私は連れて来られてのか?確かこの組織は違法で何か賭け事をしているらしい。それがこの場所かてこと私は見世物にされるのか。そう思考する私を背に、コロシアムの何処かにあるスピーカーから司会の声が聞こえる。

 

「レディース&ジェントルメン!今宵はあの!傭兵団ライブラの隊長、チトセ朧アマツが選手として出場しているぞ!諸君存分に賭けてくれたまえ!」

『おおおおおぉぉぉぉぉ!』

 

声援が上がり、反対側の檻が明く中から出てきたのは筋肉質の金髪の男だった。司会と思わしき男が男の紹介をする。

 

「この男はジャック!児童殺しの殺人鬼だ!皆も知っているだろうがこの男は少女、少年を見ると興奮して殺してしまうそんな相手にチトセ選手はどうするのか?賭け方は知っているな!念のため説明するが、手元の装置に賭ける金額を入力して送信するだけだ!最初は予想した方が勝ったら客は三倍の賞金を得る。次は四倍と増えていくぞ皆楽しんでくれよ!」

 

紹介が終わり司会がカウントダウンを始める。私は此処からは出られないと悟り諦めて武器を構える。するとジャックと呼ばれた男が話しかけてきた。

 

「俺の名はジャック!ただ子供を愛しただけなのに捕まってしまった哀れな男だ。私は宣言しよう!

 

諸君私は子供が好きだ!

 

諸君私は子供が好きだ!

 

諸君私は子供が大好きだ!

 

ショタが好きだ!

 

ロリが好きだ!

 

少し大人びているロリが好きだ!

 

強がるロリが好きだ!

 

見た目がロリなのに本当は男のショタが好きだ!

 

平原で! 街道で!

 

塹壕で! 草原で!

 

凍土で! 砂漠で!

 

海上で! 空中で!

 

泥中で! 湿原で!

 

この世ありとあらゆる世界で遊ぶロリとショタが大好きだ!

 

だからこそ殺すのだ!大人にならないように!

 

それこそが私の愛だ!それを否定するものはおかしいと思う!

 

殺せなかったロリとショタが大人になるさまはとてもとても悲しいものだ!

 

諸君私はロリとショタの殺戮を望んでいる

 

諸君この試合を観戦している客たちよ

 

君達は一体何を望んでいる?

 

更なる殺戮を望むか?

 

情け容赦のない糞の様な殺戮を望むか?」

 

殺戮(メツェライ)殺戮(メツェライ)殺戮(メツェライ)!』

 

「よろしいならば殺戮(メツェライ)だ!」

 

男の宣言が終わり私は唖然としていた。何を言っているんだこの男は?意味が分からないぞ久しぶりに私は混乱した。そんな私にジャックは服を脱ぎ話しかけてきた。

 

「少女よ。私はお前に惚れてしまった。だから殺させてくれ」

「普通に嫌だが。何故服を脱いだ?それだけ教えてくれ」

「其処にロリが居るからだが?」

 

先程から気付いていたが……こいつ頭が狂っているな、よし早く殺そう。もう試合は始まっているし、今更此処から逃げられないだろうしな。司会がテンションを上げ言った。

 

「ジャック選手お決まりの演説だ!これなしでではジャック選手とは言えないぞ!さて盛り上がってきたぞ、両者さあさあ戦え!」

 

ジャックは私に向けて走って来る。遅いなこれなら子供でも避けられるぞ。この程度なのか?なら適当にやればいいだろう。私は蛇腹剣をしまい、携帯している投げナイフを三本持つ。そのままナイフをジャックの両目と心臓に投げる。ナイフは綺麗に飛んで行き。ナイフは全てジャックに刺さる。

 

「目がー!目がー!」

 

目に深く刺さったが頭は頭蓋骨が邪魔してあまり刺さらなかったみたいだ。まあいい止めを刺すか。近くまで行くとジャックは気配で気付いたのか

 

「少女よ、最後に頼みがあるお兄ちゃんと……言ってくれ」

「黙れ変態、死ね」

「ありがとうございます」

 

私は蛇腹剣を腹に刺し止めを刺す。最後まで変わらない変態だったなそこは褒めてやろう。試合が終わった事により司会がまた喋り出す。

 

「おっと一瞬で終わってしまった!ジャック選手情けない。まあこの一戦はチトセ選手の勝利だ!まだまだ続くぞ次の選手は、なんとなんと!串刺し公!ヴィルヘルムエーレンブルグ!夜の吸血鬼そのものだ!」

 

客席から声援が上がる。ヴィルヘルムエーレンブルグその名は覚えている。ドイツの方で有名な殺人鬼だ。その討伐は一度私の部隊に依頼が来た。その時、私は勝ったが目を失った。そして殺すこともできなかった。その相手が今此処にいる?捕まって良かったぞ、今此処で彼奴を殺せる。反対側の檻が開く。中から出てきたのは、記憶と変わらない白い髪と病的なまでに白い肌をしている男がでて来た。男、ヴィルヘルムが私に向けて獰猛な笑みを浮かべ、話しかけてくる。

 

「よぉ、久しぶりだな餓鬼、覚えているか?」

「なんだ串刺し公?忘れるわけないだろう。私の目を奪ったお前を」

「わりぃな、それについては謝るぜ。ただな、治らない人間ってのは不便だよな。あれだけで視覚を失うんだからな」

「その謝罪受け取っておこう。だがなあの日の礼はさせてもらおう」

 

礼はしなければいけない。あの日を事を今復讐しよう。なぜなら目を失わなければ、もっと綺麗な姿の私を戒に見せられたかもしれないから。

 

「カッ、はは、はははハハハハハハハハァァアアアッ……ヒ――ヒヒ、はっ、おーおー、やっぱり良い餓鬼だぜ。俺はなお前に負けたのが今も記憶に蘇る。まだ聖遺物を手に入れて間もない頃。だから強度が足りなく負けたあの日を」

 

聖遺物?戒と同じ力、そう言われればそうだな。私は戒のが初めてみた聖遺物ではないのか、なんか少し残念だ。

 

「今更だがその借り今俺こそ返すぜ」

「ぬかせ、あの時みたく蹂躙してやる」

 

それを最後に私達は同時に大地を蹴った。開戦だ。これより殺し合いが始まる。まず仕掛けたのはヴィルヘルム、凄まじい速度で私に迫って来る。そのまま拳を私に振り下ろす。私はそれを地面を滑り避けるそのまま足を斬りつける。体制を崩す為だ。

 

「何?」

 

 

足の腱を斬ったはずなのにヴィルヘルム平然と立っている。私は一瞬で危機を察しその場から後ろに跳ぶ。私が居た場所には無数の杭が生えていた。あの場所に留まっていたら、私は串刺しのオブジェンになっていただろう。ヴィルヘルムは関心したように。

 

「おーおーこれを避けるか。やっぱりやるな餓鬼。今更だが名乗れよ、戦の作法も知らんのか?」

「嗚呼、名乗ってなかったな。戦女神(アストレア)、チトセ朧アマツだ貴様は何者だ?」

「串刺し公、ヴィルヘルムエーレンブルグ、カズィクルベイ。気軽にベイでいいぜ」

「なら私もアマツかチトセでいい。行くぞ」

 

私はそう言い、蛇腹剣にあるものを塗り、ベイに向かい蛇腹剣を伸ばす。それ合わせてナイフや銃も使い攻撃していく。ベイは弾幕を全て血の杭で撃ち落としナイフは自分の体で受け伸びた蛇腹剣を腕でつかみ自分の方に引き寄せる。

 

「やるなだが想定内だ」

「何だ?グッーーーー」

 

ベイが奇声を上げ蛇腹剣を離した。ベイの手は嫌な臭いを漂わせながら腐敗を始める。この腐敗毒は戒の血液から採った毒だ。私の蛇腹剣はアマツ家に伝わるオリハルコンで出来ているので腐る事は無かった。これは元々拷問用に戒からもらったがまさかここで使えるとは思わ無かったななぜこいつが吸血鬼と呼ばれえているか昔は分らなかったが。今ならある程度理解できる。戒に聖遺物の事を教えてもらったからだ。吸血鬼に関連する聖遺物はエリザベートバートリーかブラド三世の物だろうし。吸血鬼には腐敗毒は弱点だ。理由は伝承の吸血鬼の死体は腐らないに反するからだ。まあそれは置いておいてこれなら戦える。ベイは自分の腕を根元から捥ぎ腐敗しないようにする。瞬時に腕が生えてくる。これなら体に剣を叩き込め倒せるな。

 

「おいアマツ、それは俺の弱点だろ。なら早く決着を付けないと俺は死ぬなハハハハハ面白い。お前にならこれを使ってもいいな行くぜぇ!」

 

形成(イェツラー)

 

闇の賜物(クリフォト・バチカル)

 

そうべいが唱えた瞬間ベイの体から杭が生えてくる。その姿は完全に化け物だ体のいたるところから杭が生えそれは伸び続ける。私はその姿に息を飲む。ベイはそんな私に変わらぬ様子で笑いかける。

 

「こいつを使うのは久しぶりだが、如何した餓鬼怖気づいたか?」

「ぬかせこれは武者震いだ」

「そうかいならいいぜこれを喰らいな!!!」

 

瞬間、杭が爆せる四方八方飛来する杭の弾幕、それを私は剣を振り、何とか弾く。それでも無限に出てくる杭の群れそれは雨のように私に降り注ぎ私はそれに直撃してしまう。痛い。言葉に出来ず、悲鳴すら出ないそして一瞬の隙が出来る。それを見逃すベイではなく私に向かい凄まじい速度で駆けてくる。

 

「ひゃは!死ねや!」

 

そのまま手からい杭を生やし私に向かい突き刺す。死んだなこれは。頭に何かがよぎる。走馬灯というものかそれはここ二週間の記憶だった。戒と同じ部屋で過ごした間の記憶だ二週間の間本当に楽しかったな。生まれて初めて女として扱われ初めは戸惑ったが次第にそれが嬉しく為り一緒に居るのが楽しくなった。はは今更だ私は戒の惚れたのか女にされたの。はは、今更気づいても遅いな、このままじゃ死ぬ。最後に彼奴に会いたかったな。駄目もとで願ってみよう。

 

「戒、助けて」

「命乞いか?安心しろ殺してやるからよぉ!」

 

腕が私に突き刺さるその時。声が聞こえる。

 

「チトセ助け来たよ」

「戒?」

 

その声が聞こえ目の前にはベイの腕を受け止める戒が居た。ベイは不機嫌そうに戒に言う。

 

「なんだ今一番いい瞬間だったのによぉ、邪魔すんなよ。俺の獲物だぞ」

「悪いねチトセは僕に仲間だお前なんかに殺させないよ」

「笑わせるなよ餓鬼、邪魔したツケは払ってもらうぜ」

「君こそふざけるなよチトセを傷つけて僕怒っているんだ」

 

そう言う戒は私でも恐怖するような怒気と殺気を纏っている。それに感化されたのかベイは笑う愉快そうに嗤う。

 

「いいね!いいね!お前ならいいぜ簡単に死ぬなよ餓鬼!」

「そっちこそ簡単に死なないでくれ」

 

戒が乱入していたことにより司会がそれを盛り上げるアナウンスをする。

 

「おっと乱入者だ。その正体は今まで何故に包まれていた処刑人だ!この乱入者に賭ける奴はいるか!?賞金は50倍だ!」

『おおおおおお!!!』

 

観客もそれを聞いて盛り上がる。手元の装置のボタンを押す。

 

「これより!第二試合の幕開けだ!」

『おおおおおお!!!』

 

その声を背にベイと戒は駆けだした。

 

 

 




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第二十五話

久しぶりの三人称ちゃんと書けてるか分からない。今回の話は串刺し公vs処刑人です。楽しんでください。


戒とヴィルヘルムの戦闘は互角だった。しかしほんの僅差で戒が押している。腐敗毒はヴィルヘルムに相性がいい。戦闘はさらに加速する。戒のナイフがベイの腕を捕らえる。瞬時に切り裂かれ、作られるのは人肉のサイコロステーキ。ナイフは腐敗毒で出来ており、切り刻まれた腕の破片は骨ごと腐り地に落ちる。

 

「ぅぐぉぉおおおおオッ!」

 

ヴィルヘルムは絶叫し、肩から肉を自分で抉る。そうしなければ自分は物言わぬ骸と化していたからだ。そのままベイは何とか腕を修復する。それでものベイは満面の笑みを浮かべ、喜々として戒に杭を飛ばす。戒とベイが一瞬交差する。交差する瞬間放ったのは杭の弾幕。子供である戒どころか、小動物一匹通る隙間すらない高速の連射は戒には命中するが、全てが腐敗毒の鎧に阻まれる。この繰り返しだ。戦闘が開始され、幾度となく放った杭の数は万に届く筈なのに、ヴィルヘルムの攻撃は只の一度も戒に届かない。ヴィルヘルムはそれでも愉快そうに笑う。久方ぶりの強者に高ぶっているからだ。一度二人が止まる。そしてヴィルヘルムは戒に名を名乗る。

 

「先程アマツの餓鬼にも名乗ったが、ヴィルヘルムエーレンブルグだ。お前は?」

「藤井戒、裏では処刑人の方が有名かな?」

「聞いてるぜ処刑人その名はよぉ。依頼の後には死体が残らない。僅かに残った死体は全て首が刎ねられ死んでいる。それはまさにギロチンに処刑された罪人のように。それから付けられた名だろ」

 

ヴィルヘルムは合っているか?そんな様子で戒に聞いてくる。

 

「合ってるけどそれだけじゃないよ」

「はっ、それは楽しみだなぁ!」

 

再び戦闘は開始される。戒はナイフを捨て、虚空から黒い大剣を出現させる。それは武骨で装飾など一切なく唯一あるとすれば罅が入っていて、その中には紅い線があるぐらいだろう。片方は杭をもう片方は大剣を持ち突撃する。双方は激突し血肉が乱れ宙を飛ぶ。戒の体を無理やり杭で抉るが、ヴィルヘルムはその代わりに足が大剣で両断される。

 

「―――――――づォッ」

「―――――――グォッ」

 

刹那に両者は再生を開始して、次の攻撃へと移る。またも放たれる無数の杭を戒は腐敗毒の泥の兵士を盾にしてヴィルヘルムに突撃する。

 

「オオオオオオォォォ―――処刑人!楽しいじゃねえかよぉぉぉ!」

 

ヴィルヘルムは未だ笑い続け、それに答えるかのように体から生える杭も数を増ていく。その愉快さこの戦闘の激情を乗せ悔いが暴発する。全方位空間を埋める結界の様なほどの血の杭の弾幕、その一つ一つにはすべて戒を殺すために殺意を帯びている。逃げ場など存在しない茨の森命を奪う為に戒に飛翔する。決着だと思われれたその攻撃を戒は……。

 

形成(イェツラー)

 

歌姫(ディーヴァ)正義の柱(ボワ・ジュスティス)

 

処刑の刃を出しそれを巨大化させ全てを両断した。流石にヴィルヘルムも予想外だったのか驚いたような顔をしている。そしてヴィルヘルムは狂ったように笑い出した。

 

「きひッ―――ハハハハハハハハ、ククっ!アハハハ!アヒャヒャヒャ!面白しれぇ!面白しれぇぞおい!お前を薔薇の夜に招待してやるよ!」

 

ヴィルヘルムが戒から離れ自分の周りに杭の壁を作り出し自分を守り唱え始める。その唱えるヴィルヘルムの背中から少女が出てくる。二人は同時に薔薇の唄を歌い始める。

 

 

 

かつて何処かで そしてこれほど幸福だったことがあるだろうか

 

 

あなたは素晴らしい 掛け値なしに素晴らしい しかしそれは誰も知らず また誰も気付かない

 

 

幼い私は まだあなたを知らなかった

 

 

いったい私は誰なのだろう いったいどうして 私はあなたの許に来たのだろう

 

 

もし私が騎士にあるまじき者ならば、このまま死んでしまいたい

 

 

何よりも幸福なこの瞬間――私は死しても 決して忘れはしないだろうから

 

 

ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ

 

 

死骸を晒せ

 

何かが訪れ 何かが起こった 私はあなたに問いを投げたい

 

 

本当にこれでよいのか 私は何か過ちを犯していないか

 

 

恋人よ 私はあなただけを見 あなただけを感じよう

 

 

私の愛で朽ちるあなたを 私だけが知っているから

 

 

ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ

 

 

創造(ブリアー)

 

 

死森の薔薇騎士(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルト)

 

それが唱え終わると、空間が赤く染まり周りから血の杭が生え、観客の全てで串刺しのオブジェを作り出す。悲鳴を上げる間もなく死んでオブジェと為っていく観客達。戒は瞬時にチトセを守る為に腐敗毒の部屋を作り出す。此処に存在する生命は三人しか存在しない。チトセ、ヴィルヘルム、戒の三人だけだ。

 

「これを使うのは久しぶりだ簡単にくたばるんじゃねぞぉ!お前は吸い殺し甲斐があるからよぉ」

「悪いね僕は死ぬつもりなんてないから勝たせてもらうよ」

 

血の道と 血の道と 其の血の道 返し畏み給おう

 

 

禍災に悩むこの病毒を この加持にて今吹き払う呪いの神風

 

橘の 小戸の禊を始めにて 今も清むる吾が身なりけり

 

 

千早振る 神の御末の吾ならば 祈りしことの叶わぬは無し

 

 

創造

 

許許太久(ここだくの)禍穢(わざわい)速佐須良比給千座置座(めしてはやさすらいたまえちくらのおきくら)

 

此処に二つの創造が激突する。ヴィルヘルムは薔薇の夜。戒は万物の腐敗。それがこのコロシアムでぶつかり合う。己の願いのの強さを競う、使徒同士の一夜限りの戦争が幕を開けた。死森の薔薇騎士(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルト)はこの薔薇の夜に居る人間は全て例外なく生命力をはじめとした力を吸い取られ、吸い取った分だけ、ヴィルヘルムが強化されるというものだ。だが戒から力を吸うということは腐敗毒を吸う事と一緒だ。そんな事はヴィルヘルムも理解している。ヴィルヘルムは一度腐敗毒程ではないが軽い毒を使う相手と戦ったことがある。その時に覚えたのは吸える力の使い別け。例えば毒を吸わずに体力や五感を奪うこともできる。そんな薔薇の森での戦闘は熾烈を極めていた。空間全てから襲い掛かる杭の弾幕にヴィルヘルムからの猛攻、それを戒は泥の兵士を出し盾とするが、泥の兵士には今は腐敗毒を込めていなかったため。ヴィルヘルムはどんどん強化されている戒はそれに気づかない。それは当然だ戒はヴィルヘルムの能力など知りもしない。唯一分かることは無限に血の杭を放射するという事だけ。戒は自分の能力は有利だが、他の情報が圧倒的に足りていない。そう思考する間に、戒の体はどんどん重くなっていく。

 

「どうした!どうした!動きが悪く為っているぞ!」

「聞くけどこの空間かい?」

「さあな、また行くぜぇ!」

 

戒は確信が持てないが、この赤い空間が力を奪っているのかもしれないという考えに至る。戒はそれならと腐敗毒の兵士を出現させてみると。ヴィルヘルムが苦しみ始める。当たりか戒はそれから戦い方を変える。無数の腐敗毒の泥出来た兵士を出現させヴィルヘルムに吸わせていく。ヴィルヘルムは体の中から腐敗をはじめ体の大部分が骨となり地面に倒れる。

 

「終わりか?」

 

戒はそう言うが薔薇の夜は終わっていない。それどころかより紅き夜へと変わっていく。そして虚空から声が聞こえてくる。

 

「俺は負けねぇ!俺は死なねぇ!俺は無敵の吸血鬼だ!」

 

ヴィルヘルムは立ち上がった。体を修復しながら何かを取り出す。それは十字架だ金色の十字架に薔薇の装飾がされている。

 

「あいつにクラウディアを吸った時に誓ったんだ!俺は負けねぇとだから死んでたまるかよぉ!」

 

その十字架を自分に突き刺した瞬間十字架が赤く染まりヴィルヘルムから茨が溢れる。茨には薔薇が咲いており、地面にも薔薇が咲き誇る。薔薇の茨は戒に襲い掛左腕をつかみ抉り取った。茨は腐るがすぐに修復される。その茨は広がっていき、此処一面が薔薇の庭園と化した。地面から襲う茨、空中から無限に放射される杭。絶体絶命その言葉が戒に当てはまる。さらにヴィルヘルムの姿は消えていた否霧と為っていた。吸血鬼には霧に為るという伝承があるそれに沿った能力だ。虚空から杭が飛んでくるそれを何とか処刑の刃で受け止めるが。刃を杭が貫通した。

 

「何!?」

「壊れろ!」

 

戒はその声を聞いた瞬間すぐにレティシアを戻し生身で受ける。襲うのは戦車砲以上の威力の拳、それをもろに喰らい戒は戒は腐敗毒の部屋まで吹き飛ばされる。壁を貫きチトセにぶつかった。

 

「戒!大丈夫か!?」

 

戒は致命傷だ。戦車砲までは耐える戒の体だがそれ以上の威力は耐えられない。戒の体は腹に穴が開き腕は砕けボロボロだそんな戒を揺さぶるチトセその目にはに涙が浮かぶ。そんなところにヴィルヘルムが近づいてきた。チトセはそんな二人に間に立ちはだかり剣を抜く。

 

「ベイ、戒は私の男は殺させない!」

「黙れ餓鬼!だが今は機嫌がいい二人一緒に殺してやるぜぇ!」

 

チトセはヴィルヘルムに向かい剣をのばし何とか攻撃を逸らした。だが剣は砕け蹴りがチトセの腹を捕らえ戒の所まで飛ばした。悲鳴すら出ない。チトセも戒も死にかけている。そんな二人に死の宣告が下せらる。

 

「これで終わりだぁ!処刑人、戦女神!」

 

その時戒が立ち上がる。その一撃を受け倒れない。そのままヴィルヘルムの腕をつか地獄の唄を唱歌い始める。

 

日は古より変わらず星と競い

 

 

定められた道を雷鳴のごとく疾走する

 

 

紡がれる詠唱は歌姫レティシアと同じ物だが、この歌を聴く、レティシアは今は動けない。この一人で歌う死のリフレインは深く奈落のように、何処までも何処までも落ちていく殺意と憎悪の歌だった。その歌にに合わせる様に髪は白く、体は黒く、体からは刃が生えてくる。

 

 

そして速く 何より速く

 

 

永劫の円環を駆け抜けよう

 

 

 

レティシアは歌い、戒の魂の渇望を呼びかけ発動させていたが。そのレティシアは動けない。ならば戒の祈りは何処に届く?

 

 

 

光となって破壊しろ

 

 

その一撃で腐敗させろ

 

 

 

聖杯の奥底――――魂を貯めている地獄そのものの所へ。この世界に存在する。最悪最恐の聖遺物に力をよこせよ吠えているのだ。

 

 

 

そは誰も知らず  届かぬ  至高の創造

 

 

我が渇望こそが原初の荘厳

 

 

その結果に発生するのは、薔薇の夜が霞むほどの極限の異世界、

 

 

 

創造

 

美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)

 

 

 

 

この空間が夜ならば、これはさながら無間地獄

 

 

 

終曲(フィナーレ)

 

無限に凍結し生きるもの全てを腐らせる。永久停止の世界だった。

 

 

 

 




終曲発動!次回に続きます。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。


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第二十六話

処刑人vs串刺し公その勝負の行方は……


爆発する殺意の塊。戒は疾走する。祈りは万物の停止と腐敗、戒は殺意と憎悪をまき散らす暴獣と為っていた。その暴獣の視線ががヴィルヘルムを捕らえ、ヴィルヘルムを時の呪縛に拘束する。

音すら超えて疾走する暴獣の視線はヴィルヘルムを逃がさない。そのまま暴獣は一瞬でヴィルヘルム体を腐敗させる。今まで完全に腐るまで時間に余裕があったが、その腐敗するまでの時間を戒は加速させる。

余裕なんてない。骨まで腐り、出来たのは、穴だらけの肉人形。呪縛が解かれヴィルヘルムを襲うは、痛み、体の消失。それすらも今のヴィルヘルムには関係ない。今のヴィルヘルムの状態は真祖の吸血鬼と変わらず、心臓を破壊するまで死ぬ事の無い殺塵鬼(カーネイジ)

だが死なないといっても驚くことがある。心臓が破壊されていないだけで今のは普通の人間だったら軽く死んでいる。だって気付いたら体の大半が消えていたなど理解できるはずがないのだから、そしてヴィルヘルムは驚愕の声を上げる。

 

「な、んだとぉッ―――」

 

再度暴獣が疾走しヴィルヘルムに突撃する。ただの体当たり。そうただの体当たりの筈だ。それなのにヴィルヘルムを襲ったのは凄まじい衝撃。そして一瞬で背後に移動した暴獣。

視認できたのは体が消し飛ぶ瞬間だけ。ヴィルヘルムは声を出さないが、内心驚愕していた。心底馬鹿げていると。自分の直感で理解できた。

己の敵が行ったのは自己加速。それも音を超える速度で、そんなもの生身の人間が耐えられるはずがない。それを耐えるどころか攻撃にまでするなんてどんな化け物だよと、ヴィルヘルムは心底思う。今の戒を例えるな槍だろう。戒の体当たりは一振りの槍と化している一撃一撃が必殺の槍。存在をありえない速さで抉る必中の槍。人間では避けられない。

 

「ぉぉぉぉおおおおおおお!」

 

ヴィルヘルムは何とかカウンターを狙うが、その全ては空を裂く。容赦のかけらもない追撃に当たらば殺せる筈の一撃は腕一本すら捕らえられない。その姿は子供に遊ばれる虫や玩具そのものだ。無邪気に遊ぶ子どもに壊される玩具の様に連続していく肉体の破壊。ヴィルヘルムは再生が間に合っているのがむしろ痛みを増やしている。そして時々襲う時の呪縛、それが起こると肉は暴獣に生える処刑の刃で切り刻まれる。それは心の臓腑に届かずにヴィルヘルムを殺すことは無い。破壊され切り刻まれる体。骨が腐った。腹が裂かれる。内臓が潰され。戒を認識しようとしてもとらえる事はない。攻撃が空を切り、体は壊れ、奪われ、潰されて、体からは血が、骨が、肉が――――だけどそれでもヴィルヘルムは嗤う。

 

「ヒヒっハハハハハハハハ!」

 

この闘争が楽しいから、負けたくないから、この自分が相手に挑戦する感覚が、堪らなく愛おしいからだ。ヴィルヘルムは思考を変える。当たらないなら当てなければいい。当てる事が出来ないなら、自から捕らえればいい。次の攻撃で確実に捕まえる。また肉が抉られる。僅かほんの僅かだけ暴獣が止まる。連続であの速度を維持するのは不可能だからだ。その隙を絶対に逃さない茨を下から生やし足を捕らえる。

 

「AAAAAAAAaaaa?」

 

暴獣が疑問の叫びをあげる。本能のままに暴れていたら、動けないくなったからだ。其処に飛来する。万を超える血の杭、回避不能の必殺の攻撃。瞬間暴獣が爆せる。黒い泥が周りに広がる。より化け物じみた姿になり、ギロチンが羽の様になり黒い尾が生える。完全に神話の黒龍そのものだ。ヴィルヘルムは歓喜するまだこいつは倒れない。これに勝ちたい。処刑人を倒したい。打倒し吸い殺したい。そんな野望を持ちヴィルヘルムは黒龍に突撃する。主の歓喜に答える様に聖遺物の核たる少女も笑い激しく同調する。それは臨界点に達し、歓喜と殺意の塊が爆発する。大気が空間が極大の殺意に震え悲鳴を上げる。空間が歪みさらに詠唱を重ね掛ける。

 

かつて何処かで そしてこれほど幸福だったことがあるだろうか

 

 

あなたは素晴らしい 掛け値なしに素晴らしい しかしそれは誰も知らず また誰も気付かない

 

 

幼い私は まだあなたを知らなかった

 

 

いったい私は誰なのだろう いったいどうして 私はあなたの許に来たのだろう

 

 

もし私が騎士にあるまじき者ならば、このまま死んでしまいたい

 

 

何よりも幸福なこの瞬間――私は死しても 決して忘れはしないだろうから

 

 

ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ

 

 

死骸を晒せ

 

何かが訪れ 何かが起こった 私はあなたに問いを投げたい

 

 

本当にこれでよいのか 私は何か過ちを犯していないか

 

 

恋人よ 私はあなただけを見 あなただけを感じよう

 

 

私の愛で朽ちるあなたを 私だけが知っているから

 

 

ゆえに恋人よ 枯れ落ちろ

 

 

創造(ブリアー)

 

 

死森の薔薇騎士(ローゼンカヴァリエ・シュヴァルツヴァルト)

 

 

夜は極夜と化し永遠に開けね夜へ変化する。これより先は地獄すら飲み込む終わらぬ夜。覚悟しろ処刑人、簡単に死ぬな。そうヴィルヘルムは嗤う。夜に夜の重ねがけ。戒が地獄のなら、ヴィルヘルム奈落、全てを飲むそれでも有り余る究極のの深淵そのものだ。咲き誇る薔薇は一層綺麗に咲き此処に夜の薔薇園が完成した。しかしこの空間いるチトセは危険だろう。それはもうすでに戒が手を打っている。チトセの周りの空間を凍結させ何事にも影響されない状態を作っているからだ。

 

「どうだどうだ!処刑人!終わらぬ夜に吸われる気分はよぉ!?」

「gaaaaa!?」

 

戒は今、永久に加速を続け時を止める暴獣、否、黒龍だ。それはまさしく狂うほどのエネルギーを発するタンクの様な物。無間に加速する力を糧にこの終わらぬ極夜をヴィルヘルムは維持できる。今やこの世界そのものがヴィルヘルム。黒龍に逃げ場など存在しない。黒龍は飛翔する宙を飛び死者の魂を集める。出来たものは魂の塊それを飲み込み吐き出した。放たれるのは極大の波動砲。命を喰らい森羅万象を腐敗させる最悪の攻撃。それは音速を超え神速に達し。ヴィルヘルムは直撃する。腐敗が今までの比にならないぐらい一瞬で進行すし、今まで吸った魂までもが一気に奪われたのだ。だがそうやすやすとやられるヴィルヘルムではない。波動砲が当たる直前に杭を飛ばしていたからだ。両者は声にならない悲鳴を上げる

 

「―――――――――――!」

「gaaaaa――――――!」

 

魂がある限り無限に強化され、加速し、より強靭になる黒龍。エネルギーを吸い続け、自らを強化するヴィルヘルム。まさしくイタチごっこの状態だ。しかしヴィルヘルムが黒龍に追いつくことは不可能だ。どんなに自分を強化しても無限に加速し続ける黒龍に追いつけない。ならばこれは消耗戦。黒龍の魂が底をつくかヴィルヘルムの強化が追い付かなくなるまでこの戦いは続く。戒は今は本能のみで敵を殺そうとする黒龍だ。ただ己の敵を一刻も早く殺す。それしか今の戒の中には無い。砕けていく互いの肉体。ヴィルヘルムは杭を放ち黒龍は切り裂き砲撃を放つ。この戦いはもはや人間には理解できない。完全に神話の再現。人が龍を打倒する英雄譚。互いには譲れぬ思いがある。龍は少女の為に吸血鬼はかつての誓いの為に。しかしそれは唐突に起こった。ヴィルへルムが唐突に苦しみ始める。

 

「オゴッガッギィィィィ――――—―ッ」

 

ヴィルヘルムは吸ってしまった聖杯の一部をそれだけで自我が崩壊しかける。何だこれは?怖い俺は誰だ?どれも初めて感じる感情ヴィルヘルムの動きが止まった。その瞬間ヴィルヘルムは脱力してしまい。その隙に黒龍がヴィルヘルムの時を止め。ヴィルヘルムを蹂躙する。片腕を捥ぎもう片腕を噛み千切り。両足を断絶して。四肢を失った胴体を二つに両断する。そして時に呪縛が解かれた。

 

「――――アァァァガァァァァ!」

 

それでもヴィルヘルムは生きている。四肢は無い、反撃はは不可能、黒龍は目の前。速度は神速。脳内を掛けるのは己の死。絶命の一撃はここにやがて両者の影は一つとなった。

 

「捕まえたぜ処刑人!」

 

影が重なる瞬間に薔薇の茨を黒龍に絡ませた。黒龍はそれで停止する。黒龍は逃げようと動くがヴィルヘルムが言う。

 

「おおっと、もう遅ぇ」

 

茨より生える杭が黒龍を固定する。そしてヴィルヘルムは勝利の宣言をする。

 

「俺の―――――――勝ちだァァァァァアアアアアァァァッッ!!」

 

今までで一番巨大な杭による必勝の一撃。黒龍は避けられない。勝ったそう確信した―――――――――――――――――――――確信した筈だった。次の瞬間ヴィルヘルムの胸には処刑の刃。必殺の杭は黒龍の胸に刺さったが心臓には届かなかった。

 

「ははは、撃ったんだぞ、あたったんだぞ、なんで倒れねえんだ、ありえねえだろ。かはは、俺の負けか、処刑人お前の勝ちだ。誇れよ」

 

そうヴィルヘルムは笑い。黒龍の泥はヴィルヘルムを飲み込んだ。飲まれる瞬間の顔はとても穏やかだった。そして黒龍は勝利の咆哮を上げる。

 

「gaaaaaaa!!!!」

 

 

そのまま黒龍は力尽きその場に倒れる。夜の支配者と、処刑人が倒れ終われぬ夜とチトセを守る時の防壁は解除される。チトセは解除され動けるようになった瞬間、戒に駆け寄った。

 

「戒!戒!大丈夫か!?」

 

それに戒は答える事はできない息が止まりかけているからだ。脈も弱いチトセはこのままではまずいと悟ったチトセは口を戒に合わせ人口呼吸をする。その時コロシアムかの入り口からチトセの部下が入って来る。

 

「隊長!無事ですか!戒の坊主も!」

「マルコ!早く戒を運んでくれ!」

「隊長、戒の坊主はまずいですね。お前ら坊主を早く運べ!」

 

その後、戒は部下に運ばれ一命をとりとめた。

 

 

 

 




チトセ編は次回で最後。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。


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第二十七話

この話でチトセの話は終わりです。


それから三日間戒は目を覚まさなかった。大丈夫だろうか?だが治療は完璧の筈だ。そんなことを考え今日も戒の看病をする。服を脱がし汗を拭き、包帯を変える。そんな事をしていると夜になっていた。流石に少し疲れたな三日間ずっと看病してたら少し寝るか。あれ今何か戒が光ったような気がするぞ、疲れているのか?いつの間にか戒の横に白髪の少女が居た。うん私は疲れているんだ。だって人がいきなり現れる訳ないしな。はは気のせいだ。さっきから私の肩を叩いているけど気のせいだ。

 

「ちょと貴方無視しないでよ」

「ああもういいや」

 

もういいやこれは現実だ。事実ここに少女は居るし、あの戦いの後だこんなことで驚くことは無いしな。少女は私に不思議そうに聞いてきた。

 

「何がよ?」

「気にしないでくれ」

 

そうだ気にしなくていい。そもそもこの少女は何者なんだ?勿論さっきまでいなかったし、何より戒から出てた。私には訳が分からない。

 

「お前は何者だ?」

「私?レティシアよ」

「知っているのが当たり前の様に言わないでくれ。何より私達は初対面だろう」

 

そうだ私はこんな少女にあった事は無い。それにこんな綺麗な見た目の少女一度見たら忘れないだろうしな。

 

「私は初対面じゃないわよ。だって戒の中から見ていたからね」

「そうなのか?だがまずは整理させてくれ、レティシアは何者なんだ?」

「私は戒の武器よ、ほらあの黒い刃覚えているでしょう」

 

黒い刃あれしかない。あの刃はこの少女なのか?信じられないが、信じるしかないだろう。ここ最近は信じられないことが多すぎる。ヴィルヘルムの作った夜や戒がなった龍もあるこの少女が武器など些細なことだろう。

 

「それで私に何の用だ?」

「貴方にお礼をしにきたの」

「礼だと何のことだ?」

「戒の事看病してくれたことよ」

「その事か礼はいい。私が勝手にやった事だからな」

「それでも感謝するわありがとうね」

 

なんか嬉しいな改め礼を言われると。でも戒に言われたいな。それより戒はいつ目を覚ますんだ?もう三日も何も食っていないのはさすがに危険だぞ。レティシアに聞いてみよう。

 

「レティシア、戒はいつ目を覚ますんだ?」

「もう少しで起きると思うわよ」

「それはよかった。それにしても、何故三日も目を覚まさなかったんだ?」

「それわね、私に穴が開いたからよ。使徒と聖遺物一心同体。私がダメージを受ければ、戒もそれ相応のダメージを受けるそうなっているの。でも戒は流石ね。私に穴が開くという事は体に穴が開くと同じなの。それを三日でか動けるようになるんだから」

 

そうなのか、なら戒は戦いながら武器が砕ければ死ぬリスクを背負っているのか。致命的だな。それなのに私を守る為にあんな危険を冒したのか。異常だ。誰かの為に戦うということは普通出来ない。普通の人間は自分が一番だ。それなのに他人の為に命を捨てに行くなど、普通の精神ではない。私が言える事ではないが、あの歳でそんなことができるなんて何かあったんだろう。

 

「レティシア戒はどうして命を他人の為に捨てられる?」

「そんな事?戒はね少し自己評価が低いっというより自分の事が頭にないの。なんか違うわね、戒は自分の事を屑だと思っている。腐った父親から生まれた自分は魂まで腐っている屑だと」

「普通そうならないだろう。それに痛みに強いの何でだ?」

「それは戒は父親に虐待されていて痛みを無意識に消すようになっているの。これは言わないでね」

 

そんな事が……戒はそんな状態で生きているのか。私はそれを救いたい。身勝手かもしれないだけど私は戒を助けたいな。だが方法が分からない。

 

「そうだチトセ貴方戒のこと好きでしょう?」

「そうだがどうした?」

「普通に言うのね。つまんないわ」

「それは悪かったな」

 

 

我ながら惚れやすいと思うが、私は戒に惚れているだろう。私に初めて勝った男だし、命懸けで守ってくれた。女なら一度は憧れるだろう。それを戒はやった。ありきたりだがそれで惚れた。

 

「そんなに分かりやすいか私は」

「ええ、分かりやすいわよだって異性に躊躇なく、人口呼吸出来るんだもん。嫌いな相手だったら出来ないでしょう」

 

そういえば私は戒にキスを……恥ずかしいぞ。待てよ、ファーストキスか戒もそうなのか?そうだったら嬉しいな。

 

「そうか戒も初めてなのか?」

「何がよ」

「キスだ」

 

そう聞くが、私の顔は凄く赤く為っているだろう。やばい熱いぞ。私は何とか平常心を保とうとする。そしてレティシアの答えを待つ。

 

「確か初めてよ」

「そうか」

 

やばい嬉しい。待ってくれ、こんな嬉しい物なのか。どうしよう今までこんな気分になった事無いぞ。私は顔に出さないが内心とても喜んでいる。

 

「そうだ戒が起きると思うから食事持ってきてくれない?」

「良いぞ少し待ってろ」

 

私が食堂に食事を取りに行く食堂には部下達が居た。マルコが私に話しかけてくる。何の用だろう。

 

「隊長、戒の坊主は起きたんですか?」

「ああそろそろ起きると思うから食事を取りに来たんだ」

「そいつよかったですぜ。後で俺らもなんか持っていきますね」

「それは助かる。ありがとうな」

 

私が食事を持って部屋に戻る。部屋の中からは戒の声がする。ノックをして私は部屋に入る

 

「邪魔するぞ」

「お帰りチトセ。食事は持ってきた?」

「あるぞ栄養食だ。寝起きには丁度いいだろう」

「ありがとうチトセ。置いといてくれ」

 

そう言われるだけで私は嬉しい。持ってきたかいがあったというものだ。

 

「戒話を戻すわ。もう終曲は使わないでくれないかしら」

「そう言われても、ヴィルヘルムと戦っている途中から記憶がないんだけど。僕は勝てたのか?」

 

話を聞く限り、あの姿の戒は記憶がなかったらしい。その方がよかったのかもな。

 

「勝ったわよ。でもその時に使った技が終曲。多分私が封じているからもう使えないと思うけど、一応言っておくわ使わないでよ」

「分かったよ使わないどんな技か分からないけど」

 

戒は納得がいかないといった感じで返事をした。

 

「この話はこれで終わりよさあ食べましょう」

「そうだね」

 

今がチャンスだ。食べさせてあげて好感度アップだ。

 

「戒は寝起きだろう私が食べさせてやろう」

「別にいいよ」

「いや駄目だ」

「大丈夫だって」

「駄目だ!」

 

戒は降参のポーズをしておとなしく私に従った。良い子だ偉いぞ。そうだ戒はいつまで此処に居るんだろうか?気になるな。

 

「戒はいつまで此処ににいるんだ」

「確か夏の間までだよ」

「そうかあと一週間ぐらいあるな。戒戦わないか?起きたばっかりだし、体を動かした方がいいだろう」

「それもそうだねよろしく頼むよ」

 

その後戦ったが案の定私が負けた。残りの一週間あるごとに理由をつけ戒と戦った。一戦交える度に私は強くなるのを実感する。一週間が経ち、いつの間にか戒が居ななっていた。どうしてだ?帰るなら挨拶ぐらいしてもいいだろう。マルコに戒の事を聞くと答えてくれた。

 

「隊長。戒はなんか次の任務が入ったらしく、すぐに帰りましたよ」

「そうかなら仕方ないな。だがな戒、私は逃がさないぞ待っていつか日本に私は行くぞ、それまではさよならだ。そうだマルコ好きな男を落とすにはどうすればいい?」

「誘惑すれば、一発ですぜ隊長は俺の嫁にも負けていませんから」

「そういばお前は既婚者だったなどっちから告白したんだ?」

 

私はマルコと話しながら基地に戻っていく基地に戻り他の部下にも戒をどうやって落とすか聞いたりもした。部下達も盛り上がっていた隊長に春が来たなどとこの頃は楽しかったな。また戒と任務を受けたい。

 

 

私は目を覚ました。ああ戒と出会った日の事を夢に見ていたらしいこれを見るって事はもうすぐ戒と会えるのか楽しみだな。戒の居る小学校には転校手続きも済ませている。絶対に会えるだろう。あったら何をしようか?そうだ自己紹介の時にでも戒は私のものだと宣言でもしよう。戒の事だモテていると思うからな。

 

 

 




次回なのはのターン。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。そうだまだまだリクエストは受け付けています。


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第二十八話

なのはさんヒロイン回は次回になりましたすいません。


今日は日曜日だ。昨日はとても濃い一日だったな。新しい仲間アンナも増えたしフェイト達も仲直りしたし。でもなのは達からいろいろ聞かれるんだろうな憂鬱だ。でも今日はレティシアはこの部屋に居ない勝った。なのはの拳を喰らわずに済む。今ならわかるけどあれ魔力を纏ってたんだね。それを考えるとシューピーネあの糸攻撃は魔力を纏っていたのか、普段なら腹を抉られるだけじゃ倒れるはずはないから。嗚呼でも今日こそなのはにお菓子を作らないと、心配させちゃったみたいだから。でも今日はレティシアのがベッドにはいないこれだけで僕に降りかかる理不尽な暴力は来ないんだ。あれ本当に痛いから、僕は布団を出ようとすると何か柔らかい感触が僕に当たっている。僕は嫌な予感がして横を見ると、隣にはアンナが居た。あるぇーおかしいぞー。もう一回確認しよう。隣にはアンナが居た。ははは、またこのパターンか。僅かな希望を持ってアンナに念話をする。アンナ聞こえる?

 

”おはよまいすた。どうしたの?”

 

アンナいつもの経験から分かるんだ。この後に僕はなのは達から攻撃が来る。それを塞ぐ為に今すぐ狼の姿に戻ってくれ。

 

”いいよー”

 

今度こそ完全に勝った。これなら僕は攻撃されないんだ!ふはははははは僕の勝ちだ!着替えよ。なんか変なテンションになっていた。アンナちょっとなのは達を起こしに行ってくれないか?

 

”ヤヴォールまいすた任せてよ”

 

着替えが終わり僕は下に降りる。なのは達のことだろうまだ起きては来ないと思うから今のうちに朝ご飯を作ったりしきゃな。今日はオムライスでいいだろう。僕は八人分のオムライスを作り皆を待つ。一番最初に降りてきたのは桃子さんだ。

 

「おはよう戒君。今日はオムライス?」

「そうですよおはようございます。桃子さん座ってください」

「そろそろ士郎さんも来ると思うからコーヒー入れるわね戒君も何か飲む?」

「ホットミルクでお願いします」

「分かったわ。今入れるわね」

 

そうだ今度アンナを使わないとまだ僕は魔法全然使ってないからね銃はあまり使ってなかったから頑張ろう。なのは達が降りてきたアンナも居る。ちゃんと起こしてくれたらしい。後で何か上げようお菓子でいいかな?

 

「おはようなの戒君」

「おはよう戒」

「おはようなのは、アリサ」

 

二人は席に座り、三人を待つ。恭也さん、美由紀さん司狼んさんの順で降りてきた。こんな大人数で食事するのはなんか給食みたいだな。

 

「そうだこのオムライス戒が作ったの?」

「そうだよアリサ」

「そうなんだ。美味しいわよ戒。ありがとね」

「そう言ってもらえるのは嬉しいよ」

 

僕はそう言ってもらってとても嬉しかった。料理の練習してよかったな。

 

「なのははどう美味しい?」

「うん美味しいよ、戒君」

「よかったようまくできて」

 

うん美味しくできてよかったな士郎さん達も美味しいって言ってくれて良かった。作ってよかったなアンナの分もあるからね後で食べようね。

 

”やったーまいすた一緒に食べようね!”

 

うん後でねアンナはドイツ料理でいい?今練習しているんだ

 

”ドイツ料理?分からないけど嬉しいなー”

 

うん。グラーシュっていう料理を作ってあげるよ。待っててね

 

”うんその後魔法の練習しよー”

 

僕もそのつもりだったしいいよ。そんな時別の念話が届く。

 

”ハローみんなのアイドルレイジングハートです!なんか違いますね?今のは忘れてください、ともかくマスターなのはのデバイス、レイジングハートです。以後お見知りおきを”

 

ハハハおはよう。レイジングハートでいいのかな?

 

”レイちゃんでもいいですよー。やめときましょうこのテンション飽きました”

 

じゃあレイジグハートて呼ぶね。それでいい?

 

”おkですそれでいいですよ、そのデバイスは名前はなんて言うんですか?”

”私ー?私はアンナだよー。よろしくねお姉ちゃん”

”お姉ちゃんですか?いいですねこれからはお姉ちゃんと呼びなさい”

”ヤヴォールお姉ちゃんよろしくねー”

 

アンナとレイジングハートは仲良くなったみたいだ。でも何でお姉ちゃん?それにレイジングハートは具現化できるの?

 

”出来ますよ私最新型ですから!ふふーん凄いでしょう。後でマスターにも見せますからその時一緒に見せますよ”

 

そうなんだ楽しみにしておくね。

 

”私の美貌を見せて度肝を抜いてあげますよ”

 

そんな事もあり食事も終わり士郎さんとなのはにアリサ、アンナにユーノ、レティシアを連れて河原のグランドへ向かう。到着すると既にそこにはすずかが待っていた。すずかは僕達を見ると話しかけてくる。

 

「みんなおはよう」

「おはようすずか」

「すずかいい朝ね」

「おはよう今日もいい天気ねすずか」

「おはようなのすずかちゃん」

 

僕達は昨日の事を話したりしているといつの間にか試合が始まっていた。だけど始まったばかりの様でどっちのチームも0点だった。その後は特に何事も無く試合が進み。翠屋JFCのキーパーのスパーセーブをもあり2-0で勝利をした。凄いキーパーだな何回もシュートを打たれたのに全て防いだからだ。勝利後、翠屋での食事会があり同伴することになった僕達はケーキを食べながら改めてすずか達に魔法の事や昨日僕がどこに行ってたのかを教える。するとすずかが気になった事があるらしくなのはと僕に聞いてくる。

 

「戒君もなのはちゃんも魔法ってやつ使えるんだよね。私も使えるのかな?」

「どうなのユーノ君?すずかちゃんは使えるの?」

(リンカーコアがないから使えないねごめん)

 

なのははユーノが言った事を紙に書きすずかに伝える。すずかはそれを見て少し残念そうにしている。

 

「それに戒、聞きたいんだけど?」

「何だいアリサ?」

「あの力は何なの?」

 

レティシアの事かなんて説明すればいいの?どうしようレティシア?

 

(普通に昔から僕に宿っていたっていえばいいじゃない?)

 

それでいいかな。僕はレティシアに言われたことをそのまま伝えるとアリサは納得していないようだが聞くのをやめてきた。食事会をも終わり翠屋JFCは次の大会での勝利を使い解散した。今日活躍したキーパーが何かを取り出した。一瞬だけ魔力を感じた気がしたが気のせいだう。それに今日は疲れているからあまり厄介事を増やしてほしくないし。なのはも何か感じたらしいが何も起こらなかったので気のせいだろううと割り切った。それにしてもなのはなんか疲れている様子だけど、昨日抜け出したりしてないよね聞いてみよう。

 

「なのは昨日夜抜け出したりしてない?」

「しっしてないよ」

 

絶対抜け出しただろう。レティシア後で何でも言うこと聞くから教えてくれない?

 

(言ったわね。今度デートしてもらうわ)

 

「なのはは昨日抜け出していたわよ」

「レティシアちゃん戒君の写真で口止めしたのに!」

「それより戒の交渉がうまかったのよ諦めなさい」

 

ユーノ昨日確認しなかったのかい?

 

(ごめん僕も魔力使いすぎてて動けなかった)

 

それなら仕方ないけど。なのはには強く言っておかないと

 

「なのは次からは僕も連れて行く事。僕はレティシアにアンナもいるから戦えるよ」

「はいなの。戒君ごめんなさい」

 

僕達はそこでアリサ達と別れ家に帰った。なのははやはり疲れている様で部屋に帰ってしまった。僕はユーノを呼び道場の裏に行き結界を張ってもらって。アンナを銃に戻す。

 

「ユーノデバイスってどう使うんだい?」

(まずはセットアップして。強い服を思い浮かべてみて。戦闘形態はもうそれでいいから、強い服、バリアジャケット自分に合った服でいいだよ)

 

強い服って言われても。イメージがわかない。アンナ良い案ないかい?

 

”まいすたこんなのどう?”

 

任せるよ僕分からないからアンナのおすすめでお願い。

 

”ヤヴォール、まいすたにはこれが似合うと思うよ”

 

その瞬間僕の服が変わり黒い軍服を纏っていた。何だろう凄いしっくりくる。ありがとねアンナ

 

”ふふーん凄いでしょ!”

 

うん凄いね。その後は魔法の練習をしてみたが出来たのは魔力を打ち出すことだけだった。予想以上に疲れたな。少し休もう。そうして部屋に戻ろうとすると地震の様な物が発生し、町の方から巨大な木が生え出した。

 

(ジュエルシードが発動した!戒なのはを呼んで封印しに行くよ!)

 

「了解呼んでくるね!」

 

僕はなのはを呼びに家に入った。なのはは寝ていたので。可哀想だが強引に起こすと。

 

「戒君もうごはんなの?」

「違うよなのはジュエルシードが発動した速く行くよ!」

「分かったのレイジングハートセットアップ!」

 

”おkですマスターセットアップ”

 

僕達はそのまま家を出て町に向かった。

 

 

 

 




関係ないけどアンナ可愛くない?良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。


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第二十九話

魔砲少女の誕生だ!


僕達は急いで町に走る。このままで被害が大きくなるからだ。町に着くと、町は巨大樹に侵食されてとても酷い状態になっていた。ジュエルシードにはこんな力があったのかでもシュピーネはこんな力発揮できてなかったぞ。おかしくない?ユーノジュエルシードって発動に個人差があるの?

 

(分からない。でも強い思いを持った人間が発動させた時、ジュエルシードは一番強い力を発揮するから)

 

一番強くてあれなのかシューピーネェ、なんか哀れに思えてきた今僕の中に魂だけあるシュピーネなんかごめん。そう言えば最近聖杯使ってなかったな死者の兵隊使わないと鈍るからな、今度模擬戦してもらおう。今はそんなこと考えている場合ではないな早くジュエルシード封印しなきゃ被害が拡大する。なのはが暗い顔をしているどうしたんだろう?

 

「なのな大丈夫?」

「戒君どうしよ私のせいで町が!」

 

なのはは今にも泣きそうな顔でそう言った。何でなのはのせいになるんだろうなのはは全く悪くないのに。

 

「なのはどうして君のせいになるんだ?」

「だってジュエルシードがあった事に気付けたのに……疲れていたからって無視しちゃった」

 

そういう事か、正義感の強いなのはの事だ自分のせいだと責めるだろう。僕も気付いていたのに無視したからなのはだけ悪い訳ではない。それを伝えるとなのはは。

 

「でも私がもっと早く男子にそれは危険だって教えればこんな事にはならなかったのに」

「なのは自分を責める前に今は封印しようこれ以上被害を増やすわけにはいかないから」

「分かったの今すぐ封印しよう」

 

(待って二人共どうやって封印するの場所が分からないよ)

 

そう言わればそうだ場所が分からないどうするんだ?方法としてはこの木々を全て腐敗させればいいだけどそれだと建物まで腐敗させるかもしれないし。全部木を切るか?それは時間がかかるそんな時になのはから魔力が溢れ出した。

 

「戒君、探索魔法を使うの」

 

探索魔法そんな便利なものが有るんだな。なのはは探索魔法を使って核を見つけたらしくだけど相当と遠いらしくユーノも封印するには近づかないとなどと言っている。そんな時自分たちが乗っているビルの下から木が急に生え出した。僕達が急いで空を飛びそれを避ける。しかし木は魔力を感知できるようで僕達に向かって伸びてくる。

 

「ユーノこれはどうい事だ?」

(多分ジュエルシードの防衛機能だろう封印されない為に僕達を殺そうとしているんだと思う)

「分かった。なのは君は封印しに行って僕は足止めするから」

「戒君大丈夫なの!?」

「大丈夫僕は強いから」

 

なのはに迫る木の槍を、僕はアンナを使い。木を凍らせる。僕の魔力はフェイト電撃と同じで魔力を自然に物理エネルギーに変換できるらしいアンナが教えてくれた。そのおかげか僕の魔力弾は当てるだけで相手を凍らされる。この能力は相当便利だ。今までだと僕の能力は相手を殺すことに長けていたが、これなら相手を捕縛する事もできる。僕が木の相手をしているなかなのはがレイジングハートに話しかけている。

 

「レイジングハート、こういう時は如何したらいいかな?」

”マスターこういう時は砲撃魔法を使えばいいです”

「砲撃魔法、どうやるの?」

”少し待ってくださいマスター今姿を変えますので”

 

そうレイジングハートは言い姿が変わる

 

”ひゃはー私の新形態!シューティングモード爆誕!見せてあげますよー!マスター今から呪文を言ってください”

「呪文て言われたも分からないよー」

”簡単ですよ。ディバインバスターでいいです。前にも言いましたが長い呪文苦手です”

「分かったのディバイン」

”しゃー!魔力送られえ来ました溜まってますよどんどん私に注がれていきます!あ今卑猥に感じた人、後でジュース奢ってください”

「バスター!」

 

そしてピンク色の砲撃が核のある場所を消し飛ばしジュエルシードを強引に封印した。怖っ!なのはには逆らわないようにしよう。僕というより使徒は魔力に弱いからこれを受けたら僕でも死ぬかもしれない。なのはは怒らせないそう誓った。ジェルシードが封印されたことにより木が消滅し僕に迫る木の槍も無くなった。一先ずこれ以上は被害は広がらないだろう。封印が終わるとなのはがしゃがみこんでしまう。

 

「どうしたのなのは?」

「戒君やっぱり私がもっと早く気付けば町は壊れなかったのかな?」

「それは分らないよでもなのはが気にする必要はない誰が悪いなんてないんだから」

 

でもさ僕は一つ心配な事があるんだあの砲撃を受けた子達は大丈夫かな?絶対怪我だけじゃすんでないよね。レイジングハート大丈夫なの?

 

”心配ありません、基本私は非殺傷形態ですかラ怪我はないと思います”

 

それならいいけど、大丈夫なのか?僕は遠くを見るとあのキーパーが怪我したのかマネージャーに肩を借りている。あははやっぱり怪我しているのか可哀想に。なのはもその光景が見たのか心を痛めている様だ。なのはは疲れているのか柵に寄りかかっている。僕はなのはの肩を叩き言う

 

「ちょっと戒君いきなり何するの?」

「なのは帰るよ。みんのも心配していると思うから早く帰ろう」

「分かったの戒君。ユーノ君も帰るよ」

(分かったよなのはに戒)

 

帰ろうとするとレイジングハートがなのはの周りをまわりはじめ光り出した。

 

「レイジングハート?」

 

”この暗い空気をぶち壊すのはこの私レイジングハートだ!”

 

そうテンションを上げ言うレイジングハートはそのまま姿が変わり金髪のアホ毛が生えている少女が現れた。そして。その場で回転してポーズをとり。

 

「いつもニコニコマスター仕える天才デバイス、レイジングハートです!どうですか?マスターに戒。私のパーフェクトボディは凄く美少女でしょう。最強ですよねー!。ほらアンナも出てきなさい!」

 

”はーいお姉ちゃん今行くねー!”

 

そうアンナも言い。僕の腕から飛び出した。そして空中で人型に変身して。

 

「お姉ちゃんの真似だけど。いつも殺戮まいすたの敵は皆殺し狼型デバイスアンナだよー。私参上!」

「アンナもきまってますね、よくやりました」

「えへへ褒められたー」

 

えっと何これ?僕は混乱している。なのはも混乱している様で目が点になっている。一分ほど経ちなのはが言った。

 

「えっと誰なの?」

「えー酷いですよーマスター。私ですレイジングハートですよ」

「本当なの」

「嘘ついてどうするんですか?ならマスターが隠し持っている、戒の写真の場所でも言いましょうか?」

「それはやめてー!」

 

レイジングハートはそして勝ち誇ったような笑みを浮かべる。それどころか実際に「勝った」とどや顔で言っている。その後はみんなで家に帰り途中でレイジングハートは宝石に戻りアンナは狼に戻った。いきなり知らない少女を二人連れて行ったらビックリするしね。今日はそのままみんなの分のお菓子を作り皆で食べて一日が終わった。

明日もまた学校、土曜日も日曜日も本当に濃い日だったな。

 




レイハの見た目はニャル子さんです。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。それと卑猥に感じた人後でレイハさんにジュースね。リクエストはまだまだ受け付けておりますので活動報告の所にコメントしてください。一度リクエストした人もいいですよ。


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第三十話

「私のこと馬鹿だと思ってませんか皆さん?残念ででしたー私は高性能デバイスですからミスなんかありませーん。え感想欄?なっなんのことですか」


今日は早く起きてなのはとレティシアと学校に向かう。商店街を通るといつもお世話になっている。店の人から挨拶される。こう改めて考えると僕も海鳴市に馴染んきたな。学校に着くと先生以外は誰も居ない教室の掃除をしてアリサ達を待つ。暫くなのは達と待っていると一アリサが来た。

 

「おはようございます先生、あれ戒になのはとレティシア?今日も負けたのね、今日は早く起きたんだけど」

「今日も私の勝ちね精進しなさいアリサ」

「レティシちゃん戒君に起こされただけだよね」

「なのは黙りなさい」

 

このやり取りも見慣れた光景だ。てことはそろそろすずかも来るな。

 

「先生おはようございます。ってみんなやっぱり速いね。戒君先生は?」

「なんか今日転校生が来るらしくてそれで忙しいんだって」

「へーどんな子だろうね」

「女の子だってまたクラスが騒がしくなるよ」

「それもそうだねうちのクラス騒がしいから」

「あははそうだね」」

 

それから時間が経ちホームルームの時間になった。クラスのみんなも揃い、転校生が来る話で盛り上がっている。あちらこちらでいろんな話題が上がっている。例えばこれだ。

 

「隊長今回の転校生は女子です美少女ですか!?」

「ああ俺が手に入れた情報によると眼帯ッ娘だ。そして黒髪美少女だ」

『ヒャッハー美少女だ!』

 

こんな感じだ。いつもこんなテンションだそれに対抗してかレイジングハートからの念話が飛んでくる。

 

”なに私も負けていられません!なこで具現化してレイハさんアタックを見せてあげましょう!”

 

やめて絶対にカオスになるから。そんな感じで盛り上がっていると先生がやって来る。

 

「おーす。お前ら知っていると思うが転校生が来るぞお前ら質問考えておけよ」

『はーい』

「じゃあ入ってこい」

「分かった」

 

あれこの声凄く聞いたことがあるぞ、てかチトセにしか聞こえないんだけど

 

「諸君!私はチトセだ。チトセ朧アマツだ。よろしく頼む」

 

わーやっぱりチトセだー前会った時より少し背が伸びている、当たり前か二年ぶりに会ったんだし。だけどこの後凄く嫌な予感がするんだ。クラスの皆はチトセを見て盛り上がっている。

 

「やったー美少女だ!」

「付き合ってください」

「イカ飯が食べたい」

「諸君私は美少女が好きだ」

「ジャックかな?」

「ちくわ大明神」

『誰だ今の!』

 

やはり変なテンションだな。僕は嫌な予感がするから顔を伏せている。

 

「そうだ藤井戒は居るか?」

「戒に何の用だ?」

「また戒か」

「ふふちょっと昔の借りを返すだけさ」

「まさか初めて見る戒の敵か?」

「チトセ様ここに戒は居ます!」

「ありがとうな、感謝するぞ」

 

 

ゆっくりと死神の足音が聞こえてくる。一歩一歩また近づいてくる。チトセが僕の前に立ち、とても楽しそうな声で言った

 

「戒なぜ顔を伏せているんだ?」

「嫌な予感がするからだよチトセ」

「大丈夫だ立ってみろ」

 

僕は嫌な予感がするが言われてと通りに立ってみると。一瞬で僕の眼前に立っていたそして

 

「んっ――――――はぁ」

 

僕とチトセの唇が惹かれ合うように重なった

 

「ふぁっ!」

 

変な声が出た。ちょま、え?何これ僕が混乱していると僕の口内は蹂躙される。貪るように交わされる口づけ。全く訳が分からない。絡む舌に頭が白くなる。あかんこれもう無理。息できない。

 

「なんでや」

 

最後にそう言い、僕の意識はそこで奪われた

 

 

 

~~~~~~~~~

 

私達の目の前で信じられないことが起こった。あの時助けてくれたチトセさんが転校してきたと思ったら戒君にキスをそのまま戒君が気絶したクラスの皆も唖然としている。最初に我に返ったのはアリサちゃんだった。

 

「ちょちょっと貴方何して!?戒が気絶してるけど貴方いきなり何して!?」

 

アリサちゃんが何言っているか分からない?私も今喋ったら何を話すんだろうか?クラスの皆が我に返り。

 

「修羅場が展開されるぞ!皆逃げろ!」

「隊長!無理です今は他のクラスが授業中です!」

「なら戒を連れて行け異端審問を開始する。先生戒を保健室に連れて行きます!」

「いいぞ気を付けろよ」

 

カオスなの。戒君が男子たちに担がれ連れて行かれる。先生も何かつこっもうよ。その後ろでアリサちゃんとチトセちゃんがが対峙している。

 

「貴方戒にいきなり何するのよ!」

「ただ私のものと証明しただけだぞ?何かおかしいか?」

「おかしいわよ!」

 

アリサちゃんは御乱心だすずかちゃんに至っては。あれあれと、それしか喋れなくなっている。レティシアちゃんは凄く面白そうに笑っている。そして先生は何事も無かったように授業を始めようとする。

 

「じゃあ今日の学活は転校生の質問で時間潰すぞー。やること特にないからな」

「はーい先生」

「先生戒君達は?」

「ほっとけすぐ戻って来るだろう」

 

この先生も適当なの。質問の時間が始まりクラスの皆はチトセさんに質問をする。例えばこんな質問があったの。

 

「戒君といつであったの」

「それは二年前の夏だ」

「その時何があったの」

「私を女にしてくれた」

 

などと盛り上がっている。戒君チトセさんに何したの完全に戒君に惚れているよ。質問の時間も終わり戒君が戻ってきたその後は体育で交流会としてドッチボールをやることになった戒君とチームは私戒君アリサちゃん、すずかちゃんレティシアちゃんチトセさんに。すずかちゃんが敵チームか辛いな。試合が開始して。すぐに私はアウトになった。すずかちゃんの球が速すぎる。

 

「ふはははは!戒よ私のボールを受けるがいい」

「遠慮したいなー」

 

などと軽口を交わしながら戦争の様にボールを投げ合っている。怖い。その二人の余波で何人もの人が巻き込まれていった。ご愁傷様なの。残りグランドに三人戒君チトセさんずずかちゃんだけだ。あの中で生き残るすずかちゃんは流石だそして最後まで勝負がつかないまま試合は終わった。その後の授業はいつもと変わらずに終わったの。

そして帰る時間になり皆で帰る。一緒に帰る人も増えたな。戒君はチトセさんに絡まれている。こんな感じに。

 

「どうだ戒私の私服は似合っているだろう!」

「そうだね綺麗だよ」

 

戒君は躊躇なくそういうから困るの。それで今までどんだけの女子が玉砕したことか。家に着くと見知らぬ靴が置いてあった。誰のだろう?お母さんに聞いてみよう。

 

「お母さん誰か来てるの?」

「そうよなのは戒君にお客さんみたい」

「僕ですか誰だろう?」

 

戒君と一緒に居間に向かう。レティシアちゃんは眠いからと言って部屋に戻っていった。居間には金髪のツインテールの女の子が居た。あの時監視カメラに映っていた子だ。何の様だろう?

 

「戒遊びに来ちゃった邪魔かな?」

「全然大丈夫だよフェイト。今日はこの後、暇だしね」

「戒君、誰なの?」

「なのはは初対面だね、この子はフェイトテスタロッサ僕の友達だよ」

 

フェイトちゃんというらしい。私はこの時思ったまた知らない子が増えたと。戒君とフェイトちゃんは自分のへうやに行った私はその後に着いて行く。レイジングハートこの子はデバイス持ってるの?

 

”そうですねレイちゃんセンサーによると持ってますね私と同じ型のを”

 

そうなんだ。後で見せてもらおう。戒君の部屋は相変わらず綺麗だ変わった事があるならアンナちゃんが居る事だろう。フェイトちゃんと戒君は楽しそうに談笑している。ずるいなあの場所は私の居場所なのに。

 

「アンナ二日ぶりだね」

”そうだねフェイト”

「また撫でていいかな?」

”いいよー”

 

私もフェイトちゃんと何か話そう。

 

「フェイトちゃんも魔法少女なの?」

「そうだよ」

「何でこの町に?」

「ジュエルシードを集めてるの」

 

やっぱり後でユーノ君に聞いてみよう。

 

「私と同じだね」

「なのはも集めているんだ」

 

何で名前を知ってるんだろうフェイトちゃんは?

 

「私名前言ったっけ?」

「戒から聞いたんだ」

「そうなんだ」

 

”マスターマスターこの女マスターの敵ですよ!”

 

敵、何の?

 

”恋です絶対この子戒に惚れてますよ!”

 

そうかな?まだ私には分からないけど

 

”絶対です!”

 

「フェイトちゃんのデバイスって具現化出来るの?出来るのなら見たいな」

「出来るよ、バルデッシュ久しぶりに出てみてよ」

 

”了解ですマスターこのバルデッシュ久しぶりに姿を現しますよ”

 

そして金の装飾品が光金髪のポニーテールの少女が出てくる。

 

「バルデッシュ参上!」

 

何かレイジングハートみたい。そしたらレイジングハートはも対抗して

 

”私も負けてられません!”

 

「レイジングハート参上」

「これがなのはのデバイス?バルデッシュに似てるね」

「そうなんだフェイトちゃん」

 

残りの時間は、フェイトちゃんと戒君とカードゲームなどをして遊んでいた。フェイトちゃんが帰り。よるご飯を食べて今日は寝た今日だけで二人も友達が増えたなまた明日も楽しみだな皆さんおやすみなさい。

 

 

 




バルデッシュの姿はベアトリスです。良ければ感想や評価お気に入り登録お願いします。


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黒聖杯ヴィルヘルムの日常

かなりカオスな黒聖杯の日常


黒聖杯の住人の朝は早い戒が起きる前から、何人か起きて殺し合いを始める。この殺し合は毎日を行われ、次に戒に呼ばれた時にいつでも戦えるようにするためだ。そしてこの中で一番元気に殺し合いをするのはヴィルヘルム・エーレンブルグその人だ朝一番に起きて殺し合い。ヴィルヘルムにとってはなんと素晴らしい毎日だろうか。そして今回はそんなヴィルヘルムの一日を追ってみよう。

 

「ひゃははははは!おらお前ら!もっと気張れや!」

 

ヴィルヘルムは杭を放出しながら他の魂と戦い続ける。他の魂負けておらず各々武器をもって応戦する。それどころかヴィルヘルムに向かって軽口をたたく。

 

「うるせぇ!いい加減クラウディアさんの弁当を俺らによこせよ!俺らも食べたいんじゃ!」

「誰がやるかよあいつがくれるものは全て俺のものだ」

「滅べリア充!!!」

 

魂たちはヴィルヘルムに恨みを込め攻撃をする。ヴィルヘルムは好戦的な笑みを浮かべ、杭を全方位に放射する。魂は避けられずその場に倒れた。

 

「また負けた……がく」

「何がいけなかったんだ!」

「おまえポテチ食ってただけだろ」

「ばれていた……だと」

「ポテチの袋持ながらいうなよ」

「私は暇をしている」

「知らねえよ」

 

ヴィルヘルムはこの光景はもう見慣れた。いつもこの空間はこんなノリだ。少しヴィルヘルムがここに来た時の話をしよう。ヴィルヘルム戒に飲み込まれれ気付いたらこの空間にきた。吸い殺したクラウディアと一緒に。初めは驚いたが色々あるだろうと割り切った。その後は昔から居る古参の魂にいろいろ教えられた。この世界は戒の聖遺物の中だと他にも強い魂や格の高い魂は戒兵隊として使われたり模擬戦に使われたりするらしい。そして弱い魂は願いの時に使われ居なくなると。だけど基本自我を保っている魂は戒の願いを叶えるときに使われない。そしてヴィルヘルムはこの空間での過ごし方を聞いた。この空間では基本何をしていてもいいらしい戦ったり遊んだりお菓子食べたり。仕事は戒に呼ばれた時に戦ったりするだけだ。ヴィルヘルムは思ったすげぇ良い職場。自分が好きな戦いをしているだけでいいんだから。それにヴィルヘルムは狂喜乱舞した。殺されてよかったという謎の感情を抱いた。さてそろそろヴィルヘルムの日常を追ってみよう。ヴィルヘルムは戦闘が終わった後はクラウディアの下へ行き食事を共にする。

 

「今日は肉か?クラウディア」

「はい安かったんですよ」

 

この空間には普通に食事処やスーパーもある。基本戒が見たものがこの空間に記憶され存在している。聖杯の住人は基本そこで買い物などをする。娯楽室もあり快適な空間だ。クラウディアの仕事は懺悔室のシスターそれで金を稼いでいる。毎日客が百人程くる。とても人気だ。そしてクラウディアとヴィルヘルムはとても仲がいい滅べいいのに。

 

食事が終わるとヴィルヘルムは他の住民と酒を飲みに行く酒場もここでの楽しみの一つだ。酒場に着くと数人の男達がヴィルヘルムを待っていた。ヴィルヘルムは席に座り酒を待つ。待っていると一人の男が話し始めた。

 

「ではこれよろ第三十二回。戒と誰をくっつけるかの会議を始める。意義は無いな」

「僕もないです」

「俺もないぜ」

「ないよー」

「ないよ」

「無いござる」

 

上からマイケル、ジョニー、ヴィルヘルム、ジョン、レティシアの父親ゼーレ、以蔵の六人だ。

 

「さて、まずお前らは誰と戒と誰をくっつけたい?俺はなのはだが」

「僕ですか?フェイトですね」

「俺か?アマツの餓鬼一択だろ」

「僕ー?アリサだよツンデレ最高」

「僕はレティシアだね。娘は幸せになってほしい」

「拙者はすずか殿でござる」

 

各々意見が分かれたようだ様だ。それに皆青筋を立てる。

 

「は?なのは一択だろ」

「フェイト以外無いですよね?頭沸いているんですか?」

「あ?アマツの餓鬼だろ?あいつのお蔭で戒は覚醒したんだぞ」

「えーツンデレがいいよー」

「僕の娘だろ。そうだと言えよ首刎ねるぞ」

「人外美少女のすずか殿が最高でがざるよ。切り捨てるぞ」

 

今にも殺し合いを始めそうな雰囲気だ。周りの客はその光景を笑い酒の肴にしている。

 

「一旦落ち着こう。まずお前らの意見を聞こうなぜそれがいいと思ったんだ?」

 

マイケルはそう言い一旦場を落ち着かせる。まずはジョニーだ。

 

「僕から行きますね。まず先に言いますがどう考えてもフェイトでしょう。出合って間もないのに戒の記憶を見てそこに惚れてそれだけではなく!戒の事を知っているから守りたいという願い。そしてあの時の涙もうヒロインでしょう。さらに戒も満更でもない様子だやっぱりフェイトでしょう」

 

ジョニーはどや顔でそう言った。次はヴィルヘルムだ。

 

「次は俺だな。まずアマツの餓鬼は強い聖遺物を使っていない俺と互角だ。そしてあいつは本気で戒に惚れている。戒を手に入れる為に何でもする奴だそれに俺は好感が持てる。それにあいつの家は傭兵一家だ普通の女として生きられねぇ、それを受け入れてくれる戒と一緒が一番だろ?」

 

ヴィルヘルムはそう言った。それに少し意見が変わりそうなる以蔵であったが無視しよう。次はジョンだ

 

「僕はツンデレが好きだからだけだから特にないよー」

「次は僕だね。家の娘レティシアはとにかく可愛い黒幕みたいな雰囲気を出しているけど、本当は裏で戒の寝顔を観察したりどうやったらもっと仲良くなれるかをいっぱい考え……ぐは」

「お父さん何言っているの?殺すわよ」

「ちょレティシアいきなり何するんだ!?」

「問答無用!」

 

レティシアが現れ腕を武器にしてゼーレを真っ二つにした。だが大丈夫だこの空間では魂はやられても一定期間で復活するから安心だ。

 

「今日は解散しなさい。皆じゃなきゃ殺すわよ」

「分かったよ帰るぞ」

「そうですね」

「かいさーん」

「拙者の番は?」

「黙りなさい」

「すいません」

 

そうしてヴィルヘルムの一日は終わったこの空間は基本平和な聖杯の中。貴方も聖杯の中に遊びに来ませんか?

 




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第三十一話

久しぶりの本編


チトセが転校してきて四日ほどが経った。だが日常が特に変わっててこともなくいつも通り。朝に登校して授業を受けてアリサ達と話すそんな感じだ。今日は久しぶりに寝坊してしまって完全に遅刻する。というか一服盛られたよねチトセに。やばいな無遅刻無欠席の記録が。僕は使徒としての力を使い本気で走る。こんなことに使徒の力を使うのは違う気がするけど、遅刻はいけない。僕はビルの上などを飛びまわり学校に着いた。何とか間に合った様だ。いきなり走ってきた僕を見て先生は驚いている様子だ。僕は息を切らしながら先生に挨拶する。

 

「はぁ……はぁ……おはようございます先生」

「おっおはよう戒君何でそんなに息を切らしてるのかな?というか空から現れなかった?」

「気のせいですよ先生。レティシア達は来ましたか?」

 

レティシア達は僕の事を起こしてくれたらしいが起きなくて先に行ったみたいだ。

 

「来てるわよでも戒君が遅れるのは珍しいわね」

「昨日チトセに一服盛られて」

 

昨日チトセが遊びに来てなぜかお茶をくれた今思えばあれに睡眠薬が入っていたのだろう。先生はそれを聞いて引いている様だ。

 

「そっそうなんだ」

「はいすぐ教室向かいますね」

 

僕はすぐに教室に向かう。教室に着くとアリサ達が僕の机の周りでチトセに説教していた。

 

「チトセレティシアに聞いたけど戒に薬盛ったって本当に」

「レティシア言わないって言ったじゃないか!」

「普通に考えてあれは駄目でしょう」

 

レティシアは呆れた様子でそう言った

 

 

「部下に言われたんだ寝込みを襲えばいいと。でもあんまり戒が寝なくて、だから強制的に?ええい私のどこが悪い!?」

「えっと悪いの」

「ごめんチトセちゃん弁解できないよ」

「どう考えても貴方が悪いわよ。戒も来たし謝りなさい」

 

アリサ達が僕に気付いたようだ。僕はアリサ達の下に行って。荷物を置き、話しかける。たぶん僕は苦笑いをしているだろう。

 

「おはよう皆それでチトセ言い訳ある?」

「ふっ大丈夫だ戒。私は後悔などしていない!」

 

後ろにドーンという効果音が付きそうな程の台詞だなだけど流石に睡眠薬を飲ませれたのはちょっとね。

 

「反省してなさい」

 

そう言って僕はチトセの頭を軽く叩く。するとチトセ顔を赤くして

 

「お前に頭を叩かれると変な感情が……興奮する」

「今何か怖い言わなかったかい?気のせいだと信じたいんだけど」

「大丈夫だ。私はいつも通りだ」

「ならいいけど」

 

うんそういうのは突っ込んではいけない気がするんだ。だから僕は突っ込まないよ。

 

「そうだ戒君。もうチトセちゃん達にも言ったんだけど、週末なのはちゃんと恭也さんが遊びに来るんだけど戒君も来る?」

「行くよ。最近遊んでなかったしね」

「分かったよ。ノエルに戒君が来る事言っておくね。お菓子の準備とかもあるし」

「うん僕も何か持って行った方がいいかな?」

「大丈夫。遊びに来てもらうのにそれは悪いよ」

「分かったよじゃあ楽しみにしててね」

 

そう会話を交わし先生が来るまで雑談をする。そして一つ分かった事があるチトセの知識は色々と間違っている。たぶんマルコさん達が面白半分で教えたんだろうけど偏りが酷い。今度でいいからちゃんとしたことを教えなきゃなそんなことを考えていると。先生がやって来た。

 

「オースお前ら席座れ。田中はフードを取れそれ完全に不審者だぞ。そして佐藤。五寸釘に藁人形を持って何処行く気だ?」

「先生!ただ戒君を呪うだけです!」

「駄目だ没収する。そして土屋女子のスカートめくろうとするんじゃない」

「やってない」

「鼻血出しながら言っても説得力無いぞ」

 

朝からこのクラスは賑やかだ。今不穏な言葉聞こえたんだけど。僕の事野老っていたよね怖いんだけど。

 

「じゃあ授業を始める。宿題は忘れてないな」

 

今日も何事も無く授業は進んだって言いたいんだけど今日はいつもとあまり変わらなかったな。例えば眼鏡をかけている松田君が急に脱ぎだして。

 

「僕は着やせするタイプなんです!」

 

と言い出した時は空気が凍って、二時間目は吉田君がなのはに告白したり。すぐに振られていたけど。みんな吉田君を称えていたな。勇者だと。あといきなりバーニングラブ!と叫び出す女子や、新世界の神になると言いでして窓から飛び出して人もいるけど、今日も平和だっな。え?感覚がおかしい?普通じゃないかな?下校の時間になり僕はレティシアとチトセと帰る。なのは達が居ないのは今日なのは達は塾だからだ。チトセは毎日のように遊びに来る、四日間毎日だ家の場所伝えてないはずなんだけどね。何でだろう?でも遊ぶことと言えばオセロとかそのあたりだけど、すると下からインターホンが鳴る。誰だろう?

 

「チトセちょっと待ってて」

「分かった。待っているぞ」

 

僕は下に向かいインターホンを確認する。画面にはフェイトが映っていた。今日も来たのか

 

「今開けるねフェイト」

「戒、ありがとう」

 

僕は玄関を開けるとそこにはアリシアも居た。アリシアも来たのか。アリシアは初めて来たな。

 

「こんにちはお兄ちゃん遊びに来たよー」

「戒、アリシアも居るけどいい?」

「別に構わないよ。そうだ一人遊びに来てるけどいいかな?」

「いいよ多い方が楽しいからね」

 

僕は二人を部屋に案内するアンナは今日はもう寝ている様で犬小屋休んでいた。レティシアはいつものと同じで部屋で歌っている。

 

「やっぱり綺麗な歌声だね」

「お兄ちゃん誰の歌?」

「レティシアだよ。僕の大事な家族だ」

「そうなんだ大切なんだね」

 

どたっ、レティシアの部屋から音が聞こえた。何だろう?少し場面は変わりレティシアの方へレティシアは悶えていた。心の準備をしてないのに急に戒あんなことを言ったからだ。顔を赤くしている。そしてこんなことを言ってベッドに飛び乗った。

 

「戒ったら反則よいきなり言うなんて。でも大切か嬉しいわね」

 

場面を戻そう。戒フェイト達を部屋に案内するとチトセが僕のベッドにもぐりこんでいた。

 

「何してるのチトセ?」

「ただお前のベッドにもぐりこんでいただけだ」

「顔赤いよ恥ずかしいなら辞めればよかったのに」

「そんなことはにゃいぞ。かんだ今のは忘れてくれ」

 

フェイトはチトセを見て微笑んでいる。アリシアはおかしいのか笑いをこらえている。そうだお菓子用意するの忘れたな、持ってこないと

 

「フェイトお菓子持って来るから待ってて」

「ありがとう気を使わせちゃって」

「大丈夫気にしないでよ」

 

僕が下にお菓子を取りに行く。

 

 

~~~~~~~~~

 

 

この部屋には三人残されたアリシア、チトセ、フェイトだ。しばらく沈黙が部屋に続き。フェイトがチトセに話かける。

 

「えっとチトセていうんだっけ」

「そうだがお前達は誰だ?」

「私はフェイトテスタロッサ戒の友達だよ」

「私ー?私はアリシアフェイトのお姉ちゃんだよ」

「そうか私はチトセ朧アマツ。戒の未来の嫁だ」

 

チトセは誇らしげにそう言った。フェイトはそれを聞いて一瞬頭に?を浮かべ理解する。

 

「嫁?戒の?え?え?」

 

フェイトは混乱している様だ。アリシアはフェイトに聞いてくる。

 

「フェイトー嫁って何ー?」

「え?え?」

 

フェイトはまだ混乱している様だ。正気に戻ったのかチトセの事を思い出した。そうえば戒の記憶で見たなと。

 

「何だフェイトも戒に惚れているのか?だがあいつはすで私のだ」

「違うよ戒は誰のものでもないよ」

「それもそうだなまだあいつは私のものではないな」

「うんそうだね」

 

ふふふと二人は笑っているだが目は少しも笑っていなかった。

 

「やるか?」

「そうだね」

 

二人はまだ笑っている。それにアリシアは恐怖を覚えた。バル子も同じようだ。そんな空間に戒が入って来る。

 

「二人共お菓子持ってきたよ。あれ?二人共仲良くなったの?速いね」

「そうだ戒私達が仲がいい」

「そうだよ戒私達は仲がいいから」

 

戒はもう仲良くなるなんて速いなぐらいしか思っていないが二人は今も目が笑っていないその後はゲームをしたが協力プレイの筈なのにフェイトとチトセが潰しあっていたのが印象に残った戒であった。フェイト達が先に帰っていき。その後にチトセも帰り戒はなのは達が帰った来るのを待っている間によるご飯の準備を進める。なのは達も帰ってきて夕飯を食べその日は寝た。

 

 




何か終りが中途半端な気がする。それと戒君のクラスカオスすぎ良ければ感想や評価お気に入り登録します。


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戒君設定

これにはAS編で出てくる流出のネタバレがあります。ネタバレが嫌な方は見ない方がいいです。


 

名前・藤井戒 性別・男 1996年五月十二日生まれ

 

聖遺物・歌姫(ディーヴァ)正義の柱(ボワ・ジュスティス)闇の黒聖杯(ドゥンケルシュバルツケルヒ)

 

位階・無印では創造AS終盤で流出 発現・覇道型 武装形態・人器融合型

 

創造;歌姫・正義の柱が

   美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)

   美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)終曲(フィナーレ)

   黒の闇聖杯が

   許許太久(ここだくの)禍穢(わざわい)速佐須良比給千座置座(めしてはやさすらいたまえちくらのおきくら)

 

流出;新世界へ歌え死と祝福の唄を

   混沌より溢れよ(ドゥルゾルスト)この世全ての悪(アンリマユ)

 

流出の詠唱が新世界の方が

 

希望は永久に願い輝き続けるもの 人の願いこそ永久不変

 

 

永劫たる星の速さとともに今こそ飛翔し駆け抜けよう

 

 

どうか聞き届けてほしい

 

 

世界は穏やかに安らげる日々を願っている

 

 

自由な民と自由な世界を

 

 

しかしそれでも毒や呪いは生まれるだろう

 

 

それら全てを僕が受け止め死に絶やそう

 

 

それが貴方の業 犠牲を司る貴方の罪

 

 

それでも僕は構わない 君と歌う事が出来るなら

 

 

時よ止まれ君と輝く世界は美しいから

 

 

永劫たる君と 最悪たる貴方で

 

 

祝福の唄を歌い続けよう

 

 

これより始まる二人の歌劇(オペラ)

 

 

 

新世界へ歌え死と祝福の唄を

 

 

混沌の方が

 

其は混沌の杯 溢れ出せ

 

 

この世に死を悪を呪いを

 

 

死が満ちる 死を満たせ 死を聖杯に捧げよ

 

 

狂気と憎悪の呪いと災いで

 

 

全てを飲み込み 世界を終焉へと導け

 

 

顕現するはこの世全ての最悪

 

 

命は終わり骸と化し輪廻する

 

 

永劫終わらぬ死の螺旋

 

 

武器を取れ命を喰らい奪い合え

 

 

天地万物 森羅万象 修羅の地獄で染め上げよう

 

 

我は最悪なる腐敗の刹那

 

 

混沌より溢れよ(ドゥルゾルスト)この世全ての悪(アンリマユ)

 

この二つです。

 

~~~~~~~~~

 

此処から先は戒君の設定です。

 

藤井戒今作の主人公。海鳴の私立聖祥大附属小学校の小学三年生。見た目は櫻井戒を小さくした感じ。人付き合いは得意。その行動のせいかモテル。小学生で告白は早い?気のせいだ。高町家にレティシアと居候しており。高町家全員とは仲がいい。

 

人物・性格は常に物腰穏やかな、非常に真面目で実直な青年たまにふざけたりするのはクラスの皆に影響された事による。しかし自分で「藤井戒は腐っている」という発言をしていて自分を何よりも卑下している。渇望は大切な人に降りかかる全ての悪意は僕が受け止めると、美しき刹那の中で僕が毒を被ればいい。この二つだ。

 

能力・美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)この技はdiesの本編の戒と蓮の能力を掛け合わせた力。

 

美麗刹那(アインファウスト)腐敗歌劇(フェアフューレンオペラ)終曲(フィナーレ)この技は蓮の終曲はとは違う。蓮のは時の引き伸ばしによる加速と共に、その停滞を視認可能な全域に強制する。という物だが戒のは魂を燃料に自分を化け物に変えたり、無間自己加速、時の停止、停滞、腐敗毒に死者の魂を使うブレスこれらだ。この状態になると理性を失う。仲間は本能で守るが、それ以外の生物を全て殺戮する化け物になる。姿は獣と龍の二つがあり獣の状態で一定のダメージを受けると龍になる。分かりやすく言うと天魔・悪路の無間叫喚地獄に時の加速の停滞、停止が加わったと思えばいい。停止と停滞は似ているが使い分ける事が出来る。

 

許許太久(ここだくの)禍穢(わざわい)速佐須良比給千座置座(めしてはやさすらいたまえちくらのおきくら)は腐敗毒になり聖杯の中の貯蔵した魂の兵隊を呼び出したり腐敗毒での武器生成、主にこれだ。しょぼく感じるのは気のせい。

 

混沌より溢れよ(ドゥルゾルスト)この世全ての悪(アンリマユ)は聖杯の泥をぶちまける簡単に言うとfateのアンリマユ。泥に飲まれた物は一瞬で戒の兵隊となり仲間を増やそうと近くの生命を奪いに行く。兵隊は戒が生きている限り永遠に蘇る。戒自身も混沌振り撒く化け物になり、全ての命を聖杯に捧げる為に活動する。それだけでは無く終曲の能力も使える。最強最悪の使徒となる。戒君の闇落ちがこれ。

 

新世界へ歌え死と祝福の唄を。これは戒の願いの完成形。闇落ちからの覚醒した姿。髪は白くなり黒い肌、龍のような姿に人の原型を保っている。その手には極大の処刑の刃。後ろに浮かぶ聖杯に時計そいてレティシアの一人舞台。レティシアが歌を歌い続ける限り強化され敵の攻撃、妨害すべて等しく戒に吸収される容量を超える攻撃は無理だが。なのはさんのスターライトブレイカーは三発は耐える。やばい。能力は終曲を完全に制御した状態。

 




というわけで説明回終り。気になる事があったら感想で何でもお答えします。ところで詠唱はどうでした?感想お願いします


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第三十二話

主人公の親友ポジの登場。


週末になり今日はすずかの家に遊びに行く日だ。でもその前に昨日買い出しに行くのを忘れたから僕は早く起きて買い出しに行かないといけない。ついでにアンナを散歩に連れて行こう。アンナと商店街や市場を見ていると後ろから声が掛けられる。

 

「ハロー戒。朝早いな」

「なんだ遊佐君か、おはよう君も早くない?」

 

この子は遊佐白夜君クラスでは隊長と呼ばれている。こないだもチトセに気絶させられた時にも世話になったからね。

 

「これより異端審問を開始する。って言ってもな特にやることないしー。俺は授業サボりたかっただけだしさ。お前らもそうだろ」

『ですね隊長』

「ところで戒、お前大丈夫か?気絶したみたいだが」

 

遊佐君が僕に水を渡してから言った。

 

「うん大丈夫だよ。ありがとね遊佐君」

「まあ俺とお前の仲だしな別にいいぜ」

「あはは、そうだね」

「というかお前あのアマツだっけ?あいつと何かあったのか?」

 

チトセとは二か月間過ごしただけだしな、特に何もなかったと思うけど。それをそのまま伝えると、遊佐君は呆れたように小さく言葉を漏らした。

 

「お前の事だ。その間に惚れさせたんだろうぜ」

「何か言ったかい?」

「いや何にも」

「そうなんだ」

 

僕達がそんなやり取りを交わしていると。他のクラスメイト達がこそこそ話している。

 

「やっぱり隊長と戒って仲いいよな」

「性格正反対なのに何でだろうな?」

「一年の時に何かあったらしいぞ」

 

そんな会話を背に僕達は話し込む。

 

「そうだお前最近文香さんと会っないだろ。心配してたぞ」

「そうだね。なかなか行けなくて」

「近いうち行ってやれよな」

「分かってるよ」

 

確かに最近文香さんに会ってないな。拗ねてないと良いけど。三年生になってから会いに行ってないし。あれ今旅行に行っなかったっけ?

 

「遊佐君。文香さん旅行に行ってなかったっけ?」

「昨日帰ってきたらしいぜ土産も貰った。その時お前が来ないこと愚痴ってきてさ、大変だったんだぞ」

 

遊佐君は少し恨みを込めた目で言ってきた。マジで早く行かないと、絶対文香さん拗ねてる。絡み酒されるな、暇なときに行こう。

 

「そうだお前らそろそろ帰るぞサボってんのばれる」

『はーい隊長』

「じゃあ戒も戻るぞ」

 

そんな感じで僕達は教室に戻っていった。これがチトセが転校していた時の話。手か文香さんの所まだ行ってないな明日行こう。遊佐君がボーとしていた僕の頭を叩いてから言った。

 

「そうだ戒あれに魂補充してくれないか」

「何かあったの?」

「いやさ変な影が襲ってきてな、倒した時何度やっても復活してよ、能力使って封印したからな」

「そうなんだ。封印した奴今ある?」

「あるぜ」

 

遊佐君は服のポケットからジュエルシードを取り出した。やっぱりか、アンナ封印できる?

 

”できるよまいすた”

 

なら頼むよアンナ。

 

「遊佐君それの説明するから先に渡してくれない?」

「いいぜ気になってたし」

 

僕は遊佐君からジュエルシードを受け取りアンナに封印を任せる。その光景を見た遊佐君面白い物を見た様な顔をして僕に聞いてくる。 僕はジュエルシードの事を説明すると。新しいおもちゃを見つけた子供の様に遊佐君は楽しそうに言ってきた。

 

「お前俺の知らない間にそんな事してたのかよ。俺も誘えばよかったのにな、つかアンナだっけ?銃になるとかかっこよすぎるだろ。」

 

”やったよまいすた褒められた”

 

よかったねアンナ。

 

「魔法かそんなものが有ったのかそのユーノって奴に聞けば俺も使えるのか?」

「分からない今度聞いてみようか」

「ありがとな。じゃあ補給頼むぜ」

 

そう言って遊佐君は聖遺物を形成する。

 

形成

 

血の伯爵夫人

 

遊佐君の腕から鎖が生え宙に浮いている。僕は聖杯を形成そこから自我の無い魂を鎖に流し込む鎖は怪しく光り魂を吸っている。鎖は魂を吸い終わり遊佐君は鎖をしまう。

 

「あんがとよ、じゃあそろそろ俺は帰るぜ」

「また月曜日会おうね」

「またな戒」

 

遊佐君と別れ僕は買い物を済ませて家に帰った。家に着くと、既になのは達は準備を済ませていて玄関で待っていた。

 

「戒遅いわよ。何してたの?」

「遊佐君に会ってね話してたんだ」

「ああだから聖杯の中身少し減ったのね」

「勝手に使ってごめんよ」

「別にいいわよ」

 

良かったレティシアは特に気にしていないようだ。僕は食材をしまってから、自分の部屋に荷物を取りに行き、なのは達とバスに乗りアンナも連れ月村家に向かった。三十分ほどバスに乗り月村家に着いた。月村家はやっぱり広い普通の家が何個分だろう?僕が見当違いなことを考えていると。ノエルさんが迎えてくれた。

 

「恭也様なのは様、戒さんレティシア様今日はお越しくださってありがとうございます」

「こんにちはノエルさん忍は居るよね?」

「いますよ恭也様てか後ろに居ます」

「おはよう恭也」

 

いつの間にか忍さんが後ろに居た。驚いた僕も気付かなかった。なのはも驚いている様だ。

 

「忍、学校でもそうだが、いきなり後ろから話しかけないでくれ。ビックリする」

「むー最近反応が面白くない」

「流石にもう慣れたぞ」

「じゃあ次は何しようかな?」

「俺が居る前で考える意味ないだろう」

「それもそうね」

 

二人は仲がいいなこの二人はずっとこのままでいてほしい。僕となのは達と二人の邪魔にならないようにノエルさんに案内され庭園に向かう。庭園では真ん中に設置されている席にアリサとすずかにチトセが席に座って話をしている。とても楽しそうだ。そんな中ノエルさんがすずか達に近づき言った。

 

「すずかお嬢様。戒さん達が来ました」

「ノエルさん教えてくれてありがとうございます。」

「仕事ですので」

 

ノエルさんはお茶を持っていきますと言い、この場を離れた。僕となのはとレティシアも席に座り、すずか達に挨拶をする。

 

「遅くなったけどおはよう。すずか、アリサ、チトセ」

「おはようなの皆」

「おはよう皆速いわね」

「おはようなのはとレティシアに戒。遅かったわね」

「おはよう戒君なのはちゃんレティシアちゃん」

「いい朝だな。戒、なのは、レティシア」

 

そう挨拶を交わして僕達はノエルさんのお茶を待つ。話していると魔法の話になった。アリサがなのはが飛ぶところを見たいらしいなのはは了承しレイジングハートを呼び出した。

 

”やったー久しぶりの出番だ!私テンション上げていきますよ!マスターセットアップを!”

「レイジングハートセットアップ!」

 

なのはがバリアジャケットに着替えると、これを始めて見るチトセがなのはに質問する。

 

「なのはそれは何だ?」

「これ?バリアジャケットだよ」

「いやその杖とかも聞きたいんだが気になるぞ」

「これは魔法って言って」

 

そのままのなのははチトセに魔法の事を説明する。チトセはそれを聞いて戦えるかと聞いたが僕はそれを慌てて止める。いくらチトセでもあれを喰らったら一発でやられるかもしれないし、それを言うとチトセは少し拗ねて言った。

 

「大丈夫だ。私には聖遺物がある」

「チトセならなおさらやめた方が良い。チトセは知らないかも知れないけど使徒は魔力に弱いんだ」

「そうなのか?弱いって言ってもどのぐらいなんだ?」

「説明すると。なのはのディバインバスターの一発で僕達は致命傷を受ける二発受けたら死ぬ

「おっお前が、そこまで言うとは。やめておこう」

「うん。その方がいいよ」

「二人共そんな怖がらなくても」

 

なのはは知らないと思うけど本当に使徒は魔力に弱いんだ一回本当かどうか試すためにアンナで腕を撃ったら装甲が無視されのままダメージを受けたから。直すのにも時間かかったし。チトセは分ってくれたのか、諦めたようだ。良かった。なのはが殺人を起こすとこだった。それだけは止めないと。そんなことを考えていると完全に忘れられていたユーノが念話を送って来る。

 

(なのは、戒ジュエルシードの反応が!)

 

何処だいユーノ?

 

(すぐ近くだよ!)

 

本当か!?ならすずか達に被害が及ぶ前に封印しないとなのはに念話でそのことを伝え、ジュエルシードがある森に向おうとすると、アリサが言った。

 

「私も連れて行ってくれない?」

 

続けてすずかも言った。

 

「私も行きたい」

「危険だよ」

「貴方達が言えないわよ。自分から危険なことに首を突っ込んで、大丈夫私はなのはに守ってもらうから」

「私も行きたい。私は身体能力高いから大丈夫だよ」

「戒君ここまで言ってるんだしいいんじゃないかな私も二人を守るから」

 

しょうがないなそこまで言われたらでも大丈夫かな?危険じゃなければいいけど。でもなんか嫌な予感するんだよねー。

 

「分かった。だけどチトセも来てくれ二人を守ってほしい」

「いいぞ。その代わり今度デートしてもらう」

「そのぐらいならいいよ」

「なら引き受けた」

 

そうして僕らは、ジュエルシードの反応があった森に向かった。

 

 

 




皆、文香さんの事忘れてない?良ければ感想や評価、お気に入り登録お願いします。


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思いつきネタ

dies原作に戒君迷い込ませてみたwこれ書いていたら遅れました。マジで本編の続きが書けない。設定としては本編からAS編も終わり数年後高校生らへん。え?本編あくしろよ?もう少しお待ちください。それとネタバレ注意。


背景高町家へ僕は今見知らぬ場所居ます。なのは、フェイト、チトセここはどこですか?そして僕の横には何故レイハさんが居るのですか?全くこの状況が理解できません。

 

そんな混乱している青年は藤井戒一部髪が白い何処にでもいる聖遺物の使徒である。え?聖遺物の使徒は珍しい?ははは知らんな。

 

今乗っ取られた気がする。気のせいか。この状況でもレティシアは流石にいるよね。おーいレティシア?

 

(戒どうしたの?それより此処は何処かしら)

 

僕にも分からないよ。そうだレティシアこの場所に来る前何してたっけ?

 

(覚えてないの?まああれは仕方ないと思うけど)

 

しかたないって何がだい?何か聞かない方が良い気がしてきたよ。

嫌な予感しかしない。あれ?なにか桃色の光が見えるぞ。寒気がしてきた。聞きたくない。本能が告げている。聞くなって、だが言った僕が悪いのかレティシアの悪ふざけか無慈悲にレティシアは言い放つ。

 

(なのはのSLB(スターライトブレイカー)を喰らったのよ。見事に吹き飛ばされていて笑えたわ)

 

えぇ、なのはのSLBってマジですか。よく生きたよね僕。あ、だんだん思い出してきたぞ。最後に見た光景は僕を飲むこむ桃色の光と消滅していく大地。いつも思うんだけどなのはってゲームの魔王じゃないかな?フェイトもチトセもSLBがトラウマになっているし。「これが私の全力全壊」にしか聞こえないんだよね。言ったら殺される気がしていた。言わないようにしておこう。

 

(戒、面白いこと考えているわね言ってもいいかしら?)

 

レティシアさんマジで許してください。言わないでくれ何でもするから。

 

(いま何でもするからって言ったわね)

 

やばいってレティシアにこの言葉だけは言わないようにしてたのに。あははー僕何されるんだろう嫌な予感しかしないよ。

 

(大丈夫よ天井を見てるだけで終わるから)

 

そのセリフは駄目だと思うなーレティシアさん。

 

(ふふ楽しみね)

 

もうどうにでもなーれ。

まあ落ち着こうか、状況を整理しよう。まずこの場所は見たことがないし看板にある諏訪原市なんて聞いたことがない通行人に聞いてみたが今は2005年らしい。過去だと思ったが諏訪原市なんて名前は聞いてことがないので、僕はこう結論づける異世界と。この世界には確認する限り魔力素が空気中ない。これは僕の世界ではおかしいからだ。魔力素は魔法文明がない世界でも微粒だが存在しているはずだ。それが存在しないのはありえない。その可能性があるのは異世界ぐらいだろう。

困ったな帰る手段がない。なのは達も心配しているだろし早く帰らないとな、情報を集めよう。その前に寝床のを確保しないと。やることは沢山あるんだ時間もないし早速やるか。

 

”あのー戒さん私の事忘れていませんか?”

 

あ、ごめんレイハさん完全に忘れてた。

 

”ひっ酷いです戒さんこんな美少女を忘れるなんて訴えてやりますていうかマスターにさっきのこと言います”

 

聞いてたの!?まって言わないでくれ頼むから今度ケーキ奢るから

 

”一番高いのでお願いしますそしたら言いません”

 

それでいいのなら喜んで奢らせていただきます。

うんそれでいいんだ奢るだけで命が助かるなら。ああ財布がかるくなる未来が見えるどうせDK堂のケーキだろうなーあそこ高いんだよね一個五千円って高くない?高いよね!さらにレイハさんだ何個食べるんだろうか……想像してはいけない。もう奢ることは確定だ寝床探そう。僕は憂鬱になりながらも寝床を探すことにした。

 

”やっぱり戒さんはマスターたちに弱いですよね。まあ一度襲われていますしね。そうだ!映像記録していますので見ますか?”

 

やめろー!それってあれだよねあの時だよね!消して今すぐ消してくれ!

 

”イヤーあの時は凄かったですよね三日ってw”

 

やめてくれその記憶は封印していたのに!やめてフェイトもうでないから襲わないで吸い殺される。怖いよ何でみんなあんなに持つんですかねぇ?僕分からないあはははははは!

 

”戒さんが壊れかけているので天使のようなレイハさんが説明してあげましょう!何故戒さんがこうなっているかって?簡単ですよ。そうそれは簡単なシンプルな答えだ。喰われました四人に……以上説明終りレイハさんでしたー!”

 

~~~~~~~~~

 

「はいっ!実況は私こと綾瀬香純!解説は馬鹿コンビ藤井連と遊佐司狼でやっていきたいと思います!」

「バカスミががまたなんかやってるぜ、どうするよ蓮?」

「どうせいつものだろほっとけばいい」

「まっそうだな」

「五月蠅い黙ってろ馬鹿ども」

「へいへい」

 

司狼はそう適当に返事して蓮は無言になった。三人は茂みに隠れ校舎裏のある場所を見学していた。そこには一組の男女が居る。それを見た香澄はテンションを上げていく。

 

「はい!3,2,1、ごー!」

「戒さん好きです。ずっと前から見てました!」

「いったぁぁぁーいったぞ遂に言ったぞ!神楽坂選手!」

「…………」

 

男は無言である。

 

「あの、付き合ってくれなんて言いたいわけじゃなくて……でももし付き合えるならもちろん嬉しいんですが!私はただこの気持ちを知ってほしくてそれに藤井君の気持ちとかも知りたくて」

「おっと!藤井蓮同じ苗字だからってニヤつくなキモイぞ!」

「黙れ香純」

 

蓮は微妙にニヤついているそれを司狼がどう揶揄おうか迷っていると。神楽坂と呼ばれた女は男に質問する。

 

「今、好きな人とか恋人とかいるんですか?」

「………」

「答えてくださいお願いします」

 

そんな女と戒の様子を見て香純は更にヒートアップする。

 

「さぁさぁさぁ!困っていますよ藤井戒。何ででしょうねー?何でかなー?あの男は?私が知る限り十四人目の挑戦者になるんですが、一向に慣れた様子がありません!ほらあれですよ。あの顔何ですよな馬鹿コンビあれがイケメンだー!」

 

このバカスミを見て蓮はムカついてきたようだ。そしてそのまま司狼小声で言う。

 

「なあ司狼こいつ殴っていいか?」

「押さえろ蓮。後でこいつの弁当にワサビ仕込むから我慢しようぜ」

 

さらっと恐ろしい事を言う司狼この悪戯はすでに十回ほど試しているが全部香純は引っかかっている流石の才能だ。司狼は次は世界一辛い唐辛子を淹れようと計画しているがそれは実行する前に香純にバレて出来なかった。という話が未来にあるがそれは置いておこう。

 

「さー非常に困っているぞ藤井戒!」

「困らせているのは分っています。でも諦められないんです私は、最近藤井君が黄昏ている事が多いから心配で私でよければ力になりたくて……」

「おお!新しいタイプの女だ!これは見たことがないぞ。今、私の元に情報が届きますした。彼女は同じクラスの神楽坂結。実家が資産家のお嬢様だ!スーパー金持ち断る理由が無いぞ」

「何でこいつテンション高いんだ?」

「しらねえよ。お、動きがあったぞ」

 

なんだかんだで司狼もノリノリである。

 

「ごめんなさい忘れてくださいもう私帰りますね」

「待ってよ神楽坂さん」

 

結が帰ろうとした瞬間戒が声を掛ける。結はその声で戒の方に向き直り。

 

「私の名前知ってるんですか?

「そりゃ知ってるよ同じクラスだしね。他の男子が可愛いって騒いでいたし」

「藤井君もそう思っているんですか?」

 

その光景を見ている香純は自分の筆箱をマイクに見立てて解説を続ける。

 

「おお!遂に難攻不落の男が落ちるのか!?いっけー逃がすね決めろ藤井戒!」

「だけど僕は―—――――」

「いまだ言うんだ戒!」

「誰かを好きになっている時間なんてないんだ。ごめん」

「?てっ、なんだそれはー!」

「断りやがった!はははは、やっぱ彼奴面白れぇ」

「腹減った」

 

 

~~~~~~~~~

 

 

そして放課後屋上に僕、蓮、綾瀬、遊佐君が集まり屋上で弁当を食べながら。綾瀬さんが僕に問いただす。

 

「……おい」

「やめてよ綾瀬さん痛い」

 

香澄は軽い蹴りを喰らわせながら同じ言葉を繰り返す。それは壊れた機械の様に。

 

「……おい?」

「だからやめてってば」

「なんだあれは?若年寄り。今日のはこの愛のヴィーナス香澄さんが黙っていられませんよ」

 

そう言いながら的確に僕の脛を蹴って来る綾瀬さん。ここまでずっと同じ場所を蹴る綾瀬さんは凄いと思う。その顔は不機嫌そうで僕に何か言いたいらしい。

 

「あれは酷いと思うよ私。名前を読んだ挙句期待持たせて一刀両断。昔の侍の刀を彷彿とさせるよ。あんなどんな根性してるの?」

「ほかに言うことなかったし」

「もうあんたみたいな馬鹿に何言っても無駄だけどさ、ほんと戒は家の馬鹿二人とは違うバカだよね」

「何で俺らバカスミに馬鹿って言われてるんだろうな蓮」

「あとで仕返ししようぜ司狼」

 

司郎君と蓮が話している中、僕は今までの事を思い返した。進展がなく、帰るえる手段も見つからない時レイハさんが急に”あの学校に入れば変える手段が見つかる気がします”っていってこの私立月乃澤学園に通っているんだけど。今の所何もない。そんな学校生活の中で一応友達?はできた。この三人だ。遊佐司狼、綾瀬香純、藤井蓮。元の世界の遊佐君に遊佐君はあまり似てないがどこか通じるところがあるし。蓮は親近感があるっていうか何か分かりにくいけど話しやすい。まあ色々あるんだが。

 

「ちょっと戒聞いてるの?」

「ごめんね。ただここにきて色々あったなーとか思っただけだよ」

「確かに色々あったよね。そうだレティシアちゃんは?」

「レティシアはそろそろ来ると思うよ

「きたわよ香純。何か用かしら?」

「そろそろ帰ろうと思ってねレティシアちゃんだけ仲間はずれはいけないからね」

「ありがとうね香純。戒帰りましょうか」

 

そのまま僕達は借りているアパートに帰った。

早く元の世界に帰りたい。なのは達の下に帰りたい。きっと心配しているし何より元の日常に帰りたい。そう僕は考え僕は瞼を閉じた。

 

 




少ししたら番外編の場所に移動させます。それと次回に続く。
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第三十三話

久しぶり過ぎてちょっと違和感あるし今回少ないけど……次回から増やします


僕達は庭を出て森に向かう。

 それにしてもすずかの家広いよね、庭どころか森まであるんだから。どのぐらいお金かかっているんだろう?  それとさっきから、アンナがおとなしい。いつもは元気なのに大丈夫だろうか?

 アンナ? 大丈夫? さっきから元気なさそうだけど

 

”まいすた謝ることがあるんだ”

 

アンナどうしたの?

 

”こないだ私で実験していた時私、殺傷設定になってて、まいすたの事傷つけちゃった”

 

アンナ殺傷設定って何だい?

殺傷設定何だろう?文字どうりなら殺すための設定だけど、まさかデバイスって殺さないこともできるの?何それ凄い便利。それなら僕も捕縛の任務を受けられるようになるじゃないか。

 

”殺傷設定てのは物理ダメージを与える奴で、非殺傷設定てのは物理ダメージを無くして魔力に直接攻撃できるの。それでこないだ私を使った時殺傷設定のままでまいすたの事傷つけちゃった。

 

いいよ別にアンナの事を新しく知れたからね。

 

 ”まいすたありがと慰めてくれてでもやっぱり悪いよ”

 

 気にしないでよ。責めても意味ないし、それに僕がアンナの事知らなかったのが悪いしね。

 

 ”まいすたは私の事嫌わないんだ”

 

 アンナは何か小さく言ったようだ。何だろう。まあいいか。そんなふうにアンナと念話していると別の念話が掛かって来るこの感じレイハさんか。

 

”イエス。イエース。よくわかりましたね戒さん!なぜか久しぶりの登場レイハさんです!”

 

 久しぶり? 何言ってるんだろう? ずっとなのは達と居たよね。レイハさんはおかしいけど今回は何言っているか分からないな。でもレイハさんだ仕方ないか……気にしたら負けな気がするし。

 

 ”今、何か失礼な事考えませんでしたか? 戒さん。私は高性能ですから分かっちゃうんですよー。それで白状しなさい何を考えましたか?ハーリーです”

 

 白状しろって言われても困るな。ていうか高性能ってすごいな人の考えも読めるのか……アンナもできるのかな?

 

 ”できないよまいすた“

 

 今できてる気がするんだけど……それは念話をきっていないからだよね?

 

 ”うん気のせいだよ? まいすたはも面白いなー“

 

 どこが面白いの? ちょっとわかんないな。

 

 ”私が面白いと思ったの“

 

 そうなのかい? アンナが幸せならいいや。

 

 ”戒さん? イチャイチャしないでください、私が空気です。知ってますか? 私みたいなキャラを無視すると天災が起こりますよ?“

 

 そんなことで天災が起こったら、世界はもう滅んでいるんじゃないかな?

 

 ”あ、それもそうですねー今のは忘れてください“

 

 そんなやり取りをしているといつの間にか僕の目の前には……巨大なの猫がいた。

 

 ねぇ何があったの?

 




次回から増やしますので期待していてください。


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