絡み合わない2人 (まめちゃん)
しおりを挟む

0日目-私の両親-

「可哀想に」

落ち込んでいたりする時一番聞きたくない言葉。

何故落ち込んでいるか?それは…先日私の両親は亡くなったのである。

 

母はとても優しく元気で健気でいつも暖かいご飯を作って待ってくれる。

父も優しく面白く、父の手は固くその手に頭を撫でられるととても気持ちがいい。

周りから見ても仲のいい"理想"の家族だったと思う。

 

一年前2人は交通事故にあった。

 

当時私はサッカーのクラブに入っていてその試合を2人が見に来ようとしてくれた時だ。

 

とある車が横をものすごい勢いで走り道を横断しようとした女の子が走って避けようとした中、避けきれなく女の子は大きい怪我はないものの。。。

ずっと目を覚まさないらしい。

 

サッカーをやっていなければ…そう思って私は何度も自分の頬をビンタしたりもした。

そんなことしても何も変わらないのに、ソレに縋るようにしていた。

 

今は両親の貯金で生活をやりくりしているが、中学校には行けてない。

学校側は親戚のいない私を学校側が負担し、後々返してくれればいいと言ってくれたが…学校の名簿に一応入れて欲しいとだけ言った。

 

 

そんな中手紙が届いた。

それは、私を家族に招き入れたいということ。

私の両親への感謝と女の子は娘さんだそう。

そして母のお腹にいた弟への謝罪。

 

豪炎寺という名前は何処かで聞いたことがあるような気がする…が

私でさえ知らなかった弟の存在。

よくわからない想いでいっぱいいっぱいだった。

 

 

 

ピーンポーン

「はい。」

チャイムが鳴ると私はすぐさま返事をし、ドアを開ける。

すると凄い眉間にしわをよせ、明らかに冗談なんて通用しないという感じの人。

「露乃さん、であってますよね?」

私を想ってか少し無理してる気がするが優しい声。

「貴方が…豪炎寺さん。」

手紙の主ということが分かってつい返事を返せなかった。

「はい、私の家へ来てもらえますか…?」

「………どうしてですか?」

 

 

 

 

色々説明されたがどうにも納得できるようなものはなかった。

だが、この家を残しいつでも帰っていい。

そういうような条件を付けられたので、まぁ行ってもいいかと想ってしまった。

しかし、中学校は強制らしい。

息子も通うから大丈夫と言われたが何を根拠に言ってるんだか…

 

第一印象が大事と母にいつも言われていたので

鏡の前で笑顔の練習と明るめの性格を練習してみた。

 

 

 

 

 

豪炎寺修也

木戸川のエースストライカーだった人。

誰もが憧れたサッカー少年。

大人は"あれが雷門だったら"と言っていた。

イナズマイレブンと重ね合わせるように。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1日目-家族写真-

荷物整理や家中の掃除をしたりしていたら寝ることができなかった。

いや…緊張で落ち着かなくて寝れなかった。

 

今日から私は豪炎寺家に住むことになるけど…昨日の豪炎寺さんが話していたことがどうにも引っかかる。

8:00になる。

今日は家の人と顔合わせや街を案内してもらうことがメインらしい。

 

どんな家なのか、私を引き取るくらいだから金持ち?

それとも目を覚まさない娘の穴を埋めるだけで少しくらい家族が住んでる?

うーん…想像がつかないや。

 

ピーンポーン

きた。

「準備はできてるか?」

私は頷いて荷物を急いで持ってきた。

では行こう、と言われ荷物は車のトランクに入れろと言われた。

…高級車だよね、これ。

やっぱり引き取るくらいだから金持ちなんだ…息詰まりそう。

 

数時間たち私はいつのまにか寝ていた。

肩を揺さぶられ、ゆっくりと目を開けるとエプロン姿のおばさんに笑われた。

「ふふ、すみません…私は家政婦をやっているフクです。」

豪炎寺さんとは違い柔らかい優しい笑顔で迎えてくれた。

取り敢えず中へ入ってくださいと言われ入ると

木戸川清修にいた豪炎寺修也が立っていた。

 

「お前が露乃だな、俺は豪炎寺修也宜しくな」

と少し微笑み手をこちらへ寄越す、握手を求めているんだろうなぁと思いながら

「よろしくねぇ」

と一礼した。

「……」

無言のまま豪炎寺は手を引いた

豪炎寺さんが色々と喋っている中私の目には

棚の上に置いてある写真に目がいった。

お母さんであろうすごく綺麗な人。

真顔で少し怖い顔であるが今より優しい雰囲気の豪炎寺さん。

優しいお兄さんみたいな笑顔の豪炎寺。

元気で可愛い女の子。

 

いいなぁ…。

 

 

「では、修也後は頼むぞ」

と言って豪炎寺さんは出かけた。

何も聞いてなかった…。

「ひとまず荷物はフクさんに預けてくれ、いいですよね?フクさん」

私から荷物を取るとフクさんに渡す。

「はい。」

フクさん…いい人だなあ。

 

 

 

私と豪炎寺は外へ行き一通り見回った。

「露乃、お前どこかで…」

豪炎寺と河川敷のところで話していると

サッカーをやっている人たちがいた。

その端に小学生ぐらいの女の子が不良に絡まれ

その不良はサッカーボールに唾を吐き女の子に向かって蹴った。

 

「危ない…‼︎」

 

私が駆け寄ろうとする前に動いたのは豪炎寺だった。

女の子に向けて蹴られたボールを簡単に蹴り返し不良にぶつけた。

流石エースストライカー…

 

バンダナをしている少年になにやら声をかけられていたが無視して豪炎寺は戻ってきた。

 

「かっこつけ。」

心の中で思った言葉がふいに口に出てしまった。

豪炎寺は目を大きくしたがすぐに顔を背けた

 

帰り際何も会話はなかった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2日目-転校-

5:00

朝起きると、いつもとは違う柔らかいベッドにいた。

そっか、ここは私の家じゃないんだった。

ベッドから降り、私はパジャマを着替える。

「せっかくだし、学校は8:30からだしランニングがてら散歩かな」

私はフクさんに早めの朝食と散歩をすると伝えて豪炎寺家から出る。

 

「どこに行くんだ?」

 

鋭い声に思わずドキッとする。

立ち止まり後ろを向くとそこには豪炎寺がいた。

「…散歩」

一言、それだけを言って私はまた歩き始める。

いつのまにか〝 雷門中学校 〟まで歩いてきてしまった。

今日私と豪炎寺はここへ通う予定なのだ。

 

「露乃、お前はなんで俺の家に来たんだ?」

 

そんなの、私が知るはずがないのに豪炎寺修也、この男はなんとなく気に入らない。

 

 

7:30

豪炎寺家に帰り、フクさんから制服をもらい学校へ行く支度をしていた。

前の学校の制服さえ、着たことがないのに変な気分

当然豪炎寺と一緒に登校するのだが何も話さない。

私はこの家に居ていいのか、なんて考えてしまう。

 

先生は何を思ったのか私と豪炎寺を同じクラスにした。

「露乃、同じクラスだな。よろしくな」

そんな一言でも何故か胸をちくっとさせる。

私達は教室へ入ると先生は

「みんなに転校生を紹介するぞ〜」

といい、注目を集める。

 

 

「「ああっ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」」

 

 

とても騒がしい声が私達…いや豪炎寺を迎え入れた。

バンダナをつけた少年。

豪炎寺はとても驚いた顔をして少し後ろへ下がってきた。

「なんだ〝 円堂 〟知り合いか?」

先生のメガネが太陽の光で反射する。

「えっ、あぁ…知り合いってわけじゃ…あはは…」

ふぅん、円堂って多分昨日河川敷にいた人だよねぇ

 

「修也くん、運命の出会いなんじゃない?」

私は少しバカにしたような笑いを交えながらコソッと豪炎寺に言う。

「何を言ってるんだお前は…。」

はぁ、とため息を吐く豪炎寺はとても滑稽だ。

先生は手を一度鳴らし仕切り直し私と豪炎寺は自己紹介をし席へ。

 

休み時間へ入り私と豪炎寺のところへ円堂がきた。

「豪炎寺、それに露乃!昨日俺名前言ってなかったから…俺円堂守!サッカー部のキャプテンをしてんだ!ポジションはキーパー!」

へぇ、下の名前は守っていうんだ。

たしかにキーパーしてそうな名前だね

 

「昨日のお前のキックすげぇなあ!!!!よかったらサッカー部入らないか!?」

 

やっぱ勧誘されるんだね、本当に大人達が言っていた〝 イナズマイレブン 〟になっちゃったりね

 

「サッカーはも…」

豪炎寺はあまりにも悲しそうな顔で言うから…



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。