ナイツ&マジック 二対の鳳 (コーちゃん元帥)
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旅立ったのです

 さてとあるファンタジーな世界での話です。

 広がる森にそして開けた所に村と大きな石の壁に覆われる砦……そしてロボット……いやこの世界ではシルエットナイトと言われてる。

 10m程の巨人が砦に向かって歩いて来る。

 巡回から帰って来たのだ。

 門が開きシルエットナイトは砦の中にそしてその中でも格納庫に向かいそして椅子に座り激しく唸りをあげていた心臓部は眠る。

 胸部が開きその中からシルエットナイトを操る騎操士と呼ばれる騎士が出てくる。

 そして整備するために鍛治師が迎えるがその中でもいやこの砦の人間とは思えない子供が真っ先に出迎えた。

 「お疲れ様です!どうでした、サロドレヴィーラの調子は?」

 

 「おう!調子良いも何もカルディトアリアよりもずっとすげぇぜ!マジで元サロドレアかよ!?」

 

 「ちげぇねぇな、膂力、機動性、攻撃力、どれも既存のシルエットナイトを超えてるぜ!」

 

 「ええ、背中の動く杖も最初は戸惑ったけど調子良いわね。稼働時間も長いわ」と好評価だった。

 

 鍛治師達も騎操士からの好評価に満足していたが何よりも満足したのはこの守護騎士団全員の息子とも言えるメイルベーゼの試作騎が成功したからだ。

 「良かったわね!メイル考案のシルエットナイト、また成功だな」

 

 「うん!」褒められた事に喜ぶメイルベーゼ、そうこのサロドレヴィーラはこの守護騎士団[シャルネ騎士団]限定で運用されているサロドレアの改良騎であり現代から300年前に採用されカルダトアが採用されはじめて第一線を退いた旧型騎だがメイルベーゼの革新的な新技術でサロドレアが、カルディアリアがカスタマイズされた団長専用騎[ウォートシリーズ]と同等かそれ以上のシルエットナイトに生まれ変わった。

 こうして喜びに浸ってる時、一人の伝令係が来た。

 

 「メイルベーゼ、マーリ公爵閣下が呼んでる。至急来てくれ」と言われメイルベーゼは皆に断りを入れてから公爵がいる執務室に向かった。

 

 

 コンッコンッ「メイルベーゼです」

 

 「入りなさい」と言われ入る。

 中には二人の女性、マーリ公爵と他にシャルネ騎士団の団長ダンヌ・シャルネ騎士団長がいた。

 「ご用件はなんでしょうか?それになぜシャルネ騎士団長までご一緒に?」と聞くとマーリ公爵は真剣な眼差しで口を開く。

 

 「メイル…突然だけどライヒアラ騎操士学園に行ってみる気ない?」

 

 「本当に突然ですね。でもなぜ今になって勧めるのですか?」本当にいきなりなので驚きはしたがそれ以上になぜ今さら学園に行かなければならないのか?それが不思議でならなかった。

 もはや現場叩き上げで身につけた技術を持ってるメイルベーゼからすれば今さら基礎を学びに行く理由にはならないからだ。

 

 「確かに今さらだけど……でもね。別に基礎を学びにとかそんなんじゃないのよ。その歳で十分に貢献してるわ。あなたが考案した数々の革新的なアイデアで生活水準は激的に向上してるしシルエットナイトだって同じよ。けどだからこそ外の世界を見てきてほしいの」

 

 「外の世界を……ですか?」

 

 「そう、はっきり言ってあなたの才能をこんな所に閉じ込めて置くのは勿体ないわ。それこそ私の領内だけでなくフレメヴィーラ王国全土に貢献出来る才能をあなたは持っている」

 

 「別にうちは……」褒められて嬉しいがそれとは別にこの土地から離れたくないからか答えは出てこなかった。

 メイルベーゼからすれば革新的とは言われてもいずれ誰かが辿り着く技術だと思っているのでそこまですごいことをした自覚は無いのだ。

 だがある理由からここまで育ててくれたマーリ公爵からの好意を無下にするのも躊躇い難かった。

 

 「まあそうでしょうね。別に強制はしないから明日までに答えをもらえるかしら?」

 

 「はい…少し考えさせてもらいます」と話はここまでなのでメイルベーゼを退室させて行ったのを確認してから軽く溜め息をついた。

 「溜め息なんてマーリ・クシャトリネ公爵らしくないわね?」とここまで黙っていたダンヌ・シャルネが口を開いた。

 「公爵はよしてダンヌ、柄じゃないわ」

 

 「それにしてもまさかメイルをライヒアラに通わせようと考えるなんて本当にどうしたのって理由は聞くまでもないか……」

 

 「ええ、メイルは本当にいい子に育ってくれたわ……だからこそ羽ばたいてほしいのよ。今のライヒアラにはメイルが成長するための環境がある」

 

 「なるほど…… 噂の銀鳳騎士団か……そうか!マーリお前の目的は……」噂の銀鳳騎士団、王直轄の騎士団で開発集団……そして常識外れの技術者が団長をしていると……

 

 「そうよ。銀鳳騎士団はメイルの才能をもっと輝かせることが出来る最高の場所よ!」

 

 「だがメイルが素直に銀鳳騎士団に協力するのか?噂だけなら厄介事だらけの集団だ。余程のことがない限り自分から首を突っ込まないぞ」そう面倒事等には首を突っ込まない主義である。

 控えめでおとなしい性格な為に積極的ではないし命でも懸かってない限り関わることはないのだ。

 だがマーリはそんなことは折り込み済みであった。

 

 「けど噂の団長君はほっとかないでしょうね」

 

 「どういうことだ?」なぜ噂の団長がほっとかないのか?理由が分からなかった。

 

 「聞いた話だと目的の為なら問答無用で周りを巻き込むらしいわ。そしてメイルちゃんは前からフレメヴィーラ中に噂になってるしシルエットナイト大好きッ子である団長君の耳にも入っている可能性は高い、あとはメイルちゃんがライヒアラに行けば強制的に銀鳳騎士団に引き込まれるって寸法よ」と我ながらそういう事に頭の回転が速いマーリの話を聞いて内心呆れていたダンヌであった。

 まあそうじゃなくても興味の対象があればメイルから関わっていくだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてメイルはと言うと……

 

 

 

 その夜、砦の一番高い屋根の上で星を見ながら考えていた。

 (どうしよう……マーリ公爵の言う通り外の世界を見て学ぶことは大事だけど……離れたくないな……皆と)

 メイルベーゼの家族はずっと前に死んでる。

 住んでた村が魔獣に襲われ自分を残し村人全員が死んだ。

 それからマーリ公爵に拾われこの砦の皆が迎え入れてくれた。

 この数年間で家族と言える程の関係になってる。

 だから怖い離れてる間に誰かが死なないか?また知らないうちに失うのが怖かった。

 星を見上げ悩んでいると声を掛けられた。

 

 「どうしたメイル?ここにいるってことは悩み事か?」と来たのは鍛治師の責任者、ラルフローレン通称レン姉さん。ドワーフ族でマーリ公爵やダンヌ団長の幼馴染みである。

 因みに男勝りでドワーフ族ならではの力強さがあり怒ると怖いが面倒見も良い姉御である。

 「実はマーリ公爵からライヒアラ学園に行かないかっていう話があって…」とそれだけでラルフローレンはメイルベーゼが悩んでいる理由もマーリの考えも分かった。

 「なるほどね。けどメイル随分とあたし達を舐めてるじゃないか?」悪く捉えるとお前ら弱いから死ぬよねっと言ってるもんだから

 

 「……ごめんなさい」素直に謝った。

 

 「いいよ。そんだけ怖いんだろ?けど死にやしないよ。ここの奴らは執念深くって意地っ張りで諦めることを知らない大バカ共の集まりだ」そう言われるとそうだなっと思った。

 マーリ公爵の先代は頑固者で真っ直ぐで不器用でそして諦めない人で助けてもらった時の名言は今でも覚えてる。

 [光に向かって一歩でも進もうとしている限り人間の魂が真に敗北する事など断じて無い]

 因みに退位したのにいまだに第一線で戦ってるので本当に凄い!

 マーリ公爵も専用騎クロイツウォートでたまに出撃するし………ダンヌ団長に怒られてたな……

 

 「行ってきな外でしか学べないことなんて山ほどあるんだからな」なんか聞いてたら答えが出たような気がする。

 

 「うち……行くよ。ライヒアラに」そして次の日にその胸を伝えた。

 そうしたらもう行くこと前提で祝い事の準備をしてたらしくなぜか領内の色んな人が来て盛大にやってくれた。

 そして次の日………うちはライヒアラ騎操士学園に向かって旅立ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ライヒアラでの話

 

 「そう言えば、確かマーリ公爵領の方でも似たようなシルエットナイトがあるって聞いたな」

 

 「本当ですか!?是非とも語り明かしたいものです!」

 

 「しかも近いうちにライヒアラにその開発者が編入して来るって噂が……」

 

 「なんとぉ!!これは待ち遠しいですね♪」

 

 

 

 

 





 とりあえず出来たら投稿しまーす


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遠征中です


 


 さてこのフレメヴィーラ王国では主な街道は整備されている。

 そしてその道を歩く三騎の[サロドレア]に似たようなシルエットナイトと数台の馬車がいた。

 「遠征仕様のサロドレヴィーラ、調子良さそうだな、メイル」

 

 「いや……それ以前にライヒアラまでなら一人でも行けるのに……」そう何故かライヒアラに旅立とうとしたらマーリ公爵が危ないからって理由で一個小隊の遠征仕様型サロドレヴィーラの護衛を付けられた。

 貴族でも何でもない学生の護衛にしては過剰過ぎだよ!

 

 「まあそう言うな俺ら騎士団にとってもマーリ公爵にとってもメイルちゃんは息子みてえなもんだ。いくら街道だからと言って魔獣に襲われない保証もないんだ。これぐらいやってもバチは当たらないさ」

 

 「そうかも知れないけど……」マーリ公爵領は王都を除けばシルエットナイトは200騎以上保有する所だがそれでも魔獣の異常な数に手を焼いてる。

 だから普通は一騎でも欠けるのは手痛い所なんだが……それがメイルベーゼの認識だが、マーリ公爵領の人間は違う。革新的な技術で生まれ変わったシルエットナイト、農業や商業、料理等々生活水準の向上に更には騎操士としてもエース級の腕前であり正騎士顔負けであり切り札的な存在でもあるので本当なら大隊規模で護衛したい気分であるのが考えの違いであろう。

 そして休憩を挟みながら夕暮れ時まで順調に進み

 

 「今日は野営だな」

 

 「そうですね。ヤントゥネンは明日ですね」簡単に言えばマーリ公爵領からはライヒアラまで4日掛かる。

 そのため2日でヤントゥネンに到着して補給してから残り2日進めばライヒアラに着く予定だ。

 行軍を止めキャンプを設営し始めた。

 そしてその中、メイルベーゼは料理を始めた。

 これはもはや恒例と言うべき流れである。

 鍋にグツグツとチョコレートみたいな色をしたルーと野菜と肉を煮込みもう一つの鉄釜でマーリ公爵領の特産品の一つお米を炊いている。

 幸い近くに川があり水には困らなかった。

 そしてこれまた普通なら高級品で希少な香辛料をふんだんに使った料理それは出来上がり

 因みに香辛料も大量生産に成功してるので希少ではないのだ。

 

 「カレーの出来上がりですよ」と言えばキャンプの設営を終えて待ってました!と言わんばかりにメイルベーゼの周りに集まりご飯をよそってルーをかけることにより完成するカレーはメイルベーゼが作った新しい料理である。

 団員達は皿をもらってはすぐさまたべる。

 「ヨッシャ!カレーだぜ!!」

 

 「やっぱうめ~~!そして辛い!!」

 

 「でも何故かこの辛さがやめられねぇんだよな」

 

 「野菜の甘さもあってちょうど良いしな!」

 

 「米は欠かせねぇよ」

 

 「でも何て言ったってメイルの料理だからうまい!」とこの騎士団では当たり前の事、メイルベーゼは開発などするが料理が趣味でもあり更に新しい料理を作る。

 それは好評でありレシビ本を書いて周囲に広めたら高級料理店並みまで味が向上した。 

 因みにマーリ公爵等も王都の王族の料理なんてメイルの料理の足元にも及ばないと豪語するほどだ。

 そんな皆が笑顔で食べてはおかわりしてくれるのが嬉しくって仕方ないのだ。

 

 「メイル、すまねぇがちょっと見てくれねぇか?足回りの調整が今一つでな」と鍛治師の一人がメイルに助けを求む

 結局サロドレヴィーラに一番詳しいのは開発者であるメイルベーゼなのだからそしてシルエットナイトの方に行くメイルの背中を見て残った騎士は少し寂しさを感じていた。

 

 「まあでもよぉ……これもあと3日すれば食えなくなるんだよなぁ……」

 

 「バカ野郎、そんなワガママでメイルの将来を腐らせる訳にはいかねぇだろうよ!」

 

 「いつか巣立ちをするときが来るんだ。それが今だってことだよ」

 

 「そんなことより俺らが死なねぇようにしねぇとな?メイルを泣かせる訳にいかねぇ」

 

 「だな、あとはフレメヴィーラ中に轟くであろうメイルの活躍でも聞ければ十分だろ?」と各々は決意を新たにあと数える程しかないメイルの料理を味わっていた。

 

 

 

 

 

 

 その頃、ライヒアラでは……

 

 

 

 

 「早く来ないですかね~♪シルエットナイトについて存分に語り明かしたいです!」

 

 「そう言えば、噂の開発者に護衛が付いてるとか聞いたな……」

 

 「そうそうテレスターレに似たようなシルエットナイトが護衛してるって…」

 

 「本当ですか!?まさか開発者と共に実機まで来るとは!!来たら隅の隅までバラしてじっくり観察を…」

 

 「いやダメだろ!送り届けたらすぐに戻るんだぞ!」

 

 「それよりツェンドルグの制御術式仕上げねえと御披露目までに間に合わないぞ?」

 

 「それよりもテレスターレをどうにかできないか?流石にこのままで試合はキツいぞ」

 

 「むむむ……それは開発者が来たら調整してもらいましょう…向こうは実践配備してるらしいですし十分なノウハウがあると思います」

 

 「確かに銀色坊主の言う通りだろうな……実践配備してるってことは少なくともこのじゃじゃ馬よりはましだろうよ」

 

 「では着いた証しにはさっそく団員に引き込みましょう♪」

 

 「銀色坊主………無理やりはやめとけよ……って聞いてねぇか」

 

 

 

 

 





 サロドレヴィーラ

 サロドレアを改修したシルエットナイトでラボが開発するカルディトーレより若干性能が低い下位互換仕様である。
 でも大半は既存を維持してるので改修のしやすさと慣れた機構であるために評判は良い


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戦闘です

 さて一日目のキャンプを終え二日目に突入

 旅路の一行は今日も進むが予定が順調に行けばヤントゥネンに着きそこで寝泊まりして二日程掛けてライヒアラに向かう

 だがそれは非常事態が無ければの話

 

 

 

 「メイル、また新しいアイデアか?シルエットナイトってこれ下半身人じゃねぇよな?」と移動中は基本暇なのでメイルは暇潰しと言わんばかりに設計図を描く。どうやら何か思い付いたのだろうが鍛治師の一人が見て目を見開いた。

 上半身はシルエットナイトであるのは分かる。

 装甲が薄いから恐らく機動力に特化してるのだろうとしかし下半身が違った。

 簡単に言えば馬だ。

 馬の首から下を下半身として見立てた物だった。

 「そうですよ?人じゃ行軍速度が遅いですから親しみのある馬で」

 

 「いや、だったら……ん?これ前に考えていたチャリオットシリーズと一緒か……だったら納得いったよ。上半身と下半身で意味を持たせてるのか?」と最初こそ驚いたがマーリ公爵領では少数ながら半人型のシルエットナイトが生産されているのですぐにその構図の意味が分かった。

 

 「正解、上半身が人なのは武器を使うのに適した形だし下半身が馬なのは走るのに適した形だからです。それに輸送能力は高いと思いますよ?」とそこで他の鍛治師も集まり同じ説明すると一同は考えた。

 確かに馬の足の速さと人は武器を扱うのに適してる。

 その2つが合わされば相乗効果は計り知れないだろう

 「よぉぉく意味は分かったがエーテルリアクターは2基になっちまうのか?」

 

 「残念ながら1基では動かすことすら叶わないでしょう、あと操縦系統がガラリと変わりますから騎操士の育成も大変かと……」と見せられた操縦方法や制御術式など見せてもらうが術式はだいぶ負担を減らしてくれてるがそれでも操縦は大変であることは安易に予想できた。

 

 「でもチャリオットシリーズも使ってるしうちの騎士団なら問題なくね?」と皆も頷く確かにチャリオットシリーズも操縦系統がガラリと変わってるのである意味今さらかもしれない

 

 「そうでしたね。では……あれは狼煙?」とふとメイルベーゼが気付き騎士達も見て顔色を変えた。

 

 「赤……決闘級魔獣の群れか!?」それは村落が魔獣による被害にあったときにあげる狼煙があるが赤は最大級の被害になる決闘級魔獣の群れを意味する。

 

 「メイル達は先に行け!俺達は救援に向かう!」

 

 

 「待って!」と護衛のシルエットナイトは救援に向かおうとするがメイルが止める。

 

 「どうしたメイル?」

 

 「今、微かに聞こえた音だけでも20はいる!だから…」とこのあと言おうとしてる事が分かった。

 メイルの危機管理能力はずば抜けて高い。それも騎操士としてエース級である理由だ。

 だから疑うことはしないそして考えた。

 3騎のシルエットナイトで20体の決闘級魔獣を相手にした場合、まず只では済まないだろう。

 だがメイルなら話は別だ。

 メイルは改修前のサロドレア単騎でも決闘級の群れに無傷で生還出来る。

 実際に30体ぐらいなら無傷で生還など当たり前だった。

 「分かった……だが無理はするな…サローガお前のシルエットナイトを渡せ、グラーナいざというときは命を賭けるぞ」

 

 「「了解!」」とサローガはサロドレヴィーラの操縦を代わりそしてメイルはいつものことをする。

 触媒結晶付きの手袋をはめて操縦席にあるわざと剥き出しになってるシルバーナーヴを掴むそして目を瞑り呟き始める。

 「マギウスエンジン接続……制御術式最適化……出力調整……魔力貯蓄量……84.2……機体の状態、全て良し……」メイルのやってることは自身のマギウスサーキットで処理している。

 これは直接制御と呼ばれる。

 まあ到底常人では不可能なことであるが……常人では……

 

 

 

 「メイルベーゼ…サロドレヴィーラ行きます!」と狼煙の方に走り出す。

 それも繊細で力強い走り

 「俺達も遅れる訳にはいかん!最大速度で急行する!!」

 騎士もメイルベーゼに続くように走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその村はメイルベーゼの言う通り相手は決闘級魔獣の群れで数は20余りであった。

 襲撃されてからまだ10分足らずしか経ってないが群れの規模がでかい為に村全体が荒らされるのはそう長い時ではなかった。

 

 「早く!砦の中に入るんだ!!」と村人の人が叫ぶ村の真ん中には避難所である砦がある。

 そしてあらかた避難し終わった時に起こった。

 それは頼みの砦の一部の壁が壊されたからだ。

 村人は絶望しただろう。未だに騎士の助けはなくそして頼みの砦は壊され逃げ場がないのだ。

 魔獣は餌を見つけたことに喜んでいるように見えた。

 そして口を大きく開き食事を楽しもうと村人ももうダメだと思い諦めた時

 

 「その下品な口を……閉じろぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 雄叫びにも聞こえる幼い子供の声が響き渡り魔獣にハンマーから繰り出す渾身の一撃をかまし魔獣を肉塊へと変え吹き飛ばした。

 一瞬、何が起きたのか分からなかった。

 だが肉塊が地面に落ち、目の前にシルエットナイトが立ちようやく状況を呑み込めた村人からは歓喜の声が挙がった。

 

 「シルエットナイトだ!騎士が来てくれたんだ!!」

 

 「すげぇ!一撃で倒したぞ!!」

 

 「それにあのシルエットナイト見たことないぞ!!」そしてそのシルエットナイトは再びハンマーを構え魔獣の群れの中に突撃した。

 

 

 

 

 

 

 (ちぃっ!……でも砦の人だけでも間に合ったのが御の字か!!)内心舌打ちをしながら避難した人間だけでも間に合ったことに安堵を浮かべていた。

 そして次に向けられる目標は……魔獣である。

 まず群れの中に突撃した。

 そしてハンマーを振り回したが一撃が重い分隙が大きい、だがそれを考えないメイルではなかった。

 目の前に立ち塞がった2体をまとめて吹き飛ばした。

 そしてその大振りは隙だらけであり魔獣は突っ込んでくるが慌てない背中に付いている2本の腕が動き更にそれにはシルエットアームズが握られていた。

 「背中ががら空きだと思ってるの?」メイルは思考トリガーを引くと2つの炎、カルバリンが放たれ後ろから襲おうとしていた魔獣に命中し絶命した。

 

 「ガァオォォォォ!!」後ろの魔獣を対処したが今度は横から1体接近してきたが……

 

 「ちょうど振った所なんであげますよ?ハンマーを…」とちょうど遠心力で勢いついたハンマーを魔獣に向けて手放し顔面に直撃したがすぐにそのカルバリンを叩き込み倒す。

 

 「今度は上ですか?獲物はまだ持ってますがね」虫型魔獣が飛び上から襲おうとしていたが慌てずカルバリンで撃ち落とし落下してきた所を予備兵装の2本の短剣で的確に急所を刺し倒した。

 

 「グゥアァァァァァ!!!」今度は熊みたいな魔獣が爪を振りかざして来るが今度は短剣をしまい振りかざした片腕を掴み

 「なんの!一本背負い!!」と投げ飛ばした。

 その上、投げた先には計算尽くしだが他の複数の魔獣の所に投げ動きが止まったので纏めてカルバリンで焼き付くした。

 この短時間で計13体倒したのである。

 そしてそのあまりに衝撃的だったのか残りの魔獣は距離を取り警戒し始めた。

 (ありゃ……魔力貯蓄量………4割ちょい……でも…)

 

 「まだ私達がいるぞ!!」と2体のサロドレヴィーラが来たのだ。

 そして完全に無防備な真後ろからの強襲に残りの半分は呆気なく倒され包囲が解けた所で残りを殲滅したのであった。

 

 

  

 そして戦闘が終わった頃、村の救援に向かっていたシルエットナイト達がいた。

 

 それはヤントゥネン守護騎士団所属

 中隊長騎のカルディトアリアを陣頭にした一個中隊(10騎)が全速力で駆けていた。

 

 「中隊長!魔獣の音が無くなりましたがいったい……」

 

 「まさかもう村は……」

 

 「無駄口を叩く暇があるなら走れ!クリスタルティシューが砕けるぐらい全力でだ!!」この時の中隊長は焦っていた。

 最近ではクヌート公爵領のダリエ村がおびただしい数の魔獣の群れに襲われて甚大な被害も出たと…それも迅速に中隊規模が駆けつけたにも関わらずだ。

 だから焦っていた。

 時間はもう村に万が一が起きてもおかしくない時が経っている。

 その上、さっきまで聞こえていた魔獣の音まで消えれば最悪な事態しか思い付かない

 (せめて少しでも生き残っていてくれ!)

 そう心から願い走った。

 そして村に着いてそれ以上の事が叶った。

 村に着くと村人の歓喜の声が聞こえた。

 そして周りを見れば壊された砦に家や魔獣の死体、その中で一際目を引くものがいた。

 

 「なんだ……あのシルエットナイトは?」最初はサロドレアに見えたが全身に渡り改修が施されたのが安易に分かる。

 だが一際目を引くものは背中に腕があることだ。

 そのサロドレアに似たシルエットナイトは自分達に気付いたので確認を取った。

 

 「私達はヤントゥネン守護騎士団所属の者である!そちらの所属を訪いたい」そして恐らく隊長格と思われるシルエットナイトが答えた。

 

 「我らはマーリ公爵領所属の騎士の者です」

 

 「マーリ公爵領所属の騎士がなぜこのような所で?」

 

 「我らの重要人物の護送中の所、村の狼煙を確認した故に救援に来た次第でございます。それと幸いなことに村人に死者はいません」それはこれ以上にない情報であった。

 

 「もはや感謝の言葉もないが本当に……本当に迅速な救援に感謝する!」と深々と礼をした。

 

 「後の村の復興は我々が引き受けさせてもらおう、そちらはそちらの任務に復帰してもらいたい」流石に任務中の騎士に村の復興を頼むのは無礼だと思い引き継ごうと思ったが

 

 「いえ、その護衛対象が復興を手伝う気ですので我々も協力させてもらいます」とまさかの協力をしてくれるとのことでよく見ると騎士と思われるが変わった鎧を纏った小さな学生ぐらいの子供が駆け回っていた。

 気になり部下に復興に着手するようにと伝え一人機体から降りる。

 そして観察する。

 怪我人に適切な処置を施しそれぞれに復興するための工程を提案しシルエットナイトに乗っては瓦礫や魔獣の死体を片付ける。

 

 「あの子供はいったい何者なんだ………」明らかに正騎士ではないと思うがどんな熟練の騎士よりも動いている。

 そんな疑問に思った呟きにすぐ答えが返ってきた。

 

 「マーリ公爵領守護騎士団のエースであるメイルベーゼです」

 

 「メイルベーゼ!?……ではあれがマーリ公爵領から伝わってきた噂の開発者か!まだ子供ではないか!?」

 

 「ですが魔獣のほぼ全てを駆逐したのはメイルベーゼです。我々は遅れて来たので片手で数える程しか倒してません」

 

 「なに?少なくとも20はいる……単騎でそれだけの魔獣を倒したのか!?しかも無傷で!」

 

 「まあそう言うことです。では後続の仲間も来ましたし我々も復興作業に当たらせてもらいますよ」

 

 「ああ、こちらこそ何から何まで感謝する」

 このあと予定そこ遅れるが復興作業は順調を通り越してメイルベーゼ発案の建築方法から料理や農業などのアイデアを取り込むことによって襲撃前とは見違える程に発展した。

 そしてヤントゥネンに着いたのは3日程遅れての到着であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ライヒアラでは……

 

 「そろそろ予定では到着する筈ですね♪楽しみです!シルエットナイトについて語り合うまで待ち遠しい~早く来ませんかね?」

 

 「楽しみにしてるとこ悪いがそれはもう少し先の事だな」

 

 「なぜですか?」

 

 「なんでもその噂の開発者は襲われていた村の復興作業を手伝ってるって話だ。予定よりかなり遅れるだろうよ」

 

 「なんですとぉぉぉぉ!?…………」

 

 「流石に村の復興作業となれば当分かかるだろうしな」

 

 「そうね。被害はかなりデカイって聞いたわ」

 

 「くぅ……ならばツェンドルグは動きますしこちらから迎えに…」

 

 「駄目に決まってるだろ!まだろくなテストもしてねぇたろうが!」

 

 「それよりも我らが団長はカルダトアを大破させた反省でもしてもらいたいのだがねぇ」

 

 「う~、でしたら…し「シルエットギアもダメだ!!」……はい」

 

 「ヤバい!しゅんとしたエルくんかわいい!」

 

 

 




 チャリオットシリーズはいわゆるガンタンク……いやザクタンクだと思ってもらえれば良いです。
 タンク脚ですからパワーが自慢です。


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改修中です

 さて村の復興を終えて(とんでもない速さで復興したが)3日遅れでヤントゥネンに着いたメイルベーゼ達はヤントゥネン守護騎士団に手厚く歓迎されていた。

 

 「まさか団長直々にお礼を言われるなんて……」

 

 「いやいや、よく考えろメイル。あれだけ荒らされた村を3日で復興なんて普通出来ねえからな」

 

 「そうそう、あの惨状じゃ2週間以上はかかるんだから胸を張れって」

 

 「メイルがいなかったら今頃、村人の大半は死んでいたかも知れないんだ。感謝しても足りないぐらいだろうな」と結果は結果なので素直に受け入れてもいいと思う団員達

 

 「それにご好意で整備するための設備も貸してくれたんだ。材料も用意出来る物であれば用意してくれるらしいし」

 

 「まだ受け入れ難いけど設備は嬉しいかな……」メイルの頭の中では思いついたシルエットナイトのアイデアがいくらかあるので作りたいと思っていた。

 

 「かわいい奴めぇー」とメイルは頭を撫でられる。

 そしてそのあとは欲しい物をリストに挙げたがヤントゥネンの整備士は頭を傾げた。

 「こんな普通の補給で良いんですか?それに廃棄寸前の材料って……確かにありますけどもっと良い材料もありますが?」今回の村の報告を聞いてる限り村の英雄と言われても良さげな結果を出してるので団長からも物資を惜しむなと言われてる。

 実際、これだけの事をしてるんだから新規のカルダトア(エーテルリアクター無し)を5騎分渡してもバチは当たらないと思っている。

 

 「良いんですよ。それにヤントゥネンはまだ再編中と聞いてますからこれだけ用意して貰えれば十分過ぎますよ」と言われただけでヤントゥネンの懐事情を配慮してのことだと分かった。

 確かにヤントゥネン守護騎士団は数ヶ月前に師団級魔獣[ベヘモス]の侵攻があり決して少なくない被害を受けてる。

 今も他の公爵領から借りた騎士で穴埋めされてる状態だ。

 

 「ご配慮感謝致します。それでは最優先で用意させますので適当にくつろいでいてください」と言われたので待つついでにみんなを集めてサロドレヴィーラの小改修案を話していた。

 「成る程、遠征仕様のサロドレヴィーラの背中にコンテナを背負わすと……設計書を読む限り後方支援を主とした仕様か」

 

 「このシルエットアームズ、使い所を間違えなければ強力な後方支援に仕上がるな」

 

 「それにこの足に付ける追加装甲、うまくいけゃおもしれぇことになるな、足への負担も減りそうだし」

 

 「このフルアーマーとやらも良さそうだな、膂力と防御に特化したのも前衛に居れば心強い、この改修が成功すれば今後の編成も面白くなりそうだ」とメイルの改修案を見て鍛治師としては面白い案だと思った。

 

 「よぉぉし!半日もありゃぁ出来る代物だしいっちょ作るか?」

 

 「ダメでも動けるしなこの改修案なら」

 

 「最悪、ばらしてでも持ってけるしな」と予定も決まり待つこと約50分……頼んだ材料を用意してもらい設備を貸してもらってそんでもって共通の設備を利用してるので当然ヤントゥネンの人にも見られる。

 まあだいたいサロドレヴィーラが気になっているのだろうが……

 

 「よぉうし、メイル仕込みの鍛治師魂見せてやるか…」

 

 「おめぇらレン姉さんがいねぇからって抜かんじゃねぇぞ」

 

 「ある意味でこれがメイルとやれる最後の改修だ。気合い入れろよ!」と言われればヤル気が出る。

 この先、整備はあっても、もう一緒に作業出来る機会はないだろう……

 そしてその勢いのまま半日以下で仕上げてしまった。

 短かったでも何よりも濃密な時間だった。

 時間が余ったのでメイルは残りを任せて一休みしていた。

 

 

 

 「君の所は君自信も含めて優秀だな。あれだけの事をこの少人数でこの短時間で終らせるとは……」休憩中のメイルに話し掛けてきたのはヤントゥネン守護騎士団の団長フィリップ・ハルハーゲンだ。

 

 「別にそこまでの事はしてないですよ。いずれ誰かがたどり着くような物です」

 

 「謙虚なんだな……君は」

 

 「よく言われます」

 

 「少し前にも似たような事があったが……誇っても良いと私は思うがな」とその少し前にもが気になった。

 

 「少し前にも?」と聞くとフィリップ団長は周りを確認してからメイルベーゼだけに聞こえるように話した。

 

 「ああ、陸皇事件の知ってるか?」

 

 「知ってます。ライヒアラの遠征訓練中にベヘモスが現れ高等部の勇敢な方々が文字通り命を賭けて他の学生達を守り救援に駆けつけたヤントゥネン守護騎士団と共に決して少なくない被害を受けながらも討伐に成功したと……でも師団級、相手にこの程度で済んでるのは高等部の方々とヤントゥネンの練度が物語っていると思いましたが……その様子、あるんですね?イレギュラーな事が……」

 

 「そうだ。実はある中等部の少年が単騎でベヘモスを長時間足止めしたどころか討伐したのだ」ある意味で凄いを通り越してそんな神業を成せる人間はいないだろうが凄く親しみを感じる。

 何故なら……

 

 「ベヘモスを単騎で……しかも討伐を……私みたいな馬鹿が他にもいたんですね」そうメイルベーゼも師団級を単騎で討伐したことがあるからだ。

 その事に逆にフィリップが驚いた。

 「君もあるのか!?……師団級を単騎で!?」むしろそんな話しがあれば国中に広がってる筈だからだ。

 それに頷き肯定した。

 そしてフィリップ団長の反応を見てメイルベーゼは確信に至る。

 「その様子ですと当てましょうか?その中等部の少年は訓練騎を何らかの方法で搭乗した。でも中等部だと体格が合う筈もないからそれでは単騎討伐は成せない、ならば答えは一つ………その場でマギウスエンジンを書き換え掌握し普通ではあり得ない繊細でしなやかで力強い動きを実現させ討伐した……違いますか?」と聞けばフィリップは降参と言わんばかりに驚きを通り越して諦めた。

 

 「経験者は語る…か」

 

 「そんな所です」と話してると残りの細かい作業が終わったのか仲間に呼ばれた。

 

 「それではこれにて」

 

 「ああ、私も戻ろう」と別れてメイルベーゼはそれぞれに施した改修騎を確認した。

 

 

 最初の改修案、遠征仕様の後方支援型の改修

 それは本来なら補助腕がある背中に金属で出来たコンテナが背負わされていた。

 これは武器や補給用の物資等を積む為の物で少数での行動をするための装備である。

 なおコンテナはバックパックと呼ばれる物に接続されており補助腕もそれに接続されているが後方に向けての法擊には制限が付いた。

 更に言えばコンテナは切り離しは可能だが他のに比べて近接戦では若干性能が低下したが同時に開発した携帯型大型シルエットアームズ[ファルコネット]による後方支援が主なので余り問題にはならなかった。

 [ファルコネット]は魔力消費量は通常の倍ほど魔力が減るがその分、威力と射程は従来の3倍近くまで向上した。

 なお折り畳み式なのでコンテナに収納可能である。

 

 次の改修案、高速移動型試験騎

 遠征仕様の足は負担を減らす為のクッションの役割を持った追加装甲があるがこれに固定型のシルエットアームズを内臓させる。

 目的はエアクッションを持続的に発動させシルエットナイトを僅かに浮かし腰に増設された便宜上[エアスラスタ]を吹かして進む物でうまく行けばシルエットナイト単体での移動速度が飛躍的に速くなるだろう

 邪魔ならパージ出来るようにしたので捨てればいい……むろん後で回収するが……

 

 最後の改修案、追加装甲群の近接戦強化

 サロドレヴィーラには魔力貯蔵特化型のを追加装甲として採用してるがこれは更に追加装甲を施した仕様だ。

 簡単に言えば力自慢で有名なシルエットナイト[ハイマウォート]を参考にした物だ。

 盾を持たない為に装甲が厚い騎体であるのを参考に追加装甲で果たしたのだ。

 更にその追加装甲内は補助筋肉も内臓されており膂力はサロドレヴィーラの倍近くになってる。

 ただしその為に連続稼働時間はサロドレヴィーラより短くなったが感覚としては隊長騎として配備されるカンディトアリアと同じく腕でカバーしろと言う熟練向きの仕様になった。

 近接用のシルエットアームズ[風の刃]を補助腕以外にも肩にも固定式ながら増設しており正面に対する火力は高い

 

 「と言う訳であとはライヒアラに向かいながら調整しましょう」とあくまで予想される事を打ち合わせしただけであとは行軍しながら調整していくのであった。

 

 そして次の日

 

 

 

 

 

 必要最低限の調整を済ましたのでライヒアラに向けて出発する。

 ヤントゥネンの騎士達に見送られながら………

 

 

 そしてさっそくエアスラスタ改めてホバースラスタを試していた。

 「イヤァッホォーー!!スゲー快適だぜーーー!!」と、とりあえず動くことが確認出来たがそのあと……

 

 「少しは魔力配分に気を配りやがれ!!」と先に行ってしまったが魔力切れで待っていた仲間がいたのでした。

 

 「もう少しテコ入れが必要っと……」

 

 次に近接戦強化型、フルアーマーの方は……

 

 「稼働時間は短くなってるが重量級の武器を軽々と扱えるのは大きな利点だが少し動きが鈍いな」事実、ハンマーを片手で扱えているので当初の膂力と防御に特化は果たせたが予想以上に動きが鈍くなっていたようだ。

 

 「ならマギウスエンジンを書き換えて……あとは追加装甲の配置を直すしかなさそうですね」

 ちなみにその問題は意外とすぐに解決した。

 

 そして後方支援型の調子は……

 

 「結構良いな。重心のバランスも取れてるし」

 

 「これコンテナにちょいと手を加えれば簡易型の小屋になるんじゃね?」

 

 「良いですね。前線での生活水準を向上出来れば士気も上がりそうです」

 

 「それとバックパック、コンテナの固定器具以外にも使い道ありそうだな」

 

 「それはまた今度にしましょう」と好評であった。

 何よりコンテナの使い道が多種多様にあったので任務に応じて使い分ければ良い結果が出そうだ。

 バックパックもうまくすれば換装式の背面武装、便宜上[選択装備]が生まれそうだ。

 

 「よぉうし、この調子でライヒアラに向かうか」

 

 「だな、どんなに頑張ってもあと一日はかかるしな」

 

 「ではとりあえず昼食にしましょう、作ってきますね」とそのあとは遠征時も特に変わらずメイル達なりの残り少ない日常を楽しんでいたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ライヒアラでは………

 

 

 

 「団長を抑えろー!!!」

 

 「銀鳳騎士団の全員に告ぐ全力で団長を取り抑えろ!!」

 

 「エルくん逃がさないよぉ!!」

 

 「弟子として止めさせてもらうぜ!」

 

 「いーやーだー!もう我慢なりません!」

 

 「わがまま言うんじゃねぇ!銀色坊主!!」

 

 「やべぇ!エルのやつシルエットナイトに乗っちまった!」

 

 「ふっふっふー、乗り込めばこちらの物です。さぁ」

 

 「ここからは行かせないよ!」

 

 「悪いが我らが団長閣下にはここから出させないよ」

 

 「エルネスティ!さすがに限度と言うものがある!!大人しくしろ!」

 

 「なんとぉ!……まさか学園に所属してるシルエットナイトを総出撃させるとは!」

 

 「これぐらいじゃないと止まらないだろうからね」

 

 「状況はピンチ……しかしだから燃えるものです!」

 

 「おめぇら後で死にもの狂いで直してやるからなんとしても抑えやがれ!!」

 そしてそのあとエルネスティはなんと包囲網を突破し学園外でのシルエットナイトによる鬼ごっこが始まった。

 しかし団員達の死に物狂いの活躍により見事捕縛に成功、そして団長は銃杖とシルエットギアは没収され団長補佐を筆頭にした精鋭達による監視の元、家であろうと学園であろうと監視される罰に処された。

 

 「そんな、あんまりですよー!!」

 

 

 

 

 

 





 サロドレヴィーラの追加装備はようは陸戦型ガンダムだと思ってください
 ホバーはドムの足に近い追加装甲で全身追加装甲のやつはNT-1アレックスのチョバムアーマーだと思ってもらえれば

 


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到着です

 さて色々あったが遂にライヒアラの近くまで来たメイルベーゼ一同であった。

 

 「なんだかんだ色々あったなぁ……」

 

 「だな……くぅーっ……遂にメイルにも里離れの時が来やがったか」

 

 「体に気を付けろよ」

 

 「うっかり忘れもしないようにね」

 

 「なんか欲しい物でもあれば言えよ。飛んできてやるからよ」

 

 「みんな………ありがとう……行ってきます」と遂に別れの時が来た。

 流石に横やりを入れられたくないのでライヒアラの近くで別れることにした。

 メイルはこのまま荷物を持ってマーリ公爵が用意してくれた家に向かった。

 そして他のみんなは戻る為の物資の補給をしに行った。

 

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてライヒアラでは……

 

 

 

 

 格納庫の隅にいかにも急造の机に団長と書かれた札が置いてある。

 そしてそこで死にかけてる少年が……

 

 「エルくんが死にかけてる!?」とあわてて団長補佐は体を揺すったりするが返事がない只の屍のようだ。

 「なんだぁ?銀色坊主が死にかけてるなんざぁ7日の徹夜に比べれば生易しいだろうよ」と前回、我慢の限界を迎えた団長は遂にシルエットナイトで迎えに行く強硬手段に出たのだ。

 それを取り抑える為に総出撃にて取り押さえる事に成功こそしたが全騎、最低でも中破、悪いのは大破寸前ととんでもないことになり鍛治師達は7日間の徹夜を強いられたのだ。

 因みに過労にて倒れる鍛治師が続出し現在、親方を筆頭に少数しかいない鍛冶師の面々では精々シルエットナイト一騎の整備が辛うじて出来るかどうかの絶望的な状態である。

 なんせこの騎士団の活動目的は新型騎の開発であり近いうちにそれを王都で御披露目して模擬戦をするのだ。

 だが肝心の中心人物である団長がこの様であるので(自業自得だが)少しずつ解決していった新型機の開発がストップしてしまった。

 なんせ前代未聞の異形のシルエットナイトであるので見本は無く全て0から始めるのだ。

 とりあえず動くし最初に比べれば随分とマシになったが戦闘が出来るだけの満足のいく代物にはなってないのだ。

 おまけに自分たちで開発、製造したシルエットナイト[テレスターレ]は従来を圧倒する性能を持ってるが欠点がある。

 稼働時間の短さだ。

 新しい技術は確かに画期的であったが全て魔力をドか食いしてしまう代物であり更に言えばそれに拍車をかけて操作性が劣悪になっている。

 

 「親方の言う通りだ。学園にかなりの迷惑をかけたからな」

 

 「まぁ我らが団長閣下には当然の罰だね」

 

 「はっきり言って自業自得よね」

 

 「でもよ。これじゃ御披露目に間に合わないんじゃ」

 

 「まだツェンちゃん調子悪いもんね」と見る先には新型機がある。

 だが正直、行き詰まっているのが現状だ。

 そうして悩んでいると外が騒がしくなっていることに気がついた。

 そしてエルネスティが生き返るには十分過ぎる音が聞こえたのだ。

 「これは……シルエットナイトの音……と言うことは!?」と勢い良く起き上がるや我先にと走り出した。

 「ちょっ!?エルくん!?」

 

 「おい!待ちやがれ銀色坊主!」

 

 「だがあの反応はまさか」

 

 「噂の編入生とシルエットナイトか?」と団員達もエルを追うように駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 そして一応捕捉しておくとライヒアラ騎操士学園には校外から来たシルエットナイト用の駐騎スペースがある。

 これはライヒアラ外から来たシルエットナイトを止める事が出来る唯一の場所だ。

 騎士団や商人の護衛の方々が待機する場所

 エルネスティはいち早くたどり着きそれを見ては興奮した。

 「あれが……あれこそが噂のシルエットナイトですね!同一の騎体と聞いてましたが3騎とも違う……なんと言うサプライズでしょうか!」と興奮が抑えられずにいるエルネスティに追い付いた団員達も驚きを露にした。

 

 「あれがマーリ公爵領で運用されてるシルエットナイト?」

 

 「噂通りバックウェポンがあるな」

 

 「しかしなんだぁありゃ?背中にコンテナを背負ってるのか?」

 

 「それよりも一騎、若干浮かんでないか?」

 

 「やけに体格の良いシルエットナイトもあるが…」団員が驚いている間にエルネスティは小さな体格を活かして人混みの中をすり抜けて行ってるのであった。

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 そしてメイルベーゼの方は………

 

 

 「ここを右で少し進んで左で……あれ?」

 こんばんはメイルベーゼです。

 現在、家に向かっていたのですが迷子になりました。

 

 「どうしよう……」と困っていたら

 

 「あんた、どうしたんだ?」

 振り返れば同い年ぐらいだろうか?ガッツリした体格に背が低いそして鍛治師なら引っ提げているトンカチを持ってるので間違いなくドワーフの人であろう

 

 「道に迷って……」と答えると私が持ってる地図に気付き

 

 「なんだ。地図持ってるならオイラが案内するよ。どうせ暇だし」となんと道案内までしてくれるそうだ。

 お言葉に甘えることにしたので荷物を持つが

 

 「それ全部アンタのだったのか?」とドワーフの人は驚く簡単に言えば幼い少年が小さいコンテナを背負ってるようなもんだからそれから案内してもらいながら少しばかり話していた。

 「それにしてもこんな荷物どうしたんだ?」

 

 「明日からライヒアラに通うから故郷から引っ越ししてきた」

 

 「えっ?ライヒアラの編入生なのか?」

 

 「そうだよ。そっちはライヒアラの鍛治師科の人かな」

 

 「正解、ならまた学園で会えるなっと着いたぜって……小さいけど立派だな……どっかの貴族の人か?」と着いたが一人暮らしの家だからかそれに見合った小さな家であったがそれでも立派な家であった。

 

 「んーん、普通の学生だけどちょっとコネがあるって言えばいいのかな?」

 

 「へぇー期待されてるんだな……まっそろそろオイラも学園に行くけどまた明日な」

 

 「うん、ありがとう……そう言えば名前は?」

 

 「ああ、オイラはバトソン、バトで良いよ。アンタは?」

 

 「メイルベーゼ、メイルで良いよ。それとこれよかったら食べて」と懐から故郷の料理、おにぎりを出した。

 だがこちらでは見慣れない料理であったのか

 「なんだ……これ?」

 

 「故郷の料理、おにぎりって言う中にはウメボシって言う酸っぱいのが入ってる。徹夜明けにはちょうど良いよ」

 

 「良く分かったな……まあありがとよ。また明日な」

 

 「また明日」とバトソンと言う親切な今後、友達なれそうな人は学園に向かって行った。

 「今日からここで暮らすのか………」小さな家を見つめる。

 手紙入れポストの所には何故か自分の名前が彫られた銅板が張ってある。

 「なんか中も予想出来てきたような……」

 この数年間で良くあったことは自分が意識してるランクよりも数段階上のランクを何故か領内のみんなは揃えようとする。

 正直、地味な家で普通の生活が出来れば良いのだが善意なので断り面い

 中に入るともはや予想を軽々越えていた。

 「みんな……やり過ぎでしょ……」

 中はそれこそ上流貴族でなければ手に入らない程の調度品などが飽きさせない程度に並べられておりカーペットや椅子や家具は自分が知ってる限り最高級と思える物が揃えられていた。

 そしてその犯人はテーブルに置いてあった手紙に書いてある。

 『メイルベーゼへ ハロー!家の感想はどうかしら?領内のみんなの全てを注ぎ込んだ考えられる限りの最高級を揃えさせてもらったわー!やっぱメイルちゃんが住むならこのぐらいじゃないと月一だけど特産品や道具も定期的に送るから学園がんばってね♪ マーリより』

 

 「やっぱり………」予想通り犯人は領主様であった。

 手紙をしまいとりあえず荷手解きをしはじめた。

 因みに奥に小さな工房があったのはビックリした。

 その日の夜食はメンチカツとミソシルにご飯とサラダを食べて明日から始まる学園生活に備えて寝たのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時間を巻き戻し別れたら後のバトソンは学園へその中でもシルエットナイトの格納庫に向かっていた。

 

 「おう、バト坊じゃねえか、もう良いのか?まだ休んだだってバチは当たらねぇよ」

 

 「でもそろそろ本格的に仕上げなきゃ間に合わないんじゃ?」

 

 「そうだけどよぉ銀色坊主はこの様だ。更に言えば鍛治師も壊滅状態だしよぉ」とバトソンは友達であるエルネスティを見て少し首を傾げた。

 「親方、なんでエルのやつあんなに不機嫌なんだ?」

 

 「おめぇが来る前にマーリ公爵領のシルエットナイトが到着したんだが肝心のメイルベーゼって言う編入生に会えなくてな」

 

 「あれ?メイルベーゼならさっき住宅地区で会ったけど」とその瞬間、二階からにも関わらずエルネスティが飛び降りて来てバトソンの肩を掴んだ。

 「住宅地区とは何処に住んでるのですか!?勿体振らずに教えてください!」

 

 「うおっちょっ落ち着け!それに今日は勘弁してやれよ。あいつも長旅で疲れてる筈だし明日から通うんだから逃げやしないって」と言われ団員達も頷き味方がいないと悟ったエルネスティは渋々取り止めた。

 「うー、歯痒いです。すぐ近くに来てると言うのに……ですが明日からは協力して貰いましょう必ず!」

 エルネスティは決意を固めてそれを見る団員達はせめてそのメイルベーゼが外部の協力者かエルを気に入る団員であることを祈るばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 





 


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編入生です

 

 

 「朝か………」一人起きるメイルベーゼその時点で実感する。

 普段なら騒がしい筈の所、用意するべき料理も自分のだけだ。

 少し寂しさを感じたがそれと同時に少し緊張と興奮が起こる。

 学園に行ったことのないのでどんな物か少しばかり楽しみにしていた。

 洗濯して掃除、そして道具の手入れや水浴びなどし料理、朝食はフレンチトーストと目玉焼きにサラダとウインナーにコンソメスープと故郷で人気だった朝食セットを食べて家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのころライヒアラ騎操士学園では朝から騒がしかった。

 理由としては今日、編入してくるメイルベーゼの話題

 昨日、護衛をしていたと思われるマーリ公爵領所属の騎士が居たことにより確定情報であろう

 そんでもって編入というのが興味の湧くことである。

 小等部から入学するのが普通だが途中から編入するのは違う、よほどの上流貴族かそういった後ろ楯がある。

 または領内にて何らかの実績を残してる人間に限られる。

 また編入生が来るときは実力試験を見学する形で少しばかり授業が無くなるのでまずは魔法実技等を行う演習場に集まっている。

 むろん銀鳳騎士団の面々もいる。

 「あれ?エドガーさん達ではないですか」

 

 「やはりエルネスティ達も居るんだな」

 

 「当然!逃がしはしませんよ!ってキッドにアディ痛いです!?」と両頬をつままれる。

 

 「もうエルくんったら」

 

 「強引はいけねぇよ。でもメイルベーゼって俺らと同い年って聞いてるけどなんで高等部の人達まで来てるんだ?」

 

 「まあ噂が噂だからね」

 

 「聞けばマーリ公爵領の切り札と言われてるらしい」

 

 「おまけに正騎士顔負けの実力者だそうだ」と話してる間、メイルベーゼは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「実力試験ですか?」

 

 「そうだ。まぁ形だけの試験だが実力は見ておかないといけないのでね」と演習場に向かっている間、歩きながらなんの偶然かエルネスティが受ける実技を担当していた教師であった。

 「その割には騒がしいですね」

 

 「すまんな。前にも編入生が来るだけで授業どころではなかったのでな、授業は君の試験が終わるまで自由にしてるんだ」

 そして演習場に着くが更に騒がしくなった。

 かわいいだの男か?とか色々と聞こえるが試験に集中することにした。

 ここで恥を晒せば後々の生活は嫌な思いで過ごすことになるだろう

 

 「騒がしいが良いかね?内容物は簡単だ。あの複数の的に対して君が出来る限りの魔法を放ってくれ魔力切れになっても我々、教師が介護するから気にせずにな」

 

 「分かりました」と私はいつもの触媒結晶付きの手袋を着ける。

 だがまわりは杖は?と分からなくなり教師も思わず

 「君、杖はどうしたかね?」

 

 「この手袋が杖代わりなのでご安心をでは……やらせていただきます!」と最初に放つのは基礎魔法系の中でも自分だけのオリジナル系統[氷]

 魔力を触媒結晶に伝え発動と同時に両手を地面に着け唱えた。

 「ランドアブソルート!」

 その光景に騒がしかった空間が静かになった。

 メイルベーゼから的までが凍り漬けになり的に至っては小さな氷山が出来ていた。

 「先生どうですか?」と聞いても何故か返事がない 

 

 「どうやらまだ足りないようですね?ではとっておきを……」と次のメイルベーゼのオリジナル魔法(上級魔法)を放つ準備をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてエルネスティ達は………

 

 

 「すごーい氷だ!氷!」

 

 「これはまた書物にも無い魔法ですね。暑い日にはちょうど良さそうです」

 

 「アディにエルなんか考え方違ってねぇか?」

 

 「あれ?でもメイルちゃんって子まだ魔法をやるそうだよ?」とその言葉に再び視線はメイルベーゼに集まる。

 空中に光の球が形成されていき

 

 「トライデント………スマッシャァァァァ!!!」

 それは光の槍となり的……いや小さな氷山に命中しそして一気に大爆発が起きたがそれと同時に大きな地震みたいに地面が揺れた。

 

 「おわっ!?あぶね!」

 

 「すごい威力の魔法だな!」

 

 「やべぇやべぇってこれ学園大丈夫なのかよ!?」とみんな転ぶなり何かに掴まるなり必死に耐えていた。

 そして揺れが収まり煙もなくなり改めてその威力を実感した。

 

 「的……無くなってるよ」

 

 「地面がめちゃくちゃ抉れてる………」

 

 「ふむふむ、雷の基礎魔法に見えましたがこれはこれで面白いですね……」と驚く中でもエルネスティだけはメイルベーゼの魔法を分析していた。

 そしてしばらくして担当の教師の思考は再起動したのだろう

 慌ててメイルベーゼに終わりを伝えそして教師があることを聞いていた。

 「メイルベーゼくんはシルエットナイトの実戦経験があると言うが本当かね?」

 肯定と頷き次に教師はこう聞いた。

 

 「どうかね?誰かと一戦、模擬戦をしてみるかね?」それには一部を除き驚いた。

 そしてメイルベーゼはそれを承諾し教師は周りを見て

 

 「誰か彼と一戦交えたい学生はいるかね?」

 少し騒がしくなりエルネスティが真っ先に手を挙げようとしたが先に挙げた人達がいた。

 

 「先生、その相手、私にやらせていただけないでしょうか?」と挙げたのはエドガーであった。

 高等部の騎操士の中で最強と称される彼が挙げたのであった。

 

 「よろしい、それとちょうど良いエチェバルリアくん、メイルベーゼくんを格納庫まで案内してあげなさい」と言われエルネスティは目を輝かせた。

 話す絶好のチャンスだと

 こうして編入生VS学園最強の騎操士の模擬戦が決まった。

 

 

 

 





 オリジナル魔法で凍らせたりしてみました。
 イメージとしてハガレンの両手使ったやつだと思ってください
 あとパクりです。


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模擬戦です

 

 さてやっと僕の番が来ましたよ!

 格納庫に着いた証しには準備しながらでも根掘り葉掘り語り明かしてくれましょう!!

 

 「ここが格納庫ですよ」

 案内されたメイルベーゼはシルエットナイトを見渡していた。

 特にテレスターレをこれを見て分かってくれますか?

 同じ技術に自力でたどり着いたあなたなら

 「個性的で面白い、それに背面武装とかもあるんだね」

 やはりそちらでもその名前ですか仲間がいることは良いですねぇ

 

 「はい、学園のみんなで作り上げたテレスターレです。それと個性的とは具体的にはどういうことでしょうか?」感想が気になりますね。

 

 「赤いのは派手だけど攻撃的に見えて良いしあの白いのも落ち着いた大人のような印象も受ける。テレスターレもやんちゃな子供のように見えるし面白い」

 

 「分かりますか!赤いのはグゥエール改と言って二刀流に背面武装、それと腕にはちょっとした仕掛けがありまして白いのはテレスターレに選択装備の試作装備フレキシブルシールドを装備していていましてまだまだ課題はありますが……って何をするのですかアディ!?」

 

 「エルくん時間ないから話しはまたあとでね!」

 

 「そっそんな!せめてもう少し……もう少しだけ話させてくださいまだ序ノ口なんですよ!まだ話し始めたばっかりなんですよぉぉぉぉ!!」となんとも名残惜しいですがアディに引っ張られて僕は退場です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてエルくんと呼ばれていた人はアディと言う女の子に引っ張られていった。

 確かにいつまでもだらだらしていては先輩に失礼だ。

 

 「よぉ、メイル」と振り返れば昨日、案内をしてくれた親切なドワーフ族のバトソンがいた。

 

 「バト、昨日はありがとう」

 

 「別に良いよ。オイラもメイルがくれたおにぎりのおかげで調子が戻ったしな……それとシルエットナイトはどうするんだ?一応、性能ならエドガー先輩はあの白いテレスターレだし同じテレスターレにするか?」親切に教えてくれたしお言葉に甘えて

 

 「それならそうする。テレスターレでお願い」

 

 「分かった。それと装備はどうする?一応訓練用のは剣と槍があるけど?」

 

 「そうだね。じゃあ装備は……」

 

 

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し時間が過ぎてシルエットナイト用の演習場は満員御礼であった。

 いきなり編入生しかも中等部が学園最強の騎操士エドガーと模擬戦をするのだから

 そしてそこには白いテレスターレがいる。

 背中に補助腕で盾を保持したフレキシブルシールドを装備してる。

 エドガーが担当した選択装備だ。

 

 そして少し待ち重い足音が聞こえてきた。

 門を見ればカルダトアと同じカラーに改められているテレスターレが入場した。

 装備は背面武装に槍と小さな盾、恐らく槍を使いやすいように選んだのだろう腰には予備の短剣が2本ある。

 

 

 「さぁーてやって来ました!急遽決まったメイルベーゼVSエドガー先輩による模擬戦だぁぁぁ!!今回は教師は自由にして良いと言ってましたので司会は私とディー先輩で行わせてもらいます!!」とハイテンションなエルネスティがいた。

 団員達はよほど鬱憤が溜まっていたのだろうと思う

 

 「さて今回のお二人の装備を見てディー先輩はどう予想されますか?」

 

 「君はまったく……だが正直面白いと思うぞ。まず学園で槍を使う騎操士はいないが実戦経験者だから選んだのかもしれない使いこなせば槍は有利だがエドガーの堅牢な守りをどう崩すか?そこに注目じゃないかね」と呆れつつもノリの良いディートリヒであった。

 「確かに熟練の騎操士は槍を好みますからね。では待ちきれないので始めましょう!双方、礼!」

 2体のシルエットナイトは礼をし獲物を構える。

 

 

 「では試合、開始!!」

 ついに試合は始まり最初に動いたのはメイルベーゼの方だった。

 「おおっと!最初に動いたのはメイルベーゼ勢い良く突撃したぁぁ!」

 

 「だが当然防がれる筈だ。小手調べといったところかね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エドガー視点

 

 

 

 

 「ふむ、最初に小手調べのつもりか?ならその槍捌き見せてもらう!」と俺は選択装備で担当していた装備、[フレキシブルシールド]を動かした。

 これは魔力の消耗が激しいが様々な角度で防御できる装備だ。

 そして相手は槍を突きだして来た。

 最初の一撃が来ると思い俺も集中するがそれは予想もしない行動をしだした。

 それは槍を地面に突き刺しそれを軸に飛んだのだ。

 「なっ?槍を軸にして飛んだだと!?」

 そして背後に着地し予備の短剣を抜き斬りかかろうとした。

 

 「やらせん!」なんとか機体を密着させ動きを止めてから離れようとしたが相手の背面武装の片方から[風の刃]が放たれシールドを保持してる補助腕に僅かながら命中した。

 

 「くっ……この状況で当てるとは補助腕は動くが鈍くなったか」機体は離れたが今度はもう片方のシルエットアームズから放たれようとしたが俺は驚いた。

 火の球[カルバリン]が放たれようとしていたからだ。

 

 「まさか別々のシルエットアームズを装備していたのか!?」そして放たれた火の球は自分ではなく地面であり土煙をあげる。

 

 「まずい!視界が……」

 警戒してると煙の先から2つの魔法が翔んでくる。

 そして更に相手も突撃してきた。

 フレキシブルシールドで防ぐが相手の法擊はシールドの片方のみ狙ってきた。

 そして補助腕のダメージがあってかシールドのバランスが崩れたがそれでは終わらず接近してきた相手はシールドを小型のシールドで横から殴り弾き飛ばした。

 

 「しまっ」そして機体の損傷を気にもしないタックルをされ飛ばされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エルネスティ&ディートリヒ視点

 

 

 

 「おおーっとメイルベーゼ、攻撃を片側に集中することでバランスを崩しタックルで突き飛ばしたぁ!」

 

 「なんていう大胆と言うかごり押しな攻撃だな」

 

 「ですがエドガー先輩、最初にメイルベーゼが突き刺したままの槍に掴まり更にフレキシブルシールドを強引に突き刺しなんとか持ち堪えた!」

 

 「だがあれではフレキシブルシールドはもう使えないな」ディートリヒの言葉通りフレキシブルシールドの補助腕は千切れ落ちた。

 そして両者はにらみ会う

 

 「それにしても別々のシルエットアームズを装備するとは面白い発想ですね」

 

 「ああ、普通はしないが槍をあのように使うのは想定外だが、それよりもあの動きに非常に覚えがあるのだが」

 

 「奇遇ですね。僕もあの動きには心当たりがあるのですが……」前者は見た者、後者はやった者そして導き出される答えがあるがそれよりも先に両者が動き出した。

 そして互いの獲物で激しい剣擊が始まった。

 「両者、動き出し激しい剣擊の始まりだぁ!」

 

 「だが手数が圧倒的に足りない……どうするエドガー……」

 

 

 

 

 

 

 

 エドガー視点

 

 

 

 「まずい……これではじり貧だな」

 メイルベーゼは自分より強い間違いなく自分等以上の修羅場をくぐり抜けて来たに違いない

 ただ乗った。

 ただ動かした。

 それだけでは絶対に手に入れられない力……だが……だからこそ

 

 「……このままやられるのは芸がないな!」

 この激しい剣擊の中で賭けに出た。

 まずは攻撃をタックルしてきた腕に集中した。

 理由は簡単だ。

 強引な攻撃で動きが鈍くなってるからだ。

 そして遂に片方の短剣を弾き飛ばすことに成功した。

 だがそれで終わりはしない

 「こんどはこちらからいくぞ!!」

 さっきと同じだ。

 態勢を崩した相手にタックルをした。

 そして突き飛ばした。

 もう一つの短剣も盾と落とした。

 最後に倒れると思ったがまたしても予想を上回ることをした。

 倒れる寸前に背面武装のカルバリンとカサマを地面に垂直に放ち爆風で一時的に浮かせ態勢を直し着地したのだ。

 

 「まったく、非常式には慣れたつもりだったがまだまだだな、だが背面武装を潰せただけでもよしか」と爆風で起き上がるという荒業は背面武装の犠牲で成していた為に使い物にならなかった。

 そして姿勢を立て直せば素早く転がっていた槍を拾い構える。

 ここまで行っても戦意を失わない

 これだけの好敵手にはなかなか会えないだろう

 そう思えば相手から初めて声をかけられた。

 

 「凄い技量ですね……これほどの騎操士、故郷でもあまり見ることのない腕前です」

 

 「誉め言葉として受け取るが俺としてはまだお前の本気を引き出せたとは思わなくてな」これは本当のことだ。

 あの状態でもまだまだ余力を残してるように感じる。

 

 「別に殺さない技でなら本気でやってる。模擬戦に殺す技を使うつもりはない」

 

 「それは参ったな、こっちも本気なんだが……そちらみたいに分けるのは無理だな」

  

 「謙遜ですね。……さて魔力も残り少ないので決めさせてもらいます」

 

 「そうだな……そろそろ決めさせてもらおう……」

 

 

 

 

 

 

 エルネスティ&ディートリヒ視点

 

 

 

 「ふむ二人共、次で決めるつもりだね」

 

 「そうですね。エドガー先輩の損傷具合とメイルベーゼのあの動きどちらも残りの魔力貯蓄量は少ない筈です」

 

 「単純な話なら槍の方が有利だが腕の調子が悪いと見た」

 

 「エドガー先輩のはフレキシブルシールドを無くしただけであって傷は多いですが不調な所が見当たりませんしね」と両騎の状態を的確に見抜き実況する。

 そして遂に動き出した!

 

 「両者動き出したぁ!」

 そしてリーチの長さから先に攻撃したのはメイルベーゼだったがエドガーは機体をずらして剣を持ってない腕の方に誘導した。

 

 「エドガー!片腕を犠牲にしたか!!」

 

 「まさに肉を切って骨を断つ!メイルベーゼ、絶体絶命!!」そして誰もが決まったと思った。

 このままエドガーが振るう剣で決まるのだとメイルベーゼから聞こえる。

 それは雄叫びである。

 

 『うおぉぉぉぉぉ!!』

 

 「まさかメイルベーゼも腕を犠牲に!?」

 

 「いや犠牲にしながらも前に進んでる!!」

 やることはエドガーと一緒だった。

 片腕を犠牲に更に突き進む

 

 「メイルベーゼ、腕を犠牲にしながらまたしてもタックルだぁぁぁぁ!!両者、転がる転がるぅ!!!」

 タックルしそして両者は転がる。

 装甲が飛び散りクリスタルティシューも飛び散りそして土煙が上がり両者を確認することが出来なくなった。

 

 「ごほっごほっ、まったくメイルベーゼのやつとんでもないな」

 

 「まさに執念とも言える動き、果たして決着は!?」とだんだん土煙が晴れて2騎の影が映る。

 それは倒れたエドガーのテレスターレの上に乗っかり槍を操縦席の所で寸土めしてるメイルベーゼのテレスターレがだった。

 「なんとぉ!勝負を制したのはメイルベーゼだぁぁぁぁ!!!」

 試合終了の合図が鳴り演習場は観客の声が上がった。

 これにて模擬戦………終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、メイルベーゼの故郷はと言うと……

 

 

 「メイルちゃん、今頃ライヒアラかね?」

 

 「へっ、向こうの連中はさぞ驚くだろうなぁ」

 

 「なんたって大英雄のメイルなんだからな」

 

 「ほぉれ、メイルの輝かしい将来に乾杯だ!」

 メイルの活躍がフレメヴィーラ全土に轟くことを微塵も疑わずセイシュを飲んでいた領民達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 




 今回メイルが乗ったテレスターレはカルバリンとカサマを1本づつに槍とダガー2本と丸い盾(小)です。
 アニメの一本背負いとかは興奮したなぁ………


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同類です

 

 模擬戦は終わりメイルベーゼの試験も終わったが代わりに問題が山程出来たのであった。

 

 

 格納庫にて座る2騎のシルエットナイト

 エドガーとメイルベーゼが乗っていた機体だが戦闘前は新品当然だったが今では大破寸前になっている。

 

 「かぁー、よくもまあこんな派手にぶっ壊してくれたもんよぉ」嘆くのは鍛治師のダーヴィド親方

 つい最近まで地獄の七日間の徹夜を味わった身としては勘弁願いたい事だった。

 

 「確かに普通の模擬戦ならここまで壊れないだろうがね」

 隣のディートリヒは経験上、模擬戦でここまで壊れた事など一度もない

 いかに激しい戦いだったかを物語っているだろう

 

 「僕としてはこれ以上にない戦闘を見れて満足です!」と更に隣にいるエルネスティは未だに興奮覚めやらぬ様子だ。

 そこにメイルベーゼが来たが壊してしまったのを申し訳なさそうにしており

 「すいません、ここまで壊してしまって……」

 

 「まあ良いさこれが鍛治師の宿命よぉ……おめぇらエドガーのから直すぞ、こいつはお披露目に出すやつだからな!」と作業をしようとしたら

 

 「でしたら私が壊したのは私で直します」と言うが人手がいないのにどうするんだ?と思えば

 

 「材料だけ貰えればこの子は今日中に直しときます。それと人手も割かなくても問題ありません」とエルネスティを除き全員耳を疑った。

 決してシルエットナイトの修理など一人で出来ないのだ。

 だが材料さえ渡せば一人で直すと言ったのだ。

 

 「おいおい、手伝いならまだしもシルエットナイトを一人で直すなんざそいつぁ無理があるだろうよ」

 

 「大丈夫です。故郷でもやってるので……ついでに改造しても良いですか?」とまたしてもトンでも発言をするメイルベーゼに面喰らってる中、エルネスティは逆に待ってました!と言わんばかりに目を輝かせて

 

 「改造とはどんな風にするんですか?パワーですか?スピードですか?勿体振らずに教え痛い痛い!?アディ何をするんですか!?」メイルベーゼに聞いていたがベッタリくっついているのが気に入らないアディが引き剥がしたのだ。

 少し間が出来たがメイルベーゼはあえて無視して

 

 「一つ聞きます。このテレスターレ膂力はありますがそれに振り回されて操縦性と燃費が悪いですよね?エドガー先輩」

 

 「確かにその通りだ。操縦性と燃費が今一つなのは事実だが……まさかそれを改善するつもりか?」と聞かれた意味が分かり答えにたどり着いた。

 

 「すっかり忘れてたなこりゃ……そうだった元々テレスターレの改善策はおめぇから聞こうとしてたんだったな」とダーヴィドの言葉にみんな思いだした。

 メイルベーゼの故郷で運用されてるシルエットナイトのことを

 「悪かったな…そうなれば話しは早い、おめぇの改修案を聞かせてくれ。直すなら改修した方が早いからな」

 

 「良いですけど少し家に戻っても良いですか?設計図に道具あとちょっと変わった鎧を持ってきたいんで」とみんなの返事を待たず魔法を使った跳躍ですっ飛んで行った。

 そして残されたみんなはツッコミたいことが山程出来たがメイルベーゼが言った変わった鎧が気になった。

 「何だろうね、変わった鎧って?」

 

 「いやなんかもう予想できたような……」

 

 「オイラも同じく」と今までエルネスティとの付き合いが長いアディ、キッドにバトソンはその変わった鎧に予想がついていた。

 それはメイルベーゼを見て聞いて何となく直感した。

 性格とかが違うが根本的な考えが一緒だと常識なんかくそ喰らえ!って感じであること

 そして待つことほんの10分足らず………

 外が騒がしくなりその中心を見ると予想通りと言うかそうではないと言うか悩むのが来た。

 

 「なんか私達のシルエットギアより大きいね」

 

 「いやデカ過ぎだろ」

 

 「軽く倍はあるな」

 

 「なんと!そちらにもシルエットギアに似た鎧をお持ちとは!!」とメイルベーゼが持って来たと言うより着てきた鎧は鎧でありシルエットギアと同じように見えるがアディが言うように通常の倍ほどつまり4m余りの大きさでありもう乗り込むと言う表現が正しいだろう

 

 「シルエットギア?……もしかしてこっちにもナイトスーツがあるの?」

 

 「ナイトスーツときましたか!それともちろんありますがそれだけの巨体なのですから色々と気になりますね♪」

 

 「どんなのかはこれから見せるから……材料はある?」

 

 「ありますとも!それとお手並み拝見と言う事でもう好き勝手に弄っちゃってください!」とやっと作業に取り掛かると思いダーヴィド一同、鍛治師隊は動こうとするが

 

 「鍛治師の人は休んでください……ぶっちゃけ徹夜してましたよね?」と言われ戸惑いこそしたが徹夜作業をしていた鍛治師は正直辛い所であったのでお手並み拝見することにした。

 「よぉし、そこまで言うんだ。お手並み拝見と行かせて貰おうじゃねぇか」

 

 「ではお言葉に甘えて」と装甲の隙間からスプリクトが浮かび挙がりそしてそれは異形であった。

 背中に4本の腕が現れた。

 それだけではない両腰にも膝にも腕がある。

 補助腕であるのは間違いないが常識はずれにも程がある。

 先ずは壊してしまったテレスターレを解体し始めた。

 部品を分け内部の筋肉結晶を剥がしインナースケルトンを剥き出しにして計10本の腕がそれぞれ別々に動き何人いや何十人分の仕事をしている。

 

 「良いですねぇ~隠し腕があるのもそれにしても触媒結晶を手の中に納めてトーチ等の役目をさせるとは」

 

 「ああ、にしてもよぉ。あんだけの腕を器用に動かしやがる」

 

 「親方がカスタマイズしてるモートリフトの参考にはなるんじゃないですか?」

 

 「まぁな、だがあそこまでゲテモノにしねぇぞ」と話してると今度はインナースケルトンを改造し始めた。

 「なんかテレスターレに見えなくねぇが馴染みのサロドレアにも見えるな」

 

 「そうですね。量産性も考慮して既存を維持しつつ網型筋肉結晶に対応出来るようにしてますね」見るとそこまで大掛かりな改造が施されていなかった。

 

 「おっ?なるほどな、補助腕もああやれば簡略化出来るのか」

 

 「作業しながらマギウスエンジンにも手を加え始めましたね」とシルバーナーヴで補助腕の稼働テストをして問題ないと見るとアウタースキンを残し物凄い勢いで仕上げていった。

 「凄いな、まだそんなに時間は経ってない筈だが……」

 

 「これは我らが団長並のが来たようだね」

 

 「なに言ってるのよ。これから今の倍以上は振り回されるのよ」と騎操士のトップ3はこれからの騎士団が今以上に振り回されるのを予言した。

 そしてメイルはどうしたのかナイトスーツから降りて

 「エル………ちょっと相談」

 

 「なんですか?」この発言が団長がまたしても暴走したのはご愛嬌である。

 

 「アウタースキンはせっかくだから渋カッコいいのにしたいので案をもらいたい」とそうすると目を輝かせる。

 飛びっきりの笑顔で話し始めた。

 メイルが団長の同類だと周囲が再認識した瞬間でもある。

 

 「良いですね!カラーリングはどうするんですか!」

 

 「濃い目の緑をメインに銀がサブで…….因みにこれ予定図」と何時描いたのか?紙を出す。

 

 「うんうん、正にむせるですね。派手なカラーリングではなく主役を支える量産騎らしいカラーリングとデザインですね。……でもこの腰の部分はもう少し丸くした方が良いと思いますよ」

 

 「なら肩と腕の装甲はシンプルに……こんな感じにして……………あれって……」と話してる時、奥にある異形の物に気づいた。

 メイルは話すことも忘れその異形の近くまで寄ってまじまじと見た。

 親方達はまあ流石にこれを見たらそうなるかと思っていた。

 けどメイルは違う。なぜならこの異形は自分だって考えていたんだ。

 「どうです?ツェンドルグと言うんですけど「もう形にしてる人がいるなんて」……え?」全員、耳を疑った。

 だがエルは直感で感じ取った。

 そしてこの胸の高揚がもはや止まることはないだろう

 

 「形にしたとは、もしや、もしかして、もしかしてですか!?」と聞くとメイルは無言で持ってきた荷物から大量の設計図を出し広げた。

 そして全員は見ただけで分かった。

 解らざるを得ないのだ。

 エルは興奮を隠さず再び問う

 「これはもしや、もしかして」

 それはツェンドルグと同じ人馬の設計図だったからだ。

 

 「そう、けど作る機会がないからもう少し後で造ろうと思っていたんだけど………エル?」

 エルネスティは急に黙り込んだと思えば体をプルプル震わす。

 そしてメイルの手を両手で取り

 「同士!」もう今までの中で一番良い笑顔ではないだろうかもはや止まることはない!

 メイルも少し寂しかったのだ。

 自分の発想が周りとかけ離れているのが受け入れてくれても同じような自分の発想を越えるようなのを考えられる人はいなかったのだ。

 メイルも数秒遅れて自分と同じ発想を持った人がいることに今まで無意識にかけていた枷が外れた。

 メイルは今まさに人生の絶頂とも言えるぐらい興奮した。

 そしてそれを見た団員達は思った。

 それをダーヴィドが口にする。

 「参ったぜコイツら………同類だ」そう混ぜたら危険な人物が出会ってしまった瞬間であった。

 

 

 

 

 




 遂に同士と出会えて意気投合し出したのでここからたぶん爆走する予定です。
 


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爆走!独走!激走!大暴走です!

 ちょっと試合までの繋ぎです。
 


 「このスラスタの配置、もう少し細かく配置していいのでは?」

 

 「ですがそれでは推力が足りなくなりますから大型のスラスタが欲しいですね」

 

 「なら要所、要所で多重装甲にして他を最低限の風の抵抗を考慮したデザインに変えるのは?」

 

 「うぅー、出来ればデザインは弄りたくないです。お気に入りなんですよ。これはこれで」と遠くで話してるエルとメイルの会話を聞くがもはや何を言ってるのか分からなかった。

 「駄目だぁ………坊主共の話しが全然わかんねぇ」

 

 「オイラもだよ。親方」鍛治師隊のリーダーと実質副リーダーであるダーヴィドとバトソンは頭をフル回転させているがもうちんぷんかんぷんで意味が分からなかった。

 結局、あのあと滅茶苦茶意気投合して一時も離れずシルエット談義を交わしていた。

 もう別次元の会話であり周りは付いて行けずアディも気持ちは穏やかではなかった。

 だがそれとは別にテレスターレも改善され停滞していた目玉のツェンドルグは互いの制御術式を照らし合わせることにより完成が見えてきたのだが………

 

 

 「やれやれグゥエールがあそこまで魔改造されるとは」

 

 「ディーのは良いだろう、俺のなんか原型が無いぞ」とエドガーとディートリヒは今度、御披露目で乗るシルエットナイトを見て呟いた。

 そう二人の暴走は止まるどころかフルスロットルで爆走しており勢いのあまり二人のシルエットナイトを改造し出したのだ。

 コンセプトは剣と盾で超攻撃型と超防御型にはっきり分かれている。

 剣であるディートリヒのグゥエールは全身至る所が刺々しい装甲に変えられ全てが攻撃になる過激で極端なのになった。

 だが空気抵抗が減った分、機動性は上がり通常より速い運動性を確保していた。

 盾であるエドガーのテレスターレはメイルが試作していたフルアーマーが採用されバランスも考えられているために若干の機動力の低下で防ぎ

 フレキシブルコートも合わさり鉄壁に近い防御を得た。

 まあそのせいで元がテレスターレとは思えないのになった。

 しかも止めようにも二人ともシルエットギアとナイトスーツであれよこれよと改造していくので見守るしか出来なかった。

 「まぁだ人型なんだから良いだろうよぉ、あんなゲテモノなんかよりはずっとマシだ」と団員達の視線はある一角に向けられる。

 そこには通常のシルエットナイトより少し全長が低いのがある。

 高さ的にはシルエットナイトが正座なんかしたらこのぐらいの高さだろう

 上半身までは人だ。

 だがダーヴィドがゲテモノと呼ぶ理由はその下半身にあった。

 どの生物にも当てはまらないあえて言うなら荷台に装甲を付けたそんな感じだ。

 それはメイルの故郷で採用されてる[チャリオットシリーズ]と言うらしい少数ながら生産されており安定した下半身により力自慢で有名なシルエットナイト、ハイマウォートすら上回るパワーが実現されてるらしく、積載量もあるので通常では再現出来ない超重武装が可能であった。

 また国土開拓に多大な貢献をしてるらしくお陰で戦闘と作業の引っ張りだこにあってる縁の下の力持ちだと言う

 しかしなんでこんなのがあるのかと言うと故郷からマーリ公爵からの追加の贈り物の中になんとシルエットナイトを贈って来た!

 いったいどこに個人に貴重なシルエットナイトをプレゼントする公爵がいるのだろう

 因みにそのあと言うまでもなくエルはとてつもなく興奮し動かすついでに工房を拡張しなくてはならない話を何処からか聞きつけ勝手にあっという間に拡張してしまった。

 実に簡単に見えた。

 大掛かりな作業をチャリオットで細かな作業をシルエットギアでやって早送りでも見てる感じだ。

 しかも建築方法が従来のと違い見慣れないが頑丈で立派であり拡張された工房の他が随分見劣りしたもんだ。

 

 

 そして今は最終調整をしながらエルとメイルが乗るシルエットナイトをあれよこれよと魔改造をしてる所であった。

 エルのは以前に実験してカルダトアを大破させた[マギウスジェットスラスタ]を搭載した高機動型のシルエットナイトをメイルのは今回、ライヒアラに来るまでに試作していた装備を纏めたのを開発していた。

 「そもそもマギウスジェットスラスタは大喰らいだから事細かに調整しないと……」

 

 「うぅ、確かにそうですが…………」とどうやらエルは諦めがつかないがそれを見てメイルがこんな提案をした。

 「じゃあ、いっそのことエーテルリアクターを2基にしたら?バランス調整が難しくなるけどツェンドルグの例があるんだし、てかこれ将来の専用機、それの試作機のつもりだよね」まただ。

 コイツらはツェンドルグだけに飽きたらず通常騎にも心臓を2基ぶっこむ気だ。

 もう目眩がしてきた団員もいるぐらいだ。

 俺達の反応は間違っちゃあいねぇはずだ。

 

 「分かりますか?」

 

 「まぁね。故郷の専用騎は全部私が仕立てた物だからこうやって偏った仕様、敢えて何かを犠牲にして何かを特化させるなんて日常茶飯事だったし」正直、マーリ公爵領はいったいどんな所なんだと本気で気になった。

 きっとエルが興奮するような人外魔境に違いない

 

 「因みにどんな専用騎なんですか?とても気になります」

 

 「設計図は覚えてるからってこの紙の量じゃ足りないや」と既に周りには数千枚とも言えるこの二人のアイデアがびっしりと書かれている。

 この一部分でも他国に売れば計り知れない価値になるだろうこの二人はもう朝からずっとこの調子だ。

 そうしてると馬の足音………いや訂正、人馬の足音が響いて来た。

 テストをしていたキッドとアディが帰って来たのだ。

 格納庫に入れ待機させると降りて来たアディはさっそくエルに抱きついた。

 

 「アディにキッド、お疲れ様です。どうでしたかツェンドルグの調子は?」

 

 「ああ、すげぇやり易いぜ操縦も慣れてきたし」

 

 「そうそう、ツェンちゃんすっごく調子が良いんだよ!」とまあこんな感じにエルが気の合う奴に会えたのはある意味奇跡に等しいだろうこのシルエット談義さえ除けば年頃の少年少女が戯れている微笑まし光景であることには変わらない

 

 そして約束のお膳試合の期日はあと少しまでであった。

 まあそれまでに団員がこの二人の暴走でぶっ倒れていなければの話だが…………

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回は試合になります。
 


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さぁ出発です!

 

 

 御膳試合がある早朝、ライヒアラから旅立とうとする一団があった。

 「いやー、実に充実した毎日でしたね」

 

 「うんうん、トイボックスにデュエルレヴィーラ………実に有意義な時間でした」とエルとメイルは今日まで止まることなくシルエットナイト三昧を送っていた。

 そして目の前に立つ2騎はトライ&エラーを繰り返し繰り返した今回の自信作である。

 だがその犠牲として散々振り回された銀鳳騎士団の団員達はズタボロであった。

 今回のはまさしくゲテモノで鬼畜で常識はずれな物であった。

 改良型テレスターレの選択装備に人馬型にチャリオット、更にメイルからもたらされたフルアーマーに射程強化型や新型マギウスエンジン、更に更にトイボックスやデュエルレヴィーラ、エドガー専用[テレスターレガーディアン]にディートリヒ専用[グェールテンペスタ]等々、あとは細かい開発、発明、研究とその為に基本休みと呼べる休みなんてないに等しい、まあそんなこともお構い無く二人は腕を高く振り上げ

 

 「ではこれより!」

 

 「頑固頭のラボと競いに」

 

 「「行っちゃいましょ!!」」アディとかキッド辺りは気合い十分の返事をするが他の声に覇気はなかったがゆっくり………ゆっくり………ゆっく?

 

 「ちょっ!オメェらもう少し丁寧にっ!!ってあぶね!」

 

 「エルネスティ!アディにキッド!頼むから街道を……うぷっ……」とシルエットナイト運搬用の荷台に待機してる他の面々は街道から外れ王都に本当の一直線に走り出した為に延々と揺らされる団員達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、王都ではラボが開発した新型シルエットナイトの御披露目が始まっていた。

 評価としては十分であろう

 テレスターレから得られた新技術を取り入れそこに伝統を引き継いだラボの基礎技術が合わさりカルダトアを凌駕する。

 「……と、いったところになります。いかがでございましょうか、陛下。我が国が誇る制式量産機カルダトア、その新たなる姿は。このカルダトア・ダーシュは従来のものに比べありとあらゆる点で秀でております。我ら国立機操開発研究工房の一同、最上の結果を出したと自負しております」

 

 「うむ、流石は我が国が誇る鍛冶師の最高峰よ、見事である」

 

 「ははー、ありがたき幸せ」ガイストは頭を下げるがそこで現国王アンブロシウスは視界の端で少しばかしつまらそうにしてる女性が目に入った。

 以前、多大なる功績により王宮に招き共に会食したが口にした瞬間は今でも忘れないメイルの足元にすら及ばない料理だと言って早々に話しだけ済まして帰ってしまった。

 あの時は流石に怒りを覚えた。

 

 「つまらそうだのう、マーリよ」問いかけるとガイストもチラチラと見る。

 マーリの切り札としてメイルベーゼが噂になってるが同じ技術者として気になるのだろう

 

 「ええ、まったくですわ」それはガイストの努力をバカにする発言としては十分であった。

 

 「なんだと!これのどこがつまらんと言うのだ!百年ぶりの歴史的大業に立ち会っているのだぞ!!」

 

 「それが?確かに良い新型ですけどカルダトアとの互換性はどの程度かしら?私の領内で使ってるサロドレヴィーラは6割はサロドレアなのだけどあのダーシュはいったいどれだけ共通性があるかしら、全部新規じゃ機種転換が大変では?」と言われ、ガイストは答えられなかった。

 カルダトア・ダーシュと言ってるが名前と外見だけで中身はまったくの新規であったがそうだとしても自負出来る所はいくらでもある。

 

 「だが性能はそれに見合う物だ!噂はかねがね聞いておるがウォートシリーズと張り合える程の代物か!」そうだ。

 このダーシュは同数ならウォートシリーズオンリー相手でも勝てるだけの性能がある。

 

 「確かにウォートシリーズよりは一歩劣りますわね。けどうちのメイルが考案したアレならそれを補って有り余りますわ………そしてそれは今日この会場で証明されます。何故ならこの場はラボの御披露目でもありますがもう一つある騎士団の御披露目でもあるのですから………そうですよね?陛下」

 

 「なんじゃと!陛下!今の言葉は真ですか!」と他の面々は驚き陛下に問いただすとせっかく面白いおかしくしようとしていたアンプロシウスはネタバレをされてつまらなそうに答えた。

 

 「やれやれ、だがその通りだ。あのものが言うには競作コンペティションというそうだ。異なる流れを持つ者どもが、それぞれの作品を持ち寄って比べるのだと」

 

 どこからか、馬蹄の音が響いてきた。

 

 蹄鉄が大地を蹴る音。

 しかしそれはただの馬が立てるにはあまりにも重く、あまりにも大きい。

 それと一緒にキュラキュラと奇怪な音が響く

 

 「門をあけよ! すぐに“彼ら”がやってこよう! かつて新型機の基をつくりし者、我が命により新たに騎士団と成した者たちよ!」 

 近衛騎士団のカルディアリアが動き、演習場の門が開け放たれる。

 

 幻晶騎士が5機は並んで歩けそうな、巨大な門の向こうに土煙を上げながら爆走する何者かの影が見える。

 

 先ほどから続く、異常な重量感を持つ馬蹄の音は全く止む気配がない。

 一体何が現れるのか、全ての人間が固唾を飲んでそちらを注視していた。

 

 アンブロシウスは腕をあげ、堂々と彼らの名を告げる。

 

 

 「来い……銀鳳騎士団よ!!」

 

  “ソレ”が現れた瞬間、絶叫の唱和が大地を揺らした。

 

 「なんだ……!! なんだ、なんだあれは!?」

 

 観覧席にいた者、控えの工房にいた者、その場にいた全てがあまりの驚愕に声を上げ、そして立ち上がった。

 立ち上がらないものは単に腰を抜かしていただけである。

 “ソレ”は堂々と、大地を揺らす轟音ともうもうとした土煙を引き連れて門をくぐる。

 全ての人の視線を奪うソレは人であり、馬でもあった。

 

 決闘級魔獣と並ぶであろう、巨大な馬。

 胴の位置など幻晶騎士の肩ほどもあり、それを支える脚は太くとてつもない力を感じさせる。

 現に相当な重量があるだろう巨躯は軽快なリズムで轟音を打ち鳴らしている。

 何よりその場にいた全員を驚愕せしめた原因は、本来馬の頭部が備わっているべき部位に“人型の上半身”が生えていたことだ。

 人と馬を掛け合わせたような、異形の存在。

 御伽噺にしか存在し得ない、魔獣とは別の新たな魔の形。

 驚きのあまり思考を凍りつかせていた彼らだが、やがて少し冷静さを取り戻すとその正体をすぐに理解した。

 人馬の騎士が纏うは鋼鉄の鎧。

 額に突き出た一本の角、優美な意匠を組み合わせた鎧の形は、決して自然に出来上がったものではなく人の手でのみ生み出される芸術品だ。

 右手には長大な斧槍ハルバードと、逆の手には上下に長く先端部が鋭くなった妙な盾を持っている。

 

 にわかには信じがたい光景だったが、それでも人々は一つの道理を導き出した。

 ――あれは人の手による創造物だ。

 幻晶騎士と同じく、人造の巨人なのだ、と。

 最初とは別の戦慄が背を這い上がると同時に、彼らは人馬の騎士が何かを牽いていることに気がついた。

 土煙の中にまぎれるようにして存在する何か。強堅な作りを持った鉄骨と木材を組み合わせたもの、荷車だ。

 その上には布の覆いにくるまれた何かしらが載せられている。決闘級魔獣に比肩するような巨大な人馬の騎士で牽く荷物。

 その場にいる全員が、ほぼ同時に同じ発想にたどり着いていた。

 

 それはやはり、幻晶騎士なのだろうと。

 「ふふ、ふはははは……やりおったわエルネスティ! それでこそわしが見込んだものよ! いや予想以上か、これほどとは! まったく、まったく楽しいぞ!!」

 

 

 熱に浮かれたようになっていた彼らを正気に戻したのは、彼らの王の高らかな笑い声だった。

 

 そこで彼らは国王の最初の言葉を思い出す。

 

 すなわち新型機の基を作りし者、新たなる騎士団――銀鳳騎士団。

 

 

 彼らは理解した。もはや国機研の新型機どころではない、今日この日は歴史が変わるその時であると。

 まあそれとは別にマーリは喜びをあらわにした。

 「まあ!素敵な騎馬ね。初期の設計図から変わってるから噂の団長くんと最適化したのかしら?………あ、やっぱりチャリオットは流石に遅れるわよね。馬が相手じゃあ」と未だに響く奇怪な音の正体が現れることはマーリにとって予想の範囲内であった。

 さて人馬でこれならチャリオットもソレなりに驚くだろう

 

 

 

 

 

 





 さてこれで書き留めが終わりなので投稿遅くなります


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トンでもオンパレード開始です


 さーて出来たよ出来たよ~だがなんかアルヴァンズがかわいそうになったけど気のせいか?
 


 

 

 王都カンカネン郊外に存在する、近衛騎士団のための演習施設。

 

 そこで行われていた国立機操開発研究工房シルエットナイトラボラトリの新型量産機のお披露目は、突然の銀鳳騎士団の登場により混沌の坩堝へと叩き込まれていた。

 演習場を我が物顔で走る人と馬をあわせたような異形の機体と更に現れたもうワケわかんないゲテモノが追随する。

 

 巨大な質量を持つ鋼鉄の蹄が大地を打ち鳴らし、一足ごとに雷鳴のごとく馬蹄の音が響いては観覧席に居並ぶ見物人たちの鼓膜を震わせた。

 

 人々は瞬きすら忘れ食い入るようにそれを見つめている。

 

 人が扱う最強最大の兵器、幻晶騎士シルエットナイト。その一種でありながら人からかけ離れた姿を持つ人馬の騎士――ツェンドルグが人の手で作られた物だと

 

 ツェンドルグとゲテモノを見つめているのは、なにも見物人たちばかりではなかった。

 カルダトア・ダーシュの騎操士ナイトランナーたちもまた興味深くそれに見入っていた。

 

 

 「ツーヴァ、見てみろ。すごいな、幻晶騎士が人馬の形をしているぞ、あっちのゲテモノも噂に聞くマーリ公爵領の奴か?なかなか面白い」

 

 「“衛使”殿が我らを呼ぶわけだ……あちらも侮れないものだな」

 

 「まったくだな。しかし衛使殿ははめられたのか?これではこちらの新型機というより、まるであちらのお披露目だ」

 

 

 隣の機体からくっくっと皮肉げな笑い声が漏れるのを聞き、彼もまた腕を組み幻像投影機ホロモニターに映る人馬の騎士等をにらんだ。

 

 

 「さてどうかな……我らを呼んだということは、単にはめられたわけではないだろう。それよりも、今のうちにアレに対する戦い方を考えておいたほうがいいのではないか」

 

 「貧乏くじかとおもったがどうしてなかなか、面白くなってきたじゃないか」

 

 

 カルダトア・ダーシュの眼球水晶が輝きを増し、相手の一挙手一投足を見逃すまいと盛んに像を結ぶ。

 

 騎操士たちはすでに観覧席の喧騒とは遠く離れた場所にいた。

 見るべきものは敵の姿、知るべきものは敵の動き。

 

 静かに、しかし確実に戦いは始まっている。

 

 

 

 

 そんな騎操士たちの緊張も、ざわざわと抑えきれぬ喧騒に満ちた観覧席からは窺い知れなかった。

 観客である貴族位の者達はある意味混乱している。

 

 

 アンブロシウスは小さな笑みを浮かべたまま走るツェンドルグを眺めていたが、ふと隣にいるオルヴァーへと視線を向けた。

 

 「おぬしはあまり驚かぬのだな」

 

 「滅相もありません。前々よりライヒアラ付近に恐ろしい魔獣が出没するとの噂を耳にしておりましたが、それがまさか新型の幻晶騎士のことだったとは。このオルヴァー、心底より驚き慄いております」

 

 

 オルヴァーの糸のように細められた目元には一瞬だけ複雑な色彩が過ぎったのだが、彼はそれを周囲に気取られる前にすばやく消した。

 

 そして平素のごとくわざとらしい仕草で頭をたれる。

 その変わらなさは、この粘度の高い気配の中では逆に異常とすらいえたがもう一人いる。

 「ですがあちらこそ驚いてないと思いますが?」とオルヴァーは目線だけマーリ公爵の方に向ける。

 アンブロシウスも見てみると実際の所、マーリ公爵はまだ二十歳だが見る側からは若者がはしゃいでいるという感じだ。

 断じてこの異形共に驚いていない

 

 「楽しそうだのう?マーリよ」と声をかけられてマーリは振り向くそれは満面の笑みであった。

 「えぇ、かわいい団長君とウマがあったようでなによりですわ。メイルから教えて貰った人馬とは随分変わってるから団長君と最適化したのかしら」それはアンブロシウスにしても驚きであった。

 流石にあれほどの傾奇者は二人はいないと思っていたからだ。

 「それにしてもオルヴァーさんも耳がよろしいようでアルヴァンズを揃えてくれるなんて性能を引き出すならもってこいの試験会場ですね」オルヴァーもこれにはやれやれとしていた。

 というよりもしかしたらこやつは知ってるのではないのか?そう思ってしまう程にマーリの言葉は心臓に悪かった。

 

 「そちらも良い耳をお持ちのようで?」

 

 「お褒めに預り光栄です。陛下そろそろ祭り事を初めてもよろしいのでは?」とアンブロシウスも予測していたオルヴァーも少しばかりネタバレされてやれやれとした。

 少しだけオルヴァーと話し

 

 「その前に、あやつらのことを知らしめねばならんな……」

 アンブロシウスが誰へともなく呟いた直後、貴賓席の扉がノックされ警備の兵が銀鳳騎士団の到着を告げる。

 

 押し殺した吐息が部屋に満ちる。

 全員の視線が、一斉に扉へと集中した。

 扉は開かれ四人の騎士が現れた。

 

 銀鳳騎士団――先ほど名乗りを上げた、騎士団長エルネスティ・エチェバルリア、第1中隊長エドガー・C・ブランシュ、第2中隊長ディートリヒ・クーニッツ、平団員(仮)メイルベーゼである。

 

 

 居並ぶ貴族たちは、思わずあがりそうになった呻き声を気合で飲み込んだ。

 

 いつもならば、その見た目から早速値踏みを始めているはずである。

 

 しかし今回ばかりは彼らは自らが混乱に陥る前にそれを切り上げた。

 

 

 左右を歩く2人の若者、エドガーとディートリヒはまだいい。

 その装いと鍛え上げられた様子を見れば良い騎操士であることがわかる。

 それは同時にただの騎操士以上のものではないということだ。

 

 問題なのは彼らの長であるエルネスティの姿だった。

 

 初見の印象はまず小さい、幼い。

 

 歩くたびにふわふわと揺れるセミロングの紫銀の髪、少女のように整った顔立ちに低い身長が合わさって、どこかの深窓の令嬢だと紹介されても信じてしまいそうな出で立ちである。

 

 それが国王直属の騎士団の長を称している。

 

 そしてもう一人、この場にいるマーリ公爵の切り札とも呼ばれる人物の名は聞いていた。

 聞けば聞くほど胡散臭かった。

 マーリー公爵領のシルエットナイトは独自の生産開発拠点を持っており独自に開発、生産をしてるがそれの中心人物であり単騎で四、五十の魔獣どころか師団級魔獣を討伐に生活水準を向上させるなどあらゆる面で公爵に貢献してるとだがどうだろうか蓋を開けて見れば団長と同じ子どもだ。

 ピンクのロングヘアーに毛先にはリボン、紅い瞳だが落ち着いた目、こっちも団長と同じく低身長も合わさって少女のように見える。

 服装だってどちらかというと女性よりに見えなくもない

 まったく悪い冗談である。

 こんな人物達を見定める眼を持った者はここにはいない

 

 物理的に圧されそうなほどに集中した視線の中でも、彼等にひるんだ様子はなかった。

 逆に瞳に強い意思を湛え、その目はまっすぐに国王へと向けられている。

 

 ただ、団長が国王へととった騎士の礼が些かぎこちなかったのが周囲にどこかちぐはぐな印象を与えていた。

 これだけ堂々と振舞っておきながらそこだけまるで“勉強途中の子供”のようである。

 逆にメイルベーゼの礼は見事と言わざるを得なかったがこちらはこちらで見た目と中身のギャップが激しく違和感を覚えた。

 

 

 「陛下の仰せにより、最新鋭試作機体“ツェンドルグ”、および試作兵装群を搭載したカルダトアベース・テレスターレ改、更にチャリオットここにお持ちしました」

 

 「ご苦労であった」

 

 

 言葉の内容が、周囲の興味をさらに掻き立てた。

 

 ツェンドルグ、というのは先ほどの人馬の騎士であろう。

チャリオットもあのゲテモノで間違いないだろうそれも興味深くはあるが、問題はもうひとつの単語にある。

 試作兵装群とは一体何なのか? 

 まだなにか隠し持っているのか――この時点で、彼らは既に完全に術中にはまっていたといってよい。

 

 彼らの手札はあからさまであり、ただ相手の手札だけが伏せられたまま。

 場の主導権がどこにあるかは明白だ。

 

 

 アンブロシウスには、そんな周囲の興奮と困惑が手に取るように察せられた。

 

 口元の笑みをどこまで隠せているか、本人にも自信がない。

 すでに彼の悪戯心は所々、水を差されたとはいえ満杯を通り越して破裂せんばかりである。

 

 ここからはネタばらしの時間だ。

 

 同時に国機研と銀鳳騎士団の立ち位置を決定付ける。ここまで派手に見せびらかしたのは単に悪戯心ばかりではなく、いや多分にそれも含んでいるが、この後の話を通してしまうための布石でもあった。

 

 すでに状況はワンサイド・ゲームと化している。

 

 

 「さて皆の衆よ、そこにいる子供がエルネスティ・エチェバルリア……ライヒアラ騎操士学園の長であるラウリの孫であり、新型機、そしてその人馬の騎士の設計者よ。今はわしの命により、銀鳳騎士団の長でもある」

 

 

 その、はずだった。

 

 

 「……お、お前等が、お前等のような子供がアレを設計したというのか……!!」

 

 

 一人の男が、彼の言葉をさえぎるまでは。

 

 

 ガリガリと乱暴に白髪の混じる髪をかき乱し、血走った眼を見開いて歩み出たのは国機研第一開発工房長、ガイスカ・ヨーハンソンだった。

 

 立ち振る舞いから一目で真っ当な精神状態ではないと知れる。

 それは目上も目上、国王の言葉を遮ったことからも明らかだ。

 

 

 「違う……違うだろう!! あ、あんなもの、普通は動くはずがない。何か、何かあるだろう、誰かから聞いたのか、いや、誰かが作ったのだろう!? 違う、作れるはずがない、なんだ、ならばどうしたのだ……!?」

 

 

 もはや周囲のことなど彼の目には映っていない。支離滅裂な言葉を喚きながらどんどんとエルへと詰め寄ってゆく。

 

 その狂態を目の当たりにして、アンブロシウスは珍しく困惑を露わにしていた。

 

 

 「(おお、これは少し荒療治が過ぎたかのぅ……対抗意識を持つ程度でよかったんじゃが)」

 

 

 言葉で制止できるか、束の間アンブロシウスは悩んだが完全に錯乱している様子を見れば通じるものとも思えなかった。

 

 彼は諦めて取り押さえるよう命令を下そうとしたが、その時に何かを言いたげな様子のエルと目が合う。

 興味を覚えたアンブロシウスは開きかけた口を閉じ、同じく目線だけで許可を下した。

 

 

 エルは要領を得ないうわ言じみた叫びをあげて迫るガイスカへと向き直る。

 

 彼の左右では、エドガーとディートリヒがもしもの場合に備えて全身を緊張させていた。いくら力に長けるドワーフ族とはいえ、現役の騎操士二人に敵うものではない。

 

 

 「ツェンドルグは、魔力転換炉エーテルリアクタを2基搭載しています」

 

 

 もはや手を伸ばせば届きそうな距離、エルのつぶやきは確かにガイスカに届いた。

 カッ、と意味不明の音を吐き出して彼の動きが凍りつく。

 

 同時にオルヴァーが珍しく目を見開き、驚愕を表情に乗せていたが相変わらずマーリ公爵だけはその笑顔を絶やさなかった。

 というかメイルの初期案の設計図で2基搭載してるのを知っているし

 

 

 一拍遅れて、エルの放った言葉の意味を周囲の人間も理解していた。

 小波のように、驚きは周囲へ広がってゆく。

 

 

 「なぜか、わかりますか?」

 

 

 エルはにこりと笑みを浮かべ、小さく首をかしげて問いかける。

 

 それに対してガイスカは間の抜けた姿勢のまましばらく凍り付いていたが、それもやがて溶け出していった。

 

 

 「あ、あれは……そう、そうか、巨大すぎる。炉が一つでは、支えきれん……そこまでして、やっと」

 

 

 ぶつぶつと呟きながら、ガイスカの瞳に明瞭な知性の光が戻ってくる。

 

 問いに答えるために必要なものは、理である。

 どんなに奇妙に見えても、技術で作られているものは理と知で語れば、読み解けるものなのだ。

 

 二つの心臓を備えた人馬の怪物。

 正気を取り戻した彼を震えがくるほどの衝撃が襲うが、それ以上に洪水のような疑問と知識欲が湧き上がっていた。

 

 

 「確かにそれで、形は維持できる……が、それだけで動くまい。まだ足りない。ほ、他にも何か仕掛けているのだろう」とそこでメイルがエルに提案する。

 

 「簡潔にまとめた資料があるからそれで説明しない?せっかく図面も持ってきたし」

 

 「良いですね。ではではさっそく」

 

 エドガーはこの期に及んではもう何も突っ込むまいと覚悟を決め、無言で傍らのトランクケースを開いた。

 

 ディートリヒも同じく無言で持ち運んでいた木製の台を組み上げ、簡易の黒板を用意していた。

 

 エルとメイルは素早く何枚かの図面をそこに張り出すと、可憐な花が咲き誇るように満面の笑みを見せて。

 

 「では解説いたしましょう! まずは基礎の構成からですね……」

 

 「いやちょいと待たんか、この馬鹿者共が。わしを無視して勝手に始めるでない、マーリお主もお主で何で話しを聞こうとしとる!」

 

 プレゼンテーションが始まる直前に慌てて待ったをかけたのは、当然アンブロシウスである。

 ついでにマーリもどこから取り出したか分からない椅子に座って聞く体勢を整えていた。

 思わず流されかけていた周囲の人間も、その一言で我に返った。

 「あらせっかくかわいい騎士さん達が説明してくれるのですから聞いても良いではないですか」

 

 「……陛下もごいっしょにどうでしょうか。大丈夫です、皆様にお聞かせするために大量の資料を持ってきましたからじっくりと全てですね……!」とちょんちょんとメイルがエルをつつき止めようとするので少しはまともかと思いきや

 

 「じっくりは無理だよ。簡潔コースで5分で済ませるべき」とどうやらプレゼンテーション自体は止める気は微塵もないらしい

 

 「それのどこが大丈夫なんじゃ。後でゆっくりと聞いてやる、まずはそれを仕舞わんか」

 

 

 エドガーとディートリヒはやはり無言で、テキパキと台と図面を仕舞ってゆく。

 

 エルとメイルついでにマーリも実に残念そうにそれを見送っていた。

 

 「ガイスカ、おぬしも控えよ」

 

 「……!!あ、ああ、も、申し訳ありません……あのような醜態を……」

 

 「やれやれ、少々薬が効きすぎたようじゃな。まぁよい、正気に戻ったのならまずは話を聞け」

 

 

 一転、地に頭を擦り付けんばかりに平伏するガイスカへとアンブロシウスは投げやりに応じる。

 

 

 「ぷっ、くく、ふふふ……」

 

 我慢し切れなかったのだろう、ついに横であがった笑い声にアンブロシウスは小さくため息をつくと、ゆっくりと振り返った。

 

 「オルヴァー、おぬしまでもか」

 

 「これは申し訳ございません。いやぁ、どのような子供かと思っていればずいぶんと面白くて……陛下を呆れさせる者などそうは見れるものではありませんし」

 

 

 笑顔で頭を下げるオルヴァーへまたも投げやりに応じるアンブロシウス。

 

 先ほどまでの緊迫した空気は完全に霧散し、なんとも緩い気配が場に漂い始めていたのだった。

 

 

 

 

 気を取り直して、アンブロシウスは咳払いをして場の空気を切り替えて少しの時間、説明に入った。

 

 内容をまとめればこうだ。

 騎士団の創設理由がエルネスティが趣味で始めたシルエットナイトの新型を作ったことにあるがそこで強奪事件が発生したが、幸い開発者は無事な為に護衛戦力として騎士団が出来た。

 更に言えばラボの人間と子どもであるエルネスティが馴染めるとは思えず独自の開発集団にした方がよいとのこと

 

 あとは二つの開発集団は別々でした方がよいと確かにテレスターレはじゃじゃ馬だったがラボをそれを基に洗練されたカルダトア・ダーシュを作った。

 という感じになる。

 

 こうして銀鳳騎士団の存在は周知のものとなり、この日列席した者たちを起点として、フレメヴィーラ王国の貴族のあいだにエルネスティの名が静かに広まってゆくことになる。

 

 その名前にはひとつの注意が付帯していた。

 

 曰く、銀鳳騎士団騎士団長エルネスティ・エチェバルリアなる者は、凄まじいまでの開発能力を持つと同時に想像を絶するほどの幻晶騎士バカである、と。

 

 そうして話が終わってからしばしの後。

 

 

 「さて諸君、彼らが何者かわかったからには、次は新型機の力を知りたかろう。これより国機研と銀鳳騎士団による模擬戦を行うこととする。双方準備せよ」

 

 

 アンブロシウスの命に従い、銀鳳騎士団は準備のため演習場へと降りていった。

 

 降りる間にも、一緒に移動しているガイスカとエルにメイル等、3人のひたすら意見交換をしている声が廊下から響いてくる。

 

 ガイスカも元をただせば叩き上げの技術者であるからして、未知なる技術への貪欲さは他に引けをとらない。

 エルにしても枷が外れたメイルにしても趣味の話は止まらない性質とくれば、それは整備用の工房につくまで続くことだろう。

 

 

 そのころの観覧席には、もはや最初のような尖った様子はなかった。

 

 今はただ、互いの組織が持てる力を振り絞った機体の力について盛んに議論を交わしている。

 要するに単なる野次馬と大差ない状態だ。

 

 アンブロシウスとオルヴァーが何か話していたがそれを知るものはいないそれと一つ分からない事があったのでマーリに聞くことにした。

 何を聞くにしてもあのゲテモノ、チャリオットと呼ばれるシルエットナイトだ。

 騎馬は歩兵の3倍といった話しはあるがあれはどうとらえるべきか?

 

 「マーリよ。あのチャリオットとやらは騎馬と同じ例えでよいのか?」なんか色々とワケわからんのを付け足し始めてるし

 

 「難しいですわね。あれは膂力と火力だけなら通常の3倍にはなりますけど如何致しますか?」と内心驚いてはいる。

 見た目とは裏腹に性能はトンでもないな!と

 アンブロシウスは今の情報を元に考えたがすぐに終わった。

 

 「これより、国機研と銀鳳騎士団による模擬戦闘を始める。なお戦力は均衡をとるため銀鳳騎士団、騎士4騎及び騎馬1騎、チャリオット一騎! 国機研、騎士10騎とする!!」

 

 

 観客の歓声を背景に、アンブロシウスが対戦規定を告げる。

 

 盛り上がる観覧席とは対照的に、演習場内に布陣するグゥエールの操縦席ではディートリヒが億劫そうにぼやいていた。

 

 「ツェンドルグは騎士3騎分と判断されたわけだね。1つの騎馬は3の歩兵に等しく、か。幻晶騎士にも当てはまるものかな?」

 

 「ちょっとチャリオットまで同じ扱いっておかしいでしょ」と今回、ヘルヴィもチャリオット要員で来ていたがこのゲテモノも騎馬扱いではたまったものではない

 

 「そうですね。確かにチャリオットは膂力と火力は3倍ですけど総合的には精々2倍ですかね」

 

 「そうなのか?まあどちらにしろこの場合、国機研むこうの新型機はこちらのものを改良したものだ。それが3騎……正直、戦力負けに思えるがな」

 

 4人の改良型テレスターレ(カスタム騎)は以前よりは良くなったがメイル曰く基礎技術で劣ってるらしく安定化を優先させた為に向こうの全面改修されたカルダトア・ダーシュよりは全騎一部を除き劣ってる。

 というかみんなそれぞれ特化型なのでそれ以外が劣るのは仕方ない

 

 「楽しみですね。どこまで“まともに”なっているのでしょう? 使い勝手は大分と改善されたようですし……そうだ、後で乗せてもらいましょう!」

 

 「あ!ズルいワタシも乗りたい!ラボの技術は良い見本」

 

 「……ああうん、君達はいつもどおりで羨ましい限りだね」

 

 ずれた感想を漏らすエルとメイルの様子にディートリヒはやれやれと首を振る。

 

 「まぁ、俺たちとて以前のままではないさ、というよりはテレスターレの面影すら残ってないしな」と3人は微妙な顔をする。

 今回のカスタム騎ならぬ試作兵器満載のシルエットナイトからどこを見てもテレスターレのテの字すら見えない

 

 「ねぇ、それで私たちはどーすればいいの?」

 

 「やっぱ3騎相手にやりあうのか?」

 

 背後に控えるツェンドルグから双子の声が届く。

 

 彼らの最大の勝機であり、また不安要素でもあるのがこのツェンドルグだ。

 

 これまでに身内での戦闘訓練は積んできているものの、双子にとってはこれが初陣にも等しい。

 何が起こるか予想は困難だ。

 

 ヘルヴィから文句がこないがそれは換装した装備の説明を受けて今はワクワクしている。

 

 「大丈夫、わたしが一個小隊引き受ける。ヘルヴィさんは戦場を掻き回してください」

 

 「オッケー、任せなさい!」

 

 「ならどうする。手堅く定石に従うか、それとも」

 

 「それなのですが。エドガーさん、ディーさん、少しの間だけ無理をお願いできますか?」

 

 

 彼らの団長の指示を、二人は操縦席の中で不敵な笑みを浮かべて聞いていた。

 だが一番、悪い笑顔をしていたのはエルネスティとメイルベーゼだったりするが………

 

 

 

 高らかな喇叭ラッパの音が演習場に並んだ双方の部隊の間を駆け抜けてゆく。

 

 さらに戦闘の始まりを告げる銅鑼ドラが打ち鳴らされ、大きな歓声が後に続く。

 

 

 直後、大地を揺らしながら巨人の騎士が突撃を開始した。

 

 最初に動きを見せたのは銀鳳騎士団側だ。

 4騎の騎士が前に走り出て、ツェンドルグはその後ろを速度をあわせてついてゆく。

 

 国機研側――カルダトア・ダーシュを操る騎操士集団である“アルヴァンズ”。

 

 彼らのリーダーであるアーニィスは銀鳳騎士団の動きを見てふむ、と鼻を鳴らした。

 

 「同時突撃を狙ったか……?しかしチャリオットは動いてないが、まぁ、想定の範囲内だ。槍壁陣構え、前進する」

 

 彼らは3個小隊を横並びにして、全員で盾と槍を構えてゆっくりとした速度で前進を始める。

 

 明らかに人馬の形をもつツェンドルグを意識した陣形である。

 突撃力の高い魔獣に対する常套手段でもあり、穂先を潰してあるとはいえ長く突き出た槍は速度をつけての突撃を躊躇わせるには十分だ。

 

 銀鳳騎士団が接近の速度を上げた。

 さらに部隊の後ろにいたツェンドルグが単騎で横に距離を取ると、先行する3機を追い抜いての襲歩を開始する。

 

 「第2小隊は右へ向かい槍壁陣を維持、第3小隊はチャリオットを、第1小隊格闘準備!!」

 

 

 突出し始めたツェンドルグにあわせて、アルヴァンズは部隊を三つに分けた。

 

 

 そのまま槍を構えてツェンドルグを迎撃する部隊とチャリオットを倒す部隊、槍を捨てて騎士と格闘をする部隊である。

 長い槍は突っ込んでくる相手には有効だが、小回りに長けた騎士を相手にする場合は不便が勝る。

 

 3個小隊と一騎を抱えるアルヴァンズは小隊ごとに役割を分けることで、数の有利を生かしてきた形だ。

 ツェンドルグとチャリオットに一個小隊(3騎)ずつ、4騎で同数の騎士と格闘戦

 

 

 両者の動きを見ていた観客の大半も、歩兵同士の衝突と騎馬やチャリオットを相手にした戦いに綺麗に別れたと、そう考えていた。

 

 直後に銀鳳騎士団によるトンでもオンパレードな異常な行動を始めるまでは。

 「じゃあ、一番手もらうわよ」

 チャリオットは完成して二年になるがどちらにしろこの場に置いては旧型騎である。

 だがなぜ持ってきたかと言うとエルネスティとメイルベーゼによる変態ともいえる魔改造を経て劇的な進化を得て新型騎に勝る新型チャリオットそしてそのオプション武装が展開される。

 背中に積まれた4つの長大な武器の先に4つの巨大な火の玉が形成される。

 それはアルヴァンズを動揺させるには十分だった。

 

 

 

 

 

 「バックウェポン?しかし有効射程にはまだ遠いぞ」

 見た目だけならバックウェポンを使うと分かるが問題は距離である。

 未だチャリオットからアルヴァンズまで演習場の半分以上はあるため、普通に考えれば明らかに遠すぎる。

 

 

 

 

 だが前途のように変態に昇華したチャリオットには問題ない

 「チャリオット[ファイヤーパーティー]、ファイヤ!」

 4つの火の玉は放たれたがそんなのを気にする余裕なんてない!

 なぜならそれは真っ直ぐアルヴァンズに向かって飛んでくるのだから

 「なに!?全員回避し……」言い終える前に爆音で掻き消された。

 「ぬぉぉぉぉ!?なんだ!この火力は」

 

 「これほどの距離を届かせるのかよ!」

 

 「法撃も止む気配がないぞ!」

 

 「落ち着けぇ!敵はあれだけではない!回避しつつ第2小隊は騎馬モドキを第3小隊は回り込んで黙らせろ!我々は不利だが正面をやる!「隊長!」こんどはなんだ!」

 

 「騎士2騎に変化あり!」と団員からの必死の叫びに敵に目を向ける。

 

 

 「マギジェットスラスタ、起動」

 

 「積層配置から展開」

 

 「「吸気圧縮開始……」」エルとメイルは深い笑みを浮かべていた。

 チャリオットでこれならこれからやることはきっと大いに驚いてくれるだろうと確信を得て

 

 

 突如として起こった爆音が轟く戦場とは異なる異音が場内に響き渡りはじめる。

 

 急激に集められた空気が渦を巻く、独特の甲高い音。

 魔力転換炉の吸気音を数倍に激しくしたような音が、銀鳳騎士団のうち2騎から放たれていた。

 

 金属地をそのままのようにした鋼色の2騎がゆっくりとしゃがむ

 それぞれ異なる所に追加された装甲が、がしゃがしゃと配置を換えていた。

 

 装甲を支える可動機構により、向きが真後ろへと変えられる。

 階段状に重なった装甲の裏側につけられていた、板状の弁が開いてゆく。

 

 重なった装甲の内部は中空になっており、そこには紋章術式エンブレム・グラフがびっしりと刻まれていた。

 

 それを見ていた観客に戸惑いが広がった。

 何故装甲を動かすのか、あれでは守るべき部分が剥き出しではないか、と。

 いまだ謎の音を立てるその装置の意味を知る者はいない。

 

 それだけ怪しげな動作をしていれば当然、アルヴァンズは警戒心を抱くというよりはこれ以上俺たちを混沌へ導かないでくれと願っていた。

 

 「なんだあれは?」

 

 「空気を集めている……エア・バレットを撃つシルエットアームズか?何か新兵器のようだが……わからん」

 

 「ツーヴァ、イドラ、先ほどの法撃並に警戒しろ。そろそろ射程内だ、こちらも魔導兵装で仕掛けるぞ」

 

 槍を持たない第1小隊が背面武装バックウェポンを起動する。

 同時に第2、第3小隊も背面武装を起動していた。

 高速で移動するツェンドルグは騎士よりはるかに突出している。

 既に完全に魔導兵装が有効な間合いの中だ。

 

 そうして未だに止まない法撃を掻い潜り法撃する直前、それは起こった。

 

 鋼色の騎士が膝を撓め、身を沈めて力を溜める。

 騎操士であるエルネスティとメイルベーゼの意思をそのまま反映するフルコントロールにより操作されているその機体は、ストランド・クリスタルティシューの力を余すことなく発揮する。

 踏み込みが大地を抉り機体が疾走へと移る瞬間、紅蓮の炎がその身から噴き上がった。

 

 輝きと、爆音を伴う炎の尾が追加装甲から長く伸び、今まさに加速へと踏み切ったその機体へと尋常ならざる推力を与えていた。

 

 人の5倍の大きさを持ち全身を金属と結晶で構成した、莫大な重量を持つ幻晶騎士。

 それがまるで法弾のごとき圧倒的な速度に到達する。

 

 

 炎の尾が現れていたのは僅かな時間だった。

 鋼色の騎士が二歩目に入る頃にはそれは陽炎へと変化し、機体の背後の空間を揺らめかせるばかりだ。

 

 鋼色の騎士が二歩目を踏み切る瞬間、再び背後に炎が顕現する。

 当然、騎士は更なる推力を得て速度を増してゆく。

 

 

 

 「ゼルクゥーーース!! 気をつけろ! あれはそちらヘ……!!」

 

 誰もが眼前の未知なる光景に動揺している中、最初にそれに気付いたのは第1小隊のアーニィスだった。

 

 鋼色の騎士達はもはや異常なまでの速度に達し、先行していたはずのツェンドルグすら追い抜いてアルヴァンズへと迫っている。

 そう、槍持つ第2小隊へと。

 

 

 「ばっ……なんだこいつ等は!?」

 

 「槍では間に合わん! 撃て!!」

 

 

 ツェンドルグにばかり注意していた第2小隊は、法弾と見紛うほどの速度で接近する鋼色の騎士に対する反応が遅れた。

 

 それでも彼らは咄嗟に魔導兵装を撃ち放ち、迎撃を試みた。

 一瞬の行動であったにもかかわらず、飛翔する法弾が正確に鋼色の騎士を捉えていることが彼らの技量の高さを証明している。

 

 

 大きな驚愕に襲われつつも、第2小隊の小隊長であるゼルクスは頭の隅の冷静な部分で相手の失敗を確信していた。

 

 異常極まりない速度の奇襲は賞賛に値するものだが、逆にあれだけの速度を出してしまっては攻撃の回避などできたものではない。

 敵は自らの速度で自滅するのだ。

 

 

 だが、そんな彼の思惑を上回る者がいる。

 

 銀鳳騎士団団長エルネスティ。

 その身体的条件から、彼は訓練の大半を高速戦闘に対応すべく費やしてきた。

 

 団員(仮)メイルベーゼ。

 7歳の時に無断出撃してから特務騎士として魔獣激戦領であるマーリー公爵領の最前線で鍛えた圧倒的、経験値の塊。

 

 そんな彼等の鍛えられた反射神経と圧倒的な演算能力が、刹那の間に行動を差し挟むことを可能とする。

 

 

 鋼色の騎士のそれぞれに装備された追加装甲。

 可動式マギジェットスラスタともいうべきその装備が、噴射口を一斉に横へと向ける。

 

 短い爆音と、炎の煌き。

 

 急激な横方向のベクトルを加えられた鋼色の騎士は、一瞬で進行方向を斜め向きに変化させた。

 

 

 「は?」

 

 

 敵は第2小隊の予想をはるかに超えていた。

 

 ちゃんと狙いが定まっていたことが災いし、法弾は鋼色の騎士に掠ることすらなくその横を通り過ぎてゆく。

 

 

 「うわぁああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 白刃が閃く。

 

 鋼色の騎士は第2小隊の左側を通り過ぎざま、剣を振るった。

 圧倒的な速度をもった斬撃は決闘級魔獣の突進にも匹敵する威力を発揮する。

 

 機体の左手に盾を構えていたことが、左端に位置していたフィリア機を救った。

 それでも強大な衝撃に盾が弾き飛ばされ、フィリア機は大きく傾いて後ろへ倒れこんでゆく。

 

 

 「フィリア! まずいな、私があれを抑える、ユンフは後ろを……」だがそれだけでは終わらなかった。

 ユンフの機体にワイヤーが絡み付いていた。

 そうエルは剣で吹き飛ばしたがメイルはワイヤーで絡めていたのだ。

 

 

 「まずは一騎………」デュエルレヴィーラのワイヤーが限界まで延ばされるとビシッと張る。

 そうエルは逆噴射で止まることにしたがメイルは相手を重りにして無理やり減速することにしたのだ。

 その為に後付けのワイヤー発射装置を付けたのだ。

 ユンフ騎は圧倒的重量に引っ張られ宙を舞った。

 結果、分かるだろ?おもいっきり地面に叩きつけられた。

 

 「うわぁぁぁぁ!?」

 

 

 「ユンフぅぅぅ!…………は!しまった」あまりの出来事に忘れていたが自分が何と対峙しようとしていたのか思い出した。

 

 爆音を轟かす鋼色の騎士に隠れて、人馬の騎士はもはや眼前に迫っている。

 土煙を跳ね上げ、圧倒的な迫力を持った騎馬が突撃してくる。

 

 鋼色の騎士達の攻撃により大きく体勢を崩した今の第2小隊では、あれを迎撃するのは無理だ。

 ゼルクスはそう素早く判断すると無理矢理飛びのいた。

 

 そうして開いた空間を、ツェンドルグが走り抜けてゆく。

 

 ツェンドルグはすれ違いざまに、その左手に持った細長い盾を振り回し殴りかかってきたが、ゼルクス騎は盾で受け流すことで損害を最小限とした。

 

 

 その隙に、爆発的な速度で駆け抜けた片方の鋼色の騎士は機体を停止させていた。

 

 両脚を踏ん張り、同時にマギジェットスラスタを前方へと向ける。

 今度は一瞬ではなく長時間の噴射が行われ、自らが持つ速度をその推力で打ち消していた。

 

 もうもうとした土煙と、揺らめく陽炎をまとって鋼色の騎士が動きを止める。

 

 ややゆっくりとした動きで振り返ったとき、そこには総崩れになった第2小隊の姿があった。

 

 

 そして更に第3小隊にも迫っていた。

 

 「な!一騎このまま来るぞ!」

 

 「近付けるな!法撃開始!」と第2小隊をすり抜け自分達に迫る一騎の鋼色の騎士を迎撃せんと法撃を仕掛けるが全てが遅かった。

 

 鋼色の騎士は飛びながらも法撃を飛ばして来たのだ。

 それは当たることもなく地面に着弾し土煙が舞う

 「な、目眩ましか!だがそれではやつは」と第3小隊の隊長の横にいた味方から強烈な金属と金属がぶつかり合う音が聞こえた。

 

 「もう遅い……」

 メイルは更に減速するためにそして数を減らす為にしたこと、それは敵に向かってドロップキックをすることだった。

 「こいつ無茶苦茶な!」ザルーグはとっさに盾で防ぐが完全にとはいかず大きく後ろへ倒れた。

 鋼色の騎士はワイヤーを切り離し空中で回転、更に短く炎を噴射し着地しようとしたがそこを見逃すほどアホではない残りの2騎は法撃しようとするが忘れていたことがあった。

 チャリオットの法撃が飛んできて攻撃するチャンスを逃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「な、何の冗談だあれは……!?」

 

 

 第2、第3小隊の惨状とそれをもたらした鋼色の騎士達の存在は、第1小隊に強い動揺を与えていた。

 

 彼らはすぐに救援に向かおうとしたが、それをアーニィスが押し止める。

 

 

 「落ち着け!残りの騎士が迫っている、今、救援に向かえば我らも背中を突かれるぞ!」

 

 

 その言葉で、彼らは残る歩兵2騎のことを思い出す。

 鋼色の騎士達のあまりに派手な攻撃は、彼らの注意を完全に奪ってしまっていた。

 

 「ファルゼンは第2小隊に合流、我々は前進するぞ。2対3だ、可能な限り素早くあの2騎を倒す! ゼルクスたちはそう簡単にはやられん。今ので守りを固めるはずだ!」ついでにいえば第3小隊もまだ全騎健在だ。

 

 

 3機のダーシュが走り出す。

 銀鳳騎士団の2機との間があっという間に縮んでゆく。

 

 

 「イドラ、あの鋼色のに注意しろ! またあの音が聞こえたら迎撃に回る!!」

 

 

 アーニィス機、ツーヴァ機が先行し、走りながら背面武装を発射する。

 対して銀鳳騎士団は紅白2機のうち、白い騎士が前へ出る。

 

 殺到する法弾が突き刺さるかと思えたそのとき、白い騎士の肩周りに配置された装甲が動き始めた。

 補助腕が蠢き装甲を前方へと集中させてゆく。

 さらに盾を構えて完全な防御形態をとった白い騎士は、勢いを落とすことなく飛来した法弾を全て弾き飛ばした。

 

 

 「あれも、ただの機体ではないということか……」

 

 「鋼色のは動いていない、今のうちにやるしかないぞ。あの妙な装甲とて、全てを覆えるわけではあるまい!」

 

 

 アルヴァンズの3機はさらに法弾を撃ち続け、圧力を加えながら剣の間合いへと入った。

 それと味方を巻き込まない為かチャリオットからの支援が無くなっている。

 

 白い騎士の陰から、今度は紅い騎士が飛び出してくる。盾を持たない、攻撃型の重装機だ。

 それは剣を振るうと見せかけて、ツーヴァ機へと腕を振り上げた。

 

 その篭手の根元から、炸裂音と共に何かが飛び出した。

 

 剣を交えることを想定して構えていたツーヴァ機の顔面に、飛び出してきた金属の塊が直撃する。

 衝撃は眼球水晶に届いたと見え、操縦席ではホロモニターの映像の半分が歪んでいた。

 

 

 「こいつらは、どれだけ妙な装備を!!」

 

 

 ツーヴァ機が怯んだ隙に紅い騎士はイドラ機と切り結び、力任せにそれを押し返す。

 

 その横ではアーニィス機と白い騎士が切り結び、同じく一旦間合いを離していた。

 

 

 「倒し……きれないか!」

 

 

 アーニィスは密かに歯噛みする思いだった。

 数ではアルヴァンズが勝っているが、攻撃と防御に特化した性能を持つ紅と白の騎士はなかなかに手ごわい。

 

 その時、彼らの背後から大量の空気を吸い込む異音が響いてきた。

 鋼色の騎士が再び動き出したのだ。

 

 

 「これは窮地だな……イドラ、後ろを警戒。ツーヴァ、いけるか」

 

 「ああ、動きには支障ない。ゆくぞ」

 

 

 アルヴァンズは再び攻勢に移る。

 紅と白の騎士もそれを迎え撃つべく動き始めていた。

 

 

 





 新型チャリオットは少し前の話で出した試作兵装の一つを発展させたものです。
 つまりタンクからガチタンに進化したことです。
 後のキャリッジに実装される三式装備を4門搭載したもんです。
 次回、カスタム騎のバトルに移行します。


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試合の結果は?

 
 久々の投稿ですがとりあえず模擬戦は終わります。
 


 

 さて散々に荒らされた試合の中、メイルペーゼはアルヴァンズの第3小隊と対峙していた。

 

 「さてマナは結構温存できたしまあまあかな?………エルの方は………まあ安全第一だししょうがないか」と眼球水晶越しに見えるエルのシルエットナイトを見てまあしょうがないと思い目の前の3騎に意識を向けた。

 

 「流石アルヴァンズと言った所かな?……まあでも」

 そう、彼等の強さは故郷の魔獣や騎士団程ではない。

 

 「では銀鳳騎士団、団員(仮)メイルペーゼ、推して参る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第3小隊は目の前の異形に違和感を覚えていた。

 突如、補助腕と接続されてると思われる片方がまるで翼でも拡げるように展開された。

 機体のあちこちも装甲がガシャガシャと動いていて不気味な感じがした。

 人であって人でない

 そう思わざるを得なかった。

 人馬もチャリオットもあのもう一騎の飛んだ機体も分かるが目の前のだけはまるで悪魔ではないかと人の皮を被った悪魔ではないかと思った。

 

 「何をするつもりだ?」

 

 「気を付けろよ。未だに手の内を明かしていないんだからな」ごもっともである。

 性能はともかく基本装備から標準装備まで向こうが網羅してるのだから油断ならない

 ダーシュの売りは従来より向上した基本性能に安定した操縦性なのだから

 そしてまたあの音だ。

 

 「吸気音………来るぞ!各機法撃開始!」小隊長の指示により一斉に開始した。

 異形は避けるどころか一直線に向かってくる。

 驚きこそしたが全員身構える。

 先程のあり得ない回避運動を見ているからだ。

 異形は翼を全面に展開した。

 あの白い騎士と同じ盾なのだろうか?

 いな同じ筈がない!

 翼の隙間から複数の触媒結晶が現れた。

 バチバチと電気が走り火の玉が当たると思われた時、まるでレールでも敷かれているかのように火の玉は異形を避けて後ろに飛んでいった!

 

 「はあ!?なんだあれは!」

 

 「気を抜くな!来るぞ!」と異形は陽炎を吹かし加速した。

 横からの剣撃が来るが流石に2度も喰らうことはない

 鍔迫り合いに持っていけた。

 「今だ!二人でやれ!」と心得たとばかりに仲間は斬りかかる。

 決まったと誰もが思った。

 まあ一部を除いてだが………… 

 翼はまるで巨大な手のように開き一騎の上半身を掴みもう片方は補助腕になってるが通常のと大差ない

 変わってるのは手があるところが剣になってることだが………

 「なっ!はな…ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 「こいつどんだけ奇妙な装備を!」必勝を得た筈の二騎はあっさり受け止められ挙げ句一騎はやられてしまった。

 「こいつ………だがこの至近距離からの法擊はかわせないだろ!」と背面武装を展開して鍔迫り合いしてるこの至近距離から法擊をしてやろうとするが何か忘れてる。

 此方に近づくキュラキュラと奇怪な音が響くのだ。

 

 『こっちを忘れてもらっちゃ困るわね!』そうあのゲテモノ、チャリオットだ!

 しかも味方が落としたと思われる盾二枚を軽々と持ち構えて突撃してるのだがもう遅い鍔迫り合いをしていた小隊長は横からの突進に耐えられず突き飛ばされ機体がしっちゃかめっちゃかになった。

 

 「小た『余所見は命取り………』しまっ!」補助腕に受け止められていた団員も剣を通じて流された電撃で倒れたのであった。

 

 『ヘルヴィー先輩、ナイスです』

 

 『どういたしまして、チャリオットの膂力もバカにならないわね』

 

 『なら良かったですがこっちはマナプールが心もとないので息継ぎさせてもらいます』

 

 『オッケー、ならもう一発やってくるわ!』と爆走して第二小隊の方に突撃するチャリオットを見て少しばかり考えていた。

 (サンダリングシールドは良かったけど燃費が悪いから改良しないと、腕に付ける後付けタイプにした方が良いのかな?チャリオットは値が張っちゃうけどファイヤーパーティーは調子が良い。人馬とは違って拠点防衛が主になりそうだけど)などを考えながらだいぶ離れてるエルの方に機体を歩かせるのであった。

 ただしチャリオットの置き土産に換装してだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、第一小隊は第三小隊があっさりと倒れてしまったことに驚きを隠せなかった。

 「第三小隊が倒れただと!………くそゼクルス達の救援はあとになりそうだな」第一小隊も最初こそ数と操縦性が勝っているダーシュに軍配が上がると思っていたが紅と白、剣と盾のタッグが予想以上にしぶとかった。

 

 「くっ!予想以上に堅い守りだ」隊長が思ったのは純粋な装甲の厚さではなく戦い方だ。

 普通なら神経が磨り減る筈の受けの一手を今の今まで耐えているのだら

 

 「隊長に食らいつく騎士なんか久々じゃないのか!」

 

 「それよりもこのっ!………ちょこまかと」紅の方も厄介だ。

 全身が鋭利な装甲な為に全ての動作は攻撃になる為に盾無しだからと侮ることはできない

 一瞬たりとも気を抜けないがそれは何もアルヴァンズに限った話ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「流石は噂に名高いアルヴァンズと言ったところかね。攻めきれん」

 

 「ああ、既にこちらの装備にも対応してきてる。正直、じり貧だな」テレスターレからかなり改善されてると言っても燃費や操縦性に関してなら向こうに分がある。

 更に言えば試作兵装でマナプールの消費が激しいのだ。

 かと言って無かったら無かったでここまで食らい付くことなんて出来なかったがマナプールの底が先に尽きるのは分かりきっていた。

 「もう少し持ちこたえるぞ。そうなれば二人が来て状況が変わる」

 

 「そうだな、もう少し踏ん張ってもらうかグゥエール!」ディートリヒは後のことをあの二人に任せることにして全力で当たった。

 「マナが少ないならもう必要ないな!」とエドガーは一つのボタンを押した。

 それは機体に掛かっていた一部の強化魔法を解除する装置だ。

 エドガーの機体はフルアーマーが装備されてるがマナプールが少ないのであれば重りにしかならないのでパージしたのであった。

 「切り裂け!グゥエール!」とディートリヒも2騎を相手に食らい付くがアルヴァンズはそれを許さない

 安定した操縦性の優位を生かして相手にマナを使わせるようにしていた。

 「くっ!もうマナが……」

 

 「あと一息なんだがな!」とこの時、ディートリヒは鍔迫り合いになり一騎にやられそうになった。

 『今だ!止めを』

 

 『承知!』だが忘れてはならない二人のことは頭から離れているが……………

 

 演習場全体にあの吸気音が響き渡る。

 『しまった!肝心の奴を忘れて………なんだあれは!?』

 

 「やっと来たか!」

 

 「やれやれ遅いぞ!二人とも」隊長が驚いているのはチャリオットが装備していた筈の背面武装を鋼色の騎士が装備しているからだ。

 これがメイル考案のランドセルをエルと共に更に推し進めたバックパック兵装である。

 メイルは補助腕をパージしてチャリオットが置いていったファイヤーパーティーを装備したのだ。

 

 「圧縮空気収束率…………150%…………170%………200!行くよ。団長!」

 

 「ええ!では行ってきます!」

 

 「行って………らっしゃい!!」ファイヤーパーティーとは言うがもう一つエアバレットの魔法も使えるようにしていた。

 それはエアバレットをクッションにしてエルの機体を飛ばす為である。

 

 『そう何度も同じ手でやられるか!』と流石のアルヴァンズも二度目には驚かず冷静に対処するがそれはこちらも一緒だ。

 「同じ?笑わせるね」

 

 「そうです!本気で行きます!」とそこからはエルのフルコントロールが発揮され横にスライドして避けるだけだった最初と違い縦横無尽に動き法擊を避ける。

 「これで……」

 

 「チェックメイトです!」とメイルからすれば故郷以来で久々に跳び膝蹴りを見た感じであった。

 喰らった相手の頭部は吹き飛び倒れた。

 そしてメイルはすかさずもう一度、エアバレットをエルの着地場所に飛ばしそれをクッションにして残りマナプールが少ない機体を安全に着地させたのであった。

 もっとも今の縦横無尽の動きでマナは底を尽きているだろう。

 

 それまでは静かに戦いに見入っていたアンブロシウスが立ち上がったのは、その瞬間だった。

 

 

 「そこまで! 双方剣を納めよ!!」

 

 

 素早く、連続して銅鑼が打ち鳴らされる。

 それは喧騒を打ち抜き、戦場の騎士へと届いた。

 

 残る戦力で決戦へ移らんとしていた両軍勢は僅かに遅れて剣を引き、場にいる全てが動きを止めてゆく。

 

 

 「両者ともいずれ劣らぬ素晴らしき機体である!それぞれの良きところ、悪しきところ、存分に見せてもらった!!さすがよ、両者に惜しみない賛辞を送ろう!!」

 

 

 いまだ戦場に立つ騎士たちへ、観客席から盛大な拍手が送られる。

 

 突然の終了に思考が追いつかないのか、勝ち鬨も上がらぬまま、騎士たちは夢から覚めたような心境でしばらくの間立ち尽くしていた。

 

 

 

 (助かったのは我々なのだろうな)とアーニィスは状況を確認すると心中で一人ごちていた。

 

 数では気絶していたユンフが終わり間近で起き上がったので四対四だが正直、あの鋼色の騎士達と人馬にチャリオットに勝てるイメージが浮かばない

 それに損耗率も考えればアルヴァンズの負けだ。

 

 観衆の目にもそう映るだろうが、あえて結果を有耶無耶にしたのは多分に政治的な理由であろうと想像がつく。

 そこまではアーニィスの興味の外だが。

 

 

 演習場に併設される控えからは予備の幻晶騎士が現れ、演習場に残る動けない機体を回収してゆく。

 

 アルヴァンズ側のカルダトア・ダーシュはとても酷い有様だ。

 アーニィスは少し、仲間の無事が心配だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてエドガーがアルヴァンズの隊長アーニィスと話してると思うがそれはさておき倒れてるディートリヒのグゥエールを中心にみんな集まった。

 

 「すいません、間に合わなくて。やっぱり無茶すぎましたか」

 

 「まったくだね。しかしまぁ、向こうさんとやりあうとこちらの欠点が丸見えだね」

 

 カルダトア・ダーシュはテレスターレと並ぶ性能を持っているがゆえに、改良していてもテレスターレの欠点がよりはっきりと目立つ格好になっていた。

 

 ディートリヒはしばし腕を組んで考えていたが、やがて意を決すると考えを述べる。

 

 「なぁエルネスティにメイル、ツェンドルグはともかくテレスターレは少し粗が多すぎる。メイルが改良してくれたとはいえ元々試作だし仕方ないことなんだろうけどね。多分、陛下もダーシュのほうを評価すると思う……」

 

 「はい、僕もそうすると思います。うーん、そうすると量産機を仕上げるには僕らがダーシュをもらったほうがいいのか、それとも今ある装備を国機研に渡してしまったほうがいいのでしょうか?」

 

 「渡した方が良いんじゃない?基礎技術はラボの方が高いから仕立て直してもらおうよ。それに今回ので思い付いたのが山ほどあるからそっちに力を入れたい」

 

 「良いですね!僕もアイデアが山ほど思い付いたので帰ったら根掘り葉掘り語り合いましょう!」

 

 テレスターレの大きな欠点を晒し、エルネスティとが落ち込んでいるかと気を遣っていたディートリヒは、あっけらかんとした彼の様子に拍子抜けしていた。

 

 「……悔しいとか、そういうのは?」

 

 「うーん? テレスターレは負けちゃいましたけど、それはどちらでもいいかな。ダーシュはテレスターレの改修型でもあるわけですしね。素直にすごいと思いますよ、僕が作ったものじゃなくてもいい物はいい。というわけで、いじるために何機かもらえないか、陛下と交渉してみましょう」

 

 「だね。前線に送られるのは質が良いシルエットナイトじゃないとそれとわたしにもいじれるのを何機か交渉して」 

 

 「……ああうん、ああ、うん。そうかい、そうだね。団長様もメイルもさすがだね。ついでにそろそろエドガーの機体も、きっちり作ってあげたらどうだい」

 

 胡坐の上に頬杖をつき、ディートリヒはとても投げやりな気分になっていた。

 メイルもまともなことは言ってるように聞こえるが内容はエルネスティと大差ないもう立派な同類だ。

 

 「そうですね……このあと、量産機開発は大詰めを迎えるでしょう。完成すれば国内の幻晶騎士は順次入れ替わってゆく。みんなの機体を揃えるのは、それからでも遅くありません」メイルもそれに頷き賛成の意を示す。

 サロドレヴィーラは旧型機を改良したけど新世代にはついていけない、いずれは次なる世代に道を譲らなければならないのだ。

 そもそもラボがこの新技術を得て次世代機を開発するなんて分かりきっていたことだ。

 二人ともそれが分かっていたからこそ素直に受け入れられる。

 

 少しの砂埃を含む風が、演習場を吹き抜けてゆく。

 

 エルネスティは僅かに目を細め、それから立ち上がると彼らを見回した。

 

 「そろそろ僕たちも引き上げを。ディーさん、動けますか?」

 

 「ああ、魔力も少し回復しているだろうしね。歩くぶんには問題ないよ」

 

 「なんだったら俺らが牽いてくぜ。脚つかんで、だけど」

 

 「キッドじゃなくても私が牽いてあげるわよ。アンカーでなら」

 

 「止めたまえ。せっかく生き残ったのに、壊れる。それとヘルヴィーのは洒落にならんからな!」

 

 にぎやかに言い合いながら、銀鳳騎士団も移動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「メイル………」

 

 「マーリー公爵………どうしたんですか?」とメイルはマーリー公爵に呼び止められた。

 「短い間だけど銀鳳騎士団はどうかしら?」その時のメイルの顔はマーリーにとってもっとも見たかった笑顔だった。

 

 「最高ですよ。…………本当に………最高の騎士団です」

 

 「そう………なら改めて、行ってらっしゃいメイルペーゼ」

 

 「行ってきます………」ある意味これが本当の旅立ちのような気がした二人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長きにわたってフレメヴィーラ王国の制式量産幻晶騎士であったカルダトア。

 

 その登場からおよそ100年の時を経て、この模擬戦が行われた翌年に後継機である“カルディトーレ”が世に現れる。

 

 

 

 一方、戻った二人は…………

 

 「今度は何を作りますか………」

 

 「試作したことがある虫型を……」

 

 「おーーーー!!!虫型ですか!でも獣型も捨てがたいのですが………」

 

 「いっそのこと両方試作しちゃおうよ」

 

 「良いですね!ではさっそく………」

 

 「おい坊主共…………もうよせ………学園長………魂抜けてらぁ」

 

 

 

 





 さて次回はいつになるか分かりませんがよろしくお願いいたします。
 


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幻晶蟲計画スタート


 ちょっと金獅子やクイーン等の前に組み込んでみました。
 感想にもあったけど文章がテレスターレみたいな感じなのは分かってるので逆に訂正してくれてる人には感謝です。
 では虫型の話したぶん前編です。


 

 

 さてあれからと言うものエルネスティとメイルベーゼは通常運転をしていた。

 何とも充実した毎日を過ごしています。

 銀鳳騎士団の砦として建築された[オルヴェシウス砦]完成後、学園を卒業したのも短くとも良い思い出だった。

 ちなみにエルネスティの計らいでメイルベーゼが様々な研究開発するための小さな町程の場所を砦に隣接する形で与えられていた。

 元々、シルエットナイト以外にも幅広くやっていたメイルの才能を遺憾なく発揮してもらう為と近いうちに来る二個中隊規模の部下のためである。

 流石に組織行動に慣れてるメイルベーゼにも部隊が充てられて二個中隊が与えられる。

 だがゲテモノ揃いの部隊になることは目に見えて分かる。

 来る団員は全員、メイルベーゼの思想に着いて行ける若手の騎操士と鍛治師が追加で入団予定である。

 

 

 

 工房には最新鋭シルエットナイト[カルディトーレ]と単座型量産仕様にされた[ツェンドリンブル]が並んでいる。

 更には現在、調整中の中隊長機も並んでいて新しい時代の騎士団だと思えるがある二人のおもちゃ箱の空間はぶっちゃけ混沌と化していた。

 

 そこにはさんざん弄くられていたエルネスティのおもちゃ箱、名付けて[トイボックス]と試作中の獣型と虫型、チャリオットなど他に類を見ないゲテモノがずらりと並んでいた。

 「銀色坊主のやろう、メイルが来てから更に生き生きしてやがんな」

 

 「それはメイルもだと思うがね。親方」あのお披露目戦から二人の仲は更に深まった。

 それはもう朝から晩までだがメイルペーゼの場合、周りへの配慮やコミュニケーションは欠かしてない

 それに同年代と過ごした時間がないのだろう

 大人の中に混じって正騎士として日々を過ごしていたから新鮮なんだろう

 エルネスティに近しいキッド、アディ、バトソンと5人であれこれしてる時もあるので年相応で微笑ましいことだ。

 エドガーとは模擬戦以来、仲が良いしディートリヒとも馬が合うようだ。

 ダーヴィドとも技術者として鍛治師としてお互い良い刺激になっている。

 ヘルヴィーとも………これはメイルペーゼ本人に悪いがとても男に見えず女に見えるので関わりやすいのだろう

 自然と女性陣ともすぐに仲良くなってる。

 美容やらなにやらで非常に盛り上がっているようだ。

 こうして開発もとい趣味に費やす日々を送っているが今日も様々な実験の始まりである。

 

 「もうトイボックスは弄ろうにも限界ですね」

 

 「だね。あとはまた新規に作ってフィードバックするしかないと思うよ」

 

 「そう言えばデュエルレヴィーラは良かったんですか?まだ試せるかと思うんですけど……」メイルペーゼ発案のバックパックを更に改良したミッションパックシステムによってかなり拡張の幅が拡がっているので試せる範囲はトイボックスの比ではない

 

 「そうなんだけど原点に戻りたくてね。エルと一緒だよ。専用機………その素体をね」

 

 「そうですか、確かにこれはオプションワークスの試作実験機の色合いが濃いですから………となるとメイルはどんなシルエットナイトを目指しているんですか?」

 

 「ゴールのない無限の可能性を秘めた………永遠の相棒、そんな感じかな」エルネスティとしてはいやエルネスティにしか分からない前世の記憶、それがある分、実に刺激される。

 シンプルから様々な方向に派生して原点に戻るなんてこれはこれで好きなエルネスティである。

 

 「良いですね。ならそちらを優先してもいいですけど………」

 

 「でも今はダメ、虫型は故郷の山岳警備団に必要な存在だから」話を聞くと足場の悪い山岳地帯から魔獣の群れが押し寄せてくるのだがその侵攻を防いでいるのが山岳警備団らしい

 それなら山岳から降りて戦った方が良いのでは?と思うがそうもいかないらしい大事な補給ルートであるしそして鉱山でもあるので手放せないのだ。

 そこでメイルペーゼは山岳によく見かける虫を参考にした。

 壁すら走れる三次元機動や山岳での機動性など、様々なメリットがあり故郷の山岳警備団もそれを望んでいる。

 一応、試作型の方は回しているが実戦にはまだ耐えられないが成果は上々である。

 その為、ある意味で虫型には並々ならぬ思いがあるがエルネスティとしてはある意味、許せないことがあった。

 

 「理由は分かりました。ですが酷いですよ。悩みがあるなら言ってください!メイルも立派な銀鳳騎士団の仲間なんですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………と、言うわけで虫型の幻晶騎士、名付けて幻晶蟲[シルエットビートル]に少しばかり力を貸してあげたいと思います」とメイルペーゼが止める間もなくエルネスティがみんなを集めてシルエットビートルの説明をしていた。

 「メイルペーゼの故郷はすごいわね。いろんな意味で」

 

 「これまたなんと言ったもんか」

 

 「だが実際に成果が出てるなら1日でも早く欲しいだろう」

 

 「まあ良いか、ちょうど一段落してきたしな」と主要メンバーから同意を得たのでさっそく開発が始まったが少しだけ待った。

 何でも現地からの実地記録の資料と機体を運んでもらってるとかでしばらくすると遠くから何かが物凄い勢いで来た。

 「こりゃあずいぶん聞き慣れた音だな」何かもう何が来るのか分かりきっていた。

 ツェンドリンブルだ。

 

 「ツェンちゃん、もう配備されてたんだ」

 

 「けどオイラも話しにしか聞いてないけどまだうちにしか本格的に配備されてないって言ってたような………」と話してる間も近づいて来てメイルペーゼを見つけるなり非常に嬉しそうに操縦席から一人の騎操士が飛び降りて来た。

 みんな慌てるが騎操士は杖で風の魔法[エアクッション]を使い見事に着地する。

 

 「よお!メイルちゃん、頼まれた試作機持って来たぜ!」とメイルペーゼに駆け寄るなり肩を叩き久々に会えたことを喜んでいたが一同としてはツェンドリンブルの方が気になる。

 

 「いやー、にしても人馬は良いなぁ!こいつは便利で仕方ねぇぜ、本当によお」

 

 「もう量産してたんですね」

 

 「あたりめぇよ。マーリー公爵様は初っぱなから人馬の価値に気づいていた。ましてやお前が考えたならハズレなんかありゃしねぇからな!」とどうやらいつぞやのお披露目の時にはすでに量産体制を整え始めていたそうだ。

 そうこうしてる間にキャリッジからエーテルリアクターの唸りが響き渡った。

 それにはエルネスティは興奮を隠せず騎操士に問い掛ける。

 

 「この音は……あの中に入っているんですね?早く見せてください!」

 

 「お?あんたが噂の団長か、慌てるな逃げやしない、さぁてこれこそが現在開発中の虫型シルエットナイトさ!ライルお披露目だぜぇ!」キャリッジから出て来たのは虫、まさに虫であった。

 だが金属の身体が人の手で作られたと嫌でも分からせる。

 例えるなら蟻や蜘蛛がモチーフになってるのか?

 四足の足に背中には背面武装と同じく杖が二つあり蟻で言うお腹にあたる部分がある。

 

 「おおおおおおお!!試作機と聞いてましたがかなり洗練されてますね!」

 

 「まあ2年前から改良を続けていたから……でも」

 

 「なるほど、でも実戦にはまだ遠い、と………ではさっそく始めましょう!」とこのあと虫型幻晶騎士に乗っていた山岳警備団の人からお礼を言われたので親方達もゲテモノとはいえ悪い気分はしなかった。

 てなわけでさっそく二人は乗り込みエルネスティがメイルペーゼの説明の元、動かすわけだが若干アディの目が怖かったのは内緒である。

 

 ともあれ動く様を見て各々団員から感想が出てきた。

 

 「うん、まさに『おおおおおおお!!壁を歩けるとは実に面白いです!』………」足先の鉤爪のようなので器用に壁に張り付き水平に走る動きを見たディートリヒは言葉を無くした。

 

 「まさになんだ?ディート『すごい跳躍力ですね!跳ねまくりです!』『ストランド・クリスタル・ティシューの伸縮性があるからだけどねって衝撃に備えないとヤバ『へぶしっ!』ごめん遅かった』…………すまん悪かった」と通常ならあり得ない高さまで跳躍し四足で着地するそれを繰り返し見てるとアレに自分も乗らされるのか?と心配になり呟いたエドガーだったが、きっとディートリヒも同じ考えなんだろうと察し謝った。

 

 「うわ~、本当に虫みたいだね」

 

 「ガシャガシャした音がまた不気味さを増してるわね」女性陣は虫は苦手のようで本当の虫をそのままスケールアップしたようなそんな感じがして仕方ない

 だが不気味と思ってもこの虫型に詰め込まれてる技術に鍛治師達は興味津々であった。

 

 「どうやって壁に張り付いているんだ?」

 

 「それよりストランド型の伸縮性を利用するなんざ考えもしなかったぜ」

 

 「でも親方、あれだけ出来て何が足りないんですかね?」

 

 「背面武装もあるから火力は確保出来てるし」

 

 「動きもそこまで悪い訳じゃなさそう」と話してるうちにエルは満足したのか虫型から下りて来た。

 めっちゃ肌がテカテカしてる。

 

 「おう、ずいぶん楽しそうじゃねぇか」

 

 「はい!それはもう自分になかったアイデアがたんまりと詰まってましたので………ですがメイルの言う通りこれは改良が必要ですね」とここで銀鳳騎士団、慣例のエルネスティによる説明会………

 

 「で、改良点はなんなんだ?」

 

 「はい、この虫型ですが確かに性能は大変良いですが未だに操縦性等が確保出来ていません、それに大多数を相手にすると考えると火力不足です」

 

 「大多数を相手にするだと?」エドガーの疑問はごもっともである。

 大多数と言ってもそれならこのフレメヴィーラでは当たり前に近い、魔獣の方が数が多いのはけっこうあるからだ。

 「エドガー先輩の疑問はごもっともです。ここからはメイルに説明してもらいます」と交代してメイルはある地図を広げる。

 

 「山岳警備団を苦しめてるのは[シェルアント]と呼ばれる魔蟲です。主に山岳地帯に生息している魔蟲です」

 

 「あー、それならわたしでも知ってるぞ」

 

 「魔獣[シェルケース]と似たような生態をしてるって聞いたわ」ディートリヒとヘルヴィーの知識は一般的であるし騎操士学科に居れば習う魔獣の豆知識だ。

 

 「それはあってます。けど[シェルアント]にはもうひとつ特徴がある」

 

 「メイルちゃん、もうひとつの特徴ってなに?」

 

 「もうひとつの特徴は[シェルアント]の女王、[クイーンシェルアント]です。クイーンの餌は主に鉱物で、摂取した種類によって繁殖速度と配下の甲殻の硬度が極端に変わることです。例えば一般騎に使われてる素材と国王騎に使われてる素材で一番弱いソルジャータイプの強さも変わって来ます」

 

 [シェルアント]はシェルケースと似たような生態をしてるが違いとして鉱山などに生息し地下に巣を作る。

 そしてクイーンシェルケースは単体で旅団級だがクイーンシェルアントは単体では中隊級程の脅威でしかないが問題は繁殖能力だ。

 その繁殖速度は最低でもクイーンシェルケースの3倍であり希少鉱物など摂取すれば更に加速する。

 そこまで説明するとエドガーの疑問は消えた。

 

 「成る程、殲滅するにも狭い空間で突入出来る数も限られる。だから大多数を相手取れる火力が必要なわけか」

 

 「はい、操縦性も例えるならテレスターレとカルディトーレのようなもんです」実に分かりやすい例えだ。

 テレスターレに乗ったこともある団員は特にだ。

 

 「でもエルもメイルも普通に動かしてたろ?」とキッドは見たまんまの感想を言うがそれは違う

 

 「あれはフルコントロールでやってたから、通常の操縦じゃあそこまではいかないよ」そもそも制御術式は完全に一からのスタートなのでエルネスティからすればよく2年の月日でここまで出来たな~っと称賛している。

 彼の"前世"でそっちに手をあまり出していないからだ。

 

 「とりあえず制御術式は僕とメイル、あとキッドとアディも手伝ってください」

 

 「ツェンドルグの時と同じってことだな」

 

 「虫はあれだけど………エルくんが言うならオッケー!」

 

 「では機体は親方達とテストランナーはエドガー先輩とディー先輩にお願いします」

 

 「あれ?わたしは?」

 

 「ヘルヴィー先輩達、第3中隊はまだツェンドリンブルの機種転換の真っ最中ですし今のところはそちらに集中してください、もちろん終わったら手伝ってもらいます」と確かにエドガーもディートリヒ、二人はカスタマイズされた中隊長騎の慣熟訓練は終わってるがヘルヴィー達、第3中隊は未だ………まあ脚を担当していたアディの擬音混じりの説明によりあまり進んでいない

 

 「親方達はもう2機程、製造してください」

 

 「まあ山岳警備団が頭下げたんだ。おめぇら早速取りかかるぞ!」おー!と全員、散らばり各々が動き出した。

 

 「エル………ありがとう」

 

 「いいですよ。仲間じゃないですか」

 

 「もう!エルくん、イチャイチャしすぎ!」

 

 「いやアディ、イチャイチャしてないだろ」と一つ嵐が去ってはまた団長の指示でまた嵐、でも銀鳳騎士団は今日も忙しくも楽しく過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、オルヴェシウス砦を目指す一団がいた。

 「教官、覚えているかな?」

 

 「覚えてるに違いないっすよ!」

 

 「そうそう一番弟子のアタシを「いーや!俺が一番弟子だ!」ウルセェエ!テメェが一番なわけないだろ!」

 

 「な・に・が・だ!オメェーみたいなチチバケを一番弟子にするわけ「セクハラじゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」ごっぱぁぁぁああああ!!!!」

 

 「まったく理解出来ない、このバカ二人が選抜を生き抜くなんて」

 

 「まあ実力だけならツートップだからな二人は」

 

 「わらわは関係ないぞ、教官とまた同じ鎚を振るえるならな」

 がんばれ銀鳳騎士団の常識人達よ。

 更なる嵐?が来てるかもしれない…………たぶん

 

 

 

 

 

 





 [試作虫型幻晶騎士(名称なし)]

 メイルがライヒアラに入学する2年程前に故郷で開発された機体。
 最初は開発に難航したが山岳警備団の全面的な協力の元、実戦での貴重なデータを収集し何度も何十と改良を繰り返した経歴がある。
 現在はサロドレヴィーラで確立させた新技術を応用する事で2年前とはかなり変わったがそれでも現場の要求を満たしたとは言い難い
 今後、銀鳳騎士団もといエルネスティに魔改造されるかもしれない………
 



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嵐のような第4と第5中隊………あと愉快な殿下が来ました

すーんごく間が空いたあげくめちゃくちゃ短いし相変わらず駄文ですがふと思い付いて勢いで出来たので投稿します


 「うーん、これは参りましたね」

 

 「でもだいぶ改善はされてるからこれだけでも感謝なんだけどね」あれから幻晶蟲の開発は難航していた。

 エルネスティとメイルベーゼ、助手にキッドとアディを加えた四人で制御術式を担当していたが中々、手間取っていた。

 だが着々と少しずつだが改善はされてきてるのでまったく進んでいないわけではない

 所々、キッドとアディの思いつきも案外いけそうなアイデアもあったので居てくれて本当に感謝だ。

 

 「ん~、でもメイルちゃん、よくよく思ったらチャリオットは駄目なの?あれでどかーんってやっちゃえば……」

 

 「アディ、シェルアントが住み着いてるのは鉱山ですよ。ファイヤーパーティーでやったら鉱山ごと崩落してしまいます。それ以前に幻晶蟲でギリギリなほど巣の中は狭いですからチャリオットは入れません」メイルベーゼだって本当にチャリオットで片が付けばどれだけ楽か、ファイヤーパーティーの火力なら中隊規模で集中法火をすれば間違いなく殲滅出来る。

 

 「行き詰まってしまいましたし皆さんの方に行ってみましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、オルヴェシウス砦に向かって進む一団は愉快な方々と出会い行き先が一緒なので共にしていた。

 

 「ガハハハハハ!いやー久々に故郷に帰ってみれば面白いもんだ!人馬にこのチャリオットつったか?こいつのパワーもスゲェし新型も良いし、じいちゃんも相変わらず面白いことをするぜ!」

 

 「やれやれまったくクシェペルカでは何をしとったか………主らにもすまんのぉ、このバカ孫が………」

 

 「いえいえ、むしろ気が楽で良いですよ」とツェンドリンブルのキャリッジに備え付けられた騎操士駐待機用の部屋で気楽に話していた。

 「それにしてもマーリーの所ではこのような酒が当たり前なのか?」と先王陛下もちゃっかり酒を飲んでいる。

 だが仮にも王であったからうまい酒なんて飲んできたつもりだったが騎士から出された酒はあまりにも美酒な為につい飲んでしまったが驚いたのはその酒がただの平民の酒だと言われたからだ。

 騎士はキョトンとしてしまった。

 確かにうまい酒だが元は平民であった騎士からすれば王族ならこれ以上にうまい酒なんて飲んでいるだろうと思ったからだ。

 「はい、私達でも気軽に買える安い酒の一つです。それにご冗談を、うまいと申しても先王陛下ならこれ以上にうまい酒も飲んでいらっしゃるのでは?」

 

 「確かにそうかも知れんがこれは中々の美酒だ。ついまた飲みたくなる」というのもワインなど普段飲んでるのとは違う為だ。

 領内でしか出回っていない酒であるし

 

 「それでしたら教官に頼んでおきましょうか?元々酒造主は教官ですから」

 

 「メイルベーゼはそのようなこともしておるのか?」

 そもそもメイルベーゼは元々は農民である。

 とある理由からマーリ公爵の所に世話になってるがその前から酒や農業、建築の効率化等を好き好んでやっていた。

 本人曰く趣味だそうです。

 そこで1人が部屋の扉を開けて来た。

 急いでいないのでそろそろ到着するのだろう

 「失礼します。そろそろお着きになります」 

 

 「だ、そうですのでしばらくお待ちを」と一礼して騎士は部屋をあとにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、同じく近づく一団があるとのことで銀鳳騎士団の面々は砦の入り口に集まっていた。

 「あれはチャリオットか?」

 

 「ツェンドリンブルもいるわよ」

 

 「だがあの旗はうちのだぞ」中隊規模の一団、ツェンドリンブルは変わったキャリッジを牽いており膂力が有り余ってるのかチャリオットは2台纏めて牽いている。

 そしてそれぞれのキャリッジには銀の鳳の紋章が入った旗が掲げられている。

 

 「ではあれが例のメイルの元に配属される方々でしょう、ですよね?」

 

 「うん、あのカラーリングは忘れない、懐かしい面々になりそう」どのシルエットナイトにも両肩がメイルのピンクの髪と同じカラーリングになっており胸部装甲の左側、人間で言う心臓辺りに別の紋章があった。

 メイルは知っている。

 やがて綺麗に隊列を揃え1台のキャリッジから複数の人物が下りてきた。

 とても見知った人が1人いる。

 

 「先王陛下ですよね?いったいどういった御用事でしょうか?」

 

 「うむ、いきなりで済まなかったな。実はお主の所で人ではないまた違ったのを創ってると聞い「おう!お前が銀の長か!」…ちょっと待っとれ」と言うとアンブロシウスはいきなり大柄な男の首根っこを引っ張り向こうで鉄拳と説教が始まった。

 その間に他の面々が並び

 

 「お久しぶりです!教官!」

 

 「うん、久しぶり」とメイルベーゼと不自然であるが教え子達が久々に再開したのであった。

 そのあとは各々好き勝手に交流することになった。

 

 「ところで先王陛下とエムリス殿下はいったいどのような御用事でしょうか?」

 

 「話を折られたが一つは人ではないまったく違った幻晶騎士を創ってると聞いてな」

 

 「と言うと?」

 

 「うむ、実はな………」来た理由を聞くと開発中の幻晶蟲の噂を聞いていてもたってもいられなかったらしい

 更に先王陛下とエムリス殿下の幻晶騎士の製作を頼む為だとか

 

 「エル、やっぱり胸にライオンは外せないよね」

 

 「分かりますか!ならば一点物のシルエットアームズを搭載しましょう!」

 

 「この前の試作品が使えそう」

 

 「なら折角ですし飾りでは無いことを証明しましょう!」追記、めっちゃ盛り上がりました。

 

 

 それからはあれよこれよと話が進み近いうちに金獅子と銀虎が出来るがまたあとのこと

 とまあ新団員と様々な交流もして更に技術的な話をすれば銀鳳騎士団の面々と合わせて本当の意味で個性豊かな騎士団へと変わろうとしていた。

 あと女性団員が多かったが、イルペーゼの容姿が女性に見えるのとマーリ公爵を筆頭に女性が活躍してるのもあり女でも騎操士に憧れる者が大変多いらしい

 

 その夜はかなりのどんちゃん騒ぎになった。

 ちゃっかり先王陛下とエムリス殿下が残って一緒に飲み食いしたりクヌート前ディスクゴート公爵が疲れ顔で連れ戻しに来たり幻晶蟲の開発も着々と進み始めあれよこれよと言葉では語りきれない程の時間が過ぎ………まあ過ぎましたよ。

 大量の始末書を処理するはめになったメイルべーゼを除いては………

 

 「ガルバル…………ボーイング………あとで説教………」

 

 

 

 

 

 

 

 



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