八幡奮闘記 (ナマケモノmkⅡ)
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ぷろろーぐ

 桜の咲き誇る4月。

 俺は3年へと進級し、小町も無事に総武校へ入学した。

 クラスの面々も大きな変化はなく去年と大して変わらない学校生活送っている。

 大きな変化といえば奉仕部に小町と川...川なんとかさんの弟が入部したことくらいだろうか。

 紅茶の香りがする部室で雪ノ下と由比ヶ浜はゆるゆりし(眼福です)、一色はあざとく居座る(おい、生徒会はどうした)。小町はニヤニヤしながら(可愛い)周りを観察し大志は1人キョドッている(ざまぁw)。俺?俺も変わらず勉強したり本を読んだりキモいと言われたり通報されそうになったり平常運行だ...あれ?目から汗が...

 そんな感じで2週間ほど特に依頼もなく平和?に過ごし小町とともに家に帰ると珍しく親父と母ちゃんが帰ってきていた。

八幡「......ねぇ、小町ちゃん?明日は雪かしら?」

小町「口調がキモいのはさておき、小町も同意見だよ...」

八幡「キモいとか言わないでね?お兄ちゃん泣いちゃうよ?」

小町「あーはいはい。どうでもいいけど中入るよ。」と足早に小町は家の中へ。

八幡「嫌な予感しかしねぇ...」

 溜息を一度吐き、「たで〜ま〜」と気怠げに上がると親父にリビングに来るよう言われる。

父「おう、おかえり。」

母「おかえりなさい。」

八幡「た...ただいま。」

 なんだよこの空気。怖いよ。あと怖い。思わず噛んじゃったじゃねぇか!

 すると親父が真面目な顔(珍しい)で喋り出した。親父が?母ちゃんじゃないのん?

父「大事な話だ。落ち着いて聞いてくれ。俺と母さんが転勤する事になった。海外だ。」

八小「「......はっ?」」

 流石兄妹見事にはもったわ!などとふざけてる場合ではなく。

八幡「...まじで?」

父「ああ。」

八幡「いつだ?」

父「9月からだ。準備もあるから8月の中旬には飛ぶ。そこでだ。八幡、お前はどうする?」

八幡「どうって...そりゃついてくしか無いだろ...」

父「普通に考えればそうだろう。だが今のお前は受験もある。お前の将来に関わることだ。残ってもついて来ても構わん。お前が決めろ。」

小町「お兄ちゃん...一緒に行くよね?」

 小町が何とも言えない表情で俺を見ているが正直俺自身決めかねる。

八幡「小町はどうなるんだ?」

母「それはあんた次第。残るのならあんたにはこれから一人暮らしをしてもらうわ。勿論こっちにいる間はサポートもするから。練習期間だと思いなさい。その結果で小町の意思を尊重する。それと残るのならアルバイトをしなさい。受験に影響しない程度でね。あんたの成績と要領の良さがあればこなせるでしょう?」

 俺は...どうする?どうしたい?考えているとふとあの教室が思い浮かぶ。考えるまでもなかったな。

八幡「俺は残る。」

母「だと思ってたよ。大学は東京だろ?高校と大学の場所を考えて部屋の目星はつけてあるから週末見に行くよ。引っ越しは連休中にするから。」

 oh...流石お母様ですね。

小町「小町もお兄ちゃんとカーくんと一緒に残ります!」

母「それは八幡次第。小町も残りたかったら八幡のサポートしてあげな。」

小町「小町頑張るであります!」

 敬礼する小町(可愛い)。てか小町残留決まってね?はっ!もしや√小町突入⁉︎

小町「キモいよゴミいちゃん...」

八幡「ちょっとー。小町ちゃん?さらっと心を読まないでね?」

母「まぁ、頑張りな。親戚と学校には話しておくからあんたからも先生にちゃんと伝えるんだよ。」

八幡「わかったよ。」

 

 はぁ...やっぱりロクでも無いことだったか...

 

 

 翌日の放課後平塚先生に連休明けから一人暮らしを始めること、バイトを始めること(書類はしっかり渡された)を伝えると「頑張りたまえ。何かあれば相談しろ」とさらっと言ってくれる。マジでこの人カッコいいな。何でけっk...

平塚「比企ヶ谷。今失礼なことを考えなかったか?」

 風が吹いた。

 ノーモーションから繰り出された拳が俺の顔を掠めていった。

八幡「ひっひやっ!何も考えていましぇんよ?」

 噛んだ。

平塚「まぁいい。無理はするなよ。それとあの2人には伝えておきたまえ。」

八幡「うす...」

 先生に感謝しつつ職員室を後にし部室へ向かう。

 扉を開け「うす」と挨拶をしながら部室へ入る。雪ノ下に由比ヶ浜、小町が揃っていた。大志は用事があり帰ったそうだ。2人に昨日の件を説明すると大丈夫なの?と心配された(小町が)。ついでに俺も心配された(通報されないか)。...泣いていいですか?そんなやりとりをしつつ今日の活動(何もしてない)も終了し帰宅する。

 

 はぁ...働きたくねぇ...

 

 

 5月

 只今絶賛引っ越し作業中。部屋はあっさりと決まった。間取りは2LDK。ペット可だ。一人暮らしには贅沢ではあるが小町が一緒の可能性がある為問題ない。リビングの作業は小町監修の下に進める。奉仕部の2人マジ感謝。自室は大物だけ組み立て後ほど作業。手伝いはさせられない。あれだよあれ。男の夢と希望が入った物があるんだよ。分かれ。

 リビングの作業も終わりティータイム。流石に2人(小町と由比ヶ浜)に疲労が見える。雪ノ下?あれだ、海岸に打ち上げられた魚。

八幡「お疲れさん」

 労いを入れつつ茶を出す。

由比ヶ浜「あっ!ありがとうヒッキー!」

雪ノ下「......」

 動きがない。ただの屍のようだ...

小町「いや〜ホント助かりました!雪乃さん、結衣さんありがとう御座います!」

由比ヶ浜「気にしないで小町ちゃん!困った時はお得意様?って言うし!」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、お得意様ではなくお互い様よ。でも由比ヶ浜さんの言う通りね。」

 あ、復活した。そして安定のアホの子。ごちそうさまです。

八幡「あー、まああれだ。由比ヶ浜は相変わらずアホだが、その、なんだ?助かったわ?」

由比ヶ浜「ヒッキーがデレた...」

雪ノ下「なぜ疑問形なのかしら...」

小町「まったく...ゴミいちゃんなんだから...」

 目をそらしつつ「うっせ」と呟くと何故か「ゆきのーん」と抱きつきゆるゆりし始める2人。それをによによ眺める小町。あの部屋と同じ風景がここにある。

 そのままダラダラと過ごし4人で夕飯を取り(途中由比ヶ浜が手伝うと言い出したので止めた。全力で止めた。ガハマクッキング。ダメ。ゼッタイ!)いい時間になった為3人を駅まで送る。その後自室の片付けを済ませて本日のお勤め終了。

 広い家に1人でいる開放感からか「ここが俺の城だっ!」と叫び黒歴史が増えたのは内緒だ。

 

 

 6月

 まずい...

 非常にまずい...

 生活自体は問題ない。元々家事スキルはある(小6レベル)為問題ないのだが...

八幡「バイトが決まらん...」

 目か?この目が悪いのか?目さえまともならイケメン(自称)なのに!フヒッ...

 キモいな...

八幡「はぁ...かぁちゃんに泣きつくか。」

 Prrrrr......

母『もしもし?』

八幡「あっ、かぁちゃん?俺。」

母『......詐欺?』

八幡「ねぇちょっと?携帯なんだから名前出てるよね?わかってやってますよね?えっ何?消されたの?」

母『冗談だよ。どうした?』

八幡「いや...あれがあ『早く言え』すみましぇん。バイトが......決まりましぇん。」

 噛んだ。

母『......はぁ。あんたって子は......。面接は行ってるんでしょ?』

八幡「行ってましゅ。」

母『後輩に話してみるから。あとでメール送るから...。』

八幡「助かる。」

母『がんばんな。』

八幡「おう。...サンキュ」ブツッ

 

 はぁ...たかがバイトで手こずるとは...。働いたら負けだな。

 

 ピロンッ♩

 おっ⁈キタキタ。何々?水曜の18時...場所は東京?なんでンなとこに...内容は事務か。事務ならこの目でも何とかなるだろう。...多分。

 

 



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1話?

俺ガイル×デレマスです。
暫くはオリジナルです。
おそらく多々暴走します。
むしろ今回暴走してます。(白目)
思い浮かんだことをまとめて文章にするってむずかちいね。



八幡の知識の中に作者の趣味が混ざることがあります。なので八幡だけど違う何かになることもありますがご了承下さい。



それでは今回も読みにくく駄文ではございますが、お読み頂き笑顔になって頂ければと。(笑)


宜しくお願い致します。


八幡「.........小町成分が足りん。」

 土日をダラダラと過ごし、明けた月曜日の朝電車を待ちながらボソリと呟く。6月になり衣替えをし、制服の上着はクリーニングへ。そして俺の顔には眼鏡を。オサレに目覚めた!訳ではなく、駅員に何度か声をかけられる素敵イベントをこなした結果こうなった。......ぐすん。

 

 朝から精神的ダメージを負いながらも何とか放課後を迎え部室へと向かう。「うす」と一声かけいつもの席へ。すると間もなく「やっはろー」とアホっぽい挨拶と共に由比ヶ浜登場。雪ノ下から紅茶を受け取りバイトの件を説明する。

八幡「あー、明後日の水曜だが部活休むわ。」

 由比ヶ浜が「サボり?」などと言っているがスルー。

雪ノ下「そう...。ついに自首するのね。いい判断だと思うわ。」

八幡「待て。俺が何かした前提で話を進めるな。」

雪ノ下「あら、違うのかしら?職質され谷君」

 コテンと首を傾げながら笑顔の雪ノ下。何それ可愛い。...ではなく、何故知っている。

八幡「ちげぇよ。面接だ、バイトの」

雪ノ下「...呆れたわ。まだ決まっていなかったのね。」

 どうせあなたの事だから挙動不審だったのでしょう?などと宣う雪ノ下。だから何故わかる...エスパーなのん?

八幡「まあ、そんなわけで明後日は休むわ。」

雪ノ下「わかったわ」

由比ヶ浜「ヒッキー頑張って!」

 「おっおう」とオットセイの様な返事をしたところで奉仕部+α全員集合。小町成分もしっかり補給(途中3名からゴミを見るような目で見られたが)。今日も奉仕部は平和です。ん?大志?知らない子ですね。

大志「お兄さんヒドイっす!」

 うるさい!お前に兄と呼ばれる筋合いはない!

 

 

 水曜日18時

 今俺は蛇に睨まれた蛙状態。誰だ今元々ヒキガエルだろ?と思ったのは。表へでろ。などと現実逃避している場合ではなく、只今絶賛面接中。前にいるのは2人の男女。

 1人は黄緑色のスーツを着こなす可愛い系の女性。胸元の名札によると千川さんと言うらしい。べっ別に男の夢と希望を見てたわけじゃないんだから!勘違いしないでよね!...うん。キモいな。すまん。

 でだ、もう1人が問題だ。身長は推定190cm、肩幅なんかは俺の1.5倍はある。そして何よりも目だ。人のことは言えないがやばい。絶対何人か殺っている。ふぇぇぇぇ....怖いよぅ...。などと思っていると男性がおもむろに右手をジャケットの胸元へ。

 あぁ...ダメだ。殺られる。小町、母ちゃん、カマクラ先立つ不孝をお許しください。涙目になりちびりそうになっている俺の前に一丁の拳銃...

 

 

 ではなく、紙が差し出された。

男「あまり怯えないでください。比企谷さんのお母様の後輩で...武内と申します。」

八幡「ふぇっ⁈」

 ふぇっって何だよどこのあざと会長だよ。俺がやってもキモいだけですね顔を取り替えてからやり直して下さいごめんなさい。おいそこの緑の人!顔を背けても真っ赤にした耳とプルプル震えてる肩で笑ってるのバレバレですよ。と思いつつ名刺を受け取る。

八幡「株式会社346プロダクション...シンデレラプロジェクトプロデューサー...」

千川「ご存知ありませんか?申し遅れました。シンデレラプロジェクト事務員の千川ちひろと申します。宜しくお願いしますね!比企谷君♪」

八幡「あっ、ご丁寧にどうも。ひっひきぎゃやはちみゃんです。」

武内「......」

八幡「......」

千川「.........ブフォッ」

 えっ⁈吹いたよ!吹きやがりましたよ!この人!

武内「落ち着いてください、比企谷さん。まずはそちらにおかけください。」

八幡「あっ、はい」

 oh...武内さんなんて出来た人なんだ。それに比べてこの緑は...

武内「先ほどのお話ですが、弊社に所属しているアイドルはご存知ですか?」

八幡「えっと...その、すみません。知らないです。」

武内「いえ、謝って頂かなくても大丈夫です。

早速で申し訳ないないのですが、比企谷さん。

あなたを採用させて頂きます。」

八幡「......はっ?」

武内「えっ?」

 やべ、声に出てた。

八幡「採用......ですか?」

武内「はい。比企谷さん。失礼ですが、眼鏡を外していただけますか?」

 あっはいと言いつつ眼鏡を外す。「ヒッ‼︎!」千川さんにドン引きされました。目から汗が...

武内「思った通りです。いい目をされていますね。」

 はっ?いい目?この腐った目が?

八幡「あっ、いや。俺の目かなり濁っていると思うんですが...」

武内「表向きはそうかもしれません。」

 ですよね〜。「ですが」と武内さん。

武内「比企谷さんの目は人の内面を見ることができる...素晴らしい目だと思います。」

 ...やべぇ。涙でそう。

武内「これから宜しくお願いします。」

八幡「...こちらこそ宜しくお願いします。」

武内「ではこの後は手続きとなりますので千川さんにお願いします。学校への連絡をしますので担当の方のお名前を教えていただけますか?」

八幡「はい。生徒指導の平塚先生です。」

武内「わかりました。では千川さん後はお願いします。」

 と丁寧に頭を下げ武内さんは去って行った。か...かっこぇぇぇぇぇぇ。何なのあの人!誰だ殺し屋とか言ったやつ!出てこい!あっ、俺ですね(白目)

千川「では手続きを進めちゃいましょう♪」

八幡「あっ、はい」

 まずは〜♪と大量の書類を出してくる千川さん...

...............

.......................

..............................

千川「以上です。お疲れ様でした♪後こちらはお近付きの印にどうぞ!」

八幡「......これは?」

千川「エナドリです♪」

 お買い求めは私まで♪と言っているが怪しい。めっちゃ怪しい。後怪しい。後で頂きますと伝えバッグに詰め込む。

千川「どれと、私の事はちひろって呼んでくださいねっ」

八幡「えっ?いや、で...「ちひろって呼んでくださいねっ」ですがせんk「ちひろ」せ「ちひろ」...............ちひろさん」

ちひろ「はいっ♪」

 ふぇぇぇぇ...助けてコマチエル〜

 ちひろさんに怯えつつ書類は後日持ってきますと伝え事務所を後にした。

 

 

 翌日バイトの許可書を貰うため平塚先生を訪ねていた。

八幡「失礼します。平塚先生は...」

平塚「こっちだ比企谷。ついてきたまえ。」

 応接室に入り話を進める。

平塚「許可書は出来ている。持っていきたまえ。」

八幡「ありがとう御座います。」

平塚「それにしても君は、またとんでもないところに行ったものだな」

 くっくっと苦笑いを浮かべる先生。ホントいちいちカッコいいなこの人は。何で俺の周りの大人はこうもカッコいいのだろう?雪ノ下さん?アレは違う。アレはただの魔王だ。...なんか寒気が...

平塚「ただ気をつけたまえ。君の勤める職場は他とは違う。安易に社名を出したりしないことだ。妹にもよく言っておく様にな」

八幡「うす。昨日事務の人にも同じ事は言われていたので...」

平塚「そうか。でも私は嬉しいよ。専業主夫などと言っていた奴が自分から働くと言い出したんだ。君を奉仕部に連れて行って良かったよ。」

八幡「うす。それと先生。もう一つ許可を貰いたいものがあるんですが...」

平塚「なんだね?言ってみろ」

八幡「車の免許です。」

平塚「何故今とる必要があるのかね?」

八幡「事務とは言えアイドルたちの送迎もあるんすよ。プロデューサーだけでは賄いきれないみたいなんであると有難いそうです。幸い夏休みには18になるんで出来れば取っておこうかと」

平塚「そうか。...わかった。申請はしておこう。他には何かあるかね?」

八幡「いえ。大丈夫です。それでは失礼します。」

 「頑張りたまえ。」と後ろから聞こえた。

 

 

 書類を一通り提出し本日初出勤。今日から座学やら何やらを行うらしい。一日中拘束される。ちなみに今は座学中。休みの日までお勉強...これが社畜か...

ちひろ「比企谷君?聞いてました?」

 あk...ゲフン。ちひろさんが笑顔で額に青筋を立てて聞いてくる。何それ器用。流石ベテラ...

ちひろ「今失礼な事を考えませんでしたか?」

 なっ⁉︎ちひろさんもエスパーか...

八幡「しゅ、すみません。聞いてませんでした。あと考えてた事はコレが社畜かと...」

ちひろ「はぁ。今回は許します。でも次はありませんよ♪」

八幡「ひ、ひゃい...」

 午前中をフルに使って座学は終了。午後は社内施設の見学を行うらしい。何でも広すぎるため迷子になる新入社員が続出しているとの事。

(絶対に雪ノ下は連れてこれないな。)

 

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 くちゅんっ

雪ノ下「今何故か比企谷君に馬鹿にされた気がするわ。」

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 午後になり施設見学。

八幡「(ホントなんなのここ?充実しすぎじゃね?マジっべーわ。俺が戸部るくらいねーわ。)」

ちひろ「ここがレッスンルームです。よく覚えておいてくださいね?」

 俺の返事もよそにノックをして入室するちひろさんに続き俺も入る。おぉ!コレがプロのレッスンか...」

ちひろ「そうです。どうですか?」

八幡「......ナチュラルに俺の心を読まないでくれませんかね?」

ちひろ「?声に出てましたけど?」

 やっちまったよ...最近なかったから油断してたわ...と内心悶えているといつのまにか休憩に入った様で2人の女性がこちらへ向かって来ていた。

女性1「千川さんお疲れ様です。」

女性2「ちひろさんお疲れ様でーすっ☆」

 隣でちひろさんが2人に挨拶し談笑するのを俺は観察する。

八幡「(はぁトレーナーさん?と思われる方はともかくもう1人はビッチか。なるべく関わらない様に...

女性2「ねぇちひろさん、この人誰?」

ちひろ「あっ、ごめんなさい。忘れてたわ。今日入った比企谷君です。」ジー

 ちっひー...案内してる人忘れるってどうなの?あっ目そらしやがった。はぁ...

八幡「アルバイトの比企谷八幡です。」

ち12「.........」

ちひろ「それだけですか?」

 他に何を言えと?

ちひろ「歳とか所属を言うものですよ?」

 なるほど

八幡「所属はCPでちひろさんと同じ事務を担当します。歳は17歳で高校3年です。」

 ドヤ顔でちひろさんを見ると溜息をつかれた。解せぬ...

女性1「トレーナーの青木です。宜しくお願いします。」

八幡「あっ、いえ、こちらこそ」

 慌てて青木さんにお辞儀を返すとすぐに横から声が上がる。

女性2「はじめまして★城ヶ崎美嘉だよー。高校2年で16歳★よろしくねー。」

 ポーズを取りながら挨拶を返してくれた城ヶ崎に目を向け返事をしつつお辞儀をする...

八幡「こちらこそ宜しくお願いしま......」

 思わず一瞬固まり慌てて目をそらす。不思議そうな顔をしている城ヶ崎が「どしたの?」と首を傾げている。あぁ、コレは気づいてないパターンか...仕方なく城ヶ崎にだけ聞こえるボリュームで話しかける。目線はそらしたまま。

八幡「城ヶ崎さん、挨拶の際は自分の服装と相手との目線の高さ、それとポーズに気をつけて下さい。特に男性には。」

 何言ってんの?とでも言いたそうな顔をしている城ヶ崎。これ以上は言えん俺が捕まってしまう。だがふと気付いた様で顔を真っ赤にして問いかけてくる。

城ヶ崎「........見た?」

八幡「......すまん。見えた」

 はぁ、1日にしてバイト終了か...

城ヶ崎「変態...」

八幡「うっ...」

城ヶ崎「でもありがと。気をつける。またね」

 と言って真っ赤なお顔で走り去った城ヶ崎。..................はぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎なんだあれ何なの可愛すぎるだろ!ギャルキャラはどこ行ったの?乙女なの?グリーンなの?いやクリーンだろ!むしろホワイトだろ。っべーマジっベーコレは戸部るわ。初めて戸部の気持ちが分かったわ...

 「美嘉ちゃんどこ行くのー⁉︎」と青木さんが慌てていたらしいが全く覚えがない。

 

むしろこの後の施設見学は全く覚えてなかった...

 



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2話?

 研修1日目の夜

 ソファーの上で悶える俺。こんな状態になったのは人生で2度目。1回目?言わせるな。

八幡「はぁ...風呂入って寝よう。」

 

 研修2日目の朝...走る電車から景色を眺めながら考える事は昨日のぜっk...ゴホン...出来事。会ったら挙動不審になって通報される。って通報されちゃうのかよ...と脳内八幡会議をしているといつのまにか目的の駅に着いていた。

八幡「(やべっ。乗り過ごして遅刻とかシャレにならん!)」

 若干焦りながら下車しトボトボとお城の様な会社へ向かう。

八幡「(それにしても346で美城...美しい城ねぇ。アイドル達はシンデレラ。なら武内さん、プロデューサーは魔法使いだな。俺は...カボチャの馬車?いや、精々馬車馬か...。ん?王子はどこに行った?)」

 よくわからんがその内分かるだろうと自己完結。...あら?いつのまにか着いていたのねん?いざっ!と意気込み一歩「あっ!」進めませんでした。俺ではない...なんて言い訳は出来ない。だって周りに誰もいないんだもの。はちを

八幡「...おはようございます。」

 かっ噛めずに言えたぁぁ。小町!お兄ちゃんやったよ!

城ヶ崎「おはようございます...」

「「...............」」

 気まずい...城ヶ崎はなんか顔を真っ赤にして怒ってるしチラチラ見てるし。やっぱ通報か?通報なの...

城ヶ崎「あのっ!」

八幡「ひっ、ひゃいっ!」

「「......」」

城ヶ崎「ぷっ!何それ!ウケるんだけど!」

 や、ウケねぇよ。てかそれ違う人のネタだからね?取らないであげてね!

八幡「は、はぁ...」

城ヶ崎「ま、いいやっ★昨日はありがと!アタシのこと覚えてる?」

八幡「あっはい。城ヶ崎美嘉さんですよね?」

城ヶ崎「そだよー★てか何で敬語なの?」

八幡「そ、それはまあ...城ヶ崎さんの方が先輩ですし。」

城ヶ崎「それを行ったら比企谷さんのが年上じゃん!年も近いし気にしないでいいから!」

八幡「そうで...そうか。まぁ、助かる。俺もこっちの方が喋りやすいし。」

城ヶ崎「そっちの喋り方のが似合ってるよ★改めて宜しく!アタシのことは美嘉って呼んでね★」

八幡「流石にそれは...」

城ヶ崎「美嘉って呼んでねっ★」

八幡「あっ、いや。城ヶs...「美嘉」...じ「みーかっ」...みっ美嘉...」

美嘉「よしっ、よく出来ました★あっ!もうこんな時間!アタシ行くね!またね!八幡さんっ」

八幡「‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎...おう。」

 いきなり名前呼びとか反則だろ...でもまぁ、悪い気分じゃないな。

 

 

 施設見学。続

 今日の午前は続施設見学。昨日ほど特質した施設もなく最終目的地へ。

ちひろ「では最後に、CPのプロジェクトルームへ(以下PR)へご案内します。それにしても今日は楽しそうですね。何かあったんですか?」

八幡「...いえ。別に。」

 そうですか?とニコニコしながら先を歩くちひろさん。この人も可愛いのに何でアイドルじゃなくて事務員なの?

ちひろ「こちらです。」

 ...いつの間にか着いてたのねん。俺に構わずノックをして入って行くちひろさんに続き失礼しますと一声かけて俺も入る。室内には武内さん。「お疲れ様です」とお互い挨拶を交わし室内を眺めるが...殺風景。事務所と言うものを初めて見るがこんなもんなのん?静かで落ち着くから俺にはありがたいな。

武内「まずはおかけください。これからCPに関しての説明をさせ頂きます。」

 なんでも発足したばかりでまだ1人もアイドルがいないこと、10人以上オーディションまたはスカウトで集めること、時には俺も同行する事等々様々な話を聞いた。最後に質問はあるかと定番のお言葉。これは絶対に聞いておかねば!

八幡「...スカウトは俺はしなくてもいいんですよね?」

武内「場合によってはやっていただくこともあります。」

八幡「...絶対に通報されますよ?」

武内「大丈夫です。その時は千川さんが迎えに行きますので。私も何度かあります。」

 oh...通報どころか連行されてるじゃないですか。大丈夫じゃないじゃん...他にはありますか?と武内さん。

八幡「では...CPのコンセプトと言うか進む方向と言うのは?」

武内「笑顔です。」

八幡「笑顔...ですか?」

武内「はい。アイドル達が楽しみ、笑顔でなくてはお客様も本当の意味での笑顔になれないと私は思います。笑顔になっていただくために私たちがいるのです。」

 ‼︎『本物』か...

八幡「なら武内さんは魔法使いですね。」

武内「魔法使いですか?」

八幡「はい。これからくるアイドル達が笑顔になれる企画...魔法をかけるんです。そしてライブ...舞踏会ですかねこの場合は。舞踏会でお客様を笑顔にする。最高のシンデレラストーリーじゃないっすか。」

 思わず語ってしまった...

ちひろ「素敵な表現ですね♪なんだかワクワクします!」

武内「私もそう思います。舞踏会使わせていただきます。」

八幡「もう一つ質問があるんですがいいですか?」

 首を縦に降る武内さんを見て続ける。

八幡「アイドルがシンデレラ、魔法使いが武内さん。ライブがお城の舞踏会、俺達がかぼちゃの馬車やらって解釈でいいすかね?」

武内「はい。」

八幡「だとすると足りないものがあるんすよ。1番大事なものが。」

 不思議そうな表情で足りないものですか?とちひろさんが聞いてくる。

八幡「はい。王子です。シンデレラって話は舞踏会に行って終わりではなく、王子様と出会い幸せになってハッピーエンドなんすよ。だから足りないんじゃないかと思ったんですが...」

ちひろ「なるほど...確かにそうですね。」

武内「では王子役が必要なわけですね?」

八幡「はい。でも人である必要はないと思います。夢でも目標でもいいと思うんで。それを自分で考えて持ってもらい走ってもらうんです。」

「「「........................」」」

 沈黙が辛い。長いよう...助けてコマチエル〜

ちひろ「比企谷君て...本当に高校生ですか?そんなこと言えるなんて大人でもあまりいませんよ?」

八幡「...そうっすか?大人だとしがらみとかあって言いたいこと言えないだけじゃないっすかね?」

武内「比企谷さん一つ質問させて下さい。目標を自分で考えて持たせると言いましたが、言い方は悪いですが丸投げするという事ですか?」

八幡「そういうわけではないです。ただ人の考えてる事や悩みなんてわからないじゃないですか。なので相談されたら手伝いはします。ですがあくまで手伝うだけです。」

ちひろ「手伝うだけ...ですか?」

八幡「そうです。俺のいる部活の理念なんですが『飢えた人に魚を与えるのではなく、釣り方を教える。』です。それに人に決められた目標なんて本物じゃないと思うんです。確かに道を決めて貰えれば楽かもしれない。でもそれを『自分の目標だ!』なんて言われても俺には欺瞞としか思えません。もがいて苦しんで挫折して、でも諦めずに向かって...そうして届いたやつだけが本物のシンデレラになれるんだと思います。」

ちひろ「.........」

武内「わかりました。ありがとう御座います。

 

 

比企谷さん......

 

 

プロデューサーになりませんか?」

 はっ?何故に?

八幡「いっ、いや無理っすよ。俺学生ですし。そんな時間取れませんて。」

武内「分かっています。ですので私のアシスタントとして動いていただき考えてみてください」

八幡「どのみちあと約5年は無理っすよ?」

武内「構いません。」

八幡「はぁ...考えてみます。」

武内「宜しくお願いします。」

 ちょうど昼となり午前の部は終了。何故か固まっているちひろさんを放置して俺は食堂へ向かった。

 

 

 ふんふんふふ〜ん♪何を食べようかね?

八幡「ラーメンセットで。」

 迷わず注文。え?なんか文句ある?さーて空いてる席は〜...お!あった。トレーを受け取り目星をつけた席へ八幡まっしぐら。では早速いただきます。

 まずはスープを...ほう。

 次に麺...なるほど。

 チャーハンは...やるな。

 セット500円でこの味か...侮れん。しかも食事補助もあるから実質もっと安い。助かるな。うむ。とりあえずメニューは制覇しよう。「相席いい?」誰だ俺のステキなボッチランチタイムを邪魔するのは!

八幡「あ?」

 やべっ、と思いながら声のした方へ顔を向けるとそこには城ヶ...美嘉がいた。

美嘉「だめ...かな?」

 ...その涙目&上目遣いは反則だと思います。なんだちくしょう、控えめに言ってめちゃくちゃ可愛いじゃねぇか。」

美嘉「か、可愛いって......」

 ん?顔赤くしてぽしょぽしょなんか言ってるが...そんなに怒ってるのん?

八幡「あぁ、別に構わん適当に座ってくれ。」

美嘉「うっ、うん。アリガト。」

八幡「すまんな。いきなりだったからつい素が出た。」

美嘉「ううん。大丈夫、気にしないで?」

八幡「そうか。まぁ、気をつけるわ。」

「「.................」」

 黙々と食うのはいいんだが...相席の必要あったか?

美嘉「ね、ねぇ。さっきのって...ホント?」

八幡「ん?さっきの?」

美嘉「ほ、ほら!さっきアタシのこと...かっ可愛いって...」

八幡「...what?」

美嘉「何で英語?それより!...ホント?」

八幡「声に出てたか?」

美嘉「うん。バッチリ...」

 あぁぁぁぁぁぁ!やっちまったぁぁぁぁ!バーカバーカ!俺のバーカ!

八幡「おっおぅ。すまんな。たまに思ってる事が声に出てんだわ...」

 ガシガシと頭をかきながら目をそらす。

美嘉「じゃ、じゃぁ...本音って事?」

八幡「そ、そう言えない事もないな...」

「「.................」」

 気まずい。非常に気まずい。こんな時は逃げる!逃げるこそ正義!

八幡「じゃ、じゃぁ俺食い終わったから行くわ。」

美嘉「うっうん!」

八幡「じゃぁな。」

 よし!これでクールに立ち去れ「ねぇっ!」ませんでした。

美嘉「また...一緒してもいい?」

八幡「......おう。たまにならな。」

美嘉「うんっ!またねっ★」

 結論。俺がラブコメっぽいことをするのはまちがっている。はぁ...ベストプレイス探そ。

 

 午後になり研修再開。場所はCPのPR。ビジネスマナーとやらをやるらしい。知らないことばかりだったり、ちひろさんの機嫌が悪かったり、覚えることがたくさんあったりちひろさんの機嫌が悪かったりで非常に疲れた。何故か事あるごとに「比企谷君なんかプロデューサーになっちゃえばいいんです!」と怒られた。解せぬ。

 

 一通り教わり間も無く終業時間。今回で研修終了ではなく、1週間ほど武内さんに同行してから終了らしい。その後はしばらく事務仕事を覚えて行くそうだ。出勤する日は基本水、木、土、日の週4日。平日は変動ありとのこと。以上を取り決め終業時間。ふぇぇぇぇ...やっと帰れるんじゃぁぁぁぁ。

ちひろ「それでは比企谷君、お疲れ様でした。気をつけて帰ってくださいね♪」

八幡「お疲れ様でした。お先に失礼します。」

 ......明日学校じゃん。今日はプ○キュア見てすぐ寝よう...。

 

----------------------------------------------------------------------------------------

 SIDE美嘉

 

美嘉「ただいまー...」

??「あっ!お姉ちゃんおかえりー」

 家に着くとすぐに妹の莉嘉が抱きついてくる。可愛いなぁもうっ!

莉嘉「?どうしたの?なんか嬉しそうだよ?」

美嘉「えっ⁉︎い、いつもと同じだよ?」

莉嘉「そうかな〜?ま、いいや!」

 着替えてくると莉嘉に伝え自室に入り扉を閉める。

美嘉「(.......................いっ、言えるわけないじゃん!どうしよう...八幡さんの顔が頭から離れない!なんだろこの気持ち...会いたいなぁ。でも可愛いって言われてすごく嬉しかったなぁ...そう言われるのは初めてじゃないけど全然違う。声聞きたいなぁ...でも連絡先知らないし...あ〜もう何なの?モヤモヤする!)」

莉嘉『お姉ちゃんまだ〜?』

 呼ばれて我に返り時計を見ると30分たっていた。う〜、次に会ったら絶対連絡先聞くんだから!



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3話?

抜けていました。すみません。


 7月夏休み初日

 両親に呼び出され久し振りに実家に向かっている。

バイトを始めて早1ヶ月と少し。特に問題もな...あったな。期末テストの数学で赤点を取り見事補習を受けた。そのせいでバイトを休むことになりちひろさんにこっぴどく説教された。

逆にいいこともあった。国語2位!ついに...ついに葉山に勝ったのだ。返却時に葉山の顔を見たら目が合ってしまい、思わずにやけてしまった。あの時の葉山の顔......フヒッ。その時血の雨(海老名さんの)が降ったのは見なかったことに...。

 

八幡「たで〜ま〜」

 

小町「あっ、お兄ちゃんおかえり。お父さんとお母さん待ってるよ」

 

八幡「おう。すぐ行く。」

 

 リビングに行くと2人に「おかえり」と迎えられる。...なんかいいもんだな。

 

母「一人暮らしはどう?」

 

八幡「特に問題ない。」

 

母「バイトは?」

 

八幡「そっちもだ。」

 

母「なら良かった。そう!武内君から連絡来たわよ!紹介してくれてありがとうって言ってたわ。」

 

八幡「ならよかったわ...」

 

小町「お兄ちゃんが素直で怖いんだけど...」

 

八幡「俺はいつだって素直だぞ。」キリッ

 

小町「あ、いつものゴミいちゃんだ。」

 

 ...お兄ちゃん泣いちゃうよ?

 

父「本題に入るが...生活は問題ないだろう。成績も落ちてるわけじゃない。小町...どうする?お父さんとしては一緒に行く以外の選択肢は無いんだが。行くよな。一緒に行くよな?」

 

小町「ごめんお父さん、本当に気持ち悪い。小町は残ってお兄ちゃんと暮らします。ごめんなさい。」

 

父「......」

 

 無言で泣くなよ親父...マジで気持ち悪いぞ。それより小町ちゃん?今のは誰の真似?あんなの真似しちゃいけませんよ?

 

小町「安心してお兄ちゃん。ただのネタだから!」

 

 しっかり心も読んでくるんですね...

 

母「わかったよ。寂しくなるけど仕方ないね。小町、しっかり支えてやるんだよ。八幡もちゃんと小町を守ること!」

 

八小「「おう(はいっ)」」

 

母「あと八幡。仕送りは今の額で間に合うかい?」

 

八幡「それは問題ない。今でも多いくらいだ。小町が来たらわからんが額の増減は連絡する。」

 

母「...あんた変わったね。」

 

八幡「そうか?」

 

母「そうだよ。今までなら増やすのはともかく減らすなんて絶対に言わなかったでしょ?」

 

八幡「まぁ...働いてみて金を稼ぐ大変さが少しは分かったからな」

 

母「そう...。さぁ引越しの準備しましょう。」

 

八幡「その前に一個いいか?」

 

母「どうしたの?」

 

八幡「あー...武内さんになんだが、プロデューサーにならないかって誘われてる。」

 

母「......ホントに?」

 

八幡「あぁ。大学行くから無理だとは言ったんだが、卒業後でもいいって言われてな。2人に聞いてみたい」

 

父「お前はどうしたいんだ?」

 

 あっ、親父戻って来てたのね?

 

八幡「まだわからん」

 

父「そうか...まだ時間はある。大学行ってる間に考えてみろ。」

 

八幡「...おう。」

 

母「さぁ、はじめましょう。」

 

 こうして小町の引越しが始まった。

 

小町「ところでお兄ちゃん。アイドルには会えた?」

 

八幡「まぁ...そりゃな。」

 

小町「えっ⁉︎誰々?」

 

八幡「流石に言えねぇよ...」

 

小町「そっかー、そうだよね。小町も会ってみたいな〜城ヶ崎美嘉ちゃんとか!」

 

 ‼︎えっ⁉︎何?小町美嘉のこと知ってんの?

 

小町「...お兄ちゃん?今の何?」

 

八幡「ひっ、今のってなんでしゅかね?」

 

小町「何年お兄ちゃんの妹やってると思ってるの?わからないとでも思ってるの?」

 

 ですよね〜...仕方ないか。変に隠そうとするとボロ出るしな。

 

八幡「あぁ、会ったよ。城ヶ崎美嘉。てか何?み...城ヶ崎の事知ってんの?」

 

小町「あったりまえじゃん!カリスマJKモデルだよ!知らないなんてありえないよ!それよりも今名前で呼ぼうとしなかった?」

 

 何で気づきますかね...

 

八幡「そっそんなk...『Prrrrr...』小町電話鳴ってるぞ」

 

小町「小町じゃないよ?」

 

八幡「あぁ、俺か。一体誰だ...」

 

 何でこのタイミングでかけてきますかねぇ...

 

小町「出ないの?」

 

八幡「.......」

 

小町「誰?小町の知ってる人?」

 

八幡「.......」

 

小町「貸して。小町がでる。」

 

八幡「いっ、いや。それはまず「いいから!」.........」

 

小町「おおおおおおおお兄ちゃんこれっ!」

 

八幡「だから言ったじゃねぇか...」

 

 あっ、切れた。

 

小町「ごめんなさい...」

 

八幡「はぁ、掛け直してくるわ...」

 

小町「うん...」

 

 Prrrrr.....

『もしもし...』

 

八幡「おう。悪いな出られなくって。横に妹がいたんだわ。」

 

『いいよ★掛け直してくれたし!』

 

八幡「で、どしたの?」

 

『そうそう!夏休み入ったじゃん?だから遊びに行きたいな〜と思って!今日か明日って空いてないかな...』

 

八幡「...今日は無理だ。妹の引越しがある。」

 

『そっか...そだよね...いきなりごめんね!また連絡するね!』

 

 そんな悲しそうにすんなよ...

 

八幡「待て待て。早とちりすんな。今日はって言っただろ。」

 

『‼︎明日ならいいの⁉︎』

 

八幡「おう。大丈夫だ。」

 

『アリガト!あっ、妹も一緒だけどいい?』

 

八幡「あっ、あぁ構わんぞ?.........なぁ、俺も妹連れてっていいか?」

 

『いいけど...何で?』

 

八幡「妹がお前のファンみたいなんだわ。さっきその話ししててな。」

 

『全然いいよ★嬉しいな♪そだっ、八幡さんて千葉だったよね?』

 

八幡「そうだが...」

 

『行ってみたい!...ダメ?』

 

八幡「‼︎...いや、大丈夫だ。考えとくわ。」

 

『やった!じゃ、また明日ね★』

 

八幡「おう。場所と時間後で連絡する。じゃぁな美嘉。」

 

 はぁ...どうしてこうなった...今は引越しだな。

 

 

 

 引越しも終わり小町と夕飯を食べている。もちろんカマクラもいるぞ?忘れないでね!食べているのだが...天使コマチエルが目に見えて落ち込んでいる。何?堕ちちゃうの?堕天使コマチエルになっちゃうの?...ありだな!ではなく。

 

八幡「あー、こm「お兄ちゃん!」おっ、おう。」

 

 ビックリするからね?いきなり大きな声出さないでね?

 

八幡「どしたの。」

 

小町「昼間はごめんなさいでした。」

 

 昼間の事気にしてたのか...可愛い奴め。

 

八幡「おう。気にすんな。俺も気にしてない。」

 

小町「ありがと。で、さっき何を言おうとしてたの?」

 

八幡「そうだった...明日暇か?知り合いが妹つれてこっちに来るんだが、お前も連れてくって言っちまったんだわ。すまんが来れるか?」

 

小町「まったくゴミいちゃんなんだから...」

 

八幡「す、すまん。無理なら構わん。相手には言っとく。」

 

小町「はぁ、今回は許すけど。次からはちゃんと確認してよね!」

 

八幡「おう。気いつけるわ。」

 

小町「と・こ・ろ・で!相手の人って女の人?」

 

八幡「そ、そうだが...」

 

小町「どんな人⁉︎可愛い?小町のお義姉ちゃんになってくれそう⁈」

 

 ふぉー!お兄ちゃんポイント高いよ!カンストだよ!と熱くなっている...

 

八幡「ちょっと小町ちゃん?少し落ち着きなさい?一軒家じゃないんだから周りに聞こえちゃうわよ?」

 

小町「あっ、ごめんごめん。」

 

八幡「まぁどんなやつかは明日紹介するから気にすんな。10時に千葉駅だからな。」

 

小町「了解であります!」

 

 どんな人かな〜楽しみだな〜とふわふわしているが...小町の将来がお兄ちゃんは心配です。...明日大丈夫か?

 

 

 

 現在時刻9時40分

 先程美嘉から駅に着いたと連絡があった。

 

美嘉「あっ!いた!」

 

 ほぼ同時に発見。妹?と思われる人物と小走りで寄って来る。おぉ...二つのお山が...眼福です。

 

小町「お兄ちゃん顔がイヤらしいよ...」

 

八幡「......しょんな事ないじょ。」

 

 噛んだ...

 

美嘉「ごめん、待った?」

 

八幡「いや、待ってないじょ?」

 

 また噛んだ。ふぇぇぇぇ...。脇をつつかれ紹介してよと小町。

 

八幡「あーと、比企谷八幡だ。でこっちは妹の小町」

 

小町「はじめまして!兄の妹の小町ですっ!高校1年です。」

 

莉嘉「ヤッホー!城ヶ崎莉嘉だよ☆小学6年生!莉嘉って呼んでね☆」

 

 ほう...こやつが噂の妹か。確かに可愛いが小町には敵わん。俺の妹は世界一ぃ!

 

小町「じょうがさき...?えっ?お兄ちゃんまさか⁉︎」

 

美嘉「言ってなかったの?城ヶ崎美嘉です!はじめまして小町ちゃん!よろしくねっ★」

 

小町「えっ...」

 

 あ、まずい。

 

小町「ええ........」

 

 小町が叫ぶ寸前に口を抑える。あっぶねぇ...

 

八幡「とりあえず落ち着け。」

 

小町「おっ落ち着けるわけないじゃん!お兄ちゃんのバカッ!ボケナスッ!八幡!」

 

八幡「ちょっと待て。八幡は悪口じゃないだろ。えっ?違うよね?」

 

美嘉「...ぷっ!ばか!ボケナス!八幡!......ぷふっ」

 

 美嘉さん笑いすぎです...小町もやっと落ち着いたか。にしても城ヶ崎妹は空気だな。

 

小町「それにしても美嘉さん綺麗ですねー。雑誌で見るよりずっと素敵です!」

 

美嘉「小町ちゃんも可愛いじゃん!八幡さんが自慢するだけはあるねっ★」

 

 美嘉さーん!と呼びながら抱きつく小町。なんだそれ。うらy...うらやまけしからん!言い直せてなかったね。私もー☆と抱きつく莉嘉...俺に。.........この子何してくれちゃってんの⁈あぁ発展途上のお山が...ではなく!

 

八幡「おっ、おまっ。何やっって!」

 

莉嘉「えーいいじゃーん。小町ねぇだってお姉ちゃんに抱きついてるしっ!」

 

美嘉「莉嘉離れなさいっ!男の人にだっ抱きつくなんて!」

 

 えーといいながらも離れる莉嘉。小町?状況を読んで離脱済みだぞ。それにしても美嘉さんお顔が真っ赤ですね。タコさんですか?

 

八幡「...こんなとこにいても邪魔になるし、そろそろ行こうぜ。」

 

小美莉「「「さんせー」」」

 

 仲良いですね。

 

 所変わって俺達はららぽへ来たのだが...

 

八幡「(くそっ失敗した。すげぇ目立ってんじゃん。)」

 

 とにかく目線が痛い。嫉妬、羨望等々...おいそこの男!しっかり彼女見てやれよ!あっ、蹴られてる。ざまぁw。

 

美嘉「視線すごいね...」

 

八幡「すまんな。俺の選択ミスだわ。どうする?場所変えるか?」

 

美嘉「大丈夫だよ!楽しいし★八幡さんは?」

 

八幡「...楽しくないこともない。」

 

美嘉「よかった★ほら、行こ?置いてかれちゃうよっ!」

 

 そう言って俺の手を握り走り出す。...手を握り?えっ⁈何?何が起きてんの?柔らかいな〜、なんかいい匂いするし。て、やばいやばい!そうだ!こんな時は戸塚を思い出せ。...くっダメだ!戸塚でも敵わんとは...やるな美嘉!

 

小町「(ふぉぉぉぉぉっ!2人とも顔真っ赤!初々しいですなぁ...これはもしかすると!美嘉さんがお義姉ちゃんか〜...たまりませんなぁ)」ジュルリ

 

莉嘉「(ビクッ‼︎)小町ねぇどーしたの?」

 

小町「何でもないよ!2人が遅れてるから少し待つのです!」

 

莉嘉「?うんっ☆」

 

 その後も散々引っ張りまわされました。途中着せ替え人形にされたりあざと会長を発見して逃げたりもしたが特に問題ない。ないったらない。材木座なんて知りません。

 そして現在駅。

 

美嘉「今日はアリガト!すっごい楽しかった★」

 

八幡「そか。ならよかったわ。」

 

美嘉「小町ちゃんもアリガトねっ★」

 

小町「いえいえ。小町も楽しかったです!お二人ともまたぜひ来てくださいね!」

 

莉嘉「いいの⁉︎お姉ちゃんまた来ようね!」

 

 抱きつく莉嘉を優しく撫でている美嘉...えぇのう...癒されるのぅ...

 

美嘉「じゃぁ...そろそろ帰るね?」

 

八幡「おう。気いつけてな。」

 

美嘉「うん!また明日。小町ちゃんもまたねっ★」

 

小町「はいっ!お二人ともお気をつけて!」

 

 小さく手を振る美嘉に「バイバーイ」と元気に手を振る莉嘉を見えなくなるまで見送る。

 

小町「ねぇお兄ちゃん?」

 

八幡「ん?どした?」

 

小町「2人とも可愛かったね...」

 

八幡「...おう。」

 

小町「美嘉さん綺麗でいい人だね...」

 

八幡「まっ、まぁ...そうだな。」

 

小町「...頑張ってね。」

 

八幡「?よくわからんが...まぁ頑張るわ。......んじゃ帰るか。」

 

小町「うん!」

 

 

 8月中旬

 今日家族全員で空港に来た。俺の運転で...許可も降りていたので地道に教習所に通い、誕生日に試験を受けた。平塚先生の助言もありMT免許を取得。それもあり親父の車(N○AH)は俺が貰うことになった。まぁ、ほとんど乗ることはないだろうが...

搭乗手続きを済ませ時間となる。いざとなると寂しいもんだな...

小町「お母さん...」

 

 小町は母ちゃんに抱きつき肩を震わせている。母ちゃんも同様に...親父は俺達に背を向けて上を...くそっ!何だこれ!

 

母「そんなに泣かないの!会えなくなるわけじゃないんだから。」

 

小町「うん...」

 

母「八幡...小町を頼んだよ。」

 

八幡「...おう。任せとけ。...その、なんだ?たまには連絡するわ...」

 

 くそっ!こっぱずかしい‼︎

 

母「ふふっ。待ってるからね。」

 

八幡「...おう。」

 

 ふわり...優しく抱かれ頭を撫でられる。不思議と恥ずかしい気持ちもなく、ただただ安らぐ。

 

母「ごめんね。今まで...あんたはあんまり構ってやれなかったから。ありがとう、ずっと小町を守ってくれて。優しい子に育ってくれて...私たちはちゃんとあんたを愛しているからね。」

 

八幡「...おう。」

 

 上擦った声でそれしか言えない。涙がとめどなく溢れる。あぁ、こんな俺でも愛してくれる人がいるんだ...それが凄く嬉しかった。抱擁が解かれ2人と向き合う。

 

母「それじゃ、行ってくるわね。」

 

親父「行ってくる。」

 

小町「行ってらっしゃい!」

 

八幡「...その、元気でな。身体には気を付けてくれ。」

 

 2人を見送る。姿が見えなくなるまで。

 

小町「行っちゃったね...」

 

八幡「あぁ。」

 

小町「お兄ちゃんがあんな風に泣くの初めてみた。」

 

八幡「...俺も初めてだからな。」

 

小町「今日はやけに素直だね。」

 

八幡「...こんな時くらいはな。」

 

小町「そんなお兄ちゃんも小町的にポイント高いよ!」

 

八幡「八幡的にもポイント高いぞ?」

 

 小町の方を向き自然と笑顔になる。......あれ?小町ちゃん?なんで固まってるのん?お兄ちゃんの笑顔がそんなにキモいの?

 

小町「.........おっ!」

 

八幡「ん?」

 

小町「お兄ちゃん!」

 

八幡「どっ、どうした?」

 

小町「ほとんど目が腐ってないよ!しかも何その笑顔!それじゃただのイケメンさんだよ!小町的にポイント低い!あれっ?高い?わかんないよ!」

 

八幡「おっ、おう...」

 

 何で俺キレられてるのん?てかほとんどってことは腐ってはいるんですね。そうですか。

 

八幡「ま、とりあえず帰るか。」

 

小町「そだね。そうだ!せっかく車で出来てるんだからどっか連れてってよ!」

 

八幡「えー...。俺帰って寝たい。」

 

小町「まったく...お兄ちゃんはイケメンさんになってもゴミいちゃん何だから...」

 

八幡「それが俺だからな」キリッ

 

小町「無駄に似合うからそのキメ顔やめてね。いいの!お兄ちゃんには小町を遊びに連れて行く義務があるのです!」

 

八幡「...へいへい。わかりましたよ。」

 

 たまにはこんなのもいいか...ホントにたまにならな...

 

 今日も比企谷家は平和です。



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4話?

 夏休みも終わり、早いものでもう9月。

 

 資料もまとめ終わりのんびりと社内をブラついている。......白坂を背中にぶら下げて。何故か懐かれてしまった。何故かだ。決してリアルゾンビなどと言われていない。ないったらない......グスン。あと、サボってるわけじゃないからね?ちひろさんの御厚意だからね?『〜♪』

 ......ん?ギターの音?誘われるように音のする方へ向かって行く。

 

八幡「(確か......木村夏樹さんだったか?すげぇな。この人アイドルじゃなくてミュージシャンとして食っていけるんじゃね?)」

 

 音がやみ、拍手する俺と白坂。......顔の前で拍手しないで!余った袖が顔にhitしてるからね!

 

木村「聞いてたのか。小梅と......誰?」

八幡「あっ、勝手にすんません。CPアシスタントの比企谷八幡です。木村夏樹さんですよね?」

木村「おっ!知っててくれてんのか。ありがとな。八幡だから...ハチでいいか?アタシの事は夏樹でいいぜ。敬語も必要ない。」

八幡「......な、なら遠慮なく。さっきの...My Chemical Romanceの曲だったか?」

夏樹「わかるのか。ハチもロックいけるクチか?」

八幡「詳しくはないがな。嗜む程度だ。」

夏樹「どんなの聞くんだ?」

八幡「あー......多いのはVAMPSだな。あとはLiSAとか。LiSAはどちらかと言うとパンクだが...洋楽は殆ど知らん。」

夏樹「VAMPSは知ってるけど...もう1人は知らないな。」

八幡「まぁ...アニソンがメインだからな。でもバカにできんぞ?」

夏樹「へぇ...曲あるか?」

八幡「すまん。今はない。」

夏樹「そうか......ならハチ、楽器は?」

八幡「......少しなら。」

夏樹「そうか!なら一曲やってくれ!」

 言いながらギターを渡してくる。

八幡「いや、無理だから。」

夏樹「ん?ギターじゃないのか?」

八幡「いや、ギターだが...それ持ち手逆じゃねぇか。」

夏樹「あっ、そうか......だったら今時間あるか?」

八幡「まぁ......大丈夫だが。」

夏樹「ならレッスンルーム行こうぜ!そこにあるから。」

八幡「まぁいいが...期待すんなよ?」

 

 わかったよと言いながら歩き出すのでついて行く。相変わらず白坂をぶら下げて...

 

 レッスンルームに着いた。......着いてしまった。......やりたくないよぅ。1人遊びの範疇だった為、小町以外に聞かれた事はない。恥ずかしいが諦めるか......

 

「あれ?八幡さんと夏樹さんに...小梅ちゃん?みんなでどうしたの?」

 

 こっ......この声は!

 

夏樹「美嘉か?さっきハチと話しててな。一曲やってもらうんだ。」

美嘉「へ〜......ねっ!アタシもいい?」

夏樹「いいぜ。なっ!ハチ!」

八幡「......おう」

美嘉「やった♪早く入ろっ★」

 

 おぅふ......観客が増えてしまった......帰りたいよぅ......と考えているうちに引き摺られて行き、セッティング完了。仕方ない!と気合を入れてチューニングを終わらせる。白坂?今は降りて美嘉の隣に座ってますよ?

 

夏樹「そうだ!歌いながらいけるか?」

 

 えぇ......何でハードルあげますかねぇ......

 

八幡「たっ、多分......でもホント期待すんなよ?」

夏樹「じゃあ、頼む。」

 

 はぁ......しゃぁない。......今ここにいるのは俺1人だ!ここは俺の部屋!恥ずかしがるものなど何もない!「わー!」と拍手をしている美嘉と白坂に気づかないフリをして演奏開始。......いざっ!

 

「〜〜〜〜〜〜♪」

 

 あっ......なんか楽しくなってきた......

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

 曲が終わる。

 

「「「「.....................」」」」

 

 何でみんな無言なのん?夏樹はなんか考えてるし、美嘉は口抑えて真っ赤だし白坂はぼーとしてるし......まさか俺の後ろに何かいるのん⁉︎こっこわいよぉぉぉぉぉ......

 

夏樹「......いいな。」

 

 2人が凄い勢いで首を縦に振っている。そんなに振ったら首取れちゃいますよ?

 

夏樹「今の曲は?」

八幡「あー......LOSERって曲だ。アルバム曲だな。どうだった?」

夏樹「いいね。気に入ったよ。」

八幡「そうか...今度CD持ってくるか?」

夏樹「いいのか?」

八幡「いいぞ。自分の好きなもんを気に入ってもらえるのは嬉しいしな。」

夏樹「サンキューな!それと......よかったらLIVE一緒にやんないか?」

八幡「.........は?」

夏樹「ライブハウスでたまにバンド仲間とやってるんだよ。そこで歌ってみないか?」

八幡「......いやいやいやいや!無理だから!俺溶けちゃうから!」

夏樹「溶けるってなんだよ...。ま、無理にとは言わないから、気が変わったら言ってくれ。」

八幡「...わかった。じゃ、そろそろ行くわ。」

夏樹「あぁ。今日はありがとな。そうだ!連絡先交換しておこうぜ!」

八幡「別に構わんが......ほい、頼む。」

 

 そう言いつつ夏樹に携帯を渡す。...なんでそんなに驚いてるのん?

 

夏樹「よく他人に渡せるな...」

八幡「...連絡とるやつなんて限られてるしな。見られて困る物もない。あと登録の仕方がわからん。やってくれ。」

 

 わかったよと苦笑いしながら登録する夏樹。わ、私も...と白坂が便乗してくる。あっ、携帯いじる時は手が出るんですね。終わった...と返される。

 

夏樹「またな、ハチ。」

八幡「......おう。」

 

 さて、戻りますか。白坂をぶら下げ...えっ⁉︎?なんで?いつの間に⁉︎それと美嘉さん、真っ赤なお顔で固まってるけど大丈夫?風邪ですか?お大事にね!

 

 

 翌日のPR。間も無く終業というタイミングで武内さんに呼ばれ資料を手に対峙している。......あぁ、秋の定例ライブか。

 

武内「比企谷さん。こちらの資料はご存知ですか?」

八幡「はい。以前一通り目は通しました。秋の定例ライブですよね?」

武内「はい。私もスタッフとして参加します。そこで、比企谷さんにも同行していただこうと思っています。」

八幡「......いいんですか?」

武内「はい。多少手伝っていただくとは思いますが基本は見学です。一番の目的は流れや雰囲気を内側から感じていただく事です。」

八幡「はぁ...でも何もわからないと思いますよ?」

武内「構いません。見ることも勉強になります。それに初めて見るからこそわかる事もあるかと思いますので。」

八幡「わかりました。同行させていただきます。」

武内「宜しくお願いします。あと、こちらを。」

 

 1枚の封筒を渡される。えっ?何?手に取り確認する...‼︎‼︎

 

八幡「あの...これって!」

武内「当日のチケットになります。是非ご友人をお誘いください。」

八幡「えっ⁉︎いいんすか?...こんな、4枚も...」

武内「お持ちください。比企谷さんのご友人にも楽しんでいただきたいのです。」

八幡「......ありがとうございます。」

武内「では、以上となります。気を付けてお帰りください。」

八幡「はい。お先に失礼します。」

 

 チケット4枚か...誰に渡すか...そもそもどうやって...

八幡「(平塚先生を頼るか...明日相談だな。)」

 

 

------------------------------------------------------

八幡「失礼します。平塚先生は...「こっちだ比企谷。ついてきたまえ。」...うす。」

 

 前回と同じ応接室に通された。ここなんか緊張するから嫌なんだが...仕方ないか。

 

平塚「で、相談とはなんだね?」

八幡「これなんですが...」

 

 昨日の封筒を渡し「開けても?」と問われた為首肯で返す。

 

平塚「君はまたこんなレアなものを...」

八幡「だから相談してんすよ。俺が渡して変に疑われるのもアレですし。」

平塚「まあ、そうだな。それで、誰に渡せばいいのかね?」

 

 よく分かってらっしゃる。

 

八幡「1枚は先生に。あとは小町と雪ノ下と由比ヶ浜ですかね?」

平塚「そうか......一色はどうする?」

八幡「まぁ...しょうがないじゃないですか。4枚しかないんすから。」

平塚「そうだな...では私の分は一色に渡そう。構わないかね?」

八幡「いいんすか?そうそう取れないライブなんでかなりレアっすよ?」

平塚「構わないさ。それにその日はな...友人の......くっ!結婚式があるんだ.....................」

「「..................」」

八幡「すんません。」

平塚「謝るな!余計に虚しくなる!.........はぁ、結婚したい。」

 

 ...............誰か早く貰ってあげて!いい人だから!「いいもん。比企谷に貰ってもらうもん。」と物騒な事を言っているが聞かなかったことにしよう。あ、帰ってきた...

 

平塚「さて、部室に行こうか。」

八幡「...うす」

 

 

 道中先生と口裏を合わせておく。小町にはある程度昨日話したから問題ないだろう。そしてためらいなくノックをせず邪魔するぞーと扉を開ける。先生が。...これだよね?結婚できない理由。

 

雪ノ下「平塚先生、ノックを。」

平塚「悪い悪い。気をつけよう。」

八幡「...うす。」

雪ノ下「あら?比企谷君も来ていたのね?気づかなかったわ。」

由比ヶ浜「ヒッキー遅いし!何やってたの!」

八幡「...先生に呼ばれてたんだよ。」

雪ノ下「今度は何をやらかしたの?バイオテロかしら?」

八幡「何で俺が何かやった前提なの?何もしてないからね?しかもバイオテロって...菌なの?比企谷菌なの?」

雪ノ下「そんな事誰も言ってないじゃない。比企谷菌。」

八幡「言ってるじゃねぇか...はぁ、バイトの件だよ。一応定期的に報告をな。」

 

 「そう。」と優しい笑みを浮かべる雪ノ下を横に一色が先生のご用件は?と聞いている。おい!お前が聞く事じゃないだろ!君も部外者だからね?

 

平塚「どうして君がそれを聞くのかね...。まぁいい。君達に渡したい物があってね、だからこうして来たのだよ。」

 

 と言いつつ由比ヶ浜に封筒を渡す...

 

由比ヶ浜「えええええええええええええええ!」

 

 うっうるせえ!

 

由比ヶ浜「先生これ!どうしたんですか⁉︎」

 

 発狂する由比ヶ浜に驚く一色。首を傾げる雪ノ下に苦笑いの小町...何これカオス...

 

平塚「知人から頂いてね。私は都合が悪く行けないので君たちに譲ろうと思ってな。」

由一「「いいんですか⁉︎」」

平塚「構わんよ。楽しんできたまえ。」

由一「「ありがとうございます!」」

雪ノ下「ところでこれは何のチケットなのかしら?」

由比ヶ浜「えぇっ⁉︎ゆきのんしらないのっ⁉︎」

一色「346プロを知らないなんて...雪ノ下先輩ホントに知らないんですか?例えば...高垣楓とか?」

雪ノ下「その人は知っているわ。そう...彼女はそこに所属しているのね...」

由比ヶ浜「あとっ!城ヶ崎美嘉ちゃんとか!」

 

 ぶっ!やっぱりか!由比ヶ浜は美嘉の事好きそうだもんな。こら小町!ニヤニヤするんじゃありません!

 

由比ヶ浜「あっ!でも4枚しかないよ?」

八幡「あー、俺は大丈夫だ。バイトがあるから行けん。お前たち4人で行ってきてくれ。」

一色「いいんですか?」

八幡「気にすんな。」

雪ノ下「比企谷君もこう言ってくれている事だし、私達4人で行きましょう。」

小由一「「「うん!(はい!)」」」

 

 君たち嬉しそうですね...武内さんが言ってたことが少しわかるな。笑顔か...」

 

平塚「...比企谷。ちょっと来たまえ」

八幡「?はい。」

 

 ?何で呼ばれたのん?部室から少し離れて先生が問いかけてくる。

 

平塚「比企谷。さっき言った『笑顔』というのはどんな意味があるのかね?」

八幡「......声に出てました?」

平塚「あぁ。私にしか聞こえていないと思うがな。」

 

 やらかした...まあいいか。

 

八幡「...プロデューサーの、俺がいるプロジェクトのコンセプトなんすよ。」

平塚「笑顔が...かね?」

八幡「はい。詳しくは言いませんけど。」

平塚「...そうか。君は変わったな。」

八幡「...そっすかね?」

平塚「ああ。それもいい方向にな。正直この時期にバイトをするのはどうかと思っていたが、君にとっていい事のようだ。」

八幡「...まぁ、そっすね。」

平塚「くくっ...ホントに変わったな。君の言葉を借りればいい笑顔をするようになった。今みたいなね。」

八幡「.........」

平塚「前にも行ったが何かあったら相談したまえ。ではな。」

八幡「.........うす」

 

 ホントにあの人はどこまでかっこいいんだ...マジで俺が貰っちまうぞ。そんな事を考えながら一礼し部室へ戻る。ライブについて話している笑顔の彼女達。ほんの少しだが...本気でプロデューサーを目指してみようかと考えた。

 

 

 定例ライブ当時。会場はさいたまハイパーアリーナ。今日は電車ではなく車できている。武内さんは渋い顔をしたが、呼んだメンバーが全員女性。且つ帰宅が22時を過ぎる為送り届けると説明すると渋々だが了承してくれた。ただし、今回だけですと叱られたが...。

 会場入りし、武内さんに連れられ様々なところへの挨拶廻り。研修を思い出しながら辿々しくもこなしていく。つ...疲れる...。マッ缶を...俺にマッ缶をぉ!

 

武内「比企谷さん...大丈夫ですか?」

八幡「あっ、あひ。何とか。」

武内「次で最後になります。もう少しだけ頑張ってください。」

八幡「はっ、はい。すみません。」

 

 では行きましょう。と最後の砦へと赴く。

 

 ...やっと終わったぁぁ!

 

武内「以上で挨拶廻りは終わります。時間まではお好きなところを見学して下さい。注意点としては腕章を外さない事。それと機材移動等をしていますので怪我や事故にお気をつけ下さい。」

八幡「あっはい。」

 

 武内さんも行った事だし、まずは一休み。いざ自販機へ!

 

 ............マッ缶が無い、だと⁉︎なんて事だ...仕方ない。違うものを...ココアでいい...ガタン...は?俺押してないよ?何?何が起きたの?えっ?何この手!ホラー?ホラーなの⁉︎

 

「なーにさぼってんのっ♪」

 

 誰だっ!こんな事したのは!いや、声でわかってますがね...

 

八幡「...何してんの?美嘉」

美嘉「ん〜?イタズラ?」

 

 人差し指を口元に当てて首を傾げている...可愛いです。はぁ、と軽く溜息をつき商品を...ブラックじゃねぇか!まったくもう!とぼやきながらも小銭を自販機へ。

 

八幡「...どれだ?」

 

 いいの?と聞かれたので早くしろと急かす。出てきた商品を取り横のベンチへ...様子がおかしい。

 

八幡「...なんかあったか?」

 

 ビクッとするが返答はない。

 

八幡「......緊張してんのか?」

美嘉「..............うん。何回やってもこの時間は緊張しちゃう。」

八幡「そうか......」

 

 多分俺には一生わからない事だろう。俺にできる事は何だろう...

 

八幡「緊張していいんじゃねぇの?」

美嘉「えっ?」

八幡「緊張するってことは...このライブを大事にしてるってことだろ?」

美嘉「うん!」

八幡「ならいいじゃねえか。緊張も含めて楽しんじまえ。それが出来んのはステージに立つお前達だけなんだからな。思いっきり楽しめ。」

美嘉「‼︎うんっ!アタシ全力で楽しむ!」

八幡「おう。小町も来るからな。そのまんまの...可愛くてカッコいい城ヶ崎美嘉を見せてやってくれ。」

美嘉「そのまんまのアタシ......わかった!もう大丈夫!頑張るから!だから......八幡さんも見ててね......」

八幡「...おう。行ってこい。」

美嘉「うんっ!行ってくる!アリガトッ★」

 

 やっぱあいつはああじゃないとな。さて、もう少し見て回りますか。

 

 

 ...........ん〜。さっきからワタワタしてんな。なんでだ?...機材...衣装...行ったり来たりだな。あれじゃ効率悪いだろうに。なんて思うのは俺が動きたくないって考えるからか?まあいい。あとで武内さんに配置図見せて貰おう。

 

「あっ!」

 

 ん?声の聞こえた方を向くと階段から何か転がってくる。俺の足元で止まった物を拾い上げ、持ち主と思われる女性の元へ。3人いるが誰だ?三者三様この言葉が1番しっくりくる。

 

 一人は長い髪の一部を横で結び、毛先をふわっとさせた優しそうな女の子。

 

 一人は黒髪ロングのストレート。カッコいいと可愛いを合わせたような女の子。

 

 一人は打って変わってショートヘア。毛先が外に跳ねていて、いかにも元気そうな女の子。

 

 色で表すならピンクと青とオレンジだな。などと考えながら階段を登りきり.........

 

八幡「あの......これ。」

??「すっすみません。拾っていただいて!ありがとうございます!」

八幡「あ、いや、気にしないでください。ではこ......」

 

 ふと時計が目に入る。

 

八幡「やべっ‼︎」

??「(ビクッ)」

八幡「あっ、す、すみません。時間なんで失礼します!」

 

 返事も待たずに走り出す。「あっ!」と後ろから聞こえるが気にしない。やべ〜!マジやべ〜!間に合えー!.........................

 

??「行っちゃった...」

 

 

 現在.........公演中。

 集合時間?間に合いましたよ?当たり前じゃないですか。開演後は武内さんの横で見学させてもらっている。すごい...とにかくすごい。一人一人必至になって...時には協力し、時には単独で。スタッフだけではない。アイドル達もそうだ。全員がこの瞬間に全力を出している。

 

八幡「(この中に...俺が入る)」

 

 考えただけでも身震いする。俺に出来るのか?やっていけるのか?と思考が止まらない。

 

武内「比企谷さん、いかがですか?」

八幡「........あの.........」

 

 言葉が出ない。

 

武内「大丈夫です。落ち着いて下さい。」

八幡「はい................その、圧倒されてます。」

武内「それは仕方のない事です。私も初めて見た時に同じ事を考えていました。」

八幡「でも...みんな綺麗っていうか...輝いて見えます。アイドルだけじゃなくて、スタッフの皆さんも。」

武内「はい。これを見て、感じていただきたかったので、今日はお連れしました。」

八幡「......ありがとうございます。」

 

 そこからは無言だった。

 

 

 

 ライブ翌日。昨日の報告書を書いている。そんな中疑問を解消させようと武内さんに確認する。

 

八幡「すみません武内さん。出来たらでいいんですが......昨日のライブ会場の見取り図というか、配置図って言うんすかね?あったら見せてもらえませんか?」

武内「構いませんが...何かありましたか?」

八幡「少し気になる点があったんで......」

武内「わかりました。宜しければ私もご一緒させていただけますか?」

八幡「あっ、はい。お願いします。」

ちひろ「何かあったんですか?」

武内「千川さんも同席していただけますか?」

ちひろ「?はい......大丈夫ですが...」

 

 ちひろさんも席に座り、武内さんが持ってきてくれた配置図をありがとうございますと一声掛け受け取る。

 

八幡「...................ブツブツ..............................」

武ち「..........」

 

 あの...と声をかけられ、ふと我に帰る。時計を見ると15分ほど経過していた。

 

八幡「いくつか確認したいんですが、いいですか?」

武内「どうぞ。」

八幡「まず、会場は毎年同じでしたよね?」

武内「はい。」

八幡「この配置はいつからですか?」

武内「最初からです。」

八幡「遅延や事故などは?」

武内「当初はありましたが、今はありません」

八幡「スタッフからの苦情は?」

武内「先の質問と同様です。」

八幡「.........ありがとうございます。」

ちひろ「あの...比企谷君?」

八幡「............すみません。俺が気付いただけでもかなりの改善点があります。」

武内「かなり......ですか?」

八幡「はい。軽く20箇所前後ですかね?改善すれば2〜3時間は削減出来るかと。」

武内「そこまでですか?」

ちひろ「私にはまったく...」

八幡「お2人はそれが当たり前になっているので、気付けないんだと思います。現場の新人スタッフならわかる人もいると思いますが、新人が何言ってるんだと一蹴されて終わりでしょう。」

武内「そうかもしれません。参考までになぜ気づけたか教えていただけますか?」

八幡「はい。それは......武内さんです。」

武内「?私、ですか?」

八幡「えぇ。武内さんは俺に『好きに見学してください』と言いました。なので言葉通り好きに見て周りした。」

ちひろ「......意味がよくわからないんですが...」

八幡「好きにってとこがポイントです。言い換えれば自由にですよね?そこなんですよ。俺はリラックスして見学できました。それこそ誰がどんな表情をしてるかまで観察できました。」

ちひろ「なるほど...」

八幡「そこで見えた...と言うか疑問に思いました。なので配置図を見せてもらったんです。」

武内「そうでしたか。では、比企谷さん。こちらに書き込んでいただいて構いませんので、説明していただいてよろしいですか?」

八幡「はい。では.................................................

 

 

.....................以上です。」

ちひろ「.........」

武内「......ありがとうございます。よくこれだけ気づけましたね。」

ちひろ「すごい...たしかにこれなら2〜3時間は削れます!しかもほかの会場でも応用が効きますよ!」

八幡「そっすか?その内誰か気づいたんじゃないですかね?」

ちひろ「その内でも誰かでもないんです!『今』、『比企谷君』が気付いた事に価値があるんです!自己評価が低いのは美徳と言われるかもしれませんが、低すぎたらただの嫌味です!もっと自分に自信を持ってください!」

武内「千川さんの言う通りです。比企谷さんを見ていると、ご自分に自信が持てないと見受けられます。ですが他からの評価ならどうでしょうか?まずは比企谷さんを評価する私たちを信じていただけないでしょうか?」

八幡「............わかりました。出来るかわかりませんが......やってみます。」

ちひろ「(過去に比企谷君に何があったの?)」

武内「(比企谷さんは過去に何かあったのでしょうか?マナー違反ですが先輩に聞いてみましょう...)」

武内「比企谷さん。報告書は結構です。いえ、それ以上の報告をいただけました。今日は上がっていただいて結構です。素晴らしい報告をありがとうございました。」

八幡「......はい。..........お先に失礼します。」

ちひろ「お疲れ様です♪」

 

 

 

 

 比企谷さんが帰ったあと私と千川さんで話をしました。

 

武内「千川さん。少しよろしいですか?」

ちひろ「比企谷君の事......ですよね?」

武内「はい。千川さんはどう感じましたか?」

ちひろ「あまりにも自己評価が低すぎます。でも実際はすごく優秀です。知識がつけばおそらく私はすぐに追い抜かれると思っています。」

武内「私もほぼ同意見です。付け足すなら比企谷さんは私にはない観察能力を持っています。正直嫉妬してしまうくらいです。」

ちひろ「そうですね。ほぼとはその違いの事ですか?」

武内「いえ......自己評価の部分です。私の勘違いかもしれませんが、比企谷さんは自信をないものと考えている...もしくは自身が犠牲になればいいと考えているのではないでしょうか?」

ちひろ「......そうかもしれません。」

武内「比企谷さんは優秀です。ですがこのままでは.........」

ちひろ「はい。比企谷君は強すぎるくらいに強いですから......その反面が怖いです。」

武内「そうですね。.........マナー違反かもしれませんが、先輩に...比企谷さんのお母様か学校の平塚先生にお話を聞いてみようと思います。」

ちひろ「そっ、それはまずいですよ!」

武内「......覚悟の上です。......私は、比企谷さんを放っては置けません。」

ちひろ「.........はぁ、わかりました。知りませんよ?」

 



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5話?

 Prrrrrr.......プッ

 

『もしもし?』

武内「お久しぶりです。」

『久しぶり。どうしたの?』

武内「お聞きしたいことがあります。」

『そう.........』

武内「m『息子の事でしょう?』......はい。」

『なら......-------に連絡してみなさい。先方には連絡してあるから。あなた聞いたら後悔するわよ?それと知ったら息子は激怒するわよ。それでもいい?』

武内「覚悟の上です。」

『あなたに任せて良かった。............息子を、お願いします。』

武内「はい。先輩」

 

 

 Prrrrrrr......ガチャッ

 

『------でございます。』

武内「私、346プロダクションの武内と申します。------はいらっしゃいますか?」

『少々お待ちください。』

『お電話変わりました。』

武内「346プロダクションの武内です。ご無沙汰しております。」

『......今日はどのようなご要件でしょうか?」

武内「比企谷さんの件でご連絡差し上げました。お母様の許可も得ております。お話を聞かせていただけますか?」

『......わかりました。では明日17時にお越しください。』

武内「ありかとうございます。それでは失礼致します。」

 

 

 

 

 今日何曜日だっけ......携帯で確認すると火曜日だった。

 今日はいつにも増して怠い。一昨日の件が原因なのは明白だ。正直一昨日昨日とあまり眠れていない。授業もまともに頭に入らず、放課後のゆきのん塾(数学)も上の空。前回補修を受けて以来頼んで教えてもらっているのだが......

 

「.........ん?比企谷君!」

八幡「(ビクッ)おっ、おう。悪いな。ちょっとボーッとしてたわ...どこだっけ?」

雪ノ下「......やめにしましょう。今日は帰った方がいいのではないかしら?」

由比ヶ浜「そうだよ、ヒッキー。顔色悪いし......」

八幡「......そうか?ならそうすr...「比企谷はいるかね!」......なんすか?帰ろうと思ったんですけど。」

平塚「大事な話がある。ついてきたまえ。」

雪ノ下「待ってください!比企谷君はt...「黙れ雪ノ下!」......はい。」

平塚「心配ならお前達もついてこい。君達2人には辛い話になるがな。君達で決めたまえ。」

雪ノ下「わかりました。行かせていただきます。」

 

 平塚先生に案内され応接室に入る。いつもと違うのは中央に仕切りがある事。俺と雪ノ下、由比ヶ浜は奥へ。

 

平塚「小町君はこちらへ。比企谷、辛ければ寝てても構わん。ただしお前達3人は何があっても絶対に声を出すな。わかったな?」

 

 有無を言わせぬ先生の迫力に首肯で返事をする。すると間もなくドアがノックされ客人が招き入れられる。「失礼します。」

 

八幡「‼︎(何で武内さんが⁉︎)」

 

 先生から語られるのは高校での俺の所業。文化祭、体育祭と続き舞台は修学旅行へ......こっちにいる2人の顔は真っ青だ。由比ヶ浜は泣き出している。そして語られた。先生も知っているはずのある一部を除いて。

 

平塚「以上が高校での比企谷です。」

 

 小町が黙っているのは、ある程度事前に相談されていたのだろう。でなければあの小町がだまっているはずがない。

 

武内「ある程度はわかりました。比企谷さんが優しい。いえ、優しすぎることもわかりました。ですが最後の......嘘告白だけが腑に落ちません。何か......他の依頼がありませんでしたか?」

小町「武内さんはそう思うんですか?ただの最低野郎とか思わないんですか?」

 

 こっちの2人はまずい。いつ倒れてもおかしくない...

 

武内「確かに良い方法とはいえません。......」

 

 やっぱりか...

 

武内「ですが!そうせざるを得ない状況...例えば、告白させないで欲しいと相手の女性から言われていたりすれば......比企谷さんならそんな行動を取るでしょう。」

 

 なんで...

 

小町「......なんで、そんなことが言えるんですか?」

武内「比企谷さんは誰よりも優しく...誰よりも強い人です。私はそんな彼を尊敬しています。それに私はプロデューサーです。人を見る目には自信があります。」

小町「確かに兄はその依頼を受けました。実際その依頼に気づいたのは奉仕部では兄だけなんですけどね...ですが兄が受けた依頼はもう一つ。グループのリーダーから『このグループを壊したくない』です。」

武内「そんな馬鹿な依頼......そんな物の為に比企谷さんは......比企谷さんが......」

 

 何なんだよ!この人は!会ったばかりなのに......俺を理解して......信じて......泣いて......くそっ!俺の方がバカじゃねえか!観察力には自信がある?ふざっけんな!俺はバカだ!バカだ!

 

平塚「比企谷が変わったわけが分かりました。あなたのおかげなんですね。」

武内「そんなことはないです。私も彼には助けられてばかりで......昨日もアドバイスを頂いたばかりです。」

平塚「そうですか......今後比企谷とどう接して行くおつもりですか?」

武内「まずは謝罪をさせていただきます。比企谷さんの許可なしにこの様な事をしてしまいましたので。他は変わりません。私は信じて待つだけです。」

平塚「そうですか.........だそうだ。比企谷。」

武内「えっ......」

 

 涙が止まらない。......でも!

 

八幡「たけっ......うぢさん......」

武内「......はい。」

八幡「おれっ...にも...本物は...見つっけ...られますか?」

武内「あなたなら必ず。」

八幡「あなたのっ...ような、プロデューサーに...なれますか?」

武内「私よりも立派なプロデューサーになれます。」

八幡「アイドル達を......みんなを......笑顔に出来ますか?」

武内「出来ます!」

八幡「................俺を!...俺をプロデューサーにして下さい!」

武内「......宜しくお願いします。」

小町「お兄ぢゃ〜ん!うぅぅぅ.........」

八幡「ありがとな、小町。心配かけてすまんな。」

小町「いいよ〜。今のお兄ちゃんカッコいいよ

〜!ポイントカンストだよ〜!ぅぅぅぅぅ」

八幡「平塚先生も......ありがとうございます。」

平塚「君達を導くのが私の仕事だ。今回は褒められたやり方ではないがね。すまなかった。2人とも。本当に申し訳ない。」

八幡「あっ、頭をあげてください!何とも思ってないですから!」

小町「そうです!本当にありがとうございます!」

武内「平塚先生。私からもお礼をさせていただきます。ありがとうございました。では私は失礼致します。」

平塚「はい。お気をつけて。」

八幡「お疲れ様です。」

小町「ありがとうございました!」

 

 さて......あとはあの2人だな......

 

平塚「あとは君達で話したまえ」

八幡「......うす。」

「「「「................」」」」

八幡「あー、そn「比企谷君!」...おっ、おう」

雪ノ下「まずは謝罪をさせてちょうだい。本当にごめんなさい。」

八幡「...は?」

雪ノ下「修学旅行の件よ。和解はしたけれどちゃんとした謝罪はしていないわ。だから言わせてちょうだい。あなたの気持ちを考えず一方的にあなたを否定してごめんなさい。」

八幡「雪ノ下......」

雪ノ下「今回の事でよくわかったわ。あなたに守られてばかりで...あなたなら何とかしてくれると...依存をしていたのね。だからあなたの考えが理解出来なかったのよ。」

由比ヶ浜「ヒッキー私もごめん!私馬鹿だからゆきのんみたいに出来ないけど...ちゃんと仲直りしたい」

八幡「..........俺の方こそすまなかった。お前達にちゃんと相談すべきだった。勝手にやって、何も言わなくても理解してもらえると思って......言葉にしても伝わらないのに、しなくても伝わるなんてそれこそ詭弁だ。俺の1番嫌いなものだったのに、それをお前達に押し付けた。本当にすまなかった。」

「「「「...........」」」」

由比ヶ浜「今度こそ......本当に仲直りだね!」

八雪「あぁ(ええ)」

八幡「あー、あともう一個言わせてもらいたいんだが...いいか?」

雪由「なにかしら?(なぁに?)」

八幡「雪ノ下、由比ヶ浜。俺と......友達になってくれ。」

雪ノ下「何を言っているのかしらこの男は...」

由比ヶ浜「そうだし!もう友達だし!」

八幡「‼︎そう......だったな。」

雪ノ下「それよりも比企谷君に小町さん。私たちに何か言うことがあるのではないかしら?」

由比ヶ浜「そうだしっ!」

小町「えぇーと......小町からは言えないと言いますか...お兄ちゃんお願いっ」

八幡「おいっ汚ねぇぞ小町!俺たt...「比企谷君?」...は、はひっ!話しましゅ!」

 

 洗いざらい話しました。

 

 

 

武内「比企谷さん。おはようございます。」

八幡「おはようございます。.........あのっ、昨日は本当にありがとうございました。」

武内「私こそ比企谷さんのプライベートを探る様な事をしてしまい、申し訳ございません。」

八幡「いえ、それは構わないです。これからも宜しくお願いします。」

武内「それはこちらのセリフです。頑張っていきましょう。」

八幡「はい。すみません。急に話し変わっちゃうんですが、質問していいっすか?」

武内「どうぞ。」

八幡「携帯って、仕事とプライベートは分けた方がいいんすか?」

武内「そうですね。出来るのであれば分けるに越したことはありません。ですが、強制ではないので個人の判断となります。」

八幡「そうですか......」

武内「何かあったのですか?」

八幡「いえ、あの...昨日あの後、とっ友達と番号交換したんすけど...その時携帯渡したら怒られまして。いつも相手にやってもらってたもんで...」

武内「比企谷さんそれはいけません。今後アイドル達の連絡先も増えていくでしょう。些細な事からリークしてしまう事もあるので、十分に注意して下さい。ロック等もしっかりお願いします。」

八幡「はい。同じ事を友人にも言われました。気をつけます。」

武内「それと厳しい様ですが、ご家族にも同様の対応をして下さい。」

八幡「わかりました。」

武内「宜しくお願いします。それと、私からも報告があります。......こちらの資料をご覧ください。」

八幡「これは......何ですか?オーディションの開催通知はわかりますが。」

武内「こちらは私がスカウトした方と...方たちです。」

八幡「えっ⁉︎何すか今の!何で言い直したんすか?」

武内「......気のせいです。」

八幡「......武内さん。さすがに無理がありますよ。」

武内「すみません。こちらの前川さんですが、この事務所までご自身を売り込みに来られて......採用しました。」

八幡「............ここのセキュリティ大丈夫っすか?」

武内「おっしゃる通りです......」

八幡「でもまぁ.........面白そうな子ですね。」

武内「面白そう......ですか?」

八幡「はい。見た感じですが、イジりやすそうです。この猫耳とか。ノリツッコミとかしてくれそうっすよね。出身大阪だし。」

武内「......よくわかりますね。実際事務所に来た時も一人でその、ノリツッコミをしていました。」

八幡「.........マジすか?」

武内「はい。」

八幡「芸人のがいいんじゃ......」

武内「私からは何とも......後のお2人ですが......大学生の新田美波さんと高校生の三村かな子さんです。」

八幡「新田さんはリーダー枠で三村さんは癒し枠って印象ですね。」

武内「なるほど...覚えておきます。それとオーディションですが、再来週実施します。比企谷さんには審査員として同席していただきます。」

八幡「俺も......ですか?」

武内「はい。私と比企谷さんです。千川さんには案内をしていただきます。」

八幡「大丈夫っすかね?.................ビジュアル的に。」

武内「.........」

八幡「.........」

武内「.........」

八幡「.........」

武内「大丈夫です。」

八幡「今の間はなんすか?あと、目をそらさないでください。」

武内「すみません。」

八幡「わかりました。俺も出来ることをやらせて頂きます。」

武内「お願いします。それと、機会があればスカウトしていただいて結構です。後ほど私がお会いさせていただく形になりますが。」

八幡「いっ、一応頭に入れ......すんません。1人候補がいるんですが...」

武内「本当ですか⁉︎」

八幡「シスコンの姉がなんて言うか分かりませんが、城ヶ崎莉嘉。美嘉の妹です。会った事もありますし、問題ないかと思います。」

武内「そうですか...城ヶ崎さんに確認してみましょう。少しお待ちください。」

 

 席を離れ連絡を取る。これから美嘉が来るらしい。その間にコーヒーを準備する。武内さんはブラックだったな。美嘉は来てから適当にやらせよう。俺の分は練乳を...。よし!完成!うむ。ほぼマッ缶だこのあm『コンコンコン』最後まで言わせてね?美嘉登場。武内さんが案内している間に美嘉の分のコーヒーを準備。コーヒーを渡し着地完了!

 

武内「いきなり呼び出してしまい、申し訳ございません。」

美嘉「気にしないでいいよ!時間あったし★それで、どうしたの?」

武内「比企谷さんから妹の莉嘉さんの話を聞きまして...」

八幡「莉嘉をCPにって提案させてもらった 。こっちで勝手に決められる事でもないし、まずは美嘉の意見を聞いてみたくてな。」

美嘉「そゆことか...いいんじゃない?ちょっと心配だけど八幡さんいるから安心だし★決めるのは莉嘉だけどねっ!」

武内「そうですか。では一度莉嘉さんとお会いしたいのですが、都合をつけて頂けないでしょうか?」

美嘉「おっけ〜★ちょっと待ってて?」

 

 莉嘉に連絡を取り日程を決める。武内さんの都合と合わせ、明後日俺を含め会うことに。あれ?明後日俺休みじゃね?終わったら帰ればいいか...

 

 結果なんの問題もなく採用。両親も了承済みらしく、あっさりと契約終了。......こんな簡単でいいのん?

 

 

 

 フンフンフフ〜ン♪

 11月だが今日は日差しも強い為暖かく気持ちいい。少し早目のティータイム〜♪さて今日はマッ缶と何をいただきましょうk「あーっ!プロダクションの人だー!」...あん?

 

「養成所所属の赤城みりあです!今ね!レッスン終わってみんなで遊んでたの!」

 

 .........天使だ。天使がいる......。

 

八幡「CPアシスタントの比企谷八幡だ。」

赤城「アシスタントさんなんだー!ねっ!お兄ちゃんも遊んでくれる?」

 

 なっ⁉︎お兄ちゃん......だと⁉︎

 

八幡「おう。何するんだ?」

 

 なでなで...

 

赤城「ふわ〜〜♪」

 

 はっ⁉︎俺は何を⁉︎なでなで......

 

赤城「ふにゃ〜〜♪」

八幡「すっ、すまん!ついっ!」

 

 手を離すと赤城がプクーと頬を膨らませる。河豚ですか?.........可愛すぎる。小町、戸塚、けーちゃんに並ぶ4人目の天使に任命しよう...

 

赤城「やめちゃだめっ!」

八幡「おっ、おう。すまん。」

 

 なでなで

 

赤城「にゃ〜〜。お兄ちゃん!みりあ、お兄ちゃんの事務所に行ってみたい!」

八幡「おうっ!行こう!すぐ行こう!あっ、でもその前に、みんなに言ってくるんだぞ〜」

 

 なでなで

 

赤城「うん!行ってくるね!いなくなっちゃダメだからね!」

八幡「おう。行ってこい。転ぶなよ。」

 

 だいじょうぶ〜と手を振りながら走っていく赤城......かわえぇぇぇぇぇ!戻ってきた赤城......いや、みりあを連れCPのPRへ招き入れる。はしゃぐみりあをよそに俺は...

 

八幡「武内さん。CPのメンバー候補を連れてきました。」

武内「......唐突ですね。」

八幡「さっき下で会ったんです。」

武内「紹介して頂けますか?」

八幡「はい。みりあこっちに来い。この子がてんs......養成所所属の赤城みりあ。天使です。」

武内「......なぜ言い直したかは聞きませんが......理由をお伺いしてもよろしいd「天使だからです!みりあは天使!異論反論は一切認めん!勿論不採用も!」......わっ、分かりました。比企谷さんがそこまでおっしゃるのなら採用させていただきます。」

八幡「ありがとうございます!よかったなみりあ!今日からお前はアイドルだ!」

みりあ「えっ⁉︎みりあ、アイドルになれたの!」

八幡「そうだ!お前はアイドルで天使だ!」

みりあ「やったー!お兄ちゃんありがとー!」

 

 みりあを抱きしめ頭をなでなで...「ふにゃ〜〜」可愛いのぉ...可愛いのぉ!

 

武内「(ひっ、比企谷さんの様子が明らかにおかしい...後で千川さんに相談してみましょう。)」

 

 

 

 

武内「千川さん。少しご相談が......」

ちひろ「?どうしました?」

武内「本日比企谷さんが連れてきた赤城みりあさんを採用したのですが......その時の比企谷さんの様子がその......異常だったので......」

ちひろ「......比企谷君は何か言ってましたか?」

武内「そうですね...赤城さんのことを天使と。」

ちひろ「勿論可愛いですよね?」

武内「笑顔がとても素敵です。」

ちひろ「歳はおいくつですか?」

武内「少しお待ちください......10歳です。」

ちひろ「比企谷君の事を......お兄ちゃんとか呼んでませんでしたか?」

武内「呼んでいました。」

ちひろ「............はぁ、大丈夫です。彼はただのシスコンですから。」

武内「シスコン......ですか?」

ちひろ「はい、シスコンです。実の妹さんを天使と言っていますし、その話を始めると人が変わります。私も2時間ぶっ続けで妹さんの可愛さについて語られました。」

武内「たしかに『異論反論は一切認めん!勿論不採用も!』と物凄い勢いで言われました。常務以上の怖さでした......」

ちひろ「そこまでですか......なので、問題は無いと思います?」

武内「......なぜ疑問形なのです?そこは言い切って頂きたかったです。」

ちひろ「......すみません。」

武内「大丈夫......ですよね?」

ちひろ「............多分。」

 

 

 オーディション。オーディション中なのだが......

 

八幡「(つまらん。どいつもこいつも同じような事ばかり......)」

 

 ぶほっ!なんだこいつ!馬鹿?馬鹿なの?なにそのTシャツ『働いたら負け』って!欲しい!コイツはチェックだな!

 

 次の10人は...やたらとでかい奴がいるな。あえて小さいのと組ませたら面白いかも......

 

 次......あ?ミュージシャン?ここはアイドルのオーディション会場だぞ?でも目標を曲げないのはアリだな。

 

 次は...あれ?コイツ秋のライブにいたやつか?となると...後2人も来るか?

 

 あっ、来た。あと1人!

 

 ......来なかったか。まぁ武内さんに言えば何とか分かるだろ。

 

------------------------------------------------------

 オーディション終了後すぐに選考を行う。意見はまとまってるから問題は無い。

 

武内「比企谷さんが選んだ方を教えて頂けますか?」

八幡「はい。俺が確定と思ったのが3人。双葉杏、諸星きらり、多田李衣菜です。」

武内「3名ですか......その3名は同意見ですが、加えて島村卯月さんと本田未央さんはいかがでしょう?」

八幡「アリだとは思うんですが、最初のインパクトが強すぎて今回霞んじゃってるんですよ...」

武内「お会いしたことがあるのですか?」

八幡「一応。秋のライブの時あの2人いたんすよ。多分搬入かなんかで。その場にたまたま俺も居合わせて。で、もう1人同じ場所にいたんです。そのとき思ったんすよ。この3人が揃ったら凄いことが出来そうだなって。」

武内「そうですか。ではもう1人が見つかり次第、養成所いる島村さんとその方はスカウト。本田さんは再選考の形をとりましょう。残念ですが今回は落選とします。」

八幡「なんかすんません。」

武内「大丈夫です。比企谷さんはいつも私には気付けない事を言ってくれるので助かります。」

八幡「あざっす...それと、この子なんですが...」

武内「緒方智恵里さんですね?オーディションには来ていませんでしたが...」

八幡「会場にいました。少し話しをしまして、勝手ながらスカウトさせて頂きました。」

武内「それは......」

八幡「すみません。彼女は審査を受けたら間違いなく落ちます。ですが、癒されるんですよ。凄く。断言します。彼女は間違いありません。」

武内「......わかりました。ですが今後は一声お掛け下さい。」

八幡「ありがとうございます。迷惑かけてすみません。」

武内「では今日はこれで。気をつけてお帰り下さい。」

八幡「...うす。お先に失礼します。」

 

 これでようやく9人。あの3人がダメな場合と欠員が出た時を考えて2、3人は必要だよな...

 

 それにしてもあのTシャツ......何としてもゲットせねば!



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6話?

12月の冬休み間近となった本日、期末試験の結果が返却された。

 

八幡「(数学は......よし、クリア!雪ノ下のおかげだな。他はいつもと変わら.........なん、だと?」

 

国語 1位

 

由比ヶ浜「ヒッキーどしたの?」

 

八幡「由比ヶ浜......今日から部活休むわ......」

 

由比ヶ浜「バイト忙しいの?それとも体調悪い?」

 

八幡「いや、それは大丈夫なんだが.........ちょっとな。」

 

由比ヶ浜「......サボり?」

 

八幡「......」

 

由比ヶ浜「......」

 

葉山「2人ともどうしたんだい?」

 

由比ヶ浜「あっ、隼人君。ヒッキーがね、部活サボろうとするの!」

 

葉山「まだ部活やってたんだな......んんっ、サボりはいけないな比企谷。何か出られない理由でもあるのかい?」

 

八幡「別に......お前には関係ないだろ。」

 

葉山「たしかにそうだが......それでも休むのなら理由は言うべきだ。違うか?」

 

八幡「......今日はやけに突っかかってくるな。」

 

葉山「俺も聞きたいことがあってね。結衣、先に俺の要件をいいかな?」

 

由比ヶ浜「いいけど......終わったらちゃんと理由言うしっ!」

 

葉山「すまないな。......単刀直入に言うよ。比企谷、国語の順位を教えてくれ。」

 

八幡「......何でお前に教えなきゃならん。」

 

葉山「いいじゃないか、減るものでもないし。前回から国語の順位が落ちていてね、『誰か』はわからないが興味があるんだ。」

 

 コイツわかってて言ってんな?憎たらしい。しかも今回も俺が2位だと思ってやがる。残念、1位でした。でもこれは絶対に言えn......「うわー、ヒキタニ君国語1位とかマジパないわ〜!これキてるっしょ!」......おい馬鹿戸部!何勝手に見てんだよ!しかも大声で言っちゃってるし......みんなこっち見てんじゃねぇか!おい馬鹿戸部って語呂いいな......

 

葉山「......比企谷、本当か?」

 

八幡「...............おう。初めてとったわ。」

 

葉山「やっぱり君だったか......。部活に行かない理由はそれかい?」

 

八幡「考えてみろ。部活に行くだろ?雪ノ下がキレるだろ?血の雨が降るだろ?流れが決まってんじゃねぇか。虎穴に入るどころか100キロの重り背負って海に飛び込む様なもんだ。俺はお前と違ってMじゃない。」

 

 「はやはちキマシタワー!」「ちょっ!海老名擬態しろしっ!」と聞こえるが気にしない。そっちを見てはいけない。

 

葉山「俺もMじゃないんだが......それはともかく、やっぱり君は部活に行くべきだ。雪ノ下さんに数学を教わっていたんだろ?なら君は逃げるべきじゃない。」

 

八幡「......わかったよ。行けばいいんだろ、行けば。」

 

葉山「でも、やっぱり君はすごいな。最後まで勝てなかったよ。」

 

八幡「......んな事ないだろ。俺がお前に勝てるところなんて友達の少なさくらいだ。」

 

葉山「そんな事ないさ。俺は君が羨ましいよ。......好きにはなれそうにないけどね。」

 

八幡「俺も嫌いだよ。」

 

葉山「はっきり言ってくれるね......いいさ、今度......よかったら君が変わった、変われた理由を教えてくれないか?」

 

八幡「......まぁ、気が向いたらな。」

 

葉山「そうかい?じゃあ、期待して待ってるよ。これ、俺の連絡先。またな、比企谷。」

 

八幡「......おう。」

 

 由比ヶ浜には先に部室に行くと伝えて1人歩く。嫌だな〜...怖いな〜...と稲川風に考えながらも部室へ......着いてしまった。覚悟を決め、ドアを開け.........

 

八幡「......うす。」

 

雪ノ下「こんにちは。1位谷君。」

 

 .........最初からぶっ込んできましたね。なんで知ってんの?俺のプライバシーどうなってんの?

 

八幡「1位谷ってなんだよ......あと何で知ってんの?エスパーなの?怖えよ。あと怖い。」

 

雪ノ下「失礼ね。考えなくても分かる事じゃない。葉山君が私に勝てるなんて万に一つもありえないわ。なら......くっ!......あなたしかいないじゃない」

 

 冷静なフリしてるけど悔しくて堪らないのバレバレですよ?それにしても万に一つもありえないって......哀れ葉山。

 

雪ノ下「今回は、遺憾にも今回だけは負けてしまったけれど......次は負けないわ。学校の試験はもうないのでセンター試験で勝負ね。覚悟しておきなさい。」

 

八幡「.........いや、俺私立一本で決めてたからセンターは受けないぞ?」

 

雪ノ下「........................何ですって?」

 

八幡「.........いや、だk「負けた?この私が負けたまま?勝ち逃げをされる?あり得ないわ!比企谷君、センター試験を受けなさい!これは部長命令よ。」...............いや、無理だから。申し込み期間終わってるからね?」

 

雪ノ下「......」

 

八幡「......」

 

雪ノ下「......」

 

八幡「雪ノ下?」

 

雪ノ下「.....................ふふっ」

 

八幡「おっ、おい......」

 

雪ノ下「ふふふふふふふふふふっ」

 

 ゆっ、雪ノ下が壊れた⁉︎怖えよ!マジ怖えよ!由比ヶ浜早く来て〜!

この後由比ヶ浜に止められるまで雪ノ下は笑い続けていた。みんな見てないで入って来てよ!助けてよ!

 

 .....................夢に出そう。壊れかけのゆきのん。

 

 

 冬休みも終わり早2月。来週末は大学の受験日だ。

俺達3年組が勉強をしている中、小町がやけに余裕そうなので試験の結果を出させた。結果は一言。

 『散々』

 由比ヶ浜程ではないにしろ、とにかく酷い。期末試験の結果次第で小遣いをカットすると言い渡すと、泣く泣く勉強し始めた。......このネタ使えるな。俺は変わらないペース。変わったのは学校が2月に入り自由登校期間になった程度だ。

 

八幡「そう言えば、来週の土曜日休み貰ってます。言い忘れてました。」

 

ちひろ「聞いてますよ。受験ですよね?」

 

八幡「そうっす。」

 

ちひろ「頑張ってくださいねっ!そんな比企谷君にはこれを差し上げます♪」

 

 ちひろさんから貰ったのはエナドリ。しかも5本。...これ変な中毒性があるんだよな......一応礼を言いつつバッグにしまう。

 

ちひろ「そういえば、どこを受けるんですか?」

 

八幡「言ってませんでしたっけ?早○田です。」

 

ちひろ「えっ!?」

 

八幡「へっ?」

 

ちひろ「......」

 

八幡「......」

 

ちひろ「そういえば、どこを受けるんですか?」

 

八幡「いやいや、何でやり直すんすか......そんなに変ですかね?」

 

ちひろ「そんなことはないです。逆に納得しちゃいました♪凄く勉強出来るんですね!」

 

八幡「文系だけっすけどね。」

 

ちひろ「それでも凄いですよ。なかなか行ける大学じゃありませんから。」

 

八幡「......あざっす。よっぽどの事がない限り受かると思います。」

 

ちひろ「凄い自身ですね......。」

 

八幡「開き直ってるだけですよ。そんなわけで休ませてもらいます。」

 

ちひろ「はいっ♪頑張ってください!」

 

八幡「んじゃ、俺帰りますね。お先に失礼します。」

 

ちひろ「お疲れ様でした。」

 

 

 

ちひろ「比企谷さんは本当に優秀ですね。イケメンで頭が良くて賢くて、プロデューサーとしても将来有望。...............もしかしなくても優良物件ですね。」ニヤリ

 

武内「あの、千川さん?」

 

ちひろ「はひゃいっ!」

 

武内「どうかされましたか?」

 

ちひろ「いっ、いえ。あの、聞いてましたか?」

 

武内「何をですか?」

 

ちひろ「なんでもないですよ?気になさらないでください。」

 

武内「わかりました。千川さんも他に業務がないようでしたら上がってください。」

 

ちひろ「そうします。では、お先に失礼します。」

 

武内「お疲れ様でした。」

 

 

武内「......比企谷さんは本当に女性にモテるのですね。わかる気もしますが、正直羨ましいです......」

 

 

 試験も終わり結果発表当日。会場に行き結果を見る......わけではなく、平日なので部室に集まり携帯で確認。あんな人の多い所行きたくないよね?

 

八幡「(...............自信はあるが緊張するな。受かっててくれよ......)」

 

 受験番号を片手にサイトを確認していく。...........................................................................

 

八幡「...............あった。」

 

由比ヶ浜「ヒッキーおめでとう!」

 

雪ノ下「おめでとう。比企谷君。」

 

八幡「......おう。ありがとな。」

 

由比ヶ浜「ヒッキーが素直......」

 

雪ノ下「ここまで素直だと逆に気味悪いわね......」

 

八幡「.........こんな時くらいいいだろ。悪い、ちょっと電話してくるわ。それと先生に報告してくる。」

 

 いってらっしゃ〜い!と由比ヶ浜に見送られつつ携帯片手に廊下へ。

 Prrrrrr......

 

『もしもし?』

 

八幡「母ちゃん?俺だけど。」

 

母『馬鹿。あんた時差考えなさい。こっち今何時だと思ってんの?』

 

八幡「すっ、すまん。舞い上がってたみたいだわ。」

 

母『で、どうしたの?』

 

八幡「大学受かった。その報告だ。」

 

母「そう.....おめでとう。よく頑張ったわね。』

 

八幡「......おう。ありがとな。」

 

母『まずは手続き進めなさい。費用はこっちで済ませておくわ。』

 

八幡「悪いな。」

 

母『いいのよ。当たり前の事なんだから。』

 

八幡「......サンキュー。」

 

母『それと、卒業式は私も行くから。その時たくさん話を聞かせてちょうだい。』

 

八幡「......わかった。」

 

母『それじゃ、また後でね。』

 

八幡「......おう。」プッ......

 

 この後平塚先生にも報告。自分の事の様に泣いて喜んでくれた。本当にいい人だ。雪ノ下も決めているし、後は由比ヶ浜だけか......大丈夫か?

 

 

 

 時は流れ4月。無事に卒業式も終わり、大学へと入学した。由比ヶ浜も何とか合格しました。よかったね。

相変わらずボッチ生活を満喫しているが、話す奴がいない訳ではない。そして、今日も今日とて俺はバイトに勤しんでいる。

 

武内「比企谷さん。今からスカウトに行きます。付いてきて頂けますか?」

 

八幡「......いきなりっすね。」

 

武内「すみません。お願い出来ますか?」

 

八幡「わかりました。どこ行くんすか?」

 

武内「こちらの養成所に所属している島村さんをスカウトしに行きます。」

 

八幡「......てことはもう1人が見つかったんすね?」

 

武内「目星はつけました。2次オーディションの開催も行います。」

 

八幡「あいつ来ますかね?」

 

武内「今回はこちらから呼んでいますので、問題は無いかと。」

 

八幡「わかりました。同行させて頂きます。」

 

 

 養成所に着き、受付で手続きをしている。しているのだが......

 

八幡「(受け付けの人めっちゃ怯えてんな。まぁ、俺と武内さんだし仕方ないか。)」

 

 こちらのレッスンルームです。と案内され入室。ノックしないのかよ!

武内さん......何か喋りましょうよ。無言で行ったら怖いから!ほら!2人とも怯えてるじゃん!......俺も無言ですけどね。

近寄ってきたトレーナーさんに事情を話し一旦別室へ。そして再度レッスンルーム。や、だからノックしましょうよ。あっ、目があった。顔がだんだん青く......武内さん......無言で迫ったらホラーですよ。あの子殺されちゃうのん?「まっ、まっ、......ママー!」ぶほっ!リアルでこれ叫ぶ奴初めて見た!

 

武内「......島村卯月さんですね?」

 

 ようやく喋りましたね......

 俺も名刺を渡し移動。「プロデューサーさんとアシスタントさんっ⁉︎」と驚く島村。欠員が出たと適当に理由をつけ説明。受けて貰えるか確認すると即答。

 

島村「島村卯月。がんばりますっ!」

 

 ......何故にフルネーム?にしても嬉しそうだな。明日また資料を持ってきます。と伝え養成所を後に......

 

八幡「武内さん、あいつ嬉しそうでしたね。」

 

武内「はい。いい笑顔でした。」

 

八幡「その笑顔を......俺が一回つみとたんですね......」

 

武内「確かにそうです。ならば比企谷さんが彼女を、彼女達を笑顔にしてあげてください。あなたになら出来ます。」

 

八幡「......はい。」

 

武内「明日も一緒にお願いします。」

 

八幡「......わかりました。」

 

 翌日、再度養成所をお訪れ資料とともに説明。CDは?ライブは?TVは?と質問が続き......何故私が?と島村。武内さんなら......

 

武内「笑顔です。」

 

 ですよね〜。わかってました。わかってましたとも。......俺何も喋って無い。空気だな.........

 最後に全員集まるまでは養成所でレッスンを。と伝え養成所を後にする。

 

 

武内「これからもう1人の方のところへ行ってみましょう。」

 

八幡「......うす。」

 

 暫く歩いていると人だかりがみえる。中心にいるのは熱くなっているお巡りさんと泣いてる少年、そして......⁉︎

 

八幡「武内さん、あの子っす。」

 

武内「‼︎本当ですか⁉︎行ってきます。」

 

八幡「あっ、ちょっ!」

 

 行ってしまった......いや、あなたが行ったら余計に拗れるからね?......しゃーない。頭をガシガシとかきながら少年の前に座り頭を撫でる。

 

八幡「おう。どうした?」

 

 ちょっと君!とボンクラ(お巡り)に言われるがシカト。

 

八幡「泣いてるだけじゃわからんぞ?」

 

少年「ひぐっ......オモチャのネジ落としちゃって......お姉ちゃんに止まってもらったの。」

 

八幡「そうか。教えてくれてありがとうな。んじゃ、一緒に探すか?」

 

少年「いいの?」

 

八幡「おう。いいぞ。すんません、武内さん。ちょっと待っててください。」

 

武内「構いませんが......」

 

八幡「ありがとうございます。......お巡りさん、あんたもだ。」

お巡り「ひっ!はいっ!」

 

八幡「あんたも......悪いな、少し待っててくれ。」

 

??「いいよ......」

 

 

少年「あった!お兄ちゃんあったよ!」

 

八幡「おーそうか。よかったな。今度から気をつけろよ。」

 

少年「うんっ!お兄ちゃんありがとう!ばいば〜い!」

 

八幡「おう。じゃぁな。」

 

 少年と別れ、お巡りを睨む。

 

八幡「あんた、何やってんの?」

 

お巡り「じっ自分は職務を......」

 

八幡「あ?職務?ふざけんな。頭ごなしに相手を疑って威圧すんのが職務か?大したもんだな。」

 

お巡り「そっ、その様な事は......」

 

八幡「無いって言えるか?彼女は別に何もしてないって言ってなかったか?あんたはなんて答えた?」

 

お巡り「その......何も無いはずないだろうと......」

 

八幡「はなっから疑ってんじゃねえか。ふざけんなよ?あんたの勘違いで彼女に悪い噂が立ったらどう責任とんだよ。お前責任取れんのか?」

 

お巡り「その......それは......」

 

武内「比企谷さん、もうその辺で。」

 

??「そうだよ。別に気にしてないから。」

 

八幡「......わかりました。ただこれは言わせてください。おい、あんた。彼女に謝罪しろ」

 

お巡り「は......はい。私の勘違いで......大変ご迷惑をお掛けしました。申し訳ございませんでした!」

 

??「別に......気にしてないから......」

 

お巡り「今後は気をつけます。」

 

 それでは。と、お巡りは離れていき人だかりもなくなる。

 

??「なんか、巻き込んじゃったみたいで......」

 

八幡「......別に。こっちこそすまん。」

 

武内「申し訳ございません。返って事を大きくしてしまいました。」

 

「「「............」」」

 

武内「あの、私、こういう者ですが......アイドルに興味はありませんか?」

 

??「ない......なんだ、勧誘の人だったんだ......」

 

 こりゃダメだな。完全なる拒否だ。アイドルなんてわけもわからないもの......と言いつつ行ってしまった。

 

八幡「......ダメでしたね。」

 

武内「はい。ですが諦めません。来ていただけるまで何度でもチャレンジします。」

 

八幡「......そうっすね。」

 

武内「それはそうと。比企谷さん、今回はやりすぎです。大事にはなりませんでしたが、気をつけてください。」

 

八幡「うっ.........すんません。」

 

武内「ですが......ありがとうございます。やはり比企谷さんはお優しいですね。」

 

八幡「......うす。」

 

 武内さんは毎日アプローチをかけているらしいが、名刺すら受け取ってもらえないようだ。

同様に島村のところにも行っているらしい。毎日レッスンの指示しか出せず申し訳ないと言っていた。そんな中......

 

武内「比企谷さん。今日は同行をお願いします。」

 

八幡「わかりました。」

 

 ............これまずくないか?交差点で信号待ちをしている。しているのだが......その場で武内さんが資料を渡している。横の女子高生ズもヒソヒソチラチラと......視線が痛いよう......「名刺だけでも」と差し出す。

 

「ちょっと君!」

 

 あん?誰だ?お巡りさんが2人。1人はこの前のボンクラじゃねえか。なんかこっち見てビクビクしてるし。

もう1人によると不審者がいると通報があったとのこと。......俺たちですね。わかります。わかってますよ......やべっ!連行さr「あっ、あのっ!......ちっ、違うんです。この人達は。」......助かったぁぁ〜ありがとう!名も知らぬ少女よ!まぁ、話し聞いてくれるみたいだし結果OKか?通報されたけど......グスン。

 

 翌日、武内さんとともに養成所にいる島村のもとへ。クルッとターン。様になってますね。さすがです。「今日はなにを?」と食い気味の島村に「......レッスンを」と武内さん。あ、ずっこけた。うまいな。感心しているうちに話も進み何やら島村も付いてくることになった。

 

 彼女、渋谷凛の自宅へ3人で向かう。花屋らしい。

到着と同時に本人が出てきた。おぉ、可愛いワンコじゃのう。島村も面識があるらしく近くの公園で話をすることになった。今は島村が渋谷と話している。子供達は元気だねぇ......

 

武内「そろそろ行ってみましょう。」

 

八幡「......うす。」

 

 おっ!ワンコが!お〜よしよし、かわええのぉ。名前はハナコと言うらしい。

俺がハナコと戯れている横で武内さんが語っている。あえて聞かないように......だって聞いたら前の事思い出して泣いちゃうもん!こっそりと渋谷を見てみる......こりゃ落ちたな。

 

 後日、渋谷の加入が決まり、本田がオーディションに来たため採用。

 

 これでカードが全部揃った。CP本格始動だな。



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7話?

 CPのメンバーも集まり、今日は初の顔合わせとなる。事務所にいるのは武内さん、ちひろさん、俺。それと11人のメンバー達。最後の3人は後から合流とのこと。そして恒例の自己紹介タイム。......ふぇぇぇ。嫌だよう。

 

武内「当プロジェクトプロデューサーの武内です。皆さん、これから宜しくお願いします。」

 

八幡「......アシスタントのひきぎゃ......比企谷八幡でしゅ。」

 

 ......やっちまったぁぁ!ちひろさんは相変わらず笑ってるし、メンバーも何人かプルプルしてる。......はちまんもうお家帰る。

 

ちひろ「ぷっ......事務担当の千川ちひろです。宜しくお願いします。これは、お近づきのしるしに。」

 

 そう言いながら順にエナドリを配っていく。

......ちょっと待て。その小さいバッグのどこに11本も入ってたの?物理法則完全に無視してるよね⁉︎

 

武内「では、皆さんも順にお願いします。」

 

 みりあ、莉嘉、前川、諸星、新田さん、アナスタシア、三村、多田、緒方と続きあと2人か......長えな。......次は確か神崎とか言ったか?

 

神崎「フフフ…我が名は神崎蘭子。血の盟約に従い、我と共に魂の共鳴を奏でん。フッ…宴の始まりぞ。」

 

 ぶほっ!マジだ!こいつマジもんの中2病だ!材木座かよ!いや、美少女なだけ神崎のがマシだな......

 

武内「すみません神崎さん。仰っている意味がよく......」

 

八幡「.....あー、多分ですが、『神崎蘭子です。皆さん、これから一緒に頑張りましょう。』って感じだと思います。」

 

全員「..................」

 

武内「なるほど......わかりました。」

 

 何かを手帳にメモる武内さん。そして神崎が目をキラキラさせながらこっちを見ている。多分今まで誰にも伝わらなかったのだろう......まぁ、当然だな。あれ?1人足んなくね?

周りを見ていると諸星が双葉を持ってきた。言葉通りだ。『持ってきた。』こうして双葉の挨拶も終わり一通り完了。この後は宣材写真を取ることになっている。付き添いは俺だけだ。......緊張するよぅ。

 

八幡「じゃあ、すまんが、移動するからついてきてくれ。」

 

前川「どこに行くにゃ?」

 

八幡「スタジオだ。これから宣材写真を撮ってもらう。」

 

 「お仕事?お仕事なの?」と、はしゃぐみりあの頭を一撫でし、手を繋いでスタジオに向かう。

 

新田「そうしていると、親子みたいですね。」

 

八幡「......勘弁してくださいよ。せめて兄妹っすよ。まだ俺18で大学1年ですからね?」

 

新田「うそっ!私より上だとばかり......すみません比企谷さん。」

 

八幡「いや、気にしてないっすよ。それなんで、敬語とか使わなくていいですから。」

 

新田「そう?なら比企谷君も普通に話してね?年も一つしか変わらないことだし。」

 

八幡「......おっ、おう。」

 

前川「ところではっちゃんは、どこの大学に行ってるにゃ?」

 

八幡「はっちゃんて誰だよ。人造人間?」

 

前川「何言ってるかよくわからないにゃ......はっちゃんは八幡だからはっちゃんにゃ!」

 

八幡「別に構わんが......あー、大学は早○田だ。」

 

新前「「......えっ?」」

 

 やっぱりその反応なんすね......

 

前川「う、嘘にゃっ!」

 

八幡「あ?嘘ついて何になるんだよ......ほれ、学生証。」

 

前川「ま......負けたにゃ......。」

 

 崩れ落ちる前川。いいリアクションですね。つーか、何に負けたんだよ......

 

八幡「ほれ、早く来ないとおいてく上に猫耳全部へし折るぞ?」

 

 と言いつつ歩き出す。「なんて事するにゃ!」と聞こえるがスルー。......いじりがいあるな。

 

 

 スタジオに到着し、まずはスタッフさん達に挨拶。挨拶は基本だからね?ちゃんとやりますよ?

 メンバーをスタイリストさんに預けスタジオで待機。撮影も順調に進んでいる。おぉ......やはりみりあは天使だ......そろそろ武内さん来るかな?

 

武内「比企谷さん、お待たせしました。」

 

八幡「いや、大丈夫です。」

 

武内「ご存知だとは思いますが、最後の3人をご紹介します。」

 

島村「島村卯月、17歳です。えっと......頑張ります!」

 

渋谷「渋谷凛です。よろしく。」

 

本田「本田未央、高校1年!よろしくねっ!」

 

八幡「......アシスタントの比企谷八幡だ。」

 

「「「「............」」」」

 

本田「それだけ?」

 

八幡「他に何言うんだよ......」

 

島村「あ、あの〜......比企谷さんはおいくつですか?」

 

八幡「......18。大学1年だ。」

 

渋谷「意外と若いんだね。」

 

八幡「意外ってなんだよ......」

 

渋谷「お巡りさん言い負かした時の印象が強いから。」

 

八幡「......忘れろ。」

 

本田「ヒッキー何かやったの?」

 

八幡「何もやってねえよ。あとヒッキーはやめろ。何でお前がその呼び方知ってんだよ......」

 

本田「じゃぁ......ハッチー?」

 

八幡「何?俺みなしごなの?昆虫になっちゃったの?......はぁ、まあそれで構わん。好きに呼んでくれ。」

 

渋谷「あんた、面白いね。」

 

武内「......そろそろ行きましょう。」

 

 すんません。と謝り控え室へ向かう。

そして三度始まる自己紹介......長えなぁ......しかもそんなところに乱入者が......美嘉だ。莉嘉はいつもの流れで抱きつく。仲良いですね。

それにしても美嘉さん......露出がすごいですね......目のやり場に困ります。

 撮影は残り3人。しかしまぁ......硬いな。あいつらの良さが全然出てない。見かねた武内さんが休憩を要請する。

 

八幡「あいつら硬いっすね。」

 

武内「はい。」

 

カメラマン「どうするんだい?プロデューサーさん」

 

武内「そうですね......比企谷さん、何か案はありますか?」

 

八幡「......あいつらの良さを引き出せれば良いんすよね?なら......3人で遊ばせてみたらどうっすかね?」

 

武内「遊ばせる......ですか?」

 

八幡「はい。適当に......そこのボール使ってとか。」

 

カメラマン「面白い事言うねー!プロデューサーさんどうだい?」

 

武内「そうですね。それで行きましょう。」

 

 3人一緒にとカメラマンさんが指示を出す。戸惑う3人に向かってボールを投げる。本田ナイスキャッチ!おっ、良い感じに遊びだした。.....表情もほぐれてきたな。これなら大丈夫だろう。

 

美嘉「初めてにしてはイイ感じじゃん!......ねぇ、八幡さん、あの子達、今後のスケジュール決まってるの?」

 

八幡「いや、まだなんもだ。」

 

美嘉「そっか......なら..............」

 

 

 

 撮影も終わり、所変わってPR。いるのは今西部長、武内さん、ちひろさん、美嘉、俺。そして、島村、渋谷、本田の8人。

 先ほどの美嘉からの提案について話をしている。提案の内容はこうだ。島村、渋谷、本田の3人を次のライブのバックダンサーとして起用したいとの事。美嘉のプロデューサーの許可はすでにとっているらしい。

 俺は正直あまり乗り気ではない。武内さんの顔を見るが同意見だろう。3人は乗り気のようだが......

 だが、決まってしまった。今西部長の「やってみるといい」の一声で。............嫌な予感しかしねぇ。

 

 

 ライブに向け、あいつらのレッスン自体は問題なく進んでいる。ちょいちょい前川がちょっかいをかけているらしいが......

それよりも気になるのが前にいる武内さんだ。何か資料を持って考え込んでいる。ちひろさんも気にしているようで......

 

ちひろ「何か気になることでも?」

 

武内「あ......いえ......」

 

ちひろ「バックダンサーのあの子達ですか?」

 

武内「はい......正直、早いように思えて......」

 

八幡「俺も同意見です。もう一つ懸念もありますが......」

 

武内「懸念......ですか?」

 

八幡「はい......今回のHappy Princessのライブなら......超満員は確定っすよね?」

 

ちひろ「はい。そうなりますね。」

 

八幡「......そんな中でバックダンサーとして出演。勘違いしなきゃいいなと。」

 

ちひろ「勘違い......ですか?」

 

八幡「自分達の力と勘違いしてデビューしたら......って思っちゃうんすよ。デビューライブなんてほとんど客来ませんよね?」

 

ちひろ「流石にそれは......」

 

八幡「ないっていい切れます?特に本田なんてお調子者ですから。可能性は一番高いです。」

 

武内「......私も失念していました。それに関してはあり得る事ですので、注意しておきましょう。」

 

八幡「......うす。」

 

ちひろ「はい。」

 

 

 

 GWそう連休だ。連休?なにそれ?俺今日しか休みないんだけど......今日一日ダラダラt......Prrrrrrr......誰だ!俺の貴重なy............戸塚ぁぁぁぁ!

 

八幡「もっ!もひもひっ!」

 

戸塚『あっ!八幡?久しぶり!』

 

八幡「おっ、おう!久しぶりだな。」

 

戸塚『急で悪いんだけど、今日空いてるかな?久しぶりに会いたいな。』

 

八幡「おっ、おう。全然問題ないぞ!何時にどこだ?」

 

戸塚『よかった〜。○○の電車でそっち向かうから東京行こうよ!僕、八幡の大学見て見たいな♪」

 

八幡「わ、わかった。あとで何両目に乗ってるか連絡くれ。それじゃ、またな。」

 

戸塚『うん!またね、八幡!』

 

 いやっほーーーーーーーーー!戸塚だ!戸塚だぁ!

 

小町「......お兄ちゃん気持ち悪いよ?」

 

八幡「..........小町ちゃん、見てたの?」

 

小町「見てたもなにも最初から前にいたでしょ?」

 

 そうでした。思わず忘れちゃった。てへっ!......すまん。キモいな。

 

八幡「と言うわけで、お兄ちゃんは戸塚とお出かけしてきます。」

 

小町「はいはい。行ってらっしゃい。」

 

八幡「小町ちゃん?お兄ちゃんの扱いが雑よ?もう少し丁寧に扱ってね?」

 

小町「お土産よろしくね〜」

 

 聞いてねぇ。酷いわ、小町ちゃん......ぐすん。

 

 戸塚と合流し久々に会話を楽しむ。楽しいなぁ〜、幸せだなぁ〜!なんて思っていると駅に着いていた。......早えよ。

 

戸塚「わぁー!やっぱり東京は人がすごいね!」

 

八幡「そうか?慣れちまって感覚麻痺してるわ。」

 

戸塚「そっかー。八幡はすっかり東京の人になってるね!」

 

八幡「そっ、そんな事ないぞ。俺は千葉への愛は一切w...「あれ?比企谷?」......あん?」

 

??「やっぱり比企谷だ。」

 

八幡「.........渋谷か。」

 

渋谷「なにやってんの?今日休みでしょ?」

 

八幡「......友達と遊びに来てんだよ。」

 

渋谷「友達?比企谷友達いたの?」

 

戸塚「八幡、この子は?」

 

 ......どうする。なんて説明すれば.....「しぶりんお待たせー!」oh......本田まで来やがった......

 

本田「しぶりん、どったの?」

 

渋谷「比企谷にたまたま会ってさ。卯月は?」

 

本田「もう来るよ。ほら」

 

島村「お待たせしました。凛ちゃん!未央ちゃん!えっ⁉︎比企谷さん?」

 

八幡「......おう。」

 

 まずい。余計説明しにくくなった......とりあえず......

 

八幡「あー、高校の時の友達の戸塚だ。」

 

戸塚「はじめまして。戸塚彩加です。」

 

渋谷「はじめまして。渋谷凛です。」

 

島村「島村卯月。17歳です!」

 

 やっぱり年言うんですね。

 

本田「本田未央。高校1年生です!この可愛い人はハッチーの彼女かな?かな?」

 

八幡「あー、戸塚は男だ。」

 

「「「......えっ?」」」

 

本田「......は、ハッチーは冗談がうまいなー!」

 

戸塚「えっと.....僕、男の子です。」

 

「「「......うそ...」」」

 

 君らホント仲良いね。

 

渋谷「ひ、比企谷達はどこ行くの?」

 

 無理やり変な空気壊したな。よくやった渋谷。

 

八幡「あー、一応俺の大学を戸塚が見たいって言うんでな。今から見に行くんだ。」

 

戸塚「そうなんだ。すっごく楽しみ!」

 

島村「そうなんですか....私も大学見てみたいです!」

 

渋谷「私も興味あるかも。」

 

本田「えー、つまんないよー。ところでハッチーどこの大学行ってるの?」

 

八幡「あ?早○田だが?」

 

「「「.....えっ?」」」

 

 何?君ら三姉妹なの?息合いすぎでしょ。戸塚も苦笑いしてんじゃん。なにそれ可愛い。とつかわいい......

 

八幡「もう慣れたからいいが......戸塚どうする?」

 

戸塚「僕は全然いいよ?人数多い方が楽しいし♪」

 

八幡「そうか。と言うわけだ。ほれ、行くぞ。」

 

「「「はーい」」」

 

戸塚「八幡の大学楽しみだな〜♪」

 

 楽しいことないと思うんだが...まぁいいか。

 

 一通り校内を見て回り昼時。

 

八幡「昼、どうする?」

 

戸塚「八幡に任せるよ。」

 

八幡「どうすっかな......」

 

本田「ハッチーあそこ行こうよ!」

 

八幡「えっ⁉︎お前ら来んの?」

 

本田「えっ?」

 

八幡「えっ?」

 

島村「あははは......」

 

渋谷「なんか......ごめん。」

 

八幡「......構わん。戸塚、いいか?」

 

戸塚「僕は全然いいよ!そうだ八幡!ご飯食べたらテニスしようよ!」

 

八幡「.....おう。」

 

 昼も食い終わり、テニスのできる施設へ向かっている。......あそこだ、ラウン○ワン。なぜか5人で......どうしてこうなった。「楽しみだねっ!八幡!」楽しみです!

 

渋谷「戸塚さん可愛い......」

 

 渋谷......きこえてるぞ。顔を赤くしてるお前も十分可愛いぞ。」

 

渋谷「比企谷!いきなり何言ってんの!」

 

 どうした渋谷。いきなり叫んで。

 

八幡「あん?」

 

本田「ハッチー気づいてない?」

 

八幡「何をだ?」

 

島村「声に出てました......」

 

戸塚「いつもの八幡だね!」

 

八幡「......マジか。」

 

渋谷「......」

 

八幡「......すまん。」

 

渋谷「......別に。」

 

本田「しぶりん顔真っ赤!」

 

 言ってやるなよ......

 

戸塚「あ、あはははは......」

 

八幡「ほ、ほれ。早く行くぞ。」

 

 逃げるが勝ちだ!............

 

.....................................

戸塚「やっぱり八幡テニス上手だね!」

 

八幡「そうか?まぁ、戸塚には敵わん。」

 

「「「.......」」」

 

八幡「あん?どしたのお前ら?」

 

本田「......ハッチーが運動できるとか意外すぎて。」

 

八幡「何?お前喧嘩売ってんの?」

 

戸塚「八幡は本当に何でもできるよね!バスケも凄く上手だったし。」

 

島村「バスケットですか〜。比企谷さんがやってるところ見てみたいです!」

 

戸塚「じゃあ、次はバスケやろうよ!」

 

八幡「お、おう。そうするか。」

 

 

「「「.......」」」

 

八幡「はぁ......」

 

 やはりバスケはいいな。リョーちんに憧れドリブルを必死に練習し、ミッチーに憧れてスリーを練習しまくった。......見せたことはほとんどないが。

 

渋谷「比企谷......あんたうますぎでしょ。」

 

八幡「......そうか?」

 

島村「すごいです!かっこいいです!」

 

八幡「......お、おう。」

 

本田「いや〜、意外ですなぁ。ガリ勉キャラと思わせておいて、実はスポーツまでできる。ホントにハッチーは面白いよ。」

 

 このっこのっ!と言いながら脇を突いて来る。ウゼェ......こいつのレッスンだけ3倍にしてやろうか?

 

戸塚「そういえば、みんなはどういう繋がりなの?」

 

 忘れた......説明してなかったわ......

 

八幡「あー、バイト先n「本田未央!この間アイドルになりました!ハッチーにはお世話になってます!」......おい、馬鹿本田。何言っちゃってんの?」

 

本田「あれ?まずかった?」

 

八幡「......」

 

本田「あ、あははははは......ごめんなさい。」

 

八幡「......はぁ、ちょっと移動するぞ。ついてこい。」

 

 そう伝え歩き出す。確かカラオケもあったよな?あそこなら誰にも聞かれんだろう。

 

 4人には先に部屋で待っててもらう。全員分のドリンクを取り部屋へ......ちゃんと説明しないとな。

 

八幡「おう。待たせたな。悪いな戸塚、今から説明するが絶対に他人には言わないでくれ。」

 

戸塚「言わないよ。八幡との約束は絶対に守るから。」

 

八幡「助かる。まず、俺のバイト先は346プロだ。知ってるか?」

 

戸塚「勿論だよ!じゃぁ、彼女達は346プロのアイドルなの⁉︎」

 

八幡「ああ。まだデビューしてないがな。でな、俺はこいつらが所属する部署で......プロデューサーのアシスタントをしている。」

 

戸塚「それは......あまり言える事じゃないね。」

 

八幡「だから今まで黙ってた。すまん。」

 

戸塚「教えてくれてありがとう。言えなかったのは仕方ないから気にしないで。」

 

八幡「サンキュ。お前ら。改めて自己紹介しろ。」

 

島村「はっ、はい!島村卯月。17歳です!」

 

渋谷「渋谷凛です。15歳。よろしく。」

 

本田「本田未央。15歳。よろしく......あの......ハッチー、ホントにごめんなさい。」

 

八幡「気にすんな本田。ただ、次から気をつけろ。どうなるかわからんからな。」

 

本田「うん。ありがとう、ハッチー。」

 

八幡「......おう。そんなわけだ。よかったら応援してやってくれ。」

 

戸塚「勿論だよ!ねっ!ライブの予定とかはないの?僕絶対行くよ!」

 

本田「戸塚さん!ありがとうございます!今度出るんですよ!美嘉ねぇのバックダンサーで!......あっ」

 

島渋「「未央(ちゃん)......」

 

本田「あっあはははは......ごめん。」

 

戸塚「もしかしてHappy Princessのライブ⁉︎」

 

八幡「............ああ。」

 

戸塚「僕チケット取ったよ!そっか!すっごく楽しみだよ!みんな頑張ってね!」

 

「「「あっ、ありがとうございます!」」」

 

 本田のバカで色々バレちまったが......しょうがねえか。ま、みんな笑顔だし今回は......いいか。いいのか?いいって事にしよう。うん。

 この後はみんなでカラオケを楽しんだ。

 

「「「比企谷(さん)(ハッチー)!歌うますぎ!」」」

 

 どうしてこうなった......



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8話?

 ライブ。そう、ついにあの3人がデビューする日だ。

 ダンサーをやらせる事に否定的な考えではあったが、ステージデビュー第1号だ。嬉しくないはずがない。ただ、当の3人は......ガッチガチだ。大丈夫なの?この子たち。島村なんか同じ方の手足が同時に出てるよ?

 ダンサー控え室で挨拶を済ませ、次は本命のもとへ。Happy Princessの控え室だ。

 控え室にいるのはご存知、川島さん、小日向、日野、佐久間......あれ?美嘉いねえじゃん。あいつ何やってんの?またどっかで緊張ほぐそうとしてんの?「おっはようございまーす!」......来てなかっただけかよ。俺の心配を返して!

 美嘉、日野......お前らの挨拶暑苦しいな。何人だよ......と眺めているとお偉いさん方が入って来た。

 

川島「本日は、宜しくお願いします。」

 

 川島さんの一声のもと、全員がお辞儀。勿論俺もしたよ?当たり前じゃないですか。おいっ!そこの3人!ちゃんと挨拶しなさい!特に渋谷!

 

 

 挨拶廻りも終わり現在はリハーサル。

 

八幡「......まずいっすね。緊張しすぎです。」

 

武内「......はい。ですが、もう少し様子を見ましょう。」

 

八幡「......うす。」

 

 

 本番。どこかで戸塚も見ているのだろう。

 

八幡「武内さん、もう時間すよ?どうします?」

 

武内「......小日向さんと日野さんの力をお借りしようかと思います。このような時は先輩の言葉がいいと思いますので。」

 

八幡「......そうっすね。」

 

武内「では、行ってきます。」

 

 そう言いながら武内さんは2人のもとへ。こういう時自分の経験の無さが恨めしい。何も出来ない、してやれないことが悔しい。

 

八幡「クソッ......」

 

武内「比企谷さん。気に病まないでください。」

 

八幡「あ、すんません。でも......悔しいっす。これから頑張るあいつらに何もしてやれないってのは。」

 

武内「それは私も同じです。寄り添うことは出来ても、一緒にステージに立つことは出来ませんから。」

 

八幡「......武内さんでも、そうなんすか?」

 

武内「はい。ですので私達は私達に出来ることを精一杯やりましょう。」

 

八幡「......うす。」

 

 

 小日向と日野が3人のもとへ。あ?ホカホカご飯?日野何言ってんだ?しかも3人でジャンケン?......よくわからん。だが......いい顔にはなったな。

 そしてスタンバイ......

 

 はじまる。

  

 あいつらのデビューステージが。

 

 俺と武内さんはモニター越しに見守る。

 

 やべえ。めちゃくちゃ緊張する。

 

 そして......

 

 

 !!!!

 

八幡「よしっ!」

 

 出だしは成功。思わず声を出しガッツポーズ。武内さんも一息つき安堵の表情だ。

 

八幡「凄く緊張するんすね。これが子供を送り出す親の気持ちっすか?」

 

武内「わかりませんが.............似ているかもしれませんね。」

 

 その後は無言でモニターを見つめていた。

 みんないい笑顔だな。

 

 曲も終わり美嘉のMCだ。やってくれる......自分のアピールタイムをあの3人に使うとは。あっ、感想聞くんかよ。島村慌てすぎ......そして......

 

「「「サイコー!!!!!」」」

 

 ほんと最高の笑顔だよ。......クサいな。

 

 

 「全プログラム終了です。」の言葉とともに一斉に拍手が起きる。いいもんだな。達成感が半端ない。......俺何もしてないけど。

 3人が美嘉、小日向、日野、川島さん、佐久間と順に言葉をもらっている。そして......

 

武内「お疲れ様でした。」

 

 一言。おいっ、泣くな島村!......もらっちゃうじゃねえか。まずい、違う事を考えねば......涙目の島村かわいいな......じゃなくて!だれか助けて〜!

 

 まあ、何はともあれ。お疲れさん。

 

 

 

 皆さん、俺の本業はご存知だろうか?

 そう学生だ。誰に言ってんだ?大学に来ていない訳では無いのだが、バイトの内容が濃すぎて......

 今日はバイトもなく、講義が一コマ休講になった為、予定が全くない。帰ってもいいのだが、何となく持ってきた本を読もうと思い構内のカフェへ。

 

八幡「おー、やっぱ講義中は空いてんな。」

 

 適当な席を陣取りコーヒーを注文。少し待ち、コーヒーが来たところで本を読みだす。

 

八幡「...........................................................あれ?なくなってら。」

 

 本に夢中になっていて、いつのまにか飲み干していたようだ。おかわりを頼もうと視線を前に向けると......何故か女性が座っていた。同じテーブルに。周りガラガラなのに。

 思わず驚いてしまい、ビクついた結果......テーブルを蹴りました。てへっ。

 

 

女性「(ビクッ)」

 

 キョロキョロとした後目が合う。とても美人です。

 

八幡「あ、すんません。」

 

 何で俺が謝ってんだ?

 

女性「............いえ、............大丈夫です。」

 

八幡「えっと......どちら様で?」

 

女性「.........鷺沢文香と申します。」

 

八幡「あっ、これはどうもご丁寧に。比企谷八幡です。質問なんですが、どうしてこの席に?」

 

鷺沢「ご迷惑......でしたでしょうか?」

 

八幡「いっ、いや、迷惑って訳じゃ無いんですが......他に空いてるのに何で相席なのかなと......」

 

鷺沢「......本を......読まれていたので。」

 

八幡「......本、ですか?」

 

鷺沢「はい。............どの様な本を読まれているのか.........気になったので。」

 

八幡「な、なるほど。コレなんですけど......」

 

 カバーを取りタイトルを見せる。目がさっきより輝いてる......様に見える。隠れてて判断し難いが。

 

八幡「......読みます?」

 

鷺沢「......よろしいのですか?......途中の様ですが......」

 

八幡「大丈夫ですよ。今は2回目なんで。」

 

鷺沢「では......少し、お借りします。」

 

 こうして謎の読書会が始まった。俺も鷺沢さんに借りた本を読んでいる。

 ......なぜか、凄く心地いい。この空気感が。

 

 

八幡「はっ⁉︎」

 

 気づくと太陽が傾いてきている。さすがにそろそろ帰るか......

 

八幡「あの、鷺沢さん?」

 

鷺沢「......」

 

八幡「鷺沢さん......」

 

鷺沢「......」

 

 えっ?何?新手のシカト?............じゃないな。集中しすぎて全く気づいてないんだわ。

 もう何度か呼ぶが全く気づかない。目の前で手をフリフリしても気にしない......仕方なく本を取り上げみる。

 

鷺沢「......ぁっ......」

 

 そっ、そんな悲しそうな顔しないで!罪悪感半端ないから!

 

八幡「すんません。気づかない様でしたんで......」

 

鷺沢「......すみません。......いつも......こうなのです。本を読んでいると......」

 

八幡「大丈夫っすよ。......よかったらその本貸しましょうか?」

 

鷺沢「......良いのですか?」

 

八幡「はい。かわりにコレ、借りていいっすか?」

 

鷺沢「......はい。そちらでよろしければ......どうぞ。」

 

八幡「じゃ、遠慮なく。」

 

鷺沢「......比企谷さん。あの......連絡先を.......教えて頂けますか?」

 

八幡「......そっすよね。返せなくなっちゃいますもんね。」

 

 こうして連絡先を交換し、鷺沢さんは帰っていった。不思議な人だったな。でも、メンバー集めてる時だったらスカウトしてたかも......

 

 

 ライブも無事成功した数日後、俺は武内さんに呼び出されていた。なんでも重要な話しがあるらしい。......多分あの事だろうけど。

 

武内「比企谷さん。ユニット企画......CDデビューの企画が通りました。」

 

八幡「おぉ......ついにっすか。」

 

武内「はい。ついにです。」

 

八幡「一発目は予定通りっすか?」

 

武内「はい。新田さん・アナスタシアさんのユニットと島村さん・渋谷さん・本田さんの3人です。」

 

八幡「......うす。報告は?」

 

武内「本日の夕方を予定しています。それと、デビューライブの開催も同時に行います。」

 

八幡「⁉︎ライブ......ですか。」

 

武内「会場等はまだ決まっていませんが、イベントスペースを使っての開催だと思って下さい。」

 

八幡「わかりました。その話は?」

 

武内「会場等、全て決まってから伝えます。」

 

八幡「......あいつら、大丈夫っすかね」

 

武内「わかりませんが......私は彼女達を信じます。」

 

八幡「......うす。」

 

 

 そして夕方。前に立つ武内さんと俺。対峙する様にメンバー達。緊張するよぅ.........

 

武内「んんっ。......本日は、重要な連絡があります。それでは比企谷さん、お願いします。」

 

八幡「......うす。あー、そのだな......「早く言うにゃっ!」うるさい。黙れ、前川。はぁ、決まったわ。CDデビュー。」

 

渋谷「へえ、そうなんだ。」

 

 反応薄いな......大した事なかった?

 

前川「って!」

 

島村「CD!」

 

本田「デビュー⁉︎」

 

全員「ええええええええええええ!」

 

 うおっ!びっくりした。いきなり大声出すんじゃねえよ!

 

前川「はっちゃん、さらっとなんて事言うにゃっ!思わず流しちゃったにゃ!」

 

八幡「あん?お前が急かすからだろ?俺は悪くない。お前が悪い。」

 

前川「うっ......」

 

新田「誰......ですか?」

 

八幡「......まず、新田、アナスタシアの2人。それと......お前らだ。島村、渋谷、本田。こっちは3人のユニットだな。第一陣としてこの2組だ。」

 

 叫びながら島村に抱きつく本田。「どうしよう......」と呟きながら頬に手をあてる新田。反応はそれぞれだが全員嬉しそうだ。

 

莉嘉「ずるい!アタシは?アタシもCD出したい!」

 

 まぁ、そらそうだわな。莉嘉に近づき頭に手をのせる。

 

八幡「悪いな莉嘉。もうちょっと待っててくれ。」

 

 なでなで

 

莉嘉「......うん。」

 

みりあ「みりあもー!」

 

八幡「.....おう。」

 

 なでなで

 

2人「えへへへ......」

 

前川「気持ちよさそうにゃ......」

 

武内「企画は検討中ですので、少しお待ちください。」

 

 

 

 ライブ会場も決まり、2組にその旨を伝えた。......今の所、懸念している様な反応はない。それよりも今の問題はユニット名だ。

 

新田「......」

 

アナスタシア「......」

 

八幡「......」

 

新田「比企谷君......助けて。」

 

八幡「......俺に言うなよ。」

 

アナスタシア「ヒキギャ......ヒキャ......ハチマン、助けて、ください。」

 

 なにそれ可愛い。

 

八幡「おう。任せろ。ユニット名の案だったな。」

 

新田「......私の時と違う。」

 

八幡「そ......しょんなことないじょ?」

 

新田「むー......」

 

 噛んだ。悪いのは俺じゃない!可愛いのが悪いんだ!可愛いは正義!......あれ?これじゃ悪いの俺じゃん。

 

八幡「まあ、あれだ。とりあえず考えよう。」

 

新田「......だから助けてって言ってるじゃない。それなのに比企谷君はアーニャちゃんだけ甘やかして......」

 

八幡「それは違う。これは俺のお兄ちゃんスキルがオートで発動してだな......」

 

アナスタシア「名前、決めましょう。」

 

八新「「......はい。」」

 

八幡「じゃあまず聞くが、2人はどんなユニットにしていきたいとかはあるか?」

 

新田「うーん......」

 

アナスタシア「アーニャ、星、好きです。星みたいに、キラキラ、したいです。」

 

八幡「......いいな。新田は何かないか?」

 

新田「......私は、スカウトされてここに来て。これから自分がどうなっていきたいとかまだ全然......」

 

八幡「......ま、普通はそうだ。だがな、お前はもう普通じゃない。アイドルなんだ。まずはそれを自覚しろ。」

 

新田「普通じゃない......アイドル......」

 

八幡「そうだ。これからはファンに愛されて生きていくんだ。......お前は、自分を信じられるか?愛せているか?」

 

新田「......今はまだ。」

 

八幡「今はまだそれでいい。でもな、俺はお前を信じてる。お前を愛する。」

 

アナスタシア「アーニャも、ミナミ信じます。愛します。」

 

八幡「だからまずは、お前を信じて愛する俺とアナスタシアを信じろ。」

 

 武内さん。前俺に言ってくれた言葉借りました。

 

新田「‼︎......2人を信じる......」

 

アナスタシア「素敵、ですね。名前にлюбовь。愛、入れたいです。」

 

新田「うんっ!私も愛を届けたい。」

 

八幡「いいじゃねえか。あとは星にちなんで一言入れるか?」

 

アナスタシア「なら、Лайка。LAIKAは、どう、ですか?」

 

新田「......?」

 

八幡「あー、確かソ連の犬だったか?宇宙に行った。」

 

新田「八幡君、本当に物知りだね。」

 

 あ?名前呼び?急にどしたの?ま、いいか。

 

八幡「じゃあ、2つをつなげて『LOVE LAIKA』で、どうだ?」

アナスタシア「прекрасный!素敵、ですね。ミナミ、どうですか?」

 

新田「本当に素敵な名前。ありがとう。お陰で助かっちゃった。」

 

八幡「気にすんな。結局俺は何もしてない。案を出して決めたのはお前らだ。」

 

アナスタシア「違い、ますね?ハチマンは、道をつくりました。」

 

新田「そうだよ。八幡君が私達の道を......宇宙への軌跡を作ってくれたの。」

 

八幡「......じゃ、まあ、そう言うことにしとくわ。」

 

新田「素直じゃないね。」

 

アナスタシア「ハチマンは、ヒネ......ヒネ、デレ?ですね?」

 

 なっ⁉︎なぜその呼び方を!

 

八幡「おい、アナスタシア。誰にその呼び方を聞いた?」

 

新田「美嘉ちゃんと莉嘉ちゃんがいつも言ってるけど?」

 

 あいつらかああああああああ!

 ......あとでお仕置きだな。

 

アナスタシア「ハチマンは、Старший брат。兄さん?みたいですね。」

 

新田「たしかにそうね。ね?八幡お兄ちゃん?」

 

 ごふっ!そ、それは破壊力が凄すぎるぞ......

 

アナスタシア「兄さん、ですね?兄さん、アーニャはアーニャと、呼んでください。」

 

新田「じゃあ、私は美波ね?」

 

八幡「いや、......それは。」

 

新田「ダメ......」

 

アナスタシア「.....ですか?」

 

 合体技.....だと?しかしこの程度で落ちる俺ではない!

 

八幡「ダメ「兄さん......」......じゃない。」

 

 勝てませんでした。てへっ。

 

八幡「はぁ......美波、アーニャ。これでいいか?」

 

美波「うんっ!」

 

アーニャ「はい!」

 

 なんか最近こんなのばっかだな......

 

[ー

 LOVE LAIKA命名会議も終わり、PRに戻る。

 室内には......三体の屍と渋い顔の武内さん。

 武内さん......ついに殺ってしまったんですね......

 そして大量の文字が書かれたホワイトボード......この言い回しだと殺人現場みたいだな。

 

八幡「......なにやってんすか?」

 

武内「比企谷さん、お疲れ様です。新田さん達は......」

 

八幡「決まりましたよ。いい名前が。」

 

武内「そうですか。ありがとうございます。」

 

本田「うそ......」

 

八幡「まあ、あの2人は本田と違ってセンスがいいからな。」

 

本田「ハッチーひどい!」

 

八幡「酷くない。俺は事実を言っただけだ。フライドチキンとか豚汁って......馬鹿なの?」

 

本田「何で私って決めつけるの!」

 

八幡「あ?違うのか?渋谷か?」

 

渋谷「まさか。」

 

八幡「島村か?」

 

島村「ちっ、違います!」

 

八幡「......」

 

本田「......ごめんなさい。私です。」

 

 はぁ、最初からわかってるっての。

 

島村「ところで、お2人のユニット名は......」

 

武内「伺ってもよろしいですか?」

 

八幡「はい。『LOVE LAIKA』です。」

 

渋谷「カッコいいね。でもライカって何?」

 

八幡「LAIKAってのは宇宙に行ったソ連時代の犬の名前だ。ま、ユニット名の意図は本人達から直接聞いてくれ。」

 

武内「素敵な、お2人らしい名前です。」

 

島村「響も綺麗です......」

 

渋谷「ねぇ、よかったら比企谷もこっち手伝ってよ。」

 

八幡「やだよ。もう疲れたし。まあ、案がないことはないがな。」

 

本田「ハッチーの意地悪!悪魔!八幡!」

 

八幡「おいコラ本田!八幡は悪口じゃねえだろ!」

 

本田「ふーんだ。意地悪なハッチーは悪魔だもーん。八幡だもーん。」

 

八幡「ほーん。......すまんな渋谷、案は今消え去った。自分達で考えてくれ。俺は悪魔だからな。」

 

渋谷「あ、うん。なんかごめん。未央......」

 

島村「未央ちゃん......」

 

武内「本田さん......」

 

本田「うっ......ごめんなさい。助けて下さい。ハッチー様。」

 

 仕方ない。「消していいか?」と一声かけてホワイトボードの文字を消し、俺の考えを綴る。

 

『new generations』

 

八幡「本田、読め。」

 

本田「にゅーじぇねれーしょんず?」

 

八幡「続いて訳せ。」

 

本田「......しまむーパスッ!」

 

島村「わっ私ですか⁉︎」

 

 本田......ここまでおバカだったとは......お前もか渋谷。目をそらすな。

 

島村「新しい......時代......ですか?」

 

八幡「よくできた。正解だ。」なでなで

 

島村「えへへへ......気持ちいいです。」

 

八幡「まぁ、お前らの新しい時代が始まるって感じだ。」

 

 なでなで

 

本田「やるなハッチー......」

 

島村「ふぇ......カッコいいです〜......」

 

渋谷「うん。いいと思う。」

 

 なでなで

 

八幡「どうっすかね?」

 

武内「はい。いいと思います。皆さんに合ったいいユニット名かと。ですが......そろそろ手を......」

 

八幡「えっ?あっ、すまん。」

 

島村「えへへへ.......あっ!」

 

渋本「「ジー......」」

 

 し、視線が痛い。

 

武内「んんっ。では、ユニット名は『new generations』ということで。」

 

 まぁ、2組とも無事決まってよかったわ......

 

渋本「「ジトー......」」

 

 ......そんなに睨まないで!怖いよ〜!

 

島村「えへへ〜。比企谷さんのなでなで気持ちよかったです。」

 

 

 

 今日もいい天気だ......絶好のレコーディング日和だな。......天気関係ねえじゃん。屋内だし。

 付き添いには武内さんが、ニュージェネの3人も見学に行く予定。俺は渡された書類をまとめるよう言われている。

 午後は気分転換にカフェでやろうかと思い、一通り必要な物を持って移動中。

 

 

八幡「あ、安部さんお疲れ様っす。」

 

安部「比企谷さんですか!私のことはウサミンと呼んでくださいっていつm「アイスコーヒーお願いします。」......はい。」

 

 すまん、ウサミン。さすがに恥ずかしいです。心の中ではちゃんとウサミン呼びするから許してね?

 

 コーヒーも届いた為、仕事に没頭。あぁ、あれだ。俺完全に社畜だわ......

 

 .....................................んあ?

 なんか騒がしいな。バリケード?あんなのやるやついるんだな。七日間戦争かよ......

 

??「......週休8日を要求するー!」

 

 何それ!最高じゃないですか!そんなアホなこと言うの俺と双葉以外に......って本人かよ。それと莉嘉に前川?何やってんだ?そうか、デモというかストライキか?「......美嘉ねえも泣くぞぉー!」こりゃ莉嘉は落ちるな。あ、やっぱり。ブレませんね。

 

前川「みくたちのデビューを約束してほしいにゃー!」

 

 ‼︎......あいつらそこまで......。気づかなかった俺らの責任だな......前川の言葉が突き刺さる。「デビューしたい!」その言葉が凄く重い。

 理解はできる。だが納得はできない。なら俺のやることは......

 

八幡「おい、前川。」

 

前川「はっちゃん......」

 

八幡「お前、何やってんの?」

 

前川「デビューしたくて!それで!」

 

八幡「それでこんなおままごとみてえな事やってんのか?」

 

前川「おままごとって......ミクは真剣に!」

 

八幡「真剣にやってこれか。ならお前明日から来なくていいわ。」

 

前川「えっ......」

 

八幡「本気でアイドル目指してるやつ、デビュー出来なくても頑張ってるやつ、オーディションにすら受からなくて泣いてる奴らに失礼だ。」

 

前川「そんな......ひどい。」

 

八幡「酷い?んな事ねえよ。実際に酷いのはお前だ前川。本気でアイドル目指してる奴らの席を無駄に食いつぶしてんだ。お前以上に酷い奴がいるか?」

 

 いつのまにか武内さんが近くに来ている。悲しそうな申し訳なさそうな顔をしている。

 

八幡「この346プロにだってお前より先に入ってまだデビューできてない奴らは大勢いる。

 そいつらがこんな事してるか?してねえよな?理由は簡単だ。お前と本気の度合いが違うからだ。

 それで私は真剣です?はっ!ふざけんな!バカにすんな!どいつもこいつも真剣だ!真剣じゃない奴なんてどこにもいねえ!

 デビューできない奴らだって、足掻いてもがいて苦しんで!諦めて辞める奴だっている!その中の一握りだけが本物を掴んでアイドルになってんだ!

 この程度で不貞腐れるくらいなら......アイドルなんてやめちまえ......」

 

前川「はっちゃん......」

 

武内「......申し訳ございません。」

 

前川「Pチャン......」

 

武内「デビューは、全員分考えています。......まだ決定ではないので言えませんでした。」

 

前川「そんな......」

 

武内「ですが前川さん。比企谷さんに言われた事は、重く受け止めて下さい。言い方は乱暴ですが事実です。比企谷さんも私も、あなたを......あなた達に期待しています。」

 

前川「Pチャン......はっちゃん......みく......」

 

八幡「......その、わりい。言いすぎた。」

 

前川「......はっちゃんは謝らなくていいにゃ!謝らないといけないのはみくにゃ!それと......

 

アリガト、はっちゃん。」

 

八幡「......おう。ほれ、片付けて謝り行くぞ。」

 

前川「わかったにゃ!」

 

 それからCP全員で片付けを行った。武内さんと俺は前川を連れ各所へ謝罪。勿論部長のところも。

 各所への謝罪、カフェの片付けを済ませメンバーは集まって話を。俺は武内さんとそれを眺める。

 

八幡「武内さん。すみません。」

 

武内「私の方こそ申し訳ございません。私の配慮が足りないばかりにこの様な事に......」

 

八幡「それは俺もです。内情を知ってるわけですから。それと、やめちまえ・来なくていいは言い過ぎました。」

 

武内「たしかにそれはあります。ですが今回は不問です。忘れてしまっていましたが、比企谷さんの言葉で思い出す事も沢山ありました。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

武内「前川さんも同じ事を言っていました。比企谷さん、心に響く......いいステージでした。」

 

八幡「何言ってんすか......」

 

武内「......ようやく以前に聞いたことが理解できたのです。あなたはずっとこうしてきたのですね。ご自身を犠牲にして。」

 

八幡「......犠牲にとは思っていません。一番効率のいい事をしてきただけです。」

 

武内「ですが、これからは私もいます。」

 

八幡「............頼らせてもらいます。」

 

武内「はい。では私は再度報告がありますのでこれで。彼女達のこと、お願いします。」

 

八幡「......うす。」

 

 武内さんマジかっこいいわ......背中を見送りながら思う。あんな男になりてえな......

 

前川「はっちゃん!」

 

八幡「おっ、おう。」

 

前川「その......ホントにありがとにゃ!言葉は汚かったけど、はっちゃんの本気が伝わってきたにゃ。みくにも......本物捕まえられるかな?」

 

八幡「......おう。お前ならな。多分、知らんけど。」

 

前川「......うんっ!」

 

 元気に頷き走っていく。......今までで最高の笑顔だよ。

 

渋谷「ねえ、比企谷。」

 

八幡「ん?どした?」

 

渋谷「あんたって、ホントは熱いんだね。」

 

八幡「は?俺ほどクールな奴はいないだろ?」

 

渋谷「そんなことないよ。さっきのあんた......かっこよかった。」

 

八幡「......さいで。」

 

渋谷「そのさ......本物って、何?」

 

八幡「俺にもわからん。それこそずっと探してる。」

 

渋谷「そっか......なら、手伝ってよ。私の本物探し。」

 

八幡「探してる奴にそれ言うか?」

 

渋谷「いいじゃん。あんたとなら見つけられる気がするから。」

 

八幡「わかった。付き合うよ、渋谷。」

 

渋谷「ありがと。ねぇ、凛って呼んでよ。」

 

八幡「......なんでだよ。」

 

渋谷「莉嘉とかみりあは呼んでるじゃん。今更2人も3人も変わらないでしょ?苗字で呼ばれるの好きじゃないし。」

 

八幡「......わかったよ。凛。」

 

凛「ふふっ。これからもよろしくね、八幡。」

 

 ‼︎......いきなり名前呼びは反則だろ。なれねえんだよ。

 

 

 それにしても......今回は盛大にやらかしたな。 めちゃくちゃ恥ずかしい......



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9話?

 ライブ前日。

 懸念した様な事は起きていない。ただ、何が起きるかわからない。

 

八幡「(一応手は打っとくか......)」

 

 

 そして当日。

 ......嫌な予感が的中した。本田だ。「お客様いっぱいになったら......」とやはり勘違いをしている。

 

 

八幡「(まずいな......)」

 

八幡「武内さん、まずいっすよ?」

 

武内「まずい......ですか?」

 

八幡「前に言った勘違い。確実に本田がしてます。」

 

武内「⁉︎先ほどの......」

 

八幡「......はい。客でいっぱいになると思い込んでます。」

 

武内「すみません。気づきませんでした。」

 

八幡「......一応手は打ってあります。また......少しやらかすかもしれませんが......任せてもらえませんか?」

 

武内「それは!」

 

八幡「......やらせてください。」

 

武内「......私の判断で止める事もあります。宜しいですか?」

 

八幡「......はい。」

 

 

 そして始まる。まずはLOVE LAIKA だ。

 

 

八幡「美波、アーニャ。どうだ?」

 

アーニャ「ドキドキ、してます。」

 

美波「緊張でどうにかなりそう......」

 

八幡「......みんな同じだな。」

 

アーニャ「同じ、ですか?」

 

八幡「ああ。同じだ。今日応援に来てる美嘉だってライブ前は緊張してんだぞ?」

 

美波「そう......なの?」

 

八幡「おう。何回やっても慣れないそうだ。大切だからな。大切なステージだから緊張するんだと。」

 

美波「そっか......」

 

八幡「その緊張も含めて、楽しむらしい。」

 

アーニャ「緊張を、楽しむ、ですか?」

 

八幡「おう。その緊張もパワーにしてステージにぶつける。どうだ?できそうか?」

 

美波「すごい力になりそう!」

 

アーニャ「да!」

 

八幡「いい笑顔じゃねえか。」

 

美波「......うん!ありがとう!」

 

アーニャ「兄さん、ありがとう。」

 

八幡「おう。じゃ、行ってこい!」

 

美ア「「はいっ!」」

 

 

 2人がステージへ。

 

 いいな。2人とも楽しんでる。......2人もお客さんもいい笑顔だ。

 

 曲も終わり涙を流す2人。もらい泣きする俺......

 

本田「ハッチーなに泣いてんの?」

 

八幡「うっせ。見んな。」

 

凛「八幡も泣くんだね。」

 

島村「ちょっと意外です!」

 

八幡「それよりお前ら、準備はいいか?」

 

本田「?モチロン!」

 

八幡「......笑顔、忘れんなよ。」

 

3人「「「?????」」」

 

八幡「......行ってこい。」

 

 

 ニュージェネのステージ。

 

 全く笑えていない。いや、笑えてないわけではない。正確に家は引きつった作られた笑顔。ファーストステージと比べると散々な出来だ。

 

 曲も終わり呆然としている3人。なんとか言葉を絞り出しているが気持ちはこもっていない。

 

 そして......

 

 

 

 逃げ出す本田......

 

 

 

美波「未央ちゃん!」

 

アーニャ「未央!」

 

 呼びかけに応じない本田。......やるか。

 

八幡「おい、本田。」

 

本田「......何?」

 

八幡「なんだあのザマは。」

 

本田「‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

美波「八幡君!」

 

アーニャ「兄さん!」

 

 2人を武内さんが止めてくれる。

 

八幡「ステージに出る前、なんて言ったか覚えてるか?」

 

本田「......笑顔......忘れるな。」

 

八幡「......お前、笑えてたか?」

 

本田「......笑えないよ。笑えるわけないじゃん!なんで?お客さん全然いないじゃん!あの時と全然違う!なんでなの?」

 

美嘉「......それって、アタシの時の⁉︎」

 

八幡「あ?お前何勘違いしてんだ?」

 

本田「かん......ちがい?」

 

美嘉「あっ......」

 

 美嘉は理解した様だ。目配せをし美嘉も頷いてくれたので続ける。

 

八幡「本田だけじゃない。島村と凛もだ。」

 

 矛先が向いたことに驚き2人も肩を震わせる。

 

八幡「いいか?あん時の客はお前らの客じゃない。美嘉達の客だ。

 たまたまお前らが出ただけなんだよ。言い方は悪いが、お前らのことなんざ一切見に来てない。美嘉が紹介するまで気にもとめてなかった。

 それを自分達の力と『勘違い』した。だからこんな無様なステージになったんだ。」

 

本田「それじゃ......私、馬鹿みたいじゃん......」

 

八幡「はっ!今更気づいたって遅えよ。そうだ、お前は馬鹿だ。お客さんでいっぱいになる?通行の邪魔になる?笑わせんな。今のお前らにそんな力あると思ってんのか?呼ばれたステージに立たせてもらった程度で調子にのってんじゃねえよ。」

 

 島村も凛も気づいたのか顔が青くなっている。俺の計画では本田に逃げ出して貰わないといけない。......もう一手。武内さんに止められるかもしれんがやるか......

 

八幡「なぁ、本田。」

 

本田「......何?」

 

八幡「お前、リーダー失格だな。」

 

武内「比企谷さん!それは!」

 

本田「うっ!」

 

 泣きながら走り去る本田。俺を睨む凛。呆然とする島村。計画......通り。

 

前川「......はっちゃんもしかs「黙ってろ。」......わかったにゃ。」

 

八幡「島村、凛。俺が言えたことじゃないが、ついてやっててくれ。」

 

 俺を一瞥し追いかける2人。完璧だ。

 

武内「比企谷さん......」

 

八幡「もう少し待ってください。まだやることがあるんです。」

 

 携帯を取り出し、prrrrrrrr......

 

??『もしもし?八幡?』

 

八幡「悪いな戸塚。予想通りだわ。」

 

戸塚『......仕方ないな、八幡は。』

 

八幡「○○を通ると思うから捕まえてくれ。」

 

戸塚『わかった!任せて!』

 

八幡「すまんな。今度なんかおごるわ。」

 

戸塚『うん!楽しみにしてる!』

 

 

 通話を終えるとすぐに......

 

武内「どういうことですか?」

 

八幡「......少し、離れましょう。」

 

 

 声の届かない場所へ移動。ここなら大丈夫そうだ。

 

八幡「......多分ですけど、こうしなきゃ本田が辞めるって言い出したと思うんすよ。

 武内さんが説得出来たとしても、本田は戻りにくくなる。」

 

武内「それは......」

 

八幡「なら、メンバーのヘイトは俺に集めてしまえばいい。それなら戻りやすいじゃないっすか。まあ、前川あたりは気づいてるみたいっすけど。」

 

武内「ですがなぜ比企谷さんが!」

 

八幡「いいんすよ。いつもと変わんないです。」

 

前川「ダメにゃっ!」

 

 いつのまにか前川が来ていた。

 

前川「みくは、はっちゃんに助けられたにゃ!そんなはっちゃんが......みんなに嫌われるなんて絶対ダメにゃ!」

 

八幡「前川......」

 

前川「みくも手伝うにゃ!はっちゃん!何すればいいの!」

 

八幡「......あー、悪いな。予定がうまくいけば、武内さんが本田の家に一回行けば済むんだわ。」

 

武内「なっ⁉︎どういう......ことですか?」

 

八幡「さっきの電話、俺とあいつらの共通の知り合いなんすよ。応援してくれるって言ってたし呼んでおいたんです。あとは、戻ったら話します。」

 

前川「............はっちゃん何者にゃ?」

 

 

 

 

 未央、大丈夫かな......八幡言いすぎ。私も怖かったし......あんな顔するんだ。でも、すごく悲しそうな顔だった......私達があんな顔させちゃったんだよね.....

 

 あっ!未央いた!

 

卯凛「未央(ちゃん)!」

 

未央「しまむー、しぶりん......ごめん。私、ハッチーの言う通りリーダー失格だよね......」

 

凛「未央......」

 

 言葉が出てこない。どうしよう......

 

??「あっ!みんな〜!」

 

 だれ?えっ?戸塚さん⁉︎

 

戸塚「みんなお疲れ様!約束通り応援に来たよ!」

 

凛「あ、ありがとう。」

 

卯月「ありがとうございます!」

 

未央「......ありがとう、ございます。」

 

戸塚「?本田さん元気ないね?どうしたの?」

 

卯月「え、えとー。そのー......」

 

戸塚「八幡に何か言われちゃった?」

 

未央「なっ......んで?」

 

戸塚「なんとなくかな?......て言うのは嘘で、八幡から依頼されてたんだ。みんなを元気づけてやってくれって!」

 

凛「えっ?あいつこうなるのわかってたの?」

 

戸塚「予想はしてたみたいだよ?言うなって言われたんだけどね。」

 

 たはは......と笑う戸塚さん。可愛いな。何で男なんだろ?じゃなくて!

 

凛「じゃあ、わざとあいつは未央に暴言吐いたの?」

 

戸塚「......何を言ったかは知らないけど、多分そう。高校の時からそうだったから......」

 

卯月「そんな......」

 

戸塚「ね、みんな。八幡のこと知りたくない?」

 

未央「......そんなの、知ってd「私は知りたい。」......しぶりん......」

 

凛「卯月は?」

 

卯月「私も!......知りたいです!」

 

凛「どうするの?未央。」

 

未央「私は......」

 

凛「逃げないでよ!私は知りたい。どうしてこんなことしたのか!それと、あいつが言ってた本物を知りたい!ここで終わるのは......いや。」

 

卯月「凛ちゃん......」

 

未央「............わかった。聞く。」

 

戸塚「うん!じゃあ、ちょっと待ってて。」

 

 

 そう言って戸塚さんは電話をかける。他に誰か来るのかな?戸塚さんの話だと、2時間後に近くのカフェに集合みたい。「着替えて来ていいよ」と言ってくれたのでお言葉に甘えよう。

 戻るとプロデューサーが待ってた。八幡は......帰ったのかな......

 

 

 

 

 まもなく約束の時間。戸塚さんと私達はもう席についている。でも何で個室?ちょっと緊張するな......

 扉をノックする音に「どうぞ。」と戸塚さんが応え......

 

??「お待たせして申し訳ないわね。」

 

??「彩ちゃん、やっはろー!おまたせ!」

 

 2人ともすごい美女だ......この人達なの?

 

戸塚「雪ノ下さん、由比ヶ浜さん久しぶり。急にごめんね?」

 

??「構わないわ。」

 

??「そうだよ彩ちゃん!近くにいたし!」

 

戸塚「ありがと。みんな紹介するね。八幡の友達の雪ノ下さんと由比ヶ浜さん。」

 

雪ノ下「はじめまして。雪ノ下雪乃です。」

 

由比ヶ浜「由比ヶ浜結衣!よろしくね!さっきのライブ見てたよ!かっこよかったな〜」

 

雪ノ下「由比ヶ浜さん、少し落ち着きなさい。戸塚くんいいかしら?」

 

 私の正面に座っている雪ノ下さん?はすごく上品。なんか萎縮しちゃう。

 

戸塚「うん!知ってると思うけど、八幡がいるところのアイドルで、島村さんと渋谷さん。それに本田さん。」

 

卯月「島村卯月です!宜しくお願いします!」

 

凛「渋谷凛です。よろしく....「(ギロッ)」お願いします。」

 

未央「......本田未央です。よろしくお願いします......」

 

 ......今睨まれた⁉︎怖い!この人何?

 

雪ノ下「戸塚君、呼ばれた理由はなんとなくわかっているけれど、一応説明をお願いしていいかしら?」

 

戸塚「うん。八幡から依頼受けてたんだ。多分本田さん達が落ち込んじゃうから、元気づけてほしいって。簡単に言うとそんな感じ。」

 

雪ノ下「はぁ......まったく、あの男は......わかったわ。ライブを失敗した彼女たちに比企谷君が暴言を浴びせた。で間違いないかしら?」

 

由比ヶ浜「あ、あははは......」

 

凛「......そうですけど、わかるんですか?」

 

雪ノ下「ええ、わかるわ。私と由比ヶ浜さんは彼とずっと一緒にいて......何度も助けられてきたのですもの。」

 

卯月「助けられた、ですか?」

 

雪ノ下「ええ、そうよ。そして、今回のあなた達も一緒かしらね?......特に、本田未央さん。」

 

未央「(ビクッ)............私が、助けられた?」

 

雪ノ下「理解出来ないのも無理はないわ。では、少し昔話をしましょう。これは私の友人の話しなのだけれど......」

 

由比ヶ浜「ゆきのん、ヒッキーの話するって言ってるのに今更だよ......」

 

 ゆきのん?ヒッキー?未央と同レベルのネーミングセンス......

 

雪ノ下「い、いいじゃない由比ヶ浜さん。一度言ってみたかったのよ。」

 

由比ヶ浜「ゆきのん、ヒッキーのこと好きすぎるよ......」

 

 えっ!......好き?この人が八幡のことを?嘘でしょ⁉︎

 

雪ノ下「んんっ!では、改めて。これは高校時代の比企谷君の話しなのだけれど.....」

 

 

 話を聞いているとすごく辛い。卯月は号泣。未央は呆然と聞いている。私も気を抜くと泣いてしまいそう。

 

 聞けば聞くほど辛くなる。同時に尊敬......でいいのかな?そんな気持ちが強くなってくる。

 そして、一番強く感じるのが......

 

雪ノ下「......以上が彼の話よ。ちなみにあなた達のプロデューサー......武内さんだったかしら?彼もこの話を全て知っているわ。それでも比企谷君を止めなかった。いや、任せたのでしょうね。彼を信じて。この意味を考えてみなさい。」

 

未央「......私、ハッチーに酷いことしちゃった......しぶりんどうしよう!」

 

凛「未央落ち着いて!ちゃんと謝ろう!私もちゃんと謝りたい!」

 

卯月「そうだよ未央ちゃん!私も謝りたいです!」

 

由比ヶ浜「みんな違うよ?ヒッキーならね、きっとこう言うの『あ?何謝ってんだ?意味わかんねえよ』って。だからね!お礼するの!ありがとうって!」

 

卯月「......お礼、ですか?」

 

雪ノ下「そうね。それが正解ね。」

 

凛「......なんでそんなに八幡のことがわかるんですか?」

 

由比ヶ浜「それはね......」

 

雪由「「比企谷君(ヒッキー)のことが、好きだから(よ)!」

 

凛「うそ......」

 

卯月「比企谷さんすごいです......」

 

未央「信じらんない......」

 

雪ノ下「......2人とも振られているのだけどね。」

 

「「「えっ?......えぇぇぇぇぇぇぇ!」」」

 

未央「こんな美人を振るなんて......」

 

凛「八幡贅沢すぎ......」

 

卯月「わ、私なんかじゃ......」

 

凛「えっ?」

 

卯月「えっ?」

 

未央「しまむー......」

 

雪ノ下「......それは後で話しなさい。それであなた達、すべきことはわかったかしら?」

 

未央「はいっ!ゆきねえ!」

 

雪ノ下「ゆ、ゆきねえ?」

 

未央「ゆきねえとゆいねえです!」

 

由比ヶ浜「お姉さんかぁ、えへへ......」

 

雪ノ下「ま、まあ。別に構わないけれど......」

 

未央「あ、でもすごく行きにくい............」

 

雪ノ下「大丈夫よ。ここまでやっておいて何の策もないなんてありえないわ。そうね......自宅で待機なさい。おそらくプロデューサーか比企谷君のどちらかが迎えに行くわ。」

 

未央「な、なるほど......」

 

雪ノ下「だから安心して待ちなさい。」

 

由比ヶ浜「うんうんっ!」

 

未央「はいっ!」

 

雪ノ下「では話しは終わりよ。他に何かあるかしら?」

 

凛「大丈夫です。」

 

雪ノ下「そう?なら早めに帰って休みなさい。」

 

卯月「ありがとうございました!」

 

凛「ありがとうございます。」

 

未央「ありがとうございましたぁ!」

 

「「「では、お先に失礼します!」」」

 

雪ノ下「気をつけて。戸塚君は2人を送ってあげてちょうだい。」

 

 あれ?2人?

 

戸塚「うん。任せて!」

 

雪ノ下「それと島村卯月さん。あなたは少し残りなさい。」

 

卯月「......え?」

 

由比ヶ浜「そうだよ卯月ちゃん。ちょぉ〜っとお話ししようね?」

 

卯月「ええええええええええええ!」

 

 卯月、頑張ってね。私達は帰るけど......

 

卯月「凛ちゃん!未央ちゃーん!」 

 

 だって............

 

 

 

 

 

 あの2人怖いんだもん。

 

 

 

 

 ライブ終了後PRに戻ってきている。

 予想通りだが、メンバーの俺に対する対応はすこぶる悪い。別室で1人武内さんの帰りを待ってい......「コンコンコンッ」?ノック?武内さんじゃない?どうぞと促すと前川が入ってきた。

 

八幡「どした?」

 

前川「......はっちゃん、どうして平気な顔してられるにゃ?」

 

八幡「まあ、平常運行だからな。別に何も変わらん。」

 

前川「嘘にゃ!さっき未央ちゃんを責めてる時......凄く辛そうな顔してたにゃ!」

 

八幡「.........んな顔してねえよ。」

 

前川「みくの時はわからなかった。でも今回はわかったの!」

 

八幡「おい、語尾が素になってんぞ?キャラブレブレじゃねえか。」

 

前川「はぐらかさないで!みくに色々言ってくれたあと考えたの。何でかって。そしたらわかったの。はっちゃんが悪者になって、みくを救ってくれたんだって!今回も同じ!未央ちゃんの居場所を守ったんだよね?」

 

八幡「......そんな大層なもんじゃねえよ。言った事が守れなかったからキレただけだ。」

 

前川「はいはい。そう言うことにしとくにゃ!ね、はっちゃん。Pチャンとの話し、みくも聞いていい?」

 

八幡「......武内さんがいいって言えばな。」

 

前川「ありがとにゃ!ねぇねぇ、はっち「Prrrrr....」......にゃ?」

 

八幡「わり、俺だ。ちょっと出るわ。」

 

 戸塚だろうな......

 

戸塚『あっ!八幡?僕だけど。』

 

八幡「おう。悪かったな面倒ごと押し付けて。」

 

戸塚『全然いいよ!僕も八幡に謝らなきゃいけないし。』

 

八幡「あ?何のこと?」

 

戸塚『八幡の計画バラしちゃったのと、雪ノ下さん達に頼んで高校の時の話ししちゃった......」

 

八幡「......は?マジで?俺の黒歴史バラしちゃったの?」

 

戸塚『うん。だからごめんね。でもそのほかは大成功!本田さんには明日は待機するように伝えたし。』

 

八幡「ま、まあ。言っちまったもんはもういいわ。でもあんまバラさないでね?恥ずかしいからね?」

 

戸塚『ごめんね。もう言わないから。』

 

八幡「まあ、今回はホント助かったわ。......アリガトな。」

 

戸塚『うんっ!じゃ、またね!」

 

八幡「おう。またな、戸塚。」

 

 よし。完璧......じゃないな。マジか......アレ話しちゃったか......

 

前川「......はっちゃん、黒歴史って何にゃ?」

 

八幡「......聞くな。それ以上突っ込むようならお前の猫耳を全て犬耳にすり替えるぞ?」

 

前川「にゃ......にゃんて恐ろしいことを言うにゃ......はぁ、諦めるにゃ。」

 

八幡「そうしとけ『みくわん』。」

 

前川「みくのアイデンティティを奪うにゃー!」

 

八幡「はいはい。うるs「ガチャ」......お疲れ様です。」

 

武内「......お疲れ様です。賑やかですね。」

 

八幡「すんません。」

 

武内「構いません。少し意外でしたが。」

 

前川「Pチャン!みくも一緒に聞きたいにゃ!」

 

武内「......わかりました。比企谷さん、お願いできますか?」

 

八幡「......うす。」

 

 計画の全てを話す。一部予定外の事もあったが好転した事も......

 

八幡「......以上です。最後の待機命令は雪ノ下のファインプレーですけど。」

 

武内「......わかりました。では明日、私は本田さんを迎えに行きます。彼女達は問題ないと思いますが......」

 

前川「はっちゃんは......」

 

武内「誤解されたままです。......今度は私に......比企谷さんを助けさせてください。」

 

八幡「や、俺はいいすよ。勝手にやった事ですから。」

 

武前「「よくありません(ないにゃ)!」」

 

武内「それに勝手ではありません。許可は私が出しました。許可をいただけないのであれば、勝手にやらせていただきます。」

 

前川「みくも手伝うにゃ!」

 

八幡「......わかりました。お任せします。」

 

武内「ありがとうございます。では、今日は終わりにしましょう。気をつけてお帰りください。」

 

八幡「......うす。お先に失礼します。」

 

 

 ............明日どうなんのかねぇ。

 

 

 

 翌日。

 

 出社後はプロデューサールームで待機。武内さんは本田を迎えに行き、戻ってきたら俺も呼ばれることになっている。どうなるのやら......

 

 外のざわめきが消えた。帰ってきたな。

 

武内「戻りました。比企谷さんもこちらへ。」

 

八幡「......うす。」

 

 前にはニュージェネの3人。対峙する形で他のメンバー。武内さんと俺はどちらにも寄らず、脇にいるような形になる。

 

本田「みんな......昨日はごめん!」

 

 本田に2人も続く。

 

本田「みんなより先にデビューさせてもらったのに、逃げちゃって、迷惑かけて!ステージも笑顔で立てなくって......本当にごめんなさい!」

 

美波「でもあれは......八幡くんが......」

 

 一斉に俺を見る。怒り、軽蔑様々な感情を向けられる......

 

本田「違うのミナミン!あれは......ハッチーが私を助けてくれたの!」

 

美波「えっ?」

 

本田「あの時私、もうここにきたくない。アイドル辞めるって思って逃げようとした。でも......ハッチーがわざと......わざと......」

 

 泣き出す本田。喋れそうにないな......

 

凛「わざと八幡は暴言を浴びせた。逃げようとする私達に非難がいかないように。」

 

卯月「笑顔でって言われてたのに......約束守れなくて......」

 

凛「お客さんでいっぱいになるって勘違いして......」

 

島村「一度しかないステージを台無しにして......」

 

本田「逃げた私が戻ってきやすいように......自分を悪者にして!私達を守ってくれた!」

 

凛「だから八幡。」

 

「「「本当にありがとう!」」」

 

 メンバーの表情は驚き、困惑等々......

 

武内「比企谷さん、私からもお礼を。

 最悪......彼女達を失ってしまう可能性もありました。彼女達を、CPを救っていただき、ありがとうございます。

 そして、今回も嫌な役を演じさせてしまい、申し訳ございませんでした。」

 

八幡「い、いや。俺はそんな......やれることを、一番効率のいい方法を......」

 

凛「それじゃ、私達が救われても八幡が救われない!一緒に本物探してくれるって言ったじゃん!あんただけが犠牲になるなんて......私はイヤ。」

 

八幡「凛......」

 

島村「そうです!私、頑張ります!だから......なんでも言ってください!頼ってください!」

 

八幡「島村......」

 

本田「だからハッチー!これからも私達のことを!」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

八幡「......おう。頼らせてもらうわ。あと、すまん。色々言いすぎた。」

 

 静寂

 みんな優しい、いい笑顔になってる。いいな、この空間。俺の求めてる本物はここにあるのかもな......」

 

武内「本物はここにある......ですか?」

 

八幡「......えっ?」

 

凛「声に出てたよ。」

 

八幡「......」

 

凛「八幡?」

 

八幡「わかんねえけどな。なんとなくそう思っただけだ。」

 

凛「そっか......」

 

武内「そうかもしれませんね......」

 

八幡「武内さん?」

 

武内「皆さん、改めてCPを進めて行きたいと思います。一緒に、一歩ずつ、階段を登って行きましょう。」

 

全員「はいっ!」

 

前川「はっちゃんの本物も見つけないとにゃ〜♪」

 

八幡「黙れみくわん。猫耳へし折るぞ!」

 

前川「猫耳を人質にとるとは......それと、みくはみくにゃんにゃ!犬じゃないにゃ!」

 

八幡「はいはい、そうですね。」

 

前川「扱いが雑にゃ⁉︎」

 

 笑いが起こる。うまく収まってよかった。

 すると復活した本田が......

 

本田「あのさ、プロデューサー。試しに丁寧に口調やめてみない?」

 

 ......面白そうだな。

 

武内「え?」

 

 全員賛成。満場一致。満漢全席。最後のは違うな......てへっ。

 

八幡「いいじゃないっすか武内さん。」

 

武内「比企谷さんまで......」

 

八幡「俺もその方が助かります。」

 

武内「そ、そうで......そうか......努力......する。」

 

 ぶほっ!ウケる!

 

本田「いいじゃんプロデューサー!似合う似合う!」

 

 嘘だ!絶対楽しんでるだけだ!......俺もだが。

 

本田「あとハッチーも!みんな名前で呼んでよ!苗字だと他人ぽいし!」

 

八幡「なん......だと?」

 

本田「ほれほれ、呼んじゃえよ〜。」

 

八幡「こ、断る。」

 

凛「いいじゃん。私と莉嘉とみりあはそうなんだし」

 

美波「私もアーニャちゃんもそうだからいいと思う。」

 

前川「みくのことも名前で呼ぶにゃ!」

 

八幡「黙れみくわん」

 

前川「なっ⁉︎ひどいにゃ!」

 

武内「比企谷さん。諦めましょ......諦めよう。」

 

八幡「......そうっすね。はぁ......未央、卯月、きらり、杏、蘭子、智絵里、かな子、李衣菜。これでいいか?」

 

8人?「はいっ!」

 

前川「ちょっ!みくを忘れるにゃー!」

 

八幡「あぁ、すまん。わざと忘れてたわ。みくわん。」

 

凛「ぶっ!あんたブレないね。」

 

前川「みーくーにゃー!」

 

八幡「わかてるっての。みく。」

 

みく「それでいいにゃ。」

 

 再度笑いが起こる。

 

 



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10話?

 メンバー全員のCDデビューも無事?にすみ。夏のアイドルフェス開催も決まったとある日のこと......

 

武内「比企谷さん、少しよろしいでしょうか?」

 

八幡「あ、はい。大丈夫っす。」

 

武内「ではこちらへ。」

 

 プロデューサールームに案内される。

 ......俺何かやらかした?やらかしたといえばみくと未央の件くらいだが......十分じゃねえか。怒られんの覚悟だな!そうと決まればやることは1つ!先に謝ってしまえ!

 

武内「ではこちらへ。」

 

 着席を促される。前にいるのは武内さんとちひろさん。よし、今だ!

 

武内「実h「すんませんっした!」......はい?」

 

八幡「......へ?」

 

ちひろ「なんでいきなり謝ってるんですか?」

 

八幡「......やらかした件で怒られるんじゃ......」

 

武内「違います。落ち着いてください。」

 

八幡「......うす。」

 

武内「比企谷さんには、今月は残り全てお休みをとっていただきます。」

 

八幡「......戦力外通告っすか?」

 

武内「違います!比企谷さんにはいていただかないと困ります!」

 

ちひろ「比企谷君はご自身が社内で何て呼ばれているかご存知ですか?」

 

八幡「......いえ。」

 

ちひろ「1つ目は魔法使いの杖。2つ目は武内の懐刀。3つ目は秘密兵器です。」

 

八幡「......俺は何と戦ってるんすか......」

 

ちひろ「ふふっ!まあ、それは置いといて、こちらをご覧ください。」

 

八幡「......何すか?これ。」

 

武内「比企谷さんの今月分の出勤記録です。」

 

八幡「......全部出てるじゃないすか。」

 

武内「はい。」

 

八幡「......」

 

武内「......」

 

ちひろ「......」

 

八幡「......知りませんでした。」

 

ちひろ「し、知らずに仕事してたんですか⁉︎」

 

八幡「......はい。俺も今見て愕然としてます。」

 

武内「大学の成績は......」

 

八幡「それは全く問題ないっす。」

 

武内「そ、そうですか。」

 

ちひろ「ともかく!休んでいただきます!と言うか休んでもらわないと労基が......」

 

 そんなこと聞きたくなかったよ!なんで?なんでなの?なんで全出勤してんの?......俺もあの両親の子だったか......

 

武内「と言うわけですので、明日からゆっくり休んでください。」

 

八幡「......うす。」

 

武内「それとも1つ。こちらは相談ですが、アイドルフェス前に合宿を行おうかと考えています。

 

八幡「......いいと思います。」

 

武内「ありがとうございます。それで開催地ですが予算の関係もあり、決めかねていまして。どこかご存知でしょうか?」

 

八幡「俺に聞かれても......」

 

 ふと2年前の夏を思い出す。あそこは......アリかもな。

 

八幡「......千葉村。」

 

ちひろ「千葉村?」

 

 あ、ちひろさんいたんすね。

 

武内「千葉のどちらに?」

 

八幡「あ、いや。千葉じゃないっす。群馬です。」

 

ちひろ「千葉なのに群馬?比企谷君、頭大丈夫ですか?」

 

八幡「さらっと失礼な事言わんでくださいよ。群馬県の水上にあるんすよ。よく林間学校なんかでも使われるんで、費用面は問題無いと思います。」

 

武内「そうですか......施設はどのようなものが?」

 

八幡「確か、キャンプ関係の施設や設備が一通りと一般宿泊施設、会議室、体育館がありますね。大広間も確かあります。レッスンや宿泊に関しては問題ないっす。近くに小川もあるんで、息抜きに水浴びなんかもできますし。ただ......」

 

武内「ただ?」

 

八幡「......自炊です。」

 

ちひろ「......なんで引っ張ったんですか?」

 

八幡「やってみたかっただけです。」

 

武内「そうですか。候補の1つにしましょう。」

 

八幡「うす。......俺からも一個いいすか?」

 

武内「どうぞ。」

 

八幡「高校生組なんですが......成績大丈夫っすか?期末で赤点とって合宿行けません。とかシャレにならないっすよ?」

 

武内「......」

 

ちひろ「......」

 

八幡「......」

 

武内「千川さん、高校生達を呼んでいただけますか?」

 

ちひろ「......ただちに。」

 

 

 

 高校生だよ全員集合。8時じゃないよ?10人だよ?とりあえず全員揃ったな。

 

 

未央「プロデューサー、急にどったの?」

 

 ふっ、呑気にしてられるのも今だけだぞ未央。

 

武内「皆さんに確認があります。中間試験の成績は、いかがでしたでしょうか?」

 

 時が止まる。あるのは静寂。固まる未央。ぷっ!予想通りだ。

 

未央「な、なぜいきなり成績などと......」

 

武内「......アイドルフェスの前に合宿を行う予定ですが、その......」

 

八幡「赤点とって補習で来れませんとか、シャレにならんだろ?その為の事前確認だ。わかったか?未央」

 

未央「なぜ私を名指しで......」

 

八幡「あ?言っていいのか?」

 

未央「......言わないでください。」

 

みく「偉そうな事言ってるけど、はっちゃんこそ大丈夫にゃ?」

 

八幡「あん?余裕に決まってんだろ。」

 

みく「あんなに仕事してるのに......詐欺にゃ......」

 

八幡「ほれ、さっさと成績表持ってこい。ない奴はメモでも構わん。」

 

 部屋を出て行く面々。武内さんも若干不安そう。

 5分とたたず全員分集まる。ほうほう......

 

 卯月、中の中。全部普通だ......

 

 凛、中の中。ただし国語と英語は危険域。

 

 未央、は最後にするか。

 

 みく、上の上。ほーん、やるな。

 

 かな子、上の下。問題ないな。

 

 智絵里、上の中。優秀だ。さすが癒し枠。

 

 アーニャ、上の下。完全に国語が足を......

 

 李衣菜、下の上。危険なのは数学か......

 

 きらり、中の上。卯月の上位互換だ......

 

 杏、なっ⁉︎総合1位......だと?

 

 再度未央、............こらダメだ。

 

 未央に近づく。蹲っている未央の前に座り、優しく手を肩にのせ、満面の笑顔で俺は伝えた。

 

八幡「未央......合宿は諦めろ。」

 

未央「ぐはっ......」

 

 あ、死んだ。

 

八幡「あー、あれだ。まずは、卯月、きらり、みく、杏、かな子、智絵里。お前らは問題ないな。期末試験もこの調子で頑張ってくれ。」

 

 ホッとする5人とドヤ顔の杏。なんかムカつくな......

 

八幡「次に凛とアーニャと李衣菜。凛は国語と英語、アーニャは国語、李衣菜は数学。最近の手ごたえはどうだ?」

 

凛「......英語と現代文は大丈夫。ただ古文漢文が不安かな。」

 

アーニャ「日本語、難しいです。」

 

李衣菜「ちょっとやばいかも......」

 

八幡「そうか......まずアーニャは引き続き美波に教わってくれ。」

 

アーニャ「да。」

 

八幡「次に李衣菜だが......武内さんかちひろさん高校数学いけます?」

 

武内「......忘れてしまっています。」

 

ちひろ「私はⅡBまでならなんとか......」

 

八幡「李衣菜。お前文系だよな?」

 

李衣菜「うん。今やってるのはⅡB。」

 

ちひろ「じゃあ、私が教えますねっ!」

 

李衣菜「お願いします!」

 

八幡「んで凛。お前は俺だ。」

 

凛「うん。お願い。」

 

未央「そんなこと言って〜、ハッチーできるの?」

 

 あ、復活した。人をからかう時は元気だな。

 

八幡「あ?総武高校の国語元1位舐めんなよ?」

 

未央「総武!ハッチー総武の1位だったの⁉︎」

 

卯月「総武?有名なんですか?」

 

未央「け、県内有数の進学校......大学進学率98%。そのうちの9割以上がストレート合格するバケモノ校だよ......」

 

みく「そこまでだったにゃんて......」

 

八幡「ま、以上だな。できるときにやるから準備はしとけよ?」

 

3人「はい。」

 

未央「ま、まって!私は......」

 

八幡「諦めろ。無理だ。」

 

未央「そんなー!助けてよハッチー!ハッチー様ぁ!」

 

武内「......比企谷さん、何とかなりませんか?」

 

八幡「......策がないことはないんですが......」

 

武内「どのようなことですか?」

 

八幡「......俺の友達に頼みます。武内さんも一度会ってます。ただそれをやっていいもんかと......」

 

武内「......背に腹は変えられません。お願いできますか?」

 

八幡「......聞いてはみます。ただ、引き受けてくれたとしても問題が......」

 

武内「どの様な問題でしょう?」

 

八幡「......未央が耐えられるかどうかっす。」

 

武内「......えっ?」

 

未央「大丈夫!大丈夫だから!お願いします!」

 

八幡「......後悔すんなよ?すんません。ちょっと聞いてきます。」

 

武内「はい」

 

 部屋を出てあいつの名前を呼び出す。......緊張すんな。prrrrr......

 

『もしもし。』

 

八幡「雪ノ下か?比企谷だ。急にすまんな。」

 

雪ノ下『あなたからかけてくるなんて珍しいわね。何?ようやく私と付き合う気になったのかしら?』

 

八幡「......すまん。」

 

雪ノ下『冗談よ。それで?何か困りごとかしら?』

 

八幡「話が早くて助かる。アイドルの1人に勉強教えて欲しいんだわ。頼めるか?」

 

雪ノ下『ええ。構わないわ。ところで誰?みくにゃんかしら?嬉しいわね。あの可愛らしい子に会えるなんて。』

 

八幡「......残念だがあいつは優秀だ。未央だよ。本田未央。」

 

雪ノ下『みくにゃんでないのは残念だけれど......彼女はどの程度のレベルなのかしら?』

 

八幡「......」

 

雪ノ下『比企谷君?』

 

八幡「......由比ヶ浜級だ。」

 

雪ノ下『......あなた私に恨みでもあるの?』

 

八幡「ち、ちがう。そんなもんはない!......お、お前にしか頼めないだろ、こんなの。」

 

雪ノ下『そう......それならお受けするわ。』

 

八幡「助かる。やりとりする為にも

番号教えて構わないか?」

 

雪ノ下『ええ。構わないわ。楽しみにしていると伝えてちょうだい。』

 

八幡「おう。サンキュ。んじゃ、また連絡する。」

 

雪ノ下『ええ。待っているわ。さようなら。』

 

 

 よし。なすりつけ完了だ。......戻りますか。

 

 

武内「どうでしょうか?」

 

八幡「オッケーです。」

 

未央「よかった〜。で、どんな人?」

 

八幡「雪ノ下雪乃。東大生だ。お前も知ってんだろ?」

 

卯月「ひっ!」

 

 何?なんで?なんで卯月が涙目になってんの?震えてるし......

 

八幡「......どしたの?」

 

卯月「な、なんでもないです!」

 

八幡「ならいいんだが......とりあえずこれ、あいつの番号な。すまんが直接やりとりしてくれ。」

 

未央「ハッチーありがとー!ゆきねえが先生か〜......よーし、頑張るぞー!おー!」

 

 ......その元気、いつまで持つかな?楽しみだ......

 

 

 

 お勉強会初日。そして俺の休日初日。会場はPR。結局きちゃった!てへっ。

 教材の準備は完璧だ。なんせ小町の使ってなかった綺麗なままの物があるからな!こら、小町ちゃん!ちゃんとお勉強しなさい!お小遣い減らすわよ!

 凛と並んで座り、問題集を開く。

 

八幡「まずはこれやってみてくれ。時間は15分な。」

 

凛「うん。やってみる。」

 

 素直でいい子だのう。......改めて見ると整った綺麗な顔してるし......なんかいい匂いするし......はっ⁉︎これじゃただの変態じゃねえか!お、落ち着け俺!

 

凛「八幡......」

 

八幡「ひゃいっ!」

 

凛「ジッと見られてるとその......やりにくい......」

 

八幡「す、すまん。続けてくれ。」

 

凛「......うん」

 

 バレてた......やべぇな。こんな時は戸塚を数えよう。戸塚が1人、戸塚が2人......何それ天国......

 

凛「八幡終わったよ。」

 

八幡「お、おう。そうか。じゃあちょっと見せてくれ。」

 

凛「はい、これ。」

 

 凛から問題集を受け取り内容を確認する。単語理解は問題ない。文法と活用形がイマイチだな......よし。だいたいわかった。

 

八幡「まずここなんだが................となるんだ。」

 

凛「へえー。凄くわかりやすい。ならこれは......こう?」

 

八幡「そうだな。なんだ、お前出来んじゃん。俺必要無くね?」

 

凛「そんなことないよ。八幡の教え方が上手だからだよ。」

 

美波「うん。私もそう思う。聞いてて凄くわかりやすい。参考にさせてもらうね。」

 

 いつのまにか美波とアーニャが向かいで勉強していたらしく、会話に混ざってくる。

 

凛「八幡て先生に向いてるかもね。」

 

 ......あの尊敬する先生と同じ教科で褒められるってのは、正直嬉しい。だが......

 

八幡「ありがとよ。ほれ、続きやるぞ。」

 

凛「はーい。」

 

 わからないところを凛が聞き、説明しながら俺が答える。美波もたまに「どう教えればいい?」と聞いてくる。......ふと、いつのまにかすぐ横に凛の顔が......

 

卯月「むー......。凛ちゃんと八幡さん近すぎです!もうちょっと離れてください!」

 

「「‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」」

 

八幡「す、すまん!気づかなかった!」

 

凛「わ、私も......集中してて......」

 

卯月「気をつけてください!なので私も一緒にお勉強します!」

 

八幡「いや、意味わかんねえよ。『なので』がどこにもかかってないからね?」

 

卯月「いいんです!私も一緒にするんです!」

 

凛「卯月......」

 

八幡「勝手にやってろ。聞かれれば答えるから。」

 

卯月「はいっ!頑張ります!」

 

凛「優しいね。」

 

八幡「......うっせ。」

 

 

 ん?もう大分いい時間だな。卯月は先に帰ったし、凛もそろそろ帰らせるか......

 

八幡「......今日はこの辺にしとくか。」

 

凛「そうだね。今日はその......アリガト。」

 

八幡「気にすんな。ほれ、はよ片付けろ。送ってくから。」

 

凛「いいよ。悪いし。」

 

八幡「こんな時間に一人で帰らせらんねえよ。大人しく送られとけ。」

 

凛「......うん。じゃあ、よろしく。」

 

 この時期、昼間は暑いが夜になると涼しい。俺はロンTに薄手のジャケット。凛はブラウスのみ......

 少し寒そうだな......ジャケット貸すか?いやいや、そんなこと俺がやったら引かれるわ。どんなラブコメだっての。でもまあ、風邪ひかれるよりはマシか......

 

八幡「ほれ、これ羽織っとけ。少し冷えるからな。」

 

凛「そんな、悪いよ。別に寒くないから。」

 

八幡「嘘つくなっての。さっき腕さすってたじゃねえか。」

 

凛「......見てたんだ。」

 

八幡「見てたんじゃない。見えたんだ。早くしろ。」

 

 ジャケットを渡し、バッグを受け取る。ってしっかり着るんか!

 

凛「......あったかい。」

 

八幡「そうかよ。」

 

凛「ふふっ。」

 

八幡「何?どしたの?」

 

凛「なんか、恋人同士みたいだなって。」

 

八幡「ぶっ!お、お前何言っちゃってんの?」

 

凛「いいじゃん。女の子はこういうのに憧れるものなんだよ。」

 

八幡「......他所でそんな事言うなよ?勘違いされちゃうからな?」

 

凛「......はい。先生。」

 

八幡「うむ。わかればよろしい。」

 

凛「〜♪」

 

 楽しそうだな。こんなのもたまにはいいか。って、最近こんなんばっかだったな。

 こんなに充実してんのは初めてだ。それも武内さんとこいつらのおかげかもな......

 凛が鼻歌を歌い一緒に歩く......

 そして一件の花屋。凛の家だ。スカウトの時に来たから覚えている。

 

凛「ここが私の家。ちょっと寄って行きなよ。お茶出すから。」

 

八幡「いや、大丈夫だ。それに、こんな時間にあがったら迷惑だろ。」

 

凛「そんな事ないよ。気にしないd「凛〜、帰ったの〜?」......うん。ただいま。」

 

凛母「お帰り凛......彼氏?」

 

凛「ちっ、違うよ!事務所の人!」

 

凛母「慌てちゃって〜。そのジャケット、彼氏さんのでしょう?」

 

八幡「申し遅れました。私、346プロダクション CPアシスタントの比企谷八幡です。宜しくお願い致します。」

 

 同時に名刺を差し出す。

 

凛母「これはどうもご丁寧に。娘がいつもお世話になっております。そう、あなたが八幡さんね?」

 

八幡「そ、そうですが......何かありましたか?」

 

凛母「いやね、いつも凛g「お母さん!八幡もう帰らないとだから!」......あらそう?残念ね。また今度ゆっくり来てね?」

 

八幡「は、はあ。」

 

凛「......これ、アリガト。」

 

八幡「......おう。ほれ、バッグ。」

 

凛「ごめん、ずっと持たせてたね。」

 

八幡「気にすんな。んじゃ、帰るな。」

 

凛「うん。気をつけて。」

 

八幡「おう。じゃあな。」

 

 さーて、帰りますか。明日何すっかな......

 とりあえず本屋に行って......そうだ、車に乗ろう。最近乗ってなかったからな。少し慣れておかねば。なら、車で千葉だな。よし、それで行こう。

 

 

 

 フンフンフフーン♪ちーばちばー♪

 予定通り今日は千葉に来ている。車の運転も問題ない。車庫入れに若干手こずったが......

 さてさて、まずは本屋に行きましょうかね。

 

 えーと、ほう。本屋大賞発表されてたか。1位のは読んでない......買いだな。ん?一冊で4回泣けます?俺への挑戦状だな。こいつもだ。あとはラノベを......あった。まあこんなもんか。

 

 本屋を後にし、久々の千葉散歩を楽しむ。

 プラプラとあてもない散歩。

 

八幡「(俺、千葉好きすぎだろ。まあ千葉への愛なら誰にも負けんがな。フッ!......んあ?ありゃ総武の生徒か?)」

 

 少し先で(元)うちの女子生徒が絡まれている。野郎2人に......めんどくせえな。見なかったこt「離せよ!」......事にできんわな。

 メガネを外す。小町曰く、腐りは取れたが相変わらず怖いらしい。3人に近づき声をかける。

 

八幡「お前ら、何やってんの?」

 

ナンパ男1「なんだ?お前にはかんけ......ヒッ!」

 

ナンパ男2「どうした!なんだおま......ヒィッ!」

 

八幡「あ?最後まで喋れよ。」

 

ナ男1「な、なんだお前は!」

 

ナ男2「そ、そうだ。関係ねぇだろ。邪魔すんな!」

 

八幡「まあ、関係ねえわな。ただ後輩が嫌がってんのに見過ごせねえわ。それ充分暴行罪だしな。そうだな......どうするか選ばせてやるよ、

 1、ここで素直に帰る。

 2、警察の厄介になる。

 3、社会的に消される。ほれ、選べ」ニヤリ

 

「「......」」

 

 真っ青になり固まる2人。

 

八幡「選べないか?なら、選んでやるよ。3の「「すんませんっした!!」」......行っちまった。」

 

 怖がり固まる少女。なんだこいつ。マジ可愛いな。少し太い眉毛が似合ってる。スタイルもいいし。髪は少し癖っ毛か?まあ、こんだけ可愛けりゃナンパもされるわな。」

 

少女「か......かわいい。あたしが、かわいい......」

 

 ん?なんかブツブツ言ってんな?ま、いいか。メガネをかけて......

 

八幡「じゃ、気いつけてな。」

 

 ターン、そして一歩前へ!よし!離脱成功。

 ......初めてキまったぜ。なんか感動。

 

少女「あのっ!」

 

 キまってませんでした......俺の感動返して!

 

八幡「あ?」

 

少女「後輩ってことは総武の先輩ですか?」

 

八幡「......卒業生だ。」

 

少女「そうですか!あの、名前教えてください!」

 

八幡「......比企谷。」

 

少女「あたし、神谷奈緒って言います。助けてくれて、ありがとうございました!比企谷先輩!」

 

 あれ?このタイミングあのセリフ言えね?ここで言ったら超クールだろ!少しアレンジするか。

 

八幡「あん?俺は助けてねえよ。お前が一人で勝手に助かっただけだ。」

 

 フッ!言ってやったぜ。......言ってみたかったんだよ!これ!さすがにお嬢ちゃんは言えんが......

 

八幡「ま、さっきも言ったが気いつけてな。今度こそ帰るわ。」

 

神谷「......」

 

 うむ。ハッタリが効いてよかった。ぶっちゃけ、2と3てつながってるだけなんだが。あの馬鹿どもが勘違いしてくれて楽に進んだ。

 でもまあこんなことはやりたくないわな......

 

 せっかくの休みだったのに......

 

神谷「あれ?比企谷?」

 

 

 

 

 俺の休日最終日。そしてお勉強会3回目。

 事件は起きた。

 

小町「お兄ちゃんたっだい......ま?」

 

八幡「おう。おかえり。」

 

小町「......」

 

八幡「......」

 

凛「......」

 

卯月「えへへ......」

 

小町「......お兄ちゃんこの状況何?」

 

八幡「......勉強会?」

 

小町「......意味わかんないよ。」

 

八幡「俺も今ので分かられたら怖いわ。」

 

凛「あ、渋谷凛です。お邪魔してます。」

 

卯月「し、島村卯月、17歳。宜しくお願いします。」

 

小町「あー、どもども。妹の比企谷小町です。

よろしく......ってそうじゃないよお兄ちゃん!何がどうしてこうなってるの!ちゃんと説明して!」

 

八幡「お、おう。説明すっから。落ち着け。後みんな座れ。」

 

 床に座っている俺の右に凛。左に卯月。テーブルを挟んで小町。

 

八幡「んじゃ、説明する。

 

 

 発端は前回の勉強会だ............

 

 

 

凛「八幡、ここ教えて。」

 

八幡「そこはだな、k「八幡くーん!見て見て!これ良くない⁉︎」......莉嘉、今凛の勉強中だから後にしろ。」

 

莉嘉「はーい。」

 

八幡「すまん凛。で、そこはこうだ。」

 

凛「なるほど......」

 

八幡「......」

 

凛「ねぇ、これは?」

 

み卯「「じー............」」

 

八幡「......それはこうだ。最後に気をつけろよ。」

 

凛「うん。」

 

み卯「「じー...............」」

 

凛「......ねえ、この単語初めて見た。」

 

八幡「......それは、この単語と意味は同じだが使う人物の性別が違う。こっちなら女性、いつものなら男性だ。

 

凛「そっか、じゃあこれはこの女性からのラブレターなんだ。」

 

み卯「「⁉︎⁉︎」」

 

八幡「そうなるな。」

 

凛「古文ていいね。響きがすごく綺麗。」

 

八幡「そうだな。恋の歌が多いからそう感じるのかもしれんが。」

 

凛「うん、そうかも。」

 

みく「卯月チャン、あの2人あんなに近くに......まるで恋人同士にゃ」ヒソヒソ

 

卯月「そうなんです!前回もあんな風に2人で......」ヒソヒソ

 

みく「しかも段々と近づいてるにゃ......」ヒソヒソ

 

卯月「前回なんてキスしちゃうんじゃないかってくらい近づいてました......うぅ。」

 

みく「け、けしからんにゃ!」

 

八幡「......」

 

凛「......」

 

凛「......ねえ、次回から場所変えない?」

 

八幡「......そうだな。あそこのたぬきとネズミがうるさくてかなわん。」

 

凛「ふふっ、たぬきって卯月のこと?」

 

八幡「おう、似合うだろ。」

 

凛「......ピッタリかも。」

 

卯月「凛ちゃんも八幡さんもひどいです!私たぬきじゃありません!しまった!」

 

凛「卯月バレバレだから......そこにネズミの耳も見えてるし。」

 

みく「ネズミってみくのことだったにゃ⁉︎みくは猫ちゃんにゃー!」

 

八幡「はいはい。んでどこでやる?」

 

凛「んー、静かな所がいい。でも図書館は話しにくいから却下ね。」

 

みく「みくを無視するにゃー!」

 

八幡「ハードル高えよ。そんなの店の個室か家しかねえじゃん」

 

凛「......いいね。家でやろ。八幡の。」

 

八幡「はっ?」

 

卯月「えっ?」

 

みく「にゃっ⁈」

 

凛「行ってみたい。八幡の家。」

 

八幡「......いやいやいやいや、ダメだろそれは。絶対にまずい。つーか、武内さんが許すわけないだろ。」

 

凛「プロデューサーが許可したらいいの?」

 

八幡「いや、それh「聞いてくる」......」

 

 行ってしまった......まあ許可出ないから大丈夫だろう。大丈夫だよな......大丈夫だよ......ね?

 視線が痛い......たぬきと猫の視線が痛い......

 凛が戻ってきた......表情は......読めない。くっ!どっちだ......

 

凛「ダメ......「よかった......」じゃないって。今OKくれたよね?ちゃんと聞いたよ。」

 

八幡「なん......だと?」

 

凛「迷惑......かな?」

 

 ぐふっ!「がはっ!」君の涙目上目遣いは反則です......隣のみくニャンも瀕死ですよ。

 

八幡「......はぁ、わかったよ。」

 

凛「うん。よろしくね。」

 

卯月「わ、私もっ!」

 

八幡「もうなんでもいいわ......」

 

みく「じゃあ、みk「お前は仕事だ」......そうだったにゃ......」

 

 

 ......て事があって現在に至る。」

 

小町「......よくわからないけどわかったよ。で、なんでお兄ちゃんと凛ちゃんはそんなにピッタリしてるの?」

 

凛「そう?最近こんなもんだけど。」

 

八幡「まあ、そうだな。別に違和感ねえわ。」

 

小町「はぁ、卯月さん、ちょっと小町と来てもらっていいですか?」

 

卯月「は、はい!」

 

 そう言って2人は小町の部屋へ。

 

八幡「どしたの?あいつら。」

 

凛「......さあ。」

 

八幡「まあいい。俺らは勉強するぞ。」

 

凛「うん。」

 

 .........いつのまにか2人も戻り真面目に勉強している。小町が俺の視線に気づき、唐突に2人を夕飯に誘う。2人ともうなづき小町は準備へ。

 程なくして夕飯ができたため席に着く。

 

八幡「俺の正面が小町の席だから。あとは適当に座ってくれ。」

 

凛「うん」

 

卯月「はいっ!」

 

 すかさず卯月が俺の隣に。

 

凛「あっ......」

 

 ニコニコする卯月。ムッとしている凛。ニヤニヤする小町......なにこれ......怖いんだけど......

 

小町「いやー、やっぱりそうですかー。しかも自分の気持ちに気付いてない。たのしいですなー。うへへへへへへ。」

 

八幡「ちょっと?小町ちゃん?笑い方が気持ち悪いわよ?」

 

小町「いやー、ごめんごめん。面白くって。あ、こういう時『ウケる!』って言うんだっけ?」

 

八幡「ウケねえよ。人の持ちネタ奪うなよ。」

 

凛「あんた達兄妹、面白いね。私、一人っ子だからちょっと羨ましい。」

 

卯月「私もです。お兄ちゃん欲しかったなぁ......そうだ!はい、お兄ちゃん。あーん。」

 

八幡「......お前何やってんの?」

 

卯月「今は八幡さんの妹です!だから、あ〜ん。」

 

凛「ちょ!卯月!」

 

小町「まあまあ、お兄ちゃん食べてあげなよ。妹の好意なんだから。」ニヤニヤ

 

八幡「くっ!逃げ場がない............一回だけだからな。」

 

卯月「はい!あ〜ん♪」

 

八幡「あ、あーん。」パシャッ

 

 やられた。仕組まれてた......こういう事だったのか!くっ......殺せ。

 

卯月「やったー!小町ちゃん!ありがとうございました!」

 

小町「いえいえ。喜んでもらえてよかったです。」

 

凛「......」

 

卯月「......凛ちゃん?」

 

凛「............ぃ。」

 

卯月「り、凛ちゃん?」

 

凛「ずるい。卯月だけずるい!八幡!私も!」

 

八幡「お、おい。落ちt「落ち着いてる!ほら、あ、あ〜ん......」............あ、あーん。」パシャッ

 

凛「ど、どう?」

 

八幡「ん。うまい。」

 

凛「よかった......」

 

3人「「「ぐはっ!」」」

 

八幡「凛、それは......」

 

卯月「可愛すぎます......」

 

小町「反則です......でもええのう」パシャッ

 

凛「???」

 

 

 気付いてないとか......何て罪な子なの⁉︎

 

 このあとはしっかり夕飯を済ませた。小町も2人に懐き、互いに仲良くなった模様。帰りはちゃんと車で家まで送ったよ?

 

 本日も平常運行。

 

 比企谷八幡、明日からも頑張ります!......って卯月かよ。



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11話?

 俺の連休も終わり、高校生組の試験も終了。

 結果は全員無事?にクリア。試験が終わるまで、未央がゾンビのようになっていたが今は復活している。そして現在は......

 

武内「全員揃ったようですね。それでは出発しましょう。」

 

 そう。合宿へ向かうのだ。合宿所は......千葉村。施設、費用、立地等検討した結果ここに決まった。ネックだった食事も追加料金ではあるがクリアできた。

 移動は車2台で行う。11人乗ハイエースとアルファードを準備済み。武内さんのハイエースに10人、俺のアルファードに4人と荷物を乗せていく。いくのだが......

 

八幡「......ねえ君達、早く乗ってくれない?出発出来ないんですけど。」

 

卯月「助手席は私が乗るんです!」

 

凛「私が乗る。」

 

未央「いやいや、ここは未央ちゃんが!」

 

蘭子「私は後ろでいいです......」

 

 これじゃいつになってもでらんねえな......

 

八幡「あれだ、蘭子。お前が前に乗れ。出発できん。」

 

蘭子「いいんですか⁉︎」

 

 パァッと笑顔になる。......可愛いな、マジで。

 

「「「そんなぁ......」」」

 

蘭子「くっくっくっ......ならば、我が瞳を持って約束の地へと送り届けようぞ。(一生懸命ナビゲートします!)」

 

八幡「頼むわ。」

 

 ようやく出発できる......しょんぼりする3人を詰め込みいざ!

 

八幡「あー蘭子、最初は首都高で、結構分岐が複雑なんだわ。しっかりナビ頼むな」

 

蘭子「我に任せよ!」

 

 横で蘭子が一生懸命ナビしてくれる。今まであまり喋った事はなかったが......と言うか、避けられていたからな。

 以前のみく未央事件と目で怖がられていると、武内さんに聞いた。それもあり、あえて今回俺の車に乗せコミュニケーションを取る作戦だ。

 無事に首都高を抜け関越道に入る。

 

八幡「蘭子、助かったわ。お陰で間違えずに済んだ。ありがとな。」

 

蘭子「フッフッフッ......造作もなき事。(い、いえ、どういたしまして。)」

 

八幡「ホント、助かったよ。」なでなで

 

蘭子「あう......」

 

卯凛「「じー......」」

 

 運転に集中するため手を離す。「ぁっ......」と聞こえるが仕方ない。

 

八幡「あと2時間程度だが、その......トイレとかは早めに言ってもらえると助かる。言いにくいかもしれんが、我慢してくれ。」

 

「「「「はーい」」」」

 

 君達元気でいいですね。お兄ちゃん嬉しいよ。

 

蘭子「ところで我が友よ、彼の地は如何様な?」

 

八幡「じゃあ軽く説明するわ。おい、未央出番だ。」

 

未央「私にふるの⁉︎」

 

八幡「考えをまとめて言葉にするのも勉強だ。」

 

未央「べ......勉強......仕方ない。あんなのはもう嫌......千葉村はね、山の中!」

 

八幡「......0点。雪ノ下に補習頼んどくわ。」

 

未央「や......やめて!それだけはやめて!ちゃんと勉強するから!怒らないで!」

 

凛「......未央に何があったの?」

 

八幡「あとで教えてやる。......千葉村はだな、まず夏でも涼しい。平均気温は22度だ。まあ今回は使わないがキャンプ施設もある。」

 

凛「林間学校みたいな感じ?」

 

八幡「まさにその通りだ。だがそれだけじゃなく、一般的な宿泊施設もある。......温泉もな。」

 

「「「「温泉⁉︎」」」」

 

八幡「何で未央まで......まあいい。しかも体育館まで併設されているから、今回みたいな合宿にはもってこいな場所だ。」

 

卯月「すごいんですね......」

 

八幡「さすが千葉市所有の施設だな。さらに近くに綺麗な小川もあるから、そこでリフレッシュもできるぞ。」

 

蘭子「だから持ち物に水着が入ってたんですね......」

 

 おい蘭子。標準語に戻ってるぞ......

 

八幡「今回はプロジェクトのチーム力強化も含んでるから、俺と武内さん以外は全員一緒の部屋で寝てもらう。」

 

未央「林間学校っていうか、修学旅行?」

 

八幡「たまにはいい事言うじゃねえか。」

 

未央「そうでしょ、そうでしょ〜!もっと褒めたまえ!」

 

八幡「......未央、今すぐ降りろ。窓開けてやるから。」

 

未央「ハッチー酷い!しかも窓から飛び降り⁉︎せめて止まってよ!」

 

 止まればいいんかよ......

 

八幡「......半分冗談だ。」

 

凛「半分て......」

 

蘭子「禍々しき気が......(怖いです......)」

 

八幡「蘭子安心しろ。こんな事は未央とみくにしか言わんから。」

 

蘭子「!!はい!」

 

未央「私にももっと優しく......」

 

卯月「あ、あははは......」

 

 こうして絶えず笑いながら進んでいく。

 途中寄ったSAでソフトクリームをねだられたり、再度助手席争奪戦が始まったり(蘭子も参戦)したが、特に問題はない。因みに勝ち取ったのは未央だ。......うるせえ。

 

 

 

 無事千葉村に到着し、各自荷物を持って移動。

 まずは研修室に集まり今後の説明をする。

 

武内「皆さん、移動お疲れ様です。まずは昼食にしましょう。その後13時にレッスン着に着替えて体育館に集まってください。そしてこちらが皆さんに泊まっていただく部屋になります。私達はリーダー室になりますので覚えておいてください。それと新田さん。少しお話がありますので、昼食を取ったら応接室に来ていただけますか?」

 

美波「はい。」

 

武内「では皆さん、宜しくお願いします。」

 

全員「はいっ!」

 

 

 昼食をとり応接室で美波に呼んだ理由を話す。

 内容は『美波にリーダーを。まとめ役をやって欲しい。』だ。

 

武内「私はこれから別件で明日まで離れます。お願いできますか?」

 

美波「でも八幡君がいるのに......」

 

八幡「武内さんも俺も常にいるわけじゃない。だからこそリーダーが必要なんだ。

 それに俺たちには相談できなくても、美波になら出来ることもあるだろ?そんな存在がいるってのは、他の奴らにとってかなり大きい。

 全部抱えろってわけじゃない。手に負えなければ相談してくれていい。その分美波は自身の事を俺たちに頼ってくれて構わん。どうだ?」

 

美波「......わかりました。引き受けます。」

 

武内「ありがとうございます。では新田さんも時間まで自由にして下さい。比企谷さんも大丈夫です。」

 

 美波とともに退室し、なんとなくロビーに向かう。

 

美波「......私、大丈夫かな?」

 

八幡「頼んどいてこう言うのもなんだが、あんまり気負うな。一応俺もいるしな。......役に立つかわからんが。」

 

美波「そんなことない!八幡君がいなかったら、私引き受けなかった。」

 

八幡「んなことねえだろ。」

 

美波「ううん。あるよ。さっき言ったじゃない。『そんな存在がいるってのは、他の奴らにとってかなり大きい。』って。今の私にとっては八幡君がそうなの。だから......私を助けてね?お兄ちゃん♪」

 

八幡「お、おう......つーか、お兄ちゃんて......」

 

美波「ふふっ!さ、体育館行こっ!」

 

 

 集合時間を過ぎ、全員集まって......いない。

 

八幡「......莉嘉はどこに行った?」

 

智絵里「あ、あの......カブトムシ捕まえに......」

 

八幡「......恐れていたことが............武内さん、行って来ます。」

 

武内「......お願いします。先程の件は私から伝えておきますので。」

 

八幡「はい。」

 

 はぁ......予想通りっちゃ予想通りだが......勘弁してくれ。

 外に出て建屋の裏手に回る。と探すまでもなく莉嘉が戻ってきた。

 

莉嘉「あ!八幡くーん!見て見て!たくさん捕まえたー!すごいでしょ!」

 

八幡「......莉嘉、今何時だ?」

 

莉嘉「え?まだ......あっ......」

 

八幡「集合時間は何時だ?」

 

莉嘉「13時......」

 

八幡「今は?」

 

莉嘉「13時10分......」

 

八幡「......」

 

莉嘉「ごめんなさい。」

 

八幡「遊ぶなとは言わん。だが、時間は守れ。」

 

莉嘉「......うん。」

 

八幡「はぁ、お前の遅刻は初めてだから今回は許す。だが、次はないぞ?わかったか?」

 

莉嘉「うん!アリガトッ☆」

 

八幡「ほれ、早く行くぞ。みんな待ってる。戻ったらみんなにちゃんと謝れよ?」

 

莉嘉「はーい!」

 

 なんもなくてマジ良かった......

 体育館に戻ると武内さんがいない。すでに別件に向かったようだ。さて、俺は何しようかしら?やる事ないんだよな......

 

みく「そういえば、はっちゃんは何するにゃ?」

 

八幡「あ?何もしないが?見てるだけだ。」

 

みく「ずるいにゃ!ちゃんと仕事するにゃ!」

 

八幡「今回の俺の仕事は監督だ。見てんのが仕事なんだよ。」

 

みく「く、口じゃ勝てない......」

 

八幡「ほれ、早くレッスンしろ。」

 

みく「わかったにゃ......」

 

 ......ホント暇だな。そうだ、レッスン風景でも写真撮っとくか......

 

 ......結構撮ったな。さて、今は何時ですかーっと......そろそろ15時か......あいつらのドリンク買ってこよう。

 

 スポドリを全員分買い戻ると、丁度休憩に入るタイミングだった。さすが俺。

 

八幡「ほれ、飲みモン買ってきたぞ。」

 

未央「お!ハッチー気がきくじゃん!」

 

美波「ありがとう。助かっちゃった。」

 

八幡「おう、気にすんな。それと、今日は移動の疲れもあるだろうから、早めに切り上げろよ?」

 

美波「うん。わかった。」

 

 

 

美波「はい!今日はここまで!」

 

全員「お疲れ様でした。」

 

八幡「お疲れさん。んじゃ、風呂入って19時に食堂な。あと、温泉だから楽しみにしとけよ?」

 

10人「温泉(ですか)!」

 

八幡「そうだ。ほれ、早く行け。」

 

全員「はい!」

 

 

 夕食も済ませ今は自室でのんびり本を読んでいる。久しぶりにゆっくりだな......「コンコンコンッ」あ?誰だ?「ど〜ぞ〜」とユル〜く返事。入ってきたのは台風......ではなく、未央と卯月だ。

 

八幡「なんだよ。」

 

未央「ねえねえ、夏の定番のアレやろうよ!」

 

八幡「......肝試しか?」

 

未央「それもいいけど、今回は怖い話大会!」

 

八幡「......蘭子とか無理じゃね?」

 

未央「大丈夫!なぜか今回は乗り気だから!」

 

八幡「......知らねえぞ?」

 

 そう言い放ち、みんなの待つ部屋へ。

 はじまった。はじまったのだが......全然怖くねえ......正直つまらん。彼女らはキャーキャー言ってるがな......

 

未央「じゃ、次ハッチーね?」

 

八幡「......わかった。じゃあ、まず電気消せ。」

 

 未央に電気を消しに行かせ俺は携帯のライトをつけておく。

 

未央「雰囲気でてるね〜!」

 

八幡「んじゃ、始めるぞ。

 

 

 

 

 これは親戚のおじさんの話なんだがな。

 その人はバスケとドライブが好きな人なんだ。

 その人はチケットが手に入り、プロバスケの試合を見に行く事になった。んで、丁度いいから、ドライブしながらノンビリ行こうと考えたんだ。

 でな、向かってる途中道を間違えちまったんだよ。まあ、適当に走れば大丈夫だろうって、その時は考えたんだがな。

 少し走るとトンネルがあった。出口も見えるくらいの短いトンネルだ。

 なんか気持ち悪いと思ったが、気にせずそのまま走った。

 だが、トンネルに入った瞬間にいきなり全身に鳥肌がたった。

 なぜかはわからんがすごく寒い。真夏なのに。

 トンネルの出口も見えてるのに全然出られない。おかしい。なんでだ?って思った瞬間......

 

 

 

 首を誰かに触られた。「ヒッ!」

 驚いてバックミラーを見ても誰もいない。当たり前だ。1人なんだからな。

 だが首はずっと触られている。意を決して、振り払おうと思って手を自分の首に近づけた瞬間......

 

 

ガッっと手首を掴まれた。「ひぃっ......」

 思わず急停車して自分の手首を見ると......

 白い手に掴まれている......うわっ!なんだこれ!腕を必死に振るが離れない。

 しかもいつのまにか視線を感じる。車の前方だ。

 その方向に恐る恐る顔を向けると......

 女性が立っていた。............片腕がない女性が。「もういや......」

 これはまずい。逃げないと!でも身体が動かない。

 女性が近づいてくる。運転席の横まで来た。

 バンッ「ひゃっ!」

 

 『私の腕......返して......』

 

 そこでその人は気を失った。

 

 後から来た人に起こされ、この事を話したが信じてもらえなかった。

 だが、車の窓を見ると......

 べったりと手の跡が残っていた。

 

 .......................以上だ。」

 

 静寂。誰も喋らない。動かない。何人かは泣いている......

 

未央「......ハッチー、その話は反則じゃないかな......」

 

八幡「......まだたくさんあるぞ?次n「もういいよ!」......そうか?ほれ、はよ電気点けろ。」

 

 しぶしぶ電気をつける未央。あ、いい事思いついた。戻ってきたタイミングで......

 

八幡「未央......」

 

未央「......何?」

 

八幡「首に手が......」

 

未央「い、いやぁぁぁぁ!とって!早く!」

 

八幡「......冗談だ。」

 

美波「八幡君今のはさすがに......」

 

未央「うぅ......今のはないよ......本気で焦ったじゃん......」

 

八幡「悪い悪い。すまんな」なでなで

 

未央「うぅ......なでなで気持ちいいから許す......」

 

八幡「サンキュ。で、蘭子さんに智絵里さんや、いつまで抱きついてるんですかね?」

 

蘭子「こ、怖すぎて......腰が......」

 

智絵里「私もです......グスッ」

 

八幡「ごめんな。」なでなで

 

蘭智「「うぅ......グスッ」」

 

美波「でも、本当に怖かったな......」

 

凛「今まで聞いてきた中で一番かも......」

 

李衣菜「でもその人、気を失っちゃうのはロックじゃないね。」

 

八幡「震えた声で言っても説得力ないぞ?」

 

李衣菜「ふ、震えてなんかないし?」

 

八幡「じゃあ、目から垂れてんのは?」

 

李衣菜「汗だし!」

 

八幡「じゃあ、後ろにいる人は?」

 

李衣菜「ヒィッ!」

 

美波「八幡君!もう、いないから安心してね?」

 

李衣菜「よかったぁぁ......」

 

八幡「ところで、さっきから会話に入ってこない奴ら大丈夫か?」

 

「..................」

 

凛「みんな気絶してる。」

 

「「「「「「「......」」」」」」」

 

八幡「この話すんのこれからやめるわ。」

 

凛「その方がいいね。」

 

智絵里「あ、あの......」

 

八幡「ん?どした?」

 

智絵里「......お、おトイレ、ついてきて下さい。その......怖くて......」

 

李衣菜「わ、私もついでだから行こうかな〜......なんて。」

 

蘭子「私も......」

 

八幡「......ついてってやるから。行きたいやつは勝手にしろ。」

 

 

 結局全員ついてきました。

 

 部屋まで送り届け、気絶した奴らを布団に寝かせる。ちなみに杏はただ寝てただけでした。同じ部屋に寝ろと散々言われたが、それだけは断ったよ?そんなの朝までもたないもん。美少女ばっかだよ?無理です。

 さて......俺も部屋に戻って寝るとしますかね。

 

 

 

 2日目

 午前はユニット別練習。午後は全体曲の練習だ。だが、ここで問題が発生した。振り付けが全然合わない。ユニットごとにずれている。

 解決策はあるがまだ黙っていよう。まあ、美波が相談してきたらヒントはやるが。

 

 

 そのまま午後は終わった。練習中トイレに付き添ったのはご愛嬌。

 

 

 昨日同様夕食後にくつろいでいると美波が訪ねてきた。

 

美波「八幡君、やっぱり私じゃダメなのかな?」

 

八幡「......どうしてそう思う?」

 

美波「全然まとめられないし、振りも合わせられない......」

 

八幡「そりゃそうだ。一人一人違うんだ。合うはずがない。」

 

美波「でもそれじゃ!」

 

八幡「まあ、とりあえずこれ見てみろ。」

 

 全体練習の動画を見せる。これで気づいてくれればいいんだが......

 

八幡「......何か感じるか?」

 

美波「......やっぱりバラバラ......」

 

八幡「......なら今度は、ニュージェネの3人だけ見てくれ。」

 

 

美波「......あれ?合ってる?」

 

八幡「次はC-Iだ。」

 

美波「やっぱり合ってる......もしかして、ユニット別なら出来てるってこと?」

 

八幡「そうだ。それに気づいたから動画を撮っておいた。それで、どうする?」

 

美波「......」

 

八幡「......難しく考えすぎだ。自由に緩く考えてみろ。」

 

美波「自由に......緩く?」

 

八幡「そうだ。みんな合わないことで、合わせなきゃって意識しちまってる。まずそれをぶち壊せ。」

 

美波「なるほど......なら、みんなで遊んでみようかな?」

 

八幡「なぜそう思った?」

 

美波「......ユニット毎に固まることが多いから、でもそれだと他の子たちを深く知れないじゃない?だから知る為に混ぜちゃえばいいと思ったの。意識も薄れて気も紛れると思うし。」

 

八幡「正解だ。許可する。午後は特別練習と称して思いっきり遊べ。内容は任せる。」

 

美波「うん。任せて!」

 

八幡「頼もしいリーダーだよ。」

 

美波「八幡君こそ。頼もしいアシスタントさんだね!」

 

 3日目

 午前は昨日同様。そして午後、秘密のミナミン計画始動。特別練習と称して遊び始める。

 

 まずはリレー。なぜにリレー?とも思ったが、任せた手前何も言わないでおく。みんな動揺している様子だが、まだ始まったばかり。これからだ。

 

 次に飴食い競争。運動会か!と突っ込みたくなるが我慢。おっ?未央が気づき始めたか?

 みんな顔が白くてシュール。

 

 そして三人四脚。完全に運動会です......

 純正ユニットはさすがに息ピッタリだ。おお、沢山のお山が......

 だが、美波、アーニャ、蘭子の即席トリオはうまくいかない。ついには転倒......そしてそれを助ける......事はせず、応援し始める仲間達......

 

 揃ってきたじゃん。さて、1つお節介しますか。俺は2つ武内さんに依頼をした......

 

 

 少し休憩し、今度は小川へ......もう一度言おう。小川に来た。そして勿論......全員水着。水着です

 ............最高です。これはしっかりと撮影せねば!これは仕事だ。合宿風景の記録だ。断じて俺の趣味ではない!そう、断じて!俺は変態ではない!そんな目で見ないでっ!

 ただ、一つ言いたい。卯月よ......なんで、なんでスク水⁉︎エロいよ!逆にエロいよ!まさか狙ったのか⁉︎卯月......恐ろしい子......

 

 

 

 半日遊び倒して最後に体育館で合わせてみる。

 しっかり合っている。こぼれ出す笑顔。溢れ出す涙。青春してんな......

 

美波「それじゃ、今日はここまで!」

 

全員「お疲れ様でした!」

 

八幡「お疲れさん。んじゃ、18時30分にロビーに集合な。」

 

未央「ん?ロビー?食堂じゃないの?」

 

八幡「来ればわかる。ほんじゃ、宜しく」

 

 

 18時30分

八幡「全員集まったかー?」

 

全員「はい!」

 

八幡「んじゃ、ついてきてくれ。」

 

 何も言わずに歩き出す。

 少し歩くと武内さんが待ってくれていた。

 

八幡「ここだ。」

 

美波「これって......」

 

みく「バーベキュー......」

 

かな子「ですか?」

 

武内「はい。皆さんへのご褒美として、用意させていただきました。」

 

莉嘉「いいのー!」

 

武内「はい。楽しんでください。」

 

智絵里「プロデューサーさん、ありがとうございます。」

 

武内「いえ、私ではありません。比企谷さんからのご褒美です。」

 

八幡「なっ!それ言わない約束......」

 

武内「忘れました......」

 

八幡「嵌められた......ま、そういうことだ。気にせず食ってくれ。」

 

全員「はい!いただきます!」

 

 くそっ。恥ずかしいじゃねえか。これは食って誤魔化そう。......それにしてもユニット毎にあった壁が見事になくなったな。これなら大丈夫だろ......

 

武内「比企谷さん、今回の引率お疲れ様でした。......うまくいったようですね。」

 

八幡「はい。美波がうまくやってくれたんで。」

 

武内「それは良かったです。新田さんにお任せして正解でしたね。ですが、比企谷さんも何かしたのではないですか?」

 

八幡「......それだと、俺がいつもやらかしてるみたいじゃないっすか......事実ですけど。ま、今回はホントにヒントを出しただけです。」

 

武内「そうですか。みなさん成長したのですね。」

 

八幡「ホントですよ。」

 

 みんなを眺めて、しみじみと感じる。......年寄りくせえな。別にいいけど。

 

 食事も終わりある程度片付けて、次は花火。これも準備しておいてもらった物だ。楽しめ、若者達よ。青春を謳歌するのだ。

 そして2年前の俺よ、砕け散れなんて馬鹿なこと書くな。それでは俺が砕け散ってしまうぞ。

 

 なんせ今の俺は『リア充』だからな。

 



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12話?

 アイドルフェス当日。

 自分が出演するわけではないのに、相変わらず緊張してしまう。

 ちなみに、今回も武内さんからチケットを4枚いただいた。今までのお礼も兼ねて、雪ノ下、由比ヶ浜、戸塚、小町の四人に渡した。

 余談だが、雪ノ下にチケットを渡した際、「これでみくにゃんに会えるのね......」と狂喜乱舞していた。あの雪ノ下がだぞ?あの光景は今でも忘れられん......

 壊れかけのゆきのんリターンズ......

 

 

 開演直前。現在舞台裏では出演者全員が集まっている。

 先発の先輩方は衣装を着込み、PCメンバーは出番まで時間がある為、先日配られたTシャツ姿だ。

 そんな中、気になるのが美波だ。

 メンバーのちょっとした事にも気を掛けている。

 

八幡「(少し気負い過ぎだな......声かけとくか......)」

 

 美波に声をかけようと思い、一歩踏み出したところで、タイミング悪く川島さんが喋り出してしまった。全体への注意喚起、それと楽しみましょうと全員に告げる。そして......

 

川島「じゃ、円陣組むわよ〜。楓ちゃん掛け声よろしく!」

 

高垣「はい。それじゃあ、円陣組んで、エンジンかけましょー♪」

 

 ボフォッ!くっだらねぇ!ここ最近で一番くだらねえ!

 

川島「わかるわ〜。先輩にボケられるとどう反応していいか困るわよね〜。」

 

 苦笑いの川島さん。今ギャグに気づいたアイドル。そして、固まるCPメンバー......気まずい。ここは俺の最高のギャグで高垣さんに乗っかろう。

 

八幡「いやいや高垣さん。そんな掛け声じゃ誰も『機関』でしょ。エンジンだけに......」

 

全員「............」

 

 ............あれ?ダメだった?てか、めっちゃ滑ってんじゃん!

 

高垣「比企谷君......」

 

八幡「ひ、ひゃい!」

 

高垣「素晴らしいわ!」

 

 そう言いつつ手を握ってくる。なんで?......柔らかいな〜。なんかいい匂いするし......

 

八幡「......は?」

 

高垣「あなた最高よ!」

 

 あれ?ウケた?......わけじゃないな。みんな意味がわかってない。ちょっと待て!近い近い近いいい匂い......

 

凛「ね、八幡。どういう意味?」

 

 こいつ......滑ったギャグを説明させるとか......なんて残酷な事を......しかもなんで怒ってんの?足蹴らないでもらえます?

 

八幡「あー、エンジンて日本語で言ったら機関だろ?だからエンジンと聞かないの『聞かん』をかけたんだ。」

 

全員「な......なるほど......」

 

高垣「とても高度な返しを瞬時にくれるなんて!あなたすごい才能の持ち主ね!」

 

八幡「あ、ありがとうございます?」

 

高垣「八幡君、あなたとは改めてお話ししたいわ!今度時間をちょうだい!あと、私の事は楓って呼んでね?」

 

 あ、ひらめいた。少し恥ずかしいが、ネタのためだ......

 

八幡「わ、わかりました。か、楓さん......『かえで』いいですか?」

 

全員「ぶふぉっ!」

 

 あ、今度はウケた。

 

楓「最高よ!文句なしだわ!私の目に狂いはなかった!あなた私のプロデューサーになってちょうだい!」

 

八幡「何のプロデュースさせる気っすか......」

 

川島「もう、締まらないわね〜。楓ちゃん、やり直し!」

 

楓「は〜い。では、改めて!346プロ、サマーアイドルフェス!みんなで頑張りましょう!」

 

全員「おーーーー!」

 

 このやり取りで、俺は大事なことが頭から抜けてしまった。

 

 

 

 すでにライブは始まっている。

 

 何か忘れているのだが......

 

 

 ......そうだ!美波の件だ!まずい、円陣のやり取りですっかり抜けてた......美波を探さないと。

 

 

 あ、あれはアーニャか......

 

八幡「すまんアーニャ。美波見なかったか?」

 

アーニャ「ミナミなら、チエリとリハーサルルームに......」

 

八幡「助かる。アーニャ、付いてきてくれるか?嫌な予感がする。」

 

アーニャ「‼︎はい!わかり、ました!」

 

 ダメだ。嫌な予感しかしない。思い出すのは2年前。分実で雪ノ下が倒れた時のこと。

 今の美波と雪ノ下の状況が似すぎている......

頼む。何も起こらないでくれ!

 

 リハーサルルームのドアを少し乱暴に開け中に入る。アーニャが戸惑っているが、気にしている余裕がない。

 そして......

 

 嫌な予感は当たってしまうもの......

 

 

八幡「美波!」

 

アーニャ「ミナミ!」

 

智絵里「は、八幡さん!美波さんが......」

 

八幡「智絵里!何があった!」

 

智絵里「振り付けを一緒に確認してたら......気持ち悪いって......その......私のせいで......ぐすっ」

 

八幡「落ち着け、智絵里......」

 

 智絵里を抱きしめ頭を撫でる。こいつまで落ち込ませるわけにはいかない。

 だが、落ち着くのは俺もだ。落ち着け。考えろ。どうするのが最善だ......

 

八幡「......どうだ?落ち着いたか?」

 

智絵里「......はい......」

 

八幡「じゃあ、武内さんに美波が救護室に行ったって、伝えて来てもらえるか?」

 

智絵里「は、はい!」

 

 智絵里を今一人にはできないな......

 

八幡「おう。頼んだぞ。アーニャも付いて行ってくれ。」

 

アーニャ「да!」

 

 俺は美波を運ぼう。......あれしかないよな。

 

八幡「すまん美波。少しさわるぞ。」

 

 一言断り美波を抱き上げる。いわゆるお姫様だっこだ。恥ずかしいなどとは言ってられない。

 

美波「大丈夫。歩けるから......」

 

八幡「馬鹿言ってんじゃねえ。立つ事すらできねえじゃねえか。んな状態で歩けるわけねえだろ。」

 

美波「......ごめん。」

 

八幡「気にすんな。少し揺れるが、我慢してくれ。」

 

美波「......うん。」

 

 

 救護室に駆けつけきた武内さんとちひろさん。2人とも愕然としている。アーニャも同様だ。

 今ちひろさんに体温を計ってもらっているが、おそらく今日は無理だろう。......俺のせいだ。

 

八幡「すみません、武内さん。......俺のせいです。」

 

武内「なっ!なぜひk「こうなるかもって......少し思ってたんです。」......」

 

八幡「以前にも同じ様な経験があったので......わかってて防げませんでした。だから......すみません。」

 

美波「違う!八幡君のせいじゃない!私も夜遅くまで練習してたりしたから......すみません、プロデューサー。もう大丈夫です。」

 

 起きようとする美波を、アーニャとちひろさんが止める。当たり前だ。体温計に表示されている数字は38.7。まともに動けるはずがない。

 

 どうすればいい......

 

 そして無情にも武内さんから言葉が紡がれる。

 

武内「新田さん......許可できません。......もうわけ、ありません。」

 

ちひろ「でも、LOVE LAIKAが出られないとなると調整が......」

 

美波「待ってください!私が出られないのはいいです!でもそれじゃ、アーニャちゃんが......」

 

 こんな時まで人の心配かよ......

 こいつの為にしてやれること......

 一か八かだが......

 

八幡「蘭子。」

 

武内「えっ?」

 

八幡「美波の代理を、蘭子にやってもらいます。」

 

ちひろ「比企谷君なにを......」

 

八幡「合宿から今日まで、蘭子は2人とずっとレッスンしてきました。振りも歌詞も一通り問題ありません。」

 

武内「ですが......」

 

八幡「決めるのは本人ですが、あいつなら受けてくれます。だよな?アーニャ。」

 

アーニャ「はい!ワタシも、ランコに、お願いします!」

 

八幡「武内さん......」

 

武内「......わかりました。相談してみましょう。」

 

八幡「ありがとうございます。それと美波。」

 

美波「......なに?」

 

八幡「全体曲までに死んでも体調戻せ。」

 

美波「......え?」

 

武内「比企谷さん!何を言ってるんですか!」

 

八幡「戻ってこい。......リーダーとして。」

 

武内「許可できません!」

 

八幡「分かってます!無理な事を言ってるのも、美波の体調の事も!でも......美波は頑張ってきた。それを俺も見てきた。頑張ってきたこいつを舞台に立たせてやりたい。美波の頑張りをお客さんに見てもらいたい!......だから!」

 

 両膝と両手を床につけ、頭を下げる。

 

八幡「お願いします。美波をステージに立たせてあげてください。」

 

美波「八幡君!」

 

ちひろ「比企谷君何やってるんですか!」

 

八幡「お願いします!こいつの......美波の成果を、お客さんに見せてあげてください。」

 

武内「......」

 

アーニャ「ハチマン......」

 

美波「八幡君......」

 

武内「......わかりました。」

 

八幡「!!ありがとうございます!」

 

武内「ただし、体調が戻ったらです。それまでここから出ることは許しません。千川さん、彼女を見ていていただけますか?」

 

ちひろ「それだと業務が......」

 

八幡「俺がちひろさんの分もやります。」

 

ちひろ「......わかりました。比企谷君、あとでお仕置きです!それといい加減立ちなさい。」

 

八幡「......はい。宜しくお願いします。」

 

武内「では、急いで控え室に戻りましょう。」

 

八幡「はい。」

 

アーニャ「да!」

 

 

 控え室に戻り全員に経緯を説明する。不安そうではあるが、折れてはいない。気がかりだった智絵里も大丈夫そうだ。

 そして美波の代役へと話は進む。

 

 結果、蘭子は引き受けてくれた。蘭子語ではなく、全員に伝わる様「やってみたい。」と言ってくれた。

 

 まもなくCPの出番。

 トップバッターは蘭子。本来ならそのままLOVE LAIKAに移るのだが、蘭子の着替えの関係でアスタリスクの2人にMCをお願いした。

 ......自分で考えた策だが、穴が大きすぎる。迷惑をかけすぎだ。

 

 着替えもすみ、LOVE LAIKA ver.蘭子の出番。

 

蘭子「我が友......いえ、八幡さん。見ててください。用意してもらったこの舞台......絶対に成功させます!」

 

八幡「しっかり見てるからな。......行け!我が友よ!封印を解き放ち、第2形態を顕現させよ!」

 

蘭子「!!......フッフッフッ。我が第2形態!刮目せよ!」

 

 頑張れ!蘭子!頼んだぞ!

 

 イントロに合わせ振りが始まる。蘭子の振りにはアーニャほどのキレはない。

 だが、彼女に合った、流れる様な動き。合わない様で合っている。2曲連続で疲れもあるだろう。だが、そんな様子を微塵も感じさせない見事なパフォーマンス。......最高のステージだよ。

 

 

 ......無事曲を終えた。最初は訝しげだった観客も最後には大声援をくれた。よかった。本当に良かった。

 頑張った2人を全力で迎えようとしていたのだが......

 

蘭子「雨が!」

 

 飛び込んできた蘭子が叫ぶのと同時に雷が落ちる。そして停電。

 次はニュージェネだ。......あいつらにとって最悪のタイミング。

 

 おそらく、再開しても客は少ない......

 

 

 

 

 私達は今、舞台裏で待機してる。落雷での停電と豪雨でライブが休止しているから。

 美波が倒れたって聞いた時はどうなるんだろうって思ったけど、不思議と不安はなかった。

 だって、八幡がなんとかしてくれる。頼りすぎかなって思うけど......

 実際に八幡はとんでもない案を言ってきた。蘭子を代役にするとか、全体曲には美波が戻ってくるとか。

 いつもは挙動不審で頼りないけど、みんながピンチの時は凄く格好いい。ホント、ずるいな......

 

かな子「もうすぐ再開できそうだって!」

 

卯月「よかったです!」

 

智絵里「でも......まだ、雨降ってるね......あ、ご、ごめんなさい!」

 

未央「平気平気〜!」

 

智絵里「ごめんなさい。私、気が利かなくって......美波さんが倒れた時も、何もできなくて......」

 

かな子「智絵里ちゃん......でも、すぐに報告してくれたじゃない!」

 

智絵里「それは......気が動転しちゃった私を、八幡さんが......抱きしめながら撫でてくれて......落ち着けたから......それからプロデューサーに報告してきてくれって、指示までくれたんです。」

 

 あいつはまた......

 

智絵里「だからせめて......自分のやれること、ちゃんとやらないと!」

 

杏「それでいいんじゃ〜ん。杏なんてやれることやるだけで精一杯だよ。」

 

かな子「そうだよね!やれることやろ!」

 

卯月「はい!頑張ります!」

 

杏「それにしても、あいつって変なヤツだよね〜」

 

未央「あいつって、ハッチーの事?」

 

杏「そーそー。いつも先回りして色々考えてて、ありえない方法で解決して。ホント変なヤツ。」

 

凛「たしかにね。でも、だからこそ信じられる。」

 

智絵里「それに、ちょっと目は怖いけど、とっても優しいです。なでなでも気持ちいいし......」

 

卯未「「あー(はい)、それはわかる(ります)」」

 

 えっ?みんななでてもらってるの⁉︎私まだ......

 

未央「あのなでなでは反則だよねー。癖になるっていうかさ。」

 

卯月「とっても気持ちいいですよね〜。」

 

 たぬ......卯月の顔がふやけてる。なんかムカつく......

 

智絵里「はい、またなでてほしいです......」

 

かな子「そうなんですね......」

 

未央「でもまあ、今はライブの事考えよ!それで、バッチリ成功させれば、ハッチーもなでてくれるよ!」

 

かな子「そうだね!」

 

未央「よーし!みんな、がんばろー!」

 

全員「おー!」

 

 

 まもなく再開される。

 

 いつもの掛け声ジャンケン。今日も勝てた。嬉しいな......

 

プロデューサー「ステージ、OKです。」

 

「「「はいっ!」」」

 

プロデューサー「あの......実はまだ、お客様が戻りきっていなくて......」

 

未央「そっか......大雨降ったばっかだもんね......」

 

 こんな時あいつなら......八幡ならきっと......

 

プロデューサー「d「でも、やるしかない。」......はい。」

 

卯月「うん!」

 

未央「もう逃げない。見てくれるみんなを笑顔にするっ!」

 

プロデューサー「......よろしくお願いします。」

 

「「「はい!」」」

 

プロデューサー「それと、比企谷さんから伝言です。『最前ど真ん中を見てみろ。』だそうです。」

 

卯月「一番前の......真ん中ですか?」

 

プロデューサー「はい。見れば意味はわかります。」

 

凛「わかった。」

 

 さあ、行こう!

 

「「「チョコ!レー!トー!」」」

 

 

 最前中央......あれはっ!

 雪ノ下さんと由比ヶ浜さん。それに、戸塚さんと小町まで......

 そっかこういう事か。卯月も未央も同じ様な顔してる。......ホントずるいな。

 

未央「みなさーん!はじめましてー!」

 

「「「ニュージェネレーションズです!」」」

 

 曲が始まった。楽しい。嬉しい!みんなこんな雨の中......

 ありがとう八幡。最高の贈り物だよ!

 

 ......私達の曲も終わり、C-I、凸レーションも無事に成功。今はアスタリスクの出番。

 そんなとき、八幡が美波と美嘉を連れてきた。いないと思ったら美波のところ行ってたんだ......

 

美波「プロデューサーさん!おまたせしました!」

 

プロデューサー「新田さん!大丈夫......ですか?」

 

美波「はいっ!」

 

美嘉「バッチリだよ!熱も下がったし、少し踊ったけど問題なし!」

 

プロデューサー「そうですか......よかったです。」

 

八幡「お待たせしました。......じゃあ美嘉、ちょっくら頼むわ。」

 

美嘉「まっかせといてっ★」

 

プロデューサー「比企谷さん、今度は何を......」

 

八幡「すんません。美嘉に少しMC頼んだんです。」

 

 八幡のやつ、また何か企んでる......

 

プロデューサー「わかりました。城ヶ崎さん、お願いします。」

 

 美嘉がステージに向かうと、みくと李衣菜が入れ替わるように戻ってきた。

 

みく「あー!美波チャン!」

 

李衣菜「もう大丈夫なの?」

 

美波「うん。もう大丈夫。ごめんね、心配かけて......」

 

八幡「ほれ、それは後だ。さっさと着替えてこい。」

 

みく「わかったにゃ!」

 

李衣菜「まってて!」

 

 みくと李衣菜が戻りこれで全員。そっか......全員で歌えるんだ!

 

莉嘉「ねぇねぇ!円陣やろうよー!」

 

 全員で円陣を組む。そっか、掛け声決まってなかったね。

 

凛「掛け声は?」

 

みりあ「ファイト!オー!かな?」

 

李衣菜「よし!それで!」

 

 みんなで美波を見る。

 

美波「えっ?ダメよ。本番前に熱出しちゃったし......リーダーしっかk「ミナミン!みんな待ってたよ!」」

 

全員「うんっ!」

 

 いいタイミングだね未央。失格って言わせたくないもんね。

 手を繋ぐ。美波は驚いてるけど......ここにいる「全員」で気持ちを1つに!

 

美波「......ありがとう!それじゃぁ、みんな!シンデレラプロジェクト!」

 

 右足を一歩前に踏み込む!

 

全員「ファイトー!オー!」

 

 

 

 全体曲も無事に終わり終演。

 今は武内さんと共に届いたファンレターや会場アンケートを運んでいる。

 

八幡「武内さん、今回も......色々とすんませんでした。」

 

武内「......比企谷さん。私は少し怒っています。」

 

 ですよねー。いつもこんな勝手ばっかやってたらそら怒るわ。

 

八幡「すみません。」

 

武内「怒っています。一人でなんでもやってしまう比企谷さんに......それ以上に、それを指を咥えて見ているだけの私自身に。」

 

八幡「えっ?」

 

武内「比企谷さんのやり方は少し強引ですが、いつも助けられてばかりです。そして思うのです。比企谷さんがいなかったら、このプロジェクトはどうなっていたのかと。」

 

八幡「......変わんないっすよ。」

 

武内「変わらない......ですか?」

 

八幡「はい。変わんないです。俺がやってるのは手を貸してるだけですから。」

 

武内「......そうかもしれません。ですが、あなたの存在は大きい。彼女たちの、そして私の心の支えになっています。」

 

八幡「......そっすかね?」

 

武内「そうです。」

 

八幡「なら......よかったです。」

 

武内「では、運んでしまいましょう。」

 

八幡「......うす。」

 

 

 撤収作業の中、箱を運ぶ......楓さんが喜びそうだな。

 みんなのところに持っていき、仕分けをしつつ渡して行く。

 卯月の「アイドルみたいです......」の天然ボケに全員で突っ込んだのは笑えた。

 次は未央のだな......

 未央に渡すとその場で読み始める。こら、離れなさい。仕分けしにくいでしょ!

 

未央「ハッチー......」

 

八幡「ん?どした?」

 

未央「アリガトね。」

 

八幡「なんのこっちゃ......」

 

未央「......あの時怒ってくれて、私をつなぎとめてくれて......」

 

八幡「俺はなんもしてねえよ。」

 

未央「そんな事ない。あの時の事があったから、今日頑張れた。ゆきねえにゆいねえ、こまちゃんに戸塚さんも応援してくれて......凄く嬉しかった!」

 

八幡「そうか......」

 

未央「うん!だから、ありがとう!私、アイドル辞めないでよかった!」

 

八幡「......いい笑顔だよ。最高だ。」

 

未央「うん!しまむー!これ見て!」

 

 そう言って離れて行く未央。武内さんは凛と話している。

 ぼーっと仕分けをしている......

 

美波「八幡君......」

 

八幡「......どした?」

 

美波「今日は、本当にありがとう。あと、ごめんね。」

 

八幡「......どっちも言われる覚えがねえな。」

 

美波「そんな事ないよ。助けてもらったし、ステージにも立たせてくれた。それに......土下座までさせちゃって......」

 

八幡「......あれは、俺がやりたくてやったことだ。別にお前の為じゃない。」

 

美波「相変わらずだね。じゃあ、そういう事にしておくね。」

 

八幡「おう。そうしてくれ。」

 

美波「うん。ねえ、八幡君。」

 

八幡「なんだー?」

 

美波「......目閉じてくれる?」

 

八幡「......別に構わんが?」

 

 よくわからんが、目を閉じる。何?何されんの?もしかして引っ叩かれる⁉︎

 

 chu!

 

 頬に柔らかいものが一瞬触れる......まさかっ⁉︎

 

八幡「お、おまっ!今なにs「内緒だよ?」......言えるわけねえじゃん。」

 

 ふふっ!と笑いながら去って行く......やられた......

 

 

 ファンレター合戦も終わり、ステージの縁に座るみんなの横に立つみんな銘々に話をしている......

 

凛「私、前に346プロのライブでフラワースタンド届けに行ったことあるんだ。」

 

未央「へ~。」

 

卯月「そうんなんですか?」

 

凛「うん。楓さんたちが出ててさ、自分が同じステージに立つなんて思ってもみなかった。」

 

卯未「「えっ⁉︎」」

 

卯月「それって秋のライブですか?」

 

凛「え、うん。」

 

未央「私、それ見に行った!」

 

卯月「私も、スタッフで......」

 

卯未「「えー⁉︎」」

 

未央「これって運命だよー!」

 

卯月「その時準備中にガラスの靴落としちゃって......」

 

未央「それって階段のところ?」

 

卯月「はい、そうですけど......」

 

未央「ごめん!ぶつかったの私!」

 

卯月「え......えええええええ!」

 

凛「それ私も見てた......」

 

未央「うそ......」

 

卯月「信じられません......」

 

凛「ホントだね。その時誰かに靴拾ってもらわなかった?」

 

卯月「そうなんです。お礼も言えてなくて......」

 

八幡「あ?礼なら言われたぞ?」

 

卯月「えっ?」

 

八幡「え?」

 

卯月「あの時の人って......もしかして八幡さんですか⁉︎」

 

八幡「え?気づいてなかった?」

 

卯月「全く......」

 

未央「全然......」

 

凛「これっぽっちも......」

 

八幡「......」

 

卯月「奇跡です......」

 

未央「そうかも......」

 

凛「ホントに......」

 

「「「運命です(だね)!」」」

 

八幡「そうかもな......」

 

 ホントは違うんだが......まあ、いいか。確かに3人があの場にいたのは、偶然という名の奇跡だ。

 

 そう思うのも悪くない。



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13話?

 サマーフェスも終わり、高校生達はそろそろ夏休みを終える頃、俺はまたやらかしていた......

 

武内「比企谷さん......また......」

 

八幡「......今回は自覚してます。」

 

武内「では、明日から今月いっぱい、ゆっくりしてください。すみません。忙しさのあまり、お休みさせてあげられなくて......」

 

八幡「いえ、大丈夫です。こうして後からまとめて貰えますし......」

 

武内「そう言っていただけると助かります......それと、お詫びと言ってはなんですが、よかったらこれをどうぞ。」

 

八幡「......こ、これは......」

 

武内「お使いください。」

 

八幡「は、はぁ、どうも。」

 

武内「では、時間まで宜しくお願いします。」

 

八幡「......うす。」

 

 

 プロデューサールームを後にし、チケット片手に考える。さて、どうしたもんか......手元のチケットは4枚。なんでいつも4枚なのん?

 まあ、貰えるのならなんでもいいが......

 貰った手前、全てあげてしまうのは申し訳ない。まずh「ハッチー何持ってんの?」......なんで君はいつもタイミングよく話しかけてくるのかな?

 

未央「ん?何持ってんの?」

 

八幡「コレか?これは我らが千葉の誇る、日本最大のテーマパークのチケットだ。」

 

未央「こ、この女性だらけの事務所でなんて物を......」

 

八幡「さっき武内さんに貰ってな。どうするか考えてたんだ。」

 

未央「これは由々しき事態......皆の者!集まれ〜い!」

 

 おぉ!由々しきなんて言葉知ってたのか......成長したな。お兄ちゃん嬉しいよ......ぐすんっ

 って、何集めちゃってんの?

 ホントに集まってるし......

 

 集まったのは7人。ニュージェネ、蘭子、C-Iだ。他のメンバーは仕事で出払っている。

 

卯月「どうしたんですか?」

 

 未央にチケットを奪われる。コラ、返しなさい!

 

未央「ここに......某夢の国のチケットがあります......」

 

 全員がピクッと反応する。......怖い。

 

未央「あるのは4枚。1枚はハッチーの分だから残りは3枚......よってここに、夢の国チケット争奪戦を宣言します!」

 

八幡「コラ、勝手に宣言s「ほんとですか!」......」

 

卯月「行きたいです!」

 

凛「八幡と......悪くないね。」

 

蘭子「行ってみたいです!」

 

 ん?行ってみたい?

 

智絵里「わ、私も......」

 

かな子「いいですね〜。」

 

杏「ただで行けるなら行こうかな〜。」

 

未央「では第一回s「ちょっと待て。」......何?ハッチー。今いいとこなんだけど。」

 

八幡「なんで俺が怒られてんの?おかしくない?......まあいい、1つ教えてくれ。蘭子、行ったことないのか?」

 

蘭子「は、はい......実家が熊本だったので......」

 

八幡「なら、1人は蘭子だ。」

 

蘭子「いいんですかっ!」

 

八幡「おう、構わん。」

 

未央「ぐぬぬぬ......枠が1つ......」

 

凛「仕方ないよ。」

 

卯月「ですね。」

 

未央「はぁ。では改めて!みんなでジャンケンだ!」

 

全員「最初はグー!ジャンケンポンッ!」

 

 グーが5人とパーが1人......

 

未央「なん......だと?」

 

凛「嘘......」

 

智絵里「や、やった!勝ちました!」

 

かな子「よかったね!智絵里ちゃん!」

 

杏「クローバーのおかげかな〜?」

 

卯月「......次です!」

 

智絵里「八幡さん!勝てました!」

 

八幡「お、おう。よかったな......」

 

 俺の手を両手で掴み、ぴょんぴょんする智絵里......何これ?超可愛いんですけど......これはみりあに次ぐ天使か?チエリエルなのか⁉︎

 

卯凛「「じー......」

 

 うっ!視線が......

 

八幡「ほれ、後1人決めちまえ。」

 

卯月「負けません!」

 

凛「負けない!」

 

未央「勝つよー!」

 

かな子「あははは......」

 

杏「いいや〜。杏降りる〜。」

 

かな子「じゃ、じゃあ。私も......」

 

 怖じ気付いたな......仕方ないよね。怖いもんね。......卯月と凛。

 

3人「さーいしょーはグー!ジャンケンポンッ!」

 

 ............決まった。長い長いあいこの末、パーが2人にチョキが1人。勝者.....

 

 

 

 島村卯月!

 

卯月「やりました!ぶいっ!!」

 

 勝利のダブルピースですね。

 

 

 

 さて、本日向かうはデスティニーランド。リア充の集まる巣窟だ。蘭子が非常に楽しみにしていたため、朝早くから向かっている。開園と同時に入場するために......

 ちなみに俺だけ家が逆方向のため1人で、そう、1人電車に乗り、現地に向かっている......

 

八幡「......」

 

材木座「八幡よ、奇遇だな。」

 

八幡「......」

 

材木座「八幡よ、我だ。見えているのだろう?」

 

八幡「......」

 

材木座「え?見えてるよね?我ちゃんと見えてるよね?」

 

八幡「......うるさいぞ材木座。黙れないなら息の根を止めてやろうか?」

 

材木座「ぴいっ!......は、八幡、お主以前より言葉に棘があるのではないか?」

 

八幡「......そうか?お前への対応なんざ、前からこんなもんだ。」

 

材木座「確かに......ところで八幡、お主今日暇か?暇だったら我と秋葉原に......」

 

八幡「残念だが暇じゃない。」

 

材木座「まさかお主......女子と遊びに行くのではあるまいな......」

 

八幡「そうだが......文句あるか?」

 

材木座「へぶぅっ!み、見損なったぞ八幡!貴様がリア充の真似事など!......ところで雪ノ下女史か?それとも由比ヶ浜女史か?」

 

八幡「......あ?どっちでもないが?」

 

材木座「な......なんだと?......ち、ちなみに女子は何人おるのだ?」

 

八幡「......3人だな。」

 

材木座「......可愛い?」

 

八幡「3人とも超絶美少女だ。」

 

材木座「......我m「あ、降りるわ。じゃあな。」......デスティニーランド......だと......女子3人と......はちむぁ〜「プシュー」......」

 

 哀れ材木座。出る寸前にドアが閉まるとか美味しすぎんだろ......

 駅を出て、事前に決めていたところで3人を待つ。さっきからチラチラと見られている......え?何?俺そんなに怪しい?......くっ!目から汗が......

 15分ほど待ち、約束の時間まであと10分......

 

「八幡さーん!」

 

 やめて!そんなに大きい声で呼ばないで!ほら君!注目されてるよ!自覚して!

 

卯月「おまたせしました!」

 

智絵里「遅くなって......その......ごめんなさい!」

 

蘭子「待たせたな、我が友よ。」

 

 ほらー!超目立っちゃってんじゃん!うぅ......視線が痛い......

 

八幡「い、いや。大丈夫だ。待ち合わせ時間にもなってないしな。」

 

智絵里「な、なら、よかったです。」

 

八幡「んじゃ、行くか?」

 

3人「はいっ!」

 

 3人を連れてゲートへ向かう。さて、今日は遊びt「はっちむぁ〜ん!」......げっ!あいつ戻ってきやがった......

 

卯月「ん?八幡さん呼ばれてませんか?」

 

八幡「......いいか?3人とも、絶対に反応するなよ?」

 

3人「わ、わかりました......」

 

材木座「ひどいではないか!まだ話は済んでいないぞ!」

 

八幡「......」

 

材木座「はちまーん......」

 

八幡「......」

 

材木座「お、おーい......」

 

八幡「......」

 

卯月「は、八幡さん、いいんですか?」

 

八幡「大丈夫だ。問題ない。」

 

材木座「八幡!気づいておるのだろう!」

 

智絵里「なんだか可哀想です......」

 

 智絵里は優しいな......さすがチエリエル。

 

八幡「はぁ、しゃあねえ......うるさいぞ材木座。なんで付いてきてんだよ......」

 

材木座「我だって女子と遊びたいのだ!貴様ばっかりずるいぞ!」

 

卯月「な、なんだか......」

 

智蘭「「怖いです......」」

 

材木座「ぐはぁ!」

 

 奇声をあげながら胸を押さえて蹲る材木座。よし、ここだな。

 

八幡「材木座、安心しろ......」

 

材木座「八幡......」

 

 材木座の肩に手を乗せ......

 

八幡「お前は怖いだけじゃなくて、キモくてウザいからな。」

 

材木座「..................」

 

 放心する材木座。

 

八幡「よし!行くか!」

 

卯月「よ、容赦なしですね......」

 

八幡「ん?そうか?いつも通りだ。」

 

蘭子「禍々しき言の葉であった......」

 

智絵里「だ、大丈夫なんですか?あの人」

 

八幡「ん?問題ないぞ。気にしなくても大丈夫だ。」

 

智絵里「そ、そうですか......」

 

八幡「智絵里は優しいな。」なでなで

 

智絵里「はぅ......そ、そんなことないでしゅ......」

 

 でしゅって......それ可愛すぎんだろ......

 

 

 開園時間になり、揃って入場する。

 

蘭子「はわー......」

 

 メインゲートを抜けたところで、蘭子が感嘆の声をあげる。

 

蘭子「ここがデスティニーランド......綺麗......」

 

 キラキラと目を輝かせキョロキョロしている。

 

八幡「人がすごいからな。はぐれないように気いつけろよ。」

 

智絵里「は、はい......その......えっと......」

 

八幡「ん?どした?智絵里。」

 

智絵里「えっと......」

 

 手が前に出たり戻ったり......あぁ、そういうことね......恥ずかしいが、逸れるよりはマシだな。

 

八幡「あー、智絵里、不安だったら適当なとこ持ってくれて構わん。」

 

智絵里「!!は、はいっ!」

 

 そう言いつつ左腕の肘のあたりを控えめに摘んでくる......かわええのう......

 

蘭子「わ、私も......」

 

 蘭子は右腕の袖口を......

 

卯月「わ、私は何処を......」

 

 と、わちゃわちゃしている卯月......

 

八幡「とりあえず蘭子か智絵里に捕まっとけ。」

 

卯月「むー......わかりました。」

 

八幡「んじゃ、回るか。」

 

3人「はい!」

 

 

 こうして回り始める。

 様々なアトラクションに乗りキャーキャー言ったり、2人がけの席は誰がペアで乗るか争ったり、3人でお揃いの耳を付けたり......

 何それ、超可愛いんですけど......カメラに収めました。

 歩きながらチュロスも食べたよ?みんなにアーンされて恥ずかしかったが......

 3人はずっと笑顔だ。連れてきてよかったな......

 そういえば......いつのまにか智絵里と手を繋いでいる......俺、手汗大丈夫?あとでキモいとか言われない?

 ま、いいか。可愛い妹たちの好きにさせよう。

 

 こうして一日中遊び倒し、今はパレード。みんなで並んで見ていると、左手がギュッと握られる......

 

八幡「どうした?」

 

智絵里「い、いえ。その......終わっちゃうなって思ったら、その......寂しくって......」

 

八幡「......なら、また来ればいい。」

 

智絵里「はい......その、一緒に......きてくれますか?」

 

八幡「おう。いいぞ。」

 

智絵里「はい!お願いします。............今度は2人で......」

 

八幡「ん?すまん。最後聞こえなかったわ。」

 

智絵里「な、何でもないです!」

 

八幡「......?ならいいが......ほれ、パレード見とけ」

 

智絵里「はいっ!」

 

 3人はいつも笑顔にさせる側だ。

 苦労だってするし、辛い思いだって沢山する。

 だからこんなときくらいは......なんも気にせず笑顔になったっていいよな?

 

 ホント、連れて来て良かったよ......

 

 

 

 3人を夢の国へ連れて行った2日後。

 ......風邪を引きました。てへっ。

 ......ダメだマジでシャレにならん。疲れが一気に出たのかしら......

 

小町「お兄ちゃん大丈夫?」

 

八幡「......大丈夫だ。問題にゃい。」

 

小町「ダメだこりゃ......呂律回ってないよ。」

 

八幡「しょうか?俺はふちゅうに喋ってるちゅもりにゃんだが......」

 

小町「ごめん。何言ってるかわかんない。」

 

八幡「......しゅまん。」

 

小町「いいよ。小町出かけてくるから、大人しく寝てるんだよ?クスリここに置いとくから。」

 

八幡「......おう。」

 

小町「......行ってきます。」

 

八幡「いってら〜」

 

 寝るか......こういう時は寝るのがいちb「Prrrrrr......」......誰だ?

 

八幡「......もひもひ?」

 

凛『......誰?』

 

八幡「......俺だが?」

 

凛『声おかしいけど......どうしたの?』

 

八幡「......気のしぇいだ。」

 

凛『嘘。呂律も回ってないよ......風邪?』

 

八幡「......しょうらしいにゃ。」

 

凛『......小町いるの?』

 

八幡「しゃっき出かけた。」

 

凛『わかった。今から行くから。』

 

八幡「......うちゅるとまじゅい。くるにゃ。」

 

凛『そんな喋り方してる人を放っておく方がまずいから。待ってて。』

 

八幡「......」

 

凛『八幡?』

 

八幡「......」

 

凛『ね、ねえ!八幡⁉︎』

 

 

 

 『ピンポーン』チャイムが聞こえる......

 『ピンポーン』まただ......『Prrrrrr......』電話?

 

八幡「......はい。」

 

凛『八幡!鍵開けて!』

 

八幡「......は?にゃに言ってんにょ?」

 

凛『いいから!家の鍵!』

 

八幡「......わかった。」

 

 重い身体を起こし、玄関へ。ダメだ。マジだりい。

 やっとの思いで玄関へ。鍵を開けた瞬間......

 

凛「八幡!」

 

 ものすごい勢いで凛がドアを開け、抱きついてくる。フラフラの俺が耐えられるわけもなく、そのまま倒れこむ。......あー......なんかいい匂いする......

 

凛「ごめん!大丈夫?」

 

八幡「......あ?凛?にゃんでいんにょ?」

 

凛「覚えてないの?」

 

八幡「......よくわかりゃん。」

 

凛「とりあえず、ベッド行くよ。」

 

八幡「......おう。」

 

 

 思わず抱きついちゃった......心配でどうにかなりそうだったから......

 八幡をベッドに寝かせると、すぐに寝ちゃった。

 

凛「熱......計っておかなきゃ。ごめん、ちょっと触るね。」

 

 寝てるから聞かれてないのに、つい断っちゃう。掛け布団をめくり、近くに置いてあった体温計を脇に。

 

凛「いつもはわかんないけど......結構がっしりしてるんだ......」

 

 無意識のうちにペタペタと身体を触ってしまう。

 ペタペタ......

 

凛「こうして寝てると、可愛い顔してるんだね......」

 

 ピピピピッ

 計り終わった体温計を取り確認。38.9°

 これは辛いよね......

 

凛「ごめん。冷蔵庫開けるね。」

 

 氷枕とかあるかな?冷やピタとかあればいいけど......あんまり家の中いじるのもよくないし......

 

凛「氷枕はないか......氷水とタオルでいっか。」

 

 お風呂から桶を持ってきて氷水を作る。タオルをつけて......

 

凛「つめたっ!」

 

 我慢しなきゃ。八幡はもっと辛いんだから。そうだ、今のうちに必要そうなもの買ってこよう。

 八幡、家の鍵借りるよ。ちょっと出かけてくるね。

 

 

 来るときに見かけたコンビニでいいや。......そこしかわからないし。

 それにしても、さっきから視線を感じる......なんでだろ?そんなことより急がないと!

 

 コンビニに入り、冷やピタと......ヨーグルトとゼリーとあとスポーツドリンク......あんまり買っても食べられないよね?こんなもんでいっか。

 

店員「しゃーやせー。......うえっ⁉︎」

 

 どうしたんだろ?早くして。八幡が待ってるんだから!

 

店員「もっ、もしかして!ニュージェネの渋谷凛ちゃんっすか⁉︎」

 

凛「え?そうですけど......」

 

店員「俺メッチャファンなんす!さささサインください!」

 

凛「えっ?あっ、ご、ごめんなさい。今ちょっと急いでて......病人がいて......」

 

 やばっ!焦って変装忘れてた......

 

店員「そっすか......1596円っす。もしかして未央ちゃんっすか?」

 

凛「え?あ、はい。そんなとこです。」

 

店員「1600円っすね。4円お返しっす。お大事にって伝えてください。」

 

凛「は、はい。伝えておきます。」

 

店員「応援してるっす!あざっした!また来てください!」

 

凛「あ、ありがとうございます。」

 

 

 さっきから感じる視線は......変装してなかったからか......失敗したな。でももう今更!急いで帰らなきゃ!

 

 

凛「ただいまー。」

 

 八幡の部屋へ向かう前に買ってきた物を冷蔵庫に。......あれ?八幡て4人家族だよね?なんかおかしい......なんだろ?

 疑問に思いながらも部屋へ......

 

凛「八幡、おきてる?」

 

 ......寝てるみたい。

 

凛「タオルとこれ交換するね。」

 

 タオルを取り、買ってきた冷やピタをおでこにつける。一瞬身体が震えた。......可愛い。

 ?震えてる?寒いのかな......でも布団の場所とかわかんないし......

 

凛「し、仕方ないよね!これしか方法ないし。」

 

 誰に言い訳してるんだ?と思いつつ布団の中へ。

 

凛「お、お邪魔しまーす。」

 

八幡「んん......」

 

 えっ⁉︎起き......てないか。よかった。

 これで少しはあったかいかな......

 あったかいな。それにすごく安心する。あと......凄くいい匂い。落ち着く。

 この人がいつも、私達を助けてくれてるんだね。

 私と3歳しか変わらないのに、ずっと大人で......人の為に自分を犠牲にしちゃう、凄く優しい人。いつも勇気をくれて、安心させてくれる......大切な人。

 

 あぁ、そっか。

 

 私、この人のこと......

 

 

 

 好きなんだ。

 

 

 この人が私の、初恋の人なんだ......

 

 

凛「振り向かせて見せるから。覚悟しててね。」

 

 chu!

 

凛「私のファーストキスだから。」

 

 眠くなってきちゃった......

 

 

 

 

八幡「ん......んあ?」

 

 あれ?今何時?......午後の2時か......ん?なんかついてる......冷やピタ?んん?んんん?右腕があったかい............

 

八幡「うおっ!な、なんで凛いんの?てかなんで一緒に寝てんの?」

 

凛「んん......」

 

 何それエロい......じゃなくて!

 

八幡「お、おい!起きろ!凛!」

 

凛「あんっ......あれ?八幡起きたの?」

 

 やばいです。非常にやばいです。......下半身が。

 

八幡「お、おう。なんで一緒に寝てんの?てかなんでいんの?」

 

凛「覚えてないの?」

 

八幡「......覚えてない。」

 

凛「あんなに激しかったのに?」

 

 そう言い下腹部をおさえる凛。......え?ヤっちゃったの?覚えてないんだけど......惜しい!じゃなくて!

 

八幡「え?嘘だよね?冗談だよね?」

 

凛「私とは冗談だったんだ......」

 

八幡「ま、マジか......その......すm「なーんて、冗談だよ」......マジで?」

 

凛「うん。お約束でしょ?」

 

八幡「......驚かすなよ。無意識で襲っちまったかと......」

 

凛「からかってごめんね。キスはしたけど。」

 

八幡「......その手には乗らんぞ。」

 

凛「ううん。これはホント。私のファーストキス。」

 

八幡「いやいやいや、そんな演g「演技じゃないよ。本気。私、八幡が好き。」......マジで言ってんの?」

 

凛「こんなこと本気じゃなきゃ言えない。好きな人とじゃなきゃキスもできない。」

 

八幡「......俺h「言わなくていい。何とも思われてないってわかってるから。」......」

 

凛「覚悟してて。絶対に振り向かせて見せるから。」

 

八幡「......そら怖いな。」

 

凛「ふふっ!」

 

八幡「んんっ!でだ、まずなんでいんの?」

 

凛「電話してたら急に喋らなくなったから、心配になって来ちゃった。」

 

八幡「来ちゃったって......まあ、わかった。心配かけてすまん。」

 

凛「いいえ。」

 

八幡「次だ。なんで一緒に寝てたんだ?」

 

凛「寒そうで......でも布団の場所知らなかったから私が温めようと思って......」

 

八幡「そうか......悪かったな。」

 

凛「そうしてたら八幡のこと好きなんだって気づいて、k「よーしわかった。この話はここまでだ。」......ヘタレ。」

 

八幡「うぐっ......」

 

凛「そうだ。体調は?」

 

八幡「......だいぶいいな。少しだるいが......」

 

凛「よかった。熱計って。あと、何か食べられそう?」

 

八幡「食欲はないな......」

 

凛「ヨーグルトとかは?」

 

八幡「それくらいなら。」

 

凛「ん。持ってくるから待ってて。」

 

八幡「......おう。サンキュ。」

 

 部屋を出る凛を見送る。凛が俺を......ねぇ......

 

凛「おまたせ。桃とりんごどっちがいい?」

 

八幡「......りんご。」

 

凛「わかった。じゃあ、あーん......」

 

八幡「ちょっと待て。自分で食える。」

 

凛「ダメ。病人なんだから。言うこと聞いて。」

 

八幡「い、いや。大j「言うこと聞いて」......はい。」

 

凛「じゃ、はい。あーん......」

 

八幡「あ、あーん......」

 

凛「ふふっ♪次行くよ。」

 

 全部食べ終わるまで続きました......

 

 

 

凛「大丈夫そうだし、帰るね。」

 

八幡「色々助かったわ。そうだ、いくらだ?」

 

凛「いいよ。好きでやったことだし。」

 

八幡「そうはいかん。払わせてくれ。」

 

凛「んー、じゃあ今度なんか奢ってよ。」

 

八幡「......わかった。」

 

凛「決まりだね。ちゃんと八幡から誘ってね?」

 

八幡「......意味がわからんぞ?」

 

凛「デートで何か奢ってくれるんでしょ?」

 

八幡「違う。そう言う意味じゃない。」

 

凛「でも約束したし......」

 

八幡「うっ......わかったよ。俺の負けだ。」

 

凛「楽しみにしてる。じゃ、今度こそ帰るね。お大事に。」

 

八幡「おう。悪いな送ってやれなくて。気をつけてな。」

 

凛「アリガト。」

 

 出ていった凛のことを考える。マジだったな......勘違いなんて言える雰囲気じゃなかった。俺も......ちゃんと......考えないとな...............

 

 Zzzzzzzz............

 



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14話?

 サマーフェスから早一月。

 CPの新しいアルバムサンプルが届いた。内容は一部メンバーのソロ曲とフェスで発表した全体曲。

 各々手に取り盛り上がっている。

 早く聴きたい!とか、楽しみ!と平和な事を言っている中、卯月がとんでも発言をブッ込んで来る。

 両親、祖母、親戚、友達、自分の分全てを買うらしい。

 待て。家族と親戚はわかる。だが友達って......何人いんだよ......

 そんな事を言いながらも、実は俺も3枚は常に買っている。1枚買えば小町に奪われ、2枚目は小町の布教用として奪われる。そしてようやく3枚目で自分の手元に......ちゃんとお小遣いあげてるのに......ぐすん。

 

 盛り上がっていると誰かが入ってきた......女性と今西部長。それと見覚えのないおっさん。

 そういえば、今日常務が来るって言ってたっけ......挨拶せねばと思い立ち上がる......

 常務と思われる女性を......何だ?この人......なんかおかしい......

 

八幡「おはようございます。」

 

 若干の気持ち悪さを抱えながらも、なんとか挨拶を済ませる。

 同時に武内さんがプロデューサールームから出てきた。

 部長が改めて紹介してくれる。やはり常務だった。

 なんだこの違和感......雪ノ下さん......とは違う?似ているが......仮面じゃない。ただ似ている......似ている?

 ああ、そうか......

 

常務「ニュージェネレーションズ。島村卯月さん、本田未央さん、渋谷凛さん。頑張りなさい。」

 

 !!嘘だ。心にも思っちゃいねえ。こいつ......

 

常務「君は?」

 

八幡「......アシスタントの比企谷八幡です。」

 

 視線が気持ち悪い......いや、気持ち悪いなんてもんじゃない。飲み込まれそうだ......

 

常務「......面白いな。今君は何を考えている?」

 

八幡「......多分常務が思っている通りです。」

 

常務「ほう......比企谷君と言ったな。覚えておこう。」

 

八幡「......光栄です。」

 

 

常務「レッスン室と衣装室も見ておきたい。案内してくれ。」

 

おっさん「こちらです。」

 

 ......やっと出ていった。

 

八幡「はあ......」

 

武内「比企谷さん今のは......」

 

八幡「うぷっ......ちょっと......待ってもらっていいすか?」

 

武内「どうされました!」

 

卯凛「八幡(さん)!」

 

 武内さんが駆け寄って来る。側にいる卯月と凛がフラつく俺を支えてくれた。危ねえ......ぶっ倒れるかと思った......

 

武内「大丈夫ですか?まずは座ってください。」

 

八幡「......すんません。」

 

 卯月と凛に支えられながらソファーに座る。みんなも心配そうに俺を見ている。まずったな......心配かけちまってる......

 

武内「いったい何が......」

 

八幡「ここで話せる様な事じゃないっす......」

 

武内「では、落ち着いたら移動しましょう。もう少しここで休んでください。」

 

八幡「......うす。」

 

凛「大丈夫?」

 

八幡「......ああ。」

 

卯月「何か飲みますか?」

 

八幡「......すまん。水もらえるか?」

 

卯月「はい!」

 

未央「ねえ、ハッチー。なんでここじゃ言えないの?」

 

八幡「......未央、お前にはあの人......美城常務はどう見えた?」

 

未央「んー......できる女!って感じ?」

 

八幡「だろうな。だから言えないんだよ。」

 

未央「んん?ま、いいや。その内わかるんでしょ?」

 

八幡「......嫌ってほどにな。」

 

卯月「お待たせしました!どうぞ。」

 

八幡「悪い。助かった。あとでなんかお返しするわ。」

 

卯月「い、いえ!気にしないでください!」

 

 卯月にもらった水を一口......だいぶスッキリできたな......

 

八幡「もう大丈夫です。行きましょう。」

 

 武内さんとプロデューサールームに水を片手に移動する。正直言って今も少し気持ち悪い......

 

 

武内「では、話していただけますか?」

 

八幡「......はい。まずあの人......ニュージェネの3人に労いの言葉をかけましたよね?」

 

武内「はい。」

 

八幡「ありゃ嘘です。これっぽっちも頑張れだなんて思ってませんよ。......2人には。」

 

武内「すみません。意味が......」

 

八幡「あの人は、うちのアイドルのことなんか目に入ってません。ある1人を除いて。」

 

武内「まさか......」

 

八幡「そのまさかっす。3人組だから1人だけ褒めたら角が立つ。だからでしょうね。ほぼ真正面にいたから目の動きで分かったんすけど。」

 

武内「......そうでしたか。その1人と言うのは......どなたでしょうか?」

 

八幡「......凛です。」

 

武内「わかりました。では、比企谷さんとのやりとりは?」

 

八幡「あれは品定めっす。思い出すだけで気持ち悪い......」

 

武内「なるほど......考えている事とは?」

 

八幡「今言ったこと全部っすよ。バレてたっぽいんで、敢えてそのまま返しました。」

 

武内「そうでしたか......その、本当に大丈夫ですか?」

 

八幡「もう大丈夫です。それより気をつけてください。あの人絶対引っ掻き回してきますよ。」

 

武内「......わかるのですか?」

 

八幡「内容まではわかりませんが、確証はあります。......ある部分がよく似た人を知っているので。」

 

武内「わかりました。このことは他言しないようにしましょう。」

 

八幡「言えることじゃないっすからね......」

 

 そう。この時は気付けなかった。引っ掻き回されるどころではない事に......

 

 

 

 10月目前。まだ常務に動きはない。ただ、別の問題が......

 どうやら武内さんが何かに取り憑かれているらしい......

 背後に人影が見えるとか、心霊写真が撮れたとかなんとか......

 

八幡「んで、何で俺まで呼び出されてんの?」

 

みく「Pチャンの一大事にゃ!アシスタントのはっちゃんが来るのは当然にゃ!」

 

八幡「どう言う理屈だよ......」

 

 この場にいるのはニュージェネと凸レーションとみく。さらにみくに呼び出された道明寺と背中にぶら下がっている白坂。......もうそこ定位置ですね。

 

八幡「白坂に道明寺、いきなり呼び出したりしてすまんな。」

 

白坂「大丈夫......いつでも......呼んで。」

 

道明寺「だ、大丈夫でしゅ!あっ!ま、みゃたきゃんじゃった!あっ!」

 

 ......このかみ具合、シンパシーを感じる。

 

八幡「道明寺......わかるぞ......俺もよく噛むからな......」

 

道明寺「ひ、比企ぎゃやしゃん......」

 

 見つめ合い......固い握手を交わす。

 

道明寺「一緒にがんばりまひょう!」

 

八幡「ああ......宜しくたのみゅ。」

 

全員「......」

 

 2人して盛大に噛んだ。

 

 そして武内さんのお祓いが始まる......祓う側は道明寺。......巫女服いいな。......はっ!いかんいかん......

 

白坂「ねえ......なに......やってるの?」

 

みく「なにって......お祓いにゃ。」

 

白坂「......誰を?」

 

みく「誰って、Pチャンを......」

 

白坂「......何も......憑いてない......よ?」

 

 んなこったろうと思ったよ......

 

白坂「八幡さん......には、憑いてる......けど。」

 

八幡「......え?」

 

白坂「え......」

 

全員「えええええええええ!」

 

八幡「......マジで?」

 

白坂「......うん。」

 

全員「......」

 

みく「はっちゃんをお祓いにゃ!」

 

道明寺「は、はひっ!」

 

 俺かよ......そう言えば......なんか最近妙な視線感じるなと......

 武内さんと位置を変わり俺が祓われることになる。

 

道明寺「では、はじめましゅ!」

 

 また噛んでる。可愛い......左右に振られる腕。それに付随して揺れるお山......そうか、ここがヘヴンか......

 

凛「......八幡、顔がいやらしい......」

 

八幡「そ、そんなことないじょ?」

 

道明寺「えぇっ⁉︎あっ!」

 

 動揺して凛の方を振り向いたタイミングで袴の裾を踏みバランスを崩す。

 

八幡「あぶなっ」

 

 道明寺が倒れる寸前に止めることができた。後ろから抱きかかえるようにささえる。

 

八幡「(あっぶねぇ。)」

 

道明寺「あっ......」

 

 おい、変な声出すな。変な気分に......あれ?

 

道明寺「あぁっ!」

 

 柔らかい?あとちょっと固い?なにこれ?

 

道明寺「だ、だめですっ!ひきっ!あぁん!」

 

 手の行方を見てみる。......ん?手が見えない?って!お山触ってる⁉︎つーか俺直に触ってんじゃねえか!直に?

 

八幡「すすすすすまん!」

 

 慌てて手を引っ込める。

 

道明寺「いいいいいいええええ!、事故でしゅから!ききき気にしにゃいでくだしゃい!」

 

八幡「おっ、おう。わ、悪いにゃ。つ、つーかお前...s「こ、こんなにゃとこりょで言わにゃいでくだしゃい!」......す、すまん。」

 

卯月「2人とも......慌ててどうしたんですか?」

 

八幡「い、いや。なんでもない。」

 

卯月「?ならいいんですけど......」

 

八幡「心配かけたな。すまん、続き頼むわ......」

 

道明寺「ひ、ひゃいっ!」

 

 無事俺のお祓い?も終わり......てか、ホントにお祓いできたんだな。道明寺って......

 去り際に道明寺が近づいてくる......

 

道明寺「あ、あの、比企谷しゃん......せ、責任、とってくだしゃいね?」

 

 と言い逃げする道明寺。それを追う白坂......

 あ、道明寺転んだ。

 ど、どうしよう......

 

 

 

未央「プロデューサーには何も憑いてないとすると......もしかしてストーカーとか⁈」

 

 未央め......また余計な事を......

 そしてまた別の場所へ連れて行かれる......これいつまで付き合わされんの?

 

 

 

 CPメンバーの探偵ごっこが始まって数日......

 

八幡「あいつら......なかなか飽きないっすね。」

 

武内「皆さん楽しそうですし......いいのではないでしょうか?」

 

八幡「......ま、そっすね。」

 

 

 そしてCPの探偵ごっこが終わった数日後......

 

 ついにあの人が動きだした......

 

 

 

 10月頭。久しぶりに大学に行ってからバイトに向かう。

 社内が妙に慌ただしい。引っ越し業者も多数入っている。そしてPR。

 そこには何もなかった。あるのは事務所移動の通知のみ。

 

八幡「......ここまでやるか。」

 

 通知に記された場所に着く。

 『資料室』

 もはや事務所ですらない。一度総務に行き、鍵を借りる。開けて中を見ると......数年は放置されているのだろう。夥しいホコリの量。

 

八幡「......これまたすごいな。マスク......買って来とくか。」

 

 戸締りを済ませ。買うものを買って戻る。資料室に向かうと武内さんと鉢合わせたため、2人そろって資料室へ向かう。

 

武内「お待たせしました。」

 

八幡「お前ら、入る前にこれ付けとけ。」

 

未央「......マスク?」

 

八幡「おう。武内さんもどうぞ。」

 

武内「ありがとうございます。」

 

 解錠。そして入室。一度俺は見ていたため大丈夫だが、みんなはさすがにショックのようだ。

 

 武内さんが前に立ち、他全員で対峙。

 話された内容はこうだ。

 

 一つ、全てのプロジェクトの解体。

 一つ、常務の企画に適合したアイドルを選出、強化。

 一つ、既存の仕事に関しては継続。

 一つ、デビュー等は一時凍結。

 

 そして、プロジェクト解体を防ぐ為に対抗案の提出。

 

八幡「......やってくれましたね。」

 

武内「......はい。」

 

八幡「まさかここまでとは思いませんでした。」

 

未央「え?どゆこと?」

 

八幡「覚えてるか?常務と会ったときのこと。」

 

未央「ハッチーが倒れかけた時だよね?」

 

八幡「......そうだ。そん時言ったろ?後で嫌ってほどわかるって。」

 

未央「!!こうなる事わかってたの⁉︎」

 

八幡「いや、引っ掻き回されるだろうとは思ってたが、まさかぶっ壊してくるなんてな。想像以上だ......」

 

全員「......」

 

武内「ともかく、なんとかします。信じて待ていてください。......比企谷さん、手伝っていただけますか?」

 

八幡「......うす。」

 

 

 数日たったが、社内は慌ただしい。ほとんど見ることのなかった先輩アイドル達も、最近よく目にする。

 勿論CPにも余波は来ている。環境も良くない。日に日に笑顔の少なくなるメンバー達......

 

武内「比企谷さん、少しよろしいですか?」

 

八幡「はい、大丈夫です。」

 

 今は俺たちしかいない。

 

武内「こちらを見ていただけますか?」

 

八幡「あ、はい。......企画書、ですか?」

 

武内「はい。」

 

 『シンデレラの舞踏会』

 内容を確認する。なんか......武内さんらしい。ただ......一手足らない気がする。だがそれがわからない。

 

武内「......いかがでしょう?」

 

八幡「武内さんらしいっすね。ただ......もう一手。何かパンチが欲しいっすね。なんも思い浮かばないんすけど......」

 

武内「......やはりそうですか。」

 

八幡「コンセプトはいいと思います。さすがっすね。」

 

武内「そんなことは......この内容で皆さんの個性を活かせるかどうか......」

 

八幡「個性を活かす......」

 

 個性?

 例えば卯月、あいつなら正統派路線。

 例えばみく、キャラ設定。

 例えば李衣菜、あいつならロック......

 夏樹と李衣菜......同じ個性で組ませる......

 

 これだ!

 

八幡「......武内さん。」

 

武内「何でしょう?」

 

八幡「単なる思いつきなんですが......例えば、卯月と小日向、みくと安倍さん、李衣菜と夏樹......組ませたら面白くないですかね?」

 

武内「他部署の方と......同じ個性を集めてより強く......という事でしょうか?」

 

八幡「はい。他にも色々と応用できると思いますし......会社の方針を良く思ってないPも多いと思うんで、協力してもらえると思います。」

 

武内「......いいですね。その案を組み込みましょう。」

 

八幡「......ありがとうございます。」

 

 

 

 先日武内さんと打ち合わせした企画書が通った。ある条件はつけられたが......

 企画が成功すればプロジェクト存続。失敗すれば解体。

 待っているだけならどのみち解体だ。やらない理由はない。

 その間に社内で騒ぎになった事もある。

 楓さんの常務企画お断り事件。後から断った理由を聞いたが、凄かった。李衣菜じゃないが、本当にロックな人だ。......ぶっ飛んでいるが。

 CPの企画に乗ってくれる部署も出て来ている。ウサミンやお笑い、忍者にエスパーなんでもありだ。非常に濃......個性豊かだ。

 

 そんな中、武内さんが番組企画を持ってきた。......相当無理をしたのだろう。なんせ常務の考えと真逆の番組だ。

 出演は先生役としてきらり。生徒役として莉嘉とみりあ。

 

 

 

 今日は『とときら学園』のリハーサル。同行は俺。武内さんは蘭子に付いている。

 スタジオでアイドル達が出てくるのを待っている。お、でてき......ぶふぉっ!園児か!まんま園児じゃねえか!

 一部変更するとは聞いてたがコレかよ......

 みりあは問題ないだろうが莉嘉は......やっぱりか。姉を目標にしてるあいつだ。衣装に納得できんだろうな。

 ......リハもやはり微妙。いつもの元気がない......

 

八幡「莉嘉、どうした?」

 

莉嘉「八幡君、あの......なんでもない......」

 

八幡「そっか......」

 

莉嘉「......うん」

 

 俺には言いにくいか。なら......

 

八幡「きらり、ちょっといいか?」

 

きらり「ん?ハッチャンどうしたのぉ〜?」

 

八幡「......莉嘉のこと頼めるか?俺には言いにくいみたいでな。まあ、理由はあの服だろうが......どんな服着ようが、莉嘉は莉嘉だってことを気づかせてやってほしい。アイツらしく出来る様に......」

 

きらり「うん!任せて〜!やっぱりハッチャンは、何でもわかっちゃうんだにぃ〜!」

 

八幡「......何でもはわかんねえよ。わかることだけだ。すまんが、頼むわ。」

 

 莉嘉の事も心配だが、もう一つ心配がある。みりあだ。最近あのエンジェルスマイルに陰りが出ている。普段は気にならないが、ふとした瞬間に表れる。......明日少し話してみるか。

 

 

 翌日、今日は休みの日だが、みりあの件もあり会社には来ている。莉嘉に関しては、きらりから事務所(仮)で元気付けるから任せてにぃと、連絡が来た。

 四つ葉のクローバーを探していた智絵里にみりあの居場所を聞くと、どうやら美嘉とどこかへ行ったらしい。......美嘉なら大丈夫か。でもアイツも最近常務の余波受けてるしな......

 

 陽も落ちかけ、諦めようと思い近くの公園をとぼとぼ歩く。......あれ?美嘉とみりあ?

「お兄ちゃん!」とみりあに発見された。

 

八幡「珍しい組み合わせだな。どしたの?」

 

 座って〜!と言いながらスペースを空ける美嘉とみりあ。え?真ん中?端にしてよ......と思いながらも、言葉には出さず大人しく座る。

 

みりあ「今日はね!美嘉ちゃんと遊んできたの!」

 

八幡「そうか。よかったな。美嘉もありがとうな。」

 

美嘉「ううん。アタシも楽しかったし。......スッキリしちゃった。」

 

八幡「......2人とも何があった?」

 

 少しの間が空き、みりあが話しだす。

 

みりあ「......わたしね、今お姉ちゃんなの。妹ができて、お母さんそっちばっかりになっちゃうの。」

 

美嘉「あー、わかるなー。」

 

八幡「そうだな。」

 

みりあ「え?」

 

美嘉「アタシも莉嘉が生まれてからは、莉嘉が泣いてるから美嘉はあとでって......」

 

八幡「......お決まりだよな。」

 

 沈んでいたみりあの顔に花が咲く。

 

みりあ「そう!そうなのっ!」

 

3人「お兄ちゃん(お姉ちゃん)て、辛いよな(ねっ)。」

 

 ぴったり揃い、思わず笑う。

 

美嘉「これからお兄ちゃん、お姉ちゃん同士、協力していこっ!辛い事があったらいつでも聞いてあげる!」

 

八幡「俺にも頼ってくれていいからな。」

 

みりあ「じゃ、お兄ちゃんも美嘉ちゃんも辛い事あったら言ってね!」

 

美嘉「あたしは......辛い事なんて何にも......」

 

八幡「......じゃあ、その涙は何だろうな。」

 

美嘉「え?あれ......」

 

 みりあが立ち上がり美嘉を抱きしめる。......みりあもちゃんとお姉ちゃんなんだな......

 俺もこいつらの兄的存在として、頑張んねえとな......

 涙を流す2人をなでながら......

 

八幡「美嘉もみりあも何があってもお前らはお前らだ。忘れんなよ。」

 

美嘉「......何があってもアタシはアタシ。......そっか。アタシはアタシなんだ......」

 

八幡「......おう。」

 

美嘉「......ホント、頼りになるお兄ちゃんだなぁ。」

 

 

 

 きらり達の番組も順調。その番組内でのきらりと杏の凸凹コンビもいい調子だ。

 他には智絵里とかな子のインタビューの仕事も、トラブルはあったが何とか成功。CPは着々と社内評価(常務を除く)を上げている。

 さて、俺は俺でこいつ仕上げまs『Prrrrr.....』あ?美嘉?

 

八幡「おう、どした?」

 

美嘉『あ、八幡さん?今大丈夫?』

 

八幡「問題ない。」

 

美嘉『じゃあさ、レッスンルーム来てくれない?アタシの後輩紹介したいから!』

 

八幡「......わかった。んじゃな。」

 

 しゃーない、行きますか......

 

 

 レッスンルームに着き、一応ノック。どうぞーと聞こえたので遠慮なくドアを開ける。

 

八幡「おう、来たぞー。」

 

美嘉「ごめんね。いきなり。」

 

八幡「大丈夫だ。なに?お前らもいたの?」

 

 ニュージェネの3人がなぜかいる。ま、こんな状況だから一緒にレッスンでもしてたのだろう。

 

美嘉「紹介するね。k「比企谷先輩⁈」えっ......」

 

5人「せんぱいっ?」

 

 んあ?こいつどっかで見覚えが......あぁ、あんときの。

 

八幡「あー、確か.......か、か......神山奈緒子だったか?」

 

神山?「おしい!一文字ずつ多い!って覚えてないのかよ!」

 

八幡「すまん、わざとだ。」

 

神谷「そっか、なら、しかた......なくねえよ!もっとたち悪いよ!」

 

未央「すごいツッコミだ......」

 

八幡「悪い悪い。神谷奈緒だったよな?」

 

神谷「......そうです。」

 

卯月「お2人とも......お知り合いですか?」

 

神谷「い、いや、その......前にナンパされてるとこを......助けてもらって.....」

 

??「好きになっちゃった?」

 

神谷「......うん。」

 

美卯凛「「「えっ?」」」

 

神谷「はっ?ち、違う!そうじゃない!変なこと言うな!」

 

八幡「......話し進めてくんない?」

 

美嘉「ご、ごめん。奈緒の事は知ってるみたいだからいいよね。この子は北条加蓮。2人ともアタシの後輩!」

 

2人「宜しくお願いします!」

 

凛「この人は、CPのアシスタントで大学生の比企谷八幡。」

 

八幡「......おう。宜しく。」

 

神谷「比企谷先輩って、比企谷小町って知って...ますか?」

 

八幡「話しにくかったらタメ口でいいぞ?んで、小町は俺の世界一可愛い妹だ。」

 

凛「えっ?小町のことも知ってるの?」

 

神谷「同じクラスだし。知ってるよ。」

 

凛「そうだったんだ......」

 

北条「そっか、奈緒の先輩か......北条加蓮です!加蓮って呼んでください!八幡さん♪」

 

八幡「......あざとい。」

 

卯月「あ、あざといって......」

 

北条「あれ?」

 

八幡「お前程度のあざとさは、小町と一色の足元にも及ばん。出直してこい。」

 

北条「そっかー、効かないかー。」

 

神谷「一色って......あの美人生徒会長?」

 

八幡「......そのあざと会長だ。ところで、これいつまで続くの?君たちレッスンは?」

 

全員「あっ......」

 

八幡「あっ、じゃねえよ。」

 

美嘉「ご、ごめん。八幡さん、この子たちの歌聞いてあげて。結構いい感じなんだっ★凛、一緒にお願いしていい?」

 

凛「うん。」

 

八幡「ほーん。んじゃ、頼むわ。」

 

 ほう、ニュージェネの曲か......

 

 !!......嘘だろ?

 

 いい感じなんてもんじゃねえよ......

 

 引き込まれる。すまんが本家よりも......

 

 

 

 

 

 

 

 上だ。

 

 

 

 

??「すまないな」

 

 誰だ?......常務?聞かれた?今のを?まずい......まずいまずいまずい!

 

 

 

 

 

 

 

 凛が......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 取られる。



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15話?

 凛と神谷と北条の歌を聞いてから数日......

 常務からのアクションはない。......俺の取り越し苦労か?と考えながら事務所(仮)に向かって歩く......

 

??「......ぁっ......」

 

 誰かにぶつかってしまった......

 

八幡「す、すみません!」

 

 相手が落としたと思われる本を拾い......

 

八幡「......鷺沢さん?」

 

鷺沢「......比企谷さん......ですか?」

 

八幡「......何でここに?」

 

鷺沢「......少し前にスカウトされまして......今は美城常務のプロジェクトに。......比企谷さんは?」

 

八幡「俺はCPのアシスタントです。常務の......ですか......」

 

鷺沢「......何か......心p「あら?文香じゃない。どうしたの?」......奏さん......」

 

 誰だこいつ?薄っぺらい仮面しやがって......

 

奏?「おはよう、文香。彼は?」

 

鷺沢「おはようございます......こちらは......CPのアシスタントで......比企谷八幡さんです。」

 

八幡「......CPアシスタントの比企谷です。」

 

奏?「そう、あなたが......私は速水奏。常務の企画、Project Kroneに参加しているわ。」

 

 また常務か......

 

八幡「......よろしくお願いします。では、俺は行きます。鷺沢さん、また面白い本あったら貸してください。」

 

鷺沢「......はい。......お持ちしますね。」

 

速水「待ってるわね。比企谷さん。」

 

 ん?待ってる?何言ってんだあいつ......

 にしてもProject Kroneか......今度は王冠か......女王様かっての。

 メンバーは2人しかわからんが、鷺沢さんと速水。うちだとイメージ的に近いのは凛とアーニャか......一応武内さんに伝えとくかな。

 

 

 

 Kroneの件は武内さんには一応伝えた。他にも夏樹が誘われたりしているらしい。

 だが問題は外だけでなく内側でも起こっている。みくと李衣菜がギクシャクしていることだ。みくの話によれば李衣菜が何か悩んでいるとの事。

 話をする場をつくると提案したが、話してくれるまで待つとみくは言う。

 ならこちらはあいつらを信じて待つだけだ。少しお節介はするけどな......この時間ならあそこにいるか?目星をつけた場所へ足を向ける......

 

 

八幡「......おう、今日も練習か?」

 

李衣菜「あ、八幡さん。うん。最近頑張ってる。でもなかなかね......」

 

八幡「すぐにはうまくならんだろ。地道にやってけ。」

 

李衣菜「なつきちにも同じ事言われた。」

 

八幡「あ?なつきち?」

 

李衣菜「ああ、木村夏樹ちゃんのこと。」

 

八幡「なるほどね。じゃあお前は......ダリーナか?」

 

李衣菜「......何でわかったの?」

 

八幡「あいつとは音楽の趣味が結構合うからな。だからじゃね?」

 

李衣菜「へー......八幡さんロックとか聞くんだ。」

 

八幡「まぁな。嗜む程度だが。」

 

李衣菜「じゃあさ、LiSAって知ってる?」

 

八幡「ぶっ!......お前それ、夏樹に教えてもらったろ。」

 

李衣菜「な、何でそれを......」

 

八幡「俺が布教したからな。」

 

李衣菜「そうだったんだ......」

 

八幡「そんだけ仲よけりゃ、夏樹が常務に誘われてる事も知ってるよな?」

 

李衣菜「(ビクッ)......うん」

 

 ビンゴか......

 

八幡「羨ましいか?」

 

李衣菜「......そんなことない。」

 

八幡「あいつと同じステージに立ってみたいか?」

 

李衣菜「わ、わたしにはアスタリスクがあるから......」

 

八幡「......そうか。」

 

李衣菜「うん。」

 

八幡「......ま、練習頑張れよ。うまくなったら聞かせてくれ。」

 

李衣菜「う、うん。頑張る。」

 

八幡「んじゃな。」

 

 悩みの原因はわかった。なら......Prrrrr......

 

武内『はい、武内です。』

 

八幡「比企谷です。少し相談が......」

 

武内『なんでしょう?』

 

八幡「李衣菜の事で..........................ですが。」

 

武内『わかりました。お願いします。先方には?』

 

八幡「これから連絡します。」

 

武内『では、お願いします。』

 

八幡「......うす」

 

 よし。あとはあいつだな......

 

 

 

 

 計画当日。某ライブハウスで夏樹とともにあいつらを待っている。

 

八幡「悪いな。こんな事に付き合わせて。」

 

夏樹「構わないよ。面白そうだし。」

 

八幡「助かる。どうだ?楽しめそうか?」

 

夏樹「まあな。」

 

八幡「......常務の企画とは違うか?」

 

夏樹「......知ってたのか。」

 

八幡「一応な。ま、お前なら答えは決まってると思うけどな。」

 

夏樹「......そうだな。決まってるよ。......それより!ちゃんとやってきたんだろうな?」

 

八幡「一応は......え?マジでやんの?」

 

夏樹「当たり前だ。これが条件だからな。これも楽しみだったんだぜ?」

 

八幡「......さいで。」

 

夏樹「やっぱ音楽は、やりたい奴と!やりたいようにやんなきゃな!サンキュー、ハチ!」

 

八幡「そうかい。んじゃ、裏で待ってるわ。」

 

 待機する。............ギターを抱えて。

 やりたくねぇぇぇぇぇ!だが無情にも時はすぎる......

 「逃げたいな 逃げられないよ 諦めろ」

 八幡ココロの俳句......

 一句できてしまった......病気だな......

 

夏樹『よっ!来たな。』

 

 着いたようだ......

 

夏樹『ここ、デビュー前から仲間とライブやってたんだ。とにかくロックがやりたくてな。......めちゃくちゃだったけど......楽しかったな。......このステージで、ダリーと歌いたいと思ってさ。』

 

李衣菜『あのね、なつきち......やっぱり私......』

 

夏樹『ロックだと思えばそれがロック。だよな?お前の思い、響いたぜ。お陰でアタシも吹っ切れた。だから、解散ライブだ。ダリーとなつきち、一度きりの。』

 

 ......未央の声?莉嘉も?えっ?みんな来ちゃった?武内さん何してくれてんの⁉︎ふぇぇぇ......余計にやりなくないよう......

 

夏樹『イェーイ!みんなー!来てくれてサンキューな!今日は盛り上がって行こうぜ!一夜限りの限定ユニット、にわかロックwithハチ!よろしく!』

 

李衣菜『に、にわか?ハチ?』

 

夏樹『ハチ!come on!!』

 

 夏樹のギターが響き始めた。『over』だ夏樹に合わせながら俺もステージへ......

 

全員「ええっ⁉︎」

 

 そら驚くわな。もう構うか!やったれ俺!

 みくの声援で李衣菜がステージに上がり歌いだす。

 ......吹っ切れたか。みくも歌いだす。楽しめ。

 これじゃにわかロックじゃなくてアスタリスクwithナツハチじゃん。

 こんな形もアリか......俺じゃなくてウサミンをここに。......うむ、面白い。

 そして曲が終わる。メンバーからは拍手。ハイタッチする夏樹と李衣菜。そして俺.....

 

夏樹「良かったぜ、ハチ!やっぱお前サイコーだ!」

 

八幡「もう勘弁してくれ......」

 

夏樹「そんなこと言うなよ。またやろうぜ!」

 

八幡「気がむいたらな......」

 

李衣菜「八幡さん、

もありがとう。あと......ギターすごいね。」

 

八幡「......お前だって、練習すればできるようになる。だから諦めんな。」

 

李衣菜「うん!」

 

夏樹「ノってるうちに次行こうぜ!ハチ!この前のイケるか?」

 

八幡「え?まだやんの?」

 

夏樹「いいじゃねえか。ほら!」

 

八幡「はぁ、わかったよ......」

 

 このあと何曲かやった。......俺が歌うなんて聞いてない!

 

 

 

 にわかロックのライブ後、夏樹は常務のバンドを抜け、CPの企画に参加してくれる事になった。着々と準備がされる中、新たな話もある。

 秋のライブで中間審査が行われるという内容だ。基準に満たなければ、即解体。とんでもない話だ。

 そんな最中、俺は武内さんに呼び出された。なんでも常務に呼ばれたらしい。何で俺まで?

 

 武内さんとともに常務の元へ向かう。凛とアーニャもだ。2人に聞こえないよう小声で武内さんに話しかける。

 

八幡「武内さん、これ絶対引き抜きっすよ。」

 

武内「......私も同意見です。」

 

八幡「ですよね。ただ、2人はわかるんすけど何で俺まで行くんすか?」

 

武内「おそらく、アシスタントという立場だからでしょう。」

 

八幡「ですかね?ま、とりあえず行ってみましょう。」

 

武内「......はい。」

 

 常務室に着き中に入る。

 挨拶もそこそこに話は始まる。

 

常務「呼び立ててすまないな。話は簡単だ。そこにいる2人をProject Kroneに招き入れる。」

 

武内「......やはりそのお話でしたか。」

 

常務「ほう、驚かないのだな。」

 

武内「予想は......していました。」

 

 武内さんとは違い、2人は驚いている。そらいきなり聞いたら驚くわな......

 

常務「それは君の考えか?」

 

武内「......いえ。比企谷さんです。」

 

常務「君か......やはり面白いな。」

 

 まただ。またあの視線......気持ち悪い。

 

常務「まあいい、渋谷さん。あなたには新たなユニット活動。アナスタシアさんにはソロで活動してもらう。」

 

武内「待ってください!予想はしてましたが、承服はしかねます!」

 

常務「これは会社の方針だ。納得する必要はない。」

 

武内「ですが!それに秋のライブに参加と言われても急すぎます!私達には冬のライブもあります!審査に関しては冬まで待っていただけるはずでは......」

 

常務「君の部署が、審査をクリアすれば済む話だ。それとも、自信がないのかね?」

 

 嫌な言い方だ。逃げ道を完全に塞いでやがる。

 

常務「それに、彼女たちにとっても悪い話ではない。」

 

凛「ちょ!何勝手に!」

 

常務「君には特に気に入ってもらえると思っていたのだが......」

 

 動揺しながら不思議そうな顔を浮かべる凛。......あの2人か。

 

常務「ユニット名は『Triad Primus』。メンバーは、神谷奈緒と北条加蓮。」

 

 予想通りだ。さすがに凛も揺れている。俺も考えていた組み合わせだ。冬のライブの虎の子として温めていたのに......

 

常務「私は、君たち3人の組み合わせに可能性を感じた。既存のユニットにはない新たな輝きを。......君もだろう?比企谷君」

 

八幡「......はい。」

 

武内「な!比企谷さん!」

 

常務「本当にいい目をしている。」

 

 武内さんは既存のユニットがあると対抗するが、解散しろとは言っていないと返される。

 彼女たちの意思で両立していいと、甘い言葉をかける。こうしてハードルを下げて意識を向けさせる......いやらしいやり方だ。

 武内さんは食い下がるがお前には聞いていないと一蹴。あくまでも彼女たちの意思をと。

 そしてトドメだ。武内さんの言葉である、アイドルの自主性を尊重のだろ?と言われてしまう。完全に詰みだ。

 さらに火の粉は降りかかる。

 

常務「それと比企谷君。君には部署を移ってもらう。異動先はProject Kroneだ。来週から頼む。」

 

武内「待ってください!なぜ比企谷さんを!」

 

常務「......彼は優秀だ。私と同じ高さで物事を見ている。その高い能力を最高峰の舞台で発揮させる。企業の常識だろう?」

 

武内「ですが!h「君は......彼がいないと何もできないのかね?」......」

 

八幡「......少し、いいですか」

 

常務「言ってみなさい。」

 

八幡「ありがとうございます。異動に関しては社命なのでお受けします。」

 

武内「比企谷さん......」

 

八幡「ですが、一つ条件というか、お願いがあります。」

 

常務「聞くだけ聞こう。」

 

八幡「CPのアシスタントは継続させてください。もちろんKroneも手は抜きません。」

 

常務「......いいだろう。ただし所属はKroneのアシスタントだ。いいな。」

 

八幡「......はい。」

 

常務「以上だ。行きたまえ。」

 

 Project Kroneか。

 

 常務......俺をKroneに呼んだこと......

 

 

 後悔すんなよ?

 

 

 

 

 事務所に戻る。会話はない。2人とも心配そうな、不安そうな顔をしている。武内さんも同様だ。

 

八幡「武内さん。」

 

武内「何でしょう?」

 

八幡「とりあえず秋、それから冬のライブ......絶対成功させましょう。そんで、俺をCPに連れ戻してください。」

 

武内「はっ......必ず!」

 

アーニャ「兄さん、大丈夫、ですか?」

 

八幡「安心しろ。うまくやる。アーニャも困ったら相談しろよ?俺がCPのアシスタントなのはかわらんから。」

 

アーニャ「はい!」

 

武内「まずは皆さんに説明しないといけませんね......気が、重いです。」

 

八幡「大丈夫っすよ。いなくなる訳じゃ無いんすから。」

 

武内「......だといいのですが。」

 

 事務所に入りメンバー全員と、ちひろさんを集める。みんなの前に武内さんと2人立ち......

 

武内「......皆さんに、重要なお話があります。」

 

未央「なになに?新しい仕事の話?」

 

武内「いいえ.......................」

 

みく「Pチャンどうしたにゃ?」

 

武内「あの......比企谷さんですが......来週から転属となります。」

 

全員「......え?」

 

ちひろ「嘘......ですよね?」

 

武内「......決定事項です。」

 

未央「うそ......嘘!ダメだよそんなの......何で⁉︎」

 

ちひろ「......どちらにですか?」

 

武内「Project Krone......常務の企画部署です。」

 

みく「そんな......」

 

蘭智「「八幡さんが......」」

 

美波「いなくなる......」

 

 

 

卯月「.............................す。」

 

未央「......しまむー?」

 

卯月「ダメです......ダメですダメですダメですダメです!絶対ダメです!」

 

未央「しまむー落ち着いて!」

 

卯月「落ち着けません!何でですか!どうしてですか!......何で......ひぐっ......八幡さんが......」

 

 泣きながら抱きついてくる卯月を抱き返し、優しくなでる。

 

卯月「八幡しゃん......」

 

八幡「すまんな。会社の決定だから抗えないんだわ。でもな......」

 

 卯月を引き離ししっかりと目を見て告げる。

 

八幡「俺はCPのアシスタントはやめない。2部署を兼任する。完全にいなくなるわけじゃない。」

 

卯月「本当......ですか?」

 

八幡「おう。こんなことで嘘はつかん。」

 

卯月「よ......よかったでずぅ〜」

 

 泣きながらまた抱きついてくる。今日はやけに甘えん坊ですね。

 卯月の頭をなでながらみんなに依頼をする......

 

八幡「......みんなに頼みがある。ライブを成功させて、CPを存続させて......んで、俺をここに連れ戻してくれ。......俺を......ここにいさせてくれ。」

 

全員「......」

 

 

 

 

智絵里「八幡さんの......」

 

蘭子「お願い......」

 

美波「一人でなんでもできちゃう......」

 

きらり「ハッチャンからの......」

 

杏「初めての......」

 

かな子「お願い......」

 

莉嘉「だったら!」

 

みりあ「絶対に!」

 

未央「やり遂げなきゃ!」

 

李衣菜「今度は!」

 

みく「みくたちが!」

 

卯月「だから!」

 

12人「任せて!」

 

八幡「......頼んだ。」

 

ちひろ「私も協力しますね♪」

 

武内「私もです。これからもよろしくお願いします。」

 

八幡「ありがとうございます。こちらこそお願いします。」

 

ちひろ「ですがアシスタントとはいえ、2部署兼任は相当な負担ですよね?」

 

武内「......おそらくは。少なくとも前例はありません。」

 

八幡「ま、何とかなるんじゃないすか?」

 

みく「はっちゃんなら、なんとかなるにゃ!」

 

李衣菜「そうだね。大丈夫じゃない?」

 

八幡「ねえ君たち?俺のこと何だと思ってるの?」

 

みく「化け物。」

 

李衣菜「変人。」

 

八幡「......武内さん、明日退職願い持ってきます。」

 

みく「わー!う、嘘にゃ!はっちゃんはカッコよくて!」

 

李衣菜「そ、そう!すごくいい人!化け物とか変人じゃないから!」

 

八幡「......冗談だ。まあ、気にすんな。怒ってないから。トレーナーさんには、

お前らのレッスン3倍にしとくように言っといてやるからな?これは俺からのお礼だ。受け取ってくれ。」

 

みく「そ、そんにゃ〜......」

 

李衣菜「嘘でしょ......」

 

 みんな安心したようで笑いだす。いつもの風景だ。これが俺の好きな......守りたい場所。

 

未央「ところでさ。」

 

八幡「どした?」

 

未央「しまむーはいつまで抱きついてるのかなって思って。」

 

 ビクつく卯月。ぎゅっと抱きつく力が強くなり、二つのお山が存在感を増す......役得です!

 

凛「そうだよ卯月。いい加減離れて。」

 

智絵里「そ、そうです!離れてください!」

 

卯月「イヤですっ!今日は離れません!」

 

 何この娘......可愛いんだけど!

 

未央「いや〜、ハッチーモテモテですなぁ。このこのっ」

 

八幡「こら!脇を突くな!」

 

未央「えー!いいじゃん!なら......えいっ!」

 

凛智「「未央(ちゃん)まで!」」

 

八幡「お、おい......」

 

 あれ?泣いてる?

 

未央「よかった......よかったよぉ......」

 

 なんだ......こいつ強がってただけか......

 未央が泣いてる事にみんな気づく。

 

 しばらくこのまま和やかに過ぎ、落ち着いた未央が離れる。少し恥ずかしそうにはにかんだ笑顔が可愛い。

 この日、卯月は本当に離れなかった......

 

 

 

 週が明け、出勤日の今日。今いるのは常務室。そう、常務室だ。明日は出勤したら常務室に来いと通達があったのだ。

 促されるままソファーに座り、大魔王(常務)と向き合う。

 

常務「今日来てもらったのは、今後の話をするためだ。いいかな?」

 

八幡「は、はい。」

 

常務「そう緊張するな。私までかしこまってしまう。話し方も武内君と同じでいい。」

 

八幡「な、なら、遠慮なくそうさせてもらいます。」

 

 事務的なことから始まり、出勤日や通っている大学。まるで面接のようなやり取り。そして給与面。

 

常務「なるほど、大体わかった。ここからが本題だ。」

 

 ついに来たか......

 Kroneに関する進め方を確認する。メンバーが集まるまではそんなに大きな仕事はないようだ。秋のライブまで引っ張り、大々的にデビューさせる気だろう。その他にも多々話されるが、大した事ではない。

 

常務「以上だ。何か意見はあるかな?」

 

八幡「そうっすね。......デビューまでは、ステージに立たせないつもりですか?」

 

常務「当然だ。小さなステージに納まる者を集めた覚えはない。」

 

八幡「......失敗しますよ。」

 

常務「なに?......念のため理由を聞こう。」

 

八幡「少なくとも現メンバーで、ステージ経験のある奴はいません。しかも年端もいかない子ばかりです。間違いなく、萎縮、緊張、混乱......色々するでしょう。体調を崩す場合もあります。」

 

常務「成る程。ではリーダーを立ててまとめさせよう。」

 

八幡「今度はそいつが潰れます。実際見てますから。」

 

常務「ならどうしろと?」

 

八幡「小さなステージから慣れてもらうのが一番です。」

 

常務「却下だ。そのような余計な事をさせるつもりはない。さっき言っただろう。」

 

八幡「そうですか......なら、せめて舞台裏を経験させてあげてください。それだけでも大きな違いです。」

 

常務「その程度なら許可しよう。何を見に行くかは君が選んでかまわん。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

常務「他はあるか?」

 

八幡「そうっすね。さっきは否定しましたが、リーダーは立てましょう。名目上ですが。」

 

常務「名目上のリーダーに意味があるのか?」

 

八幡「あります。メンバーの心の支えになりますから。この人がリーダーなんだ!と思うだけで違いますので。その分俺たちがリーダーをフォローしなきゃなりません。怠った場合はリーダーが潰れます。」

 

常務「では、その件は君に任せよう。」

 

八幡「はい。では最後の質問ですが、俺が呼ばれた理由を教えてください。」

 

常務「......わかっていて聞くとは......君も性格が悪いな。」

 

八幡「......はっ!それは互い様じゃないっすかね?」

 

常務「言ってくれるな。本当に君は面白い。そういうところだよ。自己を持ち、覚悟を決めれば物怖じしない。さらには、目的の為なら手段を問わない。君のような者は珍しい。」

 

八幡「そうっすか。でも俺と常務では決定的にやり方が違いますよ?」

 

常務「到達点は一緒だ。」

 

八幡「んじゃ、好きにやらせてもらっていいんすね?」

 

常務「かまわん。ただ私の意に沿わなければ止めさせて貰う。」

 

八幡「......わかりました。」

 

常務「説明は以上だ。ではメンバーを紹介しよう。ついて来い。」

 

八幡「......うす。」

 

常務「その相槌はやめろ。不愉快だ。」

 

八幡「......はい。」

 

 武内さんと同じでいいって言ったじゃん!嘘つき!常務の嘘つき!と、くだらない事を考えながらついて行く。......なんか連行されてる気分。

 PRに到着し入ったのだが......贅沢だ......他とは段違い。優遇されてるのがよくわかる。

 

常務「集合しなさい。」

 

 さっと全員集まる。表情は......かたい。

 

常務「彼が当プロジェクトのアシスタントだ。以後、彼の指示には従うように。」

 

全員「はいっ!」

 

常務「よろしい。では私はこれで失礼する。」

 

 言いたい事だけ言ってさっさといなくなる常務。ま、こっちのがありがたい。

 

八幡「あー、今日からこのプロジェクトのアシスタントになった比企谷八幡だ。ま、宜しく頼むわ。」

 

鷺沢「はい......宜しくお願いします......改めまして......鷺沢文香です。」

 

八幡「今更っすけどね。」

 

 2人で軽く笑う。他は置いてきぼりだ。

 

速水「私も改めてになるわね。速水奏よ。」

 

八幡「この前の待ってるって......この意味だったんだな。」

 

速水「ええ、そうよ。」

 

八幡「ま、宜しく頼むわ」

 

 この後も自己紹介が続く。塩見周子、橘ありす、宮本フレデリカ、大槻唯。以上6人が現メンバーだ。そしてまず聞いて起きたい事がある。

 

八幡「いきなりですまんが、質問させてくれ。お前たち、今後どうしていきたいとか、どうなりたいって明確に決まってるか」

 

全員「え?」

 

八幡「質問の意味がわからんわけじゃないだろ?答えろ。無駄な時間使わせんな。」

 

 少し強めに言う。橘が「ひっ!」と言いながら、後ずさっている。

 誰も答えない。ま、そんなもんか。

 

八幡「んじゃ、次だ。決められた道を進むのと、自由に進むのどっちがいい?」

 

鷺沢「......私は、決めていただけると......助かります。」

 

塩見「あたしはどっちでもいーかなー♪」

 

宮本「フレちゃんもー♪」

 

大槻「アタシは〜......楽しければいいかな♪」

 

橘「私は......自分で決めたいです。」

 

速水「私もそうね。自分の道は自分で決めるわ。」

 

 

八幡「そうか......なら速水と橘には、この部署は窮屈な場所になるかもな......」

 

速水「どう言う事?」

 

八幡「ここは常務の作ったレールの上だ。道が決まってる。」

 

速水「......そう言う意味ね。」

 

八幡「おまけに大舞台でのデビューも決まってんだ。至れり尽くせりだな。贅沢だ。」

 

速水「あなた喧嘩売ってるの?」

 

八幡「ああ、そうだ。喧嘩売りに来たんだ。......常務にな。」

 

全員「えっ?」

 

八幡「ある程度自由にやる許可は貰った。だから......ぶっ壊すぞ。作られたレールを。決められた道を。壊せなきゃ脱線だ。」

 

鷺沢「......いいのですか?」

 

八幡「いい悪いじゃなくてやるんすよ。」

 

宮本「フレちゃんもやるー!」

 

八幡「おう。そのぶっ飛んだ個性ガンガン出していけ。」

 

塩見「何それ!面白そーん!」

 

八幡「絶対楽しいぞ!」

 

大槻「イイね!やっちゃお〜!」

 

八幡「ぶちかませ!」

 

速水「ワクワクするわね。」

 

八幡「だよな。」

 

橘「私は......」

 

八幡「見つければいい。これからな。」なでなで

 

橘「あっ......はい!」

 

 

 

八幡「よし。んじゃ円陣だ。」

 

全員「円陣?」

 

八幡「こんな時はやるもんなんだよ。掛け声はやるぞ。おー。だ。ほれ、速水。」

 

速水「わ、私?」

 

八幡「一言言って、Project Kroneやるぞおーだ。」

 

速水「わかったわ......作られたレールなんていらない!私たちの道を突き進むわよ!Project Krone!」

 

全員「やるぞ!オーーーー!!!!!!」

 

塩見「なにこれ!楽しい!」

 

鷺沢「......いい......ものですね。」

 

宮本「フンフン、いいねいいね〜♪」

 

大槻「盛り上がるね!」

 

速水「いいじゃない。」

 

橘「凄いです!」

 

八幡「......みんな、いい笑顔だな。」

 

全員「笑顔?」

 

八幡「アイドルは笑顔です。......俺の尊敬する人の言葉だ。」

 

 

 みんな笑いだす。ここに来てから初めて見たみんなの笑顔。やっぱこれだよな。......こうじゃなきゃ。

 

八幡「あ、あと仕事決めたから。」

 

全員「えぇっ⁉︎」



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16話?

 さてさて、本日はCPへ来ております。

 ソファーに座り、前には武内さん。............右腕に絡みつく島村卯月。

 

 ......どうしてこうなった。

 

八幡「......」

 

武内「......」

 

八幡「......なんかすんません。」

 

武内「......いえ、大丈夫です。」

 

卯月「♪」

 

 だめだ。気にしたら負けだ。腕にあたる柔らかいものなんて知らない......

 

八幡「んんっ!今週末って、確かミニライブありましたよね?」

 

武内「はい。凸レーションとC-Iの合同ライブがあります。」

 

八幡「お願いがあるんすけど......」

 

武内「なんでしょう?」

 

八幡「クローネのメンバーに......舞台裏を見せてやってもらえませんか?」

 

武内「......構いませんが、理由をお伺いしてもよろしいですか?」

 

八幡「はい。常務の考えで、デビューまではステージに立てないんすよ。で、そのステージが......」

 

武内「あの大舞台ですか......苦しいですね。」

 

八幡「なので、せめて舞台裏の雰囲気だけでも、知っておいて欲しいんです。」

 

武内「いい考えだと思います。」

 

八幡「いや、武内さんが俺にしてくれた事っすよ。それをそのままやってるだけです。」

 

武内「......覚えてくれていたのですね。」

 

八幡「忘れないっすよ。それと、もう一つあるんですが......」

 

武内「どうぞ。」

 

八幡「レッスンを見学させてください。」

 

武内「構いません。そうですね......現状での差を確認させるという事ですか?」

 

八幡「はい。そうです。大きな企画に選出されて、少し天狗になってますんで。鼻っ柱へし折ります。」

 

武内「......比企谷さんらしいですね。」

 

 2人で軽く笑う。右腕に絡みついている卯月もやけに嬉しそうだ。......なんか幼児化してません?

 今レッスンしてるのは......蘭子とLOVE LAIKAか。いいメンバーだな。

 

八幡「早速いいすか?」

 

武内「はい。では、私は先に行って説明しておきます。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

 武内さんはレッスンルームに、俺はPRに行きたいのだが......

 

八幡「卯月ちゃん?離してくれるかな?じゃないと移動できないよ?」

 

卯月「大丈夫です!行きましょう!」

 

 え?何言っちゃってんの?ついてくんの?

 

八幡「いやいや、ダメだろ。せめてレッスンルームで待っててくんない?こんな状態で移動したら俺クビになっちゃうからね?」

 

卯月「むー......わかりました。早く来てくださいね?」

 

八幡「......わかったよ。」

 

 ようやく離れてくれる。......非常に良くない。あの一件以来スキンシップが激しい。大事なオモチャを離さない子供の様に......

 どうしたもんかな......

 

 

 PRに着き、遠慮なく入室。......よし、全員いるな。

 

八幡「みんなちょっと聞いてくれ。」

 

速水「なにかしら?」

 

八幡「そうだな......とりあえずついてきてくれ。」

 

橘「どこに行くんですか?」

 

八幡「......レッスンルームだ。CPのエースたちのレッスンを見せてやる。」ニヤリ

 

 ビクッと肩を震わせるメンバー達。

 そのまま歩きだすと......ついてきている様だ。念のため向かっている間に、アーニャと凛の事は他言するなと釘を刺しておく。......大槻あたりが口を滑らせそうだが。

 レッスンルームに着き、一言断って入室。武内さんが頷いたので、メンバーも招き入れる。

 そしてすかさず寄ってくる卯月......Kroneメンバーがこっちを目を丸くしてみているが、今は違う。

 

八幡「......ちゃんと見るもん見とけ。」

 

全員「は、はい。」

 

 真剣に見だすメンバー達。無言だ。これで何か掴んでくれればいいのだが......

 

 そして休憩......

 

美波「八幡君来てたんだ!」

 

八幡「おう。見学だ。」

 

アーニャ「見学、ですか?」

 

蘭子「後ろの人は......」

 

八幡「Project Kroneのメンバーだ。ほれ、自己紹介。」

 

 6人の紹介も終わり......煽ってみるか......

 

八幡「誰か......やってみたいやついるか?」

 

 応えるヤツはいない。橘に関しては固まっている。確か大槻は養成所の出身だったな......

 

八幡「そうだな......大槻、行けるか?」

 

大槻「ア、アタシ?」

 

八幡「おう。無理か?無理ならいい。」

 

大槻「や、やってみる。」

 

八幡「武内さん、いいっすか?」

 

武内「構いません。」

 

八幡「んじゃ、行ってこい。」

 

大槻「よろしくお願いします!」

 

3人「こちらこそよろしくお願いします!」

 

 レッスン再開......

 

 結果惨敗。最初こそついて行ったが、次第にボロが出る。そうなれば崩れるのはすぐだ......

 

 休憩の合図でその場に崩れ落ちる大槻。

 準備しておいたタオルとスポドリを渡し問いかける。

 

八幡「どうだ?」

 

大槻「......全然違う。......ついて行けなかった......こんなに違うの?」

 

八幡「当たり前だ。わかったか?」

 

大槻「......うん。悔しい......」

 

八幡「だったらやる事はわかるな?」

 

大槻「うんっ!」

 

八幡「よし。お前らもだ。部屋で駄弁ってる暇があったら動け。指示は敢えてださん。だが、聞かれれば応える。どうするべきか考えろ。わかったな?」

 

5人「はい!」

 

美波「八幡君こっちにいる時と全然違うね。なんかプロデューサーみたい。」

 

八幡「そ、そうか?」

 

アーニャ「да!兄さん、カッコ、いいです。」

 

蘭子「す、少し怖いですけど......でも、そんな八幡さんも素敵です!」

 

八幡「......ありがとよ。」

 

卯月「さすが私の八幡さんです!」ダキッ

 

八幡「ちょっと待て。いつからお前の物になった?」

 

卯月「ダメ......ですか?」

 

八幡「うっ......」

 

 そ、それは卑怯だぞ......だ、だがダメだ!

 

アーニャ「兄さんは、みんなの、兄さんです。」

 

美波「そうね。八幡君はCPみんなのお兄ちゃんだもんね。」

 

蘭子「はいっ!」

 

卯月「うー......わかりました。」

 

八幡「そういうわけだ。すまんな。」なでなで

 

卯月「えへへ......」

 

 

速水「比企谷さんて......」

 

塩見「もしかして大物?」

 

橘「かもしれません......」

 

鷺沢「......私たちに、足りない物も......示してくれますし。」

 

宮本「面白そうな事もさせてくれるよねー?」

 

大槻「......頑張らなきゃ!」

 

速水「まずはCPに追いつきましょう!」

 

5人「はい(うん)!」

 

 大丈夫そうだな......武内さんが俺に近寄り、コソコソと話しかけてくる。

 

武内「比企谷さん、いいメンバーですね。」

 

八幡「はい。一緒に喧嘩売る仲間ですから。」

 

武内「喧嘩......ですか?」

 

八幡「はい。常務に売るんすよ。作られたレールぶっ壊して、壊せなきゃ脱線して......個性全開、笑顔満開で行くんです。」

 

武内「......そうですか。頑張ってください。何かあれば手伝いますので。」

 

八幡「頼りにしてます。......ほれ、お前ら戻るぞ。」

 

6人「はい!」

 

八幡「武内さん、ありがとうございました。」

 

6人「ありがとうございました!」

 

武内「よかったら、またいらしてください。」

 

6人「よろしくお願いします!」

 

 今日の目的は達成できた。次は週末だ。......少しの間CPに顔出せないかもな......

 

 

 

八幡「......遅い。」

 

 週末、ライブの見学日。集合時間になったが......塩見が来ない。

 ......お仕置きが必要か?ま、着いた後の態度次第だな。っと、来たか......顔色悪いな。アレの時の小町と同じだ......

 

塩見「ごめん!お待たせ!」

 

八幡「......全員乗れ。出るぞ。」

 

6人「は、はい。」

 

 

 

 今は比企谷さんの運転で、ライブ会場に向かっているのですが......怖いです。比企谷さん相当怒ってます。

 普段は優しい、いい人ですが、怒ると凄く怖い人......

 

奏「......周子、着いたら比企谷さんに、ちゃんと謝りなさい。」

 

周子「そ、そうする。」

 

フレデリカ「シューコちゃんなんで遅れたのー?」

 

周子「ちょっと......体調がね。」

 

文香「......顔色も悪いですし......無理はなさらない方が......」

 

奏「そうね。無理そうだったらすぐに言いなさい。」

 

フレデリカ「もしかしてー、アレ?」

 

周子「......うん。」

 

唯「それはー......」

 

ありす「仕方ないですよね......」

 

 

 気まずいです。早く着いて欲しいと思っていると、車が停まりました。もう着いたのでしょうか?

 

比企谷「すまんな。買うものあるからちょっと待っててくれ。」

 

 そう言ってどこかへ行き、数分後には戻ってきました。後席のドアを開けた比企谷さんは......

 

比企谷「塩見。」

 

周子「は、はい。」

 

比企谷「......飲んどけ。」

 

 とだけ言い紙袋と水を周子さんに渡して運転席へ行ってしまいました。何が入っているのでしょう?

 

周子「あっ......痛み止めだ。」

 

奏「......彼、あの一瞬で見抜いたの?」

 

鷺沢「......そうだと......思います。」

 

唯「すごっ......」

 

フレデリカ「じゃあもしかしてー......」

 

ありす「心配してあの態度だったって事ですか?」

 

鷺沢「おそらく......周子さんを早く休ませるために......」

 

全員「......」

 

 すごいです。こういう所が、CPみんなのお兄ちゃんと言われる理由でしょうか?ぶっきらぼうだけど、優しいお兄ちゃん。羨ましいです。

 

奏「彼が慕われているのは、こういう所なのかしらね。」

 

ありす「私もそう感じました。」

 

唯「それだけじゃないみたいよ?」

 

奏「そうなの?」

 

唯「うん。CPにも今まで色々問題あったらしいんだけど、あの人が全部解決してきたんだって!凄くない?しかも自分を犠牲にしてだよ?アタシには無理だな〜。」

 

奏「......具体的には?」

 

唯「ごめ〜ん。そこまでは知らない。」

 

周子「心配かけちゃったね。」

 

全員「......」

 

 今度の沈黙は嫌じゃないです。とても心が安らぎます。

 

 しばらくするとまた停まりました。今度は目的地に着いたようです。ドアが開けられ、比企谷さんから......

 

比企谷「着いたぞ。まずは楽屋に挨拶だ。だが、その前に、塩見。体調はどうだ?」

 

塩見「あ、大丈夫。ありがとう!あと、遅れてホントごめん!」

 

比企谷「体調不良で遅れるのは仕方ない。だが、連絡は寄越せ。......心配すんだろうが。」

 

塩見「......はい。」

 

比企「まあいい。ほれ、行くぞ。」

 

全員「はい。」

 

 比企谷さんに着いて行く。大きい背中......普段はねこ背ですが、こう言った場ではピシッとしていて......格好いいです。あ、着いたようですね。

 ドアを開けると6人のメンバーさん達。2人は同い年位でしょうか?

 

比企谷「おう。今日は頼むわ。ほれ、挨拶。」

 

 簡潔にな。と言われたので名前のみ。味気ないけどライブ前だから仕方ないですね。......いただいたお菓子は美味しかったです。

 挨拶後は色々と案内して貰いました。スタッフさん達が慌ただしく動いていて、とても大変そうです。今回はそんなに大きいステージじゃないのに......

 色々と勉強になります。

 

比企谷「さて、これまでは裏の裏を見てきたが......これからが本番だ。」

 

 この言い回しは危険な物です。今まで何回もやられてきましたが、今回はそうは行きません!

 

比企谷「んじゃ、行くぞ。......覚悟しとけ。」

 

 そ、そんなに脅さないでください......

 

 

 .......................凄いです。圧倒されてしまいます......

 

比企谷「武内さん今日はよろしくお願いします。」

 

全員「よ、よろしくお願いします!」

 

武内「はい、楽しんでください。」

 

 む、無理です!緊張してしまって......

 

赤城「お兄ちゃーん!」

 

比企谷「おう、頑張れよ。みりあ。」なでなで

 

赤城「みりあ、いっぱい、いーっぱい頑張ってくるね!」

 

 比企谷さんのなでなで......羨ましいです。皆さんが来たということは、そろそろ時間......

 あれは......円陣......!!!!皆さんの顔が変わりました......凄いです。凄いです!

 

双葉「シンデレラプロジェクト!」

 

 力強く一歩......

 

全員「ファイト!オーーーーーー!」

 

 ......あれが本当の円陣。私達のとは全然違う......

 

比企谷「速水、どう感じた?」

 

奏「......圧倒されているわ。」

 

比企谷「鷺沢さんは?」

 

文香「......言葉に......なりません。」

 

比企谷「塩見。」

 

周子「......これが............本当のアイドルなんだ......」

 

比企谷「宮本。」

 

フレデリカ「......緊張するねー......」

 

比企谷「大槻は?」

 

唯「......ヤバい。ちょーキンチョーする!」

 

比企谷「......橘。」

 

ありす「......」

 

 ダメです。言葉が出せません。身体も震えて......泣いてしまいそうです......

 ふわりと......抱きしめられました。頭もなでられて......落ち着きます。

 

比企谷「大丈夫か?」

 

ありす「......はい。」

 

比企谷「お前はまだ子供だ。こんな雰囲気知らないだろ?」

 

ありす「初めてで......凄く怖かったです。」

 

比企谷「だよな。だから今日連れて来たんだ。みんなにコレを感じて欲しくてな。」

 

奏「......デビューでいきなりコレは......堪えるわね。」

 

比企谷「だろ?だから秋のライブまでにこの雰囲気を経験して、少しでも慣れろ。」

 

5人「はい!」

 

 ずっとなでてくれてる。気持ちいい......

 

 私の......お兄ちゃん。

 

比企谷「橘......もう大丈夫か?」

 

ありす「ありすでいいです。八幡お兄さん。」

 

八幡「わかったよ。ありす。あとはみんな、このライブを楽しんでくれ。」

 

全員「はい!」

 

 ライブの間、お兄ちゃんはずっと手を繋いでてくれました。

 ぶっきらぼうだけど暖かくて、怖いけど優しい。私の大好きなお兄ちゃん。

 

 お兄ちゃんの為に、橘ありす頑張ります!

 

 

 

 CPとPKの兼任をはじめてから......

 

 正直しんどい。めっちゃしんどい。自分で決めたから仕方ないのだが。そんな中、常務からとんでもない爆弾を渡された。

 Triad Primusの音源と歌詞だ。

 

八幡「(こんなもんどうしろってんだよ!まだ結成するって決まってないじゃん!)」

 

 だが、神谷と北条はかなり乗り気だ。......あいつらに渡しておこう。んじゃ、まずは......

 

 Prrrrr......

 

美嘉『もしもしー、どうしたの?』

 

八幡「いきなり悪いな。神谷と北条に用があってな。どこにいるかわかるか?」

 

美嘉『今一緒にいるけど......変わる?』

 

八幡「いや、いい。すまんがこれからレッスンルームに行くように伝えてもらえるか?」

 

美嘉『オッケー★............すぐに行くって!』

 

八幡「助かった。んじゃ、俺もすぐ行くわ。」

 

美嘉『うん。じゃ、またねー★』

 

八幡「おう。」

 

 ん?またね?美嘉も来んの?ってもう切れてるし......しゃーねえか......

 行き先をレッスンルームにしてと......よし、行くか。

 

ありす「どこか行かれるんですか?」

 

八幡「おう、ちょっとレッスンルームまで届けもんだ。」

 

ありす「......私も行っていいですか?」

 

八幡「......おう。じゃ、行くか。」

 

ありす「はいっ!」

 

 ありすを連れて向かう。......手を繋いで。

 この間から妙に懐かれてしまった。お兄さん呼びだしな......なんで?と聞いたら「お兄さんは、お兄さんだから、お兄さんなんです!」と言われた。意味わかんねえよ。

 まあ、嫌われてるよりはいいか......

 

 そうこうしているうちに到着。中に入るともう待っていた。......3人で。

 

神北「「お疲れ様です!」」

 

八幡「おう、お疲れさん。」

 

美嘉「やっほ〜★」

 

ありす「お、お疲れ様です!」

 

美嘉「あれ?その子は?」

 

 そっか初めてだったか。3人にありすを紹介。その逆もまた。

 

美嘉「なんで八幡さんが、クローネの子連れてるの?」

 

八幡「あれ?言ってなかったか?俺転籍になったんだわ。クローネに。」

 

3人「え?......えええええええええ!」

 

美嘉「CPは!CPはどうしたの⁉︎」

 

八幡「兼任してるが?」

 

美嘉「嘘でしょ?信じらんない......」

 

神谷「先輩そんな優秀だったんだ......」

 

八幡「んな事ねえよ。たまたまだ。それより、ほれ。神谷と北条に届けもんだ。」

 

北条「なに?」

 

神谷「......これって!」

 

八幡「おう。『Triad Primus』の音源と歌詞だ。」

 

北条「......うそ。」

 

神谷「聞いてみていいか⁉︎」

 

八幡「だからここにしたんだよ。」

 

 先に聞いていたが素晴らしい楽曲だ。作曲家もその筋では超が付くほど有名。よくもまあ、作ってくれたもんだ。

 曲も終わり感想を聞いてみる。

 

八幡「どうだ?」

 

北条「すごい......すごい!アタシこれ歌いたい!3人で!」

 

神谷「あたしも!すげーなこれ。しかも作曲家の人!」

 

八幡「あん?神谷お前......仲間か?」

 

神谷「......てことは先輩も?だからあのセリフ!」

 

八幡「タイミングバッチリだったろ?」

 

神谷「サイコーだった!グッときたよ!そっかぁ......先輩もかぁ」

 

北条「どういう事?」

 

神谷「あたしアニメよく見るだろ?」

 

北条「あー......」

 

美あ「「???」」

 

八幡「この作曲家はな、アニメ業界では神って呼ばれてんだ。」

 

美嘉「そんなにすごいの?例えば?」

 

八幡「あー、水樹奈々って知ってるか?」

 

美嘉「紅白に出てた?あの人凄く上手だよね。」

 

八幡「あの人声優でな。あん時歌ってたのも確かこの人の曲だ。」

 

美嘉「そうなんだ......でも確かにいい曲。」

 

ありす「本当にカッコいいです。」

 

北条「これを......アタシと奈緒とr「ストップだ。それ以上は言うな。」......ご、ごめん。」

 

八幡「まあ、聞いてみたいのは確かだがな......」

 

美嘉「え?どゆこと?」

 

八幡「すまん。まだ言えん......」

 

美嘉「そっか......でもなんとなくわかっちゃった。」

 

八幡「......だよな。」

 

美嘉「3人の歌聞いた時震えたもん。正直ちょっと嫉妬しちゃった......そっか......あの子が揃ったら2人もクローネに行っちゃうんだ......」

 

神北「「あっ......」」

 

美嘉「気にしないでいいよ!頑張んな!八幡さんもいるんだし安心でしょ?」

 

神北「「は、はいっ!」」

 

美嘉「八幡さん、2人をよろしくねっ★」

 

八幡「......まだ決まってねえよ。しかも兼任なんだから、あいつに関しちゃ複雑なんだよ......」

 

美嘉「そっか......そうだよね。」

 

八幡「今回ばっかは俺は立ち入らん。他に任せるわ。」

 

北条「ね、八幡さん。これ、もらっていいの?」

 

八幡「貰っていいも何も......お前らのもんだろ。それ。」

 

北条「ありがとう!嬉しいな!」

 

 素直じゃん。あざとくない素のお前の方が可愛いよ。」

 

北条「えぇっ!いきなりそんな事言われても......」

 

美嘉「あちゃー......また声に出てますよぉ!」

 

八幡「いって!足踏むな!つかマジで?」

 

ありす「あざとくない素のお前の方が可愛いよって言ってました。」

 

北条「あぅ......」

 

 北条さん、お顔が真っ赤です。照れてるのもいいですね!

 

八幡「......」

 

神谷「天然のタラシだ......」

 

八幡「おい、神山。失礼な事言うな。」

 

神谷「あたしは神谷だー!」

 

八幡「うるさいぞ浩史。大人しくしなさい。」

 

神谷「誰だよ!確かに好きだけど!あたしは奈緒だー!」

 

八幡「はいはいそうですねー。なおだー。」

 

神谷「扱いが適当っ⁈しかもなおだーて誰⁉︎」

 

八幡「すまん。足らなかったな。仮面なおだー。」

 

神谷「へーん、しん!ってしねえよ!」

 

北条「ふふふっ!」

 

美嘉「あ、あんたたちっ!面白すぎっ!」

 

ありす「......(プルプル)」

 

八幡「ついな。レスポンスが良いから、いじりたくなるんだわ。」

 

神谷「あたしはおもちゃじゃなーい!こら!加蓮笑うな!ありすちゃんまで!」

 

ありす「橘です。」

 

神谷「お、おう。ごめん。」

 

ありす「ぷっ!」

 

神谷「......もう勘弁してくれ。」

 

 このあとしばらく神谷いじりは続いた。

 笑いすぎて腹が......

 

 安心しろ神谷。お前のポジションは安泰だ......

 

 

 いじられキャラとしてな。

 

 

 

 は......腹が......昨日笑いすぎた......これも全部神谷のせいだ。

 ちなみに今日はCP側だ。冬のライブ内の混成ユニットを色々考えた為、武内さんと打ち合わせだ。

 

八幡「武内さん、一応俺が考えてきた案です。」

 

武内「拝見します。...........................いいですね。ですが、この一部未定とは?」

 

八幡「秋の定期ライブ次第で、クローネも打ち込みます。今のままでは足手まといなので。」

 

武内「なるほど。そうなると......常務の許可が必要なのでは?」

 

八幡「いえ、いりません。ある程度自由に俺が判断できるんです。」

 

武内「......ほとんどプロデューサーですね。」

 

八幡「そんな立派なもんじゃないですよ。」

 

武内「いいえ。比企谷さんはもう立派なプロデューサーです。自信を持ってください。」

 

八幡「......ありがとうございます。武内さんに言われると、すげえ嬉しいです。」

 

武内「話は変わるのですが、先程渋谷さんの歌を聞きました。」

 

八幡「『Triad Primus』の『Trancing Pulse』ですか?」

 

武内「......はい。」

 

八幡「実はあの3人、冬にCPの舞踏会でやろうと思ってたんです。」

 

武内「......そうでしたか。」

 

八幡「少し前に、あの3人がニュージェネの曲で、一回だけ合わせたの聞いたんです。」

 

武内「......」

 

八幡「その時、常務に聞かれたんすよ。そん時思いました。取られるなって。」

 

武内「そんなことがあったのですね。」

 

八幡「はい。今こんなことになってますけど......すんません。俺、あの3人の歌、聞いてみたいです。」

 

武内「......わかります。少し聞いただけですが......輝きを感じました。お2人の言っていたことが、ようやくわかりました。............比企谷さん、私はアナスタシアさんと渋谷さんが望めば、クローネへの参加を聞き入れます。」

 

八幡「武内さん......」

 

武内「その時は......どうか、お2人をお願いします。」

 

八幡「......はい。」

 

 

 ガチャッとドアが開かれる。そこにいるのは......

 

 アーニャだ。

 

アーニャ「プロデューサー、兄さん。あの......お話、いいですか?」

 

武内「はい。」

 

八幡「おう。」

 

 テーブルを挟み対峙する武内さんとアーニャ。俺はあえて、どちらにも座らず、いわゆるお誕生日席に座る。2人とも意図がわかっているのだろう。何も言わない。

 

武内「......例の、件ですね?」

 

アーニャ「はい。」

 

武内「いかがですか?」

 

アーニャ「合宿の時、ミナミ、言ってました。アイドルになるの、不安だった、冒険だったと。ミナミ、冒険する、ドキドキ、勇気、教えてくれました。

 ワタシ、今、不安です。美城常務の、プロジェクト、ソロで、ミナミも、いないところで。

 でも、みんな、チャレンジしてます。冒険して、ドキドキ、キラキラ。」

 

武内「......アナスタシアさん、あなたは今度のプロジェクトで......笑顔になれると思いますか?」

 

アーニャ「わからない、です。まだ。みんなのように、笑顔になれるか......」

 

武内「冒険の先に、笑顔になれる可能性を感じたのなら、前に進んでください。あの時の笑顔のもう一歩先を見つけてください。それに、1人ではありません。比企谷さんがいます。私も全力でサポートします。」

 

アーニャ「......ワタシ、冒険、します。一歩先の、笑顔、見つけに、行きます。」

 

武内「頑張りましょう。」

 

八幡「......みつけような。」

 

アーニャ「はいっ!」

 

 

 アーニャは美波とこの後話すと言い出て行った。出て行く際、閉まっていたはずのドアが開いていたが、気づかないフリをした。

 おそらくだが、美波は今の話しを聞いていただろう。でもやっぱこの人......すげえな。

 

八幡「すごいっすね。」

 

武内「はい。冒険をする。驚きましたが。」

 

八幡「そっちじゃないっすよ。」

 

武内「では、なんのことでしょう?」

 

八幡「......なんでもないです。やっぱ、武内さんは、俺の目標ってことっすよ。」

 

武内「......ありがとうございます。そう言っていただけると、嬉しいです。」

 

 高い目標だ。この仕事をやればやるほど、遠くなる背中。

 ......たまんねえな。

 

 けど追いつく。

 

 絶対に。



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17話?

 アーニャがクローネ参加を決めた。相棒である美波は......おそらくだが賛成してくれる。

 だが問題は凛。いや、ニュージェネだ。多分あいつも参加する。

 そうなると......未央は......動揺するだろうが、負けてられないと、自分も冒険しなきゃと奮起するだろう。......多分。

 だが卯月は......人一倍心が強い。......違うな。『頑張ります!』の呪文で耐えているだけだ。そして現状それを支えているのが2人。もし、その2人が違う事をはじめたら......彼女は折れる。

 それだけは避けないとな......太陽がなきゃ、月も輝かないし、向日葵も咲かない......

 

 Prrrrrrr......武内さん?

 

八幡「はい、比企谷です。どうしました?」

 

武内『急で申し訳ないのですが、CPまで来ていただけますか?』

 

八幡「わかりました。すぐに行きます。」

 

武内『宜しくお願いします。』

 

 ......アーニャの件か。まあ、報告って事は、美波も納得してんだろうな。

 クローネのメンバーにCPに行ってくると伝え、とぼとぼと向かう。......他のメンバーも動揺すんだろうな......

 

 

 事務所に着き、話を聞いたが予想通りだ。美波も賛成しているが、メンバーは不安げな表情。だが、それだけではなかった......

 

武内「突然のことで、驚かれたとは思いますが、もう一つ大事なお知らせがあります。本日かr「ちょっと待って!それ、自分で言うから!」......」

 

 は?未央?......まさかっ!

 

未央「本田未央!本日からソロ活動をはじめます!」

 

 うそ......だろ?卯月はっ⁈......まだ......大丈夫か?......クソッ!読めねえ......

 

 未央が出て行き、凛がメンバーにクローネに誘われている件を話す。未央がソロ活動をはじめるのは、自分の責任だと......違う。そうじゃない......

 

 嫌な空気のまま解散......事務所には俺と武内さん。

 

武内「すみません、比企谷さん。本田さんの事を報告もせずに......」

 

八幡「......いえ。大丈夫です。いい事だと思いますんで。ただ......」

 

武内「ただ......なんでしょう?」

 

八幡「......卯月が......卯月に気をつけてください。」

 

武内「島村さん......ですか?」

 

八幡「......あいつは強いです。養成所でもジッと一人で耐えて頑張って......ようやくデビューして......未央と凛と言う......2人の支えができました。......それが今、失われようとしています。」

 

武内「ですが!2人はいなくなるわけではありません!今後の為に、出来る事をやろうとしているだけです!」

 

八幡「もし......『自分だけ取り残されている。』そう卯月が感じたら......どうですか?」

 

武内「それは......」

 

八幡「あいつは......自分から新しい事をするのは苦手です。けど、2人が何かをしようとしたら、全力で応援するでしょうね。......自分の気持ちに嘘をついて。だから......危ういんです。」

 

武内「......そうかもしれません。」

 

八幡「だからこそ、俺たちが気をつけないと......」

 

武内「......わかりました。このような時は比企谷さんには敵いませんね。」

 

八幡「そんな事ないっすよ。それに、最近のあいつ......俺の一件以来、不安定ですから。」

 

武内「......そうですね。」

 

 武内さんも感じていたようだ。おそらく、誰が見ても気づくだろう。

 

 何も起きなきゃいいが......

 

 

 

 ふと、考える。

 卯月に凛に。そして、未央にしてやれることはなんだろう......

 今俺は、クローネとの兼任でCPに関しては中途半端だ。そんな俺が口を出していいのか?......いや、ダメだ。

 クソッ!なんも思いつかねえ......

 

小町「おにーいちゃん!どうしたの?悩み事があるなら、小町に話してみそ。」

 

八幡「......」

 

小町「......仕事のこと?」

 

八幡「......」

 

小町「......今までとは違うもん、さすがに言えないよね......」

 

八幡「......すまんな。」

 

小町「いいよ。でもね、小町だって心配するんだよ?」

 

八幡「......悪いな。」

 

小町「お兄ちゃん謝ってばっかだね。ザックリでもいいから言えない?」

 

八幡「......聞いてくれるか?」

 

小町「もちろん!」

 

八幡「実はな......」

 

 個人名や新しいプロジェクト名などは言わない。だが、小町に話していると、感情が高ぶってくる。何もできなくてもどかしい。

 どうしてこんなに自分は無力なんだと......

 

小町「......そっか。お兄ちゃんはさ、CPのみんなが大事なんだよね?」

 

八幡「......当たり前だ。」

 

小町「ならさ!ぶつかっちゃえばいいんだよ!言葉にしなきゃ、伝わらないことがあるのは知ってるでしょ?お兄ちゃんが抱えてることは、小町にはわかんないよ。でもね、これだけはわかる。......お兄ちゃんなら大丈夫!」

 

八幡「......だな。ありがとな、小町。」

 

小町「頑張って!」

 

八幡「おう。」

 

 やることは決まった。何を悩んでたんだろうな......俺は俺だ。美嘉やみりあにも言った言葉じゃねえか。だったら......Prrrrrrr......

 

未央『ハッチーどしたの?』

 

八幡「いきなり済まんな。お前の舞台の台本......あと2部用意できるか?」

 

未央『できるけど......なんで?』

 

八幡「聞いてくれ............................をしたい。」

 

未央『なんで内容知ってるの?』

 

八幡「本で読んだことあるからな。」

 

未央『そっか。......わかった。用意する。』

 

八幡「すまんな。」

 

未央『大丈夫!でもやっぱり、ハッチーには敵わないなー。』

 

八幡「なんのことだ?」

 

未央『今回はさ、ハッチーに頼らないようにしてたのに......プロデューサーにも言わないで!って言ってさ。』

 

八幡「そうか......」

 

未央『いつもハッチーに頼ってばっかりだったから......』

 

八幡「んな事気にすんな。」

 

未央『気にするよ!だって......好きな人に助けられてばっかじゃ......ちゃんと隣に立てないじゃん......』

 

八幡「......はっ?」

 

未央『な、何でもない!明後日!台本は明後日までに用意するから!』

 

八幡「お、おう。頼むわ。」

 

未央『じゃ、じゃあね!』

 

八幡「お、おう。」

 

 ......未央もかよ!知らねえよ!そんな素振り見せなかったじゃん!いや、あったか......

 勘弁してくれ......

 

 

 

 明後日、約束通り未央は台本を用意してくれた。台本を受け取る際、未央は頬を染めながら目をそらしていた......

 こいつ......こんなに可愛かったんだな......じゃなくて!受け取った台本からある部分を探す。......45ページか。

 

八幡「未央、45ページのここからやってくれ。セリフの順番は任せる。」

 

未央「わかった。じゃ、2人を呼ぶね。」

 

八幡「頼むわ。」

 

 

 程なくして2人は来た。台本を渡された凛ははぐらかすなと怒るが、未央が本気だった為おし黙る。

 そして、舞台は未央のセリフから始まる。

 

 

 未央に続き卯月。そして凛。

 

 話の舞台は目的の場面へ。

 

 未央のセリフ毎に、2人の表情が変わる。

 

 輝く未央に引き込まれていく......

 

 「うん。ごめん。待たせて。」

 

 アドリブだ。だが、最高の一言。

 

 

 そして......舞台は終焉へ。

 

 

 「「「...........私たちの心......」」」

 

 同時に拍手。いつのまにか観客がいたようだ。智絵里、みりあ、きらりそして城ヶ崎姉妹。みんなが感動した。キラキラしていたと。本当にそうだ。本当に輝いていた......

 未央は心の内を話す。凛の気持ちを知りたい、そしてわかってきたと......

 

卯月「未央ちゃん、素敵です......」

 

凛「うん。ドキドキした。......ねえ、卯月、未央......」

 

卯未「いいと思う(います)!」

 

凛「えっ?」

 

卯月「未央ちゃん、キラキラして素敵でした!だから、凛ちゃんもきっと!」

 

未央「そうだよしぶりん!次はしぶりんの番!」

 

凛「ありがとう。卯月、未央。」

 

卯月「八幡さん!」

 

未央「しぶりんを!」

 

2人「お願いします!」

 

凛「......よろしくね。」

 

八幡「......おう。」

 

 こうして、一応CPにおけるクローネ騒動は幕を閉じた。

 卯月も冬のライブに向けて、小日向と新ユニットを組むことを決めた。秋の定期ライブには間に合わない為、未央とともに不参加だが、裏方として頑張ると気合いが入っている。

 だが、新ユニットはこれだけではない。

 一つ目は蘭子と白坂のユニット。

 二つ目はアスタリスクに夏樹とウサミンを投入。

 そして三つ目に、美波のソロデビュー。

 個性も強まり面白くなりそうだ。

 

 第一関門の秋の定期ライブ......

 

 この布陣で突破してやる。

 

 

 

 CPの騒動でバタバタしていたが、もちろんクローネ側の準備も抜かりない。

 まずは、鷺沢さんをリーダーとして、全員一丸となってレッスンに打ち込んでいる。

 時々塩見と宮本が暴走して大変だが......楽しそうだし良しと......していいのか?

 いや、ダメだな。鷺沢さんの胃に穴が開く。

 

 ちなみにクローネ側の布陣は......今から説明だ。

 

八幡「あー、今日までは全体練習だったが、今後は個別も追加になる。まずアーニャ、速水。」

 

2人「はい。」

 

八幡「お前達はソロだ。ごまかしは一切きかん。気合い入れろ。」

 

2人「はいっ!」

 

八幡「次に、凛、神谷、北条。」

 

3人「はい!」

 

八幡「お前らは言うまでもないな?」

 

3人「......はいっ!」

 

八幡「凛、2人を引っ張ってやれ。」

 

凛「うん。任せて。」

 

八幡「任せた。んじゃ次。塩見、宮本、大槻。」

 

3人「は〜い。」

 

八幡「......お前らな......もちょっと見締めろよ......まあいい、3人で組んでもらう。存分に個性出していけ!」

 

3人「うんっ!」

 

八幡「......だが、締めるとこは締めろよ?」

 

3人「は、は〜い......」

 

八幡「......大丈夫かよ......まあ、最後だ。鷺沢さん、ありす。」

 

2人「......はい。」

 

八幡「2人のユニットだ。鷺沢さん、ありすをお願いします。」

 

鷺沢「......私で......大丈夫でしょうか?」

 

八幡「あなただから、ありすを任せられるんです。」

 

鷺沢「......わかりました。......橘さん......宜しくお願いします。」

 

ありす「はっ、はい!お願いします!」

 

八幡「最後に音源と歌詞を渡す。レッスンまでに予習はしとけ。...............なんか質問あるか?」

 

鷺沢「......あの......本当に......私がリーダーで......よろしいのですか?」

 

八幡「それは問題ないっす。意見は全員一致ですから。それに、塩見と宮本の暴走を止められるの鷺沢さんだけですし......」

 

凛「確かにね。」

 

神谷「あれは凄いからな......」

 

鷺沢「......でしたら......良いのですが......」

 

八幡「ま、あんま気負わんでください。基本は俺がいますんで。」

 

鷺沢「......はい。」

 

八幡「他はあるか?」

 

速水「ねえ......」

 

八幡「ん?どした?速水。」

 

速水「それよ。私達も名前で呼んでくれないかしら?」

 

八幡「......理由を聞こうか?」

 

速水「なんだか他人行儀じゃない。私達はあなたのアイドルよ?信頼しているあなたに苗字で呼ばれるなんて......寂しいわ。」

 

八幡「い、いや。だg「どうしたら名前で呼んでくれるの?」......」

 

 く、くるな!近寄ってくるな!

 

速水「......キスでもすれば呼んでくれる?」

 

 近い近い近い!ああ......でもいい匂い......

 

八幡「は、速水。近い。」

 

速水「当たり前じゃない。近寄ってるんだもの。」

 

凛「八幡何やってるの!奏も離れて!」

 

速水「いいじゃない。ただのスキンシップよ?ね?八幡さん......」

 

八幡「わ、わかった。ちゃんと呼ぶから!」

 

速水「そう?それじゃお願い。」

 

八幡「はあ......奏、周子、フレデリカ、唯、文香さん。それに加蓮となおだー。これでいいか?」

 

神谷「またそれっ⁉︎だから変身しないっての!」

 

ありす「ぷっ!」

 

5人「なおだー?」

 

神谷「奈緒!あたしの名前は奈緒!」

 

八幡「わかってるっての。奈緒。これでいいか?」

 

フレデリカ「いいんじゃない?」

 

周子「な〜んか、名前呼びのがいいよね〜♪」

 

加蓮「やっと呼んでくれたね!」

 

唯「しっくりくるね〜♪」

 

文香「......では......私も......は、八幡さんと......」

 

奏「あなたに名前で呼ばれるのはいいものね......」

 

アーニャ「兄さん、アーニャのことも、呼んで、ください。」

 

八幡「いつも呼んでんじゃねえか......アーニャ。」なでなで

 

アーニャ「да!兄さんの、なでなで、気持ち、いいです。」

 

ありす「ずるいです!お兄さん!」

 

八幡「......ほれ、ありすもこい。」

 

ありす「はい!」

 

凛「......」

 

加蓮「......ねえ、凛?」

 

凛「......なに?」

 

加蓮「怒ってる?」

 

凛「......別に。」

 

加蓮「八幡さん取られちゃってヤキモチ?」

 

凛「なっ!ち、違うから!」

 

加蓮「動揺しちゃって〜!かわいいな〜、凛は!」

 

凛「そ、そんなんじゃないから!」

 

奏「へー......そう言うことね......だからさっきも......」

 

凛「奏まで!」

 

周子「凛ちゃん顔真っ赤〜!」

 

フ唯「か〜わい〜!」

 

奈緒「意外だよなー。」

 

文香「......素敵ですね。」

 

凛「文香まで......」

 

八幡「......その辺にしとけ。」

 

7人「は〜い。」

 

 ......だ、大丈夫か?このメンバー......不安になってきた......

 でもまあ......硬いよりは全然いいな。

 

 

 

 ライブ当日。会場入りした俺は呼び出されていた......常務に。そして、VIPルームに。

 中に入るといるのは常務と今西部長......

 逃げたい......

 

常務「来たか。比企谷君、今日君は、ここで見学をしなさい。」

 

八幡「お断りします。」

 

常務「......なぜだ?」

 

八幡「ライブ中はやることや、気にしなきゃならん事が多々あるもんで。こんなとこにいたら、初動が遅れます。」

 

常務「だが、君は私の部下だ。私の指示に従え。」

 

八幡「......なら、PKの俺は、ここにいることにしてください。CPとしての俺が現場に行きます。」

 

常務「......よかろう。」

 

八幡「では、失礼します。」

 

 はっ!素直に言うこと聞いてやるかっての。少しは舞台裏見せたが不安だしな......最悪これでなんかあれば、あの人の責任だ。......我ながらゲスい考え。まあ......何も起きないようにしねえと......

 

 

 クローネ控え室。......静かだ。いつもの動物園とは大違い。しゃーねえな......

 

八幡「おい、お前ら。」

 

奏「......なにかしら?」

 

八幡「怖気ついたか?」

 

奏「......」

 

八幡「アーニャと凛は大丈夫そうだが、ほかの奴らは借りて来た猫みたいだな。いつもの勢いはどこにいった。」

 

奏「......言ってくれるじゃない。誰が借りて来た猫なのかしら?ふざけた事言ってると口をふさぐわよ?」

 

八幡「ほーん......んじゃ、やってみろ。」

 

奏「えっ?」

 

八幡「やってみろって言ったんだ。どうやるか教えてくれ。」

 

奏「え?ちょっ......本気?」

 

八幡「ほれ、早くしろ。」

 

奏「い、いいわ。してあげる。」

 

 近づいてくる奏......ふえぇぇぇぇ。緊張するよぅ......つーか、みんな見過ぎ!特に凛!めっちゃ怖いから!

 

奏「い、いくわよ?」

 

八幡「ほれ、遠慮なくこい。」

 

 ......いつもより控えめだな。脅してやるか。

 腰をだき、グッと近づける......

 

奏「きゃっ!」

 

八幡「どうした?いつもの勢いがねえな。」

 

奏「だ、だって......こんなの......」

 

八幡「......変な緊張は無くなったか?」

 

奏「えっ?」

 

八幡「ステージに立つ緊張感は消えたかって聞いてんだ。」

 

奏「......違う意味で緊張しちゃったわよ。」

 

八幡「すまんな。」

 

奏「聞いてもいい?」

 

八幡「おう、なんだ?」

 

奏「誰にでもこんな事するの?」

 

八幡「しねえよ。俺のことなんだと思ってんの?」

 

凛「近いことはしてるじゃん。」

 

八幡「ねえちょっと?凛ちゃん?遠距離射撃やめてくれない?俺無防備だからね?」

 

凛「してるじゃん!智絵里の事抱きしめたり!みりあと卯月も!......私してもらった事ないのに......」

 

周子「うわ〜......本物のタラシだ〜......」

 

アーニャ「兄さんは、ミナミとПоцелуй、キス、してました。」

 

 え?アーニャ見てたの?マジで?

 

凛「えっ......」

 

9人「えええええええええ!」

 

唯「マジで!」

 

凛「うそ......」

 

八幡「ま、待て!口じゃない!ほっぺにされただけだ!」

 

9人「ホントにされたんだ!」

 

 あ、やべ......

 

アーニャ「だから、ワタシも......chu!」

 

凛奈加「あーーーーーーー!」

 

奈緒「って加蓮まで⁉︎」

 

加蓮「あ、あははは......」

 

ありす「ぷっ!」

 

全員「あはははは!」

 

唯「何これ!全然緊張感ないじゃん!」

 

周子「ホント!緊張してたの馬鹿みたい!」

 

八幡「ま、まあ。緊張ほぐれたんならいいわ......」

 

凛「......後で詳しく......ね?」

 

八幡「あ、はい。」

 

 こえーよ!超こえーよ!どっからその声出してんの⁉︎

 

八幡「んん!うちのトップバッターは、奏。お前だ。」

 

奏「任せて!」

 

八幡「頼んだぞ。でな、俺が口出すのもここまでだ。」

 

全員「えっ......」

 

八幡「常務の指示でな。クローネの俺はVIPルームにいる。ここにいるのは、CPの俺だ。だが、ちゃんと見てるからな。お前らの輝き、それと笑顔。しっかり見せてくれ!頼んだぞ!」

 

全員「はいっ!」

 

八幡「そんなわけなんで......文香さん、後のことお願いします。」

 

文香「......はい。お任せください。」

 

奏「じゃあ、円陣組みましょう!文香、お願い。」

 

文香「はい。......最後まで、笑顔を届けましょう!......Project Krone!」

 

全員「ファイト!オーーーーーーー!!!」

 

 

 

 開演だ。宣言通り、俺はCPについている。まあ、チラチラうかがってはいるが......

 

武内「比企谷さん......クローネは、大丈夫なのですか?」

 

八幡「......心配っちゃ心配ですが、常務指示なもんで、遠目から見てるしかないっす。」

 

武内「そうですか......心苦しいですね。」

 

八幡「まあ、いざとなれば関係なく動きますよ。」

 

武内「私も協力させていただきます。比企谷プロデューサー。」

 

八幡「んなっ!」

 

武内「冗談です。」

 

八幡「マジ勘弁してくださいよ......」

 

武内「そろそろ出番ですね。」

 

八幡「はい。奏もそうですが......次のアーニャに期待してください。......驚きますよ。」

 

武内「楽しみです。」

 

 

 ......次は奏だ。ステージに上がる前に目が合い、お互いに頷きあう。大丈夫そうだ。

 

 奏のデビュー。......いい出来だ。しっかり笑えている。さすがクローネの中核。

 

 

 戻ってくる奏。次はアーニャだ......

 

奏「八幡さん、どうだったかしら?私のデビューステージは。」

 

八幡「おう、最高だったよ。いい笑顔だった。」なでなで

 

奏「あっ......これが......」

 

八幡「次はアーニャだ。しっかり見とけ。んで、自分との違いを見つけろ。」

 

奏「っ!はいっ!」

 

 1人ステージに佇むアーニャ。幻想的な光景だ......

 

奏「綺麗......」

 

 奏も見惚れるほどの美しさ。まるで妖精が舞い降りてきたような......

 

美波「......アーニャちゃん......」

 

八幡「綺麗だよな。」

 

美波「うん。私も頑張る。」

 

八幡「おう。頑張れ。ちゃんと見てるからな。」

 

 そしてアーニャの出番も終わる。

 歌い終わったアーニャは、今まで見たことのない......最高の笑顔だった。

 

奏「まだまだ......敵わないわね。」

 

八幡「......それがわかっただけで十分だ。」

 

奏「......ええ。」

 

 CPの出番まで少しあるな......様子見てくるか......

 

八幡「武内さん、ちょっと......クローネの様子見てきます。」

 

武内「はい。」

 

 一度緊張はほぐれた。だが、初のステージだ。何が起こるか分からん。特に文香さんだな......いきなり任せちまったから、プレッシャーも大きいだろう。

 クローネの控え室......構うか!入っちまえ!

 

八幡「おう。2人のステージ見てたか?」

 

全員「!!!!!!」

 

周子「ちょ!脅かさないでよ......」

 

八幡「すまんすまん。で、どうだった?」

 

唯「すっごい良かった!でも、あそこに立つの緊張しちゃうな〜。」

 

フレデリカ「だよねだよね〜!」

 

周子「う〜、ダメだ!お花摘んでくる!」

 

ありす「......」

 

文香「大丈夫ですよ、橘さん。それに......みなさんもです。......八幡さんは......見ていてくれます。......安心してください。」

 

ありす「鷺沢さん......はいっ!」

 

 ......まずいな。顔色が悪い。美波と一緒だ。手を打っとくか。

 

八幡「デビューステージだ。多少失敗しても構わん。とにかく楽しめ。んで、笑顔だけは忘れんなよ?」

 

全員「はいっ!」

 

 

 控え室を後にし、舞台構成の責任者を訪ねる。

 

八幡「すんません、ちょっといいすか?」

 

責任者「んおー、比企谷ちゃんか。どーしたん?」

 

八幡「お願いがあって......」

 

責任者「なになに?面白いこと?」

 

八幡「いや、トラブル回避です。」

 

責任者「......そら穏やかじゃないね......なんだい?」

 

八幡「あくまで準備なんですが.................をしといてもらいたいんです。」

 

責任者「でもクローネは常務管轄だろ?まずいって......」

 

八幡「俺はクローネのアシスタントです。現状の最高責任者は俺になります。」

 

責任者「比企谷ちゃんがクローネの?......よし、準備しておく。何もなきゃそのままでいいんだよな?」

 

八幡「はい。お願いします。」

 

責任者「はいよ!任せてな、比企谷P!」

 

八幡「違うっての......」

 

 よし、手は打った。あとは経過を待つだけだ。いや、もう一つ......

 

 

 

 ここからはCPだ。まあ、言わずもがな。どのユニットも......最高の出来だ。そして笑顔。

やっぱここはいいな......

 

スタッフ「比企谷さん!」

 

八幡「......やっぱりっすか?」

 

スタッフ「はい......すぐ来れますか?」

 

八幡「はい。」

 

武内「比企谷さん?」

 

八幡「武内さん、予想通りです。」

 

武内「っ!!わかりました。」

 

 

 スタッフに案内され、文香さんの元に向かう。クローネのメンバー勢揃いだ。

 

ありす「お兄さん!」

 

凛「八幡!」

 

八幡「事情は聞いた。スタッフの皆さん、文香さんを控え室へ。」

 

スタッフ「は、はい!」

 

ありす「私も行きます!」

 

八幡「責任者さんは準備お願いします。」

 

責任者「はいよ!」

 

八幡「武内さんもお願いします。」

 

武内「いつでもいけます。」

 

八幡「では、GOで。」

 

武内「はい。本田さんお願いします。千川さんは各所に連絡を。」

 

未央「リョーカイ!」

 

ちひろ「はい!」

 

八幡「.....凛、奈緒、加蓮。」

 

3人「は、はい!」

 

八幡「後半のトップ任せたぞ。」

 

奈緒「え......」

 

加蓮「嘘でしょ?」

 

凛「......任せて。もう準備してあるんでしょ?」

 

八幡「おう。5分だ。5分間CPが繋ぐ。」

 

凛「わかった。行くよ。奈緒、加蓮!」

 

奈緒「お、おう!」

 

加蓮「うん!」

 

八幡「ほれ、行くぞ。」

 

3人「はい!」

 

 

 

奏「......どういう......事?」

 

武内「......比企谷さんは、この事態を予測して事前に準備していました。」

 

奏「まさか......」

 

武内「そのまさかです。」

 

フレデリカ「んーでも、前一瞬でシューコちゃんの体調見破ったよね〜。」

 

周子「そういえば......」

 

唯「でも今回は直接アドバイスできないから......」

 

武内「はい。」

 

奏「......敵わないわね。」

 

武内「それよりも、速水さんは鷺沢さんの元へ、その他の方は準備を。」

 

4人「はい!」

 

 

 予想通りだが......嫌なもんだな。直接関われれば起きずに済んだことだ。クソが!

 

 今はCPがMCで繋いでくれている。それまでに2人をなんとかしないと......

 

奈緒「どうしよう......」

 

加蓮「緊張が......」

 

凛「大丈夫。十分レッスンしてきたでしょ。」

 

未央「みんなー!調子はどお?」

 

凛「未央、卯月......」

 

 いいタイミングで未央と卯月が来てくれた。......前に小日向と日野にしてもらったことを今度はコイツらがか......ちゃんと成長してんだな......

 2人の表情も柔らかくなってきた。......大丈夫そうだな。

 まもなく、CPのMCも終わる。

 

八幡「凛、奈緒、加蓮。」

 

凛「なに?」

 

八幡「行ってこい。笑顔でな。」

 

3人「はいっ!」

 

 

 ステージに向かう3人を見送る......

 

八幡「卯月、未央。助かったわ。サンキューな。」

 

未央「いいっていいって〜!いつも助けられてるんだから!たまにはね?」

 

卯月「そうです!私たちだって役に立てます!」

 

八幡「......また、頼らせてもらうわ。」なでなで

 

卯月「八幡さんのなでなで〜♪」

 

未央「最高のご褒美だ......」

 

八幡「んじゃ、あいつの『何か』を一緒に見届けようぜ。」

 

卯未「はいっ(うんっ)!」

 

 曲が始まる。3人のハーモニーが重なり合い、強烈な存在感を出す......

 

未央「すごい......」

 

卯月「っ!......」

 

八幡「......」

 

 俺の腕を掴んでいた卯月に力が入る......

 悔しいのか、悲しいのか、嬉しいのか......それとも違うなにか......表情からは読み取れない......

 

常務「比企谷君、これはどういう事だ。」

 

八幡「はっ!今更ノコノコお出ましですか。」

 

常務「......なに?」

 

八幡「言葉通りっすよ。」

 

卯月「八幡さん......」

 

 腕に込められる力が強くなる。怖いのだろう......

 

八幡「俺最初に言いませんでしたっけ?」

 

常務「......リーダーを立てるのは名目上、我々のフォローが必要。だったか?」

 

八幡「はい。そのフォローを怠った結果がこれです。」

 

常務「......そうか。CPの比企谷君には世話になったようだな。」

 

八幡「俺だけじゃないっすよ。ここにいる2人に武内さん。メンバー全員の協力あっての物です。」

 

常務「......2人とも、協力感謝する。」

 

卯月「い、いえっ!」

 

未央「ハッチーの指示で動いただけですから!」

 

常務「......現場での問題点はわかった。今後は改善しよう。」

 

八幡「待ってください。」

 

常務「なんだ?」

 

八幡「わかったじゃありません。『わかっていた』です。今回の問題は......常務、あなたの責任です。理解してください。」

 

常務「......覚えておこう。では、私は失礼する。」

 

 ......こ、怖かったよおおおおお!ちびるかと思った......

 

未央「......ハッチーすごっ!」

 

卯月「凄いです!カッコいいです!」

 

八幡「......内心ビクビクだったけどな。」

 

 

 

 TPのデビューステージは成功。周子たちのステージも同様だ。文香さんも無事復活して、ステージに立つことができた。

 

 さらには、今回のライブでの審査は言うまでもないだろうと、常務から伝えられた。

 これで冬のライブを成功させれば......

 

 CPを......

 

 コイツらの居場所を守れる。

 

 もう少しだ......



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18話?

 辞令

 

 比企谷八幡 殿

 

 貴殿のこれまでの成果を鑑み、

 

 Project Kroneプロデューサー代行とする。

 

 

 

 ......どうしてこうなった。

 

八幡「......常務、意味がわかんないんですけど。」

 

常務「そこに書いてある通りだ。」

 

八幡「......俺まだ学生っすよ?時間限られますって。」

 

常務「業務はこれまでと変わらずだ。権限と責任は増えたがな。」

 

八幡「......CPのアシスタントはどうなるんすか?」

 

常務「続けて構わん。」

 

八幡「......はぁ。わかりました。でもいいんすか?」

 

常務「なにがだ?」

 

八幡「自分で言うのもなんですが、結構常務に歯向かってますよね?」

 

常務「確かにな。だが、それ以上の成果を上げているのも事実だ。特に、先のライブではな。」

 

八幡「......なら、謹んでお受けします。」

 

常務「話は以上だ。行きたまえ。」

 

八幡「......失礼します。」

 

 

 

 どんどん逃げ道が塞がれていく......このままだとCPに戻れなくね?

 マジ勘弁してくれ......

 

 

 CP事務所にて冬の舞踏会の打ち合わせなのだが......

 

八幡「はぁ......」

 

武内「......どうかされましたか?」

 

八幡「......これっす。」

 

 武内さんに先程の辞令を渡す。

 

武内「っ!これは......」

 

八幡「......まさかこんな事になるなんて。」

 

武内「......私も予想外です。ですが、正当な評価でもあります。」

 

八幡「逃げ道が......俺、CPに戻れますかね?」

 

武内「......」

 

八幡「......」

 

武内「おそらく......難しいでしょう。」

 

八幡「ですよねー......」

 

武内「CPのアシスタントは、どうなるのですか?」

 

八幡「継続許可はもらってます。」

 

武内「......安心しました。この舞踏会は......比企谷さんとともに成功させたいので。」

 

八幡「それは俺もっす。ただまあ、クローネが使いやすくなったのは良かったです。」

 

武内「助かります。」

 

八幡「ま、決まったもんは仕方ないっす。今は舞踏会の事だけ考えます。」

 

武内「宜しくお願いします。」

 

 

卯月「......」

 

 気づかなかった。外で卯月に聞かれていることに......

 

 

 

 最近あまりCPに顔が出せていない。舞踏会の打ち合わせもクローネの事務所でやっているほどだ。

 常務の嘘つき!仕事めっちゃ増えてんじゃん!まぁ、給料も爆発的に増えているのだが......

 

 そして、今日も今日とて、奏の付き添いでスタジオに来ている。......常務も一緒に。

 来なくていいよ!スタッフみんなビビっちゃうから!大魔王は座ってなさい!

 

 ちなみに隣では、卯月と小日向が撮影を行なっている。いるのだが......カメラさんの反応が良くない。......大丈夫か?

 

八幡「(なっ⁉︎卯月の表情が硬い?嘘だろ?)」

 

 休憩のようだが......元気がない。いつもの笑顔が......ない。

 

武内「常務、比企谷さん。お疲れ様です。」

 

 武内さんも卯月の様子を見に来たようだ。凛を引き連れて。凛は常務と話し、武内さんはカメラさんと話す。卯月の表情やポーズが硬いことを言われている......

 ふと、卯月と目が合った......怯えるような表情......

 

 そして急に立ち上がり身体を背ける......

 

 武内さんが卯月と話している。常務の手前、近寄る事ができない......

 

卯月「すみませんでした!」

 

 急な謝罪。おそらく迷惑をかけたと思っているのだろう。自分のせいだと。

 そして帰ってしまう卯月。

 ダメだ!帰らせるな!

 

 

 

 今帰らせたら......

 

 

 

 

 卯月が折れる。

 

 

 

 

八幡「だm「比企谷君、撮影に集中しろ。」......すみません。」

 

 気づけ!気づいてくれ!武内さん!

 

 俺の願いは届かなかった。

 

 

 翌日武内さんから報告を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 卯月が養成所で基礎からやり直すと。

 

 

 

 卯月はあれから来ていない。武内さんは毎日様子を見に行っているが、いい報告はない。

 ダメだ。卯月のことで頭がいっぱいで仕事に集中できん......

 

奏「八幡さん?」

 

八幡「ああっ?」

 

奏「(ビクッ)......ご、ごめんなさい。」

 

八幡「あ、ああ。すまん。考え事しててな。なんだ?」

 

奏「体調悪そうだし......それに、顔が物凄く怖いから......何かあった?」

 

八幡「......いや、なんでもない。」

 

凛「嘘!......卯月のことでしょ?」

 

八幡「......」

 

凛「ねえ、どうするの?」

 

八幡「......」

 

凛「何か言ってよ!」

 

八幡「うるっせえな!それを今考えてんだろ!少し黙ってろ!」

 

凛「っ!......ご、ごめん。」

 

八幡「......すまん。八つ当たりだ。......少し出てくるわ。」

 

全員「......」

 

 

 

奏「あんな彼......初めて見たわね......」

 

ありす「はい。すごく怖かったです......」

 

奏「ねえ凛、卯月って......あの時の?」

 

凛「......うん。あれから来てないんだ。」

 

奏「そうだったの......少し......妬けちゃうわね。」

 

凛「えっ?なんで?」

 

奏「凛にはわからないかもしれないけど、彼は私達のプロデューサーなのよ?彼女の方が付き合いは長いかもしれないけど、私達より彼女を優先している。......ずるいわ。それに羨ましい。彼にあそこまで思われている彼女が。」

 

文香「......そう......ですね。私達とは違う......もっと強い絆で繋がっている......そう感じます。」

 

ありす「はい......私もそう思います。」

 

奈緒「もっと......頑張らないとな!」

 

加蓮「そうだね!ね?凛!」

 

凛「......」

 

加蓮「......凛?」

 

凛「そう......だね。」

 

 

 

 

 はぁ、やっちまった。八つ当たりとか最悪だろ......でもどうすっかな......なんもk「比企谷さん!」......武内さん?

 

八幡「あ、お疲れ様っす。どうしました?」

 

武内「今......少しよろしいですか?」

 

八幡「大丈夫っすけど......」

 

武内「ありがとうございます。」

 

 武内さんに連れられてCPの事務所へ向かう。卯月のことだろうな......

 

 

武内「突然ですみません。少し、お願いしたい事がありまして......」

 

八幡「......卯月のこと......ですよね?」

 

武内「はい。まず、こちらを。」

 

八幡「......クリスマスライブ?」

 

武内「......はい。千川さんに回していただきました。このライブに......NGに出ていただこうと考えています。」

 

八幡「でも卯月が!」

 

武内「......はい。ここからがお願いです。......島村さんを......連れ戻してください。お願いします。」

 

八幡「俺が......ですか?」

 

武内「......悔しいですが、私では駄目です。あなたでないと......王子でないと、彼女を連れ戻すことはできません。」

 

八幡「王子って......俺はそんな大層なもんじゃ......それにクローネもありますし......」

 

武内「クローネは私がなんとかします。それにあなたは......島村さんの......いえ、CPの王子です。あなたになら......比企谷さんにしかできません。」

 

八幡「......でm「言ったはずです。一度摘み取った笑顔は、あなたが笑顔にしてくださいと。」......覚えてます。」

 

武内「ずるいお願いですが、彼女の笑顔を......取り戻してください。」

 

八幡「......やってみます。」

 

武内「ありがとう......ございます。」

 

 

 チラシを持ち、養成所に向かう。懐かしいな。まだ一年たってないのに......あの時も......あいつ1人だったんだよな。1人めげずに頑張って......

 ガラスの先に卯月がいる。一人で蹲って......似合わないな。

 元気に笑って、頑張りますって言ってるあいつがいい。あの笑顔に沢山の元気をもらってきたんだ。

 あの太陽のような笑顔を守りたい。

 ずっと側で笑っていてほしい。

 

 あいつが笑えるならなんだってしてやる。

 

 待ってろ。卯月。

 

 

 

 受け付けをすませ、レッスンルームに入る。

 どんな顔をして、何を話せばいいのか正直わからない......

 でも、やると決めたんだ。

 やるしかない。

 

八幡「おう、久しぶりだな。」

 

卯月「八幡さん......え?八幡さん⁈なんで......」

 

八幡「最近顔見てなかったからな。」

 

卯月「......嬉しいです。でもクローネはいいんですか?」

 

八幡「クローネ?そっちは武内さんに任せてきた。だから問題ねえよ。ほれ、こっち来い。たい焼き買ってきたから食うぞ。」

 

卯月「は、はい!」

 

 ちょこちょこと仔犬の様に寄ってくる......可愛い。椅子に並んで座り、たい焼きを渡すが......食べようとしない。

 

八幡「調子......どうだ?」

 

卯月「(ビクッ)......やっぱり、ダンスって難しいです。」

 

八幡「そうか......」

 

卯月「なので、もっともっと頑張ります!」

 

八幡「......」

 

卯月「八幡さん?」

 

八幡「卯月......今、楽しいか?」

 

卯月「えっ......」

 

八幡「アイドルやってて......楽しいか?」

 

卯月「......た、楽しいd「嘘だな。」っ!」

 

八幡「楽しいなら......なんでそんな辛そうな顔してんだよ......」

 

卯月「そんな顔......してません。」

 

八幡「いや、しt「してません!」卯月......」

 

卯月「すみません......」

 

八幡「いや、いい。俺の方こそすまん。」

 

卯月「でも......そうかもしれません。凛ちゃんも未央ちゃんも凄くって......私だけ何もないんです......だからもっともっと練習しなくちゃ......しないと......」

 

八幡「......仲間って......いいよな。」

 

卯月「えっ?」

 

八幡「俺はな、高校卒業する寸前まで友達がいなかったんだ。それこそずっとな。」

 

卯月「嘘......ですよね?」

 

八幡「本当だ。お前も知ってるあの3人......一応材木座も入れてやるか......今でも4人だけだ。」

 

卯月「そうだったんですね......」

 

八幡「だからな、誰かと協力とか、競争なんてしたことない。相手すらいないからな。でもな、346プロに来て、お前らを見て思ったんだ。仲間っていいな......ってな。」

 

卯月「......」

 

八幡「そりゃ、争いごとも起きるし面倒ごとも増える。いい事ばかりじゃない。だが、それ以上の事も得られるって......初めて知ったよ。」

 

卯月「......なに......ですか?」

 

八幡「サマーフェスの時、何を感じた?」

 

卯月「喜びと......達成感を......」

 

八幡「俺もだ。あとな......羨ましかった。」

 

卯月「えっ......」

 

八幡「仲間とはいえ、俺はステージに立てない。だからお前らの気持ちは半分も理解できないんだ。」

 

卯月「そんな......」

 

八幡「正直妬ましいよ。いっぱい色んなものを感じられるお前らが。でもな......そんなお前らからすげえもんもらえるんだ。」

 

卯月「え?」

 

八幡「笑顔だよ。」

 

卯月「笑顔......ですか?」

 

八幡「おう、沢山の笑顔だ。中でも一番は......」

 

卯月「一番は......」

 

八幡「卯月、お前の笑顔だ。」

 

卯月「私の......笑顔......」

 

八幡「ああ。お前の笑顔が俺は大好きだ。むしろ愛してると言ってもいい。」

 

卯月「そ、そんな......恥ずかしいです......」

 

八幡「でな、お前の笑顔を見ると......そのいやらしい感情がどっか行っちまうんだわ。だが、その笑顔がまたなくなってる。2度目だ。」

 

卯月「え?2度目?」

 

八幡「......すまない。オーディションで一度お前を落としたのは俺だ。」

 

卯月「ええっ!」

 

八幡「去年の秋にお前らに会ったろ?」

 

卯月「はい......」

 

八幡「そんときにな、思ったんだ。この3人だ!って。だから武内さんに頼んで、オーディションに来た2人を落として、凛を探してもらった。」

 

卯月「じゃあ、私たちが揃ったのって......」

 

八幡「偶然であり必然だ。だから今でも信じてる。お前たち3人ならなんでもできるって、すげえ事ができるってな。......だから、new generationsなんだ」

 

卯月「でも私は......」

 

八幡「自分が信じられないか?」

 

卯月「......」

 

八幡「なら......俺を信じてくれないか?」

 

卯月「八幡さんを?」

 

八幡「おう。卯月を信じてる俺を信じてくれ。」

 

卯月「でも八幡さんはクローネのプロデューサーさんで......」

 

八幡「聞いてたのか......でもまあ、それはどうでもいい。俺個人だ。プロデューサーでもアシスタントでもない。俺を信じてくれないか?」

 

卯月「......いやです。」

 

八幡「え?」

 

 卯月は急に立ち上がり、言葉を......想いを吐き出してくる......

 

卯月「それだけじゃ嫌なんです!八幡さんのことはもちろん信じてます!それなら!私は八幡さんが信じてくれる私自身を......私は信じたいです!でも......でもっ!......ひぐっ......」

 

 泣き出してしまう......

 怖いよな......一人だけ置いて行かれてる気がして......自分だけ輝きを見つけられなくて......

 不安だったんだよな。

 苦しかったよな......

 

 ごめんな......

 

 卯月を抱きしめる......強く......

 

卯月「ふぇ......」

 

八幡「ごめん......」

 

卯月「なっ、なんで八幡s「気づいてたんだ......」......え?」

 

八幡「......お前がこうなっちまうって......気づいてた。......でも止められなかった。......すまん。」

 

卯月「八幡さん......」

 

八幡「本当にすまん......」

 

卯月「八幡しゃん......うっ......」

 

八幡「卯月......側にいてくれ。」

 

卯月「えっ......」

 

八幡「俺の隣で......ずっと笑っててくれ。」

 

卯月「......はい。」

 

八幡「俺に......俺の好きな卯月の笑顔を見せてくれ。」

 

卯月「......はい......はいっ!」

 

八幡「......やっと見られた。」

 

卯月「え?」

 

八幡「卯月の笑顔。」

 

卯月「......私.....わたし......」

 

八幡「......ありがとう。」

 

卯月「......はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「一週間後だ。」

 

卯月「クリスマスイブですね。」

 

八幡「おう。セットリストは後で持ってくる。それまではここでレッスンしててくれ。」

 

卯月「ここで......ですか?」

 

八幡「おう。ここでだ。」

 

卯月「ど、どうしてですか?やっぱり......」

 

八幡「ち、違う!ここなら......」

 

卯月「ここなら?」

 

八幡「な、なんでもない。とにかくここだ。」

 

卯月「??わかりました!島村卯月!頑張ります!」

 

八幡「おう。んじゃ、今日は帰るぞ。送ってくから準備しろ。」

 

卯月「はいっ!」

 

 

 

 クリスマスライブ前日、今日は卯月に346プロにくるよう伝えた。

 卯月のことはCPのメンバーにも伝え、細かいケアをお願い済み。内容はおまかせだ。

 ちなみに俺はクローネの仕事を片付けている。

 毎日卯月のレッスン後に終電まで仕事をし、間に合わない分は持ち帰る。明方に1時間程度眠り大学へ......ここ一週間そんな生活だ。

 あらやだ。俺ってば社畜の鏡!

 そんな忙しい最中に、常務に呼び出された。......武内さんとともに。それどころじゃないっての!こっちは早く仕事済ませて、卯月の所行きたいの!

 

八幡「......なんで呼び出されたんすかね?」

 

武内「おそらく、島村さんの件ではないかと......」

 

八幡「ああ......」

 

武内「......どうですか?」

 

八幡「......」

 

 まだ何も言えない。大丈夫だとは思うが、確証はない。

 笑顔が戻ったのは確かだが、いつ何がきっかけで消えるかわからない。

 

 常務室。「入れ」と声があったので入室し、武内さんと並んで大魔王と対峙......いつもより怖くね?

 

常務「島村卯月。やはり待つだけ無駄だったな......」

 

 あん?なんのことだ?

 

常務「君が切らないのなら、こちらが手を下すが?」

 

 は?卯月を切る?......嘘だろ?

 

武内「待ってください!彼女は今帰ってきまs「彼女の時間はもう無い。」......」

 

常務「それに、これはある意味、君の部署の存続につながる助言だ。」

 

 なに勝手な事言ってやがる......

 ふざけんな!卯月は......俺が守る。

 尚も常務から言葉が紡がれるが、俺はほとんど聞いていない。

 

武内「方針は変えません。......光はそこにあります。今のあなたには、見えていないだけです。」

 

常務「なんだと?」

 

武内「私には見えていて、常務には見えてい星があります。」

 

常務「......それが彼女だと?」

 

武内「......はい。」

 

常務「寝言は寝て言うものだ。いい加減目を覚ませ。君もそう思うだろ?比企谷君。」

 

 ......2人とも何言ってんだ?卯月が星?そうじゃねえ......

 

八幡「そうですね......」

 

武内「比企谷さん!」

 

八幡「何言ってんすか?......2人とも。」

 

常務「何?」

 

武内「えっ......」

 

八幡「卯月が星?笑わせないでくださいよ。......武内さん。」

 

武内「......なんでしょう?」

 

八幡「月は......なぜ輝くんですかね?」

 

武内「......太陽があるからです。」

 

八幡「はい、そうです。では常務、向日葵は何に向かって咲きます?」

 

常務「太陽だ。君は何が言いたいんだ?言葉遊びをしている暇はない。」

 

八幡「あんたは目だけじゃなく、頭まで腐ってんすか?簡単ですよ。......卯月という太陽がいなきゃ、月である凛も、向日葵である未央も輝けないし咲けない。......陽の光が強ければ強いほど星は輝く。......あいつが笑えば......そこに笑顔という名の花が咲く......俺は、そう思ってます。......ちゃんと見ねえと......大事なもん失うぞ。」

 

武内「っ!」

 

常務「......言ってくれるな。だg「常務。」......なんだ。」

 

八幡「......明日、卯月を見に来てください。」

 

常務「その必要はない。時間の無駄だ。」

 

八幡「いや、あんたには見る義務がある。」

 

常務「......いいだろう。君がそこまで言う陽の輝き......楽しみにしている。」

 

八幡「......覚悟しとけ。」

 

 それだけ言い放ち部屋を出る。

 

 明日だ。

 



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19話?

 クリスマスライブ当日。

 卯月を迎えに行き、直接会場入りする為に今は校門前で待っている。......待っているのだが......

 

 人だかりが出来ている。

 

 俺を囲むように......

 

 えっ?もしかして......俺捕まっちゃう?

 どどどどうしよう......

 卯月早く来てー!

 

 

 

 今日は八幡さんが学校まで迎えに来てくれます。とっても嬉しいです!えへへ......

 

友人A「卯月帰ろ〜!って......どしたの?顔すっごいだらしないよ?」

 

卯月「えぇっ?そ、そんな事ないです!」

 

友人A「はは〜ん......さては王子の事考えてたな?」

 

卯月「ち、違います!それと、ごめんなさい。今日は直接会場入りするので、お迎えが来るんです......」

 

友人A「そっか〜。なら仕方ないね。じゃあ、校門まで一緒に行こっ!」

 

卯月「はいっ!」

 

 Aちゃんは......いつも元気で優しいです。

 

友人A「ねえねえ、卯月〜。いい加減王子の写真見せてよ〜。超絶イケメンなんでしょ?」

 

卯月「だ、ダメです!見せられません!」

 

友人A「え〜、いいじゃ〜ん。イケメンはみんなで愛でるモノだよ〜。独り占めとは感心しませんなぁ。」

 

卯月「たしかに格好いいですけど......えへへ......」

 

友人A「う、卯月が......」

 

 靴を履き替えて外に向かうのですが......人が凄いです......どうしたんでしょう?

 

友人B「あっ!うじゅき、A!早く来て!校門に超絶イケメンがいるの!」

 

友人A「マジで!すぐ行くっ!ほら、卯月も!」

 

卯月「ま、待ってくださ〜い!」

 

 ......正直あまり興味がないです。私は......八幡さんしか......

 

 

友人A「うわ〜。ホントにイケメンだ......俳優かなんか?」

 

友人B「でも見たことないよ?うじゅきは知ってる?」

 

卯月「えっと、そうですね......えっ?」

 

友人A「知ってるの⁈だれっ!」

 

卯月「は......」

 

友人B「は......何?」

 

卯月「八幡さん!」

 

 思わず駆け寄ってしまいます!だって......早く会いたかったから!あまりにも嬉しくて抱きついちゃいました!

 えへへ......八幡さんだぁ〜♪

 

AB「八幡さん⁈えっ?どゆこと?」

 

八幡「......あ?卯月か。ほれ、行くぞ。」

 

AB「名前呼びっ⁈」

 

 優しい顔で頭をなでてくれて......気持ちいいです......幸せです。

 

卯月「えへへへ......」

 

 周りから黄色い声がしますが......気のせいですよね?

 

友人A「......ね、ねえ卯月、何がどうなってんの?」

 

卯月「ふぇ?」

 

八幡「ぐふっ......卯月、今のは危険だ......」

 

友人B「うじゅき......恐ろしい子......かふっ......」

 

卯月「えっ、えっ?」

 

友人A「しかも天然とは......ふぐっ......そうじゃなくて!この人誰!」

 

卯月「え、えっと......」

 

 八幡さんが離れちゃいました......寂しいです。

 

八幡「すみません。私こう言う者です。」

 

 でも......お仕事モードの八幡さん......格好いいです......

 

友人B「346プロダクション......」

 

友人A「Project Krone......」

 

友人B「プロデューサー代行......」

 

AB「比企谷八幡......」

 

卯月「それと、CPのアシスタントさんです。」

 

周囲「ええええええええええええええええ!」

 

友人A「プロデューサー⁈俳優とかモデルじゃなくて⁉︎」

 

友人B「プロデューサーまでイケメンとは......346プロ恐るべし......」

 

友人A「て言うか若くない?見えるだけ?えっ?どゆこと?」

 

卯月「八幡さんはまだ大学1年生ですよ?」

 

周囲「......ええええええええええ!」

 

八幡「......すみません。仕事がありますので、この辺で。......ほれ、早く行くぞ。」

 

卯月「はいっ!では、Aちゃん、Bちゃん!島村卯月、お仕事頑張ります!」

 

AB「う、うん。いってら〜......」

 

 

 

全員「......」

 

友人A「若くて優秀で......おまけに超絶イケメン......」

 

友人B「......あれは落ちるわ。......さすが王子。」

 

友人A「あんなに嬉しそうに腕に抱きついちゃって......」

 

友人B「......あれじゃ見せたくないよね......」

 

全員「......羨ましい!」

 

 

 

 卯月を乗せ目的地へと向かう。乗る際に後部座席に乗るよう伝えたのだが......卯月は助手席に陣取っている。......嬉しそうですね。

 だが、さっきの校門でのやり取りはまずい......

 

八幡「あー、卯月。ちょっといいか?」

 

卯月「あ、はい。なんでしょう?」

 

八幡「さっきのな、その......抱きつくのはまずい。」

 

卯月「あ......ご迷惑......ですよね......」

 

八幡「い、いや。むしろうれ......んんっ!迷惑ではない。だが、人前は......マズいだろ。」

 

卯月「そ、そうですね!嬉しくってつい......」

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

 は、恥ずか死ぬ......横を盗み見ると......顔を手で隠してイヤイヤしている卯月......

 いや、ちょっ!......可愛すぎんだろ......

 

 

卯月「雪......」

 

八幡「......」

 

卯月「綺麗です......」

 

八幡「そうだな......」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

八幡「不安か?」

 

卯月「っ!......はい。」

 

八幡「大丈夫だ。卯月が......お前がお前らしくいられればな。」

 

卯月「私らしく......」

 

八幡「おう。」

 

卯月「......まだ少しわかりません。」

 

八幡「そうか......それでも俺は......お前を信じてる。卯月の笑顔がなきゃ......ニュージェネはここまで来れなかった。......だから、信じてる。」

 

卯月「......はい。」

 

 

 会場までは無言。

 

 

八幡「着いたぞ。」

 

卯月「......はい。」

 

 卯月を連れ控え室へ向かう......

 

 ここからは1人で行かせよう。

 

 あの2人が待ってる。

 

八幡「......いってこい。」

 

卯月「えっ......」

 

八幡「......この階段が......城への一段だ。」

 

卯月「......」

 

八幡「踏み出すのも、留まるのも......卯月に任せる。」

 

卯月「......一緒に行ってくれないんですか?」

 

八幡「一緒には行く。どこにだってな。......だが、決めるのはお前だ。」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

卯月「......抱きしめてください。」

 

八幡「......ああ。」

 

 お互い強く抱き合う。

 

卯月「怖いです......」

 

八幡「......」

 

卯月「苦しいです......」

 

八幡「......」

 

卯月「逃げたいです......」

 

八幡「......」

 

卯月「でも......凛ちゃんと未央ちゃんと......一緒にいたい......」

 

八幡「......」

 

卯月「怖いよ......八幡さん......」

 

八幡「側にいる。......ずっとな。俺も、あいつらも。武内さんにCPのみんなだって......」

 

卯月「本当に?」

 

八幡「......少なくとも俺はな。」

 

卯月「......約束です。」

 

八幡「ああ。」

 

卯月「絶対です。」

 

八幡「誓うよ。」

 

卯月「はい。」

 

八幡「......いけるな?」

 

卯月「はいっ!」

 

 力強く階段を登る......

 

 本物のシンデレラの誕生だ......

 

 強かで綺麗な......

 

 全てを照らす......太陽のようなシンデレラ。

 

 

 階段上では卯月の感情が爆発している。溜め込んだものを、全て2人に吐き出す。......多分これで本当の意味での『親友』、そして『心友』になれるだろう。

 ダメだ......涙止まんねえ......

 

 最後にもう一つ。

 

 

 こいつを卯月に......

 

 

 

 まもなくライブが始まる。

 凛と未央はいつもの衣装。

 卯月は......学生服だ。......違和感が半端ないが、まあ......ありだ。

 特に一曲目にはベストマッチだな。

 

凛「なんか、不思議な感じ。」

 

卯月「......やっぱり変でしょうか?」

 

未央「ううん。しまむーらしいよ!」

 

卯月「あっ......結局、書けなくて......」

 

 部署問わず、みんなに書いてもらった星型のメッセージカード。

 実は俺も......書いたが、渡さずに持っている。

 卯月のそれを、凛は卯月のポケットへ入れ......

 

凛「卯月が持ってて。」

 

卯月「あっ......」

 

 それに未央も笑顔で首肯......

 

武内「まもなく時間です。」

 

 今しかない。

 

八幡「卯月、これは俺からだ。」

 

 小さな包みを渡す。今日、この日の為に用意したもの。

 

卯月「これって......」

 

八幡「......好きにしてくれ。」

 

卯月「開けていいですか⁉︎」

 

八幡「......おう。」

 

卯月「......わあ......とっても可愛いです!」

 

凛「ネックレス......」

 

未央「その花何?」

 

八幡「......ニリンソウだ。」

 

凛「っ!......そっか。」

 

卯月「あのっ!......つけてもらっても......いいですか?」

 

八幡「......おう。」

 

卯月「ありがとうございます。」

 

八幡「......気にすんな。んじゃ、俺は常務のとこ行ってくるわ。武内さん、あとお願いします。」

 

武内「はい。」

 

 

 

 

凛「......ねえ、卯月。」

 

卯月「なんでしょう?」

 

凛「贈り物の意味......知ってる?」

 

卯月「え?いえ......わかりません.....」

 

凛「......ニリンソウの花言葉は?」

 

卯月「それも......」

 

未央「しぶりん?」

 

武内「時間です。行きましょう。島村さん。」

 

卯月「はいっ!」

 

 卯月がステージに立つ......

 そっか......八幡は卯月なんだ......

 

未央「しぶりん、なんで泣いてんの?」

 

 っ!......気づかなかった。私、泣いてたんだ......

 

凛「未央は......さっきの意味わかった?」

 

未央「ん?ニリンソウのネックレス?」

 

凛「うん。」

 

未央「わかんない。でもね、なんとなく......わかったかな......」

 

凛「そっか......」

 

未央「うん......」

 

 

 

 

 VIPルーム。この先に常務がいる。

 

 行くか......

 

 

八幡「遅くなりました。」

 

常務「来たか。」

 

八幡「はい。」

 

今西「ご苦労だったね。今日は一緒に楽しもうじゃないか。」

 

八幡「ありがとうございます。......しっかり目に焼き付けてください。346の......俺の太陽を......」

 

今西「楽しみにしているよ。」

 

常務「......」

 

 始まった。

 卯月の挨拶はたどたどしい。

 

 大丈夫だ。お前には仲間がいる。

 

 信じろ。

 

卯月「......島村卯月!頑張ります!」

 

 曲が始まる。もちろんアレだ。卯月のソロ曲『S(mile)ING!』卯月の......卯月の為だけの曲。

 

 頑張れ!

 

 

 眩しい.......

 

 一言ごとに......感情が伝わってくる。

 

 涙を流しながら最高の笑顔で歌う......

 

常務「っ!......」

 

 隣で何か聞こえたが、そんなものはどうでもいい。今は......このステージだ。

 最高の......

 

 

 

卯月「ありがとうございましたー!」

 

 卯月のソロが終わった。

 涙が止まらねえ。

 

常務「......」

 

 なんか言えよ。わかってんだろ?

 

八幡「常務......」

 

常務「......なんだ。」

 

八幡「どうですか?」

 

常務「......太陽か。」

 

八幡「......」

 

常務「......見てみるものだな。」

 

八幡「っ!......」

 

今西「......君も素直じゃないね。」

 

 そのまま無言で出て行く常務。苦笑いの今西部長。

 

今西「それにしても......君には恐れ入るね。」

 

八幡「えっ?」

 

今西「彼女も武内君も私も......彼女、島村卯月さんの輝きに気づけなかった。反省するよ。」

 

八幡「い、いえ。そんなことは......」

 

今西「謙遜することはない。彼女のことを、これからもよろしく頼むよ。」

 

八幡「......はい。」

 

今西「では、お先に失礼するよ。」

 

八幡「はい。お疲れ様でした。」

 

 

 

スタッフ「全プログラム終了です!」

 

全員「お疲れ様でした!」

 

 ......終わってしまいました。

 でも......とても......嬉しいです!

 

武内「......いい、ステージでした。」

 

3人「ありがとうございます!」

 

未央「しまむーの一曲目......凄かった!......もう、感動しちゃって......」

 

卯月「未央ちゃん......」

 

凛「うん。......かなわないな。」

 

卯月「凛ちゃんまで......」

 

武内「私も......そう思います。」

 

卯月「プロデューサーさん......私......」

 

武内「......よく、戻って来てくれました。」

 

卯月「それは......」

 

 八幡さんが......八幡さんがいてくれたから。一曲目も八幡さんの頑張れ!って声が聞こえた気がして......あれ?八幡さんは?

 

卯月「あ、あの!」

 

武内「......どうされましたか?」

 

卯月「その、えっと......」

 

未央「ハッチーに会いたいんでしょ?」

 

卯月「その......はい。」

 

凛「卯月顔真っ赤......可愛い......」

 

卯月「えぇっ!そんなこと!」

 

武内「まだ常務とお話し中かもしれません。もう少し待ちましょう。」

 

卯月「......はい。」

 

 八幡さん......早く会いたいです。

 

今西「お疲れ様。いいライブだったよ。」

 

武内「ありがとうございます。部長、比企谷さんはまだ常務とお話し中ですか?」

 

今西「おや、来てないかね?彼女は島村さんの歌が終わった後、すぐに帰ったが......」

 

卯月「っ!」

 

武内「それは本当ですか!」

 

 身体が動いていました。確かVIPルームに行くって......

 

未央「しまむー!」

 

凛「卯月!」

 

武内「待ってください!」

 

 

 

卯月「はぁはぁ......」

 

 嫌な予感が......「コンコンコン」......返事はないです......

 

卯月「し、失礼しま......」

 

 うそ......ですよね?

 なんで......

 八幡さん......

 

卯月「い......いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ......」

 

未凛「しまむー(卯月)!」

 

卯月「いや......いや......なんで......」

 

凛「卯月落ち着いて!n「しぶりん、あれ......」未央ま......え?」

 

武内「皆さん!一体どう......比企谷さん!」

 

卯月「は......八幡......さん......」

 

武内「はっ!渋谷さん!本田さん!」

 

2人「っ!は、はい!」

 

武内「すぐにスタッフに連絡を!」

 

凛「わ、わかった!」

 

未央「任せて!」

 

卯月「わ......私は......」

 

武内「ここにいてください。私は救急車を手配します。」

 

卯月「......」

 

武内「島村さん!」

 

卯月「......はい。」

 

 

 

 八幡さんが倒れました。原因は過労です。

 私のせいで......

 

武内「島村さん、今日はもうお帰りください。」

 

卯月「(フルフル)......」

 

凛「卯月......」

 

未央「しまむー......」

 

 いやです。離れたくないです。このまま帰ったら、八幡さんがどこかに行ってしまいそうで......

 

『コンコンコン』

 

武内「どうぞ。」

 

??「失礼しまーす。」

 

 えっ?小町ちゃん?

 

小町「皆さんお久しぶりです。この度は、兄がご迷惑をおかけしまして......」

 

武内「いえ、このような事態になってしまい、なんと申し上げたら良いか......誠に申し訳ございません。」

 

小町「いえいえ。全部このゴミいちゃんの責任ですから。」

 

 えっ?ゴミいちゃん⁉︎

 

凛「ねえ、小町。なんで八幡はこんな......」

 

小町「......凛さんに未央さん。少し外してもらえますか?」

 

 っ!小町ちゃんの声が......まるで怒った時の八幡さん......

 

凛「なんで⁉︎私とm「外してください。」っ!......わかった。」

 

未央「......」

 

 凛ちゃんと未央ちゃんは出て行ってしまいました......

 

 

武内「小町さん。......聞かせていただけますか?」

 

小町「......はい。兄は......毎日終電で帰ってきました。」

 

武内「......」

 

小町「帰ってきた後も、ほとんどご飯も食べずに持ち帰った仕事をしてます。」

 

武内「そんな!比企谷さんの仕事は私が!」

 

小町「いいえ。兄は武内さんが忙しいのは知っていますから。全て回すようなことはしません。多分ほんの一部でしょう。」

 

武内「そんな......」

 

小町「......明け方に......1時間くらい仮眠をとって、そのまま大学に行ってます。お弁当もほとんど食べてませんね。」

 

武内「......私が負担を......」

 

小町「違いますよ。......いつものです。」

 

武内「っ!......また......また比企谷さんが......」

 

小町「はい。でもですね、今回の兄は素直にカッコいいです。」

 

武内「えっ......」

 

小町「ずっと言ってました。『あいつを守る。俺の太陽を守るんだ。』って。」

 

武内「......」

 

小町「嫉妬しちゃいました。ああ、ついに小町より大事な人ができちゃったんだなって。」

 

武内「......」

 

小町「卯月さん。」

 

卯月「(ビクッ)......はい。」

 

小町「兄に何かもらいませんでしたか?」

 

卯月「......もらいました。」

 

小町「意味、調べてください。」

 

卯月「......はい。」

 

小町「それと武内さん。」

 

武内「はい。」

 

小町「......こんなのは......もう......勘弁してください......」

 

武内「......はい。」

 

小町「小町には......今お兄ちゃんしかいないんです!お兄ちゃんが......お兄ちゃん......ひぐっ......」

 

武内「申し訳......ございません。」

 

 

 

 

 

 

小町「お医者さんの話では、目が覚めればすぐに退院できるそうです。」

 

武内「そうですか......」

 

小町「なので、あまり気にしないでください。......それと、先ほどはすみませんでした。」

 

武内「いえ、こちらの配慮が足らず......ご迷惑をおかけしました。」

 

小町「......卯月さんも、気にしないでくださいね?」

 

卯月「......私、ここにいます。」

 

武内「いけません。帰って休んでください。」

 

卯月「いやです!」

 

武内「島村さん......」

 

小町「......武内さん。」

 

武内「......はい。」

 

小町「お義姉ちゃんの好きにさせてあげてください。お願いします。」

 

 え?お姉ちゃん?

 

武内「で、ですが......」

 

小町「おそらく......兄もそれが一番嬉しいので。」

 

武内「......島村さんのご自宅に連絡してみます。」

 

小町「お願いします。」

 

 プロデューサーさんは出て行ってしまいました。......八幡さん......

 

 

 戻ってきたプロデューサーさんのお話だと、あとでお母さんが着替えを持ってきてくれるそうです。

 病院のシャワー室も借りられるそうで......皆さんに迷惑かけてばかりです。

 でも......今は離れたくありません......

 凛ちゃんと未央ちゃんも心配そうでしたが、プロデューサーさんに連れられて帰りました。

 今は小町ちゃんと2人です......

 

小町「卯月さん。」

 

卯月「......はい。」

 

小町「卯月さんは、兄のことどう思ってますか?」

 

卯月「えっと......頼りになっt「そういうことじゃないです。わかってますよね?」......好きです。......大好きです!ずっとずっと側にいたいです!」

 

小町「小町はですね、雪乃さんか結衣さんが小町のお義姉ちゃんになると思ってました。」

 

卯月「お義姉ちゃんて......」

 

小町「兄を......お願いします。」

 

卯月「えっ?」

 

小町「ではでは!小町はこれで帰りますので!」

 

卯月「えぇ!小町ちゃん⁈」

 

小町「そだ、これを。」

 

 小町ちゃんに何か渡され......これって⁉︎

 

小町「襲っちゃっても構いませんので!ではっ!」

 

卯月「こ、小町ちゃ〜ん!」

 

 な、なんてモノを......ど、どうしましょう。

 そのあとすぐにお母さんが来たので、シャワーを浴びて八幡さんの隣に......

 

 お母さんにさっきのが見つかり、沢山からかわれました。小町ちゃんのばかっ!

 

 

 

 眩しい......昨日カーテン閉め忘れたか?と、思いながら目を開ける......

 

八幡「......知らない天井だ......」

 

 ......は?いや、ちょっと待て。ここどこ?

 えっ?あれ?

 

??「んん......」

 

八幡「うおっ!はっ?卯月?えっ?はあ?俺なんで卯月と寝てんの?」

 

卯月「......うにゅ......」

 

八幡「......可愛いな。」

 

 ほっぺをぷにぷにしてみる。

 

卯月「うへへー。八幡しゃん......」

 

 ムギュッと卯月が抱きついてくる......

 やべえ......超可愛い。はっ!ここは天国か!何?俺死んだの?いや、違うな。むしろ夢だ。

 ......だったら問題ない。そうだ、夢だ。最近疲れてたからな......

 ゴクリ。

 夢なら......触ってもいいよな?

 い、いただきます。

 

 ふにょん。

 

 や......柔らけええええええ!

 

卯月「んっ......」

 

 もう少し......

 

卯月「あっ......あんっ......」

 

 もうちょっとこの感触を......

 

卯月「あっ、んあっ!」

 

 と、止まんねえ......

 あ、起きた。

 

卯月「んっ!は、はちまっ!んん!さっ!んんんっ!な、なにをっ!ああんっ!」

 

八幡「お、おう。ゆ、夢の中みたいなんでな。少し触ってみようかと......」モミモミ

 

卯月「ちがっ!うんんん!ちょっ!あぁぁ!やめって!も、もう!ん〜〜〜〜!(ビクッ)」

 

 おお......すげえリアルな夢だ......秘蔵フォルダなんか目じゃないな......めっちゃエロい......

 

卯月「はぁはぁ......は、八幡、さん......ゆ、夢じゃ......ない......です。はぁはぁ......」

 

八幡「......えっ?」

 

卯月「昨日、倒れて......病院......です。」

 

八幡「......マジで?」

 

卯月「......はい。」

 

 あれ?俺やらかした?......マジかぁぁぁ!

 やっちまったぁぁぁぁ!

 

八幡「す、すんませんっした!」

 

 土・下・座!

 

 綺麗に決まった。ベッドから飛び降りそのまま床へ。流れるように決まった......

 

卯月「い、いえ!大丈夫です!気にしないでください!......イヤじゃないので......」

 

八幡「えっ?」

 

卯月「な、なんでもないです!」

 

八幡「......お、おう。だが、ホントすまんかった。」

 

卯月「いえ、それより......身体、大丈夫ですか?」

 

八幡「ん?まあ、少しだるいが問題ないな。」

 

卯月「よ......よかったぁ......よかっだでずぅ......」

 

 急に泣き出してしまう。......心配かけたんだな......卯月を抱きしめ、頭を撫でる......

 

八幡「ごめんな......心配かけた。」

 

卯月「元気になっでよがっだでずぅぅぅ......」

 

八幡「泣き止んでくれよ......」

 

卯月「無理でずぅぅぅ。」

 

八幡「ごめんな......」

 

卯月「うううううう「卯月!」ううう。」

 

八幡「あっ......」

 

凛「あっ!」

 

未央「しぶりんノッ......ク......」

 

卯月「うえええええええ!」

 

3人「......」

 

 今の構図は......ベッドの上で抱き合う俺と卯月。入り口で固まる2人。

 これが修羅場と言う奴か......違うな。

 

凛「し......心配して来てみれば......」

 

未央「し、しぶりん。落ち着いて......」

 

凛「朝っぱらからイチャイチャと......」

 

未央「し、しぶりん......」

 

凛「説明して!それとすぐに離れて!」

 

八幡「お、おう......」

 

卯月「いやでずぅぅぅ!」

 

3人「......」

 

未央「しまむーが落ち着くまで待とうよ。」

 

凛「......うん。」

 

 

 はい。卯月が泣き止むまで、5分かかりました。......すみません。ふざけました。

 今は卯月と2人でベッドの上に正座してます。

 

凛「で、どう言うこと?」

 

未央「まーまー、しぶりん。ハッチーも大丈夫そうだしいいじゃん。」

 

凛「よくない!だって......朝から......ベッドの上で2人で......ナニしてたの!」

 

八幡「......妄想が過ぎないか?」

 

凛「なっ!ふ、ふざけないで!」

 

八幡「いや、普通に目が覚めた俺を見て、卯月が安心して泣き出しただけだが?つーか、他に何があんだよ......」

 

凛「うっ......」

 

未央「おやおやぁ?しぶりん意外とムッツリ?」

 

凛「なっ!未央!」

 

卯月「ムッツリ?」

 

八幡「ムッツリスケベと言ってな、表に出さないように、エッチなことを考えてるやつのことだ。」

 

卯月「なるほど〜!」

 

凛「説明しなくていいから!それに私はムッツリじゃない!」

 

未央「ほうほう、しぶりんはオープンだと......」

 

凛「違う!もぅやだ......」

 

八幡「いじりすぎだ。そのへんにしてやれ。」

 

未央「はーい。ところでハッチーは......もういいの?」

 

八幡「おう。大丈夫だ。」

 

未央「ホントに?無理してない?」

 

八幡「安心しろ。なんともない。」

 

未央「よかった〜。これもしまむーの献身的な看病のおかげかな?」

 

卯月「(ビクッ)」

 

未央「......」

 

凛「......」

 

卯月「......」

 

凛「......今のナニ?」

 

卯月「......い、今のって......なんですか?」

 

未央「......ナニかしたの?」

 

卯月「ふ、2人とも怖いです......」

 

2人「答えて!」

 

卯月「ご、ごめんなさい!一緒に寝ました!」

 

 言っちゃうの?言っちゃダメなやつだよ?それ。

 

凛「一緒に寝たって......」

 

未央「うそ......」

 

卯月「......本当に寝ただけです!あとは......何もない......でしゅ......」

 

 嘘つくの下手くそか!バレバレだよ!

 

凛「......ナニがあったかちゃんと答えて。」

 

未央「しまむー......隠し事は良くないなぁ......」

 

 怖えよ!お前ら超怖えよ!誰か助けて〜!

 

卯月「......えっと......その、m「おっにいちゃーん!愛しの小町が来ましたよー!」小町ちゃん!」

 

 小町が俺に向かってウインクをしてくる。......聞いてて助けに入ったな?

 グッジョブ!

 

小町「おお!お兄ちゃんが起きてる!よかったよかった!」

 

凛「小町ちょっと待って。今お話ししてるから。」

 

小町「んー......でもまずはお医者さん呼ばないとじゃないですかね?」

 

凛「そ、それはそうだけど......」

 

小町「んじゃ、呼んじゃいますねー。ポチッと!」

 

 問答無用でナースコール。小町の力技の勝利だな......

 

小町「とりあえずお兄ちゃんはそのままで、お義姉ちゃんは着替えて来ちゃってください!」

 

卯月「は、はいっ!」

 

未央「お姉ちゃん?」

 

 着替えを持って部屋から出て行く卯月。それほど時間をおかずに、お医者さんと看護師さんがやってきた。特に何もないようで、簡単な検査のみで今日退院できるそうだ。

 まあ、今後は無理をするなと口すっぱく言われはしたが......

 武内さんにも連絡し、今日退院出来ると伝える。安心したとの言葉と、すみませんと謝罪を受けた。念のため明日は休み、明後日から来るように言われた。

 検査もあるため、凛と未央は帰り、小町と卯月は残って俺の付き添いをしてくれる。

 

 恙無く検査はすみ、あっさり退院......検査やる意味無くね?

 小町は夕飯の支度をすると先に帰っていき、俺は卯月を自宅まで送り届ける。

 

 そして現在島村邸......

 

卯月「ママ〜!ただいま〜!」

 

卯月母「おかえりなさい。卯月。あら?」

 

八幡「比企谷八幡です。昨日はすみませんでした。」

 

 全力の謝罪。......さすがに土下座はしていないが。

 

卯月母「いいのよ、気にしなくて。さ、どうぞ上がって。」

 

八幡「い、いえ。俺はk「八幡さん、どうぞ!」......お邪魔します。」

 

 一瞬で折れる。......弱すぎだろ。リビングへ通され、お茶とお菓子を振舞われる......

 

卯月母「一度ね、あなたと話して見たかったのよ!毎日卯月があn「ま、ママ!それはダメ!」あら?昨日だってh「それはもっとダメー!」うふふ。」

 

 す、すげえ母ちゃんだな......

 

卯月母「この子......ちゃんとアイドルやれてますか?」

 

八幡「はい。それは間違いないです。」

 

卯月母「よかったわ。最近様子がおかしかったから、心配してたのよ。」

 

卯月「ママ......」

 

八幡「卯月さんは......紛れもなくアイドルです。今後間違いなくトップアイドルになります。」

 

卯月「そ、そんな......」

 

卯月母「それはすごいわね!でも、どうしてそこまで言い切れるの?」

 

八幡「それは......最高の笑顔を持っているからです。」

 

卯月母「笑顔?」

 

八幡「はい。他の人には真似できない、最高の......本物の笑顔です。」

 

卯月母「そう......」

 

八幡「俺は......それをずっと隣で見ていたいです。」

 

卯月「八幡さん......」

 

卯月母「素敵ね。......卯月、いい人を見つけたわね。」

 

卯月「うんっ!」

 

卯月母「八幡さん、卯月をこれからも末永くよろしくお願いします。」

 

八幡「はい。」

 

卯月母「この子を幸せにしてあげてください。」

 

八幡「......全力で。」

 

 ん?なんか流れおかしくない?ま、いいか。

 

卯月母「そうだ!ご飯食べていってちょうだい!」

 

八幡「い、いえ。そこまでは......妹も準備しちゃってるんで......」

 

卯月母「そう?それじゃ、また今度ゆっくり来てね?」

 

八幡「は、はい。では、そろそろ失礼します。」

 

卯月母「気をつけてね。それと、私の事はお義母さんて呼んでね?」

 

八幡「は、はあ......」

 

卯月母「卯月、玄関までお見送りしなさい。......旦那様をね(ぼそっ)」

 

卯月「ま、ママ!」

 

 最後なんて言ったんだ?まあいいか。

 

八幡「卯月、ありがとな。」

 

卯月「い、いえ!私こそ色々と......」

 

八幡「......舞踏会、成功させような。」

 

卯月「はい!」

 

八幡「じゃあな。」

 

卯月「はい!お気をつけて!」

 

 島村邸を後にする。

 

 そうだ。まだ舞踏会がある。気は抜けない。

 

 

 絶対に成功させてCPを守り抜く!

 

 んで、みんなで笑顔になるんだ!



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20話?

 ついに舞踏会当日。

 会場は我らが千葉の誇る幕張メッセだ。

 出演アイドルは総勢71名......よくこれだけ集まったものだと感心する。

 会場内は様々なブースに分かれており、見たいものを、見たい場所に見に行くロックフェスの様なスタイル。このスタイルに夏樹がめちゃくちゃ反応していた......

 もちろん開催時間も規格外。

 午前10時に開場し、そこから約11時間ぶっ続けだ。当然全員がフルタイムで動くわけではない。

 イベントステージ毎に、しっかりと無理の無いようにスケジュールを組んでいる。

 イベントステージや物販だけではない。お客さん参加型のイベントやに大規模クロークをはじめ、カフェや休憩所、飲食店も多数取り揃えた。数カ所に救護室も準備し何があっても対応出来るようにしてある。

 

 まもなく10時。

 

 始まる。

 

 『シンデレラの舞踏会 Power of Smile』

 

 LEDモニターに時計が表示された。

 

 オープニングは、楓さんを中心とした『

元祖』シンデレラによる『お願いシンデレラ』

 

 これ以上はない。

 

 開演前だが......

 

 

 

楓「本当に私たちでいいの?」

 

武内「はい。」

 

楓「そう......」

 

八幡「楓さん達でいいんです。」

 

楓「八幡君?」

 

八幡「......あなた達は、今日のオープニングでシンデレラを引退ですから。」

 

武内「比企谷さん!なn「あなた達は、もう立派なお姫様なので......明け渡してもらいます。」......」

 

楓「そういう事ね......」

 

八幡「はい。......シンデレラとしてのラストステージ......楽しんできてください。」

 

楓「ふふっ!嬉しいわ!」

 

川島「そうね。最高の舞台で、最高の引退ステージじゃない!さあ!円陣組むわよ!」

 

全員「はい!」

 

川島「楓ちゃんお願い。今日はダジャレ無しでね!」

 

楓「わかってます。......私達の、シンデレラとしての最後のステージ!最高の笑顔で終わらせましょう!」

 

全員「ファイト!オーーーーー!!!!」

 

 

 

 てなことがあった。

 

 そして......

 

 時計の針は12時へ......

 

 

 

 

 開幕だ!

 

 

 

 オープニングセレモニーも終わり、開幕を担当してくれた楓さん達が会場のイベント説明までこなしてくれる。......贅沢だ。

 そして俺のやる事は......

 

八幡「武内さん。」

 

武内「はい。」

 

八幡「いってきます。」

 

武内「......よろしくお願いします。」

 

 武内さんにはこれだけで伝わる。

 俺のやる事。それは......常務を歩き回らせる事だ。

 VIPルームへ足を向ける......

 

 

 

八幡「比企谷です。」

 

常務「入れ。」

 

 入室。いるのは常務と部長。

 

今西「ご苦労だね。まずはかけてくれ。」

 

八幡「結構です。常務、それに部長。今すぐここを出てください。」

 

常務「......君は何を言っているんだ?」

 

今西「......そうか。ならそうしよう。」

 

常務「今西さんまで......」

 

今西「私はね、彼の目を信じてみたいんだ。彼がここを出て行けと言うのは意味がある。君も気づいているのだろう?」

 

常務「......いいでしょう。」

 

八幡「各所に休憩所や飲食スペース、救護室を設けてありますので、ゆっくりしてください。......モニター越しではなく、ご自身のその目で......お客さんと彼女達の輝きをみてください。」

 

常務「......君たちの成果、確認させてもらおう。」

 

八幡「よろしくお願いします。」

 

 よし!成功だ。あとは見ればわかる。

 

 次はクローネだ。

 

 

 

八幡「おーう。元気かー。」

 

ありす「お兄さん!」

 

 元気に駆け寄ってくるありす。おー、可愛いのう。よしよし......

 

ありす「むふー......」

 

奏「あら?こっちに来るなんて......どう言う風の吹きまわし?」

 

八幡「ちょっと?奏ちゃん?最近お前俺に対する対応酷くない?何?オコなの?プンプン丸なの?」

 

周子「いや、それ古いって......」

 

奏「当然の対応だと思うわ。」

 

フレデリカ「奏ちゃんはね〜?八幡ちゃんが卯月ちゃんにつきっきりだったのが嫌なんだよね〜?」

 

奏「フ、フレデリカ!何言ってるの!私は......」

 

唯「え?何?奏ちゃんて八幡ちゃんラブなの⁉︎」

 

奏「ちっ、違うわよ!」

 

加蓮「どもるとこがあ〜やし〜なぁ♪」

 

奏「か、加蓮まで......」

 

凛「ダメ!八幡は私の!......あっ......」

 

奈緒「うわぁ......やっちゃたよ......」

 

 奈緒......お前の一言が一番えげつないぞ......

 

唯「マジで!何?やっぱ2人付き合ってんの?」

 

凛「......違う。」

 

9人「えっ......」

 

凛「......でも......諦めない!」

 

9人「えぇ?」

 

 し、視線が......痛い......

 

八幡「俺は......おr「比企谷Pここでしたか。出番です。」......は?」

 

スタッフ「出番です。夏樹さんとの。急いでください。」

 

八幡「......い、いや。ちょっと待て。何も聞いてないぞ?」

 

スタッフ「でも、ここにちゃんとナツハチロック(夏樹×比企谷P)とありますが......」

 

八幡「......」

 

スタッフ「......」

 

八幡「武内さぁぁぁぁぁん!何しちゃってんの?はぁ?俺でんの?意味わかんねえ!」

 

スタッフ「で、ですが......もう時間なので!」

 

 「急いでください!」と引きずられて行く。

 

八幡「う、卯月たすけてぇぇぇぇぇ......」

 

 

 

 

 スタッフさんにあれよあれよと言う間に着替えさせられ、セットとメイクをされていく......

 

 

 

 これ誰?

 

卯月「は、八幡さん......ですか?」

 

八幡「お、おう。俺だ。」

 

卯月「......」

 

八幡「......n「こっち見ないでください!」......す、すまん。」

 

 卯月に嫌われた......もうやだ......

 

卯月「......は、八幡さん。」

 

八幡「お、おう。」

 

卯月「......素敵です。」

 

八幡「っ!......あ、ありがとな。」

 

卯月「......カッコいいです。」

 

八幡「そ、そうか。」

 

卯月「......見せたく無いです。」

 

八幡「っ!......」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

夏樹「ハチ!準備できたか?」

 

八幡「お、おう。一応な。」

 

夏樹「へぇ......いいじゃん。行こうぜ!」

 

八幡「あ、ああ。」

 

卯月「頑張ってください!」

 

八幡「......おう。」

 

 

 

 いつのまにかステージ上。

 見渡す限り人人人......

 

 人がゴミのようだ......

 

 じゃねえよ!む、無理だって!

 

夏樹「イエーイ!盛り上がってるかー!」

 

観客『うおーーーーー!』

 

夏樹「今日はスペシャルバージョン!ナツハチだ!」

 

観客『うおーーーーー!』

 

夏樹「コイツはハチ!クローネのプロデューサーでCPのアシスタントだ!......しかも、すげえロックな野郎だ!」

 

観客『うおーーーーー!』

 

 勘弁してくれ.....,

 

夏樹「ハチ!一言頼む。」

 

八幡「......」

 

観客『......』

 

 ザワザワ......

 

 HYDE様......お力をお借りします......

 

八幡「......お前ら。」

 

観客『......』

 

八幡「......やれんの?」

 

観客『......う、うおーーーーー!』

 

八幡「やれんのか!」

 

観客『うおーーーーー!』

 

八幡「やれんのかぁ!」

 

観客『うおーーーーー!』

 

八幡「Wooooooooo!」

 

観客『オーイッ!」

 

八幡「Wooooooooo!」

 

観客『オーイッ!」

 

八幡「......LOVE ADDICT」

 

 夏樹のギターとともに始まる。

 こうなればやってやれだ!

 

八幡「〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

 

 

 

夏樹「みんなサンキューな!」

 

観客『うおーーーーー!」

 

夏樹「ナツハチ!これからも期待してくれ!」

 

観客『うおーーーーー!』

 

観客『いいぞ!プロデューサー!』

 

観客『サイコーだったぞー!』

 

 ......そうか。これがあいつらが見てる景色なのか......

 

 

 

 

 

夏樹「ハチ!サイコーだったぜ!」

 

八幡「おう。サンキュー。......楽しかったわ。」

 

卯月「八幡さぁん!」

 

 卯月が抱きついてくる。......可愛い。

 

八幡「おう、ただいま。」なでなで

 

卯月「えへへ......」

 

武内「比企谷さん、木村さん。いいステージでした。」

 

夏樹「プロデューサーもサンキューな!ハチとやれてサイコーだった!だろ?」

 

松永「いいサウンドだったよ!ハチ!サンキューな!」

 

八幡「おう。」

 

松永「またやろうぜ!」

 

 夏樹と松永は次の準備の為去って行く。

 

八幡「......武内さん。」なでなで

 

武内「なんでしょう?」

 

八幡「あれが......あいつらの見てる景色なんすね......」なでなで

 

武内「......どうでしたか?」

 

八幡「......すごいです。ワクワクして......キラキラしてて......これが冒険なんすね。」なでなで

 

武内「比企谷さんにも......見て欲しかったのです。彼女たちが見ている景色を。」

 

八幡「......ありがとうございます。」なでなで

 

 

 武内さん。ホントありがとうございます。

 

 そだ、クローネ行かねえと......

 

 

 

八幡「たでーまー。」

 

全員「......」

 

八幡「何?どしたの?」

 

奏「......聞きたいことはたくさんあるけど......あなた何者なの?」

 

八幡「は?」

 

周子「普通いきなりあんなステージできないから......」

 

唯「アタシ達の努力って......」

 

凛奈緒加蓮「「「......」」」

 

ありす「お兄さん素敵でした!それと......カッコいいです......」

 

八幡「カッコいい?俺が?」

 

全員「(コクコク)」

 

八幡「......眼科行け。」

 

周子「ひどっ!」

 

文香「その格好......よく......お似合いです。」

 

 あん?......あっ、着替えてなかった。

 

八幡「あ、ありがとうございます。......んんっ!まあ、俺のことはどうでもいい。次はお前らだ。出番は15時。それまでは各自対応してくれ。」

 

全員「はいっ!」

 

八幡「特に凛は続けてCPだから体調気をつけてな。」

 

凛「うん。わかってる。」

 

八幡「......みんな、笑顔忘れずにな。」

 

全員「はい!」

 

文香「では、円陣を......奏さん、お願いします。」

 

奏「わかったわ。............最後まで笑顔で!楽しんでいきましょう!Project Krone!」

 

全員「ファイトー!オーーーーー!!!!」

 

 

 ......いいチームになったな。俺も少し見て回ろう。

 

 

 

 

 おぉ......どこも盛況だな。これは大成功だ......

 それにしても......視線が痛い......

 

??「あのっ!」

 

 さて、次はどこ見るか......

 

??「無視しないでください!」

 

 ほら、呼ばれてますよー。

 

??「比企谷さん!」

 

八幡「はっ?俺?」

 

??「そうです!」

 

 あれ?こいつら......

 

八幡「......卯月の友達だったか?」

 

??「はい!私が栄倉英子で......」

 

??「私が美崎美沙です!」

 

八幡「......えいくらとびさき......AとB?」

 

栄倉「アルファベットで覚えないでください!」

 

美崎「またそれか......」

 

八幡「す、すまん。」

 

栄倉「それはともかく、さっきの凄かったです!」

 

美崎「超格好良かったです!」

 

八幡「お、おう。サンキューな。」

 

栄倉「まさか王子が出てくるとは思いませんでした!」

 

美崎「ですですっ!」

 

八幡「は?王子?だれ?」

 

栄倉「比企谷さんですよー。ウチの学校では通称王子ですから!」

 

美崎「そうそう!この前の一件以来!」

 

八幡「......マジで?」

 

栄倉「はい!」

 

八幡「......もう行かん。つーか、仕事あるからいくわ。」

 

美崎「ちょちょちょちょ〜と待ってください!」

 

八幡「え?何?」

 

栄倉「一緒に写真撮ってください!」

 

八幡「え?やだよ。」

 

美崎「即答⁈」

 

栄倉「1枚!1枚だけでいいですから!」

 

八幡「......はあ、好きにしろ。」

 

2人「ありがとうございます!」

 

 物好きだな......

 2人と写真を撮り次の場所へ。

 

 みんな楽しそうだ。笑顔で溢れてる。

 

 

 

 舞台裏。いつもは殺伐とした雰囲気だが、今日は違う。スタッフのみんなもモニターを見て笑っている。いい雰囲気だ。

 

 ただ、一箇所だけ妙な空気を醸し出している。いるのは常務と武内さんだ......

 

八幡「......お疲れ様です。」

 

常務「......君か。」

 

八幡「......いかがですか?」

 

常務「これほど大規模になるとはな。」

 

武内「多くの部署と協力できましたので。」

 

八幡「常務のおかげですね。」

 

常務「なに?」

 

八幡「言葉通りです。他と協力するには、共通の敵が必要です。その存在が大きければ大きいほどいい。......それこそ、今回のあなたのようなね。」

 

常務「......私も君の手の内で転がされていたのだな。だが、君たちの考えは気に入らない。私は以前、武内君の考えを御伽話と言ったな。......撤回しよう。御伽話にすらなっていない。」

 

武内「それは......」

 

八幡「ぷっ......」

 

常務「......なにがおかしい。」

 

八幡「わかってないっすね。」

 

常務「......」

 

八幡「御伽話は既にある話。......彼女達の話は、今語られてるんすよ。......これからみんなの憧れる御伽話になっていくんです。新たなシンデレラのストーリーとしてね。」

 

常務「っ!」

 

武内「......」

 

八幡「もっとよく見てください。ここからではなく、客席から。素直な......子供のような心で。」

 

常務「......君たちとは噛み合わないな。私は城を。君たちは灰かぶりの夢を第一と考えている。我々は平行線のままだ。」

 

ちひろ「プロデューサーさん、比企谷君。そろそろCPのステージです。」

 

 時間だ。これまでの全てをぶつける場......

 

武八「失礼します。」

 

常務「彼女達は、我々の平行線をも超えていくのか?」

 

武内「はい。」

 

八幡「間違いなく。そもそもあいつらにそんな線はないっすから。」

 

武内「そうですね。彼女達の可能性は無限大です。」

 

常務「......」

 

 ここからはCPだ。

 不安は全くない。あいつらなら。

 

 当然ながらどのユニットも最高のパフォーマンス。そして笑顔。

 見てるこっちまで自然と笑顔になってくる。

 

 その後も演目は続き、長時間続いたライブも最後の曲となる。

 舞台裏ではCPが円陣を組み、たくさんの仲間に囲まれている。

 

楓「うふっ。ラストスパート。すぱーっと決めてきて!」

 

14人「はいっ!」

 

美波「シンデレラプロジェクトォ!」

 

全員「ファイトォー!オーーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

 舞踏会は無事終わったが、まだ審査の結果は出ていない。いないのだが......ついに武内さんとともに呼び出しを受けた。

 

 常務室

 

武内「常務、お疲れ様です。」

 

八幡「お疲れ様です。」

 

常務「ご苦労。」

 

今西「ご苦労様。」

 

常務「早速だが、話を進めよう。」

 

武内「はい。」

 

常務「君たちの成果を認め、CPは存続とする。」

 

武八「ありがとうございます。」

 

常務「......さらなる成果を期待する。」

 

今西「それとだね、先の舞踏会の強みだった部署間の連携。こちらも強化していくこととなった。」

 

武内「本当ですか!」

 

今西「期待しているよ。」

 

武内「ありがとうございます!」

 

常務「ここからが本題だ。まず武内君。」

 

武内「はい。」

 

常務「4月までにCPの二期生を集めろ。」

 

武内「2期生......ですか?」

 

常務「そうだ。君に全権を預ける。」

 

武内「わかりました。」

 

常務「次に比企谷君。」

 

八幡「はい。」

 

常務「君を4月からプロデューサーへ昇格させ、クローネ専属とする。」

 

八幡「......は?」

 

常務「聞こえなかったのか?」

 

八幡「いや、ちょっと待ってください!前にも言いましたが、時間が!」

 

武内「そうです!それに比企谷さんはCPの!」

 

常務「武内君、いつまでも比企谷君に甘えるのはやめろ。これは君の更なる成長の為だ。彼と連携を取るのは構わん。」

 

武内「っ!......わかりました。」

 

八幡「あ、あの。俺は......」

 

常務「君には4月から新卒者のアシスタントをつける。」

 

八幡「......新卒って、俺より上じゃないっすか......やり難くてしょうがないっすよ。俺もいつもいるわけじゃないですし......」

 

常務「ほう......その割に随分と私に楯突いていたが?それはどういう事だ?」

 

八幡「うっ......」

 

今西「まあ、比企谷君。私たちもいる。あまり難しく考えないようにね。」

 

八幡「わ、わかりました......」

 

常務「話は以上だ。」

 

今西「2人とも、期待しているよ。」

 

武内「はい。」

 

八幡「......」

 

常務「何かあるのか?」

 

八幡「すんません。前から少し考えてたことがあって......」

 

常務「言ってみなさい。」

 

八幡「はい。この人事とは関係ないんすけど......CPのメンバーを、慰安旅行的なものに連れて行きたいなと......」

 

常務「ほう......理由を聞こう。」

 

八幡「はい。あいつらは中・高生が殆どです。秋は忙しくて、修学旅行に行けてません。その代わりと言ってはなんですが、頑張ってきたご褒美も兼ねて連れていけたらと......」

 

常務「......」

 

八幡「......ダメですよね?」

 

常務「......」

 

今西「いいんじゃないかな?」

 

八幡「今西さん......」

 

常務「......企画書を持ってきなさい。」

 

八幡「っ!ありがとうございます!」

 

常務「では、行きたまえ。」

 

2人「失礼します。」

 

 

 企画書か......一から作るのは初めてだな。いつもは武内さんの見本があったし......

 

八幡「武内さん、企画書手伝ってもらっていいっすか?」

 

武内「はい。素敵な企画にしましょう。」

 

八幡「うす。」

 

武内「比企谷さんの卒業旅行でもありますので。」

 

八幡「そう......なっちゃうんすよね......やっぱ戻れませんでしたね。」

 

武内「......仕方のないことです。これからは連携していきましょう。」

 

八幡「......うす。」

 

 

 事務所に戻り、メンバー全員とちひろさんを集める。前に立つのは武内さんと俺......この構図いつも悪い話だったような......

 メンバーもそう感じたのか、表情が固い。

 

武内「皆さんに、ご報告g「聞きたくないにゃ!」......前川さん。」

 

八幡「黙って聞け。」

 

みく「わかったにゃ......」

 

武内「では、改めて。この度、CPの存続が決定しました。」

 

みく「え......」

 

莉嘉「ホントに?」

 

武内「はい。そして今後、皆さんはCPの先輩となります。」

 

美波「先輩って......」

 

武内「2期生の募集を行います。」

 

卯月「すごいです!」

 

未央「いつから⁉︎」

 

武内「募集はすぐに行い、始動は4月です。それと同時に......」

 

凛「何かあるの?」

 

武内「......」

 

八幡「俺が言います。」

 

武内「......お願いします。」

 

八幡「4月からな......俺、クローネの専属プロデューサーになるんだわ。」

 

卯月「え......」

 

未央「でもアシスタントはやるんでしょ?変わんないじゃん。」

 

武内「いえ、比企谷さんはアシスタントから外れます。」

 

智絵里「そんな......」

 

未央「嘘でしょ......」

 

武内「事実です。そして、常務に言われました。......比企谷さんに甘えるのはやめろと。」

 

全員「っ!」

 

 思い当たる節があるのか、全員息を飲む。

 

八幡「会えなくなるわけじゃない。心配すんな。いつだって来てくれていい。俺も来るしな。企画持って。」

 

李衣菜「どういう事?」

 

武内「先の舞踏会同様に、部署を跨いだユニットは継続していきます。いえ、さらに増えていくでしょう。」

 

李衣菜「すごい......」

 

武内「皆さん、これは更なる冒険です。」

 

蘭子「更なる冒険......」

 

武内「比企谷さんにしていただいた事を......今度は私たちが2期生の皆さんにする番です。」

 

きらり「ハッチャンにしてもらった事......」

 

杏「私達が......」

 

武内「はい。頑張りましょう。」

 

全員「はい!」

 

八幡「それともう一つ」

 

みく「こ、今度はなんにゃ......」

 

八幡「......」

 

美波「は、八幡君?」

 

八幡「......旅行行くぞ。CP全員で。」

 

全員「えっ......えええええええええええ⁉︎」

 

八幡「行きたいとこあったら教えてくれ。参考にすっから。......常識の範囲でだぞ?」

 

みく「あ、当たり前にゃ......」

 

八幡「あ、そうか。こっちにはフレデリカとか周子みたいなのはいないんだよな。」

 

凛「八幡......」

 

かな子「そんなにすごいんですか?」

 

八幡「......ああ。そのうち文香さんの胃に穴が空きそうで心配だ。......凛も暴走するしな。」

 

凛「ちょっ!そんな事してない!変な事言わないでよ!」

 

八幡「だからな......ここに癒されに来るわ。」

 

未央「ハッチー......」

 

卯月「はいっ!待ってます!」

 

八幡「......おう。待っててくれ。」

 

卯月「......」ジリジリ

 

八幡「......」ジリジリ

 

卯月「......」ジリジリ

 

八幡「......」ジリジリ......ギュッ

 

14人「(ゴクリ)」

 

凛「す、ストップ!2人とも近い!手まで握って!」

 

八幡「は?」

 

卯月「え?」

 

 無意識に近づいて手を握り合っていたらしい......

 

みく「ち、チューするかと思ったにゃ......」

 

莉嘉「何々?そーゆー関係なの⁉︎」

 

みりあ「そーゆー関係?」

 

美波「み、みりあちゃんにはまだ早いかなぁ......」

 

未央「やっぱりかぁ......」

 

かな子「未央ちゃん?」

 

智絵里「卯月ちゃん......」

 

杏「うげ......あいつどんだけモテてんの?」

 

きらり「ハッチャンはそういうとこもすごいにぃ!」

 

アーニャ「兄さん!アーニャも、します。」chu!

 

卯凛未智美「あーーーーーー!」

 

みりあ「みりあもー!」

 

みく「み、みりあチャン待つにゃー!」

 

 カ、カオスだ......

 でもまあ......CPらしいな。

 この風景見てるとなんか落ち着く......

 

 

武内「み、皆さん、落ち着いてください......」

 

 

 久々の平和だ......



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21話?

 くそっ......

 なんも思い浮かばねえ......

 

 

 どうすればいいんだ?

 

 

 

 旅行先。

 

 ......ふざけました。てへっ。

 しかし実際悩んでいるのは確かだ。こんなふざけた企画は前例が無いため参考にするものがない......

 

文香「......あの......どうか......されましたか?」

 

八幡「文香さん......参考までになんですが、文香さんはどこか行きたい場所ってあります?」

 

文香「えっ......わ、私は......連れて行っていただけるのでしたら......どこへでも......その......嬉しいです。」

 

 ん?なんで文香さん顔赤いんだ?なんかモジモジしてるし......

 はっ⁉︎まさか今の......

 

周子「おやおやぁ?白昼堂々デートのお誘いですか?やりますねぇ......」ニヤニヤ

 

 やっぱりかあああああああ!

 

フレデリカ「えー!フレちゃんも?フレちゃんも?」

 

奏「私は誘ってくれないのかしら?」

 

唯「アタシも行く〜!」

 

ありす「私も行きたいです!お兄さん!」

 

奈緒「あ、あたしは......別に......行ってあげなくもないかな?......うん。」

 

加蓮「アタシも誘ってくれるよね?」

 

八幡「......」

 

凛「......」

 

アーニャ「......」

 

八幡「......てかなんで全員いんの?呼んだの凛とアーニャだけだよね?しかも今日休息日だよ?何?暇なの?」

 

卯月「......」

 

凛「それよりさ、なんで卯月が隣に座ってるの?」

 

全員「そういえば......」

 

卯月「え?え?」

 

 あ、ホントだ。ナチュラルにいすぎて気づかなかったわ......

 

八幡「まあ......この前好きに来いって言ったし、いいんじゃね?」

 

凛「そ、そうだけど......でも!」

 

加蓮「あれ〜?凛、嫉妬?」

 

奈緒「愛しの先輩の隣がとられちゃって嫉妬かー!凛も可愛いトコあるよな!」

 

凛「なっ!ちょっ!違うからっ!」

 

奏「隠さなくてもいいじゃない。もうバレてるんだし。」

 

凛「......」

 

周子「うわ〜。凛ちゃん顔まっか〜!」

 

八幡「......その辺にしといてやれ。」

 

4人「はーい。」

 

 やっぱここは恐ろしい......一瞬で餌食にされる......

 

ありす「ところでお兄さん、何を悩んでいたんですか?」

 

八幡「......企画をな。考えてんだが......」

 

 いつのまにかありすまで横に来ている。なんとなく膝の上に乗せて頭をなでる......ふむ。重さと頭の位置がちょうどいいな......

 

ありす「むふー......」

 

八幡「......」なでなで

 

卯月「むー......」

 

八幡「あ、悪い。」なでなで

 

卯月「♪」

 

ありす「シンデレラの休息日?」

 

 ありすがPCに表示されている文字を読み上げる。......あれ?こいつらに言っていいんだっけ?

 

凛「この前言ってた企画?」

 

八幡「......おう。行き先が思い浮かばなくてな。」

 

アーニャ「アーニャ、星、綺麗な所、行きたいです。」

 

八幡「星か......」

 

凛「私は......落ち着いた雰囲気のところかな?」

 

八幡「ほう......お前ららしいな。卯月はあるか?」

 

卯月「私は......八幡さんとだったらどこでもいいです。」

 

 そう言いながら俺の肩に頭をのせてくる......

 か、可愛い......

 

唯「ね、ねえ、あの2人って......そーゆーこと?」ボソボソ

 

奏「聞いたわけじゃないけど......そうとしか見えないわね。」ボソボソ

 

 あの......聞こえてますからね?

 

周子「ねーねー。それなんの企画なん?」

 

八幡「......CPの全体旅行だ。修学旅行みたいなもんだな。」

 

フレデリカ「えー、ずるいー!フレちゃんも行きたいなー♪♪」

 

八幡「お前はクローネだろ......まあ、これが好評なら定番化するんじゃね?」

 

奈緒「修学旅行かぁ......いいなぁ。あたし行けなかったから......」

 

加蓮「奈緒......」

 

奏「私と唯もね......」

 

 そっか......こいつらもだったな......

 

八幡「......いっそのこと合同でやっちまうか?」

 

唯「マジで!いいの?」

 

八幡「......武内さんに聞いてみるわ。」

 

 Prrrrrr......

 

武内『はい、武内です。』

 

八幡「比企谷です。いきなりすんません。」

 

武内『いえ、大丈夫です。どうされましたか?』

 

八幡「旅行の件なんすけど、クローネメンバーも合同ってありですかね?」

 

武内『私はいいと思います。』

 

八幡「ありがとうございます。んじゃ、その方向で考えてみますね。」

 

武内『お願いします。』

 

八幡「はい。では、失礼します。」

 

 あっさりだな。さすが武内さん。

 

八幡「てわけだ。案くれ。」

 

奈緒「すごい行動力だ......」

 

唯「ホントにね......」

 

奏「さすが私達のプロデューサーね。」

 

奈緒「ならさ!あたし京都行きたい!」

 

周子「え〜、地元じゃ〜ん。旅行ってより......帰省?」

 

奈緒「そっかぁ......」

 

 ほらー、奈緒がしょんぼりしちゃったじゃん!周子なんとかしなさい!

 と、俺の視線に気づいたのか周子が慌ててフォローしだす。

 

周子「で、でもありなんじゃない?京都と言えば定番だしさ!落ち着いてるし、星も綺麗だし!」

 

八幡「そういやそうだった。......ラーメンうまかったし。」

 

凛「なんでラーメン......八幡らしいけど。」

 

卯月「でもいいんですか?京都って......」

 

凛「あっ......」

 

 そういやこいつら知ってんだったな......

 

八幡「問題ない。昔の事だ。」

 

卯月「ならいいんですけど......」

 

八幡「んじゃ、京都って事で進めてみるわ。」

 

全員「お願いします!」

 

 京都か......あそこで......

 

 やり直すのもアリかもな。

 

 今度はマジなやつを。

 

 

 

 CPの事務所で武内さんと対峙する......

 

 武内さんと俺の周りはCPとクローネのメンバーで囲まれている......

 

 書類を凝視する武内さん......

 

 ペラ......ページがまた一枚めくられる。

 

 そして置かれる書類。

 

 ゴクリんこ......

 

武内「......いいと思います。」

 

八幡「うっわぁ......マジ緊張しました......」

 

 わっと騒ぎだすメンバー達。さすがにこの人数だとうるせえな......

 

武内「一部修正は必要ですが、内容としては問題ないでしょう。あとは......常務次第です。」

 

八幡「そこっすよね......」

 

 盛り上がっていた事務所が一瞬でシンとなる。こいつらのためだ。何とかしよう。

 

八幡「ま、出すだけ出しましょう。いざとなれば土下座でも靴舐めでも何でもしますよ。」

 

武内「いえ......何もそこまで......」

 

みく「本気の度合い間違ってるにゃ......」

 

八幡「企画を通してみく以外の全員で行きましょう。」

 

みく「にゃ!さらっとみくを省くにゃー!」

 

八幡「すまんな。1割冗談だ。」

 

みく「ほとんど本気にゃ!」

 

 笑いに包まれる。

 

武内「さあ、修正してしまいましょう。」

 

八幡「はい。」

 

莉嘉「ねーねー!みてもいい?」

 

八幡「おう。ほれ。」

 

 きゃっきゃする彼女たちを尻目に書類の修正を進める。まあ、ほとんど直すところはないのだが。

 さほど時間もかからず修正が済んだため、一応常務に連絡を取るとこれからもってこいとのことだ。いきなりっすか......

 

八幡「んじゃ、常務んとこ行ってくるわ。」

 

武内「行ってきます。」

 

全員「いってらっしゃ〜い!」

 

 みんなに見送られ、大魔王の根城へ......

 

 

 

 常務室

 

 着いてしまった......何度来ても緊張する。

 

八幡「常務、企画書をお持ちしました。」

 

常務「見せてみなさい。」

 

八幡「はい。」

 

 企画書を渡す。

 

 静かだ......常務の表情を観察する。

 あ、顔しかめた......ん?今度は悔しそう?

 意味わからん......

 

 ぱさっと企画書が置かれる......

 

常務「どういう事だ?」

 

八幡「......なんのことでしょう?」

 

常務「なぜクローネまで参加になっている?」

 

八幡「......それはですね。......奏と唯と奈緒。この3人も修学旅行に行けてないんすよ。ならいっそのこと、合同でやったらどうかと思いまして。今後の部署間の連携の為にも、親睦を深めるのにいいと思ったんです。」

 

常務「......なるほど。筋は通っているな。」

 

武内「私も賛成させていただきました。」

 

常務「......」

 

 ん?何考えてんだ?

 

常務「......気に入らん。」

 

八幡「えっ......」

 

常務「......クローネが行くのに、なぜ私がメンバーに入っていない。」

 

八幡「......は?」

 

武内「......え?」

 

常務「クローネの現プロデューサーは私だ。おかしいだろう。」

 

八幡「えっと......常務も行きたいってことっすか?」

 

常務「そうではない。常識で物事を考えろと言っているんだ。」

 

 ......ダメだ。面白すぎる......ただ自分が行きてえだけじゃねえか!

 

常務「......何がおかしい。」

 

八幡「な、にゃんでもないっす......ぷっ......」

 

常務「......」

 

武内「......」

 

八幡「......ぷっ!」

 

常務「......ともかく、私も入れろ。そうすれば許可する。」

 

武内「わ、わかりました。」

 

八幡「喜んで。」

 

常務「......以上だ。」

 

武八「では、失礼します。」

 

 

 武内さんと並んで戻る。俺の笑いは収まっていない。......だって面白すぎんだろ!

 これからメンバー達がどんな顔するかも見ものだな。

 

 

八幡「戻りましたよーっと。」

 

武内「戻りました。」

 

ちひろ「いかがでした?」

 

 武内さんと目を合わせ黙り込む。驚かそうと思い事前に打ち合わせ済みだ。武内さんが演技なしに困り顔をするので緊張感が増す。

 

ちひろ「ダメ......だったんですか?」

 

みく「そんにゃ〜......」

 

八幡「......その......通ったわ。」

 

全員「......」

 

奏「え?OKってこと?」

 

武内「はい。」

 

全員「紛らわしい!」

 

八幡「すまんな。んで、もいっこ報告なんだが、常務も行くことになった。」

 

全員「......え?」

 

 ぶほっ!みんなすげえ顔!

 もう一回......

 

八幡「ぶほぁっ!」

 

ちひろ「笑った⁉︎」

 

凛「なんで⁉︎」

 

八幡「み......みんなすっげえ顔......ブフッ!」

 

武内「......(プルプル)」

 

未央「プロデューサーまで!」

 

武内「......笑ってません。」

 

全員「うそ(だ)っ!」

 

八幡「まあ、さっきも言ったが、常務も参加だ。あんま気にしないでくれ。」

 

ちひろ「で、でも......正直意外というか......」

 

八幡「ま、そうっすよね。実際、武内さんも俺も多分みんなと同じ顔しましたよ。理由は......言っていいんすかね?」

 

武内「いいのではないですか?」

 

八幡「......クローネの現プロデューサーは自分だから、自分がメンバーに入ってないのは非常識だ。って理由です。」

 

全員「......」

 

奈緒「めちゃくちゃだ......」

 

加蓮「常務かわいい......」

 

八幡「ま、多分行きたいだけだな。」

 

全員「プッ!」

 

八幡「そんなわけだ。全員のスケジュールはちゃんと調整するからな。全力で楽しもうぜ。」

 

全員「はいっ!」

 

 

 

 旅行の企画も通り、旅のしおりの作成も終わった。メンバー全員に配布して残りは常務。今はいるとの事なので、常務にも届けに来たのだが......

 

八幡「常務、旅のしおりです。」

 

常務「ご苦労。............なかなか良くできているな。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

常務「......これとは別に、君に頼みたいことがある。」

 

八幡「......なんでしょう?」

 

常務「クローネのメンバーを含めた他部署との混成ユニットを2組作れ。始動は4月だ。有望な人材がいれば、スカウトしてきても構わない。君の裁量に任せよう。」

 

八幡「......メンバーの人数は?」

 

常務「それも任せる。」

 

八幡「スカウトした場合の所属は?」

 

常務「そのままクローネ預かりとしよう。」

 

八幡「......わかりました。やってみます。」

 

常務「期待している。」

 

八幡「はい。では、失礼します。」

 

 

 常務室を後にし、歩きながら1人後散る。

 

八幡「くそっ!また面倒なこと押し付けやがって......」

 

美嘉「あれ?八幡さん?怖い顔してどうしたの?」

 

八幡「美嘉か......常務にまた面倒ごとをな......」

 

美嘉「あ、あははは......優秀なプロデューサー代理さんは大変だね......それで、どんなこと?」

 

八幡「それがな、他部署との......お前だ!」

 

美嘉「(ビクッ)えっ!何?いきなりどうしたの⁈」

 

八幡「美嘉!お前が必要だ!付き合ってくれ!」

 

美嘉「えっ?えっ?急にそんな......心の準備が......でも......八幡さんなら......」

 

八幡「俺の作るユニットに入ってくれ!」

 

美嘉「......え?」

 

八幡「......へ?」

 

 あら?俺なんか間違えた?

 

美嘉「......バ、バカ!紛らわしい言い方しないでよ!勘違いしちゃったじゃん......」

 

八幡「勘違い?.............はっ!す、すまん!」

 

 バカか!さっきのじゃただの告白じゃねえか!バーカバーカ!俺のバーカ!

 

美嘉「......で、どう言うこと?」

 

八幡「そうだな......今時間あるか?」

 

美嘉「ん。大丈夫。」

 

八幡「ならうちのPRで話そうぜ。その方が都合がいい。」

 

美嘉「オッケー★」

 

 

 所変わってPR

 凛とアーニャと唯以外はいるか......

 

八幡「すまん。みんな集まってくれ。」

 

奏「どうしたの?」

 

八幡「とりあえず1人ずつ美嘉と並んで立ってもらえるか?」

 

奏「構わないけど......」

 

八幡「んじゃ、頼む。」

 

全員「????」

 

 まずは美嘉と奏。......これは間違いないな。

 次に周子。......いいな。

 フレデリカ。......ありだな。

 文香さん。......これは違う。美波か?

 ありす。......違うな。

 奈緒と加蓮は見慣れすぎてて面白味がない。

 

八幡「......」

 

美嘉「ね、ねえ。どう言うこと?」

 

八幡「すまん。次は中央に奏、右に周子。その隣にフレデリカ。美嘉は奏の左だ。」

 

 悪くない。が、バランスが悪い。......あと1人欲しいな......」

 

奏「あと1人?そろそろ説明してくれるかしら?」

 

八幡「おお、すまん。常務にいきなり命令されてな。クローネメンバーを含む新ユニットを2組作るんだ。」

 

周子「新ユニット⁉︎」

 

八幡「ああ。でな、たまたま美嘉に会って連れてきたんだが......お前ら4人は確定したい。だが、あと1人欲しい......」

 

奏「そう言うこと......その、美嘉さんが入る前提で話しているけど、大丈夫なの?」

 

八幡「お?おお。忘れてた。どうだ?美嘉がよければ、プロデューサーには話しつけるが。」

 

美嘉「うん!やってみたい!」

 

八幡「助かる。あとで話し通しとくわ。」

 

美嘉「よろしくねっ★」

 

フレデリカ「でもあと1人でしょ〜?どーするの?」

 

八幡「ま、急ぎじゃないからな。そのうちみっけてくるわ。あ、あと......文香さん。」

 

文香「......私......ですか?」

 

八幡「はい。CPの美波と組んでみません?」

 

文香「大丈夫......でしょうか?」

 

八幡「やってみなきゃわかんないっすよ。ただ......相性はいいと思います。」

 

文香「......考えてみます。」

 

八幡「美波にも話しときますんで、一度あいつと話してみてください。」

 

文香「......はい。」

 

八幡「んじゃ、以上だ。悪かったな急に。」

 

美嘉「気にしないで!面白そうだし!あと、アタシの事は美嘉でいいから!」

 

5人「はい。」

 

美嘉「じゃ、またね〜★」

 

奈緒「......あっという間に話が決まったな。」

 

加蓮「八幡さんてホントに優秀だよね......」

 

ありす「すごいです......」

 

八幡「あん?優秀なのは俺じゃない。お前らだ。だからサクサク決まるんだよ。」

 

奈緒「しかもすぐこうやって......」

 

加蓮「持ち上げてくる......」

 

周子「本物の天然タラシだよね〜......」

 

八幡「......周子。明日からレッスン3倍な。」

 

周子「か、勘弁して!もう言わないから!」

 

奏「こりないわね......」

 

文香「ふふっ......また、楽しくなりそうですね。」

 

 ま、大体目星はつけたし、何とかなるだろ......

 

 

 

 常務の新たな爆弾投下から2週間経った......

 正式に書類となって出てきたため、もう逃げ道はない。

 

??「すんすん」

 

 あの話はあれから進んでいない。

 

八幡「(どうすっかな......美波と文香さんは結構乗り気になってくれたが......)」

 

??「ハスハス......」

 

 ちなみに、美嘉のプロデューサーは大手をふるってOKしてくれた。......若干。いや、かなりのごますり感があって気持ち悪かった......

 そして現在書類を片手に考えているのだが......

 

??「ハスハス......」

 

八幡「......」

 

??「ハスハスハスハス......」

 

八幡「......」

 

??「ハスハスハスハスハスハス......」

 

八幡「......おい、フレデリカ。こいつどこで拾ってきた。」

 

フレデリカ「えー?なんでアタシに聞くの?」

 

八幡「......今お前しかいねえじゃん。」

 

フレデリカ「あれー?バレた?」

 

八幡「バレたってお前......まあいい。んで、どこで拾ってきた?」

 

??「ハスハス.....」

 

フレデリカ「んー?ついてきた?」

 

八幡「なんで疑問形なんだよ......」

 

フレデリカ「なんかねー、いい匂いがする〜ってついてきたの。」

 

??「ハスハスハ......?ハスハスハスハス」

 

八幡「いい加減やめい!」

 

??「??」

 

八幡「んで、お前だれ?」

 

??「志希ちゃんは志希ちゃんだよ〜。」

 

八幡「ほう。志希ちゃんとやら。君はなんでここにいるんだい?」

 

志希ちゃん「ん〜とね〜、あの子からいい匂いがしたからついてきたの〜!そしたらここに匂いの素がね〜......ハスハス......」

 

 だ、だめだこいつ......何とかしないと......

 

志希ちゃん「ところでキミ、何やってる人?」

 

八幡「知らないでここまできたんかよ......一応アイドルのプロデューサーだ。」

 

志希ちゃん「へぇ〜。ねね、アイドルって面白い?」

 

八幡「......面白いんじゃねえの?」

 

志希ちゃん「なら志希ちゃんもやるー♪ねね、いいでしょー?」

 

八幡「......」

 

志希ちゃん「ねーねー。やーるーのー!」

 

八幡「わ、わかったから離せ!」

 

志希ちゃん「やったー♪あたしはね〜、一ノ瀬志希♪キミは?」

 

八幡「比企谷八幡だ。」

 

志希「よろしくね〜♪」

 

八幡「あとそこにいるのが宮本フレデリカだ。」

 

志希「フレデリカ〜......フレちゃんだー♪」

 

フレデリカ「フレちゃんだよ〜♪志希ちゃんはー......志希にゃんだ〜♪」

 

志希「志希にゃんだよ〜。ほらほらキミ〜、にゃんにゃん。」

 

八幡「は、離れろ......ほれ、フレちゃんと戯れてなさい。」

 

志希「はーい。フレちゃ〜ん♪」

 

 ......まずった?いや、だがあのコンビなかなか......ありだな。いやいや、あんなのがいたら俺の胃に穴が開く......誰かになすりつけるか......

 そうか、あの4人と組ませれば......うむ。いいバランスだ。若干ぶっ飛びすぎな気もするが......

 美嘉の胃に穴があきそうだな......

 ま、組ませてみてだな。

 

八幡「フレデリカ。とりあえず志希にゃん連れてレッスン行ってこい。」

 

フレデリカ「はーい。志希にゃん行くよー。」

 

志希「はーい♪レッスン楽しい?楽しい?」

 

フレデリカ「楽しいよー♪」

 

 

 

八幡「......不安だ。」

 

 

 

 社内をプラプラしながら考える。

 新たに志希にゃんを迎え、1組目は決まった。リーダーを奏とし、まずはユニット名を決めるよう指示してある。問題はもう1組。

 美波、文香さんに加えありすを投入し3人。できればもう1組も5人で行きたいのだが......

 

八幡「さて......どうしたもんか......」

 

??「どうかしたんですか?」

 

八幡「んあ?ああ、高森か......」

 

高森「何かお悩みですか?」

 

八幡「悩みというか......まぁ、そうかもな......」

 

高森「比企谷さんでも悩むことがあるんですね。」

 

八幡「いや、悩んでばっかだからね?」

 

高森「そうは見えないです。比企谷さんの凄いお話は色々な子から聞きますよ?」

 

八幡「......忘れてくれ。」

 

高森「ふふっ。ところで何をそんなに悩んでたんですか?」

 

八幡「......新ユニットのメンバーをな。どうしたもんかと......」

 

高森「そうですか......今は何人集まってるんですか?」

 

八幡「美波と文香さんとありすの3人だな。あと2人なんだが......」

 

高森「皆さん温和で清楚な感じですね......」

 

八幡「温和で清楚......あっ......」

 

高森「??どうしました?」

 

八幡「目の前にいんじゃん。」

 

高森「え?」

 

八幡「高森。俺のユニットに入ってくれ!」

 

高森「ええっ!私がですか?」

 

八幡「おう!お前なら間違いない!」

 

高森「で、でも......」

 

八幡「嫌ならいいんだが......」

 

高森「嫌ではないです。けど......なんで私を?」

 

八幡「自分で言っただろ?温和で清楚って。そのコンセプトなら、ゆるふわ空間を持ってるお前にピッタリだ!だから、頼む!」

 

高森「わ、わかりましたから!頭をあげてください!」

 

八幡「やってくれるか!助かる!んじゃ、あとで連絡する。サンキューな。愛してるぜ!」

 

高森「あ、あいし......ええっ⁉︎」

 

 よし!よし!温和で清楚ならもう1人はあいつだ!

 

 某PRに来た。ここのプロデューサー苦手なんだよな......

 

八幡「いきなりすみません。ちょっとご相談が......」

 

P「何?また何か面白い企画?」

 

八幡「面白いかどうかはわかりませんが、聞いてもらえます?」

 

P「いいわよ。話してみて。」

 

八幡「えっとですね、部署横断型の新しいユニットを組む事になりまして、是非相葉を組み込みたいなと......」

 

P「へぇ......他のメンバーは誰がいるの?」

 

八幡「CPの新田をリーダーとしてクローネからは鷺沢と橘。それとさっき高森を勧誘しました。」

 

P「......また面白い組み合わせね。」

 

八幡「はい。温和で清楚なメンバーを集めて逆のことをやったら......インパクト強くないっすか?」

 

P「いいじゃない。始動はいつから?」

 

八幡「4月です。まだ期間もあるので調整は問題ないかと。」

 

P「そうね......夕美を連れてくるわ。待ってて。」

 

八幡「うす。」

 

 感触はいいな。うむ。日頃の行いのおかげだろう。......すみません。調子乗りました。

 

P「戻ったわ。」

 

相葉「失礼します。あれ?比企谷君?」

 

八幡「おう。久しぶり。」

 

相葉「どうしたの?」

 

P「私から説明するわ。夕美。比企谷君のユニットに参加しなさい。」

 

 いきなり命令かよ......

 

相葉「え?ユニット?」

 

P「ええ。すごいメンバーよ。CPの新田さんにクローネの鷺沢と橘さん。それに高森さんよ。」

 

相葉「......わ、私でいいんですか?」

 

八幡「おう。お前しかいないと思ってな。ここに来たんだ。」

 

相葉「な、なら、よろしくお願いします!」

 

P「決まりね。この企画はウチにもメリットがあるわ。こう言うチャンスがあると思えばみんな頑張ってくれるもの。」

 

 出たよ腹グロ......これが苦手なんだよな......

 

八幡「ありがとうございます。んじゃ、4月からよろしく頼みます。合同レッスンは先に始まると思いますが、事前に連絡しますんで。」

 

P「こちらこそよろしくね。」

 

相葉「よろしくお願いします!」

 

八幡「では、失礼します。」

 

 

 

相葉「ホント、同い年と思えないです......」

 

P「そうね。彼は本当に優秀だわ。それに4月からクローネの正プロデューサーになるらしいわよ?......新卒のアシスタントをつけて。」

 

相葉「うわぁ......」

 

P「でも、あなたにとって大きなチャンスだわ。頑張りなさい。」

 

相葉「はいっ!」

 

 

 

 よし、揃った。あとは企画書出して終わりだ。と、その前に高森のプロデューサーに話しつけねえと。

 

 なんにせよ、これで心置きなく旅行に行ける!いやっほぃ!

 

 



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22話?

 新ユニットを組む件で高森のプロデューサーに快諾をもらい、提出した企画書も「悪くない。」と常務からありがたい言葉をもらった。

 

 そして......

 今日は旅行前日。

 

武内「これから皆さんの部屋割りを伝えます。」

 

全員「はーい!」

 

 はーいって......

 

武内「まず一部屋目です。島村さん、渋谷さん、本田さん、神谷さん、北条さんの5名です。」

 

5人「はい!」

 

武内「2部屋目は、新田さん、アナスタシアさん、神崎さん、鷺沢さん、橘さんです。」

 

5人「はい。」

 

武内「3部屋目は、前川さん、多田さん、速水さん、宮本さん、一ノ瀬さんとなります。」

 

3人「はい。」

 

2人「は〜い♪」

 

武内「......4部屋目は、諸星さん、城ヶ崎さん、赤城さん、大槻さん、塩見さんです。」

 

3人「はい。」

 

2人「は〜い。」

 

武内「最後は、双葉さん、緒方さん、三村さん、千川さんです。」

 

4人「はい。」

 

武内「なお、常務は個室、比企谷さんと私が相部屋となります。」

 

八幡「明日は遅刻しないようにな。遅れたら容赦なく置いて行く。

 それと、これだけのアイドルが揃ってんだ。何かしらのトラブルが起こる可能性もある。そん時は自己判断せずに絶対に俺たちに連絡してくれ。わかったか?」

 

全員「はいっ!」

 

武内「では、本日はこれで解散です。明日から楽しみましょう。」

 

全員「お疲れ様でした!」

 

八幡「お疲れさん。」

 

 さて、待ちに待った旅行だ。

 柄にもなく楽しみだ。てへっ。

 

 

 

 集合場所は東京駅。ここから新幹線で一本。ほんの2時間程度なのだが......

 さて、どこに座りますかね......

 常務や武内さんと一緒のがいいだろうな......

 

卯月「八幡さん......一緒がいいです。」

 

 うっ......断れねえ......俺だって......

 

武内「比企谷さん好きにお座りください。」

 

八幡「いいんすか?」

 

武内「どうぞ。仕事ではありませんので。」

 

八幡「あざっす。んじゃ、卯月どこだ?」

 

卯月「ここです!」

 

 最後部2人席......最高じゃないっすか......

 だが......

 

凛「ダメ。2人はこっち。」

 

 3人席がすでに回転してある......

 

凛「八幡は真ん中。」

 

八幡「え?俺端g「真ん中ね。」......はい。」

 

 仕方なく卯月と並んで真ん中に座る。

 え?何が起きんの?みんな目が血走ってんだけど......

 凛、未央、智絵里、奈緒、加蓮、奏が睨み合う......

 怖えよ。てか、早く座れよ......

 

ありす「お兄さん隣いいですか?」

 

八幡「おう。いいぞ。」

 

ありす「はいっ!」

 

6人「あっ!」

 

八幡「ん?」

 

6人「......」

 

 新幹線も走り出し、へ、平和なムードで過ごしている......俺たちの席周辺以外は。

 俺を挟んで窓側に卯月。通路側にありす。

 正面窓側から加蓮、智絵里、未央の順で座っている。みんな楽しそうだ。だが......

 通路を挟んで座っている凛が......凛がとにかく怖い。めっちゃ怖い。視線で殺されるんじゃないかってくらい怖い......

 

卯月「八幡さんお菓子食べますか?」

 

八幡「ん?おお。もらうわ。」

 

卯月「はい!あ〜ん。」

 

八幡「あーん......ん。これ美味いな。」

 

卯月「はい!私大好きなんです!」

 

八幡「俺も気にいったわ。」

 

卯月「えへへ。嬉しいです!」

 

 ......守りたい、この笑顔!

 

ありす「お兄さん、これはなんて読むんですか?」

 

八幡「お?これは『かしこまる』だ。随分難しいの読んでるんだな。」

 

ありす「はい。文香さんに借りました。」

 

八幡「本はたくさん読んどけよ?悪いことはないからな。」

 

ありす「はいっ!」

 

八幡「頑張れ。」なでなで

 

ありす「むふ〜......」

 

卯月「橘さん凄いですね。まだ小学生なのに、そんなに難しい本読むなんて......」

 

ありす「......ありすでいいです。CPの皆さんにはそう呼ばれたいです。」

 

卯月「っ!はいっ!ありすちゃん!」

 

加蓮「素直なありすちゃん......可愛い!もう連れて帰る!」

 

智絵里「か、加蓮さん、落ち着いてください!」

 

未央「確かに、妹にしたくなる可愛さだねぇ。」

 

八幡「未央、お前にありすはやれん。勉強して出直してこい。」

 

未央「ふっふっふっ......甘いよハッチー。今の未央ちゃんは優秀なのだ!」

 

八幡「あ?そういう夢見たのか?」

 

未央「ひどい!この間の学年末だって12位だったんだから!」

 

八幡「な......なん......だと?」

 

未央「いやー、ゆきねえにしごかれてからは真面目にね......」

 

ありす「ゆきねえ?」

 

加蓮「誰のこと?」

 

八幡「俺の友達でな、東大に行ってる優秀なやつだ。」

 

ありす「と、東大ですか......」

 

未央「しかも超美人!」

 

智絵里「そういえば、お話でしか聞いたことないです。」

 

未央「写真あるよー......っと、ジャーン!」

 

加蓮「うわぁ......」

 

智絵里「綺麗です......」

 

ありす「......」

 

卯月「美人で頭が良くて......憧れます!」

 

八幡「......性格はめっちゃきついけどな。」

 

加蓮「そうなの?」

 

八幡「理論武装したあいつに勝てる奴は見たことない。」

 

未央「嫌な事思い出させないで......」

 

卯月「でも懐かしいですね。勉強会!」

 

加蓮「そんなのもやってたんだ......」

 

ありす「楽しそうです。」

 

加蓮「ねえ、八幡さん。今度アタシにも教えてくれる?個人レッスン......してほしいなぁ......」

 

八幡「こら。足をさするな。それとあざとい。」

 

智絵里「あ、あざといって......」

 

加蓮「はー、やっぱ八幡さんには通じないかー......」

 

八幡「加蓮、ありすにあんま変なもん見せんな。」

 

加蓮「はーい。」

 

八幡「ありす、真似しちゃダメだからな?」

 

ありす「はい!」

 

八幡「よし。」なでなで

 

ありす「むふ〜♪」

 

智絵里「あ、ありすちゃん羨ましい......」

 

未央「しかもすでに2回目......」

 

八幡「お?そろそろ着くな。忘れもんすんなよー。」

 

5人「はーい♪」

 

凛「ジトー」

 

 し、視線が痛い......

 

 京都に無事到着。降りた後凛に脇腹をつねられた......

 解せぬ......

 

 

 

 到着後は全体行動。しっかりバスも手配済みで、京都の主要観光スポットを廻っていく予定だ。

 周子には申し訳ないが、今日だけは我慢してもらおう。

 ルートとしては清水寺、鹿苑寺、龍安寺の順。1日目はそんなに時間もないためこんなもんだ。

 全員がバスに乗ったのを確認し、俺も最後に乗車。ガイドさんに大丈夫ですと伝え出発。

 誰か足りない!なんてオチはない。つーかあったらまずい。

 

 ガイドさんが話しているときはみんなちゃんと聞いている。普段から話を聞く姿勢が身についているから、自然とそうなっているのだろう。

 

 さあ、まもなく目的地の清水寺だ。

 懐かしいな......

 

 

 到着後は集合場所と時間を連絡して解散。つまりは自由行動。

 さて......

 

卯月「八幡さんっ!」

 

 卯月が右腕に絡みついてくる。

 

八幡「んじゃ、行くか。」

 

卯月「はいっ!」

 

 歩き始める俺と卯月......

 

 と、凛、奈緒、加蓮、智絵里。そして左手にはありす。

 

八幡「......君たち?自由行動だからね?好きにしていいんだよ?」

 

凛「うん。好きにしてる。」

 

奈緒「わかんないしさ、ついてこうと思って。」

 

智絵里「わ、わたしも......」

 

加蓮「私は観さ......私も付いていこうと思って。」

 

八幡「おい、加蓮。今なんて言おうとした?」

 

加蓮「何のこと?」

 

八幡「とぼけやがって......ま、いいけどよ。付いてくんなら好きにしてくれ。」

 

4人「はい。」

 

 そこはちゃんと揃うんですね......

 

八幡「まあ、まずは昼にするか。卯月、ありす、何がいい?」

 

卯月「何があるんでしょう?」

 

ありす「私もちょっと......」

 

八幡「定番ならうどん、そば、豆腐だな。」

 

卯月「私お豆腐がいいです!」

 

ありす「私もお豆腐食べたいです......」

 

八幡「おう。んじゃ、行くか。」

 

2人「はいっ!」

 

 やってきました。老舗の湯豆腐店。

 4人も付いてきたのでまとめて案内してもらう。案内してくれた人は気づいてないようだが、違う店員さんは目を丸くしてこっちを見ている。

 まあ......そらそうだわな。

 

卯月「素敵なお店ですね〜♪」

 

ありす「は、はい。少し緊張してしまいます。」

 

凛「いいお店知ってるね。」

 

八幡「......調べたからな。ほれ、選ぶぞ。」

 

6人「はーい。」

 

 ちなみに俺と凛が豆腐。卯月と加蓮が湯豆腐。ありす、智絵里、奈緒は湯葉鍋を頼んだ。

 注文の際、店員さんがかみかみでウケた。

 「握手してくだしゃい!」と。勿論みんな笑顔で対応......素晴らしいね!

 料理も素晴らしい味だ。みんなでシェアしあって様々な味を楽しむ。豆腐ってこんなに美味しかったのねん。

 途中卯月が「あ〜ん」と言ってきたが、止めたよ?さすがに外はまずい......

 そして伝票を持ちレジへ......

 

店員「お会計15120円でございます。」

 

八幡「じゃあ、これで。」

 

店員「16000円お預かりしましたので、880円のお返しです。あの......領収書は......」

 

八幡「いや、大丈夫です。仕事じゃないんで。」

 

店員「かしこまりました。申し訳ございません。誠に恐縮なのですが、少々お待ちいただいてもよろしいですか?」

 

八幡「あ、はい。」

 

 ん?なんだ?

 

凛「八幡行かないの?」

 

八幡「なんか少し待っててくれとさ。」

 

凛「そうなんだ。」

 

??「お待たせいたしました。私、当店の支配人を務めております。」

 

 と名刺を出してきたため、あわてて準備。

 

支配人「プロデューサーさんでしたか。不躾なお願いなのですが、皆さまのサインをいただけたらと思いまして。」

 

八幡「あ、はい。構いません。」

 

支配人「ありがとうございます。ではこちらに。」

 

 一人一枚色紙に一言添えてサインをする。

 全員分を支配人に渡し最後に写真を1枚。

 店を出てからもしばらく見送ってくれる支配人さん......頑張って来た成果だ。

 

卯月「なんだか、嬉しいです。」

 

ありす「はい。喜んでもらえて......」

 

智絵里「一年間頑張って来て良かったです。」

 

奈緒「あたしももっと頑張らないと!」

 

加蓮「そうだね!」

 

凛「うん、頑張ろう。そうだ、お金。」

 

八幡「......かまわん。連れてったのは俺だ。」

 

卯月「そんな......」

 

八幡「なら笑顔で返してくれ。」

 

6人「っ!はいっ!ご馳走様でした!」

 

 お次は本命の寺院巡り。

 仁王門、西門、三重塔と見学し随求堂。胎内めぐりはどうするか確認したが、暗いのは嫌とのことでパス。さらに経堂を経由し本堂へ......

 

凛「綺麗......」

 

奈緒「ここが有名な清水の舞台かぁ......」

 

八幡「飛び降りるか?」

 

奈緒「おりないよ!死んじゃうよ!」

 

八幡「いや、実はなかなか死ねないらしいぞ?高さが足りなくて、大体が大怪我で済むらしい。試すか?」

 

奈緒「そっか。なら安心......じゃねえよ!大怪我するじゃん!」

 

加蓮「奈緒、恥ずかしいから大人しくしててね?」

 

奈緒「......みんなひどい。」

 

卯月「八幡さん、写真撮りましょう!」

 

八幡「おう。」

 

智絵里「わ、わたしも......いいですか?」

 

八幡「おう。順番な。」

 

智絵里「はいっ!」

 

 全員と順に撮り、最後に近くにいた人に、噛みながらもお願いし集合写真をパシャリ。

 本堂を抜け、阿弥陀堂、奥の院、音羽の滝。本来はまだまだ巡りたいのだが、時間の関係でパス。

 集合場所に戻って全体写真。

 ......まんま修学旅行じゃねえか。

 

 バスに乗り込み、次は鹿苑寺......もとい金閣寺へ。周子もたまにはいいもんだと喜んでくれている。よかった。

 金閣寺の次は龍安寺。全ての石が一度に見えないと聞くと、子供たちは一生懸命見ようとする。そんな光景にほっこりしつつ、本日の終着地点のホテルへ到着。

 ガイドさんに全員で挨拶してチェックイン。

 

八幡「さすがに少し疲れましたね。」

 

武内「はい。ですが、皆さん本当にいい笑顔でした。」

 

八幡「そうっすね。連れて来て良かったです。」

 

武内「私もそう思います。」

 

八幡「んじゃ、俺先に風呂行っちゃいます。」

 

武内「ごゆっくりどうぞ。私も後から行きます。」

 

八幡「うす。」

 

 

 

 

 風呂でのんびりしながら考える。

 

 凛の事

 

 未央の事

 

 そして卯月の事

 

八幡「......ちゃんと答えねえとな。」

 

 

 

 夕食も食べ終わり、部屋でのんびりしている......

 

 Prrrrrr......武内さん?常務と呑んでるはずじゃ......

 

八幡「はい、比企谷です。」

 

武内『急にすみません。今からバーに来ていただけますか?』

 

八幡「はい。わかりました。」

 

 なんだ?ま、行きゃわかるか。

 

 

 

八幡「お待たせしました。」

 

常務「まあ、適当に座りなさい。」

 

八幡「はい。」

 

常務「急にすまないな。プライベートで少し君と話したかったんだ。」

 

武内「では、私はこれで。」

 

常務「君もすまないな。明日はゆっくり呑もう。」

 

武内「はい。では、失礼します。」

 

 え?武内さん行っちゃうの?常務とサシっすか⁉︎

 

常務「まずは、今日一日ご苦労だった。私も楽しめたよ。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

常務「なかなかいい企画だ。成果を上げた部署には、この様な褒賞を与えるのも検討していこう。」

 

八幡「なら、無理言ってお願いした甲斐があります。」

 

常務「君は本当に面白いな。いい意味でも悪い意味でも裏切ってくれる。」

 

八幡「そんな事ないっすよ。」

 

常務「謙遜することはない。......少し真面目な話しをしよう。」

 

八幡「はい。」

 

常務「君は卒業後の進路は考えているか?」

 

八幡「......はい。出来ることなら346プロでプロデューサーを続けていきたいです。」

 

常務「そうか。なら待っているよ。」

 

八幡「は?」

 

常務「言葉通りだ。余程の事がない限り正社員として採用し、役職も与えよう。」

 

八幡「......本当ですか?」

 

常務「ああ。今西さんもあと数年で定年だ。後釜には武内君を考えている。」

 

八幡「そうなると......」

 

常務「CPを受け持てる者がいなくなる。そのポジションを君に任せたい。どうだ?」

 

八幡「っ!お願いします!」

 

常務「いい返事だ。期待している。」

 

八幡「ありがとうございます!」

 

常務「それともう一つ。君は、彼女の事をどう思っている?」

 

八幡「彼女って......」

 

常務「わかっているのだろう?島村卯月さんだ。」

 

八幡「あいつは......」

 

常務「本音で話してくれ。」

 

八幡「......ずっと一緒にいたいです。」

 

常務「どういう意味でだ?」

 

八幡「......」

 

常務「アイドルとプロデューサー。」

 

八幡「っ!」

 

常務「それが引っかかっているのだろ?」

 

八幡「はい。」

 

常務「かまわん。それで彼女が今以上に輝けるのなら許可する。」

 

八幡「......いいんですか?」

 

常務「あまり待たせるのも彼女が可哀想だ。」

 

八幡「......ありがとう......ございます。」

 

常務「泣くな。ただし、節度は保つ事とスキャンダルにも注意してくれ。」

 

八幡「......はい。」

 

常務「彼女は幸せ者だな。少し羨ましい。」

 

八幡「本当に、ありがとうございます。」

 

常務「さあ、君も飲め。今日は無礼講だ。」

 

八幡「まだ未成年っすよ。」

 

常務「そうだったな。」

 

八幡「ははっ!」

 

常務「ふふっ!こんなに楽しいのは久しぶりだ。」

 

 

 

 常務。

 

 本当にありがとうございます。

 

 

 

 旅行2日目。今日はフルで自由行動。最低3人で行きたいところに行ってもらう。

 

 朝食もすませ、普段着に装備を変え、ロビーで出かけるメンバーのチェックを行う。

 念のためだ。変装と携帯所持確認。そして小学生達には防犯ブザー。大事です!

 

武内「比企谷さんは今日どうされる予定ですか?」

 

八幡「正直決めてないんすよ。なんで適当に危なそうなメンバーの引率っすかね。」

 

武内「いえ、そちらは私が引き受けます。」

 

八幡「......誰を指してるかわかってます?」

 

武内「その......宮本さんと一ノ瀬さん......です。」

 

八幡「......志希間違いでしたかね?」

 

武内「そんな事はないです!ですが......もう少しだけ......控えていただきたいです。」

 

八幡「......ですよねー。」

 

2人「......はぁ。」

 

未央「2人揃ってどったの?」

 

八幡「いや、問題児がどうにかならんかと......」

 

未央「あぁ......」

 

八幡「わかるか?」

 

未央「わかるわ〜。」

 

八幡「いや、それ川島さん。」

 

未央「いいタイミングでしょ?」

 

八幡「......なんか腹たつ。」

 

未央「なんでっ⁉︎」

 

武内「本田さんはどなたとお出かけになりますか?」

 

未央「かな子ちんとちえりんにふーみんとはやみん!」

 

武内「......」

 

八幡「奏と文香さんです。」

 

武内「......ありがとうございます。」

 

未央「あ!来た来た!」

 

八幡「全員携帯持ってるかー?」

 

5人「はい!」

 

武内「では、楽しんできてください。」

 

5人「行ってきます!」

 

八幡「あのグループは大丈夫ですね。」

 

武内「はい。」

 

 みんな次々と出かけていく。

 杏は......相変わらずきらりに運ばれてんだな。

 そして問題のグループだ。周子、フレデリカ、志希、蘭子、美波......せめてもの救いが美波がいる事。だが武内さんは引率。これは外せない。でもまあ負担が少しは減った......のか?

 最後に来たのはこの3人。

 卯月、アーニャ、唯......またえらく珍しい組み合わせだ事で。

 

八幡「3人で最後だ。変装は問題なし......携帯はちゃんと持ってるか?」

 

2人「はい!」

 

唯「持ってるよ〜!」

 

八幡「んじゃ、行ってk「八幡ちゃんどーするの?」......俺は適当に回るわ。」

 

唯「ならさ!一緒に行こうよ!」

 

アーニャ「兄さん、行きましょう!」

 

卯月「ダメ......ですか?」

 

八幡「......わかったよ。」

 

唯「やった!ほら!早く!」

 

八幡「へいへい。」

 

アーニャ「兄さんは、行きたいところ、ありますか?」

 

八幡「俺か?そうだな.....伏見稲荷か。アーニャはあるか?」

 

アーニャ「アーニャ、嵐山、行きたいです。チクリン?が、綺麗と、聞きました。」

 

卯月「っ!」

 

唯「アタシもそれ聞いた!」

 

アーニャ「......ウヅキ、どう、しましたか?」

 

卯月「な、なんでもないです!」

 

八幡「気にすんな。」

 

卯月「......はい。」

 

八幡「まずは歩いて行ける嵐山だな。卯月は行きたいところあるか?」

 

卯月「私は、その......安井金比羅宮に......」

 

八幡「お、おう。んじゃ、順番的に嵐山、安井金比羅宮、伏見稲荷で行くぞ。」

 

3人「はい。」

 

 卯月のやつ......竹林に過剰反応してんな......

 

 

 

 川添いを散歩して、さほど時間もかからず嵐山に到着。有名なアレも見えている。

 

唯「あ!あの橋!」

 

八幡「おう、アレが有名な渡月橋だ。」

 

唯「ねねっ!早く行こ!」

 

八幡「落ち着け。橋は逃げねえから。朝からそんな飛ばしてると夕方までもたねえぞ。」

 

唯「うっ......そうだね。」

 

アーニャ「さすが、兄さんです。ユイ、なかなか、止まってくれません。」

 

卯月「そうなんですか?」

 

八幡「......いつもはもっと凄いのがいるからな。アイツらにつられてんだよ。」

 

卯月「な、なるほど〜......」

 

唯「つ、ついね〜。」

 

 橋の中央部からの景色を楽しむ。いいな......

 

卯月「綺麗です......」

 

アーニャ「はい......」

 

唯「落ち着くなぁ......」

 

 みんな自然な笑顔。......これは写真に納めておかねば!パシャリ。

 

卯月「あっ!」

 

唯「今撮ったの⁈」

 

アーニャ「兄さん!いきなりは、ダメです!」

 

八幡「すまんな。色々撮ってんだわ。でもいい写真だぞ。ほれ。」

 

唯「卯月ちゃんもアナスタシアちゃんも可愛い......」

 

卯月「そ、そんな。唯ちゃんこそ......」

 

アーニャ「みんな、キラキラ、してます。」

 

八幡「みんないい笑顔だな。」

 

 嵐山をのんびりと散策。寺院に行ったり、土産ものを見たり、買い食いしたり、気づいたファンに握手を求められたり......

 そして竹林へ......

 

 変わってねえな。ここも、俺も。

 

 やっぱここだよな......

 

 3人とも言葉を失っている。圧倒的な景観に心を奪われているのだろう。

 

八幡「......綺麗だよな。」

 

卯月「はい......」

 

アーニャ「довольно。とても、綺麗です......」

 

唯「感動しちゃった......」

 

八幡「夜になるとな、また変わるんだ。ライトアップされて幻想的な風景になる。」

 

アーニャ「見てみたい、です。」

 

唯「ゆいも......」

 

卯月「私もです......」

 

八幡「みんなで来ればいい。」

 

3人「はい......」

 

 

 嵐山を堪能し次は安井金比羅宮にタクシーで向かう。到着後まずは昼食。そして第2の目的地へ......

 

唯「ねーねー、八幡ちゃん。ここはどんなご利益があるの?」

 

八幡「......そこののぼりを見ろ。」

 

唯「のぼり?......えんむすび......縁結び⁈はっ!」

 

 ものすごい勢いで卯月を見る唯。

 真っ赤にした顔を両手で隠す卯月......

 

 なにそれ。すっげえかわいい......

 

唯「やっぱりか〜、やっぱりなのか〜!もうっ!卯月ちゃん可愛い!」

 

卯月「は、恥ずかしいです......」

 

アーニャ「ウヅキ、とっても、かわいいです。」

 

 や、みんな可愛いからね?卯月だけじゃないからね?

 ここからは一旦基本に則り、まずは本堂にお参り。

 形代に書いた後は碑の穴をくぐり、碑に形代を貼り付ける。

 ちなみに、形代に何を書いたかは内緒だ。

 これだけでは味気ないため、すぐ隣にある絵馬館・ガラスの部屋にもより道。こちらも十分に堪能し、最後の目的地である伏見稲荷へ。

 

八幡「ここに来たかったんだ......」

 

唯「ここアレだよね?鳥居のトコ。」

 

八幡「おう。俺も初めてでな。楽しみだ。」

 

 石造りの先に見える無数の鳥居......

 

 すげえ。

 

 その鳥居をくぐって行く。まるで異世界に続くトンネルだな......

 

卯月「このまま違う世界に行っちゃいそうです......」

 

 卯月も同じことを思ったようで、なんだか嬉しい。

 

唯「......凄い数だよね。いくつあるんだろ......」

 

八幡「実数は知らんが、ここにあるのは800弱らしいな。昔は約1000あったらしいが、今はそれくらいだとさ。」

 

唯「へぇ〜......八幡ちゃんて、ホントいろんな事知ってるよね。」

 

八幡「興味のあるもんはなんでも調べるからな。」

 

唯「そっか......」

 

 無言でくぐり抜けて行く。

 アーニャに関しては目をキラキラさせて嬉しそうに歩いている。ホントこの子は綺麗な物とかが好きだな。

 鳥居を抜け境内を参拝して廻る。登山コースとやらもあるらしいが、2時間近くかかってしまうらしく今回はパス。

 伏見稲荷も堪能したところで、いい時間の為ホテルへ戻る。旅行も明日で終わりだな......

 

 

 ホテルに着きタクシーを降りた途端に......

 

唯「今日は楽しかったな〜。八幡ちゃん、ありがとね!」

 

八幡「おう、気にすんな。俺もまぁ、楽しかったわ。」

 

唯「そっか......ゆい、クローネに来て良かった。」

 

八幡「......なら良かったよ。」

 

唯「八幡ちゃんのおかげだね!じゃ、先戻るね!」

 

卯月「行っちゃいましたね......」

 

八幡「だな。ほれ、俺たちも行くぞ。」

 

2人「はい。」

 

 ホテルに入り、ロビーで美波を見つけたアーニャは駆け寄って行く。......犬みたいだな。

 

八幡「卯月。」

 

卯月「はい?なんでしょう?」

 

八幡「夕飯の後、時間もらえるか?」

 

卯月「はい!大丈夫です!」

 

八幡「んじゃ、8時にここな。」

 

卯月「??わかりました。」

 

八幡「よろしくな。」なでなで

 

卯月「はいっ!」

 

 

 卯月と別れて部屋に戻る。

 

 あとは......

 

 やるだけだ。

 

 

 

 

 

 約束の時間10分前。

 ソワソワしながら卯月を待っている。

 緊張が半端ない。舞踏会でステージに立った時よりも緊張している......

 

卯月「お待たせしました!」

 

八幡「い、いや。大丈夫だ。......少し......外歩こうぜ。」

 

卯月「はいっ!」

 

 卯月と並んで歩く。

 目的地はあそこ。

 

 隣を歩く卯月はニコニコしていて幸せそうだ。俺まで嬉しくなってくる。

 

卯月「どこに行くんですか?」

 

八幡「まあ、お楽しみだ。」

 

卯月「楽しみですっ♪」

 

 歩みを進める。

 

 もう渡月橋が目前だ。

 

卯月「もしかして......」

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

 あえて話さない。

 

 

 目的地手前で一度止まる。

 

八幡「卯月、目閉じてもらえるか?」

 

卯月「あ、はい。」

 

 卯月の手を握る。

 

卯月「えぇっ⁉︎」

 

八幡「大丈夫だ。歩くからそのままついてきてくれ。」

 

卯月「わ、わかりました。」

 

 ゆっくりと歩く。卯月が転ばないよう注意しながら。

 

 

 

 

八幡「到着だ。目開けていいぞ。」

 

卯月「は、はい。............っ!」

 

八幡「すげえだろ。」

 

卯月「わぁ......綺麗です......」

 

 ライトアップされた竹林。

 

 幻想的なこの光景はこの世のものと思えない。

 

八幡「これを見せたかった。」

 

卯月「......嬉しいです。」

 

八幡「卯月と2人で見たかった。」

 

卯月「えっ......」

 

八幡「ここでなにがあったかは知ってるよな?」

 

卯月「......はい。」

 

八幡「いろいろ心配してくれてありがとう。」

 

卯月「......いえ。」

 

八幡「綺麗だな。」

 

卯月「......はい。」

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

八幡「......だから、嫌な思い出のままにしたくない。」

 

卯月「えっ?」

 

八幡「前にも言ったが、俺はずっと1人だった。ここで嘘告白なんて馬鹿な事もしてきた。でも、友達ができて、武内さんに出会えてお前らと出会って、これまでいろんな物をいっぱいもらってきた。」

 

卯月「......」

 

 卯月を正面から見つめる。

 

八幡「でも今もっと欲しいもんがある。」

 

卯月「え......」

 

八幡「卯月、お前の笑顔だ。」

 

卯月「私の......笑顔......」

 

八幡「俺は、ずっとお前の笑顔が見ていたい。ずっと隣で見ていたい。......寄り添って一緒に歩いていきたい。」

 

卯月「八幡さん......」

 

八幡「好きだ。卯月。」

 

卯月「っ!!」

 

八幡「嘘告白じゃない、俺の『本物』の気持ちだ。これから一緒に『本物』を探してくれ。」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

卯月「......私も......私も八幡さんが大好きです!ずっとずっと好きだったんです!ずっと一緒にいたいです!でも......」

 

八幡「卯月!」

 

 抱きしめる。強く。離さないように。

 

八幡「卯月に側にいてほしい。お前じゃなきゃダメなんだ......」

 

卯月「......はい。ずっと一緒にいてください。私の笑顔、ずっと見ててください。」

 

八幡「ああ。卯月......」

 

卯月「八幡さん......」

 

 お互いの顔が近づく......

 

 

 

 そして、2人の距離は無くなった。

 

卯月「......んっ......ぷはっ......もっと......」

 

八幡「ああ......ん......」

 

卯月「んっ......んん......ぷぁ......キス......しちゃいましたね。」

 

八幡「そうだな。」

 

卯月「恋人同士に......なったんですよね?」

 

八幡「ああ。」

 

卯月「幸せです。」

 

八幡「俺もだ。」

 

卯月「えへへ......八幡さぁん♪大好きです!」

 

八幡「俺も......大好きだ。」

 

 

 しばらく2人で抱き合う......

 幸せで嬉しい時間......「がさっ」

 

八幡「ん?」

 

卯月「今なんか......」

 

八幡「......見てくる。」

 

卯月「危ないです!」

 

八幡「大丈夫だ。」

 

 音のした方へ歩いていく。

 

 「こっちきたよ!」「は、早く逃げ!」「お、押さないで!」「も......無理。」

 

 何か転がってきた......

 

 

 杏だ。

 

八幡「......」

 

杏「......」

 

八幡「......」

 

杏「......じゃ!」

 

八幡「待て。」

 

 杏の首根っこを捕まえ、顔をこっちに向ける。

 

杏「ヒィッ!」

 

八幡「杏ちゃん。ここでなにしてたかお兄さんに教えてくれるかな?」

 

杏「は、はなせー!怖いから!本気で怖いから!」

 

八幡「素直に話せば怖くないぞ?」

 

杏「......マジで?」

 

八幡「おう。お兄さんは優しいからな。」

 

杏「わ、わかった。要求をのもう。」

 

 杏を離す。

 

八幡「逃げようとしたら......わかってんな?」

 

杏「(がたがた)はひ......」

 

卯月「は、八幡さん大じょう......杏ちゃん⁉︎」

 

 仁王立ちする俺の足元に泣きながら正座する杏......

 

八幡「で、なにしてたんだ?」

 

杏「覗いてました......」

 

八幡「なにを?」

 

杏「その......告白を......」

 

八幡「1人でか?」

 

「ガサッ」

 

杏「......5人」

 

八幡「ほう......じゃあまだそこにいるんだな?」

 

杏「......はい。」

 

八幡「......出てこい。」

 

 ゾロゾロとでてくる4人

 みく、李衣菜、きらり、唯。

 

八幡「......」

 

 全員無言で杏の隣に正座する。

 

八幡「......何か言うことはあるか?」

 

5人「ご、ごめんなさい!」

 

 5人のアイドルによる土下座......

 逆に申し訳ないな。

 

 ちなみに卯月は、真っ赤になって俺の陰に隠れている。

 ......めちゃくちゃ可愛い。

 

八幡「......はぁ。とりあえず立て。」

 

みく「はっちゃんごめんにゃ。覗くつもりはなかったの。」

 

李衣菜「そうなんだよ。でもいい雰囲気になってきて......」

 

きらり「目が離せなくなったんだにぃ。」

 

唯「そしたら告白はじまってさ......」

 

杏「そのままキスしてるし。」

 

みく「すっごくドキドキしたにゃ......」

 

李衣菜「でも八幡さんかっこよかった。すっごいロックだったよ。」

 

唯「憧れちゃうよね〜......」

 

きらり「卯月ちゃんも、すっごい可愛かったよぉ!」

 

杏「2人ともおめでとう。」

 

八幡「まあ、その......なんだ?ありがとう?」

 

卯月「あ、ありがとうございます!」

 

八幡「とにかくこの件は他言無用だ。言わなければ一か月間レッスン3倍で許す。だが、もし言ったら......」

 

杏「い、言ったら?」

 

八幡「一年間5倍だ。」

 

5人「絶対言いません!」

 

八幡「よし。んじゃ、戻るか。」

 

6人「はい!」

 

 みんなで並んで戻る。

 

 卯月とはしっかりと手を繋いで。

 

 離れないように強く。

 

 

卯月「八幡さん!」

 

八幡「ん?」

 

卯月「大好きですっ!」

 

 



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23話√卯月

 比企谷八幡、19年生きてきて初の彼女ができました。しかも相手は国民的アイドル......

 え?いいの?俺だよ?こんなに捻くれてるよ?

 マジか......卯月が俺の彼女......

 ヤベー!超嬉しい!キャー!

 

武内「ひ、比企谷さん......大丈夫......ですか?」

 

 ホテルのベッドで悶えてました。フヒッ。

 

八幡「は、はい。大丈夫でふ。」

 

 ダメですね。噛んじゃってるし。

 

武内「な、ならいいのですが......」

 

 武内さんには話しておかないとな......

 

八幡「......武内さん、帰ったら話しがあります。」

 

武内「......わかりました。」

 

八幡「お願いします。」

 

武内「はい。」

 

八幡「んじゃ俺寝ますね。」

 

武内「はい、おやすみなさい。」

 

 

 

 

 

 眠れん。

 すでに4時間眠れずにいる。理由は明白だ。卯月との......キキキキスが忘れられん......

 

八幡「(飲み物でも買いに行くか......)」

 

 武内さんを起こさないようコッソリと部屋を出る。自販機でココアを買い、談話スペースで一服。

 

八幡「はぁ......」

 

 多分だが、武内さんには卯月との事はばれているだろう。だが、だからと言って報告しなくていい理由にはならない。

 それだけじゃないな。凛と未央。2人にもちゃんと返事しねえとな......」

 

「誰に?」

 

八幡「は?」

 

 声のする方に顔を向ける。......凛だ。

 

凛「誰に返事するの?」

 

八幡「......」

 

凛「......言えない?」

 

八幡「......いや。聞いてくれるか?」

 

凛「あまり聞きたくないかな......」

 

八幡「......そうか。n「でも聞く。」......サンキュ。」

 

凛「なに?」

 

八幡「......すまん。凛の気持ちには応えられん。」

 

凛「......知ってた。」

 

八幡「は?」

 

凛「わかるよ。好きな人の事だし。......卯月に伝えたんでしょ?」

 

八幡「......おう。」

 

凛「おめでとう。」

 

八幡「サンキュ。」

 

凛「でも諦めないから。」

 

八幡「......へ?」

 

凛「その事実と私の気持ちは別でしょ?」

 

八幡「それはそうだが......でも俺は......」

 

凛「言ったよね?振り向かせてみせるって。だから......諦めない。諦めたらそこで試合終了でしょ?」

 

八幡「安西先生かよ......」

 

凛「ふふっ。好きかと思って。」

 

八幡「まあな。なら......まあ、好きにしてくれ。」

 

凛「好きにする。」

 

八幡「おう。んじゃ、俺寝るわ。」

 

凛「うん。おやすみ。」

 

八幡「お前も早く寝ろよ。」

 

凛「うん。」

 

 

 

 

 

 

凛「......うっ......うぅ......八幡............」

 

 

 

 

 

 

 旅行最終日の今日は、午前が自由行動で昼食後に東京へ帰る予定だ。荷物も預けられるよう手配済みのため、基本手ブラで行動できる。

 出来ることなら、右腕に絡みつく卯月と2人でまわりたいところだが......

 すでに左手にはありすがいる。

 無理ですね。はい。他はともかく、みりあとありすには敵わん。

 卯月もありすを気に入っているようで......

 

卯月「ありすちゃん、一緒にまわりましょうね!」

 

ありす「はい!お姉さん!」

 

 と、俺を挟んで会話している。

 てか、お姉さんて......

 一旦2人を引き剥がし、武内さんと並ぶ。諸注意を促すためだ。

 

武内「皆さん、本日が最終日です。注意点は昨日までと同じですので、存分に楽しんでください。」

 

全員「はい!」

 

八幡「今日は帰りの時間あるからな。遊びすぎて忘れんなよ?来なかったら置いてくからな?」

 

全員「は、はーい。」

 

八幡「んじゃ、解散。」

 

 各々散らばっていく中、常務が近づいてくる。以前のような威圧感はなくなり......なくなってはいないが、本当に『仕事の出来る女性』という雰囲気になった。

 

常務「比企谷君。」

 

八幡「はい。」

 

常務「3日間ご苦労だったな。お陰で私もリフレッシュできた。」

 

八幡「いえ、なんのお構いもできませんで......」

 

常務「気にしなくていい。これは仕事ではないからな。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

常務「......うまくいったようだな。」

 

八幡「はい。おかげさまで。......卯月。」

 

 「はい?」と言いながらちょこちょこ寄ってくる。......ホントいちいち可愛いなこいつは!

 

八幡「常務にお礼だ」

 

卯月「??」

 

八幡「俺とお前の事を後押ししてくれたんだよ。」

 

卯月「え......」

 

八幡「常務。本当にありがとうございました。」

 

卯月「あ、ありがとうございました!」

 

常務「......きみは本当にいい笑顔をするな......今後さらに輝けるだろう君に期待している。頑張りなさい。」

 

卯月「はい!島村卯月、頑張ります!」

 

常務「ふっ。では、私は一足先に帰らせてもらう。気をつけてな。」

 

2人「はい!お気をつけて!」

 

 

卯月「常務さんて......優しい方だったんですね。」

 

八幡「優しくなった......って表現が正しいな。」

 

卯月「そうなんですか?」

 

八幡「おう。お前のおかげだ。」なでなで

 

卯月「??私ですか?」

 

八幡「ああ。ほれ、行くぞ。ありすが待ってる。」

 

卯月「はい!」

 

 両手を2人とつなぎ、新京極へ。

 土産いっぱい買わなきゃな......

 

 

 

卯月「......八幡さん。」

 

八幡「......なんだ?」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

卯月「......重くて持てませ〜ん。」

 

八幡「買いすぎだ!」

 

ありす「す、すごい量です......」

 

八幡「たく......ほれ、半分よこせ。」

 

卯月「あ、ありがとうございます!」

 

八幡「しょうがね......って重っ!」

 

卯月「え、えへへへ......」

 

八幡「お前な......この量は宅配のがいいな。そこまで持つから送っちまえ。」

 

卯月「はいっ!」

 

ありす「私もそうします。」

 

八幡「そうだな。そうしとけ。」

 

ありす「はい。」

 

未央「しーまむー!」

 

卯月「未央ちゃん!」

 

未央「おぉ......凄い量ですな......」

 

八幡「丁度いい。お前も運ぶの手伝え。」

 

未央「合点承知!」

 

 某運送業者まで卯月の荷物をヒーヒー言いながら運ぶ。運び先が見えてるのがせめてもの救いだ。ありすも重そうにしているが、手伝ってやれそうにない。ごめんよ......

 

 

 

卯月「終わりました〜。」

 

ありす「終わりました。」

 

八幡「おう。」

 

卯月「手伝ってくれてありがとうございます!」

 

八幡「気にすんな。」

 

卯月「未央ちゃんもありがとうございます!」

 

未央「いいっていいって〜。困った時はお互い様じゃん?」

 

卯月「未央ちゃんも困ったことがあったら言ってください!」

 

未央「頼りにしてるよ〜。それにしても......2人は常に一緒だねぇ。」

 

卯月「はい!大切な恋人ですから!」

 

八幡「ばかっ!お前それ!」

 

卯月「へ?」

 

未央「......え?」

 

ありす「え?」

 

2人「えええええええええええええ!!!!」

 

八幡「うわぁ......」

 

卯月「あ、あははは......」

 

未央「い、いつから⁉︎」

 

ありす「教えてください!」

 

八幡「......帰りの新幹線な。」

 

未央「う、うん。」

 

ありす「わかりました。」

 

八幡「......んんっ!そろそろ時間だな。......行くか。」

 

3人「......はい。」

 

 

 

武内「全員揃ったようですね。」

 

全員「はーい。」

 

 最後まで元気だな......何気にちひろさんまで言ってるし......

 手まであげちゃって......歳を考えr「ギロッ」ヒィィィィィ......なんで?なんでわかったの⁉︎

 

武内「では、帰りましょう。」

 

 

 

 新幹線に乗り込み、2人掛けの席を回転させてボックス席を作る。

 俺と卯月、正面に未央とありす。行き同様席取り合戦が始まりそうになったが、話しがあると言い折れてもらった。

 先程新幹線は出発。3人にお茶を渡して話しはじめる。

 

八幡「さっきの話だがな、まあ、昨日の夜からだ。」

 

未央「昨日の夜......」

 

卯月「私が部屋を出た時です。」

 

未央「そっか、あの時に......うん!おめでとう!」

 

八幡「未央......」

 

卯月「未央ちゃん......」

 

未央「大丈夫!私諦めないから!」

 

ありす「え?」

 

卯月「ええ⁉︎」

 

未央「ライバルだね!しまむー!」

 

卯月「だ、ダメです!」

 

未央「未央ちゃんの魅力に気づかせてやるからな!覚悟しろ!ハッチー!」

 

 涙を流しながら笑顔で宣戦布告をする未央。

 お前の魅力なんてとっくに知ってるっての。

 

八幡「......ホント、お前ら3人はすげえよ。」

 

卯月「え?3人?2人じゃなくてですか?」

 

未央「え?しまむー気づいてなかったの?」

 

ありす「さすがにそれは......」

 

卯月「え?え?」

 

未央「しぶりんの事気付いてなかった?」

 

卯月「......は、はい。」

 

ありす「気づかない人がいたなんて......」

 

八幡「......鈍感すぎんだろ。」

 

未央「じゃ、じゃあ、ハッチーから貰ったネックレスの意味は?」

 

卯月「......昨日気づきました。」

 

未央「......ハッチー。この子は大変だよ?」

 

八幡「......みたいだな。」

 

未央「さすが天然......」

 

卯月「私天然じゃないです!」

 

ありす「あ、あの......」

 

八幡「ん?どした?」

 

ありす「ネックレスって......」

 

卯月「こ、これです。」

 

 卯月が胸元から取り出す......少し見えてしまった......ご馳走さまです!

 

未央「......ハッチー見過ぎ。」

 

八幡「な、にゃんのことだ?」

 

未央「ぐっ......今の私には止める権利が......」

 

卯あ「??」

 

卯月「近くで見ますか?」

 

ありす「見たいです!!」

 

 ネックレスを外す仕草が色っぽい......うなじが......

 

未央「し、しまむーに一気に色気が......」

 

ありす「わぁ......可愛いです。なんて言うお花ですか?」

 

卯月「ニリンソウって言うんですよ。」

 

 幸せそうに卯月が答える。

 

未央「ま、眩しい!」

 

八幡「未央、さっきからリアクションが鬱陶しいぞ。」

 

未央「だって!しまむーからのリア充オーラが凄いんだもん!」

 

卯月「リア充だなんて......」

 

ありす「お姉さん可愛い......」

 

 それには賛成だ。

 

未央「でね、その花の花言葉が、友情と協力なんだよね!」

 

八幡「おい、お前わざと一つ抜いたろ。」

 

未央「さーねー。知らないもーん。しまむー知ってる?」

 

卯月「あのっ。えっと.....................いです。」

 

ありす「え?」

 

 俺ですら聞こえなかったもんな......ありすに聞こえるわけがない。

 

卯月「ず......ずっと離れないです!」

 

ありす「......素敵です!私、このお花大好きになりました!」

 

卯月「よかったです。」

 

 ありすからネックレスを受け取り元の位置へ。今度はしまわずにいる。

 

未央「ホントよく似合ってる。ハッチーセンスいいじゃん!」

 

八幡「は?俺が今着てる服見て同じ事言えるか?」

 

未央「そうだね。私が間違ってた。」

 

 このやろう......即答しやがって......

 

八幡「ま、今度から卯月に任せるわ。」

 

卯月「はい!任せてください!」

 

ありす「私もお手伝いします!」

 

八幡「おう。頼んだぞ。」なでなで

 

未央「私m「それはいいや。」せめて最後まで言わせて!」

 

 

 

 いつも通りだ。未央をいじってみんなで笑う。

 少し不安だったが、3人とも大丈夫そうだな。まあ、2人がどう攻めてくるか怖いところであるが......

 まもなく東京駅に着く。

 

 土産、配んねえとな。

 

 もう旅行も終わりか。

 

 こんな楽しい旅行は初めてだ。

 

 また、行きてえな。

 

 

 

 旅行から帰ってきた翌翌日。武内さんに連絡し、卯月と2人で事務所で待って貰っている。常務にも事情を話し、立ち会ってもらえることになった。そう。卯月との事を武内さんに話すためだ。

 事務所に入ると武内さんと卯月が対峙している。他のメンバーはいない。当然の事だが、人払いしてもらった。

 

八幡「すんません。おまたせしました。」

 

武内「いえ。常務も......ですか?」

 

常務「私もこの件には関与しているのでな。立ち会わせてもらう。」

 

武内「......わかりました。」

 

 俺は卯月の隣へ。常務はお誕生席へと座る。

 

八幡「単刀直入に言います。俺は、島村卯月さんと交際をはじめました。」

 

武内「......やはりそうでしたか。ですが、私は認めるわけには......喜ばしい事ですが......それでも、認めるわけにはいきません!......もうしわけ......ございません。」

 

常務「訳を言ってみろ。」

 

武内「......彼らはアイドルとプロデューサーです。あっては......ならない事です。」

 

常務「なぜだ?」

 

武内「え......」

 

常務「なぜアイドルとプロデューサーが交際してはいけないんだ?」

 

武内「それは......」

 

常務「......この交際は私が許可した。」

 

武内「......え?」

 

常務「認めずに輝きを失う。認めて更なる輝きを得る。君はどちらを選ぶ?」

 

武内「輝きを......失う......」

 

常務「そうだろう?彼女を連れ戻し、私たちに太陽の輝きを示してくれたのは彼だ。果たして、彼無くして彼女は輝き続けられるか?」

 

 えげつない言い方をする。こう言うところは変わってないんだな......

 

常務「島村さん」

 

卯月「はいっ!」

 

常務「そう緊張するな。あなたは彼を失うことは考えられるか?」

 

卯月「え......八幡さんが......いなくなる?」

 

常務「そうだ。考えられるか?」

 

 卯月がじっと俺を見ている。

 

卯月「......考えられません。八幡さんがいないなんて......私......いや......いや......嫌です。イヤです!そんなの......絶対......いますよね!側にいてくれますよね!」

 

八幡「大丈夫だ。ちゃんといるから。安心しろ。」

 

 震える卯月を抱き寄せ頭を撫でる。まだ......不安定だな。

 

卯月「......はい。」

 

常務「これでも君は引き離すか?」

 

武内「......できません。」

 

常務「同じ事を繰り返すのは無能のやることだ。反省しろ。状況やメンタルを判断し、最良の解を出す。君に足りないのはそこだけだ。」

 

武内「......はい。」

 

常務「島村さん。嫌な思いをさせて申し訳無かったな。謝罪する。」

 

卯月「い、いえ。大丈夫です。」

 

常務「そうか、ありがとう。では、私はこれで失礼する。あとは君達で話しなさい。」

 

3人「ありがとうございました。」

 

 武内さんには悪いが、正直助かった。

 あとは......

 

八幡「武内さん、すんませんでした。先に武内さんに相談するべきでした。」

 

武内「いえ、私こそ申し訳ありませんでした。それと......おめでとうございます。」

 

卯月「え?」

 

武内「私も思っていました。お2人に幸せになってほしいと。ですが......」

 

八幡「アイドルとプロデューサー......ですよね?」

 

武内「はい。」

 

八幡「......俺も同じことでずっと悩んでたんです。」

 

武内「そうでしたか......」

 

八幡「それをあの人が吹っ飛ばしてくれたんすよ。」

 

武内「そう......だったのですね。」

 

八幡「はい。......似てますね。俺たち。」

 

武内「そうですね。本当に。」

 

卯月「プロデューサーさん!私、頑張ります!」

 

武内「はい。よろしくお願いします。」

 

 3人で笑い合う。

 

 認めてもらえてよかった。

 

 これで悩みの種は全て解消だな。

 

 

 来月からはクローネ専属となり、新しいユニットも本格始動となる。新人指導もしなきゃならんし、新たな問題も多々発生するだろう。

 でも......不思議と不安はない。

 

 あいつらがいるから。

 

 

 

 

 隣で卯月が笑ってくれるから。

 

 

 

 

 あの笑顔を守れるように......頑張ろう。

 

 

 

             



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24話√卯月

 4月1日。

 どの企業も新卒者の入社式が行われているだろう。

 

 勿論346プロも同様だ。

 アイドルを除く全社員が出席する入社式。

 

 ......なぜか俺もいる。

 

 ちょっと待て。俺は社員じゃない。バイトだ。まあ、大きなくくりで言えば社員なのだろうが......

 ともかく、出席は百歩譲って諦めよう。だが、席がおかしい......

 

 まあ、数日前に呼び出されたアレが原因だろうな......

 

 

 

常務「急に呼び立ててすまない。渡しておきたい物があってな。」

 

八幡「は?渡したい物?」

 

 常務から紙束を渡される。おそらく新しい名刺だろう。内容は......

 

 346プロダクション

 アイドル事業部 専務付

 Project Kroneプロデューサー

 

     比企谷 八幡

 

 

八幡「......は?」

 

常務「何か問題があるのか?」

 

八幡「え?いや、専務って誰っすか?」

 

常務「私だ。辞令はなかったか?」

 

八幡「......来てないっす。」

 

常務「......総務に伝えておこう。」

 

八幡「......もしかして、昇進ですか?」

 

常務「そうだ。4月の1日付でな。」

 

八幡「おめでとうございます。」

 

常務「なに、君と武内君の成果だ。」

 

八幡「......ありがとうございます。......んで、この専務付ってのは?」

 

常務「君の直属の上司は私になる。当然、私以上でないと直接君には意見できなくなる。......君は自由な発想で真価を発揮するが、武内君を除けば理解できるものはほとんどいないだろう。その才能を埋もれさせない為の処置だ。多少息苦しくはなるだろうがな。」

 

八幡「......何から何まで......ありがとうございます。」

 

常務「そのような立場だ。入社式では紹介する事になる。覚えておきなさい。」

 

八幡「......はぁ?」

 

常務「聞こえなかったか?」

 

八幡「いや、聞こえましたけど......はぁ、何言っても無駄なんすよね。」

 

常務「なかなかわかってきたじゃないか。頼んだぞ。」

 

八幡「......はい。」

 

 

 てな事があり、常務......もとい専務のすぐ隣に座っている。後ろにいっぱい役職者がいるのにぃぃぃぃ......

 重役さんたちが次々と紹介されていく......

 

司会者「続きまして、アイドル事業部専務取締役 美城美咲。」

 

 立ち上がって一礼する専務。......様になってんな......つーか専務の名前美咲って言うのか......初めて知ったわ。

 

司会者「続いて同事業部専務付き Project Kroneプロデューサー ヒキタニ八幡」

 

 あ?誰だよヒキタニって。間違えんな。腹たつな......まあ、式を止めるわけにも行かんか......

 立ち上がろうとするが専務に止められる。

 

専務「君はヒキガヤだ。間違った名での挨拶は必要ない。」

 

八幡「い、いいんすか?」

 

専務「構わない。」

 

 後ろにいるおっさんになにやら伝える専務。そして司会者の元へ走るおっさん......

 

司会者「し、失礼しました。改めてご紹介します。アイドル事業部専務付き Project Kroneプロデューサー 比企谷八幡。」

 

 今度はちゃんと立ち上がり一礼。そして着席。会場は若干ざわついている。そらそうだ。誰もこんな若造がクローネのプロデューサーだとは思わんだろう。

 

専務「間違えた紹介は不快だが、これで君の顔は一気に知れ渡ったな。」

 

八幡「......嬉しくないっすよ。」

 

 紹介の進むなか小声で話す。いつのまにか専務と仲良しになってんな......

 

 

 全体の式も終わり、続いて場所を変えて部署ごとの集まりがある。......当然専務の隣に座ってます。はい。ほ、ほかのPさんからの視線が痛いよぉぉぉぉ......

 アイドル事業部の新入社員は19名。9名がアシスタントとなり、10名は事務員とのことだ。

 まずは専務からの有難いお言葉をいただき、続いて今西部長。その後は各プロジェクトのプロデューサーが紹介されていく。

 ......次は武内さんだ。楽しみ......

 

司会者「CPプロデューサー 武内駿輔。」

 

武内「はい。武内です。みなさん、よろしくお願いします。」

 

 ブホッ!みんなビビってる!ウケるんですけど!1人椅子から転げ落ちてるし!

 紹介は続いていき最後に俺だ。

 

司会者「最後に入社式でも紹介しましたが、Project Kroneプロデューサー 比企谷八幡。では比企谷さん、こちらで一言お願いします。」

 

 ......は?聞いてないよ?何のこと?専務......その「できるだろう?」とでも言いたげなドヤ顔やめて!すっげえ腹たつから!

 仕方ない......やりますか......

 返事をしつつ、壇上へ向かう。

 

専務「やらかしてこい。」

 

 !!!!マジっすか......なら......

 

八幡「......専務付きProject Kroneプロデューサーの比企谷八幡です。先に言っておきます。私は皆さんより年は下の大学生でアルバイトです。」

 

 ざわつく新入社員たち......

 

八幡「ですが、そんなものは関係ありません。私たちのやることは、担当するアイドル達をいかに輝かせて、笑顔になってもらうかです。学歴なんてもんは、その辺の犬にでも食わせておけ。」

 

 唖然としてんな......ここに来るくらいだ。優秀なところを出て、それ相応のプライドも持っているのだろう。

 専務!そんなニヤニヤしないで!

 

八幡「アイドルが生きるも死ぬも俺たち次第だ。変なプライド持ってると足元救われますよ。共倒れしたくなかったら......腹括って下さい。以上です。」

 

 一礼して席に戻る。

 鳴り響く3人の拍手。

 

 ......専務と部長。それと武内さん。

 全く......この人たちは......

 

司会者「あ、ありがとうございました。」

 

 遅れてパラパラと拍手が起きる。

 ......これは嫌われたな。

 

 

 

 紹介も終わり、新入社員は研修室へ移動。俺たちは通常業務に戻る。

 

専務「比企谷君、いい挨拶だった。」

 

八幡「聞いてないっすよ。」

 

専務「言ってないからな。」

 

 意地の悪い顔をして笑う専務。......腹たつな!プンプン!

 

武内「私も良かったと思います。」

 

八幡「武内さんまで......てか、やらかしてこいって言ったの専務ですからね?俺は悪くない。」

 

専務「だが言ったのは君だ。自分の言葉に責任は持て。」

 

八幡「きたねえ......」

 

今西「いい先制パンチだよ。高学歴を鼻に着せる子も少なくないからね。」

 

武内「はい。そうですね。」

 

今西「いい抑止力になるんじゃないかな?」

 

専務「ええ。いい出だしです。それと比企谷君、君のアシスタントとなる者の資料だ。見ておきなさい。」

 

八幡「はい。ありがとうございます。」

 

 んじゃ、とりあえず戻って見てみますかね......

 

 

 

 クローネPR内のプロデューサールーム。新しい俺の城だ......これでやっと落ち着いて仕事ができる......でき......る?

 

周子「八幡くーん。おなかすいた〜ん。」

 

八幡「......」

 

志希「ハスハスハスハス......」

 

奏「あら?いいソファね。」

 

唯「ホントだ!フカフカ〜♪」

 

フレデリカ「今日のおやつはパフェの気分だね〜♪」

 

文香「......いい......お部屋ですね。」

 

ありす「本を読むのにもちょうどいいです。」

 

奈緒「春休みの宿題が......」

 

加蓮「ネイル変えよっかな......」

 

八幡「......」

 

卯月「八幡さん、はいお茶です!」

 

八幡「お、おう。サンキュ。......なんでみんないんの?」

 

全員「......え?」

 

八幡「いや、え?じゃないから。ここプロデューサールームだよ?俺の部屋だよ?君らはあっち。おわかり?」

 

奏「いいじゃない。減る物でもないし。」

 

奈緒「そうだそうだ!一人でこんな部屋使うなんて、先輩のクセに生意気だぞ!」

 

八幡「お前はジャイアンか!んなこと言ってるともう勉強教えてやんねえぞ。」

 

奈緒「......せ、先輩の部屋にピッタリだなぁ。あははは......」

 

志希「ハスハス......」

 

八幡「手のひら返し早えよ......ほれ、時間だぞ。はよレッスン行ってこい。」

 

9人「はぁい。」

 

八幡「奏と文香さんは少し残ってくれ。」

 

奏「??わかったわ。」

 

文香「......はい。」

 

 

 

八幡「まず1件目だ。明日LiPPSとアインフェリアの楽曲と歌詞が届く。」

 

奏「......早いわね。」

 

文香「......楽しみです。」

 

八幡「LiPPSは午前中に。アインフェリアは午後に楽曲の確認と打ち合わせをする。メンバーに通達しといてくれ。」

 

2人「はい。」

 

八幡「もう一件だが......これを見てくれ。」

 

 2人に封筒を渡す。......専務から預かった物だ。

 

奏「......誰?」

 

八幡「......研修明けから俺のアシスタントになるやつだ。」

 

文香「......真面目そうな......方ですね。」

 

奏「そうかしら?なんだか嫌な感じがするわね。気持ち悪いわ。」

 

 うわぁ......奏さん辛辣......

 

八幡「......俺も奏の意見に賛成だ。注意してほしい。些細な事でもいいから報告してくれ。」

 

2人「はい」

 

八幡「んじゃ、レッスン頑張ってな。」

 

文香「......はい。」

 

奏「行ってくるわ。」

 

 

 

卯月「......」

 

八幡「......どした?」

 

 真っ赤にした顔を両手で隠す卯月。......しっかり指の隙間から見ているのはお約束。

 

卯月「......か、かっこよくて......恥ずかしいです。」

 

八幡「......」

 

 か......かわええええええええええ!

 

八幡「そ、そうか。ありがとな。」

 

卯月「い、いえ......八幡さん......」

 

八幡「卯月......」

 

 卯月を抱き寄せる......相変わらずいい匂い......自然と唇に吸い寄せられて......

 

卯月「んむ......ちゅぱっ......ん......」

 

八幡「......はぁ......んむ......」

 

「バンっ」

 

唯「ごっめん‼︎忘れも......の......」

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

唯「......し、失礼しました〜!」

 

「バタン!......」

 

唯『きゃーーー!また見ちゃった!恥ずかしー!あの2人チョーラブラブじゃーん!』

 

 聞こえてるっての......

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

八幡「ここではやめないとな......」

 

卯月「......はい。」

 

 

 

 翌日のレッスンルーム。全員時間に遅れずちゃんと集まっている。......というかソワソワしている。

 

八幡「おう。ちゃんと集まってんな。」

 

5人「おはようございます!」

 

八幡「はい、おはようさん。準備すっから先に歌詞見ててくれ。」

 

 全員に渡していく。......どんな顔すっか楽しみだな。フヒッ!

 

美嘉「っ!!」

 

 美嘉は気づいたな?他はそうでもないが......奏は顔が少し赤くなってんな。隣にいる美嘉さんは真っ赤ですね。

 

八幡「よし、準備できたぞ〜。」ニヤニヤ

 

美嘉「ちょ!この歌詞!」

 

八幡「あん?なんか変なトコあったか?」

 

美嘉「ないけど......でも......」

 

八幡「んま、後から聞くから。先に曲いくぞ〜。」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

 さすがに曲が始まればすぐに集中すんだな......ふむ。前にも確認したがいい曲だ。

 

八幡「......どうだ?俺は結構気に入ってんだが。」

 

奏「いいわね。嫌いじゃないわ。」

 

美嘉「うん。なんか......オトナっぽい感じがする。」

 

フレデリカ「フレちゃんもスキー♪志希にゃんは〜?」

 

志希「志希にゃんも〜♪」

 

周子「うん。いいじゃーん。」

 

八幡「おし。曲はこれで行こう。あとは歌詞だが......美嘉?」

 

美嘉「これ......キ、キスとかチューばっかり......」

 

奏「あら?恥ずかしいの?」

 

美嘉「ち、ちがっ!」

 

周子「慌てちゃって〜。美嘉ちゃん意外とウブ?」

 

奏「でも、本当に多いわね。なに?私にして欲しいの?」

 

八幡「ちげえよ。お前はそうやってすぐにキスしようとしてくるが絶対にしない。だから本当は、されるのを待ってんじゃないかと思ってな。それをコンセプトに発注したんだ。」

 

奏「なっ!」

 

 途端に真っ赤になる。ホントこいつは攻められると弱いな。

 

フレデリカ「わお!奏ちゃんまっかっか♪」

 

志希「ホントだ〜♪照れちゃった?」

 

奏「そ、そんなわけないじゃない。それにしても、あなたは随分余裕なのね。」

 

八幡「まあな。別に俺が歌うわけじゃねえし。」

 

奏「そんなこと言って......本当はしたことあるから余裕なんでしょ?」

 

八幡「......ねえよ。ま、歌詞も特に問題なさそうだしこれでいいか?」

 

奏「いいんじゃない?」

 

八幡「美嘉は大丈夫か?」

 

美嘉「こ、こんくらい余裕だし?いいと思う。」

 

 全然余裕ねえじゃん......

 

八幡「じゃ、決まりで。これからはこれメインでレッスンしてくれ。トレーナーさんには伝えておく。リリースは来月頭だ。アインフェリアと併せてイベントも予定してっから、手抜くんじゃねえぞ。」

 

5にん「はいっ!」

 

八幡「んじゃ、よろしく。それと美嘉はウチのPR自由に出入りして構わねえからな。」

 

美嘉「うん。アリガト★」

 

八幡「おう、じゃな。」

 

 

 

奏「あれ......絶対してるわよね?」

 

周子「してるね。それも何回も。」

 

美嘉「相手......誰なんだろ......」

 

フレデリカ「ん〜......卯月ちゃん?」

 

志希「いつも卯月ちゃんの匂いしてるしね〜。そうなんじゃない?」

 

奏「......そういうことなのかしら?」

 

周子「八幡くんは読めないからね〜......」

 

美嘉「はあ......」

 

 

 

 そして午後。本日2度目の発表会。

 ......しっかり集まってますね。そして藍子は顔を赤くしてこっちをチラチラと......

 理由はアレだ。

 土産を持って行った時に聞いたんだが、勧誘してから立ち去る時に『愛してるぜ!』と藍子にむかって言ったらしい。......全然覚えてないんだが。

 そのせいか、「藍子って呼んでください八幡さん!」と言い寄られ、名前呼びにレベルアップしたのだ。......はい。やらかしました。

 ま、それは今は関係ないな......

 

八幡「うす。急で悪いな。」

 

美波「ううん。大丈夫。楽しみだな。」

 

八幡「期待しててくれ。んじゃ、まず歌詞な。曲もすぐにいくか?」

 

美波「うん。聞きたい。」

 

八幡「よし。じゃ、流すぞ。」

 

 驚け。お前たちからは想像できない曲だ。

 

「〜〜〜〜♪」

 

5人「っ!!」

 

 初っ端から食いついたな......

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

八幡「......いいだろ。」

 

美波「これを......私たちが?」

 

八幡「ああ。」

 

藍子「イメージが......」

 

相葉「全然違うね。」

 

文香「......できるでしょうか?」

 

ありす「不安です。」

 

八幡「......そうだな。だからこそだ。」

 

美波「......え?」

 

八幡「お前たちの共通点はな『自分なんかに』とか一歩引いてるところだ。それを今回払拭したい。お前たちがもう一歩先に進むためにな。」

 

相葉「もう一歩先に......」

 

八幡「そうだ。そしてこれはみんなへの応援歌だ。」

 

藍子「みんなへの応援歌......」

 

八幡「勇気を持てない人に、勇気を持ってもらうためのな。んで、道しるべとなるのが戦乙女であるお前たち5人だ。」

 

文香「......素敵ですね。嬉しいです。」

 

ありす「生き残れ......戦うよ......」

 

八幡「そうだ。戦うんだ。お前たちは戦乙女なんだからな。共に行こう。一歩先へ!」

 

5人「はいっ!」

 

美波「ホントに八幡君はすごいなぁ。いつもうまくのせられちゃう。」

 

文香「......はい。いつも......私たちに道を示してくれます。」

 

ありす「でも、甘えてばかりもいられません。一歩先に進むために。」

 

相葉「......みんなが羨ましいな。」

 

藍子「そうですね。」

 

美波「え?どうして?」

 

文あ「??」

 

相葉「私たちには、比企谷君みたいな存在はいなかったから。」

 

藍子「そうですね。八幡さんは暗い夜道でもしっかりと行き先を照らしてくれますから。」

 

相葉「比企谷君、誘ってくれて本当にありがとう!私頑張る!」

 

八幡「おう。頑張ろうな、相葉。」

 

相葉「むー......美波さんは?」

 

八幡「は?」

 

相葉「美波さんは何て呼んでるの?」

 

八幡「美波。」

 

相葉「文香さんは?」

 

八幡「文香さん。」

 

相葉「ありすちゃんは?」

 

八幡「ありす。」

 

相葉「じゃあ、藍子ちゃんは?」

 

八幡「藍子だが......なんなの?」

 

相葉「......私も夕美って呼んで。」

 

八幡「は?別になんd「やだ。」なんでだよ......」

 

相葉「夕美がいいな......」

 

 うぐっ......なんだこいつ......ちょっとときめいちゃったじゃねえか......

 

八幡「......はぁ、わかったよ。夕美。」

 

夕美「やった♪」

 

藍子「八幡さん浮気ですっ!夕美ちゃんにデレデレしてー!」

 

八幡「や、おかしいから。なんで藍子に怒られんの?つか浮気ってなんだよ......」

 

 ちょっとドキッとしちゃったじゃん!

 

藍子「え?そ、それは.....その......」

 

ありす「......お兄さん本当に浮気ですか?お姉さんに言いますよ?」

 

八幡「ま、待て!違うぞ!そんなことは決してない!」

 

美波「え?八幡君彼女いるの?」

 

 思わずありすと目を合わせる......どうしよう......

 

美波「も、もしかしてありすちゃんと......」

 

ありす「違います!」

 

八幡「ち、違うっての!......はぁ、いるよ。」

 

美波「そうなんだ......よしっ!私も頑張らなきゃ!」

 

夕美「まあ......いるよね......」

 

文香「......はい。八幡さんは......素敵な方ですから。」

 

藍子「......」

 

 なぜか藍子の魂が抜けている気がするが......まあ、気のせいだろう。

 

八幡「んじゃ、以上だ。ミーティングやる時なんかはウチを使ってくれてかまわん。自由に出入りしてくれ。」

 

4人「はいっ!」

 

 よし。今日のミッションクリアだ。どっちのユニットも失敗する気がしねえな。

 ......混成ユニット限定ライブなんかも面白いかも......各部署に自由に作ってもらって、人気順にCDデビューとか......武内さんに後で相談してみよう。

 

 

 

 

 さて......講義も終わったし、行きますか。

 荷物をまとめ、とぼとぼと歩く。

 

八幡「(今日武内さん時間あるかな......大丈夫だったらこの間の案を相談したいんだが......)」

 

??「せんぱ〜〜い!」

 

 ほら、呼ばれてますよ。

 

??「せんぱいってば〜!」

 

 早く返事してやれよ。可愛そうじゃねえか。

 

??「せんぱいっ!」

 

八幡「ぐえっ!」

 

??「ぐえって......相変わらずキモいですね......」

 

八幡「あ?なんだ一色か......は?一色?お前なんでこんなとこいんの?」

 

一色「なんでって......ここに入学したからに決まってるじゃないですか......」

 

八幡「ほーん......マジで?」

 

一色「ちょぉ頑張ったんですから!だから〜、ご褒美ください!」

 

八幡「え?やだよ。意味わかんねえ。」

 

一色「えー、いいじゃないですかぁ。可愛い後輩のためにも♪」

 

八幡「自分で可愛いとか言っちゃってるよ......ま、今日は無理だ。これからバイトあんだよ。」

 

一色「......ぶー。じゃあ、ない時付き合ってください。」

 

八幡「......わかったよ。」

 

一色「え?いいんですか?」

 

八幡「え?行かなくていいの?じゃあいk「ちょちょちょ!おねがいしまぁす♪」......あざとい。」

 

一色「あざとくないですぅ!」

 

八幡「......変わってねえな。」

 

一色「はい!これが私ですから!ところで、せんぱいってどんなバイトしてるんですか?」

 

 ......そういやコイツには言ってなかったな。つーか余計言えなくなったし......

 

??「......八幡さん?」

 

八幡「へ?あ、文香さんすか。おつかれです。終わりっすか?」

 

文香「はい......あの......そちらの方は......」

 

八幡「へ?」

 

 あ、一色の事忘れてた。......なんか口開けてアホヅラしてるし。ウケる。

 

八幡「ああ、高校の時の後輩です。」

 

一色「あ、あの!い、一色いろはです!クローネの、さささ鷺沢文香さんですよね!」

 

文香「......はい。知っていていただき......ありがとうございます。」

 

一色「綺麗......はっ!せ、せんぱいとはどんな......」

 

文香「八幡さんには......いつもお世話になってます。」

 

 言っても平気ですか?と文香さんが目で訴えてくる。......仕方ねえな。

 

八幡「一色。少し場所変えるぞ。」

 

一色「え?あ、はい。」

 

 

 適当に空いてる部屋に入り、一色に一枚の紙を渡す。そう、名刺だ。

 

一色「は?なんですか?」

 

八幡「見ればわかる。ただし、絶対に騒ぐな。」

 

一色「......わかりました。......346プロダクション アイドル事業部専務付き Project Kroneプロデューサー 比企谷八幡......ふぇ?」

 

八幡「俺の仕事だ。」

 

 俺と文香さんを交互に見る一色。なに?壊れたの?

 

一色「えええええええっ!」

 

八幡「バカっ!騒ぐなっての。」

 

一色「す、すみません。え?でも......えぇ?」

 

八幡「あんま他言出来る仕事じゃないんでな。黙っててすまん。」

 

一色「いえ......事情はわかりますから......」

 

八幡「助かる。」

 

一色「じゃあ、奈緒ちゃんも一緒......ですよね?」

 

八幡「おう。知ってんのか?」

 

一色「はい!よく奉仕部に来てましたから!」

 

八幡「そういや小町と仲良いって言ってたな......」

 

文香「......八幡さん、そろそろ......」

 

八幡「あ、すんません。んじゃ、一色、また後でな。」

 

一色「あ、はい。またです。」

 

 

 

 

一色「なんなんですか!なんなんですか!前よりカッコよくなってるし、アイドルはすぐ近くにいるし!むむむ......これは策を考えないとですね......」

 

 

 

 クローネのPRに入り、武内さんに連絡する。面白そうな案を思いついたので相談したいと伝えると、すぐにコッチに来ると言ってくれた。

 ホントええ人や......

 

 

八幡「急にすみません。」

 

武内「いえ。気にしないでください。」

 

 「どうぞ」と2人分コーヒーが出される......卯月に。......気にしたら負けだ。というか、最近ナチュラルにいすぎて全く気にならなくなって来ている。「ごゆっくり。」と一声かけて出て行く卯月。

 もうあれだ......嫁。あんな嫁なら大歓迎!じゃねえよ。企画の相談しねえと......

 

武内「......それで、案と言うのは?」

 

八幡「えっとですね、今俺の方で混成ユニットを2組立ち上げてるのは知ってますよね?」

 

武内「はい。新田さんもやる気に満ち溢れています。」

 

八幡「それで思ったんです。そんなユニットだけを集めたライブをやったら面白いんじゃないかと。」

 

武内「なるほど......具体的な内容はお決まりですか?」

 

八幡「ザックリですが。各部署から1組以上選出。ですが強制でなく参加は自由。ユニットの条件は自部署のメンバーを必ず入れる事。使用楽曲は新旧問わず346のモノならOK。既存ユニットでの参加は禁止。んで、最後に......お客様投票でトップ5になったユニットは順次CDデビュー。......です。」

 

武内「......素晴らしいです。ユニットの人数に指定はありますか?」

 

八幡「2人以上なら可くらいっすかね。」

 

武内「なるほど......これであれば皆さんにチャンスがありますね。」

 

八幡「はい。ただ、採点方法が思いつかないんすよ。どうせなら会場で順位も発表したいんで。」

 

武内「お客様も気になるでしょうから、当日発表は外せないでしょう。それともう一つ条件を加えませんか?」

 

八幡「どんなのっすか?」

 

武内「他部署の同一部署からは最大2名までとしませんか?自部署に関しては制限なしです。」

 

八幡「そうっすね。じゃないとCPやクローネが......」

 

武内「多く狙われるでしょうから。」

 

八幡「その条件、いただきます。」

 

武内「はい。こちらの案はすぐに提出を?」

 

八幡「そうっすね。この流れが熱いうちに一発ぶち込みたいんで。」

 

武内「いいと思います。私もお手伝いさせていただきます。」

 

八幡「よろしくお願いします。」

 

 

 武内さんにも協力してもらえる!こんなありがたい事はない。

 ......楽しみになってきた。でもまあ......まずは企画書作んねえとな。

 

 よーし!頑張るぞい!



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25話√卯月

八幡「......」

 

専務「......」

 

 1枚、また1枚とめくられていく企画書。そう。先日の案をまとめ、現在専務に確認してもらっている。

 正直言って企画内容には自信がある。だが、相手は専務だ。何を言ってくるかは読めない......

 

専務「......」

 

八幡「......」

 

専務「いいだろう。」

 

八幡「ありがとうございます!」

 

専務「そうだな......次の企画会議は君も参加しなさい。この企画をプレゼンしてもらおうじゃないか。」

 

八幡「......へ?」

 

 ちょっと待て。確かそれ部長以上のお偉いさんしか出ないやつじゃ......

 

専務「なんだ?聞こえなかったのか?」

 

八幡「いや、聞こえてますけど......それお偉いさんしかいないやつですよね?」

 

専務「そうだな。私付きである君の実力を見せつけてやれ。」

 

八幡「......大学休まなきゃっすね。」

 

専務「すまないが、今回はそうしてくれ。」

 

八幡「......はい。」

 

 ......予想外の事態だ。まさかこんなとんでもない事を言ってくるとは......まあ、仕方ない。......専務だし。

 

八幡「では、企画会議の件承知しました。」

 

専務「頼んだ。」

 

八幡「......専務、一つお願いがあるんですが......」

 

専務「......言ってみなさい。」

 

八幡「はい......24日の日曜日なんですが......休みいただけませんか?」

 

専務「......なぜだ。」

 

八幡「その......誕生日なんです。......卯月の。」

 

専務「......」

 

八幡「......」

 

専務「......ぷっ!」

 

八幡「なぁっ!」

 

 くっそ!笑う事ねえじゃん!俺だって恥ずかしいんだっての!

 

専務「君も可愛い事を言うのだな。......いいだろう。」

 

八幡「あ、ありがとうございます!」

 

専務「ふふっ......幸せそうで何よりだ。だが、前にも言ったが十分に注意しなさい。」

 

八幡「はい。心得てます。」

 

専務「では、いきなさい。」

 

八幡「はい。失礼します。」

 

 会議は不安だが、やるっきゃないな。一応武内さんに相談しよう。注意点とか諸々聞いとかないとな......

 それにしても......24日休みもらえてよかったぁぁぁぁ!これでもらえなかったら卯月絶対泣くもんな。それだけはダメ!ゼッタイ!

 もう今から楽しみでしょうがないぜ!いやっほい!」

 

女性「(ビクッ)ひっ!」

 

八幡「......」

 

女性「(ペコリ)」スタタタ......

 

八幡「......」

 

 ......やっちまったぁぁぁぁ!まさか声に出てたとは......うぅ、いっそ殺してくれ......いや、ダメだ。卯月のためにもまだ死ねん!恐れるものは何もない!頑張れ俺!負けるな俺!

 

 ......また黒歴史が......ぐすん。

 

??「あの、大丈夫......ですか?」

 

 あん?大丈夫?......ああ、崩れ落ちて四つん這いでしたね......

 

八幡「お、おう。一応大丈夫だ。」

 

??「なら良かったです!」

 

八幡「すまん、心配かけた。えっと......」

 

??「乙倉悠貴、CPの2期生です。よろしくお願いします!」

 

八幡「お、おう。よろしく。クローネプロデューサーの比企谷八幡だ。」

 

乙倉「あなたがあの比企谷さんですか!」

 

八幡「そ、そうだが......何?知ってんの?」

 

乙倉「はい!それはもう!先輩方が毎日のように話してますから!」

 

八幡「そ、そうか......なんか恥ずかしいな。」

 

 あいつら......変な事言ってねえだろうな......

 

八幡「今ちょうどCPに行こうと思ってたんだが......武内さんいたか?」

 

乙倉「はい!いました!」

 

八幡「そっか、ありがとな。んじゃ、頑張れよ。」なでなで

 

乙倉「ふぁ......」

 

 んじゃ、ちょっくら言ってみますかね。そういや、事務所が引っ越してからは行くの初めてだな......

 

八幡「(すたすた)」

 

乙倉「(ちょこちょこ)」

 

八幡「......」

 

 なんかついてきてんな......

 

八幡「(スタスタスタッ)」

 

乙倉「ぁっ(ちょこちょこ......)」

 

 ......なんでついてきてんの?ま、いいや。

 

 CPの新PRに着き、前の癖でそのまま入る。

 

八幡「(あ......俺今部外者だったわ......ま、いっか。)......うーす。」

 

??「......え?誰?」

 

八幡「す、すまん。前のk「あー!はっちゃんにゃ!」おう。久しぶり......でもねえな。」

 

みく「早くこっちくるにゃ!」

 

八幡「......おう。」

 

 アシスタントから外れても歓迎してくれんだな......うっ......目から汗が......

 

みく「はっちゃん今日はどうしたにゃ?」

 

 バカ......先に紹介しろっての。

 

八幡「おい、順序が違うだろ。」

 

みく「順序?」

 

八幡「......はぁ、クローネのプロデューサーの比企谷です。急に入ってきてすんません。」

 

みく「あっ......」

 

??「え?いえ、べ、別に......はっ!2期生の水木聖來......です。」

 

八幡「敬語いいっすよ。多分俺のが年下なんで。」

 

水木「そ、そう?なら遠慮なく。で、いくつなの?」

 

八幡「19です。」

 

水木「うっそ......全然見えない......」

 

乙倉「え⁉︎そんなに若かったんですか⁈」

 

八幡「え?なに?俺そんなに老けて見える?マジで?アンチエイジング必要なの?SKⅡ頼んだ方がいい?」

 

水乙「ぷっ!」

 

水木「な、何この人......面白すぎる......」

 

乙倉「(プルプル)SKⅡって......」

 

みく「も、もう馴染んでるにゃ......」

 

八幡「それはそうと......おい、みく。」

 

みく「な、なんにゃ......」

 

八幡「紹介もしねえで話し出すってのはどう言う了見だ?」

 

みく「うっ......」

 

八幡「......」

 

みく「......ごめんなさい。」

 

八幡「......お前ももう先輩なんだ。しっかりしろ。」

 

みく「......はい。」

 

水木「さっきと雰囲気が......」

 

乙倉「全然違います......」

 

八幡「気いつけろよ。」なでなで

 

みく「わ、わかったにゃぁ〜」

 

水木「か、顔がふやけた......」

 

乙倉「あのなでなですっごく気持ちいいんですよ......」

 

八幡「あ、武内さんいるか?」

 

みく「プロデューサールームにいるにゃ。」

 

八幡「そか。んじゃ、行ってくるわ。」

 

みく「いってらっしゃいにゃ!」

 

 

 

水木「ねえ、みくちゃん。彼が噂の?」

 

みく「そうにゃ!」

 

水木「......不思議な人だね。」

 

みく「うん......いつもみくたちを守ってくれたCPみんなのお兄ちゃん。」

 

乙倉「お兄ちゃん......」

 

みく「一緒に笑ってくれて、苦しんでくれて。時には怒ってくれて......泣いてくれて......何かあれば自分を犠牲にして守ってくれて......」

 

水木「みくちゃん......」

 

みく「はっちゃんがいたから今のCPがあるにゃ。」

 

水木「......凄い人だね。」

 

乙倉「はい......」

 

みく「だからみくもはっちゃんに誇れるアイドルになりたい。......ううん。ならなきゃ。それがはっちゃんへの恩返し。」

 

乙倉「みくさん......」

 

水木「......みくちゃん、かっこいいね。」

 

みく「にゃっ⁉︎」

 

水木「スカウトされてなんとなくここに来たけど......私も見つけたい。」

 

みく「うん!一緒に本物見つけるにゃ!」

 

乙倉「本物?」

 

みく「うん!これもはっちゃんの受け売りだけどね。」

 

水木「本物か......」

 

乙倉「比企谷さんか......」ポッ

 

みく「にゃっ!だ、ダメにゃ!はっちゃんにはうd「おい、みく。何言おうとしてんだ?」......は、はっちゃん......」

 

八幡「みくにゃん、お兄さんに教えてくれるかな?何を言おうとしてたんだい?」

 

みく「にゃ、にゃんでもにゃいにゃ......」

 

八幡「レッスン3倍1ヶ月じゃ足りないか......みくにゃんは真面目だなぁ......3ヶ月に延長するか?それともネコミミNGがいいか?」

 

水乙「(ガタガタ)」

 

みく「す、すみませんでした!」

 

八幡「......次はねえぞ。」

 

みく「は、はいぃぃぃ!」

 

水乙「(比企谷さん怖すぎ(です)っ!)」

 

 

 

 そろそろくる頃か......

 新入社員研修が終わり、アシスタントが配属されてくる。資料での印象は最悪。だが、実際に会ってみないとなんとも言えない。

 さて、吉と出るか凶と出るか......

 

「コンコンコン」

 

 きたな......

 

八幡「どうぞ。」

 

事務員「失礼します。」

 

アシスタント「失礼します。」

 

事務員「比企谷プロデューサー、新入社員お連れしました。」

 

八幡「ありがとうございます。あとはこちらで引き受けますので。」

 

事務員「よろしくお願いします。では、失礼します。」

 

 事務員さんは出て行った。さあ、どうだ?

 

八幡「......」

 

アシスタント「......高町隆也です。よろしく、比企谷君。」

 

八幡「......比企谷八幡です。ま、とりあえずウチのアイドル紹介しますわ。」

 

高町「うん。頼むよ。」

 

八幡「......」

 

 ......ダメだ。いや、でもまだ早いか。あいつらを見る目で判断だな。

 今日はアシスタントがくることになっていたため、全員待機させている。

 

八幡「おう、みんな集まってくれ。」

 

 凛とアーニャを除く全員集合。だってあの2人はCPだもんね!

 

八幡「あー、今日配属になった......高......高なんとかさんだ。」

 

全員「ブッ!」

 

高町「ひ、酷いなあ。さっき自己紹介したじゃないか。高町隆也です。『東大』を出てここにきました。みんなよろしく。」

 

 うわぁ......東大アピールしたよ......コイツ俺が言った事覚えてねえの?

 しかもみんなのコイツを見る目......何?汚物でも見てんの?ちょっと酷すぎるわよ?

 全員順に自己紹介していく......たった一言苗字だけ。......ヤバイ。ウケる!

 

高町「比企谷君、2人足らないみたいだけど、どうしたんだい?」

 

八幡「いや、あいつらはCP所属ですから。」

 

高町「そうか......なら、あとで紹介してよ。」

 

八幡「ま、そっすね。そのうち。」

 

 ......馴れ馴れしい。

 

高町「それで、比企谷君「ちょっといいかしら?」......なんだい?

 

奏「アシスタントさん、八幡さんはあなたの上司よ。比企谷君なんて呼び方は失礼だと思わないのかしら?最低でもさん付けで呼ぶべきだと思うわ。」

 

高町「......確かにそうだね。ありがとう奏c「速水です。」......速水さん。それと、僕のことは隆也でいいからね?」

 

奏「わかりました。アシスタントさん。」

 

高町「......」

 

 ......ダメだ!面白すぎる!今にも吹きそう!

 

八幡「......ブフっ」

 

 吹いちゃった。てへっ。

 

高町「っ!ひ、比企谷......さん。どうしたんだい?」

 

八幡「い、いや、べちゅに......ぷっ!」

 

高町「......」

 

 ......みんなも笑いそうじゃねえか!いっそのこと笑っちまえよ!楽になるぞ!

 まあ、無理だわな。とりあえず......

 

八幡「高町さん、あなたのデスクはあれです。」

 

高町「あそこ......なのかい?」

 

八幡「......何か?」

 

高町「いや、君と同じ部屋じゃないのかな?」

 

八幡「あそこはプロデューサールームなんで。俺だけです。」

 

高町「そ、そうか......彼女たちはいつもどこに?」

 

八幡「ここっすよ。」

 

高町「そうか!わかったよ!」

 

 ああ......ダメだ。コイツアイドル漁りにきたただのバカだわ......こりゃみんな......気づいてんな。志希なんて鼻つまんでるし......ハンカチ貸してやるか......

 

八幡「......志希。ほれ。」

 

志希「!!ハスハス......幸せ〜♪」

 

高町「......」

 

八幡「ま、しばらくは簡単な書類っすね。」

 

高町「どんどん任せてくれていいよ!」

 

八幡「や、いいです。ぶっちゃけ今はただのお荷物なんで。」

 

高町「なっ!」

 

全員「ぷっ......」

 

八幡「ま、そのうち分かりますよ。そだ、これだけは絶対に何があっても、守ってください。」

 

高町「な、なんだい?」

 

八幡「俺の指示は絶対守ること、勝手な行動はしないこと。それと......」

 

全員「(ビクッ!)」

 

八幡「ウチのアイドルに手ぇ出すんじゃねえぞ。あんたの見え透いた考えなんざお見通しだ。わかったな?」

 

高町「は......はひ......」

 

八幡「......んじゃ、解散。」

 

 あ、放心してら......つーか漏らしてるし......これはすぐに辞めるな。下手すりゃ明日来ないんじゃね?ま、とりあえず部屋に戻りますか。

 

 

 

八幡「......で、なんで全員ここにいんの?」

 

志希「え〜、だって臭いも〜ん。」

 

八幡「臭いって......え?なに?どっちが?」

 

志希「どっちも〜。キミのハンカチがなかったら倒れてたかも〜♪ハスハス......」

 

ありす「確かに、すごく気持ち悪かったです......」

 

文香「ありすさん......大丈夫ですか?」

 

ありす「......はい。」

 

 ......よろしくないな。コイツらのメンタル面に影響が出ちまう。専務に相談するか......

 

卯月「......八幡さん、外の人......誰ですか?それになんだか臭いが......」

 

八幡「アシスタントだ。まあ臭いは......アレだ。外のヤツがアレしてな........」

 

卯月「アレって......あっ!」

 

八幡「そういうわけだ。」

 

卯月「......何があったんですか?」

 

奏「彼が本気で怒ったのよ......」

 

卯月「あ、あははは......」

 

八幡「ま、気にすんな。どうせすぐ辞める。」

 

卯月「そうなんですか?」

 

八幡「多分な。けど別にいいんじゃね?なんかアホっぽいし。」

 

卯月「八幡さんがいいならいいんですけど......あまり無理しないでくださいね?」

 

八幡「おう。サンキュ。」なでなで

 

卯月「八幡さん......」ぎゅー

 

全員「......」

 

奏「......甘いわね。」

 

周子「......うん。」

 

唯「......バレバレじゃん。」

 

 

 

 高町の件は念のため専務に報告。アレしたところも本人にキッチリ掃除をさせた。少しの間様子を見てダメそうなら他部署に飛ばすらしい。その為、事務員を保険で採用する事となった。

 いい人材がいれば連れて来いと言う言葉とともに......まあ、いるっちゃいるが......なあ?

 

八幡「......はぁ。」

 

一色「ちょっと、せんぱい。私と一緒にいて溜息とか酷くないですか?」

 

八幡「あ?いや、それもあるが、それだけじゃない。」

 

一色「それもあるって......本気で酷いですね......」

 

八幡「考えても見ろ。何が悲しくて休みの日にお前に付き合わにゃならんのだ。まあ、俺も買うもんあるからいいけど。」

 

一色「買うもの?はっ!まさか私の入学祝いですか?今更ですけど嬉しいですどうせならサプライズが良かったですけど気持ちは本当に嬉しいので是非くださいごめんなさい。」

 

八幡「......俺なんでフラれてんの?意味わからん。ま、今更お前にフラれても何とも思わんがな。」

 

一色「くっ!随分と余裕ですね。アイドルに囲まれてるからって調子にのってるんですか?」

 

八幡「んなわけねえだろ。お前に何回フラれたと思ってんだ。いくらなんでも耐性つくわ。」

 

一色「なるほど......そう言う事ですか......」

 

八幡「んで、どこ行くの?帰る?」

 

一色「来て早々帰宅を提案しないでください。今日は目一杯付き合ってもらいますから!」

 

八幡「......つっても夕方だけどな。」

 

一色「いいんです!こういうのは雰囲気なので。嬉しいですよね?こんなに可愛い子とデートできるんですから!」

 

八幡「は?これデートなの?」

 

一色「違うんですか?」

 

八幡「......ダメだ。帰る。」

 

一色「え?ちょ!待ってくださいよ〜。」

 

八幡「なんだよ......」

 

一色「意味わかんないです!なんでいきなり帰るんですか!」

 

八幡「......あいつ以外とデートはできん。」

 

一色「えっ......」

 

八幡「俺は......あいつを裏切りたくない。」

 

一色「......わかりました。デートじゃなくていいですから。お買い物付き合ってください。」

 

八幡「......おう。」

 

 非常に気まずい......もしかして......もしかするのん?いやいや、コイツに限ってそれはない。......はず。

 そうだよ!前も言ってたじゃねえか。デートの練習って。くそ......変に意識した俺が悪いんじゃねえか......

 一色に悪いことしちまったな......お詫びと言っちゃなんだが、なんか買ってやるか。

 

一色「せんぱい!これどうですか?」

 

八幡「おー。世界一似合ってるよー。」

 

一色「ホント適当ですね......あ!これ可愛い!......うげっ。」

 

八幡「あん?それ気に入ったんか?」

 

一色「はい......でもちょっと高くて......」

 

八幡「いくらすんだよ......」

 

一色「これです......」

 

 まあ、確かに学生には辛い額だわな。

 

一色「......はぁ、諦めます。」

 

八幡「いいのか?」

 

一色「次の機会で。はぁ......私もバイトしなきゃ......」

 

 あん?今なんつった?バイト?......確かコイツ、事務仕事得意だったよな......聞いてみるか。

 

八幡「なあ、一色。」

 

一色「はい?」

 

八幡「お前、事務仕事とか得意だったよな?」

 

一色「バカにしないでください!2期連続で生徒会長は伊達じゃありません!」

 

八幡「アムロかよ......じゃなくてだな、やるか?バイト。」

 

一色「ふぇ?」

 

八幡「素でそれ言うんだな......まあ、お前がよければだが。」

 

一色「......何のバイトですか?」

 

八幡「......クローネの事務員だ。」ニヤリ

 

一色「......は?」

 

八幡「なんかムカつくな......まあいい、やる気があるなら採用してやる。」

 

一色「えっ?それっ!......ホントですか?」

 

八幡「おう。権限は持ってるからな。」

 

一色「ち、ちなみに時給は......」

 

八幡「......だ。ま、俺は倍以上だがな。リスクとしては、縛りが強いのと、土日はほとんど潰れることだ。」

 

一色「でも休めないわけじゃないんですよね?」

 

八幡「あたり前だ。」

 

一色「......お願いします!」

 

八幡「おう。んじゃ履歴書準備出来たら連絡しろ。」

 

一色「はい!」

 

 よし。いい人材が手に入った。奈緒もいるしすぐ溶け込めるだろう。......加蓮に悪影響を及ぼさないか心配ではあるが......

 まあ、うまく育ててコイツをアシスタントに......

 我ながらゲスい考えだ。げへっ。

 

 

 

 あれから数日後、一色の採用が正式に決まった。

 そして今日が初出勤日。先ほど専務にも挨拶は済ませた。かなりビビってはいたが......

 ちなみにアシスタントは未だに来ている。おとなしくしているので特に害は無い。......意外と図太いのな。

 

八幡「すまん。みんなちょっと集まってくれるか?」

 

 クローネメンバー全員+卯月とアシスタントが集結。......ツッコミは無しだ。

 

八幡「今日から事務員が増える。今から紹介するわ。一色、来てくれ。」

 

 プロデューサールームから出てくる。目に見えて緊張してんな。

 

八幡「ほれ、挨拶。」

 

一色「は、はい。一色いろは大学1年です。よ、よろしくお願いします!」

 

奈緒「いろは先輩⁉︎」

 

奏「え?どういう事?」

 

八幡「俺の後輩で奈緒の先輩だ。2期連続で生徒会長やるくらい優秀なんでな。事務員として拾ってきた。」

 

奈緒「拾ってきたって......」

 

八幡「ま、奈緒もいるし馴染みやすいと思ってな。」

 

奏「そういうことね。八幡さんの紹介なら安心できるわね。よろしくね、一色さん。」

 

一色「い、いろはでいいですよ。一色って呼びにくいので。」

 

奏「なら私も奏でいいわ。いろはさん。」

 

一色「はい!奈緒ちゃんもよろしくねっ。」

 

奈緒「は、はいっ!」

 

八幡「......あざとい。」

 

加蓮「アレを見てるから効かなかったのか......」

 

八幡「加蓮、見習うなよ?」

 

加蓮「はーい♪」

 

八幡「......不安だ。」

 

卯月「は、八幡さん大丈夫ですか?」

 

八幡「おう......卯月は癒されるなぁ......」なでなで

 

一色「せ、せんぱいがデレデレしてる......」

 

周子「こんなもんじゃないよーん。あ、アタシシューコね。」

 

一色「はい。シューコさん。」

 

 そして自己紹介は続く......つーかさすがはコミュ力旺盛な一色。すでに馴染んでんな......

 それにしても卯月は可愛いのう。また腕に絡みついてきて......最近この重みが安心するんだよな......

 

卯月「いろはさん、可愛いらしい方ですね!」

 

八幡「あ?お前の方が全然可愛いだろ。」

 

卯月「もうっ!は、恥ずかしいですぅ......」

 

一色「......」

 

八幡「あ?どした?」

 

一色「......ホントにせんぱいですか?」

 

八幡「は?何言ってんの?お前。俺じゃなかったらなんなんだよ......」

 

一色「いや、前と変わりすぎですって......」

 

八幡「そうか?んな気はしねえけどな。」

 

一色「まあ、いいです。ところで、卯月ちゃんは、なんでせんぱいにずっとくっついてるんですか?」

 

卯月「え?」

 

凛「いつものことだから。気にしない方がいいよ。」

 

一色「え?いつも?」

 

奏「そうね。もうすっかり慣れたわ。」

 

八幡「......もうバレてんだろ?」

 

奏「バレてないと思ってるのだったら神経を疑うわ。」

 

八幡「だよな。えっと、高......高......」

 

高町「高町です。」

 

唯「まだ覚えてなかったんだ......」

 

一色「せんぱいって、どうでもいい事一切覚えませんから......」

 

唯「うわぁ......」

 

八幡「高町さん、これから言うことは他言無用です。言ったら首が飛ぶと思ってください。」

 

高町「ひゃいっ!」

 

八幡「ま、ちゃんと言っとくわ。俺と卯月は付き合ってる。黙ってて悪かったな。」

 

奏「別にいいわよ。見てればわかることだし。」

 

周子「だよね〜。」

 

凛「みんなに伝えたって事は、もう一切手加減しなくていいって事だよね?」

 

八幡「まて、それは違う。」

 

凛「ヤダ、またない。」

 

一色「ち、ちょっと待ってもらえますか?」

 

凛「なに?」

 

一色「......せんぱいのことが好きなアイドルって何人いるんですか?」

 

凛「この部屋には卯月を含めて4人?他にもいるけど。」

 

一色「4人⁉︎だ、誰ですか!」

 

加蓮「アタシと......奈緒もだっけ?」

 

奈緒「あ、あたしは別に......先輩のことなんか......」

 

一色「......せんぱい、いつからハーレム野郎になったんですか?」

 

八幡「あ?なってねえよ。俺は卯月一筋だ。」

 

卯月「は、八幡さん......」ぎゅー

 

一色「あぁ!またそんなに!」

 

奏「......あなたもね?」

 

八幡「あー、集結つかなくなるから終わりだ。バラしたら唯と同じ目に合うから覚悟しとけ。」

 

奈緒「え?あの鬼レッスンて罰だったの⁉︎」

 

唯「た、たまたま見ちゃってね〜。あはは......」

 

4人「教えて(ください)!」

 

唯「む、無理!言ったら1年間5倍になっちゃう!」

 

3人「うわぁ......」

 

一色「??」

 

八幡「ほれ、終わりだ。レッスン行く準備しろ。」

 

全員「はいっ!」

 

一色「せんぱいの一声で......」

 

八幡「一色。今日はレッスン見学して来い。なんならやってきてもいいぞ。」

 

一色「見学にしまぁす!」

 

八幡「......凛、ひん剥いてレッスンさせろ。」

 

凛「うん。わかった。ほら、いろは行くよ。」

 

一色「ちょ!待って!せんぱぁ〜〜〜〜ぃ......」

 

奈緒「......鬼だ。」

 

 ま、なんとかうまくやってけそうだな。一色は何だかんだ優秀だし。

 直近で考えなきゃならんのは2組のデビューイベントだな......あれの返事が来てくれれば最高なんだが......

 まあ、いくつか手は打ってあるし、待つのみか。

 

高町「あの......比企谷さん......」

 

八幡「はい?」

 

高町「師匠と呼ばせてください!」

 

八幡「......断る。」

 

 うわぁ......コイツ変態だったんだ......



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26話√卯月

 きた......ついにきた......

 デビューとしては最高の舞台だ!

 

八幡「いよしっ!!」

 

 ......思わず叫んじゃった。てへっ!

 

「バンッ」

 

奏「八幡さん!何かあったの!」

 

 ありゃ、叫んだから心配したみたいだな......

 

八幡「いや、大丈夫だ。......奏、LiPPSのメンバー全員集めてくれ。」

 

奏「え?ええ。わかったわ。」

 

 不思議そうにしながらも出て行く奏。今からその顔を驚きで染めてやる......フヒッ。

 

高町「あ、あの......師匠......何かあったんですか?」

 

八幡「お前に師匠と呼ばれる筋合いはない!」

 

高町「ヒィッ!す、すみません!し......比企谷さん!」

 

八幡「ま、ちょうどいいっすね。一色呼んでここで待機してください。」

 

高町「はいっ!直ちに!」

 

 敬礼って......お前どこの軍人だよ......

 つーかあいつ変わりすぎだろ。変わりすぎ?ああ、変態だったわ......

 

卯月「八幡さぁ〜ん♪」だきっ

 

八幡「おう。レッスン終わったのか?」

 

卯月「はいっ!」

 

八幡「おつかれさん。」なでなで

 

卯月「えへへ......八幡さんいいにおい......」

 

 ぐふっ......最近卯月の可愛いさが増してきてる......おさまれ......俺のハチマン......

 

一色「失礼しまー......またイチャイチャして!なんなんですか!当てつけですか!せんぱいのくせにっ!」

 

八幡「あ?イチャイチャなんてしてねえよ。ただのスキンシップだ。」

 

卯月「えへへぇ♪」すりすり

 

八幡「......」

 

一色「......」

 

八幡「......すまん、してたな。」

 

一色「わかればいいんです。」

 

高町「さすが師匠......勉強になります!」

 

八幡「馬鹿言ってねえで違う事勉強しろ。」

 

高町「はひゃいっ!」

 

一色「ぶふっ......」

 

 ダメだ......変なのばっか集めちゃった......八幡失敗しちゃった☆てへっ!......キモいな。

 まあ、変人だらけのクローネだ。変人じゃなきゃ対応できんだろ。......って俺も含まれちゃうじゃん!え?何?俺が変人筆頭なの?あ、筆頭は専務ですね。喜んで譲ります。

 

奏「おまたせ。全員集めてきたわよ。」

 

八幡「おう、サンキューな。んじゃ、聞いてくれ。LiPPSのデビューステージが決まった。」

 

奏「あら?私たちだけなの?」

 

八幡「いや、アインフェリアも決まっているが、発表は後日にする。で、ステージなんだが、実はさほど大きくはない。だが宣伝効果は絶大だ。さて、ここから導き出される答えは何でしょう。」

 

周子「んー、お店のイベントステージ?」

 

八幡「違う。」

 

美嘉「まさか......」

 

八幡「言ってみ。」

 

美嘉「もしかして......テレビ出演?」

 

7人「っ!!」

 

八幡「正解。毎週金曜日午後8時。」

 

奏「......え?」

 

周子「嘘でしょ......」

 

フレデリカ「それはちょっと......」

 

志希「笑えないかな〜......」

 

美嘉「アレに出られる......」

 

八幡「346プロ初だ。」

 

5人「......」

 

一色「せんぱいが......」

 

高町「ここまで優秀だったなんて......」

 

卯月「さすが八幡さんです!皆さんも頑張ってください!」

 

周子「ど......どどどどうしよう!今からもうっ!」

 

 どどどって......工事でもしてんの?

 

フレデリカ「やばい〜緊張する〜......」

 

志希「初ステージがテレビ......」

 

 志希でも不安になるんだな。少し安心したわ......

 

奏「怖いわね......」

 

美嘉「......サイッコー!八幡さん、ホントありがとう!」

 

 さすが美嘉だな。ここ一番は頼りになる。美嘉を入れて正解だった。

 

奏「美嘉......」

 

美嘉「だって!私たちが認めてもらえたって事だよ!346初はプレッシャーだけど、成功すれば......」

 

4人「っ!!!」

 

奏「一気に全国区......デビューして間もない私たちの最高のチャンス......」

 

美嘉「そう!怖いけど......八幡さんがいる!」

 

周子「そーだね。八幡くんがいる!」

 

フレデリカ「んー。大丈夫だね〜♪」

 

志希「うんうん♪キミがいれば問題なし〜♪」

 

奏「やりましょう。最高のデビューを最高のステージで!LiPPS行くわよ!」

 

5人「ファイトー!オーーーーー!!!!」

 

一色「......す、すごいです。」

 

高町「これが本気になった彼女たち......」

 

八幡「いいか、当日はリハ後に一発勝負の生放送だ。気合い入れてけ。」

 

5人「はいっ!」

 

八幡「さらにプレッシャーをかけるようで悪いが、お前たち次第で今後346プロが呼ばれるかも大きく変わってくる。看板背負ってんだ。それを忘れるな。」

 

5人「はいっ!」

 

一色「せんぱいまで別人に......」ポッ

 

高町「......これがプロデューサー。僕は......」

 

八幡「わかりましたか?」

 

高町「......はい。」

 

八幡「俺たちは遊びでやってんじゃねえんだ。前にも言ったが、アイドルを生かすも殺すも俺たち次第。生半可な気持ちでここにいるんなら辞めちまえ。必要ない。」

 

一色「せんぱい、いいs「いろはさん、大人しくしてください。」卯月ちゃん......」

 

八幡「高町さん。どうするかはあんたが決めてくれ。」

 

高町「......師匠、いえ、比企谷プロデューサー。自分に......プロデューサーとは何かを教えてください。お願いします。」

 

八幡「俺は教えん。自分で見て学べ。そこから自分なりのプロデュース法を確立させろ。」

 

高町「はいっ!」

 

八幡「疑問があれば聞いてくれていい。」

 

高町「はいっ!お願いします!師匠!」

 

八幡「俺は師匠じゃない!」

 

7人「ぶっ!」

 

高町「なっ!しょんなぁ。ししょぉ〜。」

 

八幡「よ、寄るな気色悪い!」

 

高町「ひ、ひどいです〜。」

 

八幡「ヒィィィィィ!」

 

美嘉「あ、あんたたち......ぷっ......おかしすぎ......」

 

周子「だ......だめ。お腹よじれる......」

 

奏「......まったく......ぷっ......緊張感ないわね。」

 

八幡「お前も笑ってんじゃん......」

 

卯月「みんな笑顔ですね!」

 

八幡「......だな。高町さん、さっきは教えないと言いましたが、これだけは教えておきます。」

 

高町「な、何でしょう?」

 

八幡「......アイドルは笑顔です。」

 

高町「アイドルは......笑顔......」

 

八幡「さっきのこいつら最高じゃなかったっすか?」

 

高町「......はい。最高に良かったです。もっと見たいと思いました。」

 

八幡「ですよね。こいつらが笑えばお客さんも笑う。でもその笑顔が偽物じゃダメなんです。『本物』の笑顔だからこそファンも笑ってくれて喜んでくれる。俺はそう思ってます。」

 

一色「本物......」

 

高町「本物の笑顔......はい。この言葉、

絶対に忘れません。師匠名言集の第1項として記しておきます!」

 

八幡「え?何?そんなもんあんの?」

 

高町「いえ!これから作ります!」

 

7人「ぶふっ......」

 

八幡「よし。書いたらもってこい。シュレッダーにかけてやる。」

 

高町「なっ!ひどいです!」

 

八幡「ひどいのはあんたの頭だ!取っ替えてこい!」

 

高町「僕ア○パンマンじゃないですよ!」

 

八幡「それは顔だ!」

 

周子「も......もうやめて......お腹が......」

 

八幡「おい、周子に謝れ!」

 

高町「僕だけっ⁈」

 

奏「そうよ高町さん、早くして。」

 

高町「速水さんまで⁈」

 

 こいつどうなるかと思ったが、案外大丈夫そうだな。

 

 

 アホだけど。

 

 

 

 

 その後も高町に変な言動は......あるが、業務には差し支えない。......ない?物覚えは悪くないらしく、同じ事は聞いてこないので楽な部分だ。......アホだけど。変態だけど。

 一色も俺が教えるのがめんど......俺が教えるよりちひろさんに教わった方が確実なのでお願いしている。

 もちろん快く引き受けてくれた。『快く』ここがポイントだ。決してエナドリなど買わされていない。

 もちろんあいつらだけでなく、俺にも超えるべき山はあった。アレだ。企画会議。

 出席者は社長やらなんやらお偉いさんのみ。緊張したよぉ......まあ、通ったんだけどね。しかも満場一致で。

 専務は当然とばかりに踏ん反りかえっていた。いや、ならあんたがプレゼンやれよって真面目に思ったね。うん。まあ、仕方ない。......専務だし。

 そして本日は、待ちに待った俺のお休みである金曜日。先日買えなかった物を学校帰りに買いに来ている。......千葉に。そう。千葉にだ。もう一度言おう。千葉にだ。誰にも会いたくなかったから千葉に来たのだが......

 

八幡「どうしてこうなった......」

 

加蓮「え?何のこと?」

 

八幡「......何でお前いんの?」

 

加蓮「待ってたからかな?」

 

八幡「え?何で今日ここに来るって知ってんの?エスパーなの?堀より凄えじゃん......」

 

加蓮「そこは愛の力って事で。」

 

八幡「怖えよ。愛の力怖えよ。いや、マジで何で知ってんの?」

 

加蓮「奈緒に聞いたの。妹の小町ちゃん?に聞いたんだって。」

 

 そういや小町にはここに寄るから遅くなるって話したな......

 

八幡「オーケーわかった。奈緒が小町に聞いたのはいいだろう。だがなぜそれをお前が知っている。」

 

加蓮「奈緒を尋も......奈緒が勝手に話してくれたの。」

 

八幡「待て。今尋問て言おうとしなかったか?」

 

加蓮「んー......何のこと?」

 

八幡「いや、無理あんだろ......はぁ......まあいい。んじゃ、俺用あるからこれで。」

 

加蓮「うん。」

 

 さて、改めて行きますか......

 

八幡「(スタスタ)」

 

加蓮「(トコトコ)」

 

八幡「(スタスタスタ......)」

 

加蓮「(トコトコトコ......)」

 

八幡「......何で着いてくんの?」

 

加蓮「??方向がたまたま一緒なだけでしょ?」

 

八幡「......お前どっち?」

 

加蓮「んー......コッチ?」

 

八幡「そうか。俺はk「あ、コッチだった。」......お前な。」

 

加蓮「たまには......八幡さんと2人きりでいたいな......」

 

八幡「......一色に何を教わった。」

 

加蓮「先生?別に何も?」

 

 先生って言っちゃってるし......

 

八幡「......はぁ。先に買い物させてくれ。そのあとなら付き合ってやるから。」

 

加蓮「うん!ありがとっ!」だきっ

 

八幡「だ、抱きつくな!」

 

加蓮「えー。卯月だけずるい。」

 

八幡「あいつはいいんだよ。......特別だからな。」

 

加蓮「じゃあ、今はアタシが特別って事で♪」

 

八幡「......あざとい。」デコピン

 

加蓮「イタっ!も〜!八幡さんひどい!」

 

八幡「お前が悪い。ほれ、早く行くぞ。」

 

 歩き出すとしっかり着いて来る。左腕に絡みついて......加蓮の事情は本人から以前聞いた。

 身体が弱く、中学まで入退院を繰り返していた事。そのせいで勉強にもついていけなかった事。さらには......友達がいなかった事。そして少し自暴自棄になってしまっていた事。

 それを聞いているせいか、加蓮に甘えられると、つい甘やかしてしまう。よくないとは思うが、強く出ることもできない。はぁ、どうしたもんか......

 と、考えながら歩いていると目的地に着いていた。

 

八幡「お、ここだ。」

 

加蓮「え......ここ?」

 

八幡「おう。入るぞ。」

 

加蓮「う、うん。」

 

 やって来たのは少しお高い装飾品のお店。物の種類は決めているがデザインはまだだ。どれがいいかね......

 

店員「いらっしゃいませ。言っていただければお出ししますので、お声がけください。」

 

八幡「あ、はい。どうも......」

 

店員「(にこにこ)」

 

八幡「......」

 

加蓮「......」

 

 や、やりずれぇぇぇぇ!あっち行ってよ!見ないでよ!恥ずかしいじゃん!

 

店員「彼女さんへのプレゼントですか?」

 

八幡「え、ええ、まあ。」

 

店員「とっても可愛らしい方ですね。」

 

 は?こいつ卯月のこと知ってんの?って、

違うな。......見てんの加蓮だし。

 

加蓮「彼女......アタシが八幡さんの彼女......」

 

 コッチはコッチでトリップしてるし......ま、今なら気付かれないか......

 

店員「こちらはいかがでしょう?お似合いだと思いますが。」

 

八幡「ふむ......」

 

 淡いピンクの細めのベルトに、丸型の少し小さめの文字盤。文字盤を囲うフレームはピンクゴールド。いいな......これなら卯月にもピッタリだ。

 

八幡「じゃあ、コレお願いします。」

 

店員「かしこまりました。包装はいかがしますか?」

 

八幡「お願いします。」

 

店員「では、ご準備が出来ましたらお声がけしますので、少し店内を見てお待ちください。」

 

八幡「......はい。」

 

 うむ。意外とあっさり決まったな。ありがとう店員さん。また何かあったらお願いします。

 

加蓮「アタシが......」

 

八幡「......おい、帰ってこい。」デコピン

 

加蓮「イタっ!あ、あれ?」

 

八幡「おう、お帰り。」

 

加蓮「ただいま?ってあれ?店員さんは?」

 

八幡「今包んでもらってる。少し見て待ってくれだとさ。」

 

加蓮「ならアタシ、イヤリング見たい!」

 

八幡「おう。でも意外だな。」

 

加蓮「え?何が?」

 

八幡「お前ピアスじゃないんだな。」

 

加蓮「......身体に自分から傷をつけるのは......ちょっとね。」

 

八幡「......大事にしろよ。」なでなで

 

加蓮「なでなで初めて......コレ好き......ねぇ、もっと......」

 

八幡「......また今度な。」

 

加蓮「......なんで?」

 

八幡「店員さん見てるから。」

 

加蓮「あっ!......あぁぁぁぁぁ......」

 

店員「仲がよろしいですね。おまたせしました。お会計はあちらでお願いします。」

 

八幡「うす。んじゃ、行ってくるから待っててな。」ポンポン

 

加蓮「......」

 

加蓮「......好き......大好き。」ボソッ

 

 

八幡「おう。またせた。」

 

加蓮「......うん。行こ。」

 

 うん?なんか様子が......やけに顔が艶っぽいというか......とろけてる?

 腕もずっとさすってるし、息も荒い......

 

八幡「......おい、大丈夫か?」

 

加蓮「......うん。早くイこ。」

 

 ......なんかエロいな。

 

八幡「お、おう。わかった。」

 

加蓮「はぁ......いいにおい......」

 

 なんかマズイ気がする......でも......いつもより可愛いな......い、イカン!俺には卯月がいるんだ!こんな時は戸塚を......いや、卯月を数えよう。卯月が1人、卯月が2人......おぉ、天国だ......

 

加蓮「ね、八幡さん。アソコ寄ってこ?」

 

八幡「......お前まだあんなもんばっか食ってんのか?」

 

加蓮「ねぇ、いいでしょ?」

 

八幡「......わかったよ。」

 

加蓮「やった♪」

 

 いい笑顔ですね......ハンバーガーショップ行くだけなのに。

 この後は散々引っ張りまわされた......

 しかも家まで送らせられるし......車で。

 

 なんで帰ってきたのにまた東京行かなきゃならんのだ......

 

 

 

 

 今日は楽しかったな......

 自室のベッドの上で今日の事を思い出す。

 初めて八幡さんを独り占めできた......

 卯月の彼氏で凛の好きな人......コレまでは我慢してたけど......

 

 もう我慢できない......

 彼の匂い......温もり......離したくない......

 

加蓮「あ......んん......」

 

 あの頭をなでられた感触......

 

加蓮「あんっ......んぁ......」

 

 八幡さん......

 

 好き。大好き......愛してる......

 

加蓮「!!!!!!」

 

 アタシだけをみて......

 

 

 

 

 

 4月24日 日曜日。

 俺の大切な人の誕生日。

 本来なら2人きりでどこかへ行きたいところだが、彼女の立場上ヘタなところへは行けない。何かあってからじゃ手遅れだからな......

 そんなわけで俺は来ている。卯月の家に。手土産を持って。

 あとはこの呼び鈴のボタンを押すだけ.......

 

 押すだけ......

 

 押すだけなのだ。

 

 緊張するよぉぉぉぉぉぉ!

 だ、だが、押さないわけにはいかない!

 

 い、いz「八幡さん!」

 おぉ.......俺の気配に気づくとは......さすが卯月。

 

八幡「......お、おう。おはよう、卯月。」

 

卯月「おはようございます!どうぞ、あがってください!」

 

八幡「あ、ああ。」

 

 卯月の家にあがるのは2度目。だが、今回は緊張感が違う.......前回はうづママだけだったが、今回はうづパパに加えお祖母様までいらっしゃる......

 これって......いわゆるご挨拶ってやつなんじゃ......

 

八幡「お、おじゃまします。」

 

卯月「はい!どうぞ!」

 

 用意されたスリッパを履いて卯月の後について行く。この先に3人が......

 

うづママ「いらっしゃい。八幡君。さ、こちらにどうぞ。」

 

うづパパ「......君が比企谷君か。」

 

八幡「ひ、比企谷八幡です。む、娘さんとお付き合いさせていただいてます。あ、こちらつまらないものですが。」

 

婆ちゃん「おやおや、わざわざありがとうね。いい男じゃない。礼儀も正しいし。今日はゆっくりしていきなさい。」

 

八幡「あ、はい。ありがとうございます。」

 

 おばあちゃんには好印象のようだが、お、お父様が怖い......あれか、小町に対する父ちゃんみたいなもんか......娘はやらん!的な......

 「ここです♪」と卯月に促されたところに並んで座る。今日もいい匂い......

 

うづママ「さ、はじめましょう。」

 

うづパパ「それでは、ゴホンッ!卯月、18歳の誕生日おめでとう。」

 

3人「おめでとう!」

 

卯月「ありがとうございます!パパママ、おばあちゃん。それに、八幡さん......とっても嬉しいです!」

 

 笑顔が眩しい......俺の大好きな卯月の笑顔。無意識にじっと見つめてしまう。

 

卯月「は、八幡さん......恥ずかしいです.......」

 

八幡「す、すまん。」

 

うづママ「あらあら、見せつけてくれるわね。」

 

うづパパ「......」

 

ばあちゃん「曽孫の顔を見るのも近いかねぇ......」

 

うづパパ「っ!!ま、まだ早い!」

 

卯月「お、おばあちゃん!」

 

八幡「は、はは......」

 

 このばあちゃんいきなりぶっこんできたな!!本気でビビるわ!

 

うづママ「でも八幡君がもらってくれるなら安心ね。優秀だし、将来有望だし。」

 

うづパパ「ほ、ほう。君は大学生だったな。どこに通っているんだい?」

 

八幡「あ、早○田です。」

 

うづパパ「な......なかなかいいところに、い、行っているじゃないか?だ、だが、私立大学となるとご両親も大変だね。」

 

八幡「あ、いえ。最初は仕送りをもらっていましたが、今は学費も含めてバイト代でやりくりできています。」

 

うづパパ「は?い、いや。無理だろう。バイトでやりくりなんて......それに仕送りと言っていたが、君は一人暮らしかい?」

 

八幡「いえ。妹と2人です。両親は海外にいますので。それに生活も無理でもないです。」

 

うづパパ「......どんなバイトを?」

 

八幡「あ、すみません。......私こういう者です。」

 

 立ち上がって、必殺名刺渡し。

 

うづパパ「346プロ......卯月のところでプロデューサー......学生で?」

 

八幡「はい。2人の部下に協力はしてもらってますが。」

 

うづパパ「......部下までいるのか。卒業後はそのまま就職を?」

 

八幡「ええ。専務に確約をいただいてます。」

 

うづパパ「......結婚はいつするんだ?」

 

卯月「パパ!いきなりけ、結婚なんて!結婚.......えへへへぇ......」

 

うづママ「あらあら、気が早いわね。さっきまで娘はやらん!なんて言ってたのに。」

 

うづパパ「い、いいじゃないか。それにこんなに立派な息子ができるんだ。嬉しいさ。」

 

うづママ「さ、卯月。私達のことは気にしなくていいからお部屋に行きなさい。あとでケーキ持って行くから。」

 

卯月「うん。八幡さん、こっちです。」

 

八幡「おう。では、失礼します。」

 

うづママ「ごゆっくり。そうだ卯月、ちょっといらっしゃい。」

 

卯月「??」

 

 ......卯月とママンがコソコソ話していらっしゃる。なんなのん?

 

 

 

うづママ「卯月、はいこれ」

 

卯月「??っ!!マ、ママ!」

 

うづママ「声は抑えるのよ?」

 

卯月「そ、そんなこと......」

 

うづママ「ほら、八幡君待ってるわよ。」

 

卯月「う、うん......」

 

 

卯月「い、行きましょう。」

 

八幡「お、おう。」

 

 なんか顔が赤いが......なんだ?

 

 

 

 

 

 八幡さんと私のお部屋で2人きり......

 

 な、何をお話ししたらいいんでしょう!

 どうしましょう.......こんな経験なくて......しかもママがこんなの渡してくるから......わわわ私エッチな子じゃありません!

 でも八幡さんとなら.......

 

 はっ!だ、ダメです!はしたないです!

 

八幡「......卯月、大丈夫か?」

 

卯月「へ?は、ひゃいっ!大丈夫れす!エッチな事なんか考えているません!」

 

八幡「は?エッチな事?てか、いるませんて......」

 

卯月「あ、あの、その.......ま、ママが......」

 

 さっき渡された包みを八幡さんに渡してしまいました......

 

八幡「グハッ......」

 

卯月「だ、大丈夫ですか⁉︎」

 

八幡「だ、大丈夫だ......だが、思った以上の破壊力だな......」

 

卯月「あ、あははは......その......八幡さんも......やっぱりしたい......ですか?」

 

八幡「そりゃ......す、好きなヤツとは......その......し、したい。」

 

卯月「そ、そうですよね......」

 

 ど、どうしましょう.......今日初めてを......

 

八幡「だがな、焦る必要はないんだ。俺たちは俺たちのペースで進んでいけばいい。」

 

卯月「八幡さん......」

 

 やっぱり八幡さんは優しいです。大事にしてくれているのがわかります。

 

八幡「卯月......」

 

 もう何度目かわかりませんが.......八幡さんとのキスは大好きです。とても優しくて気持ちいい.......幸せな気分になれるキス。

 

卯月「......んむ.......ん......んんっ!」

 

 は、八幡さんの舌が.......

 

卯月「......ん......ぁぁ、ちゅる......」

 

 だ、ダメ.......なんだか頭がぼーっと......気持ちいい......

 あ.......終わっちゃった......

 

卯月「......もっと......してください......」

 

 あれ?口が勝手に......

 

八幡「......おう。」

 

 違うんです......違わない......あれ?わかりません......もう、全部八幡さんに......ママに見られてても......え?ママ?

 

卯月「ん〜〜〜〜!!」

 

八幡「ぷはっ......どうした?」

 

卯月「ま......」

 

八幡「ま?」

 

卯月「ママ!いつから見てたの⁉︎」

 

八幡「んなっ!!!!」

 

ママ「えっと......2人が舌w「やっぱり言わないで!」......あらそお?2人ともすごいわね。見てるこっちg「もういいから!」......ケーキと紅茶持ってきたから。ではごゆっくり♪」

 

 見てるなんてマナー違反です......ぐすん。

 

八幡「......すまん。全く気づいてなかったわ......」

 

卯月「わ、私もです......」

 

八幡「......とりあえず、これもらうな。」

 

卯月「は、はい。どうぞ。」

 

八幡「......」

 

卯月「......」

 

 は、恥ずかしいですぅぅぅ!さっきまでどうしてたんでしょう。うぅぅぅ......覚えてません。ケーキも食べ終わっちゃいましたし......

 

八幡「あー、その......これ、もらってくれ......」

 

卯月「......え?」

 

 いきなりすぎです!心の準備が......

 

八幡「大したもんじゃないんだが......」

 

卯月「ありがとうございます!......開けても......いいですか?」

 

八幡「......おう。」

 

 八幡さんのことです。きっとステキな......え?う、腕時計?確かこの贈り物の意味って......

 

卯月「......」

 

八幡「気に入らなかったか?」

 

 違うんです。嬉しくて......

 

卯月「(フルフル)」

 

 声に出せないんです。とっても嬉しいです。もう......涙がとまりません。

 

卯月「......嬉しいです。」

 

 やっと言えました。

 

八幡「......なら良かった。」

 

 これだけは確認しておきたいです......

 

卯月「勘違い......しちゃいますよ?」

 

八幡「......いや、そのままの意味だ。あとでちゃんと言うから。......待っててくれ。」

 

卯月「はいっ!」

 

 嬉しいです!嬉しいです!こんなに嬉しい事初めてです!

 

卯月「八幡さん!」

 

 思わず抱きついちゃいました!

 

八幡「おわっ!」

 

卯月「きゃっ......」

 

 いたた......2人して転んじゃいました......え?こ、この状況......

 

八幡「卯月......」

 

卯月「八幡さん......」

 

八幡「......いいか?」

 

卯月「......はい。」

 

 島村卯月。

 

 

 

 

 

 

 

 

 八幡さんに......

 

 

 

 

 

 

 

 

 私のすべてを捧げます......

 

 

 

 

 

 

 

 隣で眠っている卯月の髪を撫でるように梳く。汗を結構かいていたようでいつもとは違った感触。

 俺の腕を枕にし、ぴったりとくっついてスヤスヤと眠る姿は、とてつもなく可愛い。......写真撮っておこう。パシャリ。

 おぉ......素晴らしい一枚が撮れた......

 

卯月「んん......」

 

 もぞもぞと動く。おそらく寝やすい位置を探しているのだろうが......

 可愛い。とてつもなく可愛い。

 

卯月「......八幡しゃん......スー......」

 

八幡「......」

 

 襲っちゃうよ?

 もう一回襲っちゃうよ?

 さっきからお山様がおもいっきりあたってるし、俺のハチマン君も臨戦態勢だからね?

 だが、ダメだ。まず第一にアレがない。そんな無責任な事はできん。それに卯月も初めてだったしな。無理はさせられない。

 

 しちまったな......ゆっくりでいいなんて言っておきながら......何が理性の化け物だ。

 でもアレだ。凄く幸せだ。好きなヤツとこう......抱き合うってのはすごいもんだな。今まで以上に愛おしくなった。大切にしていきたいって思う。

 ......ホントに可愛いな。キスくらいなら......いいよな?」

 

卯月「......はい。」

 

八幡「うぇ⁉︎」

 

卯月「......」

 

 卯月が待っている。いわゆるキス顔と言うヤツだ。......パシャリ。

 

卯月「ええ⁉︎」

 

八幡「あ......」

 

卯月「なんで撮ってるんですか!」

 

八幡「えっと......つい?」

 

卯月「むー......消してください。」

 

八幡「それはできん!この写真は毎朝拝むと決めたんだ!」

 

卯月「ダメです!」

 

八幡「こら!暴れるな!今俺たち服着てねえんだから!」

 

卯月「あっ......」

 

 バレてしまった......

 

卯月「ま、まだ......その......大きいままなんですね......」

 

八幡「......まあな。」

 

卯月「その......しちゃいましたね。」

 

八幡「俺たちのペースなんて言っておきながら......すまん。」

 

卯月「いいえ。嬉しかったです。その......凄く幸せな気分でしたし....................す。」

 

八幡「......すまん。最後聞こえなかった。」

 

卯月「......き、気持ちよかったです......」

 

八幡「......な、なら良かったわ。その......身体、大丈夫か?」

 

卯月「はい!大丈夫です!」

 

八幡「よかった。」

 

卯月「えへへ♪八幡さん、大好きですっ!」

 

八幡「俺もだよ。」

 

 グッと卯月を抱きしめる。伝わってくる卯月の体温が心地いい......ずっとこうしていたいくらいだ。だがそうもいかない。

 写真を撮った時に時間を確認したが、結構な時間眠っていたようで、そろそろ帰らないとよろしくない。

 

八幡「......そろそろ帰らないとな。」

 

卯月「え?もうそんな時間ですか⁉︎」

 

八幡「おう......ほれ。」

 

卯月「早いですね......まだ一緒にいたいです......」

 

八幡「......また今度な。」

 

卯月「......はい。」

 

八幡「んじゃ、とりあえず服着ようぜ。」

 

卯月「はい。その......目、閉じててもらえますか?」

 

八幡「お、おう。」

 

 

 

 

 2人とも元の姿に戻り、帰り支度をする。

 ご家族の皆さんに挨拶をすると、妙に温かい目で見られた。......バレてますね。

 玄関まで付き添われて今日はお別れ。名残惜しいが仕方ない。

 卯月の家を出て、駅までとぼとぼと歩いていく。......さっきまでずっとくっついていたせいか、虚無感がハンパない。心底アイツに惚れているんだなと再確認出来てしまうほどだ。

 

 いつになるかはわからんが......

 

 ちゃんと伝えよう。

 

 あの言葉を。



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27話√卯月

 LiPPSのメンバーにテレビ出演を伝えて丁度一週間。アインフェリアのメンバーにも、デビューステージは同じ番組に出演だと伝えた。

 さすがに全員驚いていたが、美波と文香さんと言う頼りになるリーダーたちがしっかりとメンバーをまとめてくれる。や、ホントに頼りになります。

 これまで情報を一切外に出さないようにしてきたため、比企谷は何をしていると噂になっていたが、それも今日までだ......

 全社にメール展開......

 

 くらえ!泣け!叫べ!そして、し......おっといけない。

 

 内容としては、346初出演、2週連続出演、特設ステージ対応などなど。

 ふふふ......俺を馬鹿にしたやつらめ、後悔するといい。

 さて、気分もいいしマッ缶でもあおりに行くか。

 

 

 フンフンフフーン♪

 今日は天気もいいし庭園にしよう。つーか、庭園行くのも久しぶりだな......劇団未央以来か?

 ま、せっかくあるんだ。たまには行かんと勿体無いしな。あの角を曲がればすぐ庭園でs「きゃっ!」......やべっ!見てなかった!

 

八幡「す、すんません!大丈夫っすか?」

 

??「はい。あっ......八幡さん......」

 

八幡「さ......佐久間か......」

 

佐久間「まゆ......ですよ?名前で呼んでください。前にも言ったじゃないですか......」

 

八幡「お、おう。そうだったな......」

 

 こいつ苦手なんだよな......狂気じみてるっつーか......とにかく怖い。

 

まゆ「八幡さん、まゆの事......立たせてもらえますか?」

 

八幡「お、おう。」

 

 差し出された手を握り引き起こす。なんでわざわざ......

 

まゆ「きゃっ」

 

 え?なんでそこでつまずくの?つまずく要素ないよね?明らかにおかしいよね⁈

 

八幡「おっと......大丈夫か?」

 

まゆ「はい......また助けてくれましたね。」

 

八幡「そ、そうだな。」

 

まゆ「まゆ......嬉しいです。八幡さん......まゆの......まゆだけの王子さま......」ぎゅぅ

 

 ヒィィィィィ!怖い怖い怖い!マジ怖い!

 

八幡「ま、まあ、怪我もないみたいでよかったわ......」

 

まゆ「心配までしてくれるんですね......」

 

八幡「ところで......いつまでこの体勢なんですかね?」

 

まゆ「ごめんなさい。つい嬉しくて......」

 

 よ、ようやく離れた......何で離れぎわに胸をさわるんだよ......

 

八幡「じ、じゃ、俺行くとこあるから。」

 

まゆ「はい。頑張ってくださいね。」

 

八幡「お、おう。サンキュ。」

 

 

 

 

まゆ「......他の女の子の匂い......私の八幡さんに手を出してるのは.....誰ですか?」

 

 

 

 

 まゆから逃げてようやく庭園に到着。......マジ怖かった。なるべく関わらないようにしてるんだが、結構な頻度でエンカウントするんだよな......

 ま、いいか。とりあえず今はm「八幡さーん!」......あん?今度は誰だよ。

 

加蓮「八幡さんこんなところにいたんだ。」

 

八幡「おう。さっき来たんだ。んで、どしたの?」

 

加蓮「さっきから比企谷はーとか比企谷がーってよく聞くから......何かあったのかなって。」

 

 あのメールの件だな......

 

八幡「ああ、多分さっき送ったメールだろ。」

 

加蓮「メール?」

 

八幡「おう。LiPPSとアインフェリアのデビュー内容を通達したんだよ。」

 

加蓮「へぇ......どんな内容?」

 

 あ、こいつらにも言ってなかったんだっけ......忘れてた。てへっ。

 

八幡「アレに出るんだわ。金曜の8時からやってる音楽番組。1組ずつ2週連続でな。」

 

加蓮「うそ......」

 

八幡「すまんな。言うの忘れてたわ。」

 

加蓮「いいけど......やっぱり八幡さんはすごいね......」

 

八幡「んな事ねえよ。全部アイツらが頑張ってきた成果だ。」

 

加蓮「ちゃんと見てくれてるんだね。ね、アタシの事は?」

 

八幡「お前だってちゃんと見てるよ。」

 

加蓮「......嬉しい。」ぎゅ

 

八幡「お、おい。離れろ。」

 

加蓮「いや。......いい匂い......幸せ。」

 

 こいつこの間からどうしたんだ?え?何?甘え期なの?

 

加蓮「ね、八幡さん。アタシには何かないの?」

 

八幡「何かっつってもな......考えは無くもないが......」

 

加蓮「何!教えて!」

 

八幡「......混成ユニット限定ライブがある。」

 

加蓮「いつ!」

 

八幡「夏を予定してる。まだ通達はされてないが、この前企画は通った。ウチからは加蓮、奈緒、唯の誰か1人を選出する予定だ。」

 

加蓮「......1人だけなの?」

 

八幡「ああ。クローネだから当たり前なんて言わせねえようにな。」

 

加蓮「......八幡さん、アタシを使って。」

 

八幡「......やけに気合い入ってんな。」

 

加蓮「トライアドの中じゃアタシは凛と奈緒の陰に隠れちゃってるし、クローネでも何もできてない。でも、そこで成功できれば......」

 

八幡「......選ばない2人にはソロデビューしてもらうつもりだが......いいのか?」

 

加蓮「......うん。アタシにはソロは早いから。まずはユニット内で一番輝いて見せる。」

 

八幡「......わかった。だが、これはまだ誰にも言うな。いいな?」

 

加蓮「うん。ありがとう。八幡さん。アタシを......アタシの事......ちゃんと見ててね......」

 

八幡「(ゾクッ)......あ、ああ。」

 

加蓮「嬉しい......アタシの......八幡さん......」

 

八幡「......」

 

 

 

 加蓮の様子が最近おかしい。何があったのかはわからんが......今度凛と奈緒に聞いてみるか。

 ま、それよりも今日はアレだ。LiPPSの初ステージ。

 少し早目に局に行き、スタッフには挨拶を済ませた。

 

高町「き、緊張しますね.....」

 

八幡「ま、そうですね。」

 

高町「......そうは見えないんですけど。」

 

八幡「こっちがそれを見せたら、あいつらが余計に緊張するでしょうが。あいつらに無駄な面倒はかけられん。」

 

高町「なるほど......勉強になります。」

 

八幡「ま、そのうち慣れるでしょう。」

 

高町「やっぱりステージを経験されてる方は違いますね。」

 

八幡「......なんで知ってる。」

 

高町「はひゃい!ク、クローネの皆さんに、舞踏会の映像を見せてもらいました!」

 

 うわぁ......アレ残ってたんだ......つーか何で持ってんだよ!

 

八幡「......忘れろ。」

 

高町「いえ!忘れません!師匠の勇姿は脳内に保存して、いつでも再生できるようにしてあります!」

 

 何それ!気持ち悪っ!

 

八幡「......殴ればデリートできんの?」

 

高町「や、やめてください!」

 

八幡「今度ふざけた事言ったら、背中から金属バット出てくるからな?」

 

高町「どこの日◯野さんですか!」

 

 あん?こいつ知ってんの?結構古いよ?

 

八幡「フライパンのが好みか?」

 

高町「ハレ◯ヤー!どっちもダメです!」

 

美嘉「......あんたたち何やってんの?」

 

 あ?美嘉?......あ、いつの間にか楽屋前だったのねん。

 

八幡「一緒にすんな。変なのはこいつだけだ。」

 

美嘉「それもそっか。」

 

高町「ひどい⁉︎」

 

八幡「うるせえよ。息の根止めんぞ。」

 

高町「そこ普通口塞ぐですよね!」

 

八幡「似たようなもんだろ?」

 

高町「全然ちg「美嘉、みんな中にいるか?」しかもシカト⁉︎」

 

美嘉「いるよ〜。みんないい感じっ★」

 

高町「城ヶ崎さんまで⁉︎」

 

八幡「んじゃ、入るか。」

 

美嘉「うん!」

 

高町「......ひどい......」

 

 さてさて、美嘉はいい感じと言っていたがどうだろう。

 

八幡「うーす。」

 

美嘉「ただいま〜。」

 

奏「2人ともおかえりなさい。」

 

八幡「おう。戻ったが......また行くぞ。奏。」

 

奏「え?私?」

 

八幡「おう。共演者の先輩方に挨拶だ。」

 

奏「......そうね。大事なことだわ。」

 

八幡「頼んだ。それと、美嘉。」

 

美嘉「なに?」

 

八幡「志希の様子がおかしい。注意してくれ。」ボソボソ

 

美嘉「うそっ!全然わかんない......」

 

奏「......気づかなかったわ。」

 

八幡「口数が少ないし、顔色も若干悪い。多分過度な緊張からだな。」

 

美嘉「わかった。やってみる。」

 

八幡「頼んだぞ、先輩。」

 

美嘉「うん。任せて。」

 

高町「そんなことまで......凄い。」

 

八幡「んじゃ、行くか。」

 

奏「ええ。」

 

 

 

 

奏「ごめんなさい。全く気づかなかったわ。」

 

八幡「あ?気にすんな。お前だって自分の事でまだ精一杯だろ?」

 

奏「ええ......」

 

八幡「お前は『緊張してませんよ』って態度でいればいい。そうすりゃみんな安心出来るからな。」

 

奏「......わかったわ。本当にいつもありがとう。」

 

八幡「......人気者になって返してくれ。」

 

奏「ええ。必ず。」

 

 こいつはホントにいいリーダーだ。専務が選んだクローネの看板娘は伊達じゃねえな。

 

 

 

 共演者への挨拶も終わり、まもなくリハーサル。......志希の様子は正直思わしくない。美嘉も「ごめん。ダメだった。」と謝ってきたが、美嘉の責任ではない。なんとかすると美嘉に返して志希のもとへ。

 

八幡「......緊張するよな。」

 

志希「......」

 

八幡「ほれ。ハンカチ。」

 

志希「......スンスン......落ち着く。」

 

八幡「やっと喋ったな。」

 

志希「......ごめんなさい。」

 

八幡「なに謝ってんだ?」

 

志希「......迷惑かけてる。」

 

八幡「は?誰もんな事思ってねえよ。」

 

志希「......え?」

 

八幡「みんな通ってきた道だ。気持ちはわかる。」

 

志希「......キミも?」

 

八幡「おう。俺もな、一度だけステージに立ったんだ。」

 

志希「......え?」

 

八幡「冬の舞踏会でな。いきなりだ。事前連絡もなく、いきなり連れてかれて、ギター持って歌わされた。」

 

志希「......嘘でしょ?」

 

八幡「マジだ。あとで聞いてみろ。」

 

志希「......どうやって気持ち整えたの?」

 

八幡「整わねえよ。んな時間なかったしな。」

 

志希「じゃあ、どうやって......」

 

八幡「......開き直った。」

 

志希「へ?」

 

八幡「どうせ逃げられねえなら楽しんじまえってな。開き直った。」

 

志希「それだけ?」

 

八幡「おう。失敗したって死にはしねえしな。」

 

志希「何それ〜。」

 

八幡「だからな、お前も開き直って楽しんでこい。失敗したって誰も怒んねえから。」

 

志希「失敗してもいいの?」

 

八幡「かまわん。意識して笑顔がなくなる方が良くない。いつも通りの無邪気な笑顔見せてくれ。」

 

志希「いつも通り......」

 

八幡「なあ、志希。アイドル楽しいか?」

 

志希「うんっ!」

 

八幡「これからな、もっと楽しいぞ。」

 

志希「今より?」

 

八幡「おう。だからまずは今を楽しまねえとな。」

 

志希「......楽しんじゃっていいの?」

 

八幡「当たり前だ。お前が楽しまなくて誰が楽しむんだよ。」

 

志希「そっか〜。バカな事考えちゃってたかも〜。失敗しないようにとか、足引っ張らないようにとか?」

 

八幡「足なんか引っ張ってかまわねえよ。」

 

志希「いいんだ〜。」

 

八幡「おう。あいつらが引っ張りあげてくれるからな。」ニヤ

 

志希「っ!なら安心だね〜♪」

 

八幡「安心だ。そうすりゃお前にも見えてくるさ。一つ上の楽しさがな。」

 

志希「(ゾクッ)......ゾクゾクしてきた......早くあそこに立ちたい!ね〜、出番まだ〜?」

 

八幡「もうちょいだ。」

 

志希「そっか〜。もう、楽しみ〜♪」だきっ

 

八幡「お、おい。」

 

志希「ハスハスハスハス......ん〜♪いい匂い〜♪」

 

八幡「......今だけだかんな。」

 

志希「ハスハスハスハス......うん......ありがと。」

 

八幡「っ!」

 

 

 不安だったリハーサルも問題なく終了。どうなるかと思ったが......志希も吹っ切れたようでいつものペースに戻った。......戻ってしまった。......逆に不安になってきた......

 あとは本番だけだな。

 

 

 

 LiPPSとアインフェリアがデビューを果たし早一週間。2組の人気は絶大だ。

 様々な番組やCMへの出演依頼に雑誌のインタビュー。イベントのゲストやグラビアなど多岐にわたる。

 夕美に至っては「こんなに忙しいの初めて!」と、興奮し、美嘉と藍子と夕美のPさんからも「本当にありがとう!」と感謝されるほどだ。ユニットとしてだけでなく、個人の人気も上がっている証拠だろう。

 そして混成ユニットの成功を引っさげて行われる企画説明。限定ライブの話だ。

 参加者は全プロデューサーとアシスタント。なかなかの人数である。

 

専務「今日はある企画の説明を行う。君、この資料の配布を。」

 

おっさん「はい。」

 

専務「そうだな。説明は私でなく、発案者にしてもらおう。比企谷君。」

 

八幡「......はい。」

 

 そうくると思ったよ!わかってたよ!だからちゃんと用意してるもんね!

 と......壇上に向かう最中に色々と聞こえてくる。「またあいつか」や「いい部署にいるやつは特だよな」などなど......はっ。勝手に言ってろ。

 

八幡「では、説明させていただきます。まず.....................................以上となります。

 ちなみにですが、私は自部署のメンバーは北条加蓮のみの選出です。他の部署のアイドルにも素晴らしい人材はたくさんいますので。お借りして、新たな輝きをお見せしましょう。

 いい部署?いい人材しかいない?専務のお気に入り?

 甘くみんな。芽が出てねえのはあんたらの力不足だ。自部署のアイドルに芽が出ねえのを人のせいにしてんじゃねえよ。......以上です。」

 

 静まる会議室。誰も何も言わない。

 

専務「夕美Pさん。」

 

夕美P「はいっ!」

 

専務「企画への質問と彼の言ったことに対する意見をしなさい。」

 

 うわぁ......えぐい人選。彼女ちゃんとわかってくれてるから......

 

夕美P「はい。まず、質問はありません。いい企画だと思います。

 そして意見ですが、実際相葉は芽は出ていましたが、花は咲いていませんでした。ですが、アインフェリアに参加させていただいてから、仕事に対するモチベーションや質。全て良くなっています。確実に開花しました。

 さらにデビュー後は爆発的に個人的な人気も上がっています。彼の言ったプロデュース力不足を強く感じています。今後は一人一人の良さを活かしていけるよう努力していきます。」

 

藍子P「私からもよろしいですか?」

 

専務「言ってみなさい。」

 

藍子P「ありがとうございます。高森も同様です。正直伸び悩んでおりました。

 ですが比企谷Pにお預けしてから、のびのびとしています。この子はこうだと決めつけておりましたが、比企谷Pに新たな一面を教えていただきました。

 他のアイドル達も必ずそう言った面を持っているはずですので、今度は私自身で開花させていきます。」

 

専務「君たちは正確に物事を判断できているようだな。今後に期待している。」

 

2人「はい。」

 

専務「さて、説明にもあったが、ライブの開催は夏だ。そして大規模なライブにもなるだろう。そこで、このライブの統括責任者を決めたいのだが誰かいるかな。自薦他薦は構わない。」

 

武内「私は、比企谷さんを推薦します。同時に私にアシスタントをさせてください。」

 

専務「ほう......他にはいるかな?」

 

 武内さん......なんて余計な事を!仕事増えんじゃん!......まぁ、俺がやるのが妥当というか当然なんだけどね。それに、他の奴に任せたくないしな......

 

専務「いないようだな......では決まりだ。比企谷君、武内君。任せたぞ。」

 

2人「はい。」

 

専務「では、以上だ。」

 

 逃げるように散っていくプロデューサーたち。へっ!ざまあみろ。

 

夕美P「比企谷君。」

 

八幡「あ......すんません。なんかとばっちり受けさせちゃって......」

 

夕美P「いいのよ。事実だし。ところで、君のところから誰か借りてもいい?」

 

八幡「いいっすよ。あいつらにも誘われたら自分で決めるように言っておきます。」

 

藍子P「僕もいいかな?」

 

八幡「はい。お2人の部署を優先させます。」

 

2人「ありがとう!」

 

夕美P「それにしても、アインフェリアには驚いたわ。」

 

藍子P「そうですね。まさかああくるとは。」

 

武内「普段の彼女たちからは想像も出来ませんからね。」

 

夕美P「でも夕美がもともと持っていた可能性......ちょっとショックだわ。」

 

藍子P「はい。まさか他のPさんに教えられるとは思いませんでした。」

 

武内「ですが、開花した花を育てるのも摘み取るのも私たち次第です。お互い協力していきましょう。」

 

3人「はい。」

 

八幡「あ、そだ、武内さん。智絵里借りていいっすか?」

 

武内「はい。彼女もきっと喜びます。」

 

八幡「あざっす。」

 

夕美P「なに、もう構想あるの?」

 

八幡「ざっくりですけどね。」

 

武内「ですが意外ですね。てっきりしm「たーけうちさーん!」はっ!すみません。」

 

2人「??」

 

八幡「ま、そんなわけなんで、気軽に誘ってやってください。」

 

2人「あ、ありがとう。」

 

 あっぶねぇ......まさか武内さんがあんなチョンボするとは......

 

 

 

武内「す、すみません。つい......」

 

八幡「マジ焦りましたよ......」

 

武内「気をつけます。ですが......本当によろしいのですか?」

 

八幡「はい。あいつとはちゃんと繋がってますから。」

 

武内「ならいいのですが......」

 

八幡「まぁ......組まなくても、いつもウチの事務所のいますし。」

 

武内「......そうでしたね。」

 

 つい笑ってしまう。でもホントクローネの子ってくらいウチにいるからな......嬉しいけど。

 あとはまあ......甘やかしちゃうしな。可愛すぎて。んな事言えんけど。

 

 

 

 クローネにメンバーを集め、混成ユニット限定ライブを報告。LiPPSとアインフェリアには先駆者として出演してもらう。

 もちろん誘われて、やってもいいと思えれば参加はさせる。判断は俺がするが......

 あ、藍子Pと夕美P、それに武内さんに誘われた場合は別だ。自己判断で返事してOKです。

 ウチからは、加蓮の単騎出陣と聞くとさすがにみんな驚いていた。

 一通り説明を済ませて解散。

 

 凛と奈緒を除いて。

 

凛「で、なんで私たちだけ残されたの?」

 

八幡「......聞きたい事があってな。」

 

奈緒「このメンバーだと......加蓮のこと?」

 

八幡「おう。.......漠然としてて悪いんだが、......最近ちょっと変じゃないか?」

 

凛「別に......」

 

奈緒「うーん......変てわけじゃないけど、やたら先輩情報を聞いてくるかも。」

 

凛「え?私何も......」

 

奈緒「ほら。あたし小町と友達だろ?」

 

凛「あ、そっか。奈緒に聞けば八幡の情報がいくらでも手に入るんだ。」

 

八幡「いや、やめてね?俺の時間なくなっちゃうから。この前だって奈緒が千葉に寄るのバラしたせいで、あいつ待ち伏せしてたんだぞ?」

 

奈緒「え?ホントに?」

 

八幡「おう。思えばあの頃だな。様子がおかしくなったの......」

 

凛「何かあったの?」

 

八幡「特に何もないが......」

 

奈緒「たしかに......そのあとから先輩情報を良く聞いてくるな。」

 

八幡「......言ってねえよな?」

 

奈緒「さすがにあたしも何でもは知らないから。知ってることだけ。」

 

八幡「いや、ネタ挟むなよ。」

 

奈緒「ごめん。つい......」

 

凛「??加蓮は何か言ってた?」

 

八幡「......恥ずかしい話しなんだが......」

 

凛「なに。教えて。」

 

八幡「......最近良く私のもの宣言されるな......」

 

凛「は?」

 

奈緒「うわぁ......ヤンデレかよ......」

 

 は?ヤンデレ?......あれ?そういえば誰かと雰囲気が......あっ......

 

八幡「まゆ......」

 

凛「え?」

 

奈緒「あぁ......」

 

八幡「言われてみればだが......最近雰囲気が似てんな......」

 

奈緒「そうかも。」

 

凛「ね、ねえ。ヤンデレってなに?」

 

八幡「簡単に言えば、好きすぎて病んでるだな。」

 

奈緒「......凛もやばいからな?」

 

凛「え?」

 

奈緒「凛て先輩の事大好きだろ?」

 

凛「うん。」

 

 即答かよ......

 

奈緒「できることなら独占したいよな?」

 

凛「うん。」

 

 うわぁ......

 

奈緒「凛が一歩手前だ......そ、それがひどくなると、まゆみたいになる。」

 

凛「......わかった。」

 

奈緒「わかっちゃうんだ......」

 

凛「でも、なんで加蓮がヤンデレ?になったの?」

 

八幡「わからん。」

 

奈緒「なら、あたしが今度聞いてみるよ。」

 

八幡「すまんな。助かるわ。」

 

奈緒「だ、だから今度......」

 

八幡「ん?」

 

奈緒「......ど、どこか連れてってくれると......嬉しい......かも。」

 

凛「......奈緒、何言ってるの?」

 

奈緒「ひっ!あ、あたs「ねえ......まだ終わらないの?......アタシも八幡さんとお話しあるんだ。......2人で......」......目が......」

 

八幡「ま、マジだな......」

 

凛「こ、これがそうなんだ......」

 

加蓮「みんな何言ってるの?」

 

凛「あ、あれ?」

 

奈緒「常にそうじゃないんだよ!アレは!」

 

凛「なるほど......」

 

八幡「ま、話しは終わった。すまんな。俺トイレ行ってくるわ。」

 

2人「逃げた⁉︎」

 

加蓮「早く戻ってきてね?」

 

八幡「お、おう。」

 

「バタン」

 

加蓮「アタシのところに......ね?八幡さん。」

 

凛「アレ、大丈夫なの?」

 

奈緒「た、多分......」

 

加蓮「ねえ。」

 

2人「(ビクッ)」

 

加蓮「ナニ......話してたの?」

 

奈緒「そ、それは......」

 

凛「あ、CP行かなきゃ。」

 

奈緒「凛⁉︎」

 

凛「ごめんね。奈緒、加蓮。また後で!」

 

「バタン」

 

奈緒「......」

 

加蓮「ね?奈緒。教えてくれるよね?」

 

奈緒「い、言うから!教えるから!だから誰かたすけてえええええええええええええええええええええ!」

 



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28話√卯月

 ライブの報告、そこから加蓮ヤンデレ化による奈緒瀕死事件......すまん奈緒。お前のことは忘れない......生きてるしな。

 

志希「ハスハス......」

 

 それはさておき、今の課題は加蓮と誰を組ませるかだ。智絵里は決まっている。何だかんだ相性もいいだろう。旅行の時も一緒に行動してたし。

 

志希「ハスハス......」

 

卯月「(ニコニコ)」なでなで

 

 加蓮と智絵里。ビジュアル特化か......正統派系だよな......

 

志希「フス〜♪......ハスハス......」

 

卯月「(ニコニコ)」なでなで

 

奏「......」

 

八幡「う〜ん......」

 

志希「??ハスハス......」

 

卯月「何か悩み事ですか?」なでなで

 

八幡「少しな......」

 

奏「......ねえ。」

 

八幡「ん?」

 

卯月「はい?」なでなで

 

志希「ハスハス......」

 

奏「この状況なんなの?」

 

2人「え?」

 

志希「ハスハ......??......ハスハス......」

 

周子「ん〜......考え事をする旦那の横で、猫を撫でる奥さんの図?」

 

奏「......何も言い返せないわね。」

 

卯月「えへへぇ......志希ちゃん可愛いです〜♪」なでなで

 

志希「ん〜♪ハスハス......」

 

八幡「たしかに......なんだろうな。」

 

卯月「ところで、何を悩んでたんですか?」なでなで

 

八幡「ライブのユニットだ。加蓮と智絵里は決まったが他がな......」

 

奈緒「加蓮と智絵里......な、なあ、それ大丈夫か?なんていうか、その......智絵里もその気があるだろ?」

 

八幡「......は?」

 

奈緒「気づいてなかったのか......」

 

奏「この人は......」

 

 ちなみに、加蓮ヤンデレ化の件はメンバー全員に伝えている。......注意をしてもらうためにも......

 

八幡「......マジで?」

 

奏「ええ。ならいっその事、そう言ったメンバーを集めたらどうかしら?」

 

 なにそれ。怖いんだけど......

 

卯月「だったら、美穂ちゃんはどうでしょう?」なでなで

 

八幡「は?小日向?あいつはまともだろ?」

 

周子「まともって......」

 

卯月「美穂ちゃんプロデューサーさんの事大好きなんです!くまさんのぬいぐるみに、プロデューサーくんって名前をつけるくらい!」なでなで

 

 ......聞きたくなかったよ。

 

八幡「......それなら......仲間だな。」

 

奏「......そうね。」

 

奈緒「み、みんな愛が重い......」

 

周子「だったらさ、まゆちゃんも入れようよ〜♪」

 

3人「......え?」

 

周子「え?ダメだった?」

 

八幡「......怖いんだけど。」

 

奏「......頑張ってね?」

 

奈緒「楽しみにしてるからな!」

 

八幡「ま、待て!なんで決まってんだよ!そもそも了解もらってないだろ!」

 

卯月「美穂ちゃんOKだそうです♪」

 

八幡「ちょ、え?なんで?いつのまに?だ、だが、佐久間はまだ......」

 

まゆ「......呼びましたか?」

 

八幡「なんでいんの⁉︎」

 

唯「あ、アレ?まずかった?八幡ちゃんを訪ねてきたから案内したんだけど......」

 

八幡「そ、そうだったか。いきなりだったからマジでビビったわ......んで、なんか用か?」

 

まゆ「うふっ......八幡さん。まゆを......八幡さんのユニットに入れてもらえませんか?」

 

奏「......決まりね。」

 

八幡「......わかったよ。」

 

まゆ「まゆ、嬉しいです......」

 

 決まっちゃったよ......

 

まゆ「ところで......お2人とも......八幡さんに近すぎませんか?」

 

志希「ハスハス......??」

 

卯月「え?ええ?」

 

八幡「......」

 

まゆ「八幡さん......浮気はだめです......まゆを......まゆだけを見ててください......」

 

八幡「ヒィッ!」

 

卯月「は、八幡さんは浮気なんてしません!」

 

まゆ「でも、そんなにくっついてるじゃないですか......ダメですよ?八幡さんは、まゆの八幡さんなんですから。」

 

 ま、待って!みんな出て行かないで!俺をたすけて!

 

卯月「違います!八幡さんは私の八幡さんです!」

 

 ええ?言っちゃうの⁉︎余計こじれちゃうじゃん!

 

まゆ「どう言う事ですか?教えてください......まゆに......隠し事なんてダメです......」

 

卯月「こ、こう言う事です!」chu〜

 

八幡「んむっ......」

 

志希「わお......」

 

まゆ「えっ......」

 

卯月「......ん......ちゅる......んむ......」

 

 ひ、人前で!......久しぶりだな......やっぱりいいな......これ......卯月......

 

??「失礼しまーす。」

 

唯『い、今はダメ!!』

 

 「ガチャ」

 

小日向「ダメって......っ!......うわぁ......すごい......」

 

唯「え?って......わぁ......」

 

卯月「......ん......ちゅ......はむ......」

 

八幡「......んむ......んん......」

 

志希「わくわく♪」

 

まゆ「......」

 

小日向「はわ〜......」

 

唯「......」

 

奏「どうかし......え?......ち、ちょっとあなたたち!」

 

八幡「......邪魔すんな。」

 

奏「(ビクッ)」

 

卯月「......あっ......んん...あんっ......ちゅ......」

 

八幡「......はぁ......ん......ちゅっ......」

 

卯月「......ぷはっ......私......もう......」

 

八幡「ああ......」

 

奏「ちょっと!ほ、ほんとに待って!」

 

2人「(ビクッ)」

 

奏「......な、何考えてるのよ!......こんなところで。」

 

卯月「へ?あ、あの......ま、まゆちゃんに......」

 

奏「......はぁ。するなとは言わないわ。でm「あなただったんですね......」......ま、まゆ?」

 

まゆ「八幡さんについてた匂いは卯月ちゃんだったんですね......許せません......まゆの八幡さんを誑かした泥棒ネコ......八幡さん、待っていてください......うふっ......うふふふふ......」

 

小日向「行っちゃいましたね......」

 

奏「......大丈夫なの?」

 

八幡「......不安だ。」

 

志希「ハスハス......」

 

小日向「あ、あの〜......」

 

八幡「あ、ああ。すまん。いきなり変なもん見せちまったな。」

 

小日向「い、いえ!羨ま......じゃなくて、興ふ......でもなくて!その......少し......いえ、かなり衝撃的でしたけど......大丈夫です。」

 

卯月「......」

 

 2人とも、お顔が真っ赤ですよ?

 

奏「聞いてもいいかしら?」

 

八幡「なんだ?」

 

奏「......いつもあんな感じなの?その......キスの時は。」

 

小日向「(ビクッ)」

 

八幡「......知らん。見たことないしな。」

 

小日向「......映画のワンシーンみたいで、ドキドキしちゃいました......えっと......その先までいっちゃいそうで......」

 

八幡「そ、それはもういいだろ......こ、小日向はど、どうしたんだ?」

 

小日向「あ!卯月ちゃんに呼ばれて......」

 

八幡「卯月......」

 

卯月「え、えへへ......」

 

八幡「ま、まあいい。......んんっ!んで、俺のユニットのメンバーになってくれるってことでいいんだよな?」

 

小日向「あ、はい!プロデューサーさんにも許可をいただきました!」

 

八幡「そうか。なら、よろしくな。」

 

小日向「はいっ!よろしくお願いします!」

 

 い、一応メンバーは集まった......集まったが......

 

 不安だ......

 

 

八幡「あ、小日向。」

 

小日向「はい?」

 

八幡「......ここで見たことは......内密にな?」

 

小日向「は、はい!言いません!......言えません。」

 

 

 

 

八幡「はあ......」

 

ウサミン「ひ、比企谷さん大丈夫ですか?」

 

八幡「一応......」

 

ウサミン「......気をつけてくださいね?」

 

八幡「......ありがとうございます。」

 

 現在、カフェで突っ伏してます。体力と精神力を使いきりました。......はちまん、週休8日を希望しまーす。って、これじゃ杏じゃん......

 疲れた。本当に疲れた。原因はアレだ。新ユニット。

 4人を集めて話しをしたんだが......まあ、まとまらない。

 加蓮とまゆは自分がセンターだと譲らないし、小日向にリーダーを任せようとしたら拒否される始末。なら智絵里にと頼んだらやはり拒否され......「じゃあ、アタシが!」と言う加蓮に対抗する様にまゆまで参戦。

 収集がつかないため、あとで考えると言い放ち解散して現在に至る......

 

八幡「はぁ......」

 

??「ど、どうしたの?」

 

八幡「んあ?あぁ、李衣菜か......」

 

李衣菜「......何かあった?」

 

 俺に気を使ってくれるなんて......なんていい子なの!

 

八幡「新ユニットがな......もうやだ......」

 

李衣菜「は、八幡さんが弱気に......珍しいね。そのユニットって夏のやつ?」

 

八幡「......おう。」

 

李衣菜「誰がいるの?」

 

八幡「......加蓮、まゆ、小日向、智絵里の4人だ......」

 

李衣菜「なんて言うか......かなり豪華じゃない?」

 

八幡「まあな。その分まとまりがない。」

 

李衣菜「だ、だからこんななんだ......」

 

八幡「おう......」

 

李衣菜「でもいいなあ。私今回誘われてないから......ちょっと羨ましい。」

 

 ......なんですと?って事は武内さんがOKすればいいのん?......こいつを入れてリーダーに......李衣菜はなんだかんだで真面目だからな......

 

李衣菜「ね、ねえ。急に黙って......どうしたの?」

 

八幡「......お前、今仕事多いか?」

 

李衣菜「仕事?んー......そんなでもないかな?」

 

八幡「......くるか?俺のユニット。」

 

李衣菜「え?いいの?」

 

八幡「武内さんがいいって言えばな。」

 

李衣菜「ち、ちょっと待ってて!聞いてくる!」

 

八幡「......おう。」

 

 食いついた!きっと武内さんならいいと言ってくれる!そうすれば......

 俺の負担が減る!......悪いが李衣菜には生に......犠せ......ゴホンッ!リーダーとして頑張ってもらおう。ゲヘッ。

 

李衣菜「おまたせ!参加していいって!」

 

八幡「そうか。なら良かった。」

 

李衣菜「よろしく!そっか......また八幡さんと仕事できるんだ......」

 

 うっ......こんな純粋なやつを......

 

八幡「よろしくな。んで、一つ頼みがあるんだ。」

 

李衣菜「なに?なんでも言ってよ!」

 

 なんでも......とな?

 

八幡「助かる。頼みってのはな、お前にリーダーをやってもらいたい。」

 

李衣菜「わ、私に?」

 

八幡「おう。お前は真面目だしなんだかんだで気配りもできる。あのメンバーの中では1番の適任者だ。」

 

李衣菜「そ、そんな風に思ってたんだ......うん。やるよ。リーダー。」

 

八幡「頼んだぞ。だが、これは他言無用だ。俺とお前だけ把握して他には伝えん。」

 

李衣菜「え?なんで?」

 

八幡「......そのうちわかる。」

 

李衣菜「??ま、いいや。ところで、リーダーってなにやればいいの?」

 

八幡「難しい事じゃない。連絡事項なんかはお前に伝えるから、お前からメンバーに通達。それとレッスン時のまとめ役だ。それは美波を見てるからわかるだろ?」

 

李衣菜「うん。それだけ?」

 

八幡「今んとこはな。慣れてきたら他にも頼むわ。」

 

李衣菜「うん。わかった。」

 

八幡「んじゃ、あとで全員集めて紹介するわ。日時は決まったら連絡する。」

 

李衣菜「よろしく!じゃ、またね!」

 

八幡「おう。またな。」

 

 

 後日4人に李衣菜のメンバー入りを報告。

 ......珍しく李衣菜が癒し枠に。なんか新鮮だな......

 ともあれ、これで本格始動だ。

 

 ......楽曲どうすっかな。ま、おいおい考えよう。

 

 

 

 以前議題に挙がっていた、ライブでの順位発表。この件に関して、いい方法を思いついた。

 観客全員にLEDリストバンドを配布。曲後の投票時間にボタンを押すと、こちらの端末にデータが飛び、自動集計されるというシステムだ。若干チケット代が高くなる可能性があるが、リストバンドも持ち帰れるため、いい記念品になるだろう。

 まずは武内さんに相談だな。

 

 

八幡「..................てな感じで、これなら当日発表出来ると思うんですが......どうっすかね?」

 

武内「......よく思いつきましたね。」

 

八幡「いや、ここまでじゃないけど、前例はあります。」

 

武内「そうなのですか?」

 

八幡「はい。とあるロックバンドが、7色に点灯するリストバンドを配布して、プロジェクションマッピングをやったんすよ。それを参考にしました。」

 

武内「なるほど。それであれば可能でしょう。」

 

八幡「ただ、コスト面が心配で......チケット代に影響するじゃないっすか。その分土産は増えますが。」

 

武内「おそらくですが、通常より500円前後高くなるでしょう。」

 

八幡「ですよね......」

 

武内「ですが、問題はないと思います。記念品として持ち帰れるのであれば、お客様にも満足していただけると思います。」

 

八幡「......だといいんすけど。」

 

武内「では、彼女たちに聞いてみてはいかがでしょうか。」

 

八幡「......そっすね。いきましょう。」

 

 プロデューサールームを出てPRにいるアイドルたちに呼びかけるが......ちなみに今いるのはCP側だ。聞いてみるのだが......

 

八幡「(今日も卯月いないんだな......ま、しゃあない。)」

 

武内「みなさんすみません。少しお聞きしたいことがあるのですが......」

 

八幡「いきなりすまんな。例えばなんだが、いつも行ってるライブのチケットが、いきなり500円くらい上がったらどう思う?」

 

未央「ん?なんかあるかも!って期待するかな?」

 

みく「このご時世だから仕方ないにゃ。」

 

 おう......みくさんご立派ですね......

 

乙倉「そうですね。仕方ないと思います。」

 

 この子もなかなか......

 

八幡「そうか......なら、値段は上がったが、持ち帰り出来る記念品みたいなもんがあったらどうだ?」

 

全員「絶対欲しい(です)!」

 

未央「なにそれ!すっごいお徳じゃん!」

 

蘭子「会場にいる人だけの限定品......絶対欲しいです!」

 

八幡「お、おう。そうか......」

 

武内「問題なさそうですね。」

 

未央「なに!何か配るの!」

 

八幡「まあ、案としてな。LEDリストバンド配布して、それで評価しようと思ったんだわ。」

 

全員「それ欲しい!」

 

八幡「......お前らがもらってどうすんだよ。まあ、どうせならロゴとかも入れてえな......」

 

武内「いいですね。必ず喜んでいただけます。」

 

??「と、ところで......」

 

武内「どうかされましたか?」

 

??「あの......どなたですか?」

 

八幡「あ......すまんな。比企谷八幡。クローネのプロデューサーだ。」

 

??「あの楽園の!あ、棟方愛海です。よろしくお願いします。」

 

八幡「お、おう。よろしく。」

 

 楽園てなんだよ......

 

棟方「あ、あの、比企谷さん。今度クローネに行っていいですか?お、お山を登らせてください......じゅるり。」

 

 こ、こいつ手が......ダメだ。危険だ。志希とかフレデリカとは絶対に会わせられん。混ぜるな危険!

 

八幡「き、機会があればな......」

 

棟方「ぜ、是非!じゅるっ」

 

未央「ハッチー気をつけてね。あの子......」ボソボソ

 

八幡「わかってる。あの手を見れば......な?」ボソボソ

 

未央「ちなみに、しまむーはすでに餌食に......」

 

八幡「......なんだと?」

 

未央「ヒッ!」

 

八幡「......」

 

未央「......ハッチー?」

 

八幡「......許さん。」

 

未央「は、ハッチー落ち着いて!」

 

八幡「おい、棟方。」

 

棟方「は、はい......」

 

八幡「今度卯月に手出したら......」

 

棟方「出したら......」

 

八幡「......その手切り落とす。」

 

棟方「ヒィィ!」

 

みく「ほ、ホントにやりそうにゃ......」

 

八幡「お前はみくで我慢しとけ。」

 

みく「にゃっ⁉︎」

 

八幡「俺が許す。好きにしろ。」

 

棟方「はい!喜んで!では早速......じゅる......行きます飛びますいただきますー!」

 

みく「にゃー!やめるにゃ!ダメにゃー!」

 

八幡「んじゃ、武内さん、早速専務に報告しましょう。」

 

武内「急に行って大丈夫ですか?」

 

みく「あ、愛海チャンやめるにゃー!」

 

棟方「お、お山を〜!」

 

八幡「うるっせえ!黙ってろ!」

 

みく「ご、ごめんにゃさい......」

 

棟方「(ガタガタ)」

 

乙倉「(ビクッ)」

 

八幡「......大丈夫じゃないっすか?いつもそうですし。」

 

武内「そ、そうですか......では、行きましょうか。」

 

八幡「はい。」

 

 まずは......許可だな。

 

 

 

棟方「あ、あの......」

 

みく「な、なんにゃ?」

 

棟方「......怖かったです〜!」だきっ

 

未央「ハッチーは怒るとホント......」

 

みく「怖いにゃ......」

 

棟方「(うへへへ......どさくさまぎれのお山......)」

 

 

 

 

 採点方法に関して専務からGOをもらい、さらにデビューは間違いなく出来ると豪語し、新曲の作成許可ももらった。

 一月半たった今、レッスンも順調に進み、5人の息も合っている。大丈夫だ。コイツらなら間違いなくいける!

 曲も仕上がってきたため今日はお披露目会だ。李衣菜に全員集合指示を与え、俺自身もレッスンルームへ向かっている。

 

智絵里「あ、八幡さん......」

 

八幡「お、ナイスタイミングだな。」

 

智絵里「はい。その......一緒に行っていいですか?」

 

八幡「おう。あたり前だろ。」

 

智絵里「はいっ!」

 

 加蓮とまゆが絡まなきゃ普通の癒し系なのに......何?ヤンデレって感染るの?マジ怖いんだけど......天使チエリエルはどこへ......

 

智絵里「あの......今日は何があるんですか?」

 

八幡「ま、集まってからのお楽しみだ。」

 

智絵里「??」

 

 首をチョコンと傾ける智絵里......可愛い。そして癒される......

 

智絵里「あ......もう着いちゃいましたね......せっかく2人きりだったのに......」

 

八幡「......ま、とりあえずはいr「あ!比企谷さん、智絵里ちゃん!」......おう。いいタイミングだな。」

 

小日向「はい。」

 

八幡「んじゃ、入ろうぜ。」

 

2人「はい。」

 

 3人でレッスンルームに入ったのだが......

 

李衣菜「お......俺の女に......なれよ......」

 

まゆ「......きゅん。」

 

智絵里「え......」

 

小日向「ひゃっ......」

 

八幡「......は?」

 

李ま「......」

 

3人「......」

 

智絵里「えぇぇぇぇ!」

 

小日向「か、壁ドン......初めて見ました......」

 

八幡「お前らそういう......」

 

李衣菜「ち、ちがう!」

 

まゆ「そ、そうです!」

 

八幡「じゃあなんだよ......」

 

李衣菜「な、なんていうの?その......『男子にされたい事ランキング』の話ししててさ......やってみようかって流れになって......」

 

八幡「.......なるほど。んで、実際李衣菜にしてもらったら......思った以上に良かったと......」

 

まゆ「......はい。」

 

小日向「いいですね。憧れます!」

 

李衣菜「だったらさ!やってもらいなよ!」

 

小日向「えぇ⁉︎」

 

智絵里「お相手は......」

 

李衣菜「ん?ここにいるけど?」

 

八幡「......は?俺?」

 

李衣菜「ほかにいないでしょ?」

 

小日向「で、でも、卯月ちゃんに悪いし......」

 

李衣菜「え?なんで?」

 

 まあ、知らねえもんな。当然の反応だわ。......仕方ねえ。

 

八幡「......はぁ。やりゃいいんだろ?」

 

李衣菜「さっすが八幡さん!」

 

八幡「......小日向、いいか?」

 

小日向「え?あ、はい!」

 

八幡「んじゃ......」

 

李衣菜「ちゃんとセリフ言うんだよ?」

 

八幡「......なんて言うんだよ。」

 

李衣菜「同じでいいよ。」

 

八幡「......わかった。」

 

智絵里「ドキドキします......」

 

まゆ「今は......許します......」

 

 許すって......そんなによかったの?ま、さっさとやって終わらせよう。

 

八幡「いくぞ。」

 

小日向「......はい。」

 

「ドンッ」

 

八幡「美穂......俺の女になれ。」

 

美穂「......は、はい......喜んで。」

 

智絵里「えっ?」

 

まゆ「......」

 

李衣菜「わぁ......」

 

美穂「よ、よろしくお願いします。」

 

八幡「......これでいいか?」

 

4人「......」

 

李衣菜「......美穂ちゃん、本気にしてないよね?」

 

八幡「あたり前だろ。な、小日向?」

 

小日向「え?あ、はい......その......もう一回名前で......呼んでもらえますか?」

 

八幡「ん?ああ。美穂。」

 

美穂「はぅっ!......その......これからは名前で......」

 

八幡「あ?お、おう。わかった。」

 

李衣菜「これやばいやつなんじゃ......」

 

智絵里「あ、あの!」

 

八幡「ん?どした?」

 

智絵里「わ、わたしも......して欲しい......です。」

 

4人「......」

 

智絵里「......」

 

李衣菜「つ、ついでだし?やってあげなよ!」

 

智絵里「お願いします!」

 

八幡「......わかったよ。」

 

智絵里「......ど、どうぞ。」

 

八幡「......いくぞ。」

 

智絵里「は、はい!」

 

「ドンッ」

 

八幡「智絵里......お前は俺の女だ。」

 

智絵里「......は.......はい。......きゅぅ。」ぱたん

 

八幡「お、おい!大丈夫か?」

 

李衣菜「た、倒れるほどなんだ......」

 

美穂「うん。もうドキドキしちゃって......」

 

まゆ「......」

 

李衣菜「......あれ?」ペシペシ

 

美穂「......まゆちゃん?」

 

李衣菜「......立ったまま気絶してる。」

 

美穂「......え?」

 

八幡「......は?」

 

加蓮「おまたせ〜って......何?この状況......」

 

八幡「......とりあえず寝かせて、話しは起きてからな。」

 

李衣菜「......仕方ないもんね。」

 

 

 

 15分後

 

八幡「......2人とも大丈夫か?」

 

2人「はい......」

 

八幡「なら良かった。んじゃ、まずは聞いてくれ。」

 

李衣菜「え?聞く?」

 

八幡「おう。」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

美穂「この曲って......」

 

八幡「お前たちの勝負曲だ。」

 

5人「っ!」

 

李衣菜「つ、作ったの?」

 

八幡「おう。既存曲にイメージに合うのが無くてな。新規で起こしておいた。あと、これが歌詞だ。」

 

5人「......」

 

八幡「んで、センターの件だが......」

 

2人「(ピクッ)」

 

八幡「なしだ。」

 

加蓮「......え?」

 

まゆ「......どうして......ですか?」

 

八幡「今回はフロントとバックに分ける。」

 

5人「ええ!?」

 

八幡「両翼に加蓮とまゆを置き、3人より前に出してフロントとする。」

 

2人「っ!はい!」

 

八幡「バックに3人。バックのセンターは李衣菜だ。」

 

李衣菜「うん。なんか......珍しいね。」

 

八幡「いつも同じじゃつまらんからな。それと気は早いが、俺はデビュー前提で話してる。だから楽曲も起こした。」

 

加蓮「わかってる。期待してくれてるんでしょ?」

 

八幡「おう。お前らなら間違いない。」

 

まゆ「......嬉しいです。八幡さんの......愛のこもった歌......」

 

八幡「そ、そうだな。それとお前たちでユニット名決めてくれるか?」

 

智絵里「い、いきなり言われても......」

 

美穂「思いつきませんね。」

 

李衣菜「......八幡さん何かない?」

 

八幡「あ?なら......ヤンデレラg「怒るよ?」す、すまん。......なら、加蓮。」

 

加蓮「んー......Masquerade......とか?」

 

智絵里「ますかれいど?」

 

八幡「仮面舞踏会か......いいな。」

 

李衣菜「でも、なんで仮面舞踏会?」

 

加蓮「女の子は誰でも仮面を被ってるものだから......かな?」

 

まゆ「......いいですね。」

 

美穂「はい!」

 

八幡「んじゃ、決まりな。これからは、この曲でレッスンしてくれ。......1位、狙うぞ。」

 

5人「はいっ!」

 

 いい状態だ。全員やる気に溢れてる。

 衣装だって楽曲専用の物を用意したし......

 

 デビュー1号はお前らだ!



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29話√卯月

 楽曲披露もすみ、5人は新曲でのレッスンをはじめている。あーでもないこーでもないと、加蓮とまゆはいつも言い合っているようだが、言い合える相手がいるのは悪いことではない。......内容がまともなら。

 最初はいい。ここはこうしよう。いや、こっちのがいいと真面目なのだが、途中から......

 

まゆ「八幡さんはまゆのものです!」

 

加蓮「違う!アタシの!」

 

李衣菜「ま、まあ、2人とも落ち着いて......」

 

2人「李衣菜ちゃんは黙ってて(ください)!」

 

李衣菜「......はい。」

 

智絵里「ふ、2人とも!喧嘩はやめてください!」

 

美穂「智絵里ちゃん......」

 

2人「......」

 

智絵里「八幡さんは......わたしのです!」

 

李衣菜「参戦するの⁉︎」

 

美穂「だ、だめです!智絵里ちゃんも落ち着いて!」

 

3人「......」

 

李衣菜「ありがとう、美穂ちゃん。止めてくれて......」

 

美穂「いいんですよ?だって八幡さんは私の八幡さんですから♪」

 

4人「......」

 

李衣菜「もう嫌だぁぁぁぁ!」

 

 

 

李衣菜「って事があってさ......もうホント大変。」

 

 という相談を現在されている。苦労人に。

 

八幡「す、すまんな。」

 

李衣菜「あの壁ドン以来、美穂ちゃんまで手がつけられなくなって......」

 

 は?壁ドン?なら何でやらせたんだよ!まあ、コイツは事情を知ら......ん?あれ?確かコイツ......見てたよな?いろんなことあって......いや、ありすぎて忘れてたが......

 

八幡「なあ、なら何で俺にやらせたんだ?」

 

李衣菜「え?だって男子は八幡さんしかいなかったし、別に彼女が......あれ?」

 

八幡「......」

 

李衣菜「あ、あはははは......」

 

八幡「......なあ。」ジリジリ

 

李衣菜「な、なに?」タジタジ

 

八幡「ノリとはいえ......なぁ?」ジリジリ

 

李衣菜「ほ、ほら!ち、智絵里ちゃんもいたし?下手なこと言えないから......か、壁?もう逃げ場が......」

 

八幡「確かにそうだな。だが......」ドンッ

 

李衣菜「こ、これが壁ドンか......う、嬉しいなぁ......」

 

八幡「ならこっち向けよ。」顎クイ

 

美穂「......」ジー(rec)

 

李衣菜「あ、顎クイまで......」

 

八幡「......もう悪ノリすんなよ?」

 

美穂「......」ジー

 

李衣菜「......はい。」

 

美穂「......」ジー

 

八幡「......今回は許す。」

 

美穂「......」ジー

 

李衣菜「......あ、ありがとう?」

 

 はぁ......余計なことをしてしまった。まさかそこにいる美穂まで......は?そこにいる?

 

八幡「うおぅっ!美穂いつのまに......」

 

李衣菜「え?美穂ちゃん⁉︎」

 

美穂「はわっ!み、みるつもりはなかったんですが......」

 

八幡「じゃあ、何で指の隙間からしっかり見てるんだろうな......それと、その携帯は何?」

 

美穂「あ、あはは......な、なんでもありませんよ?でも、誰にでもそんな事しちゃダメです!」

 

八幡「お、おう。そうか?すまんな。気をつけるわ。」

 

美穂「はい!していいのは卯月ちゃんと私だけです!」

 

八幡「ねえ、ちょっと待って?おかしくない?今さらりと自分入れたよね?何で?」

 

美穂「え?何のことですか?」

 

李衣菜「とぼけた⁈」

 

八幡「......最初の頃の加蓮と同じだ。」

 

李衣菜「......え?」

 

美穂「卯月ちゃんは八幡さんの彼女なので仕方ありませんが、他はダメです!」

 

八幡「何で?てか、お前自分のプロデューサーどうしたの?クマのプロデューサーくんは?」

 

美穂「何のことですか?クマさんの名前は『はちまんくん』ですよ?」

 

八幡「......」

 

李衣菜「......」

 

八幡「このメンバーもうやだ......」

 

李衣菜「あ、諦めないで!」

 

八幡「真矢◯きか!」

 

李衣菜「ご、ごめん。そんなつもりじゃ......」

 

美穂「お、落ち着いてください!」

 

 落ち着けねえよ!まともなのもう李衣菜だけじゃん!返して!ピュアな頃のみんなを返して!

 

八幡「李衣菜、お前が最後のオアシスだ......お前だけはピュアなままでいてくれ......」

 

李衣菜「......頑張る。私頑張る......」

 

 うぅ......卯月に癒されたい......

 

 

 

 『Masque:Rade』俺が引っさげてライブに参戦するユニット。

 他にもクローネからは、奈緒がウサミンと荒木さんと。唯が武内さんに誘われて、NGの3人と上条を合わせた5人で参加。

 だが、注目すべきはこれだけでは無い。他部署からも続々と集まり、総勢17組の参戦が決まった。

 夕美Pさんに至っては目星をつけていたアイドルが、ことごとく他に行ってしまい、泣く泣く諦めたようだったが......

 そんなこんなでライブまで残り2週間。手元にはリストバンドのサンプルと、チケットが10枚。さらに関係者パスが一枚......

 まずはこの10枚だな......

 

八幡「てな訳で、お前らにチケットを渡す。」

 

一色「なにが、『てな訳で』なんですか......全く意味がわかりませんよ。」

 

八幡「そうか?ま、いいだろそんなの。一色は誰を誘うんだ?」

 

一色「そうですね......候補なら雪ノ下先輩に結衣先輩。それに元副会長と元書記ちゃんですね。」

 

八幡「なら4枚だな。俺は小町と戸塚と平塚先生を誘う。......3枚余るな。材木座も呼んでやるか。」

 

高町「あ、あのー......」

 

八幡「......あ。忘れてた。」

 

高町「よかった......」

 

八幡「卯月の友達ABも呼んでやらんとな。」

 

高町「そっちぃ⁉︎師匠!僕を忘れないで!」

 

八幡「あん?いたの?」

 

高町「ひどい!最初からいました!」

 

八幡「違う違う。誘う友達がいたのかって話だ。」

 

一色「うわぁ......」

 

高町「い......」

 

一色「い......?」

 

高町「......いませんでしたぁぁぁぁ!」

 

八幡「だろ?なら必要ないな。」

 

高町「......はい。......自爆してしまった。......グスッ。」

 

一色「......かける言葉もありませんね。」

 

高町「ところで、雪ノ下って......あの雪ノ下さんですか?」

 

八幡「どの雪ノ下かはわからんが、多分そうだ。」

 

一色「え?雪ノ下先輩のこと知ってるんですか?」

 

八幡「コイツ東大あがりなんだよ。んで、雪ノ下のことだからどうせ有名になるだろ?そこで、その頃勘違いしてたコイツは、上から目線で雪ノ下に告白して、罵倒された上にフラれる。ってことがあった。多分。知らんけど。」

 

一色「うわぁ......」

 

高町「え?僕言ってないですよね?なんで全部知ってるんですか?先輩エスパーなんですか?フーディン比企谷なんですか⁉︎」

 

一色「ぷっ......フーディン比企谷......」

 

八幡「何でポケモンなんだよ......エスパーなわけねえだろ。アイツの性格は良く知ってるからな。大体の予想はつく。」

 

高町「そうでしたか......」

 

一色「でも、高町さんも無謀ですね。雪ノ下先輩に告るなんて。」

 

高町「はは......今となっては確かにそう思います。でも、あんな女性から好かれる方は、正直言って羨ましいですよ。」

 

八幡「......」

 

一色「......ぷっ!」

 

高町「??どうしました?」

 

一色「......そ、そこにいるじゃ......ぷっ......ないですか。」

 

高町「......え?ま、まさか......でも師匠には島村さんが......」

 

一色「せんぱい、卒業式の日に雪ノ下先輩のことフったんです。」

 

高町「なっ......なんて事を......」

 

八幡「......アイツらとはそういうのじゃねえんだよ。」

 

高町「......あなたが神か。」

 

八幡「うるせえよ。でも本当にいいのか?両親なら誘えるだろ?」

 

高町「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」

 

一色「ならあの子誘ってみたらどうですか?クリスマスイベントの時の......」

 

八幡「ああ、ルミルミか。」

 

一色「はい!きっと喜んでくれます!」

 

八幡「......どうやって渡すんだよ。」

 

一色「そんなの学校に行けばいいじゃないですか......」

 

八幡「......俺が一人で行ってみろ。間違いなく通報されちゃうよ?なに?それが目的なの?」

 

一色「だったら、卯月ちゃんでも連れて行けばいいじゃないですか。......くっ......彼女なんですから。」

 

八幡「......その手があったな。ならもう一枚は......ルミルミに渡しておくか。」

 

一色「それがいいと思います!」

 

八幡「んじゃ、そうするわ。高町さんもそれでいいっすか?」

 

高町「はい。誰かは知りませんが、いいと思います。」

 

八幡「知らんでいい。お前に会わせると危ないしな。」

 

高町「ど、どういう事ですか?」

 

八幡「一言で言えば......」

 

高町「......い、言えば?(ゴクリ)」

 

八幡「......小さい雪ノ下。」

 

高町「......」

 

八幡「......」

 

一色「......」

 

高町「ルミルミちゃんをb「断る。」最後まで言わせてk「必要ない。」......」

 

一色「......本当に危ない人ですね。」

 

八幡「だろ?」

 

高町「いいじゃないですか!師匠の周りばっかりずるいです!」

 

八幡「黙れロリコン。」

 

一色「そういえば、ありすちゃんを見る目も最近危ないですよね.......」

 

八幡「......マジで?」

 

一色「はい。せんぱいは最近いないので知らないと思いますけど。」

 

高町「......そ、そんなこと......ないですよ?って何ですかその携帯は!110って見えるんですけどぉ!」

 

八幡「お?おぉ......手って勝手に動くんだな......」

 

一色「せんぱいが通報しようとするなんて......よっぽどですね......」

 

八幡「材木座と同等......いや、それ以上だな......」

 

一色「うわぁ......」

 

八幡「ま、とりあえず決まりってことで。」

 

2人「はい。」

 

 さて、いつ行くか......ってより、まずは卯月の都合だ。それとこの関係者席......あの人これっかな?とりあえず聞くだけ聞くか......

 

 

 

 さて、現在いるのは某中学校の校門。隣にいるのは島村卯月。......可愛いです。じゃなくて!一色の言った通り、ルミルミにチケットを渡しに来たのだ。来たのだが......

 全然出てこない。

 他の生徒は続々と出てくるのに......部活でもやってんのか?

 

卯月「そういえば、その鶴見留美ちゃんでしたっけ?どんな感じの子なんですか?」

 

八幡「そういや、言ってなかったな。簡単に言えば、小さい雪ノ下。プチノ下だな。」

 

卯月「ぷ、プチノ下って......でしたらすごく可愛い子なんですね!」

 

八幡「......お前程じゃねえよ。」

 

卯月「そ、そんなぁ......えへへ......」

 

 照れる卯月はホントに可愛い......無駄に照れさせたくなるんだよな......まあ、俺も恥ずかしいが。

 

八幡「でも、ホントに出てこねえな。」

 

卯月「そうですね〜。」

 

??「誰が?」

 

八幡「誰って......そりゃルミルミn「ルミルミキモい。」......お、おう。すまんな留美......って、留美?」

 

留美「八幡、久しぶり。」

 

八幡「お、おう。久しぶりだなルミr「留美」......留美。」

 

留美「うん。いきなり来て何か用?」

 

八幡「まあな。っと、その前に。ほれ、自己紹介だ。......小声でな。」

 

留美「??」

 

卯月「留美ちゃん、はじめまして!島村卯月っ!18歳です!」

 

 相変わらず歳言うんだな......

 

留美「島村卯月って......え?」

 

八幡「本人だ。それと、私こう言う者です。」

 

留美「??」

 

 首を傾げながら名刺を受け取る留美。......可愛いな。

 

卯月「は、八幡さん!留美ちゃん可愛いです!連れて帰りたいです!」

 

八幡「可愛いのは認めるが、連れて帰るのはダメだ。」

 

卯月「わ、わかってますけど!でも......」

 

留美「......嘘でしょ?」

 

八幡「何がだ?」

 

留美「Project Kroneのプロデューサーって......」

 

卯月「本当ですよ!それに、最近デビューしたLiPPSとアインフェリアのプロデューサーさんです。八幡さんは凄いんですからっ♪」

 

 おぉ......まるで自分の事のように......ええ子じゃ。ホントにええ子じゃ。

 

八幡「でな、今日はこれを渡しに来たんだ。」

 

留美「これって......夏のライブのチケット⁉︎」

 

八幡「バカ!声が大きい!」

 

留美「ご、ごめん。」

 

 もちろんアレだ。思いっきり見られてる。中には、「あれって島村卯月じゃない?」とか、「ハチ様がいる......」とか......おい。ハチ様ってなんだよ。つーか俺まで⁉︎

 

女子1「あの......」

 

 ......誰?

 

八幡「はい。なんでしょう?」

 

 仕事モードに一瞬で切り替え。......慣れちまったな。

 

女子1「CPの......島村卯月ちゃん......ですよね?」

 

 どうしましょう?と卯月が目で訴えてくる。

 

八幡「そうですが、彼女は今プライベートでこちらに来ています。この後用もありますので、騒がないでいただけると助かります。」

 

女子1「ここに用って......」

 

八幡「それは私の案件です。知人にお渡しするものがありましたので。」

 

留美「八幡、2枚あるけど......」

 

八幡「......留美、友達はできたか?」

 

留美「......うん。」

 

八幡「ならそいつと一緒に来い。すげえもん見せてやるから。」なでなで

 

留美「あっ......」

 

卯月「(ニコニコ)」

 

留美「うん。楽しみにしてる。」

 

八幡「それと、自信が持てたら346プロに連絡しろ。俺宛でな。」

 

留美「......なんで?」

 

八幡「......お前をとびっきりのシンデレラにしてやる。」

 

留美「え......」

 

卯月「いい考えです!待ってますね!留美ちゃん!」

 

留美「......うん。待ってて。先輩。」

 

男子1「スッゲー!鶴見がスカウトされてるぞ!」

 

 学生さんが話しはじめたのでついつい聴いてしまう。

 

男子2「マジで!あいつ可愛いもんなー!」

 

女子2「いいなー。あたしもアイドルやりたい!」

 

女子3「てゆーか、あの人もカッコよくない?」

 

女子2「知らないの?あの人舞踏会にいた王子だよ!」

 

女子3「うそっ!あの人が!って事は鶴見さんクローネ入るの!奏様と一緒なんて......」

 

 ぷっ......奏様って......

 

男子1「つーか島村卯月って超可愛くね?」

 

 この野郎。呼び捨てにしてんじゃねえよ!

 

男子2「いいよなー。胸でけえし。あんな彼女欲しい!」

 

 顔を真っ赤にして、バッと胸を隠す卯月。......いや、それ強調しちゃってますから。

 

男子2「おお!胸が強調され......あ、鼻血が......」

 

 ふむ。なかなか高評価だ。や、卯月の胸じゃないよ?総評だからね?勘違いしないでね?

 

八幡「そんなわけだ。楽しみにしてるからな。」

 

留美「うん。必ず連絡する。」

 

八幡「じゃ、またな。」

 

 

 

 留美にチケットを渡し、学校を後にする。しれっとスカウトまでしてしまった......

 

卯月「驚きました。まさかスカウトするとは思ってなかったので。」

 

八幡「俺もその気は無かったんだが......」

 

卯月「留美ちゃんなら絶対に大丈夫です!」

 

八幡「自信がつけばな。」

 

卯月「その......何かあったんですか?」

 

八幡「......留美が来たら直接聞いてくれ。」

 

卯月「わかりました。でも、本当に可愛いかったです!」

 

八幡「ありすとどっちがお好みだ?」

 

卯月「う〜......選べません......八幡さんイジワルです!」

 

八幡「すまんすまん。ほれ、次行こうぜ。」

 

卯月「はい!次は八幡さんの母校ですね!楽しみです♪」

 

 なんだかデートみたいで楽しいな......

 

 

 

 てな訳で、やってきました総武高校。平塚先生に話は通してあり、来客窓口に行けばすぐに通してもらえるそうだ。

 

八幡「すみません。卒業生の比企谷です。平塚先生に連絡しておいたのですが......」

 

受付嬢「はい、聞いております。お手数ですが、お名前だけよろしいですか?」

 

八幡「あ、はい。」カキカキ

 

 比企谷八幡

 

 島村卯月

 

八幡「......お願いします。」

 

受付嬢「ありがとうござ......へ?」

 

八幡「......何か?」

 

受付嬢「え?だって......ええ?」

 

八幡「あぁ、付き添いですよ。」

 

受付嬢「す、すみません!あの!シャインもらってもいいですか!」

 

 シャインて......

 

卯月「はい!」

 

八幡「......内緒ですよ?」

 

受付嬢「ひゃい!ありがとうございましゅ!」

 

卯月「......どうぞ!」

 

受付嬢「でででは、ご案内いたしましゅ!」

 

 噛みすぎだろ......道明寺かよ......

 

卯月「なんだか、歌鈴ちゃんみたいです。」

 

八幡「......俺も思った。」

 

 2人で笑う。バレないようにコッソリと。

 

 

受付嬢「平塚先生、お客様をお連れしました。」

 

「ガラッ!バンッ!」

 

卯月「(ビクッ)」

 

平塚「待っていたぞ比企谷!さあ、早く入りたまえ!」

 

受付嬢「では、失礼します。」

 

平塚「うむ。ありがとう。」

 

 変わってねえなこの人も。

 

八幡「お久しぶりです。先生。」

 

平塚「まずはかけたまえ。立ったままというのもおかしいだろう。」

 

2人「はい。」

 

八幡「んじゃ、まずは......こちらは平塚静先生。俺の恩師で......尊敬する人だ。」

 

卯月「は、はじめまして!私は......あっ!」

 

平塚「ん?」

 

 変装を解く卯月。失礼だと思ったのだろう。

 

平塚「へ?」ぽろ

 

 あ、タバコ落とした。あぶねえな......拾っとこ。火を消して......よし。

 

卯月「はじめまして!島村卯月っ!18歳です!よろしくお願いします!」

 

平塚「......」

 

八幡「??先生?」

 

平塚「はぁぁぁぁ⁉︎」

 

卯月「(ビクッ)」

 

八幡「うぉっ!いきなり叫ばんでくださいよ。」

 

平塚「比企谷!なんて人を連れてきてるんだ!ちょっと待ってろ!今校長を呼ぶ!」

 

八幡「別にいいですよ。仕事で来てるわけじゃないですし。」

 

平塚「だ、だが......」

 

八幡「話も大きくしたくないんで。」

 

平塚「そうか。ならやめておこう。......正直私も面倒くさいしな。」

 

卯月「ぷっ......あ、すみません。」

 

平塚「かまわんよ。ところで、用とはなんだね?」

 

八幡「あ、平塚先生。これ受け取ってください。」

 

平塚「ん?これは......夏のライブのチケットじゃないか!」

 

八幡「是非来てください。」

 

卯月「よろしくお願いします!」

 

平塚「いいのかね?彼女たちにも必要だろう?」

 

八幡「大丈夫です。そっちは一色に任せたんで。」

 

平塚「一色?彼女もそこでバイトを?」

 

八幡「はい。俺の部署で事務を任せてます。」

 

平塚「......君は今『俺の部署』と言ったのか?」

 

八幡「......あっ。言ってませんでしたね。俺今、クローネのプロデューサーやってんすよ。」

 

平塚「......は?クローネって......Project Kroneの事か?」

 

八幡「はい。一応これ、名刺です。」

 

平塚「......プロデューサーどころか、専務付きじゃないか。」

 

八幡「まあ、成り行きでそうなりました。」

 

平塚「......大したものだな。優秀なのは知っていたが、ここまでとは思わなかったよ。」

 

卯月「はいっ!八幡さんは凄いです!」

 

平塚「......ふふっ。島村さんは本当にいい笑顔をするのだな。これが前に君が言っていたものかね?」

 

八幡「はい。」

 

平塚「そうか。ならライブでは、もっといいものが見られそうだな。」

 

八幡「はい。楽しみにしててください。」

 

平塚「ああ。そうさせてもらうよ。せっかく来たんだ。校内でも見学して行ったらどうかね?」

 

 卯月を見ると目がキラキラしている。......見たいんですね。

 

八幡「なら、お言葉に甘えます。」

 

平塚「わかった。全校に通達はしておこう。誰がいるかは言わないがな。」

 

八幡「ありがとうございます。では、失礼します。」

 

卯月「失礼します!」

 

平塚「あ、待ってくれ!」

 

八幡「はい?」

 

平塚「......サイン......もらえないか?」

 

卯月「はいっ!喜んで!」

 

 先生が色紙とペンを......なんで色紙持ってんだよ......「あ、静ちゃんへでお願いします。」ブホッ!静ちゃんて......年考え......寒気が......

 ホクホクした先生が小躍りしながら去って行ったため、俺たちも校内を回る。

 屋上や俺の使っていた教室。卯月も俺の高校時代の話は知っているため、ここでアレがとか話題は尽きない。

 で、やっぱ最後はここしかないだろう。

 

「コンコンコン」

 

小町『どぞどぞ〜。』

 

「ガラッ」

 

八幡「部長。やる気出せ。」

 

小町「ごめんなさい!ってお兄ちゃんか......ん?え?お兄ちゃん?」

 

大志「お兄さん!お久しぶりっす!」

 

八幡「兄と呼ぶな!お前に小町はやらん!」

 

卯月「お、お邪魔しま〜す......」

 

大志「え?誰っすか?」

 

八幡「ドアと鍵閉めといてくれ。」

 

大志「無視しないでほしいっす!」

 

卯月「はいっ♪」

 

小町「その声は......」

 

卯月「はい!小町ちゃん!」

 

小町「お義姉ちゃん!」

 

大志「お姉さん⁉︎え?比企谷さん、お姉さんもいたんすか⁉︎」

 

小町「チッチッチ!お義姉ちゃんは、お義姉ちゃんであってお姉ちゃんにあらず!」

 

大志「いや、意味わかんないっす。」

 

八幡「わからんでいい。とりあえず出てけ。」

 

大志「いきなりっすか⁉︎さすがにひどいっすよ!」

 

八幡「いや、話あんだよ。お前がいるとできん。」

 

大志「......わかったっす。じゃあ、比企谷さん。今日は俺、帰るっす。」

 

小町「ん。じゃねー。」

 

 小町も相変わらず大志の扱いが雑だな......ウケる!

 大志が部室から出て行き、再度ドアに鍵をかける。

 小町に卯月とのことはまだ話せていない。さすがにもう家には呼べないからだ。

 だから今回、一色の案には正直言って感謝している。ようやくちゃんと3人で話ができる......

 

八幡「小町......話がある。」

 

小町「うん。やっと聞けるんだ。」

 

八幡「おう。わかってると思うが、俺は卯月と付き合ってる。」

 

小町「うん。知ってた。」

 

八幡「だよな。」

 

卯月「え?」

 

小町「旅行の時だよね?」

 

八幡「ああ。」

 

小町「おめでと。お兄ちゃん。卯月さん。」

 

 真面目な時は茶化してこない。ホント良くできた妹だ。

 

八幡「ありがとな。」

 

卯月「ありがとうございます!」

 

小町「じゃあこれからは〜、本当にお義姉ちゃんだ!」だきっ

 

卯月「はい!小町ちゃん!嬉しいですぅ♪」

 

小町「おぉ......フカフカですなぁ......」

 

 抱き合う2人。いい眺めですなぁ......

 

小町「......ん?ん〜.....あれ?お義姉ちゃん......少しサイズが......」

 

卯月「(ビクッ)」

 

 え?マジで?そういえば確かに最近手から......い、いや!いかんいかん!

 

八幡「......」

 

小町「おやおやぁぁ?そっか〜、小町も叔母さんになっちゃうか〜♪」

 

卯月「な、なりません!ちゃんとつけて......あっ......」

 

小町「(ニヤニヤ)」

 

卯月「あぅ......」

 

八幡「......」

 

小町「そっかそっか〜。......お兄ちゃん。小町嬉しいよ。」

 

八幡「小町......」

 

小町「ちゃんと幸せになってね?」

 

八幡「......おう。」

 

卯月「......はい!」

 

小町「じゃあ、今日はお赤飯だー!」

 

卯月「お赤飯大好きです!」

 

八幡「いや、お前は食えんから。」

 

卯月「えぇぇ!そんなぁ......」

 

八幡「また後でな。」

 

卯月「......はい。」

 

 なんか......久々の比企谷家の平和な日常って感じだな......

 

 学校だけど。



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30話√卯月

 ライブまで残り1週間。ようやく発注していた衣装が届いた。

 李衣菜に連絡をとり、全員でサイズの確認をしてもらっている。

 確認のみなので、今回は一色に任せて俺はライブの最終調整を。まあ、最終調整というより、無茶や抜けがないかの確認なのだが。

 ん?高町?あいつは休みだ。引っ張りまわしてこき使っていたため、ライブ前日まで休みを取らせている。......俺みたいになっても困るしな。

 さて、あとはプログラムd「Prrrrr......」......あん?一色?......なんかトラブルか?

 

八幡「おう。どした?」

 

一色『あ、せんぱい!すぐに来てください!』

 

八幡「お、おう。わかった。」

 

一色『はい!待ってます!』

 

 ......やけに焦ってんな。嫌な予感が......

 

 確認作業を一旦やめて、衣装室に向かう。トラブルであれば、考えられることは......デザイン違いか......はたまたサイズか......

 だが、その程度なら一色でも対処はできるはず......ま、行けばわかんだろ。

 

 

 衣装室に着き、中に入る。いるのはメンバー5人と一色。5人は衣装に身を包んでいる状態。

 

 おぉ......素晴らしい......

 

八幡「いいな......」

 

一色「やっと来ました!せんぱぁい!やばいんですやばいんですやばいんですぅ〜!」

 

八幡「あ、あざとい......」

 

加蓮「......なるほど。ああやるのか......」

 

八幡「感心してんじゃねえよ......で、なに?」

 

一色「サイズが合わないんですよ!ちゃんと注文した通りできてるのに......」

 

八幡「あ?じゃあ、先方には非がねえって事か?」

 

一色「はい。なので、修正を頼んだんですけど、忙しいらしくてライブの日程には......」

 

 ......まずいな。先方に非がなければクレームはつけられん。あちらも作業は後回しにしてくるだろう......

 

八幡「......衣装さんには?」

 

一色「言いましたけど......このタイミングですから......」

 

八幡「そうか......」

 

 当然だ。17組も参加するんだ。手が空いているわけがない。

 

八幡「......」

 

 どうする......考えろ......

 

美穂「あ、あの。八幡さん?」

 

一色「d「大丈夫!」......李衣菜ちゃん。」

 

智絵里「安心してください。」

 

まゆ「......え?」

 

李衣菜「あの顔してる時の八幡さんなら......」

 

智絵里「きっとなんとかしてくれます。」

 

加蓮「そ、そうなの?」

 

李衣菜「CPはトラブルが多かったから......」

 

智絵里「はい......でも、そんな時はいつも八幡さんが......」

 

李衣菜「うん。助けてくれた。だから大丈夫!」

 

八幡「......」

 

 何か、何か手は......裁縫......修正......ドレス......衣装......ん?衣装......あいつなら!

 

「Prrrr......」

 

李衣菜「え?電話?」

 

小町『はいはーい。お兄ちゃんどしたの?』

 

八幡「すまんな。大至急だ。大志に連絡して、あいつの姉に俺に連絡するよう伝えてくれ。番号は教えてかまわん。」

 

小町『了解であります!んじゃ、待っててね

〜。」

 

 よし。頼む......

 

一色「せ、せんぱい?」

 

八幡「......少し待ってくれ。」

 

一色「は、はい......」

 

 「Prrrr......」

 知らない番号......来た!

 

八幡「比企谷です。」

 

川崎『か、川崎だけど......急に何?』

 

八幡「......頼みがある。」

 

川崎『......なんなの?』

 

八幡「今週いっぱい、お前の時間を俺にくれ。」

 

6人「っ!」

 

川崎『い、いきなりそんな事言われても......バイトだってあるし......』

 

八幡「バイト代は出す!言い値で構わん!」

 

川崎『えぇ⁉︎じゃあ............とか?』

 

八幡「わかった。............だ。」

 

川崎『え?......危ない仕事じゃないよね?』

 

八幡「お前の得意分野だ。問題ない。」

 

川崎『......わかった。やるよ。どうすればいい?』

 

八幡「なら今から346プロに来てくれ。受け付けには通しておく。場所はわかるか?」

 

川崎『え?えぇ⁉︎場所はわかるけど......346プロって......まあいいや。行けばわかるんでしょ?』

 

八幡「おう。マジ助かった!サンキュー川崎!愛してるぜ!」

 

6人「なっ!」

 

川崎『ちょ!あんたまt「プッ。」......』

 

 よし!なんとかなる!

 

八幡「一色!」

 

一色「(ビクッ)は、はい......」

 

八幡「これから川崎が来る。受け付けに話して待っててくれ。」

 

一色「......はぁ、わかりました。」

 

八幡「頼んだぞ。それとお前ら、これから衣装の修正に入る。すぐに着替えてくれ。あと、これから来るやつに採寸も頼むからそのつもりでな。」

 

5人「は、はい。」

 

八幡「俺は事後だが、専務に許可をもらってくる。李衣菜。こっちの事は頼んだ。」

 

李衣菜「う、うん。」

 

八幡「よし。行動。」

 

6人「はい!」

 

 

 

美穂「行っちゃいましたね......」

 

李衣菜「相変わらず凄い行動力......」

 

智絵里「でも、八幡さんらしいです。」

 

加蓮「......」

 

まゆ「......加蓮ちゃん?」

 

加蓮「......愛してるって......どういう事?......アタシがいるのに......」

 

李衣菜「あ、やば......」

 

まゆ「......たしかに......許せません。八幡さん......また浮気ですか?」

 

智絵里「ずるいです......わたしだって......」

 

美穂「まったく......すぐ他の子に手を出すんですから......」

 

李衣菜「は......八幡さーん!いろはちゃーん!早く帰ってきてぇぇぇぇぇ......」

 

 

 

 衣装修正で急遽バイトを取る事を専務に報告し、なんとかだが許可をもらった。......まあ、かなりぶつくさ言われたが。だが、そんなのは些細な事だ。

 あの曲は、あの衣装をあの5人が着て、はじめて完成する。そのためなら専務の小言の一つや二ついくらでも聞......きたくねえな......出来る事なら......まあ、仕方ない。

 だがおかしい。なぜだ?注文した通り出来ているのになぜサイズが合わない?まあ、色々あるだろうが。

 だって女の子だもの。はちを。

 

 衣装室に戻り中に入る。さて、川崎はもう来てるか?

 

八幡「悪いな。今もどっ......た......」

 

一色「え?」

 

川崎「は?」

 

加蓮「......え?」

 

 ......やってしまった。......もう測ってたのね。

えへっ。見ちゃった☆はちまんたらうっかりさん!

 じゃねーよ!何でこんなトコで堂々と測ってんだよ!そこのカーテンの中入れよ!

 

八幡「す、すまん!まさかこんなトコでやってると思わんかったんだ!」

 

 身体を180°回転させ全力謝罪。惜しい......じゃなくて、仕方ない。

 

加蓮「は、八幡さん......見た?」

 

八幡「先端までバッチリ!(み、見てない!俺は何も見てないぞ!)」

 

加蓮「うぅ......」

 

一色「うわぁ......もしかして言ってることと、思ってること逆になってませんか?」

 

八幡「......は?俺なんて言った?」

 

川崎「......『先端までバッチリ!』だっけ?」

 

八幡「......」

 

一色「......」

 

川崎「......」

 

加蓮「......でも、八幡さんなら......見せてもいいかも......」

 

一川「え?」

 

八幡「......(いやいや、コイツ何言っちゃってんの?壊れちゃってんの?)」

 

加蓮「......ねえ、八幡さん......もっと見たい?八幡さんなら......いいよ?」

 

一色「す、ストーップ!」

 

川崎「な、何考えてんの!」

 

加蓮「え?あ、ごめん......」

 

八幡「つーか、なんでこんなオープンスペースでんなことしてんだよ......そこにちゃんとカーテンあんじゃねえか......」

 

全員「あ......」

 

八幡「あ......じゃねえよ。誰か来たらどうすんだよ。実際に俺が来ちまったし。と、とにかくだ。採寸はあっちでやってくれ。」

 

川崎「う、うん。なんか......ごめん。」

 

八幡「いや、俺もすまん。」

 

 ......これで変なトラブルは回避できる。が、......見てしまった。ごめんよ、卯月。悪気はないんだ。浮気じゃないから安心してk「八幡さ〜ん!」......女神が来た......

 

卯月「ここにいるって聞いたので、来ちゃいました!」

 

八幡「......」

 

 ああ......癒される......自然に抱きしめてしまうのを止められるだろうか......いや、できない。

 

卯月「え?ええ?......えへへぇ♪」

 

八幡「あぁ......癒される......」

 

卯月「えへへ......嬉しいです......」

 

李衣菜「と、途端に空気が甘く......」

 

まゆ「......」

 

智絵里「......」

 

美穂「卯月ちゃん、今日はもう終わったの?」

 

卯月「はい!なので八幡さんに会いに来ました!えへへぇ......八幡さぁ〜ん♪」スリスリ

 

 グフッ......か、可愛いすぎる......

 

美穂「ちょ、ちょっとくっつきすぎじゃないかな?今はお仕事中なわけだし。」イラッ

 

李衣菜「ま、まあ。落ち着いて......」

 

卯月「......なんだか、今日の美穂ちゃん怖いです......」

 

美穂「(ビクッ)そ、そんなことないよ?」

 

卯月「ならいいんですけど......ところで、皆さんの衣装はどうしたんですか?」

 

李衣菜「ちょっとサイズが合わなくてさ。みんな再採寸と調整。」

 

卯月「そうだったんですね。私も最近胸が......」

 

美穂「う、卯月ちゃんも?」

 

卯月「はい......胸がきつくなって、ウエストが緩く......」

 

まゆ「......ナニかしてるんですか?」

 

 ......こら。頬を赤らめてこっちを見るんじゃない。バレちゃうでしょうが......

 

智絵里「羨ましいです......よ、よかったら教えてください!」

 

卯月「え、えっと......その......」

 

川崎「終わったよ。次、緒方さんね。」

 

智絵里「あ、はい!」

 

 加蓮と入れ替わりで智絵里が向かって行く。......加蓮さん?何かあったの?機嫌悪そうだけど......

 

加蓮「......八幡さん......聞きたいことがあるんだけど。」

 

八幡「あ?なんだ?」

 

加蓮「電話で言ってたよね?沙希さんに『愛してる』って。......どういう事?」

 

卯月「え......」

 

 あ、やべえ。これマジやべえ。

 

卯月「そ......そうなんですか?やっぱり私なんかじゃ......」

 

八幡「ち、違う!そうじゃない!」

 

李衣菜「うわっ!なんか凄い必死だ!」

 

卯月「で、でも......グスッ......」

 

八幡「だ、大丈夫だ。俺が愛してるのは......卯月だけだ。」

 

卯月「......はい。私もです。......うぅ......八幡さん......」ぎゅう

 

まゆ「......」

 

美穂「......」

 

加蓮「......」

 

李衣菜「......空気甘すぎでしょ。」

 

 よかった......信じてくれて。俺も直さねえとな。......この癖。

 とまあ、そんなこんな余計なトラブルはあったが、全員無事に終了。......みんなウエストが細くなってたり、む、胸が大きくなってたり......ちゃんと言ってよね!

 期間としては、大幅な修正はないため、ライブには間に合うらしく一安心。川崎マジ感謝。

 ......いっその事ここで雇い続けるのもありだな。うむ。専務に進言しよう。

 

八幡「あ、川崎。」

 

川崎「......何?」

 

八幡「お前ライブ当日は、バックでスタッフな。」

 

川崎「......は?」

 

八幡「パス用意しておくから、詳しくは一色に聞いてくれ。」

 

川崎「......急展開すぎてついていけない。」

 

一色「大丈夫です。わたしもそうでしたから。」

 

 

 

 ライブ当日。会場は横浜アリーナ。当初はハコがでかすぎるか?とも心配したが、それは杞憂に過ぎなかった。チケットはいつもより1000円高くなったが、発売と同時に即完売。

 まあ、一部ネットで『チケット高えよ!』だの『ついにボッタクリが......』などと騒がれていたが、出演者を順次発表していくと、あっという間に収まった。逆に『豪華すぎる!』との声があがるほどだ。

 開場まであと30分。......そろそろ来る頃だな。

 

「Prrrrrr......」

 時間通り。ホントにあの人は.....

 

八幡「高町さん、一色、すまん。少しはずすわ。」

 

高町「あ、はい!わかりました。」

 

一色「何かあったんですか?」

 

八幡「案内だよ。関係者席のな。」

 

 そう一言告げ、その場を離れる。会うのは久しぶりだな......声は元気そうだったが......

 関係者入り口。その人はすぐに見つかった。

 

八幡「おう。久しぶり。」

 

母「久しぶりね......見違えたわ。いい男になったじゃない。」

 

八幡「......うるせえよ。んじゃ、案内するわ。ついて来てくれ。」

 

母「お願いね。」

 

 母ちゃんを連れて歩く。母ちゃんと2人で歩くなんていつぶりだ?覚えがねえや。ま、いいか。とりあえず専務には会わせておこう。

 

 

 VIPルーム

 

母「......ここで見るの?」

 

八幡「あ?違う違う。ちょっとした挨拶だ。」

 

 遠慮なくドアを開け、中に入っていく。

 

母「あ、あんた......ノックくらいしなさいよ......」

 

八幡「あん?必要ねえよ。あの人には。」

 

 中にいるのは専務と今西部長。......あなたたち、いつも一緒ですね。

 

今西「おや?比企谷君かね?」

 

専務「......何かトラブルか?」

 

八幡「いえ、問題ないです。紹介したい人がいたんで連れて来ました。」

 

専務「そうか。後ろの方かね?」

 

八幡「はい。紹介します。俺の......母です。」

 

母「......比企谷志穂と申します。息子がいつもお世話になっております。」

 

八幡「んで、こちらが美城専務で、あちらが今西部長。」

 

今西「こちらこそ。比企谷君には、いつもお世話になっております。」

 

専務「お世話になります。比企谷君、お母様は海外ではなかったか?」

 

八幡「来てもらったんすよ。せっかくだったんで。」

 

母「あんた!上司になんて話し方してんの!申し訳ありません。うちの息子が......」

 

専務「かまいません。私がいつも通り話すよう伝えておりますので。」

 

母「......失礼ですが、どのようなご関係で?」

 

専務「彼は専務付でして、私の右腕として勤めていただいております。」

 

母「......へ?」

 

今西「彼は専務付きだけでなく、Project Kroneのプロデューサーでもあります。さらには、今ライブの統括責任者も務めております。」

 

母「......あんた何やってんの?」

 

八幡「あ?仕事に決まってんだろ。ま、いいや。じゃ、専務。関係者席に連れてくんでこの辺で。」

 

専務「待ちなさい。」

 

八幡「はい?」

 

専務「お母様はこちらで見学していただきなさい。」

 

母「......へ?」

 

八幡「......いいんすか?」

 

専務「かまわん。それに、いろいろと話したいこともある。」

 

八幡「まあ、母ちゃんが良けりゃいいっすけど......」

 

 母ちゃんも気が乗ったらしく、首を縦に振っている。......多分キャリアウーマン同士何かあるんだろうな......

 

八幡「わかりました。んじゃ、俺は現場に戻ります。」

 

専務「ああ。ご苦労だったな。」

 

今西「比企谷君、楽しみにしているよ。」

 

八幡「はい。......腰抜かさないでくださいね。」

 

今西「はっはっはっ。それは怖いな。」

 

八幡「では、失礼します。」

 

 まあ、あそこなら母ちゃんもゆっくり見られるだろ。専務、マジ感謝。

 なら俺は......あそこからでも感動できる様なステージを......作り上げるだけだ。

 

 

 

 開演5分前。緊張している一色。

 なぜなら、オープニングで今回のライブの説明を一色にさせるからだ。「無理です!」と言っていたが「これで人気が出ればアイドルに......」と仄めかしたら乗って来た。すぐに。

 ......チョロいな。

 

一色「やばいですやばいですやばいですぅ〜!」

 

八幡「お前なら大丈夫だ。いつものノリで、客の心掴んでこい。」

 

一色「せんぱい......なら、勇気ください。」

 

八幡「あ?どうすりゃいいんだ?」

 

一色「......名前。」

 

八幡「......は?」

 

一色「......名前で呼んでください。」

 

八幡「......お前なら大丈夫だ。客を温める役頼んだぞ。......いろは。」

 

いろは「っ!はい!」

 

八幡「よし!行ってこい!」

 

いろは「いろは、いっきま〜す!」

 

 頑張れ!いろはす!

 

いろは『みなさーん!こんばんはー!』

 

客『こ、こんばんはー?』

 

いろは『あれ?元気ないですねぇ?もう一回!こんばんはぁー!」

 

客『こんばんはー!』

 

いろは『はいっ!バッチリです!ライブを始める前に、わたしから連絡があるので、聞いてくださぁい!』

 

客『はーい♪』

 

客『可愛いよー!』

 

いろは『ありがとうございまぁす♪まず、皆さん!リストバンドはつけてますか?』

 

客『付けてるよー!』

 

いろは『ありがとうございまぁす!スイッチを入れても、何も起きないと思うんですけどぉ............青!」

 

客『......うおおおおおおおおおおおお!』

 

客『なんだコレ!スゲー!』

 

 観客のリストバンドが一斉に青く光る。一面の青。観客も意味がわかったのか、サイリウムをしまっていく。

 

いろは『次は......黄色!』

 

客『うおおおおおおおおおおお!!』

 

いろは『最後は............コレ!』

 

 客席に文字が映し出される。

 

 『Live Party』

 

客『うおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

いろは『コレでいろいろな演出をしていきますので、楽しみにしててくださいね!』

 

客『うおおおおおおおおお!!!!』

 

いろは『それとぉ、ボタンがついてると思うんですけどぉ......』

 

客『これなにー!』

 

いろは『今から説明しますからぁ。そんなに焦らないでくださいねっ♪』

 

 あ、何人か崩れ落ちた。......あのあざとさに落ちたな。

 

いろは『これから沢山のユニットが出てくるんですけど、終わった後にいいなって思ったらボタンを押してください!』

 

客『なんでー?』

 

いろは『いい質問です!』ビシィ!

 

 こらこら。指さすんじゃありません!あ、また何人か崩れ落ちた。

 

いろは『ボタンを押してぇ............投票の多かった5組にデビューしてもらっちゃいます!』

 

客『......えええええええええええ!』

 

いろは『な・の・で!全部押しちゃダメ!ですよ!』

 

 あ、さらに......

 

いろは『では!そろそろ行きましょう!みなさん、準備はいいですか!』

 

客『うおおおおおおおおお!!!!』

 

いろは『まずは会場を温めてもらいましょう!CPのみなさん、お願いします!』

 

客『うおおおおおおお!!!!』

 

 いろはが捌けると同時に曲が始まる。オープニングはやっぱりこれだろう。CPによる『お願い!シンデレラ』まずはコレで一気に行く。

 

 CPが終わってさらに......次はLiPPSだ。この曲では、5人のイメージカラー毎に、目まぐるしくリストバンドの色も変わっていく。

 

 LiPPSの出番も終わり、今後は新生ユニットの出番。先の2組に参加したメンバー達が含まれるユニットは後回しにしているため、なんの問題もない。

 

美波「八幡君!」

 

八幡「ん?おお、美波か。先頭バッターお疲れさん。」

 

美波「うん!しっかり温めてきたから!」

 

八幡「サンキューな。やっぱオープニングはあれじゃないとな。」

 

未央「だよねだよね!」

 

八幡「お?おお?なんだ未央か。いきなり混ざってくんな。」

 

未央「ごめんごめん。でもすっごいよ!あのリストバンド!」

 

美波「そうね。私たちまで楽しくなってきちゃう!」

 

未央「ホントいい事思いついたよね!」

 

八幡「だろ?もっと褒めろ。」

 

未央「ち、調子に乗りおって......」

 

美波「でも、本当に凄いと思う。この後も楽しみだな♪」

 

未央「この後と言えばさ、ハッチーのユニットってどんなことするの?」

 

八幡「あ?『Masque:Rade』か?」

 

美波「......ユニット名まで決まってるの?」

 

八幡「ああ。......1位間違いねえからな。」ニヤ

 

2人「っ!!」

 

未央「い、言ってくれるじゃん。」

 

美波「すごい自信ね......私たちも負けないから!」

 

八幡「いいや。無理だな。」

 

美波「っ!そ、そこまで言うんだ。参考までに簡単でいいから教えてもらえない?」

 

八幡「......新曲。」

 

未央「え?」

 

八幡「......新衣装。」

 

美波「うそ......」

 

八幡「......特殊編成。この3つが俺たちの武器だ。」

 

まゆ「......そうです。八幡さんがまゆのために用意してくれた曲......他のユニットに負けるはずがありません......」

 

未央「い、いつのまに......」

 

美波「だったら、楽しみにしてるね。」

 

八幡「おう。そうしとけ。お前も体調気をつけろよ。あと2回出番あんだから。」

 

美波「ありがとう。じゃあ、準備してくるね。」

 

未央「あ、私も!じゃあ、ハッチー!また後で!」

 

八幡「おう。頑張れよー。」

 

 ......2曲後に美波たち、そのあと未央たちか。

 

八幡「まゆ、あの2組がうちと争ってくる。」

 

まゆ「......はい。負けません......まゆは、八幡さんのために......あの歌を歌います。」

 

八幡「そ、そうか。よろしくな......」

 

まゆ「では、まゆも準備があるので......」

 

八幡「おう。行ってこい。」

 

まゆ「はい。」

 

 ......未央じゃないが、ホントいつの間に来たんだよ。マジ怖え......

 

 

 

 今ステージにいるのは、楓さん、川島さん、松永、奏、美波の5人。個人の人気度で言えば、このユニットが一番だろう。

 それに、まさか奏が参加するとは思っていなかった。まあ、「楓さんや美波さんを近くで見て、自分となにが違うのかを知りたいの。」なんて言われたら断れません。しっかり勉強して来なさい!

 そんなユニットだ。今までとは客の盛り上がりが段違いだ。......すげえな。

 

卯月「八幡さん......」

 

八幡「......緊張してるか?」

 

卯月「......はい。それに、この後に出るのが少し怖くて......」

 

八幡「大丈夫だ。凛も未央も一緒だ。唯に上条だっている。それに......俺もな。」

 

卯月「......え?」

 

 コテンと首を傾げる......可愛い。じゃなくて、胸元を指差す。

 

卯月「あっ......そうでしたね!ずっと一緒なんですよね......」

 

八幡「おう。ここからちゃんと見てるからな。」

 

卯月「はいっ!島村卯月っ!頑張ります!」

 

八幡「おう。行ってこい。」

 

卯月「はい!」

 

 あれなら大丈夫だ。頑張れ!卯月!

 

専務「......いいライブになっているじゃないか。」

 

八幡「あ、お疲れっす。視察っすか?」

 

専務「まあな。お母様も楽しんでくれているよ。」

 

八幡「ならよかったっす。」

 

専務「あのリストバンド......どうかと思っていたが、なかなかのものじゃないか。オープニングには驚かされた。」

 

八幡「金かけた甲斐がありましたね。」

 

専務「そうだな。君のユニットはこの次だったか?」

 

八幡「はい。今は卯月たちなんでそうです。」

 

専務「......楽しみにしている。」

 

八幡「専務。」

 

専務「なんだ?」

 

八幡「出来たら、客席から見てください。」

 

専務「......そうしよう。」

 

八幡「あざっす。最高の仮面舞踏会をお見せします。」

 

 あいつらはもうスタンバイ済みだ。

 

 

卯月『ありがとうございましたー!』

 

 

 きた。あいつらの出番だ。

 

 卯月たちが捌け、ステージが暗転。

 

 曲がはじまると同時に、パッとステージ上の5人にスポットライトが当たる。

 真紅のドレスを身に纏った5人。

 会場は赤一色。

 

奏「......やられたわね。」

 

八幡「......どうだ?」

 

奏「......勝てる気がしないわ。新曲に新衣装......あの配置は?」

 

八幡「わざとだ。他と違うことをやりたかったからな。」

 

奏「そう......私たちは本当に恵まれているわね。」

 

八幡「あ?何のことだ?」

 

奏「あなたの元を離れてわかったのよ。私たちは今まで、あなたに輝かせてもらっていた事が。」

 

八幡「......んなの、お前の実力だ。」

 

奏「違うわ。今回思ったのよ。私のいたユニットは楓さんを輝かせるものだったわ。でも、あなたは違う。5人全員を最大限に輝かせている。......こんなの、敵うはずないじゃない。」

 

八幡「奏......」

 

 悔しそうに手を握りしめている。......こいつ負けず嫌いだからな。だが、ここまで表に出すのは珍しい。余程悔しいのだろう。

 

八幡「......大丈夫だ。お前も本当に良かったぞ。」

 

奏「......お世辞はいいわ。」

 

八幡「そうじゃない。あの錚々たるメンバーに引けを取ってねえんだ。それだけですげえっての。」

 

奏「......あなたに言われると、そう感じてしまうから不思議ね。」

 

八幡「だから自信持て。お前はクローネの看板娘なんだからな。」

 

奏「いつからクローネは定食屋になったのよ......」

 

八幡「......わかりやすくていいじゃねえか。」

 

奏「ふふっ。そうね。なら私はマスターの顔に泥を塗らないようにしないとね。」

 

八幡「おう。頼んだぞ。」

 

奏「ええ。任せて。マスターさん。」chu!

 

八幡「な!ばっ!おまっ!」

 

奏「ふふっ、今は頬で我慢しておくわ。それじゃ。」

 

 ......やられた。アイツは絶対に何もしてこないって油断してたわ......だ、誰にも見られて......たぁぁぁぁ!

 

八幡「み、見なかったことにしてくれ......」

 

奈緒「......無理。」

 

八幡「どうしてもか?」

 

奈緒「な、なら、条件がある!」

 

八幡「......なんだ?」

 

奈緒「ああああたしと、で、デート!一回でいいから!」

 

八幡「......すまん。それはできん。」

 

奈緒「なら!何かちょうだい。卯月みたいに......」

 

八幡「......わかった。それで手をうとう。」

 

奈緒「ぜ、絶対だからな!嘘ついたら卯月に言うからな!」

 

八幡「......おう。わかった。」

 

奈緒「じゃ、じゃあな!行ってきます!」

 

八幡「......おう。」

 

 ......出番終わってんじゃん。まともに見れなかった......

 

 

 

 順調にライブも進み、大トリはアインフェリアだ。この間に集計を終わらせて、結果発表。

 ぶっちゃけ俺も順位は知らん。いろはの発表待ちだ。周りのPさんたちもかなりそわそわしている。......そんなに睨んだって順位は変わらないっての。

 

 アインフェリアのステージも終わり、現在ステージ上にはいろはのみ。き、緊張するよぉぉぉ......

 

いろは『では!5位から順に発表しちゃいます!』

 

客『うおおおおおおおおおお!』

 

 次々と発表されていく。

 

 5位 片桐さん、及川、堀ユニット。たまにこの3人組は見てたしな。妥当だろう。

 

 4位 奈緒、ウサミン、荒木さんユニット。......濃いな。あっちの意味で。

 

 3位 ニュージェネ、唯、上条ユニット。まあ予想通り。武内さん、やっぱこれはずるいっすよ。

 

 2位......ここで呼ばれなければ1位確定だ。頼む......

 

いろは『第2位は......楓さん、瑞樹さん、涼さん、美波さん、奏さんの5人ユニットです!』

 

客『うおおおおおおおおお!!』

 

客『マジで⁉︎』

 

客『って事は!』

 

八幡「よしっ!」

 

いろは『そして!栄えある第1位は......」

 

客『......』

 

いろは『もう一度歌っていただきましょう!この方たちです!』

 

 は?マジで?俺聞いてないんだけど!

 

武内「比企谷さん。勝手にプログラムを変更してすみません。」

 

八幡「......武内さんが?」

 

武内「はい。その......結果があまりにもダントツでしたので......」

 

八幡「......マジっすか?」

 

武内「はい。お客様の9割5分が投票しています。2位で8割程度です。」

 

八幡「......マジか。」

 

武内「本当に素晴らしいユニットです。多田さんや緒方さんにも、あのような面があったのですね......」

 

八幡「俺も驚きました。想像以上です。」

 

武内「......完敗です。」

 

八幡「アイツらの頑張りのおかげですよ。」

 

武内「それもありますが、同時に比企谷さんのお力でもあります。自信を持ってください。」

 

八幡「......うす。」

 

 でも、良かった......お前たちサイコーだよ!

 



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☆31話√卯月

R-18です。
苦手な方はバックしてください。


「ピンポ〜ン」

 

小町『はーい。どちら様ですか〜?』

 

卯月「し、島村卯月ですっ!」

 

小町『えっ?お、お義姉ちゃん⁉︎』

 

卯月「は、はい!来ちゃいましたっ!」

 

小町『ごふっ......い、今開けますので......し、少々お待ちを......』

 

 き、来ちゃいました!サプライズで八幡さんのお家に!だって今日は......八幡さんのお誕生日ですから!き、緊張しますぅ......

 

小町「い、いらっしゃいませ......お、お義姉ちゃん......朝から可愛すぎですぜ......」

 

卯月「え?ええっ?」

 

小町「ささ、どうぞ......」

 

卯月「お、お邪魔します......」

 

 どうして小町ちゃんはずっと口を押さえてるんでしょうか?も、もしかして体調が⁉︎

 

卯月「こ、小町ちゃん!体調悪いんですか⁉︎だったら寝ていたほうが!」

 

小町「ゴフッ!......い、いえ。悪くないですよ?あ、あまりにもお義姉ちゃんが......」

 

 はうぅぅ!わ、私のせいなんですね!うぅ......

 

卯月「ごめんなさい。いきなり来たらご迷惑ですよね......帰ります......」

 

小町「がはっ......そ、そうじゃなくて!......お義姉ちゃんが可愛すぎて.......」

 

卯月「......へ?」

 

小町「お義姉ちゃんの仕草が可愛いすぎて......小町すでに瀕死ですから......」

 

卯月「ええええええええ⁉︎」

 

??「小町〜。だれか来たの?」

 

 ??どなたでしょう。他にもだれかいらっしゃってるのでしょうか?

 

小町「ん〜......お兄ちゃんのお客さん?」

 

??「なら早く連れて来なさい!失礼でしょ!」

 

小町「は、はい!ただいま!」

 

 小町ちゃんに連れられてリビングへ......懐かしいです。お勉強会以来です!......どなたでしょう?

 どことなく小町ちゃんに似ていて......ま、まさか!八幡さんのお母様ですか⁉︎

 

??「あら?一昨日のライブに出ていた子じゃない?」

 

卯月「は、はい!CP所属の、し、島村卯月ですっ!」

 

??「これはどうも。八幡の母です。」

 

卯月「お、おおおおお母様!ええええっと、あの......」

 

小町「かふっ......お、お義姉ちゃんが可愛すぎる......」

 

お母様「八幡ならまだ寝てるわ。そこの部屋だから好きにしていいわよ?」

 

卯月「は、はい!では、失礼しましゅ!」

 

 か、噛んじゃいました!恥ずかしいですぅ......で、でも!八幡さんのお部屋......

 

 

 はぅっ......すごくいい匂い......八幡さんの匂いでいっぱいで......

 か、可愛いです!これが八幡さんの寝顔......

 うへへぇ......写真撮っておかないとですね。前のお返しです!パシャリ。

 ......こ、これは毎朝見ないと!......はっ!こ、これじゃ変態さんです!いけません!

 ......気持ち良さそうです。起こすのは忍びないので......そ、添い寝をしましょう!八幡さんの安眠のためです!

 

 で、では失礼しまーす......

 

 

八幡「......んん......」

 

 はわっ!......寝言でした。

 

八幡「......うじゅき......」だきっ

 

 ......抱きつかれちゃいましたぁぁ!ど、どうしましょう⁉︎可愛いです!可愛すぎです!

 あぁ......八幡さぁん......スンスン......いい匂いです......

 

八幡「......うじゅき......愛してるぞぉ......」

 

 ......は、反則です。......も、もう!って、ええっ⁉︎な、なんで大きくなってるんでしょう!こ、これが、英子ちゃんの言ってた、あ、朝勃ちというやつでしょうか?

 さわさわ......

 

八幡「うっ......」

 

 あれ?さわさわさわさわ......

 

八幡「......うぅ......」

 

 さわさわさわさわさわさわ......え?もっと大きくなるんですか?

 ......どうなってるんでしょう?......私、気になります!

 

 ......いいですよね?恋人同士ですし......

 

 えいっ!

 

 ブルンッ!!

 

 ひゃっ!こ、こんななんですね......コレが私のナカに......か、硬い......それにおっきい......わぁ......さわさわ......

 

八幡「......おぉ......」

 

 お、起きてない......ですね。大丈夫です。た、確か英子ちゃんが言ってたのは......こうでしたね......輪っかを作って、こう......上下に......シュッシュッシュッシュッ......

 

 な、何か出てきました!た、確かコレを舐めろって......

 

卯月「ぺろっ......」

 

八幡「(ビクッ)」

 

 ひゃっ!今ビクって......も、もう一度......

 

卯月「ペロッ!」

 

八幡「うっ!(ビクッ)」

 

 か、可愛いですうぅ!もっとみたいです!

 

卯月「ぺろぺろ......」

 

 た、確か次は咥えるって言ってました......

 

卯月「......パク」

 

八幡「(ビクビクッ!)」

 

 それで......このまま上下に......

 

卯月「......じゅっ......じゅぽっ......じゅるっ......」

 

 な、なんだかとってもエッチです......

 

八幡「......お......おぉ......」

 

 ......もっと早く......

 

卯月「じゅっじゅるっ......じゅっ...じゅっ...じゅるっ...」

 

 な、なんだか私も......

 

卯月「じゅっ...ジュルッ!...はぁ、ちゅるっ!...はん...ジュッ......」

 

八幡「うっ......はぁ......なっ......」

 

卯月「はひはんひゃん......おひはひはは?」

 

八幡「う......卯月......なにして......」

 

卯月「......へへ......はむっ!」

 

八幡「おおぅ!」

 

 えへへぇ......八幡さん気持ち良さそうです♪八幡さんが喜んでくれると......私も嬉しいです!

 確か先を舐めながら吸うって......

 

卯月「......んむ......ちゅばっ.....ん......」

 

 このまま動いたら......

 

卯月「ジュッポジュッポジュッポ......」

 

八幡「す......すげっ......うっ......」

 

卯月「ジュッジュッジュッジュッジュルッ!」

 

八幡「う、卯月。ダメだ。もう......やば!出る!」

 

 出るって......アレですか⁉︎ど、どうしましょう⁉︎た、確か英子ちゃんが言うには、飲むと喜んでくれるって......

 

卯月「ジュッジュルッ......ら、らひへふらはい......ジュルッ......ジュッ......ジュルッ!」

 

八幡「で......でるっ!」

 

 ビュルッ!ビュッビュルルッ!

 

卯月「んんんんん!」

 

八幡「うぁっ......っはぁ......」

 

 ビュッ......ビュルッ!

 す、すごいたくさん......苦いですぅ......で、でも!コレを飲めば八幡さんが!

 

八幡「す、すまん!全部口に......ほ、ほら。吐き出せ!」

 

卯月「......いいんれふは?」

 

八幡「いいから早く!」

 

卯月「はい......」

 

 よ、良かったです......ちょっと辛かったので......助かりました。

 

卯月「......ケホッ......八幡さん、気持ち良かったですか?」

 

八幡「お、おう。ちょっとヤバイくらいにな......」

 

卯月「......もう一回......しますか?」にぎ

 

八幡「い、いや!大丈夫だ!......その......すげえよかった。」

 

卯月「ならよかったです!次はちゃんと飲みますから!」

 

八幡「い、いや。飲まんでいいから。」

 

卯月「え?ええ?だって英子ちゃんが!」

 

八幡「......それは人によってだな。」

 

卯月「そ、そんなぁ......」

 

八幡「でもまあ......なんだ?その......またしてくれると......嬉しい。」

 

卯月「はいっ!いつでも!」

 

八幡「や、いつでもはまずいから。」

 

卯月「そ、そうですね!あはは......」

 

 は、恥ずかしいですぅぅぅ!

 でも、八幡さんが喜んでくれました!とっても嬉しいです!

 

 

 

 ......起きたら彼女がフェラしてるとか......コレなんてエロゲ?あ、現実でしたね。びっくりです。

 ......卯月めっちゃエロい。まじエロい。あとエロい。もう、思い出すだけでおっきしちゃうレベル......

 まあ、とりあえず......朝一からあざっした!

 じゃねえよ!なんで卯月いんの?え?何?どこでもドア持ってんの?

 

八幡「ところで......」

 

卯月「はい?」

 

八幡「なんでいんの?」

 

卯月「え?」

 

八幡「へ?」

 

 あ、やべえ。泣く......

 

卯月「ご、ご迷惑......ぐすっ......でしたか?」

 

八幡「ち、違う!嬉しいが!なんで急に?」

 

卯月「だ、だって......ズズッ......誕生日ですから......」

 

八幡「......は?誰の?」

 

卯月「......え?ち、違いましたか?たしかに8月8日って......」

 

八幡「......今日誕生日だったのか。マジ忘れてた......」

 

卯月「ええええええええええええ!?」

 

「バンッ」

 

小町「お義姉ちゃん!何かあっ......」

 

八幡「あ?どうした?小町。」

 

 どしたの?真っ赤になって。

 

小町「おおおおおおお兄ちゃんにお義姉ちゃん......な、ナニしてたの?」

 

卯月「......え?」

 

八幡「......は?」

 

 ......説明しよう。卯月が俺の勃ったままのアレを握っていました。

 ......やぁっちまったぁぁぁぁ!妹にこんな状態見られるとかマジねえわ!つーか、隠すんならちゃんと隠せよ!指の間から見てんじゃねえよ!

 

八幡「小町さん?ノックもなくドアを開けるのは失礼ではないかしら?最低限の礼儀は身につけないと、平塚先生の様になってしまうわよ?」

 

卯月「え?雪ノ下さん?どこですか?」

 

 あ、やっと離しましたね。

 

小町「お兄ちゃん、相変わらず雪乃さんの真似うまいね......ちょっと引いちゃうくらいに。」

 

卯月「ええ⁉︎今の八幡さんなんですか?」

 

八幡「おう。最近楓さんもマスターしたぞ?」

 

卯月「き、聞きたいです!」

 

小町「あ、小町も〜♪」

 

八幡「よし、行くぞ?んんっ!......では、円陣組んで、エンジンかけましょ〜!」

 

卯月「ぶふっ!」

 

小町「......いや、絶対言わないでしょ。似てるけど。」

 

八幡「これな?去年の夏フェスで実際言ったんだわ。」

 

卯月「そ、そんなの誰も機関でしょ......プフッ......」

 

八幡「......覚えてたのか。」

 

小町「......か、楓さんのイメージが......」

 

八幡「ま、小町。見たことは忘れろ。それと他言無用だ。」

 

小町「どーしよっかな〜......小町h「こずかいは今後いらないと?」小町忘れました。ごめんなさい。」

 

八幡「よし。いい子だ。」

 

小町「起きたんなら早く来て。お母さん待ってるから。あ、ちゃんと下はしまってね?」

 

八幡「当たり前だ!」

 

卯月「はうっ......」

 

 照れた卯月めっちゃ可愛い......テレうづ可愛い......

 

 

八幡「......おはようさん。」

 

母「......おはよう。随分と疲れてたみたいね。今日仕事は?」

 

八幡「休みだ。月曜だしな。」

 

母「......そう。ゆっくり休んでおきなさい。」

 

八幡「......おう。サンキュ」

 

 前ならいつまでも寝て!と怒られたんだがな......昨日も帰ってきたら寝てたからまともに話せてないし......

 

八幡「なあ、ちょっといいか?」

 

母「ええ。」

 

八幡「卯月も......ここに座ってくれ。」

 

卯月「はいっ!」

 

 卯月を座らせ俺も隣に。小町も気配を察知したのか、母ちゃんの隣に座る。

 

八幡「まず紹介するわ。......知ってると思うが、コイツは島村卯月。その......俺の彼女だ。」

 

母「ええ。一昨日美城さんに聞いたわ。改めまして、八幡の母で志穂です。こんな愚息と付き合うのも大変でしょうけど、これからもよろしくお願いします。」

 

卯月「い、いえっ!そんな!私こそいつも助けられてばかりで......こ、これからもよろしくお願いします!」

 

母「本当にいい子ね......」

 

八幡「それでだな......その......」

 

母「......卯月ちゃんには伝えてあるの?」

 

八幡「い、いや。まだだ。」

 

卯月「??」

 

母「ならそれが先でしょ。私にはそのあと聞かせてちょうだい。」

 

八幡「......わかった。」

 

母「......楽しみにしてるから。」

 

八幡「......おう。」

 

母「話は終わり?」

 

八幡「おう。サンキューな。」

 

小町「なら!」

 

八幡「あ?京都って言えばいいのか?」

 

小町「いや、誰も都道府県なんて言ってないから......」

 

卯月「奈良......京都......ぷっ......」

 

 あ、ウケてる。

 

小町「そうじゃなくて!お兄ちゃん!」

 

八幡「お、おう。なんだ?」

 

小町「お誕生日おめでとう!」

 

母「おめでとう。八幡。」

 

卯月「おめでとうございます!」

 

八幡「お、おう。ありがとな。さっきまで忘れてたが。」

 

母「これでやっとお酒が一緒に呑めるわね。」

 

八幡「......そうだな。」

 

母「美城さんも楽しみにしてたわよ〜。」

 

八幡「え?マジで?」

 

母「ええ!あの人本当に面白いわ!母さん友達になっちゃった♪」

 

小町「お、お母さんが楽しそう......」

 

卯月「専務さんいい方ですから!」

 

八幡「ま、ヘビー級の社畜同士だからな、話しが合うんだろ。あっと......ちょっと待っててくれ。渡すもんがある。」

 

小町「え!なになに!小町にプレゼント?」

 

八幡「ちげえよ。母ちゃんにだ。」

 

母「なに?」

 

八幡「今持ってくる。」

 

 ちゃんと返しておかねえと......

 

八幡「これだ。」

 

 差し出したのは二つの封筒。

 

母「......あんたこれ。」

 

小町「す、すごい大金......」

 

八幡「11月から仕送りは一切使ってない。それが全部だ。持って帰ってくれ。」

 

小町「......え?嘘でしょ?」

 

母「......とっておきなさい。」

 

八幡「そ、それはできん。そっちだって大変だろ?」

 

母「こっちのことは心配しないでいいの。大丈夫だから。これはあんた達のために用意したお金。あんたがしっかり管理してくれればいいわ。」

 

八幡「......わかった。」

 

小町「じゃあ!こm「却下だ。」......お兄ちゃんが手強い。」

 

母「さ、そろそろ出かけるわ。久々の日本を満喫しないと!行くわよ、小町。」

 

小町「了解であります!」

 

八幡「あ、なら、これ少し持って行ってくれ。」

 

母「......あんたね。」

 

八幡「俺が管理するんだ。構わんだろ?」

 

母「わかったわよ。もらって行く。」

 

八幡「おう。そうしてくれ。」

 

母「ありがとう。じゃ、行ってくるわね。」

 

小町「お兄ちゃん、お義姉ちゃん行ってきます!」

 

八幡「おー、行ってこい。」

 

卯月「行ってらっしゃい!」

 

 出かける2人。これ絶対わざとだろ......

 

卯月「......2人きりになっちゃいましたね。」

 

八幡「そ、そうだな。」

 

卯月「そ、そうだ!八幡さんご飯どうしましょう?」

 

八幡「あー......適当にどっか行くか?」

 

卯月「あ、あの......よかったら私が......」

 

八幡「......マジ?」

 

卯月「......はい。最近お勉強してるんです......ママに教えてもらって。」

 

八幡「......」

 

 だ、ダメだ......マジいい子すぎる......

 

八幡「な、なら頼んでいいか?」

 

卯月「はい!......では、準備するのでその......お部屋に行っててもらっても......いいですか?」

 

八幡「お?おお。」

 

 準備?何すんだ?ま、いいか。大人しく従おう。

 

 

 それにしても、今日は何ていい日なんだ。忘れてた誕生日を卯月に祝ってもらって、朝一から......い、いかん。でも、アレ......よかったな......

 

卯月『は、八幡さ〜ん。おまたせしました〜。』

 

 お、呼ばれたな。行くか。

 

八幡「おう、準備っていった......」

 

卯月「......ど、どうでしょうか?」ターン♪

 

八幡「ガハッ......」

 

卯月「ど、どうしました⁉︎」

 

 やられた......はちまん一撃で落とされました......なんで......なんで!

 

 

 

 裸エプロンなんだ!

 

 

 

 ......最高です。

 

八幡「う、卯月......その格好......」

 

卯月「え、英子ちゃんが、こうすると喜ぶって......」

 

 が、我慢できなくなっちゃうから!てか、もうやばい。マジやばい。......もう一回見てみようかな?

 

八幡「ブッ!!」

 

卯月「だ、大丈夫ですか⁉︎」

 

八幡「す、すまん。その......下丸見え......」

 

卯月「......え?」

 

 崩れ落ちた状態で顔あげれば......見えちゃうよね!はちまんたらうっかりさん!てへっ。

 

八幡「その格好は......その......大変魅力的なんだが......が、我慢できなくなるから......」

 

卯月「......我慢しないでいいです。」

 

八幡「......は?」

 

卯月「我慢しないでください!私は八幡さんのものです!だから......」

 

 ああ......不安だったんだな。最近一緒にいる時間少なかったし、ヤンデレが増えてたし......

 

八幡「すまん。不安にさせちまったんだな。」

 

 ふわりと卯月を抱きしめる。伝わってくる体温が心地良い。温かく、安心する。

 

卯月「あっ......八幡さん......」

 

八幡「大丈夫だ。俺が愛してるのは卯月だけだから......安心してくれ。」

 

卯月「......はい。私も......愛しています。」

 

 離さないように強く抱きしめる。それに応えるように卯月の力もます。ただ抱き合っているだけなのに、物凄く気持ちいい。

 本当に幸せだと感じられる......

 

 ずっとコイツと一緒にいたいと。

 

卯月「......八幡さん。お部屋に......」

 

八幡「......おう。」

 

 

 

 ベッドに横たわる卯月を改めて見てみる。身に纏っているのはエプロンのみ。

 そこからスラリと伸びる手足や、エプロン越しでもわかる形のいい胸。キュッと引き締まったウエスト。どこを見ても綺麗だ。

 顔を赤らめてモジモジしている姿が、より一層可愛さを引き立てている。

 

卯月「八幡さん......キス......してください。」

 

 返事をする代わりに唇を重ねる。

 最初はついばむように......次第に舌を絡ませ卯月の口内を蹂躙してく「......待って......これ......」と聞こえるが、止められない。

 キスを続けながら右手で卯月の胸を鷲掴みにする。先端にわざと触れないように、やわやわと揉みしだく......

 

卯月「......んん......ぷぁっ......んあんっ......んっ...んっ......」

 

 するとわざと触れていない先端が主張を始める。周りの刺激とエプロンが擦れるせいで感じてしまっているのだろう。

 キスを一旦やめ卯月を見つめる。

 

卯月「八幡さん......あっ...んんっ......な、なんっで......」

 

 トロンとした目で訴えてくる。なんで周りだけ?と。その間も胸への刺激は止めない。

 卯月の質問に答えず、一気に左の胸に吸い付くと当時に右の乳首に刺激を与える。

 

卯月「ひゃうぅ!」

 

 ビクビクと身体を痙攣させているが、御構い無しに刺激を与え続ける。

 

卯月「あっ!だっ、ダメっ!そこっ...んんっ...あぁっ!あっ......」

 

 刺激をやめ、一気にエプロンをずり下げる。プルンと形のいい胸が揺れ、桜色の控えめな先端が姿を現わす。

 

八幡「......綺麗だ。」

 

卯月「はぁはぁ......嬉しいです......ひゃうんっ!」

 

 言葉もそこそこに再度吸い付く。吸いながら舌で先端を刺激し、右手もやわやわと全体を揉みしだく。

 

卯月「あっんんん!......んっ、あっ、やっ......」

 

 ふと、クチュクチュと音が聞こえてきた......刺激を続けながらも音の方へ視線を向ける。

 擦りあう足が動くごとにクチュックチュッといやらしい音が聞こえてくる。

 

卯月「やっ!ダメっ!聞かないで......ああんっ!」

 

 自分でも気づいているのだろう。右手で腿をさすり、徐々に秘部へと近づけて行く。

 さわさわと......徐々に......

 

卯月「あぁぁ......だ、だめ......んぅ...あっ......」

 

 そしてついにたどり着く。

 

 ぐちゅっ

 

卯月「い、いや......聞かないで......」

 

 胸に吸い付きながら、割れ目をいじり続ける。グチュグチュといやらしい音をわざと出すように。

 

卯月「い、んんっ!や!お......あっ......音っ......ださ......ないでんんん!」

 

 ツプッと指を膣内に侵入させる。なんの抵抗もなく吸い込まれ......

 

卯月「んんんんんんんん!!!!」

 

 身体を反らせてビクビクと痙攣する卯月。きゅうきゅうと中指も締め付けてくる。急な刺激で軽く絶頂したのだろう。

 そのまま指をもう一本追加して、内壁への刺激を続ける。

 

卯月「は、八幡さ...あっ...まって......くださあああんっ!......い、今...あっあっあっ!ま、また!き...きちゃ!きちゃ...い!あっあっあっ!あああああああああああ!」

 

 再度絶頂に達した卯月。締め付けもさっきより格段に強い。

 

卯月「はぁ...はぁ...は、八幡さん......きて...ください。」

 

八幡「......ああ。」

 

 服を全て脱ぎ捨て、卯月のエプロンも剥ぎ取る。卯月の足の間に入り、亀頭の先端を膣口へ押し当て......

 

八幡「......いくぞ。」

 

卯月「は、はい......ああああ!」

 

 チュプッっと先端が埋まっただけで卯月が声を上げる。同時にキュウキュウと強く吸い付いてくる。ずっずっとゆっくり奥へ......

 

卯月「あっ......あぁ......入って......きます。」

 

 するとコツンと先端が何かに当たる。1番奥まで入った。うねうねと俺の竿に刺激を与えてくる卯月の膣内。気をぬくとこうしているだけで果ててしまいそうになる。

 

八幡「ぜ、全部入ったぞ。」

 

卯月「は、はい。ど、どうぞ。動いてください。」

 

八幡「い、痛くないか?」

 

卯月「大丈夫です。八幡さんのお好きなように......」

 

八幡「......わかった。」

 

 ズズッとゆっくり抜き、一気に進む。その間にも胸の先端をクニクニと刺激していく。

 ズズッ......パチュンッ......ズズッ......パチュンッ......ゆったりとしたピストンに合わせ卯月が声を上げる。痛みは全くないようだ。なら......

 

八幡「卯月......どうだ?」

 

卯月「い、いいです......」

 

八幡「そうか......なら、もっとよくしてやるからな。」

 

卯月「は、はい......」

 

 ずじゅっ、ぐじゅっ、じゅっ、ぐじゅ

 

卯月「あ......はっ、うんん......っ、うっく、んんん......っ」

 

 さっきよりピストンのペースをあげ、蜜壺の最奥をコツコツとノックする。角度によって感度が違うのか、反応がまちまちだ。

 ならばと、最奥の子宮口に先端をあてがい、グリグリと様々な角度から刺激を与えてみる。

 

卯月「は、八幡さっ!......そ!それっ......だっ!ああぁぁ!おかし.....うっく......なっちゃ......うんん!」

 

 さらにそのままクリトリスも同時に責める。

 

卯月「っ!そ、そん......んん!どう......あぁ!だ、だめ!あっ......ま、また......きちゃう!......ダメ!ダメ!いや!いやああああああ!!」

 

 三度絶頂する卯月。ギュウギュウと竿を締め付けて、子種を搾り取ろうとしてくる......

 

八幡「俺も......そろそろだ......一気に行くぞ。」

 

卯月「ま、待ってください!まだイって......あっあっあっ!」

 

 じゅちゅっじゅちゅっじゅちゅっ......

 

 腰を抱え一気に膣内を責める。ビクビクと断続的に膣内も痙攣しており、長くは持たない。

 さっきからずっと射精を耐えている。この状態をもっと長く感じていたい。卯月とつながっていたい一心で。

 ゴチュッっと一度最奥を突く。

 

卯月「んあぁぁぁぁ!」

 

 弓なりに反り返り、激しく痙攣しているが御構い無しに突き続ける。引いては突き......結合部からは洪水のように愛液が溢れ出し、卯月は若干虚ろな目をしている。

 

卯月「はぁぁっ! んんっ、んくぅっ! あっ、あぁぁっ! あぁぁぁっ!」

 

 卯月が泣きながら喘いでいる。もう声を抑えようとはしていない。一突き毎に射精感が高まってくる。

 

八幡「卯月!出る、出る、出る!」

 

 卯月に抱きつき、獣のように腰を振る。

 

卯月「が、我慢......しないで.....いっぱい出して......ください!」

 

 卯月の一言がトリガーとなり限界が訪れた。

 

八幡「卯月!!」

 

 最後の一突きで引き抜こうとした瞬間、卯月が腰に足を巻きつけてきた。

 

八幡「!!」

 

 ぶびゅるるっ、びゅぶっ、びゅぶぶっ、びゅるる!

 

卯月「んぁぁぁぁっ!?んっ、んん......あつ......あふぁぁっ!あ、熱い......あぁぁぁ......八、幡...さん......あつ......あぁぁぁぁ......っ」

 

 鉄砲水のごとく噴き出た白濁流に卯月は目を瞬かせ、耐え切れなくなったのか激しく喘いだ。

 卯月が魂の抜けたような顔で白濁液を受け入れる表情を、俺は虚ろな意識の中で見つめていた。

 卯月の身体が仰け反り、竿を食いちぎらんばかりに締め付けてくる。

 射精はまだ止まらない......

 

卯月「あっ、あっ、あぁっ、あぁぁ......」

 

 卯月が虚ろな表情で、口を半開きにして見つめてくる。互いに気絶しそうになりながら、夥しい絶頂に身を委ねた。

 

 ようやく落ち着いて竿を引き抜き膝立ちになると、膣口からこぷりと白濁が溢れ出た。ひくひくと震える膣口がびくんと大きく痙攣する度に、中から白濁が溢れ出てくる。

 身体を投げ出して息を荒げる卯月の姿は淫靡で、半勃ちになっていた竿が再び勃起してしまう。

 結合部をぼうっと見つめていると、卯月が上体を起こして抱きついてきた。

 

八幡「うおっ......」

 

卯月「八幡さん!大好きです!」

 

八幡「......俺もだ。」

 

卯月「えへへぇ、幸せですっ♪」

 

八幡「ああ。そうだな。」

 

 しばらくそのまま抱き合う......

 

 1番幸せだと思える時間......

 

 この瞬間を大事にしていこう。

 

 

 

 2人で毛布にくるまりハッピータイムを楽しんでいるが、何か大事な事を忘れているような......

 

 

 あ!!

 

 

 中に出しちまった......

 

八幡「う、卯月!すまん!な、中に......」

 

卯月「......その......大丈夫です。」

 

八幡「......は?いやいや、ダメだろ!」

 

卯月「今日は、大丈夫な日なので......」

 

八幡「そう......なのか?」

 

卯月「......はい。安心してください!」

 

八幡「そうか......じゃねえよ!それとこれとは話しが別だ。」

 

卯月「え?ええ?」

 

八幡「ホント無責任な事を......」

 

卯月「い、いえ!いいんです!だって私が......」

 

八幡「......卯月。話したい事がある。」

 

卯月「は、はい!なんでしょう?」

 

八幡「......その前に風呂入るか。」

 

卯月「......そ、そうですね。」

 

 風呂を沸かし、ホッコリタイム。その......一緒に入りました。てへっ。な、何もしてないからね!揉んだりいじったりなんかしてないから!......すみません。しました。

 

 お互い身なりを正し、ソファーに並んで座る。ピッタリとくっついている卯月に......

 

八幡「卯月、話しなんだがな......」

 

卯月「は、はい......」

 

八幡「コレ......受け取ってくれるか?」

 

卯月「こ......これって.......」

 

八幡「その......まだ先の話しだが、引退したら......俺と結婚してくれ。」

 

卯月「っ!!」

 

八幡「俺もまだ学生だし、すぐには無理だが......受けてくれると嬉しい。」

 

卯月「......」

 

八幡「......卯月?」

 

卯月「......うっ......」

 

八幡「......ど、どうした?」

 

卯月「......うっ、嬉しいです!島村卯月っ!八幡さんのお嫁さんになりますっ!」

 

八幡「っ!!卯月!!」

 

卯月「はわっ!八幡さん......」

 

 卯月を強く抱きしめる。

 

八幡「一生、大切にするから......」

 

卯月「はい。よろしくお願いします。」

 

 ずっと守っていこう。

 こいつを。

 

 島村卯月というかけがえのない人を。



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32話√卯月

 ライブも終わり、昨日のサプライズバースデーも.......思い出すとアレが......

 無事に終わった。無事に......

 ぷ、プロポーズしてしまった......指輪まで......

 うわああああああ!恥ずかしい!小っ恥ずかしい!で、でもOKしてくれたんだよな......

 ってことは卯月って俺の婚約者じゃん!......ご、ご両親に改めてご挨拶に行かねえと!

 どどどどうしよう!全く仕事が手に付かん!

 

いろは「......せんぱい。さっきからどうしたんですか?クネクネしてホント気持ち悪いですよ?」

 

八幡「......マジで?」

 

いろは「はい。顔も百面相ですし......何かあったんですか?」

 

八幡「......な、にゃんにもないじょ?」

 

いろは「ダウト!です。絶対に何かありました!早く言ってください!さあ!」

 

八幡「......だ、だから何もn「八幡さぁん!」......卯月。」

 

卯月「終わったので急いで来ちゃいましたぁ!」だきっ

 

八幡「おう。お疲れさん。」

 

 卯月の左手の薬指に光るものがある。......ちゃんとつけてくれてんだな。......嬉しいもんだ。

 

卯月「今日はお弁当作って来たんです!一緒に食べましょう!」

 

八幡「ま、マジか......昨日食えなかったからな。楽しみだ。」

 

卯月「お口に合うかわかりませんが......一生懸命作りました!」

 

 ちょっと?この嫁マジ可愛すぎない?本当に俺の婚約者なの?

 

八幡「大丈夫だ。お義母さんの作った料理美味かったしな。間違いないだろ。」

 

卯月「だといいんですが......」

 

いろは「ちょちょちょっと待ってください!昨日とか、お母さんとか色々気になるワードはありますが......」

 

八幡「あ?なんだよ。」

 

いろは「そ、その指輪って......」

 

 あ?目ざといな。

 

卯月「え、えへへへぇ♪」

 

いろは「ま、まさか......」

 

八幡「......言うなよ?」

 

いろは「い、言いません。だから教えてください!」

 

八幡「......ぷ、プロポーズした。昨日。」

 

いろは「......え?......えええええええええええええええええええええええええ!」

 

八幡「う、うるせえ!」

 

いろは「え?ちょ!ええ?予想の斜め上すぎです!一体d「どうしたの!」......み、みなさん......」

 

奏「何かあったの!」

 

凛「大丈夫⁉︎」

 

周子「なに〜、面白いこと?」

 

 や、やべえ......集まっちまった......

 適当に誤魔化すか。

 

八幡「いやな?この前のライブなんだが......」

 

凛「う、うん。」

 

八幡「......いろはの人気が半端ない。」

 

奏「......え?」

 

凛「......嘘でしょ?」

 

いろは「っ!!」

 

 おお......なんとか思いとどまったな。

 

八幡「すげえんだわ。あの司会誰だ!とか名前は!とか、クローネの新メンバーか!とかな。書き込み半端ねえぞ?」

 

いろは「そ、それ聞いて驚いちゃって......」

 

奏「なるほどね。それはたしかに驚くわ。」

 

唯「うわっ!ホントだ!Masque:Radeの次のホットワードになってる......」

 

凛「いろはに負ける私たちって......」

 

八幡「......お前、マジでやるか?」

 

いろは「......え?」

 

八幡「......アイドルだ。」

 

いろは「......冗談ですよね?」

 

八幡「そうだな......お前と藍子と......留美だな。」

 

凛「留美って......和久井留美さん?」

 

八幡「いや、違う。鶴見留美って言ってな。」

 

卯月「小さな雪ノ下さんです。この前八幡さんがスカウトしたんです!」

 

凛「小さい雪乃さんて......」

 

いろは「た......たしかにアリですね......」

 

八幡「まあ、留美が来るまで時間はある。真面目に考えてみろ。」

 

いろは「......はい。」

 

八幡「......いっその事雪ノ下も......凛と留美と組ませて......」

 

いろは「......なんなんですかその圧倒的ユニットは。」

 

奏「その、雪ノ下さん?と留美さんてどんな人なの?」

 

八幡「いろは、写真あるか?」

 

いろは「はい!留美ちゃんは小学生の頃ですけど。」

 

八幡「見せてやってくれ。」

 

 そういや、凛とありすと加蓮以外雪ノ下知らないんだった。留美に関しちゃ卯月以外全員だしな。

 

唯「うわぁ......」

 

周子「ホント綺麗だし可愛い......」

 

奏「凛と雪ノ下さんと留美ちゃん......たしかに圧倒的ヴィジュアルね......」

 

凛「......2人はいつ来るの?」

 

八幡「わからん。雪ノ下に関してはスカウトすらしてねえし。今度聞いてみるわ。」

 

奏「......あなた、本当に抜け目ないわね。」

 

八幡「そうか?」

 

奏「そうよ。」

 

凛「だね。それに、Masque:Radeにはホントにやられたし。」

 

唯「だよね〜。見た瞬間敵わないって思っちゃったもん。」

 

凛「......うん。悔しいけどね。」

 

周子「奏ちゃんも言ってたけど、あたしたちって恵まれてるよね〜。」

 

唯「......うん。こんなに短期間でここまでになれたし。」

 

奏「チャンスもたくさんもらえて......」

 

凛「色々な可能性にも気づかせてもらってる。」

 

周子「本当に最高のプロデューサーに出会えた!」

 

4人「本当に、ありがとうございます!」

 

八幡「......全部お前らの実力だ。」

 

奏「それでも、その実力を発揮させているのはあなたよ。これからも末永くよろしくね。」

 

八幡「......おう。頼むわ。」

 

凛「......それってプロポーズ?」

 

卯月「(ビクッ)」

 

 卯月ちゃん!なんでそこで反応しちゃうの⁉︎バレちゃうでしょ!

 

奏「......あら?」

 

 ......バレた!絶対バレた!さすが奏。恐ろしい子......

 

八幡「......んなわけねえだろ。バカなこと言ってんじゃねえよ。」

 

凛「冗談だって。」

 

八幡「お前の冗談は冗談に聞こえねえんだよ......」

 

凛「ふふっ。ごめんね。」

 

八幡「まあ、ともかくだ。別に問題はない。ほれ、各自ちゃんと動けよ?CDデビューだってあんだから。」

 

4人「はい!」

 

八幡「んじゃ、解散。」

 

 

 

いろは「絶対奏ちゃんにバレましたね......」

 

八幡「お前もそう思うか?」

 

卯月「え?ええ?」

 

八幡「......卯月。お前プロポーズって言われた瞬間にビクついたろ?」

 

卯月「は、はい。つい......」

 

八幡「奏は感が良くて、洞察力も高いからな。」

 

いろは「ほぼ間違いなく気づいてますね。」

 

八幡「......だな。」

 

卯月「あ、あははは......」

 

 まあ、奏は出来た子だ。言いふらすとかは全く心配ない。

 

八幡「あ、卯月。」

 

卯月「はい?」

 

八幡「社内で指輪は外しとけよ?またバレるかもしれんから。」

 

卯月「......はい。残念です。」

 

いろは「だったら!ネックレスにつけておけばいいんです!」

 

卯月「!!なるほど〜!いろはさん、ありがとうございます!」

 

いろは「ど、どういたしまして......コレが天然の破壊力ですか......」

 

 思い知ったかいろはす。天然と養殖の差を!

 

 

いろは「ところでぇ、まさかまだエッチはしてないですよね?」

 

八幡「......」ぷい

 

卯月「......」ふい

 

いろは「......かはっ......もう勝ち目ないじゃないですか。」

 

 

 

 お昼御飯を八幡さんと食べて、午後は美穂ちゃんと響子ちゃんと一緒にレッスンです!

 お弁当はお口に合ったみたいで、美味しいと言って食べてくれました♪嬉しいです!

 

卯月「〜〜♪」

 

男性「あ、島村さん。ご機嫌だね。」

 

卯月「え?あ、はい!」

 

 最近よく声をかけてくる方です......お名前は......確か今年入社した田中さんです!

 

田中?「なにかいいことあったの?」

 

卯月「えっと......作ったお弁当が美味しかったので......」

 

田中?「へぇ......そうなんだ......いいなあ。島村さんのお弁当食べてみたいな......」

 

卯月「え?ええ?そ、そんな......まだ人様に食べてもらえるほど上手じゃないので......」

 

田中?「そっかあ......じゃあ、いつでもいいから!満足できるできになったらお願い!」

 

卯月「え、えっと......すみません!なかなか時間取れないので!」

 

田中?「......うん。わかったよ。」

 

卯月「で、では、失礼します!」

 

田中?「またね。」

 

 ふ、ふぅ。なんとか乗り切りましたぁ。お弁当は、八幡さん以外には作れません!だって......私の旦那様ですから!えへへぇ♪

 

??「卯月ちゃ〜ん!」

 

 ??どなたでしょう?......あ!

 

卯月「響子ちゃん!おはようございます!」

 

響子「おはようございます!今日はよろしくお願いします!」

 

卯月「はい!一緒に頑張りましょう!」

 

響子「卯月ちゃん、さっきの方って......」

 

卯月「えっと......最近よく話しかけられるんですよ。確か田中さん?だったと思います。」

 

響子「ええっ⁉︎そ、それって卯月ちゃん狙われてるんじゃ......」

 

卯月「そんなことないです......私なんか......」

 

響子「でも最近、一気に綺麗になったとか、色っぽくなったとかよく噂されてますよ?」

 

卯月「え?ええ?本当ですか?」

 

響子「はい!私もたまにドキッとする事ありますし......」

 

卯月「は、恥ずかしいですぅぅ......」

 

響子「そ、それに最近仕草が可愛くて......」

 

卯月「こ、小町ちゃんにも同じ事言われました......」

 

響子「......小町ちゃん?......お米?」

 

卯月「あ、お米じゃないです。八幡さんの妹さんです。」

 

響子「そうでしたか。比企谷さんの......あの方凄いですよね。プロデュースするアイドル全てを輝かせちゃいますからね。」

 

卯月「はい!本当に格好いいです!あ、時間......」

 

響子「あ!い、急ぎましょう!」

 

 

 危ないです。危うく遅刻するところでした......

 

 

 レッスンも終わり、更衣室に行こうとすると珍しくプロデューサーさんが来ました。......どうしたんでしょう?

 

武内「みなさんお疲れ様です。」

 

3人「お疲れ様です!」

 

武内「本日はご報告があります。」

 

 ??なんでしょう?

 

武内「これまで私がプロデューサーとして活動してきましたが、この度変更する事になりました。」

 

美穂「え?......変わっちゃうんですか?」

 

卯月「そんなぁ......」

 

響子「ど、どうしてですか?」

 

武内「......CPの2期生が本格的に動き出した事もあり、私1人では......申し訳ありません。」

 

美穂「あ、頭をあげて下さい!仕方ないですよ!」

 

武内「......ありがとうございます。そのかわりと言ってはなんですが、最高の後任者にお願いすることになりました。」

 

 ま、まさか......プロデューサーさんがここまで言う人って......

 

卯月「も、もしかして......」

 

武内「はい。比企谷さんです。」

 

美穂「で、でも八幡さんも相当な......」

 

武内「そこは大丈夫だそうです。先にデビューした2組は事務の一色さん。Masque:Radeはアシスタントの高町さんが担当していくそうです。」

 

響子「......アシスタントさんがMasque:Radeを?」

 

美穂「......不安です。」

 

武内「先程まで専務を交えて、そのお話をしていました。よろしければクローネの事務所へ行ってみてください。」

 

3人「はい。」

 

 ......嬉しいです!八幡さんが担当だなんて!これでたくさん一緒に......えへへぇ......

 

 

 

 同時刻クローネプロデューサールーム

 

八幡「......てわけで、アインフェリアとLiPPSはいろは。Masque:Radeは高町さんに担当してもらう。」

 

いろは「......2組もですか?」

 

八幡「おう。お前ならできんだろ。それにそっちには美波、奏、文香さんと、3人も出来た人がいる。お前も今後のために3人から色々学んでおけ。」

 

いろは「わ、わかりました。」

 

高町「......僕、殺されませんか?」

 

八幡「......」

 

いろは「......」

 

高町「何か言って下さいよ!本気で怖いんですけど!多田さん以外みんな怖いんですよ!」

 

八幡「何言ってんだ?智絵里とかマジ天使だろ?CPの2大天使舐めんな。」

 

いろは「ちなみにもう1人は?」

 

八幡「みりあだ。」

 

いろは「わかる気がします。せんぱいが絡まなければ、智絵里ちゃん本当にいい子ですから......」

 

八幡「......まあ、アレが治るかもと言う淡い期待と、そろそろ高町さんにも色々やってもらわんとな。」

 

高町「師匠......わかりました。高町隆也っ!頑張ります!」

 

八幡「......てめえ、今卯月の真似しやがったな?」

 

高町「ひい!つ、つい!」

 

八幡「次やったら、アイツらに殺られる前に俺が殺るからな。」

 

高町「ひいいいいい!」

 

八幡「ま、わからんことは、聞いてくれてかまわん。むしろ勝手に曖昧な判断はするな。わかったな?」

 

2人「はいっ!」

 

八幡「よし、んじゃ、かいs「八幡さぁん!」卯月......」

 

 何?最近このパターン多くね?嬉しいけど。

 

八幡「おう、どうした?」

 

卯月「八幡さんが、私たちの担当になるって聞いて!それで!」

 

八幡「おう。武内さんから引き継いだぞ。」

 

美穂「失礼しまーす。」

 

五十嵐「し、失礼します!」

 

 お、全員集合か。ちょうどいいや。

 

八幡「んじゃ、2人はいいぞ。」

 

いろは「......せんぱいたちはどうするんです?」

 

八幡「今後について軽く話すくらいだな。」

 

いろは「......聞いててもいいですか?」

 

八幡「......おう。好きにしろ。」

 

 ......やっぱこいつアイドルにするの勿体ないかも。

 

 

 

 全員を立たせておくのも忍びないので、ソファーへ移動。いろはにはついでにホワイトボードを持って来させ、書記の役目もしてもらう。

 この3人は正統派系として活動させていたが、ただそれだけだと武内さんから聞いた。

 2期生と被った上に、混成ユニットのライブもあったため、武内さんも手がつけられなかったのだろう。

 したがってユニット名もまだ決まっていない......

 と言うか、何も手をつけていない状態だ。ま、それよりもまずは......

 

八幡「五十嵐はほとんどはじめましてだったな。」

 

五十嵐「は、はいっ!」

 

八幡「比企谷八幡だ。クローネのプロデューサーをしている。んで、コイツが......」

 

いろは「一色いろはです。クローネで事務を担当してます!よろしくね、響子ちゃん。」

 

五十嵐「い、五十嵐響子15歳です!は、八幡さん、いろはさん。よ、よろしくお願いします!」

 

八幡「ま、そんなに緊張すんなって。みてみろ。卯月のゆるさを。」

 

卯月「......え?」

 

 なんでお菓子並べてんだよ。お茶まであるし......美味いからいいけど。

 

五十嵐「......はい。そうですね。」

 

八幡「ところで五十嵐、なんでいきなり名前呼び?」

 

五十嵐「そ、それは......美穂ちゃんと卯月ちゃんがいつもそう呼んでたので......」

 

八幡「ほーん。なるほどね。ま、好きに呼んでくれ。」

 

五十嵐「はい!では、私の事も響子と!」

 

八幡「......あいよ。んじゃ、話し進めんぞー。」

 

4人「はい!」

 

 なんでいろはまで返事してんだよ......

 

八幡「まずはだな......」

 

3人「(ゴクリ)」

 

八幡「......ユニット名だ。」

 

3人「あっ......」

 

八幡「あっ......って......忘れんなよ......もういっその事天然トリオにしちまうか?」

 

卯月「私は天然じゃないです!!」

 

2人「卯月ちゃんがそれ言うの⁉︎」

 

卯月「え?ええ?......私やっぱり天然なんでしょうか?」

 

八幡「それは間違いないな。んでそこのあざといのが養殖だ。」

 

卯月「そんなぁ......」

 

いろは「ちょ!せんぱい!」

 

美穂「よ、養殖って......」

 

響子「(プルプル)......ぷふっ......」

 

八幡「ま、それはどうでもいい。」

 

いろは「よくないです!大体せんぱいはいt「でだ。」無視ですかっ!」

 

2人「(プルプル)」

 

八幡「なんか案あるか?」

 

卯月「む〜......」

 

美穂「前もだけど急には......」

 

響子「そ、そうですよね......」

 

 ふむ。これは長くなりそうだ。んじゃ、ヒント出しますかね。

 

八幡「いろは、これから言うこと書いてけ。」

 

いろは「あ、はい。」

 

八幡「1、3人のタイプは? 2、どんな衣装が多い?3、3人のイメージは?......以上だ。まずいろは。1を答えろ。」

 

いろは「......正統派系。Cuteタイプですよね?」

 

八幡「そうだな。じゃあ次だ。2を響子。」

 

響子「は、はい!多い衣装......チェック柄のものが多いです。」

 

八幡「2人ともそれで合ってるか?」

 

2人「はい。」

 

八幡「よし。じゃあ3を卯月。」

 

卯月「え、えっと......なんだか、学生って感じが強いです。制服系の衣装も多いですし。」

 

八幡「ほうほう......じゃあ最後に美穂。これをまとめてみろ。」

 

美穂「え、ええと......キュート、チェック、学生......キュート、チェック、......スクール?」

 

八幡「ゆっくりでいいからな。」

 

美穂「はい......キュート......ピンク......あっ!『ピンクチェックスクール』なんてどうでしょう!」

 

卯月「か、可愛いです!」

 

響子「はい!いいですねっ!」

 

八幡「んじゃ、決まりだな。」

 

3人「はいっ!」

 

いろは「なるほど......ヒントを与えて答えを出させる......まさに奉仕部のやり方ですね。」

 

2人「......ほうしぶ?」

 

美穂「......はっ!ま、まさかエッチな......」

 

響子「ええ⁉︎」

 

卯月「ち、違います!」

 

八幡「......まあ、よく間違われるわな。ボランティアの方だ。」

 

いろは「せんぱいが高校の時に入ってた部活です♪」

 

美穂「す、すみません!私ったら......」

 

 なんだ。美穂も周りがまともなら変じゃねえじゃん。こんな純粋な美穂なら可愛いな。」

 

美穂「え?ええ?」

 

卯月「は、八幡さん!何言ってるんですか!」

 

八幡「......は?」

 

いろは「まーた声にでてましたよー。......このスケコマシ!」

 

八幡「なん......だと?」

 

美穂「......」

 

響子「いいなぁ......」

 

卯月「どう言う事ですか!」

 

八幡「い、いやな?Masque:Radeにいる時と印象が違いすぎて......この方がいいのになって思ったんだよ。」

 

響子「え?そんなに違うんですか?」

 

八幡「......ああ。」

 

いろは「......たしかに、今の美穂ちゃんの方が可愛いですよね。」

 

卯月「あっちの美穂ちゃん怖いですもんね......」

 

美穂「え?本当に?」

 

いろは「......はい。」

 

八幡「まともなの李衣菜だけだもんな......」

 

響子「......どんななんですか?」

 

八幡「なあ、ヤンデレって知ってるか?」

 

響子「......いえ。知りません。」

 

八幡「なら......まゆの変な部分は?」

 

響子「そ、それならわかります。たまに怖いですよね......」

 

八幡「......アレになる。李衣菜以外全員。」

 

響子「......それは......はい。」

 

いろは「さすがにせんぱいが心配になりますよね。」

 

卯月「はい......誘拐されちゃいそうです。」

 

美穂「わ、私そんなだったんですか?」

 

八幡「......おう。だから今のお前は癒されるぞ。」

 

美穂「き、気をつけます......」

 

八幡「そうしてくれ。」

 

 変な空気になっちまったな......

 

八幡「ま、それは置いといて。今目指すのはCDデビューだな。できれば3ヶ月以内に済ませたい。混成ユニットの方と被って大変かもしれんが頑張ってくれ。特に卯月。」

 

卯月「は、はいっ!」

 

八幡「お前はまるまる2曲になっちまうからな。体調にも注意してくれ。」

 

卯月「はい!ありがとうございます!」

 

八幡「んじゃ、今日はこんなところだな。なんか質問あるか?」

 

響子「あ、あの......」

 

八幡「お?なんだ?」

 

響子「関係ない事なんですけど......八幡さんといろはさんて......お付き合いされてるんですか?」

 

八幡「......なんでそう思った?」

 

響子「息ぴったりですし......それに......お似合いだなって。」

 

いろは「わたしがせんぱいと......きゃっ......」

 

 あざとい......ちょっと?卯月ちゃん?我慢よ?

 

響子「や、やっぱりそうd「違います!」......卯月ちゃん?」

 

卯月「八幡さんの恋人は私です!いろはさんじゃありません!」

 

 あっちゃー......爆発しちゃったよ......この子結構独占欲強いよね......俺もだけど。

 

響子「え?ええ?本当に?」

 

卯月「はい!私の全ては八幡さんのものです!」

 

美穂「えっ?全てって......もしかして......」

 

響子「はわわ......」

 

 うっわぁ......響子顔真っ赤!

 

卯月「はい。昨日も......」クネクネ

 

八幡「ば、ばかっ!何言ってんだ!」

 

卯月「え?あっ......」

 

いろは「......そう言う事だったんですね。それで......」

 

美穂「胸が大きくなった理由って......」

 

卯月「え、えへへへ......」

 

いろは「くっ......今に見てろ。です。わたしだって......」

 

響子「羨ましいです......」

 

 こらこら。みんなして胸を触るんじゃありません。目のやり場に困るでしょうが。

 

美穂「......八幡さん。私にも......してください。......卯月ちゃんだけ......ずるいです。」

 

 み、美穂さん?スイッチ入ってません?

 

響子「も、もしかして......」

 

いろは「ヤンデレモードですね......」

 

 な、なんで近づいてくんの?お、おい。俺の右手をどうするつもりだ......

 

美穂「私も......八幡さんに......」

 

 おい!それ以上は!クッソ!なんでこんな力強えんだよ!振りほどけねえ!

 

美穂「私に......触れてください......」

 

 ふにょん......

 

美穂「あっ......」

 

 や、柔らけえええええ!じゃねえよ!

 

卯月「だ、ダメです!美穂ちゃん離してください!」

 

美穂「いいじゃない......あぁっ......独り占めしないで......」

 

 怖えよ!怖すぎるよ!

 

八幡「お、お前ら!見てないで助けろ!」

 

いろは「い、いえ、ちょっと......」

 

響子「ち、近づきたくないです......」

 

卯月「み、美穂ちゃん!」

 

美穂「私も......八幡さんのものに......」

 

 ブチッ

 

 アレ?なんか聞こえた?ブチッて言わなかった?

 

卯月「......八幡さんは私の旦那様です!他の人には渡しません!」

 

美穂「......え?旦那様って......」

 

卯月「昨日プロポーズもされました!指輪だって!」

 

八幡「ちょ、卯月。落ち着け。」

 

卯月「落ち着けません!八幡さんが困ってるのに、落ち着いてなんていられません!」

 

美穂「え?本当に?プロポーズって......」

 

卯月「引退したら結婚してくれって言われました!勿論受けましたし!......この婚約指輪もしてもらいました!」

 

いろは「卯月ちゃん......」

 

卯月「あまり八幡さんを困らせないでください!八幡さんは優しいから強く拒絶しません......誰かを傷つけないように......そんな事してたら......また倒れちゃいます......もう......嫌です。あんなの......」

 

いろは「え?倒れたって......」

 

美穂「ほ、本当ですか?」

 

響子「倒れるまで......」

 

卯月「......去年私が養成所に戻った時です。」

 

美穂「っ!!」

 

卯月「八幡さんはその時ほとんど寝ずに動いて......クリスマスライブに日に倒れました。......私のせいで。」

 

いろは「......え?」

 

卯月「だから......私が......八幡さんを守るんです!ずっとずっとそばにいるんです!」

 

 美穂の手が離れた。......まだ気にしてたんだな。

 

八幡「......卯月。」

 

卯月「あっ......」

 

 優しく抱き寄せると卯月は強く抱きしめてくる。また泣かせちまったな......

 

八幡「ごめんな。また心配かけた。」なでなで

 

卯月「......すみません。」

 

八幡「なんでお前が謝るんだよ。」

 

卯月「だって......」

 

八幡「いいから。」

 

卯月「......はい。」

 

美穂「あの......すみませんでした!これがさっき言ってたのだったんですね......」

 

八幡「......まじ勘弁な。さっき卯月も言ったが、そう言う事なんでな。」

 

美穂「......はい。」

 

八幡「ま、みんなも他言はしないようにな?」

 

いろは「あたり前じゃないですか。」

 

響子「はい!任せてください!」

 

美穂「誓います。」

 

 や、重いよ。最後の。

 

八幡「頼むわ。」

 

響子「......はわぁ〜。」

 

八幡「ん?どうかしたか?」

 

響子「お2人が素敵で......憧れます......」

 

八幡「......サンキューな。」

 

 

 ま、色々バレちまったが......これで美穂もおとなしくなる......よな?

 そうすりゃ高町の負担と不安も減る......のか?

 まあ、丸投げするわけじゃないし大丈夫だろ。

 

 あ、プロフィールだと明日響子の誕生日じゃん......たしか凛も......

 

 ケーキでも買ってきますかね。



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33話√卯月

 た、高町隆也......入社してから初めて呑みに誘われました!

 思えば小中高と親の言いつけで勉強ばかり......友達も出来ず、暗い青春......

 極めつけは大学時代には雪ノ下さんにこっぴどくフラれる始末......

 挙げ句の果てに、やっとの思いで入社した346プロでは師匠にコテンパンにされ、アイドルたちの前で粗相を......

 ですが!師匠こと、比企谷さんのお姿を間近で拝見し、僕は生まれ変わりました!

 人を見下す癖を治し、師匠の名言を全て記憶し!あ、ちなみに今346項です。ちょうど346ですね。......日々精進してきた結果......

 

 初めて同期に誘われましたああああ!

 

 か、感動のあまり目から汗が......

 あ、これも師匠の受け売りです。

 

 今日も仕事はあったのですが......

 

八幡「あ?誘われた?なら行けばいいんじゃないっすか?付き合いも必要でしょ。」

 

 と、気を使っていただき......高町、感涙を抑えきれません!

 

同僚1「高町......何泣いてんの?」

 

同僚2「さっきから泣きっぱなしじゃん。どうした?」

 

隆也「い、いや。師匠の気遣いに感動して......あ、すみません、生3つで。」

 

店員「かしこまりましたー!」

 

同僚1「は?師匠?」

 

同僚2「師匠って......噂の比企谷Pか?」

 

隆也「おう。あの人、マジ神なんだよ......」

 

同僚2「神って......実は俺も気になってたんだよ!」

 

同僚1「俺も!卯月ちゃんとやけに仲良いしさ!」

 

 ......は?こいつ島村さん狙ってんの?師匠の彼女に手出したら殺されんぞ?

 

店員「おまたせしました!」

 

隆也「あ、どうも。んじゃ、先ずは乾杯!」

 

2人「かんぱーい!」

 

隆也「えっと......田中だっけ?」

 

田中?「いや、鈴木だ。」

 

隆也「す、すまん。鈴木、お前島村さん狙ってんの?」

 

 し、師匠の喋り方を真似してしまった......

 

鈴木「だってさ、あのスタイル堪んなくね?」

 

同僚2「俺も思う!あ、俺は伊藤な。しかも最近超エロくね?」

 

 こいつら......師匠に報告だな。

 

隆也「そうか?よくわかんねえや。」

 

鈴木「かー!これだからいい部署にいるやつは!」

 

伊藤「お前いいとこ行ったよな......羨ましい。」

 

隆也「バッカバカ!師匠メチャクチャ怖えんだぞ!最初マジ殺されると思ったくらいだ......」

 

鈴木「......まっさかあ......で、マジ?」

 

隆也「......おう。」

 

伊藤「......例えば?」

 

隆也「ま、真似するぞ。」

 

2人「お、おう。」

 

 あの時の師匠を思い出せ......

 

 漏らしそう。

 

隆也「んんっ!......『ウチのアイドルに手ぇ出すんじゃねえぞ。あんたの見え透いた考えなんざお見通しだ。わかったな?』」

 

2人「ひぃっ!」

 

隆也「......これ言われた時、恥ずかしながら......漏らしたんだよ。」

 

鈴木「......マジで?」

 

伊藤「......嘘だろ?」

 

隆也「い、いや。お、おおおおおお思い出すだけで......」ガタガタ

 

鈴木「お、落ち着け!」

 

伊藤「どんだけ怖えんだよ......」

 

隆也「......はあ、だからな。絶対にあの人が手掛けてるアイドルには手を出すなよ?」

 

鈴木「だ、出したら......」

 

伊藤「どうなるんだ?」

 

 親指を立てて首の前を一閃。

 

鈴木「......」

 

伊藤「......まじか。」

 

隆也「......専務直通だからな。」

 

伊藤「き、気をつけないとな。」

 

鈴木「卯月ちゃぁぁん......」

 

 こいつ......よりによって1番手を出しちゃいけない人に......

 

隆也「でも、ホントに凄いよあの人は。」

 

伊藤「は?どこが?」

 

隆也「はぁ?わかんねえの?Masque:Radeなんかいい例だろ。」

 

伊藤「んん?」

 

隆也「言い方は悪いけど、あの5人で際立って目立つアイドルいるか?」

 

伊藤「......強いて言えば美穂ちゃんか?」

 

隆也「だろ?普通に考えて、高垣楓、川島瑞樹、新田美波、松永涼、速水奏。この5人に勝てるか?」

 

伊藤「......無理だな。言われてみれば、圧倒的な印象だったもんな。」

 

隆也「あの時な、『この5人なら絶対に行ける!見てろよ高町、度肝抜いてやる!』って言ってたんだよ。」

 

伊藤「......なんだそれ。メチャクチャかっこいいじゃん!」

 

隆也「だろ!」

 

伊藤「しかもやってのける......くぅー!お前が師匠って呼ぶのもわかるぜ!」

 

隆也「俺、ホント師匠につけて良かったって思うよ。クローネのみんなもいつも言ってるし。」

 

伊藤「羨ましい!高町!俺と部署変わってくれ!」

 

隆也「断る!」

 

伊藤「一週間!一週間でいいから!」

 

隆也「俺に言うなって!」

 

伊藤「だよなー。でもさ、変わんなくていいからつかせてくれって聞いてみてくれね?」

 

隆也「......わかったよ。聞いてみる。でも、期待すんなよ?」

 

伊藤「サンキュー!あ!俺のことは潤でいいぜ!」

 

隆也「ああ!俺も隆也でいい。よろしくな、潤!」

 

潤「おう!隆也!」

 

 生まれて初めて友達らしきものができました......

 ありがとうございます。師匠......あなたのおかげです!

 

 ところで......田中?がずっと喋らないけど、大丈夫か?

 

 

 

 

八幡「......よし。完成だ......」

 

 ふふっ......待ってろよ......

 

 

 

 

 昨日の夜遅くに、八幡さんから『明日の13時にクローネの事務所に来てくれ。凛と響子を連れてな。』とメッセージが来ました。

 きっとお2人のお誕生日だから何か用意してくれたんですね!さすが八幡さんです!

 凛ちゃんには直接行っていただいて、まだクローネに不慣れな響子ちゃんは私がお迎えです!

 響子ちゃん......喜んでくれると嬉しいです!

 

??「島村さん!」

 

 あ......また田中?さんです......

 

卯月「は、はい。なんでしょう?」

 

田中?「急いでどうしたの?」

 

卯月「き、響子ちゃんを迎えに......八幡さんに呼ばれてて......」

 

田中?「ちっ......またあいつか......」

 

 え?舌打ち?それにあいつって......

 

田中?「そんなことよりさ、これからカフェでもどうかな?」

 

 ......そんなことってなんですか?八幡さんとプロデューサーさんの呼び出しより大切なことはありません!

 

卯月「......プロデューサーさんの呼び出しをそんなことって......」

 

田中?「え?」

 

卯月「おかしいです!プロデューサーさんからの呼び出しをそんなことって!八幡さんは無駄に呼び出したりしません!」

 

田中?「......どいつもこいつも比企谷比企谷......」

 

 な、なんだかこの人怖いです......

 

田中?「お前は黙ってついてくりゃいいんだよ!変に口ごたえすんじゃねえ!」

 

卯月「ひっ......」

 

 こ、怖いです怖いです怖いです!痛いっ!は、八幡さん助けて!

 

田中?「いいからこい!」

 

卯月「い、いやですっ!」

 

 助けて!

 

田中?「黙ってこい!」バシッ

 

卯月「きゃっ......」

 

 ......え?ぶたれた......?え?え?怖い......怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!

 だ、だれか......だれか!

 

未央「おーい、しーまむー!」

 

 み、未央ちゃん!

 

田中?「ちっ......」

 

 ......こ、怖かったです......震えが......

 

未央「ちょっと!しまむーどうしたの!」

 

卯月「み、みおじゃぁぁぁぁぁぁん!こわかっだでずぅぅぅ......」だきっ

 

未央「え?えええ?と、とりあえずハッチーに......」

 

卯月「じらぜないでぐださぁぁぁい......うっく......」

 

未央「で、でも......」

 

卯月「うう......うっ......」

 

未央「しまむー顔......」

 

卯月「だ、大丈夫です......」

 

未央「もしかしてぶたれたんじゃ......」

 

卯月「大丈夫ですから!」

 

未央「な、なら今日は帰りなよ......さすがに見せられないでしょ?」

 

卯月「......はい。未央ちゃん、響子ちゃんを八幡さんのところに連れて行ってあげてください......」

 

未央「う、うん。......一人で大丈夫?」

 

卯月「......はい。また......明日。」

 

未央「き、気をつけてね......」

 

 

 

 ......卯月が来ない。約束の時間は過ぎてる。凛が来ている時点でメッセージをみてないと言うことはない。なら響子が捕まらないか?だが卯月なら連絡の一つは来るはずだ。

 

 モヤモヤすんな......

 

 それと嫌な予感が......

 

 「コンコンコン」

 

 ......だれだ?

 

凛「どうぞー。」

 

 入って来たのは......未央と響子。

 は?なんで?

 

八幡「......卯月はどうした?」

 

3人「ヒィッ!」

 

未央「こ、怖いよハッチー......」

 

八幡「......すまん。なんか......嫌な予感がな......」

 

未央「たまたましまむーに会ってさ、体調悪くて帰るからきょーちゃんをここにって......」

 

 は?体調が悪い?自分から帰る......だと?

 

八幡「......嘘だな。」

 

未央「(ビクッ)」

 

八幡「......正直に答えろ。......何があった。」

 

未央「し、しまむーが廊下で転んでて......知らない男の人がいて......私が駆け寄ったらどこかに行っちゃったけど......しまむー泣いてて......多分ぶたれてた......」

 

 は?......卯月がぶたれた?

 

八幡「......顔覚えてるか?」

 

未央「う、うん。でも名前はわかんない。多分新入社員の人......」

 

八幡「......凛。」

 

凛「はいっ!」

 

八幡「高町を呼べ。」

 

凛「は、はいっ!」

 

響子「あ、あの、もしかしたら、田中って人かもしれないです......」

 

八幡「......おう、サンキュ。」

 

高町「お、おまたs「田中って知ってるか。」......はいっ!」

 

八幡「......連れて行け。」

 

高町「はいい!」

 

 

 

凛「あ、あれ本気でまずいよ。」

 

未央「あそこまでは初めて......」

 

響子「だ、大丈夫ですか?」

 

凛「つ、ついて行こう!」

 

 

 

 

高町「こ、ここです。」

 

 来た場所は夕美の所属する部署。

 Pさんと夕美には迷惑かけるが......

 

 無理だ。

 

 我慢できん。

 

 構わず中に入る。何人かアイドルがいるが知ったことか。

 

夕美「あれ?八幡く......ん......」

 

八幡「夕美。新卒者はどこだ。」

 

夕美「今Pさんのへy「わかった。」......ちょ、ちょっと!」

 

 ......ダメだ。抑えらんねえ......

 

 プロデューサールームのドアを乱暴に開け中を見渡す。Pさんと見覚えのない男......

 あいつか?

 

八幡「......未央、あいつか。」

 

未央「う、うん。」

 

 許さねえ。

 

夕美P「ど、どうしたの?比企谷くん......」

 

 すんません。あとで謝ります。

 

 男に近づく......

 

八幡「......てめえか。」

 

田中?「え?」

 

八幡「卯月を殴ったのはてめえか......」

 

夕美P「えっ?」

 

田中?「殴ってないよ。年長者の言うことが聞けないから教いk......グェッ」

 

 首を掴みそのまま壁に叩きつける。

 

 許さねえ。

 

 絶対に許さねえ......

 

八幡「ぶっ殺す......」

 

6人「っ!!」

 

八幡「てめえだけは......」

 

田中?「......かはっ......」

 

凛「ま、待って!」

 

夕美「八幡くん!」

 

夕美P「ダメよ!離しなさい!」

 

未央「は、ハッチー!」

 

響子「八幡さん......!」

 

高町「ダメですっ!......くそっ!離れねえ!」

 

八幡「許さねえ。絶対に許さねえ!てめえだけは!」

 

 男が手をタップしてくるが知ったことか......

 卯月が味わった恐怖はこんなもんじゃねえはずだ......

 

凛「ダメッ!卯月を泣かせる気!」

 

 ......は?卯月が......泣く?

 

凛「そのままだと卯月といられなくなるよ!」

 

 手から力が抜ける......卯月といられなくなる?無理だ。考えられねえ......

 

田中?「ゲホッゴホッ!......な、なんなんだこいつ......プロデューサー!」

 

夕美P「......あなた、島村さんに手を上げたというのは事実なの?」

 

田中?「そ、それはあの子がっ......」

 

夕美P「......比企谷プロデューサー。大変申し訳ございませんでした。」

 

八幡「なんであなたが......」

 

夕美P「部下の不始末は上司の責任です。」

 

八幡「そんな......」

 

夕美P「本当に申し訳ございません。」

 

八幡「......いえ。俺こそすみません。やりすぎました。」

 

夕美P「たしかにそうね。でも、原因はこの馬鹿よ。アイドルに手をあげるなんて......前代未聞だわ。懲戒解雇は確実ね。」

 

田中?「ま、待ってください!それだけは......」

 

八幡「......専務を呼びます。」

 

夕美P「......お願い。」

 

 

 

 来てくれた専務に事の顛末を説明。当然のことながら、田中ではなく、鈴木とやらは懲戒解雇。今後一切就職は無理だろう。俺と夕美Pに関しては始末書の提出。

 正直これだけで済んだのはありえないことだと思う。おそらく俺たちに関しては、うち内で済ませるつもりだろう。

 専務、本当にすみません。

 

八幡「この度は、大変ご迷惑をお掛けしました。」

 

専務「......次はないぞ。覚えておけ。」

 

八幡「はい。」

 

専務「だが、そんなことはどうでもいい。君には他にやる事があるだろう。」

 

八幡「......え?」

 

専務「行ってあげなさい。彼女のところに。」

 

八幡「っ!!はいっ!ありがとうございます!」

 

 脇目もふらず走る。

 

 ただひたすらに。

 

 卯月の元へ。

 

 待ってろ!今行くから!

 

 

 

 

 クローネの事務所にみんなで帰ってきた。八幡に呼ばれてたから少し期待してたのに......誕生日。

 でも、本当に驚いた。八幡てあんな一面があったんだ。いつも冷静ですぐ噛んで、怒るって言葉にあまり縁がなくて......あれが本気で怒った八幡なんだ......

 すごく怖かったけど......同時に卯月が羨ましいと思った。多分私たちのために怒りはするけど、あそこまでにはならない。ああなるのは卯月のためだけ。

 

凛「ホント敵わないなぁ......」

 

響子「え?」

 

未央「......だね。あーあ、これは本気で諦めなきゃかな〜......」

 

響子「え?どういう......」

 

凛「私も未央も八幡が好き。しかも一度フラれてる。」

 

未央「うん。諦められなくって......でも......」

 

凛「......うん。敵わないかなって思っちゃった。」

 

響子「そうだったんですか......」

 

凛「......悔しいな。」

 

未央「......うん。でも、嬉しいのもあるかな。」

 

響子「嬉しい......ですか?」

 

凛「......そうだね。卯月が幸せになれるから。」

 

未央「それは間違いないよね。」

 

響子「お2人とも強いですね。」

 

凛「そんな事ないよ。」

 

未央「うん。強がってるだけ。じゃないと、泣いちゃうから。」

 

凛「未央、昨日の卯月見た?」

 

未央「嬉しそうだったな〜。何かあったのかな?」

 

凛「左手の薬指。指輪があった。」

 

未央「......そっか。」

 

響子「......知ってたんですか?」

 

凛「うん。気づいた。聞いたわけじゃないけど。プロポーズって言葉にも反応してたし。」

 

響子「凄いですね......」

 

凛「大好きな人たちのことだもん。わかるよ。」

 

未央「なら、お祝いしなきゃね!」

 

凛「まだ早いよ。どうせ八幡のことだから、引退したらって言ってそうだし。」

 

未央「そうかも!」

 

 「コンコンコン」

 

 ノック?誰だろ?

 

未央「どぞー。」

 

高町「失礼します。師匠から連絡があって......コレを渋谷さんと五十嵐さんにだそうです。」

 

 箱?なんだろ?

 

高町「開けてください。」

 

 え?ケーキ?でもなんか不恰好......もしかして作ったの?

 

響子「こ、これって......」

 

高町「師匠から伝言です。お名前で呼ぶのはご容赦ください。『凛、響子。誕生日おめでとう。ちゃんと祝ってやれなくてすまんな。一応作ってみたんだが、よかったらみんなで食ってくれ。味の保証はしないがな。』だそうです。」

 

凛「......ずるいな。諦められなくなっちゃうじゃん......」

 

響子「素敵な方です......」

 

未央「ダメだよきょーちゃん。惚れたら痛い目にあうぜえ!」

 

響子「す、少し危険です......だってずるいですよ......」

 

凛「ホントあの男は......」

 

未央「それがいいところなんだけどね〜」

 

凛「ホント、厄介なの好きになっちゃったね。」

 

未央「だね。」

 

響子「は......あれ?」

 

未央「うわぁ......」

 

凛「落ちてたね。」

 

響子「そ、そんなことないです!」

 

未央「いいっていいって!他にもいっぱいいるんだから!」

 

響子「えええ⁉︎」

 

凛「私たちを除いてアイドル以外も含めると......10人くらいかな?」

 

未央「え?増えてない?7人じゃないの?」

 

響子「そ、そんなに......」

 

凛「知らないところにもっといるかもね。」

 

未央「ありそうですなぁ......」

 

凛「仕方ないよ。だってかっこいいもん。あいつ。」

 

未央「だね。」

 

響子「ですね。」

 

凛「さ、食べよっか。」

 

未央「うんっ!」

 

響子「はいっ!」

 

 八幡の作ってくれたケーキ。チョコレートなのは私だからかな?

 

未央「うっ!」

 

凛「ど、どうしたの?」

 

響子「み、未央ちゃん?」

 

未央「......うますぎる。」

 

2人「......(ゴクリ)......ぱくっ............!!!」

 

未央「......どう?」

 

凛「んんー!」

 

響子「美味しいです!」

 

未央「い、胃袋まで掴んでくるとは......恐ろしい奴め......」

 

凛「やっぱ諦められない。」

 

響子「はいっ!」

 

 3人で全部食べちゃった......

 

 

 また作ってね、八幡。

 

高町「僕の分......」

 

 

 

 

 本当に怖かったです。

 痛くて......力も強くて......

 

 いつも八幡さんが、どれだけ優しく扱ってくれているかがわかりました。

 

 ......約束破っちゃいました。連絡も入れずに。八幡さん怒ってますよね......

 

 未央ちゃんが誤魔化してくれてると思いますが、多分バレちゃいます。

 八幡さんに嘘や誤魔化しは通じませんから。

 

 八幡さん会いたいよ......

 

 「コンコンコン」

 

 ......ママかな?

 

卯月「なぁにーママ。」

 

 入ってきました。帰ってきた時驚いてたので......心配かけてごめんなさい。

 

??「卯月......」

 

 え......この声......

 

卯月「はち......まんさん......」

 

八幡「......卯月!」

 

 えっ......どうしたんですか?突然......でも......抱きしめられると......安心します。八幡さんの温もり......

 

八幡「......ごめんな。怖かったよな......」

 

 ......やっぱり知ってるんですね。

 

卯月「......どうして八幡さんが謝るんですか?」

 

八幡「......守れなかった。だから......」

 

 そんなことはありません。いつも守ってもらってます。

 

卯月「そんなことないです。いつも......ありがとうございます。」

 

八幡「......」

 

 泣いてくれるんですね。私のために。

 嬉しいです。

 

 たまには......思いっきり泣いてください。

................................................

 

..............................

 

............

 

八幡「すまん。心配してきたのに俺が......」

 

 少し赤くなって照れてる八幡さん......可愛いです!いつもはカッコいいのにたまに見せるコレが......はぅっ......

 

卯月「大丈夫です!八幡さんの顔を見たら元気になりました!」

 

八幡「......なら良かったわ。」

 

 それから、あの後の話を聞きました。あの人のところへ行ったこと。やりすぎてしまったこと。そして......あの人がクビになったこと。

 

卯月「は、八幡さんは......」

 

八幡「ん?俺か?俺は始末書だ。あれだけやらかしてこの処分だ。......専務に助けられたな。」

 

卯月「良かったです......」

 

八幡「あの時は頭に血がのぼっててな。......何も考えられなかった。」

 

卯月「八幡さんでもそんなことあるんですね。」

 

 少し意外です。いつも冷静な八幡さんがそんな風になるなんて。

 

八幡「卯月がぶたれたって聞いてな。......正直そのあとあんまよく覚えてねえんだわ。だから説明もかなりザックリしてただろ?」

 

卯月「い、言われてみれば......」

 

八幡「凛に止められなかったら......まずかったな。ゾッとする。」

 

卯月「......すみません。私のせいで。」

 

八幡「それは違う。悪いのはあの馬鹿と、感情を抑えられなかった俺だ。」

 

卯月「でも、嬉しいです......」

 

八幡「......は?」

 

卯月「私のため......なんですよね?」

 

八幡「そりゃ......まあ......そうかもな。」

 

卯月「ふふっ。」

 

八幡「......なんだよ。」

 

卯月「なんでもありませぇん♪」

 

八幡「......」

 

卯月「......早く結婚したいです。もっとずっと一緒にいたいです。」

 

八幡「......そのことなんだが、前言ったこと撤回していいか?」

 

卯月「えっ......」

 

八幡「......卒業。」

 

卯月「えっ?」

 

八幡「俺が大学を卒業したらに......変えてくれねえか?」

 

卯月「......はいっ!」

 

八幡「それと......」

 

卯月「それと?」

 

八幡「......卯月が卒業したら、一緒に暮らして欲しい。」

 

卯月「えっ......ええええええ⁉︎そ、それって!どどど同棲というやつですか⁉︎」

 

八幡「......卯月が嫌じゃなければだが。」

 

卯月「ど、どどどどうしましょう!わ、わt「いいわよ〜!連れて行っちゃって!」ま、ママァ⁉︎」

 

 ま、また盗み聞きして!

 

ママ「八幡さん。娘を......卯月をお願いします。」

 

卯月「ママ......」

 

八幡「......いいんですか?」

 

ママ「ええ。この子はそれが一番幸せだもの。」

 

八幡「......ありがとうございます。」

 

ママ「いいのよ。」

 

八幡「それと、後日改めてお邪魔させてください。お父様も含めてお話しがあります。」

 

ママ「楽しみにしてるわ。アレが生で聞けるのね♪」

 

卯月「もうっ!あまり八幡さんを困らせないでっ!」

 

ママ「あらあら、怒られちゃった。じゃ、八幡くん、ごゆっくり〜......」

 

 もう......ママったら......

 

八幡「ま、まあ、お義母さんの許可はもらえたし......あとは卯月なんだが......」

 

卯月「......不束者ですが......よろしくお願いします。」

 

八幡「......こちらこそ。」

 

 幸せです......

 

 八幡さん、愛してます。



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34話√卯月

材木座「八幡よ、コレはここでいいのか?」

 

八幡「おう。問題ない」

 

戸塚「はちまーん!次持ってきたよー!」

 

八幡「サンキューな。適当に置いておいてくれ」

 

戸塚「うん!」

 

 ......戸塚、相変わらず可愛い。相変わらずトツカワイイ......

 

 現在引っ越し真っ最中。アレだよ......新居だよ。まず決まったのが小町の進学先。本人は都心部を狙っていたが、その......な? 察しろ。

 遠くはないが、通うのはいささか大変な場所のため一人暮らしが確定。親父に一緒に住めとゴリ押しされたが......

 

小町「いつまでもお兄ちゃんに甘えてられないから! それに......ふひっ!」

 

 と言う小町の一声で一人暮らしが決まった。

 まあ......俺としても有難い。なんせ......ふひっ!

 

材木座「時に八幡よ、お主、妹君も家を出るのにこんなに広い部屋が必要なのか?」

 

八幡「おう。まあな。」

 

 新居は3LDK。リビングは約20畳あり、広々と。寝室は8畳で、だ、ダブルベッドを用意済みだ。てへっ。後の2部屋は片方が俺の書庫兼来客用。もう一部屋は......今後のため。

 

材木座「はぽん......もしや我のしっp「早く動けデブ。」......年々我の扱いが......」

 

 引っ越し先は大学も会社も余裕で通える位置。しかもアイツの実家からもほど近い。

 住む場所は気にするなと言われたが、そうはいかない。俺の両親は海外だし、いざという時に頼れる人が近くにいるのは心強いからな。

 それにアイツは家を出るのは初めてだからなおさらだ。

 コレが決まってから、アイツはすごく頑張った。料理に洗濯。苦手だった掃除も......片付けも............

 

材木座「ところで八幡よ......男の一人暮らしの割に妙に女物が多くはないか?......まさか......そっちの趣味に......」

 

八幡「あ? ふざけた事言ってんじゃねえよ」

 

材木座「だがn「八幡さぁ〜ん!」......へ?」

 

卯月「来ちゃいましたぁぁ!」だきっ

 

八幡「......いいって言っただろうが。仕事あんだし」なでなで

 

卯月「プロデューサーさんが調整してくれたんですっ!他にも......」

 

凛「来たよ。手伝い」

 

未央「ほうほう、ここが2人の城ですか......けしからん」

 

卯月「私たちのお城だなんて......」クネクネ

 

材木座「......」

 

八幡「お前らまで......」

 

凛「プロデューサーが調整してくれた。手伝いは多い方がいいだろうって」

 

八幡「そっか。サンキューな」

 

 ホント武内さんといいこいつらといい......

 

凛「まだ来るよ」

 

八幡「......誰?」

 

凛「雪乃さんと留美」

 

八幡「......マジか」

 

未央「それに、みほちーとちえりんも!」

 

八幡「......まゆと加蓮は来ないよな?」

 

凛「だ、大丈夫。伝えてないし、絶対に話がいかないようにしてるから」

 

八幡「な、なら良かった......」

 

 あの2人はやばい。とにかくやばい。みんなに説明した際、ほとんどが応援してくれたのだが......あの2人は悪化した。

 俺の家まで押しかけたり、いつのまにか合鍵持ってたり、朝起きたら裸で俺のベッドに寝てたり......俺も寝てる間に脱がされてたり......

 この新居がバレるのはまずい。非常にまずい。最近は美穂と智絵里と響子が頑張って抑えてくれているのだが......

 

凛「八幡、寝室のコレは?」

 

八幡「......凛ちゃん? なんでソレをわざわざセッティングするのかな?」

 

凛「だって......毎晩するでしょ?」

 

卯月「ま、毎晩だなんて......私もちません......でも八幡さんがしたいなら......」

 

凛「......えい」プス

 

八幡「おい! 針を刺すな!」

 

凛「......早く男の子産んでよ。私がもらうんだから」

 

八幡「やらねえよ? その頃お前40近えじゃん! 絶対にやらねえよ?」

 

材木座「......」

 

凛「......冗談......だよ?」

 

八幡「全く信用できねえ......」

 

未央「さ、早くやっちゃおう!」

 

卯月「はいっ!」

 

 その後まもなく4人も合流して手伝ってくれた。ホントいい子ばかりだ。

 

 ....................................

 

 ..................

 

 ......

 

八幡「大体終わったな。んじゃ、みんな待っててくれ。今茶入れるわ」

 

雪乃「私がやるわ。あなたは座っていてちょうだい」

 

八幡「そうか? 悪いな」

 

卯月「あ! 私お手伝いします! 雪乃さん、教えてください!」

 

雪乃「ええ。ではお願いするわ」

 

卯月「はいっ!」

 

 ......微笑ましい。雪乃も柔らかくなったし、卯月はいつだって一生懸命。

 いい忘れていたが、まず秋に留美から連絡が来た。勿論快諾し、その流れで雪乃をスカウト。最初は乗り気ではなかったが、なんとか説き伏せOKをもらった。そこから即契約し、レッスンを受けさせている。

 プライドの高い雪乃も現実を受け止め、今となっては別人のようになっている。まあ、根本は変わっていないが。

 そして来月......4月から2人はCPの3期生となる。凛と組ませ、速攻でデビューさせる予定だ。

 ユニット名は『Princess Blue』かつて凛の親父さんが考えたユニット名。このユニット名になった時、凛は悶えていたが......んで、俺は......

 

材木座「は、八幡よ。コレはどういう状況なのだ? 我さっぱり理解できないんだけど......なんでアイドルがこんなにもいるの? 夢なの? 我死んだの?」

 

 最後素になってんじゃねえか......

 

八幡「そういや俺のバイト言ってなかったな。......コイツらの事は知ってるよな?」

 

材木座「無論だ! ニュージェネやMasque:Radeを知らない日本人などおらん!」

 

八幡「なら話は早い。ほれ、自己紹介」

 

美穂「はいっ! Masque:RadeとPCSで八幡さんにプロデュースしていただいてる、小日向美穂です!」

 

材木座「へ? プロデュース?」

 

智絵里「お、同じくMasque:Radeの緒方智絵里、です......」

 

未央「ニュージェネの本田未央! ハッチーは名付け親だね!」

 

凛「渋谷凛。TPとニュージェネで八幡には世話になってる。よろしく」

 

雪乃「私はCPの3期生よ。ざ......材木くん?」

 

留美「鶴見留美。同じくCPの3期生。」

 

卯月「島村卯月ですっ! ニュージェネとPCSで八幡さんにお世話になってます! それと......」チラッ

 

八幡「その......この家、俺と卯月の家なんだわ」

 

材木座「な、なん......だと?」

 

八幡「それと、コレ見てくれ」

 

 新しい名刺を渡す。まだ誰にも伝えてないものだ......

 

材木座「ふむ、名刺か......なになに、

 346プロダクション

 アイドル事業部 専務付

 Project Krone.Cinderella Project

 統括プロデューサー

 

 比企谷 八幡

 ほう..................................は?」

 

9人「ええええええええええ!」

 

八幡「う、うるせえ!」

 

凛「ど、どういう事! 私聞いてない!」

 

八幡「そらそうだ。言ってないからな」

 

未央「ハッチーCPも見るの⁉︎」

 

八幡「あくまで統括だ。クローネは高町、CPはいろはがメインで見ていく。まだ言ってないが」

 

雪乃「いろはさんが......」

 

卯月「あ、あの......プロデューサーさんは......」

 

八幡「武内さんはあれだ。今西さんにくっついて、引き継ぎと部長クラスの研修で離れる」

 

美穂「え?部長さんは......」

 

八幡「あと2年で定年だからな。後釜育成だ」

 

智絵里「そ、そうなんですね......」

 

戸塚「凄いね八幡は。僕たちなんかこれから就活なのに......」

 

八幡「運が良かっただけだ」

 

留美「八幡の部屋は?」

 

八幡「基本はクローネの方だな。そこは専務のご意向だから覆らん」

 

留美「そっか......」

 

八幡「ま、俺が手掛けたヤツらは顔パスだ。いつでも来ていいぞ」

 

留美「うん、行く。ありすにも会いたいし」

 

八幡「......お前ら本当に仲良いな」

 

卯月「賑やかになりますね♪」

 

八幡「だな」

 

材木座「......」

 

 嬉しそうに肩にもたれかかってくる。この重みと体温が心地いい。

 

 しばらく全員で談笑し、あ、魂の抜けてる材木座は除くが。日も暮れて来たので全員で夕飯。勿論定番の......寿司だ。蕎麦じゃねえぞ。寿司だ。

 というのも、雪乃が用意してくれたのだ。お祝いにと。......これいくらすんだよ。あとが怖えよ。

 

 

 

 

 すでにいい時間となっており、みんな帰ったのだが......

 緊張する。とにかく緊張する。......だって2人きりだよ? ずっとだよ?......ヒャッホウ!

 

卯月「き、緊張しますね......」

 

八幡「だ、だな」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

2人「な、なあ(あ、あの)!」

 

卯月「......」

 

八幡「......」

 

2人「ぷっ......」

 

卯月「ふふっ!おかしいです!」

 

八幡「......だな。その......ありがとうな」

 

卯月「ふぇ?」

 

八幡「ぐふっ......」

 

卯月「だ、大丈夫ですか⁉︎」

 

八幡「お、おう。......その、ありがとうな、来てくれて」

 

卯月「私の方こそ......嬉しいです。これでずっと一緒にいられます」

 

八幡「ああ。......卯月......ん......」

 

卯月「......んっ......ちゅ...んは......んんん......」

 

 お互いを求め合うように激しく舌を絡めあう。

 

 長く......

 

卯月「はむ......ちゅるっじゅっ......はぁ......んむっ......ぷぁ......は、八幡さぁん......私もぉ......」

 

八幡「......ああ。あ、でも凛が全部......」

 

卯月「だ、大丈夫ですからぁ......」

 

八幡「......おう」

 

 ........................................................................

 

 ........................................................

 

 ..................................

 

 ......................

 

 ............

 

 ......最近卯月の求め方が半端ない。今日だって3回戦だ......た、たしかに毎晩してたらもたねえな。

 実際今も疲れ切って卯月は寝ている。......全裸で。あ、やべっ......はちまんくんが......

 特に今日のような日は凄い......しかも最近前にも増してエr......ゲフンッ!身体が......

 

卯月「八幡さん!ウエストが2cmも細くなりました!そ、それと......胸が4cm大きく......」

 

 と言われた時は流石に崩れ落ちた。雪乃なんか親の仇を見るように睨んで震えてたし.......

 まあ、可愛い。とにかく可愛い。可愛いくて仕方ない。

 

八幡「本当にベタ惚れだな......」

 

 ツンツンとほっぺをつつく。

 

卯月「うにゅ......」

 

八幡「ぐふっ......」

 

 ツンツン

 

卯月「うへへぇ......八幡しゃぁん......」だきっ

 

八幡「ごはっ......」

 

 だ、だめだ。これ以上続けたら俺がもたん......

 俺も寝るか......

 

八幡「おやすみ、卯月」

 

卯月「えへぇ〜♪」

 

 

 

 入社式。僕が入って早一年。色々な事がありました。それこそ良いこともあれば、悪いことも。

 去年あそこに座っていた時、なんであんな奴がクローネの!なんて思ってました。きっと今年もそう思う奴がたくさんいるでしょう。

 

 あ、そろそろ師匠の紹介ですね。しっかり目に焼き付けておかないと......

 

司会者「アイドル事業部専務 美城美咲」

 

 おお......さすが専務。凛としてらっしゃる。おっと、次ですね......

 

司会者「アイドル事業部専務付き、Project Krone並びにCinderella Project統括プロデューサー 比企谷八幡」

 

 ......は?

 

 ど、どういうこと? 2部署? 統括? はぁああああああああああああ?

 な、なんすかそれ! 聞いてないっすよ! し、ししょおおおおおおおおおおおお......

 

 

 

 入社式も終わり、恒例のプロデューサー紹介も済んだ。専務め......今年も挨拶させやがって......しかもなんだよ。去年と同じこと言いやがって。何が「今年もやらかしてこい」だ! そんなに俺を敵にさせたいの?

 ......はっ! アレか! 舞踏会の時アンタは敵だって言ったの根に持ってやがるな?......て、んなわけねえか。

 

 とまあ、くだらない事はさておき、今クローネとCPの全員を会議室に集めている。さすがにこの人数はPRには入りきらん。

 前に座るアイドルたち。1期生とクローネが最前側に座り、2期3期と並ぶ。すげえ人数だな......

 みんなの前に座るのは俺を中心に高町といろは。さて......始めますか。

 

八幡「知ってるやつも大勢いるが、まずは自己紹介させてもらう。プロデューサーの比企谷八幡だ」

 

高町「アシスタントの高町隆也です」

 

いろは「事務の一色いろはです」

 

全員「よろしくお願いします!」

 

 すげえ声量......

 

八幡「よろしくな。んで、今まで武内さんがCPのプロデューサーだったが、今日からは俺になる」

 

奏「ち、ちょっと待って! クローネはどうなるのよ!」

 

八幡「今から説明する。俺は今までクローネのプロデューサーだった。だが今日からはCPとクローネの統括プロデューサーだ」

 

奏「あなた......見きれるわけないじゃない......」

 

八幡「その通りだ。そこでこの2人だ」

 

 高町といろはがビクつく。おそらくムチャブリされると思っているのだろう。

 

八幡「まず高町」

 

高町「ひゃいっ!」

 

八幡「お前にはクローネを任せる」

 

高町「......僕がクローネを......はいっ!」

 

八幡「いろは、お前はCPの1、2期生だ」

 

いろは「は、はいっ!」

 

八幡「美波、増員が来るまでいろはをサポートしてやってくれ。頼んだぞ」

 

美波「うん! 任せて!」

 

八幡「俺は全体を見るが、メインは3期生だ。同時にいろはは、事務ではなくアシスタントとなる」

 

いろは「えっ......」

 

八幡「3期生」

 

全員「は、はいっ!」

 

八幡「......2期生をぶち抜くぞ。気合い入れろ」ニヤリ

 

全員「(ビクッ)はいっ!」

 

みく「あ、あれは絶対に何かたくらんでるにゃ......」

 

八幡「......みく、よくわかったな」

 

李衣菜「ホントにたくらんでたんだ......」

 

八幡「ま、ここで言っとくか。凛。「うん」

それと雪乃。「ええ。」留美。「うん」前に来い。」

 

 センターに凛を置き、2人を両サイドに立たせる。

 

奏「これって前に言ってた......」

 

八幡「よく覚えてたな。この3人は『Princess Blue』として来月デビューさせる」

 

「ええええええええええええええええ!!!」

 

唯「す、凄い存在感......」

 

八幡「高町、それにいろは」

 

2人「は、はいっ!」

 

八幡「油断してるとクローネも2期生もこいつらに負けるぞ」

 

2人「(ゾクッ)はいっ!」

 

八幡「それに2期生!」

 

全員「は、はい!」

 

八幡「いつまで1期生にオープニングの『お願い!シンデレラ』を歌わせる気だ? いい加減奪い取れ」

 

全員「はいっ!」

 

雪乃「......あなた、ここにいるとまるで別人ね」

 

留美「でも頼りになる」

 

凛「2人とも付いてきて。全力で駆け抜けるよ!」

 

2人「ええ(うん)!」

 

 ビビって沈んでた3期生たちも良い顔になったな。自分たちも! って期待が持てたんだろ。逆に2期生は締まったな。気を抜きすぎだ。少しは危機感を持てっての。まあいい。

 

八幡「いいかみんな。これだけは忘れんな。どんな事も楽しめ。お前らが楽しまねえと、絶対に見てる人は楽しめん。んで、アイドルに1番必要なもんは、容姿でも歌唱力でもない。アイドルに1番必要なもんは......「笑顔です!」......お前ら」

 

みく「アイドルは笑顔!」

 

きらり「ずっと言われてきたにぃ♪」

 

八幡「......その通りだ。笑顔だけは絶対に絶やすな。それも作ったもんじゃない、本物の笑顔だ。わかったな?」

 

全員「はいっ!」

 

八幡「それと......なんだ?......

 

 

......卯月、凛、未央、美波、アーニャ、蘭子、きらり、みりあ、莉嘉、杏、かな子、智絵里、みく、李衣菜......

 

 

その......ただいま。帰ってきたわ。CPに」

 

14人「っ!! おかえりなさい!」

 

 やっと帰ってこれた......

 

 ここがはじまりだもんな。

 

 みんな駆け寄って来る。泣いてるやつもいれば、笑ってるやつも。

 

雪乃「ねえ、八幡君」

 

八幡「......なんだ?」

 

雪乃「......『本物』は見つかったのかしら?」

 

八幡「......多分な」



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19話√?

別ルートスタートでーす


クリスマスライブ当日。武内さんに頼まれた卯月の件は何とかなったと思う。ここからはプロデューサーである武内さんに任せよう。

武内さんには卯月を迎えに行ってもらい、俺は凛と未央を会場まで連れてくる役目だ。

......くそっ!どいつもこいつもイブだからってイチャイチャしやがって......爆発し......おっと、俺まで爆発してしまう......

......全然悔しくなんかないんだからね!

 

......気を紛らせる為にこんな事を考えているが、正直言って不安ではある。おそらく卯月は会場には来るだろう。だが、以前のように......笑顔で歌えるかはわからない。

そこを引き出せるのは俺たちじゃなく......この2人なんだろうな。

 

八幡「......凛、未央」

 

未央「ん?なに?」

 

凛「どうしたの?」

 

八幡「......」

 

凛「卯月の事?」

 

八幡「......おう。卯月は間違いなく会場には来る」

 

未央「本当に⁉︎」

 

八幡「ああ。だがな......前みたいに笑顔で歌えるかはわからん」

 

凛「なんで!」

 

八幡「......背中は押した。だが俺に出来るのはそこまでなんだよ」

 

未央「どうして......」

 

八幡「......俺はステージには立てねえからな」

 

2人「っ!!」

 

八幡「だから......お前らに頼みがある。卯月を縛り付ける鎖を解いてくれ。......2人にしかできない事だ」

 

凛「わかった」

 

未央「任せて!」

 

八幡「......すまんな」

 

凛「ふふっ......」

 

八幡「......なんだよ」

 

凛「少し安心した」

 

八幡「なんのことだ?」

 

凛「八幡にも出来ない事があるんだって」

 

未央「たしかに......ハッチーもちゃんと人だったんですなぁ」

 

八幡「......何だと思ってたんだよ」

 

未央「ノーコメントでお願いします......」

 

八幡「上手く逃げやがって......」

 

未央「下手なこと言うと後が怖いからね〜」

 

八幡「チッ......つまらん」

 

そうこうしてるうちに会場に到着。まずは2人を控え室に......っと......あぶねえ......まさか何もないトコで転びそうになるとは......

 

凛「......八幡大丈夫? さっきからフラフラしてるけど......」

 

八幡「おう。大丈夫だ。特に問題ない」

 

凛「ならいいけど......」

 

2人を控え室まで案内し、時間もある為みんなで一休み。......何で歩いただけで息が切れてんだ?意味わからん。

 

未央「ねえ、ハッチー......顔真っ青だけど......体調悪い?」

 

八幡「あ? 別に俺は......あ......」

 

お茶の入ったコップを持ったがそのまま落としてしまった......力が入んねえ......

 

凛「やっぱりおかしいって! 何かあるんでしょ! ちゃんと言って!」

 

八幡「んな事言われてもな......最近寝てねえくらいか?」

 

凛「最近ていつから!」

 

八幡「怖えよ......まあ、1週間くらいか?」

 

凛「っ!! バカッ! 倒れたらどうするのっ!」

 

八幡「問題ねえって。実際大丈夫だろ?」

 

凛「明らかにおかしいよ!」

 

未央「ハッチー! すぐそこに寝て!」

 

八幡「いや、仕事中だし、s「いいから!」......おう」

 

備え付けのソファに強制的に寝かされる。......あれ?......急に......眠く......

 

八幡「......Zzzzzzz......」

 

凛「......寝ちゃった」

 

未央「は、早すぎ......そんな疲れてたんだ......」

 

凛「クローネとCP兼任してるし、最近は卯月につきっきりだったから......」

 

未央「うん......仕事も持ち帰ってたみたいだしね」

 

凛「卯月達が来るまで寝かせてあげよう」

 

未央「うん。そだね」

 

凛「じゃあ、今のうちに......」

 

未央「し、しぶりん何を......」

 

凛「......ん......んむ......」

 

未央「......ちょ、まっ! ええ⁉︎」

 

凛「......ごちそうさま」

 

未央「......て、手慣れてますな」

 

凛「うん。2回目だし」

 

未央「2回目って......」

 

凛「未央もする?」

 

未央「え? いいの?」

 

凛「別に私と付き合ってるわけじゃないし」

 

未央「......ど、どうしよう」

 

凛「早くしないと来ちゃうよ?」

 

未央「うぅ......で、では.......」

 

凛「......じー......」

 

未央「......chu!......し、しちゃった......うわぁ......」

 

凛「未央可愛い。真っ赤になっちゃって」

 

未央「だ、だって! うぅ......て言うか......バレてたんだ。」

 

凛「まあね。卯月は気づいてないと思うけど」

 

未央「......他にもいるよね?」

 

凛「見た感じだと......卯月と美波。智絵里も。クローネだと奈緒に加蓮。奏もかな? 他部署にはまゆもいるし......」

 

未央「そ、そんなに......しかもまゆちゃんて......アーニャとらんらんは?」

 

凛「2人は大好きなお兄ちゃんて感じじゃない?」

 

未央「たしかに......それにしたって多すぎだよ......」

 

凛「仕方ないよ。悔しいけどカッコいいもん」

 

未央「だね。ま、とりあえず今は寝かせておきましょう!」

 

凛「うん。外で待ってよう」

 

未央「おー!」

 

 

 

......呼ばれてる? 誰だ?......俺の安眠を邪魔するのは......

 

八幡「小町ぃ〜......あと2ヶ月寝かせて......」

 

「バカな事言ってないで起きて!」

 

八幡「......ん?おぉ......凛か。おはようさん......は? 凛? 何で家にいんの?」

 

凛「何寝ぼけてんの......ここ会場の控え室だから」

 

八幡「......そ、そうだったな.....ふぁ......大分スッキリしたわ」

 

凛「熟睡だったね。」

 

八幡「おう......おぉ、2時間も寝てたんか......浦島太郎の気分だ」

 

凛「またバカな事を......」

 

八幡「さっきまで制服美少女だったのが、アイドルに変わってんだ。そう思うだろ」

 

凛「......(ボフッ)」

 

未央「......口説いてる?」

 

八幡「あん?事実を言っただけだ。お前だってそうだろうが」

 

未央「......(ボフッ)」

 

八幡「まあいい。......卯月は?」

 

凛「い、今ステージに向かってる。大丈夫だよ」

 

八幡「んじゃ、見に行きますか」

 

凛「うん。行こう」

 

未央「美少女......ハッチーが美少女って......」

 

八幡「ん? 何してんだ? 早く行くぞ。」

 

未央「う、うん!」

 

 

 

 

ステージ袖に佇む卯月......俺からは顔は見えない。

いつもの衣裳ではなく制服姿。

声をかけようとして踏み止まる。これは卯月が越えるべき壁。力を貸していいのは俺じゃない。

2人の背中を押し前にだす。

 

2人「えっ?」

 

八幡「......頼んだ」

 

首を縦に降る2人を見届けて俺は常務の元へ。

 

頑張れ!卯月!

 

 

 

VIPルーム。この中に常務がいる。

 

八幡「失礼します」

 

常務「......遅かったな」

 

八幡「やることがあったもんで」

 

今西「いいじゃないか。今はライブを楽しもう」

 

常務「......そうですね」

 

八幡「......はい」

 

ステージに立つ卯月。辿々しくも挨拶をする......が、後が出てこない。すると「頑張れー!」と声が届く。......アイツら。声をかけたのはCPのメンバー達。そうだ。お前は1人じゃない。

 

卯月「島村卯月っ! 頑張りますっ!」

 

曲が始まった......

 

卯月「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

泣きながら歌う......すげえ綺麗だな......

 

そして......

 

涙を流しながらも、今までに見たことのない笑顔......

 

常務「っ!!」

 

常務が息を飲むのがわかった。

 

 

 

 

卯月「ありがとうございましたー!」

 

一曲目が終わった。

 

常務「......太陽か」

 

八幡「......」

 

常務「......見てみるものだな」

 

八幡「っ!......」

 

今西「......君も素直じゃないね」

 

 そのまま無言で出て行く常務。苦笑いの今西部長。

 

今西「それにしても......君には恐れ入るね」

 

八幡「えっ?」

 

今西「彼女も武内君も私も......彼女、島村卯月さんの輝きに気づけなかった。反省するよ」

 

八幡「い、いえ。そんなことは......」

 

今西「謙遜することはない。彼女のことを、これからもよろしく頼むよ」

 

八幡「......はい」

 

今西「では、お先に失礼するよ」

 

八幡「はい。お疲れ様でした」

 

 

 

スタッフ「全プログラム終了です!」

 

全員「お疲れ様でした!」

 

武内「......いい、ステージでした」

 

3人「ありがとうございます!」

 

未央「しまむーの一曲目......凄かった!......もう、感動しちゃって......」

 

卯月「未央ちゃん......」

 

凛「うん。......凄く良かった」

 

卯月「凛ちゃんまで......」

 

武内「私も......そう思います」

 

卯月「プロデューサーさん......私......」

 

武内「......よく、戻って来てくれました。」

 

卯月「それは......」

 

 八幡さんが......八幡さんがいてくれたから。......あれ?八幡さんは?

 

卯月「あ、あの!」

 

武内「......どうされましたか?」

 

卯月「その、えっと......」

 

未央「ハッチーに会いたいんでしょ?」

 

卯月「その......はい」

 

凛「卯月顔真っ赤......可愛い......」

 

卯月「えぇっ! そんなこと!」

 

武内「まだ常務とお話し中かもしれません。もう少し待ちましょう。」

 

卯月「......はい。」

 

 八幡さん......早く会いたいです。

 

今西「お疲れ様。いいライブだったよ。」

 

武内「ありがとうございます。部長、比企谷さんはまだ常務とお話し中ですか?」

 

今西「おや、来てないかね? 彼女は島村さんの歌が終わった後、すぐに帰ったが......」

 

卯月「っ!」

 

武内「それは本当ですか!」

 

凛「プロデューサー! 八幡はどこに行ったの!」

 

武内「VIPルームかと......」

 

凛「卯月、未央!行くよ!」

 

2人「はい(うん)っ!」

 

 

 

まさか......いやだ! そんなの!

 

凛「八幡!」

 

未央「あれ......いない?」

 

卯月「ど、どういうことでしょう?」

 

中に入って見渡す......ん?なんか音が......

 

凛「......」

 

未央「し、しぶりん......」

 

凛「......いた」

 

卯月「どこですか!」

 

凛「ここ。......寝てる」

 

卯月「......へ?」

 

未央「......良かったぁ〜」

 

八幡「Zzzzzz......」

 

未央「......ぐっすりだね」

 

卯月「寝顔可愛いですっ♪」プニプニ

 

凛「......」パシャリ

 

未央「......なんてことを」

 

凛「つ、つい......」

 

卯月「わ、私も......」パシャリ

 

未央「うぅ......私持ってきてない......」

 

凛「送っておくから。」

 

卯月「私も送りますね!」

 

未央「2人ともありがとう......」

 

凛「起こさないとね。ねえ、八幡起きて」ユサユサ

 

八幡「うぅ......あと1週間......」だきっ

 

凛「えっ......ええ⁉︎ ちょっと! あぅ......」

 

2人「あーーーーーーーー!」

 

未央「しぶりんなにしてんの!」

 

凛「わ、私じゃ......八幡......スンスン......」

 

卯月「早く離れてください! わわっ! 匂いまで!」

 

凛「スンスン......ち、力が強くて無理......スンスン......はぁ......いい匂い......」

 

未央「絶対嘘だ!」

 

卯月「ずるいですっ! 変わってください!」

 

凛「......やだ」ぎゅぅ

 

2人「あーーーーーーーーー!」

 

武内「皆さん何を......」

 

2人「......」

 

武内「比企谷さんと渋谷さんはどこへ......」

 

い、言わないで!こんなとこ見られたら恥ずかしくて死んじゃう!

 

八幡「Zzzzzzz......」

 

凛「......」ぎゅぅ

 

武内「ど、どういう状況ですか?」

 

未央「んー......寝ぼけたハッチーがしぶりんを抱き枕にした......かな?」

 

武内「そ、そうですか。ですが比企谷さんはどうしてこのようなところで......」

 

未央「ここ1週間寝てないって言ってた。仕事も持ち帰ってたみたいだし?」

 

武内「そんな! 私に回していただいたはずです!」

 

未央「いやぁ、ハッチーはプロデューサーの忙しさ知ってるもん。そんな事しないでしょ」

 

卯月「も、もしかして私の所為で......」

 

未央「んー、違う違う。ハッチーがそうしたかっただけだって」

 

凛「そうだね。絶対そう言う。スンスン......」

 

未央「......しぶりん......カッコ良く言ってるけど、匂い嗅いでたら台無しだよ?」

 

凛「だ、だって!......いい匂いなんだもん......」

 

未央「もんて......」

 

卯月「凛ちゃん可愛いです......」

 

未央「......そんなに?」

 

卯月「......気になります」

 

凛「......うん。(ボフッ)」

 

未央「(ソロ〜)......クンクン......!!」

 

卯月「(ソロ〜)......ハスハス......!!」

 

凛「スンスン......」

 

武内「......」

 

未央「クンクン......」

 

卯月「ハスハス......」

 

凛「スンスン......」

 

武内「あ、あの......皆さん......」

 

3人「!!!!」

 

武内「か、帰りましょう」

 

3人「は、はい」

 

は、恥ずかしい......プロデューサーいるの忘れてた......

 

この後起きない八幡をプロデューサーがおんぶしてみんなで帰った。......八幡いい匂いだったな......

 

 

 

クリスマスライブは無事成功。常務もアレなら文句ないだろう。

んで、俺はと言うと、仕事を持ち帰っていた事や、寝ずに働いていたことが武内さんにバレて武内さんとちひろさんに大目玉をくらった。それはもう......凄かった。うん。

その結果、3日間の強制休養を言い渡されてしまった。

 

八幡「......やることが無い」

 

小町「いいんじゃない?お兄ちゃん昨日まで死にそうな顔だったし」

 

八幡「......そこまで?」

 

小町「うん。いつ倒れるか心配だったよ?」

 

八幡「すまんな。」

 

小町「ま、倒れなかったし問題なし! ねね、お兄ちゃん......今日クリスマスだよね?」

 

八幡「おー。そーだなー」

 

小町「うわっ! テキトーだなー......お兄ちゃんお兄ちゃん!」

 

八幡「......なんだよ」

 

小町「小町、お兄ちゃんとデートしたいな〜♪」

 

八幡「よしっ! 行くぞ! さぁ早く!」

 

小町「やったぁ〜♪ で・も! その前に着替えてね〜!」

 

八幡「......おう。」

 

まだ寝巻きでした。てへっ。

 

 

小町「お兄ちゃんおっ待たせ〜♪」

 

八幡「おう。で、どこ行くんだ?」

 

小町「小町はダイバーシティを所望します!」

 

八幡「え? 東京? 千葉じゃないの?」

 

小町「だって千葉はいつでもいけるし」

 

八幡「......わかったよ。んじゃ、行きますか」

 

小町「わ〜い!」

 

......可愛いすぎる。さすが天使コマチエル......

 

 

 

さて、目的地に着いたが......

 

八幡「で、どこ行く? 帰る?」

 

小町「全くゴミいちゃんは......あっ! 小町あそこ見たい!」

 

八幡「へいへい......」

 

俺の腕を掴み「早く早く!」と言いながら引っ張る小町。そういや最近全く付き合ってやらなかったな......今日くらいは好きにさせてやるか。

 

小町「ね、これどぉ?」

 

八幡「おー。世界一似合ってるよー」

 

小町「テキトーだなぁ......んじゃ、これは?」

 

八幡「あ? そんな大胆なのお兄ちゃん許しませんよ」

 

小町「えー! 可愛いのに......」

 

可愛いのはお前だっての。

 

小町「ま、いっか! じゃ、次行こっ!」

 

八幡「わかったから引っ張んな!」

 

小町「いいからいいから!」

 

「ん? 小町?」

 

小町「およ?お兄ちゃん呼んだ?」

 

八幡「いや、俺じゃない」

 

「やっぱ小町だ!」

 

小町「おぉ! 奈緒ちゃんでしたか!」

 

奈緒「おーす! 偶然だな。こんなと......こ......せ、センパイっ⁉︎」

 

八幡「あ? あぁ、奈緒か。」

 

奈緒「か、身体大丈夫か⁉︎」

 

八幡「おう。全く問題ない」

 

小町「およ? お兄ちゃんと奈緒ちゃんて知り合い?」

 

八幡「そういや詳しくは言ってなかったな」

 

奈緒「センパイはクローネのプロデューサーなんだよ」

 

八幡「代行をつけろ。あるとないとじゃ大違いだ」

 

奈緒「細かいなー。そんな大差ないって!」

 

八幡「ま、別にいいけど」

 

小町「お......お兄ちゃん! 小町聞いてないよ!」

 

八幡「あ? そらそうだ。言ってねえし」

 

小町「き、今日は家族会議だからね!」

 

八幡「つっても2人しかいねえじゃん」

 

小町「それでもなの!」

 

八幡「......へいへい」

 

奈緒「......小町ってセンパイの前だとそうなるんだな」

 

小町「っ!! コレはお恥ずかしいところを......」

 

奈緒「やっぱ小町もブラコンなんだな!」

 

小町「うっ......」

 

八幡「......奈緒、お前1人か?」

 

奈緒「いや、加蓮も一緒だけど?」

 

八幡「......やっぱりか。あいt「八幡さんみーっけ!(ダキッ)」おぉう!......いきなり飛びつくなよ......」

 

加蓮「あれ? 驚かなかった?」

 

八幡「驚いてるっての。......あの......離れてくれませんかね?」

 

加蓮「んふっ、どうして?」

 

八幡「......あたってるんだが」

 

加蓮「あたり前でしょ?あててるんだから」

 

八幡「......それとですね、周りの視線が痛いんですよ。男性陣からの。このままだと八幡死んじゃうよ?」

 

加蓮「ん〜......どうしよっかなぁ〜......」

 

八幡「......わかった。1つお前の要求を聞こう」

 

加蓮「聞いたからね?」

 

八幡「俺の出来る範囲でな。それと数を増やすのはなしだ」

 

加蓮「ちっ......はい、これでいい?」

 

八幡「......おう」

 

小町「......なんで前かがみなの?」

 

八幡「......男には男の事情があるんだよ」

 

小町「ふーん......って! 加蓮ちゃんじゃないですか!」

 

八幡「バカッ! 声でけえよ!」

 

小町「あっ......」

 

「加蓮?って!北条加蓮じゃん!」「マジだ!神谷奈緒もいるし!」「じゃあ、もしかしてしぶりんも⁉︎」「ど、どこだ?」「もう1人の子だれ?あの子も可愛くね?」「346だからなー。まだデビューしてないだけだろ?」「つーかあいつ誰だよ」「あいつ加蓮ちゃんに抱きつかれてたぞ?」「......殺す!」

 

待て待て待て!最後の物騒すぎんだろ!

 

八幡「と、とりあえず移動するぞ。加蓮、いいところあるか?」

 

加蓮「う、うん。ついてきて!」

 

加蓮について行くしかない。ココ全然知らねえしな。

 

 

 

店員「いらっs「4人です!」か、かしこまりました。ご案内します」

 

店員さんごめんね。緊急事態だから許してね?

個室に通されてようやく一安心。

 

八幡「......はぁ」

 

小町「ご、ごめん、お兄ちゃん」

 

加蓮「お兄ちゃん⁉︎」

 

八幡「あぁ、加蓮は初めてだったな。妹の小町だ」

 

小町「ひ、比企谷小町です! その......会えて嬉しいです!」

 

加蓮「か......」

 

八幡「あ?」

 

加蓮「可愛い! 八幡さん! 小町ちゃんちょうだい!」

 

八幡「却下!」

 

加蓮「じゃあ妹にしていい!」

 

八幡「そもそも小町はお前より上だ」

 

加蓮「......え?」

 

奈緒「あたしのクラスメイトって......言わなかったっけ?」

 

加蓮「聞いたような聞いてないような......」

 

小町「いやぁ、加蓮ちゃんの妹になるのは素敵な提案ですが.......今はお兄ちゃんの世話でいっぱいなので」

 

加蓮「世話?なんで?」

 

八幡「あぁ、家の両親海外にいるんだわ。だから家事は小町に任せっきりでな。すまんな、小町」

 

小町「それは言わない約束でしょ?」

 

八幡「......そうだったな」なでなで

 

小町「んふー......」

 

奈緒「な、なんか夫婦みたいだな......」

 

加蓮「小町ちゃん可愛い......」

 

八幡「てわけだ。諦めてくれ」

 

小町「......お2人とも、明日はお仕事ありますか?」

 

奈緒「いや、あたしはないな。加蓮は?」

 

加蓮「アタシも。」

 

小町「なら! お2人ともうちに来ませんか? クリスマスパーティーとお泊り会しましょう!」

 

2人「絶対行く!」

 

八幡「......俺の意見は?」

 

小町「なに? お兄ちゃんは反対なの?」

 

八幡「......好きにしてくれ」

 

小町「では! 家主から許可も出たので、楽しんじゃいましょう!」

 

2人「おー♪」

 

 

 

一旦解散し後に集合。......まあ、女にはいろいろと準備があるしな。どこに集まるか確認した際、奈緒がご近所さんということが判明した。

なので、奈緒と加蓮が駅に集合し、家の場所がわかる奈緒が案内役となる。......手間が省けて助かります。

一応19時集合と言ってたからそろそろ来るはずだが......『ピンポーン』......タイミング良すぎね?

 

小町「はいはーい!......奈緒ちゃんに加蓮ちゃん! 今開けますね〜♪」

 

ついに来てしまった......現役アイドルのお泊りイベントとか......どんなラノベだよ。都合良すぎんだろ......

 

小町「ささ、遠慮せずどーぞどーぞ!」

 

奈緒「お、お邪魔します!」

 

加蓮「お邪魔しま〜す♪」

 

八幡「邪魔するなら帰ってくれ」

 

奈緒「ほなさいなら!......って! 何やらせんだよ!」

 

加蓮「ぷっ......」

 

八幡「お前このネタ知ってんのか......」

 

奈緒「うっ......」

 

加蓮「ネタ?」

 

八幡「......吉本の鉄板ネタだ。これで奈緒がつまらない物ですがと言いながら軍手でも出せば完璧だな。」

 

小町「......」じー

 

加蓮「......」じー

 

奈緒「......わかったよ! やればいいんだろ!」

 

八幡「......あんのかよ」

 

奈緒「......ない」

 

全員ずっこけた。やるな奈緒......お前センスあるぞ......

 

小町「ま、まあ、とりあえず座って待っててください! すぐにできますので〜♪」

 

2人「は〜い♪」

 

すかさず俺の隣に座る加蓮。「あ!おいっ!」と吠える奈緒......2人の間で火花が......

 

小町「はーい。できましたよ〜......2人とも何やってんの?」

 

2人「はっ......」

 

小町「......加蓮ちゃんはそのままどうぞ」

 

加蓮「やった♪」

 

奈緒「なっ! そりゃないよ小町!」

 

小町「明日の朝は奈緒ちゃんがそこで」

 

奈緒「さすが小町! さすコマだな!」

 

八幡「......」

 

小町「ハイハイ。とっとと座ってねー」

 

奈緒「扱い雑っ⁉︎」

 

......ダメだ。もう奈緒がお笑い芸人にしか見えん......

 

小町「んじゃ、お兄ちゃんお願い」

 

八幡「......んじゃ、奈緒のお笑いデビューに乾杯」

 

3人「カンパーイ!」

 

奈緒「って、しねえよ! アイドル! あたしアイドル!」

 

小町「(ぷるぷる)」

 

加蓮「2人とも......もうやめて......」

 

八幡「お前のせいで加蓮が瀕死じゃねえか。どうしてくれんだ?」

 

奈緒「あたしのせい⁉︎ 違うよね?」

 

八幡「うるさいぞ。少し黙ってろ」

 

奈緒「やらせといてそれかよ!」

 

2人「ブハッ!」

 

小町「お、お兄ちゃん......奈緒ちゃんいじりすぎ......」

 

加蓮「い、いじるのうますぎ......」

 

八幡「そうか? 普通だろ?」

 

奈緒「いや、ひどいから」

 

八幡「まあ、冗談はこれくらいにしとくか」

 

加蓮「そうだね」

 

奈緒「それあたしのセリフ......」

 

小町「ではでは〜改めて! カンパーイ!」

 

3人「カンパーイ!」

 

小町「じゃんじゃん食べてくださいねー!」

 

パーティー?が始まった。この人数ってのも......久々だな。休みの日以外は俺も小町も1人だし......

うむ。美味い。なんか知らんがいつもより美味い気がする。

 

加蓮「ん!......すごく美味しい!」

 

奈緒「......すげえな。小町こんなに料理うまかったのか」

 

八幡「すげえだろ」

 

奈緒「や、なんでセンパイがドヤるんだよ」

 

八幡「ホントうめえな」

 

奈緒「無視⁉︎」

 

加蓮「あ、そうだ!」ボソッ

 

「トントン」

 

八幡「ん?」

 

加蓮「ひゃい、はひはんはん、は〜ん♪ (はい、八幡さんあ〜ん)」

 

小町「ふぉぉぉぉぉぉ! 口移しであーんとは! こ、これは写真に!」

 

奈緒「お、おい! 加蓮!」

 

八幡「......」

 

加蓮「は〜ん♪」

 

小町「お兄ちゃん、これで行かなきゃ男じゃないよ」

 

八幡「......わかったよ。じゃ、じゃあ......あー......「えいっ!」!!!!!!」

 

おい......今どうなってる⁉︎口に柔らかいものが......

 

加蓮「......んむ......」

 

小町「ふぉぉぉぉぉぉ! チューだよ! 生チューだよ! 生チュー生中継だよ!」パシャパシャパシャッ

 

奈緒「こ、こら! 加蓮! やりすぎだ!」

 

まじか......なんか気持ちいいぞ......

 

加蓮「......んむ.......ぷはっ......美味しい?」

 

八幡「......う、美味い」

 

......味なんかわかるわけねえだろ!

 

奈緒「な......か......」

 

小町「はぁはぁ......良い写真が......はぁはぁ......」

 

加蓮「八幡さんどうだった? アタシのファーストキスの味は」

 

八幡「なっ⁉︎ お前っ!」

 

加蓮「んふっ♪......責任とってね?」

 

八幡「っ!!」

 

奈緒「......か〜れ〜ん〜!」

 

加蓮「えへっ♪」

 

なんだコイツ......めちゃくちゃ可愛いじゃねえか......お、落ち着け俺!これはイタズラだ......勘違いするな......

 

......今日どうなっちゃうのん?



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20話√?

奈緒と加蓮を招いて行われたクリスマスパーティー兼お泊り会......

自覚している中での俺のファーストキス......まあ、凛に奪われているらしいが......

何乙女なこと言ってんだよ。キモいっての。......アレがキスの感触か。味はフライドポテトだが。

 

その後は和やか......和やか? だな一応。和やかに過ごし、2人は小町の部屋へ。俺は勿論自室に。

それにしても......アレは本気なんだろうか? 加蓮はイマイチ読めん。

ま、考えてもらちがあかん。寝よう。

 

 

 

 

「な、なぁ、起きてるか?」

 

 

「よ、よし。寝てるな。今のうちに」もぞもぞ

 

八幡「......うぅん......」だきっ

 

「お、おい! 何して!......か、顔が近い! うぅ......寝ぼけてるとはいえコレは......」

 

八幡「......小町ぃ......トマトは......トマトだけはぁ......」

 

「!!!!......ね、寝言か。紛らわしい......近くで見ると......ホントかっこいいな......あたしも......ん......はぁ......も、戻らなきゃ!」

 

 

 

 

 

翌朝、小町に起こされ仕方なく起きる。......せっかくの休みなんだから......もうちょっと寝させてよ!

まあ、今日はあの2人も来てるし仕方ないか。リビングに行くとすでに2人が......

 

バトっていた。

 

奈緒「加蓮! 今日はあたしがそこに座るはずだろ!」

 

加蓮「え〜? なんのこと?」

 

奈緒「昨日小町が言ってたじゃんか!」

 

加蓮「アタシ聞いてな〜い♪」

 

奈緒「な......なら! あたしはセンパイに座る!」

 

加蓮「っ!! へ、へぇ......どうやって?」

 

奈緒「そ! それは......き、来てからのお楽しみだ! うん。」

 

2人に見つからないようにキッチンへ。

 

八幡「ねえ、小町ちゃん? あの2人止めてくんない?」

 

小町「......お兄ちゃん残酷な事言わないでよ。昨日ずっとアレに付き合ってたんだよ?」

 

八幡「......ご苦労さん」なでなで

 

小町「うぅ......自分で誘っておきながらこんなに後悔するとは......」

 

八幡「......調整役の凛がいないとこうなるんだな。」

 

たまに凛が暴走する理由がわかった気がする......お前も溜まってるんだな。いつもありがとう。そしてコレからもよろしく。お前の犠牲は無駄にはしない。

 

八幡「で、どうすんだよ......」

 

小町「なら小町とお兄ちゃんが並べばいいんじゃない?」

 

八幡「よし、それで行こう。準備出来たら一緒に出るぞ」

 

小町「ラジャ!」

 

朝食の準備が終わり、小町とともに朝食を運ぶ。

 

八幡「おう、おはようさん」

 

奈緒「うぇっ⁉︎ お、おはようセンパイ」

 

加蓮「おはよう八幡さん♪」

 

八幡「飯も出来たから食うぞー。」

 

奈緒「う、うん」

 

加蓮「は〜い♪」

 

一度小町とアイコンタクトをし、一気に作戦に出る。

 

加蓮「......え?」

 

奈緒「は?」

 

八幡「奈緒、突っ立ってないで座れよ」

 

奈緒「......うん」

 

加蓮「......ちっ、こう来たか」

 

コラコラ、加蓮ちゃん? 舌打ちしたの聞こえてるからね?

 

八幡「んじゃ、いただきます」

 

小町「いただきま〜す♪」

 

2人「い、いただきます」

 

朝食を食べ終え、女性陣は作戦会議。さて、俺は撮り溜まってる作品達を消化しようかね......まずはプリティでキュアキュアなアレから......

 

な......ない......だと?

 

小町「あ、ごめんお兄ちゃん。HDDの容量いっぱいだったから全部消しちゃった」

 

八幡「......」

 

奈緒「......センパイなんで泣いてんの?」

 

八幡「な......泣いてなんかないやい!......グスッ。」

 

奈緒「いや、思いっきり泣いてるから。」

 

小町「と言うわけで! お兄ちゃん出かけるよ!」

 

八幡「なにっ! TSUT◯YAか? それともG◯Oか?」

 

小町「なんでレンタルショップ限定なのさ......」

 

八幡「......じゃあ行かない。」

 

小町「ほら! 千葉行くよ!」

 

八幡「(ピクッ)......千葉......だと?」

 

加蓮「なんで千葉に反応したの?」ヒソヒソ

 

小町「お兄ちゃんの千葉に対する愛は半端ないですから。」ヒソヒソ

 

奈緒「なるほど。言われてみれば、よく千葉について語ってるな。」ヒソヒソ

 

小町「と!い・う・わ・け・で! お兄ちゃん準備よろしく! あ、車もねー。」

 

八幡「......もう誰もいねえし。しゃーねえ、準備しますか。」

 

 

3人を連れて千葉へ......当然だがあっちこっち引っ張りまわされた。

 

 

俺の休日返して!

 

 

 

年も明けて舞踏会まであと1週間。やる事も大量でヒーヒー言っている最中、社内の廊下で妙な光景を目撃した。

 

右手には長いトング。

左手にはゴミ袋。

身体を守る装備は巫女服。

 

......間違いなく道明寺だ。つーか、トングとゴミ袋? 何やってんのアイツ。しかも妙に臨戦態勢と言うか......危機迫ってる感じだし......

とりあえず聞いてみるか。

 

 

八幡「道明寺......お前何してんの?」

 

道明寺「ひゃわっ!」

 

驚きすぎだろ......

 

八幡「す、すまん。驚かせちまったな」

 

道明寺「ひ、いえ! だ、大丈夫れす!」

 

八幡「そ、そうか? んで、何してんの?」

 

道明寺「わ、私の天敵と戦っていりゅんでしゅ! はわっ! また......」

 

八幡「あ? 天敵?」

 

視線の先には......

 

 

 

バナナの皮。

 

 

 

八幡「......は?」

 

道明寺「ば、バカにしないでください! なぜか......なぜかあると踏んでしまうんです! 警戒してるのに......き、今日こs「(どん!)あ、ごめんね!」......え? ひゃわっ!」

 

まじかよ......マジで踏んだよ! しかも見事に滑って転んでええええええええええええええええええええええ⁉︎

なんで⁉︎ こいつ下も⁉︎ は、はいてな......

 

道明寺「いったたたた.....ふぇ......ま、また転びましたぁ......」

 

八幡「......そ、それより......」

 

道明寺「は、はい?」

 

八幡「......あ、足を閉じろ。その......見えてる。」

 

完全なるM字開脚......

 

道明寺「......へ?......あっ!い、いやあああああああああああああ!」ガバッ

 

八幡「......すまん」

 

道明寺「うぅ......胸だけじゃなくコッチまで......」

 

八幡「......ふ、不可抗力だ」

 

道明寺「あぅ......もうお嫁に行けません......ぐすっ......」

 

八幡「その......すまん」

 

道明寺「うぅ......比企谷さん」

 

八幡「......なんだ?」

 

道明寺「......責任取ってくだしゃい」

 

八幡「ぶっ! そ、それはどんなだ?」

 

道明寺「い、いきなりは言えにゃいので! ま、まじゅは連絡しゃきを......」

 

八幡「お、おう。わかった」

 

お互い連絡先を交換。

 

道明寺「そ、それでですね......わ、私の事はきゃり......歌鈴と! よよよ呼んでくだしゃい!」

 

八幡「わ、わかった。歌鈴だな?」

 

歌鈴「ひ、ひゃいっ! すすすす末永くよろしくお願いしましゅ!」

 

八幡「末永くって......とりあえず立てるか?」

 

転んだままの歌鈴に手を差し出す。

 

歌鈴「あっ......す、すみません......って! はわっ!」

 

なぜか立ったタイミングでバランスを崩す。なんで⁉︎ そこまでドジっ娘なの⁉︎ あ、裾踏んでますね......

 

八幡「だ、大丈夫か?」

 

......だ、抱きとめてしまった。恥ずかしいいい!

 

歌鈴「す、すみません!」

 

八幡「いや、俺は大丈夫だ」

 

歌鈴「八幡さんは......私のドジも受け止めてくれるんですね......」

 

八幡「まあ、この位置にいたらな」

 

歌鈴「......ありがとうございます」ぎゅぅ

 

ま、待て待て待て! 当たってる! 当たってるから! あぁ......でも柔らかい.....はっ! いかんいかん!

 

八幡「か、歌鈴。もう......大丈夫か?」

 

歌鈴「はっ!......す、すすすすしゅみませんでした!」

 

八幡「......怪我してないなら良かったわ。んじゃ、またな」

 

歌鈴「は、ひゃいっ!」

 

 

 

 

 

歌鈴「ひ、比企谷八幡しゃん......道明寺って名字に......興味無いかなっ⁉︎」

 

 

 

舞踏会も無事に終わり、CPも存続が決まった。

その際に、俺たち2人は常務から言い渡された事がある。

武内さんはCPの2期生を集めることになり、俺は4月からクローネ専属の正プロデューサーとなることになった。

......やっぱり戻れないのね。

 

ならばとダメ元で提案したCPの全体旅行を許可してもらい、現在企画書作成中なのだが......

 

八幡「......ふむ」

 

ありす「何か困りごとですか?」

 

ちょこちょこと寄ってきたありすを膝の上に乗せ、頭をなでる。うむ。今日もいいなで心地だのう......

 

ありす「むふ〜♪」

 

......ん? ありす? って......なんでみんないんの?

 

八幡「......今日休息日だよな?」なでなで

 

奏「ええ、そうよ」

 

八幡「......なんで全員集合してんの? なに? 暇なの? 呼んだの凛とアーニャだけだよね?」なでなで

 

奏「......どうしてかしらね。」

 

周子「気がついたら来てたんだよね〜......」

 

唯「あ、ゆいも〜♪」

 

フレデリカ「フレちゃんも〜♪」

 

文香「......ここは......本を読むのにちょうどいいので......」

 

奈緒「あたしは......別に......(ちらっ)......」

 

加蓮「アタシは八幡さんに会いに来ちゃった♪」

 

八幡「来ちゃったって......」なでなで

 

ありす「♪♪」

 

凛「ところで、要件は?」

 

八幡「おう、この前話した......」

 

アーニャ「旅行の、ことですか?」

 

八幡「おう。案を貰おうと思ってな」

 

ありす「旅行......ですか?」

 

八幡「CP全体でな。慰労会......修学旅行みたいなもんだ」

 

ありす「修学旅行......」

 

八幡「ん? どうした?」

 

ありす「私......行けなかったので......」

 

なん......だと?

 

奈緒「あたしも......」

 

奏「私もよ」

 

唯「ゆいも〜」

 

八幡「......」

 

なんて事だ......こいつらも連れていきたくなっちゃうじゃん!

 

凛「八幡?」

 

アーニャ「兄さん? どうか、しましたか?」

 

八幡「......みんなで行っちまうか?」

 

全員「いいの⁉︎」

 

八幡「この際17人も25人も変わらねえだろ。誤差だ誤差」

 

奈緒「いや、違うだろ」

 

八幡「んじゃ、奈緒以外全員参加でいいか?」

 

9人「うん(はい)っ!」

 

奈緒「ちょ! ちょっと待った! 誰も行かないとは言ってないから! あたしも連れてってよ! なぁ!」

 

八幡「......冗談だ」

 

奈緒「冗談に聞こえないって......」

 

八幡「早速だが、案くれ」

 

凛「......あ、温泉」

 

八幡「温泉?」

 

凛「夏に行った千葉村の温泉......よかったなって......」

 

アーニャ「да! すべすべ、でしたね! 星も、綺麗でした!」

 

奏「千葉村? 夏にも旅行したの?」

 

八幡「違う違う。合宿だ。フェスの前にな」

 

奈緒「へー、千葉村かぁ......懐かしいな」

 

加蓮「奈緒は知ってるの?」

 

奈緒「まあな」

 

八幡「なら、群馬の違う温泉にでも行くか?」

 

加蓮「群馬? 千葉じゃないの?」

 

奈緒「千葉村は群馬にあるんだよ。」

 

奏「そう言うことね......」

 

八幡「前は水上だから......草津とかどうだ?」

 

唯「有名だよね!行ったことないけど......」

 

周子「アタシもないな〜」

 

凛「いいんじゃない?」

 

アーニャ「星、見えますか?」

 

八幡「大丈夫なはずだ。どうだ?」

 

全員「賛成!」

 

八幡「んじゃ、その方向で。ちゃんとスケジュール調整はしとくからな」

 

途端に騒がしくなる。嬉しそうだな。こりゃ気合い入れて企画書作んねえと!

 

 

 

完成した企画書を武内さんに確認してもらう。「......クローネもですか?」と言われたが、事情を話したら快く賛成してくれた。さすがは武内さんだ。一部を修正してそのまま常務に提出。

「なぜ私が入っていない。おかしいだろう」と言う可愛らしい一言で、常務の電撃参戦も決まった......「温泉......ふふふっ......」と言う一言は聞かなかった事にしよう。

 

 

後日完成した旅のしおりを常務に提出。「なかなか良くできている」とありがたい言葉をいただいた。

ついでにだが......

 

常務「様々な部署から人材を集め、横断型のユニットを2組作れ。始動は4月。必要ならスカウトしても構わん」

 

と言うありがたくないお言葉までいただいてしまった......まだ仕事増やす気か! 学生でバイトの範疇超えてるぞ! と遠回しに言ったのだが、4月から新卒のアシスタントをつけるからそれまで我慢しろと言われてしまった......逃げ道ねえじゃん......

 

渋々承諾してトボトボとPRに戻りながら考える......さて、どうしたもんか......人数や部署に縛りはない。スカウトも自由......逆に難しくね? そうか......コレは試されてんのか。今までは基本武内さんが選んだCPに、常務の選んだクローネ。地力はねえもんな......

 

「なーに難しい顔してんの!」

 

八幡「ん? おぉ、美嘉か......」

 

美嘉「どうしたの? 何かあった?」

 

八幡「いや、常務が......な?」

 

美嘉「な、なるほどね......で、今度はどんな無茶振り?」

 

八幡「部署横断ユニットを2組作れとさ。始動は4月で」

 

美嘉「そっかぁ......あ! それさ、アタシ使ってくれない?」

 

八幡「そりゃ助かるが......いいのか?」

 

美嘉「もちろん! 付き合いは長いけど一緒にってのはないじゃん? だから......ね? お願い」

 

うぐっ......美嘉のおねだり攻撃......八幡に効果は抜群だ!

 

八幡「わ、わかった。よろしく頼むわ。」

 

美嘉「やった! 八幡さんアリガトっ!」ダキッ

 

あ、あたってる! お山があたってるから!

 

八幡「お、おう。その......あたってるんだが......」

 

美嘉「あ......ご、ごめん!」

 

胸を抱えながら顔を真っ赤にする美嘉。コイツマジで可愛いな......

 

八幡「......そ、その......どんなユニットにしたいとかあるか?」

 

美嘉「え、えっと......八幡さんにお任せ......かな?」

 

八幡「わかった。......後から文句言うなよ?」

 

美嘉「大丈夫だって! 安心してっ★」

 

八幡「サンキュ。美嘉のプロデューサーには俺から話しとくわ」

 

美嘉「うん! よろしくね★」

 

まずは1人か......

美嘉に見合うアイドル......ありきたりになっちまうが......やっぱアイツらだよな......

 

 

 

八幡「......てわけでお前ら頼むわ」

 

奏「ホント急ね。どうしてそうなったのかしら......」

 

八幡「しょうがねえだろ。なんせ常務だし」

 

周子「常務ならしょーがないよねー......」

 

フレデリカ「フレちゃんは楽しければおっけ〜♪」

 

八幡「あ、うん。だよな」

 

志希「志希ちゃんも?」

 

八幡「そうそう。志希ちゃんもだな」

 

志希「やた〜♪」

 

八幡「おう、がんば.......って、誰だよ!!」

 

志希「ん??」

 

奏「......自然にいすぎて気付かなかったわ」

 

周子「ビックリだよね......」

 

フレデリカ「しっきにゃ〜ん♪」

 

志希「にゃんにゃん♪」

 

八幡「おい、フレデリカ。元いた所に戻してきなさい」

 

周子「ね、猫扱い......」

 

フレデリカ「ん〜? フレちゃん連れてきてないよ?」

 

八幡「お前以外に誰が......」

 

フレデリカ「んっとね、凛ちゃん!」

 

凛「(ビクッ)」

 

八幡「......」じー

 

凛「......だって......可愛いかったんだもん」モジモジ

 

グフッ......そのリアクションは反則だろ......

 

周子「り、凛ちゃんかわいすぎ.......」

 

志希「り〜んちゃ〜ん♪」ダキッ

 

凛「か......可愛い......」なでなで

 

志希「ん〜♪ハスハス......」

 

八幡「......」

 

志希「ん?? この匂い〜......」

 

八幡「......」

 

志希ちゃんとやらが順に匂いを嗅いでいく......

 

 

志希「スンスン......スンスン......いた! キミだ!」

 

八幡「おおぅ......」

 

志希「ハスハス......!! キミ......いい匂いするね......」

 

八幡「そ、そうか?」

 

志希「キミ、名前は?」

 

八幡「ひ、比企谷八幡だ......」

 

志希「あたしは一ノ瀬志希だよ〜......ハスハス......よろしくね〜......ハスハス......」

 

八幡「......コレどうすんの?」

 

全員「(ぷいっ)」

 

志希「ハスハスハスハス......」

 

コイツら......

 

八幡「おい、凛!」

 

凛「(びくっ)......なに?」

 

八幡「お前が責任を持って育てなさい」

 

凛「そんなっ!」

 

八幡「なら元いた場所に戻してきなさい」

 

凛「......やだ」

 

くっ......可愛くしたってダメなもんはダメだ!

 

八幡「......どうするかお前が選べ」

 

凛「......わかった」

 

八幡「んじゃ、頼んだ」

 

まあ、他のヤツらと並んでも違和感ねえし......大丈夫だろ。個性もつよ......すぎるし。

 

美嘉に胃薬渡しておくか......

 

 

1組目は美嘉を筆頭にクローネメンバーで固めて問題ない......と思いたい。いざとなったら凛に責任を取らせよう。うん。それがいい。

 

また変人が増えちまった......

 

 

 

2組目は、美波に話してみたら物凄い勢いでのってくれた。しかも「鷺沢さんと組んでみたい!」と言う提案付きで。......助かります。なら、セットでありすも付けると言ったら......「えっ⁉︎ 本当に?」と大変喜んでおられました。ええ、マジ助かります。

ただまあ、あとは俺がなんとかしねえとな......

 

おや? そこを歩くは高森さんじゃありませんか。まあ、声はかけないが。

 

高森「あ! 比企谷さん、お疲れ様です」

 

と思ってたのに逆に声かけられちゃいました。てへっ。

 

八幡「おう。お疲れさん。久しぶり......か?」

 

高森「そう......でもないですよ? 舞踏会があったので。」

 

八幡「そうだったな......色々ありすぎてもう昔のことみたいだわ......」

 

高森「い、一体何が......」

 

流れで近くのソファに並んで座る。立ったままってのも......な?

 

八幡「......聞きたいか?」

 

高森「い、いえ、やめておきます。でも少しだけ聞いてみたいような......」

 

八幡「......そうか。なら......」

 

高森「......(ゴクリ)」

 

八幡「......凛が人を拾ってきた」

 

高森「......え?」

 

八幡「言葉通りだ。どこでかはわからんが拾ってきた」

 

高森「な、なかなかユニークな冗談ですね!」

 

八幡「......」

 

高森「......本当なんですか?」

 

八幡「ああ」

 

高森「そ、そんな事、滅多に体験できませから! いい経験だと思いましょう!」

 

八幡「うぅ......癒される......高森ぃ......これからもずっと俺を癒してくれ......」ゴロン

 

無意識のうちに高森の膝に頭をのせる。

 

高森「え? ええ⁉︎ ず、ずっと......ですか?」なでなで

 

八幡「おう......俺にはお前の癒しが必要だ......」

 

高森「そ、その......私でよければ......はい」なでなで

 

八幡「助かる......そうだ、高森は今s「藍子って......呼んでください。」......そ、そうか。藍子は今仕事立て込んでるか?」

 

藍子「いえ、それほどは......」なでなで

 

八幡「なら、俺の作るユニットがあるんだが......入らないか?」

 

藍子「是非お願いします!」なでなで

 

八幡「助かる。あぁ......このゆるふわタイムが尊い......」

 

藍子「ふふっ♪ 八幡さんて、意外と甘えん坊さんなんですね♪」なでなで

 

八幡「んな事ねえよ。周りに変なのが多くてやられてるだけだ」

 

藍子「ゆっくり休んでくださいね......」なでなで

 

八幡「......サンキュ」

 

あぁ......安らぐ......こんな彼女欲しいなぁ......

 

八幡「Zzzzzz......」

 

藍子「......」なでなで

 

.....................................

..................

......

 

八幡「......んん......」

 

藍子「......起きました?」

 

八幡「お? おおお?」

 

藍子「??」

 

膝枕......だと? 落ち着け......どう言う状況だ? たしか高森と話してて......藍子って呼ぶように言われて......あれ? いつの間に寝たのん?あぁ......気持ちいい......いい匂いするし......じゃなくて!

 

八幡「す、すまん!」ガバッ

 

藍子「あっ......大丈夫......ですよ?」ショボン

 

な、なんでしょんぼりしてんだよ......

 

八幡「その......結構なお点前で......」

 

藍子「ふふっ。いつでも言ってくださいね♪」

 

と言いつつポンポンと膝を叩く藍子。......可愛い。

 

八幡「おう......サンキュ。俺、どれくらい寝てた?」

 

藍子「ほんの10分程度です」

 

八幡「そうか......その割に随分と......」

 

何? 藍子ってマイナスイオンも出てんの?

 

藍子「そういえば、さっき言ってたユニットって、他には誰が?」

 

八幡「CPの美波とクローネから文香さんとありすだな。ユニット名は美波と文香さんに頼んである」

 

藍子「素敵ですね......皆さん清楚な方ばかり」

 

八幡「お前だってそうだろ」

 

藍子「ええ⁉︎ 私は......」

 

八幡「あと1人......」

 

藍子「......でしたら、夕美さんはどうでしょう?」

 

八幡「相葉か......合うな」

 

藍子「はい!」

 

八幡「聞いてみるわ。ありがとな」なでなで

 

藍子「ぁぅ......」ポッ

 

八幡「......よし!んじゃ、聞いてくるわ」

 

藍子「そ、その前に!......連絡先を......」

 

八幡「おう」

 

 

その後、相葉とそのPさんを交えて話し、ユニット入りを快諾してもらえた。藍子のPさんも喜んでくれたし......よかった。

 

因みに余談だが、あの後から毎日藍子からメッセージが来るようになった。おはようメッセージからおやすみメッセージまで......しかもその日の予定と1日の感想を添えて。

そのメッセージを読んで癒されているのはクローネのメンバーには内緒だ。......アイツらまで同じことをやりかねんからな。そうなったら......考えたくない。

 

ま、コレでユニットは問題ない。

 

......そうだ! あの3人も親睦を深める意味で旅行に連れて行けばいいんじゃね?

常務に聞いてみっか......

 

結果

 

 

オッケーでした。



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21話√?

CPとクローネの合同......ってレベルじゃないなもう。まあ、とりあえず旅行前日、諸注意等の連絡のため全員を招集。さすがにすげえ人数......

確認事項はそこまで多いわけではなく、集合場所と時間、そして部屋割り、年少組に防犯ブザーの配布。その程度だ。

先日組んだ新ユニットの部屋は一緒にし、志希にゃんの世話係として凛は同室にした。コレなら美嘉の胃も安心......だろう。まあ、卯月と未央が寂しそうにしていたが仕方ない。拾ってきた者の責任だ。

以上で本日は全員終了。

 

 

そして当日。俺が集合場所に着くと......すでに全員集まっていた。......まだ30分前なんですけど。

 

八幡「......みんな早えよ」

 

藍子「あ、おはようございます。いい天気でよかったですね!」

 

八幡「おう。そだな。薄着だが大丈夫か? あっちは結構寒いぞ?」

 

藍子「はい。準備してありますので」

 

八幡「なら安心だな」

 

藍子「そ、それでなんですけど......」

 

八幡「ん? どした?」

 

藍子「その......バスの席......一緒に座りませんか?」

 

八幡「お? おう。別に構わんが」

 

藍子「はいっ! お願いしますね♪」

 

え、笑顔が眩しい!

一旦藍子と離れて武内さんと常務の元へ。しっかり挨拶しとかんと。

 

八幡「常務、武内さん。おはようございます」

 

常務「おはよう。今日からよろしく頼む」

 

武内「おはようございます。よろしくお願いします」

 

八幡「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」

 

常務「2人とも今回は余計な気は使わなくていい。しっかり楽しみなさい」

 

2人「ありがとうございます」

 

常務「ふふっ......温泉......」ボソ

 

思わず武内さんと目が合ってしまった......

 

温泉どんだけ楽しみなんだよ!

 

全員いるのはわかっているが、念のため点呼を取る。それと変装のチェック。なぜ藍子は変装してないんだ......トラブルの元じゃねえか......

 

未央「あ、あーちゃんは変装なしなんだ。」

 

藍子「うん。今日はいいかなぁって♪」

 

未央「ま、問題ないもんね〜」

 

八幡「大丈夫なのか?」

 

未央「ん? 問題ないよ? あーちゃんが変装なしで歩いてたら、声かけないのがファンのルールだからね!」

 

八幡「......それ逆にすげえな。どんだけ訓練されてんだよ......」

 

藍子「一度言ってみたら、皆さんその通りにしてくれたんですよ♪」

 

八幡「ホント凄えな」

 

未央「私が言ったらフリにしかならないもんね」

 

八幡「間違いねえな」

 

そうこうしているうちにバスが到着。みんなを順に乗せて行く。

 

藍子「八幡さんは......」

 

八幡「ん? 俺は最後だ。全員の乗車確認しねえとな」

 

藍子「そうですか......なら私も最後に」

 

八幡「いや、先に乗って席っとっといてくれ。なるべく後ろで窓際がいい」

 

藍子「はいっ! 任せてください!」

 

八幡「よろしくな」なでなで

 

藍子「ぁぅ......」ポッ

 

卯凛未美奏奈加「......」

 

奈緒「な、なあ。今の見たか?」

 

未央「あれはあーちゃん完全に落ちてますな......」

 

加蓮「八幡さんは違う気がするけど......」

 

美嘉「でも時間の問題って感じしない?」

 

卯月「それは言えてます......」

 

凛「藍子まで......」

 

奏「まったくあの男は......」

 

あ?アイツら何やってんだ?

 

八幡「なあ、早く乗ってくんない? お前らが乗んねえと俺も乗れないんだけど。」

 

全員「あ、はいっ」

 

何やってんだか......

 

全員乗り込んだのを確認して俺も乗り込み、添乗員さんにGoサインを出す。

藍子は......いた。通路を進み藍子の元へ......行かせてもらえない。......加蓮だ。

 

加蓮「八幡さんはココね♪」

 

八幡「いや、藍子と座るから」

 

加蓮「アタシと藍子さんどっちが大事なの?」

 

八幡「いや、そう言う問題じゃねえから。約束してんだよ」

 

加蓮「......じゃあ帰りは一緒に座って」

 

八幡「......わかった」

 

加蓮「約束だからね!」

 

八幡「......おう」

 

なんとか加蓮を引き剥がし藍子の元へ。

 

八幡「待たせた。席サンキューな。」

 

藍子「いえ......あの、よかったんですか?」

 

八幡「は? 何が?」

 

藍子「......加蓮ちゃんのことです。」

 

八幡「ああ、構わん。アイツだって先約を押しのけてまでは我儘は言わねえよ。......帰りの予約はされたけど。」

 

藍子「そうですか......よかったです。」こてん

 

肩に重みが......

 

藍子「すー......すー......」

 

......寝てる。なんだこの可愛い生き物......

なんか......藍子を見てたら俺まで......

 

八幡「Zzzzzz......」

 

卯月「......」

 

未央「......」

 

卯月「......なんだかムッとします!」

 

未央「うん。言いたいことはわかるよ。......2人とも幸せそうに寝おって......けしからん!」

 

奏「なら邪魔する?」

 

卯月「そ、それは......」

 

未央「......しにくいよね」

 

美嘉「いいなぁ......」

 

未央「おぉぅ......美嘉ねえまで......」

 

美嘉「えっ? アタシ何か言った⁉︎」

 

卯月「いいなぁって......」

 

美嘉「わ、忘れて! お願いだから!」

 

奏「無理があるわよ......」

 

八幡「......なぁ、全部聞こえてるんだが......」

 

4人「あ......」

 

八幡「声でけえよ......」

 

藍子「すー......すー......」

 

4人「......」

 

八幡「ま、周りに迷惑かけないようにしてくれ。」

 

4人「......はい」

 

まぁ......聞かなかった事にしておこう。

 

藍子「......すー......おさんぽ......」

 

グフッ......寝言まで可愛いのか......」

 

 

 

草津の前に346プロ御一行様は軽井沢へ寄り道。アウトレットに隣接するビュッフェレストランでまずは昼食。後にアウトレットを自由行動。うん、叔父さんありがとう。このルートまんま使わせてもったったわ。

何はともあれ、まずは腹ごしらえですね。

 

常務「......比企谷君、ここは......お酒は呑めるのか?」

 

八幡「手配しておきました」

 

常務「そうか......料理のオススメは?」

 

八幡「ローストビーフだそうです」

 

常務「......ワインに合うな」

 

八幡「楽しんでください」

 

常務「そうさせてもらう」

 

......常務が一番楽しんでねぇか? ま、いいけど。

 

楽しい昼食が始まる。みりあの面倒を見る美波。莉嘉を制御する美嘉。ありすと行動する文香さん。和やかだ......

 

卯月「......」

 

凛「......」

 

未央「......」

 

奈緒「......」

 

加蓮「......」

 

奏「......」

 

和やかだ......

 

藍子「八幡さん、ここいかがですか?」

 

八幡「お? おお。眺めもいいし、いいんじゃね?」

 

藍子「じゃあ、ここにしましょう♪」

 

八幡「おう」

 

6人「あぁっ!」

 

志希「り〜んちゃ〜ん! 食べるよ〜♪」ガシッ

 

凛「ちょ! 志希! 離して! ちょっと! あ〜......」ズルズル

 

5人「......」

 

藍子「お料理取りに行きましょう♪」

 

八幡「......だな」

 

未央「あーちゃん......なかなかやりますな......」

 

奏「......スキがないわね」

 

奈緒「いつもはスキだらけなのに......」

 

卯月「......侮れません!」

 

加蓮「八幡さ〜ん!アタシも一緒にいい?」

 

八幡「おう。かまわん」

 

藍子「よろしくね、加蓮ちゃん♪」

 

加蓮「うん! よろしく!」

 

4人「......」

 

未央「......やられた」

 

 

 

昼食が食べ終わったら自由行動。早く済ませて遊びに行くやつ、のんびり味わうやつ......呑んだくれる方々......様々だ。......うん。最後のは誰とは言わん。

俺はというと......

 

藍子「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

鼻歌を奏でる藍子とお散歩中......

 

和むわ〜

 

わかるわ〜

 

川島さんかよ......

アウトレットの周りには森林浴できるところもあり、散歩にはうってつけ。都心よりはだいぶ寒いが......歩いていれば心地いい。

 

藍子「あっ!」パシャリ

 

何かを見つけては写真に収める藍子を眺めていると......うん。なんか心が洗われる気がする。危険な点はアレだ。ゆるふわタイムという固有結界。気づくと体感よりも大幅に時間が経過している。......集合時間には注意だな。

 

藍子「......可愛いっ♪」パシャリ

 

フグッ......自分の方が数倍可愛い事に気付いてないのか?

なら......

 

八幡「......」パシャリ

 

藍子「へ?」

 

八幡「ん?」

 

藍子「あ......な、なんで私を撮ってるんですか!」

 

真っ赤な顔で抗議してくる藍子も可愛い......病気だな。

 

八幡「えっと......つい?」

 

と言いつつさっきの写真を待ち受けに設定する。......おぉ!癒される!

 

藍子「ま、待ち受けにまで......あぅ......」

 

どうやらオーバーヒートしたようだ。

 

藍子「......私にも......撮らせてください」

 

八幡「えぇ......」

 

藍子「ず、ずるいですよ!」

 

八幡「......さすがに1人は勘弁してくれ」

 

藍子「なら......一緒ならいいんですか?」

 

八幡「ふぁっ⁉︎ い、一緒に......か?」

 

余計に緊張するじゃん!

 

藍子「......撮ってください」

 

八幡「......わかった」

 

藍子「ありがとうございますっ♪」

 

通りすがりの人に自分のスマホを渡して戻ってくる藍子。そのまま俺の左腕に絡みつき......

 

藍子「お願いします♪」

 

「じゃあ、とりますよー。3、2、1...」パシャリ

 

藍子「ありがとうございます♪」

 

幸せそうな顔しちゃって......

受け取ったスマホを操作し終わったようで、俺に画面を見せてくる。

 

八幡「ガハッ......」

 

藍子「だ、大丈夫ですか?」

 

八幡「......大丈夫だ。その写真......俺にも送ってくれるか?」

 

藍子「はい!」

 

やばい......さっきの写真の藍子はやばい......毎朝見て、そのまま天に昇っちゃうレベルだ。......ダメじゃん。「ピロン♪」もう送ってくれたようだ......もう一回......

 

八幡「グフォッ......」

 

藍子「ほ、本当に大丈夫ですか⁉︎」

 

八幡「あ、ああ。なんとかな......」

 

妙な行動をする俺を変な顔1つせず気遣ってくれるとは......そうか、藍子が女神だったか......

 

その後ものんびりとお散歩。......アウトレット意味ねえじゃん!てツッコミは無しだ。他のやつらは楽しんでるしな。うん。問題ない。

 

八幡「って! 時間!」

 

藍子「......え?」

 

八幡「急いで戻るぞ!」

 

藍子「はいっ!」

 

ゆるふわタイムおそるべし......

 

気をつけてたのにこのザマかよ!

 

 

 

集合時間にギリギリ間に合い一安心。全員の点呼を取り、確認した上で再出発。......ちひろさんの目が座っていたのは見なかった事にしよう......何アレ! めっちゃ怖いんだけど!

 

ココからホテルまでは一時間程度。峠のため道がクネクネと......酔うやつ出てくるかもな......

 

八幡「なあ、藍子は酔ったり......してるな」

 

隣を見ると真っ青な顔をした藍子がいた......さっきまでの女神はどこへ......

準備していた酔い止めと買っておいた水を渡す。

 

八幡「ほれ、これ飲んどけ」

 

藍子「す、すみません......うっ......」

 

八幡「......大丈夫か?」

 

藍子「......はい」

 

薬を飲みぐったりとしている......頑張れ! もう少しの我慢だ! すると再び肩に重みがかかる。

 

藍子「......八幡さんの匂いは落ち着きますね」

 

八幡「そ、そうか? 自分じゃわからんが......」

 

藍子「お日様みたいな......優しい香りがします」

 

八幡「......喋るの辛いだろ? ゆっくりしてろ」

 

藍子「......はい」

 

 

 

 

未央「あぁ! またあんなにくっついて!」

 

卯月「うぅ......藍子ちゃん羨ましいです......」

 

未央「でも、あーちゃん大丈夫かな......」

 

卯月「顔真っ青ですもんね......」

 

未央「まあ、薬も飲んだみたいだし......って! ああ!」

 

卯月「ど、どうしたんですか?」

 

未央「ハッチーが飲んでる水!」

 

卯月「普通の......水ですよね?」

 

未央「そうだけど、そうじゃないんだよ!」

 

卯月「い、意味が......」

 

未央「さっきあーちゃんが飲んでたやつ!」

 

卯月「!!!!」

 

奏「......それは本当?」

 

美嘉「マジで⁉︎」

 

未央「おおぅ......急に混ざってきたね......聞こえた?」

 

奏「聞いてたのよ」

 

美嘉「あ、アタシは別に......」

 

未央「......美嘉ねえ、自分の態勢確認してから言おうよ」

 

美嘉「......へ? って、いつの間に!」

 

奏「徐々に出て行ってたわよ」

 

美嘉「言ってよ! もう......」

 

未央「と、ともかく......公衆の面前で堂々と関節チューするとは......うらy......うらやまけしからん!」

 

卯月「未央ちゃん、言い直せてないです......」

 

未央「なっ⁉︎ しまむーにツッコまれるとは......」

 

奏「天気......大丈夫かしら?」

 

美嘉「崖崩れとか起きないよね?」

 

卯月「うぅ......みなさん酷いですぅ......」

 

未央「今のあの2人は危険だよ......ホテルに着いたら作戦会議するよ!」

 

3人「了解(です)!」

 

 

 

程なくして峠を抜け平坦路になった。藍子は大丈夫だろうか......あ、寝てますね。これなら安心。安心したところで水をもう一口。

 

あれ?この水......

 

藍子が飲んでたやつじゃねえか!うわぁ......気づかずにずっと飲んでたわ......おぉぅ......恥ずか死ぬ......だ、誰にも見られて......ないな。ふう......安心したぜ。

公然間接キスとかどんなリア充カップル......もといバカップルだよ。俺には絶対にできねえな。......この水どうしよう......捨てるのは勿体無いし、藍子に渡すわけにもいかん。......俺が飲み干すのが最善だな。うん。間違いない。ふぇぇぇ......意識したら緊張が......

 

「ガタンッ」

 

八幡「おおぅ!」

 

ガイド「失礼しました。この先道が荒れており、先ほどのような揺れもおきますので、御注意ください」

 

先に言ってくれ......

 

藍子「......うん......あ、すみません......また寝ちゃいましたね」

 

八幡「気にすんな。体調はどうだ?」

 

藍子「はい、もう大丈夫です」

 

八幡「もうあと10分程度だ。着いたらゆっくり休んでくれ」なでなで

 

藍子「ぁぅ......はい」

 

肩に頭を乗せたまま顔を赤くして微笑む藍子......やべえな......マジで惚れそう......

 

 

 

ホテルに着き、手続きを済ませる。入り口に「346プロ御一行様」と掲示されていたが......さすがに外してもらった。些細なことだが、トラブルの原因になりかねんからな。

 

各部屋のリーダーに鍵を渡し、ようやく解放される。

 

八幡「はぁ......着いた......」

 

部屋に入って早々にダラけてしまった......畳気持ちいいな......

 

武内「お疲れ様でした。すみません、全て任せてしまって」

 

八幡「いや、大丈夫ですよ。言出屁は俺ですから。武内さんはゆっくりしてください」

 

武内「では、今回はお言葉に甘えさせていただきます」

 

八幡「そうしてください」

 

武内「私も草津は初めてですが......いいところですね」

 

八幡「俺もですけど......なんか落ち着きますね」ゴロゴロ

 

武内「はい......」じー

 

八幡「......畳......気持ちいいっすよ」

 

武内「......そ、そうですか。では......」ごろん

 

八幡「......どっすか?」

 

武内「......いいですね。自宅に欲しくなります」

 

八幡「ですよね」

 

2人「......」

 

......自分で勧めといてなんだが......異様な光景だよな。

 

「コンコンコン」

 

八幡「どぞー」

 

嫌だ。動きたくない! 畳ちゃんと離れたくない!

 

「お邪魔しまーす!」

 

この声は未央か......

 

未央「ハッチーみんなで......おおぅ.....すごい光景......」

 

八幡「あ? なんか文句あるか?」

 

未央「ないけどさ。ハッチーはともかくプロデューサーが意外すぎて......」

 

武内「......」

 

八幡「いいじゃねえか。畳めっちゃ気持ちいいぞ」

 

武内「......はい」

 

未央「そ、そっか......」

 

八幡「んで、なんか用か?」

 

未央「そうだった......みんなで館内探検しようよ! 色んな施設あるみたいだし!」

 

八幡「えぇ......俺温泉行きたい。」

 

未央「いいじゃんいいじゃん! 行こうよ!」

 

八幡「......わかったよ。んじゃ武内さん、ちょっくら行ってきます」

 

武内「......はい」

 

あぁ......さようなら畳ちゃん......

 

 

 

 

 

武内「......畳いいですね」ゴロゴロ

 

 

 

 

未央に引き摺られていく俺......騒いで他のお客さんに迷惑かけないでね?そういやさっきみんなって言ってたよな......

 

八幡「......未央、他に誰がいるんだ?」

 

未央「しまむーとしぶりんとしきにゃんとみくにゃんとあーちゃんにゆーみん!」

 

八幡「なんか暗号みたいだな......」

 

未央「気にしない気にしない!」

 

そのまま未央に引き摺られてみんなのいる場所へ......エントランスかよ......てか、ここもすげえよな。

 

未央「みんなおまたせー!」

 

八幡「こら。でかい声出すんじゃない。迷惑だろうが」

 

未央「あ、ごめんごめん」

 

八幡「ったく......」

 

凛「やっと来たね」

 

八幡「畳が離してくれなくてな」

 

凛「なにそれ......」

 

志希「ハスハス......んん〜久しぶりのキミの匂い〜♪」

 

八幡「昨日も嗅いでたじゃねえか......」

 

相葉「毎日なんだ......」

 

八幡「いや、スキあらばハスハスしてくるぞ?」

 

相葉「あ、あはは......」

 

志希「凛ちゃんもいい匂いだけど、やっぱキミが1番かなぁ〜......んん?」

 

藍子に向かって行くしきにゃん......次のターゲットは藍子にしたようだ......

 

志希「ハスハス......ハスハスハスハス......」

 

藍子「え? えええ?」

 

志希「ん〜......アナタもいい匂い〜♪ あたしは一ノ瀬志希〜♪ しきにゃんだよ〜。アナタは?」

 

藍子「た、高森藍子です......」

 

志希「あいちゃんよろしくね〜♪ ハスハス......」

 

藍子「よ、よろしくお願いします。しき......にゃん?」

 

凛「こら志希! 大人しくしてなさい!」

 

志希「は〜い♪」

 

......完璧に飼い主と飼い猫だな。

 

みく「み、みくの猫キャラがピンチにゃ......」

 

八幡「安心しろ。お前はキャラで、アイツはただの猫だ。ベクトルが違う」

 

みく「なら安心......じゃないにゃ!完全に負けてるにゃ!みくのアイデンティティがぁ......」

 

相葉「み、みんな濃いなぁ......」

 

藍子「そ、そうですね......」

 

八幡「だからお前たちみたいなのが貴重なんだよ......」

 

相葉「比企谷君も苦労してるんだね......」

 

八幡「わかるか?」

 

藍子「なんとなくですけど......」

 

八幡「......お前たちは変わらないでくれ」

 

藍子「は、はい」

 

相葉「......うん」

 

八幡「んで、いつまでココで話してんだ?」

 

未央「そうだった......じゃあ、探検だー!」

 

6人「おー!」

 

八幡「好きにしてくれ......」

 

みんなの後についてトボトボと歩く。あぁ......畳ちゃんが恋しい......

 

 

まずはホテルの敷地内にある庭園散策。藍子と相葉は庭園が大層気に入ったようだ。続いて湯もみ風景の見学、そのあとは売店を冷やかして元いた場所へ。

......疲れた。とにかく疲れた。原因は主にしきにゃん。少しでも気を抜くとどこかに消え、スキあらば匂いを嗅いでくる......挙句の果てには一般客の匂いまで......凛ちゃん! ちゃんと躾しておきなさい!

 

八幡「......」

 

藍子「あ、あの......大丈夫ですか?」

 

八幡「な、なんとかな......」

 

相葉「お、お疲れ様......ねえ、いつもあんななの?」

 

八幡「......今日は志希単独だから全然マシだ。アレに周子とフレデリカが合わさると......もう手がつけられん」

 

相葉「そ、そうなんだ......」

 

藍子「あれ以上なんて......よく制御出来てますね」

 

八幡「俺1人じゃどうにもならん。文香さんと美嘉にはマジ助けてもらってる。......2人の胃が心配だが」

 

2人「あ、あははは......」

 

藍子と相葉の乾いた笑いが......

 

八幡「っと......いい時間だな。お前ら、取り敢えず温泉行ってこい。んで、19時に宴会場に集合な。二次会は参加自由だから適当に頼む」

 

未央「ハッチーは出るの?」

 

八幡「俺が出ねえでどうすんだよ......一応主催者だぞ?」

 

未央「そ、そうだった......」

 

八幡「まあ、ジュースは飲み放題だし、歌も歌い放題だ。任せる」

 

全員「はーい!」

 

八幡「んじゃ、解散!」

 

さぁて......俺も温泉に浸かりに行きますか......

 

 

 

夕飯もすみ今は二次会......

 

なんちゅう贅沢な二次会だ......今歌ってるのは凛。歌っている曲は......悪くない。そうか......面白そうだ。ふひっ。

 

未央「......は、ハッチーが悪い顔してる。何か思いついたの?」

 

八幡「まあな。ちょっくら常務んとこ行ってくるわ」

 

未央「い、行ってらっしゃ〜い......」

 

 

 

八幡「常務、ちょっといいっすか?」

 

常務「なんだ?」

 

八幡「こんな時に仕事の話で申し訳ないんすけど......あ、武内さんもいいっすか?」

 

武内「はい。なんでしょう?」

 

八幡「さっき思いついたんすけど.....................

 

........................なんてどうっすかね?」

 

常務「......面白い。君に任せる」

 

武内「思い切りますね。ですが......いいと思います」

 

八幡「やりとりは......武内さんに協力して欲しいんすけど」

 

武内「はい、お手伝いさせていただきます」

 

常務「ふっ......楽しみだ。比企谷君......喰らい尽くせ」ニヤリ

 

八幡「......はい」ニヤリ

 

 

 

未央「ね、ねえ、しまむー」

 

卯月「どうしました?」

 

未央「ハッチーの顔見て」

 

卯月「え?......わぁ......何か企んでますね......」

 

藍子「......常務さんも同じ顔してますね」

 

相葉「明らかに悪役だよね......」

 

未央「あ! こっち来た!」

 

八幡「......なに人の顔ジロジロ見てんだよ」

 

未央「い、いや。別に〜」

 

八幡「ま、いいけど」

 

凛「ね、次は八幡歌ってよ」

 

八幡「えぇ......やだよ」

 

未央「いいじゃん! ハッチー歌うまいし!」

 

......はっ! あのネタ出してみるか......最近マスターしたアレを......

 

八幡「わかった。......フヒッ!」

 

5人「(ビクッ)」

 

未央「何歌うんだろ......」

 

凛「さ、さあ......」

 

卯月「絶対に普通の歌じゃないです!」

 

 

 

美嘉「あ〜! こいかぜだ! 誰が歌うの?」

 

八幡「......俺だ」

 

全員「......え?」

 

常務「......」

 

武内「......は?」

 

「〜〜〜〜〜〜♪」

 

イントロがはじまった......

 

俺の歌を聞けえ!

 

八幡「〜〜〜〜〜〜♪」

 

常武「ぶーーーーー!!」

 

全員「楓さん⁉︎」

 

今常務と武内さん思いっきり噴いたぞ......

 

八幡「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

全員「............」

 

常務「ほう......」ふきふき

 

武内「......そっくりですね」ふきふき

 

八幡「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

 

 

八幡「......ふう」

 

全員「何その新芸⁉︎」

 

八幡「......は?」

 

全員「似すぎでしょ(ですよ)!」

 

ふふふ......ウケたようだな。練習してた甲斐があったわ。

 

常務「君は何を目指しているんだ?」

 

八幡「ただの一発芸ですよ」

 

武内「常務、男性アイドル部門を立ち上げて比企谷さんを売り込むのはどうでしょう?」

 

常務「ふむ......検討しよう」

 

八幡「はぁっ⁉︎ ちょ! 何考えてんすか!」

 

武内「冗談です」

 

常務「くくっ......君も慌てるのだな」

 

八幡「この酔っ払いどもめ......」

 

やられた......

 

こうして激動の1日目は終わった......



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22話√?

旅行2日目。

 

湯畑を回るも良し、西の河原通りを冷やかすも良し、湯釜を見に行くも良しと......何気に見るところはある。

俺も事前に大滝○湯を予約してたりする。貸切温泉いやっほう♪

おい、お前ら早く行け。温泉が待ってるんだ!

 

加蓮「ねえ、八幡さん。どこ行くか決まってるの?」

 

八幡「ん? 俺は大滝○湯くらいだが......」

 

加蓮「アタシも一緒に行っていい?」

 

え......マジで?

 

奈緒「あ! あたしも行く!」

 

藍子「私も......」

 

相葉「なら私も!」

 

......嘘でしょ?

 

ありす「お兄さん、私も行きたいです」

 

文香「......でしたら......私もご一緒しても......よろしいですか?」

 

待て待て! どういう場所かわかって言ってる? ま、いいか。別で入ればいいだけだし。

 

八幡「......んじゃ、行くか」

 

6人「はいっ!」

 

 

6人を連れて大滝○湯へ。貸切かぁ〜......楽しみだのう......

 

 

着いたぜ......

 

比企谷八幡! 突貫します!

 

「いらっしゃいませ」

 

八幡「よ、予約してた比企谷八幡です」

 

「比企谷様ですね......賜っております。地下に降り、休憩所を左に曲がっていただいた先になります。ごゆっくりどうぞ」

 

八幡「あ、あざっす。んじゃな」

 

6人「(ポカーン)」

 

八幡「〜〜〜〜♪」

 

 

 

加蓮「あ、あの!」

 

「はい?」

 

加蓮「彼の連れなんですけど!」

 

「でしたらご一緒にいかがですか? その......混浴となりますが」

 

奈緒「こ! こんよっ!」

 

ありす「いいんですか?」

 

「はい、どうぞ。」

 

ありす「ありがとうございます。」

 

奈緒「あ、ありすは行くのか?」

 

ありす「はい。お兄さんの背中を流します」

 

相葉「行っちゃった......って、藍子ちゃんまで⁉︎」

 

加蓮「......アタシも行く」

 

奈緒「こうなりゃヤケだ! あたしも!」

 

文香「......どうしましょう?」

 

相葉「......私たちは別にしましょう」

 

文香「......そ、そうですね」しょぼん

 

相葉「......一緒に行きましょうか」

 

文香「はいっ!」ぱぁ

 

 

 

すぽぽぽーん! と服を脱ぎ去りいざ!

 

おぉ......コレを貸切か......なんて贅沢なんだ......

んじゃ、まずは手前の......おおぅ......熱い......だがこのピリピリするのが何とも......

 

八幡「......はぁ。最高じゃぁ......」

 

ありす「私には少し熱いです」

 

藍子「私もですね......」

 

加蓮「アタシは好きかな〜♪」

 

八幡「綺麗に意見が分かれたな......あっちにぬるめのもあるぞ?」

 

ありす「お兄さんと一緒に行きます」

 

八幡「そうか......ならもう少したった......ら?」

 

ありす「?? どうかしましたか?」

 

八幡「......」パクパク

 

藍子「あまり見ないでください......」

 

加蓮「もう......見たいなら言ってくれれば......」

 

八幡「お......」

 

ありす「お?」

 

八幡「お前らなんでいんの⁉︎」バシャッ

 

ありす「キャッ!」

 

藍子「あつっ!」

 

加蓮「わぁ......」じー

 

ありす「あっ......」じー

 

藍子「わっ! わわっ!」じー

 

視線が一点に......ふぁっ⁉︎

 

八幡「な、ナニ見てんだよ! つーかお前らも隠せ! 丸見えだ!」

 

3人「えっ......きゃーーーー!」

 

加蓮「は、八幡さん見ちゃダメ!」

 

八幡「ば、バカ! 抱きつくな!」

 

や、柔けぇ! やばっ!

 

加蓮「あ、あれ? なんかかたく......えぇ⁉︎」

 

は、挟まれてて......おさまれ......おさまれぇ!

 

加蓮「こ、こんな......」

 

八幡「お、おい......見んな」

 

藍子「か、加蓮ちゃんどうしたの?」

 

加蓮「あ、アレがアレして......」

 

それは俺の技だ!

 

藍子「......(ボフッ)」

 

ありす「??」

 

や、やばい......こんなの他のヤツまで来たら......

 

奈緒「お、お邪魔しま......って! いきなりナニやってんだよ!」

 

相葉「わ、わぁ〜......」

 

文香「......(かぁ)」

 

八幡「ち、違う!コレは!」

 

加蓮「あんっ......動いちゃダ〜メ♪」

 

へ、変な声出すんじゃねえよ!

 

八幡「あ、ありす。すまんがそのタオル貸してくれ。俺のと交換だ」

 

ありす「はい。どう......(ボフッ)キュゥ」

 

文香「あ、ありすさん!」バサッ

 

八幡「!!!!!!」

 

加蓮「やんっ......もっと大きく......」

 

八幡「か、加蓮......動くな......」

 

加蓮「んっ......どうして?」

 

八幡「わかってやってんだろ......藍子、そのタオルを......」

 

藍子「は、はい。(ちらっ)......ど、どうぞ......」ペタペタ

 

な、なんなんだ......目のほy......目に毒すぎんだろ......あぁ......でも柔らか......じゃなくて!

 

八幡「こ、コレで大丈夫だから......は、離れろ。」

 

加蓮「え? もういいの?」にゅるにゅる

 

八幡「うっ......い、いい加減にしろって......」

 

加蓮「はぁ〜い」

 

た......たすかっ......てねえな。どうしてこうなった......

 

八幡「な、なあ。......なんでいんの?」

 

藍子「て、店員さんがご一緒にって......」

 

加蓮「うん♪」

 

文香「......それより......ありすさんを......」

 

八幡「そ、そうで......ブッ!」

 

文香「......どうされました?」

 

八幡「ま、前......」

 

文香「え......あぁっ!」

 

八幡「す、すんません」

 

文香「い、いえ......」

 

藍子「私も......」ペタペタ

 

相葉「私が手伝いますね」

 

文香「......ありがとうございます」

 

八幡「......俺はあっち向いてます」

 

文香「......すみません」

 

加蓮「......んふっ♪ 八幡さ〜ん♪」だきっ

 

八幡「!!!!」

 

藍子「あぁっ!」

 

奈緒「加蓮!」

 

加蓮「......どぉ?......んっ......八幡さん」

 

八幡「な、奈緒! コイツを引き剥がせ」

 

奈緒「あ、ああ!」

 

加蓮「あんっ......もぉ......」

 

ダメだ......ここにいたらダメだ......

 

八幡「お、俺は出るから! ゆっくりしてくれ!」

 

藍子「あっ......」

 

 

 

加蓮「あ〜あ。行っちゃった......」

 

奈緒「か〜れ〜ん〜! さすがにやりすぎだ!」

 

加蓮「テヘッ!ごめ〜ん」

 

藍子「......」

 

加蓮「......どうかした?」

 

藍子「アレって......あんなに大きくなるんですね......」

 

加蓮「それには......アタシもビックリかな......」

 

奈緒「ま、まあ。せっかくだし、ゆっくりしていこうぜ!」

 

加蓮「さんせー♪」

 

藍子「ですねっ♪」

 

 

 

大急ぎで外に出たのだが......

凄かった......とにかく凄かった......もう......ね? うん。凄い。一気に語弊力が落ちちゃうレベル。

......めちゃくちゃ柔らかかったな。やべえ......頭の中が加蓮のおっぱいで埋め尽くされてる......1人でもこの状態なのに加蓮の顔を見た日には......って、ずっと顔合わせんじゃん!

 

八幡「うおぉぉぉぉぉ......」

 

「......頭抱えて何してるの?」

 

誰だ......こんな状態の時に......

 

八幡「......凛か」

 

凛「どうしたの?」

 

言えるかああああああ!

 

八幡「......なんでもにゃい」

 

凛「ダウト」

 

八幡「うっ......」

 

凛「ここに寄ってたの?」

 

八幡「......おう」

 

凛「で?」

 

八幡「......加蓮たちが乱入して来た」

 

凛「......は?」

 

八幡「事前に予約してな、貸し切りにしたんだ。ここまではいいか?」

 

凛「うん」

 

八幡「でな、みんなを案内して別々に入ったんだ」

 

凛「......なのにみんなが来ちゃったと」

 

八幡「ああ。店員さんに案内されたらしい」

 

凛「でもなんで? 男湯でしょ?」

 

八幡「貸し切り風呂は混浴なんだわ」

 

凛「なるほど......災難だったね」

 

八幡「お陰でほとんど入れなかった......」

 

凛「そっか......でさ......」

 

八幡「ん?」

 

凛「見たの?」

 

八幡「うぐっ......」

 

凛「......加蓮と......誰?」

 

八幡「......」

 

凛「言わないとみんなn「オーケー!わかった!」......誰?」

 

八幡「文香さん、ありす、奈緒、藍子、相葉の6人だ」

 

凛「......鼻の下伸びてるよ」

 

八幡「し、仕方ねえだろ。俺だって男なんだから......」

 

凛「......何もしてないよね?」

 

八幡「......してない」

 

凛「今の間は何?」

 

八幡「俺は何もしてない」

 

凛「『俺は』なんだ」

 

八幡「......そうだ。妙に突っかかってくるな......」

 

凛「べ、別にいいでしょ!」

 

八幡「そういや......1人か?」

 

凛「あっ! 志希探してたんだ! ごめん、またね!」

 

八幡「......またアイツかよ」

 

案内した手前みんなをおいて行くわけにもいかず外で待機。......暇だし足湯にでも入るか。

 

ほう......コレはコレでいいですなぁ......

 

ほっこり。

 

「あれ? 八幡君?」

 

んお?

 

八幡「おぉ......美波かぁ......どしたー」

 

美波「随分と緩んでるみたいね」

 

八幡「そだなー。この足湯が思った以上に気持ちよくてな......」

 

美波「そうなの?」

 

八幡「......こりゃたまらん」

 

美波「じゃあ、私も試してみよっかな♪」

 

八幡「おー......そうしろそうしろ」

 

美波「っと......その前にアーニャちゃん連れてくるね!」

 

八幡「あいよー」

 

あー......気持ちいー......

 

美波「おまたせっ」

 

八幡「おー」

 

アーニャ「兄さん、おまたせ、しました」

 

八幡「まあ、入りなさいな」

 

美波「うん!」

 

アーニャ「дa!」

 

右にアーニャ、左には美波。挟まれてしまった......

靴下を脱ぐ美波は......なんかえr......ゲフンッ! アーニャは......うん。天使のようだ。

 

美波「んん〜! はぁ......気持ちいい......」

 

......だからえr......エロいって。言い直せてなかった。

 

アーニャ「気持ち、いいですね♪」

 

パシャパシャとお湯で遊ぶアーニャ......可愛い。......パシャリ

 

アーニャ「兄さん! 今、撮りましたか!」

 

八幡「おう。あまりにも可愛いかったんでな」

 

アーニャ「......恥ずかしい、ですね」ポッ

 

美波「ね、見せて!」

 

八幡「おう、ほれ」

 

美波「本当だ! 凄く可愛い!」

 

アーニャ「み、ミナミまで......」

 

美波「八幡君、この写真送って!」

 

八幡「いいぞ。......よし」

 

美波「ありがとう♪」

 

アーニャ「む〜......アーニャも、兄さん、撮ります!」

 

美波「なら、私が撮ってあげる!」

 

アーニャ「ミナミ、お願いします」

 

美波「うん♪」

 

あのー......俺の意見は? と、美波にスマホを渡し即座にアーニャが絡みついてくる。......柔らかい柔らかいいい匂い!

でもいい顔してるな......天使の笑顔だ。

 

守りたい、この笑顔。

 

美波「はい、撮れたよ!」

 

アーニャ「Спасибо! アリガトウ、ミナミ!」

 

美波「八幡君、凄く優しい顔してたよ」

 

八幡「そうか? 自分じゃわからん......」

 

アーニャ「......兄さん、みてください!」

 

八幡「ん?」

 

スマホの画面を見せてくるアーニャ。......待ち受けにしたんか。おぉ......このアーニャめっちゃ可愛い......

 

八幡「......コレ送ってくれるか?」

 

アーニャ「はいっ♪」

 

「ピロン♪」

 

八幡「ありがとな」なでなで

 

アーニャ「ん〜♪」スリスリ

 

おぅふ......超絶可愛いですな......

 

美波「む〜......2人でいい雰囲気になっちゃって......私の事忘れてない?」

 

八幡「わ、忘れてないぞ?」

 

アーニャ「そ、そうです! ミナミ、忘れてません!」

 

美波「ならいいんだけど。ね、今度は3人で撮ろう!」

 

アーニャ「はい!」

 

八幡「......あいよ」

 

2人に絡みつかれてパシャリと1枚......

ここに来てから凄え写真撮られてんな......

 

美波「〜〜〜♪」こてん

 

アーニャ「ん〜♪」スリスリ

 

和むわ〜......

 

 

 

美波とアーニャは移動し、施設から出てきた6人と合流。......ありすは俺の顔を見るなり、真っ赤になって文香さんの陰に隠れてしまう。......可愛い。

 

八幡「......次、どこ行くんだ?」

 

藍子「いい時間ですし、お昼にしませんか?」

 

八幡「そんな時間か......なら、少し行儀は悪いが、食べ歩きでもするか?」

 

藍子「いいですね♪」

 

加蓮「アタシも賛成!」

 

八幡「みんなはどうだ?」

 

3人「いいと思う(思います)。」

 

奈緒「センパイが案内してくれるんならどこでも......」

 

八幡「なら決まりだな。んじゃ、行くぞ〜」

 

6人「おー!」

 

んじゃまずはあそこだ。串焼きの店。平日だし空いてんだろ。

 

 

やってきました。

ここは有名だからな。押さえておきたい場所だったんだ。休日ともなれば行列は必至だが......うむ。空いてる。

 

八幡「えっと......鳥のマタギと岩魚ください」

 

俺はこの2つ。藍子と加蓮は鳥マタギ。奈緒はタン塩......ありすと相葉は豚マタギ。文香さんはどんこしいたけ。

まずは鳥マタギを......美味い!

 

次は岩魚......

 

八幡「おぉっ! 岩魚うまっ!」

 

藍子「......美味しそうですね」

 

八幡「ん? 食うか?」

 

藍子「いいんですか!」パァッ

 

おぅ......凄まじい笑顔だ......

 

八幡「お、おう......ほれ」

 

藍子「じゃ、じゃあ、いただきます。......はむ......ん〜♪ 美味しいですね〜♪」

 

八幡「だよな? コレはいい。」

 

奈加「む〜......」

 

ありす「お兄さん、私にもいただけますか?」

 

八幡「おう。骨気をつけてな」

 

ありす「はい!......あむ......本当に美味しいです!」

 

八幡「そうか。よかった」なでなで

 

ありす「〜〜♪」ふす〜

 

藍子「こうしていると、本当の兄妹みたいですね♪」

 

八幡「ありすみたいな妹だったら大歓迎だな」

 

ありす「私もお兄さんみたいな兄が欲しかったです......」

 

八幡「ま、そう思ってくれて構わん」

 

ありす「はいっ♪」

 

奈加「むぅ......」

 

文相「(ニコニコ)」

 

串焼きをかじりながらぷらぷらと。いつのまにかありすと手を繋いで。......本当に妹みたいだな。

続いてやってきたのは煎餅のお店。ここの名物は串に刺さった煎餅だ。しっとりとしていて病みつきになるらしい......

人数分購入し配布。さて、どうだろう......

 

八幡「おぉ......コレもいいな!」

 

全員「美味しい(です)!」

 

奈緒「センパイはホントにいい店知ってるよな〜!」

 

八幡「俺は知らん。ネットと叔父情報だ」

 

奈緒「叔父さん? なんで?」

 

八幡「あぁ、叔父さん群馬県民なんだわ。ココからは少し離れるけどな」

 

奈緒「そういう事か......でも、やっぱり群馬と言えばイニDだよな!」

 

八幡「叔父さんも走ってたぞ?」

 

奈緒「ホントか⁉︎ くぅ〜......一度でいいから乗ってみたい!」

 

八幡「......やめとけ。めちゃくちゃ怖えから」

 

奈緒「センパイ乗った事あるのか⁉︎」

 

八幡「おう......二度とごめんだ」

 

加蓮「ねえ、なんの話?」

 

奈緒「悪い悪い、漫画だよ。車でさ、こう......峠のコーナーをドリフトするやつ」

 

加蓮「へぇ......なんでその話になったの?」

 

八幡「物語の始まりが群馬にある......榛名山なんだよな」

 

加蓮「なるほどね〜。そんなに怖いの?」

 

八幡「まあな......ガードレールがすぐ横にあるし、その先は谷底だし......横向いて走ってるし......横G半端ねえし......」

 

加蓮「ごめん、全く意味わからない」

 

八幡「だよな」

 

奈緒「ま、危ないからいいか」

 

八幡「そうだな。あれじゃいつ死んでもおかしくねえし」

 

相葉「そんなに危ないんだ......」

 

八幡「ああ。それに凄え金もかかるらしいしな」

 

藍子「そんなにですか?」

 

八幡「......250万で買った車のチューニングに400万かけたって聞いたぞ。タイヤも一本4万だとか......」

 

奈緒「うぇっ......そんなにかかるのか......」

 

八幡「んで、その車売ったら50万だとさ」

 

6人「......」

 

奈緒「勿体ない......」

 

八幡「ま、都心部じゃ車も大して必要ねえし、俺には無縁だ」

 

相葉「そうだよね。私も必要性感じなくて免許取ってないし」

 

文香「......私も......そうですね」

 

八幡「俺だってこの仕事してなきゃ多分取ってねえな」

 

藍子「でも......車で2人でドライブデートとかは......憧れます」

 

八幡「そうか? なら今度行くか?」

 

奈加「!!!!」

 

藍子「いいんですか⁉︎」

 

八幡「おう。かまわん」

 

藍子「ありがとうございます♪ ふふっ♪」

 

 

 

 

 

相葉「今すっごいナチュラルに誘いましたよね......」ヒソヒソ

 

文香「......ええ。......藍子さんが羨ましいです」

 

相葉「えっ? 文香さんも?」

 

文香「そのっ!......は、恥ずかしながら......ですが......『も』と言うことは......」

 

相葉「わ、私はちょっと気になってるだけで......」

 

文香「......ふふっ......お互い大変ですね」

 

相葉「......はい。私なんて未だに苗字呼びですし......はっ! ち、違いますから!」

 

文香「ふふっ♪」

 

相葉「ふ、文香さーん!」

 

 

 

 

ホテルに戻り部屋でごろーん......

 

ゴロゴロ......

 

畳ちゃん、愛してるよぉ〜......マジで購入を検討しよう。

 

「ガチャ」

 

おっ、武内さん戻ってきたか......

 

武内「戻られていたのですね」

 

八幡「はい。ついさっき」

 

浴衣に缶ビール......似合ってますね。

 

八幡「......くつろげてるみたいっすね」

 

武内「はい。この様な事は久しぶりです」

 

八幡「なら良かったです」

 

武内「比企谷さんは、お酒はまだ飲めないんですよね?」

 

八幡「8月まで我慢です」

 

武内「では、その頃に一度飲みに行きましょう」

 

八幡「はい。お願いします」

 

夕飯まで時間あるな......少し寝るか......

 

 

 

 

 

最終日......

今日はもうほとんど帰るだけだ。

10時に出発して、途中の寄り道はグリーン牧場。動物さんと戯れたりそこでバーベキューをしたりの予定。

そして現在バスの中。隣にはふくれっ面の加蓮。脇腹をずっとつねられている......

 

どうしてこうなった......

 

ことの発端は乗車時。今日くらいは私が確認を行いますと武内さんが言ってくれたため、お言葉に甘えることにした。なので早いとこ約束通り加蓮と座ろうとしたのだが......

 

アーニャ「兄さん、帰り、たくさんお話ししたいです!」

 

とアーニャが絡みついてきてしまった。加蓮と約束してると言ったのだが......

 

アーニャ「1番後ろ、カレンも一緒に座れます。ダメ......ですか?」

 

と涙目上目遣いで言われ、俺も加蓮も折れてしまった。

 

のだが......

 

座ってからもアーニャはずっと腕に抱きついたまま=加蓮の機嫌が悪くなる。の式が出来てしまった。

 

脇腹痛い。

 

加蓮「ふんっ!」

 

アーニャ「〜〜♪」スリスリ

 

藍子「......」じー

 

奈緒「......」じー

 

未央「......」じー

 

卯月「......」じー

 

美嘉「......」じー

 

奏「......」じー

 

美波「アーニャちゃんご機嫌だね」

 

アーニャ「はいっ♪」

 

7人「(イラッ)」

 

加蓮「ふんっ!」ギュウッ

 

八幡「いってえ!」

 

アーニャ「?? 兄さん、どうしましたか?」

 

八幡「な、なんでもにゃい......」

 

は、早く着いてええええ!

 

 

よ、ようやく着いた......脇腹感覚ないよ? どこか行ったの?

うぅ......モフモフの生き物たちに癒されよう......

 

逃げるように1人トボトボと歩いて行く......

 

にぎっ......what?

 

みりあ「お兄ちゃん! うさぎさん見にいこっ!」

 

八幡「......おう。いいぞ」

 

天使降臨......癒しじゃぁぁ!

みりあとおててつないでうさぎさんの元へ。

 

みりあ「うーさーぎさんっ♪」

 

か、かわえええええ!

 

みりあ「あ! うさぎさんいたよ!」

 

八幡「おう。いたな〜。エサもあげられるみたいだぞ?」

 

みりあ「本当! みりあ、うさぎさんにエサあげたい!」

 

八幡「んじゃ、先に買いに行くか」

 

みりあ「うんっ!」

 

 

エサを購入していざうさぎさんの元へ。

うさぎと戯れる天使......パシャリ。

 

みりあ「うわぁ〜! モフモフだよ! 可愛いね!」

 

八幡「......お、おう。可愛いな」

 

う、うさぎが次々に寄ってくる......

抱きかかえつつ、足元、右肩などなど......総勢8羽のうさぎがみりあを囲んでいる。

 

八幡「......すげえな」パシャリ

 

みりあ「あははっ♪ 可愛いなぁ〜♪」

 

周りにいた一般の方々も天使に目を奪われている......

 

「ねー、ママ。あそこにいるのみりあちゃんだよね?」「え?......あら本当。一緒にいるのはお兄さんかしら?」「ママ! みりあちゃんとおはなちちたい!」「え? えぇぇ......」「おーはーなーしーしゅーるーのー!」

 

しゃあねえな......

 

八幡「......おーい。こっちおいで」

 

「(パァッ)うんっ!」

 

駆け寄ってくる幼女。お母さんも大変ですね。

 

八幡「すまんみりあ。少し付き合ってやってくれ」

 

みりあ「うん!」

 

......嬉しそうで何よりだ。こういったことも大事だな。

 

「すみません。うちの子が......」

 

八幡「いえ、大丈夫ですよ」

 

「あの......お兄さんですか?」

 

八幡「いえ、私は......プロデューサーです」

 

「あら......これは失礼しました。お仕事でしたか?」

 

八幡「いや、今回は社員旅行みたいなもんです」

 

「それじゃ尚更......本当にすみません!」

 

八幡「大丈夫です。みりあも楽しそうですし......いい笑顔も見られましたから」にこっ

 

「......きゅん......そ、そうですか......あの......プロデューサーさんはCPを担当されているんですか?」

 

八幡「いえ、私はクローネを担当しています。今回は合同なので」

 

「クローネを......みなさん素敵ですよね」

 

八幡「今後凄い企画も用意してますので、応援お願いします」

 

「は、はいっ!」

 

おっと......そろそろ時間か......

 

八幡「みりあ、そろそろ行くぞ」

 

みりあ「うん! お話し楽しかったよ!」

 

「わたちも! みりあちゃん、ありがとうございまちた!」

 

みりあ「じゃあね! バイバーイ!」

 

「ばいば〜い!」「ありがとうございました! よかったね〜」「うんっ!」

 

みりあ「うさぎさんもあの子も可愛かったね!」

 

八幡「そうだな、応援してくれるみんなを大事にしような」

 

みりあ「うん! みりあ頑張る!」

 

八幡「おう」なでなで

 

みりあ「ふへへ〜♪」

 

さて、昼飯だ。たんまり食うぞ!

 

 

こうして、旅行は幕を閉じた。

 

 

余談だが、この後もずっと脇腹つねられてました。

 

解せん......

 

 

加蓮「ふんっ......八幡さんのバカ......」




現在は混浴はありません。
悪しからず。


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23話√?

旅行も好評のうちに終わり、常務.......もとい専務も大層ご満足のようだ。

4月に入り常務は専務に昇進。俺自身も、クローネの正プロデューサーとなってしまった......

新卒のアシスタントも......配属初日におもr......ゲフンッ......最初はどうかと思ったが、今は忠実に働いている。非常に優秀だ。......性格を除けば。

 

なんで変人ばっかりなんだよ! まともなのよこしてよ!

 

とまあ、それはともかく.......

 

八幡「........................はい。では、その日時でお伺いさせていただきます」

 

『いえ! こちらが!』

 

八幡「こちらのお願いを聞いて頂くのですから、お伺いさせていただきます」

 

『......わかりました。では、よろしくお願い致します』

 

八幡「よろしくお願い致します」

 

.......アポは取れた。......まずは武内さんに。

 

 

 

先日アポを取ったお相手のところへ武内さんと来たのだが......

 

八幡「......居酒屋?」

 

武内「いえ、この上に......上の窓を見てください」

 

八幡「......は? ガム......テープ?......冗談ですよね?」

 

武内「いえ、ここで間違いありません。行きましょう」

 

八幡「は、はぁ......」

 

脇にある階段を登って行く。なんでエレベーター壊れてんだよ!直せよ!まだ春でよかった......

扉の曇りガラスにはしっかりとある。

 

『765プロダクション』と。

 

......マジだったのか。

っと、呼鈴は......

 

「ドンドンドン!」

 

八幡「へ?」

 

武内「こちらはこうなのです」

 

八幡「......お、覚えておきます」

 

「ガチャッ」と扉が開き......

 

??「どちらさ......ヒィッ!」

 

武内「ご無沙汰しております。346プロの武内です。」

 

??「た、武内さんでしたか......さ、中へどうぞ」

 

武内「失礼します」

 

八幡「し、失礼します」

 

なかなか美人な事務員さん? に案内されて行く......せまっ!

 

??「こちらでお待ちください。すぐに赤羽根を呼んで参ります」

 

なんか......いろいろと衝撃的なんだが......

 

??「すみません! おまたせしました!」

 

ん? この声......

 

赤羽根「お久しぶりです武内P!」

 

武内「お久しぶりです。あの......こちらが......」

 

八幡「346プロダクション Project Kroneプロデューサーの比企谷です。よろしくお願い致します」

 

赤羽根「すみません! プロデューサーの赤羽根です。わざわざご足労いただき、ありがとうございます!」

 

やけに腰の低い人だな......と思いながら名刺交換。

 

赤羽根「どうぞお掛けください」

 

2人「失礼します」

 

印象はわるくな......というかめちゃくちゃいい。こりゃ楽かもな。

 

赤羽根「すみません。後1人来るので、少々お待ちください」

 

八幡「いえ、大丈夫です」

 

ほーん......確か岡崎だか高崎だか......元アイドルのプロデューサーだったな......

 

??「お、おまたせしました!」

 

赤羽根「遅いぞ律子!」

 

??「すみません! 秋月律子と申します! よろしくお願い致します!」

 

おおぅ......一文字しか合ってなかった......しかも最期の一文字......

武内さんは面識があるらしく、自己紹介と名刺交換は俺のみ。

さて......本題に入りますか。

 

八幡「では、早速ですg「す、すみません!」......はい?」

 

秋月「大変失礼なのですが......」

 

八幡「......なんでしょう?」

 

秋月「比企谷さんはおいくつですか?非常に若く見えるのですが......」

 

八幡「......19です」

 

秋月「わ、私より下......」

 

赤羽根「で、では、高校を卒業して346さんに?」

 

八幡「いえ、自分は大学生です」

 

2人「......へ?」

 

八幡「まあ、バイトですね」

 

赤羽根「う......嘘だろ......」

 

秋月「信じられない......」

 

八幡「まあ、そんな事はどうでもいいんですよ。仕事の話......しませんか?」

 

赤羽根「そ、そうですね......」

 

秋月「......(なにこの子......凄く怖いんだけど......)」

 

八幡「話すより見てもらった方が早いですね......武内さん、資料出してもらっていいっすか?」

 

武内「はい。......お2人ともこちらを」

 

2人「あ、ありがとうございます」

 

秋月「......(な、なんでこの子が武内Pを使ってるの?)」

 

資料を読んで行く2人。だんだんと顔がマジになっていく。

 

赤羽根「......本気ですか?」

 

八幡「はい。じゃなきゃ来ませんよ」

 

赤羽根「そうですよね......律子、社長を呼んできてくれ」

 

秋月「はい」

 

え? 社長くんの? めんどくせぇ......

 

 

秋月「お待たせしました。こちらが社長の高木です」

 

社長「いやー! わざわざご足労いただいてすまないね! よろしく頼むよ!」

 

かるっ! 社長かるっ!

つーかなんで顔見えねえの⁉︎ あの謎の影なんだよ!

 

八幡「346プロダクションでプロデューサーをしている比企谷と申します」

 

武内「武内です」

 

2人「よろしくお願い致します」

 

社長「これはご丁寧に。ささ、気にせず普段通りに!」

 

八幡「あ、ありがとうございます」

 

赤羽根「社長、こちらを」

 

社長「なんだね?........................ほう、これまた凄い企画だね」

 

赤羽根「はい。俺たちの一存ではと思いまして」

 

社長「んー......いいんじゃないかな! 素晴らしいよ! ライバル同士での協同ライブ! いいじゃないか!」

 

秋月「社長⁉︎」

 

赤羽根「では......お受けしてもいいと?」

 

社長「いいとも! 盛り上げてくれよ! はっはっはっ!」

 

すげえ社長だな......

 

八幡「では、正式にお受けしていただけるという事でよろしいですか?」

 

赤羽根「はい! よろしくお願いします!」

 

秋月「お、お願いします!」

 

八幡「ありがとうございます」

 

赤羽根「いやー、それにしても凄いですよ武内P! こんな企画思いつくなんて!」

 

秋月「そうですね。思いついたとしてもなかなか行動には......」

 

武内「いえ。今回の企画は全て比企谷さん発案です。よって、今ライブの統括責任者も比企谷さんとなります」

 

2人「......え?」

 

社長「ほう......」

 

武内「比企谷さんはこの若さでクローネをプロデュースするとともに、私の受け持つCPのアシスタントもこなしています」

 

赤羽根「信じられない......」

 

秋月「え? 2部署で......22人⁉︎ 私たちなんか2人で12人が精々なのに......」

 

武内「それと765プロさんも同じ機材メーカーをご利用かと思いますが、最近効率が良くありませんか?」

 

秋月「はい。予定より2時間は余裕があります」

 

武内「問題点を指摘し、効率化させたのも比企谷さんです」

 

赤羽根「......」

 

秋月「......」

 

社長「ほほう......」

 

八幡「あそこは無駄が多かったですから。楽でしたよ」

 

赤羽根「......」

 

秋月「......」

 

八幡「まあ、俺がどうこうはどうでもいいです。彼女たちが笑顔になれて、お客さんも笑顔になれればそれでいいんすから」

 

赤羽根「......ありがとう! 俺も全力でやらせてもらうよ!」

 

秋月「はい! 良いライブにしましょう!」

 

八幡「ありがとうございます。では、ザックリですが、流れだけでも決めたいんですが......」

 

赤羽根「そうだね! でも君の事だ、大体決めてるんだろ?」

 

八幡「まあ......はい」

 

赤羽根「聞いてもいいかな?」

 

八幡「はい。まずオープニングですが、346プロの代表曲の『お願い!シンデレラ』で行きたいと思います」

 

赤羽根「うん。賛成だ!」

 

八幡「安請け合いしていいんすか?」

 

赤羽根「......え?」

 

八幡「俺が考えてるのは、765さんと346の合同での披露です」

 

2人「......へ?」

 

あ、2人ともメガネがズレた。

 

2人「ええええええええええええ!?」

 

社長「はっはっはっ! 面白い! 実に面白い! 続きを聞かせてくれ!」

 

八幡「はい。その後は、765さんとうちが交互に歌っていきます」

 

秋月「そ、それにも意味が?」

 

八幡「はい。うちの曲を知ってて765さんの曲を知らない。またその逆もありますよね?」

 

赤羽根「まあ、そうだよな」

 

八幡「そういったお客さんを飽きさせない為の配慮です」

 

秋月「なるほど......」

 

八幡「それだけでも飽きがくると思いますので、お互いの既存曲は自由に歌っていいというのはどうでしょう?」

 

赤羽根「いいな......」

 

八幡「そうすれば、人に付いているファンもお互いの曲を楽しめる」

 

赤羽根「うん、うん!」

 

八幡「で、最後は765さんの代表曲を合同で歌う。ザックリですがどうでしょう?」

 

赤羽根「いいと思うよ!」

 

秋月「私もです!」

 

よし! のってきた!

 

八幡「ありがとうございます。それと、合同レッスンも必要になりますので、弊社のレッスンルームで、専属トレーナーをつけて行います」

 

赤羽根「な、なんか申し訳ないな。何から何まで......」

 

八幡「お願いしてるのはこちらですから。これくらいは当然です」

 

秋月「いえ、本当に助かります」

 

八幡「そこで、大変申し訳ないのですが、最後の曲の衣裳を765さんでこちらの人数分ご準備いただきたいんです。当然オープニングの衣裳はこちらで」

 

秋月「うっ......」

 

赤羽根「律子! ここまでしてもらってそれはないだろ!」

 

秋月「そ、そうですね」

 

赤羽根「質問ですが、オープニングは何人選出すれば?」

 

八幡「従来14人編成ですので、半々で7人。エンディングは6人ですね」

 

赤羽根「ライブの開催は?」

 

八幡「6月の下旬はいかがですか?」

 

赤羽根「えっと......大丈夫だな。律子は?」

 

秋月「私も大丈夫です」

 

八幡「ではそこで。詳細は後ほど」

 

赤羽根「はい。次に、会場はどこですか?」

 

八幡「アリーナを予定してます」

 

秋月「横浜アリーナですか⁉︎ すごい!」

 

八幡「いえ。埼玉ハイパーアリーナです」

 

2人「......へ?」

 

社長「くくっ......」

 

2人「ええええええええええええ!!」

 

赤羽根「言うこと為すこと規格外だ......」

 

秋月「あぁ......利益が......利益が!」

 

八幡「ま、まあ、出資率の関係でうちの取り分が多くなってしまいますが、相当な利益は取れるかと......」

 

秋月「はいっ!」

 

赤羽根「最後にですが、レッスンはいつから開始ですか?」

 

八幡「765さんに合わせます」

 

赤羽根「ありがとう! 本当にありがとう!」

 

秋月「是非成功させましょう!」

 

おぉ......目が$になってる......

 

八幡「はい。......俺からも1つお願いがあるんですが......」

 

赤羽根「なんだい?」

 

八幡「如月千早さんにソロのステージを設けていただきたいんです」

 

秋月「それはなぜ?」

 

八幡「アイドル界屈指の歌姫の歌を生で聞かせてやりたいんです」

 

赤羽根「......わかった。そうさせてもらうよ」

 

八幡「ありがとうございます」

 

頭を下げつつ思わずニヤついてしまう。

 

赤羽根「じゃあ、スケジュールを調整して後日連絡させてもらうよ」

 

八幡「はい、お願いします」

 

よし、話は済んだ。

 

挨拶をして武内さんと765プロを後にする。

 

すまんが......当て馬になってもらうわ。......フヒッ!

 

 

 

場所はクローネのPR。いるのは武内さん、ちひろさん、俺、高町さんの4人。

あ、高町ってのは新入社員ね。

 

八幡「当初の予定通り、LIPPSとアインフェリアは合同ライブでデビューさせます」

 

武内「はい。最高のデビューステージですね」

 

ちひろ「え? そんなこと考えてたんですか?」

 

八幡「はい。それと、これ見てください」

 

武内「......これは!!」

 

八幡「765プロのセトリです。中でも......ミッシングムーンが......」

 

武内「Trancing Pulseですか......」

 

2人「ええ⁉︎」

 

八幡「はい。なので俺も気が変わりました」

 

武内「......一体何を?」

 

八幡「......これ。聞いてください」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

武内「こ、これは......」

 

ちひろ「新曲?」

 

高町「この声って......まさか⁉︎」

 

八幡「わかるか? 奥井雅美さんだ。んで......Triad Primusの新曲『Trinity Field』です。これを......ミッシングムーンにぶつけます」

 

3人「!!!!」

 

高町「す、すげえ......」

 

ちひろ「真っ向勝負......ですか」

 

武内「......恐れ入ります」

 

八幡「まだです。うちで言うCute属性ユニットのパーフェクトサン、Passion属性のワンダリングスターもいます」

 

武内「......そうですね」

 

八幡「なので、パーフェクトサンにはPCSをぶつけましょう。確かデビュー待ちですよね?」

 

武内「はい。機会を伺っていました」

 

八幡「それと、ワンダリングスターには、新ユニットのPositive Passion......メンバーは未央、藍子、日野の3人。プロジェクトフェアリーにはアインフェリア。天海春香には卯月。星井美希には未央。そして......」

 

武内「竜宮小町にはLIPPSですか」

 

八幡「......はい」ニヤ

 

2人「(ビクッ)」

 

八幡「PPの3人に話は通してあります。藍子は少しキツイかもですが、時期もズレるので問題ありません。それと、藍子、相葉、日野の3人は、このライブが終わるまでクローネ預かりとします。......どうでしょう?」

 

武内「......わかりました。全力でサポートさせていただきます。ですが......新規ユニットを3組も......大丈夫ですか?」

 

八幡「......正直キツイっす。なので......PPをお願い出来ませんか?」

 

武内「それがいいと思います。他の2組は......専務指示だと聞いてますので」

 

八幡「はい。すんませんが、お願いします。それと最後に......」

 

武内「わかっています」

 

八幡「ありがとうございます」

 

ちひろ「んん? なんの事ですか?」

 

八幡「......如月千早に......凛をぶつけます」

 

ちひろ「そんな! 無茶です! 圧倒的にレベルが......」

 

高町「師匠......さすがにそれは......」

 

八幡「わかってる! だが......凛ならやれる」

 

武内「私もそう思います」

 

ちひろ「はぁ......知りませんよ?」

 

高町「あ、あの......」

 

八幡「あ? なんだ?」

 

高町「へ、えっと......オープニングとエンディングの人選は......」

 

八幡「さっき言ったCPとクローネのメンバー以外から選出だ。......そうだな、高町さん、考えて提出してくれ。期限は明日いっぱい」

 

高町「わ、わかりました! 高町隆也っ! 頑張りますっ!」

 

うっわぁ......卯月が言うと可愛いけど、コイツが言うとマジねえわ......」

 

高町「グフッ......さすがにキツイっす......」

 

八幡「武内さん、メンバーへの説明は明後日でイイっすか?」

 

武内「はい。伝えておきます」

 

八幡「お願いします。ちひろさんにも迷惑かけますけど......お願いします」

 

ちひろ「仕方ないですね......任せてくださいっ♪」

 

八幡「あざっす」

 

高町「あの......僕h「んじゃ、明後日お願いします」......あ、あの......無視っすk「はい」......ひどい......」

 

 

 

あぁ......胃が痛い......

如月千早に凛はキツイなんてわかってるさ......うちなら太刀打ちできるのなんか楓さんくらいだ。

でも......凛なら....,,

 

会議室のドアを開け中に入るとアイドル達は全員集まっていた。

と言うか、俺が最後だった。

 

武内「......みなさんにご報告があります。では、まずは比企谷さんから」

 

八幡「まず、LIPPS、アインフェリア、PCSのデビューが決まった。それと同時に、新ユニットを発表する」

 

ざわつくみんな。

 

武内「本田未央さん、日野茜さん、高森藍子さんの3人で『Positive Passion』を結成していただきます。デビューは他の3組と一緒で......」

 

八幡「......ライブでデビューしてもらう」

 

全員「ライブで⁉︎」

 

八幡「ああ、しかもただのライブじゃねえ......765プロとの合同ライブだ」

 

全員「......ええええええええええええええ!!!!!!!」

 

八幡「まずは!」

 

全員「......」

 

八幡「PCS!」

 

3人「はい!」

 

八幡「パーフェクトサンにはお前らをぶつける」

 

3人「は、はいっ!」

 

八幡「次にPP!」

 

3人「はい!」

 

八幡「お前らはワンダリングスターだ」

 

2人「はい!」

 

日野「がんばりますよ〜!」

 

八幡「TP!」

 

3人「えっ......」

 

八幡「ミッシングムーンが歌うのはTrancing Pulseだ」

 

3人「......え?」

 

八幡「だからお前らには新曲でいってもらう」

 

3人「っ!! はいっ!」

 

八幡「次にアインフェリア!」

 

5人「はい!」

 

八幡「みんなはプロジェクトフェアリーだ」

 

5人「はい!」

 

八幡「ユニット最後は......」

 

奏「私たちでしょ? しかも相手は竜宮小町かしら?」

 

八幡「ああ。やれんだろ?」

 

奏「誰に言ってるのかしら」

 

八幡「......ぶちかませ!」

 

奏「......ええ!」

 

八幡「次はソロだ。まず卯月」

 

卯月「も、もしかして......」

 

八幡「天海春香だ」

 

卯月「うぅ......やっぱりぃ......」

 

八幡「無理か?」

 

卯月「い、いえ! 島村卯月っ! 頑張りますっ!」

 

八幡「頼む。次は未央!」

 

未央「星井美希ちゃんでしょ?」

 

八幡「ああ」

 

未央「まっかせて〜!」

 

八幡「......」

 

全員「......」

 

凛が立ち上がる。

 

凛「私が如月千早さん......でしょ?」

 

八幡「おう」

 

加蓮「凛......」

 

震えてるのがここからでもわかる。

 

凛「......やるよ。私ならいけるって思ってるんでしょ」

 

八幡「ああ」

 

凛「歌うよ」

 

八幡「ああ。お前の曲は『蒼い鳥』だ」

 

凛「っ!!......うん!」

 

そのあとはオープニングのメンバーとエンディングのメンバーを発表。CP1期生とクローネは全員参加だ。2期生は当日見学させて現状の差を認識してもらう。

 

さて......下克上をはじめますか......

 

 

 

765、346合同練習初日。

パスを人数分用意して赤羽根さんたちが来るのを入り口で待っている......

 

待っている......

 

待って......

 

八幡「何分待たせんだクソがっ!」

 

通行人「(ビクッ)」

 

八幡「あ、すみません......」

 

声に出ていたようだ......予定の時間からすでに30分......ほう......低ランクアイドルとの約束は守れんと......

 

八幡「ふっ......フフフッ......」

 

赤羽根「す、すみません! 大遅刻してしまいました!」

 

八幡「......どうしてくれようか」ニヤリ

 

赤羽根「ヒィィッ!」

 

秋月「(ビックゥ!)」

 

赤羽根「も、申し訳ございません!」

 

八幡「あれ? 赤羽根さん?」

 

赤羽根「お、遅れて申し訳ございません!」

 

八幡「あ、いや。何もなかったならいいですよ。安心しました」

 

赤羽根「そ、そうですか......」

 

八幡「......何でそんな怯えてるんですか?」

 

赤羽根「い、いやぁ......346さんがあまりにも大きくて......」

 

八幡「ああ、驚きますよね」

 

赤羽根「は、はい......」

 

八幡「んじゃ、行きましょう。ちゃんと着いてきてください。リアル迷子になるんで」

 

赤羽根「は、はい。律子、あずささんを頼む」

 

秋月「わかりました!」

 

2人「(比企谷さんこわっ!)」

 

765プロ御一行様をごあんなーい。

 

 

八幡「ではまずはこちらの更衣室で着替えをお願いします。ロッカーは適当に」

 

赤羽根「あ、はい。みんな! ここで着替えて、終わったら出てきてくれ!」

 

全員「はいっ!」

 

みなさん元気いいですね。

 

秋月「ほ、本当に凄い規模ですね。迷子になるっていうのがわかります」

 

八幡「そうっすね。ま、下手に動かなきゃ大丈夫だと思いますよ」

 

赤羽根「だといいけど......」

 

他愛も無い話をしていると、更衣室の扉が開いた。......ようやくか。遅れなきゃ施設案内しようと思ってたのに......予定が狂ったよ! ちくしょう! ま、いいけど......

んじゃ、そのままレッスンルームにごあんなーい。

 

 

八幡「うーす。」

 

唯「あ、八幡ちゃんおはよ〜!」

 

八幡「おう、おはようさん。麗さん、いいっすか?」

 

麗「来たか」

 

麗さんを呼び、併せて765さん御一行にもレッスンルームに入ってもらう。

ざわつく室内。そらそうだ。

 

八幡「赤羽根さん、こちらが今回担当トレーナーになる青木です。」

 

麗「青木麗と申します。よろしくお願いします。」

 

赤羽根「765プロ プロデューサーの赤羽根です。よろしくお願いします!」

 

秋月「同じく秋月です! よろしくお願いします!」

 

赤羽根「ほ、ホラ! みんなも挨拶!」

 

「よろしくお願いします!」

 

八幡「赤羽根さん、麗さんには、遠慮なく指導してもらうつもりなんで......多少の無礼はご了承ください」

 

赤羽根「いや、構いませんよ。ビシバシやっちゃってください!」

 

うわぁ......地雷踏んじゃったよ......

 

麗「......わかりました。では、遠慮なくやらせていただきたいと思います」

 

お互いのメンバーを簡単に紹介してレッスン開始。

 

こうして......地獄のレッスンが始まった。

 

 

 

秋月「う、うわぁ......キツ......」

 

赤羽根「......い、いつもこんなレッスンを?」

 

八幡「ええ、まあ」

 

秋月「......(なによ! 私なんか可愛いもんじゃない! アレが本当の鬼軍曹よ!)」

 

赤羽根「......(あいつら......大丈夫かな?)」

 

麗「はいっ! 一旦休憩!」

 

途端に出来上がる12体の屍......うちの連中は......まだ全然余裕そうだな。まあ......まだ今日は緩いしな。

 

美波「さ、しっかり水分補給してね!」

 

346全員「はいっ!」

 

765全員「......」

 

 

秋月「彼女......新田さんは、凄くしっかりされてますね。まだ余裕そうですし......」

 

八幡「美波はCPのリーダーですから。それにこの程度のレッスンならCPもクローネも大したことないです」

 

赤羽根「は? この程度?」

 

秋月「まだ上があるの?」

 

八幡「まあ、まだ初日ですから。麗さんも765の皆さんのクセを見るために流してますよ。例えば......水瀬さんの指先が疎かなところとか」

 

秋月「っ!! な、なるほど......(これだけで気づかれた? 嘘でしょ⁉︎)」

 

赤羽根「(よく見てるな......)」

 

八幡「......休憩が終わったら、他のメンバーを紹介しますので、移動しましょう」

 

2人「わかりました」

 

レッスンは麗さんに任せて俺たちは移動。と言っても隣だが......

今は......LIPPSの番か。ここではLIPPSとPCS。さらに隣ではアインフェリアとPPが。

 

卯月が俺に気づいたため、手招きで3人とも来るよう指示。

 

ちょこちょこと寄って来る卯月。可愛い。

 

卯月「八幡さんお疲れ様ですっ!」

 

八幡「おう、おつかれさん」なでなで

 

小五「お疲れ様です!」

 

八幡「おう。紹介するわ。765プロの赤羽根Pと秋月Pだ。ちょいちょい顔合わせるだろうから頼むな」

 

3人「はい! よろしくお願いします!」

 

しっかりお辞儀。うん、いい子達ですね。

 

八幡「で、この3人はPCSというユニットで、左から小日向美穂、島村卯月、五十嵐響子です」

 

赤羽根「よ、よろしく。(み、みんな可愛い......)」

 

秋月「よろしくお願いします!」

 

八幡「んで、今レッスン受けてるのがLIPPS。奥から一ノ瀬志希、塩見周子、速水奏、宮本フレデリカ、城ヶ崎美嘉です」

 

赤羽根「ん? あれ? 一ノ瀬さんは......新人?」

 

八幡「はい。先日拾って来ました」

 

秋月「拾ってきた⁉︎」

 

八幡「ええ。凛......渋谷凛が拾ってきたので、うちで飼うことにしたんです」

 

卯月「志希ちゃんは猫ちゃんみたいで、本当に可愛いですっ♪」

 

八幡「ええぇ......」

 

LIPPSが休憩に入った。PCSと入れ替わりで5人がこっちに来る。

 

志希「あ〜!......ハスハスハスハス......ん〜♪」

 

八幡「......紹介するわ。765プロの赤羽根Pと秋月Pだ」

 

志希「ハスハスハスハスハスハス......」

 

赤羽根「あ、赤羽根です。よろしく......(ちらっ)」

 

秋月「あ、秋月です! よろしくお願いします!(ちらっ)」

 

2人「よろしくお願いします」

 

2人「よろしく〜」

 

志希「ハスハス......ん?......ハスハス......」

 

八幡「......周子、フレデリカ。......やり直し」

 

2人「っ!! よ、よろしくお願いします!」

 

秋月「ガラッと対応が......」

 

志希「ハスハスハスハス......」ソロ〜

 

周子「八幡くんは怒らせると怖いですから〜」

 

秋月「そ、そうなんだ......」

 

八幡「待て、志希!」

 

志希「!!」

 

八幡「どこに行くつもりだ?」

 

志希「ん〜......じ、自販機?」ダラダラ

 

八幡「ほーん......で、どこだ?」

 

志希「......(トコトコ、ぽすっ)」

 

よしいい子だ。

 

八幡「レッスン中の失踪はやめろ」なでなで

 

志希「〜〜♪」ふす〜

 

秋月「本当に猫みたいね......」

 

八幡「こんなヤツらですが、よろしく頼みます」

 

赤羽根「あ、ああ!」

 

八幡「んじゃ、次行きますか」

 

次のレッスンルームへ行き、アインフェリアとPPを同様に紹介。まともなメンバーたちなので2人も安心していた様子。まあ、次が本命だろうからな。......お互いに。

 

 

八幡「次で最後です」

 

赤羽根「......TPか」

 

八幡「はい......お2人のお目当はコイツらでしょう?」

 

秋月「......気づいてましたか」

 

八幡「2人ともそわそわしすぎですよ。バレバレです」

 

赤羽根「そ、そうかな?(なんか全部見透かされてる気が......)」

 

レッスンルームに入る。おぉ......新曲やってんのか......

 

赤羽根「し、新曲⁉︎」

 

秋月「......やられた」

 

八幡「......」

 

しっくりこない。

 

赤羽根「すごいな......」

 

秋月「この3人......」

 

八幡「......気に入らねえ」イライラ

 

2人「これで⁉︎ ヒッ!」

 

八幡「ん? どうしました?」

 

赤羽根「......比企谷さん、機嫌悪いね......」

 

八幡「ああ......そうっすね。この程度の歌を歌わせるために用意した曲じゃないんで」

 

秋月「この程度って......」

 

八幡「......」

 

しっかり聞け。気に入らないのはどこだ......ソロの部分はいい。......主旋律......加蓮と凛......逆か?

 

八幡「......止めてくれ」

 

凛「八幡......」

 

八幡「......これでいく気か?」

 

凛「......なんか違う」

 

加蓮「うん。しっくりこないかな」

 

奈緒「それがわからなくってさ、いろいろ試してるんだよ」

 

赤羽根「彼女たちまで......」

 

八幡「何を試した?」

 

加蓮「パートとか歌い方」

 

凛「でも......なんか違う」

 

奈緒「なあセンパイ、ヒントくれよ」

 

八幡「......はぁ、お前らはなんで凛をセンターにする事にこだわってんだ?」

 

3人「......え?」

 

八幡「......凛と加蓮の旋律を交換して歌ってみろ」

 

3人「うん!」

 

さて......どうなる......

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

3人「!!!!」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

思った通りだ。

 

 

 

 

 

赤羽根「......恐ろしいな」

 

秋月「彼女たちの底が見えません。それに彼......」

 

赤羽根「ああ。社長の言ってた通りだ」

 

秋月「......社長が? なんて?」

 

赤羽根「ああ。『比企谷君に気をつけろ。さもないと全部持っていかれる』ってな......」

 

秋月「......そうですね」

 

赤羽根「気合い入れ直さないとだな」

 

秋月「はい」

 

 

 

八幡「......どうだ?」

 

凛「いい! 凄くいいよ!」

 

加蓮「さっすが八幡さん!」だきっ

 

奈緒「あー! また!」

 

加蓮「ん〜♪ 八幡さん♪」グイグイ

 

八幡「は、離れろ......あたってる......」

 

思い出しちゃうでしょ!

 

加蓮「あ・て・て・る・のっ♪」

 

八幡「こ、この......奈緒、出番だ!」

 

奈緒「任せろ!」

 

加蓮「あんっ......もぉ......」

 

八幡「奈緒、よくやった」なでなでモフモフ

 

あ、これめっちゃ気持ちいい......

 

奈緒「あぅ......(ボフッ)」

 

加蓮「む〜......」

 

凛「......(ぎゅう)」

 

八幡「いってぇ! なんで俺がつねられるんだよ......」

 

凛「八幡のバカ」

 

八幡「......理不尽だ。ま、まあ、ともかくだ。今回のセンターは加蓮で行く。いいな?」

 

3人「はい!」

 

八幡「よし。それと......」

 

3人を 2人の元へ連れて行く。ほーん......お2人ともお顔が変わりましたね。

 

八幡「765プロの赤羽根Pと秋月Pだ」

 

3人「よろしくお願いします!」

 

八幡「3人の紹介は......」

 

赤羽根「大丈夫、よく知ってる。......いい歌を聞かせてもらったよ」

 

八幡「なら何よりです。まあ......聞かせずに侮ってもらってた方が、うちには良かったかもしれませんけど」

 

2人「!!(気づかれてた⁉︎)」

 

赤羽根「......すまん! 正直言ってその通りだ。ありがとう。おかげで気合いが入った!」

 

八幡「そうしてもらわないと......やる意味ないっすから」ニヤリ

 

5人「(ゾクッ)」

 

八幡「......いいライブにしましょう」

 

赤羽根「......ああ!」

 

 

 

最初のレッスンルームに戻ってきたのだが......

 

八幡「......すげえ光景」

 

そこにあるのは休憩前よりひどい12体の屍。

 

秋月「こ、これは一体......」

 

水瀬「......ちょっと......こんなにキツイなんて......聞いてないわよ」

 

全く元気がない......

 

赤羽根「響と真までダウンするとは......」

 

八幡「おーい。お前らは着替えて先に行っててくれ」

 

7人「はーい」

 

我那覇「み、みんな動けるのか?」

 

美波「うん。全然大丈夫!」

 

菊池「体力には自信あったのに......」

 

みく「まだまだ序の口にゃ!」

 

アーニャ「дa! 今日は、楽でした!」

 

12人「嘘でしょ......」

 

仕方ねえ......

 

 

八幡「秋月さん、コレを」

 

秋月「あっ! わざわざすみません!」

 

赤羽根「申し訳ない......みんな! 比企谷さんからの差し入れだ!」

 

全員「ありがとうございまーす......」

 

俺も配りますか......

 

八幡「我那覇さん、どうぞ」

 

我那覇「ありがとうだぞ〜」

 

八幡「うちのレッスンはどうでしたか?」

 

我那覇「凄いなんてもんじゃないぞ! 自分、ダンスには自信あったんだ。でも......」

 

八幡「まあ、まだ初日ですから。一緒に頑張っていきましょう。それにトレーナーの麗さんは超一流です。必ず我那覇さんもレベルアップできますので」

 

我那覇「よろしくな! 自分のことは響でいいぞ! それと普通に話してくれ!」

 

八幡「......お、おう。よろしくな、響」

 

さて......次は......

 

八幡「ほい。どーぞ」

 

菊池「あ、ありがとうございます」

 

八幡「だいぶお疲れみたいですね」

 

菊池「うん。......ゴクッ......最後は全くついていけなかった。ボク、体力には自信あったのに......」しょぼん

 

おぅ......コイツ可愛いな......

 

八幡「菊池さんならすぐについていけるようになりますよ」

 

菊池「うん! ボクも負けてられない!」

 

急に立つなよ!

 

菊池「あれ......」フラッ

 

八幡「危ねえ!」ガシッ

 

......間に合ったか。

 

11人「きゃーーーーーー!」

 

おん?騒がしいな......

 

菊池「あ、あの......」

 

八幡「あん?」

 

菊池「こ、コレ......」

 

秋月「な、ナチュラルにお姫様抱っこなんて......」

 

......なんですと?

 

八幡「す、すまん!......立てるか?」

 

菊池「は、はい......」

 

顔真っ赤だな......王子なんて言われてるけど、ちゃんと美少女じゃねえか」

 

菊池「えっ⁉︎ び、びしょっ......ボクが美少女⁉︎」

 

八幡「......え? なに? エスパーなの? 俺の心読めんの?」

 

赤羽根「い、いえ、声に出てましたけど......」

 

八幡「......マジで?」

 

全員「うんうん」

 

やっちまたああああああああああ!

 

菊池「ぼ、ボクが美少女......うぅ......」

 

水瀬「で、あんたはいつまで真のこと抱いてんの?」

 

八幡「す、すまん......」

 

菊池「あっ......」

 

八幡「大丈夫か?」

 

菊池「は、はいっ!」

 

八幡「なら良かった」なでなで

 

菊池「あぅ......(ボフッ)......あの!」

 

八幡「ん? なんだ?」

 

菊池「ボクの事は名前で呼んでください! それと......比企谷さんの名前......」モジモジ

 

な、なんだこの可愛い生き物......

 

八幡「あ、ああ、わかった。俺は八幡だ」

 

真「八幡さん......よろしくお願いします!」

 

八幡「お、おう。よろしくな、真」

 

真「はいっ!」

 

全員「......」

 

八幡「んじゃ、俺は外に出てますんで。落ち着いたら着替えお願いします。シャワーはご自由にお使いください」

 

赤羽根「あ、はい。ありがとうございます」

 

 

 

 

水瀬「......あいつ何者よ!」

 

赤羽根「お、落ち着け伊織。」

 

萩原「ま、真ちゃん大丈夫だった?」

 

真「......」

 

萩原「......真ちゃん?」

 

真「八幡さん......ボクの王子様!」

 

全員「......え?」

 

真「カッコよかったなぁ......」

 

全員「ええええええええええ!!」

 



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24話√?

レッスンルーム前の休憩所でぼんやりと考える。765と346の差。なぜこれだけ......

正直CPやクローネのメンバーの方がビジュアル面では上だと思うし、個性でも負けていない。では、なぜこれだけの差が出ているのか......年季が違うと言われればそれまでだが、それだけじゃない気がする。

 

例えば天海春香と島村卯月。

正統派でドジっ子属性。

 

次に星井美希と本田未央。

なんでも上手くこなすオールラウンダー。

 

最後に如月千早と渋谷凛。

クールな歌姫。

 

見事に被ってる......

......そうか。全部二番煎じなのか。メンバー内の個性だけを見てきたが、客からすれば似たり寄ったりと思われる。

765プロがTPにこだわっている理由。それは自分たちにないものだから。となると......意外性のアインフェリアとアダルティックなLIPPSはうち独自の路線。

 

だんだん見えてきたな......

 

 

 

 

赤羽根「......凄く話しかけずらい雰囲気だな」

 

秋月「そうですね。......何を考えているんですかね?」

 

赤羽根「......彼は俺たちとは、なんというか......思考回路が違う気がするんだ」

 

秋月「ええ。鬼才......という類ですかね」

 

赤羽根「それなんかしっくりくるな......」

 

秋月「単純にそう感じたんです」

 

赤羽根「恐ろしいよ。それこそ......黒井社長よりずっと」

 

秋月「......はい」

 

真「あぁ......考え込んでる八幡さんもカッコいい......」

 

萩原「ま、真ちゃんが......」

 

四条「......」

 

赤羽根「こうしててもしょうがない。......律子、比企谷さんを呼んでくれ」

 

秋月「えぇ! 私ですか?」

 

赤羽根「......頼んだ」

 

秋月「いやですよ! 怖いじゃないですか!」

 

赤羽根「お、俺だって! いきなり『どうしてくれようか......』なんて言われたんだぞ!」

 

秋月「......アレはすごい迫力でしたよね」

 

赤羽根「仕方ない......わかった、俺が行く」

 

秋月「いえ、私が行きます!」

 

真「ならボクが行く!」

 

2人「どうぞどうぞ」

 

如月「ぷふっ!」

 

双海姉妹「ダチョウ倶楽部だ......」

 

真「い、行くよ!」

 

赤羽根「頼んだ!」

 

 

 

......なんとなく固まってきたな。あとは......

 

真「は、八幡さん!」

 

八幡「ん?おぉ、真か」

 

真「は、はいっ! みんな準備できました!」

 

八幡「おう、サンキューな。......それ、私服か?」

 

真「はいっ! どう......ですか?」

 

八幡「似合ってる。だが、下はスカートでもよくないか?」

 

真「ボクは履きたいんですけど......評判良くなくて」

 

八幡「は? 評判? んなの気にすんな。お前は可愛いし、ちゃんと女の子なんだ。似合うんだから自信持て。」

 

真「......はい!」

 

八幡「次頼むな」なでなで

 

真「は、はぃ......」

 

八幡「んじゃ、行くか。赤羽根さん、着いて来てください」

 

赤羽根「あ、はい」

 

さて......サプライズといきましょう。

 

 

 

ふんふんふふ〜ん♪ 会議室〜♪

 

赤羽根「あの、次は一体......」

 

八幡「ん? 着いてのお楽しみですよ」

 

赤羽根「は、はぁ」

 

真「八幡さん! 八幡さんて今おいくつなんですか?」

 

八幡「俺か? 19だ。今年ハタチになる」

 

真「ボクの1つ上なんですね! 高校出て就職したんですね!」

 

八幡「いや、今は大学生だ。まあ、ここはバイトだな」

 

12人「大学生(ですか)⁉︎」

 

八幡「ああ。意外か?」

 

秋月「意外と言うより異常ですよ。普通両立なんて不可能です」

 

八幡「そうでもないですよ? うちのメンバーはほとんど学生なんで、行動時間はかぶります。営業だってコマの空いた時にいくらでもできますし、予定を組んでおけば大した手間はありません。実際出来てますし」

 

赤羽根「そう......だな」

 

真「大学はどこに行ってるんですか?」

 

八幡「早○田だ」

 

全員「早○田⁉︎」

 

秋月「だって......高校の時からバイトしてたって......」

 

八幡「3年からですよ。その時には余裕あったんです」

 

秋月「それにしたって大したものよ。そうそう行ける大学じゃないもの」

 

八幡「そうですかね?国立大よりはよっぽど難易度低いと思いますよ」

 

赤羽根「さらっと言ってくれるな......」

 

八幡「......話はここまでです。着きました」

 

赤羽根「......会議室?」

 

秋月「今後の話ですか?」

 

八幡「ま、アイドルの方から中へどうぞ」

 

全員「はい(なの〜)!」

 

ドアを開け......全員が入った瞬間に......

 

「パパパパパンッ!」

 

全員「(ビクッ)」

 

CP &クローネ「765プロさん! 346プロへようこそ!」

 

赤羽根「......は?」

 

秋月「えっ......」

 

八幡「まずは親睦会といきましょう」

 

14人「(ポカーン)」

 

社長「みんな来たか! 346プロさんのご好意だ。ありがたく受け取ろう!」

 

14人「社長⁉︎」

 

赤羽根「比企谷さん! これは......」

 

八幡「一緒になって歌うんです。アイツらには必要でしょう?」

 

秋月「たしかにこれなら......」

 

赤羽根「ま、参りましたね。比企谷さんには全く勝てる気がしない」

 

八幡「俺は捻くれてますから。普通の人は理解できませんよ。」

 

秋月「ぷっ......あはははっ! なにそれ! 普通自分で言わないでしょ!」

 

八幡「堅っ苦しいのは苦手なもんで。ぶっ壊すにはこうするのが手っ取り早い」

 

秋月「そうね! ならもう敬語は必要ないわね。比企谷君」

 

八幡「おう。こっちも遠慮なく行かせてもらう」

 

秋月「その方が似合うじゃない!」

 

八幡「さいで。ま、楽しんでくれ」

 

秋月「そうさせてもらうわ」

 

八幡「......赤羽根さんはどうですか?」

 

赤羽根「うん。俺も乗らせてもらう。改めてよろしくな」

 

八幡「......うす」

 

 

......はぁ、疲れた。これで少しは楽になるな。

 

 

 

うむ。作戦は成功のようだ。みんな興味があったのだろう。積極的に交流してる。

それにしても......四条すげえな......料理全部食い尽くしそう......それと面白いのが......如月。みんなを......みんなの胸を見て『くっ!』と言いながら顔をそらすとか......確かにないけど。勝てるの杏くらいじゃね?

 

まあ、みんな楽しそうで何よりだ。

 

「比企谷君」

 

八幡「あ、社長。本日はわざわざありがとうございます」

 

社長「いやいや。こちらこそありがとう。楽しませてもらっているよ」

 

八幡「それなら良かったです」

 

社長「その若さで大したものだよ。実はね、少し危惧していたんだ。君が黒井のような者ではないかとね」

 

八幡「......あの人ですか」

 

社長「知っているのか?」

 

八幡「はい。うちも765さんのように被害を受けそうになりましたので」

 

社長「そうにってことは......受けなかったのかい?」

 

八幡「なんとかですが」

 

社長「ほう......黒井がしくじるとは......」

 

八幡「気づけたんで。自分は人の悪意には敏感ですから」

 

社長「ちなみに......どう回避したんだい?」

 

八幡「......黒井さんの手のかかるところは一切取り引きを停止しました」

 

社長「な、なんとも大胆だね。苦労しなかったかい?」

 

八幡「それほどは。それで取引先も焦ったんでしょう。全て吐きましたよ」

 

社長「そうだろうな。346さんに付き合ってもらえなくなったら大損害だ」

 

八幡「......346ブランドあってのものですけど」

 

社長「たしかに。だが、それをできたのも君の手腕だ。誇っていい」

 

八幡「......ありがとうございます」

 

社長「どうだい? 卒業したらうちに来ないかい?」

 

八幡「......すみません。俺はアイツら......CPとクローネとともに歩んでいきます」

 

社長「ますます気に入った! アイドルと共に歩む。素晴らしいじゃないか! 今後も協力していこう!」

 

八幡「是非お願いします」

 

社長「彼らにもいい刺激になる」

 

八幡「こちらもです。......すみません。いきなりお話が変わってしまうのですが......」

 

社長「なんだね?」

 

八幡「この後余興があるのですが、社長は手品がお得意だとか......」

 

社長「いいのかね?」

 

八幡「お願いできますか?」

 

社長「勿論だとも! ウチからも何かやらせよう! いいかい?」

 

八幡「お願いしてもよろしいですか?」

 

社長「任せてくれ!」

 

八幡「ありがとうございます」

 

社長「楽しみにしていてくれ!」

 

いい人だ......いい関係を築いていけそうだ。さて......

 

加蓮「八幡さん♪」

 

八幡「おう、どうした?」

 

加蓮「やっと話終わったんだねっ♪」だきっ

 

八幡「お、おい......客いるんだから......」

 

加蓮「え〜! いいじゃない! 腕に抱きついてるだけなんだし♪」

 

八幡「......ほどほどにな」

 

加蓮「はぁい♪」

 

八幡「765のやつとは話してみたか?」

 

加蓮「うん! 楽しかった!」

 

八幡「......なら良かった。自分と何が違うかわかったか?」

 

加蓮「うん。なんかね、アタシたちよりもずっと仲間を大事にしてる。なんかCPみたい。アタシも凛と奈緒は大事だよ? でも、もっと......深いって言うのかな.......家族みたいな感じ」

 

八幡「......それは俺の責任だな」

 

加蓮「ううん。違うよ。乗り越えてきたものの差だと思う。765プロもCPもいろいろな事を乗り越えてきたけど......アタシたちはすんなり来ちゃってる。その差かな」

 

八幡「そうか。でも、加蓮はそれがわかるんだな」

 

加蓮「......うん。アタシの小さい頃の話したでしょ?」

 

八幡「お前も乗り越えて来たもんな」

 

加蓮「......うん」

 

八幡「頑張ったな」なでなで

 

加蓮「......うん!アタシ頑張った。」

 

八幡「おう」なでなで

 

加蓮「八幡さん......」

 

八幡「おう......」

 

加蓮「......」

 

八幡「......」

 

藍子「ゴホンッ!」

 

2人「(ビクッ)」

 

藍子「あ、八幡さんここにいたんですねっ♪」

 

加蓮「(ピクピクッ)」

 

八幡「お、おう」

 

藍子「最近あまりお話できてなかったので......」

 

八幡「そうだな。俺も忙しかったし」

 

藍子「寂しかったんですよ?」

 

おぉぅ......藍子が擦り寄って来るとは......

 

八幡「す、すまんな」

 

藍子「ドライブデートの予定も立てられてませんし......」

 

加蓮「ドライブデート?」

 

藍子「ライブが終わるまでは難しいと思いますけど、終わったら......」

 

八幡「そうだな。......おし、行きたいところ見繕っといてくれ。藍子の事だから写真も撮りたいだろ?」

 

藍子「はいっ! たくさん考えますね!」

 

八幡「......ちゃんと寝ろよ?」

 

藍子「わかってますよ♪ 八幡さんには迷惑かけませんから!」

 

八幡「おう」なでなで

 

加蓮「ねえ、確かアタシの言うこと1つ聞いてくれるんだったよね?」

 

八幡「......覚えてたのか」

 

加蓮「当然!」

 

八幡「......決まったか?」

 

加蓮「うん! ライブが終わったら......」

 

八幡「お、おう」

 

加蓮「2人っきりで、お泊まり旅行行きたいな♪」

 

八幡「ブーーー! なっ! おまっ! はぁぁ⁉︎」

 

藍子「(イラッ)......加蓮ちゃん、それはまずくないかな?」

 

加蓮「そう? ならドライブデートもまずくない?」

 

藍子「そんなことないよ? だって健全でしょ?」

 

加蓮「そう? 泊まりでだって何もしなければ健全だと思うけど?」

 

藍子「草津の事があるから誰も信用してくれないと思うよ?」

 

加蓮「それはアタシたちしか知らない事でしょ? 何も問題ないよね?」

 

藍子「......」

 

加蓮「......」

 

ふ、2人の間で火花が......助けて! 誰か助けてええええええ!

 

ありす「お兄さん」

 

みりあ「お兄ちゃーん!」

 

八幡「お、おう、どうした?」

 

天使が......天使たちが助けに来てくれた!

 

ありす「765プロの方が......」

 

みりあ「そろそろ時間だって〜!」

 

八幡「お、おう。ありがとうな」なでなで

 

ありす「〜〜♪」ふすー

 

みりあ「えへへぇ♪」

 

八幡「じ、じゃ、俺呼ばれてっから」

 

逃げるが勝ち!

 

加蓮「......ふんっ」ぷいっ

 

藍子「つーん」ぷいっ

 

 

 

真「うーん......どこ行ったんだろ......八幡さーん! どこですかー!」

 

 

 

助かった......助かったよ音無さん! あなたが神か......

 

音無「あ、あのー.......大丈夫ですか?」

 

八幡「は、はい。大丈夫です」

 

音無「このプログラムで聞きたい事があるんですけど、......いらっしゃってませんよね?」

 

八幡「問題ないです。すでに準備は済んでますんで」

 

音無「ほっ......なら良かったです。」

 

八幡「すみません。こんな事お願いしちゃって......」

 

音無「慣れてますから。気にしないでください」

 

八幡「ありがとうございます」

 

音無「ところで......」

 

八幡「はい?」

 

音無「比企谷さん......ハヤ×ハチって......知ってますか?」

 

なん......だと?

 

八幡「......な、にゃんのことでしゅかね?」

 

音無「......ウフッ......海老名」

 

八幡「そ、その海老名って......なんすかね......」

 

音無「千葉」

 

八幡「......」

 

音無「奉仕部」

 

八幡「(ビクッ)」

 

音無「隼人」

 

間違いない......ヤツだ。

 

八幡「......詳しく話してもらおうか。それをどこで知ったか」

 

音無「やっぱり! ぜ、是非お願いします!」はぁはぁ

 

八幡「......1つ言っておきます」

 

音無「な、なんでしょうか?」はぁはぁ

 

八幡「......俺はホモじゃない」

 

音無「......そうですか」しょぼん

 

なんでそこで落ち込むの⁉︎ ガチだろ! あんたガチでそっち側の人間だろ⁉︎

だ、だが、引いてくれてよかった......危うく俺が社会的に死ぬところだった......

 

想定外の事はあったが、予定通り余興が始まった。

先頭バッターは高木社長。

あのマジック......ホントすげえな。まあ、顔が謎の陰で覆われてるのが1番のマジックだが......

社長が場を温めてくれたため、二番手以降が出やすくなった。社長、あざっす。

 

個人的にウケたのが、まずは定番だがあみまみちゃん。あれジワジワ来るんだよな......それと日野だ。

 

日野「日野茜! モノマネやります! 最初のお題は、松岡修造!」

 

全員「ブホッ!」

 

やるまでもなく全員吹いた。まんまで十分似てるわ。

 

日野「続いて、卯月ちゃん! 島村卯月ぃっ! ガンッバリッマスッ! とりあえず走ってきます!」

 

全員「ブフォッ!」

 

全く似てねえええええ!

 

日野「続いて凛ちゃん!」

 

凛「やめて!」

 

日野「そうですか! あんたが私のプロデューサーですかぁっ! 悪くないねっ! とりあえず走りましょう!」

 

全員「ブファッ!」

 

結局走るんかよ! しかも似てねえ!

 

如月「も......もう......やめて......ぷふっ......」

 

あ、如月が瀕死だ。

 

日野「最後に! サンシャイン池z「もういいよ!」そうですか! ありがとうございました!」

 

もうね......拍手喝采だよ。日野......芸人になろうか......でも......見たかったな......サンシャイン池崎。

 

その後も余興は続いていく......ふむ。次は俺か......

 

音無「えっと......次は大物ゲストです。曲は『こいかぜ』アコースティックバージョン。......高垣楓さんです!」

 

ざわつくみんな。

 

出て行かずに、ギターを奏でる。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

赤羽根「へぇ.....こんなのもあったんだな......」

 

そのまま歌い出す。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

秋月「綺麗な歌声......」

 

如月「高垣楓さん......すごい......」

 

歌に聞き惚れるみんな。そろそろ出るか......

 

歌いながらギターを奏でて歩き出す......

 

そして出てきたのは俺。

 

全員「ぶーーーーーー!!」

 

全員吹いた。

 

凛「あんたまた!」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

全員「(ポカーン)」

 

八幡「......ありがとうございました。続きまして......」

 

美嘉「まだあるの⁉︎」

 

八幡「おう。......んんっ! 渋谷凛です」

 

全員「本物⁉︎」

 

凛「ち、ちがっ! 私じゃない!」

 

八幡「嘘つかないで。私が本物だから」

 

凛「八幡!」

 

八幡「んんっ! まーまー、いいじゃんしぶりーん!」

 

未央「今度は私⁉︎」

 

凛「未央、止めないで!」

 

未央「ま、待った! 私じゃない!」

 

八幡「んんっ!......り、凛ちゃん未央ちゃん、喧嘩はダメですぅ〜!」

 

卯月「私まで⁉︎」

 

凛「卯月......」

 

未央「あ、ごめん、しまむー。」

 

卯月「私何も言ってません!」

 

八幡「んんっ!......別にどっちでもいいじゃーん?」

 

杏「なん......だと?」

 

八幡「んんっ!......以上、八幡さんのモノマネコーナーでしたぁ!」

 

凛「え? ど、どっち?」

 

未央「わ、わかんない......」

 

卯月「八幡さんです!」

 

全員「クオリティたかっ!」

 

八幡「んんっ!......どうだった? 私のモノマネ」

 

美嘉「続けるんだ⁉︎」

 

八幡「......ナイスツッコミ」

 

美嘉「いきなり戻らないでよ!」

 

全員「ぷっ!」

 

社長「いいよ! サイコーだよ比企谷君!」

 

八幡「ありがとうございます」

 

如月「すごい......モノマネもだけど、歌も......」

 

天海「本物かと思っちゃった......」

 

赤羽根「俺も驚いた」

 

秋月「......彼はどこを目指してるの?」

 

赤羽根「さ、さあ?」

 

社長「わからないかい?」

 

赤羽根「......はい」

 

社長「観客を引き込み、自身が楽しみ、観客を笑顔にさせる。究極の形じゃないか」

 

秋月「た、たしかに......」

 

赤羽根「なるほど......」

 

天海「私も、自然と笑ってました」

 

如月「歌にも聴き入ってました」

 

社長「彼は今、この場で1番のアイドルだった。この意味を考えなさい」

 

4人「はい」

 

八幡「以上で余興も終わりです。残りの時間は自由に楽しんでください」

 

「パチパチパチパチ......」

 

いい親睦会になったんじゃないですかね?

 

 

 

親睦会で披露した一発芸以降、俺の印象は怖い人から面白い人になったようだ。特に奴らから妙に懐かれてしまった......双海姉妹に。

......非常にめんどくさい。隙あらばイタズラしてくるし、すぐ入れ替わって騙そうとしてくるし......今度秋月さんの真似も練習しておくか......

今はレッスンルーム前だが......

 

八幡「......(キョロキョロ)」

 

よし、誰もいないな......試してみよう。

 

八幡「んんっ!......コラッ! あんたたち!」

 

あ、できた。

 

??「ひっ......ご、ごめんなさい! 律子さん!」

 

......いたんかよ。って、萩原さんか......

 

八幡「すまん。俺だ」

 

萩原「律子さんが......俺?」

 

やべ、そのまま喋っちまった。

 

八幡「んんっ......比企谷だ」

 

萩原「ひ、比企谷さん......ですか?」

 

八幡「おう。悪いな、驚かせて」

 

萩原「い、いえ。驚きました。律子さんの真似もできるんですね......」

 

八幡「まあ、試しにやってみたらな......できちまった」

 

萩原「そ、そうなんですか......どうして律子さんの真似を?」

 

八幡「......双海姉妹のイタズラがひどくてな。秋月さんの声真似すれば抑えられると思ったんだ」

 

萩原「な、なるほど......」

 

八幡「休憩か?」

 

萩原「あ、はい。飲み物を......」

 

八幡「そうか............どれだ?」

 

萩原「そ、そんな! 悪いです!」

 

八幡「気にすんな。ほれ」

 

萩原「あ、ありがとうございます......」

 

「ピッ」「ガタン」

 

萩原「い、いただきます」

 

八幡「おう。......レッスン頑張れよ」

 

萩原「は、はい! 頑張ります!」

 

八幡「んじゃ、俺は行くわ」

 

萩原「はい! お疲れ様でした!」

 

 

 

萩原「男の人は苦手なのに......」

 

真「雪歩ー。どうかした?」

 

萩原「あ、真ちゃん......ううん。なんでもないよ」

 

真「ならいいけど......戻ろう。もう始まるよ」

 

萩原「うん!」

 

 

 

LIPPSの仕上がりは上々。と言うか、かなりいい。美嘉は最初歌詞を恥ずかしがっていたが、慣れたらしく今は全く問題ない。

だがアインフェリアは......

 

八幡「......」

 

イマイチだ......個々の技量は全くもって問題ない。だが、今までの自分とかけ離れた楽曲に4人はかなり戸惑っている。中でも文香さんとありすに大きく現れている。

 

聖「ストップ! 鷺沢! 橘! 同じ事を何度も言わせるな!」

 

2人「......すみません」

 

聖「はぁ......休憩にしよう」

 

聖さんと目が合い、付いて来いと促される。

 

 

八幡「お疲れ様です」

 

聖「あの2人......」

 

八幡「厳しいですか?」

 

聖「いや、技量は申し分ない。だが......おとなしすぎる」

 

八幡「......やっぱそうっすか」

 

聖「何かキッカケがあれば変われると思うんだが......」

 

そう言いながらチラチラと俺を見る聖さん。

 

八幡「......やってみますよ」

 

聖「そうか? 悪いな」ニヤニヤ

 

白々しい! そう言わせたのアンタでしょうが!

だが......どうしたもんか......

 

あっ!

 

試してみるか......

 

 

八幡「藍子」

 

藍子「はい?」

 

来い来いと手招きするとパァッと笑顔になり駆け寄ってくる。......か、可愛すぎる......

 

藍子「どうしましたか?」にぎっ

 

両手で俺の手を握って胸元に......レッスンで汗もかいているため妙に艶めかしい......その......顔に張り付いてる髪とか......メッチャえr......最高ですね。

 

八幡「......いきなりすまんな」

 

藍子「大丈夫です」スリスリ

 

あの......手に頬ずりって......

 

八幡「そ、それでなんだが、舞台の公演て......まだチケットあるか?」

 

藍子「え? ありますけど......八幡さん来てくれましたよね?」

 

八幡「おう。俺も行くんだが......文香さんとありすにな......」

 

藍子「そう言う事ですか......わかりました。用意します」

 

八幡「すまんな。だったら......5枚頼む。全員で見に行くわ」

 

藍子「わぁ! 嬉しいですっ♪ 私頑張っちゃいますね!」

 

八幡「楽しみにしてるよ」

 

藍子「......はいっ♪」

 

八幡「んじゃ、みんなで予定確認するか」

 

藍子「そうですねっ♪」

 

藍子とともにみんなの元に行き、全員の予定を確認。舞台の公演日で全員が行ける日を探すが、なかなか......おっ! この日は俺だけか......付き添いだけだし、高町さんに任せても問題ないな。......多分。

 

八幡「この日がいいな」

 

藍子「え? でも八幡さんの予定入ってますよね?」

 

八幡「高町さんに行かせるから問題ない」

 

文香「......大丈夫......ですか?」

 

ありす「不安です......」

 

八幡「大丈夫だ。アイツはありすとみりあが絡まなきゃ優秀だからな」

 

相葉「ね、ねえ、もしかして......」

 

美波「高町さんて......」

 

八幡「......アイツは本物のロリコンだ」

 

ありす「ヒッ!」

 

文香「だ、大丈夫ですよ......八幡さんと私がいますから......」

 

ありす「......はい......グスッ......」

 

文香さんに抱きついて泣くありす......可愛い。

 

八幡「安心しろ」なでなで

 

ありす「はい」

 

美波「私もみりあちゃんを守らないと!」フンス

 

八幡「頼んだぞ」

 

美波「任せて!」

 

相葉「なんだか比企谷君の周りって......変な人多いよね?」

 

「ピシッ」っと、亀裂の入るような音が聞こえた気がした......

相葉......それは言っちゃいけねえ......しかも特大ブーメランだぞ......

 

八幡「まあ......気づいてはいたんだ。CPの一部に始まり、クローネの一部。そして高町さん......さらに筆頭は......」

 

5人「(ゴクリ)」

 

八幡「......専務だろ?」

 

5人「あぁ......」

 

プッ! みんなに納得されてやんの。

 

八幡「まあ、実際俺も変わり者の部類だしな。否定はしねえよ。『類は友を呼ぶ』みたいなもんだ。」

 

相葉「そ、それだと......私まで変人扱いされちゃう......」

 

藍子「私は......八幡さんと同じなら嬉しいです♪」

 

いや、そこは否定しようよ......って、この反応で十分変人ですね。

 

八幡「相葉......」

 

相葉「な、なに?」

 

八幡「(ニコッ)」

 

相葉「もう手遅れだったんだぁ......」

 

美波「そ、そんなに気を落とさないで!」

 

八幡「そうだぞ。俺とやってける時点で変わり者なんだ。今更だな」

 

3人「......」

 

美波と文香さんとありすが愕然とした表情で俺を見ている。

あぁ、自分たちは普通だと思ってたんですね。

 

八幡「......美波、普通の人が蘭子語を理解できるか?」

 

美波「あ......あぁっ! そうだった......」

 

八幡「それに文香さんとありす。普通の人は志希とフレデリカは相手に出来ん」

 

文香「......言われてみれば......」

 

ありす「その通りですね......」

 

八幡「て、わけで......相葉。いや、夕美。こちらの世界へようこそ」

 

夕美「全く嬉しくないお招きだよ......でもまあ......改めてよろしくね! みんな! それに八幡君も!」

 

4人「はい!」

 

八幡「おう、よろしく」

 

 

うむ。なんか前よりまとまった気がする。いい事だ。多分仲間意識(笑)が強くなったんだろう。これで息は合うはず。あとは......2人が殻を破れるかだな。舞台の日に賭けよう......

 

 

 

夕美「でもやっぱり変人扱いはやだ......グスン......」



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25話√?

加蓮「八幡さん、この日って奏の付き添いの後は何も予定ないよね?」

 

八幡「あぁ、その日は予定変更だ」

 

加蓮「え......忙しいの?」

 

八幡「少しな。藍子の舞台をアインフェリアのメンバーで観に行くんだ」

 

加蓮「(ピクッ)ふーん......そう」

 

八幡「か、加蓮さん? なんか怒ってません?」

 

加蓮「べっつに〜......ふ〜ん......『藍子』を観に行くんだ......」

 

......もしかして地雷踏んだ?

 

八幡「い、いや、藍子を観に行くわけじゃなくてだn「藍子の舞台を観に行くって言ったじゃん!」......そうだが......」

 

加蓮「いつも藍子藍子って......少しは......アタシも見てよ......」

 

泣くなよ......

 

八幡「......なら、行くか? 加蓮も」

 

加蓮「......いいの?」

 

八幡「おう」

 

加蓮「うん!」だきっ

 

八幡「ちゃんと見てるからな」なでなで

 

加蓮「うん。ありがと......大好き」ぎゅぅ

 

八幡「......おう」

 

これは......どっちなんだろうな......

なんてことは言わん。さすがに気づくよな......

 

加蓮「ねぇ、八幡さん」

 

八幡「......なんだ?」

 

加蓮「......アタシも挑戦したい」

 

八幡「......何にだ?」

 

加蓮「新しいユニット」

 

八幡「......本気か?」

 

加蓮「うん。そのユニットでライブに出たい」

 

八幡「無理だ。時間が足りん」

 

加蓮「間に合わせるから!」

 

八幡「お前は良くても他はどうする」

 

加蓮「それは!......ごめん。」

 

八幡「......やりたいか?」

 

加蓮「......」コク

 

八幡「......待ってろ」

 

加蓮「え?」

 

......やるか、アレ。

 

 

 

 

八幡「......今全員呼んだ。」

 

加蓮「え? 何の話?」

 

加蓮に構想案と楽曲、歌詞を渡す。

 

加蓮「な、なにこれ......」

 

八幡「うちと765の差を考えててな......どちらにもない、新しい形だ。センターを立てるわけじゃない。だが、フロントの2人の圧倒的存在感。その中でバックの3人も最大限に活かす......難しいぞ。」

 

加蓮「......」

 

八幡「コンセプトは『愛』だ。笑顔じゃなく、観客に愛を届ける」

 

加蓮「......自分の中の愛を......届ける」

 

八幡「そうだ。気持ちを......全て歌にのせる」

 

加蓮「......」

 

八幡「......」

 

沈黙が続く。

 

「コンコンコン」

 

八幡「どうぞ」

 

「失礼します」

 

来たのは、佐久間、小日向、智絵里、李衣菜。

 

八幡「悪いな。急に呼んで」

 

李衣菜「大丈夫。このメンバーってことは.......アレ?」

 

八幡「おう。......確認したい。このメンバーで6月のライブに一曲仕上げられるか?」

 

智絵里「えっ......合同ライブまでに......ですか?」

 

八幡「ああ。本音を言ってくれ」

 

李衣菜「わたしはできると思う!」

 

佐久間「......はい。できます」

 

智絵里「わたしは......あまり自信ないです」

 

小日向「やりたいですけど......」

 

見事に半々。やっぱ無理か。

 

加蓮「......アタシはやりたい。挑戦したい! コレ見てから決めて!」

 

4人に構想案と歌詞を渡す。

 

加蓮「八幡さん、曲も聞かせて」

 

八幡「おう」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

次第に全員でゆっくりと歌い出す。......うん。いいな。コレならLIPPSよりも上に行ける。

 

八幡「......歌う時はだな......好きなヤツの事だけ考えろ。誰でもいい。1番大切な人の事だ」

 

加蓮「......うん」

 

佐久間「......はい」

 

智絵里「は、はい......(チラチラ)」ポッ

 

小日向「ふぁ......(ボフッ)」

 

李衣菜「......」

 

八幡「もう一度聞く。どうだ?」

 

智絵里「う、歌いたいです(チラチラ)」

 

小日向「わ、わたしも......」

 

八幡「3人も変わりないか?」

 

2人「うん!」

 

佐久間「はい。......まゆの愛......八幡さんに届けます♡」

 

八幡「そ、それはほどほどにしてくれ。」

 

加蓮「......どういう事?」

 

八幡「そ、それは佐久m「まゆです。」......さk「まゆです。」......まゆが勝手に言ってるだけだ。」

 

加蓮「ふ〜ん......藍子だけじゃないんだ......」

 

まゆ「まゆと八幡さんは......赤い糸で結ばれているんです......ほら......八幡さん......見えますよね?......そうですよね?」

 

八幡「お、俺にはさっぱり......」

 

まゆ「うふふっ......照れなくてもいいんですよ? まゆは全部わかってますから......」

 

「ぶちっ」

 

......今の何の音?

 

加蓮「......八幡」

 

八幡「......は? ど、どうs......」

 

加蓮「んむ......ちゅ......はぁん......ん......」

 

小日向「きゃっ......」

 

李衣菜「わぁ......」

 

智絵里「そ、そんな......」

 

まゆ「......」プルプル

 

加蓮「ぷはっ......八幡はアタシの......誰にも渡さない! 藍子にも......まゆにも!」

 

八幡「お、おい......」

 

加蓮「......アタシだけ見て」ウルウル

 

......なんだこいつ......こんなに可愛いかったのか......

 

八幡「......少し待ってくれ」

 

加蓮「うん。待ってる」

 

まゆ「......加蓮ちゃん。まゆ......負けませんから......八幡さんは......まゆの......まゆのものです......」

 

や、待ってね? 俺は誰のものでもないからね?

 

加蓮「八幡は......アタシのだから!」

 

加蓮まで⁉︎ 止めて! 2人を止めて!

 

3人「(ガタガタ)」

 

あ、ダメですね。

 

八幡「と、とりあえず落ち着け」

 

加蓮「うん。ごめん......」

 

まゆ「すみません......」

 

八幡「ま、まあ、時間はないが......頼んだ」

 

全員「はい(うん)っ!」

 

八幡「それと智絵里」

 

智絵里「は、はいっ!」

 

八幡「智絵里はエンディングからオープニングにシフトする。それなら負担は減るだろ?」

 

智絵里「は、はい。ありがとうございます!」

 

八幡「それと李衣菜」

 

李衣菜「うぇっ? な、何?」

 

八幡「お前にはリーダーを任せる」

 

李衣菜「う、嘘でしょ?」

 

加蓮「何でアタシじゃないの!」

 

まゆ「リーダーならまゆが!」

 

八幡「お前らは自我が強すぎだ」

 

加蓮「うっ......」

 

まゆ「......」しょぼん

 

八幡「この中じゃ李衣菜が適任なんだよ」

 

加蓮「......わかった」

 

まゆ「よろしくお願いします......」

 

八幡「スケジュールの調整はやっておく。まずはお前らでユニット名を決めろ。それと......コレはサプライズだ。言うなよ?」

 

5人「はい!」

 

八幡「おし、解散!」

 

 

さぁて......俺もいっちょ頑張りますか!

 

 

 

はぁ......いい天気ですね......

 

今日は藍子の舞台を観に行く日だ。参加者は藍子を除くアインフェリアのメンバーと加蓮。

 

と、まゆ。

 

最近まゆがマジで怖い。なんかだんだんと......ストーカーっぽくなってきている。なぜか俺の行くところに絶対にいる。......怖えよ。

ま、俺は舞台を楽しもう。4人にはできれば観に来た理由に気づいて欲しいが......

会場まではみんなでお散歩。右手はありすとつなぎ、左手は加蓮に抱きつかれ......背中にはまゆがまとわりつき......

 

周囲の男からは射殺すような視線を浴びる。

 

勘弁してくれ......

 

 

会場に着き指定された席に座る......

 

待て。

 

八幡「ちょっと加蓮ちゃん? 座るところ間違ってるからね?」

 

加蓮「え? 何のこと?」

 

八幡「いや、椅子に座れよ。何で俺に乗ってんだよ」

 

加蓮「嬉しいでしょ?」

 

八幡「いや、そう言う問題じゃないよね? 舞台見えないからね? あと周りの視線考えようね?」

 

加蓮「はぁい」

 

ふぅ......やっと普通に座ってくれた......

 

まゆ「八幡さんの隣が......」

 

ちなみに俺の右はありすが陣取っている。コレは頼んだことだ。加蓮とまゆに挟まれたら舞台どころじゃなくなる......

 

今回は藍子と日野を中心に観ていこう。前は未央に集中してたしな......

 

はじまった......

 

 

 

 

......うむ。やはり名作だ。何度観てもいい。それにしても......藍子は本当に表情豊かだ。それを曲にも出せばもっとよくなるんだが......

 

八幡「んじゃ、楽屋にいく......のは後にするか」

 

全員ボロ泣き状態。すぐには無理ですね。はい。

 

加蓮「なんで八幡は平気なの!......ズッ......」

 

八幡「俺2回目だし......原作も読んでたしな......」

 

加蓮「......ずるい。アタシばっかり泣顔見られてる......」

 

八幡「俺の泣顔なんか見てもしょうがねえだろ......それに、加蓮の泣き顔も可愛いぞ」

 

加蓮「っ!!......バカ......」

 

ありす「お兄さん、連れて来てくれて......ズズッ......ありがとうございます」

 

八幡「おう。どうだった?」

 

ありす「......とてもよかったです。あと......突然来た理由がわかりました」

 

八幡「......そうか。ならよかった」なでなで

 

ありす「〜〜♪」

 

八幡「......そろそろ落ち着いたか?」

 

全員「はい(うん)っ!」

 

八幡「んじゃ、楽屋に挨拶行くか」

 

全員「おー!」

 

 

 

スタッフさんに挨拶して楽屋まで案内してもらう。前も思ったが新鮮だな......

 

 

八幡「うーす。おつかれさん」

 

未央「あ! 来てくれたんだ!」

 

八幡「おう。みんなもいるぞ」

 

全員「お疲れ様でした!」

 

未央「うぅ......嬉しいよ......」

 

藍子「八幡さん!」にぎっ

 

八幡「藍子もおつかれさん。よかったぞ。」

 

藍子「八幡さんにそう言ってもらえるのが1番嬉しいです......」スリスリ

 

未央「あ、あーちゃん? 何をしてるのかな?」

 

藍子「え? 特に何も......」

 

未央「ハッチーの手!」

 

藍子「何かおかしい?」

 

未央「おぉぅ......少しの間にこんな......」

 

加蓮「......藍子、今は譲る」ムスー

 

藍子「加蓮ちゃんの許可は必要ないよね?」ニコニコ

 

加蓮「......」

 

藍子「......」

 

と、止めて! 誰か止めて!

 

日野「比企谷さんお疲れ様です! 来てくれてありがとうございます!」

 

救世主はお前か!

 

八幡「おつかれさん。日野も前見たときよりよかったな」

 

日野「そうですか! ありがとうございます! 頑張ってきた甲斐がありますね!」

 

八幡「新ユニットもあって......大変だよな。すまん」

 

日野「いいえ! 毎日充実してます」

 

八幡「そうか。ならよかった」なでなで

 

日野「おぉっ! コレが噂のなでなで......ですか......こ、コレはなかなか......」とろ〜ん

 

未央「は、ハッチーストップ!」

 

八幡「ん?」

 

日野「はっ! 一体なにが......」

 

加蓮「......」じー

 

藍子「......」じー

 

未央「あちゃ〜......」

 

八幡「......そうだ。美波、差し入れを......」

 

美波「このタイミングで⁉︎」

 

夕美「無理矢理だなぁ......」

 

美波「もう......はい、未央ちゃん。みんなでどうぞ」

 

未央「ありがとう! ミナミン! こ、コレは......」

 

美波「実は私も中身は知らないの......」

 

未央「ご......」

 

美波「ご?」

 

未央「ゴージャスセレブプリン⁉︎」

 

全員「えっ⁉︎」

 

おぉぅ......すげえ反応だな......

 

未央「ミナミンこれ......」

 

美波「八幡君!」

 

八幡「ああ、朝一で駄犬に並ばせた」

 

夕美「駄犬?」

 

八幡「高町だ」

 

夕美「ついに犬扱い......」

 

八幡「駄をつけろ駄を。犬に失礼だろ」

 

夕美「そこまで⁉︎」

 

ありす「......」じー

 

八幡「まあ、他の共演者さんと食ってくれ」

 

ありす「お兄さん......」クイクイ

 

八幡「......未央、ありすに一個やってくれ」

 

未央「う、うん」

 

ありす「ありがとうございます!」パァ

 

5人「......」じー

 

5人の視線がありすの手......もといプリンに集中してる......

 

ありす「い、いただきます」

 

5人「......(ゴクリ)」じー

 

ありす「......パク......んん〜♪」

 

5人「あぁっ!」

 

ありす「とってもおいしいですっ♪」

 

加蓮「八幡! アタシの分は!」

 

八幡「......ない」

 

加蓮「そんなぁ......」

 

八幡「帰りにポテト買ってやるから」

 

加蓮「......うん」

 

藍子「わ、私もいただいていいですか?」

 

未央「私も!」

 

八幡「おう。日野もな。それとみんなにも配ってこい」

 

日野「ありがとうございます! いただきます!」じゅる

 

藍子と日野にプリンを渡して未央は駆け回る。......急がんでもプリンは逃げねえよ。

 

ありす「文香さん、どうぞ」

 

文香「......よろしいのですか?」

 

ありす「はい!」

 

文香「......では......はむ............おいしいですね......」キラキラ

 

ふ、文香さんの笑顔が眩しい! 浄化されるぅ!

 

ありす「皆さんも」

 

4人「ありがとう! ありすちゃん!」

 

みんなで回し食べ。幸せそうですね。

すると......監督さんが挨拶に来てくれた。あなたも嬉しそうですね。すげえなプリン......

 

藍子「八幡さん」

 

八幡「ん?」

 

藍子「はい、あ〜ん♪」

 

八幡「......は?」

 

藍子「あ〜〜ん♪」

 

ま、周りから視線が......スタッフさんたち!そんな期待のこもった目で見ないで!

 

藍子「あ〜ん♪」ニコニコ

 

さ、さからえん......

 

八幡「あ、あーん......うん。うまい」

 

「きゃーーー!」「藍子ちゃんやるなー!」

 

加蓮「......ふんっ!」ゲシゲシ

 

まゆ「......」ギュー

 

この後加蓮に蹴られ続け、まゆにつねられ続けた。

 

解せん。

 

 

 

舞台を観に行った後、アインフェリアのパフォーマンスは劇的に変わった。ダンスにも歌声にも幅が広がり、ほぼパーフェクトと言った状態。もちろん聖さんにもお墨付きをもらえた。よって後は最終調整のみ。

んじゃ、聖さんには次に行ってもらいますか......

 

八幡「聖さん、少しお話しがあります」

 

聖「嫌な予感しかしないな......」

 

八幡「前に話したユニットの件ですが......」

 

聖「ライブ後にデビューさせる予定のユニットか?」

 

八幡「......予定変更です。アレもライブにぶつけます」

 

聖「無茶苦茶だ......彼女たちは?」

 

八幡「やる気ですよ」

 

聖「......わかった。間に合わせる」

 

八幡「ありがとうございます」

 

これで今は問題ない。次は麗さんだな。

 

 

そうか......今日は合同練習日だったか......

おぉ......765さんのみんながついていけてる......大したもんだな......

指導中の麗さんと目が合い、少し時間をくれとジェスチャーで伝える。「(コクリ)」

 

麗「よし! 一旦休憩!」

 

ぐで〜んとなるみんな。少し休んでくださいな。

 

八幡「智絵里、唯! 話がある、来てくれ」

 

 

 

麗「比企谷、何の話だ?」

 

八幡「編成の変更です。唯、お前には765の曲をやってもらう。智絵里と交代だ」

 

唯「え? 何でいきなり?」

 

八幡「事情があってな。それにあのメンバーの中でお前のダンスはピカイチだ。それに期待したい」

 

唯「うん! 八幡ちゃんに言われたら断れないよ!」

 

八幡「よろしくな」

 

唯「うん! まっかせて〜!」

 

八幡「頼んだ。んじゃ、唯は休憩に戻ってくれ」

 

唯「は〜い♪」

 

麗「......どう言う事だ?」

 

八幡「......新ユニットを立ち上げます」

 

麗「無茶苦茶だ......」

 

八幡「聖さんにも同じ事言われましたよ」

 

麗「そのユニットに緒方が入っている。だから慣れていて負担の少ない曲にシフトか」

 

八幡「はい。急ですみません」

 

麗「......緒方は大丈夫か?」

 

智絵里「はい! やってみたいんです!」

 

麗「わかった。だが、こちらも手を抜くなよ?」

 

智絵里「はい! よろしくお願いします!」

 

八幡「んじゃ、智絵里も戻ってくれ」

 

智絵里「はい! 失礼します!」

 

麗「......かなり厳しいぞ」

 

八幡「わかってます。本来ならライブ後にデビューさせるつもりだったんですよ」

 

麗「ならなぜ......」

 

八幡「本人たちの希望です。......コレ見てください」

 

麗「......まったく......難易度は既存曲の比じゃないぞ......」

 

八幡「見せて諦めさせようとしたんすけど......」

 

麗「逆に火がついたか?」

 

八幡「ええ」

 

麗「当然だ。コレを見て燃えなかったら失格だよ。......比企谷、音源と譜を準備してくれ」

 

八幡「あります」すっ

 

麗「さすがだな」

 

八幡「いいんすか?」

 

麗「......私も見てみたい」

 

八幡「お願いします」

 

麗「聖には歌を、ダンスは私が担当する」

 

八幡「ありがとうございます」

 

麗さんの引き込みにも成功した......

 

さて、レッスンの見学でもしますかね。

 

 

踊り続けるアイドルたち。ホントすげえ運動量......

 

ん?萩原さん......顔色が悪いな......しかもやけに辛そうだ。......止めるか。

 

八幡「すまん。一旦止めてくれ」

 

麗「なんだ?」

 

八幡「......萩原さん、ちょっと来てくれ」

 

萩原「は、はい......」

 

八幡「止めてすんません。どうぞ」

 

唯「あっ! なるほどね〜!」

 

八幡「......」

 

萩原「あ、あの......」

 

おでこに手を当てる。

 

萩原「ひゃっ......」

 

......異常な熱さだ。

 

八幡「座って待ってろ」

 

萩原「ヒッ! はい......」

 

無理しやがって......倒れたらどうすんだよ!とりあえず少し休ませてから医務室だな。冷やピタは〜......あったあった。

 

八幡「萩原さん、寝転がれ」

 

萩原「え? えええっ?」

 

八幡「早くしろ」

 

萩原「ヒッ! はいぃ!」

 

......このままじゃ辛いか。恥ずかしいが......

 

八幡「頭上げてくれ」

 

萩原「......こう......ですか?」

 

八幡「おう。んしょ......下ろしていいぞ」

 

萩原「はい......えええ⁉︎」

 

八幡「じっとしてろ」

 

おでこにペタリ。

 

萩原「ひゃぅっ!」

 

なんだそれ......かわいいな......

 

八幡「体調悪いなら無理すんなよ」なでなで

 

萩原「えっ......はぅ......気づいてたんですか?」

 

八幡「顔色悪いじゃねえか。ハードなレッスンなのに汗も少ねえし。明らかにおかしいだろ」なでなで

 

萩原「......すみません」

 

八幡「倒れてからじゃ遅いからな」

 

萩原「......はい。ありがとう......ございます」

 

八幡「目閉じてろ。寝ていいから」

 

萩原「......はい」

 

......そういや萩原さんて男苦手だったよな?......ヤバイ?

 

萩原「......すー......」

 

......大丈夫そうですね。

 

 

 

安眠ですね。......寝顔めっちゃ可愛いな。うむ765プロの天使に任命しよう。

 

秋月「すみません! 遅くなりました!」

 

八幡「あ、ども。お疲れっす」

 

秋月「ヒィッ! って......比企谷君か......脅かさない......で......よ?」

 

八幡「あ、あそこにある大きめのタオル取ってくれ」

 

秋月「う、うん」

 

八幡「サンキュー」パサッ

 

萩原「んん......」

 

秋月「......ねえ、どう言う事?」

 

八幡「体調不良だな。多分熱中症だろ」なでなで

 

秋月「えっ......大丈夫なの!」

 

八幡「おう。倒れる前に休ませた」なでなで

 

秋月「ほっ......よかった〜」

 

八幡「ちゃんと指導しろよ。止めなきゃ倒れてたぞ」なでなで

 

秋月「うっ......面目無い」

 

八幡「頼むぞ先輩」なでなで

 

秋月「うぐっ......気をつけさせます。でも......雪歩が......ねえ?」ニヤニヤ

 

八幡「なんだよ......」なでなで

 

秋月「膝枕に頭なでなでですかぁ......」

 

八幡「いつのまに......」

 

撫でるのをやめる。

 

萩原「......うぅ......うぅぅ......」

 

なでなで。

 

萩原「......ふぁ......」にへ〜

 

秋月「......ねえ、なんで?」

 

八幡「......知らん」なでなで

 

秋月「......幸せそうな顔しちゃって」

 

八幡「......もしかして起きるまでこのまま?」

 

秋月「よろしく〜♪」

 

八幡「よし、起こそう」

 

秋月「待った!」

 

八幡「なんだよ......」

 

秋月「......起こす前に写真撮らせて!」

 

八幡「天使の寝顔を......」

 

秋月「ええ、そうよ!」

 

八幡「......俺にもくれ」

 

秋月「......あとで送るわ」

 

八幡「頼んだ」

 

秋月「ふふ〜ん♪」パシャリ

 

八幡「......どうだ?」

 

秋月「......」プルプル

 

震えながら画面を見せてくる。

 

八幡「......ゴフッ......コレは......ヤバイな」

 

秋月「......ええ。ありがとう、比企谷君」

 

八幡「ああ」

 

亜美「にいちゃんたち......」

 

真美「何やってんの?」

 

......いつのまにか休憩に入っていたようだ。天使の寝顔に見惚れて気づかなかったぜ......

 

八幡「い、いや、なんでもない」

 

秋月「そうよ。なんでもないわ......」

 

真「八幡さん! 雪歩は?」

 

八幡「多分熱中症だ。熱も引いてきたし起きれば元気になってるだろ」なでなで

 

萩原「......♪」

 

真「雪歩可愛い......」

 

だよな!

 

智絵里「八幡さんのなでなで......いいなぁ......」

 

亜美「にいちゃんにいちゃん!」

 

八幡「ん? どした?」

 

亜美「亜美もなでて!」

 

真美「真美も!」

 

八幡「あ? ヤダよ」

 

亜美「え〜!」

 

真美「なんで!」

 

八幡「めんどい」

 

水瀬「本当にめんどくさそうに言うわね......」

 

八幡「そうだな......水瀬のデコをペシらせてくれたら考える」

 

水瀬「なっ! あんたね!」

 

亜美「どうぞどうぞ......」

 

真美「つまらないデコですが......」

 

如月「ぷふっ......」プルプル

 

水瀬「ちょっと! 離しなさいよ!」

 

星井「美希もペシるの〜!」

 

唯「ゆいもやる〜♪」

 

水瀬「あんたたちまで⁉︎」

 

八幡「よし......遠慮なく......」

 

水瀬「ちょっと......ちょっとぉ!」

 

八幡「......なんてな。冗談だ」なでなで

 

水瀬「あっ......ふぁ......」

 

星井「デコちゃん気持ち良さそうなの〜......」じー

 

唯「ホントだね〜......」じー

 

コイツら......いろいろ似てんな。言動とか......お山様とか......

 

星井「ねーねー! 美希もなでなでしてなの〜!」

 

唯「ゆいも〜! ね、いいでしょ!」

 

八幡「......後でな」

 

萩原「んう......あれ......私......」

 

八幡「おう、体調はどうだ?」なでなで

 

萩原「はぅ......もう、大丈夫ですぅ......」

 

八幡「ならよかった」ニコ

 

萩原「はわっ! あ、ありがとうございます......」ポッ

 

八幡「起きられるか?」

 

萩原「は、はい......」

 

八幡「ゆっくりな」

 

萩原「......だ、大丈夫です」

 

八幡「よし。......んじゃ、次は立ってみるか」

 

萩原「は、はい......」

 

八幡「......ほれ」

 

萩原の向かって手を差し出す。俺の顔と手を交互に見てるが......何か変?

 

萩原「し、失礼します」

 

おずおずと手を握ってくる。......指細っ!

 

八幡「一気に立つなよ?」

 

萩原「はい......大丈夫で......」フラッ

 

八幡「おっと......セーフだな。まだ休んでろ」

 

萩原「はい......」

 

亜美「にいちゃんホントに王子みたいだな......」

 

真美「うんうん」

 

八幡「こんな目つきの悪い王子がいてたまるか......」

 

響「そうか? 言うほど悪くないぞ?」

 

メガネを外し......

 

八幡「コレでもか?」

 

11人「ヒィッ!」

 

響「わ......悪く......ない......ぞ?」

 

八幡「ちゃんと俺の目を見て言ってもらおうか?」

 

響「......ごめんなさい」

 

真「......カッコいい......」ポッ

 

唯「あーあ。コレはもうダメだね〜」

 

美波「まったく......すぐこれなんだから......」

 

みく「また1人はっちゃんの毒牙に......」

 

八幡「あ? みくいたの?」

 

みく「にゃっ⁉︎ 最初からいたにゃ!」

 

八幡「すまんすまん。耳しか見えなかったわ」

 

みく「逆に怖いにゃ!」

 

八幡「萩原大丈夫か?」

 

萩原「は、はい......」

 

みく「無視⁉︎」

 

如月「ぷっ......」

 

みく「しかも笑われたにゃ!」

 

八幡「うるさいぞみくポン」

 

みく「みくは猫ちゃんにゃ! たぬきじゃない「ぽん」にゃっ⁉︎ 唯チャン⁉︎」

 

唯「みくポンだぽ〜ん♪」

 

如月「ぷっ......ぷふっ!」

 

みく「千早チャンも笑いすぎにゃ!」

 

秋月「すごいイジリね......」

 

みく「好きでいじられてるw「いつまで遊んでる!」おぉぅ......」

 

麗「前川......お前か......」

 

みく「違うにゃ! 全部はっちゃn「口答えとはいい度胸だな」......」

 

八幡「まあまあ、好きにしていいんで許してやってください」

 

麗「仕方ない。今回だけだ」

 

秋月「ゆ、許されてないような......」

 

八幡「......気のせいです」

 

みく「......」

 

八幡「ほれ、もうちょい頑張ってこい」

 

全員「はい!」

 

レッスン終了後......一体の猫の屍が出来上がった......

 

 

八幡「んじゃ、気いつけて帰れよー」

 

秋月「比企谷君、今日は本当にありがとう」

 

八幡「何のことだ?」

 

秋月「雪歩の事よ」

 

八幡「あぁ。気にしないでいい」

 

萩原「それでも!......ありがとうございます!」

 

八幡「ま、無理はすんなよ。身体が資本だからな」

 

萩原「はいっ! あの......」

 

八幡「ん? どした?」

 

萩原「......私も......お名前で呼んでも......いいですか?」

 

八幡「お、おう。かまわん」

 

萩原「ありがとうございます! それで......その......」モジモジ

 

八幡「......またな。雪歩」

 

雪歩「っ!! はいっ! 八幡さん!」

 

亜美真美「にいちゃんじゃあなー!」

 

八幡「転ぶなよー」

 

765さんまた明日......

 

ライブまであと1ヶ月......

 

間に合うかな......



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26話√?

さて......どうしたもんか......

整理してみよう。LIPPSにアインフェリア。TPの新曲に新ユニットのMasque:Rade

それと765さんが来た時の付き添い......

 

時間がまったく足りねえ......

 

どうする......大学休むか?......しかねえよな。

 

八幡「うぅぅ.......」

 

凛「......大丈夫?」

 

八幡「お? おぉ。大丈夫だ......」

 

奈緒「そうは見えないけど......」

 

凛「やっぱり忙しい?」

 

八幡「いや、問題n「嘘だね」......」

 

凛「ねえ、加蓮も忙しそうだけど......何かやってるの?」

 

八幡「......」

 

奈緒「なあ、あたしたちにも関係してくるんだからさ......教えてくれよ」

 

凛「言えない事?」

 

八幡「......わかった。ついてこい」

 

2人を引き連れとあるレッスンルームへ。

......あの地獄へ。

 

八幡「いいか。絶対に声出すなよ」

 

奈緒「それフリか?」

 

八幡「いや、マジだ。邪魔したら麗さんに何されるかわからんぞ」

 

凛「......わかった」

 

目的の扉を開けた瞬間......

 

「同じミスをするな! そんなんじゃ間に合わないぞ!」

 

2人「(ビクッ)」

 

そのまま2人を連れて中へ。

まさに地獄。

 

中には涙を流しながら踊る5人。

凛も奈緒も口を押さえて泣きそうになっている。尚も麗さんから怒鳴り声が続く。

 

クイクイと袖を引かれる。......出るか。

 

 

 

奈緒「な、なぁ......なんだよアレ......」

 

凛「異常だよ! 何やってるの!」

 

八幡「......」

 

奈緒「なあ!」

 

八幡「わかんねえか?」

 

凛「どう見たって普通のレッスンじゃない。ちゃんと教えて」

 

八幡「......新ユニットだ」

 

奈緒「そんなのは見ればわかるよ! なんであんな......」

 

八幡「......もともとはライブ後の予定だった。だがな......あいつらの希望でライブで披露することになった」

 

凛「何で!」

 

八幡「......加蓮の希望だ」

 

奈緒「加蓮の?」

 

八幡「ああ。冒険したいって言うな」

 

凛「っ!」

 

奈緒「何で今!」

 

凛「......八幡、私たちはどうすればいい?」

 

奈緒「凛⁉︎」

 

八幡「......支えてやってくれ。だが、甘やかすな」

 

凛「うん。わかった」

 

奈緒「何だよそれ! アレじゃ加蓮が......」

 

凛「......止めないよ」

 

奈緒「何で! わかんないよ......」

 

凛「私もわかるから。......TPをやるって決めた時と一緒」

 

奈緒「あっ......」

 

八幡「信じて待ってろ。加蓮ならやり遂げる」

 

凛「うん」

 

奈緒「でもあたしらの新曲だって......」

 

凛「きっと大丈夫。多分だけど......もっとよくなると思う」

 

八幡「俺もだ。奈緒、お前も気を抜くな」

 

奈緒「わかってるけどさ......」

 

八幡「そうじゃない。ソロのレッスンでレベルを上げてくる凛、新ユニットで一皮向けた加蓮。......今のままじゃお前浮くぞ」

 

奈緒「なっ!」

 

八幡「お前次第になる。TPを生かすも殺すも」

 

奈緒「......センパイ、あたしが受けられるレッスンあるか?」

 

八幡「おう。用意してある」

 

凛「準備いいね」

 

八幡「遅かれ早かれ、こうなるのはわかってたからな」

 

凛「そっか」

 

奈緒「あたしだってやるときはやるんだからな!」

 

凛「知ってるよ」

 

八幡「ヘタレだけどな」

 

奈緒「それは今言うなよ!」

 

八幡「モフモフしていいか?」

 

奈緒「いきなり何⁉︎」

 

凛「私もしたい」

 

奈緒「凛もかよ⁉︎」

 

八幡「よーしよしよし......」なでなでモフモフ

 

凛「よーしよしよし......」なでなでモフモフ

 

奈緒「や、やめろぉ......」

 

凛「そういえば八幡の方は?」なでなでモフモフ

 

八幡「......大学休むしかねえな」なでなでモフモフ

 

奈緒「お、おい......」

 

凛「それでなんとかなるの?」なでなでモフモフ

 

八幡「......するしかねえよ」なでなでモフモフ

 

奈緒「い、いい加減に......」

 

凛「誰かいないの? プロデューサーもキツそうだし......」なでなでモフモフ

 

八幡「武内さんもか......」なでなでモフモフ

 

......仕方ねえ、アイツらに頼むか。

 

八幡「とりあえず......専務に許可もらわねえとだな......」なでなでモフモフ

 

奈緒「もういいや......」

 

凛「あてはあるんだ」なでなでモフモフ

 

八幡「一応な」なでなでモフモフ

 

凛「なら良かった。............これクセになるね」なでなでモフモフ

 

八幡「だろ?この前からハマってんだ」なでなでモフモフ

 

凛「......」なでなでモフモフ

 

八幡「......」なでなでモフモフ

 

奈緒「うぅ......」

 

加蓮「......何やってんの?」

 

凛「......やる?」

 

八幡「......気持ちいいぞ」

 

加蓮「......やる」

 

奈緒「増えた⁉︎」

 

凛「......」なでなでモフモフ

 

八幡「......」なでなでモフモフ

 

加蓮「......いいねこれ」なでなでモフモフ

 

奈緒「もうやだ......」

 

加蓮の休憩が終わるまで3人でモフってました。てへっ。

 

 

 

 

専務に現状を話し、ライブ終了までバイトを雇う事を了承してもらった。CPとクローネで各1人。人選は俺の判断。

ならアイツらだろ。

 

八幡「雪ノ下! お前が必要だ!」

 

赤門の前で頭を下げる男がいる。

 

俺だ。

 

雪ノ下「ひ、比企谷君......その......気持ちは嬉しいのだけれど......場所を選んでもらえるかしら?」

 

八幡「場所なんか関係ねえ! 本気だ!」

 

雪ノ下「......ええ。わかったわ。その......は、八幡君」ポッ

 

「雪ノ下さんがOKした......」「う、嘘だろ......」「誰だアイツ......」「そんな......」

 

八幡「おう! じゃ、ついてきてくれ!」

 

雪ノ下の腕を掴み走り出す。

目的地は勿論......

 

 

 

八幡「武内さん! 優秀なアシスタントを連れてきました!」

 

武内「ありがとうございます。......たしか、雪ノ下さん......でしたよね?」

 

雪ノ下「は、はい。雪ノ下雪乃です」

 

武内「よろしくお願いします」

 

雪ノ下「......すみません。少しおまちいただけますか?」

 

武内「はい」

 

雪ノ下「比企谷君。これはどういう事かしら?」

 

八幡「あ? 言っただろ? お前が必要だって」

 

雪ノ下「そう......アシスタントとして私が必要という事ね?」

 

八幡「おう。お前は優秀だからな。来てくれてマジ助かったわ」

 

雪ノ下「ふっ......ふふふっ......」

 

八幡「ど、どうした?」

 

雪ノ下「ふふふっ......滑稽な自分に笑っているのよ。わかったわ引き受けましょう。一度受けてしまったもの。ただ比企谷君......」

 

八幡「な、なんだ?」

 

雪ノ下「覚えてなさい」ニッコリ

 

八幡「ヒィィィィ!」

 

雪ノ下「武内さん、よろしくお願い致します」

 

武内「こちらこそ。非常に助かります」

 

八幡「じ、じゃあ、武内さん。雪ノ下のことよろしく頼んます」

 

武内「はい」

 

に、逃げろ!

 

 

 

雪ノ下「......彼はどこへ?」

 

武内「比企谷さんは現在クローネのプロデューサーですので、こちらにはいません」

 

雪ノ下「そうですか......あの男......」

 

 

 

CPのヘルプは確保した。あともう1人......

 

Prrrrr......

 

『......我だ』

 

八幡「あ、すみません間違えました」

 

やべえ......着信欄の上にあったから間違えちまった......

 

Prrrrrrr......

 

『はーい♪ 愛しのいろはちゃんですよ〜♪』

 

八幡「......あざとい」

 

一色『あざとくないですぅ〜』

 

八幡「ま、そんなことはどうでもいい」

 

一色『どうでもいいって......で、急にどぉしたんですか?』

 

八幡「お前、バイト探してたよな?」

 

一色『はい。でもなかなかいいのなくって困ってたんですよぉ〜。せんぱいが紹介してくれればなぁ......』

 

八幡「ほう......じゃあ、やるか?」

 

一色『え? マジですか! せんぱいと同じ職場ですかやりますこれもう告白ですよねでも直接言って欲しいので今回は無理ですごめんなさい』

 

八幡「なんで俺フラれてんの? 意味わからん。......まあいい。んじゃ、今時間あるか?」

 

一色『はい! ちょぉヒマです!』

 

八幡「なら346プロまで来てくれ!」

 

一色『......え?』

 

八幡「ん? 場所わかんねえか?」

 

一色『いやいやいやいや、それ以前にどうして......』

 

八幡「あ?んなの俺の職場だからだ。んじゃ、待ってるわ。着いたら電話してくれ」

 

一色『ちょっt......

 

よし......もう1人もゲットだぜ! いろはすゲットだぜ! なんで由比ヶ浜じゃないかって? んなの......察しろ。

 

 

Prrrr......

 

八幡「はい」

 

材木座『我だ。酷いd「あ、リアル間違いなんだわ。じゃな」ま、まてh......

 

Prrrr......

しつけえな......あ、一色だった。

 

八幡「おう、着いたか?」

 

一色『は、はい......あ!川島瑞樹さん......』

 

八幡「とりあえず受付でパスもらってくれ。クローネの比企谷に呼ばれたって言えばもらえる」

 

一色『わ、わかりました......早く来てください! 緊張して......』

 

八幡「おう。すぐ行く。じゃな」

 

加蓮「どこに行くの?」

 

八幡「おぉぅ! 加蓮か......いきなり話かけんなよ......」

 

加蓮「ごめんね。お客さん?」

 

八幡「いや、臨時のバイトだ」

 

加蓮「ね、アタシも行っていい?」

 

八幡「時間は......あるな。かまわん」

 

加蓮「やった♪」だきっ

 

八幡「おい......」

 

加蓮「......久しぶりだね」

 

八幡「......だな。身体大丈夫か?」

 

加蓮「うん。でもちょっと挫けそうだから......充電させて」

 

八幡「......おう」

 

加蓮「〜〜♪」

 

......可愛いな。すげえ可愛い。

 

 

 

加蓮をぶら下げてエントランスに到着し、受付で一色の居場所を確認。......いた。

ぷふっ! ガッチガチに緊張してやんの。

 

加蓮「ねえ......女なの?」

 

八幡「まあな。高校の時の後輩だ」

 

加蓮「ふーん......」ギュウッ

 

八幡「ねえ、なんでつねられてんの?」

 

加蓮「知らないっ!」

 

加蓮様ご立腹です!

 

八幡「おう、待たせたな」

 

一色「もう! 遅いですせんぱ......い......」パクパク

 

八幡「え? なに? 池の鯉にでもなったの?」

 

一色「ほ、ほうじょ......北条加蓮ちゃん⁉︎ 腕組んで......ええ⁉︎」

 

加蓮「北条加蓮、八幡の彼女ですっ♪」

 

一色「か、かのっ!」

 

八幡「待ってね? 今さらっと嘘ついたよね? どうしたの?」

 

加蓮「待っててくれって事は......そういうことでしょ?」

 

八幡「いや、それh「どういう事ですかせんぱいっ!」......少しボリューム下げろって」

 

一色「す、すみません。ちょっと追いつかなくて......」

 

八幡「とりあえずPR行くぞ」

 

一色「あ、はい」

 

PRに向かいながら武内さんに連絡し、ちひろさんと雪ノ下も一緒に連れてきてもらう。高町も一旦戻るよう指示。40秒で戻ってきな! と言ったら「そりゃないよママ......」と返ってきた。......キモい。

 

俺たちとほぼ同時に武内さんたちも到着。中には......奈緒と唯か。ついでだ紹介しておこう。

 

八幡「まずはだが......雪ノ下、一色、急で申し訳ない」

 

最敬礼。2人とも本当にありがとう!

 

八幡「今765プロとの合同ライブの件で立て込んでて、ここにいる4人じゃどうにもならなくてな。......頼む、力を貸してくれ」

 

雪ノ下「比企谷君......」

 

一色「せんぱい......」

 

武内「どうか、よろしくお願いします」

 

2人「お願いします」

 

雪ノ下「......先ほども言いましたが、私は協力させていただきます」

 

一色「......わかりました。せんぱいからのお願いなんて初めてですから......私もやらせていただきます」

 

八幡「すまん! 助かる!」

 

まずは俺たちの立場を説明。2人とも俺の役に大層驚いていた。そして高町......

 

高町「お、お久しぶりです。雪ノ下さん」

 

雪ノ下「......たか......高田さんだったかしら?」

 

高町「高町です......」

 

八幡「ぶふっ!」

 

高町「いや、師匠も最初高何とかって言いましたからね?」

 

2人「ぷっ......」

 

八幡「いや、すまん横田」

 

高町「誰ですか⁉︎」

 

全員「ぷふっ!」

 

八幡「冗談だ」

 

雪ノ下「......随分と変わりましたね」

 

高町「はい。師匠のおかげです」

 

一色「あの......お2人は......」

 

八幡「同じ大学だ。んで、高町が雪ノ下n「しっしょーう! そーれは言わなくていいんですよぉ?」......だそうだ」

 

雪ノ下「彼に告白されたのよ」

 

全員「......」

 

一色「うわぁ......」

 

高町「......ぐすん」

 

奈緒「ゆ、雪ノ下センパイにいろはセンパイ......」

 

一色「あ、奈緒ちゃん久しぶり!」

 

奈緒「お、お久しぶりです!」

 

唯「あれ? 奈緒ちゃんの知り合い? あ、ゆいは大槻唯だよ〜♪」

 

雪ノ下「よろしく。大槻さん。私達は同じ高校よ。神谷さんは後輩になるわ」

 

加蓮「あ! 奈緒がいつも言ってた......超絶美女と美少女生徒会長!」

 

雪ノ下「......恥ずかしいわね」

 

一色「美少女生徒会長って......」

 

加蓮「あ! アタシ北条加蓮です。よろしくお願いします」

 

雪ノ下「ええ、よろしく。北条さん」

 

八幡「......まあ、他にもいるが順次紹介して行くわ。んで、2人にやってもらいたいのは......」

 

武内「CP側は私の補佐です。アイドルの付き添いやスケジュール管理となります」

 

雪ノ下「わかりました」

 

八幡「クローネ側は事務処理がメインだ」

 

一色「だから私なんですね」

 

八幡「て事だ。かなりバタバタしちまうが、少し我慢してくれ。わからない事があれば俺たちに聞いてくれていい。あやふやなままの作業はしないように。いいか?」

 

雪ノ下「ええ」

 

一色「はい」

 

八幡「んじゃ、よろしく頼む。高町、2人に主要箇所を案内してくれ」

 

高町「わかりました」

 

八幡「......雪ノ下」

 

雪ノ下「何かしら」

 

八幡「......迷子になるなよ?」

 

雪ノ下「......任せてちょうだい」

 

八幡「一色、首輪とリードつけとけ」

 

一色「......できるわけないじゃないですか」

 

ちひろ「......私も行きますね」

 

八幡「すんません」

 

 

一応人員は揃えた。業務に関してはだいぶ楽になるだろう。あとは......

 

 

雪ノ下が迷子にならないかが1番の問題だな。

 

 

 

 

 

2人が来るようになってから、単純に業務が楽になった。さすが一色。事務仕事はお手の物だ。

武内さんもだいぶ余裕が出来たと聞いている。早速雪ノ下は役に立っているらしい。まぁ......暇ができるとみくを愛でているらしいが......変わってねえ。

......志希に会わせたらどうなるか気になるな。

 

そしてライブまで残り2週間となった本日、麗さんに呼び出された。場所はいつものレッスンルーム。さて......どっちだろうか......

 

八幡「......うす」

 

麗「来たか。ここに座れ」

 

八幡「はい」

 

それだけ言って麗さんは離れる。

 

そして......

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

八幡「......」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

八幡「......」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 

......終わった。

 

麗「......どうだ?」

 

八幡「......」

 

5人「......」

 

八幡「......最高ですね。震えましたよ」

 

麗「だろう? 私も驚いてるよ。」

 

八幡「お前ら......」

 

5人「......」

 

八幡「サイッコーだ!」

 

加蓮「ホントに!」

 

八幡「ああ!」

 

まゆ「嬉しいです......」

 

小日向「頑張った甲斐がありました!」ポロポロ

 

李衣菜「こんなに嬉しいの初めて!」

 

智絵里「本当に嬉しいです!」

 

八幡「間違いない!......早くみんなに聞かせてやりてえな」

 

加蓮「うん!」

 

八幡「みんな本当によく頑張ってくれた!」

 

5人「はい!」

 

麗「私も同意見だ。あとは細かいところの修正をして行く。最後まで気を抜くなよ!」

 

5人「はい!」

 

麗「比企谷、レッスンの頻度は落としていい。他もしっかり仕上げろ」

 

八幡「当然ですよ」

 

麗「楽しみだな」

 

八幡「ええ」

 

ようやくMasque:Radeの目処がついた。......何とか間に合ったな。だが、加蓮はTP。小日向はPCSもある。

 

八幡「小日向」

 

小日向「はい?」

 

八幡「PCSの仕上がりはどうだ?」

 

小日向「問題ありません! ここに参加させてもらってから、すっごく調子がいいんです!」

 

八幡「そうか。なら良かった」

 

小日向「八幡さんには本当に感謝してます!」

 

八幡「お、おう......なあ、なんでいきなり名前呼び?」

 

小日向「えっと......呼びたいからじゃ......ダメですか?」

 

八幡「べ、別に構わんが......」

 

小日向「ずっと気にしてくれて......私を成長させてくれて......八幡さんにこの歌を届けたいって......そう思ったんです!」

 

あ、あれ? なんかまずくね?

 

八幡「お、お前、プロデューサーが好きだったんじゃ......」

 

小日向「八幡さんもプロデューサーさんですよね!」

 

八幡「いや、そういう意味じゃなく......」

 

小日向「わたしのことも......美穂って呼んでください......」

 

八幡「み......美穂?」

 

美穂「はいっ!」

 

これダメなやつだろ......

 

美穂「八幡さんはまだ恋人いませんよね?」

 

八幡「お、おう」

 

美穂「わたし、頑張りますから!」

 

八幡「そ、そうか......」

 

智絵里「八幡さん!」

 

八幡「ど、どうした?」

 

智絵里「わ、わたしも......八幡さんに届けます!」にぎっ

 

美穂「あぁっ!」

 

加蓮「(イラッ)」

 

智絵里「ですから......その......見ていてください!」ウルウル

 

て、天使やああああああ! 天使がおるぅ!

 

八幡「......おう。ちゃんと見てるからな」なでなで

 

智絵里「えへへ♪」

 

はっ! 殺気⁉︎

 

まゆ「八幡さん......どういう事ですか? 加蓮ちゃんと藍子ちゃんだけじゃなく......この2人まで......まゆ......聞いてません......」

 

いつのまに後ろに......

 

八幡「お、俺も初耳だ......」

 

加蓮「ふーん......そうなんだ......ま、アタシが本命だもんね?」

 

2人「違いますよね!」

 

まゆ「まゆに決まってるじゃないですか......」

 

り、李衣菜助けて! コクンと李衣菜が首肯。おお! わかってくれたか!

 

李衣菜「ほ、本命はわたしだってさ。......照れちゃうな」

 

八幡「ちがーーーーーーーーーう!」

 

リーダーがとんでもねえもんぶっ込みやがった! 怖い! このユニット怖い!

 

麗「ふっ......若いっていいな......はぁ......結婚したい......」

 

 

 

 

ついに......ついに来た......これで天使を......

 

ふっ......ふふふ......

 

ふむ......そろそろいいタイミングだな。向かうはレッスンルーム。引きずるは衣裳ラック。かかっているのは......

 

八幡「うーす」

 

秋月「お、いいタイミングね。ちょうど終わったわよ」

 

八幡「狙って来たからな」

 

秋月「......何かあるの?」

 

八幡「オープニング組の7人を集めてもらえるか?」

 

秋月「いいけど......もしかして!」

 

八幡「おう。届いたぞ」

 

秋月「楽しみにしてたのよ!」

 

八幡「隣のレッスンルームにいるからな。連れて来てくれ」

 

秋月「リョーカイ!」

 

確か765側は真に雪歩。響と高槻、それと天海・如月・星井の7人だったよな。

さてさて、どう化けるか楽しみだ。

 

秋月「比企谷くーん、連れて来たわよー」

 

八幡「おう、こっちだ」

 

緊張した様子の7人。......少し脅かすか。

 

八幡「わざわざすまんな。その......お前たち7人なんだが......」

 

7人「......」ゴクッ

 

秋月「......」プルプル

 

八幡「......」

 

真「......わ、悪い話......ですか?」

 

八幡「その......だな......すまん雪歩。そこの布どけてもらえるか?」

 

雪歩「えっ......は、はい......」

 

八幡「......一気に行ってくれ」

 

秋月「......」プルプル

 

雪歩「......え、えいっ!」

 

布がなくなり......

 

八幡「衣裳が届いたんだわ......」

 

7人「......」

 

秋月「ブフッ!」

 

7人「紛らわしいです!」

 

秋月「あっははははは! 比企谷君、雰囲気作るのうますぎ! ぷふっ!」

 

八幡「お前らの専用衣装だ」

 

真「わ......わぁ! フリフリだ......」

 

雪歩「可愛いです!」

 

星井「この衣裳着てみたかったの〜♪」

 

高槻「うっうー! とーっても可愛いですぅ〜!」

 

天海「わぁ......素敵だねっ千早ちゃん!」

 

如月「少し恥ずかしい......」

 

響「シンデレラみたいだぞ!」

 

八幡「こんなとこで悪いが、着てみてくれ。俺は外に......って! 脱ぐの早えよ星井!」

 

星井「え〜! 美希早く着たいの〜!」

 

八幡「俺が出てから脱げ! まったく......」

 

秋月「ご、ごめんね......」

 

八幡「......終わったら呼んでくれ」

 

秋月「はーい!」

 

おしかっ......じゃなくて! 危なかった......少し見えてたな............でけえなおい......はっ! いかんいかん! 俺には!

......あぁ......そっか。俺アイツに惚れてんだ......こんな変なタイミングで気づくとは......何が起きるかわからんな。

 

......マジで? 勘違いじゃない? 思い出すと......

 

おおおおおおおお!! やべえ! どうする⁉︎ こんなんじゃ顔見らんねえよ!

まじか......まじかあああああああ!

 

秋月「ひ、比企谷君......大丈夫?」

 

八幡「お、おう......大丈夫だ?」

 

秋月「なんで疑問形?」

 

八幡「さあ?......んん! 終わったか?」

 

秋月「ええ!......最高よ!」

 

八幡「......入っていいか?」

 

秋月「ええ、どうぞ!」

 

ゴクリンこ......ど、どうだ?

 

八幡「......おぉ......いいな」

 

響「八幡どうだ? 似合うか?」

 

八幡「おう! バッチリだ!」

 

雪歩「あの......八幡さん......どうですか?」

 

八幡「ん?......グフッ......」

 

雪歩「だ、大丈夫ですか⁉︎」

 

八幡「だ、大丈夫だ。......秋月......れ、例のブツは?」

 

秋月「バッチリよ!」

 

八幡「また頼む」

 

秋月「任せて!」

 

雪歩「そ、その......どうでしょう?」

 

八幡「うむ。......天使だな!」

 

雪歩「て、てんっ! 恥ずかしいですぅ......」

 

か、可愛すぎる......天使の名は伊達じゃねえな......

 

星井「八幡! 美希はどぉ〜? 似合ってると思うの〜♪」

 

八幡「おぉ......いいじゃねえか! スタイルもいいからすげえ映えるな」

 

如月「くっ......」

 

星井「ありがとうなの! あ〜あ......ハニーにも見せたかったの......」

 

八幡「写真撮っていいぞ。それはもうお前の衣裳だからな」

 

星井「うんっ! そうするの!」

 

天海「比企谷さん......私たちは......どうですか?」

 

八幡「天海も如月も綺麗だ。よく似合ってる」

 

天海「そうはっきりと言われると......照れちゃいますね......」

 

如月「胸元が......恥ずかしい!」

 

八幡「如月、本当に綺麗だ。女神みたいだな......」

 

如月「め、女神って......(ボフッ)」フラッ

 

天海「ち、千早ちゃん大丈夫⁉︎」

 

高槻「お兄さん! 私はどうですか?」

 

八幡「可愛いぞ〜。お人形さんみたいだな!」

 

高槻「うっうー! 嬉しいですぅ! ありがとうございます!(がるーん)」

 

真「は......八幡さん......ボクは......」

 

八幡「......うん。お姫様だな」

 

真「本当ですか! ボクがお姫様......嬉しいなぁ......」

 

八幡「よく似合ってる。可愛いぞ」

 

真「あ、ありがとうございます! 八幡さんは魔法使いだったんですね!」

 

八幡「俺が......魔法使い?」

 

真「はい!」

 

秋月「いい事言うじゃない! まさにその通りね!」

 

俺が......俺が魔法使い......マジか......

 

マジかマジかマジか! やべえ......すっげえ嬉しい! 堪んねえな......

 

真「ど、どうかしましたか?」

 

八幡「......いや、ちょっと......すっげえ嬉しくてな」

 

秋月「泣いてるの?」

 

八幡「あれ? 目から汗が......」

 

真「どうして......」

 

八幡「......俺の尊敬する人が......魔法使いって呼ばれてんだよ。......ずっとその人を追いかけてきたんだ。......そんな人と同じ呼び名だぞ! 嬉しいに決まってんじゃねえか!」

 

雪歩「どうぞ。使ってください」

 

八幡「......サンキュ」

 

秋月「キミって結構熱い人だったんだね」

 

八幡「あ? 俺はいつだってクールだ」

 

響「泣きながら言っても説得力ないぞ!」

 

八幡「うっせ」

 

天海「一度きりの魔法ですけど!」

 

如月「立派なシンデレラになります」

 

高槻「この衣裳の時は!」

 

星井「美希たちもCPの一員なの!」

 

真「ボクたちは八幡さんのシンデレラ!」

 

7人で円陣を組み......

 

天海「シンデレラプロジェクト! 頑張ろう!」

 

全員「オーーーーー!!!!」

 

嬉しいじゃねえかクソッ!

 

秋月「それじゃ、みんな呼んでくるわね!」

 

八幡「おう。悪いな」

 

秋月「気にしないで。八幡君」

 

八幡「......サンキュ。律子」

 

その後全員揃ってお披露目会。765プロのエンディングメンバーは悔しがり、ウチのやつらは褒めちぎる。1つ言えることはみんな笑顔だってことだ。事務所も何も関係なく、ただの仲間。

最初は765プロに勝つことばっか考えてたが......一緒になって頑張って、お互いに意識して高め合う。今はそれでいいと思える。そうすればトップへの道も近づいてくる。

最終的には勝負になるかもしれんが、それは事務所内でも同じこと。

 

今回......いい事を学ばせてもらった。

 

ありがとう。みんな。



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