僕らの中学校生活物語‐萩野ともや編‐ (S石神井B)
しおりを挟む
プロローグ
「ついに明日か…、中学の入学式は。」
ぼくは、萩ともやです。今年から中学生だけど、小学生の時にイヤになるほどいじめられて…。
「中学校でも先輩たちにいじめられたりして…」とさっきからずっと思っている。
「絶望的かな…」と言いながら眠りについた。
しかし、眠れない。ちょっと話を外れるが、彼の昔のことを話そう。彼は小学2年生の時に、テストで0点を一回だけだが取った。それをみんなの前で先生が言いふらしたのだ。その後の休み時間に、「萩菌だぞ、この菌が付いたら0点になるぞぉ!」とからかわれた。
それからも、モノを隠されたり、筆箱の中に水を入れられたり、教科書を水洗トイレで流されたこともあった。小4になってから、不登校になった。それでも、いじめてくるメンバーは僕の家を知ってたので「邪魔するぜェ~」といっていつの間にかドアのかぎが外して入ってきて、金品を盗まれ、暴力なども受けた。親が「いじめられている」という事に気が付いたのは小4の冬。僕はその日、胸骨周辺を殴られ、心臓が停まったらしい。全治一年だったが、いじめてくるメンバーが来ることはなかった。それから、天野から塚谷に引っ越したが、それでも登校を拒否していた。そして現在に至る―
なので中学校では知らん人がいっぱい。だから恐れているのだ。
「入学式だけ行って、その後は最初の定期テストまで休もうかなぁ?正直、行きたくっっ…。」泣き出してしまった。あれだけ虐められたもの、そりゃ行きたくないよなと自分に言い聞かせた。
そのまま深夜三時まで泣き続けた。ペットのハムが、僕の涙をぺろりと舐めてくれた。でも、涙は溢れるままだった。そしてついに、泣き疲れたのか寝ることにした。しかし、眠れない。何度目をつむろうとしても、瞬きみたいにすぐ目が覚める。僕は睡眠薬を飲むしかないと思い、薬を探しに行った。すると、ハムが尻尾を振っていた。そこを見ると、睡眠薬の箱らしきモノが落ちていた。「ありがと、ハム。」僕は睡眠薬の錠剤を一つ飲んだ。ん、この薬、効き目強すぎるっ…
目が覚めると、別世界?と思うようなところにいた。「ご主人さまっ!」と声がした。声がした方を向くと、ハム…ににた犬耳と犬の尻尾を付けた少女がいた。「私が見えるんですか?」「う、うん…」「それならよかったですっ!」「うん…って、え?」「ご主人様がなぜ泣いてるか気になっちゃって…」彼女は照れながらもここは何処なのかは説明してくれた。ここは、ハムの脳の中の世界だったのだ。
「なぁ、ハム。おまえ、さっき僕が泣いてたわけを聞きたいっていったよな」「はいっ!」「なら、お前だけに教えるよ。」と言って、ハムに泣いてた訳を言った。「そんなひどいことをする人間は、このハムが許しませんっ!」とハムが言った。「ご主人様っ!これからは、何かあったらここまで来るようにしてくださいッ!このハムが相談に乗りますよっ!」「分かった。これからもよろしくな、ハム。」…
「あれ、ここは…家?」「ワンッ!」「あれっ、ハムが元の姿に…?にしても朝か…。よし、朝ごはんを食べにいこっ!」「ワンワンッ!」
ついに入学式の日だ。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
4月4日(金曜日・入学式)
中学校に着き、正門をくぐると、人混みしていた。
「こっちでクラス座席表を配布しています!」
僕は恐る恐る配布場所に近づき、紙をもらった。
「僕は…4組か…。」
そうつぶやくと、「新入生のみなさん!まもなく式が始まるので、担任の先生の後ろに出席番号順で並んでください。」
先輩方がそう言った。僕たちは4組の担任、綾瀬先生の後ろに並んだ。
式が始まったみたいだ。僕たちは体育館に入場した。
式は約1時間続き、閉式した。僕たちは1年4組の教室に入って、自己紹介をした。
「浅木さすけ」「はい!」
「小宮りゆ」「はぃ…。」
「萩ともや」「は、はい!」
「箱崎しんじ」「うっす!」
「林ゆり」「?」
「Is there Yuri Hayashi?」「Yes, I am here.」
「坂東ありす」「はい!」
「よし、40人全員いるな!俺は綾瀬翔太だ!一年間よろしくな!」
「はい!」
「では、さようなら!」
「さようなら!」
家に帰っていく途中、「そういえば、ハムが渡してきた謎の錠剤…、逆にハムに飲ましたら…?」と不思議に思っていた。
家に帰ると、ハムが玄関まで来てくれた。早速、ハムのご飯を作っていた。その中にアレを入れた。
「ハム、ご飯だよ」とハムを呼んだ。ハムがご飯を食べ始めた。僕はちょっと怖くなった。もしかしたら、ハムを殺してしまうかもしれないと。
僕とハムがご飯を食べ終わり、二人で昼寝を始めた。2時間ぐらい寝ていたと思う。
「う~ん、なんか重い…」と思いながら起きると、「うわぁ!?」と驚いた。ハムが昨日と同じような人になっていたのだ。「う~ん…え?なんで私が人間の姿に!?」とハムも驚いていた。
僕は謝罪も兼ねて事情をハムに説明した。「なるほど…私がご主人様に1つ、伝えることを忘れていました。この薬は犬に飲ませると、人間になってしまうのです。もう一生、犬には戻れません。」とハムからも説明してくれた。
親が帰ってきて、僕が事情を説明した。すると、「おお、我が子が二人になったとは…。俺らはすごく嬉しい!」と喜んでいた。
そして、今晩からはハムは僕らと同じような生活を始めた。親は学校側や役所に電話を入れた。
僕が風呂から上がり、ハムが風呂に入っているうちにハムの為に物置部屋を片づけた。さらに、僕のベットをハムの部屋に運んでおいた。もちろん、風呂から上がったハムは驚いていた。
「これ、いいの?」「うん。僕はベットよりは敷布団で寝たい派だから。」
「ありがとう!」
その後、ハムの笑顔を思い浮かべながら眠りについた。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
4月7日(月曜日・入学式)
昨日はよく寝ていたため、起きると目がさっぱりした。朝ごはんを食べて、身支度をし、家を出た。面倒くさそうに歩く。信号も守らずに渡った。そうこうしているうちに学校に着いた。教室に入って、本を読み始めた。
チャイムが鳴った。綾瀬先生が教室に入り、「皆さん、おはようございます。今日は対面式です。まぁ、2,3年生の先輩方と顔を合わせるだけです。10分後に廊下に出席番号順に並んでください。」と言った。
しばらくして、みんなが廊下に並び始めた。僕も自然と廊下に向かっていった。体育館に入ると、200人以上もいる先輩方が前に並んでいた。「それでは、2,3年生は後ろを向いて下さい」とアナウンスされたと同時に、先輩方が一斉に僕たちの方を向いた。もちろん、みんな緊張した。
対面式が終わって、自由解散だったのですぐさま帰った。帰ると、ハムと母がいた。「学校側にも話してきたよ。来週からハムは1年5組だって。」と母が伝えてきた。ハムは学校生活を楽しみにしているのか、尻尾を左右に振っていた。
昼は暇だったので、ゲームをしていた。「World Racing」というゲームだ。レースゲームで、自分で好きなキャラを作り、世界で対戦するゲームだ。僕はこのゲームで何度も1位を取ったことがある。世界の大会で6位に入賞したことも。僕の数少ない得意なコトの一つだ。
このゲームを3時間もやって、疲れたので寝ることにした。1時間ほど寝て、17時半に起きた。しかし、起きたのには原因があった。ハムが僕の腹を枕替わりにして寝ていたのだ。起き上がると、ハムが頭をぶつけるなぁ…と思い、ハムを起こした。「ん~…、もうちょっと寝たかったなぁ…」と言いながらもハムは起きてくれた。
早速お母さんから買い物を頼まれた。仕方なく買い物に行くことにした。ハムもついてきた。「ハム、シチューの素を持ってきてくれない?」「いいよ!」
そして買い物をすまして、帰った。今日はシチューだ!そう思いながら漫画を読んでいた。余談だが、好きな漫画はあの佐川優人さんの「とある異世界の禁断魔術教室」という漫画だ。禁断魔術というのがいくつも出てきて、先生の発想力の豊かさがよくわかる。その漫画は23巻まで出ているが、当然ながら全巻持っている。サインももらった。
そうこうしているうちに晩御飯が出来た。ニンジンやジャガイモ、タマネギまで入ってる…。すごく具たくさんだ。ボリューミーなシチューを食べ終わり、寝る準備を始めた。
目次 感想へのリンク しおりを挟む