ボクの追憶 (剣士の執事)
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1話

家に帰ると真っ暗だった。誰もいない、でも今日はボク達の誕生日。

リビングに入るとお母さんが何かをしたくしている。

ボク達は2階の部屋に行くとお祈りをした。

今、生きている事がとても嬉しい。

学校でいじめにあってきたけれど、ボクはお母さんやお父さん、

そしてお姉ちゃんがいる今が幸せ。

ボクは人より不幸せなんて考えた事がない。世界には親がいない子がいたり、子供

が戦争に行かないといけなかったりする。

悲しいのは悲しいけど、ボクが出来る事はお祈りだけ。

ボクもお姉ちゃんもそれを知っている。

夢や希望を信じたいから、そしてボクを支えてくれた人に恩返しがしたい。

今はまだボクは子供だから詳しい事はわからない。

ボク達は先月、医者から聞かれたんだ。

VRMMOをしてみないかとね。

ボクはVRMMOに興味があると答えるとお姉ちゃんはボクの顔を見て

うなづいてくれた。嬉しかった。

その事もお母さん達に今日、伝えようと思う。

「木綿季、藍子。ご飯の準備が出来たわよ。」

ボク達は手を洗って食卓についた。

「手を合わせて。いただきます。」

お母さんが作ってくれた料理はなんでも美味しかった。この時間が長く続けばいいのにな

と思っていた。

「ねえ、お母さん。VRMMO って知ってる?」

 

「知っているけど、どうして?」

 

「お医者さんから聞かされたんだ、興味があるかって。ボクは興味があるって答えたら今度は

被験者になってみないかとも聞かれた。」

 

「被験者?一体、何の?」

 

「メディカルボイドと言うらしくて完全麻酔の効果があるらしいんだけど。」

この時既にボク達は終末期医療(ターミナル・ケア)の事について聞かされていた。

お母さんとお父さんは子供のボクには難しい顔を見せた。

多分、ボクが言った事は寂しいし言ってほしくなかったんだと思う。

それに今の生活が変わるのが嫌だったと思ってる。

 

 

「お誕生日おめでとう。木綿季、藍子。ケーキだよ、二人でろうそくを消せばいい。」

突然、お父さんが笑顔で言うと部屋の電気が消えた。

ボクとお姉ちゃんは一緒に息を吹いた。

ろうそくの火はゆらゆらした後、消えた。

そのあとは勿論、みんなで切り分けて食べたんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後にボクがメディカルボイドの被験者に

なることを断っていたらアスナに出逢えてなかっただろう。

人の運命は誰にもわかるはずがない。

ボクはもっと強くならないと。

そう、あの時からボクは何も怖くはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は生き甲斐を持っているかい?ボクはある。」

ボクは今生きている事が幸せなんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 




お誕生日おめでとう、木綿季ちゃん。藍子ちゃん。


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