俺の転生先がワキ巫女なわけがない!(凍結/リメイク中) (Lv.零の素人)
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はじまり
始まり


初投稿になります。
駄文です。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※「はぁ、ついてないな。」

俺は誰にともなく1人そう呟いた。

何故こんなことになっているのだろうか。

俺がなにをしたというのだろうか。

 

ふと、気まぐれに散歩のつもりで立ち寄った

路地裏の細い道を歩いているとどこからか

ぽた、ぽたと

何かが滴るような音が聞こえた。

気になった俺は淡い好奇心からその音の原因を

見つけようと思った。

そして暫く音の原因を見つけるために路地裏の奥を探索していたが、気づいたら目の前に

平凡な顔立ちの男性がいた。

年の頃は二十代後半か三十代前半と言ったところだろう

どこにでも居そうな雰囲気を持っている男だ。

 

最もその手に持っているのが血に濡れたナイフではなく

足元に転がっているのが、ズタズタに切り裂かれた

人間であったと思わしき肉塊でなければの話だが。

 

まずい 男がナイフを振り上げている。

やばい、早く逃げろ 逃げろ 逃げろ!

頭の中で何度もそう繰り返すが身体がまるでその命令に従うのを拒否するかのように、もしくは俗に言う金縛りというものにかかったかのように指一本たりとも動かすことが出来ない。

そんなことをしている間にも、男は俺を殺そうナイフを

こちらに振り下ろそうとしている。

いよいよ不味い 意識では逃げねばいけないと言う事は

分かっているのだが、如何せん身体が動かない。

最早ここまでか 短い人生だった。 俺はせめて一瞬で殺してくれと願う。

 

そして男が振り下ろしたナイフ無抵抗な俺の心臓に突き刺さる。

そこで俺の短い人生は終わりを迎えた。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

いや、終わったはずだったと言うべきか?

 

俺の目の前に、いかにも絶世の美女と言ったふうな女性がいる。

いやもっと正確に言うならば、俺の目の前でいわゆる土下座をしている。

「は?」

そう思ってしまった俺は悪くないと思う。何故俺は絶世の美女であろう人?に土下座させているのだろうか?

 

とりあえず顔を上げさせようと思い、声をかける。

「えっと、なんで誰ともしれない女性に土下座させてるのかは分からないがとりあえず顔を上げてくれ。」

 

女性が静かに顔を上げる。どうやら言葉は通じるようだ。

 

そしておもむろに女性は俺に向かって口を開き、何故俺に向かって土下座をしていたのかの理由、ひいては自分のことを話す。

 

「まず、最初に私が誰なのかと、ここがどこなのかを

説明しておきます。その次に、何故あなたに土下座を

していた理由を説明したいと思います。

私はあなたが今まで住んでいた国では最も偉い立場の

神です。 正確に言えばあなたが住んでいた表の世界を

司る神です。そしてこの場所はえーとそうですね、

なんと説明したものか………あえて言うならば表の

世界を司る竜神が住む場所でしょうか?」

 

何故か女性は最後に疑問形で口を閉じる。

そしてここまでは良いですか?

と、女性は聞く。

 

俺は脳に急速にたくさんの情報を入れてしまったためか、それとも理解できない事が同時に起きてしまった ためか何を喋って良いのかがわからない。

とりあえずひとつ首肯する。

 

それを見て女性はいや、竜神は一つ頷き、俺が理解したと思ったのか

次になぜ俺に土下座をしていたのか話す。

「では次に何故表の世界を司る竜神である私がなぜあなたに土下座をしていたのかと言いますと、あなたはまだあと最低でも五十年は生きる予定でした。しかし私の部下である死神のミスであなたの運命を即死へと導いてしまったのです。部下のミスは私のミスです。本来ならこのような事例は起こってはならないのですが、起きてしまったものは仕方がありません。せめてもの償いとして、あなたに転生の権利を与えようとここに呼びました。しかし残念ながら既に表の世界ではあなたの存在は

跡形もなく滅せられています。なので、あなたには裏の龍神が見守る世界、名を『幻想郷』という異世界に転生していただきます。そして転生していただくにあたりあなたの魂をおさめる器はこちらで用意させていただきます。あなたの本来の肉体は表の世界でのあなたの消滅に

伴い無くなってしまいましたから。

ただ、あなたの魂が馴染む身体は何故か女性の肉体の物

が多かったので転生する際は女性のそれも赤子の肉体になると思います。ですがその代わり今のあなたの記憶は引き継がせて差し上げます。あなたの表の世界の記憶がなんの役に立つのかはよく分かりませんが。」

竜神は随分と長いこと話していた。

長い話であったが要約するとこういうことであろうか

つまり、俺はその『幻想郷』とやらで今まで生活していた際の記憶を引き継ぎ女児の身体で転生することが出来るということだろうか?

竜神に確認をとるために、俺は口を開く。

 

「つまり俺は、転生をする権利がある。ただしする場合は肉体は女児のものとなる。そういう解釈でいいだろうか?」

 

竜神は首肯しはい。と返事をする。

そして俺に転生するかどうかの意思を聞くために

口を開く。

「それで、どうしましょうか?あなたは転生を選びますか?」

 

 

俺はひとつ疑問に思ったことがあり、

それを確認する為に口を開いた。

「その前に質問があるのだが、構わないか?」

 

俺の言葉に竜神は首肯で返す。

俺は礼をして再度口を開く。

 

「では質問だ。俺が転生をするのはいいだろう。だが、俺が転生するとした場合その女児の元々の魂はどうなる? 消えるのか?俺が転生するかどうかはこの質問の返答次第だ。」

 

竜神はその俺の質問に目を見開いた。そして驚いた

様子で口を開いた。

 

「そこに気が付きましたか。どうやらあなたは私が思っていた以上に聡明で優しい人間だったのですね。

本当に、あなたを部下の手違いとはいえ滅してしまった

が残念でなりません。あなたの質問に答えましょう。

端的に言えばあなたが転生してもその肉体の本来の

持ち主の魂が消えてしまうことを心配する必要はありません。なぜならその女児は元々ある能力を納めるための器に過ぎなかったからです。彼女は器ではありましたが、その魂はか弱くどこにでもいる人間のソレでした。

結果彼女の魂では強すぎる能力に引きずられてその魂を自壊させてしまったのです。そこにやって来たのがあなたというその強力すぎる能力に引きずられて自壊する弱い魂ではなく、良識がありかつ聡明な魂です。私個人の意見としては、この能力はあなたの様な魂にしか託す事が出来ません。ですが、あなたのような魂は何百年に一度というとても低い頻度でしか現れないのです。ですから是非あなたに転生していただきたいのですが………どうでしょうか?転生して頂けますか?」

 

なるほど俺が転生するというその肉体とやらも訳あり

のようだ。

それにここまで聞くことが出来れば十分だ。

俺は自分の意思を告げるために口を開いた。

「そちらの事情はよく分かった。その危険だという能力の管理をするためにも、転生しよう。」

すると竜神は顔を喜びに染めて、口を開く。

「本当ですか! ありがとうございます!

あなたのような魂はほんとに貴重なので

とても助かりますよ! では転生の準備を進めさせて

頂いてもよろしいでしょうか?」

「ああ、始めてくれ。」

 

竜神は転生に必要な書類と思わしきものにサインをした

 

そして俺に向かって準備が完了したことを告げるために口を開く。

 

「準備は完了しました。すぐに転生しますか?」

 

俺は首肯する。

 

「わかりました。それではそこの魔法陣の中央に移動してください。」

 

言われてから気がついたがいつの間にか俺のすぐ側に

確かに魔法陣がある。

それも比較的有名であろう五芒星の形だ。

俺は真っ直ぐ魔法陣に向かう。そしてその魔法陣の

中央に立った。

 

すると竜神は俺が移動したのを確認して、口を開いた。

 

「それでは転生していただきます。目を閉じて六十秒数えてください。目を開ける頃には既に、転生が終わっています。」

 

俺は言われた通り、目を閉じ六十秒数えた。

すると目を閉じていても分かる位に強力な光が

俺の身体をつつんだ。

それが収まり、六十秒たった頃に目を開けた

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

その出会いは永い妖怪との闘いの果てに弱ってしまった彼女の後継者を見つけるために私が幻想郷の隅から隅までを探し回っていた時だった。

『彼女』は、私が霊夢と名付けた赤子は、現博麗の巫女

である彼女を超えるほどの凄まじいポテンシャルを

秘めていた。思わず本当に人間の赤子なのかと

疑ってしまったほどに。

彼女を見つけた瞬間に あぁ この子だ!この子こそが

次の博麗の巫女なのだと確信した。

彼女を見つけたのは、博麗神社の境内だった。

妖怪である私を見ても泣くこともなくただ静かに

私を見ていた。いや、もしかしたら視ていたの

かもしれない。彼女にしかできない見方で、私のことを

観察していたのかもしれない。

その時は色々と思うところがあったが、私はこの子を

次代の博麗の巫女として育てることにした。

この子を育てることは、間違いなく私が愛する

この幻想郷のためになると判断した。

これは私

幻想郷の賢者と呼ばれる八雲紫の存在に賭けてもいい。

 

だが私は赤子というものは育てたことがなかった。

なので、自分で育てると決めたことはいいが、

どう育てれば良いものなのか全くもってわからない。

格好がつかないとは自分でも思うが、私の唯一無二の式

である彼女 八雲 藍に手助けしてもらおうと思い、

藍を呼ぶために、口を開いた。

 

「おいでなさい、藍」

 

そう、静かに呟いた。

 

すると、私の背後の空間が裂けそのスキマから

九つの尾を持つ白面金毛の式が現れ私が抱き上げている

霊夢を見ると口を開いた。

 

「紫様 その赤子が次代の博麗の巫女なのでしょうか?」

 

それを聞いた私は少し笑ってしまった。

そして藍にそうだと告げるため口を開く。

 

「あら、あなたともあろう者が霊夢のポテンシャルに

気づかないとは思わなかったけど?まあ、いいわ。 それよりその子が次代の博麗の巫女で決まりよ。彼女ほど、強いポテンシャルを秘めた人間を見つけることは出来なかったわ。」

そう言うと、藍はその子は誰が育てるのかと問うた。

 

それに対し、私は返答する為に口を開いた。

 

「決まっているでしょう。私は子育てなんてした事ない

のよ。手伝いなさい。」

 

私は自分でも頬が紅くなるのに気付かないふりをしながら、そう命令した。

 

すると、藍は目を細めてまるで微笑ましいものを見るかのように私を見つめたあと、口を開いた。

 

「確かに紫様は子育ての経験は、ありませんでしたね。

かしこまりました。ですが、次代の博麗の巫女とはいえ

紫様が拾ってこられた人間です。少しくらいは面倒を見ていただきますよ?」

 

なるほど確かにこれを機に少しくらい子育てというものを経験するのも悪くないと思う。

私はひとつ頷くと、霊夢を連れて帰るためスキマを開いた。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




最後まで見てくださった方はありがとうございました



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~それから~

はい、どうぞ。




※※※※※

俺、いや私がアイツに八雲 紫に

拾われてから早いもので十年が経った。

私は能力の制御をする為にほぼ毎日

鍛錬をしていた。気づけば拳は岩を穿ち

霊力の扱いは、紫をして神がかっていると

言わしめるほどである。

何故こうなった。

 

そして今日の夜、紫が私に話があるという。

何なのだろう?

まあ、ある程度の予想はつくが。

おそらく博麗の巫女とやらの引き継ぎの件だろう。

確か博麗の巫女の仕事は妖怪退治と、

博麗大結界の維持だったろうか。

多分、その時になればわかることだと思う。

 

※※※※※

 

「いただきます」

 

 

藍がつくった料理を口に運ぶ。

そうするとその美味しさに思わず瞑目する。

この十年間毎日食べてきたがこの味は変わらない

鍛錬の後に食べる藍の料理ほど、

美味しいものは無い。

そう断言出来るほど彼女の料理は美味だ。

 

「おーい霊夢もう料理は全部なくなってるぞ?」

 

藍のその言葉でふと、我に返る。

どうやら藍の料理に夢中になって

全部食べ終わったにも関わらず

箸を運んでいたらしい。

私は箸を置いて藍に声をかける。

「ん。相変わらず藍の料理は美味しいわねぇ。」

 

すると藍は、少し照れた様子で

 

「そうだろうか?まぁ、満足

してくれたなら何よりだよ。」

 

 

さて、紫の部屋に行こうか。

 

※※※※※

 

あの子を育て始めてからもう十年

が経つだろうか?

彼女は私の期待どおり博麗の巫女

に対して凄まじい適正があった。

そして今日先代が最期を迎える。

つまり、あの子に霊夢に博麗大結界の

引き継ぎをする必要があるという事だ。

想像より二、三年早かったように思えるが

むしろ先代は、あのボロボロの肉体で

よく、十年も持ってくれたと思う。

もう霊夢に詳しい話は通してある。

先代の博麗の巫女が死ぬ事も、

そのその代わりの次代の博麗の巫女と

して育てるために霊夢を拾ったことも。

彼女は自らの運命を知っても泣いたりは、

しなかった。

まるで最初から知っていたのかの

ように、当たり前のことのように

それを受け入れていた。

 

 

居間と私の部屋を繋ぐ襖が開き、

 

霊夢が部屋に入ってくる。

 

※※※※※

 

紫の部屋に入った私はすぐ前に

彼女がいることを確認して、

何の用で呼んだのかと、問うた。

 

すると紫は 聡明なあなたなら、

気づいてるんじゃないの?と言った。

 

その言葉に私はやはりか、という思いが

強かった。

つまりそういう事なのだろう。

先代が死ぬ。

その代わりとして、私が博麗の巫女となる。

分かっていたことだった。

そしてそれは、仕方が無いことでもあった。

 

紫が私が既に気づいていたことに驚きもせず

ただそれを認めるために口を開いた。

 

「そう。やっぱり気づいてたのね。

あなたが考えていることで間違いないと思うわ。

今日、先代が、亡くなるわ。その代わりとして

霊夢。あなたには今日博麗の巫女に

なってもらうわ。本来なら、あと二、三年くらい

猶予があったはずなのだけれど。」

 

紫のその言葉を聞いても、やっぱりか。

とぐらいしか感じなかった。

どうやら長い間鍛錬をしていたせいか、

感情の起伏が少しなくなっている。

驚くということが出来なかったのは

そのためだろうか?

紫に続きを促すために口を開く。

 

「それで?私はどうするの?」

 

紫は私にどうすれば博麗の巫女を引き継げるのか

を話す。

 

「そうね。もう博麗神社に引き継ぎの用意は

してあるから、今から向かうわよ。

あなたには、特にしてもらうことはないと思うわ。

ま、今のところだけどね。さて、そろそろ時間よ。

今から神社に繋がるスキマを開くからその中を

通っていらっしゃい。」

 

どうやらもうすぐに移動を始めるようだ。

目の前の空間が歪み、裂けて、スキマができる。

紫は先にスキマの中に入っていった。

私も後を追わないといけない。

 

※※※※※

 

スキマを抜けたら博麗神社の鳥居の前だった。

その鳥居を抜けると、前に五芒星の形の

魔法陣があり、その隣に紫が胡散臭い微笑を

浮かべて立っている。どうやら藍は背後に控えて

いるようだ。

そして紫が私に 魔法陣の中央に移動して欲しい と、

言った。

私は五芒星の中心に立った。すると、紫と藍の二人が

私を中央に挟むように両脇に立つ。

暫くすると、紫が私に巫女の役割と結界の引き継ぎが

滞りなく終わったと、告げた。

どうやら無事に済んだようだ。

すると、紫が私のこれからについて話し始めた。

 

「霊夢。今日からあなたにはこの博麗神社に

住んでもらいます。なぜならこの場所こそが

結界の管理をするために必要な場所であり、

ここから幻想郷の全てを見渡すことが出来るからよ。」

 

なるほど私はこの神社にすまねばならないらしい。

まあ別にいいが。紫にそう告げるために口を開く。

 

「分かったわ。けど御飯はどうするの?」

 

すると紫は苦笑して、こんな時でも御飯の心配

なのかと問うた。

御飯は大切だと思う。

すると紫が、その事について話し始める。

 

「大丈夫よ。御飯の心配は要らないわよ。

一ヶ月に一度お米を届けてあげるし、

一週間に一度御飯を作りに行ってあげるわ。藍がね。」

 

なるほど。そういう訳なら少なくとも飢えることは

無さそうだ。

そのことは、礼を言わないと行けないと思う。

そう思い口を開いた。

 

「なるほど。ありがとうね 藍。」

 

私がそう言うと、紫は えっ?私にじゃないの?

等と言っている。

すると、紫の背後に控えていた藍が口を開く

 

「なあ、霊夢あんまり紫様を虐めないでやってくれ。

これでも幻想郷の賢者なのだ。」

 

すると、紫は ねえ藍?これでもってどうゆう

事かしら?と言った。

 

なんかグダグダになってきた。

私は話を戻すため紫に つまり私はこの神社に住んで

博麗大結界の管理をすればいいのね?と、

確認をとった。

 

すると紫はそれを認め じゃあ今日から

よろしく頼むわね。と言った。

 

どうやら間違っていなかったようだ。

 

紫はそのままスキマを開き自分の家に帰ってしまった。

 

今日から私の博麗の巫女としての生活が始まる。

いわゆる一人暮らしというヤツだろう。

楽しみなような、不安なような、

そんな感情が私を襲う。

しかし、私は首を横に振りその感情を

振り払う。

今はこの不慣れな場所に少しでも慣れるために

また、少し空いてしまった腹を満たすためにも

台所に向かう。

時間も時間なので、軽い料理を一品作り

食べることにした。

 

居間を見ると布団が既に敷いてある。

恐らく藍が敷いてくれたのだろう。

ありがたい。これですぐに休むことができる。

布団に横になるとすぐに眠気が私を襲い私も

それに身を任せることにした。

 

「おやすみなさい」

 

誰にともなく、私は一人そう呟いた。

もう誰も一緒に住む者は居ないはずなのに

 

自分でも呟いてから あれ? となった。

私はこんなに寂しがり屋だったろうか。

あの二人に拾われてから楽しい事しか

なかったから、こういう感情に弱くなって

しまったのかもしれない。

これはまずい。そう思いつつも、

目から勝手に涙が零れ落ちてくる。

私は歯を食いしばり必死に涙を落とすまいと

するのだが、耐えることが出来ず結局

泣いてしまう。

 

紫は今の私の様子を見たら、一緒に泣くだろうか?

それとも笑うだろうか?

今生の別れという訳では無いのに

そんな考えばかりが頭を占める。

涙は次から次へと零れ落ちる。

せめて紫に笑われないよう、

布団に顔を埋めて眠ることにしよう。

明日眠る時にもう泣くことがないといいが。

布団を片付けるのが大変だ。

そんなことに思考を飛ばし気を紛らわせた。

そのうちに柔らかい安らぎ私に訪れた。

※※※※※




お疲れ様でした。


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紅魔郷
紅魔郷Ⅰ






※※※※※

私がこの神社に住んでから

もう5年が経ち、

私は十六歳になった。

 

この幻想郷には

いくつかのルールがあり、

その一つに妖怪は人里の人間を

襲ってはならない

と、言うものがある。

 

私の仕事はそのルールを

破った妖怪や

人間を辞めたモノや

この幻想郷にとって、

良くないモノであると

紫が判断した妖怪や

人間出会ったもの

悪霊等を退治することと、

博麗大結界の管理である。

 

今のところこの生活に

不満はない。

強いて言うのならば、ただ一つ

この神社全くもって参拝客が来ないのだ。

確かに人里からは離れているとは思う。

しかしこの神社に来る人間は、

皆 妖怪退治の依頼をしに来た者達である。

参拝客が来ないということは

お賽銭が貰えないということだ。

これは死活問題だ。

確かに紫たちから、お米は供給されるが

それには限度がある。

思わずため息と独り言が出てくる。

 

「はあ、ほんとどうなってるのよ。

何でこんなにこの神社、参拝客が

来ないのよ!」

 

言っても仕方ないとはいえ

やはり吐き出さなければ

溜める一方だ。

 

そして私はなけなしの食料を使い

料理を作りそれを食べ終わったあと、

布団を干そうと思い空を見上げた時

 

目を疑った

 

太陽を真紅の霧が覆い隠している。

 

これはまずい。

瞬時に判断した私は

 

「二重結界!」

 

結界を張りこの

紅い霧が体内に入るのを防いだ。

 

ひとまずの安全を得た私は

これを異変と判断し、

解決に向かうことにした。

しかし少し待て、確か

こういう異変に首を突っ込みたがる

変わった人間が

いや、

違った普通の魔法使いを名乗る友人がいた。

 

アイツのことだ、すぐに

異変だと気がつくだろう。

すぐにくるであろう彼女を、

『霧雨 魔理沙』を

待つことにした。

 

少しすると、

いかにも魔女であると言った格好を

した白黒が箒に乗って神社目掛けて

飛んでくる。

魔理沙だ。

 

私は彼女がこちらに駆け寄ってくる

まで、待って口を開いた。

 

「魔理沙、異変よ。

私は今から解決に向かうけど、

アンタはどうするの?」

 

魔理沙はそれに応えるため

口を開いた。

 

「やっぱり異変か!

もちろん私も行くんだぜ!」

 

半ば予想していたことではあった。

しかし、ふとあることが気になった私は

それを確かめるために質問を

することにした。

 

「それはいいけどアンタ

スペカ持ってきたの?」

 

そう。

今回の異変から、幻想郷のルールが

ひとつ追加される。

それが

スペルカードルール

別名弾幕ごっこだ。

 

このルールの目的は

妖怪が異変を起こしやすくし

人間がそれを解決しやすくする

と、言うものだ。

ルールの内容は簡単だ。

殺さない程度に威力を落とした

弾幕を張り、

あらかじめ決めておいた被弾してもいい回数

弾幕に当たるか、

最初に使用枚数を宣言する、

スペルカードを全てブレイクされれば

敗北だ。

 

 

「はっ!愚問だぜ霊夢。

私が忘れる訳ないだろ!」

 

まあ、そうだろうと私も質問してから

思った。

 

「じゃあ異変の解決に向かうけどいい?」

 

 

さっきから私の勘が湖の

当たりを探せと、言っているのだ。

 

「なあ、霊夢。

それはいいがどこに向かう

つもりなんだぜ?」

 

行き先のわからない

魔理沙が私に聞いてくる。

 

「良いから着いてきなさい!」

 

 

「あっおい!ちょっと待てよ霊夢!

抜けがけは禁止だぜ!」

 

 

そして私は自らの勘に従い

迷うことなくこの異変の

元凶がいるであろう紅い館の

近くにたどり着いた。

 

しかし私たちを阻む者がいた。

それは、最強を名乗る妖精、『チルノ』

であった。

確かに妖精の中では、

最強と言っても過言ではないが

所詮は妖精。私の敵ではなく

一切被弾することなく

通常弾幕のみで倒すことが出来た。

 

「きゅー」

 

間抜けな声を出して

倒れるチルノを見てあまりいい気は

しなかったが、これも異変解決の為だ。

仕方ない そう割り切って、

私たちは元凶がいるであろう館の中に

入ろうとしたのだが

驚いたことに門番がいる。

ただし、寝ているが。

 

見た事の無い妖怪?だ。

思わず二人で顔を見合わせる。

 

「なあ、霊夢こいつどうする?」

 

魔理沙が聞いてくる

 

 

「そうね、後で文句言われても

面倒だし魔理沙、マスパを一発

打ってあげなさい。」

 

手っ取り早く起こすことにした。

 

そして魔理沙が決め台詞と共に

八卦炉を構え必殺の魔法を放つ!

 

「弾幕はパワーだぜ!

恋符『マスタースパーク』!!!」

強すぎり光が収束して

門番の妖怪にぶつかる!

 

「んぅ?何ですかぁ?………えっ?

ちょっまっキャー!」

 

哀れなり門番よ。

 

光が収まった。

そして門番は、バタンキューと

ばかりに半壊した門の前で

うつ伏せに倒れている。

 

門番が倒れたことによって

私たちを阻む者が一時的にせよ、

いなくなったので、

いよいよ 館に踏み込むことにした。

 

館の中に入り、暫く探索していると

いつの間にか魔理沙とはぐれてしまった。

まあ、魔理沙は弾幕ごっこの腕は

確かなものなので心配は要らないと

判断した。

ここからは、一人で調べることになる。

※※※※※

ここはどこなんだぜ?

門番をマスパでぶっ飛ばした後、

館に侵入した私たちだったが

中はなかなか広く、気づいたら

霊夢とはぐれてしまっていた。

しかたなく個人でここからは

探索することにした。

 

暫く歩いていると、目の前に

いかにも何かありそうな扉があった。

こいつはもしやボスの部屋か!?

そう思った私は、八卦炉を構えた

その扉を開け部屋の中に侵入した。

 

すると、中はボスの部屋!

では無くどうやら図書館だったようだ。

たくさんの本棚があり中には

興味を引かれる魔導書らしきものも

結構あった。

私はコレを持って帰ろうと四、五冊

抱えて行こうとした。すると、

図書館の奥から私を呼び止める声が聞こえた。

 

「こら、待ちなさい。人の本を

盗まないで頂戴。」

 

静かだがよく通る声だ。

しかし心外だ、私は盗むつもりは無い。

反論するため私は口を開いた。

 

「おいおい!急に出てきて

人聞きの悪いこと言わないでくれよ。

この本は盗むんじゃない。

ただ死ぬまで借りるだけだぜ?」

そんな問答をしていると一目で

引きこもりとわかる紫の服に身を包んだ

一人の女性が現れた。

 

「なら私は、あなたに弾幕ごっこを

申し込むわ。

私の名前はパチュリー・ノーレッジよ。

残機は三でスペルは四。

どう?」

 

よしきた!

 

「わかったぜ!その勝負受けて立つぜ!

あっ、私が勝ったらこの本は

死ぬまで借りてくぜ!」

 

※※※※※

 



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紅魔郷Ⅱ

※※※※※

私は魔理沙がはぐれてから

一人で異変の元凶の住処と

思われる館の内部を探索していた。

しかしこの館外から見た時と

中の広さがどう考えても比例していない。

もしや空間を操る能力者が

いるのかもしれないと思い、改めて

気を引き締めた。

そうして歩いていると、

私の後ろから声が聞こえた。

 

「あー!、お掃除が進まない!」

 

「お嬢様に怒られるじゃない!」

 

なんだ!?

驚愕して後ろを振り返ると

既に誰もいなかった。

すると今度は前方から

先程と同じ声が聞こえてきた。

 

「どこ見てるのよ!前よ!前!」

 

バッと振り返るとそこには

白いメイド服に身を包んだ

女性がいた。

 

私は驚きを隠して平静なふりをして

質問をした。

 

「アンタ誰よ?

それと、アンタ能力者ね?

力は空間を操る程度の能力、

もしくは時間操る程度の能力かしら?」

 

咄嗟に能力を考察する。

すると、女性驚いた様子で

 

「なんで分かったのかしら?

そうよ。私の能力は

時を操る程度の能力よ!

まあ、わかったところで

どうにか出来るとは思えないけど?」

 

そう言うと女性は足のホルダーから

銀色に光るナイフを引き抜き

構えた。

 

どうやら戦る気のようだ。

 

しかたなく私もお札と大弊を構えた。

 

「私は『博麗 霊夢』よ。

ルールは残機二、スペル三でどう?」

 

私はそう告げた。

 

「いいわ。私は『十六夜 咲夜』よ。」

 

女性は、いや咲夜は承認した。

そしてさあ、

弾幕を放とうとした瞬間のことだ。

一瞬世界そのものに違和感が

あるように感じた。

 

恐らく今のが

時を止められるということだろう。

気がついたら私の周りを

ナイフ型の弾幕が

囲んでいた

 

※※※※※

 

 

私はパチュリーと図書館の上空で

弾幕ごっこをしていてお互い残機一で

スペルも残り一が今の戦況だ。

パチュリーが急に咳き込み出した。

好機と見た私はお気に入りの一枚

恋符「マスタースパーク」を

決め台詞とともに

発動して王手をかける!

 

「弾幕はパワーだぜ!」

 

 

吹き飛ばされたパチュリーは

目を回している。

 

「むきゅー。

喘息持ちでなければ勝ったのにぃ」

 

ふっマスパに吹っ飛ばされたモヤシが

なんか言ってるぜ。

 

とにかく私の勝ちだ。

という訳で本を頂いていくぜ!

 

あっ、そう言えば

霊夢は大丈夫だろうか?

少し気になるしこの館をもう一度

探索してみよう。

 

※※※※※

 

「ふん。時を止める?

だから何?結局は弾幕でしょう?

この程度対処できるわよ!」

 

時を操る力は、たしかに厄介だが

その予兆さえわかればタイミングは

掴みやすかった。

時止めが解除された瞬間に

ホーミングアミュレットと大弊を使い

確実に弾幕を処理していく。

どうやら連続して

時を止めることが出来ないようで、

一定のインターバルがある。

その隙を突いてこちらも弾幕を張る。

よし。咲夜の残機はあと一つだ。

これで決める!

 

「食らいなさい!霊符『夢想封印』!」

 

五色の鮮やかな弾幕が高速で飛んでいく。

 

よし!直撃だ!

 

「痛いわね、これほんとに

弾幕ごっこのスペル?

まあいいわ、負けたのは私だからね、

お嬢様の元へ案内してあげるわ。」

 

※※※※※

 

少し前を歩いて私をお嬢様

とやらの居場所へと案内していた咲夜だが

ふと、誰かが泣いているような声が聞こえる

部屋の前で立ち止まった。

まさか、ここだろうか?

咲夜がこちらを振り返り、ひとつ頷いた。

私はドアを開けようとしたが、

あちらから開き中から泣きながら

とても幼い様子の青髪の吸血鬼が、

 

「ざぐやぁぁ。」

 

と言いながら出てきた。

何があったのだろうか?

すると、それを見た咲夜が

鼻を抑えて、

それでもわかるくらいの

イイ笑顔をしながら

すこしおまちを

と、私に言ってその吸血鬼を連れて

その部屋の中に入っていった。

この館大丈夫だろうか?

 

※※※※※

少しして

部屋の中から

 

「どうぞ」

と、咲夜の声が聞こえた。

やっと用意がすんだのだろうか?

とにかく部屋の中に入ることにした。

 

入ると中には大きな椅子があり、

それにちょこんと先程の吸血鬼が目を充血させて

座っていた。

 

「ねえ、アンタがこの異変の犯人?」

 

「ええ、そうよ。

それと、アンタじゃなくてレミリアよ。」

 

「迷惑なのよ、アンタが。

やめてくれない?」

 

「そういう訳にも行かないのよ。

太陽が邪魔なの。私がろくに

遊べないじゃない。」

 

「なら力ずくでもやめさせるわ」

 

「こんなにも月が紅いから本気で殺すわよ」

 

「こんなにも月も紅いのに」

 

「楽しい夜になりそうね。」

「永い夜になりそうね。」

 

 

※※※※※

 

「はあ、霊夢いないぜ………

アイツの事だから絶対今頃ボスの所に

いるんだぜ。」

 

もう、今回の異変の解決は霊夢に

任せてしまおうか?

いや、それではついてきた意味が無い。

 

「そうだぜ!

もう一度図書館に行って本を借りるついでに

探すんだぜ!」

 

 

確か図書館のパチュリーがいた場所の更に奥に

大きな扉があったはずだぜ。

もしかしたらということもある。

行ってみる価値はあるだろう。

 

 

※※※※※

 

「という訳で戻ってきたぜ!パチュリー!

パチュリー?いないのか?」

 

そこには本の山が散乱しているだけで、

パチュリーの姿は見えなかった。

 

暫くその周辺をウロウロしていると、

どこからかパチュリーの声がする。

 

「なによ?また来たの?」

 

「どこなんだぜ?」

 

「あんたの目の前にいるわよ?」

 

すると、本の山がひっくり返り中から

パチュリーが出てきた。

 

「霊夢の居場所を知らないか?」

 

「今それどころじゃないのよね」

 

「答えないなら力ずくで

聞くんだぜ!」

 

「あんたといい妹様といい

今日は厄日だわ!」

 

妹様?と疑問になったが

弾幕ごっこができる喜びですぐに、

忘れてしまった。

 

※※※※※



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紅魔郷Ⅲ

※※※※※

彼女は自らの妖力で作り上げた

神槍「スピア・ザ・グングニル」を

振り上げてこちらに突進してきた。

どうやら接近戦をお望みらしい。

私は、結界を何重にも張った大弊を

構えてそれを待ち受けていた。

重い!体は小さくても、やはり妖怪

ということだろうか。

正直こんな攻撃を何度も受けていたら

こちらの体力が無くなってしまうので

最初から全力で行かせてもらうことにする。

 

「なるほど。吸血鬼の名は伊達じゃない

という訳ね。仕方ないわね。

私も本気を出すわ。 」

 

『無想天生』

 

「?何をしたのかわからないけど

さっさと倒れなさい!」

 

レミリアが、グングニルをこちらに

投げてくる。

 

先程までの私ならば、少し焦っていた

かもしれないほどの威力だ。

だが、今発動したスペル

『無想天生』は、このスペルは一定期間

無敵になり、相手の全ての攻撃を

無効化するというものだ。

これに勝つ方法は、時間切れしかない。

本来なら使用するつもりはなかったが

レミリアが思ったよりも強かったのだ。

しかたないだろう。

 

自分の攻撃が私に当たらなくて

戸惑っているレミリアに

私はゆっくりと近づき、二度、三度と

弾幕を直撃させる。

 

「ちょっ!何よ、そのスペル!

チートじゃないの!」

 

「ちーとが何かは知らないけど、

このスペカはしっかりルールに

則った耐久型のスペルよ?」

 

そしてそのまま確実に決めるために、

私はもう一枚スペカをつかう。

 

「とどめよ!霊符『夢想封印』!」

 

「えっ?えっ?ちょったんま!」

 

彼女は先程咲夜がこのスペカに

やられているのを見ていたのか

しゃがみこんで頭を抱えこみブルブルと

震えている。

興が削がれた私は

 

「あー!分かった止めるから。

もう!私が悪者みたいじゃない。

でもその代わりこの異変は

止めてもらうわよ!」

 

「分かった!分かったから、早く

その恐ろしいスペカをしまいなさい!」

 

立ち上がり顔を上げたレミリアは

部屋の中央にあった魔法陣を叩き壊した。

 

「これでいいかしら?」

 

そのまま彼女は

こちらを見て警戒するかのように

うー、と唸っている。

 

なんとも締まらない終わりだった。

 

そう言えば、魔理沙はどこにいったのだろうか?

ふと気になった私は、目の前の吸血鬼に

聞くことにした。

 

「ねえ、レミリア

白黒の魔女を知らない?」

 

ときいた。

すると、レミリアは

 

「白黒の魔女?うーん?

いたかしらそんな人間?

知らないわね

紫色の魔女なら私の友達だけどね。」

 

館の主と言えど、やはり

知らないことはあるようだ。

 

「あっ、でも待ちなさい。

私の能力を使えばもしかしたら

分かるかもしれないわ

調べてあげましょうか?」

 

他に手がかりもなくレミリアに

調べてもらおうとした時だった。

 

突然地下から衝撃が突き抜けた!

 

「な、なに今の!?」

 

「今の衝撃は地下から?

まさか!?フラン!」

 

突然叫んだレミリアは犯人が分かって

いるようだ。

 

「ちょっと!レミリア説明しなさいよ!」

 

「霊夢、あなたは早く逃げなさい!

いくらあなたでも、

フランを相手にしたら死んじゃうかもしれない!

早く逃げなさい!」

 

「そもそもフランってだれよ!?

いいから説明しなさい!」

 

「フランって言うのは少し気が触れてて、

地下室に閉じ込めてる私の妹よ!

能力は、

ありとあらゆるもの破壊する程度の能力なの!」

 

「レミリア アンタ一人で勝てるの?

私の能力の本質を体現したさっきの

スペル『無想天生』なら

その能力も無効化できると思うわ。

だから私も手伝ってあげる。

早くそのこのところに案内しなさい!」

 

「分かったわ。 霊夢お願いするわね!」

 

そして二人で先ほどの衝撃の発生地であろう

地下室に向かう。

 

※※※※※

 

私たちは図書館に向かい、その奥にある

地下室へと繋がる扉の前まで来た。

その扉は閉じていなければ

ならなかったが、既に開いており何者かが、

侵入した形成があった。

まさか、魔理沙だろうか?

 

急いで中に入り階段の先にあった部屋に

飛び込んだ。

すると、

「お姉様?」

 

「霊夢?」

枯れ木のような外殻に

宝石みたいななものがぶら下がっている翼を

持つ『フラン』と思しき女の子と和やかに談笑している白黒の魔女

魔理沙の姿があった。

 

※※※※※

 

二人の間に何があったのかを聞くと、フランが

魔理沙に弾幕ごっこを仕掛け

それに魔理沙が勝ったことで

フランが魔理沙に興味を持ち私達が来るまで

二人で話をしていたのだという。

 

先ほどの衝撃はその時の弾幕ごっこで、

魔理沙が地下室だろうとお構い無しに

マスタースパークを撃ったことが原因だった。

だが、地下室には何の被害もない

何故だろうか?

まあいい。

全く人騒がせな魔女だ。

 

幻想郷を覆っていた紅い霧は、

いつの間にか収まり元の夜空が戻ってきた。

 

ところで、幻想郷にはもう一つルールがある。

それは異変が解決したら異変の関係者を招待した

宴会を異変の首謀者が執り行うというものだ。

何故かその宴会は、毎回博麗神社で行われるが。

 

 

※※※※※

 

 

その宴会から数日後、

博麗神社に吸血鬼姉妹が入り浸るようになった。

 

なぜかと言うと、どうやらあの二人に

と言うよりフランに懐かれてしまったらしい。

というのも、

レミリアの妹であるフランドールに憑いていた狂気

を、私の能力でこの世から浮かせたのだ。

これで彼女に憑いている狂気は、

かなり希薄なものになったはずである。

だが、そのお礼が神社に

入り浸ることなのはいただけない。

フランはまだいい、純粋に感謝の気持ちから、

何か私の手伝いをしようと神社にくるのだが

レミリアはいけない。

アレは私とフランの掛け合いを見て

楽しんでいる節がある。

 

本当に、何故こうなった。

 

※※※※※



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日常回Ⅰ

※※※※※

 

ある吸血鬼が起こした異変

 

紅い霧が発生した事で『紅霧異変』

と名付けられた。

 

が終わって一週間が経ち

私はなけなしの食料を

 

と言っても最近はフランが

頼んでもないのに勝手に

紅魔館から持ってくるのだが。

 

 

料理して食べ終わって

特にやることもなかったので

午後の太陽の陽だまりで

溶けるようにだらけていると、

魔法の森のある方角から見慣れた白黒が

箒に跨って飛んでくる。

 

「おーい!霊夢!

ヒマなら弾幕ごっこしようぜ!

新しいスペカができたんだよ!」

 

知るか。今の私はそんな物よりも

この暖かさの中でだらける事の方が

大切なのである。

だが、反応してやらないと

更にうるさくなりそうなので

しかたなく声をかけてやることにする。

 

 

「うっさいわね〜

見ての通り今の私はだらけるので

忙しいの。新しいスペカの実験なら

そこら辺の妖精か、紅魔館まで行って

レミリアかフランにでも相手しもらいなさい。」

 

「なら 代わりに霊夢は何かいい話でも知らないか?」

 

その質問に知らないと答えようとした時だった。

 

 

突然空間が裂けスキマが現れた。

そしてそのスキマの中から

妖怪の賢者であり、私の育て親である

八雲 紫が現れた。

 

「あら?面白そうな話してるじゃない。

お母さんも交ぜなさい!」

 

「ちょっ!」

 

「おわっ!誰だあんた?それとお母さんってどういう事だぜ?」

 

「初めましてね

私の名前は『八雲 紫』ですわ。

幻想郷の管理者をしている妖怪の賢者ですのよ。

そして、当代の博麗の巫女である霊夢の育ての親でもあります。」

 

「ふーん?そうなのか?霊夢?」

 

「ええ、まあ一応捨て子だった私を拾って

育ててくれておまけに『霊夢』という名前まで

くれたのは確かにそこのスキマ妖怪よ。」

「へぇ?紫が霊夢の育て親って訳か。

じゃあさ、何か霊夢の面白い昔話とか無いのか?」

 

「もちろんあるわよ!

と言うかだからこそ出てきたんだけどね。

それじゃあ話すとしましょうか。

霊夢を私の所で育てていた十年間の話を。」

 

「あっ、ちょっとこら!

人の過去を勝手に話すな!」

 

私が抗議していると、突然足元が裂け

スキマに落とされた。

紫の仕業だな。

帰ったら覚えてなさい。

お仕置き確定だ。

 

※※※※※

 

「さて、話すのは良いけど

どこから話したものかしらねぇ。」

 

「なんでもいいけど、早く話してくれよ!」

 

「まあまあ、そう焦らないの。

しっかり話してあげるから。」

 

紫は苦笑しながらも、話し始めてくれた。

 

 

※※※※※

あれは霊夢が二、三歳の頃だったかしら、

まだ幼かったのにあの子はもう自分の能力を

制御するための鍛錬を始めていてね。

 

もちろん私はまだあの子には早いと

思って何度も止めようとしたんだけど、

あの子は決してやめなかったわねぇ。

まあだからこそあそこまで能力を

引き出せるんだけどね。

それにあの子は天才だけどしっかり鍛錬も

していたのよ。

 

さてここであなたに質問よ。

 

強力な霊力を持つ人間の幼児が

妖怪の山の麓にいたら天狗達はどうすると思う?

 

正解は『あの子のことを将来の脅威になると

感じて、攫って殺す』よ。

 

当時の妖怪の山は、今よりも情勢が

不安定でね。

また当代の博麗の巫女が

衰弱して死にかけてたのよ。

この状況は、

妖怪の権利を高めるのに適している

と、天狗の上層部が判断したのでしょうね

天狗共が少しでも、博麗の巫女の適性がある

人間を減らそうとしたのでしょう

 

ただ、相手が悪かったのよね。

霊夢だけならまだ何とかなったかも

しれないけど、あの子が攫われたのに気がついた

藍が血相を変えて探しに行ったのね。

そして霊夢の気配が、妖怪の山の麓で

途絶えてることに気がついたの。

 

あっ、藍って言うのは私の式で九尾の狐なの。

そして、

霊夢のもう一人の親代わりと言ったところね。

で、その藍がねまた霊夢のことを

可愛がってたのよ。

だから霊夢も藍にばっかりお母さん、お母さん

って感じで懐いてねぇ

少しと言うか大分、寂しかったわ。

 

えーと、どこまで話したかしら

あーそう。

藍が気配が途絶えてる所に

気がついたところからね。

そこから藍はもう鬼神みたいな顔をして

殺気を放ち私でさえ少し

冷や汗をかいたほどだったわ。

それから藍が妖怪の山を登り始めたの。

哨戒天狗が藍を止めようとしたけどダメだったわ。

近づいただけでその殺気にやられて

倒れてたの。

 

それだけ怒ってたんでしょうねぇ。

まあ私も怒ってたんだけどね。

それで藍は、近寄ってくるものを

片っ端から打ち倒してね。

あの時は本当に凄かったわ。

愛の力って偉大なのね。

そして遂に妖怪の山の長である

天魔と対決したの

 

結果をいえば藍の圧勝だったわ。

だけど霊夢を見つけることは出来なかったの。

なぜならそこに居た天魔は、質量を持つ分身

だったからよ。

本物の天魔は霊夢を抱えて

妖怪の山の山頂の上空にその両翼を

広げて浮かんでいたわ。

そして天魔がいよいよ

霊夢を上空から、放り投げようとした

まさにその時ギリギリで藍が間に合ったの。

そこで藍は、本物の天魔と最後の決戦をしたの。

そして、見事当時の山の長を

倒し、霊夢を無事に救出することに成功したわ。

当の本人は、忘れてるかもしれないけどね。

 

その事件以降は更に藍は、過保護になり

霊夢の鍛錬には必ずついて行くようになったわ。

まるで本物の親子のようにね。

 

べ、べつに式が全然わたしに

構ってくれなかったり

霊夢が構ってくれなかったりで、

寂しくなんかなかったもん!

 

なによ!そんなに寂しがり屋に見える?

………そうよ!寂しかったわ!

なにか文句あるの!?

 

 

…ごほん。

 

 

とまあこれが、霊夢の二、三歳の頃の

一番心に残っている話かしらね。

もういいのかしら?

 

あら、確かにもういい時間ね

そろそろ霊夢も帰ってくるわ

それじゃ私は退散するわ。

 

あっ最後に一つ、

あの子は気難しい子だけど決して

悪い子じゃないわ。

これからも仲良くしてあげて

それじゃあね。

 

 

※※※※※

 

 

そう言って、紫は出てきた時と同じ様に

空間にスキマを作ってその中に入り

帰っていった。

 

普段聞けそうにない

霊夢の昔話が、聞けて得したぜ!

まあ、想像以上に重たい話だった気もするが。

 

それじゃあ、私も霊夢が帰ってくる前に

帰るとするかね。

次に会ったら、せいぜい

からかってやることにしよう。

 

※※※※※

 

 

やっとの事でスキマで

落とされた場所から

博麗神社に戻った私だったが、

既に二人はいなかった。

 

くっ、逃げられたか。

 

魔理沙のことだ 次にあったらそのネタで

からかってくるに決まっている。

全くタイミングが悪いったらありゃしない。

今から考えるだけで憂鬱だ。

ホント、紫のヤツ次に会ったら、

おぼえてなさいよ!

 

 

 

※※※※※

 



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日常回Ⅱ







※※※※※

 

「はあ、なんでこんな格好になってるのよ。」

 

私博麗 霊夢はいつもより高い

九歳位の少女のような声で、と言うか

完全にそれで呟いた。

 

そう、私は、前世の記憶通りなら小学生と

呼ばれる位の身体の大きさに縮んでいた。

 

 

まあ、元凶はだいたいわかる。

恐らく紫の暇つぶしだろう。

あいつの能力である、境界を操る程度の能力

によって私の肉体の境界を操ったのだろう。

 

多分呼んでも無駄だと思うが、

一応紫を読んでみる。

 

「紫 出てきなさい!」

やはり出てこない。

ならば仕方ない

この手は使いたくなかったが致し方ない。

覚悟を決めてもう一度紫に呼びかける。

 

「すぅー、ゆかりお母さんちょっと来て!」

 

「はーい!あなたのお母さん紫ですよ!!」

 

やはり出てきたのであらかじめ

用意しておいた結界で閉じ込める

 

「さてと、紫?何でこんなことしたの?」

 

「えーと、何を言ってるのかわかりませんわ。」

 

そう言うと紫は能力を使用して

無理やり結界を壊し逃げていった。

 

やはり、肉体の若返りによって霊力も

年相応のものになっているとはいえ

そこらの子供に比べたら遥かに上だが。

紫を、少しでも閉じ込められたのだから

十分だとはおもう。

 

「ん? なにこれ?」

 

紫が先程までいた場所に紙切れ

が落ちている。

 

内容は

 

 

 

「霊夢、その状態は一日経てば

元に戻るそうだ。

紫様が迷惑をかけて済まない。

それと、これは関係ない話なのだが

今度ようやくお前に会いに行けそうだ。

お土産を持って行くから楽しみにしていてくれ。

藍より」

 

 

どうやら藍からの手紙のようだ。

それにしても

一日か、普通に過ごしていればすぐだろうか?

だが、まだ朝だ寝るには早すぎる。

 

私はとりあえず気持ちを切り替え、朝食を

作ることにした。

と言ってとも昨日の残りと紫が持ってきた

インスタント味噌汁だが。

 

朝食を食べ終わったらいよいよ

することが見当たらず

仕方ないので、いつもの陽射しが暖かい

日向で昼寝をすることにした。

 

暫くして物音が聞こえて

起きてしまった。

 

すると目の前の見慣れた白黒

と言うか魔理沙が、こちらを訝しげに

見ていた。

少しの間見つめあっていたが

しびれを切らしたのか

魔理沙が口を開いた。

 

「お前は誰なんだぜ?

霊夢の妹とかなのかぜ?」

 

「違うわよ!

私は博麗の巫女

博麗 霊夢よ!」

 

「本当にそうなら

霊夢の親友である私に

証拠を見せるんだぜ!」

くっ!コイツ恥ずかしいことを

堂々と言った。

しかし、証拠か。

なら私の代名詞である夢想封印を

ぶつければ良いだろうか?

「分かったわ。

霊力の関係で一度しか

出来ないからしっかり目を開いてみてなさい!

行くわよ! 霊符『夢想封印』!」

 

私は、空に向かって夢想封印を打ち上げた。

 

「今のは確かに霊夢のスペカだぜ!

悪い。私としたことがどうかしてたぜ。」

 

「全くよ!

でもこれで私だって分かったでしょ?」

 

と言うか、夢想封印を一発撃っただけで

霊力の余剰分が

なくなってしまった。

アレで、分かってくれなかったら

困っていた。

 

「でも、なんでそんな格好になってるんだぜ?」

 

「紫のヤツが、暇つぶしに

私の肉体の境界を操ったのよ。」

 

「そんな事が出来るなんて、

相変わらずあいつは規格外だな。」

 

「まあでも、一日すれば

治るらしいけどね。」

 

「なら今のうちに

霊夢のちっちゃい頃を

楽しまないといけないな!」

 

「えっ!ちょっとやめなさい!」

 

「うりうり!」

 

「頭をなでるなぁ!

やめなさい!」

 

「おっと、不味い

そう言えば昨日見つけた

茸を一人火にかけたままだったぜ!

という訳でじゃあな!

紅魔館の連中にこのことは

話しとくぜ!」

 

「あーもう やめなさいって

言ってるでしょ!」

 

私の抗議も空しく、

魔理沙は箒に跨り

紅魔館の方へ飛んでいったのだった。

 

本当に今日はついてない一日だ。

 

 

 

 

※※※※※

 

魔理沙が帰った後、

時間的にちょうど良かったので

昼食を作ることにした。

作るのは紫が持ってきた

カップラーメンだ。

お湯をかけるだけで完成するので

重宝しているのだ。

 

昼食を食べ終わり

洗濯物を干そうとした時、

神社の鳥居の方から話し声が

聞こえてくる。

まさかと思った私は、

一応確認してみることにした。

歩いて鳥居の前に行こうとしたら

急に前方から衝撃が私の体を襲った。

 

「うわ~!可愛い!

お姉様!

ホントに霊夢ちっちゃくなってるよ!」

 

「ほっ、ほんとね。

なにがあったかは、知らないけど

可愛いじゃない!」

 

「いいから離しなさい。

前が見えないじゃないの。」

 

 

はあ、面倒なヤツらに捕まった。

私はそう思っていた。

 

「何しに来たか知らないけど、

早く帰りなさいよ!」

 

「霊夢を存分に愛でたら帰るわ!」

 

「お姉様に同じ!」

 

「愛でなくていいから、

さっさと帰りなさい!」

ほんとに面倒なヤツらに捕まってしまった。

 

 

 

その後結局存分に頭を撫で繰り回されたり、

抱っこされたりしたのだった。

 

 

それから暫くしてレミリア達が帰ったあと

私はもう何もする気力がなかったので

朝から敷きっぱなしだった布団に

死んだ様に倒れ込んで

そのまま眠ってしまったのだった。

 

珍しくまだ私が幼かった頃のことを

夢で見た。

 

私は覚えていないのだが、

寝ながら笑顔になっていたようだ。

朝起きたら目の前にいた紫が

そう言っていた。

 

 

ちなみに元の私の姿に戻っていたので、

紫を吊るし上げた。

 

前回スキマに落とされたことはまだ

根に持っているので、しっかり

夢想封印もぶつけておいた。

 

※※※※※

 

 

 

「久しぶりのロリ霊夢

可愛かったなぁ!」

 

私の災難な一日の様子をそっと見ていた

某九尾の狐の言葉である。

 

 

 

 

※※※※※



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日常回Ⅲ

※※※※※

 

私は縁側でお茶を飲みながらふぅ、と

ため息をついた。

 

目の前の庭で仲良く遊んでいる

二人の吸血鬼姉妹を見ながら。

 

なんで吸血鬼なのに太陽の下で

遊んで無事なの?

とか気にしてはいけない

 

「なんで今度はアンタらが

ちっちゃくなってるのよ!」

 

そう。

私の身体が元に戻った二日後

咲夜がこの二人を連れて

博麗神社にやって来たのだった。

 

 

「悪いわね霊夢

他にどこに行けばいいか分からなかったのよ。

あなたの時と違ってお嬢様達は記憶まで

消えてるみたいだしね。」

 

だからといって家に来られても困るのだが

 

「なら、例のスキマ妖怪を読んでちょうだい。」

 

それこそ無理な話だ。

アイツは基本自由だから

呼んだからといって確実に来る訳では無いのだ。

本人曰く、大妖怪は忙しいのよ!との事だが。

ホントのことはどうか知らないけどね。

 

どうしたものかと頭を悩ませていると、

 

「ねえ、れいむお姉ちゃんも一緒に遊ぼ?」

 

幼児化して気取った感じの消えたレミリアが

遊びに誘ってきた。

反応に困っていると、

 

「もしかして、れいむお姉ちゃん私達と遊ぶの

いやだった?」

 

幼児化したフランが涙目でそう聞いてくる。

それを見て思考を放棄した私は

この二人の相手をして上げることにしたのだった。

 

「あーもう!分かったわよ。

遊べばいいんでしょ?

で、何で遊ぶの?」

 

「なら、鬼ごっこしましょ!」

 

「いいわねおねーさま!

れいむお姉ちゃんも、それでいい?」

 

「分かったわよ。

それで誰が最初の鬼?」

 

「霊夢

そういう話なら私が鬼になるわ。」

 

今まで姉妹のことを一歩引いた所から見守っていた

咲夜がそう申し出てきた。

 

「わぁ~!さくやお姉ちゃんも

遊んでくれるの?」

 

「やったわね!おねーさま!」

 

二人は咲夜も遊んでくれると知って

喜んでいる。

 

 

「それじゃはじめますよ。

今から三十秒数えますから

お嬢様方と霊夢は逃げてくださいね。

あっ、逃げていい範囲は

神社の敷地の中だけですよ?

宜しいですね?

では、早速カウントします。」

 

咲夜が早速カウントを始めた。

とりあえず私は一応神社の敷地当たる

裏山に隠れることにした。

あそこは慣れていないと自然の迷路の様に

感じるはずだ。

 

レミリアとフランは………

 

どうやら既にそれぞれ捕まらない様な場所に

いるようだ。

 

カウントが残り十秒を切った。

少し急ぐとしよう。

 

何とかカウントが終わる前に

逃げ込む事が出来た。

 

そして、暫く潜んでいると

レミリアが潜んでいたあたりの場所から

 

「きゃあ!

ちょっと咲夜お姉ちゃん

時を止めるのは反則だよ!」

 

どうやら早くも鬼が交代したようだ。

 

にしてもえらい早く見つかったわね。

アイツもうまいこと隠れてる様に見えたけどね。

まあ、時を止めて探されたらねぇ?

と言うか遊びにそこまで力を入れるかしら?

大人気ないわね。

 

 

そして、レミリアに鬼が移ってから

少ししてフランを見つけたレミリアだったが

肉体のスペックがほぼ同じなのもあり

なかなか捕まらなかったが、先にフランの

スタミナが切れレミリアに抱きつかれ

鬼がフランに移ったようだ。

 

「はあ、はあ、

ちょっとおねーさま!

少しくらい手加減してよ!」

 

「ふふん。

フランいい事を教えてあげるわ!

たたかいはひじょーなのよ!」

 

どこでそんな言葉を覚えてきたのだろう?

まあ気にしたら負けか。

 

これでフランが鬼になったわけだが、

みんなコツを掴んだようで

なかなか捕まらないようだ。

このままだとフランが泣きそうなので

鬼を変わってあげることにする。

 

「ほら、フラン鬼交代よ。私が追いかけるから

はやく逃げなさい。」

 

「ほんと?霊夢お姉ちゃん!

ありがと!」

 

「いいから

ほら、早く行った行った!」

 

フランが急いで逃げていく。

 

そして、十秒数え終わったので

三人を探しに行くことにする。

 

子供は単純なもので

勝たせてあげると喜ぶ。

そう思ってわざと勝たせようとしたのだが、

なかなか見つからない。

思ったよりも三人はうまく隠れているようだ。

少しだけ裏技を使うことにした。

霊力の波を周囲に飛ばし、

三人にぶつかるまでの距離を測ったのだ。

すると、割と近くから咲夜と思わしき気配が

見つかった。

よし!捕まえに行くことにしよう。

私は、霊力を身にまといその場所に走っていった。

咲夜は、まさか見つかると

思っていなかったようで突然現れた私に

対応出来ず、捕まえることが出来た。

 

さて、もう一度隠れることにしようとしたら、

咲夜がレミリアと、フランを呼び

 

「お嬢様方!そろそろお夕食の時間ですよ!

紅魔館に帰りましょう!」

 

それを聞いたレミリアとフランが

集まってきた。

 

「あら、もうそんな時間なのね。

思ったよりも熱中してしまったわ。」

「今日は遊んでくれてありがとうね。

このお礼はお嬢様方が元に戻ったら

必ずするわ。

じゃあ今日の所はこれで失礼するわね。

お嬢様?お別れの挨拶を。」

「れいむお姉ちゃん今日は遊んでくれて

ありがとう!

またいつか遊んでくれるとうれしいわ!」

 

「わたしも忘れちゃやーよ?

れいむお姉ちゃん!

今日はほんとにありがとね!」

 

三人は仲良く手を繋ぎ帰っていった。

 

 

「子供ってやっぱり元気ね。」

 

そんなどうでもいい事を

一人になった後でそっと呟いた。

 

騒々しい筈だったのに、

いざ三人が帰ると少し寂しい気がする。

今日はさっさと寝てしまおうと決めて

夕飯を食べて布団を敷き、さあ寝ようとした時

どこからか声が聞こえた。

 

 

「久しぶりだな。霊夢!

元気にやっていたか?」

 

 

その声はスキマから出てきた

もう一人の私の育て親 藍の物だった。

久しぶりに見た

藍に抱きついてしまった。

 

「おっとっと。どうしたんだ霊夢?」

 

藍が優しい声で私に何があったのかを

聞いてくる。

 

私は、ゆっくりと首を横に振り

 

「なんにもないの。

ただなんか今すこし甘えたい気分なの。

もう少しこうしててもいい?」

「ああ、もちろんだとも。」

 

藍はそう言うと私の頭を撫でてくれた

私は昔からこの感触が好きだったのだ。

 

少しして、藍から離れる。

 

「改めて、おかえりなさい藍!」

 

「ああ、ただいま霊夢。」

 

「藍!私、藍に聞いて欲しいことが

沢山あるの!」

 

「それはいいが私も霊夢に話したい土産話が

沢山あるんだ!

おっと、忘れる所だった。

はい、お土産のマフラーだ。

これからは必要になるだろう。

私の手編みだぞ?

しっかり使って身体を

壊さないようにしてくれよ?」

 

「わぁ!ありがとう藍!

大切に使うわね!」

 

 

それから二人で夜がふけるまで

話をしていたのだった。

 

 

 

※※※※※



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妖々夢
妖々夢Ⅰ


こんばんわ
今回から妖々夢編となります
リクエスト通り、転生要素を含めて
お送りできればいいのですが………


※※※※※

 

 

紅霧異変を解決してからそろそろ五ヶ月が経つだろうか?

そろそろ春になってもいい頃なのだが

まだ雪が止む気配はない。

 

「あ〜寒い!

どうなってるのよ今年は!」

 

そう呟いて私は、いつの間にか用意されていたコタツに

入り寝そべった。

 

「外は寒くてもコタツの中は極楽なんだぜ~」

 

全くその通りである。

 

「って、いつの間に来たのよ魔理沙!」

 

「ついさっきお前が一人で寒い寒い言ってた時だぜ!」

 

「全く気がつかなかったわ。それで何しに来たの?」

 

「おお!そうだコタツの魔力で忘れる所だったぜ!

霊夢、これは間違いなく異変だ!解決に行こうぜ!」

 

「冬が続いてるのが異変だっていうの?

放っておけばその内春が来るわよ」

 

「いいじゃないか。どうせお前のことだ

この寒さの中で運動したりしなかったんだろ?いい運動じゃないか!さあ、異変解決に行こうぜ!」

 

はあ、帰りそうにないわね。

 

そうだ、どうせ外に出るなら

藍から貰ったマフラーをしていこう。

そう考えると少し気が楽になった。

 

「分かったわ。行くわよ。でも少し準備するから待っててちょうだいすぐ済ませるから。」

 

準備と言っても大弊を予備含めて数本と、

お札の束を三束。それと

藍から貰ったマフラーを装備するだけだが。

 

「さて準備できたわよ?」

 

「よーし!それじゃ行こうぜ!」

 

「ところで、どこに黒幕がいるか分かってるの?」

 

私は、とりあえず冬と聞いて妖精最強の氷精を思い出した。

まさかとは思うが、他に手がかりもないし

氷精 チルノの元に行くことにした。

 

 

 

 

 

そして、いざと飛ぼうとした時、

 

急に私の中の『俺』から凄まじい拒否反応が起きて、

それに耐え切れず倒れてしまった。

 

「ちょっ、どうしたのぜ?霊夢!

おい!大丈夫か!?」

 

「ぐっ、ゆかりを 紫を呼んでちょうだい。」

 

絞る出すような声で魔理沙にそう告げる

先程よりもさらに激しい頭痛と吐き気が

襲ってくる。

いよいよ不味いかもしれない。

 

「分かったのぜ!

すぅー、紫!出てくるのぜ!アンタの娘が

大変なことになるぜ!」

 

 

 

 

 

 

空間が裂けできたスキマから出てきたのは紫ではなく

藍だった。

 

 

 

「おい!どうした霊夢!?大丈夫か!?

おい魔法使い!霊夢に何をした!!」

 

「ちょっと落ち着くんだぜ!私は何もしてないんだぜ!

異変の解決に向かおうとしたら霊夢が急に倒れたんだぜ!」

 

 

「まさか、今回の幽々子様の異変に

魂が拒否反応を起こしたのか!?

だとしたら不味い!

霊夢は幼い頃から感受性が強くてな、

今回の異変は前回の異変よりも『死』のイメージが強

いのだ。

恐らく霊夢はそれを敏感に感じ取ってしまい、

当てられてしまったのだろう。」

 

そろそろ起きれるくらいには頭痛と吐き気が

収まったので起き上がることにする。

 

「魔理沙…悪いわね心配かけて。」

 

「おい 霊夢もう大丈夫なのか?」

 

「霊夢、すまない!今回の一件は我々八雲のミスだ!」

 

 

藍が私の方を見て頭を下げてくる。

 

「説明、してくれるかしら?」

もちろんと、頷き藍が説明を始める。

 

 

「実は今回の異変は紫様のご友人である亡霊の幽々子様の仕業だ。幽々子様は冥界の白玉楼という所に住んでいてなその庭には毎年決して咲くことの無い桜 西行妖というものがあってそれを咲かせて、冥界で、花見をするというのが今回の異変の真相だ。」

 

「で、お前が倒れた理由だがな霊夢が人とは違いとても強い感受性を持っているというのは自分でも知 っているだろ?幽々子様の能力は『死を操る程度の能力』なんて言うとんでもないものなんだ。それでそんな生死に関わるような事になると、霊夢は感受性の高さが災いして今回のようなことになるんだ。」

 

 

藍は説明を終えるとふぅーと、疲れたように長いため息をついた。

 

「霊夢 今回の異変はいいから休んでいた方がいい幽々子様には私から異変を収めてくれるように頼んでおくから。」

 

「ちょっと待ちなさいよ。一度異変として起きた以上、それを解決するのは人間の博麗の巫女の仕事よ!悪いけど藍は手を出さないで。」

 

「だが、霊夢お前は倒れたんだぞ?お前の親として行かせるわけにはいかない。」

 

「だけどそういう訳にはいかないのそれにアンタらが異変に手を出したら博麗の巫女の意味が無くなっちゃうじゃない。お願い!藍、アンタが心配するのもわかるけどだから こそこの異変を解決してアンタを安心させたいの。そのために行かせてほしいの!」

 

「はあ、分かったよ。但し、私の式神に勝てたら

行かせてあげよう。」

 

 

「じゃあ早速やりましょ?」

 

そう言って私は先程装備した大弊と札を引き抜き構える。

 

「分かったよ。では、来い!橙!」

 

札を構えた藍がそう叫ぶと、

激しい閃光があたりを襲い思わず目を閉じてしまった。

そして、開けた時には藍の式神 化け猫の妖怪『橙』が

いた。

 

「らんしゃま?何か用ですか?

幼い少女の声で橙がそう聞いた。

 

「よく来てくれたね。橙にはちょっとあの巫女と弾幕ごっこで戦ってほしいんだ。手加減はいらないからね。」

 

「分かりました!」

 

「もういいかしら?そろそろ始めたいのだけど。」

 

「わかったわかった。ルールは二人 残機二、

スペル二だ。 それじゃあ始め!」

 

 

私は、ホーミングアミュレットを発射する。

どうやら橙は、あまり弾幕ごっこに慣れていないらしく、ホーミングアミュレットに対応出来ずに早速

一発被弾した。

 

「うにゃあ!うー、早速一発もらっちゃったよ!でも私だって負けないもん!

そう言うと橙は弾幕をばらまきながら

そこら中を凄まじい速度で駆け回った。

あまりの速度にホーミングアミュレットが、追跡出来ないでいる。まさに攻防一帯の技だろう。

 

「くっ!ちょこまかと動き回るなぁ!」

 

「嫌だよ!これが私の戦い方だもん!」

 

そう言うと橙はさらに速度を上昇させた。

 

暫くの間お互いがお互いの弾幕に当たらない

膠着状態に陥ってしまった。

 

「化け猫の癖になかなか上手いじゃない!」

 

「そっちこそさすが博麗の巫女ね!」

 

このままじゃ埒が明かないと思ったので一枚スペルを使う事にした。

 

「そろそろ一枚スペル行くわよ!アンタに避けきれるかしら?スペル宣言!霊符『夢想封印』!!!!」

 

先ほどの弾幕とは比べ物にならない早さの五色の弾幕が

橙に向かって飛んでいき、直撃する!

 

「うわぁ!」

 

夢想封印が直撃した橙は目を回して倒れている。

 

「らんしゃまぁ、ごめんなさいです。

負けちゃいましたです。」

 

私との弾幕ごっこに負けた橙が藍の方へとぼとぼと

歩いていった。

 

「気にすることはないさ。

それよりも急な召喚に応じてくれたことに

感謝するよ。

改めて霊夢と戦ってくれてありがとう橙。」

 

「藍しゃま」

 

「橙」

 

「藍しゃまぁ!」

 

「橙!」

 

「らんしゃまあああ!!!」

 

「チェええええええええん!!!」

 

 

 

ひしっと抱き合う式神主従コンビ!

美しきかな主従愛

だが、時と場合を考えてもらいたい。

 

「ねえ!勝ったんだし、そろそろ異変解決に行っていいかしら?」

 

「ああ、もう行っていいぞ。そうだ!冥界に直接繋がるスキマを開いておくよ。

これで冥界にすぐに行けるぞ!

幽々子様は強いぞ!気をつけてな!」

 

「異変解決頑張ってね!れいむ!」

 

橙が応援してくれる。

何だか頑張ろうという気になれる。

 

魔理沙は

「ふあ~あ。なあ霊夢終わったか~?」

 

人のコタツの中で寝ていた。

その様子に少し呆れを覚える。

 

「アンタねぇ人が戦ってる間寝てたの?」

 

「いや~わるいわるいでも霊夢なら大丈夫だと思ってつい安心して眠気が来ちゃったのぜ!」

 

「はあ、もういいわ。それじゃ行こうかしら?」

 

「おう!そうしようぜ!」

 

そして私たちは藍が開いてくれたスキマを通り

冥界へと向かったのだった。



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妖々夢編Ⅱ

こんばんわ
妖々夢編二話目になります




※※※※※

 

藍が開いてくれたスキマは、白玉楼とやらの門の前に

繋がっていた。

 

「まっ、いきなりボス戦なわけないか。」

 

魔理沙が納得したように何度も頷いている。

 

「じゃあ進もうかしら?

っ!避けなさい魔理沙!」

 

「うわっと! いきなり何なんだぜ!」

 

「ほう 人智剣『天女返し』に反応できますか。

この技は天狗さえも目で追い切れないはずなのですが

まさか勘だけで見切るだけでなく、仲間に回避させるとは流石は博麗の巫女ですね。」

 

ふと前を向いたら銀髪をボブカットにして長刀と短刀を両手に携えている人間?

いや、違うすぐ側に人魂があった。

あれは半人半霊なのだろう。

 

「なによアンタ!危ないわね!」

 

「ここを通りたければ私を倒していきなさい!

私の名前は『魂魄 妖夢』貴方達に残機二、スペル三の

弾幕ごっこを申し込みます!」

 

「なんかめんどくさい事になったわね」

 

「霊夢お前はまだ本調子じゃないんだし、ここは私に任せてお前は先に行くんだぜ!」

 

さすがは私の親友その事に気付いてたわけか。

 

「分かったわ!ここは任せるわ。 魔理沙、負けるんじゃないわよ!」

 

「逃がすか!人符『現世斬』!」

 

「おっと!お前の相手は私だぜ!霊夢の邪魔はさせないぜ!」

 

「人間!あなたもなかなかやりますね。

いいでしょうあなたを倒してすぐに追いかけるだけです!」

 

「私は、人間じゃなくてどこにでもいる普通の魔法使い

魔理沙だぜ!」

 

そう言うと魔理沙は色とりどりの弾幕を発射する。

 

「いや、魔法使いはどこにもはいないと思うんですが!?」

 

妖夢が律儀にツッコミながら、魔理沙の弾幕を捌いていく。

 

「そろそろ一発目のスペル行くんだぜ!

スペル宣言!彗星『ブレイジングスター』!!」

 

魔理沙がそう叫ぶと彼女がマスタースパークの様な強力な光を纏い周囲に弾幕をばらまきながら妖夢に凄まじい速度で突進して行った。

 

「うわっ! くう!一発もらってしまいましたが、

次は私の番ですよ!魂魄『幽明求聞持聡明の法』!」

そう叫ぶと妖夢の半霊が妖夢と同じ形をとって妖夢が二人になった。

 

「何じゃそりゃ!」

 

「まだ終わりじゃないですよ!スペル宣言!

奥義『西行春風斬』!!」

そう叫ぶと妖夢は魔理沙の目の前を往復して

すれ違いざまに斬りかかった。

二人の妖夢が同時に斬りかかってくるのでなかなか対応が難しい。半霊が化けた方の妖夢が斬撃を本体の斬撃に隠れるように撃って来て一発被弾してしまった。

 

「負けられるかよ!行くぜ!ラストワード!

魔砲『ファイナルスパーク』!!!」

 

それに危険を感じたのか妖夢が横に避けるが、

魔理沙がスパークの角度を調節して確実に当てに行く。

 

「みょん!?」

 

スパークが直激した妖夢が変な声を上げて倒れる。

 

「ハアッハアッ

なんとか勝てたぜ!全く二人に分身するなんて反則だぜ。」

 

妖夢との弾幕ごっこに勝利した魔理沙は先に行かせた

霊夢の元へ急ぐ

 

そのころ霊夢は~

 

 

「くっ!アンタスペルカードルールほんとに守ってんの!?」

 

「うふふもちろんじゃない。博麗の巫女の前でルール

違反をするわけないじゃないの。

ただ私は能力を弾幕に乗せて撃っているだけよ?」

 

「その能力が危険なんじゃない!

死を操る程度の能力なんて反則なんて余裕でぶちぎるくらいヤバイやつじゃないのよ!」

 

そう。幽々子が放ってくる弾幕は黒い蝶の形をしているのだがその一匹一匹が死の力を宿しているため迂闊に

触れないのだ。

 

「別にいいじゃない。ルール違反はしてないんだしね。」

 

「あーもー分かった。ならこっちも全力で行くわよ!

覚悟しなさい!スペル宣言!神霊『夢想封印』!!!」

 

通常の夢想封印よりもなお密度が濃く、弾速が早い

五色の弾幕が幽々子に飛んでいく。それが直撃したように見えたのだがその直前に西行妖が枝を伸ばし幽々子を取り込んでしまった!

 

「なっ!この力は!?不味い逃げなさい博麗の巫女!

いくらあなたでも一切制限されていない死の力に

当たったら死んじゃうわよ!」

 

「イヤよ。まだ異変解決してないもん。」

 

「今はそれどころじゃないのよ!?

どうして今まで気が付かなかったのかしら。

この桜に能力が宿っていることを。

霊夢よく聞きなさい。この桜、西行妖には生きとし生

けるもの全てを死に誘う程度の能力を持っているの。

今は辛うじて誰かが施してくれた封印のお陰で完全に

は復活してないけれど私が完全に取り込まれたら

おしまいよ!あなただけじゃない!幻想郷全土に

西行妖は死の力を撒き散らすのよ。それを止める方法

はただ一つ 分かるわね?」

 

「ええ。あなたが完全に取り込まれる前に西行妖を

排除すればいいのよね?そうだどうせ見てるだろうか

らアイツも呼ぼうかしらね。覗き見なんて趣味の悪い

ことしないでさっさと出てきて一緒に西行妖を封印し

なさい紫!!!」

 

「ええいいわよ。親子で久しぶりの共闘と行きましょ?」

 

「まずは取り込まれかけてる幽々子を助け出すわよ!」

 

「合わせなさい霊夢!行くわよ!」

 

「「霊符 深弾幕結界 『『夢想封印 -夢幻泡影-』』!」」

 

私と紫の弾幕が確実に西行妖と幽々子を引き離そうとするがあと一押し足りない!

 

「待たせたな霊夢! 行くぜ!魔砲『ファイナルマスタースパーク』!!!」

 

魔理沙が放った弾幕によって遂に完全に幽々子と西行妖

の融合が解除された!

 

「さて、霊夢?ここからが本番よ!」

 

「分かってるわよ、紫!悪いけど魔理沙アンタも

手伝いなさい!」

 

「分かってるって ラスボスを前に逃げたりしないぜ!」

 

「行くわよ二人共! 霊符『夢想封印‐散‐』!」

 

「分かったぜ!魔符『スターダストレヴァリエ』!」

 

「ええ!廃線『ぶらり廃駅下車の旅』!」

 

私たち三人の弾幕が西行妖を捉えるが

それを防御して有り余るほどの死の力を宿した弾幕が

辺りに撒き散らされる!

西行妖の力が尽きる気配は全くない

こうなったら、もう私の能力でこの世界から浮かすしか方法はない!

 

「どきなさい魔理沙に紫!私の能力でソイツを浮かせるわ!」

 

そして私は浮く程度の能力を限界まで酷使して漸く

西行妖を世界から浮かせることに成功した。

それを三人で喜んでいると、

 

 

「見事なものですね。しかしその能力は些か人の手には

余るものでもあります。そう、あなたには自覚が足りない。」

 

いつの間にか緑の髪をして紅白のリボンをつけた少女が立っていた。



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妖々夢アレンジEX

はいこんばんは
今回は一応オリジナルの話です。

楽しんでいただけましたら嬉しいです


※※※※※

 

「で、いきなり出てきて人に説教しようとした

アンタはどこの誰なの?」

 

「ああ、私とした事がうっかりしていました。

私の名は、『四季 映姫 ヤマザナドゥ』です。

四季が性で映姫が名、そして、ヤマザナドゥが

私の役職 閻魔を表すものです。』

 

「それで?閻魔が私たちに何の用?

まさか、説教して終わりじゃないわよね?」

 

「ですから最初に見事と、そういったでしょう。今回は感謝をしに来たのですよ。改めて、西行妖を封印していただきありがとうござい ました。まあ、最もあなた方が失敗した場合私の能力で封印することになっていたのですがその心配は必要なかったようですね。

 

「まさか、閻魔さまからお礼を言われる日が来るとは思

わなかったぜ!」

 

「うふふ そうね。」

 

「しかし!慢心してはなりませんよ?これから暫く休みの度に幻想郷中を見て回りますからね?その時は容赦なく説教するので覚悟するように。ああ、それと霊夢。あなたは少し残って下さい。少々話したいことがあるのです。」

 

「はあ?私に話?早く終わらせてよね!このあと宴会が控えてんだから」

 

「早く終わるかどうかはあなた次第ですよ。」

 

「じゃあ先に神社に戻ってるわね。行くわよ魔理沙」

 

「おう!じゃあな霊夢!」

 

そう言うと二人は紫が開いたスキマを通り神社へと

帰っていった。

 

「で、私に何の話があるの?」

 

「単刀直入に聞きます。霊夢あなたはその身体の本来の 持ち主ではありませんね?」

 

「………いつか気づかれるとは思っていたけど

まさか閻魔様に知られてるとはね。そうアンタの言う通りよ。私は、いや『俺』はこの体の本来の持ち主ではないよ。正確に言えばとある女神様に能力の管理を任される代わりにこの魂の無い身体に転生したんだ。」

 

「やはり、そうだったのですね。あなたが言う女神が誰 のことなのかは分かりませんがたしかにその判断は間違っていないように閻魔の私から見ても感じます。」

「で?どうするの?この世界にとって異物であると判断

して『俺』を排除する?」

 

「その件についてなのですが、確かにあなたは異物

ではあるのです。しかし今消し去るのはかえってこの

世界に悪影響を与えかねないのです。とはいえ、異物をいつまでも放置しておくわけにはいきませんのであなたに、正確にはあなたの魂にこの世界 幻想郷に完全に適応してもらうことになりました。そのために常識を叩き込む役に私がなりました。これが私からの話です。先程も言いましたが、これから見かけたらビシバシ説教をしますので覚悟しておいてくださいね?」

「まっ、それが妥当でしょうね。いやむしろその程度で終わって感謝するべきなのかも知れないわね。ありがとう。この身体の本来の持ち主に変わって礼を言うわ。」

 

「いえ、別に私は今回何もしていないのですがね。」

 

そう言うと映姫は少し苦笑した。

 

「それではそろそろ私は失礼しますよ。ではまた近い内に会いましょう。」

「できれば二度と会いたくないわね。まあ、いいわそれじゃあね」

 

そう言うと映姫は帰っていった。

さて、私も帰るとしよう。

紫が開いて行ったスキマを通り神社に帰った。

するとそこでは既に宴会が行われていた。

 

「おい!霊夢遅かったな!何を話してたんだ?」

 

既に酔っ払っていると見える魔理沙がそう聞いてきた。

 

「まあ、いろいろね。ってかもうアンタ酔っ払ってるじゃない!」

 

「へっ!帰るのが遅い方が悪いんだよ!まーまーいいから飲めって!」

 

「あっちょこぼれるじゃない!」

 

魔理沙が注いでくれた酒を思いっきり煽る。

そうすると、身体が火照ったように熱くなる。

 

「ああ〜これこれ!ひと仕事終わったあとの一杯が美味

いのよねぇ~」

 

「ちょっと霊夢?オッサンみたいだからやめなさいそんなこと全くどこでそんなこと覚えてきたのかしら?」

 

「間違いなくアンタの影響だよ。さっきアンタ霊夢と全く同じ飲み方をしてたし、その後に喋ったことまで同じだぜ!」

 

「あら、私そんなことしてたかしら?」

 

「紫~二人で何の話してるのよ!私も混ぜなさい!」

 

「あっちょ幽々子やめなさい!お酒がこぼれちゃうから急に抱きつかないで!」

 

「なによう~紫は親友よりもお酒の方が大事なの?」

 

「ちっちがうけど。それこれとは別よ!いいからどきなさい!」

 

「もう~照れちゃって~。」

 

「あの!幽々子様先ほどの料理はどこに行ったのですか?」

 

「あ〜アレ?もう食べちゃったわよ~。」

 

「そっそんな、ではまた作らないといけないじゃないですか。」

 

「頼んだわよ~」

 

「ってコラコラ待ちなさいそこ!何勝手に人の台所使ってんのよ。」

 

「あっ、霊夢さん!どうやら私たちが気絶している間に

大変なことがあった様で!助太刀できず申し訳ありませんでした。」

 

「あーいいわよ別にそんなこと。もう!怒る気が消えちゃったじゃない!台所勝手に使っていいからなんか適当に肴つくってちょうだい」

 

「分かりました!この楼観剣と白楼剣の名にかけて、美味しい料理をお届けします!」

 

「はいはいそれなりに期待しとくわ。」

 

 

 

 

そうして夜が更けるまで宴会を楽しんだのだった。









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日常回IVその一

※※※※※

 

「霊夢!早速教えを守っているか閻魔である私が

わざわざ確認しに来てあげましたよ!

まあ違う目的もありますが。」

 

「なんなのよ朝っぱらから

迷惑だから早く帰ってくんない?

ってかもう一つの用事ってなんなのよ」

 

朝、物音で目を覚ますと枕元に地獄の閻魔

四季 映姫が座っていた。

 

「あなたは教えを………守っていないようですね

長すぎる睡眠は怠惰の罪に結びつくのですよ!

用事の前に説教しますから早く起きなさい!」

 

「あーもー!分かったから早く話しなさい!」

 

「では、コホン!いいですか?………」

 

 

~閻魔説教中~

 

 

 

「つまりそういう事なんですよ!

分かりましたか?」

 

やっと説教が終わったようだ

相変わらずこの人の説教は長いなぁ

 

「はいはい、それで?

もう一つの用事ってのはなんなの?」

 

「はいは一回です!まあいいです。

今それよりもう一つの用事の方が大切ですから。

 

それでその話なんですが、私の能力

『白黒はっきりつける程度の能力』で、

あなたの生前の姿を再現してみようと思うんです。

 

閻魔をしている以上は説教する相手の本質を

見極めないといけませんから!」

 

何やら面倒なことになったわね

 

「でも私の元の肉体は表の世界で消滅したわよ?」

 

「問題ありません!私の能力で私が

あなたの肉体があると言えばあるのですよ!」

 

うわ!閻魔なんでもありね!

 

「それではいきますよ!」

 

映姫がそう言うと私を眩い光が包んだ!!!

光が収まって私は、いや、『俺』は本当に自分の

肉体が戻っているかを確認した。

 

「うわ!ほんとに戻ってるぜ!

さすがは閻魔だな!」

 

「それがあなたの本当の姿ですか?」

 

「ん。一応そうなるかな。

改めて自己紹介しようか俺の本当の名前は

『叢雲 刀真』だ。

よろしくな?可愛い閻魔様」

 

「えっちょっ急に何を言うのですか!

閻魔にそんな言葉………

黒です!あなたは間違いなく黒ですよ!」

 

「そうか?思ったことを

そのまま口にしただけだぜ?」

 

「なら尚更、質が悪いですよ!

抜として今日から一ヶ月その姿で

過ごしてもらいます!」

 

「えー、一ヶ月もか?

まあ元の身体で暮らせるからいいけどさぁ

そんなに眉間にシワを寄せたらせっかくの

可愛い顔に刻みついちまうぜ?」

 

「っ~!ほらまたそういうことを言う!

もういいです!知りません私は帰ります!

小町来なさい!」

 

映姫がそう言うとどこからか鎌を背負った

いかにも死神ですと言った風貌の赤髪の美少女がいた。

 

「はーい!四季様迎えに上がりましたよ~。

っと、四季様こちらの破壊力抜群の殿方は?」

 

「来ましたか小町。この男は博麗の巫女 霊夢の

真の姿です。」

 

「えっどういう事ですか?」

「実は………」

 

 

~閻魔説明中~

 

「という訳で刀真はさっきから自分の容姿を考えずに

ひたすら私にこういうことを言うわけですよ。

しかもそれをお世辞ではなく本心から言っているので余計タチが悪いのですよ。

もう私は帰ることにします小町送りなさい!」

 

「はぁ~そういう事があったんですね。

じゃあ帰る前に一言話してから帰りましょうか。」

 

「えっと俺の名前は『叢雲 刀真』

って言うんだ。んで突然現れたアンタは誰だ?」

 

「あー自己紹介が遅れたね。

私は四季様の部下で三途の川の船頭をやってる

『小野塚 小町』って言うもんだよ。

よろしくな刀真。」

 

「ああ、よろしくな小町。」

 

「小町?そろそろ本気で帰りたいのですが?」

「あっ失礼しました、では帰りましょう。

じゃあね刀真またいつか会おう。」

 

「おう!じゃあな映姫、小町!」

 

映姫と手を繋いだ小町は何の力かわからないが

一瞬で消えた。

 

 

 

 

 

それから暫くして

空間が裂けスキマができその中から紫が出てきた。

 

「あっおはよう紫!」

 

「ええおはよう。それであなたは

一体何者なのかしら?どうして

霊夢がいるはずの神社に見たこともない殿方が

いるのかしら?」

 

「あ〜、そっか話してなかったな。

俺の身の上話。

どうして俺が霊夢がいるはずの神社にいるかと言うと

俺が霊夢だからだ!

ふっ、どういうことだって顔をしてるな。

その顔も可愛いぜ。

それで説明をするとだな………」

 

~青年説明中~

 

 

「ふーん?つまりあなたは転生して霊夢の肉体に

宿ったってことね。」

 

「信じてもらえるか?」

 

「信じられるわけないじゃない。

っと、言いたいところだけどあなたという

生きた証拠がいるからね。それに

たとえあなたの前世がどんなだろうとあなたは

私の子供よ。

自分の子供を

信じないわけには行かないわよね。」

 

「じゃあ俺のことを嫌いにならないか?」

 

「当たり前じゃない!」

 

「ちょっなんで泣いてるのよ刀真!」

 

「だって嬉しくて、

紫にもし嫌われたら俺は俺はっ。」

 

「あーはいはいわかったから泣き止みなさい」

 

そういうと紫は俺の頭を優しく撫でてくれる。

 

「あなたの事情も納得できたし私はこのことを

みんなに伝えてくるわね。

そしたらあなたに聞きに来ないでも

あなたのことを知れるでしょ?」

 

「あぁ、頼むよ紫!」

 

感謝の意味を込めて紫に微笑むと

何だか少し紫の頬が赤くなっているようだ。

 

「ちょっと待ってくれ紫。頬が赤いが

大丈夫か?熱を測るよ?」

 

「だっ大丈夫よ!」

 

そう言って紫のおでこに自分のおでこを

引っつけて熱を測る。

 

「んー?熱はないみたいだな。

おかしいなほんとに大丈夫か?」

 

「うー、だから大丈夫って言ったじゃない!

そろそろ行ってくるわよ」

 

そう言うと紫はスキマを開き

その中に入って行った。

 

 

それからさらに暫くして

昼頃になった。

 

「おーい!早速遊びに来たぜ~おー本当に

霊夢が男になってるぜ!」

 

「おっ魔理沙かいつも思ってたけど相変わらず

綺麗な金髪だなぁ~

あっと自己紹介だな 俺の名前は『叢雲 刀真』

これから一ヶ月よろしくな!」

 

「きっ綺麗な金髪だなんて照れるぜ⸝⸝⸝⸝

うぅーよろしくな刀真!」

 

 

「それで昼飯でも食べていくか?

魔理沙なら歓迎するぜ!」

 

歓迎の意味を込めて微笑むと

魔理沙はそっぽを向いた。ん?

なんか頬が赤い気がする。

 

「良いのか?なら頼むぜ!」

 

「なあ魔理沙なんか頬が赤いみたいだけど

大丈夫か?熱を図るから動かないでくれ。」

 

「いいって!大丈夫だって!⸝⸝⸝⸝」

 

「いいから、もし熱があったら大変だろ?」

 

魔理沙の帽子をとりその白いおでこにぴとっと

自分のおでこをひっつけた。

 

「ひゃうっ!」

 

「こら変な声出さないでくれよ。

んー?熱はないようだな。

ほんとに大丈夫か?」

 

何で今日はみんな頬が赤くなるんだろう?

まあいいや。

 

「だから大丈夫だって言ったろ?」

 

「そうだったな。じゃあ飯食ってくか?

俺もまだなんだよ一緒に食おうな!」

 

「ああ!うまい料理期待してるぜ!」

 

「もちろん!腕によりをかけて作らせてもらうよ!」

 

~青年・少女食事中~

 

「あ〜美味かった!刀真は料理がうまいんだな!」

 

「あはは、まあ霊夢も

出来ないわけじゃないからな。

でも美味しいって言ってくれる人がいると

良かったって思えるよ。

その相手が魔理沙だと尚更な!」

 

「そっそんなことないぜ!でも

お前にそう言ってもらえる私もうれしいぜ⸝⸝⸝⸝」

 

魔理沙は笑顔で俺にそう言ってくれた。

 

「じゃあそろそろ私は帰るのぜ!明日は弾幕ごっこ

しようぜ!」

 

「ああいいぜ!じゃあまた明日な。」

 

 

 

 

魔理沙が帰ったあと吸血鬼姉妹が咲夜を伴い

やってきた。

 

「遊びに来てあげたわよ霊夢!」

 

「とかなんとか言ってるけどお姉様は

楽しみにしてたんだよ?」

 

「お!今度はお前達か。

というか何で幻想郷はレミリアやフラン、

咲夜みたいな可愛い女の子が多いんだ?

まあいいや、どうする?三人とも上がってくか?」

 

「こんばんは霊夢

お嬢様達を止めようしたんだけど無理だったわ」

 

「そうか。

別にいいさ気にしないで?」

 

「でも、」

 

「でもじゃないよ。

せっかくの綺麗な顔が台無しだよ。」

 

「それであなたの名前は何ていうの?」

 

「あーそっかしてなかったな

俺は………」

 

~青年自己紹介中~

 

「~なんだ。

これからよろしくな!」

 

「ええ、よろしくね刀真。」

 

レミリアが三人を代表して

挨拶を返してくれる。

 

「それでどうする?お茶でも飲んでいくか?

一人で飲むのも味気ないと思ってたんだ。」

 

「そういう事なら咲夜に任せなさい。

いいわね?」

 

「はい。もちろんティーセットは

準備しております。」

 

「おっそうなのか!

流石はメイド長だな。なら

台所は好きに使っていいぜ。」

 

「分かったわ。

それではお嬢様、紅茶を注いで参ります。」

 

「行ってらっしゃい!咲夜!」

 

「終わりました。」

 

「はや!」

 

「時を止めましたから♪」

 

「咲夜、お茶入れてくれてありがとな!それと

普段とは違うその顔も可愛いぜ。」

 

「ちょっ!刀真何を言ってるのよ!

そんな言葉はお嬢様方に言いなさい。」

 

「そりゃあレミリアとかフランも可愛いさ!

俺なんかと比べたらな。

でも、咲夜の可愛さはまた違うんだよな。」

 

「ほんと、やめなさい⸝⸝⸝⸝」

 

「あはは 咲夜赤くなってる!」

 

「いっ妹様おやめ下さい!」

 

「良かったわね刀真に

可愛いなんて言ってもらえて!」

 

「おっお嬢様まで!おやめ下さい!!」

 

「そんなこと言ってるけど

レミリアとフランだって充分可愛いんだけどな。

 

レミリアは高貴な感じがする可愛いだし、

フランは甘やかしてあげたい感じの可愛さだな!」

 

「もうっ!そういう事は

二人っきりの時にゴニョゴニョ」

 

「あはは!お姉様は刀真に褒められて嬉しいのよね!

分かるわ私も嬉しいもの。」

 

「でも刀真そういうのは二人っきりの

時に行ってもらえるとさらに嬉しいかな。」

 

「それはダメだ。フランみたいな可愛い子

と二人っきりなんて。

俺だって男だからなそういう感情だってある。

我慢出来なくてフランを襲うかもしれないぞ?」

 

「えっ⸝⸝⸝⸝」

 

「あのそろそろお茶を飲んでいただけませんか?

冷めてしまいます。」

 

「おっと、そうだったな。どれどれ………

うん!美味しいよ!さすがは咲夜だね!

俺が入れた時とは全く違うよ。

どうしたらこんな味が出せるのかなぁ。」

 

「そっそれなら、今度教えましょうか?

そしたら二人きりになれるし⸝⸝⸝⸝ゴニョゴニョ」

 

「えっ!良いのか!?なら頼むぜ!

よろしくな咲夜!」

 

四人での会話が終わったあと咲夜が晩御飯を

つくっていってくれた。

咲夜が作ってくれた料理はどれも

美味しく、俺が作った時とは

比べ物にならなかった。

その後は誰も来なかったので風呂に入り

布団をしいてから寝ることにした。

「ふあ〜あ、明日も誰か来るのかな?

魔理沙は確定として今日の内から楽しみだな!」

そして俺はゆっくりと安らぎの眠りに身を任せた。

~その二に続く~



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日常回IVその二

※※※※※

 

いつも通りの時間に起きて

朝ごはんを作りそれを食べ終わって

今日は何をするかと考えていると、

ふと、あることを思い出し俺は

いつもの縁側に座って

昨日作ったばかりの『霊夢』ではない刀真

として新しく作った六枚のスペカを

眺めながらある人を待っていた

 

「そろそろ魔理沙くるかな?」

 

そう!昨日魔理沙と弾幕ごっこの約束を

していたのだ。

『霊夢』としての弾幕ごっこなら飽きるほどしたが

この身体『刀真』としては初めてだ

なのですごく楽しみだった。

 

暫くそうしていると美しい金髪の持ち主が

箒に乗ってやってきた。

魔理沙だ!

 

「おーい!刀真!約束通り弾幕ごっこしに来たぜ!」

 

「ああ!やろうぜ!ルールは、そうだな

残機四スペカ無制限でいいか?」

 

 

「おお!スペカ無制限か!太っ腹だな!

んじゃ早速やろうぜ!」

 

「んじゃまず俺からいくぜ!

スペル宣言!蛇符『八岐ノ大蛇』!」

 

俺の前を中心にして八つの鎌首を

もたげた蛇のように弾幕が魔理沙に襲いかかる!

 

「うわ!これはなかなかの避けにくさなんだぜ!

ここは相殺するぜ!いけ!

恋符『マスタースパーク』!」

 

俺が放った最初のスペカは魔理沙の

マスタースパークによって相殺されてしまった。

 

「さすが魔理沙!相変わらずのパワーだな!」

 

「そりゃそうだぜ!何てったって

弾幕はパワーだからな!!」

 

「よっしゃ!じゃあ二枚目行くぜ!

剣符『十握ノ剣』!」

 

十字にクロスした二本の弾幕がばらまかれる!

 

「なんだよこれだけならいくらでも避けれるぜ?」

 

「残念もう一段階あるんだよな!」

 

俺がパチンと指を鳴らすとクロスしていた

弾幕が分かれて中から細長い弾幕が出てきた!

 

「よっしゃ!行け!」

 

「おい!おい!嘘だろ!?

さっきとは全く形も違うし速度も

違うじゃねえかよ!くっ!

スペル宣言!彗星『ブレイジングスター』!」

 

魔理沙がスペカを使い無理やり突破してくる!

 

「それを待ってたぜ!仕留めろ!」

 

そう叫ぶと散らばっていた弾幕が集まり結合して

魔理沙を捕らえる小さな檻となった!

 

「なっなんだよこれ!」

 

魔理沙はその勢いのまま弾幕で

できた檻に突っ込んでしまった。

 

「おーい?大丈夫か魔理沙?」

 

「ああ。何とかな!でも一発被弾しちまったぜ…

っていうかお前容赦なさ過ぎだろ!」

 

「だって魔理沙が相手だぜ?

そりゃ俺だって全力で行くさ!

行くぞ三枚目!舞符『八雲払い』!!!」

 

最初の大蛇型弾幕と次に出てきた剣の弾幕が

同時に出てくるスペカだ!

 

「えっちょ!こんなのありかよ!?」

 

避けきれずに魔理沙は被弾した

あと二回だ!

 

「続けていくぜ!天符『天叢雲ノ剣』!!!!」

 

魔理沙の頭上に巨大な剣の弾幕が浮かびその周囲に

小さい剣の弾幕が浮かんでいる。

 

「何も起こらないぜ?」

 

「上見てみな!」

 

「なっ!?」

 

直撃だ!

あと一発!

 

「姿が変わってもやっぱり霊夢か!

強いぜ!もうあとが無くなっちまった!」

 

 

「じゃあそろそろ決めようか!

行くぜ!刃符『天ノ羽々斬』!!」

 

途端、魔理沙の周りに魔法陣が浮かび

その中から無数の剣型弾幕が現れ

魔理沙を刺す形で囲んだ!

 

「さあどうする!魔理沙!」

 

「まだ負けてないぜ!

スペル宣言!

魔砲『ファイナルマスタースパーク』!」

 

魔理沙が放った高密度の光に剣型弾幕が

破壊されてしまった!

 

「まさか壊されるとは思わなかったぜ!

さすが魔理沙だな!」

 

「当たり前だぜ!伊達に霊夢の親友

名乗ってないからな!」

 

「そら!次のスペル行くぞ!

元符『火之迦具土ノ命』!」

 

燃え上がる焔をイメージさせる紅の弾幕が

魔理沙を襲う!

そして当たる直前になるにつれて弾幕の形が変わり剣の形をとったその剣が魔理沙に刺さる………

 

「ふぅ、危なかった魔理沙に怪我をさせるところだったぜ。大丈夫か?」

 

直前で魔理沙を抱き上げ

弾幕を避ける。

 

「ああ。でもこのカッコは恥ずかしいぜ!

⸝⸝⸝⸝下ろしてくれよ。」

 

そう言うと魔理沙は顔を見られたくないのか

魔女みたいな帽子を深くかぶった

 

「隠すなよせっかく可愛い顔してるんだからさ。」

 

本当はもう少し抱いていたかったが

だがあまりこうしているとどこぞの鴉に

誤解をされてしまうので素直に離す

俺は別に構わないが魔理沙が可哀想だからな。

 

「ふう。楽しかったけどやっぱり悔しいぜ!次は勝つからな!!」

 

「おう!待ってるぜ!」

 

弾幕ごっこが終わり暫くして既に夕方であることに

気づき、夕食を食べていかないかと誘ったのだが

今日は用事があるとのことで断られてしまった。

少し寂しい。

 

今日の弾幕ごっこは面白かったが、

まだまだ改善すべき点は山ほどある。

明日からはそれの調整も行おう。

 

ところで、この状態で異変が起きたら

どうすれば良いのだろう?

一応事情は紫が説明してくれているはずだが、

人目につかないような場所ではそれも難しいだろう。

起きてもいないことを心配するのは

馬鹿らしいと思うが同時にそれは起こりうる

可能性でもある。

 

「ま、そんな都合よく起きるわけないよな。」

 

そんな事より自分に新しく発現した

能力の事を考えるとしよう

 

「まさか俺の方にも能力があるとはねぇ。少なくともあっちで生きてる間は能力なんて無かったんだがなあ、

もしかしてあの女神様に転生させてもらったからか?でもあの人そんな事言わなかったしな。」

 

まあいいか それにしても『命を司る程度の能力』か。

『空を飛ぶ程度の能力』の本質に勝るとも劣らない

恐ろしい能力だな。命…生と死………

死?まさか西行妖を封印した時にその能力の一部が流れ込んで俺の身体に適合した結果この能力になったのか?

突然目覚めたから魔理沙にはまだ言ってないが仕方ないよな?

 

そんなことを考えていくうちに

夜は更けていくのだった。

 

~続く~



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日常回IVその三

※※※※※

 

俺が元の体に戻ってから数日たち

事情を把握した魔理沙たちによって俺の

歓迎会を行うことになった。

 

とはいえ場所は博麗神社だし、

最後の片付けをするのも俺なのだが。

 

「さてと、準備はこんなもんでいいかな。

まだ魔理沙たちが来るまで時間があるな

少し寝るか。」

 

宴会は六時から始まる

 

元の世界では体験しなかったことだけに

少々どころかかなり楽しみだ。

 

 

縁側で目を閉じていたがなかなか眠れず

結局宴会まで起きていた

 

 

そして宴会が始まる時刻

 

 

 

「刀真、紹介するぜこいつはアリスだ!

人形作ってる魔法使いだぜ!」

 

魔理沙が見たことのない美少女を連れてきた

 

「魔理沙、もっとましな紹介の仕方ないかしら?

まあ事実だけど………

とりあえず自己紹介しましょうか。

私は『アリス・マーガトロイド』

人形遣いの魔法使いよ。

これからよろしくね。」

 

そう言うとアリスは俺に微笑んでくれた

それが綺麗でつい見とれてしまった

 

「あのー大丈夫?」

 

「ああ、すまないつい見とれてしまった。

俺の名前は叢雲 刀真と言うんだ。

こちらこそよろしくな!」

 

照れ笑いをしながらアリスに

自己紹介を返す

 

「刀真、気のない女の子には

そんなこと言っちゃダメよ?勘違いするわよ?」

 

「そんなことも何も俺は

思ったことを素直に言っただけだぜ?」

 

「それならもう何も言わないわ⸝⸝⸝⸝

(あなたみたいな人に言われると破壊力がすごいんだけど!?)。」

 

 

「だーもーなに二人で甘い空気出してんだよ!

刀真の歓迎会なんだからお前は

みんなに挨拶してこないとダメだろ!?」

 

「あっそんなつもりは無かったのだけれど⸝⸝⸝⸝

ごめんなさいね。」

 

「そうだぞ魔理沙!俺なんかと甘い空気なんて

アリスが迷惑だぞ!」

 

「いえ、別にそんなことはないわよ?」

 

「そうか?そう言ってくれるのは嬉しいが

お世辞は必要ないぞ?」

 

「もうその話はいいからさっさと刀真は

挨拶回りに行ってこい!」

 

「あーはいはい。分かりましたよっと。」

 

魔理沙に追い出されるように

その場を離れた俺は次に妖夢たち白玉楼メンバーの

ところに行くことにした

 

「あら〜刀真じゃない、久しぶりね?」

 

「ふぇっ?刀真って誰ですか幽々子様?」

 

「やあ、幽々子に妖夢は久しぶりだな。」

 

「幽々子様、この人が刀真さんですか?」

 

「幽々子、妖夢には事情を話してないのか?」

 

「ええ、そうよ。その方が面白いと思ってね。」

 

「面白いって………まあいいや。

妖夢、これから俺のことについて説明するよ。」

 

 

~青年説明中~

 

 

「はあ~そんな事があったのですね。

なんと言えばいいか、ご愁傷さまです。」

 

「あはは!まあたしかに死んでるけどさ

ご愁傷さまです。はないでしょ!」

 

「そんなに笑わなくたっていいじゃないですか!」

 

「だってさそんなに可愛い顔して

何言うのかと思えばご愁傷さまです。だぜ!?」

 

「可愛いって

そんなこと言っても誤魔化されませんよ!?⸝⸝⸝⸝」

 

「いやいや誤魔化したしなんてしてないさ

本当に妖夢は可愛いよ。」

 

「みょん!?やっやめて下さい⸝⸝⸝⸝。」

 

「じゃあ幽々子に妖夢俺はそろそろ

ほかのところに行くよ。じゃあね!」

 

次に向かったのは紅魔館組だ。

 

「あっ!お姉様、刀真が来たわよ!」

 

「ふっふん!遅かったじゃない!」

 

「あー悪かったなついほかのところで

呼び止められちまってな。」

 

「言い訳はいらないからさっさと

私にワインを注ぎなさい!」

 

「あー!お姉様ずるい!刀真、私も!」

 

「はいはい、二人共注ぐから少し待ってくれな?」

 

「分かったわ。」

 

「こんなもんでいいかな?」

 

「ええ、ありがとう刀真。」

 

「ありがとね!刀真!」

 

「じゃあ俺は失礼するよ。」

 

その場を離れようとすると、

レミリアに袖を掴まれていることに気づき止まる

 

「うー、せっかくなんだから貴方も

ワイン飲みなさいよ!私が注いであげるから!」

 

「あっ!私もやるやる〜!」

 

「そうか?ならお願いしようかな。」

 

「咲夜!例の物を持ってきてちょうだい!」

 

背後に音もなく咲夜がいた時を止めて

来たのだろう。

 

「はい。既にこちらに。」

 

「では刀真グラスを出しなさい。」

 

「はいよ、これでいいか?」

 

「ええ、注ぐわよ。」

 

ワインが俺のグラスに注がれていく。

 

「っと、その当たりでいいぜ。」

 

「ふふっ、そのワインはね

あなたのために出した二百年物よ!

滅多に飲めるんものじゃないから

味わって飲みなさい!」

 

たしかに深みのある味わいのよく出来たワインだ

 

「ああ、とても美味しかったよ。

俺のためにわざわざありがとうなレミリア。」

 

なんだかレミリアが可愛く思えてしまって

つい撫でてしまった。

 

「ななな、何やってんのよ!?」

 

レミリア、顔を赤くしてどうしたのだろう

 

「あっすまん。もしかして嫌だったろうか?」

 

「いっいえ、そういうわけじゃないけど⸝⸝⸝⸝

(そういうのは二人っきりの時にやって、なんて

言えないわよ!?)。」

 

「もうっ、お姉様ばっかりずるいわ!

私も注ぐんだからちゃんと飲んでよ!?」

 

そう言うとフランはレミリアの手から

ワインを奪うと俺のグラスに注いだ。

 

「おっと、もう十分だよ。」

 

「どう?美味しい?」

 

「もちろんだよ。ありがとうなフラン。」

 

そっとフランの頭を撫でる

 

「わわっ!」

 

「どうした?フラン?」

 

「なんか刀真に撫でられると安心するの。

………ねえ、刀真のことお兄様って

呼んでもいい?⸝⸝⸝⸝」

 

そんな上目遣いで言われたら

断れるわけないだろう!?

 

「ああ。好きに呼んでくれて構わないよ。」

 

「じゃあ、改めてよろしくね!お兄様!」

 

「よろしくな!フラン!」

 

「ちょっと私の事忘れてない?」

「レミリアみたいに可愛い子を

忘れるわけないだろ?

改めてよろしくな!レミリア!」

 

「っ⸝⸝⸝⸝!ええ!こちらこそよろしくね。」

 

 

その後もいろんな人の所を巡った

 

………そう言えば映姫もいたな

部下の小町を連れて酒を飲んでた

声を掛けたら説教されそうだったので

無視させていただいた。

 

既に罰は受けてるしな

 

最後に紫と藍、橙がいる所に

行って酒を飲んでいた。

 

 

「刀真?もうみんなに挨拶はしたのか?」

 

「ああ!母さん!…じゃなくて藍!」

 

「ふふ!好きに呼んでくれて構わないさ

事実お前の育て親みたいなものだしな。」

 

「なんで刀真は藍ばっかり母親扱い

するのかしら!?私は!?」

 

「ゆかりしゃま~げんきだしてくださいよー?」

 

何故かやさぐれている紫を必死に橙が慰めている。

 

「うっうっ!私の味方は橙だけよ!」

 

「すみませんゆかりしゃま。

橙はらんしゃまの味方です。」

 

「なんでよ!?私の見方は!?」

 

「おい橙?今の紫は相手するだけ時間の無駄だぜ

一緒にこっちで飲もうぜ?」

 

「えーと、はいです!刀真しゃま。」

 

「おっ橙を呼んできたのか。」

 

「まあ、俺にとって

橙は可愛い妹みたいなものだからな。」

 

つい橙を撫でてしまった。

 

「ほえ?どうしたですか刀真しゃま?」

 

「ああ、すまん。橙が可愛くてついな。」

 

「可愛いって⸝⸝⸝⸝そんなことはレミリアしゃんとか

アリスしゃんとか

そういう人に言ってくださいです!」

 

「たしかにそのふたりは

可愛いけど橙だって負けてないんだぞ?」

 

「刀真の言う通りだよ橙。」

 

 

そんな感じでゆっくりと夜は更けていき

俺の歓迎会という名の宴会は終わるのだった。



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萃夢想
萃夢想Ⅰ


※※※※※

 

 

おかしい。

そう思い始めたのは何回目からだろうか

宴会が多すぎるのだ

特に何も無いのに宴会をする

 

それがもう十回は続いている。

 

俺の歓迎会(にかこつけた飲み会)が

終わって二日目にはもう違う名目で宴会を

し始めていた。

 

相変わらず場所は博麗神社だし

酒やつまみはこっちもちだ。

 

それらの違和感に加えて何もしていないのに

視線を感じることがあるのだ

また、決まって視線を感じる時は

俺の能力に反応がある

 

 

これも異変だろうか?

恐らく異変で間違いないだろうが

全く面倒な時に起きてしまった

とはいえ幸いなのは俺の存在が

既に皆に知れ渡っている事だ。

これにより博麗の巫女として活動できる。

まぁ、最も霊夢ではないので巫女ではないのだが。

 

(紫曰く神主を名乗ってもいいらしいが

それはなにか嫌な予感がしたので断った。)

 

なので、今の俺は巫女ではなく

『博麗の代行者』だ。

巫女の代わりに妖怪退治や異変解決を担うもの

また、博麗大結界を管理するものとして

紫に新しく認められたのだ。

 

これで霊夢の状態でなくても活動することが出来る。

 

 

さて、異変の話についてだが俺は今日の異変で

犯人を探そうと思う。

 

それについて既にみんなにも賛同してもらっている

最初に気づいたのは紅魔館のパチュリーだった。

 

 

 

今のところだが怪我を負うなどということはなかった。だが、俺の勘によると

今回の異変は俺が解決することになりそうだ。

異変の解決。

それは異変の首謀者の考えを力でねじ伏せる

という事だ。

分かっていても少し憂鬱になる。

 

走行しているうちに時間は過ぎいよいよ

宴会の時刻となった。

 

気づけば既に人が集まってきていた

宴会の始まりだ。

いつもならここで音頭をとり酒を飲み始めるのだが

今日はその代わりに異変の首謀者を呼び出すのだ。

 

気づけば辺りは白いきりに覆われていた

間違いない首謀者だ。

 

「そろそろ出てきてもらおうかな

異変の首謀者さん?」

 

すると霧が萃まり一人の鬼の形をとった

 

「か~!やっぱりばれてたのかい!」

 

「アンタがこの異変の首謀者か?」

 

「そうだ!私は『伊吹 萃香』ってんだ!

これでも昔は鬼の四天王その名も伊吹童子なんて

呼ばれてたんだよ!

さあ!博麗の代行者よ!この異変を解決したけりゃ

弾幕ごっこで私を倒してみな!倒せるもんならなぁ!」

 

なるほど伊吹童子かまさか

昔話の怪物をこの目で見ることになるとは

生きてみるもんだな。あっ一回死んでたか。

 

「わかった!その勝負受けて立つぜ!」

 

「よしきた!残機三、スペカ三でいいね!?」

 

「ああ!早速始めよう!」

 

そしてこの異変を解決するための戦いが始まった。

 

※※※※※

サイド紅魔館

 

フラン「ねえお姉様?お兄様勝てると思う?」

 

レミリア「そうねぇ、刀真はたしかに強いけど

鬼は別次元の強さを誇るから

勝っても無事ではないかもしれないわね。」

 

フラン「そんなぁ!お兄様怪我しちゃうの?」

 

レミリア「と言うかフラン、さっきから思ってたのだけどお兄様ってなによ?」

 

フラン「?、刀真の事だよ?」

 

レミリア「いつの間にそんなことになってたの!?」

 

フラン「いや私、お姉様の目の前で言ったし。」

 

レミリア「じゃあもしかして私が聞き逃した?

この私が?」

 

パチュリー「いいから刀真の応援しましょうよ」

 

レミ フラ「はーい。」

 

※※※※※



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萃夢想Ⅱ

試しに台本形式で書いて見ようと思います


※※※※※

 

萃香「こんなもんかい!博麗の力は!」

 

刀真「嘘だろ!?力技で全部抜けてくるなよ!」

 

萃香に放ったスペルはそのことごとくが

ブレイクされいまだ萃香自身は被弾なしという

絶望的な状況だった

 

………能力の発動もやむを得ないな

 

刀真「スペル宣言!命符『六道輪廻回帰ノ法』!」

 

能力を込めた六色の弾幕

即ち天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道

の六つの力である

 

が萃香にぶつかる寸前でブレイクされる

 

萃香「だから聞かないんだってば!」

 

刀真「どうかな!今回のは一味違うぜ!」

 

刀真「いけ!天道ノ剣!動きを縛れ!」

 

萃香「ふん!この程度霧になればいくらでも

避けられるさ!」

 

刀真「それも分かってたさ!いけ!人間道ノ剣!」

 

萃香「なっ!霧になれないだと!?

博麗、お前なにをした!」

 

刀真「なに、簡単な事だ!

人間道ノ剣がお前の能力を封じただけのことさ!」

 

萃香「くっ!だけど能力が封じられようと私には

鬼としての絶対的な身体能力があるのさ!

その程度で勝てると思うなよ!」

 

刀真「そう、そこだ!天道ノ剣!さされ!」

 

萃香「まずっ!?」

 

それに気づいた萃香が

天道ノ剣を破壊しようとするがもう遅い

剣が萃香の心臓の辺りに刺さる!

 

萃香「うっ!ぐはっ!

今の剣にはなんの効果があるんだい!?」

 

刀真「天道の力により

相手の身体能力を封じる剣だ!

もうお前は立つことさえできないと思うぜ?」

 

萃香「そんな訳あるか!」

 

萃香が何度も立とうとするがその度に転んでしまい

ついに泣き出してしまった

 

萃香「うぅ、ぐす………うわぁーん!

なんなんだよその力は!

私以上のちーとじゃないか!」

 

刀真「あーはいはい悪かったから

もう泣き止んでくれ。

と言うか悪いのこいつだよな?異変やめてくれよ?」

 

萃香「やめるからその変な能力といてよ!」

 

刀真「変な能力ではないぞ。俺の能力は

『命を司る程度の能力』だ。」

 

命を司るということは

生命の可能性を司るということであり、

それはつまり仏教や神道、キリスト教などの

神々の力さえも司るというわけだ

 

もっとも神に等しき力を振るうには

俺の霊力でさえも、足りないのだがな

 

 

萃香「そんな大層な能力を持ってるのならどうして

最初から使わなかったんだい?」

 

刀真「できれば能力は使いたくないのさ

強すぎるからな。」

 

萃香「そりゃあつまり私を舐めてたってことかい?」

 

やばい怒らせたかも

 

刀真「えーとあー、まあそうだ!」

 

萃香「あっ!開き直りやがったね!?

………ぷっ!面白い人間じゃないのさ!紫!

私は気に入ったよ!」

 

紫?どこにいるのだろう

少しの間視線をさまよわせていると

急に目の前の空間が裂けその中から紫が出てきた

 

紫「当たり前よなんてったって私の息子よ?

まあ、義理のだけどね。」

 

萃香「そう言えばしばらく前に鴉天狗の新聞で

そんなことやってたね。

そうかい、刀真の事だったのかい。」

 

刀真「おい紫!どういう事だ?萃香は

お前の知り合いなのか?」

 

 

紫「まあ、古い友達みたいな?」

 

萃香「そうさね。まあそんなところだよ。」

 

魔理沙「ところで、

そろそろ異変解決の宴会しようぜ!

ほかの奴らも、もう待ちきれないぜ!」

 

刀真「そうだな!

元々そのつもりで用意してきたんだ、始めよう!

あっ、紫は今回はどうするんだ?飲んでいくか?」

 

紫「そうね。愛する息子が異変を解決した

お祝いの宴会なんだから

久々に飲んでいこうかしら?」

 

刀真「ホントか!?」

 

紫「ええ、ほんとよ。」

 

何気にこうして紫が宴会に参加するのは

珍しいことだったりする。

 

仕事はほとんど藍に押し付けてるはずなのに。

解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

紫と暫く飲んだあと、応援してくれていた

紅魔館のみんなの所に行くことにした。

 

フラン「あー!お兄様だ!」

 

レミィ「ふん、勝てたようね。」

 

咲夜「刀真悪いわね。

お嬢様は精一杯応援してたのよ。

それに気づいてあなたが来たでしょ?

だから照れてるのよ。」

 

レミィ「ちょっ!

咲夜余計な事言わないでちょうだい!⸝⸝⸝⸝」

 

パチェ「まあ、おめでとうと言っておくわ。」

 

小悪魔「お疲れ様です!刀真さん!」

 

刀真「あはは、みんなありがとな?」

 

フラン「お兄様ってやっぱり強かったのね!

今度私と弾幕ごっこしましょ?」

 

刀真「それはいいけどその時には

霊夢の姿になってるかもしれないぞ?

それでもいいか?」

 

フラン「もちろんいいわよ!」

 

刀真「レミリアもこれでいいか?」

 

レミィ「フランの相手をしてくれるなら大歓迎よ!

むしろ毎日来てくれてもいいのよ?

パチェも構わないわよね?」

 

パチェ「わたしの研究の邪魔をしないなら

好きにしていいわよ。」

 

刀真「なら近いうちに伺うよ。」

 

フラン「忘れちゃダメだからね?」

 

刀真「ああ、分かってるよ。」

 

 

 

 

 

 

紅魔館のみんなと飲んだ後

次に白玉楼の二人の所に行くことにした。

 

 

幽々子「あら、刀真じゃない。

妖夢!刀真が来たわよ!」

 

妖夢「ホントですか!?

あっ、失礼しました。

刀真さんあなたにお願いがあるのです!

どうか私の師匠になっていただけませんか?

貴方がさきほど魅せた剣の冴えは

並大抵のものではないはずです。

それほどの腕前を持つあなたにこそ

どうか私の師匠になって頂きたいのです!

お願い致します!」

 

なんかすごい熱弁されたな

まあ、ここまでされたら少し引くが

この思いは無下にはできない。

俺ごときが半人半霊の妖夢に教えられることなど

限られているができる限りやってみよう。

 

刀真「分かったよ

俺がどこまで教えられるからわからないけど

まあ、できるだけやって見るよ。

とはいえもう刀真の姿では

いられないかもしれないけどな。」

 

妖夢「それでも構いません!

では引き受けていただけるんですね!

ありがとうございます!師匠!」

 

幽々子「ふふっ良かったわね妖夢。」

 

刀真「じゃあ、明後日また神社に来てくれるか?

白玉楼にいくのは少し時間が足りないし

俺の能力とあそこは相性が悪いからな。」

 

妖夢「もちろんですよ!

弟子が師匠の元に出向くのは当然のことです!」

 

幽々子「妖夢喜んでるわね〜。

そんな嬉しそうな顔久しぶりに見たわよ?

少し妬けちゃうわ〜。」

 

妖夢「そんなに喜んでるように見えますかね?」

 

幽々子「そうよ、まるで恋する乙女みたいよ?」

 

妖夢「みょん!?⸝⸝⸝⸝そんな恋する少女なんて

そんな訳ないじゃないですか!」

 

刀真「幽々子あんまり妖夢を

からかわないでやってくれ。

俺はともかく妖夢に失礼だからな。」

 

幽々子「だって妖夢の反応が面白いんだもん。」

 

 

うわぁめちゃくちゃイイ笑顔をしてらっしゃる

こりゃあ、やめる気ねえな

 

 

 

 

最後に萃香の所に行く事にした。

 

 

萃香「おや、刀真かい。

どうだ?一緒にこっちで飲まないかい?」

 

刀真「ああ、俺もそのつもりだったよ。」

 

萃香「私が異変を起こした理由はね、

また昔みたいにバカやって、その後仲直りして

一緒に酒を飲み明かす。

そんなことをもう一度したかったからさ。

刀真のお陰でそれは叶えられたけどね。」

 

刀真「どうしたんだ?急に。」

 

萃香「なんか聞きたそうな顔をしてたからね。」

 

刀真「ふーん。」

 

萃香「………ワイワイ飲むのが一番だと思ってたけど

こうして気に入った奴とふたりで

飲むのも存外悪くないねぇ。

そう思わないかい?」

 

刀真「そうだな。なんだか萃香とは

友達になれそうな気がするよ。」

 

萃香「何言ってんだい。こうしてケンカして

一緒に酒飲んでるんだ。

もう私たちはダチだろう?」

 

刀真「そっか、そうだよな。

改めてこれからよろしくな萃香。」

 

萃香「こっちこそよろしく頼むよ。」

 

 

 

その後二人で夜を飲み明かしたのだった。

 

 

※※※※※

 

 

小町「あの~四季様?

あたいも宴会行ってきていいですかね?」

 

映姫「ダメに決まってるでしょう!?

そんなことを言う暇があれば

黙って仕事をなさい!

それが今のあなたに積める善行ですよ!」

 

小町「はいはい分かりましたよっと。」

 

小町「なんでそんなに気がたってるんですか?

もしかしてとは思いますけど、

ホントは四季様宴会に行きたいんじゃないですか?

ついでに刀真の顔を見に。」

 

映姫「なっにゃにをゆうのですか小町!

そんなこと私に限ってないですよ!

ええ、ないですとも

………多分、きっと。」

 

小町「えー?その焦りよう逆に怪しいですって。

それともマジですか?」

 

映姫「っ!!??いいから仕事をしなさいと

言っているでしょう!!!」

 

小町「はーい」

 

 

※※※※※



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萃夢想オリジナルEX





※※※※※

 

いつも通りの朝、素敵なお賽銭箱があるあたりの方から声がしていた

どこかで聞いたことのある声なのだが寝起きということもありすぐにわからない。

と言うかそれよりもせっかくの睡眠時間を邪魔されたことによる怒りの方が強かった。

 

何せ昨日は宴会があり、

寝たのはその片付けが終わった頃

つまり今の時間で言うなら二時、三時と言った時間にようやく眠ることが出来たのだ。

 

酔っ払いマジうぜえ………と思ったのは内緒だ。

 

それはともかく

 

この声結局誰なんだろう?

とりあえず表に出てみるか

おかげて眠気も覚めてしまったことだしな

そして外に出ようとした矢先ふと、

一つの約束を思い出した。

 

たしか昨日誰かの稽古をつけてやるみたいなことを俺は言わなかっただろうか?

はて、と首をかしげてみる。

その相手とは銀髪の子つまり妖夢じゃなかっただろうか?

さぁーと血の気が引けていくのを感じる。

几帳面なあの子のことださっきから声がしているのは要するに………あーやっちまった。

 

俺は急いで賽銭箱の方に向かう

すると予想通り妖夢が直立した体勢で待っていた。

 

「あっ!師匠!朝早くから申し訳ありません!」

 

「いや妖夢、こっちこそ約束したのに悪かったよ。こればっかりは師匠弟子関係なしに俺が悪いよ。本当にすまなかった。」

 

俺は妖夢に頭を下げる。

 

「はわっ!やっやめてください師匠!

昨日の今日で来てしまった私が悪いんですよ!」

 

そう言ってくれるが

これは時間を指定しなかった俺の落ち度だ。

 

「いや、やっぱり俺が悪いよ。ごめんな?」

 

「いえやっぱり私が悪いですよ!申し訳ありません!」

 

いや俺がいやいや私が………等と言い合っている内にそろそろ始めようか?ということになった。

 

「こほん!それでは師匠!ご指導よろしくお願いします!」

 

「ああ、そうだな始めよう………でもさ、正直俺が妖夢に教えられることなんてほとんど無いぞ?流派にしたって我流だしな。

精々教えてやれるのは俺の戦術とそうだな、剣を持つのが最後に至るという心眼についての昔話ぐらいなもんだしな。

それにしたって俺が至ったわけでないし不完全なもんだけど。

それでも本当にいいのか?」

 

「はい!あなたにこそお願いしたいのです!」

 

どうしてそこまで…という思いはあるが、

あまり深入りするのも良くないだろうと思い俺はひとつ頷き

 

「それじゃとりあえず今の段階で俺を相手にどこまで勝負できるかやってみようか。全力できなよ?」

 

「分かりました!それでは行きます!」

 

そう言うと妖夢はいきなり踏み込んできた

不意を突かれた俺はなんとかギリギリで霊力を変化させた都牟羽太刀(つむはのたち)で受け止めることに成功した。

これは………縮地か!?

どうやら俺は妖夢を少し舐めていたようだ。

これは失礼どころではない。

この痴態を挽回するためにこちらも全力で行かせてもらう!

 

「さすが妖夢!やるじゃないか!」

 

「いえ!まだまだです!あっ!?」

 

鍔迫り合いの中で何とか妖夢を押し返すことに成功する

と言うかやっぱり人外てそれだけでチートだな!

霊力で強化してやっと押し返せるとかほんともう

どういう事だよ!?

 

………まあ、俺の能力も十分アレか。

 

「それじゃあこっちからも行くぞ!来い草薙剣!」

 

能力を使用し生命に関わるとある剣を呼び出す

 

草薙剣とは日本を創造した神である伊邪那岐神の御子が一柱、戦を司る武神の中でも最高位に位置する須佐之男命が退治した八岐大蛇の体内よりい出た宝剣にして、かつて天皇の子孫である倭建命(やまとたける)の命を救ったことからその名を変えた天皇家を司る三種の神器それが今俺が持っている草薙剣である。

 

とまあ説明はここまでにしておこうか。

 

とりあえず草薙剣のオプションである

何故か飛ぶ斬撃を放つ

 

ほんとなんで飛ぶんだろ?

 

「えっ!?ちょっと待ってください!なんで斬撃が飛ぶんですか!?」

 

「いやお前が言えんのかそれ!?いつぞやの時はさんざん飛ばしてきたじゃないか!!??」

 

「アレはあくまで弾幕です!

ですが師匠のは弾幕ではなく本当の飛ぶ斬撃じゃないですか!!みょんっ!?ちょっ!今半霊狙いましたよねえ!?」

 

なんか納得いかないことの腹いせに半霊を狙ったのが嫌だったのだろう。

本気で何故か飛ぶ斬撃に対応しようとしてきた。

 

というか先程から俺がわざと一発づつ斬撃を放っていることに妖夢は気づいているだろうか?

そう、誰が飛ぶ斬撃は一発づつしか撃てないなどと決めた?つまりはそういう事だ。

 

痺れを切らして突っ込んできた妖夢にカウンターよろしく超至近距離からの斬撃をクロスするように叩き込む!

 

「なっ!?」

 

「ハイ終わり!」

 

それから暫く今の戦いについて論議をしていた俺達だったが今の改善点を生かすべく意気込んでいる妖夢にもう一度やってみるか?と問いかける。

案の定のってきた妖夢に構えるように促す。

 

「それじゃ始めようか?」

 

「はい!お願いします!」

 

「今回はこっちから行かせてもらうぜ!ハッ!」

 

今回はあらかじめ用意しておいた草薙剣を使い斬撃を飛ばす

だが妖夢は先程の経験を生かし自らの弾幕で打ち消すことに成功する。

 

「妖夢は飲み込みが早くて教える方も助かるよ!」

 

「ありがとうございます!次はこちらから行かせていただきます!シッ!」

 

妖夢は縮地で俺の懐に入り流れるような動きで俺を切りつける………はずだったが俺が左手に呼び出した布都御魂(ふつのみたま)を間に挟むことによりなんとか防ぐ。

 

「本当にたった一回の立合いで妖夢は強くなったぜ。

俺から一割位は本気を出せるくらいにはな!」

 

「えっ!?まだ一割なのですか!?」

 

当然である。

生命を司る程度の能力を持つ俺の全力がこの程度のはずがない。と言うかこの能力を持つ限り俺に限界はないのだが。

何よりたった一回の修練で弟子に負けるわけにはいかんだろう?

 

 

 

この後めちゃくちゃフルボッコにした。

 

 

「おーい妖夢?起きてるか?」

 

「きゅう~。」

 

正直に言おう。

やりすぎた。妖夢が気を失う程度にはやりすぎた。

はあ、幽々子に怒られるかな?

と言うかその幽々子の世話をしなくても良かったのだろうか?もしかして作り置きしてきたとか?

 

まあそれはさておき

妖夢………どうしよう?

白玉楼に連れて帰るのが正しいよな。

だが気絶して帰ってきた妖夢にあの食欲の悪魔の世話をさせるのは酷というもの。

ならばどうするか。

 

「家で寝かせるしかないよなぁ。」

 

まあいいけどさ。

なんだかなぁ。

 

妖夢を部屋の奥に寝かせて起きる面倒を見るためにそばにいた俺はウトウトしていた。

 

 

この時突然やってきた白黒魔法使いにあらぬ疑いをかけられるのはまた別のお話

 

看病ついでに妖夢のほっぺたを触った俺は悪くないと思う。

異論は認めない。

悪くないよな?

悪くないよね?

うん。悪くない。

 

だってすげえプニプニだったんだぜ!?

何だあれ!?つい触りたくなる感じのほっぺただった。

 

とまあこんな感じで妖夢が目を覚ますのは夜明けが近くなってからだった。

 

「うーん?あれ?師匠どうして私ここに?

はっ、もしかして面倒を見ていただいたのですか!?」

 

「やっと起きたか。妖夢すまなかったな。

やりすぎたどう考えても俺が悪い本当にすまなかった。」

 

「いえそんな!私の弱さが原因ですから…師匠に落ち度はありませんよ!」

 

「はは…弟子に励まされるとは師匠失格だな。

こんな俺でもまだ師匠と呼んでくれるのか?」

 

「当たり前じゃないですか!私は他ならない貴女の弟子なのですから!」

 

そう言うと妖夢は輝くような笑顔を俺に見せてくれた

 

「ふぇ!?にゃっにゃんですか!?」

 

「え?あっすまん!つい妖夢が可愛くて………

俺なんかが撫でで不快な思いをさせてしまった。

申し訳ない。」

 

「そっそんなことないですよ!その………貴方に撫でられるなら不快どころかもっと撫でて欲しいです///////じゃなくて!これからもご指導よろしくお願いします!」

 

なんかよく聞こえなかったが要するに

これからも俺は妖夢の師匠でいていいのだろう。

そう思うとなんだかここらがほっとした。

 

妖夢はその後白玉楼に帰っていった。

曰くそろそろ幽々子様が限界でしょうから。

主人持ちは大変だなぁ等思っていたが。

 

 

さて俺も寝ることにしよう。

二日間運動し続けてさすがに疲れたからな

はあ、まあ昨日解決したばっかりだからまず暫く異変は怒らないだろう。

うんそう願うよ心からね。

 

そんなことを考えているうちに俺の意識は安らからな眠りに落ちていった。

 

 

 

※※※※※



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間話

※※※※※

 

博麗神社

 

その本殿にて一人の青年が目を閉じ座禅を組んで中国武術における気と呼ばれるものを高めている。

 

無論刀真である。

 

彼はこの肉体…と言うか本来の肉体に戻ってから紅魔館の門番『紅 美鈴』に教えを乞い、こうして週に三回程訓練しているのだ。その傍らには単純な物理ならば主人すら超えるという門番の姿もある。

 

ちなみに門番の仕事は本人曰く咲夜さんが代わりにやっているらしい。

 

 

 

「はい、そこまでです。」

 

美鈴に言われ目を開ける。

 

「やはり刀真さんは私よりも才能がありますね。

羨ましいですよ。」

 

「何を言ってんだ美鈴。未だに普通の組手なら勝ち越せてないってのに、嫌味かよ?」

 

「あっいえそういうことではないですよ。というか、これでも私は武術を数十年学んでいるのですよ!?その私に単純な組手で一本取れる弟子ってなんなんですか!?」

 

「いやまあ、それはそれと言うか………。」

 

「はあ、まあいいです。瞑想の次は組手ですよ!さあ面に出なさい!」

 

「はいよ。」

 

 

 

場所を移し先日宴会が行われた場所へ

 

 

 

 

「それでは始めますよ準備はいいですか?」

 

「ああ。始めようぜ?」

 

「行きます!やぁ!」

 

美鈴が自然な構えから流れる様に鋭い蹴りを放つ。それこそは相手を瞬時に打ち倒すために美鈴が数十年、ひょっとしたら数百年もの修練の果てに納めた一つの武の極地である。

 

「っと、それはもう見たぜ?」

 

それを圧倒的な才能を持って危なげなくひとつ下がるだけで躱すと、同時に撃ってくる気を伴う拳を霊力の剣を持って防ぐ

 

「相変わらずなんで対応できるんですかねえ!?あなた人間ですよね!?場合によっては霊夢さんの時よりも恐ろしいですよ!!」

 

「そっちこそ!いつも通りの馬鹿力だな!そら!お返しだぜ!!!」

 

霊力で瞬間的に推進力を得てそれを剣に乗せて拳を打ち返す!

 

そのまま武器を切り替え草薙剣の飛ぶ斬撃を放つ!

 

「お得意の斬撃ですか!?ひゃっ!咲夜さんのナイフより怖いんですが!!??

ですが、いつまでも負けていられません!返させていただきます!ふっ!」

 

美鈴が気を高め、気弾という目に見える形で放つ!

その背後に立ち上る龍が見えるのは気のせいではない…

 

 

「はあっ!『龍砲』!!」

 

「ちっ!これはまずいな!?くっ、理を切り裂け!六道の剣!」

 

美鈴が放つ極彩色の気弾をギリギリのタイミングで六道の剣でブレイクする

 

「なんとか間に合ったか。」

 

「防がれてしまいましたか。今回はここまででどうでしょうか?」

 

「そうだな。今日はありがとう。汗かいただろ?良かったら風呂に入って行けよ。」

 

「えっ!?そんな申し訳ないですよ!」

 

「良いんだよ。他のやつならともかくな、なんか安心できるんだよな美鈴は。これも気の力ってやつなのな?」

 

「そこまで言っていただいて入らないのは帰って失礼に当たりますね。それではお風呂をお借りしますね?」

 

「ああ、好きに使ってくれ。風呂は奥にあるから。それと俺は居間に居るから出たら声をかけてくれ。」

 

「はい、分かりました。」

 

そう言うと美鈴は奥の方に入っていった

 

 

 

 

 

「はふーいいお湯ですねえー。」

 

だけど何か足りない。

確かにいいお湯だ。だけどこう口に出ない何かが足りない。

そう、それは………

 

「背中を流す友人ですよ!!!!」

 

そうだ、彼を呼ぼう!

 

「刀真さーん!一緒に入りませんかー!」

 

「ぶふっ!何言ってやがるんですか美鈴!いやだよ!」

 

「いいじゃないですか!一緒に汗を流して鍛錬した間柄じゃないですか!」

 

「いや、そりゃそうだけどさ!女の人と一緒に入るのはその…倫理的に反するというか………。」

 

「何照れてるんですか!早く入りますよ!寒いんですから!」

 

「ちょっ!なんで出てくるんだよ!」

 

「貴女とお風呂に入りたいからです!」

 

「あーもう!分かったから!背中を流してやるからそれで勘弁してくれよ!!」

 

「むう、仕方ありませんね。それで妥協してあげますよ。」

 

「はあ、疲れる。」

 

 

 

 

 

「あ~いい感じです。あんっ!ふぅぅ!ひゃん!」

 

「背中流してるだけなのに変な声出さないでもらえませんかねぇ!?」

 

「だ、だって気持ちいいんですもん!ふわっ!」

 

「………次変な声出したら俺は戻るからな。」

 

 

「ほら、これでいいだろう?じゃあな。」

 

「待ってくださいよお〜私も刀真さんの背中流しますよ。」

 

「はあ!?いや要らないからな!?」

 

「まあまあそんな事言わずに〜えいっ!」

 

「うわっ!」

 

 

立ち上がって浴場から出ようとした所、美鈴の腕力で強制的にもう一度椅子に座らされる。

 

「それじゃあ始めますよ?」

 

「………もういいや、早くやってくれ。」

 

ふにゅんっ!

 

「あの美鈴サン?背中に触れるこの柔らかいものはなんでしょうか?」

 

「んふふ〜♪なんでしょうか?」

 

「はあ、もう知らん俺は出るぞ。」

 

「あ〜!」

 

強引に腕を振りほどき今度こそ浴室から退散する。

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました。お風呂気持ちよかったですよ。またお願いしますね?」

 

「ああ、こちらこそありがとう。風呂についてはノーコメントで。次があれば俺から紅魔館に行くからレミリア達によろしくな。」

 

「それでは。」

 

「おう!またな!!」

 

紅魔館まで飛んでいく華人小娘の姿が夕闇に映えるのだった。

 

 

 

 

家の中に戻り寝ようとしたところ閻魔様がいらっしゃってました。

 

 

「刀真!そろそろ罰が終了する頃合ですよ。『霊夢』の肉体に戻るのです。今までの肉体とはまた勝手が違うと思いますが文句を言わないでくださいね?それと『刀真』の肉体の再封印に伴い、能力も再剥奪されます。」

 

「あ〜そうかわかった。それじゃあ早いところ頼むぜ。」

 

「むう。閻魔を前にしてなんですかその態度は!『霊夢』の肉体にしませんよ!」

 

「いやそれは困る。ものすごく困る。俺が悪かったから肉体を『霊夢』に変えてくれ。」

 

「はあ〜もういいです。今からあなたの肉体の白黒をハッキリさせます!。良いですか目を閉じて三十秒数えなさい。三十秒経つ頃には貴方の肉体は『刀真』から『霊夢』になっている事でしょう。」

 

映姫に言われた通り目を閉じ三十秒数える

三十秒間がたった頃白い光が俺を包んだ。

ふと、目を開ける

すると俺は『俺』から『私』になっていた。

 

私が前を見ると既に映姫は居らずそこには私に向けたものであろう手紙が置いてあった。

それを取るとその下から小さな手鏡が出てきた。

 

「ん?なんて書いてあるのかしら。」

 

 

拝啓 特異な転生を果たしたあなたへ

 

私はあなたに一つ教えておかなければいけないことがあります。それはあなたの体質というか、『刀真』と『霊夢』の肉体の切り替わりに関することです。まずそれぞれの肉体の特徴についてまとめましょう。

 

まず『刀真』の肉体についてです。

 

こちらの肉体は『霊夢』に比べてやや丈夫で特殊な能力も使えますが、霊力の量や質は『霊夢』に圧倒的に劣ります。

それと、『霊夢』が所持する能力も使えないようです。

と、『刀真』の肉体に関してはこんなものですかね。

 

次は『霊夢』の肉体についてです。

こちらの肉体は打って変わって『刀真』に変わって少々の身体能力の低下はありますが、それを補って余りある莫大な霊力を秘めています。この霊力を自由自在に操ることが出来れば幻想郷でおよそ相手になる者は大妖怪でも一握りぐらいなものでしょうね。

それと、能力も使えるようになりますね。

こちらもいわゆる ちーと というやつでしょうか?

まあいいです。

 

とりあえずこれが今わかっている肉体の切り替わる事に関する情報の全てですかね。

 

このように二つの肉体はそれぞれ違う特色を持っています。状況に応じて違う性別の肉体が求められることもあるでしょう。その時はこの手紙に同封した手鏡を使いなさい。それには私の能力の一端を宿しています。きっとあなたの役に立つでしょう。

 

それではまたそのうちお伺いします。

 

PS.しっかり規則正しい生活をしなさい!!次に来た時にだらけていたら私のありがたい説教をきかせますからね!!!

 

四季映姫・ヤマザナドゥ

 

 

 

「ふん、あの閻魔も世話好きな事ね。」

 

 

だがまあ、手鏡はせいぜい有効活用してやることにしよう

 

「ふわあ。そろそろ眠くなってきたわね。布団も敷いてるし寝ましょうか。あっ、その前にちょっと厠にいこ。」

 

 

 

「厠に来たはいいけど………そうだった『私』の体だった!うう~みれない。だけど見ないとできないし………。」

 

これは人体の生理活動だから仕方ないのよね?

仕方ないわよね!

 

 

 

 

ナニがあったかは想像に任せるわ!

 

………でもすっきりしたとだけ伝えておくわよ。

 

 

※※※※※



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永夜抄
永夜抄Ⅰ(霊夢&紫)








※※※※※

 

私が『私』に戻ってから既に一週間がたった。

 

この1週間男女の違いに頭を悩まされたが流石にもう慣れた。

 

 

そして今―――現在時刻午後九時――――

 

テレビもラジオもないこの幻想郷では特にすることもないので普段なら既に布団に入っている時刻な訳だが。

私はとある竹林に来ていた。正直いつの間にこんなところがとか、こんなとこあったかしらとか、色々言いたいことはあるがひとまず置いておくことにしよう。

 

無論異変を解決するために来ている。

 

と言うのも今夜の月はおかしいと、どこぞのスキマ妖怪(1人しか居ないが)がやって来て早々に言い出したからだ。私も言われてから気がついたが確かに今夜の月は違和感があると思う。勘ではあるが。

 

「それで?いつまで私達は同じところを何回もぐるぐる回ってればいいのかしら?」

 

既に1時間はこの竹林の中をうろうろしている。

 

「もうちょっと、あとちょっと待ってよ霊夢ぅ!」

 

いい加減面倒になってちょっと本気で帰っていいかしらとか思わないでもないがそれをやったらいよいよ本気で紫が泣きそうだったので自重はしている。

 

私達はつまるところ完全無欠に迷ったのだというか、現在進行形で迷っている。

 

同じ道でたまに変化があったと思えば大体妖精でだんだん流れ作業と化していた。

 

その内訳を話すと

 

妖精発見→撃破→探索→妖精発見→撃破→探索→どこかで見たような闇を纏った金髪幼女な妖精→撃破

 

ん?ちょっと待て闇を纏った金髪幼女な妖精?………まあいいか。

 

「いやいや待ちなさいよ。今のどう考えても妖精じゃないでしょう!?」

 

「いやいやいや、新種の妖精かもしれないでしょ?」

 

「なわけないでしょ!?」

 

「うるさいわね!?私が妖精と言ったら妖精なの!ってかこれ以上面倒ごとはゴメンなの!!いいわねアイツは妖精はい決定!」

 

紫がなんでわたしが逆ギレされてるのかしらとか遠い目になって言ってるような気がするけど気にしたら負けね。

 

とかなんとか言いつつも一応進んではいるとは思うのだが。気づいたら目の前になんかいた。

 

「そこまでよ!ここから先は私が通さないわ!というか、通したら私が師匠に殺されるわ!」

 

「いや、知らないわよ。っつかあんたの事情とか知らないから早く通しなさい。」

 

なんか冷たくなってしまったけど仕方ないと思う。だって同じところぐるぐるしてイライラしてたんだもん。

 

という訳でこのうさ耳セーラ服の人にはさっさとご退場願おう。

 

「はあ、いいわ。さっさと始めましょ?」

 

「残念だけどあなたの相手は私じゃないの。あなたの相手は自分自身よ!」

 

そう言うと彼女はその赤い目を輝かせてこちらを見る。

 

すると私の頭がガンガンと鳴りだした。たしかに痛いが耐えれないほどではない。やがて私の前に一つの、いや一人の何者かが現れた

 

「えっ、『私』!?」

 

驚きを隠せないのも無理はないと思う。だってそこに居たのは私のもう一つの姿である『刀真』だったのだから。

 

と言ってもこれは別に私自身ではないだろう。私ここにいるし。と、なれば気になるのは先ほどのウサギの赤い目だが、アレを見た瞬間に急に頭が痛みこの状況になったことから恐らくあの人(名前聞くの忘れたなんとなく悪いやつではない気はするけど。)の能力と考えられる。いや、そうに違いないわ。何故なら勘がそう言ってるもの!

 

「相手は変わっちゃったけど、どちらにせよ倒さなきゃ始まらないんだしとりあえずヤりましょうか?」

 

「………ッ!」

 

こいつは恐らく幻影の類なんだろうなと私は何となく直感でそう感じる。喋れないのはあのウサギの能力がまだ未熟なのがあるからだろう。

そんなふうに考えを飛ばしていると、『刀真』が使う剣型の弾幕が飛んできた。

 

「ちょっ!まだルール宣言してないでしょ!?」

 

そんなもの関係ないとばかりに弾幕を撃ってくる。

 

「~~~っ!仕方ないわねぇ!?全力でボッコボコにしたげるわよ!!」

 

そう言って弾幕ごっこ用に手加減していない全開の弾幕を放つ。

いいだろう。相手がそのつもりならどちらがホンモノなのか証明してやろうじゃあないの!?

 

「ハアっ!」

 

一呼吸を入れて大量の札型弾幕を放出する。

そして囲いを作りそこに本気の夢想封印を叩き込む!

 

「っ!?」

 

それに気づき相手が必死に避けようとするが、そのタイミングを見逃す私ではない。そこに容赦なく全方位に弾幕を配置する。

 

「外さないわよ。神技『八方鬼縛陣』!」

 

「~~~!?」

 

ついに『刀真』が弾幕に対処できなくなり動きが遅くなる。

 

 

「さて、そろそろくたばりなさい!とどめよ!神霊『夢想封印 瞬』!!!」

 

瞬時に『刀真』の目の前に飛んでいく過程の見えない多量の光弾が展開される。先の鬼縛陣で動きを乱されていた『刀真』が対応できるはずもなく、なす術なくその身を光弾に焼かれた。

 

うん。スペカ使いすぎた。ついでに我がことながらやりすぎた。反省してる。でも後悔はしてない!

 

すると先程までの幻影が消え元の空間へと戻ってきた。

いや、多分違う場所に行った気になっていただけだろうけど。

そこにはなぜだか目を回して倒れている例のうさ耳セーラーの人がいた。

どうやら私が幻影を見せられている間に紫がこのうさ耳の人を倒してくれていたらしい。

このまま歩いていても埒が明かないのと、せっかく見つけた手がかりなのでこのうさ耳の人が目を覚ますまで私達は待機することにした。

 

 

※※※※※



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永夜抄Ⅰ(魔理沙&アリス)

※※※※※

 

全く、今回の異変はどうなっているんだ。

私、霧雨魔理沙は夜の魔法の森を飛びながらそう考えていた。

異変だと分かったのはついさっきだ。

当然わかった直後に霊夢のヤツを誘いに行ったんだが、そこで目にしたのは丁度紫に連れ去られていく霊夢だった。

他に異変に一緒に行く間柄の奴がいないわけではないんだが、なんだかなぁ。

 

 

「まあ、そういう訳でお前を誘いに来たんだよ!アリス!!一緒に行こうぜ!?」

 

「いや、そういうわけって言われてもねえ。もちろん異変には気づいてたけど………まあ、魔理沙がどうしても行きたいって言うならしょうがないから付き合ってあげるわよ?」

 

いや、そこまでどうしてもって言うわけでもないが………

 

「まーまー良いから。とりあえず行こうぜ?」

 

「はぁ、分かったわよ。準備するからちょっと待ってなさい。上海たちにお茶を淹れるさせるから。」

 

今はお茶よりもさっさと行きたいんだが。

せっかくの好意だ頂いておくか。

 

「シャンハーイ!」

 

アリスの操る人形の中のお気に入りの一体である上海人形が紅茶を運んできてくれた。

 

「おっ!ありがとさんっと。」

 

「シャンハーイ!!(ぺこり)」

 

こういう時の1杯は焦る心を冷静にしてくれるな。

 

「魔理沙、終わったわよ?ほら、片付けは人形たちに任せて行きましょう。」

 

「よし!なら早速行こうぜ!」

 

私は早速箒に跨り早速異変を解決するために夜の空へ飛び出そうと………

 

「大変だぜアリス!!!異変の元凶の居場所が分からないのぜ!!??」

 

「はぁ、そんなことも分からないで異変の解決に向かおうとしたの?仕方ないわね。私がある程度の目星はつけてるからそこに行くわよ。」

 

そう言うとアリスは人形たちを連れて空へ飛び出して行った。

 

「あっ!ちょっと待てよアリス!!」

 

アリスを追いかけて私もすぐに飛び立った。

 

「で?結局どこに行くんだよ!?」

 

「決まってるでしょ?異変の元凶の居場所よ。つまりあの竹林ってことよ。」

 

竹林か。確かあそこは何も無かったはずだが………。

まあ、アリスを頼ってみるのも悪くは無いか。

 

✧少女移動中✧

 

 

「竹林にやってきたわけだが。いささか複雑すぎるんだぜ!?」

 

「迷い竹林って言うぐらいだからねえ。まあ気長に探しましょ。この竹林の中にいることはわかってるのだから。」

 

まあ、それはそうなんだが………

 

「だけど、霊夢たちに先を越されちまうぜ!?」

 

「それもそうね。人形たちにも探させましょうか。」

 

そう言うとアリスは連れていた人形たちを四方八方に飛ばしていった。

 

「それじゃあ、私たちでも探してみましょ?」

 

「おう!そうだな!」

 

そうして、しばらく歩いていると。

 

「なあ、アリス。アレ霊夢たちだよな?」

 

「えっ、ええそうだと思うけど………どうしたのかしら?」

 

そう。そこには何故か竹林の中で座り込んでいる霊夢と紫の姿があった。

 

「いやほらあいつらの事だからとっくに元凶の居場所に着いてると思ってたからさ。」

 

「あの巫女でも勘が外れることがあるのねえ。」

 

「聞こえてるわよ?」

 

「「うわあ!!??/きゃあ!!??」」

 

「って紫かよ驚かせるなよ。」

 

「全くよ。」

 

後ろを振り返るとそこにはいつの間にか紫が立っていた。

側にはあの趣味の悪いスキマが空いていた。

 

「貴方達も異変解決組かしら?」

 

「ああ。そうだぜ!」

 

「私は魔理沙に無理矢理………。」

 

「それで?紫たちはどうしてそこで座ってたんだ?」

 

「その理由はもう少しでわかるわよ。こっちに来てなさい。」

 

そう言うと紫は私たちをブレザーを着てウサギの耳を生やした妖怪の元へと連れて行った。

 

「それで結局どうしたのかしら?」

 

「ん?なんだアリスか。アンタも異変解決………というよりは魔理沙に無理矢理連れて来られた感じね。」

 

「ええ。お察しの通りよ。」

 

「それで結局どうしたのぜ?」

 

「それがね、どうもここから先にはこのウサギを連れて行った方がいいって私の勘が言ってるのだけれどコイツなかなか目を覚まさないのよね。」

 

話を聞くと、紫に意識を刈り取られたらしいがその力が強すぎて未だに目を覚まさないそうだ。

 

まあ、私たちがそれを待つ必要はないので先に進むことにした。

 

「ふーん。じゃあ私たちは先に行くぜ?」

 

「はいはい。さっさと行きなさい。」

 

 

全く、愛想のないやつだぜ。刀真の時を見習ってほしいもんだな。

というか人格変わりすぎだろう

 

本人に聞いても曖昧にされるだけなんだろうな。

 

 

いや、今気にすることでもないか。

そう判断すると私とアリスは竹林の奥へと足を進めるのだった。

 

 

※※※※※



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