ありふれた職業で世界最強 錬成師と狂人会 (影龍 零)
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オルクス大迷宮編 異世界転生?

どうも、影龍 零です。
ふと、友人と相談して書こうと思い、やってみました。

今回と次回は短めです。
多重クロスオーバー作品は初めてなので、どうか暖かい目で見守って下さいお願いします(ローリング土下座)

ではどうぞ。


月曜日。それは誰もが憂鬱な気分となる日。

 

それは彼、南雲ハジメとて例外ではない。

今日も徹夜でフラフラな体を動かして教室に入ると、それに気づいた七人グループが近づいてきた。

 

「よっ、ハジメ。おはよう」

 

「あっ、おはよう、レイ」

 

ハジメに向かって挨拶したのは七人グループの一人、夜神レイだ。

そして、後ろにはレイと同じグループに入っている男子四人と女子二人がいた。

 

男子はそれぞれ、十六夜エル、西郷シュウ、如月カイ、紺野リィー。

女子は久遠シオリ、結城イリナ。

 

この七人のLI◯Eグループ、通称『狂人会』とハジメは交流が深く、よくゲームでの徹夜や情報交換をしていた。

 

「昨日のカイの頭脳プレーはかなりいやらしかったなぁ・・・」

 

「お前が頭を使わないからだろ?ちゃんと脳を働かせろ、脳筋」

 

「さらっと酷くねぇか、オイ!?」

 

「事実を言っただけだよバーカ」

 

レイとカイが言い合い(若干カイが勝っている)が繰り広げられる中、ハジメはエルとシュウと話していた。

 

「昨日のチェスでお互い四十四勝四十四敗一分けだな」

 

「いや、あれは俺がハ◯ワを聴きながらやっていたからだし」

 

「それ言うなら俺もFG◯やりながらやっていたぞ」

 

「ふ、二人共器用だね・・・」

 

 

少し話していると、シオリとイリナが混ざってきた。

 

「ねぇねぇ、FG◯で十連したらやっとオシ鯖出たんだよ!」

 

「おー、良かったじゃん」

 

「ねぇシュウ、いい加減女子って認めなよ」

 

「何度も言うけど俺は男だ!女子じゃねぇ!」

 

「またまたそんなこと言って~ww」

 

ハジメは四人の光景に苦笑いしながら、何かに集中しているリィーに話しかける。

 

「リィー、何やって「よっしゃー!難易度27の曲制覇ーーッ!」」

 

突然ヘッドホンを外して叫んだリィー。

どうやら音ゲーの高難易度の曲を制覇したらしい。

 

こんな風景がこのクラスでは日常茶飯事だった。

 

「南雲君おはよう!今日もギリギリだね。もっと早くこようよ」

 

ニコニコ微笑みながらハジメ達に近づいてきた女子生徒がいた。

名を白崎香織という。ハジメにフレンドリーに接する人の一人で、二大女神の一人と囁かれている。

 

「あ、ああ、おはよう、白崎さん」

 

ハジメは戸惑いながらも挨拶を返す。

周りからの鋭い視線がハジメ達を刺すがハジメ以外は気にもとめない。

 

 

「皆もおはよう」

 

香織の挨拶に七人は頷いて返す。

 

「そういえば南雲君、この前借りたラノベ面白かったから続き借りてもいいかな?」

 

「え、あ、あぁ良いよ!続きあと三巻くらいあるから、今度持ってくるね」

 

「ありがとう!南雲君!」

 

 

 

そんな白崎だが、ハジメとはよくラノベやアニメのことで話している。

何故かというと、白崎はハジメのことが好きなのだ。

そのことを『狂人会』のメンバーに伝えると、七人は腹を抱えて大爆笑。

笑いながら、七人はハジメの趣味であるラノベやアニメ、漫画、ゲームといったものを白崎に教えた。

それから、白崎は思い切ってハジメに

 

「私もラノベ?を読んでるんだけど、良かったらお勧めの本貸してくれないかな?」

 

と伝えたところ(二人きりの場所を七人に頼んで作ってもらい)、ハジメは最初戸惑ったが、オタク仲間が出来たことが嬉しかったのだろう、快くOKを出した。

今では休日に九人で遊ぶことも多々あるようになった。

 

 

「南雲君、おはよう。今日もいい天気ね」

 

「香織、また彼の世話を焼いているのかい?本当に君は優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気のないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどな」

 

やってきた三人の中で唯一挨拶してきたのは、香織の親友で二大女神の一人、八重樫雫。

高い身長と引き締まった身体、凛とした雰囲気は侍を彷彿させる。

後輩から『お姉様』と言われていることが悩みの種だ。

 

後の二人のうち、些か臭いセリフだったのは、香織の幼なじみの天之河光輝。

成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗の完璧超人で正義感も強い。

しかし、多少思い込みが強い。

 

最後の投げやり的な言葉だったのは、光輝の親友の坂上龍太郎。

努力や熱血といった言葉が好きな脳筋タイプ。

また、熊のように大柄な体格の持ち主でもある。

 

「おー、さっすがイケメン。言うことが違うね~」

 

「それに世話を焼いているって様子でもないだろ?」

 

カイが光輝をからかい、レイが率直な意見を述べる。

雫はシオリとイリナと他愛のない会話をしている。

 

 

「?光輝くん、何を言っているの?私が南雲君と話したいから話しているだけだよ?」

 

「お、女神さん言うねぇ~」

 

「周りの視線凄いけどな・・・」

 

香織の爆弾発言をリィーが煽り、エルが呆れた言葉を放つ。

シュウは龍太郎と話している。

 

「今度また、卓球で勝負しようよ」

 

「おっ、いいぜ。次はお前に勝つかんな!」

 

「頑張れ~」

 

どうやら卓球の勝負の話らしい。

しかし、シュウは龍太郎に五勝一敗で勝ち越している。

だが、龍太郎が気にしていないので、たまにこうやって勝負をするのだ。

 

「「「なんであいつ等が女神と楽しそうに会話してんだよ!」」」

 

「「「なんで香織の厚意を不下にしているの!」」」

 

皆がそんな風に思っているが、ハジメ以外はどこ吹く風だ。

ハジメは少しばかりため息をつき、会話へと戻った。

 

 

□□□□

 

午前の授業を終え、昼食をとる時間帯。

 

ハジメは鞄の中をあさり、十秒チャージを取り出す。

そこへ七人が弁当を持ってやってきた。

 

「ハジメ、一緒に食おうぜ。つってもそれだけだろうが」

 

「あはは、まぁガッツリ取ることもないからね」

 

エルが弁当を開けながら言うと、ハジメは苦笑する。

 

「ムッ、ハジメよ!もっと食べないと大きくなれんぞ?」

 

七人の中で最も大きい弁当を食べながらシオリがそんなことを言う。

因みにもう三分の一は食べ終わっている。

逆に一番小さい弁当のカイは黙々と食べている・・・・・・訳でも無く、スマホを操作してゲームをやっていた。

 

「そういやそのゼリー、何味?」

 

「えっとマスカット味かな。前はアップルだったし、これも何回も食べているから若干飽きるけど」

 

「ならこれを食え、俺これいらないから」

 

そう言ってエルは大きめに握られたおにぎりを一つハジメに握らせた。

ハジメは、七人は基本自由で相手が何を言っても気にせずにいることを知っていたため、何も言わずに受け取り、頬張った。

 

「!これ昆布と生たらこ!」

 

ハジメは目を輝かせて食べ進める。

エルが握るおにぎりはとても旨いことはハジメと香織を含め、九人の中では常識となっており、楽しみでもあるのだ。

 

そこへお弁当を持った香織が近寄ってくる。

 

 

(もういっそ異世界転生とか来ないかな・・・)

 

ハジメが異世界に電波を飛ばし、苦笑いと共に退散しようとして───凍りついた。

七人はかなり目を輝かせている。

 

───唐突に、白銀に光る円環と幾何学模様が足元に現れた。

その異常事態に他の生徒達も気づいたらしい。

生徒達の担任の畑山愛子先生(通称愛ちゃん)が「皆!教室から出て」と叫ぶ。

しかし、同時に魔法陣の輝きが爆発的に光り、教室は白い光に包まれた。

 

 

「「「「「「「まさかまさかの異世界転生、キタァーーッ!!」」」」」」」

 

『狂人会』が嬉しそうに叫んだ数瞬後、教室を包んでいた光が消え、色を取り戻した頃、教室には誰一人としていなかった。

後にこれは集団神隠し事件として、大いに世間を騒がせることになるが、それはまた別の話。




どちらかというとこっちの方が更新ペースは遅いのでご了承ください。

ではまた。


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天職調べでの出来事

どうも、影龍 零です。

前回短めと言ったな、あれは嘘だ。
というか嘘になりましたすいません。

今回は七人それぞれの能力が出ます。

誰がどんな能力かは本編で。

ではどうぞ。


ハジメは目を開けると、まず自分の近くにいたレイ、エル、シュウ、カイ、リィー、シオリ、イリナに話しかけた。

 

「ね、ねぇ皆。ここってもしかしなくても・・・」

 

「ああ、こりゃ完全完璧に異世界だなこれ!」

 

レイがキラキラした目で答える。

 

「つーかここかなり豪華だなぁ・・・」

 

「じゃあここって宮殿かどっか?」

 

 

「その通りです勇者様方」

 

カイとリィーがぼやいた瞬間、後ろから声がかかった。

振り返ると、三十人近い人々が台座の前にいた。

その法衣集団の内、最も偉そうな七十代近い老人が進み出てきた。

 

 

「ようこそ、『トータス』へ。勇者様方。歓迎いたしますぞ。私は聖教教会で教皇を務めております、イシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願いいたしますぞ」

 

そしてイシュタルは好々爺然とした微笑を浮かべた。

 

(あの爺さん笑ってるつもりみたいだけど・・・)

 

(顔がキモい)

 

(というか物凄く胡散臭い笑みなんですけど)

 

シュウ、イリナ、シオリがコソコソと喋る。

その後、イシュタルに連れられて一同はいくつもの長テーブルと椅子がある場所に案内された。

そこに座って暫くすると、アニメやラノベの中で出てくるようなメイド達がカートを押してやってきた。

男子達(レイ、カイ、シュウ、リィー、エルを除く)がメイド達を凝視していると女子達は氷河期のごとき絶対零度の視線で見ていた。

全員に飲み物が行き届いたのを見ると、イシュタルは話し始めた。

 

「さて、あなた方におかれましてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな。まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

そこからのイシュタルの話は実にファンタジーでテンプレで、どうしようもなく勝手なものであった。

要約すると、次のようになる。

 

 

•まずこの世界はトータスと呼ばれ、大きく分けて人間族、魔人族、亜人族の三種族がいる。

 

•人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。

 

•人間族と魔人族が何百年も戦争をしており、魔人族が最近、強力な種族固有魔法を使う魔物を使役し始めたことで、‘数’のアドバンテージが崩れ、人間族が滅びの危機を迎えているとのこと。

 

「あなた方を召喚したのは‘エヒト様’です。我らが崇める最高神であり守護神が人間族が滅びることを危惧したのでしょう。なのでこの世界よりも上位の世界にいるあなた方は、この世界の人間よりも優れた能力を保有しているのです」

 

そこで一旦言葉を切り、「神託で伝えられた受け売りですがな」と表情を崩す。

 

「あなた方には是非その力を発揮し、‘エヒト様’の御意志の下、魔人族を打倒して人間族を救って頂きたい」

 

そんな恍惚とした表情と共に言ったイシュタルに、ハジメ、レイ、エル、カイ、シュウ、リィー、シオリ、イリナは‘神の意志’を疑わず、それどころか嬉々として従うのであろう‘歪さ’に顔をしかめた。

 

「ふざけないで下さい!結局、この子達に戦争に参加しろってことでしょ!そんなの私が許しませんよ!早く私達を帰して下さい!」

 

猛然と愛子先生が抗議するが、イシュタルはゆっくりと頭を振る。

 

「お気持ちはお察しします。ですが・・・あなた方が現時点で帰ることは不可能です」

 

場に静寂が訪れ、誰もがイシュタルを見る。

 

「なっ・・・か、帰ることが出来ないってどういうことですか!」

 

愛子先生が叫ぶ。

 

「先ほど申した通り、あなた方を召喚したのはエヒト様であり、私達ではありません。あくまで私達はあなた方をお出迎えする準備と、エヒト様への祈りを捧げていただけですので」

 

「そ、そんな・・・」

 

愛子先生が脱力したようにストンと椅子に座ると、周りの生徒達も口々に騒ぎ出した。

 

 

「うそだろ?帰れないってなんだよ!」

 

「いやよ!何でもいいから帰してよ!」

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ!ふざけんなよ!」

 

「なんで、なんで、なんで・・・・・」

 

次々に生徒達がパニックに陥るが、ハジメはこの類の創作物は何度も読んでいるため、ある程度冷静でいられ、『狂人会』の七人はワクワク感全開で話を聞いていた。

そして八人がイシュタルを見ると、イシュタルは何も言わずにその光景を見ていた。

しかし、八人にはイシュタルの瞳の奥に、侮蔑の込められた光が灯っているのを感じた。

大方、「神に選ばれたのに何故喜べないのか」とでも思っているのだろう。

 

そんな中、バンッとテーブルを叩いて光輝が立ち上がった。

それにより全員の視線が集まったのを確認すると、おもむろに話し始めた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。・・・俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺には出来ない。それに、人間を救う為に召喚されたんだ。救済さえ終えれば帰してくれるかもしれない。・・・・・・イシュタルさん、どうですか?」

 

「そうですな。救世主の願いをエヒト様も無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね?ここに来てから妙に力が漲ってくる感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっとこの世界の人間の数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょう」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

ギュッと拳を握り、光輝はそう宣言する。

その意見にいつもの三人、龍太郎、雫、香織が賛同し、他の生徒達も後に続くように賛同していく。

しかし、レイ、エル、カイ、シュウ、リィー、シオリ、イリナは賛同せずに会話していた。

 

 

「あいつ、後先考えずに宣言したぞ」

 

「戦争なんだから死人が出るのは当たり前なのにな」

 

「この内誰が死んでも可笑しくないし、ましてや全員帰る確率は限りなく低い」

 

「勇者だからかどうか知らんが、他の奴らも賛同してるし」

 

「でも俺らもかなり力が漲ってないか?」

 

「確かに。でも戦争に利用されることは変わらないんだよね」

 

「暫くは自由に行動出来ないだろうしなぁ・・・」

 

 

さらりと毒づく七人に、ハジメは苦笑いしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、王族や貴族、騎士達の自己紹介やら晩餐会やらが終わって次の日。

早速訓練と座学が始まり、まず全員に十二センチ×七センチくらいの銀色のプレートが配られた。

不思議そうに見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな?このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても大丈夫だからな、無くすなよ?」

 

どうやらこれで自分達の現時点での強さが分かるらしい。

余談だが、メルドはこれから共に戦う仲間になるので、気楽な喋り方でいこうと皆に言っていた。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。‘‘ステータスオープン’’と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。そこには‘レベル’、‘ステータス’、‘天職’が表示される。レベルは各ステータスと同時に上がっていく。上限は100で、そこに至ると自分の潜在能力は全て解放されていることになるな。‘天職’はいわゆる‘才能’のことだ。末尾にある‘技能’と連動していて、その天職では無類の才能を発揮できる。‘ステータス’は見たままだな。普通レベル1なら平均10だからな、お前たちが羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ」

 

 

説明が終わると、皆一斉に血を垂らし始めた。

レイ、カイ、シュウ、エル、リィー、シオリ、イリナもそれぞれのプレートに血を垂らした。

すると、目を疑う内容が出てきた。

 

 

 

夜神レイ 17歳 男

 

レベル:1

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:『デート・ア・ライブ』•言語理解

 

 

 

 

十六夜エル 17歳 男

 

レベル:1

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:『文豪ストレイドックス』•言語理解

 

 

 

 

如月カイ 17歳 男

 

レベル:1

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:『HUNTER×HUNTER』•言語理解

 

 

 

 

西郷シュウ 17歳 男

 

レベル:1

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:『僕のヒーローアカデミア』•言語理解

 

 

 

 

紺野リィー 17歳 男

 

レベル:1

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』•言語理解

 

 

 

 

久遠シオリ 17歳 女

 

レベル:1

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:『Fate』•言語理解

 

 

 

 

結城イリナ 17歳 女

 

レベル:1

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:『問題児達が異世界からくるそうですよ?』•『ラストエンブリオ』•言語理解

 

 

 

「「「「「「「・・・うわぉ」」」」」」」

 

一瞬で七人の声がハモり、同時に同じ考えが浮かんだ。

 

(((((((絶対目立つ!隠さないと!)))))))

 

 

因みにハジメは‘錬成師’とやらになったらしい。

そのことで檜山と取り巻きの三人がハジメをからかっていた。

光輝は‘勇者’になったらしい。

かなり周りは驚きつつも、羨望の眼差しを送っていた。

 

 

「どうだ?そっちの七人は」

 

すると、メルドが七人に話しかけてきた。

レイが代表して返事をする。

何故かと言うと、誰がメルドと話して誤魔化すかジャンケンで決め、一人負けしたからだ。

 

「これって一応個人情報の類いだよね?だから細かい情報は俺達は伏せる。異議反論その他は一切認めない」

 

その言葉に、メルドは反論する。

 

「しかし、報告してくれないと今後の訓練の参考に出来ないのだが・・・」

 

「じゃあ、あんたは自分の情報を見知らぬ誰かに話すか?それと同じだよ」

 

レイは尚も食い下がる。

 

「大まかに言うと、俺ら全員同じような天職で、ステータスも同じくらいってとこだ。訓練は俺らでやるから安心してくれ。七人同じような天職だ、少なくとも訓練ぐらいはできるさ。あんた達も手間が省けてウィンウィンだろ?」

 

メルドは暫く黙考した後、口を開いた。

 

「分かった、お前たちの言うことも一理ある。だが無理はするなよ?」

 

「それだけ聞ければ十分だ」

 

因みにレイが話した内容は七人で考えた内容だ。

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

二週間後、七人は何時ものように訓練をしていた。

あの後全員で能力を確認したところ、『その作品中のキャラの能力を自在に操る』、『キャラの身体能力が自分に上乗せされる』という共通した能力ということが分かった。

 

なので、七人は誰も使っていないような大部屋は無いかとメルドに聞いたところ、地下の空き部屋に案内された。

そこは高校のグラウンドより少し小さいといった広さの部屋で、頑丈に造られていることを教えられた。

まさに訓練にうってつけな場所を見つけた七人は早速訓練を始めた。

 

 

と言っても、訓練の内容は単純に『能力を使いこなせるように各自能力を使いまくる』というものだったが。

 

そして練習が終わると、全員で図書館に足を運んでいた。

七人はもっと他の場所にも行きたかがったが、宮殿からでることは許されていなかったのでここくらいしか落ち着いた場所が無い。

着いてハジメを見つけると、レイ、エル、シュウ、イリナはハジメの下に近づいて会話を始め、カイ、リィー、シオリは睡眠をとるため深い眠りについた。

 

「ハジメ、調子はどうだ?」

 

「あ、うん、大丈夫だよ。そっちは?」

 

「俺らは自主練だけだからな、他の奴らよりかは疲れていないよ」

 

「それに、私達もだいぶ能力を使いこなせるようになってきたしね」

 

「もう少しで完全取得ってところかな」

 

 

七人はハジメにだけ、自分達のプレートを見せた。

ハジメはかなり驚いたが、すぐに「皆規格外過ぎでしょ・・・」と呆れ顔になった。

ハジメは錬成師なので、大抵はここで本を読んで錬成の幅を広げ、たまに七人の練習場所で錬成の訓練をしていた。

そのお陰か、最初よりも錬成速度が飛躍的に上がった。

 

 

「そういえばさ、この前やったゲームの話、まだ続きだったろ?もうちょい話そうぜ」

 

「う、うんいいよっ!確かボスの連戦だったよね」

 

「あれはかなりきつかったよなぁ・・・」

 

「でもカイの頭脳プレーとリィーのごり押しでなんとか勝てたよね」

 

「大半はカイだけどな」

 

 

五人は図書館の中でゲームの話でかなり盛り上がり、司書に注意されるまで話し込んだ。

 

 

「「「Zzz・・・」」」

 

残りの三人はぐっすりと夢の中に入っていた。




詳しい能力披露は次回かその次に書きます。

余談ですが、七人の能力である作品は私が好きな作品ですので勘弁してください。

ではまた。


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戦闘と転落

どうも、影龍 零です。

今回はサブタイの通り、戦闘シーンに入ります。
七人の能力も披露するのでかなり長いですがご容赦下さい。

ではどうぞ。


図書館を出た八人は、メルドから収集がかかったと近くにいたメイドから聞き、急ぐこともなくゆったりとしたペースで訓練施設に向かった。

 

八人が到着すると、既に他の皆は揃っており、訓練も終えた様子だった。

 

「明日から実戦訓練の一環として、【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!要するに気合い入れろってことだ!今日はゆっくり休めよ!では解散!」

 

メルドは野太い声でそう言うと、さっさと行ってしまった。

ざわざわと喧騒に包まれる中、七人は天を仰いでいるハジメに近づく。

 

「あっ、皆。どうしたの?」

 

「いや~、迷宮での実戦訓練って聞いてワクワクしてな」

 

「何が起きるかわからないあの緊張感がたまらないんだよね」

 

レイとリィーが楽しそうに話す。

 

「俺はさっさと終わらせて帰りたいんだけどな」

 

カイは相も変わらずやる気ゼロ。

これで頭が切れるので凄いとハジメは感心していた。

 

 

「私はあの能力を早く使いたいんだよね~。それで魔物を倒していく・・・これは燃えるでしょ!」

 

「唐突なヤバい発言止めろ。まるで戦闘狂だぞお前」

 

「え?楽しみじゃないの?」

 

「いや、超楽しみ」

 

「なら私と一緒じゃん」

 

「誰もが戦闘狂みたいな思考持っていると思うな」

 

 

エルとイリナは漫才じみた会話をしている。

 

「私の能力結構皆から嫉妬されそうなんだけど」

 

「それは全員同じだろ。光輝の比じゃねーぞ絶対。なんせ全員がERROR表示でてるんだし」

 

「それもそっか」

 

 

シュウとシオリは皆の注目を集めてしまうことを危惧していた。

それもそのはず、七人のステータスはERROR、つまり測定不能な領域なのだ。

その理由は全員に共通する『キャラの身体能力を自身に上乗せする』という効果に起因する。

七人は作品は違くても、登場キャラが皆凄まじい強さをほこっているため、ステータスの測定できる範囲を容易にオーバーしてしまったのだ。

なので、王都外の魔物と実戦しても瞬殺できる。

だが七人は全員目立つのが嫌いなため、その実戦訓練には行かずに練習場所で各々特訓を繰り返していた。

 

 

レイはキャラが使う【天使】を自身の肉体の許容範囲を超えるまで使い、少し休んだ後すぐ使うということを繰り返して、天使の負荷に身体が耐えられるようにしつつ、天使の使用精度を上げていた。

 

 

エルは『異能力』の制御が出来るまで各異能力を使い続け、制御出来るようになったら、異能力ごとの短所をどう補うかということや、異能力を二つ同時に使えるようにすることに時間を注いだ。

 

 

カイはまず、『念』の基本と応用を身につけ、【念能力】を使いこなせるように練習を繰り返した。

また、念能力の同時使用の精度や、途中でオーラ切れにならないように【練】の持続時間を伸ばす特訓も行った。

 

 

シュウは各『個性』を一通り使った後、個性ごとの短所を補い合える組み合わせを考え、実戦することを繰り返した。

 

 

リィーは魔術の省略詠唱、高速詠唱の練習、基礎体力作りや近接格闘術を主に行い、『固有魔術(オリジナル)』を使うために必要な魔導器の作成、状況判断力や瞬発力の底上げにも力を入れた。

 

 

シオリは単純にどの『宝具』も状況に応じて使い分けられるように練習し、基礎体力作り、魔術詠唱の精度上げ、宝具の熟練度上げも行った。

 

 

イリナは『恩恵(ギフト)』をひたすらに使い、精度や熟練度を上げ、バリエーションを増やし、恩恵の制御が出来るようにした。

 

 

 

そして、たまに全員でバトルロワイヤルをすることもあった。

しかし、流石にそれをやると皆に気づかれる可能性が高いので、皆が実戦訓練に行っている時にのみすることに決め、念には念をということでレイが【刻々帝(ザフキエル)】を使い、七人全員を影の中に入れてバトルロワイヤルを行った。

 

影の中では時間の進みは異なるため、七人は十分過ぎる程の特訓ができ、バトルロワイヤルをしたことによって乱戦にもある程度対応出来るようになった。

 

最も、全員が異常な強さなので終わった後はクタクタになっているが。

 

 

そんなこんなで夜になり、特にやることもなかった七人は、何の前触れもなくハジメの部屋に突入。

半ば強引にトランプをして遊び始めた。

 

 

「いきなり来てトランプしようって・・・こんなにビックリさせられたのは初めてだよ・・・」

 

 

ハジメの呟きは誰の耳にも入らない、というか全員が気にしていないだけ。

 

「ハジメ~、次お前だぞ~」

 

「あ、ああゴメン!えっと、これで・・・・・よし、二枚揃った」

 

今やっているのはババ抜き、その前には七並べやポーカー、大富豪などもやっていた。

 

「今残ってるのハジメとリィーとシオリだけだからな~」

 

「でも全員手札少ないし、もう決着つきそうだよ」

 

「よし・・・あがりだ」

 

三人の内、リィーがあがり、ハジメとシオリの一騎打ち。

だが、呆気なくシオリが勝ってしまった。

 

「二人になった瞬間あがりって・・・どんな展開だよ」

 

「あ、ハジメが意気消沈してる」

 

エルとカイが呆れた声を出し、シュウがハジメの前で手をブンブン振っている。

 

 

「・・・返事が無い。ただの屍のようだ」

 

「生きてるよ!?」

 

レイがふざけて言った言葉に反応してハジメは意識を取り戻した。

 

「たっぷり楽しめたし、そろそろお開きにしますか」

 

「「「「「「「賛成」」」」」」」

 

シオリの提案に全員が乗っかった次の瞬間、入り口の扉がコンコンとノックされる音が響いた。

 

「あれ?こんな時間に誰だろう・・・ねぇ皆は・・・って、あれ?」

 

ハジメが振り返ると、そこには誰一人としていなかった。

あの一瞬で七人はそれぞれ別々の場所に隠れ、気配をシャットアウトしたのだ。

 

なのでよほどのことがない限り、見つけるのは至難の業。

 

 

すると、部屋に香織が入ってきた。

 

 

 

□□□□

 

 

「ゴメンね、ハジメくん。いきなり押しかけてきたりして」

 

「あ、うん、大丈夫だよ。もう慣れてるし」

 

「え?」

 

「い、いや、なんでもない」

 

 

ハジメと香織の会話に笑いをかみ殺そうと必死になっている七人。

どうやら香織はハジメが消えていってしまう夢を見たらしく、明日の遠征に行ってほしくないとのこと。

ハジメはそんな香織を見て、

 

「大丈夫だよ、白崎さん。僕もレイ達と一緒に特訓したし、少し・・・とは言わないけど強くなったから・・・・・・」

 

「?」

 

そう言って遠い目をするハジメに、香織は首を傾げる。

 

 

「でも、もし僕がピンチになったら、その時は助けてくれる?

白崎さんは‘治癒師’だし、皆のこともサポートしなきゃだけど・・・・・・」

 

端から見ればカッコ悪いことこの上ないが、香織は少し安心できたらしく、クスクスと笑っている。

ハジメも恥ずかしげに頬を指で掻いている。

 

「・・・うん、その時は私が守る。だけど一つだけ、お願いしてもいい?」

 

「?何かな?」

 

首を傾げるハジメの右手を両手で包みながら、香織は続ける。

 

 

「私がピンチになったら、その時はハジメ君が守って」

 

その言葉にハジメは疑問を浮かべる。

弱い自分ではなくても、もっと適任な人───それこそ天野河なんかがいる筈だ。

そう思っているのに気づいたのだろう、

 

「光輝君とかじゃなくて、ハジメ君がいいの」

 

「え?でもなんで僕?」

 

ハジメが疑問で返すと、香織は押し黙ってしまった。

心なしか、体が小刻みに震え、顔も少し赤くなっている。

 

「そ、それは・・・・・・」

 

消え入りそうな声でそう言う香織を見て、ハジメは疑問が大きくなる。

やがて、意を決したように香織がハジメを見る。

その真剣な眼差しに、ハジメも思わず背筋を伸ばしてしまう。

 

 

「わ、私は、ハジメ君のことが・・・・・・」

 

 

 

「待って」

 

 

 

ハジメはその続きをなんとなく察し、待ったをかけた。

 

 

「・・・え?」

 

「白崎さん、本当に申し訳ないけど、今はその時じゃない」

 

 

いつもと少し違うハジメに香織はキョトンとする。

 

 

「もし今ここでその続きを言って、明日何かあったら、僕も白崎さんも耐えられないと思う。だからさ・・・・・」

 

ハジメは数秒口を閉じ、その後また開いて言った。

 

 

「続きは、明日の訓練が終わったらでいいかな?」

 

 

ハジメのその言葉に、香織は自分を心配してくれているということを感じた。

 

「・・・うん、わかった。その時になったら、ちゃんと返事を貰うからね?」

 

ハジメが頷きで返すと、香織は右手の小指を差し出した。

 

「え?」

 

「約束だからね、ハジメ君」

 

自分の小指を絡ませ、指切りをする。

ハジメは突然のことに少しばかり顔を赤らめる。

その様子を見て、香織は微笑んだ。

香織は暫くハジメと談笑した後、自分の部屋に戻っていった。

ハジメは閉められた扉を見つめ、どこか暖かくなるような感覚に違和感を感じていた。

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

「ハジメ、さっきの守ってくれっていうセリフカッコ悪かったぞ」

 

「だ、だって仕方ないじゃん。僕より香織さんの方がずっと強いんだし」

 

「まあそれは否定出来ない」

 

カイの辛辣な言葉にハジメはぐうの音も出ない。

 

「まあ、何はともあれ明日になんないとわかんないし、気にすることはないよ」

 

「お、戦闘狂のありがたい言葉」

 

「うるさい」

 

イリナの励ましにエルが水を差し、場の空気が少し和らいだ。

ハジメは少し微笑んだ後口を開いた。

 

「それじゃあ、明日は頑張ろう」

 

「「「「「「お~!」」」」」」

 

「俺は寝るぞ」

 

ハジメの掛け声にカイ以外が同調し、カイはさっさと自分の部屋に戻った。

それに続くように他のメンバーもハジメの部屋から退散していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、メルドの先導の下、【オルクス大迷宮】に到着。

メルドを先頭に次々と生徒達は迷宮に入っていく。

ハジメ、レイ、エル、カイ、シュウ、リィー、シオリ、イリナは最後に入った。

一行は隊列を組みながらゾロゾロと歩いていく。

 

すると、一行の前にネズミのような魔物が現れた。

ネズミのようでも、上半身はムキムキで見せびらかすように筋肉がついている。

 

「よし!光輝達が前に出ろ、他は下がれ!交代で前に出てもらうからな、準備しておけ!あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、お前たちなら簡単に倒せるだろう。冷静に行け!」

 

間合いに入ったラットマンを光輝、雫、龍太郎が迎撃する。

光輝は勇者らしく聖剣、龍太郎は空手部らしく‘天職’が拳士なので籠手と脛当て、雫はサムライガールらしく剣士なので刀を使い、ラットマン達を圧倒する。

 

生徒達が見とれていると、後衛の香織と特に親しい友人、メガネっ子の中村恵里とロリ元気っ子の谷口鈴の詠唱が響き渡った。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ、‘螺炎(らえん)’」」」

 

 

三人同時に発動した螺旋状に渦巻く炎がラットマン達を吸い込むように巻き込み、燃やしていく。

どうやら光輝達転生組には、一層の敵は弱過ぎたらしい。

 

その後も特に問題なく交代しながら戦闘を繰り返し、順調に階層を下げていった。

ハジメはメルドやその部下の兵士達が弱らせた魔物を倒して経験を積んでいた。

レイ達と特訓していたこともあって、錬成速度は速い。

 

一方のレイ達はというと────

 

 

「へ~、こんな植物があるんだ・・・」

 

レイは見たことのない植物を興味深々に観察し、

 

「・・・Zzz・・・眠い」

 

カイは眠りながら歩き、

 

「うーん、このコート黒色だからやっぱり熱が籠もるな・・・」

 

エルは自分で着てきたコートの通気性の悪さを憂い、

 

「東京特許許可局、マサチューセッツ州・・・」

 

リィーはブツブツ早口言葉を繰り返し、

 

「この階層なんかお宝とかないかな~」

 

シュウはお宝がないか探索、

 

「結構大きいんだなぁ、この迷宮」

 

シオリは迷宮の規模を改めて実感し、

 

「・・・・・・(カチャカチャカチャ)」

 

イリナは黙々と何かを作りながら進んでいた。

 

 

この間、七人は一度も戦闘をせず、弱らせた魔物も全てハジメに譲っていた。

もうやる気ゼロとしか捉えられない行動だったが、誰もそんなことを言わない。

目の前のことに集中する者がほとんどだったからだ。

そんなこんなで一行は第二十階層に到着。

 

ここを制覇出来るか否かで、冒険者は一流の称号を得ることが出来るらしい。

因みに、現時点で最も迷宮を進んだ冒険者のパーティーは第六十五層まで行ったところで引き帰ったとのこと。

つまり、誰も最深部である第百層どころか、第七十層にすら到達していないことになる。

クラスメイト達(ハジメを含め)がめきめきと上達しているのにも関わらず、七人は未だに戦闘どころか前に出てすらいない。

 

 

それを見かねたのか、光輝が七人に近づいてきた。

後ろには龍太郎やメルドもいる。

 

「ねぇ、君達も少しは戦わないとこの先生き残れないよ?皆も頑張っているんだし、君達だけ何もしてないのは駄目だと思うな」

 

「うむ、光輝の言うとおりだ。お前たちも少しは戦え」

 

 

その言葉に気だるさ全開でカイが応える。

 

「何?あんたらには俺らの行動を決める権利でもあんの?俺らの心配より自分の心配をしたほうがこういう場所ではいいんじゃないか?」

 

 

その言葉に龍太郎が苛立ちを隠さずに言う。

 

「お前ら今の状態で自分の身を守れるとでも思ってんのか、おい?」

 

「ああ、少なくともこの階層(・・・・)くらいどうってことないと確信して言える」

 

嘲笑めいた言葉に龍太郎をはじめ、他の生徒達も嫌悪感を露わにする。

 

「そんなことよりさっさと進もうぜ?時間の無駄(・・・・・)だ」

 

 

カイの言葉で場はピリピリとした空気になる。

 

 

「まあ、俺達からはもう何も言わないよ。だけどこれからは───」

 

「そういうのいいから、んじゃ頑張れよ」

 

 

光輝の言葉に一切対応せずにリィーがそう締めくくると、二人はそれぞれやっていたことを再開した。

 

「光輝、あいつらには何を言っても無駄だ。あんな奴ら放っておいて行こうぜ」

 

「あ、ああ。そうするか」

 

 

龍太郎は七人を睨みつけた後、光輝と共に戻っていった。

そのまま一行は二十層を探索しつつ、二十一階層に続く階段へと向かっていった。

そこまで行けば、本日の遠征は終了になる。

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

「擬態しているぞ!周りをよ~く見ておけ!」

 

メルド団長の忠告の直後、前方のせり出していた壁が突如変色して起き上がった。

カメレオンの擬態能力とゴリラの見た目を合わせた魔物だ。

 

 

「ロックマウントだ!二本の豪腕に注意しろ!」

 

光輝達が戦闘態勢に入り、七人は相変わらず参加しない。

 

ロックマウントが龍太郎と相手するが、すぐに後ろに下がり、耳をつんざく咆哮をくり出した。

ロックマウントの固有魔法、‘威圧の咆哮’である。

 

一同はそれにより、一時的に麻痺状態となった。

ロックマウントはそれを見ると、サイドステップして傍らにあった岩を香織達後衛に投げつける。

 

香織達が準備していた魔法で対抗しようとすると、突然岩が形を変え、ロックマウントになった。

そのままル◯ンダイブのようなポーズで飛びかかってくる。

 

香織も恵里も鈴も「ヒイッ!?」と思わず悲鳴をあげ、魔法を中断してしまう。

 

「こらこら、戦闘中に何やってる!」

 

メルド団長がロックマウントを切り捨てて言う。

そんな中、キレた人がいた。

正義感と思い込みの塊、我等が勇者の天之河光輝である。

 

「貴様・・・よくも香織達を・・・・許さない!」

 

どうやら、気持ち悪さではなく死の恐怖でああなったと勘違いしたらしい。

純白の魔力が噴き出し、聖剣が輝く。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ、‘‘天翔閃’’!」

 

「あっ、こら馬鹿者!」

 

メルド団長の声を無視し、光輝は大きく振りかぶった聖剣を振り下ろす。

その瞬間、聖剣を覆っていた光がそのまま斬撃となって放たれた。

その極光はロックマウントどころか迷宮の壁なども破壊した。

終わった後にメルド団長から拳骨を一発食らって怒られていた。

 

 

そんな中、ふと香織が崩れた壁に目を向けると、青白く光り花のように生えている鉱物があった。

 

「・・・あれ、何かな?」

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

グランツ鉱石はいわば宝石の原石で、貴婦人などに高い人気がある。

香織がうっとりしながらも、気づかれない程度にハジメに視線を向ける。

 

 

「だったら俺らで回収してこようぜ!」

 

そう言って檜山がヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。

 

 

「こら!勝手なことをするな!安全確認もまだなんだぞ!」

 

慌ててメルドが声を張り上げるが、檜山は聞こえないふりをして鉱石の場所にたどり着いた。

騎士団員の一人がフェアスコープを確認し、一気に青ざめた。

 

 

「団長!トラップです!」

 

「ッ!?」

 

しかし、一歩遅かった。

檜山が鉱石に触れた瞬間、魔法陣が出現し、瞬く間に部屋全体を覆う。

急いで皆は部屋から出ようとするが・・・・・・間に合わなかった。

 

一行は白い光に包まれ、次の瞬間には全く別の部屋に転移していた。

そこは巨大な石造りの橋の上だった。

そして、赤黒い魔力の奔流と共に魔法陣が出現、通路側の魔法陣は大きさが十メートル程で二つ、階段側には一メートル程の魔法陣が無数に出現した。

 

ドクン、と脈打つ音の後に、階段側の魔法陣からは骨格のみの身体に剣を持った魔物、トラウムソルジャーが無数に出てきて辺りを見渡している。

 

そして、通路側の魔法陣からは、体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けたトリケラトプスに近い魔物がニ体出現した。

しかし、赤黒い光を瞳から放ち、鋭い爪と牙を鳴らしながら、兜から炎を放っている。

 

誰もが呆然とする中、メルドが震える声で呟いた。

 

 

「まさか・・・ベヒモス・・・なのか・・・・・・」

 

光輝がベヒモスの詳細を尋ねようとした瞬間、ベヒモスは大きく息を吸い、開戦の合図とばかりに凄まじい咆哮を上げた。

 

 

「「グルァァァァァアアアアアッ!!」」

 

「ッ!?」

 

その咆哮で正気を取り戻したのか、メルドが矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

「アラン!生徒達を連れてトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイルは全力で障壁を張れ!あれが本当にベヒモスなら、今のお前たちでは絶対に無理だ!ヤツは六十五層の魔物、‘最強’と呼ばれた冒険者達さえ歯が立たなかった化け物だ!」

 

 

光輝は鬼気迫るメルドの表情に一瞬怯むも尚退かず、メルドが撤退させるために説得しようとした時だ。

ニ体のベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず、‘‘聖絶’’!!」」」

 

 

たった一分の絶対の守りを三人の騎士が同時に顕現させた。

それにより、ベヒモスの突進を防ぐ。

だが、もう一体のベヒモスの突進が遅れて襲いかかってくる。

しかも最悪なことに、障壁がない場所目掛けて突進してきたのだ。

慌てて生徒達は魔法を唱えようとするが間に合わない。

 

誰もが死を覚悟し、目を瞑った、その時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【鏖殺公(サンダルフォン)】!」

 

 

 

 

 

 

 

 

突然叫び声が聞こえ、凄まじい衝撃音が響いた。

生徒達が目を開けると、目を疑う光景が眼前に広がっていた。

 

夜色を基調とした鎧と光の膜で形成された装備に身を包んだレイが、その手に持つ大剣でベヒモスの突進をたった一人で食い止めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「デトロイトスマッシュ!!」

 

 

「しゃらくさい!」

 

 

 

 

 

続いて緑色の光を放っているシュウの拳と、大地を割るであろう威力のイリナの蹴りが、ベヒモスを吹き飛ばして橋の反対側の壁に叩きつけた。

 

 

一同が唖然としていると、その隙を逃さんとトラウムソルジャーが押し寄せてきた。

すぐに生徒達はそれぞれ戦闘態勢に入るが、その必要性は数秒後に打ち消された。

 

 

 

 

 

 

「『羅生門』・・・・・・ッ!」

 

 

 

 

エルがそう言った瞬間、エルの身に付けていた黒衣が無数の黒い獣となり、それらが刃の形となって、トラウムソルジャーの頭部を正確に破壊。

十数秒ほどでトラウムソルジャーは全滅していた。

 

 

「なにボーッと突っ立ってんだよ。早く指示を出せ、勇者なんだろ?」

 

 

エルは振り替えずに光輝にそう伝える。

見るとハジメがすでにメルド団長の下に行っていた。

光輝は一瞬面食らうも、すぐに気を取り戻して近くにいた龍太郎と雫に言う。

 

 

「すまない、龍太郎・・・雫、時間を稼げるか?」

 

二人は苦しいながらも確かな足取りで前に出る。

 

 

「やるしかねぇだろ!」

 

「・・・なんとかしてみせるわ!」

 

 

二人はメルドの方にいるベヒモスに突貫する。

 

「香織はメルドさん達の治療を!」

 

「うん!」

 

光輝の指示を受けた香織はメルド団長の下に走り出す。

既にハジメ、カイ、シオリがメルド団長の下にいた。

 

 

 

 

「赤雷よ!」

 

 

シオリがそう叫んだ瞬間、シオリの頭上から赤色の雷が落ちてきた。

雷が止むとそこには、銀色を基調とし、所々に赤の線が引かれた鎧に身を包み、手に剣を持ったシオリが立っていた。

それはアーサー王伝説の反逆の騎士、モードレットを思わせる。

 

カイの方を見やると、カイの掌からボンッ!と煙が出てその中から、ピエロのような見た目をしたルーレットが出現した。

ルーレットの数字はピエロの口の部分に入っている。

 

 

『テメェ、いきなり俺を呼び出しやがって!調子いいなぁ、おい!?』

 

突然、ピエロが喋りだした。

 

「喋ってる暇ないんだから、早くしろ」

 

カイはうざったそうに聞き流し、ピエロに言う。

 

『ハイハイそうかよ!せっかちな奴め!ドゥルルルルルルルルル───』

 

そんなピエロの声と共に、口の中のルーレットが回り始める。

 

 

 

『4!』

 

 

数秒後に停止し、出た数字にカイは表情を変えずにピエロに言う。

 

 

「4か・・・ハズレだな」

 

『何をぉ!?俺様にハズレなんざねーんだよコノヤローーー!!』

 

 

カイの言葉に反論しながらも、ピエロはその形を変えていき、胴体が長いライフルのような片手銃になった。

銃の後ろ部分にはピエロがつき、額にあたる部分に数字の4が刻まれている。

 

 

龍太郎と雫はその光景に驚くも、尚足を止めずにベヒモスへと向かう。

シオリはちらりと後ろを見るが、すぐに前を向き剣を構える。

そして、足を一歩踏み出した途端、シオリが爆ぜるように動き、瞬く間もなく一瞬でベヒモスとの間合いを詰める。

 

 

「シッ!」

 

 

そこから恐ろしい速さで剣撃を浴びせる。

上、下、右、左、後ろ、斜めと視認することすら困難な速度でベヒモスを切り刻む。

ベヒモスも何が起きているか理解出来ず、悲鳴をあげるばかり。

 

───ダダァンッ!

 

 

追い討ちを掛けるかのように銃声が響き渡る。

メルドや生徒達が後ろを見ると、そこにはあの奇妙な形の銃を構えたカイが立っていた。

続けざまに銃を放ち、ベヒモスに着々とダメージを与える。

だが、超高速で動き回るシオリに当たってしまうのではないか。

そんな不安が生徒達から出るが、その心配は杞憂に終わる。

 

カイはシオリの呼吸や動く際に発生する音から、次の行動を予測し、シオリに当たらないよう正確に撃っているのだ。

それはカイの‘技能’の力によるものであり、カイのセンスと練習の賜物でもある。

 

 

 

「《ぶっ飛べデカブツ!》」

 

 

リィーがそう叫んだ瞬間、国の精鋭より遥かに高威力な魔術が同時に三つ放たれる。

 

黒魔【プラズマ・カノン】の雷、【インフェルノ・フレア】の炎、【フリージング・ヘル】の氷がベヒモスに襲いかかる。

 

 

「ルギャアァァァァァアアアアア!?」

 

三つの魔術はベヒモスに命中し、ベヒモスは苦悶の声をあげる。

恐らく国の魔導士が同じことをしようものなら、十年二十年どころでは済まない努力が必要だろう。

それをリィーは、たった一言叫んだだけで成し遂げたのだ。

末恐ろしい技術である。

 

 

 

 

二頭もの最悪の化け物を、たった七人が圧倒している。

ハジメも、七人の邪魔にならない程度の距離から錬成を繰り返し、ベヒモスの動きを制限していた。

 

錬成による動きの制限に高威力の魔術、踊るような斬撃と力強い斬撃、正確無比な射撃に一発一発の破壊力が凄まじい拳撃と蹴り技、多を圧倒し変幻自在に形を変える黒獣。

それら全ては、メルド団長達王国騎士や生徒達を驚かせるには充分過ぎるぐらい信じがたいものだった。

 

【無能】と皆から嘲笑されていたハジメが、【役立たず】と皆に思われていた『狂人会』が、それを成し遂げていることに呆気をとられていた一行だったが、やがてメルド団長が気を取り戻し、全員に指示を飛ばす。

 

 

「皆!坊主達が踏ん張ってくれている間に俺達は階段への道を確保するぞ!急げ!」

 

その指示を皮きりに、生徒達はチートをフルに活用して魔法や武技をトラウムソルジャーに放っていき、傷ついた仲間を治癒魔法で癒やし、精神を落ち着かせる魔法で皆の思考をクリアにする。

 

その連携と凄まじい攻撃速度が、魔法陣による魔物の召喚速度を追い越した。

そのまま階段への道を確保すると、メルド団長の指示が再び飛ぶ。

 

 

「前衛組、ソルジャーを近づけるな!後衛組は遠距離魔法準備!坊主達が離脱したら一斉攻撃で、あの化け物達を足止めしろ!」

 

生徒達は指示通りに行動する。

それを見ていたハジメは最後の錬成を終えると、七人に向かって叫んだ。

 

 

 

「皆、逃げよう!もうすぐ他の人達の遠距離魔法が来る!僕らが離脱したら発射するみたいだから早く!」

 

 

「「「「「「「え~~~~~」」」」」」」

 

 

「いいから早く!」

 

 

七人は渋々といった様子でベヒモスから離れ、ハジメも駆け出す。

 

ベヒモス達は憤怒の咆哮をあげ、逃がすまいと八人に狙いを定めた。

次の瞬間、色とりどりの魔法が八人と入れ替わるようにベヒモスに殺到する。

流星のごとき魔法が、ダメージは少なくとも、確実に足止めしている。

 

ハジメは思わず頬が緩むが、すぐに凍り付いた。

魔法のうちの一つである火球がハジメに向かってきたのだ。

 

 

(なんで!?)

 

 

ハジメは咄嗟に踏ん張ろうとするが、間に合わずに火球が命中してしまう。

着弾の衝撃波をモロに食らい、平衡感覚が狂う。

それでも前へ進もうとするハジメだったが・・・・・・

 

ベヒモス達もやられっぱなしというわけにはいかず、咆哮をあげてハジメ目掛けて突進してきた!

ハジメはなけなしの力を振り絞ってその場を飛び退く。

 

ベヒモス達の突進の衝撃は橋全体を襲い、ついに耐久値を越えてしまったのか崩落し始めた。

 

 

「「グウァアア!?」」

 

 

悲鳴をあげながら崩落する石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス達だったが、引っ掻いた場所すら崩落し、抵抗虚しく奈落の底へと落ちていく。

ハジメもなんとか脱出しようと這いずるが、次々と足場が崩落していく。

そのまま、ハジメの足場すらも完全に崩落し、ハジメは仰向けになりながら奈落の底へと落ちていった─────

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「待てやベヒモスゥゥウウーーーーーーー!!!!」」」」」」」

 

 

 

 

その叫び声が響いた瞬間、レイ、エル、カイ、シュウ、リィー、シオリ、イリナの七人が奈落の底へとダイブした。

 

 

「な、何をしているんだ!早く戻れ!?」

 

 

メルド団長が止めようとするも遅かった。

七人は生徒達の方に目も向けず、ひたすらに奈落の底に目を向ける。

 

 

 

 

生徒達やメルド団長に、自分達が浮かべている楽しそうな笑みを見せないために。

これから起こるであろう出来事に胸を高鳴らせながら、七人は落ちていった─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「異世界サイコーーーーー!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────人が見れば、『狂っている』と思うであろう笑みを浮かべながら・・・・・・




はい、というわけでいきなり原作改変させました。

だって七人の能力を一頭に集中させたらすぐにベヒモスが天に召されるから!!


次回から迷宮攻略に動き出します。
ハジメとユエに関しては未定ですのでご了承下さい。

出来れば次回かその次に出せると思います・・・多分。



ではまた


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迷宮探索

どうも、影龍 零です。

まだプロフィールは書きません。
だって面倒くさいし・・・

まあキャラが固まったら出します。


ではどうぞ


奈落の底。

 

そんな例えが最も似合うであろう【オルクス大迷宮】の下層への墜落。

並大抵の者ならばあっさりと死を受け入れることだろう。

 

 

 

────並大抵(・・・)ならばだが。

 

 

 

 

「「「「「ヤッフーーーイ!!」」」」」

 

楽しそうに叫ぶ者が五人。

 

 

「ヤバいやっぱ高いところは嫌いだぁぁぁぁああああ!!」

 

高所恐怖症故に叫ぶ者が一人。

 

 

「・・・メンドイ」

 

 

やる気ゼロの者が一人。

 

 

 

 

 

暗く何も見えない底へ、七人はどんどん落ちていく。

そして数十秒後、暗いが確かに床らしいものが見えた。

 

 

 

 

「や、ヤバい!【颶風騎士(ラファエル)】!」

 

 

 

「《浮け》」

 

 

 

「ペガサス~!」

 

 

 

レイは風を起こして宙にとどまり、リィーは黒魔【グラビティ・コントロール】で宙に浮き、シオリはどこからともなく来たペガサスが引く馬車のようなものに乗って難を逃れた。

 

 

 

「危ない危ない、危うく激突するとこだった」

 

 

 

「やっぱりこの異能力は使えるなぁ・・・」

 

 

 

「無重力ってのも新鮮でいいもんだぜ?」

 

 

 

「空を歩けるのもなかなか楽しいよ?」

 

 

 

カイは【伸縮自在の愛(バンジーガム)】をくっつけて激突を防ぎ、エルは『汚れちまった悲しみに』で宙に浮き、シュウは『無重力』を使って落下を防ぎ、イリナは『恩恵』の一つで空を歩いていた。

どいつもこいつも人外じみた能力である。

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

「よし、まずは状況確認」

 

レイの言葉に全員が次々と意見を言う。

 

 

「まず俺らはベヒモス追って自分から落ちてきた」

 

「でもベヒモスは行方不明」

 

「先に落ちたハジメもどこにいるかサッパリ」

 

「今頃他の奴らは俺らが死んだと思っている」

 

「ということはやるべきことは三つ」

 

「1、とりあえずハジメの捜索

 

 2、迷宮攻略

 

 3、生きていることを知った他の人達の驚いた顔を笑う」

 

 

上からエル、カイ、シュウ、リィー、シオリ、イリナがそれぞれ言う。

イリナに関しては若干自分の目的も含めている気もするが、誤差の範囲らしい。

 

 

「いや、4つ目があるだろ?」

 

レイの悪どい笑みに他の六人も同調するように笑みを浮かべる。

 

 

 

「「「「「「「この異世界を満喫する!」」」」」」」

 

 

 

こんなときでもブレないのが『狂人会』である。

当初からの目的を未だに忘れないのは流石といったところであろう。

 

 

「じゃあ早速1と2をやるとしますか。七人で動く?それとも一人一人別?」

 

「迷宮なんだしペア二組とトリオ一組でよくね?」

 

「七人の方が安全だな」

 

「個人個人で探索がいい!」

 

「ペアとトリオがバランスとれていいと思う」

 

「四人と三人で分かれるのは?」

 

「・・・まずここの魔物の強さを見るべき」

 

 

それぞれ意見を出し合った結果、レイとカイのペア、シオリとイリナのペア、エル、リィー、シュウのトリオでそれぞれ行動することになった。

 

ハジメの捜索も一応視野には入っているが、大半は自分達が楽しみたいが故である。

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

「やっぱり迷宮だけあって薄暗いな」

 

「かなり魔物も多い。練習にはうってつけだ」

 

 

レイとカイは周囲を警戒しようともせず、気楽に喋っていた。

暫くして、カイが足を止める。

どうやら事前に張っていた【円】に反応があったらしい。

 

 

「魔物か?」

 

「ああ、それも四匹。狼位のデカさのやつと兎っぽいやつ」

 

 

 

二人が前方を見やると、中型犬位の大きさで後ろ脚がやたらと発達している兎と、大型犬位の大きさで尻尾が二つ生えている白い狼がこちらに向かってきていた。

 

 

 

「しくじんなよ?」

 

「お前に言われたくないな」

 

 

二人は気楽に話しながらも、目は鋭く光っていた。

 

 

 

 

「【颶風騎士】────【縛る者(エル・ナハシュ)】!」

 

 

レイが叫ぶと同時に、彼の右手にペンデュラムが握られる。

一方のカイは。

 

 

「実験開始だ。いい的になってくれ」

 

 

両ポケットからヨーヨーを取り出し、構える。

 

 

 

 

「「「シャァァァ!」」」

 

狼達が一斉にカイへと殺到してきた。

 

 

「キュウッ!」

 

兎は脅威的な脚力でレイに突貫してくる。

 

 

カイは狼をギリギリまで引きつけ、直前まで迫った所で身体を捻り狼の攻撃をかわす。

そして後ろに飛んで距離を取り、手に持ったヨーヨーを狼達目掛けて投げつけた。

 

狼達も気づいたのか、散るようにかわす。

カイはヨーヨーを操作して狼のうち一匹の頭部にヨーヨーをぶつけた。

 

 

──ゴキャッ!

 

 

およそヨーヨーが出してはいけない音が響く。

どうやらあの一撃で狼の頭蓋骨が砕かれたらしい。

狼は体勢を崩し、地面へ倒れ込むと、もう二度と息を吹き返すことは無かった。

 

「「!?」」

 

他の狼達も目の前の出来事に驚いている。

その隙をカイが見逃す筈もなく─────

 

 

 

 

 

──ゴキャゴキャッ!

 

 

 

 

二匹の狼の頭部をヨーヨーで粉砕した。

 

 

「実験終了っと。うん、なかなかこれは使えるな、後で他のやつも試してみよう」

 

カイは狼達に一切興味を示さず、ヨーヨーをしまった。

 

 

 

一方のレイはというと。

 

 

 

───ブンッ!

 

 

「おっと!」

 

 

兎の後ろ脚からくりだされる強烈な蹴りをペンデュラムで全て捌ききっていた。

最初は単に横に飛んでかわしたのだが、なんと兎は空中をジャンプして方向転換してきたため、ペンデュラムで防御することにしたのだ。

しかも一発が壁にヒビが入るレベルなので、まともに食らうわけにもいかない。

 

 

兎は優勢なことに調子ずいたのかどんどん攻撃してくる。

しばらくレイはペンデュラムで捌いていたが、突然口元が笑みで歪んだ。

見ると、ペンデュラムが兎の全身を縛りつけ、身動きを完全に封じていた。

 

 

「力だけが戦いじゃないってな!」

 

 

そのままレイは勢い良く兎を振り回し、地面や壁に叩きつけた。

三十秒ほど経った頃には、兎は既に息絶えていた。

 

 

「ふぅ~・・・兎ってこんな凶暴なのかよ」

 

「ペンデュラムで兎を叩きつけてたときに嗤っているやつが言っても説得力皆無だな」

 

「狼達をヨーヨーで瞬殺したお前に言われたくない」

 

軽口を叩き合いながら、二人は探索を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはエル、シュウ、リィーのトリオの探索。

三人は兎七匹と狼八匹を相手取っていた。

 

 

「なんでこんなに多いんかね~」

 

「いい、から、さっさと、援護、してくれ!」

 

リィーが後ろでぼやくとシュウが魔物を翻弄しながら突っ込む。

 

 

「ハイハイ・・・《わかってる》」

 

その一言で黒魔【ライトニング・ピアス】が三連続で狼達を貫く。

 

 

「よっしゃ、くたばれ!」

 

シュウがその隙をついて狼達を爆破する。

直撃した者は焼け焦げ、そうでない者も吹き飛ばされる。

 

 

「ほーれ、俺特製の檸檬爆弾だ」

 

 

エルが迫ってくる兎目掛けて檸檬爆弾をいくつも投げつけた。

兎は咄嗟に避けようとしたが、何匹も一斉に突貫したため思うように動けず、爆弾にぶつかった。

しかし爆弾の爆発は、兎だけでなく近くにいたエルまでも巻き込んだ。

 

それでもリィーとシュウはどこ吹く風。

 

爆発の煙が収まると、煙の中から傷一つついていないエルが出てきた。

 

 

「美味しいところ持ってくなよ~、エル~」

 

「まあ良いだろ?早い者勝ちだ」

 

「それよりコイツらの肉持ってこうぜ。カイがなにかしら料理してくれるだろ」

 

「「賛成!」」

 

 

三人は倒した魔物達の肉を削ぎ落とし、リィーが魔術で作った袋に入れてから先へと進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらではシオリとイリナの探索が進んでいる。

 

 

「てい」

 

 

「「「「グルァァァァァ!?」」」」

 

 

前方から飛びかかってきた狼達を、イリナは気の抜けた声とともに蹴り飛ばした。

狼達は信じられないスピードで壁に激突、そのまま息絶えた。

 

 

「おりゃ」

 

 

「「「「グルァァァァァ!?」」」」

 

今度はシオリが、後ろから襲いかかってきた狼達をハンマーのような鉄球で殴り飛ばした。

数匹は地面に叩きつけられて死に、残りは天井に叩きつけられて死んだ。

 

 

これでも力をかなり抑えてやっているのだから末恐ろしい。

 

「よし!剥ぎ取り剥ぎ取り~」

 

鼻歌混じりで解体しているイリナを見てから、シオリは自分の使った『宝具』の点検を始めた。

 

「うーん、フルパワーでやると壊れちゃうから後で改良。傷や綻びは一切なし・・・っと、うん!上出来上出来」

 

 

女子がする会話では絶対にない、とこの光景を見た人は一人残らずそう思うだろう。

 

 

「毛皮に爪、牙、肉と結構な収穫だったよ」

 

「こっちも『宝具』には異常無しだった・・・ってイリナ、返り血凄いよ」

 

「えっ?」

 

 

シオリに指摘されたイリナが全身を見ると、解体のときに飛んだであろう魔物の血が、イリナの全身にかかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

小一時間程過ぎた頃、全員はイリナに改造してもらったスマホで連絡を取り合い、エル、シュウ、リィーのいる場所に集まることになった。

 

 

「便利なスマホがここでも使えるからいいね~」

 

「暇つぶしも出来る。それはそうと遅くねぇか?もう二、三分経ってるぞ」

 

「ちょっと肉捌くの手伝ってくんない!?こちとら結構大変なんだよ!」

 

 

三人が思い思い?の行動をしていると、他の面子も集まって来た。

 

 

「だいぶ肉がとれたし、今夜はガツンとした料理頼むよ」

 

「え~私さっぱりとした料理がいい~」

 

「・・・俺が作るの前提になってね?」

 

「俺らの中じゃ一番料理が旨いんだから良いだろ?香辛料とかは楽に調達出来るからさ」

 

「そうそう。レイの技能があれば楽だし、ぶっちゃけ他の人がやってもカイがなんか愚痴るでしょう?」

 

「まぁ、否定はしない」

 

「というわけでよろしく!」

 

 

シオリが強引に話を終わらせた。

こういうときの行動力は七人の中ではピカ一である。

 

 

「【封解主(ミカエル)】」

 

レイの言葉とともに、鍵状の天使【封解主】が出現。

 

「────【(ラータイブ)】」

 

鍵を空中で差し込むように突き出し右に捻ると、そこに『孔』のような穴が出現した。

そしてレイがそこに腕を突っ込み、しばらくゴソゴソ動かしてから腕を引き抜くと、レイの手には大きめの中身が満杯になった麻袋が握られていた。

 

六人が訝しげに麻袋を見る中、レイが袋を開くと、そこには見ただけで高級だと確信出来る香辛料や調味料がぎっしりと入っていた。

 

「「「「「「お~~!」」」」」」

 

「これだけあれば十分だろ。カイ、頼む」

 

「あ~、ハイハイわかったよ。一時間ちょいかかるから待ってろ」

 

 

そうしてカイは、リィーが魔術で錬成した調理器具を持って料理を始めた。

 

因みにここはカイの念能力で作り出した四次元空間である。

そのため、外部からの干渉は一切受けない。

 

やることがない六人は、シュウが発見した謎の水について話していた。

 

シュウによると、水の音が聞こえたので三人で話し合った結果、自分がいくことになり、音を頼りに探したところ、水晶のようなものが浸っている水を発見。

試しに飲んでみたところ、途中の戦闘で痛めた肩が瞬く間に癒えたらしい。

なので、これ使えるんじゃね?と思い、水晶と水を持って来たのだ。

 

 

「つまりこれ万能薬みたいなもの?」

 

「水ならレイとリィーが無限に作れるからいいね。元がタダだし」

 

「ガメツい発言止めろシオリ。どこの商売人だよ」

 

「因みにカイに料理で使ってくれって言って渡しといた」

 

「まぁ傷が癒える水だもんな。料理にも何かしら効果はあるだろ」

 

「それじゃあ俺らはテーブルと水を用意するか」

 

「「「「「賛成~」」」」」

 

 

というわけで、六人はテーブルを置いて水をグラスに注ぎ、カイの料理を待つことにした。

でも水分補給は殆どしていなかったため、六人は万能薬モドキの水をガブガブ飲んだ。

カイも料理の最中に結構な量を飲んでいる。

 

一時間後、カイがお盆に料理を乗っけて運んできた。

 

 

「魔物の肉のスープだ、スープの素材はあの水な。面倒くさかったから我慢してくれ」

 

そう言いつつも、スープは黄金色に輝き、見る者の食欲を掻き立てる逸品だった。

しかし、魔物の肉には問題点があり、人間にとっては猛毒なのだ。

過去に魔物の肉を食べた者は皆、身体がボロボロになって死んでいる。

 

「旨い!やっぱりカイの料理は絶品だな」

 

「当然だろ?こん中じゃ誰よりも旨い料理が作れる自信がある」

 

「でもなんか身体に違和感が・・・」

 

「それ水飲めば一発で治るよ」

 

「マジで?・・・・・・本当だ、痛みが引いてく」

 

「水晶は厳重保管の方向で確定だな」

 

「それより皆、なんか私達の身体の血管浮き出てない?」

 

 

イリナの言うとおり、七人の身体には血管が浮き出ており、肉体が段々と強化されていくような感覚が駆け巡っている。

数分もすると血管は元に戻り、変わりに七人全員の肉体に変化が起こった。

 

 

「あれ?俺の髪夜色になってんだけど」

 

「俺は白髪」

 

「俺毛先だけ白いんですけど・・・」

 

「俺は深緑色?かな」

 

「俺は群青色だ」

 

「私は灰色と白」

 

「私は金髪・・・ってなんでスープ飲んだだけで?」

 

 

レイは夜色、カイは白髪、エルは毛先だけが白い黒髪、シュウは深緑、リィーは群青、シオリが灰色と白でイリナが金髪とそれぞれの髪の色が変化した。

 

「なんかさっきよりも身体が軽い・・・」

 

「右に同じく」

 

「以下同文」

 

「これ魔物の肉の影響かな?だとしたらステータスもなんか変化あったり・・・」

 

 

シオリの言葉で全員がステータスプレートを確認すると、全員の‘技能’に《纏雷》と《天歩『+空力』『+縮地』》、《胃酸強化》が追加されていた。

 

「「「「「「「おお~~~」」」」」」」

 

全員が感嘆の声を上げる。

特にカイには《纏雷『+持続時間増加』》、《天歩『+高速移動』》がある。

 

 

「なぁ、これってもっと喰えばもっと色々能力つくんじゃね?」

 

「まぁ‘技能’以外俺ら全員ERROR表示だし、筋力とかは測れないけど・・・」

 

 

リィーの言葉にエルが苦笑混じりに返す。

すると突然、シオリが立ち上がり笑みと共にこう言った。

 

 

「筋力とかの上がり具合ならさ・・・今戦って体感しようよ!」

 

 

その言葉に全員が楽しそうな笑みを浮かべる。

 

 

「いいね、またバトルロワイヤルといきますか!」

 

「前回はシュウの勝ちだったよね?」

 

「悪いが今回も勝たせてもらうかな!」

 

「おいおい、慢心って言葉知ってるだろ?今回は絶対に俺が勝つ」

 

「ちょうど新しい組み合わせ考えついたし、実験台になってくれるとは皆優しいな~」

 

「よーし!じゃあバトルロワイヤル・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「スタート!!」」」」」」」

 

 

 

七人は獰猛な笑みと共に各々の力を思う存分発揮した。





次回でハジメとの再開になります。

余談ですが、最後のバトルロワイヤルの勝者はエルです。
七人のバトルロワイヤルは必ず連勝だけはあり得ません。
だって皆超チートだし。

ではまた


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再会

どうも、影龍 零です。

今回からハジメとユエが出て来ます。
七人のステータスもかなりチートになったので、自分もちょっと引きました。


ヒュドラ戦ちょっとヒュドラ強化しないとヤバいな・・・


ではどうぞ


あれからかなりの時間が経過した。

現在の七人のステータスは以下の通りだ。

 

 

夜神レイ 17歳 男

 

レベル:76

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:《デート・ア・ライブ》•胃酸強化・纏雷・天歩『+空力』『+縮地』『+高速移動』・風爪『+威力倍化』•夜目・気配感知・気配遮断・石化耐性『+超化』•洗脳無効化•言語理解

 

 

 

 

 

十六夜エル 17歳 男

 

レベル:76

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:《文豪ストレイドッグス》・胃酸強化・纏雷・天歩『+空歩』『+縮地』『+高速移動』・風爪『+風化追加』•夜目・気配感知・気配遮断・石化耐性『+超化』•洗脳無効化•言語理解

 

 

 

 

如月カイ 17歳 男

 

レベル:76

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:《HUNTER×HUNTER》•胃酸強化•纏雷『+持続時間増加』•天歩『+空歩』『+縮地』『+高速移動』•風爪・夜目『+暗視補強』•気配感知・気配遮断・石化耐性『+超化』•洗脳無効化•言語理解

 

 

 

 

 

西郷シュウ 17歳 男

 

レベル:76

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:《僕のヒーローアカデミア》•胃酸強化・纏雷『+持続時間増加』•天歩『+空歩』『+縮地』『+高速移動』•風爪・夜目『+サーチ追加』•気配感知・気配遮断・石化耐性『+超化』•洗脳無効化•言語理解

 

 

 

 

 

紺野リィー 17歳 男

 

レベル:76

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:《ロクでなし魔術講師と禁忌教典》•胃酸強化・纏雷•天歩『+空歩』『+縮小』『+高速移動』・風爪『+威力倍化』•夜目•気配感知・気配遮断・石化無効化・洗脳無効化•言語理解

 

 

 

 

 

久遠シオリ 17歳 女

 

レベル:76

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:《Fate》•胃酸強化•纏雷『+赤雷』•天歩『+空歩』『+縮地』『+高速移動』•風爪•夜目•気配感知・気配遮断・石化無効化•洗脳無効化・言語理解

 

 

 

 

 

 

結城イリナ 17歳 女

 

レベル:76

 

天職:ERROR

 

筋力:ERROR

 

体力:ERROR

 

耐性:ERROR

 

敏捷:ERROR

 

魔力:ERROR

 

魔耐:ERROR

 

技能:《問題児達が異世界から来るそうですよ?》•《ラストエンブリオ》•胃酸強化・纏雷・天歩『+空歩』『+縮地』『+高速移動』•風爪・夜目『+暗視補強』•気配完全感知・気配完全遮断・石化耐性『+超化』•言語理解『+異種族との会話可』

 

 

 

 

 

もうなんでこうなったのか聞きたいぐらいのぶっ壊れステータスだった。

そんなチート七人衆は。

 

 

「焦がせ【灼爛火鬼(カマエル)】!」

 

「燃えろ!」

 

「《焼却》!」

 

絶賛魔物を焼却中だった。

随分下層まで降りていった七人は、そこで大量の魔物に出くわしたのだが・・・・・・

 

 

 

「「「・・・なんでコイツ等花生えてんだ!?」」」

 

 

そう、どの魔物の頭部にも花が生えていたのだ。

現在レイとシュウとリィーが手分けして焼いているのは、見た目完全にラプトルと、見た目完全にティラノサウルスの二種類。

最初出くわしたとき、レイが思いっきり目を輝かせてティラノに近寄り(凄まじい速さで)、様々な部位を触ったり観察しては大喜びしていた。

 

 

残りの六人がそれを呆れながら眺めていると、遂にはレイはスマホを取り出して動画を撮り、写真を何十枚と撮りまくった。

そのとき出てきたラプトルにも同様なことをしていた。

 

レイが十分に満足したと判断した六人は、レイに呼びかけて魔物の焼却を提案。

最初はショックを受けた様子だったが、すぐに何か思いついた笑みを浮かべ、その案に乗った。

 

七人の中で炎系を使うのはレイ、シュウ、リィー、シオリの四人だが、シオリはいちいち『宝具』を使わなければいけないため、残った三人でやることにした。

 

 

そして現在に至る。

カイ、エル、シオリ、イリナは炎で焼かれていく魔物の肉を回収。

その中から食べられそうな焼き加減のものを選んで袋に詰め込んでいた。

 

「絶妙な焼き加減だなぁこれ。調理器具要らないんじゃない?」

 

「偶然の産物だから頼んでも肉が消し炭になるだけだ」

 

「にしても数が多いね。もう百五十ちょいは焼いてるのに全然減ってない」

 

「肉は後で薫製にでもするとして・・・あれ?レイなにやってるんだろ?」

 

イリナの声で三人は一斉にレイに視線を向ける。

そこには、

 

 

「影の中に入れて後でじっくり観察しよう!こんな機会二度と無いし、卵っぽいものも手に入ったから育ててみるかなぁ~」

 

 

刻々帝(ザフキエル)】で二頭のティラノと四匹のラプトルを捕まえているレイの姿があった。

レイの恐竜好きが折り紙付きであるのを知っている四人は、見なかったことにして肉の回収を再開した。

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

そんなこんなで焼却作業開始から数十分が経過した頃。

 

「これ洗脳の類い?誰かに指示されてるみたいに動くけど・・・」

 

シオリが魔物の頭部に咲いている花の意味を理解した。

それを聞いたリィーはすぐさま焼却を止め、レイとシュウに下がるように言う。

二人が下がったのを確認したリィーは、矢継ぎ早に詠唱を開始した。

 

 

「《其は摂理の円環へと帰還せよ・五素は五素に・象と理を紡ぐ縁は乖離せよ》!」

 

 

超高速詠唱に加え、元々七節の呪文を三節にまで短縮した技術は圧巻だ。

形成された魔法陣が眩い光を放ち始め、凄まじい魔力が肌に伝わる。

 

 

 

「ええい、ぶっ飛べ有象無象!黒魔改【イクスティンクション・レイ】!!」

 

 

リィーの叫びと同時に、極光の奔流が魔物達に襲いかかる。

光に呑み込まれた魔物は、痛みを感じる間さえ与えられずに分解されていく。

光は魔物だけに飽きたらず、その先にあった壁さえも消滅させた。

数秒後光が収まった先には、魔物はおろかその先の壁さえも消えており、光の威力の凄まじさを物語っていた。

 

 

「ふぃ~~~、疲れた~~」

 

 

これを作った張本人のリィーはドサッと床に大の字で寝っ転がった。

どうやらかなり魔力を使うらしい、大の字になりながらもポッケから水を取り出してゴクゴク飲むあたり、まだ余裕があるようだが。

 

 

「お疲れさん。もう魔物も居ないみたいだし、さっさと先に進もうぜ」

 

「壁も消えたからショートカットも出来るし、いい活躍だったな」

 

 

レイがリィーを起こし、カイが先へと促す。

もう他の四人が先に進んで、魔物が居ないか確認している。

 

 

すると、シュウが不意に足を止め、真っ暗な道を凝視し始めた。

 

「ん?どうしたシュウ?魔物でも見つかったか?」

 

「いや、違う。明らかに魔物じゃない形の奴がいる───

 

 

 

 

 

 

───あれ人だ。しかも二人」

 

 

その言葉に七人はある確信を持った。

自分達より数秒前に奈落の底に落ち、そのまま行方不明になった友人。

気弱だった少年、南雲ハジメが生きていることを。

 

 

 

「・・・うん、微かだけどハジメと同じ匂いがする。もう一人は・・・血の匂い?もしかして吸血鬼の類いかな?」

 

 

イリナの言葉に六人はなんとなくハジメともう一人の関係を連想した。

そのコンマ数秒後、七人は楽しそうな笑みを浮かべた。

否、超悪どい笑みだった。

 

 

「シュウ、あいつ等何してる?」

 

「なんか植物みたいな奴と交戦中。吸血鬼?が操られてるみたい、若干攻撃に抵抗の色が見える」

 

「なるほどなるほど・・・カイ、エル、ちょっと手伝え」

 

レイの言葉で察せたらしい、カイが腰をおとして正拳突きの構えをとる。

 

 

「『汚れちまった悲しみに』」

 

 

エルは異能力のうち、『触れたものの重力とベクトルを操る』ものを選択し、カイに触った。

するとカイの周囲を赤黒い光が覆う。

 

「来い、【塵殺公】」

 

レイの右手に盾にさえ使えそうな刀身の大剣が、淡い輝きと共に顕現する。

そしてそれを野球のバッターのような構えで持つ。

全ての準備が整ったのを見て、カイが行動に移す。

 

 

 

「『最初は、グー!』・・・」

 

掛け声と共に、カイの右拳に燈色のオーラが集中する。

 

「『ジャン・・・・・・ケン・・・・・・!』」

 

全てのオーラが集中し、眩い光を放つ。

そして飛び上がり、レイの持つ【鏖殺公】の腹の部分に乗る。

その瞬間、カイに対する重力が増大する。

レイはそれを耐えつつ、場外ホームランを打つ勢いで、【鏖殺公】を振り抜いた。

 

 

「ぶっっっ・・・・・・飛べぇぇぇぇぇッ!!!」

 

 

レイがカイを思いっきり吹き飛ばしたタイミングに合わせて、エルはカイにかかる重力のベクトルを変更、飛んで向かっている先に向けた。

 

レイの力に加え、増大してかかっている重力が重なり、第二宇宙速度にまで達したカイは、瞬く間に真っ暗な道へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

一方七人が探していた人物、南雲ハジメは、迷宮攻略の途中で出会った吸血鬼の少女、ユエと共に迷宮攻略をしていたが、植物の魔物、アルラウネにユエが操られ、どうしようか考えていた。

 

ハジメが持つ超電磁砲並みの威力を持つ銃、ドンナーでユエ諸共撃とうと構えた瞬間、後ろから声が聞こえてきた。

 

 

 

「『・・・・・・グーーーッ!!!!!』」

 

 

 

何事と思ったハジメが振り向こうとした瞬間、その横を凄まじい速さで飛んでいく人影が見えた。

その人影が放った拳は、アルラウネの頭部らしき部位に炸裂し、凄まじい衝撃波が周りの植物を根こそぎ吹き飛ばし、壁や地面にヒビを入れ、一部が砕け散るまでに及んだ。

 

 

ハジメは咄嗟にユエを抱えて後ろに飛び退き、着地と同時に人影へドンナーを向ける。

 

 

「誰だ、敵なんだったら容赦なく殺す」

 

 

その低い声に反応したらしい人影がゆっくりと振り返り、ハジメに飄々とした声を投げかけた。

 

 

「おーおー、暫く見ねぇ内に随分と雰囲気変わったなぁ~。つーか、友人のことぐらいちゃんと覚えておけよ?なぁ───

 

 

 

─────ハジメ?」

 

 

その声と姿にハジメは驚愕した。

 

「お前・・・カイか?」

 

 

白髪に蒼い瞳をもち、飄々とした雰囲気を持った友人の一人、如月カイがそこにはいた。

 

 

「おーい、俺らもいるぞ~~!」

 

ハジメが振り返ると、かつて自分と交流が深かったグループのメンバー。

 

夜色の髪に水晶の瞳をもつ、夜神レイ。

 

毛先が白い黒髪に黒の瞳をもつ、十六夜エル。

 

深緑色の髪に燈色の瞳をもつ、西郷シュウ。

 

群青色の髪に黄金色の瞳をもつ、紺野リィー。

 

灰色と白の髪に紫色の瞳をもつ、久遠シオリ。

 

金髪に碧色の瞳をもつ、結城イリナ。

 

 

『狂人会』が全員集合していた────────。

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

「───で、シュウとイリナがお前を見つけて、俺らであの植物をぶっ飛ばしたって訳だ」

 

「なるほど・・・」

 

 

とりあえず情報交換でもしよう、という提案で、レイがハジメに自分達のことを簡潔に説明した。

ハジメはそれを聞いた後、自分の経緯について話し始めた。

 

・奈落に落ちた後熊の魔物に左腕を喰われ、激痛に悶えながらも生き延びた。

 

・元の世界に帰るため、邪魔する敵は全て殺すことを決意。

 

・髪は魔物の肉を食ったときのストレスで白くなった。

 

・途中で一族に封印された吸血鬼の少女、ユエに出会い、パートナーとして迷宮攻略をしていた。

 

 

「まぁ・・・俺の経緯はこんなところだな」

 

「へぇ~、雰囲気だけじゃなく一人称まで変わったのか」

 

「うっせぇ、お前らだって髪と瞳の色変わってんじゃねぇか」

 

「ユエ?だっけ。君はハジメの何なの?」

 

「私はハジメの女」

 

「お~、直球でお熱いですなぁw」

 

 

すっかりただの会話になっている。

ハジメも友人と再会出来たお陰か、少しばかり楽しそうだ。

 

「久しぶりの会話はこれくらいにして、これからどうすんの?」

 

エルの発した疑問にハジメが即答する。

 

「俺とユエはこのまま迷宮攻略を続ける」

 

「え、じゃあ俺らと一緒じゃん。共同戦線といこうぜ」

 

「は?」

 

リィーの言葉にハジメはポカンとする。

 

「は?じゃねぇよ。俺らもついて行く、面白そうだし」

 

「いや、なんでそうなんだよ・・・」

 

「ちょっとハジメのプレート拝借して見てみたけど、だいぶチート染みてるなお前も」

 

「超チートなお前らに言われたくない。というかお前らは異世界を満喫したいんだろ?俺と目的真逆じゃねぇか」

 

「そんなもん、お前について行った方が楽しそうだからに決まってんだろ?異議反論は一切認めないから、そこんとこよろしく」

 

 

最後にレイが強引に締めた。

ハジメは難色を示したが、七人は一度決めたら何を言っても意味がないことを思い出し、ハァ、と溜め息をついた。

 

 

「わかったよ。どうせ何言っても意味無いんだろ?」

 

「お、さすが友人。俺らのことよく知ってやがる」

 

 

こうして再会を遂げたハジメと『狂人会』は、ハジメのパートナーであるユエを加えて、迷宮攻略を再開した。




次回でヒュドラ戦に入ります。

原作よりも強化しないと瞬殺されるので、超強化したいと思います。


ではまた


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VS.ヒュドラ

どうも、影龍 零です。

今回からヒュドラ戦です。
大分長くなると思ったので分けることにしました。



ではどうぞ


迷宮で再会を果たしたハジメと『狂人会』の七人は自称ハジメの女、吸血鬼の少女ユエと共に、オルクス大迷宮最下層である第百層へと繋がる階段を下りていた。

 

「お前らと行動してからだいぶ攻略がスムーズになったな・・・」

 

ハジメはそんな独り言を呟く。

それを聞いていたカイとイリナはここぞとばかりに食いつく。

 

 

「そりゃあ数も多いし、何より処理係が二人も増えたからな」

 

「お陰で面倒くさい後始末がかなり楽になったよ。これからもよろしく(*ゝω・*)ノ」

 

「・・・おい、それ俺とユエのこと馬鹿にしていないか?」

 

「「そんな訳無いだろ?」」

 

「それならいいんだg───」

 

「「だってこんな素晴らしい掃除屋、馬鹿にする理由ないし」」

 

ドパンッ!

 

その言葉を聞いた瞬間、ハジメは二人にドンナーを発砲した。

しかし、二人は動揺する様子すら見せずに軽々と左右に避ける。

 

放たれた弾はそのままレイへと向かっていき────

 

 

「【贋造魔女(ハニエル)】」

 

 

──箒に仕込まれた鏡から放たれた光によって綿に変えられた。

綿は空気抵抗によって急速に速度が落ち、そのまま地面へと落ちた。

 

「次それ言ったら蜂の巣にするぞ・・・?」

 

「出来るもんなら是非やってもらいたいねぇ~」

 

ハジメの怒りに満ちた言葉にカイは悪びれた様子もなく応酬する。

 

 

「・・・ったく、巻き込まれるこっちの身にもなってほしいもんだよ」

 

「「「まったくだ(ね)」」」

 

 

レイの溜め息混じりの不満に、エル、リィー、シオリが声を合わせて同意する。

ユエは何も言わないが、明らかにカイに対して怒っている。

「さっきの発言を取り消せ」────そんな風に目で言っている。

 

此処までこんなやりとりが少なくとも十回は行われた。

その間、必ずと言っていい程流れ弾が四人に飛んでくるのだ。

彼らはステータスがERROR表示+技能が特別なので各々すぐに対処出来るのだが、如何せんやりとりの回数が多いためウンザリしていたのだ。

 

 

と、そんな後ろの様子を聞き流しながら先頭を歩き、『サーチ』で前方を警戒していたシュウが手を挙げて後ろに合図を送る。

 

それを見た全員が気を引き締める。

手を挙げるサインの意味は─────「敵が前方にいる。各々何時でもいいように準備しておけ」

 

つまり、この後すぐに戦闘が始まるということだ。

全員は周囲を警戒しながら百層へと続く階段を下りていった。

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

 

一行は階段を降りきった後、柱が無数にある大広間へと足を運んだ。

感知系の技能や魔法を使い歩みを進めていると、全長十メートルはあるであろう美しい巨大な扉が見えた。

どうやらあれがハジメが本で読んだ際に書かれていた、神に逆らった者達『反逆者』の住みかだろう。

 

すると突然、九人と扉の間に三十メートルはある魔法陣が出現した。

ベヒモスの際も十メートル近くあった魔法陣だが、今回はその三倍近くの大きさであり、構築された式も複雑だった。

 

ハジメとユエは気を引き締め、七人は獰猛な笑みを浮かべる。

 

だんだんと魔法陣の光が増していき、一瞬色が紅からどす黒い紅へと変わった。

七人はもちろん、ハジメとユエもその変化を見逃さなかった。

その瞬間、七人は身体の違和感に気づく。

 

「何だ?なんか一瞬縛られるような感覚が・・・」

 

「あ!」

 

技能を確認していたらしいシュウが異変の正体に気づいた。

 

「なんか使える技能に制限が掛かってる!」

 

その言葉で他の七人も一斉にプレートを確認する。

ハジメは特に変化がなかったが、六人は違った。

 

 

レイ 【鏖殺公】、【氷結傀儡(ザドキエル)】、【灼爛殲鬼(カマエル)】、【絶滅天使(メタトロン)】以外使用不可。

 

エル 『月下獣』、『君死給勿(きみしにたもうことなかれ)』、『独歩吟客』、『細雪』、『天衣無縫』、『羅生門』以外使用不可。

 

カイ 『百式観音』、『神の不在証明(パーフェクト プラン)』、『神の共犯者』、『律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)』使用不可。

 

シュウ 『ワン・フォー・オール』、『硬化』、『エンジン』、『闇影(ダークシャドウ)』、『再現』、『超再生』以外使用不可。

 

リィー 【イクスティンクション・レイ】、【愚者の一差し(ペネトレイター)】、【ユースティアの天秤】、【人工天使(タルパ)】、【私の世界】使用不可。

 

シオリ 『ランサー』、『キャスター』、『バーサーカー』以外使用不可。

 

イリナ 『正体不明(コード・アンノウン)』、『生命の目録(ゲノム・ツリー)』、『威光』、『物体転移(アポート&アスポート)』、『月兎』以外使用不可。

 

 

 

「ちょっと待て、なんでカイが制限一番少ないんだよ」

 

「日頃の行いだろ」

 

「何言ってんだ」

 

「あ?」

 

「あ?」

 

レイとカイが睨み合う。

 

「ハイハイ張り合うな。もうすぐラスボスのお出ましなんだから、ムード台無しだろ?」

 

「出てきた瞬間殴って吹っ飛ばすか」

 

「それだと面白みが無いでしょ。まず拘束してからじっくりと・・・」

 

「それだと嫌だなぁ。臨場感が味わえない」

 

「ひとまずどんな奴か見たい!」

 

 

「ハジメ、七人っていつもあんな感じなの?」

 

「・・・あぁ、正直俺も何も言えない。それに俺らより圧倒的に強いしな」

 

ハジメは嘆息と共に七人を見る。

あの七人は絶対に誰かの下につこうとしない。

金持ちのボンボンが偉そうな態度をとってきた時には言葉の集中放火で泣かし、仕返しで屈強な男達を向けてきた時は目の前でそいつらをボッコボコにして心を折った。

不良が絡んできたら逆に泣くまで返り討ちを止めず、からかってきた奴は悉く論破され、『面白い』というだけで教師のスキャンダルなどを暴き、ネットにばらまくということまで成し遂げた。

 

そんなサイコパス思考、快楽主義、マイペース、傲岸不遜、傍若無人、唯我独尊、どこか狂っている価値観から『狂人会』と呼ばれ、七人もそれを気に入っている。

 

 

そうこうしている内に光が視界を覆い尽くし、収まった後現れたのは・・・・・・

 

 

 

 

「「「「「「クルゥァァアアアン!!」」」」」」

 

 

 

体長三十メートル、色違いの紋様がそれぞれ刻まれた六つ首の龍の頭、鋭い牙と獰猛な紅い瞳、首元にウロボロスの紋様が刻まれた怪物──────ヒュドラだった。

 

 

 

 

 

 

□□□□

 

 

 

 

 

壮絶な殺気が九人を襲う。

そして赤い紋様の頭が口を開け、火炎放射を放ってきた。

それは同時に、戦闘開始の合図となる。

 

九人は散り散りになって炎をかわし、ハジメがお返しとばかりにドンナーで赤い頭を吹き飛ばす。

 

まずは一つ目、ハジメが内心ガッツポーズをしていると白い紋様の頭が「クルゥァアン!」と叫び、吹き飛んだ赤い頭が白い光で覆われる。

光が収まると、赤い頭が何事も無かったように再生していた。

どうやら白い頭は回復魔法を使えるらしい。

 

遅れてユエの魔法とリィーの魔術、レイの炎が緑の頭と青の頭、黒の頭を吹き飛ばす。

しかし、白い頭に即座に再生されてしまう。

ならばとイリナが地面を蹴り、白い頭目掛けて蹴りを放つ。

 

「クルゥァアン!」

 

突然黄色の頭が割って入ってきて頭を一瞬で肥大化、イリナの蹴りを受け止める。

 

(こいつ、硬い!)

 

実際イリナの蹴りはほとんどの魔物を吹き飛ばせるが、まるでびくともしない。

 

「‘緋槍(ひそう)’!」

 

閃光と燃え盛る槍が黄色の頭に直撃するが、それでも吹き飛ばない。

そして白い頭が黄色の頭を回復させる。

隙あり!と言わんばかりに緑の頭がイリナ目掛けて風刃を飛ばしてきた。

イリナはそれを足ですべて叩き落とし、後ろからきた人とバトンタッチする。

 

「次よろしく!」

 

「あいよ任された!」

 

バトンタッチしたレイは【鏖殺公】片手に緑の頭に突っ込む。

紅い頭と青い頭が邪魔をしようと、炎と氷塊を無数に吐いてくる。

レイは一瞬身構えるが、すぐにそれを解いて緑の頭に向き直る。

 

「余所見してんじゃねぇぞデカブツ!」

 

突然目の前にハジメが現れ、紅い頭と青い頭は標的を変える。

それぞれ炎と氷塊を吐こうとするが、

 

「おせぇんだよ」

 

それ以上の速さでハジメはドンナーの引き金を引いた。

ドパンッ!ドパンッ!と二回ドンナー特有の発砲音が鳴り響き、電磁加速された弾丸が紅と青の頭を貫いた。

その隙を使い、ハジメはレイに迫る氷塊をドンナーで砕いた。

ドンナーで対処出来ない炎はというと─────

 

「えい!」

 

『生命の目録』でペガサスの靴を装備したイリナが『正体不明』の凄まじいパワーで蹴りをかます。

すると近くにあった瓦礫さえも吹き飛ばす暴風となって、炎を余すこと無くかき消した。

しかし、風刃は何の影響も受けずに迫ってくる。

イリナはレイの背後から暴風を生み出したため、レイは更に加速していた。

これで風刃に当たったらひとたまりも無いだろう。

風刃が無数にレイを襲うが、レイは至って冷静だった。

 

「【絶滅天使】──『光剣(カドウール)』」

 

レイの周囲に顕現した光の羽が光の剣となり、風刃をすべて撃ち落とした。

尚も風刃を飛ばそうと緑の頭が口を開け───

 

「【氷結傀儡】!」

 

そこにレイは特大の氷をぶち込んだ。

緑の頭は氷をぶち込まれた衝撃と呼吸を封じられたことで動揺し、レイはその頭を【鏖殺公】で袈裟懸けに切り落とした。

 

□□□□

 

青色の頭が後ろにいるユエ目掛けて首を伸ばす。

エルはいち早く『天衣無縫』で察知し、『月下獣』を発動。

青の光に包まれ、数秒後光が収まった時、エルはまさに『人虎』と言うに相応しい姿だった。

四肢が白虎のように変化し、目も虎のそれに近くなっている。

ユエを抱えて凄まじい脚力で上へ飛んだ。

青の頭は追撃しようと上を向き、首を伸ばす。

そのまま氷塊をエル目掛けて放ってきた。

 

「‘蒼炎’!‘緋槍’!」

 

それをユエが魔法で打ち消し、エルは口を開けながら迫ってくる頭を‘空歩’と虎の防御力で捌く。

横へ飛び、頭を殴り、あえて頭に乗っかって駆け下りる。

氷塊を放ってきたらユエが対処して逃げ回る。

青の頭はしつこく追ってくるが、急に首を動かさなくなる。

 

見ると青の頭の首がこんがらがり、自らの首を絞めていた。

 

「??????」

 

青の頭は困惑し、どうにか解こうとして─────

 

 

「『羅生門』──────」

 

ユエが‘緋槍’で相手を怯ませ───

 

 

 

「『獄門顎(ごくもんあぎと)』────!!」

 

 

黒獣の巨大な牙によって食いちぎられた。

 

即座に白い頭が回復しようとするが、白い光が現れない。

見るとリィーがいつの間にか古びたカードを持っていた。

 

「【愚者の世界】、魔法だって魔術と似たようなもの。だったら防げないって道理は無いだろう?」

 

最高に腹立つ笑顔で言うリィー目掛けて赤い頭が火炎放射を放つ。

それをリィーの後ろから飛んできた魔弾が打ち消す。

 

「そらそらキャスターの力舐めるなよーー!」

 

シオリの展開したいくつもの魔法陣から様々な属性魔法が放たれる。

黄色の頭がそれらをすべて受け止めるが、そんな甘いことをさせる彼らでは無い。

 

シュウが黄色の頭目掛けて跳躍、足のエンジンを利用した回し蹴りを一発打ち込む。

因みに『ワン・フォー・オール』と『硬化』で威力は格段に上がっている。

それにより少し頭がふらつき、魔法の一部が白い頭に直撃した。

 

「よっしゃ!命中!」

 

シオリの声にカチンときたのか、赤い頭が炎弾を吐きまくってきた。

シオリは炎弾を一瞥した後、杖を消して槍を顕現させる。

 

「シッ!」

 

炎弾を紅い色をした槍で受け流した後、槍を地面に突き刺し棒高跳びの要領で飛び上がった。

 

「ハジメ!」

 

「わかってる!そらよっと!」

 

ハジメは‘錬成’で作っておいた『閃光手榴弾』と『音響手榴弾』を炎弾をよけながら‘豪脚’で強化した足で蹴り飛ばす。

まず『閃光手榴弾』が炸裂、ヒュドラの視界を奪い、遅れて『音響手榴弾』の耳障りな音がヒュドラの聴覚を一時的に狂わせる。

 

そうしてヒュドラが数秒だけ、動きを止めた。

 

シオリは右腕を引き絞り、目標をヒュドラに定める。

すると、凄まじい魔力の奔流がシオリの持つ紅色の槍の先端に収束していく。

その魔力の奔流に、ヒュドラだけでなくハジメやユエも驚愕している。

 

その隙にカイが上空───ヒュドラの黒い頭の真上に跳躍し────────

 

 

 

 

 

「嫌な予感がするから、消えろ」

 

 

 

 

 

凄まじい量のオーラを纏った拳、『超破壊拳(ビッグバン・インパクト)』を黒い頭に炸裂させた。

黒い頭は精神へのダメージを与えるのだが、カイにはダメージになるものが全く無いため無意味だった。

黒い頭は一瞬で潰され、余波でヒュドラの胴体にも深い傷を残した。

 

これでもう数秒ヒュドラの動きが止まり、同時にシオリの持つ槍に魔力が収束仕切った。

シオリは声高にその槍の真名を解放する。

 

 

 

 

 

その心臓貰い受ける!─────『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』!!

 

 

 

 

シオリはヒュドラ目掛けて槍を穿つ。

放たれた槍は魔力の塊となって、ヒュドラの心臓部目掛けて突き進む。

ヒュドラは火炎放射をするが槍は勢いを落とさずにヒュドラの心臓部に到達、そのまま心臓を貫いた。

 

 

「「グギャァァアアアア─────ッ!?」」

 

 

心臓を貫かれたヒュドラは咆哮に近い絶叫をあげる。

その絶好の隙をハジメが見逃す筈が無い。

いや、他の八人も見逃してはいないが。

 

ハジメはドンナー以上の威力を持った1,5メートル程のライフルのような銃──シュラーゲンを脇で挟んで、最後に残った紅い頭と白い頭に狙いを定める。

ヒュドラはその異様な銃に気づきすぐさま火球を放とうとするが、それは問屋が許さない。

ユエとシオリが魔法と魔術で紅い頭の目を潰し、口を無理やり閉じさせた。

白い頭は【愚者の世界】によって他の頭を再生させることが出来ない。

 

ズガンッ!────と凄まじい音と共に、シュラーゲンから弾丸が放たれる。

その際、バレルによる電磁加速や‘纏雷’によって驚異的な速度と威力をプラス、そこらの対物ライフルを圧倒的に凌駕する威力となってヒュドラに迫り、白い頭と紅い頭をまとめて貫いた。

 

首を全て失い心臓も貫かれたヒュドラは、完全にその動きを止めた。

もうヒュドラも動けないだろう────誰もがそう思った瞬間。

 

 

((((((((・・・・・・あ、ヤベ))))))))

 

 

 

────ユエを除いた八人は、それがフラグだと確信した。

 

首元に刻まれていた六つのウロボロスの紋章が、紅い霆のようなものを放出しながら輝き始める。

そしてだんだんと紋章が移動していき、二つずつに別れて混ざり合い、だんだんと輝きも増してくる。

九人はすぐさま紋章を破壊しようと魔術や魔法、飛び道具をうち放つが─────

 

 

キィンッ!バチィ!

 

 

───そんな音と共にそれらが全て弾かれ、打ち消された。

 

輝きは留まることを知らずに放出され続け、ヒュドラを中心に爆風が吹き荒れた。

 

「「!!」」

 

咄嗟にレイが【氷結傀儡】で氷の壁を、リィーが魔術で結界を作り残る七人はその後ろに避難した。

 

レイが爆風が収まったのを見計らってヒュドラを覗いてみると、衝撃的な光景が眼前に広がっていた。

 

 

 

「おいおいマジかよ・・・・・・!首が新しく三つ生えていやがる!(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

八人が改めて覗いてみると、そこには。

 

 

 

 

「「「グルアァァァアアアンッ!!」」」

 

 

 

銀色、鈍色、山吹色の首が生え、刺し貫いたはずの心臓部が再生したヒュドラの姿があった。




原作改変したヒュドラの二つの首の能力は次回で出てきます。

そして次回は『狂人会』の面々が思いっきり動きます。
恐らくハジメとユエの出番はかなり減ります。
というか今回も少なかったような・・・・・・まあ気のせいだな。


ではまた


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