穢れ竜と金の半精霊 (リョー)
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序章&設定

此れから彼が織り成すお伽噺。見届けてくれると嬉しいです!


 オラリオ。

それはこの世界の中心である。と間違いなく謂える都市の名だ。

今、一人の男が夜道をオラリオに向かって歩いていた、、、

 

 

 

 疲れた。そう言ってみるが帰ってきたのは闇に響く自分の声だけ。正直言って寂しい。遠くに見えるのは月光を浴びる白い塔。成る程、あれがバベルってやつか。そう言う独り言にも返してくれる人は居なくて何とも言えない寂しさが込み上げる。

 可笑しい。物心ついた時には孤独だった俺が何故今になって人を求める?これまでずっと独りでいて寂しさなんて感じたことは無かったのに。

さては村で人とふれ合ったからか?

脳裏に自分と同じ白髪の男の子が甦る。

「お兄ちゃん冒険者に成るの?」

「僕も何時か冒険者に成るんだ!」

「だから名前教えて!オラリオに行ったらお兄ちゃんのところの行くから。」

「僕はベル・クラネル。お兄ちゃんは?」

とても良い子だったな。考えてるうちに時間が進んでいた。こうしちゃ居られない。早くオラリオに辿り着こう。そして冒険者になり俺の家族を殺した黒龍を殺す。

 

 

 

 

これは抜き身の刀のような、触るだけで切れて仕舞いそうな少年が織り成す滑稽で時に悲劇的な一つの物語だ。

 

 

リゼリット・ハイドランジア レベル0 種族:竜人

外見は白髪白眼(光彩の色が白ってだけで白目剥いてるみたいな感じではない。)

白い角が二本、頭から生えていて頬、脇腹、脚、手の側面、手の甲、足の甲に白い鱗が付いている。

 

 

竜人とは、、、

人化した竜と関係をもった人間が人化した竜と交尾することによって産まれる。外見は角が頭に鱗が体の所々に付いている。

竜人は生涯に必ず自分のもう一つの姿である竜の姿に成ることが出来るスキルが発現する。

現段階で竜人は数えられる程しか居ない。竜人の性格はとても優しく大人しいことで有名だが一度本気にさせると手を付けられなくなる。

因みに主人公は竜の中でも〈竜の原始〉〈原始竜〉と呼ばれる白竜の子である。

 

 

ハイドレンジア家

オーディンを主神としている家。穢れた血を持つ血族として忌み嫌われているが、実は貴族の端くれでもある。紫陽花の名を持つハイドレンジア家は昔はとても栄えていて、モンスター討伐や悪人討伐を行っていたが、穢れた血を持つ血族と言うことが民衆に広まり地位が暴落。そして失った地位を取り戻そうと黒龍討伐に出向くが虚しく失敗。討伐に出向いた人は全員殺され、だれ一人として帰ってこなかった。オーディンは自分が自分の愛する眷族を殺してしまったと考え自殺してしまった。その事も重なり民衆からハイドレンジア家は非難の的となってしまった。その後隠れて暮らしていたハイドレンジア家の末裔である父が道で倒れていた人化した白竜を助けたことが切っ掛けで結婚した血族の父と原始の竜の白竜の息子が、

リゼリット・ハイドレンジアである。



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入団&死闘

 「通行証確認します!」「あいよー」

 夜通し歩き続けたため、目標より早くオラリオについていた。今は都市に入る手続きを受ける人の列に並んでいた。

 「其処の白髪の君!通行証は?」通行証なんて持ってない。どうすれば言いか考えていると、、、「もしかして冒険者志望かい?」良いフォローだ。そう思いながら返事をした。

「それじゃあ背中見せて。恩恵があるか確認するから。」無言で背中をみせる。

「よし。通っていいよ。冒険者志望ならまずギルドへ行くといいよ。ファミリアに入らないとダンジョンには行けないから。」心の中にでは心底面倒くさいと思いながらもギルドへ向かって歩き出した。

 

 

 

 「次の方、どうぞ」俺の番が来たらしい。眼鏡を掛けたハーフエルフの受付嬢が呼んでいる。

「初めまして、冒険者ギルド受付のエイナ・チュールと申します。今日はどのようなご用で?」

「今日、入団受付しているファミリアを探している。」と言うと

「それでは、ロキ・ファミリアはどうでしょう。試験開始は二時間後で、あと一時間エントリー受付していますが。」基本、オラリオについては疎く無知と言って言い程だが、ロキ・ファミリアという名前は旅の途中、よく耳にした。試験内容が気になる。剣術ならそれなりの力はあると自負している。自分の刀も持っている。嫌なのは面接とかだ。人と話すことが苦手なんだ。一つ言おう。断じてコミュ障じゃなあああああい!

「試験内容は何ですか。」気を取り直して聞いてみた。

「一次試験は団長のフィン・ディムナ氏との一騎討ちで、二次試験は主神、幹部との面接です。」おお、どっちも来たか。

「試験会場は何処ですか。」

「少々お待ちください。」そう言い彼女は地図を取ってきたあと色鉛筆で印を付けた。

「こちらの印の場所がロキ・ファミリアの本拠になります。試験会場はそちらになります。」

試験会場を聞いた後、エイナに礼を言い、覚悟を決めてロキ・ファミリアの本拠に向かった。

 

 

 

 「そろそろ締め切るぞい」髭を結んだドワーフが言う。街で迷った時はヒヤヒヤしたけど間に合った。

 ざっと見渡してみたが大体150人位人がいる。そして団長の挨拶が終わったあと、試験が少し早めに開始された。ロキ・ファミリアのメンバーと主神に観戦されながらの試験らしい。

 始めは主神が盛大に場を盛り上げていたが、手加減しているフィンに勝ち誇って首もとに剣を突きつけてみたりと、とにかくマナーの悪い人ばかりで主神の目が死んできた。そうして試験は進み、最後、俺の番になった。

 

 

 

「改めてこんにちは。ってもう夜かな。ロキ・ファミリア団長のフィン・ディムナだ。」

「こんばんは。リゼリット・ハイドランジアだ。俺についてはこの家名が教えてくれてるから省く。俺は穢れた血をもつ血族の末裔だ。俺が嫌と言うなら試験に落としてくれて構わない。ただ、手合わせだけはしてほしい。先程までの手加減した力じゃなくて本気でな。」

「産まれた家が悪かったからなんて言って落とすことはないよ。見たところ君は随分な実力者に見える。僕が手加減していることも分かっていたようだしね。それに後ろに提げている大中の刀は相当な業物の様だね。一級武器、またはそれ以上って所だね。」

「それじゃあ行かせて貰うよ。本気でね。」

 

 

 

そう言ったフィンは消えていた。いや、目にも追えないスピードでリゼリットに肉迫していた。見えないなら、感覚を頼りにフィンの高速の槍を避ける。その後も隙もなく突きのラッシュをしたが、スピードに慣れたリゼリットは反撃をする。反撃によって生まれた一瞬の隙を見逃さず、刀を横なぶりに2度振り、切りつける。更にできた隙に全体重を乗せた大刀をフィンに当てる。が、フィンはステイタスの耐久を駆使して、後ろに吹き飛ばず耐える。そして隙を露にしたリゼリットに高速の槍を浴びせた。

そんな様子をロキが見る。普段だったら騒いでいるだろうが、今回は状況が状況故に理解できずにいた。観戦中のメンバーも然り。

周りがそんな様子の最中、フィンとリゼリットは焦っていた。一つ言えることは次の一撃を喰らった方が倒れると。

其ほどまでにフィンの槍は速かった。

其ほどまでにリゼリットの一撃は重かった。

そして、覚悟を決めた二人は距離を取る。互いにフィンは槍を、リゼリットは刀と大刀を構え静止する。

沈黙の3秒間が流れる。瞬間、二人は消えた。その後会場には武器と武器がぶつかり合う音が響く。土煙が立ち上ぼりやがてそれは消えた。土煙の中ではリゼリットは倒れていて、フィンが立っていた。ステイタスの力には勝てなかった。その後、辺りは歓声に包まれた。

それはロキ・ファミリアの団長と戦って負けてしまったがフィンを焦らすほど追い込んだ世界最強のレベル0へ、後の仲間へ送る歓声であった。

 

 

 

 

 




読んで頂きありがとうございました。余談ですが、リゼリットの刀はニーア オートマタの
「白の契約」と「白の約定」です。興味ある方は調べてみて下さい。


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入団&面接

 「ここ、、は」今目覚めたとこだったが目の前に広がるのは白い空間。自分は今横になっているらしい。

「おはよう?」何故に疑問形?という素朴な疑問は措いといて、目の前の白い空間(天井)に飛び込んできた金髪金眼の美少女に内心ビックリする。自分が何をしたか思い出そう。、、、、、、そうだロキ・ファミリアの入団試験でフィンと言う人に負けたんだ。だとしたらここはロキ・ファミリアの本拠内か。

「ちょっと待ってて。」そう言い美少女は席を外した。暫くすると翡翠色の髪のハイエルフの人がやって来た。

「取り敢えず試験お疲れ様だ。私はロキ・ファミリア副団長のリヴェリア・リヨス・アールヴだ。痛むところ等あれば言って欲しい。」

「特にありません。」

「それなら取り敢えず試験した所へいってほしい。試験の結果がちょうど出たようだから結果発表をする。」どうだろう精一杯やったが負けたからなぁ、、、

 

 

 

 試験会場は騒々しく、たくさんの冒険者志望者の熱気に包まれていた。

「それでは結果を発表する。」周りの冒険者は余裕な面持ちで早くしろと急かしている。ロキ・ファミリアの団員、特にアマゾネスからとんでもない殺気が感じるが。

「合格者は、、、、、、121番。そこの旅人の子、リゼリットと言ったかな?」

瞬間、俺と団長に罵声が飛び交う。

「なんでソイツなんだよ!」

「ソイツは負けてただろうが!」

「負け犬を選ぶのか!このクソファミリアが!」

そんな輩をリヴェリアさんと髭を結んだドワーフの人が抑える。

「彼は本気のフィンと戦い、もう少しの所で負けたんだ。お前らより遥かに強いだろう。」

「それさえも理解できんのなら、お前らは儂らのファミリアには必要ない。

リヴェリアとドワーフの言葉で撃沈された冒険者志望者たちは文句を溢しながら帰っていった。

「それでは君は私と一緒に団長室に来て欲しい。面接といった大層なものでもないが幾つか質問させてもらう。」

リヴェリアに連れられてロキ・ファミリア入団試験の最後の砦へと向かうのだった。

 

 

 

「先ずは試験お疲れ様。そしておめでとう。もう君はロキ・ファミリアに入ったようなものだ。ただ恩恵を刻むまえに質問に答えてもらう。ロキ、入って。」そうフィンが言うと朱髪の女神が入ってくる。

「君が試験に合格した奴かぁ。クールビューティーやな。」

「ロキ、彼は男だ。」なんか女に間違えられてた。内心ショックで精神的ダメージを受ける。

「男の娘降臨キターーーーー」

「発狂しているロキは措いとこう。ただ一応主神だから自己紹介はしてもらう。」

「ロキ・ファミリア主神のロキや。よろしくな。」

「はい。よろしくお願いします。旅人をしてたリゼリット・ハイドランジアです。」

そうだ。思い出して髪を止めてるヘアピンを取る。すると角や鱗が出てくる。

「種族は竜人です。」フィンとロキはビックリし、眼を見開いた。

「そうだったのかい。まさか世界に数少ない竜人だったとは。ビックリだよ。」

「お前面白い奴やな。レベル0でそんなに強くて竜人だなんてなぁ。」

「取り敢えず幹部が来たら質問をする。」

そして数分待つと幹部のリヴェリアさんと髭を結んだドワーフの人がきた。

「じゃあ質問を始めよう。」

「お主にとって力とはなんじゃ。」髭を結んだドワーフ、ガレスが言う。

「上手い使い方も出来れば、自分を殺すものにもなるものです。上手い使い方をすれば自分を守れるし、自分の道を切り拓く力にもなるが、感情に任せて使えば自分までもが反動を受けて傷付く。だからそれを制御する知恵が必要だと考えます。」

ガレスは笑みを浮かべて「いい答えじゃ」と言った。

「君にとって知恵とは」次にリヴェリアが言った。

「自分を守るものです。敵を知るということは敵の弱いところも敵の強いところ知っているということです。だから敵から自分を守れる。それに理性を保てる。力を飼い慣らせると考えます。」

「面白い考えだ。気に入った。」そう言いリヴェリアは微笑む。

「君にとって勇気とは何かな?」フィンが言う。

「最後の一歩です。沢山の力があってどんな敵を殺せるとしても、沢山の知恵があって自分を守れても、その一歩を踏み込めなければ意味はない。だから行動に移すための最後の一方です。」

「成る程ね。いいと思うよ、その考えは。」フィンはニコリと微笑むいう。

「それじゃあガレス、リヴェリア、ロキ。リゼリットの入団について異論はないかな?」

「ああ」

「問題ない。」

「ええで~」

「よし、これから僕達は家族だ。よろしく、リゼリット。」

「よろしくお願いします。」こうしてリゼリットはロキ・ファミリアに入団した。

「最後に一つ、その大中二振りの刀はどうしたのかな?」

「俺の親がくれたものです。名前とその刀だけが俺の貰ったものです。」

「家族はどうしたのかな?」

「俺が産まれた後に黒龍討伐で当時討伐に向かわなかった父は、迫害を受けたハイドランジア家の屋敷から逃げて、白竜と出会い、僕を産みます。そして僕を6歳まで育てますが、血族であるハイドランジア家を大量虐殺した処刑隊に居場所がばれて俺を遠くまで逃がしました。なので父親は多分死にましたが、竜である母親は生きてると思います。」

「辛いことを聞いた。済まない」フィンは謝罪した後、改めてリゼリットを歓迎した。

 




今日も読んでくれてありがとうございます。そう言えば伝え忘れてましたが不定期更新でやってくつもりですのでよろしくお願いいたします。


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家族&唐突

 「よし、これで終了っと。これがリゼリットのステイタスやで」

「ありがとうございます。」恩恵は無事に刻めたようだ。そして渡された羊皮紙をみる。そこには共通語で訳された自分のステイタスが書かれている。

 

リゼリット・ハイドランジア レベル1

 

力  I 0

耐久 I 0

器用 I 0

俊敏 I 0

魔力 I 0

 

魔法

〈ゲノス・ドラコ〉

不明魔法。自分のもう一つの姿へ変身する。    竜神化

準備詠唱【我が真なる姿と力、この身に遷し給へ】→追加詠唱【この小さき身に竜の力遷し給へ。人に似て人に非ず我は人と竜に生まれし竜人也】        ↓

   竜王化

追加詠唱【全てを滅ぼす竜の姿と力、この身に遷し給へ】

 

スキル

【血族】  自分に武器を突き刺すことで穢れた血を付与できる。付与している最中は体力が徐々に減っていく。

 

【極限強化】自分の体力が少ない時にステイタスの超絶補正。

 

【孤軍奮闘】一人で闘っている時にステイタスの補正。又、相手が自分より格上もしくは多数対自分の時にステイタスの超絶補正。

 

 

 

「なんやこのステイタス!!完全チーターや!!」ロキが叫び出す。

「いいか?リゼリット、絶対ステイタスは他の奴に見せたら駄目や!」念をおして言ってくるロキの様子から絶対に他の人には言わないし見せないと誓った。

「よし、なら取り敢えず歓迎パーティーやるから食堂に1時間後に来い。部屋はリヴェリアが案内するわ。ほんじゃー」ロキは業務連絡を伝えた後部屋に入ってきたリヴェリアに鍵を渡して部屋から出ていった。

「それじゃあリゼリット、着いてこい。」

 

 

 

「ここが部屋だ。覚えたな?」

「はい。」部屋に着いたら部屋の場所を覚えたか確認される。正直こんなに広い建物だと心配だが覚えただろう。、、、多分。

「すみません、シャワーって使って良いですか。」実を言うと汗で体が気持ち悪い。替えの服もロキから貰った。

「ああ。使ってもらって構わない。あとシャワー終わったら、髪を切ってやろう長くて邪魔だろう。」今の自分の髪は肩まで伸び、申し訳程度に細いヘアピンが側頭部でXIIIの形にクロスしている。せっかくだから短くしてもらおう。

「お願いします。」

「よし、まずはシャワーを浴びてこい。」

そうして迷いながらも無事に風呂に辿り着けて、久しぶりのシャワーを浴びるのだった。

 

 

 

「これでいいだろう。」予想外の出来に散髪屋でも食っていけるのではなかろうか。と思ってしまう。分けないで、自然に降ろす感じで長さは眉や耳にかかる程度の長さだ。後ろは刈り上げないで短く詰める感じだ。これが神が言うところのべりぃまっち?じゃないだろうか。

「我ながら良く出来た。似合ってるぞ。リゼリット」そうリヴェリアさんが言う。

「そろそろ時間だから行くぞ。」リヴェリアさんに連れられて大食堂へ向かった。

 

 

 

 ご飯の前にフィンさんに自己紹介をするように言われたので今、結構焦ってる状況にある。

「皆食べる前にこちらを向いてほしい。新しいメンバーの紹介だ。」すー、すー、はー。深呼吸をしてから段にあがる。

「リゼリット・ハイドランジアです。歳は15歳で、種族は、、、(スッスッスッ ヘアピンを外す)、竜人です。宜しくお願いします。」

3

2秒程の沈黙のあと、「ああ、宜しくなリゼリット!」「竜人はビックリだけど宜しくな!」「竜人っ娘も悪くない。寧ろいい!」「クールビューティー竜人娘最高!!!」「無気力な顔が家出っ娘みたいで最高っす!!」  思いの外大歓迎だった。一部危ない発言が見られたが。

「それじゃあ食べていいよ。」フィンがそう言うと、真っ先に人だかりが出来る。いろんな事を聞かれ対応に困っていると、金髪金眼の少女が近寄ってくる。何か見覚えある美形な顔で思い出そうとしてたら、、、

「今日フィンと戦ってた人、、だよね。」ああ、そうだ。倒れた俺を看病してくれてた美少女だ。

「私はアイズ。アイズ・ヴァレンシュタイン。13歳で、、ヒューマンです。あとレベルは2です。」

「リゼリット・ハイドランジアだ。先程は看病ありがとう。」

「リゼリット、、さん。手合わせ、してほしい。」

「、、、、、、、、、、、、、、、!?」

 

 

えっ、いきなり?ですか!?

 




今回も読んでいただき、ありがとうございます。
スキルの血族はbloodborneのクロスオーバーです。どちらかと言うとゲームのクロスオーバーが多くなるかもしれません。


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唐突&師弟

 「剣での勝負で魔法の使用は許可する。お互い本気で戦うこと。ルールはそれだけだ。」

「それでは双方構え、、、、掛かれ!」フィンの開始を告げる声が響き、アイズは一気に間合いを詰め、リゼリットに連撃を繰り出す。剣先が見えなくなる程の速度で連撃は放たれ、文字通り見えないから、研ぎ澄ました感覚で其れを避ける。まだまだ余裕だ。一通り連撃を終えたアイズだがまだリゼリットに傷ひとつ付いていないと言う事実に歯を食い縛る。

「まだ本気じゃないだろう。本気で来い。」リゼリットがそう言うとアイズは何かを呟いた。するとアイズの細剣に暴風がまとわりつく。そしてもう一度、さっきとは比べ物にならない速度で連撃を繰り出す。流石に避けるだけ、と言うのは難しくなってきたから大中二振りの刀を使いアイズの連撃を捌く。

「そう。それでこそだ。」冷えきった声でリゼリットは言った。そして更に冷えきった声で言う。

「でも、それではまだ足りない。」

瞬間。アイズは浮いた。違う。切り飛ばされたのだ。大刀から放たれる眼にも見えない、感じることも出来ない光速の居合い斬りによって。そして鍛練場にアイズは打ち付けられた。立ち上がり反撃しようとするが今度は光速で正確にアイズの横に投げられた刀によってそれは阻まれる。光速で投げられた刀に驚いていてアイズはあることに気付いた。自分はもう負けていることに。

リゼリットはアイズの顎を人差し指で上に上げて、露になった首の頸動脈の位置に先ほど投げた刀を突き付ける。

「これで“詰み”だ。」

「勝負あり!」まさかのアイズの敗北、しかもレベル1の今日恩恵を授かった人によってされたそれに対して、いまいち理解出来ず、静寂が訪れる。

そんな静寂を切り裂くよう持っていた大刀と刀を地面に突き刺すと刀は金色の粒子になり、霧のように霧散したあと、背中に浮いている、支柱を持たない輪に入り、粒子は元の刀の形に戻った。

「戦闘中もアイズの剣の動きを見ていたから気付かなかったけどそれは何かな?」フィンは二振りの形を束ねるように刀の刃の根元辺りを見えない力で押さえている、浮いている輪を指した。

「これはあなた達が持っている鞘みたいな物です。浮いている原理もどうやって刀を落ちないように押さえているのかも俺は知りません。意思次第で場所も変えられる様です。」そう言い俺の前に来い、と念じる。すると輪は刀を連れて目の前に来た。

「便利だね。あとその刀もさっき霧みたいになっていたけど。」

「あれについてもよく解りません。納刀と念じると出来ます。距離はどれだけ離れてても霧散して納刀出来ます。」

「ははは、、」滅茶苦茶な武器にフィンは苦笑していた。するとアイズが寄ってきた。そして、

「リゼリット。稽古をつけて欲しい。」え、えぇー!こう言っちゃ難だが教えるのは下手くそだ。思わず素っ気ない態度をとってしまったりしてキレられることが多い。

「俺なんかで良いのか?」そう言うとアイズはコクッ、っと頷いた。

「リゼリットの剣技を、ステイタスに依存しないその技を習いたい。」

アイズの強い意志の持った眼で言われたからもう断れない。

「わかった。1日5時間。本気で身に付けろ。この剣技は相当な集中力が必要だ。何度も心が折れそうになるし、肉体的なダメージも相当喰らうが決して弱音は吐くな。」

「いいな?」アイズに目を合わせて言う。

「はい!」アイズはいい返事をする。

「良い返事だ。稽古は明日からだ。何時かは明日連絡する。」

そうして此処にレベル1が師匠で、弟子はレベル2の不思議な師弟関係が出来るのだった。

 




今回も読んで頂き誠にありがとうございます。
設定についての話ですが、リゼリットがアイズに教える剣術はリゼリットの旅の最中に出会った、7歳から13歳までの歳月を共に旅した剣を極めた人と旅の中で大成させたオリジナル剣術です。その人は旅の中で死んでいて、その人に「この剣術はまだまだ未完成だ。此れからはお主がこの剣術を鍛え、大成させて、いつかその力を正しきことに使える奴に継承してくれ。」と頼まれた物です。故にまだ極めた訳でもないのでリゼリットも日々稽古し、オリジナル(名前は未定)剣術を創っています。
設定の話は以上。それでは!


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視線&軽蔑

 「朝か。昨日は疲れたな。」朝といってもまだ4時くらいだ。基本、これまでの旅では日の出に起きて深夜に寝るという生活リズムだったので、まだ誰も起きていないこの時間に起きてしまった。そして歯を磨き、顔を洗ったあと着替えて鍛練場へ向かった。

 

 

 

「、、、、、」特に無言で刀を振る。俺のオリジナル剣術はまだ未完成だから、この剣術を最高峰のものへ完成させるためにこうして毎日刀を振っている。いろいろな型で刀を振るって、より無駄な動きを無くして、より一撃の威力を高めて、より速く振って、、、ってやっていくうちに日も明るくなってきた。まだ朝食まで時間があるだろうから刀を振ろうと思うのだが、さっきから俺をみる視線でどうにも集中出来ない。

「アイズ。出てこい。」と言うとバレたのが恥ずかしいのか頬を紅潮させながら陰からぴょっこっ、って出てきた。うん、可愛い。

「ごめんなさい。誰か剣を振ってるのが見えて、リゼリットだったから、、、気になって、、、」

「そうか。」あまり言及しない方が良いと思い、また刀を振る。

「そう言えば、今日の稽古は?」やべぇ。完全忘れてた。ここはてきとーに、、

「午後2時、市壁の上に集合。」昨日の夜に寝付けなくて、こっそり抜け出してオラリオを見て回ったけど市壁はまぁまぁ良かった。そこそこの広さも有るから稽古も問題無く出来るだろう。

「分かった!」元気よく返事して鍛練場の椅子に座った。

「リゼリットの練習、見ても良い?」

「ああ。」そう返事し、刀をもち今度は丸太を置いた。そしてそこに木刀で技を打ち込んで、駄目なところを修正していく。あの方との約束を果たすために時間を掛けてじっくりより良く形へとしていく。

 

 

 

 しばらくやっていると謎の鐘の音が響いた。

「アイズ。この鐘の音は?」

「食事。このファミリアでは皆一緒にご飯を食べる。」ああ、だから昨日の夕飯もあんなに人が。

「食堂まで案内する。リゼリット。」

「ありがとう。それとリゼリットって長いし言いにくいだろう。だからリゼでいい。」と言うと

「分かった。」

「じゃあ朝食会場へ案内、お願い。」

そして二人で朝食会場へ向かった。

 

 

 

 朝食会場へ向かうと混み合っていたが、部屋の隅にポッカと穴の空いたように誰も居ない空間が有ったから、そこに座りパンとコーヒーを取ってきて食べる。周りに誰もいない。騒々しい空間から隔絶されたようなこの空間の居心地は最高だった。朝食を食べ終わりコーヒーをお代わりしデザートを取ってきて持ってきた本を開く。

 

「なんかさ、リゼリットって近寄るなオーラ凄いよね」そんなリゼリットの様子を遠くで見てアマゾネスの少女、ティオナは言う。

「あの読んでる本何かな?英雄譚だったら気が合うかも!」そんな様子に呆れた姉のティオネが言う

「多分違うわよ。英雄譚なんてお伽噺、15の男子が読まないでしょ。まぁ近寄るなオーラが凄いっていうのは共感出来るわ。」

「ハン、どうせ雑魚が周りに馴染めず浮いてるだけだろ。」灰色の髪の狼人、ベートは不機嫌そうに言った。

「何でベートはそんなに不機嫌なのさー。もしかして大好きなアイズがリゼリットに稽古を付ける、ってのが気に食わないの?」煽りを入れるティオナにキレつつベートはリゼリットへ向かう。

「どんな手品を使ってアイズに勝ったかは知らんがアイツが俺より下だと証明してやる。」そう独り言を溢したあと、一人で本を読んでるリゼリットの頭に向かって殴りかかる。一連の音の出ない動作に大食堂に居る団員は反応が遅れたが独りだけ違った。

 

ここの団員血の気多すぎ。いきなり本読んでる最中の人に後ろから殴りかかるとか。どんだけだよ。後頭部目掛けて飛んでくる拳を頭に当たる直前で避ける。直前で避けることによって追尾する事ができず、拳は勢いよくリゼリットの居ない方向へ向かっていき、バランスを崩したベートは前のめりになる。そしてベートの腕を掴んだあと体術を使って投げる。

「かはっ、この雑魚が!!」

「雑魚(笑)。じゃあ雑魚に攻撃をかわされ投げられるという反撃を喰らったお前は雑魚以下だな。」

ベートは悔しそうに歯軋りした後胸元をさぐる。あれ、無い!ベートは胸元に忍ばせたナイフをさぐるが、ないことに気づく。

「何を探してるんだ?もしかしてこれか?」そう言いナイフをベートに見せ付けるように出す。そして、

「駄目じゃないか。拳で闘うと決めたらそれを貫かなければ。雑魚が。」冷ややかな目線でベートを見下すと、チッと舌打ちをして席に戻っていった。

リゼリットは居心地が急に悪くなってコーヒーを飲んで自分の部屋へ向かった。

 




読んでいただきありがとうございました。そしてお気に入り等最近増えてますが大変ありがとうございます。


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稽古&勉強

 「♪~~~」市壁の上で横笛を吹く。昼間の風に吹かれて音はオラリオへと向かっていく。もうすぐ2時だ。アイズが来るだろうと予測していたら

「ごめん、遅れた。」意外にもまだ15分前だと言うのにアイズは来た。

「いや、遅れてない。まだ1時45分だ。」と言い横笛を仕舞う。

「さっきの笛はリゼが吹いてたの?」

「ああ。そうだ。」

「そう。」

「稽古。始めるぞ。」そう言うとアイズは剣を鞘から抜いて構えた。俺は木刀を持つ。

「取り敢えず俺に打ち込め。悪いところ等は戦ってる最中に言うから。」そう言うとアイズは打ち込んできた。

 

 

 

「視野を広く持て。」「死角をつくるな。」「もっと速く。」「一つ一つの攻撃に力を。」、、、

リゼリットが沢山のアドバイスをし、それをアイズが吸収して、、という訓練を5時間やることでアイズはたった1日の中のたった一時間で見違える程になっていた。

「ありがとう、、ございます。」アイズは肩を上下させながら礼をする。

「今日は初回だから5時間だ。明日からは3時間だ。」というのも今はなんと7時だ。フィンに事情を話してきたものの結構時間を取る。

「アイズは帰っていてもいいぞ。」そう言い胸元から横笛を取りだし、夜空を見上げながら吹く。いつもこの曲を吹くと何故か安心する。本当を言うと怖いし辛い。俺がこうしている間に黒龍は力を付けているかもしれない、と考えると。そうやって焦りだした時にこの曲を吹く。すると、焦る必要は無い。俺ももっと力を着けようと思える。

そんなリゼの様子を、リゼの奏でる曲を見て聴いている。吹き終わった後、

「星が綺麗だな。」そうアイズに言う。オラリオでバベルの次に高い此処から見る星が好きだから、ここが気に入った。リゼの頭の上には2つの恒星が明るく煌めいている。煌めく2つの恒星のあいだにあるのはヘラクレス座だ。

「うん。」アイズはそう一言だけ答えると空をリゼの横に並んで見た。そして暫くの静寂を過ごしたあと、本拠へと帰った。

 

 

 

「帰ったか。二人とも。フィンから聞いて安心したが、夕飯の時間を過ぎても帰って来なかったから何事かと思ったぞ。」帰ったらリヴェリアが玄関で待っていた。

「まずは夕飯を食べて風呂へ入ってから図書館へ来い。」アイズが何で嫌そうにしているのか分からないけど取り敢えず頷く。

「そうだ。いい忘れていたが、リゼリット。私がお前の世話をすることになった。これから宜しく。」

「風呂上がったら勉強をする。」ああ。そう言うことか。でも勉強は得意だ。錬金術を極めているから数字、化学は特に得意だ。生物学も少し噛じっているから生物の体の造りもわかる。今更教わることも無いと思うが、、、

「内容はダンジョンについてだ。」そう言う勉強か。じゃあ行く価値ありそうだ。まぁ取り敢えず飯食おう。そう思いリヴェリアに一礼してから食堂へ向かった。

 

 

 

 「コンコンコン失礼します。」風呂上がり、ちょうどアイズと会ったから、場所が分からなく案内して貰いながら二人で図書館へ来ていた。

 ドアを開けて入るとリヴェリアが6人用テーブルに座って本を読んで待っていた。

「そう言えば詳しい自己紹介はまだだったな。リヴェリア・リヨス・アールヴだ。種族はハイエルフで魔導士だ。」リヴェリアが自己紹介したので合わせて

「名前はご存知の通りリゼリット・ハイドランジアです。竜人です。職業は剣士だけど錬金術も極めてます。」

リゼリットの思わぬ特技に驚く。そんな中、アイズが意味不明そうに「錬金術って何?」と聞いてくる。口頭で言っても

分からないものだから実際にやろうか。

「勉強が終わったら実際にやって説明する。」と言うとリヴェリアが

「私も見てみたい。」と言う。一番興味津々だった。

 

 

 

「それでは今日の範囲のテストをする。8割以上取れてたら合格だ。それでは始め。」3時間程勉強したあとテストをすることになったが、、、この問題簡単すぎぃ!!!暗記だけでどうにかなる問題なんて始めてみた。そして30分位したあと採点したが当然の満点だった。一方アイズはと言うと、、、18/100と言う無惨な結果だった。割とガチで落ち込むアイズ。元気付けようと思うが言葉が見つからない。

「そんなに落ち込むな。ほら答案逆さまにしたら81になるだろ。8割越えてるだろ。」

嫌、駄目だ駄目だそんなのもっと落ち込まれるだろ!!て言うか満点の奴に慰められるってのも何か嫌だな。とか考えてると、、、

「今日は遅い、しこれからリゼリットの錬金術を見るのだから見逃してやろう。」つーか覚えてたんだ。と思いつつ部屋から丸底フラスコと掘り出されて何も加工されていない金と炭素粉を持って来て食堂へと場所を移す。

「じゃあ始めるぞ」そう言った後丸底フラスコに金と炭素を入れ、火で熱する。暫く火で熱すると茶色だったものが金色へと姿を変えている。

「今やったのは簡単な錬金術だ。」と言い。金を見せる。リヴェリアとアイズは理解出来ないと言う感じで金を見る。

錬金術をリヴェリア達に見せた後、今日の疲れで泥のように眠りについた。

 

 

 

 




今回も読んで頂きありがとうございました。一つ質問があったのでそれについての解説をします。
リゼリットは竜人です。この世界で数少ない竜人、しかも原始にして最強の白竜の竜人となると鱗また角や爪には莫大な金額がつきます。なので殺そうとしてくる旅人が旅の最中に沢山いたわけです。子供の頃は逃げ回っていたんですがだんだん成長すると迎撃出来るようになります。なので迎撃していたんですが、白竜の竜人の噂は既に広まっていて、ある組織、後の闇派閥がリゼリットの命を狙います。それに気付いた当時行動を一緒にしていた、リゼリットとオリジナル剣術を創った人が商人から亜人がヒューマンに変わるという扮装用のマジックアイテムを買います。それがヘアピンです。

と言うことでした。では次回も宜しくお願いします。


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驚愕&挑戦

 「何処だここは。」真っ白で何もない空間。立っているのか浮いているのかも分からず足下にはただ白い空間がつづいて見えた。

「ここは貴方の意識の奥底。」聞こえるのは少女の声。声が聞こえたほうへ向くと底にいたのは14歳位の少女だ。ただ、目の前の少女はまるで竜だった。白い肌、明るい灰色の髪に生えているのは俺と同じく角だった。そして続けて言う。

「貴方、私と契約しない?」契約?何を契約するんだ。

「私は元精霊。しかも最上位精霊の端くれだった。けど今は魔神。しかも最上位の魔神。私と契約すれば貴方に力を授ける。いや言い方が悪い。貴方が竜人の本来の力を使いこなせるようにする。悪い話じゃないでしょ。」そう言うがいまいちよく分からない。竜人本来の力を使いこなせて何になるのかも。そんな様子のリゼに精霊、もとい魔神は言う。

「黒龍を殺せる力に成るかもしれない。」それを聞き決心した。契約しようと。

「契約、受け入れた。」魔神は俺にフフッ、っと微笑んだあと地面に魔法陣を出した。

「これは私を示す魔法陣。この魔法陣に貴方の血を入れて。そうしたら契約出来る。」魔神はそう言いながら俺にナイフを渡した。渡されたナイフで自分の指を深く切りつけた後、魔法陣の中に流れ出る血を垂らした。すると魔法陣は白く光り、中から先程まで話していた少女が出てきた。

「契約してくれてありがとう。ご主人様。私はリュナ。竜の力である竜力を司る魔神です。」

魔神、リュナは魔神ではなく精霊なんじゃないか。と思わせるような白い光に包まれながら言った。

 

 

 

 目の前に広がるのは白い空間、、、ではなく天井。ロキ・ファミリアの本拠だ。さっきのは夢だったのだろうかと思い左手の親指を見ると血が出ていた。夢じゃない?のか?

「夢ではありません。」脳内に直接声が聞こえる。

「取り敢えずステイタスの更新を行ってください。変化が見られると思います。」そう言われたのでロキの部屋へ向かう。

 

 

 

「なんや!!このステイタスは!!リゼリットのチーター具合に磨きがかかってるで!!!」そう叫ぶロキから羊皮紙を貰って見てみてあらビックリ。

 

リゼリット・ハイドランジア レベル1

 

ステイタス

力  F200    【魔神契約の特典としてステイタスをFまで引き上げ】

耐久 F200

俊敏 F200

器用 F200

魔力 F200

 

魔法

 

<ゲノス・ドラコ> 【作者権限で詠唱式は省かせてもらいます!すいません。】

<ドラコ・カノン> 【速攻魔法。ドラコは詠唱しなくて良い】 

<ドラコ・トイコス>【速攻魔法。ドラコは詠唱しなくて良い】

<>

<>

<>

<>

 

スキル

【血族】

【極限強化】 【作者権限で効果は省かせてもらいます!すいません。】

【孤軍奮闘】

【竜力行使】 竜力の行使権。又は竜化のリミッター。本人が強く望んだ場合リミッターは外れる。

【竜化】   任意発動。竜化する。 

 

 

「リゼリット、正直に言うんや。嘘は通じんで!昨日なにしたん!?」

「信じてもらえないかも知れないですが、今日の朝魔神契約しました。」そう言った瞬間ロキが青なっていく。

「魔神契約ってあれですか。魔法陣に血を垂らす、あれですか。」

「はい。」ロキの口調が変わり始めてる。

「リゼリット。いいかこれは自分らの秘密や。魔神契約してる竜人なんて他の神に知られたら、、、、」急に口調を取り戻したロキに頷きロキの部屋からでた。冒険者登録は昨日の内に済ませておいたかあ向かう場所は一つ。ダンジョンだ。

 

 

 

 「gyaaaa」只今ダンジョン12階層。牛頭のモンスターの群れを全滅させて前へ進む。やべぇ、つまんねぇ。ダンジョンってもっと強いモンスターが居るかと思ってたけど違ったみたいだ。これまでずっと一撃で殺している。だからダンジョンにはいってからまだ一時間程しか経っていない。 

 「uoooooooo!!!!!!」暫く進んだ先にいたのは巨人。これがゴライアスか。昨日リヴェリアさんの授業でやったな。

階層主だったけ。何はともあれ強いらしいから戦おう。そして二振りの刀を抜いた。




 読んで頂きありがとうございます。無性に書きたくなって本日二回目の投稿です。もしかしたら三回目の投稿もするかもです。


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撃破&叱責

 「uoooooo!!」巨人の咆哮が部屋に響く。リゼは二振りの刀を背後で浮遊する輪から引き抜き巨人に斬りかかる。とてつもない速さで迫ってくる人間を叩き潰そうとする巨人だったが掌は何も挟むことなく床を叩く。刀を霧散させ仕舞ったあと「カノン」そう言うと周囲から光の粒子を集めて、瞬時に大きな球がリゼの掌に出来、そして直ぐに銀色に輝く光線が一直線にとび、巨人の片腕を消し飛ばした。片腕をと失った巨人は叫んだ後もう片方の腕で人間を殴り掛かる。実を言うとこのカノン、反動がでかい。ぽんぽん撃てるものだと思ったが違ったらしい。威力はあるが反動は大きく暫く体が痺れて動けないほどだ。その動けない、ちょうど良いタイミングを巨人は逃さず殴ってきた。避けようと思ったが体が痺れて思うように動かせず、巨人の拳は俺の体に直撃した。バカでかい力で殴られた俺は12mくらい飛ばされた。

 一瞬落ちかけたが直ぐに気を取り戻し頭をブンブンと横に振り正気に戻る。そしてもう一度巨人へ今度は刀で斬りかかる。次は片脚だ。さっき巨人の殴りで片腕と肋骨を折った。これまで死ぬような怪我はしたことはないから体は頑丈ではない。片足を切ってバランスを崩して倒れたあと頭を切ろう。そうすればこれ以上攻撃を喰らうことはない。という作戦を瞬時に考えたあと片脚を刀で切る。が、脚は丈夫なようだ。大刀でやってもあまり切れない。脳内の記憶を漁る。なにかこの絶ちにくい肉をたつ方法は!?ふと脳裏に甦るのは【血族】というスキル。体に武器指すことで血を纏わせるというスキルだ。試してみる価値は有りそうだ。覚悟を決めて、刀は逆手に持って自分の腹に、大刀は刀身を掴み自分の腹に、同時に刺した。

 

 

 

 刀を刺したせいで腹はかつて無いほどに痛んでるが我慢して刀をみる。さっきまで白かった刀身は紅く、血の色へと変わっている。容赦なく巨人は殴ってくるがすべてかわして巨人の脚へ斬りかかる。巨人の脚はまるで豆腐を斬っているように綺麗に切れた。しかも両脚。脚という支える物を失った巨人は作戦通り倒れた。そしてフリーランニングの要領で神の恩恵で、強化された脚力で壁を蹴って高くまで登ったあと壁を垂直に蹴る。空中で背負うようにして大刀を構えたあと落下していく。狙うは巨人の首。首の骨と骨の間を目掛けて刀を振りかかった。

 たちまち巨人は黒い灰になって灰の中から魔石と真っ黒い皮が落ちる。そして刀を霧散させた後倒れた。

 

 

 

 目が覚めると、目の前には見慣れた天井が。そしてアイズが目が覚めた俺の顔を覗き込む。いつかのような状況下だ。そしてアイズはリヴェリアさんを呼びにいった。

 リヴェリアさんが来たあと俺に来たのは、、、ビンタだった。

「初日ゴライアス討伐だと!?ふざけているのか!!」分からない。何故リヴェリアさんがそこまで怒るのかが。

「俺は分かりません。何故貴女がそこまで怒るのかが。何故貴女がそこまで心配するのかが。現に僕は生きています。」

「ッ!決まっているだろう!家族だからだ!!お前は生きているがもしかしたら死ぬかも知れなかったんだぞ!!」

「家族って言いますけど、貴女は俺の何かを知っているわけでもない。俺は貴女の何かを知っているわけでもない。これってただの他人じゃないですか。しかも出会って一週間もしていません。ほぼ初対面です。」そんな俺の言葉に、

「ああ、確かに私はお前の何かを知っているわけでもない。初対面同然だ。だから死なれるのは悲しいんだ。お前と大した話も出来ず、お前の何かを知ることも出来ず、お前と別れるのが。」リヴェリアさんは今度は怒らずに言った。

「なぁ。そんなに私は家族として信用出来ないか?そんなに頼れないか?何故そこまでして強くなろうとする。何か悩みが有るなら私に言ってくれ。力はいくらでも貸すから。だから独りで戦わないでくれ。」まるで子供を諭すようにリヴェリアさんは言う。

「すみません。熱くなりました。頭を冷してきます。」そう言いベットから降りた。向かう場所はこの本拠の屋上。

 

 

 

 「ここにいたんか。探したで。」星を見ながら考えていた俺にロキが歩み寄る。

「俺に用でも?」まぁ多分、ゴライアスのことについてだろうが。

「その様子だとこってり絞られたんやろ?」神はなんでもお見通しですか。

「はい。」

「すまんなぁ。実は立ち聞きしてたんやけど。ほんとすまん。」そう言ったあとロキは言った。

「まぁ、リヴェリアにあそこまで言われたんなら私からいうことはないわ。」

「でも、無理だけはするんじゃないで。リゼリットがいなくなるのは悲しいで。」

「さ、ステイタス更新するで。ランクアップ確定やな。」

そう言うロキに連れられてステイタス更新しにいった。その日、ロキが分かりきったことに、ロキ・ファミリア本拠全体に響く声で叫んだのはまた別の話。




宣言していた通りの三回目の投稿ですww


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友達&日常

 ロキは苦悩した。かの有頂天外の神を打ち破らなければならぬと決心した。

某有名小説みたいな始まりかたしてますけどロキはこれから死ぬ気で走るわけでもないですよ!!

 悩みの種はリゼのランクアップだった。マジでどうしようか。多分ギルドに報告した時点で神の間に3日程度でランクアップしたやべぇ奴いるぜ、とか広まってちょっかいを掛けられるだろう。本人曰く、そういうのは慣れてる。とのことだったが、やっぱり心配だ。悩みはもうひとつある。リゼのランクアップに触発されたアイズが今まで以上にダンジョンに潜るようになった。悩みはこの二つだ。マジで悩みすぎて禿げるんじゃないか。と思うがランクアップしたことは事実だ。さすがにあれだけ言ったからダンジョンには潜ってないだろう。アイズにも今日はダンジョン禁止令を与えたからダンジョンに潜ってないだろう。まぁ取り敢えずはリゼのランクアップを祝ってあげよう。そう決心したロキ・ファミリアの本拠。黄昏の館には朝食を告げる鐘が鳴り響いた。

 

 

 

 朝食の鐘が聞こえたから鍛練を止めてアイズと一緒に大食堂へ向かった。いつも通り部屋の隅に行くが今日は今までと違って隣の席にアイズが座っている。アイズと手合わせしてから、お風呂、就寝、ご飯の時以外はほとんど一緒だったが、何故かご飯の時間なのに横にいる。朝食を食べた後また何時ものようにコーヒーをおかわりし、本を開く。すると、

「なに読んでるの?」アマゾネスの少女が話しかけてきた。だから無言で表紙を見せると、

「何々、走れメロス?」ん、走れメロス?なんだ?その本?改めて表紙を確認すると走れメロスではなくアーサー王伝説だった。

「ごめんごめん、読み間違えた。アーサー王伝説?なにそれ?面白いの?」どんな間違いだよ!!

「一種の英雄譚ですよ。面白ですよ。」

「英雄譚なの!?なら私も気になるなー。今度貸してよ。」英雄譚というフレーズに反応した様で少女は言った。

「分かりました。」

「ほんとー!ありがとう!ところでさー。なんで君はそんな隅にいるの?なんか近寄りがたいっていうか。」多分本人は本心からそう思っているのだろう嫌味などいうわけではなく。

「アイズとは仲良いのに。アイズだけリゼって呼んでるし、、、そうだ!友達になろうよ。」友達などいたことないが

「友達、ですか?実は友達なんて居たことないから分かりません。」そういう言葉をきいたアイズが、、

「私にとってリゼは、、師匠だったけど、年も二歳しか違わないから、、リゼと友達になりたい。」と言った。珍しく感情を露にしたアイズを見て喜ぶハイエルフは措いといて、友達ってなんだ?そんな問に答えるようにティオナは言う。

「友達って言うのは、一緒に遊んだり、一緒に話したり、一緒に笑ったり、たまには喧嘩するけどまた笑い合うことができるひとだよ。」

「分かりました。アイズ、ティオナさん。友達になりましょう。」そういうと二人は喜ぶ。

「あ、それと私はティオナで良いよ。アイズみたいにリゼって呼んで良い。」ティオナがそう聞くと

「それは駄目。」アイズが答えた。実はこの数日でかなり仲良くなった。最早友達と言っても良いレベルで。でも何でアイズが答えるんだ。結構マジな感じで。

「うーん。じゃあリゼリットって呼ぶね。宜しく!」ああ、別に気にしないスタイルですか。

こうして二人の友達がリゼリットに出来た。

 

 

 

 部屋に戻ってみたが特にすることはない。俺とアイズは2日のダンジョン禁止令を課せられているから、やることがない。まぁ街でもぶらつけば良いかな?今日は各自訓練の日だから稽古はつけなくていいし。そう思い、金庫からお金を出す。実はこれまでの旅でモンスターも倒してきたし、襲ってきた人を迎撃して殺したら大金持っていたり、とか色々あって金は困っていない。金持ちと言っても良いほど持っている。そして街へ向かおうとすると、アイズがいた。うろうろ歩いたいる様子から、アイズも退屈だと言うことを察し話しかける。

「退屈なのか。」

「うん。どこかいくの?」

「街でもぶらついてくる。アイズも来るか?」

「、、うん。行く。」

こうして二人で街に行くことになった。

 

 

 

 「じゃが丸くん?」目の前の露店に首を傾げている。

「ここ、美味しいよ?」アイズが勧めてきたのでこの露店に来てみた。まぁ良い匂いがして美味しそうだ。一つ50ヴァリスで味付きは80ヴァリスとお財布に優しい値段だし。買ってみよう。にしても小豆クリームってなんだ?

「すみません、小豆クリーム?を一つと、、、アイズは何味がいい?」

「え、買ってくれるの?」

「ああ。奢りだ。で何味がいい?」なんていうか、一人でじゃが丸くん食ってその横で無口な女の子が見つめてるとか、めっちゃシュールじゃん。

「じゃあリゼと同じので。」

「小豆クリーム2つで160ヴァリスだよ。」財布を取りだし金を渡す。そしたらすぐ来た。金を渡してから貰うまでのその間約3秒程だ。安い、速い、うまそう(まだ食ってない)の三拍子とは、、なかなか良い。もらったじゃが丸くんをアイズに渡したあとベンチに二人並んで座って食べる。

 サクッ。うまい。しょっぱいじゃが丸くんと甘い小豆クリームの組み合わせは良いぞ。バッチグーだ。一人で孤独のグルメしだしたリゼにアイズは言う。

「リゼは何でそんなに強いの?」答えに困る質問だなぁ。一つ言えるとしたら、、、

「何をしてでも倒したいヤツがいるから。」

「そうなんだ。」アイズは納得したように言う。

「アイズは何故強くなろうとする。」

「、、、、」うーんと言う風に考えたあと、

「わからない。」そう言う。

「いつかお前も戦う理由を見付けられればいいな。」俺らしく無いことを言った。でもアイズはしっかりと頷いて返事をした。

「それじゃあ帰ろうか。闇派閥とやらも彷徨いているらしいし。」最近、危険な状態にあるオラリオの夜を歩くのは危ない。暗くなる前に帰ろう。そして、アイズを連れて黄昏の館へと帰った。

 

 

 




 読んでいただき、ありがとうございました。前回説明し忘れたんですが、通常3つしか発現しない魔法が7つも発現しているのは契約特典です。マジでオリ主最強タグに入れよっかなぁ。
あとYutomosさん、寿司さん、遅れましてですが感想ありがとうございます!!!
それとUA6000越えありがとうございます!!!やっぱこう言うのがあると書きたくなります!!(なくても書き続けますw)


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神回&最高

 「無難な二つ名勝ち取ったるで!」リゼがランクアップしてから一ヶ月後。

ロキは覚悟を決めていた。愛する眷族にイタい二つ名がつけられない様に。無難な二つ名を勝ち取るために。

 

 

 

「それじゃあ第ウン万回神回(デナトゥス)を始めるぞ!!司会はこの俺ヘルメスだー!!」

「「「「イエーーーーーイ!!!」」」」そう。ロキが来てる場所は神回(デナトゥス)だ。

「まずはオラリオの近況、、、、、、こんなのやってられっかぁぁ!!!!!!!!!!」

「二つ名命名式するぞぉ!!!」

「「「「イエーーーーーイ!!!」」」」いや。とばしたらダメやろ。ロキは冷静にツッコミをしたあとゴクリと唾を飲む。アウトだ。このテンションはアウトだ。

「先ずはアヌビス・ファミリアの、モウ・カエリタイちゃんだ。」ヤバい。モウ、カエリタイ、、ロキは緊張で胸が張り裂けそうだ。無い胸が。

「情報は、、えーと女性で猫人で髪は緑色。目も緑色で身長は156cm。歳は18歳で使う武器はナイフ。」一番最初の生け贄なんて。可哀想に。

「情報は以上だ。では良い(イタい)二つ名、考えてくれよ?」ヘルメスがそう言うと神達が喚きだす。

「はいはーい!!緑猫暗殺者(グリーンキャットアサシン)ってのはどうか。」

「それじゃあちょっと普通だな。緑・暗殺者猫(グリーン・キラーアサシンキャット)ってのはどうだ?」

「おぉー。いいな!!!」ヤバい。完全テンション高い。この調子だとリゼリットが、、、ロキは焦りだした。

緑・暗殺者猫(グリーン・キラーアサシンキャット)以外に案はあるかい。」ヘルメスが聞くが緑・暗殺者猫(グリーン・キラーアサシンキャット)以外に案は無いらしい。アヌビス。御愁傷様。アヌビスの方を見ると、

「キラーはどこから来たんだよ。てゆーか緑以外の色のやつもいるのか?」なんてことを項垂れながら言っていた。

 

 

 

 あれから神回(デナトゥス)は勢いよく進んでいき最後。リゼリットの番だ。

「えーと、情報は、、、、、、みんな。ヤバいぞこの子。」ヘルメスがそう言う。

「ロキ・ファミリアのリゼリット・ハイドランジア。男性。種族は竜人。白髪白眼で身長は185cm。歳は15歳で武器は大刀と刀の二刀流。ランクアップ所要日数は3日だ

「ヘルメス今なんて?」周りの神達がヘルメスにもう一回いってもらうように頼んだが、聞こえてきたのはさっきと同じことだ。暫くの沈黙が流れたあと、、、、

「ヤベェーーー!!コイツヤベェーーー!!」「おい!ロキ!遂にやったのか!!神の力(アルカナム)使ったのか!?」「ヤベェ。欲しい!!」周りの神達が騒ぎ出した。

「神の力なんて使うわけないやろうが!!」ロキは必死になって反論した。その中で唯一、神の嘘を見抜くことが出来る神がロキが嘘をついているか見抜くが、首を縦に振ってロキが嘘をついていないことを告げる。

「これは慎重に二つ名を決めなきゃな。」ヘルメスはそう言い、神達に二つ名の案を聞く。

竜王(りゅうおう)って言うのは?」珍しくカッコいい二つ名が出てくる。

「それかこう言うのはどうや。」ロキが言う。そう。一応ロキは決めていたのだ。リゼリットの二つ名を

「無双ってのは。」

「かっけぇ!!」周りの神達が再度騒ぎ出すなか、

「でも、まだレベル2でしょ。無双ではないんじゃない?」フレイヤが言うがロキは言い返す。

「いや。アイツは確実に最強になるな。あんたのとこの猪人を追い越してな。」

「へぇ。それは楽しみねぇ。」そう言いながらフレイヤはコソッと羊皮紙をとりだし、万年筆で書いた。リゼリット・ハイドランジアと。

 そうしてリゼリットは無双という、一番良い二つ名を授かるのであった。




読んで頂きありがとうございました。お気に入り100まであと少し!頑張って書きます!


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激痛&祝宴

 「グアガアーッッ!!アーーーーーッッッ!!」決して変なことをしているわけではない。今やっているのは竜化の練習だ。

 スキルの竜化を使用しているが滅茶苦茶痛い。脳ミソをかき混ぜられてる様な痛みに思わず発狂してしまう。リュナ曰く、慣れれば問題ない。とのことだったが全然痛みは引かない。

 

 スキル発動から1時間後。痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ

 

 スキル発動から2時間後。痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ

 

 スキル発動から3時間後。痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイ

 

 スキル発動から4時間後。痛い痛い痛い、、くない!?

 

 スキル発動から4時間後で痛みは止まる。脳内にリュナの声が響く。

「慣れたようですね。普通だったらあと2時間必要なのに適正があるんでしょう。今の自分の身体を見てみてください。」リュナにそう促されたので見てみると、、、

「うわ。」結構ビックリした。全身を白い鱗が覆い、角はいつもより長くなっている。更に腕が肥大し、まるで竜の腕だ。脚は鎧のようなもので覆われている。あと体が物凄く軽い。試しにミノタウロスを殴ってみるが、15m位吹っ飛んで灰になった。竜化つええええ!!!!! そしてリュナに予め言われていた解除の言葉を呟く。

封印(シール)」そう呟くと体は元通りになった。不思議なことに軽い体から重い体へ変化するから、暫く動けないかと思ったけど、そんな事はなくいつも通りになる。竜化つええええ(2回目)

 

 

 

 ダンジョンから黄昏の館へ戻り、シャワーを浴びる。そして汗のついた服を脱いで、洗濯物置き場に置いてからワイシャツとスラックスに着替える。この組み合わせは動きやすい上にお洒落でもあるから気に入っている。そしてお金を財布に入れてから酒場へと向かう。今日は俺のランクアップ祝いを酒場でやるらしい。

 

 

 

 「リゼリットランクアップおめでとうな!!それじゃあ思う存分飲めやぁぁ!!!」ロキがそう言うと各々酒等を注文し出す。もしかして、俺のランクアップ祝いは建前で、ただ酒を飲みたいだけなんじゃ、、、そんなことをおもいながら二人席に一人で座り、ウエイトレスに厚切りステーキと、激辛生姜酒を頼む。するとヒューマンのウエイトレスが

「ホントにそのお酒にするんですか!?」と言う。

「この酒に何か問題でも?」

「問題有りすぎですよ!?()()っていうの見えてますか!?」実は俺は辛いものが大好きだ。これまで沢山の辛いものを飲み食いしてきたがこれはどのくらい辛いのだろうか。激辛なら楽しませてくれよ?

「シル。アイツは覚悟を決めて頼んだんだ。なら男、いや漢の覚悟を見届けるべきだろう?」店の店主が言う。続けて店主がシルと呼ばれたウエイトレスにこっそり言う。(聞こえてるけど)

「アイツがあれを飲み終えられたらステーキの肉を最上級の肉にするから持ってきといで。」そしてジョッキ一杯にそれは運ばれてきた。これが激辛生姜酒ねぇ。パッと見はジンジャーエールだ。そしてジョッキをつかんだあと一気に飲む。上手い。口の中に広がるツンとした香りが良い。口内を刺激する辛さも最高だ。まるでツンしかないツンデレのようだ。そんなリゼリットの様子をミアやシル、その他ウエイトレスが驚きの眼差しで見ている。これはもう一杯欲しい。アイコンタクトでシルに合図するとシルは寄ってくる。そして俺は言った。

「お代わり、貰えますか?」

「アイツ、ヤベー奴ニャ。」そんな声が聞こえた。そして生姜酒とステーキが届けられた。届けてくれたシルに手招きすると、こっちにきた。

「何でしょうか。」そう聞くシルに誰にも聞こえない声で言う。

「お肉。最上級にしてくれてありがとうございます。」そう言うとシルはクスッと笑った後

「気づいていましたか。ミアお母さんに伝えておきます。私はシル・フローヴァです。あなたの名前は?」

「リゼリット・ハイドランジアだ。」

「それではリゼリットさん。これからもご贔屓にお願いしますね。」シルはそう言いもう一度クスッと笑った後厨房へ消えていった。そして楽しい時間をすごしたのであった。




今回も読んでくれてありがとうございます。あとお気に入り登録100越えありがとうございます!!感謝です!!


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打倒&未知

久しぶりの投稿です。何故遅れたかというと、リアルが忙しかったって言うのと、ボロクソ言われるのが怖かったってだけです(言い訳)
まぁ、皆さん楽しんでいただければようござんます


 静まり返った図書室でリゼリットは酷く焦った様子で本のページを捲っていた。しかし何れも探しているものと違うようで棚に戻したり、引き抜いたりしている。そうこうしているうちにリゼリットは古ぼけた本を読みながら立ち止まった。そして本を棚に戻して立ち去った。先程までリゼリットがいた場所にヒラヒラと黄ばんだ羊皮紙が舞う。

 

ー竜人、それを一言で表すのだとすれば、怪物という言葉が当てはまるのではないだろうかー

 

 

 

 

 

 薄暗い道をランタンの灯りを頼りに歩く。リゼリットはダンジョンに来ていた。異常なスピードで階層を下っていき、リヴィラの街を通り越し37階層の白神殿に向かっている。そう、ウダイオス討伐だ。レベル2がウダイオスに単身挑みにいくという蛮行には2つの目的が有った。

 一つはランクアップだ。と、いうわけも前回のランクアップから約5ヵ月。もうそろそろランクアップして良い時期だと考えたのだ。そしてもう一つは自分の力を高めるためである。それは鍛練等では無い。少し怪物紛いの事をして自分の位階を高めるのだ。

 そして37階層へと下る階段の前へと着いた。幸いにもダンジョンのマップは全て頭に入っているから最短ルートで来れた。リゼリットは無言で深い闇の中へ入っていった。

 

 

 

 

 

 「uohhhhhhhhh」

 

ウダイオスのつんざくような咆哮に顔をしかめた。そして長刀を抜いた。リゼリットは目の前のウダイオスを冷静に見据えて、駆け出した。リゼリットが走ったところを追うように黒い剣山が突き出してくるが、気に止めず駆け抜け、ウダイオスの懐に入り長刀を目一杯振った。しかしあまりの硬さに長刀は弾かれた。一瞬、動揺したリゼリットだったが、直ぐに行動を開始する。灯台もと暗し、ウダイオスの懐に居る分、九分九厘攻撃は当たらない。リゼリットはウダイオスを蹴って肩の関節まで登った。そして関節に刀を突き刺した。

 

「ohhhhhhhhhhhh」

 

ウダイオスが絶叫する。鼓膜が破れた。そのままゴライアスの胴体の上を駆けてもう片方の肩の関節も外した。

 

ーゴライアスの残存体力が半分を切りましたー

 

リュナが珍しい敬語を使い、戦闘の補佐をし出したことに若干の驚きを隠せない。が、そんなことは措いておこう。

 このままウダイオスの上でロデオをしていても埒が開かない。リゼリットはウダイオスの頭の上に登り、思い切り飛び上がり、落下の勢いを着けて、ウダイオスの頭骨に長刀を降り下ろした。リゼリットはウダイオスの頭骨に皹をいれながら地上に戻ってきた。

 

ー残存体力、約1/4です。頭の皹に攻撃を集中させるのが最善策と思われますー

 

「カノン」

 

リュナに従おう。リゼリットは魔法を詠唱し、球体を虚空に浮かせた。そして狙いをゴライアスの頭の皹に合わせて、

照射した。

 光線はウダイオスの皹を直撃した。そしてウダイオスは前のめりに倒れた。リゼリットは目の前に倒れてきたウダイオスに近寄りぱっくりと開いた頭蓋に目を向けた。

 

ーとどめをー

 

ウダイオスの皹に長刀を突っ込む。力を込めてウダイオスの皹を更に広げて、やげてウダイオスの頭が二等分された。リゼリットはウダイオスの灰の中にある魔石に近付いた。いままで見たことのなく大きい魔石。それを砕く。握りこぶし一つ分位の大きさに成った魔石に手を掛け、食べた。

 これが目的だ。竜人という種族は魔石によって成長するのだ。

ゴリゴリという咀嚼音が誰も居ない37階層に響いた。

 




え?ゴライアスを百文字程度で狩ったぜこいつ


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衝撃&逃走

 滅茶苦茶戦闘しそうなタイトルですが日常回です。主人公とリヴェリアのキャラ崩壊注意です。


 「おい、リゼリット。正直に言い。自分、何したん?」

 

 ロキのその言葉とともに渡されたのはステイタスの書かれた羊皮紙だった。

 

リゼリット・ハイドランジア

 

レベル3

 

力 :I 0

耐久:I 0

器用:I 0

俊敏:I 0

魔力:l 0

 

《魔法》

 

<ゲノス・ドラコ>

詠唱式【作者権限行使!!!】

<ドラコ・カノン>

詠唱式【カノン】

<ドラコ・トイコス>

詠唱式【トイコス】

<>

 

《スキル》

【血族】

自分の身体に武器を突き刺す事で、武器に穢れた血を付与することができる。使用中は失血していくのでダメージを負い続ける。

 

【魔神契約】

魔神との契約特典が使用出来る

 

特典

・経験値量増加

・敵が龍種だった場合、ステイタス超絶補正

・自らの瀕死時、ステイタス超絶補正

 

【竜化】

・任意発動

・自分の身体を竜へと変えることで身体能力を爆発的に上昇させる。使用中は痛覚が遮断される。

 

【竜力行使】

・竜力の行使権

・竜化のリミッターを外す

 

【怪物】

・魔石を喰らう事で力を得る。蓄えた力はステイタスに反映されることは無いが、本人が望んだ時に純粋な力として身体に還元される

・力を引き出すことで身体能力が大幅に上昇し、特殊能力が付与される。効果は永続的に続くが代償として自我を削る。

 

特殊能力:無し

 

怪物化進行度:0%

 

 リゼリットは絶句した。ランクアップはしているだろうと思ったからそこまで驚きはしなかった。魔神と契約したという事実も何かしらスキルとして表れると思っていた。しかし【孤軍奮闘】等のスキルが無くなり、新たに生まれた【怪物】と言う名のスキルについてだ。十中八九、魔石が原因だろう。

 

「この【怪物】ってスキルはなんや?何したん?」

 

特に異常が無ければ魔石を食べたことは黙っていようと思っていた。しかし有事である。リゼリットは仕方なく口を割ることにした。

 

「魔石を、食べました」

 

ロキは目を見開き、動揺した様子で僕に言った。。

 

「リゼリット!?それをどこで知ったんや!?」

 

「ギルドの図書室で見つけました」

 

次にロキは表情を曇らせた。そして申し訳なさそうに言った。

 

「実はな、ウチも全部しっとったんや。竜人という種族が魔石を喰って成長するのも、全て知っとった。フィンもリヴェリアもガレスも知っとった。でもそれを言えばリゼリットは自分のことを調べて、傷付くかもしれんから言わんでおいた」

 

「全て、とは、、、」

 

「竜人は何れだけ人と近くても結局は、怪物と人間のハーフなんや」

 

「つまり、リゼリットは魔石を食えば強化種として成長する怪物と同じってことや」

 

 リゼリットは息を詰まらせた。知っていた事である。しかし自分が一度が家族だと認められた人物に「お前は怪物だ」即ち「お前は殺すべき敵だ」と言われることはリゼリットの精神を的確に抉った。本を見たときの気持ちが蘇った。

 

もし自分が怪物だとすれば、この胸で動く心臓は何だ?

 

もし自分が怪物だとすれば、この身体に流れる紅い血は何だ?

 

もし自分が怪物だとすれば、リヴェリアさんに言われた家族という言葉の意味は、、、

 

 頭の中を様々な考えが網羅した。リゼリットが魔石を食べれば、強くなるかもしれない、と無理矢理考えたのは自己嫌悪から逃れる為だった。前向きに捉えることで自分は怪物じゃないと言い聞かせることが出来た。しかし事実から逃げることは出来なかった。

 気付けばリゼリットは走っていた。行く宛もない。行く目的すらない。ただ、ただ走っていた。ロキが僕を止める声が空に響いていたがリゼリットの耳にはまるで届いていない。

 気付けば暗く成るオラリオを雨雲が覆っていた。

 

 

 

 リゼリットは雨の中を走りびしょびしょだった。無我夢中で走った。けど胸に立ち込める霧は無くならない。茫然と立ち尽くすリゼリットの肩を誰かが叩いた。

 

「済みません、もしかして、、、」

 

リゼリットは振り返った。すると、そこにいたのは酒場の店員のシルだった。

 

「やっぱり!リゼリットさんじゃないですか!」

 

「どうしたんですか!?こんな大雨なのに、、、」

 

家出だと言えない。私情に他人を巻き込みたくない。

 

「いえ、、、少し、、、」

 

リゼリットは言葉を詰まらせた。そんなリゼリットを見てシルは察したのか、笑顔で言った。

 

「取り敢えずここから店は近いのでタオルを借りましょう!話はそこで」

 

リゼリットはシルに手を引かれて街を歩いていく。数分もしない内に酒場に着いた。

 

 リゼリットは借りたタオルでびしょびしょの身体を拭いながら、暖かいコーヒーを啜った。

 

「何が有ったんですか?もし話して楽になるなら言って下さい」

 

この時間は客足が少ないらしい。ましてやこの雨なので客は僕しか居なかった。家出した経緯をぶちまけるには良い環境だろう。

 

「全部から逃げたくなりました。そして逃げました。逃げられなかったけれど」

 

最近、店で一人で酒を呑むことが多く、シルとは仲良くなっていた。シルになら悩みを打ち明けられた。

 

「済みません。分かりにくくて」

 

「結局、どう足掻いても俺は怪物なんだ」

 

誰にも聞こえない声で言ったその言葉をシルは拾った。そしてクスリと笑った。リゼリットはシルをみて自嘲気味に言った。

 

「笑える程可笑しいですよね」

 

「いえ、そう言うことではないんですよ」

 

シルに目を向ける。

 

「いや、リゼリットさんも悩むんだなぁ、と思いまして。悩みも全部一蹴するタイプだと思っていたけど」

 

シルは自分は何だと思っているんだ。そう心で呟いた。そう言えば今まで真剣に悩んだことなんて無かったし、真剣に怒ったことも、真剣に悲しんだこともなかった。

 

「最初の方の独りでいるリゼリットさんなんて物凄く怖かったですよ?」 

 

「そう、ですか?」

 

「そうです!何を聞いても「はい」か「いいえ」しか言わないし!しかもずっと表情を変えないからなんだか嫌われてるのかな、なんて思ったりして」

 

そう言うわけでは無い、と即座に否定した。するとシルは分かってます、と言って話を続けた。

 

「でも今のリゼリットさんはちゃんと悲しい顔をしていますよ。悲しそうな目は何時も通りですけど」

 

笑うシルに首を傾げた。シルはまだわかりませんか?と前置きをして言った。

 

「ちゃんと人間ですよ。貴方は。今は逃げていてもいいんです。ちょっとずつ振り替えって立ち向かってください」

 

「きっとリゼリットさんなら出来ますよ」

 

 少し、ほんの少しだけど楽になって救われた気がする。帰ってロキに謝ろう。そう決心して立ち上がった。タオルと相談代(?)と言うことで少し多めに、見慣れないエルフの女性にお金を払った。カウンターの奥へと進んでいく女性を指してシルは言った。

 

「あの娘、新しく入った娘なんですけど器用なのに不器用なんですよね。リゼリットさんと少し似ているのできっと気が合うと思いますよ」

 

リゼリットは褒めているのか、貶しているのか分からない言葉とともに酒場を出た。

 

 

 

 気まずさに逃げたくなる気持ちに立ち向かい本拠に入ったリゼリットは完璧な土下座と言うものを見せられ少しの間硬直していた。

 

「リゼリット、すまんかった!」

 

数秒して硬直が解ける。

 

「いえいえ。どうか頭を上げてください。ロキ様。もとはと言えば悪かったのは自分なのに」

 

「それでも行ってはいかん言葉だったわ!」

 

リゼリットはロキの見よう見まねで土下座をする。

 

「これでお相子にしましょう。ロキ様」

 

「本当に済まんかった。お前は怪物やない!ウチの大事な家族や!」

 

「俺もいきなり家出して済みませんでした」

 

 結局、この土下座大会はリヴェリアが来るまで続いた。大会の結果、リヴェリアの拳骨を一緒に受けることになり、頭の形が変形しかけたのは別の話である。

 

 「お前は怪物なんかじゃない!大事な私の息子だ。だから一緒に寝よう!」

 

と、リヴェリアさんに言われて一緒に寝たのも別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あれっ、ハーレムなっ、、、ハーレム無s、、、の筈じゃ、、、

そして知らぬ間に崩壊していた闇派閥。


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発見&覚悟

 リュナの口調不安定すぎィ!自分、リュナの口調調べて良いっすか?
取り敢えずダンまち知ってそうだからダンまちリストにぶちこんでおくぜー!



 声が響いた。何時も聞きなれたあの魔神の声だ。

 

ーねぇ、ねぇってば!ー

 

朝からうるさい。何なんだ?

 

ー酷い、、ー

 

そう悲しそうな顔をするな

 

ー君は自分の目的を忘れていない?ー

 

、、、、、、、。ああ。覚えている。確りと。

 

ーそれなら良いんだけどー

 

ーもしかしたら明日かもしれないし、何十年後かもしれない。でも確実に貴方が生きている間に避けては通れない敵が来るー

 

それは、、、

 

ーううん。黒龍じゃない。それとは違う何かー

 

それを俺に伝えてどうする。

 

ーどうにも成らないかもしれない。でも伝えておいた方が良いと思ってー

 

ー今のうちに出来るだけ強くなって。貴方以外にその敵を倒せる人はいない。もし、貴方が負けたら(死んだら)、きっとオラリオは無くなるー

 

ー貴方の家族はきっと皆死ぬ。優しい主神も、格好いい小人も、強いドワーフも、横で寝ているエルフも、貴方の可愛い弟子も、皆死ぬー

 

ー奪われたくないなら奪うしかないの。そいつの命を奪って。また、家族を失いたくなのならー

 

 

 

 

 

 突如、頭痛と言い様もない恐怖に襲われて目覚めた。横ではリヴェリアさんが僕の腕を抱いて眠っている。部屋着ということもあり、余り見ない姿をしているリヴェリアさんは新鮮で美しかった。リゼリットはリヴェリアさんを一瞥したあと、部屋の扉をゆっくりと開けた。余り部屋が少ない最上階といえ仮にも此処は女子棟である。見つかったらきっとこの本拠内での社会的地位が音を立てて崩落するだろう。リゼリットは気配と足音を消して朝早い廊下を歩いていった。

 起きた後、軽く体を動かして朝食を食べているのだが、訓練所でアイズと会ってから、何故だかずっとアイズが上着の裾を掴んでいる。

 

「ねぇ、リゼ。リヴェリアと一緒に寝たって本当?」

 

「ああ」

 

無表情でアイズが詰め寄ってくる。正直怖い。

 

「そう。それなら今日は一緒に寝よ」

 

何故にそうなった???

 

するとティオネがリゼリットとアイズの向かえの席に座って朝食を食べ始めた。

 

「私達が話すこと、余りなかったから新鮮ね」

 

「えと、あっちで食べなくても良いのか?」

 

リゼリットが指を指した方向ではレフィーヤとティオナがじゃれあいながら朝食を食べている。

 

「レフィーヤは分かんないけど、ティオナとアイズもあんたと仲良くなってるのに私だけ仲間外れってのも癪だと思ってね」

 

「そうか」

 

「そうよ」

 

「「、、、」」

 

会話が続かない。別に自分が話す話題も必要性も無い。アイズに裾を握られたまま朝食を食べ始める。するとティオネが吹き出した。

 

「どうかしたか?」

 

「いや、だって!アイズがずっと裾掴んでるの、全く気にせず食べ始めるから!」

 

そんなに吹き出すようなことだろうか。でも少し気まずい状況を切り開けるかもしれない。

 

「何故、アイズはずっと俺の裾を握っているんだ?」

 

「さっきのあんたたちの会話から察するに、多分、嫉妬ね」

 

アイズがビクン、と反応して顔を赤らめている。リゼリットは意味が分からず首を傾げた。

 

「ほんと鈍感ね。まぁ何時か分かる日が来るわよ」

 

その何時かは何時なのだろうか。問は分からないまま朝食を食べ終えた。

 

 

 

 

 

 薄暗い道をリゼリットとアイズは歩いていく。二人は朝食を食べ終え、ダンジョンに探索に来ていた。二人の道を阻む敵は容赦なく切り伏せられていく。

 

「アイズ、強くなったな」

 

アイズの師匠を務めてから約半年。アイズは着々と力を着けていき、元々、見事な剣技だったが更に磨きが掛かっている。

 褒められた当の本人は頬を緩めていた。思えば、会って直ぐのアイズはこんな顔はしなかった。シルがリゼリットに対して言っていた様に、出会った頃のアイズは本当に無表情だった。しかし今では人前で頬を緩めるまである。半年という中途半端な間に、自分の周りの人はどんどんと変わっていくことに少しの恐怖と焦燥を感じながらダンジョンの敵を斬り倒していった。

 暫くダンジョンを進んでいって、リゼリットは異変を感じた。明らかな血の匂い。しかも人のそれだ。近くでぼ冒険者が死んだのだろうか。

 ダンジョンではよくあることだし気に止めることも無いが、匂っていると言うことは、まだダンジョンに吸収されていないと言うことだろう。それなら身分証なり、武器なり、本人を証明するものをギルドに渡そう。帰ってこない眷族を永遠に待ち続けるより、死んだと分かったていた方が主神の気も幾分かは楽だろう。そう考えてアイズとともに匂いを辿っていく。

 そして辿り着いた場所は行き止まりだった。それでも匂いは壁の奥からする。リゼリットは大刀を構えて、壁に降り下ろした。

 

「隠しエリア。まだマップにも出てないよ?」

 

「多分、今までにこのエリアを見つけた人が居たんだろうけど、全員穴の中で死んだんだろう。アイズ、気を引き締めて行くぞ」

 

「はい」

 

壁が崩れ終わって、砂煙が立つ。リゼリットとアイズは顔を見合わせて、中へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 そのまま一直線の道を進んでいくが、暗くて辺りがよく見えない。リゼリットは腰に掛けたランタンに火種を入れ、灯をともした。そして進んでいくと、少しだけ開けた場所に出た。

 匂いが鮮明に成った。多分、この広場の居るんだろう。ランタンで照らしながら歩いていくと、黒くて小さい影を見つけた。後ろの方で休んでいるアイズは措いておいて、影に近付いていく。一歩、二歩と近付いた所で影の正体が分かり、リゼリットは目を見開いた。

 そこにいたのは、

 

 

 

 

 

少女を抱える母親だった。

 

 

 

 

 

 五歳にも満たないであろう少女と母親だ。母親の方は既に絶命していて息をしていない。二人の背中を見てみると恩恵が無い。少女と少女の母の背中に万が一の為に持っていた開錠薬(ステイタス・シーフ)を数敵垂らしたが、どちらとも反応が無い。しかし可笑しい話だ。ギルドが管轄しているこのダンジョンの中で少女が、恩恵の無い親子が見つかるなんてことは。

 考えてみれば此処は27階層。此処の水はメレンに通じているとリヴェリアさんから教わった。しかし即座にその考えは否定した。現在はリヴァイアサンのドロップアイテムでメレンと通じている穴は封鎖していると聞いた。それなら、何故、、、。

 リゼリットは頭を振った。取り敢えず目の前で吐血している少女にポーションを飲ませよう。裂傷は外から掛けて治療しよう。そう考えて少女の服を捲った瞬間、息を飲んだ。少女の体を覆う青い鱗。リゼリットは少女の頭を見た。そこには羊の様にクルリと丸く捻れた青い角があった。

 

「蒼の竜人族」

 

もし、メレンとの間を封鎖するリヴァイアサンのドロップアイテムが無くなった、取られたとしたら、この親子は流れ着いたことになる。実をいうとこの親子がとてつもなく人に似たモンスターだという可能性も考えていた。しかしこの子は竜人だからその可能性は無しだ。俗に竜人は18歳を過ぎるまではどの種族よりも弱いと言われているが、自己回復力だけはズバ抜けて高い。更に蒼竜の血を引く蒼の竜人族は、竜人の中でも頭一つ抜けて自己回復力が高い。しかも母親に確りと抱き抱えられた状態だと言うことを考えれば水路を渡ることだって不可能ではない。ポーションを飲み込んだ少女はむせこんだ。リゼリットは、少女が生きているようで安心した。少女を母親から遠退けると、リゼリットは母親の身体に液体を掛けた。そして弔いの意味を込めて、母親の身体に火を放った。 

 するとアイズがこちらに気づいた様で少女を覗き込んだ。

 

「リゼリット、その子どうするの?」

 

「一先ず、ロキの所に連れていこう」

 

 リゼリットは少女を抱き抱えた。外見から察するに年齢は2、3歳だろう。其にしては、栄養が足りていないのか、小さく、余り物が入っていない、リゼリットのバックパックにすっぽりと入った。そしてリゼリットはスキル【竜化】を使い、翼を伸ばした。そのままアイズを抱えて、飛び立った。

 

 

 

 

 

 地上に着いたアイズは酷くぐったりとしていた。理由はリゼリットの超高速移動の所為である。リゼリットはぐったりしたアイズを一瞥して本拠に入っていった。本拠の中でアイズと別れて、一人で団長室に向かっていき、目の前の大きな扉をノックした。

 

「リゼリットです」

 

「ああ、君か。入って良いよ」

 

ゆっくりと扉を開ける。丁度良く、フィン、リヴェリア、ガレス、ロキの四人が揃っていた。

 

「リゼリット、どうしんだい?」

 

リゼリットは抱えている少女を降ろして、覆っている布を取った。

 

「ダンジョンの27階層で発見しました」

 

その場の四人が驚く。

 

「ロキ、リゼリットは嘘をついているかい?」

 

「いや、ついとらん」

 

「その子の種族は何だ?」

 

リヴェリアさんの質問に答えるように、服を捲って見せた。

 

「僕と同じ竜人です」

 

少女の蒼い髪に付けたヘアピンを取ると、角が露に成った。リゼリットはヘアピンを付け直しながら幹部達と話す。

 

「少女を発見したとき、母親だと考えられる女性に抱き抱えられていたんです。十中八九、その女性が母親でしょう」

 

寒いのか、少女は小刻みに震えている。少女の服と布を戻した。

 

「それなら提案が有ります。この子を育てませんか?」

 

「「「「!!!」」」」

 

この子が隠し持っているもの等は何一つ無かった。危険性は無いと言って良い。

 

「竜人は竜人や、竜が育てないと大成しないそうです。それなら俺が育てます」

 

育てる、ということはその子の一生の責任を取る、と言うことでもある。だから生半可な覚悟で育てるなどと言ってはいけない。フィンやガレス、リヴェリア、ロキはリゼリットの目を覗き込んだ。リゼリットの顔は会ったときと変わらず無表情なままだ。目も何処と無く悲しい。しかしその目は覚悟を決めた者の目だ。

 

「僕は良いと思うよ。その子がリゼリットの何かを変えるかもしれないしね」

 

「私も賛成だ。その目ならな」

 

「儂も賛成じゃ。少しはこの不器用も器用になるかも知れんしのぉ」

 

「ウチも賛成やな。しっかし可愛ええ子やなぁ、リゼリット、たまに抱き締めさせてくれな!」

 

リゼリットは全員を前に一礼した。そしてお礼の言葉を言ってから部屋から出た。リゼリットの部屋は個室だから少女を育てることも出来るだろう。

 

この時、リゼリットは知らなかった。此の少女が、波乱の渦にいることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




後悔はしていない!新しいキャラを出したことに!


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設定&整理

ただの設定です。少し整理しようと思い書いてみました。前回に蒼の竜人族とかだしましたが、それで頭がこんがらがってる人は読んだ方がいいかも知れません。



《主人公》

 

リゼリット・ハイドランジア

 

歳  :15

 

種族 :竜人

 

レベル:3

 

二つ名:無双

 

外見 :白髪、白肌、白眼、高身長、容姿端麗

 

性格 :冷静沈着

 

人間関係:ロキ=主神

    :フィン=団長 

    :ガレス=不明

    :リヴェリア=母親

    :アイズ:=弟子→妹(?)

    :ティオネ=友達

    :ティオナ=友達

    :レフィーヤ=不明

    :ベート=?????

    :竜人の女の子=娘

etc…

 

 

 

《武器》

 

・約定

 

形状:大刀 

 

付加:[不壊属性]

  :[破砕属性]

  :[止血不可] 

  :[崩壊]

  :[再帰]

 

・契約

 

形状:刀

 

付加:[不壊属性]

  :[切断属性] 

  :[回復不可]

  :[崩壊]

  :[再帰]

 

・纏鞘

 

形状:円

 

機能:鞘 

 

備考:仕組み不明。使用者の背後に浮遊し、円の中に武器を入れて鞘の様な役割をする。使用者の意志で位置を変えることが出来る。

 

・羽織

 

形状:衣服

 

機能:装備 

 

外見:羽織 コート

 

備考:防御力皆無。しかし回避能力が著しく上昇。

 

・化け狸

 

形状:ヘアピン

 

機能:偽装 扮装

 

備考:他種族に化けることが出来るようになるマジックアイテム

 

 

 

《竜人》

竜人

 

特徴:鱗と角が有り、形は様々。主人公は前頭部から二本の真っ直ぐな角が生えている。

 

弱点:角

 

備考:魔石を食べることで強くなることが出来るスキルが発現する。スキルの恩恵で一つだけ特殊能力が扱える様になる。

 

・紅の竜人族

 

紅竜の血を引く竜人族。ずば抜けて力が強い。気性が荒く、非常に好戦的。鱗や角が紅く、基本は赤髪。

竜人全体の約59%

 

・蒼の竜人族

 

蒼竜の血を引く竜人族。ずば抜けて自己回復力が高い。ポーションの効果が大きいのも特徴。冷静沈着だけど非常に人懐っこい。鱗や角が蒼く、基本は青髪。

竜人全体の約10%

 

・碧の竜人族

 

碧竜の血を引く竜人族。ずば抜けて体力が高い。活気があり、好奇心旺盛。鱗や角が緑色で、基本は緑髪。

竜人全体の約20%

 

・金の竜人族

 

金竜の血を引く竜人族。ずば抜けて魔力が高い。全員が女性で、全員色気があり、美しい。鱗や角が黄色で、基本は金髪。

竜人全体の約15%

 

・原始の竜人族

 

白竜の血を引く竜人族。天才的で全ての力が高く、その中でも身体能力が高い。また高い智力も持つ。鱗や角が白で、基本は白髪。

竜人全体の約ー%

世界中に現在一人

 

・黒の竜人族

 

黒龍の血を引く竜人族。天才的で全ての力が高く、その中でも身体能力が高い。非常に強い力を持つ。鱗や角が白で基本は黒髪。

竜人全体の約ー%

未発見

 

 

《元ネタ》

 

武器

 

・約定→ニーア オートマタ 白の約定

・契約→ニーア オートマタ 白の契約

・纏鞘→ニーア オートマタ 名称不明 武器の鞘

 

スキル

 

・【血族】→blood borne

 




感想、評価、お気に入り、しおりはとーっても励みに成るので是非!


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奇襲&不明

戦闘回です。戦闘描写が滅茶苦茶下手くそなのは言わないで下さい!


 黒に染まるオラリオの中で一つだけ灯りがついていた。

 部屋の中で、リゼリットは隣で眠る少女に眼を向けた。この少女が娘に成ってから早一週間。未だ名前すら浮かんでこないし、この子の声すら聞いたことがない。母親が死ぬ、と言うのは三歳の子供が体験してはいけない痛みだ。リゼリットはそれを誰よりも理解していた。だから母親を殺されて精神が破綻しているのも分かっていた。

 不意に外を見た。何故だろうか。嫌な予感がする。そしてリゼリットは開いた窓から外へ引き出された、、、

 

 

 

は?

 

 

 

 「よぉ!!!」

 

頭に衝撃。次に鼻。そして腹。

 咄嗟のことで理解が出来ていない。リゼリットは取り敢えず目の前に向かってくる拳を掴んだ。

 

「はっ!俺の拳を掴むか」

 

色んな疑問が脳内を駆け巡るがその前にこいつは誰だ。

 

「お前は誰だ」

 

リゼリットは不確かな視界のまま目前にいる人物を見据えた。全身に刺青が刻まれている男だ。

 

「そいつは答えられねぇな。なぁ竜人の娘は何処だ?」

 

「そいつは答えられねぇな」

 

男が後ろに下がる。

 

「そうか、じゃあ死ね!」

 

リゼリットは黙って拳を構えた。男の拳が顔に直撃する直前で顔を横にずらして回避した。

 

「お前、結構強ぇな。そこは父親譲りか?」

 

煩い男を無視してリゼリットは男との距離を一気に詰めて、顔面を殴った。

 

「おいおい、だんまりはつまんねぇぜ?オーディンのガがよぉ!」

 

「は?」

 

何を言っているんだ?この男は。リゼリットがそう思う間にも男はリゼリットの胸ぐらを掴み顔面を殴打した。そして下卑た笑いを浮かべながら男は言った。

 

「ヒャハハハハ!自分の事も知らねぇのか!こいつは!そりゃあおもしれぇな!」

 

男は馬乗りに更に激しくリゼリットの顔面を殴打する。

 

「結構可愛い顔してるじゃねぇか。女だったらこのまま犯してたぜ?」

 

馬乗りのまま男はリゼリットの腹を殴った。急に込み上げてくる鉄のような味。リゼリットは血を吐いた。男は更にリゼリットを殴る。暫く殴り続けられリゼリットのヘアピンが取れた。男は露に成ったリゼリットの真っ直ぐな角を見て、気持ち悪い笑みを浮かべた。そしてリゼリットの角に手を掛け、折った。

 何故か声は出なかった。叫べていたなら、何れだけ楽だったろうか。男はそのまま角をリゼリットの片眼に刺したが、そんなことは正直どうでもよかった。竜人の弱点は角だというが、今、リゼリットはそれを確信した。

 

「いいか?よく聞けよ」

 

男はリゼリットに言う。

 

「ハイドランジアには神の血が流れてるんだ」

 

そう言って、男はリゼリットの左眼を抉り出した。そのまま角で腹を刺してかき混ぜる。

 

「そしてなぁ、オーディンは自殺なんかしてねぇん。おっと話しすぎたな」

 

それだけ言って、男はリゼリットのから離れた。そして黄昏の館の三階、リゼリットの窓に向かって大きく跳躍し部屋に入った。それから三秒もしない内に男は出てきた。少女を抱えて。

 

「じゃあな!」

 

身体が動かない。このままだと少女が連れ去られてしまう。朦朧とした意識と半分に成った視界の中でリゼリットは力を求めた。

 

ー力の渇望を確認。スキル【怪物】を使用しますー

 

ー怪物化進行完了ー

 

脳内にそんな声が響いた。

 

リゼリットの身体が光った。そして光の中から翼を持ったリゼリットが飛び出してきた。リゼリットは男を追う。光の速さで男の所へ行き、肥大した腕と爪で身体を貫いた。そして顔を掴み、両端から圧力をかける。

 

「あああああ!止めてくれ!痛い!痛い!まだ死にたくない!」

 

男の顔が苦痛に歪む。次の瞬間、鈍い音が響いた。リゼリットの白い髪を赤が染める。男だったものからは脳液が漏れ出し、リゼリットは男を投げた。勢いよく飛んでいった男はやがて見えなくなり、宙に舞う少女をリゼリットは胸に抱き寄せ垂直に堕ちた。背中を下に、少女に衝撃は与えないようにリゼリットは撃墜する。リゼリットは辛うじて生きている様で半眼で、アイズが近寄ってきている様子を見ながら意識を手放した。

 

 

 

 見慣れた天井だ。さっきから頭痛が酷い。急に少女のことが浮かんで、焦ったがリゼリットの隣で、リゼリットの腕を抱いて眠っていて安心した。治療後らしく、リゼリットの上半身は裸で包帯が巻いてあり、血が滲んでいた。すると部屋の扉が開いて、幹部三人とロキが入ってきた。

 

「目覚めた様で良かった。早速だが何が有ったのかい?」

 

リゼリットは事情を話した。今回に至って、リゼリットは何も悪くない。むしろ被害者だ。フィンはロキに嘘をついていないか、確認したがロキは首を横に振った。そして暫くの間、談笑したあと、リヴェリアを除く全員が帰っていったがリヴェリアさんだけが話が有るようで残っていた。

 

「先ずは、リゼリット、その子と何が有った?」

 

リヴェリアさんは隣で眠る少女を指して言った。

 

「いや、特になにも」

 

「お前が倒れていた日からその子がお前から離れようとしないんだ。前までなら直ぐに離れていただろうし、そもそもそうして眠ること事態無かっただろう」

 

思えばそうだ。中々なついてくれず頭を抱えていたと言うのにこの有り様だ。リゼリットが男から少女を死守したからだろうか。理由はともあれ、素直に嬉しい

 

「そして次に報告だ。どうやらお前の身体はポーションを受け付けないらしい」

 

リゼリットの頭に大きな疑問符が浮かんだ。

 

「損傷の酷かった部分、特に腹にエリクサーを掛けたら逆に溶けた。だから自然回復を待つから暫くは動けない。その間は退屈かもしれんが我慢する様に。そうだ、この間を使ってその子の名前を考えたらどうだ?」

 

そうリヴェリアさんが言うのよ同時に少女が寝言を言った。

 

「お、、と、、、、さ、、ん」

 

この子には親が必要だ。実を言うとこの子の親になると決めた時の自分の気持ちや考えと言うものはよく分かっていなかった。ただこの子に昔の自分を見た気がした。今の自分の様に成って欲しく無かったから、この子を育てようと思ったかも知れない。

 気付けばリゼリットの部屋には大量の本が置かれていた。詰まらなくならないようにと配慮して置いてくれたのだろう。リゼリットはおもむろに本を一冊取って、ページを繰った。少女の名前を探して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




戦闘描写が滅茶苦茶下手くそなのは言わないで下さい!

それとお気に入り200突破有り難うございます!

しおり80件突破有り難うございます!

白熊飴さん、コメント感謝致します。

その他コメントをくれている方、しおりをしてくれた方、お気に入りしてくれた方、この作品を読んでくれている全ての方に感謝致します。


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訪問&友人

タイトルが適当に成ってくる今日この頃。

今回はエイナと絡めて見ました。

少し短めです(約1400文字)


 「暇だ」

 

リゼリットは本が散らばった部屋で呟いた。窓からは太陽の光が射し込み、風に木が靡く音が聞こえる。こんな日には外で散歩でもしようか、そんなことを考えるが自分の身体と、鬼のように怒る王族エルフがきっと許してくれないだろう。部屋に有った本は読み終え、隣で幸せそうに眠る少女にはシグルーン(愛称シグ)と言う名を与えた。本人も気に入ってくれている様だ。シグが起きている間は多少は紛れるものの、一人に成った瞬間、改めて暇を感じる。ポーションを受け付けなくなった自分の身体を呪いつつ、シグの髪を撫でていると扉を叩く音が聞こえた。

 

「リゼリット?起きているか?」

 

「はい」

 

 リゼリットは扉の奥のリヴェリアさんに返事をすると、音を立てて扉が開いた。すると入ってきたのはエイナだった。

 どうやらリゼリットの事を聴き、見舞いに来た様だ。そしてリヴェリアさんが部屋から出ていき、二人きりに成った。

 

「リゼリットく~ん。冒険者は冒険しちゃダメって私、何度も言ったよねぇ~?」

 

お、鬼のように怒るエルフ、、、。しかし今回は不可抗力だ。自分から吹っ掛けたわけではない。珍しく必死に成って弁明するリゼリットにエイナは笑った。

 

「フフフ。冗談だよ」

 

「でーも!あまり無茶はしないこと!」

 

リゼリットは大人しく二、三度頷いた。エイナはその姿を見て再び笑った後、隣に居るシグを指して言った。

 

「そう言えばその子が最近悩んでるって言ってた子?」

 

リゼリットは前にエイナに子育ての相談をしたことが有った。そのことをエイナは思い出したようだ。しかし今は何故だかなついてくれているから悩みは消えたのだが。

 

「名前はシグルーンにした。シグって呼んでやれ」

 

そうリゼリットが言うとエイナはシグを撫で、本で散らかっている部屋を見渡した。 

 

「あー。だからこんなに本が散らかっているだ。名付けに苦労していたんだね」

 

リゼリットは黙って頷く。エイナはリゼリットとシグを交互に見て微笑みを浮かべて本を拾い始めた。居たたまれなくなったリゼリットも拾おうとしたが傷口が傷んで叶わなかった。

 

「大丈夫!?もう。リゼリットくんは寝てて」

 

ぐぅの音も出ない。エイナは手際よく本を拾い集めてリゼリットのベッドの近くにある机の上に置いた。

 

「エイナ、見舞い。来てくれてありがと」

 

「いきなりどうしたの。らしくないよ」

 

「あまり他人に言うなってロキとリヴェリアさんに言われたけどエイナは信頼出来るから言う。俺、ポーションが効かなくなったみたい」

 

エイナは心底驚いているが、リゼリットは気にせず淡々と話し続ける。

 

「だからいつ死んでもおかしくない。冒険者は死と隣り合わせだけど俺は他より死ぬ確率が上がった。だからこう言う感謝は伝えられる時に伝えておく」

 

エイナはリゼリットの思いと、言葉の語尾に省略された「死んでしまう前に」と言う言葉を察して、リゼリットの白い髪を撫でた。

 

「リゼリットくん。死なないでね」

 

それが叶わぬ願いでも。するとシグが寝言を言った。

 

「とー。とー。ど、、こ、、?」

 

リゼリットはシグの手を優しく握った。

 まるで本当の親子だ。その様子にエイナは癒やされながらも言った。

 

「うん。死なないでね。シグちゃんの為にも。きっと、きっとリゼリットくんなら良い父親に成れるよ」

 

「ああ」

 

夢の中で父親を探すシグ、それが現実に成らないようにしよう。そう静かに決心したリゼリットだった。

 

 

 




あれっ。ハーレム無しってタグが不在だなぁ。どこ言ったんだろー。


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訪問&医者

 思ったんですけど言葉ってどう教えればいいんでしょうか。だって最初の状態って話すことも出来なければ聞くこともできないし、読むことも出来ないわけですよね。自分等の母親はどう教えたんですかね


 「とー。これは?」

 

「ん?ああ。これは()()って言うんだ。見てろ、、、」

 

好奇心旺盛な娘にリゼリットは言葉を教えている。窓を指して、これはなんと言うんだ?と聞く娘を前にリゼリットは手を伸ばして窓を明け閉めした。

 

「こう使うんだよ。指を挟んだら危ないから余り触るなよ」

 

「わった!じゃー、、これは」

 

「それは()()って言うんだ」

 

そう言った瞬間にドアを叩く音が聞こえた。音にシグは驚き、リゼリットのベッドの上に駆け寄ってきた。リゼリットはシグを優しく撫でながら返事をした。

 

「はい」

 

「リゼリット、起きていたか。神ミアハと助手が到着された。開けて良いか?」

 

デジャブだろうか。そんなことは措いておいて、リゼリットは扉の奥のリヴェリアさんに返事をした。すると扉が開いて一柱と一人が入ってきた。

 

「ああ、シグも起きていたのか。少しこっちに来ていなさい」

 

リヴェリアさんが優しい声で言うと、シグは少し嫌がりながらもリヴェリアさんに抱かれて扉の近くでリゼリットを一緒に見守った。

 一柱は道具を用意すると、助手と一礼してリゼリットに言った。

 

「ロキから事情は聞いている。私はミアハでこやつは助手のナァーザだ。まずは傷口を見せてくれぬか?」

 

リゼリットは頷いて服を脱ぎ、身体に巻き付いている包帯を取った。傷が治る気配はなく、傷口は塞いでいないし、変色し出している。次いでに抉り取られて眼球の無い左目を見せた。

 

「これは酷いな。腹は分からぬが眼は治しようがない」

 

医神が治せないって言うのならもう一生治らないんだろう。エリクサー等が使えれば治せたかもしれなかったが、ポーション類をぶっかけたら身体が焼ける始末だ。所謂八方塞がりだ。原因を考えてみるが意味が分からなすぎて途中で止めた。

 

「他に怪我をしている所は無いか?」

 

身体を確かめてみる為に、リゼリットは化け狸を取った。それにより、白く煌めく鱗と真っ直ぐで太い角が露になる。化け狸を取ったら鱗や角が元に戻ると言うのは当たり前の事だったがリゼリットは違和感と疑問を抱いていた。この間の闘いで確かに角は折られた筈だからだ。其なのに角はリゼリットの前頭部からそびえ立っている。しかもこの間までより太く、長く成って。神ミアハと助手のナァーザは美しいその姿に心無しか見とれていた。

 

「おお。聞いてはいたがこれは、、!!」

 

「、、綺麗、、」

 

今のところ角に異常は無いようだ。ミアハ達が帰ったらリュナに聞こう。リゼリットがそう考えている間にミアハは異常は無いと判断したのか腹の診断を始めた。暫くしてミアハはリゼリットに質問をした。

 

「何で刺されたのだ?」

 

「俺の角を折って、それで刺されました」

 

「どのように刺されたのだ?」

 

「勢いをつけて刺されたあと、掻き混ぜられました」

 

随分と気持ちの悪い話だ。助手のナァーザさんも眼を閉じて顔をしかめている。ミアハは数分考え込んでリゼリット向き合った。

 

「良いか。よく聞くのだ。此れはただの怪我ではない。損傷が大きいのは分かるが、傷を負ってから今日までの日にちを考えて、本来なら出血が止まっていていい頃合いだ。しかし未だに出血が続いているということはこれは術の類いであろう。またお主の身体に流れている血も原因と考えてよいであろう」

 

「今から言うことは聞くことも出来るし、聞かないことも出来る。判断は其処にいるリヴェリア・リヨス・アールヴではなくお主が決めるのだ。お主はどうする」

 

 唐突に置かれた選択に少し戸惑った。ミアハがする話が何なのかはリゼリットは知らない。聞かぬが仏、なんて諺が極東にはあるが、この場合、それが当てはまるのかも分からない。しかしこの身体は全て自分のものだ。それなら聞こうではないか。リゼリットは決心して、頷いた。不意に扉の方を見た。そこにいたはずのリヴェリアさん達が居なくなっている。気遣いしてくれたのだろう。ミアハは話し出した。

 

「まずお主がこのままなら後3年という所だ」

 

「3年?」

 

「お主の余命だ」

 

リゼリットは息が詰まって声が出ない。そんなリゼリットを気にも止めずミアハは話し続ける。

 

「もっと生きていたいと思うのであれば術者を倒すことだな。それしか道はないぞ。それとお前の血についてだが、私から言うのは簡単なことだが自分で答えに辿り着くことに意味がある。探るのだ。自分自身を」

 

「取り敢えずは痛み止めと止血剤を出しておこう。それと、これは本当に困った時にだけ飲むのだ」

 

そう言ってミアハは丸薬を手渡した。リゼリットが其れを机の上に置くとミアハとナァーザは帰る準備を始めた。

 

「有難う御座いました。助かりました」

 

「ああ、また何か有れば頼ってくれ」

 

ミアハとナァーザが出ていき、リヴェリアとシグが飛び込んでくる。

 

「とーー!」

 

 飛び込んでくるシグが傷口に当たらない様に抱き抱えた。リヴェリアさんは何も聞かなかった。それが彼女なりの気遣いなのだろう。リゼリットは水で痛み止めと止血剤を飲んだ後、疑問を浮かべた。あの時、男の頭蓋を割って殺した筈だが。そし疑問が直ぐに解けることをまだ彼は知らないのだ。

 

 

 

 




 先の為の物語でした。余談だけど最近3歳になった再従兄弟が可愛い。シグが出てきたのはそのせいでもある。


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訪問&弟子(?)

 めちゃ短いです。1200文字無いです。気軽に読んでいただければと思います。



 リゼリットが怪我を負ってから一ヶ月が経った。傷口は少しだけ良くなった。それ以上に驚いたのはシグの語学力の成長だ。この一ヶ月間、付きっきりで言葉を教えているからか、シグは段々と普通に話せる様に成ってきた。あの「とー」という可愛らしくリゼリットを呼ぶ声は変わり無いが。

 

「とー!」

 

何時もの様にシグがそう言いながら飛び込んできた。リゼリットは傷口に当たらない様に抱き抱えて頭を撫でる。何時ものリゼリットは表情が乏しく、何を考えているのか、親しい人でさえ分からないのにシグだけには笑ってみせる。

 

「どうした?」

 

「誰か来たよ!」

 

扉を叩く音が部屋の中に響く。

 

「誰ですか?」

 

「私だよ」

 

アイズの声だ。もう5度目にもなるがお見舞いに来てくれたのだろう。

 

「入れ」

 

扉が開き、アイズが入ってきて、ベッドの隣の椅子に座る。

 

「調子はどう」

 

「まぁまぁ、だ」

 

何時もと変わらない返答。しかしその声は強く、回復してきていることが良く分かった。

 

「もうそろそろで復帰出来そう?」

 

「そうだな」

 

アイズは安心した様に深く息を吐いた。そして屈託のない笑みを浮かべるシグ撫でた。

 

「シグちゃんも段々確り話せるように成ってきたね」

 

「そうか」

 

「うん」

 

沈黙。しかし決して気まずいものではなく寧ろ心地いい。この沈黙が自分等の日常なのだから。

 

「そう言えばこれ。リヴェリアから」

 

渡されたのは一通の手紙だった。封筒にはリゼリット・ハイドレンジア、という名前とアスフィ・アル・アンドロメダという名前が書かれていた。

 

「何?それ」

 

「ああ、義眼の作成依頼書だ。少し特殊な義眼を頼んだ」

 

 リゼリットは便箋と領収書を封筒の中に入れて机の上に置き直した。

 

「そっちの調子はどうだ?」

 

「まぁまぁ」

 

「そうか」

 

再度訪れる沈黙。それを破る様にアイズは話した。

 

「良かった」

 

「?」

 

「リゼの調子が良くなって」

 

アイズは心配してくれていたのだ。アイズの他にもエイナ、ロキ、フィン、ガレス、リヴェリア、ティオネ、ティオナ、、、挙げれば切りがないがリゼリットの身を案じる者は沢山居た。少し照れ臭くなってベッドの上から手を伸ばして、乱暴にアイズの頭を撫でた。

 

「!!驚いた!!リゼがこうしてくれるとは思わなかった」

 

変な声を上げて驚き、喜ぶアイズが可笑しくなって少しだけ頬を緩ませたが、直ぐに真顔に戻った。

 

「シグは何時もこうして頭を撫でれば喜ぶ」

 

「そうなんだ。それと今、笑ってた?」

 

「、、、」

 

知らない。そんな訳は無い。有るわけがない。あれは違う。

 

「やっぱ笑ってた?」

 

「笑ってない」

 

「フフフフ」

 

可憐に笑うアイズは憎たらしい。まさかアイズにイジられることが有るとは思っても居なかった。これからは気を付けなければと思いつつ、頬を赤らめ、これも悪くない。そうリゼリットは思うのであった。

 

 




次回からは普通に行きます。訪問&~シリーズは閑話の様な物と思っていただければ。


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