ハイスクールD×D ~煉獄の少女~ (悪維持)
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Prologue 前編

どうも、悪維持です!

懲りずに煉獄主軸の新作を投稿してみました……見てもらえるなら光栄です!

それでは本編をどうぞ!!


此処は【煉獄の園(パーガトリー・エデン)

 

大地は闇の如く漆黒で覆われ、いたるところにある樹木全ては灰色に染まり、木の象徴である葉は一つも付いていない。まさに地獄と呼ぶに相応しいと言える世界…………

 

 

そんな世界の中枢にそびえ立つのは、まるでおとぎ話に登場する巨大な白き西洋の城……名を【断罪の地獄城(ジャッジメント・ヘルキャッスル)】と呼ぶ。

 

 

そして、今現在この城にある一室で【煉獄の園】を統治する白髪の青年……鬼崎(きざき) 陽太郎(ようたろう)が椅子に座りつつ、目の前に佇む義理の妹である鬼町 (きまち) 夏煉(かれん)へと不気味に輝く深紅の瞳を向けながら、口を開いた。

 

 

 

「さて、夏煉。何故、君が呼ばれたのかは……想像はつくかい?」

 

 

「………わかりません」

 

 

「そうだね、『わからない』。それが正当な答えだと思うよ?君は何時も僕や義姉さん……そしてこの城に住む他の皆に追いつく為に己を磨き、不屈の志を常に持ちつつ、日々精進している。君には、何の落ち度も無い……しかし、僕に呼ばれた。何故、どうしてだと考えてはいるかい?」

 

 

 

鬼崎の言葉に、夏煉は表情が強張りながら冷や汗を流しつつゆっくりと頷く。それと同時に鬼崎は笑みをこぼしつつ、椅子に立ち上がる。

 

 

 

「フフ……心配しなくても良いよ。別に説教をする為に呼んだんじゃないんだ」

 

 

「で、でも……陽太義兄さんの真剣な顔を見てたら……つい…………」

 

 

「まぁ、ちょっとシリアス的な真顔をしたら誰でもね?おっと、そろそろ本題に入るとしようか……」

 

 

 

鬼崎がそう言うと、机に置いてあった資料を夏煉に手渡した。

 

 

 

「『とある《ハイスクールD×Dの平行世界》による駒王町の管理状況について』…………陽太義兄さん、この資料は一体……?」

 

 

「実は我等が主……ヴラド・スカーレット様から、自身が管理している世界…《ハイスクールD×Dの平行世界》にある駒王町で不穏な存在を感知し、一度詳しく調査するようにと指示がでてね。その一件を僕等が請け負う事になったんだけど………僕はいま手が離せない仕事が山ほどあって、義姉さんは仕事ほっポリ出してどっかの異世界でガールハント三昧な始末。そこで、夏煉……君にこの案件を任せようと思うんだ」

 

 

「えっ!?わ、私に……?でも、私以外でも一輝義兄さん達に頼めば……」

 

 

「確かにそれも一つの手だ……でもね?僕は敢えて君に任せようと考えているんだ。理由は簡単……修行のようなモノさ」

 

 

「修行……?」

 

 

「そうさ……まぁ、気分転換かな?此処(煉獄の園)以外の場所での鍛練や、異世界に居る僕等以外の強者と戦えるから一石二鳥って奴さ。あぁ、心配せずとも……向こうの世界に居る一部の権力者とは知り合いだから……僕か義姉さんの名前を出せば大丈夫だ。さてと、此処までで何か質問はあるかい?」

 

 

「大丈夫だよ。陽太義兄さん」

 

 

「そう……なら、善は急げだ。早速、その異世界へ向かうとしよう」

 

 

「はい!」

 

 

 

こうして夏煉は調査+修行の為、鬼崎と共に《ハイスクールD×Dの平行世界》にある駒王町へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?

夏煉の詳しいプロフィールは【煉獄の義姉弟】をご覧下さい。

次回は夏煉が駒王へ到着し、とある人と出会います。

次回をお楽しみに!


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Prologue 後編

こんにちは、悪維持です!

今回は夏煉の旅立ちと共に、謎の力が覚醒します!

それではスタートです!!


夏煉side

 

 

皆さんこんにちは、鬼町 夏煉です。

 

私は陽太義兄さんと一緒に、幽霊列車でスカーレットさんが管理している《ハイスクールD×D》の世界にやって来てます。

 

 

陽太義兄さんの話によると《ハイスクールD×D》と言うのは、女性の乳好き変態主人公の兵藤 一誠さんが、駒王町の管理者である貴族悪魔のリアス・グレモリーの眷属へ転生して強敵を倒しながら、ハーレムを目指すという物語だそうですが………乳好きの変態って、もう主人公として色々とOUTなんじゃ……

 

 

 

「確かにね……物語が始まる以前にも、彼は他2名と一緒に女子更衣室を覗いたり、18未満の成人雑誌を収集したり……と色々ヤラかしている。本来なら停学や、退学になっても可笑しくないんだろうが……其処は主人公補正と言う奴で、見逃してるんだろうね。まぁ、それ以前に彼の宿る神滅器(ロンギヌス)から発するオーラで、物語のヒロイン達は性癖関係無く惚れてハーレムエンド…………あぁ、思い出すだけでイライラしてくるよ、全く…………!どうして主人公ってだけで、やすやすと犯罪とかを見逃すのかな?意味がわからないよ、本当に……!!」

 

 

「よ、陽太義兄さん…………?」

 

 

「ん!?あ……あぁ、スマナイ。ついね……つい…………」

 

 

 

そんなに酷いのかな?その一誠って人の性癖。陽太義兄さんがこんなに怒るのも初めて見るし…………そんな事を考えていると、陽太義兄さんは気を取り直そうと軽い咳払いをした後、懐から二つ折りの紙と分厚い封筒を取り出して手渡した。

 

 

 

「とにかくだ……良いかい、夏煉?改めて確認するけど、この案件はスカーレット様直々の仕事だ……それを忘れないでね。事前にホテルを予約してるから、この地図を頼りに探してくれ。後それから、この封筒には必要なお金が入ってるので、考えて使うように」

 

 

「ありがとう。それにしても分厚いね、お金って何円位入ってるの?」

 

 

「そうだね………ざっと、百万位かな?」

 

 

「ふぅ~ん…………え?ひゃ、百万!?百万って……!!」

 

 

「え、少なかったかい?」

 

 

「イヤイヤイヤ!少ないのレベルじゃないよコレ!?」

 

 

 

下手したら土地一つ買える額だよ!?何、平然とした顔で当たり前の様に言えるの!!??

 

 

 

「家には資金が大量に溢れ出てるからね。百万は安い方さ、もし無くなったら銀行に振り込んでおくからちゃんと連絡してね?」

 

 

「わ、わかった……」

 

 

 

若干、納得出来ない所もあるけど………考えたら負けだと感じつつ、私は中が四次元空間になっている鞄を抱えながら幽霊列車を降りる。

 

 

 

「それじゃあ、夏煉。くれぐれも気をつけてね?」

 

 

「はい!鬼町 夏煉、行ってきます!!」

 

 

「フフ……健闘を祈るよ、頑張ってね」

 

 

 

私は元気よく敬礼して、それを見た陽太義兄さんが微笑むと同時に汽笛が鳴り響くと幽霊列車が発車し、陽太義兄さんを乗せて【煉獄の園】へと帰って行った。

 

 

 

「ふぅ…………さて、先ずはホテルに向かおう。仕事はそれからだ」

 

 

 

数秒、大切な家族との別れを惜しむけど……気持ちを切り換えて手渡された地図を元に予約しているホテルへ向かう為に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……確か此処を曲がって、三番目の建物の角を右、その次で………意外と遠いな」

 

 

 

ホテルを探して歩くこと30分……一向に目的地へ到達出来ずに困っていた。もうすぐ暗くなる時刻だし、どうしよう………

 

 

 

「はぁ………ん?あれは……」

 

 

 

ため息をしながら途方に暮れていると、通りかかった公園の側に、一匹の黒い猫が横たわっていた。しかも身体の至るところが傷だらけで、今にも息絶えそうだった。

 

 

 

「た、大変!直ぐに治療しなきゃ!!」

 

 

 

私は急いで倒れている猫へ駆け寄り、鞄から白い救急箱を取り出し、その中にある道具を使って治療を行った。中に入っている治療道具は陽太義兄さんが開発したモノだから効果覿面で、数時間もすれば傷が消えて元気になる。

 

 

 

「でも、猫さんをこのままにしておく訳にもいかないし………ん、何コレ?」

 

 

 

そんな時、猫さんの身体から変な光が見える。気になってゆっくりと右手を近づけて猫さんの身体を触ろうとした瞬間………()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「ッ!!??」

 

 

 

私は慌てて猫さんに入ってしまった右手を引っ込めた。

 

 

 

「い、今のは……一体…………?」

 

 

 

冷静さを保ってはいるけど、心は混乱していた。けど、直ぐに落ち着きを取り戻した私はもう一度、おそるおそる猫さんに右手を近づける。そして身体へ入ると、指先に何か変なモノが当たる感触がした。そして、その変なモノを右手で掴んで引っ込めてみると、掴んだそれはチェスで使う[僧侶(ビショップ)]の駒だった。

 

 

 

「何これ、チェスの駒……じゃないみたいだけど………って、それよりも猫さんをどうにかしないと」

 

 

 

私は猫さんから出てきたチェスの駒をポケットに入れ、鞄からバケット型の保護カプセルを取り出して猫さんをカプセルに入れた後、救急箱と一緒に鞄に入れてホテルへ急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?

因みに時系列はイッセーがレイナーレに殺され、リアスに転生される辺りです。

次回はこの話から数日後の話と、黒猫の正体が明らかとなります!

お楽しみに!!


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第1章 旧校舎のDIABOLOS
Episode1


どうも、悪維持です。

いよいよ原作スタートで、原作キャラ二名が登場します!

それでは本編スタートデス!!


夏煉side

 

 

私が駒王町に訪れて、新生活を始めてから数日過ぎた頃………

 

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ…………」

 

 

 

私は黒色のジャージを着用し、朝から駒王町周辺のランニングに勤しんでいた。基本的に身体を鈍らせたくないのと、ジーッとしてるのが嫌なので毎日欠かさず行っている。

 

別に疲れるのがデメリットだとは思わない。デメリットには必ずメリットがつきものだ。例えばこうして町中をランニングすれば、何処でどんな建物があって何の仕事をしているのかが分かるから町の構造を覚えられるし、自分の体力増量には都合が良い。そして、何より………

 

 

 

「あ、小猫さん。おはようございます!」

 

 

「……おはようございます、夏煉さん」

 

 

 

ランニングできる友達が出来るのが嬉しいからだ。

 

私が出会ったのは、陽太義兄さんと同じ白髪で私より身長が少し低い女の子(でも、年上だと知った時はビックリしたな……)。

名前は塔城(とうじょう) 小猫(こねこ)さん。近くにある駒王学園の一年生で、私のラン友(ランニング友達の略)です。

 

 

 

「……今日もランニングご苦労様です」

 

 

「ありがとうございます。小猫さんも、今からですか?」

 

 

「……いえ、私はもう上がる所です。もうすぐ学校なので」

 

 

「そうなんですか……一緒に走れなくて残念です。もうちょっと早く起きようかな?」

 

 

「……早寝早起きは大事ですが、だからと言って早く起きても体調を崩しては意味がありませんよ?これは年上としてのアドバイスですから覚えておいてください」

 

 

「アドバイス、痛み入ります。あ、もし宜しかったら何時辺りに起きるか教えてもらえますか?私、携帯持ってなくて……」

 

 

「そうですね……平日の朝は5時丁度で、土日祝は6時辺りに起きますかね?」

 

 

「5時と6時か……わかりました。それじゃあ、私はこれで失礼します。あ、後!学校頑張ってくださいね」

 

 

「……ありがとうございます、ではまた明日」

 

 

「はい、お疲れ様でした!」

 

 

 

そうして小猫さんと別れ、私は宿泊しているホテルへと帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、鬼町様」

 

 

「ただいま戻りました。スミマセン、預けていた部屋の鍵をお願いできますか?」

 

 

「畏まりました。では、どうぞ……」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

ホテルへと戻って来た私は、受付の人から預けていた鍵を受け取ってエレベーターで現在住んでいる部屋へ向かった。そして、鍵でロックを解除し部屋へ戻る。

 

 

 

「あ、夏煉。お帰りにゃあ~♪」

 

 

「ただいま戻りました。黒歌(くろか)さん」

 

 

 

ソファーに寝転んで出迎えてくれたのは、黒色の着物をはだけさせ、薫義姉さんくらいのスタイルに猫耳と二本の尻尾が生えた女性だった。

 

この人は黒歌さん。私が住む部屋の同居人で、あの時助けた猫さんの正体です。

 

 

 

 

黒歌さんは猫又と呼ばれる妖怪で、悪魔と契約し転生悪魔となったのですが、とある事が原因で主を殺してはぐれ悪魔となって指名手配され……傷だらけになりながらも、追っ手を撒いてこの町に流れ着いた所で私に出会ったそうです。

 

でも最初に出会った時はビックリしたな……猫さんと寝た筈なのに、朝起きたら目の前にむにゅむにゅした柔らかいモノ二つに包まれて窒息しそうになって離れた時に見たことない女の人が居て…………

 

 

 

「んにゃ?どうしたのにゃ、夏煉?」

 

 

「いえ、最初に黒歌さんに出会った時を思い出してまして………なんというかインパクトが強いっていうか………こう、顔に触れた柔らかさが忘れられないというか」

 

 

「フフン♪なんなら私の胸でもう一回包んであげようかにゃ?」

 

 

「止めてください、今度こそ窒息死しちゃいそうで怖いんですよ」

 

 

「にゃははは♪冗談よ、冗談。でも、一番驚いたのは、私の中にあった【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】を夏煉が取り出してくれた事なんだよね………」

 

 

 

黒歌さんがそう呟いた後、私はテーブルにちょこんと置いてある僧侶の駒に視線を向けた。黒歌さんが言うには、この駒は悪魔が他の種族を同じ仲間に転生させる道具らしく……普通は取り出したり出来ないんだけど、私にはそれが簡単に取り出せた。

 

私達煉獄義姉弟には特殊な力が秘められていて、その力の顕現は個人差によるモノらしい。薫義姉さんが闇、陽太義兄さんが煉獄の炎、そして一輝義兄さんが毒……と様々な能力を有している。もしかしたら、私の能力は摘出に特化したモノなのかも知れない。

 

 

 

「あ、そうにゃ!そろそろご飯にしない?私もう、お腹ペコペコで……」

 

 

「へ?あぁ、そうですね。じゃあ、ビュッフェ食堂で済ませますか?」

 

 

「びゅっふぇ……何それ?」

 

 

「食べ放題の意味ですよ。このホテルは、ご飯が沢山食べられるんです」

 

 

「食べ放題!?それじゃあ魚も食べ放題かにゃ!!」

 

 

「そうです」

 

 

「ニャフフフ……!それなら直ぐにレッツゴーだにゃ♪」

 

 

「わっ!ちょっ……む、胸を押しつけないでくださいよ!!」

 

 

「良いじゃにゃいの♪女の子同士なんだから、さっ!早く行こ!!」

 

 

 

魚の食べ放題だと聞いた黒歌さんは、スキップを踏みながら私の腕に豊満な胸を押しつける。私は恥ずかしく思いながら、黒歌さんと一緒に食堂へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す~ぴ~……むにゃむにゃ……もうたべれにゃい…………」

 

 

「はぁ~……なんでご飯食べるだけでこんなに疲れちゃうのかな……」

 

 

 

食事を終えた私達は、部屋へ戻りテレビ番組でも見ながら時間を過ごしていた。たまには休む事も大切だからね。それに、黒歌さんは魚料理を沢山食べてご満悦に眠ってるし………てか、あんなに食べて太らないのかな?

 

 

まさか…………

 

 

 

「す~……ぴ~……す~……ぴ~」ボイ~ン!

 

 

「…………」

 

 

 

栄養全部が胸に蓄積してる……訳ないよね、多分。

 

 

冷や汗をかきながら考えていると……黒歌さんが苦しそうな顔をしながら寝言の様にあの言葉を呟いた。

 

 

 

白音(しろね)………ごめんね…………独りにさせてごめんね…………白音…………!」

 

 

「黒歌さん………」

 

 

 

そう、たまに[白音]という名前を呟きながらに魘されていた。私は近くにある布団を被せ、黒歌さんの額を優しく撫でる。そうするとだんだん楽しい表情になった。良かった、これならもう安心…………

 

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

そんな時、背後から小さい目玉で後ろに尻尾の様な突起物がある物体【眼魔(がんま)眼魂(アイコン)】が出現し、黒色の瞳から地図を写したモニターが出現し、ある建物に赤い星が点滅しながら光っていた。

 

 

 

「仕事か………ありがとう、それじゃあ他の皆と引き続き宜しくね?」

 

 

 

私がそう言うと、眼魔眼魂はモニターを消して空間へ消えていった。

 

そして、私も直ぐに出かける準備を整え終えた後、未だに幸せそうに眠っている黒歌さんを残し、眼魔眼魂が見つけた場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回はついにヘレナ登場!!

お楽しみに!!


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Episode2

はい、連日投稿です!

今回はヘレナ登場とはぐれ悪魔との対決です!

それでは本編スタートデス!!


夏煉side

 

 

眼魔眼魂が発見した廃墟へ辿り着いた私は、早速内部へと歩を進める。辺りは暗く、下手をすれば転ぶかも知れない状況だけど……私はそんな事はお構い無しに進んでいく。こういう暗い場所は、時々陽太義兄さんや薫義姉さんと一緒に来ていたから問題は無く、むしろ慣れと言っても過言じゃなかった。

 

 

 

「さてと……ターゲットは何処に…………」

 

 

 

そう呟きながら探していると、目の前に上半身は裸の女性で両手に槍を持ち、下半身は節足動物になっている怪物が現れる。そして口からヨダレを垂らしながら私を凝視した。

 

 

 

『ゲゲゲゲ…………!また馬鹿な餌がやって来たな。さて、先ずは何処から食ってやろうか……!!』

 

 

「…………」

 

 

『なんだ……私を見て恐れているのか?なら安心しろ…………直ぐに殺してやるからさぁああああああああああああああああ!!!!』

 

 

 

怪物は両手に握っている槍を私に向けて突き刺そうと襲いかかってくる。だけど、私はその攻撃を紙一重で回避して飛び上がり、顔面に蹴りを食らわせた後に着地する。

 

 

 

『ブギャブ!?!?』

 

 

「単調だね……そんな攻撃、目を瞑っても避けれるよ」

 

 

『よ、よくも私の顔を……!!ナメるな、このクソガキがぁあああああああああああああああああああああああ!!!!!』

 

 

 

怪物は槍を荒々しく振り回して、私を突き殺そうと攻撃してくる。その攻撃を私は、宣言通りに目を瞑りながら身体を逸らすだけで避け続ける。

 

 

 

『何故だ!何故当たらないぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!??』

 

 

「答えは簡単……貴女が弱いだけだよ」

 

 

『こんのぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

 

 

 

怪物は攻撃が当たらないのと、私に言われた事に逆上し突進してくる。

 

 

私は一旦距離を離し、腰辺りに両手を翳す。すると翳した箇所が黒いモヤに覆われると同時に晴れると、其処に『妖怪 一つ目小僧』の顔をしたクリアグレーのベルト【ゴーストドライバー】が出現する。

 

 

そしてスカートのポケットから黒紫色の目玉型アイテム【D00:ヘレナ眼魂】を取り出して、横のスイッチを押す。すると、瞳の絵柄が変わりアルファベットの『H』が浮き上がる。

 

 

そして、ドライバーのバックルを開いてヘレナ眼魂を中枢にセットしてバックルを閉じた後、右側に取り付けられているレバーを一度引いておく。

 

 

 

《アーイ!》

 

 

『ナッ!ゴワハッ!!??』

 

 

 

ドライバーから音声が響いたと同時に、ドライバーの中枢から黒地に紫の縁取りのパーカーの幽霊《ヘレナゴースト》が出現し、無防備の怪物へ強烈な体当たりを浴びせ、後ろへと吹き飛ばした。

 

 

 

《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 

ドライバーから響き渡るロック調の音楽と共にヘレナゴーストは、私の周囲を飛び回る。そしてもう一度引いておいたレバーに手をかけた後……

 

 

 

「変身」

 

 

 

その言葉と共にレバーを押し込むと、私の周囲に黒い霧が発生し、私の身体を紫のラインが入ったボディースーツが包みこむ。そして、飛び回っていたパーカーが被さったと同時に何もなかった顔に紫と黒で鋭い目付きをした顔が描かれ、額には炎の様な紫色の二本の角がついた。

 

 

 

《カイガン!ヘレナ!!デッドゴー!覚悟!!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!!》

 

 

 

羽織った瞬間にドライバーから音声が流れ、被っていたフードを取ると共に殺気とプレッシャーを放った。

 

怪物はようやく起き上がって憎悪の目で睨むけど数秒すると、顔が恐怖の表情へと変わっていた。

 

 

 

『な、なんだその姿は!!??まさか神器(セイクリッド・ギア)使いか!!』

 

 

「……残念だけど、これは神器じゃない」

 

 

『じゃあ、それはなんだ!お前は……お前は一体なんなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

 

 

「良いよ。それじゃあ特別に教えてあげる………」

 

 

 

恐怖に飲まれた怪物は叫びながら槍の矛先を突きつけて攻撃を仕掛ける。私は冷静に眺めながらゆっくりとレバーに手をかけて、変身と同じようにレバーを一回引いて、押し込んだ。

 

 

 

「私は…………仮面ライダーヘレナだ!」

 

 

《ダイカイガン!ヘレナ!!オメガドライブ!!》

 

 

 

私がそう叫ぶと同時にドライバーから音声が鳴り響くと背後に紫色の巨大な目の紋章が出現し、そのエネルギーが右脚に収束する。そして宙へと跳び上がり、紫色のエネルギーを纏ったライダーキックを怪物の腹部に食らわせた。

 

 

 

「ハァアアアアアアアアッ!!!!」

 

 

 

オメガ ドライブ

 

 

 

『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!???』

 

 

 

ライダーキックによって怪物は、コンクリート性の壁を幾つも突き破りながら勢いよく吹き飛んだ。私は着地すると壁に凭れて戦闘不能となっている怪物へ一歩一歩近づいた。

 

 

 

『ヒッ!?も、もう止めてくれ!!い、命だけは……命だけは助けて!!!』

 

 

「…………」

 

 

『い、嫌だ……!もう痛いのは嫌だ!!お願いします!!!た、助けて…………!!!!』

 

 

「…………」

 

 

 

必死に命乞いをする怪物を気にせず、私は無言で右手に力を入れてオーラを纏わせる。

 

 

 

『イ!イヤだ!!イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!死ぬのはイヤだぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!』

 

 

 

もう涙とか鼻水でぐちゃぐちゃに醜くなった顔をした怪物を無視し、私は力一杯に胸部へと右手を勢いよく突っ込んだ。

 

 

 

『アギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア?????!!!!!ヴェアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!?????』

 

 

 

苦痛の叫び声を無視し、私は手探りで()()()()を探す。そして、直ぐに見つけた後に勢いよくそれを引っこ抜いた。

 

 

 

『ア……アアア……ァ…………』

 

 

 

()()()()を怪物から抜くと同時で、怪物は糸が切れた人形の様に静かになる。すると異形の姿から徐々に裸の女性の姿へと変わり、醜くい表情も穏やかな寝顔へと変わったていった。

 

 

 

「はい、これでお仕事終わりっと……後はこの人を…………」

 

 

 

そうして裸一貫となった女性にローブを着せた後、私はその人を担いで廃墟を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その数時間後…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぐれ悪魔バイサー!グレモリー家次期当主の名において貴方を倒……って、あれ?」

 

 

「あの、部長……何もいませんけど?」

 

 

「くっ!またヤられた……!一体何処の誰かは知らないけど、私が管理する町でこれ以上好き勝手なマネは許さないわ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘレナ(夏煉)彼女達(グレモリー眷属)が遭遇するのは、まだ先の話だ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

ヘレナ無双はまだまだ続きます!

次回もお楽しみに!!


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Episode3

どうも、悪維持です!

今回は前回の後日談と共に、あの方が登場します!

それでは本編スタートデス!!


夏煉side

 

 

ーピピピピッ!カチッ!!

 

 

「ん……んん…………ふわぁ~ もう朝?」

 

 

 

まだ目が覚めていない状態で、目覚まし時計を見てみると時刻は7時を過ぎていた。普段なら5時か5時半辺りで起きていたんだけどな?早寝早起きを心がけているのに、これじゃあ本末転倒だよ…………でも、昨日は急な仕事があったから仕方ないと言えばそうだけど……

 

 

 

「とにかく……一度起きよ(モニュ)…………ん?」

 

 

「ふにゃあぁ~……朝から私の胸を揉むにゃんて……にゃふふ♪夏煉は甘えん坊さんなのかにゃ~?」

 

 

「わきゃあッ!っと、アイッタァッ!?」

 

 

 

ベッドから起き上がろうとした瞬間、何やら柔らかなモノを掴んでいる感触がし……おそるおそる視線を向けると、其処にはいつの間にか黒歌さんが薄い襦袢(じばん)姿で隣に潜り込んでいて、掴んでいたのは彼女の豊満な胸だった。思いもよらないアクシデントに、私はサッと黒歌さんの胸から手を放すけど、運悪くベッドから転げ落ちて頭を床にぶつけた。つぅ~~ッ!!!めっちゃ痛い……!!!!てか、今の痛みで完全に目が冴えた。

 

 

 

「く、黒歌さん!?いつの間に私のベッドに潜り込んでたんですか!?!?」

 

 

「そりゃあ~ね?グッスリと寝てて途中で起きたら、夏煉が可愛い寝顔でスヤスヤ寝てたからぁ~ なんとなぁ~く、潜り込んでみたんだにゃあ♪」

 

 

「も、もぉ~ッ!!心臓に悪いから止めてくださいよ!!!私だって疲れてるんですから……!」

 

 

「メンゴメンゴ、もうしないにゃ♪」

 

 

「……もうビュッフェ連れて行くの止めますよ?」

 

 

「マジ、スミマセンしたぁッ!!??」

 

 

ーピンポォ~ン♪

 

 

「「ん?」」

 

 

 

そんなコントじみた会話をしている最中、突如インターホンが鳴り響く。私はドアの前まで来て、ドアスコープを覗くと……其処に居たのは金色のメッシュが入った髪で和服を着こなした中年男性が佇んでいた。しかも、笑顔で……

 

私はため息を吐きながら、ドアを開けてその人を中へと出迎えた。

 

 

 

「おい~っす、邪魔するぜ」

 

 

「こんにちはアザゼルさん……とゆうか、また仕事サボって来たんですか?堕天使総督さんは随分とお暇なんですね」

 

 

「サボるとか言うなよ、ちゃんと全部終わらせて来たんだからさ。それより嬢ちゃんよ、そんなに怖い顔してると彼氏とかに逃げられるぜ?まぁ、俺は嬢ちゃんの様な可愛い娘は大歓迎だがな?」

 

 

「って、言ってるけど……どうする陽太義兄さん?」

 

 

『総督アザゼル。それは僕に……否、我々に対しての宣戦布告と受け取って宜しいのでしょうか?』

 

 

「マジでスンマセン!冗談だからそれだけは勘弁してくれません!?今、アンタ等と戦争って事になっちまったら全滅しかねねぇ!!??」

 

 

『冗談なら良いんですよ?ですが、冗談も程々にしないとトンでもないしっぺ返しが来ることをお忘れのないように…………』

 

 

「……はい、以後気をつけますです。はい…… (コイツキレると超怖えッ!?薫が尻にしかれているのが痛い程わかった気がする…………)」

 

 

『では、僕も暇では無いのでこれにて失礼します…………じゃあね、夏煉』

 

 

「うん、またね。陽太義兄さん」

 

 

 

中年男性……アザゼルさんのセクハラ紛いのナンパに対し、私はいつの間にか出していたパソコン型の通信機で、その光景を通信先の陽太義兄さんに見せていた。

 

陽太義兄さんは満面の笑みで殺気を放っているのに対し、アザゼルさんは震えながら土下座をしていた。これで、陽太義兄さんが超越者を越えた実力者だと十分に理解できた。

 

 

因みに、このアザゼルさんは堕天使で構成された組織【神の子を見張る者(グレゴリ)】のトップらしく……特に薫義姉さんとは趣味と性格がベストマッチな関係で時々街に遊びに行っては居酒屋で飲んでいたり、若い女の人をナンパしてるらしい。

 

 

 

「ふぅ~ 命拾いしたぜ……さてと、此処からは仕事の話だが……」

 

 

「はい、彼処にある就眠カプセルの中でグッスリと眠っていますよ」

 

 

 

アザゼルさんが汗を拭いながら立ち上がりつつ、私に視線を向けると……私は、人一人入れる巨大な縦長のカプセルへ指を指した。そのカプセルの中では、昨日に私が戦ったはぐれ悪魔だった女性がスヤスヤと眠っていた。

 

 

 

「おうおう、これまた随分と別嬪さんだな…………え~と?」

 

 

 

アザゼルさんは女性の顔を眺めつつ、懐から一枚の手配書を取り出した。

 

 

 

「確かに指名手配されてるはぐれ悪魔のバイサーだ……それじゃ、後はグレゴリ(ウチ)で預かるぜ」

 

 

「宜しくお願いします」

 

 

「あいよ……あぁ、それとだが…どうやらウチの下端四人が無断でこの町に侵入したらくしてな…………始末は嬢ちゃんに任せてもらっても良いか?」

 

 

「構いませんけど……部下の手綱ぐらいしっかりと引いてもらえませんか?私だって色々と忙しいんですからね」

 

 

「うぐっ!?自分の管理力の無さが今になって痛感した気がするぜ………わかった、お詫びとして何処か好きな所に連れてってやんよ」

 

 

「じゃあ、有名洋菓子店【GENM】に連れてってください。ラン友がオススメとして教えてくれたんです」

 

 

「私は回転寿司屋の【ゴールド寿司】に行きたいのにゃ!彼処はネタが豊富で一度行ってみたかったの♪」

 

 

「了解だ。【GENM】と【ゴールド寿司】な?そんじゃあ、俺はこれで……」

 

 

「はい、お疲れ様でした」

 

 

「またにゃ~♪」

 

 

 

アザゼルさんはそう告げると、転移魔法陣を展開して女性が入ったカプセルごとその場から消えていった。

 

その後、私は四次元鞄から大量の眼魔眼魂を召喚しはぐれ悪魔及び堕天使四人の捜索を命じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回は小猫とのエピソードをお送りします。

それでは次回まで、お楽しみに!


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Episode4

どうも、悪維持です。

今回は原作主人公の一誠の登場と共に、夏煉がある意味キレます。

それでは、本編スタートデス!!


夏煉side

 

 

アザゼルさんから仕事を引き受けた後、私は気分転換に駒王町の商店街で散歩をしていた。

 

眼魔眼魂の情報収集力の高さなら数時間辺りではぐれ悪魔や、堕天使達の居場所を簡単に探知できる。だから、私はその間に訓練や休息等の自由行動が同時に行えるんです。

 

 

 

「さてと、何処のお店に行こうか……ん?彼処に居るのは…………」

 

 

 

私は、商店街に並ぶ様々なお店の中から何処に立ち寄ろうかと見渡してると……昔ながらにあった駄菓子屋の店前で、見知った人物が其処に居た。

 

 

 

「小猫さぁ~ん!」

 

 

「……ん?夏煉さん、どうもです」

 

 

「こんにちは、学校帰りですか?」

 

 

「はい、部活が早く終わったモノで………ちょっと買い物を少し」

 

 

 

そう言いながら小猫さんは、しゃがみながら店前で並ぶ沢山の駄菓子に視線を向ける。私も小猫さんの隣で同じようにしゃがんで、駄菓子を眺めていると…………

 

 

 

「あれ、其処に居るのって小猫ちゃん?」

 

 

「むっ…………」

 

 

「?」

 

 

「お!やっぱ小猫ちゃんじゃん。それに隣に可愛い娘も居るなんて俺ってスンゲェラッキーだなぁ~♪」

 

 

 

突然、茶髪の不良めいた服装の男の人に声をかけられた。小猫さんはその人の顔を見ると、何故か不機嫌な表情になりながらボソッと呟いた。

 

 

 

「…………兵藤先輩」

 

 

「ッ!?……この人が兵藤 一誠…………」

 

 

 

私は小猫さんの言葉に思わず驚愕してしまうが、数秒も立たずに冷静となり、兵藤さんに視線を向ける。容姿は特に平凡な不良の人ではあるけど、周りには何かすごく赤く濃いオーラを纏っていた。けど、顔はだらしなく私を凝視し……まるで品定めの様な感じでイヤらしくジロジロ見つめられ、生きてる実感がしなかった。

 

そんな時、兵藤……いや変態さんは私に近づいてイヤらしい笑顔を向けながら話しかけてきた。

 

 

 

「(おぉ~ッ!これが俗に言うロリおっぱいって奴か、中学生辺りの年齢のわりにおっぱいデケェッ!!!) ねぇ、君名前は?小猫ちゃんの友達なんでしょ?あ!俺は兵藤 一誠、小猫ちゃんの先輩なんだよ。なぁ、君何処に住んでるの?もし良かったらメアド教えてくんないかな?あ、それか「…………あの、いい加減にしてもらえますか?」えっ?ヒッ!!??」

 

 

 

イヤらしい笑顔で次々としゃべりまくる変態さんに対し、私は少しだけ殺気を混ぜた冷たい視線で睨みつける。というか、軽く殺気を出しただけで怯えるとかダサすぎでしょ?

 

 

 

「……あのですね。この際ハッキリ、全て言わせていただきますけど………貴方みたいに人を商品みたいに見る最低な人に教える名前はありません。確かに小猫さんとは知り合いですけど、貴方と私は初対面ですよね?先輩だから何ですか?小猫さんの先輩だから、知り合いの私と仲良くなれるとか頭大丈夫ですか?それと何処に住もうと私の勝手ですし、教える義理もありません。それから私…………携帯持ってないんで」

 

 

 

そうして、向こうから聞いてきた全てを冷徹かつ威圧的に全てに返答した。その相手である変態さんは、腰が抜けたかのように座り込みガクガクと膝を震えさせていた。

 

 

 

「……話になりません。小猫さん、私はこれで失礼します」

 

 

「……あ、はい」

 

 

 

イライラが一向に収まらず……一応、小猫さんに挨拶を済ませて私はその場から早足で去る。

 

 

陽太義兄さんがあの人を嫌う理由…………わかった気がするな。これならアザゼルさんの方が百倍マシだよ本当に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「か、夏煉……何をそんなに怒ってるのかにゃ?」

 

 

「……別に怒ってませんけど?」

 

 

「で、でも……そのオーラからは不機嫌というかにゃんというか…………そんな感じが溢れ出てると思うんだけど………」

 

 

「…………気に入らない人に遭遇しただけです」

 

 

 

未だにイライラが収まっていない私を見て、黒歌さんは枕を抱きしめながら部屋の隅で怯えていた。そんなに怖いのかな?私って…………そんな事を考えていると、眼魔眼魂が空間から現れる。どうやら、はぐれ悪魔が出たみたいだ………

 

はぁ……気分が優れないけど、仕事じゃ仕方ないか。

 

 

 

「さてと、お仕事しに行ってきますね」

 

 

「う、うん……いってらっしゃい」

 

 

 

 

黒歌さんの言葉を聞き終え、私ははぐれ悪魔が出現した場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、現場にたどり着いた私は、巨大なサンショウウオで、額に人間の顔が浮き上がった異形と遭遇した。

 

 

 

『オマエ…………クウ!!!』

 

 

「やれるものならやってみなよ、今の私は機嫌が悪いんだから……!」

 

 

 

私は腰元にゴーストドライバーを出現させ、ヘレナ眼魂をセットした。

 

 

 

《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

「変身!」

 

 

《カイガン!ヘレナ!!デッドゴー!覚悟!!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!!》

 

 

 

ヘレナに変身し終えた私はゴーストドライバーに両手を翳し、青色を基調とし右手を模したマジックハンド型の可変武器【ガンガンハンド】を武装した。

 

 

 

『クッテヤルウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!!』

 

 

「一撃で潰す…………!」

 

 

 

猛烈突進するサンショウウオ怪獣に対し、私はガンガンハンドの持ち手部分に刻まれた目玉模様をゴーストドライバーに翳してアイコンタクトさせる。

 

 

 

《ダイカイガン!ガンガンミトケー!!ガンガンミトケー!!》

 

 

『イタダキマァアアアアアアス!!!』

 

 

「せぇ~~のっ!!!」

《オメガスマッシュ!!》

 

 

 

      

      

       ガ スマッシュ

 

 

 

 

力強い音声が鳴り響くと共に背後に目の紋章が出現、紫色のエネルギーはガンガンハンドの先端に収束する。そして、ギリギリまでサンショウウオ怪獣が近づいて大きく口を開けた瞬間に掛け声と共にトリガーを引きながら、下顎部分に強烈な打撃を食らわせて巨大な身体ごと上空へとぶっ飛ばした。

 

 

 

『ゴアァアアアアアア!!??』

 

 

 

叫びと共に後ろへとひっくり返えりながら墜落したサンショウウオ怪獣は、手足をピクピクとさせて口から泡をふかせながら失神した。私はガンガンハンドを左肩に担ぎながら、サンショウウオ怪獣の巨大な腹に飛び乗り、右手を身体の中に突っ込んで[兵士(ポーン)]の悪魔の駒3つを回収する。そうすると、サンショウウオ怪獣は裸の男性へと姿を変えた。

 

 

 

「はぐれ悪魔 マンダショ討伐及び、悪魔の駒摘出完了………さて、帰り…………ん?」

 

 

 

引き上げようとした瞬間、目の前の地面に赤色に光輝く魔法陣が出現する。

 

 

はぁ、また面倒事の予感がするな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回はグレモリー眷属との遭遇と戦闘をお送りします。

どうぞ、お楽しみに!


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Episode5

どうも、悪維持です。

今回は小猫視点から始まります。

それでは、本編スタートデス!!


小猫side

 

 

どうも、初視点を務める塔城 小猫です。

 

私は今、オカルト研究部の活動で指名手配されたA級はぐれ悪魔 マンダショの討伐へとやって来たのですが…………

 

 

 

「またヤられた……!今月に入ってもう10回目、一体何がどうなっているのよ!?」

 

 

「落ち着いてください、リアス」

 

 

「これが落ち着いていられるというの!?私の領土で好き勝手している挙げ句、大公から命じられた討伐対象をことごとく横取りされている始末……この町の管理者である私に対する宣戦布告としか思えない……!まだ下手人はこの辺りに潜んでいる筈、徹底的に探し出して今度こそソイツの尻尾を掴んでやるわ!!」

 

 

 

討伐対象が先に狩られた事にウチの部長ことリアス・グレモリー先輩は今の今まで我慢していた苛立ちが爆発し、同学年で副部長の姫島 朱乃先輩の言葉も聞かずにそのヤったであろう下手人の捜索を開始しました。

 

実はこの数日前、突然はぐれ悪魔が次々といなくなるという現象が勃発していた。はぐれ悪魔がいなくなるのは良いことだと私は思うのですが……それでも部長は、大公へのはぐれ悪魔の討伐命令を遂行して評価を上げる事を考えているらしく、先に討伐対象が狩られる事が一番気に入らないようです。

 

そんな時に、部長の揺れる乳をニヤケ顔で見ていた兵藤先輩が、目を光らせながら我先にと前に出て声を上げる。

 

 

 

「任せてください部長!俺が先にソイツを見つけて、必ず部長の元へ連れてこさせますよ!!」

 

 

「あら、随分頼もしい事言ってくれるわねイッセー?それなら今から二手に別れて探してみましょうか。そうね……朱乃と祐斗は私と三人で、イッセーは小猫の二人でお願いね。良い?見つけ次第捕まえて、直ぐにでも私の元へ連れてきてちょうだい」

 

 

『はい!』

 

 

 

イヤイヤ、どうして私がこの人と組まなきゃいけないんですか?まぁ、拒否権とか無いらしいから仕方ないと思いますけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てな訳で……一緒に頑張ろうぜ、小猫ちゃん!」

 

 

「スミマセンが、あんまり近寄らないでくれませんか?」

 

 

「ちょっと酷くない!?もう少し仲良くやろうぜ……同じ部員なんだからさ」

 

 

「そういうの関係無しに、先輩はキモいです」

 

 

「ガハッ!?」

 

 

 

事実を突きつけると、何故か血反吐を吐く兵藤先輩を無視し……私は周囲に警戒を怠らないように気を配る。そうしていると………

 

 

 

『ウゥ~…………』

 

 

 

前方から男性か何かのうめき声が耳に入る。そして、ゾンビの様な足音でその正体は明らかとなった。

 

それはのっぽらぼうのように顔の無い真っ黒な顔に黒いボディースーツのような身体、胸部には人間の肋骨を象ったような模様があり、黒のパーカーを羽織って腰元には半目をイメージしたかの様なベルトを着けた異様な姿だった。

 

その異様な人物は、ゾンビの様に緩慢な足取りで私達へと一歩一歩近づいてくる。案外大したことは無いと感じつつも、油断できないと考えて身構える。けど……

 

 

 

「よし!あんなんなら俺でも倒せる!!」

 

 

 

兵藤先輩は楽勝だと言わんばかりに左腕に赤い龍を模した神器【龍の手(トゥワイス・クリティカル)】を展開し、異様な黒怪人に接近し顔面目掛けて2倍にしたパンチを浴びせた。でも、黒怪人は殴られて倒れた後にゆっくりとゾンビのように起き上がった。

 

 

 

「なっ!?んならもう一発食らえッ!!」

 

 

 

起き上がる黒怪人に驚くも、兵藤先輩は再び拳をぶつける。顔面に命中はしたものの、今度は倒れずにいつの間にか装備した短剣で兵藤先輩を攻撃する。

 

 

 

「うわっ!?アッブねぇ~……武器とか使うなんて卑怯すぎんだろ!恥ずかしくねぇのか男として!!」

 

 

 

黒怪人の攻撃を咄嗟に避けた兵藤先輩は、何故か黒怪人に卑怯だと罵る。

 

イヤ、意味わかりませんよそんな理屈。そしてあの人もそんなの関係無いとかの感じしてますし……

 

そんなアホらしいやり取りに呆れていると……突然、同じ姿の黒怪人が大人数でゾロゾロと出現し、私達の周囲を取り囲んだ。

 

 

 

「なっ!?いつの間に……てか、よく見ると目の前のコイツとおんなじ姿の奴等ばっかじゃん!?」

 

 

「愚痴言ってる場合じゃありません……来ますよ」

 

 

 

愚痴をこぼす兵藤先輩にはっきり言った直後、取り囲んだ黒怪人達は一斉に襲いかかった。

 

私が戦闘態勢に入るけど、何故か兵藤先輩が私を庇うかの様に私の前方へと立ち塞がった。

 

 

 

「小猫ちゃんは下がって!コイツ等全員、俺が倒してやる!!」

 

 

「イヤ、何言ってるんですか?この状況で……」

 

 

「ウオラァアアアッ!!!!」

 

 

「………話聞いてないし」

 

 

 

兵藤先輩は神風特攻隊のような勢いで、黒怪人達に突撃した。けど、黒怪人の一人が兵藤先輩の突撃をサラッと避けて足を引っ掛ける。

 

 

 

「グペッ!?」

 

 

 

引っ掛けられた兵藤先輩は、奇声を発しながらズベッと倒れる。そのチャンスを待ってたかの様に、黒怪人達は一斉に兵藤先輩へ数によるスタンピングを開始した。

 

そんな光景を眺めていたら、後ろから黒怪人達が私を捕まえようと迫る。

 

 

 

「甘いですよ」

 

 

 

私は黒怪人の一人の腕を掴んだ後、思いっきり他方向から迫ってくる集団へと背負い投げの如くぶん投げる。ぶん投げられた黒怪人は集団に激突すると、ボウリングのピンみたくバタバタと倒れる。

 

そして私は、次々と近づく黒怪人にフィンガーグローブ越しのストレートパンチとキックの連鎖を浴びせ続けてぶっ飛ばす。しかし、黒怪人達は暫くするとゾンビの如くゆっくりと復活し迫って来る。

 

一人一人は大した事は無くとも……集団で来られるとこれはキツい…………倒して倒しても起き上がってくるのがタチが悪いなと思いつつ格闘戦で迎撃を繰り返していると、突然黒怪人達の動きがピタリと止まる。

 

 

何が起きたのかと思い、辺りを見渡すと黒怪人達とは違う謎の人物が、ゆっくりと歩を進めながら現れた。

 

 

 

その人物は、言い表すのなら紫色の鬼をヒーローにした姿だった。紫色の二本角に攻撃的な顔、羽織っている黒地で紫色の縁取りパーカーと腰元には目玉を模したクリアグレーのベルト………黒怪人と同じ要素があるが、この人物だけは違う……そう感じ取れた。

 

 

 

私は思わず身構えつつ警戒しようとした瞬間………気づけばその人物は、私の目と鼻の先まで来ていた。

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

まるで瞬間移動をしたかの様に接近され、危険を察知した私は咄嗟に距離を離そうとするが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズブッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それよりも速く、その人の右手が私の胸部を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

小猫の運命は如何に!?

次回をお楽しみに!


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Episode6

どうも、悪維持です。

今回は猫姉妹中心の視点で…………まさかの展開となります。

それでは本編スタートデス!!


小猫side

 

 

 

 

 

 

………此処、は…………私は確か………………胸を貫かれて…………

 

 

 

 

 

(白音………)

 

 

 

 

 

ッ!?この声は………姉様?黒歌姉様なんですか!?

 

 

 

 

(良かった元気そうで………)

 

 

 

 

ま、待ってください姉様!私はまだ姉様に聞きたい事が…………!

 

 

 

 

(ごめんなさい白音…………こんなお姉ちゃんで本当にごめんね?)

 

 

 

 

 

 

 

イヤ……イヤァッ!!行かないで、私を一人にしないで姉様ぁッ!!黒歌姉様ぁああああああああああああッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………こちゃ…………小……ちゃん!しっかりしてください、小猫ちゃん!!」

 

 

「う……んん…………あけ……の…………せん、ぱい…………?」

 

 

「あぁ、気がついたのですね…………良かった」

 

 

 

意識がうっすらと覚醒し、まぶたを薄めに開けてみると……目の前に目尻に涙を溜め、心配そうな表情をした朱乃先輩が見えた。首を動かすと、気絶しているだろう兵藤先輩へ必死に声をかける木場 祐斗先輩と二人を無視して何処か眺めている部長が目に入った。私は起き上がろうとするけど、どういう訳か力が上手く入らずに倒れそうになったその時、朱乃先輩が優しく受け止めてくれた。

 

 

 

「あぁ……いけませんわ、まだ安静にしていないと」

 

 

「スミマセン、身体がどうにも重くて………」

 

 

「ん?あら、気がついたようね小猫」

 

 

 

ようやく部長が私に気づくと、腕を組ながらやって来た。

 

 

 

「部長……」

 

 

「まぁ、この状況を見れば大体わかるけど………もう少し私達が来るまで時間稼ぎは出来なかったのかしら?」

 

 

「…………」

 

 

 

さっきよりも不機嫌な感じで部長は私を睨み付けるが、私は敢えて視線をそらす。

 

 

 

「リアス、あまり小猫ちゃんを責めないで上げてください。イッセー君はまだ入ったばかりなのはともかく、小猫ちゃんも私達が来るまで必死に戦っていたんですよ?」

 

 

「それとこれとは話は別よ。せっかく下手人を捕まえるチャンスだったのに……二人ががりでこのザマよ?使えないにも程があるわ」

 

 

「ッ!?リアス!貴女、自分の眷属になんて事を……「大丈夫ですよ、朱乃先輩」こ、小猫ちゃん?しかし……」

 

 

「……あの時、油断した私が悪いんですから……責められて当然なんです」

 

 

「で、でも…………」

 

 

「小猫の言うとおりよ、朱乃?わかったなら今後は私への発言は慎んでちょうだい」

 

 

「ッ!…………わかり、ました」

 

 

「それから小猫?今回は朱乃に免じて許すけど、今度しくじったらどうなるか………わかっているわね?」

 

 

「…………はい」

 

 

「なら良いわ……さっ、人が来る前にさっさと撤収するわよ」

 

 

 

部長は転移魔法陣を展開すると、その場から消えた。それに続いて兵藤先輩を担いだ祐斗先輩が、そして最後に朱乃先輩が私を心配そうに支えながら魔法陣へと入っていった。

 

 

 

 

 

これは後で気づいた事ですが、私が紫鬼の人に貫かれたであろう胸部分を見てみたら貫かれた後が残っておらず……まったく無傷だったのと、何故かあった筈であろうナニカがポッカリと無くなっていた事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒歌side

 

 

「はぁ、さっきの夏煉………怖かったにゃあ~」

 

 

 

あんなに殺気満々なの初めて見た気がするのにゃ。あ、そういえば『気に入らないのと遭遇した』とか言ってたけど…………なんの事だろう?

 

両腕で枕を抱きつつゴロゴロと寝転びながら考えていたら、夏煉が帰って来た。

 

 

 

「ただいま戻りましたぁ~」

 

 

「あ、お帰りぃ~ どうだった?」

 

 

「えぇ、無事に終わりましたよ。ただ、ちょっとだけアクシデントがありましたけど……」

 

 

「アクシデント?まぁ、深くは聞かないでおくけど……お疲れ様にゃ」

 

 

「はい……ありがとうございます…………」

 

 

 

労いの言葉を受け取った夏煉は、ポケットから回収した悪魔の駒4つを机に置いた。因みに私の駒と今まで倒したはぐれ悪魔、そして今回のを含めて計24個の駒がズラリと並べられていた。てゆーか……あれ?今気づいたけど、今回は一匹だけの筈なのに夏煉が置いた駒は兵士3つと戦車………なんか、今は聞くの怖いから、後で聞いておこっと。

 

 

そう考えていると……

 

 

 

「黒歌さん…………」

 

 

「え?何、どうかしたの?」

 

 

「黒歌さんにその……お、お願いがあるんですけど…………今日だけ一緒に寝てもらえませんか?」///

 

 

 

なんと、夏煉が頬を赤く染めながら共寝をお願いされた。

 

何、この娘……超可愛い!!

 

 

 

「べ、別にかまわにゃいけど……どうして?」

 

 

「えっと、その……たまには一緒に寝て上げても良いかなって思ったんです。ほら、時々黒歌さん……私のベッドに潜り込んでくるでしょ?」

 

 

「え?あ、あぁ……そ、そうにゃんね」

 

 

「それで……黒歌さんの匂いとか温もりとかが……頭から離れなくって…………あぁ!もう、私、変になっちゃったのかな?ドキドキが止まらないよぉ……!」

 

 

 

ま、まさか……おふざけ半分でやった事がこんな所で出てくるなんて。まぁ、夏煉を抱き締めてるとフニュフニュな柔らかい感触で飽きないと思ってたけど…………

 

それと同時に胸がバクバクしてるのが感じる。これって……恋なのかにゃ?

 

 

 

「く、黒歌さん………」///

 

 

 

心の熱さを感じていたら、夏煉がアツい視線を向けた。

 

 

 

 

「は、恥ずかしいから一度だけ言いますね?

 

 

 

 

私を抱いてもらえませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブチッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の中で、ナニカが切れると同時に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夏煉、先に謝っておくね…………ゴメン!!」

 

 

「キャッ!?」///

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は夏煉を本能のままに、ベッドへと押し倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…………何故、こうなってしまった!?

いや、黒歌は最初から重要キャラかつ、小猫との和解を考えていたのですが……ヒロインとして考えてみようと思ってやってしまった。若気の至りとは正にこれを意味しますね……

これはR-18のを作るべきなのか……?

ですが、そんなこんなで物語はまだ続きます。

それでは次回まで、お楽しみに!


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Episode7

どうも、悪維持です。

今日のビルドで、マッドローグが大暴れ!そして、次回にはビルド最終形態が!!クライマックスがスンゴく興奮します!!

それでは本編スタートデス!!


鬼崎side

 

 

「そ、それで……一緒に寝るどころかどういう流れか()()して一夜過ごした…………と………?」

 

 

『『は、はい…………』』

 

 

 

僕は今、猛烈に動揺していた。近況報告を聞く為に繋げてみると……画面には服が辺りに散らばり、生まれたままの姿で互いに抱き合っていた義妹(夏煉)猫又(黒歌さん)が映し出されていたからだ。

 

ま、まさか夏煉が………あの純粋無垢な義妹が隣にいる猫又……しかも女性と一夜を過ごしてしまったなんて動揺しないほうが異常だ。

 

なにより、この場に義姉さんが居ないのが都合が良い。もし、この惨状を見れば暴走の確率が高いし、積極的に変な事を聞いてくるから始末が悪い。

 

ま、まぁ?僕だってソレくらいは受け入れるし、義姉さんのアレな性癖だって気にしてない。けど…………けど!これはどう受け止めて良いのか困惑するじゃないか!!せめて夏煉には、平常の恋愛をして……いや、そもそも夏煉に彼氏ができて……その彼氏がどうしようもない下衆なら百回はなぶり殺す。全総力を持ってね?

 

でも、此処で黙って悩んでいても変わらないし、僕も一人の男かつ夏煉の義兄だ………どうやら、覚悟を決めるしかないようだね。

 

 

 

「まぁ、最初に目撃した時は驚いてどうしようかと思ったけど……黒歌さん?夏煉を寝とったからには、やる事はわかってますよね?」

 

 

『……え?』

 

 

「それと夏煉、自分で撒いた事はしっかりと責任持ってやるんだよ?」

 

 

『え?よ、陽太義兄さんは怒ってないの?私達がした事を…………』

 

 

「あぁ……もう、そんなのは義姉さんで流石に慣れたよ。それに、僕も君達の関係を否定するつもりはさらさら無いし、むしろ干渉するつもりもまったく無い。まぁ、スカーレット様が聞いたらどうなるかわからないけど………上手く言っておくさ」

 

 

『『は、はぁ…………』』

 

 

 

二人は怒られるかと思っていたのだろうか、あまりにも受け入れられた事に唖然としていた。

 

 

 

「それじゃあ、後は二人がどう決めるか話し合うように………じゃあね」

 

 

 

そう告げて通信を切ると、目を閉じつつため息を盛大に吐いた。やれやれ、僕も浅ましくなったな…………義妹の同性愛を受け止めるなんてね。慣れというのは恐ろしい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏煉side

 

 

「ね、ねぇ……夏煉。これって大丈夫って考えてもいいんだよね?」

 

 

「そ、そうみたい…ですね……黒歌さん」

 

 

 

昨夜の黒歌さんとの事を、陽太義兄さんに知られた時は否定されると思っていたけど……何故か予想の斜め上で、それを受け入れられた事に唖然としてしまった………

 

 

 

 

でも、それと同時に不思議な安堵感があった。確かに昨日は変態に遭遇してイライラしたり、仕事が度重なって疲労が取れなかったり………思いもよらない所で知り合いと遭遇したり………………もう沢山ありすぎてどうして良いか、わからなくなってきた。

 

だから、これは陽太義兄さんやスカーレットさんの為だと自分に言い聞かせた。でも、その反面………背負う重みに耐えきれず、逃げ出したいと考える事もあった。

 

大好きな陽太義兄さんに甘えたい、陽太義兄さんに慰めてもらいたい…………けど、この世界に陽太義兄さんや城の皆は居ない。私一人…………そんな孤独感に私は狂いそうだった…………

 

 

 

 

でも……そんな時、黒歌さんの顔が頭によぎった。猫の様に身体をくっついてきたり………ベッドに潜り込んできたりと大変な事になっていたけど…黒歌さんは何時だって私の側に居てくれたのだと感じた。

 

だから、黒歌さんに甘えてみようという選択をした。

 

けど………その代償は高く、同性と一夜を過ごした事になってしまった。でも、不思議と嫌な感じはせず………むしろ心の隅にあった穢れが消えるのと、一人じゃないという幸福感を感じられた。(でも、少しだけ獣の様に荒れに荒れてる黒歌さんに興奮と快感を覚えたのは……私だけの秘密です♪)

 

 

 

そして一夜が明けて、現在に至ります…………

 

 

 

 

 

 

唖然とした空気を破る様に黒歌さんは咳払いをしながら頬を赤らめつつ、私に恥じらいの眼差しを向ける。

 

 

 

「か、夏煉…………あの、昨日はゴメンね?その、あまりにも夏煉がカワイっくて襲っちゃって…………」///

 

 

「い、いえ……元を正せば私が『一緒に寝たい』って言っちゃったから…………その……」///

 

 

「…………ねぇ、これはお互い様ってことにしにゃい?」///

 

 

「……そ、そうです…………ね」///

 

 

「「………………」」

 

 

 

そうして、沈黙が続き…………私は腹を括って黒歌さんへと顔を向ける。それと同時に黒歌さんも決意をした表情になり私にまっすぐ顔を向けた。

 

 

 

「黒歌さん……」

 

 

「夏煉……」

 

 

「「こ、これから……お付き合いの方を宜しくお願いいたしま…………痛ぁッ!?」」

 

 

 

私が意を決して放つ言葉と共にお辞儀をすると、黒歌さんも同じタイミングでお辞儀をした。その直後、額と額が軽くぶつかる。ちょっと痛い…………って、え?

 

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

「「ぷっ…あははは!」」

 

 

 

同じタイミングでの告白の言葉に、私達は思わず笑ってしまった。

 

 

 

「はぁ~……なんにゃ、夏煉もおんなじこと考えてたんにゃんね?」

 

 

「はぁ~ はぁ~…………それは、私の台詞ですよ。もぉ~」

 

 

「でも………なんか嬉しい」///

 

 

「…………はい」///

 

 

 

そうして、黒歌さんと無言で見つめあっていると……空間から眼魔眼魂が現れる。

 

もう、良い所なのに…………

 

そんな事はお構い無しだとばかりに、眼魔眼魂の瞳から駒王町の全体地図が映し出される。そして、とある建物に4つの黒い羽のマークが点滅していた。まさか……!

 

マークが点滅している場所を覚えた私は、無言で立ち上がって身支度をする。そんな中、後ろを振り返ると黒歌さんが心配そうに見つめていた。

 

 

 

「行くんだね、夏煉…………」

 

 

「えぇ、これが私に与えられた仕事ですから…………大丈夫ですよ、黒歌さん。絶対に帰って来ますから」

 

 

 

そう笑顔で告げて、身支度を終えた私はドアへと向かおうとした。その時…………

 

 

 

「夏煉」

 

 

「どうしたんですか?黒歌……んむぅッ!?」

 

 

 

声をかけられて、振り向いた瞬間……黒歌さんが私を強く抱き締めて唇を重ねた。

 

そしてキスをしてから2分辺りで、離してくれた。

 

 

 

「ぷはぁ……にゃふふ、私からの祝福のキスにゃん♪」

 

 

「はぁ、はぁ……あ、ありがとう…………ございます…………」

 

 

「ふふ………頑張ってね?」

 

 

「……はい、いってきます」

 

 

 

そして、私は黒歌さんに一時の別れを告げ………部屋を後にした。

 

ホテルの廊下を歩いていると、懐から黒と赤色の眼魂と漆黒の眼魂が出てきた。

 

 

 

『見ておったぞ娘?お主、あの猫又と夜伽を通して……』

 

 

「羽衣狐さん……これが私の選んだ道です。だから……」

 

 

『皆まで言わなくともよい………妾はそなたが進む道を見守り、支え、そしてこの強大なる力を………娘、そなたの思うがままに使うがいい』

 

 

「ありがとうございます………」

 

 

『ふっ……しかし、お前が恋路に現を抜かして己が進む道を違え、踏み外した時は………私は迷わずお前を斬る。仲間だろうが、なんだろうがな』

 

 

「わかっているよ、焔………もし、そうなった時は私も全力で斬る。それが例え、理解してくれる一番の友達でも……」

 

 

『友達……か。聞こえは言いが、一つ間違っているぞ?共に戦い、共に競い……そして共に限界の先を高め合う…………私達は仲間だ、絶対なる最強を目指す者同士のな?』

 

 

「焔………なら、今回は羽衣狐さんと一緒にお願いしようかな?」

 

 

『ふむ……今宵は良い余興が見れそうじゃな?』

 

 

『あぁ、荒れに荒れまくってやる!!』

 

 

「ふふ……………さぁ、(堕天使)狩りの始まりだよ」

 

 

 

私は悪戯心に満ちた子供の様な笑みを浮かべつつ、堕天使達が潜伏している場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回はいよいよレイナーレ一味との戦い、是非ともお楽しみに!!

それではまた、次回!


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Episode8

どうも、悪維持です!

今回はレイナーレ戦を前後編に分けてお送りしようと思います。

前編ではヘレナと堕天使三人が戦い、ヘレナのゴーストチェンジが登場します!

それでは本編スタートデス!!


※作者の都合により、物語の一部を変えさせていただきます。


夏煉side

 

 

以前、アザゼルさんからこの町に堕天使四人が潜入し、その処理を依頼された私は眼魔眼魂を町中に放ち、その行方を探っていた。

 

そして、隠れ家と思わしき廃教会へとたどり着き……敷地内へと足を踏み入れる。

 

 

 

『娘よ、此処が烏共の根城か?』

 

 

「はい、悪魔達は教会が天使の拠点だと恐れて誰も寄りつきません。だから連中は、それを見越して選んだんだと思います」

 

 

『なるほど……拠点としては申し分無しという事か。それで、肝心の烏共は何処に………』

 

 

『ふむ……どうやら、向こうから姿を現したようじゃな?数は三羽くらいか』

 

 

 

羽衣狐さんの言葉通り……私の目の前には黒のスウェードハットをかぶり、長い灰色のコートを羽織った中年男性と青みがかかった長い黒髪でボディコンスーツをまとった美女、そして赤髪のサイドテールに白黒のロリータ服を着用した少女が現れる。しかも三人は、背中に黒い翼を生やしていた。

 

 

 

「ありゃりゃ、なんか~人間のガキんちょが一匹迷いこんで来ちゃったんだけどぉ……どうすんのドーナシーク?」

 

 

「ふん、所詮は下等生物だ。殺してもどうという事は無い」

 

 

「それもそだね、てな訳で………バ・イ・バ・イ!!」

 

 

 

赤髪のサイドテールが左手から光の槍を形成させて、私目掛けて投擲する。でも、私はそれを一歩後退して回避した。

 

 

 

「なっ!ちょっと冗談でしょ!?」

 

 

「何をしているプレティオ……たかが人間の小娘だぞ」

 

 

「そんなことわかってますぅ!さっきのマグレっしょ、マグレ!!それなら、コレはどう防ぐのよ!!!」

 

 

 

サイドテールは、今度は両手に二本の槍を形成させて駆け上がりながら接近する。

 

私は焦ることなくゴーストドライバーを出現させ、ヘレナ眼魂をセットする。

 

 

 

《アーイ!》

 

 

「ッ!?ウッそ!な、なにそ…………ゴハッ!?」

 

 

「なっ!プレティ……グッ!?」

 

 

「きさ……グオッ!?」

 

 

 

ゴーストドライバーからヘレナゴーストが出現し、迫る赤髪サイドテールの腹部に突進して吹き飛ばした後に残りの二人にも体当たりを浴びせる。そして、私の元へと舞い戻った。

 

 

 

《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

「変身」

 

 

《カイガン!ヘレナ!!デッドゴー!覚悟!!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!!》

 

 

 

レバーを操作し、私はヘレナへと変身する。その後にドライバーに手を翳し、ガンガンハンドとは別に黒色を基調とした両刃剣【ガンガンセイバー】を装備し、身構えた。

 

 

 

「痛ったァ~……ちょっとぉッ!さっきのは痛……って、なにその姿!?ア…アンタ、まさか神器使いだったん訳!!」

 

 

「だったら?」

 

 

「はっ!丁度良いじゃん。神器使いなら、アンタをぶっ殺してその神器をアタイのモンにするだけさ!!」

 

 

「殺れるなら殺ってみなよ」

 

 

「上等!!」

 

 

 

サイドテールは両手に持った槍を投擲した後、次々と光の槍を形成して私へと投げつける。私はガンガンセイバーで最初に投げられた二本の槍を叩き斬った後、次々と迫る槍の雨を斬り捌いていく。斬り捌かれた光の槍は、地面に突き刺さると同時に霧散していく。そして、槍を捌きながら私はサイドテールの目の前に接近しセイバーを袈裟薙ぎに振り落とした後、腹を蹴りあげる。

 

 

 

「ッ!?ガハッ!!」

 

 

 

振り落とされたセイバーの斬撃と蹴りをモロに浴びたサイドテールは後退りながら、斬られた箇所を抑える。

 

 

 

「ちっ!調子にのんなっつーの!!」

 

 

「逃がさないよ」

 

 

 

サイドテールは睨みながら叫ぶと、背中の翼を使って空へと飛び上がろうとする。私はそれを見逃さずに、瞬時に後ろへと回り込んでジャンプで跳び上がり、セイバーで翼を両方斬り裂いた後、踵落としを食らわせて地面へと叩き落とす。

 

 

 

「ガアッ!く、くそッ…………え?」

 

 

 

地面へと激突したツインテは自分の背中にあった筈の翼が切断されていることに気づいた。

 

 

 

「う、嘘……ウソウソウソウソウソウソウソウソウソォォォッ!!??ア、アタイの翼……アタイの堕天使としての象徴がぁっ!?!?」

 

 

 

翼を切断されたことがよっぽど致命的だったのか、ツインテは頭を抑えて泣き叫ぶ。

 

あぁ……なんて、心地の良い響きだろう………相手がもっとも大切にしているモノを完膚無きまでに踏みにじって、壊された本人が抗えない現実に絶叫し、希望そのものを挫かれ、心の底から絶望する姿を眺める。私達(煉獄義姉弟)にとってはこの上ない幸福…………!

 

 

 

「よくも……よくもよくもよくも!アタイの堕天使の象徴を、よくもぉおおおおおおおおおおおッ!!!!」

 

 

 

サイドテールは涙を流しながら、両手に光の槍を形成させ突進してくる。私はそれを迎え撃つべくガンガンハンド同様に、ガンガンセイバーの鍔に刻まれた目玉模様をゴーストドライバーに翳してアイコンタクトさせる。

 

 

 

《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!!ガンガンミイヤー!!》

 

 

「死ねぇえええええッ!!!」

 

 

「残念だけど……此処で散るのは貴女だよ?」

《オメガブレイク!!》

 

 

 

 

             

             

             

              

 

 

私の背後に目の紋章が出現し、ガンガンセイバーの刀身に黒紫色のオーラが収束する。そしてすれ違い様に槍を交わし、サイドテールの腹部をガンガンセイバーの斬撃で切り裂いた。

 

 

 

「そん…な、レ、レイナーレ…様………!」

 

 

 

斬られたサイドテールは両手に持った光の槍が霧散し、力無く膝をつきながらうつ伏せに倒れ爆散した。

 

私はガンガンセイバーを血振りの原理で、力強く斜めに振るう。そして、後ろを振り返るとそこには先ほどの戦いを見ていたツインテの仲間が驚いた表情で私を見ていた。

 

 

 

「バ、バカな……たかが人間の小娘如きにプレティオがッ!?」

 

 

「どうやら、ただ者では無い事だけは確かだな……カラワーナ、同時攻撃で仕掛けるぞ!!」

 

 

「あぁッ!」

 

 

 

二人は光の槍を形成し、翼を使って上空へと飛び上がった。すると、懐から羽衣狐さんの眼魂【D02:ハゴロモギツネ眼魂】が私の目前に漂う。

 

 

 

『娘、妾を使え。烏で遊んでおくのも悪くは無い』

 

 

「わかりました」

 

 

 

私はそう言いつつ、右手へ収まった眼魂のスイッチを押すと、瞳の絵柄が変わり数字の『02』が浮き上がる。

 

そしてゴーストドライバーのバックルを開いて中にあったヘレナ眼魂を取り出した瞬間、今着用しているパーカーが消滅して、何も描かれていないフェイスに紫のラインが入ったボディースーツの素状態《トラジェント》になる。

 

そして、スイッチを押したハゴロモギツネ眼魂をゴーストドライバーにセットしてバックルを閉じた。

 

 

 

《アーイ!バッチリミトケー!!バッチリミトケー!!》

 

 

 

その音声と共に、中枢からヘレナゴーストとは別のパーカーゴーストが出現する。

 

それは漆黒のセーラー服をモデルとし、後ろの裾には白銀に煌めく狐の尻尾が九本生えたパーカーだった。

 

そしてパーカー《羽衣狐ゴースト》が出てきた瞬間に、レバーを勢いよく引いて押し込んだ。

 

 

 

《カイガン!ハゴロモギツネ!!魅惑の妖狐!統べるは漆黒!!》

 

 

 

音声が鳴り響くと共にパーカーを羽織ると、裾にある九つの尻尾【ミスティックナインテール】がまるで命を吹き込まれたかのようにゆらりゆらりと妖しく揺れ動き、パーカーからは黒色のオーラが溢れ出てくる。そして何も描かれていないフェイスには、二本の角と共に九本の尻尾を持った狐の後ろ姿で顔を形成した絵が描かれる。

 

 

 

「な、なんだあれは!?」

 

 

「姿が……変わっただと!?」

 

 

「仮面ライダーヘレナ ハゴロモギツネ魂」

 

 

『さぁ、烏共。今宵に煌めく月の様な派手な余興を見せておくれ……』

 

 

 

羽衣狐さんがそう告げた後に右から2つ、3つ目の尻尾から黒一色の鉄扇と煌びやかな装飾が施された刀が現れると私は右手に刀を、左手には鉄扇を装備する。

 

 

 

「【二尾の鉄扇】、【三尾の太刀】……!」

 

 

『これは妾が愛用する武具の一つ。さぁ……精々、我等を楽しませておくれよ?』

 

 

「ふん、何を出したかと思えばとんだ虚仮威しだな?」

 

 

「扇と刀だけで……何が出来る!!」

 

 

 

コート男と美女は勝ち誇った表情をしながら、持っていた光の槍を私目掛けて投擲する。私は左手に持つ鉄扇を構えると、瞬時に巨大化して投擲された光の槍を防ぐ。光の槍は鉄扇の扇面にぶつかると粉々に砕け散りながら霧散する。

 

 

 

「なっ!?そんなバカな!」

 

 

「もう終わり?なら、今度は此方の番だね……」

 

 

「フッ……だが、上空にいる我々にどうやって攻撃する気だ?まぁ、踏みしめている地面が似合う下等生物には、空を飛ぶ等無理な話だがな?」

 

 

「飛べるのは、貴方達だけの専売特許じゃない……」

 

 

 

私は鉄扇を元のサイズへ戻し、その場で軽く扇ぐ。すると、私の周囲に突風が発生し私はそれに身を纏い、そのまま上空にいる堕天使達の元まで飛び上がる。

 

 

 

「ハァアアアアアッ!!!」

 

 

「なっ!?は、速……ガァッ!グアァッ!?」

 

 

「ド、ドーナシー……グブッ!ガハァッ!?」

 

 

 

そしてつむじ風を纏った状態で、堕天使達の周囲を高速で飛び回りつつ鉄扇を少しだけ大きく伸縮させ、太刀には紫電を纏わせる。そして、すれ違いざまに鉄扇による打撃をコート男の堕天使に、太刀による斬撃を美女の堕天使にと何度も浴びせ続ける。そして、一通りなぶり終えた後にミスティックナインテールで地面へと勢いよく叩き落とす。

 

堕天使二人が墜落すると同時に、私も突風を霧散させ地面に着地する。

 

 

 

「ガッ!……わ、私達……至高なる堕天使が、こんな人間……如きに圧倒されるなど……!」

 

 

「グッ……認めん、認めてなるものか………!」

 

 

『満身創痍な身であるにも関わらずまだ立ち上がるか………しかし、少しは楽しめると思うたがこう手応えが無さすぎると、案外つまらぬな?』

 

 

「それなら、私がこの二人を使って羽衣狐さんに“面白いモノ”を見せてあげますよ」

 

 

『ほぉ……娘にしては気がきいておるではないか?では、そなたが言うその“面白いモノ”で妾を楽しませてみよ』

 

 

「わかりました」

 

 

 

私はそう呟くと同時にミスティックナインテールでレバーを操作し、必殺技を発動させる。

 

 

 

《ダイカイガン!ハゴロモギツネ!!オメガドライブ!!》

 

 

「……フッ!」

 

 

「なっ!?グッ……うっ……わ、わあぁあああッ!!??」

 

 

「カ、カラワーナッ!!」

 

 

 

私は鉄扇に黄緑色のエネルギーを纏わせた後、大振りに扇いで巨大な竜巻を美女の堕天使へとぶつけ、上空に吹き上げる。

 

そして、竜巻に呑み込まれた堕天使が煌びやかに光る三日月に背を向けた状態で必死にもがき続ける。そして太刀の刀身に炎を纏わせた後………

 

 

 

「ハァッ!!」

 

 

 

 

    

      

        

          

            

              

                

 

 

 

 

「ぐあぁあああああああッ!!!」

 

 

 

私は勢いよく太刀を振るって、巨大な炎の斬撃を放つ。そして斬撃は吸い込まれるように竜巻へと迫り、美女の堕天使を縦一閃に両断させ、花火の如く爆散した。

 

 

 

『ふむ……煌めく月を背景にし、烏による花火で派手さを演出したか。流石は妾達が見込んだ娘……で、その残った(そやつ)はどうする気じゃ?』

 

 

「……ん?あぁ、そうですね…………」

 

 

 

私は仮面の下ににこやかな笑みをこぼしつつ、残っているコート男の堕天使に視線を向ける。

 

さて、どうしようか…………あ、そういえば以前、陽太義兄さんと一緒にとある世界で…………よし、()()()に挑戦してみようかな?

 

私は鉄扇と太刀を尻尾に収納し、4つ目の尻尾から十字型の刃が先端にある長槍が現れ、装備する。

 

 

 

「【四尾の槍 “虎退治”】……さて、貴方には特別な技で葬ってあげる」

 

 

「くっ!貴様如き人間に……おめおめと殺られてたまるものかぁぁぁッ!!!」

 

 

 

コート男の堕天使は両方の手に光の槍を形成させ、翼をはためかせて飛行しながら私へと迫り、槍で突き刺そうとする。

 

それに対し、私はもう一度レバーを操作して必殺技を発動し、槍の先端にある十字の刃に禍々しい赤黒いオーラを纏わせる。

 

 

 

《ダイカイガン!ハゴロモギツネ!!オメガドライブ!!》

 

 

「さぁ……我に刃を向ける堕ちし天使よ、今こそ煉獄による裁きの時。慈悲と憤怒は業火の刃となり、貴殿の全てを刺し貫き……その(カルマ)を輪廻の核まで燃やし尽くそう……

 

煉獄の極刑(カズィクル・パーガトゥリー)】!!

 

 

 

 

オメガ

ドライブ

 

 

  

    

 

 

 

 

その詠唱と共に槍の刃を地面に勢いよく突き刺した。

 

その直後、突然私の周囲に禍々しい赤黒い十字槍が次々と出現し……その槍は意思を持つかの様に飛び出すコート男の頭、胸、腕、脚、翼……身体のありとあらゆる部位を刺し貫いた。

 

 

 

「ガアァアアッ!?!?!?!?」

 

 

 

幾つもの槍に身体の全てを貫かれたコート男は悲痛な叫びを上げながら悶え苦しみ、そして青い炎に全身を焼かれ…………塵と化して無に帰した。

 

コート男の最期を見届けた私は槍を引き抜いて、ハゴロモギツネ魂から元の形態であるヘレナ魂へとゴーストチェンジする。

 

 

 

『娘、先程の技はかの有名な串刺し公の……』

 

 

「えぇ、ルーマニアのワラキアの領主で「竜の子(ドラキュラ)」と恐れられている『ヴラド三世』。あの人の宝具を私なりにアレンジしてみたんです」

 

 

『ふむ、それより娘よ……今宵の主が見せてくれた余興は、実に楽しめた。これからも日々、精進するが良い』

 

 

「はい……お褒めにに預かりまして光栄でございます」

 

 

 

羽衣狐さんからの言葉を、私はありがたく受け取った後……廃教会の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

因みに夏煉が使った技【煉獄の極刑】はヴラド三世の【極刑王】がモデルです!

次回はいよいよレイナーレとの対決です!

次回もお楽しみに!!


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Episode9

どうも、悪維持です!

お待たせしました、レイナーレ戦の後半です!!

前回よりも長く書けたので、どうぞお楽しみください!

それでは本編スタートデス!!


ヘレナこと夏煉が下級堕天使のドーナシーク、カラワーナ、プレティオの三人を葬った同時刻………

 

廃教会内では、巨大な十字架が立てられた祭壇の前で長い黒髪に美しい顔、男性の誰もが惹かれる妖艶なスタイルを持ち。そして、それを主張するかのように露出度が高い黒のボンテージを着用し、背中に黒い翼を生やした女性が佇んでいた。

 

彼女の名はレイナーレ……堕天使組織《神の子を見張る者》に所属している下級堕天使である。

 

レイナーレは目の前にある十字架の祭壇を眺めつつ、残酷な笑みを浮かべる。

 

 

 

「もうすぐ………もうすぐよ。もうすぐあの娘が此処に来れば、私はアザゼル様とシェムハザ様のような【至高の堕天使】に……!アハッ、アハハハハハハハハハハハハッ!」

 

 

 

“至高の堕天使”……レイナーレはその言葉と共に高々と狂い笑う。

 

レイナーレの目的……それは、数日後に駒王町へと訪れることになっている破門されたシスター『アーシア・アルジェント』が宿す神器『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を抽出して、自分のモノとし組織のトップである総督のアザゼルと副総督のシェムハザから寵愛を受けることである。

 

 

 

「………それにしてもドーナシーク達は遅いわね、もうすぐ神器抽出の術式が完成するというのに……ん?」

 

 

 

レイナーレは、一緒に連れてきた三人が一向に帰還しないことに疑問を抱いた直後。突如として後方から強い気配を察し、後ろを振り返る。すると出入り口の扉がゆっくりと開き、謎の人物が中へと足を踏み入れた。

 

 

 

中へと踏み入れたその人物は、先程レイナーレの部下であるドーナシーク等三人を葬った紫鬼の戦士……ヘレナこと鬼町 夏煉であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏煉side

 

 

扉を開け、廃教会内へと足を踏み入れた私が最初に遭遇したのは長い黒髪に際どいボンテージを着用し、先程の三人同様で背中に黒い翼を生やした女性だった。

 

おそらく、今回の首謀者に間違い無いことと………さっき斬り捨てたツインテが口にした『レイナーレ』という人物だと悟るが確信が得られない……

 

少しだけ鎌をかけてみようかな?

 

 

 

「……【神の子を見張る者(グレゴリ)】の下級堕天使、レイナーレ……で間違いないよね?」

 

 

「ッ!?ど、どうして私の名と神の子を見張る者(グレゴリ)を……!そ、そういう貴女は何者よ!?」

 

 

 

ビンゴ!こうも簡単に当たるなんて、今日は運が良いな。

 

 

 

「答える義理は無い。なぜなら貴女も、仲間の元へ逝く運命にあるのだから……」

 

 

「仲間……ッ!貴女、まさかドーナシーク達を……!?」

 

 

「ご明察。さぁ、私と戦って華々しく潰えるか……それとも大人しくその命を差し出すか、2つの選択から1つ選んでね。勿論……拒否権は無いし、逃げても無駄だから」

 

 

「くっ……フッ!だけど、貴女も選択を誤ったようね?」

 

 

「?」

 

 

 

険しい表情から一瞬、余裕な笑みを浮かべるレイナーレの言葉に疑問も抱いた直後……突然私の周りに修道服を着用し、ビームサーベルを装備した大勢の神父達が囲んで退路を塞ぐ。

 

 

 

「アハハハハッ!一人で此処に乗り込んで来た事こそ貴女の敗因!さぁ、エクソシスト達よ其所に居る愚か者を殺しなさい!!」

 

 

『ハッ!』

 

 

 

レイナーレが神父達に指示を出すと、私を囲んでいる全員がビームサーベルを構えて臨戦態勢をとる。

 

それに対し、私は懐から焔の眼魂【D01:ホムラ眼魂】を取り出した。

 

 

 

「出番だよ、焔………」

 

 

『ふっ、待ちわびたぞ……この時を!』

 

 

 

その言葉と共に眼魂のスイッチを押すと、瞳の絵柄が変わり数字の『01』が浮き上がる。その直後、ゴーストドライバーのバックルを開いて、中へと入っているヘレナ眼魂をスイッチを入れたホムラ眼魂と入れ替えてバックルを閉じる。

 

 

 

《アーイ!バッチリミトケー!!バッチリミトケー!!》

 

 

 

その音声と共に、ゴーストドライバーから赤色の薄いラインが入った黒を基調としたセーラー服をモデルとし、フードの後頭部には白い髪止めとポニーテールのようなモノが靡き、両肩にはそれぞれ三本の刀を、そして背中には緋色の長刀の計七本の日本刀を背負ったパーカー……《焔ゴースト》が出現する。

 

そして焔ゴーストが上空へと舞い上がった瞬間……私は左手で印を結びつつ、右手でトリガーを操作しながら口を開いた。

 

 

 

「忍……転、身」

 

 

《カイガン!ホムラ!!目指せ最強!迸る六爪!!》

 

 

 

炎の渦が私の身体に巻かれると同時に音声が鳴り響き、上空からパーカーが降下し羽織る様に被さる。そして炎が消え、何も描かれていないフェイスには、二本の角と共に六本の刀で顔を形成した絵が描かれる。

 

その後、ドライバーに右手を翳してガンガンセイバーを取り出して装備し、レイナーレへと視線を向ける。

 

 

 

「そういえば貴女は……さっき私が誰かを聞いた時に『答える義理は無い』と返したけど……冥土の土産って事で特別に教えてあげる」

 

 

 

その言葉の後、セイバーを構えつつレイナーレを含めた全員へとモノ凄い殺気を放つ。

 

 

 

「煉獄の紫鬼、仮面ライダーヘレナ」

 

 

『秘立蛇女子学園五人衆が一人、焔』

 

 

「『渾沌 / 悪の定めに舞い殉じる!!』」

 

 

 

殺気を前にして怯んでいたレイナーレは、私達の名乗りで咄嗟に我へと返る。

 

 

 

「しょ、所詮相手は唯一人!さぁ、何をボーッと突っ立っているの!?さっさとソイツを始末なさ……」

 

 

 

レイナーレが神父達に命令する刹那、私は常人離れした速度で神父達の包囲網をかいくぐり……

 

 

 

「き、消え……ッ!!??」

 

 

 

そして、一瞬にしてレイナーレの目と鼻の先まで近づくとガンガンセイバーを顔へと突き立て、そのまま貫こうとする。

 

が、レイナーレはその攻撃を頭を少しだけギリギリ動かす事で紙一重にかわす。かわした瞬間にすれ違いざまで…………

 

 

 

「震えてるの?」

 

 

 

その言葉を耳元で囁きながら、振り返った直後にセイバーを振り上げ、のけ反っている最中に背後へと振り下ろし……連続で斬撃を浴びせる。

 

 

 

「ガハッ!?(い、一瞬すぎて何も見えなかった……!この速さは人間の域を……いえ!その先を遥かに越えている!?……そんな馬鹿な事が!!)……くっ!何をボサッとしているの!?さっさとソイツを片付けなさい!!!」

 

 

 

レイナーレは苦い顔をあらわにしながら翼を広げて上空へと逃げると、神父達を仕向ける。

 

私は神父達から一旦距離を取りつつ、セイバーの刀身の一部を取り外して小太刀へと変形させ、【二刀流モード】へと移行する。そして、セイバーと小太刀を逆手に持ち替えながら上空へと跳び上がり、天井へセイバーと小太刀の刃を突き刺しながら両脚を折り曲げてぶら下がる。

 

その時、上空へと飛び上がっていたレイナーレが勝ち誇った笑みを浮かべながら、光の槍を形成する。

 

 

 

「やはり数では貴女が不利……恐れをなして天井に逃げるなんてやはり人間!この光の槍で貫いてあげるわ!!」

 

 

「別に逃げる為だけに天井へ跳び上がって、ぶら下がっている訳じゃない………貴女とこの場に居る全員を片付ける為の準備を整えていただけだよ」

 

 

「ハッ!下等生物が負け惜しみを!!その身体に風穴を空けて……」

 

 

「【嵐脚(ランキャク)(らん)”】!!」

 

 

 

レイナーレの言葉が言い終わろうとした瞬間、私は両手に持つ武器(セイバーと小太刀)を力強く握り締めながら、両脚を高速で交互に蹴りあげる。すると両脚から扇状の衝撃刃が無数に発生し、地上にいる神父達へと放たれる。

 

私が放ったこの技は『嵐脚』。超高速の蹴りによって衝撃刃を発生させ、前方に飛ばす六式と呼ばれる特殊な拳法の一種で、以前一輝義兄さんに教えてもらって習得した技だ。

 

放たれた嵐脚の雨が地上にいる神父達はおろか教会の床に降り注ぎ、逃げ場を封じる。そして無数の嵐脚は地上へと直撃し、粉塵が舞いあがる。

 

 

 

「このッ!調子に……「【嵐脚】!」なっ!?」

 

 

 

レイナーレが光の槍で攻撃する瞬間……私はセイバーと小太刀を天井から引き抜き、牽制として右脚による嵐脚を打ち放った後に着地する。

 

そして、レイナーレは即座に回避しつつ光の槍を幾千にも形成させ、私に狙いを定めて投擲する。

 

 

 

「食らいなさい!!」

 

 

「甘いッ!」

 

 

 

私はセイバーと小太刀の持ち手を逆手から順手へと戻した後、迫る槍の雨を二刀流で全て斬り捌く。そして、レイナーレが先程よりも一回り大きな光の槍を形成させ、私を貫かんと速いスピードで飛翔しながら接近する。それを私はセイバーと小太刀を交差させて防ぐも、武器同士の激突による衝撃で強く弾かれて後方へと突き刺さった。

 

セイバーと小太刀を失った私は静かに附せていると、レイナーレがここぞとばかりに歓喜の笑みを浮かべながら私を罵り、嘲笑う。

 

 

 

「アハハハハッ!!!どう?これが至高なる堕天使である私の力!!武器を失い、丸腰の貴女にはもう何もできない!その背中にある刀も、どうやらお飾りみたいね!!」

 

 

「…………」

 

 

「あら、もしかして武器を失ったショックで声も出ないのかしら?流石は下等生物、何処までも愚かな貴女達は……私達人外には一生勝てないのよ。さぁ、最後の慈悲として一撃であの世に……「フフ……」ん?」

 

 

「フ、フフフ…………!」

 

 

 

レイナーレが私を蔑ましながら、光の槍を形成して一撃で決める瞬間。対する私は、仮面の下で含み笑みを浮かべながら小さく笑う。

 

それと同時に焔も、私につられて小さく笑いだす。

 

 

 

『ククク、アハハ…………!』

 

 

「『アハハハハッ!!』」

 

 

「な、何が可笑しいのよ!?」

 

 

「ハァ~……ゴメンなさい。ついね……けど」

 

 

『あぁ、これでやっと…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『本気が出せる(そうだ)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と共に私は両手を背中に回し、両肩に背負う六本の日本刀【ゴーストシックスブレイド】の柄に人差し指、中指、薬指、小指の間へと挟んで勢いよく引き抜き、身構える。

 

 

 

「ッ!?な、何よそれ!その刀は飾りじゃなかったというの!!??」

 

 

「えぇ……この六爪流こそ、焔が使う本当の武器。最初にガンガンセイバーを使っていたのは、貴女にこの六爪を抜く価値があるかどうかを見極める為……そして」

 

 

『貴様は私達に六爪を抜かせた………本来ならお前はアレで仕留めれるぐらいの何処にでも居る唯の雑魚だったんだぞ?』

 

 

「雑魚?至高の堕天使である私を……唯の雑魚、ですって…………!?」

 

 

 

レイナーレは光の槍を強く握り締めながら、顔を醜く歪ませて憎悪の視線を私達に向けた。よっぽど雑魚呼ばわりが嫌いなのかな?

 

 

 

「ふぅぅぅぅざけるなぁぁぁぁぁッ!!!!至高の堕天使たる私を雑魚呼ばわりするなど万死に値するぞ下等生物ごときがァアアアアアアアアアッ!!!!」

 

 

『ハッ、おいおい……せっかく誉めているのに逆上は無いだろう?せめて六爪を抜かせたその“至高の堕天使”の片鱗くらいの価値を見せてみろ……露出烏女』

 

 

「ちょっと焔、言い過ぎだよ。まぁ、雑魚ってのは事実だけどね?」

 

 

「きぃぃぃさぁぁぁまぁァアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 

レイナーレは雑魚呼ばわりされ続けて、ぶちギレたのかさっき以上の速度で光の槍を投げつける。

 

それに対し、私は右に持つ三刀を振り上げて光の槍を粉々に斬り裂く。

 

 

 

「さて、もうお遊びはおしまい……」

 

 

『ここからは命懸けで獲りに行く!』

 

 

 

私は……いや、()()()()は刀をレイナーレへと突きつけながら尋常無い殺気を放ちつつ構える。

 

 

 

「私の生き様、たっぷりと見せてあげる!」

 

 

『いざ、紅蓮の如く舞い散れ!!』

 

 

 

その掛け声と共に、私は高速で一気にレイナーレの元へと肉薄し両手に持つ六爪でバツ字に斬り裂く。

 

 

 

「ガッ!?」

 

 

「まだまだぁッ!」

 

 

 

レイナーレがのけ反ったスキに、左の三刀で袈裟凪ぎで斬りつけた後に右の三刀による横一閃を食らわせて、腹部に力を込めた膝蹴りをめり込ませて上空へと吹き飛ばす。

 

 

 

「ガボバァアアアッ?!?!」

 

 

『情けないなぁ!お前は至高の堕天使なんだろ?だったらその称号にふさわしい価値の片鱗を見せてみろよッ!!!』

 

 

「な、ナメるな下等生物ガァアアアアアッ!!」

 

 

 

レイナーレは反撃といわんばかりに幾千もの光の槍を形成させて、私に目掛けて一斉に放つ。私は六爪を構えながら身体をギリギリまで捻り、その反動で勢いよく回転し襲いかかる槍の雨を瞬時に捌く。

 

 

 

『その程度か!』

 

 

「つまらないね?」

 

 

「この、バケモノがぁああああああッ!」

 

 

「『人外の貴女(貴様)にだけは言われたくないね(な)ッ!!!』」

 

 

 

私は勢いよく右足に力を入れて上空まで跳び上がり、レイナーレの目前までたどり着くと同時に右の三刀で背中にある黒い翼の片方を切り捨てる。

 

 

 

「ギャアァアアアアアアアアアアアッ!?」

 

 

 

翼の片方を切断され、コントロールを失ったレイナーレは地上へと落下する。

 

そして墜落したレイナーレはヨロヨロと立ち上がり、切られた翼に目を見開きながら動揺する。

 

 

 

「わ、私の美しい翼が……

堕天使の誇りである象徴がぁァアアアアアアアアアッ!?!?!?き、貴様ぁアアアアアアアアアッ!よくも、よくもよくも私達堕天使が最も誇りとして崇めている象徴をぉおおおおッ!!!!

 

 

「知らないよ、そんな黒くて品がなさそうな汚い翼を切り落としたぐらいで……もう、これ以上やっても無駄みたいだし…………そろそろ終わらせるよ、焔」

 

 

『あぁ、コイツでは手応えが無さすぎる……』

 

 

 

堕天使の喚きに呆れを感じながら、私はトリガーを操作させて必殺技を発動させる。

 

 

 

《ダイカイガン!ホムラ!!オメガドライブ!!》

 

 

「『ハァ~…………ッ!』」

 

 

 

ゴーストシックスブレイドに炎の渦を纏わせ、私は姿勢をギリギリまで低くさせながら六爪を握り締めつつ、さっき以上の速度でレイナーレの元へと一気に駆け出す。

 

 

 

「ヴェアァアアアアアアアアアアッ!せめて、せめて貴様だけでも道連れにして……!」

 

 

「貴女と一緒に死ぬ気はさらさら無い……私には家族として迎えてくれた皆、こんな私を信じて着いてきてくれた仲間達……そして、私の無事を祈って、帰って来て欲しいと願う大切な人が居る!!だから、私は死なないし死ぬ気も無い!貴女の傲慢も、野望も、何もかも否定して……全てを斬り捨てるッ!!」

 

 

「ほぉぉざぁぁぁけぇえええええええええええええええええええええッ!!!」

 

 

「『秘伝忍法(さきがけ) !!』」

 

 

 

レイナーレが光の槍を形成させて突き刺す瞬間、私はその攻撃を回避し縦横無尽に四方八方から斬撃のラッシュを浴びせ続けた後、レイナーレの目と鼻の先へと態勢を低くしながら抜刀術の構えを取る。

 

 

 

「ヒッ!ま、待って……待っておねが…………!」

 

 

「『聞く耳持たん!ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』」

 

 

 

オメガ ドライブ

 

 

 

その叫びと共に六爪を一気に振り抜き、惨めったらしく命乞いをするレイナーレをバツ字に斬り裂いた。

 

 

 

「ギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!??み、認めない……至高の堕天使であるはずの私が……こ、こんな下等生物ごときにィィィィッ!!??」

 

 

「下等生物ごときか……その下等生物の底力を侮った事こそ、貴女の敗因だよ」

 

 

『フン、所詮は烏の下級か。あぁ、最期に伝えておくぞ……人間をなめるなよ?』

 

 

ア、アァ……アァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!??????

 

 

 

最後の断末魔と共に、レイナーレは盛大に爆発し……人間に負けるという惨めな最期を遂げた。

 

私はゴーストシックスブレイドを背中の鞘に戻し、ゴーストドライバーからホムラ眼魂を取り出す。

 

 

 

《オヤスミー》

 

 

 

気の抜けた音声と共に変身が解除され、元の姿へと戻る。

 

そして、戦闘でますます荒れ果てた廃教会を他所に私はその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回は後日談をお送りします。

それではまた次回まで、お楽しみに!!


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Episode10

どうも、悪維持です。

今回は第1章のラストで、レイナーレ戦の後日談をお送りします。

それでは、本編スタートデス!!


※作者の都合で、一部修正・加筆させていますのでご了承ください。


小猫side

 

 

「ウガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

 

 

旧校舎にあるオカルト研究部の部室で、急に部長が憎しみで顔を歪ませて叫び声をあげながら怒りが爆発して部室を荒らし回った。まるで、大切なモノを壊されたかのように………その光景を見て咄嗟に、朱乃先輩と祐斗先輩が止めに入った。

 

 

 

「お、落ち着いてください部長!」

 

 

「リアス、何をそんなに怒っているのですか!?」

 

 

「うるさいわねッ!せっかく堕天使達が潜伏している拠点を見つけて、ワザと奴等を泳がせた後に始末する算段だったのに……それが全部台無しにされて終わったのよ!?また、あのワケのわからない下手人の仕業によって!!」

 

 

 

………えっと、私の推測が正しいのであれば。部長は前々からこの町に侵入した堕天使達に目を付け、拠点である廃教会を発見。だけど、教会は天使勢力の拠点であまり近づくのは評価に響くらしい……だから、自分の使い魔に堕天使達の動向を監視させ、決定的な証拠を目撃した処で全員を始末する作戦…………だそうですね。

 

でも、それは駒王町の都市伝説として新たに加わった『仮面ライダー』によって計画は破綻したそうです…………

 

私は呆れながらも、聞こえるように呟いた。

 

 

 

「……あんまりそういうのに首を突っ込まない方が良いと思うんですけどね?」

 

 

「……なんですって?」

 

 

「あれ、まさか部長……気づいてないんですか?この町の新しい都市伝説『仮面ライダー』について……」

 

 

「『仮面ライダー』?小猫ちゃん、それは一体……」

 

 

「今ネット中で噂となっている都市伝説『仮面ライダー』………最近、廃墟や使われなくなった建物に巣くう化けモノを狩る存在。そして、その化けモノに襲われそうになった人がその仮面ライダーなる人物に助けられた事によってネット中の話題に………あの人はただ私達の仕事を請け負っているだけだと思うんですよ。堕天使の件だって、私達が悪魔勢力だから無所属の自分が始末したと考えるのが妥当かと……」

 

 

「……確かに、最近ははぐれ悪魔による被害も食い止められている訳ですし。リアス、彼を敵視するのは流石に良くないかと思いますわ」

 

 

「くっ……!それにしても小猫?貴女随分とその仮面ライダーの肩を持つじゃないの………貴女の主人である私と、下手人の仮面ライダー……味方に選ぶのなら、当然主人である私よね?」

 

 

「私はどちらとも言えません……ただ、今だけは仮面ライダーの味方であると考えています」

 

 

「で、でも!貴女はイッセー共々その仮面ライダーに襲われたじゃないのよ!?」

 

 

「そうだぜ、小猫ちゃん!」

 

 

「いえ、あの時……彼の手下かと思える黒怪人に手を出したのは兵藤先輩です。彼の正当防衛は達成されます…………それに、あの人を悪い人と認識するのは可笑しいと思います」

 

 

 

そう告げ、私は帰り支度を整えて部室を出ようとする。

 

 

 

「ど、何処に行くのよ!?」

 

 

「……今日は気分が優れないので帰ります。では、また明日…………」

 

 

「ま、待ちなさい小猫!話はまだ……!!」

 

 

 

部長の制止を聞かず、私は退室した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏煉side

 

 

「アザゼルさん、堕天使四名とその他に関与した全員の処理が完了しました」

 

 

『おっ、もう片付いたのかサンキューな。それでだが……どうやら連中がとある少女をこの町に誘導することがわかってな。おそらくその娘の神器を奪うが目的だったらしい』

 

 

「そうですか……それでその人の名前は?」

 

 

『“アーシア・アルジェント”……元は教会所属のシスターだったんだが、倒れていた悪魔を回復系の神器で治療した事が知られて破門……流れ流れて、奴等の目に入ってこの町へたどり着くよう誘導されたようだ。あぁ、安心してくれ……既に俺のダチがその娘を発見次第に保護してくれっから、お前さんが動く必要はねぇよ』

 

 

「それなら助かります。それじゃあ、また……」

 

 

『あぁ、お疲れさん』

 

 

 

あの一件をアザゼルさんに報告し終えた私は、パソコンを閉じて……ベッドへと腰をかけながらある事を考えていた。

 

それは、黒歌さんが呟いていた【白音】についてだ。黒歌さんが時々、魘されながら寝言で呟く言葉……それが頭から離れずにいた。

 

 

もし、その【白音】が……黒歌さんがはぐれ悪魔となった要因と深い関係がある事と……もう一つは、上手くいけば黒歌さんの苦しみを少しでも取り除けるかもしれない…………と、そう考えていると不意に…

 

 

 

「かぁ~れぇ~ん♡」

 

 

「?どうかしましたか、黒歌さ…………ん!?」

 

 

 

後ろから声をかけられた私は、振り向いてみると…………其処には何も見につけていない素っ裸の状態で、ただ白色のエプロンを纏っているだけのいわゆる“裸エプロン”の格好をした黒歌さんが居た。

 

エプロン越しでも黒歌さんのスタイルが抜群なのか出る所は出て、引っ込んでいる所は引っ込んでて…………艶やかさを感じ取れた。って、冷静に感想している場合じゃなかった!?何してるの、この人!!??

 

 

 

「く、黒歌さん?その格好は、一体……」

 

 

「にゃふふ♡お仕事で疲れている夏煉を癒そうと考えてね?なりゆきでやってみたの……そ・れ・でぇ~?」

 

 

 

悪戯的な笑みを浮かべながら、黒歌さんは腰をふりふりと揺らしながら近づくと私の右手を引っ張って豊満な胸を触らせながら、つぶらな瞳で見つめ…………

 

 

 

「ご飯にする?お風呂にする?それとも………ワ・タ・シ♡」

 

 

ズッキュウゥゥンッ!

 

 

 

その言葉がトリガーとなり、私は胸を触っている手を引っ込めて黒歌さんの肩を強く掴みながら、視線を向ける。

 

 

 

「そ、それじゃあお風呂で……お願い、します…………」

 

 

「うん、行こう♡」

 

 

「は、はい…………」

 

 

 

黒歌さんは笑顔で私の手を優しく握りながら、お風呂場へと連れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼崎side

 

 

「フフ……アハハハハハハッ!ついに、ついに完成したッ!!」

 

 

 

断罪の地獄城にある開発施設で、僕はある()()()の完成に喜んでいた。資料室で偶然見つけたとある設計図を発見し、開発を続けて1ヶ月半の末に完成させた代物。

 

 

 

「さてと、この記念すべき自信作のテスト相手はどうしようか………まぁ、近々テストはできるだろうさ?」

 

 

 

僕はそう思いながら、ある()()()を持ちながら後ろに視線を向ける。それはティラノザウルスの頭蓋骨が象られている白色と、地層の内面が象られている黒色の小さなボトルが二本……そして、ティラノザウルスの頭部を模した斧と紫色で黄緑色の歯車が取り付けられた拳銃、そして赤色のバルブが装着された黒色の片刃剣が置いてあった。

 

それを眺めながら、僕は抑えていた歓喜が爆発し高らかに悪く笑った。

 

 

 

「ククク……アハハハハッ!アーッハハハハハハハハッ!!!ハァッ、ゲホッ!?ゴホッ!?ガホッ!?……やっぱり()()のマネをして、マッドサイエンティストらしい高笑いは出来ないな………はぁ、僕も()()と同じ領域に立てるようになるには、よほど先になりそうだ……」

 

 

 

一通り笑い終えた僕はそう思いながら発明品を机に置いて、開発施設を去って行った。

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

果たして鬼崎が開発した“完成品”とは?

その正体は新章で明らかとなります!

次回までお楽しみに!


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1章《幕間》

悪維持です!

今回は幕間で黒歌があのアイテムを手に入れます!

それでは本編スタートデス!!


※作者の都合により、一部を変えました。


黒歌side

 

 

 

夏煉がトレーニングに出かけた昼頃。私は浴室でシャワーを浴びながら、身体を隅々まで綺麗に洗っている。

 

え?なんでって、そりゃあ……トレーニング帰りの夏煉を私の艶やかなバスローブ姿で出迎えたいからに決まってるじゃにゃい。

 

 

 

「るるんるるんるん~♪にゃにゃんにゃんにゃんにゃ~ん♪にゃふふ、もし夏煉が帰って来たらビックリするだろうなぁ~?この前の裸エプロンの時も赤くなってたし……もし、シャワー上がりのバスローブを見たら……にゃ~~ん♡考えるだけでハートがドッキュン、ドッキュンでアソコがキュンキュ《ピンポォ~ン♪》にゃ?んもぉ~……誰にゃん?こんな時間に……」

 

 

 

夏煉の反応を想像しつつ、興奮に浸っていた時に突然、インターホンが鳴り響く。もう、良い所にゃのにな……

 

そう不満に思いつつも、浴室を出てバスローブを身に纏い、忍び足で近づきながらおそるおそるドアスコープを覗いてみると其所に居たのは……

 

 

 

「にゃにゃ!?お、お義兄様!?!?」

 

 

「僕は君の兄になった覚えは無いんだけどな……というか、開けてくれません?」

 

 

「あ、ゴメンなさい!直ぐに開けます!!」

 

 

 

ビッシリとした灰色のスーツを着用した夏煉のお兄さんが居た。それも黒いケースを片手に持ちながら……私は咄嗟にドアの鍵を開けて、お義兄様を出迎える。

 

 

 

「ど、どうぞ」

 

 

「お邪魔しますよ……というか、何故にバスローブ?」

 

 

「あ、あぁ!シャワーを浴びてまして……丁度あがった所なんです」

 

 

「……そうですか、夏煉は?」

 

 

「はい、トレーニングに出かけてますにゃ。それで、お越しになられたご用件は?」

 

 

「えぇ、実は………黒歌さん、貴女へプレゼントを渡したくて」

 

 

「私に?」

 

 

 

お義兄様は微笑みながら頷くと、ケースをテーブルに置いて私に見せる様に蓋を開けると……その中には紫と金を基調とし所々に黄緑色の歯車が組み込まれ、銃口とトリガーの間に装填スロットがある拳銃と1、2、3と番号がついた赤いハッチとスライドスイッチ、バルブが刀身に着き、逆刃にスコープが装着された黒い片刃剣……そして、青黒い歯車と赤黒い歯車が正面に組み込まれたクリーム色の機械でボトルみたいな形状をしたモノが2本入っていた。

 

私は拳銃と片刃剣をケースから取り出し、お義兄様は歯車が組み込まれたボトル2本を取り出す。

 

 

 

「あの……これが私へのプレゼントですか?」

 

 

「はい……貴女が持っている拳銃が【ネビュラスチームガン】で、片刃剣が【スチームブレード】。そして……僕が持っている青黒い歯車のコレが【ギアリモコン・煉】、そしてもう1つの赤黒いのが【ギアエンジン・獄】です」

 

 

「ネビュラ、スチームガン……」

 

 

「そのネビュラスチームガンは貴女専用に特別開発したモノで、仙術をネビュラエネルギーへと変換する機能が組み込まれています。そして、この【ギアエンジン・獄】、【ギアリモコン・煉】の順番でネビュラスチームガンのスロットにセットすれば、夏煉の様なパワードスーツを装着する事も可能です」

 

 

「え!?わ、私も夏煉の様な『仮面ライダー』になれるんですか!?」

 

 

「えぇ、ですが……正確に言えば仮面ライダーと同等の力が得られます。そして……」

 

 

 

そう言いつつ、お義兄様は私に真剣な眼差しを向ける。

 

 

 

「黒歌さん。これは僕からのお願いですが、この力で夏煉を支えて欲しいのです……いずれ、あの娘だけでは手に負えない強敵が現れる可能性があります。だから黒歌さん。夏煉が心を許し、愛している貴女に頼みたいのです。あの娘の……夏煉の…………僕の大切な義妹の力になってやってください、お願いします…………!」

 

 

「お、お義兄様……!」

 

 

 

お義兄様はそう告げた後に私へ深く頭を下げつつ、夏煉の力になって欲しいと懇願された。確かにこの先、夏煉一人じゃ対処出来ない事件が必ず起きる。

 

私を転生悪魔から元の猫又に戻してくれて……尚且つ一緒に居てくれた夏煉に恩返しもしたい。もし、あの娘に出会ってなかったら……私はずっと、独りだけの逃亡生活を送っていたかも知れない。

 

 

でも、今は違う!私も夏煉の支えになりたい。あの娘から助けられたこの命を………罪を犯した私を愛してくれた優しい想い人の為に使う!!もう、二度と大切なモノを失いたくない!!!

 

私はそう決意し、お義兄様の両肩を優しく置きながら声をかけた。

 

 

 

「お義兄様、顔を上げてください……」

 

 

「………」

 

 

「この黒歌、陽太郎お義兄様のお願い……引き受けさせていただきます。夏煉に救ってもらったこの命………どうか、私が愛した想い人の為に使わせてください!」

 

 

「………黒歌、さん…………フフ……やはり、貴女にお願いして良かった。どうか、僕等の代わりに彼女の事を宜しくお願いします」

 

 

「はい、任せてくださいにゃ!!」

 

 

 

お義兄様は優しく微笑みながら、持っていた2つのギアを私へ手渡した後に空となったケースを持つと背を向けながらドアノブへ手をかけ、私へと振り返る。

 

 

 

「それでは、僕はこれで失礼します。夏煉が帰って来た時は伝えてください……」

 

 

「わかりました。お義兄様もお気をつけて……」

 

 

「ご心配感謝します…では、僕はこれで……」

 

 

 

そしてお義兄様は私にそう告げると、ドアを開けて退室した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼崎side

 

 

「良かったね、夏煉…………良い(女性)と巡り会えて……」

 

 

 

僕は高級ホテルを背にしながら歩を進めながら、小声で呟いた。

 

 

 

「さて、要件は1つ終わったとして………次は、実験だな」

 

 

 

そうして、ポケットからティラノザウルスの頭蓋骨を象った白色のボトルと地層の内面を象った黒色のボトルを眺め、ニヤリと笑みを浮かべつつ、歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

果たして鬼崎が行う“実験”とは?

次回もお楽しみに!


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第2章 戦闘校舎のPHOENIX
Episode11


どうも、悪維持です!

今回から新章で、夏煉があの人と邂逅します。

それでは、本編スタートデス!!


※作者の都合により、一部を変えています。


夏煉side

 

 

あれから一週間が過ぎ、私は午後の自主トレを済ませ商店街へと足を運んでいた。

 

 

 

「さてと、今日のメニューは全部終わったし……どうしようか………………あ」

 

 

 

空いた時間をどう埋めるか考えていると、ゲームセンターへと立ち止まり………自動ドアに貼られている青色のモヒカンでメガネ越しの目付きが悪いスライムキャラがデカデカと描かれた壁紙の内容が目に入った。

 

 

 

「『PERFECT PUZZLE パズルキング・トーナメント 参加者募集中!』………へぇ、PERFECT PUZZLEがあるんだ…………」

 

 

 

『PERFECT PUZZLE』……それは、壁紙にデカデカとあるスライムの主人公《パラドクスライム》……通称“パラスラ”をメインキャラとし、様々な色のピースを組み合わせて繋げながら主人公を強化及びサポートしながら敵を倒すパズルゲームだ。

 

私はよくこのゲームをプレイしていて、スコアアタックでハイスコアを叩き出したことがある。

 

 

 

「何々……『トーナメントを見事に勝ち上がった優勝者にはパズルキングの称号及びゴールデンパラスラトロフィーと洋菓子店【GENM】のスイーツ割引券5枚を、準優勝者には特大パラスラぬいぐるみと銀色のパラスラトロフィーをプレゼント!!参加賞としてお好きなパラスラグッズを差し上げます』…………か」

 

 

 

パズルキングの称号と【GENM】の割引券………か、悪くないかもね?

 

私は好戦的な笑みを浮かべながらゲームセンターへと入り、パズルキング・トーナメントにエントリーした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ホテルへと帰って来た私は黒歌さんへパズルキング・トーナメントへの出場エントリーを済ませた事を伝え、ゲームセンターで拾ったパズルキング・トーナメントの内容が書かれたチラシを渡した。

 

 

 

「『PERFECT PUZZLE パズルキング・トーナメント』ねぇ~?私はジグソーパズルの様な細かいのを組み立てるのは得意だけど……テトリスやぷよぷよの様なゲーム系は苦手かにゃあ~?」

 

 

「え、どうしてですか?」

 

 

「だって最初辺りは余裕ができてスッキリするからいいけど……次々と余裕が無くなって最後は全部埋まってゲームオーバー…………ってのがあるじゃん?まぁ、夏煉はそういう閃きさがあるから、難なく乗り越えれると思うけど…………あぁ、それで……その、パズルキング・トーナメントだっけ?夏煉はすぐにエントリーしたの?」

 

 

「はい、トーナメントは3週間後に開催されるらしいです」

 

 

「へぇ~」

 

 

 

黒歌さんはゴロゴロとベッドに寝転びつつ、パズルキング・トーナメントのチラシを眺めながら納得する。

 

そんな他愛の無い会話をしていると…………

 

 

 

「あ、夏煉。眼魔眼魂が来てるにゃんよ?」

 

 

「え?あ、本当だ………」

 

 

 

眼魔眼魂がいつの間にか、私達の頭上へと浮かんでいた。

 

さて、本業にいきますか……

 

 

 

「それじゃあ、行ってきます」

 

 

「うん、気をつけてね?」

 

 

「はい」

 

 

 

私は黒歌さんにそう告げ、はぐれ悪魔の居る現場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は使われなくなったボウリング場へ到着するとヘレナへと変身し、はぐれ悪魔の捜索を開始する。また以前の様な人達が現れるとは限らないからね……

 

 

 

「さて、早くはぐれ悪魔を探さないと……」

 

 

 

捜索を開始して数十分が過ぎるが……一向にはぐれ悪魔を見つけれない処か、気配が掴めない。

 

可笑しい、眼魔眼魂の情報は確かなはずなのに…?

 

そう考えながら、足を動かす瞬間…………背後から殺気を感じて後ろを振り返りながら、背後に迫る()()()を両手で掴み取る。

 

ニュルニュルとネチャネチャする感触と温さが両手から伝わりながらも、私はそのナニカを強く引っ張る。

 

 

 

「フッ!」

 

 

『ニョギャギャギャギャギャッ!?あ、あちきの舌ガガガガガガガッ!!??』

 

 

 

その叫び声と共に、両手に掴んだナニカが姿を現す……それは、長いカエルの様な桃色の舌でその先には女性の身体で両生類の様な長い手足を持ち、グルグルと渦を巻いた尻尾を持つ……いわゆるカメレオン女の様な異形が苦しみながら現れる。

 

なるほど、カメレオン特有の保護色で姿を消していたんだ。道理で気配がしないと思えば…………

 

 

 

「姿が見えれば此方のモノ………オリャアッ!!」

 

 

『ミギョギャアッ!?』

 

 

 

私は両手に掴んだ舌を強く引っ張りながらカメレオン女を地面に叩きつけたり、背負い投げの如く浮かび上がらせて壁へと激突させたり、グルグル回りながら振り回した後で上空へと投げ飛ばす。

 

 

 

「これで……The Endだ!」

 

 

《ダイカイガン!ヘレナ!!オメガドライブ!!》

 

 

 

私はカメレオン女を投げ飛ばした瞬間に必殺技を発動して右足に紫色のオーラを纏わせた後、跳び上がって落下するカメレオン女目掛けてライダーキックを食らわせた。

 

 

 

「タァアアアッ!!!」

 

 

 

オメガ ドライブ

 

 

 

『ブギョバラバァッ!!??』

 

 

 

ライダーキックを浴びたカメレオン女は奇声を発し、壁を2、3枚貫通させながらぶっ飛んで力無く倒れる。

 

そして、私はカメレオン女に近づいて背中から手を突っ込んで悪魔の駒を摘出する。摘出されたカメレオン女は、人間の女性へと姿を変える。

 

 

 

「今回は僧侶(ビショップ)の駒か………さて、此所に長居は無用。早く引きあげ……ッ!?」

 

 

 

倒れている女性を担ぎ上げ、その場から去ろうとした瞬間……突然強い気配を察知し、後ろを振り返ると以前とは違う紅色の魔法陣が出現すると……其処から噴き出した炎と共に金髪で赤色のスーツにワイシャツを着崩したホスト風の男性が現れる。

 

何、この人!?今まで感じた事の無い威圧感…………!!!

 

 

 

「やれやれ、人間界の観光がてらはぐれの気配がしたから立ち寄って来てみれば……まさか、都市伝説で有名な『仮面ライダー』と出くわすとはね?」

 

 

「あ、貴方は一体…………ッ!?」

 

 

「おっと、これはまだ名乗っていなかったな……失敬。俺の名はライザー、しがない悪魔………ライザー・フェニックスだ」

 

 

「ライザー……フェニックス……ッ!」

 

 

 

これこそ、私が初めてこの世界の強者と邂逅した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

果たしてライザーの目的は!?

それでは、次回までお楽しみに!


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Episode12

どうもです!悪維持です!!

お待たせしてスミマセン!!ようやく最新話を書けたました……どうしようかとスランプに陥り気がつけば3ヶ月って待たせすぎですよねサーセン!!??

しかし、今回は色々と出てきますのでどうぞ楽しんでください!!

それでは本編をどうぞ!!


夏煉side

 

 

はぐれ悪魔との戦いを終え、帰ろうとした瞬間……突然として私の前にホスト風の男性……ライザー・フェニックスと名乗る悪魔が現れた。

 

見た目は少しだけイカつい風なホストの外見にも関わらず、その佇まいと雰囲気はこれまでのはぐれ悪魔や、レイナーレ一味の様な堕天使とは違う悠然でたくましく……そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を発していた。

 

私は目の前に居るライザー・フェニックスから放たれるその()()()()()()に対し……少しだけ警戒と共に恐怖を感じた。その正体が何かは知らないけど、とりあえず私ははぐれ悪魔であった女性を抱えながら身構える。すると、ライザー・フェニックスは落ち着いた表情でため息を吐きながら、口を開いた。

 

 

 

「心配なさんな……俺さ、たまたまこの町を観光しに来ただけで、何も君と戦おうなんてこれっぽっちも考えちゃいない。それに、君も俺と戦う為にやって来た訳じゃない………違う?」

 

 

「………」コクリ

 

 

「だろ?なら、さっさとその気を失っている女を連れて逃げる事だ。でないとあの小五月蝿い管理者連中(グレモリー眷属)がやって来るぞ?」

 

 

「……良いんですか、私を見逃しても?」

 

 

「言ったろ?別に俺は君と戦おうって考えちゃいない……むしろ、俺は君の様なヒーロー(存在)を助けたい変わりモノさ……リアスの様な温室育ちと一緒にされちゃ困る。だけど、これだけは覚えておいて欲しい。悪魔や堕天使の全員が人間を見下している奴等だらけじゃない、ちゃんと俺の様に人間や他の種族の事も視野に入れ、なおかつ共存を願う奴等が居るって事をさ……」

 

 

「…………」

 

 

 

私はライザーさんの言葉には嘘偽りを感じず、ただ純粋で他種族との平和を願う心の広い人なのだとそう感じた。そう思っていると、ふと以前、陽太義兄さんが私に告げた言葉が頭に過る。

 

 

 

『良いかい夏煉?生きてる全ての誰しも、顔や外見だけで全て決めようとする思想が多い。そして、その反面で見ている相手の内面にある本性を見定められない可能性がある。だけどね、その誰もが全部そうじゃない……ちゃんとその人の内面を見ようと考え、理解しようとする人も居るんだ。それを覚えておくと良い……そうすれば、君の見えている世界の視野がより広くなるはずだよ』

 

 

 

……そうだ、人は外見だけで判断するんじゃない。その人の内面も視野に入れて善い人と悪い人とで判断しないといけないんだ。

 

レイナーレ達の様に人間や他種族を見下す者もいれば、アザゼルさんの様に他種族の平和を願う人達も居る……これは悪魔にも言える事だし、今目の前に居るライザーさんがその見習うべき人だ。

 

 

そう心で思っていた瞬間……突然、私とライザーさんから離れた場所で以前と同じ赤色の魔法陣が出現した。ライザーさんはそれをチラリと視野に入れると、バツが悪そうな顔をしながら舌打ちをした。

 

 

 

「おいおい、もう来たのかよ……仮面ライダー!グレモリー眷属達は俺がなんとかして時間を稼ぐ。その間にその女を連れて出来るだけ遠くに逃げろ!!」

 

 

「ッ!はい、わかりました。それと……」

 

 

「えっ!?何、手短にな!」

 

 

「貴方の様な悪魔()と出会えて良かった。今度、お会いする時はいずれ……」

 

 

「あぁ、はいはい!お礼とかそういうのは何年も何百年も待ってやるから早く行け!良いな!?」

 

 

「それも……そうですね、ではいつかまた!」

 

 

 

私は深くお辞儀をしながらそう告げると、左手を目の前に翳す。

 

すると眩い光で形成された円形のワープゲートが出現する。そして出現させたワープゲートをくぐり、私は瞬時に廃ボウリング場から宿泊しているホテルの入り口近くへと転移した。

 

いつかライザーさんと会ったら、手合わせをお願いしよう。と心に決めながら………

 

 

 

 

 

 

 

小猫Side

 

 

私は今日もオカルト研究部の活動で、はぐれ悪魔討伐の為に廃墟となったボウリング場へと訪れていた。

 

今回の討伐対象はミーリャメオンと呼ばれているB級のはぐれ悪魔。姿はカメレオンに似ていて、姿を瞬時に消す事が出来る迷彩能力を持っているらしいです。

 

まぁ、部長の事だからこの討伐を期に挽回を図ろうと思ってるみたいですけど………

 

 

 

「…………」プルプル

 

 

「(……やっぱりか)」

 

 

「え、えっと………」

 

 

「いま、せんね?はぐれ悪魔……」

 

 

「あらあら………」

 

 

 

案の定、はぐれ悪魔は何処にも見当たらなかった。

 

考えられる可能性は二つ……私達が来るのを察知して迷彩能力で逃亡したか、仮面ライダーに倒されたか。

 

まず一つ目はあり得ない、それは悪魔には魔力が備わっている。いくら優れた迷彩能力でも僅かな魔力さえ探知できれば、直ぐに発見できる。まぁ、そんな類いが出来るのは私と朱乃先輩の二人だけだけど………魔力が一切、感じられない。

 

これで、二つ目の仮面ライダーに倒されたという可能性が確信できた。これまでの行動から察するに、あの人はこの地域全体に高度な情報網を持っている。それなら、はぐれ悪魔の出現場所や堕天使達のアジトを見つけるのは容易いはずだ。

 

 

そう思いながら、チラリと部長に視線を向けると……眉間にシワをよせながら表情を歪ませ、身体から滅びの魔力を放出していた。

 

 

 

「また……なの…………?一体、一体あの仮面ライダーの目的は何なのよ!?私が治める領地を勝手に荒らしているだけでは飽き足らず、討伐対象のはぐれ悪魔を次々と狩り尽くし……挙げ句の果てには始末しようと泳がせていた忌々しい堕天使共を先に排除された!!どれだけ私の邪魔をすれば気が済むというの!?絶対に、絶対に許さない……!!」

 

 

「(……浅はかな考えですね。たかだかはぐれ悪魔を倒しているだけでそんなに怒らなくても………あ、部長にとってはこの位は評価に響くっていう思考でしたね。でも、もし仮面ライダーさんと出くわしても返り討ちに遭うのが目に見えるんですよね………)」

 

 

 

そんな部長の身勝手なワガママさに私は呆れるしかなかった。でも、もし仮面ライダーさんと出会って戦闘になっても、私達の惨敗が目に見えている。

 

この町に蔓延っていたはぐれ悪魔を1ヶ月で激減させ、侵入していた堕天使をも処刑した相手に対し………私達は彼以上の戦力も実戦経験も劣っている。明らかに向こうが有利でしか無いし、幾ら私達が束になって掛かっても数分で全滅させられるのがオチだ。

 

でも、部長はそんな後先の事も考えているはずない………ただ、プライドを傷つけられて黙っていられず、仮面ライダーに一泡吹かせる為だけに優先している始末。

 

 

どうしたものか……と思っていると…………

 

 

 

『やれやれ、自分の仕事を肩代わりしてくれている恩人に対して……随分と罵っているんじゃないのか?』

 

 

「ッ!?誰よ、姿を現しなさい!!」

 

 

 

不意に何処からか声が響き渡る。部長は声を荒げながら、私達と一緒に辺りを見渡す。

 

すると、建物の影からクツクツと足音を立てながらナニかが前方から近づいてくる。夜の薄暗さで姿はわからないけど、ひび割れた隙間からわずかな月の光がナニかを照らし、その姿を明らかなモノとした………

 

 

それは全身が炎の様に紅く彩られた体躯に、翼を広げた鳥の様な頭部。両肩は金色で尖っていて、瞳の色は水色。胸の中心部には、宝石の様な丸いモノが浮き出ている。特撮の様なヒーロー然としたかに見える風貌の怪人だった。

 

怪人が姿を現すなり、兵藤先輩が神器を出現させながら、我先にと前に出てビシッと指を指しながら吠える。

 

 

 

「テメェは誰だ!さては、お前もあの仮面ライダーって野郎の仲間だな!?」

 

 

『だったら?』

 

 

「決まってる!此所でお前を『倒すってか?笑わせんなよ……!』ガァアアアッ!!??」

 

 

「イ、イッセーッ!?」

 

 

 

兵藤先輩が言い終わる直前、その怪人は兵藤先輩に一気に接近した後、炎を纏った拳で腹部をぶん殴る。ぶん殴られた兵藤先輩は勢いよく吹き飛びながら、壁を2、3枚突き破った後、頭を強く打ち付けて気を失った。

 

 

 

『あ、悪りぃ……ちょっとだけ本気でやっちまった。まぁ、転生悪魔はこの程度じゃ死なないから問題ねぇよな?』

 

 

「ッ!よくも私の可愛い下僕を!!食らいなさい!!!」

 

 

『ん?』

 

 

 

部長はそう叫びながら、怪人に向かって滅びの魔力波動を放った。怪人は至近距離で放たれた魔力を避ける間も無くマトモに命中する。

 

 

でも………

 

 

 

『…………今、なんかやったか?』

 

 

「ッ?!う、うそ…わ、私の魔力がそんな……!?」

 

 

 

怪人は、滅びの魔力を受けたにも関わらず……まるで効いていなかったかのように悠然と立っていた。

 

部長があり得ないと驚愕するが、現実は変わらなかった。

 

 

 

『まぁ、女をいたぶるのは趣味じゃないからな……今日はこの辺で帰らせてもらうぜ。あぁ、自己紹介がまだだったな。俺の名はフェニックス……しがないファントムだ』

 

 

「……フェニックス」

 

 

「ファ、ファントム?」

 

 

「聞いた事の無い種族ですわ………」

 

 

『さて、名乗り終わったって事で俺は帰るぜ?じゃあな、機会があれば……また会おう』

 

 

「ッ!ま、待ちなさい!!何が目的でこのリアス・グレモリーが管理する……キャッ!?」

 

 

 

部長が言い終わる前に、フェニックスと名乗る怪人は身体から炎を発し……その場から消えた。

 

 

 

「……な、何よアイツ!!仮面ライダーといい、さっきのフェニックスって奴といい……なんで私の管理する町で、あんなわけのわからない連中ばかりが現れるのよ!!?」

 

 

「リアス、此処は一旦退いた方が得策かと……」

 

 

「……わかってるわ、そんな事ぐらい。祐斗、イッセーをお願い。すぐに撤収するわよ……」

 

 

「はい」

 

 

 

兵藤先輩を祐斗先輩に任せ、部長が転移魔法陣を展開する。そして、部長達が魔法陣へと入っていき私も朱乃先輩と一緒に魔法陣へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

なお、今回の章でのライザーは無差別主義と設定しています。

それでは、また次回までお楽しみに!!


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Episode13

どうも、悪維持です!

今回はリアスとライザー達との会話とレーティングゲーム発展。

それでは本編スタートです!!


※作者の都合で一部を変更させていただきました。


小猫side

 

 

フェニックスと名乗る怪人と遭遇した翌日の放課後。私はオカルト研究部で、呆れと一緒に“帰りたい”と思いながら……くだらない口論を聞かされていた。

 

今、私達の目の前に居る人は部長の婚約者候補であり、フェニックス家の三男である金髪のホスト風の男性……ライザー・フェニックス様と、彼の付き添いとして同行しているのは金髪の縦ロールのツインテールに、桃色の貴族ドレスを着用した少女……ライザー様の妹のレイヴェル・フェニックス。

 

そして、部長とライザー様の真ん中に立たれている銀色の長髪で髪の両端と、後ろを三つ編みにしメイド服を着用した女性……この方こそ、部長のお兄様で現四大魔王の一人であるサーゼクス・ルシファー様の奥様で、部長の義姉であるグレイフィア・ルキフグス様が立会人として、二人を見守っていた。

 

因みに、兵藤先輩はグレイフィア様とレイヴェルさん(特に胸を凝視)をいやらしい笑みを浮かべながら見ていたので、私が肘打ちをかまして黙らせました。

 

 

それにしても………レイヴェルさんって誰かに似ている様な見覚えがあるんですけど……私の気のせいかな?

 

 

「何度も言わせないでライザー!私は貴方と結婚なんてする気は無いわ!!」

 

 

「あのさぁ、リアス。じゃあ、この際ハッキリ言わせてもらうけど……ぶっちゃけ、この縁談はグレモリー家(お宅)から持ちかけてきた訳でしょ?それなら、持ちかけた側の娘である君の拒否権は無い。即ち、リアス…君がどんなに嫌でも、どんなに否定しようと俺との結婚は免れないって訳なんだよ。お分かり?」

 

 

「そんなの知らないわ!それはお父様やお兄様が勝手に決めたことでしょ!?私の婚約相手は私自身が選ぶ、貴方みたいな男と結婚なんて死んでもお断りよ!!」

 

 

「ダメだ……全く聞いちゃくんないよこの娘。どうする、レイヴェル?お前の義姉ちゃん候補をさ、なんとか説得って出来ないのかねぇ?」

 

 

「……私もこんな器の小さい方がお兄様のお嫁様で、私の未来の義姉様なんて正直納得できませんね?全く、お父様達も面倒なのを嫁ぎに選んでくれたんでしょう。これならユーベルーナかイザベラの方が……「悪いけど、俺はアイツ等を嫁さんにする気は無いからね?」あら、私はお兄様の婚約者候補として彼女達が適任かと思うのですが……」

 

 

「まぁ、確かに家の眷属の皆は綺麗で可愛いくって、その上素敵な女性ばかりだよ?でもね、俺にとってはアイツ等もお前と同じくらいに大切な家族の一員だ。だから、主の俺が彼女達に手を出したら悲しむに決まってる……だから、俺は彼女達の幸せを壊したくないんだ。女性の初めては誰だって好きな人に捧げたい……お前も分かるだろ?その気持ちをさ…」

 

 

「むぅ~……あ、それなら眷属の皆にお兄様の寝ている隙に夜○いや、○○○○……はたまた大勢で○交なんてやっちゃえば、お兄様もめでたく全員と結婚して、この縁談も破綻するかもしれませんわね?(小声)」

 

 

「レイヴェル…年頃の女の娘がそんな用語を使っちゃいけません。お兄ちゃんさ、お前の今後が心配になってきちゃったよ……」

 

 

「ちょっと!?何よ、私を無視して兄妹二人だけでコソコソと!!とにかく、私は貴方と結婚なんて絶対しない!婿養子も私自身で決める!!ただでさえ仮面ライダーの事だけでストレスが溜まっているのに、これ以上イラつかせないで!!!」

 

 

 

勝手に盛り上がっているフェニックス兄妹が気に入らないのか、部長は鋭い視線で睨みながら強く叫ぶも……当の本人達はそんなのは関係無いとばかりにあどけない表情で部長を見つめる。

 

 

 

「良いわ!そっちが婚約を破棄しないのなら、上級悪魔同士“レーティングゲーム”でケリをつけましょう!!貴方が勝てば、私は結婚を認めて婚姻を結ぶ……だけど、私が勝てばこの縁談は無かった事にしてもらうわよ!!」

 

 

「え?えぇッ!?ちょ、待てよリアス!!何、話をややこしくしちゃってる訳!!?俺はただ、お互いにこの縁談をどうするかって話合いに来ただけだよ!?それで、何処でどうなったらレーティングゲームになるんだよ!!」

 

 

「あら……まさか、怖じけついたのかしら?貴方はもう公式のゲームを何回も出場して、勝ち星が多いって聞いていたけど……まさか、私に負けるのが怖くなった訳じゃないわよね?アハハ!まさかあのライザーが私に負けるのが怖いだなんて、可笑しくて笑いが止まらないわ!!」

 

 

 

突然のレーティングゲームに混乱するライザー様の姿に、部長はこれ幸いにケラケラと嘲笑ってる。

 

ちょっとこれはアンマリでは無いかと思っていると……レイヴェルさんが炎のオーラを纏わせ、部長に鋭い目付きで睨みつけながら口を開いた。

 

 

 

「……聞き捨てなりませんわね、リアス様?確かに一人の女性としては、望まれない愛のままに婚約を結ばさせられるのは些か納得なされないと思われます。ですが、それを理由に私のお兄様を侮辱する行為は見逃せません!今すぐ、お兄様に謝罪なさってください!」

 

 

「ちょっと待てよ、なんで部長が謝るんだよ!?悪いのは、その金髪ホスト野郎だろ!部長は関係ねぇ!!」

 

 

「関係大有りです!それと、部外者は口を挟まないでくださいまし!!」

 

 

「俺は部外者じゃない!れっきとしたリアス・グレモリー部長の兵士(ポーン)、兵藤 一誠だ!!」

 

 

「止めるんだ兵藤君!これは、僕達下僕悪魔が介入していい問題じゃない!!申し訳ございません、ライザー様。彼は眷属に加わったばかりでして、まだ色々と……」

 

 

「いや気にしていないよ、グレモリーの騎士(ナイト)君。それと、レイヴェルも落ち着け。俺は別にそんな事を言われても気にはしないさ」

 

 

 

謝罪を申し込むレイヴェルさんに対して、噛みつく兵藤先輩を祐斗先輩が止めに入った後に深々くお辞儀をしながら謝罪し、ライザー様もレイヴェルさんの頭を撫でながら宥める。

 

 

 

「さてと……俺もフェニックス家の看板を背負ってる身だ。リアス、そのレーティングゲーム……乗らせてもらうぜ?君が勝てば好きにしろ……でも、俺が勝ったら言うことを聞いてもらう。文句ないな?」

 

 

「えぇ、もちろん。私の魔力と可愛い下僕達で……貴方に敗北を味あわせてあげるわ!!」

 

 

「ちょい待ち、その前にハンデをくれてやるよ」

 

 

「……ハンデですって?一体、どういう「まぁ、皆まで言うな!」は?」

 

 

「リアス、確か君は今回で初めてのレーティングゲームだろう?そして、俺はゲームで幾つか勝利を掴んでいる……そんなのが戦えば、確実に君達の負けだ。だから、レーティングゲームの開始は10日後。その間に、君や眷属は特訓なり戦略なりを考える時間を与えたいっていう俺の粋な計らいさ……」

 

 

「……そうね、確かに悪くはないわ。でも、後悔しないことね?その10日後が、貴方の敗北で終わるということを…………」

 

 

「いや、俺は負けないさ……それじゃあ、10日後のレーティングゲーム。楽しみにしているぜ………帰るぞ、レイヴェル」

 

 

「はい、お兄様。それでは、皆様ご機嫌よう……」

 

 

 

レイヴェルさんがスカートの両端をあげながら、私達に一礼した後。ライザー様と共に魔法陣に入り、炎に包まれながら部室から去っていった。

 

 

 

「ハッ、負け惜しみを……!グレイフィア、すぐにこの事をお兄様達に伝えてちょうだい。それと伝言で『私の人生は私が決めるから、首を突っ込まないで』ってね?」

 

 

「ハァ……畏まりました、リアスお嬢様」

 

 

「さぁ、明日からの10日間は合宿を行うわよ!あのライザーに、私達の本当の恐ろしさを思い知らせるために!!」

 

 

「はい、部長!」

 

 

 

部長が変な自信と共に合宿宣言すると、兵藤先輩も意気揚々とそれに賛同する。

 

だけど、相手はレーティングゲーム体験者のライザー様率いるフェニックス眷属。対する私達、グレモリー眷属は今回初めてのレーティングゲーム。

 

ダメだ、敗北のイマジネーションしか思い浮かばない…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、この面倒なレーティングゲームによって……私はとある方との出会いを果たし、はぐれ悪魔として指名手配されていた黒歌姉様と再会する事を……まだ、その時は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回はどうなるのか……お楽しみに!!


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Episode14

どうもです!悪維持です!!

ようやく最新話が出来上がりました!!お待たせして申し訳ございません!!

ここから再開しようと思います!

それでは本編スタートです!


小猫side

 

 

部長の婚約を賭けたグレモリー眷属対フェニックス眷属のレーティングゲーム。その10日間、私達はグレモリー家が所有する人間界の山で特訓をする事になった。

 

駒王町の管理を任されている私達がしばらく不在の間は、部長と同じく貴族悪魔の次期当主であり、駒王学園生徒会長を勤めている支取 蒼那ことソーナ・シトリー会長とシトリー眷属の皆さんが代わりを補ってもらっている。でも、私としてはソーナ会長が管理者に向いていると思うんですけどね………

 

それには理由がある。まず、ソーナ会長はどちらかといえば過激派の部長とは真逆の穏健派で、争い事では無く平和的な解決で場を収めようとしている事。堕天使や天使といった他種族との共存を願っている事。そして、生徒会長としての表の姿とシトリー家次期当主としての裏の姿……異なる二つの世界でも会長本人の人柄の良さやカリスマ性、そして自分を慕う住民や生徒達からの圧巻なる支持率。その全てこそが、ソーナ会長が築き上げてきた努力であり、駒王町の管理者に相応しいと思える理由だ。

 

さて、そうこうしている内に山頂に建てられたグレモリー家の別荘に到着早々、私達は動きやすい服装……駒王学園のジャージに着替え始める。ライザー様からハンデとして与えられたこの10日間という少ない猶予……それを一秒たりとも無駄には出来ないと認識しつつ、着替え終えた私達は中庭へと集合する。

 

 

 

「良い?10日後に行われるライザー率いるフェニックス眷属とのレーティングゲーム……このゲームには私、リアス・グレモリーの結婚が掛かっているの。でも、それだけじゃないわ……もし、ゲームで連戦連勝を誇るライザーに勝てば、私達は初めてのレーティングゲームで勝利した素晴らしいチームとして冥界の住民やお兄様方魔王様、そして冥界上層部の方々から多くの称賛を贈られて、私達の願いが叶う時が近づくはずよ?」

 

 

「願い……って事は、このゲームに勝てば部長の結婚が無くなるのと同じく、俺の長年にまで夢見た『ハーレム王』になれるっていう願いも含まれるんですよね!?」

 

 

「えぇ、その通りよイッセー。眷属の望みが叶うのは主である私も望んでいる事なの……もし、貴方が今回のゲームで功績を残した暁には……貴方のお願いを何でも叶えてあげるわ」

 

 

「な、なんでもっすか!!いよっしゃあっ!!だったらなおのこと、あんなイケすかねぇ金髪ホスト野郎に部長は渡すわけにはいかねぇ!!リアス部長、俺やって見せますよ!今回のレーティングゲーム、必ず部長の為に勝ってみせます!!」

 

 

「フフ………良い子ねイッセー。貴方の頑張り、期待しているわよ?(ふん、単純な男……でもまぁ、こういった子ほど扱いやすくて良いのよね。ま、せいぜい私の為に働いてちょうだいね?イッセー……)」

 

 

「はい!任せてください!!(何でもかぁ~……って事は部長や朱乃さん、そして小猫ちゃんやこの前会ったレイヴェルって娘とあんな事やそんな事が出来るかも…………!)」

 

 

「…………」

 

 

 

余裕そうな笑みを浮かべながら、何かを企んでいる部長とこれ見よがしにスケベな事を考えている兵藤先輩の二人に対し、私は呆れるしかなかった。

 

そもそも、事の発端は部長の我が儘から始まった事だ。ライザー様は見た目はチャラ男の様な人で眷属は女性ばかりなその反面、温厚かつ誠実な平和主義者でソーナ会長と同じく、天使や堕天使の二大勢力との和解を望んでいる。それなのに部長はライザー様との決められた結婚が嫌で、強引に無謀なレーティングゲームで婚姻を無かった事にしようとしている始末。

 

 

私はそんな事を思いつつ、ため息を吐きながらその場を離れようとすると…………

 

 

 

「ちょっと、小猫。一体何処に行こうとしているの?まだ大事な話は終わっていないのよ?」

 

 

「……何処って、決まってるじゃないですか。特訓できる場所を探しに行くんですよ。そんな下らない話ばかり聞いていたら、10日間なんてとっくに過ぎちゃいますからね」

 

 

「なっ、下らないですって!?今回のゲームは私の婚約と、私達の今後を賭けたゲームなのよ?!それを下らないですって!!??」

 

 

「えぇ、そうですよ。だから、此処からは別行動で部長や先輩方は仲良く特訓をしていてください。私は私で勝手にやらせていただきますので……」

 

 

「ま、待ちなさい小猫!貴女、最近可笑しいわよ!?まさかあの仮面ライダーに洗脳か何かをされたんじゃ……「別に正気ですよ?」なッ!?」

 

 

「第一、なんでそこで《仮面ライダーさん》の所為にするんですか………部長は上手くいかないことや、間違いを犯した時は全部あの人に責任をなすりつけるつもりですか?そこまで責任転嫁する人だとは知りませんでしたよ。情愛のグレモリーの一族が聞いて呆れますね?家族や眷属、自分に従う人達以外は全て敵か邪魔者として軽蔑してる……それでよくグレモリー家の次期当主と名乗れますね?」

 

 

「……何よ、その反抗的な態度。私は貴女の主なのよ?主の私に歯向かうつもりなの!!?」

 

 

「別に反抗的でも歯向かっている訳では無く、事実を言ったまでですよ?話は終わりですね、ではこれで……」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ小猫ちゃん!?さっきのは言い過ぎだろ!!部長だって、結構頑張ってんのに「ほっときなさい、イッセー」ぶ、部長!?」

 

 

「主人である私に歯向かう眷属なんて居ても邪魔になるだけよ……そんなに一人で特訓をしたいなら好きにしなさい。けど、小猫!これだけは覚えおく事ね?貴女がボロボロに怪我をして別荘に帰ってこようが、泣こうが土下座しようが私は絶対に許さないわ。暫く一人で反省してなさい……この別荘に帰ってくるのもダメよ。良いわね?」

 

 

「別に良いですよ?その方が特訓がしやすいですし……サバイバル訓練も悪くないですからね?」

 

 

 

私はそう言い残して、別荘を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼崎side

 

 

 

黒歌さんに専用のネビュラスチームガンやその他のアイテムを渡した数日後。僕は断罪の地獄城にあった幾つかの研究資材と、機器を幽霊列車に詰め込んで夏煉が居るこの異世界へやって来た。

 

とある山奥へと着陸した矢先に、運良く発見した洞窟を専用の秘密研究所として改築。デカデカと飾られた巨大なモニターに、長机の上に置かれているのは様々な機械の部品や空の試験管、ノートパソコンにもなるタブレット、そして何枚もの書類。びっしりと横に並べられた薄緑色の培養液が入った幾十もの生体ポッドと反対側にもきっちりと並べられた最新のコンピューター機器、そして端にはちょこんと身近なキッチンとテーブルがある。

 

僕はあまりにも秘密研究所の完成具合と此処にある完璧な設備に、思わず嬉しさを抑えられずに右手で顔を隠しながら笑った。

 

 

 

「ククク……完璧だ。此処でなら実験は勿論、新しい兵器の開発やフルボトルを造り出す事が沢山できる。笑いが止まらないとは、まさにこの事だね……!クハハハ、ハハハハハハハ!!ハハハハハハぁ、はぁ~……笑い疲れたな。気分転換に外の空気を吸いに行くとしよう」

 

 

 

大笑いもつかの間、僕は笑い疲れたので気分転換に外へと足を運ばせる。

 

数歩歩いて森から出てみると、小さな川にたどり着いた。僕は両手で数量の水をすくって、飲んでみる。とても澄んでいて飲みやすく喉が潤う。

 

 

 

「うん、美味しいね。時々飲みにくるのも悪くは……ん?」

 

 

 

そう満足していると、不意に向こうの森から人の気配を感じる。僕は疑問に思いつつ、其処へと向かうと……

 

 

 

「おや、君は……?」

 

 

「ッ!?誰ですか……貴方は?」

 

 

 

僕の様な白髪で両端には黒猫の髪飾りをつけ、輝くような金色の瞳。そして、何処かの学校のジャージを着用した小柄な少女と遭遇する。取り敢えずは警戒している彼女を落ち着かせるべく、僕は両手をあげながら近づく。

 

 

 

「落ち着いてくれ、別に君に危害を加えようなんて思っていない。たまたま近くを散歩していただけだ」

 

 

「……怪しすぎますね。特にその髪の色に服装が」

 

 

「これは僕のアイデンティティだから仕方ないでしょ?それに君だって、少し僕に似てるじゃないか……特に髪の色がさ」

 

 

「……それもそうです《ぐ、ぐぐぅ~》……あぅ」///

 

 

「……えっと、もしかしてお腹が空いたのかな?」

 

 

「べ、別に貴方には関係な《ぐぐぅ~~》……ッ!!?」///

 

 

 

腹の虫が鳴く音を聞かれ、少女は恥ずかそうに顔を真っ赤にする。あ、ちょっと泣いてるね…この娘。

 

僕は苦笑しつつ、彼女に話しかける。

 

 

 

「ハハハ……そんなに意地をはらなくてもいいさ。僕も丁度お腹が空いたからね?良かったら、一緒にどう?料理には自信があるんだ」

 

 

「……そ、それじゃあお言葉に甘えて」///

 

 

「決まりだね?あ、僕は鬼崎 陽太郎。君は?」

 

 

「塔城 小猫です」

 

 

「そうか……では、小猫くん。君を我が秘密研究所初の客人として案内しよう」

 

 

「研究所……ですか?」

 

 

「あぁ……さっ、こっちだ案内しよう」

 

 

 

僕はそう言いつつ、小猫くんを出来立てほやほやの研究所へ案内した。

 

 

 

 

 




如何でしたか?

次回は鬼崎と小猫の特訓を書きたいと思います!

気長にお待ちいただけると嬉しいです……

それでは次回をお楽しみに!!


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Episode15

どうも!悪維持です!!

今回は鬼崎と小猫の会話シーンをお送りいたします!!

それでは本編スタートです!


小猫side

 

 

部長達と別行動を取る事にした私は、特訓ができる場所と寝床を探す為に森の中を散策していた最中……突然、茂みから現れた謎の男性……鬼崎さんと遭遇した。

 

鬼崎さんの外見はどこか不良の学生を思わせるような感じで………私と同じような白い髪のセミロングに、左目を長い前髪で隠したような髪型。唯一見えている右目は部長の紅い髪よりも更に煌きさを持つガーネットの原石の様で、それでいて怪物の禍々しい血を一つに混ぜ集めた様な不気味さを持つ深紅の瞳。服装は白色のワイシャツに黒いズボン、そしてボタンを開けた状態でワイシャツの上に黒色の学ランを羽織った……まさに髪を染めた不良にピッタリな感じだった。

 

そして、空腹の状態をその人に見抜かれた私は、鬼崎さんが秘密研究所と呼ぶ洞窟内部に招待され、彼が作ったであろう様々な料理をいただかせてもらっていた。

 

 

 

「……ごちそうさまでした」

 

 

「はい、お粗末さまでした。それで味の方はどうだったかな?冷蔵庫に入っていた材料で、出来るだけ美味しい料理を作ってみたんだけど……」

 

 

「いえ、とても美味かったです」

 

 

「そう、それは良かった……あぁ、いま食器を片付けるよ。それまで、水を飲みながらゆっくりとしていてくれ」

 

 

「あ、わざわざスミマセン………ご飯を食べさせていただいただけでなく……」

 

 

「フフ、気にしないでいいさ。これは、僕なりの気づかいだからね?」

 

 

 

そう言いながら、鬼崎さんは料理が上手く出来ていたのが嬉しかったのか、楽しそうな笑顔で私の前に置いてある食器をお盆に全て載せ、チョコンと端にあるキッチンの流し台まで運び、食器を洗い始める。

 

私はナフキンで汚れた口元を拭いつつ、周りを見渡した。それは秘密研究所と呼ぶに相応しい様な設備が、あちらこちらと目に入る。巨大なテレビモニターにコンピューターの機材、並べられた何かの液体が入った大きなカプセル……明らかに怪しさMAXを思わせる雰囲気に、私は顔には出していないものの…いま食器を洗っているであろう鬼崎さんへの警戒と共に、少しだけ恐怖を感じた。

 

明らかにあの人は普通の人間では無い。だいいち、普通の人間がグレモリー家が所有するこの山奥へ来れるはずも無いし、こんな何処にでもある洞窟を設備が整った場所に改築出来るはずが無い。出来たとしてもそれは人の想像を越えた人か、人外の二つか一つ。だとすれば私と同じ悪魔……あるいは堕天使か天使、いやもしかすれば私の……いや、私達の想像を遥かに越えた種族ではないのであろうか、そう考えると額から汗がポトリと流れ、身体の身震いが止まらなかった。

 

 

そう考えていた矢先………

 

 

 

チーンッ!!

 

 

「ッ!?」

 

 

 

後ろから突然、電子レンジのタイマー音声の様な爆発が起きた。振り返るとそこには電子レンジの様な形状の機械が置いてあり、ドアが半端な状態で開いて中から煙がモワモワと溢れ出ていた。そして、煙が晴れると中には小さな黒色のキャップが着いた緑色のボトルが3本入っていた。3本のボトルにはそれぞれ《ユニコーン》《メデューサ》《クラーケン》と思われる幻獣のイラストが、銀色を基調としたエングレーブとして描かれていた。

 

 

 

「おや、どうやら完成したようだね……」

 

 

 

そんな時、丁度食器を片付け終えたらしい鬼崎さんが、濡れた手をタオルで拭きながら電子レンジの中にあった3本のボトルを取り出す。そして、それぞれのボトルを悪い笑みを浮かべながら眺めた後、上着にある懐のポケットへと入れる。

 

 

 

「あ、あの……」

 

 

「ん?あぁ、すまないね。どうやら驚かせてしまったみたいだが……その後ろにある電子レンジの様なモノは僕が今、研究している『フルボトル』を生成する機械なんだ」

 

 

「ふ、フルボトル?」

 

 

「そうさ」

 

 

 

鬼崎さんはそう言うと、懐からさっきのとは別のボトルを2本取り出した。それは白色で肉食恐竜の頭蓋骨と、黒色で地層の内面を象った絵柄が描かれていた。

 

 

 

「『フルボトル』というのは動物や職業などの有機物と無機物、どちらか2種類の成分が充填しているんだ。因みに僕が持っているこれが《恐竜フルボトル》と《地層フルボトル》だ。この2本は最も相性が良い組み合わせ「ベストマッチ」になるんだ」

 

 

「ベスト、マッチ?」

 

 

「まぁ、それについては次の機会で説明するとして………小猫くん。君、悪魔でしょ?しかも何処かの貴族悪魔に身を置いている眷属悪魔。違うかい?」

 

 

「ッ??!!」

 

 

 

フルボトルと呼ばれる2本を仕舞った鬼崎さんは、余裕のある表情から一変して真剣な表情となりながら私の正体を口にした。私は後ずさると共に臨戦態勢をとる。やっぱり、この人は人間じゃない!そう思いながら警戒する。

 

すると、鬼崎さんは「フッ」と薄く笑いながら向かいの椅子へと座り、私に視線を向けつつ口を開いた。

 

 

 

「そう警戒しなくていい……別に君をどうこうしようなんて考えていない。それに君も、なんでわざわざ初対面の僕が偶然出会った君を此処(研究所)へ招待したり、昼御飯をご馳走したり……色々と優しくしてくれるんだろうと思うだろ?」

 

 

「……ッ!」

 

 

 

確かにそうだ………私とこの人は出会って数時間も経っていないのに、初対面の私に良くしてくれた。それに、もし鬼崎さんに敵意があるのなら何時でも倒すチャンスがあったはずなのに、あえてしなかった。

 

 

 

「………じゃあ、あえて聞きますが……貴方は私を眷属悪魔と知って、此処へ連れて来たんですか?」

 

 

「まぁね、純粋悪魔や眷属悪魔……果てははぐれ悪魔は色々と見てきたからね。出会って直ぐにわかったよ……でも、君には眷属悪魔特有のナニカが無くなっている。それが気になってね」

 

 

「それで私を珍しい研究対象と思って連れて来た……わざわざご飯とかをご馳走してまで、随分と手が込んだ事をしますね」

 

 

「ふむ……何か勘違いしているようだが、僕は君を研究対象とは見ていない。むしろ君を一人の人間として見てるつもりさ、そんな道具の様に人権を無視するような非道な行為と君に危害を加えない事を約束するよ」

 

 

「……今さら、信用しろと?」

 

 

「僕を敵か味方かを判断し、どう思おうかは君次第さ。だが、先程の約束は守るつもりだ、これだけは信じてほしい。それと、さっきも言ったが、君には眷属悪魔特有のナニカ……そう、君の体内にある《悪魔の駒》が無くなっているんだ」

 

 

「えっ!?《悪魔の駒》が……ですか?」

 

 

「あぁ、何か心当たりはあるかい?」

 

 

「心当たり…………ッ!(もしかして、あの時…)」

 

 

 

そう、それは私が初めて仮面ライダーさんと遭遇した日。私はあの人に胸を貫かれた……でも、不思議な事に身体には胸を貫かれた跡が残っていなかった。

 

そして、鬼崎さんの話が本当なら……私はある仮説に辿り着く。仮面ライダーさんの出現と共に起きた“はぐれ悪魔の大量消失”、そして私の身体で起きたことと《悪魔の駒》が無くなったこと…………

 

 

 

「(繋がった!仮面ライダーさんはもしかしたら、《悪魔の駒》を取り出せる能力を持っている。そして、その能力を使ってはぐれ悪魔狩りをしていた……!それがもし、本当なら…………仮面ライダーさんなら、姉様を……黒歌姉様を助けてくれるかもしれない!!)」

 

 

 

そして私は、仮説が真実に変わり……それと共に希望が生まれた。もう一度、黒歌姉様と過ごせるかもしれない……でも、仮面ライダーさんは私の願いを叶えてくれるのだろうか……私はリアス部長のグレモリー眷属で敵対する側。易々と了承してくれるはずがない……こんな時、自分の置かれている立場を呪わずにはいられない。せっかく……せっかく姉様を、助けられる事が出来るかも知れないのに…………!

 

 

 

私は今さら弱い自分が情けなくて、悔しくて……不甲斐ないと思いながら、瞳の端に涙を溜め、奥歯をギリギリまで噛みしめながら血が出るほどに拳を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欲しい……!

 

 

誰にも文句を言われず、自分を変える力が………

 

 

 

もう二度と大切な人達を誰一人、失わない力が………

 

 

 

黒歌姉様を助けられる力が………

 

 

 

 

 

 

私が私自身の限界を超えられる、強い力が欲しい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな心の叫びを誰が聞いている訳でも無く、ただ虚しく頭の中で響くだけだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていたのに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……欲しいのかい?」

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼崎さんが突然、私へと話しかけた。その顔は冷静にかつ真意を確かめる真剣な顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

「君が本当に心の中で、自分を変えられる力を欲しいと思うなら……僕が力になろう。だが、強大な力を得るには地獄のような苦痛と君の命を代償にしかねないリスクが伴う。それでも力が欲しいかい?」

 

 

「苦痛とリスク…………!」

 

 

「君はまだ若いし、年頃の女の子だ。無理をして一度だけの命を散らす必要はない、だから…「構いません」…………今なら引き返せるのに?一度始めたら、もう後戻りできないとしても?」

 

 

「だからです………私には、探さないといけない人達が居ます。だから、それを成し遂げるには私の持つ全てを超えないといけないんです。鬼崎さ……いえ、師匠……私を鍛えてください!!お願いします!!!」

 

 

 

 

私は誠心誠意の土下座で頼みこんだ。姉様と再び会う為に、最後の希望にかける為に……そして弱い自分と決別し、超える為に…………

 

そして師匠は、ため息と共に何かを諦めたかの様な顔をしながら、ゆっくりと私へと手を伸ばす。

 

 

 

「………負けたよ、君の覚悟にはね。良いだろう、君の力になってあげる。ただし、弱音を吐いたり、悲鳴をあげても止めないからそのつもりで頑張ることだね?」

 

 

「…………あ、ありがとうございます!!!」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、フェニックス眷属とのレーティングゲームまでの10日間の猶予……私は師匠から与えられた地獄と相応しい特訓を受けることになった。

 

 

 

 

 

 

 

全ては……私の願いを叶える為に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?

次回も気長にお待ちいただきたいです。

それでは次回まで、ごきげんよう!!


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