転生完了~って、えっ⁉転生先ってインフィニットストラトスじゃなかったっけ?! (如月 霊)
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プロローグ

「早く行くぞ!」

 

友達が僕に話しかけて来た。こいつは自転車通学で共に帰る友達で軍オタ通の花和木刃(かわぎ じん)だ。

 

「ああ!今行くよ!」

 

それに僕は大声で返事をして自転車をこぎ、追いかけた。

 

◇◆◇◆◇◆

 

「しっかし、今日宿題多いな~」

 

刃はハンドルを片手で運転しながら数学のプリントを反対の手で持ちながら嘆いた。

 

「本当、本当。けどやらんといかんでしょう?花和木刃大尉?」

 

それに僕は少し嫌みに返す。すると刃も少し嫌みに返してきた。

 

「それもそうですな。矢矧長門少佐?」

 

「「ぷぷッ!ハハハ!」」

 

花和木がそう言い終わると二人は大声で笑った。

その約30秒後。長門達がいる歩道に一台の車が突っ込んで来た。

 

「なっ!グワッ!」

 

そして長門に車は衝突したのだった。

ヤベェー…意識が…

薄れ行く意識の中で長門はかけよってくる刃が目に入った。

一言でも…最後に…!

そう意気込んだ長門は最後の力を振り絞り声を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕、は…こんな…死にかた、嫌だね…」

 

言い終わると同時に僕の意識が途切れた。

 

◇◆◇◆◇◆

 

やぁ、はじめまして。改めて自己紹介しようか、僕は矢矧長門(やはぎ ながと)、連合艦隊旗艦長門型戦艦一番長門の名前と事実上の最後の連合艦隊旗艦を勤めた阿賀野型重巡洋艦三番艦矢矧の名前が自慢という普通な高校生の軍事オタクだ。…うん、普通だと思いたい。なんでかって?そりゃあ、辺り一面真っ白い空間に突然いたら自分の頭を疑うでしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…うん、これは夢だ!そうと決まれば、おやすみ~

 

僕が横になって眠ろうとしたその時、目の前に一人の女性が現れて叫んで来た。

 

「ちょ、夢じゃない!夢じゃないですよ!」

 

うるさいなぁ~というか…誰?

 

「あっ、私は女神のアテネって言います」

 

へぇ~女神なんだ。…

 

「って!えっ⁉女神?てか、何ナチュラルに人の思考読んでんだよ!それに僕なんでここに来てんですか!」

 

急に思考を読まれている事がわかった長門は叫んだ。

僕がそう言うとアテネは急にDO・GE・ZA!をして来た。

 

「すいませんでした!実は…私が間違って殺しちゃいました!」

 

それを聞いた長門は、アテネの胸ぐらを掴んで怒鳴り出した。

 

「なに殺してくれとんじゃおんどりゃ!」

 

「ヒ!ヒィ~!」

 

「何なんだよ!青春の真っ只中だよ?!どうしてくれんのさ!」

 

長門の勢いに負けてアテネは、屁理屈を言った。

 

「だって、間違えちゃったんだもん…」

 

「ん?」ギロッ

 

「転生させるから!特典付けて小説世界でも転生させるから~、許して~!」

 

言ったな?チートをくれると言ったな?よし!転生する!

 

それを聞いて直ぐに僕はアテネの胸ぐらをを放した。

 

「そんじゃあ転生後の世界の説明と転生特典をカムカム!」

 

するとアテネは何処からかノートパソコンを出してきて転生先を確認し出した。

 

「え~っと、転生させるのはインフィニットストラトスの世界ですね」

 

いいな、面白そうだ。あ!忘れかけてた。チートは!?転生特典は!そう思った僕はアテネに質問をした。

 

「ねぇ、神様。転生特典は?」

 

「転生特典は……そうですね。いくつでもいいので選んでください」

 

えっ…マジで?いくつでもいいの?

 

「いいのですよ~こっちのミスですしおすし」

 

へっ、へぇ~(汗

 

「ならさ、身体能力とか指揮能力とか頭脳をMAXまで高めてくれない?あと創造能力もね」

 

「以上でいいの?」

 

転生特典を言い終わるとアテネが聞き返してきた。

 

「以上で」

 

「いいですね~それじゃあ転生行きましょうか」

 

アテネはそう言うと転生の扉をあけた。そしてその扉の扉の中に入ると直ぐに意識が持っていかれた。



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大日本帝国編
第一話 転生完了~って、あれ?…あのクソ女神ィィィ!!!!!!


やぁ、久しぶりだね。アテネに間違って殺された矢矧長門だよ。

 

ん?今どこにいるかって?それがさ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和の軍事施設の前みたいなんだよねぇ~

僕の転生先ってインフィニットストラトスじゃなかったっけ?!ここどう見ても昭和の海軍施設前だよ?!

 

長門が混乱して頭を抱えて居ると空から一通の手紙が落ちてきた。

 

「なんだこれ」

 

『拝啓 千夏君。ごめんね~またミスって転生場所間違えちゃった。君が転生したのは第二次世界大戦前の大日本帝国だよ~それにそこは呉鎮守府だから。取り敢えずガンバ!そっちでまた時を見計らってインフィニットストラトスの世界に転生させるから大丈夫だよ!歴史改変してもいいからね。

 

p.s.転生してからの名前は夜月雫だから間違えないでね~』

 

(゜ロ゜)?ハ?

 

雫は手紙をみて一瞬固まったが、直ぐに怒りがこみ上げて来て大声で叫んだ。

 

「あんのクソ女神ィィィ!!!!!!」

 

叫び終わると雫は疲れはてて愚痴を呟いた。

 

「マジかー」

 

「海軍にでも入るか…」

 

そう言うと雫は目の前にあった呉鎮守府に入っていった。

 

 

 

□■□■□■□■□■

 

あれから1年半後、雫は兵学校を主席という位で卒業して島風型駆逐艦『島風』を旗艦とした初春型駆逐艦『夕暮』『若葉』、朝潮型駆逐『朝潮』『山雲』を配下に置く第二十八駆逐隊の艦隊司令兼島風艦長に少佐として着任していた。

そして今、雫のいる第ニ十八駆逐隊は所属している横須賀鎮守府からラバウル航空隊基地に天皇陛下が乗艦している戦艦『長門』を護衛しながら太平洋を航海していた。

 

 何も起こらないことで暇をもて余していた雫は、側にいた副艦長の高瀬新輝(たかせ しんき)大尉に話しかけた。

 

「なぁ、副長」

 

「何ですか、夜月艦長」

 

「いやさ、何も起こらないな~って思ってさ」

 

「ですね。けどだからこそ気を引き締めなければいけませんよ?艦長?」

 

雫は気楽にしようと思って言ったことばを高瀬大尉に正論を返されてガックリと肩を落とした。

 

「だいたい天皇陛下の護衛なんですからね」

 

「と言うかなんで今時になってラバウルに天皇陛下が行くんだ?」

 

雫の質問に高瀬大尉は悩みながらも答えた。

 

「ラバウルの士気を上げるためらしいですよ~」

 

それを聞いて直ぐに雫の脳内に雷が走った。

 

「対潜ソナー感度最大!探知初め‼」

 

「か、艦長?!」

 

急な指事に驚いていた高瀬大尉を横に通信要員から

 

「対潜ソナーに反応‼数6!深度57m地点から速度25ノットで左舷より接近中‼」

 

と報告が上がったのだった。

 



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第ニ話 第ニ十八駆逐隊の戦い

報告が上がると直ぐに雫は指揮を取り出した。

 

「総員!第一種戦闘配置!対潜水艦戦闘用意!」

 

「各艦にモールス打電!『我、敵潜水艦隊発見セリ!速度二十五ノットデ左舷ヨリ我ガ艦隊に接近中』」

 

雫の号令と共に各乗組員が持ち場に着いた。そこで雫は通信要員にまた新たな指事を出した。

 

「戦艦長門に敵艦接近の打電を打て」

 

それを聞いた通信要員はなぜ戦艦に?と言いたそうな顔で雫をみた。それに気がついた雫はその通信要員に怒鳴った。

 

「バカかお前は‼戦艦長門には対潜ソナーがないんだよ‼さっさとしろ!」

 

「は、はい‼」

 

雫の怒声にビビりながらも長門に打電を打った。

 

□■□■□■□■

 

あれから数分後、やはり雫率いる第ニ十八駆逐隊が敵潜水艦隊と遭遇した。しかし戦いはこちらが有利に進んでいった。何故なら海戦が始まってすぐに雫が艦隊全艦に

 

『ハチノカリ』

 

と打電していたからだった。この暗号文は第ニ十八駆逐隊流の戦術でその戦術とは各艦ごとにジグザグに動き網を描くように爆雷を投下するとゆうものだった。そして、敵潜水艦6隻の4隻目を撃沈した時にまた敵潜水艦の接近を感知した時と同じ稲妻が頭に落ちた。それとほぼ同時に通信要員から報告が上がる。

 

「長門の左舷に敵潜水艦の接近を確認‼」

 

それを聞いた雫はしまった!と一瞬焦ったが、直ぐに冷静さを取り戻し、艦の指揮を取る。

 

「面舵一杯‼180度完全回頭を確認の後機関最大!長門の横に滑り込め!」

 

それを聞いた高瀬大尉は驚きを隠せないまま雫の指揮のもと回頭する艦の艦橋で詰め寄った。

 

「艦長‼何をしてるんですか‼」

 

「本艦隊の任務は天皇陛下が乗艦されている戦艦長門の護衛だ。敵の魚雷を受けてでも守るんだよ」

 

それを聞いて放心状態の高瀬大尉をよそに雫は通信要員に指事を出す。

 

「第ニ十八駆逐隊全艦に打電!『我、長門付近ニ敵潜水艦ヲ発見ス。本艦は長門ノ護衛ニ入ル、至急敵潜水艦ニ網ノ縄ヲ実行セヨ』」

 

それが打電し終わると、島風の艦橋から長門の中央部、弾薬庫付近に向かって長門の左舷200m付近から三数本の魚雷が向かうのが見えた。雫はヤバイ!と感じとると更に無茶な指事をした。

 

「機関最大!全速力で長門の横に滑り込んで艦を盾にして長門を守るぞ!」

 

それを聞いた操舵者の伊川三治(いかわ さんじ)曹長が雫に意見した。

 

「艦長!それではこの艦から多大な犠牲が出ます!」

 

それを聞いた雫はそうかもしれないと考え直し、新たに指揮を出した。

 

「ならば駆逐隊朝潮に救助を頼め!それから総員退艦!」

 

そして総員退艦という言葉を聞いて放心状態から回復した高瀬大尉が質問してきた。

 

「艦長!それでは艦を動かす者が居なくなりますよ!」

 

「私がいる。なぁ~に、艦は動かせるしいざとなれば海に飛び込んで退艦するさ」

 

それを聞いて高瀬大尉は渋々ながら引き下がってくれた。それから全員が最大戦速で進んでいた島風に朝潮が横付けし、退艦すると雫は艦の舵を自ら握り、長門の横っ腹に滑り込んだ。

すると直ぐに島風の左舷に三本魚雷が命中した。そして島風は魚雷が命中した左舷に大きく傾き、転覆してしまったのだった。そしてその数秒後、艦中央部から真っ二つに折れて沈んでいった。

 

■□■□■

 

これはあの海戦の後の話だが、雫は雫の捜索に来た駆逐艦夕暮に回収されたらしい。そして敵潜水艦はというと長門の攻撃を自分の艦を盾にして守った島風に恐怖を感じ、島風の沈没後直ぐに撤退していった。



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第三話 昇格と戦艦土佐

あの海戦の数週間後、連合艦隊司令長官山本五十六大将の執務室に呼び出しをくらい、駆逐艦夕暮で休息をとっていた雫は横須賀鎮守府の執務室に向かっていると、鎮守府の港に未完成の戦艦が一隻停泊しているのを見つけ、執務室に案内してもらっていた花和木曹長に質問した。

 

「なぁ、あの戦艦はなんなんだ?」

 

「はっ、あの戦艦は加賀型戦艦二番艦の土佐ですね」

 

「土佐、か」

 

「戦艦はもう時代遅れらしく、未完成で放棄されることが決まって置いてるだけみたいです」

 

「さっ!そんなことより、早く行きますよ!」

 

「ん、わかったよ」

 

そう言われた雫は曹長に案内されて執務室に向かった。

 

□■□■□■□■□■□

 

そして執務室前に付いた雫は扉を叩き、入室の許可を取った。

 

トントン

 

『入れ』

 

雫は司令長官の返事を聞いてから執務室に入ると自分の所属と名前、階級を大声で言った。

 

「第ニ十八駆逐隊艦隊司令!夜月雫少佐!只今出頭いたしました!」

 

執務室に入ると山本五十六連合艦隊司令長官が椅子に座るように勧めてきた。しかしそれを雫は拒み、立ったままで居ることを選んだ。

 

「まぁ少佐、座ってわどうかね」

 

「いえ、自分はこのままで結構です」

 

山本長官は少しため息をつきつつも話し出した。

 

「実はだね、天皇陛下から君に大勲位菊花章頸飾の授与と大佐に昇格するように通達が入った。君の行動を評価した結果らしい」

 

「は、はぁ」

 

「それから天皇陛下から君の願いを何でも一つ聞くように言われている。どうするかね」

 

そう山本長官に言われた雫は、執務室に来るまでに見つけていた未完成で放棄されていた戦艦土佐を思い出した。

 

「…なら、未完成で放棄されている戦艦土佐をいただけませんか?」

 

「土佐を?」

 

山本長官は雫が何故土佐を要求したかが分からずに聞き返した。

 

「自分が前に戦艦加賀を見たときに思い浮かんだ改修を施したいためです」

 

「しかし資金や資材は回せないからな」

 

「大丈夫であります。自分には資金の宛がありますから」

 

そう雫が言い切ったのを聞いた山本長官は、ついに許可を下ろしてくれた。

 

「…わかった。ならいい」

 

「それと長官、土佐を改修した後は自分の乗艦としたいと考えています。故に改修が完了したら人員を回してくれませんか?」

 

それを聞いた山本長官は、少し悩んだような顔をしたが、直ぐに雫の方を向き、返事をした。

 

「うむ、わかった」

 

「ありがとうございます」

 

そう言うと雫は山本長官に一礼を済まし、執務室を退出した。

 

□■□■□■□

 

あの後、雫は知り合いの造船所に土佐を搬入し、改修工事を開始した。そして改修の資材は雫の創造能力、≪物を作る程度の能力≫を使い、出された物を使うことで賄うことに決まったのだった。



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第四話 航空戦艦土佐 出撃!ミッドウェー!

雫が大佐に昇格してから1年後、太平洋をミッドウェー島に向けて向かう大艦隊があった。その艦隊の名を旭日艦隊、世界の邪を光持ち晴らすという意味の込められた艦隊である。アメリカの要所、ミッドウェー島攻略を目的とし、装甲戦艦空母1隻、戦艦2隻、航空空母3隻、重巡洋艦3隻、軽巡洋艦5隻、駆逐艦9隻、潜水艦5隻を含む大艦隊である。

 

そして、旭日艦隊旗艦、航空戦艦土佐。この艦こそ、雫が作り出した最強の戦闘艦である。全長:234.09m、最大幅:71.5m、排水量は34.000t。この艦こそ、雫が作り出した最強の戦闘艦である。

 

「遂に僕も連合艦隊司令かぁ~」

 

旭日艦隊旗艦、航空戦艦土佐の第一艦橋で、雫が呟いた。するとそれを聞き付けた副艦長になった伊川偲(いかわ さい)中佐が雫に質問をしてきた。

 

「そう言えば艦長は前はどの艦に乗っていたんですか?」

 

「ん?僕は第ニ十八駆逐隊の司令と島風艦長をしてたけど?」

 

雫の前の所属を聞いた伊川副艦長を含んだ艦橋要員全員が驚き、叫びを上げた。

 

「「「「「ええぇぇ~!!!!」」」」」

 

ビクッ!な、なんだ?!

 

「か、艦長があの対潜の鬼ィ~!」

 

「本当にかよ」

 

と艦橋要員が口々に騒いでいた。

 

「そうだ!騒がしいぞ!バカもんがッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

そうしたほのぼのとした時間が流れていき、数時間後、旭日艦隊はミッドウェー艦隊と会敵していた。

 

「電探に敵航空機の大編隊!高度1500フィートで28キロで接近中‼」

 

通信要員から報告が上がる。それを聞いた雫は、艦の指揮を執り出した。

 

「よし、全艦隊に敵航空機の接近を通達しろ」

 

「全艦第一種戦闘配置!航空隊全機発艦‼」

 

雫がそう指事を出して数分後、土佐、航空空母『赤城』『加賀』『信濃』から総勢309機の航空機がミッドウェー艦隊に向けて飛び立っていった。それを見届けると、雫は依然接近中の航空を撃ち落とす指揮を執った。

 

「全艦隊に通達!本艦隊に接近中の航空機に向けて主砲回頭!各砲身にZ弾装填‼二式誘導噴進弾‼撃ちィ~方初め‼」

 

その号令と共に土佐を含む総勢12隻が一斉に主砲を発射し敵航空隊に向かって飛んでいき敵航空隊の中心で起爆し、多数の敵航空機が落ちたのが確認できた。

 

「敵航空隊に直撃‼」

 

「次!第ニ波用意!主砲!二式誘導噴進弾!撃てェェ~‼」

 

そして第ニ波も敵航空隊に吸い込まれるように進んでいき、のこりの敵航空機の大半を撃破していた。それを確認すると雫は艦長席を立ち上がり、手を前に突き出すと高らかに指事を出す。

 

「これで敵の航空機の大半を落とした!畳み掛けるぞ‼全艦!最大戦速‼」

 

その指揮と共に旭日艦隊の全艦がミッドウェー艦隊に向けて進んで行った。



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第五話 レイテ島に単艦で出撃だとォォ‼‼

あの後、ミッドウェー海戦で日本海軍大艦隊『旭日艦隊』は大きな被害を被る事なく航空母艦『エンタープライズ』『ヨークタウン』『ホーネット』、重巡洋艦『ミネアポリス』 『 ニューオーリンズ』、駆逐艦『ハムマン』の敵艦計6隻撃沈という大打撃を敵に与えていた。

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドウェーを勝利に導いた戦いの英雄こと夜月雫はというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~暇だ…」

 

占領したミッドウェー島の港で停泊中の航空戦艦土佐の艦長室で暇をもて余していた。

□■□■□■□■

 

実はあの海戦の後雫は大本営から休息を取るように言われていたのだった。時は遡ること6日前…

 

珍しく艦橋の電話がなり、雫がそれを取った。

 

「はい、航空戦艦土佐艦長、夜月大佐であります」

 

『こちらは大本営所属の神賀重鱸(しんが じゅうろ)大将だ』

 

(⁉大将ォ~!)

 

「はっ!神賀大将、どういたしましたか」

 

雫はなぜ大本営の大将が出てくるのか不思議に思い、聞き返した。

 

『いやね、君に昇格の指事が出たのだよ』

 

「昇格?自分が…ですか?」

 

『そうだ。階級は少将だそうだ』

 

『そうだそうだ。2ヶ月後に君の航空戦艦土佐単艦で任務に当たってもらいたいから1週間の休暇を与える。無論、土佐所属の全員だぞ』

 

「は、はぁ。してその任務とは…」

 

嫌な予感がして聞き返した雫の勘は嫌味にも当たってしまった。

 

『レイテ島奪還作戦だ』

 

『旭日艦隊の他の艦は大和型戦艦一番艦大和を旗艦とした聯合艦隊を組織し、敵本土に本土決戦を仕掛ける。その為に敵の艦隊の巨大海軍基地であるレイテ島に攻撃を仕掛け、敵艦隊を足止めしてほしいのだよ』

 

雫はマジかーとも思いつつこの作戦を了承した。

 

「はっ!了解いたしました!装甲航空戦艦土佐!敵の大艦隊を叩き潰して見せましょう‼」

 

『うむ、任せたぞ』

 

神賀大将がそう言うと通信が切れた。

 

□■□■□■□■□■

 

これが雫が艦長室で暇をもて余している理由だった。

あれから6日間雫は次の戦いの前に何かしようとしたが何も見つからなかった…いや、見つけられなかったのだ。戦っている内は終わったら何をしようという事が分かるがいざとなると分からないのだ。

 

「…明日か」

 

雫はカレンダーを見てふと呟いた。明日は敵の最大の要所に単艦で突撃する日だった。そして、雫はそっと目を閉じて思い出に浸った。

すると流れてくるのは兵学校でお世話になった世川教官、同期で先に戦死した西枦良介(にしろ りょうすけ)中佐、戦隊を率いていた綺誌璃衣(あやし るい)大佐、全て雫の思い出の中の人物である。自分が死ぬかも知れないという不安感を払うと、雫は暫くして目を開くと決心したかのように一人艦長室で呟いた。

 

「…よし」

 

「明日は必ず勝ってやる‼」



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第六話 激戦!レイテ沖大海戦‼

敵艦隊基地に突入する前、雫は艦長席の横に付けられている受話器を持ち艦内に通信を入れた。

 

「本艦はこれより敵艦隊基地に攻撃を仕掛ける」

 

「本艦の目的は敵艦隊をアメリカ本土に向かう事のそしだ!敵艦隊との戦力差は誰が見ても明らかである。しかし!私は諸君が一騎当千の強者だと思っている!我々が全力を出せば必ず勝てる!諸君らの奮戦に期待する‼」

 

雫はそう言うと受話器を置き、息を整えると指揮を取り出した。

 

「第一種戦闘用意‼航空隊全機発艦‼」

 

雫がそう指事を出して数分後、土佐から63機もの機体が飛び立っていった。それを見届けた雫は次の指揮を執った。

 

「各砲身!並びに垂直発射菅装填!撃ちィ~方初め‼」

 

「よし!一気に畳み掛けるぞ!最大戦速‼」

 

雫の指揮と共に土佐はレイテ島海軍基地に突撃していった。

 

□■□■□■□■□

 

そして…

その数時間後、

 

敵駆逐艦からの雷撃が土佐に向けて放たれた。

 

「左舷より魚雷!数4!」

 

それを発見した艦橋要員が報告をあげる。

 

「取り舵一杯‼」

 

雫がそう叫び、舵が切られたが回頭速度が間に合わず魚雷が命中して艦が左に30度程傾いた。そして、次々に被害報告が入って来た。

 

「魚雷、左舷に命中!左舷機関室浸水!」

 

「機関出力低下!」

 

「艦、傾斜左30度!」

 

そして、被害報告が一段落する前に次の指事を出した。

 

「浸水部所ハッチ閉鎖!」

 

「右舷バラストタンク注水!傾斜復旧急げ!」

 

「各砲塔照準‼撃てェェ‼」

 

そして艦の傾きがやっと直ったとおもったのもつかの間。すぐに後方から衝撃が来た。

 

「後方格納庫に被弾!…グッ!格納庫要員総員戦死!」

 

「右舷バラストタンク満水!浸水、さらに拡大!」

 

後方の格納庫にいた乗員の戦死が報告される。それと同時に右舷バラストタンクの満水が報告され、艦の傾斜がまた広がりだす。そしてまた魚雷が接近して来た。

 

「右舷より魚雷!数3!」

 

「取り舵一杯!」

 

副艦長が指事を出した。しかし、それを切り壊して雫が別の指揮を出した。

 

「いや!進路そのまま!魚雷を右舷にぶつけて傾斜を戻す!」

 

しばらくすると魚雷が右舷に命中した。すると命中したところから浸水が始まった。

 

「右舷中央部に魚雷命中!浸水始まりました!」

 

「傾斜30度‼」

 

「なっ!…傾斜もとに戻りません!なおも拡大!」

 

艦橋要員の観測係が声をあげた。右舷からの浸水が左舷の浸水に及ばずに左舷に傾き出したのだ。

 

「傾斜復旧の見込み……クッ…ありません!」

 

「傾斜復旧見込み無し‼」

 

すると艦橋要員の残念がった声が聞こえだした。そして雫は艦長席から立ち上がると艦橋を見回し、口を開いた。

 

「全乗組員が一生懸命努力したが、この通り本艦は飛行甲板や主砲が使用不能にまでやられてしまった。しかし、米軍の足止めはできたのだ」

 

「諸君らの奮戦に感謝する…総員退艦‼」

 

雫がそう言うと乗組員達は敬礼をし、急いで退艦をしていった。その中で一人、観測係の更識修司(なかむら しゅうじ)少尉が質問をぶつけてきた。

 

「艦長!」

 

「早く貴様も退艦しろ!」

 

「艦長は…どうするのですか」

 

「…俺は…この艦に残る」

 

私は言いどよみながら答えた。

 

「いいんだ。私はこの艦と死にたいのさ…帝国海軍の一軍人として、この艦の艦長としてな」

 

「だから!貴様は生きろ!生きて、死んで行ったこの艦の…土佐の…帝国軍人達の存在した意味を見出だしてこい‼」

 

雫がそう言うと更識少尉は、敬礼をし、雫の遺品を求めてきた。

 

「はっ‼なら!、なら何か遺品になるものを下さい」

 

そう言われた雫は腰のホルダーから拳銃を抜いて更識少尉に渡した。

 

「ほら、くれてやるから早く退艦しろ!」

 

更識少尉は拳銃を受けとると急いで退艦していった。更識少尉が艦から飛び降りて退艦するのを見届けた雫は舵を握り、敵艦に進路を執った。

そして艦長席に座り、敵戦艦に突撃する瞬間一人呟いた。

 

「…日本は…勝ったな」

 

そう言って私は目を瞑る、それと同時に足元の床が張り裂け艦橋が爆発した。敵戦艦の中央部に見事突撃し、敵戦艦を道連れに沈んだのだった。

 

□■□■□■□■□■□

 

その後の調査で土佐は戦艦4隻、航空母艦5隻、重巡洋艦11隻、軽巡洋艦13隻、駆逐艦78隻撃沈という大戦果を納めていた事がわかった。そして、肝心の聯合艦隊は見事本土攻撃を成功させ、その一ヶ月後に大東亜戦争は日本側の三国同盟軍が連合国に勝利する形で終結を迎えた。



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ハイスクールフリート編
設定(仮)


土佐型航空戦艦 土佐

 

基本排水量:34,000t

満水排水量:41,532t

全長:234.09m

最大幅:96.5m

吃水:9.8m

ボイラー:ロ号艦本式缶(空気余熱器付)8基

主機:艦本式タービン(高中低圧)4基

出力:170,000馬力

速力:29,6ノット

乗員:2,089名

着艦識別文字:ト

 

武装

45口径46cmニ連装砲4基8門

40口径12.7cmニ連装高角砲25基50門

50口径14cm単装砲8基

垂直発射装置27基

25mm3連装機銃16基

25mm単装機銃19基

零式艦上戦闘機22型:27機

零式艦上戦闘機62型:16機

彗星三三戊型/D4Y3-S:11機

艦上攻撃機流星改:14機

 

レーダー

21号電探2基

13号電探1基

 

 

搭載艇

12m内火艇3隻

12m内火ランチ3隻

8m内火ランチ1隻

9mカッター3隻

13m特型運貨船2隻

 

 

解説

 

主人公が建造中止で放置されていた加賀型戦艦二番艦『土佐』に目を付け、天皇陛下から頂いて自力で完成まで持ち込んだ軍艦。あくまで主人公の軍艦ではあるが、大日本帝国海軍に所属している。艦の左右に航空甲板を装備している。主人公以外の人間はハイスクールフリート編時は居らず、他の乗組員は全員妖精である。また主人公はこの艦のメンタルモデルとなっている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

この艦は雫が前世から記憶にあった戦艦大和が魚雷によって沈んだことを考慮して装甲を厚くし、戦艦の主砲、副砲、艦橋、煙突を残して航空甲板を装備した軍艦

 

ー艦載機ー

 

 

 

零式艦上戦闘機22型

 

全幅:12.00m

全長:9.060m

全高:3.570m

最大速度:時速541km

エンジン:「栄」21型 (1,130馬力)

武装:7.7mm機銃×2 20mm機関砲×2

 

 

零式艦上戦闘機62型 A6M7

 

全幅:11m

全長:9.121m

全高:3.57m

最高速度:時速543km

エンジン:中島「栄」三一甲型空冷複列星型14気筒(1,130馬力)

武装:

20mm機銃2挺

13mm機銃3挺

胴体下に250kg爆弾または500kg爆弾1発

主翼下に60kg爆弾2発または30kg三号爆弾4発

 

 

 

 彗星三三戊型/D4Y3-S

 

全幅11.50m

全長10.22m

全高3.74m

エンジン:三菱「金星62型」(1,560馬力) 

最高速度:時速574km

武装:

7.7mm機銃×2 

7.9mm旋回銃

500kg爆弾×1または翼下250kg爆弾×2

 

 

 艦上戦闘機流星改

 

全長:11.49m

全幅:14.40m

全高:4.07m

エンジン:中島「誉」12型(1,670~1,825)

最大速度:時速543km

武装:

20㎜機銃×2

魚雷800kg×1      

800kg爆弾×1または250kg爆弾×2または60kg爆弾×6

 

 

第ニ十八駆逐隊

島風型駆逐艦一番艦 島風

初春型駆逐艦三番艦 若葉

初春型駆逐艦五番艦 夕暮

朝潮型駆逐一番艦 朝潮

朝潮型駆逐艦六番艦 山雲

 

 

 

旭日艦隊

土佐型装甲戦艦空母一番艦 土佐

戦艦

長門型戦艦三番艦 尾張

大和型戦艦四番艦 紀伊

航空母艦

信濃型航空母艦一番艦 信濃

赤城型航空母艦一番艦 赤城

加賀型航空母艦一番艦 加賀

重巡洋艦

高雄型重巡洋艦三番艦 摩耶

利根型航空巡洋艦一番艦 利根

最上型航空巡洋艦一番艦 最上

軽巡洋艦

球磨型軽巡洋艦一番艦 球磨

球磨型軽巡洋艦ニ番艦 多摩

川内型軽巡洋艦一番艦 川内

川内型軽巡洋艦二番艦 神通

夕張型軽巡洋艦一番艦 夕張

駆逐艦

初春型駆逐艦三番艦 若葉

初春型駆逐艦五番艦 夕暮

朝潮型駆逐艦一番艦 朝潮

朝潮型駆逐艦六番艦 山雲

暁型駆逐艦一番艦 暁

暁型駆逐艦二番艦 響

秋月型駆逐艦一番艦 秋月

秋月型駆逐艦八番艦 冬月

秋月型駆逐艦十番艦 宵月

潜水艦

伊四○○号潜水艦

伊四○一号潜水艦

伊四○ニ号潜水艦

伊五八号潜水艦

伊八号潜水艦

 

 

 

主人公

 

矢矧長門→夜月雫(やづき しずく)

年齢:19歳

性別:男

身長:169cm

体重:51kg

最終階級:少将 死後二階級特進大将

服装:第一種軍装、第二種軍装

 

解説

女神に間違って殺され、ハイスクールフリートの世界に転生させられるはずがまたもや女神のミスで第二次世界大戦前の大日本帝国に転生した。そして、主人公が戦死したことを期に、ハイスクールフリートの世界に性転換して16歳の姿で新たに転生した。体の中にユニオンコアを持っているが人間と同じとされる。航空戦艦土佐の艦長でメンタルモデル。

 

 

 

性転換後

 

年齢:16歳

性別:女

身長:159cm

体重:46kg

スリーサイズ:言ったら許さん‼by雫

 

外観

 

見た目は霧の超戦艦ムサシとイオナを足した感じ。

 



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第七話 転移と航空戦艦土佐

「…ん?ここは…」

 

雫が目を覚ますとそこは雫が戦死したはずの土佐の第一艦橋だった。そして雫は艦橋を見回している内に体に何か違和感を感じ、自分の体に問題が無いか確認し出してすぐに叫んだ。

 

「なんで私が女になってるのッ‼」

 

そして、大日本帝国の士官服一人の小人の妖精が現れ、喋りかけてきた。

 

「夜月艦長お久しぶりです。自分が誰かお分かりですか」

 

「ん?…お前、伊川偲か?」

 

雫は恐る恐る土佐の副艦長の名前を言った。

 

「そうですよ、現世で死んだら人達は何故か妖精みたいなのになってこの艦に来てるんですよ」

 

そして雫は自分自身の事に付いて聞いた。

 

「私はどうなってしまったんだ?」

 

「艦長は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この艦のメンタルモデルになられました。その為にこの艦には艦長以外の人は居ません。他の人員は全員妖精です」

 

「な、何だと⁉」

 

それを聞いた雫はすぐに艦長席から立ち上がり大声を上げた。雫は艦を運営するために最低限必要な人数は居るものだと思っていたのだ。しかし、艦の乗組員は航空隊等の要員も全員が前世で死んだ後妖精としてここに来ていた。それから雫は艦長席に再び座ると土佐の現在位置を副艦長に聞いた。

 

「副艦長、本艦の現在位置は」

 

「はっ、レーダーにて観測したところ本艦の現在位置は北緯33度5分、東経139度48分、八丈島200㎞の海域です」

 

「そうか…わかった」

 

そう言うと雫は黙り込んだ。そして雫自身がこの艦のメンタルモデルになっている事を把握してからしばらくすると観測係から報告が上がった。

 

「艦長!レーダーにて本艦に前方より接近する艦隊があります!距離2000㎞!」

 

「…接近する艦隊、だと?」

 

観測係からその内容を聞いた雫は艦の指揮を執り出した。

 

「総員戦闘準備!各砲塔に砲弾装填、但し、砲塔は何時でも回頭出来るようにしておけ、それから偵察部隊の川木小隊を出すぞ!対潜・対水上戦闘用意ッ!」

 

「了解、総員戦闘配置!対潜・対水上戦闘用意!偵察機川木小隊発艦!」

 

副艦長の指揮と共に先程まで和やかだった艦の空気は一転した。それから数分後…

 

「所属不明艦隊!進路変更確認出来ず、本艦に向け依然接近中!」

 

それを聞いた雫はソナーを覗き込み潜水艦の存在を確認した。

 

「水上艦のみか…よし、対潜戦闘用意解除、対水上戦闘のみに戻せ」

 

「対潜戦闘準備を解除!」

 

そして雫は観測係に所属不明艦隊が射程に入るまでの時間を聞いた。

 

「所属不明艦隊が本艦の射程圏内に入るのは後何分後だ?」

 

「あと3分ちょっとって所です」

 

射程圏内に入るまでの時間を聞いてすぐに偵察に出ていた川木小隊から通信が入った。

 

『川木小隊ヨリ土佐。敵艦種、陽炎型駆逐艦三隻、長良型軽巡洋艦数隻ヲ含ム水雷戦隊ト判明セリ』

 

『ソシテ敵艦隊旗艦ニハ、長門級戦艦ト思ワレル存在ヲ確認セリ』

 



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第八話 天城型巡洋戦艦

『ソシテ敵艦隊旗艦ニハ、“長門級戦艦”ト思ワレル存在ヲ確認セリ』

 

川木小隊の打電内容にあった『長門級戦艦』という言葉を聞いてすぐに顔を上げ、通信係に再度確認した。

 

「…なに?長門型戦艦と言ってきているのか?」

 

「はい、確かに長門級戦艦と打電が来ています」

 

通信係の返答を聞くと今度は副艦長に話しかけた。

 

「なぁ、副艦長」

 

「何ですか、夜月艦長」

 

「お前に長門型戦艦に長良型軽巡、陽炎型駆逐艦を含んだ艦隊を知っているか?…てか居たっけ?そんな艦隊。アレ?俺か?俺がおかしいのか?!」

 

「大丈夫ですよ。私も知りませんから、艦長は至って正常ですよ」

 

副艦長に正常と言われた雫は安心し、また再び話し出した。

 

「な、ならいいんだ。…少々取り乱した」

 

「しかし、ビックセブンの一角か…」

 

少しばかり考えた後雫は艦の指揮を執り出した。

 

「両舷前進原速、黒15!」

 

「両舷前進原速、黒15!」

 

雫はそう指事を出してからしばらくしてレーダ観測員から報告が上がった。敵艦隊が本艦の射程に入ったというものだった。

 

「艦長!所属不明艦隊本艦の射程圏内に入りました」

 

聞いてからすぐに雫は副艦長にあることの確認を取った。

 

「副艦長、各航空隊の発艦準備はどうだ?」

 

「はっ!全航空隊発艦準備完了!二分あれば全機出せます!各砲塔、並びに垂直発射菅全菅装填完了済みです!」

 

航空隊の情報を聞いた雫は喜びを露にした。

 

「パァーフェクトだ」

 

そう言ってから雫は攻撃の指揮を執ろうと指示を出そうとした。しかし、それは通信係からの報告で遮られた。

 

「よし!全砲t「艦長!」…どうした!」

 

「所属不明艦隊より打電!『こちら海上安全整備局ブルーマーメイド所属の天城型巡洋戦艦『天城』である。貴艦の所属、目的を明らかにし、速やかに武装解除し停船せよ。指示に従わない場合は法律に則り、貴艦隊を攻撃す』とのことです」

 

それを聞いた雫はしばらく黙り込んでから次の指揮を出した。

 

(あれは未完艦の筈では…)

 

「…仕方ない、天城に打電だ。乗員の生存権の確約を認めるならば貴艦の指示に従うと伝えろ」

 

「両舷機関停止!」

 

「両舷機関停止!」

 

そう雫が指示してから数分後、艦が停止するとすぐに通信員から報告が上がった。天城から返答があったのだ。

 

「艦長!天城より打電来ました!『貴艦の要求を承認し、貴艦乗員の生存権を確約する。また、本艦内にて貴艦の決定権の有する人物との会談を希望す、海上安全整備局 一等監察官 宗谷真霜』です」

 

そして雫は通信員に新たな指示をだした。

 

「天城に打電だ『貴艦ノ要求ヲ承認ス』とな」

 

そしてから雫は副艦長に話しかけた。

 

「副艦長、一緒に来てもらえるか」

 

「はっ!わかりました。しかし艦を指揮するものが居ませんよ?」

 

副艦長にそう指摘された雫は砲雷長に艦長代理を任せ、艦の横に接岸してきた天城に乗り込んだ。



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第九話 説明と交渉

巡洋戦艦天城に乗り込んだ一夏と伊川副艦長が案内されたのは天城の長官室に案内された。そして二人が長官室に入るとそこには二人の女性士官のような人物が居た。その存在を確認すると二人は敬礼をし、自分の所属を話した。

 

「自分は大日本帝国海軍『旭日艦隊』旗艦、土佐型航空戦艦一番艦土佐艦長並びに『旭日艦隊』司令長官の織斑一夏少将です」

 

「土佐型航空戦艦一番艦土佐副艦長の伊川偲中佐です」

 

一夏達の自己紹介を聞いた女性も敬礼をし、自分の名前と所属を話した。

 

「私は海上安全整備局安全監督室情報調査隊所属、宗谷真霜一等保安監督官です」

 

「巡洋戦艦天城艦長の宗谷真冬ニ等保安監督官です」

 

そして、四人が椅子に座るとは真霜は一夏達に質問をしてきた。

 

「さて、もう一度確認しますが貴艦の所属はどこですか?」

 

「本艦の所属は大日本帝国海軍、横須賀鎮守府です」

 

一夏ははっきりと自分の所属を再び話した。そしてその答えに帰ってきたのは驚きの言葉だった。

 

「しかし今、横須賀鎮守府という所はアメリカとの共同軍事施設で名前も横須賀軍事基地になっていますよ?」

 

それを聞いた一夏はすぐに立ち上がり大声で叫んだ。

 

「何だと⁉アメリカにだと‼日本はアメリカ戦争で負けたのか⁉」

 

「え?アメリカとなんか戦争なんてしてませんよ?」

 

「何?戦争が起きていないだと?」

 

「ええ、最後の戦争は日露戦争の時ね」

 

それから一夏は自分がこの海域に現れるまでの経緯を話した。

 

「…」

 

「…」

 

そして黙り込んでしまった一夏と伊川副艦長に真霜が何でアメリカに過剰に反応をしたのかを聞いた。

 

「何故織斑少将はアメリカにそこまで険悪なんです?」

 

「…私の戦友、教官、親しかった人を皆アメリカに殺られたんだよ」

 

「⁉、それは済まないことを聞いたな」

 

「いや別にいいさ、嘆いたところでなにも変わらないですよ」

 

一夏がそう返してすぐに机に備え付けられていた電話が鳴った。

 

「はい、宗谷真霜です。はい…はい、織斑少将は…はい…了解しました」

 

そう言い電話を切った真霜は一夏の方を向いて一夏達の今後の待遇を話した。

 

「織斑少将、貴艦の今後の待遇が決まりました」

 

「貴官は今後、ブルーマーメイド保安監察部所属として階級は少将とすることが決定しました。よろしいですか?」

 

「ええ、問題ありません」

 

「それから織斑少将、ご年齢はおいくつで?」

 

「19と言いたい所ですが今は16歳ですね」

 

一夏の年齢を聞いた真霜は成る程と言い再び話し出した。

 

「なら織斑少将。ブルーマーメイド横須賀女子学園に生徒兼職員として入学してみませんか。勿論乗艦は扶城のままで構いませんよ」

 

一夏はその提案に面白そうだと乗ることにした。

 

「いいですね。そうしましょうか。だけど本艦の武装は解析は許可しませんからね」

 

「別に構いませんよ」

 

しばらくしてから一夏は艦に戻り天城に引率されながら横須賀に向かった。



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第十話 ブルーマーメイド横須賀女子学園

ーブルーマーメイド横須賀女子学園ー

 

あれから二ヶ月後、雫はブルーマーメイド横須賀女子学園にましろと明乃と出会い、学園に向かっていた。

 

「そう言えば貴女の名前は?」

 

唐突に明乃が質問してきた。

 

「確かに聞いてないね」

 

「あれ?言ってなかったか~」

 

「私の名前は夜月雫って言うんだ~。二人と同じくブルーマーメイド横須賀女子学園の新入生だよ」

 

雫の名前を聞いた二人は顔を向き合わせ声を上げた。

 

「「私達と同じなんだ!(ね!)」」

 

それを聞いたから雫は時計を指差しながら忠告した。

 

「それよりも急がなきゃ遅刻だよ?お二人さん」ツンツン

 

「「ん?」」

 

「「遅刻するゥ~!!」」

 

「さて、行きますか」

 

そう言うと雫は急いで走り出した二人を追いかけて行った。(ホバー移動)

 

□■□■□■□■□

 

ーブルーマーメイド横須賀女子学園ー

 

あれから雫達は学園に着くとクラス発表を見に行った。

 

「え~っと、私は晴風クラスの~、やった!艦長だよミケちゃんはどうだったの?」

 

「私は晴風の副艦長だよ。雫は?」

 

そう言ってましろと明乃は雫の文字があった所の艦名を見て頭に疑問符を浮かべた。

 

「「航空戦艦 土佐?艦長、夜月雫?」」

 

「雫一人しか名前書いてないけど?」

 

それを聞いて雫は軽く情報を教えた。

 

「それはさ、一人で動かす特殊な艦だからだよ~」

 

「なるほど~…って!何で知ってるの⁉雫?!」

 

あ、やべ、ミスった。

 

「私がその艦を動かす為の処置を受けてるからかな」

 

「さっ!教室に行かなきゃ遅刻するかもよ~」

 

そう言われた二人は急いで教室に向かった。しかし、雫は職員室に向かってから教室に大日本帝国海軍の第一種海軍軍服をブルーマーメイド用に変えた服を着て向かった。

 

□■□■□■□■□■□

 

ー教室ー

 

「艦長!挨拶!」

 

雫はそう言いながら教室に入った。そして雫に気がついた二人が立ち上がり叫んだ。

 

「「ああ!雫!」」

 

「ん?ああ、私は晴風クラスの職員兼生徒なんだ~というより艦長!挨拶!」

 

そして大声で言われた明乃は驚きながら挨拶の指示を出した。

 

「は、はい!」

 

「き、起立!気をつけて!」

 

「礼!」

 

そう明乃が言うとクラス全員が挨拶をした。それを確認した雫はこれからの流れを話した。

 

「よし。私はここの生徒兼職員のブルーマーメイド保安監察部所属の夜月雫少将だよ」

 

「君達は今から駆逐艦晴風の乗員だ。君達はここで様々な事を学んで優秀なブルーマーメイドになってくれ!」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

その返事を聞いた雫は艦に行くように指示をした。

 

「なら全員晴風に乗り込んで海域P-03に09:00までに迎ってくれ」

 

「「「「はい!」」」」

 

そう言うと雫とクラス全員は艦に向かった。



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第十一話 猿島の撃沈と晴風と

船のドックまで来ていると土佐の横に晴風が停泊していた。それを見た明乃やましろ達晴風クルー達は土佐を見て圧巻の意を表してきた。

 

「「「「「おお~!」」」」」

 

「これが土佐」

 

「大きい~」

 

それを聞くと雫は軽くこの艦の解説をした。

 

「この艦は排水量41,532t、全長234.09m、最大幅96.5m最高速度は28.5ノットまで出る」

 

「それに土佐は大和型と同じ口径の46センチ砲がついてるから攻撃力は抜群さ」

 

雫からの説明を聞くと晴風クルー達は驚きをあらわにしていたがそれに気がついた雫は早く艦に乗り込んで海域に向かうように指示をした。

 

「「「「「おお~!」」」」」

 

「そんなに驚いとるならさっさと艦に乗り込んで海域に向かえ‼」

 

「「「「「す、すいません!!」」」」」

 

「謝ってる暇があるなら早く艦に乗り込め‼」

 

「「「「「は、はい~!!」」」」」

 

雫の怒鳴りに驚いた晴風クルー達はすぐさますっ飛ぶように艦に乗り込んで行った。

 

□■□■□■□■□■□■□

 

あれからしばらくたって雫達は演習の海域に到着していた。到着して直ぐに晴風へ教員艦である『さるしま』から砲撃を受けた。砲弾は見事に第三、第四主砲のあいだに命中した。それを見た雫はさるしまに通信を開いた。

 

「古鳥二等保安監督!この攻撃は何だ‼」

 

それに帰って来たのは途切れ途切れの言葉だった。

 

『敵は…ウツ…敵は…』

 

PTAウィルスがもう⁉…仕方がないか…

 

それを聞いて直ぐに雫はさるしまへの通信を閉じ、晴風を見た。そこには驚きとも言える映像が出ていた。晴風がさるしまから攻撃を受け転覆しかけていたのだ。それを見た雫は尚も晴風に攻撃を加えようとしているさるしまへの攻撃を開始する事を決め、艦の指揮を執り始めた。

 

「全艦戦闘配置‼」

 

「全艦戦闘配置、各員持ち場につけ!」

 

自分がそう言うと副艦長が指示を復唱した。すると艦に警報が流れた。そしてそのすぐ後に艦が揺れた。

 

「グッ!被害知らせ‼」

 

「後部甲板に直撃!しかし第一装甲板で食い止めました‼」

 

「よし!ならば第一主砲塔右旋回15度‼砲弾装填!装填弾は貫通弾だ」

 

 

そう言ってから雫は艦長席の右斜め前の席に座っている妖精に指示を出した。

 

「砲雷長、一撃で沈めてやれ」

 

「合点ですよ‼艦長‼」

 

そう言うと砲雷長は艦橋窓から双眼鏡を覗き込みながら砲の微調整をした。

 

「目標、速度二十ノット!主砲仰角プラス15!砲身間隔15センチ開けて散布面積広げろ!」

 

「撃てェェェ~!!!!」

 

雫がそう言うと主砲が火を噴き発射された砲弾は全弾さるしまの右舷に命中した。そして、その事によりさるしまは片舷からの浸水がひどく、直ぐに転覆して沈んでしまった。それを見届けると雫は晴風クルーの全員を助けてその海域から直ぐに離脱して行った。



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第十二話 土佐が反逆艦ってどういうことだ‼

さるしまを撃沈させて海域を離脱した数時間後、雫の元に晴風クルーの意識が戻ったと知らされた雫は救護室に来ていた。

 

「川岸美紀中尉、目覚めたというのは本当か?」

 

「はい、皆元気ですよ。夜月艦長」

 

そう言うと救護室主任の川岸美紀(かわきし みき)中尉はベットに横になっている晴風クルー達をさした。奇跡なのか晴風クルー全員が五体満足だったのであった。

それを確認した雫は明乃達に話しかけた。

 

「明乃、ましろ。大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫」

 

「大丈夫だ」

 

「なら艦長室に来てくれ、現状を話す」

 

「わかったよ!」

 

「わかりました」

 

二人の返事を聞いてから雫は艦長の明乃と副艦長のましろを連れて航空戦艦土佐の艦長室に向かった。

 

□■□■□■□■□■□■□■□

 

雫は艦長室のソファーに腰かけると一つ咳払いをした。

 

「今の現状は非常に悪い」

 

「?どういうこと?」

 

ましろが聞き返してきた。

 

「私達…主に私がさるしまを撃沈したことで反乱の扱いになっている事が通信探知でわかった…」

 

「「⁉そんな!雫は守ってくれただけなのに‼」」

 

明乃達が直ぐに立ち上がり、声を張り上げるが雫はそれを軽く鼻で笑うとソファーから立ち上がった。

 

「私は元から信用は無いだろう…とにかく言えるのはあの艦には異常があった。それだけだ」

 

雫のその言葉に視線を横にあった棚に移した。するとましろはそこにあった昔の写真に気づき手に取った。

 

「そんな…ん?このの写真は」

 

「かっこいい人だな」

 

「ああ、その写真に写っているのは私と私の教官だ」

 

雫がそう言うと明乃は大声を出して驚いていた。

 

「えっ!雫この写真に写ってるの男の人だよ⁉」

 

「雫は女の子なんじゃ…」

 

ましろのその呟きを聞き取ると雫は執務椅子に座ると事実を話した。

 

「それは私が“元々男だった”からね」

 

そして驚きで声も出ない二人を横目に話し出した。

 

「私は元々別世界の住人でね、向こうの大日本帝国海軍に居たんだ」

 

「一応連合艦隊司令長官で少将だったんだよ?あ、年は19だったかな」

 

それを聞きさらに二人は固まってしまった。連合艦隊司令長官を19歳で歴任していたのだ。しかも少将で、だ。たぶん最年少将校ではないだろうか。仮にもこの世界にも連合艦隊はある。しかしその司令長官になる人間は大抵5~60代の人だけなのだ。しかし、二人はそれだけすごい人物が目の前にいることよりも気になることを質問してきた。

 

「「…てっ!それより何で女になってるの!」」

 

「ん~そうだね、まず…」

 

そう言い雫は自分の帝国海軍入隊から事を話し出した。そして三人は数時間ほど話し合っていたのだった。



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第十三話 土佐 対 アドミラルシュペー

「状況報告!」

 

時は午後2時半、艦長室で休んでいた所に敵艦捕捉の連絡をうけた雫は第一艦橋に入ってすぐにそう叫んだ。

 

「敵艦種はアドミラルシュペーです!時速20ノットで接近中!距離3000‼」

 

レーダー係が雫の叫びに反応して報告する。

 

「全艦第一種戦闘配置!対水上戦用意‼」

 

雫がそう指示を出すと通信係は艦内に警報をかけ、指示を乗組員に伝える。

 

『全艦第一種戦闘配置!対水上戦用意‼』

 

そう艦に放送がかかって直ぐに艦橋にましろがやって来た。

 

「雫!これはいったい…」

 

「アドミラルシュペー…敵だよ」

 

「そんな…」

 

ましろが言葉を失ったのを確認した雫は部屋に帰るように伝えた。

 

「ましろ、部屋に戻っていてくれないかな?まだ傷はあると思う」

 

「…わかった」

 

そう言うとましろは渋々と艦橋から降りていった。艦橋から居なくなったのを確認した雫は前のシュペーを見直すと艦の指揮を執り出した。

 

「航空機全機発艦ができる機体から出せ!」

 

「第一、第二主砲塔各主砲に通常弾装填!」

 

「てぇぇー!!!」

 

雫が叫ぶと第一、第二主砲が火を吹いた。その砲弾は真っ直ぐに飛び、シュペーの右舷付近に着弾したするとするとシュペーは左舷に回頭を始め、シュペーの主砲がこちらを向いてきたのが確認できた。それを確認した雫は回避をするように伝えた。

 

「ヤバイ‼機関最大!面舵一杯!」

 

土佐は右舷に回頭を始めた、が、回頭が終わるより先にシュペーの主砲が火を吹き砲弾の内、2つが土佐に直撃した。

 

「グッ!ひ、被害報告上げろ‼」

 

「左舷後部甲板、左舷後部に直撃!」

 

「第一装甲板で食い止めました!被害微小!」

 

艦の受けた被害が微小だったのを確認した雫は更に指揮を執り出した。

 

「全砲塔九一式徹甲弾装填した後回頭90度!ピッチ角-11度‼」

 

その指示を出して直ぐに砲雷長が意見を言う。

 

「艦長!それでは敵艦に当たりません!」

 

「お前は何を言っているか‼何のために九一式徹甲弾を装填させたと思っとるんだ‼」

 

そう激を飛ばすと砲雷長はびくつきながら敬礼をしてきた。

 

「は、はっ‼装填はどうだ!…わかった。各主砲全砲塔回頭、並びに装填完了しました!」

 

それを聞いた雫は手を前に突き出して指示を執る。

 

「よし!全砲塔!撃てぇぇ~!!」

 

その瞬間主砲が火を吹き、艦が少しながら揺れた。そして土佐から発射された砲弾は全弾シュペーの右舷の喫水下に命中し、少し傾いた所に雷撃隊の放った魚雷が命中してシュペーは右に大きく傾いた。それを確認した雫は新たな指示を出した。

 

「よし!内火挺を出してシュペーに乗り込ませろ!内火挺には海水入りの水鉄砲を積んでおけよ!」

 

そしてシュペーに乗り込んだ乗組員達は次々とシュペーの生徒達を確保していき、その数時間後には完全にシュペーを占領したのであった。



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第十四話 明乃との別れと戦地に向かう土佐

~アドミラル・シュペーと戦った数日後~

 

明乃side

 

アドミラル・シュペーと雫の土佐との戦闘が終わった数日後。私達晴風クルーは雫から受領したアドミラル・シュペーに乗艦していた。

 

「艦長、雫は何故私達にシュペーを渡したんでしょうか?」

 

艦長席に座っていると横から副艦長を任せたましろが質問をしてきた。

 

「シロちゃん…」

 

「…わからないよ…だけど雫には何かの考えがあるんじゃないかな」

 

私は少し言いどよみがら答えた。それから雫の乗っている土佐が動き出したのが見えた。そして、私はリンちゃんにシュペーも土佐について出航の指示を出した。

 

「リンちゃん、シュペーも土佐に続きます。シュペー。機関始動、前進減速」

 

「機関室!機関始動‼」

 

しかし、シュペーは進む事なく変わりに伝声管から機関長の叫び声が聞こえてきた。

 

『ダメだこれは!機関使用不能‼』

 

それが聞こえて直ぐに私は機関長に聞き返す。

 

「何があったんです⁉」

 

『燃料が全部抜かれてる!』

 

えっ?燃料が、抜かれている?

 

「なっ!一体どうしてッ‼」

 

そう叫んだ次の瞬間、艦橋から土佐を見た私はシュペーを置き去りに進んでいく土佐を眺める事しかできなかった。

 

明乃sideout

 

 

 

雫side

 

「よかったんです?」

 

艦長席で艦の前方を眺めていると副艦長が話しかけてきた。

 

「ん?何が?」

 

「シュペーに晴風クルーを置いてきて」

 

そう言われた雫はまぁ、大丈夫じゃないか?食料とかもあるしと答える。

 

「まったく、貴方って人は…というか、ついて来ない所を見るとシュペーの燃料まで抜きましたね?」

 

ギクッ‼何故バレた⁉

 

「バレバレです」

 

そう言われた雫は軽く肩を落とした。

 

「ま、まぁ、燃料残して置いたら付いてくるじゃん」

 

「確かにあの人達なら来るかもしれませんね」

 

確かにそうかもというようにポンと手を叩いた副艦長を見て雫はあえて付け足しをした。

 

「これから土佐は武蔵を討伐に行くんだ、乗艦を一度沈没させられた明乃達は少なからずケガとかがある。そんな奴らを戦闘になんかは出せないでしょ」

 

「それに、ブルーマーメードの所にも明乃達を解放したって伝えてあるしな」

 

そう言うと副艦長は軽く息をついた。

 

「これで土佐が悪者確定になりましたね」

 

「言うなよ、少しでも私達の正しい行動を知るものがいればいいさ」

 

雫のそれを聞いた副艦長は軽く愚痴ったが、直ぐに立ち直り、雫に一言言うように言った。

 

「まったく…では艦長、一言頼みますよ」

 

それを聞いた零は艦橋を見回すと手を前に突き出し、宣言した。

 

「この戦艦土佐の似合う戦場に行くぞ‼」

 

雫がそう言うと士気を上げた乗組員達の叫び声が艦内のあちこちから聞こえてきていた。

 

「「「「オオオオォォォォ!!!!」」」」

 

 

 

 



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第十五話 航空戦艦土佐の奮戦

明乃達のシュペーを置き去りにした翌日、雫は武蔵との戦闘に入りかかろうとする土佐の第一艦橋にいた。

 

そこで海域に入ろうとする前に艦橋から武蔵と戦闘を繰り広げる東舞鶴男子海洋学園の教員艦が10数隻が見えた。そしてその内の6隻は大破し、沈みかけている状態にある事が分かると雫は急ぎ教員艦に打電を打つように命令した。

 

「なっ…東舞鶴男子海洋学園教員艦に打電『我、教育艦武蔵二対シ戦闘行動ヲ開始スル』だ」

 

それからものの二分で教員艦からモールスが帰って来た。

 

「艦長!教員艦きりさめから打電!『貴艦ノ参戦、心ヨリ感謝スル』です」

 

それを聞くと雫は艦の指揮を執り出した。

 

「全艦第一戦速。戦闘海域に突入する」

 

「対水上戦闘用意!」

 

「はっ、対水上戦闘用意!」

 

副艦長が復唱し、命令をだすと艦内に警報が鳴り響いた。

 

「主砲配置よし、各部配置よし、非常閉鎖よし、対水上戦闘用意よし!艦長!対水上戦闘用意完了しました!」

 

そして、副艦長は水上戦闘用意が完了したのを確認すると雫に報告を上げた。そして、その直後、艦橋に衝撃が走った。

 

「グッ、状況報告!」

 

「武蔵!撃ってきました!第一航空甲板に被弾‼」

 

それを聞いた直ぐに雫は被弾した第一航空甲板にあるものの存在を思いだし、航空甲板を向きながら叫んび、被弾箇所を切り離すように指示をする。この航空戦艦土佐には雫が前世で知っていたいたミッドウェーでの赤城の悪夢を参考に切り離すことで被害を最小限に押さえることを目的として第一、第二航空甲板につけられていた。

 

「なに⁉甲板には魚雷を抱えた機体があるんだぞ!」

 

「急いで第一航空甲板!並びに左舷強化部を切り離せ‼」

 

「は、はい!」

 

そう言うと被弾した航空甲板とそれの補強パーツが切り離され、海に落ちると同時に被弾部は爆発したのだった。

 

「第二雷撃隊全機発艦‼」

 

「それから全機発艦後、第二航空甲板!並びに右舷強化パーツを切り離しせ!」

 

それから直ぐに雫は第二航空甲板にあった航空機を全て発艦させると第二航空甲板も切り離すように指示をし、戦闘に突入した。

 

――――――――――――

 

あれから三十分後、雫の土佐の被害が甚大になって来ていた。

 

「第一、第三、第四主砲塔に被弾!」

 

「後部艦橋敵弾命中!」

 

「弾薬庫付近に着弾!火災、誘爆多発‼」

 

「消化班急がせろ‼急いで被害を押さえ

‼」

 

艦橋に次々と被害報告が上がってくる。そしてついに雫は口を開いた。

 

「…第二主砲にZ弾装填。敵の攻撃能力を潰すぞ」

 

「なっ⁉艦長!あの砲弾は!」

 

「わかっている!…だが、被害が大きくなりすぎたんだ」

 

そして雫はもう一度、指示を出した。

 

「第二主砲塔にZ弾装填!」

 

そう言うとZ弾が装填され、第二主砲塔が武蔵を捉えた。

 

「撃てェェェェ!!!!」

 

雫はそう叫び、Z弾が放たれると土佐にも武蔵が放った一発の砲弾が弾薬庫に命中した。

その後土佐は爆沈し、武蔵は戦闘能力を失われ、教員に生徒達が保護されたのだった。



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インフィニット・ストラトス編
第十六話 神界再び


目が覚めると雫は“また”白い空間に来ていた。一度転生するときに来ているので二度目になるのだ。そしてしばらくすると雫は小さくため息をつき、飽き飽きしたような声でここに呼び出した人物を呼んだ。

 

「アテネ?いい加減出てきてくれない?」

 

「ハッハッハッ!前の時みたいに動揺してくれてもいいんだよ?」

 

笑いながら神様が現れた。いやさ、そんな毎回も動揺なんてしませんよ。

 

「ですよねー」

 

そりゃそうだわ!

 

「で、用件はなんですか神様?」

 

「また間違えて殺っちゃた」

 

ん?聞き間違いかな?

 

「で、何ですって?」

 

「また間違えて殺しちゃった☆」

 

━ブチッ━

 

何処からか何かが切れた音がした次の瞬間、雫はアテネの胸ぐらをつかみ怒鳴り込んだ。

 

「何が『また間違えて殺しちゃった☆』だ!ふざけとんのか!それに何度も何度も転生先間違えやがって!それに性転換するってなんだよ!頭かちわるぞワレ‼」(怒

 

「だって、間違えちゃったんだもん…」

 

言い訳を言ったアテネを睨んで返す。

 

「ん?」ギロッ

 

「ひっ!ひィィィィ!」

 

~そして数十分後~

 

数十分叫び続けてから落ち着いたあとにアテネにこの後どうなるのかを改めて聞いた。

 

「で、俺はこの後どうなるんだ?」

 

「は、はい。ISの世界への転移準備が整いましたから…」

 

それから直ぐに雫は頭に浮かんだ疑問をアテネにぶつけた。

 

「?だけど転移しただけなら資金とか戸籍とかの問題があるんじゃないのか?」

 

するとその質問に帰って来たのは意外な言葉だった。

 

「あー、それは大丈夫です。雫さんは初め大日本帝国に転生する前にISの世界に織斑千冬の弟で織斑一夏の兄の織斑雫として生まれてますから」

 

「俺ってISの世界に行ってたのか?だけどその時の記憶は無いぞ?」

 

雫がそう言うと軽く説明をしてくれた。

 

「あれですね、原作にあった誘拐事件で穴に落ちて第二次大戦の時代にその時の記憶消して飛ばしといたんです。というかよくよく言うと雫さんがいた大日本帝国もIS世界の第二次大戦の時代ですからね~」

 

「さ、さいですか…」

 

雫がそう乾いた返事をするとアテネは何処からか取り出したハンマーで雫を叩いた。

 

「そうだ、一応記憶戻しときますね。えいっ!」

 

「ンッグッ…!」

 

すると次の瞬間、膨大な程の記憶が元に戻ってきた。その事で膝を一瞬ついたが、直ぐに立ち直り雫はアテネに転生特典の話をしだした。

 

「なぁ、間違って転生させられてた訳だから転生特典を増やしてくれないか?増やしてくれないなら「別にいいですよ?」…今なんて?」

 

「別にいいですよ?特典増やしても。というか増やさないと私が怒鳴られますしおすし」

 

それから一瞬放心した雫だったが直ぐに正気に戻り、新たな特典を言った。

 

「な、なら専用のISが欲しいですね。前世で書いてた手帳にあったので」

 

「はいはい」

 

「俺はこれくらいですかね~あとは任せます」

 

雫がそう言うと次の瞬間、床が急に抜けて雫は穴に落ちて行った。

 

「こんのクソったれがァァァァ!!!」

 



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設定

主人公

 

夜月雫→織斑雫

年齢:15歳

性別:男

身長:169.5cm

体重:51.2kg

最終階級:少将 戦死二階級特進 大将

服装:第一種軍装、第二種軍装

容姿:ほぼ艦これの鳳翔さん。

 

解説

女神に間違って殺され、≪インフィニット・ストラトス≫の世界に転生させられるはずがまたもや女神のミスでIS世界の第二次世界大戦前の大日本帝国と≪ハイスクール・フリート≫の世界に転生した。そして、主人公が戦死したことを期に、≪ハイスクールフリート≫の世界に性転換して16歳の姿で新たに転生した。体の中にユニオンコアを持っているが人間と同じとされる。航空戦艦土佐の艦長でメンタルモデルという位置にいる。その後、≪ハイスクール・フリート≫の世界で戦死した事で再びアテナに呼び出され、自分が織斑家に一応転生していた事を告げられる。それからIS世界に新しい特典を受け取り向かう。

 

 

 

伊川偲(いかわ しのぶ)

 

年齢:15歳

性別:女

身長:165.4

体重:(言わせませんよ?by偲)

階級:中佐

 

解説

 

旭日艦隊の副司令長官兼航空戦艦土佐の副長官。いつもしっかりしているがおちょくられるのは弱い。

 

 

 

専用機

機体名:レリエルガンダム

世代:第五世代

操縦者:織斑雫

武装:頭部バルカン砲×4

ビームライフル×2

ビームシールド×2

ビームサーベル×2

装甲:対ビーム防御・反射システム「ヤタノカガミ」

ヴァリアブルフェイズシフト装甲(VPS装甲)

動力:GNドライブ

特殊機能:ディスチャージシステム

光の翼

ツインドライブシステム

マルチロックオンシステム

 

単一仕様能力:トランザム

内容:高濃度の圧縮粒子を全面開放する事により、機体スペックを3倍にまで上げる事ができる。システム起動時にはGN粒子が赤くなり、それに伴って機体自身も赤く発光するようになる。

機体解説

 

この機体は雫が前世持っていた手帳に書いていた[ビルドストライクガンダム]の改造案の絵から作られた機体。所々に元の面影は残されている。機体の名前はユダヤ・キリスト教伝承の「夜」を司る天使レリエルからとられた。

 

機体外観

機体の外観はスタータビルドストライクガンダムの腕の横側にストライクフリーダムガンダムのビームシールドを付けた感じ。機体の動力はコアの他にGNドライブとISコアのハイブリットでGNドライブはストライクビルドブースターに搭載されているGNドライブを同調させるツインドライブシステムを使っている。カラーは胸の所の青色の所と腕のビームシールドの赤色の所をを白色にして肩の赤色ところを黄色にしてそれ以外は色を同じになっている。要するに白色を中心にしてある。

 

 

 

 

ストライクビルドブースター

ドラグーン×8

スタービームキャノン×2

装甲:対ビーム防御・反射システム「ヤタノカガミ」

ヴァリアブルフェイズシフト装甲(VPS装甲)

動力:GNドライブ

特殊機能:ディスチャージシステム

光の翼

ツインドライブシステム

マルチロックオンシステム

 

機体解説

ビルドブースターの翼の部分をストライクフリーダムガンダムの翼に、ビームキャノンはユニバースブースターのビームキャノンに変更してあり、バックパックのコックピット部はユニバースブースターのコックピットになっている。また、機体と同じでVPS装甲とヤタノカガミが装甲に使われており、動力としてGNドライブが一つ搭載されている。また機体のGNドライブに連結、同調させる事ができるツインドライブシステムが搭載されている。カラーは白色中心になっている。

 

 

 

 

宵月(よいづき)

 

第四世代

 

装甲:超重力装甲

 

武装

45口径46cm2連装複合アクティブターレット砲4基8門

超重力ユニット5基

40口径12.7cm2連装荷電粒子砲10基20門

50口径14cm単装荷電粒子砲

25mm3連装パルサーガン4基

25mmパルサーガン7基

垂直発射装置15基

対空高出力レーザーシステム

高電圧発生器

パッシブデコイシステム

零式艦上戦闘機22型:27機

零式艦上戦闘機62型:16機

彗星三三戊型/D4Y3-S:11機

艦上攻撃機流星改:14機

 

単一能力

第一:超重力砲

第二:全砲門解放

 

解説

 

雫の機体。動力はISのコアとユニオンコアのハイブリット。ぶっちゃけ『航空戦艦土佐』を艦娘の艤装みたいにした感じ。

単一能力が二つある事が特徴。

 



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第十七話 雫、IS世界に現れたり

「転生完了したかな…って、え⁉」

 

雫が次に目を覚ますとそこは雫が大日本帝国、ハイスクール・フリートを戦い抜いた土佐の第一艦橋だった。すると横から声をかけられ、声の方向を向く。

 

「夜月艦長、やっと起きましたか?」

 

「伊川か…」

 

するとそこには第二次世界大戦、ハイスクール・フリートの世界を共に戦った航空戦艦土佐副艦長、伊川偲中佐が立っていた。

 

「お久しぶりですね。夜月艦長」

 

「俺はIS世界に来た…んだよな?」

 

艦橋に居たことでちゃんと転生しているのか不思議に思った雫は伊川副艦長に解く。

 

「ええ、そうですよ。“我々”はちゃんと転生してますよ」

 

そうか、転生出来たのか…ん?今聞き捨てならない事を聞いた気がする

 

「伊川中佐。まさかとは思うが我々とはこの艦だけだよな?」

 

「それはですね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旭日艦隊の全艦艇、全乗組員です」

 

 

「な、何だと⁉」

 

それを聞いた雫はすぐに艦長席から立ち上がり艦橋の窓から左右の海を見た、するとそこには第二次世界大戦で雫が率いていた旭日艦隊の全艦艇が浮かんでいた。

雫はハイスクール・フリートの世界に行った時と同じで土佐の乗組員のみ居るものだと思っていたのだ。しばらくそのままでいたが雫は艦長席に再び座ると旭日艦隊の現在状況を副艦長に聞いた。

 

「伊川副艦長、本艦隊の現在状況は」

 

「はい。本艦隊は現在神津島沖を横浜に向け進んでいます」

 

「また、ISが加賀と赤城に15機ずつ、信濃に21機、そして本艦に量産機30機と艦長の専用機2機搭載されています」

 

「2機?そんなにあるのか?」

 

そう思い付いた疑問を声にだした。

 

「えっ?アテナ様から聞いてないんですか?艦長が言ってた機体と土佐の艤装型ISを送ったってことらしいですよ」

 

「そ、そうか…」

 

そう言うと雫は唖然となっていた。そしてが黙り込んでからしばらくすると観測係から報告が上がった。

 

「艦長!レーダーに接近する不明機あり!距離2000!」

 

「…接近する不明機、だと?」

 

観測係からその内容を聞いた雫はISだろうと仮説を立て艦の指揮を執り出した。

 

「全艦隊に通達!第二種戦闘用意!各砲塔に砲弾装填、別命があるまで待機。それから偵察部隊の川木小隊を出すぞ!対空戦闘用意ッ!」

 

「了解、総員戦闘配置!対水上戦闘用意!偵察機川木小隊発艦!」

 

「各空母にISの発艦準備、待機させるように伝えろ‼」

 

副艦長の指揮と共に先程まで和やかだった艦の空気は一転した。それから数分後…

 

「不明機!進路変更確認出来ず、本艦に向け以前接近中!」

 

そして雫は観測係に所属不明機が射程に入るまでの時間を聞いた。

 

「不明機が本艦の射程圏内に入るのは後何分後だ?」

 

「あと3分ちょっとって所ですね」

 

射程圏内に入るまでの時間を聞いてすぐに偵察に出ていた川木小隊から通信が入った。

 

『不明機、敵対行動確認出来ズ。指示ヲ求ム』

 

「よし、川木機に打電『不明機ヲ引率シ、艦隊ヘ帰還セヨ』」

 

そう打たせると直ぐに川木機から『了解』と打電が入った。



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第十八話 千冬、見ゆ

所属不明機のIS操縦者とが到着するまでの時間、長官室で待機していると扉がノックされ案内役の伊川副艦長が入室を求めてきた。

 

『長官、所属不明機の方をお連れしました』

 

「ああ、入ってくれ」

 

そう短く返すと伊川副艦長とIS操縦者が部屋に入ってきた。そして雫は自分の顔を見て驚いている相手に椅子から立ち上がり帽子を外すと微笑し、言葉を発した。

 

「やぁ、久しぶりだね。千冬姉さん」

 

そして静まり返った長官室で伊川副艦長が横から質問をする。

 

「や、夜月長官のお、お知り合いですか?」

 

「ん?僕の姉だよ?織斑千冬って言うんだよ」

 

「あれ?長官って夜月ですよね?」

 

「ああ、それはk…わっ⁉」

 

そしてその説明をしようとした瞬間に千冬姉と呼ばれたIS操縦者が雫に抱きついてきた。

 

「ち、千冬姉さん?!」

 

「雫、雫、すまなかった。あの時お前の事を見つけられなかったんだ…」

 

雫に抱きついた千冬は急に誤りだした。そして雫はそれを許すことにした。

 

「そうだったんだね…許すよ、千冬姉。それじゃあさ、そのソファーにでも座ってくれない?」

 

そして千冬が座ったのを確認すると雫は敬礼をして階級等を名乗った。

 

「まずはあれだね、改めて自己紹介でもするよ」

 

「大日本帝国海軍旭日艦隊司令長官兼旗艦、航空戦艦土佐艦長。夜月雫、階級は少将だよ」ビシッ

 

そして名乗り終わると雫は敬礼を終えるとここに来るまでに何があったかを話し出した。

 

「さて、何から話そうかな…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

「大変なことをしてたんだな…。ところで私を案内してきた彼女は誰だ?」

 

千冬はそう質問すると出されたお茶を飲んだ。

 

「ああ、俺の嫁さんだよ」

 

そう雫が言うと千冬が飲んでいたお茶を驚きのあまり吹き出した。

 

「よ、嫁!」

 

「冗談だ」

 

軽く千冬をおちょくる

 

「彼女は僕より優秀かもよ?」

 

そう言うと雫は少し意外そうな意見を言ってくる。

 

「ほう~、そうなのか?」

 

「そうだよ~?伊川忍中佐って言って僕と同じで旭日艦隊の副司令長官とこの艦の副艦長を軍に入ってから一年くらいでしてるんだからね~」

 

「はうぅぅぅ~!!」

 

照れている伊川副艦長をさらに二人はからかっう。

 

「優秀なのだな」

 

「そりゃ僕の副官だからね」

 

そしてしばらくおちょくったら雫はこれからどうすればいいかを聞いた。

 

「んで、それよりも僕らはこれからどうすればいいの」

 

すると千冬はIS学園に向かうように言ってきた。

 

「ああ、取り合えずIS学園に来てくれ、そこで決めるからな」

 

「わかった。ならそうするよ」

 

『長官室から艦橋、進路そのまま。海洋上の学園に向かう』

 

雫はそれを聞くと伝声管で艦橋に戻り艦隊をIS学園に向かうように伝えたのだった。



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第十九話 入学試験の戦闘狂と軍神

IS学園について数時間後…

 

アリーナ

 

千冬に連れられ雫はアリーナのピットに来ていた。そしてそこには緑色の髪の女性が一人いた。

 

「山田先生、任せてしまってすまないな」

 

「いえいえ、それよりその子ですよね?」

 

すると緑の髪の女性は雫を見ると千冬に聞いた。

 

「ああ、雫。この人は私の同僚で後輩の山田真耶だ」

 

すると玲は敬礼をして自己紹介をする。

 

「大日本帝国海軍旭日艦隊司令長官の夜月雫改め、織斑雫少将です。よろしくお願いしますね、山田先生♪」

 

「きょ、旭日艦隊司令長官で旗艦艦長っまさかあの『軍神夜月』⁉それが織斑先生の弟ォ⁉」

 

すると山田先生は雫のの名前を聞いて驚きの声を上げた。

 

「山田先生、落ち着いて。深呼吸、深呼吸」

 

「は、はい」

 

千冬に言われて山田先生は深呼吸して心を落ち着かせた。それから千冬は雫を向いて話をしだした。

 

「お前の試験官は山田先生にして貰おうかと思っていたが……私がしよう。あの軍神夜月の実力が知りたいからな」

 

「はい!負けませんよ」

 

すると雫はそれを即答した。それを聞いた山田先生が慌てて止めに入る。

 

「お、織斑君!危険ですよ!」

 

「問題ありません。千冬姉さんには2回戦ったら1回は昔から勝ってましたから」

 

雫が爆弾発言をする。すると山田先生は驚きの顔を見せた。

 

「確かにな、私も勝てるかどうかわからなくなる時があるからな」

 

そしてさらに千冬の追い討ちの爆弾発言に山田先生は驚きを通り越して固まってしまった。それを放置して千冬は雫に話しかけた。

 

「雫にはお前の専用機に乗ってもらいたい。それから私は反対側のピットから出るからな」

 

「…一応打鉄で出るよ。それと負けないよ?千冬姉さん」

 

「私も負けはしたくない」

 

そう言うと千冬は山田先生を引っ張って反対側のピットに向かった。それを雫は苦笑いで笑うしかなかった…

 

 

━━━━━━━━━━

 

『織斑君、発進、どうぞ』

 

玲がISスーツに着替え打鉄に搭乗してカタパルトに乗ってしばらくするといつの間にか復活した山田先生から通信が入った。

 

「了解」

 

「織斑雫。打鉄、行くよ」

 

そう言うと打鉄は綺麗なバレルロールを描きながらアリーナの中に射出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待っていたぞ、雫」

 

「そんなの言わないでよ~」

 

アリーナの中に出ると千冬は既に発進して空中に浮いていて声をかけてきた。

 

「…さて、逝こうか…」

 

雫が千冬にそう返すと試合開始のブザーが鳴った。

そして先手を取ったのは千冬だった。

 

「ハァッ~!」

 

千冬は打鉄の搭載武器の刀をイグニッションブーストをして急接近し、降り下ろした。しかし雫はそれを同じ刀で受け止めた。

 

「やるな!流石は軍神!戦いがいがある‼」

 

「ぐっ!今度はこっちの番です!」

 

そして雫はイグニッションブーストを使いながら千冬の打鉄に蹴りを入れ、突き飛ばすと刀を千冬の腹目掛けて刀を打ち込もうとしたが今度は千冬がその攻撃を防いだ。

 

「グワッ!」

 

「まだまだ、甘いぞ!」

 

そして千冬は雫の刀を払ってお互いに離れ、状態を整える。それから雫と千冬は円を描くように回り、一度ぶつかるとまた回りまたぶつかるを繰り返した。

そして試合開始から20分後千冬と雫がお互いの機体の腹部に刀を殴り付けると大きな衝撃波が作り出され両方の機体が解除された。するとしばらくして試合終了のブザーが鳴った。

 

『しょ、勝者!織斑雫!』

 

そして山田先生が戸惑いながらも判定を告げた。寸分の差で雫がスピードで勝っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして雫は千冬と同じピットにいた。。

 

「いや~負けるかと思ったよ」

 

ピットに入ると玲は気の抜けた声を出した。

 

「お、織斑君が本当に織斑先生に勝っちゃった……」

 

するとピットにいる山田先生が小さく呟いた。そしてそれを聞き取った千冬が山田先生に答えた。。

 

「だから言っただろう、雫には2回やれば一回は負けると」

 

すると山田先生は驚きの声を上げた。

 

「だ、だって!織斑先生引退したとはいえ世界最強ですよね!それだと織斑君も世界最強になっちゃいますよ!?」

 

「それもそうか!しかし実際玲に圧倒的に勝てる物は無いからな。剣道でもいつも引き分けか敗北のどちらかだったからな!雫も私と同じ世界最強だな!」

 

「それにやっと雫に張り合える物が出来たからな、嬉しいから良い」

 

「ほ、本当に織斑先生がIS以外雫君に勝てないんですか?」

 

山田先生が千冬の言葉を疑問に思い、千冬に聞いた。

 

「ああ、そうだぞ?」

 

山田先生の疑問に答えた千冬は雫にこれからの事を話す

 

「雫、明後日から学校が始まるから取り敢えずはお前の艦で居てくれ」

 

「後で制服とかを届けるからな」

 

「了解」

 

返事をすると雫は立ち去ろうとしたが千冬に言い止められた。

 

「そういえば雫。お前に艦で渡した教科書とかは目を通したか?」

 

「もちろん♪全部暗記済みだよ!あんなの軽い軽い♪最少年将官なめないでよね♪」

 

意気揚々と雫は答える。

 

「そんな生易しい物じゃなかった気がするんですが……」

 

その答えに山田先生は頭を抱えた。

 

「それじゃあ、先に帰ってるね」

 

そして雫は内火挺に乗って艦に向かった。




雫はミッドウェー海戦等の海戦で自軍の被害を抑えた事やレイテ島奪還作戦という囮作戦で指揮する土佐単艦のみで奮戦し、日本の勝利に多いに活躍したことから『軍神夜月』や『英雄』、『対潜の鬼』といったあだ名で呼ばれている。


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第二十話 妹との再開と自己紹介

入学試験の二日後、千冬と雫は1-Aのクラス前まで来ていた。

 

「雫、私が呼ぶまで待っていてくれ」

 

「了解~」

 

教室の前まで来ると千冬はそう言って教室に入っていった。すると直ぐに教室が騒がしくなってきた。

 

ゲッ!オニィー⁉

 

ゴツーン!

 

ダレガオニカ!ダレガ‼

 

 

~~~~~しばらくお待ち下さい~~~~~

 

 

 

しばらくして静になると千冬が雫を教室に入るように伝えてきた。

 

「少し諸事情で遅れてきた奴がいるから紹介しよう」

 

「入ってきてくれ」

 

それが聞こえると雫は教室に入った。すると一部の生徒がどよめきだした。

 

「えっ?男?」

 

しかし、気に止めることなく雫は教卓の所まで進むと自己紹介をした。

 

「大日本帝国海軍旭日艦隊旗艦土佐艦長兼司令長官の“織斑”雫大将です。どうぞよろしく」

 

一瞬、シーンと静まり返ったのち一気にクラスの驚きが爆発した。

 

「「「「「えぇぇェェェェェェェ!!!!」」」」」

 

「こ、この間転移してきた大日本帝国の英雄ゥ~⁉」

 

「お、男の娘だァァ~!」

 

「その前に織斑って…」

 

誰かがそう呟くと直ぐ次の瞬間、雫の事を知っているある二人が席を勢い良く立ち上がり叫んだ。

 

「「何で雫(お兄ちゃん)がいるんだ(の)⁉」」

 

「久しぶりだな、一夏、箒くん」

 

雫が挨拶をすると直ぐに千冬が口を開き、静にするように渇を入れる。

 

「静にしろ‼バカどもが‼」

 

「それから雫、さっさと座れ」

 

「はいさっさー」

 

そして雫が席に座った事を確認すると千冬は授業を再開させた。

 

「よし!授業を始めるぞ‼」

 

━━━━━━━━━━━

 

「織斑くん。今でわからない所はありますか?」

 

授業が始まりしばらくすると副担任の山田真耶が雫に分からない所が無いかを聞いた。

 

「いえ、問題ありません」

 

山田先生の問いに雫はそう答えると千冬が雫に授業の問題を出した。

 

「それでは雫、ISのコアとISが浮く理由を答えろ」

 

「え~と、ISのコアはISの核となるパーツで製造方法は篠ノ之束博士しか知っていなくて、コアの情報は自己進化の設定以外は一切開示されていません。そして全容はブラックボックス状態で、ISが宙に浮くのは浮遊・加減速を行う。一種の慣性制御システムのPICが搭載されているからです」

 

千冬はスラスラと答えられ、一瞬唖然としたが直ぐに立ち直った。

 

「あ、ああ、よ、よくわかったな!」

 

そう言うと千冬は生徒に再び分からない所が無いかを聞いた。

 

「よし、他に今のところで分からない者はいるか?」

 

そしてそれには誰も答えない。把握しているという事だ。するとその直後、授業終了のチャイムが鳴ったのだった。




雫は横須賀鎮守府に入港した時に艦隊の事が軍上層部たに知られ、第二次世界大戦時においての功績が認められて旭日艦隊全員が軍に二階級特進で復帰している。そのため雫の階級は大将になってます。
※軍に復帰した事で戦死二階級特進が無くなり、普通の二階級特進になっている。


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第二十一話 休み時間とお決まりの挨拶を

「ねぇねぇ、しず」

 

授業が終わり、休み時間になると雫は誰かに話しかけられ、雫は反応を見せる。

 

「ん?しずって僕の事?てか、君は?」

 

「雫だからしずだよ。それで私は布仏本音だよ~」

 

「ならのほほんさんだね、のほほ~んって感じしてるし」

 

「いいね~ありがと!しず!」

 

雫は本音にもあだ名を付けた。すると本音は喜んで席に戻って行った。そして本音が席に戻って行くとまた、誰かに声をかけられた。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

(あー、こいつあれだな)

 

雫はそれを聞くと女尊男卑に染まった原作だとお決まりの奴だとすぐにわかった。第二次世界大戦で勝利してまだ大日本帝国という名前のこの国で女尊男卑の考えは天皇陛下が否定したため通じない。そして雫は知らない不利をした。

 

「誰ですかね?」

 

「まぁ、私を知らないというのですか?イギリス代表候補生にして主席入学のこのセシリア=オルコットを」

 

ご丁寧にセシリアは原作通りの台詞だ。玲は前々から考えていたことを答える。

 

「ええ、知りませんね」

 

「まぁ!何ですかその態度!だいたい私に話しかけられただけで光栄な事ですのよ。それ相応の態度というものがあるでしょ。」

 

それにセシリアは声を大きくして喋り出す。すると雫はセシリアに怒鳴る。

 

「知るか!貴様はこの国では女尊男卑の考えは通じんと知らんのか‼」

 

「そ、それは……っ!また来ますわ‼」

 

雫の激に一歩引いたセシリアだったがすぐに ハッとして我に帰えると怒鳴られた事で頭がこんがらがり話すことを忘れてしまい、捨てぜりふをはいて自分の席に戻と今度は箒と一夏に話しかけられた。

 

「雫、ちょっといいか?」

 

「雫兄さん。ちょっと」

 

(なんかよく話しかけられる日だな~ハロハロハロ~)

 

雫は一瞬現実逃避したがすぐに現実に戻って来た。

 

「屋上でも行くか?二人とも」

 

「ああ」

 

そう言うと雫と箒と一夏は屋上に向かった。。

 

「ひ、久しぶりだな雫」

 

「久しぶりだね!お兄ちゃん」

 

「ああ、久しぶりだな。箒、一夏」

 

そう雫は返答した。すると二人が一斉に質問をしてくる。

 

「「そうだ!雫は(お兄ちゃんは)今までに何があったの‼」」

 

「あ、ああ、それは…

 

そして雫は今までに起こったことを説明した。

 

 

 

━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雫が説明し終わると今度は箒が質問をした。

 

「そうだったのか…それになぜ軍に入ったのだ?」

 

「色々とあったからかな~気づいたらそこに軍の勧誘があったからかな~」

 

それに雫はしっかりと答えた。そして雫は二人に教室に戻るように促す。

 

「そろそろ教室に戻らないと千冬姉さんの鉄拳が落ちるぞ?三分前だし」

 

「何!?い、急ぐぞ…って、もういない!」

 

千冬の‘’鉄拳”と聞くと箒と一夏は慌てだし、教室に急いで入って行った。しかし二人は間に合わずに千冬の鉄拳を食らったのだった。

 

ん?僕かい?転移で楽勝だったよv



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第二十二話 イギリス貴族とのイザコザ

授業が始まりしばらくすると千冬が何かを思い出したように生徒を向いて話し出した。

 

「今から授業の前にクラス代表を決める。自推や推薦があるものは挙手しろ」

 

千冬がそう言うと一夏が一斉に手をあげだした。

 

「はーい!お兄ちゃんが良いと思いまーす!」

 

「一夏?!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

雫は気の抜けた声を出す。しかし、他のクラスメイト達も口々に言い出し始めた。

 

「私も織斑君が良いと思う!」

 

「私も!」

 

「私も!」

 

「他には自推等は無いか?無いなら織斑に決まるが」

 

千冬がクラスメイト達の騒ぎを止めるように言う。

 

「納得いきませんわ!」

 

その中でセシリアが机を叩き反論をし出した。

 

「代表候補生である私ではなく、なぜ男を代表にしなければならないのですか!?」

 

「だいたい極東のさ…」

 

それを聞いた雫も額に怒りのマークを浮かばせながら立ち上がりセシリアに反論を叩き出した。

 

「ほぉ~?その極東の人間にボロ負けて降伏しただろうが!旭日艦隊差し向けっぞコラッ‼」ピキッピキッ

 

「な、なんですって!」

 

雫に負けじとセシリアが言い返した所で千冬がそのいざこざを納める案を出す。

 

「両者そこまでにしろ。決着は二週間後!第二アリーナで行うものとする!」

 

「了解だよ」

 

「ええ!よろしくてよ!」

 

それに対して雫とセシリアは自信満々に了承した。それから雫は千冬の方をを向いて口を開いた。

 

「それじゃあ、織斑先生?本気でやってもいいんだよね?」

 

「まぁ、良いだろう。ただし、殺すなよ?」

 

「はーい」

 

(((((なんか、不穏な言葉が聞こえた気が……)))))

 

そうクラスメイトのほとんどが思ったが怖くて口を聞き出せはしなかった。

 

「よし、それでは授業を始める!」

 

そして雫とセシリアが座ると千冬は話を切り上げ授業を初めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が全部終わった後

 

今日の授業が全て終わり、帰ろうとしているところに山田先生がやって来て話しかけてきた。

 

「織斑君、ちょっと良いですか?」

 

「どうしましたか?」

 

「寮が決まったので鍵を届けに来ました」

 

「あれ?急に決まったから一週間程自宅から登校になってた気がするですけど?」

 

「え~っと、IS学園の中に居た方が安全だろうと言うことで急遽決まりました」

 

雫は山田先生に理由を聞かされると新に質問をすると千冬が現れた。

 

「けど、僕荷物とか持ってきてないですけど…どうしましょうか」

 

「お前の荷物は私が部屋に運んであるから問題は無いぞ」

 

「……わかりました。部屋はどこになるんでしょうか」

 

部屋が決まったと言われた雫は山田先生に部屋は何処かと聞き返した。

 

「あ、はい!え~と1025室ですね」

 

「1025室…了解しました」

 

部屋を教えてもらうと雫は鍵を受けハロに量子化し、部屋に向かって転がりだした。



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第二十三話 部屋と雫と

雫は1025室の部屋の前までくるとハロのアームを起動して扉を叩いた。

 

コンコン コンコン

 

(反応無しですかいな‼仕方ないですけど部屋に入らせてもらいますか)

 

反応がなく困った雫は仕方なくハロのアームを使いドアを開けてアームを戻すと転がって部屋に入った。

 

「……誰?…」

 

雫は部屋に入ると声をかけられた。そしてすぐに声のした方を向くと雫の青い髪とは違う水色の髪を持つ少女、更識簪がいた。

 

「ボール?」

 

簪はハロを見るなり呟いた。それを聞いてから雫はハロの量子化モードをOFFにした。するとハロが光だした。

 

「えっ!なにが起こってるの!?……え?…人?」

 

光だしたハロを見た簪はそう反射的に言ったが中から雫が出てきた事に驚きを隠さない様子だった。

そしてハロから出た雫は簪に自己紹介をした。

 

「始めまして、僕は織斑雫っていうんだ。よろしくね」

 

「…私は更識簪。苗字読みが嫌いだから簪でいい」

 

ハロから急に現れた玲に簪は一瞬戸惑ったが返事をした。そしてから雫は簪にハロの事を聞かれ、説明をし出した。

 

「…それであなたが出てきたボール…何?」

 

「え?これは僕が作ったAI搭載移動型研究室って言って名前はハロだよ」

 

「ハロ!簪!ヨロシク!ヨロシク!」

 

雫の説明が終わるとハロが耳をパタパタさせながら自己紹介をした。それを見るなり簪は目を輝かせながらハロを見ていた。それを見た雫は簪に質問を出した。

 

「…かわいい…」

 

「そうでしょ。簪もいる?」

 

「うん!ほしい!」

 

雫がそう聞くと簪は元気よくうなずいた。

 

「また作って渡すよ」

 

簪の返事を聞いた雫はまた作ると言うと話の話題を切り上げた。

 

「そうだ。簪、シャワーの時間帯とか決めておこうよ」

 

「なんで?」

 

雫の切り出した話題に簪は頭の上に疑問符を浮かべた。

 

「だって僕が男だからだけど?」

 

「え!雫って女の子じゃなくて男の娘だったの!?」

 

案の定簪は雫は男だという発言に驚いた。

 

(なんか子が娘になってなかったか?)

 

「……なぁ、簪。最近テレビのニュースとか新聞とか見たか?」

 

簪はその質問に見ていないと答えた。その答えに雫は頭を抱えて現実逃避仕掛けたが簪に肩をつかまれて現実に引き戻された。

 

「ほ、本物の男の娘だ!夢にまで見た、男の娘が、目の前に!」

 

「か、簪さん?ど、どうしたんですか?」

 

雫は簪の豹変ぶりに戸惑いを隠せない。そして雫は簪にどうしたかを聞くと簪が大声を出そうとした。

 

「雫!私と付き合って!」

 

それから雫は聞き返した。

 

「だけど僕には一応一人いるけどそれでもいいの?」

 

すると簪は返事をした。

 

「うん!よろしく、雫!」



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第二十四話 歴史の教科書に載ってんのかよ⁉

雫は簪と友達になってからしばらく話してから雫は簪に明日の為に眠るように促した。

 

「そろそろ眠ろうよ。明日寝過ごしたらヤバイからね」

 

「わかった」

 

簪と雫はそう言うとベットに入った。

 

「おやすみ、簪」

 

「おやすみ、雫」

 

そして雫は簪に話しかけるてから眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日

 

雫と簪はというと食堂に来ていたのだった。

 

「さてと、何をたべようかな~」

 

「…私はB定食」

 

「んじゃあ、僕も同じB定食にするか」

 

「B定食ふたつ下さい!」

 

雫は簪がB定食にすると聞くと雫も同じB定食にすると言って注文し、定食が出来てから席に座り食べていると横から先輩に話しかけられた。

 

「君よね?代表候補生に戦いを挑んだ新入生って」

 

「ええ、そうですが」

 

「雫、代表候補生に戦いを挑んだの?」

 

簪がそれを聞いて反応する。

 

「ならさ、ISのこと教えてあげようか?」

 

「ありがたい事ですが、遠慮させてもらいますね」

 

先輩からISの事を教えてくれると言われたが雫はそれを断った。

 

「なんでなの?」

 

先輩は思いもよらない答えに驚き、雫に聞き返した。

 

「自分の実力が今の時代でどこまで通用するのかを試してみたいし、何より最近は仕事が多いので訓練をする時間が取れないんですよ」

 

「そうですか…なら、頑張ってね。応援してます」

 

玲の断った理由を聞くと先輩は玲に応援すると言って席に戻って行った。先輩が戻っていくと今度は簪が話しかけてきた。

 

「本当に勝てるの?」

 

「もちろん」

 

「…雫、油断してると負けると思う…私達代表候補生はISの搭乗時間3桁行ってるから」

 

簪は雫に油断しないようにうながすした。

 

「まぁ、大丈夫だよ。僕仕事に関係があるからからね」

 

「…その仕事って何なの?」

 

「う~ん、簪は大日本帝国海軍の旭日艦隊旗艦の航空戦艦土佐って知ってるか?」

 

雫は自分の仕事について話す前に雫の乗艦の土佐を知っているかを聞いた。

 

「大日本帝国を勝利に導いたっていう軍神夜月雫大将の乗艦で旭日艦隊旗艦でしょ?最近旭日艦隊全艦と英雄が戻ってきたって話題になってたし、歴史でも習ったからから知っている。けどなぜ?」

 

(歴史の教科書なんかにも載ってるのかよ⁉)

 

「僕が帝国軍人でその夜月雫だから」

 

そう言うと簪が食いついてくる。

 

「…ほ、本当に?だけど雫って織斑じゃなかったっけ?」

 

「そうだよ?本当はこの時代の人物なんだけど昔にタイムスリップして記憶喪失になってたから違うんだよ」

 

「それから言うともう一人の彼女は土佐の副艦長だからね~」

 

それを聞くと簪は驚いた顔をした。それから雫は時計を見ると時間がヤバイことに気がついた。

 

「時間がヤバイ!急ごう!」

 

「う、うん」

 

そう言うと雫と簪は食器を返し、授業に向かった。そして何か特別なことが起こるわけでもなく、平和に二週間が過ぎていき、決闘の日が訪れた。



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第二十五話 クラス代表決定戦

クラス代表決定戦当日

 

第二アリーナのピットには雫、簪、箒、一夏、千冬がいた。

 

「そうだ。ねぇ、千冬姉さん」

 

何かを思い出したように雫は千冬に話しかけた。

 

「どうした?」

 

「ISの詳細だよ」

 

雫はそう言うとハロの中からISの機体性能等を書いた紙を千冬に渡した。

 

「雫!なんだこれは!」

 

するとそれを見た千冬が驚いたかと思うと大声を出してきた。千冬が大声を出したことが気になり、簪と一夏、箒が雫の機体の紙を覗いた。

 

「なにこれ、ISコア以外に知らないのが付いてる…!永久機関⁉それに第五世代なんて……」

 

それを見た簪も驚きを隠せない。それを見た雫は説明をする。

 

「すごいでしょ」

 

それを聞いた千冬は雫にまた、質問をした。

 

「雫、いったいどこでこの機体を手に入れたんだ」

 

「どこでって…どこでもなにも自分で作ったんだけど」

 

そう言うと簪が質問をしてきた。

 

「…雫、ISってどこにあるの?」

 

「このチョーカーだよ~」

 

雫は首にあるチョーカーをさわり、起動させた。それに簪はものすごい興味を見せた。

 

「ふ、船?」

 

「いや、軍艦だな」

 

「そだよ~それじゃあ行くか!」

 

これはまずいと思った雫は急いでカタパルトに乗り込んだ。カタパルトに乗り込むと簪が呼び止めてきた。

 

「雫」

 

「頑張ってね」

 

「頑張って!」

 

「雫、勝ってこい!」

 

「了解!」

 

返事をするとスピーカーから山田先生の声が聞こえてきた。

 

『発進タイミングを織斑君に譲渡します』

 

「了解」

 

「宵月!織斑雫!出るぞ!」

 

発進合図をした雫はアリーナに射出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ内

 

「遅かったですわね」

 

雫が発進すると既にセシリアが空中で待機していた。

 

「色々とあったからね」

 

「さて、行こうか」

 

「踊りなさい!私のワルツで‼」

 

「海戦開始だ!」

 

そして雫とセシリアが決め台詞を言って数秒後、試合開始のブザーが鳴り響いた。

先に動いたのはセシリアだった。

 

「それでは!お別れですわね!」

 

セシリアはそう言うとスターライトMk-Ⅲを雫に向かって発射した。

 

「おっと!」

 

しかし雫はそれを軽々しく避けるとセシリアに向かってビームライフルを発射する。しかしそれをセシリアは回避をする。しばらく銃撃戦が続いた後セシリアは四機のビットを発射してきた。

 

「ファンネルかよ!」

 

「ファンネルではありませんわ!」

 

雫はそう言うとセシリアにビームサーベルで斬りかかろうするがビットが邪魔をして来たためブースターを吹かして後ろに後退する。

 

「オルコット!似たようなのはこっちもあるんだよ!」

 

「ファッシブデコイ!航空機部隊!発艦、始め‼」

 

「なっ!BT兵器⁉」

 

「言っとくと全機オート操作だ!」

 

雫はファッシブデコイと航空隊を全て発射するとセシリアのビットを潰しだし、30秒で四機全てを撃ち落としてしまった。

 

「ブルーティアーズが、一瞬で……」

 

(ブルーティアーズって言ったのか…忘れてた)

 

それから雫はビットが無くなったことでビームサーベルを掴むと、イグニッションブーストを使いセシリアに接近して斬りかかろうとした。

 

「これで!」

 

「かかりましたわね!」

 

「なっ!」

 

「これで!フィナーレですわ!」

 

セシリアはそう言うと雫に向かってミサイルを発射した。ミサイルは雫に命中し雫は煙に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてミサイルが直撃してからしばらくすると煙が晴れその中からクラインフィールドを展開している鋼鉄の機体が現れた。雫の艤装、宵月だ。セシリアはクラインフィールドを展開している宵月を見ると叫んだ。

 

「!?それになぜ直撃して無傷ですの‼」

 

「それは機体性能だ!それよりも行くぜ~!」

 

雫は面倒が起こる前に話を切り上げると超重力砲の発射体勢を取る。

 

「……照準」

 

すると雫の機体が白く輝きだした。そして雫はすべての機体や武装でセシリアのブルーティアーズに照準をあわせる。

 

「第一、第二単一能力発動!」

 

「超重力砲!全砲塔!撃てェェェッ‼」

 

「キャァァァァァ!」

 

超重力砲が命中すると追い討ちをかけるように航空機や主砲等から発射された侵食魚雷や銃弾やビームはセシリアのブルーティアーズに吸い込まれるように全弾命中し、しばらくして試合終了のブザーがなった。

 

『勝者!織斑雫!』

 

それから雫はセシリアを探した。そしてセシリアは機体が解除されて地上に尻餅を付いていた。それを見つけた雫はセシリアに話しかけた。

 

「大丈夫ですか~?」

 

セシリアは雫に訪ねる。

 

「どうしましたの…笑いに来ましたか?」

 

それを雫は笑いながら否定したてセシリアに質問する。

 

「それは無いね。ただ大丈夫か確かめに来たんだよ、それよりも立てるか?」

 

「た、立てない?あれ?おかしいですわね?あれ?腰が抜けて立てない……うわっ!」

 

「ピットまでお送りしますよお嬢さん?」

 

「は、はい」///

 

(なんか頬が赤いような…まぁ、いっか!)

 

立てるかと聞かれて立とうとしたセシリアだったが腰が抜けて立てないようだった。それから雫はセシリアをお姫様抱っこでピットまで連れていった。

 



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第二十六話 クラス代表パーティー

クラス代表決定戦があった日の夕方、雫達一年一組は食堂に来ていた。食堂には[祝!織斑君、代表決定!]と書かれた看板が立て掛けられている。これはクラスの人が作ってくれた場所だった。

 

「「「「「「「織斑君クラス代表決定おめでとう!」」」」」」」

 

クラスメイトが祝いの言葉を玲に捧げた。

 

「みんなありがとう。それよりも楽しもう!」

 

雫はそう言うと間をおいて宴の始まりの合図を出した。

 

「かんぱい!」

 

「「「「「「「かんぱい!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~飲めや歌えの大騒ぎ中~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宴が始まり、40分くらいたった頃に誰かから呼ばれていると言われ、雫はその人のもとに向かった。すると呼び出した人から名刺を出された。

 

「私は黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってま~す。」

 

「今日は学園で話題の軍神夜月の織斑雫大将に特別インタビューをしにきました~!」

 

クラスメイト達が騒ぎ出す。しかしそれに目もくれず薫子は手帳とボイスレコーダーを持ち出して質問をしてくる。

 

「織斑大将、代表になった感想を!」

 

「大日本帝国軍人として当然です」

 

「いいね~捏造しなくて良さそうだ。」

 

それに対して薫子はなにやら恐ろしいことを言ってきた。

 

(捏造しようとしてたのかよ!怖いわ!)

 

雫がそう考えていると薫子は次の目標に質問を出す。

 

「じゃあ、セシリアちゃんと一夏も感想ちょうだい」

 

「行方不明だったお兄ちゃんに会えて嬉しいです!」

 

「いいねぇ~!生き別れの兄妹との再開…いいわ」

 

「そうですわね、まず雫さんに「やっぱり長そうだしいいや。織斑大将に惚れたってことにしとくわ」間違ってないですが…最後まで言わせてくださいまし!」

 

(セシリア、えつ、間違ってないのかよ!否定してほしかった……)

心の中で少しばかりガッカリした雫であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人に質問をし終わると薫子は写真の催促をしだした。

 

「専用機持ちの二人ならんでならんで、写真とるわよ~」

 

「7.850÷0.462は?」

 

「わかりますか!(わかるか!)」

 

「16.9913419913だね」

 

「なんでわかりますの!」

 

(えっ?便利だよね~霧の能力って)

 

「正解♪」

 

薫子はそう言うとシャッターを切った。シャッターが切られて写真が撮られるとと回りにクラスメイト達がいた。

 

(どんだけ早いんだよ!人間技じゃないだろ!)

 

写真を撮り終わるとクラスメイトの一人が喋りだした。

 

「なんか織斑君の頭の上にわっかができてたような…」

 

「気のせい気のせい」

 

「たしかに頭にわっかが出るなんて事無いもんね!」

 

雫はそれをなんとか誤魔化した。

 

(危なかった~焦った~)

 

そうして雫は成んなく就任パーティーを乗り越えた。



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第二十七話 中国娘の襲来

■翌日 教室

 

 

「グーテンモルゲーン~」

 

挨拶をして教室に入る。するとクラスの女子が話しかけてきた。

 

「ねぇ、織斑君そういえば、今日二組に中国の代表候補生が転校して来たの知ってる?」

 

「中国からの転校生?」

 

あ、鈴か!…鈴だと思う!けどいろいろ原作があれだしなぁ~

 

「今時の代表候補生とは…」

 

「わたくしの存在を危ぶんでの転校でしょう!」

 

無いだろ流石に

 

「「「「「「それは無いから安心して!」」」」」」

 

「それはないですわ~」ウルウル

 

あ、被ったね!流石!

クラスメイト達がそう言うとセシリアは若干涙目になっていた。

 

「ま、専用機持ちが1組と4組のみだから勝利は頂だね!」

 

「フリーパスは我らの手に~!」

 

すると横からクラスメイト達の陽気な声が聞こえてくる。そして一人のクラスメイトが雫に話しかけた。

 

「織斑君?勝てるの?」

 

「まっ、機体の奥の手がドラ○もんの空気砲の実写版みたいなものだから気にしなくていいだろ」

 

「━━久しぶりね!雫……って!なんでそれをあんたが知ってるのよ!」

 

「気にするな、俺は気にしない」

 

「気にするのよ!どこで知ったのよ!」

 

鈴は凄い勢いで問い詰めてきた。しゃぁ~ないか!

 

「本当に知りたいの?」

 

「ええ!どうしたの!」

 

「開発者にちょっとしたO・HA・NA・SIをしただけだから」ハッハッハ!

 

「いったい何をしたのよ!」

 

「知りたい?」

 

「ええ!」

 

面白いな…

 

「あれと同じ事をしてほしいの?」

 

「えっ?何かしたの?」

 

「フフフ…」(黒い笑み

 

「や、やっぱりいいわ!」

 

ありゃ?そうなの?それを聞いた雫は他のクラスメイト達を見た。

 

「「「「いえ!遠慮させていただきます!大将閣下‼」」」」

 

なんか全員挙動不審で敬礼してきたんだけど?

 

「冗談なんだけど…ハァ~」

 

「「「「「「冗談なの?!」」」」」」

 

まぁいいかそれより…

 

「それより鈴、早く教室帰れよ?“鬼”がいらっしゃるぞ?」

 

「そ、そう!じゃ、じゃあクラスに戻るわ」

 

鈴は雫の“鬼”という言葉に何かを思い浮かべそそくさと教室に帰っていった。鈴が教室に帰っていくとセシリアと箒が側に来て聞いてきた。

 

「「あの方は(あいつは)誰ですの!(誰なんだ!)」」

 

「鈴はただ単に箒と入れ違いに入ってきた転校生。つまりは第ニの幼馴染だね」

 

「とりあえず昼休みに話すから座ろうな?織斑先生から鉄拳が来るぞ?」

 

「な、なるほど。それでは失礼いたしますわ」

 

「わかった…しっかり説明してもらうからな!」

 

そう言うと二人は自分の席に座った。



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第二十八話 食堂

時と場所変わりまして食堂

 

食堂では僕とセシリアと箒、そして、事の元凶の鈴が居た。

 

「待ってたわよ!雫!」

 

食堂に入ると食券販売機の前に仁王立ちした鈴が叫んできた。

「ちょい邪魔、暇なら先に席取っといてくれない?」

 

「わ、わかったわよ…」ガックシ

 

気合いを入れて大声をだしたのに軽く流された鈴はガックリと肩を落とし、席を取りに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは、セシリアと箒と簪を連れて鈴がいる席に座った。

 

セシリアと箒が叫びを上げる。

 

「誰ですの!この方は!」

 

「雫!誰なんだこいつは!」

 

「さっき教室で言ったろ?こいつは鳳鈴音だ。箒と入れ違いの転校生だった幼馴染だ。しいて言えば箒がファースト幼馴染で鈴がセカンド幼馴染だな」

 

それには冷静に説明した。

 

 

説明が終わるってからセシリアと箒を見ると顔を少しひきつらせた。

 

「ファースト幼馴染…私が、ファースト…」

 

「雫さんの彼女じゃないならまだわたくしにもチャンスが…ブツブツ」

 

そこには自分の世界にのめり込んでいて禍々しいオーラを醸し出している二人がいたからだ。その禍々しいオーラを無視して鈴が話を切り出す。

 

「そういえばあんたイレギュラーなわけだから専用機とかあるの?」

 

「ん?ああ、専用機はあるよ。自分で作った‘’第五世代IS”がな」

 

「なんでISなんて作れんのよ!しかも現段階を越えてる第五世代なんて!」と驚きに声をあげる。

 

 

「第五世代って、オーバースペック過ぎますわ!」

 

「第一にISを作れること自体がおかしいわ!」

 

そしていつの間にか復活した箒とセシリアも反応を示してきた。雫は静かにするように騒ぎ立てて、三人に質問を出す。

 

「じゃあ問題だ、ISを作ったのは誰だ?」

 

「箒さんのお姉さんの篠ノ之束博士ですわよね?」

 

セシリアが素早く答えた。さらに雫は質問を重ねる。

 

「なら箒達姉妹と幼馴染なのは?」

 

「「「…あっ」」」

 

そう雫が言うと三人は何かを理解したように呟いた。

 

「そっ、IS作りの手伝いとかしてたから覚えた」

 

「「「…マジで?(マジですの?)」」」

 

それを聞いた三人は不思議そうな顔をしてきた。

 

「マジもマジ、大マジだぞ?」

 

「「「え~!」」

 

すると三人がと叫んだがそれを雫は渇をいれ黙らせる。

 

「静かに!」

 

すると効果があったのか三人は落ち着きだした。

 

「ねぇ、雫。ISの練習見てあげよっか?」

 

そして食事が終わると鈴は雫に問いかける。それにセシリアと箒が便乗して名乗りを上げる。

 

「わたくしたちが教えて差し上げますわ!」

 

「私達がする!」

 

と声を張り上げた。それを雫は用事があると言って話を切り上げる。

 

「これでも大戦中の英雄だぞ?元は戦闘機乗りだ」

 

「嬉しい話だが今回は遠慮するるよ。放課後は用事がな」

 

「「「そ、そんな~」」」

 

三人はそれを聞くなり肩を落とした。

 

「次の授業遅れるなよ?」

 

それから雫は肩を落とした三人を見て軽く笑いながら次の授業に向かった。



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第二十九話 対戦相手発表

~クラス対抗戦当日~

 

 

クラス対抗戦当日に雫は鈴と一緒に対戦相手を確認しに来ていた。

 

「それにしても何組が相手なのかしらね?」

 

鈴は発表場所の一歩手前の曲がり角を曲がり、話しかけてきた。

 

「まぁ、鈴と当たるまで負ける気はないよ」

 

雫は少しうんざりと言った感じを隠しながら返事をした。

 

「私は雫と当たったら私が勝つけどね♪」

 

すると鈴は自信満々に人差し指を回しながら言う。

 

そして、対戦相手の発表時間になると雫は小さく呟き、鈴は少しワクワクしながら画面を見る。

 

「そろそろ対戦相手発表の時間だな」

 

「そうね、さぁ~て私と戦うのはだれかしら~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……はいィィ⁉」」

 

 

 

そして雫と鈴は驚きの声をだした。その対戦表の画面には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一試合

 

 

 

一組 織斑雫VS二組 凰鈴音

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう記載されていたのだ。二人ともいつかは当たると思ってはいたが第一試合で当たるとは思わなかったのだ。そしてから数分後、落ち着いた一夏と鈴は第一試合の用意の為にアリーナのピットに向かって行った。

 

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~アリーナ~

 

 

雫、千冬、簪の三人がピットに来ていた。そして、千冬が質問をしてきた。

 

「雫、今回の機体は何なんだ?」

 

「ん?今回は“イージスガンダム”っていう機体だよ」

 

雫はごく普通に答えた。それを千冬は気に止めていない様子だったが、簪はガンダムというワードに違和感を覚え、名前を繰り返した。

 

「イージスガンダム?」

 

「そっ、ギリシャ語で盾の意味をもつ機体だよ~」

 

そう答えると再び質問をしてきた。

 

「ねぇ、雫。その“ガンダム”ってすごいのとか積んでるの?というかその機体の世代って…」

 

「んにゃ。よくわかったねぇ~そうだよ~こいつは第3.5世代機だよ」

 

雫は呑気に答えた。それに、千冬が食い付く。

 

「なに!3.5世代だと⁉」

 

「本当に雫って規格外…」

 

それをよそに簪はそう呟いた。その呟きを聞き取った雫はこのガンダムの事について話し出した。

 

「それにこの機体って一応試作機だからさ」

 

それに簪が反応する。

 

「試作機でこれ…」

 

それもそのはずである。この機体、3.5世代としてあるが実際は第四世代と変わらない機体性能を持っていたからで、これを作ったのが雫というのだからさらに驚きだ。そして、雫は後ろで軽く威圧感を放っている千冬に気がつき、足早にカタパルトに機体を展開し、乗った。

 

そしてカタパルトに乗ると山田先生から通信が入った。

 

「発進タイミングをイージスガンダムに譲渡します。」

 

「織斑雫。イージスガンダム…出るよ」

 

それから雫は名前、機体名を言ってアリーナへ発進していった。



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第三十話 クラス代表戦

「来たわね!雫!」

 

アリーナ内で待っていた鈴が大声を出してきた。

 

「もう発進してたのか?鈴」

 

「ええもちろん…てっ!あ、あんた、全身装甲⁉」

 

鈴は雫のISをみるなり叫んだ。

 

「鈴?そんな事より早く殺ろうよ、試合をさ」

 

「そんなことって…それよりなんかニュアンス違わなかった⁉」

 

あり?わかったんだぁ~、すごいね!鈴!

 

「…まあいいわ、早く始めましょうか」

 

そうすると試合開始のチャイムがなる。それと同時に二人が叫ぶ。

 

「「僕が!(私が!)勝つ‼」」

 

それと同時に雫は腕のビームサーベルを展開して突撃して行くためにとブースターを吹かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グハッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし雫とイージスガンダムは前には進まなかった。雫に何か見えない何かに進路を叩き落とされた。鈴はそれを見て叫んだ。

 

「どう!私の衝撃砲は!」

 

これが見えない砲か!とすぐに納得した。

 

「それが空気砲か……なら!」

 

「‼、変形した⁉」

 

雫はそう呟くと機体を巡航形態に変形をして鈴の甲龍に向かって突撃する。

そして鈴は進行を防ごうと衝撃砲を撃った。そして誰もが命中したかと思われた。

 

「「「!!!!!」」」

 

が、雫はスラスターを駆使して急降下をし、衝撃砲を避けた。そして鈴が驚き止まっているところにスキュラを発射した。

 

「グフッ!」

 

そのスキュラは見事に腹部に当たり甲龍のシールドエネルギーが見事に残り100まで減らした。そして雫が鈴に止めを刺そうと人形に変形し、ビームサーベルを展開し斬りかかろうとした時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴーーーーン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナの天井を破って黒い何かが入ってきた。鈴がそれを見て叫んだ。

 

「なに⁉」

 

それをよく見てみるとそれはISだとわかった。そこに織斑先生から通信が入る。

 

『織斑!凰!教員隊が突入するまで持ちこたえられるか!』

 

玲は織斑先生先生に質問をした。

 

「了解、殲滅してもいい?」

 

『あ、ああ、できるなら構わないが無理はするなよ?』

 

織斑先生はそう言って通信を切った。すると雫は鈴を見ると通信を入れる。

 

「鈴、俺がアイツを殺るから退いててくれ」

 

しかし、鈴はそれに反応し、叫んだ。

 

「ちょ!あんただけであんなの倒せるの!?」

 

「ああ、絶対に勝つ!」

 

そう言うと雫は不明機に向けてビームを発射した。しかし、不明機にビームは不明機が避け、当たることはなかった。

 

「なっ、何?!」

 

「うわッ!」

 

そして驚いて動きが一瞬止まったイージスガンダムに不明機のミサイルが命中した。

 

「グワッ‼」

 

その勢いは強く、雫は爆発した爆風と衝撃によってすごい勢いで壁に衝突し、煙がまった。

 

そして、暫くして煙が晴れるとあちこちボロボロになっても依然立ち続けるイージスガンダムが現れた。雫は煙が晴れるとすぐに、巡航形態に変形し、不明機に向かって加速した。不明機は避けようと回避行動を取り、迎撃をするが撃ち落とせるはずもなく、イージスガンダムは不明機に張り付いた。そして雫はイージスガンダムを自爆させ、その時捨て台詞を吐いた。

 

「負けられないんですよ‼不明機なんかに‼」

 

するとイージスガンダムが爆発を起こし、不明機ごと木っ端微塵になって消えた。すぐさま鈴と織斑先生がやって来てくれた。

 

「しっ、雫‼」

 

「大丈夫か!雫‼」

 

「う、うん。大丈夫」

 

□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと結局クラス対抗戦は無くなった。

 

「ああ~!フリーパスが~!」(涙)

 

「何あれ」

 

「さぁ?」

 

この事でクラスメイト達は血の涙を流していたらしい



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第三十一話 一、二組合同授業

~第二アリーナ~

 

「今回もISを使っての実習だ!まず、織斑、オルコット、凰ISを展開しろ!」

 

授業の始め、千冬は声を張り上げる。今日の授業は二組と合同でのISの実習の授業だったのだ。

 

「ダークハウンド!」

 

「甲龍!」

 

「ブルーティアーズ!」

 

雫とセシリアと鈴はは機体の名前を呼び三人はISを展開した。三人がISを展開し終わると、千冬が指示をだしてきた。

 

「よし、展開できたな。

…0.3秒か、まぁいいだろう」

 

めずらしいな、千冬姉さんが褒めt「もう少し早められるようにしろよ?」…

 

それから雫は、足を開いてから地面を蹴り飛び上がった。そして少し飛び回る。しばらくすると地上の千冬から通信入ってきた。

 

「それでは、急降下と急停止をしてみろ!目標は10㎝だ!」

 

その通信が切れると鈴が口を開いた。

 

「雫!お先にいただくわ!」

 

「あ、ああ」

 

鈴は、地上から10㎝で停止した。鈴の急停止が終わると次にセシリアが急降下をする。

 

「雫さん、お先に失礼しますわ」

 

するとセシリアも地上から10㎝で止まった。

 

「ひぇ~、すごいな」

 

「んじゃ!僕の番かな?」

 

 

二人が地上に降りて退いたのを確認すると雫はダークハウンドを変形させてフルブーストをかけ、急降下する。そして地上から数十㎝のところで高速変形し逆噴射をかけた、数十㎝の所で、だ。その高速変形した時にかかるGは凄まじいものだ。

 

「人よんで、グラハムスペシャル!」

 

しかし、雫は現役の軍人であり第二次世界大戦の時の最強と称された『軍神』なのだ。そんなものは雑作もない。そして、雫は某フラッグファイターの台詞を言って地上十㎝丁度で停止した。すると空気が吹き荒れた。雫の急降下に引っ張られた空気が地面に叩きつけられたのだ。そして、しばらくして千冬が雫の頭を叩き、怒鳴り付けた。

 

「普通にしろ!」

 

「いってぇ」

 

「わかったな?」ゴゴゴゴゴゴ!!!

 

「は、はい」

 

雫は千冬に威圧され感覚的に返事をしていた。

それを聞くと千冬が新しく指示をした。

 

「まったく……凰、オルコット前に出ろ!二人にタッグを組んで戦ってもらう!」

 

すると鈴とセシリアは前に出るとセシリアが千冬に質問をした。

 

「誰と戦うのですの?」

 

「ど、どいてくださーい!」

 

すると上から叫び声が聴こえてきた。雫は直ぐに上を見上げた。するとそこにはラファール・リヴァイブに乗った山田先生が一直線に雫に向かって落ちてきていた。

 

ヤバいじゃないかよ!

 

すると雫はダークハウンドを変形させ飛ぶと、搭載されているアンカーショット山田先生のラファール・リヴァイブに引っ掻けて空中で山田先生の落下を止めると雫はアンカーを離して山田先生と一緒に地上に降りた。

 

「あ、ありがとうございました。織斑君!」

 

「どういたしまして」

 

「山田先生が対戦相手だ。」

 

千冬がそう言うと、二人は山田先生に戦いを挑んで行った。しかし、数十分後には…

 

「あんたが!……ガミガミ」

 

「あなたが!……ガミガミ」

 

と二人が愚痴りになっていたのだった。そして千冬は騒がしいのを叩き切るように大声をだした。

 

「静まれ!これで教員の実力がわかったと思う!教員には敬意を払うようにしろ!」

 

千冬が叫ぶと同時にチャイムが鳴り授業の終わりを告げた。それから雫達は服を着替えると自室に戻っていった。



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