仲良し遠月第90期生(更新停止) ((TADA))
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遠月学園第90期生の騒がしい日々

この作品は作者が『3年生組って仲良いんじゃね?』という妄想が爆発した結果です。



注意事項:安心のキャラ崩壊・キャラ口調の間違い多し・料理描写絶無・キャラ同士の呼び方変更・『動き出すブッチー』



上記が大丈夫な方のみ画面をスクロールしてお読みください。


司瑛士は遠月学園十傑評議会の仕事を終えて、仲間達と一緒に住む建物への道を疲れ切った表情で歩く。その表情は『ブラック企業で働き続けてスーパーエリート社畜へと進化したサラリーマン』のような表情である。

遠月学園十傑評議会。世界から料理人を目指す人々が集まる超名門料理学校である遠月茶寮料理學園において教師以上の権限を持つ10人のエリートで構成された評議会である。瑛士はそこのトップの第一席の地位にいた。他の仲間達も第二席から第五席まで独占していて、なおかつ料理の腕もアホみたいに良かったことから、十傑には入っていないが別の意味で超有名人な友人も含めて『第90期マフィア』とも呼ばれていた。

しかし、このメンバーはちょっと頭のおかしい集団の集まりだった。

まず第二席の小林竜胆。美人でスタイル抜群の美人だが、性格は完全に破綻しており『報告しない・連絡しない・相談しない』の三拍子が揃った超問題児だった。しかも頻繁に希少食材を探すために行方不明になる。そのために仕事をしてくれない。

第三席の女木島冬輔。背が高くて筋肉質。常に無表情で口数も少ない。勝負事は性に合わないとか言いながら売られた食戟を片っ端から受けた結果に第三席に上り詰めていた。望んで第三席になった訳ではないために仕事をしてくれない。

第四席の茜ヶ久保もも。人見知りが激しく目を合わせて会話が成立するまでに軽く1ヶ月はかかる見た目が幼女。口数は少ないのに毒舌家である。かわいいを追求することに忙しく当然のように仕事をしてくれない。

第五席の斎藤綜明。モヒカンと鼻の横一文字が特徴的な寿司職人。どう見ても日本刀を包丁と言い張る刀剣マニア。武士っぽくて正々堂々とか大好きな時代劇ヲタ。武士は書類仕事をしないとか言って仕事をしてくれない。

この通り第二席から第五席までが見事に十傑の仕事をしてくれないために、その仕事が瑛士の机に投げられる結果になっているのだ。そのために瑛士は毎日がデスマーチ。イベントが起こったりすると帰れないことが頻発する。

仲間達の中で唯一十傑に入っていない榊信興に頼むという手段があり、信興に手伝って貰えば一週間かかる仕事も一時間で終わるが、十傑の権力が信興に大きく奪われた事件が発生してから学園長から禁止命令が出てしまったのでその手段が使えない。

そのために瑛士は1人で仕事を片付けねばならなかった。

瑛士は仲間達と一緒に中等部時代に学園側から奪い取った建物に辿り着く。入り口には『全ての希望を捨てよ』と書かれた看板が出ている。書いたのは竜胆だ。

瑛士は扉を開いて中に入る。巨大なエントランスに人気はない。奥の厨房は明かりが点いているので仲間の誰かが晩御飯の準備をしているのだろう。竜胆と信興でないことを祈るばかりだ。あの2人になると竜胆は見た目ゲテモノが出てきてSAN値が削られ、信興の場合は『冒険』と称して命に関わる料理が出てくることがある。

瑛士は願掛けをしながら共有スペースの扉を開く。

 「ただいま」

瑛士の視界に入ったのは仲間の内の3人。まず竜胆は共有スペースに置かれた200インチの大画面テレビでポップコーンとコーラを手にしながら『プラン9・フロム・アウタースペース』を爆笑しながら見ている。次に綜明は日本刀をウットリとした表情をしながら手入れしている。多分、新しく購入したのだろう。購入ルートは信興で間違いない。そして最後に見た目幼女のももがマジ表情をしながら割り箸でミロのヴィーナス像を作っている。それは可愛いではなく美しいではないだろうか。

瑛士の言葉に気づいたのか3人が瑛士を見てきた。

 「おお! 瑛士、おかえり〜!!」

 「ねぇ、竜胆。なんで君は好んでクソ映画を見るの? 時間の浪費とか思わないの?」

 「バッカ!! クソ映画で2時間も時間を無駄にしてるのが最高の贅沢だろ!?」

 「ごめん、俺には理解できない」

仲間達の中でも竜胆ワールドは強烈だ。なにせ理解不能なことが多い。

 「うむ、確かに竜胆の時間の使い方には俺も苦言を呈したいと思っていた」

 「なんだとぉ! ソーメイだって刀の手入れしてるばっかりだろぉ!! 料理人だったら包丁の手入れしろよぉ!!」

 「これは刀ではない!! 包丁である!!」

どう見ても日本刀を包丁と言い張る綜明。そのまま竜胆と綜明がどうでもいい口論を始める。いつの間にか口論の内容が『フェチとは何か』にスライドしているが気にしない。仲間達との口論で内容が脱線するのは当然で、最初から最後まで一貫性のあったことなど中等部一年から高等部三年の現在まで一度もない。

 「今日の晩御飯当番は冬輔かい? ノッブだったらちょっと用事を思い出すんだけど」

 「今日はと〜にゃん。ノッブはなんか用事があるって外に出てった」

瑛士はとりあえず外食する必要がなくなったことに安心する。

 「ところで、もも。それはなに?」

 「? え〜にゃんは変な事を聞く。どう見ても『ミロのヴィーナス』でしょ?」

 「うん。それはわかる。なんでかわいい至上主義の君が美しいの代表格の像を作ってるの?」

 「ああ。それはノッブが『かわいいを理解するなら美しいも理解しなきゃな!! 試しに割り箸で作ってみよう!!』って言ったから」

どうやら口が上手い仲間に乗せられたらしい。まぁ、別に珍しくもない。なにせ信興は経営再建を任された店の影響を受けて経営不振に陥った店の経営再建を請け負って最初に店を経営不振にさせてまた仕事を得るという最悪の永久機関を作るような鬼畜なクソである。別の人間に任せた場合は慈悲もなく叩き潰して反骨心まで圧し折る外道である。現在の第九席の叡山は特に被害を受けているそうである。そんな経営の天才である信興は口が上手く、詐欺師が天職と思っているのは仲間達の総意である。

 「オイスー」

 「「「「あ! ノッブがインしたお!!」」」」

竜胆と綜明のどうでもいい口論を聞き流しながらももと一緒にモナリザを割り箸で作っていると、信興が帰ってきた。ちなみに「オイスー」という挨拶で入室した場合は「あ!! ○○がインしたお!!」と返さないといけないのはこの建物のルールである。違反した場合はWGO執行官の試験を受けなければいけないことになっている。ちなみにすでに全員が一等執行官の資格を持っている。ちなみに試験資格とかは信興がどうにかした。

 「お〜、まだ晩飯にはなってなかったか」

 「ふむ、ノッブはどこに行っていたのだ? 昼間の授業から抜け出していたようだが」

 「おいおい、綜明。抜け出すとか人聞きの悪いこと言うなよ。自分より能力の低い人間の授業を受けるとか時間の無駄とか思わないか?」

 「「「「料理の腕前」」」」

 「ここではリントの言葉で話せ」

信興の料理の腕前は常に落第スレスレである。もちろん遠月で生き残れているので常人より上手いが、残念ながら仲間達の中では一番の小物である。

 「おう、全員揃っているな。トースケが晩御飯の準備ができたから食堂に来いだってよ」

信興が帰ってきたことで会話が罵倒と煽り合いにシフトしていたところに、渋く透き通り、落ち着いた印象のある声が入ってくる。

 「あ、ブッチー」

 「うむ。マスターの相棒・ブッチーである」

その正体はブッチーと呼ばれるネコのようなぬいぐるみである。二足歩行したり会話したり料理もできるがぬいぐるみである。信じられないことにぬいぐるみである。

だが、今更このメンバーは気にしない。だって改造した張本人達だからだ。一番の黒幕である信興と竜胆は「なんか閃いたアイディアを全部詰め込んでたら二足歩行して喋れるようになった。原理はわからない」と供述している。

しかし、サポート能力はバカみたいに高いので料理の時に重宝される。そしてマスターであるももの手伝いの時には腕を捥がれて断末魔が響き渡る。

共有スペースから出て食堂へと全員で向かう。

 「晩飯はな〜にかっな〜!!」

 「いや、冬輔の時点でラーメンだろ」

 「うむ、ラーメン以外ありえぬな」

 「ラーメン以外だったら偽物を疑うよね」

竜胆の言葉に信興、綜明、瑛士の順番で答える。

 「なんだよ〜。もしかしたらうどんかもしれないだろ〜」

 「……それでも麺類」

竜胆の言葉にももがウンザリした表情で呟く。それも仕方ない。なにせ一緒に暮らし始めて今まで冬輔が食事当番の時は絶対にラーメンだ。ラーメン以外は認められないとばかりにラーメンだ。圧倒的ラーメンだ。そして他の仲間がラーメンを作ると改善点を述べてラーメンの腕前をあげようとするラーメン狂だ。全員で食堂の扉を開けて中に入る。そして全員の思考が停止した。

食堂の机に置かれていたのは洗面器ほどのドンブリ。そした山のように積まれたモヤシとチャーシュー。食欲を唆る良い匂いであるが、量が酷い。どう考えても一人分とは思えない。

 「む……遅かったな」

そこにキッチンから巨漢の冬輔が現れる。

 「……と〜にゃん。あれ、なに?」

ももの現実を受け入れたくない問いに冬輔は不思議そうに首を傾げた。

 「当然、ラーメンだが? ああ、量が足りないのか。待っていろ、すぐに追加を作る」

 「待て、冬輔よ。まずは出ている分を食べてしまおう。お代わりを今から作ってしまっては麺が伸びてしまう」

綜明の言葉に納得して食卓へと向かう冬輔。ちなみにラーメンを残すと普段は滅多に怒らない冬輔はブチギレてデンプシーロールを叩き込まれる。この罰は容赦なく女子である竜胆やももにも適応される。

 「おお、うまそうだなぁ!!」

 「ああ、今回は最近流行っているラーメン屋に食べに行って参考にした」

量とかを一切気にしないで『旨ければいくらでも食べれる』と言い張る竜胆は素直に賞賛しているが、他のメンバーは割と絶望している。

なにせ食卓につくとそのボリュームに圧倒される。大型本屋で平積みされる売れ筋の本のような高さがある。どう考えても1人分ではない。

 「それでは食ってくれ。ちなみにお残しは許さんぞ」

冬輔の発言によって完全に退路を絶たれ、竜胆以外の面々は死刑囚のような表情でモヤシとチャーシューに口をつける。

チャーシューはもちろんモヤシにも味が染みていてとても旨い。瑛士はもちろん全員の共通認識だ。だが

 『なぜ麺が出てこない!!』

おそらく瑛士、綜明、信興、ももの4人の気持ちが一致した瞬間である。モヤシとチャーシューをいくら崩しても麺が出てこない。むしろモヤシの下からキャベツが出てきて軽く絶望した。

 「っか〜!! 旨かった!! トースケ!! もう一杯!!」

 「ああ、任せろ」

恐るべきことに竜胆は完食した上にお代わりを要求していた。この短時間であの量を食べたという事実に冬輔以外の全員が戦慄する。

手ぬぐいを頭に巻いてキッチンに入っていく冬輔を見送る。するとももが口を開いた。

 「ブッチー。ちょっと来て」

 「ム? どうしたマスター。水のお代わりか?」

全員の水のお代わりを準備していたブッチーがもものところにやってくる。そしてももはブッチーの口を無理やり開く。

 「な、なにをするマスター!! さてはエロイ事をする気だな!! エロ同人みたいに!! エロ同人みたいに!!」

 「うっさい。いいから食べて」

 「ゴバババババ!!!」

無理矢理ブッチーの口の中にラーメンを流し込むもも。ブッチーはしばらくビクンビクンしてから動かなくなった。

 「毎回思うけど、もものそれ汚いよね。ブッチーに流し込むとか反則でしょ」

 「ももとブッチーはSINYUだからいいの」

 「そのSINYUは機能停止しているようだが?」

瑛士の言葉にももが自信満々に答えると綜明が突っ込んだ。だがももはそれを笑顔でスルー。

 「なんだ、ももは食べ終わったのか」

 「うん。美味しかったよ、と〜にゃん」

 「おかわりはいるか?」

 「絶対にいらない(迫真)」

戻って来た冬輔の言葉にマジ表情で答えるもも。

冬輔の用意したお代わりの器が洗面器からバケツに進化していることに竜胆以外が恐怖しながら食事を続ける。

 「そういえばノッブ。遠月グループ乗っ取り計画はどれくらい進んだの?」

瑛士は必死にラーメンを食べ進めながら、信興が行おうとしている『料理業界の薙切一強時代崩壊作戦(別名・遠月グループ乗っ取り計画)』の進行状況を聞く。目の前のラーメンから現実逃避をしたかった事実もある。信興も同じ心境だったのか、ラーメンを崩しながら答えて来た。

 「あ〜、ようやく七割ってところかなぁ」

 「……うん? 確か半年前に六割だっただろう。ノッブには珍しく時間がかかっているな」

信興の言葉に『ラーメンを食べる時は無言で食する』を信条にしている冬輔が思わず口を開く。なにせ信興は1ヶ月もあれば大企業も破産に追い込んで乗っ取る事ができると知っているからだ。

 「それが残りの三割が学園長のジジイの信奉者でな。なかなか切り崩せない」

 「ノッブだったら何か汚職を見つけて追放するのではないか?」

さりげなく竜胆のバケツにモヤシを投げ込みながら綜明が質問する。それに信興は箸を振って答える。

 「ムカつくことにそういう連中に限ってクリーンでな。一応、周辺も調べてみたが小さな汚職をしている奴もいない」

 「ハハ、ダッセェの!!」

 「うっさいよ、竜胆。なんかきっかけがあれば一気に行けるんだがなぁ」

信興のボヤキを聴きながらも全員で一心不乱にラーメンを食す。そしてやっとの思いで瑛士は食べ終わる。その時には全員が食べ終わっており、いつの間にか復活していたブッチーが淹れたお茶を飲んでいた。

瑛士もブッチーが淹れてくれたお茶を飲もうとしたら、ももがポツリと呟いた。

 「え〜にゃんから、ご馳走さまが聞こえない」

その言葉に瑛士の背筋が凍り、全員の眼がキラーンと光った。

 「大将。あちらのお客様がお代わりをご所望のようだ」

 「やめろノッブ!!」

 「ふむ、拙者からの奢りだ。大盛りにしてやってくれ」

 「嫌がらせはよせ、綜明!!」

 「エーシは1人で食べるのが寂しいのか? 仕方ねぇなぁ!! リンドーさんが一緒に食べてやるよ!!」

 「絶対に善意じゃないだろ、竜胆!!」

 「待っていろ、瑛士。すぐに特別大盛りを用意してやる」

 「冬輔、やめて!!」

瑛士の嘆きは当然のように無視され、出て来たお代わりの器がポリバケツだったことに瑛士は絶望し、他のメンバーは爆笑したのだった。

 




司瑛士
遠月学園十傑第一席。フリーダムな仲間達に今日も振り回されるが、こいつも割とキチってる。原作と違って美食に特に拘りはない。『食卓の白騎士(ターフェル・ヴァイスリッター)』は厨二病を患った時に自称したのを仲間達によって広められた結果。本人はそれで呼ばれると悶絶する。そしてそれをみて仲間達は爆笑する。

小林竜胆
遠月学園十傑第二席。原作以上にフリーダム。そしてトラブルメーカー。希少食材マスターで、最近は台所に住むGの調理方法を研究している。

女木島冬輔
遠月学園十傑第三席。ラーメン大好き女木島さん。基本的に仲間達のストッパーだが、ラーメンに関することだと暴走する。

茜ヶ久保もも
遠月学園十傑第四席。幼女先輩な『かわいいのカリスマ』。人見知りのくせに毒舌家。そしてブッチーに対して容赦はない。自分に都合が悪くなると「ももはこどもだからむずかしいことわかんない」とロリ化して逃げる。なんか原作だと格下相手にアダ名をつけるっぽいですけど、この作品では仲間達全員をアダ名呼びです。

斎藤綜明
遠月学園十傑第四席。刀マニアな寿司職人。今解体した過去最大級サイズは竜胆に頼まれた『シロナガスクジラ』。どうみても日本刀を包丁と言い張る。そして十傑の力で包丁と称した日本刀を買う。

榊信興
遠月学園3年生。オリ主。料理の腕前は落第スレスレだが、それ以外の分野は天才的。遠月グループ乗っ取り計画を中等部時代から進行させている。愛称は『ノッブ』。ちなみに極星寮の榊涼子の実兄。

ブッチー
意思を持つぬいぐるみ。ももに腕を捥がれたり燃やされたり沈められたり猛獣に投げつけられたりするたびにノッブによって改造されているうちに二足歩行や会話、果ては食事まで取れるようになった。CVは若本さん。口癖は「黙れ下衆!!」

ノッブの遠月学園グループ乗っ取りのキッカケ
ヒント:薊の学園長就任

ご馳走さまが聞こえない
無茶振りはやめよう!! 作者との約束だ!!



前書きにある通り、これは作者が原作を読んでいて『3年メンバーって仲良いんじゃね?』っていう妄想が超新星爆発した結果です。1人1人の口調が覚えられないので間違いがあっても広い気持ちでスルーしてください。
ちなみにタグにも入ってますが料理描写は絶無です。これは作者が『作るくらいなら食わぬ!!』の精神のためです。料理嫌いのくせに料理漫画を読む作者。ちなみに作者が1番最初に読んだ料理漫画はクッキングパパ。
更新は超不定期で、ネタが浮かべば投げると思います。こち亀に日暮熟睡男が出てくるくらいの珍しさでお待ちください。


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美食議論

アニメ第1期のブルーレイボックスを購入して視聴し終わり、ネタが浮かんだので投稿。変わらずに酷いキャラ崩壊です。


 「すまんな、ノッブ。助かった」

 「気にするなよ、冬輔。俺も儲けが出るから商品を融通しただけだからな」

冬輔と信興は学校の廊下を歩く。今回は冬輔の知り合いのラーメン屋が素材に困ったところを冬輔に泣きつき、冬輔はクソ外道だが流通ルートは確かな信興に素材の卸を依頼したのだ。信興は鬼畜で外道だがお金には素直である。だから利益が出るなら仲間達の依頼は受ける。利益が出ない上に投資にもならなかったら仲間の依頼だろうが容赦なく蹴り飛ばすのも確かだが。

冬輔と信興は学校での屯場所である『第一席執務室』に普通に入室する。何せ瑛士以外の十傑は自分の執務室より瑛士の執務室にいることの方が多い。たまには自分の執務室にも行く。なにせ溜まっている書類を瑛士の机に運ばなければならないからだ。いくらフリーダム十傑だからと言って仕事をしないわけではない。運ぶという仕事くらいはするのだ。

冬輔と信興は勝手に置いたテレビの前で口論する竜胆と綜明がいた。

 「だからぁ!! 今日は『はぐれ刑事純情派』を見るって言ってるだろ!!」

 「ならぬ!! 藤田ま○と作品だったら『必殺仕事人』に決まっている!!」

どうやら休み時間に何を見るかで争っているらしい。どちらも見はじめたら学校の休み時間で見終わるのは不可能だ。2人は入室してきた2人に気づいたのか今度は冬輔と信興に話題を振ってきた。

 「お!! 冬輔は『はぐれ刑事純情派』だよな? 人情系だし!!」

 「ノッブは『必殺仕事人』だな!! 何せ殺される側で出演してもおかしくない外道だからな!!」

 「お? 綜明は速攻で俺に喧嘩を売ったな? バカめ!! 俺がバレる悪事をするわけがないだろう!!」

 「「「ツッコミどころはそこでいいのか?」」」

信興の言葉に思わず3人は同じツッコミを入れてしまった。しかし、その後に『確かにノッブはバレる悪事はしないな』という共通認識を持ったのも確かだ。原作キャラのオリ主に対する信頼は厚い。

冬輔は呆れながら戸棚に入れてあるDVDBOXを取り出す。

 「まぁ、落ち着け。ここは間をとって『北の国から』にしよう」

冬輔の言葉に3人はゲンナリとした表情になった。

 「なんでトースケはこの部屋にも『北の国から』のDVDBOXを用意してるんだよ」

 「共有スペースには当然として、拙者達の部屋にも置いていくのは勘弁してほしいのだが」

 「『ラッキードラマだ、よくみるがいい』じゃねぇよ。お前はどれだけ北海道が好きなんだよ」

竜胆、綜明、信興が順番に文句を言うが冬輔はそれを華麗にスルーして『北の国から』のDVDをセットしようとするが、3人の合体攻撃によって阻止されてしまった。

 「やっほ〜」

 「下賤な輩よ!! マスターももの登場である!! さぁ、平伏すが良い!!」

とりあえずももと一緒に入ってきて早々に失礼な発言をしたぬいぐるみは即座に硫酸の溜まった水槽に沈められた。

 「遅かったな、もも」

 「うん。ちょっと可愛い写真を撮ってSNSにあげてた」

 「ほう。今回はどんなものだ?」

ももの言葉に綜明は興味深そうに尋ねる。ももの写真は同世代の女子から絶大な支持を受けている。繊細な技術と華やかな美的センスは学園の中でも圧倒的だ。美的センスが高すぎて稀に常人には理解できない地雷を作り上げるという事実も存在するがそれは遠い棚に放り投げておく。

 「今回はこれ」

自信満々にスマホで撮った写真を見せるもも。4人もとりあえず地雷かどうかの確認をする。

そこには明らかにSAN値直葬な物体が存在していた。コメント欄も阿鼻叫喚で大変なことになっている。

4人は耐性があるから大丈夫だが、一般人には発狂する代物なので信興が責任を持ってアカウントを乗っ取り削除した。これで地球の平和は守られた。

 「……あれ? 写真が消えてる」

 「きっとももの才能に嫉妬したやつが消したんだろうなぁ」

竜胆の言葉にももは不満そうな表情になる。

 「あれは完成した後にどっか行っちゃったからもう写真撮れないのに」

 「ノッブ」

 「ちょっと待て。今情報を……あ!! 四宮先輩のお店にダイナミックお邪魔しますしてやがる!!」

謎の物体Aの行方を確認した信興は持っていたノートパソコンをそっと閉じた。

 「悲しい……事件だったね……」

 「四宮先輩は犠牲になったのだ……可愛いの犠牲にな……」

 「さらば四宮先輩」

信興と綜明と冬輔がフランスの方向に向かって敬礼すると同時にプライドが高くて毒舌家の先輩の怒声が聞こえた気がしたが3人は聞こえなかったふりをした。

それからしばらく5人で適当にテレビ番組を流しながら駄弁っていると部屋の主人が難しい表情をして帰ってきた。

 「おお、イケメンが難しい表情をしていると気持ちいいな」

これは信興。

 「うむ。普段からスカした表情が多いから悩んでいる表情をみると気持ちがいいな」

これは綜明。

 「どうした瑛士。お前の顔に考え事など似合わないぞ」

気遣いに見せかけた罵倒を飛ばしたのは冬輔。

 「お〜。エーシはついに誰かに刺されることになったか?」

遠回しの死ね発言が竜胆。

 「Nice boat.案件……」

地味にやばい発言がもも。

そんな温かい罵倒を無視しながら瑛士は自分の執務机に座り、ゲントウポーズをとる。その行動に全員は真面目な話だと理解したのかそれぞれが用意されている椅子に座ってゲンドウポーズをとる。

そして瑛士はゆっくりと口を開く。

 「みんな、『美食』ってなんだと思う?」

 「難しい質問だな」

瑛士の言葉に表情をしかめながら答える綜明。

 「それぞれ好みがあるからな」

同じく難しい表情をした冬輔。

 「『絶対にこれ!!』って答えはないんじゃねぇの?」

あっけらかんと言い放つ竜胆。

 「ももは興味ない。ブッチー、お茶を用意して」

興味を失ったのか、硫酸の中から必死に出てきた下僕に命令を出すもも。

 「ふむ、それで瑛士はなんでこんな質問をしたんだ?」

根本的なことを尋ねる信興。

それに瑛士はゲンドウポーズを解いて口を開く。

 「午前中から仕事頼まれて学園外に行ったんだけどさ。その帰りに色白の肌に白のメッシュ入れて黒のコートきた『あれ? その年で厨二病かな?』っておっさんに話しかけられたんだ」

 「「「「「食卓の白騎士(ターフェル・ヴァイスリッター)」」」」」

 「やめろぉぉぉぉ!!!!」

全員で瑛士の古傷を抉ると瑛士は床を磨くモップに変身した。

しばらく悶絶する瑛士を嘲笑っていたが、ブッチーの気付の当身によって正気に戻った瑛士は元の位置に戻って言葉を続ける。

 「『美食に興味はないかい? 今の腐った料理界を救済したくないかい?』って誘われたんだ。とりあえず返事は保留にしてきたんだけど……」

 「お!! それ新興宗教の勧誘だろ!! リンドーさん知ってるぞ!!」

 「とりあえず竜胆の発言は無視するけど、みんなはどう思う?」

瑛士の言葉に全員が『う〜む』と悩む。この姿が学園の教師陣に見つかった場合はロクでもない集団がロクでもないことを考えているという理由で即座に厳戒態勢が敷かれるだろう。

 「よし、それじゃあ第50125回の議題はこれだな」

そう言いながら信興は部屋に備えつけたホワイトボードに文字を書いていく。そこには今回の議題が書かれていた。

 《異性のどこに性的興奮を覚えるか》

 「待って。美食の美の字も入ってない」

瑛士の当然の言葉も仲間達には届かない。

 「難しい質問だな」

先ほどよりも深刻な表情をしながら呟く綜明。

 「それぞれ好みがあるからな」

腕を組みながら顔を顰める冬輔。

 「『絶対にこれ!!』って答えはないんじゃねぇの?」

普段には絶対に見せないクソ真面目な表情をする竜胆。

 「ブッチー。これから激論を交わすから熱いお茶じゃなくてお水ね」

先ほどまでの一切興味なし状態から論戦モードに入るもも。

 「待って。さっきより真面目度が上がってる。お願いだからその状態でさっきの真面目な議題に戻って」

 「まぁ、落ち着け瑛士」

瑛士に言い聞かせてきたのは爆弾を放り込んできた張本人である信興だった。

 「いいか、瑛士。俺たちはちょっと特殊な学校に通っているが盗んだバイクで走り出してもおかしくない年頃の若者だ。その若者が真面目に議論するのがどちらの議題が正しいか考えてみろ」

信興の言葉に腕を組みながら眼をつぶって考える瑛士。そしてすぐに結論が出た。

 「俺が間違っていたね。すまない、こっちの議題で話を進めよう」

ここに『神の舌』を持つ少女の父親の野望は若者のリビドーによって消え去った。

 「でもよ、これは本当にみんなバラバラだろ。性癖なんだから。試しにノッブとソーメイとトースケの順番に言ってみろよ」

 「太もも」

 「うなじ」

 「腰」

竜胆の言葉に即答する信興、綜明、冬輔。見事にバラバラだった。それから3人がそれぞれの信仰をかけたガンのつけあいが発生したがブッチーの波動拳によって正気に戻された。

 「それだった竜胆とももはどこなんだよ?」

信興の言葉に竜胆は立ち上がって元気よく答える。

 「リンドーさんは『緩めたネクタイとワイシャツの第一ボタンを外した時に見える鎖骨』だな!!」

 「「「なんでそんなに限定的なんだよ」」」

えらく限定的なフェチシズムを発表した竜胆に信興、綜明、冬輔から総ツッコミが入る。

 「ふ、笑止」

明らかにキャラが違う言い方をしたももに視線が集まる。その視線に答えるように不敵な笑みを浮かべながらももは口を開く。

 「ももはみんなみたいに外見に騙される女じゃない。大事なのは心だよ」

 「ほう。心持ちは立派だな。して、本心はなんだ」

綜明の言葉にももは堂々と言い放つ。

 「ももはももをチヤホヤしてくれる人だったら誰でもいいよ」

 「オタサーの姫にでもなってろ」

ももの宣言は信興によってあっさりと切り捨てられた。

そこからは喧々囂々の論陣の張り合いである。時折手が出たり刃物が出るとブッチーの拳によって頭を冷やされる事態が続いた。

そこで冬輔が何かに気づいたかのように瑛士に問いかけた。

 「瑛士、お前は異性のどこにリビドーを覚えるのだ?」

 「そういえば瑛士とこういう話したことなかったな」

 「え? それは無理な話だろ」

首をひねりながらの信興の言葉に答えたのは瑛士ではなく竜胆だった。それに綜明が不思議そうに口を開く。

 「なぜだ? 生物であるのだから性的興奮を覚えるのは当然だろう?」

 「いや。エーシは『異性』に性的興奮しないよ。こいつホモだもん」

竜胆の言葉に信興、綜明、冬輔の3人は即座にケツの穴を抑えながら座席から立ち上がる。

それを見ながら瑛士はゆっくりと口を開く。

 「まず、落ち着いて欲しい。確かに俺は竜胆の言う通りホモだ。それは認める。だけど俺は男だったら誰の穴でもいいわけじゃない。好みがあるんだ好みが。お前たちみたいな外道の穴はお断りだよ」

 「ノッブと同列に語られるのは腹立たしいが安心したぞ」

 「うむ。ノッブと同列に語られるのは不本意だが、これで瑛士を簀巻きにして出荷しなきゃいけない事態は回避できたな」

 「冬輔と綜明は流れるように俺を罵倒するなよ。だが、これで瑛士が行方不明になる事態は回避できたな」

 「……あれ? さりげなく俺は命の危機だった?」

瑛士の呟きは全員の微笑によって流されることになった。

ブッチーが入れたお茶を飲んで一息ついたところで信興は何かに気がついた。

 「あれ? ひょっとして瑛士が欠片の興味もない『美食』について返答を保留して帰ってきたのって……」

信興の言葉に全員の視線が瑛士に集まる。すると瑛士は照れ臭そうに頬を染めながら口を開く。

 「えへへ。その男性がストライクど真ん中でさ」

瑛士以外の全員が見たこともない男性のケツの穴に十字を切ったのだった。

 




榊信興
太もも好き

女木島冬輔
腰フェチ

斎藤綜明
うなじスキー

小林竜胆
緩めたネクタイとワイシャツの第一ボタンを外した時に見える鎖骨大好き

茜ヶ久保もも
オタサーの姫志望

司瑛士
ホモ

薙切薊
第一席に狙われるケツ



前書きにある通りに食戟のソーマのアニメ第1期ブルーレイボックスを購入したので書いてみました。え? 第1期に3年生組は出てこない? ちょっと何を言ってるか理解できないんで美作くん風に言ってもらえますか。

司先輩のホモ設定は作者が司先輩を見た時の第一印象が「何こいつ、ホモくさ」と言う印象を使ったためです。異論は認めますがこの作品で司先輩はホモになります。ひょっとしたらバイに進化する可能性はありますが。そして書いているうちに流れ弾を食らった四宮先輩。超頑張れ。

それと今後の展開ですが、ネタ小説でストーリーを考えるとか超めんどさいんで、ストーリーは原作準拠に進みます。原作の流れにイかれた先輩がようこそするってことですね。次の予定では宿泊研修に先輩達が乗り込む予定。おそらく四宮先輩の胃がマッハ。


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友情と触れ合いの宿泊研修〜四宮小次郎の苦労〜

遅くなってしまい申し訳ないです。さらに今回はネタ少なめ。トドメに安定のキャラ崩壊してます。


 「たったこれだけの事で客を失う事もある。テメェ、俺の店を潰す気か?」

四宮のドスのきいた言葉に四宮が退学を言い渡した生徒は悲鳴をあげて肩を落とした。

それに四宮は少し気分を晴らしながら審査員のために集まった遠月の卒業生達の列に戻った。

 (見ました? 水原先輩、どう考えてもただの八つ当たりですよ?)

 (相変わらず四宮は性格が最悪。あれで料理の腕が悪かったら生きてる価値はない)

四宮の1つ下の頭の緩い後輩と同期のチビがわざと四宮に聞こえるように会話しているが四宮はそれを無視する。構ったら負けだ。これに反応したら付き合いの長い2人の煽りが酷くなる。

 (これ、絶対に最近ニュースになった『地球外生命体! 日本人初のプルスポール勲章受賞者のお店を襲撃!?』のことでストレス溜まってますよ!!)

 (あのニュースを見たとき正直『四宮ザマァ!!』って思った)

同期のチビの発言に思わず怒鳴りそうになったが、四宮達の先輩であり遠月リゾート総料理長である堂島銀が演説を始めたことで怒鳴れなくなる。それに気づいた頭がお花畑後輩と無口無愛想チビ同期が『え〜? まさか怒鳴らないのぉ? 先生の言う事を聞くのは高校生までだよねぇ!!』といった雰囲気で煽ってくるのを必死に無視する。ここで怒鳴ったらあの2人をさらに調子に乗せる事になる。

 「意味がわかるか? 俺たちが満足する仕事ができない奴は退学(クビ)ってことだ」

堂島の言葉に生徒達に緊張が走る。それを四宮は鼻で笑う。今の程度の脅しでビクつく人間は成功しないだろう。

 「さて、ここで特別審査員を紹介しよう」

突然の堂島の発言に生徒達だけでなく、遠月の教師陣達も驚いている。当然審査員の卒業生達も同じである。なにせ特別審査員のことなど聞いていなかったからだ。

堂島が指を鳴らすと照明が落ちて音楽が流れ始める。四宮は知らないがその音楽はSFチックでネットワークや義体化した人間との係わり合いを描かれたアニメの第二シリーズのOPテーマだった。そしてその音楽が58秒ほど経過したところで壇上の背後にあった大きな幕が開かれる。

そこには黒っぽい衣装を着て攻殻立ちを決めている悪名高き『第90期マフィア』がいた。

 「なんでこいつらがいるんだぁぁぁぁ!!!!!!」

思わず自分のキャラを投げ捨てて叫んでしまう四宮。それを愉快そうにみる堂島。

 「堂島さん!! なんでこいつらがいるんだ!!」

 「おいおい四宮、卒業校の後輩に対して可哀想な扱いじゃないか?」

 「あんただって俺の店がこいつらに何をされたか知っているんだろう!?」

四宮が外道でクソな『第90期マフィア』に出会ったのは2年前のスタジエールで四宮の店にやって来た時だ。学園総帥直々の願いで3組6人受け入れることになり、送り込まれてきたのがクソ共だった。最初の瑛士と綜明のペアは四宮の言う事をガン無視する以外は問題なかった。次の組の冬輔とももは四宮の言う事を一切聞かずにひたすらにラーメンとスイーツを作り続けて勝手に客に提供するだけで問題なかった(大問題なのは間違いないが)。だが、最後にやって来た竜胆と信興が最悪だった。竜胆はゲテモノの食材を勝手に使ってゲテモノ料理を作り(常連の一部がゲテモノ料理にハマる結果となった)、信興は四宮の店の周辺にあったライバル店の流通ルートを確保していつでも潰せる体勢を整え『え? うちの店長の言う事を聞けない? それだとこれから食材確保が大変になるよ?』という脅しをかけていた(当然のようにそんな指示は出していない)。この6人のスタジエールが終わる頃には四宮は10歳老けたと四宮の店の店員に言われた。

それから四宮は度々クソ共の襲撃を受け、その都度頭の緩い後輩や無口無愛想チビ同期から煽りの連絡が入り四宮のストレスが加速した。

 「まぁ、落ち着け四宮。生徒達だって周囲が大人達ばかりなのは可哀想だろう」

 「あんたそんな優しさ持ってねぇだろ!! 第一、こいつらは確かに腕はいいし卒業も確実だろうが、中身は最悪という言葉では止まらないほどのクソだぞ!? その上にまだ学生だろうが!!」

 「ふむ、学生だが彼らはこの資格を持っているからなぁ」

四宮の叫びを受けて堂島は『第90期マフィア』に指示を出す。

すると『第90期マフィア(面倒だから以降は『先輩’s』で統一)』は全員がWGOの『教典(ザ・ブック)』と一等執行官の証明書を持っていた。

 「なんでテメェらがその資格を持ってるんだぁぁぁぁ!!!!」

四宮の慟哭がホールに響く。

 「何故と言われても拙者達の身内ルールの罰ゲームの結果としか言いようがないのだがな」

 「罰ゲームでWGO執行官の資格をとるんじゃねぇ!! 第一、どうやって試験を受けた!?」

 「ふむ、その辺りはノッブがどうにかしたからな」

綜明の言葉に視線が信興に集まる。その視線を無視するように信興はのんびりと口を開く。

 「イボンコ先輩から今回の依頼があった時に仲良い一等執行官のデコラとクラージュにも声をかけたら乗り気になってくれたんだけど、イボンコ先輩から止められてな」

 「はっはっはっ!! 学生の試験にWGOの一等執行官が8人も集まったら試験レベルが尋常じゃなくなるからな!! それと榊、俺は遠月学園第69期卒業生で遠月リゾート総料理長兼取締役会役員だからな!! 決して声優無法地帯で有名な3Dアニメの総司令官無茶ゴリラではないぞ!!」

 「イボンコ先輩、校長先生経験のある密林巡視員はどうしたんだ?」

 「女木島!! 私は総司令官無茶ゴリラではないと言っているだろう!!」

 「イボンコ先輩、いくら敵だからって人のエビチャーハンを部下に食わせるのはどうかと思うぞ!!」

 「何度も言うが私は総司令官無茶ゴリラではないからな、小林!!」

 「是非とも現在大人気連載中の集英社のお料理漫画のアニメの最終回でも『バナナを忘れた!』をやって欲しい」

 「あれをやったら原作ファンからの総叩きになって大変なことになるから無理だぞ、茜ヶ久保!!」

 「ギリギリの会話をしてじゃねぇぞクソ共!!」

あまりにもフリーダムな会話に四宮が思わず突っ込みを入れる。これ以上喋らせていたら話が進まなくなる。

 「安心しろ、四宮。流石に6人バラバラに行動させたら何をしでかすかわからない危険があるから2人1組にして3人の試験官の補佐役にさせる」

 「……こいつらが大人しく人の言う事を聞くと思ってんのか、あんた」

堂島の言葉に四宮が呟き、自然と視線が先輩’sの方へ向く。そこには先輩’sにブッチーを含めた5人組でギニュー特戦隊スペシャルファイティングポーズをとっている男衆と、2人でプリキュアの決めポーズを決めている女衆がいた。

四宮は見なかったことにした。キチガイ達のやる事を気にしていたら禿げる。

 「そんで堂島さん。どうやってあのキチ共のチーム分けをするんだ」

 「安心しろ。ちゃんと考えている」

そう言って堂島はジュ◯レンジャーの決めポーズを決めていたキチガイ共に声をかける。

 「は〜い、好きな人同士で2人組み作ってぇ」

 「何も決めてねぇんじゃねぇか!!」

流石にやばいと思ったシャペル講師の機転でとりあえずクジ引きで決めることになった。結果は以下の通り

瑛士・ももペア

冬輔・綜明ペア

信興・竜胆ペア

どれも基本的に見えている地雷だが、特に最後の1組がやばかった。どう考えても生徒は当然として押し付けられる審査員の胃のダメージが大きい。

四宮は痛み始めた胃を抑え、脂汗を流しながら口を開く。

 「だ、誰が誰を受け持つんだ」

 『榊・小林ペアは四宮で』

四宮は他の審査員全員から一斉に生贄に捧げられた。誰だって胃痛持ちになりたくない。どうせ被害を受けるんだったら慣れている人間に押し付けるのは当然の心理だ。

 「ふ、ふざけんな!! ただでさえキチ揃いの中でも特に酷い2人組みだぞ!?」

 「言われてるぞ竜胆」

 「お前のことだろ、ノッブ」

四宮は内心で2人ともだ!! と突っ込みを入れながらも堂島に必死に翻意を促すが笑顔で却下された。

 「それじゃあ四宮先輩。試験会場に行きましょうかね」

 「そうだぜコジローさん。時間は有限だからな!!」

信興と竜胆に両脇に抱えられて強制連行される姿を四宮と付き合いの深い後輩と同期は愉悦な表情を浮かべて見送るのであった。

 

 

 

 

 

 

試験会場に着いた四宮は威厳を保ちながら生徒達を見渡す。生徒達には緊張の雰囲気が出ている。

 「この試験会場の担当の四宮だ。この課題では俺が指定する料理を作ってもらう。ルセットは行き渡ったな」

生徒達に告げながら問題児2人組を見るが特に行動を起こしてはいない。注意しながらも四宮は言葉を続ける。

 「それとこの課題ではチームを組まない。一人で一品を仕上げてもらう。調理中の情報交換や助言は禁止だ。食材は厨房後方の山で任意で選び使用してくれ」

そこで信興と竜胆が食材の山で何かをやっているのが見える。それに嫌な予感をしながら四宮は口を開く。

 「周りの奴らは全員敵だと思った方がいいぜ」

この考えは四宮がフランスで感じたことだ。日本人ということで雇っていたシェフから舐められたこともあった(尚、その手の料理人は先輩’sによって再起不能になっている事を四宮は知らない)。だからこその試験内容だ。四宮は他者を蹴落とせと言っているのだ。

 「それじゃ始め」

 「おっとちょっと待ってくださいどうて……四宮先輩」

 「おい、ちょっと待て榊。今、俺のことをなんと言おうとした」

 「ちょっと黙っていてくれよ童貞先輩」

 「ど、どどどど童貞ちゃんわ!!」

小林のあまりな発言に思わずキャラ崩壊をしながら答えてしまった。だが、マイペースで『他人なんざ知るかぁ!!』を地で行く2人は全く聞いていない。これが他の組だったらもうちょっとマシだっただろう。四宮は内心で危険物を押し付けられなかった後輩と同期に恨みの念を送っておいた。

 「さて、俺と竜胆が四宮先輩が用意した食材を見ているとある重大な欠陥が発見された」

四宮は内心で状態の悪い食材を混ぜたことがバレたかと思ったが、このキチ2人がその程度を気にするわけがない。むしろその状態から完璧な味を仕上げる技術を見せつけるだろう(しかし、後日に高確率で食中毒になる危険がある)。

そんな四宮の内心を無視するように信興は言葉を続ける。

 「見た所普通の食材ばかりで面白くない。そこで俺と竜胆は用意されていたキノコ類の中に特殊なキノコを混ぜて見た」

この時点で四宮の嫌な予感は最高潮になっている。そして信興の言葉を引き継ぐように竜胆が楽しそうに口を開く。

 「混ぜたのはドクツルタケとカエンタケだな!!」

ドクツルタケ:1本で死に至る。適切な対応がないと確実に現世からサヨナラ

カエンタケ:触れるだけでも危険

 「何を考えてんだテメェら!!」

 「いやいや、コジロー先輩。料理人に目利きは必須だろ?」

 「そんなわけで四宮先輩は無視して調理を開始してくれ。四宮先輩を殺りたいならキノコを使うことをオススメだぞ!! それじゃあスタート!!」

信興の言葉に一斉に所在に群がる生徒達。しかしキノコ類がおいてある所には誰もいなかった。それを見てつまらなそうにしている榊と小林を四宮は見逃さなかったのであった。

 

尚、四宮は試験後も特に体調に問題はなかったようである。

 




四宮小次郎
先輩’sの奇行に巻き込まれる不幸人。頑張れ!! まだまだ合宿日程はあるぞ!!

四宮の後輩と四宮の同期
「霧のや」女将と「リストランテ エフ」シェフ。本人に聞こえる罵倒を飛ばして四宮の反応を見る鬼畜。

堂島銀
なんかクソ長い肩書きの持ち主。どこかで先輩’sと出会っているようだが書く予定はない。イボンコペッタンコ(イェイ!!)

デコラとコラージュ
本編からかなり先駆けて登場させようかと思いましたが、キャラが多すぎたので断念。なにせ瑛士先輩も喋っていませんからね。彼女達とオリ主くんの繋がりがあるということは薊側にこの2人がつくか怪しいところ。

第90期マフィア
1話に出てきた先輩’sの総称。

ビーストネタ
堂島さんのCVが子安さんで、作者の中の子安はビーストのコンボイ。Blu-rayBoxはよ!!

攻殻立ち
かっこいい立ち姿。ちなみに先輩’sの6人に加えてブッチーが入っていた模様。並び順は決めてありませんが、中央と素子ポジションは司先輩、バトーポジションは竜胆ですかね。



更新が遅くなった上にいつもより文章が短くで申し訳ありません。本当は風呂場のシーンやオリ主くんの妹である涼子の掛け合いも書きたかったですが、執筆時間的に不可能と判断しました。

感想ありがとうございます。返信はできていませんがきちんと読ませていただいております。でもホモの発想はなかったてことはないでしょう。少なくとも作者は司先輩はホモにしか見えない。それと確認なんですが『タグにオリ主をつけた方がいい』とありましたが、これは必須タグに入っているオリ主タグとは別に入れたほうがいいということですか?

さて、この後の展望は一切ありません。行き当たりばったりですので期待しないでお待ちください。
あと最終回をどうしようか考え中です。考えとしては2つ。月響祭で薊を叩き潰して先輩’sの独裁政権が打ち立てられるか、連隊食戟までやるかです。どちらにしても薊のケツは司先輩が掘ってしまう予定が高いです。ちなみに作者は単行本でしか読んでいないので週刊誌の新情報は遅くなってから入ってきます。そのために新情報が出ても反映されるのが遅くなることをご了承ください。


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Doki! 肌色多めのOFURO回!!

みなさん……肌色多めのお風呂回ですよ!!


 「ふ〜ろ、ふ〜ろっと」

合宿夜の課題を速攻で終わらせた創真は仲間の寮生達が課題を終えるまでに風呂に入ってしまおうと大浴場へと向かう。

『曲がり角で曲がったら金髪スタイルグンバツ美少女とぶつかってしまってから始まるラブストーリー』みたいな漫画みたいなイベントが起こることもなく創真は大浴場へと辿り着く。そしてさっさと着ていた服を脱ぐと大浴場の扉を開く。

 「一番風呂いた……」

創真は最後まで言い切ることができずに言葉を飲み込んでしまう。当然であろう何せ大浴場では

 「「ヌォォォォォォォォォォ!!!!!!」」

遠月リゾート総料理長と十傑の第三席が全裸で筋肉を震わせながらアームレスリングをやっていた。

 「フゥゥゥぅぅぅ!! 流石は堂島さんだぜ!!」

 「うむ、拙者との勝負の直後に冬輔と互角に戦えるとか人類かどうか怪しいところであるな」

十傑の第五席と創真と同じ寮に住む榊涼子が物凄く嫌そうに兄と言っていた男子生徒が勝負をしている2人を囃し立てている。

 「………ふぅ」

とりあえず創真は見なかったことにして一度大浴場の扉を閉める。いくら寮で二年の先輩の裸エプロン(しかし、男子生徒である)を見慣れていると言っても、創真も年頃の男の子である。野郎の裸を見ても嬉しくない。

そして一度大きく深呼吸をして、筋肉の祭典を記憶から消去する。そして再び大浴場の扉を開く。

 「一番……」

今度は扉を開けた瞬間に絶句した。

 「ハハハハハハ!! 我が世の春が来た!!!」

何せ堂島の堂島さんを直視してしまったからだ。

勝鬨を上げる遠月リゾート総料理長と「俺は……弱い!!」と悔しがる第三席。

 「御大将は流石だな」

 「完全平和主義を唱えた王国の王子として恥ずかしくないのかね」

 「斎藤と榊は黙ろうな!! 中の人ネタの連発は良くないぞ!!」

創真には理解できない会話を繰り広げる遠月リゾート総料理長とフリーダム三年生’s。

とりあえず榊涼子から聞いていた三年生’sに対する対処法である『見つかる前に逃亡する』を行おうとした瞬間に肩に手を置かれる。

驚いて振り向くと大浴場内にいる筋肉達(超筋肉・遠月リゾート総料理長、マッスル・十傑第三席、戦士のような筋肉・十傑第五席、細マッチョ・涼子兄)とは違って線の細い男子生徒だった。

 「やぁ、なかなか速いじゃないか」

 「え、と……司先輩っすよね」

創真の言葉に十傑第一席はニコリと微笑む。その微笑みに何故か創真の尻の穴がキュっとしまった。

そして十傑第一席は創真の全身を見てから口を開いた。

 「サウナに興味はあるかい?」

その瞬間に創真の全身の血の気が引いた。何せ自分の身の危険を感じたからだ。

 (誰か……助けてくれ!!)

料理に関しては色々な閃きを思いつく創真だが、この危機を切り抜ける閃きは思いつかない。だから誰かに助けを求めた(しかし、恐怖で声は出ない)

 「ノンケを襲うホモの気配!! 冬輔! 綜明!! ジェットストリームアタックをかけるぞ!!」

 「「おう!!」」

創真を助けてくれたのは第一席と仲間のはずの筋肉達だった。

 「ちょ!? ま!! アァァァァァァァッッ!!!!!」

第一席は断末魔をあげながら大浴場に沈められる。親指を立てながら沈んでいく第一席の小さな芸に創真は気づくことはなかった。

 「もう一人目が来たのか。悪いな。入浴中の肉体のメンテナンスは日課でな」

 (え!? あのガチの腕相撲が肉体のメンテナンスなのか!?)

遠月リゾート総料理長の言葉に創真は軽くドン引きする。

だが、良くも悪くも神経が図太い創真はすぐに慣れてしまい、総料理長だけでなく三年生’s(女子陣と第一席を除く)とも一緒に風呂に入ってしまうほどになった

 「いやぁ、一番風呂だと思って勇んできたのにガッカリっすわ」

 「ははは、悪いな。学生の中では一番なんだからそれで手を打ってくれ」

 「おい、このおっさん俺たちのことをナチュラルに学生外扱いしたぞ」

 「失礼な話だな。少なくとも俺と綜明はノッブと違って真人間だというのに」

 「冬輔のいう通りだな。拙者達はノッブやあそこで沈んでいる男と違って真人間だ」

 「冬輔、綜明……ちょっと表に出ろよ……久々にキレちまったぜ……」

 「……放っておいていいんすか?」

 「構わない。あの3人だけだったら一昨年のような建物1棟全焼の事件は起こさないだろう。全員揃っていたら別だが」

遠月リゾート総料理長の言葉に創真は三年生達の時の宿泊研修がどのようなものだったか気になった。

 「しかし去年といい、今年といいなかなかいい学生が育っているな」

 「去年すか?」

創真の言葉に遠月リゾート総料理長は50食作りの試練は例年のことであり、去年も遠月リゾート総料理長が上がる前に創真も良く知る十傑の第七席がやって来たらしい。

そこで創真は1つの疑問に気づく。三年生達の一人と血縁者なばかりに中等部時代から第90期マフィアに振り回されていた榊涼子が『あの人達は料理の天才よ。それ以外は果てしなくクソだけど。料理の腕だけは確かよ。料理の腕だけわ』と言っていた。

 「そういえば先輩達はどれくらいの速さでこの試験をクリアしたんすか?」

創真の疑問に遠月リゾート総料理長(めんどくさいから以降は銀さんと呼称)は思い出すかのように顎に手を当てながら口を開く。

 「ふむ……一番遅かった榊が今日の幸平より1分遅かったくらいだったか」

銀さんの言葉に創真は驚く。寮生達(主に涼子)から三年生’sの情報を聞いていた創真は三年生達とはあまり関わり合いになりたい人種ではなかった。だが、1番遅かった涼子の兄が自分と対して変わらないタイムであり、他の先輩達はそれより確実に速かったという事実は創真の食戟魂に火を灯すのに充分だった。何せ創真はただ料理が上手くなりたくて遠月に来たのだ。その手っ取り早い方法が強い料理人と勝負をすることだ。しかも相手は遠月の(色々な意味で)トップクラスの三年生達。全員とは言えなくても誰か一人とでもやれれば恩の字だ。

そう思って創真が三年生達の方を振り向くが、創真の思考は再び停止する。

そこには水死体のように湯船に浮かぶ涼子の兄と、自分達の息子を隠すこともなく腕を組み、不適な笑みを浮かべながら立ち上がっている第三席と第五席がいた。

 「……え? どういう状況っすか?」

創真の思わず溢れた本音も三年生’sは華麗にスルーして口を開く。

 「ノッブがやられたようだな」

 「フフフ……だがノッブなぞ拙者達の中では一番の小者……」

 「一年生如きにやられるなんて第90期マフィアの面汚しよ」

上から順番に第三席、第五席、いつの間にか復活した第一席である。

流石の創真も状態異常・混乱にかかった。なにせ倒した覚えがないのに先輩の一人を倒したことになっていた。そして何故か三人纏めて倒せるような状況になっている。

 「ム!! 援護するぞ幸平!!」

そして当然のように銀さんも乗っかって来た。この時点で創真はどうしていいかわからなくなった。

 「無駄なことはよせ遠月の雇われシェフ。俺たちはそれぞれ10回食戟で倒さないと倒せないぞ」

 「うォォォォ、俺は高校生時代に才波と一緒に食戟の嵐を起こした気もしたがそんなことはなかったぞ!!」

 「「「いいぜ堂島さん。あんたが俺たち第90期マフィアに勝てると思い上がっているのなら、まずはその幻想をぶち殺す!!」」」

そして大浴場でぶつかり合いになる瞬間に銀さんは大きく叫ぶ

 「月光蝶である!!」

 「「「それはあかんやつだ!!!!」」」

銀さんの叫びと同時に銀さんの背中に蝶の羽のようなものが出て第一席、第三席、第五席が吹き飛ばされて行った。遠月に入学して色々な不思議体験をした創真だったが、この状況は特に未知との遭遇だった。

 「で? 幸平は何か頼みでもあったのか?」

土左衛門状態だった涼子の兄がいつの間にか復活して創真の隣に座っていた。銀さんのテンションが上がって何を言っているかわからない言葉をできる限り無視しながら創真は会話ができそうな涼子の兄に頼みごとをする。

 「あ〜、先輩達の誰か俺と食戟してくれないっすかね」

創真の言葉に涼子の兄は手をヒラヒラと振る。

 「無理無理。冬輔とももは食戟をめんどくさがるし、竜胆は楽しめなきゃダメ。綜明も何か食戟をする決定的な理由がないとやらない。瑛士がやると俺たちが煽りまくって食戟自体がぶち壊されるから不可能」

全員が酷い理由でダメだった。

 「それだったら榊先輩はどうっすか?」

 「俺は自分にメリットがないとやらない。お前さんは俺にメリットになるものを提示できるか?」

涼子の兄の言葉に創真は考える。しかし、元来考えることが苦手な創真はある意味で一番危険な発言をしてしまう。

 「あ〜、俺にできることだったらなんでもしますよ」

 「今何でもするって言ったか!!」

創真の言葉に超反応した十傑の第一席は即座に第三席と第五席に意識を落とされた。

 「ふむ、このゴミはどうする?」

 「敷地内にいい感じの滝があったからそこに放置しようぜ」

第五席の言葉に涼子の兄が答えながら、気絶した第一席を第三席が担ぎ上げながら風呂場から出て行くのを創真は唖然として見送ったのだった。

ちなみにこの後にやって来たタクミ・アルディーニによって銀さんも風呂場から出ていくのであった。

 

 

 

 

その夜、無事に初日をクリアした極星メンバー全員で丸井の部屋で騒ごうとしたが、創真、伊武崎、涼子、田所以外のメンバーは数分で撃沈した。そこで田所の思いを聞き終わった時に創真は風呂場で会った三年生達のことを思い出した

 「そういや、榊。さっき風呂入った時に榊先輩とかの三年生の先輩達に会ったわ」

創真の言葉に涼子の普段の大人っぽい雰囲気と温厚で冷静沈着な性格のために仲間達のストッパーになることの多い涼子の雰囲気が変わった。

 「幸平くん大丈夫? 常識は失ってない?」

 「そこまで言うのか? いや、若干危なかったけどさ」

涼子のあんまりの言葉に幸平も思わず返してしまう。しかし、事実として常識は失いかけたので強く否定はできない。

 「俺は詳しくは知らねぇから聞くけどさ。あの先輩達ってどれくらいやばいの?」

創真の言葉に田所がワタワタとしながら説明をしてくれる。

『全盛期の第90期マフィア伝説!!

・食戟の審査員全員が第90期マフィアに票を入れるのは当たり前、見ていた観客が表を入れることも

・包丁を振るうと三本に見える

・品質最悪の食材も完璧に調理

・学校に通学しただけで教師達が泣いて謝った。心臓発作を起こす教師も

・食材をひと睨みしただけで食材が勝手に下拵えが終わる

・包丁を使わずに手刀で切っていたことも

・グッっとガッツポーズしただけでライバル店が潰れた

・宿泊研修で建物を全焼させた

・中等部時代に学校側から食戟で建物を奪い取る

・第90期マフィアはいつも店先で包丁を物欲しそうに眺める少年にまな板を買ってあげたことがある

・スタジエールは特例で国外の店舗へ。結果的にその店舗のオーナーシェフの胃に穴が空いたのはあまりにも有名

・料理の腕前はクソ高いので学園側も退学処分にできない』

田所の説明を黙って聞いていた創真はゆっくりと口を開く。

 「どれだけ事実なんだ?」

 「まぁ、誇張はしている部分もあるが、全部事実だよ」

 「……マジかよ」

漫画みたいな先輩達相手に流石の創真も苦笑いしか出ない。伊武崎の言葉が事実なら大浴場で会った先輩達はトンデモない料理の腕前の持ち主ということだ。それを知るとますます創真は先輩達相手に食戟をやってみたくなる。

 (ま、同じ学校なんだし機会はあるだろ)

 「そう言えば幸平くん」

 「うん? なんだよ榊」

創真がどうやって先輩達と食戟をしようか考えていたら、涼子が声をかけて来た。

 「確か、前に幸平くんのお店に地上げ屋が入ったって言ってたわね?」

 「うん? あぁ、まぁな。それがどうかしたか?」

 「その地上げ屋の会社の名前とかわかる?」

涼子の言葉に創真は木っ端地上げ屋を思い出す。

 「確か……アーバンライフプランナーだったかな?」

 「あぁ、やっぱり……」

創真の言葉に涼子は疲れたようにため息を吐く。それに田所が心配そうに声をかける。

 「えっと……涼子ちゃん、その会社が何か会ったの?」

 「その会社は元々兄さんの傘下にいたのよ。それに納得できなかったアーバンライフプランナーの上層部が兄さんの傘下から抜けようとしたの。そこで無理矢理な地上げ屋に走ったのよ。もちろん兄さんが飼い犬の叛逆を許すわけがない。幸平くんのお店の地上げに失敗したのと同時にアーバンライフプランナーは倒産したわ。まるで失敗するのがわかっていたかのように」

 「それって榊先輩がアーバンライフプランナーを潰すためにうちの店を利用したってことか?」

創真の言葉に涼子は肩をすくめながら答える。

 「たぶんね」

 




月の御大将・完全平和主義を唱えた王国の王子
堂島さんの中の人の別作品の外骨格。真面目キャラからコミカルなキャラまでこなせる子安さんテラ子安。

ジェットストリームアタック
トリプラーとトライアングルアタックと迷いましたが、子安さんで御大将ネタを使ったのでジェットストリームアタックになりました。

全盛期の第90期マフィア伝説
全盛期のイチロー伝説のコピペ。できる限り第90期マフィアがやることを考えました。

曲がり角で創真とえりな様の衝突イベント
女風呂に竜胆先輩と幼女先輩が入っていて捕まってしまいイベントが潰れてしまったようです。ラッキースケベなんてなかった。





そんな感じで肌色多めのお風呂回(しかし男湯である)でした。え? 女性キャラの肌色が見たい? 原作かアニメを見ることをお勧めしますよ。
前話を投稿した時からネタはできていたので書くのは楽でした。想定外に堂島先輩が自由なキャラになってしまいましたが。
ちなみに最後の一年生達の会話は榊涼子を出したがったがゆえに放り込みました。なんかオリ主くんが暗躍しているように見えますが、設定上では色々暗躍している設定です。だいたい悪いことは三年生達のせい。そして振り回されたがゆえにその危険性を熟知している涼子ちゃん。涼子ちゃんはきっと苦労人。

次回は未定です。四宮先輩VS創真&田所の食戟に先輩達を放り込もうと思っていますが……さて、どうなることやら。


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友情と触れ合いの宿泊研修〜四宮小次郎の苦労 リベンジ〜

お久しぶりに更新です。短文なのはお許しください。そして相変わらず苦労する四宮パイセン。


遠月離宮別館地下一階厨房。ここで四宮は在校生相手に食戟を行うことになった。昼間はキチガイ後輩達によって胃痛が酷くなり、夜にはそれを頭がお花畑後輩と無口どチビ同級生が煽ってきてさらに酷くなる合宿日程。堂島の口車に乗って試験官なんかになった過去の自分のぶん殴ってやりたい気分だった。

極め付けは今日の試験で女子生徒に退学を言い渡したら別の男子生徒に食戟を売られる始末。受ける気はサラサラなかったのにまたもや筋肉お化け堂島によってやらざるおえない状況になった。

 (というより女のために自分の退学をかけるとかあれか? できてるのか? 神聖な料理を学ぶ学び舎でイチャコラしてやがんのか?)

脳内の半分以上で自分にはなかった薔薇色の学生生活を送っている在校生に脳内で五寸釘を打ち込んでいると、ようやく役者が揃ったらしく、堂島が口を開く。

 「只今より二対一の野試合を執り行う」

堂島の言葉を聞き流しながら四宮は自分が退学を言い渡した女子生徒を見る。見るからに弱気で今まで遠月で生き残っているのが不思議なほどのお人好しの雰囲気を持つ少女だ。雰囲気だけなら頭がお花畑後輩が似たような雰囲気だが、こっちは既に外道に脳味噌が染まってしまっている。時の流れとは残酷だ。

 「あ、四宮先輩。今、私に対して失礼なこと思いませんでしたか!! 失礼ですよ!! 超失礼ですよ!!」

 「ヒナコ。四宮が失礼なのは今に始まったことじゃない。学生時代から超失礼人間だったから」

 「水原ぁぁぁ!! テメェの方が圧倒的に失礼だったからなぁ!!」

四宮が無口どチビ同級生に学生時代にやられた失礼な数々を思い出してつい怒鳴ってしまう。

そんなやりとりを無視して堂島は説明を続ける。

 「今日の課題で余った野菜類を料理のお題とし、もう一つ条件を付け加える」

そこで堂島は言葉を切って悪そうに笑う。

 「田所恵。君がメインで調理をするんだ」

堂島の言葉に呆然とする四宮が退学を言い渡した女子生徒。

 (堂島さんも割と容赦がないな)

四宮は野菜を見ながら脳内でレシピを作り上げる。

 「それでは食戟か「面白そうなことをやっているのはここかぁぁ!!!」

堂島の開戦を告げようとした瞬間に勢いよく開かれる調理場の扉。

 「なんでテメェらがここに来やがったぁぁぁぁぁ!!!!!!」

四宮による魂の叫びである。当然であろう。そこにいたのは四宮の胃痛の原因である第90期マフィアの面々がいたのだから。

 「おぉ、マジで何かやってやがる」

 「ふむ、竜胆の勘はやはりバカにできんな」

勢いよく扉を開いた竜胆の後ろから信興と綜明が入ってくる。

 「な!! 私が言った通りだったろ!! 童貞先輩が何か怪しい感じだったから何かやると思ったんだよ!!」

 「おい待て小林。お前誰のことを童貞先輩つった?」

四宮の言葉に第90期マフィアの面々がとても不思議そうな表情になる。

 『四宮パイセン以外にいないでしょ』

 「「ブフゥ!!」」

 「だから童貞じゃねぇと言っているだろうが!! それと笑うな水原にヒナコぉぉぉ!!!!」

心底当然のように言い放った第90期マフィアの言葉に水原と乾は同時に吹き出し、それに四宮がブチギレる。

 「いや、そこまで必死に否定しなくても俺たちはわかっている」

 「お、おお。そうか。それなら良いんだ」

キチガイ達の中では穏健派な冬輔の言葉に四宮も引き下がる。しかし、次の冬輔の言葉で四宮の血圧は再び急上昇することになる

 「四宮先輩は『レギュムの魔術師』と呼ばれている。そして世間では30歳まで童貞を守れば魔法使いになれると言われている。つまり四宮先輩は本物の魔術師になるために童貞を守っているのだろう?」

 『それだ!!』

 「そうじゃねぇ!! 前程である俺が童貞であることが間違っているって言ってんだ!!」

冬輔の言葉に第90期マフィアだけでなく頭がお花畑後輩と無口どチビ同級生がハモり、それに四宮が怒鳴り返す。どう言ってもここにいる連中は『四宮=童貞』の方程式を完成させているらしい。

ちなみにドナートと関守は生暖かい眼差しで四宮を見守っている。その視線には「大丈夫。童貞でも気にするなよ」と言った感情がふんだんに込められていた。ここに四宮の味方はいない。

だが、ここで四宮は初めて第90期マフィアに人数が足りないことに気づいた。

 「あん? 司はどうした?」

 「え〜にゃんならデートで海外に行ったよ」

四宮の言葉に答えたのはブッチーを首を締めるように抱いているももであった。キチガイですらデートする相手がいることに四宮はイラッとしながらも口を開く。

 「ち、生意気に海外に彼女いるのかよ」

 『彼女……』

四宮が彼女と言った瞬間に竜胆を除く第90期マフィアの面々から複雑そうなつぶやきが漏れた。

 「あん? 彼女じゃねぇのか?」

 「いや、なんと言えば良いのかわからないんだが……」

 「まだ恋人ではないし、最初から恋人になろうとしていないというか……」

 「な、なんだ? その反応。お前ららしくないぞ?」

綜明と信興の言葉に四宮の背中に冷や汗が流れる。そのまま第90期マフィアの面々はスクラム組んで何かを話し合っている。

そして話し合いが済んだのか、どこか覚悟を決めた表情でももが前に出てくる。

 「ちなみに四宮先輩は非処女?」

ももの質問に四宮の脳みそが真っ白になる。というより質問の意味がわからなかった。千歩譲って自分の童貞問題だったらわかるが、なぜ自分にはないはずの処女問題が出てくるのだろうか。

 「……お前ら、何を言っているんだ」

 「いや、これは大事なことなんだよ。主にコジロー先輩の身の安全に関して」

普段からは予想できないほどの真剣な表情で告げてくる竜胆。その真剣さを何故普段から出せないのか。

 「何を言っているんですか小林さん!! 四宮先輩が童貞で非処女だったらちょっとレベル高すぎですよ!!」

 「待ちなさいヒナコ。四宮だったらその可能性が否定できない」

 「待て。待てお前ら。お前らが何を言っているが理解できないが、それは絶対に違うと言い切れる」

四宮の言葉に第90期マフィアはどこか安心した雰囲気になる。

 「うむ、それだったら四宮先輩は狙われる心配は下がるな」

 「処女厨だからな。あいつ」

綜明の言葉に信興は頷く。

これ以上この話題を掘り下げると自分の身の危険を感じた四宮は話題を変える。

 「それで? テメェらは何しに来た?」

 「何しにと言われても困るんだがな。俺たちは竜胆の『何か面白そうな気配を感じる!!』って言葉について来ただけだからな」

 「そうか。だったら今すぐに方向転換して部屋に帰れ」

信興の言葉に四宮は入り口を指差す。それに信興は悪い笑みを浮かべる。

 「お? ここで俺たちを帰して良いのかな? 今からやろうとしているのは多分食戟だろ? しかもこんなところで隠れてやるってことは先生達にはバレちゃまずいってことだ。他の連中はまだしも俺は口が軽いからなぁ!! シャペル先生辺りにチクる可能性があるからなぁ!!」

 「最悪すぎるぞテメェ!!」

ストレートに四宮を脅して来た。

 「流石はノッブだな。悪役ムーブが板につきすぎている」

 「うむ。拙者達ではあそこまでの悪役ムーブはできん」

冬輔と綜明は呑気に会話をしているが、四宮は背筋に冷たい汗が流れる。冗談めかしているが、目の前の筆頭外道・榊信興は外道行為をやると言ったらやる男だ。

 「……わかった。テメェらも大人しくしているんだったら審査員をやれ」

 「やれやれ。俺たちを問題児みたいに扱いやがって」

 「失礼な話だな。板長、とりあえずマグロで」

 「俺はラーメンで。麺は硬めで油マシマシで」

 「ももはチョコレートパフェ」

 「リンドーさんはイナゴの佃煮チャーハンな!!」

 「野菜お題の食戟だクソどもおぉぉ!!!!」

流れるように無茶な注文を始めた第90期マフィアに怒鳴り返す四宮であった。

 

 

ちなみに田所ちゃんの退学は第90期マフィアのせいで有耶無耶になりました。

 




四宮パイセン
相変わらず外道達に振り回される童貞処女な先輩

レギュムの魔術師
四宮パイセンの通称。これを名乗っているということは30歳まで童貞を守ると言っても過言ではないですよね?

司E士
処女厨なホモ。今回のデート相手は神の舌のお父様の模様



お久しぶりに更新です。見事に言っていた公約を守ることができませんでした、申し訳ない。これも原作で先輩達との戦いが割とあっさりと終わってしまったせい。なんか微妙に不完全燃焼な終わり方でしたな。そして二年生編から読む気は失せていますので設定は31巻までの設定でいきます。どこまで連載するかわかりませんけどね!!


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