バトルスピリッツ 欠落 (えむ〜ん)
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初心者必読!バトルスピリッツのルール

バトルスピリッツのルールを書いて載せて欲しいとの要望があったのでバトルスピリッツが分からない人の為にルールを一通り説明したいと思います。



1.バトルスピリッツを行うのに必要な物。

 

・40枚以上のカードで構成されたデッキ

・30個以上のコアとソウルコア一つ

 

 

 

2.バトスピのルール説明

 

●勝利条件

 

・相手のライフを0にする。

 

・相手のデッキが0になった状態で相手がスタートステップを迎えること

 

 

 

●基本ルールその1

 

・初めのライフはコア5個。上に書いた通り相手のライフを0にしたら勝利となり、逆に0にされたら敗北となります。

 

・デッキは40枚以上でスピリット、アルティメット、マジック、ブレイヴ、ネクサスから構成されます。

 

・初めの手札は4枚。デッキの上から4枚カードを引いてそれを最初の自分の手札とします。

 

 

・リザーブ

 

コアが置かれる場所にコアを三つ、ソウルコアを一つ置いておきます。

リザーブのコアはスピリットやアルティメット、ブレイヴ、マジックそしてネクサスのコストやレベルアップに使用されます。

 

 

・トラッシュ(カード)

 

破壊、消滅させられたスピリットやネクサス、使用されたマジックをおいて置く場所です。

 

 

・トラッシュ(コア)

 

スピリット、アルティメット、ブレイヴの召喚や、マジックの使用、ネクサスの配置などでコストを払ったコアはすべてトラッシュに置かれます。

 

 

●基本ルールその2 バーストについて

 

バトスピのカードにはバーストという1枚だけカードを伏せておく効果のあるカードがあります。バースト効果のあるカードには自分のライフ減少後など様々な発動条件があり、その条件に達した時、自分の任意のタイミングで発動をすることが出来ます。そしてバーストはメインステップでセット、貼り替えができ、貼り替えの際にはあらかじめセットされていたバーストカードをトラッシュに送り、新たに手札からバーストをセットしなくてはなりません。

 

 

 

●基本ルールその3 アクセルと手元について

 

手元とは自分のカードを公開して手元置いておくこと。そして手札同様にコストを払って使用することが出来ます。

 

 

・アクセルについて

 

アクセルとはスピリットにマジックの様な効果が付いたもので本来のスピリットの召喚に必要なコストと別でアクセルの効果を使用するのに必要なコストと軽減シンボルがあります。

そしてアクセルの効果を使用した後は手元に置かれます。

 

 

 

●基本ルールその4 ソウルコアについて

 

ソウルコアは普通のコアとして使えますが特殊なコアでソウルコアをライフに置いたり、召喚コストに使うことで効果を発揮するカードが多々存在します。

 

・煌臨について

煌臨とはフィールドに召喚されているスピリット、アルティメットカードにソウルコアを支払って重ねることが出来るギミックの1つです。

煌臨をするのに煌臨条件があり様々な条件があります。

煌臨した時に発揮する効果、すなわち煌臨時効果というものもあります。そして、煌臨したスピリットの下にあるカードを煌臨元カードといい様々な用途に使われます。

煌臨したスピリットが破壊された時、煌臨元のカードも一緒にトラッシュに送られます。

 

●基本ルールその5 カードの色とシンボル

 

このカードゲームには6色の色、即ち属性があります。

 

 

・赤属性について

 

赤属性は主に相手の場のスピリット、アルティメットを破壊することを得意とするカードや、BPが高いカードが多い属性です。特にドラゴンや、竜人などが赤属性に属しています。

 

・紫属性について

 

紫属性は主に相手のカードのコアを取り除きスピリット、アルティメットのコアを0にする…つまり消滅させることに長けた属性でトラッシュからスピリットの召喚などの効果をもっているカードが多いです。蛇、ゾンビの様なカードが代表的です。

 

・緑属性について

 

緑属性は、リザーブのコアを増やしたり相手のカードを疲労させて、動けなくさせるカードが多いです。鳥や、地を駆ける動物の様なカードが多いです。

 

・白属性について

 

この属性は防御が得意なカードが多く、相手のスピリットや、アルティメットを手札や、デッキに戻したり、自分のライフを守る手段が多いカードです。

 

 

・黄属性について

 

黄属性は主に天使などのかわいいマスコットキャラの様なカードがあります。そしてこの属性は、マジックに関する効果を持っていたり相手のBPを下げるトリッキーな戦い方をしてくれる属性です。

 

・青属性について

 

青属性は、ゴーレムや、剣闘士などのカードが代表的で、この属性に最も注目すべき事なのがデッキ破棄能力があるということ。相手のデッキをトラッシュに送り続けライフよりデッキアウトを狙う戦術を取ることができます。

更にネクサスを利用した効果もあり、非常に面白い属性です。

 

 

・シンボルについて

 

シンボルとは相手のライフを削ったりスピリットなどのカードのコストを軽減してくれたりと色んな役割があり、シンボルにも6色の色があります。

 

・軽減シンボルについて

 

軽減シンボルとはその名の通り使うコアのコストを減らしてくれます。ここでは一つ例えを使っていこうと思います。

 

 

寅の十二神皇リボルティーガ

 

コスト7 軽減シンボル 赤三つ 白一つ

 

 

このように軽減シンボルには軽減出来る限界があり、この場合赤三つと白一つで最大4軽減出来ます。

場にシンボルのあるカードがあればある程有利になりますが、シンボルの無いカードがたまにあるので要注意。

そして色の軽減シンボルはその色に対応した色のシンボルでしか軽減出来ないというのを忘れてはいけないです。

 

 

●基本ルールその6 系統について

 

バトルには色の他にも系統というものがあり、その系統をサポート出来るカードが多く存在するので系統はデッキを作る上で統一しておいた方が良いです。

 

 

 

●基本ルールその7 ターンシークエンス

 

ここでは、ターンを進める順序を説明します。

 

・スタートステップ

自分のターンが始まったことを伝えるステップ。

 

・コアステップ

 

ボイドというコアを溜めて置く場所から1個だけコアをリザーブに追加するステップ。このステップは先攻1ターン目には行うことができません。

 

・ドローステップ

 

自分のデッキの1番上からカードを1枚ドローするステップです。

 

・リフレッシュステップ

 

アタックや、ブロックをして疲労したスピリット、アルティメットを回復させトラッシュのコアをリザーブに戻す重要なステップです。

 

・メインステップ

 

このステップで、リザーブのコアを使ってスピリット、アルティメット、ブレイヴの召喚。マジックのメインの使用やネクサスの配置を行うステップです。

 

・アタックステップ

 

このステップはスピリット、もしくはアルティメットで相手のプレイヤーに攻撃をしかけるステップです。

 

攻撃をし終えたスピリットは疲労状態となりアタック、ブロックが出来なくなります。

 

そしてアタックしたスピリットの効果を処理した後、フラッシュタイミングというものがあります。

フラッシュタイミングはマジックカードに記載されたあるフラッシュの効果をこのタイミングでコストを支払い使うことが出来ます。

フラッシュタイミングでカードを出す順番は防御側、次に攻撃側の順番です。

そしてアタックされたプレイヤーはその攻撃をライフで受けるか、自分のスピリット、アルティメットでブロックするかを任意で発言出来ます。

攻撃がブロックされなかった時、相手のシンボルの数分自分のライフは減り、そのコアはリザーブに送られます。

逆にブロックした場合。ここでもフラッシュタイミングがあり、防御側から発動します。

そしてスピリット、アルティメットのバトルでは、BPが高い方がそのバトルに勝利となり、バトルに敗北したカードは破壊され、カードのコアはリザーブに、破壊されたカードはトラッシュに送られます。

 

ちなみにこのステップは先攻1ターン目には無いです。

 

・エンドステップ

 

自分のターンの終了を伝えるステップです。その後相手のターンが始まります。

 

 

 

3.カードの種類と説明

 

●スピリット

 

スピリットはバトスピを行うには欠かせない種類の一つです。コストを払い、コアを乗せます。

アタックや、ブロックをしてくれる重要なカードで、様々な効果を持ったスピリットがあります。

 

 

●アルティメット

 

アルティメットはバトスピにおいてスピリットより強力なカテゴリですが、特定の召喚条件があり、それをクリアしなければ召喚できません。

またアルティメットであることからスピリットを対象とした効果は受けずアルティメットを対象とした効果でないといけないです。

 

・アルティメットトリガーについて

 

アルティメットだけがもつ効果です。

相手のデッキの1番上のカードをトラッシュに置き、置かれたカードのコストとアルティメットトリガーを行ったアルティメットのコストを比べアルティメットのコストの方が高ければヒット!そのアルティメットの効果が発揮されます。

トラッシュに置かれたカードのコストの方が高ければガード!アルティメットの効果は発揮されません。

 

・ソウルドライブについて

 

ソウルドライブもアルティメットだけがもつ効果です。

ソウルコアというコアをゲームから除外することで、効果を発揮します。ソウルコアが2度と使えないというデメリットがありますが、その分強力な効果が多くあります。

 

※BPについて

BPはスピリット、アルティメットが持つ強さを表します。スピリットやアルティメットのバトルではBPの高さを比べます。BPが高ければ高いほど、バトルで有利になります。

 

●ブレイヴ

 

ブレイヴはスピリットの上にそのカードを重ねるブレイヴ(合体)することでスピリットを強化するカード。ブレイヴすることで、そのスピリットカードはブレイヴされたブレイヴの色、シンボル、BP、効果が追加されます。

そしてブレイヴには合体条件というものがあり、特定のコストのスピリットや、アルティメット…ブレイヴによって合体出来るスピリットとアルティメットが違ってきます。

そしてブレイヴがブレイヴしていない状態のことをスピリット状態といい、アタックとブロックが可能でスピリットを対象にした効果を受けます。

 

・異魔神ブレイヴについて

 

異魔神ブレイヴは左右に合体条件があり、左右によって付与される効果が異なります。そしてスピリット状態の異魔神ブレイヴは疲労せずアタックとブロックが出来ません。

 

 

●マジック

 

マジックはコストを支払うことで使用出来るカードでそのカードを1回使用するとトラッシュに送られます。

そして、マジックカードにはメインステップで使用できる効果とフラッシュで使用出来る効果があります。

 

ちなみにフラッシュの効果はメインステップで使用可能です。

 

●ネクサス

 

ネクサスはスピリットと違い、アタックとブロックは出来ません。

しかし、維持するコアはレベルアップの時以外では必要なく、場に存在する限り、その効果を発揮し続けるカードです。




と基本的なバトスピのルールは説明したと思います。文にすると分かりにくい所や間違いもあると思いますがその時はコメント欄や僕のTwitterアカウント(@magunakyo)の方にコメントして頂ければ直ぐに訂正又は追加します。

今後ともバトルスピリッツ 欠落をよろしくお願いします!!


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本小説の環境、レギュレーションについて(必読!)

本編小説の環境、レギュレーションについての説明書となっております。


※注意!本編バトルスピリッツ 欠落を読む前に必ずご覧になってください。(本説明の投稿以前よりバトルスピリッツ 欠落を見ていた方も出来れば見てくださると嬉しいです。)

 

ー採用されるレギュレーションー

本小説、バトルスピリッツ 欠落の禁止、制限カードのレギュレーションは[第19回制限改定]のレギュレーションを採用しておりますので予めご了承ください。

 

詳細は下の通りです。

カード効果までは書かれていないのでお手数をかけますが調べてくださると助かります。

 

 

[第19回制限改定 禁止、制限カードリスト]

 

ー禁止カードー

デッキに1枚も入れることができないカード

 

●スピリット

・大天使ミカファール

・烈の覇王セイリュービ

 

●ネクサス

・栄光の表彰台

・巨人港 

・魔法監視塔

 

●マジック

・イビルオーラ

・ストームドロー 

・インビジブルクローク

・ネイチャーフォース

・ライフチェイン

・グレートリンク 

・インフェルノアイズ

・トリックプランク

・ルナティックシール

・ハンドタイフーン

・ウィッグバインド

 

ー制限[1]カードー

デッキに1枚しか入れることができないカード

 

●スピリット

・大天使ヴァリエル

・導化姫トリックスター

・闇騎士アグラヴェイン

・タマムッシュ

・森羅龍樹リーフ・シードラ

・アトライア・ハイドラ

・鎧闘鬼ラショウ

・五聖童子

・紫煙獅子

・申の十二神皇ハヌマーリン

・果物女王マンゴスティナ

・庚の猿王ヴァーリン

・プリズモルフォ

・闇騎士トリスタン

・戦極マキシマムドラゴン

・放浪者ロロ

 

●アルティメット

・アルティメット・ダ・ゴン

 

●ブレイヴ

・バルカン・アームズ

・牙皇ケルベロード

 

●ネクサス

・侵されざる聖域

・灼熱の谷

・侵食されゆく尖塔

・海底に眠りし古代都市

・血塗られた魔具

・血塗られた魔具REVIVAL

 

●マジック

・マインドコントロール

・マジックブック

・双光気弾

・ストームアタック

・フォビドゥングレイヴ

・ネクロブライト

・双光気弾

 

ー制限[2]カードー

デッキに2枚しか入れることができないカード

 

無し

 

ー制限[20]カードー

デッキに20枚しか入れることができないカード

 

●スピリット

・BooBooマン

 

 

 

ー本編の環境、登場するカードについてー

本編に登場するカードは煌臨編4章 選ばれし者 までとなっております。

ですので、それ以降の神煌臨編第1章 創界神の鼓動を含めそれ以降の新弾のカードは登場しませんのでご了承ください。

コラボカードにつきましては上と同じように煌臨編以降に登場したコラボカードは一切登場しません。

 

環境、レギュレーションの説明が遅くなって大変申し訳ありませんでした。

このルールに乗っ取り、本小説を書いていきたいと思いますので今後ともよろしくお願いします。




本当に大切なことを投稿しておらず、焦って纏めて投稿しました…
本当に申し訳ないです。
こんな頼りない投稿者ですが、引き続き暖かい目で僕の小説を見ていただければ幸いでございます。
それではこれでシメとさせていただきます。ありがとうございました!


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プロローグ

ハーメルンへの初の架空バトスピ小説の投稿を試みたマグナ卿です!初心者で色々とミスはあると思いますが、どうか暖かい目で見守ってくれたら幸いです!


…冷たい風が頬を撫でるように吹く。12月の夜は昼間と比べて格段に気温が下がるものだ。

俺は高層ビルの屋上から街を見下ろすように見た。蛍光灯に照らされた街を車が目まぐるしく走っている。

時刻は午後8時35分といったところ。いつ買ったのかは忘れたが、使い古された左手の腕時計の針がそう示していた。

何故、俺がこんな所で立っているのか…理由はこれから自殺を決行するためだ。

俺がこれを行う動機は以下の通りだ。

まず、俺は人間の立場からすると大富豪や政治家などではなく、貧相なそれも底辺中の底辺の人間だ。それも原因は俺の両親にあった。

しばらくして、俺の父が多額の借金を背負うことになり貯金のほとんどが消し飛んでしまった。そこから俺が過ごしていた日々が崩壊し初めた。心優しく俺に夢を語っていた父が今や働かず毎日酒に酔い、母は低収入の職に就き生活を何とか維持しようとしていた。

毎日が父の怒鳴り声と母の泣く声が俺の両耳に響いていた。

また、高校では俺の性格や俺の父の借金の話を知っているのか、それをネタに虐められた。まぁ家の前に直々借金取りが押し寄せてくるから俺の住む街では悪い意味で有名らしい。そして挙句の果てに担任の教師は知らないふりときた。

それから俺は不登校という形で学校に行かず、働く母の代わりに家事を行っていた。

夫婦喧嘩や学校での虐めにより、俺の居場所は無くなっていた…しかし、唯一の心の寄所があった。それは、俺の家の左隣の家の知り合いのおばさんだった。そのおばさんは俺の母と仲が良く、俺もよくお世話になっていた。家族喧嘩や虐めで傷ついた俺をおばさんは慰め、相談に乗ってくれた上に、おこづかいも貰ってしまうこともあった。

いっそのことこの人の養子にでもなれたらと何度も願っていた。でも、世界は俺から唯一の心の在処を奪ってしまった…。

おばさんが乗った自転車に赤信号を無視して走ってきた車が衝突した。

…即死らしい。そりゃあ、ヘルメットなしのほぼ無防備の状態で横から鉄の塊が高速でぶつかってくればそうなるよと医師は言っていた。

どうして、おばさんなんだ?どうして俺はこんなにも不幸なんだ?こうなるんだったら生まれて来なければ良かった。

せっかく俺を産んでくれた母に申し訳ないがそう思わずにはいられなかった。

心のよりどころが完全に無くなってしまった今、俺に生きようと思う気持ちは微塵も無くなっていた。

だから今自殺を決行しようとしているのだ。

そして、俺はビルの端に立った。…瞬間、バキッと何かが折れる音がしたと同時に俺の身体は重力に引っ張られるかのごとく、高層ビルから真っ逆さまに落ちていく。きっとあそこは、修理工事をしていた箇所なのだろう。夜で蛍光灯の光があったといえど暗かったので気づかなかった、でもこれはこれで好都合だ。いざ、飛ぶとなると怖くて飛べずに終わるかもしれなかったからだ。

人間って死んだらどうなるのだろうか?ふと幼少期の頃から抱いていた疑問が蘇った。天国や地獄なんて、死後の世界を信じてはいないけど、もしあるのなら、天国のおばさんに会ってまた慰めてもらいたいな…

そして…短い時の中で働いていた思考と意識が一瞬にしてブラックアウトした。

俺、天童駆の短い人生の終幕であった。

 

 

…To be continued

 

 




まだ、東方や、バトスピ要素は出ておりませんが、後に出していこうと思います!


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主人公設定

第一話に進む前に主人公設定です。どうぞ!


名前 天童(テンドウ) 駆(カケル)

性別 男性

年齢 16歳

身長 174cm

体重 59kg

誕生日 9月19日

星座 乙女座

血液型 AB型

容姿 高校生の標準に近い体をしているが筋肉があまり無いらしく自宅にて筋トレに励んでいた。それにより、若干ではあるが肉が増え体重が高校生の標準より少ないが増えつつある傾向。目の色は珍しく若干赤色が混じっている黒。家が貧乏な故、散髪が出来ないので黒髪が肩まで伸びきっている。そして顔にも髪の毛がかかっている状態である。必要時にはポニーテールという形でまとめるらしいのだがほとんど髪を下ろしている場合が多い。視力は両方共にBで一応、昔買ってもらった赤いフレームの眼鏡を所持している。ファションで時々眼鏡をかける時がある。服は黒いズボンにチェック柄の服をよく着る。白と水色の組み合わせのものを好んで着るらしい。

 

イメージCVは浪川大輔さん。機動戦士ガンダムUCの闇リディ少尉のイメージが理想的です。

 

その他

冷静沈着で感情を顔や仕草で表さない事が多く無表情の時が多いが、現実的で理屈っぽいところがある。発言する時は発言するが、他人とのコミュニケーションや、上の通り感情を表に出さないという人間性として欠けている部分が多々ある。それが原因でいじめの要因になったと彼自身推測しているようだ。趣味はバトルスピリッツというトレーディングカードゲームを好んで行う。実力はそこそこで、ショップバトルでの優勝は何回かしたことはある。使用デッキは複数あるらしいが不明である。そして読書が好きなのだが、読む本のジャンルは様々である。普段、体を動かすことをしないので身体能力は低いが学力は中学校の時は好成績である。高校生の今では学校に行けない状況なので成績は良し悪しは不明だ。

好物はカロリーメイトや、インスタントのカップラーメン、ハンバーガーショップ等、手軽でエネルギーが取れる物。おばさんが事故で亡くなる前まではおばさんの家でブラックコーヒーに挑戦していたらしく、今では彼の好物リストのひとつに入っている。そんなインスタント好きの彼だが働く母の代わりに家事を行っているので家事スキルは高く、掃除、洗濯、炊事を難なくこなす。

家での居場所も学校での居場所の無い彼が唯一心の在処と思っていたおばさんが亡くなったことで居場所が無くなった彼は最期、ビルの屋上から飛び降りる形で約15年という非常に短い一生を終えることになってしまう。




次は1話です!なるべく早く投稿出来ればいいなと思います!


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Turn-1 邂逅 〜みちびき〜

第一話の投稿です。どんどん投稿できたらいいなと思っています!


…ブラックアウトしたはずの意識が戻った気がした。ゆっくりと俺は目を開ける。自分の身体がある、ここはどこだろう…?何も無い真っ白い空間に俺は居た。なるほど、今まで天国だの地獄だの信じてはいなかったが、人間は死ぬとこんな所に来るのか。

 

???「そこに居たのですね、探しましたよ。」

 

どこからか、透き通るような女性の声が聞こえた。俺は驚くと同時に考えた。

何故死後の世界の筈なのに人間の声が聞こえるのだと。幾ら考えても納得のいく答えが出なかった。

 

???「分からないですか?なら1度後ろに振り返ってみてください」

 

との事だ。俺は瞬時に振り返る。すると、そこには女性の理想的なスラリとした体型に加え、豊満な膨らみが2つ。街中の100人中の9割以上の人が美しいと言う程の絶世の美女が立っていた。

 

???「そんな、絶世の美女だなんて過大評価しすぎです。私なんてそんなに大したことないですよ」

 

目の前の女性は少し照れているように言った。

…ん?俺はさっき言葉にせず、そう思っただけだのはずなのに彼女は何故俺の考えが分かったんだ?

 

駆「…一体、貴女は何者ですか?」

 

女神「私ですか?私は神様ですよ」

 

俺の質問に彼女はケロッとした顔で言った。薄々感ずいてはいたがまさか本当に女神様だとは思わなかった。

まるで、小説の主人公のような体験を今、俺はしているのか。そう思うと心無しか気持ちが高揚してくる。

 

女神「無表情の様に見えますけど、内面では興奮しているのですね」

 

駆「なるほど、神様は結構失礼な方なんですね。無表情なのは俺の生まれつきです。気にしないでください」

 

今結構失礼なことを言った女神様に若干怒気のこもった声で説明をした。

 

女神「ご、ごめんなさい!私、思った事をすぐ口に出すタイプでして…」

 

ふむ、神様にも人間の様に様々な性格の神様がいるということか。

 

駆「ところで女神様、一体ここはどこなのですか?」

 

俺の質問に彼女はハッ!として何かを思い出し話しはじめた。

 

女神「忘れていました。天童駆さん、唐突ですが貴方は今天国と地獄に入る前の空間にいます。そして、貴方には転生をしてもらいます」

 

天国と地獄に入る前の空間と女神様は真剣な表情でそう言った。女神様がそう言うのだからここは天国と地獄に入る前の空間であることは間違いでは無いのだろう。

しかし、転生に関してはさっぱり分からない。現に俺は死を望んでいたし、決して女神様の不手際が招いた死では無いだろうが……いや、待てよ。もしやあの修理工事の…

そう思い女神様の方を見ると彼女は申し訳なさそうな態度で俺に言った。

 

女神「私の不手際で貴方の人生を終わらせてしまい、本当に申し訳ありません!」

 

駆「やはりそうでしたか。いいですよ、気にはしてはいません。それより転生先はどんなものがあるのですか?」

 

俺は女神に問い掛ける。

 

女神「切り替えが早くて助かります!すいませんが貴方の転生先は既にこちらで決定されているのです」

 

駆「そうなのですか。」

 

女神「はい、それで転生先の話なのですが、貴方には東方Projectの幻想郷に行ってもらいます」

 

幻想郷…それは忘れられた者達が集う最後の楽園…と東方の知識に関してはざっくりなのでここまでしか分からない。しかしこういった転生物の小説に東方Projectの二次創作が多い印象があったので、実際行ってみたらどうなのだろうかという好奇心はある。

 

女神「ところで駆さんには幻想郷に言ってもらう前にこれを持って行って欲しいのです」

 

と女神様は見覚えのあるケースを取り出した。

 

駆「…!それは、俺のバトルスピリッツのデッキの入ったケース!何故これが必要なのですか?」

 

そう東方Projectと言えば弾幕勝負だ。なのにこの女神様は魔力や妖力などを俺に与えず、いきなりカードを取り出したのだ。

 

女神「はい、今回、貴方が転生する幻想郷は貴方が知る原作といくつか異なる点があります。このカードが必要なのもそのせいなのです。

それとひとつ、こちらの都合で申し訳ないのですが、幻想郷に持っていくことが出来るデッキは4つまでとさせていただきます」

 

原作といくつか異なる点か…バトルスピリッツが必要不可欠なら戦いの中心はそれになるのか…。しかし、万が一ということもある。何か自分を守れる武器を用意しておこう。

 

駆「…なら代わりと言っては、なんですが護身用に殺傷力の高い拳銃が一丁欲しいのです」

 

女神「わかりました、殺傷力の高い拳銃ですね」

 

と女神様に頼み、俺は早速幻想郷に持っていくデッキを考える。

4つに絞るとなると結構悩んでしまうものだ。

 

女神「これだけで本当によろしいのですか?他に欲しいものはありますか?」

 

駆「いえ、これで充分です」

 

俺は女神様の問いに答えた。これ以上、彼女に負担をかけるわけにもいかない。

 

 

〜数十分後〜

 

 

駆「これでいいのかな…よし!決まりました、いつでも行けます」

 

思いの外時間はかかったが、あちらの環境でも戦っていけるデッキを抽出した。これで幻想郷に行ける。

 

女神「わかりました、では天童駆さんの転生を行います」

 

女神様が俺に手をかざした。すると、俺を中心に魔法陣が展開される。そして、女神様が手を振り俺に微笑んだ数秒後、俺の意識が飛んだ。

 

 

 

女神「…さてと、駆さんの転送は終わったことだし、頼まれた拳銃を用意しないと…へ、へクション!」

 

ブゥゥン!!←銃が転送される

 

女神「…あ、ああああ〜!!送る拳銃の種類間違えたぁぁぁ!それに、今送ったS&WM500って威力は凄まじいけど射手の身体にものすごく負担をかける銃じゃない!それも駆さんのあの身体能力では…ど、どうしよう!?これどうすればいいんだろう!?…あ、焦ってはいけません。そうだ!駆さんには肉体強化をかけておきましょう。これで何とかなってくれればいいのですが…」

 

 

……To be continued




次回予告
忘れられた者の最後の楽園、幻想郷。女神の意向により転生させられた俺が見た幻想郷は少しなんてものでは無く、大幅に異なるものだった。
それでも、ここが俺の最後の楽園だ。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-2 楽園へ


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Turn-2 楽園へ

若干時間が開いてしまい、誠に申し訳無く思いつつ第2話を投稿したいと思います。それと、作者は銃のこととか全く知らないので、その点についてはご了承願います。後々勉強していく所存であります。

さて、前置きが長くなりましたが第2話をご覧下さい!


…また意識を失っていた様だ。俺は目を覚ました。先程の何も無い白い空間が打って変わって木材で出来た洋風の家になっている。俺は早速この家の中を見て回る。

ふとリビングのテーブルに手紙と直方体の箱が置いてあるのが目に入りそれを先に見ることにした。恐らく女神様が用意していたものであろう。

手紙の内容は……なるほど。要約するとこの家は女神様が準備したもので、金銭面での心配も必要ないとの事だ。

さらに、明日はバトルアカデミアという学校の入試日で内容は基本の5科目+バトスピの筆記と試験管によるバトスピの対人戦の実技テストがあるそうだ。会場は地図があるから、そこで確認をして欲しいとの事だった。つまり、ここに来て早々学校の受験に合格しろということだ。

また追記で書かれていることには送る銃を間違えてしまったらしい。俺は手紙の横にあった直方体の箱を開けた。入ってあったのはまさかのS&WM500という超大型回転式の拳銃且つ、50口径のマグナム弾が数百発のセットとなって入っていた。確かに殺傷力の高い拳銃と言ったがこれは度が過ぎている。要望を細かく言っておくべきだった。これでは相手を殺す前に自分の身体が先に壊れてしまう。

少々がっかりしてしまうが、手紙にはまだ続きがあって女神様の方で俺の肉体を強化して置いたとのこと。それでも安心は出来ないらしいので連発は控えることにしようと思った。

一通り家の中も見終わって手紙を読み終えた俺は幻想郷の世界をこの目で見るために玄関の扉を開けた。とたん、太陽の光が俺を照らす。眩しさにより、目を細めるがよく見るとこの辺りには太陽の光を浴びたいと体を伸ばす木々が何十本、何百本と確認でき、木々が生い茂っているからか非常に空気が美味しい感じる。しかし、家の中に見つけたマップに書かれていることにはここは魔法の森という場所らしくここから受験会場兼受験校がある人里までそう遠くないと感じた。

 

 

外の空気を吸ってリフレッシュした俺は家の中に戻り勉強をすることにした。まさか、バトルスピリッツが必修の学校があるなんて思いもしなかった。それほど、この幻想郷にとってバトルスピリッツは無くてはならないものなのか。しかし、女神様も俺に無理難題を押し付けるものだ。1日で五科目なんてみっちり勉強出来るはずがない。俺は家の書斎に入ると本棚から、あらかじめ用意されていた五科目全ての教科書を取り出しそれを夜になるまで読み続け、その後、試験の一部である実技テストのためのデッキを考察していた。そういえば、この幻想郷の環境ではどんなデッキが使われているのだろうか?ここにたどり着く前に女神様に聞いておけばよかったのだろうか?いやそれは少しズルになってしまうか。まぁこの世界の環境がどんなものであったとしても俺のデッキは4つ。この中から選び使用するしなければならない。俺は4つのデッキの1つを取り出し、調整しようと思ったが俺としたことが差し替えのカードを忘れて来てしまったようだ。俺は自分自身が情けない人間だと思ったが、デッキ内容を見るにそこまで壊滅的では無い…むしろ揃うべきカードは揃っているので差し替えカードが無くともデッキの特性を活かし、戦うことが出来るだろう。

今回の実技テストで使用するデッキは、俺の元いた世界では中々の注目を浴びたデッキだ。若干運に左右されるところがあるのだが、コントロール性に富み、攻守のバランスがとれているデッキだ。

…さて明日使用するデッキも決まったしそろそろ寝るとするか。こういう大事な日の前日は心臓がドクドクと音をたて眠れないケースが人間にはよくあるのだが睡眠はとっておかないと生活のリズムが乱れたり、肌に良くない事が起こると言われている。故に睡眠はしっかりとっておくべきだ。俺はデッキを片付け、寝床に着いた。

 

 

To be continued……




次回予告
俺の楽園は何もかもが想像通りではなく予想の斜め上をいくものだった。
そんな混乱した思考の中で俺は実技テストの会場である体育館にて1人の少女に声をかけられた。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-3 駆の試練


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Turn-3 駆の試練

第3話です!このペースで投稿できたらいいなと思います!毎回深夜投稿ですみません。この時間帯にしか投稿できないので…


…なんだか眩しいな、一体なんなんだ?俺は眩しくて目をゆっくりと開ける。そうか、カーテンの間から光が漏れて俺を照らしていたんだ。ということは朝だ、起きよう。俺はベットから身体を起こす。そういえば今日は肝心の入試の日だ。俺は受験会場に行く為の準備を初める。生前の世界で着ていた制服も女神様が用意してくれていたのだろう。それを着て一通り身だしなみの準備は済んだ。次は鞄に今日使うデッキが入ったケースを入れる。教科書は…一応最後の確認として持っていくか。俺は5教科の教科書を鞄に入れ家を出た。そして、マップを見ながら受験会場のある人里に向かう。昨日は教科書を読んでいただけなのでテストで良い点数を取れる自身は無いけど、やれることは最大限にやっておこう。

 

〜少年移動中〜

 

…俺はここから徒歩29分ほどかけて人里のバトルアカデミアの試験会場に到着した。そして早速受験するためのエントリーを受け、俺は会場に入る。会場は俺が生前の世界で生きていた時の現代感溢れる会場だ。俺は会場の時計を見た。入試の始まる時間にはまだ余裕があるので俺は鞄の中の教科書取り出し、赤字や濃く書かれた重要な箇所を読んだ。

しばらくして俺はまた時計を見た。時計の針は入試の開始時間の5分前を指していた。俺は教科書を鞄に入れ戻し、落ち着く為に深呼吸を1度した。そして、俺が通った人里の風景を思い浮かべた。

…その人里は一言で言うなら和洋折衷。原作の人里より少し発展していて、とても良い雰囲気だった。むしろこれは人里と言うより、都市なんじゃないか?と感じた。

すると試験監督官が会場にやってきた。その試験監督官は入試の詳細を説明し、問題用紙を配り始めた。俺の運命が決まるテストが始まった。緊張感とアドレナリンが混ざりあった状態で俺は問題に目を向けペンを走らせた。

 

少年テスト中

 

試験監督官「そこまで!問題用紙と回答用紙を集めます」

 

これで最後の科目、バトルスピリッツの科目が終わった。筆記の難易度は高校受験の時とあまり変わらなかったがバトルスピリッツの筆記は楽勝過ぎた。内容はターンシークエンスや、効果処理の順番にフラッシュタイミングの順番など基本的なルールの筆記だったので試験終了の15分前には全ての解答欄に解答が埋まっていた。

筆記テストを終えた俺は緊張が抜けてふぅ…とため息が出てしまった。そして俺は体を伸ばしてリラックスした。

ふいに校内放送で実技テストを行う放送が会場内に流れた。実技試験の会場は試験監督官が大体育館と説明していたな。俺は大体育館に移動する為に筆記用具を片付け試験会場を出て、大体育館へと足を進めた。 俺は学校を見ながらバトルアカデミアはもの凄い広さだと感じた。何故なら大きなドーム状の体育館があるんだ。これがこの学校の大半を占めている。これ程大きな体育館は生前の世界ではないだろう。俺はこの学校の広さに驚きながらそのドーム状の体育館に入った。

 

 

またもこの世界は俺を驚かせた。体育館はまさにバトルスピリッツをするためだけに作られた構図となっていた。観客席も多く、例えるならサッカースタジアムが相当する。そして、受験者はバトスピのアニメで見たような鎧を身にまとい宙を浮いている。同様に試験官も受験者と対面するように鎧を纏って浮いている光景が俺の目に入ってきた。

 

駆「こんな非現実的なことが…夢を見ている様だ。」

 

ふと、俺の口からそんな言葉が出てきた。今まで、アニメで散々見てきて少し憧れを抱きつつも、そんなことは出来ないと諦め、現実を見ていたんだ。驚くのは無理はない。

 

?「凄い…本当にアニメで見たようなバトルアーマーだね」

 

俺の隣から声がしたのでそちらに視線を向ける。

薄いピンク髪色でサイドテール。ピンク色のブレザーにミニスカート…更に黒いオーバーニーソックスで美しい脚を強調している。

こんな所まで分析するともはや変態なのでは?と思われがちだが、勘違いしないで欲しい。単に観察眼があるだけであることを知っていてくれ。すると隣の女子と目が合った。何を話して良いのか分からないから彼女から目を逸らした。すると隣の彼女から話しかけてきた。

 

?「もしかして、私と同じで外からやって来たのですか?」

 

駆「……え?あ、あぁ」

 

あまり人とのコミュニケーションをとっていない俺は戸惑いながら女子の質問に対して答えた。

 

?「そうなんだ!良かったぁ…私だけだったら不安で仕方無かったんです」

 

と、女子は安心した様子で胸を撫で下ろす。なるほど、様子から察するに彼女も幻想郷と違う世界からきたのか。手段は神様による転生、転移と思われるが、そうなった要因は分からない。まして直接聞くなんてそんなデリカシーもクソも無いことは断じて出来ないし、それを知ったところで俺にそこまで得はないだろう。

 

駆「は、はぁ…」

 

駄目だ、会話が成り立たない。もっと俺にコミュニケーション能力があれば良かったのだが生憎ここ最近では女神様以外としかコミュニケーションを取っていないので慣れていない。

 

美弥「あ、自己紹介忘れていました私、天野(あまの)美弥(みひろ)といいます」

 

駆「駆、天童駆といいます。よ…よろしく」

 

美弥「よろしくね!駆君!」

 

と天野美弥は元気いっぱいに明るい笑顔を俺に見せる。まさか初対面の俺をいきなり名前で呼ぶとは思わなくて驚いている。彼女はそういうのに関しては少しAboutなのだろう。

 

美弥「それにしても、凄いよね。アニメ、バトルスピリッツダブルドライブのバトルアーマーをみんな纏っているよ。常識じゃ考えられないよね!」

 

と彼女は会話を進めてくれる。もし彼女があまりコミュニケーションを取らない性格の女性なら、多分この会話は続いてないだろう。俺は彼女の積極性とコミュニケーション能力の高さに感謝しつつ彼女の話を聞く。

 

?「フフフ……この幻想郷に外の世界での常識は通用しませんよ?」

 

すると、後ろから声がしたので俺と天野美弥は同時に振り返る。そこには、緑色のロングの髪に可愛らしいカエルの髪飾りを付けた。女性が座っていた。そして、その女性の目はキラキラと光っていた。

 

早苗「あ、いきなりで申し訳ありません。私は東風谷早苗といいます。 よろしくお願いします!」

 

と東方Projectの中でもかなりの知名度の高いキャラクターである東風谷早苗が自己紹介をしてくれた。

 

美弥「私は天野美弥!よろしくね、早苗ちゃん!」」

 

駆「俺は…天童駆。…よろしく」

 

俺も天野美弥も自己紹介を行う。にわかだが、一応有名な東方キャラクター数人は知っている。すぺるかーど?夢想封印とマスパしか知らないな。他に何かあったかな?

 

早苗「あ!二人ともあそこ見てください!馬神弾ですよ!」

 

と俺が考え事をしている時に東風谷早苗は第2バトルステージを指さしている。あの赤い髪、黄金色のバトルアーマーはアニメ、バトルスピリッツブレイヴを思い浮かばせるものだ。そして実体化し、天高くに咆哮をする太陽龍ジーク・アポロドラゴン。

まさに異界王を倒した激突王であり、未来の世界を救ったブレイヴ使いの馬神弾だ。何故ここにいるのかはわからない。俺の勝手な推測だが、アニメの最終話にて未来の世界で消滅した彼に何らかの影響が及んでこの幻想郷に転がり込んだのだろう。

この幻想郷は何でもアリだな…俺は呆れていた。

しかし、逆に考えると後に馬神弾、彼との対戦が可能なのでは?よもや、生きている中(1回は死んでいる)でアニメキャラクターとの対戦が出来る可能性があるとは思ってもいなかった。

 

ピンポンパンポーン

 

とアナウンスが体育館内に流れた。

 

アナウンサー「受験番号444の天童駆君、間もなく実技試験が初まりますので、第5バトルステージに来てください」

 

ピーンポンパンポーン

 

ここで、俺の指名がやってきた。444と不吉な受験番号に俺は苦笑いをする。俺はデッキを持って指定された第5バトルステージに移動する。

二人から応援を貰い、俺はそれに頷いた。

さて、俺のデッキとプレイングがどこまで通用するか、楽しみだな。

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 




次回予告
初めての体験というのは、非常に興奮すると同時に不安が募るものだ。
実体化したスピリット達の咆哮、砕けるライフの音、身体を貫く痛み、この楽園のバトルスピリッツはまるで自らの命を賭けるかの如く過酷なものであった。

…無慈悲な攻撃がフィールドを駆け抜けた。

バトルスピリッツ 欠落

Turn-4 鳴り止ま無い砲撃音


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Turn-4 鳴り止まぬ砲撃音

カードゲームのバトルシーンは書くのにかなりの時間がかかる故にまた少し時間が開いてしまいましたm(__)m

それでは続きを(∩´。•ω•)⊃ドゾー


俺は校内放送で指名を受け、第5バトルステージにいる。目の前には、試験官の女性(ここではAとする)が向こう側に立っている。

 

A「では行きますよ。バトルアーマーオン!」

 

試験官Aはソウルコアを掲げてそう叫んだ。するといつの間にかその試験官の身体に鎧が纏われていて、宙に浮いている状態だった。

俺はそれを無言で見上げている。

 

A「もしかして、分かりませんか?ソウルコアを持ってバトルアーマーオン!って言うんですよ」

 

俺の様子を見て察したかのか、バトルアーマーの纏い方を説明してくれた。なるほどアニメダブルドライブと同じ容量か。なら1回やって見るか。俺はコアケースからソウルコアを取り出した。

 

駆「バトルアーマー……オン…!」

 

そして、俺が掛け声を上げるとソウルコアが輝き出した。その輝きはとてもじゃないが、目を開けていられる状況でない。俺は即座に目を閉じた。

 

 

…目を開けると俺はバイザーで顔が覆われていた。どうやらバトルアーマーを纏うことに成功したようだ。俺は自分を纏っているバトルアーマーを見る。

黒を基本としたスーツの上から黒いガッチリとした装甲が一部一部に着いている。ヘルメットには枝分かれした角がついている。

 

A「おおっ!とてもカッコイイバトルアーマーですね!えっと…飛ぶ際には飛んでいるイメージが必要です。例えば背中に翼があって、それで空を飛んでいるという感じの」

 

試験官がそう言ったので早速イメージして見る。 うーむ…バトルアーマーと言えばダブルドライブだ。なら…俺はダブルドライブで主人公茂上駿太が出撃するシーンをイメージする。すると、両足のバーニアと背中のバックパック?にあるブースターに火が吹き俺の足は地面から離れ、試験官と同じくらいの高さにまで上昇した。

 

A「では、始めましょうか!その前にバイザーを上げてください。顔が見えないので…」

 

と試験官Aは少々困った顔で言う。俺はヘルメットのバイザーを上げる。下を見ると地面がかなり遠くに見える。

 

A「今度こそ、ゲートオープン界放です」

 

駆「…よろしくお願いします」

 

するといきなり俺と試験官のバトルアーマーが輝きだし、ドーム状のフィールドを作り出した。

 

 

駆 ライフ5 デッキ36 手札4 リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

 

試験官A ライフ5 デッキ36 手札4 リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

A「先攻は、受験者と決まっているのでどうぞ。(さて、入試筆記12位の実力見せてもらいます…!)」

 

駆「分かりました。ではスタートステップ」

 

俺がそう宣言した瞬間俺の目の前に黒色のプレイボードが出現するそこには5つのライフと4つのコアがリザーブ、俺のデッキもある。どういう原理で出現するのかは分からんが、ターンを進めねば…。

 

駆「ドローステップ」

 

駆 デッキ36→35 手札4→5 リザーブ3 Sコア

 

俺はデッキからカードを1枚引く。なるほど…上々な手札だ。

 

駆「…俺は手札から0コストでコレオンと1コスト赤軽減でイグア・バギーREVIVALをそれぞれ召喚」

 

すると、俺の傍に赤色の何とも可愛らしい、小さなライオンと四つのタイヤで走行する。白色の機械で出来たイグアナが出現する。こんな事が俺の目の前で起こっている。まさに感激の嵐である。さて、このターンまだまだやることはある。

 

駆「そして、メインアクセルで甲寅獣リボルコレオンを使用。4コスト赤2軽減、イグア・バギーは白色のカードだが、赤のスピリットとしても扱えるから2コストで使用。デッキトップから3枚オープンする。その中から系統異魔神のブレイヴカードと系統神皇十冠をもつスピリットカードを手札に加える」

 

デッキから自動でカードがオープンされる。

 

オープンカード

砲凰竜フェニック・キャノンREVIVAL

丁騎士長イヌワッシャー

コレオン

 

駆「俺はその中のフェニック・キャノンとイヌワッシャーを手札に加える。残ったカードは破棄する。そして、バーストをセットターンを終了します」

 

駆 デッキ35→32 手札5→3 ライフ5 リザーブ0 トラッシュ2

 

コレオン LV1 BP1000 Sコア

イグア・バギーREVIVAL LV1 BP1000

 

バースト有り

 

手元

甲寅獣リボル・コレオン

 

 

俺はターンを相手に渡す。いい感じのムーブだ。気になるのは相手のデッキだ。

 

A「私のターン。コアステップ、ドローステップ、メインステップ」

 

試験官A デッキ36→35 手札4→5 リザーブ3→4 Sコア

 

A「私は0コストのライトブレイドラを2体召喚。更に3コスト2軽減1コストでカメレオプスを召喚。それぞれLVは1です」

 

向こう側に小さな龍とカメレオンが召喚される。相手の系統は星龍しかも強化で容赦無く相手のカードを破壊する型のものだ。ココ最近こう言った型が出てないのでとても新鮮な気分。初心に戻った感じだ。

 

A「アタッステップ!アタック!カメレオプス、BPは3000です!」

 

試験官はカメレオプスにアタックの指示する。カメレオプスは地面を這い、こちらに接近してくる。

…試験官が言った通り今俺のフィールドにはカメレオプスでBPに勝てるカードは無い。かと言って今無駄にブロックしてシンボルを無駄にするわけには行かないな。

 

駆「……フラッシュは無いです」

 

A「こちらもです」

 

駆「…ライフで受けます」

 

俺がそう宣言した瞬間、俺の周りにバリアが張られる。カメレオプスはそのバリアに攻撃。

 

バリリィィン!!

 

ガラスが割れるかのような音と共に俺の身体に衝撃、はたまた痛みが走り、後方へ吹き飛ぶ。

 

駆「つぅ…!」

 

これがライフで受けた時の痛みという訳か。

なるほど、確かに痛いだがそれ以前に興奮が収まらない。主人公が受けてきた痛みがこうして、俺に走っているのだ。興奮しないわけない。自分でも気が付くのが遅かったか、若干口が三日月のように釣り上がっていた。

 

駆 ライフ5→4 リザーブ0→1

 

A「更に!1体のライトブレイドラでアタック!」

 

青い色の子竜が火の玉を放つ。

 

駆「…!それもライフです」

 

またバリアが展開され、その火の玉はバリアを破壊。

俺の身体に痛みが走っていく。

 

駆「…くっ!」

 

駆 ライフ4→3 リザーブ1→2

 

A「ターンエンドです」

 

試験官A 手札5→2 ライフ5 リザーブ1 トラッシュ1

 

ライトブレイドラ×2 LV1 BP1000

カメレオプス LV1 BP3000

バースト無し

 

手元

無し

 

駆「…ではターン貰います。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ」

 

駆 デッキ32→31 手札3→4 リザーブ0→5

 

へぇ、コアは自動でリザーブに置かれるのか。便利な世界だな全く。

さて、ターンが帰ってきたが残りライフ3か、リザーブもいい感じに溜まってある。さっきのドローカードはシェパードール。相手のエースはシャイニングドラゴン。アーク、又はオーバーレイで確定だ。ここで防御カードを引いたのはかなり運がいい。先程も言ったが、コアも溜まっているので大型のカードを出してもいいが、返しのターンがかなり怖い。臆病だが、ここは相手の場のシンボルを減らしていく方がいいかもしれない。

 

駆「メインステップ。手元から甲寅獣リボルコレオンを4コスト赤シンボル2軽減で召喚。LVは2です。そして召喚時効果、手札の異魔神のブレイヴカードをコストを支払わず召喚するので砲凰竜フェニックキャノンREVIVALを召喚」

 

俺の場にリボルティーガのコスプレをしたコレオンが現れたあと、二門のキャノンをもったフェニックスが現れた。

 

駆「更にフェニックキャノンの召喚時効果、BP7000以下のスピリットとネクサスを破壊する…ここはカメレオプスを破壊します」

 

フェニックキャノンは二門の砲から火球を放ち、カメレオプスに命中させ、破壊する。

 

A「ッ!」

 

相手はカメレオプスを破壊されてやや動揺している様だ。

というか、カメレオプスが破壊されることは最初から分かるんじゃないか?ここまで動揺しているの相手の手札が若干事故を起こしていることが推測できる。

 

駆「……フェニックキャノンを甲寅獣リボルコレオンに左合体。アタッステップ。合体スピリットでアタックです。フラッシュありますか?」

 

A「こちらは無いです」

 

駆「こちらもありません」

 

A「そのアタック、ライフで受けます」

 

試験官の周りにバリアーが張られ、力を得たリボルコレオンはそこに砲撃を食らわす。

 

A「くぅぅぅっ!」

 

A ライフ5→3 リザーブ1→3

 

ダブルシンボルだ。恐らく相当な痛みだろう。

 

駆「アタッステップ終了。エンドステップ、ターン終了です」

 

駆 デッキ32→31 手札4→3 ライフ3 リザーブ0 トラッシュ2

 

コレオン LV1 BP1000 Sコア

イグア・バギーREVIVAL LV1 BP1000

甲寅獣リボルコレオン LV2 BP4000疲労

左合体

砲凰竜フェニックキャノンREVIVAL LV1 BP+3000

バースト無し

 

手元

無し

 

さて、そろそろ次のターンで決めて行きたいところではあるが、まずは相手のターンを耐え忍ばなければならない。

相手のリザーブのコアが多くなっている故にそろそろキーカードが来てもおかしくは無い。

 

A「私の…ターン!」

 

試験官A デッキ35→34 手札2→3 リザーブ3→5

 

A「私は手札からライトブレイドラをLV1で召喚。そして!

 

光纏いし聖なる龍よ!

天に炎のアークを刻め!

 

光輝龍皇シャイニングドラゴンアーク召喚!LVは1です」

 

相手の場に炎の輪が生成され、その輪から、光り輝くドラゴンが登場する。まさにソードアイズ編での登場を生で見ている気分だ。

まぁ使い手は主人公、ツルギ帯刀では無いが。

そして1体のライトブレイドラが消滅する。不足コストだったのだろう。

 

A「そして!バーストをセット!アタッステップに入ります。ここで、光輝龍皇シャイニングドラゴンアークの効果発揮![強化]を持っている赤のスピリット全てに赤色のシンボルを一つ追加します。

よって、ライトブレイドラ2体は赤のシンボルが一つ追加され、ダブルシンボルになります。ライトブレイドラでアタックします」

 

ライトブレイドラが地を駆け突っ込んで来る。ここでフラッシュアクセルエッジのアクセルを使えば…!

俺はアクセルカードを使おうとカードを握ったがその手が止まった。 一体なんの現象かは知らんが戦いを継続させなければ…

 

駆「フラッシュはありません。ここはライフで受けます」

 

言葉の指示に従い。ライトブレイドラは容赦なく俺に火炎放射を食らわす。

 

バリィン!バリィン!

 

ライフが2つ削れる音ともに俺の体が後ろに吹き飛ばされる。

 

駆「…!ぐぅぅぅ!!」

 

駆 ライフ3→1 リザーブ0→2

 

A「アタッステップを継続させ、光輝龍皇シャイニングドラゴンアークでアタックします。」

 

輝きを身に纏う龍はその大きな翼を羽ばたかせ、俺に接近してくる。

 

駆「…フラッシュタイミング、アクセル、己戒人シェパードール。このターンの間コスト4以上のスピリット、アルティメットのアタックでは、自分のライフは減りません。

5コスト白色赤色1個ずつ軽減の3コスト、コアはリザーブから2個と、左合体スピリットから1個をトラッシュに起き発動。

この瞬間、左合体スピリットはLV1になります。そのアタックはライフで受けます」

 

俺の周りに白銀のバリアーが張られシャイニングドラゴンアークはそこに火炎放射を仕掛けるが、俺にダメージを与えることは出来なかった。

 

A「…アタックステップ終了。ターンエンドです」

 

試験官A 手札3→0 ライフ3 リザーブ0 トラッシュ4

 

ライトブレイドラ×2 LV1 BP1000

光輝龍皇シャイニングドラゴンアーク LV1 BP6000 Sコア

バースト有り

 

手元

無し

 

駆「…俺のターン、スタートステップ、コアステップドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ31→30 手札3→4 リザーブ0→6

 

…もうこのターンで決めるしかないか。パーツのカードは揃った。

あ、そう言えばさっき試験官はシャイニングドラゴンアークを召喚。

する際に召喚口上を言っていたな。あっちでは、やらなかったというか、そんなふざけたことを公式の試合では出来なかったからな。1度やって見るか。

 

駆「左合体スピリットのコアを1つにし、0コストでコレオンをLV1で召喚。そしてコレオンの効果、自分の手札の系統神皇のカードを召喚する時、そのコストを-1する。そのコレオンが2体いるので-2。よって5コスト赤3個、白1個の合計4軽減1コスト。

 

轟け!紅き鋼の意思を持つ虎よ

 

召喚、LV1で寅の十二神皇リボルティーガ」

 

と、召喚口上にしてみたが、案外恥ずかしものだ。

黒歴史確定だなこれは。と思っていると、俺の場に燃える赤を彷彿させる、赤い身体に二門のリボルバーの様な大砲を装備した寅が現れる。

 

駆「リボルティーガにフェニックキャノンREVIVALを右合体。ソウルコアをリボルティーガに置いてアタッステップ。右合体スピリットの寅の十二神皇リボルティーガでアタック」

 

フェニックキャノンのオーラがリボルティーガに力を与え、リボルティーガはフィールドを駆ける。

 

駆「寅の十二神皇リボルティーガのアタック時効果、[封印]。 リボルティーガのソウルコアを俺のライフに置きます」

 

すると、フィールドのリボルティーガのソウルコアが俺のバトルアーマーの胸の部分が開き、そこにソウルコアがセットされた。

なんだろう…とても暖かくそして優しく包まれる感覚に俺はうっとりとした。

だがその瞬間、俺のバトルアーマーから赤い燐光が発生すると同時に、黒い装甲の部分がスライド、バックパックの装甲も展開されて、スーツの一部も赤のラインが施され、顔は黒いバイザーで閉められている。いったい何が起こっているのか、理解出来ないが、恐らくこのバトルアーマーの真の姿である事は確かだろう。と思っていると、突然俺全身の自由がきかなくなった。まるで、誰かに操られている様に。

 

駆?「…リボルティーガの封印時効果[砲撃]、デッキトップから2枚カードをオープンし、その中の系統、神皇、十冠のカード1枚につき、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置き、オープンされたカードは手札に加えられる。

デッキトップから2枚オープン」

 

俺のデッキからカードが2枚オープンされる。

 

オープンカード

白庚皇エクスパルド 〇

ヤシウムREVIVAL 〇

 

駆?「…オープンされたカードの系統は2枚とも十冠。よって2点のダメージを与えます」

 

リボルティーガは咆哮し、装備された二門のリボルバー式の大砲から赤い二線の弾が試験官のライフを2つ砕く。

 

試験官A ライフ3→1 リザーブ0→2

 

A「ぐぅぅ…!でもライフ減少のバーストを発動!龍の覇王ジークヤマトフリード。BP15000以下のスピリットを1体破壊して、ライフが3以下なのでノーコストでバースト召喚、破壊の対象はBP13000のリボルティーガです」

 

フィールドから幾つもの炎の渦が出現しリボルティーガを襲い破壊した。

 

駆?「フェニックキャノンはフィールドに残る。…だが、これで終わりでは無いです。相手によるスピリット破壊によるバーストを発動。丁騎士長イヌワッシャー。

イヌワッシャーの効果は相手のスピリットを1体を疲労させ、バースト発動時にトラッシュに置かれてた系統神皇を持つスピリットカードをコストを支払わず召喚する。

もう1度現れろ、リボルティーガ」

 

大きな翼をもった鳥が荒れ狂う風で相手のジークヤマトフリードを疲労させる。その後、地面が割れ炎とともにリボルティーガが戻ってきた。

 

駆?「…そして、この効果発揮後このスピリットをコストを支払わず召喚する。丁騎士長イヌワッシャー召喚、そしてこのバトルのフラッシュは無い」

 

A「私もありません」

 

駆?「アタッステップ継続、行けリボルティーガ。封印時のアタック時効果[砲撃]、デッキトップから2枚オープンする」

 

A「お、お願い!外して!」

 

と試験官は祈る。そして俺のデッキから2枚カードがオープンされる。

 

オープンカード

幻魔神 ✕

砲凰竜フェニックキャノンREVIVAL ✕

 

駆?「どちらも神皇、十冠では無いのでダメージは0だ」

 

A「よし!なら私は…ライトブレイドラで…

 

駆?「フラッシュタイミング、壬獣アクセルエッジのアクセルを5コスト赤2、白1の3軽減2コストで使用。コアはイヌワッシャーとリザーブから一個ずつ使用。イヌワッシャーのコアが0になったのでイヌワッシャーは消滅する。

そして、壬獣アクセルエッジの効果発動。BP6000以下の相手のスピリットを破壊することでワンドローする」

 

…そんな!!」

 

アクセルエッジから放たれた砲撃は回復状態であったライトブレイドラを貫き破壊した。

その為に、アクセルエッジを残したのか。しかしながら何故俺の身体のコントロールが聞かないのかは分からないままだ。

 

駆?「…デッキから1枚ドロー。今回は来るのが遅かったな」

 

ドローしたカードは炎魔神だった。まさか3枚連続異魔神か。

それよりも、防御札もなく、ブロッカーさえも無くしてしまった試験官にリボルティーガはその鋭い爪を立て、試験官の最後のライフを削り取った。

 

A「キャアアアッ!!」

 

バリリリィン!!

 

試験官 ライフ1→0

 

試験官は少し吹っ飛ぶも辛うじて体制を立て直した。そして試合が終了したことによって2つのバトルアーマーが発していたフィールドは消滅、変形した俺のバトルアーマーも赤の光を失い、元の形に戻ると同時に身体のコントロールを取り戻すことが出来た。そして俺は何が起こったのか分からない状態で地面についた。

 

To be continued……

 




次回予告
何故、どうしてこうなったのだろうか?俺のバトルアーマーに秘められた力は俺の手に負えるものではなかった。俺はそれに若干の恐怖という感情を与えるには十分過ぎたのであった。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-5 謎多き鎧


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Turn-5 謎多き鎧

やっと小説が投稿できた…!それでは第5話をお楽しみください!


勝負が勝利で終わったことに安心している俺に試験官は近づいてこう言った。

 

A「お疲れ様でした。これにて実技試験は終了となります。しかし、最後の方でややテンションが上がっていたのかな?態度がガラリと変わっていましたけど…」

 

これでどうやら実技試験は終了らしい。

…がかなり痛い所をついて質問された。

どうしようか…?

 

とりあえず適当に言って何とか誤魔化すことが出来るかな?

 

駆「す、すいません。え〜とこの幻想郷でいう外?の世界という所から来た者で俺が住んでいた前の世界ではこういったものが無く初めての体験だったのでつい興奮してしまいました…お気に障ったのなら大幅減点も覚悟の上です」

 

と、俺は申し訳なさそうに少々真実を混ぜつつ言ってみると試験官は驚いた表情でこう言った。

 

A「そうだったのですか、なら仕方は無いですね。それにバトルのプレイングも良かったですしそれも交えて減点の帳消しを考えて置きます。ありがとうございました」

 

駆「あ、ありがとうございました…!」

 

俺は礼をしたあと足速に第5ステージから出ていき、観客席に戻る。ふぅ…どうやら誤魔化しは効いたようだ。

それに、減点も帳消しにしてくれるか分からないがワンチャンしてくれるらしい。まぁバレたらあの職員の未来がどうなるかなんて火を見るより明らかだが…

 

いや、それよりも考えなければいけないことが他にあった。

先程のバトルでのあの現象だ。

…確か封印してソウルコアをバトルアーマーにセットした瞬間からバトルアーマーが変形して、身体のコントロールがなくなった。何故俺のバトルアーマーにこんなものがあるのか分からない。

…確か生前の記憶で、幻想郷では〇〇の程度の能力を持っているキャラクターが数人居たと思う。

例えると東方Projectの主人公である博麗霊夢の空を飛ぶ程度の能力。

…もしかして、インターネットでよく見る二次創作のマンガや小説のオリジナル主人公がその程度の能力とやらを発揮するように俺にも能力があるとでもいうのか?

 

………イヤイヤイヤ、それは無いだろう。前記のとうり、ソウルコアをバトルアーマーにセットしてから変化が起こったのだ。俺自身に何か特別な能力がある考えはいくらなんでもおかしい。だとすると、考えられる節はいくらでもある。

しかし、不確定要素のある仮説がどんどんと出てくるだけだ。

…この時点ではまだまだ情報が少な過ぎる。ならこれからの時間経過と共にこいつの謎を解いていくしか無いな。と思い俺は宇宙に追放された究極生命体の様に考えるのをやめた。

 

美弥「あ、駆君も終わったのかな?」

 

途端に後ろから声をかけられ俺は瞬時に振り返った。

そこに天野美弥が笑顔で問いかけていた。

 

駆「あぁ…そういう天野さんはもう終わったのか?」

 

俺は天野美弥の質問に答え、続けて俺も彼女に質問をする。

 

美弥「うん、今さっき終わったんだ。…ていうか駆君!わたし達もう友達同士なんだから私のこと名前で呼んでよ!」

 

天野美弥は苗字で呼ばれたことが癪に障ったのか、ジト目になりながら俺に説教を開始する。ていうか、いつから俺とお前は友達になったんだ?という疑問が頭の中で浮かんだ。単に隣で話してただけだし友達宣言も俺はしていないし…あれ、友達ってどうやって作られるものだった?

こうやって自然に話していたらなるものか?それとも友達宣言見たいなものが必要なのか?

生前の俺が持っていた友達は指で数えられる程だ。陰キャでコミュ症の俺は友達の作り方なんてものは分からなかった。今でも分からんが…

それがまして前者か後者のどちらかさえも…そう考えている間にも天野美弥はこちらを見ている。

…さてここは苗字で呼ぶべきか、名前で呼ぶべきか、この2つの選択肢はまるで恋愛シュミレーションゲームの様なものを感じさせる。あまりやった事は無いが…

しかし、今はデジタルの世界ではなくリアルの世界。ここは苗字で呼んで更に怒られるより名前で呼んだ方が無難か。それに一応表上こいつの友達になる事によって学園での孤独を回避することが出来るし、困ったことがあればお互いにカバーし会えるといったメリットがある。

兎に角こいつと友達になっておくことはメリットの塊だ。デメリットを言っておくなら、こいつが一々突っかかって来て面倒になるだけかな?

 

駆「わかったよ、でもさん付け抜きは勘弁してくれよ…。(でないとコミュ症の俺のSAN値が持たんからな。)ところでみ…美弥さんは実技試験どうだった?」

 

俺は天野美弥を名前で呼ぶことを宣言し、返しに結果を聞いてみることにする。

 

美弥「た、他人に結果を聞く時は自分から言った方がいいとお、思うよ〜」

 

…上手く誤魔化せているだろうと本人は思っているだろうが、彼女の額から汗が吹き出ているのを俺は見逃さないし、明らか動揺している様子なのであまり良くなかったのだろう。

 

駆「俺は…勝ったよ。それで美弥さんはどうだった?」

 

俺は自分の対戦結果を彼女に話しつつ、もう一度結果を聞いてみてた

 

美弥「わ、私?私はね…残念ながら負けちゃいました…」

 

と残念がる美弥。じ、地雷を踏んでしまったか…?負けた要因は不明だ。カードゲームにはその時の運にも左右されるゲームだから仕方はないが、筆記の成績が悪ければ最悪入試に落ちてしまう可能性がある。

 

駆「…そうか、すまない。悪かった」

 

俺は目の前で俯いている彼女に少し申し訳なく思い、謝った。

 

美弥「いやいや、そんなに謝らなくてもいいよ、結果を信じていればきっと受かるよ!」

 

と彼女はさっきの雰囲気と打って変わって笑顔になる。

…なるほど、彼女はかなりポジティブなようだ。そこは尊敬に値するな。何故なら16歳で人生を諦めた人間(この俺、天童駆)がここにいるんだ。

俺も彼女のようなポジティブな心があればまだまだ生前の世界で生き抜くことが出来ただろう。と思った。

 

…さて、筆記試験と実技試験を終えたところでそろそろ家に帰ろうか思い、俺が席をたった時に東風谷早苗があの馬神弾を連れてこっちに来た。

…おいおいおい、未来の世界を救った英雄を連れて来て一体何をする気なんだ?

 

美弥「あ!早苗ちゃん!ってどうしたの?

その人って…」

 

と早速、弾に反応する天野美弥。

 

早苗「いや〜どうしても紹介したかったのですよ!馬神弾さんを!」

 

一方で東風谷早苗は目をキラキラさせ、興奮しながら馬神弾の紹介をした。

まぁ有名人が自分の隣にいたら大半の人は興奮してしまうだろうな。

 

美弥「凄い!凄い!本物の馬神弾君が目の前に!凄いよ駆君!」

 

分かったから二人して体育館の観客席で騒ぐな。と俺は呆れつつ

それを尻目に微笑する馬神弾。

 

ダン「初めまして、俺は馬神弾。バトルとカレーが好きなんだ。よろしくな二人とも!」

 

美弥「私は天野美弥、よろしくね弾君!」

 

駆「俺は天童駆。よ、よろしく頼むよ」

 

俺達は互いに自己紹介を済ませる。まさか馬神弾と生で会話することになるとは思わなかった。

 

ダン「あ!君がさっきの赤色の寅の使い手か!出来れば学園で手合わせ出来ればいいな!」

 

すると馬神弾は俺の方を向き笑顔でそう言った。

 

駆「…あぁ、そうだですね」

 

…同い年らしいが、彼の経歴を知っている以上、敬語で話せばいいのか普通に話せばいいのか分からなくなり、曖昧な話し方をしてしまった。

 

美弥「あ〜!駆君ずるい!私ともバトルしてね、弾君!」

 

ダン「あぁ!もちろん受けて立つよ」

 

と美弥は抜けがけされたと思ったのか急いで弾との戦いの約束をする。

人気者は辛いものだな、馬神弾。

俺は現在の時間が気になったので腕時計を確認する。ふむ…そろそろ帰らなきゃ行けない時間だ。帰宅するか。

 

駆「さて、俺はここでおいとまするよ」

 

俺は自宅に帰るために鞄を持って体育館を立ち去ろうとする。

 

美弥「また学園で会おうね!」

 

ダン「君とのバトルを楽しみにしてるよ!」

 

早苗「駆さん、私ともバトルして

くださいね!」

 

と3人は俺にそう言ってくれた。

…しかし、それは俺達4人がちゃんと入試に合格することが前提となる約束だ。ちゃんと守ることが出来ればいいのだが…

と俺はそう思い、3人に手を振り会場を出た。

 

 

そして、学校を出た俺は帰宅途中に試験監督官が試験始まりの前に説明していたことをふと、思い出した。確か結果は3日後に自宅に届けられるシステムだったな…早くね?

俺はそんなことを考えながら足を進めた。

 

 

To be continued………

 




次回予告
俺の第2の人生が決まる試験が終わった。順位なんてどうでもいい、合格していればそれで…
しかし、仮に落ちていたら、仮に受かっていたらどうすべきか…と深く考えている間に3日なんて短い時間はすぐ過ぎてしまっていた。
未来を決める結果が俺にもたらしたものは…

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-6 ファースト・コンタクト


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Turn-6 ファースト・コンタクト

早く、ダーリン・イン・ザ・フランキスの続きが見たい蛇マグナ卿です。それでは続きをどうぞ!


受験から3日後の朝。俺は家のポストに1つ封筒が入っていたのを確認した。恐らく受験結果を知らせるためのものなのだろう。

俺は早速それをポストから出し、リビングに行き開封する。すると封筒から紙が1枚出てきた、そこに合格というに文字が書いてあると共にその時の成績も載っていた。

順位は……6位だった。

 

駆「…え?マジで?」

 

俺は驚きのあまり、間抜けな声を出した。自分でも言うのはあれだが、生前の俺の成績(中学校時代)はかなり良かった。がしかし、生まれて此方受験で6位なんてものはとったことがなかった。

そしてそのプリントの裏を見ると入学時に必要最低限の物と校則等が書かれてあったので今日はその必要な物を準備することにした。

俺が合格したのはいいのだが、あの3人は果たして大丈夫なのだろうか?弾は大丈夫だろう。彼は試験管に勝利していたからな。筆記が壊滅的にダメだった場合はわからないが…

そして早苗は…バトルの結果を俺は知らないのでどうなるかは分からないな。彼女はとても賢そうに見えるが…

その一方で美弥は受かる保証が無さそうだ。受かっているといいのだがな、表面上友達だし。

それぞれが入試に受かっているかは実際に入学式に言ってみないと分からない。そう思いながら、着々と準備を進めていった。

 

 

 

 

……数週間と時が過ぎ、バトルアカデミアに入学する日になった。俺は制服を着て、肩までかかっている髪をまとめ、ポニーテールにした。そして俺はボストンバックを持ち、自宅を出て家に鍵をかけた。

俺は人里のバトルアカデミアに向けて歩き出した。

う〜ん…この距離を歩く事になるなら女神様にロードバイクを追加依頼しておけば良かったかな?

なんてことを考えながら歩いた。

 

 

〜少年徒歩移動中〜

 

 

ハァハァ…やっとアカデミアについた。俺は肩で息をしながらアカデミアの近代感溢れる校舎を見た。相変わらず大きな学校だと感じる。俺は入学式に遅れまいとあの広い体育館に入った。

体育館には俺と同じ大勢の新入生とその親が既に用意されていたパイプ椅子に腰をかけていた。俺は自分の座る場所を確認し、座る。

その後、辺りを見渡しあの3人が来ているかを確認をしようと思ったが周りの雑音と人数で確認しようにもできなかった。

そんなことをしている内に右腕にはめた腕時計では入学式の始まる時間を指していた。

入学式最初に行われるのは校長先生のありがたいお話だ。そして、壇上に立ったのは、幻想郷の大賢者で有名な八雲紫だった。

意外な人物の登場で俺はかなり驚いた。

 

紫「皆さん、初めましてバトルアカデミアの校長を務めている八雲紫です。新入生の皆さん、合格おめでとうございます」

 

と校長先生は俺達、新入生に挨拶と祝いの言葉を送ってくれた。

とりあえず、話をちゃんと聞いておこうと思ったが、生前の高校の入学式とほぼほぼ同じ内容の入学式だったので一気に割愛させて貰う。

 

 

さて、入学式のあれこれをすっ飛ばして俺は自分の組の1年A組の教室に入った。

中は、俺が通っていた学校と同じような教室…現代の学校の教室の風景だ。そして俺は指定されている席に座る。なんとその席は窓側の1番後ろのポジションである!俺が理想とするポジションであった。

クラス全員が揃うまで教室にて待機という先生の言葉があったので俺は窓からの景色を見ていた。すると俺の右隣の席から、見覚えのある元気なピンクがやって来た。受験に受かっているか本当に不安であった天野美弥だ。

 

美弥「あ、駆君!運がいいね、私たち同じクラスだよ!」

 

駆「…そうだな。君の声を聞くのも随分久しぶりのような気がするよ」

 

美弥「確かにそうだね!ところで駆君の髪型よく似合ってるよね。周りから凄い注目浴びてたよ?駆君」

 

駆「ん?あぁこのポニーテールか。確かに…男性がポニーテールをするのは珍しいもんな。だけどこれは単に身だしなみを整えるためにこの髪型にしているだけなんだ」

 

俺は美弥に説明する。彼女は納得した顔をして頷いた。

 

駆「…それにしても、入学できたんだな。全く姿が見えなかったからもしかして落ちたんじゃないかと思ったさ」

 

俺は試しに、彼女をからかうことにしてみた。

すると、彼女は顔を真っ赤にしプゥという擬音が似合いそうな程に頬を膨らました。

 

美弥「失礼なっ!私は120位で合格しました!」

 

確か受験人数は450を超えていてそのうち260人程度しか入学できないからな。彼女もそれなりに頑張ったってことか。

 

美弥「駆君は何位だったの?」

 

俺の順位を知りたいがために美弥は俺に質問を投げかけてくる。

言うべきなのかな?彼女の反応が大分予想がつくのだが…うるさくならないことを祈ろう。

 

駆「……6位だ」

 

俺はそう言うと共に封筒に入っていたプリントを彼女に見せる。

 

美弥「う、ウソォォォォ!?駆君が入試6位だ!」

 

と美弥は教室に響くような声で言った。

ほら、予想どうりだ。

そのせいで教室にいた新入生数名かが俺を見た。

 

駆「……あ、あのさ静かにした方がいいと思うぞ?美弥さん。皆がこっちを見ている」

 

美弥「そ、そうだね。駆君が凄い順位取ったからつい興奮しちゃったよ〜!」

 

ダン「へぇ〜駆が6位だったのか凄いじゃないか!」

 

美弥のよく響く声は弾の耳に届いていたらしかった。

 

駆「……単なる偶然だよ。まさか俺もこんな順位を取ると思っていなかった」

 

と、ここで担任の先生が教室に入ってきた女性だった。

黒のスーツ、黒のタイトスカートを着こなしていてその豊満な胸部が強調されているが、流石にその桃色の髪との相性は個人的にまずまずと言ったところか?

しかし美しさは事実。俺の周りの男子生徒は教卓に立つ美人教師に目をくぎ付けにしている。

…しかし、あの女性どこかで見た事があるような気がする。

それはそうと俺の右斜め前の弾が驚きの表情を取っている。

 

ダン「…ま、マギサ?マギサなのか?」

 

弾は目の前の教師に訪ねる。

あぁ〜思い出した。アニメ少年激覇ダンで弾とグラン・ロロを共旅にしていた魔女のマギサ、確かスピリットはアンブロシウスのみのマジックデッキだった記憶がある。

最終的にマザーコアの光主になったが何

故幻想郷にいるのか、どのような手段でここに来たのかは分からない。

ちなみに目の前の魔女は4029歳だ。あんな見かけなのに40世紀近く生きてるんだよな。

 

マギサ「あら?教師に対しての態度がなって無いわね、馬神弾君?」

 

ダン「す、すみません」

 

弾はマギサに論されて席に座る。

 

マギサ「では、改めて今日から1年1組の担任を努めさせて頂くマギサと言います。よろしくね☆」

 

とマギサ改めマギサ先生は真面目に且つ茶目っ気のある自己紹介をする。アニメの時のテンションで何よりだ。

 

マギサ「さて、私の自己紹介は済んだところだし、君たちのことが知りたいから1番廊下側の子から自己紹介してくれるかな?」

 

…確かにこれから1年間この教室で学んで行くにあたって、クラスの人間の特徴を掴んで置く必要がある。

これは、先生だけでなく生徒にも必要なことである。

そして、マギサ先生によりクラスでの自己紹介が始まる。

 

 

 

ダン「俺は馬神弾って言います。好きなことはバトスピを楽しくプレイすること。このクラス、みんなとバトスピを楽しく出来たら嬉しいです。

よろしくお願いします」

 

ボーッと窓の景色を見ていたらもうここ

まで自己紹介が進んでいたのか。

さて、そろそろ紹介する内容を考えるとするか。

 

美弥「私は天野美弥と言います。皆さん気軽に話しかけてください。

よろしくお願いします!!」

 

弾の後ろの美弥が若干緊張しながら自己紹介をする。

彼女らしい明るい自己紹介だ。そして、窓側の1番後ろの席、すなわち自己紹介を締めくくるラスト俺の番が来た。

俺は席を立ち自己紹介を開始する。

 

駆「……俺は天童駆。好きな物はコーヒー、趣味は電子書籍を読むこととバトルスピリッツをすること。これで以上だが質問等は個人的に頼む。俺と仲良くするかどうかは君たちの勝手だが、その時はよろしく頼む」

 

俺は手早く自己紹介をした後席に座る。完璧な自己紹介だ。自分の趣味を踏まえつつ、短い文章で終わらせる。これ程分りやすい且つ自分の印象を聞き手に伝えられる自己紹介があるか?

と俺は自画自賛をしている…がさっきまでの拍手が教室に響いていたのにどうしたというのだ?

このシーンとした空気はまるでお通夜じゃないか。さっきまでニコニコしていたマギサ先生も目をパチクリしている。

というか、俺を除いてクラス全員が俺を見て引いている。まさか弾や早苗にまで引かれるとは思わなかった。

何故だ?俺は顎に手を当てて考える。以前外の高校で同じ様な自己紹介をしていたのだが…だとすれば模範解答は先程の美弥の自己紹介か。あれなら手短に自己紹介を行うとともにクラスでの印象をよく出来る。だとしたら、俺の2度目の高校デビューは失敗ということか…?

いや、別にクラスにどう思われたとしてもどうでもいいから気にする事は無い。外の高校の時でも陰キャポジションだったしそれにこっちの方が気が楽でいいかもしれない。

まぁ誰からも話しかけられないというデメリットはある。そして、俺はやってしまったと言わんばかりに頭を抱える。そんな俺を見る複数の新入生のクラスメイトだが、俺の考えていることなんてお前らに分かる訳ないだろいい加減前を向けこちらを見るんじゃない。

 

美弥「駆君らしい自己紹介だね!」

 

と隣の席に座る美弥がフォローをしてくれた。正直にいってありがたい。彼女にまで引かれていたら俺のSAN値は瞬く間に0になっていただろう。

 

駆「…そうか?俺は手短に終わらそうとしただけだ」

 

俺は彼女に悟られないように冷静に答える。

 

マギサ「さ、さてそろそろ終わりたいと思いますが、この学校について詳しく説明する必要があるわ」

 

とマギサ先生は教卓で話を進める。箇条書きでまとめるとこうだ。

 

・基本の五教科に家庭や体育等の副教科に加えバトルスピリッツの科目が追加されている。

 

・学校は寮制で部屋割も既に決められている。

 

・バトルスピリッツの科目には筆記と実技の両方のテストが中間、期末とに基本的な科目に追加されている。

 

・その他は配られた生徒手帳を見ろとこのこと。

 

マギサ「これで大体の学校の説明をしたと思うわ。それではこれで解散とします。

寮の部屋は先程の鍵に部屋番号が付いています。くれぐれも間違わないように!

それと明日から授業も入って来るので忘れ物をしないよう荷物の整理をしてくださいね!」

 

とマギサ先生は締め、放課後の時間となった。早速自分の寮の部屋を探しに行こう。

 

美弥「ねぇねぇ!駆君は部屋番号何番?私は116番だけど…」

 

駆「部屋番号?ええっと…116番だが…」

 

俺は咄嗟に美弥に聞かれて部屋番号を言った。そして彼女が俺の部屋と同じ116番と言った。

 

ということは…

そう彼女と同じ部屋という事だ。

 

美弥「え?嘘…男の子と相部屋なんて初めてだよ?私…」

 

と少し不安な目で俺を見て言ってくるが俺だって女性と相部屋なんて初めてだ。正直心の中でかなり混乱している。くっ!神よ、女性とのコミュニケーションをあまりとっていたなかった俺への罰ゲームか?

…恐らく、男子と女子の人数が合ってなく寮の部屋の数も限られているのでやむを得ずといったところか?

 

駆「……とりあえず、部屋の場所を知っておく必要がある。早速だが、寮に行こう」

 

美弥「何でそんなに冷静なの!?」

 

美弥はツッコミを入れるが決まったものは仕方ないだろう。

とりあえず俺は教室を出て校舎の寮に向かう。

 

美弥「あ!待ってよ駆君」

 

 

 

少年少女移動中…

 

 

 

バトルアカデミア生徒寮

 

今気づいたのだが、寮棟は1つで部屋は3年間固定、食堂付きでかなり広い。こんな学校は外で生きてきたものではなかった。俺は寮の中を見渡しながら116番室に到着した。

早速ドアノブに手をかけドアを開ける。なるほど、部屋はきちんと整えられており、机が2つ、ベッドが2つ。キッチンシャワールーム、トイレが1つずつ広さもそこそこあり不便はしないだろう。

テーブルもあるし、彼女とバトスピも可能だな。まぁやるかどうかは分からないが…

 

駆「…俺は奥のベッドを使いたいがそれを決める主導権は君にある」

 

美弥「ふぇ?じゃあ私、手前のベッド使うね?シャワールームから近いし、いいかな?」

 

いきなり話を振られたのか目を丸くした美弥はそう答えた。

 

駆「分かった」

 

俺は美弥にそう返したあと、俺が使うことになったベッドに近い机についてボストンバックから教科書、ノート、デッキの入ったケースを4つ、あらかじめ人里のカードショップで購入していた、デッキの差し変えカードが入ったケースを2つ取り出し教科書、ノートは本棚に入れ4つのデッキの中の1つを取り出し机に並べる。

改造するのはこの間入試で使用した赤白リボルティーガデッキ。そして差し替えカードを出そうとした時隣から声をかけられる。

 

美弥「あ!そのデッキ入試で使っていたデッキだよね?」

 

駆「あぁ。外にいたお前なら分かるだろ?赤白リボル」

 

美弥「分かるよ…それにさんざんやられたんだもん!」

 

と美弥は若干涙目でこっちを見る。少し前の環境デッキだからかな?砲撃で3点むしり取られた苦い思い出はバトスピプレイヤーなら経験済みだろう。

さらに、攻撃の赤に防御の白とバランス良く構成されたデッキだ。

コントロール性も高く、防御面ではブロッケイドタイガーはあの紫速攻を止めることが出来る上に優秀なカードがそれなりにある。

 

駆「…トラウマか?」

 

美弥「そんなことは無いけど…」

 

恐らく、彼女の間で赤白リボルが流行っていたのだろうか?

 

美弥「駆君…そ、それよりも明日の時間割何だったけ?」

 

駆「む?確か5限授業で学活をするらしいぞ?」

 

美弥「やったぁ!5限連続学活ラッキー!」

 

相当嬉しいのか、はっちゃける美弥。見ているこちらも微笑ましくなってくる。まぁ何を行うかによって楽か否かが変わってくるが確かに5限連続の学活は比較的楽なものだろう。…このあとの俺はデッキを改良に移り、その後にシャワーを浴びた後で明日の準備をしてベッドに入った。

その間特に彼女との会話は無かったがデッキ改良時、俺のデッキに興味があったのかチラチラと彼女が興味津々な熱い視線を感じることもあった。

 

 

To be continued……




次回予告
連鎖する爆発、駆け抜ける熱風、燃え盛る大地、フィールドに現れし大いなる救世主達が俺に牙を向けた。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-7 立ちはだかる龍


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Turn-7 立ちはだかる龍

や、やっと投稿出来た…大幅に投稿が遅れてしまいましたが、引き続きよろしくお願いします!
今回は東方Projectではお馴染みのあの人が…!


…朝か、カーテンからの日差しで目が覚めた。目覚めたばかりで脳が回転していないが俺はとりあえずベッドの横の時計に目を向ける。7時5分か、確か朝のHRは8時40分からだったか?

俺は体を伸ばした後カーテンを開ける。窓からの射し込んだ太陽の光が一気に目に入った事で反射的に俺は目を細めた。

空はまさに晴天と言っても過言では無い。まぁ若干雲はあるが、良い天気であることには変わりはない。

そこから俺は部屋の洗面所に行き肩まで届くほどの髪を解き、歯を磨いた後に洗顔をする。冷たい水が肌に当たり、それの冷たさが俺の眠気を吹き飛ばす。

そして俺はパジャマを脱ぎ、学校の制服を着る。身だしなみを整え髪をまとめ、ポニーテールにして準備は万端だ。

…そう言えば、この部屋には美弥が居たな。あいつ起きているのか?

俺は彼女のベッドを見る。

するとぐっすりと気持ちよさそうに眠る美弥が布団にくるまっていた。別にそんな趣味はないのだが、入学早々遅刻は嫌だろう。ここは起こしてあげよう。

 

駆「…み、美弥さん朝だ。起きろ」

 

俺は適当な距離を保ち美弥に声をかける。

 

美弥「ん…もう朝ぁ?駆君早いね…おやよう」

 

美弥は目を擦りながらベットから体を起こす。パジャマが若干乱れているが、大切なところは見えていないので大丈夫だ。もしも彼女が下着などで寝ていれば即刻部屋割りを変える必要がある。

まぁ彼女はパジャマだし部屋を変える必要は無いが…。

俺は寝ぼけている彼女を横目に鞄に授業の用意と昨日改造した赤白リボルデッキを入れ食堂に入り、朝食を摂った後教室に入った。

今朝のサンドイッチは美味しかったななど、どうでもいいことを考えながら授業の準備をする。

とそこに顔を真っ赤にし怒りを顕にしている形相の美弥がいた。何か悪いことをしたかと考えたが思い当たる節が無い。

 

駆「どうした?美弥さん」

 

美弥「どうしたもこうしたもないよ!なんで置いていったの!?一緒にご飯食べたかったのに!」

 

駆「え?」

 

カンカンになっている美弥の理由に俺は間抜けな声を出してしまった。

まさか、相手から食事に誘ってくるとは思わなかった。しかも女性だ。俺は少々驚いていた。

 

駆「…す、すまない」

 

俺はそんなことで怒っていたのかと思いながら美弥に謝罪した。

 

美弥「今回だけは許してあげる。でも次からは一緒にご飯食べてよね!」

 

どうやら美弥は俺を許してくれたようだ。そんな事をしていたら予鈴の5分前といい感じの時間帯になっていた。

しばらくしてマギサ先生が来てSHRが始まる。

 

マギサ「おはようございます!寮生活には慣れてる子とまだの子がいると思うけど頑張ってね。

それじゃあ今日の予定を言うわね。

今日は1日を使ってみんなとの親睦を深めるバトスピの時間にしたいと思います!」

 

と瞬く間に教室に声が響く。やかましいな。静かにして欲しいものだ。

まぁ別に1日中バトスピでも嬉しくないということは無い。

この幻想郷での実力がどれ程のものか見定めることが出来る上に今は馬神弾もいる。

と、このうるさい生徒達にマギサ先生は静かになるように注意をし、話を続ける。

 

マギサ「対戦相手の選択は自由だけど絶対に1回は戦ってもらいたいのでくじを引いてきました。黒板に表を張っておくからそれを確認してから体育館に来てね。それではSHR終了!」

 

へぇ、良心的なものだな。さて俺の対戦相手は誰だろうか?SHRが終わって俺は早速黒板の表を見に行く。

そこには…

 

天童駆VS博麗霊夢

 

と書かれていた。

運が良いのか、悪いのか…はわからんがまさか東方Projectの主人公と対戦することになるとは思わなかった。

それよりもこのクラスに居たのかと驚いている。…真面目に自己紹介を聞かなかった俺がいけないのだが…

俺は霊夢の実力と使用デッキに若干期待しつつ、赤白リボルのデッキが入ったケースを持って体育館に向かう。前にデッキを鞄から取り出している美弥を待つことにしよう。

 

美弥「あ、駆君待ってくれるの?嬉しい!ありがとう!」

 

パァっと笑顔でこっちを見る美弥。人生初笑顔で感謝されました。多分一生忘れないだろう、感謝されるとはこういうことなのか…

 

美弥「行こ!駆君」

 

駆「あぁ」

 

美弥の準備ができたところでそろそろ体育館に行くことにする。

そういえば、美弥はどんなデッキを使うのだろうか?

 

 

 

〜少年少女移動中〜

 

 

 

さて、俺達は体育館についた。どうやら体育館はA組の貸し切り状態である。恐らく、時間割の関係だろう。

いいタイミングである。とここで授業の始まりを告げるチャイムが鳴る。

 

マギサ「さて!これからみんなと親睦を深めるバトスピの授業を行うわよ!

試合を行う人はバトルステージへ、それ以外の生徒は観戦席でバトルを見ましょう」

 

1組1組と、生徒達がバトルステージに上がっていく。俺も確か初め辺りだったはずだ。バトルステージに向かい対戦相手の博麗霊夢を待つ。

 

?「へぇ、あんたが入試上位の天童駆ね」

 

不意に声をかけられた。制服を着こなし、赤いリボンが彼女の特徴か一目で目の前に立つ彼女が何者か分かった。

 

駆「えぇっと…博麗霊夢さんだったかな?」

 

霊夢「えぇそうよ。後フルネームじゃなく名前で呼んで、駆」

 

…早速名前でよばれた。いや別に美弥に名前で呼ばれているから慣れてはいるが生前の世界でのよばれ方が苗字なので若干の違和感があるが、頑張って受け入れよう

 

駆「…分かった、なら早速始めようか霊夢さん。」

 

霊夢「そうね。バトルアーマーオン!」

 

霊夢はソウルコアを天に掲げた。その瞬間、彼女は光に包まれた。俺も懐からソウルコアを取り出す。上を見上げると東方香霖堂Ver.の巫女服に赤と白の装甲を身につけた霊夢がいる。

 

駆「…バトルアーマーオン!」

 

…俺は入試の時に身につけていたバトルアーマーを身にまとい宙に浮く。

そのついでにバイザーを上げておこう。

 

霊夢「…あんたの実力見せてもらうわ!」

 

駆「…御託はもういいだろう?

ゲートオープン界放」

 

俺はフィールドを展開。体育館にドーム型のフィールドが完成しいつでも戦うことが出来るようになった。

 

霊夢「つれないわね…まぁいいわ」

 

駆「先攻後攻を決めるぞジャンケンポン」

 

駆パー 霊夢グー

 

駆 ライフ5 デッキ36 手札4 リザーブ3

Sコア トラッシュ0

 

霊夢 ライフ5 デッキ36 手札4リザーブ3

Sコア トラッシュ0

 

駆「…先攻を選択。俺のターン、スタートステップ、ドローステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

良い手札だ。どのバーストを伏せるか迷うがこれにしておいてまずは相手の様子を伺うことにする。

 

駆「手札から0コスト、コレオンを召喚」

 

俺の場に可愛らしいライオンが威嚇しながら登場する。赤白リボルでは良くお世話になったカードだ。

 

駆「コレオンにコアを全て置きバーストをセット。これでターン終了だ」

 

駆 デッキ36→35 手札5→3 ライフ5

リザーブ0 トラッシュ0

 

コレオン LV2 BP3000 Sコア

 

バースト

有り

 

手元

無し

霊夢「まずは様子見ってところかしら?私のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ!」

 

霊夢 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

霊夢「私は1コストでリューマン・スカイソードを召喚。」

 

霊夢の場に二刀流の竜人が現れる。はい三龍神デッキですね分かります。

 

霊夢「リューマン・スカイソードの召喚時効果でデッキを3枚オープンし、その中の系統三龍神を持つアルティメットカードを全て手札に加えるわ。」

 

オープンカード

ネオダブルドロー✕

聖龍皇アルティメット・セイバー 〇

極覇龍アルティメット・ヤマト✕

 

霊夢「…その中のアルティメット・セイバーを手札に加えるわ。残ったカードはデッキの下へ…ネオダブルドローが一番下にしてデッキに置くわ。」

 

駆「…相手の手札が増えたのでバーストを発動。巨神獣ファーゾルト、こいつをノーコストで召喚。そしてこのターンの間、ファーゾルトは相手の効果を受けない。LVは2だ。」

 

コレオンの隣に現れる巨大な熊のようなスピリット。

 

霊夢「私の行動を読んでいたの!?」

 

とお相手は驚いていますが、手札増やしていなかったら次のターンでファーゾルト切ってたぞ?

このカードは相手のデッキタイプに依存する。今回はよくドローする赤なので運が良かった。

 

駆「…さぁな、それよりもターンを続けてくれ、それにバーストをケアできてない君が招いた事なんだ。つまり、君が悪い」

 

霊夢「言ってくれたわね…後で痛い目見るわよ?私は4コスト赤シンボル1軽減3コストで煌炎の神剣を配置して、バーストをセット。ここで煌炎の神剣の効果でバーストをセットしたのでターンに1回カードを1枚ドローするわ。

これでターンエンドよ」

 

霊夢 デッキ35→33 手札5→4 ライフ5

リザーブ0 トラッシュ4

 

リューマン・スカイソード LV1 BP1000 Sコア

煌炎の神剣 LV1

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

なるほど、先程のサーチで出たUヤマトはUノヴァ、Uサジットと相性がいい。さらに煌炎の神剣か、恐らくUセイバーの召喚条件が無くなったときのバックアップ、そしてバーストを多めにしている事が伺える。

 

駆「俺のターン。スタートステップ、コアステップ、ここでファーゾルトの効果が発動する。

コアステップを2回続けて行う」

 

霊夢「嘘でしょ!?」

 

駆「ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。 」

 

駆 デッキ35→34 手札3→4 リザーブ0→2

 

これがファーゾルトの強みだ。このコアブーストが赤白にとってかなり美味いものとなる。

 

駆「俺は手札から幻魔神4コスト白1軽減3コストで召喚。

そして、ファーゾルトに左合体させる。

ちなみに幻魔神は左合体時に[超装甲赤、紫、青]を持っている。そしてアクセル、壬獣アクセルエッジを5コスト赤1、白2軽減2コストで使用。 不足コストはコレオンから確保する。コアが0になったことでコレオンは消滅。そしてアクセルエッジの効果により、BP6000以下のスピリット…リューマン・スカイソードを対象にし破壊する」

 

白い機械のような魔神はファーゾルトに力を与え、アクセルエッジは2対のブラスターでリューマン・スカイソードを破壊する。

 

駆「そしてデッキからカードを1枚ドロー。バーストをセットしてアタックステップ。

ファーゾルトでアタック」

 

ファーゾルトは幻魔神の力を纏ってフィールドを駆け抜ける。

 

霊夢「ダブルシンボル…ライフよ!」

 

バリィン!バリィン!

 

ファーゾルトによる攻撃が霊夢のライフを破壊する。

 

霊夢「キャアア!」

 

霊夢 ライフ5→3 リザーブ0→2

 

観客席said

 

早苗「がら空きのフィールドに[超装甲赤]付きのダブルシンボル…駆さんは鬼ですか!?」

 

ダン「[超装甲赤]は霊夢にとってかなりなものだが、そこにファーゾルトのコアブースト効果があると厄介極まりない。完全にメタられているな」

 

美弥「(まぁこれが普通の赤白なんだけどいつ見てもエグいなぁ…)」

 

駆side

 

さて、バーストはセイバーと推測しフルアタを仕掛けたがどうだ?

 

霊夢「ライフ減少によりバースト発動よ!絶甲氷循!ライフを1つ回復、フラッシュ効果は使わないわ」

 

霊夢 ライフ3→4

 

使わないじゃなくて使えないだがな。しかし、バーストは氷循か、まぁどのデッキにも入るし氷循が3枚入って無いと話にならない環境もあった。オーソドックスな防御札として有名だ。

 

駆「…アタックステップ終了し、ターンエンド」

 

駆 デッキ34→33 手札4→2 ライフ5

リザーブ0 トラッシュ5

巨神獣ファーゾルト LV1 BP8000 Sコア 疲労

左合体

幻魔神 LV1 BP+3000

 

バースト

有り

手元

壬獣アクセルエッジ

 

霊夢「いくわよ!私のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

霊夢 デッキ33→32 手札4→5 リザーブ8

 

霊夢「(くぅ…やっぱりダブルシンボルは効くわね。私も三龍神の本領を発揮していきたいけど幻魔神の超装甲がコアブーストをするファーゾルトを守っている…でも今は疲労状態でブロック出来ないならここは一気に畳み掛けてやるわ。)

私は0コストリューマン・クロウを召喚。そして4コスト赤2軽減2コストで超新星の輝きをLV2で配置」

 

小さな竜人が霊夢のフィールドに出現し、霊夢の後に超新星の爆発が発生。

実際にみるととても迫力があり美しい。とつい見とれてしまいそうだ。だがその効果は…

 

霊夢「超新星の輝きの配置時効果、このターンの間自分の手札の系統三龍神を持つアルティメットカードのコストを自分のライフと同じ数にするわ!」

 

すると相手の超新星がさらに輝きを放つ。

 

霊夢「私のライフは4、よって召喚される三龍神のコストは全員4になる…そして、4コスト赤3軽減で1コストで…

 

降臨せよ!灼熱の一閃を放つ究極の太陽!

 

Uサジット・アポロ・ドラゴンを召喚!」

 

するとフィールドが激しく燃え上がりその炎の中から弓を持った神々しいケンタウロスが出てくる。

三龍神の1体アルティメットサジット…三龍神だからなのだろうか、その神々しいオーラに俺は戦慄した。

 

霊夢「まだよ!さらにリューマン・クロウを召喚。そして、超新星の輝きLV2の効果!自分が三龍神を召喚する時、自分の場のアルティメットをスピリットとして扱うことが出来る…これで条件はそろったわ!4コスト赤4軽減で召喚。

 

現れよ!超新星に輝く赤き救世主!

 

Uジーク・ヴルムノヴァ!」

 

さらにフィールドの周りに大量の爆発が起こるそして空から降りし巨大隕石が大爆発を起こし、アルティメット・ジーク・ヴルムノヴァが咆哮し、現れる。

Uノヴァの咆哮に合わせてUサジットも咆哮する。

俺は2体の大型アルティメットの凄まじいプレッシャーに圧倒される。

されるがままにはいかないが、Uノヴァには忘れてはいけない能力がある。

 

霊夢「Uノヴァの召喚時[アルティメットトリガー]ロックオンよ!」

 

霊夢は右手の指を銃のようにしてこちらに向ける。その瞬間、俺のデッキトップから1枚カードがめくれ、トラッシュに置かれる。

 

駆「…コストは1、イグアバギーREVIVALだ」

 

駆 デッキ33→32

 

霊夢「[ヒット]…!ノヴァのトリガーは5つまでだけどヒットしたカードのコスト1につきボイドからコアを自分のライフに置く…ヒットしたコストは1だからライフは5になるわ!」

 

霊夢 ライフ4→5

 

…全回復か。これはまた厄介だな。またライフを削っていかなければならない。

それに次は攻撃が来ると見たが…耐えられるか?

 

 

To be continued……

 




次回予告
まだだ…まだ終わらない。と、そう諦めない気持ちになったのは久しぶりだ。彼女のフィールドは万全、凄まじい攻撃が俺を襲う…
この状況を打破できる答えを俺は出せるのか…?

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-8 灼熱の異魔神


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Turn-8 灼熱の異魔神

それでは、バトル後半をお楽しみください!


駆 ライフ5 デッキ32 手札2

リザーブ0 トラッシュ5

巨神獣ファーゾルト LV1 BP8000 Sコア 疲労

左右合体

幻魔神 LV1 BP+3000

 

バースト有り

 

手元

壬獣アクセルエッジ

 

 

霊夢 ライフ5 デッキ32 手札1

リザーブ0 トラッシュ3

Uジーク・ヴルム・ノヴァ LV3

BP15000 Sコア

Uサジット・アポロ・ドラゴンLV3

BP12000

リューマン・クロウ LV1 BP1000

リューマン・クロウ LV1 BP1000

煌炎の神剣 LV1

超新星の輝き LV2

 

バースト無し

 

手元

無し

 

観客席side

 

美弥「ここまで展開するなんて…駆君若干ピンチかも」

 

ダン「ノヴァの効果でライフ全回復の上に今駆のライフを0にできる打点は揃っている残りの手札1枚はアルティメットセイバー…それをバーストセットして駆がスピリットでアタック後にバースト発動か…」

 

早苗「確か…アルティメットサジットはWUトリガーがダブルヒットしたらシンボルを増やしましたよね」

 

美弥「…攻防一体のまさに無敵の布陣って感じだね。(それにしてもこんな状況でもポーカーフェイスだなんて駆君は凄いなぁ。あれ?駆君っていつも無表情だよね、なんでだろう?)」

 

駆side

 

とうとう三龍神を展開してきたか…打点は十分俺のライフを削りきれる程のシンボルはある。

 

霊夢「バーストをセット!そして煌炎の神剣の効果でワンドロー!」

 

バースト…あれは絶対にスカイソードのサーチで手札に加えたアルティメットセイバーで確定だ。

 

霊夢「アタックステップ!リューマン・クロウ、行きなさい!」

 

駆「…フラッシュは無い」

 

霊夢「私も無いわ」

 

小さな竜人は展開した俺のバリアを鋭い爪を引っ掻けて、破壊する。

バリィン!

 

駆 ライフ5→4 リザーブ0→1

 

霊夢「まだよ!続けてUサジットでアタックするわ。アタック時効果。[ダブルアルティメットトリガー]ロックオン!」

 

霊夢が両手の指を銃の形にして俺の方を向けると俺のデッキトップからカードが2枚めくられる。

 

霊夢「2枚のコストは?」

 

駆「…1枚目、己械獣士ブロッケイド・タイガーのコスト4と2枚目、白庚皇エクスパルドのコスト7だ」

 

そのカード2枚はトラッシュへ置かれる。

 

駆 デッキ32→30

 

霊夢「シングルヒットね…破壊効果を使いたいけど対象は居ないわ」

 

そしてUサジットは俺に向かって迫って来る。

 

駆「フラッシュは無い」

 

霊夢「こっちもよ」

 

駆「ライフで受ける…!」

 

Uサジットは真っ赤に燃える矢を放ち俺のライフを削る。

 

駆 ライフ4→3 リザーブ1→2

 

駆「くっ…!」

 

アルティメットの攻撃は普通のスピリットと違って身体にダメージが大きいのか…?かなりの衝撃だった。

 

霊夢「さて!続けて…

 

駆「ライフ減少によりバーストを発動する!丑の十二神皇アバランシュ・バイソンはライフ3以下の時ノーコストで召喚が出来る」

 

んな!?」

 

俺がアバランシュの召喚を宣言。

すると俺の場に巨大な氷塊が現れるそれは一瞬で砕け白い重装甲、まさに要塞といってもいいほどの大きな機械のような獣…アバランシュ・バイソンが現れる。

 

駆 リザーブ2→1

 

駆「そして、アバランシュ・バイソンの召喚時効果により相手のスピリット、アルティメットをデッキボトム…すなわちデッキの下へ戻す。対象はUジーク・ヴルム・ノヴァだ」

 

アバランシュ・バイソンは左右3つの巨大な大砲から白いレーザーを発射。

Uノヴァは避けようとするも全弾命中。

場からデッキ下へと戻される。[封印]はできなかったが、いい役割をしてくれた。やはり強いなバイソン。

 

霊夢「そんな…アタックステップ終了

ターンエンドよ。」

 

霊夢はショックを受けた顔でターンを終わらせた。

そりゃあ苦労して出したノヴァがやったのはライフ回復だけだったからな。しかし、ノヴァはある程度の役割を行ったはずだ。打点が減った点については仕方ないな。

 

霊夢 デッキ31 手札1

ライフ5 リザーブ0→Sコア

トラッシュ3

Uサジット・アポロ・ドラゴンLV3

BP12000 疲労

リューマン・クロウ LV1 BP1000 疲労

リューマン・クロウ LV1 BP1000

煌炎の神剣 LV1

超新星の輝き LV2

 

バースト有り

 

手元

無し

 

駆「…俺のターン。スタートステップ、コアステップをファーゾルトの効果で2回続けて行い、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ30→29 手札2→3

リザーブ1→8

 

駆「コレオンを0コストで召喚。そして5コスト赤1、白2軽減2コストで炎魔神を召喚」

 

俺は炎魔神の召喚を宣言。俺の場に炎が収束されそれは徐々に俺が見慣れた炎魔神の姿になっていく。これが…!生で見る炎魔神か。

 

駆「さらに、コレオンの効果。系統神皇のカードを召喚する時、そのカードのコストを-1する。よって6コスト赤2、白1軽減3コストで寅の十二神皇リボル・ティーガをLV1で召喚する」

 

俺のフィールドに赤き炎を纏いし寅が現れる。

 

駆「そして、リボル・ティーガを炎魔神に左合体、アバランシュ・バイソンを炎魔神に右合体。リボル・ティーガのコア1つとファーゾルトのソウルコアをチェンジする。そしてアバランシュ・バイソンをLV2にアップさせる」

 

炎魔神はリボル・ティーガ、アバランシュ・バイソンに炎の力を与える。これでリボル、アバランシュ共にBPは5000上がりリボル、は15000、アバランシュは21000となる。

 

駆「アタックステップ。リボル・ティーガでアタック。

アタック時効果、[封印]でリボル・ティーガのソウルコアを俺のライフに置く。」

 

駆 ライフ3→4

 

リボル・ティーガに乗っているソウルコアが俺のライフにセットされる …またこの感覚だ。

身体が徐々に何者かに乗っ取られて行く感じだ。そしていつの間にか上げていた頭部のバイザーは閉められ全身の装甲がスライドし赤い燐光を発する。

 

霊夢「な、何それ…何なの!?」

 

霊夢が驚いた表情をしている。残念だが今の段階では俺でも理解できていない。

 

霊夢「(でも大丈夫、リボル・ティーガの効果発揮後にUセイバーが出てこのターンは凌げる!)」

 

駆?「炎魔神の左合体のアタック時効果。相手のバーストを破棄することで俺のスピリット全てをBP+5000する。

バーストはUセイバーだろ?殺れ、炎魔神」

 

炎魔神は装備されてある巨大な左の拳を炎を纏わせて放ち、相手の伏せられていたカードを燃やし尽くす。

 

霊夢「う…そ…」

 

駆?「次にリボル・ティーガの[砲撃]で俺のトップから2枚オープンする」

 

オープンカード

己械人シェパードール〇

甲寅獣リボル・コレオン〇

 

駆?「オープンされた2枚のカードはどちらも系統十冠を持っている。よって2つのライフダメージを直接与える」

 

十冠スピリットの力を得てリボル・ティーガは咆哮。

2つのリボルバー式の大砲に炎が収束され二門の大砲から炎が霊夢に向けて真っ直ぐに発射される。

 

バリィン! バリリィン!

その炎は霊夢のライフを2つ破壊する。

 

霊夢 ライフ5→3 リザーブSコア→2 Sコア

 

駆?「そしてオープンされたカードは手札に加え、リボル・ティーガのメインアタックを受けろ!」

 

霊夢「リューマン・クロウでブロック…フラッシュは…無いわ」

 

駆?「俺もない」

 

リボル・ティーガの行く手を遮ろうとするリューマン・クロウだが、虚しくもリボル・ティーガに踏み潰され破壊される。

 

霊夢 リザーブ2 Sコア→3 Sコア

 

駆?「トドメだ。アバランシュ・バイソンでアタック。炎魔神の右合体でのアタック時効果、今アタックしているアバランシュ・バイソンよりBP以下の相手のスピリット、アルティメットを破壊する。

アバランシュ・バイソンのBPは26000、よってBP26000以下のBP12000のUサジット

を破壊する。」

 

炎魔神は次に右の拳に炎を纏い放つ。それは疲労したUサジットを灼熱の地獄に叩き込むような光景で、Uサジットは破壊され爆炎がフィールドに広がる。

 

霊夢「ひ、酷い……」

 

霊夢は無残に破壊されたサジットを見てショックを受けたようだ。

 

駆?「フラッシュはあるか?」

 

コントロールされるがままに俺の口は相手へのフラッシュ確認をする。

 

霊夢「無いわよ…」

 

駆?「こちらも無い。行けアバランシュ・バイソン」

 

アバランシュ・バイソンは6基の大砲にエネルギーを充填、そして発射。

 

霊夢「…ライフでうけるわ!」

 

 

バシュウウウウウウウウン!!

 

 

霊夢がライフで受けるを宣言。

6基の大砲から放たれたレーザーは霊夢の3つのライフを残すことなく全て削りきった。

 

バリィン! バリィィィン! バリリィン!

 

霊夢 ライフ3→0

 

霊夢「アアアアッ!!」

 

霊夢は吹き飛び壁に直撃してしまう。

勝負は俺の勝利で終わり、奪われた身体のコントロールが戻った時俺は急いで霊夢の元に向かった。

 

霊夢「う…うぅ…」

 

駆「やりすぎた…大丈夫か?」

 

霊夢「大丈夫よ…これが幻想郷のバトルスピリッツなの…」

 

オイオイオイオイ…これが通常のバトルっていくらなんでもおかしいだろ。

…そういえば女神様が俺にこの世界は原作と異なる点があると言っていた。

まさか、東方Projectの原作でいうスペルカードルールがバトルスピリッツに変わっているのか!?

これで許されるのかどうかはわからんが一応謝っておくことにするか。

 

駆「…すまない、悪く思わないでくれ。」

 

俺は霊夢と一緒に地面についた後にそう言ってバトルステージから出る。

 

 

少年移動中

 

 

観客席に戻ると美弥の隣の面識のない金髪の女子が目をキラキラさせて俺を見ている。

 

魔理沙「おっ!さっきの勝負見てたぜ、私の名前は霧雨魔理沙、よろしくなんだぜ。」

 

まさかの霧雨魔理沙の登場、霊夢のライバル?のような存在だったかな?黒白の帽子をかぶっていないから分からなかったぞ…まぁそれだけ魔理沙は帽子を被ってるイメージが強いという訳だが。

 

駆「…俺は天童駆。よ、よろしく霧雨さん」

 

自己紹介されたからには俺も自己紹介をしなければな。

すると魔理沙は少し不満があるような顔で俺を見ている。隣の美弥もジト目だ。Why?

 

魔理沙「頼む、名前で呼んでくれ駆。苗字で呼ばれるのは慣れてないんだ。」

 

慣れてないのは仕方ないのだが、初対面のやつに名前で呼ぶか?

 

美弥「それに!友達同士だから、名前で呼んだ方がいいよね!駆君?」

 

とそこに美弥が付け足す。仕方ない、名前で呼べばいいんだろ?

 

駆「分かった、改めてよろしく魔理沙さん」

 

魔理沙「あと、さん付けは…

 

駆「それは無理だな」

 

んな!?」

 

魔理沙がさん付けはやめろと言おうとしたところに俺が割り込んで話す。

 

駆「流石にさん付け無しは勘弁してくれ」

 

魔理沙「…分かった。それにしても、さっきの勝負凄かったな!まさか霊夢に勝つなんて思わなかったぜ」

 

早苗「霊夢さんは幻想郷最強のバトラーで並大抵のバトラーじゃ勝つことは出来ないんですよ?」

 

原作でも二次創作でも霊夢が最強であるものはあったな。しかし、今回勝ち星を取れたのは運か?

2体のアルティメットにガイアノホコを2体に付けられたら終わっていたし結果論だが、まだ霊夢は詰めが甘い逆に言えばまだまだ伸びしろがあると言ってもいい。まだ入学したばかり、ここから彼女も俺も成長していくのだろう。

 

ダン「霊夢はそんなに強いのか!なら次は俺とバトルして欲しいな…!」

 

とダンは目をギラギラさせている。

 

霊夢「全く…!強すぎるわよ!あんた!」

 

後ろから声が聞こえたので振り向く。結果報告をした霊夢が戻ってきたようだ。

 

駆「…霊夢さん」

 

ダン「惜しかったな、霊夢。だが、いい勝負だったよ、見ているこっちも惹き込まれそうだった」

 

霊夢「次は絶対に勝つんだから、覚悟しなさい!」

 

と霊夢は俺に指さした。

 

駆「あ…あぁ」

 

咄嗟に俺は曖昧な答えをする。…まずい、目をつけられたな。自分自身あまり目立ったことはしたくないのだが仕方のないことか…

俺は左腕につけた腕時計で時間を確認する。まだまだ時間はたっぷりあるな。

 

 

To be continued……




次回予告
綺麗な薔薇には棘がある。ふと脳裏に思い浮かんだ言葉だった。
いくら美しいものでも隠された武器があるということだったか…?

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-9 翼の使者


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Turn-9 翼の使者

やっと更新ができる!かなり間が経ってしまい申し訳ないです!
それでは続きをお楽しみください!


俺は霊夢との1戦を終え観客席で他の人の対戦を観戦するという名目で少々休息を挟んでいる。

実はこの世界でのバトルは生前のものと比べてかなり体力を消耗する。そうだな…特にライフで受ける時だ。

入試の実技テストではびっくりしたもので、帰って早々布団に入るのはかなり久しぶりのことだったが、これ程までに疲労しているとは思わなかった。

一方で、弾と霊夢は対戦しようということでバトルステージの方に向かった。

どうやら弾と霊夢のペアでステージは満員になっている様だ。

ステージが空くまでしばらく待つ必要があるな。

 

美弥「ねぇねぇ駆君、次空いたステージで私と勝負しよ?」

 

駆「あぁ、一向に構わない。丁度休憩を終えて誰かと1戦交えようかと思っていた」

 

ふと、俺の隣に座って観戦していた美弥が俺をバトルに誘った。

こっちもそろそろと思っていた。タイミングが良かったので俺は快く承諾した。

 

美弥「いいの?やった!やったぁぁ!駆君と勝負だぁ!早くしたいなぁ〜♪」

 

と喜ぶ美弥。相変わらずものすごく元気な女の子だ。ちなみに彼女の様なコミュニケーション能力は社会には必要不可欠である。

…コミュニケーション能力の無い俺が言うのもなんだが。

と、そんなこんなでバトルステージの1つが空いたようだ。

 

美弥「あ!ステージ空いたね、駆君早く行こうよ!」

 

彼女の方も気づいていた様で俺の手を取り引っ張っていく。

 

駆「おい…美弥さん、そんなに引っ張るなよ」

 

美弥「だって!だって!早く駆君とバトスピしたいんだもん!」

 

と俺は頭の中で参ったと呟き、俺は美弥さんに、引っ張られるがままについて行くことにする。

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

という訳で今俺の目の前にはやる気満々の美弥が立っている。

 

駆「君との対戦も今日が初めてだな」

 

美弥「楽しい勝負にしようね!バトルアーマーオン!」

 

美弥はソウルコアを取り出し、すぐさま構える。すると、ソウルコアは光出しそれを彼女は纏う。

 

美弥「うぅ〜///」

 

着替え終わった美弥は顔を真っ赤にしながら俺を見ていた。

かくいう俺は彼女のバトルアーマーに言葉が無くなってしまった。アニメ、アルティメットゼロのエリスのような露出感は無いのだが…いや、あってはならない。ましてやリアルのR18バトラーなんて許されるはずが無い。たとえ常識が通用しない幻想郷出会ってもそういう秩序はあるはずだ。

それはそうと彼女のバトルアーマーは露出度こそ無いのだが、こう…くっきりと身体のラインがハッキリしている部分があって、彼女のスラッとした身体、しっかりと膨らみのある胸が主張をしている。

そして頭の髪飾りも形状がハートに変わっており、髪を結んでいるリボンも天使の翼の何とも可愛らしくなっている。

下半身はミニスカートにオーバニーソックスである。なるほど…

 

美弥「か、駆君。貴方の視線が熱いような…」

 

と恥ずかしさの情がこもった美弥の言葉でハッとして目をそらす。

今の美弥さんの姿を君たちに教えるための観察だったのだが、そこまで熱心に彼女を見ていたとは思わなかった。

 

駆「す、すまない美弥さん。決してやましい気持ちで見ていた訳では無いんだ。

君のそのバトルアーマーが似合っていて見とれていた。それだけだ」

 

美弥「そう?ならいいんだけど…」

 

俺は内心焦り若干の誤魔化しと言い訳を+して謝った。

彼女は許してくれたらしいからいいのだが…そんなにことよりも俺も早くバトルアーマーを装備するとしよう。

 

駆「俺も…バトルアーマーオン…!」

 

ソウルコアから溢れた光は俺を包み込み、黒い装甲の機械的鎧を精製する。

 

美弥「あ!駆君のバトルアーマーかっこいいね!」

 

駆「あぁ、だが少し目立つような気がするんだよな。これ」

 

俺はバイザーを開きながら自分自身の黒い装甲を見る。

 

駆「まぁそんなことはどうでもいい、君も待ちに待っていたバトルをしよう」

 

美弥「うん!」

 

俺はバトルアーマーのスラスターを吹かせて上昇する。

それに対し、美弥はアニメ、バトルスピリッツソード・アイズのキャラクター達コアトルーパーを纏っていた時に乗っていた浮遊するスケボーの様な物を操作している。

まだ乗りたてらしく、少々ぎこちない様だがバトルに支障は来さないだろう。

そして互いのバトルアーマーが光を放ちドームを作る。

 

美弥「行くよ、駆君!」

 

駆「かかってこい美弥さん。ゲートオープン…」

 

美弥「界放!」

 

駆 ライフ5 デッキ36 手札4 リザーブ3

Sコア トラッシュ0

 

美弥 ライフ5 デッキ36 手札4リザーブ3

Sコア トラッシュ0

 

美弥とのジャンケンの結果、俺はパーで美弥はチョキで俺の負けだ。

先攻、後攻を選択する権利は今彼女にある。

 

美弥「私は後攻を選択します!」

 

駆「分かった。ならスタートステップ、ドローステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

駆「俺はコレオンを0コスト、LV1で召喚。そして4コスト赤1軽減3コストでメインアクセル、甲寅獣リボル・コレオンの効果を使用。自分のデッキトップからカードを3枚オープンする」

 

オープンカード

己械人シェパードール〇

砲凰竜フェニック・キャノンREVIVAL〇

己械獣士ブロッケイド・タイガー〇

 

駆「その中の系統神皇、十冠のスピリットカードと系統異魔神のブレイヴカード1枚ずつを手札に加える。

よって、俺は己械人シェパードールと砲凰竜フェニック・キャノンREVIVALを手札に加え、残った己械獣士ブロッケイド・タイガーはテキストに従い破棄する」

 

駆 デッキ35→32 手札3→5

 

駆「最初のターンにアタックは出来ない。よってエンドステップでターンエンド。

次は君のターンだ」

 

駆 デッキ35→32 手札3→5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3

コレオン LV1 BP1000 Sコア

 

バースト

無し

 

手元

甲寅獣リボル・コレオン

 

…ブロッケイド・タイガー。赤としても扱える4コスト白、赤軽減を2つずつを持ち、とても扱いやすいカード。

さらに相手のスピリットがアタックした時の回復効果と赤、紫、緑、白の[超装甲]を搭載且つ文句なしのLVコストとBP…捨ててしまって良かったのだろうか?

仮にも美弥が速攻系のデッキを使用するのならこの選択は非常にまずいのでは?

…ともかく、彼女のターンだ。

 

美弥「私のターンだね!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ!」

 

美弥 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

美弥「むぅ…フェニック・キャノンはずるいよ〜!」

 

駆「オープンしたら来たんだ、仕方ないだろ?」

 

美弥「いいもん!ネクサス、黄金の鐘楼をLV2で配置!」

 

すると美弥の後に黄金に輝く鐘楼が出現する。

ふむ、実に厄介なネクサスカードを貼られたな…

こいつはLV1、2の相手のターンに自分の場のネクサスが全て黄色の間、自分のネクサスは破壊されないという効果を持っている。そして、LV2は[聖命]サポートのおまけ付き。

星座編第2章、灼熱の太陽にて収録された懐かしさを感じさせるネクサスだが、今日の黄色デッキでは大変重宝される代物だ。

 

駆「なんだ、そんな情けない弱音を吐いていた割にはちゃんとネクサスを破壊されないように対策しているじゃないか」

 

美弥「でもスピリットが破壊されちゃうの!バーストをセットしてこれでターンエンドだよ」

 

美弥 デッキ36→35 手札5→3

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ2 Sコア

黄金の鐘楼 LV2 (2)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

ここでは鐘楼のレベルを上げバーストをセットしただけか…炎魔神や超炎魔神があれば良いのだが生憎今握ってはいない。それに大半の黄色ならこの状況、続けて華黄の城門を配置するのだが、ハンドに来てないのか?もしかするとデッキに入れていない場合もある。

ただ後者の確率は非常に低いと思うが今は美弥から俺にターンが渡された。

今はまだリボル・コレオンを使うわけには行かないな。

さて、このターン、どう動こうか…?

 

駆「…スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ32→31 手札5→6

リザーブ3→4

 

駆「まずはバーストをセット。そして3コスト、赤1軽減2コストで甲獣キャノン・ピューマをLV2で召喚」

 

俺の場のコレオンの隣に砲台を背中に装備したピューマが現れる。ちなみにピューマは食肉目ネコ科Puma属に分類される食肉類らしい。

詳しくはこの世の全ての知識が叩き込まれてあるかの天才Google先生に聞いてくれ。

 

駆「そして、アタックステップ。キャノン・ピューマでアタック。

キャノン・ピューマのLV1、2、3アタック時効果によりデッキからカードを1枚ドローする」

 

駆 デッキ31→30 手札4→5

 

美弥「フラッシュは無いよ」

 

駆「こちらもだ」

 

美弥「ライフで受けるっ!」

 

美弥の周囲にバリアが張られ、キャノン・ピューマは背中に装備された砲台から弾を発射。それは見事に美弥に命中しライフを砕く。

 

美弥「きゃああ!」

 

美弥 ライフ5→4 リザーブ1

 

駆「…アタックステップ終了。エンドステップでターンエンドだ」

 

駆 デッキ31→30 手札4→5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ2

コレオン LV1 BP1000 Sコア

甲獣キャノン・ピューマ LV2 BP5000(2) 疲労

 

バースト

有り

 

手元

甲寅獣リボル・コレオン

 

ふむ…先程ドローしたカードは今この状況でそこまで必要では無い要するに手札で腐るカードだ。

それにさっき伏せたカードはファーゾルト。前の俺と霊夢の勝負を見ていた美弥なら今俺のバーストをかなり警戒するだろうがその注意がどうかアバランシュ・バイソンであれば彼女は簡単にドロー、もしくはデッキサーチを行い手札に加えることをするだろう。

 

美弥「や、やったなぁ!?絶対仕返ししてやるんだからね!私のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

美弥 デッキ35→34 手札3→4

リザーブ1→5

 

美弥「まずは黄金の鐘楼をLV1にダウン。これでリザーブのコアは7つ、3コスト黄1軽減で2コスト天使ミラエルをLV1で召喚!」

 

天から小さな白い翼の天使が美弥の場に舞い降りる。

 

美弥「さらに、3コスト、黄2軽減1コストで黄の探索者 天使メリエルをLV1で召喚。

そして召喚時効果でデッキから3枚オープン!」

 

オープンカード

天使メガエル✕

舞華ドロー✕

黄の聖遺物✕

 

美弥 デッキ34→31

 

美弥「その中の[煌臨]を持つスピリットカードを手札に加えるけど…た、対象はいないよ。

そして残ったカードはすべて破棄…でもまだまだ!

手札の天使ミラエルのフラッシュマジック効果を発動、その時に場のミラエルLV1、2の効果、自分の手札のマジックカードとしても扱うスピリットカード全てのコストを−1するから2コスト黄2軽減0コストで使用。

このターンの間、系統天霊の自分のスピリット全てのBPを+1000してデッキからカード1枚ドローするよ」

 

天使ミラエル BP2000→3000

 

黄の探索者 天使メリエル BP3000→4000

 

美弥 デッキ31→30 手札1→2

 

駆「美弥さん、君の手札が増えたから俺のバーストが発動する。

巨神獣ファーゾルト、このターンこいつは相手の効果を受けない。そしてノーコストでバースト召喚」

 

俺の場に巨大な熊のようなスピリットが現れ、天使達を威嚇する。

 

美弥「ファ、ファーゾルト…てっきり丑さんかと思ってたよ…

き、気を取り直して、5コスト黄3軽減2コストでネクサス熾天使の玉座をLV1で配置!」

 

美弥の場のネクサス、黄金の鐘楼の隣に赤、緑、黄、青の色をした玉座が配置される。

ふむ、4種類の熾天使を入れたデッキには無くてはならないカードの1枚だ。

 

美弥「そして、熾天使の玉座の配置時効果でデッキからカードを4枚オープン!」

 

オープンカード

夢幻の天剣トワイライト・ファンタジア✕

美食の妖精神エクレア・シフォン✕

風の熾天使エアリフェル〇

エンジェリックインパクト✕

 

美弥「きたぁ!その中の系統天霊のスピリットカード1枚、私は風の熾天使エアリフェルを手札に加えて残りは破棄。

さらに熾天使の玉座の効果!手札に加えたカード名に熾天使を含むスピリットカードを手札に加えた時、相手のスピリットを1体デッキの下に戻すよ!

え〜っと、ファーゾルトは対象に取れないから…ここはコレオンにデッキ下に戻ってもらうよ!」

 

俺の場のコレオンは眩い光に包まれ消滅。

なるほど、神皇召喚の助けとなるコレオンをデッキの下に戻すことで俺のリボル・ティーガの召喚を遅れさせようとしているのか。

 

美弥「…BPは圧倒的に相手の方が高いね。

ここはアタックせずにターンエンド!」

 

美弥 デッキ30→26 手札1→2

ライフ4 リザーブ0

トラッシュ5

天使ミラエル LV1 BP2000 Sコア

黄の探索者 天使メリエル LV1 BP3000

黄金の鐘楼 LV1

熾天使の玉座 LV1

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

確かに、BPは俺のファーゾルトが美弥のスピリットを遥かに上回っている。

フルアタックをかけてもライフは1点は通るが2体のうち1体のスピリットが犠牲になる上に返しのターン、美弥にはフェニック・キャノンREVIVALが見えているから攻めにくいのだろう。

対する俺は相手の手札にエアリフェルが見えている。残り手札1枚が気になるな。

そして美弥はネクサス黄金の鐘楼のおかげで確定黄色のシンボルを3つ確保している。

フェニック・キャノンでスピリットを破壊しても大した問題にはならないだろう…アタッカー、ブロッカーが減ることに目を瞑ればだが。

あと、ちなみに熾天使の玉座は召喚時、破壊時のサーチに加え、LV2で天霊のコストアップ、更には黄色のダブルシンボルである。

さて色々と説明をしたが次は俺のターン。

シンボルの数では負けているが、手札はこちらがアドバンテージが取れている上にファーゾルトがいればコアを一気に加速させられる。

あとはシンボルを上手く立たせ、デッキの神皇と異魔神で立ち回れば行けるだろう。

 

 

To be continued……

 

 




次回予告
あの人は面白い人だ。
友達と言われ、表面上仲良くしているだけで信用もしていない俺がバトルをしているその人を見て思ったことだ。
俺の持っていない元気さと何事にもポジティブに挑もうとする精神。
フフッ…まるで俺と反対の様な人間だね。


…そう思ってしまったんだ。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-10 風の天使と鉄壁の獣


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Turn-10 風の天使と鉄壁の獣

ドドーンと10話を投稿します!またしても間が空いてしまいましたね…




駆 デッキ30 手札5

ライフ5 リザーブ0 トラッシュ2

巨神獣ファーゾルト LV1 BP8000 Sコア

甲獣キャノン・ピューマ LV2 BP5000

(2)疲労

 

バースト

無し

 

手元

甲寅獣リボル・コレオン

 

 

美弥 デッキ26 手札2

ライフ4 リザーブ0 トラッシュ5

天使ミラエル LV1 BP2000 Sコア

黄の探索者 天使メリエル LV1 BP3000

黄金の鐘楼 LV1

熾天使の玉座 LV1

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

…やはり相手と比べてこちらのシンボルは圧倒的に少ない。

ファーゾルトでコアは加速できるが、除去をされることになれば苦しいことになってしまう…

次にアラフィエルが来ると考えたら最低でもファーゾルトは守りたい。

そうするには…

 

駆「…俺のターン。スタートステップ、そしてコアステップにてファーゾルトの効果によりコアをもう1つ増やす。

ドローステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ30→29 手札5→6

リザーブ4

 

駆「…やるしかないか。キャノン・ピューマは赤のスピリットカードだが、白の色、白のシンボルとしても扱えるよって4コスト、白2軽減2コストで丁未機グロリアス・ラクーンのメインアクセルを使用。

効果はリボル・コレオンと同じだ俺は

デッキトップからカードを3枚オープン」

 

オープンカード

イグア・バギーREVIVAL✕

白庚皇エクスパルド〇

幻魔神〇

 

駆「…俺はこの中の白庚皇エクスパルドと幻魔神を手札に加え、残ったイグア・バギーREVIVALを破棄する」

 

駆 デッキ30→27 手札5→7

 

駆「さらに、4コスト、白2軽減2コストで丁未機グロリアス・ラクーンをLV1で召喚。不足コストはLV2の甲獣キャノン・ピューマの1コアをグロリアス・ラクーンの上に置く」

 

俺の場に機械を装備したラクーンが現れる。

 

駆「丁未機グロリアス・ラクーンの召喚時効果、手元からこのカードを召喚した時、自分の手札にある系統異魔神のブレイヴカード1枚をコストを支払わずに召喚する」

 

美弥「や、やっぱり!私のスピリットを破壊するつもりなんだね!」

 

駆「フッ…それもいいな。だが、俺は手札の幻魔神を召喚し、巨神獣ファーゾルトに右合体させる」

 

召喚された純白の装甲を持つ異魔神は右手から光を発射、その先に立つファーゾルトに光を与えファーゾルトをパワーアップさせる。

これにより、ファーゾルトのBP8000に幻魔神の+3000が加算され合計BPは11000。

 

美弥「[超装甲]かぁ…厄介だね…」

 

駆「そして、バーストをセットし、アタックステップにてキャノン・ピューマでアタックする。

キャノン・ピューマアタック時効果によりデッキからカードを1枚ドローする」

 

駆 デッキ27→26 手札5→6

 

美弥「フラッシュは無いよ」

 

駆「俺もだ」

 

美弥「そのアタック、ライフで受けるよ!」

 

美弥の周りにバリアが展開、キャノン・ピューマは背中の砲台から2発の弾丸を美弥に放つ。

 

バリィィン!

 

美弥「ああああっ!」

 

美弥 ライフ4→3 リザーブ0→1

 

美弥「う、うぐぅぅ…ライフ減少後のバーストを発動、エクスティンクションウォール。

バースト発動時に減ったライフのコア1個につき、ボイドからコアを1個自分のライフに置く、さっき減ったライフの数は1個だから、私はボイドからコアを1個自分のライフに置くよ!

これでプラマイゼロだね、駆君」

 

…まさか、そんなバーストを張っていたとはな、これで実質美弥さんは自分のコアを増やしたことになる。

やってしまったものは仕方ないのだが次のターンはかなりキツくなるな…

 

駆「…アタックステップ終了、エンドステップでターン終了だ」

 

駆 デッキ27→26 手札5→6

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ4

巨神獣ファーゾルト LV1 BP8000 Sコア

右合体

幻魔神 BP+3000

キャノン・ピューマ LV1 BP3000 疲労

丁未機グロリアス・ラクーン LV1 BP3000

 

バースト

有り

 

手元

甲寅獣リボル・コレオン

 

美弥「私のターン!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

美弥 デッキ26→25 手札2→3

リザーブ1→7

 

美弥「いくよ!7コスト、黄4軽減で3コスト!

 

いでよ!神速、神風を司る熾天使が1体!

 

風の熾天使 エアリフェルをLV3で召喚!」

 

やはりそう来たか…すると辺りの激しくも神々しい風と共に美しい天使が現れる。

 

美弥「わぁぁぁ!!エアリフェルだぁ!こんなに近くで見られるなんて感激しちゃうよ!」

 

非常にテンションが上がる美弥。かく言うエアリフェルは煌臨編第2章にて収録された黄色のXレア。

その効果は相手にとってはかなり厄介なものである。気になるその効果は美弥が紹介してくれるだろう。

 

美弥「そして、ミラエルのSコアをメリエルのコアに置いて、メリエルにおいてLV2にアップ!だけどミラエルは消滅するよ。

アタックステップ!ここで風の熾天使エアリフェルの効果が発動!自分の手札にある系統天霊を持つスピリットカード1枚をSコアをトラッシュに置かずに[煌臨]で重ねられるよ!

だから、私は手札の煌臨条件コスト4以上の天霊の天使ルミエルをメリエルに[煌臨]!!ちなみにメリエルのLV2効果はアタックステップに自身のコストを5にするの。

だから[煌臨]ができるんだよ!」

 

小さな天使に聖なる輝きを放つ天使が舞い降りる。

天使ルミエル…こいつも中々の効果が搭載されている。

 

美弥「天使ルミエルの[煌臨時]効果で自分のトラッシュにある系統天霊を持つスピリットカードをこのカードの[煌臨元]カードとして追加することでこのターンの間、この子はブロックされない。よってトラッシュの天使メガエルを天使ルミエルの[煌臨元]として追加するよ。

そしていけ!天使ルミエルでアタック!

ルミエルのアタック時効果はさっきの[煌臨時]効果と一緒だけど、トラッシュに天霊のカードは無いから追加はできないよ。

でもLV2、3の[煌臨中]のアタック時効果、このカードの[煌臨元]カード1枚につきデッキからカードを1枚ドローする、ルミエルの[煌臨元]カードは2枚!よって私はカードを2枚ドロー!」

 

美弥 デッキ25→23 手札1→3

 

駆「さて、フラッシュタイミングだが…エアリフェルの効果か」

 

美弥「そうだよ、駆君!風の熾天使エアリフェルのLV2、3の自分のアタックステップの効果、私は駆君より先にフラッシュタイミングを行えるの。

だから、フラッシュタイミングでルミエルのSコアをトラッシュに置いて、煌臨条件コスト6以上の天霊、ルミエルはコスト7だから[煌臨]は可能!

 

現れよ…灼熱の炎を司る熾天使が1体!

 

火の熾天使アラフィエル、天使ルミエルに[煌臨]!」

 

美弥の場の天使ルミエルが炎を纏う。そして、風の熾天使と同じ、美しい火の熾天使がルミエルに煌臨した。

 

美弥「いくよ!アラフィエルの[煌臨時]効果により、アラフィエルの[煌臨元]カードである天使メガエルと黄の探索者 天使メリエルの2枚を破棄することで相手のスピリット、アルティメット、ネクサスを全て好きな順番でデッキの下に戻す、よって丁未機グロリアス・ラクーンが一番下と甲獣キャノン・ピューマが2番目になるようにデッキの下に戻すよ!」

 

アラフィエル「ヤァァッ!」

 

アラフィエルの杖から放たれた聖なる炎がグロリアス・ラクーンとキャノン・ピューマを襲い、俺のデッキボトムに落とす。ファーゾルトは幻魔神の右合体時の[超装甲]により、守られいる。

ここまでは、俺が想定した出来事だが、厄介な事に天使ルミエルのアンブロッカブル効果は継続中…レベルLV2でBP10000であるアラフィエルをBP11000のファーゾルトでブロック出来れば良かったのだが、それは不可能となる。

 

駆「…俺のフラッシュは無い」

 

美弥「私も無いよ」

 

駆「ライフで受ける」

 

美弥「アラフィエルはダブルシンボルだよ!だからダメージは2だ!」

 

アラフィエル「えいっ!」

 

アラフィエルの炎が俺を包み込む。

 

バリィィン!バリィィン!

 

駆「…くっ!」

 

駆 ライフ5→3 リザーブ2→4

 

鋭い痛みが身体を貫く。まだだ、まだ美弥の攻撃は続く。

 

美弥「続けて、風の熾天使エアリフェルでアタック!エアリフェルのLV3アタック時効果で[煌臨中]の火の熾天使アラフィエルがいるのでこのスピリットはブロックされずにターンに1回、回復するよ!」

 

続けてアンブロッカブルの2回攻撃か…この状況、流石に不味いな。

 

美弥「フラッシュはないよ!」

 

駆「こちらもだ、そのアタックもライフだ。」

 

エアリフェル「ハァッ!」

 

エアリフェルは俺に超速の斬撃で俺のライフを切り刻む。

 

駆 ライフ3→2 リザーブ4→5

 

美弥「ひょっとしてこの勝負、私の勝ちかな?もう1回エアリフェルでアタック!

フラッシュタイミングで天使メガエルはマジックとしても扱えるので4コスト黄3軽減1コストで使用!コアはアラフィエルのコアを1個使ってアラフィエルのLVは3から2にダウン。

そしてフラッシュの効果は系統天霊のスピリットカード1体を回復させる…風の熾天使エアリフェルを回復させるよ!」

 

…!まさか、ルミエルの2枚ドローでそんなカードを引いていたとはな。

彼女の引き、侮れないな…!

 

駆「そんなカードを握っていたとはね…凄まじい引きだ。美弥さん。

こちらもフラッシュタイミング、5コスト白2軽減3コストで己械人シェパードールのフラッシュアクセルを使用する。

このターンの間、己械人シェパードールの効果によりコスト4以上の相手のスピリット、アルティメットのアタックでは俺のライフは減らない」

 

駆 リザーブ5→2 手札6→5

 

俺の周りに白い防壁が張られる。まだ、俺がやるのはこれだけじゃない。

 

美弥「あ!そ、そう言えばリボル・コレオンで手札に加えていたね…攻めきれると思ったんだけどなぁ〜

フラッシュはないよ!」

 

駆「俺もだ。そのアタックもライフで受ける」

 

エアリフェルの超速の斬撃はシェパードールが作り出した白い防壁がそれを拒む。

 

エアリフェル「くっ!」

 

エアリフェルはこの防壁を破ることが出来ないと理解し、美弥の元に戻っていく。

 

美弥「これでターンエンドだよ」

 

美弥 デッキ25→23 手札2→1

ライフ4 リザーブ0

トラッシュ3 Sコア

火の熾天使 アラフィエル LV1 BP10000

疲労

風の熾天使 エアリフェル LV3 BP13000

(3)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

駆「俺のターンだ。スタートステップ、コアステップ、ここでファーゾルトの効果によりコアステップを2回行う。

そしてドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ25→24 手札5→6

リザーブ1→11

 

駆「まずは1コスト白1軽減0コストでイグア・バギーREVIVALをLV1で召喚。

ファーゾルトのソウルコアとコアを交換して6コスト白3軽減3コストで

 

未の十二神皇グロリアス・シープ

 

をSコアを置きLV2で召喚する」

 

天からの光が一閃、地を砕き現れたのは無数の砲台を装備した機械的な体をした大いなる未、未の十二神皇グロリアス・シープだ。

 

駆「ファーゾルトを左合体にし、幻魔神を未の十二神皇グロリアス・シープに右合体させる」

 

ファーゾルトがポジションをチェンジ。幻魔神の右腕の光がグロリアス・シープを包み、左腕の光が新たにファーゾルトを包み込む。

 

駆「行くぞ、アタックステップ。未の十二神皇グロリアス・シープでアタック!

アタック時効果[封印] により、グロリアス・シープのSコアを俺のライフに置く」

 

グロリアス・シープ上のSコアが俺のバトルアーマーにセットされる。

分かっている、これをすれば一時停止に自由が効かなくなることぐらい。

どうにかしなければ、いずれ学園内で問題になってくるはず…

それは避けなければならない。ならばやることはひとつだ。

 

 

 

 

 

…だが、俺に出来るか?こいつを抑えることが

 

 

 

 

 

グググググ…

バトルアーマーが白い燐光を発しながら変形し始める。

それを俺は無理やり抑え込んでいるのだが…だ、ダメだ。強制的に展開されてしまう。

そして俺は力を抑えることができず、バトルアーマーは完全に変形してしまう。

 

駆?「…未の十二神皇グロリアス・シープのLV2、3の[封印時]のアタック時効果、このターンの間、系統神皇、十冠を持つスピリット1体はブロックされない。

よってこのターン、グロリアス・シープはブロックされない」

 

美弥「フラッシュは無いよ」

 

駆?「ならば、フラッシュタイミング、イグア・バギーREVIVALは赤の色、シンボルとしても扱える。

よって4コスト赤1軽減白1軽減2コストにて白庚皇エクスパルドのアクセルを使用。効果によりシンボル2つ以上の相手のスピリット、アルティメットを1体破壊しデッキからカードを1枚ドローする。よって、ダブルシンボルである火の熾天使アラフィエルを破壊する。

そしてデッキからカードを1枚ドロー」

 

エクスパルドが装備する背中の二門の大砲がアラフィエルをロックし、強力な一撃を放つ。

その2つの閃光はアラフィエルをとらえ討ち果す。

 

駆 デッキ24→23 手札3→4

 

美弥「私のアラフィエルが…」

 

アラフィエルが破壊され残念がる美弥。

だが、まだエクスパルドの効果は続いている。

 

駆?「そして、エクスパルドの更なる効果。本来アクセルを使用すればそのカードをオープンして手元に送るのだが、エクスパルドは自分の場に系統神皇を持つスピリットカードがある時、手元に置かずにコストを支払わずに召喚できる。

よって

 

白庚皇エクスパルド

 

をLV2で召喚。

不足コストはイグア・バギーから確保しコアが無くなったイグア・バギーは消滅」

 

グロリアス・シープが戦闘態勢の中超高速のジェット噴射でエクスパルドが現れた。

 

美弥「ふ、フラッシュは無いよ、駆君」

 

駆?「こちらのフラッシュ。エクスパルドのLV2、3の効果で自分の手札を2枚吐きすることでBP15000以下の相手のスピリット、アルティメットを1体破壊する。

俺が破棄するのは寅の十二神皇リボル・ティーガとコレオンだ。エクスパルド、BP15000以下のエアリフェルを破壊せよ」

 

またもエクスパルドはその砲台から弾丸を発射。

屠るターゲットはエアリフェルただ1人。

その弾丸はぶれることなくエアリフェルを貫く。

 

美弥「え、エアリフェル…フラッシュは無いよぉ…」

 

無慈悲なエクスパルドによりエアリフェルを破壊されて美弥は涙目になっている。

 

駆?「こちらも無い。砕け、グロリアス・シープ!」

 

キィィィィィン…バシュュュュュュン!!

 

幻魔神の加護を受けたグロリアス・シープのレーザーは通常のものよりも高出力。故にレーザーの太さ、威力は全く違うものとなる。

 

バリィィン!バリィィン!

 

美弥「あぅ!」

 

美弥 ライフ4→2 リザーブ5→7

 

グロリアス・シープのシンボルは幻魔神のシンボルと合わせてダブルシンボル。つまりアンブロッカブル且つ[超装甲黄]付きのダブルシンボルが美弥を襲うことになる。

 

駆?「殺れ、ファーゾルト」

 

またしても、幻魔神の加護を受けたスピリット、ファーゾルトがバトルフィールドを駆け抜ける。

 

美弥「フラッシュは無いよ…」

 

駆?「こちらもだ」

 

美弥「ライフで…受ける」

 

ファーゾルトはその鋭い爪で美弥の最後のライフを砕き切った。すなわち、それは俺の勝利を意味した。

それと同時にバトルアーマーの変形が解け自由になる。そしてバトルアーマーから発していた白い燐光もいつの間にか消えている…

 

美弥 ライフ2→0 リザーブ7→9

 

美弥「うぁぁぁぁあ!!」

 

とそんな思考をぶった斬る叫び声が聞こえる。

見れば美弥は先程のファーゾルトの攻撃の余波で浮遊するスケボーから転落してしまった様だ…って見ている場合ではない。早く助けなければ、いくらバトルアーマーであろうと彼女の身体が無事である保証は無い。

俺はバトルアーマーのブースターを吹かせ速やかに美弥をキャッチする。

 

駆「あ、危なかった…す、済まない美弥さん。やり過ぎてしまった。怪我は無いか?」

 

美弥「あ、うん。私は大丈夫だよ、助けてくれてありがとう!

うぅ、負けちゃったよぉ…やっぱり駆君は強いなぁ。

でも楽しかったよ!」

 

駆「あぁ、楽しい勝負だったな。

それに美弥さんもここぞという時のドロー運にプレイング…下手をすればこちらがやられていたぞ?」

 

美弥「えへへ〜そんなに言われると恥ずかしいというか、照れちゃうな」

 

駆「…まぁ、今置かれているこの状況も十分恥ずかしいのだがな」

 

そう今の俺は美弥を抱えている…細かく言えば、お姫様抱っこの状態で美弥を抱えているのだ。

すると段々と美弥の顔が赤くなってく。

今の自分の状況を理解し恥ずかしくなったのだろう。

 

美弥「お、お姫様抱っこ…は、恥ずかしいよぉ〜///」

 

そういえば俺は人生で初めて女性にお姫様抱っこをした。

ポーカーフェイスではあるが内面はかなり焦っているんだぞ?全く、恥ずかしいことこの上無しだ。

 

 

To be continued……




次回予告
世界にはとても性格が良くて思いやりがある人間がいればそうでも無い人間がいる。
それは幻想郷でも同じで、そんな当たり前のことを俺は忘れていた。

そのことを忘れるほど俺の周りの美弥さんや弾君、霊夢さん達はこんな俺に優しく、そして真に友達として接してくれたからなのかな?
















…あ、そうか。美弥さん達を表面上友達だと思っている時点で俺はその2つの内の後者の人間に含まれるね。ははは…

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-11 戦う者の責任


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登場人物設定(オリジナルキャラクター)

この小説、バトルスピリッツ 欠落に登場するオリジナルキャラクターの設定です!


名前 天野(あまの)美弥(みひろ)

性別 女性

年齢 16歳

身長 157cm

誕生日 8月6日

星座 獅子座

 

容姿

日本人らしい黒い瞳で肩まで伸びきったピンク色の髪をサイドテールで結んでいる。

これが普段で時々そのままおろしていたり、ポニーテールにすることがある。

そのピンク色の髪の毛は生まれつきなのかはたまた髪をピンクに染めたのかは不明。

艶のある白い肌で美弥本人は自覚していないようなのだが、かなりの美少女である。スリーサイズの詳細を出すのは極めて危険(色んな意味で)なのだが、身体のスタイルも出るところは出て締まるところは締まっている。故に同じ女子からたまに恨めしい目線を感じることもあるらしい。

学校での制服はピンク色のブレザーにミニスカート、オーバニーソックス。

私服は様々な服を持っているのでその日その日の気分で変えているだとか。

 

 

イメージCVは花澤香菜さん

アニメ、インフィニット・ストラトスの登場人物の1人であるシャルロット・デュノアの明るさをイメージをするといいかもです!

 

その他

主人公である天童駆に続く今作2人目のオリジナルキャラクター。

とても元気でポジティブな精神の持ち主。コミュニケーション能力に富んでいてどんなな人間との会話も楽しんで行う。しかし、何か1つ抜けていたりと少しおっちょこちょいな面がある。

本小説の主人公である天童駆は彼女のそのポジティブさとコミュニケーション能力の高さに感心している。

そして彼女は外の世界…つまり主人公と同じ世界?から幻想郷に流れ着いたようだが、その経緯は未だ不明である。

ケーキや、アイスクリームの様なスイーツ…[甘いもの]を好んでよく食べる。

その一方で苦手なものは[苦いもの]らしく、特にコーヒーのブラックが1番の苦手で飲むことが出来ない。

彼女がコーヒーを飲めるようになるには砂糖+ミルク入の超激甘のカフェオレでないといけないらしい。

これだけを見れば彼女が超がつく程の甘党というのが分かるだろう。

その他、趣味は主にアニメ鑑賞とバトルスピリッツ等…である。

アニメでは、恋愛ストーリーや、涙を誘う感動する作品などを好んで見ているらしい。

バトルスピリッツでの使用デッキは黄色の系統天霊デッキ。〇の熾天使というXレアスピリット達の強力な効果で相手を制圧することを中心にドロー、防御、除去、そして天使という美しさを兼ね備えたデッキとなる。

ちなみに成績は中の下であるが体力はあるらしくスポーツは人並み以上に出来る。

 




次は本編のストーリーの更新となります。お楽しみに!


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Turn-11 戦う者の責任

お待たせしました!11話です、お楽しみください!


俺と美弥の試合が終わったところで丁度昼休みに突入した。

俺は食堂に行こうとするところに美弥、弾、霊夢、魔理沙、早苗が付いてきた。

せっかくなので、一緒に昼食を取ることにした。

…にしてもこの学園、女子が若干多いと思うのだが…例えるなら比率が男子3に対して女子7人だ。何故?という疑問符が出てくるのだが、そういえば外の世界で得た知識で東方Projectのキャラクターはあまり男性のキャラが出ていた印象も無く、女性キャラが多かったような。

そんなまぁ、どうでもいいことを考えながら食堂の隣の自販機に売られてあるカロリーメイトチョコレート味を買いそれと一緒にレッドブルを飲んでいるのだが…

 

駆「何故そんな目で俺を見ている?」

 

そう、何故か5人が俺のメニューを見てそれぞれのリアクションを浮かべている。

 

ダン「なぁ駆、それは流石に持たないだろ?もう1品何か頼めばいいと思うぞ?例えば、カレーとかさ!」

 

と、弾は俺の心配をしながら自分の好物らしいカレーライスを推してくる

 

美弥「そうだよ、駆君!このままだと身体壊しちゃうよ?私のサンドイッチおすそ分け!」

 

一方で美弥は俺のトレイに自分が頼んだサンドイッチを置こうとしている。

いや、別にこれだけで1日は過ごすことは十分に可能だろう。カロリーメイトにレッドブル…これ程素晴らしく手軽に栄養を補給出来るものがあるのだろうか?俺なら絶対に重宝する。

 

駆「俺はこれで大丈夫さ、弾君も美弥さんも俺を心配する必要は無いぞ」

 

美弥「駄目!駆君、口開けて!」

 

美弥さんはまさか俺の遠慮を無視してトレイのサンドイッチを銃弾の速度の如く俺の口に持ってくる。

 

駆「むぐぅ!?」

 

…反射的に口を大きく開けてしまいそこにサンドイッチが吸引力の変わらないただ一つの掃除機の様に吸い込まれるように入ってきた。これは…ハム、卵、レタス、マヨネーズのサンドイッチなのだが先程食べていたカロリーメイトのチョコレート味とレッドブルの味が口の中で混ざり合い、混沌が俺の口の中で構築される。もはや何を食っているのかがわからないほどである。

俺は自分のトレイのコップに入っている水を一気に飲み、混沌を強引に喉へと押し流す。

 

早苗「だ、大丈夫ですか?」

 

駆「…大丈夫だ。し、心配はいらないよ早苗さん。そ、それと美弥さんいいか?」

 

美弥「?」

 

駆「…俺を心配してくれるのは嬉しいのだが、強引なのはいけないと思うぞ」

 

美弥「ご、ごめんね駆君。でも自分の体は大切にしてね」

 

美弥はさっき自分がやったことを後悔している様子だ。

そして、釘を打つように俺に言う。

 

駆「あぁ、わかった」

 

俺は美弥に素っ気ない声で答える。ふっと思ったのだが、俺はコミュ障では無く単に人見知りなのでは?

俺にしては中々いい感じに会話が出来ているではないか。

そんなことを思いながら食事も終わったので俺は腕時計で時間を見る。

…あと、15分くらいの余裕はあるな。そう言えば、この食堂にはバトスピのカードを販売しているカウンターがあってパックや単品買いが可能というとても便利なものがあることを伝え忘れていた。

すると、ある1人の生徒がゴミ箱にカードを捨てるところが目に入った。

…生徒はネクタイの色は赤ということは1年生。それも見たことのある顔…すなわち俺のクラスの生徒ということになる。

 

駆「…すまない、ちょっと席を外す」

 

魔理沙「ん?分かったぜ」

 

俺は席を立ち、販売カウンターのそばに置いてあるゴミ箱に行き、捨ててあったカードを手に取り、捨てた生徒に近づき声をかけた。

 

駆「すみません。君、カード落としてますよ?」

 

捨てましたよね?なんて失礼なこと言えないのでここは落としたことにしておこう。

 

DQN「アァ!?」

 

…これは想定外。まさか捨てた本人が図体のデカいDQNなんて思いもしなかった。

ちなみにDQNとは粗暴な格好をしている人、実際に粗暴な人や非常識な人などを指す時に使われる言葉で日本語の文脈に使われる蔑称の1つである。

詳しくは、全知全能森羅万象を司るお前らの唯一無二の友、Google先生にでも相談すればいいだろう。

 

駆「…このカード、君のものですよね?落としていたのに気づいていないようでしたので…返しますよ」

 

DQN「ハァ!?んなカードいらねぇよ喧嘩売ってんのか!?」

 

とDQNはカードをいらないと怒鳴った。

え?ふ、沸点が低い…そんなことで怒りますかね?そして、そのDQNの声は食堂に大きく響き生徒からの視線がこちらに向く。まぁ無理もないのだが…

すると美弥が俺のところに来た。

 

美弥「どうしたの?口喧嘩したの?仲良くしないとダメだよ?」

 

と俺とDQNの話に美弥が割って入る。君は本当に優しい人間だな。だが、基本こんな奴に関係するのは控えた方がいい。ろくなことがないからな。

 

DQN「嬢ちゃんアンタには関係の無い話だ。とっとと引っ込みやがれ」

 

とDQNはそう言う。言われた美弥頬を膨らましDQNを睨みつけている。

俺の手に持っているのは紫煙獅子、6コスト紫3軽減の紫色のRカード。紫色のカード故かBP効率は微妙だが、その効果は自らのデッキを3枚まで破棄することが出来、破棄したカード1枚に付きこのカードのコストを-1する…すなわち、デッキを3枚破棄して3軽減、紫3シンボル軽減でノーコスト召喚することが出来る上にお互いではあるがLV2、3の効果で紫以外のカードを効果で召喚する時5コスト余分に支払わなければ召喚出来ないという強烈なロック効果を持っている。烈火伝や神皇編でも紫色のデッキに入っていた強力なカードだ。

だが、いらないのならいらないで友達やクラスメイトにトレードすることは出来るのにゴミ箱に捨てるのか…この学校の生徒としてバトラーとして強者として非常識的な行動を行う目の前の男に俺は疑問を持ちそして怒りを覚えた。

 

駆「…会話の続きですが、何故カードを捨てるのですか?俺はカードを捨てるような人間がこんなところにいるのか理解できない…力を持つ者は力持たざる者に応えなければならない。でも、それはあくまでも俺の価値観。君にそれを押し付けることは出来ない。でもやっぱり先程の君の行動を俺は許す事が出来ない。それに、このカードは君に大切に持っていてほしい。これは押し付けでは無く、俺の願望だ。

君には力があるからこの学校に入学することが出来たんだ。それがなによりの君が力を持っている証拠だ。

力を持っているにも関わらずその力を粗末に扱うのは愚の骨頂の真骨頂だと俺は思う」

 

DQN「ならテメェは誰かの為に自分の力を使ったことがあったのか!?そんなに大口叩けるのなら大層なことをしたのだろうな?」

 

とDQNは俺に言い返してくる。

 

駆「…俺には誰かを助ける、そんな力なんてものはここに来るまで持っていなかった。

俺は色んな意味で弱者だった。そして俺は色んな奴を見てきた。だから力を欲した弱者から見た強者はその力を粗末にしてはいけないんだ。

だから今力を持つ俺はそうでありたいと思っている」

 

DQN「ほう、そこまで言うならてめぇが手に入れたその力を見せてみろよ!場所は第3バトルステージだ。そんでもってアンティールール…自分のフェイバリットカードを賭けろよな」

 

駆「…アンティールールはこの学園では校則により禁止されているはずだ。

それを行えばどうなるのかは火を見るより明らかだろう?」

 

DQN「そんなことは分かっている。だがな、てめぇがそこまで言ったんだ。そう簡単に逃げ道なんて作らせねぇよ」

 

と彼は最後にそう言い食堂を去っていく。

 

駆「…参った、面倒なことになったな。それより、そろそろ時間だし体育館に戻ろうか、美弥さん」

 

美弥「ちょっと待って!本当に勝負するの!?負けたら大事なもの取られちゃうんだよ?」

 

駆「確かに負ければ、大切なカードは彼のものになる。

だが、ここで逃げると自分が自分で無くなるような…俗に言う男のくだらないプライドってやつもこんな俺でも持っているって訳だ(ははっ、過去に自分の人生から逃げたってのにどの口がものを言ってるんだよ)」

 

俺は自分の発言に心の中で笑いつつ体育館に向かう。

美弥「駆君待ってよ!話してほしいこといっぱいあるのに!」

 

To be continued……

 




次回予告
あの人との対戦はとても楽しかった…久々に感じた感覚だった。でも今戦っているこいつとの勝負は楽しくない。


…むしろ何も感じない。


はやく、はやくこんなくだらない戦いに決着を付けよう…

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-12 城塞の裁き


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Turn-12 城塞の裁き

お待たせしました!12話です。相変わらず、クオリティが絶望的な作品ですがそれでも!という方はどうぞ!


第3バトルステージ

 

昼休憩も終わり午後の部。

俺は今、あいつに言われた通り第3バトルステージに立ってDQNと対面している。

 

DQN「逃げずに来たか。」

 

とDQNは言う。…完全にアニメの悪役が主人公との決戦時のセリフだな、と頭に浮かべて、笑いかけた。

まぁそんなことはどうでもいい。ちなみに、紫煙獅子は俺が預かっている。DQN本人がいらないと言っているから俺が貰って紫色のデッキにでもピンで刺そうかと思っている。まぁ使用制限されたカードだから1枚しか入れることが出来ないんだけどな。

俺はソウルコアを掲げてバトルアーマーを装着した。対するDQNもガッチリとしたアーマーを纏いいつでも来いという顔をしいる。

その前に俺は相手に気づかれないようにバトルアーマーに盗撮などの用途で使用されるカメラをプレイボードにセットする。

バトルアーマーにセットするとライフで受けた時の衝撃でカメラが飛んでしまうからだ。

盗撮になってしまうのだが、相手も違反を犯しているんだ。このバトルが終わったら保存されたデータを先生に提出することにしよう。

 

DQN「さぁ始めようぜ、俺が勝てばお前の大事な物を寄越しな!」

 

駆「…乗り気では無いんだが仕方ない。後悔しても知らないぞ?」

 

俺は手札4枚を確認する。…なるほど悪くは無い。

 

駆 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

 

DQN ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

DQN「俺から行くぜ!俺のターン!スタート、ドロー、メインステップ!」

 

DQN デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

先攻後攻を決めずに勝手に進めている目の前の少年。こんなので本当に試験に合格できたのかが不思議だ。

まぁ正直な話、後攻の方を取りたかったので好都合だが。

 

DQN「俺は2コストダークディノニクソーをLV2で召喚。ターン終了だ」

 

DQN デッキ36→35 手札5→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ2

ダークディノニクソー LV2 BP4000 Sコア

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

なるほど赤緑地龍か、しかし一体スピリットを召喚しただけか…Sコアがある故に煌臨を狙っている可能性はあるな、何にせよ警戒と予想を怠ってはいけない。

 

駆「ターン貰います。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

駆「1コストイグアバギーREVIVALを召喚、さらに1コスト白1軽減でもう一体イグアバギーを召喚。

そして4コスト白2軽減でメインアクセル丁未機グロリアス・ラクーン効果によりデッキから3枚オープン。その中の系統神皇、十冠のスピリットと異魔神のブレイヴカードを1枚ずつを手札に加える」

 

俺のデッキから3枚のカードがオープンされる。この効果はリボルコレオンと同じ効果だが、俺のデッキは赤白、両方を採用することによって安定性が増す。

 

オープンカード

甲獣キャノン・ピューマ〇

炎魔神〇

未の十二神皇グロリアス・シープ〇

 

ふむ、最近の自分の引きはかなり良くなっているのだが、ここまで良くなると自画自賛と言うより逆に自らの引きが恐ろしく感じてしまう。

 

駆「俺は3枚の中の未の十二神皇グロリアス・シープと炎魔神を手札に加え、残りのキャノン・ピューマは破棄する。そしてバーストをセットしてターン終了」

 

駆 デッキ35→32 手札5→3

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3

イグアバギーREVIVAL LV1 BP1000 Sコア

イグアバギーREVIVAL LV1 BP1000

 

バースト

有り

 

手元

丁未機グロリアス・ラクーン

 

 

観客席side

 

魔理沙「強っ!?なんなんだよ今の引き」

 

と魔理沙が驚いている。グロリアスラクーンでのオープンの時だ。

 

ダン「炎魔神を引いたか…次のターンで一気にコントロールされるな」

 

弾も冷静ながら彼の引きに感心した。そしてより一層駆と勝負をしたいという心情に駆られていた。

 

 

バトルステージside

 

DQN「結構デッキが回ってんじゃねぇか!?」

 

とDQNはそんなリアクションをとる。

 

駆「俺のことよりまずは自分を心配したらどうだ?」

 

DQN「言われるまでも無い!俺のターンスタート、コア、ドロー、リフレッシュ、メイン!」

 

DQN デッキ35→34 手札4→5

リザーブ0→3

 

DQN「俺は1コスト赤1軽減でピナコチャザウルスを召喚し、3コスト赤2軽減でブロンソードザウルスを召喚!召喚時効果、ネクサスを破壊するが緑連鎖(ラッシュ)によりボイドからコアを1つをブロンソードにおく。言い忘れたがダークディノニクソーもピナコチャザウルスも赤のカードだが、緑の色としても扱うんだぜ。

さらにさらに!ダークディノニクソーのコアを1つ使い5コスト3軽減2コストでラッシュドローを使うぜ。

デッキから2枚ドロー、そして2枚オープンし、その中の[連鎖](ラッシュ)があるスピリットかブレイヴをどれか1枚を手札に加える」

 

オープンカード

黄昏の暗黒銀河✕

闇龍ダーク・ティラノザウラー〇

 

DQN「俺はオープンされた闇龍ダーク・ティラノザウラーを手札に加え、残った黄昏の暗黒銀河はデッキトップに戻す。

さぁいくぜぇ…アタックステップやれ!ダークディノニクソー!」

 

ソーを内蔵したちいさな恐竜は俺に向かって走ってくる。

 

駆「フラッシュはありません」

 

DQN「こちらも無い」

 

駆「ライフで受ける」

 

ダークディノニクソーのソーは俺が展開したバリアを砕く。

 

駆 ライフ5→4 リザーブ1

 

DQN「もういっちょ!ブロンソードザウルス!」

 

さらに、ダークディノニクソーの隣にいた剣のような尻尾をした四足歩行の恐竜が俺に近づく。

 

駆「フラッシュは無い」

 

DQN「俺も無いぜ」

 

駆「ライフだ…!」

 

バリィィン!

 

ブロンソードザウルスは尻尾を俺に叩きつけバリアを破壊する。

 

駆 ライフ4→3 リザーブ2

 

2回連続の衝撃に俺の体は仰け反るが俺の伏せられてあったバーストが火を吹くことになる。赤白リボルなら3枚刺しておくべきカード…

 

駆「…ライフ減少後バースト発動丑の十二神皇アバランシュ・バイソン。こいつをノーコストLV2で召喚。」

 

俺のフィールドに巨大な氷塊が現れそれを砕きながらアバランシュ・バイソンが姿を表す。それはまさに鉄壁の城塞、要塞という言葉が似合う程の巨大な機獣である。

 

駆「その後自分のスピリット上のSコアを自分のライフに置く。[バースト封印]だ」

 

イグアバギーのSコアが白く輝き俺のバトルアーマーにセットされる。これによりコアを失ったイグアバギーは自動的に消滅する。そして4度目のこの感覚。そして溢れる燐光…今は赤では無く白い燐光をこのバトルアーマーは発している。封印するスピリットの色によってバトルアーマーの光の色が違ってくるのか…?

 

DQN「[バースト封印]…だと!?」

 

駆?「まだだ。アバランシュ・バイソンの召喚時効果、相手のスピリット、もしくは

アルティメットをデッキボトムに戻す。ピナコチャザウルスを指定し、デッキの下へ戻す」

 

アバランシュ・バイソンは砲台から白いレーザーを発射。そのレーザーは容赦なくか弱い恐竜へと降り注ぎその恐竜をデッキの奥底に沈める。

 

DQN「アタッカーがいなくなっちまった。クソが!ターンエンドだ。」

 

DQN デッキ34→31 手札5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3

ダークディノニクソー LV1 BP2000 Sコア 疲労

 

ブロンソードザウルス LV1 BP2000 疲労

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

駆?「…俺のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ32→31 手札3→4

リザーブ0→4

 

駆?「俺は丁未機グロリアスラクーンを4コスト白2軽減で召喚。コアを2個乗せLVは2とする。

そして召喚時効果、手札の異魔神ブレイヴをノーコスト召喚。よって炎魔神をノーコスト召喚し、アバランシュ・バイソンとグロリアスラクーンにそれぞれ左右にブレイヴ。

アタックステップに移行し、右ブレイヴ時のグロリアスラクーンでアタック。炎魔神の

効果によりブロンソードザウルスを破壊する」

 

炎魔神の追撃の炎の鉄槌はブロンソードザウルスを粉々に粉砕する。

 

DQN「くっ!フラッシュは無い」

 

駆?「こちらもだ」

 

DQN「ライフだ。くれてやる!」

 

グロリアスラクーンは背中に装備された砲台と炎魔神の加護を受け砲撃を放ちダブルシンボルを叩き込んだ。

 

DQN ライフ5→3 リザーブ3

 

駆?「トドメだ。アバランシュ・バイソンでアタック」

 

炎魔神の加護を受けた機動要塞は前進する。

 

DQN「ふ、フラッシュバードウインドを使用。コストは4赤1軽減で3コスト。俺のダークディノニクソーを回復させ、赤[連鎖](ラッシュ)でBP4000以下のイグアバギーを破壊する!」

 

進撃するアバランシュ・バイソンのそばで爆散するイグアバギーREVIVAL。

そして相手には回復状態のダークディノニクソー。その場凌ぎの延命処置に過ぎないが上手いプレイングだ。

 

駆?「フラッシュ5コスト赤1軽減、白2軽減で2コスト壬獣アクセルエッジのアクセル効果を使用。コアはリザーブのコアとアバランシュ・バイソンから1つずつ使うこととする。よってアバランシュ・バイソンはLV1にダウン。そして効果によりBP6000以下のスピリット…ダークディノニクソーを破壊することでワンドロー」

 

DQN「嘘だろ!?」

 

しかし、俺はアクセルエッジを握っていたんだよ。無残に破壊されるダークディノニクソーを尻目にアバランシュ・バイソンは攻撃態勢に入る。

 

DQN「…てめぇ!」

 

駆?「フラッシュはあるか?」

 

DQN「ッ!?フラッシュはねぇよ…!」

 

駆?「そうか、俺も無い。殺れアバランシュ・バイソン。」

 

アバランシュ・バイソンは俺の命令によりレーザーを何発も発射。

がら空きのフィールドを何線もの白い光が駆け抜ける。

そのトリプルシンボルのアタックはDQNの残りライフを全て削り切るには十分な数だ。

 

DQN「うわぁぁぁぁあ!!」

 

DQNはアバランシュ・バイソンの無慈悲な攻撃によりバトルステージの地面に叩き落とされる。

 

DQN ライフ3→0 リザーブ3

 

そして、勝負は俺の勝利に終わった。悔しがる目の前の相手を無視し俺は第3バトルステージから退出する。別に勝利しても相手のカードは取る気が無かったからだ。

それよりもこいつのアンティールールの件をマギサ先生に暴露するか。バトルを引き受けてはしまったが俺は被害者だから大丈夫だろう。DQNの方はおそらく退学だろうが運が良ければ謹慎で済むだろう。どっちかと言うならば断然前者を望む。

それはそうとDQNとの勝負の後、数人から対戦を申し込まれ、全て引き受けた。

しかし、こんなにも楽しいと思える時間はあっと言う間に過ぎてしまう。そして今日の授業は終わりを迎えてしまい、SHRを終えた俺は寮の部屋に戻りる。荷物を自分が使っている机に置いた後思いっきりベッドに倒れる。フカフカのベッドが疲れきった俺の身体を受け止める。このベッドはとても肌触りが良く、夜もぐっすりと快適に眠れるほど品質が良いとものだ。

まぁそれはそれとして俺はあれから数えては無いが5回以上はバトルをした。それもバトルアーマーを着てだ。ライフで受ける衝撃を何回も受けられるほど俺には体力は無い。そんな貧弱な身体に疲労が溜まっていて、もうこのまま寝てしまってもいいと思ったのだが俺はまだご飯を食べていないし、明日の準備もしていない。

備えあれば憂いなしとも言う。ならば早速明日の準備をしよう。

と思いベッドから起き上がったと同時に美弥が部屋に戻っていたのを確認した。

そう言えばDQNとの討論の後の美弥の様子がおかしいことに今気づいた。

勝負には勝って一安心といったところなのにまだ彼女の中で引っかかることがあるのだろうか?

それとも俺がまた今朝みたいに何かやらかしたのだろうか?今日の俺の発言を振り返ってみるが心当たりが無い。俺は思考を切り替えて明日の準備をする。

明日からは通常の授業だ、気を引き締めていかないと落第することになるかもしれない。

チラッと横目で美弥を見てみるとまだ何かを考えている様な表情をしている。一体何を考えているのだろうか?ふと俺の方を向いた美弥と目が合った。

俺は準備をしようと視線を鞄の方へ移す。

 

美弥「ねぇ…駆君」

 

ふと美弥から声がかけられてきたので俺は彼女のほうへ向く。普段元気のある彼女なのだが今日はやけに真剣な顔をしている。

 

駆「どうした、美弥さん?君にしては、らしくない顔をしているね」

 

と俺は言う。彼女はそう?と言い次にこう言った。

 

美弥「さっき不良君と言い争ってた時に駆君の過去がちょっと気になってて…それで少しでもいいから話してほしいなって思ってたの。あ、言いたく無いとかトラウマだとか…とにかく嫌だったら話さなくていいよ」

 

納得した、彼女は過去の俺に何があったのか、それをずっと考えていたのか。

俺はここ、幻想郷に来る前の昔の生活を脳内に思い浮かべる…それはもう二度と思い出したくない程の地獄だった。

と、自分語りはここまでとして彼女にこれを教えることはよろしくは無いだろう。

俺も正直嫌だし、もしかしたら俺の過去の話を聞いて彼女の気分が悪くなるかもしれない。そう考えれば話さない方が断然いい。

 

駆「…今はその話をする気分じゃない。それに仮にその話したところでお互いの気分も悪くなるだろう。

…この話はいずれ近いうちにすることになると思うけどその時は覚悟して置いた方がいい。本当に酷いものだから」

 

美弥「う、うん…ごめんねこんな話いきなり切り出しちゃって…多分ものすごく辛かったんだと思う。

昔のこと思い出しちゃった?」

 

と彼女は申し訳なさそうな表情をする。

 

駆「あぁ、でも大丈夫。君が気にする必要は無い。そんなことより夕食にはいい時間だ、一緒にどうだ?」

 

俺は時計を確認し美弥を夕食に誘う。すると先程の暗い顔と打って変わってキラキラっとした笑顔に変わる。それはまるで晴天の日に咲く美しい一輪の花の様に俺は感じた。

 

美弥「やっと駆君の方から誘ってくれた!うん、勿論行くよ!

それとちゃんとバランス良くご飯食べてね。まさか夕食もカロリーメイトのつもりなの?」

 

駆「…昼食の時、君に釘を打たれたというのにも関わらずカロリーメイトを選択するわけ無いだろ?ちゃんと美味しいものを頼むつもりだ」

 

美弥「そっか!じゃあ早く行こ♪」

 

俺の手を取って部屋を出ようとする美弥。

待て待てと俺は言いながら最後に部屋の窓が空いていないかを確認する。そして俺はドアに鍵をかけ食堂に向かった。

 

 

To be continued……




次回予告
俺は高校生活というものをよく知らない。それは家庭の事情、俺自身の事情で学校に行くことが出来なかったからだ。
もう二度と体験出来ないであろう高校生活が忘れられた最後の楽園である幻想郷で過ごせるとは思わず内心ワクワクしている。
普通の外の世界の高校と非常識な幻想郷の高校…バトルスピリッツ以外にも一体どんな違いがあるんだろうね?

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-13 部活動


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Turn-13 部活動

前の話からかなり時間が空いてしまいました、申し訳ないです。時折かなり時間が空いてしまうこともあるのでご了承願います。

と言ったところで13話へどうぞ!


「…る君!…きて!」

 

…誰か自分を呼んでいる声がする。どこか聞き覚えのある女性の声…と次の瞬間カァッ!と眩い光が俺の眠りを妨げた。俺はゆっくりと目を開ける。

 

美弥「あ!駆君起きた?」

 

ベッドで寝ている俺の横に美弥の顔が見える。そうか、俺を起こそうとしてくれていたのは美弥だったのか。

いつもははやく起きるはずの俺なのに今日は珍しい。やはり昨日の親睦会での疲れが響いたのか?

と、そんなことよりもまずは彼女にお礼を言わないとな。

 

駆「あぁ、起きた。起こしてくれてありがとう」

 

目をこすりながら俺は彼女に礼を言った。

 

美弥「どういたしまして!」

 

とニッコリする美弥。どうやら彼女は既に制服に着替えているようだ。

俺は部屋の時計を確認する。いつもの起床時間をとっくに超えてしまっている。これはやく準備をしないと遅刻になってしまう。

 

駆「美弥さん、別に俺を待つ必要は全く無いぞ?

むしろ、俺を待って君が遅刻になったら不味いだろ?」

 

美弥「確かに、遅刻は嫌だけど…それでも私は駆君と朝ごはん食べたいの!」

 

なんだよそれ、ご飯なんてまたいつでも食べれるじゃないか。それで俺を待って遅刻になったら絶対に俺の責任になるんだろう?

…真っ先に彼女を行かせてやりたいが、多分どう言っても彼女は自分の意思を曲げないだろう…なら俺が早く準備するしかないな。

 

駆「…すぐに準備する。外で待ってろ」

 

美弥「うん!」

 

俺は既に身支度を済ませた美弥を外に出させて自分の身支度を開始する。

 

 

〜少年、身支度中〜

 

 

俺はいつもより急いで支度をした。時間割は昨日行ったから大丈夫なはず…そして俺は部屋の窓の開け閉めを確認し部屋から出た。

 

駆「すまない、待たせてしまった」

 

俺は部屋の鍵を閉めた後、廊下の壁にもたれかかっている美弥に謝罪する。

 

美弥「ううん!そんなことないよ。ほら、行こうよ!」

 

駆「あぁ、だけど少し急いだ方がいいかもな」

 

俺と美弥は急ぎ足で食堂に向かった。今日は何を食べようか?時間に余裕がないからカロリーメイトと思ったが美弥にまた釘を打たれそうなので止めておこう。

しばらくの間はカロリーメイトとレッドブルは封印か。これはキツいな…

今日は手頃なサンドイッチを食べることにするか。

昨日の昼食の悲劇を思い出すが、ここのサンドイッチは美味い。それに昨日美弥が食べていたサンドイッチのサイズは俺が知っている従来のものより小さかったはずだ。朝はあまり食べない俺にとってそのサンドイッチはちょうどいいものだ。

食堂に着いた俺と美弥はまっすぐ自動販売機に行き、それぞれ欲しい食べ物の食券を購入する。俺は食堂の自動販売機からサンドイッチの販売券を購入し、食堂の人にそれを渡した。

一方で美弥は焼き魚の定食を選んだようだ。なるほど、いいチョイスだ。なんせ日本の料理は栄養バランスがとても良いと言われているからな。

それにしてもよくその量を食べるな。もしかして、毎朝この量を食べているのか?

疑問に思ったので直接本人に聞いてみることにしよう。

 

駆「…美弥さんって朝はよく食べる人なんだな。毎朝そんな感じなのか?」

 

美弥「え?うん、そうだよ。腹が減っては戦は出来ぬ!って言うし、むしろ駆君は全然食べないよね?それでお昼までもつの?」

 

彼女は突然の俺の質問に戸惑いつつ答え、返しに俺に1つ質問した。

 

駆「あぁ、俺はこれで大丈夫だ」

 

なるほど、彼女は毎日その量を食べているのか…実際とても元気なのが何よりもその証拠か。それに比べ俺の食べている量は美弥に比べて少ない。

…俺も食べる量を増やすべきか?

と思い最後の一つを口に入れる。ふむ、これはハム、レタス、卵、マヨネーズのサンドイッチ。昨日のトラウマを思い出してしまうのだが、美味い。また明日も頂くとするか?いや、他のメニューに目を通すのもまたいいかもしれない。そこは明日の俺の気分次第だな。

俺が最後のサンドイッチを食べ終わると同時に目の前の美弥も焼き魚の定食を完食したようだ。圧倒的に量が違う上に俺の方はそれが少ない。本来なら俺が先に食べ終わるのに何故同時に食べ終わったのだろうか?

その理由は簡単。美弥の食べるスピードが早いのと俺がこのような無駄な考え事をしながらサンドイッチを食べていたからだ。

 

美弥「駆君、ご飯食べ終わったみたいだね。一緒にいこ!」

 

駆「あぁ」

 

俺は美弥と皿の乗ったトレイを返した後、また急ぎ足で教室に向かった。

俺達が教室に入ったのはマギサ先生が教室に入り、SHRを始める3分前だった。

その頃には霊夢や魔理沙、ほとんどの生徒が教室に入っている。

途中から廊下を走って教室に入った。全力疾走したにも関わらず、美弥はピンピンしているのに対し俺は息を切らしている。それを見た弾や、霊夢達は笑い始め、魔理沙は俺に「なんだよ駆、お前体力無いのかよ!?」と言われた。少し馬鹿にされたと思い、何か言い返そうとしたのだが俺に体力が無いのは自覚していたので否定も言い返すことも出来ず、素直にコックリと首を縦に振り肯定の意を示した。とりあえず遅刻を無事に回避することが出来たので一安心といったところか。

 

マギサ「おはよう!皆席に着いて、出席をとるわよ」

 

教室に入ってきたマギサ先生の一声で席を立ち何気ない会話で盛り上がっていたクラスのみんなは静かになり自分の席に戻る。

その一方でマギサ先生は次々に生徒の名前を言い、欠席かどうかを調べている。

 

マギサ「天童駆君!」

 

駆「あ、はい…」

 

咄嗟に名前を呼ばれたので少し驚きながら返事をした。

 

マギサ「元気が無さそうだけど、大丈夫?保健室に行く?」

 

マギサ先生は俺の体調を気にして心配をしてくれているようだ。

む?普通に挨拶したのになんでそんなことを言うのだろうか…

あ、そうか。

 

駆「いえ、自分は元からこんな感じなのでよく間違えられるんですよ。

本当に体調が悪い時は先生に言いますので気にしないでください」

 

俺の普通の基準は皆とは違う。皆の言う普通の挨拶というのは俺よりも元気に挨拶をするものだろう。だからさっきの俺の挨拶を聞いてひょっとしたら体調が悪いのかもと捉えたのだ。

 

マギサ「そ、そうなのね。体調が悪い時は遠慮なく私に伝えるのよ?」

 

駆「はい」

 

マギサ「じゃあSHRを始めるわ」

 

とマギサ先生はすぐにSHRに話題を切り替えた。まぁSHRの次は授業があるからな。

急がなければいけない。

と言わんばかりに皆に伝わるように且つ迅速にSHRを進めていく。

 

マギサ「あ、そうそう6限目の学活なんだけどね、さっき部活動の冊子を配ったでしょ?その中から見学したい部活をピックアップしておいてね☆

アンケートをとるから」

 

「「「はーーい!」」」

 

マギサ「じゃあ私は行くわ。授業頑張ってね!」

 

クラスへの応援を最後にマギサ先生は教室を去っていく。

それにしても部活動か、入るつもりは無いので見学はしたくなかったところだが、先生は強制だと言っていたので仕方ない。さて、この学校にはどんな部活動があるのだろうか?俺はペラペラペラ〜っと渡された冊子をめくっていく。そこには、この学園の部活動の全てが簡潔にわかりやすくまとめられていた。

サッカーやバスケットボールに野球部などのスポーツ系統の部活や文芸や美術部などの文化系の部活に加え、ネトゲ部や幽霊研究部、それに愉悦部などのちょっと?いや、かなり特殊な部活もある。

まぁ、ネトゲや幽霊研究部はそれなりに想像はできるが愉悦部って何をする部活動なんだ?全く想像できない。

 

美弥「ねぇ駆君、部活どこ見学するか決まった?」

 

冊子を見ていた俺に美弥が唐突に話しかけてきた。

 

駆「いや、まだ目星の部活は見つかってないな。というか、さっき冊子を渡されたばかりだから決まってないのは想像できるだろ?まぁそんなことはどうでもいい、じっくり考えながら決めることにする。

そういう美弥さんは目星のものが見つかったのか?」

 

美弥「うん、この詩姫部っていうのがきになってね!見学に行きたいと思うんだ」

 

詩姫部?なんだそれ、何ページにあるんだ?目次目次っと…ふむ、9ページに説明があるのか。見てみよう。

 

 

…なるほど、さらっと見たものを簡単に説明すると校内の文化祭や人里などでライブを行い、それに向けてダンスのレッスンや発声の練習を行う部活動、要はスクールアイドルだな。

そして部活の入部条件として1つ女性である必要がある…か。なら男性である俺は当然入部不可能だ。

他のを探すとするか。

 

キーンコーンカーンコーン

 

と思っていたところに1限目始まりの鈴が鳴った。

1限目は数学か…かなり重要な科目を朝っぱらからするのか。これは少々気合を入れて取り組まなければな。俺は鞄からその教科書とノート、文房具の入った筆箱を取り出し机に置く。準備は万端である。

そして1年の数学を担当する先生が教室に入り授業が始まる。

 

 

〜少年、少女授業中〜

 

 

俺は先生のわかりやすい説明を聞き、黒板に書かれた因数分解の公式をノートに書き写しているところだ。

今のところ分からない部分は無い、順調なスタートをきっている。

その一方で美弥は額からダラダラと汗を垂らしている。どうやら因数分解の内容が分からない様子だ。

この時点で分からないのはかなり不味い。下手をすると留年の危険性があるので授業が終わり次第、救いの手を差し伸べるとするか。

と考えた俺は先生の指示に従い教科書ページ4にある問2の問題に手をつける。この問題はさっきノートに書き写した公式を使えば簡単に解ける。5問程あるがぱぱっと終わらせよう。

 

キーンコーンカーンコーン

 

…問2の答え合わせが終わったところで1限目終了の鈴が鳴った。

内容は理解していたので、全問正解。その一方で美弥は机に突っ伏して頭から煙を出している。

安否を確かめるために声を掛けてみよう。俺は美弥の突っ伏している席に近づき声を掛ける。

 

駆「美弥さん、大丈夫か?授業内容が分からず、オーバーヒートして頭から煙が出ている様に見えるんだが…」

 

そう言うと机に突っ伏していた美弥がガバッと顔を上げ涙目で俺を見つめる。

 

美弥「大丈夫じゃないよぉぉ!わかんないよぉぉ!」

 

駆「そ、そうだったのか。なら俺が今夜寮で教えてあげようか?」

 

美弥の悲痛の叫びに若干圧倒された俺は1つの提案を出す。

 

美弥「お願いぃぃ!教えて駆くぅぅん!」

 

その提案に彼女は乗った。授業序盤の内容が分からないのは相当不味いことだということを彼女は知っているからだ。

 

駆「わかった。途中で寝るなよ?」

 

美弥「うん!」

 

俺の忠告に彼女は元気よく返事をする。それくらい元気だったら今夜の勉強会も熱心に取り組んでくれるだろう。

俺はそんなことを思いつつ2限目の準備を行う。

 

 

 

 

 

そんなこんなで昼休憩。俺の座る席の前に左から霊夢、魔理沙、早苗が座っており俺の左隣には大好物のカレーに豚カツを乗っけた、いわゆるカツカレーに夢中な弾、右隣には脳のキャパシティがオーバーしてアハハハと乾いた笑いをしながらオムライスに手をつける美弥が座っている。

 

霊夢「ねぇ、美弥あんた大丈夫?」

 

美弥「大丈夫だよ霊夢ちゃん。決して授業の内容が頭に入らないとかじゃないから〜」

 

美弥を心配し声を掛ける霊夢に対し美弥は大丈夫と言う。絶対に大丈夫じゃない。

 

魔理沙「そんなこと言っても説得力無いんだよな」

 

と鋭いツッコミを魔理沙が入れる。多分それはこの席に座っている、美弥以外がそう思っただろう。

 

ダン「これは(´〜`)モグモグ重症だな(´〜`)モグモグ…」

 

駆「弾君、君はまず、口の中にあるカレーを飲み込んでから発言をするべきだ」

 

俺は隣でカレーを頬張る弾に注意する。注意された弾は即座に口に含んだカレーを飲み込み、コップの水を一気に飲み干す。

 

ダン「ぷはぁ……さて、美弥の問題だけど駆は手を打っているのか?」

 

駆「フォローはしているのだが危なっかしい。今週の休みの日を1日彼女に空けてもらい勉強会を行おうと思っているのだが…」

 

「「「それだ!」」」

 

勉強会にピンときたのだろう。弾、霊夢、魔理沙、早苗が俺に向かって指を指す。

俺はいきなりの事なのでびっくりしてしまった。

それはいいのだが、ワンツーマンで教えるには色々と苦しいので追加で助けが欲しい。誰か参加する人は居ないのか?

 

早苗「私はその案いいと思います!あ、私も参加していいですか?」

 

とここで困っていた俺に救いの手を出す早苗。ならば俺の答えは1つ。

 

駆「あぁ、俺は構わない。むしろ教える側が増えて助かる」

 

俺は早苗の参加を承諾した。その後弾、霊夢、魔理沙が参加を希望。

まぁ5人で美弥を指導すれば何とかなるだろう。ふぅ…と俺は安堵のため息をついた。

 

 

 

そして時間が経って6限目の学活の時間。

頭を抱える美弥をフォローするのに必死で放課後に見学する部活動を決めていなかった俺は今割とガチで焦っている。

…猶予はあった。そう、決める猶予は沢山あったのに決まっていないのだ。ダメだ、先生に決まっていないなんて口が裂けても言えない。なので早く決めないといけないのだが、ここは焦ってはいけない。

…そうだ。素数を数えて落ち着くんだ。素数は1より大きい自然数で1と自分自身で割り切れない数のことだ。

2、3、5、7、11、13……

 

美弥「駆君!一緒に詩姫部って所に見学に行かない?」

 

駆「( 'ω')ファッ!?び、びっくりた…っていうかどうして女子しか入れない部活動の見学に男子である俺を誘うんだ?」

 

美弥「え?入部条件は女子だけど、見学は男子でもできるよね?それに駆君まだ見学する部活決まってなさそうだし、1つ提案としてどうかなぁ〜って思ったんだ!」

 

なるほど、確かに入部条件だけは女子と書いていたので見学は可能か…

彼女の提案は最終の案にして時間ギリギリまで考えよう。その前に提案をくれた彼女にお礼を言わないとな。

 

駆「ありがとう、そこに見学するかは分からないが参考になった」

 

ありがとうとお礼を言われた美弥はえへへーと照れていた。

 

 

…あのあと真剣に考えたものの、結局は見学したい部活が見つからず、美弥の提案に乗ることにした。

自分の部活動見学希望シートには詩姫部と書かれており、それがマギサ先生に渡される。もしかしたらこの部活の見学を希望した男子が俺だけかもしれないという不安が脳裏をよぎる。

男子で誰か希望はしていないのだろうか?

 

ピーンポーンパーンポーン

 

顔を真っ青にしている俺の耳に6限目終了の鈴が鳴り響いた。

 

 

To be continued…

 




次回予告
俺の想像をはるかに超えたこの世界。そんな中で日常を繰り返していれば、いつかは慣れてしまうのだろうか?
次はどんな有り得ないものがあって俺を驚かせてくれるのだろう?
色んな期待を胸に抱きつつ部活見学先に向かった俺が見たものは…

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-14 運命のイタズラエンジェル


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Turn-14 運命のイタズラエンジェル

大変に長らくお待たせしました!最新話です。更新がかなり遅れてしまい本当に申し訳ない…リアルが本当に忙しくて執筆出来る時間がなかったのが主な理由です。
まぁこれは言い訳になっちゃうんですけどね。
とにかく、失踪せずに最後まで書ききりたいと思います。では14話をどうぞ!


6限目が終わりSHRも終わらせた俺は早速部活見学に行きたいと思っていた。

鞄に今日持ってきた教科書、ノートなどなどを入れて机に忘れ物がないかをチェックする。準備は出来た。

 

美弥「詩姫部見学の人こっちに集まってくださーい!」

 

HR後の教室に美弥の声が響いた。

なぜこのような行動をとるのか、ここに来たばかりの生徒が一人で部活の見学先の現場に行くとなると迷子になることがある可能性があるからだ。

なので、同じ部活に見学者同士で一緒に現場に行こうとマギサ先生が言ったのだ。

教室の生徒達は同士を見つけ集団を作り上げていく。俺も美弥の所に行くか。

俺は手を振っている美弥に近づく。

 

美弥「あ、駆君!駆君は詩姫部見学するの?」

 

近づいてくる俺に気づいたのか美弥が声をかけてきた。

 

駆「あぁ、結局は目星のものが見つからなかった。だから君の提案に乗ったんだ」

 

俺は美弥の質問に答えた。美弥はそうだったんだ!と納得していた。

そこに一人、同じクラスの女子がこちらに近づいてきた。もしかすると詩姫部を見学しようとしているのか?

 

???「ねぇ!詩姫部の見学グループってここであってるかな?」

 

とその女子は俺と美弥さんに聞いてきた。

やはり、詩姫部を見学する予定だったか。

 

美弥「うん!ここだよ」

 

美弥が頷くと女子はホッと胸をなで下ろした。そこから俺がここに居るのに彼女はつっこみ始めた。

 

???「あれ?なんで入試6位で有名の天童君がここに居るの?」

 

駆「…い、言いにくいのだが、実は俺も君と同じで詩姫部を見学しようと思っていたんだ」

 

俺はその女子から目を逸らしながら理由を答えた。

しかし、今目の前にいる女子、金髪でロング、赤い宝石の様な髪留めが2つ…そしてどこかシャイニング・ドラゴンを彷彿させる見ための髪飾り、どこかで見たような気がする。

そう言えば俺は目の前の女子の名前を知らない。なんて言えばいいのか分からないのでまずは名前を聞くことにしよう。

 

駆「いきなりだが君、名前を教えてくれないかな?」

 

レイ「私?私はレイ・オーバ!もしかして自己紹介聞いてなかったの?」

 

目の前の女子は自分の想像を絶する名前を言った。

その名前は俺の居た世界では人ではなくカードだったからだ。レイ・オーバ…それは龍輝神シャイニング・ドラゴン・オーバーレイを擬人化した系統詩姫のスピリットカード。バトルスピリッツの公式の背景世界では戦国フェスにシャイニーハーツのメンバーとして参加。バトスピユーザーではかわいいという評判で人気を誇るキャラクターだ。そんなことよりも俺はカードが実体化してこんな所に居ることに疑問を抱いている。もしかしたら、詩姫のカードは全て目の前のレイ・オーバの様に実体化して日常を過ごしているのかもしれないという考えが脳裏をよぎる。

 

駆「……あぁ、すまない。オーバさん」

 

とにかく俺は自己紹介を聞いていなかったことを反省し、レイ・オーバに謝罪をする。

 

レイ「大丈夫だよ?それにオーバじゃなくて、レイって呼んで欲しいな!」

 

この世界では人を姓で呼ぶのはあまり好まれていないのか…?

仕方はないので名前で呼んであげることにしよう。

 

駆「…な、ならレイさんと呼ぶことにしよう」

 

レイ「わかった!じゃあ私も駆君って呼ぶからよろしくね!あと美弥ちゃんも!」

 

…別に名前で呼ばれるのに抵抗はない。むしろ姓でも名前でもどちらの呼び方でも構わないのだ。ただ、名前で呼ばれると少し恥ずかしくなってしまうことがある。大した問題ではないんだけどな。

そう思っている間でも美弥とレイはすぐに打ち解け合っている。二人ともフレンドリーで元気な性格だからだろうか。出会って数分で仲良く話をしている。

 

駆「そういえば、レイさん。さっき、君が言ってた入試6位で有名ってどういうことだ?」

 

入試1位なら有名になるのは分かるのだが6位でも有名になるのかが疑問だ。他に理由はあるはず…

 

レイ「駆君が入試6位になったのも理由だけど、何よりも実技試験で試験官を容赦なく倒したって有名だよ?知らなかったの?」

 

と彼女は首を傾げて言う。そして、逆に何故今まで知らなかったと言う表情をしている。ついでに隣にいる美弥も知らなかったらしくオーバーなリアクションを取り驚いている様子だ。

 

駆「あぁ…君にそう言われるまではね。まさか、周囲にそんな目で見られていたなんて知らなかった」

 

レイ「でも、ホントに凄かったよ?霊夢ちゃんの時だってもうダメかと思ってた所からの逆転勝利は私、興奮しちゃった!」

 

とキラキラした目で俺を見るレイ。そう言って貰って悪い気はしないのだが、外の世界だと「相手にホコが付いてなくて良かったなw」なんて言われそうだ。

ちなみに[ホコ]というのは地球神剣ガイアノホコの略称で外の世界で俺が住んでいた地域ではその略称で言われていた。

 

美弥「駆君、レイちゃん!見学メンバーが集まったよ!」

 

と美弥の掛け声で俺とレイは見学メンバーの方に顔を向ける。

比率としてはやはり女子の方が多い。当たり前だ、女子しか入れない部活だからな。だが、その中に3人の男子が居た。その人たちと一瞬目が会い次の瞬間、3人の男子の中の眼鏡をかけた1人が俺に指を指しそしてこう言った。

 

男子O「何故、入試6位の天童君がここに!?まさか君も俺達と同士だと言うのか!?兎に角、訳を聞かせてもらおうか!」

 

物凄い勢いで眼鏡の男子は俺に問いかける。その勢いに少し引いてしまったが質問にはちゃんと答えないと行けない。

 

駆「…実を言うと入りたい部活も興味のある部活も無くて困っていた所に友達がここを見学しに行かないかと誘いを受けて見学に来たんだ。

見学だけなら男子でも女子でも構わないだろう?」

 

と俺が答えた所、眼鏡の男子の右横の少し大柄の男子が俺の両肩を掴み物凄い勢いで揺らす。

 

男子Y「貴様ァ!そんな理由で詩姫部の見学に来るなんて、それでも我ら詩姫を愛するドルオタか!?」

 

そして耳に響くほどの大きな声で俺に言う。その声で周りの人の注目は俺たちに集まる。それに加えてもう1人の少し背の低い男子がダメ出しをくり出す。

 

男子T「まさか、私達のクラスにそんな中途半端な同士がいたとは…君はドルオタの風上にも置けん!お前ら、目の前の奴は修正対象だ!奴をバトルで拘束せよ!」

 

と目の前のアイドルオタク(推測)三人衆は自らのデッキを取り出して俺にバトルを申し込まんとしている。

 

駆「待て、今は時と場合を考えろ。好きな事で熱くなるのはとてもいいことだが、俺たちは今から部活動の見学に行くんだぞ?それに他の見学者に迷惑をかける訳にはいかない。ここは穏便に済まさないか?」

 

すると3人は我に返ったように自分のデッキを片付ける。

 

男子O「すまない。またいつもの癖が出てしまったな」

 

男子T「確かに私達が騒いで周りに迷惑をかけるのはいけませんね。申し訳ない」

 

男子Y「くっ!また熱くなってしまったか…悪い事をしたな、天童君」

 

3人はそれぞれ反省してくれていたようだ。

素直な3人で良かったと俺は胸をなで下ろした。

 

駆「あぁ、分かってくれたならそれでいい」

 

男子T「なら、私達も見学に行くとしよう。あと、天童君。もし時間があったらまた別の機会にバトルしてくれよ」

 

駆「もちろん。その時はよろしく頼む」

 

その言葉を最後に3人は戻って言った。なんというか、ハリケーンみたいな人達だったな。

それが彼らに抱いた俺の第一印象だ。

好きな事で熱くなり周りが見えなくなってしまいがちの様だが、悪い人では無さそうだ。

俺はそう思いながら、移動を開始している見学メンバーについて行った。

 

 

少年、少女達移動中

 

 

しばらくの間学校内を見て回りつつ俺たちは詩姫部が活動している部屋に辿り着いた。

名をダンス教室と書いており、教室の壁越しから何人かの女性の掛け声が聞こえてくる。詩姫部の彼女たちは来るべき発表に向けて必死に練習をしている真っ最中の様だ。そして、見学を行うために美弥がダンス教室のドアを3回叩く。

すると、壁越しから聞こえていた女性の掛け声が止みダンス教室のドアが開かれる。

 

???「え〜と、あ!君たちが新入生の見学者たちなんだね!さぁ、入って!」

 

ダンス教室の内側からドアを開けたのは俺がよく知る人…いや、カードだった。

赤い髪色にツインテール、緑色の瞳…圧倒的に情報量は少ないが一瞬、あのカードを彷彿させた。間違いない、チームシャイニーハーツの永遠のセンターと言っても過言ではない人気っぷりに加え、デザインの元となったカードは美しくもかっこいいイラスト、そしてインパクトのある効果でバトスピユーザー達の心を鷲掴みにした超神星龍ジークヴルム・ノヴァ。となればもう分かるのではないか?

 

 

 

そう、ダンス教室のドアを開けたのは詩姫のノア・フルールだった。

彼女の活力溢れる歓迎を受け、俺を含めた新入生の部活見学者は次々にダンス教室に入っていく。

…やはり、女子の比率が圧倒的な為入室に若干の戸惑いが発生するのだが、見学希望にここを選んでしまったため腹を括って入るしかない。俺は覚悟を決め詩姫部のダンス教室に入室した。

ダンス教室全体は外の世界でも見た事のある。と言ってもテレビの番組でだが普通のダンス教室の構造だった。そして、壁の大きくも曇りなき鏡が少しばかり緊張気味の俺達と詩姫部の先輩達の全身を見事に映している。そして、俺たち以外のクラスの人もこの部活を見学しているようだ。しかし、男は俺とドルオタ三人衆だけであった。

俺は周りを見てから前を見る。そこにはノア・フルールを合わせた6人の女性の先輩達が立っている。

ノア・フルールやレイ・オーバ、フォン・ニーナなどは分かるのだが、俺もそこまで詩姫に詳しくないし、ノア・フルール以外の他の先輩が系統詩姫を持ったカードと言い切ることは出来ない。外の世界で少し知識をつけておくべきだったか?いや、そんなことを考えても仕方は無い。分からないならいくら考えたって分からないままだ。まぁ、先輩の人達が自己紹介をしてくれると思うしその面については大丈夫だろう。そういえば、さっきから顧問の先生が居ないのが気になってしまった。一体その先生は何をしているのだ?とりあえずは先輩に聞いてみるとするか。スゥっと俺は手を挙げた。

それに気づいたノア・フルールが俺の方を向く。

 

ノア「ん?男子の服を着たポニテの女の子、何かに気になることがあるの?」

 

と彼女は言った。だが、彼女の発言には大きな間違いがあり、俺の髪型のポニーテールのせいで女性に見えてしまうのだが、俺は男である。

恐らく彼女は、ポニーテールは普通女子がするヘアスタイルで男子はしないだろうという思い込みがあったのだろう。だからさっきの発言が出来たのだと思う。

とそんなことは置いてまずは間違いを正さなければいけない。

 

駆「はい。それもあるのですがその前に自分は女では無く、男です。

こんな髪型なので間違えられることは時々あるのですよ。紛らわしくて申し訳ないです」

 

ノア「えぇ!?君はポニテの男の子なんだ!間違えちゃってごめんね?」

 

と、ノア・フルールは俺に謝り、驚いているのだが、目はキラキラとしている。

どうやら男子が女子の髪型をしている所に興味を示しているようだ。

 

???「ノア、彼の質問に答えないといけないだろ?と言いたいところだけど、君のポニーテールに夢中な様だ。

まぁいい、君の質問は私が代わりに答えよう。」

 

と代わりにノアの左隣にいた黒髪のロングに輪を作っている先輩がノア・フルールの代わりに答えるらしい。

 

駆「では、詩姫部に見学に来たのですが、ダンス教室に、居たのは貴女達先輩方のみ…顧問の先生の姿が無いのですがどうしたのですか?」

 

???「あぁ、それは先生の都合が悪くてね、今出張に行っているんだ。

だから、今日は私達がこの部活の紹介をすることになっているんだ」

 

駆「そうだったのですか、ありがとうございます」

 

???「礼には及ばないよ。さて、そろそろ部活紹介を始めよう。

ほら、ノア。始めるぞ?」

 

ノア「そうだね!じゃあこれから詩姫部の説明を始める…その前に、まずは部員の紹介をするね!

 

私は2年生のノア・フルール!この詩姫部のキャプテンを務めているよ、よろしくね!」

 

とノア・フルールは俺たちの前でとても元気な挨拶をした。

俺たちはパチパチと拍手をしていく。

 

セイナ「私もノアと同じで2年生のセイナ・リューミン。この部活の副キャプテンを務めているんだ。よろしく」

 

自己紹介した彼女はさっき俺の質問に答えた大人の雰囲気と落ち着きを感じさせる人だった。

そして今思い出したのだが、彼女もノアと同じ、詩姫のカードだ。モデルとなったカードは烈の覇王セイリュービ。専用キーワードの[烈神速]は覇王編の環境以降、制限、禁止まで凄まじい猛威を奮ったパワーカードの1枚。そして現在では禁止カードとなり公式大会等での使用は不可能だが、究極編にてアルティメット・セイリュービとなり、[烈神速]が再来した。

と考えていると他のメンバーの紹介が始まった。せっかく先輩方が紹介をしているんだ、真面目に聞いておかなければいけない。

 

ラビィ「私も2年生!名前はラビィ・ダーリン。可愛い私をよろしく!」

 

次は青いリボンにツインテールのとてもテンションの高い少女が自己紹介をした…というか、彼女も系統詩姫を持つカードだ。

彼女のモデルとなったのはダンデラビットという星座編で登場した緑のスピリットカードだ。このカードはコアブーストが主な効果になっていて昔はよく助けられたものだ。そして、この詩姫の効果にもダンデラビットの効果を彷彿とさせるコアブーストの効果がある。

そして次の先輩は…大人しいと言うより恥ずかしさで緊張をしているのだろうか?

 

サヤ「…次は私ですね。わ、私はに、同じく2年生のサヤ・シャインです。よろしくお願いします…」

 

緊張により呂律が回らないのだろうか。それと心無しか声が小さく聞こえるような気がする。とそんな控えめな彼女もプロモーションカードのサンク・シャインをモチーフにしている詩姫だ。

サンク・シャインは防御を得意とするカード。詩姫のサヤ・シャインにもモチーフとなったカード効果の面影はある。

 

グリーフィア「はぁ〜い、私も皆と同じ2年生のグリーフィア・ダルク。後輩の皆、よろしくね!」

 

といかにも黒皇機獣ダークネス・グリフォンを思い浮かばせる髪飾りをしている彼女はいかにもそのカードのモデルとなった詩姫のカードだ。

おっとり?としたお嬢様系の少女は召喚時にバウンスやドローを兼ね揃え剣編、究極編にて白紫の主軸となり猛威を奮ったダークネス・グリフォンの面影を残している。

そして次で先輩方最後の自己紹介となる。

 

ラン「私も2年生のラン・ブレイセア!よろしくね!」

 

と最後の紹介を閉めるのはラン・ブレイセア。彼女もブレイドラという低コストでかつ不足コストの確保でよく消滅することで有名なカードがモチーフの詩姫のスピリットカード。そしてチームシャイニーハーツの足元を支える低コストの詩姫の一体だ。

性格は…ドジっ娘らしい。(Wikiより)

俺は彼女の最後の自己紹介で先程自己紹介をした彼女達が全員詩姫且つチームシャイニーハーツのメンバーであるのとに気がついた。そして、そこに驚かざるを得なかった。

 

ノア「メンバーの自己紹介が終わったところで本格的にこの部活のことを紹介するね!」

 

とラン・ブレイセアの自己紹介が終わり一息着いたところでキャプテンであるノア・フルールが部活の紹介を始める。

そう言えばこの部活の部員、3年生が居ない何故だろう?何か事情があって3年生が居ないと思う。

後でまた聞いてみるとするか。

 

ノア「今日配られた簡単な紹介の冊子にも書いてあると通りでこの部活は人里や文化祭でライブをするの!それに向けての発声練習やダンスの練習を行っているの!

で、気になった子もいると思うから先に言っておくね、実はこの部活、去年、つまり私達が1年生の時に誕生した部活なんだ!

だから、部員に3年生が居ないの。

でも、私達が今まで頑張って来たから人里じゃあ私たちはとても人気だよ!」

 

とノア・フルールは詳しくかやるこの部活を紹介する。それに気になっていたことも先輩が言ってくれたのでスッキリしている。

俺の周りの美弥やレイはなるほど、と頷きながら彼女の説明を聞いている。

そして、先程騒がしかったアイドルオタク三人衆も静かに説明を聞いてるいるが目をキラキラとさせている。

憧れのアイドルが目の前にいるのだ。興奮しない方がおかしいという訳か。

俺は俺でたった6人でしかも1年という短い年月で人里で有名になれるほどにのし上がってきた。それは血が滲むほどの努力の結晶ともいえるだろう。

俺もここまでやってきた彼女たちを凄いと思っている。このまま頑張って欲しいと思うのだが彼女達はいずれ引退してしまう。故に後輩が必要なのだ。そうでないと部活として成り立たなくなるからだ。部員が少ない詩姫部にとってこれは大きな課題となっているはずだ。

 

ノア「で!残念だけどこの部活は女の子じゃないと入ることができないの!ごめんね!男子諸君」

 

とノアが謝る。女子で行っているスクールアイドルなら当然の事だ。

 

サヤ「で、でもノアちゃん。力がある男の子とか、バトルが強い子が欲しいって言ってなかった?」

 

ノア「………あ、そうだった!てへっ!」

 

ノアは数秒間フリーズしてからハッとして舌を出す。その先輩の姿に俺たち後輩はザワついてしまっている。

 

女子E「そ、それってどういうことですか!?」

 

と俺と同学年の女子が先輩達に混乱しながら説明を求めている。

 

セイナ「…私達は冊子に男子もマネージャーとして入部するならOKの記入をうっかり忘れてしまっていたのだ。

つまり、男子でもマネージャーとしてならこの部活に入ることが可能ということだ」

 

…なんと、まさかあちら側の記入ミスとは思わなかった。今、俺は正直かなり驚いている。

そしてこの部活に入ることが出来るとわかったドルオタ三人衆は静かに感動の涙を流している。

 

セイナ「ただし、定員は2人だ」

 

とキッパリと先輩は言う。確かに、女子メインの部活に男子が何人も入るとなるとそれはそれで迷惑だ。

マネージャーなので2人くらいの人数がこの部活にとって丁度いいのだろう。

そして、感動の涙を流していたドルオタ三人衆の涙は枯れ、え?と口をポカーンと開けている。

 

美弥「すみません。さっきサヤ先輩が言っていた強い子が欲しいってどういうことですか?」

 

その一方で美弥が手を挙げて質問をする。

 

ラビィ「それはね、部費を他の部活より多く手に入れるためのバトルに勝つ為なの。

この部活って結構お金かかるのよ。例えるならこの可愛い衣装とかにね」

 

美弥「そうなのですか、ありがとうございます!」

 

その質問にラビィ・ダーリンは真剣な顔で答えた。他校との勝負の他に同じ学校の違う部活同士でそんな争いがあるとはな。

 

男子O「では、フルール先輩。どうやって男子マネージャーを決めるのですか?」

 

そこで、ドルオタ三人衆の1人が先輩に質問をする。その質問は俺もしようと思っていた内容のものだ。正直助かる。

 

ノア「う〜ん。冊子には女の子だけって書いちゃってるからなぁ…見学に来てくれた男の子、4人の中から2人決めようと思ってるよ。

決め方は必ず1回私達メンバーの中の1人と勝負して勝った人2人が入部出来るようにするよ!なお、2人以上勝ったら又、2人以上負けちゃったらジャンケンで決定するね!時間は明日の放課後、体育館のバトルステージ2で行うよ!忘れずに来てね!」

 

とノア・フルールは言った。…特に入るつもりも無いので辞退しようと思っていたのだが、バトルする羽目になってしまった。

断ってもよかったが、まぁいい。勝負した後で辞退すればいいのだから。そう、結局俺は先輩と勝負がしたいが為に彼女の案に乗るのだ。

とにかく、明日の放課後は先輩達と勝負だ。彼女達の実力が一体どれほどのものなのか期待が膨らむ。

 

 

そして、その説明を受けた後、俺達は先輩達が毎日行っている練習を見学したり、歌声を聞いていたりとして放課後を過ごした。

今夜は美弥の勉強を手伝う予定。彼女はまたオーバーヒート仕掛けていたがそれなりに理解出来たという。だがまだ学ぶべき課題は多い。彼女には是非頑張って貰いたいものだ。

 

 

To be continued…

 




次回予告

友達との何気無い会話で笑い、授業で難しい問題に取り組み、部活で先輩、後輩と交流をする。



この繰り返しの日々が本来俺が外の世界で体験するはずだった。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-15 開幕 超新星アイドル


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Turn-15 開幕 超新星アイドル

お待たせ致しました!欠落の続きです。お楽しみください!


さて、困ったものだ…

部活見学を行った後日、俺はそう思いながら目の前の黒板を見る。黒板にはクラス委員長と書かれている。

…これを見れば十中八九今何をしているのかなんて分かるだろう。1時間目の授業はバトスピの基礎学。担当は担任のマギサ先生なのだが、彼女が唐突にクラス委員長を決めなきゃと言い出し授業をキャンセルし、クラス委員長を決めようと言うことになった。まぁ学校あるあるだな、クラス委員長決めはかなり長引く。

実際に小学校、中学校でもそうだ。多分みんながみんなこれを体験したことはあるんじゃないか?場合によっては早く済む事もあるが。

 

美弥「…中々決まらないね」

 

と隣からいきなり美弥がちいさな声で話しかけてくる。

 

駆「なら、美弥さんがなればいいんじゃないか?」

 

と俺は小声で返す。すると美弥は小さく首を振り否定を表す。

 

美弥「私はしっかりして無いしクラスを引っ張っていける自身もないから無理だよ。駆君はどうなの?クラス委員長」

 

ここでいきなり俺に振ってきたか。とはいっても此方生きてきてクラス委員長なんてやったことなど1度もない。他つの活発そうな人がやればいいんじゃなろい?と思っていた。

 

駆「…俺の性にあわない」

 

と適当に美弥に言う。そしてこの会議を初めて約10分の経過。自薦する者は居なく、教室はしばし静寂に包まれた。そう言えばなんでみんな誰かを推薦しないのだろうか?俺?俺はめんどくさいからやらない。

 

生徒A「あの…先生。自薦じゃなくて推薦でもいいですか?」

 

とそこにこの静寂を破る勇者がいた。推薦。その言葉を聞いて数人の生徒が( ゚д゚)ハッ!となる。いやまさかお前ら誰が自薦してくれると思っていたのか?決める前に先生が自薦、推薦何でもOKだと言ったのに。まぁ思いっきり他人任せの空気がプンプンとしていたのだがな。

 

マギサ「えぇ、勿論よ。」

 

とマギサ先生は言う。するとその生徒はモジモジしながら弾の方を見た。

きっとその子は恥ずかしがり屋で気の弱いのだろう。

 

生徒A「私は、馬神弾君を推薦します。」

 

決まった…と俺は内心この重っ苦しい空気から逃れたかったのでに 早くクラス委員長を決めて欲しかった。推薦された弾本人はウェ!?と目を点にして情けない声を出してしまっている。そんな彼をよそにクラスの皆は弾がクラス委員長になることを賛成している。とそこに爆弾を投下した者が1人…

 

 

 

美弥「ハイ!なら私は駆君がいいと思います!」

 

またもやクラス内に訪れる静寂。その中には駆って誰だよ見たいなことを言うクラスメイトもいる。

 

レイ「賛成!私も駆君に1票!」

 

ダン「なるほど、確か駆は入試6位の実力を持っていたな…クラス委員長に相応しいと俺も思う」

 

美弥の意見に弾、そしてレイが俺の方を向いて便乗した。するとクラス中にまたざわめきが聞こえる。それは俺をクラス委員長にしようという意見の声だ。どうやってクラス委員長を回避しようと俺の頭の中で思考をする。ここは断ろうそう席を立とうとした時…

 

ダン「マギサ先生」

 

弾が席を立って先生をよぶ。

 

マギサ先生「はい、弾君」

 

ダン「このままじゃ埒が明かないので俺と駆でバトルして勝った方をクラス委員長としてはどうでしょうか?」

 

クラスの注目を集めた弾の意見はクラスのみんなを納得させた。…俺以外を除いて。弾は別にクラス委員長になってもいいという顔をしているが俺はまだ何も言ってない。その上俺の意見を聞こうともせずに勝手に話を進めている。ちょっとイラッとしたから言わせて貰うことにしよう。

 

駆「すみません。俺、まだやるやらないって一言も言ってないのになんで勝手に進めるんですか?俺は反対です」

 

クラス全員が俺に注目する。

 

マギサ「あ、ちなみに推薦されたら拒否権は無いからね!」

 

とマギサ先生は俺の逃げ場を無くしていく。そして、次は弾が口を開いた。

 

ダン「…勝負から逃げるのか?」

 

と弾が俺を睨みつける。

 

駆「…いや、拒否が認められないのなら初めから逃げ場なんて無い。勝負するならしてやろうじゃないか」

 

ダン「それでいいんだ、駆。勝負は来週の月曜日、放課後でどうだ?」

 

駆「…それでいい」

 

ダン「そうか、その時までより完成度の高いデッキを作って全力でやるぞ?」

 

駆「お前に言われるまでも無い」

 

こうして半強制的に俺と馬神弾によるクラス委員長を掛けた勝負は来週月曜の放課後に行うことになってしまった。

たまったもんじゃない、入試で6位なんて取らなければこんな面倒なことにはならなかったのに…なんてこと言ったら一緒懸命努力してより上を目指そうとしている人達に失礼だな。今の言葉は完全に撤回しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴との戦い…それなりに本気でやらないと行けないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休憩 食堂

 

美弥「…ご、ごめんね駆君。駆君ってしっかり者だし、冷静な判断が出来るからクラス委員長に相応しいって思ったの」

 

駆「…………」

 

昼休憩時、ご飯を食べていると隣の美弥が突然と謝りに来た。1時間目の委員長決めの事だろうということは分かった。それからの俺はかなりイライラしていたため、そこまで美弥と会話をしていなかった。すると突然隣の美弥が俺に顔を近づけて見上げる…すなわち上目遣いで俺を見て来た。綺麗な白い肌にピンクのサラッとした髪。俺を見るまるで宝石の様な瞳。そして艶のある桜色の唇に俺は一瞬ドキッとした。

今まで思ってはいたが彼女はかなりの美少女である。それに俺も思春期の真っ只中、異性を意識してくる時期ということは俺にだってそういった感情があるという事だ。

しかし、この状況周りから見ると完全に彼女持ちのリア充と言われそうではあるが勘違いをしないでほしい。俺と彼女はそんな関係でもないし、彼女に恋愛感情を抱いたことも無い。ただの友達だという事に過ぎない。

 

レイ「ねぇ、駆君。許してあげたら?美弥ちゃんは本当に君が相応しいって思ったから推薦したんだよ?」

 

と俺の座っている席の前でレイがそう言う。確かに、それが彼女の本意なら素直に感謝しなければいけない。

 

美弥「…お願い、許してくれるかな?」

 

駆「いや、寧ろ謝らなければいけないのは俺の方だ。

せっかく俺を推薦してくれたのにな。すまないと思っている。ごめん美弥さん」

 

俺は美弥に頭を下げた。突然のことなので美弥は若干驚いているようだ。

 

美弥「そんな、気にしなくていいよ駆君」

 

駆「いいのか?」

 

美弥「うん!」

 

俺の質問に彼女は笑顔で答えた。全く君は優しくてお人好しだな。

なんでこんな俺と一緒にいるのかが疑問になるほどだ。

 

レイ「よかったね!駆君」

 

駆「…あぁ」

 

美弥「あ!そう言えば、今日の放課後はノア先輩と入部を賭けて勝負する日だよね!駆君、頑張ってね!」

 

レイ「私も美弥ちゃんと一緒に君を応援するね!」

駆「そんなに期待を持たれたら尚更負けられないな。ありがとう、美弥さんにレイさん」

 

俺は彼女たちに感謝した。2人がこんなにも応援をしてくれている。

俺のことを応援してくれたのは、亡くなったおばさんくらいだった。だから、今とても嬉しい気持ちだ。ならその期待に答えて勝たないといけない。せっかく応援してくれた彼女達の為にも。

 

 

 

体育館第2バトルステージ

 

そして、バトルの時はすぐにやってきた。

今日の授業は全て終わり、放課後の観客席には俺を応援してくれた美弥にレイ。その隣に詩姫部の先輩達や、ドルオタ三人衆に加え昨日の見学者が見に来ていた。俺の目の前には詩姫部部長、そして2年生のノア・フルールが立っている。

どうやら俺が1番最初に戦うらしい。なので彼女がどんなデッキを使用するかの情報が一切無い。相手のバースト、手札のカードをより一層警戒して戦わなければならない。そして、彼女は俺より1年もバトルスピリッツの経験をこの学校で深く学んでいる先輩だ。つまり、一切の油断も許されない相手と俺は今対面しているという事だ。

 

ノア「じゃあ早速、君の実力を見せてもらうよ!」

 

彼女が空にソウルコアを掲げる。

 

駆「…遠慮はしませんよ、フルール先輩」

 

俺もソウルコアを取り出し握りしめる。

 

 

「「バトルアーマー、オン!」」

 

 

2人は同時にソウルコアの光を纏った。

 

 

To be continued……

 




次回予告
始まった戦い。予想と大きく外れた戦法。流石は俺の先輩にあたる人だ。
…だけど俺もここで負ける訳にはいかない。

次回、バトルスピリッツ欠落

Turn-16 ミーティア


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Turn-16 ミーティア

どうも!久しぶりの投稿です。前回の投稿からかなり時間は空いていますが続きをどうぞ!


バトルアーマーを纏った俺は目の前の先輩がバトルアーマーを纏ったことを確認した。装甲は赤を基本としたカラーに白を追加し、ジークヴルム・ノヴァをイメージしたものとなっている。

俺は先輩を見た。真っ直ぐ俺を見る瞳からふつふつと燃える闘志を感じた。「後輩だから手加減をする」そんな感情は一切無く、全力で俺を叩きのめす。そんな意思が今の彼女にあると推測する。

 

駆「…ゲートオープン」

 

ノア「界放!」

 

2人の掛け声と同時に2つのバトルアーマーが輝きを放ちドームを生成する。これでバトルの準備は整った。

 

駆 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

 

ノア ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

駆「ジャンケンで先攻、後攻を決めましょう」

 

ノア「そうだね!最初はグー、ジャンケンポン!」

 

結果は俺がチョキ、先輩がグーで先輩が先攻又は後攻決める権利を得た。

 

ノア「なら私は先攻を選ぶね!私のターン!スタートステップ、ドローステップ、メインステップ!」

 

ノア デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

先輩は先攻を選択したか、こちらは先攻でも後攻でもどちらでも動けるので問題は特に無いが、彼女が何を繰り出してくるのかが気になる。

このターンに出てくるカードで相手がどのようなデッキなのかを見極めたいところだ。

 

ノア「私は3コストで赤のネクサス、星の砂漠をLV1で配置!」

 

ノア・フルール先輩は赤のネクサスを配置した。辺りに広がる広大な砂漠に夜空を彩る多彩な星々が瞬く。

このカードは煌臨編第二章、蒼き海賊にて収録されたネクサスカードの1枚。LV1、2の効果は常に発動されており、その効果は自分の効果で破壊した相手のスピリット、アルティメットの効果は発揮されないというものだ。自分の効果なのでマジックやブレイヴでの破壊でもこのカードの効果は適用される。そして、LV2はコアが2個必要なのだが、自分のアタックステップにて系統星竜を持つ自分のスピリットがアタックした時デッキから1枚カードをドローする、手札補充効果を内蔵している。系統は星竜なので連続アタックが出来る星竜カードを用意して連続アタック、連続ドローをすれば良いだろう。

ここで彼女のデッキが星竜である確率が増えた。残りの1コア、果たして何に使うのか?それとも使わないのか?

 

ノア「続けて、電岩竜ダイナモドラゴンアクセルを2コスト、赤1軽減1コストで使用!効果でデッキからカードを1枚ドローするよ!」

 

ノア デッキ35→34 手札3→4

 

なるほど、無駄のないコアの使い方だ。彼女が先程使用した電岩竜ダイナモドラゴンは通常4コスト、赤の3軽減のある赤の系統星竜を持つスピリットカード。このカードも星の砂漠同様、蒼き海賊に収録させていたカードの1枚だ。

その効果はメインステップで使用可能の2コスト赤の軽減を1つ持つアクセル効果を内蔵している。効果は単純に1枚カードをデッキトップからドローするのだが、それが強い。そして、アクセルを持つカードは使用された時にトラッシュではなく手元に送られる。電岩竜ダイナモドラゴンはその手元である効果を常に発揮する。

それは、BP破壊上限を+1000する効果。破壊条件が上がればより多くのカードを破壊することができる上に星の砂漠で効果は発揮されなくなる。さらに、フィールドにLV2か3の状態でいれば系統星竜の自分のスピリットカードのBP破壊効果の上限を+3000してくれる優れもの。彼女は1ターン目にして中々厄介なことをしてくれた。

しかし、これで彼女が星竜デッキであることが分かった。それも最近の環境、煌臨編のカードを使用した星竜デッキ。決して油断することは出来ない。

 

ノア「これでターンエンド!さぁ、存分にかかってこい!」

 

ノア デッキ35→34 手札3→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3 Sコア

星の砂漠 LV1

 

バースト

無し

 

手元

電岩竜ダイナモドラゴン

 

駆「…俺のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、そしてメインステップ」

 

駆 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

バーストは無しか…手札にあれば極力セットした方がいいのだが、もしかするとこちらのバースト破棄効果を警戒しているのかもしれない…

 

駆「俺は手札から4コストで秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァンをLV1で召喚」

 

すると、俺の前の地面が開き、そこからエ〇ァンゲ〇オン初〇機が出撃するかの如く、カタパルトから赤い装甲を持つ撃墜王が出撃し、フィールドに鎮座した。

 

セイナ「あの機械人形は…」

 

美弥「ソレイユ・ルヴァン…てことは白の武装デッキだね!」

 

美弥は手を叩いて俺のデッキタイプを当てる。そう、美弥の言う通りで秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァンは系統武装を持つカード。俺の2つ目のデッキ、それは系統武装を中心としたデッキだ。

 

ノア「BP8000でダブルシンボル…攻撃が来る…!」

 

ノア・フルール先輩は構えた。しかし…

 

駆「俺はバーストを1枚セットし、これでターンを終了する」

 

駆 デッキ36→35 手札5→3

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ4

秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァン LV1

8000BS Sコア

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

レイ「え、なんで攻撃しないの!?今がチャンスだよね?」

 

俺がダブルシンボルで相手を攻撃しないことに戸惑うレイ。

 

美弥「レイちゃん、それは次のノア先輩のターンに分かると思うよ」

 

そんな彼女に美弥はニッコリと笑って言った。

 

ノア「…私のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ!」

 

ノア デッキ34→33 手札4→5

リザーブ0→4 Sコア

 

ノア「私は3コスト赤の1軽減2コストで煌星ラニアケアを配置!」

 

すると、煌めく星々の中に一際目立つ星がある。

それは星竜の故郷とも言われる天の星。星の砂漠と合わせて極めて幻想的な雰囲気を漂わせている。

 

ノア「ラニアケアがある限り、紫、白、黄色のカードの召喚時効果は発揮されないから気をつけてね!さらに私は3コスト赤2軽減で彗星竜サングレーザーをLV1で召喚!」

 

天空より、高速でドラゴンが出現し俺を睨みつける。

まるで強大な肉食動物が今夜の餌にひ弱な小動物をターゲットする様。

 

ノア「アタックステップ!彗星竜サングレーザーでアタック!」

 

彗星竜は飛翔。俺に向かい、高速で接近してくる。と、ここでそのカードの効果が発揮される。

 

ノア「彗星竜サングレーザーのアタック時効果!自分はデッキからカードを1枚ドローする」

 

ノア デッキ33→32 手札3→4

 

駆「…BPはソレイユの方が上、ならあれがくるか。フラッシュは無いです」

 

ノア「フラッシュ!ソウルコアをトラッシュに置いて煌星第七使徒ハイペリオンを[煌臨]!」

 

飛翔する彗星竜はソウルコアの力によって姿を変え、巨大なランスを携えた竜へと変身した。

やはり…煌臨か。そして、煌星第七使徒ハイペリオンには煌臨時の効果がある。

 

ノア「ハイペリオンの[煌臨時]効果!BP8000以下の相手スピリットを全て破壊!さらに、破壊されたそのカードたちの効果は発揮されないよ!さらに、手元の電岩竜ダイナモドラゴンの効果で自分のBP破壊効果の上限を+1000しているから、破壊できるBPは9000!

いけ、ハイペリオン!ターゲットはソレイユ・ルヴァンよ!」

 

ハイペリオンはランスに炎を纏わせ振るう。その先のターゲットは俺のソレイユ・ルヴァン。

しかし、ハイペリオンの炎はソレイユ・ルヴァンが発生させている防御壁で防がれる。

 

ノア「は、ハイペリオンの効果が効かない!?」

 

レイ「どうして!?」

 

2人はそれぞれに驚きのリアクションをとる。

 

駆「それはソレイユの効果にある。ソレイユは煌臨元のカードが無い時、アタックをすることは出来ないが、相手のスピリット、ブレイヴの効果を受けない能力を持っています」

 

ノア「へぇ〜!凄く強力なカードだね」

 

彼女はソレイユの効果を聞き感心する。果たして感心する暇はあるのか?

 

駆「こちらのフラッシュはありません。そちらのフラッシュが無ければブロックに入りたいのですが…」

 

ノア「フラッシュは無いよ!」

 

駆「なら、ソレイユ・ルヴァンでブロックします」

 

俺がブロックの宣言をした瞬間。ソレイユ・ルヴァンのツインアイが輝き、装備された大型の銃をハイペリオンに向け数回発射する。一方のハイペリオンはギリギリでその弾を躱してソレイユ・ルヴァンに接近する。それはハイペリオンの持つ槍をソレイユ・ルヴァンに突き刺す為だ。だが、ハイペリオンの動きはソレイユ・ルヴァンの発射する弾丸を避ける度にぎこち無くなってきている。

そして、辛くも全ての弾丸を回避したハイペリオンはソレイユ・ルヴァンに突貫。その手に持つ槍を突き出す。狙いは中央一突きで決める算段だ。

しかし、その槍はソレイユ・ルヴァンを突き刺し破壊することも無ければソレイユ・ルヴァンのボディに傷一つすらつけることも叶わなかった。それはソレイユ・ルヴァンが発生するバリアが槍の直撃を防いでいるからだ。だが、煌星第七使徒ともあろうものが何故バリアを貫通してソレイユ・ルヴァンを攻撃出来ないのか?その原因はとてもわかりやすい所にある。

 

 

 

 

煌星第七使徒ハイペリオン

LV1 BP5000

VS

秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァン

LV1 BP8000

 

 

 

そう、それは単純にソレイユ・ルヴァンがハイペリオンのBPを上回っているからだ。

 

駆「フラッシュは無いです」

 

ノア「私も無いよ」

 

互いにフラッシュの有無を確かめバトルを続行する。

攻撃が通らないと理解したであろうハイペリオンはソレイユ・ルヴァンとの距離を取ろうとするが、ソレイユ・ルヴァンはそこを逃さない。すぐさま銃を連射。無数の弾丸がハイペリオンを抹殺しようと接近する。ハイペリオンはその弾丸の多さに驚愕したのか、先程の攻防で体力を使ったのかは分からないが本の数秒回避するのを遅れてしまい。弾丸が一発目、2発ほどハイペリオンの翼に掠る。それが影響したのだろうか、数発の弾丸がハイペリオンに迫るも回避しきれず弾丸が数発ハイペリオンの体に直撃する。

ソレイユ・ルヴァンは弾丸を喰らいまともに動けなくなったハイペリオンに容赦なく弾丸の嵐を繰り出す。繰り出された弾丸は全てハイペリオンに直撃。全弾命中である。そして、攻撃をまともに受けたハイペリオンは重力に従い落下。やがてバトルフィールドの地面に叩きつけられ、消滅する。

 

ノア「うーん…これでターンエンドかな!」

 

ノア デッキ33→32 手札4→3

ライフ5 リザーブ1

トラッシュ3 Sコア

煌星ラニアケア LV1

星の砂漠 LV1

 

バースト

無し

 

手元

電岩竜ダイナモドラゴン

 

…俺のカードテキストを確認もせずにアタック。破壊できると思ってのハイペリオンの煌臨。2つのプレイングミスが出てしまっているが彼女はなんとも思っていないようだ。まだ余裕があるのか?それとも焦りを隠すためのポーカーフェイスか…なんにせよ警戒を怠わることなく、今の彼女の盤面を見てプレイングして行くことにしよう。

 

駆「俺のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ35→34 手札3→4

リザーブ5

 

さて、帰ってきたターン。このターン、やりたいことはあるのだがネクサスのラニアケアLV1、2の召喚時を発揮させない効果がそれを妨害している。

よってまずはそれを何とかしないといけない。

 

駆「俺は手札から5コスト白2軽減3コストで砲凰竜フェニック・キャノンREVIVALを召喚」

 

俺のフィールドにキャノン砲を二門装備したフェニックスが現れる。

 

駆「そして、フェニック・キャノンREVIVALの召喚時効果、BP7000以下のスピリット、ネクサスカードを1枚ずつ破壊する。俺は煌星ラニアケアを破壊する」

 

フェニック・キャノンは二門のキャノン砲をラニアケアに向け、そこから1発、2発と

砲撃を行う。そして、攻撃を受けたラニアケアは爆発を連続で発生させ巨大な爆発を最期にフィールドからその美しい姿を消した。

さすが強力な除去効果を持ったカードだ。かなりお金を使うことになったが、このデッキにも刺しておいて正解だった。白はあまりネクサスに触る効果をあまり持っていない。こういう時にフェニック・キャノンは役に立つものだ。

 

 

男子Y「白のデッキに赤のブレイヴカードを入れてネクサスに触れるようにしていたのか!」

 

男子O「流石、入試6位の天童君。抜け目無いな」

 

と観客席の男子達が感心している。

 

駆「更に、手札から3コスト白2軽減1コスト、白の探索者RZ-7をLV1で召喚」

 

フィールドに2丁の拳銃を装備した白銀の装甲を持つ人型のロボットが現れる。

 

駆「白の探索者RZ-7の召喚時効果を発揮させる。デッキの上からカードを3枚オープンする」

 

オープンカード

秩序戦艦バチマン・ド・ゲール〇

秩序軍ブリゲイド・ガンナー〇

神器ミョルニール✕

 

駆「俺は3枚の内の2枚、秩序戦艦バチマン・ド・ゲールと秩序軍ブリゲイド・ガンナーを手札に加え、残った神器ミョルニールは破棄する」

 

駆 デッキ34→31 手札2→4

 

駆「そして、白の探索者RZ-7にフェニック・キャノンREVIVALを左合体させる」

 

フェニック・キャノンの左側のキャノン砲から赤色のエネルギーが発射。RZ-7はそのエネルギーを受け機体の出力が上がる。

これによりLV1BP4000のRZ-7にフェニック・キャノンREVIVALの合体した時のBP3000が加算され合計のBPは7000となり赤のシンボルが追加される。

今のRZ-7は白のシンボル、赤のシンボルを持ちダブルシンボルでノア・フルール先輩に攻撃をすることが出来るようになった。

 

駆「メインステップを終了し、アタックステップに移行。RZ-7もとい左合体スピリットでアタックだ」

 

攻撃命令を受けたRZ-7は2丁の拳銃を構える。

 

ノア「ダブルシンボルのスピリットでアタック…フラッシュのカードは無いよ!」

 

駆「俺も無いです」

 

ノア「ライフで受ける!」

 

RZ-7はフェニック・キャノンの恩恵を受けつつ、2丁の拳銃を交互に撃つ。その銃弾は真っ直ぐにノア・フルール先輩を捕らえている。

 

バリィン!バリィィン!

 

2つのライフが砕ける音がフィールドに響く。

 

ノア「くぅぅ!!」

 

ノア・フルール先輩は攻撃の衝撃で少し後ろに下がる。

 

ノア「イテテテ!さ、流石にダブルシンボルは痛いよぉ〜!」

 

ノア ライフ5→3 リザーブ1→3

 

とノア・フルール先輩は涙目でこちらに言う。そりゃあライフで受ける時の痛みを2回同時に受けているんだ。痛いに決まっているさ。

 

駆「アタックステップを終了し、これでターンを終了します」

 

駆 デッキ34→31 手札2→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ4

白の探索者RZ-7 LV1 BP4000 疲労

左合体

砲凰竜フェニック・キャノン BP+3000

 

秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァン

LV1 BP8000 Sコア

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

セイナ「あそこのフェニック・キャノンは強烈だな。そして合体してライフを2つ奪う…綺麗な流れだな」

 

サヤ「彼、とても強いプレイヤーですね」

 

ノア「うう…みんな君に感心しているよ…もう!絶対にここから逆転してやるからね!私のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!!」

 

ノア デッキ32→31 手札3→4

リザーブ3→7 Sコア

 

ノア「私は手札から0コストでスターブレイドラ2体をそれぞれLV1で召喚!」

 

ノア・フルール先輩のフィールドに輝く星のようなブレイドラが2体召喚される。

 

ノア「いくよ!7コスト赤3軽減4コスト!

 

 

天に舞え!無限に炎を解き放つ煌星の龍王!

 

 

煌星龍王メビウスドラゴンをLV2で召喚!」

 

ノア・フルール先輩は天にそう叫ぶ。すると空より高い宇宙より、煌星の龍王が姿を表した。そして、LV2になるため一体のスターブレイドが犠牲となり消滅する。

…煌星龍王メビウスドラゴン。煌臨編第3章革命の神器にて収録された赤のXレアカード。その効果は後にノア・フルール先輩が直々に教えてくれるだろう。

 

ノア「そして、バーストをセット!アタックステップに入って、煌星龍王メビウスドラゴンでアタック!LV1、2、3のアタック時効果でBP15000以下の相手のスピリット、アルティメットを破壊する。そこにダイナモドラゴンの効果が発揮されてBP16000以下のスピリットを破壊できるようになる!対象は左合体スピリット!」

 

メビウスドラゴンはRZ-7に向かって灼熱の火炎放射を放つ。RZ-7はそれに耐え切ることが出来ずに消し炭と化し残ったのはフェニック・キャノンREVIVALだ。

 

ノア「そして自分はデッキからカードを1枚、ドローする。

お願いここでメビウスの効果を生かせるカードを…いくよ!ドロー!!」

 

そう、さっきのメインステップで全ての手札を使い切った彼女はこのドローで何か引きたいカードがある様だ。さて、

今この盤面で欲しいカードを彼女は引くことが出来るのか?だが、その前に俺はバーストに伏せていたカードを公開する。

 

駆「…相手による自分のスピリットの消滅、破壊後のバーストを発動。

ランパートウォールの効果を発揮。このバースト発動時に破壊されていたカード…すなわち、白の探索者RZ-7を手札に加え尚且つ手札から系統武装を持つスピリットカードかブレイヴカードを1枚をコストを支払わずに召喚できる。

よって俺は手札から神器ミョルニールをLV1で召喚する」

 

俺のフィールドに白いボディの機体が現れる。

 

ノア「おっと!破壊後バーストだったんだね!フフ♪じゃあ次はメビウスドラゴンのLV2、3のアタック時効果を発動するよ!このカードは自分の手札、手元にある系統星竜を持つカード1枚をソウルコアをトラッシュに置かずにメビウスドラゴンに[煌臨]出来るの!だから、手札の龍星皇メテオヴルムREVIVALをメビウスドラゴンに[煌臨]!!」

 

駆「!」

 

メビウスドラゴンは炎を纏いながら異なるドラゴン形状に姿を変えた。

メテオヴルム、かつて激突王馬神弾が使用したエースカード。それがREVIVALを果たし、煌臨編第3章革命の神器にて収録された。星竜全てに指定アタック効果を付与し、バトル終了時にその自分のスピリットを煌臨を持つスピリットカードに煌臨元として追加できる効果に加え、アタックステップの[煌臨中]にこのカードは相手の効果を受けない耐性能力を兼ね揃えている。

 

ノア「えへへ!今ちょっと驚いたでしょ?驚いた君の顔見てみたかったんだ!」

 

あぁ…彼女の言う通り俺は驚いた。まさか、手札0枚からの1枚ドローで煌臨を持ち尚且つBP破壊を持つカードをドローするとは…彼女の引きの強さは侮れないな。

 

ノア「まだだよ!煌星龍王メビウスドラゴンのLV2、3効果!この効果でメビウスドラゴン自身に[煌臨]した時、このカードをコストを支払わずに召喚する!

だからもう一度現れて!LV1メビウスドラゴン!」

 

するとメテオヴルムは身体から炎を噴出させる。そしてその炎に一体のスターブレイドラのコアが1つ吸収され、このフィールドにメビウスドラゴンが再臨する。

そして、コアが0個になってしまったスターブレイドラは消滅した。

メビウスドラゴンは咆哮し、ノア・フルール先輩の元に舞い戻った。

そして、俺の元に迫り来るメテオヴルムはLV2のBPは12000。俺のソレイユでは勝てない。なら…

 

駆「フラッシュは無いです」

 

ノア「私も無いよ!」

 

駆「…ライフで受けます」

 

メテオヴルムが炎を纏い俺に突進する。それはまるで隕石の1つが地面にクレーターを作るかの如く強い衝撃が俺を襲いそして、1つライフが砕け散る音が響く。

 

駆 ライフ5→4 リザーブ0→1

 

ノア「続けて行っちゃえ!メビウスドラゴン!」

 

メビウス「グォォォォォォ!!」

 

メビウスドラゴンはノアの声に応えるように咆哮、その大きな翼を羽ばたかせ飛翔する。

 

ノア「メビウスドラゴンのアタック時効果でフェニック・キャノンREVIVALを破壊してワンドロー!」

 

メビウスドラゴンの炎が俺のフィールドのフェニック・キャノンを燃やし尽くす。

 

ノア デッキ30→29 手札0→1

 

今、メビウスドラゴンのBPはLV1で8000。今ソレイユでブロックすれば相打ちに出来るがここでシンボルを失う訳には行かない。

恐らく彼女もそうであろうという予想を立ててアタックを仕掛けたのだろう。

 

駆「こちらのフラッシュのカードはありません」

 

ノア「こちらも同じ!いけぇ!メビウス!」

 

駆「…ライフだ、ライフで受けます」

 

メビウスドラゴンは口から燃えたぎる炎を俺に向かって吐く。

その炎は俺を包み込みライフの1つを散らす。

 

駆 ライフ4→3 リザーブ1→2

 

ノア「アタックステップは終わり!エンドステップで私のターンは終わり、次は君のターンだよ!」

 

ノア デッキ30→29 手札0→1

ライフ3 リザーブ0

トラッシュ4

煌星龍王メビウスドラゴン LV1 BP8000

疲労

 

龍星皇メテオヴルムREVIVAL LV2

BP12000 (2) Sコア 疲労

 

星の砂漠 LV1

 

バースト

有り

 

手元

電岩竜ダイナモドラゴン

 

ライフはお互いに3か、彼女のフィールドはがら空き。ここは攻め時だな。しかし彼女が伏せてあるバーストが気になってしまう。

…ここまで俺を攻めたという事は恐らくライフ減少か、アタック後バーストと予想が出来る。少々不安要素もあるが、やるしかないか…

 

駆「俺のターン!」

 

 

To be continued……




次回予告
流星が降り注ぐ終焉の世界…
枯れ果てた砂漠の真ん中で見上げた星空の中に2つの翼。
交わった2つ、その先にあるものは…光。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-17 少年が見た輝き


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Turn-17 少年が見た輝き

第17話!前のバトルの続きです。お楽しみください!


駆 デッキ31 手札4

ライフ3 リザーブ2

トラッシュ4

秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァン

LV1 BP8000 Sコア (1)

 

神器ミョルニール

LV1 BP1000 (1)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

 

ノア デッキ29 手札1

ライフ3 リザーブ0

トラッシュ4

煌星龍王メビウスドラゴン

LV3 BP8000 疲労 (1)

 

龍星皇メテオヴルム

LV2 BP12000 (2) Sコア 疲労

 

星の砂漠 LV1

 

バースト

有り

 

手元

電岩竜ダイナモドラゴン

 

ラビィ「ここまででライフは互角…凄い!」

 

グリーフィア「でも、このターンで場が大きく動くわね」

 

駆「俺のターン!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ31→30 手札4→5

リザーブ2→7

 

ライフで受けたことによってコアが大幅に増えた。やることは増えたのは嬉しいところだな。

 

駆「まず、バーストをセット。次にソレイユの上のソウルコアを通常のコアとチェンジ。そしてソレイユ、ミョルニールのLVをコアを1つ乗せることでそれぞれをLV2にアップさせる。続いてコスト4、白2軽減2コストにて、秩序戦艦バチマン・ド・ゲールをLV2で召喚する」

 

すると、超巨大戦艦が変形を繰り返し、人型の形態で登場する。その大きさはソレイユやミョルニールを遥かに凌駕した。大迫力の戦艦。まるでマ〇ロ〇である。

 

駆「アタックステップ!秩序戦艦バチマン・ド・ゲールでアタック。

そして、バチマン・ド・ゲールのLV1、2のアタック時効果、デッキトップからカードを1枚オープンし、そのカードが系統武装を持つスピリットカードならコストを支払わずに召喚できる!」

 

オープンカード

鉄騎皇イグドラシルREVIVAL〇

 

駆「オープンされた鉄騎皇イグドラシルREVIVALは系統武装を持っている。よってこのカードをLV2でノーコストで召喚する」

 

駆 デッキ30→29

 

バチマン・ド・ゲールはカタパルトを展開し、イグドラシル出撃のシーケンスを開始する。

そして、シグナルが赤から青に変わりイグドラシル出撃のスタンバイができる。

イグドラシルはバチマン・ド・ゲールのカタパルトから勢い良く出撃。戦場であるバトルフィールドにその雄々しい姿を現す。

 

駆「LV2でイグドラシルを召喚する為にバチマン・ド・ゲールからコアを2つイグドラシルの上に乗せる。そして、コアが0になったバチマン・ド・ゲールは消滅する」

 

イグドラシルの出撃後、活動に必要なコアが無くなりバチマン・ド・ゲール機能を停止。ボロボロに崩れ去ってしまった。

 

駆「そして、鉄騎皇イグドラシルREVIVALの召喚時効果を発動」

 

イグドラシルは白いバリアをイグドラシルを含めた俺の武装スピリット全てに展開させる。

 

駆「それは次の俺のターンまで、自分の系統武装を持つスピリット全ては相手の効果を受けないというものだ」

 

鉄騎皇イグドラシル…煌臨編第2章蒼き海賊にて収録されたキャンペーンREVIVALのXレア。その強さは外の世界の多数のプレイヤーの財布を掴むほど。

 

ノア「全耐性を付与…やるね!フラッシュは無い!」

 

駆「こちらもフラッシュは無い。そして、バチマン・ド・ゲールが消滅したことによってアタックは終わる。

続けて、鉄騎皇イグドラシルREVIVALでアタックする」

 

イグドラシルは愛用する巨大な剣を装備し、戦闘態勢になる。

 

駆「ここで、手札にあるこのカードの効果を発揮させる。このカードは自分の鉄騎皇イグドラシルがアタックした時、手札からコストを支払わずに召喚することができる。よってLV1で

 

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

 

をリザーブのソウルコアを乗せることで召喚する」

 

駆 手札3→2

 

ノア「嘘!?」

 

ラン「ここでラグナ・ロック!?」

 

イグドラシルはその手に持つ巨大な剣を天に向かって掲げる。

それがまるで帰ってくる船を迎える灯台の光となったのであろう。

蝶の羽を生やしたその機体は人型であるが、シャープで刺々しいシルエット且つ白と黄金の装甲を纏い、今ここに終焉を司る戦騎が星煌めく砂漠の真ん中に舞い降りた。

そのラグナ・ロックはイグドラシルの力を受け、バリアを展開する。そう、このラグナ・ロックも系統武装を持っている。

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL。このカードは煌臨編第4章にてREVIVALを果たし収録されたXレア。

このカードの登場により武装デッキは最終形態に完成された。そして、今から発動されるラグナ・ロックの効果はまさに相手に終焉を与えると言っても過言では無い。

 

駆「ここで、終焉の騎神ラグナ・ロックの召喚時効果を発揮。ボイドからコアを6つラグナ・ロックに置くこれでラグナ・ロックはLV1から3にアップする」

 

ラグナ・ロックは緑色のオーラを放ち力を解放する。

 

ノア「フラッシュは無いよ」

 

駆「こちらフラッシュタイミング、ラグナロックのソウルコアをトラッシュに置き、秩序軍ブリゲイド・ガンナー[煌臨]させる」

 

駆 手札2→1

 

ソウルコアの力を受け、イグドラシルはその姿を変える。

生まれ変わったイグドラシルの姿は黒い装甲を纏い、右手にバズーカを装備している。

 

駆「秩序軍ブリゲイド・ガンナーの[煌臨時]効果を発動。相手のスピリット一体を手札に戻す。よって煌星龍王メビウスドラゴンを手札に!」

 

ブリゲイド・ガンナーはメビウスドラゴンに狙いを定め、バズーカのトリガーを引く。ズドォンと発射されたバズーカの弾丸はメビウスドラゴンに命中。爆発に巻き込まれたメビウスドラゴンはフィールドから姿を消した。

 

ノア 手札1→2 リザーブ0→1

 

ノア「こっちのフラッシュは無いよ!」

 

駆「ならこちらは秩序軍ブリゲイド・ガンナーのLV2、3のフラッシュ効果を使用する。煌臨元のカードを1枚コストを支払わずに召喚することで相手のバーストを1つ破棄させる。

よってもう一度、

 

鉄騎皇イグドラシルREVIVAL

 

をLV2で召喚する。そのためにミョルニールからコアを2をイグドラシルに置く」

 

ブリゲイド・ガンナーはその機体から光を放つ。そしてその光からブリゲイド・ガンナーとその煌臨元であったイグドラシルがフィールドに戻る。そしてコアが無くなったミョルニールは消滅する。

続けてブリゲイド・ガンナーはノア・フルール先輩のフィールドに伏せられたバーストに狙いを定めバズーカをぶっぱなす。命中しバーストカードは跡形もなく粉砕される。

 

破棄されたバースト

絶甲氷盾

 

絶甲氷盾だったか…これで防御札は尽きただろう。このターンで終わらせる。

 

ノア「ぐぬぬ…フラッシュは無いよ!」

 

駆「こちらもだ」

 

ノア「そのアタック、ライフで受けるよ!」

 

ブリゲイド・ガンナーはノアに向けバズーカを乱射。次々と爆発が起こり、彼女のライフを1つ破壊する。

 

ノア ライフ3→2 リザーブ1→2

 

駆「これで…終わりだ!終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVALでアタック!

ラグナ・ロックREVIVALのアタック時効果、ターンに1回このカードは回復する。そしてラグナ・ロックは白と緑のシンボルを持つダブルシンボルスピリット…!」

 

ラグナ・ロックは強い光を放つ。まだまだアタック出来る証拠だ。だが、そんなものは今となっては関係ない。残り彼女のライフをラグナ・ロックは全て破壊してくれるからだ。

 

ノア「フラッシュタイミング!4コストでマジック、デルタバリア!このターンの間、相手のスピリット、マジックの効果とコスト4以上のスピリットのアタックでは私のライフは0にはならない!」

 

彼女の周りに三角状に白いバリアが張られる。

 

駆「…!フラッシュはありません」

 

ここで終わらせるつもりだったのに残りの手札の中に防御札があったなんて思わなかった。

一方でラグナ・ロックは蝶の羽を展開。彼女に接近し、右手に持つイグドラシルよりも巨大な剣を彼女に突き立てる。

 

バリィィィィィン!

 

ノア「きゃああああああ!!」

 

セイナ「ノア!」

 

ノア「大丈夫、まだライフは残ってる!」

 

ノア ライフ2→1 リザーブ0→1

 

 

終焉の騎神、その攻撃の威力は凄まじかったのであろう。ライフはデルタバリアの効果で0には出来ないが1つは削ることが出来た。そして、その余波でノア・フルール先輩が吹き飛ぶ。

幸い壁に叩きつけられることは無かったので一安心だった。

しかし、デルタバリアを持っていたのならミョルニールを消滅させる必要は無かった。ここはプレイングミスだ。

所詮これは結果論に過ぎないのだが、次からは気をつけるべきだな。…これ以上のアタックは無意味だ。ターンを終了させるしかない。

 

駆「…アタックステップ終了。ターンエンドです」

 

駆 デッキ30→29 手札2→1

ライフ3 リザーブ0

トラッシュ2 Sコア

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

LV3 BP18000 (6)

 

鉄騎皇イグドラシルREVIVAL

LV2 BP10000 (2)

 

秩序軍ブリゲイド・ガンナー

LV2 BP8000 (2)

 

秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァン

LV2 BP10000 (2)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

ノア「…す、凄いね!君みたいな強い人、久しぶりに見たよ!ほら、観客席の方見て、君の怒涛の攻撃に皆驚いて空いた口が塞がらない見たいだよ。

ふふ…だからね、私だってここから逆転して凄い君を倒してやるんだ!

 

私の…ターン!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

ノア デッキ29→28 手札1→2

リザーブ2→9 Sコア

 

ノア「行くよ!4コスト、赤2軽減2コストでマジック、フェイタルドローを使用!

デッキから2枚ドロー、そして、自分のライフが2以下ならもう1枚ドローする!

 

こい!私のカード、ドロー!!!」

 

ノア デッキ28→25 手札1→4

 

ノア・フルール先輩はデッキから叫びながらデッキからカードをドローした。

 

ノア「…来たよ、逆転のカード。6コスト、赤2軽減4コスト…

 

疾走する光、轟く雷鳴!天に響け!

 

雷皇龍ジークヴルム

 

LV1で召喚!」

 

星空の夜の中雷を司る赤いドラゴンが彼女のフィールドに舞い降りる。

 

ノア「さらに、星の砂漠にコアを1つ置いてLV2にアップ!さぁ、アタックステップだよ!雷皇龍ジークヴルム、激突!

そして、星の砂漠の効果、系統星竜を持つスピリットがアタックしたのでデッキからカードを1枚ドロー!」

 

ノア デッキ25→24 手札3→4

 

駆「フラッシュは無いです」

 

ノア「こちらも同じだよ!」

 

駆「阻め、終焉の騎神ラグナ・ロック!

ブロック時効果でターンに1回ラグナ・ロックは回復する!」

 

ジークヴルムは炎を全身に纏い、ラグナ・ロックに突撃する。ラグナ・ロックはそれを左腕で掴み取り、ジークヴルムを握り潰さんとする。

 

雷皇龍ジークヴルム

LV1 BP4000

VS

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

LV3 BP18000

 

ジークヴルムは押し潰させる苦しみに呻き声を出す。

 

駆「フラッシュは無いです」

 

ノア「耐えて…ジークヴルム、今助けてあげるからね…!リザーブのソウルコアをトラッシュに置いて…

 

宇宙に輝け光、神聖なる炎よ…私を救う翼になって!!

 

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

 

を雷皇龍ジークヴルムに[煌臨]!!」

 

駆「何、ジークヴルム・ノヴァREVIVALだと!?」

 

光のエネルギーがラグナ・ロックに握り締められているジークヴルムに集中し、ジークヴルムは眩い光と熱線を放つ。

その拍子にジークヴルムはラグナ・ロックの拘束から抜け出し、煌臨を果たす。

その姿はジークヴルムの進化した姿。真紅の翼、白い鎧のような衣に、天使の翼が生え、その龍は終焉の騎神と対峙する。

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL。これはラグナ・ロックと同じ煌臨編第4章にて収録されたXXレアのカード。その効果は使用者に希望をもたらし、敵対するもの全てを絶望のそこに叩き落とす紅き救世主。

まさか、ここでノヴァREVIVALと対峙するとは思わなかった…

 

ノア「超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVALの[煌臨時]効果!自分のトラッシュのコアを全て、このカードに置く。これでジークヴルム・ノヴァのLVは3になる!そしてカード名称にヴルムを含むカードで[煌臨]した時、自分のライフが5になるようにボイドからコアをライフに置く!」

 

ジークヴルム・ノヴァは咆哮。発した赤いオーラは彼女のライフを5つになるように回復させた。

 

ノア ライフ1→5

 

ラン「逆転のジークヴルム・ノヴァきたぁぁ!」

 

ノア「再バトルだよ!」

 

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

LV3 BP25000

VS

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

LV3 BP18000

 

2体の距離は離れている。それを利用してラグナ・ロックは全身からレーザーを発射。飛翔するジークヴルム・ノヴァを墜さんとする。

ジークヴルム・ノヴァはその機動力を利用しレーザーを次々と回避。ラグナ・ロックに躍りかかり、ラグナ・ロックはシールドで防御体勢を取る。その一方でジークヴルム・ノヴァはラグナ・ロックに対して回し蹴りを行う。一撃目にラグナ・ロックの体勢を崩し、もう一撃目は思いっきりボディに打ち込み、その超重量の機体をぶっ飛ばす。蹴りを入れられたラグナ・ロックは壁に叩きつけられる。そこに追い打ちとばかりにジークヴルム・ノヴァは火炎放射を放つ。

すかさずにラグナ・ロックはシールドを構え火炎放射を防ぐ。そして、カウンターとばかりにシールドで吸収していたジークヴルム・ノヴァの炎を返す。想定の範囲外だったのだろうジークヴルム・ノヴァの反応がワンテンポ遅れ、回避できず炎をまともに喰らう。そのうちにラグナ・ロックは体勢を整え蝶の様な翼を展開。巨大な剣を構えジークヴルム・ノヴァを叩き切ろうと接近し、剣を振るう。ジークヴルム・ノヴァはギリギリに回避するが本命では無い。ラグナ・ロックは左腕でジークヴルム・ノヴァの首を掴み、そのまま地面に押し倒す。

そして、至近距離で全身から無数のレーザーを発射し、確実にダメージを与えるがジークヴルム・ノヴァも至近距離で火炎放射を発射。互いに大きなダメージを負いながら距離をとり、空に2つの翼が羽ばたく。

そして、ジークヴルム・ノヴァは全身に炎を纏い超高速でラグナ・ロックに接近し、ラグナ・ロックは近づけさせまいと全身からレーザーを発射しつつ何処からでも来いと言った様な体勢でジークヴルム・ノヴァとの戦闘を望む。

 

駆「…フラッシュはありません」

 

ノア「フラッシュタイミング!4コスト、赤2軽減2コストでメテオストームを使用!コストはジークヴルム・ノヴァからコアを2つ取って確保!そして、メテオストームの効果でカード名称にヴルムと入っているスピリットカード一体にこのスピリットのアタック時、BPを比べ相手のスピリットを破壊した時このスピリットが持つシンボル1つと同じ数、相手のライフのコアをリザーブに置く効果を与える。対象は勿論、超神星龍ジークヴルム・ノヴァ!」

 

駆「メテオ…ストーム…!」

 

たちまち空から降り注ぐ流星が砂漠に大迫力の爆発を巻き起こす。

まさかここでヴルムサポートカードのメテオストームを使用してくるとは…今ラグナ・ロックのBPを上げることは出来ないのでバトルに勝利することは出来ない…

 

駆「こちらのフラッシュのカードは無いです」

 

ノア「こっちも無いよ!いけぇ!ノヴァアア!!」

 

ジークヴルム・ノヴァは超高速で旋回し、ラグナ・ロックを翻弄する。

飛び交うレーザーの中ジークヴルム・ノヴァはラグナ・ロックの背後に回り、突撃。それがこの戦いの決めてとなった。

ラグナ・ロックの体勢が崩れ、全身のレーザーは止まる。そこに追撃とばかりにジークヴルム・ノヴァは突貫。

急所を突かれたラグナ・ロックは機能を停止し、大爆発を起こす。

 

ノア「ジークヴルム・ノヴァはダブルシンボル!よってメテオストームの効果でライフを2つ破壊するよ!!」

 

ズドオオオオン!!

 

大量の流星が俺に降り注ぐ。その大爆発は俺のライフを2つ破壊し、俺をぶっ飛ばす。

 

駆「うぁぁ、くぅぅ…!くっ、はぁ…!」

 

その衝撃は凄まじいものだった。俺はバトルフィールドの地面に叩き落とされ地面を転がる。黒い装甲と地面が接触する音が何度も聞こえる。

 

レイ「駆君!!」

 

美弥「か、駆君大丈夫!?」

 

レイと美弥は心配して声を掛けてくれた。こんな俺を心配してくれるなんて君達はホントに優しいんだな。

 

駆「大丈夫さ…ありがとう。レイさん、美弥さん。でも心配は要らない。相手による自分のスピリットの破壊後バーストを発動!ランパートウォール。破壊された終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVALを手札に加え、俺は手札から白の探索者RZ-7をノーコストでコアを3個置き、LV2として召喚する」

 

俺のフィールドに2丁拳銃を装備した機体が召喚される。

 

駆「RZ-7の召喚時効果でデッキトップからカードを3枚オープンする」

 

オープンカード

聖皇ジークフリーデンREVIVAL✕

秩序軍神グレイス・オーダー○

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL✕

 

駆「その中の煌臨を持つ秩序軍神グレイス・オーダーを手札に加え、残ったカードは破棄する」

 

駆 デッキ29→26 手札1→2

 

駆「さらに、コストを支払うことでフラッシュ効果を使用。4コスト白2軽減2コスト。このカードのフラッシュ効果はこのバトルが終了した時、アタックステップを終了させる」

 

ノア「…ならこれでアタックステップは終わってターンエンド!」

 

ノア デッキ25→24 手札4→2

ライフ1→5 リザーブ0

トラッシュ2

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

LV3 BP25000 (6) Sコア 疲労

 

龍星皇メテオヴルムREVIVAL

LV1 BP8000 (1)

 

 

星の砂漠

LV1 (1)

 

バースト

無し

 

手元

電岩竜ダイナモドラゴン

 

駆「俺の…ターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ26→25 手札2→3

リザーブ3→8 Sコア

 

駆「俺は全てのスピリットのLVをそれぞれ1にする。そして、5コスト白2軽減3コストで手札の終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVALのアクセルを使用。

相手のスピリットを全て疲労させる」

 

すると、ラグナ・ロックが発生するレーザーにより回復状態のメテオヴルムは戦意を失い疲労する。

 

ノア「!?」

 

駆「その後、ラグナ・ロックは手元に置かれる。そして、9コスト白3軽減6コストで手元の

 

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

 

をLV1で召喚する」

 

すると、地面が割れひび割れから白い光が溢れ出す。

そして飛び立つ翼の騎神。それは終焉の騎神が再びこのフィールドに降臨した証。

召喚されたラグナ・ロックは緑色のオーラを放ち自身の力を最大限に解放する。

 

駆「終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVALの召喚時効果によりボイドからコアを6つラグナ・ロック自身置く。これによりラグナ・ロックはLV3となる。

さらに、5コスト白2軽減3コストで砲凰竜フェニック・キャノンREVIVALを召喚する。そしてフェニック・キャノンREVIVALの召喚時効果により、ネクサスを1つ破壊する。対象は星の砂漠だ」

 

2つのキャノン砲を装備した赤色のフェニックスが現れる。このバトルで2回目の登場のフェニック・キャノンREVIVAL。

そして、次の瞬間にフェニック・キャノンは2つのキャノン砲を乱射し、ネクサスである星の砂漠を破壊。

爆発とともにバトルフィールドの背景が元に戻る。

 

駆「ブリゲイド・ガンナー、ソレイユ・ルヴァンともにLVを2にし、フェニック・キャノンREVIVALを終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVALに右合体。さらに、秩序軍ブリゲイド・ガンナーに左合体させる」

 

すると、フェニック・キャノンの右のキャノン砲のエネルギーがラグナ・ロックに左側のキャノン砲のエネルギーがブリゲイド・ガンナーに注がれ、それぞれのBPは3000ポイント上がる。

 

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

LV3 BP18000+3000=21000

 

ブリゲイド・ガンナー

LV2 BP8000+3000=11000

 

駆「アタックステップ、今度こそ右合体スピリットでアタック!

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVALのアタック時効果によりラグナ・ロックはターンに1回、回復する」

 

フェニック・キャノンの加護を受けたラグナ・ロックは無防備なノアのフィールドに突撃する。

 

ノア「まだだよ!フラッシュタイミング!3コストでエターナルディフェンスを使用!

コストはジークヴルム・ノヴァから2つ、リザーブから1つを使って効果を発動!自分のスピリットを一体を指定。このターンの間指定されたスピリットは疲労状態でブロックが出来る!

対象は勿論超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVALだよ!」

 

ジークヴルム・ノヴァは白い光を纏い戦闘体勢を取る。

 

駆「エターナルディフェンス…まさかそんなカードを握っていたなんて、フラッシュはありません」

 

まさかここまで防御札を持っているなんて彼女はかなり引き運に恵まれている。正直感服したよ。

 

ノア「なら、ジークヴルム・ノヴァでラグナ・ロックをブロックするよ!」

 

男子T「またノヴァとラグナ・ロックのバトルか!」

 

美弥「ジークヴルム・ノヴァの方がBPは高いよ!どうするの?駆君!」

 

終焉の騎神と超神星龍がバトルフィールドの真ん中で合間見えた。

 

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

LV3 BP18000+3000=21000

VS

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

LV3 BP25000

 

先に仕掛けたのはジークヴル厶・ノヴァだ。真っ直ぐにラグナ・ロックに向かって突進をしてくる。

その進路にフェニック・キャノンの援護射撃が通りジークヴルム・ノヴァは軌道を変え着実にラグナ・ロックとの距離を縮める。

 

ノア「こちらのフラッシュは無いよ!」

 

駆「なら、フラッシュタイミング!リザーブのソウルコアをトラッシュに置いて左合体スピリットに秩序軍神グレイス・オーダーを[煌臨]させる」

 

ジークヴルム・ノヴァとラグナ・ロックがギリギリの戦いをしている最中、ブリゲイド・ガンナーは輝きを放ち別の武装に煌臨する。

秩序軍の神、グレイス・オーダーがフィールドに降臨した。

 

駆「手札が無くなった以上、もうここでやるしかない!秩序軍神グレイス・オーダーの[煌臨時]効果、デッキトップよりカードを2枚オープンする。その中の系統武装を持つカードを1枚コストを支払わずに召喚することが出来る。

 

…来い、2枚オープン…!」

 

オープンカード

翼神機グラン・ウォーデンREVIVAL○

神器ミョルニール〇

 

駆「…!よし、俺はその中の神器ミョルニールをコストを支払わず、グレイス・オーダー、ソレイユ・ルヴァンからコアを1つずつミョルニールに置き、LV2で召喚し、残ったグラン・ウォーデンは破棄される」

 

駆 デッキ25→23

 

白い装甲の兵士がフィールドに召喚される。

その一方でジークヴルム・ノヴァはラグナ・ロックの腕を掴み、地面に押し倒している。ラグナ・ロックは手に持つ剣とシールドを無くし、抵抗出来なくなっている。もう時ジークヴルム・ノヴァはラグナ・ロックにトドメを刺すだろうという所だった。

 

ノア「私のフラッシュは無い!」

 

駆「なら、ミョルニールのLV2効果、このカードを疲労させることで、このターンの間、神器ミョルニール以外の系統武装を持つスピリットカード一体を回復させ、そのスピリットのBPを+5000させる。

対象は終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL!」

 

「「「んな!?」」」

 

ここで俺以外の全員が驚いた。

それは恐らくこのバトルもジークヴルム・ノヴァが勝利するだろうという予想をしていたからだろう。

そして、ミョルニールのエネルギーがラグナ・ロックに注がれラグナ・ロックはジークヴルム・ノヴァの拘束から抜け出し、彼の首を両手で絞める。

 

終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL

LV3 BP18000+3000+5000=26000

VS

超神星龍ジークヴルム・ノヴァ

LV3 BP25000

 

首を絞められたノヴァはラグナ・ロック相手に足掻くがこちらのラグナ・ロックはずっと首を絞めている程、呑気はしていない。相手に隙を与えないようにラグナ・ロックは力技でジークヴルム・ノヴァを思いっきり地面に叩きつける。

一方でジークヴルム・ノヴァは体勢を立て直そうとするが右の翼と左脚をラグナ・ロックがそれぞれの両足で踏みつけ行動を制限させる。ジークヴルム・ノヴァは何とか引き剥がそうとラグナ・ロックに右の拳を叩き込もうとするが、ラグナ・ロックは左腕でジークヴルム・ノヴァの腕を掴み。ありえない方向へジークヴルム・ノヴァの腕を曲げていく。

やがて、バギッ!っと骨が折れるような音がしたと同時にジークヴルム・ノヴァの右腕は力を無くし、垂れ下がる。その痛みからか、ジークヴルム・ノヴァは咆哮をする。そして、抵抗とばかりに口に炎のエネルギーを集中させて火炎放射を放とうとするが、ラグナ・ロックは即座に右腕でジークヴルム・ノヴァの口を塞ぐ。

頼みの綱出会った火炎攻撃が出来なくなったジークヴルム・ノヴァはラグナ・ロックに対してこれ以上抵抗できる力を持ってはいなかった。そこへラグナ・ロックは追い打ちと言わんばかりに暇している左腕でジークヴルム・ノヴァの腹部に連続して鋼鉄の拳を打ちだす。

そのうちにジークヴルム・ノヴァは力尽きてしまい消滅。フィールドから姿を消してしまった。

 

ノア「ジークヴルム・ノヴァ…」

 

駆「続けてアタック行きます。秩序軍神グレイス・オーダーでアタックします。アタック時効果によりデッキからカードを2枚オープン。その中の系統武装を持つスピリットカードを1枚コストを支払わずに召喚出来ます。よってデッキトップからカードを2枚オープン」

 

オープンカード

秩序戦艦バチマン・ド・ゲール○

秩序軍撃墜王ソレイユ・ルヴァン○

 

駆「ではその中から秩序戦艦バチマン・ド・ゲールを神器ミョルニールのコアを1つ置きLV1としてノーコストで召喚します。その際神器ミョルニールのLVは1にダウンします」

 

すると、空中に超巨大な人型の戦艦がまたも姿を表した。

 

ノア「フラッシュは無いよ…!」

 

駆「フラッシュはありません。左合体しているグレイス・オーダーはトリプルシンボル、ライフを3つ破壊します」

 

ノア「…ライフで受ける!」

 

グレイス・オーダーはフェニック・キャノンの砲撃と合わせて2発レーザーを放ちノアのライフを3つ一気に破壊する。

 

バリリリィィィィィン!!

 

ライフが砕ける音がフィールドに響く。

一気に3つ砕かれた、その痛みが彼女を襲う。

 

ノア「ぐぅぅ!!」

 

ノア

ライフ5→2 リザーブ5 Sコア→7 Sコア

 

駆「これで終わりです。終焉の騎神ラグナ・ロックREVIVAL…いえ、右合体スピリットでアタックします。こちらもグレイス・オーダーと同じトリプルシンボルです」

 

ラグナ・ロックは赤色オーラーを纏いながら先程の戦闘で落とした巨大な剣を拾い上げゆっくりと彼女に接近する。

 

ノア「フラッシュは…無いよ!!」

 

駆「こちらも同様にフラッシュは無いです」

 

ノア「フフ…君との勝負楽しかったよ、ライフで受ける!」

 

ノア・フルール先輩はニカッと笑い、ライフで受けることを宣言した。そして、ラグナ・ロックは剣を逆手に持ち地面に突き刺すようにして彼女の残りライフ2個を容赦なく砕く。

 

バリィィィィィン!バリィィィィィン!

 

ノア「うぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ノア

ライフ2→0 リザーブ7 Sコア→9 Sコア

 

彼女はラグナ・ロックの攻撃により吹き飛ん出しまうが何とか体勢を維持することが出来たようだ。どうやら壁や地面に叩きつけられることは無かったので安心した。

そして、彼女のライフが0になったことによりこの勝負は俺の勝利となり幕を閉じた。

 

 

To be continued……




次回予告
入学早々に先輩との手合わせはとても貴重な体験だろう。しかし、ここまで実力のある先輩がさらに強い人を部活に求める理由が分から無かった。

部活に入るか否かを悩む俺を夕焼けの光が照らした。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-18 迷いと疲れ


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Turn-18 迷いと疲れ

すみません、お待たせしました!これが今年最後の投稿となります!
来年もよろしくお願いします!
では、続きをどうぞ!


ノア・フルール先輩とのバトルが終わった俺はゆっくりと着陸しバトルアーマーを解除した。

先輩に勝利したのはいいのだが、流石に疲れた。早く部屋に戻ってゆっくりと休みたいな…

 

ノア「ありがとう!いいバトルだったね!」

 

と彼女は握手を求めてきた。勿論握らない訳には行かない。俺は差し出された先輩の手を掴んで握手をする。

 

駆「こちらこそ、貴重な体験をさせて頂きました。ありがとうございます…!」

 

俺は彼女にお礼を言った。入学早々、この学校に1年以上通っている先輩と対戦できたのは本当に良い経験になった。

彼女はデッキも引きも強く、あのジークヴルムがREVIVALのものだったら俺は負けていた。REVIVALじゃなかったのが不幸中の幸いか…彼女が何故そのカードを使っていないのかが分からないので聞いてみることにしよう。

 

フラッ…

 

…おっと疲れなのかふらついてしまった。倒れていないがこのまま外にいるのは良くないな。そろそろ部屋に戻らないと…

 

ノア「ねぇ天童君、君ちょっと疲れちゃってる?」

 

ふらついた俺を見て先輩が声をかけてくれた。

 

駆「えぇ…ちょっと体力が無くて何とかしようと思っているのですが…まだ結果が出てないんです」

 

生前ではそれなりに筋肉トレーニングをしてきたが、まだまだだ…

 

ノア「君は努力家だね!凄いなぁ〜!」

 

駆「…努力しないと強くはなりませんから」

 

俺に感心する彼女にそう応えた。

そうだ、聞いておきたいことがあったんだ。ここで聞いておこう。

 

駆「そういえば、あのバトルのジークヴルムがREVIVALのものだったら俺は負けていましたが、フルール先輩そのカードは何枚積んでいるんですか?」

 

俺がこの質問をした瞬間、彼女の額から汗が流れる。

そして、苦笑いで俺に答えた。

 

ノア「実は…ね、ジークヴルムのREVIVAL2枚しか持っていなくて、その代用にREVIVAL前の物を入れて構築していたんだ。今までずっと探しているんだけど中々見つからなくて困っているんだ…」

 

駆「そうでしたか、なら俺があげましょうか?」

 

ノア「え!?ホントに持ってるの!?」

 

駆「えぇ、ちょうど1枚余っていましてね。それに俺のデッキには合わないのでトレード用として保存していたんですよ」

 

ノア「いいの!?」

 

と目の前の彼女は目をキラキラ輝かせながら俺に質問した。

 

駆「ええ、ですがこちらも何かカードを要求します。それでもいいのなら俺の持っているジークヴルムREVIVALを差し上げます」

 

ノア「ん〜じゃあ何が欲しいのかな?」

 

とノア・フルール先輩はキラキラした目から一瞬にして真面目な顔になり、右手を顎の所に当て考えている。

 

駆「そうですね ……グラン・ウォーデンREVIVALは持っていませんか?」

 

とあまりにも理想の高いカードを選択してしまった。グラン・ウォーデンREVIVALはかなり高価なカードで生前で買うのにかなり苦労した。それに今は1枚しか持っていなかったので2枚にはしておきたいところである。

…果たして彼女はそのカードを持っているのか?そう思い彼女を見た。ノア・フルール先輩は指をパチンと鳴らしこう言った。

 

ノア「それ、1枚あるよ!パックを1つ買った時に当たったんだ!

でも、使い道が無いから誰か欲しいなって思ってる人と交換しようと思っていたの!」

 

駆「そうでしたか…それは有難いです」

 

マジか、1パックでグラン・ウォーデンREVIVALを当てるとかどーいう運の強さをしているんだよこの先輩は…

と、とにかくジークヴルムでグラン・ウォーデンが、手に入るのは大きい。

 

ノア「じゃあ、ジークヴルムと、グラン・ウォーデンの交換でいいよね!」

 

駆「えぇ、構いませんよ」

 

というわけで彼女との交渉が成立した。

 

美弥「お〜い、駆君!」

 

すると、俺の後ろから美弥の声が聞こえたので振り返った。

そこには美弥をはじめにレイや、ドルオタ三人衆に詩姫部の部員達もいた。

 

レイ「先輩と駆君のバトル、ほんと凄かったよ!」

 

美弥「これで駆君、詩姫部に入れるね!おめでとう!」

 

駆「ありがとう、美弥さんにレイさん。君たちが応援してくれたから俺は頑張って戦えたよ」

 

俺は祝ってくれた2人にそう言った。少し照れくさいけど悪い気はしない。

 

ラビィ「まさか、本気のノアに勝っちゃうなんて…あなた、中々の腕前ね!」

 

とラビィ・ダーリン先輩が俺のプレイを見てそう言った。

 

駆「いえ、運が良かっただけです」

 

それに対して俺は答える。そう、今回俺の使ったデッキはオープンされたカードによって勝負が決まる運だよりのデッキ。

早期のイグドラシルの召喚と最後のミョルニールがいなければ俺は普通に負けていた可能性があっだろう。

 

美弥「運も実力の内だよ?駆君!」

 

駆「そ、そうなのか…?」

 

グリーフィア「そうゆうものよ?後輩君」

 

駆「…分かりました。ダルク先輩」

 

と俺は先輩に言われて納得した。確かにカードゲームに運の要素がつきまとうのは絶対だ。

どんな場面でも運が良ければ勝てる理不尽なゲームだ。俺は心の中でそういう納得することにした。

 

ノア「これで天童君は詩姫部に入部出来るよ!どうする?入る?」

 

その質問を聞いて俺は思った。俺は何の為にこの勝負を挑んだのだろうかと、詩姫部に入って何がしたいのだろうかと。

しかし何がしたいかとか、何の為に勝負をしたのか…俺はその肝心な目的を持っていない。ただ単に美弥に紹介されてきただけなんだ。

…俺はこの部活に入るか入らないかをしっかり考えなければいけない。しかし、そうするためには時間が必要だ。彼女に時間をくれるかどうかを聞いてみよう。

 

駆「…あの、少し考える時間を俺に与えてくれないでしょうか?」

 

ラン「え?何で?入ろうよ〜!」

 

と言いながらラン・ブレイセア先輩は俺の袖を引っ張る。彼女の小さな体型とその仕草はまさに幼い女の子が親に甘える様子だ。

部長であるノア・フルール先輩もラン・ブレイセア先輩と同じ様に理由を知りたいだろう。なので俺はこう言った。

 

駆「1年の俺はこれからの予定を立てたいと思っているからです」

 

セイナ「ふむ…確かに予定を立てないと後の学校生活に支障をきたすかもしれないな…」

 

ノア「天童君とセイナちゃんの言う通りだね。なら、明日の放課後まで決めることは出来る?」

 

と彼女が俺にそう言った。明日の放課後までか…寮に戻ってから考えれば充分間に合うと思う。

 

駆「明日の放課後ですか…わかりました。それまでに決断しておきます」

 

ノア「わかった!じゃあその時にカードも交換しよ!」

 

駆「ではその時にまた会いましょう先輩。俺はもう寮に戻ります」

 

美弥「え?他の人の試合見ないの?」

 

寮に帰ろうと体育館から出ようとする俺に美弘は声を掛けた。

 

駆「…すまない、美弥さん。今日はもう疲れたし、予定も立てないといけないから先に戻るよ」

 

美弥「う…うん、わかった。気をつけて帰ってね!」

 

俺は心配してくれている美弥にサムズアップして体育館から出る。

正直、俺もバトルの観戦をしたかったが、ここまで疲れていたとは思わなかった。

とりあえず部屋に戻ったら少し睡眠をとろう。それからじゃないとこれからやることに色々と支障をきたすだろう。

 

 

 

 

少年移動中

 

 

 

寮の部屋に着いた俺は鞄を自分の机に置き、髪を結んでいるゴムを外して、服を着替えることなく制服のまま自分のベッドにボフッと横たわり目を閉じる。

寝心地がよいこのベッドは直ぐに俺を夢の世界に連れて行ってしまいそうだ。

起きたら色々とやらなきゃいけない事があるけどまずは少しでも身体を癒すために寝るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………小さな爆発音が…聞こえる。それに何か燃えるような匂いが鼻をつく。なんだろう?気になる…起きよう。

俺は目を擦りながら目を開けた。

…すると、辺り一面が炎に包まれている光景が俺の目に飛び込んできた。

 

 

 

突然過ぎたので思考が停止してしまっていた。

 

駆「なんだ…?これは夢か?」

 

俺はそう呟く。俺は今まで寮の部屋のベッドで寝ていたんだ。こんなの夢じゃなきゃおかしいだろう。そして俺立ち上がり、身の周りを確認する。燃えているものは恐らく木材…民家なのだろう。中にいる人は脱出しているのだろうか?

…なんて心配をしている暇はない。これが例え夢であっても身の安全は確保したいだろう。こんな状況なのに冷静に考えていると思っている様だが、内心はかなり焦っている。やはり人間、災害等を想定をして冷静に焦らず避難訓練をしていてもいざ災害が発生したとなると冷静さを欠け我先にと焦ってしまうものだろう。

 

…馬鹿野郎!そんなことを考えている暇があるんだったらその元気な足を動かせ!とにかく今は生きることが最優先だろ!?

 

俺は自分自身にそう言い聞かせ、燃えている街から脱出しようとして走り出す。

周りが燃えているのでとても熱いし、煙が肺に入り息が苦しい上に建物が崩れて、本来通れる道が塞がっている所が複数ある。脱出にはかなり時間がかかりそうだ。

まずいな…体力が無い俺にとってこの状況は最悪だ。

でも俺は生き延びるその一心で走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

駆「ハァハァハァハァ…あ、危なかった」

 

俺は肩で息をしながらここから数メートル離れた草原から夜の暗闇を照らすかのような燃え盛る街を見ていた。

ちなみに今が夜だと分かったのはこの草原に来てからついさっきのことだ。何故ならここに来て落ち着くまで脱出の事しか考えていなかったからだ。

幸い俺が寝ていた場所からま出口は近かったので何とか脱出することが出来たけど服は一部破けている上に土もついていて非常に汚い。

でも生きてるだけマシか…

俺はため息をついてあの街を見続けていた。

 

 

…突然、燃える街の真ん中から赤い光が夜空を切り裂く。俺は空を見上げその赤い光を見る。

そして、その光を追いかけるように紫、緑、青の光が空に舞い上がる。3つの光は一心不乱に空を切る赤い光を何とか押さえつけようとしてぶつかり合っている様だ。しかし、赤い光は3つの光を翻弄している。それほどまでに赤い光の力は強いのか …

俺は正体のわからない4つの物体の戦闘の行く末をただただ見守っていた。

そして、赤い光と3つの光がぶつかった瞬間。轟音が鳴り響き凄まじい衝撃が俺を襲い俺を吹き飛ばした。

ここから街まではかなりの距離があるのにこんなに衝撃が伝わってくる!

俺は吹っ飛んでいる最中、恐ろしさで目を瞑ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…俺が吹っ飛んでからしばらく経つと爆発音や謎の光がぶつかった時の衝撃も来なくなった。

気になった俺は目を開けると部屋のベッドの上に戻っていた。

やはり、さっきのは夢だったのだ。あんな謎が多い夢初めてみた。まぁ夢だし燃える街や4つの光に関して気にする必要は無いな。

俺はそう思いながらベッドから体を起こし部屋の時計を見る。30分くらい俺は寝ていたのか。時間を確認した俺はこれからの予定を立てるために勉強机に向き合い、何も書かれていないノートにこれからの予定を書き込む。

 

この時間はこうで…するとデッキ改良の時間はこの時間帯がいいか?いや、もし部活に入るとなると…

 

美弥「ただいま〜!」

 

駆「お、おかえり美弥さん」

 

突然、部屋の扉が開き大きく声を出した美弥に驚きながら俺は声を掛けた。

 

美弥「駆君〜!何してるの?」

 

美弥は自分の鞄をベッドに置いて、椅子に座っている俺の隣に来る。

 

駆「今これからの学校生活の予定を考えてノートに纏めていたところだ」

 

美弥「そうなんだ!ちょっと見せてくれる?」

 

駆「ん?構わないが、君がこれを見ても特にこれといった得は無いような気がするが…」

 

美弥「別にいいの!」

 

と美弥は俺の予定を書いているノートを覗き込む形で見る。

…顔が近いな。横を見ると美弥の顔がすぐそこにあった。こうして見ているとやっぱり彼女は美人だ。それに隣にいるせいか彼女からシャンプーらしき匂いが俺の鼻をくすぐる。う〜ん、もう少し遠くから見れないのだろうか?やりにくい…

 

美弥「凄い…かなり細かく考えているね!しっかり者だなぁ、駆君は」

 

美弥は俺のノートを見終わってそう言った。

 

駆「そうか?」

 

美弥「うん!私はそう思うよ。あ、そうだ!今日はレイちゃんやT君達と夕食食べるんだけど、駆君も来る?息抜きも出来るしいいでしょ?」

 

ここで俺は美弥に夕食に誘われた。行くべきか?いや、俺にはやることがあってだな…でも息抜きのつもりで行くならいいのかもしれない。

 

駆「わかった。一緒に食べることにするよ」

 

美弥「やったぁ!駆君、ありがとう!」

 

と美弥は大きくバンザイしながら喜んでいる。

 

駆「アハハ…そんなに嬉しいか?」

 

そんな、彼女の姿を見て俺はつい吹き出してしまった。

 

美弥「うん!だって、ご飯は皆で食べた方が美味しいでしょ?」

 

駆「…そうかもしれないな。ところで美弥さん、皆との夕飯の予定は何時くらいなんだ?」

 

なんて彼女はいい子なんだろう…俺はそう思いながら美弥に夕飯の予定時刻を聞いた。

俺の質問を聞いた彼女はは今の時間を確認しようと部屋の時計を見る。すると、彼女の顔は青ざめ、汗をかいている。

 

 

 

 

 

…なんだろう、嫌な予感しかしない。

 

 

 

 

 

美弥「…まずいよ、駆君。約束の時間の5分前だよ!!」

 

ほらね。

 

駆「なら、急いで支度をしよう」

 

美弥「うん!」

 

俺と美弥は身支度をしてから部屋を出て急いで食堂に向かう。

戸締りはちゃんとしているので大丈夫な筈だ。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

急いで食堂に向かった俺と美弥は約束の時間ギリギリで何とか間に合うことが出来た。

さて、約束の人達はどこに座っているのだろう?この時間帯は人が多いから困る。俺はキョロキョロと周りを見渡し探す。

 

美弥「こっちだよ!」

 

突然美弥に引っ張られた俺は転びそうになるが彼女について行く。それにしてもこんなに人が多い中で特定の人達を見つけられるものだ。と俺は感心した。

 

男子O「待っていたよ天野さん。お、天童君も来ていたのか」

 

駆「…あぁ、美弥さんに誘われてな。俺も丁度夕食を取りたいと思っていたから一緒に来た」

 

席にはドルオタ三人衆に加え、レイが座っていた。

 

男子T「なら、早くこっちに座ろう」

 

駆「あぁ、では早速…」

 

俺と美弥は席に座った。

俺の左にはレイ、右にはT。目の前には美弥が座っていて、レイの前にはYでTの目の前にはOが座っている。

 

駆「皆、メニューはもう決めているのか?」

 

レイ「ううん、今から決めるところだったんだよ!」

 

美弥「じゃあメニュー決めてご飯食べよ!」

 

よし、今日は忙しいので手軽なカロリーメイトとレッドブルを頂くことにしよう。美弥ならきっと許してくれる…

 

美弥「あ、駆君。忙しいからってカロリーメイトとレッドブルはダメだよ?ちゃんとご飯食べてね!」

 

と思っていたのだが、先読みでダメにされてしまった。

 

レイ「へぇ〜!駆君ってカロリーメイト好きなんだ!」

 

駆「ま、まぁ…味もいいし手軽だし」

 

美弥に先読みされてしまったからか、かなり動揺している。

 

美弥「分かってるよね!?」

 

と美弥は俺に強く言う。俺はそんな彼女に圧倒されてしまった。

 

駆「…………………あぁ、分かっている」

 

俺はそう応えたが、この反応の仕方はまずいな。墓穴を掘ってしまった様なものだ…

 

美弥「むっ!その反応は当たりの様ね!まったく、貴方の将来が心配だよ!!」

 

やっぱり気づかれるよな…それに加えて説教までされてしまった。

 

駆「…君に心配される程、俺は馬鹿じゃない。大丈夫、ちゃんとしたものを注文するから」

 

俺は彼女にそう応えた。

 

男子Y「ねぇ、天童君と天野さんって付き合ってるのか?凄い仲良さそうだけど!」

 

と突然レイの目の前にいるYが言った。このやり取りを見てそう思ったんだろうが俺と彼女はそんな関係では無い。

そして目の前の本人は「えっ!?」と驚いた後、顔を赤らめてしまった。そりゃ恋とかそういう話になると恥ずかしくて赤くなってしまうのは仕方ないだろうな。

 

レイ「そうなの!?美弥ちゃん!」

 

とレイは興味津々に美弥に問いかけるが何故か顔を赤らめたまま下を向き黙っている美弥。付き合ってないという事実を相手に伝えるだけなのに彼女は何をしているんだ?

仕方ない、俺が代わりに答えるとしよう。

 

駆「違うよ、レイさんにY君。俺と美弥さんはそういう関係じゃ無い」

 

俺は彼らにそう伝えた。第一こんないい子とひねくれた俺が釣り合う訳が無い。彼女は俺よりももっといい人と結ばれる方が幸せになれるんじゃないかと思う。

 

レイ「そうなんだ。凄くビックリしちゃったよ!」

 

男子Y「そっかぁ〜」

 

俺の返答を聞いた2人はそれぞれそう答えた。

…試しにYをからかってやろうか?

 

駆「ところでそんな質問を聞いたってことはまさかY君、彼氏のいない美弥さんを狙っているとか?」

 

俺がYに質問した時、彼は顔を真っ赤にして動揺している。

うむ、実に面白い反応だ。俺は彼の反応を内心ニヤニヤしながら見ている。すると、彼はこう言った。

 

男子Y「ち、ちちち違うさ!ま、まま全く君はな何を言っているんだ!」

 

駆「冗談、からかってみただけだ」

 

と俺はめちゃくちゃに動揺しているYにそう伝える。

 

男子O「ハハハッ!天童君、君も中々鬼畜だね」

 

からかった俺を見てO笑いながらがそう言った。

 

駆「俺はそんなに鬼じゃない。ちょっとした茶目っ気さ」

 

俺はそう答えたと同時にTが皆に問いかけた。

 

男子T「ところで皆メニューは決まりました?私とOは決まっていますが…」

 

そうだ、今は夕飯の時間だ。何を食べるか決めないと…なんてな。俺の夕食は既に決まっているので焦って考えることは無い。

 

男子Y「俺はもう決まっている」

 

レイ「私も決まったよ!駆君は?」

 

2人も決まっていた様だ。

 

駆「俺は決まっているから大丈夫だ。それよりも美弥さん、夕食は決まったか?」

 

レイに夕食は決まったか?と聞かれた俺はそう応え、まだ顔を赤くしている美弥に質問した。

 

美弥「ふぇ?あ…ちょ、ちょっと待ってね」

 

美弥は慌てながらメニューの一覧表を見る。まだYの話を引きずっているのか?と俺は疑問に思った。

 

美弥「き、決まったよ!早く注文しに行こ!」

 

ガタッと勢いよく席を立つ美弥。そのおかげで箸立てが倒れそうになる所を俺が支えた。

 

駆「美弥さん、少し様子が変だが、大丈夫か?」

 

美弥「え?大丈夫だよ。えへへ…」

 

俺の心配は要らないらしく美弥は笑顔で答えた。

 

駆「それならいい」

 

俺も席を立ち夕飯を注文することにした。

 

 

 

 

 

…そして俺達は今、それぞれ注文した夕飯を食べている。

ちなみに俺が注文したのはカルボナーラ。…ふむ、クリーミーなソースが麺に絡んで非常に美味である。これはフォークがすすむ。

 

ズルズルズルルル〜〜

 

駆「ところで、君達3人の勝負の結果はどうだったんだ?」

 

ふと、俺は後の3人の勝負の結果が知りたくなりドルオタ三人衆に聞いた。

すると、3人は肩を落とし暗い表情のまま何も喋らなくなってしまった。

 

レイ「3人とも残念ながら負けちゃったんだよ」

 

駆「そういうことだったのか。すまない…」

 

男子T「後2ノヴァは半端ないって…」

 

あぁ…それは本当に残念だったな。ゲーム開始早々に全ハンデスを食らったらどうしようも無いからな。

 

後2ノヴァ…後攻1ターン目にディアヌスキッズを召喚し、その次のターンにダークヴルムREVIVALを自分のライフを減らしコストを6から3に変更し召喚。そして、ディアヌスキッズの効果でメインステップにダークヴルムREVIVALにジークヴルム・ノヴァREVIVALを煌臨させ、トラッシュのコア回収とライフ回復を行い、ジークヴルム・ノヴァREVIVALのアタック時効果でハンデスするというもの。

流石の俺も生前であの惨劇を見た時、初めてバトルスピリッツはクソゲーか?と思ってしまった。

 

男子O「負けてしまったものは仕方ないさ。天童君、羨ましいけど頑張れよ!」

 

男子Y「しかし、あのノヴァデッキに勝利するとは本当に凄いな!」

 

OとYは立ち直りが早いな。Tに関しては本当に仕方ない…あれは反省の仕様がない。

 

駆「でも、あと一人男子マネージャーの枠が余っているがどうなるんだ?」

 

レイ「もう1人、男の子で見学しに来ていた子が居たんだけど今日は体調が悪くて休みらしいんだって。だから、その子とフルール先輩の勝負が終わるまでO君達も入部出来るか分からないんだ」

 

体調不良の生徒が1人。恐らく俺達の組では無いな。別の組の男子生徒だ。

 

駆「そうだったのか。なら君達もワンチャンスあるじゃないか」

 

T「そうだといいんだけどなぁ…」

 

Tはハイライトの無い目でそう言った。彼にはただ可哀想としか感じられなかった。

 

 

 

その後、俺達は会話を楽しみながら夕食を食べ終わり、それぞれの部屋に戻った。

 

美弥「駆君、詩姫部入るの?」

 

引き続き、今後の予定をノートに纏めていた俺に美弥はそう聞いてきた。

 

駆「あぁ、挑戦という意味でやってみようかと思っているところだ。そう言う美弥さんは?」

 

今までは少し迷っていたがこういう理由で入部してもアリだと思う。

生前の俺が通っていた高校の部活動には入ったことが無いのでこの機会に高校の部活がどういうものなのかを身をもって体験してみよう。

 

美弥「私は元々入部する予定だったから一緒だね!多分、レイちゃんも入部すると思うよ!」

 

駆「そうか、なら俺は君たち2人のアシストもしなくちゃいけないな」

 

美弥「ふふ、頑張ってね駆君!」

 

駆「もちろんだ。でも、もっと頑張らなきゃいけないのは舞台に立ち、ライブを盛り上げる役割を持った君だがな」

 

詩姫部のライブで輝くのは女子達だ。男である俺は舞台裏で皆を支える役目を全うしなければならない。

いわゆる縁の下の力持ちってやつだ。

 

美弥「うん!いっぱい練習してライブを盛り上げれるように頑張るよ!」

 

と意気込む美弥に俺は頷き、ノートに続きを書く。そろそろ終わりそうだな…あ、ジークヴルムREVIVALの準備もしないとな。俺は忘れないように左手の甲に油性ペンでメモした。

 

 

To be continued…

 




次回予告
最後の挑戦者であるその男はとても不思議な人間だった。
立ち塞がるノア・フルール先輩に対して彼が行った戦術は…

次回バトルスピリッツ 欠落

Turn-19 見据える先の勝利へ


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Turn-19 見据える先の勝利へ

2019年一回目の本編投稿です!わぁーい!
ではでは、お楽しみください!

ちなみに次回投稿はかなり遅くなると思うのでご了承ください。


次の朝、俺はいつものように起き学校に行く準備をする。そう言えば、美弥はもう起きたのだろうか?確かめてみよう。俺は美弥が使っているベッドを見る。

美弥は…まだ寝ている。このままにしておくと彼女は当然遅刻になる。

全く、君は俺の心配をしていた様だが昨日の言葉、そっくりそのまま返したいところだ。

現代社会は時間に厳しいと聞く。もしかすると1回の遅刻で社会からの信用が無くなるかもしれない。そういうのは絶対に良くないと俺は思う。彼女には遅刻をしないように早起きの習慣を身につけさせる必要がある。故にこれから彼女には早く起きて貰うように俺が起こそう。

 

駆「美弥さん、起きろ。このまま寝ていたら遅刻してしまうぞ?」

 

俺は彼女に聞こえる声量でそう言った。

 

美弥「ヴェェァァァァ!遅刻は嫌だァァァ!!」

 

すると、美弥は奇声を発しながらベッドから飛び起きた。

 

駆「うるさい…!起きるのはいいが、少し静かにしろ」

 

かなりうるさかったので俺は両耳を手で抑えて注意した。

 

美弥「うぅ…ごめん」

 

美弥はしゅんとなり謝った。素直だな。

 

駆「まぁいい、早く支度してきな。一緒に朝食を食べるんだろ?」

 

俺は鞄にデッキが入ったカードケースを1つ入れながら美弥にそう告げる。

 

美弥「うん、ありがとう」

 

美弥は俺に一言そう言い、出発の準備をし始めた。

あ、ジークヴルムREVIVAL持っていかないと…先輩と交換の予定があるんだった。

俺は左手の甲のメモを見て思い出した。そして、机に置いてあるカードストレージから透明スリーブに入ったジークヴルムREVIVALを鞄にあるデッキケースに入れる。

ちなみにスリーブというのはカードを傷から守る役割を果たすカードゲーマーなら必須のアイテムだ。

 

美弥「駆君、準備出来たよ!」

 

とこうしている間に美弥の準備が完了した様だ。

 

駆「早いな…忘れ物は無いか確認しておけよ」

 

美弥「大丈夫!昨日の夜に準備しているから!」

 

着替え終わり、制服姿の美弥がサムズアップする。なるほど、あらかじめ準備していたのか。それなら準備は早く終わるよな。

 

駆「そうか、なら行こう」

 

美弥「うん!」

 

俺と美弥は部屋を出て朝食を取るために食堂に向かう。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

食堂についた俺達はそれぞれメニュー表を見て朝食を何にするか決めているところだ。

まぁ、俺は既に決まっている。その一方で美弥は少し迷っているようで、顎に手を当てう〜んと考えている。

それはそれとして、俺の今日の朝食は鯖味噌定食にするつもりだ。久しぶりの和食なのだが、ここの和食料理の腕も気になったからだ。

 

駆「どうだ、美弥さん。決まったか?」

 

少し時間を置いて俺は美弥に聞いた。

 

美弥「うん、もう決まったよ。いこ!」

 

そして、俺と美弥は席を立ち料理を注文しに行った。

 

 

 

しばらくして俺と美弥は注文した料理を席まで運び、今食べている。

 

美弥「へぇ〜!駆君、今日は和食なんだね!」

 

目の前の美弥が俺の食べている鯖味噌定食を見てそう言った。

 

駆「久しぶりにな。そういう美弥さんはフレンチトーストか」

 

美弥「いいでしょ!一口ならあげるよ?」

 

と美弥はフレンチトーストを一口サイズに切って俺に差し出してきた。

この場面はカップルでは定番中の定番と言える「はい、あ〜ん」というやつだ。

それにそのフォークは彼女がさっきまで口にしていたフォーク。それを俺が食べるということはすなわち間接キスになるという事だ。普通の男なら「女の子にあ〜んして貰えるなんて最高だな!それに間接キスだしヤベェよ!」とか言って喜ぶと思うのだが、俺はあまりそういうのは好まない。この状況をどうやって打開すればいいのだろう?

俺は少しの間を開けた後にこう言った。

 

駆「…いや、今は遠慮しておくことにする。お腹いっぱいになるからな」

 

美弥「そっかぁ〜なら仕方ないね!」

 

美弥は少し残念がりながら差し出してきたその一切れをパクッと口の中に入れる。

 

美弥「う〜ん!美味しい!駆君も食べれば良かったのに、後悔しても知らないよ?」

 

と美弥はフレンチトーストのあまりにもの美味しさにうっとりしながら唸っている。

それくらい、この学校の出すフレンチトーストが美味しい証拠だ。

となれば俺もそれに興味が湧いてくる。

 

駆「ふ〜ん、そんなに美味しいなら次の朝食はフレンチトーストにでもするか…」

 

と俺はそう呟き、鯖味噌を食べる。

…うむ、この鯖味噌も中々いける。柔らかい身と少し濃いめの味付けはご飯との相性は抜群だ。

機会があればもう一度これを食べるかと思いながら俺は黙々と朝食を食べた。

 

美弥「そう言えば駆君、今後の予定はもう決まったの?」

 

美弥がいきなりそう聞いてきた。

 

駆「あぁ、昨日の夜に仕上げた。部活に入っても問題は無いさ」

 

美弥「そっか、良かったね!」

 

駆「あぁ」

 

俺は頷いて完食した定食のトレイを持って立つ。

 

美弥「あ、待って私も食べ終わったから」

 

美弥が急いでトレイを持って席を立つ。完食はしているようで皿のフレンチトーストは綺麗に無くなっている。

 

駆「…すまない」

 

俺は彼女を急がせてしまったので謝ることにした。

人には一人一人のペースがあることを改めて思った。これからは気をつけることにしよう。

 

美弥「いいよ!」

 

駆「なら、食器を返して教室に行くか」

 

美弥「うん!」

 

俺と美弥は食器を返した後、教室に移動した。

時間には余裕があるのでこの前のように廊下を全力疾走で走ることは無いだろう。あれはもう懲り懲りだ。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

魔理沙「駆、美弥、おはよう!」

 

霊夢「二人ともおはよう」

 

教室に入ると早速東方Projectの主人公組が挨拶してきた。

 

駆「おはよう」

 

美弥「おはよう!霊夢ちゃんに魔理沙ちゃん!」

 

俺は2人に挨拶を返す。相変わらず元気な美弥は俺よりも大きな声で挨拶を返す。

 

ダン「みんな早いな…おはよう!」

 

早苗「おはようございます!」

 

すると、俺の後ろから声が聞こえたので振り返った。

弾と早苗だ。

 

駆「早苗さんに弾君か、おはよう」

 

美弥「おはよう!!」

 

俺も美弥も挨拶を返す。

 

魔理沙「そうだ、なぁ駆。昨日詩姫部に入る為の試験があったらしいけど、どうだった?」

 

霊夢「あ、それ私も気になってたの」

 

と2人が俺にそう言う。弾と早苗も期待の目をこちらに向けている。特に弾が凄い勢いである。

 

駆「先輩との対戦は辛くも俺の勝利で、詩姫部に入れることになった」

 

と俺はそう言った。

 

弾「おお、凄いな駆!」

 

すると弾は興奮しながら俺を祝ってくれた。バトルスピリッツのことになると食いつく彼らしい祝い方だった。

 

早苗「[辛くも]っと言うことはその先輩はとても強かったってことですよね?」

 

駆「あぁ、とても手強かった。この学校に1年以上通っているからな、勝てたのは幸運だった」

 

と俺は質問をしてきた早苗にそう答えた。

 

霊夢「良かったわね!詩姫部入るんでしょ?」

 

俺はその質問にコクリと頷いて答えた。

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

とここでSHRの鈴が鳴る。

 

マギサ「みんな、SHRを始めるから自分の席に戻りなさい」

 

鈴が終わって数十秒、教室に入ってきたマギサ先生がみんなに指示をだす。

それに従い、俺とクラスメイトはそれぞれ自分達の席に座る。

 

マギサ「では出席をとっていくわよ!」

 

とマギサ先生は出席簿を開き、ボールペン(黒)を右手に持つとクラスメイトの名前を1人ずつ呼んでいき、出席簿にチェックしていく。

そう言えば、今日はノア・フルール先輩と昨日休んでいた男子生徒が勝負をする日じゃないか。一体どんな人なんだろう…と気になりつつも俺は窓の外に広がる空を見上げる。若干の雲が漂っているが快晴である。

 

 

マギサ「天童駆君!」

 

駆「あ、はい…」

 

窓から空を見ていた俺にいきなり先生の声がかけられる。考え事をしていたので若干反応が遅れてしまったが、ちゃんと先生に自分の存在をアピールした。

 

 

 

マギサ「早速だけど、みんなに渡すプリントがあるから、回していってね」

 

出席チェックを終えたマギサ先生は大量のプリントから縦列で出席している人の分のプリントを最前列の生徒に渡す。そして、プリントを渡された生徒は自分の分のプリントを取り、残りを後ろの生徒に渡す。学校ではよくあるプリントの配り方だ。

まぁ俺は最後列に座っているのでプリントを後ろの生徒に渡す行為をしなくていいんだけどな。しかし、ノートなどを先生が回収する際は、最後列の人間が集めて前に持っていくというのもある。

決して最後列の人間が楽であるとは限らないということだ。

それはさて置き、俺は配られたプリントを見る。入部届と書かれたプリントだった。

 

マギサ「今、私が配ったのは入部届。プリントの欄に入部したい部活を記入してからと名前、組を書いてそれぞれの部活の顧問に渡してね。

ちなみに入部するタイミングは自由だけど、ライバルとの差をつけるなら早めにしておいた方がいいわよ〜!」

 

とマギサは配られた入部届の説明をした。

なるほど、そう書いた後に顧問の先生に提出すれば入部が完了するんだな。そう言えば、詩姫部の顧問の先生って誰だろう?

 

マギサ「これだけで特に何も連絡は無いわ。授業頑張ってね!それじゃSHR終了!」

 

マギサはクラスの生徒に手を振って教室を出る。

さて、授業の準備でもするか。え〜と1時間目の授業は…国語か。俺は鞄から教科書と国語用のノート、筆箱を取り出し机に置く。

 

レイ「駆君、おはよ!」

 

ちょうど準備を終えたタイミングでレイが話しかけに来た。

 

駆「おはよう、レイさん。どうした?」

 

レイ「マギサ先生の入部届の話を聞いて、駆君が詩姫部に入部するのか気になってね。どう?入るの?」

 

なるほど、そういう事だったのか。

 

駆「詩姫部に入部する予定にしようと思っているところだ」

 

レイ「そっかぁ!なら私たちのマネジャーだね!」

 

駆「と言うことはレイさんも詩姫部に?」

 

レイ「うん!光輝くアイドルに私もなりたいから!」

 

と彼女は笑顔でそう言った。

 

駆「そうか、目標を持って何かをすることはとてもいい事だと思う。頑張れよ」

 

レイ「ありがと!じゃあまたね!」

 

レイはそう言うと自分の席に戻っていった。

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

1時間目始まりの鈴がなり、国語を担当するH先生が教室に入ってきた。

 

 

 

〜少年少女授業中〜

 

 

 

教師H「では馬神君、教科書の物語の続きを読んでくれますか?」

 

ダン「はい」

 

先生に教科書を読むように言われた弾は自分の席を立ち、教科書に記載されている物語の続きを読み始める。

そう、俺達は今教科書の内容を進んでいるところだ。そして、弾はその物語の最後の部分を読んでいるところだ。

 

ダン「先生、読み終わりました」

 

教師H「ありがとう、座っていいですよ」

 

と、ここで弾はこの物語を読み終えた。

この物語の内容はとある高校生の男女の物語だ。

主人公は自分より他人が大切、という信念を持って生きている少年。その一方でヒロインは過去が原因で心を閉じてしまった少女。正反対の性格を持つ彼らは偶然出会い、学校生活をおくる内に彼らは打ち解け合い、最後には互いの気持ちを告白する…

 

 

 

 

はずだった。

最後は事故にあいそうになったヒロインを主人公が助ける展開になり、ヒロインの代わりに主人公が犠牲になってしまう…

 

 

 

という、悲しい内容の物語だった。ここまで良いムードで進んでいた関係が1つの事故によって全て壊れてしまう展開にクラスメイト達はざわついていた。きっと誰もがこの2人が結ばれると思っていたのだろう。先生が静かにするように注意した数秒後に授業終了の鈴がなった。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

美弥「駆君、お昼ご飯食べに行こうよ!」

 

駆「そうだな、俺もお腹が空いた。早速行こうか」

 

1時間目に続いて2、3、4時間目を難なく過ごした俺は美弥からの誘いを受けた。

俺も4時間連続の授業でお腹が空いていたので一緒に食堂に向かうことにした。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

駆「美弥さん、授業の内容は理解出来るかい?」

 

移動中の俺は右隣を歩いている美弥に1つ質問をかけた。

 

美弥「え…?ま、まぁそれなりに…」

 

いきなり聞かれて少し戸惑っている美弥の額から汗が流れた。

 

駆「数学は大丈夫?」

 

俺は付け加えて美弥に問いかけた。

 

美弥「全っ然わからないです!」

 

と美弥は胸を張って言った。

俺は開き直った彼女を見て左手で頭を抑えた。

 

駆「…分かった。なら明日、前にも言っていた勉強会を開こう。弾君達も参加すると言っていたからみんなから教えて貰えるな」

 

美弥「うん!みんなで勉強会…いいね!

あ、そう言えば場所はどうするの?まだ決まっていなかったよね?」

 

唐突に思い出した美弥が俺にそう聞いてくる。俺もそれを言われて思い出した。やると決まったのに場所が決まっていなかった。

 

駆「確かに…美弥さん、何かいい案は無いか?」

 

俺は腕を組み考える。

一方の美弥は顎に右手を当て、考え始める。

そして、数秒後に彼女はこう言った。

 

美弥「う〜ん…駆君の家はどう?」

 

まさか、俺の家で開催を提案するとは…別に問題は無いが、距離が少しある。

彼女に1度確認してみよう。

 

駆「俺の家か。ここから徒歩で約30分くらいかかるがそれでも良いのなら…」

 

と俺は美弥に確認させる。

 

美弥「私は大丈夫だよ?それよりも、霊夢ちゃん達にそれを伝えないとね!」

 

一方で彼女は大丈夫と言っている。

 

駆「あぁ、いきなりだからびっくりしそうだけどな…」

 

勝手に予定を立ててしまって良かったのだろうか?と俺は今凄く不安である。こういう場合、「なんで私たちに相談しなかったんだよ!」という感じでトラブルになる可能性があるからだ。食堂で見かけたらすぐさま呼んで予定を話したいところだ。

 

美弥「でも、楽しみだよ!ふんふふ〜ん♪」

 

俺が不安な心境で歩いている一方で美弥は鼻歌を歌いながら、スキップをしている。

よっぽどみんなと会えるのが楽しみなのだろう。しかし、この時間帯の食堂は人が多く混雑している。誰かにぶつからなければ良いのだが…

と思っていた矢先、トレイを持った男子生徒とぶつかりそうになる。俺は美弥の肩を掴んでこちらに引き戻す。

 

美弥「きゃっ!?」

 

駆「全く、楽しみなのは分かるがここは混雑する場所だ。ちゃんと周りを見ろ。他人に迷惑をかけることになるぞ?

あの…大丈夫ですか?どこかぶつけてはいませんか?」

 

俺は美弥に説教した次にぶつかりそうになった男子生徒の安否を確認する。

 

男子H「……大丈夫です」

 

少しの間を置いて男子はそう言う。

 

駆「それなら良かった。ほら、美弥さん彼に謝れ。もしぶつかっていたらとんでもないことになっていたんだからな」

 

美弥「ご、ごめんなさい…次からは気をつけます」

 

俺にそう言われた美弥は急いで彼に謝る。

 

男子H「…もう大丈夫なので…失礼します」

 

それに対して男子生徒はコクリと頷いた後一言言ってこの場を立ち去った。

 

駆「さて、俺達も昼食を済ませるか」

 

美弥「(コクリ)」

 

反省しているのか少し俯いている美弥は頷いた。

 

 

 

その後、俺達は昼食の時間を過ごし、5、6時間の授業も済ませた。

結局、食堂で弾達と会うことは出来ず放課後に予定を伝えることになってしまったが全員了承してくれたので俺は胸をなで下ろした。

今、俺はどこにいるのかと言うと大体育館だ。俺と美弥、レイそしてドルオタ三人衆がこの体育館に着いた時には詩姫部の先輩達と顧問の先生が待っていた。

 

ノア「あ、天童君たちこっち!こっち!」

 

と彼女が右手を振っていたので俺達は彼女達の元に向かう。

 

マギサ「来たわね!天童君の話はノアから聞いてるわ。部活、入るの?」

 

駆「その話し方からして、詩姫部の顧問の先生はマギサ先生なんですね」

 

俺はそう言いながら鞄を開け、重要なプリントを収納しているファイルの中から入部届けを取り出し、マギサ先生に渡す。

 

マギサ「ええ、そうよ」

 

マギサ先生は肯定しながら俺の入部届けを受け取る。まさか、マギサ先生が詩姫部の顧問だったとは…

 

レイ「私もお願いします!」

 

美弥「私も!」

 

俺に続いて美弥とレイが入部届けを渡す。

 

男子H「すいません、詩姫部に入部するにあたって先輩との対戦が必要ということで来たのですが…」

 

すると、俺達の後方から声がしたので俺、レイ、美弥、O、Y、Tが振り向く。

そこに居たのは、昼休憩の時間に美弥とぶつかりそうになった男子生徒だった。

 

マギサ「分かってるわ、柊木明夢君。じゃあ早速始めましょうか!柊木君とノアは第1バトルステージに入って。その他の生徒は観客席に行きましょう」

 

柊木(ひいらぎ)明夢(あゆめ)、先生はそう言った。

そして、迅速に指示を出していく。

 

男子O「柊木君、頑張れよ!」

 

明夢「(コクリ)」

 

彼は自信を応援してくれているOに頷いてバトルステージに向かって行った。

 

レイ「じゃあ私達は観客席に行こっか!」

 

美弥「そうだね!」

 

レイと美弥は観客席に向かって歩き始めた。

俺も行くとするか。美弥達の後を追うように観客席へと移動をし始める。その胸に彼がどう戦うのか?という疑問を抱いて…

 

 

 

第1バトルステージ

 

ノア「じゃあ始めようか!バトルアーマーオン!」

 

先輩はソウルコアを天に掲げる。赤い光りが彼女を包み込み、輝く鎧を装着する。

 

明夢「…変身」

 

対する明夢と言われた少年はソウルコアを左腕の黒いガントレットの窪みにはめ込む。すると、そのガントレットは黒い光となり彼を包み込む。

バトルアーマーを装着した彼の姿は赤と黒を基本カラーとしたスーツの上に漆黒の胸部装甲と両手両足、そして腰周りにはシルバーを主に青色の線が入った装甲が装備されている。

二対の触覚を持つ頭部装甲はスーツと同じカラーだが、全体的にシャープなデザインをしており、ダークブルーのバイザーが明夢の顔を隠している。

 

ノア「私の全力をぶつけるよ!」

 

明夢「よろしくお願いします」

 

2人は上空で光のドームを形成。バトルを始める準備ができた様だ。

 

ノア 明夢「「ゲートオープン、界放!」」

 

ノア ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

 

明夢 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

ノア「先攻、後攻を決めるよ」

 

明夢「ジャンケン…ポン」

 

ノア パー 負け

VS

明夢 チョキ 勝ち

 

明夢「では、先攻を貰います。スタートステップ、ドローステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

明夢「俺は手札から4コストで辛酉鳥ゲイル・チキンナイトのアクセルを発動。俺は自分のデッキから3枚のカードをオープン」

 

オープンカード

兜魔神〇

ダンデラビットREVIVAL〇

乙の白騎士 アルパイン・ビット〇

 

明夢「その中の系統異魔神を持つブレイヴカードと系統神皇、十冠を持つスピリットカードを1枚ずつを手札に加える。よって俺は兜魔神とダンデラビットREVIVALを手札に加える。残ったカードは破棄される」

 

兜魔神→手札に加わる

ダンデラビット→手札に加わる

乙の白騎士 アルパイン・ビット→破棄

 

明夢 デッキ35→32 手札4→6

 

明夢「俺はこれでターンを終えます」

 

明夢 デッキ35→32 手札4→6

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3 Sコア

無し

 

バースト

無し

 

手元

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

俺は彼の動きを見て一瞬でそのデッキが何か分かった。

彼の使用デッキは爪鳥を中心としたデッキだ。

 

To be continue……




次回予告
爪鳥と星竜の戦い。勝利の女神がどちらに微笑むのか…?


天を舞う不死鳥と流星の化身がバトルフィールドで激突する。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-20 Wind blowing,with fighting spirit


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登場人物設定2(オリジナルキャラクター)

2回目のオリジナルキャラクターの紹介です!


名前 柊木(ひいらぎ) 明夢(あゆめ)

性別 男性

年齢 16歳

身長 170cm

体重 65kg

誕生日 ?月?日

星座 ?

血液型 ?型

 

イメージCVは内山昂輝さんです。遊戯王ZEXALのクールなカイトをイメージするといいかもです!

 

容姿

クールな性格のこの少年は中性的な顔をしている。サラッとした前髪は少し目にかかり、後ろは襟に少し触れる位の長さ。髪色は黒だが少し緑がかっている色である。地毛なのか染めたのかは不明。生まれつき目つきの悪い彼の目の色はディープグリーン。

スラッとした体型で身長、体重共に健康的な高校生の平均的な値である。

 

その他

詩姫部の見学に来ていた男子生徒の1人で駆とは別のクラスに所属している。駆達と一緒に詩姫部の先輩であるノア・フルールに挑戦する予定であったが、体調不良で学校を休み、挑戦することは出来なかったがその後日に戦うことになる。

駆達との出会いは詩姫部の入部届けを顧問であるマギサ先生に渡すところに明夢が先輩への挑戦をしたいと言ってきた所から始まる。が、実はその前の昼休憩で周囲の確認を怠っていた美弥にぶつかりそうになったところを主人公である駆がギリギリで止め、明夢に心配の声を掛けたところが最初の出会いと言ってもいい。(その時の駆と美弥は明夢が挑戦者だということは知らないし。明夢自身、駆達が詩姫部に入部する人だったとは知らなかった)

 

一人称は俺。性格や趣味などは今のところ分からない点はあるが、あまり発言をしないことが現時点で分かっている。それが初対面であることから発生する羞恥心からなのか、それとも元からコミユニケーション能力が欠けているのか、はたまた人との関わりを避けているのか…?なんにせよ理由は分からない。

 

使用デッキは系統爪鳥を中心とした緑デッキ。緑の爪鳥デッキは相手を疲労させる効果とコアブースト能力という緑属性の最大の特徴を備えている。それに加えて速さと連続アタックに長けている。なので早めに勝負を決めることが出来る。彼はその強さに惹かれてこのデッキを使用しているのだろう。この時点で、彼が使用するデッキはこれ1つしか知られていないが、他のデッキを使用する時があるのだろうか?そして、そのデッキは一体どんなデッキなのかが非常に気になるところである。

 

さて、ここまで彼の紹介をしてきたが、彼にはまだまだ気になる部分は多々ある。

今後彼がどのようになっていくのかが見どころになってくるのではないだろうか?




次は20話の投稿となります。また時間がかかると思いますが、楽しみにしていてください!
僕もなるべく早く投稿出来るように頑張りたいと思います!


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Turn-20 Wind blowing,with fighting spirit

皆さん、お待たせ致しました。柊木明夢VSノア・フルールの戦い!ぜひ見てくださいね!


明夢 デッキ32 手札6

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3 Sコア

無し

 

バースト

無し

 

手元

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

 

ノア デッキ36 手札4

ライフ5 リザーブ3 Sコア

トラッシュ0

無し

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

 

ノア「じゃあ次は私のターン!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ!」

 

ノア デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

ノア「いくよ、柊木君!まずは0コストで煌星竜スター・ブレイドラをSコアを乗っけて召喚!

そして、3コスト赤1軽減2コストで星の砂漠を配置!」

 

ノア・フルール先輩の場に小さな竜が召喚される。その後にノア・フルール先輩のフィールドは星煌めく空と砂漠に姿を変えた。

 

ノア 手札5→3

 

ノア「さらに!4コスト、赤2軽減2コストでアドベントドローを使用!

私はデッキからカードを2枚ドローする」

 

ノア デッキ35→33 手札2→4

 

ノア「その後、デッキから3枚のカードをオープン、その中の[煌臨]を持つスピリットカードを1枚を手札に加えるよ!」

 

オープンカード

レイニードルREVIVAL✕

煌星第五使徒テティス〇

煌星ラニアケア✕

 

ノア「よし、私は[煌臨]を持つ煌星第五使徒 テティスを手札に加えて残ったカードは破棄されるよ」

 

オープンカード手札に加える

レイニードルREVIVAL→破棄

煌星第五使徒テティス →手札に加わる

煌星ラニアケア→破棄

 

ノア デッキ33→30 手札4→5

 

ノア「私はこれでターンエンドするよ!」

 

ノア デッキ33→30 手札4→5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ4

煌星竜スター・ブレイドラ

LV1 BP1000 Sコア 疲労

 

星の砂漠 LV1

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

美弥「おぉ、柊木君もフルール先輩も理想的な動きをしているね!」

 

2人の動きを見た美弥が言う。確かにどちらもいい動きをしているし、引きも悪くない。これからのプレイングによって勝敗が決まると言ってもいいだろう。

 

セイナ「でもシンボルを立てている。ノアの方が有利だな」

 

ふむ、それは一理ある。何故なら場にシンボルがあればある程、大型のカードを展開しやすくなるからだ。

 

レイ「う〜ん…でも、なんで先輩はこのタイミングでアタックしなかったんだろ?柊木君の場にはスピリットもいないし、コアは全てトラッシュでバーストも無いからカウンターは出来ないよ?チャンスだったんじゃない?」

 

駆「確かに、ライフを削れるチャンスを先輩は持っていたが彼女は防御を重視したんだ。下手にライフを削ると相手の行動の幅が広がる上にゲイル・チキンナイトは手札の異魔神を召喚出来る効果がある。さっき、柊木君の手札のシンボル付きの異魔神である兜魔神を召喚して合体、アタックされてしまうと早々にライフを2つ失うことになる。そのリスクを減らすために彼女はスター・ブレイドラでアタックしなかったんだろう」

 

俺はレイの疑問にそう答えた。

 

男子O「その説は確かに分かるが、ライフを削られたとしてもジークヴルム・ノヴァREVIVALで回復できるから安心して殴れるのでは?」

 

駆「恐らく肝心のノヴァREVIVALとヴルムのカードが手札に揃って無いな。あれば強気の行動をしていたと思う」

 

 

明夢「俺のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ…」

 

明夢 デッキ32→31 手札6→7

リザーブ3→4 Sコア

 

明夢「俺は手元の辛酉鳥ゲイル・チキンナイトを4コストでSコアを乗せ、召喚」

 

明夢の傍に剣と鎧を装備した勇敢な鳥が現れる。

 

明夢「辛酉鳥ゲイル・チキンナイトの召喚時効果、このカードが手元から召喚された時、自分の手札にある系統異魔神を持つブレイヴカード1枚をコストを支払わずに召喚する。

よって、兜魔神をコストを支払わずに召喚する」

 

すると、明夢のフィールドに鎧に身を包んだ異魔神が召喚される。

そう、ゲイル・チキンナイトは俺の持つ、リボル・コレオンやグロリアス・ラクーンと同じ効果を持っている。

 

明夢「そして、辛酉鳥ゲイル・チキンナイトに兜魔神を右合体させる。これにより兜魔神のBPがゲイル・チキンナイトに加算される」

 

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

LV1 BP4000+3000=7000

 

兜魔神は右腕からエネルギーをゲイル・チキンナイトに纏わせる。それは彼に活力を与えパワーアップさせた。

 

明夢「これでターンエンドです」

 

明夢 デッキ32→31 手札7→6

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ4

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

LV1 BP4000 Sコア

右合体

兜魔神

BP+3000

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

ノア「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

ノア デッキ30→29 手札5→6

リザーブ0→5

 

ノア「私は4コスト、赤2軽減2コストで煌星竜コメットヴルムをLV1で召喚!」

 

天空より彗星の如く竜が現れる。その姿はコメット(彗星)の名に恥じない、強力なサーチ能力を持った1枚だ。

 

ノア「そして、スター・ブレイドラのSコアとリザーブのコアをチェンジ。

星の砂漠にSコアと余ったコアを1つずつ置いてレベルを2に上げるよ!

バーストをセットして…アタックステップ!コメットヴルムでアタック!」

 

コメットヴルムは真っ直ぐと明夢の方に向かって飛び出す。

 

ノア「コメットヴルムのLV1、2のアタック時効果でデッキから3枚のカードをオープン、その中の系統星竜を持つスピリットカードを1枚選択して手札に加える。残ったカードは破棄されるよ!」

 

オープンカード

龍星皇メテオヴルムREVIVAL〇

電岩竜ダイナモドラゴン〇

エターナルディフェンス✕

 

ノア「私はこの中の龍星皇メテオヴルムREVIVALを手札に加えて、残りのカードは破棄!」

 

オープンカード手札に加える

龍星皇メテオヴルムREVIVAL→手札に加わる

電岩竜ダイナモドラゴン→破棄

エターナルディフェンス→破棄

 

ノア デッキ29→26 手札4→5

 

ノア「さらに!レベル2の星の砂漠の効果で系統星竜のスピリットカードがアタックした時、私はデッキからカードを1枚ドローするよ!」

 

ノア デッキ26→25 手札5→6

 

明夢「…フラッシュは無いです」

 

ノア「なら、星の砂漠のSコアをトラッシュに置いて、スター・ブレイドラに煌星第五使徒 テティスを[煌臨]!」

 

スター・ブレイドラは炎を纏い、その姿を変え、新しい竜が登場する。

 

ノア「テティスのLV1、2の[煌臨時]効果、自分はデッキからカードを1枚ドローする!」

 

ノア デッキ26→25 手札5→6

 

明夢「俺のフラッシュは無いです」

 

ノア「私も無いよ」

 

明夢「ライフで受けます」

 

コメットヴルムはバリアを張った明夢へ激突、明夢のライフを1つ奪うことに成功した。

 

バリリリィィィン!!

 

と音を立てながら、明夢の胸部装甲にある5つのライフのうちの1つが砕け散る。

 

明夢 ライフ5→4 リザーブ0→1

 

ノア「続けて、煌星第五使徒テティスでアタック!アタック時効果でデッキからカードを1枚ドロー」

 

ノア デッキ25→24 手札6→7

 

明夢「フラッシュはありません」

 

ノア「こちらも無いよ!」

 

明夢「そのアタックもライフで受けます」

 

テティスは両方の手から火球を生成し明夢に向けて放つ。

 

バリィィィン!!

 

その火球は明夢のバリアを跡形もなく破壊する。

 

明夢 ライフ4→3 リザーブ0→2

 

ノア「少し、攻めすぎちゃったかな?私はこれでターンエンド!」

 

ノア デッキ25→24 手札6→7

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ2 Sコア

煌星竜コメットヴルム

LV1 BP3000 (1) 疲労

 

煌星第五使徒テティス

LV1 BP3000 (1) 疲労

 

星煌めく砂漠 LV1 (1)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

 

駆「あの動きは文句無しに強いな。もしかしたらあのドロー量でノヴァとヴルムを引けているかもしれないな」

 

男子Y「でも攻めすぎじゃない?返しのターンが厳しいって思うけど…」

 

とYが俺に聞いて来たのでこう答えた。

 

駆「その為のバーストだ。防御札があれば恐れることなくアタックが出来るさ。もし防御札が無ければテティスの煌臨とアタックはなかったと思う。

後恐らくあのバーストはライフ減少時のものだな」

 

これを聞いたYは「なるほどな!」と言って引き続き2人の戦いを見る。

 

 

明夢「…いきます、俺のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ31→30 手札7→8

リザーブ2→7

 

明夢「俺は手札から0コストでチキンナイトを召喚し、3コスト緑1軽減2コストでダンデラビットREVIVALを召喚」

 

明夢のフィールドに剣を持った小さな鳥と人参を咥えた可愛らしい兎が現れる。

 

明夢「ダンデラビットREVIVALの召喚時効果で、ボイドからコアを1個リザーブに置き、このスピリット以外の系統星魂、十冠を持つスピリット1体にボイドからコアを1個、置く。よって辛酉鳥ゲイル・チキンナイトに1個コアを置き、そのコアとリザーブのコア1つを使いネクサス、白雲に茂る天翼樹を配置」

 

明夢のフィールドに白い雲が現れ、緑の大樹が複数本伸びる。そして、その大樹は爪鳥達のエネルギーとなるコアを生成する。爪鳥デッキには欠かせないネクサスカードの1枚。主に神皇編第1章に収録されているカードだ。

 

明夢「このネクサスの配置時、ボイドからコアを1個リザーブに置く。さらに、系統爪鳥を持つ自分のスピリットがいる時、追加でボイドからコアを1個リザーブに置く。

そして、チキンナイトのLV1、2、3の効果、自分の手札にある系統神皇を持つ緑のスピリットカードのコストを-1する。

6-1で5。5コスト緑3軽減2コストで牡羊座より来たれ、生命を司る十二宮の一体。

 

白洋樹神セフィロアリエスREVIVAL

 

をLV1で召喚」

 

明夢がセフィロアリエスの召喚を宣言すると明夢の場の天翼樹やスピリット達が生き生きとし始める。

12宮Xレアの1体、生命を与える力を持つ牡羊座のスピリット、セフィロアリエスがゆっくりと歩みを止めることなくフィールドに降臨した。

 

ノア「セフィロアリエス…厄介だね!」

 

明夢「続けて4コスト緑3軽減1コストで空を翔ける白き騎士よ、今俺の元に…

 

乙の白騎士アルパイン・ビット

 

をLV1で召喚」

 

明夢は続けてXレアの召喚を宣言。すると天空より巨大な鳥に乗った白い騎士が明夢の場に舞い降りる。強力な効果を持った緑のXレア。神皇編第4章にて収録されたこのカードの効果は後ほど公開されるだろう。

 

明夢「ここでアルパイン・ビットに兜魔神を左合体」

 

兜魔神は左腕からはアルパイン・ビットにエネルギーを送りパワーアップさせる

 

乙の白騎士アルパイン・ビット

LV1 BP5000+3000=8000

 

明夢「バーストをセットしてアタックステップに入る。

乙の白騎士アルパイン・ビットもとい、左合体スピリットでアタック。兜魔神の左のアタック時効果により、このターン自分の合体スピリットがアタックしている間、相手はバーストを開くことは出来ない。

さらに、アルパイン・ビットのLV1、2、3のお互いのアタックステップ効果、効果名に[神速]と入っている効果を持つ自分のスピリットがアタック、ブロックしたときに自分のトラッシュのコアを自分のリザーブか緑のスピリットに好きなだけ置く。

ちなみにこの効果はターンに1回しか使えない。

よってアルパイン・ビットにコアを2個、セフィロアリエスREVIVALにコアを2個、ゲイル・チキンナイトにコアを1個、そしてダンデラビットREVIVALにコアを2個置く。これにより、ゲイル・チキンナイトとチキンナイト以外のスピリットはLVが2に上がる」

 

レベルが上がり強力になったアルパイン・ビットがノア・フルール先輩に迫る。

 

ノア「フラッシュは無いよ」

 

明夢「フラッシュ、ゲイル・チキンナイトのSコアをトラッシュに置きゲイル・チキンナイトに

 

煌天凰ジオ・シルフィード

 

を[煌臨]させる」

 

すると、ゲイル・チキンナイトは緑の風をその身に纏い自身の姿を変えた。

煌天凰ジオ・シルフィードはその大いなる翼でバトルフィールドに舞い降りた。

 

明夢「そして、煌臨したジオ・シルフィードの効果、手札の[煌臨]を持つカードを3枚までをコストを支払わず、好きなだけ召喚する。

よって手札にある、風兎の神皇アニマ・ビットを召喚。コアはダンデラビットから1個を使う。よってダンデラビットのレベルは1にダウンする。」

 

ジオ・シルフィードの咆哮により超高速で風兎の神皇が呼び出される。

 

明夢「まだジオ・シルフィードの効果は続く。召喚後、自分の手札を全て破棄し相手の手札1枚に付き、1枚ドローする」

 

ノア「ということは…」

 

明夢「よって俺はデッキからカードを7枚ドローする」

 

明夢 デッキ30→23 手札0→7

 

ノア・フルール先輩も驚く、強力な[煌臨時]効果を持ったこのカードは他にもレベル2で[煌臨]を持つスピリットがアタックしている間、相手はバーストを発動出来ないという効果も内蔵している。

ちなみにカードパック、煌臨編第1章 伝説ノ英雄 の緑のXレア枠として収録された。

 

明夢「ジオ・シルフィードの効果を処理が終わり、続いてアニマ・ビットの召喚時効果を発揮。

ボイドからコアを2個アニマ・ビットに置く」

 

アニマ・ビットは内に秘める力を解放し緑のオーラを纏う。

 

明夢「この効果により、アニマ・ビットのレベルが2に上がる。こちらのフラッシュは終わったのでそちら、フラッシュがあれば…」

 

ノア「フラッシュは無いよ。ライフで受ける!」

 

ノアはバリアーを展開。それに向かってアルパイン・ビットは突撃する。

そのアルパイン・ビットは兜魔神の恩恵を受けて、ダブルシンボル。ライフを2つ破壊する。

 

バリィン、バリリィィン!

 

ノア「ぐぅぅぅぅぅ!やっぱりダブルシンボルは効くね!」

 

ノア ライフ5→3 リザーブ0→2

 

明夢「続けて兜魔神の右に合体している煌天凰ジオ・シルフィードでアタック。

アタック時効果、このスピリットのBPを+5000し、デッキから1枚ドローする」

 

煌天凰ジオ・シルフィード(兜魔神と合体済み)

LV1 BP11000+5000=16000

 

明夢 デッキ23→22 手札7→8

 

BPを上げパワーアップしたジオ・シルフィードは天空へとゆっくり舞い上がる。

 

ノア「フラッシュ、タイミング!6コスト赤3軽減3コストで煌星第一使徒アスガルディアのアクセル効果を使用!コアはリザーブのコア2個と星の砂漠から1個使用するよ!

効果により、BP12000以下の相手のスピリット、アルティメット全て破壊する。この効果で破壊したスピリット、アルティメットの効果は発揮されないよ!」

 

すると、巨大な炎が明夢の場のスピリット達を襲う。

今、BPが12000以下のカードはダンデラビットREVIVAL、チキンナイト、アニマ・ビット、アルパイン・ビットそしてセフィロアリエスREVIVALの5体。

よってこの5体のスピリットカードは破壊される。ちなみにジオ・シルフィードは兜魔神の効果でBPが上がっている為アスガルディアの効果破壊の対象から逃れることが出来ている。

 

明夢「…こちらのフラッシュはありません」

 

ノア「私も無いよ、そのアタックも、ライフで受ける!」

 

ジオ・シルフィードは暴風を発生させ、ノアを吹き飛ばす。

 

ノア「うわぁぁ!」

 

ノア ライフ3→1 リザーブ0→2

 

ジオ・シルフィードもまた兜魔神の力を受けてダブルシンボルとなっている。ゲームエンドの一撃とはいかないが、ノアを残りライフ1という所まで追い詰めることが出来た。

 

明夢「…ターンエンドです」

 

明夢 デッキ23→22 手札7→8

ライフ3 リザーブ12

トラッシュSコア

煌天凰ジオ・シルフィード

LV1 BP8000 (1) 疲労

右合体

兜魔神

BP+3000

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

 

ノア「いくよ、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

ノア デッキ24→23 手札6→7

リザーブ2→8 Sコア

 

ノア「まずは4コスト赤3軽減1コストネクサス、堕ちる煌星をレベル2で配置!」

 

ノア・フルール先輩の場に大気圏に突入し燃えている煌星ラニアケアが出現する。このカードは煌臨編第4章 選バレシ者 にて収録されたネクサスカードの1つ。そのカード効果は系統星竜を持つカードをフルにサポートしてくれる。

 

ノア「そして7コスト、4軽減3コストで天に舞え!無限に炎を解き放つ煌星の龍王!

 

煌星龍王メビウスドラゴン

 

をレベル2で召喚!」

 

すると、雲より高い宇宙。その果てから無限の龍王が姿を表す。

煌星龍王メビウスドラゴン。ノア・フルール先輩のデッキのキーカードと言えるXレアだ。

 

ノア「テティスにリザーブのSコアを置いてアタックステップ!煌星龍王メビウスドラゴンでアタック!」

 

彼女の指示でメビウスドラゴンは咆哮し、飛翔する。

 

ノア「ここで、メビウスドラゴンレベル1、2、3のアタック時効果、BP15000以下の相手のスピリット、アルティメットを破壊するので、柊木君のジオ・シルフィードを破壊!そして、デッキからワンドロー!」

 

ノア デッキ23→22 手札5→6

 

メビウスドラゴンは明夢の場のジオ・シルフィードに向けて火球を連続して放った。

それはジオ・シルフィードに命中。連続爆発を起こし、ジオ・シルフィードは跡形もなくフィールドから姿を消した。

 

ノア「まだまだ!さらにメビウスドラゴンレベル2、3のアタック時効果で自分の手札、手元にある系統星竜を持つカード1枚を、Sコアをトラッシュに置かずに、このスピリットに[煌臨]で重ねられるの、だから手札から龍星皇メテオヴルムREVIVALをメビウスドラゴンに[煌臨]!」

 

メビウスドラゴンが巨大な爆炎を発生させる。

そして、その中から流星を司る紅き龍が現れた。

 

ノア「このスピリットに[煌臨]したとき、この煌臨元カードを、コストを支払わずに召喚できる。だから、もう一度現れて!メビウスドラゴン!」

 

すると、メテオヴルムが残した炎が収束され、赤シンボルに変わる。その赤シンボルは煌めく炎を発生させ、先程のメビウスドラゴンへと姿を変えた。

 

ノア「コアはメテオヴルムから2個、テティスから1個をメビウスドラゴンに乗せ、レベルを2にしておくよ」

 

明夢「では、相手による自分のスピリット破壊後のバーストを発動。

ミストラルフィニッシュのバースト効果を使用。効果により自分のデッキからカードを3枚オープン」

 

オープンカード

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス〇

古の神皇 神鳥のガルダーラ〇

丁騎士トラフ・オウル〇

 

明夢「その中の緑のブレイヴカードと系統神皇、十冠を持つ緑のスピリットカードをコストを支払わずに好きなだけ召喚する。召喚をしない場合はデッキの上に戻すのだが、今回オープンされたカードは全て対象のカードなので召喚する。

(後はフラッシュ効果を使用してメテオヴルムを手札に戻したいところだが…堕ちる煌星の効果がそれを阻害している。抜け目ない部長だな…)

フラッシュ効果は使用しません」

 

オープンカード召喚

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス→召喚

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ→召喚

丁騎士トラフ・オウル→召喚

 

明夢 デッキ22→19

 

明夢「ゲイル・フェニックスにはコアを3個、ガルダーラには2個、トラフ・オウルには3個コアを置いて召喚します」

 

それぞれのカードは緑の突風を巻き起こしながら明夢のフィールドに現れる。

まるで目の前の龍達から明夢を守るように…

 

明夢「ガルダーラの召喚時効果を発動。ボイドからコアを3個自分の系統神皇、十冠のスピリットに置く。

よってガルダーラ自信にコアを3個置くことにする」

 

そして、ガルダーラは身体から緑のオーラを発する。

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ、公認店大会の優勝商品として登場したこのカードは爪鳥デッキでは無くてはならない存在として、十二神皇編の環境当時、高く取引されていた。

 

明夢「これにより、ガルダーラのレベルは3に上がる。

そして俺のフラッシュタイミング。4コストでマジック、絶甲氷盾を使用。このバトルが終了した時、アタックステップを終了させます」

 

ノア「私のフラッシュのカードは無いよ!」

 

明夢「こちらも無いです。では、そのアタックはゲイル・フェニックスでブロックします」

 

明夢がゲイル・フェニックスでブロックを宣言した瞬間、彼は高速で空を移動し始める。

それを見たメテオヴルムは全身に炎を纏い、超高速でゲイル・フェニックスを追跡を開始する。

 

龍星皇メテオヴルムREVIVAL

LV1 BP8000

VS

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP13000

 

明夢「俺のフラッシュは無いです」

 

ノア「私も無いよ」

 

空中高速戦闘に関してはゲイル・フェニックスの方が上だ。

彼は振り向いて炎を纏いこちらに突撃してくるメテオヴルムに対して凄まじい暴風を放つ。それにメテオヴルムは対抗出来ずに態勢が崩れてしまう。そうなってしまったら戦いの流れはゲイル・フェニックスのものとなってしまう。

次にゲイル・フェニックスは翼を折りたたみ、回転しながらメテオヴルムに突撃する。態勢を崩してしまったメテオヴルムはそれを避けることは出来ずにその一撃をもろに食らってしまう。続けてゲイル・フェニックスは追撃、また追撃を行い。メテオヴルムを空中で翻弄する。

そして、トドメを刺そうとゲイル・フェニックスは真上から暴風を巻き起こし、メテオヴルムを地面に思いきり叩きつけ撃破する。

 

明夢「絶甲氷盾の効果により、アタックステップを終了させます」

 

ノア「なら、仕方ないね。でも相手による自分のスピリット破壊後のバーストを発動!フレイムブラスト。

バースト効果により私はデッキからカードを2枚ドロー!」

 

ノア デッキ22→20 手札5→7

 

バーストはフレイムブラストだったのか…俺の予想が外れてしまった。

 

ノア「その後、コストを払ってBP4000以下の相手のスピリットを2体破壊する!4コスト赤3軽減1コスト、コアはリザーブから使うよ。そして、破壊対象は兜魔神だけ!」

 

灼熱の炎の渦が兜魔神を閉じ込め焼却させた。

そして、その後分厚い氷の壁が地面から突き出し龍達の行く手を遮る。

 

ノア「これで私のターンは終わりだよ!」

 

ノア デッキ22→20 手札5→7

ライフ1 リザーブ0

トラッシュ5

煌星龍王メビウスドラゴン

LV2 BP11000 (3)

 

煌星第五使徒テティス

LV1 BP3000 (1) Sコア

 

煌星竜コメットヴルム

LV1 BP3000 (1)

 

堕ちる煌星 LV2 (1)

 

星の砂漠 LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

煌星第一使徒アスガルディア

 

 

明夢「…俺のターン、行きます」

 

 

To be continued……




次回予告
戦いはついに最終局面へ…互いに下手をすれば敗北してしまうギリギリの盤面。2人の中で緊張が走る。


そして、戦う彼等は互いの切り札をきる。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-21 Their swords that collide with each other


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Turn-21 Their swords that collide with each other

前回のバトルの続きとなります!さて、この勝負の行方が気になる所だと思いますが、結末は自分の目で確かめろ!
という感じでTurn-21始まります。楽しんでくださいね!


ノア デッキ20 手札7

ライフ1 リザーブ0

トラッシュ5

煌星龍王メビウスドラゴン

LV2 BP11000 (3)

 

煌星第五使徒テティス

LV1 BP3000 (1) Sコア

 

煌星竜コメットヴルム

LV1 BP3000 (1)

 

堕ちる煌星 LV2 (1)

 

星の砂漠 LV1 (0)

 

 

バースト

有り

 

手元

煌星第一使徒アスガルディア

 

 

明夢 デッキ19 手札8

ライフ3 リザーブ5

トラッシュSコア

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP13000 (3) 疲労

 

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ

LV3 BP12000 (5)

 

丁騎士トラフ・オウル

LV2 BP6000 (3)

 

兜魔神

LV1 BP3000 (0)

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

ラビィ「いい勝負してるわね〜!」

 

レイ「確かにそうですが、ノア先輩が少し不利な気がします…」

 

グリーフィア「ジークヴルム・ノヴァを持っているかによって状況が変わるわね」

 

ジークヴルム・ノヴァ…確かにライフ回復が出来る切り札だが、本当にそれだけで彼の攻撃を受け止めきれるのか?やはり防御札を握っていた方が彼女的に安心出来るだろう。

さて、このターン…どうなる?

 

明夢「…俺のターン、行きます

スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ19→18 手札8→9

リザーブ6 Sコア

 

明夢「(…コアはそれなりにある。よってゲイル・フェニックスでの連続アタックは決めることが出来そうだが、先輩の手札の多さから見て防御札がありそうだ。それにもしジークヴルム・ノヴァREVIVALが手札に加わっていたとしたら余計に厄介だ。とりあえずは次を凌げる手段を取らなければいけない。なら、まずは…)

俺は4コスト緑2軽減2コストでネクサス、緑に飲まれた寺院をコアを1つ置きレベル2で配置」

 

明夢のフィールドの天翼樹の横に古び緑に侵食されてしまった寺院が現れる。

このネクサスカードは煌臨編第2章 蒼き海賊 にて収録されたもの。レベル1、2で相手のアタックステップにて自分のライフが減った時、その減ったライフの数分自分はデッキからカードを1枚ドローできる効果とレベル2で相手のトラッシュのスピリット、ブレイヴカード全ては相手の効果を受けず、その効果を使用出来ないというロック効果を備えている。

つまりこれがどういうことかというと、今、ノア・フルール先輩はカードの効果でトラッシュのスピリット、ブレイヴカードを手札に戻したり、召喚等が出来なくなってしまったということだ。

 

明夢「(これでもし手札が無くなったとしても補充は出来る。それに、トラッシュを封じることで再利用も防ぐことが出来る)

そしてバーストをセット。次に俺は兎の十二神皇ミストラル・ビットの[神速封印]を発揮、手札のこのカードは召喚コストと上に置くコアをリザーブから使用することで召喚が出来る。

よって5コスト緑4軽減1コストで

 

兎を司る神速の神よ、今ここに…現れろ!

 

兎の十二神皇ミストラル・ビット

 

レベル1でコア2個とSコアを乗せレベル2で神速召喚」

 

明夢が召喚を宣言した瞬間にビュンッ!と緑の何かが高速でフィールドを飛び抜ける。

そしてそれは減速しながら明夢のフィールドに降り立った。

そのスピリットは後ろ足にジェット、前足に何か打ち出す機械を装備したなんとも兎とは言い難い姿をしていた。

 

明夢「[神速封印]の効果はそれだけじゃない。このカードの召喚後、自分のスピリットのSコアを自分のライフに置くことが出来る。よってミストラル・ビットのSコアを自分のライフに置く」

 

ミストラル・ビットのSコアは明夢のバトルアーマーの胸部装甲にセットされる。

 

明夢「ここで封印後のバーストを発動、

 

古に眠りし神鳥よ、今目覚め現世の空に舞い上がるがいい…!

 

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ。

 

バースト効果によりこのカードをコストを支払わずに召喚する。使用コアはミストラル・ビットからコアを1個ガルダーラに乗せる。これにより、ミストラル・ビットはレベル1にダウンする」

 

ノア「なんだって!?」

 

と2体目のガルダーラの登場に先輩は驚きを隠せないようだ。

 

 

美弥「まさかの2枚目!?」

 

男子O「天童君もそうだが、柊木君も中々エグいことをするな…」

 

レイ「うん、うん」

 

と2枚目のガルダーラ(次はガルダーラBと表示し、1体目のガルダーラはガルダーラAと表示する)に対して観客席の皆はそれぞれの反応をしている。

まぁ、このタイミングで神速封印するってことはバーストはガルダーラだろうという予想は出来る。現にこの展開を前世の地元で何回も見てきたし、喰らってきた。要は経験者は語るってやつだ。

そんな事よりも俺は彼に一つの疑問を今抱いている。

彼は今、俺の赤白リボルデッキ同様にソウルコアをライフに置き[封印]しているのにも関わらず身体を支配されている様には見えない。俺が封印を使用した場合、突然、身体のコントロールが効かなくなり何者かに身体を乗っ取られてしまうというのに…

これは彼等の対戦が終わった後に彼に聞いてみるしかないな。もしかしたら、俺のこの現象について何か分かるかもしれない。

 

 

明夢「そして、ガルダーラBの召喚時効果により、系統神皇、十冠を持つスピリットにコアを3個置く。よって召喚されたガルダーラにコアを3個置く。そして4コスト緑2軽減2コストでネクサス緑に飲まれた寺院をレベル2でもう1枚配置。使用コアは先程増やしたガルダーラのコアから使用する」

 

緑に飲まれた寺院の横にもう1つ、緑に飲まれた寺院が現れる。(ここでもガルダーラと同じように表示することにする)

 

明夢「続けて4コスト緑3軽減1コストで

 

乙の白騎士アルパイン・ビット

 

をレベル1で召喚。召喚コストはガルダーラAから確保。よってガルダーラAはレベル3から2に、ダウンする」

 

2枚目のアルパイン・ビット…ゲイル・フェニックスの連続アタックと次の先輩のターンでコアの量に余裕を持って防御しようという思惑か…

そして2枚の緑に飲まれた寺院。恐らくこれはノヴァREVIVALに全ハンデスをされた時のケアとして配置したものだろう…それに2枚目ある事でネクサスを破壊効果を受けてもまだ1枚は残っている状況を作り出せるということか。彼も良い戦術を立てるな。

 

明夢「トラフ・オウルのコア2個をガルダーラBに置きレベル2に上げる。

そして、アタックステップ、アルパイン・ビットでアタックします」

 

と俺が彼の戦術に納得している間にアルパイン・ビットは先輩のフィールドに向けて突貫し始めた。

 

明夢「そして、アルパイン・ビットのLV1、2、3のお互いのアタックステップ効果、効果名に[神速]と入っている効果を持つ自分のスピリットがアタック、ブロックしたときに自分のトラッシュのコアを自分のリザーブか緑のスピリットに好きなだけ置く。

ちなみにこの効果はターンに1回しか使えない。

俺は2体のガルダーラにコアを2個ずつ、トラフ・オウルとミストラル・ビットにコアを1個ずつ置く。これにより、2体のガルダーラのレベルは3になり、トラフ・オウルとミストラル・ビットのレベルは2に上がる」

 

ノア「フラッシュタイミング!テティスのSコアを使い、[煌臨]を行うよ!」

 

 

男子Y「このタイミングで煌臨かぁ〜!ハイペリオン辺りじゃないか?」

 

レイ「ううん、フィールドにメビウスドラゴンがいるからもっと強力なカードだと思うよ」

 

マギサ「それは見てみないと分からないわね」

 

 

ノア「私は煌星竜コメットヴルムに手札の超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVALを[煌臨]!!これによりテティスはコアを無くし消滅」

 

 

ノア・フルール先輩のこの行動に驚きを隠せない観客席の皆。

先輩達やマギサ先生は「なるほどね」と納得した表情をしている。

 

レイ「なんで煌臨条件が満たされていないコメットヴルムにジークヴルム・ノヴァが煌臨出来るの!?」

 

とレイは納得していない様で頭を傾げていた。そう、ジークヴルム・ノヴァREVIVALの煌臨条件はコスト6以上の系統星竜だ。

今、煌臨元にしようとしているコメットヴルムのコストは4。これではジークヴルム・ノヴァREVIVALを煌臨させることは出来ない。

しかし、今彼女のフィールドのとあるカードがそれを可能にさせている。それを今からレイに説明しようと思う。

 

駆「レイさん、今先輩がこの動きを出来ているのは堕ちる煌星の効果のお陰だ。

堕ちる煌星のレベル1、2の効果には自分が煌臨で系統星竜を持つスピリットカードを重ねるとき、条件を星竜にできる効果を持っている。そして、それは常に発動しているから、今のジークヴルム・ノヴァREVIVALの煌臨条件は系統星竜のみ。だから、コメットヴルムにジークヴルム・ノヴァREVIVALを煌臨させることが出来るんだ」

 

レイ「なるほど!そういうことかぁ〜!駆君、ありがとう!」

 

俺の説明で納得したレイは俺に礼を言ってバトルの続きを見始めた。

 

 

ノア「宇宙に輝け光、神聖なる炎よ…私を救う翼になって!!

 

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

 

コメットヴルムに煌臨せよ!」

 

コメットヴルムに輝く炎が集まり、大爆発を起こす。

そして、巨大な翼を広げた巨大な龍が明夢のフィールドの爪鳥達を威嚇する。

 

ノア「ジークヴルム・ノヴァREVIVALの[煌臨時]効果を発揮、トラッシュのコアを全てこのスピリットに置き、カード名にヴルムと入っているスピリットに煌臨した時、私のライフが5になるようにボイドからコアをライフに置く!」

 

するとジークヴルム・ノヴァにコアが収束されパワーアップすると同時にノアの砕けたライフが元に戻る。ライフ全回復って奴だ。

 

ノア ライフ1→5

 

明夢「…こちらのフラッシュはありません」

 

ノア「続けてフラッシュ!君も使っていた絶甲氷盾を使わせてもらうよ!使用コストはジークヴルム・ノヴァREVIVALから4つ使うよ。これでジークヴルム・ノヴァREVIVALはレベル3から2にダウンしちゃうよ」

 

明夢「…こちらのフラッシュは無いです」

 

ノア「私も無いよ。じゃあジークヴルム・ノヴァREVIVALで乙の白騎士アルパイン・ビットをブロック!」

 

ジークヴルム・ノヴァは無数の閃光をアルパイン・ビットに向けて発射、撃ち落とさんとする。対するアルパイン・ビットは高速でそれらを回避する。

 

ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

LV2 BP15000

VS

乙の白騎士アルパイン・ビット

LV1 BP5000

 

ノア「こちらのフラッシュは無いよ!」

 

明夢「俺もありません」

 

続けて閃光を放ち続けるジークヴルム・ノヴァは口から火炎の砲弾を放つ。

弾幕の量が増えてしまい、アルパイン・ビットはとても辛そうに閃光と火球を避け続けている。

そして、遂に体力の限界にきたアルパイン・ビットは次々に被弾。本命の火球に身体を焼き尽くされ破壊されてしまう。

 

ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

LV2 BP15000 勝ち

VS

乙の白騎士アルパイン・ビット

LV1 BP5000 負け

 

アルパイン・ビットが破壊されたと同時に氷の壁が爪鳥の行く手を遮る様に現れる。

それを見た爪鳥達はこれ以上攻めることが出来ないと悟った。

 

明夢「…これでアタックステップ終了、ターンエンドです」

 

明夢 デッキ19→18 手札9→4

ライフ3 Sコア リザーブ1

トラッシュ0

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP13000 (3)

 

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ

LV3 BP12000 (5)

 

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ

LV3 BP12000 (5)

 

兎の十二神皇ミストラル・ビット

LV2 BP12000(2)

 

丁騎士トラフ・オウル

LV2 BP6000 (2)

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

緑に飲まれた寺院 LV2 (1)

 

緑に飲まれた寺院 LV2 (1)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

ノア「私も全力でいくよ!私のターン!!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

ノア デッキ20→19 手札5→6

リザーブ0→5

 

ノア「まずは星の砂漠にコアを2個置いてレベルを2にするよ。そして、3コスト赤2軽減1コストでもう1枚、星の砂漠をコアを2個置いてレベル2で配置!」

 

するとノア・フルール先輩のフィールドの砂漠と星空がさらに広がった。

 

ノア「ノヴァのSコアとメビウスのコアを交換してアタックステップ!ジークヴルム・ノヴァREVIVALでアタック!」

 

ジークヴルム・ノヴァは天に向かって彷徨し真紅の翼を羽ばたかせる。

 

ノア「ジークヴルム・ノヴァREVIVALの[煌臨中]のアタック時効果、ゲーム中に1回お互いの手札と手元を全て破棄する!

いけぇ!ジークヴルム・ノヴァ!!」

 

ジークヴルム・ノヴァは全身に赤いオーラを纏いそしてフィールド全体に大きな衝撃波を放つ。

これによりノア・フルール先輩の手札と手元と明夢の手札と手元のカードが全て破棄される。

 

ノア 手札5→0

 

明夢 手札4→0

 

明夢「…厄介だな」

 

ノア「そして、星の砂漠レベル2の効果!系統星竜を持つ自分のスピリットがアタックした時、カードを1枚ドローする!レベル2の星の砂漠が2枚あるから合計2ドロー!」

 

ノア デッキ19→17 手札0→2

 

明夢「(なるほど、効果処理の順番の最初をノヴァにすることで自分の手札が無くなるデメリットを少しでもケアしようとしたということか)

こちらのフラッシュはありません」

 

ノア「ここでフラッシュ、6コスト赤3軽減3コスト煌星第一使徒アスガルディアのアクセル効果を使用!BP12000以下の相手のスピリット、アルティメットすべてを破壊!」

 

明夢のBP12000以下のスピリットは2体のガルダーラ、トラフ・オウル、そしてミストラルビット。

この4体のスピリットがアスガルディアの生み出す炎により破壊されてしまう。

 

 

男子Y「む?トラフ・オウルの効果でコストを払えば疲労状態でフィールドに残ることが出来るのに…」

 

男子T「アスガルディアのアクセル効果だ」

 

 

ノア「そう!この効果で破壊したスピリット、アルティメットの効果は発揮されないよ。そしてこのカードはオープンして手元に置く!」

 

明夢「…こちらのフラッシュはありません」

 

ノア「私も無いよ」

 

どちらもフラッシュは無いらしい。そして、ジークヴルム・ノヴァは炎を纏い、明夢へ急接近する。

 

明夢「そのダブルシンボルは通常ライフとSコアで受けます」

 

そして、ジークヴルム・ノヴァは明夢の作り出したバリアに激突。圧倒的なその力で明夢のライフを2つ砕く。

 

バリバリィィン!!

 

ライフが2つ砕けると共にその衝撃で明夢は数メートル吹っ飛んで地面に倒れる。

 

明夢

ライフ3 Sコア→2

リザーブ15→16 Sコア

 

明夢「くっ…!ソウルコアで受けるのも楽では無いな…

(戦術上こうなってしまうのは仕方はないが…それにしても先程のオープンは弱かった。緑に飲まれた寺院が2枚あってよかったと思う)」

 

彼は即座に立ち上がり、そう一言呟く。

 

 

レイ「柊木君!大丈夫!?」

 

とレイは明夢に心配の声をかける。

 

明夢「大丈夫」

 

それに対して彼はそう一言、レイに返してバトルに集中し始める。

 

 

明夢「ここでネクサス緑に飲まれた寺院の効果を発動。自分のライフが減ったとき、減ったライフのコア1個につき、自分はデッキから1枚ドローする」

 

明夢 デッキ18→14 手札0→4

 

ノア「うぅ…全ハンデスをケアされちゃった。

(でもあのネクサスを処理できなかった私が悪いんだよなぁ〜トホホ…とにかく、私の方もリカバリーしなくちゃいけないな)

でも!続けていけぇ!煌星龍皇メビウスドラゴン!!」

 

ジークヴルム・ノヴァに引き続き、メビウスドラゴンが明夢のフィールドに向かって飛び立つ。

 

ノア「まずは星の砂漠レベル2の効果を発揮!系統星竜のスピリットがアタックした時1枚ドローする。2枚目あるから2枚ドロー!」

 

ノア デッキ17→15 手札1→3

 

ノア「まだまだ!メビウスドラゴンレベル1、2、3のアタック時効果!BP15000以下の相手のスピリット、アルティメットを破壊するので、柊木君のゲイル・フェニックスを破壊!そして、デッキからワンドロー!」

 

メビウスドラゴンは炎のエネルギーを自身の口に集中させ、解き放つ。

凄まじい炎はゲイル・フェニックスを包み込み破壊する。

 

ノア デッキ15→14 手札3→4

 

ノア「そして、メビウスドラゴンレベル2、3のアタック時効果で自分の手札、手元にある系統星竜を持つカード1枚を、Sコアをトラッシュに置かずに、このスピリットに[煌臨]で重ねられる!だから手元から煌星第一使徒アスガルディアをメビウスドラゴンに[煌臨]!」

 

メビウスドラゴンの周りに炎が集まる。また煌星使徒が煌臨する。これがメビウスドラゴンの一番強力な効果だ。

そして、メビウスドラゴンにアスガルディアが煌臨する。

 

ノア「ここでメビウスドラゴンの効果でもう一度現れろ!メビウスドラゴン!!コアはアスガルディアから2個、星の砂漠からコアを1個メビウスドラゴンに乗せるよ!」

 

そして、メビウスドラゴンの代わりにアタックしているアスガルディアは剣を構え明夢にトドメを刺さんと接近する。

 

 

美弥「アスガルディアはダブルシンボル!このままじゃ柊木君が!」

 

そう、アスガルディアは赤シンボルを2つ持っている。そしてがら空きのフィールドの明夢の残りライフの数は2個、このアタックが通れば彼の敗北となる。

 

 

明夢「フラッシュ…!6コスト緑3軽減3コストでゲイルロードフィニッシュを発動!

相手のスピリットを2体疲労させる。よって煌星龍王メビウスドラゴンを疲労」

 

フィールドに緑の暴風が吹き荒れる。その凄まじい力はメビウスドラゴンを疲労させてしまった。

 

ノア「っ!こちらのフラッシュは無いよ」

 

明夢「続けてフラッシュ、[神速封印]!5コスト3軽減2コストで現れろ。

 

兎の十二神皇ミストラル・ビット

 

コアを4個、Sコアを置きレベル3で召喚」

 

超高速で現れたミストラル・ビットは明夢を守る盾のように現れる。

 

明夢「そして…ミストラル・ビットのコアを俺のライフに」

 

明夢 ライフ2→2 Sコア

 

ノア「私のフラッシュは無いよ!」

 

明夢「こちらもありません。兎の十二神皇ミストラル・ビットでブロック!」

 

接近してくるアスガルディアに対してミストラル・ビットも後ろ足のブースターを吹かせアスガルディアに立ちふさがる。

そして、ミストラル・ビットは前足に装備した機械を分離。そして、その2つの機械は自立してメビウスドラゴンの方に向かう。

 

明夢「兎の十二神皇ミストラル・ビットの封印時のブロック時効果、[跳躍]。

疲労状態の相手のスピリット1体を手札に戻すことで、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置き、さらにボイドからコア1個ずつを系統神皇、十冠を持つ自分のスピリットすべてに置く。

手札に戻す対象は煌星龍王メビウスドラゴンだ」

 

その2つの自立兵器はビーム弾を発射。疲労し、動けなくなったメビウスドラゴンを消滅させる。

 

ノア 手札4→5

 

その後、自立兵器はノア・フルール先輩にもビーム弾を発射。彼女のライフを一つ破壊する。

 

バリリィィィン!

 

ノア「ぐぅ!」

 

ノア

ライフ5→4

リザーブ2 Sコア→3 Sコア

 

明夢「そして、ミストラル・ビットにコアを1個追加」

 

ミストラル・ビットはアスガルディアの剣を持ち前の機動性で回避し続ける。ミストラル・ビットが少し防戦的になってしまっている。

 

兎の十二神皇ミストラル・ビット

LV3 BP18000

VS

煌星第一使徒アスガルディア

LV1 BP8000

 

ノア「私のフラッシュは無い!」

 

明夢「俺も無いです」

 

と、ここで防御的なミストラル・ビットに好機がやってくる。

アスガルディアの背中にビーム弾が当たり彼は怯んだ。ここでミストラル・ビットはアスガルディアとの距離をとる。このビーム弾の発射主…それはミストラル・ビットが放った自立兵器からである。

そして、2つの自立兵器の一つがミストラル・ビットの右の前足に装着される。もう一方の自立兵器はアスガルディアにビーム弾を撃ち続け、翻弄している。ミストラル・ビットはその隙を逃さない。右足の自立兵器はビームを撃ちだすだけではない。光の刃を作り出すことも可能。よってミストラル・ビットは光の刃を発生させ、後ろ足のブースターを吹かせアスガルディアに急接近し切り裂こうとする。

が、ギリギリのところでアスガルディアはそれを回避する。…が持っていた剣を手放してしまう。次は外さないともう一度ミストラル・ビットはアスガルディアに接近。回避しようとするアスガルディアに自立兵器のビーム弾が着弾する。

判断が鈍ったアスガルディアにミストラル・ビットは容赦なくその光の刃を叩きつける。その刃は瞬く間にアスガルディアの胴体を真っ二つに切り裂いた。

 

兎の十二神皇ミストラル・ビット

LV3 BP18000 勝ち

VS

煌星第一使徒アスガルディア

LV1 BP8000 負け

 

ノア「ぐぬぬぬぬ…ターンエンドだよ!!」

 

ノア デッキ15→14 手札4→5

ライフ4 リザーブ4 Sコア

トラッシュ4

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

LV1 BP12000 (1)

 

堕ちる煌星 LV1 (0)

 

星の砂漠 LV1 (1)

 

星の砂漠 LV2 (2)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

美弥「凄い!凄い!あの盤面で耐えたよ!凄いよね!」

 

と美弥はキラキラした目で彼のバトルを見ている。

 

男子O「あぁ、あそこは俺もドキドキした!全く、心臓に悪いよ!」

 

とOも彼等のバトルに夢中のようだ。

確かに手に汗握るギリギリの勝負はついつい見入ってしまう。俺もこのターン、彼の動きには驚かされた。

 

明夢「俺のターン、スタートステップ、コアステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ14→13 手札2→3

リザーブ10→16

 

明夢「まずはミストラル・ビット上のコアを1個リザーブに置く。そして俺は5コスト、緑2軽減3コストで忍魔神を召喚。そして、ミストラル・ビットに左合体」

 

明夢のフィールドに召喚された異魔神は二足歩行の身体が細い虫のようなブレイヴが忍者の服装を装備して現れる。

そして、その異魔神は左腕から力を放ち、ミストラル・ビットを強化させる。

ミストラル・ビットレベル3のBPは18000。そして、忍魔神の合体時にプラスされるBPは3000つまり…

 

兎の十二神皇ミストラル・ビット

LV3 BP18000+3000=21000

 

となる。

 

明夢「続けて4コスト緑2軽減2コストで白雲に茂る天翼樹をレベル1で配置」

 

明夢のフィールドの天翼樹が増える。

 

明夢「配置時効果、爪鳥のカードがいるのでボイドからコアを2個リザーブに置く。5コスト緑2系統に3コストでマジック、ハンドリバースを使用。

自分は手札を全て破棄するが既にカードは無い。その後、相手の手札1枚につき、自分はデッキからカードを1枚ドローする。先輩の手札は5枚、よってカードを5枚ドローする」

 

明夢 デッキ13→8 手札0→5

 

明夢「次に4コスト緑1軽減3コストで破壊の魔獣バトラを召喚。

コアは2つ置いてレベル1だ」

 

 

駆「ここでバトラか…!このタイミングでの召喚は微妙のような気がするが、いい動きが出来そうだな」

 

破壊の魔獣バトラ…それは東方怪獣とバトスピのコラボカードでブースターパック 怪獣王の咆哮 に収録された緑と赤の混色カード。系統は刃虫で爪鳥とは異なる系統だが、バトラはこの爪鳥デッキでは必須級のカードとして活躍していた。効果は後に彼が説明してくれるんじゃないか?

 

(ちなみにこの小説シリーズ初のコラボカードの登場である)

 

明夢「バトラを忍魔神に左合体そしてミストラル・ビットは右合体に変更」

 

忍魔神は両手からエネルギーをバトラ、ミストラル・ビットにそれぞれ送る。

 

破壊の魔獣バトラ

LV2 BP4000+3000=7000

 

明夢「アタックステップ!いけ、左合体スピリット」

 

忍魔神の恩恵を受けたバトラはノア・フルール先輩に向かって飛び立つ。

 

明夢「まずは忍魔神の効果、デッキからカードを1枚ドローするか相手のネクサスを1枚破壊出来るので俺はドローを選択する」

 

明夢 デッキ8→7 手札5→6

 

明夢「続けてバトラのアタック時効果。相手のネクサスを一つ破壊する。

よって俺は堕ちる煌星を破壊」

 

バトラは口からレーザーを発射。ノア・フルール先輩のフィールドの堕ちる煌星を跡形もなく破壊する。

 

明夢「そして、破壊したネクサスのレベルと同じ数のコアをバトラに乗せる」

 

そう、この効果こそバトラが爪鳥に入る理由だ。実は緑のカードでネクサスに対して破壊等をするカードはあまり存在はしない。バトラは軽コストでネクサスを破壊し、コアブーストが出来る。この効果が爪鳥にベストマッチしたのだろう。元の世界のショーケースで見たこのカードの値段はかなり高かったのは今でも覚えている。

 

ノア「フラッシュタイミング!4コストでマジック、デルタバリア!このターンの間、相手のスピリット、マジックの効果とコスト4以上の相手のスピリットのアタックでは、自分のライフは0にならないよ!」

 

とそうこうしている内に、ノア・フルール先輩の周りに三角形のバリアが張られる。デルタバリアか…先輩もしっかりと防御札を握っている。

 

明夢「こちらのフラッシュは無しです」

 

ノア「ダブルシンボル…ライフで受ける!」

 

バリィィィン!バリィィィン!

 

バトラのシンボルと忍魔神のシンボル、合わせてダブルシンボルのアタックはノア・フルール先輩のライフを2つ減らす。

 

ノア

ライフ4→2

リザーブSコア→2 Sコア

 

明夢「続けて左合体スピリットでアタック。アタック時効果の[跳躍]は使用しない」

 

 

なるほど、ここで先輩のフィールドに残った疲労状態のノヴァを手札に戻さなかったのは、もう一度[煌臨]されてライフ回復されるのを防ぐためか。しかし、彼は次のターンを耐えきることが出来るのか?

ジークヴルム・ノヴァはダブルシンボル。あと一体スピリットを並べられたり、シンボル付のブレイヴを合体させられると最悪敗北してしまうのだが…

いや、もしかしたら彼はこれを考慮して動いているのかもしれない。

 

 

忍魔神の力を纏ったミストラル・ビットはブースターを吹かせ、超高速で移動を開始する。

 

ノア「私のフラッシュは無いよ!」

 

明夢「俺もありません」

 

ノア「ライフで受ける!」

 

ミストラル・ビットは光の刃を叩きつける。本来ダブルシンボルである合体スピリットのアタックで減るライフは2つだが、デルタバリアの効果でノア・フルール先輩のライフはゼロにはならない。

故に減るライフは一つだけとなる。

 

バリリリィィィン!

 

ノア

ライフ2→1

リザーブ2 Sコア→3 Sコア

 

明夢「これでターンエンドです」

 

明夢 デッキ8→7 手札5→6

ライフ2 Sコア リザーブ6

トラッシュ11

兎の十二神皇ミストラル・ビット

LV3 BP18000 (4) 疲労

右合体

忍魔神

BP+3000

 

破壊の魔獣バトラ

LV2 BP7000 (3) 疲労

左合体

忍び魔神

BP+3000

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

緑に飲まれた寺院 LV2 (1)

 

緑に飲まれた寺院 LV2 (1)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

ノア「スタートステップ、コアステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

ノア デッキ14→13 手札4→5

リザーブ3 Sコア→12 Sコア

 

 

ラン「ギリギリの勝負だけど、そろそろ決着が着きそうだね!」

 

駆「ですが、彼の手札によりますね」

 

サヤ「ハンドリバースで引き直してるからね…」

 

レイ「でも、もし柊木君の手札に何も無かったら…」

 

セイナ「彼の敗北だな」

 

 

ノア「私は手札から5コスト赤2軽減3コストで砲凰竜フェニック・キャノンREVIVALを召喚!召喚時効果でネクサス、緑に飲まれた寺院を破壊!」

 

フェニック・キャノンは2つの砲門から炎の弾丸を発射。

その炎は寺院の緑を赤に焼き尽くす。

 

ノア「さらに!3コスト赤2軽減1コスト、天下烈刀斬をSコアを使って使用!

相手のネクサスを一つ破壊!さらに使用コストにSコアを使っていたら、シンボル2つ以上の相手のスピリット、アルティメットを破壊するよ!対象は緑に飲まれた寺院とミストラル・ビット!」

 

天下烈刀斬…それは烈火伝 第2章 にて登場した赤のマジックカード。

相手のアタック後に発動できるバーストで効果はデッキからカードを1枚ドローする効果。今は割愛させてもらうが[起動]という効果でこのカードが開かれていたらこのターンの間、自分のスピリットすべてに赤のシンボル1つを追加するというもの。そして、フラッシュ効果は先程彼女が使った通り、相手のネクサス1つを破壊。コストの支払いにソウルコアを使用していたら、シンボル2つ以上の相手のスピリットアルティメット1体を破壊する。

ドローとネクサス、そしてダブルシンボル以上のカードの破壊…その強さから赤デッキには勿論、色んなデッキにも投入され当時の値段は凄まじい程だ。そのカードは今、明夢に牙を向いた。

カードから放たれた赤い衝撃波はソウルコアの力を受け、より大きく強力なものになる。そしてその衝撃波はミストラル・ビットと緑に飲まれた寺院を爆散させる。

 

ノア「まだまだ!7コスト4軽減3コストでさっき手札に戻された煌星龍王メビウスドラゴンをレベル2でもう一度召喚するよ!」

 

彼女と共に戦う為、メビウスドラゴンは天空から舞い戻ってくる。

 

ノア「さらに、このカードのコストは自分のライフと同じになる!よって、1コスト赤1軽減0コストで

 

空を貫く雷よ!今、紅き竜となりて私の元に顕現せよ!

 

雷皇龍ジークヴルムREVIVAL

 

リザーブのコアを乗せてレベル1で召喚!」

 

フィールドに雷が降り注ぐ。そして、雷と共に赤い翼を広げたドラゴンが彼女の元に現れた。

 

ノア「そして、ジークヴルム・ノヴァをレベル2に上げ、フェニック・キャノンREVIVALに右合体、メビウスドラゴンを左合体させる!」

 

フェニック・キャノンはそれぞれのスピリットに自分の力を分け与える。フェニック・キャノンが合体したスピリットに与えるBPは3000。ジークヴルム・ノヴァ及び、メビウスドラゴンの本来のBPにそのBPが加算される。

 

超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVAL

LV2 BP15000+3000=18000

 

煌星龍王メビウスドラゴン

LV2 BP11000+3000=14000

 

ノア「バーストをセットしてアタックステップ!右合体スピリット、もとい、ジークヴルム・ノヴァREVIVALでアタック!星の砂漠レベル2の効果でワンドロー!」

 

ノア デッキ13→12 手札0→1

 

ジークヴルム・ノヴァは天に向かって咆哮、赤い翼を広げ明夢に迫る。

 

ノア「そして、ジークヴルム・ノヴァREVIVALの[煌臨中]のアタック時効果!BP合計20000まで、相手のスピリットを破壊する!今回はバトラのみ!」

 

ジークヴルム・ノヴァはバトラに向かって火炎放射を放つ。その凄まじい熱でバトラを焼却した。

 

明夢「っ!フラッシュタイミング、[神速封印]、5コスト3軽減2コストで現れよ。

 

兎の十二神皇ミストラル・ビット

 

リザーブのコアを4個乗せ、レベルを3で召喚する」

 

ノア「な、3枚目!?こちらのフラッシュは無いよ!」

 

3回目のミストラル・ビットの登場に驚きを隠せないノア・フルール先輩、スピリット達をマジックなどで破壊していたのは相手にスピリットを回復させ防御する手段を使わせない為だったと思うが流石に3回目のミストラル・ビットの登場はあるとは思っていなかった様だ。

俺も3枚目は無いだろうと思っていたが、彼はかなりの枚数ドローをして手札を増やしている。3枚目が来てもおかしくはなかっただろう。

 

明夢「こちらもありません。

兎の十二神皇ミストラル・ビットでブロック!」

 

そして。凄まじい勢いで迫り来るジークヴルム・ノヴァ。それに対し、超高速で現れたミストラル・ビットがブースターを吹かせジークヴルム・ノヴァを翻弄する。

 

明夢「ここで、ミストラル・ビットの封印中のブロック時効果、[跳躍]を使用。

相手の疲労状態のスピリットを手札に戻すことで、相手のライフのコアを1個リザーブに置き、系統神皇、十冠のスピリット全てにボイドからコアを1個ずつ置く。

手札に戻す対象は超神星龍ジークヴルム・ノヴァREVIVALだ」

 

ジークヴルム・ノヴァは灼熱の炎をミストラル・ビットに向けて発射する。対するミストラル・ビットはそれを避けると同時に2つの自立兵器をジークヴルム・ノヴァに向けて発射。その自立兵器はジークヴルム・ノヴァに向けてビーム弾を次々と発射していく。

ジークヴルム・ノヴァは避けようと空を移動するがビーム弾の凄まじい数に対応できず被弾。フィールドから姿を消した。

 

ノア 手札1→2 リザーブ1→4

 

ノア「…柊木君、お見事!まさか、私のターンでライフを削られるとは思わなかったよ…悔しいけど、ライフで受ける!」

 

そして、ジークヴルム・ノヴァを消滅させた自立兵器はターゲットをノア・フルール先輩に向ける。

次の瞬間、2つの自立兵器はビーム弾を発射する。

 

バリィィィン!

 

彼女の最後のライフを砕いた。

 

ノア ライフ1→0 リザーブ4→5

 

ライフを砕かれたノア・フルール先輩は「ア゙ア゙〜!負けたァァァ!」と嘆きながら着陸した後にバトルアーマーを解除した。

うん、とてもいい内容の対戦だったと俺は思う。

そして、この試合の勝者は彼女のライフを0にした柊木明夢の勝利となった。

 

To be continued……




次回予告
柊木君の勝利を祝うクラスメイト達、詩姫部の先輩方、そして彼の対戦相手だったノア・フルール先輩。
俺も彼の奮闘を祝いたいところだが…



彼と話したいことがあるんだ。

次回バトルスピリッツ 欠落

Turn-22 聞きたいこと


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Turn-22 聞きたいこと

どうも!前回の投稿からまただいぶ日が経ってしまいました。
なるべく早く皆さんに読んでもらいたいなと思いながら次回も執筆して行こうと思っています。
では!Turn-22をお楽しみください!



「ア゙ア゙〜!負けたァァァ!」と嘆きながらバトルステージに降りてきたノア・フルール先輩。

そして、バトルアーマーを解除する明夢。

 

明夢「…対戦、ありがとうございました」

 

ノア「うん、こちらこそありがとう!そして、詩姫部への入部決定おめでとう!

さ、戻ろっか!」

 

明夢「…はい」

 

 

 

 

 

美弥「いや〜!凄かったね、今日の試合!」

 

レイ「うん!ノア先輩と柊木君の攻防が手に汗握るよね!」

 

美弥「特に最後のカウンターは大胆だったよね!」

 

美弥とレイは先程の戦いの感想を言い合っている

 

男子Y「う〜ん…これで俺達の詩姫部の入部が…」

 

男子T「そんなこと言うんじゃないよ。確かに悔しいことは否定出来ないけど、ここは彼を祝おうじゃないか!あのめちゃくちゃ強い先輩に勝ったんだからな!」

 

男子Y「確かに、今のは失言だったな…取り消すよ」

 

男子O「お、噂をすれば彼が来たようだぞ」

 

観客席にノア・フルール先輩と明夢が戻ってきた。

すると、一斉に美弥達が明夢の元に駆け寄る。凄い勢いだったので少し困った表情を見せる明夢。

 

男子O「おめでとう!いい試合だったよ!」

 

明夢「(コクリ)」

 

レイ「これで詩姫部に入部出来るね!」

 

明夢「(コクリ)」

 

美弥「一緒に頑張ろ!」

 

明夢「(コクリ)」

 

男子Y「柊木君おめでとう!これから頑張れよ、俺応援するから!」

 

明夢「(コクリ)」

 

男子T「君の大胆な戦術に感動したよ、あの最後のミストラル・ビットは特にね!あれも君の想定内だったのか?」

 

明夢「…いや、あれは忍魔神でドローした時に引いたからやってやろうと思っていた」

 

美弥「じゃあ、もしミストラル・ビットが引けなかったら?」

 

明夢「ハンドリバースで引いたカードが事故っていたから負けていた」

 

それを聞いた皆は口を揃えて「え!?」と驚愕していた。まさに奇跡のトップドロー、彼は凄まじい引きの持ち主だ。ほぼ負け確定の盤面をひっくり返す力を彼は持っている。それは本当に凄いと思う。

 

マギサ「かなりの接戦だったわね!おめでとう、柊木君」

 

とそれを聞いたマギサ先生が彼を祝う。

 

明夢「ありがとうございます」

 

マギサ「これでノアに勝った後輩は2人ね」

 

サヤ「今年の1年生は凄いですね!」

 

ノア「うん、もしかしたら去年の私たちより凄いかも!!」

 

と先輩達が感心している。

 

明夢「もう1人って…」

 

もう1人の男子入部者が気になったのだろう、明夢が先生に質問をする。

 

マギサ「ポニーテールの彼、天童駆君よ」

 

マギサ先生が俺を指して紹介してくれた。

一方の明夢は俺の方を見つめている。

 

明夢「…君か」

 

駆「………天童駆だ」

 

と俺は目の前の彼に対して自己紹介をする。

 

明夢「…柊木明夢」

 

明夢は自分の名前を言った。彼なりの自己紹介なんだろう。

 

 

 

 

 

 

駆「………………………………………」

 

 

明夢「………………………………………」

 

 

 

 

 

(((((なんだろう…この間は)))))

 

 

 

お互いあまり喋らない性格だからだろうか?対面したまま俺と明夢は何も喋らなくなってしまった。段々と気まずくなってきたので俺は目線を彼から逸らし観客席の無機質なコンクリートに移す。

 

明夢「よろしく……」

 

駆「あ………こちらこそ、よ、よろしく」

 

突然、彼の方からよろしくと挨拶をしてきた。やや反応が遅れた俺はぎこちない挨拶を彼にしてしまった。

これからは互いに協力する部活仲間だ。コミュニケーションは取っていきたい所ではあるが、俺はまだまだ自分から話を切り出すことが出来ない。彼の方から話しかけてきて欲しいという願いもあるのだが、やはり自分自身を変えていかなければならないと感じた。

時間はかかりそうだが、美弥達とこの学校で過ごして行けば俺も変わることが出来るのか?

 

マギサ「さて、貴方達2人にはこれから詩姫部のマネージャーとして活動して貰うわ。二人とも大丈夫?」

 

明夢「…はい」

 

駆「俺も大丈夫です」

 

マギサ先生の質問に対して俺は大丈夫と告げる。俺は詩姫部に入部すると決めたんだ。引き下がる訳ないだろう。

 

マギサ「あ、柊木君」

 

明夢「はい」

 

唐突に明夢に呼びかけた先生は何かのプリントを彼に渡す。

 

マギサ「入部届けよ。受け取ってなかったでしょ?」

 

明夢「…休んでいましたから」

 

マギサ「これを来週の活動日に書いてまた私に渡してね」

 

明夢「わかりました」

 

と彼はマギサ先生から入部届けを受け取った。

 

ノア「天童君〜!」

 

ふいにノア・フルール先輩が俺を呼んだ。

 

駆「はい…!」

 

俺は彼女の方に行く。カードの交換だ。

 

駆「ええと、カードの交換でしたよね」

 

ノア「うん。これグラン・ウォーデンだよ」

 

と彼女は透明スリーブに入ったグラン・ウォーデンREVIVALを取り出した。

 

駆「あ、ちょっと待ってください。今カードを出すので…」

 

俺は鞄からデッキケースを取り出す。そして、その中に入っているジークヴルムREVIVALを取り出す。もちろん、スリーブはちゃんとしている。まぁ、当然の事だ。

 

駆「透明スリーブに入ったまま、受け取ってください」

 

と俺は透明スリーブに入ったままジークヴルムREVIVALのカードを差し出す。

 

ノア「いいの?スリーブごと貰って…」

 

駆「大丈夫です。予備のスリーブはまだ沢山ありますから」

 

ノア「なら、私のもスリーブごと貰ってよ。実は天童君と同じでスリーブの枚数には余裕があるからさ!」

 

駆「…では、早速交換といきましょう」

 

俺は右手に持つジークヴルムREVIVALをノア・フルール先輩に渡し、代わりに彼女から差し出されたグラン・ウォーデンREVIVALを左手で受け取る。

 

駆「ありがとうございます、先輩」

 

ノア「ううん、お礼を言うのはこっちの方だよ。天童君、ありがとう!」

 

と彼女は笑顔で俺に礼を言ってくれた。余程、ジークヴルムREVIVALを入手したことが嬉しかったのだろう。

俺も今回のトレードはかなり良かったと内心思っている。グラン・ウォーデンREVIVALが2枚になることにより、相手の動きを封じた上でラグナ・ロックREVIVAL等の多シンボル持ちで早急にゲームを終わらせることが出来るようになるだろう。何はともあれ、寮の部屋に戻ったら早速武装デッキの編集に取り掛かることにしよう。

 

マギサ「じゃあ今日はもう終わり!ノア、解散にしましょう」

 

ノア「分かりました!新入部員の皆は来週の活動日にダンス教室に来てね!」

 

俺を含めた新入部員はノア・フルール先輩の連絡に返事をしてそれぞれ解散となった。

 

男子O「飯、食いに行くかぁ〜」

 

男子T「食堂だな、私も同行しよう」

 

男子Y「美弥ちゃんにレイちゃん、天童君もどうかな?」

 

とYが俺達を食事に誘ってくれた。

 

レイ「うん、行くよ!誘ってくれてありがとう!」

 

美弥「私も皆と一緒にご飯食べたいな!駆君はどうするの?一緒に食べようよ!」

 

駆「ありがとう、誘ってくれたのは嬉しいが、俺はやることがあるから今日は悪いけど、俺は抜けさせてもらう」

 

と俺はその誘いを断った。そう、俺には今やるべき事がある。封印のギミックを使用した彼、柊木明夢に聞きたいことがある。皆には申し訳ないと思うが俺はこの食事会に参加することができない。

 

美弥「わかった、また今度一緒に食べようね!」

 

また一緒に…そう誘ってくれた美弥に俺は心の中で感謝した。

 

駆「あぁ」

 

俺は彼女にそう言って答えた。

 

レイ「そうだ!皆、柊木君誘わない?」

 

男子O「お、いいな!おーい、柊木君!」

 

レイの意見に賛同したOは明夢の名を叫ぶが、周りに明夢の姿がいない。

先に体育館から出たのか…早いな。

 

男子O「あれ?先に帰ったのか?」

 

男子Y「だったら仕方ないな…また今度誘うことにしよう」

 

レイ「そうだね!」

 

と彼らがそんな話をしている一方で俺は明夢を追うために鞄の荷物を整理している。そんなに時間は経っていないから見失うことは無いだろう。

 

駆「じゃあ俺は先に失礼する」

 

俺は皆に一言そう言って小走りで大体育館から出ていく。

 

 

 

大体育館から出た俺は周りに明夢が居ないかを確認する。

 

彼の姿は見当たらなかった。

どこに行ったんだ?やはり帰る場所なら寮の自室か?はたまた食事をする為に食堂に行ったのか?

他にも色んな場所がこの学校にあるが、この2つが可能性としては高い。まずは寮の方に行ってみるか。俺は急いで寮に向かった。

 

 

 

〜少年移動&捜索中〜

 

 

 

急ぎつつも校舎の周りに明夢が居るかを確認しつつ、寮付近までたどりついたが、ここまで彼の姿は見ることは無かった。

 

駆「それにしても走るのはとてもキツイな…」

 

走るのをやめ、肩で息をしながらも明夢を探しつつ寮に向かって歩いていると今まさに寮に入ろうしている明夢の姿が俺の目に飛び込んできた。

 

駆「柊木君ッ…!!」

 

体力の無い俺はゼェゼェと荒い息を吐いて明夢の方に駆け寄りつつ出ない声を振り絞って彼の名を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

明夢「……ん?」

 

明夢との距離はそれなりにあったので俺の声が彼の耳に届くかどうかは自信が無かったが、彼は俺の声が届いたのか寮の入口の前でキョロキョロと辺りを見渡している。

 

駆「柊木君!」

 

俺はもう一度彼を呼んだ。走っているのでどんどんと2人の距離が縮まっていく。

 

明夢「…天童だったのか」

 

俺の存在に気づいた明夢はそう言う。

 

駆「ハァハァ…呼び止めてしまってすまない。君に1つ聞きたいことがある」

 

明夢「ん?…聞きたいこととはなんだ?」

 

と、明夢は少し首を傾げて俺に聞き返してきた。俺は乱れた呼吸を整えて本題に入ることにした。

 

駆「君のバトルアーマーについてだ」

 

明夢「俺のバトルアーマー?」

 

駆「そうだ」

 

明夢「俺のバトルアーマーの何が聞きたいんだ?」

 

駆「封印でソウルコアをバトルアーマーのライフにセットした時、君は何者かに身体のコントロールを奪われたことは無いか?」

 

と俺は彼に質問した。

彼は俺の質問に困惑した表情を浮かべてこう言った。

 

明夢「…なんだ?それは。訳が分からない」

 

…この反応を見るに彼の身体は封印時に俺と同じ現象には見舞われていない様だ。何か分かると思ったが俺の検討違いか…

 

駆「そうか…すまない。変な事を聞いてしまったな」

 

俺がそう謝ると少し間を置いた後に明夢が俺にある問いかけをしてきた。

 

明夢「……………待て、さっき言った質問内容に気になるところがある。聞いていいか?」

 

駆「構わない」

 

明夢「ソウルコアをセットした時に起こる身体のコントロールが奪われるというのはどういうことだ?」

 

駆「俺には封印をした時………ソウルコアをバトルアーマーにセットした時に何者かに身体のコントロールが奪われてしまうんだ」

 

明夢「…身体のコントロールが………一度その現象を見せて欲しい。今から大体育館のバトルステージに行こう」

 

駆「付き合わせてしまってすまない」

 

明夢「…個人的に気になったからだ。部屋に戻ってからは基本暇だから特に問題は無い」

 

駆「…そうか、なら行こう」

 

明夢「あぁ」

 

彼はあまり他人とは関わらなそうな印象をしているが意外に協力的だったので助かるな。俺そう思いながら明夢と2人で大体育館に向かった。

 

 

 

〜少年2人移動中〜

 

 

 

大体育館に着いた俺と明夢は早速バトルステージへと足を運んだ。放課後のバトルステージは基本的に自由に利用することが出来る。今日も何人かの生徒はここを利用している様だ。

 

明夢「まずは実際にバトルアーマーを装着してみてくれ」

 

早々に明夢は俺のバトルアーマーが見たいと言ってきた。

 

駆「分かった、バトルアーマーオン」

 

俺は彼の言われるとおりにソウルコアを取り出し、バトルアーマーの装着を行う。

黒い装甲を包んだ俺が現れる。

 

明夢「これがお前のバトルアーマーか…」

 

駆「そうだ」

 

明夢が黒の装甲を身にまとった俺を見ている。

そして、彼は俺のバトルアーマーの装甲に右手を当てた。

 

 

 

 

明夢「…………………………………………………」

 

 

 

 

そのまま明夢は黙ってしまった。バトルアーマーの装甲に触れただけで何か分かるものが彼にはあるのか?

聞いてみよう。

 

駆「………それで何か分かるのか?」

 

明夢「……いや、わからん」

 

と一言言った明夢は俺のバトルアーマーから手を離した。なんだったんだ今のは…その行為に意味はあったのか?

 

明夢「…さて、俺はさっきお前に起こる現象が見たいと言ったよな?」

 

駆「あぁ」

 

俺が明夢の問いかけにそう答えた瞬間に彼は左手のガントレットにソウルコアをはめ込んだ。

 

明夢「なら……………変身」

 

ガントレットは黒い光となり、明夢を包み込む。そして、それは彼の赤黒い色をしたバトルアーマーへと変化した。

 

明夢「…バトルをして確かめる」

 

駆「…分かった」

 

そして、一定の距離を置いた俺と明夢は空中に移動する。

 

明夢「ゲートオープン…」

 

駆「…界放」

 

俺と明夢のバトルアーマーは光を発し、光のドームを作り上げる。

 

駆「先攻後攻を決めよう」

 

ジャンケンの結果、勝負は俺の先攻で始めることになった。

 

駆 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

 

明夢 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

駆「スタートステップ、ドローステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

ふむ、初手はまぁまぁだな。これからの引き次第で勝敗が左右されるだろう。

 

駆「俺は手札から0コストでコレオンをコアを1個とソウルコアを置きLV2で召喚」

 

俺の場に小さなライオンが現れる。

 

駆「そして、バーストをセット。ターン終了だ」

 

駆 デッキ36→35 手札5→3

ライフ5 リザーブ2

トラッシュ0

コレオン

LV1 BP1000 (1) Sコア

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

さて、ここから彼はどう動くか見物だな。

 

明夢「スタートステップ、コアステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

明夢「0コスト、チキンナイトをレベル1で召喚」

 

明夢のそばに小さな剣を持った鳥の騎士が現れる。

そして、そのチキンナイトは俺のコレオンに威嚇をする。触発されたコレオンも仕返しとばかりに自分を大きく見せようとする。

互いにカードデザインが可愛らしいのでとても微笑ましい空間が完成してしまった。

 

明夢「…4コスト、緑1軽減3コストで辛酉鳥ゲイル・チキンナイトのアクセルを使用。

自分のデッキの上からカードを3枚オープン」

 

オープンカード

緑に飲まれた寺院✕

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス〇

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト〇

 

明夢「(微妙な内容だな…どうする?新たにサーチを行うか、それともキーカードで一気に攻めるか…とは言っても奴のバーストカードが気になる。ライフ減少であると考えるなら迂闊に攻めることは出来ない。それにデッキ内容も分からない今はバーストの発動を防ぐカードが欲しい。なら…)…俺はこの中の辛酉鳥ゲイル・チキンナイトを手札に加え、残りのカードは全て破棄する」

 

オープンカード手札に加える

緑に飲まれた寺院→破棄

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス→破棄

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト→手札に加える

 

明夢 デッキ35→32 手札3→4

 

駆「相手の手札が増えた後のバーストを発動」

 

明夢「!」

 

駆「巨神獣ファーゾルトをコストを支払わずに召喚する。コアを2個置いてレベル2だ」

 

巨大な爪と装甲を持つ機械の獣が現れる。このカードは煌臨編第1章 伝説ノ英雄 に収録された白のスピリットカード。何回か俺が召喚しているので効果の詳細は不要だろう。それにしても彼の反応、あれはバーストを読み間違えたと見える。

心の中で微笑みながら俺はファーゾルトのさらなる効果を発揮させる。

 

駆「さらにこのターンの間、このスピリットは相手の効果を受けない」

 

ファーゾルトの周りに白く神秘的な霧が発生する。これでこのターン、ファーゾルトが除去されることは無い。

 

明夢「…ターン終了だ」

 

明夢 デッキ35→32 手札3→4

ライフ5 リザーブSコア

トラッシュ3

チキンナイト

LV1 BP2000 (1)

 

バースト

無し

 

手元

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

駆「スタートステップ、コアステップ、そしてここでファーゾルトのレベル1、2の効果。自分のコアステップをもう1回行う。この効果はターンに1回しか使用できない。

よってもう一度コアステップ、次にドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ35→34 手札3→4

リザーブ0→2

 

バーストは無しか…手札に握っているならセットするはずだが、俺のバースト破棄効果を警戒して伏せていないのか?それとも手札にバーストが無いからか?

なんにせよ、相手にバーストが無いということは相手の妨害カードを気にせずにこのターンを過ごすことが出来る。これはチャンスだ。

 

駆「俺は手札から3コスト、赤1白1軽減1コストで甲獣キャノン・ピューマをレベル1で召喚。召喚コストはファーゾルトのコアを1個使用。乗せるコアはコレオンのソウルコアだ。

これにより、ファーゾルト並びにコレオンのレベルが2から1に下がる」

 

俺の場に一体のピューマが現れる。その背中にはキャノン砲が装備されている。何とも物騒なスピリットだ。

 

駆「続けて4コスト、赤2軽減2コストで甲寅獣リボル・コレオンのアクセルを使用。

効果により、俺はデッキからカードを3枚オープン。その中の系統異魔神を持つブレイヴカード1枚と系統神皇、十冠を持つスピリットカードを1枚手札に加える」

 

オープンカード

幻魔神〇

砲凰竜フェニック・キャノンREVIVAL〇

寅の十二神皇リボル・ティーガ〇

 

おお…!思ったより引き運がいいな。系統神皇を持つリボル・ティーガは確定で手札に引き込める。

…が、幻魔神とフェニック・キャノンREVIVALは両方とも系統異魔神を持つブレイヴカードでリボル・コレオンの対象になっているのだが、効果によりどちらか1枚しか手札に加えることが出来ない。

 

駆「……すまない、少し考えさせてくれないか?」

 

明夢「構わない」

 

考える時間をくれた明夢に感謝しつつ、俺はどちらの異魔神を手札に加えるかを考える。

う〜む………これは非常に迷う所だな。左右で異なる色の[超装甲]を合体したスピリットに与え、安定した場を作り出せる幻魔神か、相手の場のスピリット、ネクサスを破壊か赤の異魔神をノーコストで召喚するフェニック・キャノンREVIVAL。どちらも強力なカードだ。

 

 

駆「………………ここは、幻魔神を手札に加える。残ったカードは破棄」

 

オープンカード手札に加える

幻魔神→手札に加える

砲凰竜フェニック・キャノンREVIVAL→破棄

寅の十二神皇リボル・ティーガ→手札に加える

 

駆 デッキ34→31 手札2→4

 

駆「バーストをセットして、アタックステップに…甲獣キャノン・ピューマでアタック」

 

キャノン・ピューマは戦闘態勢に入る。

 

駆「レベル1、2、3のアタック時効果により、自分のデッキの上からカードを1枚ドローする」

 

駆 デッキ31→30 手札3→4

 

明夢「こちらのフラッシュは無いぞ」

 

駆「こちらも無い」

 

明夢「(フラッシュは無かったか…キャノン・ピューマレベル1のBPは3000。対するチキンナイトはレベル1で2000で勝つことは出来ない。ここは無駄にシンボルを無くすよりもライフで受け、コアを確保しておいた方が良さそうだ)

そのアタック、ライフで受ける」

 

キャノン・ピューマはその背中のキャノン砲から弾丸を1発撃ち放つ。

その弾丸はしっかりと明夢の展開したバリアに命中し、彼のライフを1つ粉々に打ち砕く。

 

明夢

ライフ5→4

リザーブSコア→1 Sコア

 

駆「俺はこれでターン終了だ」

 

駆 デッキ31→30 手札3→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3

コレオン

LV1 BP1000 (1)

 

甲獣キャノン・ピューマ

LV1 BP3000 Sコア 疲労

 

巨神獣ファーゾルト

LV1 BP8000 (1)

 

バースト

有り

 

手元

甲寅獣リボル・コレオン

 

よし、まずは1つ明夢のライフを削ることが出来た。それにキャノン・ピューマの効果で手札も増えたので次のターンで色んなことが出来そうだ。うん、このターンは個人的に満足出来るものである。

…さて、気になるのは次の彼の行動だ。ライフを1つ失った代わりにコア1つが増えた。緑の特性でコアを一気に増やし爪鳥のスピリット達を展開してくると思っておいた方がいいかもしれない。

 

明夢「…俺のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ32→31 手札4→5

リザーブ2 Sコア→5 Sコア

 

明夢「4コスト、緑1軽減3コスト。ネクサス、白雲に茂る天翼樹を配置」

 

明夢の場が緑の大樹が出現する。

 

明夢「このネクサスの配置時効果により、ボイドからコアを1個リザーブに置く。

さらに、系統爪鳥を自分のスピリットがいるとき、ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く。

俺の場には系統爪鳥を持つチキンナイトがいるのでコアを2個リザーブに置く」

 

明夢 手札5→4 リザーブ2 Sコア→4 Sコア

 

明夢「そして、手札から4コスト2軽減アクセル、辛酉鳥ゲイル・チキンナイトを使用し、デッキからカードを3枚オープンし、その中の異魔神を持つブレイヴをカード1枚と系統神皇、十冠を持つスピリットカード1枚を手札に加える」

 

オープンカード

忍魔神〇

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ〇

破壊の魔獣バトラ✕

 

明夢「俺は忍魔神と古の十二神皇 神鳥のガルダーラを手札に加え、残った破壊の魔獣バトラは破棄する」

 

オープンカード手札に加える

忍魔神→手札に加える

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ→手札に加える

破壊の魔獣バトラ→破棄

 

明夢 デッキ31→28 手札3→5

 

明夢「バーストをセット。俺はこれでターンを終わる」

 

明夢 デッキ31→28 手札5→4

ライフ5 リザーブ2 Sコア

トラッシュ5

チキンナイト

LV1 BP2000 (1)

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

駆「…ターンを貰う。スタートステップ、コアステップをファーゾルトの効果で2回行い、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ30→29 手札4→5

リザーブ0→5

 

サーチをしてバーストをセットしただけか…確か、サーチして手札にカードを加えた時に古の十二神皇 神鳥のガルダーラがあったな。あのカードは封印時に発動出来るバーストを持っている。彼は今、そのカードを伏せている可能性が高いかもしれない。

逆にガルダーラと思わせておいて違うカードを伏せている可能性は無きにしも非ず。

とは言っても、彼のデッキ内容から恐らくバーストはガルダーラかミストラルフィニッシュの2種類と考えて行動するとしよう。

 

駆「俺は手元のリボル・コレオンを4コスト赤2軽減でリザーブのコアを1個乗せレベル1で召喚する」

 

するとコレオンの右隣に寅の十二神皇リボル・ティーガのコスプレをしたコレオンが現れる。

それを見たコレオンは指を咥え、羨ましそうに隣のリボル・コレオンのコスプレ装備を眺めている。その後、そのコレオンは俺の方を見て目をうるうるさせている。

 

駆「あれが欲しいのか?」

 

俺はそう問いかけるとコレオンは「うん!うん!」と頷いている。

 

駆「そうか……大丈夫、君もきっと彼の様にリボル・ティーガのコスプレが出来るようになる日が来る。

今はこの戦いに専念しよう」

 

と俺はそう答えた。一方のコレオンは頷いた後、闘志を燃やし明夢の方を見る。

 

駆「…すまない、続ける。ここでリボル・コレオンの召喚時効果を発動。

このカードを手元から召喚した時、自分の手札にある系統異魔神を持つブレイヴカードを1枚をコストを支払わずに召喚する。

よって手札から幻魔神を召喚」

 

俺の場に白い身体を持つ異魔神が召喚される。

 

駆「そして、ファーゾルトに幻魔神を右合体、リボルコレオンに左合体する」

 

幻魔神は左右の腕から光を発射、ファーゾルトとリボル・コレオンに纏わせる。

これにより、2体のスピリットのBPは強化される。

 

巨神獣ファーゾルト

LV1 BP8000+3000=11000

 

甲寅獣リボル・コレオン

LV1 BP3000+3000=6000

 

明夢「…ファーゾルトには[超装甲緑]か、厄介だな」

 

そう、彼の言う通り幻魔神の右合体時には合体したスピリットに[超装甲緑、白、黄]を与える効果がある。

そして、[超装甲]は指定している色によって相手のスピリット、アルティメット、ネクサス、マジックの効果を受けないという効果がある。

つまり、今幻魔神と右合体しているファーゾルトは緑、白、黄のスピリット、アルティメット、ネクサス、マジックの効果を受けなくなっている。

それに対して幻魔神と左合体しているリボル・コレオンには[超装甲赤、紫、青]が付与されている。

 

駆「ファーゾルトとキャノン・ピューマにリザーブのコアを1個ずつ乗せレベルを上げる。そして、アタックステップ。甲獣キャノン・ピューマでアタック、レベル1、2、3の効果でワンドロー」

 

駆 デッキ29→28 手札4→5

 

明夢「フラッシュは無い」

 

駆「俺も無い」

 

明夢「そのアタックはチキンナイトでブロックする」

 

チキンナイトは明夢の命令を受け、キャノン・ピューマに向かって突き進む。

……この瞬間、俺は明夢のバーストが何なのかが理解できた。

 

甲獣キャノン・ピューマ

LV2 BP5000

VS

チキンナイト

LV1 BP2000

 

明夢「フラッシュは無い」

 

駆「……俺もだ」

 

真っ直ぐこちらに突き進んでくるチキンナイトに向かってキャノン・ピューマは背中のキャノン砲をから弾丸を発射。

それをチキンナイトは装備している盾で防ぐが、その盾はキャノン砲の凄まじい威力で粉々に砕かれてしまう。

防御が出来なくなったチキンナイトにキャノン・ピューマは容赦なく弾丸を発射する。その弾丸を真っ直ぐチキンナイトの身体を貫く。

 

甲獣キャノン・ピューマ

LV2 BP5000 勝利

VS

チキンナイト

LV1 BP2000 敗北

 

明夢「相手による自分のスピリットの破壊後によるバーストを発動。

ミストラルフィニッシュのバースト効果でデッキからカードを3枚オープンする」

 

オープンカード

乙の白騎士アルパイン・ビット〇

超風魔神〇

ダンデラビットREVIVAL〇

 

明夢「その中の緑のブレイヴカードと系統神皇、十冠を持つ緑のスピリットカードをコストを支払わずに好きなだけ召喚する。召喚をしない場合はデッキの上に戻すのだが、オープンされたカードは全てミストラルフィニッシュの対象カードなので召喚する。アルパインビットにはソウルコアと通常のコアを1個ずつ、ダンデラビットREVIVALにはコアを1個だけ乗せる。異魔神ブレイヴである超風魔神にコアは必要ないのでそのまま召喚する」

 

オープンカード召喚

乙の白騎士アルパイン・ビット→召喚

超風魔神→召喚

ダンデラビットREVIVAL→召喚

 

明夢 デッキ28→25

 

神速の速さで現れるアルパイン・ビットにぴょんぴょん小さなジャンプをして現れたダンデラビット。

そして、吹き荒れる大竜巻を発生させながら2つの巨大な槍を携えた翡翠の戦士が現れる。超風魔神、それはアニメバトルスピリッツ ダブルドライブの登場人物、ヨク・アルバトロサが使用した緑の異魔神ブレイヴで神皇編 第4章 のキャンペーンカードとして収録されたカードだ。

 

明夢「ダンデラビットの召喚時効果によりボイドからコアを1個リザーブに置く。さらに自分のフィールドにこのカード以外の系統星魂、十冠を持つスピリットカードにボイドからコアを1個置く。

よってアルパイン・ビットにコアを1個置く。これによりアルパイン・ビットはレベル2に上がる」

 

駆「これでターン終了だ」

 

駆 デッキ29→28 手札4→5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ2

巨神獣ファーゾルト

LV2 BP13000 (2)

右合体

幻魔神

BP+3000

 

甲寅獣リボル・コレオン

LV1 BP3000 (1)

左合体

幻魔神

BP+3000

 

甲獣キャノン・ピューマ

LV2 BP5000 (2) 疲労

 

コレオン

LV1 BP1000 (1)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

明夢「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ25→24 手札4→5

リザーブ2→8

 

参ったな…超風魔神を処理できずに彼にターンを渡してしまった。

次のターンに一気に決めよう。その前にこのターンを何とかしなければいけない。

 

明夢「俺はまず、コスト0で手札のチキンナイトをレベル1で召喚する」

 

先程、キャノン・ピューマが破壊したカードがもう1枚登場した。

 

明夢「そして、チキンナイトの効果で自分の手札にある系統神皇を持つ緑のスピリットカードを召喚する時そのスピリットのコストを−1する。

よって7コストからいち引いて6、6コスト緑4軽減2コストで

 

その翡翠の翼、羽ばたかせ、大いなる不死鳥の力で敵を圧倒せよ

 

召喚。

 

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

 

レベルは2、リザーブのコアを全てとアルパイン・ビットの通常のコアを1個、そしてソウルコアをゲイル・フェニックスに置く」

 

すると、緑の突風がバトルフィールド全体に吹き荒れる。そして美しくも雄々しい不死鳥が明夢の元に舞い降りた。

これが彼のデッキを象徴する切り札だろう。

 

明夢「そして、超風魔神をゲイル・フェニックスに右合体、アルパイン・ビットを左合体させる」

 

超風魔神が発生させたオーラはゲイル・フェニックスとアルパイン・ビットを包み込み、力を与える。

超風魔神が合体したスピリットに加算させるBPは5000。よってゲイル・フェニックスとアルパイン・ビットの2体にその5000が加算される。

 

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP13000+5000=18000

 

乙の白騎士アルパイン・ビット

LV1 BP5000+5000=10000

 

明夢「バーストをセットしてアタックステップ」

 

やはり来るか…

 

明夢「ゲイル・フェニックスもとい、右合体スピリットでアタック!」

 

超風魔神の恩恵を受けたゲイル・フェニックスが咆哮。俺のフィールドに向けて翡翠の翼を羽ばたかせた。

 

To be continued…




次回予告
バトルアーマーの謎を解き明かすために行ったバトル。
彼のくり出した不死鳥は完全に俺を仕留めるという強い意思を持って俺のフィールドに舞い降りた…

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-23 こたえ


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Turn-23 こたえ

冒頭謝らなければならないことがあります。
22話投稿から約2ヶ月空いてしまい本当に申し訳ございませんでした!
こちらの事情で投稿出来る時間があまり無かったのもあり投稿がここまで伸びてしまいました…とりあえず、Twitterでのアンケートに答えることが出来たので自分自身では納得しています。失踪は無いのでこれからもよろしくお願いします!

と、長い前置きでしたが引き続きバトルスピリッツ 欠落の物語をお楽しみくださいな!!


ここまでのバトルスピリッツ欠落

 

駆 デッキ28 手札5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ2

巨神獣ファーゾルト

LV2 BP13000 (2)

右合体

幻魔神

BP+3000

 

甲寅獣リボル・コレオン

LV1 BP3000 (1)

左合体

幻魔神

BP+3000

 

甲獣キャノン・ピューマ

LV2 BP5000 (1) Sコア疲労

 

コレオン

LV1 BP1000 (1)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

 

明夢 デッキ24 手札2

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ2

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP13000 (6) Sコア 疲労

右合体

超風魔神

LV1 BP+5000

 

乙の白騎士アルパイン・ビット

LV3 BP5000 (1)

左合体

超風魔神

LV1 BP+5000

 

ダンデラビットREVIVAL

LV1 BP1000 (1)

 

チキンナイト

LV1 BP2000 (1)

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

明夢「ゲイル・フェニックスもとい、右合体スピリットでアタック!」

 

超風魔神の恩恵を受けたゲイル・フェニックスが咆哮。俺のフィールドに向けて翡翠の翼を羽ばたかせた。

 

明夢「ゲイル・フェニックスのレベル1、2のアタック時効果、[封印]によりゲイル・フェニックスのソウルコアを俺のライフに置く」

 

ゲイル・フェニックスのソウルコアが明夢のバトルアーマーの胸部装甲にセットされる。

 

明夢「ここで、自分か相手の[封印]後バーストを発動する。

 

古に眠りしの神鳥よ、今目覚め現世の空に舞い上がるがいい…!

 

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ。

 

バースト効果によりこのカードをコストを支払わずに召喚する。使用コアはアタック中のゲイル・フェニックスからコアを1個ガルダーラに置く。レベルは1だ」

 

空の彼方から古の神鳥が現れ、バトルフィールドに舞い降りる。

 

明夢「ガルダーラの召喚時効果により、系統神皇、十冠を持つスピリットカードにコアを3個置く。よって俺はガルダーラにコアを3個置く。

これにより、ガルダーラはレベル1からレベル2となる」

 

ガルダーラは緑のオーラを纏い、自分の力を解放する。

 

明夢「さらに、ゲイル・フェニックスのレベル1、2のアタック時効果、[飛翔]によりお前のスピリットは疲労状態でもブロックが出来るようになる。つぎにゲイル・フェニックスのレベル2のアタック時効果、系統神皇か十冠を持つ自分のスピリット1体につき、このカードをBP+5000する」

 

駆「君のフィールドには系統神皇が2体と十冠が2体…」

 

明夢「そうだ。よってゲイル・フェニックスのBP+20000される」

 

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP18000+20000=38000

 

BP38000という凄まじいBPに立ち向かえる俺のスピリット無い。

圧倒的なパワーで粉砕されるだけだ。

 

明夢「まだだ、超風魔神の左右のアタック時効果によりお前はバーストを発動することが出来ない」

 

超風魔神は右手に持つ槍に風を纏わせつき放つ。

その風は俺のバーストカードを上から押さえつけた。

 

駆「やってくれたな…!」

 

明夢「このアタックどうする?」

 

駆「フラッシュタイミング、5コスト赤2、白2軽減1コストで壬獣アクセルエッジのアクセル効果を使用。コアはレベル2のキャノンピューマから通常のコアを1個使用する。

効果により、BP6000以下のスピリット…チキンナイトを破壊」

 

アクセルエッジの放った炎はチキンナイトを粉々に打ち砕いた。

 

駆「することで俺はデッキからカードを1枚ドローする。

そして、アクセルエッジは手元に置かれる。」

 

駆 デッキ28→27 手札4→5

 

明夢「…こちらのフラッシュは無いぞ」

 

駆「俺のフラッシュも無い。そのアタック、ライフで受ける」

 

ゲイル・フェニックスは翡翠の翼を俺に叩きつける。

超風魔神と合わせたダブルシンボルは俺のライフを2つ砕く。

 

バリィィィン!!

 

駆「…くっ!」

 

ライフ2つ分の衝撃が俺に走った。

 

駆 ライフ5→3 リザーブ0→2

 

明夢「ここで、ゲイル・フェニックスのレベル1、2のアタック時効果、[飛翔]によりこのスピリットのバトル終了時、1コスト払うことでこのスピリットは回復する。

リザーブのコアを1つ支払うことでゲイル・フェニックスを回復させる」

 

連続アタック、ダブルシンボル、高BP、バースト封じ…

この状況、ほぼ積みに近いな。しかし、俺も負ける訳にはいかない。

 

明夢「…天童、まさかこのターンで終わる訳ないよな?

続けて、ゲイル・フェニックスでアタック!」

 

回復したゲイル・フェニックスはもう一度、天に舞い俺を倒そうとする

 

駆「舐められたものだ…!フラッシュ、5コスト白2、赤1軽減2コスト乙械人シェパードールのアクセルを発動。

使用コアはリザーブのコアを2個使用する」

 

すると、俺の目の前にビームシールドが発生する。シェパードールの効果、それは…

 

駆「このターンの間、コスト4以上のスピリット、アルティメットのアタックでは俺のライフは減らない」

 

明夢「なるほど…こちらのフラッシュは無い」

 

駆「俺もだ。そのアタックはライフで受ける」

 

明夢「が、シェパードールで減るライフは0だな」

 

ゲイル・フェニックスは突風を巻き起こし、俺のライフを奪おうとするが、それはシェパードールのビームシールドが防いだ。

 

明夢「ゲイル・フェニックスの[飛翔]により自身のコアを1つ支払うことでゲイル・フェニックスを回復させる。

これ以上の攻撃は無意味だな…これでアタックステップ終了、ターンエンドだ」

 

明夢 デッキ24 手札2

ライフ4 Sコア リザーブ0

トラッシュ4

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP13000 (4)

右合体

超風魔神

LV1 BP+5000

 

乙の白騎士アルパイン・ビット

LV3 BP5000 (1)

左合体

超風魔神

LV1 BP+5000

 

古の十二神皇 神鳥のガルダーラ

LV2 BP10000 (4)

 

ダンデラビットREVIVAL

LV1 BP1000 (1)

 

白雲に茂る天翼樹 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

辛酉鳥ゲイル・チキンナイト

 

まさか、ここまで展開されてしまうとは…彼に次のターンを渡すのはかなり危険だ。

出来れば、このターンに仕留めたいところだ。

 

駆「スタートステップ、コアステップをファーゾルトの効果で2回行い、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ27→26 手札4→5

リザーブ0→7

 

駆「ここで、コレオンのレベル1、2、3の効果、自分の手札にある系統神皇を持つカードのコストを−1する。

7コストのカードは−1され、6コストになる。赤3、白1軽減2コスト…

 

寅の十二神皇リボル・ティーガ

 

をリザーブのコアを1個のせ、レベル1で召喚する」

 

俺はリボル・ティーガの召喚を宣言。すると、鋼の装甲を持つ獣が炎を纏いフィールドに現れる。

砲撃を得意とする寅を司る神皇…リボル・ティーガだ。

 

明夢「…これがお前のデッキの象徴か」

 

駆「いいや、俺のデッキの主役はこいつだけじゃない。

もう一度コレオンの効果を使用。6コストのカードは5コストになる。そして、白3軽減2コスト…

 

未の十二神皇グロリアス・シープ

 

をコアを1個のせ、レベル1で召喚する」

 

突然、天から光が降り注ぐ。その光は地を砕いた。

そして、地下に封印されていた純白の装甲と8基のビーム砲を持つ機獣が姿を現す。

守護の力を持ち、未を司る神皇…グロリアス・シープ。

彼の召喚と同時にリボル・ティーガは咆哮する。それに触発されたゲイル・フェニックス、ガルダーラも俺を、俺の神皇達を威嚇する様に咆哮する。

 

明夢「このタイミングで厄介な切り札を2体も召喚されてしまうとはな…」

 

駆「ここで、リザーブのコアを1つリボル・ティーガに乗せ、キャノン・ピューマのソウルコアとリボル・ティーガの通常のコアを1つ交換する」

 

リザーブのコアがリボル・ティーガに1個置かれ、キャノン・ピューマのソウルコアとリボル・ティーガのコアが交換される。

これは自分のスピリットを消滅させないようにする為に行ったことだ。

 

駆「さらに、ファーゾルトのコアを2個コアが1個のグロリアス・シープへ移動。

そして、リボル・コレオンのコアを1個キャノン・ピューマへ移動。

これにより、グロリアス・シープのコアは3個、キャノン・ピューマのコアは2個となりそれぞれのレベルは1から2に上がる。

コアが0個になったファーゾルトと、リボル・コレオンは消滅する」

 

ファーゾルトとリボル・コレオンは俺のフィールドのスピリット達に手を振りながら消滅する。

その一方でキャノン・ピューマとグロリアス・シープは自分の力を解放する。

 

駆「まだまだ…!ここで、幻魔神、グロリアス・シープと右合体。リボル・ティーガと左合体せよ」

 

幻魔神は左右の腕から白いオーラをそれぞれの神皇に放ち、力を与える。

これにより、リボル・ティーガとグロリアス・シープはそれぞれBPが上がる。

 

寅の十二神皇リボル・ティーガ

LV1 BP10000+3000=13000

 

未の十二神皇グロリアス・シープ

LV2 BP15000+3000=18000

 

駆「バーストを張り替える。伏せていたものは丑の十二神皇アバランシュ・バイソンだ」

 

明夢「…なるほど。(超風魔神の効果でアバランシュの機能は完全に停止したからな…だとしたらあのバーストは一体…?)」

 

駆「アタックステップ、左合体スピリットもとい、寅の十二神皇リボル・ティーガでアタック」

 

リボル・ティーガは咆哮した後にバトルフィールドを駆ける。

 

駆「寅の十二神皇リボル・ティーガのレベル1、2、3のアタック時効果[封印]によりリボル・ティーガ上のソウルコアを俺のライフに置く」

 

明夢「(アタック来たか…どうなる?)」

 

リボル・ティーガ上のソウルコアは俺の漆黒の鎧の胸部にセットされる。

心が休まる程の暖かさが俺を包み込む…うっとりしそうになった瞬間、俺の身体が動かなくなってしまったと同時にバイザーが閉じ、バトルアーマーは赤い光を発しながら装甲をスライド、変形していく。

そして、変形が完了した時、バトルアーマーに赤い光の線が所々に刻み込まれる。

 

明夢「天童…?おい、天童!(いきなりぐったりし始めたぞ…これが天童が言っていた現象か?)」

 

駆?「リボル・ティーガのレベル1、2、3の[封印時]のアタック時効果、[砲撃]により俺はデッキから2枚オープンする。

ここで、キャノン・ピューマレベル2の効果により、[砲撃]でオープンする数を3にする。よって俺はデッキからカードを3枚オープンする」

 

オープンカード

イグアバキーREVIVAL〇

壬獣アクセルエッジ〇

乙械獣士ブロッケイド・タイガー〇

 

駆?「その中の系統神皇、十冠を持つスピリットカード1枚につき、相手のライフを1個をリザーブに置く。そして、オープンされたイグアバギーREVIVALは対象のカードでは無いが、[封印時]効果により、系統十冠を得る。よって砲撃の対象となりお前のライフを3個破壊する」

 

明夢「(…いきなり動き始めたが、さっきと様子が変だ。今、天童は何者かに身体を乗っ取られているというのか)

…ソウルコアとライフ2つで受ける」

 

リボル・ティーガは背中に装備したキャノン砲から3発の弾丸を放つ。

 

ズドォォォン!ズドォォォン!

ズドガァァァ!

 

その弾丸は全て明夢のライフを1つずつ砕いた。

 

明夢「ぐっ!?(ソウルコアとライフ2つのダメージはかなりキツイな…!)」

 

衝撃により明夢は吹っ飛ぶがなんとか体勢を立て直した。

 

明夢

ライフ4 Sコア→2

リザーブ0→2 Sコア

 

駆?「オープンされたカードは全て手札に加える」

 

オープンカード手札に加える

イグアバキーREVIVAL →手札に加える

壬獣アクセルエッジ→手札に加える

乙械獣士ブロッケイド・タイガー→手札に加える

 

駆 デッキ26→23 手札2→5

 

明夢「フラッシュタイミング、リザーブのソウルコアをトラッシュに置き、

 

今こそ、全てを吹き飛ばす聖なる突風と共に乙の白騎士アルパイン・ビットに煌臨せよ!

 

煌天凰ジオ・シルフィード

 

アルパイン・ビットは本来4コストだが、合体している超風魔神の5コストが加算され、現在のコストは9…ジオ・シルフィードの煌臨条件、緑&コスト5をクリアしているので煌臨は可能となる」

 

アルパイン・ビットはその身に緑の風を纏う。そして、その姿をジオ・シルフィードに変えた。

 

明夢「ジオ・シルフィードの[煌臨時]効果により、俺は手札にある[煌臨]を持つスピリットカードを召喚出来るが、それはしない。

さらに、俺は手札を全て破棄し相手の手札の数分カードを1枚ドローする」

 

明夢 手札1→0

 

駆?「手札は5枚」

 

明夢「俺はデッキからカードを5枚ドローする」

 

明夢 デッキ24→19 手札0→5

 

駆?「こちらのフラッシュは無い」

 

明夢「俺も無い。ならそのアタックはゲイル・フェニックスで防ぐ」

 

ゲイル・フェニックスは明夢を守ろうと進撃する俺のリボル・ティーガに立ち塞がる。

 

寅の十二神皇リボル・ティーガ

LV1 BP13000

VS

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP18000

 

リボル・ティーガは二門のキャノン砲を連射。ゲイル・フェニックスを撃ち墜とそうと試みる。

しかし、ゲイル・フェニックスはリボル・ティーガの弾丸をスレスレで避けていく。

流石は天空、酉を司る十二神皇だ。

 

明夢「フラッシュタイミング、4コストでマジック、絶甲氷盾を使用。

コストはリザーブから2個、ゲイル・フェニックスから1個、ガルダーラから1個使う。

そして、絶甲氷盾の効果によりこのバトルが終了した時アタックステップを終了させる」

 

駆?「こちらのフラッシュは無い」

 

明夢「こちらも無い」

 

ゲイル・フェニックスは突風を巻き起こしリボル・ティーガを吹き飛ばす。

空に打ち上げれたリボル・ティーガは体勢を上手く立て直すことが出来ない。そして、ゲイル・フェニックスは自らの体を回転、鉄板を貫くドリルの様にリボル・ティーガに突撃し破壊した。

 

寅の十二神皇リボル・ティーガ

LV1 BP13000 負け

VS

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV1 BP18000 勝ち

 

駆?「相手による自分のスピリットの破壊後のバーストを発動。丁騎士長イヌワッシャーの効果相手のスピリット1体を疲労させ、このバースト発動時に消滅、破壊された自分のトラッシュにある系統神皇を持つスピリットカード1枚をコストを支払わずに召喚できる。

よって相手のガルダーラを疲労させ、リボル・ティーガをもう一度召喚する」

 

ガルダーラは強烈な旋風に襲われ地面に倒れてしまう。

その一方で俺のフィールドでは地面から灼熱の炎とともにリボル・ティーガが再臨した。

 

駆?「この効果発揮後、このスピリットカードをコストを支払わずに召喚する。

コアはキャノン・ピューマから確保。レベル1で召喚する。尚、これによりキャノン・ピューマのレベルは1にダウンする」

 

そして、颯爽と俺のフィールドに犬鷲をモチーフとした爪鳥スピリットが登場した。

 

明夢「絶甲氷盾の効果でお前のアタックステップは終わる」

 

俺と明夢のフィールドの間に巨大な氷の壁がそびえ立つ。

これ以上、俺のスピリットでアタックすることが出来なくなってしまった。

 

駆?「…アタックステップ終了。ターンエンド」

 

駆 デッキ26→23 手札2→5

ライフ3 Sコア リザーブ0

トラッシュ4

未の十二神皇グロリアス・シープ

LV2 BP18000 (3)

右合体

幻魔神

BP+3000

 

寅の十二神皇リボル・ティーガ

LV1 BP10000 (1)

 

甲獣キャノン・ピューマ

LV1 BP3000 (1)

 

コレオン

LV1 BP1000 (1)

 

丁騎士長イヌワッシャー

LV1 5000 (1)

 

バースト

無し

 

手元

壬獣アクセルエッジ

 

乙械人シェパードール

 

明夢「俺のターン、スタートステップ」

 

彼のターンに入ると同時に巨大な氷の壁は凄まじい音を立てて崩れ落ちた。

 

明夢「コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

明夢 デッキ19→18 手札4→5

リザーブ0→9 Sコア

 

明夢「超風魔神の左合体をガルダーラと入れ替える」

 

超風魔神はジオ・シルフィードとの接続を中断し、ガルダーラとの接続を開始した。

超風魔神から発射された緑のオーラはガルダーラに凄まじい程のエネルギーを与えた。

 

明夢「ジオ・シルフィードにコアを2個乗せレベル2にする。同様にガルダーラにもコアを2個乗せレベル3に…

そして残った通常のコア5個、ソウルコアを全てゲイル・フェニックスに乗せる。

バーストをセットしアタックステップに入りゲイル・フェニックスでアタック」

 

ゲイル・フェニックスは天高く舞い上がる。

 

明夢「ゲイル・フェニックス、レベル1、2の効果、[封印]によりゲイル・フェニックスのソウルコアを俺のライフに置く」

 

明夢は2度目の封印を使用。ゲイル・フェニックス上のソウルコアは彼のバトルアーマーにセットされる。

 

明夢「ゲイル・フェニックス、レベル1、2の[封印時]の効果、[飛翔]によりお前のスピリットは疲労状態でのブロックが可能となる。

さらに、レベル2の効果…系統神皇または十冠を持つ自分のスピリット一体につき、このカードのBPを+5000する。俺のフィールドにいる対象のカードは3枚。よって、ゲイル・フェニックスに15000のBPが加算される」

 

酉の十二神皇ゲイル・フェニックス

LV2 BP18000+15000=33000

 

明夢「まだ超風魔神の効果が残っているぞ!効果によりお前はバーストの発動が出来ない。加えて超風魔神に系統神皇を持つスピリットが左右に合体していることでこいつの[ダブルドライブ]が発揮される」

 

超風魔神にゲイル・フェニックス、そしてガルダーラ…2体の神皇の力が流れ込んだ瞬間、背中の装備が光り輝き空中に∞を描いた。

真の力を解放した超風魔から深緑の粒子が溢れ出し、やがてそれらはバトルフィールド全体に一気に拡散された。

その粒子は俺の手札に纏わりつきカードを緑に染め上げる。

 

明夢「超風魔神の[ダブルドライブ]によりお前は手札のカードを使用することが出来なくなった」

 

駆?「厄介だな……こちらのフラッシュは無い」

 

明夢「俺もだ」

 

駆?「未の十二神皇グロリアス・シープ、レベル1、2、3の相手のアタックステップでの効果…相手によって自分のライフが減るとき、自分のデッキを上から6枚破棄することで、自分のライフは減らない」

 

駆 デッキ23→17

 

破棄された6枚のカードはグロリアス・シープに吸い込まれる。

そのカードの力を使い、グロリアス・シープは俺を守るように移動し聖なる白銀の盾を発生させる。

 

それに対しゲイル・フェニックスは自らの身体を折りたたみドリルの様に回転させる。

 

ガガガガガガガガガガガガ!!

 

ゲイル・フェニックスがグロリアス・シープが作り出した盾に激突した。

ガリガリと火花を散らしながら盾を削り取ろうとするが白き盾はゲイル・フェニックスをはじいた。

流石、守護の神皇。デッキを減らしてしまうがライフの減少を防ぐことが出来た。

 

しかし………

 

明夢「ゲイル・フェニックスの[飛翔]によりゲイル・フェニックス上のコアを1個支払い回復させる。

コアがある限り、ゲイル・フェニックスは羽ばたき続けるぞ!ゆけ、ゲイル・フェニックス!」

 

駆?「フラッシュは無い」

 

明夢「俺もだ」

 

駆?「未の十二神皇グロリアス・シープ、レベル1、2、3の相手のアタックステップでの効果…相手によって自分のライフが減るとき、自分のデッキを上から6枚破棄することで、自分のライフは減らない」

 

駆 デッキ17→11

 

ゲイル・フェニックスは周囲の風を集め、それを一気にレーザーの様に発射させる。

グロリアス・シープは再び白銀の盾を作り出す。風のレーザーを白銀の盾は防ぎ、風は分散される。

 

明夢「ゲイル・フェニックスの[飛翔]によりゲイル・フェニックス上のコアを1個支払い回復させる。

もう一度アタックだ、ゲイル・フェニックス!」

 

ゲイル・フェニックスは空に舞い上がる。

 

駆?「こちらのフラッシュは無い」

 

明夢「フラッシュ、6コスト緑3軽減3コストでゲイルロードフィニッシュを使用。

コアはジオ・シルフィードから2個、ゲイル・フェニックスから1個を確保。

効果により相手のスピリット、アルティメットを2体疲労させる。リボル・ティーガとキャノン・ピューマだ」

 

吹き荒れる緑の風はリボル・ティーガとキャノン・ピューマを跪かせる。

 

明夢「さらにゲイルロードフィニッシュの[封印時]効果により、疲労状態の相手のスピリット、アルティメットを手札に戻す」

 

緑の風は激しさを増し、リボル・ティーガとキャノン・ピューマを吹き飛し消滅させる。

 

駆 手札5→7

 

駆?「こちらのフラッシュは無い」

 

明夢「俺も今は無いぞ」

 

駆?「未の十二神皇グロリアス・シープ、レベル1、2、3の相手のアタックステップでの効果…相手によって自分のライフが減るとき、自分のデッキを上から6枚破棄することで、自分のライフは減らない」

 

駆 デッキ11→5

 

グロリアス・シープの張った盾にゲイル・フェニックスは激突する。続けてその翡翠の翼を叩きつけるが傷一つつかなかった。

しかし、残りデッキが5になったのでこれ以上グロリアス・シープの盾を使うことが出来なくなってしまった。

 

明夢「ゲイル・フェニックスの[飛翔]によりガルダーラのコアを1個支払い回復。

もう一度アタックだ」

 

駆?「フラッシュは無い」

 

明夢「こちらもだ」

 

駆?「ライフで受ける」

 

ゲイル・フェニックスは巨大な竜巻を巻き起こし、俺のライフを2つ奪う。

 

バリィン!バリリィン!

 

ライフ3 Sコア→1 Sコア

リザーブ2→4

 

明夢「バトル終了時ゲイル・フェニックスの[飛翔]でガルダーラのコアを1個支払い回復させる」

 

ゲイル・フェニックスはもう一度天空に舞い上がった。

手札もバーストも使用不可、ゲイル・フェニックスを止める高BPのスピリットも今俺のフィールドには居ない。

つまりこれは…詰みってやつだ。

 

明夢「アタックだ、ゲイル・フェニックス」

 

ゲイル・フェニックスは俺の方に迫ってくる。

 

駆?「…フラッシュは無い」

 

明夢「俺もだ」

 

ダブルドライブ効果で当然、俺はカードを使用することは出来ない。

 

駆?「ライフだ」

 

明夢「そうか……なら討て!ゲイル・フェニックス」

 

俺をコントロールしているモノもライフで受ける宣言をした。これ以上抵抗しても無駄ということを悟ったということか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「……また会えるとはな…久しぶりの戦い、楽しかったぞ」

 

 

 

 

 

 

明夢「……なに?どういうことだ天童!おい、天童!!」

 

 

 

 

 

 

 

…………ん?どうやら俺は明夢に呼ばれているようだ。

「それはどういうことだ」と俺に訴える明夢。そんなことを言われても俺も分からない。唐突に意識が遠のいたのだから…

俺は明夢の問いかけに違和感を抱いた次の瞬間。目の前に現れたゲイル・フェニックスに俺は驚きとその大きさに圧倒された。

そして、ゲイル・フェニックスは自身の持つ翡翠の翼を俺に叩きつけた。

ゲイル・フェニックスのシンボルと超風魔神のシンボル、合わせてダブルシンボルの攻撃が俺の残りライフを砕いた。

 

バリィィン!バリガリリリ!!

 

ライフ1 Sコア→0

リザーブ4→5 Sコア

 

駆「ぐぁぁっ!」

 

ライフを2つ砕かれた衝撃で俺は吹き飛び、バトルステージの硬いコンクリートに叩きつけられる。

 

駆「くっ…」

 

バトルアーマーを装着しているのでダメージは無いが、ソウルコアで受けた時の痛みは通常とは比べものにならなかった。

痛みのショックで倒れたまま立ち上がることが出来ない俺の傍に明夢がバトルアーマーを解除して歩いてきた。

 

明夢「…随分とダメージを受けたようだな天童。立てるか?(ソウルコアがバトルアーマーから外れたことで元に戻ったということか)」

 

と倒れている俺の様子を見た明夢が右手を差し伸べてくる。

 

駆「…大丈夫、だ…!大した事では…無い」

 

俺は仰向けで倒れたままバトルアーマーを解除、悲鳴を上げている身体に鞭を打ち、俺は明夢の差し伸べた右手を掴むことなくフラフラと立ち上がる。

すると、明夢は鋭い目で俺を見つめこういった。

 

明夢「……今回のバトル、お前が俺に言ったセリフが引っかかる。俺とお前は初対面の筈だ。説明しろ」

 

明夢の質問に俺は戸惑った。

 

駆「何の…話だ?操られている時、俺は君に何か言ったのか?」

 

明夢「何…!?」

 

俺がそう言った時、彼は目を見開いて驚いた様な顔をした。常に冷静で無表情な彼らしくない顔…初めて見た顔だった。

 

明夢「自分の言ったことを覚えていないのか…!?」

 

駆「あぁ…残念ながら」

 

俺は首を縦に振り肯定の意を表した。

これを聞いた明夢は肩を落とし一言、静かにこういった。

 

明夢「…………そうか」

 

駆「参ったな…何もわからないままだ」

 

俺は静かに呟いてバトルステージの地面を見つめた。

 

俺と明夢は同時にため息をついた。

 

 

 

…沈黙が続いた。俺も明夢もバトルステージの地面を見つめていた。結局のところ何もわからないまま今日が終わってしまった。少なくとも何か1つでも手がかりを掴めると期待していたがそう簡単にことが進むことは無かった。改めて俺のバトルアーマーの謎が深い事を感じた。

…ふと、俺は彼が気になって横目でチラリと見た。手を顎にあて、何か考えている様子だ。

そう言えば…

 

駆「柊木君、君は俺の言ったことが気になっていたんだよな?」

 

と俺は明夢に質問した。俺が彼に言った言葉が気になったからだ。

 

明夢「あぁ」

 

駆「俺は君に何と言っていたんだ?」

 

明夢「…また会えるとはな…久しぶりの戦い、楽しかったぞと言っていた」

 

俺は明夢の口から出てきた言葉に驚きと疑問を抱いた。

 

駆「久しぶり…?おかしいな、俺と君は今日出会ったばかりのはずなのに…」

 

動揺している俺の言葉にコクリと明夢は頷いた。

俺が彼に出会ったこと、対戦したことは今日が初めてだ。なのに俺の口から出た言葉はそれと矛盾するものだった。

 

明夢「……天童、今は情報が少なすぎる。ここでいくら考えても埒があかないだろ?今日はもう帰ることにしよう」

 

と明夢は俺にそう言いながら帰るために鞄を背負った。

 

駆「…む、確かにそうだな」

 

俺も自分の鞄を手に持ち、明夢と共に大体育館を出た。

…もっと多くの情報を集めなければこの問題を解決することは出来ない。

そう思った俺は痛みに悲鳴をあげる身体を何とか動かして寮に向かった。

 

 

 

〜少年、移動中〜

 

 

 

生徒寮、自室の前についた俺はドンドンとドアをノックし扉を開けた。

 

ガチャ、キィ〜

 

駆「………ただいま」

 

美弥「おかえり駆君!今日は珍しく遅かったね、何してたの?」

 

と美弥が俺を出迎えてくれた。米粒が頬についている…既に夕食は取り終えてる様だな。

 

駆「…ごめん、美弥さん」

 

美弥「ん?どうしたの?」

 

バタン

 

と俺は彼女に謝ると自分のベッドに向かって仰向けに倒れた。と同時に左手に持っていた鞄が手から離れ、ベッドの横の床にドンと音を立てて落ちた。

 

美弥「え………?駆君!?」

 

美弥はそんな俺にビックリして傍に駆け寄ってきた。

不安そうな顔で倒れている俺を見ている。

 

駆「大丈夫。ちょっと疲れているだけだから寝れば…元に戻る」

 

美弥「そ、そうなの?でも絶対無理したらダメだから…自分の身体、大切にしてね」

 

と、こんな俺を彼女は心配してくれた。彼女を見るといつも思う。純粋で優しく、人を思いやる素敵な人だなと…

おっと、感心するのはいいが感謝の気持ちを伝えないと行けないな。

 

駆「ありがとう、美弥さん。ここまで心配されたのは久しぶりだ。

あと、気づいてないようだから言っておく。君、頬に米粒ついてるぞ」

 

俺は彼女に感謝し米粒がついている頬を指さした。

 

美弥「え…あ、ホントだ。ありがとう、駆君…」

 

彼女は戸惑いと恥ずかしさで顔を少し赤くしながら頬についた米粒を取って食べた。

おっちょこちょいな彼女の一面に俺は吹きかけた。

 

駆「…じゃあ、俺はもう寝る。明日は君に教えることが山ほどあるんだ。君も覚悟しておくんだぞ」

 

美弥「う、うん…!お疲れ様、駆君。おやすみ!」

 

顔を真っ青にした美弥がニッコリと笑って言った。相当ヤバいらしいな…これは骨が折れそうだ。

 

駆「おやすみ。部屋の電気と戸締りは任せたぞ」

 

美弥「了解であります!」

 

と美弥は敬礼し返事をした。それを聞いた俺は眠気に襲われて目を閉じた……

 

To be continued…




次回予告
今までほとんど友達も無く勉強会を開いたことも無かった俺は自宅にて美弥達と初めての勉強会を開いた。
「人に何かを教える」ことが初めての俺は、説明がちゃんと彼女に伝わるのかがとても不安だった…

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-24 俺たちの日


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Turn-24 俺たちの日

ふぃ〜!お待たせしました!24話でございます!これからも頑張りますのでよろしくお願いします!!
それではどうぞ〜



ピピピピッ!ピピピピッ!ピピピピッ!

 

大音量の電子音が一定の間を開けて俺の耳に響く。

これは…恐らく目覚まし時計だな。昨晩俺は設定せずに眠ったから美弥が設定したんだろうな。

そう思いつつ俺は目を擦りながらベッドから降りる。

 

カチッ

 

美弥「ふわぁぁぁ〜」

 

俺の隣の美弥は目覚まし時計を止め、大きなあくびと体を伸ばして目を覚ましていた。

 

美弥「駆君、おはよ〜」

 

駆「おはよう、美弥さん」

 

少し寝ぼけてる美弥の挨拶に俺はしっかりと答える。

 

美弥「ちゃんと眠れた?」

 

駆「バッチリだ」

 

昨日のことがあったからか、美弥が心配してくれた。体の具合は昨日よりはマシだな…体が少し軽く感じる。早めに寝た甲斐があった。

俺は彼女にサムズアップし、洗面所にむかう。

 

洗面所についた俺が先にするのは歯磨きだ。俺は正面の鏡の右隣の棚、上から2番目の歯ブラシスタンドから自分の使用する青色の歯ブラシと黒色のコップ、クリ〇クリーン ホワイトニングの歯磨き粉を取り出す。

コーヒーを飲むとコーヒーの色素が歯につくとインターネットで見たことがある。コーヒーが好物である俺が対策として使っているのがホワイトニングの効果がある歯磨き粉、クリア〇リーン ホワイトニングなのだ。

ちなみに美弥は黄色の歯ブラシ、ピンク色のコップ、クリ〇カの歯磨き粉を使用している。

俺は歯磨き粉を適量、歯ブラシに付け程よい力加減で歯を磨く。

 

シャカシャカシャカシャカ〜

 

朝のスタートはこれに限る。口の中がスッキリするのはとても気持ちがいいからだ。

…ある程度磨いたので俺はコップに水を注ぎ口に入れ、吐き出す。

口の中の粘付きが無くなり、スッキリした感覚を楽しんだら元あった場所に歯ブラシ、コップ、歯磨き粉を戻す。

その後、蛇口を捻り水を出し両手で水をすくったらそれを顔におもいっきりかける。

それを2〜3回繰り返す。

冷たい水が俺の眠気を一気に覚ましてくれる。俺は顔についた水滴を拭き取るために左手の壁の方に掛けてある自分用の青色のタオルを引っ張り出し顔を包む。

洗剤のほのかな香りが鼻をくすぐり、ふんわりとしたタオルのキメ細やかな素材が肌を撫でる。う〜む……とても心地いい。

顔を吹き終えたら次は髪の毛の手入れだ。俺はタオルを元の位置に掛け、棚の3段目の赤色のヘアーブラシを取り出し、サササッと髪を整える。特に説明することは無い。

洗面所でやることはこれで終わりだ。後は着替えと荷物の支度だけだ。

 

駆「美弥さん、待たせたね。洗面所使ってくれ」

 

美弥「うん!」

 

洗面所から出た俺は美弥にそう伝える。

美弥は返事した後に足早に洗面所に向かって行った。

今日は学校のない休みなので着る服は私服だ。

今日はこれにするか。

俺は水色と白のチェック柄のYシャツと黒色のズボンを選択し素早く着替える。そして、デッキや教科書、ノート等をボストンバッグの中に入れる。

休日は学校の寮で過ごしても良し、自宅に帰って過ごしても良しと自由だ。今回、俺達が勉強する場所は俺の家だ。せっかくなので今週の休日は自宅で過ごすことにしよう。学校の寮に戻る労力を持ってないというのも1つの理由だが…

着替えと日用品は学校用と自宅用で分けているので持って帰る必要は無い。自分で言うのもアレだが、用意周到である。

バックに必要な荷物を入れた俺はベッドの乱れを整え、その上にパジャマを畳んで置いておく。俺の準備はこれで完璧だ。部屋の鍵も忘れずにズボンの右ポケットに入れておく。

さて、美弥の準備の進み具合は………なるほど、リビングに姿がいないという事はまだ洗面所にいるらしい。もう少し早めに支度したら良かったか?と反省をしつつ、俺は部屋の時計を見る。集合の時間にまだ余裕があるな…

美弥はこうなることを予想してかなり余裕をもってアラームをセットしたのだろう。

しっかりしているのか、抜けているのか分からない人だな。

とりあえず俺は彼女の支度が終わるまで部屋の外で待っていることにする。

 

駆「美弥さん、俺は外の廊下で君を待つことにするから戸締り等をお願いできるか?」

 

美弥「うん、任せて!」

 

俺の頼みに彼女は答えてくれた。

 

駆「ありがとう」

 

俺は一言感謝を伝え部屋から出る。

後は美弥が部屋から出てくるのを待つだけだな。

 

 

 

 

〜数10分後〜

 

 

 

ガチャ

 

駆「…来たか」

 

美弥「お待たせ、駆君」

 

部屋からペンタンリュックを背負っている、私服姿の美弥が勢いよく出てきた。

ヘアピンのポジションはいつもと変わらないが髪の毛は珍しく、ポニーテールで纏めている。白いYシャツには赤いリボンが結ばれており、その上に紺色のジャケットを着ている。そこから下は薄めの赤いチェック柄のミニスカート、脚には黒色のタイツだった。

そんな彼女に俺は多少違和感を覚えた。理由は至ってシンプルだ。俺は今まで、彼女の制服姿しか見ておらず、俺の中でそれが定着してしまっているからだ。

そう思っていると美弥が申し訳なさそうな表情でこちらを見つめてきた。

 

美弥「ごめんね、待たせちゃって…」

 

と美弥は俺を待たせたと思って謝ってきた。そんなに時間を使ったのか?俺は別に気にしていないから彼女にフォローの一言をかけてあげねばならない。

 

駆「大丈夫。そ、それよりもその服、似合ってるな…」

 

と、俺はフォローにプラスして服装を褒めてあげる。普通に似合っている。俺の本心を直接彼女に話した。

 

美弥「ありがとう、駆君!気合い入れて選んでみた甲斐があったよ!えへへ〜!」

 

美弥はパァっと満面の笑みを浮かべた。もの凄く悩んで服を選んでいたんだろうな。

両手を頬に当てて身体を左右に振って喜んでいる。

 

駆「そんなに嬉しいのか?」

 

美弥「当たり前だよっ!褒めらて嬉しく感じない人はいないと思うけどな〜」

 

駆「……確かに、そうだな」

 

美弥「うん、それにしても駆君って結構明るい色の服着るんだね、黒が似合うなって思ってたからビックリ…!」

 

美弥は俺の服装を見てそう言った。

恐らくは…

 

駆「俺のバトルアーマーの影響だな?」

 

美弥「そ、そうだね!あのバトルアーマー、駆君に似合ってて凄くカッコイイから…」

 

と、動揺して彼女は顔を少し染めている。俺ってそんなに黒が似合うのか…

 

駆「ありがとう、そろそろ時間だ。忘れ物は無いよな?」

 

俺は念の為に美弥に確認の意味を込めて言った。

 

美弥「大丈夫、大丈夫!ほら、行こうよ!!みんな食堂で待ってるかも!!」

 

そんな俺の言葉を振り切って俺の右手を掴んで走り始めた。

 

駆「おい、廊下はあまり走るもんじゃない…!危ないって」

 

俺は美弥に危険だと注意するが彼女は聞く耳を持っていない。

早く皆と会いたい、その一心で食堂に向かっているのだ。周りが見えていないのである。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

食堂についた俺と美弥。結局、俺以外に誰にも迷惑をかける無く辿り着くことが出来たので内心ホッとしている。

 

魔理沙「おーい!駆、美弥こっちだぜ!」

 

すると、奥のテーブルから座っている魔理沙が俺達の存在に気づいて手を振って呼んでいる。

よく見ると、そこには私服の弾、霊夢、早苗も座っている。早いな、既に今日のメンバー全員が揃っているじゃないか。

 

美弥「おはよ〜!!皆!」

 

と美弥は俺より早く魔理沙達の元へ向かう。

俺も少し早く向かうとしよう。

 

霊夢「美弥、駆、おはよう」

 

早苗「おはようございます!」

 

ダン「二人ともおはよう!」

 

魔理沙「おはよう!!」

 

駆「あぁ、おはよう」

 

皆の挨拶に俺は答え、席に座る。

俺の右に美弥、その横に霊夢が座っていて、向かいのテーブル席には俺から見て左から魔理沙、早苗、弾という配置である。

 

駆「もうご飯は食べたのか?」

 

魔理沙「いや、駆達が来るちょっと前に来たからまだだよ」

 

早苗「これから決めようって思った時だったんですよ」

 

ダン「いいタイミングだったよ!」

 

美弥「そうだったんだね!じゃあ皆で一緒に食べよ!」

 

霊夢「なら、早速メニューを決めましょ!」

 

 

 

数分後

俺達はそれぞれの決めた朝食のメニューを席に座って食べている。

俺はフレンチトースト、美弥はミートパスタ、魔理沙はポトフ、弾はチーズカレーライス、早苗は、さば味噌定食で霊夢は焼き鮭をメインとした和風定食をチョイスした。

 

駆「弾君、今日もカレーか?太るぞ?たまには他のものにしたらどうなんだ?」

 

毎日カレーを頬張る弾が気になったので聞いてみた。

 

霊夢「確かに、弾がカレー以外の食べ物を食べてるところ見た事無いわね…」

 

ダン「ん〜ここのカレーの豊富なレパートリーと味が好みなんだよなぁ〜

じゃあカレー以外で何かオススメはないのかな?」

 

この食堂でオススメか、そう言われると参ったな…

俺はまだこの食堂のメニューの味を半分も体験していない。ここは、数少ないリストからオススメするしかないな。

 

霊夢「私は月見うどんがオススメよ!夜はまだ寒いし、温まるには丁度いいと思うわ!」

 

と霊夢はうどんをオススメした

なるほど、麺類か…今までカルボナーラ以外食べていなかったな。

気が向いたらラーメンや蕎麦でも食べてみるか。

まぁ、それはそれとして俺が勧める料理は……これにしよう。

 

駆「俺はそうだな…今食べているフレンチトーストはどうだ?

ふんわりとした食感にほんのりとした卵本来の味と砂糖の甘みがバランス良くマッチしていて口の中でトロ〜リと溶けていくのが中々癖になるぞ?」

 

俺は今、食べているフレンチトーストを勧めた。美弥が美味そうに食べているところを見て試しに今日選んでみたんだが、これが正解だった。

彼女が唸るのも分かる程のうまさだ。

 

ダン「なるほど……月見うどんとフレンチトーストか!今度食べてみるよ」

 

早苗「ふふ、それにしても駆さん。中々の食レポですね!そういうの目指しているんですか?」

 

と早苗が俺にそう訊ねた。別に大したことは言ってないし、そもそも目指してもいないんだが…

 

駆「いや、そういうわけじゃない。ただ俺も料理をしているから勉強になってるってことだ」

 

魔理沙「へぇ〜!駆って料理出来るんだな!」

 

魔理沙が興味津々な目で俺を見つめてきた。なんだか、俺の料理を食べたそうな…そんな感情を彼女の眼差しから受け取った。

 

駆「あぁ、なんなら今日の昼は俺が作ろうか?」

 

美弥「駆君のご飯!楽しみだなぁ〜!」

 

ダン「駆、1つ言っておくが俺はカレーにはうるさいぞ?」

 

とスプーンをペン回し見たいに回してキラリとポーズをとる弾。

…こんな奴だったか?若干俺の中で馬神弾のキャラクターが壊れつつある。

 

駆「安心しろ弾君。カレー以外のものを作るから大丈夫だ」

 

ダン「え〜〜モグモグモグ…」

 

俺がそう言った途端、マジに残念な顔をしながらカレーライスを頬張る弾。

カレーの人って言われてもおかしくないな…こんな顔してるけど一応、未来の世界を救ってるやべーやつなんだぜ?コイツ

 

美弥「あ、駆君そのフレンチトースト1口頂戴!」

 

唐突に右隣にいる美弥が俺のフレンチトーストを食べたいとお願いしてきた。

まぁ断る理由も無いし分けてやるか。

俺は右手に持つナイフで一口サイズにトーストを切る。

 

駆「昨日のが忘れられないようだな。ほら、一口サイズに切ったから取って食べてくれ」

 

美弥「ありがとう、駆君!それじゃあ早速、はむっ…う〜ん、おいひぃ〜!」

 

ミートパスタを食べていた美弥は自分の持つフォークでフレンチトーストを刺して口に運ぶ。その瞬間、美弥は顔が緩んでふにゃふにゃ〜という擬音が似合うくらいにふわふわし始めた。

そんな美弥の姿を見た霊夢と早苗は微笑ましい目で彼女を見つめてこう言った。

 

霊夢「美味しそうに食べるわね〜私も朝食に食べてみようかしら?」

 

早苗「いいですね〜!私も次の朝はそれに決めました!」

 

美弥の美味しそうに食べる姿は周りの人に影響を与えた。

 

美弥「あ、そうだ!駆君、はいこれ!」

 

と美弥は数量のミートパスタを俺の皿に盛った。

 

駆「これ美弥さんのだろ?いいのか?」

 

美弥「だって、駆君のフレンチトースト貰っちゃったからお返しの意味を込めてあげるよ!」

 

駆「別にお返ししなくても良かったんだが…」

 

美弥「私が納得しないの!私だけ貰っちゃって駆君が何も貰ってないなんて不平等でしょ?そんなの嫌だから…」

 

駆「分かった、君のその行為に感謝して頂くよ」

 

俺は美弥から分けてもらったミートパスタを口にする。

麺とよく絡んでいるミートソースはトマトの酸味と甘みが俺の口の中いっぱいに広がり、柔らかなひき肉とゴロッとしたにんじん、シャキっとした玉ねぎの食感が癖になる。最後にパラパラっと上にかかったパルメザンチーズの滑らかな風味が俺の食欲をより一層掻き立てる。

これは美味いな…フォークが止まらなくなってしまうくらいに!

まさか美弥に分けてもらったほんの少しの量だけで、人を虜に出来る料理を作るとは…この料理の美味さの秘訣とはなんだ?どうすれば、この味が出せるんだ?気になる…

 

ガタッ

 

魔理沙「どうしたんだよ駆。いきなり立ち上がって」

 

駆「…てくれ」

 

霊夢「え?何?具合、悪くなったの?」

 

弾「腹でも壊したのか?」

 

といきなり席を立った俺に周りの人達の視線がこちらに集中される。中には心配の声を俺にかけてくれる者もいる。

だが…

 

駆「おい、そこの料理人!俺に料理の秘訣を教えてくれ!!」

 

俺はそんな視線も、心配の声も無視し真っ直ぐに厨房に向かう。

 

早苗「ちょ、ちょっと待ってくださいぃぃ!」

 

と早苗が急いで俺の手を引っ張って引き止めこう言った。

 

早苗「今日は、約束の日ですよ?料理ならまた今度教えてもらいましょうよ!」

 

駆「………すまない、つい熱くなってしまった」

 

早苗に注意された俺は少し気分を落ち着かせる為に一呼吸して席に戻る。

 

駆「心配をかけた…誠に申し訳ない。それと早苗さん、止めてくれてありがとう」

 

早苗「えへへ、そんな気にしないでください。それにいつもクールな、駆さんのレアな一面に周りの皆も驚いていますよ?」

 

早苗にそう言われた俺はテーブルを見渡す。

目を点にして黙っている霊夢と魔理沙。苦笑いをする弾。

 

美弥「熱心だね、駆君!」

 

と何故か俺に関心する美弥。

 

駆「…………この件はもう忘れてくれ」

 

恥ずかしくなってきた俺は静かにそう呟いて残りのフレンチトーストを早急に食い尽くした。

 

駆「ごちそうさまでした」

 

魔理沙「はやっ!?」

 

早苗「駆さん、そんなに詰め込んだら苦しくなりますよ?」

 

早苗の忠告した次の瞬間トーストが喉に詰まった。

 

駆「ぐむっ!?」

 

と情けない声を出す俺。

 

美弥「ほら、水だよ!」

 

美弥から送られてきたコップ1杯の水を一気に飲み干し、喉に詰まってあるトーストを無理やり押し流した。

 

美弥「大丈夫?」

 

駆「すまない…美味くてついな」

 

美弥「あはは!おっちょこちょいだな〜!」

 

そんな俺に美弥は爆笑している

 

駆「俺に言われるまで顔に米粒をつけていた君に言われたくないぞ」

 

魔理沙「え!?そうなの、美弥?」

 

美弥「うぅぅ…!恥ずかしいから言わないでよ〜!」

 

と顔をトマトの如く真っ赤に染め、そしてまるで風船のように頬膨らましてプンプンと怒る美弥。

 

魔理沙「あははは!!」

 

そんなやり取りをみた魔理沙は腹を抱えて爆笑している。

 

ダン「どっちもどっちだな!!ムグムグ…」

 

霊夢「弾、アンタは食べながら喋らないの!」

 

といつもの様に楽しい食事を過ごした…

 

 

 

〜数分後〜

 

 

 

食事を終えた俺達は今、学校を出て人里の街中を歩いている。

 

ダン「カードショップもチラチラと見かけるな…また今度行ってみようかな」

 

人里の風景を眺めながら歩いている弾がふとそう行った。

 

駆「問題は何を売ってるかにもよるけどな」

 

ショップは沢山あってもいいという物じゃない。

そのショップ一つ一つの品揃えも重要だと俺は考えている。

 

ダン「品揃えか…どちらかというと俺は戦いたいんだよ」

 

駆「大会か…君らしいね」

 

美弥「なら駆君は欲しいものでもあるの?」

 

駆「まぁ、改造程度にな」

 

霊夢「なんのデッキ?」

 

駆「それは流石に答えられないな…ここにいる皆があの学校ではライバルなんだ。

そう簡単に敵に教える訳にはいかないな」

 

なんのデッキかを教えて対策をされてしまうのはよろしくない。よって絶対に知られる訳にはいかない。

例え友達と言える仲でもこの世界じゃあかなり貴重な情報となるからだ。

だから、俺は基本1人でカード購入をしている。

 

魔理沙「残念だったな霊夢」

 

霊夢「知っていたけどね〜」

 

駆「しかし、ここはかなり賑わっているな」

 

街中を見渡して俺はそう一言言った。

 

魔理沙「いつもこんな感じさ!ていうか、まるで初めて来たような言い方だな。駆ってさ、外から来たのって最近?」

 

駆「あぁ」

 

早苗「どうやって来たんですか?」

 

と早苗が気になったようで俺に聞いてきた。

 

駆「経緯はあまりいい事じゃない…話すのはやめておくよ」

 

早苗「そう、ですか…ごめんなさい」

 

駆「早苗さんが謝ることは無い。誰にだって色んな過去はあってそれに踏み込んでしまう時もある。

さて、人里を出たら次は森に行くぞ」

 

霊夢「この方向って…」

 

魔理沙「魔法の森?」

 

駆「そうだ」

 

魔理沙「私の家もそこにあるんだぜ」

 

美弥「そうなんだ!じゃあまた今度みんなで行こうよ!」

 

魔理沙「ぐぬ、結構散らかっているからオススメはしないぜ…」

 

魔理沙は苦笑いをしながらそう答えた。

 

霊夢「整理整頓しないから…」

 

そんな魔理沙に呆れる霊夢。

 

魔理沙「夢中になるとつい…」

 

そんな霊夢にアハハと乾いた笑いで答える魔理沙。

 

ダン「魔理沙、分かるよそれ!俺もデッキの構築でいつも散らかるんだよな…」

 

魔理沙「だよな!いつの間にか散らかってるんだよな!!」

 

と魔理沙と弾が意気投合している。デッキ構築で部屋が散らかるのは俺も分かる。と俺はそんな思いを秘めて歩いた。

そして俺達は魔法の森の中の俺の家にたどり着いた。

 

ダン「これが駆の家か!」

 

美弥「洋風!」

 

霊夢「魔理沙の家と似てるわね」

 

早苗「あ、それ思いました!」

 

と上から順に感想言っている。

 

魔理沙「あまり深い場所じゃないんだな」

 

駆「あぁ、すぐに森を抜けられるし人里にも通いやすいから助かっている。

…さて、鍵を開けるから少し待ってくれ」

 

俺はそう言って右ポケットに入っている家の鍵を取りだし鍵穴に刺し込みロックを解除する方向へ回す。

 

ガチャ

 

とロックが外れる音がして扉が手動で開くようになった。

 

駆「中に入ってくれ」

 

と俺は後ろの5人を家に招く。

 

美弥「お邪魔しま〜す!とても綺麗!もしかして買って間もないんじゃないかな?」

 

ダン「結構広いんだな!!」

 

霊夢「羨ましいわぁ〜!私もこれくらいの広さが欲しいわ」

 

魔理沙「おお、中々綺麗!私も見習いたいくらいだ!」

 

早苗「この広さは快適ですね!!」

 

俺の家に入った5人は上から順に感想を言っている。

評価としては結構上らしい。まぁ、悪い気はしないな。この家を提供してくれた女神様に感謝だ。

 

駆「こっち、リビングのテーブルを囲んで勉強会を開こう。

ソファに座るなり、絨毯の方に座るなり好きにしてくれ」

 

俺がそう言うと皆は絨毯の上に座った。

テーブルの高さの方がソファよりも低いとうのがソファに座らなかった理由だろう。

一方の俺は部屋の冷蔵庫を開いて飲み物を確認している。

ここまで歩いてきて少しは疲れただろう。何か冷たいものでも飲んでリフレッシュしてもらわないとな。

 

 

 

〜少年、探索中〜

 

 

 

…う〜ん、色々あるが何が欲しいのか、肝心な事を聞くのを忘れてしまった。仕方ない、1人ずつ聞いていくことにしよう。

 

駆「飲み物は何がいい?コーヒー、オレンジジュース、牛乳、麦茶に赤ワイン……ぬ?なんで酒が冷蔵庫にあるんだ?前に買ってたのかな」

 

ダン「なに?まさかお前、皆に隠れて…」

 

と弾は俺を睨みつけている。そんな彼に俺は圧倒された。

おお、迫力あるな…

 

美弥「え!?駆君、未成年なのにお酒を…?カロリーメイト、レッドブルに追加してお酒をキメたら駆君、体壊しちゃうよ!!」

 

そして美弥は俺の体の心配をしてくれている。

というか、実際に俺は調味料として赤ワインを使うのであって直接飲んだ事は過去1度も無い。とりあえず、疑いを晴らさねば…

 

駆「あ…い、いや料理の調味料で使おうと

 

霊夢「私それにするわ!!」

 

っておい!」

 

俺が言い訳をしようとした時、俺の言葉を遮って霊夢が赤ワインを指名してきた。

 

ダン「というか、霊夢も未成年だろ!?」

 

酒を指名した霊夢に対して声を大にして突っ込む弾。

 

早苗「大丈夫ですよ!そんなに心配しないでください!」

 

とそんな弾を早苗はおさめようとするがそこに美弥も突っ込む。

 

美弥「いやいや!心配するでしょ!?」

 

魔理沙「なんだ?ここは皆、当たり前のように飲んでるぜ?」

 

と、さも当然かのように酒を飲んでることを暴露する魔理沙。いや、それは完全にアウトだろ。

 

駆 美弥 ダン「「「それはダメだろ!(でしょ!)」」」

 

そして魔理沙に俺、美弥、弾は同時に反論した。おお、見事なハモリ具合だな。ここまでの流れが完璧すぎて俺は少しふっと微笑んだ。

 

霊夢「なんでよ〜!」

 

駆「いくらお前達が当たり前に飲んでいようと今日は絶対にダメだ。

酒の中に含まれているアルコールは脳の働きを麻痺させ、集中力や判断力を鈍らせる。今から勉強を始めるのに酔われては困る。分かったなら今日は諦めるんだ」

 

霊夢「わかったわ!そこまで言うなら今日はやめにしておくわ。…麦茶お願いね」

 

駆「分かった。じゃあ他の人は何が欲しい?」

 

早苗「私も霊夢さんと同じ麦茶です!」

 

ダン「俺はオレンジジュースにするかな」

 

魔理沙「アイスコーヒーを頼むぜ」

 

早苗は麦茶、弾はオレンジ、魔理沙はアイスコーヒーか…美弥は何を頼むのだろうか

 

美弥「じゃあ私はコーヒーとミルク合わせてカフェオレ!角砂糖は8個がいいな!」

 

美弥の口から出た注文に俺は驚きを隠せなかった。超激甘コーヒーではないか…

 

魔理沙「ええ!?それはちょっとやりすぎ…」

 

魔理沙も若干引いている。そりゃあそこまで砂糖やミルクを入れないからな…

 

駆「もはやコーヒーでは無いな…」

 

俺も額から汗を流しながら突っ込んだ

 

美弥「いいの、いいの!!私はこれが好きなんだから!」

 

と美弥は頬を膨らましながらそう言った。

ここで激甘コーヒーを注文しているのもコーヒーにだんだんと慣れたいからなのだろうか?

俺も最初はカフェオレから微糖、そしてブラックと少しずつ、ミルクと砂糖を抜いていった。ひょっとしたら彼女はいつかはブラックコーヒーを飲んでみたいと思っているのではないのだろうか?

まぁそんな俺の考察は置いておいて、頼まれた物を取りに行かなくては…

 

駆「わ、わかった。準備してくる。そっちも勉強の用意をしておいてくれ」

 

 

 

〜約1分後〜

 

 

 

注文した飲み物を用意しリビングに行った時にはテーブルにはノート、教科書が広げられていた。もう既に勉強会が始まっていた。

霊夢と魔理沙は国語…漢字をやっているな。

ダン、早苗は科学か…美弥は何やら頭を抱えている。何の教科をやっているんだ?

 

駆「早速始めたのか…ほら、注文されたものだ。受け取ってくれ」

 

俺が皆に飲み物を配っている時、頭を抱えう〜ん…!と唸る美弥。

 

駆「美弥さん、分かるか?」

 

俺は美弥の隣に座り頼まれていた激甘コーヒーを傍に置いて問題を見た。

数学、2乗の因数分解か…授業で中学校の時の復習という名目でやったな。

一応テストにも出すと先生は言っていたな。

 

美弥「これどうすればいいんだろ…?」

 

駆「美弥さん、因数分解はこの4つ公式が使えるぞ」

 

俺は美弥の教科書に公式の載ってあるページを開いて彼女に見せた。

 

美弥「??」

 

が、彼女は首を傾げている。

 

駆「……なら実際に俺がやってみる。説明もするからよく見ておけよ」

 

美弥「うん!」

 

駆「いいか?まずはこの数式を見るんだ。これと対応している公式がこの4つの中のこれだ」

 

俺は教科書に載っている公式の一つに指さす。

 

美弥「ほうほう…」

 

駆「そして、問題の数字を公式に当てはめてやってみると出来るぞ」

 

美弥「なるほど!」

 

駆「わかったか?なら次のこの問題をさっきみたいにやってみろ。勿論、公式によってやり方は違ってくるから注意しろよ」

 

美弥「うん!あ、その前にカフェオレ飲も!」

 

美弥は傍に置いてあったカフェオレを口の中に入れる。

 

美弥「あ〜甘くて美味しいなぁ」

 

そりゃあミルクと角砂糖8個も入れれば甘いよな…

 

美弥「よし!私頑張る!」

 

駆「あぁ、俺も復習を始める。分からないところがあったらいつでも言ってくれ」

 

美弥「ねぇ駆君、これどうすればいいの?」

 

と、俺がそう言った後即座に美弥が困った顔をして尋ねてきた。

どんな問題なのかと思い、俺は美弥が指さす問題を見た。なるほど…これか

 

駆「これはたすき掛けを使う問題だな。すまない、これも教えるべきだった。

たすき掛けというのはな、こうするんだ」

 

美弥「うん、うん…!」

 

駆「そして、この数をこうすれば出来るぞ」

 

美弥「おおお!!」

 

駆「わかってくれたか?」

 

美弥「うん!次は自分でやってみるよ!」

 

駆「頑張れ、美弥さん」

 

問題に面と向かった美弥を応援し、復習に入る。しっかりやって頭に叩き込んでおこう。

 

 

 

〜少年少女、勉強中〜

 

 

 

とりあえず、ここまで数学は復習出来たな。俺はリビングの時計を見て時間を確認した。時計の針はもうすぐ12時を指す所だった。もうすぐ昼、ご飯の用意をしなければな…

 

駆「そろそろ昼食の準備をする。皆はその調子でやっていてくれ。

出来上がり次第呼ぶ」

 

俺は手に持つシャープペンシルを筆箱に戻し席を立ち、台所へ向かう。

 

早苗「私も手伝いましょうか?」

 

駆「気持ちはありがたい。だが、今日は俺が振る舞うと言ったからな」

 

霊夢「駆合わせて6人分よ?大丈夫?」

 

駆「任せろ。いいものをご馳走する」

 

霊夢「わかったわ!楽しみに待ってるからね!」

 

そう言った霊夢に俺は頷いて料理の支度をした。

今回、俺が作ろうと思っているのはオムライスだ。

さて、まずは玉ねぎをみじん切り、鶏もも肉は一口に食べやすいサイズにカット。

そうしたら、フライパンにバターをいれ中火からスタートする。

ジュワ〜というバターが溶けていく音、それと同時にバターの香りが鼻をつく。

バターが溶けてきたら玉ねぎと鶏もも肉を入れ、それぞれの色を見ながら炒める。そこにトマトケチャップを適量加えて絡ませる。

…………よし、このタイミングでいいだろう。俺はスタンバイしていたご飯を追加でフライパンに入れる。

そして、木べらで切るようにして炒めご飯がパラッと且つケチャップに馴染んできたら火を止め1度ボウルに移す。

次は卵だ。別のボウルに卵を2個、牛乳と塩を少々加えて白身と黄身が混ざるまで溶く。

それが出来たら、フライパンにサラダ油を入れて溶いた卵を入れる。火は中火だ。

菜箸でサササッと一部をかき混ぜ、半熟になったら火を止める。

最後にボウルに移してあったチキンライスをさらに適量を盛り付け、その上にトロトロの半熟卵を乗せる。あとはお好みでケチャップを付ければ完成だ。

これをあと5人分作るのだが、卵の消費が半端じゃあない。明日、卵の買い出しに出るか…

 

 

 

〜そして数分後〜

 

 

 

駆「…待たせたな。これで全員分だ」

 

俺は台所の横のテーブルに俺を含めた6人分のオムライスを用意した。

 

ダン「おおお!美味しそうだな!」

 

美弥「…す、凄いよ駆君!勉強も出来て料理も出来るなんて!(うぅ…ほんとに凄いとしか言えないよ…私も料理上手く出来たらなぁ…)」

 

早苗「本格的ですね!!」

 

霊夢「味は…どうなのかしら?」

 

魔理沙「食べてみないと分からないから早速いただきまーす!!」

 

魔理沙は誰よりも先にスプーンを手に取りオムライスをすくって口の中に入れる。

 

駆「どうだ?魔理沙さん」

 

魔理沙「あぁ………美味しい!!」

 

そう一言言った魔理沙は黙々とオムライスを食べている。

 

ダン「なら、俺も!」

 

美弥「いただきまーす!!」

 

魔理沙に続き、弾と美弥もオムライスを食す。

 

ダン「これは美味いよ、駆!」

 

美弥「うん!うん!」

 

早苗「私達も食べましょ!」

 

霊夢「腹が減っては戦は出来ないからね」

 

早苗、霊夢もスプーンを持ちオムライスを食べる。

 

霊夢「美味しい…!」

 

早苗「ぜひ、レシピを教えて欲しいです!」

 

と、早苗がキラキラした目でこちらを見てきた。

 

駆「ハハ、そうか?」

 

早苗「今度一緒に作ってくれませんか!?」

 

駆「俺で良ければ…」

 

早苗「ありがとうございます!!」

 

早苗が満面の笑顔で喜んでいる。そして俺は美味しそうに食べる5人を見ていた。

俺の料理をこんなに美味しく食べてくれる人がいる…とても嬉しいことだ。

 

駆「皆の口にあって良かった。俺も頂こう」

 

俺は1口、ケチャップの乗った卵とチキンライスを同時に頬張った。

 

To be continued…




次回予告
他人に自分を忘れられるという事
俺にとってそれは………

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-25 心を氷に閉じ込めて


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Turn-25 心を氷に閉じ込めて

1ヶ月の時を超え、やっと投稿することが出来た男。マグナでございます。
ちょっとリアルが忙しくなりつつもありますが、頑張って執筆を続けていくのでどうかドラえもんの様な暖かい目で見守ってください!

それではどうぞ!!


オムライスを完食した俺、そして美弥達はまた勉強に戻り始めた。

その後も積極的にわからない所を聞いてくる美弥に俺は関心し、そして安心した。

学習意欲があるのはとてもいいことだ。彼女の成績も直ぐに伸びるだろう。

 

美弥「えへへ、ありがとう!駆君!これならテストもバッチリかも!」

 

駆「美弥さんの向上心は素晴らしいよ。この調子で続けていけば必ずいい点が取れるさ」

 

感謝してくれた美弥に俺はそう答えた。

 

美弥「うん!私、頑張るね!」

 

駆「さ、続けようか。また分からないところがあったら遠慮せずに聞いてくれ」

 

俺は美弥にそう伝えてペンを走らせる。

 

霊夢「駆と美弥、いつも仲良いわね〜!」

 

駆「そうか?」

 

俺と美弥の会話を見ていた霊夢が頬杖をついて微笑みながら俺と美弥に言った。

 

ダン「本当にいい雰囲気だよ。二人とも」

 

弾も早苗もウンウンと頷いている。そして次に魔理沙は最大級であろう爆弾をこの場に投下した。

 

魔理沙「もしかして、私たちに内緒で付き合ったりしてるのか〜!?美弥〜!」

 

ニヤリとした表情を浮かべながら魔理沙は美弥につっこんだ。

…そのセリフ、前に何処かで聞いたような…

あぁ、あのアイドルオタクの人からだったな。

 

美弥「え……えっ!?ちょ、ちょっと待って!」

 

勉強に集中していた美弥はワンテンポ遅れて驚いた。

 

魔理沙「どうなんだよ〜!」

 

そんな美弥に魔理沙は追い打ちをかけていく。

 

美弥「ちょ、ちょっとそんな、いきなり言われたら…ううううう!」

 

周りの情報処理に対応出来ず、容量が限界に達した美弥が力なくテーブルに突っ伏した。

こういった不意打ちに彼女は弱いらしい。まぁそれもそうだよな。いきなり起こったことを即座に理解し対応するのは簡単なことじゃあない。

 

魔理沙「あ、おーい美弥、大丈夫か〜?」

 

突っ伏している美弥に魔理沙は声をかけるが反応が無い。

 

霊夢「全く、アンタが強引にするから…」

 

そんな魔理沙に霊夢が頭を抱えて呆れている。

 

魔理沙「どうしても気になってさ〜」

 

そしてテヘペロ☆の表情で後頭部をさする魔理沙。

俺が見る感じ、この2人も仲がいいと思う。まぁ、東方projectでは定番中の定番と言えるコンビだからな。

 

早苗「なら、駆さんに聞いてみたらどうです?」

 

魔理沙「確かに!どうなんだ?駆!!」

 

早苗の案に乗った魔理沙がキラキラした目で俺の正面にまで近寄って質問をしてきた。

ち、近い……魔理沙の顔が凄く近い…

俺は彼女の勢いに少し後ろに下がったが逃がすまいとして俺が下がった分近付いて来た。

 

駆「……………魔理沙さん、期待させて悪いけど俺と美弥さんはそういった関係じゃあないんだ」

 

魔理沙「え〜〜〜!!!てっきり付き合っているのかと思ってたんだけどなぁ〜!」

 

駆「でも仲がいいっていうのは否定しない。さぁ勉強を再開だ」

 

魔理沙「ぐぅぅぅ!!勉強ばかりじゃあ流石に辛いぜ…

休憩でバトスピはどうだ?」

 

駆「たしかに勉強ばかりだが、今日はそういう日では…」

 

美弥「私もバトスピしたい!!」

 

駆「み、美弥さんいつの間に復活を…しかし…」

 

いきなりガバッとテンションの高い美弥が起き上がり、便乗してきたので少し驚いた声を出してしまった。

 

早苗「駆さんは真面目過ぎるんですよ!気分転換にやりましょ!」

 

駆「…………わかった。なら今からバトスピだ。皆、外に出てやろう」

 

3人の意見に圧倒された俺は渋々それを承諾した。あぁ、せっかくの勉強会が…

 

霊夢「バトルアーマーを着てやるの?」

 

駆「あぁ、やるからには本格的にしないとな」

 

美弥「やった!!早く!皆いこ!」

 

ダン「バトルになるとテンションが高いな!」

 

美弥の切り替えの速さを見た弾がそう言った。でもバトルになるとテンションが上がるのは美弥だけじゃあ無い。

弾、君もその1人だろ?

 

美弥「それは弾君も一緒だよ!」

 

ダン「あぁ、俺もバトルが好きだから喜んで参加するよ。でもその前に駆と話したいことがあるから霊夢達は先に行っててくれないか?」

 

早苗「話したいこと?来週のバトルの事ですか?」

 

ダン「それもあるけど、とにかく先に行っててくれ」

 

魔理沙「わかった、なら先に行ってるぜ!」

 

 

 

そして霊夢、魔理沙、早苗、美弥の4人は俺の家を出ていった。

リビングに残ったのは俺と弾の2人…

一体なんの話をするんだ?

 

駆「で、話ってなんだ?」

 

ダン「…単刀直入に言うよ。駆はなんで俺のことを知っているんだ?

前々から気になっていたんだ。この学校で知り合うまで俺と君達との接点は無いはずだ」

 

と真っ直ぐな目で俺を見る弾。

 

駆「…なるほど、そういう話だったのか。確かに俺はここで君と知り合う前より君のことを知っている。それは…………………」

 

俺はその訳を話そうとして止めた。もし、仮にこの話をしたとして弾はどう思う?自分が人によって作られた架空の存在で自分の未来、最期さえ決められていたことを今ここで知ったらどうなる?

彼のことを思うならこれは言わない方がいいのか…?

 

ダン「どうした?いきなり黙って」

 

駆「………これは言うべきなのかと思ってな」

 

ダン「?」

 

駆「俺が君を知っている理由を仮に話したとして、君はどう思うのかと考えていた。

君が構わないのなら話すが…どうする?」

 

そういった時彼の顔が暗く、より一層真剣な眼差しをこちらに向けてきた。

 

ダン「……話してくれ」

 

それを聞いた俺は弾にどんなことを言われても受け止めることが出来る覚悟の準備が出来たと理解した。

 

駆「傷つく覚悟は出来たと思って話すぞ」

 

ダン「あぁ…!」

 

一息ついた俺は次のことを彼に話した。

 

駆「まず、俺の外の世界にとって馬神弾、君はアニメのキャラクター。人によって作られた架空の人間なんだよ」

 

それを聞いた彼の真剣な顔が驚きに変わった。

いきなりこんな非現実的な事を言われたら誰だって驚くだろう。

 

ダン「そ、それは本当なのか!?」

 

駆「あぁ、マギサ先生も勿論。コアの光主達、未来世界のバローネ、プリム、ユース…君と共に歩んで来た彼らも君と戦った異界王達も全てが君と同じアニメの中の存在。そしてグラン・ロロ、未来の世界も全てが人が作り出した架空の物だ」

 

ダン「そう、か…俺達がアニメの中のキャラクターならお前が俺を知っているのに理由がつく…」

 

とそう呟いた弾はソファに深く座り込んでしまった。

 

駆「……ショックか?」

 

ダン「あぁ、かなりのダメージだよ…まさか俺が…」

 

駆「残酷なものだな…自分たちが架空の人間でしかもその先の運命さえ決められてしまっているんだから…」

 

ダン「………」

 

駆「だが、気にする必要は無い。架空だったとしても命は命、今ここにいることには変わりないんだ。それにここは忘れ去られてしまった者達が集う楽園なんだ。

だから、君はきっとこの世界で生きていける」

 

ダン「…そう言ってくれると嬉しいよ。なぁ、駆」

 

駆「なんだ?」

 

ダン「忘れられた者達がここに来るってことは、俺はまゐやクラッキー達にも忘れられているって事なのか?」

 

駆「そうだろうな…この世界と外の世界は結界で切り離されているらしいからな」

 

ダン「そうか…………………っ!」

 

弾は歯を食いしばり右手をグッと握りしめた。

自分がアニメの存在だと知り、しかも今まで支え合い戦ってきた仲間達にも忘れ去られている。彼にとってこれはとてつもなく辛いことなのだろう。

 

ダン「駆は…駆は大丈夫なのか?家族に友達に自分のこと忘れられてるのは……」

 

駆「…!」

 

弾からその問いかけをされた時、俺の脳裏に外の世界の彼らが浮かんだ。

二度と思い出したくない相手達、俺も忘れたいと願った相手。

俺は弾から顔を逸らした。今の俺は多分酷い顔をしているだろう。

 

ダン「駆?どうした?」

 

弾はいきなり顔を逸らした俺を心配して声をかけてくれた。

俺はゆっくりと口を開き静かにこう言った。

 

駆「俺は…………いいんだ。あんな人間達に忘れ去られても…むしろ、そうしてくれた方がありがたい。

…望むなら、俺もアイツらをあの世界を忘れたかった」

 

ダン「駆…何があったんだ?」

 

駆「………そうだな、じゃあ君だけにうち明かす。俺の過去を、外の世界での出来事を君に話す」

 

 

 

一方その頃

 

 

 

美弥「ぐぬぅぅ〜!強いなぁ霊夢ちゃん!」

 

霊夢「こっちも防御札が引けなかったから危なかったわ!ギリギリの試合だったわね!」

 

ライフで受けた衝撃で倒れた私に霊夢ちゃんは手を差し伸べてくれた。

 

美弥「今度こそ勝つんだからね!」

 

私は差し伸べられた手を掴んで立ち上がった。それにしてもこんな強い人に駆君勝ったんだよね…本当に凄いなぁ〜!

それにしても駆君と弾君遅いな…どうしたんだろ?

 

霊夢「ねぇ、美弥」

 

美弥「ん?どうしたの?」

 

霊夢「駆と弾、遅くない?」

 

お、さっき思ってたことをここで話してくれた霊夢ちゃん。

タイミングいいね!

 

美弥「確かに私もそう思ってたんだ。じゃあ、私見に行ってくるから、霊夢ちゃん達で次は誰と対戦するか決めておいて!」

 

私はバトルアーマーを解除して駆君の家に向かって走り始める。

 

霊夢「任せなさい!じゃあ美弥の方もお願いするね!」

 

美弥「は〜い!」

 

私は霊夢ちゃんにそう返事した後駆君の家に入ってリビングの部屋のドアを開けようとした時、いきなり駆君の言葉が耳に入ってきた。

 

駆「………そうだな、じゃあ君だけにうち明かす。俺の過去を、外の世界での出来事を君に話す」

 

それを聞いた私はドアノブに手を伸ばすのを止めてドアの横の壁にもたれて聞く体勢をとってしまった。本来なら駆君と弾君を呼ばなきゃならないのに……

さっきの駆君の言葉で寮の部屋で聞けなかった駆君の昔のことをふと思い出した。

あの時、話してくれなかったから凄く気になっていたんだ。「彼の事を知りたい」その気持ちが膨らんで多分、足を止めてしまったんだと思う。

でもこの前の駆君は私に話してくれなかったけど、弾君には話せるんだね…

異性だと相談しにくいのかな?それでも駆君には言って欲しかった…彼の力になれると思ってたのに…

 

 

 

side change

 

 

 

ダン「あぁ」

 

駆「嫌なら途中で言ってくれ」

 

ダン「わかった」

 

俺は彼に外の世界での出来事を全て話した。

父は借金を行い日々暴力と酒と怒鳴り声をあげていたこと。生活を維持しようと頑張る母は毎晩のように泣いていた。家での夫婦喧嘩は絶えることは無かったこと。

それが原因で学校では虐めを受け、クラスメイトと担任教師はそんな俺を助けることなくその光景をただただ傍観していたこと。そして唯一俺を支えてくれた叔母さんが赤信号を無視して突っ込んで来た車と衝突で即死したこと。

度重なる不幸に心が折れた俺がビルから飛び降り自殺を行ったことを…

話している最中に俺は何度か弾の顔を伺ったが彼は真剣な表情で俺の話を切ること無く全て聞いてくれた。

それが少し嬉しかった。辛かったが少し楽に話せたというのがあった。

 

駆「………これで全部だ」

 

ダン「そうか、辛い過去…だなでも死んでしまったお前がなんでここに?」

 

……痛いところをつかれてしまった。

神様の力で転生…なんて事は言えないし、適当に誤魔化すことが出来ればいいんだが…

 

駆「それは言えないお約束ってやつだ」

 

と試しに言ってみる。

 

ダン「そうか…」

 

俺の答えに対し弾は納得した様子で頷き言葉を続けた。

 

ダン「…でも俺はお前に生きていて欲しかったと思う。

お前なら……立ち直ることが出来たんじゃないのか?」

 

駆「……確かに君の受けてきた悲しみに比べたら俺の過去はちっぽけなことだろう。たが、俺には無理だった。立ち直ることが出来なかったから俺は死んだんだ」

 

ダン「……心残りはないのか?」

 

駆「心残りか……産んでくれた母には申し訳ないと最初は思ったさ。あの人はいい人だったからな。でもあの人は父と結ばれるべきではなかった。

俺を…産むべきでは無かった」

 

ダン「駆…!それは言うべきじゃない!!」

 

俺がそういった瞬間、弾はソファから立ち上がり俺の服を鷲掴みにして叫んだ。

 

ダン「自分を否定しちゃダメだ…!」

 

駆「……いやでも否定したくなる。俺は君ほど強い人間じゃ無い」

 

俺は静かにそう言った後服を掴んでいる彼の手を振り離した。

 

ダン「駆……!」

 

駆「………やはり、この話は言うべきじゃ無かった」

 

 

 

side change

 

 

 

駆「………これで全部だ」

 

美弥「駆君…」

 

私は…あの話を駆君の過去を全部聞いてしまった。

…悲しくて悔しくて、私はスカートをギュッと握り締めて聞いていた。途切れ途切れの話し方に声が少し震えていたのもあって本当に辛かった事なんだと思った。

駆君はきっと私が悲しくなってしまうことが分かってたから言わなかったんだ。自分の事で相手に辛い思いをさせたくなかったからなんだ…

 

ダン「……心残りはないのか?」

 

駆「心残りか……産んでくれた母には申し訳ないと最初は思ったさ。あの人はいい人だったからな。でもあの人は父と結ばれるべきではなかった。

俺を…産むべきでは無かった」

 

美弥「!!!」

 

弾君の問いかけに答えた駆君が発した言葉は自分が自分に言ってはいけない言葉だった。

確かに駆君は辛いことばっかりで心が折れちゃうかもしれないけど、それでも…自分自身を全否定したらダメだよ…!!

私は今、初めて駆君に対して真剣に怒ってる。自分を大切にしない駆君に。

 

美弥「駆君、そんなこと言っちゃ…

 

ダン「駆…!それは言うべきじゃない!!」

 

えっ?」

 

私が駆君に話しかけようとリビングに入ろうとドアノブに手をかけようとした時、ドタドタと騒がしい音がリビングから響いて私はビックリしてその手を引っ込めた。

え?なに、何が起きてるの?

 

ダン「自分を否定しちゃダメだ…!」

 

騒がしい音が治まった直後に弾君が駆君に必死に訴えかける声が聞こえた。

たぶん、あの騒がしい音は弾君が駆君にかけよった時の音なのかな?分からないけど…

 

駆「……嫌でも否定したくなる。俺は君ほど強い人間じゃ無いんだから…」

 

そして、強く訴えかける弾君に対して駆君は冷たく、弱々しい声でそう言った。

駆君のあんな声、初めて聞いたよ…

私も辛くなってしまったのか目から涙がポロポロと流れ落ちている…もう、こんなんじゃ2人を呼びに行けないよ…

 

 

 

side change

 

 

 

駆「………やはり、この話は言うべきじゃ無かった」

 

俺は一言、呟いたあとリビングのドアを開けて部屋を出た。

 

美弥「あ、駆君…」

 

すると、ドアの目の前に美弥さんが立っていた。

 

駆「ん?…美弥さん、そんな所に突っ立ってどうしたんだ?」

 

美弥「あ…!あの、駆君と弾君中々出てくれないからどうしたのかな?って思って、来たんだ…」

 

俺の質問に対して少し戸惑った様子を見せた美弥はそう答えた。

あぁ、そんなに待たせてしまっているのか…後でみんなに謝らないとな。

 

駆「…そうか。丁度、話が終わった所だ。弾君はまだリビングの中だから呼ぶなら中に入ってくれ…っておいおい、スカートがくしゃくしゃに乱れているじゃあないか。ちゃんと綺麗にしておかないとダメだろ?」

 

俺は彼女の乱れてしまっているスカートを指差して注意した。

 

美弥「えっ……あ…!そうだね…」

 

と不安定な反応する美弥。いつもと様子が変だな。

こんなに元気の無い彼女を見たのは初めてかもしれない。

それに顔に涙の跡がある…彼女、いったいどうしたのだろうか?聞いてみよう。

 

駆「…いつもの元気が無いな。何かあったのか?」

 

美弥「……うんん、何でもないよ駆君。アハハ、恥ずかしいところ見せちゃったな…」

 

俺の問いかけに対して美弥はそう言った。

 

駆「そうか………誰だって話したく無いことは1つや2つあるさ」

 

美弥「駆君、ありがとう…!あ、弾君呼ばないといけないね」

 

駆「そうだな…おーい、弾君!!」

 

俺はリビングにいる弾を呼んだ。

 

ダン「あぁ、準備は出来てるよ。さぁ、バトルしに行こう…!」

 

少し控えめに答えた弾。さっきの話のせいだろう。無理もないか…

 

美弥「うん!」

 

そして、俺と弾と美弥は家の外に出た。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

魔理沙「もう!遅いぞ〜!」

 

俺、美弥、弾の3人が玄関から出た瞬間、魔理沙が頬を膨らませながらズカズカと歩いてきた。

そんなに待たせていたのか…

 

美弥「ご、ごめんね!ちょっと長引いちゃってたらしくて…」

 

魔理沙「そうだったのか…でもいいや、これで皆とバトルができるようになったな!」

 

駆「所で組み合わせはもう決まっているのか?」

 

早苗「それなら私達が既に決めてますよ!駆さんの相手は私です!よろしくお願いしますね?」

 

霊夢「ちなみに弾の相手は私よ!」

 

駆「そうか…なら早苗さん、対戦よろしく頼む。弾君も健闘を祈るよ」

 

ダン「ありがとう…駆。始めよう霊夢!次も勝たせてもらうぞ!」

 

魔理沙「よし!私の相手は美弥だぜ!」

 

美弥「うん!私、絶対負けないからね!!」

 

俺達はそれぞれの対戦相手を決めた。俺を含め皆気合い十分の様子だ。

俺は早苗との対戦の為コアケースからソウルコアを取り出す。

 

駆「バトルアーマー……オン!」

 

ソウルコアを握りしめ静かにそう呟いたと同時に俺は漆黒の装甲を身に纏った。

戦う準備は出来た。俺は空中に向けてバトルアーマーのブースターを吹かせた。

 

 

 

そして時間は進み…

 

 

 

現在、日が沈み、月が出始める頃。十分バトルを楽しんだ俺達の勉強会はついに終わりを迎えることになった。

 

早苗「今日はとても楽しかったです!ありがとうございました!」

 

霊夢「またこういうのやりましょ!」

 

魔理沙「絶対やろうぜ!みんな、またな!」

 

弾「今日は楽しかったよ!また来週会おう!」

 

と4人は言い、それぞれの帰る家へ向かって歩いていく。

 

美弥「みんな、また学校で会お〜!」

 

駆「夜道には気を付けて帰ってくれよ」

 

そしてその4人を俺と美弥が見守る。

…ん?何故美弥がここに居るんだ…?

1度聞いてみよう。

 

駆「…ところで、なんで美弥さんがここに居るんだ?帰らないのか?」

 

美弥「じ、実はね……」

 

と聞いてみたら彼女は何故か顔を赤くして言いにくそうにモジモジしている。

 

美弥「う、うっかり家の鍵学校の寮に忘れてきちゃった…」

 

そして俯きながら小さな声でそう言った。

 

駆「全く、出発する時に大丈夫か確認したのに…どうするんだ?」

 

美弥「ど、どうしよう…アハハ…」

 

駆「暗くなってきているし、今更鍵を取りに行くというのも危険だ。仕方ない…一晩、泊まっていくか?」

 

美弥「え、いいの!?」

 

彼女は目をキラキラさせながら俺を見つめてきた。

 

駆「あ、あぁ…女性用の下着は無いが、ジャージなら貸せる。ベッドもあるし特に問題は無い」

 

美弥「ありがとう、駆君!」

 

美弥は満面の笑みを浮かべて俺に感謝してくれた。

こんな女の子を家から追い出して野宿させる訳にもいかないし今夜だけだ。彼女には明日、寮に鍵を取りに行ってもらう事にしよう。

 

駆「さぁ、入ってくれ。そろそろ夕食の時間だ。準備をし始めないとな…」

 

美弥「何作るの?駆君!」

 

駆「そうだな…君の好きな料理はなんだ?」

 

美弥「私の好きな食べ物…ハンバーグ食べたいなぁ〜」

 

駆「ハンバーグか…分かった。なら、今日はそれを作ろう。早速取り掛かる」

 

美弥「やった!!私の大好きなハンバーグだぁ!」

 

駆「相変わらずテンションが高いな。でも君にも少し手伝ってもらうぞ?」

 

美弥「わかった!任せてよ!」

 

そんな会話をしながら俺と美弥は家の中に戻り、料理の準備に取り掛かる。

 

駆「ちなみにいつ鍵を忘れたのに気がついたんだ?」

 

美弥「部屋で帰る準備をしていた時かな…アハハ」

 

駆「そ、そうか…」

 

俺も美弥も苦笑いしてエプロンを付ける。

 

駆「じゃあ、俺はメインのハンバーグを作るから美弥さんは野菜を切って盛り付けてくれ。

わかっていると思うが、包丁を扱う際は猫の手を意識して野菜を持つんだぞ。安全第一、怪我はくれぐれもしないようにな」

 

美弥「猫の手だね!ニャンニャン!」

 

と美弥は両手を猫の様な形にしてポーズをとる。

 

駆「……本当に大丈夫だろうな?」

 

結構マジな話のつもりだった故にこういう返しをされるとは思わなかったので心配の意味を込めて俺は彼女にそう言った。

 

美弥「だ、大丈夫だよ!というか駆君!少しは乗ってくれてもいいんじゃないかなぁ!?」

 

俺の心配に対して美弥は頬を膨らませてそう言った。乗ってくれてもと言われてもどう反応すればいいか分からないんだよこっちは…

 

駆「…と、取り敢えず料理開始だ。頼んだぞ」

 

なんというか、出端を挫かれてしまったが俺達はそれぞれ担当を決め料理をスタートする。

ハンバーグか…手間は少し掛かるが慣れれば簡単なものだ。とは言っても最近作ってない。久しぶりに作るから味に自身は無いな…果たして美弥に満足してもらえるハンバーグを作れるのだろうか?

俺はそう思いながら挽肉やパン粉、牛乳、その他調味料の入ったボウルに手を突っ込みそれらをこね合わせ、3~5等分に分ける。

それが出来たらフライパンに並べ中火で焼く。表面が丁度いい色になってきたら1度ハンバーグを取り出し、フライパンにトマト缶のトマト、しめじを入れて煮込みはじめ5、6分たったらさっきのハンバーグを加え弱火で尚且つフライパンに蓋をし、さらに煮込む。

少し待つので美弥の進み具合をチラッと見てみよう。

 

美弥「フンフフフ〜ン♪」

 

鼻歌を歌いながらトマトをカットしてくれているようだ。

楽しんでいるようで何よりだ。

 

駆「こちらも、いい頃合いか…」

 

フライパンの蓋を開ける。その瞬間、トマトのいい香りが部屋に広がる。

中にはグツグツと煮込まれたハンバーグが出来上がっている。

 

美弥「わぁ〜!いい匂い〜!」

 

駆「見た感じ出来はいい。美弥さん、野菜は切り終えたか?」

 

美弥「タイミングいいね!こっちも出来てるよ!」

 

と綺麗にカットされた野菜を俺に見せ、ふふーん!とドヤ顔をしている。

 

駆「なら、盛り付けに入ろう。済まないがテーブルの後ろの棚、上から2段目に食器があるから持ってきてくれないか?」

 

美弥「うん!」

 

美弥は言われた通り食器を持ってきてくれた。

 

駆「ありがとう」

 

皿を受け取った俺はその皿に煮込まれたハンバーグとしめじの煮込みスープをその上にたっぷりとかける。

そして美弥さんが切ってくれた彩り野菜を盛り付けて完成だ。

 

駆「これで完成だ」

 

テーブルに自分と美弥の分を置き、冷凍庫から小分けにして置いておいた丸パンを取り出し自然解凍させる。

 

美弥「お、丸パンだ!駆君ひょっとしてパンも作れるの?」

 

丸パンを解凍させている所に美弥が興味津々に聞いてきた。

 

駆「いや、パンは流石に作れないな…これは買ってきたものだ。今日はこれもいただくとしよう」

 

そして、解凍させた丸パンを数個オーブンに入れて3〜4分ほど低温で焦げないように焼く。

その間食器フォーク、ナイフなどの食器をテーブルに並べていく。

 

駆「美弥さん、飲み物は自由に選んでくれて構わないぞ」

 

美弥「駆君ありがとう〜!じゃあ駆君の分も出しておくね?」

 

駆「あ、あぁ。ならコーヒーを頼む。後はパンの用意だけだから美弥さんは先に座っていてくれ」

 

美弥「うん!」

 

飲み物を俺の分まで用意してくれた美弥に感謝しつつ、オーブンから取り出した丸パンを更に盛り付けてテーブルに持っていく。

 

駆「これで準備は終わったから早速食べようか」

 

美弥「そうだね!じゃあいただきます!」

 

そう言うと美弥は煮込みハンバーグを一口サイズに切り分け口の中に入れる。

 

美弥「はむ…う〜ん!美味しいよぉ〜駆君!」

 

美弥はハンバーグの美味しさのあまりにとろけるような顔になってしまっている。

 

駆「どうやら大成功のようだな。なら俺もいただきます」

 

ハンバーグをナイフで切った瞬間、中から肉汁が流れ出てくる。

そして煮込みソースのしめじと合わせて口に入れる。

うむ、トマトの煮込みソースの甘みと酸味に加え柔らかく口の中でとろけるハンバーグの旨みが見事にベストマッチしている。

美弥が美味しそうに食べてくれて俺の方は満足だ。

 

駆「食器の方は後で俺が洗って片付けておくから、美弥さんは先にお風呂に入ってくれ」

 

そういった時、美弥は食べる手を止めて申し訳なさそうにしてこう言った。

 

美弥「ありがとう…ここまでしてくれて、何だか申し訳無くなってきちゃったよ」

 

駆「遠慮はするな。それに、こんな暗く危ない外を君1人で野宿させる訳にもいかないだろ?ほら、早く食べないと君の大好きなハンバーグが冷めてしまうぞ?」

 

美弥「うん…!!」

 

美弥は申し訳ない顔をから一転、満面の笑顔でハンバーグを頬張り始めた。

俺も冷めないうちに食べ尽くしてしまおう。ハンバーグの美味さ故に食欲が増した俺は食べる手を休める事は無かった。

 

 

 

そして食事も終わり、美弥も俺もお風呂に入り寝る時間になった。

 

駆「俺の部屋に行こう。一応寝室のだからな」

 

美弥「ね、ねぇ駆君…」

 

俺が自分の部屋に行こうとした時、美弥に呼び止められた。

一体何の用だろう?

 

駆「どうした?」

 

美弥「あ、あの時…私が駆君を呼びに来た時あったよね」

 

駆「あぁ、廊下で鉢合わせた時の…

その時に何かあったのか?」

 

美弥「そ、その時聞いちゃったの…駆君の昔のこと」

 

美弥は言いにくそうに小さな声でそう言った。まさかあの会話が弾以外にも聞かれていたとはな…

 

駆「!!……そうか」

 

美弥「ごめんね…隠れて聞いちゃってて、その事で言いたいことがあるんだ」

 

まぁ聞かれてしまっては仕方の無いことだ。それよりも美弥が俺に言いたいこと…俺のここに来る前の話のことに、ついてか…

 

駆「それで、言いたいことって何だ?」

 

美弥「駆君、自分は生まれなきゃ良かったって言ってたよね…でもそんなこと言っちゃダメだよ!弾君も言ってたけど、貴方は自分の事もっと大切にしてよ!!確かに駆君の過去は辛かったけど…それでも、それでも…!」

 

美弥は涙目になりながら真剣に語りかけて来てくれる。だが…

 

駆「美弥さん、残念だけどそれは本当に体験した人にしか分からないことなんだよ。自分がいかに愚かで生きる価値のないと存在ということを嫌でも思い知らされてしまうんだよ」

 

バチン!!

 

といった音がなったその数秒後、俺の左頬に衝撃と痛みが走った。

俺は美弥に叩かれているのだ。

 

美弥「う、うぅ…ぅぅ…」

 

俺は驚いて彼女を見た。彼女は泣きながら俺を見ていた。

 

駆「美弥さん、いきなり何を…」

 

俺は叩かれた左頬を抑えながらそう言った。

 

美弥「嫌い!自分の事大事にしない人なんて大嫌い!!なんで?なんでなの!?貴方にとって自分は生きる価値のない人間だって思っていても、貴方を大切だと思ってくれている人は貴方の叔母さん以外にも絶対にいるよ!!その人が…残された人が貴方が自殺したのを知ってどう思っているか考えた事ある!?」

 

美弥は涙を流しながら必死に俺に訴えかけた。だけど、俺の心には響かない。何故なら俺を大切に思ってくれていた人は叔母さんしかいないからだ。

 

駆「…なら俺の事を大切に思っている人がもし叔母さん以外にいるのならどうしてその人は俺を助けてくれなかったんだ?」

 

美弥「そ、それは………」

 

駆「残念ながらいないってことだ。あの人以外に俺を大切にしてくれたのは…それが何よりの証拠だ」

 

美弥「もう、もう知らない…駆君なんて」

 

諦めてしまったのだろう。彼女は小さくそう言って俯いてしまった。

 

駆「…好きにすればいい。俺にとって君の俺に対する評価はどうでもいいことだ。俺はもう寝る、好きなタイミングでベッドに入れよ」

 

美弥「うぅぅ…ぅぅああ…」

 

泣き崩れた美弥を横目で見て俺は自分の寝室に入り、敷布団の準備をして眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはりあの時、あの話をするんじゃ無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の心に閉じ込めておくべきだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued………




次回予告
約束バトル。
目的はくだらないけど。
昔から1度でもいいから対戦してみたかった。

テレビ画面に映る本物の憧れと

次回、バトルスピリッツ欠落

Turn-26 ブレイブ✕ブレイヴ


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Turn-26 ブレイブ✕ブレイヴ

どもども!マグナでございます。今回は早めの26話投稿!
ちなみに今回はちょっと短めです( ^ω^ )
色々と雑なところありけりですけれども見守ってくださると嬉しみが深いです。
それではお楽しみください!


月曜日の朝、教室にて俺は1時間目の授業の準備をしているところだ。

結局のところ美弥と言い合いになってしまった勉強会の日の翌日の朝、俺が目を覚ました頃には彼女は家から出ていってしまったようで彼女の姿は確認でき無かった。

あの日の夜に貸したジャージは綺麗に畳まれリビングのテーブルの上に置かれていた。

その日は不足した卵の買い出しの目的で外出をしただけで特に学校の誰かと偶然出会うこともなかった。帰宅後、弾との対戦で使用するデッキの調整を行っていたのだが、3枚積んでいたとあるカードが1枚しかデッキに入ってなかったことがかなり謎だった。仕方なく、サブプランとして用意していた差し替えカードを使うことにしてデッキは完成した。

あのカードを中心とした戦術は成功しにくくなってしまったが、今回のサブプランを用意しておく事でデッキの戦術は格段に広がった。

彼との対戦ではこのデッキを使おうと思っているのだが、この世界に来てまだ1度も使用していないデッキだ。理想の動きが出来るかは俺の調整と腕、そして運にかかっている。

 

美弥「みんな、おはよ〜!」

 

元気に挨拶をしながら美弥が教室に入ってきた。あの日から全く彼女と話はしていない。

部屋の鍵はちゃんと閉めてきたんだろうな?と思いながら俺は数学の教科書、ノートを机の上に置く。

 

レイ「駆君、おはよ!」

 

右隣からいきなり俺を呼んでいる声が聞こえたので振り向いた。

そこにはレイが笑顔で挨拶していた。

 

駆「あぁ、レイさん。おはよう」

 

俺も右手を振り挨拶をし返す。

 

レイ「珍しいね、今日は美弥ちゃんと一緒じゃないんだ」

 

物珍しそうに彼女は言った。

そう言われて俺は教室の廊下側にいる美弥を見た。どうやら霊夢たちと楽しく喋っているようだ。

 

駆「……まぁな」

 

俺はレイを見上げていた視線を下に下げた。

 

レイ「…もしかして、喧嘩でもしちゃったの?」

 

駆「…ハァ、その通りだ」

 

俺は1つため息をついてから肯定した。

 

レイ「…仲直りしないの?」

 

レイが首を傾げて言ってきた。

仲直りか…したくても出来ないな。

 

駆「残念ながら、どんなに仲良くしていた人同士であっても分かり合えない時だってある」

 

俺は俯きながらそう答えた。

 

レイ「………」

 

レイはしゅんと悲しい顔をして黙ってしまった。

そりゃそんな答えが帰ってきたらそんな顔をしてしまう。

 

駆「そろそろ授業の時間だ。席に座って準備をしたらどうだ?」

 

レイ「そうだね…」

 

レイは一言小さく言ったあと、自分の席に戻って行った。

 

キーンコーンカーンコーン

 

…朝のSHRの時間だ。

 

マギサ「みんなおはよう!楽しい休日は過ごせたかな?

さぁ!ホームルームを始めるわよ!」

 

マギサ先生が入ってくると同時に教室の生徒が騒がしく自分の席に座っていく。

 

マギサ「じゃあまずは点呼をとるわ!」

 

とマギサ先生はあいうえお順に生徒の名前を呼びはじめる。

休日は楽しく過ごせた?か…楽しくも最悪な休日だったな。まさかあんな事になるとは思わなかった。

今週の休日はゆったりと1人で過ごす事にするか?カードショップに行ってみるのもいいな。

 

マギサ「天童駆君!」

 

駆「え…………あ、はい…」

 

窓の外の景色を見ながら今週の休日をどう過ごすかを考えていたということでどこまで点呼が進んでいるのか把握していなかった。

故にいきなり先生に名前を呼ばれたのに少し驚き、反応が遅れてしまった。

 

マギサ「朝からボーッとしたらダメよ?シャキッとしないとね!」

 

駆「そ、そうですね。まぁ生存確認は出来たので問題はないと思いますけど……

あ、点呼を続けてください」

 

俺は一言そう言ってまた窓の外の世界を見ることにした。

…空は少し曇っていた。

 

 

 

マギサ「じゃあ、これでホームルームは終わりよ。1時間目は数学ね!皆頑張るのよ!」

 

マギサ先生はそう言って教室を出ていってしまった。

俺が外を見ている間にホームルームが終わっていたようだ。

まぁ、連絡することはそこまで無いだろうし、特に問題は無いだろう。

そろそろ数学の時間か…気を引き締めて取り掛かることにしよう。

 

 

 

〜少年、少女達午前の授業中〜

 

 

 

午前の授業が終わり昼休憩の時間に入った俺は食堂で1人、カロリーメイトチョコレート味とレッドブル1缶を食べている。

 

駆「…美味いな」

 

今まで美弥からの制限をくらってきたカロリーメイトとレッドブルだが、久しぶりに食べると美味いものだな。

普通に食堂の料理も絶品なんだが、手軽に栄養を補給できるこれらがやはり1番美味い。美弥から知らないと言われてるし、制限も事実上ない訳だからこれから食べ放題という事だな。

 

魔理沙「よお!」

 

霊夢「相席、いいかしら?」

 

突然、魔理沙と霊夢が尋ねてきた。その手には食堂のご飯を乗せたトレイを持っていた。

 

駆「魔理沙さんと霊夢さんか、いいぞ座ってくれ」

 

俺の目の前に霊夢、その右隣に魔理沙が座る。ほう、霊夢はチーズinカレーライス、魔理沙は鶏の唐揚げ定食か…中々いいチョイスをしているな。

 

魔理沙「今日は1人か?」

 

霊夢「いつもは美弥と一緒なのにね?」

 

…今朝レイに突っ込まれた事と同じ事を聞かれた。そんなに違和感があるのか…

 

駆「ま、まぁな…というかいつも美弥さんと一緒にいると思ったら大間違いだぞ?」

 

霊夢「そう言われればそうだけどね…」

 

魔理沙「美弥にもそう言ったんだけど誤魔化されてな。

何かあったのか?私達で良ければ相談に乗るぞ?」

 

魔理沙が首を傾げてそう言った。彼女の他人に寄り添うその行為に俺は心の中で感謝した。しかし、これは簡単に終わる問題じゃない。

 

駆「……相談した所で、解決には繋がらないだろう。俺と美弥さんは分かり合えないんだから」

 

霊夢「…喧嘩でもしたのかしら?」

 

駆「あぁ…その通りだ。でもこれは仕方のない事だ。もうこれ以上、深く突っ込まないでくれ。知りたければまた直接、美弥さんに聞いてみるといい」

 

俺はカロリーメイトチョコレート味の最後の一口を口に入れた後、それをレッドブルで流し込み席を立つ。

 

魔理沙「おい!駆!」

 

駆「聞いてくれてありがとう。でも俺は美弥さんがいなくても今のままの生活が出来るから問題は無い。それに俺はもう彼女に見捨てられているんだ。仲直りは彼女から願い下げだろう」

 

俺はそう言い残しレッドブルの缶とゴミをそれぞれのゴミ箱に入れ食堂を出た。

さて、次の授業の準備をしないとな…

 

 

 

〜少年、少女達午後の授業中〜

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

駆「…もう、終わりか」

 

6時間目終了の鈴が鳴ったと同時に俺は小さく呟いた。

集中していたのもあって、そこまで時間の流れを気にしていなかったから授業の時間が短く感じた。

例えるなら、みんなとのゲーム対戦やスポーツ等、楽しい時間はすぐ終わってしまうのに対してお湯を入れたカップラーメンの出来上がる3分間がとても長く感じてしまうってやつだ。

 

マギサ「みんな、今日もよく頑張ったわね!午後のSHRを始めるわよ!」

 

と、そんなくだらない事を考えていたらマギサ先生が6時間目担当の先生とすれ違うように教室に入ってきた。

さて、先生の話でも聞きながら荷物の整理でもするか。

 

マギサ「とは言っても連絡することは一つだけだからすぐ終わるわ!

今日、SHRが終わった後、大体育館にて馬神弾君と天童駆君によるクラス委員長を懸けた試合を行うから是非、見に来てね!それでは以上!

これでSHRを終わります!じゃあ弾と駆君は早めに大体育館で待っていてね!」

 

ダン「わかりました」

 

駆「……はい」

 

マギサ先生による迅速な説明によりSHRは直ぐに終わってしまった。

大体育館に行くか。丁度荷物整理も終わったところだ。

先生の言う通り、先に行って待っていることにしよう。

 

 

 

side change

 

 

 

今日の授業も終わったし寮の部屋に帰ろうかな

 

レイ「あ、待って美弥ちゃん!」

 

私が鞄を持って教室から出ようとした時、レイちゃんに呼び止められた。

 

美弥「ん?どうしたの?レイちゃん」

 

レイ「今日の駆君と弾君のバトル見に行かないの?」

 

美弥「私は…もう、いいかな…」

 

私はレイちゃんから目を逸らしてそう言った。

 

レイ「え?美弥ちゃんって確か駆君応援してたんじゃ…(私もだけど)」

 

レイちゃんは首を傾げて私に尋ねてきた。確かに、あの時あの人を推薦したのは私だけど…でも今は…あんな人なんて

 

美弥「いいの、もうあの人の事なんて…」

 

レイ「…知ってるよ。今朝駆君から聞いたの。美弥ちゃんと喧嘩になったって」

 

少し間を置いてからレイちゃんの言葉が返ってきた。

 

美弥「!!」

 

驚いたよ、レイちゃんがあの人からあの話を聞いてたんだ。

 

レイ「…仲直りしようと思わないの?駆君と美弥ちゃん、とても楽しそうにしてたじゃん…」

 

悲しそうに放たれたレイちゃんのその言葉が私の心の中にグッサリと刺さった。

仲直りなんて……無理だよ。自分からあんなこと言って今更あの人に会いに行って謝って許してもらうなんて、そんな虫のいい話あるわけないよ…!

 

美弥「む、無理だよ…そんな今更…!!」

 

私は逃げるように教室から出て行ってしまった。

 

レイ「あ!美弥ちゃん!!」

 

私はレイちゃんの呼びかけを無視して寮の部屋に駆け足で帰った。

 

 

 

side change

 

 

 

駆「……外野がうるさいな」

 

ワー!ワー!と観客席から聞こえる歓声に俺はため息ついて呟いた。

 

ダン「こんなに人が来るなんて思わなかったよ」

 

一方、俺の向かいに立っている弾は観客席を見ながら驚いている。

大体育館、第2バトルステージにて今まさに俺と馬神弾の対戦が始まろうとしているところであった。

目的は俺と弾、どちらがクラス委員長になるかというくだらない目的。

にも関わらず、ここまで外野がうるさいとは思わなかった。

誰かがこのことを広めたのだろうか?それに関しては不明だ。集まってしまったのなら仕方は無い。本音を言うなら、あんまり観客がいない方がプレイに集中できるから今の状況はそんなに嬉しくは無い。

 

マギサ「では!只今より、天童駆君と馬神弾君によるバトルを始めます!

二人とも、バトルアーマーを装着して!」

 

ダン「いくぞ!バトルアーマーオン!」

 

弾がソウルコアを天に掲げた時、ソウルコアは光を放ち彼を包みこんだ。

 

駆「…バトルアーマー、オン……!」

 

俺もコアケースから取り出したソウルコアを右手で握り締めながら静かに言った。

そして、ソウルコアから溢れんばかりの光が放たれ弾と同様に俺の全身を包み込む。

そして、俺は黒いスーツと装甲、ヘルメットを纏い彼と対峙した。

バトルアーマーをその身にまとった弾はアニメ、ブレイヴと同様の鎧を装着しているが追加して両腕、両膝にも金色の鎧を付けている。そしてその右隣にコアブリットがスタンバイされている。

コアブリット…それはバトルフィールドへの移動手段となる乗り物。単体で移動できる上にプレイシートも完備されている。

 

ダン「…始めよう。駆」

 

真剣な目で俺を見る弾。

 

駆「そうだな」

 

俺はバトルアーマーのブースターを吹かせ、数メートル上に上昇していく。

一方で弾はコアブリットのコックピットに搭乗し上昇している。

そして、ある程度の高度まで上昇したコアブリットは変形。コックピットが飛び出し、宙に浮いた。

 

マギサ「二人とも準備はいいわね!?」

 

駆「えぇ」

 

ダン「出来てるよ」

 

マギサ「じゃあ、あの掛け声で行くわよ!ゲートオープン…界放!!!」

 

マギサ先生がそういった時、観客席のボルテージが最高潮に高まり歓声が上がる。

やりにくいが始まってしまったものはしょうがない。

俺と弾のバトルアーマーから光が溢れ出し、バトルドームを作り出す。

 

 

 

side change

 

 

 

明夢「…天童と…馬神が戦うのか」

 

やけに大体育館が騒がしいので見に行ってみたらあの2人の対戦が今まさに始まろうとしていた。空いてる席は余裕は無いが座れる場所を見つけたのでそこに座るか。

 

レイ「あ!明夢君、偶然だね!」

 

俺の右隣から金髪の女子が話しかけてきた。確か、彼女は…

 

明夢「オーバか…」

 

そうだ、詩姫部に一緒で入ったレイ・オーバとかいう少女だったな。

 

レイ「む!?あなたもオーバって呼ぶの?もっと仲良くしたいから名前で呼び会おうよ!」

 

明夢「…すまない、慣れていない。だから出来ない…」

 

レイ「そっかぁ…じゃあ慣れたら名前で呼んでね!」

 

明夢「あ、あぁ」

 

魔理沙「あ!レイじゃないか!」

 

後ろからオーバを呼ぶ声がしたので反射的に俺と彼女は後ろを向いた。

そこには金髪のロングヘアのオーバを呼んでいた女子、赤いリボンが目立つポニーテールの女子、カエルの髪飾りと緑色の髪色が目立つ女子の3人がが横に並んで座っていた。

 

レイ「え!?そこにいたんだ、魔理沙ちゃん!」

 

隣のレイが目を丸くして驚いている。

 

霊夢「私も早苗も一緒よ」

 

早苗「偶然ですね!レイさん!ん?その隣の方は?」

 

緑色の髪をした女子が俺を一目見た後、オーバに問いかけている。

いきなり、ライトが当たるものだから少し驚いてしまった。

そんなことはさておき俺はあの3人に自己紹介しないといけない。

 

レイ「柊木明夢君っていうの!2人目の男の子の詩姫部のマネージャーだよ!」

 

俺が自己紹介をしようと思ったのだがそれよりも先にレイが俺を紹介してくれた。

まぁ悪い気はしないが…

 

明夢「柊木明夢だ。3人ともよろしく…」

 

霊夢「私は博麗霊夢、よろしくね明夢」

 

魔理沙「明夢って言うんだな!私は霧雨魔理沙!気軽に魔理沙って呼んでくれだぜ!」

 

早苗「初めまして!東風谷早苗と言います!明夢さん、よろしくお願いします!早苗って呼んでくださいね!」

 

俺の挨拶に3人が答えてくれた。3人ともとても好感が持てる人間…悪いやつじゃなさそうだ。

 

明夢「すまない、名前で呼ぶのは慣れていないからまだ出来ない…」

 

魔理沙「そうなのか…別に強制もしてないから、慣れてからで大丈夫だぜ!」

 

グッとサムズアップをした金髪の女子……魔理沙と言ったか…彼女は中々フレンドリーな奴だな。

 

明夢「あ、あぁ……ありがとう。ところで3人はオーバの友達なのか?」

 

フォローしてくれた霧雨に礼を言うと同時に素朴な疑問を彼女達にぶつけた。

 

早苗「クラスで一緒になって知り合ったんですよ!」

 

と俺の疑問に対して緑の…東風谷が答えてくれた。

 

明夢「そうか…それは良かったな」

 

俺はそう一言言った。

 

霊夢「あ、みんな見て!始まったわよ!」

 

唐突に博麗が第2バトルステージの方を指さす。

俺も彼女たちも第2バトルステージの方を見る。天童と馬神のバトルアーマーがバトルドームを作り上げたようだ。

いよいよ始まるのだな。なら見せてもらおうか、お前達の力を…

 

 

 

 

side change

 

 

 

俺と弾は互いにデッキからカードを4枚引き手札とする。そして次は…

 

駆「先攻後攻を決めるぞ」

 

ダン「あぁ、最初はグー」

 

駆「ジャンケン、ポン」

 

駆 グー 勝ち

VS

ダン チョキ 負け

 

ジャンケンは俺の勝利…先攻後攻を決める権利は今、俺にある。

この手札なら…

 

駆「俺は先攻を選択する」

 

ダン「分かった」

 

駆「行くぞ…ブレイヴ使いの弾君…!」

 

ダン「来い…駆!!」

 

俺の声に答えた弾からメラメラと燃えるような闘志を感じる。

そうだ。何時だって俺はテレビに映る彼の戦いに胸を踊らせていた。彼の熱い戦いと真っ直ぐな信念は俺の一つの憧れでもあった。そんな彼と対戦できるこの状況に俺は心から嬉しさと昂りを感じている。

激突王であり、ブレイヴ使いであるこの男を俺のプレイングと俺のデッキでどこまで戦えるのか、楽しみだ…

 

駆「俺のターン、スタートステップ」

 

俺は自分のターンの始まりを宣言した。

 

 

 

To be continued……




次回予告
俺のカード、彼のカード、フィールドに舞い上がり熱く、激しくぶつかり合う。




燃え盛る炎が地上の全てを焼き尽くした。



次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-27 ブレイヴ✕ブレイク


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Turn-27 ブレイヴ✕ブレイク

お待たせ致しました!今回は2話連続投稿を計画したということで投稿のタイミングを変更致しました!
次回も近いうちに投稿できると思いますのでよろしくお願いします!
それでは27話をお楽しみください!


駆 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

 

弾 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア トラッシュ0

 

駆「俺のターン、スタートステップ」

 

俺はターン始まりの宣言をした。

 

駆「ドローステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

駆「俺は手札から3コストでアルティメット、ビートルゴンをLv3でソウルコアを置き召喚する。召喚条件は自分のライフ2以上なのでクリアはしている」

 

俺のフィールドにカブト虫の様な鎧を装着したドラゴンが現れる。

 

ダン「アルティメットか…(にしても見たことの無いカードだ…一体どんな効果を持っているんだ…?)」

 

弾は警戒を強めた目でビートルゴンを見つめている。

アルティメット…スピリットとはまた別のカテゴリー。スピリットとは違い、最初からLV3でなお且つ、高いBPを持つカードが多い。だが、召喚条件を満たさなくてはならない少し不器用なカードであるが場への影響力は他を圧倒するものが多い。

最近では低コストのアルティメットも多く見られるようになった。

このビートルゴンは神皇編のメガデッキにて収録されたカード。少し前のカードではあるが、このカードの効果はとても頼もしい。

 

駆「…メインステップ終了。エンドステップで俺はこれでターンエンドだ」

 

駆 デッキ36→35 手札5→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3

ビートルゴン

LV3 BP4000 (1) Sコア

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

ダン「いくぞ!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

弾 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

ダン「俺は手札から0コストでブレイドラ、さらに1コスト赤1軽減0コストで戦竜エルギニアスを召喚!ソウルコアはブレイドラに置く」

 

弾のフィールドに小さなドラゴンと青い地を這う竜が現れる。

 

ダン「さらに5コスト赤2軽減3コストでブレイヴドローを使用。

俺はデッキからカードを2枚ドロー」

 

弾 デッキ35→33 手札2→4

 

ダン「さらに、デッキの上からカードを3枚オープン…その中のブレイヴカードを1枚手札に加える」

 

俺のバトルアーマーのヘルメットに弾のデッキからオープンされたカードが表示される。

 

オープンカード

灼熱の谷✕

砲竜バル・ガンナー〇

太陽龍ジーク・アポロドラゴン✕

 

ダン「俺はこの中のブレイヴカード、砲竜バル・ガンナーを手札に加え、残ったカードは灼熱の谷が上、その下に太陽龍ジーク・アポロドラゴンとなるようにデッキの上に戻す」

 

弾 デッキ33→32 手札4→5

 

ダン「そして、バーストをセット。俺はこれでターンエンドだ」

 

弾 デッキ33→32 手札5→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ3

ブレイドラ

LV1 BP1000 (1) Sコア

 

戦竜エルギニアス

LV1 BP1000 (1)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

中々いいスタートを切ったな。優秀なドローカードの使用、さらにバーストをセットすることでより安定して俺の番を迎えている。

 

駆「…俺のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ35→34 手札4→5

リザーブ3→4

 

なら、こちらも場を固めるとするか…

 

駆「俺はビートルゴンにコアを1つ乗せレベルを4に上げる。これによりビートルゴンのレベル4自分のメインステップの効果を発揮。

このアルティメットに赤、緑のシンボル1つずつを追加する」

 

ビートルゴンの頭上に赤と緑のシンボルが浮かび上がる。

これがビートルゴンの強み。赤、緑、そして究極のシンボル、3つを備え次のカードを使いやすくしているのだ。

 

駆「そして召喚条件自分のライフ2以上…3コスト赤1、緑1軽減1コストでバーゴイルをレベル3で召喚する」

 

俺のフィールドにガーゴイルが舞い降りる。

 

駆「バーゴイルの召喚時効果。BP5000以下の相手のスピリットを1体破壊する。または、ボイドからコアを1個このカードに置く。

俺は後者を選択し、ボイドからコアを1個バーゴイルに置く」

 

バーゴイルは緑のオーラを発生その力でコアを生成し、その手に掴んだ。

 

駆「さらに、俺はバーゴイルのコアを1個使い、4コスト赤1、緑1、究極1軽減1コストでネクサス、邪神域をレベル1で配置する」

 

すると、フィールドに大量の水が海のように張られる。そして海底に寝っていた古代神殿が海を割いて、地上に現れる。

 

ダン「邪神域…(あのネクサスから放たれる禍々しさはなんだ…?まるで獄将デュックと戦った時の闇の聖剣を見ている様だ)」

 

俺の後ろに佇むその神殿は禍々しいオーラを放ち見るものを圧倒させる。

 

 

side change

 

 

天童の使ったカード、ビートルゴンにバーゴイル…それに邪神域か…

 

……

 

レイ「どうしたの?明夢君…凄く怖い顔をしてるよ?」

 

突然隣のオーバが俺の方に顔を近づけ尋ねてきた。

 

明夢「……………ん?いや、済まない…俺の目付きが悪いせいだな……気にするな。ただ2人のカードを見ていただけだ」

 

反応に少し困ってしまったが、適当に言っておけばいいだろう。

 

レイ「そうなんだ!明夢君って真面目だね!!」

 

目をキラリとさせたオーバがニッコリと微笑む。

…どんな言葉を返せばいいのだろうか?それが思い浮かばない。

どうやら俺はこういうタイプの人間が苦手な様だ。

 

明夢「…………そんなことよりもバトルを見よう」

 

俺は咄嗟に話題を変えバトルステージの方を向く。

 

レイ「うん!」

 

彼女も頷いた後、真剣な目でバトルを見始めた。

 

 

 

side change

 

 

 

邪神域…こちらもメガデッキに封入されているカード。このデッキの基盤となるネクサス。活躍の場は多い、今回も有効活用させてもらう。

 

駆「さらに、俺は手札から4コスト赤に軽減2コストでネオダブルドローを使用する。

使用コストはリザーブ、ビートルゴンから1個ずつ確保する。

そして、効果によりデッキから2枚ドローといきたいところだが俺の場にアルティメットがいる時、さらに1枚ドローする。

つまり、俺はデッキからカードを3枚ドローする」

 

駆 デッキ34→31 手札2→5

 

ダン「そのドローもらった!」

 

駆「!」

 

何、手札が増えときのバーストだと……まさかグリードサンダーか?

 

ダン「相手の効果により手札が増えた後のバーストを発動する。

マジックカード、エグゾーストエンド!この効果によりバースト発動時に増えた相手のカード1枚につきボイドからコア1つを自分のリザーブに置く。

駆、お前がドローしたカードは3枚。よってボイドからコアを3つリザーブに置く。

その後のフラッシュの効果は使わないぞ」

 

弾 リザーブ0→3

 

…手札を枯渇させるグリードサンダーではなかったが、コアを増やされてしまった。

この世界に来て様々なカードに触れ強化された馬神弾デッキということか。

 

駆「……俺はバーストを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

駆 デッキ34→31 手札2→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ4

ビートルゴン

LV3 BP4000 Sコア

 

バーゴイル

LV3 BP5000 (1)

 

邪神域 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

ダン「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

弾 デッキ32→31 手札4→5

リザーブ7

 

ダン「俺は手札から灼熱の谷を3コスト、赤1軽減2コスト、レベル1で配置」

 

ダンの後ろに灼熱の溶岩が流れる谷が現れる。

現在の第19回制限改訂でも未だ制限カードである灼熱の谷を早速配置してくるとはな…

ちなみに灼熱の谷はバトルスピリッツ パック第5弾:爆神に登場した古き良きネクサスである。

 

ダン「さらに4コスト、赤に軽減2コストで光り輝く大銀河をレベル1で配置!」

 

またのネクサスの配置か…するとバトルフィールドの上空が星煌めく大銀河へと変わる。星座編第4章 星空の王者にて収録されたネクサスカードはバトルスピリッツ ブレイヴ最終回で弾を強烈にサポートした1枚。あの熱いシーンは脳裏に焼き付いて離れない。

 

ダン「ブレイドラにコアを1個、戦竜エルギニアスにコアを2つ置きそれぞれをレベル2に、これでターンエンドだ」

 

弾 デッキ32→31 手札5→3

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ4

ブレイドラ

LV2 BP2000 (1) Sコア

 

戦竜エルギニアス

LV2 BP2000 (3)

 

光り輝く大銀河 LV1 (0)

 

灼熱の谷 LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

攻めないか…そりゃあブレイドラ、戦竜エルギニアス共に俺のアルティメットのBPを上回っていないからな。

 

駆「俺のターン…スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ31→30 手札4→5

リザーブ0→5

 

駆「ビートルゴンのソウルコアを通常コアと入れ替える。

そして、邪神域のレベル1、2の効果によりこのネクサスシンボルは緑としても扱われる。よって3コスト緑1、究極1軽減1コスト、召喚条件ライフ2以上で獄風の探索者カゲロウ・シーカーをコアを1つ置きレベル3で召喚する。

尚、召喚に使用するコアはソウルコアとする」

 

細い殼人が背中の羽をはばたかせバトルフィールドに降り立った。

そもそも殼人というのは人型の虫をイメージをしており、このカゲロウ・シーカーも人のフォルムをしているが、外骨格も頭部もカゲロウのものである。

さて、このアルティメットも優秀な効果を兼ね揃えている。

 

駆「獄風の探索者 カゲロウ・シーカーの召喚時効果、召喚コストにソウルコアを使用していたら自分はデッキの上から3枚オープン」

 

オープンカード

バーゴイル〇

ネオダブルドロー✕

ビートルゴン〇

 

駆「微妙なめくりだな…その中のアルティメットカードを1枚加える。

バーゴイルを選択し、手札へ…残ったカードは破棄する」

 

オープンカード手札に加える

バーゴイル→手札に加える

ネオダブルドロー→破棄

ビートルゴン→破棄

 

駆 デッキ31→28 手札4→5

 

 

 

side change

 

 

 

獄風の探索者……か。

 

魔理沙「なぁ、さっきから駆の使ってるカードさ〜ネオダブルドローは分かるんだけどビートルゴン?だったりバーゴイルかな?今並んでるアルティメットも邪神域ってネクサスも見たことないカードなんだけど…みんな知ってるか?」

 

霧雨は首を傾げながらそう言った。あのアルティメット達を知らないだと?

そんな馬鹿な…

 

レイ「私も知らないなぁ〜聞いたことも無いしお店に1枚も無かったよ?」

 

早苗「私も全然知らないです。もしかしたら霊夢さん知ってるんじゃないですか?アルティメット使ってますし…」

 

霊夢「私もアルティメットは使うけど、あんなの初めて見たわ。それにあの禍々しさ……嫌な予感がするわ」

 

オーバも東風谷も博麗もあのアルティメット達と邪神域を知らないのか…

となると、この世界の住人達は邪神アルティメットの存在を全く知らないという可能性がある。

……そんなことは一先ず置いて最大の疑問となるのが何故一般人である天童が邪神の軍勢を扱えているのか…その理由が知りたいところである。

 

 

 

side change

 

 

 

駆「さらに、ビートルゴンにコアを一つ置き、レベル4に上げる。そして3コスト赤1、緑1軽減1コストでバーゴイルを召喚」

 

俺の場にもう一体ガーゴイルが現れる。

 

駆「バーゴイルの効果により、ボイドからコアを1個このアルティメットに置く。

…これでターンエンドだ」

 

駆 デッキ31→28 手札4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ1 Sコア

ビートルゴン

LV4 BP6000 (2)

 

バーゴイル

LV3 BP5000 (2)

 

バーゴイル

LV3 BP5000 (1)

 

獄風の探索者 カゲロウシーカー

LV3 BP5000 (1)

 

邪神域 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

…手札の問題でこれ以上動くことは出来ない。ターンを終了するしかない。

しかし、次のターンならアレをすることは可能だな。

 

ダン「俺のターン!スタートステップ、コアステップ、ドローステップの時、灼熱の谷の効果でドローカードを+1する。よって2枚ドロー。その後手札を1枚破棄する。俺は金牛龍神ドラゴニック・タウラスを破棄。

そしてリフレッシュステップ、メインステップ!」

 

弾 デッキ31→29 手札3→4

リザーブ5

 

牡牛座の十二宮Xレアを破棄…確かにアルティメットしかない今の場では激突の意味は無いも同然だからな…

 

ダン「行くぞ駆!太陽よ、炎を纏いて龍となれ!

 

太陽龍 ジーク・アポロドラゴン

 

6コスト、赤2、青1軽減、3コストでコアをリザーブから2個、ブレイドラから1個置きレベル2で召喚する!」

 

弾は自身のキーカードと言えるスピリットの召喚を宣言。

すると、弾の隣から炎をその身に纏う紅いドラゴンがフィールドに現れる。

太陽龍 ジーク・アポロドラゴン…構築済みデッキ、[太陽の合体ドラゴン]にて初収録された弾の新たなる切り札。

懐かしさを感じさせるカードだな。

 

ダン「さらに!砲竜バル・ガンナーを4コスト赤2軽減1コストで太陽龍 ジークアポロドラゴンにダイレクト合体!

コストはコアが3個置かれている。戦竜エルギニアスから2個使う。

これらの行動によりコアが1個ずつになった。エルギニアスとブレイドラはレベル1にそれぞれダウンする」

 

背中に二門の大砲を装備したドラゴンが颯爽と登場。

そのドラゴンは背中に装備されている大砲をジーク・アポロドラゴンに託す。

それにより、ジーク・アポロドラゴンの翼は光となって消えるが、その代わりにその大砲が背中に装備され、より戦闘力の上がったジーク・アポロドラゴンが登場する。

 

ダン「バーストを1枚セットして、アタックステップ!

撃ち抜け!合体スピリット!!」

 

合体したジーク・アポロドラゴンは天高く咆哮し、歩を進める。

 

ダン「合体している、バル・ガンナーの効果により自分はデッキからカードを1枚ドローし、BP4000以下の相手のスピリットを破壊する…がアルティメットは対象に取れないな」

 

弾 デッキ29→28 手札1→2

 

駆「…こちらのフラッシュは無い」

 

ダン「俺も無い」

 

駆「そのアタックは…ライフで受ける」

 

ジーク・アポロドラゴンは背中の砲門をこちらに向ける。

 

ダン「合体スピリットはダブルシンボル!よってライフを2つ破壊する!」

 

そして背中の砲門から灼熱の弾丸が射出され俺のライフを2つ貫いた。

 

バリィン!バリィィン!!

 

ライフ5 →3

リザーブ0→2

 

ダブルシンボルはやはり身体への衝撃が半端じゃあないな…

 

駆「…ライフ減少後バーストを発動。絶甲氷盾の効果によりボイドからコアを1個ライフに置く。

その後のフラッシュは使用しない」

 

駆 ライフ3→4

 

ダン「氷盾だったか…これでターンエンドだ」

 

弾 デッキ29→28 手札1→2

ライフ5 リザーブ0

トラッシュ5

太陽龍 ジーク・アポロドラゴン

LV2 BP6000 (3) 疲労

右合体

砲竜バル・ガンナー

BP+2000

 

ブレイドラ

LV1 BP1000 Sコア

 

戦竜エルギニアス

LV1 BP1000 (1)

 

光り輝く大銀河 LV1 (0)

 

灼熱の谷 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

駆「…スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ28→27 手札4→5

リザーブ2→4 Sコア

 

駆「…よし、やってみるか…俺はカゲロウ・シーカーにリザーブからコアを2個、邪神域に1個置き、それぞれのレベルを上げる。

そして、レベル4となったカゲロウ・シーカーの効果により自分の究極シンボル全てを赤、緑としても扱う。よって9コスト赤6軽減3コストで

 

究極輝神アルティメット・オーバーレイ

 

を召喚する。

このカードの召喚条件は自分の赤のスピリット1体以上となっており、今のままでは召喚出来ない。

だが、邪神域レベル2の効果によりこのネクサスカードを疲労させることでアルティメットの召喚条件を無視する」

 

ダン「何!?召喚条件を無視…!」

 

駆「使用コアはカゲロウ・シーカーのコア2個と疲労した邪神域のコアを1個使う。そしてリザーブの通常コアとソウルコア、ビートルゴンのコアそれぞれをアルティメット・オーバーレイに乗せ、レベル4で召喚とする」

 

俺は邪神域を疲労させた瞬間、後ろの邪神域は禍々しい輝きを放ち前方のバトルフィールドに異次元の扉が生成する。

そしてその扉はゆっくりと開き始め、その隙間から光が漏れる。

扉が開ききった時、バトルフィールドは灼熱の炎と眩い光に包まれる。

発信源はまさにその扉の中に存在するアルティメット。炎と光をその身に纏うアルティメットは4枚の翼を広げ俺の横に降り立つ。

そして、そのアルティメットは猛々しい咆哮と共にその身に纏う炎と光を振り払いその姿を見せる。

紅の身体に黄金の鎧、雄々しく広がる翼を持ったドラゴン、アルティメット・オーバーレイが召喚された。

究極輝神 アルティメット・オーバーレイ…カードパック[アルティメットバトル06]にて登場した赤のアルティメットXレア。その効果はとてつもないほどの衝撃を与えるものだ。

 

ダン「アルティメットのXレア…霊夢の三龍神も凄かったが、お前のアルティメットもとてつもない迫力だな!」

 

弾はアルティメット・オーバーレイの巨大さと輝きに驚いた顔をしている。

 

駆「驚くのはまだ早い…アルティメット・オーバーレイのレベル3、4、5の召喚時効果。

 

[大抜刀]

 

によりこのアルティメットと合体可能な系統剣刃を持つブレイヴカード2枚までをコストを支払わずに召喚する。

…よって俺は手札から太陽神剣ソルキャリバーと火星神剣マーズブリンガーをノーコストでアルティメット・オーバーレイにダイレクト合体する形で召喚。

ちなみにアルティメット・オーバーレイはブレイヴ2つまでと合体できる」

 

アルティメット・オーバーレイは天に赤い光を一線を放つ。

すると、赤い炎をまとった2本の剣がバトルフィールドに向かって降ってくる。

アルティメット・オーバーレイはその2本の剣を空中でキャッチし、右手にソルキャリバー、左手にマーズブリンガーを装備した。

これによりアルティメット・オーバーレイのBPは格段に上がる。

 

ダン「アルティメットがダブル合体…!!」

 

駆「…ソルキャリバー合体時のBP上昇は4000、マーズブリンガーは5000。

計9000ポイントが現在レベル4のアルティメット・オーバーレイに加算される」

 

究極輝神アルティメット・オーバーレイ

LV4 BP23000+4000+5000=32000

 

ダン「BP…32000!!」

 

駆「このままアタックステップへ…ダブル合体アルティメットでアタック!」

 

俺はアルティメット・オーバーレイへ攻撃の指示を与えた。

その命令に従いアルティメット・オーバーレイは翼を羽ばたかせ空に舞い上がる。

 

駆「アルティメット・オーバーレイのレベル4、5のアタック時効果、[アルティメットトリガー]を発動……ロックオン」

 

上空のアルティメット・オーバーレイは身体から眩い光の閃光を弾に向かって解き放つ。

そして、彼のデッキトップのカード1枚が跳ね上がる。

[アルティメット・トリガー]…アルティメットが持つ必殺技といえる専用効果、相手のデッキの上のカードを1枚トラッシュに置きそのカードとアルティメット・トリガーを行ったアルティメットのコストを比べアルティメットのコストが大きければ[ヒット]、トラッシュに置かれたカードが大きければ[ガード]となる。

[ヒット]すれば次の効果を発揮でき、[ガード]なら何も起こらない。少しギャンブル性のあるとてもハラハラさせる効果をアルティメット達は持っているがヒットした時の効果は絶大だ。

 

駆「…さぁ、トラッシュに置かれたそのカードのコストを数えろ」

 

ダン「…3コスト、光導星剣ゾディアックソード」

 

弾は俺の方にはじき出させれたカードを提示する。

 

弾 デッキ28→27

 

アルティメットトリガー

究極輝神アルティメット・オーバーレイ

コスト9

VS

光導星剣ゾディアックソード

コスト3 負け

 

結果:[ヒット ]

 

駆「[ヒット]…!」

 

俺はバイザーで隠れたヘルメットの中でほくそ笑んでそう言う。

[コスト4以下]か……ラッキーだな

 

ダン「くっ、アルティメット・オーバーレイのコストは9、ゾディアックソードではガード出来ない…こちらのトリガーカウンターは無い!」

 

駆「ならば、アルティメット・オーバーレイの[アルティメット・トリガー]が[ヒット]した時の効果を発揮する………

と言いたいところだが、ここで火星神剣マーズブリンガーの効果。

このアルティメットの[アルティメット・トリガー]によって[ヒット]したカードのコストが全て4以下の時、この効果はターンに1回しか使えないが、そのヒット効果のかわりに自分のターン終了時、自分のアルティメット3体を回復させ、アタックステップとエンドステップを順番に1回ずつ行うことができる。よってマーズブリンガーの効果を使用する」

 

アルティメット・オーバーレイの左腕に装備されたマーズブリンガーが赤いオーラを放つ。

…火星神剣マーズブリンガー。こちらもアルティメット・オーバーレイと同じくカードパック[アルティメットバトル06]に収録された赤のブレイヴXレアであり、追加アタックステップを行い、ダブルシンボルのアルティメットで一気にライフをもぎ取る戦術が行えるようになった。

さぁ、マーズブリンガーの次はこの剣の効果だ…!

 

駆「続いて太陽神剣ソルキャリバーのアタック時効果を発動。

BP4000以下のスピリットを破壊する…よって戦竜エルギニアスを破壊!」

 

マーズブリンガーに続き、次は右手に持つソルキャリバーが灼熱の炎を解き放つ。オーバーレイは剣を一振、炎の刃のエネルギーがエルギニアスに向かって地を薙ぎ払い迫り来る。

エルギニアスは逃走を試みるが反応が1歩遅かった。故に間に合うことなく灼熱の炎で彼は丸焼きにされてしまった。

太陽神剣ソルキャリバー…アルティメット編のストラクチャーデッキ[新たなる太陽]にて収録されたアルティメットに合体可能な赤のブレイヴXレア。

アタック時に4000以下の相手のスピリットの破壊と[アルティメットトリガー]が[ヒット]したとき、[ヒット]したカードがアルティメットカードなら、相手の合体していないアルティメット1体を破壊する2種類の破壊効果を持っている。

小型焼きも可能だが運も良ければ大型のアルティメットも破壊可能なブレイヴだ。

 

ダン「フラッシュは無い!」

 

駆「こちらもだ」

 

ダン「ブレイドラでブロック!」

 

弾の命令を受けブレイドラは果敢にダブル合体アルティメットへ立ち向かう。

 

究極輝神アルティメット・オーバーレイ

LV4 BP32000

VS

ブレイドラ

LV1 BP1000

 

BPの差は天と地ほどの差、こちらが負ける要素は一切ない。

 

ダン「ここでフラッシュタイミング、コスト4でマジック絶甲氷盾を使用。

コストはリザーブのコア1個とブレイドラのソウルコア、そして合体スピリットからコアを2個使う。

ここでバトル中のブレイドラは消滅する」

 

コアを全て外されたブレイドラはオーバーレイの攻撃を受ける前に消滅した。

 

ダン「効果によりこのバトルが終了した時、アタックステップを終了する」

 

弾が絶甲氷盾のテキストを読んだ瞬間弾と俺のフィールドの間に氷の壁が張られる。

これで俺のアタックステップは終わった。

 

駆「…アタックステップ終了、エンドステップでターン終了…と言いたいところだが、火星真剣マーズブリンガーの効果によりダブル合体アルティメットを回復させもう一度アタックステップを行う!」

 

疲労し鎮座するアルティメット・オーバーレイはマーズブリンガーの力を受けて回復。再度戦闘態勢をとる。

 

 

 

side change

 

 

 

魔理沙「はぁ!?嘘だろ、もう一度アタックステップを行うだって!?」

 

霊夢「何よそれ…トリプルシンボルのアルティメット・オーバーレイとあのアルティメット達の猛攻撃でゲームエンドじゃない…!ここまで畳み掛けるなんて…まさに鬼ね」

 

マーズブリンガーの効果に霧雨は驚き、霊夢は冷静に状況を確認している。

正直、邪神の軍勢に究極輝神アルティメット・オーバーレイを取り入れるとは俺も驚いた。

ハッキリ言おう、あれは無茶苦茶な構築だ。オーバーレイ自体のコストが9と高い、そしてオーバーレイの効果を活かす専用ブレイヴが必須という2つの要素で手札事故の確率が格段に上がってしまうからだ。

 

早苗「でもあのバーストがまだ何かわからないですよ?このタイミングで断言してしまうのは…」

 

明夢「あぁ、東風谷の言ってことは正しい。しかしあのバーストが防御札でなければこのターンで確実に馬神は終わる…」

 

事故の確率が増えると入っても現状天童が勝利に近づいている。

使えるコアが一つだけしかない馬神がこの状況を打開するには伏せられたバーストに頼るしかない。今の状況ならブラフの意味は全くといって無い。天童ならこの状況、邪神達とオーバーレイのフルアタックで一気に馬神のライフを削りきるつもりだろう。

 

レイ「アルティメット・オーバーレイ!かっこいい…!!」

 

とオーバはこのバトル全体の状況よりも天童のフィールドのアルティメット・オーバーレイに見とれている様だ。

 

 

 

side change

 

 

 

…この光景に見に来た生徒たちも先生も驚いているようだ。

この[アルティメット]を中心としたデッキ構築に[自分の赤のスピリット1体以上]と召喚条件の合わないアルティメット・オーバーレイを投入するのは正直なところ手札事故の確率を上げる自殺行為に過ぎない。

しかし、この邪神域レベル2の召喚条件無視効果と赤と緑の混色メガデッキ特有のシンボル増加とコアブースト、そして優秀なドローソースカードを利用すればこの光景が実現できる。

赤緑の展開力とアルティメットオーバーレイの圧倒的一点突破の力技が合わさったデッキ。生前の世界、地元では他のプレイヤーから[邪神オーバーレイ]と呼ばれていた掟破りの[オリジナル構築]さ…!

 

駆「さらに攻撃だ…ダブル合体アルティメット!」

 

ダブル合体アルティメットは炎を纏い氷の壁に激突する。

 

ズドゴォォォォォォォォォン!!!!

 

激突の衝撃がバトルフィールド全体に伝わり、先程の氷の壁にだんだんとヒビが入り始める。

オーバーレイは追い討ちとばかりにその口から強大な火炎をヒビの入った氷の壁に向かって解き放つ。

氷の壁はオーバーレイの炎によりだんだんと溶けていき、粉々に爆散し、オーバーレイは弾のフィールドの上空に侵入しまたしても眩い光を全身から放つ。

 

駆「アルティメット・オーバーレイ、レベル4、5のアタック時効果、[アルティメット・トリガー]ロックオン」

 

弾のデッキトップが弾き飛びトラッシュに置かれる。

 

ダン「…コストは3エグゾーストエンドだ」

 

弾 デッキ27→26

 

アルティメットトリガー

究極輝神アルティメット・オーバーレイ

コスト9

VS

エグゾーストエンド

コスト3 負け

 

結果:[ヒット]

 

駆「…[ヒット]!」

 

ダン「こちらのトリガーカウンターは無い!」

 

駆「ならばアルティメット・オーバーレイの[アルティメット・トリガー]が[ヒット]した時このアルティメットに合体しているブレイヴ1つにつき相手のスピリット1体を破壊する。

アルティメット・オーバーレイに合体しているブレイヴの数は2、よって相手のスピリットを2体破壊するのだが、対象は疲労状態の合体スピリットのみだ」

 

アルティメット・オーバーレイは疲労し膝をついているジーク・アポロドラゴンに巨大な火炎放射を発射する。

その炎はジーク・アポロドラゴンを包み込み爆散させる。

 

ダン「くっ!砲竜バル・ガンナー、分離しろ!」

 

背中に装備された砲台がバル・ガンナーの元へ戻っていく。

 

駆「…逃がしはしない。太陽神剣ソルキャリバーの効果でBP4000以下の砲竜バル・ガンナーを破壊する」

 

火炎放射を解き放った後、アルティメット・オーバーレイはソルキャリバーを振りかざしそれをバル・ガンナーに向かって振り下ろす。バルガンナーの身体はソルキャリバーに両断され破壊される。

 

ダン「追撃か…!フラッシュは無い!」

 

駆「こちらも無い」

 

ダン「そのアタックはライフで受ける!」

 

駆「ダブル合体アルティメットはトリプルシンボル…よってライフを3つ破壊する!」

 

炎を纏った2本の星神剣でアルティメット・オーバーレイは弾のライフを3つ切り裂く。

 

バリィン!バリィン!バリィン!!

 

ダン「うぁぁあっ…!!」

 

ライフで受けた時の衝撃と痛みが弾を襲う。トリプルシンボルシンボルの合体アタックはダブルシンボルの比じゃない。

 

ライフ5→2

リザーブ1→4

 

ダン「これがトリプルシンボルのダメージ…!ジンジン来るね」

 

駆「そう言ってられるのも今のうちだ。そのバーストが防御札でなければ俺は残りのアルティメットで総攻撃を仕掛けるまでだ」

 

ダン「…いや、このターン耐えさせてもらうよ。ライフ減少後バーストを発動、アルティメットウォール!」

 

駆「しぶといな…」

 

ダン「まだまだこのバトルを終わらせる訳にはいかないからな。

バースト効果によりこのバトルが終了した時アタックステップを終了させる。フラッシュ効果は使用しない」

 

駆「…アタックステップ終了、エンドステップで俺のターンは終了だ」

 

駆 デッキ28→27 手札5→2

ライフ4 リザーブ0

トラッシュ3

究極輝神アルティメット・オーバーレイ

LV4 BP23000 (2) Sコア 疲労

合体[1]

太陽神剣ソルキャリバー

BP+4000

合体[2]

火星神剣マーズブリンガー

BP+5000

 

ビートルゴン

LV3 BP4000 (1)

 

バーゴイル

LV3 BP5000 (1)

 

バーゴイル

LV3 BP5000 (1)

 

獄風の探索者 カゲロウシーカー

LV3 BP5000 (1)

 

邪神域 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

 

 

side change

 

 

 

ほぉ、バーストはアルティメットウォールか…首の皮1枚繋がったというところだな。

 

魔理沙「あ、アルティメットウォールか…危なっかしいがなんとか耐えることが出来たな。

弾のしぶとさもそうだけど、駆の攻撃も凄まじいよな…」

 

早苗「駆さんの太刀筋は攻撃時に次の相手ターンでの防御や、自分のスピリットの耐性を十分に考慮しつつ徹底的に攻めますからね。

次の弾さんのターン…ドローステップでのカードにかかってますね」

 

レイ「弾君の手札1枚だもんね…」

 

明夢「この現状をひっくり返せるカードが来なければ次のターンで終わる。ここが1番重要になるな」

 

俺としてはこの時点でゲームエンドまで持っていかれてしまうと困る。

俺はまだ天童のあのデッキの全てを知り尽くしている訳じゃあない。あのデッキの情報が欲しいのだ。

 

 

 

side change

 

 

 

駆「首の皮1枚繋がったってところか…」

 

ダン「正直危なかった…伏せたバーストカードがアルティメットウォールじゃなかったら終わっていたよ」

 

駆「…君のターンだ」

 

ダン「あぁ、分かってる」

 

アルティメットウォールが繋げたワンターン…ここで決めたかったが仕方は無い。

この手札と盤面で彼の攻撃を凌ぐしかない。

 

 

To be continued……




次回予告
頭の中が真っ白になった。
信じていたものが、支えになってくれていたものが突然目の前から消え去った時のこと。
誰にもわからない…大切なものを失った人間にしかわからない絶望だ。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-28 ブレイヴ✕リヴァイブ



…動き始めた歯車を止めることは出来ない。


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Turn-28 ブレイヴ✕リヴァイブ

天童 駆VS馬神 弾の続きです!いやぁバトルシーンはとてつもなく難しいですが毎回ワクワクしながら構成しています!
それでは28話をどうぞ!!


駆 デッキ27 手札2

ライフ 4 リザーブ0

トラッシュ3

究極輝神アルティメット・オーバーレイ

LV4 BP23000 (2) Sコア 疲労

合体[1]

太陽神剣ソルキャリバー

BP+4000

合体[2]

火星神剣マーズブリンガー

BP+5000

 

ビートルゴン

LV3 BP4000 (1)

 

バーゴイル

LV3 BP5000 (1)

 

バーゴイル

LV3 BP5000 (1)

 

獄風の探索者 カゲロウシーカー

LV3 BP5000 (1)

 

邪神域 LV1 (0)

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

 

 

弾 デッキ26 手札1

ライフ2 リザーブ0

トラッシュ12 Sコア

光り輝く大銀河 LV1 (0)

 

灼熱の谷 LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

ダン「正直危なかった…伏せたバーストカードがアルティメットウォールじゃなかったら終わっていたよ」

 

駆「…君のターンだ」

 

ダン「あぁ、分かってるよ。スタートステップ!コアステップ、ドローステップの時に灼熱の谷の効果によりドロー枚数を+1し、その後1枚を破棄する。

デッキからカードを2枚ドローそして俺はこの中から戦竜エルギニアスを破棄する。

リフレッシュステップ、メインステップ!」

 

弾 デッキ26→24 手札1→2

リザーブ4→13 Sコア

 

その手札でお前はこのターン、何をしかけてくる?

メインステップに突入した彼を俺は警戒の目で見つめる。

場がどれだけがら空きであろうと、戦況が一気にひっくり返る時がある。だから油断は一切許されない。

 

ダン「…駆、聞きたいことがあるんだ」

 

弾は手札のカードから目の前の俺に視線を移し俺にそう言ってきた。

 

駆「……なんだ?」

 

ダン「駆はさ、この世界で何をしたい?」

 

駆「…何故このタイミングで?」

 

ダン「ふと気になったんだよ。あの過去があってお前は今、この世界でどうしたいのかがさ」

 

駆「……俺はあの過去を捨てこの世界で生きるだけだ。

あの時は折れてしまったが、今度こそ…たとえ誰からも助けが無く孤独であったとしても生き延びてみせる」

 

ダン「そうか…なら良かった」

 

俺の回答に弾は安心の表情を見せた。正直な話、この世界で死のうとは思ってはいない。俺はあの前世が嫌いだから自殺をしたんだ。

 

ダン「でもそんな悲しいこと言うなよ…お前は絶対に1人なんかじゃない!」

 

「1人じゃない」その言葉で俺は1人の人物が脳裏に浮かび上がった。

 

駆「1人じゃない…か。俺を支えてくれたあの人もそう言ってくれたな」

 

俺はポツリとそう言った。

 

ダン「…駆のおばさんだな」

 

俺の話を聞いていた弾はそう答える。

俺はその答えに頷き、話を続ける。

 

駆「俺を元気づける為に…そしてこれからも頑張れるようにとあの人はそう言ってくれたのだろう。

…だが、あの人はもう居ない。彼女の言葉を信じて外の世界を生きたが、結局のところ俺は独りだ。

もう俺はその言葉を信じてはいない」

 

ダン「…確かに外の世界のお前は独りだった…でも今は俺や霊夢、魔理沙に早苗それに美弥もいる。それは紛れも無い事実だろ?」

 

駆「…誰にも分からないさ…信じたものが支えだったものが崩れ去った時の気持ちは………質問には答えた。さっさとバトルを進めろ」

 

ダン「駆…分かった。俺は4コスト赤2軽減2コストでフェイタルドローを使用。自分はデッキからカードを2枚ドロー…さらに自分のライフが2以下の時、追加で1枚ドローする。

つまり俺はデッキからカードを合計3枚ドローする」

 

駆 デッキ24→21 手札1→4

 

灼熱の谷で都合よくドローソースマジックを引いていたか…それにこの状況下で最適なフェイタルドローを採用しているとはな…

 

ダン「このカード使ってみるか…!俺は手札から1コスト赤1軽減0コストでピクシスリザードを召喚!」

 

ダンのフィールドに羅針盤を背負った小さなドラゴンが現れる。

これは…スペシャルデッキセット[12宮Xレアの輝き]に収録されたスピリットソウル持ちの光導サポートカード…こいつが現れたということはあのカードが飛んでくるな。

 

ダン「さらに3コスト赤2軽減1コスト、召喚条件はコスト1以上の自分のスピリット1体以上で創星龍バイアーをコアを一つ置き、レベル3で召喚」

 

これはまた厄介なカードを召喚してきたな。

…創星龍バイアー、このカードもピクシスリザード同様スペシャルデッキセット[12宮Xレアの輝き]に収録されているアルティメットカードの1枚。

こいつが厄介な理由はレベル3、4、5の永続的に発揮される効果だ。

その効果とは系統光導を持つ自分のスピリットの効果で、相手のスピリットを対象にするとき、相手のアルティメットも対象にできるというもの。

そしてさらに弾の召喚は進む。

 

ダン「駆、俺の新しいキーカードを見せてやる!

コスト9、赤4、究極1軽減4コスト、召喚条件は赤のスピリット、アルティメット1体以上!

 

現れよ12の星座を束ねし究極の龍よ!

星の輝きを解き放て!!

 

究極星アルティメット・ゾディアック

 

をソウルコア1つと通常コアを4つ置き、レベル5で召喚する!」

 

弾のフィールドに黄道十二星座が浮かび上がり、射手座、牡牛座は赤、魚座と山羊座は紫、蟹座と牡羊座は緑、獅子座と水瓶座は白、乙女座と双子座は黄色、蠍座と天秤座は青にそれぞれ光り輝き、天高く光の柱を生成する。

その12の光に呼ばれ宇宙から12の星座を統べる究極のドラゴンが翼を羽ばたかせ舞い降りる。

 

 

 

side change

 

 

 

12宮の力を統合したドラゴンか…12宮…昔を思い出す…

 

早苗「弾さんもとうとうエースカードを召喚しましたね!」

 

レイ「駆君のアルティメットオーバーレイもかっこいいけど、弾君のアルティメットゾディアックもかっこいいなぁ…!」

 

2体の大型アルティメットがそれぞれのフィールドにいるこの光景にオーバはウットリしているようだ。

 

魔理沙「にしても、駆のあんな声初めて聞いた…」

 

霊夢「弾と駆のあの話…きっと駆の昔の話じゃないかしら?」

 

早苗「駆さん…一体何があったのでしょう?」

 

霧雨と博麗は馬神と天童の会話が気になっているようだ。博麗は天童の過去と予想しているようだな。

 

 

 

side change

 

 

 

アルティメット・ゾディアックか…これもまたピクシスリザード、創星龍バイアーと同じデッキに収録されたアルティメットXレア。効果は…俺は知っているがここで言う必要は無い。おいおい弾が説明してくれるだろう。

…しかし、このタイミングでこのカードを繰り出したということは弾は確実にこのカードに賭けている。つまりここから予測できること…それはこのターンで彼は必ずアルティメット・ゾディアックでアタックしてくるこの一点のみだ。

 

ダン「……(どうする?手札のこのカードを使ってもいいが、もしアルティメット・ゾディアックの効果であのカードがオープンされなければかなり不味いことなる。…やってみるか?)」

 

目の前の弾は右手を顎に当て、左手に持つ2枚の手札とプレイボードに広げられた盤面を交互に見つめ何か考え事をしている。

なぜアルティメット・ゾディアックを出す前でなく、出してから考え出すかはよく分からないが…

まさか最悪の事態を回避するためにアルティメットゾディアックをブロッカーにするつもりか?

 

ダン「俺は手札から3コスト赤2軽減1コストでマジックカード、天火烈刀斬を使用。

使用コアはアルティメット・ゾディアックのソウルコアを使用し、ゾディアックのレベルは、4にダウンする。

そして天火烈刀斬の効果によりお前のネクサス、邪神域を破壊しさらに使用コストにソウルコアを使っていた時、シンボル2つ以上の相手のスピリット、アルティメットを破壊する。

よって俺は駆のダブル合体アルティメットを破壊する!!」

 

弾の手札から放たれた火炎の衝撃波は俺のフィールドの邪神域とダブル合体アルティメットを襲い燃やし尽くした。

 

駆「…やってくれる。太陽神剣ソルキャリバー並びに火星神剣マーズブリンガーには通常コア1つずつを置きフィールドに残す」

 

このタイミングで天下烈刀斬か…弾は何かを狙っている。

おそらく俺のこの盤面を利用したカードを奴はアルティメット・ゾディアックで引っ張りたいのだろう。

 

ダン「……アタックステップ!輝け、アルティメット・ゾディアック、アタックだ!!」

 

 

 

side change

 

 

 

魔理沙「おいおい!弾はアタックして大丈夫なのか!?」

 

明夢「…これは相当危険な賭けだな」

 

霊夢「明夢の言う通りね。仮にアルティメットトリガーがヒットしたとしてオープンするカードの枚数によって12宮の出る確率は変わってくる…それに残ったカードはトラッシュに行ってしまうから実質デッキ破棄しているようなものよ…」

 

補足で博麗が説明した。俺が言おうとしていたことを全て言ってくれたので助かった。

 

明夢「リスクはあるが場にバイアーがいる。もし、馬神があの12宮カードをオープン出来たのならまだ勝負は分からない…」

 

 

 

side change

 

 

 

アルティメットゾディアックはダンの声に答え飛び立つ。

 

ダン「アルティメット・ゾディアックのレベル3、4、5のアタック時効果を発動!

[アルティメットトリガー]ロックオン!」

 

アルティメット・ゾディアックは光の衝撃を打ち出し、俺のデッキの1番上のカードを弾き飛ばす。

 

ダン「…コストはなんだ?」

 

駆「…邪神域、コストは4だ」

 

俺は弾き飛んだカードのコストを弾に伝える。

 

デッキ27→26

 

アルティメットトリガー

究極星アルティメット・ゾディアック

コスト9

VS

邪神域

コスト4 負け

 

結果:[ヒット]

 

ダン「ヒットだ!」

 

駆「…ヒットしたか…生憎手札にトリガーカウンターは無い」

 

そもそも俺のデッキにトリガーカウンターは無いがな。

 

ダン「ならヒットしたアルティメット・ゾディアックの効果を発動。

俺はデッキから12枚をオープン!」

 

オープンカード

ブレイヴドロー✕

戦神乙女ヴィエルジェ〇

ダンデラビット✕

エリダヌスドラゴン✕

双魚賊神ピスケガレオン〇

光輝く大銀河✕

砲竜バル・ガンナー✕

創星龍バイアー✕

ブレイドラ✕

フェイタルドロー✕

宝瓶神機アクア・エリシオン〇

白羊樹神セフィロ・アリエス〇

 

ダン「…この中の系統光導をもつスピリットカードをコストを支払わず好きなだけ召喚する!残ったカードは破棄する。

よって戦神乙女ヴィエルジェにコアを2個置きレベル2、双魚賊神ピスケガレオンをコアを1個置いてレベル1でノーコストで召喚!コアはアルティメット・ゾディアックのコア3つを使う。これによりゾディアックのレベルは3に下がる」

 

オープンカード召喚

ブレイヴドロー→破棄

戦神乙女ヴィエルジェ→召喚

ダンデラビット→破棄

エリダヌスドラゴン→破棄

双魚賊神ピスケガレオン→召喚

光輝く大銀河→破棄

砲竜バル・ガンナー→破棄

創星龍バイアー→破棄

ブレイドラ→破棄

フェイタルドロー→破棄

宝瓶神機アクア・エリシオン→破棄

白羊樹神セフィロ・アリエス→破棄

 

弾 デッキ24→12

 

アルティメット・ゾディアックはワープをホールを2つ作り出し、それぞれ、乙女座、魚座を司る12宮Xレアを呼び出す。

煌めきを放つ戦いの乙女、怪しくもその中に美しさを感じさせる、2艦の戦艦が並ぶ。

これがアルティメット・ゾディアックの真骨頂。デッキから12宮Xレアを召喚する展開力を持つ。

 

ダン「召喚された12宮Xレアの召喚時効果の処理を行う。

まずは戦神乙女ヴィエルジェのレベル1、2、3の効果、自分のライフが5以下の時、ボイドからコア1個を自分のライフに置く」

 

ヴィエルジェは眩い輝きを放ちその手にコアを生成しそのコアを弾にさずけた。

 

弾 ライフ2→3

 

ダン「そして次は双魚賊神ピスケガレオンのレベル1、2の召喚時効果、このスピリット以外のスピリットすべてのコア1個ずつを持ち主のリザーブに置く。この効果でコアが0個になったスピリット1体につき、自分はデッキから1枚ドローする。

だけど、創星龍バイアーのレベル3、4、5の効果により、系統光導を持つ自分のスピリットの効果で相手のスピリットを対象にするとき、相手のアルティメットも対象にできる。よって駆、お前のアルティメット達もピスケガレオンの効果対象になる!」

 

ピスケガレオンは無数の砲弾を四方八方に発射、自分のスピリットにもピスケガレオンの効果対象となってしまうためヴィエルジェのコアとピクシスリザードのコアが1つずつ取り除かれピクシスリザードは消滅する。

そして俺のフィールドのアルティメット、及び星神剣もピスケガレオンの砲撃により葬られてしまった。

 

ダン「そしてピスケガレオンの効果でコアが0個になったカードはピクシスリザード、マーズブリンガー、ソルキャリバーの3枚。

よって俺はデッキから3枚ドローする」

 

弾 デッキ12→9 手札1→4

 

…今思えばマーズブリンガーかソルキャリバーにソウルコアを載せておけば良かった。

しかしこれは結果論に過ぎない。この状況をなんとかしなければ、俺に次のターンは無い…

 

駆「…フラッシュタイミング、4コスト、ソウルコアを支払いリミテッドバリアを使用。

このターンの間、コスト4以上の相手のスピリット、アルティメットのアタックでは俺のライフは減らない」

 

すると俺の周りに白いシールドが展開され、強烈な吹雪が吹き荒れる。

 

駆「…さらにソウルコアを使ってこのマジックを発動しているので、追加で相手のネクサス1つを手札に戻す。

よって灼熱の谷を手札に戻す」

 

燃え盛る灼熱の谷は吹き荒れる吹雪によりその活動を停止し、消滅する。

 

ダン 手札3→4

 

ダン「リミテッドバリアか…フラッシュは無いよ、駆」

 

駆「こちらも無い。そのアタックはライフで受ける。だがリミテッドバリアによって俺のライフは減らない」

 

アルティメット・ゾディアックは俺に対して無数の光弾を放つ。

しかし、その光弾はリミテッドバリアによって全て弾かれる。

 

ダン「コスト4以上がダメならコスト3のバイアーでアタックだ!」

 

弾の声に答えバイアーは右手にエネルギーを溜め始める。

ほう、まさかこのタイミングでバイアーで攻撃するとは…

ラッキーだな

 

 

駆「こちらのフラッシュは無い」

 

弾「俺も無い」

 

駆「なら、そのアタックはライフで受ける」

 

バイアーは右手に溜まったエネルギーレーザーを発射。

 

バリィィィィィン!

 

俺のライフを1つ貫いた。

 

ライフ4→3

リザーブ6 Sコア→7 Sコア

 

ダン「これでアタックステップ終了。ターンエンドだ」

 

弾 デッキ9 手札4

ライフ3 リザーブ2

トラッシュ7 Sコア

究極星アルティメット・ゾディアック

LV3 BP16000 (1) 疲労

 

創星龍バイアー

LV3 BP5000 (1)疲労

 

双魚賊神ピスケガレオン

LV1 BP5000 (1)

 

戦神乙女ヴィエルジェ

LV1 BP4000 (1)

 

 

光り輝く大銀河 LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

 

side change

 

 

 

魔理沙「駆が場を圧倒してると思ったら次は弾が巻き返しやがった!!」

 

レイ「こんなどんでん返し、初めて見たよ!!(美弥ちゃんも来れば良かったのにな…)」

 

早苗「ライフは3まで回復、オマケにゾディアックと12宮が並んでます!」

 

明夢「それに対して天童の場はがら空き、バーストも無く手札はあと1枚か…やはりあのオーバーレイの大抜刀で手札を消費してしまったのが影響しているな…」

 

さすがにここで詰みか…?

 

 

 

side change

 

 

 

駆「……俺のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

駆 デッキ26→25 手札1→2

リザーブ7 Sコア→10 Sコア

 

この手札2枚か…来てくれたは嬉しいがさすがにキツいな…

だが、最後までやってやるさ…!

 

駆「…ライフが[3以下]になったことで俺は手札からこのカードを召喚できる…!」

 

弾「ライフが3以下になった時…?」

 

駆「召喚条件…自分のライフ3以下をクリア、よって俺は手札から8コストで

 

獄炎の四魔卿ブラム・ザンド

 

をソウルコアと通常コアをそれぞれ1個ずつ置きレベル3で召喚する」

 

俺のフィールドに赤黒い炎が2つ発生する。その炎は俺のフィールドを駆け抜け巨大なサークルを描き地面を抉る。そしてサークルから禍々しい炎が火山の大噴火の如く天高く吹き出す。その中に存在するアルティメットは手に持つ2つの巨大な剣で炎を切り裂き現れる。

その姿は下半身は四足歩行、上半身は赤黒い筋肉と装甲を纏う龍の様なスピリットである。

獄炎の四魔卿ブラム・ザンド…メガデッキ獄炎のブラム・ザンドにて収録されたアルティメットXレア…

今はこいつに賭けるしかない。

 

グォォォォォォォ!!

 

そしてフィールドに現れたブラム・ザンドは地面が揺れ動くほどの彷徨を発する。

 

 

 

side change

 

 

 

明夢「…!」

 

何!?まさか天童があのブラム・ザンドを所持していたとは思わなかった。

……まさか、天童はあの厄介なアルティメットを操れるのか…?それ程の力を持っているのか?

天童に対する疑問が湧いてくる…今すぐにでも問いたい所である。

…それにしても、周りはブラム・ザンドに対してかなり不安な表情を浮かべている様だ。

実際に隣のオーバは怯え肩を震わせている。

あんな明確な殺意を剥き出しにして敵である12宮を見ている巨大なアルティメットを見たら誰もが恐れるだろう。

 

霊夢「また見た事の無いアルティメット…あの赤い闇…輝きを放つアルティメット・オーバーレイとはまるで真逆の存在見たいね…」

 

博麗がそう呟いた。光であるオーバーレイと闇のブラム・ザンド…そう考えれば一応合ってはいるが実際のところ2体のアルティメットに接点は無い。

 

早苗「いったい…どんな効果を持っているのでしょう…?」

 

東風谷が顎に右手を当て興味津々にブラム・ザンドを見ている。

まぁ奴の効果はこのターンで分かるが教えてるとするか…

 

明夢「…あのカードには[ソウルドライブ]が搭載されている」

 

霊夢「……明夢、それ本当?」

 

俺がそう言った時、博麗が真剣な顔付きでこちらを見つめそう行ってきた。

 

明夢「あぁ、紛れも無い事実だが…」

 

魔理沙「マジかよ…ヤバいことになりやがった…」

 

一方で霧雨は顔を真っ青にして震えている。

 

明夢「なんだ?[ソウルドライブ]の何がヤバいんだ?」

 

魔理沙「そ、それはだな………」

 

霧雨はゆっくりと話を進め始めた。

 

 

 

 

 

 

レイ「嘘でしょ!?」

 

霧雨の話を聞いたオーバは焦っていた。

 

明夢「…そうか、それは大変だな」

 

レイ「明夢君はなんでそんなに冷静なの!?早く止めないと…!」

 

明夢「…ならオーバ、あれを見ろ。もう止めることは出来ないぞ」

 

俺はバトルステージの天童を指さす。

やつはもう時期アタックステップへ移行するところであった。

 

 

 

side change

 

 

 

駆「…バーストをセット。そしてアタックステップに入る。

獄炎の四魔卿ブラム・ザンドでアタッ……」

 

ここでやるしかないと俺がブラム・ザンドに攻撃の命令をくだそうとした時だ。突然、俺の身体が動かなくなってしまった。

まるでソウルコアをライフに置く[封印]を使った時のように…いや、それ以上かもしれないほどの拘束。

抗うことも出来ない上に声も発することも不可能な状況に陥ってしまった。

 

ダン「…?どうした、駆?」

 

動きが止まった俺を心配する弾の不安そうにしている顔がバイザーから見える。

それとは別に俺のバトルアーマーに今までに無い変化が始まる。

スーツ部分と両手のグローブがぐちゃぐちゃに変形を繰り返し、やがて俺が纏っている黒い装甲と同じ装甲に変化した。

さらに、ヘルメットのバイザーそのものも同様に変形し黒い仮面の様なものに変形する。これにより視界が遮られるかと思ったが不自由は無かった。

そしてここから封印した時と同じように装甲がスライド、展開され、全身漆黒の装甲のバトルアーマーに今までに見たことのない[レッドゴールド]の閃光が所々に刻まれ鋭い光を解き放つ。

 

ダン「なんだこれ…?駆、大丈夫なのか?顔を見せて答えてくれ!(いきなり駆のバトルアーマーが全身ガチガチの装甲に…それにヘルメットのバイザーも黒い仮面に変化して、仮面の隙間の赤い目が俺を射殺す様に見つめてくる。何がどうなってるのか理解出来ない…とにかく今は駆が無事なのかどうかが知りたい…!)」

 

バトルアーマー「ピピッ…音声システムを起動。現在のバトル状況を把握。一時中断されたバトルを再開すると同時に最適の戦術を選択、実行します」

 

(↑以後Battle Armor 略してBAとします)

 

ダン「…!?なんだよそれ…駆、答えてくれよ駆!!」

 

バトルアーマーに支配された俺は無理やりその身体を使われる。

そして話すことの出来ない俺の代わりにバトルアーマーの音声がバトルを進めることになってしまった。

残念だが弾の声に答えることは出来ない。

しかし、バトルアーマーに音声機能なんてあったか?無かったような気がするが…

 

BA「……………現在のバトル状況を把握。現在進行中のアタックステップをそのまま継続し獄炎の四魔卿ブラム・ザンドで戦闘を開始することを宣言」

 

バトルアーマーの命令を聞き取り、フィールドのブラム・ザンドは戦闘の態勢に入る。

 

BA「獄炎の四魔卿ブラム・ザンドのレベル3、4、5のアタック時効果[ソウルドライブ]を発揮」

 

バトルアーマーはブラム・ザンドの[ソウルドライブ]の発動を宣言した。

すると、ブラム・ザンド上のソウルコアがブラム・ザンドから離れ宙にに浮く。

 

BA「ソウルコアの破壊を開始」

 

バトルアーマーの音声と同時に右腕の装甲がぐちゃぐちゃになり変形を始める。

ここまで冷静に解説をしているのだが、実際のところ封印も無しで、起きたことの無い初めての現象が発生してるので俺は相当焦っている。

そして、変形を繰り返すバトルアーマーの右腕は巨大で黒い4本の爪を持つロボットアームの様な物に変形し宙に浮くソウルコアを鷲掴みにする。

4本の爪はソウルコアを握りつぶさんとソウルコアに力を加え続ける。やがてミシミシと鈍い音がソウルコアから聞こえ、次第にヒビが入っていき…

 

バキバキバギバギィィィィ!!

 

と音を立ててソウルコアは砕け無数の破片が飛び散る。

四方八方に砕け散った破片は赤黒い炎のエネルギーとなりバトルアーマーに吸い込まれる。

 

BA「ソウルコアのエネルギーを貯蔵しました。続けてアルティメットへの接続を開始しエネルギー装填を行います」

 

バトルアーマーの音声と共にバックパックの2つの突起から黒いチューブがブラムザンドへと

伸びて彼の胸の赤い宝石部分に接続される。

 

BA「エネルギー装填開始」

 

すると、ソウルコアのエネルギーがチューブを伝ってブラム・ザンドへ注がれていく。

と同時に俺の身体に異変が生じる。全身がじっくりと燃えるような強烈な痛みに襲われ、心臓を鷲掴みにされ握り潰されるような感覚が段々と強くなって徐々に息苦しくなってくる。

アニメでもこういう苦しい時、キャラクターは身体を転がして藻掻いたり苦しさのあまり獣の様な声を上げることがあるが俺の場合、身体を支配されているせいか、藻掻くことも声を上げることも出来ない。

この苦しみは恐らくソウルドライブを行った時の反動だろう。

封印時にバトルアーマーにソウルコアをセットした時の暖かさを入学試験の時に感じてからソウルコアで何かしらのアクションをすると身体へ何らかの影響が出るのでは?と思っていたが、まさかソウルドライブが影響するとは…そしてそれが封印時の暖かさとは逆に地獄のような痛みだとは思わなかった。

その一方でフィールドのブラム・サンドは全身に赤黒い炎を纏い始める。

演出なのかは分からないがブラム・ザンドの纏った炎は周りの温度を急激に上昇させバトルフィールドをドロドロに溶かしている。

 

BA「ブラム・ザンドの[ソウルドライブ]の効果、相手のスピリット全てを破壊します」

 

弾「何!?」

 

やがてブラム・ザンドは溢れんばかりの炎のエネルギーを巨大な炎球にありったけ集中させ弾のフィールドに撃ち込む。

一瞬の光が走り、観客の誰もが目をつぶったであろう。その瞬間、巨大な爆音と凄まじい衝撃が大体育館全体に響き、灼熱の炎が弾フィールドを包み込む。

 

弾「ぐぅぅぅ!!」

 

ソウルドライブの衝撃は弾にも伝わり吹き飛ばされそうになっている。

当然、その衝撃は俺も感じている。今はバトルアーマーがコントロールしているので態勢は崩れたりはしなかったが、通常時だと簡単に吹き飛びそうで大変危険だ。

そんなことよりも炎が消え焦土と化した弾のフィールドには効果対象外のアルティメット・ゾディアックとバイアーを残してピスケガレオンとヴィエルジェは跡形もなく消し飛んでいた。

ソウルコアを代償に必殺の一撃を放つ…これがソウルドライブ。火力がオーバーレイの比では無い。

 

BA「さらにブラム・ザンドの[ソウルドライブ]の効果により相手は次の自分のスタートステップまでスピリットの召喚は出来ません」

 

ダン「スピリットを全て破壊して、スピリットの召喚を封じる効果…!?

こちらのフラッシュは無い!」

 

BA「フラッシュタイミングの確認……フラッシュはありません」

 

ダン「…そのアタックはライフで受ける!」

 

ブラム・ザンドは左手の巨剣に赤黒い炎を纏わせ天高く振りかぶる。

そして、振り下ろされた剣は弾の展開されたシールドを一撃で粉々に粉砕した。

 

バリィィン!

 

ダン「ぐぁぁぁ…!!(な…!?身体に走る痛みがさっきより強い…これもブラム・ザンドが影響しているのか?)

 

ライフ3→2

リザーブ4→5

 

BA「アタックステップを終了。エンドステップに入り、こちらのターンを終了します」

 

BA(駆) デッキ26→25 手札2→0

ライフ3 リザーブ1

トラッシュ8

獄炎の四魔卿ブラム・ザンド

LV3 BP16000 (1) 疲労

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

これで俺のターンは終わりか…スピリットが召喚出来ないとはいえ弾のフィールドにはまだ2体のアルティメットが残っている…それにソウルドライブの反動がまだジリジリと残っていて息苦しい。

身体的にも場面的にも厳しいところだ。

 

 

 

side change

 

 

 

派手にやらかしてくれたな…色々と

俺は天童のバトルアーマーとブラム・ザンドを交互に見ながら心の中でそう呟いた。

 

早苗「い、今のがソウルドライブですか!?」

 

魔理沙「と、飛んでもないパワーだ…吹き飛びそうになったぜ…」

 

霊夢「それよりも…駆の様子がアタックステップの時点でおかしくなったの分かってるわよね?」

 

ソウルドライブの感想を言う2人とは違って天童の様子の変化を俺たちに確認させる博麗。

 

レイ「う、うん…途中で駆君の声からバトルアーマーの音声に変わっちゃったしバトルアーマーの形もいつもと違うよ」

 

魔理沙「ん?音声……バトルアーマーに音声機能は無いよな?」

 

霧雨が顔にしわを寄せ腕を組んで考え始めた。

 

明夢「霧雨、安心しろ。バトルアーマーにそんな機能は搭載されていない。

…しかし、これはまた新しい変化を発見した」

 

早苗「明夢さん、それはどういうことですか?」

 

魔理沙「バトルアーマーの音声機能のことか?」

 

俺のふとした言葉に東風谷と霧雨が反応し質問をしてきた。

早速質問に答えるとしよう。

 

明夢「…バトルアーマーの音声機能も十分特殊なのだが、一番の問題は天童がソウルコアをバトルアーマーにセットせずに…つまり[封印]を使っていないにも関わらず自身の身体をバトルアーマーに支配されていることだ」

 

俺がそういった時、博麗、霧雨、東風谷、オーバは非常に驚いた顔をした。

天童と一緒にいた時間は俺より長いはずなのに誰も知らなかったのか…

いや、この真実を天童自身話さなかったのかもしれないな。

そして俺はさっきの言葉に続けてこう言った。

 

明夢「…それに天童は過去に1度ソウルコアを自らのバトルアーマーにセットする効果…[封印]について俺に尋ねてきたことがある。

奴はバトルアーマーにソウルコアをセットした時に自身の身体の自由が無くなり誰かに操られると言っていた」

 

俺の言葉で思い出したかのように博麗が口を開いた。

 

霊夢「…そう言えば、初めて駆とバトルした時、あいつ[封印]を使ってた。

バトルアーマーの姿と挙動が少し変わっただけで気にしてなかったけど、まさか…」

 

明夢「…そのまさかだ。俺も実際、天童と対戦をし、封印時の様を見た。

通常ならその現象が起こらない筈だが、今はそれに近い状態が天童の身に起こっている」

 

レイ「で、でもそれは封印した時でしょ!?今の状況とはまた違う力が駆君に影響してるかもしれないし…私達じゃ判断出来ないよ!」

 

オーバは焦りながら反論してきた。

確かに、この時点での判断は難しい上にオーバの言う通り封印時とは違う何かが天童の身体に影響を及ぼしている可能性はゼロでは無い。

 

明夢「……オーバの言い分も正しい。しかし、アタックステップ前と開始時の挙動の違い、普通に話していたにも関わらず途中謎のバトルアーマーの音声機能に変化。

バトルアーマーの変形はともかく、これだけでも乗っ取られた可能性は高いと思われる」

 

と俺はオーバにそう言った。だがこの現象の原因については大半の察しがついている。

それを今ここで言う訳にはいかない。

 

早苗「なら、バトルが終わったら駆さんに尋ねてみましょう…そしたら分かるのではないかと…」

 

魔理沙「本人に聞くのが一番だな」

 

霊夢「駆の変化にビックリしたけど…まずはこの対戦を見届けましょう。話は…そこからね」

 

 

 

side change

 

 

 

ダン「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

弾 デッキ9→8 手札4→5

リザーブ5→13 Sコア

 

スピリットの召喚が出来なくなった今、弾のアルティメット・ゾディアックの機能はほぼ停止したも同然。

弾の手札は5枚、そのうち1枚が灼熱の谷…か。

 

ダン「(駆の身に何が起こったのかはあいつ自身に聞かないと分からない…まずはこの現状を何とかしなくては…!スピリットを召喚は出来なくても俺にはまだ希望がある!)アルティメット・ゾディアック、並びにバイアーにレベルが最大になるようにコアを置く。

よってアルティメット・ゾディアック、バイアーにそれぞれ4個、追加する。

そして3コスト赤1軽減2コストでネクサス、灼熱の谷を配置!」

 

再び弾のフィールドにマグマ迸る谷が現れた。

デッキの残りが厳しい状況でドローソースネクサスはデッキアウトを招くかもしれない。

手札とライフに余裕があってもメインステップに突入した時点でデッキ枚数が0になったら元も子もない。

…彼も賭けている。この勝負、もうすぐ終わりを迎えるような気がする。

 

ダン「いくぞ!アタックステップ!!」

 

 

To be continued……




次回予告
ソウルドライブの反動と奇妙な変化を遂げたバトルアーマーは俺の身体を蝕むかのように負荷をかけていく。そして俺と弾、互いに余裕が無くなった今、ついに戦いは終わりの兆しを見せた。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-29 ブレイヴ✕サバイブ


……最後にバトルステージで立っているのは1人だけだ。


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Turn-29 ブレイヴ✕サバイブ

弾VS駆の続きです!
この戦い、どちらか勝利を掴むのか…楽しんでみてください!
それではTurn-29 ブレイヴ✕サバイブをどうぞ!


ダン「いくぞ!アタックステップ!創星龍バイアーでアタック!!」

 

馬神はバイアーに攻撃命令を行い、バイアーはそれに従い天童へと迫っていく。

俺は馬神がこのターンのアタックステップで攻撃を開始することに驚いた。

スピリットの召喚が次の天童のスタートステップまで封じられている。つまり、アタッカーもブロッカーを増やすことが出来ないのにも関わらずアタックに入るとは…余程次の防御に自信があると見える。次の防御は完璧なので場を固めるより天童のライフを1つでも多く削っておこうという考えか…?

…さて俺の推測は一つ置いておき、ここで馬神と天童の戦いがどういう状況になっているのかをまとめておこう…次の下の通りだ。

 

 

BA(駆) デッキ25 手札0

ライフ3 リザーブ1

トラッシュ8

獄炎の四魔卿ブラム・ザンド

LV3 BP16000 (1) 疲労

 

バースト

有り

 

手元

無し

 

 

弾 デッキ8 手札4

ライフ2 リザーブ2 Sコア

トラッシュ2

究極星アルティメット・ゾディアック

LV5 BP33000 (5)

 

創星龍バイアー

LV5 BP9000 (5) 疲労

 

光り輝く大銀河

LV1 (0)

 

灼熱の谷

LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

と見てわかると思うが、互いにギリギリの状況だ。

バトルアーマーから何らかの影響を受けている天童はまだデッキ枚数に余裕があり、ライフが3つ…だがフィールドはがら空きで尚且つ手札が0枚なのでフラッシュでの反撃が不可能となっている。今は馬神のバイアーがアタック中…残りのアタッカーのアルティメット・ゾディアックの攻撃を含め全て通れば天童のライフは1となる。

それに対し馬神は手札が4枚でライフが2つ。場にシンボルも並んでいる。その点に関しては安心できるがデッキの枚数が残り8枚。

加えて毎ターンのドローステップでのドロー1枚追加する灼熱の谷を配置しているが故に一気にデッキが減っていく。

そう、灼熱の谷のようなドロー加速は序盤のデッキを高速で回転させ、場を安定させるのに最適なネクサスカードなのだ。

そして[ドローステップでドローする枚数を増やしている]ので[相手の効果により手札が増えた後]のバーストの発動対象にならない点を持つ。

よってグリードサンダーや、馬神の使っていたエグゾーストエンドによる妨害を受けない。

よって灼熱の谷は赤のデッキ等に重宝されている。だが今の状況ではドロー枚数を増やす効果が裏目に出て、デッキアウトを招く危険性を持っている。

オマケに天童のデッキはアルティメットを中心に構成されたデッキ。

邪神アルティメットにも相手のデッキのカードをトラッシュに置く、[Uトリガー]を搭載したカードはある。

となると、馬神は天童のライフを削りきる前にデッキ残り枚数が0…つまりデッキアウトとなり敗北する可能性も有り得る。

 

…ざっとこんなものか?長々と解説するのも楽じゃない。

解説と状況説明は終わったことだ。バトルの続きを見るとしよう。

 

 

 

side change

 

 

 

レベル5のバイアーが俺に迫ってくる。

手札が無い以上俺に反撃の手段は無い。

 

BA「フラッシュタイミングの確認……フラッシュはありません」

 

ダン「こちらもだ!」

 

BA「ではその攻撃はライフで受けます」

 

バトルアーマーはライフで受けることを宣言し、俺のライフを1つ使いレッドゴールドに輝く粒子のフィールドを前方に発生させる。

バイアーは光のエネルギーを収束し右手からゼロ距離で打ち出す。

 

ドゴォォォン!

 

粒子のフィールドはバイアーのエネルギーに耐えきれず粉々に吹き飛び衝撃が俺の身体を襲う。

ライフで受けた時の衝撃もソウルドライブの反動も全て俺の身体が背負うことになるのか…拘束で逃げることも出来ない。極めて理不尽な痛みが俺を襲う。

 

BA(駆)

ライフ3 →2

リザーブ1→2

 

…だが、これで反撃の狼煙は上がった。

 

BA「バースト発動条件、ライフ減少後を確認。バーストを発動します。

マジックカードイビルフレイムを発動」

 

手札がなければバーストで対処すればいい。

バトルアーマーは伏せられていたバーストをオープンする。

そのカードは巨大な闇の爆炎へと変わり、弾のフィールドに広がってバイアーとアルティメット・ゾディアックを襲う。

 

弾「バイアー、アルティメット・ゾディアック!?何だ…あのマジックのバースト効果は!」

 

BA「マジックカード、イビルフレイムのバースト効果によりシンボル1つの相手のスピリット又はアルティメットを2体破壊します」

 

突如現れた無慈悲な爆炎に飲まれたバイアーとアルティメット・ゾディアックは跡形も残すこと無く塵と化してしまう。

アルティメットは耐性を持っているものが少なく、また付与することが難しい為アルティメットを対象とした効果を簡単に受けてしまう。

せっかく、召喚条件と重いコストを乗り越え召喚したアルティメットも今のようにマジック1枚で意図も簡単に沈められてしまう。

例えるなら浜辺で1時間以上かけ、やっとの事で建築した高クオリティの砂の城が不意に押し寄せてきた波で崩れ去る様に。

大袈裟な例えかもしれないがそれくらいアルティメットには脆い所がある。

 

ダン「くっ!(完全に油断した…まさかアルティメットも対象にして破壊できるカードも入れてるとは…駆め、抜け目ないな!)

…アタックステップは終わってターンエンドだ」

 

弾 デッキ9→8 手札5→4

ライフ2 リザーブ12 Sコア

トラッシュ2

 

光り輝く大銀河

LV1 (0)

 

灼熱の谷

LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

まさかイビルフレイムのバースト効果で延命が出来るとは思わなかった。

しかし、俺の手札は0、ライフは2でフィールドにいるのはブラム・ザンド1体のみ…

これでどうやって戦えばいい?俺のターンは回ってくるが、トップドローに全てを掛けなければならない上に今俺を操っているバトルアーマーが何をしでかすか分からない。

痛みもまだ残っていて息苦しい…下手をすれば意識が飛ぶかもしれない。不安要素が多すぎるこの状況…どうにか巻き返せるのか?

 

BA「相手のエンドステップを確認。ターンを取得しました。

スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

BA(駆) デッキ25→24 手札0→1

リザーブ2→11

 

っ!今引いたカード…前世でこんな奇跡が起こったことなんて無かった。

まるでカードアニメの主人公が逆転のために1枚のカードを引き抜いた時のような…とにかくまだ俺にはチャンスはある。もしかしたらこの状況を打開出来るかもしれない。

 

BA「手札から4コスト、イビルドローを使用、デッキからカードを2枚ドローします」

 

イビルドローのカードは黒いエネルギーを俺のバトルアーマーの右手に収束させ黒く塗りつぶす。

コントロールされた俺はその手でデッキトップからカードを2枚ひいた。

 

BA(駆) デッキ24→22 手札0→2

 

BA「そして手札から召喚条件ライフ2以上をクリア。3コストでビートルゴンをコアを2個起き、レベル4で召喚します」

 

またも俺のフィールドに兜の鎧を纏ったドラゴンが飛び出してくる。

 

BA「ビートルゴン、レベル4の効果で赤と緑のシンボルを1つずつ追加します。

続いて召喚条件自分のコスト1以上のスピリット、アルティメット1体以上をクリア。

5コスト赤シンボル1、緑シンボル1、究極シンボル1、3軽減2コストで

 

龍魔皇イビルフリード

 

をコアを1つ乗せレベル3で召喚します。この時、不足したコアはビートルゴンのコアを1つ乗せます。これによりビートルゴンのレベルは3にダウンします」

 

すると地面から漆黒の炎が吹き出し、バトルフィールドを砕いた。そして現れた黒煙の隙間から見えたのは神々しいとさえ感じてしう黒く堕ちたジークフリードの姿だ。

 

ダン「…黒い、ジークフリード…!?」

 

漆黒のジークフリードに弾は驚いている。かつて自分のデッキに入っていたキーカードの1枚だったからだ。

相当な思い出があるが故にそのショックは大きいのかもしれないな。

 

BA「イビルフリードの召喚時効果、[アルティメットトリガー]を発揮します」

 

イビルフリードは黒いエネルギーの衝撃波を弾に向けて放つ。

 

ダン「なっ!」

 

衝撃を受けた弾のデッキトップの1枚が弾け飛ぶ。

 

ダン「トラッシュに置かれたカードは…創星龍バイアー、コストは3だ」

 

BA「こちらのイビルフリードのコストは5よってこの[アルティメットトリガー]は[ヒット]となります」

 

弾 デッキ8→7

 

アルティメットトリガー

龍魔皇イビル・フリード

コスト5

VS

創星龍バイアー

コスト3 負け

 

結果:[ヒット]

 

ダン「こちらのトリガーカウンターは無い!」

 

BA「ではイビルフリードの効果、[アルティメットトリガー]が[ヒット]した時、トラッシュのコア全てをイビルフリードに置きます。

よってレベルは5に上昇します。

さらにイビルフリードのコア4個をブラム・ザンドに置きレベル5、1個をビートルゴンに置きレベルを4にします」

 

ダン「(レベルを上げてきたか!さぁどうする?駆…!)」

 

…さて、ここの状況判断は非常に難しい所だ。弾のフィールドはがら空きで残りライフは3つそれに対してこちらのフィールドには攻撃可能なアルティメットが3体並んでいる。

ここでフルアタックをすればこちらの勝利となるがそれは相手のフラッシュのカードが無ければの話。

弾の手札は4枚、そして使えるコアも十分にある。なのでフラッシュがある可能性は高いと見える。灼熱の谷の効果であちらが自爆するまでこちらが耐え続ける戦法を取る選択肢もあるがきっと弾は次のターンで必ず仕留めにかかるはず…奴のデッキはあと7枚、俺のデッキにあるアルティメットの[アルティメットトリガー]を考慮すれば持って約3、4ターンくらいか…?

この戦法はとっても効果的だが手札は0、防御札が無いので弾の猛攻を耐えられる保証は無いかもしれない。そして肝心のドロー効果のあるイビルフリードでアタックを仕掛けても相手のスピリットを破壊しなければドローは出来ない。

先程も言ったがフルアタックをすればもしかしたら勝てるかもしれないが確率は低い上に次の防御が薄くなってしまう。

だからここの判断はかなり難しいのだ。1歩間違えれば敗北の未来が待っていると言ってもいい。

 

BA「メインステップを終了、続いてアタックステップへ入ります。

ビートルゴンでアタック」

 

BAはここで1つの賭けに出たようだ。ビートルゴンはその翼を羽ばたかせバトルフィールドの空へ飛び立つ。

 

ダン「フラッシュは無い!」

 

BA「フラッシュタイミングの確認…フラッシュはありません」

 

ダン「そのアタック…ライフで受ける!」

 

ビートルゴンそのまま弾の展開されたバリアに突っ込むみ、その大きな角で貫く。

 

バリィィィン!

 

ライフ2→1

リザーブ12 Sコア→13 Sコア

ここでフラッシュが無かった…ここまでの危険な状況なら迷わず防御札を撃つはず……

ならなぜここでフラッシュのカードを使わなかった…?今ここで思い浮かぶ仮説は3つ。

 

1つ、弾の手札には防御カードが無いという事。

 

2つ、ビートルゴンではライフを守れない…つまり防御札を持っていても[コスト3以下]のカードから攻撃を防ぐカードを持っていないという事。

 

3つ、実は防御札を持っていてこちらがまたアタックした時にそのカードを使い、次の弾のターンでこちらの防御を薄くさせ猛攻撃でゲームエンドまでもっていく[引き寄せ]の作戦かもしれないという事。

 

確率は2と3の2つが十分に有り得る。

特に3の[引き寄せ]の作戦に俺は前世で何度も引っかかり敗北をしたことがある。

前世からの教訓だ。きっとこれは引き寄せの作戦…!続けてアタックをしてしまうとこのバトルは確実に負けてしまう…このバトルアーマーは分かっているのだろうか?

俺がバトルアーマーに疑問を抱いている時、身体に動きがあった。

バトルアーマーは俺の右腕を操り、プレボードのイビルフリードのカードに手をかけようとしていた。

ダメだ…!リスクが大きすぎる…ここは攻撃をするべき場面じゃない!やめろ、止まるんだ…!

俺は必死に心の中で好き勝手に動くバトルアーマーに投げ掛けた。

 

BA「……………」

 

俺の投げ掛けが伝わったのかは分からないがバトルアーマーは動きイビルフリードのカードから手を引いた。

…そうだ。それでいい、そしてターンを終了すればいいんだ。これで防御は少しでも厚くはなる。

俺が心の中で安堵した時、バトルアーマーのレッドゴールドの輝きが段々と強くなり光の粒子が周りに舞う。

一体何が起こるのか、そう考えた次の瞬間、俺の頭に強い衝撃が走った…

 

 

 

side change

 

 

 

………俺は何を見せられているのだ?周りの人間たちも困惑して不安そうな顔をしている。

そして天童の対戦相手である馬神も天童に心配の声をかけている。

このあまりにも奇妙な光景を見ている先生方も同じような反応をしているだろう。

天童がいきなりカード、デッキ、コアの置かれてあるプレイボードに自分の頭を思いっきり叩きつけたのだ。

 

レイ「駆君!?え、どうしてそんなことするの!?」

 

魔理沙「あいつ…何やってんだよ…!」

 

天童の…いや、バトルアーマーの謎の行動に取り乱すオーバと霧雨。

 

早苗「落ち着いてください!いつも冷静な駆さんがあんなことすると思いますか!?やっぱり明夢さんの言う通りバトルアーマーに支配されている説が濃厚かと思われます…」

 

と、そこへ2人を落ち着かせるように東風谷が説得を持ちかける。

 

霊夢「…………」

 

それとは別に博麗は無言で天童を見ている。この中でも彼女は割と冷静なのか。

 

魔理沙「駆、さっきので怪我してなきゃいいんだけどな…」

 

明夢「頭を強く打っている。外傷は無くとも念の為に対戦終了後、保健室に行かせた方がいい」

 

魔理沙「そう…だな…」

 

霧雨は途切れ途切れにそう言ったあと天童の方に心配そうな目を向けた。

残念なことにまだバトルは続いている。天童本人もかなり辛いところだろう。

 

 

 

side change

 

 

 

ダン「おい駆…!大丈夫か!?お願いだ、答えてくれよ!駆!!」

 

…何が起こった?このバトルアーマーは何をしたんだ?

微かに弾の俺を心配する声が聞こえる。

頭に走る激痛、頭にダメージを受けたのか意識が薄くなっていく中、俺はそう考えていた。

そして頭から何かしらの液体が俺の顔を伝い流れ落ちているのが分かる。もしかしたら血である可能性が高い。となると頭部のどこかに傷が出来たということになる。終わったら保健室に行かないとな…

すると急に俺の身体は動かされる。薄れた意識の中、俺が見たのは一部が強い衝撃受けたのか大きく凹んでいるプレイボードだった。

バトルアーマーは…自分で自分の頭を打ち付けたというのか。

幸いにも置かれているカードに傷は付くことはなかったのが1番の救いと言える。

 

???「………お前は…俺の物だ」

 

だが安心していたのも束の間で俺の心に響くように誰かがそう訴えかけてきた。バトルアーマーの電子音声とは違う男の声だ。

 

???「お前は…俺の物だ」

 

気味が悪かった。

何度も繰り返されるその言葉は俺の心の中をまるで侵食するかのように入ってくる。俺はこれまでの謎すぎる現象を忘れ、恐怖心でいっぱいになってしまっていた。

 

???「お前は俺の物だ…!」

 

そして俺を操るバトルアーマーはイビルフリードのカードを持ち、アタックをさせた。

 

BA「…アタックステップを継続、龍魔皇イビルフリードで攻撃します」

 

そしてバトルアーマーの指示に従い、イビルフリードはダンのバトルフィールドに向かって飛翔した。

 

 

 

side change

 

 

 

ほう、奴はイビルフリードで仕掛ける選択を取ったか…奴らしいと言えば奴らしいか。

しかし、その選択が吉と出るか凶と出るかは馬神の手札次第だな。しかし、ビートルゴンのアタックをライフで受けた。

ということは…

 

ダン「フラッシュタイミング!4コストでマジック、リミテッドバリアを使用」

 

馬神の周りに白いシールドが展開される。

 

ダン「リミテッドバリアの効果によりコスト4以上の相手のスピリット、アルティメットのアタックでは自分のライフは減らない」

 

…やはり、持っていたか防御マジック。普段の天童なら冷静に考えた後、次の防御を考えてアタックを止めていただろう。

しかし、現実はご覧の通りバトルアーマーが天童を支配しているような形になってしまっているせいか天童自身の判断が出来ず、まんまと馬神の引き寄せにハマってしまい結果として次の防御が薄くなってしまうことになってしまった。

 

BA「フラッシュタイミングの確認…フラッシュはありません」

 

手札が無ければ何も出来ない。フラッシュがないのも当然だ。

 

ダン「こちらもフラッシュは無い。そのアタックはライフで受ける!」

 

馬神のバトルフィールド上空のイビルフリードは馬神目掛けて赤黒い炎を吹き付ける。

しかし、その炎はリミテッドバリアで遮断され馬神のライフを削ることは無かった。

 

BA「アタックステップを終了、エンドステップに移行し、ターンを終了します」

 

BA(駆) デッキ24→22 手札2→0

ライフ2 リザーブ0

トラッシュ0

 

獄炎の四魔卿ブラム・ザンド

LV5 BP26000 (5)

 

ビートルゴン

LV4 BP6000 (3) 疲労

 

龍魔皇イビルフリード

LV5 BP12000 (5) 疲労

 

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

ダン「スタートステップ、コアステップ、ドローステップで灼熱の谷の効果、自分のドロー枚数を+1枚…よって2枚をドローし、手札を1枚破棄する。俺は天秤造神リブラ・ゴレムを破棄する。そしてリフレッシュステップ、メインステップ」

 

弾 デッキ7→5 手札3→4

リザーブ13 Sコア→16 Sコア

 

ダン「まずは光り輝く大銀河と灼熱の谷にそれぞれコアを一つ置き、レベルを2に上げる。

そして、光り輝く大銀河レベル1、2のメインステップでの効果!

自分の系統光導を持つスピリットカードのコストを5にする。よって5コスト赤2軽減3コストで…

 

龍神の弓、天馬の矢!戦いの嵐を鎮めよ!

光龍騎神サジット・アポロドラゴン

 

を通常コアを4つ、ソウルコアを1つ置き、レベル3で召喚!」

 

馬神は十二宮の神の一体の召喚を宣言。するとダンの後ろのフィールドが灼熱に燃え上がりその中に潜む炎を纏いしケンタウロスの様なドラゴンは光速でフィールドを駆け抜け、馬神のフィールドに射手座の紋章と共に降り立った。

 

ダン「さらに5コスト赤2軽減3コストでトレス・ベルーガを召喚!」

 

フィールドを駆け、馬神の元にやってきたのは四足歩行で3つ首の青い獣であった。

 

ダン「まだまだ!5コスト赤2、青1軽減2コストで輝竜シャイン・ブレイザーを召喚!」

 

さらに空より輝きを放つ赤と白の竜が高速で馬神のフィールドに着陸した。

なるほど、最後は数…か。いくらBPが26000のブラム・ザンドでもブロックできるのは一体のみ。

…これは勝負あったな。

 

ダン「このターンで決める!アタックステップ、トレス・ベルーガでアタック!」

 

馬神の指示をうけたトレス・ベルーガは青いオーラを纏い天童へ突進を仕掛けていく。

 

BA「フラッシュタイミングの確認…フラッシュはありません」

 

ダン「俺も無い」

 

BA「では獄炎の四魔卿ブラム・ザンドでのブロックを宣言」

 

トレス・ベルーガの進路にブラム・ザンドが立ち塞がった。しかし、トレス・ベルーガは自らの意志を曲げること無く、突進を進める。

 

獄炎の四魔卿ブラム・ザンド

LV5 BP26000

VS

トレス・ベルーガ

LV1 BP6000

 

BA「そしてフラッシュタイミングの確認…フラッシュはありません」

 

ダン「こちらもだ」

 

迫り来るトレス・ベルーガに対してブラム・ザンドは口に溜めた赤黒い炎をトレス・ベルーガに発射。

トレス・ベルーガはその炎に包まれ跡形もなく消滅する。

 

獄炎の四魔卿ブラム・ザンド

LV5 BP26000 勝ち

VS

トレス・ベルーガ

LV1 BP6000 負け

 

ダン「続けて飛翔せよ!輝竜シャイン・ブレイザー!アタック!」

 

トレス・ベルガーの攻撃に続きシャイン・ブレイザーは超高速で天童のフィールドを飛行する。

 

BA「そしてフラッシュタイミングの確認…フラッシュはありません」

 

ダン「俺も無いぞ」

 

BA「そのアタックはライフで受けます」

 

もはや今の天童に自分のライフを守る手段は無い。そこへシャイン・ブレイザーが天童のバトルアーマーが展開した粒子フィールドに自身の鋭い翼を叩きつけ、ライフを砕く。

 

バリィィィィン!!

 

 

 

side change

 

 

 

???「お前は俺の物だ…」

 

………何者か分からない正体不明の声をずっと聞かされていくうちに全身に走るソウルドライブによる反動の痛みもこの現状に対する恐怖心も感情も何もかもが段々と薄れてしまっている…いや、このバトルアーマーに自分自身が消されて無くなってきているのがわかる…

何もわからないままで、ただ俺という存在が消えていく。そして心が抜け落ちて抜け殻になってしまった俺の体をこのバトルアーマーが支配することになってしまうのだろうか?

そう考えていた時、俺のライフが砕かれ身体に衝撃が走る。

だが、その衝撃の感覚もいつもより格段に薄くなっているのが…わか…………

 

 

…それさえも分からなくなってきてしまった。

 

 

 

BA(駆)

ライフ2 →1

リザーブ0→1

 

…もはやバトルの勝ち負けや誰が委員長になるかはどうでもいい。この現状を終わらせなければ俺は居なくなる。

だから、俺の心がバトルアーマーに消される前に俺を撃ってくれ…弾。

 

 

 

side change

 

 

 

もう駆には手札も無く、ブロックできるカードもいない。残りライフは1に対し俺がアタックできるカードはサジット1体。このアタックが通れば俺の勝ちだ。お前の身に何が起こっているのかは俺には分からない。

でもお前が黒い鎧の中で苦しんでいるのなら…これで終わりにするよ。駆…!

 

ダン「アタックステップを継続、光龍騎神サジット・アポロドラゴンでアタック!」

 

俺はプレイボードのサジット・アポロドラゴンのカードを横向きにしてアタックした。

 

BA「フラッシュタイミングの確認…フラッシュはありません」

 

ダン「こちらも無い!ならば射抜け!光龍騎神サジット・アポロドラゴン!!」

 

サジットは力一杯に弓を引き、炎を纏わせた1本の矢を放つ。

その紅蓮の矢は真っ直ぐに駆のバトルアーマーが発生したシールドを貫通し駆の最後のライフを捉え貫いた。

 

バリィィィィン!!

 

BA(駆)

ライフ1 →0

リザーブ1→2

 

サジットの一撃で最後のライフを砕かれた駆の黒いバトルアーマーは所々からスパークが発生していた。そして力なく、ゆっくりと地面に降りたバトルアーマーは黒い粒子となって解除され同時に駆はその場にうつ伏せで倒れた。

 

ダン「駆!」

 

俺は急いで地面に降り、バトルアーマーを解除して駆の側へ向かう。

 

ダン「大丈夫か!?駆!」

 

うつ伏せで倒れている駆に俺は何度も呼びかけながら体を仰向けにして彼の様子を見た。

駆のヘアゴムは切れたのか、ポニーテールから解けた髪が広がり、少し赤みのある駆の黒い瞳は光の無い虚ろな黄金色に染まっていた。

そして、バトル中に自分の頭をプレイボードへ叩きつけた時に出来たであろう傷口から真っ赤な血が駆の顔を伝い流れている。

 

ダン「!?」

 

俺はとっさにポケットのハンカチで駆の頭の出血を少しでも止められるようにと傷口を抑えた。

 

ダン「駆…一体お前に何があったんだよ…」

 

駆「……………」

 

俺が駆の顔を目を見て話してかけても駆は俺を見て答えてくれなかった。

…正直なところ驚くしかなかった。バトル中も今この時も駆の身に起こったことがあまりにもありえない事だったから…

その後、俺は駆の額の傷を塞ぎながら何度も彼の名を呼びかけた。呼ばないと駆がここから居なくなりそうな気がして怖かったからだ。

 

…でも駆が俺の呼び掛けに答えることは…無かった。

 

 

To be continued……




次回予告
駆け寄る者達の声。知らされる事実。
何も知らなかった彼女は力に沈んだ彼をただ見守ることしか出来なかった。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-30 鎮火

これはなるべくしてなった結果だ。


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Turn-30 鎮火

どうも2020年!最初の投稿ということで30話をどうぞ!
かなり日は空いてしまいましたが、楽しんで読んでいってくださいね!


天童と馬神の戦いはデッキアウト寸前の馬神が引き寄せの作戦で防御が薄くなった天童にスピリット、ブレイヴの連続アタックを決め馬神の勝利で終わった。

…これだけで終わればまだ良かったのだが、バトルステージに降りバトルアーマーを解除した天童が力なくその場で倒れたのだ。

邪神の力を使いこなせているのかと思い期待しながらこのバトルを見ていたが、逆にその巨大な力に振り回されてしまった結果がこれか。

…無様だな天童。

 

レイ「駆君!」

 

天童の倒れた所を見たオーバは焦った表情で観客席から立って走り去っていく。

天童のいるバトルステージに向かうのだろう。

 

魔理沙「私達もいくぞ!」

 

早苗「はい…!」

 

霊夢「えぇ!」

 

オーバに続き霧雨、東風谷、博麗もバトルステージに向かい始めた。

……俺も一応行っておくか。倒れてはいるが天童の状態をより詳しく確認しておいた方がいいだろう。

俺も彼女達に続くように席をたちバトルステージへと足を進める。

 

 

 

side change

 

 

 

ダン「駆!しっかりしろ、駆!」

 

俺は駆に声を掛けながら傷をハンカチで塞いでいる。

いつも冷静で美弥や魔理沙にツッコミを入れたり、真剣にバトルをしていた駆が今俺の目の前で倒れている。

そんな痛々しい彼の姿に心が締め付けられるように苦しく感じた。

早く保健室に運んで回復させてあげたいけど、俺1人じゃ駆を安全に運べない…

 

レイ「弾君!駆君は大丈夫!?」

 

後ろから俺を呼ぶレイの声が聞こえて咄嗟に振り返った。確か、俺のクラスメイトで駆、美弥の友達だったな。

 

ダン「駆の状態は…良くは無いよ。とにかく助けに来てくれてありがとう」

 

その後ろに魔理沙、早苗、霊夢…後は見た事ない男子が着いてきた。

 

魔理沙「駆!!」

 

霊夢「目の色が変わってる…?どうなってるのよ、しっかりしなさい!駆!」

 

早苗「駆さん、どうしてこんなことに…」

 

倒れる駆の姿を見て霊夢達は驚愕し、レイは声に出ない程ショックを受けていた。

そんな中、駆の左肩を支えて運ぼうとする男子がいた。

 

明夢「…容態が悪化する前にこいつを早く保健室に連れていくんじゃないのか?やらないのなら俺1人でも連れていくぞ」

 

ダン「…俺もやるさ!」

 

そう言って俺は駆の右肩を支える。

これなら駆を保健室に連れて行ってやれる。

 

駆「……すま…………ない」

 

俺ともう1人の男子が駆の身体を起こした時、不意に駆の小さな声が聞こえた。

 

ダン「駆!?」

 

俺は咄嗟に駆の顔を下から覗き込む形で見た。

虚ろな金色の瞳のままだけど、口が僅かに動いていた。

そして一言、そう言った駆はゆっくりと目を閉じて気を失ってしまった。

 

明夢「…ほう、まだ意識が残っていたのか」

 

関心する様に駆の左肩を支える男子はそう言った。

 

ダン「…さっき目を閉じたよ。ところで君は駆と何か関係があるのか?」

 

駆の左肩を支える男子が一体何者なのか…それが気になってさり気なく聞いてみた。

 

明夢「…俺の事は後だ。とにかく運ぶぞ」

 

…あっさりと返されてしまった。

この状況でも彼は冷静なんだな…まるで駆みたいだ。

とそんなことを考えていたけれど、事の優先は彼の言った通り駆が1番だ。

俺とその男子で駆を保健室に運ぼうとした時、見覚えのあるピンクの長髪、黒い制服の女性がこちらに向かって走ってきた。

 

マギサ「遅くなってごめん!」

 

そう、俺と一緒にグラン・ロロを旅してきた異界魔女であり現在、この学校の教師をしているマギサだ。

 

早苗「マギサ先生!」

 

ダン「マギサ、今まで何やってたんだ!このバトルを見ていたんだろ!?手を貸してくれても…!」

 

先生という立場なのにも関わらず、倒れた生徒への対応が遅いマギサに俺は怒りを込めて怒鳴った。

 

マギサ「…保健室のベッドを1つ空けるように保健室の先生に連絡していたの。

勿論、手を貸すのも早くしたかったわ。だけど彼を安静に寝かせるベッドが空いてなかったら困るでしょ?」

 

そんな俺に対して申し訳なさそうに言うマギサ。

 

ダン「……確かに」

 

マギサの言ったことは正しかった。駆を保健室に運ぶことだけじゃなく、その後のことを彼女はしっかりと考えていたからだ。

 

マギサ「こういう時こそ冷静に対処しなきゃなね。さ、早く天童君運ばないといけないわ…!

あと誰か、天童君と寮部屋が同じの天野さんに天童君の帰りが遅くなることを伝えて貰えないかしら?」

 

レイ「なら…私がやります!」

 

マギサ「じゃあ、任せたわ。レイちゃん」

 

レイ「はい…!」

 

そう言ってレイは急いで美弥のいる寮へ向かって走って行った。

俺達も駆を支えながら保健室へと向かった。

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

ダン「やっと着いた…!駆、これで安心して休んでくれ…」

 

俺達は意識を失った駆を支えながら保健室の前に辿り着いた。

 

マギサ「失礼します」

 

コンコンコンとドアを3回ノックしたマギサは急いで保健室のドアを開ける。

 

マギサ「2人とも、早く中へ入って」

 

霊夢「私たちは外で待ってるわ」

 

大勢で行くと迷惑になると考えたのだろう。霊夢はそう俺に伝えてくれた。

 

ダン「…分かった」

 

俺は霊夢にそう答え、意識を失った駆を優先し駆を支えている俺ともう1人の男子は保健室に入る。

そこには銀髪の長い髪を三つ編みの様にして結び、赤と青のツートンカラーの私服の上から白衣を着ている女性がいた。

 

保健室の教師「…待ってたわ、早くこちらのベッドに天童君を!」

 

連絡を聞いていたであろうその先生は駆の様子を一目見た瞬間焦った表情で空いているベッドに俺達を誘導してくれた。

 

明夢「……こいつを寝かせるぞ」

 

ダン「あ、あぁ…」

 

俺ともう1人の男子でゆっくりと駆をベッドに寝かせる。

ようやく安静にベッドに寝かせることが出来た。その事実に俺は1つ安心した。

 

保健室の教師「とりあえず頭の出血を止めてその後、彼の身体を診ないといけないわ。

…少し時間がかかるわよ?マギサ先生」

 

マギサ「…分かりました。暫く彼をお願いします。八意先生」

 

永琳「う〜ん…みんなは永琳(えいりん)って呼んでるからマギサ先生もそう呼んでよ」

 

と八意(やごころ)先生は少し微笑みながら医療道具が保管されている棚から包帯を取り出す。

 

マギサ「…もうしばらくしたらそうしますね。私はまだここに入って間もない新人の身ですから…ってそんなことよりも早急に天童君の手当てをお願いします」

 

それに対して少し間を空けて愛想笑いをするマギサだが、重要なのは駆のことだと八意先生に伝える。

 

コンコンコン!

 

???「失礼します」

 

唐突に保健室の扉が3回ノックされた後、薄紫色のロングヘアに白いうさ耳を頭に着けた、存在感を放つ特徴的な女子が礼儀正しく入ってきた。

誰だろう?俺のクラスには居なかったし、別のクラスの人…もしくは俺たちの先輩にあたる人なのかもしれない。

 

???「…あ、明夢さんじゃないですか。どうしたんですか?ひょっとしてどこか怪我でもしたんですか?」

 

その女の子は俺の左隣に立つ男子に[明夢]と呼んで訊ねた。

 

明夢「…鈴仙(れいせん)か。怪我人は俺じゃない。ベッドに横たわるこいつだ」

 

それに対して彼は彼女の質問に対して否定し、ベッドに眠る駆を指し示す。

そして明夢と呼ばれる男子はうさ耳の彼女を鈴仙と呼んだ。

どうやら2人は顔見知りのようだ。そして鈴仙と呼ばれた女子は駆の眠っているベッドに近づいていく。

 

鈴仙「っ!これ、何をどうしたらこんな状態になるんですか!?早く治療しないと…!」

 

永琳「落ち着いて、うどんげ。まずはこの棚の隣の棚からガーゼを取って」

 

駆の様子を見た彼女は動揺していた。まるで予想外の事態が起こった時のように。

そして八意先生は動揺する彼女に「うどんげ」と呼んで的確な指示をする。

彼女がどんな人なのか聞いてみようかな…?

 

鈴仙「はい、師匠!」

 

鈴仙は八意先生の支持に従い棚からガーゼを取り出す。

彼女と先生はどうやら師弟関係らしい。医学関係で…なのだろうか?

 

永琳「さて、治療を始めるから、マギサ先生と君たちは外に出て待ってて」

 

些細な疑問が次から次へと出てきたところで八意先生から退室をお願いされた。

治療の邪魔になるのは不味いので早急に保健室から出よう。

 

ダン「…駆をお願いします。それでは失礼しましまた」

 

明夢「…失礼しました」

 

マギサ「失礼しました」

 

俺、明夢、マギサの順に保健室から出る。

 

マギサ「さて、私はまだやることがあるから職員室に戻るわ。

あとはみんなに任せても大丈夫かしら?」

 

魔理沙「任せろなんだぜ!先生!」

 

早苗「私に出来ることなら駆さんのこと支えたいです!」

 

霊夢「私も駆が心配だから…」

 

ダン「俺も大丈夫…!何かあったら呼ぶよマギサ」

 

マギサ「ありがとう、みんな…!それと弾、私は教師なんだから先生を付けなさい!それじゃあまた明日の教室で会いましょう!」

 

感謝の言葉を笑顔でみんなに言ったあと俺に注意するマギサ。

一緒にグラン・ロロを旅した仲間だし別にいいじゃないか…

とこの場から立ち去る彼女を見ながら心の中でそう思ったが教師という立場なのは事実。次からは先生を付けて呼ぶことにしよう。

 

明夢「……紹介が遅れたな、馬神」

 

ダン「そ、そう言えば…」

 

唐突に明夢と呼ばれる男子が苗字で俺を呼んできた。

名前で弾と呼ばれることが多かったこともあって苗字で呼ばれることに慣れていなかったが故にあやふやな反応をしてしまった。

 

明夢「……明夢、柊木明夢。天童とは同じ詩姫部のマネージャーという関係だ」

 

ダン「そうか、だから君は駆を…!俺は馬神弾、駆とは同じクラスメイトなんだ。よろしく、明夢!」

 

明夢「あぁ、ちなみに先程の白い兎の耳を生やした女は鈴仙・優曇華院(うどんげいん)・イナバと言う名前だ」

 

ダン「え…っとなんであの女の子の紹介を?」

 

彼は補足で保健室で八意先生の治療を手伝っているあの女の子の紹介を始めた。

なぜそんなことをするのか、疑問になって聞いてみた。

 

明夢「…お前が物珍しそうな目で彼女を見ていたからだ。彼女とは同じB組のクラスメイトなだけで関わりは一切無いがな」

 

彼は俺の目を見ながら静かにそう話した。

…確かに俺は彼女が何者なのか気になっていた。にしても明夢は凄まじい洞察力を持っているんだな。ホントに驚いた。

 

霊夢「…ところで皆はこれからどうするの?駆の治療が終わるまで待つの?」

 

壁にもたれて腕を組んでいる霊夢が唐突にそう言ってきた。

 

明夢「これから30分ほど待つ。それ以内に終わらないのなら俺は帰る」

 

早苗「私も勉強がありますし…遅くなるのなら帰ることになってしまいますね…」

 

魔理沙「私達もそうするか?」

 

魔理沙の質問に俺はすぐに答えることが出来なかった。マギサからもよろしくと頼まれているし、駆の傍に居てやりたいのは山々だけど俺も一緒の寮部屋の人に迷惑を掛けてしまうかもしれない。

 

ダン「……俺も明夢の様にするよ。ずっと居てやりたいけど、そういう訳にもいかないし…でもあいつが起きたら皆で支え合おう!」

 

魔理沙「だな!」

 

霊夢「そうね、それに聞きたいことも色々あるし」

 

早苗「とりあえず、今は駆さんが早く目覚めることを祈って待ちましょう…!」

 

そして俺達は駆が早く目覚めることを信じて、待った…

 

 

 

side change

 

 

 

……時計の針の動く音が明かりの灯ってない静かな部屋に響く。

私はレイちゃんとの会話の後、彼と弾君の対戦を見に行かず部屋の自分のベッドに横たわっていた。

勉強とかデッキ改造とか色々やらなきゃいけない事があるけど、やる気になれなくて…

 

ー仲直りしようと思わないの?駆君と美弥ちゃん、とても楽しそうにしてたじゃんー

 

あの時、レイちゃんに言われた言葉が頭の中で繰り返される。

確かに…今まで、彼とは楽しくご飯も食べたし、バトスピもして、苦手な勉強も教えて貰って少しずつだけど分かるようになってきた。霊夢ちゃん達、皆からも仲がいいねって言われてきたけど、仲直りなんて無理だよ…

あの時、彼にあんなこと言っちゃったんだもん。もうあの時の様に楽しく過ごすなんて…

 

 

 

…でも本当は後悔してる。あの時は駆君に怒って見捨てるようなことをしてしまったけど、冷静に考えてみたら自分の気持ちだけを伝えるだけじゃなくてもっと、もっと彼の気持ちに寄り添ってあげることが出来たら…って思ってきた。

そう考えていたら後悔で苦しくて涙が溢れてきちゃった…

私は自分の掛け布団を強く抱きしめて顔を埋めた。

…部屋、すっかり暗くなっちゃってる。電気つけないと。

そう言えば、駆君帰ってくるの遅いな…弾君との対戦があるのは分かるけどこの時間帯にはいつも帰ってきてるし…どうしたんだろう?

 

コンコンコン

 

私が部屋の電気を付けようとベッドから起きた時、自分の部屋のドアをノックする音が聞こえた。

誰だろう…?駆君…かな?

 

美弥「……誰ですか?」

 

私は部屋の電気をつけてからドアの前に立ってノックした人が誰なのか尋ねてみた。

 

レイ「…レイだよ。美弥ちゃん」

 

美弥「レイちゃん…どうしたの?」

 

いつも元気なレイちゃんが珍しく震えてる声で私を呼んできた。何があったのか気になった私はドアを開けた。

そこには泣きそうになって俯いているレイちゃんが立っていた。

とりあえず立ち話をする訳にも行かないので彼女を部屋に入れてあげる。

ゆっくりと絨毯に座ったレイちゃんは言いにくそうにこういった。

 

レイ「あ、あのね…今日駆君が帰るの遅くなるって伝えに来たんだ…」

 

美弥「駆君が遅くなるの?どうして…?」

 

レイ「……駆君、バトルが終わった後倒れちゃって今、保健室で治療を受けてるの…」

 

美弥「え……?倒れちゃったって…それに治療?」

 

レイ「出血が酷いみたいで…」

 

衝撃的すぎてレイちゃんが何を言ったのか一瞬理解出来なかった。

 

美弥「そ、そんな…!だって、だってバトスピってただのカードゲームだよ?確かにライフで受けた時の衝撃とかスピリットとかもリアルだけど、カードゲームでそんなことある訳無いよ…レイちゃん」

 

それにライフで受けた衝撃は痛いけどそこまで酷いものじゃないし、なのにどうして…

 

レイ「だったら…一緒に来てよ。実際に見たら美弥ちゃんも本当だって分かってくれるでしょ?」

 

美弥「う、うん……でも」

 

信じられないけど本当の事を知るには実際に見てみるしかない…けど

 

レイ「美弥ちゃん…?」

 

美弥「私が行ったところで何にも話せる事なんか無いし、それに…気まずくなるだけだよ…」

 

レイ「…美弥ちゃんは本当にそう思ってるの?」

 

美弥「えっと、それは…」

 

レイ「駆君と喧嘩して今は気まずいかもしれないけど、でもそれでおしまいにしていいの?

『今更』だって美弥ちゃん、言ってたし貴女の心のどこかで後悔があるんじゃないかな…って私は思うの。

…ねぇ、本当のこと言ってよ…!」

 

強く訴えかけるレイちゃんに、私は圧倒されると同時に心が苦しくなって胸を抑えた。

私のやったことと思ってることは矛盾している。だからしたくても出来ないんだよ…レイちゃん…

 

美弥「………おしまいなんて嫌だよ…!私だって本当は駆君と仲直り…したい!でも無理だよ…!!」

 

矛盾と後悔でいっぱいになった私は本当に思ってることをレイちゃんに訴えた。

 

レイ「美弥ちゃん…やっと本当のこと言ってくれたね…でもどうして?

仲直りがしたいのになんで諦めちゃうの?

駆君と美弥ちゃんに何があったのか教えてくれる?」

 

寄り添うようにレイちゃんが私に問いかけてくる。

これを言ってレイちゃんがどんな顔をするか分からない。でもレイちゃんから方法を聞けるかもしれない。

なら…

 

美弥「…………じゃ、じゃあ言うね。なんで私と駆君がこんなになったか…」

 

レイ「う、うん」

 

私はあの勉強会の日にあったことをレイちゃんに伝える。駆君の昔の出来事にレイちゃんはかなりショックを受けていたけど、真剣な目で話を聞いてくれた。

 

レイ「そんなことがあったんだ…」

 

私が話し終わった時、レイちゃんが一言、悲しげな表情でそう言った。

 

美弥「私…駆君に、駆君に大嫌いって、言っちゃった…で、でもそういうつもりじゃなくて…」

 

レイ「分かるよ、美弥ちゃんの伝えたいこと…

駆君に自分のことを大切にして欲しかったんだよね…」

 

レイちゃんはそう言って私を抱きしめてくれた。その優しさに私は抑えきれなくなって涙が溢れてしまう。

 

美弥「うぅ…でもそれだけじゃダメだったんだ…もっと駆君の気持ちに寄り添えば良かった!もっと理解しようとすれば良かった…!!」

 

自分の気持ちを伝えるだけじゃ分かり合うことは出来ない。相手に寄り添って自分の気持ちを話さないとすれ違ってしまう。

なんでこのタイミングで気づいてしまうの?

もっと早くに気づいていれば良かったのに…

 

レイ「だったら駆君に会いに言ってお話しようよ。ちゃんと話し合えば美弥ちゃんと駆君、きっと分かり合えるよ」

 

美弥「うん…!」

 

レイ「ほら、涙を拭いて。そうじゃないと駆君が起きた時に心配されちゃうよ?」

 

レイちゃんはそう言って微笑み、自分のハンカチを私に差し出してきた。

 

美弥「そ、そうだね…レイちゃん、ありがとう…!」

 

私はそのハンカチを受け取って涙を拭く。

 

美弥「うん…!じゃあ急いで保健室に行こう…!」

 

色々と、不安はあるけど、それでも私は駆君とお話をする。

もう揺るがない。そう心に決めて私はレイちゃんと一緒に急いで保健室に向かった。

 

 

 

side change

 

 

 

保健室前、話すことがなくなった俺たちは静かに保健室前で待っていた。

 

魔理沙「…そーいえばさ、一つ気になることがあるんだよ」

 

静寂に包まれたこの場に霧雨がそう呟いた。

皆の視線が彼女に移る。

 

魔理沙「駆が使ったあのアルティメットについてだ。

霊夢や早苗、レイは知らないと言っていたが、弾と明夢は何か知っていることはあるのか?

あ、勿論私も知らないぜ?あんな禍々しいアルティメットは今まで見た事がない…」

 

霧雨が天童の使った邪神の軍勢に関しての話を掘り出して俺と馬神に視線を流す。

 

ダン「俺もあのカード達は見た事がない。ブラム・ザンドと邪神域…その他のアルティメットもとても気になるよ」

 

馬神は深刻な顔をしながら腕を組む。

馬神も邪神の存在を知らないということか…

 

早苗「では明夢さんは何か、知っていることがあるんですか?」

 

流れで俺に視線が集中してくる。

邪神のことについてか……

あのカード達は非常に厄介で危険な存在だ。事実を話せば彼らに危険が及ぶ危険性がある。

まだ話すべきでは無いだろう…なら

 

明夢「残念だが俺もさっぱりだ…」

 

嘘をつくしかあるまい。しかし、ブラム・ザンドの存在が公になった今、これから苦労するのはそれを所持する天童自信だ。

奴がこれからその力を使ってこの世界をどうするのかは検討もつかないが、あの戦いを見れば今後暴走の危険性も有りうる。

その時は俺が奴を殺すしか無い。これ以上の破壊は懲り懲りだ。

…全く、こういう貧乏くじはいつも俺が引いてしまう。いい加減、あいつらにも引いてもらいたものだが居ない者のことを望んでも仕方が無い。

…暴走しないことを祈っておこう。

 

魔理沙「皆、知らないって事か…」

 

この場に天童の邪神達を知る者がいないと知った霧雨は残念そうに肩を落とす。

 

霊夢「いえ、美弥がいるわ。美弥に聞きましょう」

 

魔理沙「そうだ!美弥だ!美弥なら知ってるかもしれないな!」

 

残念そうな顔をしていた霧雨が博麗の提案に激しく同意する。

…感情の浮き沈みが激しい女だな。

それにしても天野か…彼女の詳細は全く知らないがあの柔らかい性格や行動を見ると邪神に関しての情報を持っているとは思えない…いや、今俺の持つ彼女の情報だけで判断するのはよろしくない。

何事にも可能性はあるのだ。やってみる価値は大いにある。

 

レイ「おーい!」

 

そう思いながら彼女達の会話を聞いていると天童の帰りが遅くなると伝言を伝えに言ったオーバが天野を連れて保健室前にやってきたのだ。

天童の事情を聞き、心配になったのだろう。仲の良い友達同士なら当然の行動だ。

 

魔理沙「美弥も来たんだな。分かるぜ、私だって駆のことが心配さ…」

 

天野の存在を確認した霧雨がそう言う。それに対して天野は控えめに頷いた。

 

早苗「でも今朝、美弥さんと駆さんって気まずそうに距離を取っていましたけど…」

 

そこへ東風谷が困惑しながら疑問をぶつける。

その情報は初耳だ。

気まずそうに距離をとる…か。

なるほど、このことから天童と天野は何かしらの形で喧嘩へと発展してしまったことが伺える。

距離を取っていたのに何故ここに来たのか?矛盾じみた天野の行動に東風谷は疑問に思ったのだろう。

 

美弥「え、えっと……それは…」

 

その疑問に対して天野は答えられずにいる。

 

レイ「…美弥ちゃんも、本当は駆君のことが心配で、話し合って仲直りしたいんだよ!」

 

とそこへオーバがフォローに入る。

…恐らくだがオーバは天野に知らせに行った際にその喧嘩の内容等を天野自身から聞かされたのだろう。

だから、今のようなフォローができるのだと推測できる。

 

霊夢「…そうだったのね。美弥と駆がどんな喧嘩をしちゃったのかは分からないけれど、仲直りしたい気持ち、話し合いたい気持ちはとても大事だと思うわ。

だからそういう気持ちは素直に出しなさい、美弥」

 

美弥「ありがとう、霊夢ちゃん。

…そうだ、ねぇ駆君は?駆君はどうなってるの?」

 

魔理沙「駆は…保健室で治療中だ…」

 

天野の疑問に霧雨が力の無い声で応える。

 

美弥「本当にカードゲームで人が倒れるの?どうして…」

 

霧雨の応えを聞いた天野はショック故に取り乱してしまっている。

原因は不明だが経緯は教えてやるか…

天野に天童が倒れてしまった経緯を話そうと口を開けようとした時、保健室の扉が開き中から八意先生が出てきた。

 

ダン「八意先生…終わったんですか?」

 

永琳「…えぇ、説明は中でするわ。入って」

 

八意先生はそう言って俺たちを保健室に入れようとする。

俺が話すより先生が説明した方が的確だろう。

そう考えた俺は真っ先に保健室に入り、天童の様子を見る。そこには頭を包帯で巻いた天童が眠っている。

 

明夢「…鈴仙、天童の頭部の傷の具合はどうだった?」

 

俺は天童の傍に立っている鈴仙に質問をする。

 

鈴仙「…頭部の傷は幸い深くは無かったので早く治ると思います」

 

彼女は深刻な表情でそう言った。

傷は深くは無かったのはいい事だ。なら何故そんな表情をするのか…?

恐らくは…

 

明夢「…そうか。天野、早く来い。天童はこのベッドに眠っている」

 

先程までのやり取りを見て相当天童のことが心配と感じ、俺はベットの隣から天野を呼ぶ。

 

美弥「…うん」

 

それに対して彼女は頷いき、心配の表情でこちらに来る。

 

美弥「駆君…?駆君…!!」

 

そしてベッドに眠る天童を見た天野は口を両手で覆い、泣きそうになっている。

天童と和解しようとするが肝心の本人はこの状態…当然、会話もすることは出来ない。

彼女には可哀想だがこれが現実である。

 

レイ「美弥ちゃん…」

 

天野の次にオーバ達が重い表情で保健室に入り、天童のベッド周辺に集まる。

 

明夢「…で、本題の頭部以外はどうなんだ?鈴仙」

 

俺はさらに鈴仙に質問をする。

 

鈴仙「頭部以外ですか、それは…」

 

永琳「それは私が話すわ。ありがとう、うどんげ。あなたも明日、授業があるんだから部屋に戻って休みなさい」

 

鈴仙の言葉に割り込んで説明は自分がすると言って鈴仙を気遣って部屋に帰そうとする八意先生。

 

鈴仙「分かりました…あとはお願いします。師匠」

 

その言葉に甘え、鈴仙は保健室を去る。

 

永琳「…では、柊木君の質問に答えましょうか」

 

鈴仙を見送った後、八意先生は深刻な表情で静かにそう言った。

俺を含めた全員が八意先生に注目する。

そして先生はゆっくりと口を開いて衝撃的すぎる事実を話した。

 

永琳「…今、天童君の身体全体に大きな負荷がかかっているの。

普通ならその負荷に全身が耐えられず彼の身体が壊れて死んでいるところだったわ…」

 

ダン「な…!?」

 

美弥「嘘でしょ…!?」

 

八意先生の口から放たれた事実は天野と馬神を驚かせるには充分だった。

開いた口が塞がらない、そんな状況に2人は陥っていた。

そしてこの原因を知っている霧雨達から話は聞いていたレイもあらかじめ知っている博麗、霧雨、東風谷もその事実に顔が青ざめ俯いている。

 

美弥「げ、原因は…原因は何ですか…?」

 

天野は恐る恐る八意先生にその原因を尋ねた。天童がこのような状態になってしまったその原因を。

 

永琳「…原因はソウルドライブの使用よ」

 

ダン「ソウルドライブ…!駆が使っていたアルティメットにその効果があった」

 

美弥「で、でもソウルドライブってソウルコアをゲームから除外することで使える1回限りの効果の事…ですよね?」

 

永琳「…そうよ。そのソウルドライブについて説明するわ。とは言っても霊夢と魔理沙、早苗は知っているとは思うけど。

…ソウルドライブは簡単に言うと自分の命を削って放つ、禁断の効果なの」

 

ダン「自分の…命を!?」

 

美弥「そんな…!」

 

自分の命を使う効果。それを聞いた2人は案の定、ショックを受けていた。

しかしその力は命を使ってまで放つ価値があるほど強力な代物…まさに諸刃の剣だ。

 

永琳「…自分のソウルコアを砕き、その砕け散ったソウルコアの欠片はバトルアーマーに吸収され直接フィールドに存在するアルティメットへとソウルドライブのエネルギーを装填するの。

でも、ソウルコアのエネルギーだけじゃ彼らは満足に力を解き放つことが出来ない。だから足りない分を自らの使用者であるプレイヤーの命を吸い取ってその力を放つの。

実際に戦った弾君なら分かるでしょう?」

 

ダン「はい…駆のバトルアーマーから黒いチューブ見たいものがアルティメットに接続されて…その一撃は、衝撃は今でも覚えています」

 

ソウルドライブの圧倒的な力を一番近くで体感した馬神は震える自分の右手を見てそう言った。

それを見た八意先生はゆっくりと頷きさらに説明を続ける。

 

永琳「そして、ソウルドライブによって命を吸い取られたプレイヤーは…もちろん死んでしまうわ。

実際、ソウルドライブを使った患者を何度か見てきたけれど、ほとんどがその代償に命を落としたわ。

本当に今、彼が生きてるのは幸運よ…」

 

先生の言う通り、ソウルドライブの無慈悲な特性を受けても気を失う程度で済ませている天童は本当に幸運の持ち主だろう。

…炎を司る邪神を扱い、命を吸い取るソウルドライブにも耐えうる身体か。見た目はただの人間だと言うのに…こいつ、本当に何者だ?

 

レイ「…なら、どうして先生達はソウルドライブが危ないと知ってそれを禁止にしていないんですか!?」

 

八意先生の説明を聞いたオーバが八意先生にそう必死に訴えかける。

 

永琳「…この幻想郷のバトルスピリッツにソウルドライブを使っては行けないというルールなんて無いわ。

だから使用自体は自由…全てはプレイヤーの自己責任ってことになってしまっているわ」

 

レイ「そんな…」

 

八意先生の言葉を聞いたレイは絶望した表情でベッドに眠る天童に目を移した。

ソウルドライブの恐ろしさを天童を見て実感した彼女等は何も言えなかった。

 

永琳「…さぁ、貴方達も部屋に戻って休みなさい。明日も授業があるんだから」

 

早苗「分かりました…。また明日、皆で駆さんの様子を見に来ましょう」

 

魔理沙「…だな」

 

俺達は彼女に退席をお願いされ、保健室を出る。

そして皆、暗い表情のままそれぞれの部屋に戻って行く。

…俺も自分の部屋に戻ろう。

今日あったことを記録する為に。

 

 

To be continued……




次回予告
真っ暗な世界を1人で歩いていく。
その先に見えるものは幻想であり真実。
…それでも、そこに1つでも分かる事があるのなら俺はその深淵へ向かっていこう。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-31 戦火

…俺はまだここにいる。


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Turn-31 戦火

どうも!31話を投稿するマグナでございます!
またまた間が空いてしまいましたね…

それでも!!楽しんで読んでくださいね!!


冷たく、硬い物が俺の全身に触れているのを薄らと感じて徐々に意識が戻ってきた…

窮屈な感じは…しない。むしろ、広々とした場所に俺は前のめりで倒れている。

俺の左頬がその冷たさと硬さを感じているからだ。

 

駆「ここは…何処だ?」

 

倒れたまま、目を動かして確認を行う。

…ぼんやりと何も無い真っ暗な空間が広がっているようにも見える。

とりあえず、この体勢では自分の周りに何があるのかが把握できない。まずは立って辺りを見る必要がある。

俺は薄らとする意識の中、身体を動かして立とうとする。

…が中々力が入らない。

弾とのバトルで放ったブラム・ザンドのソウルドライブの凄まじい反動が原因か…?

 

駆「ぐっ…!うぅ…!!」

 

そう考えながら、いつもより重く感じる身体を無理やり動かして立ち上がろうとする。

 

フラッ

 

しかし、完全に意識が戻っていない状態からか、途中で態勢を崩し倒れそうになってしまう。

 

駆「あっ………」

 

情けない声とともに俺の身体は地面へと近づいていく。

が、そんなことは無く何者かが俺の右脇から腕を通して俺の身体を支えてくれた。

にしても、その腕は冷たくて硬い…まるでロボットの腕のような感触がした。

戻りつつある意識の中、俺は振り返って倒れかけた自分を支えてくれた者が誰なのかを見る。

 

駆「……っ!!?」

 

それを見た瞬間、俺は驚きのあまり支えてくれていた腕を振りほどき、数歩後ろに下がる。

意識は戻ったが身体は鈍っている様でおぼつかない足取りの俺は足を滑らせて倒れてしまう。

硬い地面に尻から倒れてしまったが故に激痛が俺を襲った。

 

駆「痛い……」

 

不意に来た痛みに思わず声が出てしまった。

ジリジリと響く痛みを感じながら俺は何も無い真っ暗な世界に立つそれを見上げる。

この世界に溶け込むような漆黒。人型の全身を覆う鉄壁の装甲。特徴的な1本角の頭部、そして素顔を覆う黒い仮面。

俺を支えてくれた者、それは俺がこの世界に来てからずっと所持してきたバトルアーマーだったのだ。

バトルアーマーはその仮面の間から鈍く光る赤い目で俺を静かに見つめていた。

 

駆「形状がいつものバトルアーマーと違う…まさか、これは…!」

 

俺は弾との戦いでソウルドライブを使った時のことを頭に思い浮かべた。

黒いスーツ、グローブ、ヘルメットのバイザーがぐちゃぐちゃに変形を繰り返し鋼鉄の装甲、仮面を構築した後に俺の自由を奪いソウルコアを砕く姿。

 

駆「ソウルドライブを発動した時に変形した姿か…お前は一体何者なんだ…?」

 

俺は立ち上がりバトルアーマーに質問をする。

 

BA「…………」

 

対するバトルアーマーは何も言わず俺に背を向ける。

そして、1度振り返り俺を数秒見つめた後バックパックのブースターを吹かせ俺では走っても追いつけない程の速さで行ってしまった。

 

駆「おい、待てくれ!」

 

俺は右手を伸ばし制止の声を掛けたがその声は届くことは無かった。

…あのバトルアーマーが何を伝えたかったのか?それは全く分からなかった。

だが、幸いにもバトルアーマーの通った道には赤黒い炎の跡が残っている。

この炎がどうやって現れたのかそんなこと知ったことではないが、とりあえずこれを辿って追いつくことにしよう。

何も分からないまま突っ立っているより、何か1つでも分かることがあるのなら進んで行く方が絶対に良い。

俺はバトルアーマーが残した炎の跡をたどって歩を進める。

 

駆「本当に…何も無いところなんだな…」

 

歩きながら俺は周りを見渡す。

進んでも進んでも何も無い闇が延々と続いている。その不気味さとここが何処なのか分からないという情報の無さ故に俺は進みながらも恐怖している。

いや、逆に恐怖を抱かない方がおかしい状況だ。訳の分からないまま、バトルアーマーに支配され意識を失い挙句の果てに目を覚ましたら真っ暗な場所にいて、今はこうしてバトルアーマーを追いかけているのだ。

いきなりこんなことをされたら誰だって恐怖と困惑で思考が支配されるだろう。

 

駆「どこまで歩いても同じ景色だ。あのバトルアーマー、一体どこまで行ったんだ…?」

 

ポツリとあのバトルアーマーへの愚痴が出る。メッセージ性皆無の行動…本当に意味が分からない。

それにしてもここまで闇が続くとどこまで進んだのか、距離が掴めなくなってくる。

まるでとあるアクションゲームの無限階段を永遠と登っている見たいな…そんな違和感を俺は感じている。

 

スー

 

そんなことを考えていた時だった。俺の右側をゆっくりと四角い額縁の様なものが通り抜けた。

 

駆「ッ!な、何だ!?」

 

いきなりの事だったので俺は驚き咄嗟に振り返った。通り抜けた物が何なのかを見るためだ。

…しかし、その何かはもう真っ暗な景色に溶けて確認は出来なくなっていた。

 

駆「な、何だったんだ…さっきのは」

 

俺はそう一言呟いて止めていた脚を動かし前へ歩を進めた。

どこまで続いてるのか分からない程の長さ…一体どれくらい進んだら俺はあのバトルアーマーに再会できるのだろうか?

気の遠くなる程の道を俺は引き続き進んでいく。

 

スー

 

スー

 

スー

 

まただ、また不意に額縁の様な物が3つ、ゆっくり迫って来た。

今度は焦らず、俺はその額縁の様な物を目に焼き付けるように見ることが出来た。

1つ目、俺から見て右側の額縁には刺々しい鎧を纏った生物の絵が描かれていた。だが、そこに黒い靄がかかっていて正確にその鎧の絵がどのような物なのかは分からなかった。

次は2つ目の額縁。右の物より少し遅れて近づいてきたその額縁の絵には何者かに一方的に殺される生き物達の絵。これにも黒い靄がかかっていた。

最後の3つ目の額縁には4体の生物が並んで立っている絵が描かれていた。

それぞれの生き物の特徴はバラバラでそれぞれが全く種族の違う生き物だということが一目で分かる。しかし、より詳しい情報は黒い靄が阻んで得ることは出来なかった。

 

…戦争の絵なのだろうか?

 

鎧を纏う生物、何者かに虐殺される生き物、4体の生き物の絵から連想して俺はそう推測した。

もしかしたらこの絵とあのバトルアーマーに何かしらの繋がりがある可能性もある。

そう考えるとこれからこの先を進むにつれて現れる額縁を見逃す訳にはいかない。

俺はあのバトルアーマーを知る為に更に続く闇の中へ進んでいった。

 

 

 

side change

 

 

 

カツン、カツン、カツン、カツン…

 

と、靴と地面の接触音。朝の「おはよう」という挨拶を交わす生徒たちの賑やかな声。そして窓から射す太陽の光。

穏やかな朝の学校の廊下を俺、柊木明夢は歩いている。

この時間帯は教室から出ないのだが、今日はA組の教室の人物に用がある。

 

生徒N「あ、明夢君おはよう!今日の朝は珍しいね。どうかしたの?」

 

突然、同じB組の生徒の女子から声をかけられた。

教室からあまり出ることの無い俺が朝の廊下を歩いている。その珍しさ故に声をかけたかと思われる。

全く目立たない地味な俺に話しかけるとは…随分物好きな女だな…

 

明夢「…おはよう。今日はA組に用事があってな…」

 

少し驚いたが、挨拶と質問への回答はしっかりと行う。

 

生徒N「そうなんだ〜!あ、用事があったんだよね…止めてごめん」

 

明夢「…まだ時間はあるから大丈夫だ。では」

 

申し訳なさそうに目の前の女子にフォローを入れその場を去る。

 

生徒N「HRまでには戻ってね!」

 

すると、少し後ろから声がかけられた。

振り返って誰かを確認する。声の主は先程俺に話しかけてくれた生徒Nだった。

 

明夢「あぁ、わかっている」

 

少し離れた彼女に俺は一言、ほんの少し声を張って答える。俺の応えが彼女に聞こえるように配慮したのだ。

それに対し彼女は笑顔で頷く。

それを目視した俺は再度、A組に向けて歩を進める。

 

…奴はもう目を覚ましたか…?

 

 

 

〜少年移動中〜

 

 

 

少し歩いて辿り着いたのはA組の教室の前。

…さて、行くか。

扉を開ける。扉が開く音が廊下と教室に響き、A組の教室の様子が見える。

B組とはまた雰囲気が違う教室に俺は入っていく。

 

魔理沙「おはよう、明夢。ふわぁ〜」

 

俺がA組の雰囲気を感じ取っているところに突如として霧雨が朝の挨拶をしてきた。

 

明夢「おはよう、随分と眠そうな顔をしているな」

 

あくびをする彼女にそう答える。

 

魔理沙「今日は朝からいい天気だからな〜眠くなってくるんだぜ…そう言えば今日はどうしてここに来たんだ?」

 

明夢「あぁ、天童に用があってな…奴はここに居るか?」

 

魔理沙「いや、まだ来ていないんだ。この時間帯ならもう来てるはずなんだけど、たぶんまだ意識が戻ってないと思う…」

 

不安そうに話す霧雨はまだ天童の意識が戻っていないと推測している。

教室に来ていないということはそういう事なのだろう。

俺の方からも確認で保健室に行った方がいいかもしれない。容態が悪化している危険性もあるからな。

天童と話す事はまだ出来ないが俺にはまだここでやることがある。

 

明夢「そうか…なら天野は?」

 

魔理沙「美弥か?あいつならあっちにいるぜ」

 

霧雨は窓から2番目の列の1番後ろに座っているピンク色の髪の女を指さしている。

その傍には赤い髪が特徴の…馬神と金髪のオーバの3人が何やら話をしているようだ。

 

魔理沙「何か用があるのか?」

 

明夢「あぁ…昨日聞き忘れたことがあってな…」

 

魔理沙「聞きたいこと…あ、あのブラム・ザンドの事だな?」

 

明夢「…そのとおりだ」

 

魔理沙「私も一緒に聞いていいか?」

 

明夢「構わない」

 

俺と霧雨は早速、教室の後ろに向かう。

 

レイ「あ、おはよう魔理沙ちゃん、明夢君」

 

俺と霧雨の存在に気がついたオーバが微笑んで挨拶をする。

 

魔理沙「おはよう!レイ、弾、美弥」

 

明夢「…おはよう」

 

オーバの挨拶に対して霧雨は元気に挨拶を返す。

彼女に続いて俺も3人に対して挨拶をしておいた。

 

美弥「おはよう、2人とも」

 

ダン「おはよう魔理沙、明夢」

 

天野に続いて馬神も挨拶を行ってお互いの挨拶は終わる。

やはり、天童のこともあってか天野の挨拶は活気の無い様に感じた。

 

レイ「で、どうしたの?2人揃って…」

 

魔理沙「明夢が美弥に聞きたいことがあってな」

 

美弥「え?…私に?」

 

明夢「あぁそうだ。単刀直入に聞くが、[獄炎の四魔卿ブラム・ザンド]、というアルティメット、系統[邪神]を持つアルティメットのことを知っているか?」

 

美弥「ぶ、ブラム・ザンドと邪神アルティメットのこと…?ちょっとだけど知ってるよ?」

 

あまりにも唐突過ぎただろうか?少し戸惑いながらもブラム・ザンド、邪神アルティメットについての情報を知ってると言った天野。

あのアルティメット達について知っている人間は天童だけだと思っては居たがまさか彼女も知っていたとは…驚きだな。

 

魔理沙「マジ!?」

 

と、隣の霧雨が驚きの声を上げている。可能性が低いと考えていたのだろうか?それ故に彼女が知っていると聞いて驚いているのだろう。

 

美弥「うん。他にも紫、緑、青の四魔卿がいるよ」

 

ダン「…なるほど、[四魔卿]だから他の色の四魔卿も存在するって事か」

 

レイ「それぞれがどんなアルティメットなのかはわかる?」

 

美弥「それはね…ブラム・ザンドと……あ、あれ?なんだったかな?色は覚えてたのにカード名と効果、忘れちゃったよ…」

 

魔理沙「えぇ!?忘れたぁ!?」

 

と食い気味に天野に突っ込む霧雨。もう少しという所で答えを得られなかったのか、ぐぬぬ…と悔しそうな表情をしている。

 

美弥「う、うん。だってそのカード全然見てないし使ってないんだもん…」

 

モジモジしながら申し訳なさそうに答える天野。彼女の知っていることは残る四魔卿の色のみか…

俺にとって四魔卿の情報など、どうでも良い話なのだが、存在を知らなかった霧雨、馬神、オーバにとって非常に重要な情報なのだろう。

そう考えれば霧雨の反応にも納得がいく。彼女達にとって四魔卿とは未知の存在なのだ。仮にそれらと対峙した時に前持った情報を持っておくと多少有利に立ち回ることができるからだ。

 

魔理沙「そうか…それは仕方の無いことだな…誰だって忘れちゃう時もあるし…切り替えてまた情報を集めなきゃな!」

 

ポジティブな精神の持ち主だな。

凹んではすぐに立ち直る彼女を見てそう思った。

それは良い方向に持っていこうという意思の表れ、向上心があるということ。彼女はその心と努力をもってここまで成長してきたのだろうな。

 

明夢「さて、そろそろ引き上げるか…」

 

美弥「え?明夢君もう行くの?」

 

明夢「…用が済んだからな」

 

天野の質問に答えた俺は足速にA組の教室から出る。

まだ、天童が寝ているのであればまた様子を見に行く必要がある。

最悪、容態悪化の可能性もあると考えられるな…そろそろ授業が始まるがタイミングを見計らって見に行くか。

俺はそう考えながらB組の教室へと足を進めた。

 

 

 

side change

 

 

 

…歩き続けて一体どれくらいの時間が立ったのだろうか?

闇の世界、バトルアーマーが残した炎を頼りに歩いている俺はふとそう思った。

ここまで何度もあの額縁の絵を見てきた。

だが、どれも訳の分からない物だったが、一つ一つの絵の中に「戦争」を彷彿とさせるものがあった。

しかし、これといってバトルアーマーに関する有力な情報を手に入れることは出来なかったのは残念なところではある。

 

駆「…あれは?」

 

それを見た瞬間、俺は1つ安堵の意味が込められたため息が出た。

俺が見たそれはなんの脈絡も無くいきなり飛び出していってしまったバトルアーマーのことだ。

俺は走り出し、奴との距離を詰める。

 

駆「…やっと辿り着いた。お前が何をしたかったのかは分からなかったが、まずはお前が何者なのかを教えてくれ」

 

そして目の前に佇むバトルアーマーに俺はそう求めた。

何故こんなことをしたのか、そんな理由はどうでもいい、兎に角このバトルアーマーがなんなのかが知りたいのだ。

行動の理由はそれからだ。

 

BA「………」

 

沈黙を続けるバトルアーマー。

やはり、やはり何も答えてはくれないのか…

と思ったその次の瞬間、バトルアーマーはノンアクションで真っ暗な世界に衝撃波を放つ。

 

駆「っ!!!」

 

俺の身体は反射的に防御の構えをとっていた。衝撃が一瞬で俺の身体全身を駆け抜け、俺はその強さ故に後退してしまう。

下手をすれば数メートルは吹き飛んでいたかもしれない…

それ程の衝撃波に俺は焦りを抱きながらバトルアーマーともう一度向き合おうとした時だった。

俺はそれに気づき、周りを見渡す。

何も無い真っ暗な世界がいつの間にか辺り一面、焼け野原へと変わり果てていたのだ。

木々は倒れ、並ぶ建物は全て破壊され紅蓮の炎に包まれている。まるで、あの夢で見た光景の様だった。

 

駆「これは…これはお前が、お前がやったか…!?」

 

その光景に驚愕した俺は視線をバトルアーマーに向ける。

 

BA「………」

 

相変わらず何も言わないバトルアーマーに俺は呆れそうになりつつもそのバトルアーマーの上の存在に注目する。いつ現れたのか分からない黒い靄を纏った1体の魔物が燃え盛る世界の中で浮かび上がっていた。

そのシルエットは巨大で下半身は屈強な4足で上半身は人間体…それはまるでケンタウロスのようなシルエット。そして顔は角が2本後ろに伸び、龍の様な形をしている。

両手には自身の丈以上の巨剣を1本ずつ持っている。

その魔物は対面する俺を見下すかのようにその緑色に輝く目で真っ直ぐ、射抜くような視線を俺に向けている。

 

駆「…この世界、もはやなんでもアリだな」

 

今までの出来事を振り返りながらこの現状を目の当たりにした時、ポツリとその一言が漏れた。

驚き、疑問、戸惑いを通り越してもう何を考えても、考察しても意味が無いかもしれないと思った時だった。唐突に黒い靄の魔物は段々とバトルアーマーに吸収され始めた。

目の前でさらに始まった謎の現象を俺は見ていることしか出来なかった。

 

BA「………!!」

 

そして、黒い靄の魔物がバトルアーマーへと吸収された時、バトルアーマー本体に変化が起こる。

俺が封印の効果を使った時と同じようにバトルアーマー全身の装甲がスライド、展開される。その後、弾との戦いでソウルドライブを使用した時と同じレッドゴールドの輝きがバトルアーマー全身へと刻みつけられる。

黒の装甲に際立つレッドゴールドのラインは色濃く、鈍い輝きを放つ。

 

不気味

 

それを見た俺が1番最初に抱いた印象だ。

無機質な漆黒の鎧。そこに命を吹き込まれたかのように刻まれた光のラインがまるで人間の身体に張り巡らされている無数の血管のように見えたからだ。

今まで、俺はこのバトルアーマーを着て戦っていたので外見に関しては何も感じることは無かった。

だが今は違う。こいつと対面して俺は恐怖している。それはこのバトルアーマーの全てを加味してだ。故に俺は震える身体でその足で1歩後ろへ下がる。

それに対して、バトルアーマーは大きく俺の方へ向かって一歩前進し、俺との距離を詰める。さっきまでは俺がバトルアーマーを追いかけていたのに、今度はバトルアーマーが俺に近づいてきた。

 

駆「何だ…何なんだ、こいつは…!」

 

燃える炎の世界の中、俺は戸惑いを隠しきれずにそう叫ぶ。不思議と周りの熱さは感じられなかった。思考が困惑から恐怖に塗りつぶされたからか?それとも身体が熱さに慣れてしまったからか?

いや、今はそんなことはどうでもいい。

俺は、俺は今自分の使い続けてきたバトルアーマーに本気の恐怖を感じている。

1歩、また1歩とバトルアーマーは歩を進め俺に向かってくる。

そして次にバトルアーマーは両腕を俺の方へと伸ばし鋼鉄の手は俺の首を掴む。

 

駆「ぐっ!?」

 

俺の首を掴む腕の力は徐々に強くなり、痛みと息苦しさが俺を襲う。

 

駆「や、やめ…ろ…!」

 

俺の首を掴む鋼鉄の腕を掴み力を入れ離そうとするが、ピクリとも動かない。

そもそもな話、人間の俺が未知の力を持つバトルアーマーに単純な力比べで勝てるはずが無い。

しかし、それでも俺はこんな所で死ぬ訳にはいかない。

俺は足掻く。この命を繋ぎ止めるために。

 

BA「…無駄だ。どう足掻いてもお前は俺には勝てない。大人しくその身体を俺に空け渡せ」

 

駆「な、なんだと…!?」

 

ここで、初めてあちら側からコンタクトを取ってきた。

しかし驚く間も無く、締め付けられる痛みと苦しさに意識が遠のいて行く。

その中で俺は青い何かしらの物体を薄らと確認した。

 

 

To be continued……

 




次回予告
「再開」それはとても嬉しいこと。
でも、それを良しとしないことだってある。
彼の場合、それはどちらに当てはまるんだろう…?

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-32 懐かしき者

お願い…目を覚ましてよ。
駆君…


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Turn-32 懐かしき者

ども!最近前書きに何を書けばいいのか分からなくなってきたマグナでございます!!
ゴールデンウィーク中に投稿する目標を立てて取り組んでみた結果、最終日のギリギリに投稿することとなりました()
とにかく、目標はクリア出来たので良かったと思っております!
ということでTurn32をお楽しみください!


赤、紫、緑、青の四魔卿の存在。

その詳細は忘れているとはいえ彼女、天野美弥も知っていた。

博麗達の知らない四魔卿を知る天野、そしてそれを所持する天童…この2人、一体何者なのだろうか?

彼らの特異な性質に疑問を抱く俺はB組へ帰る為に廊下を歩いている。授業の準備もろくにせず教室を飛び出してしまったので早歩きだ。

…現在時刻は?HRに間に合うだろうか?

左腕につけているブラウンカラーの時計の針を見て現在時刻の確認を行う。その針は8時4分を指している。HR開始は15分、8分の余裕はある。何も焦って教室に駆け込む必要は無さそうだ。

そう判断した俺は普段の歩く速さに切り替える。

それにこの時間帯でも廊下で立ち話をしている生徒達も頻繁に見られる。朝の学校というのはここまで賑やかなものなのだろうか?そういった経験が少ない…いや全く無い俺には分からないことだが朝の学校の雰囲気はそういうものだと認識しておくこととしよう。

…さて、割とどうでもいい語りをしている間にB組の教室にたどり着いた。これから1時間目に始まる授業の準備をしなくてはならない。B組の教室の扉を開け、入学時に指定された席に座る。俺の席は窓側の一番前の席だ。窓から外の景色を見えるのは高評価に値するのだが、太陽の光が差し込むのが中々鬱陶しいし暑い。ポジションの全体的評価は低い。出来ることなら今すぐにでも席替えをしてほしいものだ。

理想を言ってしまえば、廊下側の1番前の席か後ろの席。理由は単に教室の出入りがスムーズになるからだ。

 

鈴仙「おはようございます。明夢さん」

 

唐突に横から声をかけられた。声をかけた人物を確かめる為にその声の方向に顔を向ける。ウサギの耳、薄い紫色のロングヘアーが特徴的な女。鈴仙が俺の右隣に立ち挨拶をしていた。

 

明夢「おはよう、鈴仙。どうした?何か用でもあるか?」

 

鈴仙「はい、貴方に聞きたいことがありましたので…」

 

と彼女は真剣な眼差しをこちらに向けながらそう言った。

これまで俺と彼女に接点など何1つとして無い。にも関わらず俺に聞きたいことがあると…?ならその内容を知りたいものだ。

 

明夢「…俺に聞きたいこととは何だ?」

 

鈴仙「はい、昨日の天童さんについてなのですが…何が原因で倒れてしまったのですか?」

 

俺の切り返しの質問に対して彼女は率直に質問の内容を俺に伝える。

 

明夢「そのことか…確か、八意先生が話す前にお前は退室をしていてその話を聞いていなかったな」

 

鈴仙「はい。どうしても気になってしまいまして…教えていただけませんか?」

 

なるほど、天童があの様になってしまった原因の追求か…確かに少し携わった彼女からすると何が原因か分からないまま治療を行っていたことになる。

自分の携わった物事の原因を理解したいという気持ちは俺にも分かる。

それにこの話は別に他の者にしてもいいと俺は判断している。霧雨達の追う邪神アルティメットについての情報を可能性は低そうではあるがリーク出来るかもしれないからだ。

 

明夢「…わかった。しかし、今は時間が無いので簡潔に説明しよう」

 

俺は彼女の頼みを承諾し昨日、八意先生の言っていた事…

・事の原因はソウルドライブの発動。

・ソウルドライブは自らの命を使って発揮する力のこと。

・それにより天童の身体には大きな負荷がかかっていて運が悪ければ死んでいた。

 

以上の3点を簡潔に鈴仙に伝えた。

 

鈴仙「…!!まさか、彼があの危険なソウルドライブを使っていたなんて…」

 

俺がそれを伝えた時、彼女は口を両手で覆いショックを受けていた。

その口ぶり、彼女は既にソウルドライブについては知っている様に見える。

…そう言えば昨日、彼女は八意先生を師匠と言っていたな。

弟子を担う関係上、八意先生と共にソウルドライブの反動で命尽きた者を彼女は見てきたのだろう。

その悲惨さを知るからこそ彼女は今のリアクションに至っているのだと思う。

 

鈴仙「…生きているのは、ほんとに幸運ですよ…」

 

昨日八意先生が言っていたセリフそっくりに鈴仙は一言呟いた。

ソウルドライブそれ程までに危険な力なのか…

いや、天童の容態や彼女達の反応を見れば危険であることは分かるのだが、自分の中にそれを実際にやって体験してみたいという半ば好奇心に満ちた感情が芽生えつつある。

要するに怖いもの見たさというものだ。

かなり危険な思考ではあるが実際にやってみないと分からない部分もあるはずだ。

 

明夢「…あぁ、そうだな」

 

俺は鈴仙のその呟きに便乗するように応えた。

普通の人間である天童がソウルドライブの反動でギリギリ命をつなぎ止めた。

奴が一体何者なのかは分からないが運が良かったという点に関しては事実だろう。

 

キーンコーンカーンコーン

 

…予鈴がなってしまった。

俺はその予鈴に反応し、ふと教室に配備された時計を見る。黒板の左上の壁に配置されているので俺の席からだと顔を少し上に向けることで簡単に確認することが出来る。

…針は8時13分を指していた。後2分で朝のHRが始まるといったところだ。

 

鈴仙「あ、予鈴がなってしまいましたね…」

 

明夢「…HRも直に始まる。そうしておいた方がいい」

 

鈴仙「そうしますね」

 

最後にそう言って鈴仙は自分の席に戻って行った。

…先生が来る前に今日の時間割でも確認しておくか。

俺はクリアファイルから時間割の表を取り出し中身を確認する。

1時間目に国語、2時間目に数学、3時間目に体育…

体育は個人的に苦手な分類に入る授業だ。…この時間に抜け出して天童の様子でも見に行くことにしよう。

…そうだ、アイツがよく使っていた方法を俺もやってみるとしよう。

俺はふと知り合いがやっていた行為を思い出した。

まさかここに来てあのアホが役に立つ時が来るとはな…本人はいないが感謝はしておこう。

 

???「おはようございます!!」

 

教室の扉を開ける音と同時に女の声が教室中に響き渡った。

声の主であるその女は黒いスーツ、タイトスカートを着こなし、青のメッシュが入った銀髪の髪をなびかせながら堂々と教室に入ってきた。

それと同時に席を立って話をしていた生徒の表情は笑顔から焦りの表情へと変化しドタドタと急いで自分の席に戻っていく。

その様を教卓につき見守るこの女が1年B組の担任の教師。

名前は上白沢(かみしらさわ) 慧音(けいね)、担当教科は歴史。なんでも、この幻想郷という世界の歴史について聞きたいことがあるなら私に聞いてくれと、自分から豪語する程の知識を持っているらしい…

歴史を担当する教師であるからかその知識の広さと深さは本物だと考えてもいいかもしれない。

俺も知らないことが多いのでそういった者がいると助かる。この女の知識…存分に利用させて貰おう。

 

慧音「改めて皆、おはようございます!!」

 

教卓から大きな声で朝の挨拶を行う上白沢先生。

先程の挨拶よりも一回り大きな声が教室に響き渡る。朝から元気な先生だな。皆のモチベーションをあげるための行為であると勝手に解釈はしているが、実際何が目的でこの様に振舞っているのかは分からない。

 

B組生徒「「「 おはようございます!!」」」

 

1つ間を開けてB組の生徒達の挨拶が教室に響き渡る。

複数人故にその音量は上白沢先生の声よりも一回りも二回りも大きなものであった。

 

慧音「うん!今日も皆、元気だな!!いい事だ!では朝のHRを開始するぞ!」

 

生徒達の声を聞いた彼女は笑顔で頷いてHRを進める。

この学校に来て日数は少しだが、HRという間のには慣れつつはある。にしてもこの時間は本当に暇なものだ。連絡事項等があるとはいえ、早く終了しては貰えないのだろうか…?

 

慧音「柊木明夢君!」

 

明夢「…あ、はい」

 

咄嗟に先生から呼ばれて返事をする。

どうやら、いつも行っている点呼の時間のようだ。

余計な事を考えていたせいか、全く現在の状況に気づくことが出来なかった。

 

慧音「どうした?いつもハッキリと答えてくれるのに今日は少し元気が無さそうだぞ?」

 

反応が遅かったのが原因なのだろうか?俺に心配の声をかける上白沢先生。

体調面は特に問題は無いが、彼女にとっては体調が悪いように見えてしまっているようだ。

 

明夢「いえ……なんでもないです」

 

慧音「そうか、体調が悪くなったら無理せず私に言うんだぞ」

 

と胸を張って俺に言う上白沢先生。頼りがいのある先生だ。きっと他の生徒からの信頼も深いことだろう。

 

明夢「…お気遣いありがとうございます」

 

慧音「じゃあ、点呼を続けるぞ」

 

俺の感謝の言葉に笑顔で頷いた先生は点呼の続きを再開する。

俺はひとつため息をついて窓の外の空を見上げる。雲ひとつない美しい青の世界がどこまでも続いている。

綺麗な空だ…あの広々とした世界に吸い込まれそうになる。あの世界を羽ばたく鳥達と空を飛んで行けそうな…そんな非現実的な妄想を描いていた。

いつからだろうか、空がこんなに綺麗であることを忘れてしまっていたのは…

空いた窓から風が入り、そっと俺の髪を優しく撫でるように吹き抜けた。

平和な世界だ。穏やかな日々を何気ない会話に微笑み過ごし、それを繰り返す。そうだ、これが…この積み重ねこそ俺の、俺達が求めていた平和だ。

 

慧音「はい!これでHRは終わりだ。もうすぐ授業が始まるからしっかり学ぶんだぞ!!」

 

空を見て感傷に浸っている間に朝のHRが終わってしまっていたようだ。

慧音先生は俺達にそう言って教室を出ていってしまった。

…もうすぐ1限目の授業が始まる。気持ちを切り替えて今日の授業に挑むこととしよう。

 

 

 

〜数時間後〜

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

…2時間目終了の鈴が教室に鳴り響いた。

 

慧音「よし、今日はこれくらいにしようか。どうだ皆、今回の歴史も面白かったかな?分からなかったところがあったら私を呼んでくれ。分かるまで教えるからな!」

 

2時間目は上白沢先生が担当する歴史の授業。

内容は難しいものではあるが、非常に興味深いものであることは確かである。

 

慧音「では、起立!ありがとうございました!」

 

起立という言葉に反応し俺を含めたB組の生徒は席を立つ。

 

B組生徒「「「ありがとうございました!」」」

 

そして先生の礼の後に俺達も礼を行い、2時間目の歴史の授業は終わりを迎えた。天童の様子でも見に行くとしよう。

と、その前にやるべき事がある。

 

明夢「…上白沢先生」

 

慧音「ん、どうした?柊木君」

 

先生は俺に訪ねてくる。

さて…あのアホがやっていたことを実行する時だ。上手くできばいいんだがな…

 

明夢「…すみません、急に身体が…重く感じてきまして」

 

俺は右手で頭を抑え、少しぎこち無く話してみる。

 

慧音「そうか…道理で朝、元気が無さそうだったんだな。

分かった。体育の先生には私から言っておくから君は早く保健室に言った方がいい」

 

明夢「はい…ありがとうございます」

 

よし、上手く誤魔化す事が出来た。これで天童の様子を見に行く事が出来る。

俺は先生に言われた通り、保健室に向かって歩を進めることにした。

 

 

 

〜少年移動中〜

 

 

 

歩いて保健室の前にたどり着いた。

現在の天童の容態が気になるところだな。

俺は保健室の扉を3回ノックし、扉を開け中に入る。

 

明夢「……失礼します」

 

永琳「あら?どうしたの、柊木君。こんな時間に」

 

俺の入室に八意先生は驚く。彼女も先程の上白沢先生と同じように誤魔化さなくてはならない。

 

明夢「…すみません、急に身体が重く感じてここに来ました」

 

永琳「…結構辛い?必要ならよく診るけど」

 

歯切れ悪く現在の状況を言う俺に先生は不安な表情で俺を見ている。

 

明夢「…少しフラフラする程度です。休めば治ると思います」

 

永琳「そう、きっと日々の疲れが積み重なってきちゃったのね。

ベッドは天童君の隣にあるのを使って」

 

明夢「…はい」

 

続けて誤魔化す事が出来た俺は八意先生に案内され、天童の左隣のベッドに俺は入った。

ちなみに天童のベッドは保健室の1番窓側に配置されている。

 

永琳「じゃあ、柊木君。私、他の先生に呼ばれて保健室を出るから後をお願いできるかしら?」

 

と、俺は八意先生から保健室の留守番をして欲しいと頼まれてしまった。

他の先生に呼ばれている…?誰か怪我でもしたのだろうか?

 

明夢「…分かりました」

 

突然で反応が少し遅れてしまったが、俺は先生の頼みに応じる事にした。

最終的にこの部屋は八意先生が出て、俺と天童だけとなる。天童は現在意識が無い。となれば、必然的に動くことが出来る俺が留守番を担当することになる。

 

永琳「ありがとう、柊木君。出来るだけ、早く戻ってくるようにするわ」

 

最後に先生はそう言って保健室を出ていってしまった。これにより先程言った通りこの保健室は俺と天童の2人だけしかいない状況になった。

これで天童の様子をゆっくりと見ることが出来る。俺はベッドから出て天童が寝ているベッドの傍に立つ。

まだ天童は目を閉じている。いつ目覚めるのだろうか?そう考えていた時だった。

 

キュイィィィィィ…!

 

明夢「!?」

 

突然、天童の身体の一部から赤い光を放ち始めた。

鈍い光が俺を照らす。不意に放たれた光に俺は目を細くしてその光景を見る。

奴に一体何が起きているというのだ?それにこの光はどこから…?

俺は寝ている天童の掛け布団を退かす。これで赤い光がどこから放たれているのかが分かるはずだ。

 

明夢「…なるほど、光はここから放たれていたのか」

 

俺はベッドに横たわる天童を見る。この赤い光はズボンの右ポケットから放たれている。

…ポケットに何か入っているのだろうか?1度、探ってみることにしよう。

俺は天童のズボンの右ポケットに左手を突っ込む。

すると何か小さく、硬い物が俺の手に触れた。これはバトスピで扱うコアのサイズよりも少し大きい物であると考える。

俺はその小さな物体を握り、天童のポケットから取り出す。

 

明夢「…これは、ソウルコアか」

 

俺がポケットから取り出し見たものは赤い光を放つ天童のソウルコアであった。

何故、このタイミングでソウルコアが光を発するのだろうか?

そんなことは俺には分からないが、このタイミングでソウルコアが輝きを放つのは何かしらの意味があっての事だと推測する。

冷静さを取り繕っているつもりではあるが、実際この超展開に脳がついてこれていない部分もある。

内心、困惑しながらも俺はその左手に持つソウルコアを見つめていた。

その瞬間、俺の意識はそのソウルコアの赤い光に吸い込まれるようにブラックアウトした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…俺は今、倒れているのか?

身体全身が硬い地面に触れている感触がして俺の意識は覚醒した。

 

明夢「……何が、あったんだ?いきなり意識が飛んで…ここは、一体どこだ?」

 

俺は立ち上がり周りを見渡す。保健室から灼熱の地獄へと場面が移り変わっている。

こんな不自然な事があるのだろうか…これは恐らくあのソウルコアが俺にもたらしたものだと考える。

 

明夢「あれは…道か」

 

周りを見渡していた時、俺は道路のように真っ直ぐ続いている道を見つけた。

倒壊した建物による障害物は無さそうに見える。

もしかしたらこの道の先に何か見つかるかもしれない。行ってみる価値は充分あるだろう。

そう考えた俺はその道を歩くことにした。

 

明夢「…忌まわしい記憶を思い出させる」

 

道を歩きながら炎に沈められた街を見渡していた俺の口からそのような言葉が出た。

燃える木々、破壊され崩れ落ちた建物。そして、街の空を覆い尽す黒い煙が俺の過去の記憶をフラッシュバックさせた。

 

明夢「…フン、なんとも悪趣味な世界だな。しかし、こんなもの所詮は幻想に過ぎない。こんなもので俺の心が揺れ動くものか」

 

半ば強がりではあるが俺は鼻で笑い、更に歩を進めた。

 

 

 

 

 

???「や、やめろ…!」

 

突然、俺の進んでいる道の先から途切れ途切れで苦しむ男の声が聞こえた。

誰かは分からないが行ってみることにしよう。

俺は歩きから走りに切り替え、男の声がした方向、その道の先へ向かう。

 

 

 

 

 

明夢「…あれは」

 

しばらく走っていた俺はその先に立つ2つの物体を目視することが出来た。

黒い鋼鉄の鎧が生身の人間の首を掴んでいる。

生身の人間は必死に身体を動かして抵抗しているようだ。外見は…黒く長い髪に男性用の学生服を身につけている。

…天童と天童のバトルアーマーか?

遠目からというのもあり推測となってしまっているが距離が近づいていくにつれてその推測は確信へと変わっていく。

そして俺の推測は確かなものとなった。見覚えのある黒い鎧は天童のバトルアーマーで必死に抵抗しているのは天童だ。

そしてバトルアーマーが掴んでいる天童の首を中心に青いコアが剥き出しで現れ、天童の身体を侵食している。

 

明夢「…!奴は天童を無に還そうとでもいうのか!!」

 

俺はあの青いコアに見覚えがあった。まさかあのバトルアーマーにあの力があったとは…

しかし、このままでは天童がいなくなってしまう。

それを阻止するために俺はバトルアーマーに近付き体当たりをかました。

横からの衝撃を受けたバトルアーマーはバランスを崩し、掴んでいた天童を手放し倒れた。

 

 

 

side change

 

 

 

何が起こったのか理解出来なかった。俺を掴んでいたバトルアーマーがいきなり横からの衝撃を受けて俺を手放して倒れてしまったのだ。

そして俺も上手く着地することができず、硬い地面に身体を打ち付けてしまう。

衝撃と痛みが俺の身体に走る。

 

明夢「…大丈夫か、天童(首から剥き出しになっていた青いコアは侵食止め砕け散ったか)」

 

倒れている俺の耳に聞き覚えのある男の声が入ってきた。

俺は薄らとする意識の中で彼、柊木明夢の顔を確認した。

 

駆「げほ!えほ!…明夢君?何故、君がここに?」

 

この燃え盛る世界に何故彼がいるのか、謎に思った俺は咳き込みながらも彼に質問をした。

 

明夢「…説明は後だ。お前は逃げろ。あの道を行けば帰ることが出来るはずだ」

 

しかし、明夢は質問には答えず俺に逃げろと言い、燃え盛る炎の街にある道を指さした。

俺としてはこの世界、バトルアーマーの事が気になるが…ここは命を優先し逃げる事にしよう。

 

駆「…分かった」

 

俺は立ち上がり、明夢の指示に従って彼が指さした道に向かって歩く。

さっきまでバトルアーマーに首を掴まれていたのもあって呼吸が少し困難なところではあるが、身体は問題なく動くし意識もまた戻りつつある。これならここから脱出も可能だ。

明夢がついてきていないが大丈夫だろうか?

あのバトルアーマーの力は俺達人間の力で適うものでは無い。

彼の安否を気にしながらも俺は炎に包まれた道を歩き脱出を試みる。

 

 

 

side change

 

 

 

 

天童の姿が見えなくなったのを確認した俺は倒れているバトルアーマーへ視線を変える。

 

明夢「…驚いた。なんでも力で解決しようとするお前がまさかこんな芸当が出来るまでに器用になっていたとはな」

 

と俺は若干の煽りも入れつつ倒れているバトルアーマーに言う。

 

BA「…舐められたものだな。これくらい簡単なことだ」

 

するとバトルアーマーはそう答えながら立ち上がり、上から見下すように俺を見る。

 

BA「…久しぶりの再開だな。姿は違えど性格は変わらんな〇〇〇」

 

 

 

To be continued……




次回予告
赤は嫌いだ。赤を見ると全てを焼き尽くしてしまう炎を思い浮かべてしまう。



…だから俺はお前が嫌いなんだ

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-33 ヴァーミリオン

ふざけるな!そんな馬鹿な事が…あるはずが無い!!


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Turn-33 ヴァーミリオン

どーもー!!蛇マグナ卿でございます。皆さんお元気にお過ごしですか?
私は元気に過ごしてますよ〜!
さて、今回の[バトルスピリッツ 欠落]最新話投稿という事で1つ挨拶をさせて頂きました!ではTurn-33話をお楽しみください!!


ここは…どこなのだろう?

炎の世界で必死に逃げていた俺はいつの間にか白い光に包まれていた。その眩しい光に俺が目を瞑った瞬間だった。突然、全身を包む柔らかく暖かい感触が段々と伝わってきた。

これは…一体何なのだ?何故いきなりこんな感触が…?

自分の置かれている状況を知るためにゆっくりと目を開けて目の前に映る世界を見る。俺の目に映る世界がどんどん広がっていくが目を開けた俺の視界はぼんやりとしていた。

徐々に明確になっていった俺の目が映した物は白い壁と照明だった。

パッと輝く照明の光が眩しくて反射的に目を細めた俺はベッドの布団に包まれながら仰向けの状態でそれを見ていた。

 

駆「…知らない天井だ」

 

人生で1回は割と言ってみたい憧れのセリフを吐いて俺はベッドから上半身を起こす。

後ろ髪がパサッと広がったことからヘアゴムが外れていたことが分かった。

俺が弾との対戦の後に意識を失ったタイミングで紛失してしまったのだろうか?ヘアゴムのスペアはもう無かったはず…いや、むしろ今まで使う機会が無いというのもあって少ないのは当然か。今週末、人里へ買い足しに行かなければならなくなってしまった。黒いシンプルなデザインが気に入っていたので割とショックである。非常に残念だ。

…少し脱線しそうになってしまったが俺は気持ちを切り替えて周辺を見渡した。

清潔感のある真っ白い部屋の棚には数十種類のなんかよくわからない薬品が所狭しと並べられていて俺の左隣にはベッドが2つ配置されている。そして俺の鼻をつつく薬品の匂い。

この事からここが学校の保健室であるということを理解した。

倒れた俺を誰かがここまで運んでくれたのだろう。そして俺は隣のベッドにもたれて倒れている明夢を発見した。

 

駆「明夢君…?大丈夫か?」

 

何故ここに彼がいるのか?もしかして俺を運んだのは彼なのか?その疑問を置いて俺は倒れている明夢に声をかけた。

 

明夢「……」

 

返答を待ったが彼は倒れたまま何も答えてはくれなかった。ベッドに寝かしてやりたかったが、こちらも倒れてしまった身。下手に身体を動かせる状況では無い。彼に申し訳無いと思いつつ仕方なく放置することにした。

…にしても驚いた。さっきまで燃え盛る世界で自分の所有しているバトルアーマーに殺されそうになっていたのに一瞬で周りの世界が変わり、今は保健室のベッドで寝ていたのだ。もしかしたらさっきの体験は夢の1つなのかもしれない。だが夢にしては地面に立つ感覚も首を締め付けられた時の痛み、苦しさも本物だった。

俺はあの時、バトルアーマーに絞められていた首を触る。痛みも苦しさも今は全く感じない。

あの世界は一体何を意味していたのか?あのバトルアーマーの行動の理由はなんだったのだろうか?何故いきなり俺を殺そうとしたのだろうか?

あの時の情景がひたすら頭の中を巡る。答えを見つける為に、何か一つでも分かることがあるのならと進んだ暗闇の中。なのに見つけ出したのは新たな謎だった。あの額縁の絵も炎の世界も遠回しに何かを意味しているのかもしれないが今の俺ではその意味を理解することが出来なかった。

何か一つでも分かることが出来れば…もう一度あの世界を見れるなら…と探究心のある自分が心の中にいるが正直な話、もう二度とあの世界には行きたくない。またバトルアーマーに首を締め付けられて殺されそうになるのはもうごめんだ。

 

駆「はぁ…気分転換に外の景色でも眺めるか」

 

考えるのをやめた俺は1つため息をついて保健室の窓の外に広がるグランドを見る。

複数人の生徒が先生から楽しく、真剣にスポーツを教わっている様子が見える。

 

駆「…ほう、部活動中か。元気な人達だな」

 

その様子に俺は微笑みながら、ごく一般的な感想を述べた。

前の世界に通っていた学校でも頻繁に放課後の教室の窓から夕焼けを背に部活動に励む元気な生徒達の様子を見ていたな。

忌々しい過去の記憶の筈なのに、そこに何故か懐かしさを感じている自分がいる。これも1つ、俺にとってはいい思い出とでも言うのか…?

 

駆「それにしても、今日の午後はやけに空が青いな…」

 

複雑な感情を抱きながら外の光景を見ていた俺はその青い空に違和感を覚えた。俺は見逃していた保健室の壁に設置されている時計を見て時間を確認する。現在、時計の針は10時15分を刺していた。

 

駆「……そうか、俺はそんなに寝ていたのか」

 

起きたばかりではあるが、俺は今自分の置かれている状況を理解出来た。

俺が意識を失ったのは放課後、弾と戦った後だ。時間は見ていないが恐らく16時前だと考えられる。

そして、俺が目を覚ましたのは10時15分…つまり約18時間と15分間、俺はソウルドライブの反動で寝ていたという事になる。

 

駆「はぁ…参ったなこれは」

 

その事実を知った時、最初に脳裏をよぎったのは学校の授業の事だ。

入学して間もないこの段階でソウルドライブの反動ごときで倒れ、授業をすっぽかしてしまうとは…情けない。他の人達に遅れをとってしまった。

俺は情けなさと同時に他の人間よりも遅れてしまったという危機感を覚え頭を抱えてしまった。

そして、俺はため息を付きながら窓の外のグラウンドで体育を受けている生徒達を見つめる。

真剣にそして楽しくスポーツをしている生徒達がとても羨ましいと感じた。出来ることなら今すぐA組の教室に戻って授業を受けたい所だが恐らく保健室の先生がそれを許さないだろう。

きっと「まだ安静にしていなさい!」とかそういう感じのことを言って俺をこのベッドに寝かしつけるのだろうな…

 

駆「はぁ…」

 

またもため息がこぼれてしまった。[ため息をすると幸せが逃げていく]という言葉を俺が小さい時に聞いたことはあるが、こんなに憂鬱な気持ちになってしまったら、ため息をつくのも仕方は無いと思う。

ふいに空いた窓の隙間から風が吹き込み俺の髪を優しく、まるで撫でるかのように通過していった。

 

駆「暖かい、優しい風だ。でも…」

 

俺は窓をそっと閉め、その風を拒んだ。

 

駆「今はその風に当たる気分じゃあ無いんだ」

 

一言、静かに俺はそう呟いて引き続き、体育の授業を受ける生徒達を羨ましいと思いながら見つめる事にした。

 

 

 

side change

 

 

 

…酷い有様だ。倒壊し燃える建造物と植物、見上げれば美しいはずの青い空は黒煙と火の粉で塗りつぶされている。

そんな世界で俺は天童の黒いバトルアーマーと対面している。

 

BA「…久しぶりの再開だな。姿は違えど性格は変わらんな〇〇〇」

 

先に声を上げたのはバトルアーマーの方だった。軽めの口調でそう言ったバトルアーマーはまるで同窓会でそれなりに仲の良かった友達に久しぶりに再開した時にかける様なセリフである。

 

明夢「…その名で俺を呼ぶな。今の俺は柊木明夢だ」

 

軽い口調で話しかけてきたバトルアーマーを睨みつけて俺は冷たく突き放すようにそう言った。

…そして俺はバトルアーマーの発する声を聞いて初めて天童と戦った時のことを頭に思い浮かべた。様子がおかしくなった彼が最後に言い放った言葉がずっと気になっていて仕方なかった。

何故なら俺を知っている者はこの幻想郷にはいないからだ。

こいつがここに来ている事にも驚きではあるのだが、まさか人間では無く、バトルアーマーになっていたとはな…

 

BA「ふははははは!!柊木明夢か!変わっていないと言ったが前言撤回だ!会話も少ない無愛想なお前がしばらく見ないうちに感情的に喋るようになった。そう、まるで今のお前の姿、[人間]のようにな」

 

俺の名前を聞いた時、目の前のバトルアーマーは大声で笑いだした。本来の肉体も今は無いというのに賑やかな奴だ…

 

明夢「お前もどうやら色々と変わった様だな。力任せの筋肉バカと思っていたが…この[精神世界]をお前が作り出していたとはな。いつからこんな器用な事ができるようになっていた?」

 

と、こちらもバトルアーマーに煽られた分、きっちり煽り返す。

 

BA「お前…それは心外だな。俺は力だけでなんでも解決しようとする脳筋じゃないぞ…

それにしてもよくここが精神世界だと分かったな」

 

明夢「俺はさっきまで保健室にいたが、いきなり意識を失いこの世界に来た。自らの身体ごと瞬間移動をすることは不可能だ。だとすれば、自らの精神だけがここに辿り着いたとしか考えられない」

 

BA「なるほど、正解だ。柊木明夢」

 

俺の答えに対しバトルアーマーは笑いながら俺に拍手を送った。鋼鉄の手が接触する音が辺りに響く。

 

BA「しかし、まさかお前が今まで自らの正体を晒さずに暮らしていたとはな!全てを受け入れると言われるこの幻想郷で!」

 

明夢「…俺達の力は強すぎる。浅はかな考えでその正体を公に晒す訳にはいかない。あの時もそうだっただろ?」

 

BA「…どこに居ても俺たちは恐れられる存在とでも言いたいのか」

 

俺のその言葉を聞いたバトルアーマーはさっきとは変わって冷たく突き刺さるような声で俺に言った。

 

明夢「強すぎる力は他者に恐怖と絶望を植え付け、それはやがて俺達を排除しようとする思想に変わる。

…俺達は生まれるべきではない存在だったのだ」

 

BA「都合が良すぎるな…皆を守る為の力として俺達は作られた。

にも関わらずその力を恐れて俺達を排除するのか?冗談では無い!俺達は1つの命として生まれ落ちたのだ。それではまるで道具ではないか…!」

 

明夢「そうだ、俺達は奴らと戦う為だけに作られた命ある道具だ」

 

BA「…認めたくないものだな。皆の希望となることを願い作られた力が世界に否定されるのは」

 

バトルアーマーは力の無い声でそう呟き、右手を握りしめた。

余程、世界に受け入れて貰えなかったことが悔しかったのだろう。

だが、所詮俺達は皆が綺麗な空を見る為に作った道具に過ぎない。戦うことしか出来ない俺達はあの空の綺麗さを見る事は出来ない。

 

明夢「…仕方は無い。これは事実なのだから受け入れるしかない。

だが俺はこの世界で自由を手に入れた。もう戦うことを強要され互いが互いを憎み、殺し合うことも無い。

俺はあの街に住む皆の様に平和という暖かさの中で生きることが出来るようになった。だからこの世界に来たお前も俺と同じ様に自由に生きる為にこの精神世界を作り出し、ここで天童の心を消すことによって抜け殻の身体に自らの魂を宿らせる事で受肉を果たそうとしたのでは無いのか?」

 

BA「なるほど…流石、最高の指揮官だ。良い推測だが1つ足らない」

 

と目の前のバトルアーマーは人差し指を煽るかのように左右に振る。

 

明夢「…何が足らないんだ?」

 

目の前のバトルアーマーを鋭く睨みつけ質問をした。

 

BA「…そう怖い顔をするな。足らないのは俺の受肉目的だ。たしかに俺もお前のように自由に生きる為に受肉を必要としている。だが、それだけでは無い。

俺は来るであろう戦いに備えているのだ」

 

明夢「備える…だと?ここは平和な世界だ。争いが生まれる要素なんて無い。そんな事をする必要があるのか?」

 

まるで何かが襲撃してくるような物言いが気になった俺はもう一度、バトルアーマーに質問をする。

 

BA「あぁ、大いにある。俺はこの世界に[奴ら]が潜伏していると考えている」

 

…呆れた。俺がその言葉を聞いて思ったことである。その肝心の奴らはすでにあの世界で葬った筈だ。

もう居ない者達の為に戦いの準備を行う必要は無いというのに一体何を考えているんだ。

 

明夢「お前…何をふざけたことを考えている。奴らはもういないんだぞ?そんなことを考える必要は無い」

 

俺はため息をついて既に奴らが葬り去られていることを伝える。

 

BA「そんな事は分かっている。しかし、あの天童という少年はこの幻想郷という世界を[忘れられた者が集まる場所]と言っていた」

 

明夢「何、[忘れられた者が集まる場所]?」

 

[忘れられた者が集まる場所]…バトルアーマーの口から出たのは俺が初めて聞く単語だった。

そんな世界があるのだと驚いたがさらにバトルアーマーはこの情報の元は天童であると言った。

どういう経緯でバトルアーマーがそれを知ったのかは知らないが天童はこの世界についてそれなりの知識を持っていると考えることができる。

 

BA「そうだ。俺とお前が以前とは異なる命の形となってここにいるのは俺達があの世界から忘れられていると考えられる。

だとすれば、俺達とほぼ同時期に葬られた奴らも存在を忘れ去られ俺達と同じ様に形を変えてここに存在しているのではないか?」

 

バトルアーマーは続けて自分の推測を織り交ぜて説明を行う。

あくまで推測ではあるが天童の言っていた事が事実なのであれば十分納得は出来るものだ。

 

明夢「…なるほど、死して忘れ去られた魂がこの世界に引き込まれ別の命として転生したと…いや、確かに俺たちの世界でも死者を蘇らせる術はあるが別の世界でもこんなことがあるのか…?

しかし、そうであったとしても天童は無関係だ。我々の問題に一般人を巻き込む訳にはいかない…!」

 

俺はバトルアーマーに鋭い視線を向けそう言った。確かに、忘れ去られた者たちがここに集まるのなら奴らもここにいる可能性はある。

だが、それは天童を巻き込む理由にはならない。

 

BA「生憎、今の俺はバトルアーマーだ。俺1人では自由に動く事は出来ない。だからこそ彼を消しその身体を貰う必要があるのだ。これは世界を守る為の仕方の無い犠牲だ」

 

バトルアーマーは天童を命を切り捨てるかのように言った。

一切の迷い無く、多くの人の平和の為にその中の誰かから平和を奪うその考え方に俺は煮えたぎるような怒りを覚えた。

 

明夢「貴様、ふざけているのか!?天童も皆と同じ守るべき者の1人だ!平和の中であの美しい空を見るべき者だ!犠牲にしていいはずがない!!」

 

俺はバトルアーマーの襟を掴み大声で怒鳴った。

 

BA「分からないやつだな!戦える者が1人より2人の方が犠牲者を抑えられることはお前だって分かるだろ!?それに奴らが現れてからでは遅いのだ!

奴らをもう一度葬り、1人でも多くの者が穏やかな生活をおくり続ける為には必要な事なのだ!

俺が動けなかったとして、お前は1人で奴らに対抗出来るのか?あの2人はこの世界に居ないんだぞ!?」

 

対するバトルアーマーも自分の意見を怒鳴りながら俺に訴える。

世界の平和、命を思う心は俺もあのバトルアーマーも一致しているのにその意識の違いからか俺とバトルアーマーは対立してしまっている。

そして先程バトルアーマーの言ったあの二人のこと…

俺と目の前のこいつは先に死んでしまったのであの世界でどうなっているのかは分からないのでこの世界に来ているのかも分からない。

だが無いものをねだっても仕方は無い。守るものは何時だってどんなところにいたって変わらない。もし奴らが来るのなら俺1人でも食い止める。

 

明夢「…仮に奴らがこの世界を襲撃してきた時は俺が1人で奴ら全員を葬る。お前の出る幕は無いとここで断言しよう」

 

BA「…ほう、お前にしては珍しい発言だな」

 

俺の宣言に興味を持った声色で腕を組みながら話すバトルアーマー。俺を試すかのようにその赤い目は俺を見ている。

 

明夢「…侮るな。今の時点での敗北は無い。無論これからも敗北するつもりは無いぞ」

 

BA「フン、当たり前の事だな。この世界の戦士達に負けるようではお前1人に奴らを任せる訳にはいかん。まぁ、精々その自信が命取りにならなければ良いがな。

お前が1人で奴らを抑えられると胸を張って言うのなら暫く様子を見させてもらうことにしようではないか。

だが忘れるな、少しでも危険だと判断した時、俺はあの少年を犠牲にしてでも動く」

 

明夢「……天童は消させはしないぞ」

 

BA「…それがお前の望みならあの少年が消えないように頑張ることだな」

 

最後にそう言ったバトルアーマーは炎の街へと歩いてこの場を去って行く。

…全く好き勝手やってくれる男だ。平和を掴むためには手段を選ば無いその姿勢は相変わらずだ。そのせいで多くの犠牲が出ていた事を分かっているのだろうか?

確かに平和な未来を望むのは大切な事だ。だが、あいつは平和に犠牲は付き物だと考えている。

平和な未来を目指すにおいて今を犠牲にしてはいけない事を、犠牲を当たり前にしてはいけない事をあいつには理解して欲しい。

そう思った次の瞬間、俺の目の前に広がる世界は真っ白な光に包まれた。

 

To be continued……




次回予告
「気をつけろ」その一言がこんなにも不安を煽ったのは初めてなのかもしれない。
強大な力に代償は付き物。その想像を絶する重さに俺の頭は真っ白になってしまった。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-34 命の限界

俺は…どうなってしまうんだ?


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Turn-34 命の限界

どもども!周りの環境に振り回されながらやっっっっっと!投稿する事が出来ました!
今回は色んな事に挑戦した回ですので楽しんで読んでくださいね!


…ガタッ

 

駆「…ん?」

 

何かがぶつかる音が保健室内で聞こえたので振り向いて視線を窓の外のグラウンドから保健室に戻す。

 

明夢「……ここは、保健室。そうか…あの世界から戻ってきたのか」

 

ベッドにもたれかかっていた明夢が目を覚ましたようだ。保健室の床に座りながら右手を顎にあてて何かブツブツ言っている。

 

駆「明夢君、そこで倒れていた様だが…身体の調子は大丈夫か?」

 

深刻な顔で床に座って考え事をしている明夢に声をかける。

 

明夢「…俺は大丈夫だ」

 

俺の質問に答えた明夢はスっと立ち上がり、俺の隣に来る。

 

駆「それは良かった。君が俺をここまで運んでくれたのか?」

 

俺は彼を見上げ質問をする。俺を運んでくれた人に礼がしたかったからだ。

もし、彼が俺を運んでくれたのなら俺は彼に礼をしなければならない。

 

明夢「倒れたお前を保健室まで運んだのは俺と馬神だ」

 

駆「そうか、ありがとう明夢君。弾君にも礼を言っておかないとな…」

 

明夢「あと、付き添いで博麗、霧雨、東風谷、オーバ、天野が来ていた。全員お前の事を心配していたぞ」

 

駆「…そうか、美弥さんも来ていたのか。皆に感謝しなくちゃあな」

 

こんなにも沢山の人から自分の事を心配されたのは初めてなのかもしれない。

先生や彼らに迷惑をかけてしまった申し訳なさと同時に俺が大切にされている事を理解して嬉しさを感じた。

だが、美弥も来てくれるとは思わなかった。彼女とはあの日の話し合い以降コミュニケーションを取っていなかったからだ。何より俺は彼女に拒絶されたはず…

なのに何故彼女が俺を心配するのか?意味不明な彼女の行動に俺は困惑している。

 

明夢「天野は来ないと思っていたのか。昏睡状態のお前を見た彼女は相当ショックを受けていた様だったぞ」

 

駆「彼女がショックを受けていた…?」

 

明夢「そうだ。何が原因でお前達の間に溝が出来たのかは知らんが、彼女はお前と仲直りをしたいと言っていた。次に会ったらしっかり話し合う必要があるんじゃないのか?」

 

駆「話し合う必要…か」

 

明夢「会話は生き物と生き物とが繋がる唯一の方法だ。互いの気持ちを伝えることで人間も分かり合える。そういうものじゃないのか?」

 

明夢が言っている事は正しい。

自分の抱いている気持ちを相手に伝えるには会話しか方法は無い。

明夢の話していることがもし本当なら美弥が俺と会話をしようとするのは彼女が本当の気持ちを俺に伝えようという現れなのかもしれない。

 

駆「…ありがとう。君のおかげで俺も彼女ともう一度話し合う決心がついた。君の言ったその言葉、頭の片隅に残しておくことにするよ」

 

明夢「…そうか。それはいい事だな」

 

明夢はほんの一瞬だけ微笑んでそう答えた。

彼が初めて表情を崩した瞬間であった。

彼にも人間らしい1面がある…という言い方は彼に対して失礼な気もするが、いつも固い表情をしている彼の中に暖かい一面があることが分かって少しだけ俺も微笑ましくなった。

 

明夢「…そういえばだが、何故いきなり苗字から名前で呼ぶようになった?」

 

明夢からの唐突な質問に俺は驚いた。

苗字から名前になぜ切り替えたか、実を言うといつからだか分からないが、無意識の内に彼を名前で呼んでいた。俺の周りが皆を名前で呼び合い親交を深めている。それに影響されたのかもしれない。

ただ、彼に「無意識で…」というのはアレなので何か適当な理由を付けて答えるとしよう。

 

駆「…これからは同じ詩姫部のマネージャーだ。親交を深めるという目的の元、名前で呼ぼうと思ってな。

俺の事も気軽に駆と呼んでくれても構わない」

 

明夢「そうか……済まないが、相手を名前で呼ぶのには慣れていない。これからも苗字で呼ばせてもらう事にする」

 

彼は少し不器用なのかもしれない。これは技術面では無く、人間関係の築き方についてだ。

何となく俺に似ているような気がする…

 

明夢「少し暑い……窓を開けても構わないか?」

 

駆「あぁ、いいぞ」

 

太陽が部屋に当たって少し暑く感じたのか明夢は俺に確認を貰った後、俺の使っているベッドの右側に来て窓を全開に開ける。

再び、この部屋に優しい風が吹き込む。彼と話をして少し気分が落ち着いたのか、今はこの風が心地よく感じる。

明夢もこの風が心地よいのか、とてもいい横顔をしている。

すると、いきなり明夢が俺の方を見つめてきた。

 

駆「どうした?」

 

俺を真っ直ぐと見る明夢。俺の顔に何かついているのだろうか?

 

明夢「髪…伸びきっているな。切ったらどうだ?」

 

ポツリと彼から素朴な提案が出てきた。

風で靡く俺の髪を見てそう思ったのだろう。

 

駆「ん…確かに伸びてきてはいるが、ここまで伸びてきたら切るのが面倒臭く感じてな。切る気が全くしないんだ」

 

俺は肩まで伸びた横髪を弄りながら答える。

他人に「髪を切らないのか?」と突っ込まれたのは久しぶりだ。学校の生徒に言われた時以来、ここに来て彼が初めてだ。

 

明夢「そうか…少々鬱陶しいな」

 

駆「君が言うな」

 

渋い表情でそう言った明夢に俺は突っ込む。

彼の髪も俺程長いものでは無いが肩にかかりそうな程、彼の髪の毛も伸びている。故に彼の今の言葉に説得力が全く無い。

 

明夢「ん?俺の方がお前よりかは短い。俺が髪を切る必要は全くないぞ」

 

駆「自分の姿を鏡で見てからツッコミを入れてくれ…」

 

不器用な明夢に呆れつつ俺はそう言う。

今までの彼の言動から、しっかりしてはいるのに、どこか抜けてしまっているという人間性が感じられる。

 

明夢「……了解した。次からはそうしよう」

 

1つ間を空けて考えた明夢は納得した表情で俺にサムズアップをする。

まだ彼と会ってそんなに経っていない。これから部活動等を通じて接触する機会が増えるだろうし、きっとまだ見ぬ彼の面白い一面が見えるかもしれない。

と期待を抱く中、俺は彼に対して1つ疑問を持っている。

 

駆「そうだ、一つ気になることがあった。何故授業の真っ只中だというのにこの保健室に君がいるんだ?…まさかサボりか?」

 

何故、彼がここに居るのか。それが疑問に思った俺は話題を変え明夢に質問をする。

体調不良でここに来るのは分かるが、目の前の彼は何食わぬ顔でピンピンしている。どこか怪我でもしたのかと思い、彼の全身を見るが外傷は確認出来なかった。恐らく「頭痛がする」とか「お腹が痛い」などの仮病を装って先生を欺き、ここに転がり込んだのだろう。

 

明夢「…バレたか、俺は身体を激しく動かす事が嫌いなのでな。仮病を装い保健室のベッドに寝に来た」

 

彼はそう言いながら、腕を組み、俺の隣のベッドにあぐらをかいて座る。

どうやら俺のサボりという予想は当たっていたらしい。しかし、その理由が[体育が苦手科目だから]という所に意外性を感じた。

勉学、スポーツ両方を完璧に熟しそうという俺の持つ彼に対してのイメージが覆された瞬間である。

 

明夢「…というのはただの冗談だ。俺はお前の状態を見にここに来てた」

 

…なるほど、冗談だったのか。

俺は少し苦笑いをして1つ安堵の溜息をついた。

明夢の様な冷静且つ真面目な人間が真顔で冗談を言うとそれがマジの事だと思ってしまうので笑えないという事はよくある話だと思う。実際、過去の俺がそうだったからだ。

…少し話が脱線しかけたが、彼は本当に授業をサボろうという意思からの行動では無かったらしい。

しかし、それなら授業が終わった後に来ればいいだけの話では無いのか?そこまでして俺の様子を見に来る理由は何なのだろうか?試しに質問をしてみる事にしよう。

 

駆「ほう、授業をサボってまで俺の状態を見に来ていたのには何か訳がありそうだな?俺の中に相当悪い物があるのか?」

 

明夢「…それについては保健室の先生が戻ってきてからゆっくりと説明を受けるんだな。

で、体調はどうなんだ?寝て少しは良くなったか?」

 

少し間を開けて明夢は腕を組んだままそう答えた。保健室の先生から詳しい説明が必要な程、今の俺の状態は悪いのか?はたまた自分の口から説明をするのが面倒くさく感じて保健室の先生に任せようという考えの元、そう答えたのか?

どんな考えの元、彼がそう言ったのかは分からないが専門的知識を持つ保険室の先生の説明を受けるのが今の自分の状態を詳しく知る1番効率の良い方法なのかもしれない。

そうだ、彼から体調について質問されていたんだった。早く答えなければいけない。

 

駆「えっと…体調?あ、あぁそうだな。特に気持ち悪いとか体が重いとかそんな不自由な事は無いな。至って普通の状態だと思っている。

だが入学早々、テストも近づいてくるこの時期に授業を休んでしまった…」

 

明夢「何を落ち込んでいる。お前なら他からノートを写して教えてもらうだけで十分内容は理解出来るだろう?そこまで深く考える必要は無いと思うが…」

 

と落ち込む俺に明夢は励ます様に俺にそう言ってくれた。だが、俺が重要視しているところはそこでは無い。

 

駆「いや、内容を理解するだけではなく、その授業に意欲を持って参加するという事も成績に繋がってくる…ただ、テストの結果が良かっただけでいい成績は取れるとは言い難い」

 

と彼にそう言ったが、前の世界では不登校だった為、説得力が皆無である。本当は真面目に行きたかったんだがな…

 

明夢「なるほど…その考え方はまさに優等生の鑑だな」

 

興味深く感じたのか彼は顎に右手を当てそして、感心するかのような声色でそう言った。

 

駆「当然の事だ。ただ、君が不真面目なだけだろ?」

 

明夢「…フン、[不真面目な男 柊木明夢]は今日だけだ。1回サボってしまったが、中々興味深い事はあった。体育の授業をサボった価値は十分にあったぞ」

 

俺の煽り気味の言葉に少し不機嫌になってしまった明夢だったが、この時間は良き時間であったと胸を貼っている。

その彼の言った言葉の中の[興味深い事]が非常に気になる。

 

駆「…興味深い事?何があったんだ?」

 

明夢「お前が知りたいと思っている事だ」

 

俺の知ろうとしている事…黒いバトルアーマーと謎が増えていくばかりのあの世界の事。

その答えを今、目の前の明夢は握っている。

となれば、ここで聴くしかあるまい。俺の中で起こっていることを知り、解決しなければいけないのだ。

 

駆「…聞かせて欲しい。俺はそのことを知らなくちゃいけない」

 

彼は頷いて話を続ける。

 

明夢「いいだろう。遅かれ早かれ、どの道お前が知ることだ。今話しても問題は無い」

 

キーンコーンカーンコーン

 

と明夢がそれを話そうと口を開こうとした瞬間、絶妙なタイミングで授業終了の鈴が保健室に響き渡ってしまった。

 

永琳「ただいま戻ったわ!柊木君、留守番ありがとうね。気分はもう大丈夫?」

 

そして、鈴に続けて赤と青のツートンカラーの特徴的な服の上に白衣を纏った美しい銀髪の女性が保健室に入ってくる。

どうやらその人は明夢に保健室の留守番を頼むでいたらしい。彼女は明夢に感謝をし、体調の心配をしている。ということは、本来この部屋で仕事をしているのが彼女で保健室の先生を担当しているということになる。

 

明夢「いえ、俺は何も…ここで寝ていただけです。気分は良くなりましたので次の授業には出られます」

 

と清々しい表情で銀髪の女性に答える明夢。そんな彼に「嘘つけ、気分は元から良かっただろ」とツッコミを入れてやろうかと思ったが、わざわざ授業をサボってまで俺を心配して保健室に来てくれた明夢の行為を仇で返すような事になってしまうので、それは流石にやめておいた。

これからの事を考えると彼の関係を劣悪にするのは宜しくないと思ったからだ。

彼は俺の知りたいと思っている事を知っている。それを聞き出す為にも彼とは関係を保っていかないといけない。

そう思いながら俺は引き続き明夢と女性のやり取りを聴こうと耳を傾ける。

 

永琳「そう、それは良かったわ。あ…!目が覚めたのね、天童駆君…!」

 

すると、明夢に向けていた女性の目線がこちらに向いた。最初は驚いた表情だったが、優しい笑みで話しかけて来てくれた。

 

駆「あ…はい、おはようございます…」

 

何故、俺を見た時に驚いた表情をしたのか?それが気になるところではあるが、返しの挨拶はきっちりとする。

しかし、まさかこんな所にこの人が居たとは驚きだ。

名は確か、八意永琳。東方Projectに登場するキャラクターで、迷いの竹林にある永遠亭と呼ばれる場所で薬剤師、医者をしている…だったか?うろ覚えではあったが、大体は覚えていたと思う。

どうやらこの幻想郷では薬剤師、医者の経験を活かして保健室の先生を担当しているらしい。

 

永琳「さ、元気になった柊木君は早く自分の教室に戻って授業の準備をしなさい。遅刻しちゃうわよ」

 

明夢「分かりました。天童、残念だがここまでの様だ。また後で来る」

 

駆「そ、そうか。分かった」

 

保健室の扉の前で立ち止まった明夢は振り返って俺の方を見る。何か伝え忘れたことでもあるのだろうか?

 

明夢「…そう、1つ忠告でもしておこうか…天童、そのバトルアーマーには気をつけておいた方がいい。

 

 

…自分の命を取られないようにしろよ」

 

冷たく静かにそう言った彼の不吉な言葉は俺の不安を煽るものであった。

彼の口から自分自信の命の危機を知らされるなんて想定していなかったからだ。

 

駆「おい、ちょっと待て明夢!それはどういう…」

 

その事について詳しく聴こうと俺が彼を止めようと声を上げた。

しかし、その時にはもう既に明夢は保健室から出ていってしまっていた。

 

駆「どういうことだ?何故、俺の命が…」

 

言われるだけ、言われてその詳細を聞く事が出来なかった俺の頭の中は、また疑問に埋め尽くされてしまった。早く明夢に聞いて全てを知る必要がある。

訳の分からないまま、周りの状況に振り回させるのは御免だ。

 

永琳「それについては、私から説明するわ」

 

ここで銀髪の女性が名乗りを上げた。

 

駆「あ、貴女が…」

 

寝ている間に俺の体を調べたのだろう。自らそれを名乗りあげるということは今の俺の状態を知っているという事だ。

明夢の話は後にして、まずはこの人から話を聞くことにしよう。

 

永琳「あ、ごめんなさい。自己紹介をしていなかったわね。私は八意永琳、この学校で保健室の先生を担当しているわ。これからよろしくね」

 

自己紹介をしていなかった事に気づいた彼女は

丁寧に且つ簡潔に自己紹介を行い、俺に手を差し伸べてくれた。そんな挨拶に好感を抱いた俺はそれ相応の対応をしなければいけないと思い、口を開ける。

 

駆「知っているとは思いますが、自分は天童駆と言います。こちらこそよろしくお願いします。八意先生」

 

俺は彼女の差し伸べられた手を握って握手をする。

 

永琳「そんなに緊張しないてもいいのよ?気軽に私の事を[えーりん]って呼んでも大丈夫よ」

 

と微笑む八意先生。俺の動きや表情が緊張している様に見えたのか。

キラン☆と星が飛ぶような程、綺麗なウインクを見せ、緊張を紛らわそうとしてくれている。

 

駆「は、はぁ…ははは」

 

俺はお茶を濁す様に苦笑いで対応をする。

彼女のちょっとしたキャラ崩壊に戸惑ってしまった。正直な話、こう言うのをされると逆に反応に困ってしまう。

しかし、気を使ってそう言ってくれたという事を考えると、とても嬉しく思った。実際、歳の差がある人間との会話では、それ相応の言葉遣いや、態度を取る必要があり、緊張してしまう事があるからだ。

 

駆「お気遣いありがとうございます。それでは八意先生、本題の方へ…」

 

俺を気遣ってくれた八意先生に感謝を伝え、本題へ話を進める。

 

永琳「そうね。では、貴方に教えるわ。今、貴方の体に何が起こっているのかを…」

 

笑顔で話していた八意先生の表情がいきなり深刻なものへと変わった。重くなった彼女の声、そしてその表情から作り出される何とも言えないくらい居心地の悪い空気。

事の重要度を全く理解していない俺はそんなに重要なことなのか?と疑問に抱きつつもその重苦しい空気に息を飲んだ。

今から聞かされる話の内容によっては俺のこれからの将来が変わってくるかもしれない。そんな未来への不安を感じながら俺は次の八意先生の言葉に集中する。

 

永琳「単刀直入に今の状態を説明すると、貴方の体には普通の人間じゃ耐えられない程の大きな負荷がかかっているの」

 

 

 

 

 

 

 

 

………は?

 

 

 

 

 

 

 

 

頭が真っ白になった。いきなりというのもあったが、まさかこんな事を八意先生の口から言われるなんて思いもしなかった。

自分の想像力が足りていなかった?いや、誰だって自分が死の1歩手前の状況に陥っていることなんて想像したくは無いだろう。

そして、何よりもその現実を簡単に受け入れることが出来ない。信じることが出来ない。俺の思考はその事実に対する疑いでいっぱいになった。

 

駆「俺の体に…負荷!?そんな……今は体調だって何の問題も無いし、ここまで喋っていられるんです。そんなことをいきなり言われても、説得力がありませんよ!」

 

頭の整理がついていない俺は混乱した状態で彼女に問う。

 

永琳「貴方の気持ちも分かるわ。外見からだと貴方の体の状態が全く分からない…信じられないかもしれないけど、貴方の体は極めて危険な状態に陥ってしまっているのよ」

 

混乱してしまった俺に申し訳なさそうに答える八意先生。イマイチ実感が湧かないが、彼女の必死さから俺の状態が本当にヤバいのかが伝わる。

そうなると、何が原因でこうなってしまったのかが、非常に気になるところである。

「落ち着け…落ち着けよ」と自分に言い聞かせて、ごちゃごちゃになっている頭を無理やり落ち着かせる。

まずは原因を自分の出来る限りで探ってみる事にしよう。

俺は右手を顎に当てて今まであった事を思い出していく。

そうした時、思い当たる節を1つ見つけた。

 

駆「……原因はソウルドライブですよね?」

 

思い当たった事をありのままに八意先生に主張してみる。「ですよね」を使ったのは俺の中でこの節しか思い当たらなかったからだ。

ソウルドライブを使った時に今までの現象とは比べ物にはならないレベルのヤバい現象が起きた。

もうこれしかないという確信があったが故の主張である。

 

永琳「ッ!…分かっていたの?天童君」

 

俺の問いかけに対して八意先生は大変、驚いた様子で俺を見た。

 

駆「…詳しい仕組みは分かりません。ただ、[封印]を行った時に感じた暖かさと同じようにソウルコアでアクションをすると、何かが起こるのだろうという推測の元、半ば好奇心でソウルドライブを使用しました。

そして、ソウルドライブを発動した時に体に異常が起きて…その時の感覚は今も覚えています。

全身が焼ける様な痛み、心臓を握り潰されるような息苦しさを感じました」

 

永琳「そんな…!推測だったとしてもソウルドライブを好奇心で行うなんて!!」

 

俺の動機を聞いた八意先生は怒りの眼差しを向けて怒鳴った。

少し、驚いたが俺は彼女のこの発言で[ソウルドライブ=命に関わる程の危険な行為]という事を理解した。

 

駆「自分は、外の世界から来たんです。俺が以前居た外の世界とこの世界での対戦では、勝手が違ったので実際に試す必要があったんです」

 

永琳「外の世界から…そうだったのね。なら、ソウルドライブを使用するのも無理ないわ。ごめんなさい…」

 

駆「貴女が謝る必要はありませんよ。それに、もうやってしまったことですから…

という事はやっぱり俺がこうなってしまったのはソウルドライブが原因と言うことなのですね?」

 

永琳「そうよ。そして今からどうしてソウルドライブで貴方の体がそうなってしまったのか…その仕組みを説明をするわ。

ソウルドライブは自分のソウルコアを砕いて、その欠片をバトルアーマーを通して、直接フィールドに存在するアルティメットへとソウルドライブのエネルギーを装填して発動するようになっているの」

 

驚いた。バトルアーマーとソウルドライブにそんな関係があったとは…

非常にわかりやすい説明だが、恐らく本来ならもっと複雑なメカニズムで出来ているのだと予想できる。

八意先生はそれを理解している上で俺に分かりやすく、理解出来るように説明していると思う。

 

永琳「それだけならまだ良かったんだけど、吸収したソウルコアのエネルギーだけでは、ソウルドライブを使用するアルティメット達は満足に力を解き放つことが出来ないの。

だから足りない分のエネルギーをプレイヤーの命を吸い取ってその力を放つという流れになっているわ」

 

駆「なるほど…それがこの世界のソウルドライブ」

 

俺はその仕組みの恐ろしさに冷や汗が出てきた。まるで諸刃の剣…1歩間違えれば自爆の領域である。

 

永琳「そして、ソウルドライブによって命を吸い取られたプレイヤーは…死んでしまうわ。

ソウルドライブを使って命を落とす事故は過去に頻繁にあったわ。その現場に私も携わったけど、生き残ったのを見たのは貴方が初めてだわ」

 

と、残念そうに嘆いた八意先生は次に俺を見て安心したかのように微笑む。生きていくれてありがとう…そう言いたげな表情である。

だが、俺は彼女の言ったことに1つの疑問が芽生えた。

 

駆「八意先生、1つ質問です。何故、ソウルドライブで命を落とす者が過去に続出しているのにも関わらず、その行為を禁止にしないのですか?この世界の人々の命を配慮するなら禁止にすべきだと思うのですが…」

 

永琳「私もそう思うわ。もうこれ以上ソウルドライブで誰かが犠牲になって欲しくないもの。

でも、幻想郷にソウルドライブを使っては行けないというルールは無くて使用自体は自由になっているから全てはプレイヤーの自己責任ってことになるわ」

 

駆「そうですか…」

 

全てを受け入れるのが幻想郷。ならソウルドライブもソウルドライブを使う者も受け入れるのは必然。

バトルスピリッツという様々なカードが渦巻く環境で何を使うかは、その人間次第…か。

 

永琳「ちなみ言っておくと、もし、貴方もう一度ソウルドライブを使うと今度こそ体が負荷が耐えられなくなって…死に至るわ」

 

駆「ハハ…ド直球ですね。でもそれはもう察していました。1回目でここまで体がやられたら流石に2回目は生きては帰れませんよね。

と、いうことはもうブラム・ザンドのソウルドライブが使えなくなるのか…」

 

永琳「意外と落ち着いているのね…」

 

俺の乾いた声を聞いた八意先生が驚いた表情で静かにそう言った。

 

駆「取り繕っているだけですよ。実際のところ、だいぶメンタルに来ています。ブラム・ザンドは俺の1番のお気に入りのカードですので…」

 

ブラム・ザンドとアルティメット・オーバーレイを組み合わせたあのデッキは俺の自信作であり、1番のお気に入りであった。

特にブラム・ザンドの破壊力には何度も助けられた。思い出もある相棒的存在なのだ。

それが使えなくなるという受け入れ難い現実。

俺はベッドの掛け布団をゆっくりと強く握りしめて俯いた。

どうしようも無く変える事の出来ない現実に心の底から悔しさとソウルドライブに耐える事の出来ない自分への情けなさが込み上げてくる。

 

永琳「…気持ちは痛いくらい分かるわ。でも、生きたいのならソウルドライブの使用はやめておいた方がいいわ。

貴方を心配している友達の皆の為にも…」

 

駆「…すみません。頭の整理をしたいので、しばらく放っておいてください」

 

永琳「わかったわ。目覚めたばかりですもの、混乱するのは仕方ないわ。今はここでゆっくり休んで」

 

そう言った八意先生は俺の頭を優しく撫でた。

その暖かい優しさがかつて傷心した俺を支えてくれた叔母さんと重なってしまい、1粒また1粒と涙が溢れ出してしまった。

 

駆「ありがとう…ございます」

 

俺は涙を見せぬよう俯いたまま一言、八意先生に感謝の言葉を伝えた。

 

 

 

side change

 

 

 

…奴は一体何処に姿を隠している?昨日察知した規格外の炎の力。あれは間違い無い、今回の殲滅作戦に置いて要注意事項である4体の中で最も危険な存在。獄炎の四魔卿の力…

私はそれを探す為、[変わり果てた自分の姿]を動かしながら途方もなく続く森の中を高速で進んでいる。

今まで燃え盛る戦場で戦っていた私が深い森にいるのか、何故姿が変わったのかは分からない。

現在解析不能な部分は大量にあるが、それよりも最も気になる事が1つある。

私は[両足]を止め、その場で[左右の手]を自分の胸に当てる。

先程から感じる、このふつふつとマグマの様に込み上げてくる何とも言えない違和感はなんだのだ…?

違和感が気になる中、私はふと何時からか記憶されていたメモリの中にある男の声を脳内で再生した。

 

男「ふははははは…!ついに完成したぞ!!〇〇〇〇〇〇〇よ、自ら侵した過ちを思い知れ!この強大な力をその身で思い知れ!

 

そして私の憎しみを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い知るがいい!!

 

 

 

プツン…

 

脳内で再生された怒りと悲しみ、絶望に満ちた男の叫びはここで途絶えてしまった。

今まで開いた事の無いメモリを初めて開いたが、このメモリのおかげで私は1つラーニングした。

この今にも溢れそうな程の黒い違和感の正体は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憎しみだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれは私の思考を黒く塗りつぶす様に支配した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「これが…これが憎しみ!これが…これが…!これが!!これがァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……




次回予告
人は1つ大きなショックを受けた時、それを抱え込んでずっと背負い続けてしまうことがある。
今の彼女がまさにその状態なんだと思う。
そんな時、闇の中に一筋の光が指すかの如く、1人の女の子がその子に手を差し伸べた。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-35 キズナバトル

いつまでも立ち止まってはいられない。
希望に満ちた未来を信じよう。


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Turn-35 キズナバトル

お待たせしましたねぇ!!34話投稿からなんと、なんとですよ!?2ヶ月も経ってしまった小説投稿者、ここに参上!
さてさて、ここで生存報告を済ませたところでやっと完成した最新話の公開といきましょう!!
コメント等があれば是非是非感想欄の方にお書きください!!


明夢「はぁ……全く、どうしたものか……」

 

次の授業に参加する為、B組の教室を目指して廊下を歩いている俺は1人静かにため息をついた。

ため息の理由は天童のバトルアーマーに変わり果てていたアイツのことである。俺との勝負や馬神との勝負であのバトルアーマーがかなり特異なものである事から後々研究の対象にしようと考えてはいたが、まさかアイツだったとは思わなかった。

予想外の再開。形は違えど再び会えたことをかつての戦友として意識するなら、とても良かった事だったと思う。だが今の俺にはそう思えない。

何故ならアイツは昔から厄介者で事態をかきみだす問題児であり、俺のストレスの主な原因だったからだ。いつも、いつもタイミングが悪い時にアイツの起こす面倒事が俺を巻き込んでしまう。「偶然起こってしまうこと」「仕方が無いことである」と自分に言い聞かせてはいるが、頻繁にそれが起こってしまう故、あそこまでくると誰かが仕込んだ必然的なことなのか?と非現実的な考え方をしてしまう。

俺は左手で髪を掻いてむしゃくしゃする気分を無理やり抑える。

 

明夢「………………はぁ」

 

左手に引っかかった自分の抜け毛を地面に払い落として2度目のため息をついた俺は次にバトルアーマーが作り出した精神世界での会話を思い返した。

その時に交わしたバトルアーマーとの会話の中にあった、この世界に来ている可能性のある[最も危険な存在]と独断行動の宣言をするバトルアーマー。それらが俺の中の不安を一気に加速させる。

可能性は無いに等しいと思われる奴らの存在だが、アイツにあんな事を言われたら警戒せざるを得ない。奴らはマジに冗談抜きで危険な代物なのだから。

そんな奴らが仮にこの世界に現れたとして、もし俺より先にアイツが、あのバトルアーマーが動いてしまったら……もう二度とソウルドライブを撃てない天童はアイツに操られ確実に命を落とす事になってしまうだろうし、この世界の人々にも犠牲者が出てしまうだろう。

俺達の都合だけでこの世界を巻き込んで、皆の命を危険にさらす訳にはいかない。

何としてでも、俺が奴らから守り通さなければならないのだ……

 

男子生徒O「お、そこに居るのはB組の柊木君じゃあないか。奇遇だな!」

 

そんな事で悩みながら廊下を歩いている中、突如後ろから右肩を触られ話しかけられた。

一度思考を止めた俺は足を止め、掴まれた右肩の方を向いて俺に話しかけてきた人物が誰なのかを確認した。

その男子生徒の顔は薄らと見覚えがあった。俺の記憶では確か、この男は以前のノア・フルール先輩との対戦の時に俺を後ろから応援をしてくれていた人だ。名は確か……Oと言ったか。B組では見ない顔であるこの男はどこのクラスの人間なんだ……?部活動への所属等の関連で天童と来ていたから、天童と同じA組の人間なのか?

 

男子生徒O「そういえば、君。さっき頭抱えていたよな?大丈夫か?もしかして、体の調子が悪いのか?」

 

と、思考中に突然彼からそんな質問が飛んできた。どうやら奴らやアイツのことを考え込んで頭を掻きむしっていたところを後ろから見られていたらしい。その姿を体調が悪いと解釈した彼が俺に話しかけたという流れになる。

彼の勝手な想像で面倒くさいことになっているが、この話が大事になってしまってはさらに面倒くさい事になってしまう。こんな事で周りに迷惑をかけるわけにはいかないので、ここは早く彼の誤解を解かなければいけない。

 

明夢「いや、別に俺は何も………」

 

女子生徒D「え!?君、具合が悪いの……?先生呼ぼうか?」

 

俺が誤解を解くべくOに説明をしようと口を開いた直後、近くに居た女子生徒が話を割って声をかけてきた。偶然にもOの声が聞こえてしまったんだろう。彼女は俺に対して心配の眼差しを向けている。

非常にまずい……早速事が大きくなってきてしまっている。早急に一刻も早くこの誤解を解いて彼らを安心させなければいけない。

 

明夢「…………いや、2人ともそれは誤解だ。具合も今は悪くない。俺は大丈夫だ。」

 

男子生徒O「そ、そうだったのか!済まない、俺の勘違いだった……」

 

女子生徒D「そっかぁ〜!それは本当に良かったよ!」

 

改めて説明した結果。誤解は完全に溶け、Oは自分の誤解を認め、女子生徒の方は安心した顔で胸を撫で下ろしている。

まさか、こんな事になるとは思っていなかったので内心焦ってはいたが、丸く収まったのでこちらも一安心と言ったところか。

Oはちょっとした顔見知りなのでまだしも、見ず知らずの男に躊躇いなく声をかけるこの女性に俺はとても驚き、感心した。誤解とはいえ俺のことを心配してくれたのだ。Oも含めこの女性も心の優しい人間だと感じた。一応、お詫びとして一言言っておくか。

 

明夢「済まない。無駄な心配をかけさせてしまった」

 

男子生徒O「いや、君が元気ならそれでいいんだ!本当に良かったよ。

そうだ!また近々君に対戦を申し込んでもいいかい?」

 

女子生徒D「あ!私も君と対戦してみたいな!」

 

明夢「対戦…俺と……?」

 

なんなんだ、この急展開は?

2人からの唐突な対戦の申し込みの流れに俺は今、困惑している。

そんな俺の反応を見た彼らはキョトンとして目を丸くしている。何かおかしなことを言ったか?とでも言いたげな表情である。

いや、誘ってくれたのは素直に喜ばしいことなのだが、今はこの2人に対する興味は一欠片も無い。

正直な所、対戦に関して今自分が興味を抱いているのは天童のみ。獄炎の四魔卿ブラム・ザンドを、邪神アルティメットを所持しているからという理由もあるが、何よりも天童が戦いの最後の最後まで自分自身の実力を出していないからだ。

先週の俺との戦いや昨日の馬神との戦い。2試合とも天童の結果としては敗北となってはいるが、この2試合は対戦の途中でアイツが天童を乗っ取ってしまっていた。もし、仮に天童が最後まで乗っ取られる事無く対戦を継続していたら最後の結果は変わっていたのかもしれない。あのバトルアーマーとは違う結論を天童が持っていたら…という話になるが、そう考えると天童本来の力量がどれくらいあるのかが非常に気になってしまう。

上記のような理由があって現状彼らよりも天童を優先したいという個人的な事情が出来てしまっている。それでもデッキ調整時の錆として何時でも機能してもらえると考えるなら今、対戦に誘ってきたこいつらでも利用価値は充分にあるだろう。

 

明夢「…その誘い、快く引き受けたいところだが、最近忙しくなってきてしまってな……」

 

今の所、彼らとの対戦は行いたくは無いが縁は切らないように適当な言葉を選択した。

内心、彼らを利用しようとする非常に悪意の籠ったドス黒い思考をしてしまっている。だが、印象を悪くしない為に少しだけ微笑んで彼らに答える。

 

女子生徒D「そっかぁ……じゃあ、また機会があるときにね!

あ!君の名前を聞いてもいいかな?」

 

対戦を断られ少し残念そうな顔をした彼女は次に何かを思い出したかのように1歩俺との距離をつめながら俺自身の名前を聞いてきた。

笑顔で一気に距離を縮めてきた彼女に対して、この距離感に違和感を感じて耐えられていない俺は1歩後ろへ下がり距離を保つ。B組の人間といい、目の前の女子生徒といい、何故こうも暑苦しい奴が多いのか……

 

明夢「な、名前か……柊木明夢だ」

 

女子生徒D「柊木明夢君かぁ〜!いい名前だね!じゃあ明夢君のクラスは何組?私のクラスじゃ見ない顔だから……もしかして1年B組かな?」

 

さらにもう1歩、もう1歩と距離を縮めてきた女子生徒。俺に興味を持ったのか、また1つ質問が飛んできた。今度は俺の所属しているクラスのことである。

未知の相手を積極的に知ろうとするその姿勢は、まさにコミュニケーション能力の塊と評してもいいだろう。

 

明夢「あ…あぁ、その通りだ。俺は1年B組の者だ」

 

そんな彼女のハツラツとした元気さに押されてまた1歩後ろに下がった俺は自分の所属しているクラスを教える。

この幻想郷と呼ばれる世界に来てもまだ、会話…コミュニケーションというものに慣れていないという悲惨な状態であるにも関わらず、俺の許容できる人と人との距離を幾度と無く越えてこの女子生徒は話しかけてくる。こういう相手は本当に苦手だ。故に今、ダラダラと額から冷や汗が吹き出てしまっている。

保健室であんな事を得意げに天童に言ってしまったが、こんな無様な姿を彼が見たら何を思うのだろう?またあの鋭いツッコミが来るのだろうか?

 

女子生徒D「やっぱりそうだったんだ!クラスは違うけど、同学年同士だからまた会えるかもだね〜!じゃあそろそろ授業の時間だから私、行くね。また時間ある時にバトルしようね!」

 

最後に満面の笑顔を俺に向けてそう言った彼女は左腕につけている時計の時間を確認した後、大体育館のある方へ走って行ってしまった。

状況処理が間に合っていない俺は置いてけぼりでこの場を去っていく彼女の後ろ姿をただ見守るしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

……………そういえば、彼女の名前を聞くのを忘れていた。機会は無いに等しいと思うが、もし次に彼女を呼ぶ時が来てしまったら苦労することになってしまう。

しかし、まるでハリケーンの様な女だった。B組にも賑やかな奴はいるが彼女の顔はあのクラスでは見たことが無い。同学年と言っていたので恐らく彼女が所属しているのはA組か?

 

男子生徒O「ハハハッ元気な奴だろ?天野さんといいA組は賑やかな連中ばっかりさ」

 

俺の隣で彼女とのやり取りを見ていたOが笑いながらやれやれといった感じで肩をすくめてそう言った。なるほど、という事は先程の女子生徒は1年A組に所属しているという事になる。

そして、そこに所属している彼も彼女達のあのテンションに振り回されている様だ。この学校生活1年目から貧乏くじを引かされている事に俺は少しだけ同情した。

 

明夢「元気が有り余り過ぎている………満更でもないが、流石にあのテンションにはついていけない」

 

男子生徒O「君は天童君に似ているなぁ……」

 

明夢「何?俺が天童に似ている…?」

 

ポツリとそう呟いた彼の言葉が気になった俺は即座に聞き返す。俺が天童に似ているというのは一体どういう事なのだろうか?

 

男子生徒O「いやぁ、すまない。思いっきり彼女に翻弄されている君の姿を天童君と天野さんのやり取りを重ねてしまってね……

彼らの中で何があったかは知らないが、最近はそういうのが全く無くてさ、1つ物足りなさを感じているよ」

 

切なさの篭った声で俺にそう答えた彼の顔は昨日の天童を見る博麗や霧雨、天野と同じような、なんとも言えないくらいの寂しさ、悲しさに染まっていた。

 

明夢「……そうか、お前も天童と天野の事が気になっていたんだな」

 

男子生徒O「あんなに毎日楽しそうに話していたのに、次見た時はお互い何も話さなくなっていたんだ。気になるに決まっているさ。

しかし、お前も…ってことは君も彼らの事が気になっていたのかい?」

 

明夢「いや、あの2人の関係に興味は無い。ただ、彼らを心配する奴らが他にも居たからそう言っただけだ」

 

男子生徒O「……そうか。さて、俺も授業があるから大体育館の方に行くよ。忙しい時期に誘って悪かった。またゆっくりできる時に対戦しよう。では!」

 

明夢「あぁ、その時はよろしく頼む」

 

正直な気持ちを言ってしまうと、この忙しくなるタイミングに俺を対戦に誘わないで欲しかった。だが、誘ってきた彼らに悪気は無い。たまたまタイミングが悪かっただけなのだ。

そして彼らも守らなければいけないものの1つである。

本当に何も考えていない能天気でおめでたい奴らだと今日の男子生徒O、女子生徒の姿を見てそう思ってしまった。俺だって何も起こらなければ何時でも、いくらでも対戦をしていた。だが、奴らがいる可能性があるのなら俺はお前達のようにのんびりと毎日を過ごしては居られない。

 

明夢「何だ……?何なのだ。ただ、彼らと話していただけなのに、このふつふつと湧き上がる不愉快さは」

 

俺はその場から立ち去る彼の後ろ姿を見送りながらそんな風に彼らを見ている自分自身に困惑していた。平和ボケして来るであろう対戦を楽しみにしている彼らに羨ましさ、妬ましさを感じてしまっている自分がいるのだ。

それは多分、争いとは無縁の世界に来て、もう二度と命を賭けて戦うことも無くゆっくりと休んでいられると俺自身、心の何処かでそう思っていたからだ。

……まさか、この俺が他人に対して嫉妬や羨ましさを感じる時が来るとは思ってもみなかった。こんな感情は……初めてだ。

そう感じながら俺は教室に向かって歩を進める。すれ違う生徒達の笑顔が目に移り、賑やかな会話が耳に入ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな素晴らしいこの世界が死と炎と絶望で染まってしまうと考えると震えが止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達の都合でこの世界の平和を壊してしまうかもしれないという不安が。奴らのせいでまた戦わなければいけなくなってしまうのかもしれないという恐怖が。この幻想郷で生きる者達の命を守らなければいけなくなってしまうのかもしれない。それも今の自分1人で行わなければいけないという守護者としての使命が。大きな、とてつもなく大きな重圧となって俺にのしかかってくる。今にも胃に穴が空きそうな気分になる。

「そんなことはありえない」「まだ可能性の段階だ」と考えてしまえば、そこで何も考えずに終わりなのだが先程も言った通り、あのバトルアーマーの言っていた説得力があるあの説………命を落とした筈の俺やあのバトルアーマーが幻想郷にいるということが逆に奴らもこの世界に存在していることの証明になっているのかもしれないのだ。だから、もし最悪の事態が起きてしまってはいけないように警戒しておく必要がある。

そして現れた奴らをもう一度、1機残らず葬り去る。奴らとの戦いが今まで担ってきた俺の使命。大きな責任も皆の感じてきた痛みも全て背負ってきた。いつも通りやってきた事を奴らが現れた時に実行すればいいだけの事…………

深呼吸をして気持ちを整理した俺は次の授業に遅れないよう、早歩きでB組の教室に向けて足を進めた。

 

 

 

 

 

 

……………そうだ、天童が目覚めた事を彼女らに伝えなければ。

あんなに心配していたのだ、この事を知ればきっと彼女らも大いに喜ぶだろう。特に天童の事を1番心配していた天野はな。

昼休憩、A組の教室を訪ねてみるとするか。きっとこの事は彼女達の希望になるだろう。

 

 

 

side change

 

 

 

現在、2時間目と3時間目の間の休憩時間。

俺は美弥、霊夢、魔理沙、早苗、レイと大体育館へ向かって廊下を歩いている。次の授業、3時間目の科目はバトルスピリッツとなっている。

今日は前々から決まっていた実践の日ということで大体育館を使って自分のデッキを試そうという時間である。勿論、勝利の数も成績に大きく響いてくるものとなっている。……かなり厳しい授業だけど、その分クラスの皆と対戦が出来るし、コミュニケーションも取れるから俺はこの種目をこの世界での楽しみの1つとして過ごしている。

今日はどんなデッキとどんなプレイヤーと会えるのか…それを考えただけで心が滾り、自然と笑みがこぼれてしまう。

 

霊夢「…美弥、あんた大丈夫?」

 

美弥「…え?」

 

そう思って次の授業を楽しみにしていた俺の横で唐突に霊夢が俺達の前を歩く美弥に声をかけた。朝から落ち込んでいた美弥が心配になって声をかけたんだろう。

しかし、それに対する美弥はまさに上の空状態でワンテンポ遅れてから霊夢の言葉に反応してしまっている。

そんな彼女を俺の隣で歩く霊夢は真っ直ぐな眼差しを向けて見つめている。

 

美弥「あ…………だ、大丈夫だよ!霊夢ちゃん。それよりも!は、早く体育館に行かないと授業に遅れちゃうよ」

 

しばらくの間が空いて気まずく感じてしまったのか、美弥は笑顔を無理矢理作って俺達より先に廊下を早足で歩いて行ってしまった。

自分の今の気持ちを笑顔で取り繕って周りに心配をさせないとする彼女。俺達を置いて去って行くその後ろ姿がとても小さく、悲しいと感じてしまった。

 

霊夢「あれは大丈夫じゃないわね……自分の事で皆に心配をかけないように振舞ってはいたけど、全然隠しきれてないわ。駆の事で相当ショックを受けている様ね……」

 

ダン「あぁ…俺もそう思う。心配だったから授業中も彼女の様子を少しだけ見ていたんだ。今日の彼女は授業どころじゃないって感じだった」

 

右手を顎に当てて先に行く美弥の後ろ姿を見つめる霊夢。

実際にあんなに元気だった彼女があそこまで落ち込むとは思わなかった。多分、昨日レイが美弥をフォローした時に言っていた[仲直り]という単語。駆と美弥が俺達の知らない所で喧嘩をしてしまったんだろう。

仲直りがしたくても、話したくても話せないという現状がさらにプラスして彼女の心を苦しめているんだと思う。

 

魔理沙「ん〜〜しかしなぁ……。駆が死んだって決まっているわけじゃないし、実際の所いつまでもあんな風に落ち込まれるとそれを見ているこっちも滅入って来ちゃうんだぜ…」

 

少し不機嫌な顔をしている魔理沙が腕を組んでそう言った。彼女の気持ちも分からなくも無い。実際に今の雰囲気は賑やかや楽しいとは程遠くかけ離れてしまっているからだ。

しかし、その発言はあまりにも無神経では無いか?と思った俺は魔理沙に物申そうと口を開けようとした。

 

レイ「ちょっと待ってよ魔理沙ちゃん!美弥ちゃんが1番、駆君の傍にいたから……だからこそ1番仲良くしていた駆君の事が心配なんだよ!?その言い方は無いよ!」

 

俺が魔理沙に突っ込もうと口を開ける前に後ろにいるレイが魔理沙を注意し始めた。前を見て歩いているので彼女の表情は分からないがその声の圧に背筋が凍りかける程、俺はゾッとした。

だが、レイが言ってることは正しいと俺は思う。俺が言いたかったことを全て言ってくれた。

 

魔理沙「分かってるさ…美弥が1番、駆の事を想っていることくらい………でも!!

まだアイツが死んだって決まった訳じゃないし、ヒョイっと起き上がって、いつも通りの姿を見せてくれるかもしれないじゃないか……!」

 

俯いてそう訴える魔理沙の声は…震えていた。

さらに続けて彼女は言う。

 

魔理沙「……私が言いたいのは、まだ希望はあるって事なんだよ。

だから美弥には希望を持って、いつも通りの明るい笑顔でいて欲しい。それで、いつか目を覚ました駆と話し合って、仲直りして欲しいんだよ。まぁ、これは私の独り善がりな願望の押し付けに過ぎないんだけどさ……」

 

話し終えた魔理沙の表情は悲しさに満ち溢れていた。さっきの発言から無神経だと思ってしまったが、彼女もちゃんと美弥や駆の事を思っていたのだ。

まだ絶望する時ではないと、美弥には希望を持って元気でいて欲しかったという彼女の願いが愚痴という形で声に出てしまったんだと思う。

 

レイ「ううん、その気持ち、とてもいい事だと思う。ごめんなさい…魔理沙ちゃんが美弥ちゃんの事考えてないって思って怒鳴っちゃって…」

 

魔理沙「いや、レイが謝る必要は無いさ。それにさっきの言い方は完全に私が間違っていた。誤解させてごめんな……」

 

お互いに謝ることで場は治まったが何とも言えない気まずさによって作られた静寂が今の俺たちを支配した。

 

 

 

 

 

霊夢「………今の美弥に希望を持たせる…か。美弥をあの状態から立ち上がらせるには骨が折れそうね。何かいい案があればいいんだけど…」

 

その静寂を切り裂く様に霊夢がぽつりと呟いた。

いい案か………とは言ってもそう簡単にポンポンと出てくるものじゃない。美弥にとって希望になる事、彼女の心を立ち上がらせる方法は駆がポイントになってくるからだ。だからと言って「駆は生きている」「いつか目を覚ます」と伝えるだけでは彼女の中の不安は取り除かれないのではないか?彼女は駆と話し合いたいと思っているのなら、今重要なのは「駆が目を覚ましたのか」ということ。それさえ分かれば彼女の不安は一気に取り除かれることになるんじゃないかと思う。

しかし、それを確かめることが出来ない今、その他の方法を必死に考えなければならないのだが効果的ないい案が出てこない。

どうすればいいのだろう……?

 

早苗「う〜ん………あまり深く考えずに気分転換という目的にすれば案が出やすいのかなと思います。1つ例をあげるならバトルスピリッツでの対戦ですかね。私的に非常に効果的なのかなと思いますが……どうでしょう?それに丁度、次の授業がバトルスピリッツですし」

 

レイ「あ!それいい案だと思うよ早苗ちゃん!!私は賛成!」

 

ふとした早苗の案に指をパチンと鳴らして元気に賛成するレイ。

静まり返っていた雰囲気の中、後ろからいきなり大きな声が耳に刺さり、思わずビクッと両肩が上がってしまった。

 

霊夢「私もそう思うわ」

 

魔理沙「私もその意見に賛成だぜ!」

 

隣の霊夢も魔理沙も驚いた表情をしていたが直ぐに納得した表情になった2人が早苗の意見に賛成を示していた。

 

ダン「俺もその案、とてもいいと思うよ。実の所、全く案が出なかったんだ」

 

これで満場一致で早苗の意見が賛成となった。バトルスピリッツで気分転換は思いつかなかった。早苗の閃きに俺は感心し、感謝した。

さて……次の問題は誰が美弥の対戦相手を努めるかだ。

 

ダン「じゃあ、次だ。美弥の対戦相手は誰がやるんだ?」

 

早くしなければ授業が始まってしまうということを視野に入れている俺は歩きながら彼女の対戦相手をどうするか、皆に問いかけた。

そして次に「誰もやらないなら俺が対戦相手になる」と言おうとしたのだが早速立候補者が現れた。

 

魔理沙「私にやらせてくれないか?」

 

真剣な瞳で美弥の相手を立候補をしたのは魔理沙だった。

 

魔理沙「少しでもいい、美弥の気持ちを楽にさせてあげたいんだ」

 

熱意の篭った声で俺たちに訴えかける彼女。俺はその姿勢に心打たれた。

 

ダン「俺は賛成だ。皆は?」

 

天童と美弥の事を1番想っているのは彼女なのかもしれない。

そう思った俺は魔理沙を美弥の対戦相手にすることに賛成し振り向く。後ろにいるレイも早苗も笑顔で頷いていた。

 

霊夢「あんたに任せるわ。頑張ってきなさい、魔理沙」

 

魔理沙の肩を掴んでそう言う霊夢。

霊夢も魔理沙が対戦相手となる事に賛成の意志を表している。

 

魔理沙「あぁ、まかせろ…!!霊夢。皆もありがとうな!」

 

そんな霊夢にサムズアップする魔理沙。

彼女達はどんな関係なのだろう?小さい頃からの幼なじみだったりするのかな?

お互いを信頼し合うかの様な霊夢と魔理沙の掛け合いを見ていた俺はふとそう思った。

実際、まだ幻想郷に来てそんなに経っていないので、それぞれの人間関係だったり、どこに何があるかなんて全く分からない状態なのだ。

百瀬果実に導かれて迷い込んだあの日のグラン・ロロの出来事を思い出す。

 

早苗「もうこんな時間!?早く大体育館に行きましょう!遅刻してしまいます〜!!」

 

ノスタルジーに浸りかけた所に突如、焦りに焦った早苗の声が耳に入ってきた。

ふと、俺も左腕につけた腕時計を見て確認を行う。

早苗の言う通り、時計の針は授業開始直前まで進んでいた。話し合っている間にこんなにも時間が経っていたとは思わなかった。

 

レイ「ヤバい、ヤバい!急がなきゃ!!」

 

早苗に言われてハッと気づいたレイが俺たちを追い越し、1人早く走っていってしまった。

 

早苗「ちょ、ちょっと待ってくださ〜い!!」

 

そんなレイを追いかけるように早苗が俺達を追い越し走り去る。

2人とも誰かにぶつかって怪我でもしなければいいんだけどな……。

 

魔理沙「ははは!!元気な奴らだな〜!」

 

霊夢「全く、こういう時程、落ち着いて対処するものなのに……」

 

焦るレイや早苗とは対照的に冷静さを保っている霊夢と魔理沙。流石と言いたいところだが、魔理沙の場合は冷静ではなく、呑気あるいはマイペースと言った方がいいのだろうか?

 

ダン「……俺達も行こう。入学早々、授業に遅刻は嫌だろ?」

 

霊夢「それもそうね」

 

魔理沙「だな!」

 

取り残された俺達は早苗達に続き、全速力で大体育館に向かった。

間に合えばいいんだけどな……

 

 

 

〜少年、少女移動中〜

 

 

 

ダン「はぁ…はぁ…はぁ………何とか、間に合ったな」

 

魔理沙「あぁ……でも流石にあそこから全力疾走でここに来るのはキツイな……」

 

現在地は大体育館の第2バトルステージ。左腕の時計で時間を見ると、その針は授業開始1分前を指していた。廊下を全速力で走った結果、授業開始ギリギリでここにたどり着くことが出来たが、その途中で他の生徒とぶつかりそうになったり先生に注意されたりもした。

反省、次からはちゃんと時間に気を配りつつ行動しないとな。

 

霊夢「2人とも大丈夫?」

 

肩で息をする俺と魔理沙を見た霊夢が少しだけ首を傾げながらそう言う。

細身である彼女。しかし、外見によらず体力があることに俺は驚いた。あの距離を全速力で走ったのにも関わらず平然とした顔でその場に立っている。毎日、トレーニングでも行っているのだろうか?

 

ダン「俺は大丈夫だ。問題は無いよ」

 

魔理沙「体力が……落ちたのかな?駆よりはあると思っているんだけど、これはヤバいかもなぁ……」

 

霊夢「魔理沙ったら……運動時間を削ってデッキ研究に力を入れ過ぎたせいね。最近、まともにトレーニングしてないでしょ?」

 

魔理沙「ぐっ……その言葉は私に効くぜぇ…霊夢」

 

霊夢の的確な指摘が心に刺さったのか、ガックシと項垂れる魔理沙。どうやら2人は運動を日々の習慣にしている様だ。そして魔理沙の事情を霊夢が知っているのは、あの2人は同じ寮部屋で過ごしていると考えられる。

 

霊夢「デッキの研究も大切だけど、日々の運動も大切よ。両立くらい出来るでしよ?」

 

魔理沙「……出来ないことは無い。やってみるさ」

 

少し間を置いて渋々承諾する魔理沙。デッキ調整に専念したい気持ちと運動もしなければいけないという気持ちに挟まれて非常に難しそうな顔をしている。

 

レイ「おーい!皆〜!!」

 

そんな霊夢と魔理沙の微笑ましいやり取りを横で見ていた所に少し遠目から俺たちを呼ぶレイの声が聞こえた。その方向に目を向けると先に走っていったレイと早苗、そして美弥がこちらに来ていた。

 

美弥「もう!皆、遅いよ……いつもは5分前には移動は済んでたのに今日はやけに遅かったから、何かあったのかなと思って心配したんだよ?」

 

そう言って心配の眼差しを俺を含めた3人に向ける美弥。普段の彼女らしからぬ、少し神経質な面に驚いたが俺たちのことを心配してくれていた事には感謝だ。

 

霊夢「ごめんね、美弥。ゆっくり皆と話しながら移動していたら遅ちゃったの」

 

美弥「そ、そうだったんだね……」

 

魔理沙「心配してくれてありがとうな!やっぱり美弥は優しいな!」

 

美弥「そうかな…?えへへ」

 

不安な表情から少し安心したように笑みを見せる美弥。でもそこにいつも通りの活気は無く、どこか寂しさを感じさせる。

駆の事が本当に心配であるのが、彼女の顔を見るだけでヒシヒシと伝わってくる。

 

魔理沙「……あ、そうだ。なぁ美弥、今日のバトルスピリッツの授業、一発目の対戦は私としないか?」

 

美弥「…………え?」

 

まるで思い出したかのように、そしてさりげなく美弥に対戦の申し込みを行う魔理沙。いきなりの対戦の申し込みに目をパチパチさせて驚き、困惑する美弥。

どのタイミングで美弥をバトルに誘うのか、それが気になっていたのだが、まさかこのタイミングで誘うとは思わなかった。彼女は話の切り出し方が上手い。

 

魔理沙「ん?どうした、もう先客がいるのか?」

 

美弥「ううん、実は今まで他の人からこういう風に誘われた事ってあんまり無かったから…ちょっとビックリしてね」

 

魔理沙「そうだったのか……だったらこれからもっとお前を誘うよ!学校生活は始まったばかりだ。皆と一緒にいっぱい思い出作っていこうぜ、美弥」

 

美弥「魔理沙ちゃん……ありがとう…!」

 

思いやりのある魔理沙の言葉に少し泣きそうになりながらも笑顔を見せる美弥。あんなに元気で皆とコミュニケーションを取る彼女が他人から誘われた事が無かったとは……

詮索をするつもりは無いけど、たぶん過去に何かしらの辛いことがあったと考えられる。

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

不意に大体育館に鈴が鳴り響いた。これは授業開始の鈴だ。

 

マギサ「はーい!!皆こっちに集まって!授業を始めるわよ〜」

 

なっ!いつの間に来ていたんだ…?バトルスピリッツの担当教師であるマギサ先生の声がステージの真ん中から響く。その声に反応した生徒は次々とそちらの方に向かっていく。

 

早苗「マギサ先生、いつの間に!?私達も集合しましょう!!」

 

魔理沙「あぁ!じゃあ美弥、また後でよろしくな!」

 

美弥「うん、魔理沙ちゃん対戦よろしくね…!」

 

 

 

 

To be continued……




次回予告
想いは人を動かす力となる。
想いは他人を大切にする心。
想いは分かり合う為の対話の始まり。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-36 あなたを想うように

その想いをその気持ちを君に(貴方に)伝えられたら……


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Turn-36 あなたを想うように

ども!蛇マグナ卿です。
え〜初の年末投稿という事で第36話をバチコリ投稿して優勝たいと思います。

今回は過去最多文字です!!覚悟の準備をしておいて下さい!いいですねッ!!!!


魔理沙「さぁ!早速始めようぜ、美弥!」

 

バトルステージの真ん中、私の向かいにいる魔理沙ちゃんはニカッと明るく微笑む。

 

美弥「う、うん…!よろしくね、魔理沙ちゃん」

 

先生の丁寧な説明が終わってすぐ、私は魔理沙ちゃんに連れられバトルステージに立った。

されるがままに魔理沙ちゃんとバトルする流れになっちゃたけど、あそこまで強引で積極的な魔理沙ちゃんを見たのは初めてなのかもしれない……

 

魔理沙「バトルアーマー、オン!」

 

そんな魔理沙ちゃんに驚く間も無く彼女は右手のソウルコアを強く握り、その拳を私の方に向けてそう叫んだ。

直後、彼女の姿は眩い光に包まれる。バトルアーマーを装着する時に発せられる光だ。

 

魔理沙「よし、こちらも装着完了だぜ!!」

 

瞬時にバトルアーマーを装着した魔理沙ちゃん。白と黒のドレス様な服装の上に白を基調とした黒いラインの入った装甲を胸、手、足につけている。そして自分は如何にも魔法使いですと主張する様な、帽子を被り、右手には魔法使いの必需品の箒を握っている。

個人的な価値観になるけど、ガッチリした装甲と綺麗な服の見た目の相性にやや違和感を感じてしまう。でも、これがいつもの魔理沙ちゃんのバトルアーマーだ。

 

魔理沙「………美弥、お前今、私のバトルアーマーを見てこの姿に違和感を感じたろ?」

 

美弥「え、えぇ!?!?」

 

唐突に私の考えていた事を的確に当ててきた魔理沙ちゃんに私は驚いた。

いや、待って!そんなにジロジロ見ていた訳でも無いのになんで分かったの!?

 

魔理沙「おま……その反応は図星だなぁ?全く〜!!そんなこと言ったら駆だって違和感マシマシだぞ!?1回想像してみてくれ。あんなガチガチのバトルアーマーを着てカード握ってるあの極めてシュールな姿を!」

 

魔理沙ちゃんにそう言われて手札を持ってカードをプレイする駆君のバトルアーマー姿を想像するが、特に違和感を感じることは無かった。

普通にかっこいいし、似合うと私は思う。

これは多分、私と魔理沙ちゃんの美学的センスの違いなんだと感じた。

というか自分のバトルアーマーの違和感については否定しないんだね……魔理沙ちゃん。自覚あったのかな?

 

美弥「ま、まぁまぁそれはそれとして……私もバトルアーマー、オン!」

 

無理やり今の話題をぶった切って私は制服のポケットからソウルコアを取り出し、それを強く握り、叫ぶ。

瞬く間に赤、紫、緑、白、黄、青の6色に光り輝くソウルコアのまるで生命力を感じさせる様な暖かな光が握った指と指の隙間から溢れ、先程の魔理沙ちゃんと同じ様に私の全身を包み込んでいく。あまりにも眩い光が一気に視界に入ってきた為、私は反射的に目をつぶった。

バトルアーマーを着けて、スピリット達と肩を並べて戦えるのは昔からの憧れだったし、今それが目の前で自分ができるようになった事は、とても嬉しいことなんだけど、この眩しすぎる光は何とかならないのかなぁ……

ソウルコアから発せられる光に文句を垂らしながら早く終われと念じる私。

 

 

 

やがて光が弱くなっていくのを感じた私は少しずつ目を開いた。この時には既に私の全身にバトルアーマーが装着されていて、右隣には浮遊するスケボーが現れていた。もう見慣れた、着慣れたバトルアーマー。最初の頃は恥ずかしくて、対戦相手の前で照れることもあったけど、回数を重ねていくごとにその恥ずかしさも自然に無くなっていた。

 

美弥「こっちも装着したよ。さぁ、早く始めようよ」

 

私も彼女に準備が出来たことを伝える。

 

魔理沙「…………OKなんだぜ!」

 

そう返事した魔理沙ちゃんの表情は強引に話題をぶった切られて腑に落ちないといった表情をしていた。

私と魔理沙ちゃんの意見は真逆。価値観の違いで面倒な話になりたくは無いから塩対応になっちゃった事に私は申し訳なく思った。

そんな事を思っている間にバトルアーマーを纏った魔理沙ちゃんは右手の箒に跨り宙に浮いていく。その姿はまさに、前の世界で見た絵本やアニメに登場する魔法使いそのものだった。見慣れた姿ではあるけど、小さい頃の憧れだったという思い出もあって、つい目の前の本物をじっくりと見てしまう。

 

魔理沙「おーい、何ボーッとしてんだ?お前も来いよ」

 

美弥「あ、ごめん。すぐ行くね」

 

魔法の箒を乗りこなす魔理沙ちゃんに見とれていたら、本人に注意されてしまった。

私も急いで隣にあるスケボーに乗って彼女と同じ高度まで上昇していく。

 

レイ「2人とも頑張ってね!!」

 

ダン「お互い、いいバトルを!」

 

私の背後、ステージ外の観客席の方を振り返って見ると私と魔理沙ちゃんに声援を送るレイちゃんと弾君、静かに私達を見る霊夢ちゃんと早苗ちゃんが座っていた。

 

魔理沙「ありがとうな!頑張ってくるぜ!」

 

美弥「あ、ありがとう…!弾君、レイちゃん」

 

魔理沙ちゃんに続いて私も向けられた声援に答える。

やっぱり、応援されると嬉しいし頑張ろうって気持ちになるなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな考え、おこがましいかもしれないけど……もし、もし駆君がこの場に居たら私になんて声、かけてくれたのかな……?

 

 

 

いや、今の関係だったら…………それは多分…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「全力で行くぜ…美弥!」

 

美弥「………あ、う、うん!」

 

余計な考えに浸っていたからか、ぎこちない答え方をしてしまった。

 

美弥 魔理沙「「ゲートオープン、界放!!」」

 

私と魔理沙ちゃんが同時にそう叫ぶ。すると、お互いのバトルアーマーがそれぞれ光を発生。それらは徐々に広がっていき、バトルステージ全体にクリアなドーム状のバトルフィールドを生成する。

 

 

 

side change

 

 

 

ダン「……始まったな」

 

バトルフィールドの形成を確認した俺はこれから対戦を始めようとしている美弥と魔理沙の2人に注目する。

 

早苗「お互いにどんなデッキを、どんな戦法を使うのか…気になりますね」

 

そう呟いたのは俺の左隣に座っている早苗。緊張感走るような表情でバトルフィールドを見ている。

あの2人は使うデッキが1つのみなのでそこまで注目するところなのか?と疑問に思ったが、その考えは一瞬で消えた。

何故ならこの世界のバトルスピリッツは自分達が生きる為の手段となる代物だからだ。そう考えた俺は周りにいる生徒、駆や美弥、霊夢達は友達であり、[ライバル]であることを強く意識し、早苗の行動と言動に納得した。観戦というものは相手のデッキを知るまたと無いチャンス。同じデッキであったとしても、ちょっとした変化が見られるかもしれないし、今まで同じデッキを握ってはいるが駆の様に実は他のデッキを持っていてそれを今回引っ張り出して来た可能性もある。それらの情報を観戦にて入手する事でその人への対抗札や動きの封じ方を見いだせる。

だから、早苗はあそこまで真剣な眼差しをあの2人に向けているんだ。

 

霊夢「それも気になるところだけど、重要な事はもう1つあるわよ」

 

そんな熱心に2人のバトルにのめり込もうとしている早苗に霊夢がツッコミを入れる。

 

早苗「そ、そうですね……私とした事がつい」

 

レイ「美弥ちゃん……」

 

心配な眼差しでレイはバトルフィールド上空で対戦の準備をしている美弥の後ろ姿を見つめている。

バトルには1つ1つ、それを行う動機や目的がある。このバトルは何も、相手のデッキやプレイングを知ること、成績の為とかそういう事の為にバトルをしていない。あくまで本命は彼女のメンタルケア。魔理沙なら、いい結果で終わる、そう信じて俺は戦いの瞼が切って落とされるその瞬間を黙って見ることにした。

 

 

 

side change

 

 

 

私は一瞬にして現れたプレイボードに置かれた自分のデッキから初期手札としてカードを4枚引く。

……手札の内容は先攻、後攻どちらをとってもいいスタートが切れそうな手札だったので少し安心かな。

そして肝心の先攻、後攻を決めるジャンケンは私がパーを出したのに対して、魔理沙ちゃんはチョキ。選択権は魔理沙ちゃんとなった。

先攻を取るか、後攻を取るか、手札を見ながらじっくりと考えている様子の彼女を見て、私は少し不安に感じた。

先攻後攻の選択で迷うということは、恐らく先攻でも後攻でもどちらでも有効に動ける手段があの手札にあると見えるね。

 

魔理沙「ん〜〜なら、今回は先攻を貰うことにする!」

 

と宣言した魔理沙ちゃん。

先攻を選択した……?一体何を仕掛けるつもりなんだろう…

 

美弥 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア

トラッシュカード0

トラッシュコア0

 

魔理沙 ライフ5 デッキ36 手札4

リザーブ3 Sコア

トラッシュカード0

トラッシュコア0

 

魔理沙「私のターン!スタートステップ、ドローステップ、メインステップ」

 

魔理沙 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3 Sコア

 

魔理沙「フフフ……いいカードだ。こいつで初っ端からペースを握ってやるぜ!私は手札から4コストでネクサス、百識の谷REVIVALをレベル1で配置するぜ!」

 

魔理沙ちゃんの後ろのステージから岩石の山々が盛り上がり広がって行き、フィールドに深い谷が生成された。

上を見上げればクラクラする程の標高の山は大迫力の自然の産物であり、見る者を圧倒するかのような力強さを感じさせた。

 

美弥「え……百識の谷!?」

 

私はこのネクサスの配置に驚いた。というのも、ほとんど後攻しか取らない彼女が、先攻を選び尚且つ自分の動きを優先したカードを使用したから。そう、この試合の彼女の動きはいつもとは全く異なるデッキの回し方をしているのである。

そして、魔理沙ちゃんのフィールドに配置された百識の谷REVIVAL……その効果は毎ターン自分のドローステップにドローする枚数を+‪1した後、自分の手札を1枚破棄するカード。さらに、レベル2では手札破棄の効果は無くなりドローする枚数を1枚増やす効果のみとなる。

しかし、REVIVALの場合、さらに自分のライフが2以下の時、さらにドロー枚数を+‪1枚してくれる……つまり、ライフ2の状態であればドローステップで最大3枚のカードをノーリスクで引くことが出来る手札増強ネクサス。

後者の効果の発動は難しい所だけど、デッキをガンガン掘り進める事が出来る優秀な効果は今後の展開にかなり響いてくると思う。

そんな厄介なネクサスを先攻の1ターン目に配置されてしまった。

 

魔理沙「ん……?なんだ、そんなにこのネクサスの配置が意外だったか?対戦開始の先攻1ターン目だぞ?驚くのはまだまだ早いぜ、美弥。

……とは言っても私に出来ることは今はこれくらいだけなんだけどな。これでメインステップ終了、エンドステップで私のターンは終了だ」

 

魔理沙 デッキ36→35 手札5→4

ライフ5 リザーブ0

トラッシュカード0

トラッシュコア3 Sコア

百識の谷REVIVAL

LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

魔理沙ちゃんの先攻第1ターンが終わり、巡ってきたのは私の後攻、第1ターン。

普段とは違う魔理沙ちゃんの動き、あのデッキで初めて見る百識の谷……何を狙っているのかは分からないけど、何か欲しいカードを山札から引き当てようとしているのは確かだと思う。あのドロー加速を早い段階で止めたい気持ちは山々だけど、今の手札的に今回の動きをどうするかを考えると、こちらも自分の動きを優先する動きしか出来なさそう……

とりあえず、今は相手の出方を見ながら最初に出すカードを選択して行く形で戦っていこうと思うよ。

 

 

 

side change

 

 

 

早苗「……意外なスタートですね」

 

腕を組んで魔理沙のフィールドの百識の谷を見る早苗。

 

ダン「あぁ、先攻を選んでいたから、てっきりメタカードを最初に出して相手の出鼻をくじく戦術を取るのかと思ってた。

今回の1ターン目はかなり珍しいスタートだな……これも日々の研究の結果か?」

 

レイ「百識の谷は赤のネクサスカードだよね。って事は魔理沙ちゃんの使ってるのは赤デッキで……いいのかな?」

 

百識の谷の配置だけではまだ分からないからか、左頬に人差し指を当てながら若干自信なさげに考察するレイ。

あれの配置からのスタートなら殆どの確率で赤属性のデッキではあるが、まぁ俺もあの光導デッキにドローソースの灼熱の谷を入れているし、多分それを前に見た事があるからレイは迷っているのかもしれない。

 

霊夢「まだ百識の谷だけじゃあ魔理沙のデッキが何かを明確に判断する事は出来ないけど、殆どの確率で赤だと思うわ。

 

そ こ ま で 特 殊 な デ ッ キ で は 無 い 限 り ね 」

 

最後の一言をやけに強調しながら解説する霊夢。明らか今のは、灼熱の谷を入れてる俺の光導デッキを意識して言っているんだろう。

 

ダン「いや……俺のは赤ベースだから」

 

愛想笑いをしながら、俺は霊夢にそう答える。

元々、未来の世界で赤属性をベースに12宮Xレアを使っていたのでもう慣れてしまった。寧ろ、ここで得た光導サポートのカード属性が赤なので必然的にそうなっている。

そんな事はさて置き、さっき霊夢が言ったように第1ターンの動きだけで魔理沙のデッキタイプを判別する事は難しい。なので、次の美弥のターンでは慎重に自分のしたい事を相手に押し付けていくスタイルが求められると思う。次に相手がしてくるであろう事も踏まえるなら耐性を持つスピリットカードの召喚か、ネクサスがベストだと思われる。

 

 

 

side change

 

 

 

へへっ、このカードの登場に驚いてくれた事は正直、嬉しかったぜ。

今回のデッキは研究に研究を重ねた自信作だ。新しいカードも取り入れてみたから、いつもの魔理沙デッキとは一味違うって所を見せてやるぜ。

心の中でそう笑みを浮かべながら動揺している美弥を見る。

次は美弥のターンだ。早々にアレを出されると後々面倒な事になるので手札に握っていない事を祈る。

 

美弥「…私のターン。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

美弥 デッキ36→35 手札4→5

リザーブ3→4 Sコア

 

美弥「……ねぇ、魔理沙ちゃん。ちょっと考えていいかな?」

 

デッキからドローしたカードと手札4枚を確認した美弥がそう聞いてきた。どうやらプランが複数あるみたいでどうするのかを真剣に悩んでいるみたいだ。

 

魔理沙「お……??いいぜ。お前が納得できる方を選択してくれ」

 

美弥「ありがとう、魔理沙ちゃん」

 

しかし、即決でカードを使うことが多い美弥が珍しい事に考えている。しっかりと考えた上で戦術を立てようとするのは非常に良い事なのだが、ちょっと驚いた。よく考えてプレイする駆を意識してやっているのか?

 

美弥「……じゃあ、私は5コストでネクサス、熾天使の玉座をレベル1で配置!」

 

しばらくして、結論を出した美弥は1枚のネクサスカードをプレイボードに置く。

その瞬間、美弥の後ろに光が差し天から宝石が埋め込まれた4つの玉座が舞い降りる。そして、それぞれの熾天使に対応した玉座なのだろう。玉座の宝石は赤、黄、緑、青の輝きを美しく放っている。

 

魔理沙「ほぉ……スタートは熾天使の玉座からにしたのか!」

 

美弥の天霊デッキのスタートはだいたい、場を固めるネクサスの配置、もしくは特定のカードを持ってくるサーチ能力を持つカードの使用のどちらかである。

サーチを選択するカードを出した……という事は今、あいつには早々に手札に来て欲しい、もしくは万が一という時の為に持っておきたいカードがあるはずだ。それが一体どんなカードなのかは現段階では分からない。でも、オープンされたカードの情報によって今の美弥デッキの変わり具合が分かるはずだから、ここのオープンカードに注目だな。

 

美弥「うん、そして熾天使の玉座の配置時効果を発動!私のデッキから4枚オープン」

 

美弥のデッキから4枚のカードがオープンされる。そのカードリストがこちらのプレイボードのディスプレイに映し出される。

 

オープンカード

黄金の鐘楼

天使ルミエル

土の熾天使 ラムディエル

熾天使の玉座

 

うわあ〜〜マジかァ……()

いつもの天霊の動きを見て1つ安心したが、そのめくりを見て私は頭を抱えたくなった。

美弥のデッキは熾天使を中心としたデッキなんだが、なんせこの天霊達……敵にするとめちゃくちゃ面倒臭い。しかも寄りによって、その熾天使カードがめくれるのかよ。

 

美弥「その中の系統天霊を持つスピリットカードを手札に加えることが出来る!今回は土の熾天使ラムディエルを手札に加え、残ったカードは破棄するよ」

 

オープンカード手札に加える

黄金の鐘楼→破棄

天使ルミエル→破棄

土の熾天使 ラムディエル→ 手札に加える

熾天使の玉座→破棄

 

 

だよなぁ〜やっぱりそいつをハンドに入れるよなぁ。

即決でオープンされたラムディエルを手札に加える美弥。ラムディエルが手札に加えられたことに反応して後ろにある黄の宝玉が埋め込まれた玉座が強く美しく輝いている。

何も手札に来なければラッキーと思っていたのだが、土の熾天使ラムディエルか……こいつの厄介さは以前の美弥との対戦から経験し、知っている。

手札に加わった情報がある分まだマシだが、これからの攻めと防御はあのラムディエルのケアをしつつ、プランを立てていかなければならない。幸いにもサーチカードの熾天使の玉座と私が1番苦手とする黄金の鐘楼が落ちた。だが。まだ手札に握っている可能性もあるから油断はできない。

相手は手札を増やすカードが豊富だからマジック、グリードサンダーのバースト効果をぶち込んでやれば、楽に対処出来るのだが、それは無いものねだりに過ぎない。

……こりゃあ勝利には少々骨が折れそうだなぁ。

 

美弥「さらに、この効果で[熾天使]の名前を持つスピリットカードを手札に加えた時、相手のスピリットをデッキの下に戻すんだけど、魔理沙ちゃんのフィールドにスピリットはいないから不発に終わるよ」

 

美弥 デッキ35→31 手札4→5

 

美弥「これでメインステップ終了、アタックステップに入って何もせずエンドステップでターンエンドだよ」

 

美弥 デッキ35→31 手札4→5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュカード3

トラッシュコア4 Sコア

熾天使の玉座

LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

ターンエンドの宣言と同時に玉座の輝きも収まった。

しかし、バーストをセットせずにターンエンドか……コアを使い切ったからか?それとも今はまだ様子見?そもそもバーストを持つカードを手札に持っていないか……?

いずれにせよ、次の私のターンは相手のバーストを気にすること無く自由に動ける。これはかなりデカイな。

 

魔理沙「ターンを貰うぜ。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ。ここで百識の谷の効果が発動。ドロー枚数を+1する。よって私はデッキからカードを2枚ドロー!その後、私は手札を1枚破棄する」

 

今回、百識の谷を初めて入れてみた。1人回しの時もそうだったが、実戦をしてみるとよりこのネクサスの優秀さを実感する。

その2枚ドローの中にこのターンで最も来て欲しかったカードの1枚があったからだ。やはり毎ターンのドロー枚数追加は強力だな。灼熱の谷のヤバさと制限1枚にぶち込まれた理由が分かるぜ。

そして、まさか百識で追加したドローで早速こいつを引き当てるとはな。

運命を感じたからか、はたまた理想のドローカードであったからか。無意識の内に私の口は釣り上がり、笑みを浮かべてしまっていた。

 

魔理沙「私は手札の煌星第一使徒アスガルディアを破棄する。そしてリフレッシュステップ、メインステップ」

 

魔理沙 デッキ35→33 手札4→5

リザーブ0→4 Sコア

 

 

 

side change

 

 

 

早苗「うわぁ〜魔理沙さんウッキウキじゃないですか。わかりやすいですねぇ……」

 

ドローしたカードが良かったのか、くっきりと満面の笑みを浮かべる魔理沙に苦笑いする早苗。

 

レイ「百識の谷の2枚ドローでとっておきを引いたのかな?」

 

霊夢「多分ね。あいつ理想札を引いた時、顔に出ちゃうから」

 

ダン「だとしたらこのターン、魔理沙の目的は……ネクサス、熾天使の玉座の破壊か?」

 

俺がもし、魔理沙の立場になったのなら、このターンに行いたいのはダブルシンボルのネクサスである熾天使の玉座の除去だ。コントロールデッキ同士の勝負では先に場面のシンボルを安定させた方がより勝利に近づける。そして、上記の動きは次の美弥のターンにとてつもない影響が出てくる。

バーストも無くターンを返してしまった美弥からの視点で見ると今頼りになのはあの玉座だけだ。あれが破壊されると次に繋げるカードの軽減シンボルが活用出来なくなり、その分自分の展開が遅くなる。

ましてや何も無い更地からの後攻2ターン目だ。バーストでのリカバリーを狙えない美弥にとって、それは受け入れたくない最悪の盤面であり、一方の魔理沙にとっては自分のカードを展開しつつ、苦し紛れで出てきたカードを処理していくという理想のゲームメイクが出来る。

お互いの展開の差が開けば開く程、一方的なワンサイドゲームになっていき、最終的に打つ手の無くなった美弥の敗北となってしまう。

バトルスピリッツは自分がやられて嫌だと思う事を相手にやる、又は唐突に理不尽を押し付ける。まるで現代社会の闇の様なゲームだと駆は言っていた。

最後の例えは個人的にあまり好ましくは無いと思ったが、駆の言っていた事は至極ごもっともだ。相手の動きを崩し、自分の動きを相手にぶつける事はバトルスピリッツにおいて当然、立派な戦術であり重要な項目に入る。

となれば、次の魔理沙の動きは何らかの方法で確実に熾天使の玉座を破壊しに来る動きをするはず………

 

レイ「私もそう思う!だとしたら出すのはブレイヴのフェニックキャノンREVIVALかな?」

 

霊夢「赤属性のネクサス破壊カードは他にも大量にあるから断定はできないけど、現環境じゃあ盤面処理を行った後もダブルシンボルのアタッカーを2体用意できる可能性を秘めたフェニックキャノンREVIVALが濃厚そうね。それにもし、片方どちらかにダブルシンボルのスピリットを召喚し合体、もしくは煌臨させることが出来ればダブルシンボルとトリプルシンボルの2回攻撃でゲームエンドだわ」

 

早苗「それも、先攻から3ターン目の動き……流石に容赦ないですね」

 

ダン「いや、今の環境なら先攻2ターン目からキルも容易い。まだ2ターンも使える分、優しい方だよ……」

 

レイ「えぇ、何それぇ………そう考えると私達ってとんでもない環境で戦ってるんだね」

 

 

 

side change

 

 

 

アスガルディアを破棄……?相手のカードを一掃できる攻撃にも防御にも使えるカードを破棄したのはなんで…?しかも、百識の谷で引いた2枚のカードを確認した時の魔理沙ちゃんの笑み………

それを見た私は彼女に対する警戒心を強めた。

恐らく、このターンで何かを仕掛けてくるつもりだ。しかも、この場に決定的な打撃を与えてくるとんでもないカードで……

今の私には使えるコアもバーストも無い。このターンは相手の展開を許してしまうけど、ここは相手の出方を見るしかないと思う。

 

魔理沙「私は0コストでライトブレイドラをコアを1つ置き、レベル1で召喚」

 

突如現れた赤いシンボルを砕き、魔理沙ちゃんの隣に飛び出してきたのは白と青のカラーの小さな翼が生えたドラゴン。

バトスピのマスコットスピリットの中の1枚、ブレイドラのバリエーションカードだ。健気で可愛らしいその姿は私達バトラーに癒しをもたらす。

やっぱり生のブレイドラって可愛いなぁ〜!!

魔理沙ちゃんの場のライトブレイドラを見てついうっとりしてしまった。しかし、そんなライトブレイドラは可愛いという特徴だけではなく、[強化](チャージ)という特定の効果範囲を増やす能力を持っている光のスピリット。

ライトブレイドラ……赤き光のスピリットの[強化]内容は自分のBP破壊上限を+1000するというもの。

効果は重複するので赤の[強化]を持つスピリットが場に居ればいるほどBP破壊効果の上限は跳ね上がり、よりBPの高い大型のスピリットを破壊できるようになるという可能性に満ちた効果だね。

 

魔理沙「さらにいくぜ〜4コスト、赤2軽減2コストで古代怪獣ゴモラをソウルコアと通常コア2つを置き、レベル2で召喚だ!

レベル確保の為、ライトブレイドラを消滅させるぜ」

 

あ〜ブレイドラが……

不足コストの為、せっかく召喚されたライトブレイドラは光となって消滅。

不足コスト確保による消滅はブレイドラ達の宿命。でもその命の光は新しい力となって次に召喚されるスピリットに注がれる。

突如、魔理沙ちゃんのバトルフィールドに巨大なヒビが入り、爆発音に近い音ともに地面が砕かれる。そして、地中から地面を砕き現れたのは尻尾の切れた巨大な怪獣だった。

1歩1歩、歩く度にバトルフィールドを揺らすその力強い姿はまさに荒々しい暴君そのものに感じる。

 

美弥「あ…あえ?ご、ご、ご…………ゴモラ!?」

 

あまりにも意外で予想外のカードの登場だったので大声で且つ盛大に驚いてしまった。まさか、そんなカードを魔理沙ちゃんが持っていたなんて……何時どこでそれを手に入れたのかという疑問をすっ飛ばして思考が一瞬停止してしまった。

 

魔理沙「フッ!初のお披露目ってやつだな。ゴモラは私のとっておき……コイツをお前に見せたかったんだよ!!

ちなみにコイツは超強えぞ?今からその力を見せてやるぜ。メインステップからアタックステップに移行。先陣を切ってもらう、行け!ゴモラ!」

 

魔理沙ちゃんの言葉に応えるように咆哮した目ゴモラがゆっくりと私に迫ってくる。

 

魔理沙「ここで、ゴモラのレベル1、2、3のアタック時効果を発動!BP5000以下の相手のスピリット1体を破壊する。または相手のネクサス1つを破壊する。

よって私はお前の熾天使の玉座を破壊する!!」

 

美弥「ッ!!?」

 

すかさず、ゴモラが鼻先の角からビーム状の超振動波を私の後ろに配置された玉座に発射する。免れぬ直撃。超振動波の破壊力は凄まじく、神聖な玉座は一撃で粉々に打ち砕かれ、破損した玉座やその破片がバトルフィールドに落下し、消滅してしまった。

 

美弥「そんな、やられた…………」

 

ネクサス破壊を持ってはいないと思って熾天使の玉座を配置しちゃったけど、それが裏目に出ちゃったな……

ラムディエルを手札に加えられたことはこの先のバトルで影響を及ぼしてくると思うけど、結果として場のシンボルがなくなってしまった。

 

魔理沙「まだゴモラの効果は終わってないぜ。ゴモラのレベル2、3効果でこのスピリットにソウルコアが置かれている間、自分の効果でネクサスを破壊した時、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

魔理沙 デッキ33→31 手札3→5

 

少し残念な気持ちに浸る私に追い討ちをかけるかの様に2枚ドローによるアドバンテージの差を見せつける魔理沙ちゃん。

あれって確かコラボパックにあったカードだよね。ウルトラ怪獣のカードにそんな強力な効果があったなんて……

私はプレイボードに表示された古代怪獣ゴモラの効果テキストを確認して驚いた。しかしこっちも破壊された熾天使の玉座のオープン効果が発揮される。でも今ここでその効果を使うかどうか……

 

 

 

 

 

美弥「こっちも熾天使の玉座の破壊時効果があるんだけど……今回は使わないよ」

 

魔理沙「へぇ〜使わないんだな」

 

美弥「うん……で、フラッシュなんだけど、私は無いよ」

 

魔理沙「私も無いぜ」

 

美弥「ゴモラのアタックは………ライフで受ける!」

 

魔理沙「ゴモラのシンボルは1つ。まずは1点、お前のライフをいただくぜ」

 

瞬時にバトルアーマーが光を放ち、私の周りに黄色のバリアを展開。対するゴモラは右腕に力を貯め、思い切っきりそのバリアに拳を1発叩き込んできた。

 

美弥「うぅ……!!」

 

バリィィィィン!!

 

黄色のバリアが一撃で粉砕されるとともに私のバトルアーマーに埋め込まれた青いライフも1つ砕け散り、ゴモラによる凄まじい衝撃とライフで受けた時の痛みが全身を走る。

 

美弥 ライフ5→4 リザーブ0 →1

 

魔理沙「これでアタックステップ終了。エンドステップで、私のターンは終了だ」

 

魔理沙 デッキ33→31 手札3→5

ライフ5 リザーブ0

トラッシュカード2

トラッシュコア2

古代怪獣ゴモラ

LV2 BP7000 (2) Sコア 疲労

 

百識の谷REVIVAL

LV1 (0)

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

 

 

side change

 

 

 

霊夢「……やっぱり、ネクサスを破壊しに行ったわね。しかし、フェニックキャノンじゃなくて、ゴモラを出すなんて……」

 

ダン「手札補充を優先しての行動か。もしくはフェニックキャノンを握っていなかったか…だな」

 

霊夢「正直、驚いたわ。あんな隠し玉を魔理沙が持っていたなんて……何処で入手したのかしら?」

 

レイ「ゴモラ……聞いた事ないカードだね」

 

ダン「あぁ、俺もパックは購入するけど見た事無いな。一体どのパックで収録されているんだ?」

 

と、俺を含めた3人があのゴモラという正体不明のカードに疑問を抱く中、ただ1人喜び、興奮する者が俺の隣に居た。

 

早苗「あれは……!ウルトラ怪獣のカード!!魔理沙さん、貴女めちゃくちゃいいセンスしてますよ!!あの[コラボパック]で収録されたカードを採用しているとはッ!!」

 

アホ毛を左右にブンブン振りながら右手をぐっと握りながら熱く語る早苗。

そんな早苗に霊夢とレイが注目する。

 

レイ「うるとらかいじゅう………?こらぼぱっく…………?????」

 

早苗が何の話をしているのか、分かってないレイは目が点になって顔を傾けている。

 

早苗「はい!ではレイさんの為に簡単に説明しますと、ウルトラマンという特撮作品があるんです。そこに登場する世界を守る正義の巨人、ウルトラマンの敵があのゴモラと呼ばれる怪獣なんです。

ちょんぎられてますけど、得意技は尻尾攻撃でパワーが売りの怪獣なんですよ!

そしてそのウルトラマンやゴモラも含め、作品に登場する様々なキャラクターや技がカード化されパックに封入されているんです。バトルスピリッツとウルトラマンのコラボ……これが所謂、[コラボパック]というものなんです!

ちなみにあのカードが収録されてるパック名は[ウルトラヒーロー大集結]です。ちなみに私も持ってますよ!大好きなので!!」

 

目をキラキラさせながら俺達に語りかける早苗。分かりやすくて興味が唆られる説明で非常に助かる。

 

レイ「へぇ〜〜早苗ちゃん物知りだね!なら、今度そのパックを、見かけたら買おうかな。あの魅力的な効果、私も使ってみたいな!!」

 

早苗「いいですね!ちなみにコラボパックの入荷は少ないので早い者勝ちですよ?いざとなったら休みの日にお店に行くのもいいと思います!」

 

霊夢「……魔理沙みたいにコラボカードとバトスピのカードを組み合わせたデッキで戦うのも案外いけるかもね」

 

 

 

side change

 

 

 

場面は更地……帰ってきたこのターンで何とか巻き返さなきゃさらに危ないことになる。

 

美弥「私のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

美弥 デッキ31→30 手札5→6

リザーブ1→6 Sコア

 

焦りを感じながら私はドローしたカードと手札を見る。

 

美弥「!!……これならまだいけるかも」

 

私は微笑んで小さくそう呟いた。

 

 

 

side change

 

 

 

更地の盤面をリカバリーできるカードでも引いたのか、沈んだ美弥の顔つきが少し変わったように見えた。

まぁ、あのカード以外なら特に問題は無い。あれさえ来なければ、順調に盤面を除去し更地になった美弥に連続アタックを叩き込んで勝利だ。

コントロールタイプのデッキ同士のバトルは如何に早くこちらの盤面を整えるか、相手の盤面を除去出来るかがポイントになる。このまま相手のシンボルを枯らして蹂躙してやるぜ。

 

美弥「私は3コストでネクサス、華黄の城門を配置!レベルは1!!」

 

空から水が1滴、何も無い美弥のバトルフィールドに落ちる。その瞬間、そこを中心に一瞬にして美弥のフィールドが生命力溢れる美しい草花が広がり、満たされる。

そして 天守閣の巨大な向日葵が非常に特徴的な城門が構築される。

 

美弥「さらに3コスト、黄色の1軽減2コストで黄金の鐘楼をレベル1で配置!」

 

草花に満たされたフィールドにさらに黄金に輝く鐘を乗せた塔が天高く聳え立つ。

美しい鐘の音を鳴らす鐘楼に草花に満たされた城門……

見れば見るほど溜息が出そうなくらいの煌びやかさだと思った。それに対して私のフィールドは殺風景な断崖絶壁が連なる谷が広がっている。私と美弥のフィールド温度差対比が凄まじくて美弥の黄色のカードが羨ましく思える。私も黄色のデッキを作ってみようかな…?

 

魔理沙「ついに出ちまったか……1枚はトラッシュに落ちていたから引いてないと思ってたけどな。それだけは引いて欲しくなかったぜ……」

 

これだけは本当に配置されたくなかったネクサスカード、黄金の鐘楼……相手のターンで自分のフィールドのネクサスが黄色の間、自分のネクサス全ては破壊されない。このネクサス保護の効果によりゴモラはもう役に立たなくなってしまった。

玉座の効果で1枚破棄されたのでもう配置されることは無いだろうと思ってゴモラでドローしまくるプランを組んでいたんだけどな……

 

美弥「実は3枚積んでるんだ。黄色で耐久戦に持ち込むならネクサス保護は3枚必須だって駆君が言ってたから……」

 

そう呟いた美弥の表情はとても暗かった。

朝から見ていたがやはり、駆の事でかなり精神的に引きずっているようだ。

 

魔理沙「そうか…駆からアドバイスを貰ってたんだな」

 

美弥「うん……続けて4コスト、黄2軽減2コストで黄色のネクサス、天空都市ルミナ・エテルナをレベル1で配置」

 

魔理沙「む、またネクサスか……!」

 

草花が咲き乱れるフィールドの上空に浮遊大陸が雲を割いて現れる。

浮遊大陸には大きな神殿を中心に様々な建物が建設されており、人々が築き上げた文明と自然の調和が取れている、まさに天国のような都市。異世界にでも迷い込んでしまったのかと思わせる程のメルヘンチックな美弥のフィールドに私の感覚が少し麻痺してきたのかもしれない。

……というのはちょっとした冗談で、このネクサスの配置も次のターンで動く為の準備だな。

天空都市ルミナ・エテルナ……黄色のネクサスでLv1、2で自分のエンドステップ、このターンに自分が煌臨していたとき、自分のトラッシュにあるソウルコアを自分のリザーブに置くことができる。そうしたとき、オマケでBP3000以下の相手のスピリットすべてを好きな順番でデッキの下に戻すという効果がある。ソウルコアを戻すことが出来れば相手のターンで煌臨や白晶防壁のソウルコアで支払った時の効果を使用できるのでより防御が硬くなり攻めにくくなる。

そしてレベル2の効果は煌臨中の自分のスピリットがいる間、系統天霊を持つ自分のスピリットすべては、相手の効果でコアを2個以下にされないという紫属性特有のコアシュートを意識したもの。

レベル2の効果は驚異ではないが前者のレベル1、2効果が厄介だな。しかもこのネクサスも黄金の鐘楼で守られているから、このターンで除去できない黄色シンボルを3つも作られてしまった。鐘楼の効果は破壊に対する耐性付与なのでネガ・デュポーンとかのネクサスを手札に戻す、もしくはデッキの下に戻す効果なら対処は出来るが、今の私は破壊に特化した赤属性のデッキ。

ネクサスを破壊できない現状、あちらのペースに持ち込まれないように、こちらから攻撃をバンバンしていかなければならない。盤面コントロールからビートダウンプランに変更だ。

 

美弥「メインステップからアタックステップへ……何もせず、エンドステップに入ってターンエンドだよ」

 

美弥 デッキ31→30 手札6→3

ライフ4 リザーブ0

トラッシュカード4

トラッシュコア6 Sコア

華黄の城門

LV1 (0)

 

黄金の鐘楼

LV1 (0)

 

天空都市ルミナ・エテルナ

LV1 (0)

 

 

 

バースト

無し

 

手元

無し

 

 

 

 

 

side change

 

 

 

 

 

 

窓から風が吹き抜ける保健室の中、1つ小さな箱を開けるとそこには懐かしさを感じさせる物が入っていた。永琳先生に頼んで部屋から持ってきてもらった物だ。

徐にそれらを箱から取り出し、丁寧に透明スリーブと紫色のスリーブに収まったデッキのカード達に目を通していく。汚れ、至る所に傷の入った40枚のカードの束。それらを見る度に胸が締め付けられるような感覚に襲われると同時に脳内であの時の事が再生される。

……もう二度と使わないと心に誓った忌まわしい記憶の塊。忘れようと努力している筈なのに過去がフラッシュバックしてくるのはその時の出来事で着いた傷が深く、深く自分に刻み込まれているから……?

なんでこんなものをあの時に持ってきてしまったんだろうとデッキを見ながら心の中で自問自答をしてみたが、納得のいく返しの答えは見つかる事は無かった。

 

永琳「それはさっき私が運んできた箱……そのデッキはどうしたの?」

 

俺がデッキを見ていて気になったのだろうか、八意先生が横から覗き込むように俺のデッキを見てきた。

 

駆「これは俺の…………第4のデッキです。ブラム・ザンドを主軸としたあのアルティメットデッキが使えなくなってしまったので、本来の予定よりも早いのですが、仕方無くコイツの出番を引っ張り出してきたという訳ですよ」

 

正直な所、これを自分の第4のデッキだなんて言いたくは無かったし、誰かに見せたくも無かった。

 

永琳「へぇ〜天童君って色んな色のデッキを持ってるんだね」

 

先生のその声は俺の事を知ろうとする探究心を感じさせる様な声色だった。

保健室の先生たる彼女もバトルスピリッツをやっているのか…?だとしたら、あまり自分のデッキの内容は見せたくは無いんだけどな。

 

駆「1つのデッキに拘り続けるのも良いかも知れません。ですが、それだけを握っていれば勝てる、生きていけるような環境では無いです。アグロやミッドレンジ、コントロールデッキ。そこから各系統、各6色はもちろん、さらに混色も握ることでそれらのデッキの特性が分かります。それが分かれば対面した時の相手の理想の動きや最速のリーサルとその組み方が何個あるか……他には相手の手札の予想や展開の崩し方が的確に出来るようになります。

これは自分が今以上に強くなる為の絶対条件だと思っています」

 

永琳「確かに貴方の言う通り色んなデッキを使えば色んな事が分かるから、持っている情報の量で相手に勝てるのは凄くいい事だと思うわ。

……ということは、天童君って他にも沢山のデッキを持っているの?」

 

俺の話を興味津々に聴く彼女。保健室の先生でもここはバトルスピリッツが中心となる世界なので当然と言うべきか。

 

駆「……いえ、情けない話なんですが実は俺の持ってるデッキはたったの4つだけなんです。これからそういったことを行う予定だったんですよ。

ちなみに、これはまだ誰にも公開していないデッキなので絶対に誰にも言わないでくださいね」

 

永琳「分かってるわ。それよりも………どう?気分は落ち着いた?」

 

少し遠慮がちに質問してきた八意先生。気を使ってそう言ってくれたのだろう。今回の件でいつの間にか俺は色んな人に助けて貰ってしまった。

もちろん皆には感謝しているが、それよりも助けてもらったことに対する罪悪感と自分への情けなさが勝ってしまっている。1人で生きるとあの場で言ってしまったのに……

 

駆「え、えぇまぁ……気を使わせてしまって、すみません」

 

気持ちの整理は充分に出来た。気分も大丈夫である事を俺は彼女に伝える。

 

永琳「…………」

 

しかし、何故か彼女は真剣な硬い表情のまま、俺を見つめている。

 

駆「どうしたんです?そんなに俺を見つめて」

 

永琳「なんだか、腑に落ちない顔をしてるからちょっと気になってね……もしかしてなんだけど、誰かとトラブルでもあったのかな?って思って」

 

駆「な!?………そこまでお見通しだったとは正直、驚きです。トラブル……まぁそんなところですね」

 

まさか、そこまで見抜かれていたとは思わなかったので少し驚きの声を上げてしまった。

 

永琳「……天童君はどうしたいって思ってるの?」

 

少し間を開けた八意先生は俺にそう質問してきた。

俺がどうしたい……か。俺がするべき事はもう既に決まっている。だからその答えも口から出るのは早かった。

 

駆「俺は…今の彼女がどう思っているのかが知りたい。1度、俺を拒絶した彼女の真意を確かめる必要があるんです。

 

俺は……彼女と話し合いがしたい。しなくてはいけないんです」

 

俺は今、どうしたいかをありのままに先生に答えた。俺の言葉を受け止めるように頷く彼女は次に笑みを浮かべてこう言った。

 

永琳「うん、それはいい事だと思うわ。相手の気持ちを知ろうとする事はお互いが分かり合う為の第1歩だから……」

 

それを聞いた俺は少し前に言われた明夢の言葉を思い出した。

 

駆「分かり合う為の1歩……で、ありますか。彼も、明夢君も似たような事を言っていました」

 

永琳「へぇ〜柊木君も相談に乗っていたのね。だったら心配は無いとは思うけど、これだけは忘れないで。

話し合いの中でその子は必ず自分の気持ちを伝えてくる。その気持ちをしっかりと受け止めてあげて」

 

駆「相手の気持ちを受け止める………」

 

それを聞いた時、俺は自分自身の心の未熟さを痛感した。

あの時の話し合いで俺に不足していたモノだ。美弥の言葉に耳を貸さず、気持ちも言葉の意味も分かろうとしなかった俺。一方的に自分の事だけを話してしまっていた俺。彼女との間に溝が出来てしまったのは全て俺が原因となっていたのだ。

 

永琳「そう、自分の気持ちを一方的に伝えるだけでは人は分かり合えないわ。人は、生き物はお互いの気持ちを伝え合い、受け止め合って分かり合えるのよ」

 

自分の胸に両手を当てて話す先生。その優しさのこもった言葉一つ一つが今の俺に刺さる。

心が痛く、締め付けられるように感じてしまうのは俺に足りないものがある事を思い知らされているからなのかもしれない。

 

駆「……はい、八意先生。ありがとうございます」

 

相談に乗ってくれた先生に深く礼をする。抱いていた不安が少しだけ取り除かれたようで気持ちがスッキリした気がする。

思いを伝えるだけで無く、相手の思いを受け止めるか……今までの人生でこんなにも真剣に他人の気持ちについて考えた事は、無かったな。

 

 

 

side change

 

 

 

魔理沙「私のターンだな。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ。ここで百識の谷の効果と合わせて2枚ドロー」

 

再び、デッキから2枚カードを引く魔理沙ちゃん。

 

魔理沙「その後、手札を1枚破棄するのでマジックカードのアドベントドローを破棄し、リフレッシュステップ、メインステップ」

 

魔理沙 デッキ31→29 手札5→6

リザーブ0→3

 

デッキから2枚ドローと煌臨をサーチできるマジックのアドベンドローを破棄……ドローは百識の谷で事足りているということなのかな?

私としてはアドベンドローよりも大切なカードが手札にあると見るけど、狙いはなんだろう……?

でも、少なくともこのターンも魔理沙ちゃんはアタック仕掛けてくると思う。無理やりネクサスを展開した結果、使えるコアは0でスピリットもバーストも無い丸腰の状態。魔理沙ちゃんにとっては絶好のアタックチャンスだ。

 

魔理沙「………なぁ、美弥。やっぱり駆の事が気になるんだよな」

 

バトル中、魔理沙ちゃんは視線を手札から私に変えて静かにそう言ってきた。

 

美弥「……う、うん。とても心配だよ……いつ目覚めるのか、分からないんだもん」

 

私はその答えとして頷きながらそう言った。

正直、今日は駆君の事が気になり過ぎて何にも集中して取り組めなかった。

いつになったら目覚めるんだろうって、いつになったら、ちゃんと話し合いが出来るんだろうってずっと思っている。

 

魔理沙「……分かるぜ、その気持ち。私もアイツが心配さ。居ても経ってもいられないくらいにな。

ちなみに、駆が目覚めたらお前はどうするんだ?」

 

美弥「わ、私は…………今の私の気持ちを彼に伝えたい。仲直りしたいって伝えたい…

今度は駆君の気持ちも受け止めて、その上で仲直りしたいの」

 

いきなりの質問に私は戸惑ってしまった。でも、やりたいことはもう決まっている。レイちゃんも私の背中を押してくれた。だから私は、しっかりと自分の気持ちを伝えなきゃならない。

 

魔理沙「そうか、だったらもう私の役目は無いな。でも、これだけは言っておく。

その想いを絶対に忘れるなよ。想いは人を大切にしたいって心の底から出たモノなんだから!」

 

魔理沙ちゃんは自分の胸を指さしてそう言う。

私の役目って所は気になったけど、その言葉は私の心にとても響く様に聴こえた。

 

美弥「っ!!自分の心……から」

 

魔理沙「そうとも!そして、想いは自分を他人を動かす大きな力になるんだぜ。

だから、美弥は自分の想いを仲直りしたいって気持ちを信じて、真っ直ぐに駆に伝えてあげるんだぜ」

 

想いは心から生まれるモノ…想いは人を動かす力になるモノ。

そんな風に想いとか気持ちとかを深く考えた事は無かった。でも魔理沙ちゃんの言葉は正しくて、私は実際に彼と仲直りがしたくて、その抱いている想いが次の行動に移ろうとしている。

その事実と真っ直ぐで力強い魔理沙ちゃんの言葉に私は少し勇気と自信を貰えたと感じた。

 

美弥「うん…!!ありがとう、魔理沙ちゃん!!」

 

私は少し遠くにいる彼女に大きな声でありがとうの言葉を送った。

 

魔理沙「…へへ、いいねぇ!いつものお前らしい笑顔じゃないか!じゃあバトルの続き………行くぜ?」

 

 

 

To be continued……




次回予告
想いがあるからこそ力が生まれる。
大切なのはその想いがすれ違わない様に、ぶつかり合わないように受け止め、理解しなければならない。

次回、バトルスピリッツ 欠落

Turn-37 Realize

分かり合う術ほど、手探りで………


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