ログ・ホライズン “円卓の従者たち” (よなみん/こなみん)
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ゲームの終わり?いや、始まりでしょ。
異世界の始まり


どうも、小南 桐絵です。

今回から新しく、投稿していきます。

それではお読みください


「直継!玲音!右前方注意!」

「わかった!レオ!反対は任せたぜ!?」

「了解!反対は任せろ!」

 

シロエの言葉に俺と直継が叫び返すと、直継は鈍い銀色の盾を掲げ、人喰い草〈トリフィド〉をたたき落とし

 

玲音は、その手に弓を持ち、距離を取るため、牽制射撃を行いつつ下がっていく

 

「いいよ!そのまま!」

「主君!」

 

左から突出してきた緑色のうねる蔦を素早い一撃で牽制したアカツキはそのまま身体を低く沈めながら、シロエの護衛ができる位置に入っている

 

ここは〈スモールストーンの薬草園〉

 

小規模のゾーンではあるが、古代の遊具施設を含むに、周辺の廃墟とは違い、地形が変化に富んでいて戦闘が難しい

 

「つか、多くねぇ?」

「お前が下ネタ言うからだろ?」

「「以下同文」」

「俺のせいかよっ!?」

 

直継のツッコミに答えず、シロエは青白い魔法の矢を作り出すと棘茨イタチ〈ブライアーウィーゼル〉に投射した。

 

シロエの放った魔法の矢〈マインド・ボルト〉は付与術師〈エンチャンター〉のもつ基本的な攻撃方法で、単体の敵を撃ち抜く精神力の矢だ。

 

鋭い悲鳴を上げて跳ねる1メートルほどの齧歯類を見ながらも、シロエは脳裏に浮かぶアイコンを創相する

 

再使用規制時間〈リキャスト・タイム〉を表現するために色を失ったアイコンは、砂時計のようにゆっくりと復活してゆく。アイコンが輝きを取り戻すまで、この呪文は使用不可能だ。しかし、シロエが使用できる呪文は他にも30種類近く存在する

 

「ラッシュ!アカツキは左翼攻略っ、玲音は中央でっ」

「了解っ」

「まかせろっ」

「あいよっ」

 

それにそれらが使用できないとしても、今のシロエには三人の仲間がいる

 

「おらぁ、いっくぜぇ!〈シールド・スマッシュ〉ッ!」

 

苔に覆われた小径を鋭く前進して、盾を横薙ぎに払う銀鎧の戦士は直継。短い髪と陽気そうな瞳を持つ長身の男で、シロエの古くからの親友である

 

そんな直継の職業は守護騎士〈ガーディアン〉。敵の攻撃を一手に引き受ける戦士系三職のなかでも、最大の防御能力を誇り、〈エルダー・テイル〉においては不破の盾の異名を誇っている

 

「・・・・・・遅いっ」

 

その直継の前進で生まれた空間を、燕のような印象の少女が疾駆する。裂けたラグビーボールに口を生やした感じの奇怪な生物が襲いかかるが、少女は構えた小太刀で、駆け抜けざまに斬り捨てた。

 

黒髪を風のように舞わせる小柄な少女はアカツキ。

 

シロエのことを「主君」と呼んで憚らない彼女もまた、彼の友人である

 

彼女の職業は暗殺者〈アサシン〉。一撃必殺の技を振るう凄腕の剣士。その物理攻撃力は12職中、最大を誇る

 

「っ、まだ来るのか」

 

さらに遠くから増援の〈棘茨イタチ〉達を矢が高速で貫く

 

「・・・まぁまぁか」

 

増援で出てくるモンスターを湧き潰しするのは玲音。髪は直継の短い髪とは反対で、ポニーテール風に纏めており、耳には翼のピアスが着いている、彼もシロエの親友の一人である。

 

職業は、吟遊詩人〈バード〉。味方の回復や、能力補助などができる“歌”を使え、さらに身軽な武装を装備できるまさに軽装戦士。そのポテンシャルの多さから使う人には相当の技量が求められるものだ。

 

その三人の動きに見とれながらも、シロエは前進する

 

シロエの職業は付与術師〈エンチャンター〉。

 

魔術師系三職のうちでは、補助魔法と状態異常魔法に特化した完全な支援職だ。魔法系職業の常として防御力は心もとない。直継の頼りがいのある全身鎧はともかくとして、アカツキや玲音が着ているような〈冒険者〉用の革鎧さえ着けることはできない。

 

白衣じみた大きなローブマントの下は、ごく普通のチュニックシャツにズボンに過ぎないのである。

 

そんな、防御力に欠けるシロエが戦場で孤立したり、前衛に近づきすぎるのは望ましくない。しかも、背後からの奇襲を警戒しながら直継やアカツキ、そして玲音との一定の距離を保つ方が得策ということになる

 

もちろん。この〈スモールストーンの薬草園〉は高レベルのフィールドではない

 

現れるモンスターも、レベルは高くても50程度のものなのだ

 

シロエ達はレベル90の〈冒険者〉だ。

 

MMO-RPG〈エルダーテイル〉の世界において、ほとんど最高クラスの能力を持っている。いくらシロエの防御能力が低いとはいえ、これだけのレベル差があるとそうそう被害を受けることは無い

 

そもそも、直継は数が多いと言うが、10や20の人喰い草など、3人のうち誰だって、たった一人で蹴散らすことができることができる程度の敵である。

 

(とはいえ。今のところはね)

 

先ほどから、余裕ぶっては呟いてはいるが、直継やアカツキ、玲音の表情だって至って真剣だ。

 

戦闘とは、恐ろしいものだ

 

いくら強化された肉体を持っていて、魔法や剣技を駆使できるとはいえ、モンスターといざ、対峙するとなると恐怖がつきまとう

 

大地を踏む足も、武器を持つ手も自分のものなのだ。頬をなぞる風・・・耳障りな怪物の唸り声・・・血管を流れる血液も自分自身のものなのだ。

 

突然出される爪や牙、襲いかかってくる炎や酸のかたまり・・・前線ならそれをかわし、あるいは受け止めるのは、予想以上に大変だ。それらを乗り越えるためには、場数、経験しかないだろう・・・

 

「右っ!」

「「あいよっ」」

 

険しい顔をしながら、シロエの警告方向を素早く確認して、直継と玲音はそれぞれ回避しながら攻撃する

 

直継は長剣を叩きつけ

 

玲音は広範囲に矢を放つ

 

直継の牽制攻撃により、距離を取ったモンスター達が、玲音の矢によって餌食になっていく・・・

 

「そろそろ終わりか?」

「まだ来るか?・・・来ないな」

 

そう言う直継に冷静に分析して答える玲音・・・

 

直継は玲音の言葉を聞くと、片手剣を大きく振り回し、血を取ってから、鞘に収める

 

シロエ達も、言葉に頷くとそれぞれ武器を下ろし、しまいこむ

 

「いっぱい倒したな」

「一応敵影は・・・ないか。でも見張っとくから回収よろしく」

シロエは言葉に頷くと、玲音は素早く周囲を警戒する

 

脳裏のアイコンは赤い色からマリンブルーに変わっていく、どうやら戦闘状態が解除されるわけだ。

 

シロエ達三人は玲音警戒のもと、モンスターから戦利品を回収する

 

この数週間で何回も経験した行動だ

 

回収を終えると、シロエはマジック・バッグから水筒を取り出し一口飲む。飲んだあとに深いため息・・・

 

その深い息を見ていた玲音は少し苦笑いをする

 

それに照れてしまい、シロエはそばを見下ろす・・・

 

見下ろせば、白いローブマントの裾。野外向きの厚手の生地でできた、それでも上等なズボン・・・柔らかくて履き心地のいいショートブーツ

 

手に持っているのは杖だ。

 

〈思慮する木菟の杖〉ー魔法威力と詠唱速度を増加する。レアアイテム。シロエの財産の一つだ。

 

その長さは2メートルほどで、シロエの身長を越えている。

 

なかなか神秘的なデザインだ。かっこいいとも思うが、その「格好良さ」は現実のものでなく、ゲームの世界で感じるそれである。

 

シロエたちが〈大災害〉と呼びはじめたあの日の出来事を境に、全てはがらりと変わってしまったのである。

 

 

 

 

ーー〈大災害〉ーー

 

大災害は突然起こった。

 

原因は不明だが・・・怪しいと思っているのは拡張パック・・・〈ノウアスフィアの開墾〉が導入されようとしていたこと、街の近辺で新人プレイヤーと遊んでいたら、この事件に巻き込まれていたと言うこと・・・それが、この〈エルダー・テイル〉の開始地点“アキバの街”にそっくりで自分たちはこのゲームのキャラの身体を持っているということ・・・それが、僕達が理解したことである。

 

・・・つまり、僕達はゲームの世界に閉じ込められたのだ。




ひっそり、まったりとやっていきます。

それではお読み頂き、ありがとうございました。

次回更新をお待ちください。


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第一話 この世界の現実


どうも、夜南 黒姫です。

最新話更新します。
また、他のssもご覧下さい。

それでは、お読みください


・・・このゲームに閉じ込められて数日・・・俺は慣れてしまった。

 

動きも、生活にも・・・

 

もちろん。戦闘にも・・・

 

俺は弓を引き直すと、小声で呟く

 

「・・・〈ロングショート〉」

 

そう言い弓を放つと矢は、謎の光を帯びて飛んでいく

 

狙いは遠くの薔薇ウサギ〈ローゼンラビット〉。

 

矢は一度落ちる動きを見せるが、途中で持ち直し・・・そして

 

「・・・やったぜ。」

 

みごと薔薇ウサギに命中する。

 

〈ロングショート〉は矢の威力を落とす代わりに、飛距離、さらには矢の素早さを上げる技である。

 

さらに俺の弓の名前は“唸る雷鳴の剛弓”、攻略サイトでは秘宝級のアイテムとして扱われるものである。

 

しかし、この新拡張パック・・・“ノウアスフィアの開墾”が登場したために・・・おそらくこいつは秘宝級からはランクが下がっているはず・・・

 

しかし、それでも入手できないアイテムであるから・・・皆欲しがるのだろうな

 

「にしても湿気てんなぁ・・・」

 

ドロップしたのは“赤薔薇の髪飾り”、さらに“赤薔薇の赤肉”が手に入った・・・

 

肉は正直使えるアイテムだが・・・

 

「料理人じゃないからな」

 

そう言っていると、突然電話みたいな感じのものがかかってくる

 

「・・・“念話”か?でも・・・」

 

このゲーム〈エルダー・テイル〉のシステム、ボイスチャットのシステムにはあまり触れたことがない・・・

 

俺は恐る恐るコンソールを押してみる・・・すると

 

「玲音!無事か!?」

「・・・カグラ?どうしたんだ?」

「よかったぁ・・・」

 

この声の主はカグラ、ギルド〈黒剣騎士団〉に加入している〈武士(サムライ)〉の女性だ。

 

彼女とは同時期に初め、初めてのフレンドでもあるから何かあれば助け合っていた仲である

 

しかし、彼女の慌てた様子を聞くと・・・そうでも無いらしい

 

「心配かけた?」

「当たり前だよ!」

 

・・・どうやら心配をかけてたみたいだ。

 

「ごめんごめん・・・それで?」

「この状況・・・どこまでわかる?」

 

・・・そんな言葉が、カグラから発せられる

 

・・・俺は冷静に分析する。

 

「拡張のことを調べたいんだね?」

「あぁ、攻略サイトだけじゃ、情報が足りなさすぎる。」

 

確かに、攻略サイトにはこんなことは書かれてはいなかった。

 

つまり、これは“予想外のイレギュラー”でもあり、向こうの“意図的な誘拐”でもあるのだ。

 

つまりこれは・・・

 

「ゲームじゃ・・・ない。」

「・・・だね。」

 

俺たちのこの言葉は・・・今の現状を説明するのには十分だった

 

しかし、考えれば不可解な点がいくつも出てくる。

 

まず、何故閉じ込めた?何故俺たちを?言い出せばきりがない。

 

しかし、今起きているのは事実だ。

 

俺たちは、それを受け止める義務がある・・・

 

「それで?電話かけたんだから何かあるんでしょ?」

「ええっと・・・私たちはエリート志望のギルドじゃん?」

「それで?」

「・・・“アイザック”がさ、レベル91を目指そうとか。」

「・・・91・・・」

 

俺はその数字に考え込む。

 

確かにこれまでの〈エルダー・テイル〉はレベル上限が90であったが、攻略サイトによれば〈ノウアスフィアの開墾〉でレベル91が解放されている

 

つまり、不可能なことではないが・・・

 

「でも、それは高レベのモンスター倒すんでしょ?」

「・・・そうかもね。」

 

・・・この世界に入ってわかったこと・・・それは単にログアウト出来ないだけではない。

 

飯や睡眠もいる・・・なんなら入浴も必要になる・・・

 

しかし、戦闘はそんな簡単なものではない。

 

例えば初心者のレベル6ぐらいの少年、少女がレベル20のモンスターを倒せたとしよう。それなら、経験値は倍近く貰えるが俺たちはそうはいかない。

 

レベル上限者〈カンスト〉は10下のレベルモンスターを狩ろうと経験値が手に入りにくいのだ。

 

そのため、どうしてもレベルアップを目指すのであれば高レベル・・・つまり90近いモンスターを狩る必要がある。

 

しかし、この世界に入ってしまい、戦闘にも慣れないようであれば、おそらく〈黒剣騎士団〉でも不可能だろう。

 

・・・カグラもそのことは承知しているはず。

 

「・・・そうか。ごめんね、なんか追究しちゃう感じで・・・」

「いいよ。だって玲音だからだよ?忘れてないよね?」

「・・・もちろん。」

 

・・・その言葉に隠れた好意に・・・俺はほっとする。

 

「それと玲音。良ければ〈黒剣騎士団〉に入らない?」

「・・・なんで?」

「・・・リーダーが欲しいってさ。「お前みたいな優秀の人材なら何時でも俺の側に置いてやるって。」」

 

・・・俺は以外だった。

 

確か“アイザック”といえば、二つ名では“黒剣”と呼ばれる程の実力者で、〈エルダー・テイル〉では“最強の守護騎士”とも呼ばれる人なのだ。

 

しかも彼のギルド〈黒剣騎士団〉はレベル上限者(カンスト)しか入団申請が出来ず、そこからもアイザック本人による品定めが始まるのだ。

 

つまり〈黒剣騎士団〉は完全なエリートギルドであり、戦力はアキバの街で二番目ぐらいなのだろう。

 

・・・俺は考え込んだ後

 

「ごめん。やっぱりギルドは嫌い・・・かな」

「・・・そう。・・・リーダーにはそう言っとくね。んじゃ」

 

そう言うと俺は通話を切る。

 

・・・俺はギルドは嫌いな訳では無い。

 

どちらかと言えば、ギルドが嫌いではなく、そこにいる人達が嫌いなのだ。

 

しかし、あのメンバーでいたころは嫌いではない

 

俺たちは、だいぶ前になるが、ある一つのチームを結成していた・・・それが〈エルダー・テイル〉の伝説の一つ、〈放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)〉である。

 

それはギルドではない。

 

しかし、そこには多くの人、暇人も、初心者も集まった。

 

そして皆でワイワイしようとする会なのだ。

 

しかし、俺はそこにいた。

 

レベル上限(カンスト)になっても、彼らは変わらず接してくれるからだ。

 

そこにはそれを引っ張る〈彼女〉がいて、俺たちは何時でも、どこへでも探検した。

 

・・・しかし、突然として〈放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)〉は解散した。

 

理由としてリアルの生活や、個人的な事情が挙げられる。

 

「・・・戻ろうかな。」

 

俺は一人、弓をしまい込むと〈アキバの街〉に向かって歩き出した。

 

 

 

 

〈アキバの街〉は皆の拠点である。

 

この〈エルダー・テイル〉がまだ、ゲームの頃、初めてゲームをやる人にとってはお世話になるであろう場所だ。

 

他にも、ススキノ、シブヤと言った大都市が存在する中で、〈アキバの街〉には、半分ぐらいのプレイヤーがいた

 

「・・・ふう。」

 

俺は壊れかけたビルの中で、水を飲んでいた。

 

「・・・フレンドリストは開ける・・・アイテムもだ・・・」

 

俺は一人、情報を整理していた

 

「まずは・・・ログアウトは・・・出来ないよな。次は・・・」

 

画面に出てくるウィンドウをタッチしていくが、設定面のコンソールには反応がない

 

「・・・設定はほぼ死んでるか・・・」

 

・・・俺はフレンドリストを開き、ある人物へと連絡を取る

 

「・・・こちらシロエ、お久しぶりだね」

「・・・どうも。再びお世話になりますよ」

 

声の主は同じく〈放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)〉の快進撃を支えた青年。シロエだった。

 

「その様子だと、だいぶ落ち着いた?」

「あぁ、頭の中はスッキリしてる。」

「おお!?玲音か!?久しぶりだな!」

 

シロエさんとは別の声が聞こえる。この人は・・・

 

「直継さん?」

「おうよ!久しぶりだな!」

 

声の主は直継さんであり、この人も〈放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)〉出身の人である

 

事情からゲームを中断したと聞いたが・・・

 

「復帰したんですか?」

「おう!仕事も安定してきたからな!」

「でも、復帰してこれだよね」

 

・・・その言葉は確かに・・・と思ってしまう

 

直継さんはため息をつく

 

「ほんとだぜ・・・まったく・・・悪い夢だろ」

「・・・まぁまぁ、一旦落ち着こうか。」

 

俺たちはその言葉に同意する。

 

この状況は確かに知らなかった・・・と言うよりは、信じ難い事だが、今は受け入れるしかないのだ

 

俺達が沈黙すると、俺は

 

「なんならそちらに合流しましょうか?こちらからでも向かうことは出来ますし」

「それがいいね。今からちょうど〈三日月同盟〉のギルドホールに行ってマリ姉と会うんだ」

「おっけ。じゃあそれで。」

 

俺は、懐かしき友人達に会うために、〈アキバの街〉を走り始めた・・・





お読みいただきありがとうございました!

この作品を見て、気に入ってくれた方、気になる方はお気に入り追加よろしくお願いします!

それでは失礼します


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第二話 変わらない人達


ログホラ更新です。

ゲームの方でイベントが終わったですね・・・新キャの特効ガチャも出ましたし・・・結構楽しんでます。

イベント報酬のくっしーが可愛いよ・・・くっしー・・・(ಡ౪ಡ)

と言うわけで、お読み下さい。


・・・さて・・・場所は変わり・・・〈アキバの街〉俺は懐かしい連中と会っていた

 

「久しいな・・・元気だったか?」

「あぁ・・・なんとかな」

 

俺が出会ったのは・・・大規模戦闘ギルド〈D.D.D〉所属の〈守護騎士(ガーディアン)〉ユーマだ。

 

ユーマは〈D.D.D〉の中では結構強い方であり、〈D.D.D〉の〈三羽烏〉の一人、櫛八玉さんの右眼として働いていた奴だ・・・

 

「全く・・・結構探したぞ」

「・・・いろいろあったんだよ。」

 

まぁ、言っても戦闘の確認や現状確認だけどね・・・?

 

「そう言えば・・・まだ未所属なのか。」

「そりゃ、そーだろ。俺がどこかにいるのはおかしいからな。」

 

俺は言わゆる自称〈旅人〉とか言うやつだ・・・サブクラスちゃうけど。

 

でも今の生き方に俺は満足している・・・だってこんなにいいヤツらと会えたんだもん。

 

・・・俺が開き直るとユーマは「やれやれ」と一言いうと・・・

 

「でさ。そろそろ逃げた方がいいぜ?」

 

え?と、俺が言う暇もなく・・・ユーマの後ろに人影が見える・・・あれは・・・

 

「・・・高山さん?後ろに立たないでくれます?」

「・・・彼の勧誘はどこまでいったのでしょうか?説明を願います」

 

そこには何時もは冷静な・・・時に女の子らしさを見せる〈D.D.D〉の鋼鉄の女・・・高山三佐が立っていた

 

「・・・三佐さん・・・」

「お久しぶりです玲音先輩・・・早速ですが〈D.D.D〉に復帰しませんか?今なら・・・」

「断る。」

 

・・・俺は少し前・・・〈ノウアスフィアの開墾〉が導入される1週間前ぐらいまで〈D.D.D〉に所属していた。クラスティの温情もあってか、俺はみんなからは〈旅先輩(フリーダム)〉や〈隠れ皇子(インドア)〉などとも呼ばれた・・・って。これは虐めだわ。

 

その時にはクラスティを初め・・・高山三佐さんや、リーゼさん・・・さらにはクシさんとまで仲良くなってしまった・・・

 

しかもゲーム歴は長く・・・さらにはキャラの身長・・・声から年上だと思われたのか・・・一部の人からは大人扱いされるようになった・・・この人も例外じゃない。

 

「それと三佐さん。年上扱いをやめてください。復帰しませんよ。」

「・・・すいません。そこは直しますので復帰してください。」

「・・・ぶれないなぁ。」

 

・・・?てか三佐さんが街をほっつき歩いてるってことは

 

「クシさんどっかいったの?」

「先輩は・・・旅をしてます。」

「曖昧な返答ありがとう・・・」

 

どうやら、クシさんも辞めた・・・あるいは休止したらしい。だからこんなに焦ってるのかなぁ

 

「お願いします先輩!戻ってきてください!」

「断るっ!ユーマ!それじゃあな!」

「おうよー・・・元気でなー」

 

ユーマがそう言うのに対して・・・三佐さんは

 

「逃がしません!未所属のかぎりどこまでも追いかけますからね!」

 

・・・もう。フレンド切ろうかな

 

 

 

 

・・・さて。ここかな。

 

俺はあれから〈D.D.D〉三佐班の襲撃を受け・・・何とかして〈三日月同盟〉のギルドホールまで来ていた・・・だけど

 

「さぁ・・・先輩・・・覚悟です・・・」

 

この人もね☆

 

「くっ・・・マリ姉の対応が早いか・・・こっちが捕まるのが先か!」

 

その時、俺の中で〈三日月同盟〉のギルホの表示が変わる

 

「ナイス!」

 

俺は叫びながら、〈三日月同盟〉のギルホの扉に突撃し、思いっきり突入する

 

「うわっととと・・・玲音さん・・・無事ですか?」

「へへへ・・・ナイスタイミング・・・」

 

そう言い俺に手を差し伸べてくるのは〈三日月同盟〉戦闘班長の小竜。身長に似合わない・・・レベル上限者だ。

 

「外は・・・」

「帰りは別のところから出るさ。心配ない。」

 

そう言うと俺はホールを後にし、目的の場所へと歩き出す

 

〈三日月同盟〉は決して大規模なギルドではない・・・規模だけでも〈D.D.D〉や〈黒剣騎士団〉さらには〈西風の旅団〉には劣るギルドなのだが、

 

それでもこのギルドのリーダー・・・マリエールことマリ姉の包容力があるのか、それなりにここも人が集まっている・・・(主に女性)

 

しかも、マリ姉自体、いろんな人と知り合いだから情報力もある・・・最高じゃん。

 

と、話していると・・・奥から四人・・・人影が見える・・・あれは

 

「シロさん!直ちゃん!マリ姉!ヘンリエッタさん!」

 

そこには先程説明してた〈三日月同盟〉のギルドマスター、マリエールと会計のヘンリエッタ・・・そして同じ〈茶会〉のメンバー・・・シロエと直継さんだった

 

直継さんは重そうなプレートメイルを着込んでおり、シロエさんは背丈より少し大きそうなローブを羽織っている・・・

 

隣にいるマリ姉とヘンリエッタさんは相変わらずの服装であった。

 

「おっ!レオレオやん!お久しぶりやな!お姉さん待ってたでー!」

「ええ。お久しぶりです。」

 

俺は軽く挨拶を交わすとマリ姉の抱きつきを回避し、改めてシロエさんと向き合う

 

「お久しぶり・・・だね?」

「そうですね。お久しぶりです。」

 

俺たちはぎこちない挨拶を交わし・・・俺はシロさんのPTに合流する。

 

「もう行くん?」

「ええ。僕達は僕達で確かめたいこともありますし。それでは」

 

俺たちは律儀に一礼すると、ギルホの出口に向かって歩き出す・・・

 

「シ、シロ坊!」

 

と、突然マリ姉に止められる・・・

 

「あのーシロ坊さえ良ければ〈三日月同盟〉に入らん?ほら・・・私たちのところは緩いギルドやし・・・シロ坊たちの嫌がることはせぇへんよ?・・・どうやろ?」

 

・・・俺はシロさんの表情を確認すると目が合う・・・

 

その問はどうするか。

 

もちろん、俺はどっちでもいいが・・・

 

直継さんは「お前に任せるよ」と、言わんばかりの合図を送る・・・

 

「うん。ごめんマリ姉・・・やっぱ無理そう・・・」

「そっか・・・ううん。こっちこそごめんなぁ・・・」

 

それでも、笑顔を絶やさないマリ姉はすごいと思うけど・・・

 

「・・・行こう。」

 

俺たちはもう一度礼をすると〈三日月同盟〉のギルホを後にした・・・

 

 

 

 

〈アキバの街〉の現状は酷かった・・・

 

ゲームだったころの活気はなく・・・皆が皆・・・死人のように動こうともしなかった・・・だけど

 

「PKは動いてるんだ」

「もともと争いが好きな連中がいる集まりだからなぁ・・・どう足掻いても奴らに好都合なんだよなぁ・・・」

「だな。あいつらしつこい時はほんとにしつこいからなー」

「直継はPK嫌いだもんね」

「当たり前だよな!」

 

・・・直継さんたちは正義の人達だからな・・・こういうのも分かる

 

てか・・・さっきからなんか視線を・・・

 

「あっ!いたいた!玲音ー!」

「んあ?」

 

後ろから叫び声が聞こえる・・・あいつは

 

「カグラ!?」

「玲音!探したよー!」

「なんだ!美人の姉さんじゃねぇか!」

「直継・・・落ち着こう?」

 

そこで出会ったのはつい、数時間前までボイス・チャットを繋いでいた〈武士(サムライ)〉の少女。カグラだ。

 

カグラの姿はどこぞのゲームにも出てきそうな女帝の龍の鎧を纏い・・・腰に太刀を構えている・・・

 

俺たち二人はシロさんと直継さんを差し置いて話を続ける

 

「見つけた・・・」

「走ってきたの・・・?焦らなくても良かったのに。」

「焦るよ!アキバの街に帰ってきたんだから!」

「・・・そりゃどうも。」

 

どうやら俺は、この言い方から察するに監視されていたらしい・・・フレンド・リストからはこんなことも出来るのだ・・・だからストーカーにはもってこいなんだよね。怖い怖い。

 

で、用事とは・・・

 

「それで?用事って・・・」

「はぁ・・・一緒にPT(パーティー)組もうって言ったじゃん?」

 

え?そんなこと言ったっけ?

 

「という事でお二人さん!玲音を借りますね!」

「俺は貸しものじゃねぇ!やめろー!」

 

俺の抵抗は虚しくも・・・俺は半誘拐的な形で拉致された・・・

 

 

 

 

場所は変わり・・・俺の拠点・・・というか屋敷?

 

この屋敷はゲームだった時代に〈茶会(ティーパーティー)〉のメンバーたちの憩いの場となった場所だった。

 

茶会(ティーパーティー)〉の解散以降、この屋敷を使うことは無くなったけど・・・

 

「案外綺麗にしてるんだね」

「ん?当たり前だよなぁ・・・俺のサブ考えたらな」

 

ちなみにこの屋敷は俺のサブデータのキャラで〈家政婦〉のキャラがいるのでそいつの育成に屋敷を掃除したりする。

 

今のサブ職業は〈竜殺し(ドラゴンスレイヤー)〉である。

 

・・・メインとサブ合わなくね?と、思うじゃん?残念でした。

 

「まぁ・・・とりあえず上がりなよ。面倒抜きでさ」

「んじゃ、お邪魔しまーす」

 

ちなみにカグラはこれでも大人の女性らしく、見た目はヤンキーみたいとか、噂で聞いたのを覚えている

 

まぁ、あくまで噂・・・ね?

 

「さて・・・情報交換・・・しよっか」

「やっぱそれかい。」

 

この交換は・・・明日の朝、三佐さんからの念話が来るまで続いた・・・





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第三話 旅の始まり、テンプルサイド


どうも、最近イベント終わりましたね!と
よなみん/こなみん です!

次のイベントが早くも来るということで絶賛アカツキちゃん育成中です。石が足らねぇ石が

という訳で駄文ですがお読み下さい。


・・・なるほどな

 

「いろいろ変わってるものだなぁ・・・」

「そうだね。」

 

カグラから聞いた情報は二つ。まずは戦闘についてだ

 

戦闘では〈スキル〉がゲームだった時代のようにコマンドで使うものだが・・・問題は戦闘中だ。

 

前衛の人達はいちいちコマンドを開いて使うなんてのは面倒だ。

 

コツはあるらしいが、それも試さないことには確認できない。

 

もうひとつは〈料理〉についてだ

 

どうやらこの世界においては〈料理〉の味がないらしい。

 

それはどうなのか不安だが・・・

 

まぁ、食べることには困らないからいいけど。

 

問題は食材自体だ。もし、現実と同じなら食べれるはず・・・

 

俺は試しにリンゴをかじるが、味はある・・・

 

つまり〈料理〉しなければ味はあることが今は証明された・・・しかし。料理しないことには食材の本来の意味ではないからだ。

 

まぁ、果物で腹は満たせばいいが。

 

「で・・・どうしようか。」

 

俺たちはこれからの計画を練っていた

 

ちなみに俺の屋敷は広く・・・二人で使うにはもったいないものだった。

 

「んー・・・とりあえず五大都市はそれぞれ回りたいけど・・・まぁ、とりあえずアキバとあとはそこ周辺を回りたいかな?」

「・・・おっと。ごめん。お客さんだ」

 

カグラの提案に直ぐに頷きたかったが、お客さんが来たことで俺たちの会話は中断してしまう

 

「・・・誰?」

「知らんよ。ちゃーっす。」

 

俺が元気よく扉を開けると・・・そこには小柄の・・・〈エルフ〉の少女がいた

 

「んぁ?」

「あのー・・・玲音さんですか?」

 

俺は「そうだよ」と、軽く答えると、少女は俺に引っ付いてくる

 

「・・・誰?」

「えーっと・・・私はこの前の〈大規模戦闘(レギオンレイド)〉でお世話になりました如月と申します」

「きーちゃんか」

「そうそうそれですよ!」

 

きーちゃんか・・・確かにそんな子もいたなぁ・・・

 

恐らくこの前の〈大規模戦闘(レイド)〉とは、恐らくダンジョンで偶然皆で遭遇した〈マッドカルーセルゴーレム〉の事だろう。

 

まぁ・・・ああいう・・・モンスターがいるダンジョンだったし、そんな珍しくも無かったが、〈D.D.D〉の初心者育成と言うことでリーゼさんから呼ばれたのでお邪魔しただけだ。

 

あっ。上の話から察すると思うけどこの子は〈D.D.D〉の少女だ。

 

まぁ、だいぶ前に辞めた俺はどうでもよかったけど。

 

それでも、なんか頼られるのは嬉しかったな

 

それで話を戻すけど。

 

「どうしてここに?」

「うー・・・リストからです。」

「あー・・・」

 

俺はそう言うととりあえず部屋へと通す

 

「お、お邪魔します・・・」

「ん?その子は?」

「・・・新入りだよ」

 

そう言うと俺は話を戻す

 

「んで?どこから行くって?」

「あぁ・・・それで周辺の散策ついでにクエストエリアあればこなしていきたいなーなんて」

「・・・なるほど。」

 

確かに、相当レベルの高いやつはそれこそ塔とかの高レベダンジョンに、潜んでる可能性が高い。

 

アキバ周辺なら・・・そんなに強いやつはいねぇだろ・・・

 

「よし、なら行くか。」

「決定かーんじゃ行こうか!」

 

俺たちはそれぞれ支度するが

 

「あ、あの!私もいいですか!?」

「おっけ。来てくれるとありがたいな。」

 

俺の即決の判断に少女は目をぱちくりさせるが、俺は無視

 

正直、初心者だろうと手は欲しい。

 

彼女はレベルこそ低いものの、職業は〈施療神官(クレリック)〉と呼ばれる〈回復系職業〉で、最大の回復力をほこる職業だ。出来れば欲しいからな。

 

俺はアイテム倉庫から最強の装備を引き出して装備する。

 

武器は弓から、〈双剣(ダブルレイピア)〉へと変更する

 

カグラも、刀を紅蓮刀から変更して、二刀流へと変える

 

「よし。行こうか!」

 

俺たちは屋敷を後にし、アキバ周辺の探索へと向かった・・・

 

「双剣は似合わないねぇ?」

「そうかい。そうかい。放っておいて?」

 

・・・だから嫌なんだよ。この職業は。

 

 

 

 

・・・さて、一段落置いたところで街を出発。

 

ちなみにシロエさんたちには連絡済みだ

 

何かあれば合流するように言われたが・・・まぁ、高レベルだから何も無いと思う

 

ほんとに新ダンジョンに籠るならそれこそ力を借りたいが

 

まぁ、〈茶会〉の参謀の言うことだから何かあるんだろうけど

 

「・・・暑い。」

 

突然、カグラがそんな声を漏らす

 

「・・・歩いて数分だぜ?もう少し堪えてくれよ」

「無理、ヤダ」

「わがままかよ。」

 

でた、悪い癖その一だ。言い出したら止まらない

 

カグラにはこのように言い出したら止まらない癖があり、恐らくそれは〈黒剣騎士団〉のメンバーを振り回す原因にもなっているだろう。あぁ、副官の人が哀れに見えてくる。

 

しかし、カグラの言うことも最もで、俺達が歩いた距離はゲームの頃の移動距離とは比べ物にならなかった。

 

つまり、生活から移動距離まで・・・全てがリアルになっているのだ。

 

「・・・目的のテンプルサイドまで時間があるなぁ」

「少し休憩にしませんか?カグラさんが・・・」

 

・・・きーちゃんの言う通り、カグラは既に歩くことを諦め、木の上で一休みしている・・・確かに休憩した方がいいかもしれないが

 

「・・・俺からしたらPKが不安なんだよなあ」

 

そう、こういう低レベルの狩場ではPKの動きが活発なのだ。

 

奴らは低レベル、さらには人数差で勝とうとする卑怯な連中だ。出来れば出会いたくもないし顔も見たくない。

 

いやぁ・・・にしても涼しいなぁ・・・

 

カグラと同じく、木の上に登ってみると、風か吹き、俺の髪は流れる

 

「・・・相変わらず綺麗な髪の毛ね」

「・・・リアルもこんな感じだよ。」

「見てみたいなぁ・・・ボイス・チャットだけじゃつまんない」

「ふむ。俺は会いたいとは思わんよ」

「ケチだなぁ・・・」

 

ちなみにきーちゃんは木に登るのを苦労しているようだ。

 

「・・・みんな・・・変わったよな」

「・・・ゲームじゃないんだ。それは受け入れたい」

 

俺は落ち始める日を見てそう言う

 

これはゲームじゃない。

 

落ちていく日は・・・まるでそのことを訴えるようだった。

 

 

 

 

・・・あれから数分たち、俺たちの体力も回復した

 

「・・・距離は半分以上。どうする?」

「あれを使うか・・・」

 

そう言うと俺たちはアイテムバックから笛を取り出す

 

「ふぇ?、それは・・・」

「ちょっと面白いから見てみ?」

 

そう言うと俺たちは空高くその笛の音を響かせる。俺たちの音は、空からの咆哮によって伝わった事が確認される

 

「お久しぶりー!元気にしてたー!?」

 

俺たちの目の前に降り立った影は、鷲獅子(グリフォン)と呼ばれる幻想種だった。獅子の身体に鷲の頭部と羽、そして前足のある生物だ。

 

カグラが勢いよく、グリフォンに抱きつくが、グリフォンは嫌という行動も見せずただ首を振る

 

・・・まったく。これだとどっちが人間かわかんねぇわ。

 

「・・・これに乗るんですか?」

「うむ。乗るけん」

 

そう言うと俺はグリフォンに乗せてもらう。

 

カグラは既に空を飛んでいる・・・

 

「さて。きーちゃんは後ろに乗ろうか」

「は・・・はい!」

 

と、後ろに乗るじゃろ?空を飛ぶじゃろ?

 

「きゃああああ!」

 

こうなるんだよ。乗り物以上の恐怖だわ

 

 

 

 

・・・何はともあれテンプルサイドへ

 

やれやれ・・・これじゃあ何しに来たか忘れてしまうよ。

 

何はともあれあの人との集合場所に・・・そこには

 

「おっ、レオレオ久しぶり〜」

 

と、俺に抱きついてくる少し身長の低い人と

 

「ちょっとヤエ!いきなり抱きつくのやめてあげてよ!」

「クシだってそうしたいクセに〜」

「こいつー!」

 

俺たちを差し置いてギャーギャー言う二人・・・そこにさらに男の人が一人

 

「いやぁ、すいませんねこんなので」

「いえいえ、この二人のことは理解してたつもりですけど・・・まさかここまで酷くなってるとは」

「ははは・・・とりあえず自己紹介を・・・僕はユウタ、職業は武道家(モンク)です。」

「えーっと・・・玲音です。職業は・・・吟遊詩人(バード)です。」

「お互い大変ですね」

「・・・ですね。」

 

俺たちは今も騒ぐ二人を見ながらそう言った・・・

 

 

 

 

その後は・・・クシさんこと櫛八玉さん、ヤエさんことヤエザクラさんの屋敷に招待されて・・・

 

『ダメです。玲音先輩も復帰してください』

 

・・・三人揃って説教されてます☆

 

「いやいや・・・三佐さんそこは休暇ってことで・・・」

『ダメです玲音先輩はそう言って戻ってきませんから』

「バレてるね〜」

「・・・くそっ。」

 

てかなんでさっきから俺ばっか帰って来てって言われるの?三佐さんの頭はどうなってるんだ。

 

・・・さてさて、茶番は終わり。本題は・・・

 

「山ちゃんは戦闘したんでしょ?」

『そうですね・・・こちらの攻撃が当たれば、ほぼ一撃です』

「まぁ、最大レベルだからあたり前か」

「・・・」

 

そのあと・・・日が暮れるまで説得を受けました。

 

 

 

 

・・・クシさんの屋敷で休憩タイム。

 

・・・クシさんたち女性組はお風呂へ・・・

 

俺とユウタさんはその他の人たちを紹介するためにみんなが集まってる場所へ

 

「先輩っすか・・・」

「いやいや、身体でかいな。ちゃんとダイエットしてる?」

 

ちょいワルそうな守護騎士(ガーディアン)ダルタスくんやスイレンさんや百目くん。そして双子ちゃんがこの場にはいて・・・さらに他の場所にはもっと人がいるのだとか

 

とりあえず、女子の帰りを待つのだが・・・

 

きゃああああ!

 

・・・騒がしいね。

 

「玲音さんはハードゲーマーなんですね」

「あら、ユウタさんだってハードゲーマーでしょ?」

 

お互いのことを話しているうちにわかったこと・・・それは俺達が重度のゲーマーだという事だ。

 

お互い別キャラがいて、さらにそのキャラのレベルはカンストしてるらしい。

 

まったく・・・ハードなことで

 

んでもってここにいる人達の所属ギルドは有名なものが多かった

 

〈グランディール〉や〈D.D.D〉の名前が上がるが・・・

 

「関係ない。俺は俺の意志を貫く」

「ギルドに入らないなら・・・それもまた必要ですもんね」

「あぁ」

 

女子陣が風呂から上がると・・・一番初めに突撃してきたのは意外にもクシさんだった

 

「うわぁぁん!ヤエがいじめてくるぅ!」

「クシさん!服服!誰か助けて!」

「クシさん!?玲音は私のだからぁ!」

 

・・・クシさんって意外に胸あるんだな

 

 

 





いや、カナミさん可愛いね。コッペリアちゃんもなかなか可愛い。何回かこれだけでヌいた記憶が。

・・・水着17の濡羽様ほすい。

それではお読み頂きありがとうございました!
また、お気に入り登録よろしくお願いします!


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第四話 闇への誘い

どうも、新イベ来ますよと
よなみん/こなみんです!

この間のはガチったんで今回は報酬が貰える程度には様子見していきます。
それではお読み下さい。


・・・あれからカグラたちとは別行動し、俺はテンプルサイドから五大都市の一つ、ミナミへ移動しようとしていた

 

―ミナミ―・・・と言われて正直いい気はしない。何故なら・・・

 

「・・・着いた。」

 

ミナミへ着く。しかし、そこもアキバの街と同じく治安は荒れていた

 

・・・呻く声やら悲しい声・・・

 

・・・見てられないな

 

俺はある要件を済ませるために足早に移動するが・・・

 

「何処に行くのですか?“玲音様”」

「っ!」

 

聞き覚えのある声に俺は少し怯えて距離を取ってしまう

 

「もう・・・怖がらなくてもよろしいのに・・・」

 

そこには見た感じ〈大地人〉のような女性が二人立っているだけだが・・・俺は

 

「・・・変装か?お前ららしくないな」

「・・・玲音様にはわかってしまうんですね・・・流石“口伝”の初期成功者ですわ。」

「・・・」

 

目の前の女性たちは変装を解く・・・そこには

 

黒い服を纏った妖艶な女性と、メイド服の・・・黒いオーラを放つ女性がいた

 

「流石は〈茶会〉の右腕ですね」

「・・・うぜぇ」

 

メイド服の女性はインティクス。彼女も元〈茶会〉のメンバーだ。

 

もう片方は濡羽さんと言う・・・〈付与術師(エンチャンター)〉の方だ。

 

・・・何故この二人が?その理由は簡単だった

 

「唐突に言いますが・・・玲音様?私たちと共に来ませんか?」

「〈Piant hwyaden(プラント・フロウデン)〉のメンバーもあなたなら気に入ってくれますよ」

「・・・」

 

俺は沈黙を貫く

 

もはや知らない人がいない上に正体不明のギルド〈Piant hwyaden〉・・・それを仕切るのが妖艶な彼女“西の納言”こと濡羽とその補助のインティクスだ。

 

俺も何回かこの二人とはあっている以上に、フレンド登録されている人達・・・

 

しかもインティクスとは〈茶会〉の時から仲が良く、前後衛を組んだ時には高レベルモンスターだろうがねじ伏せたコンビだ・・・だが

 

今の彼女は何か違う。それこそ・・・生きている感じのない・・・

 

「玲音様はそれに新たな“口伝”の練習をしておられるのでしょう?」

「・・・」

 

俺が沈黙を貫いていると呆れたかのようにインティクスが隣まで来る

 

「また昔のように、私と組みませんか?そうすればこの世界で最強になれるのですよ?いい条件でしょう?」

「・・・」

 

俺は考え考え・・・そして出した答えが・・・

 

「断る。」

 

その一言だった

 

しかし、その一言は彼女たちには重たかったらしく、俺以上のダメージが彼女たちを襲う

 

「どうしてですか?そんなにあの男(シロエ)がいいんですか?」

「・・・誰もシロさんのことは言ってないでしょ」

「・・・」

 

・・・新たな沈黙・・・しかし、それを破ったのは濡羽さんだった

 

「・・・私たちは新たな魔法、技術の研究中でして・・・それに貴方様の力が必要なのです」

「・・・俺とあなたは関係のないはずです。いきなり来いと言われても困ります」

「・・・いいえ。私は貴方を知っていますよ?それこそ〈茶会〉のメンバーでもっとも強い人なんですから」

「・・・〈彼女〉だって強いですよ。他のみんなも・・・シロさんも・・・」

「いえいえ、私が欲しいのは力ではありません」

 

そう言うといつの間に移動したのか、濡羽さんは俺の腕を豊満な胸で包み込み

 

「この、腕です」

 

柔らかい・・・惹き込まれる声で俺に語りかけてくる・・・まるで夢の中にでもいるよう・・・に

 

しかし、俺は生来女性にはあまりと言っていいほど興味が無い。そんなまやかしは俺には通用しない

 

俺は彼女を振り払うと再び距離を取る

 

「・・・警戒しなくていいんですよ?私たちは荷物(マジック・バック)を持っておりません」

「・・・」

「このまま私たちに溺れていいんですよ?」

「やだね。」

 

俺はそう言うと言葉を続ける

 

「魔法?技術?んなもんどうだっていいんだよ。俺達が今気にする事はこの世界の事だろうが。そんなクソみたいなことには付き合いたくないんだよ。」

「・・・クソみたい・・・ですか。そうかもしれないですが・・・場合によっては帰る方法も見つかるかもしれないですよ?」

「それは“結果”ではないだろ?“予測”だ。例え試した人が帰れたとしてそれを誰が信じる?そして帰れた人はそいつらに伝えるか?人間ってのはそんなものだ。だから統一する必要がある。俺達が今やることは団結だ。帰る方法を見つけるんじゃない!」

「・・・団結・・・ですか。」

「あぁ、個人とかで帰るんじゃない、みんなで一緒に帰るんだ。」

 

俺のその言葉にインティクスは黙り込み、濡羽さんは落ち込む・・・やべっ。言いすぎたか?

 

・・・少しの沈黙のあと、切り出したのはインティクスだった

 

「いいでしょう。()()保留にします、ですが、必ず迎えに行きますからね・・・」

 

そう言うとインティクスは俺の頬にキスをして、去っていく・・・濡羽さんは俺を軽く抱いた後に消える・・・

 

その間俺は・・・なにかに縛られたかのように動けなかった・・・

 

それは恐らく彼女の拘束系の魔法なのだろう・・・

 

「・・・なんなんだよ。」

 

・・・俺は魔法が解けると・・・その場で頭を抱えた・・・

 

 

 

 

場所を変え、俺は再びアキバへと帰還しようとするが・・・

 

「・・・ん?リーゼさん?」

 

俺は偶然、〈D.D.D〉の訓練に遭遇、ちょうど指揮をしてるリーゼさんを発見する

 

「リーゼさん?」

「!?玲音先輩!?お、お、お久しぶりでひゅっ!」

「・・・ふぁっ。」

 

俺が彼女に声をかけ、寄るだけで彼女は顔を赤くし、さらには言葉を噛んでしまう

 

「・・・ごほんごほん」

「ウケる(白目)」

 

〈D.D.D〉に属している人もいない人も知ってる人は彼女のことを知っているのだが・・・このような一面は知らないだろう

 

「・・・すいません。取り乱してしまいました」

「うん。落ち着くのが一番だよ」

 

とりあえず彼女を落ち着かせ、話をしよう

 

「今は何を?」

「見ての通り訓練です。アキバの街の状況が悪い中で・・・少しでも気を紛らわすことが出来たらな・・・って」

「・・・そう。」

 

ここ何日、数週間たったかは数えてないから知らないけど・・・それでも状況が変わらないってことは相当この件は深刻だと言える・・・

 

しかし、だからと言って

 

「この世界で生きるのを諦める訳では無いし、世界を出るのを諦めてる訳じゃない。」

 

俺達が出した結論。それはこの世界をみんなで出ることだ。

 

それは誰もが望むだろうし・・・みんなで達成する目標である。

 

だから・・・

 

「いつか〈D.D.D〉にも協力してもらうかも・・・その時はよろしくね?」

「もちろんです!先輩のためなら!」

 

あれぇ!?おかしいなぁ・・・歳は向こうの方が歳上なのになぁ。

 

「そこまでかしこまらなくても・・・」

「いえいえ!先輩のためなんです!隊長(ミロード)もきっと参加してくれます!」

「だといいけど。」

 

まぁ、協力してくれるならいいか。

 

そう言うと俺は〈D.D.D〉の訓練を少し見たあと・・・アキバの街へと帰還した・・・

 

「ただいま。俺のホームタウン。」

 

 

 

 

あの後、シロさんたちと合流を果たした

 

その時はどうやらシロさんたち二人だけではなく、ちっこい子が一人

 

「アカツキだ。主君の忍びとなった」

「・・・へー(白目」

 

忍び・・・ねぇ。

 

女の子は忍びじゃなくてくのいちじゃない?って突っ込もうとしたけどそこは触れてはならないのだろう。

 

・・・さて、この人たちと一狩りに行こう。

 

 

 

 

・・・さて、場面は変わり、プロローグの続き

 

「いやぁ、大量だな!」

「ですねー・・・余分に多く素材が取れましたけど」

「しかし、これだけ取れただけでもありがたいな」

 

俺たち三人で話していると、突然シロエさんの顔がおかしくなる

 

少し難しい顔に・・・

 

と、それと同時に光が森の中から見えた

 

「!直継!多分PK!フォーメーションはいつも通りでっ!」

「了解!レオレオ!行くぜ!」

「はいはい。」

 

そう言うと直継さんは前に、俺はシロさんの周辺に移動し陣形を整える

 

「・・・でた。ごっついおっさん達の集団だ」

 

そう言うと俺は速攻で演奏を開始する

 

―風纏う乙女のロンド―

 

対象の至近範囲外からの攻撃を軽減するこの曲はPK戦だけでなく幅広く使われるが効果が発動するのは一度のみ。

 

なのでこれは先手としてかけておく必要がある。

 

「へん、荷物だけ置いてけば命は盗らないぜ?」

「へん。PKが何を言うんだ」

 

・・・全くその通りだ。PKは最後まで命も刈り取るだろうが

 

「・・・僕は降参してもいいけど・・・」

 

シロさんが少し控えめな答えを出すが・・・

 

・・・PKの顔を見ると笑ってる・・・気持ち悪いなぁ・・・

 

こいつらはただの悪人なのだ。俺や直継さんが嫌いなのは知ってるし、アカツキさんだって嫌いなはずだ・・・だから

 

「でも、降参するのはもっと好きじゃない。」

「おけおけ。やろうか。」

「ちっ・・・なら前衛(アタッカー)!攻撃開始!」

「おらっ!来やがれ!」

 

その声を合図に武士のような攻撃職が直継さん向け攻撃を開始する

 

「行くぜっ!アンカーハウルっ!」

 

直継さんが詠唱すると敵のヘイトが直継さんに向く、そうすることで後衛の俺たちのヘイトが少しでも減るのだが

 

〈エレクトリカル・ファズ〉

 

シロエさんの杖から放たれたバチバチと放電する雷の玉を敵の集団へとぶつける

 

「なんだ!お前〈付与術師(エンチャンター)〉か?―何だこのちっぽけな呪文ーっ!」

 

と、馬鹿にしたのがあかんのよ。

 

〈猛攻のプレリュード〉

 

進撃を予感させるこの音色は〈風纏う乙女のロンド〉の後に続けて詠唱していたものだ。あの時間で二回詠唱。二回分の攻撃強化がシロさんにかかったのだ

 

もちろん効果があるのはシロさんだけじゃない。

 

「くそっ!この〈守護騎士(ガーディアン)〉にも効果が!」

「へっ!俺たちのコンビは最強なんだよ!」

 

この曲の効果は全体に行き届く・・・だからだ。

 

相手もこの効果を知らない。そして〈付与術師(エンチャンター)〉も、もちろん。全ての職業と組める・・・〈吟遊詩人(バード)〉は万能の職業なのだ。

 

そして地味。味方の補助なら〈付与術師(エンチャンター)〉の方が上だし、武器攻撃職だからとはいえ、他の職業の方が強い。

 

だから〈吟遊詩人(バード)〉は人が少ないのだ・・・

 

「くそっ!なら先にあの〈吟遊詩人(バード)〉をやっちまえ!」

 

ちっ。やっぱりそうなるか。PK戦はこれだから嫌いなんだよ

 

俺はシロさんから離れ、陣的には中衛に移動する

 

「あいつは俺が倒す!行くぜっ!〈シールドスウィング〉!」

「ちっ。」

 

PKの〈守護騎士(ガーディアン)〉の盾が迫ると同時に、俺は双剣をその〈守護騎士(ガーディアン)〉の腹に当てる

 

〈レイザーエッジ〉

 

決して威力は高くないものの、当てた部位を弱点として扱うまさに相手を丸裸にする技。

 

しかし、同時に俺にも攻撃が当たるわけで、俺の体力も減っていく・・・が。

 

「おい!こいつら回復してくぞ!」

「へへっ!まだまだ行くぜ!」

 

直継さん、俺の体力が回復していくと、リーダーを初め、PKたちは動揺を見せる

 

同時詠唱していた〈慈母のアンセム〉の効果がようやく出てきた

 

〈慈母のアンセム〉は全体を回復するが、逆に自分のヘイトも増えていく、歌である・・・ちっ。ほら来た

 

まぁ、こっちは強いからいいけど・・・

 

と、近づいてくるPKに変化が。

 

「っ!なんだこれは!」

 

〈ソーンバインド・ホステージ〉それはシロさんの使う設置型攻撃呪文だ

 

単体射出型の呪文や範囲型のものとは違い起動が複雑の魔法なのだが・・・流石シロさん、最高に早いな

 

と、感心してるのもつかの間・・・相手の回復の方がだいぶ早い・・・つまり

 

「・・・回復役(ヒーラー)がいるな」

 

それは理解してた・・・けど

 

「なんだ!?どうした回復役(ヒーラー)!回復が追いついてねぇぞ!」

「・・・そっちさんのヒーラーがうごいてるかなっ!?」

「ちっ・・・なら総力戦だ!潰してやれっ!」

 

やっぱりそうするよね。・・・でも

 

「残念だな。自分たちのことも理解してないんだから」

「んなっ!?」

 

後ろからの援護がないことに野盗のリーダーは動揺する。

 

その間に、俺たちは他のやつの体力を減らす

 

「くそっ!なんでこんなヤツらに!」

「敗因は貴様が馬鹿だという事だ」

 

野盗のリーダーに慈悲のない声が当たる。その声は俺たちとは違う。女の子の声だった

 

「・・・おお。」

「ふん。主君とそこの帽子のお陰で気付かれずにこいつらを始末できた」

 

そう言ってアカツキさんは森から現れ、野盗のヒーラーたちを引きずり出してくる、うわぁ・・・力がすごいなぁ

 

「・・・?寝てる?」

「いやぁ・・・あははは」

 

おそらく寝てるのはシロさんの魔法なんだけど・・・何かは知らない。やべえ、〈付与術師(エンチャンター)〉のレベル最大にしとくんだった。

 

と、後悔してると、野盗のリーダー向け、アカツキさんの刃が首に

 

「どうせ殺したってすぐ復活だ!怖くない!」

 

・・・そう言われた数分後・・・そこには血しぶきが舞った・・・

 

・・・これだからPKは嫌いなんだよ。

 

 




ヒロイン決まったわ。インティクスかな。
もしくはゲームオリジナルのキャラから何人か出そうかな。

てことでお読み頂きありがとうございました!
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第五話 鴉と黒と先生と

どうも。更新遅くなり申し訳ございませんと
小南 桐絵です。

ログホラのイベント終わって結果は中級の19位でした・・・٩(°̀ᗝ°́)و危ねぇ。
無事、GR武器と、URアクセ、さらに特攻のガチャを終わる直前に回して出てきたGR 水着ミカカゲとLR
水着ルックを大事にしていきたいですね。(本音はおっぱいあるGR 水着リリアナがよかったし、UR 水着ヒバリも欲しかった。)

グダグダ言っててもしょうがないのでイベントのチャットで話してた男達のイベントも期待して待とう。

それではお読み下さい。


PK襲撃の次の日。俺はアキバの街をふらつく・・・すると

 

街の中で身に覚えのある人を見る・・・あれは?

 

「あっ!レオレオー!」

「・・・うわぁ。」

 

叫びながらこちらに来る人とは、ちょっと前に見たヤエさんことヤエザクラさんと、クシさんこと櫛八玉さんだ。

 

「どうしてここに?」

「んー・・・お財布取りに来た」

「答えが簡潔すぎて話が見えてこないよ」

 

と、俺がヤエさんをおんぶする形に・・・あのー恥じらいはないんですか?

 

・・・と、こうしてる間にクシさんとも距離が縮まる

 

「もう・・・ヤエはぁぁっ・・・」

「いや・・・大丈夫ですよクシさん。どうせ僕は暇なんで。」

「それでもなぁ・・・」

「会館あたりですか?ほいじゃあ行きますか」

「おー!レオレオ行っけー!」

 

そう言い、ヤエさんは俺の背中を叩く・・・痛ったいなぁ

 

クシさんは慌てて・・・まったく・・・大丈夫なんですかこれ。

 

 

 

 

・・・ホールに来てみれば・・・見知った顔が二つ。

 

うわぁ・・・関わりたくねぇ

 

「とりあえず受付行こーか」

「そうですね。」

 

とりあえず俺はヤエさんを連れ、受付の人と手続きをするが・・・クシさんは

 

「よう“突貫”遅かったじゃねぇか」

「こんばんは、お久しぶりですね、櫛八玉さん。そして・・・玲音さん」

「あぁ?あぁ、あいつか・・・」

 

やっべ、名前呼ばれちまった

 

まぁ・・・口調は対象的の二人だが・・・まさか。

 

どうやら彼らの目的はクシさんらしい。決して俺ではない(迫真

 

「うわ、なんで夜中にアキバの廃人が二人もいるんだ?悪巧み中だったらこっちは早めに退散するからさ」

 

クシさんは天然なのか。新鮮なのか・・・全く状況を理解してない様子。

 

(クシ大丈夫かなぁ?)

(大丈夫でしょ。しばらくほっておきます。)

 

と、ヤエさんと会話を交わすと、火花が俺にも

 

「そっちもだ。まったく、てめえをどれだけ探したか」

「うぐっ。」

 

そう言えばあの馬鹿廃人は俺が欲しかったんだっけか、やらかしたかも

 

てか、この状況はどう考えてもクシさんに会うために来たんだよなぁ。

 

「テメェ言うなド廃人。噂の“突貫”が急にアキバに帰ってきたんだ。どんなツラしてんのか見に来たんだよ」

「そうですね。この事態がなくても〈D.D.D〉の〈三羽烏〉の一羽が欠けたというのは、ここ数ヶ月で大きな話題になってましたからね。この二日間、どのプレイヤータウンにも足を運んだ痕跡のなかったその当事者が現れたわけですからね私としても放っておくわけにはいきません。まぁ、そろそろ主な戦闘系ギルド間の情報交換の場が欲しいという思惑もありますか。」

 

俺たちは窓口の〈大地人〉の方と話しながら聞き耳を立てる。

 

(まぁ、そうなるよねぇ。クシが〈D.D.D〉を抜けたってことや、引退かもって言う話なんかは、特に戦闘系の間で話題になるよねぇ)

(それ以前に引退なんて誰かに言いふらしたでしょ?誰かが。てことは情報通がいるってことにあの人は気づいてないんですよねぇ)

 

それに今の〈D.D.D〉の状況を聞きたいんだろうな・・・

 

「噂?話題?それはなんだ?なんか二人共待ち伏せしてたみたいな言い方に聞こえるけど・・・私が何かしたか?」

「お前・・・お前がどれだけ日本サーバーで名の知れた人物か知ってた方がいいと思うぞ?なぁ“黒剣もドン引き”」

「そうですね。特に戦闘系ギルドに所属するプレイヤーであれば〈D.D.D〉の元とはいえ副長と言えば知らぬ者はいません。」

 

まぁ、そうなるだろうな。クシさんの引退はちなみに三佐さんから聞いたけど・・・寂しそうでした。

 

「それに一線で活躍しているギルドの主要プレイヤーにも多くの知り合いを持ち、なおかつどのギルドにも属してないと言うのは注目を集めるにも十分すぎる理由だと思いますよ。かの“黒剣”にこうまで言わしめる人も、そうはいないでしょう。」

 

先生。話が長いですよ。ほら、クシさんも眠たそうに・・・呆れてきてるから。

 

二人は笑うけど・・・なんだ。あいつら人間じゃねぇぞ。

 

「まぁ、それは玲音さんも同じです。まさか〈D.D.D〉最強の戦士が抜けるとは思ってもいませんでしたよ。あれほど武勇伝を作りながら・・・ね?」

「そうだな。ソロになっても十分すぎるほどに伝説を打ち立てようとするてめえを俺たちは欲しいんだよ」

 

・・・伝説?そんなに素晴らしいことしたか?

 

「とぼけんな。あんだけ前線引っ張ってモンスターに突っ込むくせに。」

「・・・」

 

ちなみに〈D.D.D〉最強の戦士は僅かな差だがリーダーであるクラスティが俺より強い。それはダントツだ。

 

「それに初心者、上級者問わずレベル上げを手伝ったあなたはハーレムギルドの“西風の旅団”にも僅かだが影のファンクラブを作らせるという噂もありますからね。」

「・・・え?初耳なんですが。」

「ええ。あなたは知らなくて当然ですよ。世の男たちは嫉妬の塊ですからね」

 

・・・そこまで知られてたのか。若干気持ち悪く感じるなぁ。

 

「まぁ、それはそうとしてよ、お前ら〈D.D.D〉と仲違いしたならうちに来ねぇか?お前達ならうちのメンバーも文句はねえだろうしよ、うちに来りゃあ少なくとも“黒剣もドン引き”なんて二つ名だけは無くなるんじゃねぇか?」

「アイザックさん、抜け駆けはずるいですよ。そう来るのでしたら私も黙ってられません。どうです?こんな状況ですし私共〈ホネスティ〉に加入してみませんか?〈西風の旅団〉には及びませんが、他の戦闘系ギルドに比べれば女性プレイヤーの数も多いですし、〈黒剣騎士団〉はほとんど男性のむさい所帯です。クシさんとしても同性の仲間が多い方が何とかなりやすいのではないでしょうか。」

 

・・・この話からわかること。それはアキバの街の状況だ。

 

二人がこの話を出すとなると、事態は思ったより酷いものらしい。・・・と、その時、ギルド会館の扉がばーんと開く

 

「アイザックさん、アインスさん。失礼なことを言わないでください。先輩たちは〈D.D.D〉と仲違いして脱退したわけじゃありません。ちょっととち狂っていつもの家出をしているだけです。変な勧誘や引き抜きはお願いします。」

 

・・・その声は二人とは違い冷静な、そしてどこか懐かしさを感じさせる声だった

 

その姿は紺を基調とした軍服を纏った顔馴染みの女性。まったく・・・この人に会うのは因縁なのかな?

 

そこには〈D.D.D〉“オルガンを弾くプートキャンプ”こと、高山三佐さんの登場である。

 

「うわでた山ちゃん」

「おっと・・・〈D.D.D〉鋼鉄の女のお出ましか。陰険サドメガネは顔出さねえのか?」

「誰が鋼鉄の女ですか。あと、うわでた、とか失礼すぎます先輩。あと、隊長(ミロード)は別件で出席出来ないために私が来ました」

 

さて、この会場のカオス度も上がって参りました。どうなるのか見ものですねぇ。

 

「引き抜きとか言うけどよ、〈D.D.D〉だって〈ホネスティ〉だってよ、幾つかの中小ギルドを取り込んだった話じゃねぇか。」

「私たちはゲームの時代よりの方針を変えている訳ではありません。ギルドの吸収も先方の意見を受けただけですので」

「それは私たちもそうですね。それにこの状況でギルド要員が増える方がむしろ混乱を招くと考えています。」

「つまんねぇ理由で群れやがって」

 

やれやれ、クシさんと絡むといいことしかないなぁ。

 

彼女を囲む戦闘系ギルドの面々が睨み合いを続けるが・・・俺は

 

「はいはいはいはいはい。そこまでかな。」

 

間に入る。とりあえずこの状況は嫌いなんでね。とりあえず間に入って落ち着かせてしんぜよう。

 

「とりあえずさ、みんなで睨み合うのは嫌いなのよ。俺。」

「いや、今はそういう問題じゃなくてなぁ」

「言ってることとやってる事が矛盾してるってわからない?つまんねえ理由でとかさぁ、お前の方がつまんないよなぁ。アインス先生も、クシさん入れたら余計に混乱するかもですよ?纏まらなくなったらどうするんですか。」

「・・・ですが」

「ですが、じゃなくて。今この状況を気にするぐらいならー自分のことをどうにかした方がいいんじゃないんですか」

 

・・・俺が雷のようにはなった一言はこの会館に少なくとも、小さい衝撃を与えた。

 

「すまねぇ・・・ちょっと焦ってたわ」

「私もですね。すいませんでした。」

 

二人は冷静に。しかし先生は

 

「玲音さん。今は団結では無いんですよ。今は・・・」

「(睨)」

 

・・・お互い睨み合い、先に均衡を破ったのは先生だった

 

「どうやら今は意見が一致しませんね。また次回の機会に期待します」

 

そう言うと、先生は去っていく・・・

 

俺はただ、その背中たちを見守ることしか出来なかった。

 

 

 

 

苦しいいざこざを抑えた少年は、何故かその場に横になった

 

「玲音?大丈夫!?」

 

と、私が駆け寄ると・・・

 

「ブツブツ・・・どうしてこうなるんだ・・・いっつも大体こうなるのは分かってたけど睨みつけるはないじゃないのかねぇ・・・え?だってわかってたよ?優しい人ほど怒らせんなってのはさぁ。でもしょうがないじゃん。だってこの空気嫌いだし楽しくわーわーやりたいしさぁ・・・ブツブツ・・・」

 

うわぁ、絶対関わりたくないなぁ

 

「・・・とりあえず取られないだけマシと考えましょう。それで・・・先輩方はどうするつもりですか?」

「んー・・・保留かな。私はまだやり残してることあるし」

「・・・そうですか。」

 

そう言うと山ちゃんは玲音の所へ・・・まさか?

 

「玲音先輩ーこっちにあなたの三佐がいますよー」

「・・・ミサミサ変わったねぇ」

 

いや、変わったというかあれは完全に乙女のセリフだ。お風呂やらお布団やら言ってた山ちゃんがまさかここまで変態だとは。

 

「んぁ?あぁ・・・三佐さん。お久しぶりでひゅ。」

「ええ。早速ですが「断る。」・・・せめて最後まで言わせてください」

「答えは何を聞かれてもNOです。俺にもやる事があるんですから。」

 

そう言うと玲音くんは立ち上がり、会館を後にする・・・

 

「やっぱりレオレオは悩み頃だねー」

「そうだねぇ・・・あれは後で苦労するぞ?」

 

そう言うと私たちはこのぎこちない空気でやることをテキパキとこなしていった。

 

 

 

 

 

 

 




次のガチャのTRGだったかPRGガチャのLR カイトが欲しいなぁ。
撫子さんは持ってるんだよ。てか今は本音を言ってカイトよりLRのコッペリアが欲しい。あれってプレミアムで出るのかなぁ?誰か教えて。(><)

レオナルドもいいなぁ・・・あっ。前衛いないから前衛キャラ欲しいなぁ。

今のチームはこんな感じかな
前衛 無し
中衛 作者(プレイヤーキャラ)ビルドは上級の大司教〈アークビジョップ〉
浴衣17 UR アカツキ
LR 覚醒 シルヴィア

後衛 UR 覚醒 桜花 櫛八玉
GR 海水浴18 ミカカゲ

ですかね。ちなみにミカカゲに関してはランクは60
櫛八玉とアカツキに関してはランクは80です。
(覚醒素材がないんじゃあ)

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第六話 目指せ!大陸の果て!

どうも。更新遅くなりすみませんでした
小南 桐絵です。

本当ならイベント終わってからにしたかったのですがよく良く考えればイベントなんてものには参加してませんでした^_^

という訳でインティクス可愛いよインちゃん。
あっ!もちろんロエさんも可愛いんだからね!
それではお読み下さい!


突然ですが場面は変わり・・・ススキノの街

 

「ううっ・・・どうしてこうなるかなぁ・・・」

 

少し古い感じの家には高校生・・・もしくはそれ以下にも思える歳の少女が部屋をテキパキと掃除しながら思い悩んでいた

 

彼女の名はセララ。この話のヒロインでもある。

 

「・・・どうしてこんな目立たない職業を選んだのかなぁ・・・」

 

部屋のホコリを掃除して、磨いて、あらゆる家事をこなす少女は〈家政婦〉のサブ職業を習得していた

 

〈家政婦〉はゾーン内の清掃や、小物の管理、さらには様々な消耗品などの管理をこなしてくれる職業だ。

 

しかし、〈エルダー・テイル〉においてメイン職業は変更出来ないものの、サブ職業は経験値がゼロになるデメリットさえ飲み込めば変更出来るものだ。

 

セララのメイン職業は〈森呪遣い(ドルイド)〉で回復職の一つだ。

 

セララ自身は商人のまねごとが出来たら、と思い。ゲームを始めた

 

実際、そう思いゲームを始めるものも多い、そういう者は大体サブ職業を〈会計士(かいけいし)〉や〈交易商人〉をサブ職業にするのが定番である。

 

また、話は変わるが、アキバ最大の生産ギルドの一つ、〈海洋機構〉や、〈第6商店街〉がそれにあたるのかもしれない。

 

それだけ、商人プレイをする人達も多いということだ。

 

しかし、彼女が〈家政婦〉を選んだのは消去法的なものである。

 

「ううう〜・・・こんなことなら生産職にすれば良かったかなぁ・・・〈裁縫師〉とか〈細工師〉とかぁ・・・」

 

彼女は考えながらも、テーブルをから拭きし始める。

 

そうしている間にも・・・彼女の〈家政婦〉としての経験値は溜まっていく・・・

 

「うう・・・引きこもり生活してて技能カンストは勘弁して欲しいなぁ・・・それはいくらなんでも切ないよぉ〜。・・・なんちゃってっ!なんちゃってっ!猫の旦那様迎えて家を整える乙女だったりしちゃってこんちきしょーぅ!」

 

と、照れくさくなってせっせと家事をこなす少女・・・

 

まぁ、時間潰しにしては迷惑をかけないし・・・客観的に見れば平和な光景である。

 

 

 

 

・・・で、セララの話をした後で話はだいぶ前に遡る。

 

時間はセララがせっせせっせと家事をこなす数時間前に遡る。

 

「・・・セララの救出ですか?」

『うん。玲音も何回か会ったことあるんだよね?』

「・・・それなりにね。」

 

俺はススキノに〈鷲獅子(グリフォン)〉で移動してる時にそんな話をシロさんから聞いた

 

『僕達はマリ姉に変わって作戦行動中なんだ。メンバーはこの前の』

「・・・三人で?危険すぎませんか?」

『大丈夫だよ。高レベのモンスターは出ないし。それにPKだってバカじゃないと思う』

「・・・」

 

俺はその言葉を聞いて、一度ため息をつく。

 

シロさんがここまでやり通す人間なのは知っていたが、少し強引すぎないか?

 

なんて言うか・・・少し怖い。

 

「・・・それで?なんで俺に?」

『玲音はススキノに用があっていくんでしょ?』

「・・・」

 

と、何も返す言葉がありません。

 

「・・・バレた?これから錬金術系のクエストに行くんだけど。」

『玲音は錬金術師じゃないし・・・他の人かな?』

「肯定。」

 

と、俺は一度地上に降りる。

 

理由は簡単。そこに人がいたから。

 

「むー・・・遅いわよ馬鹿。」

「はいはい。ごめんなさいねー」

 

そこには高校生ぐらいの無邪気な笑顔の少女。“桃色の小さな巨人”ピンキーが仁王立ちで激おこプンプン丸になってました。

 

「さぁ。大錬金の手がかり探しに行こうぜ?」

「腑に落ちないけど仕方ないわね。急いでススキノに行くわよ」

「アレーオカシーナーカンシャノコトバガナイナー(棒)」

「何よ。文句あるの?」

「ナンデモナイデスハイ。」

 

俺は彼女をグリフォンの背中に乗せると・・・背中に・・・

 

「ん?」

「う、後ろ見ないで。馬鹿。」

「ハーイ。」

 

と、俺の声を合図に、グリフォンは飛び立ちススキノへと向かい始めた。

 

 

 

 

場面を転々と変えて、俺はススキノへと来たが・・・

 

うへぇ。シロさんから聞いた通りの治安の悪さだな。

 

前に一度〈シルバーソード〉との話し合いの時に来た時とは治安がだいぶ違う。まるで戦争したかのように変わっていた

 

「・・・嫌なところね。ほんとに手がかりなんてのはあるのかしら?」

「噂で聞いただけだからなぁ・・・まったくの嘘の可能性もある。」

「むー・・・そこはしっかり聞きなさいよ」

 

そう言いながらも、俺たちは街へと足を踏み入れる。

 

足を踏み入れた瞬間だが、俺たちの背に冷たい風が走った。

 

・・・もしかしたら〈エッゾ帝国〉の気温の影響もあるだろうが・・・そんな甘いものでは無い

 

「玲音。気持ち悪いよ・・・なんか・・・」

「・・・まるで動物みたいだな。」

 

そう言うと俺は彼女の手を取り、街を歩き回るが・・・

 

「・・・へっ」

「っ!」

 

突然謎の声が俺の耳に入り、俺は反射的に声のした方を向いてしまう・・・そこには

 

「可愛い獲物じゃねえか。こっちによこせよ」

 

ごっつい筋肉と腕に爪を背負った知った顔がいた。

 

「・・・デミクァス。」

 

 

 

 

「・・・おかしいな」

「どうしたのだ?主君」

 

私はアカツキ。主君シロエの忍だ。

 

今は〈三日月同盟〉の依頼を受けてセララと呼ばれる少女の救出のためにススキノまで来たのだが・・・

 

「いや・・・ちょっとね・・・」

 

と、何度もフレンド・リストを確認する主君・・・まさか

 

「帽子との連絡が取れないのか?」

「・・・そのまさかだね」

 

と、主君は少し難しい顔をする

 

聞いた話だとあの帽子は主君と同じところのギルドだとか。

 

さらにこの前のPKとの戦いであの帽子は只者ではないことが分かってはいたが・・・

 

それ以外には特には変化のないただの馬鹿なのだ。あの後も私を子供扱いするし。

 

それでも・・・

 

「やられたのか?」

「かもしれないし・・・ただ連絡が取れないだけかもしれない」

「追っかけ回されてるのか」

「そうなったらこっちも急がないとね」

 

主君はそう言うと鷲獅子(グリフォン)の動き急がせる

 

「急ごう。玲音達まで救出させたくはないしね」

「あぁ、これ以上増えるのはゴメンだ」

 

私は主君のマントを強く掴み、私たちはススキノへと急いだ。

 

 

 

 

・・・まだ撒けないか。

 

俺とピンキーはピンチに立たされていた。それこそ二人の運命を左右する感じで。

 

俺たちはススキノに拠点を構えてる悪党系のギルド〈ブリガンティア〉に目をつけられたのだ

 

彼らの噂は耳に入っている。

 

〈大地人〉〈冒険者〉問わずの奴隷扱いをしているとかよからぬ噂しか入ってこない。

 

・・・彼らに追いかけ回され・・・少なくとも数分はたったであろう。

 

「もう!なんでしつこいのよ!」

 

この街には〈衛兵〉がいるから・・・恐らく攻撃は出来ないはず。だとすれば人数での拘束かな

 

そうすれば隣のピンキーは人として酷い目にあう

 

それだけは・・・阻止してあげたい

 

と、考えていると背中を誰かに叩かれる

 

「っ!」

 

俺が叩かれた方を見ると

 

「ばぁ!にゃあ」

「・・・お師匠?」

 

そこには〈茶会〉の〈御隠居〉にゃん太さんが笑顔で立っていた

 

「お久しぶりですにゃあ〜」

「こいつ知り合い?」

「・・・あぁ。」

 

 

 

 

場所を変え、にゃん太さんの潜伏先の家へ籠る

 

「セララさん~ただいまにゃ~」

 

と、聞き覚えのある名をにゃん太さんは呼ぶ・・・ん?

 

「あっ!にゃん太さん!おかえりなさい!・・・?その人達は・・・」

「大丈夫ですにゃ。特にレオレオは思春期真っ盛りの男子ですにゃあ~」

「・・・玲音と言います。セララさんの救出に伺ったんですが・・・そのセララさんですか?」

「はい!〈三日月同盟〉のセララです!よろしくお願いします!」

 

と、俺に元気にお辞儀してくる少女は・・・どこか可愛さを・・・

 

「変なこと考えてない?」

「何も考えておりません。」

 

ふむ。ピンキーさんはお怒りの様子で

 

「それで師匠が何故ここに?」

「どうもこうもその場にいたからですにゃあ〜」

 

・・・だめだ。この人の独特の雰囲気には俺はついていけない。

 

・・・それに・・・

 

セララという子は初めてそんなに。って感じかな。

 

この人数では。おそらく〈ブリガンティア〉の襲撃は防げないし、この家がバレるのも時間の問題だろう。

 

向こうは調べてまで探してるみたいだからね。

 

「・・・どうするかにゃあ・・・」

「・・・」

 

と、話してる間にシロさんの念話が入ってくる

 

『玲音。セララたちとは合流できた?』

「・・・どうも見知った顔がいてビビったわ」

『?とりあえず・・・その建物に人が迫ってるってアカツキから連絡があってね。それでその建物から出れる?』

「・・・おっけー。とりあえずそっちの位置さえ教えてくれたらこっちから合流するよ。」

『・・・こっちは街の入り口辺りだね。合流しようか』

「了解。」

 

と、俺は念話を切り

 

「ここに人が来てます。おそらく〈ブリガンティア〉の・・・ここから出る場所は?」

「裏口ですかにゃあ~案内するにゃ」

「で?出てどうするの?」

「・・・それから考える」

 

そう言うと俺たちは裏口へと歩き出した

 

 

 

 

・・・ちょちょちょ!なんで逃げるんですかぁ!

 

にゃん太さんも!悠長に歩いてる場合じゃないですって!

 

と、私が心で騒いでるうちに、白いローブの人達と合流する

 

「って!師匠!?」

「・・・2回目の反応だな。とりあえず急ぎますよ」

 

・・・と、再び歩き出す・・・って!

 

「だ、大丈夫なんですか!?まさか街を」

「出るけど」

「出るけど。じゃないですよ!相手は・・・」

「・・・そう言えば相手のリーダーって誰です?」

「・・・デミクァスですよ。〈エッゾ帝国〉では腕利きのプレイヤーです。」

「オマケに知将のロンダーク付きにゃ。厄介にゃ〜」

 

・・・いやいやいや!にゃん太さんも悠長に説明してないで少しは緊張感を!

 

私がオロオロとする中、私たちの周囲にはいつの間にか人だかりが出来ていた・・・これは

 

「・・・もう付けられてるのか。」

「監視ですね。おそらく外で待ち伏せしてるでしょう。」

「・・・戦闘は避けられませんね」

 

いやいや!だから少しは緊張感を!

 

この人達はなんで笑顔なんですか!どうして少しは躊躇したりしないの!?

 

「・・・デミクァスと戦うしかないですか」

「あぁ、出来れば1VS1かな。出なきゃ俺達が危ないからな。」

「なら吾輩が」

「いや、俺がやります。」

 

え?

 

誰と?あのごっつい人達と!?

 

「・・・ええ。なら玲音に任せます」

「レオレオに任せるにゃ〜」

 

え?え?え?

 

「大丈夫よ。あの馬鹿はそれなりにやる馬鹿だから」

「え?え?え?」

 

言葉が出ない私を差し置いて・・・彼らは街を出ようと・・・歩き続けました・・・

 




セララは初心者の時にお世話になりました。
LRセララは可愛いね。うん。

今回の特攻引いて出たのがインティクスとヒバリさんですからね。これはどうしようもねぇ。

ついでに典災のピンキーが交換出来そうです。あと石が400溜まれば交換出来そうです。( f ‘∀‘ )fヤッタゼ!
取り敢えず溜まり次第交換します。

それではお読み頂きありがとうございました!
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第七話 対決!竜と奏者!


お久しぶりです。夜南 黒姫です。
久しぶりに投稿します。何だかんだ言って小説読むの楽しくて書きたくなっちゃいましたええ。

それではお読みください。
駄文注意です!


・・・さて・・・そろそろ街から出る頃だ。

話をおさらいすると。俺たちはセララの救出に来ている。

そこには〈茶会〉のにゃん太さんが居て、彼の助太刀のもと、俺たちはススキノの街から出ることに

外には〈ブリガンティア〉の群れが・・・全くどうしたことか。

俺は・・・

 

「そろそろ外に出るけど・・・準備は?」

「おっけよ。」

「おっけー。全然平気よ」

「大丈夫ですにゃ~問題ないですにゃ~」

 

と、・・・気づけば街のゾーンの外に出る。

外には既に、ロンダークとデミクァスが陣取っていた

 

「・・・デミクァスさんですね。俺が代表であなたをボコしに来たんですがよろしいですか?」

「はっ。いいぜ?」

 

と、デミクァスさんは部隊をさげ、手甲を構える

先に言っておくが彼のメイン職業は〈武闘家(モンク)〉だ。

武闘家(モンク)〉は戦士職の一つで、防御は高くないものの攻撃力は戦士職最大であり、また特技の〈再使用規制時間(リキャスト・タイム)〉が短い特攻職である。

また、その攻撃にはヘイトの管理や能力低下などもついていることが多いので特に相手したい職では無いんだよなぁ。

さて、そうこう言ううちに俺も武器を構える

武器は“風舞う疾風の双剣”タクトのような細い剣である。

これの追加効果として同時詠唱や、詠唱時間の短縮、さらには移動上昇などがついている〈秘宝級〉アイテムである

 

「行くぜっ!」

 

と、デミクァスの叫びを合図に馬鹿が突撃してくる。

デミクァスの初手は〈ワイヴァーン・キック〉

激しい蹴りは、俺の身体スレスレに当たる

 

「ちっ!ちょこまか避けるなぁ!」

「ええっ?めんどくせぇ」

 

俺は双剣で反撃する。

〈レイザーエッジ〉を中心に、〈吟遊詩人(バード)〉特有の歌でデミクァスとの戦力を埋めていく

 

「てめぇ!いい加減にしろよ!」

「・・・もういいだろ?お前は俺には勝てないよ」

 

 

 

 

「玲音っちは強いですにゃあ」

「ええ。自慢の友人ですよ」

 

シロエさんとにゃん太さんが納得する・・・そんなに強いの?あの人は

見た感じでは年上に見えるが、言動、喋り方からして私と同じかそれぐらいの歳の子なのに・・・

 

「ぴ、ピンキーさん・・・」

「ん?」

「玲音さんって強いんですか?」

「・・・うーん・・・」

 

と、私が尋ねるとピンキーさんは頭を抱える・・・え?難しいこと?

 

「なんて言うか・・・掴みどころがないんだよね。あいつが何考えてるかわかんないし・・・やりたいことはないって言うし・・・」

「・・・」

「やりたいことがないってのは多分・・・ほんとにこのゲームに飽きたんだろうけど・・・まったくわかんないわね。」

「わからない・・・ですか」

「あの馬鹿はクソよクソゲーマー。」

 

そんなピンキーさんの言葉に納得しつつも玲音さんの方を見る

そこには・・・

 

「クソっ!どうして攻撃が当たんねぇんだよっ!」

「・・・お前が馬鹿だからだよ。」

 

ほぼ無傷の旅人と、傷だらけの武闘家が相見えていた

デミクァスの攻撃は当たるものの、玲音さんの体力は一向に減る気配がない。

と、玲音さんは再び剣を打ち鳴らし詠唱する。

玲音さんの剣、“風舞う疾風の双剣”は打ち鳴らすだけでスロット内の歌を自動詠唱する効果がある

また、頭の帽子、“奏者の指揮帽”も自動詠唱を促す効果があり・・・また、歌系の特技の〈再使用規制時間(リキャスト・タイム)〉が短縮される効果がある。

それのおかげなのか・・・玲音さんの詠唱は止まることを知らない。

避けながら曲を・・・避けながら・・・

いつの間にか戦場には緊張感などなく。まるで舞を踊ってるかのように踊っている。

 

「・・・玲音の圧勝ね。」

 

ピンキーさんが感心する・・・それもそうだ。

ピンキーさんのレベルもカンスト近くまで行ってるのに玲音さんはそれ以上。さらに攻撃力、防御力が倍近くある敵に圧勝しているのだから・・・凄いと思う。

 

「・・・二人さん。そろそろ準備をお願いします」

「準備・・・?」

 

突然のシロエさんの言葉に私は思わず聞き返してしまう。

 

「ええ。戦闘の準備です。おそらく向こうはわざわざ見逃してはくれないでしょう。」

「・・・私でも役に立つんでしょうか・・・」

「大丈夫。僕達を信じて」

 

そう言うと突然・・・デミクァスから叫び声が聞こえる

 

「ええい!お前らっ!こいつを!こいつらをやっちまえ!」

 

その声と共ににゃん太さんと小柄な女の人は駆けていき戦いが始まった

 

 

 

 

・・・デミクァスのバットステータスは大量。

毒、放心、衰弱・・・と、戦士職には致命的な程のステータス低下がついているのだ。

負けると思ったのか、デミクァスは俺に向け部隊を投入してくるが・・・

俺の敵はデミクァスだ。

俺は大地を蹴ると、デミクァスに剣を当てる

 

「はっ!たかが〈吟遊詩人(バード)〉の攻撃なんて!」

「あめぇよ。」

 

俺はデミクァスを切り裂きはじめるとそのまま剣に光が帯びていく・・・

さらにデミクァスが足を踏んだゾーンに茨が発射され、デミクァスへと直撃する

さらに俺の斬撃が加わり、大ダメージを与えていく

 

「っ!テメェ!」

「――っ!がっ!」

 

デミクァスの拳が腹に命中し、俺は吹き飛ばされ後ろに飛ばされる。もちろん。そんなのを見逃すデミクァスではなく。そのまま〈ワイヴァーン・キック〉で距離を詰めてくる。

 

「あっぶねぇ・・・なぁ!」

 

高速で飛んでくる足を剣で受け流すと、そのまま空中に飛び、デミクァスと身体の位置を入れ替える。

 

「ケッ!」

「・・・あー・・・決めたかった」

 

〈ブリガンティア〉の他のメンバーがどうなってるかを見ていると、デミクァスは大地を蹴り、そのまま殴り合いになる。

 

「このまま削ってお星様にしてやるよ餓鬼が!」

「鬼はどっちだよ。まったく」

 

 

 

 

「シロエさん!玲音さんが!」

「玲音くんは回復無用。とりあえずうちの前衛(なおつぐ)とにゃん太さんに回復集中。玲音くんには残念だけど自動回復(オート・ヒーリング)があるから」

「シロさん!〈支援防御〉切れるわ!」

「了解。なら持続して2人に防御強化。よろしくね」

 

シロエさんがそう告げ、私たちの魔法は前衛にいる直継さんとにゃん太さんに集中しますが・・・

ちらっと玲音さんの方を見ると、玲音さんの戦いは佳境に入っていました。恐らくは・・・

 

「・・・敵の後衛(ヒーラー)かな?これは玲音くんもしんどいわけだね」

 

と、シロエさんは苦笑いをしながら観察してますが・・・

 

「ピンキーさん!?これ玲音さん負けちゃうんじゃ!?」

「大丈夫でしょ?アイツは死なないわよ」

 

その直後。私たちの耳には大男の悲鳴が聞こえてきました・・・

 

 

 

 

シロさんの〈ソーンバインド・ホステージ〉があっても。与えられるダメージは5000弱。なら・・・

 

「シロさん?そろそろ決めますよ?」

「うん。お願い」

 

そんな視線での会話を終えると、俺はデミクァスを蹴り飛ばし、横なぎ払いを身体に当てる。

 

「な・・・!何だこれ!」

 

この時にデミクァスに当たったバットステータスは〈麻痺〉戦士職にとって致命的なステータスで・・・

俺は笑みを浮かべると、そのまま双剣をデミクァスの身体に当てる。

光を帯びた剣が、デミクァスの体に吸い込まれ、そのまま体力を奪っていく・・・

体力が尽きる直前。デミクァスが復帰し、〈ライトニング・ストレート〉を俺に向けて放つが・・・

 

「悪いな。今日は俺の勝ちだ」

 

その拳は片手の剣によって遮られ、デミクァスの腹には、1本の細剣が突き刺さっていた。

 

 

 

 

私・・・アカツキは遠目ながら、デミクァスが絶命する瞬間を見ていた。

まず、玲音のことだ。

アイツは何者なんだろう。主君の友とは聞いていたが・・・その能力は遥かに常識を超えていた。

デミクァスの〈ワイヴァーン・キック〉、〈ライトニング・ストレート〉、さらには他の武闘家(モンク)のスキルも全て真っ向で受けながら無傷だったあの男は・・・何者なんだ。

 

「・・・お前は・・・」

「あん時負けたんだ。少しは楽しめただろ?デミグラスソースさん?」

「へへ・・・雑魚がよ」

 

そのままデミクァスは消滅・・・玲音は地面に落ちた羽付き帽子〈奏者の指揮帽〉を拾い上げ、そのまま頭に被る。

 

「・・・ここまでです。勝負は着きました」

 

主君が前に出る。私のところまで来て・・・副将。ロンダークの首に短剣を付ける

 

「・・・僕達は、『パルムの深き場所』を越えて来ました。アキバの街とここは、もはや従来出来ないほどの距離ではありません。僕らがその方法も地図も手に入れ・・・報告しましたから―こんな騒ぎはもうおしまいです」

 

実際。この〈エッゾ帝国〉は〈アキバの街〉からは遠く離れた距離にある。私たちや玲音は〈鷲獅子(グリフォン)〉を使って来たものの、全てのプレイヤーが出来るかといえばそうではない。

しかし、敗北感を相手に味あわせたいがためにああ言っているのだろう。

 

「この場は僕らの勝利です――残りの首は、預けておきます」

 

そのまま短剣を引くと、ロンダークの首から赤いエフェクト―血飛沫が上がる。

だが、その時主君の表情が・・・曇るのを私は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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キャメロットの騎士たち・・・嫌な予感
第八話 円卓の誘い



どうも。失踪してすいません。
よなみん/こなみんです。

久しぶりにゲームやって、小説読んで書きたくなりました。他の小説?ハハッ知らんな(・∀・)
すんません書きますんで許して下さい(><)
それではお読み下さい。


セララの救出から数日たった。

シロエたちは無事に〈アキバの街〉に帰ったあと、〈三日月同盟〉では、パーティが行われた。

一緒に帰ったにゃん太が料理のコツを教え、ヘンリエッタがアカツキを弄り、シロエと直継で楽しそうに話していたパーティとは別に、一緒に助けに行った少年は、別の場所に居た。

 

「助けてー」

 

ただし、監禁された状態で・・・だ。

外から〈鷲獅子(グリフォン)〉の鳴き声が聞こえる。少年は頭をボリボリ書き、失敗したと言わんばかりに頭を抱える。

 

(くっそー・・・こんなことなら来なきゃよかった・・・)

「キキッ。玲音はおろかなりー」

「助けろや」

 

玲音が監禁されている部屋にやって来たのは、モンスターだが、どちらかと言えばマスコットの一種。“黒い小悪魔”マコタンである。

元々は〈アキバの街〉の問題児、〈黒狸族〉モンスターであり、その問題とはイタズラである。

玲音はそんなイタズラ退治の依頼を受け・・・こいつを退治した訳だが。

 

『お願い!助けてまみー!』

 

・・・こいつはモンスターはモンスターでも女の子だったことから、玲音は放置できず、そのままお供に付けて多くの場所に旅に出かけた。

ちなみにこいつには移動能力も高いのか。たまに〈アキバの街〉に出没してはイタズラをする困った奴である。

 

「全く、しばらくこの館を放置するからみー。姫様はないてたまみーよ?」

「悪かったと思ってるよ。だって考えてみろ?〈大災害〉があった後に、PKだぞ?そっから人助けと来たもんだ。状況の整理も出来りゃしねぇ」

「だか連絡は出来たじゃろ」

 

その時、玲音は凍りつくような声と視線をその身に感じた。

玲音の顔が恐る恐る後ろを振り返ると、そこには黒い着物を羽織った・・・美しい少女、“真祖”イツナリ姫がいた。

身長もたいけ・・・ゲフンゲフン。身長はアカツキ。いや、それ以下かも知れない。

それでも迫力から、長年生きてきたことを示すオーラを感じる。イツナリ姫は、玲音の前まで来ると、冷たい視線を浴びせる。

 

(くっ・・・今になって震えてきやがった)

 

そして玲音が死を覚悟した直後、イツナリ姫は玲音に抱きつき、涙を流しながら訴えてきた。

 

「玲音よ、妾が嫌いになったのか?なったのか!?」

「なんでそうなるのさ・・・」

「だってだってだってぇ!私を見捨てないって言ったのに!連絡ないから!死んだかと・・・私を嫌いになったかと思ってぇ・・・」

 

(うわぁ・・・これは重症ですわ)

 

ちなみにここで彼女のことをひとつ。

彼女はステータスを見てわかる通り〈大地人〉そして〈古来種〉の〈吸血鬼〉である。あと食いしん坊。

〈大地人〉・・・〈古来種〉は職業を携える力があるらしい、彼女は〈武士(サムライ)〉を職業としている。

 

「玲音・・・?約束を破ったのだ。覚悟は出来てるのだろうな」

 

そう言い、彼女は刀を玲音の首へと押し付けてくる。リアルだったらこの時点で血が出るが・・・ゲームなので傷つくエフェクトが出るだけだ。

だがセーフと言う訳では無い。どちらかと言えば乙女心を持つ玲音にとってはとにかくアウトだ。

 

(ちょちょちょ!どうしてこの人はなんの許可もなしにカタナを突きつけてくるんですかねぇ!)

「イツナリさん?お願いだから離してくれません?」

「断る。約束を守らん愚か者には一度教育をしてやらんといかんからなぁ・・・」

(あのー。いつからヤンデレ攻略ゲーになったのでしょうか?てかこいつはヒロインじゃないから攻略対象でもなんでもないんだが?

やった中で楽しかったのは「ドキドキ文芸部」だよ!畜生!)

 

とにかく、こんな冗談を言う暇があるなら手を動かす。

玲音は手を繋ぐ鎖を何とかして解こうとするが、イツナリ姫は遠慮なくフラフラと近づいてくる。

 

「・・・さて、始めよう」

「のーのーのー。始めたら俺死んじゃうから――なんてね!」

 

そう言っている隙に玲音は鎖を何とか解き、部屋の扉を開け、すぐさま〈鷲獅子(グリフォン)〉の置いてある場所まで走っていく。

 

「あっ、ま、待つのだ!」

 

イツナリ姫は玲音を逃がしたくないのか、決死に走ってくるが、着物が足を引っ張っているのか、そこまでスピードは出ない。

 

「ヤダっ!ここで止まったら俺が死ぬ気しかない!」

 

最後の障害である大扉を開け、玲音は〈鷲獅子(グリフォン)〉の鎖を解くと、背中に飛び移る。

イツナリ姫も遅れてやって来たが、玲音は飛び立つ構えを彼女へと見せる。

 

「・・・玲音」

「大丈夫だわ。俺は死なないし、また・・・ここに来るから。」

「妾を置いて死なない?」

「ああ、約束する」

 

その言葉を合図に、玲音は〈鷲獅子(グリフォン)〉を光当たる空へと飛び立たせる。

目指すは〈アキバの街(始まりの場所)〉彼等のホームタウンだ。

 

 

―――

 

 

〈アキバの街〉は見違えるように変わっていた。

街には原因は分からないが、ちょっとした活気が戻っていた、それこそなんかおかしいものを食べたような。

 

(・・・一体何があったんだよ。怖いわ)

「れおー!」

「ん?」

 

街に入ると、カグラに見つかり、速攻で確保されてしまう。恐らくだがリストを監視されていたのだろう。

 

「大丈夫だった?なんでも〈ブリガンティア〉と喧嘩したらしいじゃない?」

「なんで知ってるんだよ」

「風の噂よ」

 

誰かに聞いたんだろとか、心の中で考えながら、玲音は街をぐんぐん進んでいく。

街には相変わらずだが、落ち込んでる奴がいたり、また変なところでやる気を出したりする奴がいたりと、まるでバラバラだった。

 

「ところでこの街の一部の熱気は何?」

「〈三日月同盟〉が面白いことをやってるって知らない?」

「え?」

「なんでも〈軽食販売クレセントムーン〉ってのをやってて、そこのご飯が美味しいとか」

 

カグラの報告に・・・玲音はただ、唖然としていた。

 

 

―――

 

 

「リーゼ。隊長(ミロード)を見ませんでしたか?」

「・・・いえ、私は・・・」

 

彼女は一つため息をつくと、頭の帽子を被り直す。

〈D.D.D〉ギルドホールの一室。そこには幹部である高山三佐、さらに書類を片付けるリーゼがいた。

 

「全く・・・またお散歩ですか」

 

高山三佐の言葉にリーゼが苦笑いをするのも無理はない。彼女が悩んでいるのは「お散歩」のことである。

たまに〈D.D.D〉では、リーダーであるクラスティが不在する事件が多々ある。その理由は不明だが・・・

 

「いつもの事ながら・・・こう重要な案件が回ってくる時にいないんですから・・・」

 

そんなこと言う高山三佐の手には1枚の手紙。差出人には〈三日月同盟〉マリエールの名前と共に、シロエの名が入っていた。

内容こそ読んでいないが、恐らくだが重要なことなのだろうと彼女たちは感じていた。

 

「はぁ・・・こんな時に先輩がいたら・・・」

 

その直後。ふたりの居る部屋の扉が勢いよく開く。

そこには2人のよく知る人物が立っていた。

 

「たーのもー」

 

 

―――

 

 

重い扉を開け、道場破り・・・ではないが情けない声で「たーのもー」と叫び、玲音は部屋へとつかつか入っていく。

カグラは畏まるような形で、とりあえず一礼してから部屋に足を踏み入れる。

 

「れ、れお先輩!」

「その呼び方やめて。リーゼさんもお久しぶり」

「お、お久しぶりです・・・」

 

高山三佐は動揺しながら、リーゼは緊張した形で挨拶を返す。カグラは2人を交互に見た後に軽く礼だけする。

玲音はそんな3人を置いといて、高山三佐から手紙を強奪すると、勝手に中身を見る。

 

「えっ!?ちょ!」

「・・・なるほどね。〈円卓会議〉・・・か。」

 

そこに書かれていたのはシロエからの、いや、シロエたちからの誘いに見える。

内容は〈アキバの街〉について、としか書かれていないが、大体察しはつく。

 

(・・・シロさんもこの世界。この街を変えたいんだな)

 

玲音は手紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱へと捨てると、リーゼと高山三佐を交互に見て、考える。

そもそもクラスティはどこにいるのかと言う疑問もあり、手紙のこと、〈D.D.D〉のこと、そしてあの阿呆(クラスティ)のこと・・・これらのことを考えてる玲音は頭を抱える。

 

「先輩・・・その」

「手紙のこと?大丈夫、クラスティだってわかってるでしょ」

「それでどうするんです?どうせあまりいい内容ではないと思いますが」

「いや?これはむしろ好機だ。これを逃せば後がない」

 

シロエの企む〈円卓会議〉がなんなのか玲音にはまだ分からないが、〈三日月同盟〉がやっている〈クレセントムーン〉が絡んでいるのなら・・・。

 

(シロさんはこの街に活気を取り戻そうとしている・・・)

「れお先輩・・・その」

「ん?」

 

リーゼが玲音の後ろを指さしているので、玲音は何事と考えていたが、3人の表情でだいたい察したようにため息をつくと、玲音は後ろの人物と顔を合わせる。

 

「玲音。何をしてるんです?」

「お久しぶりだな。馬鹿野郎(クラスティ)

 

そこには眼鏡を掛けた“狂戦士”〈D.D.D〉の〈ギルドマスター〉クラスティが不敵な笑みを浮かべながら立っていた。

 

 





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第九話 再会


投稿大分遅くなりました。申し訳ございません!
こんな作者ですが、よろしくお願い致します!


「お久しぶりです。玲音くん」

 

低く、自分とは違う少し老いた声に内心少しビビってしまうが、玲音はあくまでも冷静を装い、声のした方へと顔を向ける。そこには、D.D.Dのギルドマスター、〈狂戦士〉クラスティ、が眼鏡をかけ直して立っていた。

 

高山三佐と、リーゼがクラスティの道を空ける。空いた道をクラスティは悠然と、そして玲音に向け、ゆっくりと歩いていく。こちらまで来たあとは、玲音の手元にある手紙を颯爽と取る。

 

「宛名は私なんですがね。なぜ読んでいたのですか?」

「差出人ぐらい見とけ」

「・・・」

 

差出人を見たクラスティは何故か深く考え込んでしまう。玲音はアイテムの整理だけすると、一枚の書類を取り出して、高山三佐に手渡す。

高山三佐とリーゼが必死に出ていこうとする玲音を引き留めようとするが、さっさと玲音は出て行ってしまう。

 

隊長(ミロード)・・・」

「ふん・・・これはちょっと難問かもしれないな、リーゼ、玲音くんを追ってくれるかい?」

「了解しました!お任せを!」

 

即答で応えると、リーゼはそのまま玲音を追って行ってしまう。高山三佐とクラスティは、玲音が渡した手紙を見て、悩んでいた。

 

 

 

 

D.D.Dのギルドホールを後にし、玲音は廃ビルの一角。その地下にあるゾーンに来ていた。

誰もいない店内に入り、何かを探すように辺りを見渡す。この店舗ゾーンは、生産系ギルド〈アメノマ〉の売り場で、その証拠として、店内には多くの武器が展示、販売されていた。

 

が、玲音が探しているのはそんな()()()()()()()()()()()。玲音が求めているのは、それよりも見つけにくいものなのだ。

 

「いらっしゃい・・・」

 

突然声が聞こえ、そちらに振り返る。

そこには、シロエさんとパーティーを組んだ時にいた〈暗殺者(アサシン)〉、アカツキ・・・だったか、と、同じぐらいの身長の少女。

彼女の種族は玲音やそのアカツキ、そして直継のヒューマン族とは違う種族、ドワーフ族だった。

とは言っても、ドワーフ族は生産系ギルドや、生産職には持ってこいの種族だった。エルフや、ハーフアルヴ、そしてヒューマンなどと言った、万能族とは違い、ドワーフ族はいくつかの生産職に有益な種族固有能力があるために、生産系ギルドには稀に見かける種族である。

 

彼女の名は多々良(たたら)、ギルド〈アメノマ〉のギルドマスターにて、高レベルの生産職スキルを持つ〈職人〉である。

 

「久しぶり。担当直入だけど、武器の強化って頼める?」

「うん。お金は・・・後払いか」

「になるな。今ちょっと追われてるから」

 

玲音の耳で、炎の翼が玲音に警告音を鳴らす。

アイテム名は〈炎蝶の双飾り〉、効果は高レベルの奇襲警戒と、自分から半径20メートルまでの範囲で人を可視化させるアイテムであった。壁があっても、範囲に入っていれば可視化されてしまう、奇襲を警戒するのにはうってつけのアイテムであった。

 

多々良は短く「わかった」とだけ告げると、玲音からアイテムを徴収し、再び店の奥へと姿を消してしまう。その間に玲音は支払いの準備をする。とは言っても、ただの取引みたいな感じだった。

 

彼女が欲しいものをあげ、その変わりとして玲音の武器を強化してもらう。まさにギブアンドテイクである。

 

「・・・結構近くまで来てるか・・・リーゼさんかな」

 

アイテムの反応から、大体誰が来るかなんてのは予想出来た。というか最近追ってくるのはメンバーが限られる。

と言ってもアイテムの強化をしてもらってる以上は玲音はここから動けない。もちろん、向こうも分かってる。だから、あえてこっちまで来ず、外の待っているのだろうか。

 

数分待つと、店の奥から多々良が姿を表す、ゴーグルといつもの手袋をはめたまま、玲音の武器を持って出てくる。

 

「終わった」

「ありがと、んじゃ、アイテムは置いといたから」

「まいど」

 

そそくさとアイテムを取ると、店を後にするが、当然。入り口にはD.D.D、リーゼが待っていることだろう。だから・・・

 

「行くぜっ」

 

玲音は意気込むと、指を鳴らして弓を取り出す。

ゾーン内で、戦闘を行えばそれこそ衛兵が飛んでくるが、玲音の場合は戦闘をするために取り出した訳では無い。もちろん。脅しでもない。ではどうするか

 

玲音は外へ出ると同時に、リーゼの声が耳に入るが、弓を引き、矢をゾーン内の木に命中させると、そのまま飛んでいくようにリーゼたちの上を通過していく。

 

「レオせんぱーい!」

「はぁ・・・まぁ、冷徹軍師に呼ばれた時から予想はしてたけど・・・ユズコさん。これどうするんです?」

「追いますよー?」

「うぇーい」

 

リーゼの後ろにいた、〈守護戦士(ガーディアン)〉ユーマ、そして〈召喚術士(サモナー)〉ユズコは軽く会話を交わして、リーゼと共に玲音を追いかける。

多々良は店内からその光景を覗き、呆れた顔で戻って行った。

 

円卓の輪。それは玲音たちの知らないところで回り始めていた。

 

 

 

 

玲音は街の真ん中まで行くと、何故かお祭り騒ぎのような声が聞こえ始める。それは真ん中に行くにつれて大きくなっていた。

 

玲音はその原因が気になり、ついつい声の聞こえる方へと出てしまう。・・・そこには

 

「いらっしゃい〜って!レオ坊!」

「ぶへっ」

 

そこにはお見事なファミレス店員の服を着て何か勧誘をしていた〈三日月同盟〉のギルドマスター。マリエールが立っていた。その奥にはちらっと同ギルドのセララさんが見えていた。

もちろん。似合っていた。似合ってはいたが・・・なんだこれは。

軽食屋だろうか。そんな感じのお店を背景に、マリエール・・・ではなく。〈三日月同盟〉のメンバーが軽く説明しながらギルドホールへと連れていってくれる。

 

「それでなんですよ!にゃん太さんのレシピを元にやろうって!」

 

話はこうだった。恐らくシロエだろうか。会計のヘンリエッタにクエストを頼んだらしく。そのために必要だとマリエールが無理を通したらしい。

 

と言っても話を聞く限り簡単な手品だった。〈料理人〉のスキル持ちの職人が、その料理のレシピ通りの料理をすればいいということだった。

と言っても、やはりレベルの概念はあるらしく、その料理をするレベルに達しなかった場合、失敗するらしいが・・・

 

(ハンバーガーはエルダーテイルの仕様にはなかった・・・のか?オリジナルだからなのかな)

 

「玲音くん。久しぶり」

「どうもシロさん」

 

と、ブツブツ言ってるうちに等の本人であるシロエさんが来たようだ。

シロエさんはいつものローブ〈星辰の霊衣〉を見に纏い、落ち着いた顔立ちで椅子に座る。

 

「それで・・・って、大体要件は分かってるけどね」

 

1人で納得したシロエは、〈魔法の鞄(マジック・バック)〉から1枚の書類を取り出す。そこには・・・

 

「・・・円卓会議・・・」

 

渡されたその紙には、〈アキバの街〉の自治についてと法律について色々と書かれていた。歳のいかない玲音では、半分の意味は理解しかねたが、大体のことは理解出来た。

これに関しては、玲音にも思うところがあった。恐らく〈エッゾ帝国〉で起きた事のことを言っているのだろう。

 

しかし、やるにしてはまだ実効性がない。

まずは戦闘力のことだ。これをもし、シロエや〈三日月同盟〉の面々でやろうとしているなら、全然足りない。

治安維持をするのなら・・・

 

「治安維持するなら。戦力がひつようじゃありません?」

「そうなんだよね。だから・・・」

「〈D.D.D〉とかに送ったんですよね?手紙を」

 

その答えに予想外の反応を見せたシロエに、玲音はニヤニヤした顔で腕を組んでいた。

 



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第十話 円卓の支度


続きですー


しばらくして、〈三日月同盟〉そしてシロエたちが新しく作り上げた軽食屋、名前は〈軽食販売クレセントムーン〉は〈アキバの街〉最大の伝説となった。

 

そしてシロエの作戦はこうだった。

 

「戦力なら大分集めれる。まずは生産系ギルドからだ・・・いや、何よりも彼らが大事かもしれない」

 

場所は変わりアキバの街の中央近くにある酒場、そこの個室ではギルドマスターであるマリエール、そして会計のヘンリエッタが誰かを待っていた。マリエールは緊張からか、そわそわしていた。

 

「うぅ・・・うちで大丈夫かなぁ」

 

マリエールが不安げな声を上げる。シロエが彼女を指名した理由は自分でも分かってはいるようだった。

確かにアキバの街の中小ギルドなら、彼女の知己は多い、今から会う相手もマリエールの知り合いの1人だった。

とは言っても、それは遊びの範疇での話だ。今からするのは遊びの話ではなく、“商談”なのだ。ゲームを介して商談なんてのは、彼女にとっては初経験だった。

 

彼女は自分の服装のあらゆる所を引っ張って、さらにはおかしい所がないか隅々まで確認する。

 

服装―つい最近まで装備品として扱ってきたものだが、今では違った。その自由度は高い。

街中で防具で凄そうなんてのはこれまでの〈エルダーテイル〉の仕様であった。しかし、今の〈大災害〉というパッチが入ったこの世界ではかなり街中で過ごしやすかった。

マリエールの着ている服は、白絹のブラウスにマーメイドラインの長いスカートと言う服装だった。肩からはゆるくケープがかけられていた。

 

この世界においてのファッションの自由度は思ったより高かった。〈エルダーテイル〉は確かに、中世ファンタジー風RPGだが、それもばりばりの古典ではなく、当世風にアレンジされたアートワークを採用していた。

中世ヨーロッパから、現代に至るまでのあらゆる服装文化を持っていた。

 

「マリエ、おろおろしてはいけませんわ」

 

隣にいたヘンリエッタが正面を向いたまま声をかける。彼女は慣れているのが、微動だにしていなかった。

 

彼女はいつものゆるくウェーブした髪に、黒のリボン、たぶんに少女趣味なモノトーンのドレス姿だった。

 

「大丈夫やろか〜」

「不安になってどうするんですか。交渉事は強気にいかなければ、そもそもこの交渉は簡単なものですよ。失敗してもカバーは入れるものです。後のない交渉じゃありません」

 

今日マリエールたちが行う交渉ごとの表面は「素材の調達」なのだ。早くも底を尽き始めている素材の補充をしなければ、明後日あたりからがきつくなってくる。

 

しかし、逆にこの交渉を成功させてしまえば、今後〈三日月同盟〉は調理と販売に集中して取り組むことが出来る。

 

そのあとは・・・

 

(そのあとはヘンリエッタもおるし。なんならシロ坊がおる。ここを乗り越えれば・・・きっと)

 

その時、扉が勢いよく開く。

 

「や!おまたせっ!」

 

現れたのは鋭敏そうな瞳をしたプレイヤーだった。彼はアキバの街で第3位の規模を持つ生産系ギルド、〈第8商店街〉のギルドマスター、カラシンだった。彼は気さくに挨拶をして席に座る。

 

マリエールとカラシンは知り合いだった。一緒に狩りをしたこともある。

それからというもの、2人は2人のギルドを立ち上げてしまったがために、今では共に出掛けることも無くなったが、ギルド同士の繋がりというのは決して弱くはなかった。

 

そもそも、〈三日月同盟〉と〈第8商店街〉では、方向性が違う。そこで、マリエールは協力してお互いの情報を流した方が便利ではないかと思い、その経緯からマリエールとカラシンは連絡を取り合っているのだ。

 

「うお、マリエさん怖い顔して・・・それで今日はどんな用なんです?」

 

そんな関係があってか、カラシンは気軽に声をかけてきた。

 

(ここからがウチの戦いよ・・・って?レオ坊はどうしたんやろ?ウチらの様子見に来ると思ったんやけど・・・)

 

 

 

 

マリエールが商談を始めたころ。玲音はあるギルドホールの前まで来ていた。そこはギルド〈西風の旅団〉の拠点だった。

 

この〈西風〉のような大きい規模のギルドは、大きいサイズのギルドホールを借りる場合が多い。〈D.D.D〉のギルドキャッスルやら。〈黒剣騎士団〉のホールやら。アキバの街には良さげな物件が多かった。その中でも、玲音は〈西風〉のギルドホールに来るのは初めてだった。

 

今回来たのは、ある人物に会うためであり、シロエに頼まれた伝言を伝えるためでもあった。

 

昨日のシロエの提案・・・それは「アキバの街に自治組織を作るということだった」というのも、恐らくリアルで言う東北方面にある、プレイヤータウン〈ススキノ〉で起きた事件のことを気にしているのだろう。でなければこんな話はシロエの口からはでない。と玲音は考えていた。

 

〈西風の旅団〉の拠点。その扉を開けると、そこにはいかにも「和」とも言える部屋が広がっていた。

そしてその端、大将が座るようなスペースにその人物は座っていた。

 

「レオ先輩!お久しぶりです!」

「レオー、久しぶり〜」

 

和装を常に着こなすイケメン、その手には刀を持つ〈武士(サムライ)〉彼こそこの〈西風の旅団〉のギルドマスターにして〈剣聖〉ソウジロウ=セタ だった。

その隣に居たのは同じく〈西風の旅団〉そのサブギルドマスターを務めている露出多めの、大きい狐耳と尻尾が目立つ〈神祇官(カンナギ)〉にして姉御、ナズナだった。彼らは玲音の、そしてシロエの知り合いであった。

 

その理由は彼らもまた、〈放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)〉のメンバーだったからだ。

 

「お久しぶりソウジロウ、ナズナ」

「そっちは元気かい?こっちはいつも通りだけどね」

 

そういうナズナにソウジロウは苦笑いをして反応する。あぁ、ハーレムなのかと考えると、無性に頭が痛くなる。

彼・・・ソウジロウは〈エルダーテイル〉がゲームだった時代には物凄いハーレム体質の持ち主で同性からは妬む者も多いと聞いたが、玲音はあまり嫌ってはいなかった。

ゲーム歴・・・からなのか自分や多くの人のことを「先輩」と呼ぶこの少年を、玲音は嫌いにはなれなかったのだ。

ナズナに関しては、ただのソウジロウにまとわりつく変態だと思っている。だが、それはこの〈西風〉全体を通して言えることだ。この〈西風〉の大半はソウジロウを好きな連中が囲んでいるギルド。故にハーレムギルドと呼ばれる。

 

「それで?レオ先輩はどうしてここに?」

「ああ、シロさんからソウジロウに伝言があって、それを伝えに来たんだよ」

「シロ先輩が!?で、どんなことなんですか!?」

 

珍しく食いついてくる後輩に、玲音は〈魔法の鞄(マジック・バック)〉から1枚の封筒を差し出す。ソウジロウは一瞬だけキョトンとして、玲音からその書類を受け取る。

差出人はしっかりとシロエと〈三日月同盟〉のマリエールの名前が書かれていた。

 

「これを・・・ですか?」

「うん。それを読んで。んで書いてあるとおりにすればいい」

「レオ先輩は?これからどうするんです?」

「・・・旅する。頭悪い人はそれなりに働きます」

「待って先輩!是非〈西風の旅団〉に!」

「最近ギルドを抜けたから無理っ。頑張って」

 

そう言うと止めようとするソウジロウをかわし、〈西風〉のギルドホールを後にする。

外に出れば暖かい日差しが、玲音の帽子をかわして目に入り込んでくる。

 

時間は昼。と言うよりは、未だにこの世界に置いて時間が流れているのを実感出来なかった。

玲音はゆっくり手を握りしめる。僅かだが力が入って装備品に汚れが着いてしまうが、背後から出てきた妖精たちがそれを綺麗にしてくれる。

 

装備品の欄から〈罪歌を引き裂く天啓(ヒュペリオン・シン)〉を取り出し弓の上部分に着いている琴を打ち鳴らす。

音を出す度に対応した音符が〈効果(エフェクト)〉となり空へ上がってやがて弾けて消える。しかし、辺りには弾けた音符の綺麗な香りが広がっていた。まるで霧のように広がるそれは、やがて玲音の周りを護るように包み込む。

 

背後にいた妖精たちは初めは遠慮しがちだったがやがてリズムに乗り、踊り出す。軽やかなステップとターンを繰り返し、二人で踊るものも現れる。

 

時間を忘れるように玲音は引く。その手つきはまるでプロを思わせ。さらには辺りの雰囲気はますます快楽へと変わっていく。

 

辺にいた〈冒険者〉さらには〈大地人〉も耳を澄ませ彼の音楽を聴く。まるで魅入ったように身体を預けるものも現れる。

 

――音楽は特別な物――玲音にとって音楽とは自分の快楽を満たすものであり、辺りの人を落ち着かせるものだと考えていた。

 

「あー・・・今週はいい日になりそうだ。」

 

そんな微かな予感を胸に、演奏を止めると辺りの人から喝采の拍手が上がる。

それは近くの〈冒険者〉だけではなく。家の中にいた〈大地人〉からもだった。

玲音のサブ職業は〈狩人〉。狩りを専門とする為か、目は良いし、耳もそれなりに発達していた。

 

「音楽はいいもんだ。神が人に与えずとも、人が作り出した芸術・・・人と人を繋ぐ糸のようなもの・・・だよな」

 

ゆっくり身体を上げると日が沈み始めるのが見える。お昼の時間は中間か、終わりぐらいを迎えていた。

季節は春。時間の感覚が疎かになるこの頃。玲音は現実の世界でなら夜更かしを普通にしていた。

――しかし。ゲームの世界でも例外ではないようだ。――

睡眠欲はあるし。食欲だってある。性欲は・・・どうでもいいぐらいには失せていた。

 

(・・・つまり。リアルと変わらないんだな、このゲームはゲームであってゲームじゃない。・・・機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)でもいるのか)

 

が、玲音は瞬時にその考えを否定する。神なんかいるわけが無い。この世界はなんらかの方法で連れてこられたのだと。

しかし、ゲーム的な要素は残ってるとも言える。ステータス、レベル、銀行やギルド会館のシステムはゲームのままだった。ただ、驚いたのは〈大地人〉にも人格があるという事だった。

 

前に会った姫もそうだし、〈大地人〉には脈があり、知性がある。他の人達がどう考えてるかわからないが、これは感化すべき問題かもしれない。

 

――いえ。退場してもらいます――

 

前に聞いたシロエの言葉が頭から離れない。シロエはこの〈アキバの街〉を掃除する気なのだ。

 

 

 

 

話は遡ること前日。

〈三日月同盟〉と合流した玲音はシロエから事のあらすじを聞いていた。

それは、普通の人間なら考えてはいなかった事だった。

 

「まずは〈アキバの街〉を掃除する」

 

それは変哲もない言葉だったが。玲音からしたらありえない事を聞かされているようだった。

話は終わらず。そのまま言葉はゆっくりと紡がれていく。

 

主に出てきた話は2つ。1つは〈EXPポッド〉の件だった。〈ハーメルン〉というギルドが初心者救済を掲げて、保護した初心者から該当アイテムを取り上げ、各ギルド(主にシルバーソードや、黒剣騎士団)に売買していると聞いた。

 

考えてみれば出来なくもない話だった。〈大災害〉に巻き込まれた〈冒険者〉は何万といる。その中にはベテランも勿論。初心者もいたのだ。大手のギルドは平静を取り戻そうが、ギルドにも入っていない初心者は確かに平静を取り戻すことは出来ないだろう。その弱みを利用し、初心者をギルドに入れる。アイテム自体はギルドに入ってしまえばギルドの共有倉庫に入れたりと手渡し出来ないだろう・・・そのシステムすら初心者が知るかはわからないが、やってることは外道だと理解した。

 

シロエはこの件に対して「ギルドを解散させる」と言っている。

 

2つ目は街の治安について。

前回シロエたちとパーティーを組んだ玲音は実際に街の外でPKと遭遇していた。それもそうだし、シロエが気に入らないのは街の雰囲気だろう。

 

帰りたい人物。ススキノにいた〈ブリガンティア〉が行っていた人身売買。さらには大手ギルドの縄張り・・・。

なんと言うか、格付けされているこの治安が嫌いなのだろう。「お前はレベル90か」、「お前は30だな」みたいなレッテルを貼ってるようなものなのだ。

 

故にシロエの話は悪くない。玲音はそう考えてはいたが、やはり現実味が薄いのだ。

確かに「ギルドを解散させる」は有効だし、初心者を救出させる名目で必要だ。しかし、シロエたちで戦うとなると少しきつい。なにせ向こうには大手ギルドのバックがあるのだ。今のままではシロエたちが返り討ちに会うが・・・

 

「大丈夫ですよ。どうせ勝算はあるんでしょ?だって“腹ぐろ眼鏡”ですもんね」

 

玲音が出したのはその返事だけだった。特に理由は聞かず、そのまま部屋を退出する。

その後で、シロエの書状を受け取り、各ギルドに配布していた。

 

かつての〈茶会(ティーパーティー)〉の参謀は今、どのような結果をもたらすかもわからない〈大規模戦闘(レイド)〉に挑んでいるのだ。それも敵はほとんど全て。

それは彼自身が始めた戦いなのだ。否定は出来ない。

それに玲音は緊張感よりも、何故か高揚感が心を支配していた。

 

(・・・シロさんがこんなこと言うなんてビックリだ。さて・・・この〈戦闘(レイド)〉誰が勝つか見モノだね)

 

不思議な高揚感と緊張感を心に。玲音は自分の出来ることを探しに街に出た。



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第十一話 円卓会議

〈クレセントムーン〉の開店以降、アキバの街は活気づいていた。

たかが飲食、されど飲食である。

今まで味気のないものを食べていたアキバの人々は、あっという間美味い美味に魅了されていた。〈クレセントムーン〉は持ち帰り中心であり、元の世界の基準でいえば、決して大判振る舞いのご馳走では無かったものの、味のない飯を食べていたのか、この世界の美味として迎えられた。

 

当初は店舗が少なく、供給体制が整っていなかったが、閉店後数日で4店舗目を開店した。

新しいメニューも追加され、これもまた他のメニューと同じに絶賛された。

アキバの街の人々は〈クレセントムーン〉が中小ギルドである〈三日月同盟〉が運営だと言うことに気づいていた。中には中小ギルドが新レシピを独占して・・・と考えもあったがそれは黙殺された。それはゲーム世界では、いち早く戦果を出せたものこそが、と言う考えがあったからだ。

 

さらに噂として、〈三日月同盟〉が三大生産ギルド〈海洋機構〉、〈ロデリック商会〉、〈第8商店街〉と組んだと言う話が流れていた。

 

三大ギルドは合計すれば構成員は5000人を超えるという。それはアキバの街に住む人々の3分の1の数字である。

その噂通りか、マーケットでは1部の食材アイテムの取引が活性化して、〈第8商店街〉による買い占めも見られた。

 

噂話はTVやWEBもないこの世界に置いて噂話と言うのは娯楽のようなものだった。話の中には〈三日月同盟〉のマリエールの名前や、会計のヘンリエッタ、戦闘班の小竜の名前があったが、1部の古参プレイヤーに詳しい者たちは小さな声で、シロエ、にゃん太や〈放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)〉の名前を呟いていた者もいた。それは〈冒険者〉や、大手の戦闘ギルドだけではない。と、知る人間はほとんどいなかった。

 

 

 

 

あれから数日が過ぎ〈軽食販売クレセントムーン〉はすっかり街に馴染み、その行列は名物となっていた。今でもその行列を捌いていることだろう。

 

場所は変わり、その行列とは遠く離れた空間。

アキバの街の要ともいえる建築物、ギルド会館の最上階にある巨大な会議室。そこは会館を利用する全ての〈冒険者〉に向け開放された施設だが、電気のないこの世界においてはエレベーターなどただの鉄の箱であり、廃墟と化した16階までの階段を上るような馬鹿は存在しない。

天井の高く、広大な空間の中央にしつらえたのは、大きな円形のテーブル。そこに座っているのはアキバの街を代表するメンバーだった。

 

〈黒剣騎士団〉の総団長、“黒剣”のアイザック。

〈ホネスティ〉の総指揮を執る、“先生”アインス。

〈D.D.D〉を率いる総指揮官、“狂戦士”クラスティ。

〈シルバーソード〉の若きリーダー、“ミスリルアイズ”ウィリアム。

〈西風の旅団〉のハーレム系ギルドマスターにして、“剣聖”ソウジロウ。

〈海洋機構〉の総支配人にして、“豪腕”ミチタカ。

〈ロデリック商会〉の学者系ギルドマスター、“錬金術師”ロデリック。

〈第8商店街〉の活気ある若者を纏める商人にして“若旦那”カラシン。

〈三日月同盟〉を纏める、“アキバのひまわり”マリエール。

〈グランデール〉の“調教師”ウッドストック。

〈RADIOマーケット〉の凄腕、“機工師”茜屋。

そして、〈記録の地平線(ログ・ホライズン)〉のギルドタグを付ける、“腹ぐろ眼鏡”シロエ。

 

円卓に座った12名の多くは、背後に数名の側近を立たせているので、この空間には30名近くのプレイヤーが集まっていることになる。

集まった面々の表情は様々だった。

不安なもの、無表情なもの、自信のあるもの、わくわくしてるもの(若干1名)全員が昨晩までに届けられた書状によって集まっていた。

書状・・・いや招待状のタイトルは「アキバの街について」差出人はシロエの名前と〈三日月同盟〉のマリエールの連名だった。

ここに集められたギルドはそれぞれ有名なギルドであった。

 

〈海洋機構〉、〈ロデリック商会〉、〈第8商店街〉はいずれも大手の生産系を代表するギルド。

〈黒剣騎士団〉、〈ホネスティ〉、〈シルバーソード〉、〈西風の旅団〉、〈D.D.D〉は大規模な、もしくは功績を上げてきた実力ある戦闘系ギルド。

〈三日月同盟〉、〈グランデール〉、〈RADIOマーケット〉の3つは規模こそ小さいが、かつては1度失敗した中小ギルドの要となろうとしたギルドだった。

 

ただ1つ。〈記録の地平線〉だけが誰も知らない、聞き覚えないギルド名である。しかし、ここにいる大手のギルドとなると、情報収集能力もある。シロエの存在に牙を向けるような表情を見せたのは、メンバーの4分の1にも満たなかった。

 

しばらくして〈三日月同盟〉のセララがよく冷やされた果実茶を給仕してまわる。その飲料は今まで〈クレセントムーン〉で販売されてたものでないために、1部のメンバーは驚くが、その動揺も飲み込むような緊張が続く。

 

シロエの後ろには2人のメンバーが立っていた。その1人である玲音が隣に立っているにゃん太に小声で話しかける。

 

「よくまぁ、このメンバーが集まりましたね」

「まぁ、ここまではまだ準備ですにゃ。問題はこの後なのですにゃ」

 

そう。ここまではスタート地点の準備なのだ。

ここからどうなるかはわからない。歴戦の玲音ですらも、にゃん太ですらも。

シロエは静かだった。しかし、玲音たちからみればシロエは冷静ですらないのだろう。

この会議は戦争なのだ。シロエにとってはそうなのだろう。

今までの大規模戦闘にも劣らない火炎の飛び交う戦場。シロエは熱に浮かれたような火照りと張り詰めた冷気を同時に味わいながらこらえる。

集まったメンバーの大半は妥協を引き出す敵、そうでなければ、少しの味方、どちらにも余裕がないことを悟らせる訳にはいかない。

 

ソウジロウの話をシロエから玲音は聞いていた。「この世界は牢獄」だと。間違ってはいない。帰れないという絶望。モンスターのいる荒野。無力という名の枷。

 

(・・・そう言えばアカツキさんや、直継さんを見てない。なにやってんだ?)

 

しかし、玲音のその考えはシロエがこの空間に向かって放たれた一言でかき消されてしまう。

 

「お忙しい中集まってくださり―ありがとうございます。僕は〈記録の地平線〉のシロエといいます。今回は皆さんにお話とご相談があってお招きしました。多少込み入った話なので・・・お時間が掛かりますが、お付き合いください」

「適当に切り上げて構わない〈放蕩者(デボーチェリ)〉のシロエ。別に知らねぇ仲じゃねぇし」

 

シロエの開会の挨拶を肯定するような言い方で応えたのは“黒剣”のアイザックだった。日本サーバー生粋の〈守護戦士(ガーディアン)〉だ。玲音も何度か彼の戦いに誘われ、お邪魔したことがある。それはシロエも同じだったが・・・。

 

(〈付与術師(エンチャンター)〉なんて下っ端職業を覚えるなんてなぁ。シロさんも歴戦だからかな)

「なんだってんだ、この場は」

 

その次に怒ったような声を上げたのは、〈シルバーソード〉の若きリーダー。ウィリアムだった。流れる髪を後方でまとめた「エルフの若君」と言う容姿の青年だ。

短気なのか、脚を何度も組み替えている。

 

「お言葉なので、早速お話に入ります。ご相談・・・と言うか、提案というのは、現在のアキバの街の状況についてです。ご存知のとおり〈大災害〉以降、僕達はこの異世界に取り残されてしまいました。元の世界に帰れると言う目処はまったくありません。非常に辛いですが、事実です。一方で、アキバの街の空気が悪化している。多くの仲間がやる気を無くしてますし・・・逆に自棄になっている人もいる。・・・経済はボロボロで、探索の効率は上がっていない。この状況をどうにかしたい・・・と僕は考えてます。集まってもらったのはそのためです」

 

会場に僅かなどよめきが起こる。玲音はキレてその手に武器を持とうとしたが、それは隣にいたにゃん太に止められる。

イライラするような声が周りから上がる。結局は危機感なのだ。これが共有されない限りはこの問題は一生解決されないし、されようとはしないだろう。

 

そしていくつかのざわめきを抑えるように〈ホネスティ〉のギルドマスター、アインズが質問する。

 

「それは以前失敗した中小ギルド連合のようなものですか?」

「それは失敗したんじゃねぇの?」

「近いです・・・が、少し違います」

 

玲音はゆっくりとその当事者たちに視線を向けると、彼らの顔は青かった。無理もない。

まず、中小ギルドの連合についてだが・・・ギルドマスターが話をする事は簡単だ。しかし、実際は不利な点も出てくる。

それは利益と言う言葉で括られる。

彼らの顔が青いのは、自分たちの利益を護るように連合を作ろうとしたからだろう。

この話が上がるということは・・・少なからず、この話が「中小ギルド連合」の続き。そういう疑念があったからだろう。

 

「今回は少し趣旨が違います。今回は・・・アキバの街の改善についてです」

 

その直後。シロエの言葉を遮るように席を立つ音が響いた。

 

「そういうことなら俺らは抜けさせてもらうわ」

 

立ち上がったのはイライラしていた〈シルバーソード〉のリーダー。ウィリアムだった。彼はマントを翻して席を後にする。

 

「俺たちは戦闘系ギルドだ。この街のことなんざどうだっていい―ここはアイテムを換金する場所だ。街のことは興味のある連中でやればいい。時間の無駄だと思うけどな」

 

玲音にはその言葉は、負け犬の遠吠えのようにも聞こえたし、どこか寂しそうにも聞こえた。

ウィリアムが席を後にすると、場の空気はざわめいた。

特に〈グランデール〉、〈RADIOマーケット〉、〈三日月同盟〉の面々の顔は悪い。

しかし、シロエ自身はこの程度は予想内らしく、落ち着いた態度で座っていた。

 

(・・・手札が1枚落ちたか。だけど〈シルバーソード〉は決して規模の大きなギルドじゃない。多分だけど・・・〈黒剣騎士団〉と〈D.D.D〉が残ればいいんじゃないかな。シロエさん的には)

 

実際。〈D.D.D〉1つでも〈黒剣騎士団〉、〈ホネスティ〉には対抗できるだけの人員がいる。

 

(・・・クラスティは様子見って言う感じだな。後ろは・・・うげっ!?高山女史かよ!・・・やだなぁ)

 

〈D.D.D〉の妖怪と“鋼鉄の女”高山三佐が来たということは向こうは万全の体制なのだろう。冷静に分析し、答えを出す・・・まるで〈大規模戦闘(レイド)〉をやってる感じだった。

 

「11席になりましたが、お話を続けます。この場へとお招きしたのは、さっきの〈シルバーソード〉さんが言った通り、アキバの街の自治問題についてです。そして、そのための組織である〈円卓会議〉の結成を呼びかけるためです。当面の目的は2つ―玲音くん」

「あいよ」

 

シロエに呼ばれた玲音は大きなボードを持ってシロエの横に立つ。〈筆写師〉のスキルで作られた紙を妖精たちと手分けして配布する。

 

「当面の問題は2つ―1つ目はアキバの街の雰囲気改善。具体的には活気を取り戻す方向に誘導すること、2つ目は自治を改善することです。当面はこの2つを中心に、さらにはこれから出てくるアキバの街の自治に関して問題解決できる機関を目指しています」

 

言いたいことを言い終え、玲音はにゃん太の方を見る。にゃん太は「グッチョブですにゃ」とアイコンタクトを送ってくる。

 

(内心ばっくばくですよ班長〜うわぁ・・・高山女史なんてこっち睨んでるしぃ・・・クラスティなんてニヤニヤしてる・・・!怖い・・・怖い!)

 

場の返答は沈黙だった。それは、参加者同士が互いの返答を探っているような静寂だった。

 

シロエはスタート地点に立った自覚を持って、周囲を見渡す。玲音もそれは理解出来ていた。

ここにいる人数。全ギルドの人数を合計すれば6000名を超える。街に住む人口の4割だ。

 

「・・・と。その前にメンバーの選定基準を教えて貰えるかな?」

 

その静けさを破ったのは、〈ホネスティ〉のギルドマスター、アインスだった。

落ち着いたような中年の青年の雰囲気でシロエに問いかける。

 

「わかりました。まず、〈黒剣騎士団〉、〈ホネスティ〉、〈D.D.D〉、〈西風の旅団〉の各ギルドは、戦闘系の大きなギルド、もしくは功績の大きいギルドを選ばせて頂きました。お帰りになった〈シルバーソード〉もそうです。〈海洋機構〉、〈ロデリック商会〉、〈第8商店街〉は生産系を代表する三大ギルドとして、〈三日月同盟〉、〈グランデール〉、〈RADIOマーケット〉は小規模ギルドの代表として」

「間違えんなよ。この三ギルドはギルド単体として呼んだ・・・と言うよりは、ギルドに入ってない未加入者や、この席に呼べなかった他の中小ギルドの意見を組み上げた上での選定だ。いくら中小だからってその重みを無視しては・・・いけない」

 

中小ギルドを参加させたのには反発がくるかと思われたが思いのほか、これは受け止められたようだ。参加者たちは納得するような姿勢を見せる。

ここにいるギルドだけで6000人・・・しかし、未加入者や中小ギルドに加入してる人は9000人は行く・・・。

それ故に、そういった人々の代表として、という趣旨はそれなりに受け止めてもらえたようだ。

 

「君は?」

 

言葉を少なく尋ねたのはクラスティだった。〈D.D.D〉の“狂戦士”は、その見た目に似合わない伊達眼鏡をかけていた。

 

「僕は開発者兼発案者としてここにいます」

 

シロエは言い切る。

アキバの街の自治会議を開催する。その会議の参加条件がギルドの名声だったり、大きさだとすればシロエにはその資格・・・がない。

しかし、こうでもしなければアキバの街はどうにもならないし、この世界を生きるにあたっての希望が、ない。

 

「なるほど・・・つまり。その参加資格を得るために私たちをここに集めたのだね?」

 

クラスティの答えはそんなシロエの意図を正確に察知したものだった。シロエは胸を張って「そのとおりです」と言葉を発する。

「一体どのような手段で治安を維持する・・・」

「そもそも治安の悪化とはなんだ」

・・・周りから疑問の声が上がる。玲音は円卓の机を叩いて周りの声を一気に黙らせる。僅かだが、机にはヒビが入ってしまう。

 

「・・・治安の悪化ってのは大体わかってんじゃないの?」

「でもPKとかでしたら減っていますが・・・」

 

声を上げたのソウジロウだった。彼はどこか面白そうな笑顔で玲音に問いかける。

 

「いえ。これは・・・PKに限ったことではありません。今・・・1部のギルドが〈大災害〉後、初心者を軟禁状態にしている―という問題をご存じですか?僕はそれが健全だとは思えません」

「〈EXPポット〉の件だな――しかし、あれは法に反しているとも言えないが」

 

“黒剣”のアイザックが出した話題に、「あぁ、やはりその話なのだな」と察してたような声が上がる。しかし、その言い方はどこから暗い思いを持つ言い方だった。

 

「別に僕達はこの件を、〈EXPポット〉だけに限定していません。問題なのはプレイヤーには現在、法が存在しません。それではこの世界でやりたい放題ではないですか。それでも僕らにとっては利益なんてありません。自分たちさえよければ、ですが」

「それは言いがかりだ。プレイヤーには戦闘行為禁止領域で戦闘をやればそいつには“死”というペナルティが存在する」

「しかし、それは結果であって、“法”ではないです。・・・もっと正確に言うのであれば、戦闘行為禁止領域で戦闘をするなって言うのは“原因”です。その原因に対して“衛兵からの攻撃”と言う結果があるだけです。それはルールとすら呼べない。ただの現象です。僕らが認めた訳でもなく、作り上げたものでもない。そんなものが“法”と呼べるわけないでしょう」

 

シロエの言葉に口をつぐむアイザック。

〈黒剣騎士団〉は〈EXPポット〉を購入しているとされる大手戦闘ギルドの一つだ。暗い思いを誤魔化すために強弁しているのだろう。

だが、それはシロエにとって最大の障害でもあった。だから全力で切り伏せている。

 

(と言っても簡単に下がってくれる訳じゃない。アレは確かにレベル90以上を目指したいなら確かに必要・・・って考えてもしまうからな)

 

〈EXPポット〉はそもそも、このレベルの上がりにくい〈エルダーテイル〉の仕様において初心者救済として支給されるアイテムだ。運営曰く「新しく始めた初心者が中堅プレイヤーに追いつくため」らしい。

大幅に経験量を上げてくれるアイテムともなれば、確かに欲しい理由はわからなくもないが。

 

(人である権利を無視してまで得るものじゃないからな・・・それじゃあ風俗みたいだ。嫌な・・・)

 

「例えば、僕は先日。〈ススキノ〉の街へと行きましたが、そこでは〈ブリガンティア〉というギルドがノンプレイヤーキャラクターの若い娘をさらっては売買している現場を目撃しました。ですが、これは先程の話でいえば、“違法”ではありません。衛兵に攻撃されませんから。でも“法”ってそんなものですか?この世界では少なくとも仕様上は可能である。“可か不可か”と言われれば可能です。でも“法”とは違いますよね。問いたいのは僕たちが僕達に対してそれを認めてしまうのか、という部分です。“法”とは本来そういうものじゃないですか?僕らが僕らを握るルールをどこに置くかです」

 

他のギルドからすればこの言葉は言い訳のように聞こえるだろう。

新人を軟禁しているのは保護のためだとか、〈EXPポット〉を没収しているのは弱い彼らでは補いきれない生活費を稼いでいるとか、少なくとも、彼らはAI仕掛けの人形だから、人権などない。ということも可能だろう。だが、逆に人権があるとは説明できない。

 

そのそも人権は証明されるものではなく、書き取るものだとは歴史が証明している。

 

シロエの言葉に参加者たちは口をつぐみ、また、意見を述べる者もいる。代表だけでなく、参謀たちの会話も含めてあたりは騒がしくなった。

この場合意見はふたつに分かれる。

 

ひとつは法を作った方が良いという意見と。

ふたつ目はそんなものは必要ないという意見。

 

・・・そのふたつの意見は。シロエのとんでもない方法でまとまるとは、この時は誰も知らなかった。

 




オリキャラ紹介

PN 玲音
職業〈吟遊詩人〉
HP「9860」
MP「10593」
装備品 〈罪歌を引き裂く天啓〉
説明 “天を引き裂き、歌を伝えた女神が持っていた〈幻想級〉弓。しかし天界によって女神は地へと落とされた為に罪歌という名がついた。一定確率で〈戦闘歌〉の効果を増幅し、さらに〈吟遊詩人〉の中心技である〈マエストロ・エコー〉の再使用時間を短くする効果を持つ。今確認されている弓の中では最高級の装備品。”

装備品2 〈精霊詩の唄帽〉
説明 “詩を愛する森の精霊王が旅人に与えた、自身の羽を折って作り上げた〈秘宝級〉防具。クエストの報酬。
被ることで精霊を使役出来るようになり、戦闘や、生活面でいろいろ活躍してくれるが、玲音は戦わせたくないがために精霊たちを日常生活以外では出していない。また、〈戦闘歌〉の範囲を広げ、効果対象を増やすことが出来る。”




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