魔王退治のご褒美にエリス様を娶った僕がアクア様に身も心も奪われる話 (ブラックマンバ)
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第1章「アクアという女神」
第1話


※注意事項です※
1:オリキャラ主人公である「僕」がアクア様に寝取られる話です。いわゆる逆NTRや泥棒猫と言われるジャンルです。
2:このすば本編の世界から百~数百年後の世界で色々と変わっています。
3:なので原作キャラはエリス様とアクア様しか出ません(多分おそらくきっと)。
4:※超重要※アクア様が男をちょいちょい喰ってるので性格がだ~いぶ変わってます。
5:エリス様は浮気も寝取られもしませんがちょっと可哀想なことになります……ならないといいんだけどなあ。

 このぐらいでいいかな? ではようこそ! この素晴らしい――――に祝福を!



 

 僕は魔王を倒し、その褒美として女神エリス様を娶った。

 

 そして1年が経とうとしている、もうすぐ結婚記念日だ。

 

 僕のこの素晴らしい結婚生活に祝福を!

 

 ――昼頃に目が覚める。ベッドの隣にエリスはいなかった。ぬくもりも感じないところからすると大分前に起きてしまったらしい。

 

 彼女は働き者だからしかたないけど、もう少しこう……ベッドの中でイチャイチャしたかった、と僕は恥ずかしくなって頬をかく。

 

 枕元にメモがあった。

 

「朝食が用意してあります。温め直して食べて下さい、町内の会合に出かけてきます。お買い物をして夕方には帰ります」とエリスらしい柔らかい筆跡で書いてあった。

 

 さっそくお腹がきゅうと鳴く。エリスの作ってくれる食事は冷めていてもおいしい。思わず生唾を飲み込んだ。

 

 そして1階に下りて食堂に行くとそこには……

 

「むぐっんぐっ……いやぁ~美味しいわねえ、わざわざこの私のためにご飯用意してくれてたなんて、さっすがエリスね!」

 

 流れる水のように青く輝く長髪、ノースリーブの青い服に天女のような羽衣を優雅に着こなすその姿。

 

 後ろ姿だけでも並々ならぬ気配を持つ女がそこにいた。

 

 だがそいつは我が家に不法侵入しただけでなく、飯を食っていた。

 

 僕の席に座ってエリスが作った朝食を貪っていたのだ。

 

 なんて悪質な奴だ、ゆるせん。

 

 僕は廊下に置いてあるホウキを掴むと女にそっと近づいていく。

 

「おいお前、何をやってるんだ!」

 

 こつんとホウキの持ち手の先端で頭を小突くと、女は叫びながらこちらに振り向いた。

 

「ふぎゃ~! あっ、あんただれよっ!」

「この家の主人だっ! お前こそ誰だっ!」

 

 僕の目は、振り向いたそいつの瞳に吸い付けられた。

 

 輝くような大きな蒼い瞳はまるで深い水の底から汲んできたかのような清浄な色で、ピンと張った長いまつげが両目を飾る。

 

 美しい鼻梁と頬のライン、小さい顎のラインは、まるで神業を持つ彫刻家が大理石から削りだしたよう。美しい水の流れのような青い髪と相まって僕の心をドキリとさせた。

 

 驚いたことに、僕の中でエリスと比べたらギリギリエリスに軍配が上がるぐらいには美人だった。こんな人がこの世に存在するとは思わなかった。

 

 だが、ぎゃーすかと叫ぶその口がその神域のごとき顔の造型を幼稚園児の作った粘土細工か何かに貶めている。

 

「なによなによなによ! こ、ここはねっ! 私が昔住んでた家よっ! だから私の家も同然じゃない! それにそれに……ひぃっ!?」

 

 僕はホウキの先を女の眼前に突きつけて魔力を先端に集中させる。これで小突けば顔面に穴が空いて後頭部まで貫くぐらいの威力になった。

 

 女はその威力に気がついたのか「ぎえっ」と奇声をあげながら顔を引き攣らせる。

 

「昔っていつの話だ! ここは僕達が住むまで100年は誰も住んでなかったんだぞ! ふざけたこと言いやがって!」

「100年? うそ……え、そんなに経っちゃったの……? やっ、やだも~どうりで屋敷が妙に綺麗になってるとおもったわぁ。リフォームしちゃったのねーあはははーっ♪ あ、ね、マジでやめてよそれの魔力量めっちゃ多いんですけど? 髪の毛ブスブス言ってる! やめてやめてやめて! マジでやめなさいよ! うぎゃああああああ!」

 

 女は情けない叫び声を上げながら椅子から転げ落ち、流れるように正座をしてその頭を床に擦りつけた。

 

「ごめんなさい! ごめんなさい! 今、土下座してますから! その武器で頭小突くのだけはやめて! マジでやめて! ホントに穴あいちゃう! 死んじゃうっ! 私こんなところで死゛に゛た゛く゛な゛い゛ぃ゛い゛い゛っ゛……いひっひっひぃいいっ~!」

 

 あまりにものみっともない泣き声に僕は文字通り矛先を治める。

 

「おい、頭は下げたままだ、アンタは誰なんだよ一体」

「私、この家に住んでる子の知り合いで……」

「知り合い? 僕はアンタのことを知らないな。一体どこの誰なのアンタ?」

 

 僕は、ついうっかりコソ泥に聞き返してしまった。「住んでる子の知り合い」だとするとエリスの知り合いか? まさかこんなコソ泥が?

 

「よくぞ聞いてくれたわ! 私の名前はアクア! アクシズ教団が崇める水の女神アクア様よ! いくらあなたでもアクシズ教の名前ぐらい知ってるでしょう?」

 

 思わず顔が引き攣る、あの悪名高き「アクシズ教団」最低最悪最強少数精鋭信者全員狂信者悪辣卑劣外道の極み、この世の真の絶対悪。魔族でも魔王でもないから討伐できない(ただし犯罪者として立件される)。そんな連中が信望する女神様だって?

 

 そいつ……アクアは、さっと立ち上がると自信満々に神気を発した。可視光線となって放たれるそれは、アクアの後光となって食堂内を照らし出す。たしかにこの神気は女神と言ってもいいだろう。なにしろエリスと同じ波動を感じたのだから。

 

「それで……アンタ……アクアは……」

「まあまあまあ、そんな他人行儀にならずに私のことはアクア様ってフレンドリーに呼んで!」

「アクアはなんで家に」

「アクア様」

「……アクア様はなんで我が家にいらっしゃったのですか?」

 

 神様マジめんどくせえ。コソ泥なら後ろから襲ってそれでお仕舞いだった。妙な食いっぷりを見てしまって、ついつい確かめてしまったのを悔やむ。今度からは誰であろうと問答無用でぶん殴ろう。

 

「よっくぞ聞いてくれました!」

 

 うわ、なんでそんなに自信たっぷりなの? 今泣いたカラスがなんとやらだ。

 

「実はねえ……ぷぷぷ、あのエリスが、あ、エリスって私の後輩なの。エリスが人間の男と結婚したって聞いたからね、わざわざここまで見に来たのよ……へー……ふーん、なるほど……顔は合格っと……ふむふむ」

 

 アクアは僕の顔をじっとみつめてうんうんと頷くと、あっと何か気付いた顔になって聞いてきた。

 

「念のために聞いておくけどあんたがエリスの旦那様よね? まさか小間使いとか小姓とか執事見習いとかそんなんじゃないわよね?」

 

 ほっとけ。確かに僕は……子供のように見えるが今年で17歳になるし、本当にエリスの夫なんだぞ。背の方はなんとかエリスに追いついたんだぞ。魔王討伐の報酬として身長190cmのゴリマッチョボディにしてと頼むか割りと悩んだんだぞ。

 

「間違いなく、僕が、エリスの夫だよ」

「まいったわね……まさかエリスにこんな趣味があったなんて……まさかショタコン? ほんとによくもまあこんなのと結婚する気になったわね……いくら魔王討伐の報酬だからって断ってもよかったのに……」

 

 アクアは口元に手をあてて何かブツブツと失礼なことを言っている。やっぱり後ろからぶん殴ればよかった。

 

「確認したならもういいだろ、早く帰れよ」

「まあ冷たいわねえ、エリスとちょっとおしゃべりぐらいさせなさいよ。それであの子どこにいるの? 呼び鈴を押しても誰も出ないしぃ、鍵かかってたからちょちょいと開けて入っちゃったのよね」

 

 やっぱりこいつは今すぐに叩きだそう。僕はホウキを振り上げた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 冷蔵庫から昨日の夕飯の残りを出す。パンを適当にカットするとオーブントースターに突っ込んだ。

 

「あ、私ってさパンの耳を食べると嫌なこと思い出すからカットしておいてねー」

「不法侵入者に出す飯は無いっ!」

 

 結局、用意された朝食はアクアに食べられてしまったので、自分で準備することにした。冷蔵庫だのオーブントースターだのはこの世界にやってきた異世界転生者が数百年前に発明して広めたものらしい、僕も最初それらの文明の利器を見た時は驚いたが、なんだかんだで便利なことはいいことだ。

 

「あ、そうだそうだ、ここが昔あたしが住んでた家だったって証拠を教えてあげる! ちょっとついてきなさいよ」

 

 僕が遅い朝食を食べ終わると、アクアはそう言って2階に上がって行く。

 

「おい、ちょっと待てよ! そんな勝手にっ!」

「ふん♪ ふん♪ ふふん♪ うーん、なつかしいわねえ、内装は大分違っちゃってるけど間取りはあの頃のままね~♪」

 

 勝手知ったる他人の家とばかりの動きに、僕は不愉快な気持ちになる。僕とエリスの愛の巣に、勝手に入り込んだ侵入者。その肩を掴んで引きずり倒してやろうと思った時には、もうアクアは僕達の寝室に入り込んでいた。

 

「うわぁ~! えーっとここってアンタ達の寝室? ふんふんふふ~ん……うん、エリスの匂いがするわね」

「おい、何勝手に僕の嫁の匂いを嗅いでるんだ、さっさと出てけよ」

 

 アクアは僕の言葉を無視すると踏み台を持ち出して、天井の板を外していく。

 

「この屋根裏にね、秘蔵のワインを隠しておいたの! 昔、私の仲間だった子達に取られたくなくてねぇ~……いやぁ~ここに来るまですっかり忘れてたのよね……お、あったあった」

 

 そして天井裏から埃まみれの木箱を取り出した。木箱の文字は掠れてるしラベルは取れかかっているが、たしかにこれはワイン瓶のようだ。

 

「それでね、聞いて聞いて! この部屋が私の寝室だったのよ! いっやーホントに全部変わっちゃったのねー……さぁってこの秘蔵のお酒を……ひぎゃああああ! ああっ! これもこれもこれもこれもぉっ! 全部! お酢になってるぅうううううう! ダクネスの御父様にこっそり貰った超高級品なにぃっ! どうしてっどうしてよぉっ!」

 

 100年以上も経てばそうなるだろう、屋根裏なんて夏になれば高温になるんだしそりゃまともに保存できるわけがない。

 

「ハァ~……わかった、わかったから、もう下に降りましょうアクア様……その瓶は僕が処分しておきますから……ってあんたぁ!」

「はぁ~! 悲しくて悲しくてしょうがないじゃない! んもう!」

 

 そう言いながらこのクソ駄女神は僕達のベッドに飛び込みやがった!

 

「なにやってんだあんた! 寝るなら外のごみ捨て場で寝てくれ!」

「なんで私がそんなところで寝ないといけないのよぉ……あー、スプリングの良く効いたベッドねー……あははっ! すっごいわこれ羽布団かしら? ほんっと良い生活してるわねーあんたたちは!」

 

 そう言ってアクアはベッドの上でドッタンバッタン、布団に寝転んでゴロゴロとし始める、小学生かこいつは!

 

「ん~? そんな怖い顔してなにじーっと見てるのよぉ……あらやだ、まさか私のうっつくしい足でも見てるのぉ? いやぁんえっちぃ♡」

「なっ! ば、バカいうなっ!」

 

 とは言うもののこうしてみるとアクアの短すぎるスカートのせいで白い太ももが妙に眩しいし、さらには奥が見えそうで見えなくてもどかしい。うん? なんかお尻の生肌部分がやけに広いな……まさかこいつパンツ履いてないんじゃ……?

 

 エリスに誓って言うがアクアの足の動きに視線誘導されただけであって、僕は少しも悪くない、絶対にだ。

 

「あーら、どこ見てるのかしらぁ?」

「うおぉっ!?」

 

 思わず食い入るようにして上半身を傾けてしまったのがまずかった。アクアに腕を引っ張られると僕はあっさりバランスを崩して、クソ駄女神の身体に飛び込んでしまった。

 

「えへへ、つーかまーえたー、さぁーってと、色々と聞かせて貰おうかなー?」

「うあ、ああっ! は、離せっ離せよっ!」

「あははっ! 耳まで真っ赤にしてかーわいいー!」

 

 僕はそうしてアクアにベッドに引きずり込まれてしまった。

 

 後にして思えば……不法侵入したときにアクアをすぐにでも叩き出すべきだったのだ。

 

 



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第2話

 僕達のベッドに、僕とエリス以外の誰かが入るなんてありえなかった。

 

 少なくとも僕の友人や仲間達はこの部屋に入ったことすらない。

 

 だがアクアは、滅茶苦茶なことを言いながら部屋に入り込んで、ガラクタを持ち出して、ベッドで暴れたあげくに僕を引きずり込んでしまった。

 

「ねぇねぇねぇ、それでさあ、うちのエリスとキミってどういう馴れ初めだったわけぇ?」

「アンタに話す必要なんかないっ!」

 

 アクアは、元勇者である僕の身体を器用に足を使って押さえつけ、頭を抱いてその胸をぐいと押しつけてくる。こいつ……思ったより胸が……いやいや、惑わされてはいけない。僕にはあのエリスの慎ましい胸があるじゃないか昨晩だって……むにむにふにふに……ってぇっ!?

 

「お、おい、なんで胸を押しつけてくるんだよ?」

「ね、いいでしょ、教えてよ? 私に教えてくれたらぁ……私しか知らないエリスの秘密とか弱点とかこっそり教えてあげるからさ」

 

 ……こいつやっぱり最低な先輩女神だな。

 

「エリスがそろそろ帰ってくるからっ! こんなところ見られて離婚の危機とか断固お断りするんだけどなっ!」

「えっとぉ……”町内の会合に出かけてきます。お買い物をして夕方には帰ります”えへへ、あと数時間はたっぷりお話しできるわね」

 

 アクアはメモを片手ににんまりと笑う。手の早い奴だクリス(・・・)と同じぐらいかもしれない、気をつけないと。

 

 ところで、僕がこの世界に来るにあたって選んだチート能力は魔力操作、自身の魔力だけでなく他人の魔力をも操作できるということに気がついた時には戦慄したものだ。

 

 ご想像通り、相手が強い魔力を持っていれば持っているほどこの力は強大なものになる。相手の魔力を根こそぎ吸い取り、自分の力にして放つことが出来るからだ。

 

 操作に関しては砂粒1つ1つに高い無属性魔力を込めて、投げつけるだけでモンスターの身体には無数の穴が空く、そんな能力だ。

 

 そして、魔王に対しても周りの魔力を集めて一撃で終わらせた。ミ○デイン! ってやつだ。

 

 そんなわけで魔王が倒れた今、バイトでやる街の周囲の定期的な狩り以外にはほとんど無用の長物なのだが、こういう時こそ相手の魔力を根こそぎ吸い取って行動不能にしなければならない。

 

「あ、あれ……くそっ! やっぱりダメか」

 

 しかし、この女神は神気を纏っているために、操ることができやしない。こ、この野郎……っ!

 

「なあにもぞもぞしてんのよっ、うわっ! い~やらし~♪ 女神を押し倒して胸を()()()()()()()()してるなんて女神痴漢罪で死刑よ死刑! ほらほら死刑がイヤならエリスとの~! おーつーきーあーいー! なーれーそーめー!」

「ああくそ五月蠅い! わかった! わかったよ! エリスがこの世界ではアバターのクリスとして盗賊で活動してるって知ってるだろ? それで僕を助けてくれたんだよっ!」

 

 僕がこの世界に転生して、まだ右も左も分からぬ頃。この駆け出し冒険者の街「アクセル」で出会った少女……イタズラっぽい表情を浮かべて「私、盗賊のクリスっていうの。このダンジョンに行くなら私を仲間に入れてよ、報酬は五分五分でいいからね」と話しかけてきた。

 

 銀髪ショートカットの歳は15~6歳ぐらいの少女、猫のようにくるくると変わる表情、ふと見るとそれが凛々しい時もある。軽装にショートパンツ、この世界の女冒険者はなぜか露出度が高い子が多いのだけれど、クリスもヘソ出しなのがちょっとまいった、目のやり場に困る。

 

「う、うん、よろしく頼むよ」

 

 僕は少しの逡巡の末にクリスの手を握った。

 

 冒険者として基礎的なことは初心者研修会で学んだが、実践は全部クリスが教えてくれた。屋外での水の確保、火の付け方からテントの張り方、夜営にダンジョン内での警戒にトイレの仕方まで。

 

「私ってね、人助けが趣味……というかそういう性質なんだよねぇ」

 

 基本ソロであちこちのパーティに潜り込んでは手助けしていたらしい、

 

 盗賊のくせに、と僕はその時思った

 

「ギルドにいたキミが、なんだか迷子みたいに見えちゃってさ……あは、なにその顔、実際ボクよりもチビなんだから、おねーさんに全部任せなさいっ!」

 

 と、無い胸を叩いてクリスは笑う。僕は当時13歳、ちなみに巨乳が好きだ。

 

「ふぅん、意外とふつーの出会いね、つまんないからもっと盛り上がるところを話なさいよ」

 

 アクアの身も蓋もない感想に、僕はさすがにイラッとしたが話を進めた。この後はクリスと別れて別のパーティに入れてもらい、冒険者としての腕前を磨いていった。ちなみに職業は魔戦士……魔力を身体に纏い、攻撃力や防御力を上げて殴るという僕のチート能力にぴったりな職業だ。

 

 兎も角、クリスと再会したのはその2年後。王都での防衛戦の最中だった。

 

「あ、ひっさしぶりー! なんか凄いかっこよくなってるね、おねーさんびっくりしちゃったよ……背はあんまりかわんないみたいだけど。くすくす」

 

 あの頃と変わらぬ姿と頬傷を撫でながら笑う顔を見て、僕はクリスにいいところを見せたくなった。成長した僕の姿を見てもらいたい、そして一緒のパーティに入ってメンバーになって欲しい、そんな下心までむくむくと首をもたげていくのがわかった。

 

「ねえ、まだ1人なら僕のパーティにちょっと入ってくれないかな、クリスなら大歓迎だよ!」

「え、いいの? それじゃあちょっと稼がせて貰おうかな♪」

 

 この頃、魔力操作による無敵コンボが決まるようになって僕は少し傲慢になっていた、油断していた、いや間違いなく天狗になっていた。

 

 そんな僕の心の隙をついて、魔王軍は僕に対して魔力を持たないサイボーグアサシン部隊を差し向けきた。魔力値最低のゴブリンをベースに極限まで隠密能力を上げたゴブリン忍者隊。

 

 僕達のパーティは森に誘い込まれてこいつらの縦横無尽な攻撃に晒されてしまう。

 

「こいつらやばいよっ! 素早い上に猛毒の爪を仕込んでるっ!」

 

 クリスの索敵能力とカバーリングのおかげで僕達のパーティはなんとか連携を保てていた。「カッコイイ僕」を見せつける暇なんてありゃしない。

 

 ゴブリン忍者の猛毒塗れの爪がクリスの死角から飛び込んだ時、僕は思わずその前に身を躍らせた。

 

「クリスっ! あぶないっ!」

 

 僕はあっさりと死んだ。

 

「……あなたは死んでしまいました……本当に残念です……本当に……」

 

 真っ暗な空間でへたり込む僕の目の前には……この世界の女神、エリス様が待っていた。とても、とても悲しそうな顔で僕の胸は締め付けられそうになる。僕は二度目の死を迎えてしまったらしい。

 

「……一応、あなたが復活できるかどうかの瀬戸際なので……少しお待ち下さいね」

 

 僕の前で頬を掻く仕草、どこかで……見たような……「あっ」と僕の頭の中で閃く。クリスは……エリスだ、間違いない、じっと食い入るようにその顔を見つめる、頬傷も無く、髪型を変えてはいるが、その顔付きは間違いない。他人のそら似というには似通いすぎている。

 

「エ、エリス様……あなたは……もしかして……!」

「あっ、援軍が間に合いましたよ! よかったですね。でも生き返ることが出来るのは1度だけですから気をつけてくださいね! はい、ではまた現世!」

「ちょ、ちょっと待って! 僕の話を……」

 

 僕が何か言おうと思ったとき、仲間のアークプリーストのリザレクションが成功した。そうして、僕は次の転生先に行くことなく地上に戻ることとなった。心に()()()への恋心を秘めながら。

 

 僕はクリスの姿の奧に、あの女神エリスを見るようになった。うん、今度教会に行ってエリス信者になろう(アクアはもの凄く嫌そうな顔をした、ざまあみろ)。

 

 さて、蘇生した僕は王都で療養することになった。高級ホテルの一室にクリスが見舞いにくる。

 

「ごめんね、私がもっと気をつけてたら、あいつらに森に誘い込まれることなんて……それに私の身代わりに……」

「いや……アレは完全に僕を標的にしていたんだ、クリスがいなかったら全滅していた。むしろ僕がクリスを巻き込んだって形だし……それで僕が1度死んだだけで済んだのは僥倖だよ」

「キミねえっ! 人間1度死んだら普通は終わりなんだよ! 蘇生出来たのは運が良かっただけなんだよっ!」

「ははは、そうだね。でも僕にはクリスっていう()()()()()がついていたからね、だから助かったんだ」

「わっ……バカもう何言ってんのよう……でも、私……」

「そんなに悪いって思うならさ……僕とデートしてくれない? あっ、いや、えーっとその、リハビリに付き合うと思ってさ、いいでしょ、ね?」

 

 顔を真っ赤にしてクリスの手を掴む、弱みに付け込むようなマネだけれど恋に卑怯もお経もないってイギリスのえらい人が言ってた。

 

 と、いうわけでリハビリデートの日々が始まった。蘇生疲れといまだに毒で軽く痺れる身体に寄り添うようにしてくれるクリスに、僕は天にも昇るような気持ちになった、だがまだ昇天するには早すぎる。

 

 僕は毎日会えるチャンスを使って、必死になってくどき落とした。

 

「お願いしますっ! 僕とつきあってください神様女神様クリス様っ!」

「も、もうっ! そ、そんなに必死になって……ああっ! こんなところで土下座なんかしないでよもうっ! わかった! わかったから! 付き合うっ! 付き合うからぁっ!」

 

 こうして僕はクリスと付き合うことになった。

 

 そしてクリスがパーティに入って1年後、魔王を倒した。僕の意識は天界へと転送される。

 

「おめでとうございます。見事に魔王討伐を果たしましたね……その褒美に何を望みますか?」

「僕は……クリスと……いや、女神エリスと結婚したい! 一生傍にいてほしい!」

 

 エリス様が驚いたような顔になって首を左右にふる。

 

「え、えっと、それ困りますっ! 困りますからっ! というかあなたにはクリスっていう恋人がいるじゃないですか!?」

「僕はクリスがエリスだって知ってるっ! 僕は()()()()()()と結婚したいんだっ!」

「ち、違いますぅっ! 私はエリスですっ! クリスではありませんっ!」

「いや、どう見てもクリスはエリスだし……僕はあなたが欲しいんですっ! エリス様っ!」

 

 エリス様は少し困ったような顔になり、クリスと全く同じ仕草で頬を掻く。

 

「キミってさ……思ったよりも大胆だよね、私にこんな求婚してくる奴なんていなかったよ……うん、ほんとに」

 

 それはクリスの口調だった。

 

「でもいいの? 女神様を娶りたいなんて大胆なこと言っちゃってさぁ、後悔なんかしないよね?」

「当たり前だ! 僕はエリスと結婚したい!」

「仕方ないなあ……それじゃあ末永く……お願いしますね、旦那さま」

 

 こうして対外的には”クリス”として僕と結婚、パーティの皆に祝福されてアクセルの街で新婚生活を始めた。

 

 魔王討伐の報奨金で、郊外にある落ち着いた雰囲気の古い屋敷をリフォームしてそこを新住居とした。2人で暮らすには少し広すぎたかな? と思ったけれど子供が生まれたら、住み込みのお手伝いさんとか色々と雇おうと考えている。

 

「ふうんふぅんへぇー……あんたそうやってエリスを娶っちゃったんだぁ、なるほどぉ」

 

 アクアはふむふむと頷いて、僕の頬を馴れ馴れしく撫でてきた。やっていることは最悪なのに、口元を軽く緩ませ、まるで祝福するかのような慈愛に満ちた笑みを浮かべていて、その仕草は間違いなく女神のそれだった。

 

 だが、次の言葉があけすけすぎた。

 

「それでセックスの方はどうなの? エリスのことだからすっごい淡泊だろうけど」

「なっ! そ、そんなの答えられるわけないだろっ!」

 

 いや昨夜は……その若さにまかせて……3回ほど……このベッドの上で……意識してしまうと顔が熱くなりアクアの顔が見られなくなる。

 

「うわ……なにその顔、めっちゃムカツクんですけど……」

「うるさいよ。なあ、もういいだろ、手を離せよ」

 

 だがアクアはその腕を僕の腰に回してぎゅっと抱きついてきた。

 

「こうやってぇ……エリスがあなたに抱きついて、あんあん♡ って喘いでるんだぁ……かぁわいい~♡」

「なっお前っ……ばかっ! なに腰動かしてるんだやめろよっ!」

 

 アクアは僕の下で艶めかしく腰を動かしながらわざとらしいあえぎ声をあげる。僕のエリスがこんなはしたない声をあげるわけがないが、ズボンの中がついつい硬くなってしまうのが分かる。急いで離れようとしたところでアクアは呟いた。

 

「あ、そうだ、私ってね()()()()()()なのよ」

 

 アクアはそう言って手の平をヒラヒラとさせると見覚えのある指輪を取り出した。

 

「えっ!? ばかなっ、どうやって僕の指輪を!?」

 

 魔王軍討伐3ヶ月分のお値段、金とプラチナとオリハルコンを混ぜ込んだシンプルなデザインの結婚指輪。裏側にはエリスと僕の名前のイニシャルが刻んである。

 僕達の大事な契約の証だ。

 

「それじゃ指輪探しゲームのはじまりはじまり~♡」

 

 そう言って指輪を口の中に入れてしまう。僕は慌ててアクアの口をこじあけた。ない! ない! ない! 指輪が……ない!

 にへらと笑みを浮かべたアクアは僕を解放してベッドから抜け出ると床の上に立つ。

 

「さぁって、私の身体のどこに隠してあるのかなぁ~?」

 

 唖然とする僕の前で、アクアは服を脱いでいった。

 

 



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第3話

【クエスト:奪われた結婚指輪を女神アクアから取り戻せ!】

 

 アクアはノースリーブのワンピースを脱いで床に投げ捨てる。上下の下着にニーハイソックスの半裸の姿で偉そうに胸を張った。こいつには羞恥心なんてものはないのか。

 

「さぁって、女神の身体を好きなようにまさぐりなさい! そしてアナタの大事な指輪を……ってあれぇ!?」

 

 僕はアクアの言葉を無視すると青いノースリーブのワンピースを拾ってばさばさと叩く。アクアの半裸など当然のことながら見ない、見てたまるものか。

 

 ワンピースのポケットをまさぐればビー玉にクリップ、コイン、サイコロ、商店街の割引券(期限切れ)、扇子が数本に蝉の抜け殻まで出て来た、こいつは子供か!?

 

 ああクソ、やっぱりこんな服からは出てこないか、少しでも期待した僕がバカだった。

 

「あらあらあら、そんなに熱心に探してくれるなんてねぇ。どう? 私のパンツやブラも確かめてみる? ぷぷぷーっ!」

 

 僕の頭にアクアの下着にニーハイソックスまで投げつけられる。

 

 全裸になったアクアから背を向けて、パンツもブラもニーハイソックスも裏返しまでして調べたが何も見つかるわけがない。

 

 それどころか妙な生暖かさと湿り気にエリスとは違う甘い匂いを感じて……いやいやいや、頭を振るって邪念を追い払う。

 

「むむむ、私の身体を見向きもしないなんて女神侮辱罪だわ……死刑よ、死刑」

 

 アクアが何かブツブツ呟いているがもちろん無視だ。調べきった薄青色の下着を床に捨てる。

 

「もう、私がそんなわかりやすいところに隠すと思ったのー? ほれほれ鬼さんこちら手の鳴る方へ♪」

 

 アクアが僕に向けて何度か手を叩く、イヤイヤながら目を向けるとVサインを突き出していて……

 

 ……そこには結婚指輪があった。

 

 人差し指と中指の間に挟んで。

 

 僕がそれを奪おうと手を伸ばした瞬間、アクアは指輪を天井のほうに跳ね上げて……僕は呆然とそれを見送り……綺麗な放物線を描いて……髪の毛の中にすぽんと入ってしまった。

 

 唖然としてる僕の前でアクアはベッドに再び寝転がって手招きする。

 

「んふふぅ……()()()()()、この指輪って大切なものなんでしょう?」

「……ッ!」

 

 僕は殺意に近い怒気を放った。近くの森から鳥がぎゃあぎゃあと騒ぎながら一斉に飛び立つ、うるさい、一羽残らず焼き鳥にするぞ。

 

 だが、アクアはそんな怒気を受けながらも平然としたままで、ニヤニヤと笑うだけだった……まがりなりにも女神ってことか。

 

 舌打ちをしてベッドに上がり込む、できるだけ女神の()()()身体を見ないように。

 

 アクアの青い長髪に手を伸ばす、アクアは何も言わないまま僕の好きにさせてくれた。両手でゆっくりと手櫛をしながら指輪を探していく。

 

 ……ダメだ見つからない。どこかに絡まってるのかとじっくりと探すが……

 

「ああんっ、そんなに引っ張っちゃダメよ。女の子の髪の毛は優しく扱わなくちゃ、アンタのエリスを扱うみたいにね」

「エリスのことを引き合いにだすなっ! 少し黙ってろよ、この変態女神っ!」

 

 アクアの髪の毛を纏めている髪留めを少し乱暴気味に外して髪を下ろす。

 

 途端に滝の前で浴びる飛沫のような爽やかさが僕の顔を襲った。水の女神っていうのは伊達じゃない。常に妙なバフがかかっていて、僕の怒気も思わず抜けてしまいそうなほどの、癒しのエネルギーだ。

 

「ああ、ないないない……お、お前……指輪を早く返せよっ!」

「うふふぅ。だってこれは指輪探しゲームだもの、アナタがちゃぁんと探してちょうだいね。あ、そうそう、アナタが諦めたらぁ……指輪は二度と戻ってこないから、そのつもりでー♪」

 

 邪神だ……こいつは間違いなく邪神だ……! 勝手にゲームに引きずり込んでおいてその言い様!

 

「ふ、ざけやがって……っ!」

 

 清流のごとき青い長髪を根元から先まで探したが指輪はなかった。気持ちが焦っていくのを感じる。

 

「うーん、残念、髪の毛の中にはなかったみたいねえ……じゃあヒントあげる」

「え?」

 

 アクアは右胸をぽんと叩く、そこに指輪があった。

 

 仰向けになっても崩れぬ美しいラインを描く大きな乳房、僕の片手に余りそうな豊満な乳房の頂点にピンと勃起しているピンク色の乳首。そこに指輪が引っかかり、輝いていた。

 

 僕が手を出そうとすると、アクアは隠すようにぽんと胸を叩いて指輪を消してしまう。

 

 今度は左乳首に指輪が。手を出す。ポンと叩かれる。指輪は消える。

 

「あー、残念! 惜しい! 本当に惜しかったわね~♪」

「かっ! お、お前、いい加減にっ! しろっ!」

 

 ここまでバカにされたのは、紅魔族の里で必要なアイテムを手に入れるために一日中紅魔族の案内人に引っ張り回されて、観光名所案内されながらお金をたっぷりもってかれた時以来だ。

 

「……なにそんな泣きそうな顔になってるのよ? ぷぷぷーっ! まるでいじめられっ子みたいね! だっさぁ~い! きゃはははは! う、うわっ! ちょ、待って! うひゃっ! あひゃひゃっ! 女の子を殴ろうとするのはダメだってばっ! なんかそれめっちゃ力が込められてるんですけどぉ!? そんなので殴られたら私死ぬっ! ほんとに死んじゃうっ! や~め~て~!」

 

 かなりの魔力を込めた僕の拳を見てアクアはさすがに慌てる。これで殴られたどうなるのかこの邪女神にも分かったのだろう。だがアクアはふっと笑みを浮かべて、白魚のような手を僕の拳に重ねた。

 

「ね、ほら、女神にのし掛かっておいて、そんな怖い顔しないでよ……ね? 私のおっぱいを揉んで落ち着いて♡」

 

 こいつが指輪を盗んでおきながら何をぬけぬけと言うのか。

 

「何が落ち着いて……だぁっ!?」

 

 アクアの思った以上に柔らかい女の子の手に握られ、そのまま拳は乳房へと導かれていき……勝手に開いた手がそれを思わず掴んでしまった。

 

「あんっ……うふふ、アナタの手って暖かいのね……あ、は……うふぅ」

「ば、ばかっ、ヘンに色っぽい声を出すんじゃあないっ!」

 

 アクアは僕の手を胸に押しつけて、顔を赤らめながらもじもじと身体をくねらせる。わざとらしい動きだと思いながらも、その表情と吐息に思わず生唾を飲み込んでしまった。

 

 アクアの頬が赤くなり、瑞々しい桃色の唇からは「ほおっ」と熱い吐息が漏れて僕の耳にその熱さを伝えてくる。

 

 半目になった蒼い瞳は少しずつ潤み始めて、その艶めいた視線は僕の顔から離れなかった。

 

 エリス以外の女性と2人っきりでここまで密着したことなど、前世でも今生でも今までなかった。ましてやアクアは全裸で、僕の心臓の鼓動はおかしくなりそうなほど高鳴ってしまう。

 

「んふふ、おっぱいの中にはさすがに隠せないけどぉ……隙間には隠せるかもねぇ?」

「お、おう……」

 

 僕は、アクアに催眠か魅了でもされたかのように、言われるままに乳房の下をまさぐってしまう。

 

 しっとりとしたその肌はきめ細くて、滑らかさ乳房の柔らかさに、僕の腰の奥がずんと重く、熱くなる。ダメだ、なんでこいつなんかにムラムラしてしまうんだ。

 

「うふ……随分と熱心に探してるみたいだけどぉ、あった?」

「な、ない……」

「うーん、残念ねえ、じゃあ次はぁ……()()を見てちょうだい♡」

 

 アクアの指が僕の頬からアゴにかけてなぞり……アゴを掴む。そして顔を向けられた先はアクアの剥き出しの下腹部。陰毛どころかムダ毛一本もないそこだった。

 

「うふふ……♡ はい、ご開帳~♡ 私の大事なところ~し~っかり見るのよ~♡」

 

 かけ声と同時に、ゆっくりとその両足が開かれていった。

 

 ぱっくりと開いたそこは大陰唇がだらしなく開きピンク色の小陰唇……その中心にある淫裂には貴金属で作られた輪っかが……僕の結婚指輪がはまり込んでいた。

 

「あっ」

 

 と言う間に指輪はつるりと()へと飲み込まれてしまう。

 

 なんてこった、この邪女神はとんでもないところに指輪を入れてしまった。

 

「うん、キミの結婚指輪、入っちゃったね……♡ さぁってどうやったら取れるかな~?」

 

 女性器の中までをも見せつけてさすがに恥ずかしくなったのか、羞恥心ゼロかと思ったアクアの顔が、真っ赤になっていく。

 

 濡れた唇のような生々しいピンク色の小陰唇が開かれる。指輪は、見えない。

 

 僕は、そこに指を差し入れた。

 

「いいよ、指、入って……んっ! んふっ♡ それも悪くないわね……あっあんっ! そ、そう……はぁあ……太い指……いいっ♡ それいいわよぉっ♡」

「あ、あまり変な声を……出すなぁっ! くそっ! くそっ! なんでこんなところに……っ!」

 

 僕が、このときどんな表情をしていたのかわからない。大切なものを取り返すためだ、と呟きながらアクアの淫裂を掻き分けるように指を差し込んでいった。

 

 ぬちゅりと暖かくて湿った粘膜に包まれて、それだけでこの膣内の気持ちよさが分かってしまう。

 

 まるで指を口でしゃぶられているような絡みつきと吸い付き、それでいて入り口と中で指をきつく締め付けてくる。まるで指が蕩けそうな感覚に耐えながら、僕は膣内のヒダを掻き分けるようにして指輪を探した。

 

「はぁはぁっ♡ あんっ……私、処女神じゃないからぁもっと思い切りかき回していいのよぉ♡ んほぉっ♡ おっんっ♡ そ、そうよっ♡ 指を二本入れてっ♡ たっぷり中をぉ……女神のオマンコをもっといじってっ♡ とろとろにしてぇっ♡ うあっはっ♡ ああっ♡ あくっんっうっあぅぅーっ♡」

「はぁっ! はぁっ! う、五月蠅いっ! 少しは口を閉じてろっ!」

「だ、だってぇっ♡ 私、オマンコ弱いのぉっ♡ 中をそうやって……んっんふっ♡ 指でくちゅくちゅされるの好きっ♡ 好きぃっ♡ あぁーっ♡ それいいのっ♡ キミっ! もっと私のオマンコ弄りなさいっ♡ あぁーっ♡ わ、私をイかせたらぁ……指輪がぽろんって出ちゃうかも……ひゃふっ♡ あっ♡ あんっ♡ そんな激しいの駄目だったらぁっ♡ んふ♡ ひっひーっ♡ そこっカリカリするのだめだったらぁ♡♡♡」

 

 水のようなさらさらした愛液が、奧から溢れてきた白い本気汁に変わる。アクアの顔を見れば頬から耳まで真っ赤にして唇をだらしなく開き、鼻の穴は興奮でぷくっと膨らませていた。

 

 見ようによって滑稽に見えるそれは、逆に女神が本気で発情していることが僕には分かってしまう。

 

 そうして、決して興奮してはいけない相手に興奮を覚えてしまい、股間のものが限りなく硬くなってしまう。

 

「あーあ♡……あはっ♡ 女神の()()が溢れてきたぁ……♡ うふふぅ……これをひと舐めしたらぁ♡ 寿命が延びるわよ……んふっうふふぅっ♡ こっちに……来なさいっ♡」

 

 再びアクアの手が僕の手を掴む。先程まで、念入りに蜜壺を探っていたその手を引っ張って、抱き寄せてくる。

 

「ふぅーっ♡ ふぅーっ♡ うふ、うふふ……キミの結婚指輪は奧まで入っちゃったねぇ♡ ねえ、私の奧まで届くものって何か分かるでしょ? うん、キミのおちんちん♡……これ、すっごく大きくなってるね、うふ、んちゅちゅ、れろ……ちゅぷっれろぉ♡ んっ♡ キミの指、おいしぃよぉ♡」

 

 アクアの口が自身の愛液で汚れた指をくわえ込み、ちゅぱちゅぱと吸い付いてきた。

 

 うっとりとしたその表情は先程までの人をバカにするようなものではなく、淫猥さと慈愛が混ざったような不思議な表情で、それを見ながら指先を口腔愛撫されるとさらに自分が昂ぶっていくのが分かってしまう。

 

 もう限界だった、股間に血流が集中してズボンが破裂しそうなぐらい硬くなっている。

 

「ほらぁ……大事な結婚指輪……取り戻したいんでしょ?」

 

 アクアは僕の頭を抱きよせて、甘く甘く囁いてくる。そうだ……これはあくまで結婚指輪を取り戻すゲームであって……エリスに対する不義じゃない……

 

「女神マンコをズボズボしてぇ、溢れるぐらいキミの精液を吐き出したらぁ……指輪がこぽって出て来て取り返せるかもしれないからぁ……頑張ってねえ♡」

 

 さらに挑発するように、アクアの手が硬くなったものを何度もなで上げてくる。

 

「はぁっ……はぁっ……この……邪神っ! か、覚悟……しろよっ……!」

「うふふ、何の覚悟が必要だっていうのかしら? ほら、早くキミのおちんちんで指輪を掻き出しなさいよ、そしたらキミの勝ちなんだからね♡」

 

 最早なんの勝負なのかわからない、頭と股間に血が集まっていく。下着ごとズボンを脱ぐと、ばちんと下腹部に熱くて硬いものが跳ね上がった。ここまで滾ったのはエリスとの初夜以来だと思う。

 

「あは、おっきい♡ 思った以上のたくましさねぇ♡ きゃんっ♡」

 

 アクアに覆い被さり、肩を押さえつける。その顔は期待に瞳を潤ませて、僕の昂ぶりの行方を目で追った、喉がごくりと動く。

 

 腰を引き寄せて、すでに濡れそぼったそこに昂ぶりを軽く擦って先端を濡らすと……一気に貫いた。

 

「あっ……あああっ♡ やだぁっもぉっ♡ いきなり挿入しちゃダメじゃないっ♡ もうっ、挿入するときはちゃんと声をかけなさいよぉっ♡」

「すこしっ……だまって……ろっ! このっ! 淫乱女神いいぃっ!」

 

 指でたっぷりと弄ったおかげですんなりと挿入できた。指よりも長くて太い僕の猛りがアクアの膣内を埋めて、満たしていく。

 

 その途端に「じゅわり♡」と腰の奥に蕩けるような快楽が走る。指を入れた時にもわかっていたが、実際に挿入してみるとここまで違うものかと、息を吐く。

 

 屹立に膣ヒダが絡みつきながら貪欲に吸い付くように蠢き、淫裂と中とで締め付けてくる。挿入されたアクアは……勝ち誇ったような笑みを浮かべていて、それに当てられたのか、腰の動きは最初から速くなってしまう。

 

「僕を……僕とエリスのベッドの上でっ! こんなことさせやがってっ! くそっ! くそっ! この邪神! 淫魔!」

「あっ……あっいいわぁっ♡ んっ♡ それいいっ♡ キミのっ♡ 本気みせてっ♡ うふぅっ♡ あぁっあっ……あぁーっ♡ こ、このオチンポいいっ♡ キミのオチンポっ♡ 私の弱いところをごりごり擦ってくれるのぉっ♡ ふぅーっ♡ ふぅーっ♡ もっとぉっ♡ 腰動かしてっ! ずぼずぼしてっ! 女神マンコを精液で溺れさせなさいぃっ♡♡♡」

 

 アクアは僕に犯されるまま喉元をさらし、身体を震わせながら嬌声をあげつづける。それは間違いなく性感にあえぐ女そのものであり、僕の胸を高鳴らせるものだった。そして股間の刺し貫くものは、女神を食らう悦びに打ち震えていた。

 

 だが、アクアに喰われてるのは間違いなく僕の方なのだ。

 

 一突きすれば膣ヒダを掻き分けていく快感に先走り汁が溢れてしまい、あわてて腰を引けば「ず♡ ず♡ ず♡」とヒダまで吸い付いて先走りの残り汁を尿道から絞り出される始末。

 

 僕は、情けなくも必死になって射精するのを我慢するぐらいしかできなかった。こいつの前で無様な格好は見せられないと歯を食いしばる。

 

「んふぅうっ!? あ♡ お、奧ぅ♡……奧まできてるのぉーっ♡ お、おおぉーっ♡」

 

 ぐっと腰を押し込むと自身の先端に何か固いモノが引っかかるのが分かった。間違いなくそこに指輪がある。僕はそこに向けて何度も腰を突き出した。

 

 ごちゅんっ♡ ぶちゅっぐちゅっ♡ ぷちゅっ♡ ぐちゅんっ♡ ぶちゅっ♡

 

 一突きごとにアクアはシーツを握りしめて、腰を浮かせてあえぎ声を漏らし続けた。

 

 アクアの腰を押さえつけて指輪を掻き出そうと必死になって腰をグラインドさせる。だが、亀頭のカリに引っかかったと思えばすぐに外れてしまう。指輪に向かって突き出せば裏スジに引っかかったのか膣内をずるりと擦り、子宮口と亀頭の間に指輪が挟まってアクアは悲鳴をあげた。

 

「きひぃっ!? お、おおおぉっ♡ い、今すごいの来ちゃったぁ♡ 子宮口とオチンポの間にぃ♡ 固いモノが挟まって……ぐりぐりって……っ♡ ひゃああっ♡ だめだめだめぇっ♡ 指輪ごとっ♡ 私の子宮口突いたらおかしくなるからダメなのぉっ♡ ひゃっ♡ あっあぁーっ♡ んひぃーーーーっ!」

「くそっ! くそっ! 少しは黙れっ! このド淫乱っ!」

 

 僕は、エリスがその指輪にキスをしてくれたことをつい思い出してしまい、ギリギリと歯を食いしばりながら、アクアを責め立てていった。

 

 もっと深くまで交わって指輪を掻き出さないといけないと、アクアの両足を肩まで抱え上げ、躊躇無く奥底まで貫いた。

 

「うっ♡ あぁーっ♡ ……はひっ……ひぃっんっ♡ んふ、あ、い、今の一突きでイっちゃったからぁ……すこしやすませ……んっんっ♡ あーっ♡ だめだめだめぇっ♡ そ、そこまでされたら私ぃっ♡ ま、またイ、イク……イっちゃう……くぅっ♡」

「返せっ返せよっ僕の大事な……指輪っ!……この悪魔めぇっ!」

「あ? あ、悪魔とはなによぉっ!」

 

”悪魔”という単語に反応したのかアクアはその両腕で僕にしがみついてきた。耳元でぎゃあぎゃあ騒がれて鼓膜が痛くなる。

 

 そうされても腰は止まることはなかった。いや、動き続けて飽和しそうなぐらいの快楽を貪り続けていないと、射精しそうなぐらい昂ぶっていたのだ。

 

「ほんとにぃっ、ひっどぉーい! 私をあんなっゴミ虫以下の存在と一緒にしないでよっ! おおおぉっ♡ もうっ! サキュバスとか言ったら許さないわよぉっ♡ んふぅーっ♡ んふぅっ♡ うぅうーっ♡ んふぅー……」

「う、うわっ……わ、わかったからっ!? あぁあっ、し、締め付けが……ああっ!」

 

 アクアは淫猥な動きを続けながらも、あえぎ声を少しずつ抑えて息を整えていく。そしてニヤリと笑うと僕の耳に致命的な一撃を加えてきた。

 

「ねえ……私の女神マンコって凄いでしょ? 気持ちいいでしょ? ううん、何も言わなくてもアンタの顔で分かるわ♡ ね、いいわよ、このままぴゅーって射精しちゃえ♡ 女神マンコにいっぱい中出し♡ 勇者様の精液なら……私だって妊娠しちゃうかもぉ♡ あ、すごい、ビクビクしてきた♡ 私を孕ませたいんだ、うんうん、分かるわぁ……私みたいないい女神を見たらそうなっちゃうのが当たり前よね♡……ね? いっぱい中出し射精して気持ち良くなっちゃお……? んちゅっ…ちゅっ……れろぉ♡」

 

 アクアが、僕の耳朶に甘い声を流し込んできた。さらに耳の中まで舐めてきて、まるで媚薬のように頭の中を侵食していく。唐突に、頭の中でパチンパチンと白いモノが弾けていくのが分かる。ぐるりと目が上を向き、背筋を走る快感に思わず仰け反り……ギリギリまで我慢していた腰の奥の方で、ついに堰が切れてしまった。

 

 びゅるぅっ♡ びゅっびゅっ♡ びゅぐるぅううっ♡ ……びゅっびゅるるぅっ♡

 

「うおっ……お、おごぉ……おおおお……で、でてる……いっぱい……出ちまってる……っ!」

「あ、んっ♡……あつ……うあ……うん、キミのオチンポ膨らんでいっぱいお射精してるね、うふふ、えらいえらい♡」

 

 アクアが満足げに笑いながら頭を撫でてくる。全ての精液を膣内に吐き出すまで「えらいえらい」、と褒め続けてくれた。

 

 そのうちに落ち着くと、こんなことをされているのが恥ずかしくなり、僕はアクアから急いで離れる。

 

 ぬぷり、と音を立ててアクアのアソコから、僕の半勃ちになったものが引き抜かれる。そして逆流して溢れ出したのは……ただの水だった。

 

「あははっ、エリスに射精するはずの精液は全部私が貰っちゃったけど……うふふ、全部水になっちゃったね♡ 無駄撃ちしちゃったわねえ♡」

「お、お前……これ、一体……」

「ご免なさいね、私って水の女神の力が強すぎるから大半の液体は浄化しちゃうの♡ 魔王を倒した勇者様の精液でも……浄化しちゃうのね。ねえねえねえ! まさか女神様を妊娠させちゃうとか思った? うぷぷぷぷぷ、ざーんねーんでーしーたー!」

 

 唖然としている僕にアクアはケラケラと笑い、一瞬真面目な顔になる。

 

「それでも、よく頑張ったわね! それじゃ、女神様からご褒美あげるから♡ ん、ちゅ……♡」

「はぶっ!? んっ!……んうぅっ!?」

 

 アクアは僕にキスをしてきた。エリス以外との女の初めてのキス。思わず目を見開き、口内に差し込まれる舌を味わってしまう。流し込まれる唾液は口の中が清浄になりそうなほどの爽やかさ。

 

 そして、舌で押し込まれる異物の感触が、カチリ、と口内に急に潜り込んできて、思わず吐き出してしまった。

 

 カチンと音を鳴らして床で撥ねたのは……僕の結婚指輪だった。

 

「ど~お? 素敵な宴会芸だったでしょう?」

 

 アクアの勝ち誇るような、見る者全てを腹の底からムカつかせる笑み。

 

 僕はその頬を張るか迷ったあげく、結婚指輪を拾った。

 

【クエスト達成!:結婚指輪を取り戻した!】

 

 



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第4話

 結婚指輪を綺麗にするために、僕は下着とズボンを穿き直すと階段を素早く下りて洗面所へと向かう。

 

「あ、ちょっとぉ! どこ行くのよ! ねぇったらぁ! 私とイチャイチャピロートークで宴会芸大絶賛とかしないのぉ?」

 

 誰がそんなことするかっ! 洗面所にたどり着くと流水でよく洗う。少なくともアクアの匂いが取れるまで。

 

「なによぉ、洗うならそんなばっちぃ水道じゃなくて私の水芸で聖水を出してあげるわよぉ」

 

 服を着直して――まるで先程、僕とやっていたことなどまるで悪い冗談だったかのような雰囲気で――女神アクアが後ろからのぞき込んできた。

 

 お前が汚したから綺麗にしているだけだ、と僕が毒づくと

 

「私、汚くなんかないですから! 清浄なる水の女神ですから! だから私の一番清らかな場所に入ってたそれはこの世でもっとも清らかな物として祝福されてるの! アンタは感謝すべきなのよ!」

 

 その言葉に、心の底から呆れた。

 

 チリリンとドアチャイムが鳴る。僕はハッとなって指輪をタオルでさっと拭くと左手の薬指につける。

 

 冷水で洗ったせいで、少し冷たい。

 

 玄関ドアが開き、僕の一番大事な人が帰ってきた。気配だけで分かる。

 

「ただいま帰りました。今日は養殖サンマのいいのが手に入りましたから夕飯を楽しみにしてくださいね」

 

 その暖かい声に、僕はまるで救われたような気分になる。

 

 明るくて、気立ても良く、近所でも評判の若奥様。クリス。

 

 この1年で銀髪を伸ばして肩を少し越えたあたりで切りそろえ、ワンピースにエプロンをしているその姿は、とても荒事をしていた冒険者には見えないだろう。そしてその本当の姿は僕だけの女神様、エリスだ。

 

 ふと、洗面所の鏡を見るとなんとも情けない顔をしていたので水で何度か顔を叩く。

 

「やっほーエリス! 元気してた?」

「わぁっ! アクア先輩! なんでウチにいるんです!?」

「……なにが”わぁっ!”よ……まるで女神をお化けでも見たみたいな声出してさぁ……!」

 

 あの邪女神が僕より先にエリスに近寄って声をかけやがった、なんてこった。

 

 アクアはさきほど僕を()()()()()とは思えぬほどカラッとした笑顔をエリスに見せていた。

 

「お帰りエリス。なんというかその……凄い個性的な女神様だね」

「あ、あはは……旦那様はもうご挨拶したんですか?」

 

 エリスは困ったように右頬を軽く掻く、いつものクセだ。うーん、この困り度数は80を越えているかな……

 

 ”なんでこの女神を家に入れちゃったんですか?”って抗議のジェスチャーに見えるのは……僕の罪悪感のせいだろうか。

 

「アンタったら、こ~んなカッコイイ旦那さん捕まえちゃってこのこのぉ! やるじゃない」

「あ、えっと……その……捕まえたというか……捕まえられちゃったというか……もう先輩っ、勘弁してくださいよっ!」

 

 アクアはエリスと無理矢理肩を組んで、何かヒソヒソと耳打ちしている。そのたびにエリスは真っ赤になったり首を振ったりしていて……あの邪女神何を囁いているんだ!?

 

「あ、そうだ、私お腹空いちゃってさ~、夕飯ご馳走してくれるでしょ?」

 

 僕の朝食を食っといてなんだその態度は!

 

 結局、アクアは図々しくも僕の家で夕食をとることになった(お酒飲みたーいと騒ぐアクアのために、僕が使いっ走りする羽目になったが、その話は割愛する)。

 

 先輩女神とは聞いていたが、エリスへの態度からしてその力関係が窺えた……ホントに苦労してたんだねエリス……

 

 さて、今年の畑で取れた養殖サンマ(この世界の滅茶苦茶の生体系にはなかなか慣れないが、養殖サンマはかなりイける方である)を突きつつ、買ってきたワインを僕はちびりちびりと飲み、アクアの話を聞いていた。

 

 数百年ほど前にはこの土地に立派なお屋敷が建っていてそこでアクアは暮らしていたらしい。

 

「それは本当なのかいエリス?」

「ええ、あの頃は確かに、アクア先輩とお仲間さん達が一緒に住んでいましたよ」

「そうかぁ、エリスが言うのなら信じられるな」

「何よそれ、ホントにアンタ可愛くないわね」

 

 不機嫌そうに顔を顰めるアクアの顔を見て、心の中で舌を出す。

 

「……それにしてもなっつかしいわあ……あの頃が一番充実してたかもしれないわねえ……あのね! 聞いて聞いて! あの時いた魔王は私がいないと……」

 

 そうしてアクアの自慢話が始まった、カズマだとかクズマとかいう男と仲間達と一緒の冒険の旅。ことあるたびに男は死んで、アクアに生き返らせて貰い、エリスと対面してから現世に戻ってきていたらしい。

 

 その話をアクアから聞くたびに、エリスは懐かしむような、泣きたそうな、切なそうな表情を浮かべて、僕の心がチリチリとするのを感じた。

 

 これは嫉妬だ。

 

 もうとっくに死んだ男に嫉妬するなんて情けないと思いつつも、僕達は夜が更けるまでアクアの自慢話を聞き続けた。

 

「もうね! 魔王なんて私の必殺ゴッドブロー! 相手は死ぬ! で瞬殺しちゃったんだからぁ! なによその顔、ホントよホント、だってあの時はエリスも見てたじゃない、ねえ! ”アクア先輩の言ってることはホントです”ぐらい言ってよぉ! も~!」

 

 夜、すっかり泥酔してしまったアクアを客間のソファに寝かせると、僕達は寝室のダブルベッドで眠った。寝室の片隅には酢になったワインが1ケース。色々と()()()()()()になったはずの布団はアクアが【浄化】してしまったらしい。

 

 ……昼間はここでアクアを抱いて……いや、あれは結婚指輪を取り返そうとしただけだ浮気なんかじゃない。だけど僕はヘソの下がむずむずするような気持ちを抱いてしまい、なかなか寝付けなかった。

 

「ん……んふ……ふぅ……」

 

 寝息と共にエリスが寝返る、シュシュで横に髪の毛を纏めていて非常に可愛い、というか可愛い部分しかない、可愛さでゲシュタルト崩壊してしまいそうな可愛さだ。

 

「……」

 

 窓から差し込む月明かりに銀髪が輝き、艶々した頬を白く照らしだす。その頬を何度かなぞり、毎日のように味わうピンク色の唇に触れ、果実の瑞々しい弾力を確かめる。

 

 ぷにぷに……はむっ。

 

「あん……ちゅ……いけない人ですね……寝てる奥さんにイタズラしちゃうなんて……」

「あ、え、エリス……その……」

 

 エリスはぱっちりと片目を開けて薄紫色の輝かせる。ふぅっと熱い吐息が手にかかってゾクゾクしてきた。

 

「ぼ、僕……エリスを……今すぐにでも抱きたいんだ……」

 

 その一言でエリスは驚きで両目を見開く。

 

「だ、だめですっ……し、下に……せ、先輩が寝てますからっ! ああっ!」

「僕は……今、エリスが欲しいんだっ!」

 

 エリスの細い腰を抱き寄せ、掻き抱く。耳元で囁くような必死の叫び。

 

 アクアとの欲望の痕を、エリスとの交わりで上書きしたい。

 

 そんな切実で身勝手な思いが湧き上がってしまった。

 

 熱くなった屹立をエリスの下腹部に押しつける、エリスは顔を赤くして口をへの字に曲げながら僕を見つめて……根負けしてしまったようだ。

 

「し、仕方ありませんね……その、口でするなら……私、その……あの時は、声、いっぱい出ちゃいますから……♡」

 

 布団をめくりあげる。ベッドサイドの灯りを、「ライト」の一言で灯すと、エリスは恥ずかしそうに、僕の両足の間に身体を割り込ませた。

 

 今日のエリスのパジャマは、白いフリルたっぷりの薄青色半袖半ズボンで、そこから綺麗な手足が伸びている。

 

 ちなみに寝る時はノーブラなので、先程も抱きついてその胸の膨らみを堪能したところだ。

 

「それじゃ、失礼しますね……もう、ワガママな旦那様なんだから♡」

 

 腰を浮かせて、エリスにズボンと下着を脱がせさせると、勃起した屹立が弧を描き、エリスの顔を舐めながらペチンと下腹を叩いた。

 

「はう、わ……ん、ねえ、旦那様、下にアクア先輩がいてこうなったっていうのなら……キミのことを少し考え直さないといけないかもね♡」

 

 エリスの口調がクリスに変わる。少しノってきた証拠だ。エリスのままエッチなことをするのは恥ずかしいのか、積極的になるときはクリスになって僕を責めてくる、こんな風に。

 

「んちゅ……ちゅっ♡ ふぅー……ふぅーっ♡ 下でお客様が寝てるのに……いけないオチンチンだね♡ だから私がキミのせーえきをぜーんぶ……♡ んちゅっちゅぽっちゅるぅっ……盗んであげないと♡」

 

 ぞくぞくと背筋に快楽が走る、エリスの顔でクリスが僕のものを舐めしゃぶってくる。そんなギャップにたまらなく興奮してしまう。とろとろと先走り液が溢れ、エリスは目を細めてそれをすすり上げていく。

 

「んちゅぅーっ♡ ちゅっ♡ じゅるぅっじゅるるぅっ♡ ね、ほら、私の目を見て……うん、んちゅっちゅぅうっ♡ うん、いいよすっごい気持ちよさそうな顔してる……うふふ、可愛い♡ ちゅっ♡ じゅるぅっ♡ ちゅっちゅっちゅぅううっ♡」

「はぁはぁ……エリスってそんなに精液欲しいんだ、いつもよりもすっごい激しいよ」

「ぷあっ……! ち、違いますっ……だ、旦那様がどうしてもって言うから、仕方なく……ん、頭撫でてもダメです……んちゅ……ちゅ♡」

 

 途端にエリスになって誤魔化すように先端にキスしてくる、目がとろんとして何度も匂いを嗅ぐ。オスの匂いに嗅ぎ慣れてしまって、もっと求めてしまう顔だ。

 

 エリスのフェラチオ歴はクリスの頃まで遡る。

 

 僕がクリスが付き合うようになって、そりゃまあ色々あって押し倒したりしちゃったんだけど。

 

『あああっ! こ、こういうのは! け、結婚してからじゃないとダメなんだよっ!』

 

 なんて言うものだから、実は最初にやってもらったのは手コキ、そうしてそのうちになんとかオーラルセックスにまで持ち込めたんだけど……あの頃はよく我慢できたものだ。

 

 たまに魔王退治の報酬でエリスを娶らなかったらそのままとんずらされてしまってたんじゃないかと思うことがある。

 

「ねえ、こっち見て♡ んふぅー♡ ふぅー♡ キミはこういうの大好きだよね♡ れろ……れろぉ……♡ うふふ、女神様にこんなのを舐めさせる人間なんてキミぐらいしかいないよきっとぉ♡ れろぉ……んちゅちゅ♡ ちゅぷっ……ちゅうぅっ♡」

 

 こんなに舐めるのが好きな女神もいないと思うよ、という冗談はさすがに口に出せない。エリスの髪の毛を手で梳いて、耳元をくすぐる。

 

「んっ」

 

 ピクンと跳ねる身体、灯りに照らされて赤く火照っている頬、薄紫色の瞳は女神の情欲の色に濡れている。エリスはちゅぱっと屹立から口を離すと根元を軽く擦りながら拗ねるように言う。

 

「ふぅー……ふぅーっ♡ 耳が弱いの知ってるでしょ? そ、そういうのダメ♡ わ、私本気になっちゃうから……♡」

「僕としては本気になって欲しいところだけど……うわっ! ちょ、エリス早すぎだって! 手! 手!」

「ううう、先輩にあの時の声を聞かれたら向こう100年はネタにされちゃいそうだから……イヤだし……それに……」

「それに?」

「あの時の声は……キミに……旦那様だけにしか知られたくないから……」

 

 そのいじらしい言葉に、僕の屹立にさらに血流が流れ込むような気がした。

 

「あっ……キミって……ホントにホントにエッチだよね♡ しょうがないなぁ……私がキミのせーえき全部……んちゅっ♡ 全部ぅ♡ 吸い取ってあげるぅ……ちゅっ♡ ちゅっ♡」

 

 ゾクゾクしてきた。エリスは愛おしいものにするかのように先端から根元までキスの雨を降らすと、亀頭を全部くわえ込んで裏スジを舐めていく。

 

「んじゅぱっ……じゅぱっ……ちゅるっ♡ じゅぷっ♡ じゅるるっ♡ ちゅぷっ♡ んちゅっちゅぅうっ♡ はぁっはぁっ……んちゅっちゅっ♡ れろれろぉ……くちゅっぷちゅっ♡ んっ♡ んっ♡ んちゅっ♡ ちゅっれろぉっ♡」

「あっああっ! エ、エリスっ……僕のものは……みんなっキミのものだからっ! ああっ……あぁーっ!」

 

 でもエリス。キミに捧げるべき精液は1回だけ……ほんの1回だけあのアクアって邪女神に注いでしまったんだ……ごめん、本当にごめん。

 

 僕は懺悔するように目を瞑って、シーツを握りしめた。

 

「んふうっ♡」

 

 エリスがくわえ込みながら溜め息を漏らす。僕のシーツを掴むという仕草を見て限界が近いと悟ったらしい。

 

 唇を軽く窄ませると竿の中ほどまでくわえ込み、搾り取るようにゆっくりと上下させていく。その手は根元を軽く擦って射精を促した。

 

「んふっ♡ んふっ♡ ちゅぱっちゅぱっ♡ んちゅるぅ♡……んっんっ♡……んふぅううぅうっ♡」

 

 その目は僕の射精への期待に満ちていて……欲情した女神の視線……一瞬、エリスの顔がアクアに見えた、ありえぬ幻影。あの美しい女神が僕のものをくわえ込んで蕩けるような笑顔をしている顔。思わずどぷりと溢れる。

 

 びゅるぅっ♡ びゅくっびゅっ♡ びゅっ……びゅぅうーっ♡

 

「っ♡ んぷっ♡ んくっ……んぶっ♡……んふぅ……ふうっ♡ ふぅっ♡ あむ……んぐ……ちゅっ……ちゅっ……ちゅるぅうっ♡」

 

 エリスは食いついて離さぬまま、欲望を受け止めてくれた。ちゅるりと最後の一滴まで吸い上げて、そのまま嚥下していく。

 

「んく……ん……こくん……ちゅぱぁ♡ んふふ、キミのせーえき……ご馳走様でした……♡」

 

 そう言って濡れた唇を舌で拭うのをひどくエロチックだった。

 

 そして口の中と僕の股間に軽く【清潔魔法(傷口の周りを綺麗にする、泥水を取る等の初級魔法)】をかける。

 

 エリスはティッシュを何枚か取ると清潔魔法では取り切れなかった汚れを綺麗に拭き始めた。

 

「旦那様は、これで満足できました……よね?」

 

 もうすでに普段のエリスに戻っていた、僕の股間を拭っているのを除けばだが。

 

「……うん、ありがと、無理言ってごめんな」

「あ……あの、先輩が帰ったら……いっぱいその……が、頑張りますから、ね?」

 

 口腔奉仕をし終わっても、まだ身体を火照らせて頬を赤くしているのを見てしまうと、また昂ぶってしまいそうになる。だけどもぐっと我慢して後処理をエリスに任せた。

 

 そうして、僕はアクアが明日にでも帰ったら、エリスにたっぷりとその猛りをぶつけると心に誓って、目を閉じた。

 

「んー……おっかしいわねぇ……まだいると思ったんだけど……でてこーい……でてこーい……」

 

 廊下で何か物音がして、目が覚める。時計を見る、深夜2時過ぎだ。

 

 こんな時間にあいつは何をやってるんだと、エリスを起こさぬように僕はそっとベッドから抜け出した。

 



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第5話

 寝室から抜け出すと、僕は廊下で小銭を探しているかのようにうろうろしてるアクアに小声で話しかけた。

 

「おい、アクア、何をやってるんだ?」

「しーっ! ちょっと静かにしなさいよ、隠れてるあの子が見つからないでしょ!」

 

 五月蠅くしてるのはお前じゃないか、と突っ込みたくなったが口を噤む。こんな言い合いでエリスを起こしたくはない。

 

「……隠れてるって、何が」

「幽霊よ、幽霊少女……!」

 

 え? ここって幽霊物件だったのか!? と驚いてしまう。

 

 だが、そんなものは聞いたことが無いぞ、そもそもリフォームした時に変な幽霊が寄ってこないようにきっちりお祓いして貰ったんだが……

 

「あ、そっか……あれから100年以上経ってるんだものね……とっくに成仏しちゃってるわよねえ……」

 

 僕の怪訝な顔を見て何か察したのか、アクアは憂いを秘めた表情で少し寂しそうに笑った。

 

「はぁ……ちょっと付き合いなさいよ……私、悲しくなっちゃった、少し慰めなさい」

「おっ、オイ……」

 

 強引に手を引かれ、1階へと降りる。

 

「なんで僕がこんなことを……」

 

 キッチンでやかんをコンロの火に掛ける。

 

 ついつい流れでお茶を入れることになってしまった、こいつ相手なら一番安いお茶っ葉で十分だと急須を用意する。

 

 そうして丸椅子に座って座面に手をついたアクアは溜息を一つ吐く。

 

「あのね、この屋敷って元々は……えっと前の前の持ち主はある貴族の物だったんだけど……」

 

 話を聞くと、この屋敷には貴族とお手つきされたメイドとその隠し子が住んでいたが、隠し子は表に出せないので屋敷に幽閉生活。両親は病にかかって死亡。その後、隠し子も同じ病にかかって幼くしてあっさり亡くなったようだ。

 

 そうしてこの世にたっぷりと未練のある幽霊となった少女は、当然のごとくこの屋敷に取憑いた。

 

 一時期は周りの幽霊が集まって幽霊屋敷と化していたそうだ。で、ギルドの依頼で幽霊退治に来たアクアとその仲間達、幽霊少女の生い立ちと末路を哀れ思ったアクアは他の雑霊は成仏させたものの、その幽霊少女だけは屋敷に残したそうだ。

 

 半分ぐらい嘘臭いな……と眉に唾をつける。

 

「それでさ、この屋敷のお庭にお墓なかった? えっとね、大きな木の傍にあったはずなんだけど」

「木の傍……あ、あの石碑か」

 

 庭の大きな木の傍にあった石碑。木の根っこが盛り上がって半分割れてしまったが、たまにエリスが掃除をしているのを見かけたことがある。墓碑銘も何もなかったけど、なるほどそういうわけだったのか……

 

 この世界にはアンデッドが実在する、だから幽霊少女もいたのは恐らく本当だろう。もっとも、成仏してしまった幽霊少女を覚えてるのはもうアクアしかいなさそうだが。

 

 ピーッとヤカンから音がする。会話は中断し、お茶っ葉を入れた急須にお湯を注いでいく。

 

「それでね、その子ってなかなか面白い子でねー……」

 

 注ぎ終わるタイミングでアクアが再び話しをはじめる。その幽霊少女はたまに茶目っ気のあるイタズラをしたり、仲間達の後ろでニコニコ笑いながら話を聞いていたりとかなり幸福そうな幽霊生活を過ごしていたらしい。

 

 僕は、興味なさげに、ふむんと鼻を鳴らす。

 

「ほい、これ飲んだらさっさと寝ろよ」

 

 マグカップを2つ用意してお茶を注ぐと、片方をアクアに渡して、僕も口に含む。うむ、一番安い割りにはそんなに悪くないな。

 

「なにこれぇ、お湯になってるわよ」

「は? え、そんなわけないだろ。ちょっと貸してみろ……あれ本当だ」

 

 僕の狼狽する姿を見て彼女はくすくすくすと笑う。

 

 あっと気がつく……水の女神であるアクアの浄化能力……精液すら水にしてしまう彼女の力なら指先一つでお茶を水にしてしまうことも可能だろう。

 

「お前なー……あっ」

「あははっ、だからあんたのを頂戴っ!」

 

 僕のマグカップが奪われる。アクアはお茶の香りをすんすんと嗅いでからぐいっと一口飲む。

 

「うふふ、間接キッスしちゃった」

「うん……それ飲んだら、もう寝ろよ」

 

 最早、そんなことをされても突っ込む気も起きない。それにしてもなんでこいつは僕にここまでこだわるんだ?

 

「……それでさあ、あんたの身体からなんかエッチな匂いするんだけど何? 私を誘ってるの?」

 

 アクアはそう言ってじわりと間合いを詰めてきた。女神ってのは……こんなに淫らになるものなのか? こんなに自由奔放で、天真爛漫で、淫猥雑多過ぎると、この女神アクアを信仰するアクシズ教徒も、さもありなんと思ってしまう。

 

 ああ、今日一日だけで自分の常識が大分壊されてしまった。

 

「あっ」

 

 思わず後ろに下がると流し台に尻をぶつけてしまう。アクアはにんまりと笑いながら僕を逃がさぬように流し台に手を付いて、匂いを嗅いできた。

 

「くんくん……ふぅん、さっき射精したって感じでしょ♡」

「……え、そんなバカな、【清潔魔法】はきっちりかけたはずなのに」

「うわ、ちょっとカマかけただけなのに、ホントにヤってたんだ。私が下で寝てるのにエリスを抱いてた、だなんてねえ……ちょっと変態すぎない?」

「だ、抱いてなんかない、ちょっとその……く、口でしてもらっただけだっ!」

「エリスに口でしてもらったの? マジで? へえ……あの子がねえ……へええ……」

 

 後ろを流し台に挟まれアクアは迫り、囁くようにしながら顔を近づけてくる。僕は上半身をなんとか後ろに傾けながらそれを躱し続けた。

 

「ねえ、気持ち良かったの、あの子の()()()()()()()()()

「こ、答える必要はないだろ……っ!」

 

 しかし限定された空間で、腰と腰が密着し続けた状態で、避け続けることなどできるわけなく、耳元で「にちゃり」と唾液を絡ませるような粘着質な囁きをされると、背筋がゾクゾクと感じてしまう。

 

「うん? うふふ、またおっきくしちゃってる♡ 若いっていいわよねぇ~♡」

「くわっ……ああっ!」

「あはっ♡ あんまり声を出しちゃダメよ、あなたのエリスが起きちゃうでしょ……♡」

「な、お、お前が全部勝手にやってることだろっ!」

「それはそうだけどぉ……こうやって迫られてオチンチン撫で撫でされてるところを見られたらぁ……エリスはどう思うかしら? キミってなんだかんだで魔王を討伐した勇者なのにぃ♡ 私なんかすぐにでも振りほどけるはずなのにぃ♡ こんなにオチンチンおっきくさせて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 僕は()()となって顔を抑える。くすくすくすと笑うアクアが、僕の胸に柔らかく赤くなった頬をつけ、まるで猫のように甘えながら顔を擦りつけてきた。そして、ゆっくり、ゆっくりと下に降りていき……すっかり硬くなってしまった下半身に何度も頬ずりをしてくる。

 

「あはっ♡ ほんと♡ なにこのオチンチン♡ さっき射精したばっかりなのに元気にしちゃってさ、私に誘われてこうなっちゃった? だったら嬉しいなあ♡ はぁ~……はむ……はぁ~♡」

「う、うぐぅっ!」

 

 声を出さぬように唇を噛んで我慢する。しかしアクアは弄ぶかのように口をパジャマに密着させながら何度も息を吹きかけてきた。さらに、昂ぶっていく。

 

「はむ、ん……んぅ~♡ んっ♡」

 

 そのままパジャマの腰紐を咥えて解いてしまうと、口だけでパジャマを下ろしてしまう。残ったのはボクサーブリーフ風の下着で、大きくなりすぎて端から飛び出たそれを、アクアはめざとく見つめながら言った。

 

「んふふぅ♡ あ、さきっちょ飛び出してる♡ れろぉれろれろ……んちゅ……ちゅっ♡」

「はぁ……はぁ……う、ぐぅっ!」

 

 容赦無い口撃が始まった。ちゅうっと何度も先端に吸い付いて、裏スジを舐めあげられる。下着がアクアの涎でじんわりと濡れていくのが分かる。

 

 自分でもここまで節操がない下半身だとは思わなかった。とうとう我慢が出来なくなって、自分から下着を膝までずりおろしてしまう。

 

「うふふ、何のつもりかしら?」

「はぁーっ……はぁーっ……わ、分かってる……くせにっ!」

「えー……私って察しが悪くて空気読めない女神だからぁ……はっきり言ってくれないとわかんないなあ……ねえ、ほら、笑ったりしないから私にどうして欲しいか言ってみて♡」

 

 くっと息を呑んで、アクアを見つめる。よく見るとその瞳も情欲の色にとろりと濡れていた。彼女は、間違いなくそれを待ち望んでいる。だから、ぐっと流し台の縁を掴みながら……言ってしまった。

 

「しゃ、しゃぶってください……っ! ぼ、僕のチンポをしゃぶってくださいっ!」

「うーん……もうちょっと熱烈におねだりして欲しかったところだけどぉ……まあ合格ってことでいいかな♡」

 

 にんまりと笑うと「かぽっ♡」という可愛らしい音と共に僕の先端が口の中にはまり込んでしまった。

 

「くぽっかぽっくちゅっちゅぽっ……ちゅっちゅぽっちゅぽっじゅるぅっ♡」

 

 キッチンの薄明かりの中、下品な咥え音があたりに響く。僕は鼻息を荒くしたまま腰を突き出すようにして快楽を味わっていた。アクアの口腔奉仕に腰が蕩けていく。

 

「んぷはぁ……ねえ、ちょっといいかしら?」

 

 その声に視線を向けると、アクアの意味ありげな瞳が見上げてきた。視線が交差すると、ニヤリと笑みを浮かべてくる。

 

「れろぉ……♡ うふふ、エリスの味が残ってたわよ♡ ふう、あの子ったらあんなに熱心にご奉仕しちゃうタイプなのね♡」

「お、おま、何を言って……」

「いいのいいの、全然いいのよ。それにしても元気よねえ……昼に私とセックスして、夜はエリスに舐めしゃぶらせて……深夜にはまた私の口だなんて♡ えっと、なに、つまり両手に女神ってわけ? 何よあんた、とんでもない幸せものよねー♡」

「ひ、昼間のアレはっ……ただのゲームだっ、あ、アクアの卑劣なゲームだったじゃないかっ!」

「う~ん? なによそれ……ああ、エリスなんかに操を立ててたってわけね。はぁ……そんなこと言うぐらいなら私に”チンポしゃぶってください”なんて言ったらダメでしょ~? あむぅ♡」

「そ、それは……くあぅっ! ぐぅっうっうううっ!」

 

 ぐぼぐぼぐぼっ♡ と音を立てながら舐めしゃぶられる。

 

 あまりにもの下品な吸い付きっぷりは、人の口ではないみたいで……エリスが熱心に舌を使って舐めしゃぶる犬のような奉仕、咥え方だとしたら、アクアはまるでスッポンのような……舌に口から喉まで、口腔全体を性器としたような……人の精を全て啜り取る。そんな快楽を引き出すようなしゃぶりかただった。

 

「じゅぽっ♡ じゅぽっ♡ じゅるうっ♡ じゅぷちゅううっくちゅじゅぽおおっ♡」

 

 バキュームが激しくなりアクアの頬が凹む。そのひょうきんな顔を見ると、恥ずかしいのか照れるように目を細めてさらに激しく吸い付いてきた、もう耐えきれない。

 

「じゅるぅうっ♡ んふっんっんっちゅううう……ぷは、ね、いつでも私の口に出していいんだからね♡ 気持ちいいのは全部私に出しちゃって♡ ケダモノみたいに腰を振って私の口を使ってせーえきぜーんぶ流し込んでいいのよ♡」

 

 ふと見せた、その天真爛漫な笑顔はアクアの品性や性質が滲み出ていて、本当に女神なんだなと実感させられる。

 

 先端と口は先走り汁と唾液の橋で繋がり、言っていることは最悪だったが。

 

「んふふぅ♡ それじゃ……本気でいくわよ……♡ これからぁ……このオチンポ消しちゃいまーす♡」

 

 蹲踞の姿勢を取ったアクアは下品に両足を広げ、流し台の縁を掴んでいる僕の両手を押さえてバランスを取る……え、いや、ちょっと待って本気って?

 

「んくぷ……んじゅるぅうっ♡ じゅぽぉっ♡」

「くあっ……はあっ、アクア……あぁーっ!」

 

 淫らな音を立てて、唇が僕の恥骨の上にまでキスしてきた。先端が喉奧の粘膜を擦っているのが分かる。屹立は見事にアクアの口の中に全て消えてしまった。

 

「ふぅーっ♡ ふぅーっ♡ ふぅーっ♡」

 

 鼻の穴を膨らませて、うっすらと生えている陰毛の匂いを嗅ぐその姿はもう女神とは言い難く……だけども酷くエロチックで、更なる昂ぶりを感じてしまった。

 

「うわ、あ……あ、こんな……のって……っ!」

 

 熱い舌が裏側を這いずり回り、竿を包み込むと……それは唐突に始まった。

 

「ぐぼちょっ♡ じゅぼっ♡じゅぼっじゅるぅうっじゅるっ♡ じゅぷっ……んじゅっ♡ じゅぽっちゅるっ♡ ちゅっちゅっちゅっちゅっ♡ んじゅるぅううっ♡」

 

 アクアの頭が猛烈なピストン運動を開始する。先端が上顎から流れるように喉を擦り、引き抜く時は「じゅぽん♡」と音を立ててバキュームが吸い上げていく。端から見れば女が男に熱心な奉仕をしているように見える。

 

 しかし実際には男がアクアの口を犯しているのではない、アクアの口が卑猥極まりない性器となって僕を犯しているのだ。

 

「うあぁーっ! あ、アクア……だ、だめだっ! こ、こんなのっ!」

「んむふぅ♡ んちゅっじゅぽっじゅぽっ♡ ……じゅるぅうっじゅぽっじゅぽじゅぽじゅぽっ♡ ……ちゅうううっちゅっちゅっじゅるううっ♡」

 

 僕の悲鳴を聞いたアクアは、にんまりと目だけで笑い、さらに激しく僕を責め立てた。喉奧まで使った奉仕に僕も限界が近い、ぐっと手を握りしめ思わず腰を突き出す。

 

「あぁっ! だめっだめだっ……射精するっ! あっああっ! 射精しちゃうぅっ!」

 

 そして、我慢することなど出来ず、情けなくもそのまま射精してしまった。

 

 びゅくっ♡ びゅるるっ♡ びゅっびゅっ♡ びゅううううっ♡ びゅううううっ♡ きゅっびゅうぅううううっ♡

 

 いつもと違う射精の勢いに僕は目を白黒させてしまう。アクアは射精するタイミングに合わせて猛烈に吸い上げていたのだ。

 

「じゅるぅーっ♡ んぎゅっ♡ ちゅぅううっっじゅるぅうううっ♡」

「あっが……がひっ……ひぃっ……ぎいいいいっ!」

 

 尿道を走る精液をストローのように吸い上げられると、射精の勢いがいつもより増して……ずるりと命の素が引きずり出されるような快楽に頭が真っ白になる。

 

 もう、歯を食いしばって耐えるしかなかった。腰が蕩けて、完全に力が抜けてしまい、あやうくその場に踞ってしまそうになる。そうならなかったのは恐らく奇跡に近い。

 

「ん……ぷはぁあ♡ はふう……うふふ、私の舌に精液がかかったそばから水にしちゃうようにしたからぁ♡ いくらでも飲めるわよぉ……うふ♡ でもぉそれでも味は分かるし、匂いは残っちゃうから……あは、口も鼻腔の中も、キミの精液の匂いでいっぱいなのぉ♡」

 

 そう言って「はぁっ」と精液臭い息を吹きかけてきた。何と言って良いのかわからなくて黙り込むと、アクアは何を勘違いしたのか肩をパンパンと叩く。

 

「大丈夫よぉ、私ってキミの精液の味も匂いも大好きになっちゃったからさぁ、遠慮無く言ってよね。いつでもいくらでもお口で受け止めてあげる。あ、ひょっとしたらエリスのフェラチオなんかよりも良かった? なんてねー♡」

 

 僕はもう何も答える気力はなく「もういい」とばかりに手を振った。

 

「あ……ごめんなさいね、すぐにお掃除してあげる♡ あーん……ちゅっ」

 

 アクアは【清潔魔法】を使わずに僕の萎えたものをくわえこんできた、唾液や精液の残りが生暖かい水になっていく。そうして何も言わず動かず、暫くして口を離した。

 

「ふう……あとはタオルで拭けば女神の口に大量射精した跡なんて残ってないはずよ♡」

 

 そのあけすけな言葉にうんざりとしながら、ふと頭に思いついたことを聞いた。

 

「……そういえば、その幽霊少女とやらに会って何話そうと思ってたんだ?」

「え、そりゃもちろん、アンタ達の夜の生活を聞こうと思ったのよ♡ あの子絶対にそういうの覗いてるはずだもの!」

 

 僕は思いきりアクアの頭を叩いた。今夜の余韻なんてものは全て消し飛んだ。

 

 ああ、やっぱりこいつは早く追い出さないと……僕の方がおかしくなってしまう。

 

 

 

 第1章「アクアという女神」完

 




次章は「(僕が)寝取られ温泉旅行編」になります。
ご期待ください。


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第2章「(僕が)寝取られ温泉旅行」
第6話


 さて、アクアが我が家に居着いて、もう1ヶ月も経ってしまった。

 

 見事なまでの居候である。

 

 僕はうんざりしてしまったが、初日であんな醜態を見られてしまっては、弱みを握られてしまったも同然であった。

 

 エリスもアクアに対しては、どうしても弱腰になってしまってしまうようだ。

 

「あ、あの先輩、そろそろ天界に帰らないとまずいんじゃないですか?」

「あによぉ、今はバカンス中なのよぉ。それに、この世界でちょっと野暮用あるからさあ、それが終わったらすぐにでも天界に帰るわよ。だから、いいじゃないちょっとぐらい泊まらせてくれてもぉ。あんただってこんなところで新婚さんごっこでバカンス中じゃないの。ねえねえねえ、あんたばっかり下界で満喫してズルイじゃない!」

「新婚さんごっこって、わ、私は本気でっ旦那様のことを愛してるんですっ!」

「ひゅーひゅーひゅー、お熱いわねえ。あ、お酒切れちゃったから買ってきて頂戴」

「昼間っから酔っ払ってるんじゃない! あ、おい、なんだその目は、何か文句でも……」

「あっ! 旦那様、わ、私が買ってきますから!」

「あはは~いってらっしゃ~い、私が旦那様の相手してるからぁ~♡ ゆ~っくり買い物してきてね~」

「うわぁああ、エリスぅっ。頼むから早く帰ってきてくれぇ~!」

「はっ、はいぃ~!」

「ああっ、うちにあるもので宴会芸をやるなっていつも言ってるだろう! この酔っ払い!」

 

 ところで……女神エリスは幸運の女神と言われている。

 

 そして、エリスは買い物帰りに商店街のお祭りくじ引きを、うっかり回してしまった。

 

「おめでと~ございます~! 屋敷の奥さんクリス様! 1等大当たり! 1等大当たりでございます~!」

 

 カランカランカラ~ン。

 

 当たったのは、「温泉街アルカンレティア一週間の旅、一組三名様ご案内」。

 

「さぁ~っすがエリス、やるじゃない。丁度いいわねそれ。私、それでアルカンレティアに行って野暮用終わらせたら、天界に帰るから」

 

 その言葉に、僕達は心の底からホッとした。明日にでも行こうかと、さっそく旅行の準備を始める。

 

「そうですか、それはよかった。エリス、旅行用カバンはどこに仕舞ったかな?」

「はい、あなた。今すぐにでも荷物を纏めてきます!」

「ふふふ、温泉旅行かぁ……()()()()()()

 

 それを見つめるアクアの視線は、なぜかねっとりとした粘着質なもので、この旅行がただで終わるはずがないと、予感させるものだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ところで、夜の生活の方はあれからずっとなかった。時折、エリスは口でしてくれたが、それで足りるはずもなく欲求不満でムラムラしっぱなし。

 

「ごめんなさい、私もあなたともっとしたいんですけど先輩が……」

 

 あれから、アクアがそういうアプローチをしてくることは一切無く、僕がそういう視線を向けても、ニヤニヤと笑いながらお酒を飲むか、適当にかわしてどこかに消えて、夕方になってふらりと帰ってきて惰眠と飯を貪るばかりだった。

 

「なぁに? 私に何か用なの? くすくすくす、ちゃ~んと言ってくれないとわかんな~い♡ 台所にいるエリスに聞こえるような大声で言って欲しいなぁ~♡」

 

 僕としてはヤりたい盛りなので、アクアがいないうちにエリスとセックスしたいのだが、丁度いいところでアクアが邪魔しにやってくる。

 

 こいつまさか、からかうためだけに、ここにいるんじゃないんだろうな?

 

「あらあらあら、ごめんなさい、お取り込み中だったー? あ、私ちょっと酒場の方に行ってくるからお金ちょーだい♡」

「……」

「……」

 

 黙ってお互いの服を着直すと、チッと舌打ちしながら脱衣所の外に出る。いっそのこと夜は、1階の客室に閉じ込めてしまおうかと思ったことが何回もあった。

 

 

 

 夜の寝床でエリスを抱き寄せ、額を、頬を擦りつけ合う。

 

「なあ、エリス。アクアがアルカンレティアでいなくなったらさ、その……」

「あっ、すっごいえっちな顔してますね、ふふふ……わかりました。いっぱい、しましょうね」

 

 お互いの吐息は熱くなり、瞳が潤んでいく。

 

 窓から入る薄明かりでも、頬から耳まで真っ赤になっているのが分かる。

 

「ああ、あなた……」

 

 これがいわゆるポリネシアンセックスというものだろうか? お互いに性的興奮を高め合うが、性器には一切触れずに何日もかけてそういう状態にしていく。最後に射精したのは何日前だったか。

 

「ん、ちゅ……ちゅ……あむ、んっ♡」

「エリス、んっ……ちゅっ……ちゅ」

 

 軽く唇を頬につけて、口周りの柔らかさを楽しみ、胸いっぱいにエリスの匂いを吸い込む。エリスの細い腰を抱き寄せ、硬く熱くなったものをお互いに意識しながら口内を貪った。

 

「はふ、あ、んちゅっちゅっじゅるっちゅっ……ちゅぅうっ♡」

 

 とろとろに熱くなった舌を絡ませて唾液を交換し、汚れた唇を舐めて綺麗にしてから再び音をたてながら吸い付き、お互いを興奮させる。

 

「はぁあ……♡ 好き、好きです……ああぁっ♡」

「僕もだよエリス、愛してる……! んっ!」

 

 とろとろになるまで舌と舌を絡ませていくと、ぞくぞくぞくと背筋に快感が走る。アクアに声を聞かせてもかまわない、このままヤってしまえと、本能がざわめく。

 

「ぷはぁ♡ ああ、アルカンレティアでは本気を出させていただきますから、あんっ♡ 本当に楽しみにしていてくださいね、旦那様ぁ♡」

 

 ああ、だけどもエリスが、ここまでやる気になってくれてるのは本当に珍しい。今、ヤってしまうのはもったいないのではないかと理性がブレーキをかける。

 

「……うん、いっぱいヤりまくろうな」

「ああ、旦那様……旦那様ぁ……んっちゅっ♡ ちゅぷっ♡」

 

 こうして、お互いに興奮が冷めて眠気が訪れるまで存分にイチャついていた、旅行先での燃え上がるようなセックスの予感に胸躍らせながら。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 アクセルの街から往復約3日(車中泊)、アルカンレティアで3泊4日といった旅のスケジュールである。

 

 急いで行くのなら割増料金を払って、テレポート屋でテレポートするのが一番早いのだが「やだー! せっかくの旅なのにそんなの味気なーい!」というアクアのワガママも有り、魔導バスの停留所へと足を運ぶ。

 

 魔導バス、それは魔力で動くエンジンを積んだバスのことである。ひょっとしたらどこかにあるかもしれない石油を掘ればガソリンを精製できるかもしれないが、魔力という便利なものがあるんだからそれ使おうぜ! 出来た! というものである。もちろん異世界転生者が作った。

 

「ふええ、すっごいトゲトゲね……なにこれ、体当たりでもするの?」

「できないこともないけど、これは威嚇用かな」

「そうだね、そもそも近づけさせないのが魔導バスの基本方針だし」

 

 道中のモンスター対策に(魔王軍が滅んだとはいえ残党はまだいるし、モンスターは当たり前のようにそこらにいる世界なのだ)バスに装甲板を張り付け、冒険者ギルドが雇った索敵手と魔法使いが上に乗って警戒する。近づくものあらば魔法で追い散らし、それでもダメならスピードを全開にして逃げる。

 

 盗賊や魔王軍がバスを狙ってきたのなら、複数のバスで防衛陣形を敷いて、救難信号を出した後、徹底抗戦をする。僕も何度かそれに参加したことがある。

 

「あ、勇者殿じゃないですか! あれ? おかしいですな、名簿にはあなたのお名前はなかったはずですが……」

「それ、どっちの名簿だい? 今日はアルカンレティアまで旅行に行くんだ、客人扱いしてくれよ」

「おや、それは失礼しました。それにしても勇者様が乗ってくれるのでしたら、大船に乗った気持ちでいられますなあ!」

 

 魔導バスの受付所で話しかけてくる人がいた、髭を生やした中年の男性。この受付所の責任者で、冒険者として何度かお世話になったこともある人物だ。

 

 そして、僕の後ろにいる2人の女性に気がつくと、そっと囁いてきた。

 

「それにしても、王都の姫様との婚約を蹴って、盗賊の小娘と結婚すると聞いた時はバカなことをしたもんだと思いましたけど……あんな美しくなるとは思ってもいませんでしたよ」

 

 そろそろ秋に入り、エリスはお出かけ用のチェック柄ワンピースにツバの広い帽子を被っていた、どこからどう見ても旅行中の若奥様の風体だ。エリスが盗賊だなんて気がつくのは、同業者でもよっぽどレベルの高い連中くらいだろう。

 

「しかも、勇者殿は新婚なのに、どうして女性が2人もいるんですかな? しかも、あの子もとびっきりの美人だ。両手に花で温泉旅行とか、嫉妬の呪いで殺されかねませんぞ」

 

 いつもの青色のミニスカワンピースを着ているアクアは、僕達の視線に気がついたのか、にっこりと笑みを浮かべる。その女神の笑みに責任者さんは一瞬ぽかんとして、口笛をヒューっと吹く。

 

「ああ、勘違いしないでくださいよ、あの娘はクリスの先輩でアクアっていうんだけど、アルカンレティアに用があってね」

「アクア? ああ、アクシズ教の関係者でしたか、それはくわばらくわばら」

 

 責任者さんは十字を切ると、すぐに納得してしまった。本当にどれだけなんだアクシズ教徒。

 

「それでは良い旅を、ああ一番いい席を取っておいたので期待しててくださいよ」

 

 

 

 魔導バスに乗り込む。見た目はマッド○ックスか、メタル○ックスか、だが中は意外と広くて豪華だ。道交法など知ったことかとばかりの巨体にリクライニングシートが並べられ、内装も元の世界の夜行バスと大差ない。

 

 ただ、夜行バスと違うのは、全ての窓に鉄格子が嵌まっており、いざとなったら窓に装甲板が降りてくるところだ。

 

 一番いい席、というだけあって僕達には一番後ろのシート席が指定されていた。

 

「あ、私、窓側とーった! 私って酔っちゃうから! 絶対に酔っちゃうから! ね? いいでしょ? ねぇー!」

 

 僕達は、それでいいよと苦笑いしながら席に着く。ただし酒は飲むなとしっかりと釘を刺しておいた。

 

 窓側からアクア、エリス、僕、といった並びで座る。そういえばこうしてお客様として魔導バスを利用するのは初めてかもしれない。

 

「さあ! 出発よー!」

 

 正午になって定刻通りに発車、乗車率は6割ほど。大型の魔導バスが5台、アクセルの街の門をくぐり抜けると、キャラバンとなって進んで行く。

 

 アクアは目をキラキラさせながら鉄格子を掴み、丸窓からアクセルの街の郊外を眺めていた。

 

 城壁の外は見事な田園地帯、そこを魔導バスは進んで行く。

 

 やがて、アクセルの街の郊外にある名物が見えてくる。直径2kmの丸い溜め池が2つ、双子のようにくっついている。いや、もはや湖と言っていいだろう。

 

「わお、でっかい湖ー!

「ああ、なんでもここは昔、どえらいアークウィザードが魔王の軍勢と戦った時に出来たクレーターで、超絶級の爆裂魔法の爆心地なんだってさ。地形も変えてしまうような一撃で、いつの間にか川の水が入り込み、アクセルの街付近の農業用ため池にしてから、ここで日照りの被害はほぼ無くなったんだって」

 

 と、座席の前の網に突っ込まれていたアクセル~アルカンレティアの観光案内パンフレットを読み上げる。

 

「へえ……それでなんて名前なの?」

「ああ、だからここは……」

 

 恵みの池っていうんだ、と言うとアクアは腹を抱えて大爆笑しだした。あまりの馬鹿笑いに他の乗客からジロりと睨まれてしまう。ホントに何やってんだこいつ……

 

 兎も角、こうしてアルカンレティアへの温泉旅行は始まったのである。

 



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第7話

 恵みの池を過ぎて数時間。太陽が、西に傾きはじめた頃。魔導バスは巡航速度を保ちながら宿泊地点となる駅を目指していた。

 

 居眠りから、ふっと目が覚める。

 

 何かとてもいい夢を見ていたようだが、もう思い出せない。

 

 ぐっと伸びをして凝った身体をもみほぐす。

 

 車内に聞こえるのは車体に生えたツノが空気を切り裂く音、タイヤが大地を蹴る震動、そして乗客の低いヒソヒソ声。

 

 日本時代のバス旅行を思い出すような静けさの中、荷物から水筒を取ると喉を潤した。

 

 そして右隣に並ぶ女神達、エリスとアクアを眺める。

 

「すー……すー……」

 

 隣のエリスはこっくりこっくりと船を漕いでいた。ここのところ、珍客のせいで妙に忙しかったせいだな、ゆっくりと休ませてあげよう。

 

 エリスの帽子は後ろに置かれて、シックな色彩のチェック柄ワンピースのボタンをいくつか外して熟睡中。乱れた銀髪を軽く整えて柔らかい頬を軽くなぞる。

 

「くー……くー……」

 

 アクアも鉄格子に頭を預けて涎を垂らし、これ以上なく無防備に眠っていた。

 

 いつもの青いミニスカワンピースは浄化されているのか埃一つついていない。

 

 それにしても、こいつのスカートは本当に短すぎるな。おまけに足を組んでいるから真っ白い太ももが丸見えで本当に目の毒だ。おまけに下着が見えそうで……

 

「んふ……んん……」

 

 足が組み替わる。暗い車内、鉄格子から入る陽射しのせいかやけに艶めかしく見える。魔導バスに染みつく雑多な人の匂いが鼻腔を刺激して、心臓の鼓動が早くなる。

 

 ……アクアのスカートが捲れているから直さないと。

 

 そう思った僕は、半身をエリスの方に傾けて右手をそっと伸ばして裾を掴む。

 

「あ、いーけないんだ♪」

 

 その小声に一瞬フリーズして、あわてて手を引き戻そうとするが、アクアに手首を握られてしまった。

 

「あっ! アクア。これはその、スカートが……」

「しー……エリスが起きちゃうでしょ?」

 

 まるで悪戯っ子を捕まえた母親のような顔で、唇に人差し指をあてて「静かに」のジェスチャー。言い訳は口の中で、もごもごと消え去ってしまう。

 

「そんなに私のが気になるの? いやらしぃんだぁ」

 

 アクアは唇を舌で湿らせて、一瞬で淫蕩な邪女神の顔に変わった。

 

 いやらしく目を細めて、くちゃりと唾液の音、熱い吐息。

 

「ふふふっ♡」

 

 だらしなく両足が広がっていく。スカートの裾がピンと張って、上の方にズレていく。じわじわと白い面積が増えていき、思わず生唾を飲み込んでしまった。

 

「ほぉら、手を貸しなさい」

 

 右手を引っ張られて、身体を半ばエリスの方に傾けると寝息が髪の毛にかかってドキリとする。

 

 そして、アクアのスカートの中に手が入ってしまうと指先が濡れた。水っ気たっぷりで、じんわりとした粘膜の感触は間違いなく一ヶ月前に味わったもので。

 

「へへへ……今、下着なんて履いてないの♡」

 

 ぺろりとスカートをめくり上げて、陰毛どころかムダ毛一つないすべすべの下腹部を見せつけてきた。

 

「なぁっ!?」

「こーら♡ 声大きいでしょ」

 

 あっ、となってエリスの顔を見た。まだ熟睡中だ。こんなところを見られたら、夫婦の危機なんてものではない。アクアはくすくすと笑いながら身体をくねらせる。

 

「はんっ……んっ……アンタの指ってぇ♡ 熱いから好きよ……♡」

 

 そして、声を押し殺しながら、アクアは僕の指で自慰をおっぱじめる。

 

(なんだって今こんな場所で、家にいたときはあんなんだったのに!)

 

 こんなのがイヤなら、さっさと手を引き抜けばいいのに、なぜかそんな気になれない。うなり声で非難しながら、僕の指先はアクアの都合の良いオナニー道具になってしまう。

 

 頼むからエリス、起きないでくれよと祈りながら、指先はアクアを満足させるために動き始めた。

 

「はぁん……んっ♡ んんっ、んふ」

 

 中指が膣内に入る。苦しい姿勢なので浅めにしか挿入できないが、湿り気が増えて膣ヒダが絡みついてくるあたり、アクアも感じてきたらしい。

 

「はぁーっ♡ はぁーっ♡ はぁーっ♡」

 

 熱い吐息を漏らしながら、潤んだ流し目で「もっと頂戴」と誘ってくる。上気して赤くなった頬、唾液をくちゃりと鳴らしながら舌なめずりして、赤い舌を蛇のように唇から出す。

 

「くそっ」

 

 汗が噴き出て、肌にシャツが貼り付いた。もう何週間もお預けされた僕のペニスが、硬くなりすぎてズボンを突き破りそうだ。

 

「アクア、一体なんのつもりだよ」

「触ろうとしてきたのはアンタの方でしょう? まさかエリスの前でこんなことしてくるなんて思わなかったけど……うふふ、なかなかスリルがあるじゃないの♡」

 

 アクアはエリスの顔を見てニンマリと笑う。

 

 僕は、今この瞬間にでも起きてしまわないかとヒヤヒヤしながらアクアの蜜壺を指先でひっかく。だがやはり、どうしてもエリスの寝顔が視界に入ってしまい集中できない。

 

「んもぉ……じれったいわねえ♡」

 

 そんな注意散漫な動きに焦れたのか、僕の手を掴むアクアの動きが早くなる。指が蜜壺の中を、勝手に激しくかき回していく。

 

 くちゅ♡ くちゅ♡ くちゅっ♡ ちゅぷっ♡ くちゃっ♡ くちゅうっ♡

 

「んくっ♡ んふっ♡ ふっふっふぅーっ♡」

 

 たっぷりと濡れた水っぽい音があたりに響き、ドキリとする。

 

「お、おい、アクア、いい加減に……っ!」

 

 もしも今、前の座席の人が振り向けば、僕が不自然なポーズで固まっているのが見えるだろう。ふざけているのか、じゃれあっているのか、勘違いしてくれればいいが、アクアの噛み殺すようなあえぎ声と水音に何か感づいてしまうかもしれない。

 

 心臓の鼓動がさらに早くなり、血の流れるドクドクとした音が聞こえてきそうだ。

 

「あはっ♡ なに指の動きサボってるのよぉ♡ い、今、いいところなんだから……わ、私をさっさとイかせなさいっ……♡ んぅっ♡」

「こ、この淫乱女神っ!」

 

 そこまで言うのなら、と親指でアクアの淫核を探り、すっかり固くなっているそれをボタンでも押すかのようにぎゅっと押しつぶしてやる。

 

「~~~~~っ♡」

 

 ビクンと腰が跳ね上がる、そのまま綺麗にブリッジを作ると、ヒクヒクと腰を震わせる。

 

「ふぅーっ♡ んふぅーっ♡ んっんっくふぅーっ♡」

 

 唇を噛みしめながら、涙目になって抗議の視線を投げつけてくるが、もう知ったことか。挑発したお前が悪い。

 

 鼻息を荒くしながら、中指と薬指を挿入して蜜壺の中をひっかくようにして、親指で淫核を虐め倒す。恥骨を持ち上げるように指をかぎ爪にして膣ヒダを扱きあげる。

 

(ほら、さっさとイっちゃえよ、淫乱女神っ!)

 

 フゥッとケモノのような息が漏れる。女神を指先で虐める悦びに、歯を剥いて笑っているのが分かる。

 

 指でごちゅごちゅと擦れば、蜜液が面白いように溢れ出した。ひと掻き、ひと掻きごとにアクアはのけ反って、じっとりと濡れた喉元を晒す。

 

「くふっぅあっ……くひっ♡ ひっ♡ ひっ♡ んふっ♡ ふぅううーっ♡」

 

 そしてついに、下唇を噛みながら足をピンと伸ばし、びくびくびくと身体を痙攣させながら、アクアは絶頂した。

 

 やがて、身体は脱力して、ギシリと座席が鳴る。

 

 やってしまった。

 

 ド淫乱変態邪女神のアクアに腹を立ててしまって、かなりエキサイトしてしまった。

 

 エリスの顔を盗み見れば「ううん」、と寝苦しそうに身体をもぞりとさせているところだった。こんな状況でよく眠っていられるなと苦笑しつつ、幸運の女神に感謝する。アクアの蜜壺から汚れた右手を引き抜いた。

 

「うっわ、こんなに濡らしたのかよ、水の女神だけあってホントに水っぽいな」

 

 アクアの蜜液は水にならず、右手にはぐっちょりと白いもの纏わり付いていた。本気汁の甘酸っぱい匂いに、さらに股間が興奮していくのが分かる。下着の感覚からして、先走りがとろとろと出っぱなしだ。

 

「はぁはぁ……アンタ、なかなかやるじゃない♡」

 

 息を整えたアクアだが、その目はまだ情欲に濡れていて、まだ何か物足りないように口をパクパクとさせ、

 

「私が綺麗にしてあげるから、手ぇ貸して♡」

 

 そう言うと、汚れた右手を掴んでエリスの目の前でちゅぱちゅぱと音を立てながら舐め始めた。

 

「はむ、んちゅ……れろ……♡」

 

 くちゅくちゅと指先が舐められる。歯を使って白い蜜を刮ぎ取っていく。甘い痛みが指先から二の腕に向かって走る。

 

 綺麗にするのならタオルかハンカチでも用意して、軽く手を握るだけでいいのに、わざわざ口で綺麗にするあたり、本当に淫乱なんだなと思わず感心してしまう。

 

「れろぉ……れろれろ♡ んちゅ……ちゅぷっ♡」

 

 僕の目をじっと見つめながら、懸命に掃除してくるアクアはまるでエサに食いつく犬のようだ。指を一本ずつ舐めしゃぶられる、蜜壺をかき回した中指と薬指は特に丹念に。

 

 指先をくすぐる感覚と、あの夜を思い出すような口腔奉仕に腰の奥がさらに熱くなる。

 

「ちゅぱぁ……れろれろ♡ んぐっんちゅっ♡ んふぅううっ♡」

 

 真っ白い愛液が、透明な水になってエリスのスカートに滴り落ちるが、僕もアクアから目が離せなくなる。

 

「んちゅ、くちゅ……ちゅちゅっ♡ ちゅぷ……んふぅ♡」

 

 アクアはエリスには目配せ一つせず、僕の表情の変化を観察しながら綺麗にしていく。何が面白いのかムフフと鼻で笑うと、僕の指をくわえたままアクアは動かなくなった。

 

 その目は、僕の瞳だけを見つめていた。

 

 僕は、ごく普通の日本人だ。黒髪黒目、背は低いがまだ伸び盛りだと信じたい。顔付きはよく幼いと言われて、前世でも現世でも女の子からはよくからかわれていた。特にイケメンというわけでもないが、取り立ててブサイクというわけでもない。そんな僕の顔を、なぜかアクアは熱心に見つめ続けていた。

 

「……ねえ、2人して何やってんの?」

 

 エリスの低い声にはっと我に帰る。その目はジトーっとした暗いもので剣呑な雰囲気をまとっていた。

 

「え、いやこれは……」

「あーっ! エリスちょっと聞いてよ、この子ったら私が寝てる間に私のおやつを勝手に食べちゃったのよ! あれは私の物だったのに! だからこうやって残りカス舐めて取り返してやってるのよ、ほら、返しなさいよ! 返しなさいよぉーっ!」

「わぁっ! 先輩、ここではクリスって呼んでくださいよ! それにキミもなんで先輩のおやつなんか食べちゃったのさぁ!?」

「あ、いや、なんか美味しそうだったから?」

 

 アクアのアドリブで救われた。

 

 ぎゃいぎゃい騒ぎながら指を噛んでくるアクア、旦那様から離れて下さいと言いながら引き剥がそうとするエリス、そしてどうしようもなく困り顔になっている僕。

 

 なんというか本当に、今となっては遠い昔の話となってしまった修学旅行みたいなムードに、僕は心の底から楽しくなってしまった。思わずアクア達と一緒に騒いでしまう。

 

『えー、お客様、大変騒がしいので車内ではお静かに、お静かにお願いします』

 

 備え付きのスピーカーから、車掌さんに叱られた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 夜になる頃には駅についた。

 

 魔導バスは駅舎を取り囲むように専用の駐車場に停められると、バスから出て来た乗客達が駅にあるトイレや売店に群がっていく。まさに道の駅だ。

 

「なあクリス、ちょっといいか」

「あ、なになに、どーしたの?」

 

 駅の方から帰ってきた《クリス》に話かける。外ではクリス、内ではエリスという扱いをしているが、無論合意の上だ。

 

「ここで話をするのもなんだからさ、な?」

 

 アクアには小銭をやって売店の方にけしかけておいた。今がチャンスだとばかりにクリスの肩を抱くと、魔導バスの影へと、駅舎から見えないところに誘い込む。

 

「もう、なんなのこんなところで、どんな秘密のお話なのかなぁ?」

 

 魔導バスのボディを壁にしてエリスに背負わせると、脇に手をつき「ドン」と音を立てた。所謂「壁ドン」、こんなことをしてしまうのは生まれて初めてだったなと思わず苦笑する。

 

 クリスが少し驚いたような顔になると、困ったように眉を落として頬をぽりぽりと掻く。

 

「あ、あはは、やだキミ、ちょっと目が怖いんだけど……あんっ!?」

「クリス、愛してる」

 

 クリスのうなじに顔を埋めて「すうっ」、と匂いを嗅ぐ。

 

 今日一日の汗の臭いに脳の一番奥がズンと効いたのが分かる。駅前のざわつきが段々と遠くなっていく。もう目の前のクリスしか目に映らない。

 

「だ、だめだよぉ、あとすこし、明日になればアルカンレティアに着くんだから我慢しようよ、ね?」

「ダメだ、がまんできない」

 

 クリスの細い腰を抱く。ここ暫くの禁欲生活と、先程のアクアのイタズラで股間の硬いものはもう我慢の限度を超えてしまっている。

 

「あっんっ、ダメだってばこんなところで、は、恥ずかしいよぉっ、だ、誰かに見られちゃうからぁっ!」

「覗き見する奴には、クリスは僕のものだって見せつけてやるよ」

「きゃっ、やだやだ変態!」

 

 と、悲鳴をあげるクリスを抑えて、スカートをめくり上げて尻を触る。

 

「ひゃうぅっ!?」

 

 クリスの鍛えられたむっちりとした小尻。ここに何度も精を吐き出したのだというのを思い出すと、ますます昂ぶっていく。

 

「あぁあっ……ダメ、ダメだってば、今日はすっごく汚いしっ! あ、んぅ……もう、ダメ……あ、は……んっ……」

 

 小尻を指先で優しく回し撫でて、ぎゅっと掴み優しく揉んでいくと、ダメがダメ♡ になっていく、甘い声に変わっていく。クリスの身体の弱いところは知っている。そして何よりクリス自身、何日も寸止め状態だったせいで、あっという間に瞳を潤ませて僕にしがみついてきた。

 

「こ、こんなところでなんて、あああっ! 外でなんてっ、ああっ旦那様ぁっ♡」

 

 ジリリリリリリリリリリ!

 

 ズボンを下ろそうとしたその時だ。非常ベルの音が鳴り渡った。駅のスピーカーから大声が響き渡る。

 

『敵襲っ! 敵襲ーっ! モンスターの襲撃! ゾンビにゴーストの大群だっ! くそっ、どこから沸いてきやがった!?』

『乗客の皆さんは、駅のシェルターに非難してください! 冒険者の皆さんはバスをバリケードにして防衛戦に入って下さい!』

 

 悲鳴と怒声がここまで聞こえる。バスの影から顔を出してみれば、駅舎の中に乗客が殺到していくのが見えた。

 

「お、おい、あんたら、こんなところで何やってんだ? ここは俺達が守るから早く避難を、って……ちょ、ちょっと待てよ!」

 

 防衛戦に入る冒険者の一人が、僕達を見つけて避難誘導をしようとしたが、僕は冒険者にクリスを預けると外に向かって走り出した。

 

「ふっ! ざっ! けっ! やがってー!」

 

 キレた、本当にキれた。

 

 あと少しというところでお預けをされた僕は、雄叫びをあげながらアンデッドの群れに突っ込み、魔力の籠もった砂を投げつける。

 

 ドグシャアッ!

 

 砂にぶち当たったゾンビは、まるでショットガンを食らったかのように身体を散乱させて行動不能になる。そして、巻き添えを食らったゴーストも塩を撒かれたかのように悲鳴をあげながら雲散霧消した。

 

「誰だあいつ! 一人で突っ込んで滅茶苦茶ぶっ倒してるぞ? あ、ゾンビが10体ぐらいぶっ飛んだ!」

「お、おお、あれが魔王を倒したっていう勇者様だってさ」

「そりゃすげえ! あ、後でサイン貰おう」

「お、おい、あの人ただのお客さんだろ? 俺達も勇者様に続けー!」

 

 砂を掴んでは魔力投げショットガン、手頃な石に魔力を込めてぶん投げれば時速200kmの砲弾となって、ゾンビやゴーストを貫通してバラバラに吹き飛ばす。

 

 敵陣の中に突っ込むと、魔力を込めた拳や蹴りを振り回して徹底的に破壊してやった。

 

 ドンと地面を踏み潰す音、ゾンビの頭蓋は消し飛ぶ。

 

 手刀が風を切る、10m先にいるゴーストは真っ二つになって成仏した。

 

 ああ、この程度では腹の虫は収まらない。

 

 そうして、深夜になるまで大暴れし、ようやくアンデッド軍団は全滅した。

 



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第8話

 かくして、翌日の夕方頃にはアルカンレティアに無事到着することができた。

 

 魔導バスが跳ね橋を越えて門を潜ると、町並みは青色で統一されており、多くの観光客が楽しそうにしているのが見える。それは賑やかな観光地の雰囲気だった。やがて町の中央、噴水広場の近くにある停留所にたどり着く。

 

「いやいやこれは勇者殿、昨晩はありがとうございました」

 

 魔導バスを降りたところでキャラバンのリーダーに挨拶された。お決まりの称賛と感謝の言葉の末に礼金を渡したいというので、冒険者ギルド経由で報酬を計算して下さいと言っておく。

 

「ああ! 我が麗しのアルカンレティア! 私はかえってきたぁー!」

 

 そして、そんなやりとりを無視してアクアだけはテンションが高い。僕とクリスは昨晩の寸止めからずっと悶々としっぱなしで、アクアから見えないように手を恋人繋ぎにして指を絡ませ合う。お互いに高まり合ってるせいで、ただそうするだけで、ぞくぞくとした快感がお互いの手の平から溢れてくるのが分かった。

 

「それじゃ私、教団本部にまでちょっと遊びに行って、ちやほやされてくるから、2人とも宿で待っててね!」

 

 アクアはそう言うと僕達の言葉を待たずに駆け出していく。あ、転けた。

 

「……あのまま帰ってこなければいいのに」

 

 それは、容赦のないクリスの本音だった。

 

 聖水と温泉の都アルカンレティア、ここはあのアクシズ教の総本山でもある。これまでの歴史的経緯……エリス教総本山落書事件、王族への強制入信未遂騒ぎ、魔導バス高級シュワシュワテロ事件等から、アクシズ教徒は先鋭化し、潜在的テロリストとして見られている。そのためアクシズ教徒の約9割がアルカンレティアにいるらしい。だが、この国で邪教認定されて焼き討ちに遭わない理由はこの街が良質な聖水の大産地という点にある。

 

「噂には聞いてたけど、水路を流れてるのが全部聖水ってハチャメチャだよね」

 

 クリスはしゃがみこむと、水路の水に手を伸ばして聖水をぱちゃぱちゃと跳ねさせる。このおかげでアンデッドだけでなく悪魔も近寄ってこないらしく、魔王軍との戦争中でも観光地として運営できていたらしい。

 

「おや、観光客さんですかな。聖水路に興味がおありで?」

 

 ニコニコと笑いながら話しかけてくる法衣を着た中年男性がそこにいた。

 

「え、ええ、数日ほど観光していく予定ですけど、あなたは……」

「ああ、私ですかな、見ての通りアクシズ教のプリーストです。ここの聖水はなかなか品質が良いですが、この街から持ち出すにはこのアクア様の印が入った瓶に入れませんと、罰金で大変なことになりますぞ。この頑丈な小瓶に神聖なるアクア様の御印が入ってお値段10万ゴールドのところ、この場で現金払いなら、お買い得な9万8000ゴールドでいかがですかな? さらにここでアクシズ教に入信していただければこの小瓶を2つプレゼント! カップルさんで入信していただければ4つ差し上げますぞ!」

 

 そう言ってコップ一杯ほどしか入らなさそうなガラス瓶を見せてきたので、クリスの手を握ると無視して歩き出した。

 

「ああ、お待ち下され! お待ち下されー!」

 

いくら狂信者揃いのアクシズ教徒とはいえ観光客相手に無茶なことはしない……しないよね? なんか首筋あたりに熱視線をチリチリと感じるんだけど……

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 山沿いにある日本旅館風の宿に到着する。3階建てのその建物は、日本で建てられていたとしても割りと違和感がないなと僕は思った。

 

「結構いい感じの旅館じゃない? これもクリスが大当たりを引いてくれたおかげだよ」

「あはは、こうやって旅行を楽しめるぐらい平和になったのは、全部キミのおかげなんだよ。私はそれこそ、ちょっとクジを引いただけだから」

 

 ポリポリと恥ずかしそうにはにかみながら頬傷をなぞると、クリスは僕の腕を取る。はあっと熱い吐息が耳にかかる。甘く囁いてくる。

 

「じゃ、行こっか旦那様♡」

 

 その仕草一つ一つに、下腹が熱くなるのを感じながら、旅館にチェックインした。

 

 仲居さんに、3階の部屋に案内される。この世界に転移した日本人が設計したのだろうか、畳敷きの和室が2部屋、障子で仕切られている純和風の客室で感心してしまった。

 

 そして、大きな窓からは、澄んだ湖が夕日を照らして茜色に染まっている。テーブルの上に置いてあるパンフレットによると夏には花火大会なんてやるらしい(もうその時期は過ぎてしまったが)。それからこの旅館の目玉である露天風呂は……

 

「えっと露天風呂は今の時間はやってるね……混浴は夜からなんだ、へえ……」

「あ、すっごいエッチな顔してる……混浴は1人だけで行ったらダメだからね」

 

 それはクリスと一緒なら良いということか?

 

「こほん。ほらほら、早く噂の聖水温泉に行こうよ。もう昨晩から身体中ベッタベタだもの、汗やら埃やら何やら全部綺麗にしてさ、ね。そしたら、あの、その一緒に……」

「一緒にいっぱいエッチしたい?」

 

 顔を真っ赤にしたクリスに背中を押されて、そのまま脱衣場まで押し込まれてしまった。

 

「いや、これは、アクシズ教の総本山の街というのを差し引いても、確かに何度も入りたくなる温泉だな」

 

 聖水温泉に入っての率直な感想だった。看板に書いてあった解説によると、今から数百年前に奇跡が起こり、源泉から湧き出す温泉が全て聖水となったそうだ。そして、当時の魔王を討伐できたのはこの奇跡が起きたおかげであり、これも全て、アクシズ教徒の祈りが、天にまします女神アクア様へ通じたおかげなのです! これを読んだ方は今すぐ教会でアクシズ教に入信しましょう! ああ、途中で変なのが混じってしまった。

 

 とにかく、聖水で作った温泉などという馬鹿げたものに入れるのは世界広しといえどもここだけだろう。じっくり浸かることによる聖水の癒やし効果は抜群で、昨晩大暴れした体力も完全回復し、古傷も癒やされたような気がする。

 

 用意された温泉浴衣に着替え、ほかほかの身体で聖なるオーラをかもしだしながら部屋に戻る、それから30分ほどしてクリスが帰ってきた。

 

「おまたせっ、今帰ったよー」

「遅かったじゃないか」

 

 聖水で身体を洗うのはよっぽど相性がいいのだろうか、クリスの肌がタマゴのようにつるっつるになっていて、気のせいか頬傷も薄くなっているような気がする。爽やかな青色と旅館のマークが胸に入った温泉浴衣が本当によく似合っている。

 

「もう、女には準備することがいっぱいあるんですよ、旦那様……♡」

 

 その瞳はクリスらしからぬ艶めいたもので、夕食を配膳する仲居さんのノックがなかったら、この場で間違いなく押し倒していたことだろう。

 

 部屋での食事が終わり、僕が布団を敷いている間に、クリスは入り口で何かごそごそやっていた、何かスキルを使ったのか扉がペカッと光る。

 

「あのね、今、扉にかなり強力なロックかけてきたから」

「え?」

「外からは絶対開けられないようにしたよ。先輩が帰ってきても無視してよね」

「それって……」

「あのね、私、もう我慢出来ないんだよ? もう一ヶ月だよ? キミにいっぱい抱かれたいのに先輩に散々邪魔されちゃってさ、お口だけだなんて生殺しだよ、ホントに死んじゃいそうだったんだよ。だから、昨晩バスの影で迫られた時なんかね、下着がグッチャグチャになっちゃったんだからね。ほら、こんなこと言ってる間に思い出しちゃって……もう、こうなっちゃったよぉ♡」

 

 温泉浴衣の帯が解かれる。クリスが浴衣を開くと、そこにはなだらかに膨らんだ真っ白い丘があった、その頂点にはきゅんきゅんと擬音がつきそうなほど勃起しているピンク色の乳首、脂肪の薄い引き締まった腰、小さくて可愛いお臍、下腹部はつるりと無毛で、陰部からはとろりと愛液が溢れて、むっちりとした太ももに伝っていく。それを見て僕のペニスは限りなく熱く硬くなっていった。

 

 一ヶ月の禁欲期間から解放されて、お互いにあっという間に発情してしまう。肌を見せる彼女の顔は真っ赤になって、瞳を潤ませて、息が荒い。きっと僕も同じだったと思う、襟元を何度もひっかくようにしてその言葉を待った。

 

「だから今夜はキミに……旦那様に……私を……女神エリスを思いっきり……犯して欲しいんですっ」

「エ……エリスっ!」

「きゃあんっ♡」

 

 ()()()を布団に押し倒す。むしゃぶりつきながら浴衣の帯を解く。首筋にキスをしながらたっぷりと甘い体臭を嗅ぐと、手の平に収まる乳房を愛撫しながら秘裂に手を差し伸べる。そこはすでにとろとろに蕩けて準備が出来ていた。手の平にまでべっとりと愛液がついて優しく擦ってやるとビクビクと身体を震わせる。

 

「はぁーっ♡ はぁーっ♡ はぁーっ♡ 前戯なんていりませんっ、旦那様のをすぐにでもくださいっ……ああっ♡ はいっ♡ オチンポっ♡ ペニスっ♡ 旦那様の硬くて立派なおちんちん♡ 私の……んっ、オマンコにっ♡ ずぶって挿入してっ♡ ぐちゃぐちゃに犯して欲しいんですっ♡」

 

 聖水温泉効果のおかげか、聖なるオーラを放ち、卑猥な言葉を連呼しながら身体をくねらせる女神エリス。普段なら絶対に言わないようなことを言ってまで誘ってくるその姿に、思わず腰がわななき、ガチガチになったペニスがエリスの下腹部を軽く小突く。先端から溢れる先走り液で、くちゅくちゅと音が立つ。

 

「いやぁ……焦らしちゃいやぁ……そんな素股だけでイっちゃうのイヤだからぁっ♡ ね、ね、なんでもしますから、お願い……焦らさないで……んっ♡」

 

 潤んだ両目からは感極まったのか、ついに涙があふれる。その涙をぬぐうように左右の頬にキスをすると、透明な愛液と先走り液を混ぜるかのようにペニスに塗りたくり、潤滑油にしていく。

 

「もう、焦らしたりなんかしないよ。僕だってもう限界なんだ、今夜は寝かしてやるものか」

「はぅうっ♡ わ、私、今のだけでイっちゃったかも……♡」

 

 両太ももを抱えて秘裂を指で開く。綺麗なピンク色の秘裂の奧からこぷこぷと愛液が溢れて、袖を通したままの浴衣と布団に染みを作る。

 

 ひくひくと痙攣するかのように開け閉めしている秘裂に先端を押しつけると、やっと来てくれたとばかりにぱっくりと開く。そこを、一気に奧まで挿入した。

 

「おっ……おほぉっ♡ ひさしぶりのオチンポ♡ あおっおほっおおおっ♡ ぐううぅっ♡ んぐっんっあふっ♡ イってるっ♡ 今イってるっ♡ イってますっ♡ 旦那様のオチンポ挿入されただけでイっちゃったのぉっ♡ ああぁーっあーっ♡ んふぅーっ♡ んふぅーっ♡」

「一ヶ月ぶりのエリスのオマンコだっ、ふぅーっ……くうううっ! こんなにイヤらしくなってっ!」

 

 入り口がぎゅっと締まったかと思ったら膣ヒダが絡みついてくる。ぎゅっぎゅっと何度も締め付けて蕩け声が収まらない。さらに、エリスの言葉以上に蜜壺は雄弁だった。僕の精液を欲しそうに懸命に動き、締め付けて、離さない。

 

 ペニスの全てをエリスの中に埋めたまましがみつき、唇を重ね合わせた。

 

「んじゅるぅっ♡ はっはぁっんちゅっちゅっくちゅっ♡ ちゅぷじゅるぅっ♡ 旦那様っ♡」

「はふっんっちゅっちゅるっじゅるるるじゅぷっ……エリスっ」

 

 舌が絡まる、溢れた唾液がエリスの頬を伝い、それを舐め取る暇もなくお互いの唇を貪った。エリスの両手が頭に回されて離してくれない。

 

「んふぅーっ♡ ふぅーっ♡ あふぅーっ♡」

 

 キスだけでもお互いに絶頂している。僕も先走り汁が溢れて止まらない、ずっと漏らしっぱなしで、子宮口に押しつけると、ぷりぷりとした肉輪が熱くなっていくのを感じる。

 

「はぁーっ♡ はぁーっ♡ はぁーっ♡ 旦那様ぁ……う、動いて、くださいっ♡ わ、私もう……何されても気持ちいいですからぁ♡ 乱暴にしてっ♡ 犯してっ♡ 子宮口をこじ開けてっ♡ 精液をびゅぅううって射精してくださいっ♡ 全部っ飲みたいんですっ♡ 一ヶ月分の旦那様の精液っ♡ 子宮が欲しいって言ってるんですぅっ♡」

 

 ここまで淫らになったエリスは見たことが無い。あまりにもの興奮で心臓の鼓動が跳ね上がる。ぎゅっと括約筋が締まって硬くなったペニスがさらに勃ちあがる。

 

「んあっあぁっ♡ わ、私もう……我慢できないのぉっ♡」

 

 エリスは串刺しにしてくれと言うように自身の両手で太ももを抱えた。そうして秘裂に完全にはまり込んだ自分のペニスを見ると、本能にまかせて腰を前後させたくなった。僕はエリスに囁く。

 

「エリスってさ、本当にドスケベな言葉を言うようになったね」

「なっ、こ、こんなエッチな台詞は全部、旦那様が教え込んだものじゃないですかぁっ! あんっ♡ こんなエッチな言葉を無理矢理言わせてっ♡ 私がどれだけ恥ずかしかったかぁっ♡ ああっ♡ あはっ♡ はひっ♡ ごめんなさいっ♡ ドスケベ台詞っ言うのっ気持ちいいのっ♡ 旦那様に媚びてっ♡ 誘ってっ♡ お尻振るのっ気持ちいいんですぅっ♡」

 

 僕が教え込んだとはいえ、たしかにこんなのをあの邪女神に聞かれたら一生弄られかねないなと苦笑いする。エリスは限界なのか腰を小刻みに震わせながら口をパクパクとさせて「おまんこしてください♡ おまんこしてください♡」と何度も呟く。

 

 僕もそろそろ我慢の限界だ、ゆっくりと引き抜くと、一気に奧まで貫いた。

 

「おぐぅっ♡ おっおおぉっ♡ おはっあっあぁーっ♡」

 

 僕だけの淫らな女神、妻、嫁、そしていずれ母にする女。一瞬、なぜかあのお騒がせ女神の顔を思い出してしまったが、エリスの中をもう一往復させて消し去る。

 

「くひゅーっ♡ ひゅーっ♡ あ、あなたぁっ♡ はひっひっ♡ 今までの分っ全部射精してくださいっ♡ 私を可愛がって下さいっ♡ 私を愛してくださいぃいっ♡」

 

 一往復ごとにエリスの腰がわななく、膣口は痙攣するように何度も締め付けて、膣ヒダは自ら擦りつけるようにペニスに懸命に奉仕して、背筋にゾクゾクゾクと快感が走る。動きを本能に任すと、段々と腰の動きが速くなり、ぶちゅぶちゅと泡立った愛液が結合部から吹き出した。

 

「あぁっ♡ あぶっうっうぐぅうっ♡ 凄い、凄いのぉっ♡ あっあっああっ♡ イってるっ♡ 今イってるのっ♡ ずっとイきっぱなしで……ああっ♡ 旦那様ぁっ♡ んっあんっ♡ 溶けちゃう溶けちゃうっ♡ あっああぁーっ♡」

「エリスっ! ふぅーっ! ふぅーっ! たっぷり中出ししてやるっ! 孕めっ! 孕めっ孕めぇーっ!」

 

 答える代わりに、僕を逃がさないように両足を胴体に絡めてくる。両手を首に回し、どこか悲しそうな熱い溜息を漏らした。それが合図かのように、腰の奧がぶるりと震える。熱く、濃厚な精液が尿道を駆け上がっていくのを感じる。

 

 びゅるっ♡ びゅぐっ♡ びゅっびゅっびゅっるるっびゅぅううううううっ♡

 

「あがっ……あ、ああ、うぁ……は、ああああ」

「くっ……あ、あっ……ぅーっ♡」

 

 ガチガチと歯を合わせながら射精の快感に耐える。気を抜けばそのまま気絶してしまいそうな快楽。愛する女神を抱くという至福の時。濃厚な精液が子宮を満たすという征服感でどうにかなりそうになった。

 

 お互いに息は荒く、ようやく落ち着いた頃にエリスは「ほおっ」、とどこか安心したような顔になる。

 

「は、あはは……すっごい良かったよ……こ、こんなに凄いの初めてかも……あ、あれ、やだもうなんでこんなすぐに大きくしてるの? はひっ!? ダメだってばっ、わ、私あんなにイった後なんだからっ、キミだって辛いんでしょ? ひゃうっダメダメダメっ動かしちゃだめぇっ♡」

「今日は眠らせないってっ! 言ったでしょぉっ!」

 

 片足を抱えると側位に移る。正常位とは挿入角度が変わり、更に深く交われる体位。エリスともっと深く繋がりたい。ただそれだけを求めてゴツンと腰を突き上げた。

 

「あうぅうっ♡ あぁーっ子宮に精液入ってるのにぃっ♡ そんなに揺らしたらダメだよぉっ♡ 子宮ぐちゃぐちゃになっちゃうっ♡ 子宮がキミのことしか考えられなくなっちゃうからぁっ♡ あぁぁーっ♡」

 

 エリスは嬌声をあげながら仰け反り、喉元を晒す。片足を肩に乗せて貫くとクリトリスと尿道が結合部で潰され、蜜壺と3ヶ所を同時に刺激されて、エリスはイキ狂い始める。

 

「あぐっ♡ うぅーっ♡ あっ! ダメッダメッ♡ それ以上動かしちゃダメだよっ♡ 私おかしくなるっ♡ あっもうおかしくなってるのっ♡ キミのオチンポでオマンコ全部蕩けちゃってるっ♡ こんなことされたらっホントにダメになっちゃうっ♡ キミのことだけしか考えられないイヤらしい女神になっちゃうのぉっだからっだからもうっ許してっゆるひ……あひぃいいいっっ♡」

 

 布団を掴んで必死になって逃げようとするが、そのたびに僕は押し込む。そして、ついには壁際に追い詰められてサンドイッチになってしまったが、僕は攻め手を抑えずさらに追い詰めていく。

 

「エリスはっ僕のお嫁さんだからっ! こうやって抱かれるのは当たり前だろっ! 我慢してた分っ! エリスに全部吐き出すからっ覚悟しててよねっ!」

「くひゅっ♡ ぅーっ♡ うぅーっあうっ♡ ああっあぐっあっやだ……ああぁーっ♡ も、もうイキぱなしなのっ♡ だからっだからっ♡ もう少し優しくぅーっ♡ はひっ♡ ひっひぁっあっやぁーっ♡ やだあぁーあっ♡」

 

 再びガクガクと震えるエリスの身体を押さえつけて、射精する。イヤとかダメとか言っても、エリスの身体は僕を求めている。子宮口が開いてごきゅごきゅと音を鳴らして精液を啜っているのが分かる。僕は熱くなってきた身体を冷ますかのように浴衣を全部脱ぐと、エリスを抱き寄せて対面座位に移行する。少し激しすぎたから、今度はエリスに動いて貰わないとね。

 

「は、あ、旦那様……♡ んっ……はぁあ……好きぃ……♡」

 

 そうしてもう何度かエリスの胎内に精を吐き出し、ぐったりとしているエリスの後ろから寝バックを決めていた。「んっ♡ んっ♡」と声を殺して喘いでいるのが非常にエロい。これだけで、あと3回は注ぎ込める。

 

「うっぐっあぅっ……くっ……」

「おーい、エリス大丈夫か? 大分締め付けが緩くなってるぞー?」

「はふぅー……ふぅ、ふぅ……く、あぅうっ……う……くぅ……」

 

 エリスは布団に顔を埋めながら何度か痙攣すると、電池が切れた人形のように動かなくなる。乱れた銀髪。背中はほんのりと赤くなり、肩口には噛み跡、尻は何度も叩かれて真っ赤になり、蜜壺からはごぽごぽと精液が逆流して愛液と交じり合い泡立っていた。

 

「あ、ごめん、少しヤリすぎたかも」

 

 すっかり気をやってしまったエリスの身体をタオルで軽く拭いて清めると、僕は露天風呂へと足を運んだ。身体中が汗まみれ汁塗れでひどいことになっている。清潔魔法なんかじゃ拭えないほどの淫臭……エリスの匂いを感じるとまた滾っていく。

 

 念のために脱衣所に誰もいないのを確認してから、大丈夫だろうと浴室に入る。

 

「あーらら、暫く見ない内に、すっかりいい顔付きになっちゃったじゃないの」

 

 少し不機嫌な声。この一ヶ月でうんざりするぐらい聞いた声。

 

 露天風呂に浸かる女神、そこにはアクアがいた。

 

 



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第9話

「ああ、そういえば混浴の時間か」

 

 一人で行ったらダメだからね、というエリスの言葉を思い出す。まさか露天風呂でこの邪女神と鉢合わせするとは。このまま踵を返して部屋に戻るのもなんだったので、かけ湯をして岩作りの露天風呂に近づきながら毒づく。

 

「なんだ、まだいたのか」

「何よその口の利き方は、ふん、野暮用が終わってないからここに、いーるーんーでーすー」

 

 よく見ると岩場にはお盆があり、その上には徳利が数本転がっていた。アクアは、お猪口でぐいっと一杯飲む。星見酒と洒落込んでいたらしい。

 

 露天風呂には僕達以外に誰もいない。アクアから一番遠い対面にざぶんと入り、タオルを頭に載せる。

 

「僕はもう、アクアはとっくに天界に帰ったものだとばかり思ってたけど」

「なぁに言ってるのよぉ! 用事が終わってないんだから帰るわけないじゃない……それに、その用事にはアンタが必要なんだし……」

 

 言葉の終わり際は小声でよく聞こえなかったが、なんだか悪い予感がする。

 

「だいたいなによぉ、私を部屋から締めだしてさ、エリスの光の封印とかやりすぎじゃない? ちょっと触っただけであんなにピカピカ光ってびっくりして逃げちゃったわよ。あの子、ああいう陰険なのが得意なのよね、ホントにまいっちゃうわ」

 

 また、お猪口で一杯。ふぅーっと溜息をついて頬を赤くする。いつから入っていたのか、のぼせたりしないのだろうか。

 

「ここはアクシズ教の総本山があるんでしょ、”わたしがびしょうじょめがみよ! ひとばんのやどをもとめるわ!”とか言って教会にでも泊めて貰ったらいいじゃないか」

「あのねえ、あんたバカなの? 女神が降臨して、そんなこと言ったら大騒ぎになるじゃないの、無用な騒ぎは起こしたくないわ」

 

 うわ、バカにバカにされるともの凄く腹が立つ。この女神の性格的に無用な騒ぎを起こしそうなものだと思っていたが……

 

「何よその顔。わ、なんかバカにされてる気がするわ、ホントにムカツクけど……まあいっか」

 

 アクアはそう言って立ち上がる。身体にお湯が伝い、豊かな胸に沿って流れる。ツンとした上向きの乳首から雫が落ちる。一歩ずつ、こちらに歩くたびに鎖骨に溜ったお湯が流れる。胸の谷間を通り、腹からヘソの凹みに引っかかると、最後には下腹部に、ぴったりと閉じた大陰唇へと流れ落ちた。思わず、目で追ってしまった。好き勝手に流れる水ですら、アクアの女神的な美しさを称えているような気がする。こういうところだけは水の女神の面目躍如なんだからずるい。

 

 先程、エリスにたっぷりと射精したというのに、一ヶ月ぶりに見たアクアの全裸に節操の無い僕の股間が反応してしまう。思わず膝を立てて隠しながら、平然を装う。

 

「あ、そろそろあがるのか? 念のために言っておくけど部屋には入れないからな」

「何よそれ……あー、えっと、ううん、アンタにちょっとお願いがあるの……」

 

 ざぱざぱと水音を立たせながら、アクアが近寄ってくる。照明が隠れて影が差す。目の前で仁王立ちする真っ白な太ももがどうしても気になる。湯気に紛れてアクアの匂いが鼻腔を刺す。甘ったるい女神の匂い。あの指輪を取り戻すゲームで感じた欲情の匂い。なぜ、今。

 

「野暮用が終わったらさ、私は本当に天界に帰るから」

 

 髪の毛を纏めていた頭のタオルを取る。青色の長髪がさっと広がる。細やかな飛沫が照明に輝き、毛先の動きすら神々しくて目を離せない。どくんと心臓の鼓動が跳ね上がる、本当に、なぜ、今。

 

「ねえ、だからまずはアンタの身体を洗わせてくれないかな?」

 

 薄暗い露天風呂、照明の逆光の下。薄く笑うアクアは、ほおっと酒臭い息を吐き、唇を舐め、酒精で頬から耳の先まで赤くしている。潤んだ瞳は薄く細められて僕を見つめていた。

 

 その表情に生唾を飲み込み。僕は頷くことしかできなかった。

 

 洗い場で背中を洗われる。石鹸をよく泡立てて、アクアのタオルがごしごしと擦られていく。首元から背筋を通って腰のあたりまでしっかりと。

 

「うんうん、今回の勇者様は本当にこんな小さな身体でよく頑張ったわねっ! 私がいっぱい褒めてあげちゃう!」

 

 くそう、アクアの方がちょっとだけ背が高いからって……

 

「小さいって言うなよ、これでも成長期なんだ。まだまだ大きくなるよ!」

「はいはい、それにしてもアンタってさ、何歳の頃にこっちの世界に来たんだっけ?」

「言わなかったっけ? 十三歳の頃だよ、今年で十七歳」

 

 はい、腕あげて、と言われて、つい両腕を広げる。腋の下から脇腹まで慈しむように優しく擦られて、くすぐったくなり笑い声を漏らす。

 

「え、若いわねえ、死因は事故だったの?」

 

 その軽い言い方は、慣れているのか僕を慮ってのことか、それとも何も考えてないのかも知れない。だからさらっと言えた、エリスにも言えないこと。

 

「いや……ただの病死だったよ、両親も負担から解放されてホッとしたと思う」

 

 十歳の頃に難病で倒れて、それからはずっと病室で過ごした。スマホと携帯ゲーム機だけが僕の世界だった。

 

「ふぅん、そうなんだ。十三歳だと異世界転生年齢制限ギリギリじゃないの、というかこの世界以外のところを選べたんじゃないの?」

「そうだね……白髭生やした優しそうなお爺ちゃんが、色々とオススメを教えてくれたよ。ゆるふわスローライフとか、現世でチート持ちの赤ん坊スタートとか、未来世界で何不自由なく暮らせるとかね」

「ふぅん。あ、そうそう、実は私もね、昔は日本人の転生係だったのよ! 私の選んだ子が魔王を倒しちゃったんだから!」

「アクアが言うとなんだかウソっぽいね」

「ウソじゃないもん! ホントだもん! 私がものすごーく苦労して、そりゃもう一から十までぜーんぶやってあげたんだからね!」

 

 アクアの必死の抗議を「ははは」、と笑い流し、しみじみとした気持ちになる。

 

「でもさ、この世界を選んでよかったと思うよ、だってエリスと出会えたんだもの」

「ふぅん、私と出会えて良かったってのはないの?」

「それは絶対にない」

「んもう、照れちゃダメだってば、うりうりうり」

「うわ、くすぐったいって! やめろよ!」

 

 背中に柔らかい感触が押しつけられる、豊満な乳房が潰れてそのまま上下に動く。泡塗れの極上スポンジ。固くなっていく乳首が背筋をくすぐって変な声が出る、身を捩るがアクアの両腕が絡みついてきて逃げられない。

 

「ほらほらぁ、女神様が魔王退治のご褒美に、勇者様のお背中流してるんだから大人しくしてなさいって、こんなのを受けられるなんてアンタはとんでもない幸運の持ち主なのよ?」

「せ、背中を流すぐらいで、そんな偉そうな態度を取らないでよ、それに女神様に背中を流して貰うなんてことぐらい……くっ」

「うふふ、そんなこと言うんだ、あの子のちっちゃなおっぱいとじゃ全然違うでしょ♡ それにこんなことだってしてくれないわよねえ?」

「わぁあっ!?」

 

 アクアの泡塗れの指が僕の乳首を擦った、ぴりっとした快感が背中に走る。指の腹でくりくりと両乳首を弄られながら、背中にアクアがぴったりと貼り付き、柔肌を擦りつける。柔らかい乳房、脂肪がうっすらと乗った腹、背中にアクアの熱さを感じて股間が硬くなる。

 

「そ、そもそもさ、なんで……うぐっ……」

 

 アクアの両手を掴むが、思いのほか力強い上に、指先で乳首をぴんぴんと跳ねられると力が入らなくなる。

 

「なんで僕にこんなことをしてくるんだよっ! 男が好きなら他にも相手がいっぱいいるだろっ!」

「……」

 

 背中でアクアの気配が変わる。両手が、僕の腋の下から肩の上に回されてぎゅっと抱きついてきた。はぁあ、と酒精の匂い、熱い吐息を吹きかけてくる。耳たぶをカリッ、と噛んできて思わず声が漏れた。

 

「私はね、私を信仰してくれる男とか、私だけにお金をくれる男とか、私だけに優しい男とか、私だけに美味しい料理を奢ってくれる男とか、みんなみんな大好きよ、けどね……」

 

 そう耳元で囁きながら、強く、強く抱きついてくる。蜘蛛の巣に捕まった蝶というのは、こういう気持ちなのだろうか? どろりとしたものが耳に流し込まれていく。

 

「私が、本当に欲しいのは魔王を倒した勇者様」

 

 どこかためらうような声色。

 

「私が、本当に欲しいのは日本人の男の子」

 

 どくり、と心臓が激しく脈打つ、前世ならそれだけで破裂しそうなほど激しく。

 

「私が、本当に欲しいのは……エリスと両思いになってる男だけなの……ね、ほんの少しの間だけでいいから……私のものになってよ……この旅行中だけでいいからぁ……♡」

 

 くちゅり、と耳が舐められる。いつの間にか腰に回された手が、痛いぐらいに勃起しているペニスを掴む。一ヶ月の禁欲生活で溜ったものは、エリスにあれほど出してもまだ身体の中でマグマのように煮えたぎり、失った分を取り戻すかのように生産を開始していた。

 

「お、お前っ、エリスに何か恨みでもあるのかよっ! うぐぅっ」

 

 亀頭を片手で弄ばれる、敏感なカリ首や先端をゆっくりと擦られると、うめき声が漏れて、アクアは嬉しそうに笑う。

 

「ほら、隣の芝生は青いとか、隣の花は赤いとかそういうのよ……私はそういうのをちょっとだけ、さきっちょだけ、ほんの少しだけ味わいたいだけなんだから……あははっ♡」

「そういうのは見たもの乞食って言うんだろっ……ほんとに、最低な女神だなっ、お前はっ!」

 

 唇を噛んで、快感に耐える。濡れた後ろ髪、うなじの匂いを嗅がれながら噛みつかれて、甘い痛みに、おおぉっ、と吠える。

 

「あははっ、エリスの匂いがまだ残ってるわよ。うふふ、それが逆に興奮しちゃうわ♡」

「ふ、ふざける……な、あぁあーっ!?」

 

 アクアの指は、乳首やヘソなどの弱い部分をくすぐり、屹立を擦られると背筋が反り返る。アクアに強く抱きしめられながら、射精してしまいそうになる。

 

「あ、あぐ……う、うわ……ああ……で、でちゃ……」

「はい、それはだーめ♡」

 

 鈴口から何かが入ってくる。尿道を逆流して、熱い何かが蠕動するように入り込み、中を埋めていく。思わぬ苦痛に混乱する。咽せるような悲鳴が漏れて涙が流れる。そしてようやく蠕動運動が終わった。尿道の全てが何かで埋まっている。まるで病院でカテーテルを挿入されて、尿道から何かが漏れ続けているような懐かしい感覚に背筋に粟立ち、あえぎ声が収まらない。

 

 アクアも興奮で荒い呼吸をしながら、指先から水を生成して種明かしをした。

 

「ふぅ……うふふ、私が支配する水でオチンポに栓をしちゃったから、絶対に抜けたりしないわよ? それにこうして……あははっ♡ 中と外で擦られる感じはどう?」

「や、やめ、やめろぉっ!」

 

 手が前後されるたびに、尿道の中の水も前後する。アクアの言う通り、中と外を同時に責められる感覚に悶絶し、悲鳴をあげる。目の前の台に手をついて腰が勝手に浮いてしまう。アクアはまるで牛の乳搾りをするようにペニスを下に向けて、容赦無く扱き上げていく。射精を目的とした絞り上げるような手コキに我慢できない。

 

「ほらほら、射精したい? したいなら言ってね、大きな声で♡」

「はぁーっはぁーっ……うあ、あ、射精したい、射精したいですっ……うぅーっ! アクア、アクア様……お、お願い……だから、射精……させ……あぁぁーっ!」

 

 徹底的に性感を煽られていた僕は、あっさりと陥落してしまった。関節を完全に決められてしまったようなもので、そんな状況では白旗をあげることしかできなかった。

 

 尿道を占領する水カテーテルは僕を絶対に射精させてくれない。股間の奥の筋肉がぎゅんぎゅんと動くが、水カテーテルに邪魔をされて射精運動が起きなかった。

 

「だ・め・よ。もぉっと我慢してね。大丈夫よぉ、射精できなくてもちゃんと気持ち良くしてあげるから」

 

 洗い場の鏡に映るアクアの顔は妖艶な笑みを浮かべ、その目は欲情に濡れていた。ぺろりと唇を舐めあげると尻をなで上げあられて、また情けない声をあげてしまう。

 

「アンタってこっちの味なんて知らないわよね? さすがのエリスもそういう趣味ないだろうし。あははっ♡ 嬉しいなあ、アンタの初めてを私が貰えちゃうんだ」

「や、やめっ……お、ご……おおおっ!」

 

 石鹸塗れの指がぬるりと挿入されるのが分かる。くるりと指が回転して入り口を広げようとするのが分かる。

 

「ちゃんと力抜いてね、あ、別に抜かなくても良いけど。どうせ裂けちゃっても私が治癒しちゃうし。あ、大丈夫よ私にオチンポは無いし、生やしたりするつもりもないから、ただアンタにとぉっても気持ち良くなって欲しいだけ♡」

「や、やだ……ゆ、指抜いて……おおおっ!?」

 

 指をゆっくりと回していく、それは肛門を柔らかくしていく行為。ぷちゅぷちゅと音がして石鹸で泡立ち、また指が一本増える。括約筋を必死になって締め付けるが、アクアは忍び笑いを漏らしながら、悠然と指を前後させて僕の肛門を拡張して陵辱していく。

 

「大丈夫大丈夫、しっかりほぐしながらなら、指が三本ぐらい入っても裂けたりしないんだからね♡ だからアンタもこれで気持ち良くなって♡」

「き、気持ち良くって……あぅーっ!?」

 

 二本の指先が曲がり、腰の奥にある固い部分を撫でられる。その途端に、情けなく四つん這いになる。そのまま、その場から逃げ出したくなったのは、肛門の苦痛や屈辱よりも、指先から流される快感に怖くなってしまったからだ。がちゃりと、台の上にあった備え付けの石鹸やボトルが落ちる。当然のことながら水の女神からは逃げられない。

 

「あ、若いとやっぱり敏感ね♡ うりうりうり、い~っぱい前立腺虐めてあげる。下半身がとろっとろに溶かされちゃう気持ちよさ、いっぱい味わってね♡」

「い、いやだっ……も、もうこんなの……」

 

 ふひゅうっ、と息が漏れる。アクアの細い指がトントンとノックするように前立腺を刺激したからだ。何か暖かいものがしみ出すような甘い快感。頭の中がとろとろになっていく。台の縁を掴みながら、思わずのけ反った。

 

「こうやってえ、前立腺弄られながら射精したらすっごく気持ちいいんだけど、アンタは射精できないのよねぇ……ねえ、射精したい?」

 

 この邪女神はペニスの先端と前立腺をくすぐるように刺激しながら、そんなことを聞いてきた。口を開けばあえぎ声しか出ない中、振り絞るように声を漏らす。

 

「し、したい……射精したい……ですっ」

「ああ~いい顔、ほんとに可愛い顔しちゃってえ♡ その顔、エリスに見せてあげたい♡ でも、だぁめ、もっとこっちで気持ち良くなって♡ よがって♡ 頭の中グチャグチャになっちゃえっ♡」

「ぎっ、ああぁぁあっ~!」

 

 牛乳搾りのような手コキと、直腸内……前立腺を同時に擦り上げられて、今まで誰にも……エリスにだって聞かせたことがないような甘い声が出て、愕然とする。

 

「おぉっおごっ……くひっ……ひ……ひあっ♡ あぁあ~っ♡ んっふっふぅーっ♡」

「あ、随分と良くなってきたわね。じゃそろそろ私も本気出すから。前立腺を尿道とアヌスから同・時・責・め♡」

 

 ぎゅるり、とかぎ爪のようになった指先が直腸内をひっかく。尿道内でアクアの操る水が前立腺のある場所で膨らんで、膨張と収縮を繰り返している。表と裏から搾られると、腹の底から蕩け声が漏れた。涙と涎が溢れて、顔はもうぐちゃぐちゃだ。腰が勝手に前後に動いてしまう。

 

「苦しい? 射精できなくて苦しいでしょ、だからほら、もっと気持ちいいところに集中しなさい。うん、オチンポじゃなくてお尻の方、こりっこりの前立腺♡ そこに意識を集中して……ほら、アクア様のアナル責め気持ちいいですっ♡ アナルアクメさせてもらって嬉しいですっ♡ って感謝しながらイきなさいっ!」

 

 ぎゅうっ、と前立腺が押さえつけられる、水風船と指に潰される、頭の中でプチプチと快感が弾ける。あぁあっ! 気持ちいいっ! お尻気持ちいいっ! アクアにイかされて気持ちいいっ!

 

「うああぁっ♡ あ……あー……あぁー……う、あぅう……あーああー♡ くひっ♡ ひっ……はひっ……くうううううっ♡」

 

 頭の中が真っ白になって、僕は、ただうめき声を上げ続けるしかなかった、あまりの快感に四肢からは力が抜けて床に崩れ落ちる。腰がガクガクと震えっぱなしだ。ひんやりとした石畳が頬に心地よく感じてしまう。

 

「はぁー……はぁー……あぁ……ううう……」

「アンタ、何泣いてるのよ? はぁ……ちょっと虐め過ぎちゃったかな、まあいっかぁ。それでね、いっぱい射精したいなら、私のお願いを聞いて欲しいんだけどぉ……いいかなぁ?」

 

 それは、僕がなんとか頷ける「お願い」だった。

 



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第10話

「はぁ……はぁはぁ……ううっ……あ、アクア、お願いだからこれ、取ってくれよっ」

「うふふ、だめよ。そんなことしたら大事な精気が抜けちゃうじゃない、もう少し我慢しなさい」

 

 深夜のアルカンレティアの街で、僕達を照らすものは街灯の明かりだけだった。アクアに手を引かれひょこひょこと足を引きずる。

 

「だったらっ……も、もう少しゆっくりっ……あぐっ」

「早くしないと夜が明けちゃうわよぉ、そしたら困るのアンタでしょ?」

 

 一歩一歩、足を踏み出すたびに、尿道を塞ぐ水が前立腺に、精嚢に刺激を与えてくる。歯を食いしばりアクアを睨み付けながら、こいつが言ったことを思い出していた。

 

『私のお願いはね、温泉の源泉と湖で行う神聖儀式のお手伝いをしてほしいの。うんとね、魔王を倒した勇者様の力とこの水の女神としての権能を使って……』

 

 アクアの説明によると、数十年に一度はこうしてアルカンレティアの街にやってきて、源泉と湖を勇者と共に祝福して聖水に変えていたらしい、とんでもない女神様である。

 

 そしてその儀式の内容とは……

 

「じゃあ、こっちの方を引っ張ってあげようかしら?」

 

 浴衣の前の膨らみを握られる。こひゅっ、と息が漏れる。軽く引っ張られて必死になって早足になる。

 

「本当に元気よねぇ。だけどイったり漏らしちゃだめよ。ま、栓をしてるから漏れたりはしないんだけど」

「うおっ……お、おおっ……ぐ、ああぁっ!」

 

 アクアは歩きながら、そのまま手を前後させる。浴衣越しの刺激はもどかしいが、露天風呂でお預けされた上にアヌスをかき回されてしまい、すっかり出来上がってしまったこの身体は一往復ごとに敏感に反応してしまう。ヘタをしたらその場で踞ってしまいそうだ。

 

「はっ……はっ……はっ……はぐっ」

「ほらほら、あんよは上手、あんよは上手。きりきりいくわよぉ♡」

 

 そうして上下運動が激しくなる。アクアの手コキは絶妙で、逃げたくても与えられる気持ちよさから抜け出せない。根元から引っ張られて「ひっひっ」、と悲鳴をあげながらも両足はアクアの歩調に合わせて行く。まるでリードを引っ張られる犬のような倒錯した状況に、僕の頭はどうにかなってしまいそうだった。転けたりしないように足元を見るのが精一杯だ。

 

「こんばんはー、いつも御苦労様でーす」

 

 その声に顔をあげる。街外れにある山道の入り口は門になっており、門番が二人立っていた。ここから先に源泉があるのだろう。

 

 いつの間にかアクアの手は離れていた。大きく膨らんでいる部分をあわてて誤魔化す。

 

「アクシズ教のアークプリーストさんだね。教会の方から話は聞いてるよ、早く通りな」

 

 門番達はアクアの差し出した書類を見ると閉じていた門を開き、中へと導いた。僕は適当な棒に魔法で灯りを付けると温泉パイプを辿るようにして山道を歩き、源泉へと辿り付いた。その途中でもたっぷりとイタズラをされながら。

 

「ふぅ……暑い……」

 

 源泉の周りは雑草一つ生えていない岩場だ。差渡し二十メートルほどの大きさの源泉はもうもうと湯気が立っていて蒸し暑い。さすがに沸騰はしてないが水で埋めないと火傷しそうなほどの湯温を感じた。

 

「それじゃ始めるわよ、えいっ」

「……って、おい!」

 

 ざぶり、と音が立つ。アクアは腕まくりをして両腕を湯気立つ源泉に躊躇無く突っ込んでいた。

 

「ん、ん、ん、ほんとにいいお湯ねえ……」

 

 お湯の表面が光る、アクアの浄化の儀式における最初の段階。

 

 それはまるで岸辺に跪いて両手を清め、洗礼を待ち受ける乙女のようにも見えたが、これからアクアにすることは、そんなことから遠くかけ離れた行為だった。

 

「それじゃ、そろそろいいわよ♡」

「……くそっ」

 

 僕はアクアの浴衣を中の白襦袢ごとめくりあげる。綺麗なお尻が目に飛び込んでくる。()()のせいなのか肌は上気して赤くなり、産毛一つ生えていない秘裂からはとろりと愛液が漏れて太ももを伝っていた。アクアはパンツを履かない。

 

 指を差し込む。くちゅりと音を立てながら飲み込まれていく。愛液が指の隙間から溢れて、いやらしい音があたりに響く。

 

「はふ、んっ……今更そんな愛撫なんて……いや、いいわ、もっとして、私を気持ち良くしてぇ♡」

「この……淫乱女神っ!」

「ち、違うわよ……こ、これは儀式、儀式だからぁ……♡ あんっそこっ♡ そこいいっ♡ お腹きゅーってなっちゃうぅ……♡」

 

 儀式……勇者と女神が交わりながら浄化を行うこと。勇者の生命力と女神の神気が交じり合い、お互いに高め合って、その場所を数十年も浄化し続けるそうだ。どう考えてもアクアのでっちあげ(魔王を倒した勇者が女だったらどうするつもりなんだ?)としか思えないが、僕はそれに乗るしかなかった。そうでもしないとこの尿道にみっしり、と詰まった水は解いてくれないだろう。

 

「ほら、しっかり見て、匂いを嗅いで、味わって、私の全部を感じて♡ んっあんっ、この女神アクアの全ては……今はあなたのものだから……ああぁっ♡」

 

 秘裂を掻き分ける指の数を一本二本と増やしていく。柔らかいそこは易々と掻き分けられた。媚肉が開く、地面に置いた灯りに照らされた中身は、サーモンピンク色でねっとりとした愛液に包まれていた。両手で開くようにすると膣ヒダが早く挿入して欲しそうに蠢いていた。湿度が高い。むわっとした温泉の匂いと愛液の匂いで頭の中がくらくらとしてくる。

 

 ごくりと生唾を飲み込む。手にたっぷりと愛液を塗りつけると、ひくひくさせている秘裂の上にある蕾みを軽くひっかいた。放射状に広がるピンク色の窄まり。そのシワを一本ずつ指でなぞりながら数えていく。

 

「あっ! ちょ、ちょっとどこ触ってんのよもうっ! そ、それに何を数えてるわけ?」

「アクアの尻穴のシワの数」

「やっ! やだもうっ! やめなさいよっ、あぁっ!?」

 

 その言葉を無視してシワを数え終わると、ひくひくと開閉しているそこに指を差し込んでいた。

 

「はふーっ♡ ふぅーっ♡ あんっ♡ お返しのつもりかしら? うふふ、いいわよぉ……そっちでも儀式はできるんだから……あんっ♡」

「アクア、両手を源泉から出しちゃいけないんでしょ? ちゃんと我慢しなよ」

「そ、そのくらい分かってるわよっ……あん、もうっ! あぅうっ♡」

 

 アクアの嬌声に、口元が歪んだ気がした。その余裕ぶった口ぶりを消してやる。差し込んだ指を一本、二本と指を増やす。そのたびに強い締め付けをしてきて鼻息が荒くなっていく。窄まりを開き、直腸の中に愛液をたっぷりと擦りつけていく。

 

「ふうん、この中って結構綺麗なもんなんだね」

「ば、ばかね、女神はトイレなんかに行かないんだからぁっ♡ だ、だからそっちも純粋にエッチなことに使えるのよっ♡ ああっ♡ あっあぅっ♡ うん、そっちを使うのならもっとたっぷりとほぐして……あっああぁっ♡」

「ねえ、ひょっとしてアクアはお尻の穴も使ったことあるの?」

「んふふ、あるわよぉ……こっちでもイったことあるんだから……ああっ!?」

 

 思わず指を曲げて、ぐるりと半回転させた途端にアクアは足をピンと突っ張らせる。その拍子に右足のサンダルが脱げて、素足で地面を掴む。長い両足が震えるその姿は、酷くエロかった。

 

「かひっ!? ひっあひっ……♡ ふぅーっ♡ ふぅーっ♡ あっ♡ お、おぉおっ♡  そ、それ、そこいいっ♡ うふふっ、アンタって尻穴を穿る才能があるじゃないっ♡ あっ♡ あぁーっ♡」

 

 無言で、アクアの尻穴をかき回す。指が一本二本と増えて、両手の人差し指と中指、四本の指を挿入して大きく広げる。中の直腸は蜜壺と同じ色で、アクアの呼吸と連動してひくひくと蠢いていた。

 

「ふぅーっ♡ ふぅーっ♡ やだ、私のお尻の穴、アンタの指で犯されちゃって……あぁーっ♡ そうっそれっ♡ もっとぐちゃぐちゃにしてっ♡ 広げてっ♡ 私の中を全部見てぇっ♡」

 

 尻穴をかき回せばかき回すほど、秘裂からは愛液をぽたぽたと垂れ流して、地面にシミを作っていく。

 

「おおぉー♡ おっおほっ……くっ♡ あっあはは、なあに? ひょっとして嫉妬でもしちゃったの? 自分の知らない誰かのチンポで、私がよがってたかもしれないって……あははっ、随分とシャイなのねえ」

 

 嫉妬だなんて、まさか。こいつがどこで誰とセックスしていようと、僕には関係ない。それこそ、こいつが勝手にチンポ漁りしてアクセルの街の冒険者や、アルカンレティアのアクシズ教徒と乱交をしていたって知ったことか。

 

「そういえばさあ、アンタの大事なエリスもさあ、私と同じ女神じゃない? だからさあ、うふふ、一体今までどれだけの男に……うごぉっ♡ ほっほっお♡ おおぉーっ♡」

 

 アクアの細い腰を掴み、尻穴にペニスを挿入していた。水で栓がされて常に限界状態の猛り狂ったそれは、すでに柔らかくほぐされたアヌスに難なくめり込んでいく。

 

「お前がっ! 僕のエリスを語るなぁっ!」

「ひっ♡ くふぅー♡ おっおおっ♡ いきなり、こんな……だめっ激しいのっ♡ 私ダメになっちゃうからぁっ♡」

 

 窄まりの強い締め付け、直腸内はまるで肉のカーテンに突っ込んだよう。そしてペニスの全てを埋め込むと、その肉のカーテンが全体をやんわりと優しく包み込んでくる。くふぅ、と溜息が漏れる。

 

 そのまま歯を食いしばり、いらつきをぶつけるようにアクアの不浄の場所を犯した。

 

「ふぅっ! ふぅっふぅっ! このっ! ふざけやがってっ! エリスはっ……僕のものだっ! くそっくそっ!」

「あっああぁっ♡ それいいっ♡ 激しいのいいっ♡ 私それ大好きっ♡ 好きなのっ♡ おっ♡ おおぉーっ♡ お尻ぃっもっと犯してぇっ♡」

 

 アクアの蕩けそうな甘い声。引き抜くと綺麗なピンク色の直腸がめくれ上がって僕の屹立に絡みつき、それを押し込むと綺麗に中に収まる。

 

 ずぼっ……ぐちゅっ♡ ずぶちゅっ……ずるぅーっ……ぶちゅうぅっ♡

 

 一ストロークごとに肛門が強く締め付けてきて快感に酔いしれる。蜜壺とはまた違ったペニスへの奉仕に腰がわななく。だけども、どれだけ気持ち良くなろうとも、女神のかけた呪いが、僕を射精させてくれない。

 

「はぁっ♡ あんっ♡ いいっいいわぁっ♡ もっとしてっ♡ 私をいっぱいイかせて♡ あっきちゃうっ♡ うんっ♡ そこぉっ! 直腸側から子宮をごつんって叩いてっ♡ あっ♡ きてるっ♡ きちゃってるぅ♡ うっあうっ♡ んひぃいいいっ♡」

 

 アクアがのけ反る。喉元を晒しながら、その両手は源泉の底を掴みずっと浄化作業を続けていた。僕も尻を鷲掴みにして何度も貫き、腸液がぶちゅぶちゅと泡立つ。窄まりが何度も締め付けてきて、お互いに限界が近いのが分かる。

 

「いいわっ♡ いいわぁっ♡ そのままぁ……もっと貫いてっ♡ お尻が元に戻らなくぐらい滅茶苦茶にしてぇっ♡」

「ううぅーっ! アクアっ! このっこのっ! うぐっぐぅうううっ!」

 

 腰の奧にずどん、と重いものが来る。快感が暴れ出して、射精運動をしようと動き出す。

 

「あぁーっ♡ きちゃうっ♡ きちゃうっ……お゛っお゛ぉお゛お゛っ♡ んお゛お゛お゛ぉぉっ♡」

「アクア……アクアッ! くっうっうぐぅっ……ぐ、ああああぁっ!」

 

 だが、限りなく絶頂に近い状態で、僕の性感は無理矢理ストップさせられる。腰の奥の前立腺も精嚢も射精させるために収縮しようとするが、尿道に入り込んだ水がそれをさせてくれない。苦しい、痛い、目の前がバチバチとフラッシュして頭の中の神経が焼き切れそうになる。

 

「あっ♡ あっ♡ ああっ♡ はっ♡ あぁぁぁぁぁーーーっ♡♡♡」

 

 お湯の表面がこれ以上なく光り輝く。目の前が真っ白になり、身体中の力が抜ける。ずぼぉ、と音を立ててアクアの尻穴からペニスが抜け、その場で尻餅をついてしまう。

 

「はぁーっはぁーっ……こ、これで、源泉の方は終わりなんだろ?」

「んふ♡ んふふぅ♡ そうねえ、うん、大丈夫よ、完璧♡ あとは湖の方でもお願いね」

 

 あんなに、限界まで気持ち良くなったのにまだ射精できない。こんなことをもう一回するなんて、頭の中がおかしくなってしまいそうだ。

 

 アクアは、手早く温泉浴衣を整えると立ち上がる。振り向いたその顔は、いやらしい笑みを浮かべて、顔は耳まで赤く上気させていた。唇を舌で濡らし「ほぉ」、と熱い溜息を漏らす。

 

「うふふ、やっぱり男の子が嫉妬すると、滅茶苦茶激しくしてくれるから好きよ♡ ねぇ、私のことは、もっとエグく犯してもいいんだからね? エリスよりも経験人数は多いんだから♡」

 

 その言葉にかぁっ、と頭が熱くなる。女神達を抱いた男に嫉妬しているのか、どす黒い何かが腹の中を暴れて、この女神に全てぶつけたくなる。

 

「お、お前……っ!」

「うふふ、じゃあ次は湖の方に行きましょうか、もうとっくに限界なんて越えちゃってるんでしょ? あなたのオチンチン♡」

 

 そう笑いながら差し出された手を、僕は無言で握った。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 アクアの手に引かれるままに、門を通って街に戻る。湖の船着場にいくと、二人乗りのボートが用意されていた。アクアは当然のようにそれに乗るとオールを渡して僕に言った。

 

「それじゃ、対岸まで漕いで頂戴、そこで儀式をするから」

 

 二人乗りのボートは、湖面をすいすいと進んで行く。聖水が清らかすぎるせいで、この湖には魚一匹住んでいないし、湖岸付近には植物も育たない。そんな死海のような聖水の湖に映るのは、星と月、そしてボートの影。

 

 ボートに乗る僕達は、終始無言だった。アクアは頬杖をつきながら、ボートを漕ぐ僕の不満げな顔を見つめてニヤニヤ笑いを浮かべていた。本当に、こいつは何を考えているのか分からない。

 

 やがて、対岸に着く。街の灯りが遠くに見える。ボートを流されないように砂地の上まで押し上げている間に、アクアは浴衣を脱いで白襦袢姿になっていた。汗で濡れたせいか一部が透けており、さらに神気を出して全身がほのかに光って、淫靡さと神秘さが混じり合った不思議な雰囲気だった。

 

「お、おいアクア、ちょっと待ってよ」

「ほら、アンタも浴衣なんて脱いで、こっちに来なさいよ、夜の湖ってこんなに気持ちいいのよ!」

 

 サンダルを放り出して素足になったアクアは、砂地を踏んでそのまま湖の方に歩いて膝ほどの深さまで行くと、両手を開いて僕を誘った。少し躊躇したが、全裸になって浴衣をボートに投げ入れて近づくと、アクアは僕をぎゅっと抱きしめた。アクアの身長は僕より少しばかり大きい、アゴをあげると唇に貪りついてきた。

 

「ふぅ♡ ん……ちゅっんっ♡ ちゅぱっちゅっ♡ じゅるぅっ♡」

「んふっ……ちゅっ。あうっんっ、む、んぐううっ!」

 

 腰を抱かれてキスをしながら、二人でゆっくり、ゆっくりと沖の方へと歩いて行く。水が腰のあたりに浸かったあたりで止まると、アクアは白襦袢の帯を解いて前を開いた。お互いの肌が熱い、汗でぴったりと貼り付き、強張りがアクアの下腹部にぴったりと押しつけられる。それだけで、じゅくじゅく、と股間の奥から何かが溢れそうになるが、栓をされたままでは腰の奥に熱く溜って、僕を苦しめるだけだった。

 

「ほら、私の中……挿入していいよ……んっ♡ くふぅっ♡」

 

 アクアが絡めてきた片足を持つと、愛撫が不要なほどに濡れそぼったそこを容赦無く突き上げた。腰を引いてはごちゅん♡ ごちゅん♡ と音が立つほど力強く貫く。

 

「ふぅーっ! ふぅーっ! このっ! さっさとイっちまえっ! 変態女神っ!」

「おぉおおっ♡ きたぁ♡ オチンポきちゃったぁ♡ うんっ♡ 私をいっぱいイかせてぇっ♡」

 

 お互いに立ちながら交じり合う。片足を持っているこちらが主導権を握り、腰を突き上げるたびに水音があたりに響く。アクアはだらしなく口を開き、ぎゅうっと締め付けを強くして僕を求める。

 

「このぉっ! くぅっううっ! 無駄に気持ち良くさせやがってっ! 射精させる気なんかないくせにっ!」

 

 足の指は砂地を掴み、アクアを抱き寄せて乳房に噛みつく。それはまるで首輪を付けられた猛犬が必死になって、鎖を引っ張っているようなあがきだった。鎖はまだ外れない。

 

「ひゃふぅっ♡ んっ♡ はげし……もっと激しくしてっ♡ もっと私を求めて……ああぁっ♡ そうっ♡ それ好きっ♡ 私のオマンコ、好き勝手に犯してぇっ♡ あっああっあぁーっ♡」

 

 好き勝手に犯すことはできても、好き勝手に射精することはできない。苛立ち紛れに乳房に再度噛みつくと「あぐっ」、と悲鳴をあげるが、アクアは「やんちゃな悪戯っ子の()()()」を微笑ましく見つめるような顔付きで、僕の頭を撫でてきた。また頭に血が上り、さらに激しく腰を動かす。

 

「はぐぅんっ♡ ほんとにっあんたって子はっ♡ オチンポだけは大人なんだからぁっ♡ あっああっはぁーっ♡ でもっこういうの好きっ♡ あぁあーっ♡ かき回されてるっ♡ くっ♡ あぅーっ♡」

 

 そうして、辺りの湖面ががぽおっと明るくなっていく。儀式が始まった。アクアの悦びに呼応するかのように。

 

「あっああぁーっ♡ す、素敵よ貴方♡ もっとしてぇ♡ ほらっほらぁっドスケベ女神のお仕置きするんでしょぉ♡ うんっそうよぉっ♡ くふぅっ♡」

 

 首に手を回して抱きついてくる。またお互いの唇を食み合わせて、唾液の橋を架ける。腰と腰をくねらせてさらに奥深く絡み合った。ぶちゅんっ、と結合部から蜜液が溢れ出す。

 

「子宮口をぐちゅぐちゅキスされるの好きっ♡ あぅううっ♡ うんっ♡ うんっ♡ あは……子宮口いっぱいノックされちゃったからぁ♡ 子宮が降りてきちゃったぁ……今なら女神の弱点突き放題よ♡」

「どれだけイけば満足するんだよっ! いい加減にしろド変態女神っ!」

 

 溜りに溜った鬱憤をアクアにぶつける。望み通りに何度も突き上げると、アクアの声は段々と高くなり、ついには上体を弓なりに反らせて一際高い声をあげた。

 

「おごぉっ♡ それ、それ好きっ♡ ゴツンと来てるぅっ♡ ねえ、アンタも私のこと好きでしょ? こうやって私とセックスするの好きでしょ? ねえねえねえ♡」

「好きなわけあるかぁっ!」

「あぁあーっ♡ こんなに激しく私を求めてるくせにっ♡ 嘘を吐いたらだめじゃない♡ 嘘つき君には栓を抜いたりしてあげないんだからぁ♡」

 

 はぁっ、と熱い息を吹きかけ、ペニスをぎゅうっと締め付けて腰周りを撫でてくる。

 

「う、るさい……早く、儀式を終わらせろよ……そしたら自由にしてくれるんだろっ」

「仕方ないわねぇ、私はもっとアンタとセックスを愉しみたいのに……んっ、ちゅっ」

 

 再びの口付け、アクアはニヤリと笑うとバランスを崩してそのまま後ろに倒れた。大きな水音。ぶくぶくと空気の泡が口から溢れていく。その口付けは水中呼吸と簡易テレパスを可能にするものだとすぐに気がついた。アクアの思考が伝わる。

 

「こうやって水の中でゆっくりと交じり合うのも悪くないでしょう?」

「また、変なこと考えて……っ!」

 

 そして、アクアの力なのか水中を移動していく。沖の方に出たのかもう足が底に着かない。そんな状況になっても僕とアクアは繋がりあっていた。アクアの四肢が僕の身体に絡みつき、膣ヒダがわなないて離さない。

 

「ほら、私のことだけ考えてよ、今、アンタは私の中にいるのよ」

「お、お前……うぐぅっ!?」

 

 水の中、アクアの髪の毛が白襦袢と一緒にゆらりときらめく。ほの暗い水の底で感じるアクアの光りと暖かさが妙に心地よかった。身体を動かすたびにぎゅうっと締め付けてくる。この女神は射精を禁じて、徹底的に僕を弄んでいた。

 

「ほらぁ♡ オチンポを萎えさせないように、少しずつ動かしてね、あっああっ♡」

「ふぅっふぅっ……アクア……ぐ、ううっ!」

 

 水中では激しく腰を動かすことができない。ゆっくりじっくりと動いて、アクアを悦ばせるのがやっとだ。頭の中が、ちりちりとする。本来なら、すでに何度も吐き出している股間が悲鳴をあげている。

 

「ん、いいわ……あ、ああ、このオチンポ、もっと中にいてほしいのぉっ♡ はぁあ……ねえ、エリスと別れてぇ、私とずっと一緒にいてくれるっていうのならぁ……今すぐにでも栓を外してあげるわよ。溜りに溜ったもの、私の子宮の中に全部流し込んでくれてもいいのよ♡ そのまま湖の浄化が終わるまでハメっぱなしで射精しっぱなしの許可を出してあげるわ♡」

「お、お断り……だ、こ、このバカ女神っ!」

 

 ギリッと歯ぎしりをしながら、そう答える。バカ女神はニンマリとした笑みを浮かべて頬を舐める。水の中でも舌が熱い。

 

「くすくすくす、冗談よぉ。でも、私と一緒になりたくなったら、いつでも言ってね♡」

「そんなこと……絶対に言うもんかっ、おおっ!」

「うふふぅ♡ 私はアンタのこと気に入ってるのに♡ ずっとハメられてたいってさぁ♡ うりうりうり♡ あっあっ♡ すっごいビクビクしてるっ♡ アンタも早く素直になりなさいよ♡ 理性なんて捨ててオチンポに全部委ねなさいよぉっ♡ あははっ♡ 私のオマンコはとっくにアンタのオチンポ大好きってこんな風になってるのにさあ♡ ホントに不公平じゃないっ♡ ねえねえねえ♡」

 

 アクアはそう言いながら腰をくねらせる。膣ヒダがペニスに絡みついて弱い所を擦ってくる。股間から背筋へと流れる快楽の波は、何度も頭蓋の中で反響して頭の中でフラッシュする。身体中が熱い、辛抱できずにアクアのひんやりとした身体に抱きついてしまう。

 

「ふぅーっ! ふぅーっ! ぐっ……ぐうううっ!」

「うふふ、口ではそんなこと言ってても身体はこんなに熱烈だなんて♡ ホントに可愛いわねアンタ♡ もう絶対にこの快感を忘れられなくしてあげるから……♡」

 

 アクアのその言葉と同時に、指が尻に伸びる。あっ、と言う間もなく、ずぶりと尻穴に入り込み、前立腺を抉った。股間を跳ね上げさせながら悶える。ぐんっ、と奥深くまで突き刺してしまう。そこへ容赦無くアクアの淫乱子宮口が亀頭に吸い付いて責め立ててきた。普通ならそれで射精してしまうはずなのに、また水の栓のせいで強制的にせき止められてしまう。

 

「っ! あぐっ! ぐっぅうううーっ!」

「アンタの弱点をね、たっぷり虐めてあげる。オチンポをぎゅうっ、て搾りながらぁ……こっちもぐりぃって♡ あんっ♡ オチンポっそんなに跳ね上げさせてっ♡ いいっ♡ いいわぁっ♡」

「ぐっ……うぐっ……ぐううぅっ!?」

 

 尿道の水がまた膨らむ、お尻の中で指が抉ってくる。しかも今度はアクアの膣内にくわえ込まれながらだ。尿道と、お尻と、ペニスへの容赦無い三点責めで、目の前がバチバチと真っ白に瞬く。

 

(気持ちいい気持ちいい苦しい苦しい苦しい気持ちいい気持ちいい気持ちいいお尻がバカになる壊れる壊れる壊れる頭壊れる気持ちいいキモチイイコワレルキモチイイコワレルコワレルコワレル)

 

 そんな荒れ狂うような快感の心の絶叫に、アクアは慈母のような笑みを浮かべる。僕は必死になってしがみつき、縋り付き、アクアに救いを求めるしかなかった。

 

「も、もうだめ、も、もうイ、イかせて……イかせてくださいっ! げ、限界だからっ!」

「だめ。まだ、だぁめ……♡ まずは私をもっと気持ち良くして……あふぅんっ♡ うんっ♡ それいいっ♡ 激しいのいいっ♡ おっぱいもオマンコもキミがもっと滅茶苦茶にしていいんだよ? ほらほらぁ、エリス相手じゃ遠慮してできないこともしちゃっていいんだよっ♡ 私はキミだけのド淫乱女神なのよ♡ どこでだってキミを受け入れてあげる♡ キミが尻穴抉られて、情けなくて哀れな姿になってもぉ♡ 私が責任をもって全部受け入れてあげちゃうわ♡ だからぁ……♡」

 

 脳髄に直接、アクアの媚薬のような言葉が流し込まれていく。ここまで僕を追い込んだのがアクアでも、それを拒めるような理性は残っていなかった。そして最後の一押しが来る。

 

「エリスとするよりも、好きだって、()()()()()って、一言伝えてくれたら、今すぐ栓を抜いてあげるわ♡」

 

 頭の中がガツンと揺さぶられた。水の栓がずるりと動き尿道を擦る。理性が削られる。この苦しさから解放されるなら一言ぐらいと口が思わず開く。エリスの顔を一瞬だけ思い出した。

 

「ほらぁ、ほんの一言考えるだけでいいのよ。そしたら、私の一番キモチイイところにいっぱい無責任射精してもいいんだから♡ それにね、誰にも言ったりしないから。特にエリスにはね、このことを絶対に秘密にしてあげるから♡」

 

 そんなことを、ぬけぬけと言ってくる淫乱邪女神。その目を思い切り睨み付けると、また前立腺を表と裏から擦られて、反射的に腰を突き上げてしまう。限界を越えた快楽は苦痛となり、勝手に思考があふれ出そうになる。必死になって抱きついて耐える。だけども、ほんの一言でこの快楽地獄から解放されるのならと口をぱくぱくとさせてしまう。だけどダメだ、そんなの言えない。

 

「ねえ、そんなに射精したいって顔してるのに、何を我慢してるの?」

 

 ぷちん、と何かが切れた。

 

「あ、う……エリス……と、するよりも……す……」

「なぁに? ちゃんとくっきりハッキリと思考してもらわないと聞こえないんですけどぉ?」

「エリスとするよりもっ! アクアとする方が気持ち良くて好きだっ!」

「~~~~っ♡」

 

 アクアは破顔し、僕の心臓がバクバクと激しく脈打つ、まるで悪魔と取引したような気分だ。そして裏切ったという後悔の気持ちが先に来るよりも、アクアは言った。

 

「ほらぁ……イって……イっていいわよっ♡ イっちゃいなさいっ♡」

 

 栓がただの水に変わる。その途端に、ようやく機能を取り戻した前立腺と精嚢が激しく収縮する。尿道を熱いものが走る。今まで溜めに溜めてきたものが一気に吹き出る。

 

「あっあっ! あがああああああっ! あぁーっ!」

 

 びゅるぅうっ♡ びゅっびゅっ♡ びゅっびゅぐるぅっ♡ びゅるっびゅーっ♡ びゅーっどびゅるるるるるっ♡

 

 ごぽっ、と身体の中で何かが弾ける音がする。全ての快楽がペニスの先っぽから吹き出していく。下半身がぐずぐずに蕩け切って無くなってしまい、そのままアクアの下半身と融合してしまったかのようだ。あえぐように口をぱくぱくとさせていると、アクアは僕の頭を抱いて口付けをしてきた。

 

「嬉しい♡ あんたのが全部はいってくる……♡ 子宮の中が全部アンタに占領されてるぅっ♡ お腹の中全部蕩けちゃうっ♡ あ、ああぁ……本当にたまんないわ……アンタって本当に最高よぉ……♡ うあ……ああ、満たされるの……本当にアンタので満たされて……ああっ♡ エリスのものを……私が奪っちゃったぁっ♡♡♡」

「くう……あ、ああ……アクア……うわ、ああ……あ、あぁぁぁ……」

 

 どくり、どくりと射精が続くたびに、精液が吸い取られていく。今までで最高の射精をアクアに捧げてしまった。

 

「ふわあ……♡ きた、きたぁ……アンタの……勇者様の最高の生命力が……んっ……私の力が膨れる……溢れる……あああ……」

 

 目の前が真っ白に輝くのを感じる。儀式が完遂したのだろうか? そんな疑問も一瞬のことで、一滴残らず精液を吐き出す快感に溺れていった。

 

「うお……お、おあ……あ、ああ……」

 

 アクアの中に全て吐き出すと完全に脱力してしまった。頭の中まで真っ白になり、水中にいるせいか、まるで宇宙に投げ出されたかのような気分になる。とてつもなく心地がよい。そして、意識は漆黒の湖の底に落ちていった。

 

「あ、気がついたわね」

「ここは……?」

 

 僕は、岸辺の砂地に寝転ばされていた。気付けのためか、アクアが回復魔法をかけてくれたらしい。

 

「本当によく頑張ったわね、ありがとう。一応、お礼は言っておくわ」

 

 そう言いながらアクアは僕の頭を撫でつける。髪の毛はまだ湿ったままだった。立ち上がったアクアは温泉浴衣を着直し、女神の羽衣を羽織っていた。そして、頭の上に光り輝く魔法陣が、転送用のゲートが開く。

 

「それじゃ野暮用も全部終わったし。私、そろそろ天界に帰るわね。それじゃあね、勇者様」

「お、おい、ちょっと待て……」

 

 僕が止めるのも聞かずに、アクアは魔法陣の中に吸い込まれていく。僕の家に勝手に入り込んで盗み食いをしていた女神は、また勝手に僕の前から姿を消した。口の中に残る砂が不愉快だ。

 

 ただ、魔方陣に消え去る直前に聞こえた、最後の一言だけが妙に耳に残っていた。

 

『また、会いましょうね』

 

 全ての精気を吸われてしまった僕はしばらく休むと、ボートで街へと戻り、なんとか宿に帰ることができた。もう夜明けは近かった。

 

「た、ただいま……」

 

 エリスは寝床でぐっすりと眠っていた。少しホッとする。僕はエリスの隣に寝転ぶと昼過ぎまで、そのまま眠った。

 

「ねえ、ところで先輩はどこにいるか知りません? 朝から見かけないんです」

 

 起き抜けにエリスがそう聞いてきたので「深夜に露天風呂に入ったら、アクアとばったりと会っちゃってさ。そのまま野暮用を終わらせたら、アクアは勝手に天界に帰っちゃった」と答える、嘘は吐いてない。

 

 エリスは「そうですか」という素っ気ない返事を一つ。それから、アクアの話題が僕達の間に上がることは無かった。

 

 こうして、あっさりとアクアと別れた僕は、残りの日数をエリスと共に観光地を巡り、アクセルの街へと帰っていった。

 

第2章「(僕が)寝取られ温泉旅行」完




アルカンレティア編はこれにて終了。
次章が最終章になります。
ご期待ください。


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第3章「僕の過ち、彼女達の過ち」
第11話


というわけで、お待たせいたしました連載再開です。
5月以内には完結させたいと思います。

それでは、第3章「僕の過ち、彼女達の過ち」スタートです。




 アルカンレティアへの旅行から帰ってきてから一ヶ月。僕達はハネムーンが戻ってきたかのような熱々新婚カップルになっていた。

 

 それというのも……

 

「あっあっあっ♡ キミの……キミのおちんちん、すっごく元気になってる……ああっ♡」

 

 彼女が上に乗って、細い腰をくいくいと前後させる。頬傷のあるクリスの顔が蕩けていく、いつものクリス口調が淫らなあえぎ声を奏でる。

 

 お互いに全裸のままで。

 

 夫婦の寝室でのねちっこい交わり。エリスはあれから毎日のように僕を求めてきていたからだ。

 

 繋いだ両手を手綱のように使って淫らなダンスを踊る。

 

「んふぅーっ♡ 深いの、キミのが奧まで届いて……あ、ああ……♡ これ好き♡ だって、キミの大好きが、私の子宮にまで届いてるみたいで……あっあっあーっ♡ 突き上げちゃだめぇーっ♡」

「ああっ! エリスっ! 僕はもう……ああっ!」

「うんっ! いいよっ♡ 射精してっ! 私のお腹の中にそのままぁっ……ああっ」

 

 ぎゅっと手を固くつなぎ合わせる、二度と離れないくらいに。

 

 腰の奧が熱くなり、陰嚢で生産された精子が昇ってくる。前立腺がぎゅううっと収縮して、あっという間にエリスの中に果てた。

 

「エリス……くぅう……エリスっ……く、ぐうっ!」

「あぁあ……熱いよぉ♡ キミの熱いのが、お腹に溜って……あ、すごっ♡ 子宮がきゅんってしちゃってる♡ キミの精液でイっちゃってるんだよ……ああ、好き、大好きだよぉ……」

 

 倒れ込んできたエリスが僕にしがみつきながら、キスの雨を降らしてくる。「好き好き」と何度も呟きながら。

 

 僕もそれに応えるために、細い身体をしっかりと抱きしめた。「僕も好きだよ」と囁く、いつものように。

 

「えへへぇ……嬉しいなぁ。ん、しょっと……」

 

 ぬるりと音をたててペニスがエリスの中から抜ける。

 

 エリスは含み笑いをしながら下半身にしがみついて、柔らかくなったペニスに頬ずりしてきた。

 

「お掃除してあげるからね♡ んあ……んちゅっちゅ……れろぉ♡」

「ふぅ、ふぅっ……エリス、あ、あぅっ、そんな熱心にっ!」

 

 二人の淫らな粘液がたっぷりとまぶされたそれを、エリスは一瞬の躊躇も無くくわえ込んでいた。

 

 柔らかくなりつつあるペニスはそれに敏感に反応する。亀頭を包もうとしていた皮の間に舌が差し込まれる。

 

「んじゅるぅっ♡ れろれろっ……ちゅぅっ♡」

 

 くちゅくちゅと音を立てて舐めしゃぶられる。舌がねっとりと絡みついてきて、変な声しか出すことができない。

 

「あっ、うあっ、も、もう少しっ……優しく、ああっ!」

「んふぅ♡ じゅるっちゅっ♡ くちゅ……ちゅううっちゅぱっ♡ れおれおれろぉ♡」

 

 エリスの熱意の籠もった舌技にペニスはあっさりと復活を果たし、小さな口腔内の占有権を主張していく。そこが「僕」の居場所だと言わんばかりに。

 

「んくんぷ……んふ、ぷはぁ……あは、あっという間に大きくなっちゃったねー♡」

「エリスの口が、上手いからだよ……んっ!」

「ちゅぅう……♡」

 

 亀頭への吸い付くようなキスに、思わず腰が捩れる。

 

「んちゅー♡ ぷはぁ……えへへ、キミのことが大好きだから、いっぱい勉強したんだよ?」

「あ、ひょっとして最近、バナナとかキュウリとかそういうオカズが多いのって」

「あ、やだ、みんなには内緒にしてね。こんな若奥様の恥ずかしい秘密なんてさぁ……んー……ちゅっ♡」

「あぐぅっ!」

 

 鈴口に唇をつけられ、尿道に残ったものを吸い上げられる。エリスは竿をゆっくりと擦り上げて硬さを確かめるようにしながら、亀頭に何度もキスを繰り返した。

 

「それにしても……お、おおっ……なんでこんなに熱心に、んくっ!」

「ちゅっちゅっちゅぅっ♡ だってあたしは、元気なキミが大好きなんだもん。この硬くて元気なオチンポのことが♡」

 

 うっとりとした笑みを浮かべながら竿を扱いて、ペニスに頬ずりをしてくるエリス。あまりの淫猥さにこのまま射精してしまいそうになる。

 

「ほら、完全に元気になっちゃったねー♡ 今度は後ろからしてよぉ♡」

 

 ふぅふぅと鼻息荒く吐息を漏らしながら、エリスがお尻を向けてきた。

 

 冒険者として鍛えられて引き締まったお尻。そこには女の子としての脂肪が……若奥様らしい脂肪がたっぷりと追加されて、美麗な桃のようなラインを描いていた。

 

「ふーっ……ふーっ……ふーっ! エリスっ!」

 

 もぞりと起き上がると、彼女の望み通りに腰を両手で掴む。「あんっ」艶めいた声。

 

 それにピクリと反応したペニスを、蜜が溢れて止まらない淫裂に擦りつける。

 

「後ろからして欲しいだなんて、随分とエッチな女神様になっちゃったね。よい、しょっと!」

「あ、あぁーっ♡ ん、そ、そうだよ……奧まできてぇ……♡」

 

 まずは奥底まで繋がりあい、お互いの形をぴったりと合わせる。

 

 自分達がどれだけお互いを思いやってるのか確認するかのように。

 

「あたしは、キミのためならどれだけでもイヤらしくなれる、キミだけのエッチな女神様だからね……♡」

 

 四つん這いになった女神が、顔だけをこちらに向けて笑みを浮かべる。

 

 綺麗な銀髪がさらさらと流れ、ピンとした背筋はカーブを作って腰の窪みを作る。そして、この僕を誘惑して(たぶ)かせる尻に向かって、思い切り腰を打ち付けていく。

 

 ばちゅんっ♡ ばちゅっ♡ ばちゅ♡ ばちゅっ♡ ぱんっ♡

 

「あぁあーっ♡ も、もうっ♡ いきなりこんなっ♡ あんっ♡ キミってホントに、大人しい顔付きのくせにケダモノだよねっ♡ あっああっ♡ んっ♡ あんっ♡ でもイヤじゃないよっ♡ あたしのこといっぱい愛してるってことだもんっ♡ あっ♡ あぁーっ♡」

「そ、そうだっ……僕はエリスを愛してるっ! 本気で愛してるっ!」

「あっあっ……嬉しいぃっ♡ あたしもキミのこと愛してるっ♡ 愛してるぅっ♡」

 

 一ストロークごとにお互いの「愛してる♡」、という言葉で寝室を埋め尽くしていく。その言葉を呟きながら腰を振るだけで、多幸感が頭の中に充ち満ちていくのが分かる、このまま頭の中まで全部エリスに染まってしまえばいいのに。

 

「ふぅっ! ふぅっ! それにしてもエリスはさっ! 毎日っ! 毎日っ! 僕のことを求めすぎなんじゃないかなっ!」

 

 ぐっぐっとペニスを抽送させながら、僕はエリスに尋ねる。顔を枕に埋めて「好き♡ 愛してる♡」、と繰り返すだけだったエリスは、横顔をこちらに見せてそれに答えた。

 

「だってっ……だってぇ、あたしはキミのことが大好きだから……だから、赤ちゃん欲しいなって……欲しいのっキミの赤ちゃんが欲しいのっ! あぁっ」

 

 分かっていたよ、こんなにも積極的に求めてくる理由はそれ以外にないんだから。

 

 子供が欲しいなんて言い出したのは、アクアが来たせいだろう。

 

 それに、僕にも原因の一旦があることを自覚していた。

 

 アクアの突然の訪問、一ヶ月の居候にアルカンレティアへの同行旅行……その間に僕はアクアと何度かセックスをしてしまった。

 

 だけどもあれは浮気なんかじゃない。

 

 僕の心と身体は常にエリスの方へと向いているんだ。

 

 アクアとセックスしたのだって、結婚指輪を取り戻すためだったり、アクアが望む儀式のためだったりした。儀式だってよく考えたら世界平和のためじゃぁないか……

 

「ん? どーしたの何か考え事? あ、ごめんなさい、ひょっとして萎えちゃったのかな、ご、ごめんね、あたしが変なこと言っちゃったせいだよね……き、嫌いにならないで……」

 

 エリスの言葉にハッと我に帰る。泣きそうなその声に僕は慌てて弁明をし、背中を撫でるように慰めて、硬さを取り戻すためにエリスの中で抽送を繰り返した。

 

「んっ……んっ……あんっ」

「ね、ねえエリス。お尻をもっと高くあげてよ……ほら、そうしたら子宮の中に精液がたっぷり溜って妊娠しやすくなるって聞いたからさ!」

 

 そう言いながら可愛いお尻を軽く叩くと、エリスは「あんっ」、と嬉しそうな声を漏らしながらお尻をさらに高くあげていく。

 

「もう、そんな話、どこで聞いてきたの? ん、んふぅ……はぁあ♡」

「えーっと……ギルド職員の子の噂話?」

 

 この町のギルド職員は結構可愛い子が揃ってるのに、なぜか恋人はいないし当然ながら結婚率も低いらしい。

 

 それで数少ないチャンスをどうやってモノにするか、男をいかに誘って責任を取らせるか、そのためには……なんてギルド職員の子の猥談をついうっかり聞いてしまうことがあったのだ。

 

「っと! エリス、な、なんでそんなに締め付けて……くぅっ!」

「……キミにもっと気持ち良くなってほしいからだよっ♡ あと、キミってモテモテだからさぁ……変なのに誘惑されないようにっ♡ 逃がさないようにしてるだけっ♡ あっ……んくぅーっ♡」

「このっ! エリスっ! 僕がエリス以外に誘惑(・・)されるはずないだろっ!」

 

 ばちゅんっ♡ 秘裂から蜜を溢れ出させるように強く腰を打ち付けた。自身の不義を誤魔化すように。エリスにはアクアとのことはとっくにバレてるんじゃないかと、心の隅で恐れながら。

 

「あっあっああっ♡ はっはげしっ♡ ダメだよそんなんじゃぁっ♡ 激しすぎてっ♡ あっあうっ♡ やだっやだぁーっ♡ かきまわされて……んぅーっ♡ キミの精液が掻き出されちゃってる……ダメ……いや、ああっ♡」

「ちゃんと注ぎなおしてあげるから、心配しないでよっ! エリスっ! エリスーッ!」

 

 ずっずっずっ♡ あえぎ声とべったりと貼り付くような粘着音が心地好い。

 

 後ろから貫けば、淫裂のヒダがペニスにしっかりと絡みついてくる。そんなあまりの淫猥な光景に背筋をぞくぞくとしたものが走る。エリスの本当に貪欲な部分が見えたようで嬉しくなる。

 

「あっ……あぁーっ♡ いっぱい中出ししてよっ♡ お嫁さんをしっかり孕ませてっ♡ ああっ♡ キミの赤ちゃんが欲しいっ♡ キミの赤ちゃんが欲しいのぉっ♡」

 

 ただ、それにしたって彼女は求めすぎだと思う。僕としてはもう少し夫婦の時間を過ごしたいのに。

 

 正直に言うと、元の世界での成人……二十歳になるまでは二人きりで過ごしたいのだ。

 

 だけども射精の本能には逆らえず、ぶるりと腰が震える。

 

 エリスの欲しがり子宮に入り込みたいと精子が暴れだしているのが分かる。

 

 何度も腰で叩かれて赤くなったお尻をしっかりと鷲掴みにして、激しいピストン運動を繰り返す。「もっと口を開けろ」と言わんばかりに子宮口を亀頭で叩く。

 

 ずちゅんっ♡ ばちゅっ♡ ずっ♡ ずっ♡ ずっ♡ ぐちゅうぅうっ♡

 

「あっ♡ はげしっ♡ はげしよぃよぉっ♡ あっだめっだめっ♡ それ以上、お嫁さんの弱いところっ♡ 突いたらダメだよぉっ♡ こんなのお嫁さんだけにしちゃいけないことなんだからねっ♡ あたしだけにしていいことなんだよっ♡ あっ♡ 旦那様のこと独り占めにしちゃってるぅ♡ あんっ! 膨らんでるっ♡ キミのがっ! あたしを孕ませたいって膨らんでる……あっんっ♡ きてっ♡ きてぇええええっ♡」

「くっ……ううぅーっ! エリスっ! エリスぅっ!」

 

 歯を食いしばり、子宮を持ち上げるようにペニスを埋めると同時に猛烈な射精感が湧いてくる。

 

 どぐっどぐっ……どぶぐるぅっ♡ びゅぐぅぅ……♡

 

 快楽が文字通り絞り出される。腹の中の精液を一滴残らず吸い取るような蜜壺の収縮する動き方に、目の前がチカチカするほどの快感を覚える。

 

「はぁはぁ……ああ、エリス……」

「ふわ……あ、あぁあ……ん、素敵ぃ……♡」

 

 体力を全て使い果たした僕は、ペニスをずるりと引き抜いてエリスの横に倒れ込んだ。

 

「んふ、旦那様、今夜もお疲れ様でした……ん、ちゅ、ちゅ……♡」

 

 慈しむような優しい顔のエリスが、僕の乱れた髪の毛を手櫛でそっと直しながらキスをしてくる。心地好いその感覚に身を任せながら僕は静かに目を閉じた。

 

 こうして、今夜五回目の射精をエリスの胎内に捧げたのだった……

 

 

 

「だ、旦那様、ど、どうですか、裸エプロン、あ、も、もうっ! そんなに食い入るような目で見ないで下さいよぉ! 私だってすぅーっごく恥ずかしいんですからっ!」

 

 翌日の朝からエリスは元気だった。

 

 あの抱き心地の良いスレンダーな身体の上から、全裸で、ピンク色のフリルたっぷりのエプロンを着ていたのである。

 

 いつもなら、シャツとショートパンツの上から着ているはずのなのに(それはそれでセクシーなのだが)。

 

「いや、だって、見て欲しいから着てるんでしょ?」

「そ、それはそうですけどぉ、み、見られてると意識したら、思ったよりも恥ずかしくて……」

 

 以前、お願いだからやってほしいとリクエストした裸エプロン。「なんでそんな不真面目なことを考えるんですか!」と割と本気で怒っていたのに、まさか自分からしてくるなんて。

 

 今日は僕の誕生日か何かだったかな?

 

「やっぱりお尻がスースーして、涼しすぎます……」

 

 可愛いお尻が左右に振られてぷるぷると震える。お腹が空いてるせいか涎が溢れてきた。

 

「……あ、料理中にイタズラしたらダメですからねっ! そんなことしたら朝御飯抜きですからっ!」

「あ……ああ、わかったよ、ちゃんと待ってるから」

 

 朝御飯はエリスだけでいいよ! と、あと少しで声に出るところだった、あぶないあぶない。

 

 正直なところ嬉しさも大きいが、妙な不安もあるというのが本音だ。少し過剰なぐらいのエリスのサービスに。

 

「ふんふんふ~ん……♪」

 

 鼻歌を歌いながら、無防備で丸見えの綺麗な背中と腰をくねらせてエリスは調理を続けている。

 

 昨夜はあれほど抱いたというのにまた股間がむずむずと硬くなっていくのが分かる。

 

 静かに席を立つと、足音を殺して端麗な姿を見せつけるエリスに近づいていった。

 

 ああ、今日もこうして僕は誘惑されるのだ……

 

 

 

 



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第12話

『いい加減にしてください! 彼は、彼はもう十分に生きたじゃないですか! 天界のルールではもう次の転生をしないといけないんですよ!』

『イヤよ! そんなルールなんてくそっくらえよっ!』

『先輩! もう諦めて下さい!』

 

 この声は……エリスとアクアが言い争いをしている……アクアのギャン泣きするような声は珍しくないが、エリスが本気で怒っている声を聞くのは初めてだ……

 

 あまりにも五月蠅いから目を開くと、皺塗れで目を閉じた不気味な老人の姿が目の前にあった。

 

(うわぁっ!?)

 

 思わず大声が出てしまったが、僕の声は二人には聞こえてないようで言い争いを続けている。

 

『なんでこの私が諦めなきゃいけないのよ!』

『だって彼はもう、帰ってこないんですよ』

 

(僕は宙に浮いてる……? ああ、なんだこれは……夢なのかな……)

 

 あやふやな身体感覚なのに、やけにはっきりした意識。明晰夢というやつだろうか。それとも幽体離脱か。

 

 周りを見れば清潔な病室だった。窓の外には美しい星と月、石壁で守られたアクセルの夜の町並み。サイドテーブルには見舞いの品が山と積まれていた。

 

(あれ、この老人は……)

 

 老人は眠っているのではなく、すでに亡くなっていた。

 

 不思議なもので命を失ったモノは、やけにはっきりとそれと分かるものだ。

 

『イヤよ! こいつは私のものなんだから! どんな手を使ってでも取り戻してみせるんだから!』

『いいえ、彼の寿命は完全に尽きたんです、認めて下さい!』

 

 老人の遺体の前で、二人の女神は怒鳴り合っていたのだ。

 

 やれやれ、せっかくの美人が台無しだ。

 

(それにしてもこんな顔して死ねたんだから、本当に満足したんだろうね)

 

 いかな人生を歩んできたのか、老人の顔の深い皺はすっかりとたるみきり、身体は痩せ細っていた。

 

 だけども、死んでもにやけ顔の禿頭の老人は、間違いなく幸せな最期だったに違いない。

 

(あれ、でもこれは……一体誰だ……?)

 

 ふと気がついた。これは僕の予知夢や願望的未来夢なんかじゃないぞ、と。

 

 なぜなら、老人の枕元に置いてある冒険者の集合写真には、僕の知る人はたった二人しか写っていなかったからだ。

 

 写真の真ん中にいる軽薄そうな笑みを浮かべている青年にアクアが後ろから抱きつき、周りには知らない顔の冒険者達。その端っこに写っているのがクリスだった。

 

 他にも二人の美少女が左右から青年に抱きついていた、知らない女騎士と女魔法使い。この青年が、老人の若かったころだろうか? 間違いなく僕ではない。

 

『寿命なんて知ったことじゃないわ! だってだってだって! ずっと私と一緒にいるって約束したんだから!』

『そうやってなんども横車を通して! 高位の復活の魔法どころか寿命を延ばす禁呪まで使って! いい加減にしてください! 彼の魂はもう無理と無茶を繰り返して擦り切れてしまいそうだったんですよ!』

 

 二人の顔が徐々に険しくなっていく。何かまたアクアがやらかしたらしいが……寿命を伸ばすだの、魂が擦り切れそうだの、不穏な言葉が聞こえる。

 

『だから私は、彼が亡くなる直前に相談されたんです。今度また命が尽きる時がきたら、俺を自由にしてほしいって……』

『嘘、そんなことアイツは絶対に言わないわ。アンタっ! 嘘を吐かないでよぉっ!』

 

 アクアはエリスに食ってかかり。涙と鼻水をボタボタと垂れ落としながら、エリスのあの清楚な女神服を汚していく。

 

 エリスは服が汚れるのも厭わずに、泣きわめくアクアを優しく抱き留めた。

 

『寿命を無理矢理引き延ばすなんて、本当はやっちゃいけないことなんですよ。そんなの分かってたことじゃないですか、先輩』

『あんなにも楽しく一緒にやってきたってのにっ! ずっとずっと一緒にいるって言ってくれたのにぃっ!』

 

 頭を何度もエリスの薄い胸に叩き付けても、アクアの憤りは収まらないようだ。

 

 あまりにも聞き分けがないアクアに、カッとなったエリスがその肩を揺さぶりながら悲痛な声で叫ぶ。

 

『あの人の魂を永久に失うわけにはいきません! ですから彼の願い通りに、私を中継点として別世界の転生担当神に魂を渡しました。あとは彼が望む世界に転生を果たしたでしょう。ですからきっともう、この世界に彼は戻ってきませんよ』

『ふざけるんじゃないわよぉっ! 私からアイツを取り上げないでよぉっ!』

 

 アクアの手が振り上げられて、深夜の病室に乾いた音が響く。

 

 頬を赤くしたエリスはアクアに向けて哀れんでいるかのような瞳を向けた。それに対してアクアは息を荒くしながら睨み付け、視線を絡ませる。

 

『もう十分じゃないですか……百年以上も一緒にいたんですから、彼を解放してあげましょうよ、楽しかった思い出と一緒に』

『ええ、楽しかったわ……こんなに楽しかったことなんて、女神になってから初めてかも知れない……だから、もっとずっと永遠に続けばいいって思っただけなのよ……それだけなのよ』

 

 俯いて涙を流すアクアの姿に思わず胸が痛くなりそうだった。

 

『それは、たとえ大神であろうとも許されることではありません』

 

 そんな彼女へ、エリスの凍り付きそうな冷たい声が送られる。

 

 アクアの顔がゆっくりとあがっていく、目が怒りで爛々と輝いている。

 

『だけどもエリス、あなたは最後の最後に絶対にしちゃいけないことをしたのよ』

 

 まるでエリスに呪いをかけるかのように、アクアは震える指を突きつけた。

 

『アンタだってアイツと一緒にいたかったから、本当にギリギリまで私のしてきたことを見逃してきたくせにっ! アンタは私を裏切って、カズマ(・・・)の魂を盗んでいった泥棒猫よっ! どうせどこにいったのか知ってるんでしょう! 白状しなさいよぉっ!』

『ち、違う、それは違います、先輩! カズマさんの魂の行方は私でも本当に分からないんです!』

 

 カズマ? それは確かアクアやエリスの仲間だったっていう……

 

『そんなの、信じないわ……この借りは大きいんだからね、覚えてなさいよ……!』

『先輩……っ』

 

 二人の今までのやりとりから、カズマというこの老人への気持ちの重さが伝わってくる。

 

 それは徐々に、羨ましさや嫉妬といった感情が僕の中でぐるぐるとぐつぐつと煮立っていく結果となる。あまりにも耐えきれなくて、この場で何か思いきり叫びたくなるが、今ここにいる僕はただの傍観者でしかなかった。

 

『ふぅーっ! ふぅーっ! 泥棒猫……っ!』

『私は、カズマさんのためにやれることをやっただけですっ』

 

 次の瞬間には刃傷沙汰に発展しそうなほどに緊迫した状況で、僕は見ていることしかできなかった。

 

 そして、先に爆発したのはやはりアクアの方だった。

 

『だってっ! カズマは私の……私のっ! うわっ……あああ、うわぁああああんっ!』

 

 死体も起き上がりそうな大声をあげながら、老人の……カズマの遺体にアクアは縋りついて泣きわめく。

 

 エリスも今にも泣きそうな顔をしながら、カズマの皺だらけの顔を見つめていた。

 

『私だって……私だって本当は……!』

 

 何か、決定的な何かをエリスが呟こうとした瞬間に、ふっと目が覚めた。いつもの夫婦の寝室、朝日がカーテンの隙間から入り……

 

 僕の胸を枕にして、エリスが眠っていた。

 

 だけどもその表情はとても悲しそうで、今まで一度も見たことがないほど悲しいもので……

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 サトウ・カズマ。

 

 冒険者ギルドの資料室にあった人物名鑑で見つけたその名前は、今からざっと二百年近く前に活躍した冒険者の名前だった。

 

 職業としては最弱の冒険者ながら、大貴族の一人娘であるクルセイダー、強大な魔力を秘めた紅魔族のアークウィザード、そして女神の生まれ変わりのような青髪のアークプリースト(……)の四人でパーティを組んでいたらしい。

 

 賞罰としては、魔王の幹部を倒すなど数々の功績を残すものの、器物損壊による弁償、逮捕や裁判沙汰も多かった。

 

 当時、この地方を治める貴族の家を爆破したという裁判では、判決が下る前にダクティネス家の預かりになり……え? ひょっとして仲間のクルセイダーがなんとかしちゃったのか……おまけに、訴えた貴族が行方不明? ひょっとしてヤっちゃったのかな、サトウ・カズマ。こりゃ真っ黒だな、間違いなくこいつが犯人だわ。

 

 ……だが、なによりも一番の功績は当時の魔王を上手くダンジョンにおびき出して倒したことらしい。そりゃあすごい、しかもたった一人でか。

 

「となると、子孫も結構いそうなもんだけど……っと」

 

 この世界では、大きな功績を残した冒険者には、優秀な血筋……具体的に言うと個人的なレアスキルを取り込もうと、有力な王侯貴族が結婚しようと色々と画策してくるのだ。

 

 となると縁のあったダクティネス家に嫁いだのかと思えば、そういうことはなく紅魔の里、王都を転々としつつも、結局はアクセルの町の屋敷……僕達の今の住居だ……から本住所を変えることなく、一生を過ごしたみたいである。

 

 ところで、王侯貴族は良質の血を取り込んでいくうちに金髪碧眼が当たり前になっていったらしいのだが、忘れた頃に黒髪の子供がひょっこり産まれてくるらしい。

 

 大貴族ダクティネス家の今の好色当主は、日本人のような顔付きの黒髪の小男なんだよね。怪しいよなあ……

 

 ちなみに僕と見合いをした王都の姫様も黒髪だった。やけにハイテンションで明るくておてんばで確かに可愛くはあったけど、侍女の「売れ残り」という呟きはさすがに聞き逃すことはできなかった。ま、エリス以外と結婚する気はなかったけど。

 

 閑話休題。

 

 そんな人物名鑑の最後の行に書かれていたのは、「サトウ・カズマ、享年百十八歳」であった。

 

『寿命を無理矢理引き延ばすなんて』

 

 あの奇妙な夢の言葉を思い出す。いやいや、百歳越えなんてそういう長寿の遺伝体質があればありないわけじゃない、サトウ・カズマの両親がどんな人なのかは知らないけど。

 

「うーん……」

 

 両手を組んでぐぅーっと背筋を伸ばす。テーブルの上にはファイルの山。過去の資料を片っ端から調べていたので肩が凝ってしまいそうだ。こんな調べ仕事は僕の趣味じゃないが、誰にも頼めない類いのものだからしかたない。

 

「あの、勇者様、新しい資料をお持ちしました」

 

 ギルド職員のお姉さんが両手にファイルの山を抱えてやってきた。

 

「あ、ありがとう、そこに置いておいて」

「はい、また何かありましたらお呼びください」

 

 さっと頭を下げるお姉さん。胸の谷間をやけに強調したギルド職員服の肌色部分に目がいってしまい、思わずこほんと咳をする。

 

「それでは失礼いたします、ふふっ」

 

 あー……今の笑みは思わず肌色の谷間を見ちゃったのがバレちゃったな……勇者になるとこういう誘惑が多いから困りものだよね。

 

「さて、と……アクシズ教団関係の事件にクエスト資料はこれか……」

 

 そもそもアクシズ教団は銭ゲバでアクアのためにならなんでもするような狂信者揃い。「エリスの胸はパッド入り」などという妄言をのたまいながらエリス教徒に嫌がらせを行い、奇妙なやらせやマッチポンプで純粋無垢な若人を入信させるような異常者揃いだった。

 

 だが、カズマが亡くなった頃から、アクシズ教徒の手によるエリス教への攻撃が激しくなり、現在まで続いていることが確認できた。

 

 それ以前と以後では十倍ぐらい事件の発生が増えている。

 

 アクシズ教団が起こしたと言われる大事件は、僕が名前だけでも知っているだけでも。

 

「エリス教総本山落書事件」

 エリス教の総本山の各所に真っ赤なペンキで”アクア参上!”と落書される。アクシズ教団幹部は”我々なら青いペンキで落書する、これはエリス教徒の自作自演だ”と表明、大顰蹙を買う。

 

「王族への強制入信未遂騒ぎ」

 エリス教への入信書類をアクシズ教のものへとすり替えるという稚拙なもの、だがアクシズ教の入信書類に当時の第一王子の名前が書かれていたものが受理されて、紙切れ一枚で大騒ぎに。

 

「魔導バス高級シュワシュワテロ事件」

 震動を与えられた大量のシュワシュワが魔導バス内で大爆発。海のような泡の中で酔っ払ったような気分になった運転手がハンドルを切り損ねてあわや横転の大事故に。アクシズ教団の関与が疑われ、アルカンレティアの総本山に国家のメスが入る。しかし証拠不足のため無罪放免。

 

 ……これは完全に濡れ衣じゃないか?

 

 そんな感じで、アクシズ教団によるエリス教団への攻撃頻度も規模も大きくなり、テロ組織扱いされカルト教団一歩手前というのが、今の状況だというのが分かった。

 

 サトウ・カズマは実在した冒険者で、アクアもクリスも仲間として冒険を繰り返し、それなり(・・・・)に仲が良かったらしい(胸の奥がチリチリする)のがクエストの報告書から窺えた。

 

 もしも、あの夢の内容が正しいのなら、アクアとエリスは酷い仲違いをしたのだろうが、前に会った時はそんな感じはしなかった。迷惑な先輩にたかられる後輩といった風に見える。

 

 まあ……アクシズ教団によるエリス教団への嫌がらせはそれは思うところは色々とあるだろうけども……

 

「いや、そもそも全部終わったことじゃないか、こんなのは」

 

 椅子の背もたれに背中を預けて天井を仰ぎ、手で顔を覆ってうめき声をあげると何度か頬を叩く。

 

「どんなヤツか知らないけど、サトウ・カズマさん。本当にあんたを恨むぞ」

 

 今日はなんでここまでサトウ・カズマやアクシズ教団についてなんで調べていたのかといえば、本当に心の底から不安なことが一つだけあったからだ。

 

 あの朝。

 

 僕の胸の上で悲しそうな顔付きで眠るエリス。思わず慰めようと銀糸のような髪の毛を優しく撫でていると、真珠のような涙が一粒流れ、口から掠れたような声が漏れたんだ。

 

「カズマ……さん……」

 

 その一言で、僕の心中は信じられないほどに凍えつく。

 

 

 

 



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第13話

 ギルド職員に「用は済んだから、後片付けを頼みますね」、と一言告げて冒険者ギルドから飛び出した。

 

 急ぎ足で我が家へと向かう。道行く人がなぜか道を空けてくれる。

 

 馬車が前から来たときなどは、馬が嘶いて前足を振り上げて通りやすくしてくれるぐらいだった。

 

 いつも買い物をする果物屋の店主や顔見知りが僕に気がついて挨拶しようとするが、急に押し黙ると前を譲ってくれた。

 

「あんな顔をした勇者様、初めて見たけど何があったの……」

「何か悪いことが起きないといいんだけどねえ……」

「そういえば、前に変な女が屋敷に住み着いてたよね……」

 

 そんな声が、後ろから聞こえたような気がした。

 

 街を出て郊外の屋敷へ、早く、早く帰りたい、早く帰ってエリスの顔を見たい。

 

 庭の前門を開き、小走りで突っ込むようにしてドアを思い切り開いた。

 

 存外大きな音が響いたが、そんなのはどうでもよかった、エリスにすぐに会いたい。

 

「エリス! どこっ! どこにいるのっ!」

 

 もしも、この時エリスが留守にしていたら、僕はどうにかなっていたかもしれない。

 

「あ、お帰りなさい、あなた。どうかしたんですか? 今日は冒険者ギルドに行ってくるって聞きましたから、夜まで帰ってこないかと……」

 

 台所まで行くと、エリスは洗い物をしていた。磨りガラスの向こうから入る光は、まるで後光のようになってエリスの横顔を照らす。

 

 振り向いたとき髪が銀砂のようにさらさらと流れる。深い海の色のような瞳は流し目で僕を見つめてくる。綺麗な鼻筋にツンとした可愛らしい桃色の唇が僕の名を呼ぶ。

 

「……ただいま」

 

 うっかり、見惚れてしまった。

 

 半袖シャツにロングスカート、ごく普通の町娘が着るような普段着。地味な色合いのそれは女神が着るにはそぐわないものだろうが、これ以上なく似合うと僕は思っている。

 

 その上からつけている黄色のエプロンなどは、装飾など一切ない簡素なものだったが、エリスが着ると全く違ったイメージになる。

 

 女神の若奥様、としか言いようが無い……いや、そのまますぎるか。ああ、心の底から愛おしい感情がわき上がる。間髪入れずにエリスを後ろから、強く、強く抱きしめた。

 

「きゃあっ! あ、ダメ、ダメですよ……昼間っからこんな……あ、どうしたんですか、あなた」

「え?」

「だってあなた、泣いてるじゃないですか……何かあったんですか?」

 

 なんでもない、風が強くて埃が目に入っただけさ、と答えたつもりだった。

 

「く、ううううぅ……っ!」

 

 変な呻き声と目から溢れる水が止まらずに、それを誤魔化すようにエリスの背中に顔を擦りつけた。肌の柔らかさとエリス(女神)の暖かさをしっかりと感じながら心を落ち着ける。

 

「ああ、あなた……ええ、大丈夫、大丈夫ですから……」

 

 優しいエリスの声。抱きしめる腕を撫でてくれるその手の動きだけで、僕は十分に慰められた。

 

 そうして、ようやく涙が止まった頃には、エリスのシャツから感じる甘い芳香を胸いっぱいに吸い込むぐらいの余裕が出て来ていた。

 

 子供が甘えるように顔を擦りつけて、何度も頬ずりをする。

 

「あん、あっ、元気になってきましたね、もっと抱きついてもいいんですよ? んふふ」

 

 その言葉に甘えるようにしてしっかり抱きしめると、慎ましく膨らんでいる胸をエプロンの上からなで上げ……ぎゅっと掴む。

 

「あ、わ、ちょっと、あなた、あっ! む、胸を揉んでは……んもうっ!」

「んふー……ふぅーっふぅーっ!」

 

 少しずつ興奮してきた。

 

 僕は布地の上からでも分かる乳房の柔らかさを堪能する。何がパッド入りだ、女神の胸を揉んだこともないやつが勝手なこと言いやがって。

 

「は、う、ああ……こんな昼間から、()を求めてくるなんて……あっ……んぅーっ!」

「エリス……エリスと、すぐ、したいんだ……!」

 

 シャツの中に手を潜り込ませて、ブラの上から双房を揉む。

 

 手の平サイズの可愛い膨らみを両手で味わっていると、昂ぶりが増していくのが分かる。

 

「それじゃあ……あ、はうぅんっ……し、寝室に行きましょうよあなた、ね? あんっ!」

 

 僕は我慢できないと抗議をするように、腰をエリスの桃尻にぶつける。エリスの口から悲鳴が漏れるのが面白くて、何度もぶつけてやった。

 

 膝まで隠すロングスカートは薄めですべすべとしている。そこに、興奮してすっかり硬くなってしまったペニスを擦りつけるのは、ズボン越しでも得も知れぬ興奮が沸き立ってくるものだ。

 

「はっあっ……ああっ……そ、そんなに擦りつけないで……ね、一緒にベッドの上で……あ、ああ……愛し合いましょうよ……んっ!」

「イヤだ、ここでエリスとしたいんだ!」

 

 細いウエストを掴み、お尻をこちら側に突き出させる。「んふっ」と息を漏らしながら、エリスはお尻を左右にくねらせてきた。なんだ、やる気じゃないか。

 

 ロングスカートに桃尻の形が、下着の形が浮かび上がる。下着の形に沿って指を這わせると、エリスは背筋をぞくぞくと震わせて熱い溜め息をもらす。

 

「はぁああ……あなたぁ、だめ、ん、そんなエッチなことされたら私……あっんぅっ!」

「エッチなことってのは、こういうことかい?」

 

 ズボンは硬くなったペニスの形に盛り上がっていて、エリスのスカートに出来た尻の谷間に擦りつけてやる。

 

 すべすべした布地が気持ちいい、尻の柔らかさに息が漏れて、彼女のあえぎ声が耳に心地良すぎる。

 

「はあっ、ああっんぅっ……いや、いやです……こんなところで……あっ! あはぁっ!」

「エリスって、まだ挿入もされてないのにそんな声を出しちゃうんだね」

 

 段々と嗜虐的な気分になってくる。女神の身体を蹂躙したくなってくる。

 

「ほら、そろそろ見せて貰うよ」

「あっ! いや、だめです……あぁあっ!」

 

 スカートをまくりあげてエプロンの結び目に裾を巻き込むと、薄水色の普段使いの下着が丸見えになる。そのクロッチ部分はすでにじっとりと濡れていて、イヤらしいシミが広がっていた。

 

「もう、すっかり準備出来てるじゃんか」

「あぁもうっ! どうして今日はこんなに意地悪なんですかぁっ! はふぅっ! あっ、指ぃ……だめぇ……」

「わぁあ……すっごい、奧から溢れてくるよ。台所でエッチして欲しいんだよね、これ。ああ、この前は裸エプロンなんて披露してくれたから、ここでそういうことされたいってずっと思ってたんだねエリスは、だからこうして……」

「そ、そんな、ちがいますっこの前のは、ついそういう気分になっちゃったというか……あっああっ!」

 

 下着を横にズラして指を差し込むと、エリスの秘裂はあっさりと受け入れてくれる。

 

 そして奥まで差し込まれた指の体積分以上に、とろりと蜜が溢れ出した。

 

「はう、う、うあ、あああ……んぅっ♡ んふ……はぅっ♡」

 

 エリスの口から甘い声が溢れ始め、蜜壺はきゅうきゅうと指を締め付ける。膣ヒダを指で何度も何度もかき回してやると、エリスは流しの縁を掴んで腰をがくがくと震わせていた。

 

「はぁっ……あっ……んくっ、んふ……ふぅっ♡ ああっ♡ 旦那様ぁっ♡」

「ふぅーっふぅーっ! そろそろいくぞ……っ!」

 

 もう我慢なんてできない。

 

 ズボンを下着ごとずりおろすと、勢いよく飛び出たペニスが下腹をペチンと叩いた。

 

 何度か手で擦りながら落ち着けようとしたが……やはり、我慢出来ずにそのまま挿入した。

 

「お、おおっ! エリスぅっ!」

「ん、んぐぅぅうぅっ♡ はっはっはぁっ♡ あなたっ……あなたぁっ♡」

 

 ずるりと蜜壺の奧まで入り込む。

 

 ああ、毎日のように味わっても飽きることがない愛する女神の身体。きゅうっと強く締め付けて、引き込むような動きに思わず腰が蕩けそうになりながらも、それを貪るように腰を振り始める。

 

「はっ! はっ! はっ! これが欲しかったんだろっ! エリスっ!」

「はい、そうで……すっ♡ んふ、ふぅっ♡ くぅううっ♡」

 

 後ろから貫くと、まるで女神を自分のものにしているようでさらに昂ぶっていく。

 

 そうだ、今のエリスは僕のものだ、過去に何があったかなんて関係ないっ!

 

 孕ませられるのはサトウ・カズマなんて昔の男じゃないっ!

 

 今を生きる、この僕だっ!

 

「あぁーっ! はげしっ♡ 激しすぎます♡ はっはっ♡ くぅっうっ……うぅーっ♡」

 

 エリスは流し台の縁にもたれかかり、身体を痙攣させる。スリッパはすでに脱げて靴下でつま先立ちになり、さらに何度も激しく締め付けてきた。

 

 流し台にぽたぽたとエリスの涎が落ちる。結合部から泡立った愛液が溢れて太ももを伝って行く。

 

 エリスの声が段々とケダモノじみたあえぎ声となり、蜜壺の中が一層柔らかくなる。腰の奧が熱くなる、きゅうきゅうと収縮を始めたエリスの胎内に精液を注ぎ込みたいと本能が叫ぶ。

 

「おっおおっ……エリスっ! なかっ……なかにだすぞっ! は、は、孕めっ! 孕めぇっ!」

「っ♡ くっ♡ くううっ♡ だひて♡ おもいっきりだひてくださいっ♡ びゅぅうって♡ はらみますっ♡ はらみますからぁっ♡ だんなさまの赤ちゃん種……くださいっ♡ くださいぃいっ♡」

 

 ペニスを奧の奥まで突き込み、爆発するかのような勢いで精液が迸った。

 

 どくどくと心臓の激しい鼓動に合わせて吐き出されるそれは、これ以上ないほどの多幸感で頭の中がいっぱいになる、まっしろになる。

 

「うぐっ、ぐっ、ぐっ、おおおっ!」

「はぐ、う、あ、あああ……おなか……熱いっ♡ だんなさまの……おせーし……凄い、元気……こんなのされたら、誰だって……あっ♡ あはぁあああ……♡」

 

 細いウエストを掴んでの孕ませ射精はオスの本懐を遂げるもので、女神をただの同じメスに貶め、自分のモノにしてしまうような征服感で胸が一杯になる。

 

 ああ、これと同じことを何度も繰り返せば、いつかは必ず孕ませることができるような気がする……

 

「ふわ、あ、あぁあ……はげし、すぎ……です……♡」

 

 柔らかくなったペニスが抜けると、腰が砕けたエリスはその場にへたり込み、乱れた銀髪を整えながら僕を見上げてきた。

 

「あなた……あぁ……ちょっと困りますよ、まだ日も高いうちからこんな積極的に……♡」

「……汚れちゃったね……お風呂に入ろうか、もちろん一緒に。僕が背中を流すよ」

「は、はい、ありがとうございます、あなた……あ、きゃあんっ♡」

 

 エリスの腋の下と膝の裏に両腕を入れると、さっと抱える。

 

 いわゆるお姫様抱っこというやつだ。エリスは顔を赤くしながらも僕にしがみつく。

 

「あの、これって……お風呂場でも期待して、いいんですよ、ね?」

 

 お互いに息を荒くしながら、浴室へと急いで行った。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ちゃぽんと大きな水滴が一つ、湯船の中に落ちた。

 

 元々はかなり広めな、その気になれば十人ぐらいは入れそうな風呂場は結構な大きさで、浴槽もかなりの余裕があるのだが……

 

 わざわざ、僕の上にエリスが乗っていた。

 

「んふ、ちゅ……んぅ……んちゅ……ふ、はぁ……ああ、あなたぁ……んぅ……♡」

 

 お互いにたっぷりと洗いっこをしてから、湯船の中で繋がっているからだ。

 

 濡れた銀髪は浴室に差し込む光にきらめいて、濡れた瞳は僕だけを映していた。その両手で僕の頬を優しく挟んで、柔らかい桃色の唇を何度も顔に押しつけてくる。

 

 女神のキスの雨は、まるで悦楽のスコールのようで、腰の奧が何度も熱くなるのを感じた。

 

「ん、すき、すきです……んっんんっ……はふっ♡ あなた、だんなさまぁ……♡」

 

 お湯の中での対面座位は浮力がついてふわふわと浮いてしまう。エリスの腰を押さえ込むように抱き寄せてしっかりと固定する。

 

 台所でしていたのとは違い、ゆっくりゆるゆると、ペニスの硬さを維持する程度の抽送を繰り返す。

 

 それでもエリスは物足りないのか、無意識に腰をゆっくりと前後させてくる。

 

「んちゅ……ちゅっ……はぁあ……♡ お湯が汚れちゃいますから……んっ♡ ちゃんと中に出して下さいね……はぅう♡ 旦那様は分かってると思いますケド……あっ……ああっ♡」

 

 エリスのままで甘えてくるその姿は、あまりにも凄艶すぎて暴発してしまいそうになる。

 

 だけども我慢できたのは、こうやってエリスともっと深く繋がっていたい気持ちが強かったからだ。

 

「はぁあ……旦那様……んっ……すきぃ……♡」

 

 ぎゅっと抱きしめると、柔らかい双房がふにゃりとお互いの間で潰れて気持ちいい。固くなった乳首がいっぱい摘まんで欲しいと自己主張してくる。

 

 甘えるように身体を擦りつけてくるエリスを愛おしく思いながら、エリスに囁いた。

 

「ねえ、たしかに僕も子供が欲しいけどさ、本当にほしいけどさ……そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?」

「えっ? でも、でも私はっ、あなたともっと……ん、幸せになりたくてぇ……もっと、繋がりが……絆が欲しくて……!」

 

 知ってる、分かってる、という気持ちを伝えるように頬をすり寄せる。

 

「僕はもっと、エリスと二人きりでいたいよ……」

「あっ……ん、もう、そんなこと言いながら、あ、ああっ……♡」

 

 奥深くまで繋がったペニスを軽く揺する。降りてきた子宮が「精子が欲しいんです♡」、と甘えてくるので、子宮口に切っ先を押しつけてやる。

 

「あっ……ああっ……それ、すき、すきです……あぁあっ♡」

 

 何度目かの軽イキで、反射的に抱きしめてくるエリス。腰の奧から我慢汁がトロトロと溢れっぱなしになるのを感じながら、落ち着けるように口付けをかわした。

 

 あまりにも気持ち良すぎて、身体中が蕩けてしまいそうだ。

 

 お湯の中に身体の全てを投げ出して、ゆったりとたゆたう。まるで水の女神の……いや、これは違うな……お互いの心も身体も全てバラバラになって、ぐちゃぐちゃのまぜこぜになったようなただの液体になって混ざり合い……ずっとこのままでいたい……

 

「ねえ、どうして今日はあんなに……辛そうな顔をしてたんです?」

 

 ふいに、そんなことを聞かれた。エリスの銀色の前髪からぽたりと雫が落ちる。

 

 慈悲深い女神の瞳をのぞき込むと、まるで催眠術か何かに掛かってしまったみたいで、思わず何もかも話してしまいそうになる。

 

 でも僕は、それを正直に答えるにはあまりにも恥ずかしかった、サトウ・カズマへの嫉妬だなんて。だから僕はエリスの口を塞ぐことしかできなかった。

 

「あっ……んちゅ……ちゅ……れろ……くちゅっちゅぷっ」

「ああ、エリス……ん、んちゅっ……ああ、絶対に離さないよ……っ!」

「はいっ、私も離れたりしませんっ! ああ、あなた、あなたぁ……♡」

 

 ふわふわと浮かびそうな湯船の中で、僕はそれから何度も何度もエリスの中に精を吐き出し、エリスはその全てを受け止めてくれた。

 

 

 

 その翌年、エリスは珠のような赤子を産んでくれた。

 

 ああ、忙しい日々が続いたとも、アクアのこともサトウ・カズマのことも、思い出すことなど一瞬たりともなかった。それほど目まぐるしい日々だった。

 

 気がつけばアクセルの街の冒険者ギルドのギルド長に収まり、愛する妻と子供と共に毎日を過ごすという人生で最も幸福な時期に入った。

 

 しかし……それも娘が十歳になったときに、病に倒れるまでのことだった。

 




残り2話で完結となります。


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第14話

「ぱーぱ、ぱーぱ」

「おう、おおお……クリス、来てくれ! セリカがパパって喋った!」

「はいはいあなた、ようやく喋ってくれましたね」

「ぱーぱ! まま! くりすまま! まま!」

「はいはい、クリスママですよ~」

 

 クリス(子供ができたときにクリスで通すことを決めた)は、ベビーベッドに近づくとようやく首の据わり始めたセリカを抱き上げた。

 

 シャツから大きく張った乳房を出して、僕……私達の娘セリカに、乳首を噛ませる。

 

「まんま、くりすまんま……んぷ、んぷ……」

 

 ああ、まるで聖母像のような神々しさだ……今度、カメラを買ってこよう。

 

 

 

 掴まり立ちをしていたセリカが、ママを見つけてとてとて(・・・・)と歩いて行く。

 

「ままー! キャハハッ! ままーっ!」

「歩いた! セリカが歩いたぞ!」

「もう! パパったら、カメラばっかり撮っちゃって……ほら、セリカ、パパの方にも歩いて行きなさい」

「あはっ! パパッ! パパーッ!」

 

 両手を大きく広げてセリカを受け止める。抱きしめながら立ち上がり、その柔らかい頬に何度もキスをする。なんて幸せなんだろうか!

 

 

 

 大きい風呂場は、家族全員で入ってもまだまだ広い……いっそのことクリスに頑張ってもらって家族を増やしてしまおうか、そんな考えも浮かんでしまう。

 

「ねえパパ! わたしね、おっきくなったらパパとけっこんする!」

「まあ! パパはクリスのパパなのに、セリカも結婚したいの?」

「そうだよ! クリスママと一緒にパパのママになるの!」

「いや、困ったなあ……この国って重婚OKだったっけ?」

「ダメですよ! あなたったらもう……い~い? パパはね、ママだけのものなんだから、セリカもちゃ~んと素敵なお婿さんを探さないとダメなのよ?」

「えー……でも、まおうをやっつけられるような男の子って、どこにいるのかなぁ?」

 

 湯気でいっぱいの浴室に、家族の笑い声が響く。

 

 

 

「ただいま、今帰ったよ」

「パパっ! おかえりっ!」

 

 赤いほっぺのセリカが私に抱きつき、何かお土産はないのかと纏わり付いてくる。

 

 セリカの長く伸びた黒髪は、私と同じ色でとても綺麗だった。勝ち気そうな大きなすみれ色の瞳、小さい鼻、唇は花の蕾みのよう。将来は美人になること間違いなしだろう、親の贔屓目を抜いてもだ。

 

「おかえりなさいませ旦那様、お嬢様は今日もお元気でしたよ」

 

 住み込みでお手伝いしてくれるおばさんのおかげで、家の中のことも楽になりつつある。

 

「あなた、お帰りなさい。夕飯はもうすぐ食べれますから、テーブルで待っていてくださいね」

「ああ、いつもありがとう、クリス」

「パパ! パパ! 御本読んで! はい!」

「おいおい、またそれなのかい」

「だって、パパに読んで欲しいんだもの!」

 

 テーブルに着くと、問答無用でセリカが膝の上に乗ってきたので、本を読み聞かせ始める。

 

『お調子者冒険者とかっこよくりっぱな女騎士』

 

 冒険者の少年が、口八丁手八丁で取ってきた依頼を女騎士が見事な手並みで捌いていくという物語である。

 

 その話自体は、児童向け小説としては何らおかしくはないのだが、この女騎士は何度も魔物に捕まって、やけにきわどいところまで責められるのが気になる。そのたびに少年が危機一髪のところで助けるというのはバランスが良いのか悪いのか。

 

 なんにせよドキドキハラハラしながら最後まで楽しめてしまうものだった。

 

『こうして財宝を見つけた少年と女騎士は末永く幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし』

 

 百年以上前からのベストセラー。国内の学校図書館には必ず一冊はあるそうだが、セリカも例に漏れず大ファンであった。これを読み聞かせるのは何度目だろうか。

 

「わあ! とっても面白かったねパパ、わたしもこんな女騎士になりたい!」

「はっはっは、王国の騎士団の入団試験でも受けてみるか? 推薦状の十枚や二十枚くらいは書いてやれるぞ」

「もう、あなたったら何いってるのよ、ご飯出来たわよ。セリカ! ちゃんと自分の席につきなさい」

「はーい、ママ! ごはん! ごはん! いただきまーす!」

「今日はセリカお嬢様の大好きなキャベツ入りのハンバーグですよ」

「やったー! 私、キャベツって大好き!」

 

 お手伝いさんがテーブルに配膳して、皆で食事を摂るのが我が家のルールだ。

 

「セリカ、ちゃんとみんなでいただきますってしなさい。ところであなた、今日のお仕事はどうでしたか?」

「ああ、万事問題無しさ、新人がちょっとケガしたくらいで……」

 

 私は、娘が生まれた頃からギルドで働きはじめており、今ではギルド長にまで昇進していた。依頼の処理や冒険者達の世話をみるので毎日忙しい。たまには休日をとって家族でゆっくりとしたいものである。

 

 それにしても、中堅冒険者にもなってこの街から拠点を変えないという連中は一体なにを考えているのだろうか? ここは、「駆け出し冒険者の街」だというのに。

 

 そのあたりの話を聞いてみると「そりゃあ元勇者様がこの街にいるからですよ」、と理由にもならぬ理由を話してくる。私は喜んで良いのかわからぬ渋い顔をしながら、別のギルドへの推薦状を書いてやった。

 

「けほっ! けほっ! えへへ、ママのお料理っていつも美味しいよね」

「もう、また喉を詰まらせたのセリカ。口元が汚れてるじゃない、仕方ないわねえ」

 

 娘の口元をナプキンで拭いてやるクリスの姿のなんと尊いことか。ああ、カメラを持ってくるのを忘れていた。

 

 

 

 そんな、あくる日のことだった。ギルド支部の予算決済をしているときに、その凶報は訪れた。

 

「ギルド長! 大変です!」

「どうした、魔物の群でも出て来たか?」

「違います! 娘さんが……セリカちゃんが……!」

 

 娘が、学校からの帰り道、血を吐いて倒れた。

 

 この街にある唯一の病院へと急ぐ。

 

 それこそ久し振りに足の裏に魔力を集めて飛ぶように……いや、実際に屋根を、空気を踏んで飛び、病室に駆け込んだ。

 

「あなた……セリカは意識を取り戻したのだけれど……」

「あ、パパ……」

 

 医師の処置と、教会の司祭様の治癒魔法によって一時は回復したものの、容体は良くなかった。セリカは青白い顔をして辛そうに息を吐いている。

 

「こほっこほっ……んうっ! ぶっごぼっごぼごぼっ」

「セリカっ!」

 

 水っぽい咳からの喀血に心臓が凍り付きそうになる。ああ、戦場でよく見た鮮やかな赤色は肺か気管からの出血。クリスがハンカチで血を拭って泣きそうな顔になる。

 

「セリカ、大丈夫だから。お医者様がきっとお前を元気にしてみせるから」

「うん……パパ、ママ、ありがと……」

 

 セリカの世話を看護師に任せ、クリスと共に瞼を押さえながら病室を出る。

 

 医師の見立てによると循環器系の多臓器不全。

 

 ああ、なんてこった、これは……自分の前世で死因(・・)となった病気だった。

 

 文字通り、目の前が真っ暗になる。

 

 医療の発達した元の世界でさえ、僕は十三までしか生きられなかったというのに。

 

 ましてやこの世界では……神聖魔法は外傷を癒やして呪いを解くことはできても、病気を治すのは難しい。本人の治癒力自体が問題になるからだ。病死してから復活(リザレクション)も、たとえ蘇ったとしても病気自体が治るわけではない。

 

「あなた……あの子が、こんなのって……ああっ……私達の、初めての娘なのに……っ」

「クリス……ううぅっ……」

 

 ひとしきり泣いた後、私達はセリカの前では絶対に涙を見せないことを誓い合った。

 

 

 

 エリクサー症候群というわけではないが、魔王を倒すときに使いそびれて何本かストックしていたその霊薬をセリカに飲ませもした。

 

 一週間ほどは楽になるのだが、すぐに症状が元に戻ってしまう。

 

「もう、パパもママも私に構い過ぎ……けほっ、パパはギルド長なんだからお仕事ちゃんとしてよね、ママもお手伝いさんにあんまり無茶なこと言わないで……それから……けほっけほっ」

 

 娘の言葉はどこかで聞いたような……そうだ、これは……

 

『父さんも母さんも、僕に会いに来すぎだよ、こふっ。看護師さんがちゃんと看てくれてるから大丈夫だって。だからあんまり無理しないで……だって僕は……こふっこふっ』

 

 私が昔、両親に向かって言った言葉だった。

 

 なんということだ、こうやって看病することで今更両親のことを思い出すだなんて。私が死ぬ寸前まで、父も母も絶対に絶対に最後まで諦めなかったということを心の底から理解してしまった。

 

 私は、父親として、エリス(・・・)に助力を乞うべきだったのだろうか、彼女はそうする――女神の力を使う――素振りを欠片ほども見せなかった。

 

 粛々と娘の世話をする母親の姿は、ただただ尊いものだった。

 

 あまねく全ての人々に与えられるべき女神の力を、自分の娘だからという理由でただ一人に行使することは無いと……その姿から察してしまった。

 

「ぐっ……ううっ……セリカ、エリス……っ!」

 

 洗面所に入り、泣きそうな顔になりながら左手の薬指にある結婚指輪を撫でる。私がクリスと結婚した頃から、もう十年以上はつけている指輪を。

 

 そういえば……我が家の夫婦の寝室での珍事を思い出してしまった。

 

 水色の長髪を持つ女神……あのアクアにほんの一時とはいえ、指輪を奪われたことを。

 

 彼女のことなどすっかり忘却の彼方にあったというのに、今、この時になって思い出してしまった。

 

「なんで、いまさら、あいつのことを……っ!」

 

 私の娘を救える可能性のある力を持つ女神だということに気がついてしまった。

 

 だから、エリクサーが残り数本になったときに、最後の手段として彼女(アクア)に頼ることにしてしまったのだ。

 

 クリスには、「薬を探してくる」と言い、ギルドに休暇届を出し、お手伝いさんにも暫く家を空けることを言付けると、街のテレポート屋に急ぐ。

 

「毎度ありー! いやあ、ギルド長さんは払いっぷりがいいねえ」

「ああ、ちょっと急ぎの用があってな」

「でも、アルカンレティアにですか? たしかに強力な聖水は手に入りますけど……あ、いや、失礼、それじゃテレポートいきますよ!」

 

 こうして、おおよそ十年ぶりにアルカンレティアへやってきた。

 

 昔と変わらぬ、青色を基調にした聖水と温泉の宗教都市。水路にはなみなみと聖水が流れていて、あの時に行った私とアクアの儀式の効果はまだずっと続いていた。

 

 あの時、アクアと二人きり歩いたのは異常な状況で……いや、思い出すのはやめよう。

 

 記憶を追い出すように頭を振り、アクシズ教会へと足を向ける。

 

 エリス教徒のアミュレットは家に置いてきた。もしそんなものを持って教会に入ればどんなことをされるかわからない、なによりもアクアが私の祈りを聞き入れてくれるかどうかも分からないだろう。

 

 教会の司祭に「アクア様への祈りを捧げたいので場所を貸して欲しい」と言うと快諾してくれた、場所代として茣蓙(ござ)むしろ代と玉串料とエリス教徒特別料金(なぜバレていた?)を幾らか取られたが安いモノだ。ワラをも掴む思いならぬ、アクアに縋り付く思いで、膝を付いて祈りはじめる。

 

 思い返してみれば、この頃から間違いなく頭がおかしくなっていたのだろう。こんなことをするぐらいならセリカの看病を最後の最後までするべきだったのだ。

 

 最初は「三日で帰ろう」と思っていたはずなのに、「何かの掲示を受け取るまで帰れない」となり、最後には「どんな代償でも支払う、私にできることならなんでもする、だから娘を助けてくれ」、となるまでに至った。

 

 とにかく代金を払って祈りを朝から晩まで捧げて、安宿に帰って眠る。

 

 そんな生活がもうすぐ一ヶ月にもなろうとした頃だろうか、連日の祈祷で疲れに疲れ切った私はベッドに倒れ込み、風呂にも入れずに眠りこけていた晩のことだった。

 

 コンコン……コンコン……

 

(こんな時間に誰だ……?)

 

 ノックの音で反射的に目が覚め、両手へと魔力が集まる。現役を引退したとはいえ、夜襲をかけられた時の反射神経までは鈍っていなかった。瞬時に戦闘態勢に移行する。

 

 いや、そもそも夜討ちをするならノックなんてしてこないだろう……?

 

 アクシズ教徒の嫌がらせかと思ったが、金を払ってる間は私をそれなりに扱ってくれるだろう。すると他の選択肢としてはクリスが私を探しにやってきたという可能性……一ヶ月近くも家を空けたのだ、帰るのには丁度いい頃合いかもしれない……

 

 だがやはり、最悪の可能性も考えて手刀を構えながらドアを開けると、思いがけぬ……いや、心の底から求めていた人物がいた。

 

 輝くような大きな蒼い瞳、綺麗に通った鼻筋、頬から小さい顎にかけてのラインはまるで神業を持つ彫刻家が大理石から削りだしたかのよう。美しい水の流れのような髪の毛は腰まであるロングヘア。

 

「こんばんは、元気してたぁ? うえぇっ、久し振りに会ったからってそんな変ポーズとっちゃってぇ……何かっこつけてんの?」

 

 そこにいたのは、あの頃と変わらぬ姿の水の女神アクアだった。

 

 




次回が最終回となります。


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第15話

それでは最終回です。よろしくお願いします。



「こんなところで立ち話もなんだし、部屋に入らせてもらうわよ」

 

 変なポーズを取ったまま固まる私の前をアクアはすたすたと横切り、勝手に部屋に入り込んで、シングルベッドを椅子代わりにする。

 

「アクア、なんで……」

「なんで私がここに来たかって? あんたが必死になって呼んでたからでしょーが、まさか忘れたとは言わさないわよ。ほんとに四六時中ぴーぴー五月蠅くて下界降臨許可申請とってる間にもギャンギャン泣きわめいちゃってさぁ、死ぬほどイライラしちゃった私が書類の書き損じを何回したと思ってるのよ。あと、私だってこう見えても天界では忙しいんですからね。いやそりゃまあウチの可愛いアクシズ教の信者達の声はよーく聞こえてましたけどその中でもアンタのは特に……」

 

 ああ、本当にアクアだ。

 

 とことん身勝手ワガママで一方的にまくし立ててくるこの感じは、昔と本当に変わらない。

 

 思わず突っ込みを入れたくなったが、先に本題を切り出した。恥も外聞もなくただ、「アクアの力で私の娘を助けて欲しい」と。

 

 アクアは足を組んでブラブラとさせながら私を見上げ、ふっと薄く笑う。

 

「アンタの娘を助けるためならなんでもするっていうのなら……そうねえ、私を世界で一番の幸せ者にしてよ……って冗談よ冗談、そんな女神でも射殺せそうな目で睨まないでよ、アンタにはそんなの似合わないわよ、あわわ、やめてよちょっとやめてよ両手に本気魔力集めちゃうの、それホントにまずいんだって!」

「お前のつまらない冗談に付き合う気なんか一ミリもないんだぞ」

「なによもう、久し振りの再会なのにもう少し喜ぼうって気はないだけ?」

「そんなものあるわけないだろう、私が求めるのは娘の病気を治す方法だけだ」

「セリカちゃんだったかしら、ちょっと天界で資料見せて貰ったけど大分重い病気みたい……でも、私だけが作れる女神の雫という薬を飲ませれば、一発で治るわよ」

 

 一瞬、我が目と耳を疑った、この女神が本当に神様に見えたからだ。

 

「おおお! 頼む! 頼むアクア! それを譲ってくれっ! そのためならば私はどんなことだって……っ!」

「え、命と交換で願いを叶えろとか私をなんだと思ってるの……ひょっとして、悪魔か何かと勘違いしてない? うわ、さぶイボでちゃうからやめてよね、そーゆーの。あと土下座もいらないわよ、みっともない。いくら私が慈愛と知性に溢れた水の女神だからって平伏はさすがに照れちゃうわよぉ」

 

 その台詞にも色々と突っ込みたいところがあるが、概ねホッとして顔をあげる。

 

「じゃあ、私に一体なにをしろと……」

「あのねえ、そもそもあんなにも私のことを真摯に求めてきてくれた可愛い子に対してさ……何かを要求するわけないじゃない」

 

 少し思案顔をしたアクアは、「だけども」と前置きをする。

 

「私が望むのはほんのささやかなお願いごとよ。あなたが死んだ時にはね、その魂がエリスの元に行くんじゃなくて、私の元に来るようにしてちょうだい。それだけでいいの」

 

 なんだそんなことか。

 

 娘のためなら、死後の後払いのことなどなんでもないことだ。一も二も無く頷く。

 

「あ、OK? よかったぁ~……それじゃ、ちゃんとした魂の契約と一緒に女神の雫の作成を開始しましょうか」

「え、今から作るって……そんな! 娘に残された時間なんてあと僅かなんだぞ!」

「大丈夫よ、一晩ぐらいで終わるから……ね」

 

 淫猥な笑顔を、アクアは一瞬だけ見せた。ぞくりとイヤなものが背筋に走る、「引き返すならいまのうちだぞ」と。舌なめずりしたアクアが、すると手を差し伸ばしてきた時には、その嫌な予感がピークに達した。

 

「それじゃあ、左手を出してちょうだい……うん、結婚指輪はしたままでいいわよ、これが丁度いいの」

 

 あっと言う間もなく、アクアの細くて冷たい指が手首を掴んで引き寄せると、薬指を飲み込んだ。

 

 暖かい口内、熱い舌が指に絡みついてくる。硬い前歯が指を甘噛みしながらこそぎとっていく感覚が、たまらなくこそばゆい。

 

「お、お前、いったいなにを……っ!」

「んぷは……だからまずは契約よ、あなたがいつも肌身離さず付けていた結婚指輪に、こうやって私の力を注ぎ込んであげるの……あーん、む、ちゅ……んちゅっ……ちゅぱっ♡」

 

 まるで薬指を食べられているみたいだった。女神の舌が、爪の先から指の間まで丹念に味わっていき……蕩けるように熱くなった舌が指輪に絡みついていく。

 

「うわ、あ、ああ……ふぅっ……ふぅっ、や、やめ……ああっ!」

「んじゅるっ……ちゅぷっ♡ れろぉ……♡」

 

 こんなところで感じてはいけないのに、熱心な指おしゃぶり……指フェラに神経が昂ぶっていくのが分かる。指先から痺れるような快感が流し込まれて、腰が砕けそうになる。

 

「ぷはぁ……あのね、この指輪はなんでかしらないけど私の神気がたっぷりついちゃったみたいでね……あむぅ……んふ、あなたの祈りの言葉もよく聞こえたぐらいで……あはは、だからこれを起点にして魂に書き込むの”死後の魂は女神アクアの元に召される”ってね……んちゅぅ……れろれろぉ……んふっ♡」

 

 たしかにこの指輪はオリハルコンが練り込まれたものだった。なるほど、素材としては申し分ないだろう。私とエリスとの誓いの指輪でなければ、最高の素材だったかもしれない。

 

「あつぅっ……くっ……うううっ!」

 

 やがて指輪が熱くなる、焼け付きそうなほどの熱さ。それなのにアクアはうっとりとした顔をしながら咥えてしゃぶるのをやめなかった。歯を指輪に当ててカチカチと鳴らしながら何度も噛みしめる。

 

 指輪が最も熱くなるのと同時に、胸の奥にある何かに――魂と呼べるようなものに――刻まれていく。それは、自分の死後に行使されるという契約だというのがすぐに分かった。

 

『人族の勇者(以下「甲」という)と女神アクア(以下「乙」という)とは、次のとおり魂委託契約を締結する。死後、甲の魂の行方は速やかに乙の元に送り届けられる。甲の魂の行方は乙よって決定される、甲の魂は乙によって傷つけることも消失させられることも禁ずる……』

『その契約内容でいいっていうのならイエスって答えて頂戴、それで契約は成立、なにか疑問点があったらちゃんと言ってね』

 

 頭の中に契約書の文面イメージとアクアの声が響いた。

 

 私は契約書を確認する。簡単に言えば、死後の魂の行方の全てをアクアに任せ、魂を傷つけるようなあらゆる一切の行為を禁止していた。

 

『で、魂の行方っていうのは、具体的にはどこになるんだ?』

『それは死んでからのお楽しみよ、悪いようにはしないわ』

 

 フン、アクアの管理するどこかの世界で新しく勇者か救世主にでもなれということだろうか、確かにそれも悪くはない。どちらにせよ……

 

『かまわないさ、はい、イエス、ダー、契約を結ぼう』

 

 ジュッと何かが焼き付くような音と同時に、契約書には私の名前が刻まれる。

 

 そして、思考は現実の世界に戻った。

 

「んちゅぅ……ぷふぁ……はぁあ……ぁあん……♡」

 

 唾液に濡れた指輪は月光に照らされて妖しい輝きを放ち……アクアとのエンゲージリングに生まれ変わってしまったのが分かる。もう以前のようなエリスの結婚指輪には感じえない。

 

「んふふ、アンタの指の味を全部味わっちゃったぁ♡ ま、このぐらいでいいかな……それじゃ本番といきますかー」

 

 アクアは、服を脱いでいく。

 

 青い女神のワンピースをするりと脱ぎ落とし、ブーツを蹴飛ばすように部屋の隅に転がして、あっという間に全裸になると誘うように身体をくねらせた。

 

「んふふ……ふぅーっ♡ ほら、何してるの、私だってこんな格好するのは恥ずかしいんだから、さっさとアンタも脱ぎなさいよ、まったくこんなムードの無いところで……」

 

 いや、なんで脱ぐのか意味が分からないのだが。

 

「なぁに言ってるのよ、どんな病も完治させちゃう女神の雫を作るにはね、私とあんたとの協力が必要なのよ……もうわかるでしょ? 前に聖水を作るのと同じ要領で、勇者様の力が必要だってこと……♡」

 

 アクアの細まった目に見つめられてしまうと……あの時の、十年も前の淫虐がフラッシュバックする。

 

 勝手に下半身が、腰の奧が熱くなるのを感じる。段々と息が荒くなり、ペニスが硬くなっていくのが分かる。

 

『パパ』

『あなた』

 

 一瞬だけクリスとセリカの顔を思い出した。

 

 そうだ、これは家族のため、セリカのためなんだ。

 

 今夜のこの時だけは、心を殺してただのオスになると、そう決めた。

 

 汗で湿ったシャツを脱ぎ捨てると、アクアがごくりと喉を鳴らす音が聞こえた。

 

「うっひゃぁ~、アンタさ、あの頃よりも背が高くなったみたいだけどさー、少し太ってない?」

「ほっとけ! それは気にしてるんだから!」

「んもう、ちゃんと運動しなさいよ、あんたもお腹に脂肪ついちゃうタイプなんだから、あははっ!」

 

 ああ、ムードもへったくれもない、この女神は本当に昔から変わらない……成長もしないんじゃないのか?

 

 アクアに見られながら服を全て脱いで部屋の隅に片す。彼女が近づいてくる気配がした。

 

「んっ……うふふ、あんたの身体、熱くて良いわね……このままあっためてちょうだいよ……」

 

 アクアは私にしっかりと抱きつき、頬ずりをしてきた。少し冷えた身体、柔らかな胸が押しつけられ、下腹部をぴったりと貼り付かせる。鼻腔に女の……メスの匂いを敏感に感じてしまう。

 

 さらに細い指が股間に伸びてきて、確かめるように絡みつく。

 

「特にここ、こんなに熱くなっちゃってさぁ……やっぱりアンタって私のことが大好きなんじゃないの?」

「それは絶対にない、そもそもこれは……そういうのじゃない」

 

 ああ、そうだとも、看病のせいで無沙汰にしてしまったからだ。だから、この程度のことでペニスがあっさりと硬くなってしまったんだ。

 

「ふぅん……まあ、私の身体をもっと感じてちょうだい、いっぱい気持ち良くしてあげるからぁ……うふふ、ん、ふう、んちゅっ……ちゅっ……れろ……れろぉ……んちゅっ♡」

 

 軽く頬にキスをされて、アクアの顔は少しずつ下へと降りていった。身体を撫でさすりながら、乳首を舐めて、お腹、ヘソ、下腹部へと降りていき、そそり立っているペニスの先端にキスをしてきた。ぞくりと腰が跳ねる、頭の中が熱くなって……これは、まずい……

 

「こーら、何逃げようとしてんのよ。一刻も早く私の薬が欲しいんでしょう? だから、このままヤっちゃうわよ……私も十年ぶりのアンタをもっと味わいたいし……ね♡」

「お、お前……く、ううっ!」

 

 アクアは跪いて腰に抱きついてくる、絶対に逃げられないように抑えられると、ぬぽんと音がした。

 

 うめき声が漏れる。一気に喉奧までペニスが埋まる。あの熱い舌が、さきほどまで指を舐めしゃぶっていた舌が、今度はペニスに絡みついてきた。

 

 指に与えられる以上の快楽を、蕩けるような快楽を、アクアは容赦無く与えてきた。ペニスが蕩けて口腔内に広がっていくような錯覚。先走り汁が際限無く溢れていくような感覚に、いつの間にか声が漏れ出ていた。

 

「あっああ……く、ふぅーっ! ふぅーっ! アクア! うっくぅーっ!」

「んじゅるぅっ♡ んっんふっ……ちゅぱっじゅるっ……じゅるるるぅっ♡ んちゅっぱぁ……分かってるでしょうけど、まだ射精したらダメだからね、そしたら薬なんて出来ないんだから♡ んー……ちゅっちゅっ……ちゅぱっ……んちゅぱぁっ♡」

「くそっ……くそっ……! はぁっはぁっ……ぐぅうっ!」

「んふっ……ふぅっ♡ んぐふっ! ふぅーっ! んっんっんぶぅうっ♡」

 

 まるで喉が限界まで乾いた旅人が、水筒の中身を全部飲み干すような勢いでむしゃぶりついている。

 

 あまりの激しさにアクアの頭を抑えるが、唇で何度も締め付けながら舌で舐め回してくる動きは収まらない。ペニスは与えられる快感に素直に反応して、先走り汁をご馳走していく。

 

「んっ……んふっ……んちゅぅ……ちゅっちゅぷぅっ♡」

 

 喉を鳴らしながら先走りを飲み干し、上目遣いの瞳が「まだこんなものなの?」、と挑発しているかのように光る。

 

 だから、その挑発に乗ってやることにした。

 

「クソッ! この淫乱女神めっ! そんなに欲しいのかよっ! ふざけやがって!」

「あぶっ! んぐっ! ぐぼっ! おっおぐっ! んぶっ……んぶううっ!」

 

 頭を掴んでのイラマチオ。

 

 髪飾りで束ねられている綺麗な青髪も掴み、何度も頭を無理矢理前後させた。アクアを物扱いする行為に興奮し、本気で腰を打ち付けてやる。恥骨にアクアの鼻っ柱をぶつけてひしゃげさせるのは、暗い嗜虐心を満足させるのに十分なものだった。

 

「ごぶっ! うっ! んぐぶっ! ふぅーっふぅーっ……んっぐぶぅうっ!」

「ほら! こういうのがいいんだろうが! 泣け! もっと泣けよっ! こいつっ!」

 

 ごつんごつんと音がするほどぶつけてやった。それでもアクアはペニスから口を離すことは無かった。それどころか唇や舌を使って少しでも快楽を与えようとしてくる振る舞いに、すごぶる腹が立ってきた。

 

「こっちはっ! 娘のために真剣だってのにっ! お前はっ! お前ってやつはっ!」

「ぐぶっ! うぐぶっ! んぐっぐっ! ぅぐぅーっ!」

 

 部屋中に、アクアの鼻がひしゃげる打擲音と荒々しい呼吸音が響く。美しい女神の顔を犯して滅茶苦茶にするのはたまらなく気持ちいい……このままケダモノのように喉奧に射精してやりたいところだが射精を我慢できるギリギリのところで引き抜いてやった。

 

「んぶはぁ……けほっけほけほっ……アンタってこんなに鬼畜だったかしら?」

 

 アクアは咽せながら恨みがましい目で見上げてくる。まったく、お前の方からむしゃぶりついてきたくせに。

 

「挑発するからいけないんだろうが……髪の毛借りるぞ」

「きゃっ! やだもう、なにすんのよ! 髪の毛引っ張んないでよっ! あっああ……髪の毛でそんな……ああ、汚い……じゃない……ん、あくぅ、オチンポの匂いがとれなくなっちゃう……♡」

 

 嫌がらせのつもりで、アクアの唾液でどろどろになったペニスを、その長髪で拭う。何度もごしごしと徹底的に。後から後から溢れる先走り汁も擦りつけてやる。

 

「んっ……ふふふ、本当に最低……♡」

 

 そんなことをされてもなぜか、アクアは嬉しそうに笑いながら立ち上がる。

 

「はぁはぁ……ん、よく射精するの我慢できたわね♡ 褒めてあげるわ、ほら、アンタのオチンポをしゃぶって……いっぱい虐められてたら……こんなになっちゃった♡」

 

 再び手を掴まれてアクアの秘裂に誘導されると、そこはすでにしどど(・・・)に濡れていていた。内股がべったりとなるくらいにまで愛液が溢れていた。

 

「ホントにやだもう……口を犯すだけでここまで濡れ濡れにしちゃうとか、アンタのオチンポ強すぎ……♡ ほら、もっとほぐしてよ、アンタの指でずぽずぽしてよ♡ あっ♡」

「本当にこれも薬を作るのに必要なことなんだろうな、オイッ!」

「そう、そうよっ……だってちゃんとセックスしないとできない(・・・・)ものなんだから……ああっ! あはぁーっ♡ あ、あ、これ、好き……好きなの……もっとぉ♡ アンタの太い指挿れて、くちゅくちゅぐちゅぐちゅ音がするぐらいかき回して……っ!」

 

 まだ、胸のムカつきが収まらない。指を二本挿し入れて、蜜壺の中をかき回す。すでにぐちょぐちょに濡れそぼっていたそこは柔らかく、激しい指の動きを易々と受け入れている。

 

「あっんっ♡ もっとしてっ♡ もっといじめてよぉ♡ 私のオマンコっ、アンタの指でえぐられるだけでイっちゃうぐらい調教してよぉーっ♡」

 

 アクアはあえぎ声をあげながら首にしがみつき、もっと深く挿いるようにと片足を上げて絡みつかせてきた。

 

 秘裂の入り口を指で大きく開いて前後させると、「くぽっ♡ くぽっ♡」と空気の抜けるような音がして興奮を煽ってくる。天然の煽り屋め。

 

「あっ! やだっやだぁっ♡ こんなエッチで恥ずかしい音、聞かないでぇっ♡ あっあっ♡ くっくっうぅーっ♡」

 

 ろくに掃除もされていない安宿の汚い床にアクアの愛液が飛び散り、発情しきったメスの匂いが狭い部屋に満たされていく。

 

「はぁーっ♡ はぁーっ♡ はぁーっ♡ さすがに十年も経つと、アンタもエッチが上手くなるのね……うん、やっぱり……こういうのも悪くないわ……ね、キスしてよ」

「やめろバカ、ここからが本番なんだろう?」

 

 目を瞑って、唇を合わせようとしてくるアクアをベッドに突き飛ばす。

 

「ちぇっ……少しぐらいいいじゃないの」

 

 舌打ちした彼女は、ベッドのスプリングを軋ませながら倒れ込む。こちらに向くと、ゆっくりとその両足を開いていった。

 

 月明かりでも十分にそれ(・・)は見て取れた。

 

 すでに大陰唇が左右に大きく割れて、ピンク色の小陰唇がはみ出している。クリトリスは包皮から飛び出すほど大きく硬くなり、淫裂は何かを求めるかのようにヒクヒクと痙攣を繰り返していた。

 

「えっと、それじゃあ……勇者様の成長してご立派になったおちんちんを……くすくす、この淫乱女神のいやらしーおまんこに……挿入して♡ 犯して♡ ずぼずぼして♡ いっぱいいっぱい中出ししてください♡ 私がね、良いって言うまで、抜いちゃったら駄目なんだからね?」

 

 どこまで本当か分からぬその言葉だが、今はそれに従うしかない。

 

「お前は本当にどこまで……人をバカにしてっ!」

 

 アクアに覆い被さり、顔の横に拳を打ち込む。マットレスはドンッと大きな音がしたが、アクアの瞳は私をじっと見つめていて――まるで心の底から喜んでいるかのような表情で――思わず舌打ちをする。

 

「……これが欲しかったんだろっ! 少しは黙って犯されてろよ! 淫乱女神っ!」

 

 限りなく硬くなった怒張をアクアの中にねじ込んでいった。

 

「あっ♡ あぁーっ♡ はぁああっ♡ やっと、やっと来たぁっ♡ 来てくれたのぉっ♡」

 

 挿入した途端に、背筋に電流が走った。ペニスを中に引き込んで、膣ヒダがねっとりと絡みつき貪欲に吸い付いてくる。極めつけには淫裂が根元をぎゅうぅっと締め付けて二度と離そうとしない。

 

 アクアの両手も首の後ろに回されて、必死になって抱きついてきた。まさに全身を使った愛情たっぷりラブラブ抱擁をキメてきた。

 

 そのまましばらく動けずにいた私に、アクアは耳元で甘く囁く。

 

「ねえ、面白いこと教えてあげる……私ってね……前にアンタに抱かれてから……ずーっとセックスしてなかったんだよ、アンタのために、んっ♡ 操を立ててたってわけ、あんっ♡ あ、あ、あ、元気出て来た……ホントに現金なオチンポよねえ、アンタのって……あぁっ♡」

 

 ふざけるな、アクアが私以外の誰とセックスしようと知ったことじゃない、本当に勝手なことを言いやがってっ!

 

 ずるずると引き抜くと、思い切り前に突き出して奧まで怒張をぶつけてやる。

 

「はぁんっ♡ あんたってさ、そういう風に無言で怒ってるところ、めちゃくちゃ可愛くて……あっ♡ 大好きよ♡ あんっ! そうやってムキになって動いてきて私を悦ばせてくれるんだものっ! はぁっはぁっはぁっ♡ んっくぅうーっ♡」

 

 誰が! お前を! 悦ばせたり! するものかっ!

 

 そうやって何度も抽送を繰り返していくと、アクアの声は段々と高くなり、背筋を反り返らせて、喉元を晒しながらアクアは絶頂した。きゅうきゅうと締め付けて男の精を求めてくる。

 

「くふぅーっ! フゥーッ! フゥーッ! まだだぞ、まだ射精なんかしてやるものかっ!」

 

 アクアの、仰向けになっても崩れぬ大きな乳房を掴む、「あつっ♡」とあえぎ声をあげられてはイライラが抑えきれない。

 

「あぐっ! うあっあぁっ! 痛いっ……けど、嬉しいわ、アンタがこんなにも……おっ♡ 私を求めてきているって証拠だからぁあっ♡ あっあぐっんっ♡ はふっ……ふぅーっふぅーっんくぅーっ♡ あっあっああぁーっ♡ すごいっ♡ 本気で怒ってるっ♡ イライラチンポで突かれてるっ♡ でもいいのっ♡ これがいいのっ♡ もっとっ♡ もっと私を犯しなさいよぉーっ♡」

 

 乳房を掴んだまま持ち上げて、激しく腰を振る。先程のイラマチオよりも激しく、アクアを犯す。指の隙間から柔らかい乳房がはみ出すほどに握りしめて、千切れんばかりに左右に振り回してもアクアはただただ嬌声をあげるだけだった。

 

 そんな、妻には絶対にできないような性行為をされてもよがり狂うアクアが、たまらなく腹立たしく、たまらなく愛おしかった。

 

 腰の奧が熱くなる、もう我慢する必要は無い、欲望を全て吐き出してやる。

 

「う、お、おおっ! アクアっ! 出るっ! 射精するぞっ! 中に出してやるっ! お前が欲しいのはこれなんだろう! 分かってるんだからなっ! おっおっおおおーっ!」

「そうっ! そうよっ! 私が欲しいのはあんたの……ああぁっ♡ ざーめんっ♡ せいしっ♡ こだねっ♡ 真っ白いのっ♡ 真っ白いの欲しいっ♡ 濃くってとろとろなのちょうだいっ♡ 子宮に注ぎ込んでぇっ♡ あっあっあっあぁーっ♡ いぐいぐいぐいぐいぐいぐぅーっ♡」

 

 一ヶ月以上溜った精液が、股ぐらから上がってくる。こんなクソ女に吐き出されるべきじゃないのに、もう止めることはできない。

 

 どぐっどぶっ! びゅぐるっびゅっびゅびゅびゅっ……びゅるぷぅぅるるぅっ!

 

 迸った瞬間に子宮口に吸い付かれた。精子を一匹も逃すまいと貪欲な子宮口が「ごきゅごきゅ♡」、と飲み下していくのが分かる。

 

「ぐおっ……おっおごっ……おおおぉーっ!」

 

 まるでケダモノのような声が口から溢れて……頭が真っ白になっていき……気がつけばアクアの胸に抱かれていた。子供をあやすように頭をぽんぽんとされて、耳まで赤くなるのを感じる。

 

 飛び起きて睨み付けた、ペニスはまだ硬い。

 

 腹立ち紛れにアクアを再度犯していく。

 

「くそっ! くそっ! くそったれっ!」

「きゃあんっ♡ あは、そうよ、もっと私を犯して……精液を注いで……お腹いっぱいにして……まだまだ全然足りないんだから……今までの分、十年分は注いでもらうんだから……ああぁっ!」

 

 ペニスは異様なほどに昂ぶっていた。すでにクリスのこともセリカのことも念頭になかった。

 

 ただ目の前の女神を、前から置かし、後ろから犯し、女の股を大きく開いて側位で深く深く貫き、動くのに疲れると上に乗せて、メスの尻を叩いて自分から振らせるようにした。

 

 こうして夜が明けて、太陽が中天を指すまで、ただひたすらにまぐわっていた。下半身がどろどろに蕩けて繋ぎ目も分からなくなるぐらいまで。

 

「あ、ああ……もう、いいわよ……こんなにお腹いっぱい……わたし、しあわせ……ああ、本当にしあわせよ……」

 

 そう言われてようやく、アクアの中から引き抜く。

 

 秘裂からは泡立ったお互いの体液溢れてベッドを汚し、唾液と汗まみれの身体がひたすらに気持ち悪かった。

 

「ほら見て……二つもデキちゃった……ぁ♡」

 

 アクアの下腹部に二つの光りが宿っているのが見えた。そのうちの一つがアクアの手によって誘導されて、外に出る。

 

 小さいが、強力なまばゆい光りに目を細める。

 

 アクアは両手を使い、占い師が水晶玉を撫でるかのような手つきで、その光を内側に折りたたむようにしていき……丸薬のような形に整えていった。

 

 手近にあった空き瓶にそれを入れると、アクアは疲れ切っているが、何かをやりとげたかのような慈愛に満ちた表情を見せた。

 

「はい、これがどんな病でも治してしまう女神の雫よ……良かったわね、早く娘さんに飲ませてあげなさい」

 

 ここでようやく私は、なんのためにアクアを抱いていたのかを思い出した。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 もうすぐ春だろうか、孫が開けてくれた窓から芳しい花の匂いがする。

 

「あ、お爺ちゃん、目ぇ覚めちゃった?」

「ん、ん、む……ふぅー……みなを、よんでくれ……」

 

 私は、もう今年で八十歳となっていた。

 

 こうして深い眠りから目が覚めるのも、あと何度できるだろうか、ああ、また眠くなってきた……

 

「あなた……あなた……」

 

 再び目が覚めたとき、私の手を握っていたのは、同じようにしわくちゃになるまで老いてくれた、愛する妻クリスだった。

 

「お父さん!」

「おじいちゃん!」

 

 周りにはセリカを長女とした三人の子供達と十人の孫、ベッドを囲む愛おしい家族の面々がいた。みんな、クリスの銀髪と私の黒髪を受け継いでいる。

 

 もうここまできたら、やり残したことも心配ごとも無くなっていた。

 

 クリスの手の上から被せるように握ってくるセリカの手も、暖かい。

 

 大病を患っていた娘は、あの薬のおかげで助かったのだ、それだけはアクアに感謝したい。

 

 それからも波乱万丈な人生が続き……それこそ大長編連載小説になりそうなほどの物語だった。

 

 だが、もうすぐ、私に最後のページが訪れる。

 

「ク……リ、ス……いまま、で……あ、あ、ありがとう……な」

「あなた……あなた……先に待ってて、ください、ね」

 

 クリスの笑顔が薄れていく、目の前が真っ暗になっていく、すぅーっと息を引き取っていくのが分かる。

 

 こうして三度目の生を、天寿を全うした。

 

 

 

 宇宙空間のような場所で、輝くような光の群が、ある一箇所に向かって飛んでいく。

 

 あの一つ一つが何者かの魂なのだと、三度目にしてようやく理解できた。

 

 光の群の中にいた私は、急にどこか別の方向に引っ張られたことで、大事なことを思い出した。

 

 そう、娘を助けるために結んだ魂の契約。その契約通り、私の魂はアクアの元へと召されるようだ。

 

 ()を開けると、あの最も力強く充実した十七歳の頃の姿になっていた。

 

 不思議なもので、こうして若返った姿になると自分が本当に死んでしまったという実感が湧いてくる。

 

「大丈夫かしら? それは一応仮の身体なんだけど……」

 

 女の声……ああ、これもよく覚えている声だ……

 

 ()の目の前にいる、女神アクアは優しそうな笑みを浮かべていた。

 

「ようこそ、天寿を全うした元勇者様、契約通りあなたの次の行き先を、私が決めてあげる」

「わかったよ、それでどんな世界に行けばいいんだ、また魔王が暴れてる世界か? 別に僕はどんな世界でもかまわないぞ、お前の不始末の尻拭いでもな」

 

 その言葉に、一瞬きょとんとした顔のアクアは、やがてケタケタと笑い出した。

 

「やだもう! 何言ってるのよ、そんな危険なこと私が許すわけないじゃない、こんなにもこんなにもこーんなにも! 百年以上も待ってようやく手に入れたあなたを、どこか別の場所にやるわけないじゃない!」

「それじゃあ、一体どこに……」

「決まってるでしょうそんなの……」

 

 アクアはうっとりとしながら、下腹を撫で上げた。女神の契約がどのように行使されるのが、魂で分かった。

 

「それじゃあ、お帰りなさい、カズマ(・・・)……あなたの魂の行方は、今ここに定まったわ」

「う、わ、あ……僕は……アクア……僕は……」

 

 指先がバラバラになる、手足の先から光の粒子になっていく。

 

 魂の身体がバラバラになり、アクアへと吸い込まれていく。千切れていく意識の最中、遠い昔に交わした契約を思い出す。『魂を傷つけも失われもしない』たしかにこれは……そのどちらでもない、むしろ……充足していくよな不思議な感覚で……

 

 失われていく意識の最中、暖かく光に満ちたアクアのそこに還元されるなら、なにも怖れることはないと悟る。

 

 意識が霧散する、アクアの子宮の中に吸い込まれて……あの時の儀式で作られた……もう一つあった光の玉の中へと――ああ、これは受精卵だったのか――そこに吸い込まれて……

 

「お帰りなさいカズマ……ごめんね、ごめんなさいね、やっとあなたに謝ることができたわ。あなたの魂をあんなにも傷つけてしまったのは私、だから、私が責任を持って産み直してあげるからね……そうしたら……ずっと……ずっと一緒にいられるんだから……」

 

 アクアのその呟きが()の最後の記憶となり、それもすぐに――

 

 

 

――

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――――――――――――――

 

「あ、エリスじゃない久し振りー、元気してたー?」

「ええ、お久しぶりですね先輩……あれ、ところでその子は? 天使の子でも紛れ込んできたんですか?」

「バカねえ違うわよ。この子はね、この世で一番大切な私の息子よ。ん? なに鳩が豆鉄砲くらったような顔をしてるのよ。ほら、アンタも恥ずかしがってないで、後ろから出て来てエリスに挨拶なさい」

「こ、こんにちは、エリス様。僕はアクアの息子の――」

 

 

 

『魔王退治のご褒美にエリス様を娶った僕がアクア様に身も心も奪われる話』――完

 

 



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