ステンドグラス (ポタージュスープレックス)
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原作22年前

初投稿です。エタらないように気をつけます。


「ピース」

 

 青年が呟く。周囲に張り巡らされていたガラスが全て破片になり飛び散った。

周囲の海兵達は血だるまになって倒れた。

 

「逃がしちゃならん!捕り逃がしたらどうなるかわかっちょろうな!」

 

 中将が叫ぶ。

 彼が追っているのは懸賞金 一億 ベリーの『掏摸烏(スリガラス)』スライド・グラス。

 

「スライド・グラス!貴様はガラスを作るだけ。儂は溶岩だけでなく、ガラスを含む火山灰をも放てるマグマ人間じゃ!貴様と儂は完全な上下関係におる!」

 

 中将は腕をマグマに変え、爆発させる。

「大噴火!」

 

 火山灰や溶岩、それが硬化して出来た岩がグラスの頭に降り注ぐ。

 

「耐熱ガラス」

 

 中将の周囲に耐熱ガラスが張り巡らされる。

 

「防弾ガラス」

 

 グラスの頭の上に黒く染まった防弾ガラスが何重にも張られる。『大噴火』で生み出されたそれらは全て黒いガラスで弾かれる。弾かれたものは放物線を描き、全て周囲の海兵に飛んでゆく。

 

「武装色」

 

中将の周りに配置された耐熱ガラスが、黒く染まる。

 

八咫烏(ヤタガラス)

 

 ガラスは割れる。

 割れたガラスは全て中将・サカズキへと襲いかかる。

 悲鳴を上げる間もなく、サカズキは地面に倒れ伏した。

 

否、悲鳴は上がった。サカズキではなく、周囲の海兵から。恐怖の象徴の一つとも言えるあのサカズキが圧倒的な力の差で呆気なくやられたのだ。無理もない。

 

 ガラスの破片のように鋭い目でグラスが睨むと、海兵達は震え上がり、サカズキを抱えて船へと戻った。

 

 

 ◆

 

 

 海軍が撤収したので、グラスは自分の船へと戻った。

船の中には女性が一人。

 

「貴方、一体何者なの?」

 

 彼女の名はオルビア。ニコ・ロビンの母親である考古学者だ。

 

「何ってなんだ。ただの海賊だが」

 

「ただの海賊がバスターコールを止められるわけないでしょ。古代兵器に匹敵する破壊力を持っているのよ?」

 

「なんだよ。別になんだっていいだろ」

 

「言いわけがないでしょう。何者なのよ」

 

「そもそも俺はバスターコールを止めたりなんてしてないぞ。現にオハラは半壊してるじゃないか。人もいっぱい死んだし、君の娘さんだって行方不明じゃないか」

 

「! そうよ!ロビン!ロビンはどこ!?貴方知ってる!?」

 

「だから行方不明って言っただろ!」

 

「……」

 

 

 グラスがたまたま立ち寄っていた島、オハラに海軍がバスターコールを行った。

 

 バスターコール、それは島1つを吹き飛ばす程の破壊能力を持つ海軍命令の1つである。

 中将5人が指揮を執り、軍艦10隻で総攻撃するという国家戦力に匹敵する破壊力。それが全てオハラに向けられたのだ。

 

 寝ていたグラスが起きたとき、辺りは火の海だった。

自らの能力でなんとか抜け出したグラスはたまたまオルビアを発見し、保護した。

 

 オルビアは死にかけだった。

 グラスが急いで船へ連れて帰り、仲間に治療させることで一命を取り留めたのだ。代わりに船医は亡くなってしまったが。

 

 オハラ一斉攻撃の際に死にかけ、自分の最後を察した船医は、オルビアにオペオペの実の秘術である『不老手術』を行い、その代償で死んだのだが、その真相をグラスは知らない。

 

 何にせよただ一人の『仲間』だった船医が亡くなってしまったので、グラスは少し気が荒くなっている。

 

「ごめんなさい。命の恩人に向かって。助けてくれてありがとう」

 

「ん。荒い言葉になってしまって悪かったな」

 

 ゴール・D・ロジャーが死に、世は大海賊時代となった。流石に女性一人を置いていくわけにも行かないため、グラスはオルビアを船に乗せたまま、出航した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある島のヒューマンショップである。

天竜人の一団が二人の人間を連行しようと引きずっている。

 

「やめろ!ステラを離せ!」

 

 男が女性を引きずっていく天竜人に叫ぶ。

その時

 

 

「ごひゃふっ!」

 

 とある男が天竜人を殴った際に天竜人が放った言葉である。天竜人のぶくぶくとした顔は血塗れになっている。

 男の手は一面ガラスの破片で覆われている。

 

 男の名前はスライド・グラス。ガラスの能力者である。

 

 

「ビット」

 

グラスが呟くと、周囲の瓦礫やら地面やらがガラス片に変化する。粒子のように細かく。

 

 

「スティック」

 

 

周囲のガラスは形を変え、棒ガラスとなる。理科の実験で使うアレと違う点は、先が鉛筆のように尖っているところだろう。

 

それは五本十本とぽんぽん生み出されていく。

 

「あんたは…」

 

 テゾーロが呟く瞬間、あるいはもっと早かったかもしれない。

 周囲の黒服に向かって飛んでいった棒ガラスは、芋のように串刺しにしていた。

 

 残ったのはグラス、テゾーロ、ステラの三人と天竜人、そして血塗れの黒服だけである。

 

 

「ふふふふふ不敬だえ!海軍大将を呼んでやるえ!」

 

 

 何かほざいているけど知ーらない。といった表情でその場を去ろうとするグラス。

 

 

「わああああ!待って!待ってくれ!あんた海賊なんだろう!?俺らも連れて行ってくれ!」

 

 キョトンとした顔のグラス。

 

「え?なんでだよ」

 

「なんでってなに!?いやいや!やましい何かなんてないぞ!恩返しの為!このままだと俺らは海軍大将に殺される!」

 

「…ああそう。ん。じゃあ仲間になって貰おう」

 

 オルビアの待つ船に戻りたい一心のグラスだった。

 

 

 口に出さずとも愛している。俗に言うツンデレというやつである。

 




ピース、ビットについて

ピースは石、ビットは砂くらいのサイズにガラスを砕く技と思って下さい。


今回の改変

オルビア生存。テゾーロ&ステラ生存。



文頭を一段下げるようにしました。違和感がある、などございましたら感想等にてお知らせください。元に戻しますので。


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原作19年前

 

 あのボア・ハンコックも今はまだ12歳である。

 

 

 グラスの一味はアマゾン・リリーへとやってきた。

ワンピースに興味がないのか否か、航路がでたらめである。

 はたまた何か考えでもあるのだろうか。

 グラスの船はアマゾン・リリーには上陸せず、その周辺をくるくると回り始めた。

 

「む、そろそろか」

 

「何がそろそろなの?そもそも何をしているの?」

 

 ステラがグラスに質問を投げかける。

 

「誘拐事件を未然に防ぐ為にパトロールをしている」

 

 

 グラスは簡潔に説明したが、ステラの表情はクエスチョンマークで埋め尽くされている。

 

 

「百聞は一見に如かず、だ。ほら来たぞ」

 

 

 

 

 船がやって来た。

 ボア・ハンコックとその妹達を誘拐する人攫いの一味である。

 アマゾン・リリーから抜け出した所を見ると、攫われた後なのだろう。

 何もされていないことを祈ろう。

 

「ステラは三姉妹の保護な。テゾーロは俺と一緒に奴らを倒しに行くぞ。オルビアは船番で」

 

 命令を下す。足場用のガラスを作り出し二人と共に敵船に走る。

 ステラには見聞色、テゾーロには武装色を教えた。

 

「ステラ、頑張ってね」

 

 テゾーロが恋人を応援している。カップルのイチャイチャは見たくのでスルーした。

 船首に居る下っ端をテゾーロが殴り飛ばす。

 甲板に出ている奴らをガラスで包囲し、テゾーロの方を向いて言う。

 

「ステラの護衛に回れ」

 

 テゾーロは少し嬉しそうな表情を浮かべ、さっさと船の中に入っていった。

 

 

 

 

 無事、救出した様である。危惧していた『テゾーロが懐かれる』というようなこともなく、普通に助けられた。

 

 ハンコックはやはりルフィLOVEでなければな。

 

 さて、今後のイベントはまだまだ先か。そうだな。奴隷救助でもするかな。

フィッシャー・タイガーの大脱出までは二、三年かかるし。ウソップの父親が赤髪海賊団に入るのは二年ほど後のことだ。

 

 

 赤髪か…。シャンクスと一杯やってくるか。

 

 

 

 

 

 

 まさかこんな掘り出し物があるとは…。シャンクスにお土産を貰ったのだが、とんでもないものだった。

 

 憑依転生者かよ。あいつ。

 

 ヤミヤミの実。黒ひげが強くなるのもエースが処刑されるのも全てこのヤミヤミの実が元凶である。

 

 そしてコレ。こっちの方がヤバいかも知れない。バクバクの実。使ってたのがあの阿呆なカバだったから気づかないだろうが、この能力はチートと言っても良い。

 

 ハーメルンでも度々出てくるこの実。敢えて名前は出さないが、とある作品に置いては記憶さえあれば何でも取り出せる四次元ポケットのような扱いを受けていた。

この俺、グラスの好きな作品の1つだ。

 

 

 閑話休題。

 

 

 その二つの悪魔の実を手に入れてしまったわけなんだが、どうしよう。

取り敢えずバクバクの実は便利だし食うか。

 

俺の能力は

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 

 つまり爆発四散しても、ガラス片を集合させれば復活できるというわけだ。たとえ粉のようになったとしてもガラス片はガラス片。現に俺は手をガラスに変えたりなんだりやってきたが、腕はしっかりついている。

どれもこれも覚醒の成せる技である。

 

 

いただきまーす。

 

むしゃり。

 

 

うげげげげげげげ!

 

「どうしたんだボス。二日酔いか?」

 

 

 違ぇよ!悪魔の実が悪魔的食感と味だったことを忘れてたんだよ!

 

 

 ゴムのような食感!ねっとりとした歯触り!なんか臭い汁!最悪の後味!

 最悪の食レポとなった。嚥下するまでの時間がこれまた最悪。

 

 

まあいい

 

 

 

 

ドゴーン!

 

 

 

 

 

 

 

 グラスは爆発した。首は飛び散り、両腕は弾け、足は塵となった。

 

『ええええええええ!』

 

 3人の絶叫が響く。

 

 するとどこからか塵が集まり、固まり、人型を形成していく。

 

「危ない危ない。死ぬところだった」

 

『えええええええええ!』

 

 

 3人の絶叫が響く。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、無事復活出来たわけだが。

 恐らくバクバクの実はあまり使わないと思う。目立つし。四次元ポケット扱いをさせて貰おう。

 

 取り敢えずヤミヤミの実を収納しておく。

 バクバクの実の能力でヤミヤミの実を食べると、体のどこかにヤミヤミの実の形が反映される。

 俺の肩の模様が渦巻いている。反映された様である。

 

 これで黒ひげも暴挙に出ないだろう。極端に言えば4番隊隊長のサッチがヤミヤミの実を見つけてしまったことが頂上戦争に発展したのだ。

 

 

 

 

 

 さて、何をするか。ああ、ベルメールさんがナミとノジコを養子に取ったのはこの時期だな。いい機会だし友達になってこようか。

 

 

 




今回の改変

・ハンコック達の誘拐、及び世界貴族の奴隷になることの阻止

・ヤミヤミ、バクバクの実の回収

・シャンクス、ベルメールさんと友達に


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原作18年前

エタるってどのくらい開いたらそう言うんでしょうか。
私は遅筆なので一ヶ月で3000字とか行けたらすごくいいなって…


 原作開始時点の18年前、この年に起こるイベントは主に二つ。『ネフェルタリ・ビビの誕生』と『シャーロット・リンリンの10人同時出産』である。化け物かな?

 

 

 特に何か事件が起こるというわけでもない。介入することもない。つまり、自由。

 

 ラフテルでも探しに行くかな。そんなことを考えていると、船が近づいてくるのに気づいた。『お菓子で出来た船』。『歌う船首』。『巨大な設計』。

 

 それがビッグマムの船だと決定付けるのに数秒もかからなかった。

 

 

 

 あれ?そういえば。

 

 俺はONE PIECEの歴史を暗記出来ているのだが、どうしたって1年単位でしかわからない。年単位での出来事の順序はわかるが、どのイベントががいつどのタイミングで起こるのかさっぱりわからない。

 

 つまり。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というわけだ。

 

 やっべー。俺の今の実力は、原作のカタクリよりちょっと強いくらいなのだ。ビッグマム海賊団全部を相手取れるわけがない。

 

 誰かが船首に立っている。

 

 とんがった鼻に鋭い目、長い舌と胴体、手にはキャンディ。

“シャーロット家長男”のペロスペローである。

 

「ペロペロリン。悪名高いグラス一味がこんなところで何をしておいでで?」

 

「いや、航海してただけだが。今は後悔してるよ」

 

「そんなことはどうでもいいのです。スライド・グラス、ビッグマム海賊団の傘下になりませんか?」   

 

 

…ゑ?

 

 

「ちょっと何言ってるのか分からないんだけど。え?俺が?傘下に?」

 

「そこまで動揺することでは無いと思うんですがねぇ。ペロリン。傘下に入るだけで縄張りの一角を任されますし、ビッグマム海賊団傘下というネームバリューだけで海賊に襲われなくなります。いいことづくめなんですよ」

 

 

「確かに…めっちゃお得に感じてきた…」

 

「そうでしょうそうでしょう。ペロペロリン」

 

「だが断る。なにゆえあんな小娘の海賊団に入らなきゃいけないんだ」

 

「…小娘?」

 

「何か間違っているか?お菓子1つで癇癪起こして…精神年齢いくつなんだよ」

 

 理由は後付けだ。『だが断る』を使ってみたかっただけ。

 

「テゾーロ!」

 

「あいあいさー」

 

 船は180度方向転換し、距離を離していく。ある程度離れたところでテゾーロが叫ぶ。

 

「あかん攻札砲(こうさつぽう)発射!」

 

あかん攻札砲…それは、船に搭載されている大砲からあかんレベルの攻撃力を誇るビームを後方に放ち、攻撃するやつのことである。反動で飛べる。反動というか飛ぶのがメインである。

 

要するにクード・バーストである。魔貫光殺法とは一切関係ない。

 

 

 

そんなこんなで、いつの間にか入っていたビッグマム領を抜け出すことができた。

 

 

 

 

 

偉大なる航路(グランドライン)前半の海『楽園(パラダイス)

 

 

そこにあるW7(ウォーターセブン)にやってきた。

原作でフランキーが登場したところである。

原作では、オハラがバスターコールで壊滅する二年前、船大工トムが死刑判決を受けた。

 

もちろん俺は干渉した。判決を受ける前にトムを攫った。

現在魚人島でのんびり暮らしているところである。だから海列車なんてものはない。

 

魚人島は俺のナワバリだから安全だろう。

 

まぁ、そういうことで、フランキーやアイスバーグとは既に知り合いである。因みに海列車が無いため、フランキーは人間。

 

何故こんなところにやってきたか。

 

あかん攻札砲の威力と反動があかんかった為に船がちょっと壊れてしまったのだ。

まぁ、修理の依頼である。

 

流石にアダムは使っていないがそれに近い性能の材料を使っているのだが、どうも駄目らしい。

 

修理が終わるまで二日間。実際の時間は5時間らしいのだが、スケジュールがあかんらしい。

 

たっぷり二日遊べるので好都合なのだが。

 

 

 

 

 

 テゾーロ達と二手に分かれて観光することになった。

観光とは名ばかり、デートである。

 否、デートとは名ばかり、荷物持ちである。

 

 彼女の収集欲を理解しているのか、青ざめているテゾーロはちょっと絶望した表情になっている。

 ちょっとは頑張るんだぞテゾーロ、と心の中で呟きサムズアップをする。

 

 取り敢えずステラに30万ベリーを渡し、その場を立ち去ることにした。

 

 

 

 

 

 グラスは荷物持ちとかなんとか言ってたけど、なんやかんや嬉しい表情をしていた。

 

 俺はステラとデート、ということになるのだけど、

 

 俺の手持ちは2万ベリー。お小遣い程度である。

 

 

 やべぇ。顔が真っ青になってくのがわかる。

 

 そもそも海賊というのは給料制ではない。自分の分は自分で取るものである。

 グラスは戦闘系の悪魔の実を持っている。対して、俺は無能力。覇気も中途半端な武装色と見聞色しか使えない。

 

 要するに手持ちがない。こんなんじゃステラに嫌われちまう。もしステラと別れることになったら…俺は……

 

 そう考えていると、グラスがニッコリと笑い、拳を固め、親指を上に突き立てた。

 なんだ、なんのサインなんだあれは。怖い。

 グラスはステラに札束を投げ、その場を去った。

 

 えっ。えっ。どういうことだ。返せってことか?それとも後で何かされるのだろうか。

 

 怖い。

 

 

 

 

 

 終わった。夕方である。貧乏性のステラは今日一日では渡した四分の一も使えなかったようだ。あれ?じゃあなんでテゾーロは真っ青になってたんだ?

 

 まぁいいか、明日が終わったら聞いてみよう。

 最近能力が伸びなくて悩んでるからな。

 あいつは武装色が苦手だからそちらを伸ばしている。

だから伸びにくい。

 あいつの得意なのはなんだったっけか?見聞色か。

教えるついでに励ましてやろう。

 

 

 

◆次の日

 

 

 

グラスに呼び出された。怖い。なんかニッコリ笑ってる。怖い。

「なぁ、見聞色って、人の心を読めるらしいぜ」

この後、めちゃくちゃ土下座した。

 




読んで頂きありがとうございました。

テゾーロは奴隷だったのでサムズアップを知りません、という独自設定を投入。

今回の改変

・トム生存
・海列車消滅
・フランキー改造フラグ消滅




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原作17年前

 なぁ、知ってるか?

 

 どっかの島の話なんだがよ。

 何百人だかの兵士が海賊の人質になる、って事件があったらしいんだけどな。恐ろしい話なんだ。

 その事件の新聞にはこう書いてあんだよ。

 

 “収めたのは齢13歳の少年である。

    名前をロブ・ルッチという。”

 

 ここまではなんとか分かるだろ?13歳っつっても色々あるしな。新世界生まれとかなら何とか分かる。

 恐ろしいのはこの先だ。

 

 死者はなし。

 

 何百人の兵士を人質に捕まえちまった大物の海賊相手に、誰も殺さず、死なさず、解決しちまったんだとよ。

海賊も、人質も。

 

 しかも、“無傷”で。

 

 全く怖い話だよな。海賊やってるって自信が無くなってきたよ。そろそろ引退でもするかな。

 

 

 

 

 自分好みな酒場を見つけたので一杯やろうと考えたグラスだったのだが、隣に座った奴らの会話があまりにもデカかった。

 そう。デカかったのがいけないのであって、盗み聞きした訳ではない。

 そして、自分の弟子の話題になり、それが褒められていると分かった今、グラスは鼻高々になっている。

 

 そう。原作でCP9に属していたロブ・ルッチは既にグラスの一味に入っていたのだ。

 今は世界政府に潜入させている。

 そのルッチが、話題に出てきた、それも大手柄を挙げたとあれば、テンションも上がるだろう。

 しかし、直ぐに冷静になった。

 潜入させているのに目立つ行動をしてどうする。

 急いで船に戻り、電々虫でルッチに連絡を取るグラスだった。

 

 

「おい、ルッチ。何やってんだお前」

 

 

「ごめんなさい!」

 

 この平謝りしている彼がロブ・ルッチである。

 いくら13歳と言っても、ルッチである。

 原作ではクールで強かったあのルッチの台詞がこれである。

 一体何があったのか。このONE PIECE世界の中で今の所イレギュラーはグラスだけである。

 まぁ、つまり、そういうことだ。

 

「あの、休暇中だったんですけど、それで、ちょっと買い物に行ってたんです。そしたら、海賊がやってきて、ほかの人達が人質に捕られてて…」

 

「おう。今のところなんの言い訳にもなってないが。それで?」

 

「確かにそれだけなら僕も自重しましたよ。でも人質の中にですね、その、ロビンちゃんが……」

 

「ロビンだと!?今お前ロビンっつったか!?」

 

「はい、あ、ですが……」

 

「ちょっと待ってろよ!すぐそっち行くから!もう潜入もやめていいぞ!」

 

「えっ、ちょっと待って下さいよ!本当ですか!?うわああぁいや」

 

 切ってしまった。嫌だとでも言ってたんだろうか。知らんが。

 ガチャリと電々虫が言うのを確認し、急いで支度をする。

 

 

「まったく、ボスは話を聞かないんだから困る」

 

 テゾーロはボソリと呟き、舵を回す。

因みに今、グラスはオルビアを連れて先に行ってしまった。

 ステラと二人っきりというのは嬉しいが、休みが欲しい。

 今までもそうなのだが、まずグラスが自ら能力で作ったガラスに乗り、先に行く。

 テゾーロの役目はグラスのいる場所まで船を運ぶことだ。

 テゾーロがつく頃には全て終わっていて休日を持て余したグラスが待っている。勿論、二日ほどはテゾーロにも休日が与えられるのだが、楽しくない。

 海賊故に戦いたいのだが、自分の活躍の場が無いのだ。

 

「なぁステラ、俺かっこ悪くないか?」

 

「急にどうしたの?」

 

「俺が格好良く戦ってるところ見たことあるか?」

 

「体を動かしたかったの?なら丁度良く目の前に海賊船が」

 

 ステラの言うとおり、確かに船はやって来た。しかし、それは海賊船と呼べるような立派なものでは無かった。

 そもそも船ではない。

 強いて言えば舟。ボートだった。

 誰かが乗っている。乗っている、というのは相応しくない。乗せられている。気絶しているようだった。

 緑の髪の少女、まだ十代も半ばの女の子だった。

 

「助けた方がいいよな……」

 

「縄ばしごを出しましょう。ほら、テゾーロ」

 

「仕方ないなぁ……よいしょっと」

 

 取りあえず飛び込み、小舟に乗り込んだテゾーロ。

ステラが持ってきた縄ばしごを使い少女を抱えながら船に戻る。

 

「にしても誰だこいつ」

 

「分かるわけないでしょ?遭難者なんだから」

 

「まぁいいか、先を急ごう。その子が目を覚ましたら教えて」

 

 

 

 

 

「ナニィー?ロビンがいないだとォ?」

 

「いや……その、いなくなったというか、こう、フワッと消えたんです」

 

「ホォー。……いなくなったのなら仕方がない。で、お前どうするんだ?辞めるのは嫌だとか言ってたが」

 

「言ってませんよそんなこと。わーいヤッターって言ったんです。あんなことしちゃったから悪目立ちしてるし」

 

「そうか、じゃあテゾーロが来たらさっさと出航するか」

 

「そのテゾーロさんって言うのはどなたです?」

 

「あれ?嘘、言ってなかったっけ?仲間だよ」

 

「因みにその人に恋人は……?」

 

「ステラっていう二つ上の彼女がいる」

 

「ああ……船に戻るのもどうかと思い始めた。昔からリア充ばっかで嫌になるよ」

 

 

 

 

 

 テゾーロが到着したようだ。流石にこの島に船を着けるのは危ないので、少し離れた島に着けてもらっている。

 

「よし、行くか」

 

 ガラス片を結集させガラスを生み出す。オルビアは背負うからいいが、今日はルッチも乗る為、いつもよりすこし大きめにする。

 

「もう乗って大丈夫?」

 

 オルビアが尋ねてくる。

 

「ちょっと待ってくれ……よし、大丈夫だ。さあ乗れ」

 

 オルビアはおんぶ。ルッチにはそのまま乗り込んでもらい、走る。

 魔法のカーペットのように飛べればいいのだが、あいにくそう都合の良い代物じゃない。 

 前方の空気をガラス片にし、板にくっつける。後方のガラス片はどんどん取っていく。

 プールに敷いたゴザのようなモノをイメージしてもらいたい。

 

 そんなことを考えていると船に着いた。  

 テゾーロの横には緑髪の少女が立っている。

「お前……まさか───────誘拐か?」

 

「ち、違いますよ!小舟に乗って遭難してたから助けてあげたんですよ!」

 

「小舟?このグランドラインをか?」

 

 少女がこくこくと首を振る。

 

「ふーん。まぁいいか。君名前は?」

 

「モネ」

 

 モネとはパンクハザードで登場したハーピーのことだ。

 ハーピーと言っても天然ではなく人工。

 トラファルガー・ローのオペオペの実によって両手両足を鳥のそれと入れ替えただけだが。

 もちろん無理矢理ではなくそれを望んだのはモネということらしいがその辺はよく知らない。

 つまり、今は鳥人間ではなく普通の女の子なのだ。

 何故このタイミングで登場したのか。全く分からない。

 改変もそんな大きいことはしてないはずなんだがなぁ。

 

「急に来たからな、まだ部屋が無い」

 

「あ、じゃあボス、ルッチと相部屋にしたらどうです?丁度同じ年だし」

 

 そういえば、ルッチとモネは同じ年代に生まれている。

何らかの力によって引き合わされたのだろうか。

 

「じゃあそうするか。ルッチ、頼むぞ」

 

「はい!」

 

 良い返事。原作のクールなルッチが想像出来ない。

 

 さて、今年の残りのイベントは

 “オトヒメの署名集め”

  “ロシナンテのドフラミンゴファミリー潜入”

   “サボとエースの海賊貯金”

    “チョッパー誕生”

 

 うむ。俺の関わる余地はない。何して過ごそうかな。

 




 今回の改変
・ルッチの人格(すぐ原作通りになるけど)
・モネの所属
・モネとルッチのカップリング(同い年なだけ)


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原作16年前

 さて、原作16年前といえば、大きく二つのイベントがある。

 

 フィッシャー・タイガー云々とトラファルガー・ローの出身地のフレバンス云々。

 どちらも関係の無い話な為、この1年は遊ぶ。そう決めたのだ。

 正直、ここで関わったら麦わらの一味の新世界での出番が消える。

 原作は嫌いでなない。なるべく尊重したいのだ。

 

 

 

 

 

 俺の周りで起こったことを話そう。

 まず、俺達の呼び名が変わった。

 一般的にはグラス一味だったのが、『ガラスの海賊一味』などという意味の分からないものになった。

 正直、前の方がよかった。

 俺は今まで自分達のことを『海賊』としか名乗っていなかった為、あちこちで色々なあだ名が付いた。

 しかし、今回海軍が正式に呼び名を決めてしまって、新聞などで取り上げられた為、

 

「名前ダッサ」

 

……等と言われる羽目になった。俺達は悪くない。悪いのはダサダサネーミングセンスの海軍だ。

 

 海軍としては、俺達のイメージダウンを図るためこのような名前にしたのだと思う。見事成功してるのが苛立つ。

 

 

 次に、新しく仲間が加わった。スカウトした、というのが正しい。

 

 原作のドレスローザ篇のコロシアムで出てきたジャケジャケの実の能力者。ケリー・ファンクである。

 なんと彼、憑依転生者になっていた。

 前世の知識を最大限に活用し、原作とは比べものにならないくらい強くなっていた。

 

 ケリー・ファンクの能力は自らをジャケットにし、ジャケットとなった自分を着ている相手を操れるというもの。

 範囲は狭く、まして着せなければ能力を発揮出来ないということもあり、ハズレとされていた。

 

 彼は、こんな能力でも“覚醒”すれば少しは強くなるかもしれない、と考え、ひたすら能力を鍛えていった。

 結果として、以下の能力を手に入れることが出来た。

 

・周囲のものをジャケットにする。

※自分以外をジャケットにし、その中に入った場合は操られることはない。 

 

・ジャケットの中に空間を作り出すことが出来る

 

・ジャケットにしたものを遠隔操作出来る

 

 

どチート。やべぇ。鍛えすぎだろ。

 

 ジョジョに出てくる『スティッキィ・フィンガース』とジャケジャケの実を掛け合わせたみたいな能力だ。

 

 彼と戦い、勝った報酬として仲間入りさせたのだが、正直なんで勝てたのかわからないくらいの辛勝だった。

 そんな彼には現在参謀やらコックやらとして活躍して貰っている。

 

 

 他に俺の周りで変わったことと言えばルッチだろう。

 モネに告白し、恋人となったのだが、それから1年で原作のようなクールな性格となった。冷酷では無いので、落ち着きを持った、というべきか。

 

 あともう二人仲間が増えた。ブルーノとカクである。 

 カクは大親友が抜けるとあって世界政府をやめたという。ブルーノはカクとルッチが心配で追ってきたらしい。

 残りのCP9組は四人。流石に追ってくることは無かった。

 ブルーノは既にドアドアの実の能力者だった。また便利なやつが入ってくれたのでウハウハである。

 ちなみにブルーノは見張り番、カクは船番を係としている。仮に彼らがスパイだったとしたら買い物してる間に船を捕られてしまう。疑ってはいないが。

 

 

 

 

 

 海軍本部“マリンフォード”のとある一室にて。

 

「くそっ!またあいつか!」

 

「ぶわっはっは!グラスか!」

 

「ええぃ!うるさいガープ!……CP9に入れる予定だった少年達数名が忽然と消えたらしい」

 

「……ふむぅ…。センゴク、これは世界政府もほっとかないんじゃないか?サカズキを倒す実力とそのカリスマ性、次々と実力者を吸い込む人脈。ついでに言えば奴はピースメイン、市民にも好かれとる。さらに言えばヤツの姓」

 

「ああ、“スラッジ・D・グラス”、Dの一族の一人だ。ロジャーのように誤魔化してはいるがいつ世間にばれてもおかしくない。更にはヤツの一味の名前。今まで決まってなかったから私が付けたのだが、やはりセンスが良すぎたようだな。民衆の見方も変化してきている」

 

「あのナントカの海賊一味とかいうのは正直微妙だと思うが、確かにそれはあるじゃろうな。やつらピースメインであるものの、一回ビックマム海賊団と接触しとるしのぅ。七武海にでも引き込めたらいいんじゃが、夢のまた夢。そろそろ懸賞金あげた方がいいじゃろう。今度の会議の話題に出すか」

 

「ああ、それでなんだが今度の大将にお前を……」

 

「ぶわっはっはっ!真面目な話は終わりにするぞ!煎餅食うか?!」

 

「はぁ……、お前というやつは……。いざという時は有能なんだがな……」

 

 

 

 

 さて、俺は今、砂漠の国アラバスタに来ている。

 長編で最も人気のある話と言っても過言ではないアラバスタ篇の舞台であるあのアラバスタだ。

 俺の能力の本領が発揮できる場所の一つである。

 今日はその練習をしに来た。暇なのである。

 

 覚醒状態での俺の能力は周囲のモノをガラス片に変えることができ、ガラス片を操ることが出来る。である。

 

 この時重要なのがガラス片に変換する能力と操る能力が別だ、ということだ。

 つまり、覚醒時にはガラス片を操ることが出来つつ、周囲のモノをガラス片に変えられるというわけだ。

 説明が下手で申し訳ない。

 要するに、砂漠に含まれているガラス片、こいつを自由自在に使えるというわけ。

 

 流石にクロコダイルと比べると見劣りするものの、強い。

 水を得た魚のように、砂漠を得たNARUTOの我愛羅のように、それはもう、凄いことになる。

 ただ、流石に量が多い。例えばドフラミンゴなんかは覚醒で糸に変換するとき、『あの辺を糸に変えてその塊を操る』というザックリとした認識でも戦えるわけなのだが、俺はちょっと違う。ガラス片一粒にすら認識を向けなきゃならない。流石に脳がヤバいことになる。

 そのために練習しにきた。

 

 

 

 

 

この後滅茶苦茶鼻血だした。

 

 

 

 

 

「グラス、あなた出血多量で死ぬところだったのよ?」

 

「ハイ」

 

「わかってるの?あなた船長なのよ?」

 

「スイマセン」

 

「何か言いたそうな顔してるわね。言ってみなさい」

 

「あのぅ、オルビアさん。膝枕されながら怒られてもあまり怖くないというかなんというか」

 

「やめたほうがいいの?」

 

「イエ、ソレハ」

 

「ハキハキ喋りなさい。なんなの?」

 

「スイマセンッシタ」

 

「まぁいいわ。お休みなさい」

 

 

 

 

 

 俺の名はケリー。原作では脇役として登場したネームドモブキャラだ。 

 こいつに憑依転生した時は絶望したが、今ではそこそこ充実している。

 

 俺は原作のONE PIECEに出てこない、イレギュラーな人物の元に置かせてもらっている。俺が憑依転生したから彼が生まれたのか、彼が登場したから俺が転生できたのか。風が吹けば桶屋が儲かるというが、その辺はわからん。

 

 現在乗っている船の船長の名前は『掏摸烏』という悪名高い大海賊だ。この二つ名は得意技から来ているらしい。ロジャーの時代の前には“ロックス”という海賊が名を轟かせていたらしいが、彼はその時代から既にこの世界にいたらしい。ぼったくりBARのシャッキーと同い年かそれ以上、それくらいの年はいっているだろう。見た目は若々しい青年なのだから判別はできない。

 

 彼は原作改変を好んでする。ニコ・ロビンの母親を恋人にし、ギルド・テゾーロとその彼女を救済し、ロブ・ルッチの人格を改変させた。シャンクスやハンコックとパイプを作り、まぁ他にも色々やったようだ。

その辺の二次創作と差はない。だが、実行するとなると、時間と体力を労する難しい仕事である。

 

 そんな彼なのでどれくらい強いのか気になった。俺の実力は懸賞金 七億 ベリーほどだ。懸賞金は強さではなく危険度の目安だが、まぁ参考にはなるだろう。

 

 ボッコボコにされた。 一億 ベリーだと聞いていたのだが、騙されたのかと思った。

前日、彼の懸賞金が二倍に跳ね上がったのを知らなかっただけだった。ちなみに一昨年、彼の懸賞金はさらに五倍になった。

 

 彼を見たとき、あるいは彼の話を聞いたとき、陳腐な設定の転生者だな、と最初に思った。

 

 正直今でも思っている。これからどうなるのか楽しみだ。

 

 ああ!?鼻血だと!?ちょっと待ってろよすぐ救急箱持ってくるからな!

 

 




改変まとめ追加

・ケリー(っょぃ)、カク、ブルーノ加入
・主人公がDの一族設定追加


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原作15年前

月一投稿を崩しました。忙しくなるので不定期投稿となります。


 今年はフィッシャー・タイガーが再びマリージョアに潜入し、多くの奴隷を救う年だ。

本来ハンコックとテゾーロが自由になる年でもある。

 

 もう助けてる故にあまり関係はないのだが、前世の俺が原作中で一番好きだったコアラたんが関わってくるので行くしかあるまい。

 ここでフィッシャー・タイガーと深い縁を作っておけば後々便利だしな。

 

 

あらかじめブルーノを変装させてマリージョアに潜入させている。

 あとは合図と共に俺らが空気開扉(エアドア)から潜入すれば終わりだ。フィッシャー・タイガーとのコネは既にある。

そう。終わりだ。

 

─────そう思っていたのだが。

 

 空気開扉(エアドア)から飛び出た俺たちを待ち受けていたのは『黒腕のゼファー』を筆頭とした海軍艦隊であった。

 

 その数、およそ数千人。

 

 対して、こちら。潜入者も合わせ、五名。

 

 俺、テゾーロ、カク、ルッチ、ケリー。

 

 何故このような劣勢に陥ってしまったのか。

 

 

 全ては、空気開扉(エアドア)を操るブルーノの仕業である。

 

 ルッチと親友であったカクに比べ、ブルーノの世界政府脱退動機は『後輩が心配だった』だけだ。軽すぎる。

 

 勿論、()()()()で信用してしまった俺にも非はある。

 

 こんな子どもに騙されてしまうとはな。してやられた。

 

 してやられた。

 

 

 

 囲まれた瞬間、俺は絶望した。ケリーやカク、ルッチは即座に戦闘態勢に入ったが、俺は悪魔の実の能力者ではない。

 なんてったってまともな攻撃手段がないのだ。

 言い訳に過ぎないが、仕方ないと思う。

 

 ブルーノの裏切りを、グラスは薄々予感していたような表情で流したが、俺はそれを受け止めきれる程の器じゃない。

 

 俺の仲間は戦い始めた。自分の命を守るために。

 

 対して、俺は、何もしていない。何もできない。

 

 

 物語なら、ここらで一番弱いやつが覚醒して上手いこと切り抜けるんだけどなぁ。そんな手段があったらとっくに使っている。現実は上手くいかないなぁ……。

 

 カクも悪魔の実を貰って強くなっているってのに、俺は何もない。

 

 いや、これは言い訳に過ぎない。過ぎないのだが、仕方ないだろ。何もできないんだからな。

 

 

「なぁ、テゾーロ」

 

 グラスが呟く。

 なんだと思い彼の顔を見ると、笑っていた。

 

『これも何かの縁だろうか、まさかこのタイミングで渡すことになるとは』。そう独りごちた後に、グラスは何かの塊を投げ渡してきた。

 

 

 

 

  金ピカに光るそれは、念願の “果実” であった。

 

 

 

 

 

 悪魔の実を食した瞬間。

 

 テゾーロは覚醒の段階まで突入した。

 

 “覚醒”とは、能力者の身に稀に起こる、言わばボーナスステージ。

 

 人によって精度も内容も変わる。

 

 偶々スイッチが入る者もいれば、一度入ると自在にONOFFできる奴もいる。常時“覚醒”状態の奴もいる。

 

 それは、悪魔の実と関わりの深い鍛え方をすることで身につく。

 

 運か、はたまたグラスの狙いか、テゾーロは、悪魔の実に適した鍛え方をしていた。また、その器も適したものだった。ゴルゴルの実は、食べられた瞬間にテゾーロの身体に適応した能力をもたらした。

他の世界線のテゾーロと比べても、随一。

 

 本来能力を得た後に始める修行を、能力を取得する前に始めたのだから、まあ仕方ない。

 

 

 また、聖地マリージョアは天竜人の本拠地。言わば世界で最も貴族のいる場所と言える。

金も多い。

 

 テゾーロは金貨を取り出し、操る。

 

 金貨が蠢き、どこかへ消えたと思った次の瞬間。

 

 

 マリージョア中の金が全て液体のように流動し、海軍へと襲いかかった。

 

 

◆とある新聞記事

 

 

【奴隷解放】

 

 先日、『ガラスの海賊一味』を中心とした海賊達によって聖地マリージョアの多くの奴隷が解放された。

海軍の厳戒態勢だったにも関わらず、これが行われたのか。

 

 当社は独自のルートからこれらに関する情報を集めた。  

 なんでも、予め『ガラスの海賊一味』には世界政府のスパイを潜り込ませてあったらしく、海軍の厳戒態勢のもと、おびき寄せる、という作戦だった模様。

 

 そんな中、一味の一人であり、『掏摸烏』の右腕でもあるギルド・テゾーロによる悪魔の実の能力らしき攻撃により、海軍特殊部隊は一網打尽。奴隷解放を許すこととなった。

 

 聖地に置いて海軍側のこの作戦はあまりに無謀であるし、結果的に『ガラスの海賊一味』に奴隷解放に達することを許してしまったので、各地で反響が広がっている。

 海賊が海軍より人徳的に正しいというのは、珍しいことだ。これにより世界政府への疑問の目がより向けられることとなった。

 

 

 

 

 助かったー!危ねー!危機一髪ゥ!

 

 本来『ゴルゴルの実』がテゾーロの手に入る、ドフラミンゴさんのオークションイベントまでの期間が長すぎた為、こっそり入手していたのだが、それがよかった。

危うく死ぬところだった。

 

 それにしても、原作ならこのタイミングでテゾーロが脱出するからなのか、ほんのり原作補正が掛かっていたようで安心した。

 

 『テゾーロがマリージョアから脱出する』という事実は改変されたONE PIECEの世界でも変わらないらしい。

 

 

 さて!これで男性陣は全員能力者になったな!

 どうしようか!することがねぇ!

 

 

  仕 方 ね ぇ か ら ケリーの恋人探しでもすっか!

 

「ケリー!お前のタイプはなんだ!」

 

「タイプ?そうだな。強いていえば あく かくとう ってところか?」

 

「ええい!やめろやめろ!俺にしか伝わらねぇじゃねえか!そんなことは聞いてねぇ!お前の好きなタイプはなんだ!」

 

「う~ん。はがね かな。単タイプよりは複合のほうが好きだけどな」

 

「ルカリオかキリキザンかな!?ポケモンの話なんてしたかねぇーんだよ!てめぇの恋人探しに力を入れてやろうと思った俺が馬鹿だったか!?」

 

「ぬゎにぃ!?バカモン!それをはやく言わんか!そうだな。ボンキュッボンで目がくりっとしてて背の高い人がいいな」

 

 彼はこの世界がONE PIECEだということを忘れているようだ。

 元の世界ならトップモデルに匹敵するであろうプロポーションとなる、彼の理想の女性は、この世界では量産型のモブキャラだ。つまり誰でもいいんだな。

 

「そうかそうか。君はそういう奴だったんだな。」

 

 おや、口に出てしまったようだ。

 

「あん?なんだそれ、どっかで聞いたことあるな」

 

「もーいいや、自分で探せや」

 

「ハァァァ!?!?!?なんだお前!?お?お?お?」

 

 

 その後はケリーくんを全力でスルーして自分の部屋に戻り、きっかり13時間寝ました。快眠でした。

 

 

 

 

 

 アフロヘアーのおじさん(センゴク)が部屋でそのアフロごと頭を抱えている。悩んでいるようだ。

 それも仕方ない。自分の発案した計画がものの見事に失敗したのだから。元々、ハイリスクハイリターンだったので、失敗した結果、残るのはハイなリスクだけだった。

 クビか、或いは実刑を伴うか、前例がない故にわからない。

 自分の行く末が見極められないという恐怖に頭を抱えているのだ、と思う人もいるのかもしれない。

 

 実際は違う。彼は何の責任も取らされなかった。

 名も知らぬ軍兵が今回の計画の立案者とされ、全ての罪を被り、処刑された。

 海軍の裏を見た。

 やめたくなった。『知らぬが仏』では済まされない。

 

『仏のセンゴク』、彼は次の日、辞表を提出した。勿論受理されることはなかった。

 

 

 




今回の改変

・テゾーロが悪魔の実の能力者に
・センゴクが海軍を疑い始める

今回の出来事

・ブルーノ脱退
・マリージョア襲撃

ブルーノは便利すぎたからね!しかたないね!

誤字報告してくださった方、ありがとうございました


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原作14~13年前

 トムさんが作るはずだった海列車は、俺の手によって歴史が書き換えられ、消滅した。 

そう思っていた。

 

 どうも違うらしい。

 

 ONE PIECE(ひとつなぎ)のこの世界に置いて、書き換えた歴史は関係性が変わってまた生まれるようだ。

 ONE PIECE(原作)の歴史においては、それぞれが絡みつき、全てが繋がっている状態、“ひとつなぎ”となっていて、ONE PIECE(一つのピース)を変えた程度では強靱な結びつきはほどけない。

 

 ただ、この場合死ぬ運命だったオルビアやステラはどうなるのか。俺が改変して作り上げた“ガラスの海賊団”はどうなるのか。

 疑問は募るばかりだ。

 

 そうは言っても、トムさんの作るはずだった海列車は、形や経歴こそ違うものの、完成していた。

 直接干渉しても何も変わらない。それしかわからなかった。

いつ死ぬかも分からないオルビアやステラ……俺の“海賊団”を守るためには“一つ(・・)のピース”だけじゃあダメだ。

 

 それこそONE PIECE(ひとつなぎの大秘宝)を手にしない限り。

 

 

 

半年が過ぎた。

 

 

 

M・C(マリンコード)01746……。『海軍本部』ロシナンテ中佐……。ドンキホーテ海賊団(ファミリー)船長ドフラミンゴ……。

 

お前がこの先、生み出すであろう惨劇を止めるため…潜入していた。

 

俺は『海兵』だ。」

 

 コラさんは自らの兄…ドフラミンゴに銃口を向ける。

 

 ローが入ってる宝箱に合図をするコラソン。

 

「ウソをついて悪かった……」

 

 俺に向けて言っているのだろう。

 

 

「お前に嫌われたくなかったもんで……!」

 

 知ってる。そんなことは……。

 

「今頃何言ってるんだ! そんな事とっくに知ってるよ……!」

 

 咄嗟に言葉が出た。でも伝わることはない。

 さっきコラさんが俺の帽子に付けた“凪”のせいで、どんなに張り上げても俺の声は届かない。

 

 

「……? つまらねぇ冗談言ってねぇで、質問に2つ答えろ!オペオペの実はどこだ!ローはどこだ!」

 

 どちらもここ。コラさんの背中、樽の中。俺だ。

 

 途端に怖くなった。声が出ない。仮に出てもドフラミンゴには聞こえないわけだが。

 

「オペオペの実は……ローに食わせた、あいつはもう能力者だ。……今頃は“鳥かご”の外だろうさ 。“海軍本部”の船に保護されてる頃だ。もう手だしはできねぇ」

 

「若様!確かにさっき”少年を保護”と海軍が通信を……」

 

 ベビー5の声がする。

 

「なぜ早く言わねェ!」

 

「ローのこととは……」

 

 俺はここにいる。何の偶然だろうか。

 

「確認を急ぐぞ! “鳥かご”を解除する、出航の準備だ! 事実なら、海軍の監視船を沈めてローを奪い返す!」

 

「よせ……。ローを追ってどうする……」

 

「ローをどうするだと?……オペオペの実を食ったなら、おれの為に死ねるように教育する必要もあるな!」

 

 背筋が凍った。そんなのは嫌だ。折角コラさんのお陰で治ったんだ。

 

「まったく余計な事しやがって。なぜおれの邪魔をするコラソン!なぜおれが実の家族を二度も殺さなきゃいけねぇんだ!」

 

 カチャリ、と銃口を向ける音がする。

 

 おいコラさん……大丈夫か?

 

「お前におれは撃てねェよ……お前は父によく似ている」

 

 大丈夫だって言ってたよな。コラさん……。

 

 ついさっきの会話を思い出す。

 

『いいか、ロー。海賊ってのは宝箱を見ると、必ず自分の船へ持ち帰る。つまり、ここにいれば必ず外へ出るチャンスがくる!それを逃すな!』

 

『コラさんは?』

『バカ……ドフィの狙いはお前と“オペオペ”の能力だ。……それにおれはドフィと血を分けた兄弟。そりゃブチ切られるだろうが……殺されやしねぇさ』

 

『“凪”』

 

『“お前の影響で出る音は全て消える”の術だ! じゃ……となり町で落ち合おう」』

 

 

『おいロー』

 

 

『愛してるぜ!』

 

  あの下手な笑顔を見て、とっても安心した。もっとコラさんと喋りたくなった。樽の中でも不安にならなかった。

 

 なのに……約束が違うよ!殺されないって言ったろ!

 

「ローは、お前に従わねぇよ。3年後に死ぬって運命にあいつは勝った……自分を見失い狂気の海賊の元へ迷いこんだあの日のローじゃねぇ」

 

「破壊の申し子の様なお前から得るものは何もねぇ!もう放っといてやれ!あいつは自由だ!」

 

 ドンッ!ドンッ!

  撃たれた音がした。

 

 俺が死ぬわけでもないのに何故だかコラさんとの思い出が走馬燈のように蘇る。

 

 

『もう一度言ってみろ!誰がモンスターだ!』

 医者に殴りかかるコラさん。

 

『わー転びながら燃えてる!』

 すっころんでタバコの火が燃え移り、火だるまになるコラさん。

 

『な?安眠できただろ?』

 ナギナギの実の素晴らしさを説くコラさん。

 

  ドサッ……という音がした。それはまるで、コラさんが倒れたような。

 

 

 

 

 自分が死んだらローに掛けた“凪”が解けてしまうので、最期まで気を強く。

 

 宝箱から出てドンキホーテ海賊団(ファミリー)の海賊船から泣きながらはなれていくローが見えた。

 

 まだ凪の効果があるので、ローの泣き声は気がつかれていないようだ。

 

 ロー……。もうお前を縛るものはなにもない。

 

“白い町”の鉄の国境も……。短かった寿命も。

 

 誰もお前を制限しない。

 

──────意識が途切れそうなそのとき。

 

 目の隅っこに武装色の塊が高速飛行しているのが見えた。

 

 

 

 

 

 ──────もう目を覚ますことはないな、と思っていたが、“次”があったようだ。目を向けると、見慣れたまだら模様の帽子を被った少年と、その横にいる青年がいた。こっちは知らないな。いや、どっかで見たことはあるな。……それより。

 

 

「ロー!無事だったのか!よかった!」

 

「こっちの台詞だコラさん!よかった!間に合った!」

 

 間に合った?そう言えば俺は二回も撃たれた。武装色も使えない為、俺は常人と耐久力が変わらない。

 何故生きているのだろうか。

 

「それに関しては俺が説明しよう」

 

 ローの隣にいた青年が口を開いた。よくよく見ると、あの悪名高い“海賊”、スライド・グラスだった。

 

「言っておくが、お前を治療したのはこいつだからな。オペオペの実の能力者がいて本当によかったよ」

 

「そうなのか?」

 

「ああ!こいつの言うとおりに能力を使ったらコラさんが生き返ったんだ!生きててくれてありがとう!」

 

「こちらこそありがとう。そうか……ローが……。

……それで……スライド・グラス、なんの真似だ?俺は海兵だ。そして俺は瀕死だった。それを“能力を取得したばかり”のローに治させて……どうやったんだ?」

 

「助けたことについてはただの趣味だ。なんで能力取得したてのローに治させることができたのかっつーのは、以前俺の仲間だった船医がオペオペの実の能力者だったからっていうだけだ。ラッキーだったな」

 

 なんだこいつは。説明下手か。

 

「とにかく命の恩人なんだよな。何か恩を返せるようなことはあるか?」

 

「そうだな……。じゃあ……」

 

 

◆海軍本部のとある一室

 

 

「無事だったか……!ロシナンテ……!」

 

 帰ってきたロシナンテに対し、泣いてひっつく白髪アフロのおじさん(センゴク)

 

「……はい。おかげさまで。で、その……」

 

「あぁ、海賊に助けられたんだってな。しかもあのグラスに」

 

「はい、それで」

 

「ああ、奴はどんな見返りを求めてきたんだ?」

 

「それが……その、何も……。どんなお返しをしたらいいんでしょうか」

 

「うぅむ。スライド・グラスか……。連絡は取れるのか?」

 

「はい、一応……。」

 

「うむ。………仕方ない、これを渡してこい」

 

「なんですか?これ」

 

 コラソンがそれを広げて見ると、大きくて四角いハンコを押したような模様が付いていた。

 

 胃薬と思わしき粉を一掴み口に突っ込み、センゴクは一言。

 

「海軍の極秘機密だ」

 

 コラソンはわかっていないが、これは“ロードポーネグリフ”。世の中では“カイドウ”と“ビッグ・マム”以外に所有しているものは知られていないが、極秘で海軍が回収していたのだ。

 

「いいんですか?こんなもの……」

 

 コラソンは『渡すものがこんなものでグラスが満足するのか』という意味合いだったが、『海賊にこんなものを渡していいのか』という意味で受け取ったセンゴクが「大丈夫だ」と断言したことにより、この勘違いは何かの支障を起こすことはなかった。

 

(閑話休題)

 

 

 

 暫くはゆっくりと船旅をしようとしていたら、海軍が接近してきた。

 

 ヤベェと思い、逃げようとしたが、乗っているのがコラソンだったため、何か別の用だろうと考え、思いとどまった。

 

 話を聞くと、この前の礼として手土産を持ってきたという。

 なんと“ロードポーネグリフ”の写しだった。

 まさか海軍が保有しているとは。

 

 

 

 アレ?もう俺ONE PIECEに行けるんじゃあないか?

 

 一つはカイドウ、一つはビッグ・マム、最後の一つはゾウ。“ロードポーネグリフ”の全ての場所はこれでわかった。

 

 ただ、なぁ。今の俺じゃあ四皇の領地に忍び込んで抜け出せる程の度量も勢力もない。

 実行に移すのはもっと先になるだろうな。

 

 

 ぼうっ、と考え事をしている俺を心配したコラソンが顔色を覗き込んでくる。大丈夫だという旨を告げ、それからコラソンに礼を言い、お返しに一瓶の酒を渡し、そして別れた。

 




今回の改変

・改変しても大きなイベントはやってくるというこじつけ追加
・ロシナンテ生存
・最後のロードポーネグリフを所有しているのが海軍
・センゴクさん、白髪へ
・ロードポーネグリフの写しを手にした主人公


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原作12年前

え た っ て な い よ !


 原作まで残り12年。

 ルフィ周辺の環境が動き出す。

 

 いよいよ『ONE PIECE』が始まる。

 

 俺はこの1年、13年前~12年前に起こるイベントを調査していた。

 

 ハンコックは王下七武海に加入したらしい。

 ローはベポ、シャチ、ペンギンに出会ったと聞いた。

 これは『ONE PIECE』第一巻の時系列からきっかり13年前、今から一年前に原作の中で起こった出来事である。

 

 つまり、原作通り。ここまでは。

 アラバスタでも原作通りの話が進んでいる。

 何も問題はない、そう安心していたのだが。

 

 しかし、

 『のらギツネ』が生まれなかった。

 

 ニセチョッパーのことである。

 

 原作では超新星篇の13年前に生まれているはずののらギツネが生まれなかったのだ(・・・・・・・・・)

 

 人ですらない、ただの小動物である彼が生まれようがどうしようが大きく影響はしないだろう。

 

 だが、この小さな『分岐点』によって、違う世界線になった。たしかにこの時原作は揺らいだ(・・・・・・・)のだ。

 

 海列車の因果から数年。『ONE PIECE』の世界では強大な運命によって、改変は出来ない、ONE PIECE(ひとつなぎの大秘宝)を見つけでもしなければ原作の流れが大きく変化することなどないだろう、そう結論づけていた。

 

 だが、それは違ったのだ。

 

 こののらギツネの生まれなかった世界線(・・・・・・・・・・)が後々どう影響するのかは俺にもわからない。

 

 

 

 

 

 ゲッコー・モリアがカイドウに敗北を喫し、魔の三角地帯(フロリアン・トライアングル)に籠もったのが数ヶ月前の話。

 

 仲間達を失ったことにより心に深い傷を負った彼は、二度とこんな思いをしないように、と最低限の幹部を新たに集め、その他は全てゾンビ兵という極端な海賊団を作り上げることになる。

 

 ゾンビ兵─────。モリアの能力である『カゲカゲの実』は、相手の影を切り取ることができ、それを別の誰かにつけることにより、その者は元々の影の持ち主の技術や人格を得ることができる。無生物にも影はつけられる。

 これを利用し、影を集め、死体に付ける。

 ゾンビの出来上がりである。

 

 これを作るには、腕のいい医者が必要だ、ということで、ちょうど今日(逆算した)舞台から転落死する女優、ビクトリア・シンドリーの復活と引き替えに、モリアはシンドリーにオネツであるドクトル・ホグバックを仲間に引き入れることになる。

 

 彼の多大な戦力は喉から手が出るほど欲しい。

 その為に年単位でしか公表されていないONE PIECEの時系列を踏まえ、周辺調査を行い、恐らく今日であろうというアタリをつけたわけだ。数日のズレはあるだろうが、今月には事故がある。

 そもそも、モリアは強い。仲間に入れたい。

 

 しかし、現実はそう上手くいかない。

 

 彼は海賊王になる、という野望があるのだ。

クロコダイルもそうだが、王下七武海のくせしてなんでやねん。

 

 

 といっても、クロコダイルやドフラミンゴに比べればモリアはそう難易度が高くない。

 

 さっき言った通り、彼はとても仲間思いなのだ。

 

 仲間に恩でも売ればすぐに心を開くだろう。

  

 流石に王下七武海相手に少数精鋭は厳しいので、今回にピッタリな助っ人も呼んである。

 

 話は変わるが、今年はタイガー・フィッシャーの死ぬ年でもある。アーロンがグレるのもそれが原因である。

 

 

 どちらも穏便に済ますけどな!!

 

 

 

 

 愛しのシンドリーが舞台から落ちた、との連絡を友人から受けた。

 

聞いた瞬間は目がチカチカしてまともに立つこともできなかったのだが、とにかくそこまで行かなければ、と気を奮い、舞台まで行った。

 

 基本、シンドリーの劇は彼女の初めての公演の最初から今まで余すことなく見ていたわけなのだが、今日に限っては何故だか重要な仕事が入ってしまい、やむなく仕事を取ったのだが、この矢先にこれである。

 

 泣きたい。

 

 死んだ、との報告はないので、無事を祈って走る。

 

 劇場のドアを殴り開けて入れば、舞台でシンドリーが劇を続けていた。

 

 なんとなく横を見れば胡散臭い優男が立っていた。なんだお前は。

 

「あなた、ドクトル・ホグバックですよね?」

 

 何故だか俺の名前を知っていた。

 

 

 一体どこからそんな個人的な情報を。ますます胡散臭い。

 

「私が誰かって?シンドリーちゃんのファンです」

 

 

 

  俺は彼と固い、堅い、硬い握手を交わした。

 

 

 

 

 いやぁ、よかったよかった!もしホグバックが独占欲の強いやつだったら終わってたな!この俺、ケリーは注射が苦手なんだ!

 

 

 アレからもうホグバックとはマブダチである。

 ファン同士上手くいけそうだ。グラスから言われていた医者の術の指導を頼む、っていうのも快諾してくれた。いやぁいやぁ、よかったよかった!

 

 

 

 

「誰だお前は」

 

 年がら年中真っ暗なせいで顔がでよく見えない。

 

 なんとなく見えてきたが、相手はたったの四人のようだ。

 

 

 

 『金色の液体』、『黒色の棒』、『透明の粒』、『斑模様の体』がなんとなく見えた。

 

 まずいぞ、これは。ペローナ達を呼び寄せる時間すらも………。

 

 

 蝙蝠の血が混ざっている俺様は、気配を読み取れる能力がある。ハーフやクォーターではなく、ほんのちょっぴりなので、それもなんとなくに等しいのだが。

 

「スリガラス」

 

 よく通るような声と共に飛来してきた極小の粒を影ではじく。いくつか体に当たってしまったが、そんなの気にする余裕もない。次の攻撃がくる。

 

 黄金の液体だ。影で瞬間移動を試みるも、失敗した。

体が動かない。

 

 最後の足掻きとばかりに影で誰かを切りつけるも、敢えなく切り返されてしまった。

 

 俺様も衰えを感じざるを得ない。

 カイドウと張り合った俺様が、まさかこんな、呆気なく死ぬなんて。

 

 

 情け無くて泣いていると、四人のうちの一人が手を伸ばしてきた。

 

 情けないことに俺様は怯えて目をつぶってしまったわけなのだが、その俺様の手を取ったやつはこう言った。

 

 

「俺と一緒に海賊王にならないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 フィッシャー・タイガーの船に突然現れたグラスは、そのまましばらくタイガーの船に乗るという。

 

 奴隷少女のコアラが心配らしい。

 

 

「すみません働きますから、手を休めず掃除しますから、すみませんすみません、何があっても泣きませんから殺さないでください。役に立ちますから殺さないでください」

 

「お前ら一体何したら子どもがこんなになるんだよ」

 

 冷めた目でグラスがタイヨウ一味に問いかける。

 

「いやいやいや!勘違いすんじゃねーぞ!元々こんなだったんだからな!オメー適当抜かして俺らの性癖決めてんじゃねーよ!」

 

 即座にツッコむアーロン。人間を下等生物と見下している彼だが、タイガーと仲のいいグラスに対しては多少フランクになっている。

 

 勿論グラスは原作の内容が大体頭に入っているので、本気にしているわけではない。

 

 それを置いても異常なのだ。この少女の行動は。

 

 気がつくと、ぼろ布で床を拭いている。ぼろ布というか、自前の服というか。

 

 不憫なのでグラスがこの船にやってくる途中で子どもの服を買ってきたのだが、『私はこれで充分だ』と言い、頑なに着ない。

 

「よくみろ」

 

 フィッシャーがそう言い、拳銃を海に投げ捨てる。

 

「俺たちは誰も殺さねぇ………!!!」

 

「行くぞお前ら……こいつは必ず、故郷へ送り届ける!!!」

 

 泣き崩れるコアラに、グラスが言った。

 

「んじゃあ、はい。これ着ろよ」

 

「」

 

 涙目で固まるコアラを代弁して、タイヨウの海賊団船医のアラディンが言う。

 

「正直、お前のそのおべべは相当センス悪いぞ」

 

グラスは考えることをやめた。

 

 

 

 

「あたし村のみんなに言うよ!!魚人にはいい人達がたくさんいるって!!」

 

 無事母親と再会し、一味と別れることになったコアラがいう。

 

 アーロンは悪態をついているが、満更でもなさそうな顔である。

 

 その帰り道、なんの前兆もなく銃声が鳴り響いた。

 

 銃声の先、タイガーと直線上にいる海兵の元へ目線が集中し、一瞬後にタイガーの元へ視線が集まる。

 

 

 彼の心臓部分には透明な厚い板が張り付いており、そこに銃弾は埋まっていた。

 

 

「このときのために俺はついてきていたんだ」

 

 思考を停止していたはずのグラスがいきなり喋り始めたことに一同は驚愕した。

 

 

 

 

◆世経 朝刊

 

速報

  海軍中将ボルサリーノ、全治二年の大怪我!?

 

海軍中将、ピカピカの実のボルサリーノは、先日、とある島にて何者かに暴行を受け、全治二年の傷を負ったらしい。犯人は一体何者なのか。これを受けて政府は、市民の夜道について注意喚起を行っている。

 

 

 

 




本日の改変

・シンドリー生存
・モリアと主人公が同盟
・タイガー生存

あと、『黒色の棒』ですが、名前出せませんでしたがリョーマです。今まで別行動していましたが今回で合流です(当たり前のように不老手術)


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11年前

赤犬「何十万もの入学金。すぐには払えず後日出す。辛いや辛いや私立校。都立は落ちたバカ息子(こんぽた)実に不安じゃありゃせんか?将来不安じゃありゃせんか?」

こんぽた「やめやめろ!!(迫真)」

受験戦争の敗北者、こんぽたです。
お待たせして申し訳ないのですが、今後更に更新頻度が下がると思われます。不定期更新でも嫌いにならないでくだしあ。


「死ぬかと思ったぁ…」

 

 グラスの腕の中にすっぽりと収まった少女、くいなはガン泣きしている模様。

 

 

 海軍をパパーッと蹴散らした数ヶ月後、コウシロウさんに呼び出しをくらった俺。

 ゾロの故郷でもあるこの島にやってきたすぐ後、くいなが階段から落ちた。

 スライディングキャッチで無事受け止められたわけなのだが、くいながずっと泣き止まない。

 

 

 

 まぁそれも仕方がない。

 

 ─── 自宅の階段があんなことになってるなんて普通思わないよな。何者かによって『彼女の家の階段』に改造が施されていた。見れば見るほど悪意を感じる。

槍が突き出る仕組みや、鉄球が落ちてくる仕組み、剣山の落とし穴などは性格が滲み出ている。

 

「グラスくん。犯人の目星はついているのかい?」

 

 そう尋ねるのはくいなの父であるコウシロウ。

 原作ではゾロの師匠である。

 娘が狙われたとあって、彼もふつふつと怒りを燃やしているようだ。

 

「コウシロウさん、貴方には誰がやったのか心当たりあるんですよね?最近もドンパチやってるんですか?」

 

 おかしな敬語の使い方をするグラスに疑問を抱いたコウシロウだったが、すぐに彼が海賊であったことを思い出す。

 

「最近は定期的に旧友と連絡を取る程度だよ……。当時は派手なことをしていたからね、心当たりは勿論沢山あるんだがねぇ…」

 

 

「質問を変えましょう。何故俺はここに呼ばれたのですか?これが理由じゃないということですか?」

 

「今私は弟子が沢山いるんだがね、化け物みたいなセンスを持つ者がいるんだ。彼の指導をお願いしたいと思ってね」

 

 

 ゾロのことである。

 

「わかりました。引き受けましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予想は半分正解、と言ったところだろうか。

 

 

 ゾロは勿論そうなのだが、くいなも“化け物みたいなセンスの持ち主”に含まれていたらしい。

 親バカとは言わないが、なんだかなぁ。

 

 とはいうものの、二人はまさに、天才であった。

 

 ゾロは既に二刀流を使いこなしている。三刀流は妙なクセがついてしまうので正直なところあまり使わせたくはない。くいなも死ななかったことだし必要性も見あたらない。

 

 くいなは和道一文字の持ち主に相応しい、王道を行く剣士だった。

 何故あの程度の階段に殺されてしまったのか不思議なほど強い。

 

 ゾロには元CP組を、くいなにはリューマとブルック(なんか彷徨ってた)を指導につけさせている。

 

 ゾロは動物系の能力者の動きを取り入れ、ついさっき“虎刈り”を完成させた。

 

 くいなは両者の良いところのみをグビグビ吸収し、逆にブルックの悪いクセを正している始末である。

 

 

 子どもって恐ろしい…。

 

 

 

 

 

 海賊王を出汁にしてモリアを我が一味に誘ったわけなのだが、カイドウとビッグ・マムのところに忍び込んで生還できる見込みはない。つまりロード・ポーネグリフはまだまだ遠い、海賊王への道のりもかなり長い、というわけで。正直に言ったところでモリアになんと言われるだろうか……、とか考えていたのだが。

 

 

 最近のモリア、キャラが変わってきている。

 日頃から修行だ何だとふれ合っている為か、子ども大好き人間になってしまったのだ。

 

 

 

「キシャシャ…。お前らアイス買ってきてやったぞ!」

 

 わーい、と群がる子どもたち。こういうときだけは年相応になるから可愛いが。

 あの悪名高いゲッコー・モリアが気前の良い親戚のおじさんのようになってしまった。なんてこったい。

 

「おいグラス、お前アレどうするつもりなんだ……?」

 

 ケリーが尋ねてくるが、俺に聞かれても困る。なんでもかんでも対策してるわけないだろ。

 予想外にもほどがある。害はないから問題はないが。

 

 あと、最近俺に対する皆の扱いが変わってきた。

 

「おじさぁ~ん!コレ後で食べたいから入れといて~!」

 

 おじさんじゃねーし!まだ(見た目は)二十歳だし!!

 

 ……俺は、実はバクバクの実の能力者でもあるのだが、その能力を利用して食料保管などもおこなっていたところ、子ども達が冷蔵庫扱いしてくるようになったのだ。

 

 

 数年前天竜人案件などではしゃぎすぎた俺は、現在十二億八千万ベリーの賞金首である。その俺を冷蔵庫扱いである。ちょっと涙がでてくる。

 

 俺はフランキーのように体を冷蔵庫に改造したわけじゃないし、好きで食糧庫係を担っているわけでもない。

ましてや、俺は船長だ。その俺が、なぜ……。

 

 とはいいつつも、いい笑顔を見せてくれる子どもはとても愛らしく可愛らしく、それを見ていると自分の悩みなどどーでもよくなる。

 

「おじさ~ん。はやくはやく~!溶けちゃうよぉ~!」

 

 この船の船長は本当に俺なんだよな……。

 幸せだからいいのだが。

 

 

◆号外

 

 悪名高き“ガラスの海賊一味”壊滅か!?

 

 世界政府にもスパイを潜り込ませ、天竜人に喧嘩を売った海賊、懸賞金十二億八千万ベリーの“掏摸烏”スライド・グラス率いる海賊一派、通称“ガラスの海賊一味”が、壊滅した模様。世界政府や海軍、また、あの革命軍までもがこの一連の騒動について関わっているらしいのだが、詳細は不明。

 

 

 また、『世界政府・海軍と革命軍が関与している』という点から、実は革命軍と政府側は裏で繋がっているのでは、という噂が後を絶たない。これについては、政府は未だ声明を出してはおらず、詳細は不明。天竜人と政府間での仲が険悪になっている、との情報もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の改変
・くいな、殺意の階段から生還
・コウシロウさんの謎の過去
・モリアおじさん、アイスを買う


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