転生したら猫でした (黒いすなぎも)
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プロローグ

初めて小説を書きましたので駄文に耐えられない方は精神衛生上読まない方がいいかもしれません。
アイルー、メラルー大好きな人の為の猫小説です。


 

 

鬱蒼とした木々の集合、ねっとりとした空気、蒸し暑さ、見通しが悪く現在地もすっかりわからない。危険なモンスターの跳梁跋扈する密林。

その奥地、他より気持ち開けた場所でたった今、一頭の竜が絶命した。

 

 

 

 

 

 

「流石旦那さんですニャ!リオレウスをあんな簡単に倒しちゃうなんて、カッコいいですニャ!一生付いていきますニャ!」

 

苦しそうなうめき声を一声あげ、その巨体を震わせながら力無く身体を地面に沈ませていく火竜(リオレウス)を見上げながら、後ろの(オトモ)は嬉しそうに声をあげた。

 

「この程度僕にとっては朝飯前ニャ。それより怪我は無いニャ、タルト?」

 

俺は後ろを振り返り、今にも涙を流しそうな程に喜んでいる両足立ちの(オトモ)に向かってそう聞いた。

 

「心配してくれて嬉しいですニャ!旦那さんが火竜(リオレウス)を一方的にボコボコにしてくれたから怪我は無いですニャ!それより旦那さんこそ傷は負ってないですかニャ?回復笛ならいつでも吹きますニャ!」

 

「薬草笛も要らんニャ、大丈夫そうなら良かったニャ。もう少し進んで休憩場所を探すニャ、街までまだ先ニャんだろ?」

 

「はいですニャ!」

 

(タルト)の無事を確認し終え俺と(タルト)は先に進み始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「見つけましたニャ!水場ですニャー!」

 

人間の背丈程の高さから湧き出た水が小さな小さな水路を作っている。小さな虫や小鳥が水場の周辺で水分を補給していた。

そこに(タルト)が水場を見つけたテンションを抑えきれず、猫らしく四つ足で突っ込んでいく。突然突っ込んできた白い毛玉に驚いた虫や小鳥達が慌てて逃げ去っていったが、どうやらは(タルト)はそれ処では無いようだ。

 

「うんまいですニャー!天のお恵みですニャー!」

 

水をガブガブ飲みながら(タルト)が騒いでいる。水が出ているのは天ではなく地面からなんだが…。

 

「こらタルト、もっと周りを警戒するニャ。水場は生き物が集まってくるニャ、大きなモンスターだってくることもあるニャ。」

 

はしゃぎ過ぎて油断している(タルト)に灸を据えるつもりで言ったが、実際問題近くに危険そうなモンスターの気配は無い。とは言え俺さえ気付けない程気配を隠すのが上手いモンスターが潜んでいる可能性が無いとは言えない、今の自分の身体能力がどうなっているのか把握しきれていない為だ。

 

「ご、ごめんなさいですニャ…。もう何時間も水飲んでなかったからつい…。」

 

いつもは尖った癖がついている(タルト)の元気そうなしっぽが、見る間に栄養失調を起こした植物のようにヘタっていく。しっぽの先っちょはキョロキョロ動いて所在無さげだ。可愛い

 

「次から気をつけるんだニャ、警戒はいくらしたって無駄にはならないニャ。」

 

「仰る通りですニャ…、勉強になりましたニャ!」

 

立ち直りが早い奴だ、まぁ狩りにおいてはそういった気持ちの切り替えの早さは大事な事だ。

 

「あ、旦那さんは水飲まないんですかニャ?美味しいですニャ!天の恵みですニャ!」

 

「飲むに決まってるニャ、ついでに補充もするニャ。」

 

(タルト)の隣に腰掛け、俺は垂皮竜(ズワロポス)の皮で出来た皮袋を取り出した。

 

「お前もちゃんと水を確保しておけニャ、水は計画的に飲むんだニャ。」

 

(タルト)が眼をキラキラさせながら「ニャるほどー」と呟いているのを横目に水路に顔を近付ける。猫の頭一つ分程の幅を作る水の流れ道から清涼な空気と冷気を感じた。

 

「流石旦那さんは物知りですニャ!僕もいつか()()()()()()()()カッコよくて博識な(アイルー)になりたいですニャ!」

 

 

 

 

 

勢いよく立ち上がって張り切った声で(タルト)は叫んだ、その衝撃か水面にほんの少し波紋が生じる。ゆらゆらと揺れる水面には、目前へと顔を近づけていた一匹の(メラルー)が映し出されていた。




更新は不定期です。


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そのハンターの名は…

「ナックル‼」

 

 

様々な人種が集いクエストの受注やそれらの準備、もしくはたった今クエストから帰って来たであろうハンター達。飲食スペースでこれからどうするか等の相談をしているパーティや、傍らで風呂敷を広げ露店を商う商人。

そんな喧騒の中一際通る声で俺を名前を呼ぶハンターが小走りで近付いてくる。

 

「クエストの受注完了!明日にはベルナ村出て古代林に向かうよ!」

 

自慢の弓を背中にかけ、小さな身体を少しでも大きく見せるように胸を張る女性。ショウグンギザミの素材で出来た防具を身に纏い、或いはまだ子供と間違えられてしまいそうな幼い顔立ちが楽しげに話しかけてきた。

 

「そうか、ならクエストに備えて食料や足りないアイテムの買い出しに行くか、クリス。」

 

「うん!ナックルとクエスト行くの久しぶりだから楽しみだよー。」

 

クリスと呼ばれた女性は嬉しそうにそう返してきた。

 

「クエストと言っても龍歴院から依頼された正式な仕事だ、はしゃぎ過ぎるなよ。」

 

俺とクリスは龍歴院に所属するハンターだ。普段は各々自由にクエストを受け世界中を飛び回っているが、ちょくちょく龍歴院から指名依頼を受ける事もあるので必ずクエスト後には龍歴院に依頼は無いか確認をしている。

たまたまベルナ村で束の間の休暇を味わっていたらクリスと合流出来たので、折角だから二人でクエストに行こうかという話になったのだ。

 

「もう、ナックル相変わらず堅いんだから。依頼って言っても内容は古代林の奥地の調査なんだからそこまで危険は無いって!大型の確認も今んとこ無いし!」

 

二人でクエストに行くという事で先ずは龍歴院にクエスト依頼は無いか確認したところ、古代林の奥地の調査を依頼されたのでそれを受けることにしたのである。

 

「調査だからこそしっかりやる必要が有るだろう。謎の変異を遂げた植物の報告が有ったらしいし、その辺りも含めて確認をしておかなくてはな。」

 

未だに未開のエリアが多い古代林の奥地、そこに群生する既知の植物が未知の物へと変貌する。そんな奇怪な現象がここ最近確認されているらしい。

その現象の原因の究明もしくは手掛かりでもいいから情報を求むと、龍歴院からは厳命されている。

 

「変な事も起きるもんだよねー、あたしは学者さんじゃ無いから話聞いても何も分かんないけど、好奇心湧いちゃうよ」

 

「まあ、そうだな、俺もクエスト云々抜きにしても気になる。現物を拝んでみたいもんだな。」

 

「って言っても目的は調査であって、噂の植物の採取じゃないから無理に探す必要も無いんだろうけど。」

 

そう言って少し肩を落とすクリス、しかし変異した植物のサンプルは多い方がいいだろうし、無理の無い範囲で採取しておくべきかもしれない。

先行して調査に励んでいる龍歴院の調査員から詳しく状況を聞くべきだろう。

 

「状況がまだ分からないし、龍歴院からのクエスト内容も随分ざっくりしていたからな。いつも調査だなんだのは専門の調査員が行ってる筈なのに、人手が欲しいのかもしれんな。念のため準備はしっかりやっておこう」

 

「そうだね、期限もたっぷりくれたし、大急ぎで調査してこい!って話じゃないみたいだね。一応長期滞在用に準備しておこうか。」

 

何があるか分からないし、大型モンスターが突然現れても対応出来るように準備はしておくべきか。隣でクリスが「肉焼きセット~」と呟いているのを横目に、俺はため息をついた。

 

 

 

 

 




世界観はXXを元にしています。


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