HDDの曹操になったんだけど、ここは型月世界のようだ。 (シオンズ)
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召喚の阻止

HDDとはハイスクールDxDです。


日本にて。

 

暗闇の部屋の中で、一人の男が魔法陣の前で怪しい動きをしていた。

そしてそばには、暗い緑色の髪をした女性も立っている。

男は魔法陣の上にナイフを置くと、笑みを浮かべて一言呟く。

 

「これでジャック・ザ・リッパーを呼べるはずだ」

 

そして男は魔法陣の前に腕を出し、何か呪文の様なものを唱え始めた。

 

長い詠唱を終え、魔法陣が光りだす、

しかし、光はすぐに消えて何も起こらなかった。

 

「クソが!」

 

その事に腹を立てた男は、魔法陣の上にあるナイフを持ってそばにいる女性に突き出した。

 

女性は死ぬ、そう思った。

しかし、そうはならなかった。

 

何故ならその女性の前には、この場には居ないはずの男が、槍でナイフを弾いたからだった!

 

 

☆☆☆☆☆ 主人公side

 

 

うん、本当に危なかったわ。

あと少しでジャック・ザ・リッパーなんてヤバいモノを呼び出されるところだった。

 

「おっ、お前は誰だ⁉︎ 何で此処にいる⁉︎」

 

俺にナイフを弾かれた男が、分からないといった顔で怯えている。

急にまぁ、誰だってそうなるわな。

男はそのまま俺を見続けると、何かに気付いたのか声をだす。

 

「まっ、待てよ⁉︎ その槍にその姿は、まさか⁉︎ 」

 

男は俺の正体に気づいたようだが、もう遅い。

俺は瞬く間に槍を振るい、男の右腕を肘から切り取る!

 

「ゔあぁぁぁぁぁぁ⁉︎ 」

 

男は腕を切り取られ叫びをあげる。

俺は切った腕を拾い、男に呼びかける。

 

「おいおい、何も命まで取ろうって訳じゃない。俺が事をやり終えるまで、そこにでも座っていてくれ」

 

そして俺は、切った腕の手の甲にある赤い痣を、とある方法で自分の手の甲に移すと、腕を切られて未だに声を上げてプルプルしている男に投げ出す。

 

すると、男は声を荒げて俺に問う。

 

「なんで、こんなっ、事を⁉︎」

「どうして、と言われても簡単に言えば、世界の為、かな?」

「なっ、何を言っているんだお前は⁉︎」

 

俺はその質問に答えず、槍の石突で男の頭を強く叩き、気絶させる。

そして後ろにいる、未だ呆然としている女性にも同じ事をする。

何かを言いたそうであったが、とりあえずさっさと終わらせねば!

 

男の頭に手をかざし、魔術を使って記憶をいじる。

先程の事や魔術の事に関しては全て消した。

多分、これで大丈夫だろう。

 

「後はルーマニアに行けば、いいだっけ?」

 

これからの手順を確認する。

確認し終わった後は、目の前にいる男の切った腕も繋げて元に戻しておく。

これで一応証拠は消した。

本来なら部屋ごと燃やしたりしなければいけないが、記憶を消したので、別にそれはいいだろう。

 

長居すると意味がなくなってしまう為、俺は窓から飛び降りて闇夜に紛れた。

 

そして自分の家に戻ってきた俺は、椅子に座りつつホッとする。

いやぁ、本当に危なかった。

これで何とか聖杯大戦に介入出来そうだ。

 

え? 俺の名前? 曹操ですが何か?

 



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曹操の過去とサーヴァントの召喚

シャルリア宮の奴、序盤がきつくてエタりそう...


簡単に言ってしまえば、俺は転生者、という奴らしかった。

とある田舎村で生まれ育ち、ある日俺は、これがただの転生ではないと知った。

 

何故なら俺の容姿が、ハイスクールD×Dの曹操を若くした姿だったからだ。

 

でもそれだけではまだ確信はなかった。

だが、そこからは早かった。

ほんの好奇心で聖槍を出せるかな? と思ってみれば出せてしまい、その結果、親に売られたり殺されかけたりもした。

 

しかし、そうなると必然的に身体能力は上がり、槍術、体術なんかも格段に使えるようになっている。

俺が曹操本人だというのなら、この才能も分かるが、俺自身は前世は普通の学生だ。どう考えてもおかしい。

 

しかも原作の曹操は完全にテクニックタイプ。

強い奴の攻撃は、一撃貰えばOUTになるほどの紙耐久だ。

なのに俺の身体は、人間とは思えないほど、それこそ赤龍帝の鎧だとかそれぐらいまでの強度を、戦えば戦うほど得てしまっているのだ。

 

そしていつのまにか、俺は曹操として、一人の人間としてどこまで高みに登れるか気になっていた。

だから俺は決めた。

原作みたく英雄派を作ろうと。

 

勿論、テロリストにはならない。

神器使いを優先的に保護して、俺のように鍛え上げる。

そうすれば三大勢力と交渉でもして、人間の安全をなるべく保証する事ができる。

それに後々、公式に全種族が戦える事が出来るのだから、わざわざテロリストになる必要はない、というわけだ。

 

仲間を見つける、その為に俺は世界を回った。

ありとあらゆる国、地域を回り、紛争にも介入した事もあった。

色々と出会い、別れを繰り返し、見た事がありそうな人とも出会い、足の悪い少女を直したり、呪われた男を直したりと、気付けば着々と実力が上がり、旅に出る前とは比べものにならないぐらいに強くなった頃、俺は何かおかしい事に気付いた。

 

原作キャラいなくね、と。

見た事がありそうな人はいたが、全部別人か違う人。

そもそも悪魔、堕天使、天使どころか異形の存在すら殆どいなかった。

いても雑魚、聖槍の力を使わず、単なる技術で倒せた。

それが例え、吸血鬼じみた生物やや幻想的な存在でも同じだった。

 

振るうべき相手がいない力ほど、虚しいものはなかった。

 

俺は、ヴァーリ・ルシファーや兵藤一誠といった、強く、それでいて信念があり、正々堂々戦えるライバルが欲しかった。

全力を出してもずっと戦えるような、そんな相手を俺は渇望していた。

そんな戦いが出来たなら、俺は、死んでもよかった。

勿論、死にたがりではない。

ただ、それぐらい満足出来る戦いが出来たなら、俺は幸せなのだ。

 

なのに、そんな存在はいなかった。

だって駒王町すら無かったのだから。

なら、俺は何なのだ。

来たるべき時に備え、いづれ出来るライバルの為に得たこの力は!

一体何の為に使えばいいのだ!

 

俺にテロリストになれと⁉︎

ふざけるな⁉︎ 俺はそんなものになりたい訳じゃない!

そんなのは俺じゃない!

 

そもそも、この10年ほどの修行の旅で神器使いは誰もいなかった!

聖書の神が死んでいるのか、生きているのかさえ分からない!

なら俺は、どうして聖槍を持っている⁉︎

 

こんな世界で、一体何の意味があるというんだ!

 

そしてそんな思いを抱えたまま、旅を続ける内にある情報が耳に入った。

あと少しで聖杯大戦が行われると。

 

そこで気づく。

この世界は、型月世界なのだと。

そうなれば色々と説明がつく。

吸血鬼は死徒とか言う生物で、幻想的な生物はもろ、幻想種なのだと。

よく振り返れば、確かに魔法、いや魔術を使える奴もいた。

ただハイスクールD×Dの魔法の方が印象強く、その時は弱い、としか思ってなかった。

 

色々な事を考え、俺は一つの結論にたどり着いた。

聖杯大戦に参加すれば、合法的に英霊と戦えるのだと。

 

ならどうするか、聖杯大戦ならば、ユグドミレニアも協会側もどちらも黒。

どっちのリーダーが勝っても、良いことはない。

なら第三陣営として、やるしかない。

しかし俺は精々、こちらの魔術については魔力が多いだけの魔術使いも良いとこだ。

 

槍で戦う俺は、回復系統しか基本的にやっていない。

まず参加資格が無いのだ。

ユグドミレニアには参加できない。協会ともパイプはない。

 

なら、事前に奪うしかない。

奪う奴は原作にあまり関係ない者、そうなればただ一人が浮かぶ。

ジャック・ザ・リッパーを呼ぶ男、相良豹馬。

 

こいつなら殆ど問題はなかった。

その他にも色々と手を回し、情報を集め、ついに相良豹馬を見つけたところ、召喚しようとしているのが見えた。

1回目の召喚はミスするのが分かっていた俺は、2回目の召喚の為に側にいる女を刺す時に介入し、令呪を奪い、記憶を消した。

 

記憶を消した理由は、記憶があればあの女を殺し、俺を追って来るかもしれなかったからだ。そうなると非常に厄介だ。

原作を離れすぎると、結末が変わってしまう。

それは流石に困る。

 

故に消したという事だ。

 

 

そして俺の召喚する枠はアサシン。

勿論、ジャック・ザ・リッパーは呼び出さない。

俺が呼ぶのは、安パイのハサン・サッバーハだ。

変なものを呼ぶより、確実に平和なハサンを呼ぶ方がいい。

 

基本戦うのは俺の役目なので、俺に出来ない隠密行動が出来るハサンがいいと思ったわけだ。

なるべく百貌のハサンが好ましい。

確か、最大八十人ほどに分身出来るのであれば、そうそう死ぬことはないだろう。

相性がいいだろう。

 

その為の魔法陣を描き、槍を左手に持ち、とりあえず召喚の詠唱を述べる。

 

素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

手向ける色は黒。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

 

告げる。

 

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!

 

 

さっきは百貌がベストといったが余りに関係はないな。

どうせ戦わないのだから。

 

魔法陣から光が溢れて眩しくなり、俺はつい手で目を隠す。

しかしその想いは高揚している。

 

さぁ! 一体何が出て来るのだろうか⁉︎

 

そんな少しの期待を胸に魔法陣から現れる存在を見る。

全体的な色は黒、つまり確実にハサン!

 

よく見ると服の色が黒で、肌は浅黒い、髪はショートカットの紫色、骸骨の仮面、つまり......!

 

ん⁉︎ ショートカット⁉︎ てことは、もしや静謐⁉︎

 

俺がぼおっとしてる間に、目の前の彼女は仮面を外し、俺の唇を奪う。

 

その瞬間、俺の身体は! 本能は! 訴えていた!

これから訪れる、死の危機を!

 



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唇を奪われた。

 

それも美女にだ。

俺も男、美女にキスされたのならば内心嬉しいものだ。

 

しかし、問題はする相手にあった。

ただの美女ではなく、彼女は高確率で静謐のハサンであった。

彼女の特質は、簡単に言ってしまえば毒。

 

その身は毒の塊であり、爪、肌、体液さえも猛毒であり、数々の命を奪い去った能力でもある。

そんな猛毒の塊であるような彼女と、粘膜接触すれば、ぶっちゃけ死ぬ。

 

俺にも多少の毒耐性があるが、そんなものは直ぐに超えられる。

ならばどうするか?

答えは簡単。あれを使うしかない。

正直アレは、あんまり使いたくない。

制限があるし、安全に使うには1日に二、三回しか出来ない技だ。

 

しかしこの状況は、もはや四の五の言ってる場合ではない!

 

俺は彼女から離れ、聖槍を両手に持ち替え掲げ、呪文を唱える!

 

「槍よ、神を射抜く真なる聖槍よ! コフッ! 我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの間を抉れ! なっ、汝よ、遺志を語りて、輝きと化せ!」

 

途中立っていられず、座り込むが問題ない。

 

それに毒のせいで少々アレだが、多分大丈夫だろう!

そして詠唱を終えると、俺の身体と槍は光り輝き始まる。

それと同時に、さっきまで身体を襲っていた痛みなんかがなくなってくる。

 

どうやら今回は、完全なる耐毒耐性と毒の解除のようだ。

危ない、完全に死ぬとこだった。

前に毒を持つやつと戦って置いて本当に良かった!

そのおかげで少しばかり耐性がついていたのか、少しは時間を稼ぐことができた。

 

しかし、俺もうっかりしていた。

原作の曹操レベルだ。

いや、でも流石に瞬間で殺しに来るとは思わなかった。

 

って、ん?

なんか目の前の静謐のハサンが俺に抱きついてきた。

そのせいで俺は後ろに倒れこんでしまった。

 

というか、まだ殺したいのかよ⁉︎

 

と俺が内心そう思っていると、静謐は急に泣き始めてしまった。

ん? ん? ん?

俺には既によく分からん状況だ。

 

どういう事だ? そう目の前の静謐のハサンに聞こうとした時、すすり泣きしながらも声を出し、俺に何かを言い始める。

 

「見つけた。私に触れても死なない人」

 

......あったね。そんな設定。

聖杯の望みとかも、触れても死なない人だっけ?

もはや完全なる毒耐性をつけた俺は、その条件に確かにピッタリだ。

これが結果オーライというやつか......

 

ていうかこの数分で色々とうっかりしすぎだろ。

自分でも心配になってきたよ......

 

いや、それよりもまずはこの状況だ。

俺は自分の身体から静謐のハサンを剥がす。

なんで、ちょっと残念みたいな顔してるんだよ.........

 

「とりあえず、君が俺のサーヴァント、という事で良いのかな?」

「はっ、はい!」

 

なんか凄く喜んでるんだが。

無表情ながらも、俺でも分かるくらいだ。

美女は表情が分かりやすい、と言うのは本当らしい。

 

「なら、早速だが真名を教えてくれないか? ハサンだというのは分かってはいるんだが、どういう事が出来るのかはそれぞれ違うのだろう?」

 

本当は分かっているが、それだと色々と不審点があるのであえて聞くことにする。

 

「私は......静謐のハサンです。先程の通りに、私の全ては......毒素で出来ています」

 

静謐のハサンは、先程とはまた違った顔、そう悲しそうな顔で答える。

 

どうやら先程の事を曲がりなりにも気にしているようだ。

俺としては、それくらいの事ならば結果的に生きているのなら、別に怒ったりはしない。

多分一度死んで転生したからか、生きていれば良いや、なんて心の底では思っていたりするのだろう。

 

「先程の事は気にするな。それよりも開催地でもあるルーマニアに、明日向かうぞ。ルーマニアに行けば何が起こるか分からない。気を引き締めておけ」

「はっ、はい!」

 

うん、まぁ、良いだろう。さっさとルーマニアに行く支度をするか。

明日には飛行機に乗る予定だし、今日は英気を養うためにも、早めに寝よう。

 



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ルーマニアへ

次回くらいから戦闘描写がある......かもしれません。
ルーキー日刊なるものをみると、9位になっていました。
とても嬉しいです!


眼が覚めると、隣には見たことのある美女がいた。

 

......静謐ですね分かります。

これは、霊体化しろって言ってない俺が悪いんですかねぇ?

アサシンだから良いものを、これがバーサーカーなら最悪ものだった。

燃費が悪いにも程がある。次からは気をつけねば。

というかサーヴァントだから、寝ていたわけじゃないだろうに。

いや、周りを警戒してたのか?

うん。やはりコミニュケーションは必要だな。

改善する必要があるようだ。

 

と言うか何気にこちらをずっとみてくるんだが......

あれか? 昨日の今日で距離の取り方が分からないのか?

うん、俺も分からない。

 

俺が身支度をしていても、ベットにちょこんと座ってこちらを見ている。

なんか物凄く恥ずかしくなってくるんだが。

どうしよう。かなり切り出しづらいなぁ。

 

 

 

結局、チキンな俺はどうもしないまま、飛行機に乗っている。

勿論、ハサンには霊体化してもらっている。

パスポートとかもない訳だし、普通の選択だ。

多分、六導玲霞もこんな感じで来たんだろう。

 

時間は確か...日本からルーマニアまでは約17時間ほど。

しかも一度は乗り継がなきゃいけないし、金もかかる。

かと言って能力で飛ぶわけにもいかないため、飛行機に乗っているのだが、ありたいに言って、暇だ。

 

やることが無さすぎる。

そもそも着いたら、どこまで原作が進んでいるのだろうか。

前世の記憶が段々と薄くなってきている為、さっさと確認しなければいけないというのに。

 

だが、どの道機会が来るまでは潜伏する訳だ。

強いて言うなら、黒のキャスターの[王冠・叡智の光]辺りか、赤のバーサーカーの暴走辺りで介入したい。

 

その為に、ある程度の我慢は仕方がない。

そうなるとどうやって日にちを潰そうか?

流石に、おおっぴらに観光はまずいだろう。

 

右手の甲にある令呪を隠すためにワザワザ両手に手袋を履いているが、むしろ知ってる人が見れば怪しさ満点だろう。

適当に野営でもして過ごそうかなぁ。

あんまり金も使いたくはないが、宿を借りる方がいいか。

 

宿の予約してないけど大丈夫かなぁ。

もし宿が無くて、夜営してる時に見つかるとか一番ダメなパターンだからなぁ。

静謐のハサンは幸運が高いから、きっと大丈夫......の筈。うん。

 

その幸運を少しくらい分けて欲しいぐらいだ。

てかよく考えると、静謐のハサンは街中でも霊体化してなきゃいけないのか。

少しでも身体が触れてしまえば、大抵の人間は死ぬぐらいの猛毒だそうだし。

 

......本当に俺と相性良いのかなぁ。

 



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戦闘への介入

一万UAになりました! 読んでくださって嬉しいです!
うーん、なんか失敗したかも


見渡す限りの広い土地で、数々の戦いが行われていた。

そしてその中の一つには、二人の騎士が戦っていた。

 

二人の騎士は既にボロボロで、二人とも鎧が半壊し、どちらも重傷とも言える怪我を負っている。

そんな中、赤のセイバーことモードレッドは、黒のセイバー、ジークフリートになったジークに怒りをぶつける。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、貴様! 何故生きている⁉︎」

「ハァ、ハァ、ハァ、倒れる訳には...いかない! クッ」

 

ジークは剣を杖にして立ち上がり剣を構える。

 

「来い! 赤のセイバー!」

 

その言葉に、モードレッドはどう猛な笑みを浮かべ、剣に赤雷を纏わせて答える。

 

「いい度胸だ、欠陥セイバー。だがなぁ、騎士王に立ちはだかるにはチョイと不相応だ」

「今度こそ、殺してやるぜ」

 

そうして赤と黒の、セイバー同士の戦いが始まる...筈だった。

そこに、介入する者がいなければ。

 

「それは困るな」

「誰だ!」

 

声を掛けてきた方を向くと、そこには、制服の上に漢服を羽織った()()()()()()()()()()()()()が立っていた。

 

☆☆☆☆☆

 

危ないところだった。

後学の為に宝具を観察しようと近くによったら、物凄い衝撃が辺り一面に来るもんだから、思わず避けてしまった。

あのセイバー達とは違い、俺には鎧も無ければサーヴァントほども耐久力がない。

受けてしまえば、かなり手痛い事になってしまう。

 

結果的に避けることが出来たので、さして問題はないがな。

さて、おそらくもうすぐで赤のバーサーカー、スパルタクスが来るだろう。

 

聖槍を使えば、アレと戦っても勝つことは出来るが......そこにジャンヌ・ダルクがいるのであれば、なるべく避けたいところだ。

それに恐らく、天草四郎時貞達も魔術で見ていることだろうし、聖槍の事はまだバレたくはない。

 

それに、聖槍には信者を忘我の境地に至らせる効果がある。

ジャンヌ・ダルク、天草四郎時貞。

そのどちらもキリスト教の信者である事は知っている。

強いて言うならほぼ確実にジャンヌ・ダルクはなるだろう。

しかし、天草四郎時貞は少し怪しい。

...なんか、そんな感じがしてしまうのは気のせいだろうか。

 

いや、今はいいだろう。

それよりも、俺が誰かだと?

 

()()()()()()()

 

「え⁉︎」

 

驚いたのは赤のセイバーではなく、黒のライダー、アストルフォ。

いや、本当はマスターなんだけどね。

静謐は後ろで霊体化している。

 

さっきも言ったが聖槍を見せる事は出来ない。

そうなると体術か、そこら辺で何か買うしか無くなるが、そこら辺で買えるものは木の棒程度だった。

 

流石にそれだと難しい。

それに体術もだ。

鎧を着ている相手に体術はあまり相性が良くない。

 

しかも俺の体術は、誰に教わった訳でもない自己流。

専門的な技術もあまりない、

正直、圧倒的に相性が悪い。

......ならどうするか。

 

......あ、サーヴァントから借りよう。

 

しかし相手も英雄。

簡単に貸してくれる訳でもなく、長い長い交渉の末に破損させない事を条件に、今回だけ、三本のうち一本を貸してくれる事になった。

 

その際、関係修復? の為に俺の事を少し話して、今回の戦いでは殆ど戦う必要が無いことを話すと、かなり悲しそうな顔をしていた。

 

罪悪感を感じたので、とりあえず何か言いまくっていたら機嫌を良くしてくれたので良かった。

「貴方は、私に触れても死なないのですね」から始まり「私に、触ってくれるのですか」で終わる感じだった。

 

......少々やらかしてしまった感があるのは否めないが。

女性の扱いなど俺には分からないのだから、仕方ないだろう。

 

この曹操フェイスは、客観的に見てもイケメンだと断定出来る。

俺が普通の生活を送っていれば、彼女なんかも作れるだろう。

しかし俺の場合は違う。

確かに夜のお誘いはあった。

 

一度それを受けた結果、暗殺されかけました。

それからはもう、一度も行った事はない。

 

俺、戦いに関わりすぎたのかなぁ。

 



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聖女の輝き

後書きの追加しました。
番外編消しました。



戦場の一角にて、一つの金属音が鳴り響く。

戦う者は、鎧が半壊している女と制服の上に漢服を着た男。

 

そして状況は、女の方は赤と銀を基調とした剣でもって男を切り裂こうとしているが、男がそれをクナイの様なナイフで受け流している。

 

「クソッ! アサシン風情がオレの剣を受け流すだと⁉︎」

「流石に今の君なら俺でも受け流せるよ」

 

本来あるはずの、英霊と人の差。

いかに英霊が傷付こうとも、そう簡単にその差は覆せない。

なら、なぜ彼はこうも見事に受け流せるか?

 

それは、この男が別の世界の聖槍に選ばれた男だからだ。

 

☆☆☆☆☆

 

俺は今、念願の英霊と戦っている。

 

英霊モードレット。

アーサー王伝説に出てくる有名な英雄の一人だ。

そのモードレッドと戦っているが、コイツ口悪すぎだろ。

 

「テメェ! やる気あんのか!」

 

ごめん。あまり無いけどね。

残念な事に相手は手負いだ。そんな中で勝っても嬉しくはない。

いや、そもそもモードレットは今倒すべきではない為、あまり関係がない。

セミラミスについてはコイツに任せたいし、倒せないのも辛いな。

 

だがしかし、最終目標はカルナと戦うこと。

 

同じ槍使いとして、さらに半神半人という奇異な生まれをもつ、英雄の中の英雄と戦いたい。

モードレッドには悪いが、その為の慣れと情報収集の為に今、戦っている。

 

「ハッ! クソアサシンが!」

 

感想を言えば、正直、流石セイバーとでも言っておこうか。

先程は余裕があるように言っていたが、実はそんなに無い。

慣れないナイフなんかでは、次第に推されるだろう。

モードレッドのステータスが平均でBとかだった筈だ。

ステータス自体はカルナの少し上ぐらいか。

 

「勢いよく出て来た割に、大した事ねぇじゃねぇか!」

 

やはり聖槍が無ければ辛いな。

相性としてはカルナとはあまり良いわけではないし。

やはり魔力放出があるのは戦いづらい。

流石の俺でも英霊に比べれば紙耐久レベルだ。

聖槍で防がなければ、直ぐに死ぬかもしれない。

 

「そろそろ終わりにするぞ! クソアサシン!」

 

武器も損傷しそうだし、そろそろ本格的に押されそうだ。

やはり英霊相手にハンデ戦は無いな。

うん、もうそろそろだ。

なので俺を弱いと思ってくれてるいま、隙をついて一旦距離を取る。

 

「ハッ! これで終わりだぁ‼︎」

 

モードレッドはより力を入れ、剣に赤雷を纏わせる。

そんな中、野太い男の声が聞こえる。

 

「フハハハハハ!」

「赤のバーサーカー⁉︎」

 

野太い声を発する生物は、そのままモードレットに突っ込む。

モードレッドは剣で、バーサーカーを止める。

しかし。

 

「圧政者よ! 私の愛で滅びろぉぉぉ!」

 

バーサーカーが叫ぶと同時に飛ばされる。

しかし空中で一回転し、綺麗に着地する。

そして剣を構えると。

 

「テメェ! 汚らしい肉風情が!」

 

赤雷を纏わせてた剣の魔力で、バーサーカーを真っ直ぐに切る。

それを身体で受けたバーサーカーは真ん中を半分ほど切られるも、うめき声を上げながら、切られたところから再生していく。

 

「コイツ...チッ、気持ち悪い」

 

モードレッドはそれだけ言うと霊体化してしまった。

対して元の姿に戻ったジークは未だ立ち上がれずにいる。

 

「くっ」

「動くな! 傷が大きい」

「そこの三人! 逃げなさい!」

 

ジークとアストルフォの会話に入ったのは、ルーラーことジャンヌ・ダルクだった。

 

「ここは危険です。急いで......貴方は...どうして⁉︎」

「すまない。貴方に助けられた命なのに......けれど、どうしてもこうしなければならないと思ったんだ」

「貴方は...」

 

ジャンヌが複雑な顔をすると、アストルフォが割り込む。

 

「叱らないで!危なかった僕を庇って戦ったんだ。それで、こんな事に...」

 

いや、俺も戦ったんだけどなぁ。

と思った時、大地が揺れる。

 

「時間がありません。早くここから離れないと」

「いや、俺は動けそうにない。貴方こそ行ってくれ。貴方は、ここで滅んでいいサーヴァントでは無い」

「なら、せめて黒のライダー」

「嫌だ!」

「えぇ?」

「嫌だ嫌だ嫌だ!」

 

その言葉にジャンヌは困惑する。

 

「貴方...子供じゃないんですから」

「嫌だと言ったら嫌だ! 僕だって逃げない! ルーラーも僕だったら彼をここに置いて逃げないだろう!」

 

そう言った後に笑うアストルフォ。

その笑顔に負けたのか、ジャンヌはため息をつく。

 

「はぁ、分かりました。そう言われては仕方ありませんね。 私もここから逃げる訳にはいかない理由があります」

 

「ゔぉぉい」

 

バーサーカーの方から声がする。

身体にはモードレッドの剣の様な赤雷を纏い始めている。

 

「此処から動かないでください! そこの貴方も良いですね⁉︎ 絶対ですよ!」

 

やっと認知された様だ。

ジャンヌはその怪力で飛んでくる石を跳ね返すと、旗が輝き始める。

 

「スパルタクス、貴方のような英雄に、無辜の民を傷つけさせるわけにはいきません」

 

バーサーカーはより大きくなった身体を振り、口から強大なまでのエネルギーを放った。

 

「時は満ちた...我が一撃はあらゆる圧政を破壊し、全ての権力を打ち砕く。これがぁ! スパルタクスである!

 

我が旗よ! 我が同胞を守りたまえ! 我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)(リュミノジテ・エテルネッル)

 

 

ジャンヌがそう言うと、旗は更に光り輝き、バーサーカーの放ったエネルギーとぶつかり合った。




少し長いので見なくても大丈夫です!

他にも外伝的な感じで、他とのクロスオーバーでもしようかなぁと考えたりしてます。
やっぱりHDDにも出してみたいですねぇ。
プロット案としてとりあえず考えたのが、魔法科、物語シリーズ、ありふれ、IS、フェアリーテイル、何ですけど、完全に上手くいったのは、ありふれとHDDなんですよねぇ。
案があれば...時間があれば書きたいと思います。
あとstay nightも考えてます!



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