今は、まだ (izus)
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今は、まだ

はやヴィです。任務中の出来事がきっかけでヴィータとはやての関係性が主従&家族から少し変わる話。
時間軸はA's闇の書事件から6年後、空港火災から半年後の秋。はやて中3で八神家はまだ鳴海市の八神邸で暮らしている時期です。
 (初出:2016/11/03)(他サイトと同時投稿です)





 

 

 

 行く手を遮っている太い蔓を、アイゼンで叩き切り落とす。二分された蔓は力なく地面に垂直に垂れ下がって、その間を低速の低空飛行で通り抜ける。

 通るためにこうして蔓を切り開くのはこれで何度目かわからない。無益な伐採や森林破壊はしたくないけれど、こればかりは仕方がない。なにせ真っ直ぐに密林の中を進まなければいけないのがヴィータの今回の任務だったから。

 次元管理局より観測指定されているある一つの世界、その中のとある密林地帯。その上空で、ロストロギアと疑わしい発掘品が運搬中に喪失された。

 報告によると気が逸った発掘隊員が、本局からのロストロギア調査担当者を待たずに発掘品を定置観測基地へ単独で飛行して護送しようとし、最短ルートとしてこの密林地帯上空を通ったとき、最悪なことに知らぬ間に取り落としてきてしまったとのことだった。

 通常なら通ったルートを遡って探知魔法で探せば済む話なのだが、問題を難しくしているのがこの密林地帯。

 この一帯は密林を成している特異な樹木の葉と特殊な鉱石を含む地層とが、魔法妨害フィールドを発生させている天然の通信ジャミング地帯で、探知魔法が及ばない。そして発掘品を落下させた地点は記録がなく位置が不明。故に遺失した発掘品は密林に分け入って直接的に探す他がなかった。

 密林には調査隊の隊員では歯が立たないほどの危険生物などいるわけではないが、探す失せ物は何しろロストロギアと疑われる発掘品。

 半年ほど前の春に起きたミッド臨海空港火災の時のようにロストロギアに付随して神出鬼没する、存在をまだ公にされていない機械兵器の出現が今回の件でも懸念され、念を入れるため本局航空隊に出動要請が下り、一人で危険領域に侵入し一人で生きて帰ってこれる隊員が望ましい、ということで攻防兼ね揃えた単独戦力として定評があり、謎の機械兵器に対処した経験もあるヴィータが選出されたというわけだった。

 白羽の矢が立ったのはヴィータの他にもう一人。

 六年来の腐れ縁、航空教導隊教官の高町なのは。

 本局航空隊は少数精鋭と言えば聞こえはいいが、実情は万年の人手不足。教導隊教官もいざとなれば前線に配備され、今回もそれを地で行く采配が取られて回収任務の実働部分をなのはと二人で担当することになった。

 密林地帯はそんなには広くない。密生する樹木とその間を茂みや蔓が生い茂っているけれど、低空・低速でしか進めないにせよ飛行可能なので進行は困難ではないし、直径数メートルと狭い範囲だが遺失した発掘品の発する特殊な魔力を探知できるよう調整されたセンサーを伴い、二手に分かれて反対側から密林を端から端まで探知しながら中央に向ってなめていけば、半日ほどで全域の捜索が終わるだろう広さだった。

 そんな経緯で密林の中で失せ物探しをすること早数時間。そろそろ担当区域の探知を半分くらいは終えただろうか。

 騎士服の左胸に着けているブローチ大の平たい円型のセンサー機器の小さなボタンを押下する。左手前に常時現出させている空間モニターに密林の全体俯瞰図を呼び出すと、図の両端が全体面積の四分の一くらいずつ探知済の領域を表す透過色で塗られていた。

 魔力光と同じ赤色が自分、明るい桃色がなのはで、探知の進捗は思った通り全体の半分くらい済んだといったところ。遺失発掘品を発見次第、センサーに内蔵された魔力によらない機械的な通信機能で連絡をする手筈になっていて、これまでにそれが来てないということは、なのはの方でもまだ発見できていないのだろう。

 モニターの表示を元のセンサー有効範囲表示に戻して、顔を上げて再び前方の密林に向き直り、前進を再開する。

 今日の天候は快晴で、葉を透過する光のお陰で明るさは保たれているが木漏れ陽はほとんど差していない。枝葉は陽の光を求めてか高いところに濃く多く生い茂って密林に天井を形作るかのようで、幹から突き出ている枝や下生えの草はほとんどなく、行く手を遮るものの殆どは樹木の間に垂れ下がる蔓だけ。

 進むのに草木の掻き分ける必要がないぶん気は楽だったが、密林の隅から隅までを探知し潰すために真っ直ぐに進行しなければならないことには変わらず、迂回ができないよう行く手を遮る蔓は、先のようにアイゼンで叩き切り払って進む必要があるのだった。

 蔓といっても色や形も様々で、か細いものもあれば樹木の枝のように硬いものまである。進捗を確認した先刻の地点から少し進んだ今の位置には、瑞々しい深緑色をした、太さが子供の腕ほどもある種類の蔓の密集が強いようだった。

 露出してる木根や倒木、岩や地面を覆うようにはびこっている様は、まるで太いホースをあたり一面に縦横無尽に広げたかのよう。

 植物には詳しくない、見知らぬ世界のものとなれば特に。密林に入ってから初めて見る種類には違いなかったが、それ以上を思うことは特に無い。先に進むため低空飛行を続け、その蔓群の上の空間に差し掛かる。

 そのとき。

 がくんと飛行高度が落ちた。

「うわっ!?」

 地面へ、重力によって引き寄せられる。崩れた体勢を重量のあるアイゼンを軸に空中で立て直して、はびこる太い蔓の上に足と腕とで三点着地した。

 騎士としての空戦技能のおかげでこの程度のことでは全く大事に至らない。

 それよりも先ほどまでのような飛行の浮力が得られないことの方が問題だった。

 魔力をいくら結合しようとしても、凝らした端から消失する。

 これは。

「AMF!?」

 アンチ・マギリンク・フィールド――魔力結合・魔力効果発生を無効にするフィールド系魔法。けれど、上位魔法なだけにそれなりに魔力を要するはずが、周囲から術者の気配を一切感じない。

 こうした状況を作り出せる存在には、すぐに思い当たる心当たりがある。

 ロストロギアのあるところに突如として現れる、正体不明のAMF機械兵器。

「どこだ……!?」

 記憶にある、丸みを帯びた無機質な金属の外見を探して周りを見渡すも見当たらない。どこかに隠れているのかもしれない。アイゼンを取り直して構えると、その瞬間、地面が動いた。

「っ!」

 正確には、足下の蔓が急激に蠢いた。驚いて飛び退く。けれど飛び退いて着地した先にも蔓ははびこっていて、植物とは思えない素早い動きで待ち構えていたかのようにこちらの手足にその深緑色の管を絡みつけてきた。

 周囲の太い蔓がさらに数本、大蛇のように持ち上がって押し寄せてきて、身体に腕ごとぐるぐると巻き付いてあっという間に雁字搦めにされる。

「なんだこれっ!?」

 蔓は重く、自重や張力を利用して引き倒しにかかってくるかのよう。足に力を入れて辛うじてそれに耐えるものの、身動きが取れない。蔓に圧迫されてセンサー機器のスイッチが誤入力されたか、空間モニターは消えていた。

 食性植物、という言葉が頭を過る。折悪くAMFが働いている状況。けれどこのAMF濃度ならカートリッジを使って魔力を注ぎ込んだアイゼンを振り回せば、脱出はきっとできるだろう。

 こんなの、なのはのバインドに比べたら全然生温い。

 手放してないアイゼンのグリップを握り直し、カートリッジのロードを命じようとした矢先。

 視界の端に、影が差した。

 それは、はっとして身を固くした自分の目の前に悠然とした足取りで回ってくる。

 背格好は自分より頭一つ高いくらい。肩上で切り揃えた明るい焦げ茶のまっすぐな髪に、右側の一房に赤い紐の髪留め。茶色の管理局捜査官の制服に身を包んだ、この上なくよく見知った少女。

「はやて!?」

 自分たち守護騎士の敬愛する主として、一家の家長として、大好きな少女――八神はやてが、目の前に立っていた。

 こちらの驚きを意に介すことなくはやては目を細めて、十代半ばのまだあどけなさの残る少女の顔でにっこりと微笑む。

「なんでここに、っ」

 微笑みながらはやては手を伸ばしてこちらの頭に触れてきて、続けようとした言葉を思わず詰まらせた。疑問符でいっぱいのこちらの頭を微笑ましげな顔で撫でてくるその手つきはいつもの、八神家の家族以外の目がないときにしてくる撫で方で、思いがけなく出会えた嬉しさも相まって胸の中に暖かいものが込み上げてくる。

 けれど、ぎゅっと目を閉じる。胸中で頭を振って、和みかけた気持ちを引き締め直す。

 はやては地上部隊の特別捜査官。そのはやてが単独でこんなところにいるのはおかしい。要請があって出動しているなら同じ任務にあたる部隊メンバーとして事前に情報を必ず聞かされるはず。

 それを問おうと、はやてを見上げる。

「はやてっ、……いや、その前に」

 身体の自由を奪っているこの蔓をどうにかするのが先だった。

 けれど今アイゼンを振り回せばはやてを巻き込む。後ろに下がってもらわなければ。それを言おうと、口を開こうとしたとき。

 茶の制服の腕が腰と首とに回されて、見上げていた顔ごと、はやての胸元に抱きしめられた。

 小さなのろいうさぎを左右にあしらった紅い帽子が頭から外れて、足下の蔓の上に落ちる。

 露わになった二房の三つ編みの頭を、はやてはたまにしてくれるみたいに抱きしめたまま穏やかに撫でてきて、強張らせている全身やアイゼンを握る手から、撫でられるたびに力が抜けてしまいそうになる。

 頭のなかで、これはおかしいと警鐘が鳴り続けている。

 それを頼りに流されまいと気を張る。抱きしめてくる腕を振り払おうと、頭を振ろうとしたとき、はやてはそれを見透かしたように不意にこちらから身を離した。

 怪訝に思って見上げると、はやては自分が好きな、優しげな微笑みを柔らかく浮かべていて。

 言葉に詰まるこちらに、差し伸べた両手で頬を包んできた。

 この状況をおかしいと思っているのに、振り払えない。

 顔を寄せてくる所作を前にしても、動けない。

 額に、前髪の上から柔らかい何かが押し付けられたのを感じた。

「ぁ……」

 それが何か思い当たって、かあっと顔が熱くなる。

 ときどき戯れにそうやって額に口接けされることはあった。そのたびに心臓が落ち着かなくなる思いをさせられているというのに、はやてはこちらのそんな心境を他所にやめることはなかった。今このときのように。

 けれども。

 軽く落とす所作を何度も繰り返した後、それは徐々に下に降りてくる。まぶたの上に、鼻筋に。

「は、はやてっ……」

 こんなふうに、額以外にされるようなことは、今までになかった。

 警鐘と混乱で頭がいっぱいになるさなか、頬を挟んでいるはやての手の親指がふいに、唇をついとなぞった。

 その感触に、心臓が跳ねる。

 やにわに顔を離したはやてが、目の前で顔を少し傾ける。そのあと、それがゆっくり近づいてくるのが見えた。

 鼓動は早くなる一方。とうとう堪えきれなくなってきゅっと目を瞑った。

 その直後。

 目の前を、横殴りに風が吹き抜けた。

 はっと目を開くと、目の前からはやての姿が消えていた。

 濃密な魔力の気配を感じてその方向を見上げると、見えたのは明るい桃色の魔力光に包まれた白い服の少女の姿。

 砲撃形態のレイジングハートをこちらに向け構えたままのなのはが、少し離れた宙に滞空していた。

「ヴィータちゃん、大丈夫!?」

「あ、ああ……」

 風が吹き抜けて方向を見やると、数メートル離れたところに蔓の塊が無造作にまとめ置かれた太いロープのように横たわっていて、人の頭ほどの岩石の下敷きになっていた。

 動かないその蔓の塊はちょうど人間一人分くらい体積と大きさがあって、先刻まで目の前にいた存在の正体がそれなのだろうと推測がついた。

 岩石はおそらく、なのはの物質加速型射撃魔法で射出されたもの。さらに別のところで丸みを帯びた金属機械、AMF兵器と思しきものが、同様に岩石を食らって白煙を上げていた。最初に見渡したときに見つからなかったのは、辺り一面に蔓延っている太い蔓に埋もれていたせいかもしれない。

 あのはやては、やはり偽者だった。

 わかっていたのに、攻撃することが、跳ね除けることができなかった。

「出られる?」

「大丈夫だ!」

 AMFはもうない。アイゼンを一息に振るえば、身体に巻き付いていた蔓はいともたやすく千切れ飛んだ。

 なおも絡みつこうとする蔓を振り切って空中に逃れる。蔓の届かない宙から見下ろした周囲は、蔓延る深緑色の太い蔓が波打つようにうごめていてなんとも不気味な光景が広がっていた。

 シュワルベ・フリーゲンの鉄球を数発打ち込むと、辺りの蔓はしばらくのたうっていたが、やがてその動きを止めた。

 

 

 

 遺失物はなのはが発見していた。

 センサー内臓の通信機能でこちらに連絡をしようとしたところ応答がなく、異常を察してなのははこちらの座標に駆けつけたということだった。

 蔓に身体を拘束され、背中に蔓が繋がった人間のようなものに絡まれてるこちらの姿と、土と蔓に埋もれるようにいたAMF兵器とを見つけて、AMFの発生を考慮して効果範囲外と思しき距離から物理攻撃をすべく、岩石を投射したと言う。

 AMF兵器は移動機能が壊れているのか身動きできなかったようで、使用者が何らかの目的で使役したものが、壊れたと思われて打ち捨てられていたのかもしれない。魔力を感知することで、魔導師が近づいてきたらAMFを展開して襲うようにでも設定されていたのだろう。

 そして、こちらを襲ってきたもうひとつの相手。

 深緑色をした太い蔓の群れ。

「……あたしを襲ったあの植物、何だったんだろ」

 帰投した定置観測基地で、本局から派遣されたロストロギア調査担当者による遺失発掘品の簡易検査の結果を待つ間。検査作業の様子を少し離れたところの壁に寄りかかりながら、なのはと並んで眺めているさなか。こちらの漏らした疑問を聞いて、なのはが空間モニターを呼び出した。

「ちょっと調べてみようか。……これかな」

 少々の操作の後、こちらにも見えるようなのはが寄せてくれた空間モニターには、見覚えある深緑色の太い蔓が表示されていた。写真画像はサイズを縮めながら左横にスライドして、空いたスペースに詳細データと解説文が表示される。

「レアリティ高いね」

「といっても絶滅危惧種ってわけじゃないみたいだな」

 生息地情報には、この世界の密林地帯にしか生息しない植物性生物と書かれていた。

 データ表の下に続いている概要を読む。

 ――魔力を糧にして育つため、魔力を持つ存在を好む。

 ――種子植物で、種子散布に動物を利用する。密林に生息する獣等、捕獲した生物の思考や精神に感応して擬態体を作り出し、消化器系、生殖器系等から種子を生物の体内に移す。

 ――擬態体は捕獲した生物にとって警戒されない交配を許せるような相手の姿を取り――

「なっ、」

 文を追う目がその一文で止まって、思わず声が出た。

 なるほど、と隣でなのはがモニターから目を離さずに言う。

「それで人間の姿した蔓の塊がヴィータちゃんに迫ってたのね。そういえばあの後ろ姿、背中に蔓は繋がってたけど他は管理局の制服そっくりだったし、誰かの背格好に似ていたような……」

「き、気のせいだ! あんなの誰にも似てなかったっ!」

 慌てて消去ボタンに手を伸ばしてモニターを消去した。

 なのはが首を傾げてこちらの横顔を見た気配がした。それに気が付かないふりをして腕組みをして、押し黙ったまま正面を向いていると、調査員が声をかけてきた。ちょうど検査を終えたところらしく、内心でほっと胸を撫で下ろした。

 

 

 

 時空管理局本局に帰投した後、所属部署の自分の席で空間モニターに向かうこと小一時間。報告書の作成画面を見ているはずが、目に映しているだけといった感じに思考が上滑って、いつの間にか手を止めてしまっているのはもう何度目か。

 あの植物性生物は、鳥や小動物に果実を食べさせて丸呑みさせた種子を遠隔地で排出させることで散布するといったような、植物でよく見られる種子の散布手段を掴まえた自分に施そうとしたのだろう。だから命の危険に晒されるということはなかっただろう、けれど。

 ”捕獲した生物の思考や精神に感応して、警戒されない交配を許せるような相手の姿を取る”――自分の見せられた擬態体は、はやての姿、だった。

 抵抗できたはずだった。身体に巻き付いている蔓ごと、跳ね退けられるはずだった。

 なのにできなかった。

 あのときなのはが来なかったら、あのまま、偽者のはやてに。

 想像してしまって、顔が熱くなる。

 どうして拒絶できなかったろう。自分はそれを望んでいた? そういうことをされたいと思っていた?

 はやてに?

「っ、そんなわけない……」

 小さな呟きが思わず口をついて出るも、周囲の同僚たちの耳には入らなかったようだった。

 けれど空間モニターは半透過。机に肘をついて俯けた顔を両手で覆う。赤いだろう顔を、見られないように。傍目には、出向任務の後で疲れているくらいにしか思われないことを祈りながら。

 こんな調子でははやてに顔を合わせられない。

 抱きしめて口接けしようとするはやてが頭から離れなくて、はやての顔を見れそうにない。

 小さな電子音が聞こえて顔を上げる。モニターにはメール着信の通知が表示されている。

 モニターに触れてメール開封すると、シグナムからの『了解した』とだけの、寡黙な将らしいシンプルなメッセージ。

 『今夜は書類仕事が長引くから夕飯はいらないと、はやてたちに伝えてほしい』と送ったメールの返信だった。

 夕食は本局の食堂で摂って、急ぎではない書類仕事に手を付けるなどした後、鳴海市の八神家に帰宅すると時刻は二十二時過ぎ。

「ただいま」

 廊下で通りがかって見えたリビングには、思い思いにくつろぐシグナムたちと一緒にはやても居た。

 部屋着姿でソファに座っていたはやてが、膝上に広げた雑誌から顔を上げてこっちに微笑む。心臓がどきりと跳ねて、慌てて目を逸らした。

「おかえりヴィータ、おつかれさま。ご飯ちゃんと食べたん?」

「う、うん。あ、風呂入ってくるからっ」

「ん、いってらっしゃい」

 その声を背にしながら早足で脱衣所に駆け込む。会話を早々に打ち切って良かった。洗面台に映る顔は、うっすらと朱が差し掛けていた。

 風呂から上がって部屋着に着替え、髪はいつものように下ろしたままでリビングに行くと、夜も更けてみんなは既にめいめいに散ったようで、ソファで雑誌から本に替えて読んでいるはやてと、ソファ近くのいつもの位置で腹ばいに座る狼形態のザフィーラだけが残っていた。シグナムとシャマル、リィンはもう寝たのかもしれない。

 点けっぱなしだけど誰とも見る者がいない状態のテレビに歩み寄って、前に座ってテレビ台からゲーム機を引っ張り出す。

「なんや、長風呂の後はゲーム?」

 顔が赤くなってしまって、ものぼせているせいと思われるのを期待して長湯をしてきたのだった。おかげで今顔が熱くなってるのは、はやてのせいなのか火照りのせいなのか自分でもわからないくらい。

 ケーブルを取り回してゲームの準備をする手元に視線を落としたままで答える。

「うん。前にクリアしたやつ、またやりたくなって」

「二週目ってやつ?」

「そんな感じ。ちょっとだけ夜更かしするから、はやては先に寝てて」

「わかった、じゃあわたしはもう寝るよ。ヴィータもほどほどにしてちゃんと寝なあかんよ?」

「うん」

 後ろからソファを立って歩いていく足音と、はやての部屋のスライドドアの開閉される音が聞こえて、内心でほっとしながらゲームの電源を入れる。

 それから一時間くらいプレイした後、ゲーム機とテレビの電源を落とした。ソファの近くで既に眠っているザフィーラを起こさないようにそっと立ち上がってリビングの照明を落とし、クッションを枕にしてソファの上に横寝になる。

 ゲームの再プレイを始めたのは、こうして夜更かしの後にソファで寝てしまったということにすれば、いつものようにはやてと一緒のベッドで眠らなくて済むと考えてのことだった。

 顔すら合わせられる気がしないのに、一緒に眠るなんてできそうにない。

 けれどそれはいつまで続くのだろう。きっと、密林での出来事を思い出さなくなるまで。

「っ……」

 思い返した傍から密林でのことを思い出してしまって、腕に抱えてる大きいのろいうさぎのぬいぐるみを抱きしめて、熱くなりかけた顔を埋めた。

 翌朝は、急ぎの用事があるということにして朝食を作ってもらう前に辞退して、一人で先に家を出て次元転送して出勤して。

「長引く書類仕事が続いてて、しばらく帰りが遅くなるからその間の夕飯はいらない」

「このゲームやっぱりおもしろくて」

 などと言い訳して、深夜にはのろいうさぎを抱きしめてソファで寝る。

 そんな生活を三日ほど続けた。傍で眠るザフィーラは、何も言わないでいてくれた。

 

 

 

 深夜。これまでと同じようにゲームを終えてテレビと照明を消し、ソファの背もたれに背を向けて横になる。もう三日は過ぎたというのに未だに密林での出来事は頭から離れなくて、はやてと顔を合わせられない。

 明日、というかもう日付が変わった今日は、自分もはやても非番の日。

 はやての予定は聞いてないのでわからない。こちらの予定は特になかったけれど、家にいればはやてと顔を合わせてしまうだろうから、どこかに出掛けるしかなさそうだった。

 どこへ行こうと考えるも、行き先が決まらないうちに眠りに落ちてしまいそうになる。日中にうっすらした眠さを感じるほど、連日の夜更かしで睡眠時間が微妙に不足していた。

 ともかく明日は早朝から外に出ることにして、どこに行くかは家を出てから決めればいい――考えるのをやめて、意識を手放そうとしたとき。

 背を向けている背もたれの上の方から声が降ってきた。

「ヴィータ。そんな風に毎日ソファで寝てたら体に悪いよ」

 肩がわずかにぎくっと跳ねてしまう。声は、聞き間違えるはずもない、はやてのもの。

 寝不足気味でとても眠かったところを寝入りかけていて、近づく足音と気配に気が付かなかった。

「大丈夫、だから」

 そう応えた自分の声は寝入り端だったせいか予想外に小さくか細く、全く大丈夫に聞こえなくて逆効果に思えてしまう。

「わたしがソファで寝るよ。ヴィータはベッドで寝な?」

「はやてにそんなことさせられない。シグナムたちにだって怒られる」

 ふう、と息をついた音がかすかに聞こえた。

「なんやようわからんけど、わたしと一緒に寝たくない言うことやろ?」

「それはちがっ、ぁ……」

 気落ちしたトーンで問われて思わず反射的に否定してしまう。

 本当のことが言えないとはいえ、一緒に寝たくないということには違いがないのに、誤魔化さずに否定してしまったことで言い逃れができなくなってしまった。

「違うんなら今からでもベッドいこ? わたしはヴィータがおらんとよく眠られへんよ」

「そう、なの」

「そうや。抱き心地がええせいかよく眠れるんよ。せやから一緒に寝てくれへん?」

「……うん」

 のろいうさぎを抱いたまま、ソファから身体を起こす。

 今夜は、逃げられそうもなかった。

 

 

 

「一緒に寝てくれておおきにな」

「……お礼を言うようなことじゃない」

 ふふ、と右隣で自分と同じく仰向けで寝ているはやてが、小さな忍び笑いを漏らすのが聞こえた。

 深夜を回っているからだろう、ベッドに入った後はやてがすぐに明かりを消したから、熱を持ちかけてた顔やこちらの様子を見られることがなくて安心だった。

 窓の上の小さな採光窓やカーテンの裾から漏れる外からの微量な光で、部屋はかすかに明るい。目が暗闇に慣れれば表情くらいは見分けがつくくらいに。

 とはいえ自分もはやてもこのまますぐに眠ってしまうだろうから、心配することは何もない。

 目を閉じて眠ろうとしていたら、囁くような小声ではやてが話しかけてきた。

「なあヴィータ」

「……なに?」

 横になってまだ間もなくの今に、寝たふりをするのは無理があった。

「この前の出撃で、あの世界で何かあったん? 現地の植物型生物に捕まって、なのはに助けられたって聞いたけど」

 単刀直入に、あっさりと問題そのものを切り出されて身体が固まる思いがした。

「べつに……無事だったんだから、それでいいじゃん」

 動揺を悟られないよう気を付けながら、誤魔化そうとする。あんなことがあったなんて知られるわけにはいかなかった。

 けれども。

「植物型生物が作った偽物のわたしに、ちゅーされそうになった?」

「なななななんでそれを!?」

 思わず掛け布団を跳ね退ける勢いで飛び起きて、はやてを振り返った。

 はやては身体を起こすと、口の前に人差し指を立てながら言う。

「しー、大きな声を出すとリインが起きてしまうよ」

「っ!」

 慌てて両手で口を抑える。ガラス戸のキャビネットの上を見遣ると、置かれているドールハウスのようなリィンの寝室のカーテンは閉じられたまま。中で眠っているリィンを起こさないで済んだようで、ほっとして手を下ろした。

 はやてはこちらを向いて足を崩し座ると、潜めた声で言う。

「ヴィータたちが派遣された星のこと調べたんよ。そしたらヴィータを襲った生物のこともわかってなあ…とはいえ擬態体がわたしの姿だったというのは、これまでのヴィータの様子から勘で言ってみただけやけど」

「ひ、引っ掛け!?」

「うん。見事当たったみたいやな」

「うぅ……」

 薄暗闇の中で見えるにっこりと笑うはやてから、管理局で小さな狸と揶揄される鱗片を見せられた気がした。

 でもなあ、とはやて。

「ヴィータの様子がいつもと違う理由、わからんかったのがわかってすっきりしたよ」

 気をかけさせてしまっていたようで、申し訳なさを感じる。

 そして、これ以上は隠し通せない。そう諦めた以上に、語りかけてくるはやての声の優しさが白状をいっそう促した。

 前に伸ばしている自分の足に視線を落としながら、言う。

「……あの偽者がはやてそっくりで、ぶっ叩けなかった」

「ん……そっか」

 下ろしてる髪の上から背に回されたはやての腕に左肩を、もう一方の腕で頭を抱き寄せられて、横からぎゅっと抱きしめられた。

「ヴィータがわたしのこと、そないに思うてくれてたなんて冥利に尽きるわ。おおきにな」

「う、ん……」

 はやての腰の辺りの寝間着の裾を、指できゅっと掴む。

 身体に回されてるはやての腕に、力が篭るのを感じた。寝間着の裾を掴んだのを感じてというわけではないだろうけど、ハグにしては強いし、時間も長い。いつもと少し違う、と思った矢先、力が緩んだ。

「……でも、襲ってくる相手からは身を守らなあかんよ。さもないとヴィータがやられてしまうんやから」

「うん」

「そやなあ……また同じ状況になったとき、ヴィータが危ない目に合わないよう、今のうちにちゅーしとこうか」

「えっ?」

「せやから、ちゅーしよ?」

「えええっ!?」

 脈絡の無さに上げた声をはやてが聞き返しと受け取って、結果的に二度重ねられたその言葉は聞き間違いの可能性がなくなって、思わず弾かれるようにはやての腕の中から出た。

 少し高い位置にあるはやてを見上げると、はやては微笑んでいた。それも何だか楽しげに。

 顔が上気するのを感じる。顔だけじゃなく全身が上気するかのようで、変に汗が出る思いがする。

 部屋は薄暗闇だけど、顔の朱ははやてから見えてしまっているかもしれない。けれど、もう隠す術がなかった。

「あの手の生物って、擬態体作ってキスや何やらで他の生物に種を移そうとするやつやろ。きっと完全コピーはでけへんやろうし、そんなら本物の方といっぺんでもして知っておけば、ヴィータも迷わなくなるんちゃう?」

「それは、そうかもしれないけどっ」

「ヴィータはわたしとするの、いや?」

 悪戯っぽい微笑みを浮かべながら、はやてが小首をを傾げて尋ねてくる。

 人の間で行われる、その手の行為の概念。その中の一つのキスなんて、恋人同士といった仲の相手としかしないというのは知っている。

 人間と変わらない身体に具現化されてるとはいえ、自分たち守護騎士は夜天の魔導書を守る防衛プログラム。その上自分が低年齢だという観点からしても、自分にはあまり関係ないこととして興味もなくてよく知らない。

 そういった人同士の行為についての認識は、昔のベルカと現代とで時代が違っていてもほぼ変わらないと、これまでの見聞で感じている。

 けれど、はやての出身地の海鳴市のある世界の現地呼称「地球」の習慣と、一般的な次元世界の習慣とは、そう変わらないと思うけど実際のところ同じかどうなのかはわからない。

 わからないけど。

「……いやじゃない」

「なら、ええね」

 先ほどと同じように背から左肩にと頭とに腕を回されて、軽く抱きしめられた。

 そのあと、下ろしている髪の上から優しげな手つきで頭の後ろを撫でられる。そのうちにはやての右手が、俯けてる顔の左頬を包むように触れてきて、思わず肩が小さく跳ねた。その手にやんわりとはやての方に顔を向けさせられるのも、なすがままにされる。

 密林でのあのとき、なのはが擬態体を吹き飛ばしてくれていなかったら、手足を蔓で拘束されて身体の自由を奪われていなかったとしても、危うかったかもしれない。

 こんな風に、はやてが相手だと動けなくなるのだから。

 前髪の上から額に、はやてが口接けをしてくる。そこまでは、これまでも戯れでときどきされていることだった。とはいえ全く慣れるものではなく、例に漏らさずという以前に、はやての申し出のせいで心臓は既に落ち着かなく早鐘を打っていた。

 軽く触れる仕草を何度も施しながら、徐々に下に降りてくる。あのときの、蔓の擬態体のように。

 眉根の間に、鼻筋に、柔らかな感触が落とされていく。

 ふいに、頬を捉えているはやての手に顔を軽く上げさせられた、と思ったすぐ後。

 唇に触れてくる感触があった。

 柔らかくて、あたたかくて、その感触は現実のもので、体中の全部の神経が触れ合っているそこに集中して、頭の中は真っ白だった。

 程なくして、外されて離れていく。

 はやての顔との距離も離れて、こちらの顔も自然、少し俯く。

 時間にして、ほんの数秒の間のことだったろうに、一分にも十分にも長く感じられた。

 本当に触れ合わせてしまった。

 実感が後からじわじわと押し寄せてくる。その認識は、胸の奥に他人事のように小さく生まれただけだったのに徐々に大きくなって、やがて頭の中をいっぱいにして目眩を起こさせた。

 頭をくらくらさせていると、はやてからまた抱きしめられた。上体を右に向けて向かい合わせみたいになっているところを、ぎゅっと強く。

 腕を持ち上げてはやての背中に回す。目眩がする中で力がよく入らない腕で抱き返すと、はやてはますます強く抱きしめてくる。

「ん~~っっ」

 たまらないという風な声を上げながら、はやてはこちらの頭に頬ずりしてきた。

 しばらくそうしていた後にやがて。

「ふあっ!?」

 はやてはこちらを抱きしめたままベッドに倒れ込んだ。

 横寝になってもまだ抱きしめられたまま。

 そうまでしてここまで、ずっとぎゅっと抱きしめ続けてくるさまは、まるでこちらを抱きしめることで何かを堪えでもしているかのようにすら思えてきた。

 そろそろ苦しい、と言おうとした矢先に、ようやく腕の力が緩んだ。

「ん、もう大丈夫や」

 一体何がなのだろう。わからなかったけれどともかく、苦しくなくなったのでそれで良かった。

 詫びるかのように、はやてが頭を撫でてくれる。

 撫でられるたびに目眩は治まっていって、あれだけ鼓動が早かった心臓も落ち着いてきて、気分は穏やかなものになりつつあった。いつもはベッドの隣で感じてた久しぶりのはやての体温が、気恥ずかしさを遠ざけて和ませてくれているのかもしれない。

 挙動のおかしさから、はやてのことが頭から離れないでいることを知られるのが怖くて顔を合わせられなく、いつまで避け続ければ良いかもわからない不安感が嘘みたいに晴れた。これも”いっぺんしておく”効果なのだろうか。わからないけれどもしそうなら、そんなことまで考えていたはやてはすごい。

 やっぱり、はやては大好きだ。

 自分の気持ちから目を逸らさず、曇り無く誰かを大好きと思えるのは、こんなにもかけがえないことなのだと。今更ながら実感する。

「なんにせよ、ヴィータの気持ちが分かってよかった」

 ゆるい力でだけど未だこちらを抱きかかえてるはやての声が、頭の上の方から聞こえる。

 この数日間、様子のおかしな自分に気を掛けさせてしまって申し訳なく思う。そのことを謝ろうと、口開こうとしたとき。

「これからも、ときどきちゅーしよな?」

「ええっ!?」

 びく、と思わず肩が跳ねる。どういうつもりで言っているのか分からなかった。慣れるため?

 けれど。

 いっそうはやての胸に顔を埋めて、くぐもった声で言う。

「はやてがしたいなら……いい、よ」

 断る心は、持ち合わせていなかった。

「そか」

 はやては短く応えて、また抱き寄せてきた。

 ときどき。どのくらいの頻度かわからないけれど、とにかく、またキスをする。

 それを思うと、ようやく穏やかになりかけていたのに、また心臓の鼓動が落ち着かなくなってしまった。

 はやては、大好き。

 だけど今後では、大好きと言う言葉の中に、違う意味の好きが入り混じってしまう気がして。

 はやての顔が見られないということはなくなったけれど、人前ではもちろん、はやてと二人きりのときでも、それを容易に言うことができなくなった気がする。

 だから。

 もう言えない、かもしれない。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 ふと目が覚めると、目覚まし時計が鳴る三十分前だった。もう起きようと決めて、けれど寝たままでサイドボードに手を伸ばして目覚まし時計のアラームをオフにする。隣ですやすやと寝息を立てて眠っているヴィータを、まだ起こしたくなかったから。

 仰向けの穏やかな寝顔にかかっている、ゆるく波のかかった紅緋色の髪の一房を指先でどけてやる。

「よく眠ってるなあ……」

 間近で呟いたけれど、目を覚ます気配は全くない。

 幸い今日は非番だから、ゆっくり寝坊させてあげようとはやては思う。ここ数日、深夜までゲームを続けた挙句ソファで寝るなどしていて、よく眠れていなかったのだろうし。

 昨晩はヴィータを抱えて横になっているうち、既に深夜過ぎだったこともあって、知らない間に眠ってしまっていた。初めて出会ってから六年もの間、いつも共にしていた体温を取り戻してこっちも数日ぶりによく眠れた気がする。

 遺失発掘品の回収任務以降、ヴィータに避けられていると感じていた。けれど避けられる理由がわからなかった。あんな様子では尋ねても素直に答えるわけはないからと、派遣された世界のことや探索した密林のことを調べ、勘でカマをかけたら見事的中した。

 急にこちらを避け始めたということは、ヴィータは密林での出来事がきっかけで自分の気持ちに気付いたのではないかと思う。

 自分と、同様に。

 ――擬態体は捕獲した生物にとって警戒されない交配を許せるような相手の姿を取り――

 ヴィータにとってそんな相手が自分だったと分かったとき、なぜだかうれしくて、それで知らなかった自分の気持ちに気が付いた。

 衝動のままに突っ走ってしまいそうな自分を、ヴィータを抱きしめることでどうにか堪えた。

 眠るほんの前の会話を思い出す。

 ――はやてがしたいなら、いいよ。

 いつかはヴィータの方から、したいと言わせたい。永遠に不変な生来の子供らしさで好いてくれるのもうれしいけど、そうでない方の意味でもヴィータから好かれたい。

 気持ちに応えたいし、気持ちを伝えたいけど、しばらくはこのままの、ときどき戯れるような関係で。

 この先に進むには生まれ故郷のここ、地球の慣習でいう大人になって責任が取れるようになってから。

 現在十五歳。子供と大人の中間の今は、まだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ヴィータ→はやて:自覚が微妙な片思い
 はやて→ヴィータ:気持ちをはっきり伝え合ってないだけの両片思いという認識がある
 …な感じに関係性は変化したけれど、表面上は変化があまり見えないという、この時間軸より後の原作(StSやStSSS04#13『「はやてとヴィータ』etc)になるべく違和感がなく繋がる形に着地することを目指して書きました。
 ヴィータとはやては原作では主従愛&家族愛な関係性ですが、関係性が少し変わったこの二人が数年後どうなっているのかは、ご想像におまかせします。





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