【SLG風】Cinderella in Your City:あなたの街のシンデレラ (自称付き人)
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プロローグ

初投稿です。短いですが気楽にご覧下さい。


理事長「……という仕事を頼みたい。悪くない内容だと思うが、受けてくれるな?」

 

 

理事長室に呼ばれ、長々と話を聞くこと約30分強。

 

まだまだ新人であるはずの俺が呼び出された理由は、全然理解できないものだった。

 

「えーっと……? つまり、どういうことでしょうか?」

 

理事長「……ふむ、噂では優秀な人材と聞いていたんだが、間違いだっただろうか?」

 

はい、その噂は多分間違いです。

 

理事長「君を推薦したのは千川君だったが、彼女にもミスはあるということか」

 

おまえか元凶か千川。

 

相変わらずよくわからん人脈を作るのが異常にうまいな。

 

理事長「まぁいい。これは決定事項だ。裁量および予算はある程度なら自由にしてよいから、この美城町、そして美城学園のために頑張ってくれたまえ」

 

「あれ!? さっき『受けてくれるな?』って聞いてませんでしたっけ!?」

 

理事長「私は気が長いほうではなくてな。それに、即座に返事をできないほど悩んでいる部下がいたら、背中を教えてあげるのが良い上司だと思わないか?」

 

「えぇー……」

 

直接話すのはこれで2回目だったと思うけど、やっぱりこの人はやや強引だ。

 

まぁ、そんな器量がなければ若くしてこの町ぐるみのマンモス校の理事長なんてやってられないのかもしれないけど。

 

「すいません、せめて質問させてもらってもいいですか?」

 

理事長「ふむ、職務に前向きなことはよいことだ。何でも聞くがいい」

 

「給料、少しくらい上がるんですよね?」

 

理事長「特に質問はないようだな」

 

「わー! 嘘です嘘です! ちゃんと仕事上の質問もあります!」

 

理事長「先ほど気は長くないといっただろう……。その度胸は大いに認めるが、タイミングは考えたほうがいいな」

 

一瞬、目がすごい冷たくなったよ……あー怖かった。

 

「なんで学校がそんなことしなきゃならないのか、とか、なんで私が選ばれたのか、とか、聞きたいことはいろいろあるんですが」

 

理事長「その言い方だと、別のことを聞きたそうだな」

 

そりゃそうだ、もっと聞かなきゃいけないことがある。

 

とても大事で、今後の仕事に大いに影響のあることだ。

 

「やっぱりいまいちちゃんと理解できていないんで、もう一度説明いただいてもいいですか?」

 

 

 

 

直後、思いっきり引っぱたかれた。

 

えぇ、自分が悪いのは理解しています。はい。

 

 

 

 

理事長「君というやつは……まさかと思うが、私をからかっているのではないだろうね?」

 

「そんなまさか。理事長をからかうなんてそんなことできるわけないですよ。ただ、部屋に入るなり新しい仕事の説明されるとは思わなかったので」

 

それに受けるつもりもなかったのに。

 

「ただ、やらなきゃならないならちゃんと理解して納得したうえでやりたいので、もう一度説明をお願いしたいです」

 

いくら勝手に決められたこととはいっても、やらなきゃならないなら仕方ない。

 

腹をくくって、やれることをやろう。

 

理事長「……ふむ。なるほどな。たしかに千川君が推薦するだけのことはあるか」

 

独り言のように理事長が何か言っていたが、千川の名前が聞こえた。

 

くっそ、知らないうちに奴の株を上げてしまった。これはケジメをさせなければならない。

 

理事長「確かにいきなり説明した私にも非があった。叩いてしまったことは謝罪し、改めて説明をしよう。

 

「謝罪というなら給料を」

 

理事長「んー?」

 

「いえ、なんでもないです」

 

このお姉さん怖すぎるよ……

 

理事長「では改めて、君に重要な仕事を頼みたい。成果や期限はある程度こちらで設定するが、手段は原則君に任せる」

 

理事長「我が美城学園は、この美城市と一緒に成長してきた。そして今後とも美城市の成長を担う存在でありたいと思っている」

 

理事長「そこで私は、新たに専門部署を作り、市政や産業、住民と連携し美城市の発展させることにした」

 

理事長「早い話がこういくことだ」

 

理事長「君にこの美城市をプロデュースしてもらいたい。成果を期待している、プロデューサー」

 

 

 

 

 

こうして。

 

入社2年目の新人学校事務員は晴れて街を盛り上げるプロデューサーになることになりました。



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アシスタントとご対面

理事長室を出て。

 

学校内というには少し綺麗すぎる(とはいえこの学校しか知らないが)廊下を歩きながら、今後のことを考えてみた。

 

P「町おこしのプロデューサー、ねぇ。何をどうすれば良いのか、何がどうなれば良いのか、全然わかんねぇや」

 

決まったことをグダグダ文句言うのは性に合わないけど、実際先の見通しが見えないとどうしようもない。

 

元々この学校の職員になったのだって、そんな大きな理由があるわけではない......こともないが、「地域社会のために身を粉にして働きます!」ってわけでもないしね。

 

P「裁量や予算はあるったって、それは何がしたいか決まってこその話だもんなぁ。......どうしたもんかね?」

 

一人でブツブツ言いながら、目的地までたどり着く。

 

『地域振興課』

 

ドアに書かれた名前は、むしろ市役所にあった方が違和感のない名前だった。

 

P「俺はいつのまに公務員になったのだろう...さて、アシスタントさんとやらにご挨拶しますか」

 

理事長から大雑把な説明を聞いたあと、「詳しい業務内容、方針については、これから一緒に仕事をするアシスタントに任せることにしている。彼女は優秀なので、しっかり教えてもらうと良い」とこの部屋に向かうよう言われた。

 

すでにアシスタントさんは中にいるようで、部屋の整理か何かをしてくれているらしい。パタパタ......というよりガタガタ?と音が聞こえる。

 

「理事長、彼女って言ってたな。......とりあえず、まともな子だったら良いなぁ」

 

この街はなぜだか知らないが、可愛い子が異様に多いと言うことで有名だったりする。確かにそれは事実、ではあるのだが、同時になぜかえらく個性的な子(オブラートな表現)が多いので、住み慣れてる自分からすればとにかくまともな人であることが大事だ。

 

P「まぁ、鬼や悪魔じゃない限り大丈夫か。こんにちはー、今日からここでお世話に」

 

ちひろ「あ、ようやく来ましたね! ようこそプロデューサーさん!」

 

鬼や悪魔で済むと思った? 残念! 千川だよ!

 

P「お邪魔しました」

 

Pは逃げ出した!

 

ちひろ「ちょいちょいちょーい」

 

しかし回り込まれてしまった!

 

ちひろ「こんな美少女捕まえていきなり出てくなんて失礼じゃないですか?」

 

P「いやいやごめんな? 部屋を間違えてしまったみたいだ。もう二度と間違えないから離してくれない?」

 

ちひろ「何言ってるんですか。あなたの職場はここで合ってますよ」

 

P「ははは、何を言いだすんだ美城市役所の千川さん。あなたの職場は市役所のはず。なら学校事務の私の職場ではないだろう」

 

ちひろ「本日をもちまして、管財課の千川ちひろは美城市役所学園支局に異動になりました」

 

P「ならばやはり間違っています。ここは地域振興課ですよ」

 

ちひろ「ついでに、千川ちひろは地域振興課に異動しております」

 

P「......マ?」

 

ちひろ「マ」

 

P「Oh...」

 

まぢかよ......。

 

ちひろ「ほらほら、こんな可愛くて頭の良いアシスタントと一緒に仕事できて嬉しいですよね? もっと喜んでも良いんですよ?」

 

P「頭がいいのは認めるけど、だからこそぜんっぜん可愛くねぇわ。やっぱ今からでも断ろう。元の部署に戻ろう」

 

ちひろ「や、あなたの席もうここにありますから」

 

P「は!? さっき話聞いたばっかりだよ!?」

 

ちひろ「さっき正式に発表になったんだからそりゃそうでしょうねぇ」

 

P「いくら荷物少なくても、ちひろ一人で持ち運べる量じゃなくない!?」

 

ちひろ「元の部署の方に笑顔で話しかけたらみんな協力してくれました♪」

 

P「えぇ...」

 

これだから外面完璧超人は...勢い余って昔の呼び方しちゃったし。

 

ちひろ「というわけで、今日から一緒の場所でお仕事ですね! よろしくお願いします」

 

嬉しそうにニッコリと笑う千川。ほんと、この笑顔に何人もの人が騙されたんだろうなぁ。

 

部屋の中央の机に本当にあった自分のカバンや書類を確認して(わざわざ使いやすいように整頓されていた)、もう逃げ場も言い訳もないことを悟る。

 

P「ま、もうここまで来たらしょうがないか。改めてよろしく、千川」

 

こうして、俺の地域振興課生活がスタートした。

 




次はチュートリアルです。ゲーム的な要素が出てくる予定


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チュートリアル

今回はチュートリアル。だんだんSLGっぽくなってきました。
前書きには選択肢と、関連するイベントフラグを記載しようと思います
だいたいこれくらいのペースで投稿していければいいなぁ...


P「で、具体的に俺はどうすればいいんだ?」

 

とりあえず身の回りのものが(やや不本意ながら)ちゃんと揃っていることを確認して、千川に今後のことを聞くことにした。

 

P「理事長からは『何をするか』は聞いたけど、『どうすればいいか』は聞いてないんだよ」

 

ちひろ「あれ、そうなんですか?」

 

P「『アシスタントに聞け』って言ってた」

 

ちひろ「美城さんは...人使い荒いんだから...」

 

P「美城さんってお前」

 

友達か何かか?

 

いやまぁ、確かに千川は別に美城学園の職員じゃないから、美城さんでも問題はないんだけれど。

 

ちひろ「わかりました。それでは私がPさんのために、このゲームの目的をご説明しましょう!」

 

ゲームって言っちゃったよ。メタいな。

 

ちひろ「まず大雑把に言ってしまうと、このゲームは街を散策し、そこで出会う方々と交流することで街の発展度と住民の親愛度を上げていくことが目的です」

 

P「シム○ティとか○列車で行こうみたいなものか?」

 

ちひろ「確かに似ている部分はありますが、例えばライフラインを整備して住宅を作ったり、鉄道を敷いて収支を増やしたりするようなものじゃないではないですね」

 

P「信長の○望の方が近いか」

 

ちひろ「天下統一が目的というわけではないですが、自身の分身を操作して街のパラメータをあげる、他キャラと交流するという部分はほぼ一緒です」

 

P「街のパラメータがあるってことは、行動によって増減するってことだな」

 

ちひろ「別に攻め込まれたりすることはないので、そんなに減るということはありません。初期値から少しずつ上げていって、目指す街に近づけて行きます」

 

P「パラメータを上げるとどうなる?」

 

ちひろ「街の称号が手に入ります」

 

P「称号?」

 

ちひろ「街の特徴を表すものです。わかりやすいところですと、街の《文化》が上昇すれば【学問の街】、《健康》が上がれば【健康推進市】などですね」

 

P「ふむ」

 

ちひろ「これらは複数のパラメータが条件となる場合もあります。例えば《人情》と《活気》が高いと【思い出の詰まった商店街】って称号が手に入ります」

 

P「いろんなのがあるってことだな。にしても、商店街って街の称号なのか?」

 

ちひろ「その辺はご愛嬌ってことで」

 

P「称号が手に入るとどうなるんだ?」

 

ちひろ「聞いて驚け! 街のプロデューサーとして気分が良くなります!」ムフー

 

P「おい」

 

ちひろ「まぁそれは1割冗談として」

 

P「ほぼ全部じゃねーか!」

 

ちひろ「称号が増えると街に新しい施設が増えます。また、特定の条件でイベントが発生したりしますよ」

 

P「ん? 施設がある→称号もらえる じゃなく、称号がある→施設が増える なのか。この手のゲームだと逆なイメージあるけど」

 

ちひろ「名目上は街育成SLGですが、醍醐味はキャラクターとの交流ですからね。交流の中で街を発展に導いてください」

 

P「本末転倒ではないかなぁ...?」

 

ちひろ「それに、1から街を作り始めるわけじゃないですからね。『○○の街!』って宣伝してからシンボルを作る町おこしのありますし、そちら寄りだと思ってください」

 

P「それもそうか。で、キャラクターと交流ってのは?」

 

ちひろ「街の発展のためにプロデューサーさんはいろんなところに行くことになりますが、そこで出会う方々と話したり、一緒に行動したりすることで皆さんに変化を与えることができます」

 

P「変化?」

 

ちひろ「はい。街同様、キャラクターには様々なパラメータがあります。プロデューサーさんへの好意を示す《親愛度》だったり、運動神経を示す《運動》、勉強ができるかを示す《学力》、人付き合いのうまさを示す《社交性》などですね」

 

P「ふむふむ」

 

ちひろ「皆さんと一緒に行動することで、『どこに行ったか』『何をしたか』などによってパラメータが増えたり減ったりします。そのパラメータに応じて皆さんの言動や行動に変化が出てくるって感じです」

 

P「変化が起こると何があるんだ?」

 

ちひろ「例えば人間関係だったり、趣味だったり、そういう部分が変わってきます。皆さんのいろんな面を見てくださいね」

 

P「なるほどな。って、交流についてはそれだけ?」

 

ちひろ「それだけって......まぁこれだけじゃないですけどね。最初に言った《親愛度》はちょっと違います」

 

P「好意を示すって言ってたな」

 

ちひろ「はい。この値が一定値を超えていくと、プロデューサーさんへの感情、または関係が変わってきます。いわゆるギャルゲー的な要素ですね」

 

P「ほぅ。それは是非とも詳しく話を聞かせてもらいたいものだな」フンス

 

ちひろ「鼻息荒くするなよおっさん」

 

P「まだ社会人2年目だよ!」

 

ちひろ「例えば、連絡先を交換していつでも行動に誘ったり、興味ないところでもついてきてくれる確率が上がったりします。また、積極的な子は何かプレゼントしてくれたりする子もいるかもしれません」

 

P「恋愛関係に発展することは!?」

 

ちひろ「......まぁ、あるんじゃないですか?」ムスッ

 

P「イェス!」

 

ちひろ「まぁあなたに惚れるような人がそうそういるとも思いませんけどねー」ムスー

 

P「へっ、今はいなくてもこれから出来るんだよ!」

 

ちひろ「...今もいるんですけどねー」

 

P「なんか言った?」

 

ちひろ「いいえ別に。まぁ恋愛関係になったりするだけじゃなく、場合によってはスペシャルエピソードも用意されるかもしれません。この世界における過去話だったり、他のキャラクターとの関わりのお話だったり」

 

P「ムフフな内容だったり!?」

 

ちひろ「......ムフフな内容だったり」

 

P「え、本当にあるの?」

 

ちひろ「設定がギャルゲーみたいなものですからね。ただ、基本的には親愛度を上げたうえでの物なので、NTR的だったり、プロデューサーさんからの強引な内容は無いと思います」

 

P「まぁ、そんなことするつもりないけど......なんでわざわざ俺から襲うこと否定したの?」

 

ちひろ「我慢のできない女の子から襲われる。ロマン、感じません?」

 

はい。大いに感じます。

 

ちひろ「とまぁ、概ねこんな感じです。改めて目的をざっくりまとめると、

①街のいろんな場所に行って、

②そこで出会う方と話したり一緒に行動して、③パラメータを上げて、

④自分の理想の街を作ったり、住民と仲良くなろう。

って感じですね」

 

P「だいたい理解できたわ」

 

ちひろ「ふふっ、私の説明、わかりやすかったですか?」

 

P「まーな。で、パラメータってのはどんなのがあるんだ?」

 

ちひろ「街、人それぞれ次の通りです。人のパラメータは初期値、現在値は見えないようになってますが、増減値は確認できますよ!」

 

街[ 《健康》《文化》《流行》《観光》《多様性》《利便》《人情》《活気》]

 

人[《親愛》《体力》《運動》《学力》《知恵》《センス》《優しさ》《誠実》《意思》《社交性》]

 

ちひろ「なお、人については住民だけでなくプロデューサーさんも設定されこれだけは例外的に確認することが可能です。ご察しいただけるかと思いますが、パラメータが高いほど有利になる可能性がありますよ」

 

P「なんか、高けりゃいいってわけじゃないような言い方だな」

 

ちひろ「家でゆっくりするのが好きな方にいきなりテーマパークに行こうってナンパしても、いい返事もらえると思います? 」

 

P「んー、微妙」

 

ちひろ「そういうことです。もちろん可能性はゼロじゃないと思いますが、まず相手の好みに合わせて、少しずつ親愛度を上げてください。そうすれば、いずれ一緒に行ってくれるかもしれませんね」

 

P「よし、だいたいわかった。んじゃ早速外出を」

 

ちひろ「待った!」

 

P「うぉあ! なんだよ!」

 

ビックリさせんな!

 

ちひろ「一つ、このゲームには、重要なポイントがあります。その名も!」

 

P「その名も?」

 

ちひろ「クアンタムアイドルシステム!」

 

P「くあんたむあいどるしすてむ」

 

ちひろ「はい、バカっぽい復唱ありがとうございました!」

 

なんで急にバカにしてくるのか。

 

ちひろ「日本語に訳すと『量子アイドル機能』という感じです。このクアンタムアイドルシステム、略してQISですが、わかりやすく言えば、「出会うまではアイドルの個性は未確定な状態」担っているということです」

 

P「うん、全然わからない。むしろわからせようとしてないでしょ?」

 

ちひろ「あ、バレました?」てへぺろ

 

P「そういうのいいから」

 

ちひろ「ちぇー。......プロデューサーさんは、日本人大好きな『シュレーディンガーの猫』をご存知ですか?」

 

P「ええと、箱の中の猫じゃ死んだ状態と生きてる状態が重なり合ってて、観測しなきゃ確定しないってやつだっけ」

 

ちひろ「細かい解釈を考えなければその通りです。これを、街の皆さんにも同じようにしてみました」

 

P「んん? よくわからんな」

 

ちひろ「これは実例があったほうが伝わりやすいですね。ってなわけで、ゲストカモン っ!」

 

ガチャ。

 

千川が声をかけると、ドアが開きひとりの女性が現れた。髪が長く、比較的背も高い。

 

凛「こんばんは、渋谷凛です。...ふーん、あんたがこの街のプロデューサー?」

 

ちひろ「というわけで、今回は凛ちゃんに協力してもらいたいと思います!」

 

P「なんかテンション高いな。渋谷、さん、だっけ? よろしくな」

 

凛「まぁよろしく」

 

ちひろ「プロデューサーさんは、凛ちゃんについてどれだけのことをご存知ですか?」

 

P「え、いや、今あったばっかりだから名前しかご存知ないけど」

 

ちひろ「あぁ、そういう設定でしたね。なら私からご説明しましょう」

 

P「設定って」

 

ちひろ「渋谷凛ちゃんは、シンデレラガールズのクール属性における代表みたいなアイドルです。 ご実家は花屋さんで、よくお手伝いをしているそうです。ニュージェネレーションズやトライアドプリムスと言ったユニットに参加しています。そこまで活発ではないですが、内なる情熱を秘めていて、三代目シンデレラガールにもなっています」

 

凛「なんか照れるね。自分の紹介を人から聞くのって」

 

P「渋谷さんのご紹介どうも。で、それがなんだって?」

 

ちひろ「今ご紹介したのは凛ちゃんの個性の一部ですが...ちょっと解釈を変えれば、《渋谷凛》という人は、「よく花屋の手伝いをしている」「ニュージェネレーションズ所属」「三代目シンデレラガール」という個性が重なっているとも言えます」

 

P「個性というか、肩書きみたいなのも含むけどな」

 

ちひろ「このゲームでは、最初に出会ったタイミングで「どんな出会いをしたか」によって、先ほどのような個性を一つだけ設定します。そして、それ以外は最初の個性としてはないものになります!」

 

P「??」

 

ちひろ「例えば、凛ちゃんと面識がない状態で、街の花屋に行き、そこで出会ったとしますね」

 

P「あぁ」

 

ちひろ「出会うまではいろんな個性の確定されていない状態でした。それが、「花屋で出会った」という事実から、「よく実家の花屋のお手伝いをしている渋谷凛」という個性が確定され、他の個性はなかったことになります」

 

凛「渋谷凛です。家族や大切な人にプレゼント贈るなら、うちの花はどうかな。...え? 島村さん、や、本田さん? うーん、知らないかな」

 

P「あーなるほどな。「ニュージェネレーションズの渋谷凛」って個性がなくなったから、他メンバーは知らないんだな」

 

ちひろ「そういうことです。逆に、花屋は商店街にあるので、商店街の人と知り合いだったりします」

 

凛「こんばんは時子さん。今日は豚肉じゃなく鶏肉が安いんだね。じゃあ......それを200gもらおうかな」

 

P「「にくや財前で働く時子」さん、ってことだな。商店街にある肉屋にいるから、渋谷さんと面識があるのか」

 

ちひろ「他にも花つながりで夕美ちゃん、部活帰りに商店街をよく利用する有香ちゃんなどとも面識があるかもしれません。この場合、直接出会っただけでなく、話題に上がった段階で「観測した」と判定され、個性が決定する可能性はあります」

 

P「この場合、もう「ニュージェネレーションの渋谷凛」だとか、別の個性は完全になかったことになるのか? もう戻せないとかはちょっと嫌だな」

 

ちひろ「いえ、出会ったタイミングで設定されなかっただけで、可能性は残ってます。すぐに、というわけではないですが、ちゃんと交流を深めていけば十分取り戻すことができますよ」

 

P「なるほど。最初は運任せになるけど、そのあとは進め方次第ってことだな」

 

ちひろ「そういうことです。こんな感じで、最初の個性や人間関係がプロデューサーさんの行動で変化するのが、『観測するまで重ね合わせ』という部分で共通しているところからQISと名付けました。もちろん、元々なかった個性も、後から増やしていくことは可能ですからね」

 

凛「渋谷凛です! 趣味はラグビー! 一緒に足跡残して行きましょう! ボンバー!」

 

P「暑苦しすぎるわ!!!」

 

ちひろ「これは何かの間違いで茜ちゃんに影響されすぎた凛ちゃんです。たぶん体温と声量が50%くらい増量してますね」

 

P「とにかくいろんな個性があることはわかった」

 

凛「そろそろ出番は終わりでいい? ハナコの散歩行かなくちゃ」

 

ちひろ「あ、もう大丈夫です。ご協力ありがとうございました!」

 

凛「うん。......プロデューサー」

 

P「ん? 何か用事でもあった?」

 

凛「そんなとこ。ちょっと耳貸して?」

 

P「んー? こんなもんでいい?」

 

渋谷さんに近づき、耳を傾ける。背が高いからあんま屈まなくてよくて楽だ。

 

凛「......私、待ってるから。ちゃんとプロデューサー好みにしつけてね」ボソッ

 

P「ほわっ!?」

 

凛「じゃ、またね」

 

自分だけ言いたいこと言って、渋谷さんはさっさと部屋を出て行った。チラッと千川の方を見ると、ニコニコと鬼の表情で仁王立ちしてた。

 

......どうすんだよこの空気。

 

P「これはな。ちゃうねん」

 

ちひろ「何が違うんですか? 早速女の子たらしこんで、幸先いいですね。もういっそプロデューサー辞めて花屋の跡取りになったらどうですか?」

 

P「いやいやせっかく説明聞いたんだからちゃんとやるよ! って今のは流石に俺悪くないって!」

 

ちひろ「はんっ。どうせこのチュートリアルは本編には影響ないですからね。せいぜいいい気になってればいいんですよ」

 

P「なんで怒ってんだよお前......」

 

理不尽だよ......まぁいいけど。

 

ちひろ「念のため言っておきますと、美城さんと私、他にも何名かはQIS対象外、つまり個性が決まっている状態でスタートします。また、基本的なプロフィールそのものが変化するわけではありません。「商店街に関わりが深い渋谷凛」ではないかもしれませんが、実家が花屋ってことは変わらないため、そこは安心くださいね」

 

P「で、他には何かあるのか?」

 

ちひろ「細かいところはいろいろありますが、大事なところは以上です。あとは進めながら覚えていくほうがいきましょう」

 

P「そうしてくれると助かる。正直、これ以上は限界だ」

 

ちひろ「最後に、プロデューサーさんの行動選択は、1日のうちにどこにいくか、行った先で誰と会うか、会った人とどうするか、の3つが基本です。場合により他の選択が増えたり、逆に自動的に決定されてしまう場合もありますが、覚えておいてくださいね?」

 

P「了解した。色々と教えてくれてありがとうな」

 

ちひろ「こちらこそ、長々と失礼しました。これでチュートリアルは終了です。お疲れ様でした」

 

いろんなことしなきゃならないんだな。成り行きとはいえ、明日から頑張るか。

 

P「ふー、今日はいっぱい話聞いて疲れた。さーて帰って缶チューハイでも」

 

ちひろ「それでは早速、最初の行動選択しましょうか!」

 

P「は!? 今からスタートなの!?」

 

もう完全に帰る気満々だったんだけど!

 

ちひろ「何言ってるんですか。最初の選択肢は用意してあげますから、ほら美城市のためにチャキチャキ働く!」

 

P「ええ......」

 

ちひろ「お給料はそこそこ増えますし、業務に関わる支出は経費として落とせるようにしますから」

 

P「なんかいいように使われてる気がしないでもないんだよなぁ」

 

まぁ、しょうがないか。

 

P「わかったよ。んじゃ、やる気が無くなる前に選択肢を出してくれ」

 

ちひろ「そう言ってくれると思ってました♪ プロデューサーさんはチョロいですね!」

 

P「行くのやめようかな」

 

ちひろ「それではプロデューサーさん、記念すべき最初の一歩をお選びください! 手腕、期待していますよ!」

 

 

①住宅街の公園に行く

②駅前通りの商店街に行く

③市境の川の方に行く

④中心部にある商業ビルに行く

⑤市役所に行く

⑥学園内をぶらつく




後書きには1日の行動終了後に街とPのパラメータ現在値や特別なフラグが立った場合を記載する...かもしれません。

また行動はコメントか何かで記載頂ければ加味して進みたいと思います!


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days1-1 美城学園内

⑥学園内をぶらつく (自動選択)



地域振興課を離れた後、いきなり当てもなく外出するのもちょっと非効率な気がして、今日は美城学園を散策することにする。

 

P「さて、とりあえず出てきたはいいものの......やっぱりでかいよなぁここ」

 

美城学園ーー市の名前をそのまま冠する、美城市の古くからのシンボル。

 

元々この地域の大地主だった美城氏が、「これからは学問の時代」と私財を投じて始めた『美城私設学校』を前身として設立し、以来約100年間存続している。

 

過去の大戦で開校当時の建物はあまり残っていないが、復興とともに規模拡大し、今では小学校から大学院まで一貫の教育を行なっている美城市を代表する場所だ。

 

街の住民の3人に1人くらいが美城学園のOBだったり関係者だったり、何かしら所縁を持っている。

 

P「ま、かくいう俺や千川もここの卒業生なんだけどね。さて、どうしようかな」

 

歩きながら、ぼんやりと学園の地図を頭の中に描いて行く。

敷地内には、主に授業や講義、研究に使う学習棟A〜K、教職員の事務所がある教務棟、体育館、アリーナ、運動部の部活棟、文化部の文化会館、コミュニティセンターなど様々なものが存在する。

 

そして......驚くべきことに、これらの建物は原則入場制限がない。

 

というのも、この学園はかなり自由な...というか、ちょっと大丈夫か心配になるような運営を行っている部分があり、敷地の区画が存在しない。要するに、小学校から大学生まで、同じキャンパスで活動しているのだ。

 

一応、移動教室などの都合である程度はまとまっているものの、場合によっては大学の講義の隣の部屋で中学生が授業を受けたり、小学生と高校生が同じ図書室で本を読んだりすることもある。

 

だから、どこに行ったらどんな人に会う、というのが想像できないのだ。

 

P「学生の頃は全然意識しなかったけど、職員となればやっぱり気になってくるよな」

 

キャンパスが同じであることは、生活の中心が被るということだ。

 

学力だけでなく、世代、体格も違う人たちが一緒に過ごすため、言ってしまえば不慮の事故だってごく稀に発生したりもする。不慮の事故といっても、大事に発展するようなことはないけれど。

 

今のところ重大な犯罪などは起きていないが、今後も起きないとは限らないんだ。

 

P「なーんて、個人的にはこの運営は間違っていないと思うけどね」

 

先ほどのような問題に対し、代々の理事長からはいつもこう答えている。

 

曰く、『児童、生徒、学生にとって、学び舎は街そのものだ。街には色々な人がいる。その中で事後が起きることもあれば、世代を超えて理解が生まれることもある。そのことを美城学園のみんなには理解し、尊重しあう心を身につけてほしい』とのこと。

 

事実、この学園にはいわゆるイジメというものがほとんど存在しない。

 

もちろん、全く問題が発生しないわけじゃない。子供たちが生活しているのだから、ちょっとした仲間はずれだったり、喧嘩みたいなトラブルはいくらでも起こる。

 

でも、開放的で横にも縦にも繋がりが広い校風のおかげで、そういういざこざは大抵すぐに解決される。

 

しかも解決をするのが教師や職員ではなく、上の学年の学生だったりする。誰かに強制されたわけでなく、「自分たちもしてもらったから」という代々受け継がれてるものだ。

 

他にも、体育祭や文化祭では学生が主導で行ってたりかなり理想的な学生自治になっている。

 

学生たちの性格もあるのだろうが、理事長の理念がうまく浸透しているんじゃないだろうか。

 

......とはいえ、数年前はすったもんだしたけどね。

 

P「さて。あてもなくぶらつくのも飽きた......そろそろどこか目的地を決めますか」

 

キーンコーンカーンコーン。

 

折良く、学園の中心にある時計台が本日の授業の終了を告げる。お勤めを終えた学生の子たちがそれぞれの目的地に向けて、教室から溢れ出してきた。

 

この学園ではキャンパスの境がないだけでなく、部活動や同好会も原則世代の制限はない。一応、運動部などは中学生や高校生用で別れてたりするが、一緒に練習したりすることも多いようだ。

 

大学生は受けられる講義はあるが、そのような理由から生活リズムを小中高の学生にあわせている子も多い。この辺りも美城学園の特徴の一つだろう。

 

P「さて、どこに行こうかな。面白そうな場所あったっけ?」

 

①学生会執行部に行ってみよう(美波)

②情報処理室って涼しそうだな(泉)

③いい匂いがする......(響子)

④そういえば、学務課に用事が(武内)

⑤なんだこれ、超常現象研究会?(裕子)

⑥へぇ、モータースポーツ部か(美世)

 




今回は説明が多く、アイドルも出ないから短めです。
ご了承くださいm(_ _)m


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days1-2 学生会執行部

①学生会執行部に行ってみよう(美波) (自動選択)


学園の中心に位置する時計台は、歴史を感じる外観とは裏腹に、狭いながらも内部は非常に洗練されている。

 

VIPの応接室や何らかに優秀な成績を収めた者への表彰など、どちらかと言えば儀礼的な要素で使われるため、掃除も行き届いており、それなりに立派な調度品もある。

 

そんな時計台の最上階......言うなれば、この学園内で一番格式のある部屋の前にやってきた。

 

P「こんなとこ来るなんて思ってもみなかったけど、この仕事してく上では避けて通れんよな」

 

扉に書かれているのは、「学生会執行部室」。美城学園の学生会活動を取り仕切る人たちの活動場所。

 

部活動などに世代制限がないのと同様、学生会執行部にもそういう制限がない。むしろ学生会運営における縦の連携とスムーズにするため、必ず小中高大それぞれの世代から一人以上は参加することが多い。

 

人数制限もないため、学生会長がその気になれば極端な話をいえば学生全員を執行部に入れることは可能だが、実際には10人前後に収まることが多い。今年でいえば、確か8人くらいだったか。

 

そんな少数精鋭で大丈夫か?とも思ったことがあるが、学生会活動は執行部ではなくイベントごとに運営委員会が発足して企画・運営を行うため、特に問題はないらしい。

 

ただ、運営委員会が実務を行うにしても、発足までの手続き、監督、学園側との折衝など、当然に仕事は多い。また、そもそも美城学園自体がこの美城市を代表する場所であり、学園のイベントは住民にも開放されるものもあるため、市との関わりは強い。

 

『美城学園学生会執行部』という肩書きとの繋がりは、色々な場面で有利に働くのだ。

 

もちろんプロデューサーとしては自分の活動で街を発展させたいと思っているので、別に仕事を手伝ってもらおうとは思ってない。それでも、何かのタイミングで関わりができるかもしれないし、最悪対立することだけは避けたい。伝家の宝刀・ジャパニーズドゲザを繰り出さねばならなくなる。

 

というわけで、友好な関係を築くべく学生会を訪問することにした。

 

した、のだが......

 

P「受け入れてくれるといいんだけどな......実は千川が話通してくれるといいんだけど、流石に期待しすぎか」

 

実は一つ、問題があった。

 

学生会執行部は学生会長が選出し、副委員長、会計、庶務など任命する。今の執行部の面々は、当代会長が考えたメンバーというわけだが......その全員が女性なのだ。

 

理由はいろいろ言われているが、もちろん一番有力なのは「男が嫌いだから」。

 

会長本人がそれを公言したわけではないので確定してるわけではなく、じつはその理屈にはひとつだけ欠陥があるのだが、納得感にある理由が他にないため、それが原因だと思われている。

 

そんな『女性のみで構成された、美城学園の学生のトップ集団』。話題にならないわけがなく。

 

ついたあだ名がーーヴァルキュリア。

 

P「考えても仕方ないか。できるだけ穏便に済むことを祈ろう」

 

果たしてヴァルキュリアに受け入れてもらえるかどうか。

 

P「失礼しまーす。この度、地域振興課が新しく発足したため挨拶に来ましたー」

 

若干の緊張と不安、そして多大なヤケクソ感で開けた扉の先。

 

美波「あら、こんにちは! 学生会執行部にようこそ!」

 

神話の女神に恥じない麗しい女子学生が待っていた。

 

P「えっと、地域振興課で街のプロデュースをすることになり、今後いろいろ関わりがあるかもと思って挨拶に来たんですが......新田さん、だよね?」

 

美波「あ、そうなんですか!はい、 私が学生会長の新田美波です。街のプロデューサーさん、ってことですね? 今後ともよろしくお願いしますね?」

 

P「あ、うん、よろしくね」

 

差し出された右手に握手で応じる。なんの違和感もないやり取りで、男性が嫌い、あるいは苦手という印象は見られない。やっぱり噂は違ったみたいだ。

 

新田美波さん。現在、美城学園大学法学部の2年生。

 

容姿端麗頭脳明晰、運動神経バツグン、保有する資格多数。まさに完璧という言葉を体現したような第89代美城学園学生会長。

 

ちなみに......第88代学生会長も新田美波。さらにいえば、第87代、86代も新田美波。今年4期目。

 

つまり、彼女が高校生に上がって以降の学生会長は、ずっとこの子がだったということ。最初こそ推薦で会長選に名前が上がり、他の候補者とは僅差だったものの、2期以降はブッチギリ、4期については他に候補者もいないほど全学生がこの子の会長っぷりを認めているということだ。

 

俺だって2年前にはここの学生だったわけだから、面識や興味があったわけではないが新田さんのことを知らないわけがない。だからこそ、この子が男性嫌いだとは思えなかったのだ。

 

なぜなら、そんな長い任期の中で、ずっと女性だけだったかと言われたらそんなことはない。この子が学生会長になってからも、男性が所属していた期間がある。あくまで今年は0人、ということだ。

 

もちろん「もともと嫌いだったけど活動上仕方なく入れていた」ということも考えられるが、正直目の前の女神みたいなオーラを放つ彼女がそんな追い出すようなことするとは思えない。何か理由があった、という方が自然な気がした。

 

どんな理由があったかは知らないし、探る気もない。

 

P「今は新田さん一人? できれば他の執行部の子にも挨拶したいんだけど」

 

美波「えっと、副会長と庶務の子は春の学生総会に向けて、議事運営委員会の発足申請書を貰いに行ってます。他は今日はまだ来てないですね」

 

P「そっか、それはタイミング悪かったな」

 

美波「......偶然、ですよね?」

 

P「え、うん、そうだね」

 

美波「そっか、ならいいんです」

 

なんだ、今のやりとり? なんか変な感じだった。なんか勘ぐられてるような。

 

P「手ぶらもどうかと思ったから、お近づきの印にイチゴを持ってきたんだ。せっかくだからみんなで食べて」

 

美波「わぁ、ありがとうございます! これはありすちゃん喜びそう!」

 

P「あーいや、急いで準備したから目に付いたやつで、って感じで選んだんだ。あんまり気にしないで」

 

美波「いえ、イチゴはありがたいです! みんなで食べれるし、好きな子も多いので」

 

P「そりゃよかった」

 

さて、とりあえず悪い印象にはならなかったようだ。他の子に会えなかったのは残念だが、それはそのうち機会があれば、くらいで良しとしよう。彼女たちもいろいろ都合があるだろうし、長居する必要はない。

 

P「それじゃ、急に押しかけてごめんね。他の執行部の子たちにもよろしく伝えておいてくれるかな」

 

当たり障りのないことを言って、立ち去ろうとする。特に変なことをするつもりもないし、今日の仕事はこんなもんでいいかな。

 

P「じゃあ俺は帰るよ。またね、新田さん」

 

と、こんな感じで立ち去ろうとしたんだけど。

 

美波「あの、ちょっといいですか?」

 

新田さんに止められてしまった。

 

P「ん、何か地域振興課に用事あった? ごめんね、勝手に話切り上げちゃって」

 

美波「あ、いえ、そういうことではないんですけど」

 

P「え、じゃあ何か気に障ることしちゃった? あ、特に何か盗んだりはしてないよ。自慢じゃないけど人と話しながら泥棒できるほど器用じゃないからね」

 

美波「別にそういうこと気にしているわけではないですよ。普通に話してくださいましたし」

 

P「まぁ、そのつもりだったしね」

 

じゃあなんで呼び止められたの?

 

美波「えっと、今日ここにきたのは偶然なんですよね?」

 

P「......残念ながら、昔からタイミングとか空気を読むのは苦手なんだ」

 

美波「このイチゴ、ついさっき買ったものなんですよね?」

 

P「農学部が中等部の子達と作ったものらしい。購買部で売ってたよ、微笑ましいね」

 

美波「......職員の方とは何度も話したことありますけど、地域振興課なんてありましたっけ?」

 

P「配属する本人が今日知ったんだから、新田さんが知らなくて当然」

 

美波「それは災難でしたね。あ、お近づきついでに、地域振興課さんのお名刺、頂いてもいいですか?」

 

P「はいどうぞ。ちゃんと美城学園の印影付きの特注品だから、せいぜい隅々まで粗探ししてくれ」

 

美波「ありがとうございます♪ 気の済むまで改めさせていただきますね」

 

笑顔で名刺を受け取り、猛禽類のような鋭さで観察する新田さん。出て行こうとする直前までの和やかな雰囲気は消し飛ばされ、警戒心を隠そうともしていない。というか、わざと見せつけてくる。

 

威嚇されるのは慣れてるもので、そんなにビビることはない。それでも嫌なものは嫌だし、わざわざそんなものをぶつけてくる新田さんの態度にちょっと辟易する。

 

ただ、理由がわからない。やっぱりただの男性嫌いなら俺が出て行こうとするのを止める必要はないし、不愉快を止められないなら逆に出迎えることもないはずだ。それに、こちらの気づかないところで何か落ち度があったとして、さっきの茶番はなんだったのか?

 

原因がわからない上、出て行くこともできないので付き合うことしかない。なんなんだこの空間。帰って第三のビール飲みたい。

 

美波「この名刺、偽物じゃないみたいですね。ということは、本当に嘘はなかったんですね」

 

P「最初からそう言ってるな。何を疑ってるのかわからんけど、ここに来たのは仕事のため。タイミングは部屋を追い出されたから。イチゴは美味しそうなの置いてあったから。帰ろうとしたのは用が済んだから。何か問題でも」

 

美波「そうだったんですね......なんだ、神経質になってただけか」

 

新田さんの雰囲気が一気に弛緩していく。何か納得できたようで、トゲは感じられなくなって来た。

 

美波「すいません、急に失礼な態度を取ってしまって。せっかく来てくれたのに、勘違いしちゃいました」

 

肩をシュンとさせて頭を下げる新田さん。やっぱりさっきの刺々しい感じより、礼儀正しい方が素っぽいな。

 

まぁ関係ないけど。散々からかってやる。

 

P「勘違いであの態度かー。いきなり殺気立って睨んで来て、結局何の説明もなしかー。学生会長おっかねーなー」

 

美波「う、そ、そんなことないですよ! これでも器のでかい学生会長って言われてるんですから!」

 

P「......いや、器のでかい人はいきなりメンチ切ったりしないからね? あ、メンチってメンチカツじゃないよ?」

 

美波「メンチ切ったことなんて一度もありません! というか、そのメンチじゃないことくらいわかります!」

 

さっきのがメンチなかったらなんだよ。ガン飛ばしただけ、とか? なんも変わらんな。

 

P「あー怖かった。挨拶するだけで睨まれるとか執行部怖いわー。修羅だわー。世紀末ヴァルキュリア伝説だわー」

 

美波「なんですかそれ! わかりました! 何かお詫びしますから! もうやめてくださいって!」

 

P「よし交渉成立」

 

美波「な! ハメましたね!?」

 

P「んなことない。新田さんが勝手に言ってきただけだよ」

 

美波「人のことおちょくって......!」

 

P「なんとでもいうがいい。さーて何をお願いしよっかなー」

 

まぁ、もう決まってるけど。ちょっと質問したいだけだ。

 

美波「くっ...仕方がないですね。ほら、早く言ってください!」

 

P「そう急かさないでくれ。俺がお願いしたいのはーー」

 

① さっきの態度の理由を知りたい

② 学生会行事の内容を知りたい

③ この街の好きなところを知りたい

④ ドアからのぞいてる子のことを知りたい

 




今週末にリリースのため、更新が遅くなるかもしれません。
ちなみに美波の態度はどの選択肢でも理由がわかりますが、展開が変わります


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days1-3 美波・文香・ありす

④ドアからのぞいてる子のことを知りたい


P「さっきから怯えた子犬の目で君を見てる、あの子たちのこと、教えてくれる?」

 

美波「え……文香さんとありすちゃん! いつからそこに!?」

 

目線をちょっとだけズラし、ドアの方に誘導してあげると新田さんも彼女らに気づいた。

 

P「少なくとも俺から名刺引ったくって睨み始めた時にはいたと思うよ」

 

美波「なんで言ってくれないんですか!! って、違う違う! 二人とも、もう何もないから入ってきて!」

 

慌ててドアに駆け寄り部屋に招き入れようとする。が、髪の長い女性と賢そうな女の子は、どう見てもビビっておりなかなか足が動かなかった。

 

なんで言わなかったも何も、何も言わせないオーラ出してたの君でしょーが。

 

ありす「みみみみみ美波さん。なな何があったのかわわかりませんが、クールタチバナが全て解決してててて」

 

美波「ありすちゃんバグってる! そのままだとフリーズタチバナになっちゃうよ!」

 

文香「えらいこっちゃ。えらいこっちゃです。あのゴッデス美波が激おこプンプン丸になられています。これはえれーことです。えらこっちゃです」

 

美波「急に語彙力無くさないで! というか文香さん激おこプンプン丸なんて言葉知ってたんだ!?」

 

美人と美少女が壊れ、原因となってる美女もテンパってる。なんだこの状況。

 

よし、乗っかるか。(悪ノリ)

 

P「あー! 怖かったなぁー! 這いつくばって靴を舐めろと言われた時は心臓止まるかと思ったなぁー!」

 

ありす「!」

 

文香「!」

 

美波「!?」

 

お、よっしゃ釣れた。

 

美波「何バカなこと言ってるんですか! そんなこと一言も」

 

ありす「あわわわわわ……みな、み、美波さんが、にっタみナみさんが女王サマに、ミナみサんががガジョジョじょおうサまママまま」

 

美波「ありすちゃん! 本当にバグってるから! もう正常な動作を期待できなくなってる!」

 

文香「何故荒ぶられるか。御身は高貴なりし位に在りて下賤なる我等に豊穣と救いを与え給う主ではなかったか。静まり給え。静まり給えー」

 

美波「文香さんは違う人が乗り移ってるよ!」

 

P「頭を踏みつけて舌打ちしながら見下してたあの目は本物だわー。真性だわー。あれは完全にプロの手際だったわー」

 

美波「適当なこと言わないでください!」

 

ありす「ウィー。ウィー。めもりガおーばーふろーシマシタ。サイキドウシマス。デンゲンこーどヲヌカナイデクダサイ」

 

文香「しずまりたまえーしずまりたまえー」

 

ありす「しすてむカドウジュウ、ニジュウハチ、ロクジュウゴ、キュウジュウキュウ、しすてむおーるぐりーん。ワガナハめたるたちばな。メノマエノテキヲセンメツシマス」

 

文香「静まりたまえー」

 

美波「何がどうなってるのよもー!!!」

 

P「あははは!」

 

一人はイミフなアンドロイド、もう一人はよくわからん祈祷師、残った一人は頭抱えてる。あの美少女、顔が(・◻︎・)って感じになってるよ。

 

なんだこの状況超面白い!

 

ありす「テキヲハッケン。タダチニゲイゲキスル」

 

P「あははは……は?」

 

気づいたらアンドロイドがこっちを向いていた。なんぞ?って、そういえば敵とか言ってたな。

 

……とか思ってたら、ものすごいスピードで突っ込んできた。

 

P「ちょま」

 

ありす「ヒッサツ! レーザーアーム!!!」

 

小学生と思われる身長から繰り出される手刀、というより抜き手は。

 

ソコソコの身長の男に対しての絶対の急所を攻撃するにふさわしい高さにあり。

 

早い話がチ○コに突き刺さった。

 

P「ッッッッッッッッ!!!!!?????!?!?」

 

ありす「アクハホロビタ」ムフー

 

美波「滅んだどころか最悪の状況だよ......」

 

激痛で崩れゆく膝と意識の中、最後に見えたのは憎き小学生の自信満々なドヤ顔と泣く直前の会長だった。

 

 

 

 

意識を取り戻したのは、もう日が暮れる直前だった。

 

P「あれ、ソファーに移動してる」

 

ここはどこ、なんてお決まりなボケはせず、とりあえず身体を起こす。床に倒れたんだが、なぜかふかふかの上で寝ていた。

 

美波「お目覚めですか? 散々引っ掻き回して勝手に寝た後のご気分はいかがです?」

 

P「高いソファーのおかげで下半身が軽すぎる以外は快調かな」

 

美波「自業自得ですよ。反省してください」

 

P「自分のこと棚に上げてよく言うね。他の二人は?」

 

文香「ここにいます……」

 

ありす「そこから動かないでくださいね不審者」

 

目線をずらすと、新田さんとは別の場所に二人がいた。どうやら新田さんを監視役として、二人は通常活動を行っていたらしく長机に仲良く隣同士座っていた。

 

P「不審者とは随分言ってくれるね。むしろ俺は君に対しては被害者なんだけど」

 

ありす「は? なんの話ですか?」

 

P「おーとぼけるか。かなり肝が据わってるなちびっこ」

 

ありす「そちらこそ、気づいたら勝手に床で寝てたくせによく言いますね」

 

P「……新田さん、もしかして」

 

美波「ど、どうやら本当に覚えていないようです」

 

こそっと教えてくれる新田さん。どうやら冗談を言ってる様子もなく、新田さんも橘さんも、ついでに文香?さんも全員マジな顔してた。

 

てことは、あのメタルタチバナって素だったのかよ。嘘だろ。

 

P「あれだけのことやっといて覚えてないのかよ」

 

ありす「勝手に妄想広げないでください。何があったのかは知りませんが、事実はあなたが床で寝てただけです。はい論破!」

 

P「会長さん?」

 

新田「……ここは大人としての深い度量の見せ所かと」

 

マジかよ……。

 

P「まぁ……もういいや。ソファーに運んでくれたのは事実だし」

 

ありす「文香さんが運んだんですからね。感謝してください」フンス

 

P「なんで君が自慢げなんだ」

 

生意気なちびっこは置いておいて、ここまでもう関していた美少女に顔を向ける。

 

こんなおとなしそうな顔して、俺を一人で運んだのか。見かけによらず力強いんだな。

 

P「えーと、文香さん、だよね。それしか知らないからそう呼んじゃうけど、動かしてくれてありがとう。おかげで背中が痛くならずにすんだよ」

 

文香「鷺沢、文香です。礼には及びません……私も、楽しかったですから……」

 

P「鷺沢さんだね。今後ともよ今楽しかったって言った?」

 

聞き捨てならない単語だぞ?

 

文香「はい……何やら面白そうなことが起きそうだったので、ありすちゃんに乗っかったのですが、まさかあんなことになるとは……」

 

P「あのエセ祈祷師は演技かよ! タチ悪すぎるだろ!」

 

鷺沢「フレデリカさんあたりに良い土産話ができました……」

 

パワーだけじゃなく、こんな大人しそうな顔してそんなこと言うのかよ! こわ! この子こわ!

 

P「新田さん、この子大丈夫なの……?」

 

美波「職務は真面目なんです……よ? 時々急にあのテンションでボケてくるくらいですし……」

 

明後日の方向を向きながらフォローするな。というか、あれはダメだろ。

 

あーもう、いきなり試すような真似されたかと思えば、アレを強打されたり、ノリで笑い者にされたり、今日は踏んだり蹴ったりだ。

 

まぁ、ちびっこを除きこうやって普通に話ができるくらいの関係にはなれた。今後は何とかなりそうだな。

 

P「やれやれ、このノリに付き合うのは大変そうだな。それに、いきなりあんな喧嘩腰で来られるんじゃ、そりゃ男も近付きづらくなるか」

 

ちょっと安心して、何気なく、本当に何気なく思った一言だったが。

 

文香「それは、間違いです。撤回してください」

 

ほんのり弛緩してた空気を、また張り詰めたものにしてしまった。

 

P「あ、あー。やっぱりなんか訳ありだったんだ」

 

ありす「事情を知らないあなたが好き勝手言っていいことではないですよ」

 

美波「ありすちゃん! さっきのは私が悪いんだし、そんなに気にしないで、ね?」

 

文香「いえ、僭越ながら……私も先程の言葉は、看過できるものではありませんでした」

 

美波「文香さんまで!」

 

P「いいよ、新田さん。彼女らが言っていることは分からなくもないし」

 

美波「プロデューサーさん……」

 

ありす「殊勝な心掛けですね。では、先ほどの言葉に謝罪を」

 

P「いや、それもしないけど」

 

ありす「なんですかそれ!」

 

おー。怒った。鷺沢さんも明らかに不機嫌なオーラ漂わせてるし。新田さんだけどうすればいいかオロオロしてる。意外とメンタル弱いのかな?

 

P「何も知らない俺が好き勝手言った。それは事実だし、言ったことに君らが怒ることもまた勝手。でも、俺は君らが何に対して怒ったのか知らないし、そのことを口に出すなと言われてるわけじゃないよ」

 

ありす「だからなんだって言うんですか?」

 

P「だから勝手に怒られたことに対し、こっちが謝る義理もないってこと。せめて何に怒ったか教えてもらわないとね」

 

文香「それは詭弁……会話の主体は原則受け手です。話し手は受け手に理解してもらえるように話すべき。聞き手が気分を害したら、それは……話し手の責任ではないですか」

 

P「それは話す側が聞く側に理解してほしいって言う前提がある話。ついでに言えば、相手のことを何にも知らないのに絶対に怒らせるなって無理でしょ? それとも鷺沢さんは、話してる相手が何言われたくないか全部わかる?」

 

文香「それはわかりませんが……ですが、あなたは学生会が女性だけと言うことを知っていたではないですか」

 

P「その事実だけね。それがいいことなのか悪いことなのかは知らない。言われたくなけりゃ、事情を公表するなりすればいいんじゃないかな?」

 

ありす「言わせておけば!」

 

美波「ありすちゃん。もういいよ」

 

これはもう学生会と友好関係は無理かなーとか思ってたところに、新田さんの落ち着いた声が響いた。さっきみたいにオロオロした感じはしない。

 

ありす「ですが!」

 

美波「急に突っかかったのはこっちだよ。あんな態度とったら誰だって喧嘩腰になっちゃう。まして、原因作ったのはこっちだし」

 

文香「それは……そうかもしれませんが……」

 

美波「文香さんも。気にしてくれてありがとうね」

 

文香「いえ……美波さんが、そうおっしゃるのなら」

 

ボルテージ上がってた二人がみるみる萎んでいく。これが人徳か……学生会長すごい。

 

とか思ってたら、居住まい正してこっちを向いた。

 

美波「学生会執行部のメンバーが失礼なことを申し上げてしまい、失礼しました」

 

P「まぁ慣れてるから、気にしないで」

 

美波「僭越ながらこちらの事情を説明しても良いですか?」

 

こっちの話を聞け、聞いたらそっちもさっきの言葉を取り消せ。

 

暗に目でそう訴えていた。

 

うまい落とし所だと思う。事実はどうあれ、吹っかけられたこっちからは今の提案できない。出来るだけ仲良くなりたいこっちとしては渡りに船だ。

 

P「ありがとう。決して笑ったり貶したりしないから、話を聞いてもいい?」

 

美波「……ご理解、ありがとうございます」

 

さて、どんな話が聞けるのか。

 

文香「見ての通り……美波さんは、女神なんですよ」

 

P「急にシリアス壊すのやめてくれませんか??」

 

怒りが収まったと思えば急にネタ突っ込んできた。この子もすごい子だな。

 

美波「文香さん! もう少し段階を追って話しましょう!」

 

P「え、今のが核心なの? 自分で自分のこと女神って認める?」

 

美波「ちちち違います! ただ、ちょっと、ほんのちょっと、関係が、無きにしも非ず、と言いますか……」

 

なるほど、女神そのものではないがそれっぽいというのは否定しないと。

 

なんか急に胡散臭い話になってきてない?

 

ありす「文香さんも私にとっては事実です!」

 

文香「ありすちゃんは天使です」

 

P「わかったから。君らの結束が強いのはわかったから。お願いだから話進めて」

 

美波「いつもはこんなんじゃないんです。本当です。信じてください」

 

そんな泣きそうな顔で言わなくても。仕事ぶりが優秀なのは噂で知ってるから。

 

美波「えっと……自分でこんなこと言いたくないんですが、私たち、見た目は悪くないと思うんです」

 

P「うん、俺も君らのことは本気で可愛いと思うよ。美人と美女と美少女しかいない」

 

美波「そういうこと言わないでください!!」

 

おおー照れた。いい反応。でも、下手にいじるとまた長くなりそうだし、そろそろまじめに聞くとしよう。

 

P「で、それがどうしたの?」

 

文香「綺麗な女性が一同に会する場所……昨今のライトノベルや推理小説ならありがちな導入かもしれません。ですが……現実なら、どうなると思います……?」

 

P「……まぁ、群がるよね。盛った男どもが」

 

ありす「私は今年からなので、実のところそんなに知りません。ですが――」

 

文香「私は、美波さんが会長になった時から、ずっと一緒に見てましたから」

 

なるほどね。

 

知っての通り。新田さんは推薦枠だから、最初は「美人学生会長」って言う肩書き見たさで投票した人もいるだろう。

 

それだけでも十分男ウケがいいのに、成績優秀、運動神経も抜群ときたもんだ。会長としての能力も持ち合わせてる。

 

当然――寄ってくるだろう。彼女をステータスとしか見てない馬鹿どもが。

 

美波「正直、私だけならまだ良かったんです。運営に支障がないように、うまくやればよかったので。ですが……」

 

P「新田さんだけじゃなく、文香さんもいた、と」

 

美波「2年目からは夕美ちゃんも手伝ってくれるようになってから、だんだんおかしなことになってきて……」

 

学生会執行部、会計の相葉夕美さん。

 

新田さんのようにキリッとした雰囲気はないが、ふんわりとした笑顔が魅力。趣味はガーデニングと女の子っぽく、明るい性格から評判もいいらしい。

 

話を聞くだけでも、男にモテる要素満載だな。

 

文香「少しずつ、学生会の活動に関係ない相談や……お誘いが多くなってきました。学生会に興味がある、と言いながら、活動に協力しない方もいて……」

 

美波「どこから知ったのか、誰か一人しかいないタイミングで訪ねてきて、デートの話ばかりされることもありました。それも一回ではなく、何回も」

 

P「……なるほど」

 

最初の新田さんの反応は、そういうことか。

 

ありす「私がここに入ってからは、そういう人は来てません。ですが、話を聞く限りそんな人がここに近づいて欲しくない」

 

美波「別に男性嫌い、というわけではない、と思っています。ですが、それでそういう方が少しでも減ってくれるなら、それで構いません……少なくとも、私が学生会長でいる限りはしょうがないと思っています」

 

かと言って、直接言われていい気分はしない。

 

そういうことだろう。

 

P「最近なかったはずなのに、また一人のタイミングで男性がやってきた。しかも知らない部署を名乗って。そりゃ怪しいわな」

 

美波「本当にすいません。ですが、今までのことから迂闊に信用できないのもあるんです」

 

P「いや、納得いったよ。こっちこそ、何も知らずにごめんね。あと、話してくれてありがとう」

 

ありす「わかってくれればいいんです」

 

P「や、君だけは別だからね? あの痛みは絶対忘れないからね?」

 

ありす「なんですかさっきから! 濡れ衣ですよ!」フカー!

 

ともあれ、新田さんの提案に乗っかる形だけどなんとか丸く収まった。

 

P「うまく運んでくれてありがとう」

 

美波「いえ、プロデューサーさんが乗ってくれたからこそですよ」

 

ニッコリと微笑んでくれる新田さん。

 

P「じゃあ、お互い様ってことで。……流石にそろそろお暇しなきゃね」

 

起きた時は日没直前だったけど、流石にもう日は完全に落ちている。俺がいたら帰れないだろうし、さっさと出て行くとしよう。

 

P「長々と居座ってゴメンね。今後ともよろしく」

 

席を立って扉へ向かう。

 

よろしく――なんて言いつつ、正直ここにはあまり用もなく来てはならないのだろう。さっきの話を聞いて、何度もここに通おうと思うほど面の皮は厚くない。

 

P「それじゃ、君らもあんまり遅くならないようにね?」

 

美波「はい。長々と引き止めてすいませんでした……あの」

 

また引き止められた。帰り際に話しかけるの好きだな。

 

P「どうかした? 大丈夫、さっきの話を広めるつもりはないから」

 

美波「いえ、あの……さっきの話聞いたら来づらいかもしれないけど、またいつでも来てくださいね?」

 

え、いやいや何言ってんだこの子。

 

P「あはは、ありがとう。心配しなくても、用があれば遠慮なくお伺いさせてもらうよ」

 

美波「そういうことじゃなく! ……プロデューサーさん、ちゃんと私たちの話聞いてくれましたし、信用してますから」

 

文香「他の方とは、雰囲気が違います……少なくとも、何か悪さをするような感じはしません」

 

ありす「私はよくわかりません。ですが、美波さんと文香さんがおっしゃるのなら、まぁ、ここに来てもいいです」

 

P「や、メタルタチバナはちょっと」

 

ありす「ムキー!! なんですか人が譲歩してあげてるのに!」

 

美波「ほら、ちょっとしか話してないのにありすちゃんがもう懐いてる」

 

ありす「懐いてません!!」

 

最後まで騒がしいなぁ。

 

でも、受け入れられたのは素直に嬉しい。

 

P「なら、お言葉に甘えて、また来させてもらうよ。ちゃんとお土産持ってね」

 

美波「ロールケーキでいいですよ?」

 

文香「あんみつを所望します」

 

ありす「いちご以外許しません」

 

P「統一感と遠慮を持とう?」

 

とかなんとか言いながら、俺は学生会執行部を後にした。




【学生会長】新田美波と出会いました。
【学生会副会長】鷺沢文香と出会いました。
【学生会庶務】橘ありすと出会いました。

【学生会会計】相場夕美のことを知りました。

新田美波:《親愛》《知恵》《意思》《社交性》+5
鷺沢文香:《親愛》《優しさ》《社交性》 +3
橘ありす:《親愛》《運動》《社交性》 +3


《健康》30
《文化》35(+5)
《流行》30
《観光》30
《多様性》35(+5)
《利便》30
《人情》30
《活気》30

P
《体力》51(+1)
《運動》49(-1)
《学力》50
《知恵》51(+1)
《センス》50
《優しさ》51(+2)
《誠実》50
《意思》50
《社交性》50


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days2-0 アシスタントと朝の会話

通いなれた元部署ではなく、昨日から配属となった新部署の扉を開ける。

 

P「おはようございまーす」

 

ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん♪」

 

先に来ていた千川から返事が返って来た。何がそんなに嬉しいのか、声色がめっちゃ明るい。

 

P「何かいいことあった?」

 

ちひろ「そりゃもう、朝からプロデューサーさんと一緒に過ごせますから♪ プロデューサーさんもこんな美人アシスタント一緒に入られて嬉しいですよね?」

 

P「……」

 

ちひろ「う れ し い だ ろ ?」

 

P「ハイ、モチロン」

 

この背筋が凍りつく感覚、心臓を鷲掴みされるような感情が嬉しいというものなら。

 

ちひろ「最初からそう言えばいいんですよ」

 

P「イゴキヲツケマス」

 

口とか弱み握られないようにとか。

 

ちひろ「それで、昨日はどこに行かれてたんですか?」

 

P「急で行き先思い当たらなかったから、ここの時計台登ってみた」

 

ちひろ「てことは、学生会執行部......美波ちゃんのところですね?」

 

P「あれ、知り合い?」

 

ちひろ「ええ、まぁ。とはいえ彼女は有名なので、大体の人は知ってるんじゃないですか?」

 

P「俺が知ってたくらいだしな。仲良かったりします?」

 

ちひろ「……本気で訊いてます、それ?」

 

P「冗談だって。そんなに睨むな」

 

んー、やっぱり打ち解けられてないか。 こいつもなかなか根が深いな。

 

P「成果としては新田さんと鷺沢さん、橘さんと顔見知りになれたってとこだよ。あ、そういえば会ってないけど相葉さんって子の話も聞いたな」

 

ちひろ「そうですか。何か面白い話でもありましたか?」

 

P「面白い話ってわけじゃないけど、現状の学生会のことをちょっと教えてくれたよ。あと、遠慮せずに遊びに来いってさ」

 

ちひろ「なるほど。学生会と仲良くなれるならだいぶ活動しやすいですね」

 

P「頼りっぱなしになるわけにも行かないし。俺も何か機会があれば手伝うようにしなきゃな」

 

ちひろ「もうちょっと仲良くなれたら、こちらから積極的に声かけるのもいいかもですね。そのうち学生会とのフラグが立つかもしれませんよ」

 

P「ゲーム的な説明どうも」

 

ちひろ「私はPさんたちのアシスタントも兼ねていますからね。さて、昨日は学園内ということなので、今日は学園の外に行ってみたらいかがですか?」

 

P「外かぁ。市の協力もあるのに学園に閉じこもってちゃダメだよな」

 

ちひろ「街のプロデューサーですから。学園卒業者や働いてる人とお会いできるかもしれませんよ?」

 

P「いい天気だし、とりあえず何処か行ってみようかな。今日の気分はーー」

 

①住宅街の公園に行く

②駅前通りの商店街に行く

③市境の川の方に行く

④中心部にある商業ビルに行く

⑤市役所に行く

⑥学園内をぶらつく

 




Pとちひろさんは昔から関わりがありますが、ちょっと設定があります。小出しにしていこうかと


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days2-1 商業ビル

④中心部にある商業ビルに行く(自動選択)


街の中心部、繁華街の建物やってきた。

 

P「ちょっと前まではただの空き地とか、流石に限界きてた家やアパートがあっただけなんだけどなぁ」

 

この建物は別に昔からあるわけではなく、最近できた場所だ。

 

もともとこの街は学園と駅、それを繋ぐ商店街以外はだいたい住宅街であり、比較的静かな街だった。駅は私鉄で、終点に大きな街があったため娯楽的なものならそちらに行く必要があった。

 

それが何を考えたのか、2つのそれなりに大きな企業が進出して来て、少しずつ娯楽要素が多くなって来た。

 

そして作られたのが繁華街の真ん中にあるーーAppricot Mall。通称アップリコ、またはモール。

 

これが作られてから、この辺りは急にいろんなものが作られ始めた。まだ目立つものはアップリコくらいしか完成はしていないけど、小さいカフェや遊び場などは少しずつできている。

 

当初はこれができることで「商店街と客の取り合いは始まるのではないか」と危惧されたが、いざ運営が開始されるとそんなことはあまりなく、実は相乗効果でどちらも上手いこと繁盛しているようだ。

 

P「まぁ、商店街は日用品とかに対し、こっちはそういうのあんまり扱ってないしな。テナント誘致を決定したやつ、天才かバカかどっちかだろ」

 

アップリコはショッピングモールなのでそれなりに広い敷地の中にいろんな店舗が入っている。それなのになぜ商店街と食い合わせが良いかというと、客層が違うのだ。なんの不思議もない。

 

ーーまぁ簡単に言えばそれだけなのだが、実のところこのアップリコの中にある店舗、一部がはっきりいって尖りすぎてる。客層が違うというか、どこから客層掘り出した?って聞きたくなるくらい。

 

例えば服屋を覗こうとすると。

 

P「なんであんな真っ赤なドレスが入り口に鎮座してんだよ」

 

例えばイベントの予定を見てみる。

 

P「なんで多目的ホールにサバゲーと即売会の予定があるんだよ」

 

例えばご飯を食べようとすると。

 

P「なんで今週のピックアップはホカホカご飯! 選べる銘柄、炊き方、水の分量! なんてチョイスしちゃったんだよ」

 

とまぁこんな感じ。全くないとは言わないが、誰目線から生まれた選択なのかわからないものばかりである。

 

それでも成り立っているあたり、この街がいかに個性的かわかるってものだ。聞いた話だと、来るたびに催しが違うためちょっとした博打で遊びに来る人もいるらしい。

 

とはいえ、一応学生の街とのことで大っぴらにアダルト商品、賭博商品、危険物などは置いてない。サバゲーだってちゃんと安全管理ができる上で、年齢層を分けるなど配慮もされている。

 

P「まぁ、普通に遊べる場所もあるし、新しい発見目的で来るのもいいんだろうな。さすが、ちゃんとコンセプトを守っているだけある」

 

アップリコはちゃんとしたコンセプトがあるようで、一見バラバラのような店構えに見えて実はテナント判定にはそれなりに意味があるらしい。

 

それは、このオーナー曰く「ここに来れば飽きないこと」。具体的には、同じようなものはテナントは置かないらしい。

 

大体の商業ビル、特にファッションビルなんかは一つのビルに同じようなお店が複数あることが多い。元から狙って行くならいいが、興味もないのに行こうとすることはあまりないだろう。

 

アップリコはそこを逆に考え、同じようなものを販売する、あるいはサービスを行っているお店はほとんどない。服屋然り、イベント然り。

 

流石に食事どころはホカホカご飯イベントとしてご飯をメインに推している店舗が多いが、それだって「ご飯」という括りの中で各店舗こだわりで差別化してる。

 

あと、実は日用品の類はあんまり置いてなく、こういうところも商店街とあまり喧嘩しない理由だったりする。これも「非日常を提供する」というコンセプトらしいので、このマーケティングはだいぶ成功しているようだ。

 

こんな感じで、アップリコは上手いこと美城町の新しい顔として定着することができた。

 

P「これからこの場所がどんな風に成長して行くのか、街のプロデューサーとしてはちゃんとチェックしないとなー。さて、そろそろどっか行くか」

 

なんとなくやってきて、賑わってる様を見るのはそれなりに楽しいが、流石にただ眺めてるのは飽きる。

 

どっかいって、あわよくばなんか面白い話を聞くことにしよう。というかちゃんと仕事せねば

 

P「こんな感じで好き勝手ブラブラできるなんていいご身分だけどな実際。さて、今日のご気分はーー」

 

①さっきの真っ赤なドレスが気になる(まゆ、加蓮)

②サバゲーって明日からだっけ(亜季、清良)

③美味しいホカホカご飯探すか(未央、藍子、茜)

④オーナーに挨拶行けたりしないかな(杏)

⑤建物の周りはどうなってるんだろう(伊吹、沙記)

⑥なんか学園のイベント案内があるぞ?(美波)




設定はあったのですが、思いのほか時間食ってしまった...,..
アイドル出ないと文章量少なくなりがちですね


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days2-2 真っ赤なドレスのお店(1)

①さっきの真っ赤なドレスが気になる(まゆ、加蓮) (自動選択)


P「やっぱアレは気になるよなぁ」

 

クルっとその場でUターンし、元来た道を戻る。

 

そこそこ広い建物内を歩くこと少し。ギャルっぽい服やら制服っぽい服のディスプレイに混ざって現れた、異様に目を惹く真っ赤なドレス。

 

お店の正面に立ち、見上げた看板に書かれた店名は《Masque:Rade》。

 

P「『仮面舞踏会』ねぇ。通路に見えるように飾ってるってことはこれが売りなんだろうけど」

 

誰が買うんだこれ? つーか金額書いてないけどおいくら万円?

 

?「Appricot Mallにご来場の御通行者さまー? そのように入り口で仁王立ちされると迷惑なので何か買ってもらえません?」

 

っと、お店の前で色々考えていると、店員に声かけられた。

 

P「ああ、すいません。ちょっと考え事してたもので」

 

?「考え事......難しいことですか? そうですよね、世の中せち辛いですもんね。それならお買い物で発散するのが一番ですよ」

 

P「や、そういうわけじゃなく」

 

?「ああ、今この瞬間、あなたと私が出会えたのは運命! あなたにふさわしいお召し物を選ばなくては!」

 

P「何言ってんだ。そういう演技いいから」

 

?「何か買ってください」

 

P「急に商売っ気出すなよ。つーかその頼み方、ちょっと語弊があるぞ」

 

援助して交際みたいな。

 

?「え? ......あー、そういうことね」ニヤリ

 

あ、やばい。余計なこと言った。

 

P「じゃ、そういうことで」

 

言い切る前に身体を動かす。急いでこの場から離れねば。

 

とか思ってたんだけど、店員さんはこっちの動きを見透かしてたかのようにこちらの腕を掴んで、体を密着させてきた。

 

?「知らなかったのか? 店員からは逃げられない」

 

大魔王○ーン様!?

 

P「店員さん? 悪質なキャッチは条例で禁止され」

 

?「ぱぁーぱぁー!! 何か買ってー! 買ってくれなきゃ加蓮、パパのこと刺しちゃうー!!」

 

P「やりやがったなテメェ! ってか刺すってなんだよ怖いわ!」

 

加蓮「買って買ってかってぇぇぇ! 加蓮にあのドレスとまでは言わないからアクセサリー買ってー! このとってもセンスが良さそうなお店でアクセサリーかってぇぇぇぇ!」

 

P「お前店員だろ! なに当たり前のように自分のものにねだってやがる! 接客しろよ!」

 

加蓮「加蓮、アクセサリー買ってくれたらパパになんでもしてあげる♪......おはようからおやすみまで意識があるうちはずっと私のことだけ考えるように」

 

P「接客の方向性が違うわ! ってかなんでちょいちょい目の光がなくなるんだよ!」

 

そういうネタだよな? スイッチの変わり方が怖いんだけど。

 

加蓮「なんで嫌がるの? 私のこと、もう飽きちゃった? 私、もう可愛くない......?」

 

P「お前は可愛いから安心しろ! むしろ可愛いからタチ悪いんだよ!」

 

加蓮「ホント? どこが可愛いか教えて?」

 

あーもうめんどくさいな!

 

P「整った顔たちと透き通った肌! 明るい雰囲気と丁寧にセットしたおしゃれな髪型! 派手っぽく見えて落ち着いた色使いの服装! 特にネイルが服にマッチしてて綺麗だな! これで満足か!」

 

嘘は言ってないぞ、だいぶ勢いで言ってるけど!

 

とかなんとか言ってると、なんか急に引っ張る力が弱まった。絡みつく力そのままで。

 

加蓮「いや、その、急にそんなこといっぱい言われても、照れる......」

 

P「情緒! 言わせたの自分だろ!」

 

急に乙女な感じ出すな! こっちはついていけないぞ!

 

と、そんな感じでわちゃわちゃしてると、お店から別の人が出てきて

 

?「何してんですか!」ぽすん

 

加蓮「ふぎゃ!」

 

腕に絡みついてた店員を引っ叩いた。

 

......引っ叩いたっていっても、すっごいマヌケな音がしたけど。なに、この子めっちゃ力弱いのか?

 

?「お店の前が騒がしいと思ったら......お客様に迷惑かけちゃダメじゃないですかぁ!」

 

加蓮「え......あ、あはは、いやー、最初は普通だったんだけどね。ノリがいいイケメンさんだったからつい運命感じちゃって」

 

P「最初からノリノリだったろ」

 

?「ノリがいいとかイケメンだとか関係ありませんよぉ......お客様とは節度を持って接し」

 

あ、もう一人の店員がこっち見た。目があった。そして固まった。

 

今度は何があった? 俺の顔、なんかついてる?

 

P「えーと...加蓮、さん? なんかこの子固まっちゃったけど」

 

加蓮「ほんとにね。おーいまゆー? タンポポの綿毛みたいなふわふわ脳内のまゆさーん?」

 

P「急になぜ馬鹿にした」

 

加蓮「いつものことだから。って、ほんとに反応ないなー」

 

P「いや、待て。なんか口がほんのちょっと動いてる」

 

加蓮「何か言ってる?」

 

ちょっとだけ耳を近づけてみる。どうやら何か口ずさんでるようだ。

 

まゆ「かーぎをかけてー......とじこめましょー......」

 

P「この子もこういう属性かよ!」

 

このお店大丈夫か!

 

加蓮「まゆがトリップしちゃった。......ねぇ、取り敢えずお店、入らない?」

 

P「今この状況で入りたいと思う?」

 

加蓮「でもまゆ、あなたのこと離す気ないみたいだし」

 

P「え? ......おぉ!?」

 

よく見たらこの子も俺の服掴んでやがる! つーか握りしめ方が全力なんだけど!

 

まゆ「これはみらいー......うんめいー......逃げらーれなーいむーすびーつきー......逃がさない......」

 

ぶつぶつ怖いっての! ってか! そのままお店の中に引きずり込もうとしてやがる!

 

P「ちょ! 離せ! せめて手を緩めろ! 皺になるだろ!」

 

引っ張る力は強くないのに、なぜか手が離せない! なんで! どっから握力でてんの!?

 

加蓮「はーい一名様ごあんなーい。いっぱいサービスするからねー♪」

 

P「やめろ押すな! はなせー!」

 

そんな感じで、お店に連れ込まれました。




投稿遅れてすいません。
間隔長くなりそうなんで短いですが途中投稿です。

選択肢自体はすぐ決めてたんですが、ネタまとまらんところに体調不良が。

皆様も熱中症にはお気をつけて......


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days2-2 真っ赤なドレスのお店(2)

フラグ分岐
・【学生会庶務】橘ありす と出会っています。
・【学生会長】新田美波 と出会っていますが、好感度またはフラグが足りません。
・【学生会副会長】鷺沢文香 と出会っていますが、好感度またはフラグが足りません。


まゆ「はっ! 私は一体何を!?」

 

P「目を覚ましたか誘拐犯」

 

結局お店の中に連れ込まれ、居座ってしまった。

 

まゆ「な、なんですか急にぃ! 私は誘拐なんて」

 

また固まった。目が会うたび固まるなこの子。

 

加蓮「はーいまゆー? 人のお客様に勝手に運命感じてないで」ぽこん

 

まゆ「あぅぅ」

 

ギャルっぽい方の店員が丸めた雑誌で引っ叩き、ふわふわした方の店員が鳴き声を上げて覚醒した。

 

まゆ「まゆは運命なんて感じてないですよぅ!」

 

加蓮「ふーん? その割にはこのお兄さんのこと、随分熱い目線で見つめてたけど?」

 

まゆ「そういう加蓮ちゃんこそ初対面なのに必死に抱きついてたじゃないですか!」

 

加蓮「アレは接客ですー。お客様も大層喜んで」

 

P「ないから。普通に怖かったから。ついでに言えば俺は誰のお客様でもないから」

 

まゆ「ぷぷーっ! なんでしたっけ? 接客? 加蓮ちゃんのお仕事はお化け屋敷でバァーってすることでしたっけー?」

 

加蓮「なにおー! そっちこそ生き別れた親鳥にくっつく雛鳥みたいにこの人の服掴んでたじゃん!」

 

まゆ「なんですかー! 実は純情なくせにギャルぶって!」

 

加蓮「まゆのぽんこつー!」ぽかぽか

 

まゆ「加蓮ちゃんのへたれー!」ぽかぽか

 

P「何勝手に盛り上がってんだこの子ら」

 

店員が店の中で客の目の前でじゃれつき始めたんだけど。帰っていい? むしろここにいる必要ないよね?

 

P「じゃ、あとは若い二人に任せて俺はこの辺で」

 

加蓮「帰っちゃダメ」

 

まゆ「ですよぉ!」

 

P「なんなのホント君ら」

 

急にじゃれあいやめてこっち詰め寄ってこないで。

 

加蓮「だいたいお兄さんが私の言うこと否定したのがいけないんじゃん。責任とってよ」

 

P「いつのまに素直な感想すら有罪になる法律が?」

 

まゆ「そうですよぉ。お兄さんの意見はとっっっっっっても共感できる一般論です」

 

加蓮「まゆと一緒かぁーそれなら私みたいな可愛い子にはわからないなー」

 

まゆ「自分の口で可愛いとか、コロネ巻きすぎてとうとうまともな考えができなくなりましたねぇ」

 

加蓮「残念ーお兄さんが可愛いって言ってくれたもーん」

 

まゆ「言わせたくせに偉そうに!」

 

加蓮「なにおー!」

 

まゆ「やりますかー!」

 

P「やめい」ぺしっ

 

加蓮「ふにゃ」

 

まゆ「はにゃ」

 

どうしてこの子らは勝手に盛り上がり出すのか。子猫の喧嘩みたいだな。

 

P「次始めたらほんと帰るからな? で、俺は君らに連れ込まれたわけだけど、何か目的があるの?」

 

まゆ「いやですねぇ。お客様がご来店されたんだから精一杯おもてなししたいだけですよぉ」

 

P「だからご来店じゃなくて連れ込まれただけと」

 

加蓮「......ほかに何か用事?」

 

まゆ「......私たちを置いてどこに行こうって言うんですかぁ?」

 

P「いや特に用事ないけどさ」

 

この子ら急に目が濁るのなんで?

 

まゆ「うふ、そうですよねぇ。まぁ、まゆは決してチョロくないのでこの程度で喜んだりしませんが!」

 

加蓮「なんで私見ながら言うわけ? まるで私がチョロいみたいに聞こえるんだけど」

 

まゆ「そうは言ってませんけどぉーそう聞こえるなら心当たりが」

 

P「はいアウト。帰る」

 

まゆ「そんなつもり無いですよ? でもそう聞こえたなら謝りますねぇ」

 

加蓮「こっちこそ突っかかってごめんね?」

 

この変わり身の早さよ。

 

P「はぁ......もういいや。せっかくだから中、見させてもらうよ」

 

まゆ「はい♪ じっくり見ていってくださいねぇ」

 

加蓮「お兄さんは特別に何個でも買っていっていいからね!」

 

P「え、ここって購入制限とかあるの?」

 

まゆ「特にありません」

 

P「......勝手に見るわ」

 

というわけで、店内をチラホラと見ることに。

 

店の外からだと真っ赤なドレスばっかり見えたけど、よく見たら普通の服も置いてる。といっても、やっぱり暖色、または黒か白の色合いでヒラヒラしたものが目立つけど。あと、花をあしらった模様が多い気がする。

 

他には数は多くないが、肩を出したニットのセーターだったり、薄手のカーディガンだったり。全体的に可愛めの、すごく女の子っぽい服が多いようだ。ふわふわしたマフラーやリボンなんかも置いてある。

 

反面、青っぽい寒色系のものは目に入れたら死んじゃうのか、ってくらいに完全に排除されていて一つも置いてない。こういうところはさすがアップリコに入っているだけあるな。

 

P「さすがに男物の服はないか。せいぜいちょっとしたアクセサリーでくらいかな」

 

まぁそれは別にいい。一通り見て、何を買うかは(何故か買わなきゃいけないことになっているのは目をつむり)決めたし。

 

そう、それは別にいい、のだけど。チラッとお店の奥の方に目を向けると。

 

まゆ「じーっ」

 

加蓮「じーっ」

 

二人してこっち見てる。口でじーっとかいいながら。

 

P「あれでバレてないつもりなのか?」

 

試しに、目の前にあった真っ赤なリボンを手に取った。

 

まゆ「あは♪ あれに目が行くなんて、素敵なセンスですねぇ」

 

加蓮「確かに。でも、あれはどっちかっていうとまゆっぽい気がする」

 

まゆっぽいって何? 孵化して飛び立つの?

 

リボンを置いて、白い花の.......これは芙蓉か?を手に取った。

 

加蓮「お、あれの可愛さがわかるのかー♪ いい趣味してるじゃん」

 

まゆ「確かにいい目をしてますが、あれは加蓮ちゃんよりですねぇ」

 

加蓮ちゃんよりって何? デースとか言っちゃう? ってそれはカレンか。

 

こんな感じで、こっちがなんかするたびに後ろから何か聞こえてくるから微妙に集中できない。

 

......やっぱりあの子ら、猫みたいだな。

 

P「ったく、俺が何したってんだよ。ただ店先にドレス見てただけじゃんか......っと、おや?」

 

ふと棚に置いてあった花の髪飾りが目に入った。

 

P「これはいいな。えっと、橘ありす......だっけ? あのちびっこに似合いそうだ」

 

この前、学生会室で知り合った美少女を思い出す。すると、急に頭の中に夏祭りの光景が浮かび上がった。

 

あの憎っくきちびっ子が浴衣を着て、小さな川に足だけ浸かりいっしょに花火を見る光景。まるで兄妹ーーあるいは恋人のように隣り合って座って。

 

もちろん今まで似たような経験すらないので単なる妄想なんだが、何故だか妙に鮮明に思い描かれた。

 

澄ました顔してちょっとだけ楽しげな彼女との、幸せな世界だ。

 

P「まぁ、買っていくほど仲良いわけでもない......んだけど、せっかくの機会だし、こういうのプレゼントするのもアリかな?」

 

となると、会長さんや副会長さんにも......と思ったけど。

 

P「いや、あの二人にはマズイかな」

 

あの二人は男から急にプレゼント、っていうものに抵抗を感じる気がするな。なんかあげるにしても、もうちょっと仲良くなるかちゃんとした理由があったほうがいい気がする。

 

P「ま、これだって買うって決めたわけじゃないけど」

 

とりあえず名も知らない素敵な花飾りを置いて別のものを見ようと目線を変えた。

 

まゆ「ありすって誰ですかなんで他の女の名前を呼ぶんですかなんでそんなに楽しそうなんですかなんでまゆのこと見てくれないんですか」(◉△◉)

 

加蓮「そうやって私の気持ち試そうとしてるだけだよね心に決めた子がいるわけじゃないよね私のこと飽きたわけじゃないよね」(◉▽◉)

 

P「ひぃ!」

 

ちょっと意識逸らした隙にハイライトさんが全員遠征なさってる!? ってか片方ちょっと笑ってるのがめっちゃ不穏なんだけど!

 

まゆ「もっと私と見ていてくださいよねぇお兄さんまゆの名前呼んでください」(◉△◉)

 

加蓮「しょうがないなぁお兄さんは本当に仕方がないからずっと一緒にいてあげる」(◉▽◉)

 

二人「じゃないと、何があっても知らないから」

 

P「......」

 

あれ、独り言だよな? というか、君らとオレって今日会ったばかりだよな?

 

P「あーもー。なんでオレが店員に気を使わなければならんのだ」

 

かと言って、後ろからブツブツ呪いの言葉を聞いて死んでしまうのは情けない。

 

意を決して、オレは店員に声をかけることにした。

 

①普段はどんなものが人気なんだ?(まゆ&加蓮:中)

②暖色系の服やアクセサリーが多いんだな(まゆ:大 加蓮:小)

③こういうの、男が持っててもおかしくない?(加蓮:大 まゆ:小)

④他の店員の子ってどんな子がいるの?

(まゆ&加蓮:小 他アイドル認識)

⑤これって人気商品? 値段教えてほしいんだけど(まゆ&加蓮:小 ありす:夏宵フラグON)




物語にありすのフラグが登場しました。
美波とふみふみもフラグの可能性がありましたが、学生会として出会ったため好感度が足りずフラグ分岐できませんでした。

こんな感じで、アイドルとの出会い方により分岐が発生したりします。だいたい思いつきですが!


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days2-3 まゆ・加蓮

①普段はどんなものが人気なんだ?(自動選択)


P「そこの店員。ちょっと聞きたいことがあるんだが」

 

とりあえず声をかけてみる。どっちかに限定するとめんどくさいことになりそうなので、どっちとも取れるように言ってみた。

 

さっきまで(◉△◉)だったり(◉▽◉)してた顔が現実に戻ってくる。

 

加蓮「えぇ〜、私だって暇じゃないんだけど、呼ばれたなら仕方ないなぁ〜」

 

まゆ「まゆは店員ですから、質問されたら答えなきゃいけないですねぇ〜」

 

二人とも出てきた。何故かにやけてた。

 

加蓮「……」

 

まゆ「……」

 

最初の一歩でかち合った。急に険しい顔になった。

 

加蓮「このぉー!」

 

まゆ「なにおぉー!」

 

そして始まるキャットファイト。打ち合わせもせず、阿吽の呼吸で始まる一連の流れにはもはや熟練の技が垣間見えますね。

 

力入れてないのか、そもそも力がないのか、本当に全然痛そうじゃないし。

 

P「あの楽しそうな空間には入れないな。邪魔者は退散しよう」

 

加蓮「すたぁっぷ」

 

まゆ「うぇいうぇい」

 

止められた。なぜ英語風?

 

P「二人に質問、いいか?」

 

加蓮「北条加蓮 16歳。趣味はネイル、好きなものはポテト。まゆよりは身も心も大人だよ」

 

まゆ「佐久間まゆ 高校1年生です。仙台市出身のB型で、加蓮ちゃんより若くて素直ですよぉ」

 

P「誰が自己紹介せいと言ったか」

 

まゆ「質問って、私たちのことじゃないんですか?」

 

P「むしろなぜそうだと思ったのか知らんが、商品とかお店についてだよ」

 

加蓮「なんだー。最初からそう言ってくれればちゃんとお仕事したのに」

 

P「最初からそう言わなくてもお仕事してもらえませんかね……?」

 

二人「てへ♪」

 

確信犯かよ。つーかギャルっぽい北条さんだけじゃなく、ふわふわした佐久間さんも乗るんかい。

 

加蓮「お兄さん、どんなボケしてもうまく受けてくれるからつい。まゆまで乗るなんて珍しいけど」

 

まゆ「なんだか今日は加蓮ちゃんのペースに乗っかっちゃいますねぇ。気づいたらイタズラしたくなっちゃいます」

 

P「そういえばネコにはやけに好かれるな」

 

まゆ「ネコ?」

 

P「や、なんでもない。ってかそろそろ質問させてくれ」

 

加蓮「そう言えばそうだったね。んじゃそろそろまじめにお仕事しようかな」

 

まゆ「佐久間まゆ、ご奉仕モードですよぉ!」

 

なんか佐久間さんが気合入れ始めた。でもご奉仕はちょっと違うんじゃない?

 

P「まぁ急かすような内容じゃないんだけどな。このお店って普段どんなものが人気なんだ?」

 

まゆ「お兄さんもあのドレスを否定するんですか?」(◉△◉)

 

P「んなこと思ってないから! いちいち威嚇しないでくれ!」

 

たしかにすごいセンスだとは思ったが! 北条さんまで光を失うな!

 

P「そうじゃなくて……まぁこれ見せた方が早いか。俺はこんな仕事してるんだよ」

 

まゆ「美城学園 地域振興課……学園の職員さんだったんですか?」

 

加蓮「えー学園の人ー? 私たち何も悪いことしてないよー?」

 

P「俺このお店に拉致されたんだけどなぁ。俺は別に学生の風紀取り締まりとかするわけじゃない。学園の職員は間違ってないんだが……要するに、町おこし担当だ」

 

加蓮「なんで学園が町おこし担当してんの?」

 

P「なんでだろうな?」

 

まゆ「自分の仕事に信念を持たないなんて……いえ、そんなお兄さんも素敵ですよ?」

 

P「おい店員。なぜ煽るか」

 

まゆ「煽ってなんていませんよぉ。ただちょっと情けないなぁと思っただけで」

 

加蓮「皮肉じゃなくて直球だったね」

 

まゆ「だって、全肯定したらまるで私がチョロいみたいじゃないですか」

 

P「佐久間さんはかわいいなぁ」

 

まゆ「そんなぁ〜///」

 

加蓮「えぇ……?」

 

P「めっちゃチョロいじゃねぇか」

 

まゆ「はっ! 私を騙すなんて侮れませんねぇ!」

 

P「まぁこの町って元々美城学園ありきみたいなものだったしな。関係者も多いし、市との繋がりも大きいし。そんなに違和感はないだろ?」

 

加蓮「私もまゆも美城の学生だしね」

 

P「別に市に無断でやってるわけじゃなく、協力体制だからな。で、俺がその実務担当で、プロデュース考えてるってわけ」

 

まゆ「お兄さんはプロデューサーさんだったんですか」

 

加蓮「結構えらいの?」

 

P「さぁな。別に具体的な権限があるわけではないと思うし」

 

加蓮「なんだぁ。偉いならいっぱい買ってもらおうと思ったのに、あんまり期待できないかなぁ」

 

P「……でもま、経費の融通はだいぶ利くらしいけどな」

 

加蓮「プロデューサーさんかっこいい! 素敵! これ買って!」

 

まゆ「加蓮ちゃんは本当に欲望に忠実ですねぇ」

 

P「しかも絶妙に高いうえに、自分が好きそうなもの選びやがった」

 

加蓮「売上への貢献度が高いと言って!」

 

P「せめて客の前ではその態度隠そう?」

 

加蓮「私、使えるものは何でも使うタイプだから」

 

まゆ「そういいながら、ほんとに買ってもらったらすごい照れますよねぇ」

 

加蓮「そんなことないし。私魔性の女だし。男なんかとっかえひっかえだし」

 

P「節度のない女性はちょっとなぁ」

 

加蓮「ぅぅぅーーー!!」

 

なんかぽすぽす叩いてきた。全然痛くない。

 

まゆ「なれないことするからぁ……ほら、こっち来てください。いい子いい子」

 

加蓮「まゆぅ」

 

P「君らほんとに仲いいな」

 

まゆ「そんなこと」

 

加蓮「ないから」

 

P「そういうとこだよ」

 

頭なでなでされて涙目で否定されても。

 

P「で、どうだ? 別に営業妨害するつもりもないし、答えられる範囲で教えてくれると助かるよ」

 

まゆ「そうですねぇ……お店柄、人気なのはやっぱり赤っぽい色ですね」

 

そういうと、北条さんを撫でるのをいったんストップして、ピンク色の服を見せた。

 

まゆ「例えばこういう、ちょっと羽織るのは人気です。あまり季節に影響されませんし。いろいろなファッションに合わせやすいものなので、店員としても勧めやすいですねぇ」

 

加蓮「服じゃないけど、こういうのも人気かな」

 

気を取り直した北条さんが見せたのは、赤と黒のストライプマフラー。

 

加蓮「さすがに今の季節は手に取ってもらえることも少ないけど、こういうふわっとしたのはみんな好きだね」

 

P「ドレスが店頭にあったからそういうのが人気かと思ったが、意外と普段着で使えるものが選ばれるんだな」

 

まゆ「あのドレスはとても素敵ですが、さすがに街中で着るものではないですからねぇ」

 

加蓮「このお店、Masque:Radeっていうんだけどね? 『仮面舞踏会』って意味だから、やっぱり舞踏会みたいに華やかなイメージのものを選んでるんだ」

 

P「あのドレスは華やかっていうより豪華絢爛、って感じだけどな。お客さんが萎縮したりしないのか?」

 

加蓮「んー、少しはしちゃうかもね。実際、あのドレスみて、外でキャーキャー言うだけの子とか結構いるし」

 

P「まぁ、俺もそれに近いクチだったから何にも言えないんだけどな。それでもあれを置くのか?」

 

まゆ「あれは無くしません」

 

実際に無くすことはないだろうな、とは考えていたが、思ったより強い返事が返ってきた。

 

P「へぇ。それはなんでなんだ?」

 

まゆ「まゆの勝手な考えなんですが……なんというか、あれだけ見て帰っていくような子にはこのお店のものは身に着けてほしくないんです」

 

P「それは売上よりも大事なのか?」

 

加蓮「うん、大事」

 

佐久間さんだけじゃなく、北条さんからも答えが来た。

 

加蓮「ただ売れればいい、ってだけなら、もっとカラフルで、安くて適当なものでいいと思うんだ。で、たぶんそういうのが欲しい子もいっぱいいると思う」

 

まゆ「でも、ここにはそういう気持ちで作られたものは置いていない……少なくともそんな気持ちでは販売したくありません」

 

加蓮「あのドレス、すごく丁寧に作られてるんだ。あれを見て、いいな、こういうの着たいなって思ってくれる子にだけ買ってほしい」

 

まゆ「あれは非売品なので売れませんが、コンセプトは同じですから。きっとあれが好きで入ってくれるお客様は、きっと気に入ってくれると思ってるんですよ」

 

P「……すごいな。ちゃんと信念をもって販売しているのか」

 

ちょっと気軽に考えていた。あのドレスは単なるインパクトではなく、ちゃんとこのお店のシンボルなんだな。

 

まゆ「そんなに立派なものではないかもしれませんけどねぇ」

 

加蓮「そんな感じで、私たちにとってあのドレスはけっこう大切なものなの。文句言ったら承知しないんだから」

 

P「いまの話聞いて言えるほど面の皮は厚くないよ。気持ちがちゃんと伝わったしな」

 

まゆ「まゆは最初からプロデューサーさんならわかってくれると信じてましたよぉ!」

 

P「お、おう」

 

まゆ「……なんで引くんですかぁ」

 

加蓮「まゆ、急にテンション上げるとプロデューサーも引くから。ちょっと落ち着こう」

 

この子ら、前触れなくテンション上下するからやりづらいな。

 

P「『仮面舞踏会』か。最初は不思議な名前だと思ったけど、納得したよ。いい名前だと思う」

 

さっきの話を聞いて、このお店のコンセプトを理解した今なら、込められた気持ちの大きさが少しわかった気がした。

 

加蓮「急にどうしたの?」

 

P「いや、勝手な思い込みなのかもしれないけど、確かにこのお店には『仮面舞踏会』はピッタリだなってな」

 

まゆ「どういうことですかぁ?」

 

P「仮面舞踏会って、相手の顔が見えないだろ? わかるのは服装だけで、それで相手がどんな人なのかを推測しなくちゃいけない」

 

加蓮「そうだね。場合によっては仮装とかして、まったく身分もわからなくするみたいだし」

 

P「そんな誰かわからない状態なら、余計にその人の内面を考えるじゃないか。どんな顔か関係なく、本当にその人の行動や言動が否応なく目につく。それに、相手が見えないってことはつい無遠慮になりがちだ。何してもばれないからな」

 

対面だと穏やかなのに、電話越しだと急に強気な態度を取る人物が少なからず存在するように。

 

P「このお店は、自分がこういう人に買ってほしい、使ってほしいってイメージをちゃんと持っている。自分はこういうものを売っている、選んでくれる人に渡したいって」

 

まゆ「……」

 

P「外見だけじゃわかりづらいし、客を選んでるって言ったらそれまでだ。でも、それでも選んでくれる人に、自分の大切なものを渡す。おれは大切な心遣いだと思う」

 

加蓮「……」

 

P「そういうところが、なんか仮面つけて、運命の人を探す舞踏会のお嬢様っぽい気がして、な。……なんて、ちょっと偉そうだったか?」

 

まゆ「……」

 

加蓮「……」

 

P「あれ? ……おーい?」

 

なんか、急にうつむいて黙っちゃったんだが。なんかまずいこと言ったか?

 

とか思っていると、どっちもゆっくり顔を上げた。……ただ、様子がおかしいことには変わりないけど。

 

まゆ「プロデューサーさん」

 

P「は、はい? なんでしょう?」

 

加蓮「今の言葉、嘘じゃないよね?」

 

P「あ、ああ、もちろん。このお店はとても良い名前だと思う、ぞ?」

 

まゆ「そこまでこのお店のことを理解してくれるんですね」

 

加蓮「すごいね。これが運命ってやつなのかな」

 

P「何言ってるんだ?」

 

話題がついていけないぞ?

 

まゆ「ところで、プロデューサーさんは重い女性はお嫌いですか?」

 

P「は?」

 

加蓮「いいから答えて。大事なことだから」

 

P「重いってどういう……?」

 

まゆ「返事は『YES』か『はい』でしか聞いてないですよぉ」

 

P「それ事実上選択肢ないね?」

 

なに? 急に何なの? お店に連れ込まれた時と似たような感じになってるんだけど。

 

P「えーと、よくわからないんだが、肉体的な意味なら、体型で人を嫌いになったりはしないな。で、精神的なものなら、むしろ重いくらいのほうが好きだと思う」

 

加蓮「それ本当? 嘘言ってない? この場限りのごまかしとかじゃない? 適当なこと言って私たちのこと弄ぼうとしてない?」

 

P「質問の意図が分からないのに嘘言う必要もないだろ! どうせならちゃんと愛してくれる人のほうが好きだっての!」

 

もちろん限度は大事だが!

 

心の中でそう思ったが、なぜか言えなかった。

 

まゆ「うふ。そうですかぁ♪」

 

とかなんとか思ってたら、なんか急に雰囲気が変わった。

 

助かった? ……いや、そもそもそんな危機的状況ではないはずなんだが。

 

まゆ「加蓮ちゃん聞きました? プロデューサーさん、まゆたちのことちゃんと見てくれるって♪」

 

ん? 何言ってんだこの子。

 

加蓮「うん、聞いた。こんなに私たちのこと理解してくれるなんて、ちょっと夢みたいだよ」

 

おっと、佐久間さんだけじゃなく北条さんもなんか言ってるぞ。

 

まゆ「運命の出会いなんてありえないと思っていたんですけど。これは神様ってやつに謝らないといけませんねぇ」

 

加蓮「ホントだよ。まぁ、これは夢じゃないし、ちゃんと言ってくれたし。信じてもいいかな」

 

P「ちょっと待て? 何となく、何となくだが、何か大きな勘違いをしていないか?」

 

まゆ「勘違いなんてしていませんよぉ♪ うふ♪」

 

加蓮「そーそー。ちょっと運命見つけただけだから。気にしないでいいから。ね?」

 

P「何一つ気にしなくていい要素が見つからないんだが!?」

 

ホントに大丈夫だよな!?

 

P「えーと、今日はもう帰るな? 長い時間、相手してくれてありがとう」

 

まゆ「いえ、プロデューサーさんならいつでも、何時間でもいてくれてかまいませんよぉ?」

 

加蓮「うん。いつでも歓迎するよ。ていうか、毎日来てくれてもいいよ。……来てくれるよね?」

 

P「や、毎日は無理だろ……つーか北条さんも毎日はいないでしょ」

 

加蓮「そういえばそうだね。じゃあ、私が毎日会いに行けばいいのか」

 

まゆ「加蓮ちゃん。抜け駆けはダメですよ」

 

加蓮「なんのことかわからないなー」

 

P「……喧嘩はダメだぞー?」

 

さっきと猫の喧嘩とは温度が違う気がするけど。気のせいだよね?

 

P「あ、そうだ。ちょっとお願いがあるんだが、この二つを買いたいんだが、いいかな?」

 

帰る前に、危なく忘れるところだった買い物をする。さすがにこんだけ話聞いて何も買わずに帰るわけにはいかないし。

 

まゆ「……プレゼント包装は必要ですか?」

 

P「なんで怖い顔するんだよ……そうだな。それぞれお願いするよ」

 

加蓮「……誰に渡すの?」

 

P「君らも知ってる子だよ」

 

加蓮「……ふーん。そっか。言えないんだ」

 

P「えぇ……何言っても怒るの?」

 

加蓮「怒ってないよ? なんで怒らなきゃいけないの? そんなにめんどくさい子だと思ってるわけ?」

 

めんどくせぇじゃねぇか!

 

P「あーもー! ほら! これプレゼントだ!」

 

まゆ「ふぇ?」

 

加蓮「はぃ?」

 

佐久間さんから受け取った商品を、すぐに二人に渡した。

 

まゆ「え? え? あれ?」

 

加蓮「なんで? どゆこと?」

 

P「お近づきの印ってやつだ。というか。北条さんの方はさんざんなんか買えっていたろうが」

 

加蓮「そりゃ言ったけど! でも、でも」

 

おーおーワタワタしとる。やっと主導権とれたかな。

 

まゆ「まゆはそんなねだったりなんてしてないですよぉ!」

 

P「今までの流れでどっちかだけに挙げるなんてできないだろ、二人で接客してくれたんだし。それとも、迷惑だったか?」

 

まゆ「そんなことありません!」

 

必死にしがみついてる。中身くしゃくしゃにならなきゃいいけど。

 

P「さすがに毎日は無理だが、またここに来ることがあったら顔出すからさ。その時にまた相手をしてくれ」

 

加蓮「……約束、だからね。また来てくれなきゃ許さないから」

 

P「おう、善処する。今日はありがとうな」

 

まゆ「……プロデューサーさん。いつまでもお待ちしております」

 

お、重い。

 

そんなことを思いつつ、二人の美少女に見送られて今日のお仕事は終了した。




【Masque:Rade店員】佐久間まゆと出会いました。
【Masque:Rade店員】北条加蓮と出会いました。

佐久間まゆ:《親愛》+12 《センス》+5 《意思》+2
北条加蓮:《親愛》+12 《センス》+5 《意思》+2


《健康》30
《文化》35
《流行》35(+5)
《観光》30
《多様性》35
《利便》33(+3)
《人情》30
《活気》33(+3)

P
《体力》51
《運動》49
《学力》50
《知恵》51
《センス》52(+2)
《優しさ》51
《誠実》51(+1)
《意思》50
《社交性》51(+1)


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day3-0 かわいいアシスタントと朝の会話

P「ずいぶん長い間寝ていた気がする」

 

朝の出社。なんだか妙に懐かしく感じる。昨日もちゃんとこの部屋にはに来たんだけどな。

 

ちひろ「気のせいではないですかね?」

 

P「そう? 2ヶ月くらい寝てた気がするんだけど」

 

ちひろ「また妙に具体的な数字出て来ましたね」

 

しょうがないだろ、そう感じるんだから。

 

ちひろ「そこまで長い間寝てたら、プロデューサーさん自分の仕事忘れちゃったんじゃないですか?」

 

P「流石にバカにしすぎだろ」

 

ちひろ「なら復習! はい、自分の所属と役目と状況と年収と運命の相手をどうぞ!」

 

P「美城学園 地域振興課。住民と交流し街の発展度を上げる事。今は2箇所に訪問して5人の女の子と知り合ってる。年収は言えんし運命の相手なんぞ知るか!」

 

ちひろ「前半は正解! でも運命の相手は不正解ですね。『せんかわ』で始まり『ち』と『ひ』を経由して『ろ』で終わるとってもキュートな女の子ですよ!」

 

P「はっ」

 

ちひろ「鼻で笑ったな貴様」

 

無視されないだけましと思え。

 

ちひろ「それにしても、2ヶ月なんて言ったら夏の一番暑い時期が通り過ぎちゃうくらいの期間ですね」

 

P「冬眠ならぬ夏眠だな。そのまま過眠とも言える」

 

ちひろ「サハラ砂漠のワニは夏眠をするようですが、プロデューサーさんもワニだったんですね」

 

P「違うから。断定するなっての」

 

ちひろ「女の子をパクッといっちゃうあたり似てますね!」

 

P「そういう根も葉もないこというのやめろぃ!」

 

ちひろ「根も歯もないとは言いますね。ところで、昨日はどこの女の子たぶらかしてるんですか?」

 

P「言い方に悪意を感じる」

 

ちひろ「はよぅいえや」

 

P「えぇ...?」

 

なんで急に脅してくんのよ......昨日もよくわからん圧を感じたし、そういう巡りなのか?

 

P「あー、ドレス見てきた」

 

ちひろ「え、ドレスですか?」

 

P「モール散策してたら成り行きでな」

 

ちひろ「あぁ、アップリコに行ったんですか。なら納得です。で、お土産は?」

 

P「ない」

 

ちひろ「つっかえ」

 

酷くない?

 

ちひろ「え、てことはこの人、男一人でドレス見て手ぶらで帰ってきたの? いやぁーこわーい!」

 

P「今日は当たりが強いな! 店員に連れ込まれたんだよ。で、店員の子と話してただけだ」

 

ちひろ「でもどうせその子達には何かプレゼントしたんですよね?」

 

P「......いや、そんなことは」

 

ちひろ「私が経費精算してるの忘れました?」

 

P「はい仰る通りですぐうの音も出ないほど事実です」

 

ちひろ「はぁ......まぁいいですけど。そのうち私にも何かプレゼントしてくださいね。待ってますから」

 

P「わかったよ......というか、悪かったな」

 

ちひろ「やめてください、なんか本当に悲しくなっちゃいますから。店員の子はどんな子たちだったんですか?」

 

P「ネコみたいだった」

 

ちひろ「にゃ?」

 

急に可愛くなるな。

 

P「勝手にじゃれてきて勝手に満足する感じ」

 

ちひろ「あら、可愛らしいじゃないですか。なんてお店?」

 

P「仮面舞踏会。『Masque:Rade』ってところだ」

 

ちひろ「あぁー。あの立派なドレスのところですか」

 

P「やっぱり千川は知ってるんだな」

 

ちひろ「私だけじゃなく、アップリコに行く女の子は大体知ってますよ。結構評判いいんですから」

 

P「そうなのか? 二人からは冷やかしも多い、みたいに聞いたけど」

 

ちひろ「そりゃいるでしょうけど、あそこは作りも素材もいいんです。軽くてあったかくて、肌触りふわふわ」

 

P「へぇー。店員が自信持ってたくらいだし、やっぱりいいんだな」

 

ちひろ「その分ちょっとお値段しますから、学生にはいっぱい買えないのが残念ですけどね」

 

P「それもそれでブランド感あっていいだろ」

 

ちひろ「その通りですが、女の子は欲張りなんですよ」

 

P「ま、我慢してたほうが手に入れた時嬉しいもんだしな」

 

ちひろ「ところで、さっき二人って言いましたけど、それって北条加蓮ちゃんと佐久間まゆちゃんですか?」

 

P「当たり。よく知ってるな」

 

ちひろ「もちろん知り合いではないですけどね。あのお店で二人組って言ったら、まゆちゃん加蓮ちゃんですからね。お店にいるときはなんでかいっつも一緒なんです」

 

P「やっぱり仲良いんじゃん」

 

ちひろ「はい?」

 

P「いや、なんでもない」

 

二人して仲良くないとか言ってたのに。まぁ、あれで仲良くないとか言われても信じる気なんか微塵も起きないけど。

 

ちひろ「あの二人、女の子でもビックリするくらい可愛いですからね。さぞやプロデューサーさんも楽しかったことでしょう!」

 

P「......や、途中から圧と胃に強い負荷を感じたよ」

 

ちひろ「はい?」

 

P「いや、なんでもない」

 

ちひろ「さっきから煮え切りませんね」

 

P「そういう時もあるんだよ」

 

ちひろ「まぁ、いいでしょう。次行ったら私にも何かお土産買ってきてくださいね!」

 

P「わかったよ」

 

まぁ、経費の件だけじゃなく、千川にはいろんなことフォローしてもらってるからな。それくらいしてやらなきゃバチも当たるだろ。

 

P「それじゃ、そろそろ仕事始めるわ」

 

ちひろ「ガッテンです! 今日も地域振興に励んでくださいね!」

 

①住宅街の公園に行く

②駅前通りの商店街に行く

③市境の川の方に行く

④中心部にある商業ビルに行く

⑤市役所に行く

⑥学園内をぶらつく

 




体調不良からのデスマーチが終わり、やっと意識が回復しました。
3日目書いていきます


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days3-1 住宅街

①住宅街の公園に行く(自動選択)


P「昨日と一昨日は屋内だったしな」

 

美城学園を出て、駅から逆方向の郊外、いわゆる「閑静な住宅街」に来てみた。

 

美城市は元々がこの地の地主、美城一族が一帯を持っていたことが名前の由来だが、学園の裏側はまさに美城に近しい住んでいた場所とされ、どちらかといえば高級住宅街とされる。

 

山とまでは言わないまでも、ちょっとした丘のようになっており、なだらかな斜面に見える家々はそれなりに立派だ。逆に、駅の方に向かっていくと集合住宅が多くなってくる。

 

もちろん、その頂点には美城宅、つまり理事長の家がある。

 

P「まぁ住宅街って言っても、別に何もないわけじゃないしな」

 

この辺りは美城市の中でも古くから人が住んでいた場所なので、歴史のある料亭や大きめの神社、魔術書でもありそうな古本屋がある。

また、有閑マダムを狙ってるであろうオシャレなカフェ、スポーツクラブが活動していそうな広い公園もある。

 

P「で、そのスポーツ公園に到着っと。予想はしてたけど、この時間は人が少ないな」

 

時間は昼過ぎ、今日は平日。少年少女は学び舎で勉学に、大黒柱は汗水流して稼いでる最中と思われるので、広い公園といってもいるのは太極拳してるお爺ちゃんとミニチュアダックス連れたセレブマダムだけだ。

 

P「......一応俺もちゃんと働いてるからね? これは街の調査だからね?」

 

別に誰に責められてもないけど言い訳しておいて、公園をぐるっと見渡す。そこで、遊具に一つが目に入った。

 

ここの公園は、遊具エリアと広場エリアが垣根で分かれている。

広場は壁打ちの壁やバックネット、低めのフェンスで仕切られたコートなど本当に運動となっており、遊具もブランコや簡単なアスレチック、健康機器のようなつり輪や登り棒もある。

 

P「ブランコかー。昔はよく乗ったなーこれ」

 

なんとなく近づいて、勢いのままに漕ぎ出す。ちょっと涼しくなって来た空気が肌を撫でて心地いい。

 

P「久しぶりに乗ったけど、気持ちいいな。子供用だから流石に小さいけど」

 

子供の頃、たまに乗っては靴飛ばしたりして遊んでた。成長するにつれ乗らなくなったけど、ジェットコースターみたいに感じてたんだろうか?

大人になっても早い乗り物ってワクワクするし、似たようなもんだった気がする。今ではスーツ着るほど大人になったし、ブランコじゃ物足りないけど。靴飛ばしだって、流石に革靴じゃできないし。

 

って、スーツ? 革靴?

 

P「......いい大人がスーツ着てブランコ全力で漕いでるとか事案だろ! もうちょい早く気付け社会人!」

 

平日昼下がりにスーツでブランコとか完全にリストラされたこと家族に言い出せないおっさんじゃねーか!

 

一人でアワアワしてたせいで、ただでさえ人少なくて目立ちやすい公園で一際注目されてしまった。視線が痛い。

 

やべぇ、別に悪いことしてないのに、美城学園の職員ってバレたら怒られる気がする。理事長とかアシスタントとか。

 

P「さーて仕事するぞー!」

 

むやみに大声出して(逆効果)、仕事してますアピールしてからやることを考える。

 

まぁ、それがすぐ思いつけば苦労はしないんだけどね。

 

P「マジメにどうするかな。このままここにいてもしょうがないのはわかるんだが、場所移すか、時間変えてまた来るか」

 

どのみち今日はもう遠くに行けそうにない。この辺で成果を上げることを考えよう。

 

さて、何をするかなーー

 

 

①ちょっと時間潰してこよう(晴、みりあ)

②仕事がうまくいくよう願掛けでも(歌鈴、朋)

③甘いものには目がないんです(志保、愛梨)

④古本か、千川好きだったっけ(文香)

⑤ここ、やっぱり立派な料亭だよな(葵、響子)

⑥理事長の家、圧がすごい(美城、麗、聖、明、慶)

 




⑥は理事長以外はトレーナー姉妹です。
トレーナー姉妹は学校関係者なので、一度出てきたらシナリオ上はちっひと同じようなポジションになります。
同じく武内P、米内P、匠内Pなんかも。


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days3-2 カフェ

③甘いものには目がないんです(自動選択)



P「こんばんはー」

 

公園を出てから大きめの道を歩き、ちょっと離れたところにあった喫茶店に入った。

 

少し小腹が空いたので喫茶店に行こう、とは思ったのだが、ピンと来るお店がないまま結局またあてもなくウロウロ。

これじゃ何にも成果ないなー戻るかなーと思っていたのだが、

 

P「......なんじゃこの店名?」

 

と、有閑マダム層を相手にするには明らかに違和感のある名前のお店を見つけ、つい興味を持ってしまった。

 

P「入ってみたはいいものの......本当に喫茶店だよな? 一応それっぽい内装だけど」

 

そんなことを思っていると、

 

??「いらっしゃいませー!」

 

と、中からポニーテールの店員さんが駆け寄ってきてくれた。

 

あ、普通にウェイトレスの制服だ。かわいいってか、ちゃんと喫茶店っぽい。

 

??「一名様ですか?」

 

P「あ、うん。そうだけど......一応聞いてもいい?」

 

??「はい?」

 

流石に大丈夫だとは思うけど、念のため確認しておこう。

 

P「ここって、普通の喫茶店だよね? 特撮好きじゃないと入れないとかないよね?」

 

??「え? ......あぁ! お店の名前のことですか!?」

 

P「そうそう。『カフェ! スイーツファイブ!』って、ここら辺の雰囲気にしてはえらくアグレッシブな名前だなぁーと」

 

??「大丈夫! 甘いお菓子盛りだくさんの喫茶店ですよ!」

 

P「ん...ん? あ、そっか、ならいいんだ、うん」

 

元気なのはいいけど、なんか絶妙に答えがズレてる気がしないでもない。いや、本当にいいんだけど。気のせいかもしれんし。

 

志保「ではお客様のことは私、槙原が案内します! こちらへどうぞ♪」

 

P「ん、んん? はぁ、どうも槙原さん」

 

今名乗る必要あったか?

 

志保「はい! こちらのお席にどうぞ♫」

 

「うん、ありがとう」

 

えっらい元気やね、ホント。

 

席に通されて、とりあえず置いてあったメニューを開いてみる。

槙原さんが自信満々に言ってた通り、えらい量のスイーツがあった。アップルパイに始まり、ショコラケーキ、ドーナツ、濃厚ミルクのバニラアイス。それら全部を味わえるパフェ。

 

うん、すげぇスイーツ推しだ。ドリンクはそれなりにあるけど、ごはん的なものはパスタとピザがちょっとしかない。

これは客層選ぶなぁ。

 

P「まぁ俺は甘いものいくらでも行けるからいいけどね」

 

志保「決まりましたか?」

 

P「ぬぉい!」

 

いきなり横から声かけないでくださいません!?

 

志保「あ、すいません! メニュー閉じたからてっきりそうなのかと!」

 

P「いや、そうなんだけどね? 急に近くで声かけられたからびっくりして」

 

志保「はい! 呼ばれたらいつでも駆けつけるのがヒーローですから 」

 

P「まだ呼んでないから......」

 

てかヒーローって何さ?

 

P「まぁいいや、注文いい?」

 

志保「はい、どのパフェですか?」

 

P「なんでパフェに限定したし。いや、パフェじゃなくてアップルパイとコーヒー」

 

志保「? パフェいらないんですか?」

 

P「今日はパフェの気分じゃなくてアップルパイの気分なんだよ」

 

志保「でもパフェ美味しいですよ?」

 

P「そりゃ知ってるよ。甘いもん好きだし」

 

志保「じゃあパフェ食べましょう?」

 

P「いらんっちゅーに」

 

志保「そうですか......ではアップルパイとコーヒー、ティータイムセットでお持ちしますね......」

 

さっきまでものすごいハイテンションだったのに、パフェ頼まなかっただけでえらいテンション落とした。

 

わかりやすく肩を落として、トボトボって表現が似合う後ろ姿で席から離れて行く。

 

志保「ぱふぇ...」

 

......な、なんかすごい悪いことしてる気がする。いや、俺悪くないから。普通に客として食べたいもの頼んだだけだから。

 

わかっちゃいるんだが、なんとなく気になってついつい後ろ姿を目で追ってしまう。

 

んー。ポニーテールが印象的だけど、さっきの弾ける笑顔も非常に魅力的だった。新田さんや北条さんの落ち着いた雰囲気、佐久間さんの愛嬌ある仕草とはまた違う活発さがいい。

また、カフェ、特にこのお店が影響してるのか、妙に甘さを感じる。なんというか抱きつきたくなるというか味わいたくなるというか。特に後ろ姿から見えるパツパツのおし

 

 

 

P「落ち着くんだ俺! 店員さん相手にそういうこと思っちゃいけない!」

 

劣情退散!と頭をぶんぶん振ってなんとかアホな気持ちを振り払う。そんなアホなことやってるうちに槙原さんは奥に消えていった。

 

......いや、あれは見ちゃうよ。冷静に思い返してもヤバい。ムチムチというかなんというか、すごいボリューム感。スカートの上からでもわかるもん。あれ見て

 

「救いを求めている! 今すぐ解放してやらねば!」

 

と使命感に駆られない男はいないって。自分でも何言ってるのかよくわからないけど。

 

P「我ながらアホだな」

 

まぁでも罪悪感は薄れた。これで落ち着いて待てるな。

 

??「お待たせしましたっ。アップルパイとコーヒーのティーセット、お持ちしましたっ!」

 

とかなんとか思ってたら、待つまでもなく頼んだものがやってきた。

 

って、さっきの子と違う子が来た?

 

P「あ、うん、ありがとう」

 

??「いえ! 愛梨のアップルパイ、美味しく味わってくださいねっ!」

 

P「あ、あいり?」

 

愛梨「はい! 私が作ったので愛梨のアップルパイですっ!」

 

P「そ、そうですか......ありがとう、愛梨さん」

 

愛梨「やだ、愛梨だなんて名前で......照れますねっ!」

 

名乗ったのそっちやん......槙原さんもだけど、わざわざ名乗るくらいだから呼べってことかと思ったよ。

 

P「ごめんな? じゃあ店員さんって呼べばいい?」

 

愛梨「十時愛梨って言いますっ!」

 

P「あ、そ......じゃあ、十時さんで」

 

愛梨「はい、よろしくお願いしますねっ!」

 

この絶妙に会話の噛み合わなさっぷりよ。ここの店員は天然な子しかいないのか?

 

P「そういえば、槙原さん戻ってこないけど、どこ言ったの?」

 

愛梨「奥でパフェ食べてますよ?」

 

P「よっぽど好きなんだなぁ。じゃあ休憩か」

 

愛梨「え、仕事中ですよ?」

 

P「え?」

 

愛梨「はい?」

 

P「いえ、何でもないデス......」

 

自由かよ!

 

愛梨「あーそうだ! 私、お兄さんにお説教しに来たんです!」

 

P「今度は何!?」

 

愛梨「お兄さん、志保ちゃんいじめちゃダメですよー! 愛梨、とーっても怒ってます!」

 

......おー、腰に手を当てほっぺ膨らましてめっちゃ怒ってますアピールしてくる。全然怖くねぇ。

 

というか、あの、あんまり胸張らないでもらえます? ご立派なものが強調されてボタンが可哀想だから。ホント。

 

P「別にいじめたわけじゃなく、今日はアップルパイが食べたい気分だったんだよ」

 

愛梨「そうだったんですか? ......愛梨の手作りが食べたかったなんて、ちょっと照れますね」

 

P「......天然マジ強い」

 

いや、槙原さんも十時さんもすっごい可愛いし、スタイルいいし、こんなに話せて役得なのは間違いないんだけどね?

これ、覚悟決めて挑まないと頭抱えるだけになるよ。

 

ってか、この子が作ったって言ったよな? 本当に大丈夫か?

なんかちょっと不安が......。

 

P「まぁ、見た目はすごいオシャレだし、漫画みたいなことは起こらんだろ」

 

愛梨「はい?」

 

P「いや、何でもない。いただくね」

 

愛梨「はい! お召し上がりください!」

 

P「......」

 

愛梨「どうかしましたか?」

 

P「ううん、いいんだ。もう納得した」

 

横で見てるのね。めっちゃ食いづらいっす。

ええい、男は度胸! まずはチャレンジだ! まずは一切れだけど!

 

P「はぐっ」

 

愛梨「......」

 

P「......」もぐもぐ

 

愛梨「......」

 

P「......」ごくん

 

愛梨「......」

 

P「......えぇ、何でこんな美味しいの」

 

愛梨「え?」

 

P「要するに、今まで食べたアップルパイで一番うまいってこと」

 

愛梨「やったー! そんな褒めてもらえるなんて嬉しいですっ!」

 

十時さんがピョンピョン飛び跳ねてる間にもう一切れ。うん、これはうまい。

 

P「すっごい甘いんだけど、砂糖の甘さってより林檎の甘酸っぱさで上品に纏まってるし、パイ生地もサクサクしてて歯ごたえ最高」

 

愛梨「はい! はい!」

 

P「カスタードも林檎の風味を邪魔せず、それどころか柔らかく包み込んでしっかり後押ししてる。シナモンも後味をスッキリさせて次の一口をアシストしてる。スゴイまとまってるよ」

 

愛梨「はぁー、そんなに褒められたのは初めてですー!」

 

お世辞抜きで美味しいからな。いやー期待がスゴイいい意味で裏切られたわ。

 

P「うん、これなら大満足。ありがとう十時さん」

 

愛梨「私も褒めてもらって嬉しいです! 嬉しくて、なんだかとっても暑くなって来ました!」

 

P「あれだけピョンピョン跳ねててたらそりゃね。喜んでくれるのはありがたいけど、落ち着けって」

 

愛梨「はい、そうしますー」

 

やっと落ち着いた。なんか色々あったけど、これでゆっくりできるかな。あ、仕事もしなきゃだけど。

 

愛梨「ふぅ、汗かいてきちゃいました。一枚脱ぎましょう」

 

......ん、なんか今、喫茶店ではあり得ないような意味の言葉が聞こえた。まぁ気のせいだろ。

 

愛梨「んしょ。あ、ボタン外すだけで涼しー♫」

 

P「......あの、十時さん?」

 

愛梨「はい? どうしましたか?」

 

P「念のため、多分、流石に大丈夫だと思うんだけど......制服、ちゃんと来てるよね?」

 

愛梨「え、着てますよ?」

 

あ、なんだ。やっぱり空耳か。

そりゃそうだよな。いくらなんでも店員が客の前でいきなり服脱ぎ始めたりしないよな。

 

さっきの槙原さんの桃鑑賞()といい、溜まってんのかなー。今日は早く帰るか。

 

そうと決まれば、サクサク仕事しますか。

 

P「そっか、ごめんごめん。ところでちょっと聞きたいことがあ」

 

るんだけど、と聞こうとして、顔向けたら。

 

そこにはなんと、制服のシャツ脱ぐ直前の十時さんがいらっしゃいましたよ。

 

そっか、槙原さんは桃()だったんだけど、十時さんはメロンなんだね! 僕にも食べさせて貰えないかい!? HAHAHA!

 

P「って何してんだお前! さっきちゃんと制服着てるって言ったろ!」

 

愛梨「さっきまではちゃんと着てましたよー。ちょっと暑いから今から脱ぎますけど」

 

P「なんでさも当然のように言ってるんだよ! あ、話聞け! 脱ごうとするな!」

 

お山! お山見えちゃうから! ピンク色のブラがはだけた服から見えてるから!

 

愛梨「でも暑いですし」

 

P「奥行って涼めばいいだろ!?」

 

愛梨「いつもはそうなんですけど、お兄さんともっとお話ししたいなぁって」

 

P「ありがとうとっても嬉しいけどそういうことじゃねー!」

 

どうする!? 勝手に脱いでるとはいえこのままじゃ厄介なことになるぞ!

いろんな厄介はそれなりに経験してきたけどこういうのは全然想定外!

 

P「あー俺では対処できねー! 槙原さーん! 助けて! へるぷみー!」

 

志保「はい! やっぱりパフェ食べたい気分になりましたか!?」

 

よかった聞こえた!

 

P「食べる! いくらでも食べるしお持ち帰りもするからこの子何とかして!」

 

志保「この子? ......って、愛梨ちゃん!? 暑くてもお客様の前で脱いじゃダメー!」

 

愛梨「大丈夫ですよ、今はお兄さんだけなので♪」

 

志保「関係ないよー!」

 

あーもー。

 

元気なお店だなぁホンットに。

 

 

 

 

志保「すいません、お騒がせしまして......」

 

P「うん、俺の方はもう大丈夫だよ。それより十時さん平気?」

 

愛梨「うー、暑いです......」

 

志保「はい、いつものことですから♪」

 

すげぇ、若干恨み言言われたのに笑顔でガン無視した。

 

槙原さんが乱入のおかげで十時さんの謎のショーは不発に終わり、改めて二人と会話してる。あ、十時さんはちゃんと着てる。すっごいソワソワしてるけど。

 

P「それにしても、ここはパフェもうまいな。それぞれちゃんと個性出しつつ喧嘩してない」

 

志保「ですよね! ただ乗せるだけじゃなく、美味しく食べてもらえるよう素材も順番も考えてるんですよ」

 

P「拘ってるんだな。うん、気持ち伝わってくるよ」

 

志保「えへへっ、嬉しいです!」

 

わちゃわちゃした後、槙原さんから「で、どのパフェがいいですか?」とすっごいキラッキラした目で聞かれたので、桃と苺のパフェを頼むことに。

いやまぁ、聞かれなくても頼むつもりだったけど。約束したし。

 

アップルパイの味でもはや心配がしてなかったけど、これも期待を超えてくる美味しさだった。このお店は当たりだな。

 

P「ご馳走さま。パフェもさっきのアップルパイもお世辞抜きに凄くうまかったよ。これなら仕事も頑張れそうだ」

 

愛梨「あ、お兄さんもお仕事中だったんですね。休憩ですか?」

 

P「や、ちゃんと仕事中」

 

志保「スイーツ食べるお仕事なんですか? グルメ作家さんとかブロガーさん?」

 

P「そういうのとはちょっと違うかな。実はこんな肩書きで仕事してるんだ」

 

と、ようやく自分の仕事に立ち返り二人に名刺を渡す。

 

志保「美城学園、地域振興課さん?」

 

愛梨「何かお祭りでもするんですか?」

 

P「お祭りもそのうちするかもしれないけど。そういうの企画・立案して街を売り出す仕事してるんだ。わかりやすく言えば街のプロデューサーだよ」

 

志保「プロデューサーさんですかー」

 

愛梨「なんかすごいですねー」

 

うん、よくわからないよね。俺もわかってないくらいだし。

 

P「今はまだ何も決まってないし、とりあえず街のいろんなとこ見てどんなものがあるか見たり聞いたりしてるってところ」

 

愛梨「じゃあ他のところにも行ってるんですか?」

 

P「最近できた部署だから、まだちょっとだけだけどね」

 

志保「美味しいスイーツ食べれるところ見つけたら教えてくださいね!」

 

愛梨「あ、私にも!」

 

君らスイーツ好きだね。

 

P「わかったわかった。スイーツ以外にもいいところあったら教えるよ」

 

志保「やった♫」

 

P「ということで、今度はこっちもいい?」

 

志保「え?」

 

P「さっき言ったみたいに、俺の仕事はいろんなとこ言って話したり聞いたりすることだからさ。こっちも色々教えてほしいなって」

 

愛梨「そういえば、私が暑がってた時に何か聞こうとしてましたっけ?」

 

あ、聞こえてたんだ。それでもあの反応だったのね.....。

 

P「ま、まぁそういうこと。ただパイやパフェ食べるだけじゃないんだ」

 

志保「わかりました。なんでも聞いてください!」

 

愛梨「どんな質問にもお答えしますっ!」

 

おー頼もしいな。それじゃ、どんな質問しようかーーなんて、実は決まってるけど。

 

 

①アップルパイ以外のお菓子も作るの?(愛梨:大 志保:小)

②パフェへのこだわり、強いんだな(志保:大 愛梨:小)

③お店の名前、独特だね(志保&愛梨:中 他アイドル認識)

④二人ともキッチンもホールもしてるんだ?

(志保&加愛梨:小 他アイドル認識)

⑤スイーツの持ち帰りってできる?(志保&愛梨:小 ちひろ:大)




eraみたいなシステムでこういうゲームあったらやって見たいなーと思いながら作ってます。皆さんはこういうゲーム好きですか?


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