高1からの八陽 (まいなん)
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もしも比企谷八幡と雪ノ下陽乃が同級生だったら
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思わず早く家を出てしまった。
「うお…ちょっと寒いな…」
四月といえどまだ冬の名残が残っていて、少し肌寒い。
今日は総武高校の入学式の日だ。総武に受かることができた俺は、新たなスクールライフに胸をときめかせすぎて一時間ほど早く家を出た。いつもはやる気ない感じで自転車を漕いでいるが、今日は自転車を漕ぐ足にも力が入った。
「うし、頑張りますかね!」
と、これから頑張ろうと決意した矢先、
「あ…!ちょっと!サブレ!」
大きな声がしたので、思わず声がした方を見る。
「…ん?犬?……!まずい!」
頭で理解した瞬間、思い切り自転車を漕いだ。リードが離れた犬が車道に飛び出してしまい、そして運悪くでかい黒塗りのリムジンがそこを走っている。
『頼む間に合ってくれ!』
俺は勢いよく自転車を降りると同時に、犬に覆いかぶさるように飛び込んだ。
キキーーーーーッ
「いてて…」
結論から言うと犬は助かった。リムジンがギリギリのところでとまってくれたのである。がしかし、勢いよく飛び込んだ俺が無事なわけもなく…腕と腰を強く打撲、おまけに数か所擦り傷ができてしまった。今は病院の一室でベッドに横になっている。
ていうか、俺飛び込み損じゃねえか…ただ犬に向かって全力ダイブした挙句ケガした変な人じゃん…
「大丈夫?」
「は、はい。まあ多少痛むが問題ないですよ」
この人の名前は雪ノ下陽乃。あのリムジンに同乗していたらしい。なんでも俺と同じ総武の新入生で、入学式に向かっていたところにタイミング悪くあの犬が飛び出したそうだ。つか、リムジンで登校とはいい御身分だなおい…
「ほんとに?ならよかった」
「というか、雪ノ下さんこそ大丈夫なんですか?自分を病院に送ってもらったせいで入学式欠席させちゃいましたし」
そう、あのあとわざわざ雪ノ下さんと件のリムジンの運転手さんが病院まで送ってくれたのである。
「いいのいいの、比企谷君、とてもじゃないけど入学式に出られる状態じゃなかったし。それに、別に入学式なんて大したことやらないんだしでなくてもいいわよ」
「そういうもんですかね?割と最初のイメージって大事だと思いますけど」
「まあ、なんとかなるわよ」
と、少し笑いながら言われた。本人には言えないが、ぶっちゃけめっちゃ美人だと思う。今の笑った顔もとても綺麗だ。
まあこれはあれですよね、考えるまでもなく学校始まったら一言も話さないやつですよね。なんかもう住む世界違うし。
「じゃあ比企谷君、私帰るね。今日のこと一応自分からも親に言っておかないとだし。じゃあまた学校でね!」
そう言って彼女は部屋を出て行った。…社交辞令だとわかってはいるのだが、心のどこかで期待している自分がいた。
しかし何だろうか、違和感というほどではないのだが、何か彼女と話していて引っかかるものがある。…ま、いいか。また彼女と話せるかもわからんのだし、そんなこと気にするだけ無駄だろう。そう自分に言い聞かせて、俺は眠りについた。
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病院から帰って
けがの具合も大したことなかったのですんなりと家に帰ることができた。
「たでーまー」
「あ、お帰りおにいちゃん。遅かったね~」
入学式の終了予定時刻は午前11時。今の時刻は午後8時くらいか。病院で少し寝たせいもあるが確かに遅いな。
「それで?お兄ちゃんは小町に何か言うことがあるのではないですか~?」
心なしか若干ニヤニヤしながら聞いてきた。
…なんかお前変な勘違いしてね?ていうかこの感じだと、事故(犬にダイブしただけ)のこと伝わってないな。なんでだよ…
まあいいや。どうせ自分の方からも言うつもりだったし説明してやるか。
〜説明中〜
「…まじで?」
「まじだ」
「大マジ?」
「大マジだ」
ノリで答えたけどなんだよ大マジって。
「えええええええええええええ!?てっきり小町は入学式でできた友達と遊んできたものだとばかり…」
やっぱな。そんなとこだろうとは思ってたよ。
「そうだったら良かったんだけどな…というか、そういう感じのストーリーを思い描いてたんだけどな…」
「だよね!だってそのためにお兄ちゃん馬鹿みたいにウキウキして1時間くらい早く家出てたし!」
なんか今聞き捨てならん言葉が聞こえたがスルーしてやるよ。
「ほんとな…八幡かなしい…」
「まあ、お兄ちゃんが無事ならそれで良かったよ!今日はお赤飯だね!」
お前が赤飯炊くライン緩すぎるだろ。
「お前その理論で行くと俺は無事生きてるだけで毎日赤飯じゃねえか…」
「確かに…というかまあ、ぶっちゃけ言うと、新しくできた友達と遊んできてると思ったからその場のノリで炊いちゃっただけなんだけどねっ♪」
兄妹揃って無駄なことしてんな…俺は飛び込み損で小町は炊き損だ。
「まあ、なら俺の無事を祝って赤飯食べようぜ。昼ご飯食べてないから超腹減ってる」
「ここでお兄ちゃんに悲しいお知らせあります」
「なんだよ、どした」
え、なに、なんなの、そんな言い方されるとこっちも身構えてしまう。
「なんと小町!赤飯以外何も作っておりません!おかずが無いのであります!」
「いや、無いのであります!じゃねえよ!」
ほんとになんでなんだよ!作っておいてもらっている以上小町を責めるのは違う気がするが、かといって堂々とおかず無し宣言をされるのも違うと思うんです…
「てへっ、いやぁ、実はお赤飯作った後寝てしまいまして、それで起きた後にどうしよーって考えてた時にタイミングよくお兄ちゃんが帰ってきたのですよ!」
まじかよ…まぁ寝てしまったものは仕方がない。
「あー、だったらもう冷蔵庫にあるもので俺が作るよ…小町もうダラダラしちゃってていいぞ」
「いや、それなんだけどさ、もう今から作るのもあれだし近くのコンビニまでなんか買いに行かない?お兄ちゃん今日はもう疲れてるだろうし」
ふむ、確かに。まあコンビニに行くだけでも疲れることに変わりはないが、今からおかずを作るよりはましだろう。
「そうだな、そうするか」
「んじゃいこっか!」
小町とコンビニでいくつか買い物をした後の帰り道。
「いやぁ、コンビニ行くとついつい色々と買っちゃうよね~」
「わかる。なんかもうずるいよなあの商品の置き方とかさー」
「いや、そこまでは思わないけど…流石にひねくれすぎだよお兄ちゃん…」
「お、おう」
え?まじで?これ思うの俺だけ?なんか色々な商品に誘導されてる感あるじゃん…
「…って、ん?」
なんとなく見たことのある面影が目に映った。
というか、雪ノ下さんだなあれ。
車道を挟んだ向かいの歩道を、雪ノ下さんが一人で歩いていた。
「どしたの兄ちゃん」
「悪い小町、先帰ってちょっと夜ご飯の準備しててくれねえかな」
「え、あ、うん。分かった。先帰ってるね…?」
「悪いなほんと」
小町は少し不信そうにしながらも先に家へと帰っていった。
なんとなくだが、今話しに行かないと今後話せなくなる気がする。信号機のない横断歩道を渡って、早歩きで雪ノ下さんの方へ向かった。
「雪ノ下さん」
「ん、あれ?比企谷君じゃない。けがはもう大丈夫なの?」
少し驚いたような表情で雪ノ下さんが聞いてきた。
「はい、もう家に帰っても問題ないそうなので」
「それはよかったわ。というか、こんな時間に会うなんて奇遇ね。今日会ったばかりなのに。」
クスッと笑いながら言われた。
…なぜだろうか。きれいな笑顔なのにどことなく違和感を感じる。
そんな疑問を悟られないように会話に乗った。
「そうですね。偶然ってすごいですね。」
「というか病院で言いそびれたんだけど、もっと楽に話そ?同級生なんだし。」
「楽に、ですか」
とは言われたものの難しいな…家族以外と話すときは大体こんな感じなのである。
「そうそう、楽に。そんなかしこまった話し方されちゃうとなんか調子狂っちゃうよ」
またクスッと笑いながら言われた。
「まあ頑張ってみます」
「うん!じゃあまた改めて学校でね!」
本当はもっと話していたかったのだが、彼女はまたさっき向かっていた方向へ歩き出した。
表面上は。
表面上は仲良くなれたと思う。
けど、病院で話した時より、自分と雪ノ下さんの距離は広がってしまった気がした。
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もしも比企谷八幡と雪ノ下陽乃が同じクラスだったら
よろしくお願いしますm(*_ _)m
1つ不思議に思ったことがある。俺はなぜここまで雪ノ下さんに執着しているのだろうか。執着という言葉を使えば少し語弊があるかもしれないが、ここまで短期間で他人のことが気になるのは初めてのことである。無論雪ノ下さんと会ったのは今日が初めてだし、病院で話したとはいえ社交辞令じみたことを言われただけで大したことは話してない。ではなぜ、なぜここまで彼女のことが気になっているのだろうか。
雪ノ下さんと別れてからの帰り道、俺はずっと自問自答を繰り返していたが、その問いに対する答えは依然として見つかりそうにない。はっ…もしかして俺…ちょろすぎ…?なーんてふざけた事を考えても、結局俺が雪ノ下さんに抱いている感情を理解することができなかった。
だめだ。これ以上は考えるだけ無駄だな。全くもって答えが見つからない。そもそもこの問いに対して答えが用意されているのかもわからない。
と、少し考えるのをやめたところであることを思い出だした。
「やっべぇ…小町になんて言おう…」
思わず声が出た。いや、ほんとにやばいんですけど。小町からしてみれば、『邪魔だから帰ってくれ』と言われたも同然だろう。かといって説明するにしても、俺自身なぜあそこまでして雪ノ下さんと話しに行ったのか分かってないない分説明のしようがない。
そんなことを考えているうちにいつの間にか家の前に来てしまっていた。もういいや、適当にごまかしとくか…
「た、ただいま…」
「…おかえり」
やべぇ…これは小町おこだ…どうしよう、やべぇよ…もうさっきからやばいしか頭の中にない。
「あ、あのね、小町ちゃん?」
「さっき学校の先生から電話が来てたから掛けなおしといて。それと、晩御飯の準備しておいたから適当に食べて。小町もう寝るから。」
そう一方的に伝えた後、小町は階段を上っていった。
はいやらかした。やらかしましたよ。久々に小町を怒らしてしまった。こうなってしまったらもうほとぼりが冷めるまで待つしかない。スイーツとか買ってやったら機嫌直してくれないかなぁ。
まあ、そのことは明日考えよう。とりあえす学校の方にかけなおすか。今日の間にいろいろなことがありすぎて学校のことがすっかり頭から抜けちゃってたな。家の電話の方に着信履歴が残っていたのでそこから掛けなおした。
『prrrrrrr…もしもし』
「あ、もしもし、さっき電話に出れなかったので折り返し連絡させていただきました、比企谷です。」
『おお、君が比企谷か。総武高校教員の平塚だ。初日から事故に遭うとは災難だったなぁ』
優しそうな女性の声だった。もしかしてこの人が担任だろうか。
「いえいえ、いきなりご心配おかけしてすみません」
『ふむ、まあ無事そうで何よりだよ。ところで明日からは来れそうかね?』
「はい、けがも大したことなかったので」
『そうか、それはよかったよ。だったら明日の朝職員室に来てほしい。今日渡す予定だった書類やその他諸々を渡しておきたくてね』
「あ、はい。わかりました」
『夜遅くにすまなかったな。では失礼するよ。』
「はい、失礼します」
会話が終わったところで電話を切った。なんとなくだがいい先生っぽかったな。
さてと、ご飯でも食べますかね。と思ったところでどっと疲れが出てきた。もう今日は飯食って風呂入ってすぐ寝よう…冷えてしまったご飯を食べながらそう思った。
翌日の朝、言われた通り職員室前に来た。今の時刻は7時35分、少し早く来すぎたかな。
ちなみに小町の件だが、1日経ってもやはり不機嫌だった。朝自分から何度か話しかけたのだが、目すら合わせてくれなかったです…八幡ショック…
と、朝の家の出来事を思い出したところで職員室から出てきた先生らしき人に声をかけられた。
「お、来てるな。ではこっちに来たまえ」
そう言われると【生徒指導室】というプレートが張られた部屋に案内される。え?まじで?朝っぱらからいきなり生徒指導されちゃうの?
「なに、そう身構えるな。話をできる場がここしかないのだよ。」
俺が内心そわそわしていたのを見透かされたのか、少し笑い気味に言われた。よかった…初日から目つけられたのかと思ったぜ…まあ俺何もしてないけど。
「では改めて自己紹介といこうか。君の所属する1‐F担任兼現代国語教科担当の平塚静だ。よろしくな。」
あ、やっぱり担任なんですね。担任と教科担を兼任とはずいぶん大変だなぁ。ていうか、なんか変わってるなこの先生。主に話し方とか。
「は、はぁ。よろしくお願いします」
「うむ。まあ初日から色々あって大変だったと思うが頑張ってくれ」
ほんとね、最初が肝心なのにね。もう終わった感しかない。
「はい、頑張ります…」
「まあそう暗い顔をするな。なんとかなるさ」
何とかなるさって言われましてもねぇ…
「あ、そうそう。これが書類一式だ。提出する書類もあるから家に帰ったら確認しておいてくれ」
そう言われて封筒に入った書類を手渡された。
「私からは以上だ。もう教室に行っておいていいぞ。1‐Fの教室はこの校舎の二階だ」
「わかりました。ありがとうございました」
そう言って生徒指導室をあとにした。
はぁ、入学式出れなかったの痛いなぁ…何事も最初が肝心なのである。というか、雪ノ下さんも入学式出れてないよな。大丈夫だだろうか。そんなことを考えながら階段を上って歩いていると、いつの間にか1‐Fの教室の前に来ていた。やばい、緊張してきた…なんか手汗出てきちゃったよ…。絶対誰かいるよねこれ、とりあえず浮かないように頑張るんだ俺は。もうあんな思いなんてしたくない。
────そんな思いで扉を開けた俺の目に映った光景は。
広い教室で一人本を読んでいた雪ノ下さんだった。
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もしも比企谷八幡と雪ノ下陽乃が同級生だったら〈後編〉
クラス全員分の机と椅子が置いてある教室で、雪ノ下さんは1人隅っこに座って本を読んでいた。
「あ、え…雪ノ下さん?」
「あ、比企谷くんだ。おはよ〜」
パタリと本を閉じてそう言った雪ノ下さんの顔はどこか得意げに見える。一方俺はというと、口を開けてポカーンと間抜けな顔をしていた。
「あっはは!どーしたの比企谷くん、そんな驚いた顔して」
ケタケタ笑いながら聞いてきた。
「あ、いやその、少し驚いてしまって…まさか同じクラスだとは思ってなかったです」
「まぁ、言ってなかったしね。…そんなことよりさ、比企谷君。私が昨日言ったこと覚えてないの?」
昨日?何か約束でもしただろうか。自分の頭の中にそんな記憶は無い。
「えっと、すみません。何か約束でもしましたっけ?」
「へー、ほんとに覚えてないんだね。ならもっかい言ってあげる」
──空気が変わった。
さっきまでの笑顔はいつの間にか消えていて、今はまるで品定めをするかのように妖艶な笑みを浮かべている。雪ノ下さんは自分の方へゆっくり歩き出した。どうしよう、体が動かない。いつの間にか目の前に雪ノ下さんがいる。なんだ、何をされるんだ。身構えた俺の体に雪ノ下さんは
抱きついてきた。
「楽に話そって言ったの、覚えてない?」
頭が真っ白だ。何も考えられない。いや、何も考えられないと考えている時点で考えることは出来ているのだが、考えがまとまらない。やばい、やばい、なんだこれ、え?なんかもうなんだこれ。同じことを2回考えるくらいには思考が止まっていた。
「ほらほら、そんなに固まってないでもっとお話しようよ」
ぱっと体を離して雪ノ下さんは言う。何秒くらい抱きつかれていたのだろうか。
「え、あ…」
「まずはさん付け無くして?」
「…雪ノ下」
「次は名前で呼んで」
「陽乃さん」
「は?」
いや、怖い…いきなり名前で呼び捨て出来るわけないでしょ…しかし目の前の陽乃さん、笑顔なのは笑顔だが目が笑ってない。マジで怖い。これは呼ばないとやばいやつだ。
「……陽乃」
「そう、それでいいの。今度からそう呼んでね。あと敬語も外してね」
「はぁ、わかりまし……わかったよ」
名前で呼ばせることになんの意味があるのか、さっき抱きついてまでそれを伝える必要があったのか、とは聞かなかった。
自惚れも大概にしろと、あれは彼女なりのコミュニケーションの取り方だと、そう自分に言い聞かせて聞くのをやめた。
「じゃあ、改めてよろしくね!八幡!」
「いやいやいやいやおかしいでしょ?なんで雪ノ下さんが俺のこと名前で呼ぶんですか?」
「は?」
まずい、またやらかした。言い直そう。
「いやいやいやいやおかしいでしょ?なんで陽乃が俺のこと名前で呼ぶの?」
「全部言い直すとは思わなかったよ…だって、自分だけ名前で呼ばせてこっちから呼ぶ時は苗字に君付けだなんて、不公平じゃない?」
「いや、別に俺は今まで通りでいいよ」
「ふーん、まあそれでももう決めちゃったし八幡って呼ぶね!」
「そうか…」
別に悪い気はしないが、家族と幼なじみ以外に名前で呼ばれたことが無かったので、むずかゆい気分だ。
そう2人で話していると、外から話し声が聞こえてきた。もうみんな登校してくる時間だな。俺と陽乃は何事も無かったかのようにそれぞれの席に着いた。
「それでは、早速だがクラス委員と係を決めていこうと思う」
1時間目のホームルームはクラス委員決めらしい。まぁ、早めに決めておかないと後が滞るし妥当だろう。
余談だが、朝のショートホームルームで俺の自己紹介タイムがあったのだが盛大に滑った。いや、何か面白いことを言ってシラケたとかではなく、ただ淡々と名前と前の中学となぜ入学式に参加出来なかったのかを言っただけだったので、とてもつまらないやつだと思われただろう。まぁ、間違ってないからいいんですけどね。
まあいい、どちらにせよ俺はクラス委員などやる気無いし寝たフリしとくか。起きたら勝手に余った係とかに割り振られてるだろう。
……なんとなく陽乃が気になって陽乃の方を向いてみたら、案の定引っ張りだこだ。いろんな人から男女問わず引く手あまたと言った感じである。そんな陽乃を見ていたらまた違和感に襲われた。なんなんだこれは。
ていうか、こんな適当な感じでいいのん?っと、クラス担任の平塚先生の方を向くと、ニコッと微笑まれただけで何も言われなかった。生徒の自主性に任せるというやつだろうか。
ちなみに同じく入学式を休んだ陽乃も朝のショートホームルームに自己紹介をしたのだが、なぜ俺とここまで差がついてしまったんでしょうか…。まぁあれだな、俺の後に陽乃が自己紹介したから余計良く見えたんだろう。引き立て役だ、俺は。などとつまらないことを考えながら引く手あまたの陽乃の方を見ていたのだが、よく見たら誘いを全て上手く断わっていた。
そして一瞬こっちを見て
「はーい、わたしルーム長やりまーす!」
『おおー!すげー!』
『さすが雪ノ下さん!』
立って手を挙げてそう言った。周囲からは歓声が巻き起こる。なんというかもう完全に陽乃の独壇場だ。ルーム長はクラスをまとめるという名目で色々とめんどくさいことをやらされる、恐らく1番めんどくさい役職だ。ルーム長は男女各一名と決まっているので、さきほどまで陽乃の方へ集まっていた男子達は俄然やる気である。
「で、男子のルーム長は私が決めたいと思いまーす」
陽乃は有無を言わさない言い方でそう言った。普通ならこんな傲慢な言い方をされればクラスから疎まれるものだが、陽乃のカリスマ性によってむしろさらに盛りあがっている。俺が選ばれるんじゃないか。もしかしたから俺が。そんな表情が見て取れる。
「男子のルーム長は…」
みんなが息を呑む。
「比企谷君にやってもらいまーす!」
「え?」
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はるのん、おこる
「比企谷くんにやってもらいまーす!」
「え?」
いや、え?なんて?聞き間違え?なんか俺にルーム長やれみたいなこと言われた気がしたんだけど……幻聴?
「陽乃、悪い、聞こえなかった。もっかい言ってくれる?」
「男子のルーム長は比企谷くんにやってもらいまーす!」
さっきと同じテンションで言われた。いやいや無理でしょ…。俺ができるのってせいぜい小学生の時とかにやった生き物係とかそこら辺なんですけど?まぁ、世話してた金魚死んじゃったけど。
「いや、無理でしょ…」
「決定事項でーす!従ってもらいまーす!」
「横暴だ…」
嫌だ…やりたくない…何が悲しくてルーム長なんてやらなければいけないのか。
と、ここでふと我に返って周りを見渡してみると、他の生徒はポカーンとしていた。一部の生徒からは、
『なんであんなやつが』
みたいな視線を感じる。嫌な雰囲気だ。陽乃は何を考えている?そう意味を込めて陽乃の方を向いてみると、当の本人はどこ吹く風で、黒板にちゃっかり「男子ルーム長:比企谷くん」と書いていた。いやいや、あのさぁ…
そう俺が口を開く前に、1人の生徒が口を開いた。
「はー、マジありえないっしょ。萎えたわー。あーあ、マジないわー」
そういった生徒は気だるげに椅子に座ってふなこぎをしている。なんていうかこう、悪意があって攻撃しようとして言ったというよりは、自然に口から出たといった感じだな。見た目も金髪によくわからんヘアバンドしてるしアホっぽい。
何か言おうと思って口を開こうとしたら、また別の生徒が口を開いた。
「は?」
陽乃だ。黒板に機嫌良さそうにチョークを走らせていた陽乃だったが、今の言葉を聞いて明らかに機嫌を悪くしている。今の陽乃の表情は真顔だ。さっきまでの明るい笑顔とは違い、ものすごく冷えた、それでいて怒りに満ちた表情をしている。先程発言した生徒含め、クラス全員が青ざめている。怒らせてはいけないやつを怒らせてしまったと、そう思っている。もちろん俺も同じ気持ちだ。
「戸部くん。今の言葉取り消して。」
「あ…いや、その…」
冷たく言い放った陽乃に対して、戸部くんと呼ばれた生徒は青ざめたまま言葉にならない音を発している。今更だけど戸部って言うんだな金髪くん。
「取り消して」
「あの…はい、、取り消すっしょ…」
おいおいおいおい、なんだよ取り消すっしょ…って。そんな空気じゃないだろ……思わず吹きだしそうだったぞ。
「うん、いいよ。でも今度から空気悪くなるような発言はやめてね?」
「わ、わかったっしょ…」
なんかすげぇ丸く納まってるけど、陽乃の笑顔が怖い。次はないからなという意志を感じる。女ってこえーわ。あー怖い怖い。
それでもクラスの人達はほっとしたようで、皆それぞれ安堵の表情を浮かべている。
「他に異論ある人いる?」
さすがにこの状況でいるはずもなく、誰も手をあげようとも口を開こうともしなかった。
「よかった!じゃあこれで決定ね。よろしくね八幡!これから2人で頑張ろうね!」
クラスがざわついた。当然だな。下の名前で呼んだのもあるし、そもそも男子のルーム長指名した時点で特別扱いしてる時点でなにか察するものがあるだろう。しかしそれを聞こうとする人は誰もいなかった。全部陽乃の手のひらの上だなこりゃ。
そんな風に考えていると、授業の終りを告げるチャイムが鳴った。
「ん、終わったか。では皆それぞれ与えられた仕事をこなすように。では終わりだ。」
平塚先生の一言で授業が終わった。ていうか先生口ださなさすぎでしょ……あのピリついた空気の中先生が何してたかすげー気になる。
「ルーム長さん」
「ん、なんだ、陽乃か。どした?」
後ろから声をかけられて振り向いてみれば陽乃がいた。
「なんだって何よなんだって。そんなことより、由比ヶ浜さんと話したことある?」
え、誰それ。知らない子ですね。
「いや、そもそも誰かすらわからん。そいつがどうかしたのか?」
「いやいや、うちのクラスだよ。ほら、あのピンクの髪の子」
そう言って陽乃が指をさした先には、確かにピンクの髪の生徒がいた。うむ、やっぱり知らんな。
「へー、やっぱり分からんわ。で、あの人がどしたの」
「ふーん。やっぱり話してないか。」
そう言った陽乃の表情はとても冷たかった。さっき戸部に対して向けていた表情とは違う、失望したような表情をしている。
「え、結局なんなの?」
「ちょっと放課後空いてる?話したいことあるんだけど」
「お、おう、了解した。」
「ん、それじゃね」
そう言って陽乃は自分の席へと戻っていった。話とはなんだろうか。そう思いながら俺は次の授業の準備を進めた。
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雪ノ下陽乃の願い
RINEは某SNSのあれです。念の為伏せておきました笑
帰りのホームルームが終わった。このあと何も無ければそのまま家に一直線なのだが、今日は陽乃に放課後は空けておいてと言われているので、大人しく席に座って陽乃を待っている。
ていうか、小町のことすっかり忘れてたな……なんか帰りにスイーツとか買って帰ったら許してくれないかな……。
なんて今日帰ったことのことを考えていると、陽乃ともう1人女子生徒が自分の席の元に来た。髪がピンク色をなのを見るに、朝に陽乃が言っていた由比ヶ浜さんとはこの人だろうか。
「お待たせ八幡。この子が由比ヶ浜さんだよ」
「あのっ……!由比ヶ浜結衣です!えと、その……」
やっぱりこの人が由比ヶ浜さんだった。しかし何やら挙動不審だぞこの人。何か言いたげに口を開いては閉じてを繰り返している。
「あー、比企谷八幡だ。それで陽乃、由比ヶ浜さんがどうかしたのか?」
「まあまあ八幡。今は由比ヶ浜さんが話そうとしてるんだし、ここは最後まで聞くところだよ。」
確かに、思わず口を開いてしまったが、ここは由比ヶ浜さんが話し出すまで待つとこだったな。
「ほら!由比ヶ浜さんもちゃっちゃっと話して!」
「う、うん。えっと、その、この前はお礼も何も言えずにすみませんでした!うちのサブレを助けてくれてほんとにありがとうございます!」
そう言われて頭を下げられた。はん?何の話?と聞き返しそうになったが思い出した。あの時の犬の飼い主が由比ヶ浜さんだったのか。ていうかあの犬サブレって名前なのね。なんか美味しそう。
「あー、あの時のね。気にすんなよ。あれ結局俺がただお前のとこの犬に飛び込んだだけで意味無かったしな」
「そんなことないよ!……それに、ほんとは事故が起こったその時に謝りに行かなくちゃ行けなかったのに、謝りに行けなくてごめんなさい。あの後またサブレが走り出しちゃって、それを追いかけるのに夢中なっちゃって……。」
なるほどね。まあ別に俺としては礼を言われるようなことをしたとは思ってないし、むしろここまで丁寧にお礼を言われてちょっと気分がいいまである。
「まぁ、あれだ。こうやって謝りに来てくれたんだし、俺から特に言うことは無い。強いて言うなら犬が無事でよかったなってとこだな。」
そう答えると由比ヶ浜さんはポケーと口を開けてこっちを見ている。かと思えば、急に目を見開いてなんか喋り始めた。
「比企谷くん……とってもいい人だね!タメで話していい?あ、私はタメでいいから!呼び方も結衣でいいよ!わたしは八幡って呼んでもいいかな!それとRINE交換しようよ!ね!」
怒涛の勢いで話されたため何を言われたか分からなかった。まあ適当に返しとけば問題ないか。
「お、おう、いいぞ」
「やった!じゃあQR出して!あたしから登録するから!」
「お、おう?RINE?まあいいけど……」
いつの間にかRINE交換する流れになっている。まあいいや、別に交換したところで減るもんじゃないし。
「んん、んっんん、えと、八幡?私もRINE交換したいんだけどいい?」
「おう陽乃、折角だからしとくか」
そんな感じで2人とRINE交換した。今までRINEの友達なんて、家族と公式アカウントしかいなかったから一気に新鮮になったな。
「じゃああたし、これから友達と遊ぶ予定あるからこれで!じゃあね八幡!雪ノ下さん!」
いや、なんで名前呼びなんだよ。そうツッこもうとしたが遅かった。
「八幡、これからなんか予定ある?」
そう聞いてきた陽乃は心無しか不機嫌そうに見える。なんだ、自分だけ苗字呼びだったからちょっとムッときたのかね。
「いや、放課後はもう何も無いぞ。これからなんかあんの?」
「なら一緒に帰ろうよ。ていうか、駅まで送って?」
「いいぞ、んじゃ帰るか」
そう言って2人で下駄箱まで向かった。
駅までの道は静かでもなく賑やかでもなく、丁度いい雰囲気だった。俺は自転車を押して、陽乃は歩いて2人で並んで歩いている。特に会話がある訳では無いが、かと言って気まずい訳でもない、というか居心地が良かった。
「八幡は、由比ヶ浜さんのことどう思う?」
陽乃が突然聞いてきた。横からでは陽乃の表情があまり分からない分、どんな意図で聞いてきたのかも分からなかった。
「どうって、良い奴だと思うぞ。ちゃんと礼しに来たし、裏表なさそうなやつだしな。」
「そうだよね、うん。」
陽乃の答えが歯切れが悪いせいか、質問の意図が余計気になる。
「なんだ、由比ヶ浜となんかあったのか?」
「その、ちょっと長くなるけどいい?」
「別に構わん」
「わかった。私ね、最初由比ヶ浜さんが八幡に謝らないんじゃないかって思ってたの」
「別に謝ることの事ではないだろ今回のは。俺も大した怪我じゃなかったし」
「八幡はそう思ってるみたいだけど、私は謝るべきだと思ってた。まぁ、車に乗ってた私が言えることでは無いかもしれないけどね。でね、私は事故の時になんとなく顔覚えてたから、由比ヶ浜さんがクラスに入ってきた時一瞬でわかった」
俺は話に相槌を打つわけでもなく、黙って陽乃の話を聞いていた。
「それで、由比ヶ浜さんが八幡に気づいてバツが悪そうに目を逸らして気まずそうにしてるのを見て、さっきも言ったけど、もしかしたら由比ヶ浜さんは八幡に謝らないまま終わせる気なのかなって思って。だから、1限のクラス委員決めが終わって八幡と話した後に、由比ヶ浜さんのところへ行こうと思ったの」
陽乃は淡々と話している。その声からは、後悔のようなものを感じる。
「そしたら、由比ヶ浜さんの方から『比企谷くんに謝りたいから手伝って欲しい』みたいな事言われたんだ。って言っても、1人じゃ不安だから着いてきてほしいって感じだったから、着いていくだけ行って黙ってただけなんだけどね」
なるほど、多分クラス委員決めの時に俺と陽乃の様子を見て、陽乃の方へアプローチに行ったんだろうな。
「まぁ、ずっと黙ってせいで抜け駆けされそうになったのは危なかったけどね……そう、だからなんていうか、由比ヶ浜さんがいい人で良かったよ。あのまま謝らないつもりだったら、うん。私怒ってたよ」
最初の方は声が小さすぎてなんて言ったか分からなかった。が、そのあとが怖すぎてあまり気にならなかった。陽乃怖いですよその笑顔。戸部にキレた時と同じものを感じたぞ今。
「お、おう。そうならなくて良かったぞ……」
「ていうか八幡、いきなり由比ヶ浜さんに名前で呼ばせるってどういうこと?なに、ちょっと気になってるの?」
「いや、俺も驚いたよ…急に呼ばれたし」
「あれは比企谷くんが適当に返事しちゃうからでしょ」
え、そんな返事したっけ……ていうか陽乃はなんでちょっと不機嫌なんですかねぇ。
「というか、それを言ったら陽乃もいきなり名前呼び強制した気がするんだけど。や、別に嫌じゃなかったけどね?」
そう答えると、陽乃は急に不機嫌な表情から一転、ニヤリと笑っている。
「へー、そうなんだ。嫌じゃないなら……良かったの?」
「まぁ……そうだな。」
いや、その聞き方はずるいでしょ。なんかちょっと照れてしまったぞ……一方陽乃はへぇー、とかほぉー、とか言って小悪魔のような笑いを浮かべてこっちを見ている。正直かわいいし綺麗なんだよなぁ陽乃。今日のクラス委員決めの時も、いきなり指名されてびっくりしたのは確かだが、それ以上に嬉しかったりもする。
「比企谷くんって可愛いとこあるよね」
「うるせえよ、ほっとけばか」
「ばかだって!可愛いー!」
くっそ、何を言ってもダメなやつだこれ。しばらく黙っとこうかな。
しかし陽乃の表情は先程とはまた違う晴れやかな笑顔だった。
「あのね八幡。わたし、八幡と話すの楽しいの」
……急にそういうのはずるいだろ。さっきとのギャップで俺は何も言えずにいる。
「なんで面白いかは分かんないけど、なんか面白いんだよね。いつの間にか知らない自分を見つけてしまった気分。」
「なんだそりゃ」
意味が分からず思わず笑いながら答えた。
「ふふっ、わかんない。でもなんていうか、八幡は初めて見るタイプの人間なんだよね。どこが、とかは上手く言えないけど。」
一呼吸置いてまた陽乃が話し始める。
「だから、これは少し傲慢かもしれないけど」
今まで並んで歩いてずっと前を向いていた陽乃が、初めてこちらを向いた。俺は思わず息を呑む。
「期待してるからね、八幡」
そう言った陽乃の顔に先程の笑顔は無く、少し悲しそうな、どこか諦めた、そしてどこか縋るような、色々な感情が混ざったような表情をしていた。
「あ、もう駅だね。ありがと八幡!じゃあまた明日ね!あ、別にRINE送ってくれてもいいからね?」
「お、おう、暇だったら送るわ。気をつけてな」
「あはは、何よ暇だったらって。まあいいや、それじゃまたね」
会って数日の陽乃に言われたあの言葉。それは、俺と陽乃が共有した数少ない時間以上の重みがあった
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優しい小町ちゃん
「こ、小町ちゃん?」
「なに」
テーブル挟んでお互い椅子に座っている。ふえぇ、小町ちゃん怖い……
俺は今、病院から帰った日の夜のことについて謝ろうとしている。
「その、俺が悪かった、すまん」
頭を下げると同時にスイーツを差し出す。これで許してくれなかったらどうしようかなぁ……
「今回は……今回だけは許してあげる。」
「ほ、ほんとに?」
「ほんとだよ。嘘つく場面でもないでしょ」
やったやった!許された!お兄ちゃん許された!これで小町が許してくれなかったらやばかった。勢いで学校辞めてたかもしれん。
陽乃を駅まで送った後、そのまま駅前のケーキ屋で色々とスイーツを買って帰ってきた。やはりスイーツの力は偉大だな。
「今回の件は何も聞かないであげる。お兄ちゃん、聞いて欲しくなさそうだし」
「小町……いいのか?」
「うん、いいよ。お兄ちゃんが話してくれるまで待ってるから。」
小町はいつもの笑顔でそう答えてくれた。……俺はなんてできた妹を持ったんだろうか。正直今の小町のセリフは予想外だ。てっきりなにがあったか聞いてくるものだと思っていたから。なんかもう泣きそうなんだけど。
「小町、ありがとう。」
あの時小町を置いてまで陽乃さんを追いかけた理由は結局わからなかった。いつかちゃんと小町に話さないとな。
「ま、小町はお兄ちゃんの妹だしね!兄を支えるのが妹ってもんですよ!」
「ほんとに俺はお前が妹で幸せだよ、ありがとうな」
「あ、うん、そういうセリフはイケメンの兄に言われたかったかな、ありがとー」
せっかくいい感じの雰囲気だったのになんてこと言いやがるこいつ。
「おい、せっかくのいい雰囲気が台無しじゃねえか……ていうか!俺だって多少は顔整ってるだろ!」
「えー、まぁ確かにお兄ちゃん顔のパーツはいいと思うんだけど、その腐った瞳が全てを台無しにしてるんだよね」
だからなんてこと言いやがるこいつ。
「ひどい……おれだってこんな腐った目になりたくてなったわけじゃねぇ!いつの間にかこうなってたんだよ」
「いつからだっけお兄ちゃんの目がそうなったの……まあいいや!そんなことより小町久々にスマ⚫ラしたい!」
「あー、スマブ⚫ね、やるか。ふっ、俺のキャプテン・⚫ァルコンでボコボコにしてやんよ」
「じゃあ小町ベヨネッ⚫使っちゃお。ボコボコにしてあげるね。」
「あー楽しかった!それじゃ小町寝るね!おやすみー」
「おう、おやすみ」
2人でス⚫ブラを楽しんだ。案の定ボコボコにされたがそれでも楽しかった。やっぱ兄妹っていうのは仲良くないとな。
そういえば陽乃ってどうなんだろうな。なんとなく一人っ子ぽいけど、今度聞いてみるとしよう。
今日はもう疲れたし寝るとしますかね。
小町が自分部屋に行ってすぐに俺も自分の部屋に行った。こうやって見ると兄妹って似てんのかもな。
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