チートなアメリカ合衆国&日本皇国召喚 (名無之助)
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日本皇国の紹介

今作の日本皇国の設定です。


日本皇国

 

政治体制・議会制民主主義(議院内閣制)

主権者・国民

 

国家元首・天皇陛下(ただし、国政に関しては内閣に委任、外交上、条約の最終承認なども内閣総理大臣に委任しており、権限としては、内閣からの要請に基づき、宣戦布告の可否、停戦、講和の可否などを決めることができる。その他に、憲法に規定された国事行為を行う。なお、この国事行為は、リアルの日本と同じものである)

 

行政の長・内閣総理大臣

 

軍の最高指揮官・内閣総理大臣(天皇陛下より委任状態)

 

歴史

 

西暦1853年・皇紀2513年の黒船来航時から、史実とは異なる歴史を歩む。

 

当時、黒船の来航を機に江戸幕府は、全国から製鉄、鉄鋼、鉄砲鍛冶、大砲、造船、絡繰、種類を問わずに技術者を大量に召集し、黒船に対抗できる軍艦、更には新型の大砲や鉄砲の研究、開発を命じたのである。

 

更に一週間後にはオランダからの軍艦輸入が決定している。

 

同時に、大型船の建造を禁じていた大船建造禁令が解除されている。

 

なお、翌年には幕府からの働きかけにより蒸気船がオランダから幕府へ贈呈され、幕府はこれの構造を徹底的に研究、更にはこれを練習艦とし、オランダからの教官の下で乗員育成が行われている。

 

更に、幕府は、海軍の改革を断行し、海軍力の強化を図り、海軍の最高指揮官として、海軍総裁が置かれる。

 

陸軍にも改革が及び、近代化が成され、陸軍総裁が置かれている。

 

1855年には海軍士官養成のため、オランダからの教官団を招き、海軍学校が現在の横須賀に開設され、更に数カ所にも順次海軍学校が設立された。

 

翌年には幕府肝いりで研究、開発されていた軍艦の一番艦が就航する事となる。

 

それからいくつもの難題が降りかかるが、それを乗り越え、幕府海軍は最終的に蒸気機関を積んだ軍艦30隻を含む120隻もの軍艦を保有し、更には近代化された銃や大砲を装備した常設の陸軍までも保有するに至る。

 

なお、時の征夷大将軍が決断し大政奉還が史実より早く行われたのは1861年であった。

 

しかし、その後に起こった討幕派によるクーデターでは、ここでも史実とは違う歴史が生まれる。

 

朝廷が討幕派に協力しなかったのである。

 

近代装備や海軍艦隊を有した幕府軍は甚大な被害を受けながらも討幕派を撃退、しかし、その被害の大きさに時の征夷大将軍は朝廷に将軍を辞することを伝え隠居してしまう。

 

この時に幕府の廃止が正式に決定され、廃藩置県も行われた。

 

諸侯が反発したが、隠居した元征夷大将軍により説得が成されことなきを得ている。

 

その後、軍艦の建造技術や鉄砲、大砲の技術に関しては幕府が集めた技術者たちが中心となり、新型の大砲や鉄砲、軍艦などをはじめとし、あらゆる技術開発が進んでいく事となる。

 

この技術者集団は、皇国技術廠の初代メンバーとなり、日本皇国のあらゆる技術に関して影響を与えている。

 

具体的に言って、1905年にイギリスが建造したドレッドノート級が完成し、発表された数ヶ月後に同規模の戦艦が国産で誕生する位に技術が飛躍的に向上、日清戦争、日露戦争では共に海戦では無敗、陸戦に於いても史実より少ない被害で勝利している。

 

第一次大戦に置いては航空機の重要性を認識して研究、開発を働きかけ、実現したのもこの皇国技術廠であり、更に、世界で初めて空母を建造したのは史実通りだ。史実より遅く始まった太平洋戦争では、レーダー開発、戦闘機開発、対空兵器開発、戦車、装甲車の開発、軍艦開発などあらゆる兵器開発で多大な功績を残している。

 

具体例で言えば、ドーリットル爆撃隊を震電が迎撃していたり、大和型4隻対モンタナ級4隻の戦闘が実現していたり、更には、潜水空母がアメリカの首都ワシントンの爆撃に成功していたり。

 

太平洋戦争中でのジェット戦闘機同士による戦闘が実現していたりする。

 

これらは技術開発が早まっているために起きた出来事である。

因みに、日本皇国は太平洋戦争に置いて、真珠湾攻撃は戦線布告の翌日に行われ、しかも大和率いる戦艦部隊により殴り込みによる攻撃で、真珠湾の艦隊を撃破、この時に日本皇国の空母部隊はアメリカ軍の機動部隊を発見、攻撃して、空母二隻と随伴の戦艦含む他三隻を撃沈し、その他を大破させる戦果を挙げていたりする。

 

転機となったのは1946年、ソ連がアメリカとの戦争に集中していた日本皇国に侵攻、日本皇国の現地守備隊と戦闘状態に入ったのである。

 

それに驚いた日本皇国は、アメリカとの早期講和とソ連に対する反抗を期し、あらゆる手段を講じる。

 

結果として想定外の被害が続出し厭戦気分となっていたアメリカ世論を味方にする事に成功し、アメリカとの早期講和を実現した日本はソ連への反抗を開始、ソ連軍を撃退することに成功するのである。

 

そして、戦後、日本皇国はその傷の深さから、当時の天皇陛下の判断により議会制民主主義へ移行、それから70年以上が経ち、異世界へとかつての敵対国であり、現在は友邦であるアメリカ合衆国と共に転移することになるのであった…。

 

 

 

 

 

 






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日本皇国の兵器 陸軍編

陸軍

 

70式戦車

 

全長9.80m

車体長7.55m

全幅3.40m(サイドスカートを含む)

全高2.30m(標準姿勢)

重量50.2t

 

武装

主砲50口径120㎜滑腔砲

副武装7.62㎜機銃 12.7㎜機銃

最高速度 80キロ

 

補足

史実の90式戦車に近いが、スペックが若干異なるほか、装甲強度など、防御力は史実より高い能力となる。

採用は西暦1970年となり、史実の74式は51式戦車と呼ばれるが既に全て退役。

 

零式戦車

 

全長9.51m

全幅3.34m

全高2.30m

重量約47t

速度90km

 

武装

主砲零式戦車砲50口径長砲身120mm滑腔砲

副武装12.7mm重機関銃M2、7.62mm機関銃

 

補足

2000年に制式化された戦車、登場当時世界最強の戦車と呼ばれる。ぼぼ史実の10式と見た目変わらないが、装甲強度はこれまた史実より高い能力となる。攻撃力も史実より高い。

 

20式戦車

 

全長10.0m

全幅3.64m

全高2.60m

重量約50t

速度120km/h

 

武装

主砲20式戦車砲50口径長砲身130mm滑腔砲

副武装12.7mm重機関銃M2、74式車載7.62mm機関銃

 

補足

日本皇国の最新鋭戦車、零式の後継として開発、乗員二人で運用できる他、あらゆる面で零式を上回る。

ただし、零式より大型化した他、値段が高いという問題もある。

 

01式自走高射機関砲

 

全長9.50m

全幅3.38m

全高4.58m

重量42.1t

速度80km

 

武装01式50㎜対空機関砲

 

補足

2001年に正式化された対空車両、旧式の対空車両との入れ替えは既に完了している。

 

本来は更に10年早く正式化されるはずだったが、政権交代により一時期停滞、その後2年後の再度の政権交代で計画が再開され、今に至る。

 

性能面では世界最高峰を目指し開発されただけあり眼を見張るものがあるが、コストが高く、入れ替えの完了まで10年の歳月を費やした。

 

3式自走中距離地対空誘導弾

 

全長:約8.82m

直径:約0.32m

重量:約570kg

弾頭重量:約73kg

射程:50km以上

武装3式中距離対空誘導弾発射機

 

速度70km

 

補足

2003年正式化 従来は誘導弾発射機、レーダー装置、レーダー信号処理、電源が別々の車両で分担していたが、この車両はその全てが一両でこなせる。現在は試作段階だが、対空レーザー装備型が存在し、試験を行っている。

 

 

79式自走砲

 

全長11.3m

全幅3.2m

全高4.3m(積載状態)

重量40.5t

速度60km

行動距離350km

 

武装

主砲52口径155mm榴弾砲 ×1

副武装12.7mm重機関銃M2 ×1

 

補足

史実の99式自走砲とぼぼ変わらないが、こちらも若干スペックが異なる。優秀な性能のため、近代化改修を繰り返し現在も主力、後継はまだない。

 

71式自走迫撃砲

 

全長6.70m

全幅3.00m

全高2.95m

重量24.5t

 

武装

主武装120mm迫撃砲 RT

副武装12.7mm重機関銃M2

速度60km

行動距離 340km

 

補足

史実の74式自走迫撃砲だが、スペックが若干異なる、他は全部同じ。

 

80式小型車

 

全長4.80m

全幅2.4m

全高1.87m

重量2.30t

 

武装 12.7㎜機銃

速度140km/h

 

補足

日本で使用されている小型の装甲車両、パジェロベースの筈が全く別物に進化した。史実の73式より米軍のハンヴィーに近いが、ハンヴィーより燃費が良く、装甲も高い性能となる。

通常のものの他、対空ミサイル装備の対空車両や、対戦車誘導弾、無反動砲装備の物まで色々な種類がある。

 

91式機動戦闘車

 

全長8.60m

全幅3.10m

全高2.90m

重量約30t

 

武装

主武装52口径105mm滑腔砲

副武装12.7mm重機関銃M2、74式車載7.62mm機関銃

 

速度150㎞

 

補足

史実の16式機動戦闘車にあたるが、スペックは全て装甲強度ふくめこちらの方が高い。

 

70式装輪装甲車

 

全長8.65m

全幅3.20m

全高2.93m

重量約35t

 

武装

12.7㎜機関銃、74式車載7.62mm機関銃

 

速度130㎞

 

補足

史実の96式装輪装甲車に近いが、全般的にこちらの性能が勝る。

 

75式トラック

 

全長7.8m

全幅2.5m

全高3.85m

 

速度120㎞

 

補足

史実の73式大型トラックがモデル。高い耐久性をもつ。

 

 

地上配備型弾道弾迎撃システム

 

名称 イージス・アショア二型

 

全長30m

全幅40m

装備イージスシステム、各種誘導システム他レーダーシステム

武装 01式ニ型超長距離地対空誘導弾発射機

 

補足

日米共同開発のイージスシステムを装備した地上配備型弾道弾迎撃システム、尚、装備される迎撃ミサイルは日本独自開発の01式ニ型超長距離地対空誘導弾であり、弾道弾迎撃実験では、迎撃率100%を記録している。

2010年より運用開始されている。

 

地上配備型地対空レーザー砲システム

 

全長20.5m

全幅28.2m

装備各種レーダーシステム及び誘導システム他

武装18式地対空レーザー砲

 

補足

2018年より運用開始の最新鋭対空レーザーシステム。

スペック上では最大出力で撃てば成層圏にいる航空機も撃墜可能とのことで、弾道弾迎撃にも使用できるよう誘導管制システムを改良中である。

 

 

 

 

小銃

70式小銃

 

銃身長430mm

ライフリング6条右転

 

 

使用弾薬70式5.56mm普通弾及び7.62㎜普通弾

装弾数20発/30発(箱型弾倉)

全長916mm(固定銃床式)

重量3,200g

 

補足

史実の89式小銃に当たるが、史実と違う点は、一部のパーツを入れ替えるだけで7.62㎜普通弾も使える点、更に、史実より射程が長い点と、各種の付属する装備が充実している点、要約すると89式に限りなく似た89式より優秀な小銃。

 

戦闘ヘリ

 

78式戦闘回転翼機

全長15.4m

全高4.2m

 

速度420㎞ 巡航230㎞

 

 

武装

主武装、対戦車誘導弾、短距離空対空誘導弾

副武装、78式30㎜ガトリング砲ポッド、12.7㎜機関銃ポッド他

 

補足

現在も主力として運用される独自開発の戦闘ヘリ、アメリカのアパッチと互角とも言われる。偵察機タイプも存在する。

現在後継機の開発中

 

90式凡用回転翼機

 

全長20m

全幅5.5m

全高5.2m

 

速度 280km

 

武装 各種機銃搭載可能

 

補足

日本皇国が開発、運用する凡用ヘリ、空海軍でも運用、主に災害時などで活躍している。

 

81式大型回転翼機

 

全長32.0m

全幅4.90m

全高5.8m

 

速度270㎞

 

武装 各種機銃搭載可能

 

補足

日本皇国が開発運用する大型へり、最大60名の兵員と、多数の物資を輸送できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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日本皇国の兵器 海軍編


【挿絵表示】
 編成表を作ってみました。


戦艦

 

尾張型戦艦

 

同型艦 尾張、駿河

 

 

性能諸元

全長 324m

全幅 48.9m

基準排水量 11万2千t

機関 ロ型14式核融合炉(日米共同開発)

速力 30kt(公試)

武装

50口径46cm三連装砲3基9門

120mm 速射砲2基

40mm 高性能自動対空機関砲6基

VLS対空ミサイル(20セル)

VLS対艦ミサイル(12セル)

対潜ミサイル発射機2基

搭載機

ヘリ1機搭載可能

 

 

補足

 

 

日本皇国海軍の保有する戦艦、戦後に開発された戦艦では3番目に当たる。

また、世界で初めて核融合炉を装備した戦闘艦であり、国内外から注目された。

主砲の46cm三連装砲は、最大射程85kmと、大戦時と比べ大幅に伸びており、更に、砲弾は、長年の研究を重ねた結果、ミサイルを上回る速度で飛翔し、大型空母(どこの国のとは言わないが)をたった一発で轟沈させたことがある程のもので、その砲弾自体にも誘導装置が取り付けられているため命中率も高い。

 

国産の火器管制システムを装備、

 

装甲は、純国産の最新鋭の対艦ミサイルの直撃にも耐えられる様に設計されている。

 

 

ーー

 

長門型戦艦

 

同型艦 長門 陸奥 近江 土佐

 

性能諸元

 

全長298m

全幅43.4m

基準排水量 9万1千t

機関 カ08式ガスタービンエンジン

速力30kn以上

武装

50口径41cm連装砲2基4門

120mm 速射砲×2

40mm 高性能自動対空機関砲4基

VLS対空ミサイル(24セル)

VLS対艦ミサイル(8セル)

対潜ミサイル発射機×1

搭載機 ヘリ2機

 

補足

 

日本皇国が戦後に開発した2番目の戦艦、主砲の数は尾張型に比べて少なく、そして小さいが、威力は申し分なく、射程は70kmに及ぶ。

 

スペースにもある程度の余裕がある作りとなっており、災害時には物資を積み込んで被災地へと駆けつけるなどの活躍もある。

 

当初はイージスシステムを装備する予定があったが、国産のシステムの方が艦隊防空に良いとの結論からそちらを装備している。

 

ーー

 

越後型戦艦

 

同型艦 越後 越前

 

全長 351m

全幅 53.4m

基準排水量 14万4千t以上

機関 ロ型25式核融合炉

速力 32kn以上

武装

25式20cm超電磁砲×1

50口径51cm三連装砲2基6門

120mm 速射砲×2

40mm 高性能自動対空機関砲4基

25式対空用高出力レーザー砲×1

VLS対空ミサイル(20セル)

VLS対艦ミサイル(12セル)

対潜ミサイル発射機×2

搭載機 ヘリ2機

 

補足

 

日本皇国の最新鋭戦艦、大和型の退役を前に建造、艦砲としては世界最大の51cm砲を装備する戦艦で、特徴的な武装として、実用型の超電磁砲を装備した世界で2番目の艦である。

 

超電磁砲は20cm砲だが、その威力、射程は凄まじいもので、射程は500kmに及び、威力は、テストにおいて距離200kmで尾張型の装甲を貫通、本型の装甲では完全には貫通はしなかったが、装甲板に致命的な損傷を与えている。

 

元の世界では、世界最強の戦闘艦と呼ばれた。

 

ーー

 

空母

 

出雲型航空母艦

 

同型艦 出雲 八雲

全長 340m

全幅 80m

基準排水量 11万t以上

機関 ロ型14式核融合炉

速力 30kn以上

武装

40mm 高性能自動対空機関砲4基

近接防空迎撃ミサイル12連装×2

 

艦載機 90機以上

 

補足

 

日本皇国海軍の最新鋭航空母艦、アメリカ海軍の最新鋭航空母艦より若干大きくなっている。

 

国産の防空迎撃システムを装備する。

 

維持費や建造費の問題から、2隻の建造で打ち切りとなる。

 

ーー

 

天城型航空母艦

 

同型艦 天城 赤城 蒼龍 飛龍

 

全長 320m

全幅 74m

基準排水量 8万t以上

機関 カ08式ガスタービンエンジン

速力30kn以上

武装

40mm 高性能自動対空機関砲2基

近接防空迎撃ミサイル12連装×2

 

搭載機 60機以上

 

補足

 

日本皇国海軍の航空母艦、元の世界では某半島国家の海軍に引導を渡したと言う艦、某国の機動艦隊との決戦での活躍が有名となる。

 

ーー

 

鳳翔型航空母艦

 

同型艦 鳳翔 龍驤 翔鶴 瑞鶴

 

全長 268m

全幅 65m

基準排水量 5万1千t

機関 キ99式ガスタービンエンジン

速力 30kn

武装

40mm 高性能自動対空機関砲2基

近接防空迎撃ミサイル12連装×1

搭載機 40機以上

 

補足

戦後の日本皇国で、大戦時の航空母艦が全て退役するのに合わせて設計された。

 

戦後で初めて最初から航空母艦として設計建造された艦。

 

就役は1990年 某国機動艦隊との決戦にも参加、初代航空隊長が女性で、ポニーテールの似合う美人であったことから注目を集める。

初代航空隊長のあだ名は [お艦]とのことで、その隊長は未だその美貌は衰えていない。

 

現在は退役し、居酒屋を経営している。

 

ーー

 

伊勢型航空母艦

 

同型艦 伊勢 日向 明石

 

全長 245m

全幅 40m

基準排水量 2万t

機関 キ99式ガスタービンエンジン

速力 30kn

武装

40mm 高性能自動対空機関砲1基

近接防空迎撃ミサイル12連装×1

 

搭載機 12機以上

 

補足

 

ヘリ空母改造型航空母艦、大戦時から運用されていた旧式の航空母艦の補助として当初建造された。

 

建造当時は速力28kn 昭和末期に大改装を受け30knとなる。

 

現在では、伊勢、日向の2隻がそれぞれ、北海道の余市防備艦隊、沖縄の与那国防備艦隊に旗艦として配備され、明石は練習空母となっている。

 

1999年に順次機関部の改修が行われている。

 

ーー

 

強襲揚陸艦

 

大隅型強襲揚陸艦

 

同型艦 大隅 下北 国東 歯舞 色丹 利尻 襟裳 十勝 阿蘇 留萌

 

全長 250m

全幅 38.5m

基準排水量 3万4千t

機関 カ08式ガスタービンエンジン

速力 30kn

 

武装

40mm 高性能自動対空機関砲3基

近接防空迎撃ミサイル12連装×2

搭載機 8機以上

 

搭載艇 国産エアクッション揚陸艇 4隻搭載

 

補足

 

日本皇国海軍において、陸軍からの部隊の輸送力強化の要望を受け、陸軍と海軍が共同で開発した。

 

主に、陸軍が欲しい機能を要望し、海軍が実現可能なものを取り入れ、陸軍から必要な技術、そして予算面の支援を受けると言う形で開発が進んだ。

 

陸軍と海軍の橋渡しとなった艦とも言える艦で、この艦の開発から陸軍と海軍は険悪な関係ではなく、良きライバルで良き友という関係性となる。

 

陸軍一個連隊 1600人規模の部隊と装備を輸送可能。

 

ーー

 

洞爺型輸送揚陸艦

 

同型艦 洞爺 支笏湖 千歳 琵琶湖 阿寒湖 屈斜路湖 千代田 瑞穂 浜名湖 摩周湖

 

全長 184m

全幅 30.8m

基準排水量 1万t以上

機関 キ99式ガスタービンエンジン

速力 28kn

武装

40mm 高性能自動対空機関砲3基

 

搭載艇 国産エアクッション揚陸艇2隻

 

搭載機 ヘリ6機

 

補足

日本皇国海軍の運用する揚陸艦。

陸軍一個大隊の800人規模の部隊と装備を輸送可能な能力を持つ。

1999年に機関部の改修が行われている。

 

ーー

 

甲型輸送揚陸艦

 

同型艦 甲1号から20号

 

全長 118m

全幅 20m

基準排水量 3千5百t

機関 キ99式ガスタービンエンジン

速力 25.6kn

武装

40mm 高性能自動対空機関砲2基

 

搭載艇 国産エアクッション揚陸艇1隻

 

補足

日本皇国海軍で運用されている旧式揚陸艦、200人規模の中隊と装備を輸送可能。

1999年に大改修が行われており、速力において、当初20knだった速力が25.6knまで向上している。

建造は1962年であり、艦齢50歳を超えてまだ現役である。

 

ーー

 

巡洋艦

 

金剛型巡洋艦

 

同型艦 金剛 榛名 霧島 比叡 白根 生駒 筑波 伊吹

 

全長 180m

全幅 30m

基準排水量 8千5百t以上

機関 キ99式ガスタービンエンジン

速力 30kn以上

武装

50口径20cm単装速射砲×1

VLS対空ミサイル40セル

VLS対潜ミサイル12セル

08式4連装長距離対艦ミサイル発射筒×1

99式三連装短魚雷発射管×2

40mm 高性能自動対空機関砲2基

搭載機 ヘリ1機

 

補足

日本皇国海軍が運用するイージス巡洋艦、日米共同開発のイージスシステムを装備し、弾道ミサイル迎撃にも対応可能である。

 

また、装甲化がされているが、トップヘビーにならないよう対策済みである。

 

ーー

富士型巡洋艦

 

同型艦 富士 浅間 和泉 飛鳥 松島 厳島 吉野 川内 那珂 神通

 

全長 181m

全幅 34.3m

基準排水量 1万t以上

機関 カ08式ガスタービンエンジン

速力 30kn以上

武装

50口径20cm単装速射砲×1

VLS対空ミサイル42セル

VLS対潜ミサイル12セル

VLS対艦ミサイル12セル

99式三連装短魚雷発射管×2

40mm 高性能自動対空機関砲2基

 

搭載機 ヘリ1機

 

補足

 

日本皇国海軍の運用する主力イージス巡洋艦。

金剛型の発展改良型で、弾道ミサイル迎撃能力が強化されている。

装甲化はされている。

 

ーー

 

愛宕型巡洋艦

 

同型艦 愛宕 高雄 妙高 那智 足柄 青葉 衣笠 最上 天龍 龍田

 

全長 168m

全幅 28.8m

基準排水量 7千2百t

機関 カ16式ガスタービンエンジン

速力 32kn以上

武装

50口径20cm単装速射砲×1

VLS対空ミサイル48セル

VLS対潜ミサイル4セル

VLS対艦ミサイル12セル

40mm 高性能自動対空機関砲2基

 

搭載機 ヘリ1機

 

補足

 

日本皇国海軍が運用する凡用巡洋艦、イージスシステムは装備するが、弾道ミサイル迎撃には対応していない。

主に艦隊防空と対艦戦を優先した設計となっている。

 

なお、この艦も装甲化されている。

 

ーー

 

駆逐艦

 

秋月型駆逐艦

 

同型艦 秋月 涼月 弓月 皐月 睦月 柚月 文月 菊月 冬月 夏月

 

全長 150m

全幅 19m

基準排水量 5千t

機関 カ16式ガスタービンエンジン

速力 30kn以上

武装

50口径127mm単装速射砲×1

VLS対空ミサイル20セル

VLS対潜ミサイル12セル

08式4連装長距離対艦ミサイル発射筒×1

99式三連装短魚雷発射管×2

20mm高性能自動対空機関砲×1

 

搭載機 ヘリ1機

 

補足

 

日本皇国海軍の最新のイージス駆逐艦で、弾道ミサイル迎撃にも対応可能。

 

当初はレーザー砲の装備も予定したが、コストの面で断念した。

 

装甲化は巡洋艦程ではないが、(申し訳程度)されている。

 

ーー

 

吹雪型駆逐艦

 

同型艦 吹雪 深雪 白雪 初雪 夕立 朝潮 時雨 五月雨 秋雨 夕雲 秋雲 白雪

 

全長 143m

全幅 15.2m

基準排水量 4千2百t

機関 カ08式ガスタービンエンジン

速力 30kn以上

武装

50口径127mm単装速射砲×1

VLS対空ミサイル12セル

VLS対潜ミサイル12セル

08式4連装長距離対艦ミサイル発射筒×1

99式連装短魚雷発射管×2

20mm高性能自動対空機関砲×1

 

搭載機 ヘリ1機(発着艦のみ可能)

 

補足

 

日本皇国海軍の凡用型駆逐艦、イージスシステムではなく、国産の火器管制システムを装備する艦。

 

バランスが良い設計で評価されている。

 

ーー

 

暁型駆逐艦

 

同型艦 暁 響 雷 電 叢雲 曙 霞 潮 漣 嵐 霰 雪風 以下略(合計 28隻)

 

全長 140m

全幅 14.8m

基準排水量 3千8百t

機関 キ99式ガスタービンエンジン

速力30kn

武装

50口径127mm速射砲×1

VLS対空ミサイル8セル

08式4連装長距離対艦ミサイル発射筒×1

4連装対潜ミサイル発射筒×1

20mm高性能自動対空機関砲×2

 

搭載機 ヘリ1機

 

補足

 

日本皇国海軍の凡用駆逐艦。

 

イージスシステムは装備していないが、それでも十分な戦闘力を持つ。

 

1977年から現在までで28隻が建造された。

 

ーー

警備艦

 

乙型

 

同型艦 乙01号から24号

 

全長 110m

全幅 12.5m

基準排水量 1千9百t

機関 キ70式ガスタービンエンジン

速力27kn

武装

50口径76mm単装速射砲×1

4連装対空ミサイル発射筒×1

08式連装長距離対艦ミサイル発射筒×1

三連装対潜ミサイル発射筒×1

20mm 高性能自動対空機関砲×1

 

補足

 

沿岸防衛用に開発された小型艦で、各防備艦隊の主力となっている。

 

ーー

 

ミサイル艇

 

丙型

 

同型艦 丙1号から18号

 

全長51m

全幅8.4m

基準排水量 2百t

機関 カ06式小型ガスタービンエンジン

速力 45.6kn

武装

76mm 単装速射砲

12.7mm単装機関銃

08式連装長距離対艦ミサイル発射筒×1

 

補足

 

日本皇国海軍のミサイル艇、各防備艦隊に配備されている。

 

ーー

 

潜水艦

 

12式潜水艦

 

同型艦 イ121からイ141号

 

全長 85m

全幅 9m

基準排水量 3千t 水中排水量 4千4百t

機関 10式ディーゼル機関

速力 水上 15kn 水中 22.8kn

武装

魚雷発射管×6

潜水艦魚雷防御システム

潜水艦用対艦ミサイル発射装置

 

補足

日本皇国海軍の通常動力型潜水艦。

 

海外からは死神と呼ばれる。

 

某半島国家のヘリ空母()を撃沈した記録を持つ。

 

ーー

 

18式潜水艦

 

同型艦 イ181からイ184

 

全長 90m

全幅 9.8m

基準排水量 3千2百t 水中排水量 4千5百t

機関 ロ型14式潜水艦核融合炉

速力 水上 16.5kn 水中 23.5kn

武装

魚雷発射管×8

潜水艦魚雷防御システム

潜水艦用対艦ミサイル発射装置

弾道ミサイル装備

 

補足

 

日本皇国海軍の核融合炉搭載型の潜水艦

 

静音性を高めるためあらゆる技術を駆使して開発された。

 

某半島国家から大使館員を救い出すのに活躍して有名になる。

 

ーー

 

練習艦(おまけ)

 

大和型練習戦艦

 

同型艦 大和

性能 史実の大和からほぼ武装を除いた性能

 

ーー

 

香取型練習艦

 

同型艦 香取 鹿島 香椎

 

史実やまゆき型練習艦に準ずる性能

 

ーー

 

練習潜水艦

 

特式潜水艦

 

同型艦 特1号 特2号

 

性能 史実のおやしお型練習潜水艦と同じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




日本が戦艦を復活させた時の思考…万が一当たっても沈まない様にしよう、沈まない艦を沈められる武装を載せよう……更にそれを防げるようにと繰り返し……気づく…これ戦艦じゃね?

という感じで完成したのが日本皇国の戦艦復活の真相だったり…


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第1話・日本皇国とアメリカ合衆国の転移

召喚されるのは、本来とは違う歴史を歩んだアメリカ合衆国と日本皇国

レールガンに粉砕される敵艦、ミサイルや対空レーザーに焼かれるワイバーン、蹂躙される敵軍兵士を見たい方は是非、

ただ、駄文なので注意

誹謗、中傷はやめてください。


20○○年 この日、アメリカ合衆国並びに日本皇国は、異世界転移するという非現実的な事態に遭遇し、アメリカ合衆国、日本皇国は両国以外の全ての国との連絡が不能となった。

 

そして、転移後、アメリカ合衆国と日本皇国は、共同での両国周辺の調査に乗り出した。

 

日本皇国からは、国防空軍の偵察機の他、海軍より、哨戒機による調査、更に空母一隻と巡洋艦二隻、駆逐艦四隻からなる艦隊が周辺調査の為に呉を出港した。

 

この日本皇国の艦隊には、外務省職員が何名か乗艦しており、異世界の文明との接触も想定されている。

 

さらに、アメリカ合衆国も、空軍や海軍の偵察機による調査の他、日本皇国同様に外交官を乗艦させた空母一隻、巡洋艦二隻、駆逐艦二隻の艦隊を臨時に二個艦隊編成し、調査に派遣した。

 

両国による調査活動の最中、日本皇国国防空軍の長距離偵察機から、大陸を発見したとの報告がもたらされたのである。

 

偵察機からの報告では、大陸を発見後に物語に出てくる竜の様な動物に追撃を受けた際に、中世を思わせる都市を発見したということだった為、日本皇国政府は、偵察機から報告された方角へ、外務省職員を乗せている調査艦隊を向かわせるのであった。

 

また、アメリカ合衆国は、日本皇国から大陸発見の連絡を受けたものの、時を同じくして別の陸地を発見した為、この時は別行動となるが、連絡は取り合っている。

 

ーー

ロデニウス大陸

 

中央暦1639年1月24日午前8時

 

クワ・トイネ公国

 

この日、政治部会が開かれていた最中、外交部の若い幹部の一人が会議室に駆け込んできた。

 

何事かを問う政府首脳に対し、彼は緊急の報告を行うのだった。

 

いわく、クワ・トイネ公国の北側の海上に超巨大船からなる艦隊が現れ、中でも一番巨大な船を臨検したところ、日本皇国という国の特使がおり、敵対の意思はない旨伝えてきた。

 

更に捜査したところ、以下の事項が判明した。

 

なお、これらは特使本人の申し立てである。

 

○ 日本皇国という国は、突如として友好国と共にこの世界に転移してきた。

 

○ 元の世界との全てが断絶されたため、軍の哨戒機により、付近の哨戒を行っていた。その際、陸地があることを発見した。

   哨戒活動の一環として、貴国に進入しており、その際領空を侵犯したことについては、深く謝罪する。

 

○ クワトイネ公国と我が友好国を交えた会談を行いたい。

 

というものであった。

 

突拍子も無い話であり、政治部会の誰もが信じられない思いであったが、あっさり首都上空に侵入されたのは事実であり、更に300mを超える船の報告もある。

 

国ごと転移などは、神話には登場することはあるが、現実にはありえないと思っていたがしかし、その日本皇国という国の力は本物なので、まずは特使と会うこととした。

 

 

 

 



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第2話・開戦

日本皇国とアメリカ合衆国が転移してきて二ヶ月がたった中央暦1639年3月22日

 

 

日本皇国とアメリカ合衆国の二か国と国交を結んでから約二ヶ月、日本からの莫大な食料受注量にも応えることができたし、アメリカ合衆国からの資源開発の要望にも応えることができた。

 

クワ・トイネ公国は食料を日本に輸出し、アメリカにも一部輸出しており、見返りに、日米共同でのインフラ整備や、技術支援が行われており、クイラ王国は、大量の資源を日本とアメリカに輸出、こちらも見返りにクワ・トイネ公国と同様の支援を受けていた。

 

日本皇国とアメリカ合衆国は、技術支援に関わり、技術の過剰な流出を防ぐべくそれぞれで法律が作られ、それに基づき支援することとなる。

 

日本皇国は、新世界技術流出抑制法が制定、これにより、技術の移転は現代技術ではなく、現在の技術から最低でも40年前の技術を基準として、それ以前の技術に留めることが決められ、アメリカ合衆国と協議し、二か国で同じ条文で新世界に対する日米新世界技術移転協定が締結される。

 

なお、これに関して日米政府はクワ・トイネ公国、クイラ王国に対し説明し理解を得ている。

 

日米から支援を受けているクワ・トイネ公国とクイラ王国だが、それまででは考えられない程の変化を遂げていた。

 

まず挙げられるのは各種の動力となる電気技術、日米共同支援のため、瞬く間にクワ・トイネ公国とクイラ王国に電気技術が浸透、僅か二ヶ月であるにもかかわらず既に風力発電所が四箇所、太陽光発電施設も二箇所が稼動を開始し、火力発電所も一箇所だけだが完成し、運転を始めていたのだ。

 

これにより、両国では既に3割以上に電気技術が浸透し、国民生活に広がり始めていた。

 

この電気技術を始め、プロパンガス、水道技術、道路技術、鉄道技術が支援され、特に道路と鉄道により大規模流通システムが構築されつつあった。

 

 

そんな二か国だが、日米からの支援はそれだけではなく、軍事技術に関しても支援を認められており、既に着手されていた。

 

陸ではアメリカ陸軍の旧式戦車M4が輸出され、工場も建設中で、日本皇国からは旧式の三八式歩兵銃が保存されていたものを整備して輸出、工場も弾薬工場込みで建設中である。

 

空に関してはアメリカ合衆国が殆ど全て担い、クワ・トイネ公国とクイラ王国にP51マスタング戦闘機が輸出されている。ただ、練習機が無いため、日本から提供された旧式のレシプロ機で練習してからムスタングでの教育となる。

 

海軍に関しては、アメリカ合衆国が大量の旧式駆逐艦と巡洋艦を押し付け……無償で譲渡する形で支援し、教育も施している。

 

戦艦に関しては、日本の旧式戦艦である薩摩(解体待ち)が譲渡された。

 

 

これらの支援を受け、経済部門の担当者始め、両国上層部は確信した。

 

国がとてつもなく発展すると……。

 

「すごいものだな、日本とアメリカ合衆国という国は・・・。明らかに3大文明圏を超えている。もしかしたら、我が国も生活水準において、3大文明圏を超えるやもしれぬぞ」

 

クワ・トイネ公国首相カナタは、秘書に語りかける。

まだ見ぬ国の劇的発展を、彼は見据えていた。

 

「はっ。しかし、彼らが平和主義で助かりました。彼らの技術で覇を唱えられたらと思うと、ぞっとします」

 

カナタは秘書の言葉に頷く。

 

「そうだな…だが、彼らが軍事支援もしてくれたことは有難い…これでロウリアに対抗できるだろう…」

 

カナタは夕日を眺めながらそう語るのだった。

 

ロウリア王国 王都 ジン・ハーク ハーク城 御前会議

月の綺麗な夜、秋になり、少し涼しくなったこの日の夕方、城では松明が集れ、薄暗い部屋の中、王の御前でこの国の行く末を決める会議が行われていた。

 

「ロウリア王、準備はすべて整いました」

 

白銀の鎧に身を包み、筋肉が鎧の上からでも確認出来るほどのマッチョで黒髭を生やした30代くらいの男が王に跪き、報告する。

 

彼の名は、将軍、パタジン

 

「2国を同時に敵に回して、勝てるか?」

 

威厳を持ち、34代ロウリア王国、大王、ハーク・ロウリア34世はその男に尋ねる。

 

「一国は、農民の集まりであり、もう一国は不毛の地に住まう者、どちらも亜人比率が多い国などに、負けることはありませぬ。」

 

「宰相よ、1ヶ月ほど前接触してきた日本とアメリカという国の情報はあるか」

 

日本皇国とアメリカ合衆国は、ロウリア王国にも接触してきたが、事前にクワ・トイネ公国と、クイラ王国と国交を結んでいたため、敵性勢力と判断され、ロウリアには門前払いを受けていた。

この時、アメリカ合衆国はロウリアを敵性勢力の可能性ありと判断して情報収集を開始、日本皇国も同様

 

「ロデニウス大陸のクワ・トイネ公国から北東に約1000kmの所にある、新興国家です。1000kmも離れていること、また、アメリカ合衆国は更に離れているため軍事的に影響があるとは考えられません。

また、奴らは我が部隊のワイバーンを見て、初めて見たと驚いていました。竜騎士の存在しない蛮族の国と思われます。情報はあまりありませんが」

 

ワイバーンの無い軍隊は、ワイバーンの火力支援が受けられない分、弱い。

空爆だけで、騎士団は壊滅しないが、常に火炎弾の驚異にさらされ続けるため、精神力が持たない。

 

「そうか・・・。しかし、ついにこのロデニウス大陸が統一され、忌々しい亜人どもが、根絶やしにされると思うと、私は嬉しいぞ」

 

「大王様、統一の暁には、あの約束も、お忘れ無く、 クックック」

 

真っ黒のローブをかぶった男が王に向かってささやく。気持ちの悪い声だ。

 

「解っておるわ!!」

 

王は、怒気をはらんだ声で、言い返す。

 

(ちっ、3大文明圏外の蛮地と思ってバカにしおって。ロデニウスを統一したら、フィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)

 

「将軍、今回の概要を説明せよ」

 

「はっ!説明致します。今回の作戦用総兵力は50万人、本作戦では、クワ・トイネ公国に差し向ける兵力は、40万、残りは本土防衛用兵力となります。

 

クワ・トイネについては、国境から近い人口10万人の都市、ギムを強襲制圧します。なお、兵站については、あの国は、どこもかしこも畑であり、家畜でさえ旨い飯をたべております。現地調達いたします。

 

ギム制圧後、その東方250kmの位置にある首都クワ・トイネを一気に物量をもって制圧します。

 

彼らは、我が国のような、町ごと壁で覆うといった城壁を持ちません。

 

せいぜい町の中に建てられた城程度です。籠城されたとしても、包囲するだけで干上がります。

 

かれらの航空兵力は、我が方のワイバーンで数的にも十分対応可能です。

 

それと平行して、海からは、艦船4400隻の大艦隊にて、北方向を迂回、マイハーク北岸に上陸し、経済都市を制圧します。

 

なお、食料を完全に輸入に頼っているクイラ王国は、クワ・トイネからの輸出を止めるだけで、干上がります。」

 

「次に、クワ・トイネの兵力ですが、彼らは全部で5万人程度しか兵力がありません。即応兵力は1万にも満たないと考えられます。今回準備してきた我が方の兵力を一気にぶつけると、小賢しい作戦も、圧倒的物量の前では意味をなしません。

 

6年間の準備が実を結ぶことでしょう。」

 

「そうか・・・ふっふっふ・はっはっはっはあーっはっはっは!!!今宵は我が人生で一番良い日だ!!世は、クワ・トイネ公国とクイラ王国に対する戦争を許可する!!!」

 

ううぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

王城は喧噪に包まれた。

 

そして、その様子が既にアメリカ合衆国の情報部(CIA)に監視されているのを、この時点で知る者は居ない。

 

 クワ・トイネ公国日本皇国大使館

 

「と、言うわけでロウリア王国と戦闘が始まったら、貴国に対して約束された量の食料品の輸出が出来ません」

 

クワ・トイネとロウリア国境にて、ロウリア王国の兵力が集結しており、戦闘が近いと判断したクワ・トイネ側は、日本皇国大使館に説明に来ていた。

 

外務省キャリアの田中は、その言葉を聞いてやはりか…と顔をしかめる。

 

アメリカ合衆国からの情報提供があったとは言え、半信半疑だったのだ。

 

突然の国ごとの転移、地球から遮断され、外務省に科せられた使命、それは国民を飢えさせないことだった。

 

大穀倉地帯で、肥沃な土地を持つクワ,トイネ公国と友好関係を結べ、かつ日本国民に必要量の食料が確保出来たのは、まさに奇跡であった。

 

さらに、日本皇国の幸運は続いた。

 

クイラ王国は日本やアメリカ合衆国で必要な資源はほぼこの一国でまかなえるほどの埋蔵量が確認されている。

 

資源の面でも、日本にとっては奇跡的に転移後いきなり解決できた。(これはアメリカ合衆国も同じ)

 

まあ、採掘が始まるまでは、国内の備蓄でなんとかやっていかなければならないが、それでも国民生活に支障の無い程度には出来る。

 

それが、ここに来ていきなり、絶対に守らなければならない食料の輸入が途絶える可能性がある事を知らされる。

 

もしも、クワトイネからの輸入が途絶えたら、日本皇国は現在食料自給率が70%あるとはいえ、日本国民の生活に大きな影響が出る事は確実で、アメリカ合衆国に支援を頼んでもアメリカ合衆国とて現在は食料にそれほど余裕など無く、支援を受けれたとしても困窮する者が出てくるのは容易に想像できた。

 

「なんとかなりませんか?我が国は、輸入が途絶えると、非常に困るのです」

 

「我が国としても、心苦しいのですが、ロウリア王国は、強大な軍事力を持っています。彼らは、国境付近で、どんどん兵を増員している模様です。数が多すぎるため、戦闘が始まったら、いくら貴国やアメリカ合衆国に軍事支援して頂いてるとはいえ多勢に無勢、都市を何個か放棄しなければならない事態も考えられます。その状況下で、流通を確保し続ける事は、非常に困難なのです」

 

「援軍があると助かるのですが・・・」

 

その言葉に田中は少し考え、そして口を開く。

 

「ご存知かと思いますが、我が国は憲法において、自衛戦争以外…つまりは[自国民の保護又は自国防衛並びに特定の条約を結んだ密接な関係にある同盟国が他国の侵略的攻撃を受けた場合]以外での武力行使は禁じております。

貴国やクイラにおいては…この特定の条約をまだ結んで居ないため…難しいかも知れません…」

 

「それでは…食料輸出は困難になる可能性が高い…貴方方の事情はよく分かりました…」

 

室内の空気は重く、沈痛な雰囲気が室内を満たす。

そんな中、田中はなにかを思い出したかのようにクワ・トイネ側の人物に話しかる。

 

「確か我が国と貴国は私が先程言った特定の条約は結んで居ませんが、協議中の条約、又は協議開始予定の条約にその特定の条約があったはずですが、わかりますか?」

 

「……へ?」

 

田中の突然の言葉にクワ・トイネ側は困惑した。

 

そして、日本皇国は田中からの報告に基づき、クワ・トイネ公国、クイラ王国両国とアメリカを交え新たに締結予定の条約を、具体的内容は後に協議するとした上で前倒しで締結するという事をやった上で、僅か一週間で部隊の派遣を決定したのである。

 

 

日本皇国大使館にクワ・トイネ公国が説明を行っている頃、アメリカ合衆国の大使館でも同様のやり取りがされて居たが、アメリカ合衆国も日本皇国に同調、ただ、こちらは日本より行動が早く、大使館保護の名目で海兵隊一個連隊が5日後にはクワ・トイネ公国に展開するのである。

 

 

 

 




日本もアメリカも、現実とは違う歴史のため強化されてます。


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第3話・ギムの街救援1

ギムの街を救って見たい。


中央歴1639年4月2日 この日、クワ・トイネ公国で最大の港であるマイハーク港には多くの人が集まり、沖合に現れた数十隻の巨大な艦艇からなる艦隊を緊張した面持ちで凝視していた。

 

そして、彼らは戦慄した。

 

巨大な艦艇の一部から、船が出て来て港へと向かって来たからだ。

 

そして、港へとついた十数隻の船からは見たこともない鋼鉄の鉄牛とでも呼べば良いのか、凄まじい圧を感じる重厚なそれらが、港へとついた船から次々と上陸し、また、新たに港へとついた船からは、鉄の箱を思わせる外見の動く箱が港へと降り立ち、見たこともない兵士達がそれに続く。

 

見物していた者たちには、彼らが何者かすぐに理解できた。

 

彼らの船、そして、上陸した鉄牛などに描かれているマーク、それらが最近国交を結んだ日本皇国の国旗であり、政府から、ロウリアとの戦争が近いこと、日本から援軍が来ることなど、市民に大々的に宣伝されていたことから、彼らは、上陸したのが日本からの援軍だと理解し、そして、その見た目からでもわかる力強さに、市民は沸いた。

 

この日、マイハークに現れたのは、日本皇国海軍第二艦隊並びに、第五揚陸輸送艦隊、そして、上陸を果たしたのは日本皇国陸軍の誇る機甲師団第七機甲師団を主力とする、クワ・トイネ派遣軍であったのだ。

 

また、上陸を果たした日本皇国陸軍クワ・トイネ派遣軍、更に、政府間協議の結果、日米ク連合軍総司令として任命された大内田陸軍大将は、第七機甲師団師団長でもある。

 

彼はすぐにクワ・トイネ公国軍の指揮官をはじめとし、アメリカ合衆国海兵隊先遣部隊指揮官らを集め、作戦方針の策定に当たる事となる。

 

時を同じくして、マイハークにいた日本皇国海軍第二艦隊は、ロウリアが大艦隊を編成しているとの情報に、艦隊参謀達が敵の予想進路や、速度を計算し、海戦に至る日にちを予想、戦略を練っていた。

 

「うーむ、敵は殆どが中世の木造船のような物だろう?ならば正面から叩き潰せば良いのではないか?」

 

参謀の一人がそう言うが、別の参謀が反論する。

 

「ここは地球ではないのだ、もし万が一我らが知らない何らかの攻撃手段を奴等が持っていた場合…損害が出るかもしれないではないか、相手を過小評価は出来ない」

 

「……それはそうだがな…」

 

先に発言した参謀も不満気にではあるが、納得する。

 

すると、艦隊司令の徳田海軍中将が発言する

 

「たしかに過小評価はダメだが、 今回は正面から叩き潰そう…ただし、相手に決定的な…そうだな、戦うのが馬鹿らしい位のインパクトを与えるのもいいな…本艦を中心に第ニ打撃戦隊のみで敵を殲滅するのはどうだろう?」

 

司令は言いながら…嫌らしく笑う。

 

それを見た参謀達は、司令が何を考えているのかを察して、顔を見合わせて、こちらも嫌らしく笑うのである。

 

そして、彼らは、クワ・トイネ公国にロウリア艦隊は自分たちだけで撃滅するから観戦武官をよこせ(要約)し、ロウリア艦隊(哀れな獲物)を待ち構えるのであった…。

 

さて、陸軍の方も作戦が話し合われていた。

 

陸軍は、アメリカ合衆国海兵隊の指揮官と、クワ・トイネ公国軍の指揮官らを交えた議論が行われている。

 

「まず、先に攻撃を受けるのはギムの街であると見て間違いはないだろう…」

 

日本皇国陸軍の参謀がまず発言する。

 

「私もそれには同意だ…クワ・トイネ公国軍の指揮官に尋ねるが、ギムの街を守る兵力、そして火砲の数は?」

 

「ギムの街には西部方面隊が置かれ、その兵力は、歩兵2500、弓兵200、重装歩兵500、騎兵200、軽騎兵100、飛龍24騎、魔導師30人程度で火砲は…アメリカ合衆国から提供されていM1897 75mm野砲が4基配備され、歩兵、重装歩兵、そして騎兵にも三八式歩兵銃が配備されておりますが…弾薬は、2日も持たない量しかギムにはありません…」

 

「そうですか……我が海兵隊も先遣部隊たる一個連隊しか未だに到着しておらず、本隊の到着が遅れていて、侵攻が開始されるであろう20日後までには間に合わない可能性が高い…少なくとも、本隊と合流しギムの救援に行くとして、到着するにはどんなに急いでもあと2日は欲しい…」

 

海兵隊指揮官の発言を遮り、日米ク連合軍総指揮を任される大内田大将が口を開く

 

「申し訳ないが少しよろしいか?」

 

「…あ…ああ構わないが…」

 

「では…我が日本皇国陸軍クワ・トイネ派遣軍は、第七機甲師団を主力としているが、その他に、まだ到着していないが、第1機動旅団が後二週間程で本国を出発する…彼らの機動力なら、十分にギムの街が陥落する前には現地に到着できるだろう…どうだろうか?ここは我らにお任せ願いたい」

 

彼の提案に異議を唱えるものは居らず、方針が決定された。

 

また、ギムの街には鉄道が完成しており、そこから出来うる限り市民を避難させることも政府と協議し、決定されたのであった。

 

ギムの街侵攻まであと20日



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第4話・ギムの街救援2

中央歴1639年4月21日 クワ・トイネ公国 早朝 マイハーク沖合に19日前に現れた艦隊の他に更に4隻の大型艦が姿を現していた。

 

そして、その艦からは19日前と同じ様な船が出てきて、港へと接岸し、装備などを下ろしていく。

 

しかし、一つ違う点があった。

 

沖合の艦から出てきたのは、船だけではなかったのである。

 

船よりも小さい箱の様な物が、数十もの数でマイハークの今度は港ではなく海岸へと殺到したのである。

 

さらに、何十体もの羽虫の様な飛行物体が大型艦より飛び立って、マイハーク近郊に着陸した。

 

これらの光景を見た住民たちは思考することを諦めただ呆然と眺めるしかなかったのである。

 

この日マイハークに到着したのは、日本皇国第1機動旅団、日本皇国陸、海軍から選抜された兵士らにより編成された、日本皇国軍の誇る精鋭部隊の一つであったのだ。

 

彼らは、到着後すぐにマイハーク郊外に陣地を構築し、午前10時にはいつでも行動できる体制を整えた。

 

更に1時間後、派遣部隊の総司令官を務める大内田陸軍大将は、米軍やクワ・トイネ公国軍司令官たちや第1機動旅団旅団長 近藤 勇介(こんどう ゆうすけ)少将、副旅団長 土方 歳三郎(ひじかた としさぶろう)大佐、更にマイハーク沖合に待機する海軍第二艦隊司令長官を交えた各部隊の指揮官らと共に今後の作戦を決める為の会議を開いていた。

 

「これより、今後の作戦方針を決める為の会議を開催する」

 

総司令官であり、進行役を務める大内田陸軍大将の宣言により会議は開始された。

 

「まず、クワ・トイネ公国軍については、こちらとしては、後方支援をお願いしたい。

我が軍やアメリカ海兵隊の作戦行動に、現状、クワ・トイネ公国軍はついて来れないというのが、我々の見解だが…どうだろうか?」

 

まずは陸軍第七機甲師団隷下の旅団長が口を開く。

 

その旅団長の言葉に、クワ・トイネ側の指揮官は顔をしかめ、反論を口にした。

 

「その意見は聞捨てなりませんな…ここは我々の国、我々自身が前線に立ち守るのが道理だ」

 

「しかし、貴方方では…失礼かも知れんが、貴方方も分かっている筈だ…貴方方ではロウリア軍には勝てないことは、それに、我が軍としては、クワ・トイネ公国軍に後方支援を任せるのも、配慮した結果なのだが…」

 

「……っぬぅ…しかし…これでは我が軍があまりに…」

 

クワ・トイネ公国軍の指揮官は、その後の言葉が続かない…彼は、余りにも惨めだと感じた…それ程までに自軍と日本軍やアメリカ軍とは実力が離れすぎているのは、彼も分かっていたのだ…だが、彼はそれでも自分たちの国は自分たちで守りたいと言う思いから口を出さずにはいられなかったのだが、それが却って彼を惨めにさせた。

 

「…確かに、今のクワ・トイネ公国軍は戦力とするには余りに心許ないが、その心情は察するに余りある…だが、前線を任せるには…残念だが……」

 

大内田陸軍大将が言う…

 

「……分かりました…我が軍は後方支援に当たらせていただきます」

 

「…感謝する…しかし、今後の為に我々の戦術を学んでもらいたいのもある…どうだろう?観戦武官を我が軍とアメリカ海兵隊に派遣していただくと言うのは」

 

その言葉に、クワ・トイネ側はすぐに了承し、すぐに観戦武官の選定を行うことにした。

 

「次に作戦展開に関してだが、意見を出してもらいたい。基本としては、機動力と火力を生かした戦術を取り、敵を撃退後、ロウリア本国への逆侵攻を行うと予定している」

 

アメリカ海兵隊の指揮官が発言する。

 

「それについてですが、現状敵に最初に攻撃されると予想されるギムの街について、明日にはロウリア軍がギムの街へ攻め込むという分析が出ています。 これについての対策を最初に伺いたい」

 

「…それについては、我が日本皇国陸軍の第1機動旅団、第3機動強襲連隊並びに、第七機甲師団第七二自走砲兵連隊と第七一戦車旅団、同第七一機械化歩兵旅団を既にいつでも行動できるよう待機させている。ヘリを用いた機動戦術に特化した第三機動強襲連隊は明日明朝に出動すれば、十分にギムの街救援へは間に合うだろう…また、その他の部隊も、今夜中にギムの街へ移動を開始し、こちらも、ギムの街が陥落する前に到着できる筈だ」

 

海兵隊指揮官はその内容に少なくない衝撃を受ける。

 

なぜなら、この決断はクワ・トイネに展開する日本皇国陸軍主力の大半をギムの街へさし向ける判断であったからだ。

 

「…それは…このクワ・トイネに展開する貴国の戦力の大半をギムに向けると?」

 

「その通りです…ただ、これには続きがありまして……ギムの街を救援し、敵を撃退後、貴国…アメリカ合衆国海兵隊のクワ・トイネ派遣部隊主力が合流予定ですが、その海兵隊主力はロウリア王国首都へ強襲上陸、首都の制圧を測ります。それと同時に我が第三機動強襲連隊を王城へ投入し、国王を拘束すると言う作戦となります」

 

「それは分かりました。しかし、敵航空兵力に付いてはどう対処するのですか?」

 

海兵隊指揮官の質問に、今度は日本海軍第二艦隊司令長官が返答した。

 

「それに付いては、私から話させて頂く。今回の作戦において、航空支援は我が第二艦隊が担当する。具体的には、我が艦隊の第二空母戦隊の空母、蒼龍、飛龍の2隻の空母が航空支援に当たる予定でいるため問題はないと考える、また、ロウリア首都侵攻に関しては、アメリカ合衆国海軍強襲揚陸艦搭載機が航空支援を請け負うことになっているが、必要に応じ、当方も航空支援に参加することになっている」

 

「なるほど…分かりました」

 

「次に…これは凄いな……敵海上兵力に付いての対策だが…まず、敵海上兵力は、約4400隻の大船団だとの情報だ…対処は可能か?」

 

第二艦隊司令長官がハッキリとした言葉で返答する。

 

「可能です…我が艦隊は、第ニ打撃戦隊のみで敵海上兵力を撃退できると断言いたします」

 

その返答に、大内田陸軍大将は第二艦隊司令長官の目を真っ直ぐに見ながら本当に出来るのかと目で問いかける。

 

すると、第二艦隊司令長官は不敵に笑みを浮かべ、こう述べた。

 

「敵船団に、戦艦(海の王者)という物がどんなものか、その身に教えてあげますよ」

 

 

こうして、作戦が決定され、各部隊は行動を開始した。

 

 

ギムの街侵攻まで後1日

 

時を同じくして、ロウリア侵攻作戦のため、アメリカ合衆国海軍第七艦隊が強襲揚陸艦を含む数十隻の揚陸艦や輸送艦を伴い、出撃するのであった…。

 

 

 

 

 

 



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第5話・ギムの街救援3

今更ですが、原作寄りもギムの街が攻撃を受けるまで約10日ほど猶予ができてます。

理由?CIAに聞いてください。

(CIAは何をしたのか…おっと誰か来たよう…ガチャ
「ヤラナイカ?」……バタン…これ…普通来るのCIAだよね?なぜ青つなぎがいるのか…最近読んだ艦これ小説に毒されてるのかな……さて逃げるか)


クワトイネ公国、西部、国境から20kmの町、ギムにおいて、今まさに戦いの火蓋がきられようとしていた。

 

中央歴1639年4月22日

 

クワトイネ公国、西部方面騎士団、及び西部方面、第一飛龍隊、第二飛龍隊西部方面騎士団団長モイジは、焦燥感にかられていた。

 

西部方面隊の兵力、歩兵2500、弓兵200、重装歩兵500、騎兵200、軽騎兵100、飛龍24騎、魔導師30人 そして、アメリカから提供されていたM1897 75mm野砲4基更に、歩兵や騎兵には日本から提供された三八式歩兵銃が配備され、文明圏の国家にも負けないようなレベルにまで強化されていた。

 

 その上での準有事体制であり、クワトイネの総兵力から考えると、かなりの兵力、しかし、国境沿いに張り付いている敵兵力はこちらの兵力を遥かに凌駕する。

 

その兵力差はいくら強化された戦力を持つとは言え、モイジを焦燥させるには十分すぎる兵力差があったのだ。

 

それに加え、こちらからの通信の一切を、ロウリア王国側は、無視しつづけている。

 

すでに、開通したばかりの鉄道を使い市民のギムから疎開を開始しているが、それもまだ三分のニ以上が残されている現状であった。

 

ただ、ギムの街の近辺にある村落が、ロウリアの斥候と思われる部隊に略奪や虐殺行為の被害を受けているのも、モイジの耳には入っており、そのことに対してギムの防備を固めなければならず、救援を行えないことへの無力感も、モイジは感じていた。

 

その無力感を振り払う様に、モイジは通信士へと顔を向ける。

 

「ロウリアからの通信はないか?」

 

 モイジは魔力通信士に尋ねる。

 

「こちらからの通信は、確かに届いているはずですが、現在のところ、返信はありません。こちらからの通信は無視し続けています。」

 

 多少の兵力差なら、作戦で、負けない戦いはできる。しかし、今回は圧倒的すぎる差がある。いったいどうすれば良い?

 

「司令部からの、増援要請の回答はどうなっている?」

 

「司令部には、再三に渡り、要請していますが、「現在非常召集中」との事、また、日本皇国陸軍が救援に動いてくれているとの事」

 

「そうか!日本皇国が動いてくれているのか!しかし……間に合ってくれるかどうかだな…場合によってはギムを放棄しなくてはならん…か」

 

 それぞれの思いを乗せ、時は過ぎていった。

 

中央歴1639年4月22日早朝

 

国境から20kmの町、ギム

 

 突如として、ギムの西側国境から、赤い煙が上がる。と、同時に通信用魔法から、緊迫した通信が入る。

 

「ロウリアのワイバーン多数がギム方向へ侵攻、同時に歩兵・・・数万が国境を越え、侵攻を開始した。繰り返す、はっ!!!!!!!!逃げろーーーーーーー!!ぐあぁぁぁ」

 

 魔法通信が突如途絶える。

 

赤いのろし、ロウリアがクワトイネに侵攻した合図、それを目撃した西部方面騎士団団長モイジは吼えた。

 

「第一飛龍隊及び第二飛龍隊は全騎上がり、敵ワイバーンにあたれ!!軽騎兵は、右側側面から、かく乱しろ!!騎兵200は遊撃とする、指示あるまで待機!!最前列に重装歩兵、その後に歩兵を配置、隊列を乱すな。弓兵は、その後ろにつけ、最大射程で支援しろ!魔道士は、攻撃しなくて良い、全員で、風向きをこちらを風上としろ!砲兵部隊!敵が射程に入り次第攻撃開始!奴らに大砲の威力を見せてやれ!」

 

 飛龍が舞い上がる。全力出撃の24騎、高度を上げる。隊を2隊に分け、1隊を水平飛行、2隊目に上昇限度まで高度を上げさせる。

 

 やがて、ロウリア王国の方向の空に、黒い点が大量に現れる。その量に、クワトイネの飛龍部隊は、驚愕する。

 

 ロウリア王国東方討伐軍先遣隊 飛龍第一次攻撃隊 その数75騎

 

 クワトイネの飛龍部隊は、勇猛果敢に、ロウリア側の飛龍へ突っ込んでいった。

 

 ロウリア王国の飛龍部隊75騎は、クワトイネの飛龍を視界に捕らえた。

 

 「火炎弾の空間制圧射撃を実施する。」

 

 飛龍を指揮する竜騎士団長アルデバラン、彼は一気にケリをつけるつもりだった。

75騎のワイバーンが、面のように、並び、口を開ける。

 

口の中には、徐々に火球が形成されていく。

 

「発射5秒前、4,3,2,1、発射!!」

 

75騎のワイバーンの火炎弾一斉射撃、火炎弾の回転方向により、面の内側の火球は推進力を経て射程距離が面外側よりも伸びる。

 

この特性を使い、クワ・トイネの龍が射撃を開始する前に、一斉射撃を実施。

クワ・トイネの飛龍12騎に直撃し、落ちていく。

 

「隊を2つに分けていたか・・。上空に警戒せよ」

 

 アルデバランが指揮をした40秒後、太陽を背に、上空から12騎のワイバーンが1列になって突っ込んでくる。彼らは、すれ違いざまに、火炎弾を発射した。

 

3騎の飛龍がこれに直撃し、落ちていく。

 

 彼らはすぐに乱戦となった。ロウリア側は、5騎でクワ・トイネの飛龍1騎にあたる。バタバタと、クワ・トイネの飛龍が落ちて行き、数分ほどで、クワトイネ公国飛龍部隊は全滅した。

 

味方の地上部隊へ攻撃を仕掛けに行く敵ワイバーン部隊を視界に納めながら、最後に落とされた飛龍部隊の隊員は…自分達にも歩兵銃を持たせてもらっていれば…との思考を最後に意識を手放した…。

 

「地上部隊を支援する。全騎、支援射撃を実施せよ」

 

ワイバーンたちは、クワ・トイネの地上軍に襲い掛かった。

 

「ち・・・ちくしょう!!!敵の飛龍は、量も多い上に、技量も高い!!」

 

クワ・トイネ公国西部方面騎士団団長モイジは、壁に拳を打ち付ける悔しげにつぶやく。

 

「まさか、これ程早く竜騎士団がやられるとは……竜騎士団にも歩兵銃が行き渡っていれば…」

 

 

クワ・トイネ地上軍はワイバーンによる攻撃に、被害を拡大させていたが…それでも、日本皇国から提供された三八式歩兵銃が効果を発揮し、クワ・トイネ地上軍の崩壊を食い止める一助になっていた。

 

更に、継続的に撃ち続けられているM1897 75mm野砲4基の効果も大きい、これらの存在により、ロウリア軍は予想外の損害を被っていた。

 

ロウリアの飛龍部隊を率いる竜騎士団の団長であるアルデバランは、搭乗する者を失った飛龍たちを眺める。

 

彼の部隊がクワ・トイネ地上軍を攻撃した際、地上軍に接近した騎士がパンパンパンとの音と共に飛龍から力無く落下、また、彼らの乗っていた飛龍も怪我をしていた。

 

アルデバランはその光景、そして、今自分が見ている飛龍たちの状態から、何かがおかしいという思いと同時に、嫌な予感がしていた。

 

そして、ロウリア地上軍も同様である。

 

M1897 75mm野砲4基から放たれる砲弾に前線より後ろにいる兵が吹き飛ばされたり、前線でも乾いた音と共に兵が血を吹き出し倒れるなど、今までは考えられない程の損害を出していたのである。

 

ロウリア軍先遣隊副将アデムは、驚愕と共に、苛立ち、怒気を露わにしていた。

 

「この損害…そして、あの攻撃は…なぜ蛮族風情が魔導砲などと言う高等技術を使っているのだ!それは貴様らには過ぎた代物であろうか!どこの誰が貴様らごときを手助けしておるのかぁ!!」

 

全く持って理不尽な怒りであったが…。

 

しかし、クワ・トイネ地上軍も最早限界である。

 

これまで、自軍の倍以上の損害をロウリア側に与えていたが、自軍の三倍は優に超える大軍を相手に、優勢に戦えていた要因であったM1897 75㎜野砲は先程ロウリアの飛龍による攻撃で破壊され、他の地上軍部隊も弾薬が尽きた部隊から次々と蹂躙されていく。

 

遊兵として残していた騎兵を先程出陣させて突撃させたが、敵の進軍が若干遅くなった程度の成果しか得られずに、上空からの飛龍の攻撃を受け、更にはロウリア地上軍の数の暴力の前に壊滅してしまう。

 

クワ・トイネ公国西部方面騎士団団長モイジも、最早これまでかと諦めかけたその時である。

 

羽音のような音が聞こえて来たのは…

 

その音は段々と大きくなり、モイジは空を見上げている配下の兵に釣られて同じく空を見上げる。

 

「…鋼鉄の天馬…」

 

モイジは呟く。

 

そこからはまさに蹂躙というに相応しい戦いとなった。

 

地上軍を援護しようとしたロウリア軍竜騎士団は、恐ろしい速さで飛ぶ飛行物体に次々と撃ち落とされ、指揮を執るアルデバランも、その飛行物体から飛んで来たナニカに当たり、痛みを感じる間も無く意識を刈り取られる。

 

数十分後、ロウリア軍は想定外の大損害に大混乱に陥り、這々の体で近くの森へと逃げ込むが…

 

「ぎゃあ!」

 

「ぐわぁ!」

 

森に逃げ込んだロウリア軍を更に追い詰める存在がそこには待ち伏せていた。

 

「て、敵襲だ!応戦しろ!」

 

「敵なんて見えないぞ!どこにいる!」

「き、貴様ら!俺を、俺を守れ!」

 

アデムは配下の兵にそう叫ぶが、直後に眉間に風穴を開け倒れ伏す。

 

やっとの思いで森を抜けた彼らを、更なる災難が襲う。

 

『こちら第三機動強襲連隊…獲物は森を抜けた…程よく焼いてやってくれ』

 

『こちら第七二自走砲兵連隊…了解した。ミディアムにしてやる』

 

この時、ロウリア兵らにとって絶望をもたらす会話がされていた。

 

『だんちゃーく………今!!』

 

森を抜けたロウリア軍は、直後、凄まじい衝撃と爆風に襲われ、恐怖に逃げ惑う。

 

しかし、日本皇国陸軍(獲物を前にした狼)は容赦がなかった。

 

『全弾効果確認!同一諸元、効力射!!撃てー!!』

 

日本皇国第七二自走砲兵連隊による蹂躙から逃げ延び辛くも生き残ったロウリア将兵の前に現れたのは、鋼鉄の像の様な物体であった。

 

それは日本皇国陸軍第七一戦車旅団所属の戦車部隊であった。

 

 

そしてその威圧感は、ロウリア軍将兵の心を完全に砕いた。

 

戦車部隊はロウリア軍に既に戦闘力が無いのを察して、降伏を勧告、ロウリア軍将兵は降伏した。

 

これにより、ギムの街は救われたのである

 

ちなみに、生き残りのロウリア将兵は、ちょっとした音でも恐怖から蹲り、何時間もブツブツ何やら呟く様になってしまったらしい…。

 

その後、周辺村落から辛うじて逃げ出したエルフの村人が、本隊の壊滅をいまだに知らない斥候部隊に追われているのに遭遇した日本皇国のヘリ数機が、その斥候部隊を殲滅し、ヘリの搭乗員達が村人達から太陽の神の御使いなどと言われ、戸惑う事になるのはまた別のお話し。

 

そして、海上でも蹂り……戦いが起きようとしていた……。

 

 

 

 

 

 




青つなぎ「ち、逃げられたか…」


作者生還!やったね!

深夜テンションは恐ろしい。

因みに、今回の話、昨日の深夜に投稿するつもりで忘れてました。

すいません。

だからって青つなぎに作者の逃亡先教えないでね!


……ふりじゃないからね!





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第6話・ロデニウス沖の蹂躙

最新話です…


中央歴1639年4月30日 マイハーク港

 

ついに、ロウリア王国が、4000隻以上の大艦隊を出向させたという情報が伝えられ、マイハーク港に基地を置く、クワトイネ公国海軍第2艦隊は艦船を集結させていた。

 

ロウリア海軍に関しては日本皇国海軍が対応することになっていたが、敵の数の多さから、いくら日本皇国海軍でも突破されるのではとの危惧がクワ・トイネ皇国海軍にはあった為だ。

 

クワ・トイネ第2艦隊は、アメリカから譲渡された巡洋艦を旗艦とし、巡洋艦、駆逐艦合わせて40隻の陣容となっていた。

 

彼らは港に集結し、きたるべき決戦の準備をしていた。

 

水兵たちは、未だに慣れない装備に若干の戸惑いは見られながらも、アメリカ海軍の教官に教わった通りに武装や装備の確認作業を行なっている。

 

 

「壮観な風景だな」

 

 提督パンカーレは、新生クワ・トイネ第二艦隊の停泊する海を眺めながら、ささやく。

 

「しかし、敵は4000隻を超える大艦隊、彼らは何人生き残る事ができるだろうか」

 

 側近に本音を漏らす。圧倒的な物量の前にどうしようもない気持ちがこみ上げる。

 

「提督、海軍本部から、魔伝が届いています」

 

 側近であり、若き幹部、ブルーアイが報告する。

 

「読め」

 

「はっ!本日夕刻、日本皇国海軍第二艦隊の戦艦と巡洋艦合わせて4隻がマイハーク沖合いに到着する。彼らは、到着後ロウリア艦隊に攻撃を行うため、観戦武官1名を彼らの旗艦に搭乗させるように指令する…とのことです」

 

「何!?たった4隻だと!!??400隻か40隻の間違いではないのか?」

 

「間違いではありません」

 

「やる気はあるのか、彼らは・・・。しかも観戦武官だと?いくら戦艦がいるとは言え、4隻しか来ないなら、無謀すぎる!観戦武官に死ねと言っているようなものではないか!!明らかに死地と解っていて、部下を送るようなまねは出来ないぞ!」

 

 沈黙が流れる。

 

「・・・私が行きます」

 

 ブルーアイが発言する。

 

「しかし・・・。」

 

「一番生存率が高いのは私です。それに、あの日本皇国の事です。もしかしたら勝算があるのかもしれません」

 

「すまない・・・。たのんだ」

 

「はっっっ!」

 

 その日の夕刻

 

 ブルーアイは、目を疑っていた。

 

その船は、彼の常識からすれば、とてつもなく大きかった。

 

日本との接触の際に、第一艦隊が、300メートルクラスの船を臨検したという話を聞いていたが、自分たちの仕事の成果を誇張するために、嘘をついていると思っていた。

 

しかし、今彼が見ている船たちは、遠くの沖合いに停泊しているにも関わらず、とてつもなく大きく、そして猛々しい艦である。

 

やがて、一際大きな船から、竹とんぼのような金属で出来た物が飛んできた。

 

 アメリカの教官から教えられていた為、それが乗り物であると言うのは知っていたので、不安は少なかった。

 

それが近づくにつれ、大きな風を受ける。

 

その乗り物に乗り、沖合いへ移動した。

 

フワフワのシートに座り、ほとんど揺れずに「それ」は進んだ。ワイバーンよりも遅いが、遥かに快適で、何人も人が乗れそうなほど広い。

 

やがて、巨大艦が見えてくる。

 

その大きさに驚愕する。

 

(いったいなんだ!この大きさは。アメリカ海軍から提供された艦にもこんな巨大艦は居なかった!そうか、これだけ大きければ巨大な大砲も大量に詰める、それなら1隻あたりの戦力は大きいだろう)

 

彼は、自分の知る、アメリカから提供された艦船を基準に理解できる範疇で、日本皇国の巨大艦を理解しようとした。

 

 

日本皇国海軍第二艦隊第二打撃戦隊

 

そこに属する尾張型戦艦2隻の姿に、そしてその美しさに、ブルーアイは若干見とれてしまった。

 

そして、ついに巨大艦へと降り立つ…

 

日本皇国海軍第二艦隊旗艦 戦艦 尾張

全長 324m

全幅 48.9m

基準排水量 8万t以上

機関 ロ型14式核融合炉(日米共同開発)

速力 30kt(公試)

武装

50口径46cm三連装砲3基9門

120mm 速射砲2基

40mm 高性能自動対空機関砲6基

VLS対空ミサイル(20セル)

VLS対艦ミサイル(12セル)

対潜ミサイル発射機2基

搭載機

ヘリ1機搭載可能

 

照明で照らされた艦内を歩くブルーアイは、驚愕する。

 

アメリカから提供された巡洋艦の中より明るい…だと…

これだけの巨艦の電力を、どうやって賄っているのだ?

 

そんな疑問を抱きながら艦橋へと案内される。

 

そこで彼はこの艦隊の長と出会うことになる。

 

 

「私が日本皇国海軍第二艦隊司令長官、徳田 新之助中将です。そしてこっちが…」

 

「艦長の山本大佐です」

 

「クワトイネ公国第二海軍観戦武官のブルーアイです。このたびは、援軍感謝いたします」

 

「さっそくですが、我々は、武装勢力の船の位置をすでに把握しており、ここより西側500kmの位置に彼らはおります。船足は、5ノット程度と非常に遅くはありますが、こちらに向かってきております。我々は明日の朝出航し、武装勢力に引き返すように警告を発し、従わなければすべて徹底的に排除する予定ですので、明日までは、ゆっくりとされてください。」

 

 ブルーアイは驚く。彼らは、自分たちだけで、クワトイネ海軍の協力を得ずに、4400隻の大艦隊に挑むつもりなのだ。

 

確かに艦は大きく、大砲も大量あり、破壊力はあるだろう…しかし、たったの4隻で、4400隻に挑んでいくのは、やはり自殺行為を思われた。

 

 

翌日早朝―――――――――――

 

 第二艦隊第二打撃戦隊は出航した。

 

 ブルーアイは驚愕する。

 

(いったい何回驚愕すればいいんだ、驚愕のしっぱなしだ)

 

 速い!我が軍の最大速力を遥かに凌駕している。そして・・・他の艦との距離が遠すぎる。密集する必要はないのか?

 

艦隊は約20ノットで西へ向かう。やがて、水平線の向こう側に、ロウリア王国軍が、姿を現した。

 

 

 ロウリア王国東方討伐海軍 海将 シャークン

 

「いい景色だ。美しい」

 

 大海原を美しい帆船が風をいっぱいに受け、進む。その数4400隻、大量の水夫と、揚陸軍を乗せ、彼らはこれから何が起こるかも知らずに、クワトイネ公国経済都市、マイハークに向かっていた。

 

 

見渡す限り船ばかりである。

 

海が見えない。そう表現したほうが正しいのかもしれないその光景に、海将シャークンはどこか誇らしげだ。

 

これから起こる惨劇を知っていたらそんな顔はできないだろうが…。

 

 6年をかけた準備期間、パーパルディア皇国からの軍事援助を経て、ようやく完成した大艦隊。これだけの大艦隊を防ぐ手立ては、ロデニウス大陸には無い。

 

いや、もしかしたら、パーパルディア皇国でさえ制圧できそうな気がする。

 

野心が燃える

 

いや、パーパルディア皇国には、砲艦という船ごと破壊可能な兵器があるらしいな・・・。

 

 彼は、一瞬出てきた野心の炎を理性で打ち消す。第3文明圏の列強国に挑むのは、やはり危険が大きい。

 

 彼は東の海を見据えると…何かがこちらに飛んでくる。

 

 まさか、飛龍か?(空母の方ではない)・・・いや、違う。何だ!あれは!?

 

 虫のような形をした無機質な物体が、1つ、バタバタバタ、と音をたて、こちらに飛んでくる。

 

 見たことの無い物体が、飛んでくる様は、異様な光景であり、わずかに恐怖の心が芽生える。

 

「こちらは日本皇国海軍である!貴官らはクワトイネの町ギムの周辺にて、その周辺の村落に対して略奪及び虐殺を行った。よってこれ以上の虐殺を認めるわけにはいかない、直ちに引き返し、母港へ帰れ!さもなくば攻撃する!繰り返すーーー」

 

 飛行物体の中には、人が乗って話している。

 

やがて、「それ」に向かって、弓矢が射られる。「それ」は、しばらく上空で旋回し、東の空へ立ち去っていった。

 

しばらくすると、海の向こうに1つ小島が見えてきた。

島が動いている・・・・。まさか、船か!?

 

 小島と思われた船は、すさまじい速度で艦隊最前列の帆船の横に回りこみ、同船と平行に走り始めた。その距離300m

 

「直ちに転回して引き返せ!さもなくば、貴船に対し、発砲する!

直ちに転回して引き返せ!さもなくば、貴船に対し、発砲する!!!」

 

 いくら船が大きいとはいえ、こちらは4400隻、あちらは見える範囲で1隻、海将 シャークンは、その船の余りの大きさに唖然としたが、直ぐに我に帰り、攻撃を命じた。

 

帆船は、右に旋回し、戦艦との距離を詰める。

 

距離が200mを切ったところで、船から一斉に、火矢が、戦艦を襲う。

 

バリスタの射程距離は100m前後であったので、投射されなかった。

 

全く影響が無かったが、その戦艦は、火矢の有効射程距離から遠ざかる。

 

戦艦は船団を一瞬で引き離し、約3km距離を置き、旋廻した。

 

「ひゃっはっはっはははあはあぁぁぁぁ、うぇひひひうぇっぷ……奴ら逃げやがった!」

 

 水夫たちが日本皇国の戦艦を馬鹿にし、相手には聞こえないが野次を放つ。

 

中には笑いすぎて吐きそうになるものもいる。

 

 海将 シャークンはその光景を見て、不安がよぎる。

 

「逃げ出したか、まあ1隻では、いくら大きいとはいえ、どうしようもあるまい。しかし・・・・でかいくせに速いな。風を受けずに、あれほどの速度を出せるとは・・・」

 

「攻撃を受けた。これより敵船団に攻撃する。主砲打ち方始め!」

 

 尾張型戦艦2番艦 駿河の前方に設置された、50口径46cm三連装砲2基が敵船に向かい旋廻する。目の良いシャークンは、そののわずかな変化に気が付く。

 

「あの巨大な棒はなんだ?」

 

 次の瞬間、轟音と共に破壊が吐き出された。

 

距離は3km、46cm砲の至近距離射撃

 

 「なんだ?勝手に燃え始めたのか?」

 

 シャークンが疑問に思った瞬間、最前方を走る帆船が…いや、その周辺の船をも巻き込んで突然大爆発と水柱が起こる。

 

爆散した木や、船の部品、人間だった物があたりに撒き散らされ、密集隊形にあった見方の船上に、人間のパーツと共に降り注ぐ。

 

「!!なんだ!!あの威力は!それにあの距離から当てやがったのか?…そんなバカな!」

 

 経験したことの無い凄まじい威力に、それを見ていた船団全員が驚愕する。

 

「まずい!!・・・しかし、まだここが、ワイバーンの届く距離でよかった。通信士!!ワイバーン部隊に上空支援を要請しろ!!敵主力船団と交戦中とな」

 

ワイバーンでも叶うかどうか…という不安をシャークンは顔には出さなかったが、内心では不安があった。

 

 

 

砲撃の直撃を受けた船は、跡形もなく砕け散り、その衝撃による被害を受けた船は無事だった乗員を乗せたまま、自重に耐え切れなくなり、沈んでいく。

 

砲弾は駿河に火矢を射掛けた船に直撃し、1発でその船は爆散、轟沈し、周辺の船もそれにより発生した巨大な水柱と衝撃により転覆する。

 

「これで、驚いて引き上げてくれると良いが・・・」

 

 戦艦、駿河艦長、海原は無用の殺傷は避けたかった。こちらの戦力の一部を見せ、勝てないと理解させ、引き返させる。

 

平和ボケと言われても仕方ないが、彼は、帰ってくれることを願っていた。

 

現に、隊列は乱れ、船足も警戒して減速していたため、淡い期待を描く。

 

「ふ・・・。あれほどの威力の魔導、そう連射は出来ないようだな・・・。」

 

 ロウリア王国、海将 シャークンは、駿河が2発目を撃ってこないため、このように判断していた。

 

「艦隊の速度落とせ、ワイバーンの航空支援と同時に、一気にたたみかけるぞ」

 

ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

「ロウリア王国東方討伐海軍より魔伝入りました。敵主力艦隊と思われる船と現在交戦中、敵船は超巨大であり、航空支援を要請する」

 

「ほう、敵主力か・・・。よろしい。380騎全騎を差し向けよ」

 

「し・・しかし、先遣隊に150騎ほど分けてあるため、本隊からワイバーンがいなくなりますが・・・。」

 

「聞こえなかったか?全騎だ。敵主力なら、大戦果となろう。戦力の逐次投入はすべきではない」

 

「了解しました」

彼らはまだ、先遣隊が全滅したことを知らない…知っていたとしても、何が出来るわけではないが…。

 

ワイバーンは、次々と、大空に飛び上がった。

 

 

駿河のCICでは、すでに「それ」を捕らえていた。

 

「これは・・・まずいな、中途半端な攻撃は、こちらの命を危うくする」

 

 レーダーに現れた飛行物体は350を超えており、敵は全く諦めていないということを痛感する。

 

 

「射程距離に入りしだい、全力で迎撃せよ!一騎も逃すな!」

 

 

 突如、3km先の巨大艦から煙が上がる。そして、何かが光の尾を引きながら、ロウリア艦隊上空を通過していく。

 

さらに、その巨大艦の後方にあり、なんとか見える範囲にいる船からも、何かが飛び出し、同じ方向を目指し、飛んでいく。

 

 さらに、後方から、複数の何かがすさまじい速度で飛んでいくのが見える。

 

海将 シャークンにいやな予感が過ぎるが、彼の経験上最良の選択を命じる

 

「そろそろ、ワイバーン部隊がこの海域に到達する。全軍突撃せよ!」

 

 ワイバーン部隊には、悲劇が襲いかかった。

 

いきなり仲間23騎が何かに当たり爆散し、バラバラになって海に落ちていく。何が起こったのか、全く解らないまま、十数秒後に15騎、さらに数秒後に20騎、と、次々と落ちていく。

 

こんなことは、歴史上1度も無い。

 

一通りの嵐が去ると、ワイバーンは数を380騎から190騎まで減らしていた。

 

部隊はパニック状態になったが、その時、船団が見える。

 

190騎のワイバーンがロウリア艦隊上空に到達する。

 

その先に見えるのが、一際大きい灰色の船。

 

 彼らは、その船に襲い掛かろうとしたが、 不意に、巨大な艦が前方にある大きな大砲を彼らに向け放つ

 

 凄まじいほど眩い閃光が彼らを襲う…そして、次の瞬間には、彼らは哀れな肉塊と化し、海上へとバラバラと落ちていくのみだった…。

 

生き残ったワイバーンを次に待ち受けたのは、光の嵐とでも言うような猛烈な対空射撃であり、彼らは何の見せ場もなく全滅するのだった…。

 

 

「・・・・・・・・う・・・・うそだろ・・・・」

 

 だれもが信じられずに、声が出ない。

 

ワイバーンは、1騎落とすだけでも、船にとっては至難の技、それが見ている範囲だけでも200騎以上!!

 

200騎以上の数が、精鋭のワイバーンがあの閃光に包まれた一瞬で血の雨を降らせながら落ちていった。

 

夢?いや、違う。

 

「我々は、悪魔を相手に戦っているのか?」

 

 海将シャークンは、悲壮な心境でつぶやく…なんと表現していいのか解らない。

 

しかし、悲劇は自分たちだけを見逃してくれるはずはなかった…。

 

 やがて、4隻の灰色の艦が見えてくる。

 

その全てに、帆船をなぎ払った魔導兵器が付いている。

 

 4隻は、破壊…いや絶望の嵐を打ち出した。

 

後にロデニウス沖大海戦と呼ばれる歴史を動かした海戦が始まろうとしていた。

 

 ロデニウス大陸の歴史において、海戦を決するのは、水夫の切り込みである。

 

日米のお陰で、既にそれはロウリアだけの常識になっているのは、当のロウリアは知る由もないが…ロウリアの常識ではバリスタ(大型弩弓)等により、ある程度船にダメージを与えたり、火矢で燃え上がることも稀にあるが、船を根本的に破壊できない。

 

最後は、切り込みによるため、結局は水夫の数がものをいうのだが…それを4400隻そろえている。

 

三大文明圏の列強相手ならともかく、辺境で負ける訳がない。

 

いや、これほどの数があると、三大文明圏の列強相手でも、ある程度渡り合えると思っていた。

 

 戦艦2隻、巡洋艦2隻の合わせて4隻の打ち出した砲弾は、1発あたり、数隻程を纏めて沈めていく。

 

完全なアウトレンジであり、射撃演習状態であった。

 

それでも4400隻は多い。

 

1400隻を海の藻屑に葬った時、巡洋艦の弾切れが近くなる。

 

「打ち方やめ」

 

巡洋艦は弾薬が無くなると、その場で待機して、戦艦部隊の突撃を見守る。

 

巡洋艦のとある艦長は、作戦前の司令長官の呟きを思い出す。

 

『戦艦で敵に恐怖を与えてやる……』

 

思い出した艦長は思った…恐怖とはこのことか…と心の中でロウリア兵に合掌した。

 

 

 あたりには、昔船だった残骸が海を漂う。

 

 戦艦2隻は船団への距離を詰める

 

 距離が400mまで近づき、対空用の40mm 機関砲を船団に打ち込み、確実に1隻づつ沈めていく。

 

さらに悲劇…いや惨劇は続く。

 

戦艦尾張は排水量8万を超える、そのため、木造船など武装を使わなくても、つまり体当たり攻撃でも全く被害を受けることはないのだ……さらに言えば、ただ進むだけで波に煽られ敵船は転覆したりするので、ほぼ一方的な殺戮である。

 

「ちくしょう!!化け物どもめ、あんなのに勝てる訳がねえ!畜生!来るな!来るなってんだよぉ!ぐあぁぁぁぁ」

 

一隻、また一隻と、時間を追うごとに信じられない速さで味方の船が撃沈されていく。

 

さらに、戦艦による砲撃で数隻から十隻ほど纏めて吹き飛ばされる光景や、戦艦に衝突されバラバラに砕かれる船もいる。

 

そんな光景を目の当たりにし、シャークンの目は段々と死んだ魚の様に荒んでいく…。

 

「・・・・・・だめだ…こんなのに勝てるわけが無い…」

 

海将シャークンは、既に心が折れ、絶望していた。

 

どうやっても勝てない。

 

このままでは、部下の命をただいたずらに殺すだけである。しかし、降参して捕虜になった場合、ギムでの大虐殺をしているロウリア人が、許されるわけが無い。

 

彼に残された道は、撤退の二文字であった。

 

 

ロデニウス大陸の歴史上最大の大艦隊の5割以上を失っての大敗北、国に帰ったら、死刑は免れないだろうし、歴史書に、無能の将軍として名が残るだろう。

 

 

しかし、部下を全て死なす訳にはいかない。

 

「全軍撤退せよ、繰り返す、全軍撤退せよ」

 

 魔法通信が各艦に流れる。

 

「敵超巨大船接近!!」

 

 彼の旗艦も撤退を始めようとしたその時、彼の船に戦艦駿河が衝突、船は砕け、彼は海に投げ出される。

 

海上に浮かびながら見た光景、彼の乗っていた船は、戦艦駿河に押し潰され、バラバラに砕けながら海に沈んでいく。

 

「敵は撤退を開始しました。」

 

 攻撃を控えるよう命令が飛ぶ。

 

「海に浮かんでいる仲間を見捨てて撤退したか・・・だが、出来るだけ減らすに越したことはない…悪く思うなよ……新三式弾装填、目標、撤退する敵船団…よーい………撃てーー!」

 

ワイバーンを襲ったのと同様の攻撃が撤退するロウリア船団を襲い、薙ぎ払う…。

 

結局、撤退できたのは僅か数百隻のみだった…。

 

そして、その蹂躙が終わると、今度は海に浮かぶロウリア兵らの救助命令が出されるのであった…。

 

こうして一つの海戦(蹂躙)が終わった。

 

 

 戦艦尾張に同乗していたクワ・トイネ公国の観戦武官ブルーアイは、実感が無かった。

 

 彼は、艦橋でやりとりを聞いて実際、戦闘も見れていたが、いまひとつ実感がわかなかった。

 

しかし、救助者多数のため、海戦のあった海域を目にしたとき、じわじわと実感が出てくる。

 

海面に浮かぶ浮遊物の数は、海を覆いつくさんばかりであった。

 

海戦は見ていても理解の範疇ではなかったが、圧倒的攻撃力で一方的に蹂躙したのは理解出来た。

 

 

パーパルディア皇国の観戦武官ヴァルハルは恐怖に震えていた。

 

彼の乗る船はボロボロになりながらも運よく撃沈されなかった。

 

ロウリアの4400隻の艦隊がどのようにクワトイネ公国を消滅させるのかを記録することが彼の任務だった。

 

蛮族にふさわしいバリスタと、切り込みといった原始的戦法でこれだけの数をそろえたらどうなるのか、個人的興味もあり、彼はこの任務が楽しかった。

 

しかし、現れた船は、彼の常識をも遥かに超えたものだった。

 

帆船を増速させる「風神の涙」を使った形跡が無いのに、圧倒的に速い。

そもそも帆が無い。

 

100門級戦列艦よりも、大きい船であるにも関わらず、超巨大な大砲を9門しか積んでいないのを見て思う。

 

何かの冗談か?

 

 蛮地に無いはずの大砲があったのには驚いたが、大砲はそう当たるものでは無い。

 

なかなか当たらないから、100門級の戦列艦が存在するのだ。

 

しかし、彼らの船は、3km放れているにも関わらず、1発で命中させる。しかも凄まじく巨大な大砲であるため、1撃で何隻もの船が撃沈する。

 

さらに驚くべきは、ワイバーンの波状攻撃を防いだ事、

 

我が軍であれば、竜母を使用し、ワイバーンにはワイバーンをもって対抗する。

 

蛮地よりも性能が遥かに良いため、同数なら確実に勝つ。

 

そもそも、大砲は、空を飛ぶ物に当たるはずが無い。

 

それがこの世界の常識だった。

 

しかし、彼らはワイバーンにさえ1発で命中させ、それがたった一発でワイバーンを全滅させるほどの威力だったなどとても人間業ではない。

 

 彼らの存在を知らずに、事を進めると、パーパルディア皇国をも脅かすかもしれない…いや、彼らへの対応を誤ると、滅ぼされかねない…。

 

 ヴァルハルは、魔伝により見たまま、ありのままを本国に報告したのだった…日本皇国と敵対するべきでないと…そう付け加えて……

 

 

 

 

 




巨大戦艦による轢き逃げって恐怖ですよね


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第7話・ロウリア王国の終焉(前編)

ギムの街とロデニウス沖での戦闘に勝利した日本皇国軍は中央歴1639年5月2日、第七機甲師団と第一機動旅団がギムの街への集結を完了、翌3日の午前7時00分 戦車部隊を先頭にロウリア王国首都へ向け進軍を開始する。

 

同時刻、アメリカ合衆国海兵隊第三海兵師団を乗せた揚陸艦6隻を伴う合衆国海軍第七艦隊もロウリア王国首都近海を目指し侵攻開始。

 

数時間後、日本皇国陸軍侵攻部隊、クワ・トイネへ向け進軍中のロウリア主力軍と戦闘を開始、ワイバーンに関しては日本皇国第二艦隊に属する空母部隊の航続可能距離であったことから、空母部隊が航空支援を実施、ワイバーン部隊は航空支援到着後数分で全滅した。

 

この時の損害、戦車1両のセンサーが破損するに留まる。

 

そして、皇国陸軍侵攻部隊の最初の犠牲となったのは、ロウリア王国東部諸侯団であった。

 

本隊よりやや先行していた為に、最初に日本皇国陸軍侵攻部隊と遭遇することとなるが、彼らが侵攻部隊を視認する頃には、侵攻部隊は既に攻撃体制を整え終わっており、彼らは第七師団の誇る砲火力を諸に浴びる事となってしまう。

 

 

ロウリア王国東部諸侯団を束ねるジューンフィルア伯爵は、進軍中に遭遇した集団から何やら爆発した様な音と煙が出た事に驚いた。

 

「な、なんだアレは?勝手に爆発し……っ!!?」

 

彼が言葉を言い終わる前にそれは始まった。

 

ジューンフィルアの率いるロウリア王国東部諸侯団に、大量の砲弾が降り注ぎ、地面を兵士ごと耕していく。

 

ものの数分で三分の二の兵が吹き飛ばされ、ジューンフィリアは混乱と驚愕により、取り乱す。

 

「……な……な……なんなんだこれはぁ!!いったい何がッ!!!?」

 

しかし、それもすぐに強制的に止められる。

 

ジューンフィリアのいた場所に砲弾が直撃し、彼は何が起きたのか知る事すら出来ずに吹き飛ばされ、肉片へと変わってしまう。

 

十数分の砲撃によりロウリア王国東部諸侯団はほぼ壊滅、残りは戦意を失い恐慌状態となり逃走又は降伏した。

 

ロウリア王国クワ・トイネ征伐隊東部諸侯団所属、ワイバーン小隊 竜騎士ムーラは、上空からその光景をまざまざと見せつけられ、恐怖した。

 

「全・・・・・滅?」

 

 そんなバカな・・・と続けようとした声が出ない。

 

グワァッ!グワァッ!と相棒のワイバーンが警戒の鳴き声を発する。

 

ワイバーンは東の方向を見ている。

 

バタバタバタ・・・微かな音、空気を叩く音が微かに聞こえる。

 

ムーラは目を凝らす。

 

竜騎士の視力は抜群に良いのだ。

 

そこには竜とは明らかに違うナニかがいた。

 

「あ、あの竜はなんだ!?」

 

そう叫ぶのもつかの間、そのナニかから火の塊の様なものが撃ち出される。

 

「導力火炎弾か!」

 

 遠い・・・そして速い!自分のワイバーンの導力火炎弾よりも遥かに射程距離は長い。

 

これほどまでに遠いとは、ワイバーンロードをも凌駕しているかもしれない。

 

しかし・・。

 

ムーラは飛び立つ。いくら遠くから速い攻撃を受けても、気付いていれば避けることができる。こういった攻撃は、不意打ちでこそ効果がある。

 

敵の目は悪いようだ…そう思った。

 

「!!!ついてくる!!!」

 

 敵の火炎弾は曲がって自分についてくる。

 

「うわぁぁぁっぁぁぁ」

 

 全力で飛び立ち、ワイバーンで後ろに付かれた時の戦術、ジグザグ飛行を行うが敵の火炎弾は、その度向きを変える。

 

そんな攻撃は見たことも聞いたことも無い。

 

「導力火炎弾がついてくる!!」

 

 ムーラは魔通信具に必死に向かって叫ぶ。

 

「ち・・・ちくしょう」

 

 顔に叩きつけられる合成風、死の予感、脳の中を様々な思考が廻る。

 

(「いってらっしゃい」妻は、戦に行く時、笑顔で送り出してくれた。「ほら、お父さんにいってらっしゃいは?」「あっ、あっ」1歳になったばかりの娘が笑顔で抱きついてくる。「これ・・・お守り、持っていって」良く解らない軽い金属製の物体を渡された。いつもお守りとして腰に着けている。)

 

「死んで・・・たまるかぁぁあ!!!!」

 

 急上昇、導力火炎弾は、やはり軌道修正し、自分に向かってくる。

 

急降下・・・で回避しようとすると腰に着けた妻からもらった大切なお守りが外れた。

 

火炎弾が迫る。

 

 ドォーン!!!!!!!!

 

 ムーラの後ろで火炎弾が何故か爆発した。

 

しかし、あまりに至近距離であり、ワイバーンは負傷し、ムーラも傷を負う。

 

落下していくのをムーラは感じた。

 

ムーラは、もうダメか…と妻に心の中で生きて帰れないことを詫びた。

 

だが、地面にぶつかる直前に一瞬だけ浮遊感を感じる。

その直後にムーラは地面に投げ出されるが、不思議なことに意識はあった。

 

相棒のワイバーンが最後の力を振り絞りムーラを救ったのである。

 

ムーラはなんとか立ち上がると既に事切れている相棒へと近づいて、縋り付く様に抱きしめ、ありがとうと相棒へと感謝を伝える。

 

その後、ムーラは日本皇国陸軍部隊に発見され拘束、負傷していた為治療を受けることとなる。

 

そして、更に1時間後、ロウリア王国のクワ・トイネ侵攻軍の主力部隊と日本皇国陸軍部隊との戦闘が始まった。

 

日本皇国陸軍は砲兵による圧倒的な砲火力で主力部隊に大打撃を与える。

 

主力軍を指揮する将軍パンドールはこの攻撃に何らかの対応すら出来ずに部隊ごと吹き飛ばされてしまう。

 

彼は後にこう語る。

 

【あの時は確実に死んだと思った。私の前にいた兵がクッションとなり、奇跡的に生き残った様だ……もう、あんな体験は嫌だ…】

 

それ程までに強烈な砲火に曝され、主力軍も呆気なく壊滅し、日本皇国陸軍ロウリア侵攻部隊は、補給と小休止を挟みながら、道中の妨害などをあっさりと文字通り吹き飛ばし、翌日には首都へと迫るのだった…。

 

日本皇国陸軍侵攻部隊がロウリア王国首都へ迫るのと同時刻、アメリカ合衆国海兵隊は、ロウリア王国首都近海におり、沿岸部への上陸作戦を始めようとしていた。

 

アメリカ合衆国海軍揚陸艦 ハワイ 戦闘機も運用可能なこの艦は、ロウリアの残存船舶や航空戦力の殲滅、更に地上部隊の支援のため、今まさに戦闘機部隊の面々がブリーフィングを行なっていた。

 

そして、作戦概要の説明が終わる。

 

「異世界にきて初めての戦闘か…」

 

「?…びびってんのかお前?」

 

思わず呟いたパイロットに、隣に座る別のパイロットが茶々を入れる。

 

「そうなの、怖ーい、抱いて!」

 

「おいよせやめろ、気色悪い!」

 

今度は茶々を入れられたパイロットがお返しとばかりにそのパイロットに絡みつく。

 

腐女子が喜びそうだが、あいにくとこの場に腐女子が居るはずもなく、上官の目に睨まれ、そして目が合ってしまう。

 

「……何か言いたいことでも有るのかヒラー大尉」

 

険しい顔で問う上官に、ヒラー大尉と呼ばれたパイロットはハッキリとした口調でこう返した。

 

「いいえ有りません、敵のケツに早くぶち込んでやりたいだけです」

 

その言葉に上官は口をニヤリと歪める。

 

「ああ、かましてやれ、遠慮はいらんぞ!全力でやれ‼︎解散!!!」

 

「「イエッサー!!!」」

 

パイロットたちは解散後すぐに格納庫へ駆け出し、自身の乗機へと乗り込んでいく。

こうして戦闘機部隊は、上陸部隊に先駆けて出撃するのであった。

 




今更ですが、この世界のアメリカは史実とは色々違ってます。

というか、日本に完全なは勝利納めてないのと、対等な立場での講和の時点でだいぶ違いますが…。

それと、活動報告で挿絵募集しようかと思います。

詳しくは次回の投稿の時に後書きにて書かせていただきます。









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第8話・ロウリア王国の終焉(後編)

中央歴1639年5月3日 午前6時30分 ロウリア王国首都 ジン・ハーク攻略作戦が開始された。

 

最初に戦端を開いたのは日本皇国陸軍侵攻部隊であった。

 

首都ジン・ハークを防衛する為に迎撃に出てきたロウリア軍2万は、日本皇国陸軍機甲部隊の砲撃で大損害を受ける。

 

「な、なんだあの魔道は!あんなのに勝てるわけない!お、俺は逃げるぞ!!!」

 

「あ、おい逃げるな戦え!!!」

 

「側面より敵襲!!!」

 

「ば、バカな!」

 

 

 

側面より日本皇国陸軍歩兵部隊の強襲を受けたロウリア軍は混乱した。

 

「し、将軍!このままでは…」

 

副官は焦りを隠せず、将軍へどうするべきか聞こうとした。

 

 

「……やはり、勝てないか…撤退しよう」

 

将軍の言葉に副官は衝撃を受け、思わず声を上げる。

 

「し、しかし!」

 

「勝てない戦で兵を無駄死にさせてなんとする!それこそ陛下や国に対する裏切りではないか!撤退する!!!」

 

将軍の一喝に副官は言葉を続けることができずに、将軍の命令に従うのだった。

 

 

しかし、ロウリア軍は撤退を試みるが皇国陸軍歩兵部隊による執拗な追撃を前に壊滅、また、生き残りもロウリア軍が皇国陸軍歩兵部隊に気をとられている間に戦場を迂回して城門前に陣取る機甲部隊を目にした瞬間に戦意を喪失し降伏してしまう。

 

尚、この戦闘で指揮を執っていたロウリア王国軍三大将軍の一人、スマークは、配下の兵の安全を保障するという日本皇国陸軍の言葉を受け、降伏している。

 

そして、ロウリア軍2万と皇国陸軍が戦闘を開始した直後、ロウリア王国軍竜騎士団も襲撃を受ける。

 

彼等を襲ったのはアメリカ合衆国第七艦隊の艦載航空部隊並びに海兵隊航空部隊から成る混成部隊であった。

 

まず最初の一撃は、竜騎士団の屯営地を狙い海兵隊航空部隊 通称 ブラックナイツ大隊が放った空対地ミサイルの一斉射である。

 

これにより、竜騎士団の屯営地は壊滅、その光景を、新米竜騎士のターナケインは上空から眺めていたが、相棒の竜が急に降下を開始、ターナケインは必死に制御しようとするも相棒は聞かない。そして、地上に降り立つや否や、相棒は蹲るように身体を丸くし、ターナケインが仲間の敵討ちに行くと無理やり飛び立たせようとしても、頑として従わなかった。

 

そして、ロウリア王国の不幸は、迎撃に出た軍の壊滅や、竜騎士団の壊滅だけでは終わらない。

 

ロウリア王国の残存する海軍部隊も不幸に見舞われる。

 

 

アメリカ合衆国海軍第七艦隊 戦艦 ラングレー、メリーランド、及び、改タイコンデロガ級(タイコンデロガ級後期型とも呼ばれる)四隻と、アーレイバーク級四隻の計10隻からの砲撃により、軍港は船、人、物、ほぼ全てが灰燼に帰し、そこに海兵隊が上陸、少数の生き残りのロウリア兵など全く意に介さず瞬く間に周辺を確保した。

 

その後、海兵隊はロウリア首都制圧のため、行動を開始、皇国陸軍と協力して瞬く間に首都を制圧して行くのである。

 

尚、その際に、海兵隊の1部隊が機関砲を受けてもそれを弾くほどの強度を持つ盾を所持した兵に遭遇し、最終的に捕虜にしたのはまた別の話。

 

そして遂に、ロウリア王国の王城へと、皇国陸軍第三機動強襲連隊第一大隊がヘリボーンにて投入された。

 

第三機動強襲連隊第一大隊は、瞬く間に王城を制圧して行く。

 

王国防衛騎士団将軍バタジンは、精鋭の近衛騎士団の中でも最精鋭を謁見の間に潜ませ、国王を逃す時間を稼ごうとした。

 

すでに国王は謁見の間の隠し扉から避難させていたのだが、相手の進撃が予想よりも遥かに早く、もう少し時間を稼ぐ必要があったのだ。

 

そして、その時が来た。

 

謁見の間の扉が勢いよく開かれ、緑のまだら模様の格好をした屈強な兵らが雪崩れ込んでくる。

 

パタジンは一目見ただけで、その雰囲気からただの兵士ではなく、手練れの部隊だと悟り、部下に号令をかける。

 

しかし、飛び出した部下からタタタと複数回に渡る乾いた音が響くと同時に全員が倒れ、動かなく成る。

 

パタジンは指揮官と思われる男に剣を向ける。

 

「私はロウリア王国防衛騎士団将軍パタジン、名を聞かせてほしい」

 

パタジンの言葉に、指揮官の男も答える

 

「日本皇国陸軍第三機動強襲連隊隊長兼第一大隊長、斎藤 一大佐…降伏を勧告する」

 

その言葉に、パタジンは ふん、と鼻を鳴らす。

 

「笑止、降伏はせん…尋常に勝負しろ!」

 

パタジンに降伏を拒否されると、斎藤大佐は、自らも軍刀を抜き放ち、構えを取る。

 

「いくぞぉ!!!」

 

「……参る」

 

パタジンと大佐が同時に駆け出し、交錯する…そして…

 

「…グフっ!……見事だ…」

 

そう言ってパタジンは倒れる。

 

大佐は静かにパタジンに敬礼すると、すぐに国王を拘束するべく行動を指示、隠し通路が見つかると国王の追跡を開始した。

 

 

隠し通路から少数の護衛とともに避難する国王、ハーク・ロウリアは考えていた。

 

6年もの歳月をかけ、列強の支援と、服従と言っていいほどの屈辱的なまでの条件を飲み、ようやく実現したロデニウス大陸を統一するための軍隊、錬度も列強式兵隊教育により上げてきた。

 

 資材も国力のギリギリまで投じ、数十年先まで借金をしてようやく作った軍、念には念を入れ、石橋を叩いて渡るかのごとく軍事力に差をつけた。

 

圧倒的勝利で勝つはずだったのだ。

 

それが、突然現れた日本皇国やらアメリカ合衆国等とかいうデタラメな強さを持つ化け物の様な国の参戦により、保有している軍事力のほとんどを失った。

 

当初、国交を結ぶために訪れた日本皇国やアメリカ合衆国の使者を、丁重に扱えば良かった。もっとあの二ヶ国を調べておくべきだった。

 

ワイバーンのいない蛮国だと?とんでもない。

 

ワイバーンが全く必要の無いほどの超文明を持った国家だったではないか…なぜあんな国らに勝てると思っていたのか。今更ながらに後悔した。

 

 軍のほとんどを失った。残っていたはずの船団も、凄まじい威力の魔導の前に港ごと灰燼に帰した。

 

こちらの軍は壊滅的被害を受けているのに、相手は、日本人やアメリカ人は1人も死んでいない。

 

とてつもないキルレシオ、文明圏の列強国を相手にしても、ここまで酷い結果にはならないだろう。

 

信頼する臣下も失い、魔導師を率いるヤミレイも行方知らずとなった…多分生きていないだろう……何故こうなってしまったのか…今更遅いが後悔しても仕切れない。

 

もっと、最初にきちんとした対応をとるべきだったのだ…。

 

敵は、もうそこまで追って来ている。

 

首都上空を我が物顔で、羽虫のような機械が飛びまわり、ワイバーン部隊も全滅した。

 

もう、どうしようもない・・・。

 

 タタタタ・・・タタタタ・・・。

 

 連続した聞きなれない音が後ろから聞こえた。

 

護衛の近衛兵の悲鳴が聞こえ、兵らを見ると血だらけで床に倒れ伏していた。

 

 

 

 緑色のマダラ模様の変な格好をした兵士が迫ってくる。

 

 手には、魔法の杖のような物を持っており、剣は一人しか帯剣していない様だった。

 

どうやら他は全員魔術師のようだ。

 

王の脳裏に、古の魔法帝国軍、魔帝軍のおとぎ話が浮かぶ。

 

しかし、そうなら民はどうなるのかと…そう思った。

 

「ま・・・まさか・・・魔帝軍か!?」

 

 ハーク・ロウリアは恐怖に慄き、尋ねる。

 

緑のまだら模様の兵が王に迫る。

 

「魔帝軍というのは、よく解りませんが・・・。日本皇国陸軍の斎藤といいます。あなたは、クワ・トイネ公国へ侵攻を指示し、戦争を起こした。その戦争を終わらせるため、貴方の身柄を拘束させていただく」

 

その言葉を聞き、ハーク・ロウリアは、彼らが古の魔法帝国ではないことを悟る。

 

古の魔法帝国なら、この様なやり取りをする前に自分は死んでいるだろうと考えたのだ。

 

彼は最後に兵に問う

 

「我が民はどうなる?」

 

兵は答えた

 

「我が国では民間人に危害を加えることは厳しく処罰される。よって民間人に危害を加えることはない」

 

その言葉に、ハーク・ロウリアは安心した。

 

そして、彼は素直に自身の身柄を緑のまだら模様の兵士に預けるのであった。

 

 

ここに、ロウリア王国は終焉を迎えたのである。

 

この後、日本皇国とアメリカ合衆国によりロウリアは民主主義化が図られ、ロウリア王家は、史実の日本における皇室の様な、いわば立憲君主制民主主義となるのであった。

 

 

 

 

 

 




前回のあとがきで書いた通り、イラストを募集します。

ちなみにオリキャラも募集することにしました。

活動報告に詳しく書いてます。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=202373&uid=78400


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第9話・アルタラス王国とアメリカ合衆国

 この世界において、アメリカ合衆国が最初に接触した国家は何処か…アルタラス王国がそれである。

 

 次にフェン王国などの国々とも国交を結ぶに至ったが、アメリカはアルタラスが持つ鉱山に目をつけ、魔石と呼ばれる鉱石を研究の為輸入することを決め、アルタラスと貿易の為の条約を締結した。

 

 この時のアメリカの行動は素早く、大統領権限もフルに使いスピード締結といっても良い速さであった。

 

 また、アルタラスはアメリカに安保条約締結を求め、アメリカも、アルタラスとの関係を良くしておこうと考え、了承、アルタラスの港がアメリカの力により急ピッチで増強され、未だ工事中ではあったが、新設されたアメリカ合衆国海軍第12艦隊の母港とされ、既に所属艦が入港していたりする。

 

 旧式のキティー・ホーク級を改装し再就役の上で旗艦として配置、また、タラワ級強襲揚陸艦ペリリューも再就役し所属している。

 

 モスボール保存されていた艦艇が艦隊の半数を構成しているものの、アメリカ政府としては、転移による短期的な失業者対策も兼ねて兵員の増員を行なっており、現在では乗り手はいても船が無いという状態で、軍の造船所も、フル稼働に近い状態で有り、この様な対応をするしかないと言った現状であった。

 

 艦隊の所属艦は以下の通り

 

 旗艦 空母 キティー・ホーク

 

    強襲揚陸艦 ペリリュー

 

    ドック型揚陸艦 1隻(モスボール艦から復帰、訓練中)

 

    ミサイル巡洋艦 2隻

 

    ミサイル駆逐艦 10隻

 

    潜水艦 3隻

 

この内、ドック型揚陸艦とミサイル駆逐艦の半数は未だにアルタラスへは到着しておらず、本国にて訓練中である。

 

 次にアルタラスには海兵隊と空軍が展開を完了している。

 

 空軍と海兵隊共用の基地としてアメリカ合衆国ルバイル基地が置かれている。

 

 所属航空機

 

 空中給油機

 

 KC-10A・3機

 

 輸送機

 

 C-130・4機

 

 V-22オスプレイ・6機

 

 早期警戒管制機

 

 E-3C改良型・2機

 

 無人偵察機

 

 プレデター・4機

 

 攻撃機

 

 A-10・4機

 

 戦闘機

 

 F-35B・12機(海兵隊)

 

 F-35A・12機(空軍)

 

 F-15E・12機

 

 F-16・8機

 

 戦闘ヘリ(海兵隊)

 

 AH-1Z・8機

 

 海兵隊部隊

 

 海兵隊第5連隊

 

 海兵隊第5偵察大隊

 

 これらの部隊が早々に配置され、要注意国家としてアメリカが警戒している国への睨みを効かせようとしていた……が、その国はアメリカの予想を悪い意味で裏切った。

 

 その国はパーパルディア皇国

 

 アルタラス王国に対し無茶苦茶な要求をし、その要求内容にアメリカ国民は怒り、そして、アルタラスへの懲罰艦隊がアメリカの船を攻撃した結果…三週間でパーパルディアは皇国から共和国になり、列強から発展途上国に転落した。

 

 アメリカは一人の犠牲も出さずに、ただ艦砲射撃とミサイル攻撃、そして戦闘機によるピンポイント爆撃を繰り返し行うだけでパーパルディア皇国を崩壊させたのであった。

 

 

 ただし、その裏でCIAなどが政治工作をしていたのもあったが、それでも、日本皇国がドン引きするほどの攻撃をアメリカは行い、その強さを見せつけた。

 

 

 日本のネットはこのアメリカの行動に対し、あるコメントがトレンド入りした。

 

 いわく

 

 理不尽(でもない)な暴力がパーパルディアを襲うw

 

因みにこのコメントを打ち込んだのは総理だとの疑惑()がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 




 お久しぶりな投稿です。

 パーパルティア皇国がアメリカに喧嘩売ったらというのを考えたらなんの見せ場もなく消滅する未来しか想像できなかったので、噛ませにもならない感じで消滅してもらいました。

 


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第10話・何事もなく終わるフェン王国の軍祭、観艦式前編

明けましておめでとうございます。

今年30になるのでその前に○貞卒したい作者です。

今年もよろしくお願いします。


 日本皇国が転移してから暫くして新たに国交を結んだ国、フェン王国。

 

 江戸時代など、侍の居た時代の日本を彷彿とさせるこの国は、とある世界線と違い、パーパルディア皇国からの懲罰攻撃にあうこともなく*1順調に日本皇国、アメリカ合衆国との国交を締結する事となる。

 

 同時に、日本皇国、アメリカ合衆国との相互防衛協定を剣王シハンが両国へ打診し、それに先立ち、両国の艦隊を招きその力を見せて欲しいと伝えた事から、事態はあらぬ方向へと進んでしまう。

 

 この提案がされた時、両国海軍関係者は、転移により延期されていた観艦式をこのフェン王国の軍祭を利用して行えるのではないかと考えた。

 

 正直、観艦式がやりたかっただけなこの両国海軍の関係者達は、其々の上層部へとフェン王国で観艦式やりませんかと打診した。

 

 結果、異世界初の大規模観艦式を行い、国民の士気高揚と、未だ砲艦外交が蔓延るこの異世界において、精強なる海軍を他国にアピールし、抑止力としての効果を期待するという名目で、ただ戦艦に乗りたかったアメリカ合衆国大統領と、ミリオタな内閣総理大臣により認可された事で、フェン王国の軍際は、異世界初の、そして、史上類を見ないほどの大規模な観艦式の舞台となるのだった。

 

 そして、その観艦式の情報を偶然得ることができたグラ・バルカス帝国情報部の諜報員数名も本国へ情報を流すためにフェン王国へと向かうのだった。

 

 更に、パーパルティア皇国を蹂躙した国の実力の一端を見ようと、ムー国や神聖ミリシアル帝国ら列強もフェン王国の軍祭に武官らを派遣し、フェン王国は思いもしないほど大規模な軍祭になってしまった事に、プチパニックになりながらも懸命に準備を行ない、ついにその日を迎える。

 

 

 ーー

 

 軍祭当日

 

 この日の観艦式に置いて、観閲艦とされたのは、フェン王国の軍船ではなく、フェン王国に譲渡予定の日本皇国海軍練習艦【香椎】であったが、この艦を見た文明圏外国の武官や代表達は、この艦ですらでかい、と驚きを隠せなかった。

 

 今回の観閲官は、各国代表と武官、フェン王国剣王シハン、アメリカ合衆国大統領、日本皇国内閣総理大臣*2である。

 

 観閲艦となった【香椎】に充分驚いていた剣王シハンや各国代表、武官達だったが、観艦式が始まり、彼らは更なる衝撃を受ける事となる。

 

 

 フェン王国民、そして、軍祭に招待された各国の代表者や武官らは、その威容に言葉を無くした。

 

 中には失神する者もいたほどである。

 

 グラ・バルカス帝国の諜報員達もそれを目の当たりにして、それまで自身の中にあった何かが崩れ去るのを感じた。

 

 彼らは、一瞬で察したのだ。

 

 【戦えば祖国は負ける】と。

 

 日本皇国がこの観艦式に派遣したのは、日本皇国海軍第一艦隊並びに第二艦隊から抽出された艦艇群30隻、そこに第一潜水艦隊の8隻の潜水艦を合わせた特別編成の大艦隊である。

 

 観艦式の場に、日本皇国海軍艦が姿を見せる。

 

 自分達の常識を水平線の向こう側に吹き飛ばしそうな姿の軍艦を目の当たりにして、各国の代表たちの耳には解説する日本皇国海軍の士官の声すら聞こえていないかもしれない。

 

 《最初に現れた艦艇は第一艦隊所属であります。

 

 第一艦隊兼第一打撃戦隊旗艦 戦艦【越後】同二番艦【越前】

 

 全長 351m、全幅 53.4、基準排水量 14万4千t以上

 

 機関 ロ型25式核融合炉、速力 32kn以上

 

 武装

 25式20cm超電磁砲×1、50口径51cm三連装砲2基6門、120mm 速射砲×2、40mm 高性能自動対空機関砲4基、25式対空用高出力レーザー砲×1、VLS対空ミサイル(20セル)、VLS対艦ミサイル(12セル)、対潜ミサイル発射機×2

 

 搭載機はヘリ2機を搭載しております!座乗指揮官は第一艦隊司令長官、沖田宗一中将であります!》

 

 解説に理解不能な単語があるが、それらは補足として説明されていく。

 

 しかし、それでも理解出来ずに、自身の分かる範囲で理解しようと各国の代表達らは努力した。

 

 この2隻の巨艦を目にした者達の反応はさまざまである。

 

 列強の武官の中にはハリボテだと言う者もいれば、ミリシアルの様に正しく理解する者もいた。

 

 ミリシアル帝国の武官は、世界最強の海軍だと言う自信が一瞬で粉砕され、立っているだけで精一杯で精神は最早ガタガタになってしまっていた。

 

 また、グラ・バルカス帝国の諜報員達は、死んだ魚の目になりつつ、あらゆる媒体を使用して写真を撮ったりなど記録をしていく。

 

 ただ、彼らは忘れている。

 

 まだ、2隻しか見ていないのだ。

 

 《次に現れましたのは、皇国海軍第二艦隊所属、第二艦隊兼第二打撃戦隊旗艦尾張型戦艦【尾張】二番艦【駿河】であります!

【挿絵表示】

 

 

 性能諸元は全長 324m、全幅 48.9m、基準排水量 11万2千t、機関 ロ型14式核融合炉、速力 30kt!

 

 武装、50口径46cm三連装砲3基9門、120mm 速射砲2基、40mm高性能自動対空機関砲6基、VLS対空ミサイル(20セル)、VLS対艦ミサイル(12セル)、対潜ミサイル発射機2基を装備しております!

 

 搭載機はヘリ1機搭載可能となり、先のロウリア王国との戦いではロウリア王国の艦隊をこの2隻のみでほぼ撃破しており、正に武勲艦であります!

 

 座乗指揮官は第二艦隊司令長官、徳田新之助中将であります!》

 

 この紹介の中に武勲艦との言葉を聞いた各国代表や武官達は目の色を輝かし、その姿を見た。

 

 武勲艦の響きは彼らの興味を引くのに充分な威力があった。

 

 そしてグラ・バルカスの諜報員達はしっかりと仕事をしつつ、報告書に必死で日本やアメリカと戦うなと繰り返し記入する。

 

 相変わらず目は死んだ魚のままだったが。

 

 更に続いて戦艦2隻が紹介されて、次に現れたのは日本皇国海軍の最新鋭航空母艦であった。

 

 《今現れましたのは皇国海軍第一艦隊第一空母戦隊【出雲 】二番艦【八雲】であります!全長 340m、全幅 80m、基準排水量 11万t以上、機関 ロ型14式核融合炉、速力 30kn以上、武装、40mm 高性能自動対空機関砲4基、近接防空迎撃ミサイル12連装×2を装備

 

 艦載機は90機以上を搭載する我が国の最新鋭航空母艦であり、搭載機は只今上空を通過した我が国の誇る最新鋭艦載戦闘機である24式墳式戦闘機【雷電】であります!

 

 座乗指揮官は第一空母戦隊司令、松田翔太少将であります!》

 

  この航空母艦の紹介と、空母艦載機の飛行を目の当たりにしたミリシアルの武官は、ちょっとした疑問を持った。

 

 日本の航空機は見たところ自国の戦闘機と同じ推進方式だが、自国戦闘機よりも数倍速い。

 

 と言うよりも自国の戦闘機が異常に遅く思ってしまい、それを近くで補足説明していた日本の士官につい話してしまう。

 

 これが後々ミリシアルの戦闘機に影響を与えるのだが、彼らは知らない。

 

 

 そしてグラ・バルカスの諜報員達は帰りたくなっていた。

 

 日本の艦艇の紹介が終わるのは更に数十分後であり、日本が自国より高性能な潜水艦まで持って居るのを確認した諜報員達は、次に控えるアメリカ艦隊を見たくなかった。

 

 現実は非情である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その様子を監視している日本の諜報員は愉悦を感じていた。

 

 某神父ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
早々にパーパルディアがアメリカにより葬送された為

*2
日米首脳は日米フの初の首脳会談の為に来訪という名目で本当は観艦式に来たかっただけ、そして外務官僚の仕事が増えた



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第11話・何事もなく終わるフェン王国の軍祭、観艦式後編

 グラ・バルカス帝国諜報員達の悪夢は終わらない。

 

 そして、軍祭に参加している各国代表や武官達は、既に驚き疲れ、もはや会話すら少なくなって来ていたのだが…そんな事は知らんと言わんばかりに今度はアメリカ合衆国海軍の艦隊が姿を現した。

 

 合衆国海軍の観艦式参加参加艦隊は、合衆国海軍第一艦隊*1第二艦隊、第七艦隊の3個艦隊からの艦艇48隻と合衆国海軍第一潜水艦隊から12隻の潜水艦が参加して合わせて60隻の空前絶後の大艦隊となっていた。

 

 先頭を進む艦艇はアメリカ合衆国が誇る最新鋭戦艦であるアリゾナ級戦艦2隻であり、其れに続いて第一、第二、第七艦隊の戦艦部隊を統合した戦艦部隊が行進する。

 

 日本皇国海軍艦隊勝るとも劣らないその威容と、日本皇国海軍を越える物量に、観閲艦【香椎】からそれを見ていた剣王シハンは「凄まじいな…」と感嘆の声を漏らす。

 

 そして、アメリカ合衆国大統領は日本皇国内閣総理大臣に勝ち誇ったような視線を向け、総理大臣は内心で財務省の言うことなんか無視してもっと艦隊を参加させたかったと悔しさを滲ませた。*2

 

 そして、参加艦艇の紹介が始まる。

 

 《皆さん、ご覧ください!先頭を進むのは我が合衆国海軍第一艦隊が誇る最新鋭戦艦アリゾナ級【アリゾナ】と二番艦【アラスカ】であります!

 性能諸元は全長350m、全幅50m 基準排水量14万t H23核融合炉を装備し速力34kn以上!

 武装は20cm超電磁砲×1、46cm三連装主砲×2基、12cm速射砲×1基、VLS対艦ミサイル40セル、VLS対空ミサイル30セル、対潜ミサイル発射機×4基、40mm高性能自動対空機関砲×4基、Mk 21高出力対空レーザー砲×2基を装備しております!

 搭載機は、ヘリ1機を搭載可能であり、最初に超電磁砲を装備した艦でもあります!

 座乗指揮官は合衆国海軍艦隊総軍*3司令長官ジョン・マッケンジー大将!*4

 

 無論、グラ・バルカス帝国諜報員達はしっかりと記録している。

 

 彼らは完全に思考を放棄して仕事に打ち込む事で精神を安定させていた。

 

 《続きまして、我が合衆国海軍主力戦艦であるモンタナ級戦艦【モンタナ】【テネシー】【ラングレー】【ワシントン】であります!

 性能諸元は全長326m、全幅48.1m、基準排水量11万2千t以上!H 22核融合炉を装備し速力30kn以上!

 武装は41cm三連装主砲×3基、12cm速射砲×2基、VLS対艦ミサイル×20セル、VLS対空ミサイル×20セル、対潜ミサイル発射機×2基、40mm高性能自動対空機関砲×4基を装備しております!

 搭載機は有りませんが、ヘリの離発着は可能となっております!

 座乗指揮官は合衆国海軍第一戦艦群司令、グリーン・ワインアット少将!》

 

 紅茶が好きそうな将軍の名前が呼ばれた後、あたりにどよめきが起こった。

 

 日本皇国海軍関係者すら驚いた事態である。

 

 そこに現れた巨艦は、日本皇国海軍関係者や、まして政府要人すら知らない艦だったのだ。

 

 アメリカ海軍関係者や大統領はしてやったりと言う表情でそれを眺めていた。

 

 

 《さあ、次にやってまいりましたのは、本日が初の外洋任務としてのお披露目となる数週間前に就航したばかりの我が国の最新鋭航空母艦であります!

 さあ紹介しましょう!我が国の新たなる力‼︎ユナイテッド・ステーツ級航空母艦【ユナイテッド・ステーツ】‼︎

 性能諸元は全長364m、全幅86m、基準排水量16万1千t、機関はH 26核融合炉を装備し速力33kn以上!

 武装はMk21高出力対空レーザー×1、40mm高性能自動対空機関砲×2基、近接防空迎撃ミサイル×2基を装備!

 艦載機は最大で約112機を搭載可能であります。

 皆さん上空をご覧ください!今上空を飛んで行ったのは本艦搭載の我が国の最新鋭艦載戦闘機であるF-37【タロン】であります!

 飛行隊名はラーズグリーズ飛行戦隊!隊長はブレイズ・ブービー少佐!そして本艦の座乗指揮官は合衆国海軍第七艦隊司令長官ニコラス・A・アンダーセン中将であります‼︎》

 

 はっきり言うと、最新鋭艦載機も初公開だし、空母も初公開、日本側が知っていたアメリカ合衆国海軍の最新鋭空母はもっと小さいはずであったし、3年前に就航したばっかりであり、それを越える巨大空母をいつ作ったと言う状態だったが、ぶっちゃけてしまうと、転移の影響による失業者の受け皿とするべく、没案となった大型空母が建造されたのだが、その空母が本艦である。

 

 しかも、建造期間や艤装、各種試験、乗員の訓練が急ピッチで行われたが、それでも限度があるだろうと言うレベルで速く就航していた。

 

 具体的には、建造期間は約1年程度と言う速さでこれだけの巨艦を完成させて見せたのだ。

 

 日本皇国も、やれない事はないが、100%財務省がキレるし、内閣が飛ぶ。

 

 アメリカだから出来た芸当と考える事となる。

 

 しかも、建造ドックを丸々屋根で覆い、衛星から見えないようにしていたそうだった。

 

 その後もアメリカ艦の紹介は続くが、この艦のインパクトのせいで他の艦艇の紹介中も各国代表は放心しきり、他の艦艇の印象は残らなかったようである。

 

 因みに、グラ・バルカスの諜報員達は記録を取りながら口を半開きにし放心すると言う状態になっていたし、なんだったら彼らを監視していた日本の諜報員もアメリカのバカでかい空母に唖然としていた。

 

 日本の財務官僚がこの話を聞いた時、アメリカの財務官僚じゃなくて本当に良かったと心から思ったらしい。

*1
米第一艦隊は史実とは違い、この世界のアメリカ合衆国海軍には主力として本国防衛の要として存在している。

*2
因みに観艦式参加が決まった後の参加艦艇はもっと多くなる予定だったが、財務大臣の所に財務官僚が直談判しに来たり、鬼の形相の財務大臣と官僚が官邸に乗り込んで来たので諦めた経緯がある

*3
史実と異なり合衆国海軍の全ての艦隊は艦隊総軍の指揮下となる、潜水艦隊総司令部を含む艦隊司令部の上にこの組織がある。

*4
数ヶ月後に退役予定で退役前に最後に戦艦に乗りたかったため長官権限でゴリ押し参加したのは内緒



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第12話・観艦式を終えて

 観艦式が終わると、剣王シハンからの要望で日本、アメリカ両国の超電磁砲搭載艦によるデモンストレーションとして廃艦を使った射撃訓練が行われることとなったが、ここで問題が発生する。

 

 フェン王国が用意した廃艦では標的として不足だと、そう言い始めるものが現れたのだ。

 

 まあ、アメリカ合衆国大統領なのだが…。

 

 そこで、アメリカと日本は数日の猶予をフェン王国に求め、了承を得てから新たな標的艦を自前で用意しようとした。

 

 ところが、さらにそこに観艦式には参加していなかったミリシアル帝国が接触してきたのだ。

 

 この世界最強の国だという国家相手であり、丁寧に対応する日本、アメリカの外交官だが、ミリシアルの外交官の無意識の上から目線に対し、不快な思いをしていた。

 

 そんな中、話の中で、其々の国の軍事の話となり、武官も交えて話をすることとなったのだが、ミリシアルが自国の第零魔導艦隊の強さをアピールし始めた際、日本の武官が放った一言がミリシアルの外交官に火をつけてしまう。

 

 魔導艦隊の強さアピールを聞いた武官の一言とは、「もし戦ったら撃破するのに10分くらいかな」と言うアメリカ側武官との小声での会話で出た一言であった。

 

 当人らは聞こえないように話していたつもりだが、ミリシアルの外交官は残念ながら耳が良かったらしく確りと聞かれており、ミリシアルの外交官が「そこまで言うならば見せてみよ!貴国らでは我が国の旧式戦艦すら破壊できないと教えてやる!」と言う、その流れで、ミリシアルが用意した旧式戦艦を標的艦とした砲撃訓練がフェン王国の沖合で行われることとなる。

 

 

 それから数日、ミリシアル帝国が用意した旧式戦艦マーキュリー級魔導戦艦2隻と日米両国が用意した標的艦(廃艦予定の駆逐艦)2隻を的に、フェン王国沖合にてその砲撃訓練が行われる。

 

 アメリカ海軍、日本海軍、ミリシアル帝国海軍、フェン王国水軍からの代表者数十人を乗せたアメリカ海軍空母ユナイテッド・ステーツの甲板上で、その各国代表者らの見守る前でついに訓練が始まる。

 

 まずは駆逐艦を的にした通常砲弾による砲撃である。

 

 最初に発砲したのは日本海軍 戦艦越後である。

 

 結果、見事に砲弾は命中、凄まじい轟音と共に高く上がる波飛沫にミリシアルの代表者は驚愕した。

 

 自国の最新鋭戦艦を優に超えている…そう理解させられた瞬間である。

 

 駆逐艦は波飛沫が晴れると跡形もなく、残骸のみが波間に浮いているのが見えた。

 

 アメリカ艦も同様の結果となり、次にいよいよ超電磁砲の砲撃となる。

 

 

 日米の超電磁砲搭載艦二隻による超電磁砲の同時射撃である。

 

 戦艦越後 戦闘指揮所

 

 「超電磁砲発射準備に入る。アリゾナとタイミングを合わせろよ」

 

 「了解、超電磁砲発射準備!安全装置解除、電磁加速装置へ回路接続、電圧正常に上昇中」

 

 「超電磁砲全システム正常に作動、電圧最大出力、超電磁砲発射準備完了」

 

 「最終安全装置解除、アリゾナより発射準備完了との報告、発射10秒前!」

 

 「照準よし!………3・2・1…超電磁砲撃ち方始め‼︎」

 

 「撃ぇーー(って)!」

 

 

 ユナイテッド・ステーツの甲板上からは、越後、アリゾナの両艦の超電磁砲の砲塔が電圧の回路作動により青く発光する様子と、発射時に稲光が発射方向へ伸びる様子が見えていた。

 

 そして轟音、ミリシアルの旧式戦艦は、命中したと思われる艦中央が削り取られるように崩壊(・・・・・・・・・・・・)し黒煙を上げながら沈んでゆく。

 

 ミリシアル帝国の代表者らは、信じられないという様子でその光景を眺めるしかなかった。

 

 ミリシアルの代表者らにとって、今日ほど自分のプライドがズタズタにされた日はないだろう。

 

 ユナイテッド・ステーツを見た時、泡を拭いて倒れたミリシアルの若い女技術者は下着を変える羽目になるし、外交官や代表団の団長である軍人は上に上げる報告をどうすれば良いのかと胃を痛め、又別の代表団の軍人は第零魔導艦隊なら同じことができる!と虚勢をはる。

 

 その後…帰路に着くミリシアル代表団はお通夜のような重く暗い雰囲気を漂わせていたと言う……。



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第13話・ムーと接触・マイラスのSAN値直葬

 第2文明圏 列強国 ム―

 

 晴天、雲は遠くに少し浮かんでいるのが見えるのみであり、視界は極めて良好である。

 

 気候はあたたかくなってきている季節であった。

 

 ムーは先日行われた日本とアメリカの戦艦による砲撃訓練や、その前に行われた観艦式の情報を受け、観艦式の参加艦艇、特に日米の戦艦、空母の能力分析に全力を上げていた。

 

 そんな中、技術士官マイラスは軍を通じて伝えられた外務省からの急な呼び出しに困惑していた。

 

 内心では、分析作業の時間を削られたことに対する憤りもあったが、態度には出さないように気をつけていた。

 

 外務省からの呼び出しは、空軍のアイナンク空港だった。

 

 列強ムーには、民間空港が存在する。まだ富裕層でしか飛行機の使用は無く、晴天の昼間しか飛ぶ事は出来ないが、民間航空会社が成り立っている。

 

 民間の航空輸送は私の知りうる限り、神聖ミリシアル帝国とムーでのみ成り立つ列強上位国の証である。

 

 機械超文明ムーの発明した車と呼ばれる内燃機関に乗り、技術士官マイラスは空軍基地アイナンク空港に到着した。

 

 わざわざ急遽空軍基地に呼び出すとは、いったい何だろうか?とマイラスは疑問に思いながらも20分ほど待った。

 

 

 軍服を着た者と、外交用礼服を着た者2名が部屋に入ってくる。

 

 「彼が技術士官のマイラス君です」

 

 軍服を着た者が外交用の礼服を着た者に紹介する。

 

 「我が軍1の、技術士官であり、この若さにして第1種総合技将の資格を持っています」

 

 「技術士官のマイラスです」

 

 マイラスはニッコリと笑い、外交官に答える。

 

 「かけたまえ」

 

  一同は椅子に腰掛け、話が始まる。

 

 「何と説明しようか・・・。」

 

  外交官がゆっくりと口を開く

 

 「今回君を呼び出したのは、正体不明の国の技術レベルを探ってほしいのだよ」

 

 マイラスは最近噂に聞いた第八帝国の事かと思い、問う。

 

 「グラ・バルカス帝国の事ですか?」

 

 すると、思わぬ答えが返ってくる。

 

 「いや、違う……本日ムーの東側海上に数隻の超大型艦が現れた。海軍が臨検すると、日本皇国とアメリカ合衆国という国の特使がおり、我が国と新たに国交を開きたいと言ってきたのだ。

 我が国と国交を開きたいと言ってくる国は珍しい事では無いが、問題は、彼らが、我が国が必死に分析している例の艦艇群を運用している国家であり、現れた艦艇もあの写真に載っていた超巨大艦だと言うことだ」

 

 「まさか・・・」

 

 「そして魔力感知器にも反応が無いので、魔導船でもない。機械による動力船であると思われる」

 

 「やはり、そうですか・・・・。」

 

 「そして、さらに問題なのが、我が国の外務次官が我が国の技術的優位を見せるためにと外務大臣たる私に確認もせずに会談場所をアイナンク空港に指定したら、飛行許可を願い出て来たのだよ」

 

 「当初は、外交官がワイバーンで来るのか、なんて現場主義な国かと話題になった。飛行許可を出してみたら、飛行機械を使用して飛んで来たのだよ」

 

 「まさか!」

 

 「先導した空軍機によれば、相手は時速380km程度の飛行速度であり、速度を合わせるのが大変だったと言っていた。

 むしろ向こうがこちらに合わせてくれていたようだともな。

 試しに、空戦したら勝てそうか聞いてみたが、あれが武器を積んでいたら分からないとのことだった。

 見た目には武装は見当たらない様だったしな。

 まあ、飛行機械を持っていると言うことと、この証言から、脅威であることには間違いはない」

 

 「また、飛行原理が我々の知っている航空機とはちょっと違うようなのだよ。見たことが無い飛行機械だった。そこで、マイラス君、君の出番となった訳だ」

 

「彼らの言い分によれば、日本は第3文明圏フィルアデス大陸のさらに東に位置する文明圏外国家だ。更にアメリカはその同盟国で、こちらも本来海であった筈の場所にある国だ。

 あと持ってきた飛行機械の技術は凄まじく進んでいそうだとの事だ。我が国との会談は1週間後に行われるが、その間に彼らを観光案内し、侮られない様に我が国の技術を知らしめると共に、相手の技術レベルを探ってくれ」

 

「解りました」

 

 技術士官のマイラスは、久々に技術者魂の震えを感じた。未知の飛行機械とはいかなるものだろうか?

 

 立ち去ろうとした外交官が足を止め、振り返る。

 

 「あ!そうそう、日本とアメリカが使用してきた飛行機械は、今空港東側に駐機してあるので、まずは見ておいてくれたまえ」

 

 外交官は立ち去った。

 

 

 

 5分後――

 

 マイラスは駐機場にある日本という国の乗ってきた飛行機械を眺め、唖然としていた。

 

 ・・・プロペラが二つ翼に対して上向きに付いている。これを回転させて飛んで来たらしいが・・・。

 

 良く見ると、プロペラのエンジンの所に何らかの可動機構があるのがわかる。

 

 どの様に飛び立つのか、飛行時はどうなるのか、また、それに必要なエンジン出力を考えマイラスから出た言葉は…

 

 「なんという技術!!!!」

 

 マイラスは、この飛行機械…V-22Jオスプレイ(日本皇国機動連隊仕様)の前で、冷や汗をかき、立ち尽くしていた。

 

 

 応接室へ向かうマイラスの足取りは重い。

 

 オスプレイと呼ばれる飛行機械は、おそらく我が国では、エンジン出力不足どころか全てにおける技術力の不足から作る事が出来ないだろう。

 

 少なくとも、エンジンについては彼らは我々よりも優位であることは否定する要素がない。

 

 しかし、我が国には、如何に技術的に負けていようともそれに対抗できるレベルだと考えられる最新鋭戦艦ラ・カサミがある。

 

 マイラスは自分にそう言い聞かせて気持ちを奮い立たせる。

 

 「どうなる事やら・・・。」

 

 マイラスは日本とアメリカの使者が滞在する部屋の扉をノックした。

 

 「どうぞ」

 

 扉をゆっくりと開ける。

 中には、4名の男がソファーに座っていた。

 

「こんにちは、今回会議までの一週間ムーの事をご紹介させていただきます、マイラスと申します」

 

 日本の使者は立ち上がり、挨拶をする

 

 「外務省の御園です。今回ムー国をご紹介いただけるとのことで、ありがとうございます。感謝いたします。

 こちらにいるのが、補佐の佐伯です。」

 

 続いてアメリカの使者も挨拶をする

 

 「始めまして、私はアメリカ合衆国国務省のハーリングです。

 そしてこちらが補佐のマッカーサー、よろしくお願いします」

 

 丁重な言葉使いだ。

 

 そして日本とアメリカの使者は、すでに出発準備を整えていた。

 

 「では、具体的にご案内するのは、明日からとします。長旅でお疲れでしょうから、今日はこの空港をご案内の後に、都内のホテルにお連れします」

 

 マイラスは空港出口へ行く前に、空港格納庫内に使者を連れて行く。

 

 格納庫に入ると、白く塗られた機体に青のストライプが入り、前部にプロペラが付き、その横に機銃が2機配置され、車輪は固定式であるが、空気抵抗を減らすためにカバーが付いている複葉機が1機、駐機してあった。

 

 ピカピカに磨かれており、整備が行き届いた機体だと推測される。

 

 マイラスは説明を始めた。

 

 しかしながら半ば自棄になっていた。

 

 と言うか、仕事と割り切らなければやってられないと言う心情である。

 

 言うなれば、数千万の車に乗ってる人物に、十万位の中古車を買った自慢をする様なものである。

 

 オスプレイによりマイラスは打ちのめされていた。

 

 ただ、技術者としての好奇心は鰻登りであり、それを抑えることも意識して説明を始めた。

 

 「この鉄龍は、我が国では航空機と呼んでいる飛行機械です。

 これは我が国最新鋭戦闘機「マリン」です。最大速度は、ワイバーンロードよりも速い380km/h、前部に機銃・・・ええと、火薬の爆発力で金属を飛ばす武器ですね。それを付け1人で操縦出来ます。

 メリットとしては、ワイバーンロードみたいに、ストレスで飛べなくなる事も無く、大量の糞の処理や未稼働時に食料をとらせ続ける必要も事もありません。

 空戦能力もワイバーンロードよりも上です。」

 

 自信満々にみえる様に説明する。

 

 日本人とアメリカ人は、口をあけて、「はー」とか、間抜けな言葉を発している。

 

 「は―・・・複葉機なのですね―」

 

 御園とかいう外交官が驚いて見ている。

 

 「レシプロエンジンを積んでますね。このレトロな感じがたまらなく良いですね」

 

 佐伯とかいう人物は、我が国の最新鋭戦闘機を見て「レトロ」という言葉を発した。

 

 また、マッカーサーという人物は正直なのだろう…「博物館で見た様な…い、いや…素晴らしいですな…うん………」とその様な反応だった。

 

その反応でわかる。

 

 彼らにとってこの機体は…数世代は昔の機体……

 

 マイラスは折れそうだった。

 

 「内燃式レシプロエンジン以外にどういった選択肢がありますか?蒸気機関もレシプロといいますよね?まあ、蒸気機関は重くて出力が弱く飛行には適さないのですが、是非、教えていただきたい!」

 

 食い気味なマイラスの問いに、佐伯という人間が答える。

 

 「日本やアメリカには、ジェットエンジンと呼ばれる航空機に適した小型高出力エンジンがありますので・・・。もちろん、レシプロエンジンもありますよ」

 

 !!!!!日本とアメリカはやはり、高性能エンジンを所有している。

 

 どの様な種類があるかまで聞けたのは良かった。

 

 「ほう・・・日本やアメリカにも航空機に適したエンジンがあるのですね。是非構造を教えてもらいたいものです」

 

 「簡単な設計図や原理であれば、日本と国交を結んでいただけたら、書店でいくらでも購入できます。しかし、高出力化や、エンジンの燃焼温度に耐えうる素材の具体的造り方については、協定がありますので、公開は出来ませんが・・・」

 

 「簡単な設計図が手に入るのですね。それは面白い。個人的には是非日本やアメリカと国交を結べる事を願いますよ」

 

 何が何でも手に入れる。

 

 マイラスは決めた。

 

 日本とアメリカは航空機技術についても我が国を凌駕しているのは確実だ。

 

 マイラスは、一応確認のため、探りを入れる。

 

「日本とアメリカの航空機はどのくらい速度が出るのですか?」

 

 航空機は速度が重要だ。速度が上がれば、一撃離脱戦法により、速い方が圧倒的に有利である。

 

 御園と佐伯は目を合わせる。

 

 そして、ハーリングとマッカーサーとも目を合わせ頷き合う。

 

 ヒソヒソと話をしている。

 

 (ま・・まあ現代戦の速度は戦闘性能にあまり関係ないし、国内の市販本には色々性能も記載してあるから、国交が結ばれたら判明するから隠すこともないか・・・)

 

 4人の判断は概ね同じであった。

 

「戦闘機であれば、我が軍の最新鋭戦闘機が最高速度マッハ3くらいです。音速の3倍程度ですね。旅客機であれば、対気速度で時速850kmくらいが巡航速度です」

 

 アメリカのハーリングが続いて答える。

 

 「今日我々が乗ってきた機体は開発したのは我が国で、速度は500㎞は出ます。

 あとは日本と同じくらいですかね、マッハ1から3まで、幅広く我が国は航空機を運用してますのでね」

 

 

 「!!!!!!」

 

 絶句・・・。

 

 ま、まさかの、お・・・お・・・音速超えだと!?そそそ・・そんな馬鹿な!!!!!

 

 マイラスはなんとなく予測していたことであるが、それでも驚かずにはいられなかった。

 

 「ははは・・・是非見てみたいものです・・・では、こちらへ・・・」

 

 マイラスは、日本、アメリカの使者を、空港外へ案内する。ムーの誇る自動車に乗せてホテルへ向かおうとしたが、そこでマイラスに更なる追い討ちをかけられる。

 

 空港外には、日米の使者を乗せる車が待機していた。馬を使わず、油を使用した内燃機関を車に積むまでに小型化した列強ムーの技術の結晶。

 

 日米の使者は驚く事も無く、車に乗車する。

 

 車は出発し、動き始める。特に驚いた様子はない。やはりそうか・・・。

 

「日本やアメリカにも、車は存在するのですか?」

 

 マイラスは尋ねる。

 

 「はい、乗用車であれば、3年前のデータですが、日本で約7千万台が走っています」

 

 「我が国アメリカでも8千から9千万台後半ですかね」

 

 「そ・・・そんなに走っていると、道が車で一杯になってしまいますね・・・」

 

 「我が国は、前世界においても、信号システムが世界的に見て進んでいましたので・・。国交が樹立出来れば、是非信号システムについても輸出したいものです」

 

 と佐伯

 

 「いや、我が国のシステムを輸出したい」

 

 とマッカーサーが言ったことで、佐伯とマッカーサーの間で日米どちらの信号システムが優れているかの言い合いになり、御園、ハーリングはそれを見て二人を一喝して止める。

 

 マイラスは疲れていた。

 

 マイラスは精神的に疲れてきた。(大事なことなので2回)

 

 整地された道をホテルへ向かう。

 

 車はホテルに横付けされ、皆はホテルへ入る。

 

「明日は、我が国の歴史と、我が国の海軍の一部をご案内いたします。今日はごゆっくりとお休み下さい」

 

 マイラスは、日本とアメリカの使者にこう伝え、ホテルを後にした。

 

 翌日、ムーが実は伝説のムー大陸だったという事実に日米は驚愕し、更にムーとかつての日本が友好国だった事実が判明し日本とムーが驚愕。

 

 あと、戦艦ラ・カサミを紹介したあとで日米の艦艇の話を聞いたマイラスが突然笑い出し気絶したりしたのはコラテラルダメージである。

 



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第14話・日米ム安全保障条約

 日本、アメリカ、ムー国との本格的な外交が始まってすぐに纏められたいくつかの条約。

 

 通商条約、友好条約、技術支援協定……そして安全保障条約。

 

 ムー国との接触時にマイラスという技術者を筆頭に日米の戦艦を始めとする艦艇群の写真を大量に持って日米外交団を訪問したムー国技術部の技術者達は、その写真を日米外交団らに見せ、この装備はどの様な用途か?この艦の戦闘力はどれほどか?この艦はいくら出せば売ってくれるのか?などなど日米の連れてきていた軍の技術者を質問責めにして日米外交官を困惑させた。

 

 そんな出来事もあり、その出来事を通して日米ムの技術部達の交流が始まる。

 

 そこで得た知識や、認識からマイラスら技術部は日米との安全保障条約と技術提供を得るための交渉を始めるべきだと鬼気迫る勢いで政府に働きかける。

 

 どれくらいの勢いかというと、会議の場でとある軍高官が「我が国と同じように転移してきたというのは分かるが、そこまで技術に開きがあるわけなかろう」と発言した際にマイラスは「我が国と文明圏外国との技術差を考えれば、かの国々から見たら我が国は我が国から見た文明圏外国です。それでも技術差はないと?」と狂気じみた表情で言い返し、それには軍高官も黙らざるを得ないほどの圧があった。

 

 その場にいたムー国の国王も、最も信頼する技術者のマイラスのその発言に確信めいたものを感じ、安全保障条約と技術に関する協定を結ぶ交渉を開始するよう命ずるのだった。

 

 

 そして日米はというと、グラ・バルカス帝国という国の情報を掴んでいたこともあり、ムー国に恩を売りつつ防波堤としてグラ・バルカス帝国の抑えに利用しようとする動きもあり、3国の思惑が重なった事もあって安全保障条約を初めとしたいくつかの条約が早々に締結されることとなる。

 

 

 因みに、ムー国の技術部は日本の技術支援に対し複雑な思いもありながら、その支援された技術を元に独自の技術を開発しようと試行錯誤をしていくこととなる。

 

 この条約締結と国交開設は新世界の英国面と後に日米両国民から語られる事となるムー国技術部の奮闘の始まりでもあった。

 

 

 ーー

 

 日米ムの安全保障条約締結は神聖ミリシアル帝国にも衝撃を持って迎えられた。

 

 勿論、ミリシアルも日米の技術力については自国ほどではないがそこそこ高い(・・・・・・・・・・・・・・・・・)という認識ではあったが、そこまでであった。

 

 自国の旧式戦艦程度を沈める事が出来る程度という認識は、ミリシアル帝国の中で大勢を占めており、実際に日米の技術を目の当たりにした技術者や軍人達の報告は誇大表現であり、信頼性は低く参考程度に留める様にと通達されていたし、なんなら彼らが記録した写真や映像も何らかの欺瞞が含まれたものであると決めつけられてしまい、これらの報告を上げた者たちは一部は精神科医に受診させられる事態となり、やる気をなくし軍を去ってしまっていたりした。

 

 そんな状況のミリシアルにとって、この知らせは驚愕するに十分だった。

 

 一番ミリシアルが驚いたのは、ムーが技術支援を受ける側(・・・・)という確実性の高い情報を得た事で、ミリシアル上層部、特に技術部は大混乱に陥ってしまった。

 

 結果、ミリシアルは日米を先進11ヵ国会議に招く決定をし、両国へ特使を送るが、その特使らは現地に着くと同時に神聖ミリシアル帝国こそ最強だという認識と自尊心、そして自信が粉砕され、母国の将来を憂う羽目になるのだった。

 

 ーー

 

 場所は変わり、グラ・バルカス帝国情報部

 

 「こんな馬鹿な話があるかぁ‼︎?あからさまな欺瞞情報に騙されおって‼︎」

 

 情報部の一室で、情報部長が日米の艦船の情報を報告して来た現場責任者を叱責していた。

 

 十数分もの間叱責を受けていた現場責任者も情報部長に反論して収拾が付かない様相を呈したが、結局この責任者は解任され情報部から追放、精神病として病院に隔離されてしまう。

 

 さらに欺瞞情報をもたらした情報員達も左遷され、彼らが上げた情報は情報部長により欺瞞情報が混じった不確実な情報として処理されてしまう。

 

 ただ、欺瞞情報と思われるがこの様な情報があるため注意する事という通達のみ出されてはいたが、この件がこの国に何を引き起こすのかはまだ誰もわからない。



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間話・観艦式におけるネットの反応

 フェン王国での観艦式、それは観艦式に招待された各国はもとより、当然として日米の勢力圏にも様々な形で報道されていた。

 

 日米によりインフラや、更にはインターネット環境が急速に整備され、特にインターネットはクワ・トイネ、クイラ、そしてロウリア国民に急激に普及した。

 

 そんな日米勢力圏で、日米を含む国民たちが観艦式について語りあっていた。

 

 1:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:YGt5+ziil

とりあえずワイの感想から、アメリカやっぱり頭おかしい

 

2:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:4/4+lID8W

 ≫1アメリカが頭おかしいのは昔から、だが、もっと頭おかしいのが我が皇国海軍

 

3:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:0v6Ks3Y0a

 ≫2確かに、大戦の時にアメリカ海軍ボコったしな。

 

4:フェン王国での観艦式について語るクワ・トイネ人ID:E3vsVUi22

 ≫2≫3ワタクシ、クワ・トイネ人、その話に興味津々、あと、私からしたら日米両方とも頭おかしい!

 

5:フェン王国での観艦式について語るロウリア人ID:bajtbPqQN

なぜ我が国はアレに勝てると思ったのか…

 

6:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:3q1ZbpJYT

≫5技術レベル違うし、文化も違うし、しゃーないとしか言えん、価値観も当時は違ったし

 

7:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:dwWtZSpLd

 ユナイテッド・ステーツ…かっこよかった!

 

8:フェン王国での観艦式について語るクイラ人ID:8RK+DtvcI

日本の戦艦もかっこよかった!因みにお値段は? 

 

9:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:p/YWEyHj2

≫8 越後型はおたくの国家予算の三年分でも効かないだろうね

 

10:フェン王国での観艦式について語るクイラ人ID:NNmmAb3k5

≫9……日本あたまおかしい

 

11:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:7rk6v39bS

 ところで、参加した日本の艦隊、第一と第二艦隊から選抜とか発表されてたけど、30隻参加の時点で第一と第二の大半が参加してる気がするのだが…

 

12:フェン王国での観艦式について語るクワ・トイネ人その2 ID:iSIiHT4na

≫11どういうこと?

 

13:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:LoOtEmhW6

≫12 11だが、日本の艦隊は大体20隻で一個艦隊なんやで、別冊宝島、日本皇国海軍の全てに編成表あったから一部載せるでw

 

 

【挿絵表示】

 

 

14:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:Rp4WO5XBD

第五艦隊だけなんかしょぼいw

 

15:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:z/5kp4j74

≫14数年前に出来たばかりだから多少はね……あとは翔鶴、瑞鶴のいる艦隊は大体が不運というか不遇と言うか…

 

16:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:r6b/x7vAV

わいの嫁の悪口はそこまでだ!

 

17:フェン王国での観艦式について語るアルタラス人ID:TYfqJL9yW

ID:TYfqJL9yW

あの、観艦式に出てきた潜水艦というのはどんな船なんでしょうか? 

 

18:フェン王国での観艦式について語るクワ・トイネ人ID:TB3io0C8H

 ≫17日本人の知り合いから聞いたけど、水中に潜れて、更に水中から魚雷とかいうよく分からない武器で攻撃できるらしいよ

 

19:フェン王国での観艦式について語るアルタラス人ID:UWa+QuI05

 ≫18教えてくれてありがとう!

 

20:フェン王国での観艦式について語るアルタラス人2 ID:gZpoy4/4O

 それにしても、日本皇国やアメリカのいた世界はあのレベルが普通なんだろ?頭おかしくないか? 

 

21:フェン王国での観艦式について語るスレ ID:gZp1404/4g@

 ≫20 日本もアメリカも旧世界では世界一位と二位の経済力と海軍力やぞ、しかも三位とはすごい差がある。先代の三位の国は四日位で日本皇国海軍の一個艦隊相手に壊滅させられとるし…旧世界でも日米は頭おかしい国扱いやったぞw

 

22:フェン王国での観艦式について語るアルタラス人2 ID:gZga1526/42

 ≫21 なにそれワロエナイ……というか………そんな国に喧嘩売って吹き飛んだパーパルディアが不憫に思えてきた…。

 

 

 

 

 

 




初めて掲示板形式機能使わせてもらいました。
少し自信ないですが、何か有れば感想欄で書いていただけると幸いです。


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第15話・ミリシアル帝国はやらかした!

あの観艦式の数日後に行われた日米の戦艦による超電磁砲の公開射撃演習から数ヶ月後、日本に神聖ミリシアル帝国の外交使節団が派遣されてきた。

 

なお、超電磁砲の公開演習を見学した技術者や外交官は今回の使節団には含まれず、精神的ショックから立ち直れずに未だ自宅療養中とのことである。

 

 

 

 

 ホテルの1室で、使節団は会議をしていた。

 

 日本に到着した際にすでに嫌な予感はしていた使節団だったが、その日に福岡にある国際会議場で日本皇国の歴史、文化、教育、技術、制度、行政、軍事についての紹介が映像を交えて行われたのだが、あまりにも衝撃的過ぎた。

 

使節団は、その紹介された技術力、軍事力が疑いようが無いほど自国のそれを凌駕していることを理解させられたのだ。

 

彼らの対応をした日本皇国外交官の近藤は、彼らの表情を見て同情する程のショックを受けた表情だったと後に語る。

 

 

その後に行われた食事会の後、凄まじく早く、しかも快適なリニア新幹線と呼ばれる高速鉄道で日本の首都、東京に至る。

 

移動中に見た物や、紹介された内容などで、外交使節団は、特にミリシアルの外務省職員であるフィアームは、本国への報告の事を考えると胃が痛くなるような感覚を覚えた。

 

東京到着後に使節団が案内されたのは、スカイツリーと呼ばれるタワーだった。

 

神聖ミリシアル帝国にも、高さ300mクラスのタワーがあるが、このタワーは、高さ638m*1もあった。

 

海抜高度450mの展望回廊から見渡す景色は、人工建造物で埋め尽くされた驚異の風景だった。

 

「明日からは、先進11ヵ国会議の説明になりますな、日本皇国…凄まじい技術力を有してます。フィアーム殿ももうわかっていると思うが、高圧的には出れませんな」

 

 外交使節団の1人技官のベルーノは外交官フィアームに語りかける。

 

「わ……わかっている。まさか、これほどまでに我が国を凌駕しているとは、しかし、最近はグラ・バルカス帝国といい、何故文明圏外にこのような国が突如として出現したのだ?アメリカとかいう国もこの日本皇国と同様かそれ以上の国らしいが…彼方に向かった外交使節団も私達と同じ様な衝撃を受けてるんだろうなぁ…」

 

 その言葉を聞いた同じく使節団の1人である情報局員のライドルカは、少し考え込んで話す。

 

「もしかすると、古の魔法帝国の遺産である魔王ノスグーラが最後に言っていたように、古の魔法帝国の復活が本当に近いのかもしれませんね……確か魔王は日本皇国とアメリカ軍により捕獲されたと聞きますが…」

 

「な……なにっ!!!」

 

 一同が驚愕に包まれる。

 

「エモール王国の神の意志にアクセスすると言われる空間の占いでさえ、空間に歪みが生じすぎており、古の魔法帝国が復活する日時場所の特定は出来なかったと聞いています。

 古の魔法帝国は、その発達しすぎた文明で、神に弓をひいたといわれています。

 

 国ごと転移など、そんな大魔法は神でなければ作り出せない……あ、でも日本の外交官から聞いた話だと、アメリカ合衆国は規模は違えどもそれと似たような事を昔実験して失敗したそうですから、一概には言えないのかも……いや、それはともかく神が国ごと異世界から召喚したのか、もしくは、魔法帝国復活の空間の位相の谷間に異世界の異物が巻き込まれたのかはわかりませんが……。

 

 まあ、こんなことを話しても、推測の域は出ませんので、意味はありませんな。

 

 日本皇国やアメリカ合衆国は見たところ、覇権主義な国では無いようですので、魔法帝国復活の暁には、我が国の強力な仲間とすることが出来るでしょう。

 

 人類の天敵を駆除するために、彼らの力を利用しない手はありません」

 

「情報局は気楽ですね。私のような、外務省職員は、日本の国力の事実をどうやって本国に報告するか、今から頭と胃が痛いですよ…私が上司ならば、絶対に信じないような報告書が出来上がります。

 

実際、日本皇国とアメリカ軍の戦艦による公開演習についての報告書や資料は信憑性に低く、再度の調査が必要との判断でした。

 

国ごと転移などという現象は、現実的では無さ過ぎるのです。

 

となると、日本皇国やアメリカ合衆国の国力は本国の考え方では説明がつかず、私たちは、日本皇国にまんまと騙された愚か者のレッテルを貼られてしまう。

 

アメリカ合衆国へ派遣された外交使節団も同じような物でしょうね。

 本国に帰国したら、情報局の上層部から、外務省上層部に話を通してほしいものです」

 

 葬式のような会議はつづく。

 

ちなみに、アメリカ合衆国に派遣された外交官はというと…

 

「ハンバーガーだ!もっとハンバーガーをもっと持って来い!ポテト!コーラ!食い過ぎ?知るか畜生!酒持って来い!私は帰らねーぞ!本国への報告なんてもう知らない!アハ、アハハ/\/\/\/\」

 

アメリカ合衆国の軍事力やその他の紹介をされた日の夜、ホテルで使節団達がお酒を飲んでいると、あまりにひどい酒癖から飲酒はさせてはいけない女性外交官がそれを水と間違えて飲んでしまった結果、上記のぶっ壊れた女性外交官が完成した。

 

 

 

 

翌朝~

 

日本国外務省にて

 

神聖ミリシアル帝国の外務省職員、フィアームは、緊張の面持ちで、日本皇国外務省幹部の前で、先進11ヵ国会議に関して説明をしていた。

 

各人には、紙が配られ、必要事項や詳細が記載してある。

 

要約すると、下記のとおりとなる。

 

○先進11ヵ国会議は2年に1度開催される。

○次回開催は、およそ1年後である。

○参加国は、世界に多大な影響力を及ぼす事の出来る大国のみで構成され、今後の世界の運営方針について、会議を行う。

○世界中(彼らの把握している範囲の世界)の国々が、同会議には注目しており、日本皇国とアメリカ合衆国が出席すれば、世界に大国として認識され、国益にもかなうと思慮される。

○参加国は、世界運営について、新たな意見を述べる事ができる。

○第3文明圏については、今まで固定参加1か国、持ち回り参加1ヵ国の計2か国であったが、今回は固定参加国を増やして日本皇国とアメリカ合衆国にしたい。

 

「開催まで、たったの1年しかない事は、大変申し訳なく思っていますが、世界に大国として認識される事は、貴国としても国益にかなうと思われます。今までは、第3文明圏列強としてパーパルディア皇国が参加していたのですが、アメリカ合衆国が解体してしまい、新国家建設中らしく我が国は日本皇国とアメリカ合衆国を大国と認め、第3文明圏の長として、いや、ここは文明圏ではなかったですね。東方国家群の長として、ひいては新たな文化圏すら構築できる国として是非先進11ヵ国会議には参加していただきたい」

 

 一通り説明を聞いた後、外務省の幹部が手を挙げる。

 

「質問が一つあります、よろしいでしょうか?」

 

「はい、どうぞ。」

 

「前回の参加者の欄に、第2文明圏列強レイフォルとありますが同国は、さらに西側にあるグラ・バルカス帝国という国家に攻め滅ぼされたと伺っています。レイフォル国が抜けた部分は、何処の国が来るのですか?」

 

「それは……レイフォル国の抜けた部分は、いまおっしゃられたグラ・バルカス帝国が参加する方向で、検討をしていますが、まだ日本国と同じように打診をしている段階なので、1年後という国際会議としてはあまりにも急な打診に対応できるのかはわかりません。したがって貴国も含めて参加するかどうかはわかりません。」

 

「ほう……。解りました、ありがとうございます。あともう一つ、警護などはどのようなかたちになるのかお聞きしても?各国はいつもどのように参加するのか…護衛はどの様にしているかですね」

 

「はい、開催時はいつも各国とも自国の最新の、または最精鋭の艦隊を護衛としてる場合が殆どですね、軍の交流の場としても機能してますが、なぜその様なことを?」

 

フィアームは日本皇国の外務省幹部の質問に答えながら首を傾げた。

 

「ああ、いやこちらはこの世界の事情にまだ疎い所があるので、なるべく気になったことは積極的に質問する事にしてるのです」

 

「はあ、そうなんですね」

 

 その後も様々な質問が飛び、先進11ヵ国会議の説明が終了した頃にはフィアームはくたくたになっていた。

 

 後日、日本皇国政府は中央世界、神聖ミリシアル帝国の開催する先進11ヵ国会議に出席する事を正式に決定し、アメリカ合衆国も同様の決定をした。

 

◆◆◆

 

 第2文明圏列強レイフォル 首都レイフォリア跡地

 

 グラ・バルカス帝国の超弩級戦艦グレードアトラスターの全力砲撃により灰燼に帰し、王の戦死によりあまりにもあっさりと降伏した列強レイフォルの土地は、グラ・バルカス帝国領レイフォル地区と改名され、首都の跡地には、帝国式の建造物が建築中であった。

 

首都には空港が整備され、海軍航空隊が駐留し、レイフォリアの上空には、レシプロ戦闘機が飛び回っている。

 

そこに神聖ミリシアル帝国の使節団の姿があった。

 

○西部担当外交部長シワルフ

○武官パーシャ

○技官ゴルメス

○情報局員ザマス

 

彼らは、海路でグラ・バルカス帝国領レイフォル地区まで、先進11ヵ国会議の説明にやってきたのだった。

 

本来ならば、帝国本国へ行きたいところだったが、グラ・バルカス帝国の意向で、会議の場所が、レイフォル跡地に指定された。

 

グラ・バルカス帝国はそれが失策だった事に気付かない。

 

上空を飛び回る戦闘機を眺め、武官パーシャは、真剣な面持ちで話す。

 

「速いな、もしかすると、我が国の戦闘タイプの天の浮舟の速度を凌駕しているかもしれない」

 

「確かに、沖に見える戦艦も、我が国の魔導艦隊の戦艦に匹敵するほどの大きさを持っている。レイフォル程度では、あれは手に負えぬだろう。」

 

「グラ・バルカス帝国との、ファーストコンタクトか……。」

 

4人は、緊張した面持ちで、案内された建物に入るのだった。

 

それを見ている人影が複数存在する。

 

「こちら影、対象がグラ・バルカス帝国との会合場所に入った。これより内部の音声を中継しそちらへ転送する。オクレ」

 

『天狗了解、周囲への注意を怠るな、発見、または察知された場合は離脱を優先し、ポイントチャーリーへ向かうように、オワリ』

 

「影了解、オワリ」

 

会場の外ではそんな会話がされている事に気付かずに会合が始まる。

 

 

 神聖ミリシアル帝国の美意識とは異なる、別種の美しさを持った建物に彼らは入る。

 

 応接室に案内された使節団は、ソファーに座り、グラ・バルカス帝国の外交官を待つ。

 

 やがて、ドアが開き、グラ・バルカス帝国外交官ダラスが姿を現す。

 

 神聖ミリシアル帝国使節団は立ち上がり、外交官シワルフが挨拶を始める。

 

「はじめまして、私は中央世界の中心にある、神聖ミリシアル帝国、西部担当外交部長のシワルフと申します。このたび、貴国から打診のあった、先進11ヵ国会議について、返答を行いたいと思い訪れました」

 

 グラ・バルカス帝国の外交官ダラスはわずかに笑い始める。

 

「あなた方現地人の技術でここまで来るのはさぞや大変だったでしょうにまずはその労をねぎらいます。フッ……。中央世界か、たいそうな名前ですなぁ…して結果は?」

 

他人を見下す様な言動だが、この発言もしっかりと録音され、何処かへ転送されている。

 

そんなことは知る由もなく嫌味を受けながし、神聖ミリシアル帝国の外交官は返答する。

 

「列強レイフォルの代わりに、貴国、グラ・バルカス帝国の参加を認める事とします。開催の要綱は、その書類のとおりです」

 

 ダラスは笑いをこらえる事に、必死になる。

 

「クックック……ハーッハッハハ!!!!いや、失礼失礼、我が国の戦艦たったの1隻に降伏した弱小国、レイフォルが……噂には聞いていましたが、本当に列強とは!!!ハッハッハ!!あまりにもあなた方現地人の基準が低すぎて、笑わざるを得ないのです。ハハハハ!!」

 

 静まる使節団、シワルフはゆっくりと口を開く。

 

「国家間の会議でその言いよう、弱小国家が文明圏内国家に虚勢を張った場面は、何回も目にしてきましたが、中央世界の神聖ミリシアル帝国外交官に対し、そこまで言ったのは、あなたが初めてです。

 その勇気は認めましょう。しかし……はっきり言って、不愉快ですね。世界5列強国といっても、その国力には大きな差がある。

 列強最弱のレイフォルに勝ち、貴国は少し鼻が伸びているようですが、気を付けた方が良い。

 我が国や、ムーをレイフォルと同じと思って対応すると、大きなケガを負いますぞ。

 我が国は、あなた方の国を、先進11ヵ国会議参加に足る国と判断したにすぎません。

 貴国が辺境でいかに強力であろうと、中央世界では通用しないでしょう。それに世界は1国のみでは生きられませぬ、さらにはあなた方はおろか我が国をも凌駕するかもしれない2カ国も会議に参加する、その様な態度は改めた方がいい」

 

「あなたのその言葉、そのまま皇帝陛下にお伝えしましょう」

 

 静まる会議室、シワルフは会議を進める。

 

「会議に先立ち、確認を行いたいのですが、貴国の本国の位置と、首都を教えていただきたい。」

 

 ダラスは首を横に振る。

 

「本国の位置は、現地人に対しては極秘事項です。首都の位置も、お教えする事はできません…帝国への連絡事項があれば、ここ、レイフォル地区で承ります。」

 

「国とのやり取りで、それではお話になりませんな。しかし、実はあなた方の国の位置は分かっているのです」

 

「は?」

 

ダラスは間抜けな声を出すが、シワルフは気にせず話を続ける。

 

そして写真と地図を出すと、ダラスに見えるように広げる。

 

グラ・バルカス帝国の本国の位置と複数の都市が映った遥か高空から撮ったと思わしき写真であった。

 

ダラスは狼狽しながら問う、これをどの様に入手したのか…と

 

シワルフは告げた。

 

「日本皇国には衛星なるものがあると聞きましてね、それは友人の旅行土産ですよ」

 

本国の位置ですら、教えないというグラ・バルカス帝国の姿勢に嫌悪感を抱きつつ、カウンターが成功した達成感を胸に使節団はグラ・バルカス帝国領レイフォルを後にした。

 

ほぼ同時刻、日本皇国のとある政府機関内にある指示が飛んだ。

 

【国内にGあり、バルサンを開始せよ】と。

 

数日後、ミリシアル帝国とついでにグラ・バルカス帝国は日本皇国内部の情報を入手する手段をほぼ喪失する事となる。

 

◆◆◆

 

 神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス 情報局

 

 情報局長室で、局長アルネウスと3人の職員が報告を交えた会議を行っていた。

 

日本皇国へ派遣されたライドルカと、アメリカ合衆国へ派遣されていたクロウス、グラ・バルカス帝国レイフォル領へ派遣されたザマス、4人で、情報を共有する。

 

「と、いう訳で、先進11ヵ国会議概要は伝えたのですが、帝国は終始そっけない対応であり、本国の位置や首都名ですら教えないという、国際関係上信じられない暴挙に出ました。旧レイフォル国の首都レイフォリアを窓口とするとの事です。

会議に参加するのかも怪しい状況であり、あの国は本当に要注意国家です。なお、レイフォルの首都上空を飛んでいた飛行機械は、ムーのそれよりも速く、我が国の制空型の天の浮舟に匹敵する速度が出ていました。国力の総力が全く不明な状態ですが、少なくとも技術力は侮れません。」

 

 報告を受けた局長アルネウスは考え込む。

 

「しかし、日本皇国で入手した情報からグラ・バルカス帝国本国の位置は分かっている。首都の位置はまだ不明のままか…」

 

「はい……。」

 

 沈黙。

 様子を伺い、ライドルカが彼らに話始める。

 

「局長、日本皇国に関する報告の前ですが、1つよろしいでしょうか?」

 

「何だ?」

 

「実は……。」

 

 ライドルカは、机上に資料を広げる。

 

「なっ!!」

 

「こっ!!これは!!!」

 

一つは地図である。

 

 情報局長アルネウスとザマスは、そのあまりにも精巧に描かれた世界地図に驚きつつその精巧な地図を凝視する。

 

「ここまで精巧に描かれた図に驚かれるのも解りますが、グラ・バルカス帝国の位置はここです」

 

 ライドルカは、地図について説明した。

 

簡単に言えば世界地図である。

 

ミリシアル帝国が知らない陸地も記されていた。

 

「こ……これはどうしたのだ?」

 

 アルネウスが尋ねる。

 

「実は、日本皇国と先進11ヵ国会議について話をした際、この地図を持参してきて、どの部分を通過して神聖ミリシアル帝国に来れば良いかを尋ねてきたのです。他国の領海や、聖地指定をしているような部分を避けて航行するためと申し立てておりました。日本の担当者は、「この地図を持参した」と申し立てていたことから、もしかすると日本国は、この世界の全容をつかんでいるのかもしれません。私は、この地図を見た時は驚愕しましたが、日本皇国、アメリカ合衆国の位置も記されており、担当者に領海等調べて回答するため地図を持ち帰って良いか尋ねると、第三国へ開示しないとの条件の下でなら構わないと言われ、持ち帰る事が出来ました」

 

「そんなあっさりと入手出来たのかね」

 

ライドルカは疑問を口にする。

 

 

 「私もまさか通常は極秘事項に認定される地図を、条件付きとは言えあっさりと入手出来るとは思っていませんでした。担当者は先進11ヵ国に関係する国が記された地図を持ってきますと言って持ってきたのですが、これをもってきました。どうも見せる予定の地図が紛失したそうで…この地図にも正直かなり驚きましたが」

 

それを聞いていたザマスが青褪める。

 

「ということは、つまり態々スパイに地図を入手させなくても良かったと……もし、日本皇国に違法に地図を入手したりグラ・バルカスの外交官に見せたことがバレたら…」

 

4人は事の重大さに気がついたが既に遅い。

 

アルネウスは更に資料を示し、日本皇国の歴史や軍事力の情報を説明するが、その表情は暗い。

 

そして、クロウスはアメリカ合衆国について説明を始める。

 

「アメリカ合衆国についてですが、日本皇国と同等以上の技術力を有している様で、先進11カ国会議について説明した際に案内されたホワイトハウスなる建造物はまさに美しいの一言でした。ただ……聞いた限りだとそのホワイトハウスはアメリカ合衆国の元首が執務をする場らしく、防備に関して言えば、難攻不落を絵に描いたようなものだと認識させられました。

軍事についても紹介され、中でもこの弾道ミサイルは魔帝のコア魔法そのものです。あと説明にあったのですが、どうやら日本皇国はそれを防ぐ何らかの技術がある様です…日本皇国とアメリカ合衆国は絶対に敵に回してはいけない」

 

 アルネウスとザマスは絶句し一時の沈黙の後、ゆっくりと口を開く。

 

「なんと言っていいか、わからんな。まずは、日本皇国とアメリカ合衆国について、より詳しく話を聞かせてもらおう。」

 

 ライドルカとクロウスは、日本皇国とアメリカ合衆国に関する説明を開始するのだった。

 

なお、説明途中でザマスは倒れたため病院行きとなる。

 

 

グラ・バルカス帝国はその後も第二文明圏のイルネディア王国に侵攻し制圧するなど、その侵略行為は止まらず、第二文明圏列強のムー国は国際社会に対し共同でグラ・バルカス帝国への非難決議を出す様働きかけを行う事となる。

 

*1
史実より若干高いのはスカイツリーの地下に巨大な核シェルターを建設した影響である。因みに史実日本と都市の構造も異なる



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第16話・パーバルディア共和国

中央暦1641年2月1日 旧パーパルディア皇国首都エストシラント皇城跡を眺める1人の男がいた。

 

現パーパルディア共和国初代総理大臣カイオスである。

 

彼は未だに瓦礫の撤去が進んでいない城の残骸を見ながらアメリカ軍の攻撃があった日の事を思い出していた。

 

ーー

 

彼はあの日、皇帝ルディアスに降伏をするよう進言する為に城へ向かっていた。

 

彼はそれまでに数回アメリカ合衆国の情報機関と接触を持ち、更にはアメリカ軍が何ら損害を出さずに皇国海軍を殲滅し、工業都市デュロ、と首都から500キロの位置にある都市アルーニを壊滅させた兵器の詳細を伝えられてから幾度となく皇帝へ降伏を進言し、そして先日それまでの役職を解任され、謹慎させられていたのである。

 

だが、そんな彼も動かなければならない事態となる。

 

前々から進めていたクーデター計画すら放り出し彼は駆け出した。

 

理由は、アメリカ合衆国がカイオスを見放したことに起因する。

 

カイオスが駆け出したその日、アメリカ軍の航空機が大陸共通語で書かれたビラをエストシラントにばら撒いたのである。

 

内容は簡単に言うと市民への避難勧告である。

 

エストシラントの皇城に対して特殊弾頭を用いた攻撃を行うから半日以内に都市から離れる様に伝えるものであった。

謹慎中のカイオスにその情報が伝えられたのはその約10時間後、アメリカの情報機関からであった。

 

カイオスは慌てて謹慎場所から飛び出すが、見張りの兵に拘束されてしまう。

 

どうにか抜け出して見張りを振り切った頃には既に手遅れであった。

 

眩い閃光と共に立ち上るキノコ状の爆煙、そして襲いくる爆風により吹き飛ばされたカイオスは、大怪我を負うが、生きていた。

 

そしてどうにかエストシラントの皇城まで辿り着くと、そこにあったのは皇城だったものでしかなかった。

 

暫く周辺を探索すると、人の腕を見つける。

 

その腕には皇帝ルディアスが身につけていた物と同じ装飾品が付いていた。

 

皇帝ルディアスは死んでいた。

 

後にカイオスが知ったのは、あの攻撃に使われたのはアメリカ軍で3番目に強力な兵器だという事である。

 

カイオスはそこまで思い出した所で現実に意識を向ける。

 

カイオスはこれからアメリカ合衆国及び日本皇国の外交担当者との会談のため、仮設の会場へ向かわなければならなかったのだ。

 

ーー

 

会談の会場にカイオスは到着すると胃の痛みを堪えながら席に着く。

 

そして自己紹介が始まる。

 

「私は日本皇国外務省対パーパルディア交渉団全権大使を務めます西沢晃と申します」

 

壮年の男性が名乗ると、次にその隣にいた若い男性が立ち上がり自己紹介をする。

「私は西沢大使の補佐を務めます日本皇国外務省の八木浩二と申します。そしてこちらが今回専門分野における助言や説明、補足などを行う為に同席させていただく日本皇国国防軍統合参謀本部戦略研究課長の柳田中将です」

 

八木という外交官に促され、軍服を着た壮年の男性が立ち上がり口を開く。

 

「柳田十三郎です。今回の会議における専門分野の助言を行います」

 

そして次にアメリカ合衆国の外交官が自己紹介を始める。

 

「私はアメリカ合衆国国務省特命全権大使のスティーブン・シュワルツネッガーです。そしてこちらが補佐官のジョン・ターラー書記官です」

 

初老の紳士然とした男性と少し細めの青年が自己紹介する。

 

そして次にアメリカ合衆国側にいるもう1人の軍人が自己紹介する。

 

「今回私も柳田中将と同じく専門分野の助言を行います。アメリカ合衆国海軍作戦課のクリス・ランドール少将です」

 

そういった自己紹介したのは恰幅の良い壮年の男性軍人である。

 

そしてカイオスと補佐官の自己紹介が行われる。

 

そして本題である。

 

議題は、パーパルディア共和国の復興並びに再軍備及び治安に関してである。

 

復興支援に関しては日本皇国が全面支援する見返りに港湾施設の無期借り上げ(賃料は支払う)と一部地下資源の探索及び採掘権が決定された。

 

また、アメリカ合衆国は港湾施設の新規建設と土地の無償譲渡を要求し、これも決定。

 

更に地下資源の探索及び採掘権などについては日本より多い権利を獲得する。

 

再軍備に関してはアメリカ合衆国主導で日米共同で支援することとなる。

 

この辺に関しては必要な設備などの説明が同席した2人の軍人からより詳しく行われた。

 

次に治安についてである。

 

旧パーパルディア皇国の治安維持方法などについては日米からボロクソに評価され、こちらについては元々進駐していたアメリカ陸軍一個師団に加えて日本皇国国防陸軍から二個旅団、更に日本皇国警察庁警察官教導部から人員を派遣し、更に装備も貸与する型で日本主導の警察組織の育成が行われることとなる。

 

そのほか法制などについては後日日米から専門家が派遣され、パーパルディア共和国の法整備の補助を行うと決定された。

 

日米からしたら、パーパルディア共和国に力をつけさせて面倒臭い国に対しての壁役を押し付ける気満々であったが、カイオスはそれを察してからこの後胃薬を常飲するようになる。

 

そして後に大日本皇国調剤薬局と言う企業の救世主となるが…それはまた別の話?

 



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第17話・ムー国技術部使節団、大演習ヲ観閲ス 前編

 中央歴1641年10月 

 ムー国のマイカル港の港湾改良工事が完了した。

 それに合わせ日米ム三ヵ国の企業による建設ラッシュ、さらに日本や米国企業の製品*1流入によりムー国の産業や経済に良い意味でも悪い意味でも影響を与えた。

 

 特にムー国の航空機製造メーカーや自動車メーカー、家電メーカーの打撃は大きく、各産業界はムー国の政府に対し日本や米国との取引に対して規制をするか技術提供をしてもらうよう日米に働きかけてほしい旨をかなり必死に訴えることとなる。

 

 

 そしてムー国政府としても自国の産業を保護するためと、日米との技術格差を少しでも縮め、両国の技術を吸収することで国力の増強を図りたい思惑もあり、日米両政府との外交交渉を進めていくこととなる。

 

 そして交渉を開始して1月ほどで日本皇国からある提案がなされる。

 

 日本皇国でかつて活躍していた戦闘機や兵員輸送に使われた軍用車両とその民生品のライセンス契約と少数ながら現物の提供もしてもよいという提案であった。

 

 戦闘機や車両の名称や性能に関しても具体的な性能を記した書類が送られてきており、ムー国技術部に衝撃を持って迎えられた。

 

 日本皇国から提示された戦闘機は日本皇国ではもはや使われていないレシプロ戦闘機であったが、その形状はムー国の常識の外にあった。

 

 その戦闘機の名は01式局地戦闘機【震電】

  

 日本皇国の暦で皇紀2601年12月に正式化され配備が開始された戦闘機らしく約80年ほど前の機体だという。

 

 それを現在の技術である程度のチューニングを施して提供してくれるというのだ。

 

 性能()内は大戦当時の数値

 名称 01式局地戦闘機【震電】

 乗員1名

 全幅11.118m

 全長10m

 全高3.98m

 全翼面積20.80㎡

 出力2900馬力(2500馬力)

 最高速度900km高度12000m時(815km高度11500m時)

 巡航速度550km(500km)

 航続距離2000から2500km(1800から2200km)

 実用上昇限度16000m(14500m)

 上昇率850m(800m)

 離陸滑走距離630m(640m)

 着陸滑走距離650m(660m)

 武装30ミリ機関砲2機・12.7ミリ機銃4機(30ミリ機関砲2機・20ミリ機関砲4機)

 爆装60kg爆弾4発・30㎏爆弾4発・60kgまたは30㎏ロケット弾各4発(大戦時と変わらず)

 

 車両に関しても50年以上昔の車両とのことだが、愛好家は今でも現役で乗りこなしているという車両で、その車両は四菱自動車製08式四輪自動貨車*2の民生版、どことなく犬を思わせる見た目になったその車両は、ハチ公ジープとの愛称で呼ばれる。

 

 定員は4から5人乗りで最高140キロで走行できる。

 

 そして日本からの提案には続きがあり、現物が動いているところを直接見て性能をムー国の技術者に実感してほしいとの話を振られ、それを耳にし真っ先に「私が行かずに誰が行くのですか⁉」と上司にすさまじい剣幕で詰め寄った技術部のマイラスと日本皇国の戦闘機に興味を示した空軍の戦闘機パイロット数名、他女性含む技師2名、外交官2名が派遣されることとなる。

 

 のちにこの外交団が日本皇国内でやんごとなきお方のいたずら心が発動したせいでちょっとした騒ぎに巻き込まれるのだが、彼らは知る由もない。

 

ーそれから約二ヶ月後ー

 

中央暦1641年12月15日 日本 北海道 矢臼別演習場

 

その日、演習場には日本皇国国防陸軍北部方面軍を構成する北部即応空中機動旅団、第2歩兵師団、第5歩兵師団、第7機甲師団、第11砲兵旅団の各主力部隊、空中機動旅団からは2個戦闘ヘリ中隊とへリボーン部隊である機動歩兵連隊、歩兵師団からは各2個歩兵連隊、機甲師団からは2個戦車連隊と自走砲兵大隊、歩兵1個大隊、砲兵旅団からは自走砲や牽引式野砲、ロケット砲、高射砲などで編成されている1個砲兵連隊が展開していた。

 

更に演習場内に設営された仮説飛行場にはレシプロ戦闘機4機が鎮座しており、その付近には日本皇国国防空軍北部方面防空軍所属の第2航空団の第201飛行大隊から戦闘機1個小隊4機と北部方面第3支援飛行群の大地支援攻撃機からなる第31支援飛行小隊の攻撃機と大型対地攻撃機を運用する第2独立戦略航空隊の大型航空機(日本版AC130)他各隊付属整備補給隊と基地防空隊が展開する。

 

そこに日本皇国の海兵隊の役割を持つ独立機動軍第1機動旅団第3機動強襲連隊が展開していた。

 

日本皇国以外にはアメリカ合衆国海兵隊第31海兵遠征隊と陸軍からもレンジャー1個大隊が展開している。

 

他にクワ・トイネ公国とクイラ王国、アルタラス王国、パーパルディア共和国、フェン王国、ロウリア王国の再編成された陸海空軍から観戦武官や来賓が集まっている。

 

そこに、ムー国技術部使節団も混じる事となる。

 

さて、この演習場で何が行われるのか、事前に何も知らされずにきてしまったムー国使節団だが、午前10時を回った頃に漸くそれを知る事が出来た。

 

アナウンスにより宣言が出される

 

《これより、令和20年度、冬季総合大演習"スノー・フラッグ"*3を開始いたします!》

*1
主に自動車などの製品が流入しムー国の自動車産業に打撃を与えた

*2
和製ジープ

*3
将兵からは、ヘル・クリスマス(地獄のクリスマス)と呼ばれる。公開は初日のみで、日程的には12月26日まで行われる3年に一度行われる大規模な演習。最終日には陛下がご観覧する冬季閲兵式が行われる。



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第18話・ムー国技術部使節団、大演習ヲ観閲ス 後編

《これより、令和20年度、冬季総合大演習"スノー・フラッグ"を開始いたします!》

 

その宣言がアナウンスされると、設置された大型スクリーンから映像が出され、各部隊の移動の様子に合わせてその部隊の特性や歴史などの紹介がされていく。

 

 

この演習での想定として、他国軍機の領空侵犯から始まり、多方面からの同時強襲上陸により海軍の展開が間に合わず、空軍も多方面からの強襲であることと、敵航空部隊の妨害により対応しきれずに敵に上陸されてしまった場合を想定し、北部方面即応空中機動旅団の機動力を活かした即応緊急展開による戦線の構築、行政の協力により周辺住民の避難が開始されたと言う設定が追加された。

 

そして敵航空部隊による攻撃に対し、携帯式対空ミサイルを使用して対抗するも苦戦、戦闘機による攻撃にヘリ部隊は損害を受け後退、味方戦闘機部隊の来援と展開は続く。

 

尚、敵役の航空機はムー国へ提供予定の01式局地戦闘機【震電】が務め、その性能をアナウンスで紹介されそれを裏付ける様に機動性み見せつける機体を目にしたムー国外交団は、ここで改めて自国と日本皇国の差に愕然とした。

 

敵航空部隊に対し、味方戦闘機が迎撃にくると敵役は即座に対抗も撃退、一連の動きにムー国外交団のムー国戦闘機パイロットはムー国でも最高峰のパイロットである彼らから見て、レシプロ機でジェットに一瞬でも対抗して見せた敵役と、それに冷静に対処して見せたジェットのパイロットについて"頭おかしい!イカれている!"との感想を抱かせた。

 

まあ、レシプロ機でコブラ、クルピットなる高難易度技を複数回見せつけられ、それに対抗心を出したジェットのパイロット2人が無意味にとある伝説的パイロットが生み出した"横転コルク抜き"なる技を出し対抗する様子を見せられたら誰でもそんな感想をいだくだろう。

 

因みにそれをやったパイロット達は演習を総括している北部方面軍総監である大将閣下に後程直々に呼び出され、空軍の北部方面防空軍司令たる中将閣下とパイロットである彼らの直属の上官である部隊長の少佐と大尉ら4名からキツい説教を喰らう羽目になる。

 

そんな出来事はあったものの、演習自体は最終日まで滞りなく終わり、ムー国を始め、日本皇国とアメリカ軍の大規模演習を始めて観る事になったクワ・トイネ公国とクイラ王国、アルタラス王国、パーパルディア共和国、フェン王国、ロウリア王国らの観戦武官たちは、演習中に自分達の理解を超えた戦術や戦略、部隊運用について演習期間中に日本皇国の担当士官に何度も何度も質問攻めにしたため、件の士官が過労で倒れるまでに熱心に日本皇国の軍の戦術を学んだ。

 

ミリシアル帝国は観戦武官を派遣して居なかったが大使が一応招かれて居た為最終日まで演習を見学、大使は元軍人だったこともあり日本皇国軍の実力を正しく理解し本国へ正確に報告したが、本国の受取は【我が国には及ばないがムー国に少し劣る程度の国】とされた。

 

そして、前回同様大使は精神に問題があるとして解任され精神病院へと言う流れとなった。

 

スパイを送って来ていたグラ・バルカスはそのスパイが行方不明になりそもそも情報が得られなかった。

 

それがスノー・フラッグでの各国の状況である。

 

そして最終日、陛下が御観覧あそばされる冬季閲兵式が執り行われる日のその前日、陛下が宿泊しているホテルは騒然となっていた。

 

理由は、陛下がこっそりと侍従の目を盗んでホテルを抜け出したのだ。

 

しかも、護衛官に気付かれないように変装までして抜け出し、どこに行ったのかと言うと、ホテル近くの洋食屋であった。

 

ただ、その日はその洋食屋にムー国の女性技術者が一人で食事をしており、しかも些か酔っ払っていたのである。

 

そこに陛下が鉢合わせする事となる。

 

その酔い潰れていた女性技術者が呟いた「マイラスが…こんなにアピールしてるのに…むにゃむにゃ」の一言に外交団と挨拶を交わしていた陛下は女性の顔を知っており、マイラスも知っていたがために、陛下の悪戯心…もといお節介が発動するのだが、それがまた別の騒動となる。

 

ただ、今回の騒動の1番の被害者は「またですか陛下ぁ!!」とホテルで叫ぶ侍従長と警護責任者、そして、陛下の悪戯に加担させられる事になるこっそり後ろから来ていた護衛達である。

 

 




アンケート実施します。アンケート締め切りは5月15日までとします。


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日本皇国の年表 幕末から日露戦争

1853年・皇紀2513年7月14日

黒船来航、ペリー提督が日本皇国へ初上陸。

艦隊の威嚇行動に対し幕府直轄の水軍部隊(屋形船のような船5から6隻)で警戒行動をとる。

ペリーの要求した条約に関しては、当時の征夷大将軍が病気で臥せっていると伝えて回答に1年の猶予を得る。*1

 

7月23日

幕府は全国から製鉄、鉄鋼、鉄砲鍛冶、大砲、造船、絡繰、種類を問わずに技術者を大量に召集し、黒船に対抗できる軍艦、更には新型の大砲や鉄砲の研究、開発を命じる訓令を出す。

 

同7月30日

アメリカの軍艦を目の当たりにした幕府は秘密裏にオランダからの軍艦購入を征夷大将軍の勅命により決定、オランダへその旨打診する。

また、それに合わせて大型船の建造を禁じていた大船建造禁令が解除されている。

 

同年11月初旬

幕府が集めた技術者集団による開発奉行所が設置され、本格的に技術開発が始動、奉行は水野忠清であり、彼は後に発明家として有名になる田中久重と大砲に詳しい宇都宮三郎を与力に任命しそれぞれの分野の研究開発を命じる。

 

同年12月15日

田中久重と宇都宮三郎が酒に酔って設計した大砲8問と鉄砲5問をつけた人力の絡繰で動く船(屋形船に人力の歯車で動くスクリューをつけたもの)が横須賀湾にて進水し、そして同時に沈没する12.15事件が発生、*2宇都宮三郎が冬の海に投げ出されるが生還、後に救命胴衣、防寒具、救命筏の先駆けとなるものを思いつく。

 

➖➖➖➖

 

1854年・2月初旬

オランダから蒸気船が幕府へ贈呈され、横須賀に到着、幕府はこの蒸気船の技術を解析するよう命じると同時に、海軍、陸軍の改革、海軍兵の訓練のためオランダから派遣されていた教官による海兵の育成が始まる。

再度の黒船来航も当時は将軍家慶が事故で急死したため、その事もあり条約交渉が出来ないと説明、要約すると約束通りの時期に来いと暗に幕府はペリーに伝えてペリーは憤慨しつつも再度の出直しとなる。

 

同年4月初旬

幕府海軍の国産艦の開発、設計が開発奉行所に命じられ、開発、設計の為の研究開始。

 

同4月中旬

国産蒸気機関車1号が初走行、走行距離250mで故障(車輪が取れた)

 

同年5月中旬

改良型国産蒸気機関車が実用に足る性能を発揮して試験走行を故障なく成功させる。線路は標準軌

 

同年6月初旬

幕府海軍初の蒸気船のみで編成された艦隊が発足、幕府親衛艦隊と命名される。ただし艦数僅か3隻、大砲各艦1問のみを装備した小型蒸気船のみの艦隊であった。

 

同6月中旬

オランダから寄贈され練習艦扱いだった蒸気船"観光丸“を幕府親衛艦隊臨時旗艦とし、再度の黒船来航に備え幕府海軍は準備を開始。

 

同年7月初旬

再度の黒船来航、幕府親衛艦隊ほか各藩からの応援部隊として送られてきた海軍部隊が出迎えペリーを驚かせる。

ペリーの艦隊は当時としては大艦隊である9隻もの艦隊であり、ペリーは全艦を江戸湾へ入れようとするが、幕府側はそれを拒否、一時的に幕府艦隊とペリー艦隊で睨み合いとなるが、 ペリー艦隊と協議し5隻までの湾内への進入となる。

 

同7月中旬

一時的に緊張した日米だが、交渉は友好的に進んだ。

しかし来航していたアメリカ艦隊の一部、蒸気船2隻と帆船3隻が安房国(千葉県)洲崎を砲撃した。

交渉期間中に礼砲や祝砲は数回あり、いずれも空砲だったが、今回は違った。

これは洲崎を警護する備前岡山藩陣地への砲撃であった。

艦船の砲弾は陣地の手前10メートルほどの海中に落下、備前藩は非常召集を行い大砲5門をもって砲撃、帆船3隻に命中した。

蒸気船2隻は逃走したが、幕府親衛艦隊により追撃され砲撃戦となり幕府親衛艦隊の1隻が撃沈され数十名が戦死するも蒸気船1隻を撃沈1隻を中破させ拿捕している。

また、備前の守備隊は舟艇で帆船への乗船を試み、反撃を受けて300名ほどが死傷したが、帆船3隻とも拿捕している。

 

同年8月

ペリーは正式に幕府側に対し先の戦闘に着いて謝罪をする。

幕府は賠償金を求めたが拒否される。

代わりに日本皇国に拿捕された米国軍艦の所有権の放棄をペリーは幕府に伝え、幕府は米国軍艦を帆船を含めた4隻入手することとなる。

米国軍艦が洲崎を砲撃した理由は不明、(砲撃を命じた艦長が戦死したため)

日米和親条約締結、鎖国解除となる。

 

同年10月

幕府海軍国産軍艦の設計開始

 

➖➖➖

 

1855年・1月中旬

幕府海軍国産軍艦設計完了、建造開始

同年4月1日

オランダからの海軍教官団到着、横須賀海軍学校開設

 

同4月中旬に舞鶴海軍学校、佐世保海軍学校、箱館海軍学校、長崎海軍学校(後の呉海軍学校)開設

 

同年5月初旬

艦船搭載の新型大砲完成

 

同5月初旬

ライフリング付きの鉄砲試作、不発

 

同6月初旬

ライフリング付き鉄砲再度の試作、開発奉行所の壁を貫通、田中久重の作った模型を破壊、宇都宮三郎が殴られる。

 

➖➖➖

 

1856年・8月

幕府海軍待望の国産蒸気軍艦が進水。"冨士"と命名される。

同年9月下旬

"冨士"就役、幕府親衛艦隊旗艦となる。

 

同年10月初旬

幕府が全国の造船所の大拡張、新規建設を計画、資金調達に難航しオランダからの借金でどうにか計画を実行に移す。

 

➖➖➖

1861年・1月下旬

遂に幕府海軍は蒸気船30隻含む120隻の艦隊を保有する海軍強国となる。

 

同年2月

討幕運動も、時の将軍が即大政奉還

 

同年4月

倒幕派による反乱、倒幕派が朝廷に自身の側に着くよう要求も朝廷は幕府に反乱の鎮圧を勅命、倒幕派が逆賊となる。

 

同年12月

反乱鎮圧、廃藩置県、翌年から明治となる。開発奉行所が廃止され新たに皇国技術廠となる。

 

➖➖

 

1894年・7月

日清戦争開戦

 

同年8月初旬

黄海海戦を含む複数の海戦に完全勝利、清国海軍壊滅。

遼東半島制圧。

海軍増強計画として戦艦4隻、装甲巡洋艦8隻を整備する計画が始動。

同年11月

列車砲が初めて実戦投入、清国軍戦意喪失

 

同12月

日清講和、二国干渉、ドイツ、ロシアによる干渉、イギリス、アメリカと友好関係であり、フランスは両国の圧力により干渉せず。

 

➖➖➖

 

1900年6月

国産戦艦4隻が就役、それぞれ三笠、冨士、薩摩、鞍馬

 

同年11月初旬

装甲巡洋艦8隻が就役し計画が完結。

皇国技術廠が新たな戦艦の開発を開始。

現場兵士からの要望により航空戦兵器の研究開始し要望者を軍から技術廠へ出向という形で引き抜きを行う。

二宮忠八が皇国技術廠へ移籍。

 

➖➖

 

1902年・10月

皇国技術廠、飛行機を開発、組み立てが開始される。

同年11月

皇国技術廠、開発中の飛行機の運用研究にて、船での運用を構想に加える。

 

➖➖

1903年・6月

災害のため飛行機の組み立てに遅延発生。

災害対策に関して皇国技術廠が耐震構造と併せて災害時のシェルターの研究開始。

 

同年12月

アメリカのライト兄弟が飛行機での飛行を成功させる。

ただし、その5分前に日本が世界初の飛行を成功させていた。

皇国技術廠、飛行機を船に乗せる研究を本格化。

 

➖➖➖

 

1904年・2月

日露戦争勃発

日本皇国駆逐艦隊による奇襲でロシア海軍旅順艦隊半壊

 

1904年3月から8月

黄海海戦にてロシア海軍被害甚大

旅順要塞攻略のため重砲、列車砲が輸送され、旅順要塞陥落を成功させる。

司令官の乃木大将は二人の息子が重症を負い更迭される。

 

➖➖

1905年5月

日本海海戦にて日本皇国海軍艦隊戦艦4隻、装甲巡洋艦8隻の艦隊とロシアバルチック艦隊が激突、日本皇国海軍艦隊の完全勝利

 

同年6月初旬

複数の大規模会戦によりロシアコサック師団壊滅を始め主力部隊の戦力低下。

同6月下旬

ロシア皇帝と日本皇国皇室との会談、日露講和

 

同年10月

英国が新機軸の戦艦を発表、起工する。

 

同年12月

ロシア皇帝一家、日本皇国へ亡命

 

➖➖

1906年1月中旬

日本皇国、英国と同様の戦艦を起工

航空母艦の開発開始

*1
史実と違い虚偽であり将軍は健康体である

*2
このため、この世界の日本皇国では12月15日には船は進水させないようになる、暦にも記載される




前話について、話の展開次第でもしかしたら前話の一部、または全てを修正するかもしれません。
アンケート締め切りは5月15日までです。


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第19話・陛下、ムー国訪問へ1

中央暦1642年1月某日

 

冬季総合大演習(スノー・フラッグ)から暫く経ち、皇居の執務室にて、陛下は冬季総合大演習の際に宿泊施設を抜け出し、とあるムー国女性技術者と出会ったあとのことを思い出していた。

 

陛下が洋食屋に入った後の事である。

 

何処からか報告が入ったのか、陛下が店に入って数十分ほどしてムー国技術者のマイラスが外交官と共に慌てた様子で洋食屋に入ってきたのだ。

 

そして、マイラスが目にしたのは…

 

「ねー…聞いてますかぁ?おじさんー…マイラスって言うやつ、私が何度も何度もアピールしてるし、好きなの口に出したこともあるのにぜんっぜん煮え切らない態度というかー…もー男ならはっきりしろって言いたくなりますよー…ヒック」

 

マイラスがよく知る女性技術者が何やら自分のことについて愚痴を言いつつ酒を煽りつつ、

 

「…レディ?少し飲み過ぎではないかな?その、マイラス君も、煮え切らない態度ということは、まだチャンスがあると言うことだ。この国にはね、推して…いや違う、押してダメなら引いてみろ、と言う言葉がある。アピールして変わらないのなら、一旦アピールを止めてみて様子を見るのも一手だよ」

 

何故そこに居る!?と叫びたくなるような、この場でまさか出くわすとは思わないやんごとなきお方に絡み、そのお方もノリノリでそれに対応している現場だった。

 

2人はマイラスがいる事に気付くと、酔っ払った女性技術者にマイラスが捕まり、そしてマイラスはそのまま女性技術者にお持ち帰りされた。

 

そして陛下は…

 

「女性とは、時にはその辺の男以上にはパワフルなものなのだな…」

 

そうしみじみと呟くのだった。

 

背後にいつのまにか現れた、鬼の形相の侍従長の存在から必死で現実逃避するための呟きでもあった…。

 

そこまでを思い出した陛下はあることを思う。

 

「あの2人があの後どうなったのか物凄く気になりますね…ムー国にも行ってみたい…」

 

そう呟いた後、そういえば、異世界に転移してからというもの、外遊を行って居なかったことを思い出した陛下は、侍従長を呼び出した。

 

「陛下、お呼びにより参りました」

 

恭しく陛下に礼をする侍従長に陛下は切り出した。

 

「じいよ、新世界にわが国が来てどれくらい経つだろうか?」

 

「そうですね…3年になるかと…」

 

「そうだ、そして、まだ新世界にて私は外国を見ていない…そろそろ、最近ムー国の使節団もきたのもあるし、私も国外を、特にムー国を視察に行ってみたいのだ、どうにかならないだろうか…」

 

そう言われ、侍従長はしばし考え込む…

 

「政府専用機ですと、まだムー国の空港には着陸する事が難しいと思われます。マイカル港の拡張工事の完了が3月初旬に予定されており、式典もあるので、そちらへの出席という事ならば……予定を組むのは出来るかと、ただ船で行くしかありませんが…」

 

陛下も侍従長の言葉に少し考え込む。

 

「先進12ヵ国会議も今年だったな…護衛艦をつけることを考えると…軍と政府に負担になるか……皇宮親衛艦隊*1だけでは厳しいのか?」

 

「いえ、練度も艦艇の整備状況も維持はされておりますが……儀礼の意味合いが強い艦隊ですので少々不安が…」

 

「それを言うなら、この皇居を警備、守護する皇宮警備隊と私たち皇族を直接警護する皇宮護衛隊も儀礼的意味合いがあるが、過去数度に渡りその力量を示しているではないか…かの東京騒乱*2の時も彼らは力量を示した。親衛艦隊も同様だと私は信じる」

 

「分かりました…陛下が信じるのなら私も信じましょう…内閣へは私から伝えて、日程など、具体的な調整のため政府と協議に入ります」

 

侍従長はそう言い、陛下に礼をした後執務室から退室した。

 

 

その日、内閣府、外務省、国防省、宮内省の一部の官僚の残業が決定した。

 

 

*1
幕府が解体された際に幕府から皇室へ献上された幕府親衛艦隊を祖とする天皇陛下を守護する艦隊。主に船で外遊に向かう際や、観艦式で陛下が座乗される船を警護する役割をもつ

*2
地球にて西暦2000年代に起きた某国との武力衝突の直前に某国工作員により起こされた皇居占領未遂、天皇陛下拉致未遂及び国会議事堂、総理官邸襲撃事件etc…などの一連の出来事の総称




アンケート結果発表

今後登場させる兵器のアンケート第一弾
アークバード
重巡航管制機

に決定致しました。
第二弾はまだ未定です。


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第20話・陛下、ムー国訪問へ2

中央暦1642年 2月某日 ムー国外務省

 

現在、ムー国外務省は日本皇国外務省からもたらされた連絡により、上から下まで慌てる事態となっていた。

 

その連絡とはすなわち、日本皇国の国家元首である天皇陛下、つまりは皇帝がムー国への来訪を希望しており、その日程を調整したいと言う話であった。

 

しかも、日本皇国からは、来訪は3月初旬を予定したい旨を伝えられており、ムー国外務省は日本皇国との外交を担当している外務省列強担当部長オーディグス・リュックを責任者として、外務省からオーディグス・リュックの他に外務省職員3名、警護をする関係から、ムー国国家警察要人警護課と国防省、船での来訪との事で海上での警備を行う海軍及び沿岸警備隊からそれぞれ2名づつ、そして他国の皇族を迎えるため、アドバイザーとしてムー国王室管理局から、王族に礼儀作法などを教える担当者1名の計13名で急遽調整委員会と言う組織が立ち上げられ、日本皇国から後程到着する日本皇国側の準備委員会との日程や警備、スケジュール調整などの話し合いが行われる事になる。

 

ところ代わり、日本皇国でも着々と準備が進められて居た。

 

ムー国側の調整委員会に伝える内容も幾つかまとめられて居た。

 

1・天皇、皇后両陛下が視察を希望されている地域、及び施設。

 

2・天皇、皇后両陛下が好む食事の趣向と苦手なもの

 

3・天皇、皇后両陛下が参加を希望しているマイカル港の工事完成式典に着いての日本側からの警備についての確認事項及び要望

 

4・天皇、皇后両陛下と、ムー国王室との交流行事に置いて、日本皇国側からムー国王室への贈答品の目録

 

5・天皇、皇后両陛下の護衛について、日本側からの護衛隊先遣隊及び皇室専用車両、護衛車両の輸送予定について

 

6・天皇、皇后両陛下の宿泊場所についての確認事項

 

7・護衛隊及び護衛艦隊の宿舎、及び艦艇の停泊場所についての確認事項、要望

 

他にも幾つかあるが、大まかに上記の事がムー国側へ伝えられることとなる。

 

1週間後、日本皇国側準備委員会とムー国調整委員会が合流、早速防諜対策が施されたムー国外務省会議室にて協議が開始された。

 

「では、協議を始めたいと思います。この協議の進行は私、ムー国外務省列強担当部モーブ・コーシンが担当させていただきますので、宜しくお願いします。まずは、日本皇国の方から自己紹介をお願い致します」

 

進行役の職員から促され、1人づつ立ち上がる形で日本皇国側の自己紹介が始まる。

 

「では私から、日本皇国の準備委員会責任者を任されております。日本皇国全権大使も兼任しております。外務副大臣の白百合 厚子と申します」

 

白百合副大臣が自己紹介をすると、ムー国側からどよめくような声が幾つか聞かれた。

 

「女性が副大臣とは…いやはや…」

 

そう声が聞こえてきた瞬間、ムー国側の人物が一名、眉間に皺を寄せた険しい表情で立ち上がる。

 

「誰だ?今の発言は…ここは外交の場だ。弁えないものにはここに居る資格はない……もう一度聞く、今の発言は誰だ?」

 

するとムー国側から1人立ち上がり頭を下げる。

 

「わ、私です。ムー国の品位を落としかねない発言…申し訳ありません」

「謝罪するべきはそこではない……君は出て行きたまえ、外務省には君は必要ない」

 

言われたムー国側の人物は肩を落として会議室から退室する。

 

それを見届けてから、彼を退室させた人物が日本側に対し頭を下げた。

 

「私はムー国外務省列強担当部長オーディグス・リュックと申します。部下が大変申し訳ありませんでした」

 

「いえ、構いませんよ、私は気にしませんから」

 

「ありがとうございます」

 

そして、自己紹介は続けられる。

 

「私は日本皇国外務省第二文明圏担当部局局長の柳田 俊昌と言います。ムー国を含む第二文明圏との外交の責任者であります」

 

「同じく日本皇国外務省副大臣付き補佐官の菅原 義孝です。主に白百合副大臣の補佐と実務全般の調整をしております」

 

その次に自己紹介のため立ち上がるのは、黒い軍服に近い制服を着た人物である。

 

「次は私ですな…私は日本皇国宮内省皇宮警備局統括部長 長尾 影虎 護衛将監…軍隊で言えば中将に当たりますな。日本皇国で我々は陛下をお守りする組織として、軍隊とは区別されております」

 

「同じく、宮内省皇宮警備局情報課長 服部 久蔵 二等上級護衛士…軍隊で言えば中佐です」

 

「同じく私は皇宮警備局護衛隊司令部付き補佐官 佐々木 直次三等上級護衛士です。私の所属する部署が陛下以下皇族の直接の護衛を行う事になります」

 

次に立ち上がったのは、他の先に自己紹介した者達より貫禄のある初老の男性であった。

 

「…私は日本皇国宮内省皇宮警備局皇宮親衛艦隊参謀、水戸 國光護衛将補…少将に当たります。海上における護衛計画の責任者となります」

 

その次に立ち上がる人物は普通の背広である。

 

冴えないサラリーマンの様な人物だが、動きは洗練されている美しい所作の中年男性と、若いが、その動きに洗練されたものを感じる青年である。

 

「私は日本皇国宮内省皇室侍従教育係を務める中村 左衛門と申します。宜しくお願い致します。そしてこちらが」

 

「はい、同じく宮内省皇室侍従補佐の言峰 切嗣です」

 

日本側の紹介は以上となり、次にムー国側の自己紹介がはじまる。

 

「では次は我らですな、私は先程も自己紹介しましたな…ムー国外務省列強担当部長オーディグス・リュックと申します。ムー国王より全権を任されております」

 

「同じくムー国外務省列強担当部のクリス・トファーロです。リュック部長の補佐をしております」

 

「同じくムー国外務省列強担当部のカリス・ライモンドです」

 

以下ムー国のその他メンバーの紹介が続く。

 

 

そして双方の自己紹介が終わり、本題に入る。

 

日本側が提示した内容

 

1・天皇、皇后両陛下が視察を希望されている地域、及び施設。

 

2・天皇、皇后両陛下が好む食事の趣向と苦手なもの

 

3・天皇、皇后両陛下が参加を希望しているマイカル港の工事完成式典に着いての日本側からの警備についての確認事項及び要望

 

4・天皇、皇后両陛下と、ムー国王室との交流行事に置いて、日本皇国側からムー国王室への贈答品の目録

 

5・天皇、皇后両陛下の護衛について、日本側からの護衛隊先遣隊及び皇室専用車両、護衛車両の輸送予定について

 

6・天皇、皇后両陛下の宿泊場所についての確認事項

 

7・護衛隊及び護衛艦隊の宿舎、及び艦艇の停泊場所についての確認事項、要望

の内、1、2、4、6は日本側の要望がそのまま決定した。

 

しかし、3、5、7については、ムー国が提示した内容と日本側の求める内容が違い、紛糾することとなる。

 

「我々としても、宿泊場所には異論は無いが、それとこれとは別である。陛下の護衛は我々が直接行うと言う事を認めてもらいたい」

 

と長尾統括部長

 

「いや、迎賓館といえど王宮敷地内、このレベルの武装を持った他国の要員を例えどのような理由であっても国王陛下のお住まいになる王宮敷地内に入れる訳にはいかない!」

 

と話すのはムー国側警備担当者(階級的にはムー国側の外務省以外の人員は日本側に比べ一段二段劣る。彼は警備担当者の中で一番階級の高いムー国国防省課長級と補佐それ以外のメンバーは海軍大尉と中尉、沿岸警備隊の大尉と少尉、国家警察に至っては警部補2名である)

 

「ならば宿泊場所を変えてください」

 

「それは出来ん!迎他国の皇族を満足にもてなすのには迎賓館が最も適しているのだ!」

 

「それは貴国の事情でしょう?我が国の天皇陛下の身の安全に比べたらそんな事は瑣末な事だ。そんな事で陛下の身の安全を他国に委ねるなどありえんな」

 

と佐々木護衛隊補佐官

 

「ふん、それを言うなら貴国の皇族の思い付きに我々は付き合ってやっているのだ。貴国こそ、そちらの事情を我々に押し付けるで無いわ!」

 

「なんだと!」

 

「よさんか!冷静になれ佐々木!そちらも、我が国の天皇陛下への侮辱と取れる発言は控えて頂きたい!無礼である‼︎」

 

そう声を上げたのは長尾統括部長である。

 

その表情は険しい。

 

「あ、いや、侮辱する意図は…誤解を与えたなら申し訳ない」

 

先の発言をしたムー国側の人物が頭を下げる。

 

「長尾統括部長、コチラの者が重ねて申し訳ない…」

 

それともう1人 、オーディグス・リュックが胃の辺りを抑えながら頭を下げる。

 

「いや、リュック殿、コチラも頭に血が昇ってしまった。すまない…提案なのだが、王宮内敷地内に小銃を装備した部隊の配置が認められないのなら、陛下の宿泊する迎賓館内部にのみ拳銃などの軽装備の護衛を1小隊に限定して配置するのではどうだろうか?無論、迎賓館の主要な警備はそちらに任せるが、両陛下の居室やその周辺は我らが警護をしたいのだ。それでもダメだろうか」

 

「軽装備といえど武装をしているのならみと「黙れ」……は」

 

先程の職員を黙らせ、オーディグス・リュックは全権としてどうするか決める。

 

「分かりました。それで行きましょう。それと、そちらの他の護衛たちも、王宮に近い場所に宿泊できるよう手配します。緊急時には直ぐに展開できるよう取り計いましょう」

 

「ありがとうございます」

 

長尾とリュックの2人はそこで握手をする。

 

それを先程の職員が睨む様に眺めて居たが、誰も気づかなかった。

 

次に護衛車両と皇室専用車両についてであるが、武装のある護衛車両は式典後に王宮敷地外へ退去、皇室専用車両にも武装があるが、陛下が乗るための車両という事で特例として王宮内にいる事が認められる。

 

護衛艦隊については、豪華客船一隻と護衛艦8隻、コチラは観艦式をマイカル港の工事完成式典に捩じ込もうとした海軍と沿岸警備隊からの提案があったため、後日協議となった。

 

 




宮内省皇宮警備局階級()は軍隊の階級
警備局長たる護衛将監(大将)
護衛将監(中将)
護衛将補(少将)
一等上級護衛士(大佐)
二等上級護衛士(中佐)
三等上級護衛士(少佐)
一等護衛士(大尉)
二等護衛士(中尉)
三等護衛士(少尉)
準護衛士(曹長)
一等上級護衛官(軍曹)
二等上級護衛官(伍長)
三等上級護衛官(兵長)
一等護衛官(上等兵)
二等護衛官(一等兵)
三等護衛官(二等兵)→※正式に護衛官になる前の訓練生の階級

Qなんで軍隊の階級じゃ無いの?
A軍隊動かすには議会の承認が必要(緊急時は内閣のみの決断でOK)だけど、陛下の護衛と唯一陛下の意思で行動させれる(制約あり)組織である以上議会の承認がなくても動かせた方が良いということもあり、軍隊ではなく宮内省皇宮警備局の警備隊、護衛隊、親衛艦隊は軍隊じゃ無いよというために階級を軍隊式にして居ないのである。
軍隊じゃ無いよ、警備局、警察とかの仲間だよ…という建前



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間話・陛下、ムー国訪問へ〜掲示板の反応〜

陛下が新世界にて初の海外訪問を予定!行き先はムー国?

 

1:陛下がムー国訪問予定ってマ?

マジで?

 

2:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫1マジらしい

 

3:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫1つかニュースでやってたろ

 

4:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫3 1だが、ワイはニュース見ないし、何ならテレビないし…

 

5:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫4 結構でかくやってたんだがなぁ…何ならミリオタやら船オタが狂喜乱舞してた記事もニュースにあったぞ?

 

6:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫5 詳しくw

 

7:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫6 ggrks

 

8:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫7 ???

 

9:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫8 やだ、純粋……なら教えてしんぜよう…陛下はムー国へは船で行くらしい、つまり、十数年ぶりに皇宮親衛艦隊が陛下の守護を直接行うということだ!

 

10:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫9 皇宮親衛艦隊って何ぞ?日本の海軍にそんな部隊いた?

 

11:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫10 え…マジで言ってる?

 

12:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫11 10だが、何かおかしなこと言ったか?

 

13:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫12 マジかこいつ

 

14:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫12 マジかこいつ

 

15:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫12 マジかこいつ

 

16:陛下がムー国訪問予定ってマ?

12だが、みんなの反応に困惑

 

17:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫16 ワイらは君に困惑や……日本人なら知ってて当たり前やぞ、小学生でも社会の歴史で習うやろ

 

18:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫17 あー…自分日本人じゃ無くてアルタラス人…今とあるお方の日本への留学に巻き込ま……いや、うん、お付きとして来日してる

 

19:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫18 なら仕方ないな、教えたる

皇宮親衛艦隊はな、今から約200年近く昔に日本が初めて保有した正規の海軍部隊や、当時の日本皇国は、幕府と呼ばれる天皇家から任命された征夷大将軍という役職を持つ武家による統治下で、当時の名称が幕府親衛艦隊という、そんで、幕府が廃止される際に、幕府から天皇家へ献上され、今の皇宮親衛艦隊と言う名称となった訳や…しかも、色んな逸話もある…知りたい?

 

20:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫19 知りたい!

 

21:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫20 OK

皇宮親衛艦隊が幕府親衛艦隊の時

艦隊発足間もなくの時期に当時のアメリカ海軍の艦隊と偶発的な戦闘となり、撃退、現在の東京湾、当時は江戸湾と呼ばれた海域での事件のため江戸湾事件と呼ばれる。

皇宮親衛艦隊になってから。

・旧世界の列強ロシアの内乱時、ロシア皇帝一家を保護

・旧世界での大規模な戦争、第二次世界大戦に於いて、現在の天皇陛下の祖父、つまりは当時の天皇の勅命により、戦場になり得る可能性が高い地域からの市民の避難のための船団護衛を行い、戦争中13回(大規模なものだけで)もの襲撃を受けるが全て撃退している。(アメリカ潜水艦乗りが最も出会いたくない艦隊と言われていた)

・戦後において、十何年前だったかな、旧世界のならず者とか言われてた列強中国と、その腰巾着国家らの侵攻を受けた際、陛下らを護衛し安全圏へ移送に成功する。(数回ほど襲撃あり)

・近年だと、先代の陛下、上皇陛下がまだ天皇だった時に外国元首の葬式に参加した際に大規模なテロにあったけど、当時の首相は吹き飛んだが、陛下は海から川を行くルートで、勿論皇宮親衛艦隊の小型艇が直接の警護についてて、テロリストを撃退、ついでに当時の友好国の大統領の命も救う。

このくらいかな?

 

22:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫21 大統領ってアメリカの?

 

23:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫22 いや、フランスって言う国、因みにテロが起きたのはイギリスって言う旧世界の列強ね、有名なところだと、列強の首脳が大分やられた事件で、テロリストに捕まったアメリカ大統領が生中継でテロリストに処刑されかけたのを、アメリカ大統領の護衛の生き残りらしき人物が乱入して救出した映像がある。

 

24:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫23 18だが…マジか、てかアンタらの元の世界どうなってんの?

 

25:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫24 知らん!ワイらからしたらこっちの世界のがどうなってるのか知りたいわ!

 

26:陛下がムー国訪問予定ってマ?

ところで、≫18 よ、今、朝の8時30分 留学中とのことだが、時間大丈夫?

 

27:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫26 ファ⁉️ 教えてくれてありがとう!もう遅刻確定だからサボr

 

28:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫26 どうした?

 

29:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫27 26の遅刻は既に連絡しました。サボるなんてことは許しませんので、ご安心ください。私が責任持って学校まで連行いたしますので

 

30:陛下がムー国訪問予定ってマ?

≫29 ア、はい

 



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