提督の余命は後... (まのめ)
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プロローグ 余命宣告を受けた日

こんな話ないかな~と思ったので書いてみました。
楽しんでいただければ幸いです。
あと、少しシリアスなのも書いてみたいな~ってのもあった



それでは本編


余命宣告を受けた

 

年27にして告げられた真実。私は耳を疑った、聞き間違いだと、勘違いだと、そう思った。

だか、医者は悲しげに私を見つめ言葉を繰り返す。

 

貴方の余命は後一年です...と。

 

自分でも何となくだが死期は近いと思っていた。

 

余命宣告のことは覚悟はしていたが、あまりにも短い余命に私は驚きを隠せなかった。自分に残された時間は後一年たらず...、私の体はもうそこまで限界が来ているのか。

一緒に医務室にいた大淀は、普段からは考えられないほど取り乱していた。

大粒の涙を流し、泣き崩れる大淀はなんで、なんで、と嗚咽混じりに呟く。そんな彼女の震える体を、私はそっと抱き寄せた。

 

 

医者の先生も申し訳無さそうに顔を下に向け、君のその病を治せるのなら、治してあげたいと言った。どうやら私の体を蝕む病は治る見込みも、手の施しようもないらしい。

 

 

 

私の落ち度だ。

 

 

 

まだいける、大丈夫と自分に言い聞かせ、無理したのが祟ったみたいだ。よくこんな体で動けたものだと、呆れられた。

ただの風邪だと、すぐ治ると、気のせいだと自分に言い聞かせてきたがもうそれも通じないところまで私の体は限界を迎えていたようだ。

 

私は体に3つの爆弾を抱え込んでいるらしい。

重くて、大きな爆弾を...。

爆発寸前の爆発を...。

私が持つ爆弾はすべて

 

 

 

 

癌だそうだ。

 

 

 

 

まだ体に症状が出ていないのが不思議なくらいだと医者にいわれた。

本当に後一年生きていけるのか不安だな、3つも癌持ちなんていつ死んでも可笑しくないじゃないか。

泣き震える大淀を見て、後一年足らずで私が出来ることを考えた。だか、もちろん今の段階だと思い浮かぶこともなく、ただただ自分の容態に絶望する。

 

 

 

 

 

昔から怪我をしたときや、風邪を引いたときはよく我慢していた。

そのせいで何度か救急車のお世話になったこともある。

我慢することになって、自分の中で溜め込んで、自分の体を酷使し、自分を追い込んで、追い込んで、仕舞いには悪化して他人に迷惑をかける。

 

 

 

いつだって私は人に迷惑をかけてばっかりだった、そして今もこうやって人に迷惑をかけている。

 

 

 

一艦隊を率いる長として、艦娘たちの保護者として、軍人として、これほど責任感のない行動はなかっただろう。

 

後一年後には私はこの鎮守府にはいない、この鎮守府の後継人は?新たな提督と我が艦娘たちは連携がきちんととれるのか?艦隊の士気は維持できるのか?私がこの鎮守府からいなくなれば問題は山積みだ。私がこんなことにならなければ発生しなかった問題だった。

 

 

だが今から反省しても、後悔しても、私の余命は後一年。

 

 

ならば、ならば前を向いて行こうじゃないか。私の命が燃え尽きるまでやれることをやろうじゃないか。反省しても、後悔しても、もう遅いのだから、残りの余生を己の後悔で過ごすよりよりよく過ごせるように考えて行こうじゃないか。

 

 

 

 

 

私は

 

 

 

 

 

私は生きよう、精一杯生きよう

 

 

 

 

 

 

これからのことは鎮守府に帰ってから考えよう。

 

まずはみんなに報告だ、私の体のことと余命の事を、きちんとみんなに知ってもらわないと、その後鎮守府でどれ程の混乱が生じるかはわからないけど、後からばれるよりしっかりと自分の言葉で伝えよう。

 

私は放送室に入り我が鎮守府に在住する艦娘全員に召集をかける。

 

 

 

 

私の放送を聞き、グランドに集まったみんなを見て私は一息つき告白する。

 

「みんな、静粛に。寒いなか集まってくれてありがとう。集まってもらったのはみんなに一つ報告があるんだ。」

 

「大事なことだからよく聞いてくれ。」

 

唾をのみ一拍置いて私は言う

 

「みんな、すまない、今日私は余命宣告を受けた。」

 

ざわざわざわ

 

「私は」

 

「私は後」

 

「後、一年しか生きられないらしいんだ。」

 

「嘘だと思うだろうが、事実だ。」

 

「残りのわずかの余生を私は、みんなと過ごしたい。」

 

 

「だから」

 

最高の笑顔を作って私は続ける

 

「これから後一年余り、よろしくな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

余命宣告を受けたこの日

 

12月14日




実際に余命宣告を受けたらどんな気持ちなのでしょうか。
自分だったら冷静ではいられないのか?はたまた、落ち着いていられるのか?等考えながら書きました。


次回は少し間を開けますが気長に待っててください
それではまた次回


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1月 変わりない日々

日記のような感じで話が進みます

そういうスタイルでこの小説は進みます。




それでは本編


1月1日 晴れ

 

皆に新年の挨拶をし、お年玉を配り、カルタをしたり、おせちを食べて今日は過ごした。毎年、年始はどんちゃん騒ぎのお祭り感覚なのだが、皆私を気遣って余り騒いでまわってないようだ。あののんべぇたちも今日1日はしらふでいるみたいだ、別に我慢しなくていいのだがな。

 

ふと外を見てみると、羽根つきや凧上げなんかをしているものたちがいた。あれを作ったのは明石と夕張だな、後でお礼をいいにいかないと。駆逐艦たちが遊んでたカルタや福笑いのイラストは秋雲が描いてくれたようだ、秋雲にもお礼を言わないとな。

 

今日は楽しかったな、いつまでもこんな日が続けばいいが。

 

私は今日も元気だ

 

 

 

 

 

 

1月12日 晴れ

 

年が変わりあの告白から早くも一ヶ月が経とうとしている。

 

私はまだ元気だ、特に異常はない。まだ、なにも。

 

あの日からみんなが私のために何か出来ないかと、よく動いてくれるようになった、特に駆逐艦の子達が中心となって率先して私の手伝いをしてくれる。

あの初雪も、望月も、私のためと、これ以上私に負担はかけさせないと言って仕事をサボることが無くなった。

 

駆逐艦と言えば曙は私に対してクソとはよばなくなった、霞と満潮も私のことを罵るようなことは言わなくなった。 少し寂しく思うことはあるが、皆が私のためにこうしたことをしてくれるのは正直嬉しいことだ。最近常々思う、幸せっていうのはこういうことなんだなと。

 

 

まだ体調に変化はないが、病は常に私の体を蝕んでいる。

 

私は今日も元気だ。

 

 

 

 

 

 

1月23日 晴れ

 

私は元気だ、特に何もない...、こともないか。インフルエンザにかかってしまったな。

皆の迅速な対応ですぐに完治したが、その間皆そわそわしていたな。私は横になっていたが病室の扉の前で人がいっぱい集まっているのを気配でわかった、心配をかけたな。

 

大淀とその日の秘書艦が交代で私の看病をしてくれていた。本当に、本当に嬉しかった...。

 

そうそう、長門が秘書艦で来たときは、私に、お前はこんなところでくたばるような男じゃないだろ、だから早く元気になってくれ、なんて言葉をいっていたな。

 

大丈夫さ、私はまだ元気なんだから

 

 

 

 

 

 

1月31日 雪

 

今日は雪が積もっているようだ、執務室の窓からみんなが雪合戦をしている様子が見える。楽しそうだな、私も雪合戦をしたいものだ。思い出作りは大事だ、少しでも多くの時間を彼女たちと過ごしておかないと死んでから後悔してしまうからな。

 

少しくらい体を動かしてもバチは当たらないだろう。それに、体を動かさない方がかえって私にとって毒だ。

 

仕事が早く終わるようになって、彼女たちと話す機会が増えて私は嬉しく思う。これまで以上に彼女たちと、遊び、会話し、食事を食べ、今まで仕事に追われていた時間が嘘のようだ。

今では仕事仲間、部下、という認識より、本当の我が子のようにさえ思う。其れほど今は彼女たちが愛しい。

 

この日も私は元気だ

 

 

 

 

 

 

 

1月分の記録が終わった

 

毎日が怖い、怖い、怖い。

 

いつ死ぬか分からぬ恐怖を抱き、明日も生きていることを祈って、今日は寝る。

 

 

 

 

また明日も生きていますように

 

 

 

 

 

 

 

体は常に弱り続けている




こんな小説が読みたいなと思って書きました。

少しでも皆様に楽しんでいただければ幸いです。




それでは次回もよろしくお願いいたします。


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2月 まだ大丈夫

シリアスって難しいね

それだけ





2月4日

 

 

節分も終わりまかれた豆の清掃をしているところだ、よくもまぁこんなに散らかったもんだな。

明石と夕張、あと秋雲には豆まきの備品制作に随分力をいれていたな。お面に衣装、に色んなものをつくってたな。そういえば正月の羽子板や凧もあいつらが作ったっけな、本当にありがたいものだ。

 

ただの節分だと思っていたが、なかなか盛り上がったな。

 

瑞鶴が加賀に豆投げておこらせたり、赤城が飛んでくる豆を吸い込んだり、清霜が投げた豆に武蔵と長門がやられてたっけ。

 

本当におかしな連中だな、うちの鎮守府にいる奴は。

ホントに愛しいよ。

 

 

今日も大丈夫

 

 

 

 

 

2月6日

 

 

今日は定期検査のため病院に行った、付き添いは金剛、大淀、吹雪だ。

 

空気が重い、それもそうか、私の病気の進行具合を見に行くのだから気も引けるな。私だって行きたくないさ、治療はしないと決めつけた身ではあるが自分の身体だ、心配はする。もし進行が早まっていたら、もうそこまで死が迫っていると言われたら、なんて事を考えながら病院に向かう。

 

きっと考えていることは多分、みんな一緒だろう。なるべく進行していてほしくないな、彼女たちのためにも。

 

 

医師の診断では病状はさほど進行していないようだった、とりあえず胸を一撫で、よかった。だが身体は回復に向かってはいないようでこの後も急に体調が崩れる可能性があるようだ、もし身体に異常をきたしたらいよいよ覚悟が必要だと言われた。

 

どこが悪くなってもおかしくない状態、いつ死んでもおかしくない身体...。

 

 

 

 

だが私の身体はまだ動く、今日も私は元気だ

 

 

 

 

 

 

 

2月12日

 

 

鎮守府が騒がしいと思ったらもうそろそろバレンタインか、あちらこちらでチョコの匂いがするな...美味しそうだ。

 

今年はどんな感じにチョコを渡してくれるのかな、楽しみだ。

バケツで持ってくるもの、きれいにラッピングして持ってくるもの、ギリだからと言いながら恥ずかしそうに持ってくるもの、口移しで渡そうとしてくるもの、渡すはずだった分を食べしまうもの、色々いるな。

 

 

 

浮き足立つのはまだ早いだろうか、気分が上がる。どうかチョコが身体に障りませんように。

 

この気持ちは少し押さえておこう

 

 

 

今日も私は元気だ

 

 

 

 

 

2月15日

 

バレンタインが過ぎたがまだチョコを私に渡しに来てくれるようだ。まだ全員分を受け取ってないからな、まだまだ忙しいな。

 

そうそう昨日一番最初にチョコを渡しに来たのは金剛だったな、まさか日付が変わった瞬間に持ってくるなんてタイムリーなやつだな。でもすごく嬉しかった、毎年のことだがみんながこうやって行事ごとに真剣で。

 

みんなが持ってきてくれたチョコの味は最高だったな、元気になってくださいと書いてある手紙を読んで泣きそうになった。

 

大丈夫、私はまだ元気さ

 

 

 

 

2月19日

 

 

ようやくみんなからもらったチョコを食べきった、物凄い量で鼻血が出るかと思ったがそんなことはなかったようだ。心配しすぎかな、どうも最近心配しすぎていて悩ましい顔になってると言われたっけ。もう少し笑顔を増やさないとな。

 

大本営から電報が届いた、私の階級の昇格が決まったらしい。

 

あと一年もしないで死ぬ身なのに、果たして昇格する意味があるのかわからないがみんなが喜んでくれてるなら私も喜ぶとしよう。

 

今日から大将だ...

 

たかがの若造がたいそれた地位だと思うが、実力社会の世の中だ、あまり関係のないことなんだろう。

 

私のことなのにみんなが祝ってくれている、喜んでくれている、まさに自分のことのように、そんな彼女たちを見て私は嬉しさのあまり柄でもなく泣いた、泣いた。

 

 

祝ってくれてありがとう、私は今日も元気だ

 

 

 

 

 

2月28日

 

 

あっという間に2ヶ月がたったな...月日が流れるのが早く感じてしまう、残された余命は後10ヵ月、長いようで本当に短いな。こうやって日記をつけるのももはや習慣だな、元気でいるうちに、てが動く限り書き続けねばなるまい、それが私の使命だと思う。

 

今までこうやって記録をつけるのは報告書位だったが、毎日を記録するのはいいことだな。その日その日何があったかを鮮明に思い出せる、読み返して、あぁ、この日はこんなことがあったな、この日はすごく楽しかったなとすぐに思い出せる。

 

みんなと遊んだ内容、その日の面白かったこと、その日におこったことは何だってネタにできる。

 

この日記を見て、私は素晴らしい鎮守府に着任できたのだと、再確認できる。なぜ今までしてこなかったのだろうと後悔もしたが、いいさ、この一年を私の生きた証を残すいい機会だ。功績や戦歴、階級なんかじゃない、私の生きた証。

 

 

 

だから私は1日も漏れなく日記を書き続ける

 

 

 

 

 

私は今日も元気だ




今の構想では14話位で完結予定です。

下書きは済ませてあるので、後は気ままに更新していきます


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3月 暖かな日に

先月投稿し忘れてた!申し訳ございません、最近投稿遅くて申し訳ございません!

土下座でも何でもします!




それでは本編


3月1日

 

 

 

今日は鎮守府でひな祭りの準備をしている、飾りや人形にみんな自分達の個性をいかしているようだ。今年は姉妹での飾り付けか...、問題が多そうだな。

 

特にあの二人とか...。

 

と、思っていたがなにかと上手くやってるみたいだな。今年は秋雲争奪戦はどうやら無いようだ、よかった...、胃に穴が開かずにすんだ。どうやって終戦したのか気になるところだが、聞くのはやめておこうか。

 

 

大方みんなの飾り付けを見て回ったが、本当に個性豊かだな。吹雪型と綾波型は似たり寄ったりでどこか安心感のある素朴な雛人形だった。暁型は紙粘土のお手製雛人形だったな、どれも可愛く仕上がっていた。

 

金剛型の雛人形は着物って言うよりドレスみたいなのを着せていたな。菱餅じゃなくてマカロンがのっていたのを見てつい笑ってしまった。何となくだが金剛の指示だろうなぁと、榛名の顔を見て判断した。

 

一番綺麗に仕上がっていたのは、なんと隼鷹達の雛人形だった。

 

ホントにびっくりした、辺り一面にキラキラ輝く星が見えるほどだった。何だかんだで隼鷹も器用なやつなんだな、酒さえなければ作業しているその顔は、集中し没頭するその顔、表情はまっさら美人なのにな。残念美人とは隼鷹のためにある言葉なのかもな...。

 

 

みんなの完成が待ち遠しい

 

 

 

 

 

3月3日

 

 

 

ついに当日だが問題が発生した。

 

誰も完成させきれなかった、なので鎮守府のひな祭りはまた後日

 

 

 

結構楽しみにしてたのにな

 

 

 

 

 

3月5日

 

 

 

 

我が鎮守府では今日ひな祭りが行われた。

 

皆各々の雛人形を見て回ってるようだ。私は大淀と見て回ったが、やはりあいつも女の子だな。一つ一つ丁寧に見ていく。私にはぱっと見の印象しか受けないが大淀は細かなところまでみているようだ。

どこが作り込まれているとか、どこにポイントがあるかなんかを一つ一つ解析してくる。

 

明石か、おまえは

 

とツッコミたかったが無理もないか、女の子のイベントだもんな。舞い上がって当然か、こいつも可愛いとこがあるじゃないか。

 

 

艦娘でも、女の子は女の子なんだなと改めて思った。

 

みんな楽しそうで何よりだ。

 

 

 

 

 

3月15日

 

 

 

 

今まで特に気づかなかったのだが、雛人形を片付けていないところがあった。

 

妙高型のところだ...

 

正確に言えば足柄だが...

 

足柄の言い分としてはせっかく可愛く飾れたのに片付けるのが勿体ないとのこと、わからんでもないがそう何日もおくものではない気がするが。

そこで私は足柄に、雛人形はあまり長い間飾っておくと婚期が逃げるらしいぞと言ってやったらものの30分で片付けてしまった。

 

もう手遅れな気もするが

 

 

 

 

 

 

今日でほんとの意味でひな祭りが終わった

 

 

 

 

 

 

3月20日

 

 

 

 

 

最近ほんのり暖かくなり冬が本格的に終わりを告げた、日に当たり日向ぼっこする艦娘が増えてきた。

あぁやってのんびりしている姿を見ると今が戦争だということを忘れてしまう。

 

少しのんびりし過ぎだと思うが、つかの間休息...というやつか

 

しかし本当に今日は暖かい日だ、一眠り出来そうなくらい過ごしやすい。まぁ仕事があるから寝ることは許されないのだがな。

 

 

ついこの間まで肌寒い日が続いていたのに急に暖かくなりみんなの健康状態が気になるところだが、問題なかったようだ、みんな健康そのものだ。

健康状態が悪いのは私だけのようだな...なんて。

 

 

 

今はまだ体に異常はない、まだ大丈夫なはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

3月29日

 

 

 

 

今日は病院に行った、癌の進行具合をみるために。

 

医者に言われたのは思ったほど進行していないとの事だった。安心していいのかわからないがなんだかほっとした、少しだけ心に余裕ができた気がした。

 

だが少しずつでも私の体を蝕んでいってるのだから油断は出来ないな。

 

 

今日1日特になにもなかったが少し面白いことがあった。

駆逐の子達から四つ葉のクローバーをいっぱいもらった、ホントにいっぱいだ。全部で優に70枚も超えている。ほとんど雪風が見つけてきたようだがこれだけ幸運の塊があると逆になにか凄いことが起きそうではらはらした。

 

雪風ひとりで30枚も見つけるってすごいな、あいつ

 

 

 

 

幸運の女神のキスを感じそうだ

 

雪風、頑張りましたっ!って可愛いやつだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今月も何時もと変わらず、平和な1日だった




3月30日

「大淀さーん、電話でーす。」

「どこからです?」

「○○病院のお医者様からです!」

医者から電話?昨日のことで何かあるのかしら、それとも次の診察日かしら。
私はそんなことかと思ってはいたが少し嫌な予感を抱えながら電話に出た。

「はい、代わりました、佐世保鎮守府の大淀です。どうかされましたか?」

「昨日のことでね少し話があるんだ、周りに人はいないかい?」

え?

「えぇいませんけど...どうしてそんなことを聞くのですか?」

嫌な予感がする、敵が現れる予兆のような嫌な感じがする

「あまり広めてほしくないことなんだ、わかってくれ。」

「...わかりました、内密にします。」

聞きたくない、聞きたくない、聞きたくない

「心して聞いてくれ」

嫌だ...嫌だ...嫌だ...嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

「君の...君たちの提督は...」

耳を塞いでしまいたい...聞きたくない!

「容態が一変して悪くなっている、このままだと6月には身体機能がガクッと落ちてしまうだろう。半身不随や言葉が話せなくなるなど、何かしらの障害があるだろう。覚悟をしておいてくれ、それだけだ。」

「昨日あのとき言っていればよかったと思うのだが彼の、彼の穏やかなあの顔を見たときどうしたも言えなかった。許してくれとは言わない、だが君だけは彼の容態を理解していてくれ。」







それから医者が言った言葉は私には届かなかった、聞こえなかった、目の前が真っ暗になった。

聞こえない、聞こえない、聞こえない、聞こえない、聞こえない
聞こえない

今は何も...









聞こえない


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4月 嘘の月


1話1話構想を練るのに時間がかかりますね、展開を変えるタイミングとか難しいです



それでは本編


4月1日

 

 

 

 

言わずもがな、エイプリルフールだ。

 

みな各々、私に嘘をついてくるだろうな。卯月が喜ぶイベントだ、まぁ今回は多目に見てやるが、あまり心臓に来るのはやめてほしいものだ、と思っていたがやはりみんな、かわいい嘘をついてきた。

 

あの卯月でさえも

「ぷっぷくぷー!司令官のプリン食べちゃったぴょん!」で終わっていたしな。かわいすぎて思わずプリンを与えてしまった。

 

一番きつかったのは、比叡にカレーを渡されて

「わたしが作りました!食べてください、司令!」って言われたことかな。こればかりは嘘で善かったと思った。

 

 

 

 

今日も鎮守府は平和だ

 

 

 

 

 

4月5日

 

 

 

 

 

今日は鎮守府内にある桜の木の下でお花見をした。

 

しかしやはり飲んだくれどもは場所取りが早い、まさに島風の如しだった。とうの島風が一番を取られて少しへこんでたな。

 

わたしが花見の席に座る頃にはみんな飲み食いを始めていて、各場所でそれぞれ出し物なんかもやっていたな。漫才や一発芸、隠し芸なんかを披露しあっていた。

私が見ていて一番面白かったのはやはり、黒潮と龍驤の漫才だな。

つっこみの切れから何から全然違うのがわかる、素人の漫才じゃない、これが本物の漫才だっ!っていうものを感じた。

 

今日はみんな良く楽しんでいるようだ

 

 

 

しかし大淀の表情が少し暗かったのは気のせいか?

 

 

今日も私は元気だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月15日

 

 

 

 

今日は早めに仕事を切り上げ外に出ると何人か日向ぼっこをしていたので私もやってみることにした、まさか起きたときにいろんな艦娘に顔を覗きこまれていたとは思いもよらなかったな。少し恥ずかしかったな。どうやらみんな私の寝顔を見ていたようだ、面白いものでもないと思うがね。

 

ゆっくり寝たせいか、調子がいいな。気分がいい。

 

 

 

 

 

 

今日も私は大丈夫だ

 

 

 

 

 

 

 

4月23日

 

 

 

 

 

今日は月に一度の検査にいった、やはり病院は好きじゃないな。

 

いろんな検査が終え、結果を待つだけだが隣の大淀の様子がおかしい、いくらなんでも心配しすぎだ。大丈夫だと声をかけても頷くくらいしかしてくれなかった。

 

名前を呼ばれ検査結果を聞く

 

結果としてはまぁ予想通り、悪化はしている。確実に進行しているし、医者からも今ならまだ抗がん剤の治療が間に合うと言われたが私はもちろん拒否。やはり最後まで私は鎮守府に残っていたい、まだ彼女達の顔を声を聞いていたいからだ。

 

ありのままの私でいたい、私が生きていたと言うことを一番知ってもらいたい人たちだから、できるだけそばにいたい。

 

限界が来るまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

死ぬのは怖くない、私には彼女達がいるのだから

 

 

 

 

 

4月30日

 

 

 

 

 

いきなり大淀から治療を勧められた、元気になってまた戻ってきてくださいと泣きながら言われた。

 

最近彼女が何か思い詰めているような節があったのはこの事だろう、しかしそれは出来ない。

 

治療を受ければ治るかも知れないがそれと同時に悪化することもある。それに治ったとしても私の体はもう仕事ができる体じゃないだろうから提督として戻ることも出来ないだろう。

そうなってしまえばもう彼女達と会うことは叶わないし、何より私にとって毒だ。

 

私は身内がいない、だから私の願いは彼女達艦娘に私の最後を見届けてもらうことだから。

 

こんな言い方をするのはおかしいだろうが

 

 

 

もういつでも死ねる

 

 

 

 

 

 

 

私はこの日自分の運命を改めて覚悟した

 

 

 

 

 

 

 

 




4月23日



今日診断に行きました

お医者様からははっきりと悪くなってると言われましたね、提督。
でもお医者様が本当の意味で驚いていたのはきっとここまで進行しているのに体に影響がないことでしょう。
癌になったものは痛みを伴うと聞きましたが、提督は特にそんなことはないとおっしゃっていた。

それに





どうしてそんな清々しく爽やかな顔ができるのですか、提督





4月27日



あの日お医者様はいっていた、今治療すれば治ると。
しかし提督はそれを拒んだ、治療をしたらもう提督じゃいられないと。

私はどうしたらいいんですか、提督には治療を受けてほしい、でも提督はこの鎮守府で提督としてあり続けてほしい。でも治療するために入院するとなれば今は戦争、前線から提督は下げられてしまう。そうなれば新しい提督と艦隊を組むのだろうが果たして統制ができるのだろうか、きっとすぐには無理だろう。
だからたぶん提督は、自分がいなくなる前に、死ぬ前に私たちのために何かを残してくれるはず...







4月30日



今日私は始めていて提督がつけている日記を見ました、ちょうど提督が食堂へ向かったさいに机の上にあった見知らぬ日記帳があったからです。
そこにはあの余命宣告を受けた日から綴られた提督自身の記録、一日の漏れもなく毎日書いていたのでしょう。

27日の検診の時はどんなことがかかれてあるのか気になったので読んでみた。そこには提督の素直な一面が書き記してあった、死ぬ間際まで鎮守府に残っていたいだなんて本当にバカな人だ。
あなたが死んでしまったらどうするんですか、まだ生きていてくださいよ...提督


提督の日記をひとしきり見たあと廊下で提督を見かけ私は提督に治療を受けさせるために説得しようとした、自分でも驚いたくらい感情が表に出ていたと思う。気づいたら私は泣きながら提督に説得していた、でも提督は相変わらず穏やかな顔で私はここにいる、死ぬまでこの鎮守府の提督だと言われたとき私は確信した。

提督は自分の運命をもう覚悟しているのだと、これからも起こることもすべて、受け入れるつもりなのだと。




ならば私も提督の最後を、その最後の瞬間まで見届けるまでです。


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5月 震える手

それでは本編



5月3日

 

 

 

 

 

特に何も無いまま5月まで来てしまった。

 

案外治っているんじゃないかと疑ってしまう、まぁそれはないが。

だがもしかしたら死期が伸びたのかも知れないな、そうなら少し嬉しい。

 

春の作戦攻略は難なく無事皆欠けることなく生還してくれた。今回も熾烈で危ない場面が多々あったがみんなのお陰で無事に作戦を成功させ、新たな艦娘を迎え入れることができた。

 

着任してそうそう私のことを話し、気を使わせてしまうのが心苦しいが、事情が事情だからな、仕方のないことだ。

 

私達の鎮守府は、よりいっそう賑やかになりそうだ。

 

 

 

それはそうと、最近右手に力が入らなくなってきた。

握力が低下しているのかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

5月6日

 

 

 

 

 

今日は祝勝会と歓迎会を行った。

 

一つの大きな作戦を成功させ、また新たに仲間として加わったもの達のこれからの親睦も兼ねて、鎮守府総出のお祝いだ。

 

始まりの乾杯の挨拶を終え、それぞれグループごとに飲み食いしたりふらふらほっつき歩いて色んな人に絡んだりしているものと、様々だった。

 

こうして見てみると、元は敵同士だったもの達や書類や歴史の中でしか知らなかった彼女達をこうして出会い見ることができ、その上共に戦っていると考えると不思議な気分になる。

 

もしかしたら深海棲艦とも和解が出来るのではないかと考えてしまう、どうなんだろうな。

 

深海棲艦の中に言葉を発するものがいる。もし深海棲艦と対話が成立すればお互いの意思疎通が可能になるのではないか?それが可能ならば平和への第一歩じゃないか。試す価値はありそうだが、いかんせん危険が伴う、難しいことだろう。

 

このことは私のなかで留めておこう。

 

最終の策として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月14日

 

 

 

 

 

 

右手に異変が起きた。

 

突然震えだし痺れが襲った、力は入らず物を掴むのが困難となった。恐れていたことが今日この日より始まった、覚悟はしていたがやはり怖いな、死期が近づいていることを実感するのは。

利き腕も使い物にならない、これじゃ文字も書けない。

この日記も今は左手でパソコンを打って印刷し、日記帳に張り付けている。

 

今日からこのスタイルだな。

 

仕事にも支障が出てきてしまったな、対策を考えなければ。

 

 

 

 

 

 

 

5月19日

 

 

 

 

皆が私の右手のことで心配してくれた、公表するか迷ったがいつかはばれる、皆に伝えるなら今しかないとそう思った。

 

自分の腕がまるで自分の腕じゃないようだ。何か重りをつけてるような、そんな感覚がする。

秘書艦も一人から二人に増やし私ができなくなった執筆による作業を代筆で行っている。もちろん私も目を通し確認してある、本当に皆に助けられてばかりだな。みんなに何かしてあげたいな。

 

特に大淀には助けられてばっかりだ、感謝してもしきれない。

大淀には本当に負担をかけてばっかりだな私は。

 

不甲斐ない自分に腹が立つ

 

何も出来ない自分に腹が立つ

 

彼女達になにもしてあげれない自分に腹が立つ

 

 

まだ動く体で、まだできることをやろう

そうしよう

 

 

 

 

 

 

 

5月26日

 

 

 

 

ついに私の右手は機能しなくなった、このままいくと半身不随は免れないかもしれない。それでもできることをやっていくだけだ、今まで通りにはいかなくても、私には関係ない。

 

私には彼女達がついている、気の迷いなんて起こさない、自決なんてもっての他だ。勝手に置いていくことはしない、たくさんの思いでと私の生きた証を残して死ぬ。

 

それまでは死んでも死にきれないな。

 

皆が団結し、最強の艦隊を作り上げこの終わりない戦いを、争いを終わらせてやる。

 

私が死ぬまでにどれだけのことができるかわからないが、できることをできるだけやってやる。

 

それが私がこれから生きる道だ。

 

少しでも早くこの戦いを終わらせるのが今の私の

 

 

 

役目だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




提督の寿命が迫っていると実感した

彼の右手が機能しなくなり、悲しいという感情より始まったのだと言う覚悟が強くなった。それは私だけではなくきっと他の子達もそうでしょう。

皆が提督の事を想い、今一つになろうとしている。艦隊の士気は下がるどころか上がっている、他の艦隊との演習でいい結果を残すようにっなのは皆が力を合わせている証拠だろう。


だが提督の日記に気にることが描いてあった


それは深海棲艦との対話での終結だった



確かに深海棲艦の中に言葉を理解し話すことができるものもいる。しかしそれは怨念が募った負の感情から来る私怨の言葉とされてきた、所謂リピート再生みたいなものだと思われたいた。

でも提督はそれを彼女達自身が自分の意思で話していると思っているようだ。もしそうだとしたら、対話は成立し誰ももう傷つくことがなくなるのではないだろうか。失敗すれば命はないが成功すれば平和は訪れる、この提督の考えはきっと間違っていない。

でもこのことはきっと大本営も知っているはず


何か隠しているのだろうか




深く考えすぎるのは私の悪い癖だ、しかしもし提督が深海棲艦との対話を望んだのなら止めはしない。


全力でサポートするだけです。








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6月 「お前に、そしてお前達に…託す」

ここから物語語りが急速に動き出す


ラストまで突っ走るのでよろしくです!


6月3日

 

 

 

右腕が動かなくなってからもう何日も過ぎた

左手だけの生活にも慣れ、今では左手でも箸を持てるようになった。人間死ぬ気にならばある程度何でもできるんだなと実感した。

 

 

 

ふと今この鎮守府にいる皆のことがデータ化してあるファイルを見た。私は机のうえにある艦娘のデータファイルを手に取りそれを見る、そこにはこの鎮守府にいる艦娘達の細かなデータが載っている。もちろん妖精さん達の練度も載っている。このデータファイルは全部で5冊あり、全部で約130名ほどの艦娘のデータと各妖精さん達のデータが記載されている。

 

これを見るのはもちろん初めてではない、そもそもこれを作ったのは私なのだから。

 

艦娘が新たに着任した時や新しく改装したとき、妖精さん達なら練度が上がるたびに、そして成長につれて彼女らの練度の上昇により新しいデータに変えるときなんかでよく見ている。

 

新米の頃から作ってきたこのファイルがまさかこんなにも増えるなんて思ってもいなかったな、たったの数年でこの鎮守府も大きくなったものだ。

 

このファイルひとつでみんなの特徴が一発でわかる、このファイルのお陰で作戦もたてやすいし便利な物だ。

 

私がここを離れることになったらこのファイルは次の者に託そう。

 

 

きっと役に立つはずだ

 

 

 

 

 

 

 

6月7日

 

 

 

 

 

今日は台風が来た、鎮守府自体に影響はないが海は大荒れ、波は高く皆を海には出せない状況になっている。なので今皆は鎮守府に待機してもらっている、だがしかしこの台風で深海棲艦達が警備が薄くなった海域を進みこちらに向かってくるのではなかろうか…と…。

 

去年の梅雨時期にもこういった台風の日に深海棲艦達がこちらに近づいていたという報告があって危険を承知で出撃させたことがある…、あのときは本当にすまなかったと思っている。しかしこうするしかなかったのだ、すまない。

 

今年は気を付けておかねばならない、でないと去年の二の舞になってしまう。

 

だから私は手を打った、警戒に潜水艦達を当てた

 

こんな嵐のなかだが潜水艦達に鎮守府付近の警戒に当たってもらった、本当に申し訳ないな。

みんな快く行ってくれたみたいだか本当に心が痛む、彼女達には支えられてばっかだな…、イムヤなんて「今動けるのは私たちしか居ないんだからこれくらいどうってことないわよ!」と言って笑顔で答えてくれた。

私はそれを聞いて泣きそうになったのは内緒だ

 

無事に帰ってきてくれ

 

 

 

 

6月8日

 

 

 

 

潜水艦達の報告でわかったことは2つあった

 

1つ目は鎮守府近海に深海棲艦が見あたらない

 

2つ目は憶測だがもしかしたら戦力を蓄えるために集結しつつあるのでは、と言うことだ。

 

おかしい、普段なら近海にも駆逐艦くらいはいるはずなのだが昨日の台風の中行かせた潜水艦達の報告ではそれこそ敵影も何も見あたらなかったとのこと…だが少し進んだ海域には無数の敵の反応があったとのこと。

 

おびただしい数の敵が確認できたらしく彼女達でもどうしようもなかったと言っていた。見たことのないような数見つからないように帰ってきただけでも私は嬉しかった。よくぞ無事に戻ってきたと彼女達の目の前で年甲斐もなく泣いてしまった、心配だったんだこんな私を許してくれ。

 

報告があった距離から考えて深海棲艦達はいつでも攻撃できる態勢を整えていると見て間違いないだろう、近すぎず遠すぎない絶妙なところにいる。もしかして場所を変えず留まり続けるのならこちらから仕掛けるのもありだが果たして被害はどうなるか、数では圧倒的に負けているしこちらには練度がまだまだ足りない艦娘だっている。

 

作戦を考える、最善の道を考える、被害が少なく済む方法を考える。

 

 

 

まぁ私は、私が思う最善の道を行くまでだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月19日

 

 

 

今日大淀が一人で泣いているところを見てしまった

 

場所は執務室

 

どうしていいかわからなかった

 

慰めの言葉も気の利いた言葉も出なかった

 

ただ、泣く彼女を抱き寄せることしか出来なかった

 

こういう時はどうしたらいいのか正解が私にはわからない

 

だが理由は分かった、彼女は、大淀は私の日記を見たのだ。

あの日以来毎日欠かさず記されている日記を、いつから日記の存在を知ったのかは分からないが参ったな、きちんと直しておくべきだった。机の上においたまんまにしていたな、それで大淀が見てしまったのだな…私の失態だ。

 

 

ようやく落ち着いたので彼女と話した

 

日記を通して私の考えを読み説いた彼女の意見は私の意見に賛成してくれることだった、協力してくれると言うことだ。嬉しかった、嬉しかったんだ。一人で悩んであれこれして、また自分のなかで私は抱え込んでいた、それを今日また改めて思いしった。

 

もう少し頼っていいだな、もう一人で背負い込まなくていいだよな、そうだ…私にはこんなにも優秀な部下ばかりいるじゃないか。何をしてたんだろうな今まで私は、自分から突っぱねるようなことばかりして誰の力も借りようとせず結局私はあの時から何一つ変わっていないじゃないか。

 

 

もう私は一人じゃない……、一人じゃないんだ。

 

 

 

 

 

 

6月27日

 

 

 

先日皆を集め協力を呼び掛けたが誰も反対者はおらず、皆賛同してくれるようだった。そんな中人一倍張り切っていたのは電だ。

 

敵でも助けたい…、初めて会ったときから彼女がずっと言っていること。それは今でも変わらず私の意向を聞いたとき真っ先に声を上げ賛同してくれた。彼女の第二次世界大戦時の記憶が、駆逐艦電の乗組員やその艦長達の強い意志が彼女を造り上げているとしたら納得がいくな。

 

 

 

私達の単独の、独断の作戦を考える。

 

皆でやる最後の作戦、私の最後の作戦、私の最後の作戦指揮。

 

皆が意見をだしあいまとめ、事前情報も何もない私達だけが行う失敗が許されない一発本番の作戦。

そして何より

 

 

彼女達と初めて立てた作戦

 

 

 

 

失敗なんぞしてたまるか、これからの平和のために俺が人柱になるんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「皆、よく私のもとに集まってくれたこと感謝する。そして今回の作戦に参加してくれること、賛同してくれたことに感謝する。」

私は一人一人の顔を見るためぐるっと周囲を見やる、皆私に注目し静かに静聴している。

「今回の作戦は今まで以上に厳しいものとなる、他からの支援もなく事前情報は無くただただ強大な敵に我々だけが対抗する作戦となる。」

「失敗すれば死人が出るのも免れない、それに私も死ぬだろう…。」

もう一度皆を見、中には目に涙を溜めているものがいた。
自分の感情を圧し殺して私の話を聞いてくれている、ホントに私は恵まれているな。
私はこんなにも皆に思われている、それを再確認できてよかった。

「もし私に何かあったら大淀に一任している。私の代行者は大淀だ、だから……。」

「大淀…皆………、お前に、そしてお前達に…託す。」



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7月 僅かな灯火・燃える魂

何を思い何を残し、彼は去る

これが最後だから




私は皆のために戦える


7月2日

 

 

 

 

作戦準備で皆が動いている

 

編成から資材のやりくり、最終的な皆の練度の向上に尽力している。資材が少しばかり心もとないが集まってしまえば何時でも仕掛けられる。

着実に準備が進み皆の士気も向上し武器の整備も明石達のお陰でスムーズに進み作戦に参加するものと鎮守府に残り鎮守府を守るものに別れ想定される敵の行動を考え、私も一緒になって作戦を立てた。

 

 

 

鎮守府に残る長として大和と吹雪を私は選んだ

 

一番適任だろう

 

大和は統率能力や発言力があるからまとめ役にぴったりだし、吹雪はうちの最古参、誰よりも信頼されている私の初期艦。

 

きっと二人ならうまく統制をとり私達の帰る場所を守ってくれるはずだ。

 

出撃部隊は長門を旗艦として直で私が指揮をとる形になっている。

 

私は皆のように艤装がないから海に浮くことは出来ない。だから明石特製の小型帆船に乗ることになっている。最大速力が36ノット位、駆逐艦達と同じくらいの速力で航行し回避しながら敵の中枢に向かうという荒業戦法で行く。

自殺紛いの特攻だが私達はあくまで戦うつもりではないのだ、という意思を伝えるにはこれが手っ取り早いという考えだ

 

運転するのはもちろん明石だ、サブに夕張と照月に乗ってもらっている。

 

試運転もした。問題がなかったとは言い切れないが体感速度が少し早めに感じた位だ。

 

護衛戦闘部隊も長門を旗艦として約20名程で結成されている。数は少ないが私達は争いに行くのではない、それを敵にも知ってもらうための最低限の人数だ。

 

 

我々の決戦の日は近いな

 

 

 

 

 

 

 

久々に長い文を打って疲れた

 

 

 

 

7月8日

 

 

 

ついに資材や装備、皆の最終的な練度が私が思う今作戦に必要な数値に達した。

 

皆、よくやった。

 

これで戦える、私達の最後の戦いができる。

 

覚悟を決めろ、決意を固めろ、明るい未来のために命を燃やせ。

 

犠牲になるのが私だけなら

 

それdp8epagdMj.44dg8.-7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月8日

 

 

提督が倒れていた。

 

自室で口から血を流した状態で発見した。

 

机に突っ伏した状態でパソコンが起動したままのところを見ると何時ものように日記を打ち込んでいた途中に吐血し気を失ったのだろう。日記は途中までで続きが打ち込まれていなかった。

 

私はすぐに皆を呼び外に連絡を取り救急車を呼んだ。

 

忘れていたかった現実を見せつけられた、突きつけられた。

どうしてこんなにも試練とは立ちはだかって来るのか、乗り越えていかなきゃいけない壁が次々に現れて来るのか、どうして私達の提督がこんなにも苦労を、苦しい思いをしているのだろうか。どうして私達の提督がこんなにも苦痛と現実の荒波と戦っているのだろうか。

 

提督の背負う重荷を私が背負ってあげたい、提督が受けている苦痛を私が肩代わりしてあげたい。

 

何で提督なんだ、私じゃダメだったのか

 

私だったら修理がすればどんな怪我や状態異常も治るのに

 

どうして提督なんだ

 

私達の提督は提督ダケナノニ

 

どうして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシジャナイノ

 

 

 

 

 

 

 

7月9日

 

 

 

今提督は病院のベッドの中で安静にしているだろう、医者にはいつ目が覚めるか分からない、このまま目覚めない可能性もあると言われた。

 

イヤダ

 

どうして現実はこうも残酷なのか、提督になにもしてあげられない自分に腹が立つ。でも提督はこんな私を代行者として選んでくれた、提督の気持ちを裏切ることは出来ない、提督がいなくても私たちが提督の思いを繋いでいくんだ。

 

それに提督はまだ死んだと決まった訳じゃない

 

提督が目覚めたとき、そこに提督が望んだ平和が訪れたら提督への最高の恩返しだと思う。

私たちが出来る最後で最高の恩返し、提督のためにがんばります。

 

 

ちゃんとできたら誉めてくださいね?提督

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月10日

 

 

提督はまだ目覚めない

 

 

7月11日

 

 

提督はまだ目覚めない

 

 

7月12日

 

 

提督はまだ目覚めない

 

 

 

7月13日

 

 

提督はまだ目覚めない

 

 

 

 

7月14日

 

 

 

提督が目を覚ました

 

 

嬉しくて、涙が止まらない

 

 

でも容態が回復したわけではないらしい

 

 

それでも脳死かそのまま死かという状態で目覚めてくれたことに奇跡以外の言葉が出てこない

 

相変わらずボロボロの体なのにすぐに鎮守府に戻してくれ、帰してくれってわがままを言ったそうです。

ほんと提督は提督ですね、まさか起き上がってすぐ病院の脱走を試みるなんて無茶しすぎです。

 

皆があなたの帰りを心待ちにしております、早く帰ってきてくださいね。

 

 

 

提督、後は貴方が揃えば元通りの鎮守府です

 

貴方がいない間私、提督の代行者として頑張ったんですから誉めてくださいね、勿論皆もそれに付いてきてくれたのですから皆のことも誉めてください。

 

 

貴方が望んだ平和を貴方が掴んでください、私達は全力でサポートします。

 

私でもこの作戦を貴方無しで執行するつもりはありません。

提督あってのこの作戦、提督の言葉で声で指揮されたい、皆の意見は満場一致、思いはひとつ、最後まで貴方の艦娘であること。

 

 

 

 

提督と共に皆で新しい時代の幕を開きたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

7月18日

 

 

 

 

久々に鎮守府に帰って来た

 

感覚的には2~3日いなかった感じだがひどく懐かしく感じた。

 

 

 

気を失ったあの時から数えると実に10日ほど鎮守府を空けていたのだなと。話に聞くと私が気を失ったあの日から大淀が私の代行者としてうまくまとめてくれていたようだ、皆の準備も万全、何時でも行けるって感じだ。

 

皆には迷惑をかけたな、これからは私も参戦だ

 

明日にでも団結式をやろう!皆の心を今一つにし、この争いに終止符を打つんだ。

 

 

 

 

 

 

7月20日

 

 

 

 

明日より出港する

 

もしかしたらこれが最後の日記になるかもしれない

 

敵の本陣に着くのは約3日後、それまでなるべく戦闘は避けなければならない。

 

生かされたこの命で、残された時間は僅かしかないが残り少ない命の灯火をここで燃やし尽くしたとしても目的を果たすまで私は死なない、しねない!

 

平和へと向かう世界を見ずして死ねるものか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、人類史の一ページに私の名を艦娘達の名を刻もう!

 

誰もが思い描く美談のような方法で

 

 

必ず私は

 

 

 

 

深海悽艦を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し合いにて説得して見せる

 

 

 

 

 

 

 




いよいよクライマックス

物語は終盤に差し掛かる

次回は台詞が多くなりそう!それに今回みたいに日記丁が少ないかな?
次回は普通の小説っぽくなるかな


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8月 提督の猛火、そして終戦へ…… 前編

物語は最終局面へ

投稿が遅れて申し訳ございません。これから頑張っていくのでどうか最後まで見届けて下さい



本編


「いよいよ今日、歴史的作戦の出撃当日となる。」

 

グラウンドに集まったみんなを見て沸き上がる決意を固める。

 

「7月も終わりに近づき梅雨も明け、夏も本格的になる。これから天からの防ぎようのない日差しや、照り返す海からの逆光にさらされながら航行することになる。」

 

「こんな戦いにくい時期にこの作戦を決行することを皆に謝りたい……。すまない。」

 

深く頭を下げ心の底から謝罪の意を表す、気温が上がり額に汗をかきながら汗が滴り落ちるのを肌で、頬で感じる。

頭を上げまた皆の方に向き直る、一人一人覚悟が決まった顔をしている。

 

皆の真剣な顔を見て安堵した、心配してることも失敗することも無いと感じさせるいい面構えをしている。

 

「今回我々は敵が集結しつつある海域に向かう、そのため逆襲や強襲、闇討ちなんかに遭うかもしれない。」

 

「そうなってしまったらまず死人は確実に出るだろう。………………昨日まで、つい数刻まで一緒にいた仲間が居なくなる……。これから向かう戦場とはそういうところになることが予想される。」

 

深呼吸し続ける

 

「今までの作戦より過酷で厳しいものになるだろう。」

 

場は静寂に包まれ私の声がよく響く、私の声が皆に行き渡るのを感覚的に感じた。

 

「だが死人なんて私が許さない、遠足は帰ってくるまでが遠足だと言う。なら作戦も皆が無事この鎮守府に帰ってこれたら作戦も終わりだ。」

 

「一人でも欠けたら作戦は成功してもそれは成功とは言わない。悲しみが生まれ後に引くものも現れる、なら皆で笑顔で迎えられるように生きて帰ってこようじゃないか!」

 

力強く言葉を発する、私の気持ちを知ってもらいたい。この作戦にかける私の気持ちを皆に感じてもらいたい、皆には生きて帰ってきてほしいから。

 

勿論私もここで死ぬつもりはない、皆笑顔でこの鎮守府に帰ってくるんだから、死ぬわけにはいかない。

 

「無論私もこんなところでくたばるつもりはない、新しい時代を見ずには死ねないからな。」

 

私は微笑み

 

「皆で帰る場所を見失い途方に暮れている仲間達を…救いにいこう。私からは以上だ、各人各々の準備を怠らないように。」

 

提督はこれを最後の言葉とし壇上を降りる、皆の拍手の音を背に浴び執務室に戻る。

 

執務室に戻り最終的な身支度のチェックを済ませた後、出発のまでの時間を何して過ごすかと考えていると執務室のドアをノックする音が聞こえた。入っていいぞと声をかけると小さな声で「はい」とだけ聞こえ、その人物が入ってくる。

 

大淀だ。

 

弱々しい彼女の顔を見て私は彼女が抱く不安を察した。

普段は必ず見せることのない彼女の不安で曇った顔、色んな負の感情が読み取れる。何か言いたそうにしているが言えないのか言いたくないのか下唇を噛んで震えている、まるで悔しそうに。

 

私は大淀に近づきそっと抱き寄せ、頭を撫でる。

 

震えている彼女の体が私に伝わる、彼女の体温も鼓動も感じる。

 

暫くすると大淀は泣き始め、私に体を預け嗚咽する。溜め込んだ感情が溢れるかのように圧し殺していた声が漏れ、泣きじゃくる。肩から胸にかけて彼女の涙で濡れるのがわかる、きっと大粒の涙を流しているのだろう…。彼女が落ち着くまでどれだけ時間が経ったか分からないがその間私の決心と決意が強まる、私のやるべきことが今はっきりと自覚した。

 

ようやく落ち着き出したのか彼女の震えが治まりこちらを見上げた。

目元は腫れ、隈が出来ていて普段の彼女とは思えない顔をしている。寝不足なのだろう、それに昨日からずっと泣いていたのだろうな…。

 

彼女だけが不安を抱いてる訳じゃない、それはわかっている。この先どうなるかは分からないがこの戦争を終わらせることが出来れば彼女たち、そして私自身も笑って過ごせる日常がやってくるはずだ。

 

皆の笑顔を取り戻し平和な世界を作るため私は指揮を執り戦場に立たねばならない。

 

平和な未来への架け橋に私とこの鎮守府の艦隊はならねばならない。これ以上の犠牲は出さない、出すことは許されない、私が終わらせる、絶対に…。

 

「少し遅れたがそろそろ行こうか大淀、涙を拭いて準備が出来次第行こうか。」

 

ハンカチを渡しながら私は彼女に言った。

 

「はい…。」

 

力無く返事をしたが彼女の表情に曇りがなくなった。

覚悟が決まったのだろう。

 

時計を見ると出発時間を少し遅れていたが誰も呼びに来なかった辺り汲んでくれたのだろう、本当に気の利いた優しい艦娘ばかりだな。

 

艦娘だって感情がある、泣いて笑って怒る普通の人間と変わらない…。兵器なんかじゃないちゃんと心のある感情のある人間と同じなんだ、なら深海悽艦もそうあると思うのは必然ではないか?悪は無慈悲無感情とは言うけどだがしかし、悪は悪なりの思想があるはずだ。しかも深海悽艦は人語も話すと言う、それなら知能もあると見ていいだろう。

 

だがなぜ大本営は彼女達を敵として認識し殲滅したがるのか?

 

なぜ悪だと決めつけるのか?

 

私には分からない、分からないがそれはこれから私自身が調べればいいこと。

本当の悪はどちらなのか、世界の真実を私は見極めなければならない、きっと彼女達もここにいる艦娘達と何ら変わらない存在であると証明して見せなければならない。この戦いが終わったらまだまだ私に残されている仕事はある、それを終わらせるまで死ねない。

 

彼女達が安全に暮らせる場所をそして新しい認識をしてもらうために私はまだ死ねない。

 

やりとげる、きっとそれが私の天命なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「先程は申し訳ありませんでした、提督、準備が整いました何時でも出撃できます。」

 

準備を終えた大淀が私を迎えに来た、少し遅れたがいよいよだ。

 

 

 

 

 

 

さあ

 

 

 

 

 

 

 

 

歴史を変えようじゃないか…




「てーとく遅いなぁ~、なにやってるんだろ。」

「大淀さんも来てないみたいですね、どうしたんでしょうか。」

川内と神通がまだ来ていない提督と大淀を心配している、集合時間まであと5分を切ったと言うのに現れないのは確かにおかしい。時間には厳しい提督だから今まで集合があるときは遅れることはなかった。

それは大淀も同じ、きっと二人の間で何かあったのだろう。提督の演説の時横で暗い顔をしていたのだから。

「心配することはない、きっと大丈夫だ。いつだってあの男は私達を第一に考えてきた男。きっと大淀を今頃なだめてるんじゃないか?」

「不安なのはわかるがこの作戦が上手くいけば救われる命がある、そう提督は言っていたじゃないか。それに私達を誰一人として失わないと、自身も死なないとあいつが自信たっぷりにいい放ったんだ私たちはそれに着いていき提督の期待に応えるのが私らの使命だろ?」

横から武蔵が割って入ってきたがさすがだな、いいことを言う。

「提督自身だって不安でいっぱいだろう、でもそんな提督は私たちの不安を少しでも和らげようと努力してくれている。」

「静かに待とうじゃないか、騒いでいても仕方ない。騒いでいても提督の不安を駆り立てるだけだ、大淀は提督に任せて静かに待とう。」

「そうですね長門さん、武蔵さん。」

「うん。」

「そう言うことだ。」

これこら来る未来を私たちが作る、今度こそこれで終わりだ。

提督が望む世界を必ず実現して見せる、そのために私たちは貴方に付き添うさ。






皆で笑っていられる世界のために……。


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8月 提督の灯火、そして終戦へ…… 中編

いよいよ大詰めです
長くなったので切りました


中編です



それでは本編


鎮守府の防衛組を残して我々は敵の中枢へ出撃した。

 

一週間ほど観察していたが場所は移動しておらず、ただその一点の海域のみに敵が集中している。他の深海悽艦も集結しつつあるようだ、彼女たちも戦力を蓄えている。

 

数的有利なのはあちらの方だ、しかし私たちは争いをしに来た訳じゃない…、あちらも本気でこちらを潰すつもりなのだろうな。

交渉が上手くいかなければ最悪全滅だ、一人残らず殺されてしまうだろう。

しかし皆は私を信じてここまで付いてきてくれたのだ必ず成功させて見せる、必ず…。

 

 

 

回りを見て皆の表情から不安な感情を読み取れる、あの長門でも少し曇った表情をしている。

 

それもそのはず、今から我々が向かうのは敵の中枢。

 

それに10倍以上の戦力差があるのだ…、正気じゃないよな。

それでも皆覚悟を持ってここにいる、鎮守府に残っている皆だって一緒だ。

 

もちろん私も覚悟をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5時間ほど進んだ頃空に異変があった、敵がいると思われる方角から黒い雲のような物体が浮かんでいるのが見える。

その物体を観察していると動いているように見えた、もしかしたら広がっているのかもしれない。それに加えて辺りが暗くなってきた、まだ夕方の時間帯にもなっていないのにもう辺りが薄暗い。

きっとこの雲のような物が光を遮っているのだろう。

 

しかしふと私は思う。

 

これだけの規模だ、私以外にもこの異変に気づいているものは居なかったのだろうか?大本営はこの異変に気づいていないのか?これだけ広い範囲で、しかも敵が集中している海域があるのに上層部は誰も気づいていないのか?いや、気づいていないなんてあるわけがない。私だって気づいていたのだ、誰も気づいていないと言うことは無いはずだ…。

 

ならなぜこの海域に誰も目を付けなかったのか、なぜ誰もこの海域に近づかなかったのか…、規模が拡大し始めたのもここ最近の事。

報告は私が報告する前にも報告があったはずだ…、あくまで仮定だが。

私がこの海域に出撃を申請したときも何時も通りの返事しかこなかった、援軍の必要の有無も、海域の情報も何一つ教えてもらっていない。だから私たちは自分達で情報を集め、ほぼ独断でこの海域に進出している。

だから準備に時間もかかったし、編成を考えるのも何時も以上に苦労した。

 

もし

 

もしもの話だが

 

上層部が我々を捨て駒扱いしていたとすれば?

 

もし自分達の手柄を、武勲を立てるべく我々を先行させて我々の失敗を待ち漁夫の利で攻略し、美味しいところだけ持っていこうとしているとすれば?

 

悪い考えばかりしてしまうがこれだけ前情報の無い作戦は初めてだし、そう考えるほうが辻褄が合う。

 

 

 

これじゃぁ前も後ろも敵だらけじゃないか…。

 

手柄が欲しいわけではないが、この作戦に失敗は許されない。失敗すれば敵の中枢だ……、逃げ場なんて無いだろうな、逃がしてもくれないだろう。

 

 

うだうだ考えててもしょうがない、今私が出来ることは彼女達を信じ己を信じて前に進むだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして遂に辺りは暗くなり、まだ昼を過ぎた時間帯なのに夜のように暗闇に包まれた……

 

 

 

 

 

 

 

 

皆が探消灯を点け前進航路を見張る、偵察機も発艦して敵の接近に注意する。

 

あと2~3時間ほどで目的の海域に到達する、皆の顔が緊張の色に変わる。

 

レーダーにも敵の反応が近づいていることが分かる、着実に死地に向かっている……震えが止まらない……ここまで来て恐怖が私の体を蝕む…、今すぐにでも逃げ出したい位だ。

 

鼓動が速くなっていくのが分かる、呼吸が荒くなっているのが分かる…

 

 

怖い

 

怖い

 

怖い

 

怖い

 

怖い

 

怖い

 

 

「?!」

 

誰かが私の肩に触れる、優しくそっと置くように。

 

「提督…、やはり怖いのですか?」

 

声で誰かわかった、照月か。

 

鋭い、痛いくらいに鋭い。

指揮官がこれじゃ示しがつかないな、私が皆の足を引っ張ってどうするんだ、私が引っ張っていかなきゃ行けないんじゃないのか?

まったく臆していた、察せられても当然か…。

私は照月の方を見て話す。

 

「怖いさ、怖い。」

 

「敵はもう目の前だし数も多い、それに私は生身だ艦娘ほど頑丈には出来てない。」

 

「それにすぐに狙われる対象だ、私は提督だからな。こんな状況で恐怖しないほうがおかしい。」

 

少し素直に答えすぎた、つい自分の弱いところが出てしまった。これじゃ彼女の不安を煽るだけだ。

 

「でも提督は約束してくださいました。時代の行く末を見るまで死なないと…。」

 

「だから私たちはその言葉を信じ今ここに立ってます。提督は違うのですか?私たちのこと信じていないのですか?」

 

言葉を失った

 

死なないと誓ったのに、誰一人として犠牲は出さないと皆の前で誓ったはずなのに私は弱気になっていた。

「私たちのこと信じていないのですか?」か、彼女たちは私のことを信じてくれているのに私は……。

 

情けない、本当に情けない…。

 

私が勇気付けられてどうするんだ、鼓舞するのは上官の使命だろう。

提督失格だな。

 

 

私は回りを見渡す、いくつもの凛々しい顔が見える。

不安の影が無く真剣な眼差しで哨戒機の妖精さんと連絡を取り陣形を組む、ソナーや電探で敵の動向に注意している。

 

まったく回りを見ていなかった、自分のことで一杯だった。

何時も無線でやり取りしていたが今回は私自身初めての前線での指揮、こうやって彼女たちの顔を見ることはなかったが皆こんな顔で戦場にたっているのだな。

 

『ジジ…』

 

急に無線がつながる

 

『提督、聞こえるか。』

 

長門だ

 

『何を恐怖しているのか分からないがお前には我々がいる、お前が約束してくれたように我々はここで沈むわけにはいかないのだ。』

 

『それに今ここに率いてきたのはお前が育て上げた最強の艦隊だろ、どんな相手でも負けることはない…私たちはいつだってお前に背中を預けている!』

 

『男ならドンと胸を張れ!!! 』

 

長門の言葉が突き刺さる、きっと他の皆も同じ事を思ってるはずだ。

 

だがもう大丈夫だ

 

もう大丈夫だ

 

まだまだ彼女たちより私の覚悟がなかった、だがもうこれ以上心配を掛けることはない、これからは何時も通りの私でいよう。執務室で指揮を執るときの私になろう。

 

大丈夫

 

大丈夫

 

大j

 

『しれぇ!深呼吸です!しれぇならきっと大丈夫!』

 

『提督は心配はないよ、僕らが付いてる。』

 

『提督、あなたがいれば私は不幸じゃない。あなたがいない世界のほうが不幸だわ。』

 

『山城、それは少し告白気味では?『な!!』では提督必ず生きて帰りましょう、私たちの帰りを待ってる人もいるのですから『姉様?別に私はそう言う意味で言ったのではないのですよ?!』うふふふ、どうかしらね?』

 

『そんなわけでていとくぅ、私も大井っちも今回ばかりは今まで以上に本気だからよろしくぅ。』

 

『なに言ってるんですか北上さん!でも今回ばかりは怒りますからね!しっかりしてくださいな!』

 

『空のことはウチらに任しとき!一航戦も五航戦もついとるからな!』

 

『無線連絡で余計なことを言ってる暇があるなら索敵しなさい。』

 

『加賀さん?先に言われたからってそんなこと言わないの。』

 

『ごめんなさい赤城さん、…龍驤さんの言うとおり。空は私たちが居ます、任せてちょうだい。』

 

『私達からは特に言うことはありません、提督さん、必ず生きて帰りましょう。』

 

『いよっ!翔鶴姉!提督には勝利の女神が付いてるから安心してね!』

 

『それはワタシのことですか!』『いいや僕のことかな?』『わたしのことよ!』

 

『では潜水艦組からも一言、『『『大丈夫』』なのね!』でち!』

 

「皆…。」

 

涙が込み上げてくる、皆から勇気をもらえた。

 

皆が私を信じ、私に付いてきてくれている、なら私も彼女達を信じる。皆で笑える世界を目指し、前に…。

 

皆の励ましを無線で聴く

 

皆の気持ちが伝わってくる

 

こんなにも心が満たされるのは何時ぶりだろうか

 

何時からか恐怖と言う感情が消え去る、不安も何もない。悪いイメージが振り払われ、体がさっきより軽くなった気がする。

 

「皆、ありがとう、私はもう大丈夫だ。」

 

「心配を掛けたな、皆のお陰で私は自分の弱さに打ち勝った、大丈夫。私も皆を信じてる。」

 

皆の声を聞き私の胸が熱くなる。

 

嬉しさがこみ上げ、目頭が熱くなる。

 

体は恐怖の震えから嬉しさの震えに変わる。

 

私は恵まれている、ここまで慕ってくれている仲間がいる。

 

初めから怖いものなんてない、いつだって信じ合える仲間達がいる。だから前に進み続けられる。

 

『司令官さん』

 

無線が繋がる

 

『司令官さんは約束してくださいました。助け出すって、救い出すって。』

 

『敵を救いたいと話したとき親身になって電の話を聞いてくれたこと、今でも覚えています。』

 

『だから今回の作戦内容を聞いたとき嬉しかったのです。電の思いが届いたんだと、手を取り合える未来が来る可能性が出来たことに…。』

 

『司令官さん!絶対に救いましょう!お家に帰れずに困ってる娘達を!』

 

「あぁ、救うさ…必ず。」

 

そうだ、電の相談が今この作戦を作り上げ形にしたんだ。

 

彼女の思いを無下には出来ない。

 

 

 

 

「さぁ、居場所のない彼女達を…救いに行こう……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《精神攻撃を仕掛けたが自我を保てたようだ。敵はそれなりに厄介だぞ?》

 

《そうか、あの精神汚染電波を食らっても立ち直れたのか、敵は少数だが確かに厄介そうだな。》

 

《提督と艦娘の絆か……忌々しい。早くぐちゃぐちゃに潰してやりたい…。》

 

《あぁ、奴等を潰して反撃の狼煙としよう。》

 

《憎き奴等は一人残らず殺す。》

 

《生きて帰すな、全員海の藻屑にする。》

 

《我々が受けた仕打ちを今ここで》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《返す時だ……!!!》



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8月 提督の残炎、そして終戦へ…… 後編

期間が空いて申し訳ない

あと電提督の方々、ごめんなさい






それでは本編


空は赤黒い雲が渦巻き、風は無く生ぬるい空気が頬を撫でる。

 

空母隊の通信により相手の数がおおまかにわかった、数にしてざっと250は超えておりあちらも偵察機を出しこちらの動向を伺っているようだ。

攻撃してこないところを見るとただただ観察しているようにも見える、遠目からでもわかるほど深海棲艦の艦載機は青白い光を放ちながら上空を隊を成して飛んでいる。

 

 

 

 

深海棲艦逹との距離が縮まる。

 

10km、5km、ついには1kmほどまで近いた、肉眼でもわかるほど近づき黒いシルエットの中に淡く青白く光る深海棲艦の目が目立つ。

我々の艦隊をじっと見つめ海中からも潜水艦がこちらを見てるのもわかる。

 

そしてついに我々は彼女逹の目の前まで来た。

 

深海棲艦は我々の到着を見て円を描くように我々の艦隊を囲む、ぐるっと見渡した感じ資料にもデータにもない見たことのない深海棲艦もいるようだ。

 

上は艦載機で、下は潜水艦、そして周囲は深海棲艦、まさに逃げ場は無い状態。

 

何処からともなく静かでそれでいてはっきりと耳に残るような声が聞こえてきた。

 

「オ前逹ハ何故コノ海域二来タ……。」

 

すると深海棲艦の中から他とは違い一回り大きい深海棲艦が出てきた、戦艦級だろう大きな砲を持っている。

今まで見てきた戦艦級の深海棲艦の中でも異質で明らかに強いかがわかる。

 

彼女の問いかけに私は答える。

 

「私達は貴女方と話をしに来た。」

 

私の返事に対し特に表情も変えず驚いた様子もない、しかし握られた拳が震えている。

強く、強く握られたその拳から血が滴り落ちる、相当な力がこもっているのだろう。

 

「話シ合イ…ダト?今更ナニヲ話シ合オウト言ウノダ。」

 

「人間側ノ降伏カ?ソレトモ我々二寝返ルカ?マァドチラニセヨオ前逹ハココデ殺スガナ…。」

 

強い感情を押し殺しているのがわかる、彼女の深い憎しみや負の感情が伝わる。

 

提督は甲板に出て彼女と向き合う。

 

提督自身に恐怖心はない、堂々たる姿勢で言葉を返す。

 

「降伏するつもりもないし寝返るつもりもない、我々はこの不毛な争いを終わらせるために来たのだ。」

 

「双方に対立がなく理由もなく始まってしまったこの戦争を私逹は終わらせに来たのだ。」

 

彼女は少し目を見開き提督の話に耳を傾ける、すぐに真剣な眼差しに変わり提督を見る。

 

「私は必ず共存できる未来が有ると信じここまで来た、それに…他人のような気がしないんだ………。」

 

「艦娘を見てるときも貴女とこうやって向かい合っていても思う、既視感が強すぎる……。」

 

「君のその砲搭を見てすぐにわかったよ、君は間違いなく大和型戦艦だろう。そんな規格外な砲搭を扱う戦艦は世界中探してもそうはいない。」

 

「もう一度言う、話し合おう。おたがいの未来のために、何ができるのか話し合おう。これは休戦の申し出では無い、終戦に繋がる申し出だ。」

 

「必ず貴女方の帰る場所を私が作る。」

 

彼女がうつむき周りの深海棲艦も動揺しているような表情だ、ざわめきが起こり落ち着きがなくなってきた。だがそれもほどなくして収まり辺りが静けさに覆われる。

風の音が耳を通り、波が打ち上げる音がひどく大きく聞こえる。

 

彼女がゆっくりと頭を上げ一言ポツリと言う。

 

「…モウ終ワリカ?……ゴ託ハモウ終ワリカ?」

 

「居場所ナンゾ自分達デ作ル、オ前逹ヲ消シテカラデモ遅クハナイ。」

 

「ソレニ…」

 

「ソレニ言ッタダロ…?オ前逹ハココデ殺スト……!」

 

「貴様ラガ今マデ犠牲二シテキタ者逹ノ恨ミヲ……、後悔ヲ……思イ知レ!!!!!」

 

「悲シミノ中デ沈ンデイケ!」ドゴォォオオオオオオン!!!!!

 

砲声が轟き艤装が一気に展開される、そしてその砲弾はターゲットを捉えその先を確認する。

 

そこにいたのは

 

「電ぁぁああああ!よけろぉぉおおお!!!!!」

 

「しれいか……」ドボォゴォオオオォォォン!!!!!

 

提督の声は砲撃音で掻き消される、皆反応が遅れた。電自身も反応が遅れ回避が出来ない、直撃だった。鉄の焼けた匂い、肉の焼ける匂い、色んな匂いが立ちこめる。

近くにいた五十鈴が駆け寄る、泣きそうなぐちゃぐちゃな表情だが涙をこらえ電を抱えてこちらに来る。

 

「五十鈴!電は大丈夫か!?」

 

「息はしてるけど損傷がひどいわ、早く明石のところにつれていかなくっちゃ!」

 

「頼む五十鈴。」

 

「うん!」

 

力強く頷き五十鈴は電を抱え明石の元に行く。

 

皆艤装をそれぞれ展開し戦闘態勢をとっている、だが提督は無線を繋げ皆に武装解除を命令する。

 

「武装を解け、我々は争いに来たわけではないと言っただろう。誰の許可で艤装を展開している。」

 

その問いに長門が答える。

 

「だが仲間が一人瀕死に追い込まれたんだぞ!こちらも黙って見てるわけには…「電は死んでいない…、死んではいない。」

 

「それに作戦が失敗すればどのみち皆死ぬ。」

 

「この作戦だって一番張り切ってたのは電だってお前も知ってるだろ……。」

 

「死を覚悟できないやつが、生きたいと願うな!」

 

提督の恫喝で皆武装を解く、長門は目に涙を浮かべその場にへたりこむ。

 

初めて見る提督の怒りの形相に皆が震える。

 

「フヒヒヒヒハハハハハ……茶番ハ終リカ?」

 

「強イ信念ダナ、ダガソレガ仲間ヲ殺ス。マァソレガ望ミカ?」

 

「フハハハハハハハハハアハハハハハヒヒヒヒヒヒヒヒアハハハハ!!!!!」

 

高笑いがすぎる、それにつられて他の深海棲艦も笑いだす。

 

後ろからコツコツと一人の足音が聞こえてくる、すぐにわかった大淀だ。

 

「すみません提督……。」

 

「私はもう我慢が出来ません…。」

 

大淀は艤装を展開し砲口を敵方に向ける、軽巡の砲撃では戦艦の装甲を貫けないだろうが距離は至近距離確実に命中する距離。

 

それでも距離にして10mもない、多少は効くかもしれない。だが今はそれではいけない、提督は大淀を止めに入る。

 

「やめろ!大淀!聞こえなかったのか!」

 

「聞こえました聴いてました、でも私は我慢できません!」

 

「最後まで聞き分けの無い部下で申し訳ありません、提督。」

 

「よせ…やめろ……やめろ…。」

 

「フヒヒヒヒハハハ…軽巡の砲で私が傷ツクトハ思ワンガ片腕くらいは持ッテイケヨ?」

 

「提督は耳を塞いでいてください…。」

 

 

大淀の血走った表情が脳裏に焼き付く、電が撃たれ傷付き倒れた、それだけでも彼女の怒りを誘うには十分すぎる。

 

それでも私は

 

皆を救いたい……。

 

「コイ……、軽巡!!!!!」

 

「黙れ、下衆が…!!」ボゴォォオオオン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

至近距離、命中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思われたが砲口が上を向いている。

 

砲弾は狙いを外し深海棲艦を僅かに逸れ遠くの海に着弾し水柱を作る。

 

なにが起こったのかわからなかった、だがすぐに理由は判明した。

 

大淀の砲身を掴む手があった

 

動かないはずの提督の右手が大淀の砲身を掴んでいた

 

麻痺していたはずの右腕が動いたのか

 

提督は耳から血を流しながら大淀の砲身を掴んでいた

 

 

 

至近距離での砲撃による音と衝撃が提督の鼓膜を破壊したのだ

 

提督の右手も砲撃による熱で掌が火傷し砲身にくっついている

 

そこから血が滴り掌の皮を砲身に残しだらりと力無く下がる

 

それと同時に提督自身も膝から崩れ落ちた

 

意識はなく気絶している

 

だが彼は確かに言っていた、気絶していながら微かに喋っていた。

 

「………深海棲……で…も………ん娘でも…これ…いじょ………の、ぎせ……は…私が……ゆ…る……ない………。」

 

提督のもとに皆が駆け寄る、泣きながら提督を呼ぶ声が海域に響き渡る。

 

大淀が謝りながら泣き崩れている

 

長門と睦月が提督を抱え医務室まで運ぶ

 

提督の勇姿に皆が泣く

 

最後まで自分の意志を貫き通した提督の姿を

 

この場に居るものは誰も忘れないだろう

 

この一人の男が

 

力無き男が見せた自己犠牲を

 

本気で平和を望む男の姿を

 

忘れることは無いだろう

 

 

 

それは深海棲艦も同じだった

 

 

 

今までこんな人間がいただろうか

 

我々を敵視し、襲ってくるだけの人間しか知らないのに

 

こんな人間が本当にいたのだな

 

この男になら

 

 

 

そう

 

 

 

この男になら

 

我々の未来を託してもいいのではないか?

 

 

こんな男がいるのなら

 

艦娘であったときに

 

 

 

 

 

会いたかった………

 

 

 

 

 

 

 

戦艦級の深海棲艦の合図で深海棲艦側の艤装が解かれる。

 

囲んでいた軍勢も戦艦級の深海棲艦を先頭に一気に整列し直す、艦娘側は何が起こったのかわからないまま呆気に取られている。

 

殺気立った表情をしていたのに今では穏やかな表情をしている、彼女逹の中でどれ程の心境の変化があったかはわからないがこれも提督の行動によるものだろうと皆は推測する。

 

先頭の深海棲艦がこちらに近づいてくる、そして大淀に声をかけた。

 

「イツマデモ泣イテハツマランダロウ…。」

 

「何の…ようでずが……。」

 

「……アノ男二伝エテオイトイテ欲シイ。」

 

「我々モ平和ヲ望ム、貴方ノ傷ガ癒エタナラバ正式に終戦へト準備ヲ進メル…ト。」

 

「……それは…本当ですか…?」

 

「アァ勿論ダ、我々ハ貴女方ノ鎮守府近海二根城ヲ移シ監視下二置カレヨウ。」

 

「わかり…ました、それではこれより引き返します。」

 

大淀は涙を拭き皆に告げる。

 

空は何時しか晴れ

 

「それでは皆さん、私達の鎮守府に帰りましょう。皆が帰りを待ってます。」

 

 

 

こうして一人の男の行動が世界を平和へと導いた。

 

 

 

来た航路を向いてまっすぐに鎮守府に帰って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先ほどは砲を向けてしまい申し訳ありませんでした。」

 

「謝ルコトデハナイ、私ハ貴女方ノ仲間ヲ一人傷付ケテシマッタノダカラ。」

 

「裁カレルノハ私ダケデ十分ダ、私ダケノ犠牲デ皆ガ救ワレルナラ安いイモノダ。」

 

「誰もそんなこと望んではいないですよ、勿論私達の提督がそれを許さないでしょう。」

 

「……ソウ…カ…ソウダヨナ………。」

 

「…はい…。」

 

遠目でも分かるほど陸が近づいてきた。

 

「見てください、我々の鎮守府が近づいてきましたよ。」

 

「アァ見エル…見エルヨ……。」

 

目に涙を溜め感涙に浸る、声が喉を通らずなんといっていいかわからないような感情が心を埋め尽くす。

 

「………………。」

 

「…………タダイマ……。」

 

「…おかえりなさい、戦艦大和……。」

 

「…………タダイマ、大淀。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女逹の戦いが一つ幕を下りた。

 

 

この暑い夏の日を、関わった当事者達は一生忘れることは無いだろう。

 

一人の男の勇姿を忘れはしないだろう。

 

 

 

 

 




取り敢えず一段落付きました

あとは突っ走るだけです!これからもよろしくお願いします!


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9月 訪れる平和と静寂

前回から考えたらものすごい早さで書いた今回の話

提督にはもう少し頑張ってもらいましょう


それでは本編


目が覚めた、見知らぬ天井…と言いたいところだがよく知る天井だった。

体が思うように動かない、無理やり体を起こし、目に映ったのはギプスと包帯で固められた右腕と傍で寝ていた大淀が居るのがわかる。

 

今まで看病してくれていたのだろうか、彼女が目覚めたらお礼を言わないとな……、しかし外は明るいのにやけに静かだな、駆逐艦逹の声が聞こえていてもいいと思うのだが、誰も外に出ていないのか?

 

しかしそれよりも私が生きているということは和平が成立したのか、それとも命からがら逃げられてこれたのか、私が気絶している間に何が起こったのか知りたい。

すぐ近くに大淀が居るが私の看病で疲れているだろうからあまり無茶はさせたくないし、ゆっくりと寝かせてあげたい。

 

誰か他に人を呼べるようなものがないか探していると左の扉が開き誰かが入ってくる。

 

ゆっくりと入って来たのは明石だった、しかしノックもなしに入ってくるとは…まったく、明石らしいといえば明石らしいが。

 

目があって声をかけようとしたが驚いた様子で勢いよく戸を閉めて何処かへ行ってしまっ………た?

 

何故、戸を閉めた音が聞こえなかった…?

 

そうだ、勢いよく閉めたはずだ、見て分かるほど強く閉めていたはずだが私には何も聞こえなかった…。

そういえばまだ夏だとというのに蝉の鳴き声も聞こえないじゃないか、この時期は元気いっぱいの蝉の鳴き声が聞こえてくるはずなのに、何故?

 

考えてもわからない、だがもしそうなら…

 

「 」

 

やはり自分が口にした言葉が自分で聞き取れない、確信した、私は聴覚を失ってしまったようだ。

 

これじゃ会話が出来ないじゃないか、せっかく対話による和平を結ぶはずだったのに、話せなくなったならもう私は提督を辞めなければならなくなる。

 

こんなことになるんだったら手話くらい覚えておけば良かったかな、だが聴覚が無くなったからといって今さら慌てる事もないが………。もう皆の元気な声を聞くことが出来ないのが残念で仕方ない。

 

そうこう考えてるうちにまた新たな入室者が現れた。

 

扉から飛び込んで来たのは金剛だった。

 

今まで見たこともないような嬉しそうな顔をしている、しかし速かったな、明石が部屋を出てからまだ2分と経っていなかったが私が起きたという事を明石から聞きつけ急いで来たのだろう、顔に汗を流し肩が上下しているから分かる。

 

まったく大淀が寝ているのに慌ただしいな、起きたらどうするんだ、疲れているだろうにゆっくり寝かせてやろうよ。…と思ったところで私の声は届かないか…、早速弊害が出たな。

 

しかしホントに来るのが速かったな、こういうときはだいたい島風が一番なんだが…、と思っていたらまたドアが開く。

今度は島風だった、自分が一番じゃないことが驚きの様子だ、不満そうな顔をしている。私は島風に対して手招きをしぴょこぴょこ近づいてきた彼女の頭を撫でてやる、今私の出来ることはこうやって慰めるしかないからな。

 

島風はご満悦のようだが今度は金剛が不満そうな顔をしている、大人げないなぁ。

金剛も呼んで彼女の頭も撫でてやる、私は怪我人だぞ、私に気を使わせてどうする。

 

二人で何か話しているようだが残念ながら私には聞こえない、どんな会話をしてるのかな、口の動きだけじゃさすがにわからない。

 

すると島風が思い出したように部屋を出る、金剛はそれを見送り私を見てにこにこしている。私が起きたのがよほど嬉しかったのだろう、私も会話してやりたいがいかんせん音が拾えないから会話が出来ない。

 

しかし金剛の様子を見ていると私に話しかけてくる様子がまったくない、私が話せなくなっている、耳が聞こえなくなっている事をすでに知っていたのだろうか。

 

 

島風が部屋を出てから数分後長門と陸奥、赤城と加賀が部屋に入ってきた。そのタイミングで大淀も起き、私が起きていたことに驚いたようだ。

 

普段見せない姿を見られて顔を赤くしている。

 

程なくして私の姿を見て安心したのか長門と陸奥が退室し入れ替わりで島風が帰って来た。

手には大量のコピー紙と下敷き、マジックペンを持っていた。

 

私はそれを受け取り島風はまた元気に退室していった。

 

なるほど筆談か、その手があったか。

 

私は紙とペンを取り慣れない左手で文字を書く。

 

《あのあとどうなった?》

 

つたなく汚い字ではあるがまぁ読めるだろう、大淀がペンを持ち問いに答える。

 

《作戦は成功です、誰一人失うこと無く深海棲艦側と和平を結ぶことが出来ました。》

 

《そして提督、今回の提督の怪我は私のせいです、申し訳ありませんでした。》

 

私の体なんて気にしなくていいのに、しかしそうか、誰も失うこと無く済んだのか。そうだ電は、電はどうしたんだ?

 

《わたしのけがのことはだいじょうぶきにしないでくれ、わたしがいきているならそれでいい、いのちあってこそだ。》

 

《それより、いなづまはどうした?かのじょはぶじか?》

 

《電ちゃんは無事修復も済み、他の子達と遊べています、すっかり元気になりました。出撃も演習も遠征も無くなったので今は勉学に励んでいます。》

 

《海防艦の子達も勉学に励んでいますよ。》

 

そっか、ホントに全部終わったんだな。

駆逐艦達や海防艦達も勉強しているのか…、なら何故島風は私のお見舞いに来たんだ?まさか勝手に抜け出したんじゃないだろうか、まったく…。

 

《みんながいきていてくれてよかった、わたしもいきてかえれてよかった、みんなとのやくそくをまもることができてよかった。》

 

《あらためて、おつかれさま》

 

大淀が目に涙を浮かべながらペンを握る。

最後まで泣いてばっかりだったな、大淀。

 

《提督もお疲れさまでした、怪我の回復心よりお祈りしております。》

 

「 」

 

ありがとう、お疲れ様、はっきりと言葉になったか分からないが音程も発音も聞き取れないけれど自分の言葉で私は伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

《ところでわたしはなんにちねていた?》

 

《9日程です。》

 

 

《それと提督が目覚めたら会ってもらう人物が居ます。》

 

私に会ってもらう人?

 

《だれだ?》

 

《島田暮一元帥です。提督が目覚めたらそちらに向かうと連絡が入っています。》

 

元帥が直々に私に用件があるとは、今回の作戦のことか。まぁそうだよな、歴史的快挙を成し遂げたのだから。

 

《わかった、いつおみえになる》

 

《今から連絡をいれても約5日程後です。》

 

5日か、怪我の完治は見込めなそうだな。みすぼらしい姿で会うのは失礼だろうが今回ばかりは仕方ないだろう、どんなことを聞かれるのか不安だな。

 

《わかった、いますぐにれんらくをいれてじゅんびにかかろう。》

 

《まかせたぞ、おおよど。》

 

《承知しました、お任せください。》

 

大淀が退室し赤城と加賀が残る。

 

《なにかつたえたいことがあるのか?》

 

私は二人に質問する、すると加賀がペンを取り

 

《提督はこのまま提督を続けたいと思っていますか?》

 

…私の体を労っての質問だろうがどういう意図があるのかわからないな。こんな体でも続けるか否か、勿論私は続けるつもりでいる、皆の新しい門出を新しい時代を見ずしてこの職を降りるつもりはない。

 

《つづけるよ、だれがなんといおうとね。》

 

加賀は安堵した表情で赤城は嬉しそうな表情でこちらをみる。

 

《よかった。》

 

たった一言だけだったが彼女の気持ちが込められている、まだ私は提督でいていいようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話が終わり赤城と加賀が退室する

 

病室に一人

 

独り

 

静かな世界のなかで私はベッドに横たわる

 

紙とペンを机におき

 

ベッドに沈む感覚を感じながら眠りにつく………

 

 

 

 

 

目を閉じ、静寂と闇のなかに意識を落とす

 

すぐに提督は静かな眠りについた…

 

 

 




艦娘同士の会話は脳内保管で

余力があれば番外編で出します


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9月追記 元帥の訪問

安定の亀更新ですね、はい(反省してない)

後もう少しです、頑張っていきましょう。


左手で文字を書くのにも慣れ難しい漢字以外なら難なく書くことが出来るようになった、だがそれでもお世辞にも綺麗とはいえないような字だ。

 

鼓膜の方も1ヶ月もすれば自然治癒でなんとかなるとのこと、まだ耳鳴りや物音が聞こえづらいのは変わりないが死ぬ前に治るのであれば不幸中の幸いだな。

 

 

 

 

 

 

今日は元帥直々に話があるということで本部からわざわざこちらに来られる、皆に話は行き渡ってるはずだがうちの娘達が元帥に対して粗相を起こさないか心配である。

 

失礼等無いようにしっかりとしてもらいたい。

 

予定では昼過ぎには来られる、大淀が門の前で元帥の到着を待っている。私はまだ体の自由が利かないので病室のベッドの上だ、まだ車椅子が無いと移動が出来ないし押してもらわないといけない、自分一人じゃ移動も儘ならない。

 

そうやって窓の外を眺めていると一台の車が到着した、元帥の到着だ。

 

大淀が丁重に案内をしている、私の方も心の準備をしなくてはな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、初めましてだね。笹木原大将。」

 

元帥が何か話しかけてくれたが生憎私には聞こえなかった、気を利かせて大淀が紙とペンを元帥に渡し説明している。

 

「おぉ、すまなかった、配慮に欠けたな。」

 

「そういえば耳が聞こえなくなっていたのだったな、すまない。」

 

またなにかしら呟いたところで元帥はペンを持ち紙に書いていく。

 

『初めまして笹木原大将、今戦い、作戦での君の活躍よく聞いているよ。ご苦労だった。』

 

元帥直々の労いの言葉に私は目頭が熱くなる。

 

溢れようとしてくる涙をこらえ返事をする。

 

『ありがとうございます、この度の私の無茶を通していただき感謝しています。』

 

私のあの作戦を通してもらった、だから今の現実がある。

 

 

そして元帥は続ける。

 

『初めは私も馬鹿げた作戦だなと、でもまぁやるだけやってみろ、と思って承諾したがまさかやりとげて帰ってくるとは誰も思ってなかったよ。』

 

『自らが先頭に立ち、深海棲艦と向き合い対話し、平和的な方法で終戦へと導いた君のその勇姿はこの先誰もが忘れることはないだろう。』

 

『だから私は君の考えを尊重し君に協力しようと思った。あの作戦が無謀だと思っていた自分が恥ずかしくてね、彼女達の居住区も君の考えにそって各鎮守府で建ててもらっている。』

 

『君がこの世界に残したものは非常に大きい、君のおかげでこの世界はまた平和への道を進むことができた。』

 

『一人の人間として、君に礼を言いたい。ありがとう。』

 

元帥は座りながら両手を両の膝に置き深々と頭を下げる、床に小さな水滴が落ちる。

 

元帥は泣いていた、肩を震わせながら泣いていた。

男泣きという奴だ、そんな元帥を見て私もついに涙がこぼれ落ちた。

 

「これでようやく仲間が死ぬことはなくなる……、先立つ戦友を見送らなくてすむ。」

 

「君の、君達のおかげで私たちは救われた…、ありがとう……。」

 

私の聞こえないはずの耳からはっきりと元帥の口から「ありがとう」と言う言葉が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『年甲斐もなく情けないところを見せてしまったね、そろそろ私も帰るとするよ。』

 

『また何か困ったことがあればなんでもいってくれ、協力する。』

 

『ありがとうございます、また何かあれば連絡いたします。』

 

「うむ、では帰るとするか。」

 

大淀が元帥を連れて部屋を出る、また部屋に一人となった私は元帥が残していった紙を拾い読み直す。

 

 

そして私は自分がしてきたことが間違いではなかったと確信する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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10月 未来へ...

イベント前に書き上げれてよかった






それでは本編




10月に入り耳の調子も戻りつつある今日この頃、一時期はこのまま聞こえないままの生活を送るのだとばかり思い絶望していたが人間不思議なもので治るものは治るみたいだ。

 

9月の半ばにはだいぶ音が拾えるようになり少しずつ彼女たちとも筆談以外での会話ができるようになってきた。このままいっそのこと私の病気まで治らないだろうか…、いやそれは無理な話か。

 

 

また彼女達の元気な声が聞けるようになれて本当によかった。

 

 

動かなくなった右腕だが、動かないのは動かないのだが触覚は戻ったようで触れられたりされると感じるようになった。

火傷の跡はしばらく残りそうだが……。

 

 

各鎮守府での深海棲艦の受け入れ施設の導入は順調に進み、どこの鎮守府でも現在建設中との事。

うちの鎮守府でも建設中だが完成は来年の6月位だそうな……。

 

完成され、彼女達を迎え入れる姿を見ることは叶わないだろうな…。

 

 

 

心残りになるな。

 

 

 

いくら悲観しても始まらない、絶望しようがまだ私には今がある。先の事を考えるより今ある現実を見て行動し楽しまなければならない。

それが生きているものの義務であり、人は生きている限り天に与えられた使命を全うしなければならないと昔教育時代に言われたことがある。

 

自分の死に目に直面しこの言葉の意味がようやく解った気がする。

 

まさにまだ私が生かされていると言う言葉が、まだ私には全うすべき天命が残されていると言うことだ。

 

 

提督は席を立ち、光射す窓へと歩く。そこから見えるのはグラウンドで楽しそうにはしゃぐ艦娘の子や深海棲艦の子達が見えた。

2ヵ月前までお互いが戦争をしていた事を忘れさせてくれるような明るい彼女達の笑顔を見て提督は安堵する。

 

お互いに分かり合い、お互いに助け合う世界。

 

お互いに守り合い、お互いに尊重し合う世界。

 

私達が目指した世界。

 

語り部の夢物語ではなく

 

吟遊詩人のお伽噺でもない

 

本当にあった出来事であり現実。

 

現実とは小説より奇なりとはよく言ったものだ。

 

 

 

これから艦娘と深海棲艦達の処遇がどうなっていくのか問題は山積みだ、我々は海上自衛隊とは異なる組織として新たに海軍として民間には秘密裏に組織された。

 

このまま海軍として民間に出るのか、また新たに自衛官として迎え入れられるのか…。

 

皆の未来が心配だ、提督として指揮官として最後まで、定年まで見届けてやりたい。しかし私にはそれが叶わない、どうしてもこの願いだけは受け入れられない。

 

全く神様も意地悪な存在だ。

 

提督はグラウンドから目を逸らし提督室へと目を向ける。

 

 

提督として勤務し続けた部屋

 

新たに着任した子を迎え入れた部屋

 

遠征や演習、出撃の報告を受けていた部屋

 

勤務時間だろうと勤務時間外だろうと関係無しに皆の憩いの場であった部屋

 

机の上には重なったファイルとペン立て、スタンドにパソコンがある。どれも私がここに着任してきた時から使っている使い古された物ばかりだ。

 

棚には戦術書や医学書、艦娘達がたまに持ってくる巻数や作品がバラバラな漫画本や小説等がある。

 

部屋の隅には書類のコピーや印刷、給湯スペースや茶菓子が入ってる棚等がある。

 

あとは大きめのソファーが2つと長机が一つの質素な提督室。

 

私は提督として生きてきてよかった、あの子達の提督でよかった。

 

心の底からそう思う。

 

意見の食い違いやすれ違いはお互いにあったものの、皆見ている所目指す所は同じで芯は真っ直ぐで力強く、可憐でお茶目で可愛くて。

 

それに美人さんばかりだ。

 

本当に

 

最高の娘達だ

 

本当に

 

自慢の娘達だ

 

 

 

あぁ惜しい…

 

あぁ惜しい……

 

 

あの子達の成長を

 

あの子達の晴れ着を

 

私は見ることができないのか…

 

 

 

今になって生きていたいと願うようになった

 

 

 

 

今になって命が惜しくなってきた

 

 

 

 

今になって自分の過去を呪いたいと思った

 

 

 

 

今になって本当に大切だった物に気づかされた

 

 

 

 

もう後はない

 

後がない

 

当てもない

 

迫り来る死神を、死期を

 

私は待つばかり

 

 

私はこの一生で命の有り難さを、尊さを学んだ

 

犠牲にしていい命なんて存在しない

 

例えそれが己の命だとしても……………

 

 

そんな当たり前の事を、今さらになって学んだ

 

学んだんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

もう私には後がない

 

だから

 

今私が彼女達に何が出来、何を遺せるのかを考えねばならない。

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…、久々に日記でも付けようか。

 

日記を書きながら考えよう、私に残された時間で出来る事を…。




提督の本音の部分が見えた話ですね。


彼は彼女等に何を遺すのか…


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11月 提督の死

ついにこの時が来ました






それでは本編


提督が息を引き取りました。

 

11月19日の朝、その日秘書艦を担当するはずだった大井さんが起きてこない提督を不信に思い、提督の自室に入り起こしに行った際、提督はすでに息もなく死後硬直も進み、冷たく、固くなっていたそうです。

 

享年28歳でした。

 

第一発見者である大井さんの話では、提督の穏やかな顔を見ていい夢でも見てるのかと起こすのが勿体なく思ったほど見てくれは死んだようには見えなかった、とのこと。

しかし吐息も聞こえなければ、胸の膨らみによる上下、誰も止めてくれなかったうるさいほどに鳴り響く目覚まし時計がその異常さに目を向けさせた。

 

大井さんが言うには提督の枕元に封筒が置いてあり、その中身は一通の手紙が入っていた。

 

 

 

提督から私達に向けた手紙が入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府に在籍する艦娘及び深海棲艦と妖精さん、憲兵の皆様へ

 

 

 

 

突然のお別れで申し訳ない。

 

私には今自分の死期がはっきりと分かるのです、手で掴めるように容易く分かるのです。

 

私なりに何か残せるものはないかと考え、艦娘と深海棲艦の皆にはビデオレターを残そうと思う。

 

 

 

まずは妖精さん、艦娘達の日頃の整備、戦闘での補助等々、私では到底出来ないような細かな仕事、作業から我々の任務達成に力添え頂きありがとう。

君達のまさしく縁の下の力持ちとも言えるその働きぶり、そして何より私についてきてくれたことにありがとう。

 

君達ほどのエンジニアは世界を探しても人間ではまずいないだろう。どうかこれからも皆の力になってほしい。

万全なサポートで彼女達を助けてやってほしい。

 

私の小さな小さな親友達よ。

 

 

 

 

次に憲兵の皆様、鎮守府における日常の風紀の取締りから警護、警衛に至るまで24時間体制で鎮守府を外敵から守っていただきありがとう。

諸君らのおかげで我々は遠征や演習、戦闘に日々集中して活動ができた。

 

本当に感謝している、ありがとう。そしてお疲れ様です。

 

私はもういなくなってしまうがこれからも彼女達をしっかりと取締ってやってくれ。うちの子達は何かと暴走気味だから、間違いを犯しそうになったら私の代わりに止めてくれ。

 

私の良き理解者達よ。

 

 

 

 

さて私の娘達よ、いつも元気で華やかで、綺麗で輝いてる私の娘達よ。

 

辛いときも、悲しいときも、苦しいときも、嬉しいときも、いつだって私達は一緒だった。共に学び、共に悩み、共に飯を食らい、共に喜びを分かち合い、共に分かり合い、共に成長してきた。

例え上司と部下の関係だろうが家族のように接し、友のように語り合い、遊び、そして我が子のように愛した。

 

愛しい愛娘達よ。

 

そして深海棲艦達の力になってくれ。彼女達に地上での生活のしかたを何から何まで教えてやってくれ、先輩としてしっかりと頼むぞ。

 

まだまだ言いたいことがあるが残りはビデオレターに残しているからそちらを見てくれ。文字で起こすには長々と書き上げてしまうのでなるべく自分の声で、言葉で君たちに私の気持ちを伝えたい。

 

私の自慢の娘達よ。

 

 

 

 

今までありがとう。

 

 

 

 

今日まで生きてこれたのは間違いなくこの鎮守府に携わってきた君達のおかげだ。

 

 

 

 

生きる意味を与えてくれてありがとう。

 

共に戦ってくれてありがとう。

 

 

 

そして深海棲艦の皆、今まで辛い思いをさせてすまなかった。これから君たちにとっても住みやすい世界になることを願っている。

 

私に出来ることはもうないが君達の安全を、幸せを誰よりも願っている。

最後に分かり合えたことは本当に嬉しく思っている。これからは地上での生活が待っていると思うが分からないことはうちの娘達を頼ってくれ、色々教えてくれるはずだ。それと、仲良くしてやってくれ。

 

これから色んな苦難が待ち受けているだろうがお互いに助け合って協力し合って乗り越えて行ってくれ。

 

もう深海に棲む必要はない、君達を艦娘として受け入れられる世界にすることが私の最後の仕事。

 

そう、これが私に残された最後の仕事だ。

 

 

君達を地上での生活が可能になるように各鎮守府に施設の建設を依頼している。これからは艦娘同様、寮生活をしてもらい艦娘として受け入れる計画だ。

最後まで立ち会えないのが無念だがこれからの君達の安全を私は誰よりも願っている。

 

 

誰よりも君達のことを想っている。

 

 

 

 

 

 

海軍大将 笹木原 優治

 

追記

 

艦娘達宛に作ったビデオレターは執務室の私の机の引き出しに全員分入っている。

 

 

 

 

 

 

 

実に提督らしい文章だった、皆を労う提督のその文章はまさに彼の人柄そのものだった。

 

提督の遺体を運んでもらい、葬式の準備が始まる。

悲しむものは多かったが、皆覚悟していたのか、なんとなくわかっていたのか、静かに、ただ静かに準備が進められていった。

 

棺に提督が納まり、白装束に身を包む提督。その周りには綺麗に飾られた花達がある。

 

遺影の提督はあの戦いの後に撮った写真で、痛々しい見た目ながらも元気に笑う彼の顔が写っていた。

こうして顔を覗き込むと、また優しい声で私達に話しかけてきそうな穏やかな顔、まだ生きているのではないかと錯覚してしまうほどだった。

 

各鎮守府から弔電が届き、提督が亡くなったことを改めて実感する。

 

 

 

 

葬送のラッパが鳴り響く

 

 

 

提督に別れの敬礼を行う

 

 

 

私達を置いて、提督は長い永い眠りについた

 

そう、私達を置いて

 

こうなることは分かっていた

 

去年からこうなることは覚悟していた

 

はずだった………

 

 

 

何も今でなくてもいいではないか、もう少しお話ししていたかった。

私の気持ちを、きちんと伝えたかった。

 

ですがもう叶わないのですね。

 

遥かに遠い、私達の知らない場所に行ってしまわれたのだから。

 

 

 

私もいつかは

 

 

貴方と同じ場所に行けるのでしょうか

 

 

そんな戯言を浮かべながら、私は今日を生きていく。

 

提督の残していったものを大切にしながら。

 

 

 

 

葬儀が終わり皆に自覚が戻ってきたのか、悲しさの波が押し寄せてきたのか、皆ほぼ同じタイミングで泣き始めた。

 

それまで誰一人として涙を流さなかったのに、今まで我慢していた分が溢れるかのように、涙を流した。

 

 

提督が私達を愛してくれたように、私達も貴方のことを愛しています。

 

お慕い申し上げております。

 

 

 

どうか私達の行く末を見守っていてください………。

 

 

 

 

 

 

 

「青葉さん、皆を体育館に集めてください。提督が私達に宛てたビデオレターの視聴を始めたいので。」

 

「夕張と明石は機材の準備をお願いします。」

 

「私はその間に提督が私達に残したビデオレターを全員分用意してきます。視聴が終わった後皆に配りたいと思いますので。」

 

くよくよしてはいられない。悲しんでばかりではいられない。

 

 

私達には明日を生きる理由があるから。

 




いよいよ次が最終話となります。




最後までお楽しみ頂ければなと思いますので、最後までよろしくお願いします。


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12月 決意

遂に最終回となります。

これまでの集大成、今までの締めくくり、結にあたる話。この最終回を書くために今までの話があったようなもの、こういう最終回に初めからしたかったから話をそれに連なるように書きました。

ようやく書きたいことをまとめられたので良かったと思います。




それでは本編


「さて皆さん、これが彼の者が残していった日記の全文になります。長い間ご静聴頂きありがとうございました。」

 

私は提督が残していった日記を読み上げた。彼の気持ちが、思いが、願いが文を伝って皆さんに伝わった事でしょう。

 

声を圧し殺して泣く者、啜り泣く者、号泣する者の声で体育館はいっぱいになる。提督が生前に残していった日記、あの余命宣告から記録された提督の生きざま。途切れた日は提督が倒れた日や最後の戦いに出た日、療養のため入院していた日と一致するので提督がいかにマメに記録し続けてきたかが分かる。

 

「ここからは提督ご自身が私達に残したビデオ映像を見てもらいます。」

 

私はスクリーンに提督から受け取った最後のメッセージを映し出す。

 

『ちゃんと映ってるかな?』

 

笑顔で手を振りながらカメラが機能しているかどうか確認する提督。痛々しい見た目とは裏腹に元気な姿を見せてくれている。

 

『まぁいいか、青葉に借りた奴だし綺麗に撮れているだろ』

 

 

えぇ、しっかりと綺麗に映ってますよ提督。

 

 

『このビデオを撮るにあたって何を話そうか色々と考えたのだが長々と話すのはあまり得意ではないのでな、手短に済ませようと思う』

 

『今私の前にはこの鎮守府に在籍する全ての艦娘、深海棲艦が居ることだろう』

 

『私はこの先短いが君たちにはまだこれからがある』

 

 

『どうか互いに尊重しあい、思いやり、助け合ってくれ』

 

『この世界には君達の力が必要だ、これからも幾度となく危機が迫ることだろう、そのときは我々人類の力になってくれ』

 

『だが正義だけは履き違えないでくれ』

 

『戦の道具にはならないでくれ』

 

『自分の命を大切にしてくれ』

 

『自分がやって来た事を後悔せず生きてくれ』

 

『そして』

 

『先に旅立つ事を許してくれ』

 

『もう少し皆と一緒に居てやりたかったが神様ってのがそれを許してはくれないらしい』

 

『だからどうか、私という提督がいたことを忘れないでくれ』

 

 

 

 

 

『君達の事はずっと………見守っている』

 

 

 

 

 

提督のビデオレターが終わり、皆が解散する。

体育館の出入り口には明石と夕張が退館する者に提督のビデオレターを渡している。

 

提督が私達に宛てたビデオレター、一人一人に宛てたビデオレター。

 

ビデオレターを見て、提督が逝ってしまわれたのだと再度認識する。

 

もっと貴方の側にいたかった。

 

これからは貴方が遺したこの鎮守府をしっかりと運営していかなければなりません。貴方と共に成長してきたこの鎮守府を。

 

それにしても貴方が遺していったものはあまりにも大きすぎる。

 

こんなにも早くに貴方を失うことになるとは思わなかった。

 

こんなことになるならと後悔することもあった。あのときああしとけばよかったと今になって思うこともある。

 

しかしそれを嘆いていても始まらない、私達は新しい一歩を踏み出さなければならないのだから…。

 

 

 

新たな風を感じて、私達は前を向いて歩いていかなくてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督が亡くなってから7度目の夏が来ました。

 

あの戦いから7年が経ったのです。

 

時の流れとは本当に速いものですね。

 

今でも貴方が遺したビデオレターを見るときがあるんですよ?

 

 

 

貴方の声を忘れないように。

 

 

 

私達が7年もの間何をしてきたかと言うと、足りない知識を補ってきました。

 

私達は自分達で生きていくだけの知識を学びました。

人手は多いので色んな分野のことを学びました。

 

畜産や農業、商業や工業、政治に法律、様々な資格を取ったりと、私達は色んなことをしてきたんですよ。

 

 

 

無知なのは罪ですから。

 

 

 

提督が目指していた世界とは少し違いますが、私達は皆、無事に、元気に生きています。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう

 

 

 

 

 

 

 

 

提督が目指していた世界とは少し違うのです。

 

提督が目指した世界には、どうもなれそうにないみたいです。

 

 

あの人柄の良い元帥等が暗殺されてから世界はおかしくなりました。

 

日本はおかしくなりました。

 

元帥等は提督が亡くなってから3年後に何者かによって殺されたのです。事故死に見せかけられて…。

 

それからと言うもの世界は争いをやめず、激化し、私達を軍事利用しようとした。ですが私達はそれに反発、そうしたら売国奴、使えない鉄屑なんて不名誉なことを言われる始末。

私達にだってココロはある、機械よりも生命体に近い存在なのだから。

 

さらに奴らは貴方を愚弄し、厄災を持ち込んだ祟り神、悪魔を育てた提督の異端と呼んでいるのです。

 

国民から、政治家から。そして軍の人達からも。

 

 

この世界を救った提督への恩を忘れ、奴らは提督に対し死屍に鞭打ちをしているも同然の行いを続けてきた。艦娘の在り方を、深海棲艦の在り方を確立してくれた提督に私達はもちろん世界中の艦娘、深海棲艦が感謝しています。

 

だから私達日本はもちろん、世界中の艦娘と深海棲艦達に協力を要請し、人類に対し宣戦布告をし、一方的な虐殺を始めたのです。

 

正義だの悪だの関係ない、私達で選んだ茨道。

 

貴方が去ってからこの7年で、世界は大きく変わりました。私達のココロも…。

 

人間とは醜く浅はかな生き物、提督のような人はごく僅かだということ。これが私達が学べた、最大の社会勉強でした。

 

人類は私達に抵抗できる武力を、軍事力を持たない。

 

 

陸軍は私達の装甲を貫けない。

 

空軍は空母の艦載機に蹂躙される。

 

海軍はイージス艦等だけを残し全滅。

 

イージス艦等を沈めて、また新たな艦娘が生まれでもしたら困りますからね。

 

流石に驚異になりかねないですしね。まぁ人が乗っていればの話ですが…。

 

 

腐っても私達は戦う艦を模した人型の兵器ですからね。人類が持つ兵器より性能が違うのでしょう。

 

 

この時のために緻密に計算し、長い時間をかけて作られた作戦。

 

作戦自体は至ってシンプルなもので、世界中の各都市を同じ時間に一斉攻撃を仕掛け奇襲をかけるというもの。

 

ただシンプルだけど攻撃のタイミング、休止点、前進速度やイレギュラーに対する考慮、その国の防衛手段や軍事力等の入手。この作戦を容易に行うために皆には危険なことをさせてきました。

 

そのおかげで世界中あちらこちらで大パニックをおこし、軍が出ても壊滅され、市民は逃げ場を失い、僅かな抵抗も私達に傷1つ負わせる事も殺すことも出来ない。

 

 

もう誰も私達を止められない。

 

 

 

もう幾つの都市を焼け野原にしてきたか分かりません。

 

もう幾つの国を地図から消したのか分かりません。

 

 

私達は罪なき人たちも殺していると自覚しています。もう後には引けない、戻れない。

 

ですから提督、私達は貴方の言いつけをどうも最後まで守れそうにありません。

 

私達の行っていることは決して善ではない。

 

はっきりとした黒、悪なる行い。

 

馬鹿な娘達を許してください。

 

ですが私達は人間を許せないのです。同じ種族で争いを生み、互いに助け合おうとせず、互いに分かり合おうとしない。あまつさえ自分たち以外は便利な使い捨ての道具程度にしか思わない。そんな人間が許せないのです。

 

貴方が育てた娘達は誰一人欠けること無く、世界中を蹂躙しています。

 

不意に私の思考を遮るように無線が通じる。

 

『大淀、聞こえるか。』

 

『各都市と主要国家の機能停止、最早足掻く蟻同然だ。これより内陸部に進行する。』

 

「了解、引き続き作戦を実行してください。唯一人の生き残りも許しません。休止点では必ず点呼を行い、小隊の損傷の具合から弾薬の持ち数、燃料の残り等をしっかりと掌握し私に報告してください。くれぐれも怪我はしないように。」

 

『分かっている。私達の提督を愚弄する愚かな種族なのだ。もとより死は決まっている。確実に息の根を止めるさ。』

 

「頼みましたよ、私もそろそろ次の作戦位置に移動します。」

 

『了解。』

 

無線機を通して砲撃の怒号、悲鳴や泣き叫ぶ声が鳴り響く。

 

 

 

弱いものイジメは気が引けますが。

 

 

 

この70億人の虐殺が終わってからでも平和な世界を築いていこうと思います。そうすればきっと皆が心から笑ってくれるはず、貴方と居たときのように皆が笑ってくれるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

私達が人類の歴史を終わらせなければならない。

 

人類を救うにはこれしかない。救いようのない者は、こうするしか救えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、今日も一方的な殺戮が始まる。 




「提督の余命は後…」ご愛読ありがとうございました。


本編はここで終わりとなります、今まで本当にありがとうございました。最後まで書き通す事ができたのは読者の皆様のおかげです。
仕事に追われながら、この小説を通して私なりの「艦隊これくしょん」を表現できたと思っています。

これが私の世界、と言うわけです。

少しでも楽しんで頂けたのなら光栄です、それでは次回作でお会いしましょう。

今までお付き合い頂きありがとうございました。


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