Happy Wedding ー1番辛くて1番幸せな時間ー (ゆりかご5735)
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ふたりの気持ち、母の気持ち

えええええええぇ!?

 

と、叫びそうになるのを我慢して

 

音を立てずにドアを閉める

 

どうやら私は見てはいけないものを見てしまったようだ

 

途端に閉めたドアが勢いよく開かれる

 

「み、みた!?」

 

と、娘の『桜』が部屋から飛び出して

 

身を乗り出して聞いてきた

 

「み、みてない…みてないよ」

 

と、目を両手で隠して言う

 

「見たよね絶対みたよね」

 

「みてないったら」

 

「ほんと??ほんとにみてない!?」

 

かなり焦ってる

 

当然だ

 

母親に『姉妹同士でキス』してるところを見られてしまったのだから

 

当の本人であるもうひとりの娘

 

『瑠璃』はさっきから固まったままで動けずにいる

 

こう…私はどうも、タイミングというのが非常に悪いらしい

 

「瑠璃?だ、大丈夫、見てないから、姉妹同士でキスしてるとこなんて見てないから」

 

「ぐはぁっ」

 

会心の一撃!

 

瑠璃は倒れてしまった

 

「あっ!ごめん、つい口が」

 

「わざとだろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉「…」カチャカチャ

 

妹「…」パクパク

 

母「…」ムシャムシャ

 

き、気まずい…

 

見られてしまった…親に…

 

最悪だ…

 

 

 

その日の夕飯は終始無言かと思われたが

 

母「さっき何してたの?」

 

ぶはぁっ!

 

私とお姉は顔を真っ赤にして盛大に吹き出した

 

母「うわっ、ちょっと!」

 

妹「だ、だって…それ聞いちゃう?」

 

母「当たり前でしょ…だからさ、もし…ね、2人がそういう関係なら…親としては止めなきゃだし?」

 

妹「ばっ!////そ、そんなわけないだろ!私達姉妹だぞ!なぁお姉」

 

私は同意を求めるようにお姉に視線を流した

 

 

姉「ひ、ひどい…」ウルウル

 

なぜか涙目のお姉

 

姉「私は本気だったのに…」

 

妹「えぇ…」

 

姉「私は本気で好きだったのに…桜は遊びだったの!?」

 

妹「ばか姉!もう黙れよ!」 

 

 

母「ほ、本気って…?え?え?嘘でしょ」

 

妹「う、嘘に決まってんじゃん」

 

 

姉「桜のバカーっ!」ドタドタドタ

 

 

母妹「「…」」シーン

 

 

妹「か、母さん…ちょっといい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉「…ぐすん」

 

いきなり怒って泣いて、そのまま部屋に来てしまった

 

 

お母さんに桜との関係を知られるのは怖かった

 

でもそれ以上に、桜との関係を隠し通すのも嫌だった

 

お母さんを裏切るような…後ろめたい気持ちが気持ち悪かった

 

だからお母さんに話そうって、桜によく提案はしてたけど…かたくなに否定された

 

今回の件はお母さんに話すいいきっかけだと思ったけど…

 

 

『ばっ!////そ、そんなわけないだろ!私達姉妹だぞ!なぁお姉』

 

 

あれは…ちょっと傷ついた

 

本音じゃないって分かってるけど

 

それでついカッとなって…

 

あーもう…ばかばかばかばか私のばかー…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹「…つまり、私達…付き合ってんの」

 

母「…」

 

信じられない…って顔してる

 

まぁ、分かるよ

 

自分の娘が2人とも同性愛者なんて知ったらそんな顔にもなる

 

しかも姉妹同士で

 

母さんほんとごめん

 

妹「で…その、認めてほしいんだ…私たちの」

 

母「だめ」

 

妹「…!…っ……」

 

いつもふにゃふにゃしてる母さんが今はやけに強気だった

 

その真剣な眼差しに圧倒される

 

母「ちょっと、瑠璃呼んでくるから、待ってて」

 

妹「…う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母「瑠璃、入るよ」

 

姉「わっ…ど、どうぞ」

 

ガチャ

 

母「話があるから、ちょっと来てくれる?」

 

姉「う、うん…わかった」

 

なんだろ…いやまぁ、さっきの続きなんだろうけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉「桜…」

 

妹「お姉…」

 

姉妹「「…」」

 

姉妹「「さっきはごめん!」」

 

姉「桜…さっき、本音じゃないって分かってたのに…私、ついカッとなって…桜の気持ち…全然尊重できなかった…本当にごめんなさい!」

 

妹「わ、私も…!いつもこのままじゃ駄目だって思ってて、お姉がいつも背中押してくれてたのに…さっきだって…いつもズルズル引きづって…こうなったのは私のせいだよ、本当にごめんなさい!」

 

 

 

 

誇らしい

 

私は素直にそう思った

 

自分たちの将来を真剣に悩み、お互いのことを心から想っている

 

いつの間にか、私の娘達はこんなに立派に成長してくれていた

 

私は、この子達のことをとても誇らしく思う

 

この2人は…お互いのことを心の底から愛している

 

家族としても

 

恋人としても

 

 

私はこの2人のことを愛している

 

幸せになってほしいと思っている

 

だからこそ…これから言わなきゃいけないと思うと辛い

 

 

 

母「桜…瑠璃…」

 

姉「うん…」

 

母「2人は…これからどうしたい」

 

姉「も、もちろん…」

 

妹「うん…」

 

2人の気持ちは同じようだ

 

 

姉「認めてほしいよ、お母さんに」

 

母「うん、わかった…桜、瑠璃…」

 

もう一度、2人の名前を呼んだ

 

母「よく聞いて」

 

母「私はあなた達のこと…愛してる」

 

妹「うん…わかってる」

 

母「2人の幸せをなによりも願ってる…」

 

姉「…」

 

母「だからこそ……2人のことは認められない」

 

姉「…!な、なんで!」

 

声を荒らげたのは瑠璃だった

 

桜にはさっき言ったから大人しかった

 

姉「やだ…やだよ…」ポロポロ

 

 

瑠璃が泣き出した時にはさすがに心が傷んだ

 

桜が瑠璃の手を繋いで落ち着かせた

 

姉「さっ、桜はっ、なんでそんなに落ち着いでるのっ…!なんでっ、何も言わないの…」

 

妹「お姉…いいから、まずは聞こう…母さんの話」

 

姉「う…っ…」ポロポロ

 

 

母「2人はさ…私が認めたとして…これからどうしたいの?」

 

妹「え…」

 

母「辛いよ…同性恋愛は…私が認めても…周りは?社会は簡単には認めてくれないよ…結婚できないよ…子供だって産めないよ…女同士で、家族で、恋人で…そんな中途半端な関係でいつまでやってけるの?…いつか苦しい思いをするのは…」

 

妹「行こう!お姉!」

 

姉「ぇ…行くって」

 

妹「いいから!」

 

桜は瑠璃の手を引っ張って玄関に向かった

 

母「桜!どこへ…」

 

妹「着いてくんな!」

 

母「…!」

 

なんで…そんな顔するのさ…

 

私は…私は…2人のことを…

 

 

母「ちゃんとした恋愛して!ちゃんとした結婚しないと幸せになんかなれないんだよっ!」

 

妹「なんだよちゃんとした恋愛って!母さんさっきから自分の理屈押し付けてるだけじゃん!幸せなんて私達で探すし幸せかどうかなんて私達が決める!母さんが決めることじゃない!」

 

ガチャ…バタン!

 

母「…」

 

私は…追いかけることができなかった

 

その場に座り込む

 

 

 

母「文也くん…」

 

ポツリ…と

 

ため息のような掠れた声が

 

冷たい廊下に落ちて消えた

 

 

母「文也くんがいてくれたら…」ポロポロ




続きます


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かぞく

妹「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

走る

 

走る

 

走る

 

お姉の手を握って

 

走る

 

どのくらい走ったのか

 

考えなしに走り回ったけど

 

いつの間にか『あの場所』に来ていた

 

姉「桜…ここって」

 

妹「うん、私とお姉が初めてキスした場所」

 

そこは、ベンチしかない小さな公園

 

何もないけど

 

私達の思い出はいっぱいつまっていた

 

妹「ちょっと…座ろ…」

 

姉「うん…」

 

姉「ちょっと…寒いね」

 

妹「ん…じゃあ、もっとくっつこ」

 

姉「うん…///」

 

 

私の手と違って、お姉の手は華奢で綺麗だ

 

羨ましい

 

ぎゅぅ…と

 

指と指を重ね合わせてお互い手を繋いで、キスをした

 

余った手でお姉の体を引き寄せて強く抱きしめる

 

妹「ねぇ…お姉…」

 

姉「ん?」

 

妹「母さんの言う通りさ…やっぱり、このままじゃ駄目なのかな…」

 

姉「…わかんないよ」

 

妹「でもさ…私達、何も解決できてない…母さんから逃げただけだ…」

 

姉「…お母さん」ポロポロ…ポロ

 

妹「もぅ…お姉はすぐ泣くな」

 

姉「だって…っ…わたじ…お母さんに酷いこと…」

 

妹「うん…私も、当たっちゃった…」

 

姉「う…うぇぇぇん…」ポロポロ

 

妹「後で謝ろ…でさ、またちゃんと話そう」

 

姉「うんっ…っ…うん…」

 

妹「…母さんなら…きっと分かってくれるから」

 

姉「…うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母「桜っ!瑠璃っ!」

 

姉「おっ、お母さん!?」

 

走ってきたのか、全身汗まみれで肩で息するお母さんがいた

 

母「もぉっ!よかった…無事で…」

 

妹「ご、ごめん…母さん」

 

母「心配したんだから…」

 

妹「…うん、ごめん」

 

母「…ううん、私の方こそごめん………約束…したのにね…」

 

妹「ぇ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今日からここがあなた達の家だよ』

 

この子達にとって家とは「帰らなきゃいけない場所」だった

 

『困ったことがあったら何でも言って、私が絶対助けてあげるから』

 

この子達にとって私は「警戒しなきゃいけない大人」だった

 

『何して遊ぼっか~?』

 

私の差し伸ばす手が、この子達にとってどれほど怖いものだったか

 

 

この子達が家に来て、少し経った

 

私に対して少しだけ緊張を解き始めてくれた

 

『ん?お手伝いしてくれるの?…ありがとね、じゃあこのお皿机に運んでくれる?』

 

小さなお皿を渡した

 

 

パリンっ…

 

 

「ごっ…ごめんなさい!…ごめんなさい」

 

『だ、大丈夫!?怪我はっ!?』

 

「ごめんなさい…!ごめんなさい…!」

 

「いいんだよ瑠璃、それよりどこか怪我とか…」

 

「殴らないで…」

 

「…」

 

その時の瑠璃の目が、未だに忘れられない

 

 

 

 

『絶対幸せにするから』

 

私は決心し、約束した

 

『あなた達の幸せのためなら…私なんだってするから…』

 

『早く家に帰りたいって思わせてやるから…』

 

『いつか、お母さん大好きって言わせてやるから…』

 

『人目なんか気にしないで…堂々とした子に育て上げてやるから…』

 

『絶対絶ッ対…誰がなんと言おうと…私はあんた達の味方だから…絶対見捨てないから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉「お母…さん?」

 

母「…2人はさ…ほんと、立派に育ってくれたよ…母さんは嬉しい」

 

妹「…」

 

母「あなた達なら…大丈夫よね」

 

姉妹「「ぇ…」」

 

 

母「やるからには絶対幸せになりなよ…母さん応援するから」

 

 

なんかもう、その言葉を聞いた途端

 

母さんに対する色んなものがこみ上げてきて

 

我慢出来なかった

 

 

妹「が、がぁざぁぁん…ん…んぇぇぇ…ぇっ…」ポロポロ…ポロポロ

 

母「も~…ほら、よしよし」

 

姉「お、っがあざんっ…っ…ありがっ…ど…」ポロポロ

 

母「ほらほら、泣かないでよ…うちの娘は泣き虫だなぁ」

 

 

 

 

 

 

母さんは…何をするにも、いつも理由には私達姉妹がいた

 

いつでも私達のことを気遣って、自分のことは二の次だった母さんは

 

いつの間にか私達の憧れになっていた

 

突然押し付けられた私達

 

母さんの人生にとって、私達姉妹はどれほどの負担になっていただろう

 

『それ以上に桜と瑠璃は私の支えになってくれてるんだよ』

 

って言ってくれた時

 

すごく嬉しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹「か、母さんっ…わ、わだじ…っ…幸せだよ」

 

母「…!さ、桜…?」

 

姉「うんっ…うんっ…わだしもぉっ…幸せすぎるよっ…」

 

母「瑠璃…っ…ぐっ…うぁ…」ポロポロポロポロ

 

姉「お母さんっ…だっ、だいずぎ…」ポロポロ

 

妹「わたじもっ…だいずぎ…」ポロポロ

 

母「私っ…も…だよっ…っ…」ポロポロ

 

姉「もう…何もいらないがら…っ…ごれがら…もっ…っ……ずっど…ずっど…一緒にいてくだざい…っ…」ポロポロ

 

 

母「うんっ…ずっと…ずっど…っ…一緒…」

 

 

 

 

 

 

もう…無理なワガママはこれっきりにしようと、家に帰ったあとお姉と約束した

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「文也くん…」

 

「文也くんがいなくなって…もう10年か…」

 

「あっという間だよね…」

 

「桜と瑠璃には…助けられたなぁ…」

 

「立ち直れたのも…あの子達のおかげなんだよ…多分、あの子達がいなかったら…私…もっと早くそっちに行ってたよ…あはは…」

 

「って、笑えないよね、ごめんごめん」

 

「あのね…文也くんに報告があるの」

 

「桜と瑠璃のこと…あの子達ね、お付き合いしてたのよ、ビックリでしょ」

 

「まぁ、さすがに私の前だと普段通りだけどさ…陰でイチャイチャしてると思うとさ…なんかドキドキするよね」

 

「…ねぇ文也くん」

 

「これでよかったのかな…」

 

「って、駄目だよね、私がこんな弱気じゃ」

 

「…私、がんばるよ…だから、もう少し見ててね」

 

「おやすみなさい」

 




続きます


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楽しみな初デート.....そして

姉の瑠璃(るり)と妹の桜(さくら)は姉妹であり、恋人同士でもあった

その関係が母にばれて、反対される2人だったが

母は、昔2人と交わした『絶対幸せにする、何があっても2人の味方になる、絶対に見捨てない』その約束を守るために

何よりも、2人の強い意志を尊重して

2人が恋人であることを認めたのであった


姉「…おはよ、桜」

 

 

 

妹「ん…おはよ…」

 

私は眠そうに返事をする

 

姉「ねぇねぇ桜…昨日のこと、夢じゃないよね??」

 

 

妹「うん…大丈夫、夢じゃないよ」

 

 

姉「~~~っ!…よかったぁぁ…」

 

 

お姉の嬉しそうな顔を見ると、私も嬉しくなって顔がほころんだ

 

妹「へへ…だね、よかったね」

 

 

 

 

姉「これで…堂々と…キスできるね…」

 

 

妹「いや、まぁそれでも恥ずかしいけどね」

 

 

姉「……あは、だね…/////」

 

 

 

妹「…ねぇ、小指出して」

 

姉「ん?こう?」

 

妹「うん………指切り」

 

 

姉「うん…」

 

 

妹「私達、何があってもずっと一緒だよね」

 

姉「うん、ずっと一緒」

 

 

妹「へへ…嬉しい」

 

姉「約束だよ」

 

 

妹「うん、約束」

 

 

……

 

妹「ねぇ…キスしよ…」

 

 

姉「…うん////」

 

 

 

 

 

 

 

 

妹「好きだよ…お姉」

 

姉「うん、私も…好き」

 

 

 

 

……………………

 

 

妹「…あー…学校行きたくない…ずっとこーしてたい」

 

 

姉「だめだよ、学校は行かなきゃ」

 

妹「わかってる」

 

 

重い体を起こして、布団を畳む

 

 

2人で部屋を出て、そのまま脱衣場へ向かう

 

 

家はそれほど大きくはない一階建ての古い木造建築だ

 

 

だから脱衣場に着くまでに10秒もかからない

 

 

母「あ…おはよ」

 

姉妹「おはよー」

 

 

この家で1番早く起きるのは決まって母さんだ

 

きっちりスーツを決めた母さんが、鏡の前で身だしなみのチェックをしている

 

 

母「私もう行くから、ご飯机に出してあるからね」

 

妹「うん、ありがと」

 

姉「お母さんありがとぉ」

 

 

母「あ、あと、今日帰って来れないかも、夜ご飯適当になんか食べて、じゃ」

 

 

 

 

ガチャ…バタン

 

 

姉「お母さん、忙しそうだね」

 

 

妹「…うん」

 

 

 

なんて、呑気に言ってる場合ではない

 

私たちもそろそろ準備しないと

 

 

シャワーを浴びて制服にきがえ、机に置かれた朝ご飯を口に運ぶ

 

 

 

姉「ん~//////おいひ~」

 

妹「うん、そうだね」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

7時40分

 

私たちは一緒の時間に家を出た

 

姉妹「「いってきまーす」」

 

 

ガチャ…バタン

 

 

 

 

 

お姉と私は同じ学校の高等部と中等部に通っているので始業時間も場所も同じということで、いつもこうして一緒に登校してるわけ

 

 

左手が暖かいのは、お姉と手を繋いで歩いているから

 

学生服が見えてくると、自然と私たちは手を離す

 

 

見られるの恥ずかしいから

 

 

 

姉「じゃあね、桜」

 

妹「うん、また後で」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

中等部 自教室

 

 

友「桜さぁ、まじでお姉さんと仲いいよね」

 

妹「え?そ、そうかな」

 

友「そうだよ、うちとは大違い」

 

妹(まぁ…違うだろうね)

 

妹「でも、お祭りの時とかは一緒に行ったりしてるよね」

 

友「ん…ま、まぁ…お兄ちゃん一緒に行く友達とかいないからね、仕方なくだよ仕方なく…」

 

妹「仕方なく…ね」

 

友「な、なによ」

 

妹「別に」

 

友「も、も~…あ、そうだ、ねぇ桜、あんた今度の土日ひま?」

 

妹「ひま…だと思うけど」

 

友「動物園のチケット、おに…とっ、友達と行く予定だったんだけど、予定合わなくなっちゃって…よかったら行く?お姉さんと」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

姉「行きたーーい!!!」

 

 

帰宅後…部屋でチケットのことを話すと、お姉は嬉しそうに飛び跳ねて喜んだ

 

 

妹「うるさいよ」

 

そういう私も、心の中では嬉しそうに飛び跳ねて喜んでいた

 

 

姉「うわぁ~久しぶりだよね、動物園なんてさ」

 

 

 

妹「うん、そうだね」

 

 

姉「うわぁ~どうしよ~~っ!何着てこうかなぁ」

 

 

 

 

 

 

妹「…」クスッ

 

 

 

姉「え?なに?」

 

 

妹「いや……初デートだな…って」

 

 

 

 

しばらく、ポカーンとした表情で私を見つめる

 

数秒後…ハッとして顔を赤くした

 

 

 

姉「…そ、そうだね…////…デートは、お母さんに認めてもらってからって決めてたもんね」

 

妹「うん」

 

 

姉「…」

 

妹「…」

 

 

姉「…」ドキドキ

 

 

妹「…」ドキドキ

 

 

 

自然と見つめあっていく2人

 

妙に気まずい

 

 

すぐにお姉は不自然に目を泳がせて、視線を外した

 

そのまま下を向くと、そっぽを向いて制服を脱ぎ始めた

 

そういえば私もまだ着替えてなかった

 

 

 

なんとなく、私はお姉に背を向けて着替え始めた

 

 

 

 

はぁ…私なんで初デートだなんて言っちゃったんだろ…

 

自分で言っておいて意識しすぎな私がバカみたいだ

 

 

なんか…なんか話を

 

 

妹「あ、そういえばさ…今日母さん帰ってこないんだっけ」

 

 

姉「うん……二人きりだね」

 

 

妹「っ…あ、だね」

 

 

姉「…」

 

妹「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

姉「ごはん…食べよっか」

 

 

妹「あ、うん」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

カチャ……カチャ…もぐもぐ

 

 

 

姉「美味しいね」

 

妹「あ、うん」

 

 

姉「ふへ、さっきからあ、うんばっかり」

 

妹「あ、うん………あ、また言っちゃった」

 

 

姉「ふひひ」

 

妹「もう、お姉だって、その変な笑い方やめなよ」

 

 

姉「え、え?へ、変?…かな」

 

妹「変だよ」

 

姉「変か」

 

妹「うん、変」

 

姉「あはは」

 

 

 

 

あぁ、よかった

 

 

いつもの会話

 

いつもの私達だ

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

洗い物、お風呂、歯磨き、宿題を済ませた私たちは

 

私たちの部屋に来ていた

 

 

時刻は午後8:30

 

普段ならまだ寝るような時間ではないんだけど、私たちは布団をひいて寝る準備をしていた

 

 

姉「…」

 

妹「…」

 

 

 

姉妹「…あ」

 

 

姉「あ…先に」

 

妹「いや、大した用じゃ…」

 

 

姉「…そっか」

 

 

 

……………

 

 

 

姉「……桜」

 

 

妹「…なに?お姉」

 

 

振り返るとお姉がこちらをまじまじと見つめていた

 

妹「な、なんだよ」

 

 

姉「…もう……我慢できないよ…」

 

そう言ってお姉は私に向かって手を伸ばした




読んでくれてありがとうございました

まだ続きます


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