Fate 帝都聖杯奇譚~東舞う人理の暉~ (浅生ナユタ)
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人間万事予兆あり

タイトル後半は「あずままう じんりのひかり」です。
別で書いてる話が終わってないのに新しいの始めました。これだから私は駄目って言われるんだとわかってます。
今FGOでやってるイベント「ぐだぐだ帝都聖杯奇譚」をきっかけにコハエースの公式を読んでみたらyes沼ドボン。どうしてもこの設定で色々やりたいなと思った次第です。以蔵さんかわいい。
色々キャラ崩壊やら無理矢理展開もあるかと思いますが、そこはどうか生暖かい心と目でよろしくお願いします。


<1944年、帝都東京にて>

人通りの多い通りを、一人の女性が少し離れた所から見ている。彼女の名は、無銘。帝都の有り様を眺めていたその人だ。

無銘の周囲には人はおらず、街路樹が風に揺れるだけ。じっと人の動きを見ていたかと思うと、静かに呟いた。

無「・・・・・今のところ動きはなし、ですね」

?「・・・・俺にはそう見えませんがねぇ」

彼女の背後から声がする。振り返り、苦笑した。

無「そうですか。やっぱり私もまだまだですね」

?「見りゃ一発でわかると思いますよ?あんなにもわかりやすい」

無「ふふ、わかってましたよ。わざとです、アーチャー」

弓「・・・・・・・全く人が悪い。わかってましたけど」

二人でくすくすと笑う。

無「街中で軍人が市民を監視しているなんて、普通じゃありませんから。しかも英霊兵(ヘルトクリーガー)ですし」

そう、今帝都では、ドイツ第三帝国の魔道兵器「英霊兵」(ヘルトクリーガー)が至る所にいるのだ。何故日本にいるのか、それについては何も情報がない。ドイツが同盟相手国の日本の民を守る為に送ってきたとか、いざとなったら戦場に連れていけるような人間を探しているとか、そんなことが専らの噂だった。

弓「隣にあんなデカイ奴が立ってたら落ち着ける物も落ち着けませんよ。見たところバーサーカーメインらしい」

無「・・・・どうやら彼らは武装として霊体化しているサーヴァントが見えるものを付けているようです。迂闊に近付いては危険・・・・貴方の宝具であれば回避できそうですが?」

弓「でしょうね。アンタはそのまま行動できますしね」

無「ですがわざわざ危険地帯に飛び込んでいくのもあれです。人気の無いところを本拠にしましょう」

そう言って無銘とアーチャーはその場を離れた。

 

その日の夜。

大通りから離れた柵が立ててある地区の中、ギリギリ壊れずに立っている家屋の前に無銘はいた。

無「・・・・・・・もうここしかないじゃないですか」

弓「これでもかなーり譲歩したんですけどねぇ」

昼間から拠点になる場所を探していた二人だが、双方の「拠点に求める最低限の条件」に合致するような所がなく、散々議論し譲歩した結果こうなってしまった。しかも柵の向こう、つまりここは繰り返される戦争の中で破壊され、戻らないまま放置された云わば「節理から見捨てられた」場所なのだ。

無「何が起こるかわからないというのはありますけど・・・・それ以上にここ雨風そんなしのげないじゃないですか・・・・」

弓「まだ素材があるだけマシでしょ。なーんもない空き地より素質ありますよ」

無「・・・・・・・・命の糧たる水源にまで見放されてるここが?」

弓「近くに川がある。そこから取ってくりゃ問題ないです」

無「・・・・・・・・・反対意見は認めないんですね・・・」

弓「俺の意見尊重するって言ったのマスターじゃないですか・・・・貴方はプロだから任せるって」

無「何か色々・・・・・人としてのものを失う気がします・・・」

弓「何を今更・・・・・・世界各地各時代で生き残ってきた時点でもう人としてのもの失ってるでしょ・・・・」

空がどんどん暗闇に包まれていくのに比例して、二人のテンションもどことなく暗くなっていた。

無「・・・・まぁ仕方ない、というか私の責任です。ここに決まったなら早速準備しなくては」

弓「ポジティブだなー。羨ましいですわ」

覚悟を決め、あばら家に歩いていく無銘の背中を見て、苦笑するアーチャー。

空にはもう星がきらめいていた。

 

何とかしてとりあえず雨は防げそうな屋根を作った。

二人は一息つこうと地べたに座り込む。

無「・・・・さて。これなら今日はもつでしょう。明日はわかりませんが」

弓「まぁ夜のうちに強い風でも起きなければ生き残ると思いますよ。攻撃されたら・・・・・即終了ですけど」

無「ここは基本立ち入り禁止地区。陸軍や英霊兵(ヘルトクリーガー)もそう頻繁には来ない筈です」

周囲には当然だが人気なく、それどころか生物の気配さえしない。ただ柔らかく吹く風の音と、やや遠くに見える街灯の光があるだけだ。

無「・・・・・・美しいものです。人が生きているだけなのに」

イルミネーションのような文明の光に目を細め、無銘は微笑んだ。

無「何としても救わねばならない。この街も、人も」

その言葉にアーチャーは黙って頷いた。しばらく沈黙が流れる。

無銘がアーチャーの方へ向き直った。

無「ところで明日の動きですが」

弓「いい感じの所で話変えないでくださいよ」

無「あ、もう少し待ってた方がいいですか?」

弓「別に平気ですよ」

アーチャーも無銘の方を向く。

無「明日の動きですが、昼は帝都全体の様子を確認しようと思います。どこにどのサーヴァントの拠点があるのか、知る必要がある」

弓「いいですけどそれかなり危険じゃありません?最悪戦闘になる」

無「戦う必要はありません。貴方は宝具で身を隠し、私は戦闘を回避できるように尽力します。私の力があれば事前の相手の動きは把握できますから」

弓「それなら何とかなるか。でも準備はしておくべきだな」

無「ええ。元から準備はすると言うつもりでした」

弓「・・・・・・元から?もしかして夜何かしようと考えてます?」

無「図星です、アーチャー」

無銘の表情が剣呑な空気を帯びる。

無「夜は日本陸軍の軍事施設へ浸入します。魔人アーチャーが所持する大聖杯の存在を確認するために」

弓「そんなの自殺行為だ!火力も数も圧倒的な陸軍にわざわざ潜入するとか、死にに行こうとしてるんですか!?何でそこまでして大聖杯を確認するんです!?」

無「私の得ている情報によると、魔人アーチャーは大聖杯を解体し、「八一号聖杯爆弾」とやらに構成したそうです。我々が現れたこの時点で既に構成していたなら、それに応じて作戦を変える必要があります。それにまだ構成していなくても、どうしても見なければ確認できない事があるのです」

弓「だから見に行くと・・・・・でもアンタの力使えば見えるんじゃないですか?わざわざ行かなくても」

無「ありがとう、アーチャー。心配してくれているんですね。でも私の力を以てしてもそれはきっと見えない。・・・・・さらに言ってしまうとですね」

弓「言ってしまうと、何です?」

無銘はうつむいた。そして視線を空へ向ける。

無「何かが私に言っているんです。大聖杯の元へ行け、そこに協力者あり・・・・・・と」




・・・・・・・これ書いてる途中にイベント終わって気づいたんですけど、
こ れ イ ベ ン ト と ル ー プ 設 定 か ぶ っ た
まさか・・・・・でした。でもパクった訳ではないです。偶然なんです。本当です。

それはそれとしてイベント最高でした!もー以蔵さんかわいすぎる・・・・・養ったげるよ以蔵さん・・・・・。
これから先以蔵さんは勿論、帝都のサーヴァントは全員出てきますのでよろしくお願いします。
次回は協力者現る!のんびりゆっくりの更新になるかと思います。どうぞよろしく。


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