「未完成」の鬼 (野場志沙希)
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目覚め

初投稿です、東方の鬼系オリ主ものが少なかったので勢いで書きました。
勢いで書いたので、多少ガバガバでも大目に見てやって下さい…



ここは何処かの森の中、小鳥は囀り所々で獣の鳴き声も聴こえてくる…

そこに、人型の生物が1人寝転がっている。だが、その姿は人と言うには余りに屈強で巨大だった。更に、その額には1本の大きな角があった。

きっと、人はこの生物をこう呼ぶだろう「鬼」と。

そして、鬼は目を覚ます…

 

「んん……ここは……どこだ……?」

 

俺が目を覚ました時、何一つ覚えていなかった。いや、そもそも目覚める前に生きていたかもわからない。

一体俺は何者だったんだ…。いや、そもそも俺は何なんだ…?

そう考えていると、頭の中に漠然と「鬼」が浮かんできた。そしてその言葉は俺の中に何故かストンと落ち着いた。

 

「俺は鬼…なんだろうか…?」

 

そう言いながら自分の身体を見回してみると、人の2倍はあろうかという身長に人では有り得ないほどの筋肉。

 

「わからん事ばかりだが…腹が減ったな…」

 

まぁいい、腹も減ったし考察は飯の後にしよう。

だが、土地勘の無い森の中を歩き回って食料が見つかるかな…

案の定、数時間程探していたが微妙な色の果実しか見つからなかった。

 

「畜生、全然食いもんが無ぇ…」

 

一応果実っぽいのは取ってきたが、これは喰えるのだろうか…

まぁ、鬼の胃袋なら何とかなるだろう。

 

「ふむふむ、意外とイケるな。」

 

案外、美味しかった。だが、全然足りない。何となく、身体は果実ではなく肉を求めているように感じた。

 

「これはこれでイケるが、やっぱ肉が喰いてぇな。」

 

そうして、森の中を更に探索していると川に出た。

大きめの岩が多数転がっており、その中心を透き通る様な水が勢いよく流れていた。

 

「お、水があるじゃねぇか。」

 

そうして、近づいて水を飲んでいると、自分自身の姿が見えた。そして、その姿は顔は整ってはいるが額には1本の巨大な角が生え、髪は黒髪で腰まで届くぐらい長く、流されていた。

 

「案外悪くは無い…っぽいな?」

 

そうして自分の顔を眺めていると、少し遠くに猪が1匹いるのが見えた。その猪は水を飲んでおり、こちら側には全く気がついていないようだ。

 

「よし、今日の晩飯はアイツにしよう。」

 

俺は少しづつ、猪に近づいて行く。猪は水を飲むのに夢中になっている様だ。少しづつ近づいて行き、後10歩程の距離まで詰めることが出来た。

 

「ふぅ……」

 

少し息を吸い、1歩を踏み出すとジャリッという音がなってしまった。

そして、猪がこちらを向いた。

 

「ちっ……!」

 

舌打ちし、走り出そうと足に力を入れ動き出した瞬間。

猪が見えなくなり、代わりに川が目の前にあった。

 

「は……?」

 

咄嗟に後ろを見ると、猪がこちらを見ていた。

そして、俺は川へと突っ込んだ…

 

「どうなってんだこれは…!?」

 

そう俺が慌てていると、猪は森の中へと逃げようと走り出していた。

俺は咄嗟に、石を掴んで猪に向かって全力で投げた。

 

「ピギィ!」

「やったか!?」

 

俺の投げた石は見事、猪の頭に命中し倒す事が出来た。

しかし、頭は完全に吹っ飛んでおり、中々グロい事になっていた…

 

「強く投げ過ぎたかな…?」

 

やはり力が恐ろしい事になっていた。走れば瞬間移動のように早く、腕力は岩を粉砕できた…

 

「こんなに強かったのか…だが、使いこなせないと意味が無いな…」

 

現状俺は、全力で身体を動かすと制御出来ない。俺は明日から訓練しようと心に誓った。

 

「よし!腹減ったしさっさと食べて寝てしまおう!」

 

取り敢えず、恐ろしい強さの力より腹が減った。

肉を焼こうと、木を倒し持ち前の腕力で火をつけ、料理なんかわからないので毛だけ毟ってそのまま焼いた。適当かつ下処理もしてなかったが果実の数倍美味しかった。舌の問題だろうか、肉がやけに美味く感じるな…

 

「美味かったなぁ…」

 

明日も頑張って動物探すかぁ…。肉の美味さに気づいた俺は、明日もどうやって動物を捕まえようかな…と考えていた…

 

そうして、俺はいつの間にか丸太を枕にして眠りについたのだった…

 

 



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力の自覚

ノリで書き始めたせいで、ストックが全く無い…
1日1回は投稿しないと…(使命感)


翌日、目を覚まし起き上がる。

空は昨日と同じで晴れ渡っていた。

 

「さて、今日はどうするかな…」

 

昨日焼いて喰った猪の残りを平らげながら、今日の方針について考える。

そして、俺自身の力について確認しつつ食料を探す事にした。その時、ふと手元の肉を見て1つの疑問が浮き上がる。

そういえば、焼いたとはいえ長い間放置していた肉は喰っても大丈夫だったんだろうか?

 

「まぁ、鬼だから何とかなるだろ。」

 

少し恐れつつも数分後には肉を食べ切り、残りは骨だけになっていた。

一応骨は地面に埋め、森を探索し始めた。

辺りを見回しながら暫く歩いていると、周りの木より一回り程大きな木が見つかった。

 

「この木で俺の力をちょっと試してみるか。」

 

そして、木に向かって全力で拳を叩き込んだ。

するとドゴォ!!っと大きな音が響き渡り、殴った木を見てみると、丁度俺の拳ぐらいの風穴が木に空いていた。

 

「これが鬼の力か…」

 

俺自身が持つ力の強さに怯えつつも嬉しくなり、辺りの木を再び殴ったり蹴ったり、頭突きを繰り出す。

どの一撃も木に風穴を空けたり、折る程の威力があった。

更に調子に乗り、色々な技を木で試していると、俺の中によくわからない「何か」が循環しているのがわかった。

 

「一体何なんだ、この俺の中を駆け巡るよくわからないモノは…」

 

奇妙に思いつつも、試しにその何かを動かせないかと思い、体内に意識を向け動かそうと念じていると、ふと漠然とした何かを掴んだ感覚がし、気がつくとその何かを自由に動かす事が出来るようになっていた。

 

「おぉ、何か感覚を掴めた感じがするな。」

 

そして、その何かを集中させた身体の部位は強化されるという事もわかった。試しに腕と手に集中させ木を殴ると、先程とは違い木は俺が先程空けた穴よりも一回り大きく、そして、その先にあった木をも貫通していた。

 

「何だこりゃ…無闇矢鱈に使いまくると後が怖いな…」

 

俺はその力を「気」と呼ぶ事にした。理由は特に無いが、この呼び方が何故かピッタリ嵌った。しかし、気を使った一撃は腕への負荷も尋常では無く、数分間程腕が痺れていた。

 

「何となく力が掴めて来た気がするぞ。」

 

そうこうしている内に、時刻は太陽は真上を少し過ぎたぐらいになっており、思い出したかのように腹が減ってきた。

 

「よし!飯を探すか!」

 

興奮冷めやらぬ内に、食料を探そうとその場を立ち去ろうとした。

すると、周りの惨状が明らかになった…

 

「これは、やっちまったな…」

 

辺りを見回すと森がまるで怪獣が暴れ回ったかのように荒れていた。

少し罪悪感を感じたが、俺はどうする事も出来ないので諦めて立ち去ることにした。

 

「さぁて、今日の飯はどこかなぁ?」

 

少し落ち込んだとはいえ、まだまだテンションは高く興奮状態で森を時に走り、歩いたりしながら探索を続けていると少し開けた場所に鹿がいるのが見つかった。

 

「美味そうだなぁ…」

 

高揚を落ち着け、石を拾い昨日のように少しづつ近づいて行く…

今度は音を鳴らさない様に慎重に歩みを進める…

そして、投げれば確実に当てれるであろう距離まで近づき、少し弱めの力で鹿の頭目掛けて投げ付けた。

 

「悪いが、俺は腹が減ってるんでな。」

 

予想通りに鹿は頭を爆散させることなく倒れ、適当ではあるが鹿の血を抜く途中にそう呟いた。

 

「鹿は猪よりあっさりしてるんだなぁ。」

 

例の如く丸焼きにし、片っ端から平らげた。

残った分はその辺の木の葉で包み、寝ようかと丸太に寝転びながら考え事をしていると

 

「そういえば、俺以外に鬼や人間はいるのだろうか。」

 

一応、明日から人や鬼を食料探しのついでに探してみようかなぁと考えながら、眠りについた…



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「世界」の果て

小説書くのって難しいですね。(白目)
短めですが、ここで切るのが丁度よかったんで…


俺が森で暮らし始めて数ヶ月程度が経った。

目覚めて最初の頃とは比べ物にならないほど狩りの腕も上達し、生きる知恵も得た。

まぁ、大体の事はこの身体が解決してくれる所もあり、何だかんだ順風満帆に生活出来ていた。

そして、1つ重大なことがわかった。それは、この「森」には果てがあること。

理由は解らないが、この森には、壁がある。

なぜ分かったのかと言うと、具体的には覚えていないが恐らく1ヶ月前ぐらいに同族や人間探しに遠出した時に発見した。

壁と言うか境界と言うか、とにかく先の景色は見えていて壁などまるで見えないのに通れないのだ。

最初に見つけた時は、とても驚いた。

 

「何も見つからねぇな…(ドゴッ!)つぅ…何だよ…いってぇな…」

 

本当にただ森を歩いていただけだというのに、得体の知れない何かにぶつかったのだ。

暫く悶えていたが、痛みが治まってきた頃に俺がぶつかった場所を触ってみると、何故か何も存在してい無いのに触れることが出来た。

不思議に思い、触れたまま横に進んでも途切れる様子は無い。

更に、腹が立ったのもあり思いっきり殴りつけるが恐らく傷一つつかなかった…

寧ろ、殴った側がかなりダメージを受けていた。

 

「痛過ぎる!何だよこれ堅すぎるだろ!」

 

更に腹が立ち、今度は蹴りつけるもまたダメージを受け悶絶した。

この下りを数回繰り返した後諦め、踵を返し野営地へと戻って行った。

 

「本当に何なんだよこの壁は…」

 

野営地へと帰り着いた俺は、飯を喰いながら考えていた。

 

「どうなってるんだよこの森は…」

 

そして、明日からはあの壁がどこまで続いているのかを調査する事にした。壁の果てが無い以上、どうせ先にも行けないと思った為である。

翌日、またあの場所までやって来た。

 

「さて、この壁はどこまで続いてるんだろうかなぁ…?」

 

最初の地点の地面に印を付け、周りを歩き出した。

そこから、数日間ぶっ通しで歩き続けた。

途中で、内側に曲がり出した。俺は少し不安になりつつも、歩き続けた。そして歩き続けていると、地面に見覚えのある印が見えた。

 

「嘘だろ…冗談だと言ってくれ…」

 

この森は、いや、この場所はまるで箱庭のように円形状の壁に囲まれていた…

そして、出口は見つからなかった…

ショックを受けた俺は、いつの間にか野営地へと帰っていた。

そのまま寝転がり、疲労もあった為かそのまま寝てしまった。

次に、目を開けるとそこには…

 

「ねぇ?あなた誰?何処からここに入って来たの?」

 

俺の視界いっぱいに、青と赤が半々に分かれている帽子をかぶり、青筋と笑顔を浮かべた端正な顔立ちの女がそこにいた。



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