寝ても起きても魔物生活 (一味唐辛子)
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骨になるとは思わなかったよ!
「はぁ、疲れた」
今日の仕事が終わり家に帰っても、することなど何もないが、何気なくパソコンを立ち上げ、またいつものゲームを開く。
『アドベンチャーオンライン』
今ゲーム好きたちの中で、流行っていると後輩に勧められるまま始めたゲームだ、レベルもそこそこ上げってきて、中級者と言われるぐらいには強いと自負している。
最初のダンジョンのザコ敵のスケルトンを倒しながら、デイリーミッションをこなし、ゲームをログアウトするのも忘れ、パソコンを閉じた。
「ふわぁ、明日も仕事、明後日も仕事、こんなつまらない人生だったとはなぁ」
どうせならいっそ、異世界にでも生まれたかったよ……
◆ ◆ ◆
気付いたら洞窟にいた
さっきまで、自分の部屋でゲームしてたのに気付いたら、よく分からん洞窟にいた、何を言ってるのか分からねぇと思うが、俺も何を言ってるのか分からねぇ。
ただまぁこれが俗に言う『異世界転生』というやつなのだとは分かった、自分でも不思議とあまり驚きはしなかった。
しかし!ひとつだけ言いたいことがある、俺の姿についてだ、
(皮膚がなく、骨だけの身体)
(服装は、腰に申しわけ程度の布きれが巻かれており、存在しない俺の息子)
「どう考えたって!『アドベンチャーオンライン』最弱の敵キャラのスケルトンですよね!」
◆ ◆ ◆
(ま、まずは現状を整理しよう、
ゲームしてた
パソコン閉じた
異世界転生
何故かスケルトン←今ココ
全然分からん!
こういう系のやつは、敵を倒していって、最終的にチート並に強くなるやつだよな。
なら、まずは敵を探さないとなぁ……
おぉ、ダンジョンの壁が割れてそこから敵が沸いてきたぞ!こういう仕組みなのか、しかも沸いてきたのは俺と同じ種族のスケルトンか。
フフフ、知能の無い俺の劣等種に人間様の実力を教えてやるか!
◆ ◆ ◆
負けたよ母さん……
嘘だろぉ!スケルトンめっちゃ強いぞ!パンチも速いし、殴られたところ凄え痛いし、絶対勝てないって!同じスケルトンとは思えん、自分の方が劣等種でしたね!ごめんね!
はぁ、マジでどうしよ、ダンジョンをうろつくぐらいしかやることないぞ、出会ったスケルトンには殴られないようペコペコしてたし、てかこのダンジョン、スケルトンしかいねぇのかよ!他のモンスターはいないのか!
プギー
何か音が聞こえたような?
プギープギー
プギュ!?
「すわ!?今なんか踏んだぞ!」
プキープキー
うわぁ、なんだこの小さいの、背中から小さい羽が生えてて、体が白い体毛で覆われてる、足から伝わる感触がめっちゃ柔らかい!
「か、可愛いなこいつ」
はっ!このモンスターなら俺でも倒せるのでは、いやいや、こんな可愛いモンスター倒せるわけない、むしろ仲間にしよう(迷走)
「なぁ、お前俺の仲間にならないか」
「ま、まぁ、俺の言葉なんか通じねぇか……」
プキー パタパタ
「うわっ!顔に張り付くな!ま、まさかお前も俺より強くて、俺を食おうとかいうオチなのか!や、ヤメロォ!」
ムギュ
あ、頭に乗っかった、お腹のモチモチが頭蓋骨から直に伝わる、やったぜ。
「な、仲間になってくれるって事で良いのか?」
プギー!
「おぉ!」
すげぇ嬉しいぞ、初めての仲間だ、多分俺より弱いけど、ものすごい安心感だ。
カタカタッカタカタッ
「また、スケルトンが壁から生まれやがった!仲間ゲットの余韻にも浸らせてくれないのかよ!」
「プギー逃げるぞ!勝手に名前付けたけど許してくれよな!そのまま俺の頭の上にいろ!猛ダッシュで逃げるぞ!」
ここから、俺の、いや、俺たちの冒険は始まるんだ!
ドンッ‼︎
グシャッ‼︎
「ふぁ?」
あ、アレ〜?頭の上にいたプギーが消えて、目の前に、白い怪物がスケルトンを粉々にしてるのですが。
……目の前にいる怪物がプギーさんじゃないことを祈ろう。
ポンッ!
プギー!
「ですよね!プギーさんだよね!知ってたよ!俺がこのダンジョン最弱のモンスターって事は十分、わかったよ!」
あぁ、俺はいつ強くなれるんだろう……
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文明発見!
さて、何をしようか、まずは今の状況を整理しよう。
現実世界で寝る
↓
異世界転生
↓
スケルトンになる
↓
プギー先輩マジリスペクトっす←いまここ
あぁ〜!全く意味分からん、いや待てよこういう異世界転生物って自分のステータスとか見れたりするよな、もしかして俺のも見れたりするんじゃないか!
「ステータス!」
「ステータスオープン!」
「鑑識スキル発動!」
ぷ、プギ(笑)
「チクショー!プギーてめぇ鼻で笑いやがって!」
もういや、心が折れそう肝心のステータスも何も見えないし、一先ず自分の命を大事にして行きたいな、死ぬのは大丈夫みたいな設定だったもしても、痛いのはやだなぁ。
「なぁ、プギーお前もう一回さっきの怪物みたいな姿にはなれるのか?」
ブンブンブンブン
ううむ、全力で首を横に振られてしまった、しかしそうなるとさっきのプギーの姿は一体なんなんだ、一回変身したらクールタイムが必要なのかそれとも魔力的なのを使う感じなのか。
「よし、プギー今から俺が質問するから、はいだったら一回鳴いてくれ、いいえだったら二回鳴いてくれ、分からなかったら三回でよろしくな」
プギ!
「うんうん、じゃあ質問してくぞ」
◆ ◆ ◆
プギーにいくつか質問して、分かった事が大分ある、質問の内容をもう一回整理してみよう。
1つ目に、プギーが俺の味方であると言うこと。
「プギーは、俺の仲間って事でいいんだよな?」
この質問に対し一回鳴いてくれたから、プギーが俺の仲間であると保証してくれたわけだ、ついでに言うとプギーが俺の言葉についてかなり理解してくれていたってのも嬉しかった。
意思疎通は大切だしなぁ。
2つ目に、プギーの変身には何かしらの力を使用していたということ。
プギーに変身には時間が必要なのかと聞いたところ、いいえと言われてしまったので、魔力が必要なのかと聞いたらそれもいいえと言われてしまった。
時間や魔力以外に何か別の力を消費して変身するのかと、質問したら、はいと返事が返ってきた、それが何かまではプギーにも分からないらしい。
3つ目に、プギー自身もいつのまにかこのダンジョンにいたらしい。しかも記憶も失くしているという。
その後、プギー自身のことや、ダンジョンの事、異世界転生の事などを聞いてみたが、分からないこと尽くしだった。
現状を知れたのは良かったが、今の俺たちはスケルトンに襲われただけで全滅する戦力なんだよなぁ。
取り敢えずこのまま動かないってものあれだから、ダンジョンを進んでいくか、降りてってるのか、昇っていってるか、分からないが、俺たちでも倒せそうな魔物もしくは、冒険者が落としていった剣とかあればいいなぁ。
まず、この世界に人間がいるのかって話しなんだがな。
◆ ◆ ◆
プギー♪プギ♪プギ♪
「ハハハ、プギーは楽しそうだなぁ、かれこれ一時間ぐらい歩いてるのに、よくそんな元気があるなぁ」
どうしよう、予想の10倍ぐらいしんどいぞ、変わらない風景がこんなにキツイとは思ってなかった。
どこまで行っても壁、壁、壁尽くしだ、しかもスケルトンも全く沸かないし、近くに魔物を寄せ付けないぐらい強いやつでもいんのかな?
ハハッ、まさかなぁ〜
プギ!プギ!
「お?どうしたんだプギー」
ペシペシ
「アイタ!痛いぞプギー!急にどうしたんだ、言っとくと俺の頭蓋骨はそこらへんのスケルトンより柔らかいからな丁重に扱えよ!」
バンバンバンバン
「割れる!割れる!頭蓋骨割れるっての!プギーさん人の話聞いてます!?アタタタ、なんだよプギーそっちに何があるっていうんだ……へ?」
プギーが向かせた道の奥にそれは確かにあった、見間違いでもなんでもなく、何十年ぶりに見たような感覚と感動が、道の奥には蔦が生えていて、どこかカビ臭そうな木の扉があったのだ。
「お…おいプギー、あれってもしかしてよ」
プギ?
「き…き、木の扉だよなぁ!!」
「誰かがあそこにいるんだ!いや、居なかったとしても、誰かが居たというのが重要だ!」
「俺たちのこの先がちょっと明るくなって来たぜプギー!」
プギー!プギー!
さっきまでのしんどさや疲れなんかは全て吹き飛び、ただがむしゃらにその扉に向かって走っていった。
くぅ〜!遂に来たぜこの瞬間が、この扉は俺とプギーのこの先の人生、いや、魔物生を大きく分ける分岐点に違いない!
扉を開けるとそこには……
「ンァ?なんで、強欲のヤローがここに居んだよ、ボクになんかヨウか?」
気怠そうにこちらを見てる、白髪ロングのロリが居た。
「ふぁ?」
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七つの大罪?!
「ゴ、ゴウヨク?どういう意味ですかね?え?てか俺?」
「ンァ?アー違ぇよ、アンタじゃねー、アンタの頭の上には乗ってるソイツだよ」
プギ?
「プギーが強欲?す、すまんちょっと展開に追いつけないんだが、説明貰えるか?」
「アー、誰かと話すのはニガテなんだよオイラ」メンドッチーシ
「マァ、ソイツもいるしメンドーだけど説明してやるよ、着いてコイヨ」
「は、ハイ」
プギーが強欲?どういう意味だ、取り敢えずこの世界に来て初めての言葉が通じる人間だ、下手な事言って警戒させないように頑張ろう。よ、よしここは無難に天気の話題で盛り上がろう!
「イ、イヤー今日は良い天気ですね〜」
「ココ、ダンジョンの中だぞ、ナニ言ってんだオマエ?」
あぁぁあぁ!失敗した!失敗した!失敗した!失敗した!失敗した!失敗した!失敗した!そうだよここダンジョンじゃねーか!そういやここに来てから俺、空なんか見てねーよ!誰だよ天気の話題は失敗しないとか言ったの!俺だよチクショー!!
「オイ、ソコのオモシロガイコツ、ドアの前で頭抱える踊りしてないで、早くナカに入ってくれナイカ?」
「あ…あぁすまん、すぐ行く」
しっかし、謎は尽きないな、まずダンジョンの事についてや、この子についてとか気になるが、何より気になるのが………
なんでこの子微妙な片言で喋ってんだろう。
私気になります!いやマジで、日本にもこんな子いなかったぞ、片言なら片言で貫けば良いのに、何故貴様は微妙に片言じゃないんだ〜!あぁ〜モヤモヤする。
◆ ◆ ◆
「ン、ココらへんでいいか…」
「ガイコツ、椅子なんてモンは無いから適当にソコらへん座れ」
「あ、ハイ」
「ンァ〜、ソレでオマエの頭のソイツについてだっけか?」
「そ、そうだ!教えてくれよ、プギーが強欲って一体どういうことなんだ?」
「話しすんのはニガテなんだがマァ教えるか〜」
「まず、ソイツが強欲ってコトについて説明するナ、オイラ達が今いるコノ世界【ボアム】には元々7人、イヤ、7体の英雄が居たんだ、ソノ英雄達はこのボアムに突如現れた
ソノ7人の英雄の内の1体がソコにいる、丸っこいヤツってワケだ。話しはまだ続くがここまでで何か質問あったりスルカ?」
「あ、あのな、めちゃくちゃどうでもいい事だが1つ聞いていいか?」
「ア〜、なんでもイイゼ」
「それじゃあ……何でお前微妙に片言なんでございますでしょうか?」
うぅ〜、やっぱ変なこと聞いちゃったかな?今になって後悔、ハ!!もしや、片言でなければならない理由とかがあったのかな?うわぁ〜!また失敗した!失敗した!失敗した!
「プッ!プフフッ!クッフフ!」
「へ?一体どうしたんだおま「アッハハハ!
「フヒー!オマエ変わってるよ!オイラの今の話し聞いてたのかオマエ!オイラへの最初の質問がこのダンジョンのコトやオイラのコトじゃなくて、オイラの口調についてかよ!アッハ〜!オマエ面白いな!気に入ったゼ、適当に話してすぐ帰そうと思ったが、1から10しっかり話してヤルヨ、あ、ちなみにオイラの口調が妙にカタコトなのは生まれつきダゼ」
「あ、えっと〜、なんかアザス」
「何で感謝してんだよ!フヒヒ!ハ〜笑った笑った、ヨシじゃあ続きを話してイクゼ」
◆ ◆ ◆
「コノ世界ボアムに7体の英雄が居てソイツらが
なるほどな、しかしまぁ、俺の知能じゃ理解するので精一杯だったが……
「なぁ…一つ質問があるんだが」
「ナンダ?」
「お前の支配してる世界は何処にあるんだ?」
「お前の話しからすると罪たちは1人一つ支配してる世界があるんだろ、それじゃあ、お前の支配してる世界は一体何処なんだよ」
ニヒッ
口調が定まらないから、生まれつきって設定にした奴がいるって聞いたんですが………わしだ
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また異世界転生かよ!
「な、なんだよそのにやけ顔は……」
まるで蛇が獲物を狩るかの様な鋭く細い視線をこちらに向け、ゆっくりと口角を上げたその顔は今から自分たちは狩られるのだと思わせる感覚があった。
はぁ…はぁ…
不味いな、地雷でも踏んじまったか……
ふっ…と身体が軽くなった
「ウヒヒ、ソンナにビビんなって、オイラがちょっと威圧したダケでソンナだとコノ先思いやられるゼ、全く…」
「言っとくケドナー、オイラは怠惰の罪ダゼ、なんでワザワザ他の世界を侵略しなきゃイケナイのさ」
「マァ簡単に言っちゃうとオイラの支配してる世界はココ『ボアム』ってなワケ、滅ぼされたって言ってもマダ生命は生き残ってるんダゼ、マ!生き残りが少なすぎて支配してるオイラへのしっぺ返しもないし、最高のダラけ場所ってなワケ」
「なるほどな、流石は怠惰の罪って言った所か、自分がだらける為には全力って訳だな」
だとしても、支配者がこんな穴蔵みたいな所にいるなんて、不自然な話だな、何か理由があるのか…
「ンァ?ナンカ言いたげな顔してるなどうした、変なもんでも食ったか?」
「あぁ、いや何でもない、ただ外の世界のことがちょっと気になってな」
「外の世界?ンなモン行けば分かるダロ」
「いやいや、行けば分かるって言ったって今ここダンジョンの中だし、どうやって出るんだよ」
「あぁ!やっぱりお前が支配してるってだけあって出口とかもちゃんと分かってるのか!」
これで一安心だな、外は滅ぼされたって言ってたけど、生命がまだいるって言ってたし取り敢えず呪いで骸骨にされたとかで、話し合いに持ち込めるかな?まぁ一旦出てみないと話しにならないな。
「ンァ、出口?何でオイラがそんなもの知ってなきゃいけないのサ、マ、取り敢えず外の世界に連れてきゃ良いんダロ」
怠惰の罪はそっと手を前に出した
《ワームホール》
「ンジャ、行く世界は自分で決めてイイゼ、もっかいコッチの世界来たら挨拶ぐらいはしていけよ」
「ちょ!待っ
プギーー!!
溢れんばかりの光を持った謎の球体が、爆発したかのように俺たちの視界を光で埋めた。
◆ ◆ ◆
(何処だここは?)
(目の前が真っ暗だ、第六感も身体の感覚も何も感じない)
(浮いてる?この表現が一番合ってる気がする、ただ、今自分が前に進んでいるかも分からない…一体何処なんだ此処は)
「「「選べ」」」
(選べ?一体何の事だ、誰だ、誰が居るんだ)
「「「選べ」」」
「貴様に許された世界は今は三つ、その中から一つを選べ」
「俺の世界は憤怒と◼︎◼︎の世界」
「私の世界は色欲と◼︎◼︎の世界」
「儂の世界は暴食と◼︎◼︎の世界」
「「「選べ」」」
(なんだ、言葉の後半がよく聞き取れなかった、もう一度聞けないのか?)
「………!———!!」
(こ、声が出ない!なんでだよ!今あいつらが言った世界から一つを選べなきゃ行けないのか!?)
(あぁもう!声が出ないのにどう伝えればいいんだよ!)
「念じろ、俺達に聞こえるくらい強く念じろ貴様のような脆弱な者の声も俺達は聞いてやろう」
(念じる!?ふんぬぬぬぬ!!もう一回世界の説明お願いします!!)
「ほぅ、骸骨風情が生意気にも俺を選んだか…」
「あらあら、残念ね、じゃあまたね骨の坊や」
「ホッホッ、憤怒の奴の所を選ぶとはなかなか骨のある奴じゃのスケルトンだけにな、フォフォフォ!」
(あれぇ?なんか話進んでない?え、僕何処の世界行くって?憤怒?明らかにやばそうじゃないですかーー!!)
「俺の世界に貴様の様な骸骨は入ってきた瞬間溶けきる、新しい身体を用意してやる、後は知らん、勝手にやってろ」
(ちょ、ちょっと!待てーーー!!!」
「取り敢えずは歓迎してやるよ、骨野郎」
「ようこそ、憤怒と機械の世界へ…」
ひっさびさの投稿、また暇があったら書きます!
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