あの鐘を鳴らすのは… (デモンズかぼたんこそ至高)
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第一章 -未知-
始まりの未知


彼はもう諦めていた。

永久とも思える膨大な時の中を
ほの暗い牢の中で一人過ごした。

時には牢から出て世界を救った事も滅ぼした事もあった。

だが彼の時間は変わらない
いつも同じ場所、同じ時間に戻される
果てなく繰り返す戦いの日々に
彼は何時しか牢から出ていく事はなくなった









………?

……霧だ……

気づけば牢の出入口が彼のよく知る霧に覆われている

だが彼の薄れていく記憶の中には
この様な出来事は初めてだった。



幾度となく繰り返される日々に
突如として齎された…未知

諦めた筈の彼の胸に僅かな炎が灯る

そして彼は今一度…
…今度は自分の為に…



霧の中に入り辺りを見渡すと

視界一面に闇が広がっていた

 

 

……ツッ!

 

突如として足元にも広がる闇に

足を捕られ引き摺り込まれる

 

抵抗するも振りほどけず遂には気を失ってしまった

 

気を失う直前に彼は確かに聞いたのだ

何度となく聞いたあの蛇の声を

 

…始まりと終わりの鐘を鳴らすのだと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは一体何処なんだか…」

 

気がつくとそこは見渡す限り、平原の地

雨上がりなのだろう、瑞々しい草が生い茂り

数多くの命、溢れる大地そのものだった。

 

 

溜息混じりにぼやきつつ

目の前の景色を目に焼き付ける

 

 

……パカラ…パカラ…パカラ…

 

規則正しい蹄の音が後ろから聞こえてくる

振り向くと二頭の馬に引かれた馬車が近付いてきた。

綱を握っているのは老人だが、生者なのか亡者なのか?

 

「お前さん…こんな処で何をしてるんだね?」

 

…どうやら亡者ではない様だ。

…まともな人間と話しをするのはいつ以来だろうか…?

 

「道に迷ってしまってね、近くに町などはないだろうか?」

「うん?…事情ありといった感じかな?

この近くに大きな町があるんだが、私もそこに用があるんでね

そこで良いなら乗って行きなさい」

 

「感謝する」

 

 

 

ご老人の厚意で町まで乗せてもらっている彼は

久しく無かった真っ当な人間との会話を楽しみながら

この世界の常識を学んでいた。

 

 

「私はマリナス、行商人をやっとるんだ、お前さん冒険者かい? 名前は?」

「リカルドだご老人、冒険者とはなんだ?」

 

「なんだ、大層な鎧だから冒険者かと思ったんだが、冒険者も知らないのかい?」

「あぁ…俺は只の()()()()騎士だ、生憎と人が寄り付かない山奥から出て来たから知らない事ばかりだ」

 

「うむ…冒険者と言うのはな、これから行く町にある迷宮(ダンジョン)に挑む連中の総称だよ

神様から力を貰ってるらしいからとても強いと聞く」

 

「…………………神?」

「あぁ…おい大丈夫か?何だか物々しいぞお前さん」

「…すまないご老人よ、その話を詳しく教えてはいただけないだろうか?」

「ん?あぁ構わんよ、と言っても私も聞いた話なんだがな……」

 

 

 

 

うんと昔にな原因は知らんが怪物(モンスター)が洞穴から出てきて、沢山の人が犠牲になっていったらしい

で、そんな時に神が天界と言う神の住まう土地から、興味本位で降りて来て穴を塞いだらしいんだが

漏れ出てくる怪物を退治する為に、神の持つ力の一部を分け与えてくれたそうだ

神の力を分けて貰った戦士達は、今まで勝てなかった怪物も殺せる様になってな

 

怪物の体の中に魔石って言う石があってそれが生活の役に立つってんで

神の戦士達が怪物狩りを始めたそうだ、その戦士達が冒険者って今は呼ばれてるって訳だ

 

…なぜ神は帰らないのか?う~む…チヤホヤされて居心地が良かったんじゃないのかな?

自分達の生活を守ってくれた訳だしな、感謝もしていただろうしな

でもな~あの町は私も行くのが初めてだから知らないが、よその土地の神はあまり良い評判は聞かんな

 

この大陸の西の方にラキアと言う国にも神と戦士達がいるんだが人間相手に戦争ばかりしてやがる

私も戦火から逃れる為にこっちの方まで逃げてきたんだよ

あの町とよそじゃ強さが桁違いと聞いて割と安全かと思ってな

 

そう言えば魔法都市なんて所もあるらしいぞ、確かアルテナって都市だよ

まぁそこは頭の良い奴しか用の無い様な場所みたいだけどな

 

こんな処だな、私が知っている事は…今向かっている町の名前?迷宮都市と言われる町、オラリオだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




つまんねって思ったら評価0付けちゃって下さい
チラ裏に移します


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始まりの町・オラリオ

感想ありがとうございます!


馬車に揺られて一日近く経った後…ようやくマリナスと共にオラリオに到着しようとしている…

この世界に来た時は昼時だったがもう夜を越えて朝日が昇ろうとしている

 

暗闇の世界から少しずつ太陽の世界に染まっていくと町の全貌が明らかになって来た

とは言っても外から町の中を窺い知る事は出来ない

 

壁だ。

町を覆う様に高い壁がそびえ立ち、ここから見えるのは壁と出入り口の巨大な門が一つだけで

それ以外の一切を、来訪者からの視界を拒んでいる

 

…侵入出来なくする為か…或いは…安易に出られない様にする為か…

 

たった一日だ。

この世界に来てたった一日だがこの世界の大地は美しく感じる

 

太陽が分け与えてくれる命を力に変えて、青々と生い茂る草木に鼓動する大地

冷たさの中に仄かに感じる暖かな風

命満たされる大気がリカルドを優しく包んでくれている

 

死体や亡者で溢れてはいない

澱んだ空気も魂が凍りそうな冷たい風も…あの世界は生を、人を拒んでいた。

 

だから此処は違う

この世界では草木が、風が、大地が己の生を謳歌している…美しい…

 

…だというのに…

 

リカルドにはオラリオがまるで一つの檻の様に感じていた。

 

 

「やっと着いたな!いやしかし大きな町だなリカルドよ」

「…そうだな…ようやくだ、俺は近くの町と訪ねた筈だったんだがな…」

 

「まだまだ若いんだから、そう生き急ぐ事もないだろうが」

「…若いか…そうだな…せっかくの機会だしな」

 

「そうだとも!さてお前さんとの旅路も楽しめたが私は行商人だからな、商売しなければ始まらん。

リカルド…お前さんはこれからどうするつもりだ?」

 

「とりあえずは情報が欲しいな…金も必要だろうし…!済まないマリナス…運賃なんだが!」

「あぁ構わんよ、どうせ道中だしな…暫くはオラリオに住むんだろう?また会った時にでも酒の一つでも奢ってくれ」

「本当に済まない…次の機会には必ず」

 

「あぁ。情報が欲しいならギルドって所に行くと良い、迷宮の一切を取り仕切る組織だそうだから知っている事も多いんじゃないか?

まぁあそこに立っている門番さんにでも聞いてみると良い」

 

「だな…ではマリナスよ…短い間ではあるが本当に世話になった感謝する」

リカルドはマリナスに一礼し感謝の意を伝えた

 

「酒の約束を忘れるな、後は…死ぬなよ~?」

マリナスは笑いながらそう言うと馬車に乗り大通りに歩を進めた

 

残されたリカルドは嗤いながら俯き、一人口籠る

 

…あぁ()()は無い………()()()()()……

 

 

 

 

「おはよう…門番さん少し聞きたいのだが」

「なんだ?…フン…身なりからして冒険者志望だろう!だったら迷宮でもギルドにでもいけ!」

「………」

「な…何だよ?…」

 

「……申し訳ないな仕事中に、その迷宮に行きたいのだが、初めてこの町に来たんだ。

場所を教えてはいただけないだろうか?」

 

「あ…あぁ…地図があるが…あんた金は?」 「無い」

「なら迷宮はこの通りを真っ直ぐ行くと良いぞ…噴水のある中央広場に出たらバベルに入れ…あのでっかい塔だ

ギルドはそこにあって、迷宮はあの塔の下にあるんだ…他の所は…悪いが地図を売ってるからな…教えられない」

 

「町の事ならこれからの時間はさっき言った中央広場や大通りを使って朝市があるからそこで仕入れろ…

大通りは北・南・西・東・北西・北東・南西・南東の八方位だけだ…大通りも通れば迷う事も無い…」

 

「ありがとう、仕事中に申し訳なかった」

 

 

 

 

「お!兎亭の女将さんじゃないか~おはよう!今日は鯖があるよ」

「おはよう!鯖も良いけど朝食用に鮭も頂ける?」

 

「こっちには新鮮な卵があるよ~!明け方採れたばかりだよ~!」

 

「皆さんおはようございます!デメテルファミリアです!

野菜も果物も沢山ご用意しておりますので、どうぞ見て行って下さい~」

 

「はい!ありがとうね、こっちはおまけだ!またよろしくね~」

「どうも…おばさん、調味料なんかも欲しいんだけどどこにいけばいいかな?」

「調味料?それなら東方面の通りの方に行ってみな!香辛料なんかも揃ってるよ」

「ありがとう!行ってきますよ」

「そこの冒険者の君!ジャガ丸くんはどうかな!揚げたてだよ~!」

 

 

太陽が昇り、町に日の光が差し出した頃、中央広場に着いたリカルドは大階段に腰を下ろし目の前の光景を眺めていた。

リカルドはこの絶景に心奪われ、先程までの疑問は頭から消え去っていた

 

大通りにも人は沢山いたがこの中央広場は段違いの活気で満ち溢れている

 

商人の一人が自身の用意した商品こそ一番だと誇示する様に声を張り上げれば、彼に負けじとまた別の商人が声を上げ

また一人、また一人と声の波が巨大な広場に活気を促す

その熱にあてられて買う者や食べながら他の商品を物色している者も多い

皆が今と言う時を大事に楽しんで生きている。

 

見れば人間では無い者も多い

マリナスが言っていた亜人と言う者達か

猫の様な耳を生やした者・耳の長い者などがよく目立つ

 

中には明らかに一般人とは違う、重量過多な重厚な鎧を身に着けた者や魔法でも使うのか?

小汚いが、何処か懐かしくも思うローブを纏っている亜人などの姿も見かけた。

 

…あれが冒険者…あの装備で迷宮とやらに挑むのか…

 

…割りと上等そうな武器を持っている少年がいたがあの少年も冒険者なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして……

 

……ソレ等は見ればすぐにわかった……

 

……わかってしまった……

 

……そこには……

 

……神達がいた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オンスモ勝てないけど白呼んだら負けな気がする


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迷宮にいけない・兎に出会う

感想ありがとうございます!
短いですが返信させていただきました。


~リカルド~

 

 

 

 

……不愉快だ……あぁ…不愉快だとも…

 

()()()()()に気分を害したリカルドは

自身から漏れ出す殺意を抑える為に適当な裏路地に身を潜め、心を静めていた

…のだが、漸くして落ち着いてきたので迷宮で憂さ晴らしをするべく身を起こした時…

 

 

 

「おい お前死にたくないなら金置いていきな!」

「あんたさぁ、あんな所でキョロキョロ顔動かしてたら新人(ルーキー)丸だしなんだよね」

「上等そうな鎧だな~、売れば金になりそうだな~!」

 

優男に馬鹿女・髪の足りない禿が

下卑た笑顔を、顔に張り付けてこちらに剣や斧を向けて恫喝する

……「金なら無い、失せろ」

 

「は?お前が身に着けてる物は飾りかよ!」

「いいよ、もう、どうせ新人何だから殺っても誰も気にしないって」

「殺す?殺すの?ウフフフフフッ・・・」

 

…あぁ…コレは駄目な奴等だ…

 

 

「…………え?」

 

 

最初に気付いたのは女だった、否、気付けたのは女だけだった

奴の手には鞘の中に納まっていた筈のクレイモアが握られている

 

…何時抜いたんだ?…

 

…グチャ…グチャ…ビチャ…

 

思考に耽っていた女はナニカの音で意識が戻ったが…既に自身以外は殺された後だった

 

…おもむろに男に接近したリカルドは、その勢いのまま左手で顔を掴み壁に叩き付ける

手の中で男の頭蓋が粉砕され、辺りに血と鉄の匂いが充満する

…一人目…

 

一人目を始末したが禿も女も呆けていて反応できていない

リカルドは直ぐ様、右手にクレイモアを握り鞘から抜き放つとそのまま禿の首を斜めに切り落とす

切断され、無惨に首が地面を転がって行き下水路へと消えていく…

…二人目…

 

瞬く間に二人を始末したリカルドは三人目の女と向き合う…

女は恐怖に駆られ、足は竦み尻もちをついてしまう、兜の所為で顔は見えないが次は…と言われている気がした

目には涙を浮かべ、震える手でナイフをリカルドに向けている、女の周りには水たまりができていた

 

「…お……おね…が…い…助け…アァァァ!」

無惨にも一つの慈悲も無く、女の胸元に大剣が突き立てられ地面に縫い付けられる。

 

「人に刃を突き付けておいて命乞いか…惨めな女だ…」

 

女の服で剣に付いた血を拭い、立ち去ろうとしたが足元に落ちていた財布を拾い上げ、暫し見つめた後、胸元に仕舞い込んだ。

 

 

…迷惑料位は良いか?…

…さて…では迷宮とやらに行くか…

聞けば迷宮内は、攻略が進んでいても未だに全貌が掴めないでいる未知のダンジョンだと言う…

…必要な物は中にもあるかもしれない…

 

…どこにあるかも判らないし、どちらの蛇かは判らんが

鐘を鳴らせば勝手に出てくるだろう…

 

 

大通りに戻ったリカルドは真っ直ぐバベルに向かい中を窺えば、冒険者達が

巨大な螺旋状の階段を下って行くのが見えた

…あそこか…

冒険者達の列に紛れ、リカルドも階段に向かおうとしたが

 

声が聞こえる…誰かを呼ぶ声だ…振り向くとそこには…

 

~エイナ・チュール~

 

バベルと呼ばれる巨大な塔の中にギルドは存在し

迷宮に挑む、冒険者の登録・管理・運営などの雑務をこなす

 

ギルドには魔石を通貨(ヴァリス)に換金できる換金所などもあり

これ等はギルド職員がその一切を取り仕切っていた

 

また迷宮に行く際には登記簿に登録する必要がある

有事の際、何処の誰か確認をする為である

 

 

ギルドの受付嬢兼冒険者達のアドバイザーでもあるミィシャとエイナは

早朝、初めて迷宮に挑む冒険者達と面談・見送った後

彼女達のいつものやり取りが行われていた。

 

「エイナ~この書類なんだけど~」

「自分の仕事でしょ?やりなさい」

「うっ…厳しいよ!エイナはもっと甘やかしてくれ…「怒るよ?」…はい」

 

「でも確かにこの時間は忙しいわね、少し時間をずらしてほしいね?」

「そうだよ!我先に行きたいのはわかるんだけどね~」

「まぁまぁ、今日は新人さんもいないみたいだし

お昼時までは暇になるんだから今の内に片付ける仕事はやっておこうね」

「は~い」

 

 

 

 

…?

 

エイナは長くギルドに勤めてはいるが、冒険者全員の名前や所属を知っている訳ではない

しかし、顔や人となりは知っている人も多く、また美人エルフ受付嬢と言う事もあってか

冒険者のみならず神にも広く知れ渡ってる

 

その彼女も知らない大男が、真っ直ぐ迷宮の入口に向かっている

顔は兜で覆われており、判別がつかないが身長は2M程はある様でこれまたデカい大剣を背にぶら下げている

一度見れば決して忘れない自信があった。

 

「……ねぇ?ミィシャ、あんな人見た事ある?」

「ん?…ん~ないと思うけど…?」

「…私ちょっと行ってくるね!」

「なんか強そうだし気を付けてね!」

 

 

「…あの~すみません!」

 

彼の近くまで走って来たエイナは声を掛けた

 

彼の足が止まり、こちらを振り向くと…

 

 

 

~リカルド~

 

振り向けばエルフの娘がいた

身ぎれいな服装から察するに、ギルドの職員と言ったところか?

背が合わないので少し屈みながら彼女との視線を合わせる

 

「……何か用かな?お嬢ちゃん?」

「お嬢!…違います!私はギルドの職員で受付嬢兼アドバイザーのエイナ・チュールです!」

額に青筋を付けながらもエイナは自身をリカルドに紹介した。

「失礼…俺はリカルドだ…姓は無い…繰り返すが何用かな?」

 

「失礼ながら…リカルドさんは初めてギルドに来られたのでは?」

「あぁ。そうだ…今朝方この町に付いたが…」

 

「リカルドさんはどこの所属でしょうか?」 「?」

「え…え~と…どの神様の眷属ですか?」 「?」

「………」「………?」

「……リカルドさん♪神の恩恵(ファルナ)ってご存知ですか?♪」

エイナは神すら恋するであろう魅惑に溢れた笑顔で最後の質問をしリカルドの返答を待つ

リカルドの周りにはもうエイナしかいなかった。

女達は青ざめてそそくさと離れ、男達は鼻を押さえてこの場を後にする

 

妙な雰囲気に囚われながらも自身の主張をはっきりと伝えた。

「いや知らないが」

「こちらへ…「いや俺はダンジョンに…「こちらへ」……「こちらへ」…わかった」

 

後の事は割愛するがいつの世も女は怒らせるものではないという事らしい…

 

 

 

 

~???~

 

 

…昨日は散々な目に遭ってしまった…

でも、思い描いていた出会いでは無かったけれど良い事もあったなぁ~♪

…また会えるかな…っともうこんな時間だ!

早く戻らないと神様に怒られる!

 

 

 

……あの人、階段に座り込んで何してるんだろう?…

 

…ハッ!あの哀愁には見覚えがある!

まるで僕がファミリアへの加入を断られ続けた時みたいだ!…どうしよう…

 

 

 

 

 

 

「……あの~」

「ん?」

「……」

「……」

 

「え~、え~と、何か困り事でしょうか?」

 

「…うん?う~ん。ぁあ!困り事なんだがな…う~ん」

 

「僕なんかで良かったら話を…」

「……自ら面倒に首を突っ込むのか?少年?」

 

「え!え~…はい。…でも困ってるみたいだったから…」

「……」

 

 

 

 

…少年。名は?俺はリカルドだ…騎士をやってる…

 

 

 

 

…あ、リカルドさん…僕はベルです!神ヘスティアが眷属の一人、ベル・クラネルです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オンスモを倒したリカルドを待っていたのは女型巨神の爆乳だった…
暫し堪能し、かぼたんを復活させたリカルドも待っていたのは
お口クチュクチュが必要な出っ歯の蛇だった
蛇に会ったらニートを殺れと言われたが
ニートは実は脳筋に見えたネクロマンサーだったのだ!
骨骨ロックズにボコボコにされるリカルド
霧の指輪と最大エスト瓶・ハベル一式を着込んで
いよいよ無職死霊使いVS早くアルトリウスコス装備が欲しいリカルドの最後の決戦が始まろうとしていた!


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豊穣の女主人にて

何か…が多いらしいので減らしてみました。


「え~と、つまりリカルドさんはダンジョンに

神の恩恵(ファルナ)無しで行こうとしてエイナさんに止められたと」

「あぁファミリアを決める迄は絶対にダンジョンには入れてくれないらしい」

リカルドが先程の受付嬢との一幕を話し出すとベルの顔が徐々に青ざめていく

「しかしあんなに怒られるとは」

「入る前で本当に良かったですよ!死んじゃったらどうするんですか!

ダンジョンは本当に危険なんですよ!僕だって神様に神の恩恵を貰ってやっと最弱のゴブリンを倒せたんですから…」

ベルは声を荒げてリカルドを叱責する

「あのお嬢ちゃんにも同じ様な事を言われたよ、いずれにせよどうするかな?」

「…あの!良ければ僕の神様に会ってみませんか?優しいしきっと…」

「神は好かん…今朝も気分の悪い事があったばかりなんだ…聞かないでくれ少年、声を掛けてくれた事感謝する」

リカルドは立ち上がり一人大階段を降りていくと残されたベルは立ち上がり、意を決してリカルドにある提案をした。

「あの!西の大通りに豊穣の女主人って酒場がありまして、約束がありましてですね…良ければご一緒しませんか!」

「………」

自身の信じる神が蔑ろにされるのが気に食わんか。それに酒場か、食事はあるか…食事…金もある

「…少年、先に行っている」

「はい!すぐに行きますから~」

ベルははち切れんばかりの笑顔で手を振って応えた。

 

戦士には見えんな。

 

 

 

 

 

西の大通り沿いにその店はあった。

扉は開放されており店内の明かりが大通りを照らす

店の正面には巨大な看板が付けられており、遠くから見てもすぐにわかる

ここは数多くの冒険者が集まる酒場

 

~豊穣の女主人~

 

 

店内に足を踏み入れると一人の給仕が近付いてきた

「いらっしゃいませニャ~!一名様かニャ?」

「失礼、待ち合わせなんだが多分後から二人来る」

「今日は団体様が入っているニャ、カウンター席でも構わないかニャ?」

「ああ」

「ニャ~!カウンター席三名様ご案ニャいニャ~!お連れ様は後から来るニャ~!」

カウンター席は長い凹上になっており角の席に座りカウンターを見ると調理の終えた皿を給仕に渡す女性と目が合う。

「あんた、店に来るのは初めてだね?」

「あぁリカルドだ。今朝方にこの街に来たばかりだよ」

「私はこの店の店主だ、ミア・グランドだよ」

自己紹介が済むと店主は料理の下準備に戻り、リカルドは目の前に置いてあるメニューを開く

メニューには本日のおすすめや旬のもの、酒類など一目で分かるように創意工夫がなされている

「何にするんだい?」

「知り合いが来るだろうからな、食事はその際に取ろうか。醸造酒(エール)を頼む」

ミアが頷き店の奥へと消えていくと一人のウェイトレスがこちらに近寄って来た。

「ご来店ありがとうございます!私はシル・フローヴァです。今後とも御贔屓に」

「リカルドだ、よろしく…今後の事は美味ければな」

「フフフ…その点はご心配なくです。ミアお母さんはオラリオで一番ですから。お連れ様が後ほどいらっしゃる様ですがどういった方で?」

「予定では二人だ…一人はベルと言うがもう一人は会った事がないからわからないな」

「ベルさんのお知り合いの方でしたか!」

「うん?…約束がどうのと言っていたが君の事か?」

「はい!今朝にちょっとありましてお夕飯はこの店で召し上がって頂く事になったんです。」

 ペロッと舌を出しながらシルの顔は悪戯に成功した子供の様だった。

「シル!働きな!あんたシルの言ってた客の知り合いだったのかい?」

そうこうしている内にミアが戻ってきておりテーブルの上に醸造酒が置かれるとシルに一喝し、シルは慌てて業務へと戻っていった。

「らしいな…しかし強かな娘だなミア・グランド」

「ミアで良いよ、気色の悪い。手を出したら承知しないよ」

「子供に手を出す趣味は無い」

 

 

アァ…コレは良い

二度と口にする事はない、否、口にした記憶すらもう無かったリカルドだが一口、また一口と口にする度に全身がナニカで満たされていく

()()()()()で失われた筈の記憶が、人であれた頃の記憶が、水分の潤いを得た肉体に呼応して体の奥底から呼び起こされる。

 

…お…おい…あんた…

誰かが俺を呼んでいる

 

「あんた!」

「うん?なんだ?」

意識が戻る。どうやら呆けていたらしい

「なんだ?じゃないよ!全く…あんたのジョッキ空じゃないかい、なのに何度も飲もうとしてるし、気でも触れたのかい?」

ジョッキが空なのに何度も傾ける俺を心配して声を掛けてくれていた様だ。

「すまないな、酒を飲んだのは久しぶりだったもので少し呆けていた様だ、もう一杯頼めるかな?」

「良いけどさ、ウチの酒飲んで潰れるのはごめんだよ」

苦言を口にするとミアは忙しいのか給仕にジョッキを渡し、自身は目の前の料理を仕上げていく

酒の余韻に浸っているとエルフの給仕が追加の醸造酒をテーブルに置き一礼し業務に戻る。

再び酒を口にしたリカルドは一時の幸せと共に酒を呷る

 

五杯目を過ぎた頃、ベルが来たがどうやら一人らしい

ベルはリカルドに気付くと直ぐ様こちらに向かってきてリカルドに頭を下げる

「すみません!遅くなってしまって!」

「さっきぶりだな少年、気にする事はないぞ、楽しませてもらっている…で二人で来るかと思ったんだが…」

「すみません、実は…」

ベルは神の恩恵を更新してもらった後、リカルドの話をするつもりだったが何やら神を怒らせてしまったらしく

すぐに神は仕事の飲み会に出かけてしまったらしい

「神なんて気まぐれなモノだ、少年が気に病む事ではない」

「まぁまぁベルさん。リカルドさんの言う通りですよ、せっかく来て下さったんですから楽しんでいって下さい。」

シルがベルの肩に手を添えながらカウンター端の席に着席を促すとベルは顔を真っ赤にしながら席に座った。

ベルが座るのを見届けたリカルドは残った酒を飲み干し、ベルに提案をした。

「では食事にしようか」

 

 

 

 

…!

食事に夢中になっていたリカルドは我に返った。

酒と同じく食す事など記憶の彼方に消し去っていたリカルドは目の前の暖かい料理に心奪われ目に映る物全てを平らげてしまう。

ミアもそんなリカルドを見て本人の承諾も無しに料理を並べリカルドは置かれた料理に舌鼓を打つ

ベルの事などお構いなしである。

 

「…ふぅ」

漸く一息付いたリカルドにベルやミアが声をかける

「あはは…凄い食べっぷりでしたね」

「まさかこっちの客が大食漢だったか」

リカルドに用意された皿は既に10皿を越えており、その全ての食材が彼の腹の中に納まっている

自身の食い散らかした惨状を見るやリカルドは思わしげに

「…金の許す限りはこの店に通う事になるだろうな」

「はははっ!そこまで言われちゃ料理人冥利に尽きるよ!次の一杯はサービスしてやるよ」

「では蒸留酒を」「はいよ」

「時に少年よ、知らぬ間に良き雰囲気だな。今日来たのはお邪魔だったかな?」

ベルの隣にはシルが座っており何やら話し込んでいた様だ。

「えぇ!そんな違いますから!」

「違います!ヘンな事言わないで下さい!」

二人が顔を真っ赤にして否定の言葉をリカルドに投げ掛けるが…

「構わんよ俺は好きに飲んでる…しかし少年よ彼女は強かだぞ、尻に敷かれる事を覚悟しておけ。」

「ゑ?」「…怒りますよ」

ベルとシルで遊んでいるとミアがジョッキをリカルドの前に置き、質問を投げ掛けてくる

「あんたらはどんな関係なんだい?」

「困っていた俺に話しかけてきた物好きだよ、ファミリアとやらを紹介してくれるらしい」

「なるほどね~でもあんたならどこ行ったって声が掛かりそうな見た目だけど?」

「神の良い話は聞かんがこの少年は面白そうだったからな、食事の際に話を神本人に話を聞くつもりだったが来なくて良かったかもしれん。

来たら食事どころではなかっただろう。」

リカルドはそれだけ言うと酒の世界に入っていった。

 

 

 

「団体様のご到着ニャ~!」

入店時に言っていた団体客が来た様だがリカルドには関係がなくメニューのおすすめ順に酒を飲み続けていた。

「次は蜂蜜酒か」

「あのリカルドさんお代の方は大丈夫ですか?」

リカルドの懐事情を心配したシルが声を掛けミアがそれに乗っかる

「言っとくけどねウチはツケやってないよ」

「うん?…シルよ教えてもらった基準なら2万程はある筈だが…」

財布を出し中身をシルに確認してもらうと

「あ!そうですね~2万2千ありますから問題ないですね」

「もし超えそうなら教えてくれ」「わかりました」

「ところで…少年は一体何をしているんだ?」

リカルドの懐に問題がないと確認し終えたのだがベルからは全く反応が無くベルは頻りにカウンターに蹲ったり団体客の方を覗き込んだりしている。

リカルドがベルの視線を追って見ると金髪の少女を見ている様だ。

「少年は金髪好きか?シルはフラれたな?髪染めなどは売っていないのか?」

「……本当に怒りますよ?」

「ち!違います!え~とそのですね命の恩人なんですよ…」

シルで再び遊んでいるとベルが否定の言葉を口にするが顔が真っ赤な時点で否定しきれていない。

「命の恩人?」

「はい!ダンジョンでミノタウロスって怪物に襲われまして…危ない所を助けてくれたんです!」

「なるほど…それで惚れたか」

「うっ!違うって言ってるのに…」

「真っ赤にしたままでは説得力がないぞ少年、ミアよつまみも頼む」

 

 

 

「雑魚じゃあアイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねぇ」

団体客の酔っ払いが大声で他者を馬鹿にした話を語り出し周りの者が嗤う

話の内容・ベルの態度から察するに彼の話なのだろうが聞くに堪えないので割愛する。

 

「ベルさん!」

依然としてつまみを食し、酒を飲み続けるリカルドだった…が嘲笑に耐え切れなくなったベルはシルの声も無視し店を飛び出して何処かに去ってしまった。

シルは外まで追って行ったがリカルドは我関せずと変わらぬ調子で飲み続ける。

「…あなたは追うべきだ。」

見れば先程、酒を持って来たエルフの給仕がリカルドを睨み付けていた。

「何故だ?」

「あなたは彼の仲間だ。追うべきです。支払いも済んではいません。」

「…支払いは俺が持とう 知り合いはしたが仲間ではないし仲間であれば尚の事追う必要はない」

「…何故ですか?あの様子では行先は恐らく…死んでも構わないと?」

給仕からの重圧が徐々に増していく 相当怒っている様だ。

「はっきり言おうか?解らぬ女・子供なら引っ込んでいろ。少年は…ベルは少年から漢になろうとしているんだ…待っててあげるのが良い女らしいぞ?」

「……」

エルフの給仕はキレかかっていたがミアが制止する。

「リュー引っ込んでな。あんたあの子にファミリアを紹介してもらうんじゃなかったのかい?」

「まぁバベルには行くぞ?生きてれば会えるだろう?」

「……」「……」「……」

「ふぅ…そんなものかね?」

「あぁ…そんなものかな? では会計を頼もうか」

 

 

ミアとの会話を終え会計を済ませようとしたリカルドだが招かれざる神が酒を片手に近寄って来た。

団体客が入って来た時から気付いてはいたが、顔も見たくはない故に無関心を貫いていたのに…

「聞こえたで~!あんたファミリア探しとんの?」

「……あぁ」

コレは()()見かけた時と同じ様に軽薄な言葉を口にする

「ふ~ん?…良し!今日は皆で打ち上げやねんよ!気分ええからここで入団試験受けさしたるわ~嬉しい?嬉しいやろ~!

ウチはロキ・ファミリアの主神でロキや。よろしゅうな~!」

酔っ払い神はリカルドを値踏みし勝手に話を進めようとするがリカルドは…

「結構だ」

「へ?」

「いらんと言っている」

「…え?え~とウチのファミリアはアレやで?ダンジョン探索でな!現役の中では一番でな!もうすぐにも歴代一位に…」

「主神は貴様なのだろう?」

「え?そやけど?」

「ならありえん、絶対に」

 

 

 

「………ア?」




引きこもりニートを何とか外に出す事に成功したリカルドは
ついでに大王の屁に包まれ行けなかったデーモン遺跡に行き
なんやかんやでデカい木を倒した
師匠に会う前に倒した為暫くは師匠に会えない…そんな友の声を聴いた気がした
そんな時レア様が図書館に攫われてしまった
救出の為に図書館に向かったリカルドは禿竜シースーに負け投獄されてしまう
獄中で目を覚ましたリカルドはガバガバ警備を抜けレア様と再会するが
レア様は既に正気を失った亡者にされていた
仕方なくレア様を葬ったリカルドは怒り狂っていた
見下げた竜だ!お前なんて…握ってやる!
竜を握り潰したリカルドは友から過去にいく方法を聞き
ウーラシールの過去に飛んだ
そこにはリカルド念願の騎士アルトリウスが彼を待っていた。
今までで一番死にまくりながらも不屈の精神と木目を取って来たリカルドは
遂にアルトリウス装備を手に入れた…が
あれ?…剣は?
友にサインを送り返ってきた返答は巨人の鍛冶屋に会いに行けとの事だった
盾にはシフのソウルが・剣は強化が必要だと知ったリカルドは
原盤とやらの為に小ロンド遺跡に足を踏み入れた


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歩き出した彼の名は

オクトパスにスパイダーマン、ゼノブレイドにBF
ロックマンに冬にはヨッシーとスマブラと…後お仕事か…
ないわ~
書いてる時間がないわ~
残念だわ~



ロキファミリアはダンジョン攻略を掲げるファミリアでありオラリオ一を謳うファミリアである

ダンジョンの攻略階層は歴代二位にであり時期に新記録を打ち立てるであろうと語られるほどに…

その知名度の高さ故にファミリアの門を叩く新人冒険者の数も多く入団には幾つもの試験を用いられる事も少なくない

その難関し数多くの試練を乗り越え偉業を成してきた冒険者達だからこそ自身のファミリアこそ一番だと言う気位も高いモノである

だからこそ今のこの状況は芳しくなかった。

主神ロキが酔った勢いとはいえ安易に新人を勧誘した事も、またその新人が自らが掲げる主神の誘いを一蹴した事も気にくわなかった

店内は今や喧騒とは程遠く沈黙と僅かな殺気で満たされていた

 

「…なぁもっぺん言ってみ?」

ロキは薄く目を開きながらリカルドに次の言葉を迫ったがロキファミリアの中から

他の冒険者よりも小柄な金髪の少年がリカルドとロキの間に割って入って来た

「待ってくれないかロキ?僕も聞きたい事があるんだけど…」

少年はロキにそう告げるとリカルドの隣の席に腰を下ろした

「君は誰だ?」

「初めまして、僕はロキファミリアの団長を務めさせてもらっているフィン・ディムナだ」

「少年が団長なのか?」

「あはは…僕は小人族(パルゥム)と言う一種族なんだ子供な訳じゃないよ」

「なるほど…失礼した何分山奥から来たものでな、まだまだ世間には疎い」

首を傾げながら呟くリカルドに苦笑しながらもフィンが答え、リカルドは頭を下げながら謝罪した

「フィン?今はウチがコイツに」

「ロキ、ミアさんを見るんだ」

ロキはフィンに促されミアを見て顔を青ざめた

ミアはロキをずっと見つめていた

「…揉め事は御免だよ」

「でもミア母ちゃん!コイツが!」

「…ロキ」

「……スンマセン…」

ミアの逆鱗に触れたロキは小声で呟くとフィンの隣に座り小さく丸まって動かなくなった

リカルドの相手はフィンに任せる様だ

「…さて先程も言ったけど僕はロキファミリアの団長をやっている。

主神が蔑ろにされたとあっては僕達も黙っている訳にはいかない…」

フィンがそう告げると団員達からのより強い殺気がリカルドに向けられるがリカルドに気にした風はない

「理由が必要か?」

「出来れば知りたいかな?ロキが君をいきなり勧誘した事は謝罪しよう

ファミリアに所属するなら自分で決めるべきだし、酔った勢いとはいえこんな形の勧誘は僕達も納得はしてはいないよ」

フィンの隣の丸まった背中がビクッと跳ねる

フィンはロキの勧誘の仕方を謝罪しながらも尚話を続ける

「さっきの君はファミリアを拒んだと言うよりロキ自身を否定した様に僕は感じたけど理由があるなら知りたい所だね」

「…ミアよ醸造酒を」

 

「理由はあるが…聞く気がある奴は聞くと良い」

ミアに酒を持ってきた酒で喉を潤しながらリカルドが話し出すと皆が話に耳を傾ける

「俺は今日この町に来たばかりで右も左も分からん状況でな、門番さんに聞けば朝市をやっていると聞き見に行ったのだよ

…美しかったよ…そこにあるのは美しい街並みに、見渡す限りの活気溢れる人間達の営みだったんだ

そんな時に一人の少年が目についた

母親の手伝いなんだろう籠に沢山の林檎を入れていてな

母親の後を遅れまいと必死に歩いていたんだが転けてしまい辺りに林檎が散らばってしまったんだ」

「フィン・ディムナそんな時お前ならどうする?」

リカルドはフィンを真っ直ぐ見て返答を促した。

フィンは少し思い悩みリカルドに返答を返した。

「…それは拒んだ事と関係あるんだね?」

「無論だ」

「なら…そうだね?散らばった林檎を拾ってあげるかな?」

リカルドは話を聞いていたミアに聞く

「ミアならどうする?」

「私なら転んだ怪我をまず気にするかな?あんたさっきから何が言いたいんだい?」

リカルドはミアの返答に満足そうに頷くとロキに話しかけた

「ではロキファミリアの主神ロキ様よ…あなたの今朝の行動を我々に聞かせて頂けるかな?」

酒場の皆がロキを見るがロキは丸まったまま顔を上げることを拒んでいるがフィンはそれを許さなかった。

「ロキ…何をしたんだい?」

フィンが満面の笑顔でロキに迫り、ロキは丸まった体を震わせながらか細い声を上げ返事をする

「…ワタシハナニモシリマヘン…」

「そんな訳ないだろう?彼は今の話が関係あると言ったんだ。君を拒んだ理由だとね…」

「……」

ロキは黙しフィンは答えを迫るがリカルドは呆れ席を立つ

「ミア…支払いを頼む付き合いきれん、言い辛いなら私が言おう

朝市には神連中もいてそいつもいた…であろうことかその少年をせせら嗤ったのだよ…まぁ先程までの貴様等も大して変わらんがな

商売敵とはいえ新人を本人を目の前にして笑い者にするような矜持無き者共と俺は関わる気は無い」

………

店内に再び沈黙が訪れリカルドは淡々と支払いを済ませ店を去ろうとしたがフィンに呼び止められる

「待ってくれないか!さっきの少年がベートの話していた…」

「だとしたら何なのだ?探し出して謝罪でもするのか?馬鹿馬鹿しい」

 

彼はもう己の無力を知り歩き出した…始めてしまった…

 

 



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