ハリー・ポッターと足掻く者 (らはんん)
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物語開幕前
1981年11月1日 転生しましたとさ


処女作です。お手柔らかに…


 俺は前世でハリーポッターの世界に傾倒し、映画や小説をはじめとする多くの関連作品を周回し、果てはSS作品も粗方読み切ってしまうようなかなり熱狂的なハリポタファンだった。

 

 前世では特に自慢できる事ではなかったし自己満がほとんどだったが、こうも奇跡みたいな事が起こるとそれは他のなによりも素晴らしいプラス要素になる。

 

 読者の予想通り俺は転生した、ハリーポッターの世界に。何故わかったかは簡単、俺が一歳になった年のハロウィーンの翌日、この世界での父さんと母さんが新聞を見ながら『生き残った男の子』だの『例のあの人』だの言ってたからだ。その日は1981年11月1日。そう、かのハリーポッターがヴォルデモートの魔の手から生き残った日の翌日である。

 

 …いやぁったぁぁあああ!!バンザーイ!!!ハリポタの世界キタゾ!しかも年齢的にハリーと同い年じゃん俺!!転生したって気づいたときはどうしようかと思ったけど、これは悪くない!てか前世より何百倍かはいい!

 

 こんな感じで数日間喜びに満ちて騒いでいたが、(両親は両親でヴォルデモートが消えたことで魔法界中が浮かれてたので気づかなかった)ある日ふと疑問を抱いてしまった。

 

 

 俺がこの世界に生まれた意味とは?どう生きるべきだ?って

 

 

 俺の名前は多分コーリー・スプラウス。俺の知る限りスプラウスなんて家系はハリポタに出て来てないし、もちろん聖28一族にも入っていない。しかし家の中を見た感じそこまで浅い歴史の一族でないようにも思われる。(フォイのとこみたいに大邸宅ってわけじゃないが、ポコリと出てる丘の上にかなりしっかりした造りの家だし、屋敷しもべがいるのはもうわかっている)

 

 俺には原作知識以外にチートや厄介な血縁関係もないことが確認している。どこぞの吸魂鬼に崇められるような魔法生物の王でもないはずだし、魔法式の構造が見ただけでわかっちゃう天才でもないはずだし、どこぞの帝王やポッターやブラックといった主要キャラの血縁者でもないはずだ。

 

 それに、俺になにか目的があるかと聞かれれば、それははっきりとノーと言える。もちろんこの世界を満喫したいってことは間違いないけど、どこぞの野望の化身みたいに世界を作り替えようとは思わないし、どこぞのフォイみたいに世界を作り替えようとも思わない。てか世界作り替えたいオリ主多くね?

 

 しばらく考えてやりたいことは決まった。

 

 オリジナルで死んでしまう主要キャラの救済である。できるならセドリック救済したいし、シリウスも救済したいし、ダン爺もスネイプ先生も救いたい。てかお辞儀の出番消して何事もなく七年間日常ENDが俺の理想ですらある。

 

 でも現実問題これは不可能に近い。

 

 これがチート持ちの俺強ぇ転生者なら話は簡単だ。物語開幕前に分霊箱でもなんでも全部潰して、後は折を見てハリーの血でお辞儀復活させて瞬間的に(お辞儀にハリーを)アバダケダブラって、直後に(俺がお辞儀に)アバダケダブラすれば万事解決だろう。

 

 しかし残念なことに今のところ原作知識チートだけの俺には荷が重い。セドリック助けようとしたら巻き添え喰らって死ぬだけだろうし、他のターニングポイントも知ってるだけじゃ止めることはできないだろう。

 

 そこまで考えるとやることの答えは案外簡単に見つかった。

 

 

 なんだ、どう動くにせよ強くならなくちゃどうしようもないじゃんか!?と、

 

 

 コーリー・スプラウス一歳と二ヶ月程、今日から最強を目指して頑張ります!!

 

 

 

 

 

 

ママ「コーリー、あなたの名前はコールよ、コーリーは愛称よ」

 

パパ「ハッハッハ、確かにいっつもコーリーって呼んでるからな!気づかなくても無理ないか!」

 

 

 

 

 

 …え???マジ???




コール・スプラウスがわからんって方(大半知らんだろう)は、どーぞググってください。コールのモデルってか本人です。はい。誕生日も本人に合わせて8月4日かなぁ…


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1982年1月13日 箒と姉と兄と

 俺がどこぞの有名イケメン俳優と同性同名な、というか瓜二つじゃね?って件について。

 

 鏡が映し出す幼くも整った顔を眺めて思わず唸ってしまう。緑がかった青色の瞳にブロンズの髪、まだ一歳とちょっとだというのにわかってしまう将来有望な顔。俺は知ってる、この子供らしい優しげな顔は、十代後半にはスッキリとした顔の女の子達がキャーキャー言うようなイケメンに化けるって。ぶっちゃけ秘密の部屋や謎のプリンスでできたトム・リドルよりイケメンな顔立ちになるし、シリーズ内でトップの美貌を誇るセドリック役のロバート・パティンソンとともいい勝負できるんじゃね?って位のイケメンっぷりである。

 

 なに?あのロバート・パティンソンを知らない??罰としてフォイは10点減点!今すぐググってきてなさい!!

 

 まぁ転生したらイケメンに!ってのはベタだしなんも悪いことはない。寧ろサンキュー神様である。

 

 さらに、である。実は本物のコール・スプラウスには兄がいる、しかも双子の。

 

 この事実に気づいた俺は、チラッと横を見る。

 

 

 

 …いるんだよなぁ、双子の兄さん。

 

 ディラン・スプラウス、俺と顔がそっくりな双子の兄さん。こっちもディルって愛称で呼ばれてたし、全く気づかなかった。

 

 …こいつも、転生者なのかな? とにかく、利発そうで、勝ち気でやんちゃだってのはわかるけど。わからんなぁ…。

 

 

 …更に、我が兄弟にはお姉さんがいらっしゃった。

 

 あっちの双子に姉っていたっけ?

 

 彼女の存在も前から知っていたんだけど、まともに会えたのはここ最近の出来事だ。二歳年上らしいのだが、物心ついたときから本を読み耽てて、ほとんど遭遇しなかったようだ。…なんか凄くシンパシーを感じるんだけどまさかねぇ。

 

 会ってみると凄い美人?美少女?美幼女?だった。ヘーゼル色の瞳(暗い緑と明るい茶の中間の色)に、フワッとした茶色い髪がセミロングでたれている。スッとした顔立ちにキリッとした瞼、うんやっぱり将来有望である。

 

 名前はテイラーだそうだ。

 

 おっかしいなぁ!? 将来瓜二つになりそうな人に心当たりがあるなぁ!?!? 名前も一緒だなぁ!?!?

 

 

 …まぁその辺はもう少ししたら聞いてみよう。たぶんこの方はコッチの人間だ。

 

 

 

 さて、最強になる宣言をした俺は、まず魔法界の色々を学ぶことにした。言葉がわかってきたときの知りたがりの子供を演じ色々質問を投げつけたり、家の蔵書を漁ったりと。

 

 一応言っておくとうちの本棚にはいわゆる闇の魔術系統の蔵書はなかった。ということは、早計ではあるがこれは我が一家は死喰い人の、というかお辞儀陣営ではないと見ていいだろうか?ハリーがお辞儀を打ち倒した時の新聞を見ながら歓喜していたのを見る限りそうではないとは思うのだが万が一ということもある。

 

 基本ハリー陣営に回る予定の俺としては親の立ち位置はしっかり把握しておきたいところである。

 

 代わりにということなのだろうか、我が家の蔵書のおおよそ九割が魔法生物に関する蔵書だとわかった。そういう家系なのか?闇の魔術の系統ではないが魔法生物の本としてはかなり刺激的な、禁書の棚に置かれそうな物も混じっている。この辺の理由ももう少し大きくなったら聞きたいところだ。

 

 ラインとマイラの両親は俺の質問攻めに「こいつは色々なことに興味をもつなかなかの聡い子だな!(親バカ)色々教えて与えてやろう!」って感じで俺が興味を持った事にわかる範囲だけど真摯に受け答えをしてくれ、さらにいろんな物を買い与えてくれた。ありがたいことだ。

 

 まずは二歳の誕生日に箒を買ってもらった。まさかのシルバーアローだ。ミーハー的には狂喜乱舞レベルなんだが出所が気になる。あれ?これ生産中止になったんじゃね?ってそれとなく聞いてみると

 

「コーリー、そんなことも知ってるのか!そうだ、確かにシルバーアローはもうかなり前に生産中止になっている代物だ。だかな、生産中止したからといってそれで全滅というわけじゃない!コーリーはなぜこの箒が生産中止になったと思う?」

 

「えっと、コメットとかクリーンスイープとかニンバスとかいい箒がでてきたから?」

 

「違うな、確かにそれらの量産系が幅をきかせていたのもあるだろうが、一番は一重に人気がありすぎたからだ」

 

「人気がありすぎて生産中止?」

 

「そうだ、このシルバーアローは枝の一本一本まで全て手作りなんだ。だから生産量は他と比べると極端に少ない。その癖、性能は競技用と同等かそれ以上、実際生産中止前までは公式戦でもよく使用されていたんだ。さて、こんなに凄い希少な箒、どうなると思う?」

 

「どうなったの?」

 

「金持ち達が価格を釣り上げはじめ、最後の方には製作者への脅しだ。俺に寄越せって」

 

 なんともお決まりの結末だな。と、微妙な気持ちになる。

 

「おっと、ちょっと怖い話だったかな?」

 

「ううん、それでどうしてパパがそのシルバーアローを買えたの?」

 

「ハッハッハ、実はちょっとしたツテがあってな。実は今も現役クィディッチ選手のフェルナンド・ジュークスはパパの親友でな、そのお父さんが、たまたまシルバーアローの製作者のレオナルド・ジュークスだったわけだ」

 

「えっ!?あのカラシオック・カイツのチェイサーの?パパ凄い!!」

 

 こうして俺はシルバーアローを手に入れた。ミーハー的にはカラシオック・カイツのクィディッチ選手とラインが親友だということの方が衝撃だったようだが。

 

 

 






カラシオック・カイツは公式に存在するノルウェーのクィディッチチームです。

レオナルド・ジュークスも公式ですが、フェルナンドはオリキャラです。もうでないとは思うけど、たぶん。

次回は本とか杖とかの予定

※姉さんのモデルは誰でしょう??((ググればたぶん出てくる(8/21)


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1982年9月24日 朝の日課と原作考察

本とか?杖とか?ナニソレオイシイノ???


 最早愛用してるとまで言えるシルバーアローを庭でブンブン乗り回す。

 

 先月でやっとこさ三歳になったやつが箒を乗り回すな!だって?うるさいぞ、にわか共!かのハリーは一歳足らずでキャッキャッ、キャッキャッといいながら乗り回してるじゃないか!!

 

 ん?ハリーは子供用箒だったって?…うるさいぞ、誤差だそんなもん。

 

「おーい、コーリー!待ってくれぇ!!」

 

 後ろからラインがクアッフル片手に追ってくる。ちなみにラインの愛箒は、ニンバス1()0()0()0()である。2000ではなく1()0()0()0()である。確か60年代後半に生産された代物だ。その割には乗り手が二歳だということもあるが、しっかりシルバーアローについて来れているから驚きだ。ちゃんとしっかりした手入れと改良が施されているのだろう。

 

 最近ラインについて、たぶんマイラもそうなのだろうがわかった事がある。二人ともかなりの年代物好きだということである。

 

 マグルにわかりやすい例を挙げるなら車だろうか?近年電気自動車が現れはじめる中で、尚もダッチチャージャーやらGTOを求めるクラシックカー好きの魔法使いバージョンみたいなものである。(ダッチチャージャーもGTOも知らないだって!?罰としてフォイは5減点!今すぐググってきなさい!!)

 

 そして彼ら大抵最新のハイテクマシンに見劣りしないためにエンジンや車高、タイヤなどを変える、いわゆるリモデルというやつをやる。

 

 ラインもその点は同じだと見受けられる。たぶん元からあるのは箒の柄の部分だけだろう。恐らく枝の部分は全て最新のかなり高価なのに違いない。

 

「ほーらコーリー、いくぞー!そーれっ!!」

 

 そんなことを考えているとラインがクアッフルを投げてきた。箒に乗ってのクアッフルのキャッチボールは最近の朝の日課である。

 

 こんな日課を続けていると前世での疑問が一つ解けていく。それはクィディッチって実はそんなに疲れないんじゃね?である。論旨は簡単、箒に乗ってクルクル飛んでくだけならそんなに辛く無くない?という感じだ。

 

 まぁ実際にやってみるとなんとも愚かな考えだったと思うわけである。

 

 ただ跨がっとけばいいと思ってるなら、それは大きな間違いだったのだ。上空数十メートルの世界は人が思っているより風が強い。バランスをとるだけで大変だし、これでクアッフルの投げ合いとか止まってるやるだけでも難しい。これを選手達は平然とアクロバット飛行しながらやっていくんだからすごいもんである。

 

 俺もここ半年でやっと空中で止まってる状態でならキャッチボールができるようになってきた。それに、クアッフルはクアッフルでもこちらは本当に子供用で、軽い柔らかいの安全設計だ。

 

 本当の競技用のクアッフルを使えるのは成長期にある程度入ってからだなと思うと同時に、ホグワーツでのクィディッチチームへの加入が基本二年生からなのも実際かなり現実的な設定だったのだと改めて感心した。

 

 ハリーが一年生で入れたのはポジションがシーカーだからだ。スイッチを目聡く見つける視野の広さと天性の箒捌き、そして曲がりなりにも十一歳にの体を持ってしてなんとかシーカーにはなれる。しかしこれがチェイサーやビーターだったら全くこなせなかっただろう。

 

 そして、それとは別に飛行訓練を別途でやっている。クアッフルとか他のことに気を使わず、自由に飛ぶだけなら今の俺でもある程度はできるのだ。もっとも長時間やり過ぎると、腹筋と内股、さらには二の腕の当たりが筋肉痛になってしまうのだが。なるべく筋肉をつけるようなまねはしたくない。いくらイケメンになったからといって、身長が伸びない危険性はなるべく起こしたくないものである。

 

「朝から元気ねぇ、コーディ」

 

「やぁお姉ちゃん、おはようさん!」

 

 スィーッと隣を優雅に飛んでいるのは姉さんだ。最近朝に弱いことが発覚した姉さんは、大体この時間になると起きてくる。

 

 姉さんも例に漏れずクラシック好きのようだ。使っているのは、エレビー・アンド・スパッドモア社のスイフトスティックという箒。なんと1952年生産の代物だ。それを自分専用にチューンアップしている。

 

…本当に五歳児が?シルバーアローと並走してるんですけど???

 

 ディラン? あいつはたぶん裏庭だよ、今日も。

 

 我が兄貴はどうも転生者じゃないってのがここ数ヶ月隣で見てきた俺の感想だ。

 

 …いや、素の天才ではあると思うけど。

 

 ディランは俺達3姉弟の中で一番アウトドアなやつだ。すなわち一番魔法生物に興味を持ち、戯れてるやつでもある。

 

 で、内の裏庭の小さな森にいるヒッポグリフと今日も戯れてるわけだ。

 

「僕は箒よりロジャーと飛ぶ方が好きだね」

 

 とは、ディランな言葉だ。ロジャー(ロジャリテット)という名のヒッポグリフはラインが仕事中に見つけて保護してきたはぐれグリフだ。見つけた時はまだ飛べもしない幼体だったらしいが、今ではもう立派な生体だ。

 

 姉さんが生まれる前に拾ったって言うし、今は6、7歳くらいかな?

 

 ちなみにディランの愛箒はオークシャフト79。1879年製造…だったっけか? 確かスピードを上げるとカーブでもたつくってことであまり評判はよくなかった気がするけど…。

 

 

 俺より上手く、早く飛べるんだよなぁ。

 

 絶対こいつ才能あるよなぁ、いいなぁ。

 

 俺もロジャーに乗りまくったらうまくならないかな?

 

 

 

 転生者より、現地天才の方が強い件について…

 

 でもこれだけ才能あったら原作でても良さそうな気がするだけどどーよ???

 

 

 

「よーし、今日はこのぐらいにしとくかー!?」

 

 しばらく姉さんとおしゃべりしながら並走しつつ黄昏れていると、ラインから終わりの合図が聞こえてきた。

 

「うん、そうだね!ねぇ今日は本買いに連れてってくれるんでしょ?」

 

「あら、私も欲しい本があるの。ちょうどいいわ、連れてって♪」

 

 姉さんが答える。

 

「ん?そうか、もう約束してた日か!いやいや忘れて忘れてた!急いで準備してくるから待ってくれ」

 

 ちょっと抜けてるラインが、ハッハッハと笑いながら地上へ降りていく。

 

「ちょっと!忘れないでよね!楽しみにしてたんだから!」

 

 そう、今日は待ちに待った本購入の日である。強くなるためには沢山の知識を蓄えないと!俺はそう意気込むとシルバーアローの柄をゆっくりに向けて降りていった。

 

 

 

 

 

「もー!忘れたお返しに今日は沢山おねだりするもんね!」

 

「ハッハッハ…お手柔らかに頼むぞコーリー」

 

 丘の上の家からは今日も楽しげな笑い声が聞こえてくるのだった。

 

 




主が始めて読んだときに思った疑問です。

ぶっちゃけクィディッチやってると上半身と腹筋バキバキになるんじゃね!?

まぁ逆にやってない人はかなりぽちゃっとしそうな気がするような…美容魔法とかやっぱしあんのかな??



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1982年9月24日 魔法の街へ

 俺とディラン、ラインにマイラそしてテイラー姉さんの家族全員で最寄りの大規模商店街にむかう。もちろんお目当ての本屋はマグル達の店に紛れているので移動は車だ。ちなみに我が家のマグル用の車はポルシェの356Aの黒だ。(は?ポルシェ356Aを知らない??君は名〇偵コ〇ンも読んだことないのかい?…え、これでもわからないの!?罰としてフォイは20点減点!さっさとググってきなさい!!)

 

 まぁクラシックカー好きにとっては、涎が滴るレトロな名車である。

 

 ポルシェが町外れから少しは賑わいのある街道に出て来た時、ラインがバックミラー越に聞いてきた。

 

「それで、コーリーはなんの本が欲しいんだい?」

 

「うーん、とりあえず今日は呪文学の本が欲しいな!」

 

 この呪文学の選択、実は消去法をして考えた結果だったりする。ハリポタのホグワーツ内で描かれている、一年生からの授業分野は全文で八つ。

 

 変身術、薬草学、魔法史、呪文学、闇の魔術に対する防衛術、天文学、魔法薬学、そして最後に飛行訓練で八つである。

 

 この八つの内俺の目的であるキャラ救済を考えた上で、何を先取りして学ぶべきか考えると、魔法史、天文学はまず消える。

 

 次に飛行訓練はもうやっているので除外、薬草学、魔法薬学についてはどうやらマイラ母さんに心得があるらしいので除外。

 

 すると残りは、三つ。後は感覚的な問題で、闇の魔術に対する防衛術は二歳がおねだりするにはちょっと気味悪がられそうなので、そして変身術は姉さんがそれなりに買ってもらっているらしいので除外だ。

 

 まぁ呪文学こそ魔法の基礎中の基礎だ、と個人的には思うので、しっかり精進したい所だ。

 

「そうかそうか。さすがにコーリー、勉強熱心だな! それで? ディルはなにがほしい??」

 

「うーん、あんまり考えてないんだけどなぁ。姉ちゃんは変身術で、コーリーは呪文学だろ? それ以外で体を動かせるのがいいな」

 

 ディランはディランで相変わらずだった。

 

 

 

 気づけば周囲の景色がだいぶ賑わっていた。前世で観光で訪れたロンドン郊外とは少し建物の趣が違ったりするので違和感を感じたが、前世で行ったのは二千年代のロンドンだし、別にここがロンドンというわけでもないかと思い直す。

 

 ほどなくして、ポルシェは一つのパーキングエリアに止まった。

 

「さぁついた!ここ、オスロじゃ一番の商店街だ!」

 

 そういいながらラインが出ていくので後に続く。

 

 見た感じ『なんというか期待外れだ』と、コールは思った。八十年代の街並みにがっかりする自分に心の底で突っ込む『そりゃ八十年代だ、高層ビルがボンボン立っているとでも思ったかい?違うだろ??』って。

 

 そんな気持ちも商店街に入ればすっかりなくなった。やっぱり商店街はいいもんだ。なんと言っても活気が溢れている。そんな穫れたての野菜や魚が所狭しと並んでいる市場を見ていると、その隙にラインが消えていた。

 

 あわててみると、ちょうどマイラが消える所だった。続いてテイラー、消えた所まで行くとそこは人一人がぎりぎり通れそうな横道だった。

 

「コーリー!早く来いよ!」

 

 ディランが横道のさきから手を振っていた。意を決して横道に入るとその先で家族全員が待っていた。なぜかマンホールを中心にしてたっている。

 

「よしっ、コーリーも来たな。それじゃあ始めよう」

 

 そういうとラインはマンホールを杖を使って叩いて行く。

 

「ねぇ、お父さんは何やっているの?」

 

 いきなりラインが滑稽なことをやり出したので、隣にいたテイラーにこっそり訪ねる俺。

 

「これはね、魔法使いの秘密の街に行くための合言葉みたいなものなのよ♪ロンドンではパブの裏庭のレンガを叩くっていうでしょ?ここ、オスロの場合は…」

 

 

 

 

ガコンッ!!!

 

 

 

 

 

 ものすごい音がしたので振り返って見てみると、マンホールがシュルシュルと音をたてながら上に伸びていた。

 

 下から出て来たのは、円形にそって降ろしてある金網と上下ボタンがついている箱…。

 

「…こんな感じでマンホールをエレベーターにしているわけ♪」

 

 俺はこの時どんな顔をしてただろう?

 

 とにかく言えるのは『魔法ってすげぇ!!!』ただこれだけだったに違いない。




まぁオスロってことはねぇ…
主人公は回避するのか?まぁ目的のためなら当然◯◯◯!!!


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1982年9月24日 雑貨屋

中途半端だけど更新…


 オスロの魔法街は地下でした!っと。

 

 ハリポタ、魔法、地下と来ればロンドンの地下にある魔法省が思い浮かぶが、オスロの魔法街はそれとはにても似つかない場所だった。

 

 真っ暗な地下にフワフワと浮かぶ光の玉(ダンブルドア校長の火消しライターから出てきそうだとコールは思った。)がいくつも浮かび、魔法省の厳粛な雰囲気とは違うファンタジーな世界を演出している。

 

 道のあちこちでは、

 

「ハンガリーホーンテールの肝が何でこんなに高いのさ!」

 

「そりゃハンガリーホーンテールはドラゴンの中でも一番獰猛な種類でさっ。そう簡単に肝なんて市場にあがらんのでさっ。それで不満ならこっちのノルウェー・リッジバックのでどうでさっ。お安くしまさっ。」

 

「そんなへっぽこ種の肝なんてアタシ一人でも獲れるわ!ささっ、値切りさ、値切り!その辺の雑魚種の肝だって三十グラム十三シックルもするのに、ハンガリーホーンテールのは三ガリオンに五シックルだって??アタシをなめんじゃないよ!!」

 

「そんなぁ…これは正規の値段さっ、少しもさげれないさっ…」

 

と言った値切り交渉が盛んに行われていて、活気に満ちあふれていた。

 

 いっやぁ、すげぇよ魔法!うん、こりゃ凄い!

 

 こんな感じの意味のなさない賛辞の羅列が、コールの頭の中を埋め尽くしていた。

 

「ようこそ、フィン横丁へ!」

 

 俺の驚いた顔を満足気に見たラインはそういった。

 

 …しかし、フィン横丁ねぇ、コールは考えた。

 

 ちょっとした豆知識なのだが、ダイヤゴン横丁の横丁名は対角線を意味する「diagonal」から来ているそうだ。さらに、英語でDiagon Alley(ダイアゴン横丁)というとDiagonally(斜めの)と同じ発音になる。だから建物も斜めに建てられているらしい…。

 

 フィン横丁(Fin Alley)ねぇ…。横丁の歴史に少し興味が湧いたコールであった。

 

「何ボサッとしてんだコーりー、さっさと本買いに行くぞ!」

 

「わかったってディル! 待って、引きずらないでぇ!」

 

 気づくとまたはぐれかけていたコールは、呆れたディランに引きずって行かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フローリシュ・アンド・フロッツ書店~オスロ支店~』という看板を目にしてコールは立ち止まろうとしたが、テイラーに引きずられてそのまま通り過ぎてしまった。

 

「なんだい、本と言えばフローリシュ・アンド・フロッツ書店だろ?どうして通りすぎるのさ」

 

 コールの疑問に、マイラが答えた。

 

「それはね、コーリー。これから行く店にも大抵の教科書は置いてあるし、こっちの方が掘り出し物が見つけられるかもしれないのよ!まぁ安いのが一番の理由だけどね…ほら見えた!」

 

 マイラが指さした方は通りの端で『ハーファングの雑貨店~古着・古本・古雑貨、何でも売ります何でも買います~』と、剥がれかけている看板に書かれた古ぼけた店があった。

 

「ちょっと古いのは気にしないでね」

 

 マイラはちょっと笑いながらそう付け加えた。

 

 

 

 古ぼけている店だけど、よく見れば最低限の手入れはされているし以外と、いや、かなり大きい。創業は1327年、かなりの老舗なのか…。

 

 しっかりと見たコールの感想である。よく見れば表の看板も埃一つついてない。『古き趣のある雰囲気が漂う、知る人ぞ知る名店』と、コールは評じた。

 

 それにしてもハーファングか…まさかマンタとかだったりして。それはないか。

 

 そんな一抹の不安を抱えながらコールは店に入ろうとした。しかし、

 

「私が先よ、コーディ♩」

 

 そう言って、テイラーに先を越されてしまった。

 

「なんだい、一緒に入ればいいじゃんか!」

 

 そう言うと、ラインが笑いながら言った。

 

「いやいや、それじゃあダメなんだよコーリー」

 

「なんで?」

 

 ディランが聞いた。

 

「それはな、この店が特殊な魔法にかけられているからだ。

この店は入るたびに置いてあるものが違う。

店主曰く、自分が本当に欲しているものだけが目の前に置かれるのだそうだ。

自分が欲しているものによって中は千変万化、一冊の本しか置いて無かったりするときもあれば、四方にいろいろな物が置かれてる時もある。

まぁそれは入ったその時々のお楽しみだな!」

 

 「つまり、二人で入ると二人分の欲しいものがごちゃ混ぜになって置かれてしまうんだよ」ラインが面白そうにいった。流石魔法、流石ハリポタ、描かれてないところでも不思議レベルが下がることを知らない。

 

 話を聞いて期待度がマックスになった兄弟がソワソワと落ち着きなく待っていると、テイラーが店から出てきた。

 

「見てみて♪『アニメーガス~歴史から原理を紐解く~』を手に入れられたわぁ~♬それもたったの一ガリオンで!」

 

 テイラー姉さんはいつもにも増して上機嫌だった。

 

 ハリポタミーハーのコールも初耳の書名だが、どうやら相当なレア本らしい。また一段、コールの興奮メーターが上がった。

 

「よかったなテイ、どうやら満足行く本が見つかったようだ。よし、それじゃあ次はコーリーの番だ!ほら、お小遣いの一ガリオンだ、よく考えて使いなさい」

 

 

 

 コールは一ガリオンを手に取り、ドキドキと興奮のままに店に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヴァルカノヴァはまぁわからなくても後々明かす気はあるので調べなくてもいいかなぁっと思いましゅ

アニメーガスの参考書はオリジナルです、ハイ

タグつけないとかな??いっか、これぐらいは←


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1982年9月24日 導きの本

 店内はひっそりと落ち着いた雰囲気をはっしていた。その一角に数段ある本棚が置かれ、中にぎっちりと本が詰まっている。その横には細長いテーブルが置かれいくつかの雑貨が置かれていた。

 

「いらっしゃい少年」

 

 不意に真横から声がしたので見てみると、そこに一人の老人が座っていた。

 

「わしがこの店の主人じゃ、会計もわしがするからな、ゆっくりと選んできなさい」

 

 コールはうなづくと、とりあえず本棚へと向かった。

 

 コールが買おうとしていたホグワーツの呪文学の教科書『基本呪文集』や、アメリカの魔法学校イルヴァーモニー校の教科書である『チャドウィックの呪文集』は全巻揃って見つかった。

 

 当初、買う予定だった物を見つけて手に取ったが、マイラの「掘り出し物が見つかるかも」と言う言葉を思い出して当たりを観察し始めた。

 

するとあるわあるわ、『オリバンダー~杖作り十代の記録~』といっためちゃくちゃ読みたい本や、『ウェンデリンの変わった魔術』といった一見なぜここにあるのかと言う本まで、ピンからキリまで揃っていた。

 

 すげぇ、どれも原作にはなかった本ばかりじゃん!と、夢中になって手にとってはペラペラ、手にとってはペラペラしていると、本棚の一段が耐えきれず横にガツッと倒れてしまった。

 

 あたりに埃が舞う。ゴホゴホ咳き込んでいると、倒れた一段の裏になにかが挟まっている事に気がついた。

 

 俺はそれがなぜか無性に気になった。

 

 おもむろにそれを引っこ抜く。本がドサドサッと落ちてしまった。

 

 手に取ったのは古ぼけた一冊の本だった。使い古してあるのか、手垢がびっしりとついている。

 

 本の題名は『闇の魔術教本』と、シンプルなもの。

 

 しかし、問題はその著者にあった。

 

ネリダ・ヴァルカノヴァ

 

 あー、わからない人も多いだろう。あのダームストラング校の創設者である。

 

 ホグワーツの創設者達には劣るかもしれないが、間違いなくビッグネーム。

 

 いや、闇の魔術に関しては彼等より抜きん出てたに違いない。かのグリンデルバルトを輩出した学校の創設者である。

 

 もしかしたら、と、思う。

 

 もしかしたら、ヴォルデモートに拮抗する力を持ってたのではないかと。

 

 そんな人が書いた教科書だ。最強を目指す俺にとっては自然この本が必要だと思った。

 

 ほしい、絶対に手元に置きたい!

 

 しかし、この本だけを持って出て行っては両親や姉兄に白い目で見られて、最悪取り上げられるのは目に見えている。

 

 俺は本を隠せるような雑貨がないかと机の方に移動した。

 

 細長い机に置いてある品々はこれまたピンからキリまで揃っていた。

 

 半分効果がなくなっている透明マントや、使用済みポートキーなぞ誰がいるのやらと思いながら物色を続けている先に、一つのポーチがあるのを見つけた。

 

 黒だが妙に光沢のある革製…。俺はそれがドラゴンの革製だと直感した。

 

 手にとって見る。軽い。

 

 これならちょうどいいかと思って開いて見ると、俺は思わずにやけてしまった。

 

「検知不可能拡大呪文…、完璧!」

 

 

 

 

 俺はホクホク顔で老人の元へ向かった。

 

 

 

「んん? 選んだかね?? どれどれ、……このポーチは、13シックルと14クヌートじゃな。検知不可能拡大呪文つきなんて掘り出し物じゃの。そしてこの本は……!?!?!?」

 

 

 

 そういえば家族にバレないようにとか以前に、この老人に見せるんだったよなぁ、失念してた。

 

 と、明後日の方向を見ながら現実逃避する俺。

 

 

 

 ミスったぁああァ。これじゃどっちにせよ手に入らんルートじゃん! やっちまったぁああァ……。

 

 

「クッ…ククッ……カッハッハッハッはぁ。いやいや久しぶりにたまげたわい。それで? 少年は何を欲していたんじゃね?」

 

 

 

 俺が内心orzってたら老人が笑い出した。

 

 あっなんか許されそう。

 

「一応、呪文学の本を探しに来てたんですけど…」

 

「違う違う、わしはそんな表向きの事なんぞ聞いておらん。少年、お主の心の中にある望みはなんじゃと聞いておるのじゃ!」

 

 望み? そう聞かれて答えられるものは一つしかない。でも……

 

 俺は少し考えた後、素直に答えることにした。

 

「望み、強いて言えるとすればそれは最強の魔法使いになりたいという望みです(原作キャラ救済のためにな!)」

 

「カッハッハッ。…最強を求める、か。言うは易し、じゃが成るは難し。しかしの、この本が現れる時点でお主の信念は相当なものじゃ」

 

 老人はそこで一旦言葉をきった。

 

「…少年、お主のその心意気を買おうじゃないか! フフッ、ネリダの爺も自分の魂がこんな聡い若いのに継がれて満足じゃろうて」

 

「あ、あの、そういうあなたはもしかして…」

 

「あぁ、ネリダがわかるなら、わしのこともわかるか。その通りじゃ、わしはハーファング・マンター。かつてはダームストラング校の長をやってたがの、今はただの爺じゃ。」

 

「なるほど、あの、ここにはこういうものがまだ沢山…?」

 

「うむ、ここにはダームストラング校で使わなくなった、忘れ去られたものがたくさんある。その中にはその本のように次の持ち主をずっと待ち続けているものもある、そういう店なのじゃ。そして、そういう品々は滅多に並べられることはない。」

 

 ここでハーファング老は身を乗り出していってきた。

 

「よいか? お主はその本を選んだのではない。その本に選ばれたのだ。そこをちゃんと頭に入れておくんじゃぞ?? …ネリダからは自分の所有物の継承者へ言伝を預かっておる。『私の遺品に選ばれし者へ。私の遺した物は強力だが危険で、魅力的だが、難解だ。自分の志した道に違わぬよう精進してほしい』…実はネリダに自分のやつには金をかけるなと言われてての。その本はタダじゃ持ってきなさい。 …他に何か買いたいものはないかね?」

 

 俺は本を買いに来てポーチだけを買って出てくるのもおかしいと思い、手頃な本を一冊買って店を出た。

 

 



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